再度、この地で (四角いねこ)
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始まりのはじまり

今回初めて小説を書いた主です
あんまり原作通りにやるのが自分的にめちゃくちゃ面倒くさいので原作を無視するので、耐性や受け入れられない人はご注意ください

それでも良い方はどうぞ
※今回は一切バンドリのキャラクターは登場しません
主は音楽経験は一切ありませんので至らない点、にわかの点が多いです


 

 

じりじりと強い日差しが降り注いでくる

日差しは嫌いという訳では無い

だが我慢ならないものもある

 

成田空港

そのターミナルから出た瞬間俺を含む全員が顔をしかめた

?「うわ、あっつい…」

俺の名前は小原・ウォルフ・直人 オーストリアで、楽団に所属するこっちで言う高校1年生だ。両親とも日本とオーストリアのハーフであるので実質ハーフだ。

 

?「おいナオト、こんな所とか聞いてない」

隣で俺に対して愚痴に似た何かを言っているのは親友である。

名前はシュミット・シュヴァルツァー 高校2年生

純オーストリア人で天才だが努力を怠らないし、いろいろ相談にも乗ってくれるいい人だ。

 

?「日本人はよくこんな所で生きられるのね」

こっちの方はミハエル・シンドラー 24歳でオーストリア人

すっごい頼りになる人でもういろいろ頼っちゃいます(語彙力

既婚者だが、オーストリアの楽団に残してきたそうだ。

 

?「もういやよ~」

こっちでぐだっているのは、ミナ・ガンヴォルト

34歳でドイツ人だ。こんな風だがずっと楽団でヴァイオリンパートのリーダーである

 

さて、なぜ俺達がここにいるかと言うと、はっきり言って休暇といったところだ。

 

俺の両親は、いま自分が入っている楽団の楽団員だった。

しかし、外遊していた時現地のギャングに襲われ命を落とした。

そして、俺は遠く日本にいる父方の祖父母の家で小学5.6年の時を過ごした。

 

中学生になる前にオーストリアに戻り、父の担当していた木琴を特訓した。結果として、半年後にはこのパートを任された。

しかし、このことは母の親友のミナさんにとっては、大事な季節をここで過ごさせるのは母に申し訳ないと思ったそうだ。楽団員の中で相談し、シュミット、ミハエルさんを連れて過ごしたことのある日本のある地で大学卒業まで過ごさせようと決めた

 

…その決めた人が1番グダグダしているのはおいておこう。

「ほら、迎えの車が来ているはずですよ」

すると、目の前に黒色のバンが止まった

「よう、直人久しぶりだな」

運転手は、父方の日本人の祖父 小原 紀洋

今から行くところで、議員をやっているそうだ。

「久しぶりだな、じいさん。じゃあ、早速積み込むよ」

ちなみに、シュミットのパートはフルート、ミハエルさんはコントラバスだ。木琴は置いてきて、じいさんが用意してくれるそうだ。

 

車で走ること2時間近く、少しずつ懐かしい景色だと感じることが多くなった。東京唯一の路面電車も久しぶりに見た。

大通りから、少し入ったところの大きな二階建ての建物で止まった。

「着いたぞ」

そう、じいさんが言った。また、この地から始まる物語はどんな模様を描くのだろう。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

その他の設定

 

小原・ウォルフ・直人《おばら・うぉるふ・なおと》

顔立ちはまんま日本人。外国の血が入っているとは思えないほどの日本人顔

 

一度歩いた場所は完璧に覚えることが出来るので散歩が大好き

一度聞いた声を完全に発声できる能力を持つ。例えそれが電子音であっても。

自分に重大な危機が迫ると途端に頭痛と吐き気に襲われる

直人が外遊に付いていかなかった1番の理由

 

 

かなり不定期になると思いますがなるべく続けていきたいのでよろしくです。ではでは

PS

毎回このくらいの短さになる可能性が大いにあります

 

 



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お散歩時間

評価なんて気にしなーい気にしなーい(ガクブル
まだ評価なんて無いけど
やっと1人目登場です


到着してから約2時間、荷物の運び入れが終わり、リビングに行ってみると…

「あぁ〜冷たいんじゃ~」

床に腹を付けてへばりついているシュミットがいた。

「なにしてんの」

「何ってそりゃあ…夕涼み?」

多分どころではなく用法が違います

「ナオト~」

今度はミナさんがフラフラの足取りでやって来た。

「エアコンのリモコンってどこなの~」

やはり暑さにまいってしまったようだ。

「はい、これです」

ひったくるようにリモコンを取ると速攻で起動

吹き出し口の真下で待っている

…ほんとにこの2人日本で生活できるのか?

 

時刻は午後5時となった。

運び入れしていた時に夕立が降っていたのでだいぶ涼しくなっていた。

もうエアコンいらないと思うけどそっとしておこう。

「ん~、ちょっと外歩いてくるかな」

「あ、じゃあ私も買い物しに行くよ」

ミハエルさんも外に行くらしい

 

外に出てから少しすると、見知った人に会った

「あら、なおくん久しぶりね。」

後ろを向くとそこには、ばぁさん 祖父の妻の小原 ミナミがいた。

「お久しぶりです」

「ずいぶん大きくなったのね。今身長どれくらいなの?」

「んー175cmとか?」

「私たちの頃じゃそんな人は滅多にいなかったのに今じゃたくさんいるのね~、そこに関してはやっぱり外国人なんじゃないの?」

「分かりませんね、日本人でも高い人はしますし」

「それもそうね、ところでいまは散歩かしら?」

「はい、少し商店街の方に」

「そう、楽しんできてね」

そう言って別れた。

 

最近よく見る商店街っていうのは大体衰退していくもんだと思っていたが、ここに関しては大間違いらしい。午後5時過ぎ、夕立の後となれば必然的に人が多い。

「ここは人出の多さは変わらないんだな」

商店街はいろいろあって飽きないものだ、しかし店にあまり入ったことが無いのも事実だ。なのでここは一つ、気になった店に入ろうではないか。

「どっか良いところないかなぁ」

すると、一際人が多いところがあった。パン屋らしい。

しかしあまりに人が多い、少しすくまで待つことにした。

 

結局30分ほど待ってしまったが完全に人がいなくなった。

店に向かって、歩き出した。

 

?「いらっしゃいませ、君は初めてのお客さんだよね」

え、何この人来た人全員覚えてるの?怖いよ

「え、えぇ」

「遠くから来たっていう感じじゃないよね?」

「あ、あぁここまで歩いてきた」

「でも、ここは初めてなんでしょ?…ってことは新しく引っ越してきたのかな?」

何この人、見た目だけで当てやがりましたよ?怖いよ

「今日こっちの方に引っ越してきた」

「そうなんだ、見るからに高校生だけど、どこに通ってるの?」

「九月から花咲川?に転校することになった」

「ほんと?じゃあ自己紹介しといた方がいいね」

「私の名前は山吹 沙綾。高校1年のA組だよ」

「じゃあこっちも。小原 直人 高校1年で、まだどこのクラスかはわからないんだ。」

なぜセカンドネームを言わなかったって?別に俺は完全日本人顔だし、暮らしていく中でそっちの方が楽だろう?

「小原君ね。よろしくね じゃあ今日は特別に2割引して上げるよ」

あの、そんな得意気に言われてもかなり微妙な割引なんですが… だが安くなるのは変わらない。

「なにか、おすすめはないのか?」

「そういうやつは早めになくなっちゃうんだよね。でもうちのパンなら何でも美味しいはずだよ。」

なかなかの自信らしい。なら

「クロワッサンで」

「お、なかなかのところだね」

余談しかないが、俺はクロワッサンが大好物だ。店にもよって食感が変わるが好きなのは若干しんなりしたものだ。

「はい、お買い上げありがとうございます。」

「じゃあここら辺で」

「うん、次は学校かな?」

「またここかもな」

「楽しみにしてるね」

 

 

「ただいま」

「おかえり~ナオト~」

エアコンは丁度いい温度で設定されているらしく快適だ。

「どうだった~?」

「やっぱりここは良いところだなって思ったよ。あとこれ、クロワッサン」

食べてみるとこれはかなりのものだ。客が絶えないのも納得だ。皆も満足いく味らしくミナさんはその店に行ってみたいそうだ。

 

 

「さてと、明日はどこに行くかな…」

そう言っている時は大体決まっているものだが、そう言っておきたかった。

8月27日の夜のことだ。

 

 




いやはや、駄文ばかりで申し訳ないと思う限りでございます。
キャラ崩壊も大量発生すると思うのでそこら辺もよろしくです。

紗綾って入れやすいよね


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懐かしい場所?

あの時も俺は朝早くから散歩していた。

そして、必ず行っていたところがあった。

 

いくら日中が暑いといっても朝の時間帯はかなり涼しくなる時がある。そんな時はいつも散歩していた。その時はいつも父から貰ったギザギザのギターを持っていっていた。名前は…何だったかは忘れたが赤色ということは覚えている。

適当に歩き回った後に公園に着くと、弾き始めた。

流石に外で早朝なのでかなり音を抑えて演奏して、帰ってからちゃんとやっていたが外で弾くこと自体が楽しかった。

 

そんなある日だった。

?「あ、いたいた」

「?」

こんな朝早くから誰だろう。俺が言えたことではないが。

「君が早朝のギタリストだね」

なんだそのダサい名前は。

「ねぇねぇ、早速弾いてみてよ」

「おいおい、まずは名乗るってのが礼儀じゃないのか?」

「それもそうだね」

ずいぶん呑気なやつだ

「私は、花園 たえ よろしくね」

「ん、俺は小原・ウォルフ・直人 適当に呼んで構わない」

なぜかこの時はセカンドネームを使っていた

さて、自己紹介も終えたので早速言われた通り弾いてやった。すると突然

「ここじゃ大きな音出せないでしょ?」

花園がそう言ってきた

「当たり前だ。寝てる人も多いしな」

「じゃあ、一緒に行こう」

そう言うと手を繋いでどこかに向けて歩き出した。

「お、おい…」

この時俺はだいぶ顔に熱をもってしまっていた。

 

「ここだよ」

連れてこられたのはスタジオだった。

「い、いきなりなにさ」

「なにって、本気の演奏してもらうためだよ?」

本気…か。花園の目も本気らしい。ここまで本気にさせといて弾かない選択肢はない。

「わかった。じゃあこの曲を弾くから、まず原曲を聞いて」

iP〇dに入っている曲を聞いてもらってから弾いた。

曲はJourneyのSeparate Ways ただ俺がヨーロッパ人だが野球が好きなのだ。

ちなみにギター以外の音の音源を流しながらやる。

 

久しぶりに全力で弾いたのでだいぶ体力を持ってかれた。汗もダラダラだ。しかしそれすらも心地よく感じた。

「どうだった?」

「うん!すごかったよ、私より上手いよ!」

「あはは、ありがとう。」

「ねぇねぇ」

「ん?どうした?」

「私と一緒に練習してくれないかな?」

悩ましいところだ。

「ダメ…かな」

やめてくださいそんな目で見ないでください正常な判断ができなくなるからぁぁぁぁ!!

「いいよ」

言ってしまった。仕方ないね破壊力半端ないから。

「ありがとう」

天使かな。だけどこいつは悪魔のようなやつでもあった。

まず一つ、ちゃんと会話できたのがこの時ぐらいで、ほかの時は何を言い出すかわからない限りだった。

まぁ、かわいいは正義だ。つまり一向に構わん。

 

 

ちょっと涙が出るような感じがしてきた。

彼女、花園たえとの日々は忘がたいものだった。

あわよくばまた…会えればいいな

そう言って座っていたベンチから立ち上がって別の場所へ向かうことにした。




テスト、テストです!
捨てます!


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もう1人の少女

朝6時ごろ、街中を歩いていた。途中やまぶきベーカリーの前を通ると、まだ開店自体はしていないものの建物の中から何かが動く音と、人の気配を感じることができた。おそらく山吹さんも手伝っているのだろう。それに比べて自分は…いや、やめておこう。俺はこの生活が好きだから、他人と比べる気もない。

 

少し歩くと目的の場所に着いた。

「流星堂」

質屋であるが故、珍しいものもたくさん置いてあってあの頃の自分からしてみれば宝探しに近いものがあった。まだ空いてる時間では無いはずなのだが中から物音がしてくる。なので扉に手をかけてみる。ノブを回そうとすると、抵抗なく回転した。恐る恐る中に入っていくと見知った人に出会った。

「…こんにちは…」

「ん?誰だい?」

驚いたようにこちらを振り向いた。

「ん?ん~誰だったかしら」

「小原 直人と言います。3.4年前ぐらいにこの店に通っていたと記憶しています。」

「あぁ!直人君ね。あの頃は有咲がお世話になったわね。」

有咲 それが彼女の名前だった。名字を付けた本名は市ヶ谷 有咲。花園たえと並びあの2年間の間で特に仲の良かった子だ。

「行ってきたら?有咲の部屋に」

「?部屋ってどこにあるんですか?」

有咲と遊んだりはしたが部屋には行ったことがない。

「蔵の地下にあるのよ」

知らなかった。

「覚えてるかな俺のこと」

「どうだろうね」

蔵の地下に進むと物音がする部屋があった。

(覚えてるのかな…)

 

 

あの時は、どんな所なんだろうと思っていた。あの日は珍しく昼間に散歩していた。そんな中で一際目を引いたこの流星堂で彼女に出会った。

開店はしていたので堂々と入った。すると

「いらっしゃいませ…」

ずいぶんか細い声だった。

「ど、どうも」

可愛らしいとは思ったが、目的はこの山だ。こんなガラクタのような宝のような商品の数々、少し乱暴だと思ったが奥へ奥へと、調べていった。そんな時

「そんなにガサガサやって何が楽しいの?」

「知らないものを探すことかな」

「ふーん」

「君はなにか楽しくないみたいだけど」

「そんなことは…」

気がついた時には彼女の手を取って外に出ていた。今思えば自分らしからぬ行動だった。

 

「お、おい!どこに連れていくんだ!誘拐だぞ!」

「いいから着いてこい」

 

向かった先は…街だ。特定の場所じゃない。小学生ながらショッピングモールとか、ゲームセンターとかいろいろ回った。俺はこの子に外の世界の楽しさを知ってもらいたかった。相手のことなんて考えずにやっていた。

怒られたり、殴られたりしなかったのは彼女なりに楽しかったからだろう。

 

「なぁ」

「ん?」

「名前、教えてくれるか?」

ぽかんとしていたせいか、少し声を大きくしてまた言ってきた。

「いや、聞こえてるから大丈夫」

「だったら答えろよ!」

少しだけ彼女の顔は赤みがかっていた。

「分かったから、そう怒鳴るな」

「誰がそうさせたと思ってんだ。」

「まぁまぁ落ち着いてっと…」

一度咳払いしてから。

「俺は、小原 直人」

「私は、市ヶ谷 有咲」

 

そこから有咲と、仲良くなっていった。

夏休みの後でも、途中まで通学路が一緒だったのもある。いや、後々調べてみたがわざわざ有咲が道を変えていたようだった。その時は涙ぐんでしまった。彼女、市ヶ谷 有咲と一緒だった日々は、花園 たえ と並ぶ思い出を持っている。

 

 

今更思い出したが、有咲の部屋に入ったことがあった。その時は有咲が中学の受験勉強の時だった。

その時はただ俺に対して愚痴ばかり吐いていたが、久しぶりに話せただけで楽しかった。

 

扉の前でいつまでもとどまっていたって仕方がない。意を決して扉をノックする。

「ばぁちゃんか?入っていいよ」

少し裏切るような感じがしたが、入っていいらしい。扉を開けて中へ入っていった。




2000字を超えるものを書けなくて困っちゃう
後、新しいイベント欲しくない?


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再会と出会いは大体同じ時に起こる

「え…」

いや、そんなぽかんとされても困ります。でもばぁちゃんだと思ったら男だもんねそうなるよね。

「…」

有咲、完全にフリーズしている。もしかして覚えてないとか?やめて泣いちゃう。少し泣きそうになってくると

「お、おい!やめろここで泣くな!覚えてるから!」

すると肩を掴んでぐわんぐわんさせてきた。ずいぶん必死ですね。

「お、おう。分かったから揺らすのやめて」

若干だが有咲の持っているモノが揺れている。立派に成長しましたね。だからやめようね。

「にしてもいきなり来んな」

「こっちに来たんだから来るに決まってるだろ。」

「なら連絡の一つでもしてくれよ」

「そっちの連絡先知らないんだが」

「たしかに直人の方が毎回一方的に来てたからな」

「そう言うなら連絡先交換しないか?」

連絡先の交換を自然な導入によって達成した。やったぜ。Idid it

「Ruinでいいか?」

なんでコミュニケーションアプリなのに、廃墟って意味なんですかね。よく分からん。

 

読み込んでいる間に、部屋の中を見回してみた。すると…

「これ…」

俺が日本からオーストリアに帰る前日に有咲と蔵でばぁちゃんに撮ってもらった写真が飾ってあった。

「ん?って何勝手にやってんだ!」

終わったらしくこちらを向いた瞬間これである。

「なにか悪かったか?」

「いや…そうじゃねぇけど…なんか恥ずかしい!」

たしかに耳とかが赤い。かわいい。

「にしても有咲」

「どうした?」

「ずいぶん変わったな」

「ん?…!」

何かに気づいたように突然体の前で腕を交差させた。

「変態」

そんなぁ

「別に体のことは言ってない」

「だけど、隠された意味として含んでいたはずだ!」

ないです。

「そうじゃなくて…明るくなったなってね」

出会った頃に比べると明らかに声が違う。高いとかそういうのじゃなく、今を楽しんでいる時の声だった。

「お、おう」

「返しづらいこと言ってすまない。」

「なんで謝ってんだよ…って私も言わなきゃいけない事があるんだ…」

なんだろう?

「お前がここに置いていったギター、人に渡しちゃったんだけど…」

「え?そんなことか、別に謝らなくていいよ」

「でもお前戻ってきたらって…」

「それはもしあったらの話だ。誰かが使ってくれるなら本望さ。」

「そっか…なら今度そいつに会ってくれないか?」

 

 

 

今度と言っておきながら、今日中に済ませることとなり有咲にその子を呼んでもらった。それまでの間今まであったことをお互いに話し合っていた。

有咲が中学校に入った後、また同じ様な生活をしていたこと。俺がオーストリアに帰った後、公演に出たこと。色々言っていたが結局あの頃の話をしていた。また、ばぁちゃんの粋な計らいで朝食も食べさせてもらった。

 

 

 

そんなこんなで午前10時になった。とある駅まで歩いてきた。有咲によるともう着いてるはずらしい。ほんの一瞬空を見上げると

 

「有咲!」

元気な声が聞こえた。その子はギターを背負ってやって来た。

「初めまして!私は戸山 香澄!よろしくね!」

今まで知らないタイプだなとだけ思った。

 




少しだけUAが上がっていくのがモチベ


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神の声と心の声

「初めまして、戸山さん。俺は小原 直人。よろしくな」

「よろしくね!直人君!」

「おう」

「なぁ、直人」

「どうした有咲?」

「お前、いきなり名前で呼ばれるの恥ずかしくないのか?」

そんなことかよ

「あのな、海外だと俺は基本ファーストネームで呼ばれてたから抵抗なんてないぞ」

「あ、そうか」

納得したようで何より

 

少し歩きながら

「ところで有咲、今日呼んだ理由ってなに」

「あぁ、それなんだが…とりあえず蔵行くぞ」

 

場所は変わって蔵

 

「実はな香澄、香澄が持ってるランダムスターは元々直人が持ってたものなんだ。だから今の使用者を見たいかって私が聞いて、呼んだんだ。」

「へぇ~ランダムスター元々直人君のギターだったんだ!」

「まぁ…な」

「じゃあじゃあ…「まて」」

「いや、割り込みで話してすまないが、もうそれは香澄のものだろう? なら俺はそいつを弾く気にはならない。」

少しきつく言いすぎた気もする。

「あ、じゃあ直人君は別れちゃった彼女とかはもう知らない!って感じなの?」

あ、問題なさそうですね。

「なんだその例え方…てか俺は彼女持ちになったことないぞ。」

「えぇー!絶対有咲の彼氏だと思ったのに!」

その刹那、有咲の渾身の右ストレートが"俺の"鳩尾に決まり地面に転がった。

「香澄!いきなりなんてこと言ってんだ!」

あ、気にするのそっちなんすね。被害者を放置するのはいけないと思います!

「だってだって、有咲が男の子と仲良く話すの見るなんて初めてだし!直人君も有咲って呼んでるし!」

「そんなんじゃねえのだけは確実だ!なぁ直人!」

「そうだ。決して有咲と付き合ってなんてない。そんなことより少しこっちを気にしようか有咲」

にしても可愛らしい下着付けてるんですね有咲さん。言ったら殺されるからやめようね。

 

 

香澄が初めましてのカラオケをやろうと言うので3人で近場のカラオケに向かった。

「ねぇねぇ、直人君も歌ってよ!」

「えぇ、何歌えばいいの?」

「好きな曲でいいよ!そういうのは!」

それならと選んだ曲は…

 

「LAST STARDUST」

某人気アニメの挿入歌である。高音域で声を伸ばさなければいけない歌なのでかなりきつい。結果は…

【99.71点】

 

「は?」

「すごいよ直人君!」

「て言うか直人、本人の声になってたぞ!?お前の声帯どうなってんだ?」

やっぱり最初はこんな反応されるよな。この完コピ能力。向こうでは神の声なんて呼ばれたりした。だけど俺は少し複雑なんだ。もちろん声になんてしないが。

 

 

 

その後、みんなで時間の許す限り歌っていた。いつの間にかお昼も食べずに夕方になっていた。

 

「今日は楽しかったよ!有咲、直人君!」

「まぁたまにはこういうのもいいかもな」

「俺は久しぶりだったけどな」

香澄を駅まで送って、有咲を送っていていると

「なぁ、直人」

「どうした?」

「直人は香澄のことどう思うんだ?」

「香澄か…元気で明るいとしかまだ分からないな」

「そっか…」

何故かそこから黙り込んでしまい、そのまま有咲の家の前まで来た。

「じゃあ、またな直人」

「あぁ、またな」

 

有咲side

 

「はぁ~…」

夜になり部屋でくつろいで今日のことを振り返っていると、途端に心臓が速くなった。

「直人…」

前から、あいつに引っ張られて外に出た頃はまだ意識してなかった。

だけど一緒に遊んでいるうちに分かった。

私はあいつと一緒じゃないと楽しくなかった。

あいつとずっと一緒にいたい。

あいつと……そう思った時には遅かった。

 

中学受験の時は考えないように先に私の所に来るなって言っておいた。

だけど時計を見ると無性に欲が出てくる

「こんなことしてないで、直人と一緒にいたい。」

だけど受験は自分で決めたことだ。やらないと嫌だった。そんな日々を過ごしながら無事に合格した。

あいつはとても喜んでくれた。

でもお前は日本から出ていくって言ってきた。

その日の夜、私はあいつを恋人にしようといろんなことを考えた。

だけど、緊張して、いつものようになってしまっていた。

 

直人が日本から去る日、私は空港まで送りに行った。

告白しようと考えたけど、緊張して出来るはずが無かった。

 

もう別れの時間、お前は、必ず帰ってくるって言った。そして私に近づいて。

 

キスをした

 

頬へのキスは親愛だって後で調べて分かった。

だから私はあいつのキスを少しがっかりしてしまった。

 

 

そして今日だ。いきなり訪れてきて私は驚いた。でもあいつが言っていたように彼女持ちでは無いらしい。

なら決まっている。

あいつが行ってしまう前に

 

私があいつの彼女になってやると

 




割と今回長い気がしました。
でも2000には到達しません

しっかり、テスト勉強しましょう


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初登校?

少し時間が飛びます


来て二日間の間は外出しっぱなしだったせいか、ここに来て時差ボケと疲れがどっと来た。なので少し休憩として寝ていたり準備していたりした。

 

 

そんなこんなで8月の31日。今日は学内の案内をするそうで一日早く学校に行くことになっている。

「ここが花咲川ね…」

インターネットでも見ていたが普通の高校だ。しかし、ここ何年か前までは女子高だったせいか、男子の割合は女子に比べ少ない。

 

?「待っていましたよ。小原 直人さん」

あ、やばい。待たせていたらしい。しかも女子ときた。なおさらである。

「すいません、待たせてしまって」

「いえ、まだ時間よりも前ですから問題ありません…っと自己紹介がまだでしたね」

 

「私は 氷川 紗夜です。今日はよろしくおねがいします」

 

 

 

歩いて学内を回っている間に、校則だったり学校に関係することを説明してもらっていたその時だった。

 

「ここが…」

氷川先輩がそう言った瞬間

「……ッ!?」

いきなりの頭痛と吐き気に襲われた。訓練しておいたおかげですぐに抑えたが…

(この近くでなにか怪我でもすることが起きるのか…?)

自らに起こる危機を予知するこの能力。突発的にくるので抑えるのは不可能だ。思わずしゃがんでしまった。

「?どうかしましたか、小原さん」

「い、いえ…」

そう言いながら周りを見渡した。明らかに挙動不審である。

「なにかあるのですか?」

そんな言葉も無視して探し回った。すまんが、身の安全を最優先だ。結果的に先輩の安全に繋がる。

(どこだ?)

すると、棚の上にダンボールがあった。中には、特に危険物は無い。見当たるのはこれぐらいだ。

しかし収まらないこの症状、それどころかだんだん強くなってきた。

「先輩」

「はい?」

「この教室で少し待ってもらえますか?」

「すぐに戻るんですか?」

「はい」

外に出たらだいぶ落ち着いていた。ここは、お願いをしてこの教室から早く出よう。

 

「すみませんいきなり、それでなんですけどこの教室から…」

その時、地震が起きた。

「ん?揺れてる?」

「あなたヨーロッパ出身だけど耐性あるんですねって、かなり強いですね」

かなり強いどころではない、日本人でも危険を感じるレベルだ。先輩もしゃがみこんでいる。そう、ダンボールの下で。あのダンボール実は中に教材が入っておりかなり重いのを知っている。

(これか!)

「先輩!」

「はい?」

まずい気づいてない!呼びかけてももはや遅い。なら動いて自分で何とかするしかない。

大変申し訳ないが氷川先輩にタックルした。

若干持ち上げるような形でやったので衝撃は多少少ないはずだ。

 

 

丁度落ちた瞬間にタックルした。そのせいでダンボールがふくらはぎの部分にダンボールが落下した。

「いっ…!」

幸い先輩に怪我はないようだ。

「いきなりなんですか…って大丈夫ですか!」

見るとかなり腫れ上がっている。しかも痛みのせいか動けない。そのまま先輩に寄りかかるような形だった。

「ちょっとなんとかならないんですか?」

「すみません、動かすと痛くて…」

すると、氷川先輩は力ずくで横にずれてくれたのでそれに合わせて少し体を浮かせた。

 

すぐに先生を呼んできます

そう言って出ていった。

 

明日登校出来るかなぁ…

 

案外呑気であった

 

 




もう1000字前後で投稿ペース早めでやろうかなぁ


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初日ながらに満身創痍

診断結果は割と重いもので、足の骨にヒビが入ったそうだ。

 

「だからと言って、一緒に登校してもらう義理はないんですけど」

ミハエルさんに呼ばれて玄関に行くと何故か氷川先輩が立っていた。

「そういうわけにはいきません。これは私にも責任があります」

「あれは事故だろ?だからいいですって」

「私が気づいていれば…」

「あぁ!もう!これじゃ終わりませんから、もう行きましょう」

 

登校している途中で有咲が待っていた。

「有咲?」

「直人お前!いくら連絡しても繋がらないから心配したんだぞ…って紗夜先輩?」

「おはようございます、有咲さん」

「お、おはようございます。で、直人はどうしたんですか?」

「足の骨にヒビが入ったそうです」

「え、なんでそんなことに…」

「昨日の地震で怪我をしたそうです」

「でもどうして紗夜先輩が?」

「それは…」

「別にいいだろそんなこと」

こんな話を続けたところで意味がない

「さっさと行かないと、俺がこれだから遅刻するぞ」

「それもそうですね、早く行きましょう」

 

 

学校に近づくにつれて同じ制服の人を見るようになってくると…

 

あの委員長と、学年1位を侍らせてるってどんな人?

 

主にこんな奇異の声だったり好奇の声がたくさん聞こえていた。

 

学校に着くと車椅子が用意されていた。だけどこの車椅子、押すのは凄く疲れるのだ。特別にエレベーターを使ってくれという事だった。なんか申し訳ない。

 

そんなこんなで朝のホームルームの時間になり、いよいよの頃になるとやはり恥ずかしくなってきた。クラスはA組、確か山吹さんのクラスのはずだ。有咲はB組だそうだ。

 

ついに呼ばれた。いきなり車椅子での登場ってなに?拷問?もうどうでもいいや。

 

とぉぉつげきぃぃぃ!!

 

わっせわっせと、車椅子を押して中央に入った。

「小原 直人です。こんな形ですが宜しくお願いします」

席は…香澄の後ろだった。近くに知り合いがいるほどいいものはない。

 

休み時間

 

「ねぇねぇ」

「なんだ香澄」

「どうして車椅子なの?」

やっぱりか。

「かくかくしかじか」

「そういうことなんだね、次移動教室だから押してあげるよ!」

「いや別に1人で動かせるし…」

「いいからいいから!じゃあレッツゴー!」

まぁ押してもらうのも悪くない。

 

その後から付いてくる子がいた。

「香澄」

「あ!おたえ~」

「なにしてるの?」

「今ね、直人君の車椅子押してるの!」

「へぇー、私も押してみていい?」

そう言うと、黒髪ロングの女の子が押し始めた。

「あ、そう言えば自己紹介してなかったね。私は花園 たえって言うんだ」

「花園さんね…って……え?」

「ん?どうかしたの?」

嘘だろ…こんな綺麗な人が花園 たえ?

「おたえ?」

「あれ?なんで私の渾名を知ってるんだろう?」

なんでもくそもあるか

 

世界ってのは狭いものなんだろうな




これってハイペースなんですかね
但し短い
テストが始まるので来週ぐらいまで全く投稿しない可能性がございます
ご容赦ください


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外見は変わっても中身はそうそう変わらない

授業が一度途切れる昼休み。

香澄が有咲を呼びに行き、同じクラスの山吹さんと花園さん(一応今はこれだ)そして、もう1人新しい人が追加されている。

「初めまして、牛込 りみ って言います」

牛込さんは、山吹さん、花園さん、有咲、香澄とも違うタイプだ。

 

「そういえばさ」

「ん?どうしたのおたえ」

そう山吹さんが返した

「どうして小原君は私の渾名を知っていたんだろうって」

「え?そうなの?」

「ま、まぁ」

「なんでだろう?」

「おたえは前、仲良かった男の子とかいたの?」

「うーん、知ってるのはこの子ぐらいだよ」

そういうと携帯の待ち受けを見せてきた。そこには笑顔で隣にいる男の子の手を繋いでいる画像だった。2人ともギターを持っていて、男の子のものは当然ランダムスターだ。

 

こいつと仲良くなるにはとんでもない精神力が必要だ。耐えられるのは常人ではない。あれ?もしかして自分変人?

「この子はなんていうの?おたえ」

「えっと、ウッチャンだったかな?」

 

思い出した。俺が名前を全部書いた時おそらく ウォルフ の部分が印象に残ったらしく某人気芸能人の愛称になってしまっていた。

「え?内〇光〇さん?」

「紗綾、私はそんな人と知りあいじゃないよ」

「それもそうだよね」

 

それよりも牛込さん、どれだけそのパン食ってんの。

 

すぐに有咲が香澄に連れられてきた。

「ねぇねぇ有咲」

「どうしたおたえ」

「この人誰か知ってる?」

携帯の待ち受けを見せた。

「んん?って…」

そりゃ気づきますよね

「直人、お前じゃねぇか」

全員の視線が集まる。と思ったら牛込さんはパンを食べ続けている。後でそのパン教えてください。

 

そう少し目をそらして戻した時に目の前に花園さんがいた。

「うおう」

じーっと自分を見つめてきている。にしても綺麗になったなおたえ

「でも、ウッチャンはもっとかっこよかったと思うんだよね。ギターも凄く上手かったんだ」

「だからそいつが」

「でも、小原くんと、ウッチャンは違うって思うんだ。だから私は別の名前で呼ぼうと思うんだ」

まぁ今更ウッチャンなんてやだからいいや

 

「そっちはおたえって呼んでるから私は渾名で…何かいいのある?」

「特筆する名前でも無いしなぁ」

有咲、それは侮辱かい?まぁ仕方ない。

「じゃあ、なお でいいかな?」

なお、まぁそれでいいかな

「じゃあ、よろしく。おたえ」

「ねぇねぇ」

山吹さんが間に入るようにして

「私もさ、名字じゃなくてさ、名前で呼んでくれないかな」

「ん?どうしてだ?」

「別に、そういうのって理由なんて要らないんじゃないのかな」

「そっか、じゃあ紗綾でいいかな?」

「うん、よろしくね。直人」

それにしても牛込さん、どんだけこっちに興味ないんだ。ずっと食べ続けてる。

 

帰りのホームルームが終わって教室から出てみると氷川先輩が待っていた。

「なんでいるんですか?」

「あなたを待っていたからですよ」

「はぁ…分かりました」

 

 

 

大人しく押してもらって校門に差し掛かった時

?「おねぇーちゃーん!」

「全く、日菜ったら」

どうやら氷川先輩の妹らしい。

「一応この後も会うかもしれないので先に紹介しておきます。氷川 日菜 私の双子の妹です」

「双子ですか。じゃあ自分、先輩のことどう呼べばいいんでしょう」

「日菜に会ってしまったので仕方ありません。私の方は紗夜と下の名前で呼んでください」

 

「初めまして!私、氷川 日菜!よろしくね!」




一応ポピパは全員出したからタグ付けようかなぁと、テスト中に馬鹿なことしてます


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至近距離の他校の高校生と、お金持ち

もはや、サブタイトルのネタ切れ


彼女は、花咲川の制服ではなくすぐ近くの羽丘高校のものだった。

「お姉ちゃん、どうして車椅子なんて押してるの?」

 

「日菜、深く聞いてはいけませんよ」

 

「あ!もしかしてお姉ちゃんのカレシさん!?」

 

「「それはない(です)」」

 

「あはは、息ぴったりだね」

 

「もういいでしょう日菜、とりあえず小原さんを家まで送りますよ」

 

 

 

 

「今日は本当にありがとうございます。紗夜先輩」

 

「いえ、大丈夫です」

 

「へぇー、こんな近い所に住んでるんだ。今度遊びに来ようかな?」

 

「日菜、迷惑をかけてはいけませんよ」

 

「わかってるよ」

 

あ、こっちに来るのはいいんですね

「では、また明日の朝、こちらに来ます」

 

「あ、明日もですか」

 

「もちろんです。ではここら辺で」

 

 

 

 

帰りかけたその時

「あぁ、そういえば紗夜先輩」

 

「どうしましたか」

 

「あの、途中にいたあのワチャワチャしたあの子たちはなんなんですか?」

 

「あぁ、ハロハピのことだね」

 

「それはなんですか日菜先輩」

 

「えぇっと、世界を笑顔にって言うのを目標にしてて、こっちも見てて思わず笑っちゃうときもあるんだよね。もちろん嘲笑とかじゃないよ?」

 

「そんな素晴らしい人を嘲る気持ちにはなりませんが…ありがとうございます日菜先輩」

 

「うん!じゃあまた明日ね」

 

 

 

 

 

彼女の名前は弦巻こころ 「ハロー、ハッピーワールド!」のリーダーなのであり、常にはっちゃけているのだが、今日は様子が違うようで…

 

「うーん…」

 

「こころちゃん、どうしたんだろう?」

 

松原 花音 ハロハピのドラムをやっている高校2年生だ

 

「こういうの滅多にないって感じですからね」

 

奥沢 美咲 ミ…おっと誰か来たようだ

 

「なんだか、不安になるね」

 

北沢 はぐみ ベースでこころと同じようなテンションを持っており、掴みどころがない

 

「あぁ…こころがこうなることもあるのか…儚い…」

 

瀬田 薫 大体キメるときには儚いと言う。

 

「で、こころ、どうしたの?」

 

「ねぇ美咲、学校に車椅子の生徒がいるのかしら?」

 

「車椅子の生徒?」

 

「今日のライブで、奥の方を通っていったんだけどちらっと見ただけでその後は気にもしない感じだったのよ」

 

「車椅子の生徒ねぇ…」

 

「あ!小原君のこと?今日転校してきたんだけど、車椅子で来てたんだよね」

 

「小原ね!なら明日直接聞くしかないわね!」

 

「いや、それって迷惑なんじゃ」

 

「美咲ちゃん、こころちゃんはこういう時は止められないって知ってるでしょ?」

 

「そうですけど…」

 

「ならもう任せよう?」

 

 

 

 

 

朝起きて足を動かそうとしても動かなかった

当たり前の話だ。一昨日に足に怪我を負ったばかりなのだから。

 

「…ったく、ついてないなぁ」

 

自室は二階にあるのだが、いまは仕方なく一階で寝ている

 

「おはよう~ナオト~」

 

「おはようございますミナさん、ミナさんはなにか仕事あるんですか?」

 

「そうよ~」

 

「何をしてるんですか?」

 

「ん~ナイショ!」

まぁどうでもいいか

「あ、ちなみにミハエルと一緒の仕事よ」

 

益々分からなくなってきた

 

 

 

 

インターホンがなり、玄関に行くと今日は日菜先輩がいた

 

「おはようございます、日菜先輩」

 

「おはよう、おねぇちゃんに内緒で来たから早く行こ?」

 

 

 

「ねぇねぇ」

 

「なんですか?」

 

「おねぇちゃんのこと、どう思う?」

 

「は?」

 

「あ、別に恋仲になってほしいとかそういうのじゃなくて、人としてどう思うのかなって」

 

「あぁ…そうですね、まず基本的に真面目で近寄り難いですけど優しいだろうなっ…てまだ1日だけですけど」

 

「どうやったら仲良く出来ると思う?」

 

「うーん…そっくりそのままお返しします」

 

「え?」

 

「仲良くする方法なんて人それぞれですからね、自分は紗夜先輩とは出来るなら仲良くしたいですよ?まぁやり方は知りませんが」

 

「そう…だよね…わからないよね」

 

「ええ、分かりません」

笑って言ってやった

 

 

 

その後は日菜先輩の身の上とか話していると

 

「日菜!」

 

「あー追いついちゃったかー」

 

「全く、すいません小原さんご迷惑を」

 

「いえ、日菜先輩と話しているのは楽しかったですよ」

 

「うん!」

 

 

 

 

日菜先輩と別れて花咲川の校門を通った瞬間黒ずくめの人に囲まれた、なにこれ自分小学生にされる?

 

「弦巻さんのところですか、何か用ですか?」

紗夜先輩は何か知っているようだ

 

「ええ、分かりました。くれぐれも怪我はさせないようにお願いします」

え、紗夜先輩自分この人たちに公然の拉致を食らうのですか?

 

あ、車椅子ごと持ち上げるんですね、車椅子の意味とは…

 

 

 

 

そんなこんなで校内だが、あまり知らないところに来た。

 

「あなたが小原 直人ね!」

 

突然角から現れた人にそう言われた。多分この人が弦巻とか言うのだろう

 

「あぁそうだ(ヤケクソ)」

 

「私、弦巻 こころ よろしくね!」

 

長きに渡る監視生活の始まりとは知りもしなかった

 




だいぶ
スペース

つかって
みた


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笑うこと

毎週歯医者に通っている主です


「あぁーすいませんいきなりこんなことしてしまって」

 

もう1人いや、2人角から出てきた

 

「はじめまして、1年C組の奥沢 美咲です。こころも同じクラスです」

 

「2年A組の松原 花音です」

 

「あ、改めまして小原 直人です。よろしくお願いします」

 

「ねぇねぇ直人!」

 

「なんですか、弦巻さん」

 

「こころでいいわ」

 

「じゃあ、こころ 何か用か?」

 

「ええ!直人、笑って見せて!」

 

は?何この人、何気にめちゃくちゃ難しい問題投げかけてきやがりましたよ

 

「何も無い状態で笑うって難しいこと知ってます?」

 

「こころ、流石に出来ないって」

 

「こころちゃん、美咲ちゃんの言う通りだよ」

 

「そもそも、なんで俺が笑わなきゃいけないんだ。なんならそっちが俺を笑わせてみせろよ」

 

「……」

 

「いやすまない、笑わせるのと笑顔にするのは別のことだったか……質問してもいいか」

 

「ええ、いいわ」

 

「こころはどうして俺に笑って欲しいんだ?」

 

「だって、私たちのバンドは世界を笑顔にするんだから!」

 

確かに日菜先輩がそう言っていたな

 

「…わかった、じゃあ一つだけ言わせてもらう」

 

 

俺は、君たちの音楽で笑顔になれないかもしれない。

 

 

 

 

「こころ?」

 

「ねぇ美咲、直人はどうやったら笑顔になるの?」

 

「そんな人のこと分からないって」

 

「私、直人を笑顔にしてみたい!」

 

「でもハロハピじゃ…」

 

「かもしれないって言ってたじゃない!ならできるかも!」

 

「あ~まためんどくさいことになりそう…」

 

 

 

 

「少し言い過ぎたかな」

 

なんで笑顔になれないのかは分かっているつもりだ

結局、音でしか捉えていないのだろう

完璧であるか、ミスは少ないか

そういうことでしかきっと見れていないんだろう

だから、もっと違うところからも見てあげないと彼女達に申し訳ない

楽しければそれでいい音楽を今まであまりやって来なかったせいだろうか…

 

 

 

 

 

帰った後、なんとなく何か食べたくなりやまぶきベーカリーに向かった

 

「いらっしゃいませって、直人」

 

「おう、ちょっと何か食べたくなった。でさ、聞いてもいい?」

 

「なに?」

 

「牛込さんが食べてるパンってなに?」

 

「りみりん?じゃあチョココロネだね、いくつ?」

 

「じゃあ2つ」

 

「自分用?」

 

「だね」

 

「じゃあお会計…ってちょっと待って」

 

わざわざカウンターから出てきてもらった

 

「はい」

 

「ありがとう、はいこれ」

 

「ありがとう」

 

「誰か一緒なの?」

 

「いや、1人だ」

 

「じゃあ押していってあげる」

 

「店開けるのはまずくないのか?」

 

「ちょっと待って」

 

すると店の中に入っていってすぐに出てきた

 

「ほら、行くよ」

 

 

 

 

 

 

「直人ってさ有咲と仲いいよね特に」

 

「ん?まぁ前に会ってたし、遊んだりもしたしな」

 

「じゃあ、最近までどこにいたの?」

 

「オーストリア」

 

「え?」

 

「この顔で言うのもなんだけど、一応外国人」

 

「そうなんだ」

 

「帰った後も、有咲とおたえは忘れられなかったなぁ」

 

「おたえには忘れられてるみたいだけどね」

 

「あぁ…それは多分おたえの中の俺は必ず持ってなきゃいけないものがあるからな」

 

「それが香澄の持ってるランダムスター?」

 

「そう」

 

「じゃあどうするの?」

 

「どうするも何も一から始めるさ、紗綾と同じようにね」

 

「有咲は?」

 

「有咲は、別に特に感じることもないな。でももしここに有咲がいなかったら俺は泣いてたかもな」

 

「そんなに?」

 

「そんなに」

 

 

 

 

 

「ありがとうな、押してくれて。なるべく早く治すようにする」

 

「あはは、まだ治さなくてもいいんじゃない?」

 

「どういうこと?」

 

「なんでも、じゃあ私は帰るね」

 

「おう、また明日な」

 

 

 

 

 

 

プルルルルル

 

「もしもし」

 

「ごめんね、有咲 遅い時間に」

 

「別に、で紗綾、どうして電話してきたんだ?」

 

「ちょっと聞きたいことがあってね…」

 

「なに?」

 

「有咲は直人のこと、どう思う?」

 

「…どういうことだ?」

 

「帰ってきたわけじゃない?有咲にすれば。だからその事に対して」

 

「別に、厄介なのが帰ってきた」

 

「あはは、じゃあね。おやすみ」

 

「っておい!それだけかよ!」

 

ツーツー

 

「切れたか…」

 

どう思ってるのかは決めていたはずなのに、恥ずかしさからまだ言えていない。あいつにも悪いと思うこともある。

 

「どういう意味なんだ?」

 




終わり方とんでもなく雑ですまない


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バンド?

友達が二重の虹でおたえのカード当てやがりました

自分?やだなぁ金がないんだよぉ


怪我してから3週間ほどたった。ほぼ完治し、もう車椅子も要らなくなった。

なんだか腕が太くなった気がする

 

「さて、行きますか」

ガチャ

 

「お、おはよう…」

なんと有咲がいた

 

「おはよう有咲、何か用?」

 

「いや…若しかしたら歩くのに慣れてなくて倒れるかもしれないだろ」

 

「大丈夫、昨日家で練習してあるから」

 

「そっか、じゃあ行くか」

 

 

 

 

 

「なぁ、車椅子押されてる時ってどんな感じなんだ?」

 

「そうだね~なんか申し訳ない気持ちが大きいかな」

 

「なんか普通な答えだな」

 

「何を期待してたんだ有咲は」

 

「別に」

 

「ふーん」

 

 

 

 

 

 

授業の間の休み時間、最近は男友達も出来てきた。

 

「直人」

 

「どうした駿輝」

小野塚 駿輝 学校内でバンドをやっているそうだ。はっきり言って頭がいいとは言えない

 

「さっきの授業寝てたからノート貸して」

 

「お前は赤点ぎりぎりなんだろう?もっとちゃんとやったらどうなんだ」

 

「いや、古典の授業が眠くならない方がおかしい」

 

「はぁ、分かった。ほれ」

 

「お前ってツンデレなのか?」

 

「次言ったら蹴る」

 

「なんで!?」

 

「よぉ、何騒いでんだぁ?」

こっちは金坂 和也

 

「あぁ直人がツンデレだなって話」

 

ガッ

 

「痛っ!何すんだオメー!」

 

「お前が悪い」

 

「何やってんだぁツンデレ直人ぉ」

 

バチン

 

「直人お前動くようになってから横暴になってなぁ!おーい」

 

「うっせ、〇ね」

 

こんな感じに騒いでいるのが日常だ

でも、最近変わったことがある

 

「ん?」

 

「どうしたぁ直人」

 

「なんかシャッター音が聞こえた気がしたんだけど…」

 

「そうなのか?俺は何も聞こえなかったぞ」

こんなことが毎日である

 

 

 

 

 

 

 

 

怪我が治ったことで予定していたことも始められるようになった

それはライブハウスでの練習だ

場所はCiRCLEという所で元々金を払って確保してあったのだが、怪我で使っていなかった

 

「お久しぶりです、まりなさん」

 

「うん、もう3人も来てるから行ってらっしゃい」

 

 

基本的に中では個人練習だけで腕がなまらないようにということだ

そんなときにまりなさんが入ってきた

 

「ちょっと4人に相談したいことがあるんだ」

 

「なにかしら~まりな~」

 

「えっとね、3週間後にここのステージでライブがあるのは知ってるよね」

 

「もちろんよ~」

 

「それでね、新しく4人にはバンドとしてうちでデビューしてもらいたいなぁって」

 

「バンドですか~」

 

「だとしても、自分達は自分の楽器しかないですよ?」

 

「あー…」

 

「あ、なら俺に考えがあります」

 

「それはなに?」

 

「弦巻の所から借りることですね」

 

「こころちゃん?」

 

「あそこなら大抵のものならあるでしょうし、ない分はこっちでやります」

 

「じゃあ、やるってことでいいのかな?」

 

「ミナさん、ミハエルさん、シュミット、いい?」

 

「なんだか楽しくなりそ~」

 

「新しいことやるのもいいだろうし、やるか」

 

「皆やる気あるみたいね」

 

「そういうことらしいです」

 

「ありがとう、じゃあまた後々調整しよう」

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば皆、なにをやるの?」

 

「そうね~ナオトはギターとボーカルでしょ」

 

「待って、なんで決まりなの」

 

「あたり前田のクラッカー」

 

「古いネタをぶち込まないでくださります?まぁ確かに俺はギター経験者だけど」

 

「なら決まりね」

 

「で、私はドラムやりたいのよね~シュミは?」

 

「どうしようかミハさん」

 

「うーん、シュミはやっぱり前でやった方がいいからベースじゃない?じゃあ私はキーボードね」

 

「じゃあ決まりね~」

成り行きで決まったこの4人でのバンド。

 

「そういえば、名前とかどうするんですか?」

 

「「「どうする?」」」

決まりそうにないので今日はやめにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もしもし」

 

「どうしたの?直人」

 

「そっちの家にバンドで使えるものってあるか?」

 

「もちろん!なんでもあるわよ!」

 

「なら助かる、明日行くことって出来るか?俺含めて4人なんだが」

 

「もちろん大丈夫よ!時間はいつがいいかしら?」

 

「そうだな…5時でもいいか?」

 

「場所は?直人の家でもいいかしら?」

 

「え、んーまぁいっか、そうしよう、後で住所送るからな」

 

「ええ!明日が楽しみね!」

 

 

弦巻にパイプ持ってるのはかなり強いのではないかと、実感した。

 

 

 

 



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Abenteurer

チュウニズムやってたら人差し指死にました




弦巻の家っていうのは調べれば出てきたのだがこれがまた半端なかった。まぁお出迎えがリムジンな時点であれなのだが…

 

「すごいわねナオト!こんな子と仲良くなるなんてね」

 

「全くだ。ならない方が良かったのかも知れない」

こんな町中をリムジンで走るなんて注目を浴びるのは当たり前だ

 

「ねぇ直人!」

 

「なんだ」

 

「早く3人の名前を教えてくれないかしら?」

 

「えっと、俺の隣にいるのがミナさんで、その隣がミハエルさん、端がシュミットだ」

 

「ミナにミハエル、シュミットね!」

 

「「「よろしく(ね~)」」」

 

 

 

 

 

 

「なぁ、ナオト」

 

「なにシュミ」

 

「とんでもない人と仲良くなったな」

 

「それさっきミナさんから聞いた」

 

 

 

 

 

「この中から好きに選んで構わないわ!」

 

倉庫の中には楽器以外にも大量の物がある。これ全部売ったらめちゃくちゃ金になりそうだな

 

「どれにしようかしら~」

 

「そういえばミナさんってやったことあるんですか?」

 

「あるわよ~あれ?言ってなかったっけ?」

 

「(聞いたこと)ないです」

 

「後、ミハもピアノやってたよね?」

 

「ええ、賞なんかも取ってましたよ」

 

「じゃあシュミは?」

 

「ん?ないぞ」

 

「まじか…だいじょ…いや、心配する必要ないな」

 

「そうね~シュミなら問題ないわね~」

シュミは言うところ天才肌なのだ。1日幽閉させて練習すれば大抵ものに出来る

 

「てか、こんなこと話してないで決めないとな」

中には奇抜な形のやつもあったが俺の目にとまったのは

 

「これ…かな」

あの時のランダムスターとはだいぶ違うGrecoのstandardだった

 

「ん?ナオトはそれにするの?ちょっと持たせて」

 

「はい、ミハさん」

 

「あら?周りのやつに比べて重いけどいいの?」

 

「まぁ歌いながらやるんですから軽くして動き回るわけででもないですし」

 

「肩痛くしないでよ」

 

「分かってますよ」

 

 

 

それぞれ選んだ後家まで送ってもらった。

 

「これって金額とかどうなの?」

 

「あ、別にお金はいらないそうですよ」

 

「お金持ちって違うわね~」

そう言いながら家の地下室で練習しているのもあれだと思うのだが

 

久しぶりにギターを弾いてみたが、多少の腕のなまりこそあるものの数日で元に戻せるぐらいだった

 

ミナさんについては特に言うこともない。明日にでもやれるぐらいだ

 

ミハさんは立ってやることに少し戸惑っているようだ

 

シュミは全く初心者なので動画を見ながらやっているがもう基本的なやり方は習得したらしく若干笑いながらやっている。新しくやることが楽しくて仕方ないらしい

 

 

 

 

 

「さて、名前どうする?」

 

「そうだね~」

 

「自分達のことを表した言葉がいいのかな?」

 

「流石にここに来て日本語はないだろナオト」

 

「じゃあどうするのさ」

 

「そんな時にはこれよ~」

独和辞典

 

「またなんでこんなものを」

 

「もう決まらないならこれで出たページの単語にするわよ~」

 

「まぁそれでもいっか」

 

「じゃあいくわよ~」

バタッ

 

「めちゃくちゃ前じゃないですか」

 

「ミナ、こういうの下手なの?」

 

「別にどうでもいいじゃない!ほら探すわよ」

 

 

 

「これとかどう?」

ミハさんが指したのは

 

「Abenteurer?」

 

「そう、冒険者って意味ね」

 

「合ってるかどうかは知りませんがもうこれでいきましょう」

 

「じゃあ決まりね」

 

 

Abenteurer 俺は冒険者としてどんなものを探し見つけていくのだろうか




短いから投稿ペースで補わなきゃいけないのよねぇ
なるべく早く出せるようにします


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黄色い果実

楽器を決めた翌日

 

「はぁ……」

 

「どうした駿輝、景気悪そうな顔して」

 

「いやさぁ、バンドやってるって自分言ってたじゃん」

 

「言ってたな」

 

「それがさぁ、リードギターやってるやつが事故で手をやっちゃったみたいで羽丘の文化祭に間に合わなそうって」

 

「そいつはご愁傷さまだ」

 

「せっかく女子高でやらせてくれるってのに」

 

「でもお前、ここら辺じゃ埋もれちまうだろ」

 

「だとしてもさぁ」

 

「ま、せいぜい頑張りたまえよ」

 

「なんだその上から目線」

 

「あはは、面白いであろう」

 

「いや全く」

 

「ノレやこの馬鹿」

 

「なんじゃと!?」

 

「いやぁ面白いねぇ」

あいつにとっては全く面白くないようだけど

 

 

 

 

 

 

もうすぐ10月だというのにまだ暑い日が続いたりしていた。しかしココ最近は温い日々があり、どうしても眠くなってしまうあまり学校で寝るのはどうかと思ったので少し歩くことにした

 

「ふあぁ、昨日夜まで練習しすぎたかなぁ」

あの後、夢中で夜中まで練習してしまい、若干の寝不足が否めない

 

「…おおっと」

少し立ちくらみがした。少し屈むと眠けが一気に襲ってくる

 

「…ん?」

ちょうどいい感じにスペースがあった

 

「仕方ない、少し寝よう」

アラームを設定して寝る気はなかったはずなのに、寝てしまった

 

_______________________________________

 

 

 

「あれ?」

いつも私が秘密の昼寝場所としていたところに なおが寝ていた

 

「ねぇ起きてよ、そこ私の場所なんだけど」

 

「すまぬ、だが今は引けぬのだ…」

やけにはっきりしているけど、なおが寝ているのは明らかだった。

 

「どうしよう?」

久しぶりに昼寝が出来ると思ったのに…でも、ここまで寝ながら話せるなら試したいことがある

 

「ねぇウッチャン」

 

「ん…」

 

「私のこと可愛いってどうして言うの?」

 

「ん…ふ…かおもある…けど…ぬけ…てるとこ…」

 

「抜けてるところ?」

私が聞きたいのはウッチャンがいつも言っていたこと

 

「そう…ひとの…こせいは…いい…ところの…ときも…あるけど…けってん…にでる」

 

「欠点」

 

「うん…そこをどうみせるか…だよ…かんぺきってやっぱりつまらないから…」

 

うん、間違いない、ここまで完璧であることを嫌ったのはウッチャンぐらいしか知らないから。だから最後の仕上げ

 

「ウッチャン、はいこれ」

取り出したるはまるごとレモン

半分に切ってあげる

「ん…」

鼻に近づけてみると

 

「…!」

すぐさま半分に切ったレモンにかぶりついた

ものの数秒で中の果汁を吸い尽くした

 

 

 

_______________________________________

 

 

 

 

「うおっ」

いきなり体当たりされた

 

「ん?おたえ?」

 

「なお…」

なにか愛おしそうにしながら顔をうずめている

 

「ちょおたえ、いきなりどうした」

なんか腹が冷たい

半分に切られたレモンが押し付けられている

そして口にはレモンの味が広がっている

 

「ど、どういう状況?」

 

「なおの正体が分かったの」

 

「お、おうそんなことか、ちなみに何で分かった」

 

「レモン」

この状況から見てわかるように俺はとにかくレモンがとんでもなく大好物なのだ

どのくらいって?そりゃ200mlのレモン汁をがぶ飲み出来るぐらいだ

 

「ねぇねぇなお」

 

「なんだ?」

 

「久しぶりに練習見てもらいたいなぁって」

 

「なんだ?まだ1人でやってるのか?」

 

「ううん、1人じゃないよ。私、今バンドやってるんだ」

 

「楽しいのか?」

 

「うん!とっても」

 

「そっか、なら良かった」

 

 

その後、おたえが持ってたレモンは当然のように食べ尽くした




レモンは飲み物

自分?ほんの少しだけいけますよ


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世界は狭く美しい

放課後

 

「なお」

 

「なにおたえ」

 

「どこいくの?」

 

「どこってまずは俺のギターを取りいかないと」

 

「あれ?なおのギターって香澄のだよね?」

 

「あれは前のやつだ。あれをもう使おうとは思わない」

 

「そうなんだ、じゃあ取りに行かないとね」

 

 

 

 

 

 

「そしてさらっと付いてきてるけど別の人には連絡してあるのか?」

 

「うん、大丈夫」

 

「ならいいが」

 

「おじゃましまーす」

 

「そして俺より早く入るなよ…」

 

「あら?お客さん?」

 

「ミハさんいたんですか」

 

「ええ、でそっちの子は?」

 

「花園 たえ です。皆からはおたえって呼ばれてます」

 

「じゃあ おたえちゃんね、私はミハエル・シンドラー ミハって呼んでちょうだい」

 

「はい、ミハさん」

 

「じゃあ俺、ギター取ってくるから」

 

「じゃあおたえちゃん、待つ間お茶してよっか」

 

「そんなに時間かかりませんよ」

 

「そういう時は少し時間かけるものよ」

 

「そんなこと知らないですよ」

スタスタと自分の部屋に向かった

 

____________________________________

 

 

「うふふ、ああ言っといて待ってくれるから早くしましょ?紅茶でいい?」

 

「はい、あ、お砂糖もらっていいですか」

 

「って言っても既に入れてるじゃない」

 

「?紅茶はまだ入ってないですよ?」

 

「私が言ったのはそっちじゃないんだけどね…」

 

「あ、猫」

 

「あらグンソウ、お客さんの前に出るなんて珍しいのね」

 

「おいで~」

ぼすっ

 

「初対面の人になれるなんて珍しい」

 

「これ、持ってっていいですか?」

 

「大丈夫よ、元々ナオトの飼い猫だし」

ニャー

 

「グンソウの方もいいみたい」

ガチャ

 

「おたえ、そろそろ行くぞ」

 

「もう時間みたいね」

 

「はい、今日はありがとうございました」

 

「いいのよ、別にナオトなしでも来てくれればなにか振る舞うわ」

 

 

_______________________________________

 

 

「ん?軍曹付いてくるのか?」

 

「みゃあ」

 

「そっか、じゃあ迷惑かけるなよ」

 

「にゃ」

そう言うとおたえの腕の中から這い出てきて、俺の体をよじ登り頭の上に陣取った

 

「重いぞ軍曹」

何も返さずだらーんとしている。これでも飼い始めたころは可愛かったんだけどな、もちろんいまも可愛い。

ずっと軍曹のことを気にしていて全くおたえのことを忘れてしまっていた

 

「えい」

おたえが俺の頭にいた軍曹を取り上げた

 

「にゃあああ」

 

「没収」

そう言って前足を掴んでぶら下げている。

どこか拗ねたようにむすっとしていてかわいいと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁおたえ」

 

「どうしたのなお」

 

「ここって有咲の家だよな」

 

「そうだよ、早く行こ」

 

「お、おう」

おたえがドアに手をかけた時、すきをついて軍曹が逃げ出しまた頭の上に陣取った。どんだけ好きなんだか…

 

「おたえ、遅いぞって直人?」

 

「すまんないきなり来ちまって」

 

「い、いや別にいいんだけどよ…」

 

「猫も一緒だが大丈夫か?」

 

「いいぞ」

 

「あー!おたえ!と直人君?」

 

「と猫だ」

そう言うと素早く頭から降りて挨拶がわりに体を香澄の足に擦り付けている

 

「わ~猫だ~」

 

「香澄ちゃんどうしたの?」

後ろから別の声がすると軍曹は香澄からそっちの方に移っていった

 

「わぁ~猫ちゃん、かわいい~」

今度は牛込さんのところに行っていた

 

「おぉ猫か~久しぶりに見たなぁ」

紗綾にも可愛がられている

随所で愛想を振りまいている軍曹。やっぱりかわいい

 

「ところで、どうして直人は私たちの練習場所に来たの?」

 

「あ~おたえにやろうって誘われてな。というか皆同じバンドだったんだな」

 

「そうだよ!Poppin'Partyって言うんだ」

 

「ライブとかもやってるのか?」

 

「うん!次は3週間後のCiRCLEでのライブだよ!」

 

「そ、そうなのかー」

まずったな、出演するバンドを全く把握してなかった

 

「ねぇねぇ早く練習しようよ」

 

「よりにもよって一番遅いおたえが言うのかよ…まぁいっか。おーい、皆やるぞー」

何かやるのか分かったようで軍曹がこっちに戻ってきた

 

「なぁ有咲」

 

「どうした?」

 

「俺は何をすればいいんだ?」

 

「確かにそうだな…じゃあコード表やるから私たちのと同じ曲やって」

 

「じゃあそうさせてもらうよ」

 

皆それぞれ練習したり合わせたりしていて、自分ももらったコード表を見ながら練習していたのだが、やはり目は自然に香澄の持っているランダムスターに目がいってしまう

 

「というか俺はここで皆の演奏聞いてていいのか?」

 

「どうして?」

返事をしたのは香澄だった。

 

「若しかしたら俺がそのライブに行くかもしれないだろ。そしたら曲を知られた状態ってのはどうなんだよ」

 

「大丈夫!ライブだともっと盛り上がってすっごいことになるんだから!」

 

「お、おう(俺の方が経験あると思うんだけどな)」

 

「ねぇなお」

 

「どうしたいきなり割り込んできて」

 

「なおってさ、香澄のこと好きなの?」

 

「え"」

 

「ど、どうしたおたえ?」

 

「だってずっと香澄の方ずっと見て練習してたし」

 

「へぇ~直人って香澄のこと気になるんだぁ」

紗綾がすごく愉しそうに笑っていた

 

「待て待て、たしかに俺は香澄の方を見ていたけど別に俺は香澄のことを見ていたわけじゃ…」

 

「でも直人、それ以上言うとまずいかもよ?」

 

「あ、そっか…ランダムスターのことだよね。別に私じゃなくて…」

ちょ、なんでこんなに面倒くさくなってるの

 

「ま、待て香澄のことも見てたぞちゃんとな。すごい似合ってたし…こう…目を奪われるっていうかさ」

 

「えへへ…元々持ってた人に言われるってなんか嬉しい」

 

「それは別にいいだろ…でさここの部分なんだが」

 

「どうしたの?」

 

「ここはこう指を動かしたらいいんじゃないか?」

自分のギターを使いながら見本を見せた

 

「ど、どうやってるの?」

香澄には分かっていないらしい

 

「ちょっといいか」

香澄の後ろに回って手を重ねて直接動かし方を教えよう

 

「ここをこうして…」

 

「う、うん…」

 

「どう?できそうか?」

 

「うん…あ、すごい!できるようになった!」

 

「良かった…」

 

「おい直人…」

 

「なに有咲?」

 

「ここは…お前だけの…場所じゃ…ねぇ!」

ドスッ

 

「ぐはっ…」

 

「有咲!?直人君が倒れちゃうよ!?」

 

「別に!こいつはやわなことじゃ倒れないしこのくらいやっておかないと!」

ドサッ

 

「有咲ちゃん、小原さん倒れちゃったけど…」

 

「うそだろ…」

 

「「有咲~?」」

 

「ちょ香澄、それにおたえまでこっちくんな!おい直人!起きてくれ~!」

 

「小原さん、人気だね」

 

「そうだね~そういえばりみりんは直人のこと名字呼びだよね」

 

「そうだけど…」

 

「せっかくなんだから名前呼びしたら?おいてけぼりにされちゃうかもよ?」

 

「な、何に!?」

 

「さぁ、なんだろうね。まぁ落ち着くまで猫で遊んでよっか」

 

「みゃあ」




若干長くなりました
ペルソナコラボ曲、フルコンをずっと1ミスで逃してるんですけどどうすればいいんでしょう


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軍曹より閣下が良かったかも

「ん、んん…?」

…ここは?えっと確か俺は有咲にぶん殴られて……そっから記憶が無いってことは気絶したんだな。全く情けない

にしてもこの枕すごい寝やすい。どんな材質なのか実に興味深い。枕は無生物のはずだ。では失礼して

 

 

ふにっ

 

 

「ひゃん」

 

ん?ずいぶん可愛らしい声が付いてるんだなこの枕。あれ?そんな枕あったか?

 

むにむに

 

「ん…あっ…んん?」

 

にしてもほんと可愛いな。

 

「おい直人。まさか寝たフリで誤魔化す気か?」

なんかものすんごい圧が頭の上から降ってきている。そちらに目を向けると大きな出っ張りがその顔を見えなくさせていた

 

「有咲か?すまん胸のせいで顔が見えん」

 

「この変態!」

急に立ち上がり俺は床に転がされた。その間に有咲の体を見たのだがどうやら膝枕をされていたらしい

 

「全くこんなことするんじゃなかった」

そういって太もものところを手で払っていた

そんなに嫌ならやらなくても…

 

「こっちこそ有咲の腹パンで倒れてごめんな」

 

「それは私の責任だ。だけどもっとこっちも気にしてくれ」

 

「今後はちゃんとする」

 

「頼むぞ」

 

「にしても有咲、あの頃よりもっとこう、より大人の女性の体になってたな。すごい太ももも柔らかかったし、胸も大きいし、有咲はもっと人気出てもいいと思うけどなぁ」

 

「お、おう…ありがと…な?…って言ってること変態そのものじゃねぇか!」

 

「まぁまぁ褒めてるんだから少しはいいだろ?」

 

「…人の前で言ったら許さないからな」

 

「わかってるって」

にしても女の子の体ってのはあんな感じなのか…ほへ~…

 

「どうした?そんなにじっとこっち見て」

 

「いや…もっと体を知りたいなぁって」

 

「は?お前何を言って…ちょ!こっち寄るな!」

 

「別に減るもんじゃないし…ね?」

 

「おい!なんかおかしいぞ!」

 

「別に俺はずっとこうだったけど…ね」

ドンッ

ついに有咲が壁にぶつかった

 

「直人!止まってくれ~!」

 

「?有咲が抵抗すればする気は無いよ?有咲が止めないの?」

 

「それは…!」

 

「なら別に良いでしょ?有咲」

どんどん近づいていくと有咲の顔はどんどん赤くなって小刻みに震えている。有咲の方は覚悟したらしいが

 

すまないがこれは遊びなんだ

 

「ふ、あっはっは!面白い!面白いよ有咲!」

 

「え?」

 

「いやーまさかここまで本気になるとはね~まぁ本気にさせちゃったのかな?それだったら謝るけど」

 

「え?じゃあ…」

 

「本気でやるわけないでしょ?やったら本物の変態さんじゃん」

 

「そっか、そうだよな。な お と!」

ドスッ

 

「ゔっ…」

 

「これくらいですむと思うなよ!」

ドスッドスッ

 

「______________________________」

 

「有咲~って直人はどうしたの?」

 

「別に!あいつの自業自得だ」

 

「ふーん、まぁいいけど。有咲もうそろそろ練習終わるよ?」

 

「げっ、もうそんな時間か」

 

「だから有咲も自分の片付けてね」

 

「分かった今から行く。ほら直人、お前もだ」

 

「いってぇ…分かったから少し待って」

 

「急げよ」

知らぬ間に頭に軍曹が戻っているのには別に気にすることではないのだがやけに有咲は軍曹を強く睨んでいた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う~~ん、疲れた」

 

「お疲れ様、おたえ」

練習が終わった後片付けをしておたえを駅まで送っていた

ちなみに香澄は当然のように有咲の家でご飯を食べてから帰るそうだ。香澄ほ有咲の利用法を無意識下で使いこなしていると確信している。紗綾は有咲の家から近いので付いてこなくていいと言っていた。牛込さんは見かけなかった。

最終的にはおたえを駅まで送ることになった

 

「そういえば、なおは今日全然練習してなかったよね?」

 

「まぁ…仕方ないだろ?有咲に気絶させられたんだからな」

 

「有咲もなおのこと私に任せてくれればいいのに」

 

「俺は絶対におたえに任せたくないけどな」

 

「…なおは有咲が好きなの?香澄が好きなの?」

 

「どうしてそこに至るのか全く分からないが…俺はそう恋愛的な意味で言えば好きな人はいないぞ」

 

「ふーん、じゃあさ私の家に来ても大丈夫だよね」

 

「待て、全く話が掴めないんだが」

 

「?なおの頭に乗ってる猫とおっちゃんたちを合わせてみたいんだよね」

 

「お、おっちゃん?なんだ?おたえの家って人を飼ってるのか?」

 

「ううん、おっちゃんっていうのはうさぎの名前なんだ。おっちゃん入れて20羽いるんだ」

 

「う、うさぎか…そう…だよな。うんそうだ」

おたえの家が本気で人身売買してるのかと思ってしまった…

 

「それでね、おっちゃんたちはまだ自分たち以外の動物に会ったことがないんだよね。だからちょうどなおの猫ならいいかなぁって」

 

「うさぎね…知ってるか軍曹、うさぎって」

 

「にゃあ?」

話に全く興味が無かったらしく呼ばれて何のことだかさっぱりらしい。だが軍曹にもいい機会かもしれない

 

「まぁ時間があうようなら行ってもいいぞ」

 

「ほんと!?じゃあトイレとかえさとか買っておかないと」

 

「まてまてまてまて、どうして何日も軍曹が行く設定になってるんだ」

 

「だって数日いなきゃちゃんと仲良くなれるか見れないでしょ?」

 

「まぁそりゃそうかもしれないけど…軍曹はうさぎ以上の寂しがり屋だから1日だけだ」

 

「そっか、残念。でもかわいいんだね軍曹は」

そう言って軍曹をおたえが撫でてやると照れくさそうに軍曹が鳴いた

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあまた明日ね。なお」

 

「あぁ、気を付けて帰れよ」

駅まで送って別れたとき、不意に軍曹が降りて歩いてきた方に戻っていった

 

「軍曹?どこ行くんだ」

すると1本路地に入っていった

 

「軍曹?って牛込さん?」

 

「え?あれ?どうして分かったんですか?」

 

「軍曹がそっちに行ったんでな。付いていったら牛込さんがいた」

 

「この猫ちゃん軍曹って言うんですね」

 

「まぁ俺の趣味でこんな名前つけて多少申し訳ない気持ちもあるが…ところで牛込さんはどうしてこんな所に?」

 

「ええっと…その……ごめんなさい!」

タッタッタッ

足音を響かせながらどこかへ行ってしまった

 

「なんなんだろう?なぁ軍曹」

しかし軍曹は何かを知っているように落ち着き払っていた

すると消えていった方からまた牛込さんが出てきた

 

「さっきはごめんなさい急に行っちゃって…」

 

「いや、こっちがいきなり行ったから驚くのも仕方ないだろ」

 

「別にそういうことじゃなくって…あの!小原さん!」

 

「お、おうなんだ牛込さん」

 

「そ…その…下の…名前で呼んでもいいですか?」

 

「…へ?」

 

「あ…嫌でしたか?」

 

「ふ…あっはっは!なんだそんなことか。いや、そんなことで済ませちゃいけないことだったな」

 

「じゃあ呼んでもいいんですか?」

 

「そんなのに許可は要らないよ。勝手に呼んでもらっていいよ」

 

「じゃあ…な…直人さん」

 

「ありがとう。じゃあこっちも…うーん…じゃあ、りみ」

 

「は、はい…」

 

「そんな縮こまなくたって…まぁ初めてだしな。じゃあ改めてよろしく」

そう言って手を出した

 

「はい!」

うし…りみも手を出して握手をした

その時視界の端で茶色い何かが動いた気がしたが今はこっちに集中しよう

 

その後は少しの間りみと歩いたあとに別れて家に向けて歩き出した

 

 

 

 

 

いつの間にか軍曹は後ろの方に顔を向けていた

 

 




約80%程を1日で書いていたのに2日放置して申し訳ない

それよりもチュウニズムがしたい


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ホンモノの変態さん





 

帰る途中に公園を通る。その時外にいる時は滅多に下に降りない軍曹が地面に降りた

 

「どうした?」

後ろを振り向くとそこには…

 

 

 

若干血走った目をして地面にいる軍曹を見つめている女の人がいた。

 

 

「……ひいぃぃ」

すぐさま軍曹を抱き上げ後ずさると

 

「待ちなさい」

他者を圧倒するような声に驚いて腰を抜かしてしまった。その時に軍曹も離してしまった

 

「はぁあああ…かわいい…」

その隙にその人は軍曹を拾い上げ軍曹を撫で回していた

特に軍曹も嫌がる様子もなく安定して媚を売っていた

しかし流石に飽きてきたのか抜け出して、また頭の上に陣取った

 

「全くどこまでここが好きなんだか…」

そう言いながら満更でもないような感じで撫でてやる

しかし気づいていないことがあった。そうあの人のことだ

視線を戻すと…

 

「……」

とんでもない嫉妬の目を向けてきた。もはやこれは人を殺せるレベルだ

 

「その様子だと今まで猫に好かれたことなんですか?」

 

「そう…なのかしら?あなたが羨ましすぎて〇してしまいそうだわ」

 

「そこまでかよ…」

 

「えぇ、だからあなた。その猫を私にくださるかしら」

 

「丁寧な言葉ですけど言ってること盗人そのものなんですけど」

 

「まぁそこまでは望まないわ。だけど定期的にその子に触らしてもらえないかしら」

 

「そこまで猫に嫌われてばっかりなんですね…なんか不憫に思ったんで許可します」

 

「どうして上から目線なの…まぁいいわ。はいこれ私のRuinだから登録してちょうだい」

 

「了解…っと。ええっと湊 友希那さんね。先に言ってもらえれば都合は合わせますよ」

 

「助かるわ。じゃあよろしく。小原 直人さん」

 

 

 

_______________________________________

 

 

 

「…有咲!」

 

「お、おうどうした香澄」

 

「もう!さっきからずっと呼んでるのに!」

 

「ご、ごめん…」

 

「ずっっと変な顔しっぱなしだったよ。なにかあったの?」

 

「別に…少しあいつが気に入らないだけだ」

 

「直人君?有咲とはすっごい仲いいと思うんだけど…」

 

「別に直人のことじゃない。他の事だ。香澄には関係ないから気にすんな」

 

「ふーん…まぁ有咲が大丈夫ならそうしておくよ!じゃあ私はもう帰るね!」

 

「じゃあ送ってくぞ」

 

「ありがとう有咲!」

 

「ちょ、だからそうすぐに抱きつくなぁ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

香澄を送ってから帰る途中に野良猫に出会った

猫を見ると嫌でもあいつを思い出す

 

「ったく少しぐらいいいだろ」

あの直人が飼っていた猫、私が直人に少しでも触れようとすると忘れるなと言わんばかりに短く鳴いた

 

「あいつは直人のなんなんだよ。はぁ…あいつを手なずけ手を打たないと…」

 

 

 

_______________________________________

 

 

 

 

やっぱりギターをやるっていうのはマリンバをやるよりもワクワクするのだが…

 

「仕方ないと言えば仕方ないか…」

ここ数年全く触れてきてなかった影響だろう。はっきり分かる。今の段階だと確実におたえに技術的な面で劣っている。これが数年やってこなかったツケだろう

 

「ちょっとあれはここに来てやりたくないんだけどなぁ…でも、間に合わせるためには多少の無理は仕方ない」

 

地下室に行くとミナさんが練習していた

 

「どうです?調子は」

 

「そうね~上々ってところ。ナオトは?」

 

「俺はまだまだです。だからここに来たんです」

 

「まさかまたやるつもりなの~?やめといたら~?」

 

「俺もやめておきたいんですけどね…でもそんなに長い期間はやりませんよ」

 

「ならいいけど~倒れないでよ~」

 

「わかってますよ」

 

「じゃあ練習するわよ~」

 

ここまで心配される理由。俺が今からやろうとしてるのは徹夜での練習だ。まぁ当然やらない方が圧倒的にいいのだが…。オーストリアに戻った後に父と同じようにできるようにするために毎日これを繰り返しやっていた。結果としてぶっ倒れてしまいほぼ逆効果だったけどな。だけど得たものもあった。それはその練習に耐えうる体力とその練習をしなくても済む効率の向上だ

 

まぁその向上といっても微々たるもの。正直基本をまた作り直してからそれぞれ曲の練習に歌詞も覚えないといけない。そのためにはやはりこれが1番手っ取り早いのだから仕方ない

今は魔剤というやつもあるし、まぁ数日ぐらいなら昼寝だけで乗り切れるはずだ

 

 

 

ミナさんが寝るために出ていった。後は自分との戦いだ

 

 






今回も短いね。もっとネタ増やそうね


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地獄の1日目(誤字直し)

ドリフェスとはいったい

排出率6%とは





「ふぁああ…眠い。正直いって」

当たり前だが寝てないのである

 

「そう言えばやまぶきベーカリーって朝もやってたっけ?」

徹夜明けのせいで脳が回っていない。手っ取り早くトーストを食べよう

 

「おはようナオト」

 

「あぁミハさんおはようございます」

 

「昨日からお疲れ様ね」

 

「ほんとやりたくないです」

 

「でも仕方ないってあなたが言ったんでしょう?」

 

「そうなんですけどね…っとじゃあ朝ご飯も食べたし行ってきます」

 

「あら?まだ学校始まる時間じゃないでしょ?それにお弁当も」

 

「お昼は自分で買うから3日間ぐらいは要らないよ」

 

「そうなの?くれぐれも倒れないようにね」

 

「大丈夫ですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よくよく考えてみればりみはよくあそこのチョココロネを買っていた。ならこの時間も開いているはずだ

 

「いらっしゃいませって直人じゃん。おはよ…なんかすごい眠いって顔してるね」

 

「寝不足なんでな」

 

「そんなんじゃ香澄とかおたえに付いてけないでしょ」

 

「全くだ。あぁこれから辛いなぁ」

 

「1人でその2人の対応するわけじゃないし、私達も一緒」

 

「だな。んじゃあ、どうしようかな」

 

「ずっとクロワッサンでしょ?だったらさ他のも食べて欲しいかなぁって」

 

「ん…確かにそれ以外食ったことないしな。じゃあ沙綾のおすすめでよろしく」

 

「うん!まかせて」

なぜか1回店の中に入ってから並んでいるものを入れていった。

 

「はい、700円ね」

 

「こんなにあってそれだけでいいのか?」

 

「いいからいいから。ほらほら学校行った行った」

 

「なんだよ一体…分かった。じゃあ先に行ってるな」

 

「また学校でね」

そう言って別れて学校に向かった

 

学校に着いてからは席について秒で寝た。寝ないとやってられない…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ…ねぇねぇ!」

 

「なんだうるさいな…まだ寝させてくれ…」

 

「ええ!もう朝なのに」

 

「朝も昼も夜もあるか。とにかく今は寝させてくれ」

 

「香澄、直人は寝不足なんだってさ。寝かしてあげたら?」

 

「そうだそうだ。寝させろぉ…」

まぁ現状は寝かしてくれるわけがない

 

「直人!直人はいるかしら」

弦巻こころだった

 

「うっそだろ…1番厄介なのが来やがりましたよ」

 

「あはは…」

 

「なるべく見つからないようにしないと…」

 

「こころん!なおくんならこっちだよ!」

北沢さんやめて!バラさないで!てかいつの間にそんな呼び方されてんの!?

 

「あ!そこにいたのね!さぁ直人、起きて!」

 

「やめろ殺す気か。マジで今は無理だ」

 

「そう…じゃあ放課後にハロハピでライブをやるからその時にはちゃんと来てね!」

 

「はいはい…行けたら行く」

 

「絶対よ!」

そう言って嵐は去っていった。

また寝ようとすると

 

「こら直人、もう朝のHRだよ」

 

「うわ…もうやだ」

こんなのが後数日続くのだから嫌なものだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっと昼休みだ…」

 

「ずいぶん眠そうだな直人」

 

「あぁ駿輝か。すまんな今日はまともに付き合えんわ」

 

「まじかよ。じゃあ和也と食堂行ってるわ」

 

「行ってらっしゃい~」

 

「おーい和也~」

追い払ってから今朝買ったパンを取り出すとどこからともなく紗綾がこちらに来た

 

「どうしたの紗綾」

 

「お客さんの感想を聞こうと思ってね」

 

「やめとけ。眠いから味覚が麻痺してるぞ。多分」

 

「そんなことないって。ほら早く早く」

 

「そう言われてもなぁ…」

まぁその後しっかりと感想は言わせてもらった

 

「さて、寝よ」

 

「食べてすぐ寝るの?」

 

「牛だとかそういうのは関係ない。寝なきゃ死ぬ」

 

「ふーん、じゃあさ私のここ。使ってもいいよ?」

そう言っていじらしくぽんぽんと自分の足を叩いていた

 

「あはは、もしこの場で出来るやつがいたらやばい奴だぜ。すまないがお断りだ。じゃあおやすみ」

バックから小型の枕を取り出して就寝だ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「気をつけ、礼」

 

『ありがとうございました』

 

「あ、やべ」

まだ授業の準備してねぇや…ってあれ?皆立ってるし先生出てったし…

時計を見ると…5時間目が終わった時間だった。おそらく1番うしろだったから気づかれなかったのだろう。でも香澄の後ろなんだけどね

 

「おい香澄」

 

「ん?どうしたの直人君」

 

「いやずっと授業寝ててな。すまないがノート見せてもらえないか?」

 

「もちろん!はいどうぞ」

 

「ん」

適当にやった所を流し見ていく

 

「ありがとう」

 

「あれ?もう終わり?」

 

「あぁ見ただけだけどそこまで難しくないし」

 

「ええ、もしかして直人君って有咲と同じ?」

 

「有咲?あいつ全然授業受けてないのか?」

 

「中学校の時は学校に全然来てなかったみたいだし」

 

「そうなのか…ま、関係ないがな。とりあえずありがとう香澄。なにか奢ろうか?」

 

「ほんと!?ええっとね…奢ってほしいとかそういう事じゃないんだけど…いい?」

 

「もちろん。できる範囲でだが」

 

「じゃあ…」

少し顔を赤らめて

 

「一緒に練習してくれないかな?」

 

「ギターのか?」

 

「うん!ふたりっきりで!」

 

「お、おう。でいつやりたいんだ?」

 

「ええっと…来週でもいいかな?」

 

「来週ね。大丈夫だ」

 

「ほんと!?ありがとう!」

そう言って手を握ってブンブン振ってきた

そういえば最近になって同じ年の女の子とは手を繋いだことが無かった。そう思うとなんかこう嬉しいような恥ずかしいような…

 

「おい香澄そろそろいいだろ。離してくれ」

 

「ご、ごめん…って顔赤いよ?あ!照れてるんだ~」

 

「うるさい」

 

「あームキになってる~かわいい~」

 

「香澄の方がよっぽどかわいいよ」

 

「ふぇ?」

 

「じゃあな。授業始まる時に起こしてくれ。おやすみ」

 

「あ…うん」

 

 

 

「えへへ…直人君に…」

ずっと人と一緒にいたけどここまでかわいいと言われて嬉しくてドキドキすることは無かった

 

「もっと言ってもらいたいなぁ」

それはバンドと同じぐらいキラキラドキドキするものだから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ!いくわよ直人!」

 

「ほいほい…ったく怪我しなければよかった。そうすればこころに付いていくこともなかったろうに」

 

「心中お察ししますよ小原さん」

 

「ありがとうございます奥沢さん」

 

「あ!薫、見つけたわ!」

 

「やぁこころ。連絡は聞いてるよ。さあ早く行こう。子猫ちゃんたちが待ってるからね」

 

「誰なんですかあの人」

 

「瀬田 薫さん。羽丘高校の1番のスター」

 

「ほへー、でなんであんな痛々しい感じなの?」

 

「まぁあんな感じでずっとキャラが出来てますしそれに馴染んでるんじゃないんですか」

 

「そんなもんかね」

 

「そんなもんです」

 

そうこうするうちに

 

「じゃあ今日はここでやるわよ」

そう言っていきなり準備を始めた。そんな堂々とやるんですね

 

「そういえばミッシェルがまだ来てないわね」

 

「ミッシェル?」

 

「ええ、ピンク色のクマのことよ」

 

「あぁあれか」

あのでっかい着ぐるみのことか

 

「てか奥沢さんもいないな。ちと周り見てくるか」

 

「あ、ちょっと待って小原くん」

 

「なんですか松原先輩」

 

「そっちに行くと危ないっていうかなんていうか…」

 

「危険ですか?いえこちらには無いですけど」

自分の能力がその証拠だ

 

「こっちとか…って」

 

「あ」

そこには顔以外が着ぐるみの体に入っている奥沢さんがいた

 

「お、お邪魔しました」

 

「あ、はい」

すぐに離れた

 

 

 

 

「やっと来たのね!ミッシェル!じゃあ始めましょう!」

 

「じゃあ俺は向こう行ってるからな」

 

「まだやってないことがあるわよ直人。さぁこっちに来て!」

 

「何するのさ」

 

「掛け声よ!それじゃあ!」

 

『ハッピー!ラッキー!スマイル!イエーイ!』

そう言って皆出ていった

その後の第一声は…

 

「は?」

であった

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆、お疲れ様」

 

「ええ、楽しかったわ直人。それで、笑顔にはなれたかしら?」

 

「わからないし多分なれてないだろうな。まだ時間がかかるだろうな」

 

「そう…でもいつか絶対笑顔にしてみせるわ!」

 

「面白いな。楽しみにしてる」

 

「それじゃあこれから私の家にハロハピの皆で行こうと思うんだけど、どうかしら?」

 

「あー…今日は遠慮させてもらう。こっちもやりたいことがあってな」

 

「そう…じゃあ仕方ないわね。家まで送ってあげるわ」

 

「別にそんなことは…」

 

「いいから。じゃあ皆いくわよ!」

そうやって車に連れられた。だけど車内で爆睡してしまったのは申し訳ないと思う

 

 

「じゃあ今日はお疲れ様だ。またな」

 

「またね直人!」

 

「じゃあねなおくん!」

 

「今日はありがとうございました。小原くん」

 

「小原さんといる時は気が楽だったからいつかまたよろしく」

 

「別れとはこうも儚い…」

1人だけ意味不明なのはご愛嬌。

 

 

 

 

 

「ただいまー」

 

「みゃあ」

家にいるのは軍曹だけみたいだ。なら少し付き合わせてやろう。そう思い軍曹を抱え2階の自室に行って

 

「おやすみ~」

速攻で寝た

 

 

 




今回のドリフェスで60連以上して星4を2人以上出した人はもれなく自分からの特別な呪いというギフトを差し上げたいと思います


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2日目

ちまちま書いていたのと詰め込んだのと課題のせいでかなり遅れてしまってすみません許してください何でもしますから(なんでもするとは言ってない)





安定感あふれる寝不足。日本車のような安心感。全くもって嫌ですね

 

「眠い…超絶寝たい」

寝不足のせいか脳が溶けているような感じすらする。今ならFXで有り金全部溶かした顔もできると思う

 

「あぁ…学校に軍曹を隠し持っていきたい…でもアレルギーの人とかいるかもだしなぁ」

 

「みゃあ」

昨日はずっと近くにいてくれていた軍曹は足元で眠そうにご飯を要求している。かわいいかよ

 

「今日学校休もうかなぁ…寝たい」

 

「休んでいいんじゃないか?」

そう言って来たのはシュミだった

 

「ええぇ…なんかそう言われるといかなきゃって思っちゃうんだよなぁ」

 

「たしかにそれは一理あるな」

 

「ま、校門前までなら連れてっていいよね」

結局軍曹を連れていくことには変わりなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、おはよう直人。今日も来たんだね」

 

「おう…おはよう」

 

「なんかまた一段と眠そうだね…」

 

「ま、寝てないしな」

 

「だめじゃん!ちゃんと寝ないと」

 

「昨日帰ってから昼寝したから問題ない」

 

「夜寝なきゃ意味無いでしょ…」

 

「馴れっこだからな大丈夫だ」

すると

 

「おはよう沙綾ちゃん…と直人さん?」

そう言ってりみが店に来た

 

「「おはようりみ」」

振り返ると

 

「…直人さん、すごい顔だね…」

苦笑いでそう言われた

 

「なんだろう…別に男に言われてもどうと思わないんだけど、りみに言われると結構来るものがあるな…」

 

「ちょっと待って…それって私を女として見てないってこと?」

 

「いや別に…あれだ。仲良い人だと気にしないけどちょっと気になる人からいわれたら気にしちゃうみたいな」

 

「りみりんのこと。気になってるの?」

 

「沙綾は小学生の男子かよ…」

 

「あの…2人はなにを話してるの?」

りみを全く無視して話していた

 

「ごめんりみりん。じゃあ直人、今日の分ね。また感想聞かせてね」

 

「わかった。じゃあまた後でな」

 

「行ってらっしゃい~」

 

 

 

「はい、これりみりんのね」

 

「ありがとう沙綾ちゃん。にしても沙綾ちゃん、直人さんと仲良いよね」

 

「そうかな?有咲の方が直人と仲良いと思うけど」

 

「確かに直人さんは有咲ちゃんと1番仲がいいけど、それと同じぐらい沙綾ちゃんと仲良いと思うんだ」

 

「まぁ直人は特に気にしないで話せる人が好きなんじゃないかな。余計なことに気を使いたくないみたいな」

 

「沙綾ちゃんはどうなの?」

 

「え?」

 

「沙綾ちゃんは直人さんのことどう思ってるの?」

 

「うーんと…ただの友達じゃないかな?」

 

「練習にも一緒に来てもらって、ただのって言うのはどうなの?」

 

「あはは…別にいいでしょそういうのは。ならりみりんはどう思うの?直人のこと」

 

「え!?え、ええっと…」

 

「あれー?どうしたのりみりん?」

 

「それは沙綾ちゃんも同じでしょ!?」

 

「お、言うね~。ま、いいからとりあえず直人のこと追ってくれるかな?すごい寝不足みたいだからなんか心配」

 

「たしかにあの顔はすごかったね…わかったよ沙綾ちゃん」

 

「じゃあよろしく。また学校でね、りみりん」

 

 

 

 

しばらく歩いていると猫を連れた花咲川の生徒がいた。直人さんに違いない

 

「な、直人さん」

 

「ん?あぁりみ。どうしたの?」

 

「ええっと、紗綾ちゃんが直人さんのこと心配だから追ってほしいって」

 

「なんだそんなことか。別に俺はなんの問題もないけどな。眠いこと以外」

 

「それこそ1番ダメなんじゃないかな…ねぇ直人さん」

 

「ん?どうした?」

 

「その…寝不足の理由教えてもらってもいいかな?」

せめて何か皆とは違う何かを持とうとしていたんだろう

彼は多分他人に自分のことを教えるのをそこまで好きじゃないと思った。

だから私はおそらくいま1番教えたくないであろうことを聞いてみた

 

「あはは…恥ずかしくて言いたくないんだけどなぁ…」

 

「え!?それって…そ、そういうことなの…?」

もしかして直人さんってもうそっちの経験をしてるの!?

直人さんはかっこいい方だからそういう経験あってもおかしくないの…かな?

直人さんの方を向くとむやみに顔が赤くなって足も止まってしまった

 

「?どうしたのりみ」

 

「え!?ええっと別に私は直人さんがそういうのをするのを止めたりはしないけどそういうのはあんまり人前で話すのは…」

パニック状態で何を話しているのかも分からなかった

 

「あ、ああぁ…まぁ勘違いしても仕方ないよな。誤解を解きたいから教えるよ。これは他の人には秘密ね」

 

「う、うん」

 

「実はな、昨日と今日と徹夜でギターの練習してたんだ」

 

「れ、練習?どうして?」

 

「元々俺はおたえに教える方の立場だったんだけどな。こっち来て会ったときにすぐわかった。今は絶対におたえにかなわないんだってね。なんかそれが無性に悔しくてな…なんだかみっともないだろ?」

 

「ううん、それは別に悪い事じゃないと思うんだ。でもそこまでやっちゃうと皆心配しちゃうからやめて欲しいかな?」

 

「そりゃ俺もやめたいけどさ…って危ない!」

突然私の手をつかんで直人さんは信号のない小さな横断歩道を渡っていたのを引き寄せた

その力でそのまま直人さんに抱きつく形になった

 

「きゃっ!ど…」

その後の言葉を遮るように私が横断歩道から戻された途端路地から凄まじい速度で車がとびだしてきた

 

 

ガードレールに当たり聞いたことのない音を発した後、私は直人さんに助けられたことがわかった。それを知った時すごくかっこよくてあったかかった。思わず腕の力を強めていた

 

 

 

 

 

 

 

 

「直人…直人!」

 

「!?」

誰かの呼び声に思わず跳ね上がってしまった

周りには俺に呼びかけていた沙綾となぜか顔を赤くしているりみと大破した車があった

 

「なにぼーっとしてるの?ほんと心配したんだから。後、遅刻しちゃうから早く行くよ」

 

「あ、あぁ」

足元で軍曹の鳴き声もした

 

 

 

 

 

校門で軍曹と別れて教室に行き、座ってから朝のことを考え始めた。

なぜ考えるかは明白だ

 

俺は自分自身の危険ではなく、りみの危険を頭痛や吐き気ではなく、「映像」、つまりは未来に起こる可能性がある映像を見たのだから

 

 

正直言って理由は分からない。まぁ危険を察知する能力がある時点で意味不明なのだが。

よってこれの思考を放棄して授業をちゃんと受けよう。今は英語の時間だ

 

「じゃあ2人1組、出席番号順でな。あと、小原は若宮とやってくれ」

 

「わかりました」

するとクラスの女子の中でも高い方で白く艶やかな髪をした人が来た

 

「初めまして、ですね。私、若宮 イヴです!よろしくお願いします!」

すごい元気だ。ついでにとんでもなく日本人離れしている。おそらく西洋人とのハーフだろうがここまで差が出るとは…

 

「あぁ、よろしく。改めて小原 直人だ」

 

「ナオトさん、ですね。それでは始めましょう!」

 

ドイツ語は大体英語と似ている綴りをしている(違うものはだいぶ違うが…)のと、発音が特殊な場合があることで割と自分的にはややこしい部分もあったりする

意識を変えてやれば特に気にしないほどには成長しているので問題は無かった

授業後…

 

「すごい…すごいですナオトさん!」

 

「お、おう。どこら辺だ?」

 

「どこも途切れることなく、聞きやすいところです!」

 

「あはは…褒められて悪い気はしないよ。ありがとう」

 

「直人さんは…」

そういうとじりじりとこっちを見つめながら少しずつ顔を近づけてきた。やめて惚れちゃう

 

「少し目に色がついてるんですね。ということはナオトさんもどこかのハーフなんですか?」

やめて、劣等感生んじゃうから

 

「あー…確かにハーフといえばハーフだけど。両親とも日本人とオーストリア人のハーフなんだ。だからだろうけど、物の見事に日本人の遺伝子ばっか受け継いだから、ハーフだけどほぼ日本人なんだ」

 

「そうなんですか。じゃあハーフ仲間です!」

 

「なんだハーフ仲間って」

 

「とりあえずナオトさんは私を呼んでみてください」

 

「ええっと…若み「ダメです!」えぇ…」

割り込まれてしまっま

 

「イヴ、イヴと呼んでください!」

 

「…それじゃなきゃダメなのか?」

 

「ダメです!」

ずいぶん強情だ

 

「わかった…イヴ」

 

「はい!ところでどうしてナオトさんは日本に?」

 

「うーんと…あれだ。一種の休暇のようなこと」

 

「休暇ですか?ということはナオトさんは何かお仕事をしているんですか?」

 

「まぁな、仕事内容は内緒だが…そう言うんだからイヴもなにかやってるのか?」

 

「はい!モデルとアイドルのお仕事です!」

「アイドル?」

 

「はい、Pastel*Paletteというアイドルバンドのキーボードです!ちゃんと演奏しながら歌うんですよ」

 

「バックなしで?それは素人には難しいことだと思うけど……ん?」

Pastel*Palette?ちょっと待て。記憶の中のライブのチラシをサルベージしよう

……はい、当たりました。Pastel*Paletteさんも出ますね…これって結構きつくね?

 

「はい、すごく疲れますが出来るように練習あるのみです!パスパレの皆さんと一緒にやるのは楽しいです!」

すごい。日本人そのものみたいだ。果たして社畜さんは日本人の文化と言えるのだろうか

 

「それで、ナオトさんと仲間になったのでパスパレの皆さんに紹介したいと思うんです」

え?一般人をアイドルにプライベートで合わせるってどうなんですかそれって

 

「お昼休みに一緒にご飯を食べるのでその時に一緒に行きましょう!」

まぁ当人が許可してるからいいか…ファンが知ったらぶん殴られそう

 

 

お昼休み

 

 

「ナオトさん!さぁ行きましょう!」

礼をした直後にやってきた

 

「おう、わかった…って手をつかむな手を繋ぐな。ちょっと待ってご飯持ってないから!」

バックの中に買ったパンを置いて連れてかれてしまった

移動している間ずっと手を繋いでいたのですごい視線が痛かったです。特に有咲

 

 

「彩さん!千聖さん!」

 

「やっほーイヴちゃん」

 

「こんにちはイヴちゃん。あら?後ろにいるのは誰かしら?」

 

「すみません…いきなり押しかけて。1年A組の小原 直人です」

 

「いいえ、イヴちゃんに連れてこられたんでしょう?なら問題ないわ」

ないんですか

 

「じゃあこっちも…2年A組の白鷺 千聖よ。よろしくね。ほら彩ちゃんも」

 

「うん!まんまるお山に彩を!丸山 彩です!よろしくね」

 

「わざわざありがとうございます…ところでイヴ、チャイムなってすぐ行ったせいでご飯を持ってこれてないんだけど」

 

「そうなんですか。なら私のものを一緒に食べましょう!」

いやいやいやいや、何その超短絡的な思考は

 

「それはさすがに悪いから今から取ってくるよ」

 

「それはどうかしら。イヴちゃんはどうして小原さんを連れてきたの?」

 

「はい、ナオトさんがハーフということが分かって、仲間が出来て嬉しかったので彩さんと千聖さんに紹介したいと思ったので連れてきました」

 

「そう、なら私達はもっと小原さんについて知らなきゃいけないわね。ほら彩ちゃんも」

 

「え?私?」

 

「何か聞きたいことがあれば聞いていいのよ?」

 

「あ、じゃあ…」

そんな風に色々質問してもらってそれに答える昼休みになった。少しおかしな所もあったが…

 

「はい、一応こっちには4人で来たんですけど「ナオトさん」なんだイヴ」

いきなり話に割り込んできた

 

「あーんしてください」

 

「え?どうして」

 

「まだご飯を食べてないですから、私が口まで運びます」

 

「いやこれ前に先輩いるんだよ?そんなのさ「あーん」…わかったよ」

そう言って自分としては渋々口を開けて食べた

 

「んーと、直人くんはイヴちゃんの彼氏さんなの?」

 

「そんなわけないですよ?まだちゃんと知り合って1日目ですから」

 

「それにしてはすごくイヴちゃんがくっついてるわね」

 

「でもこういう性格なんだと思いますよ」

 

「そうね、その通りね。さてもっと聞きたいことがあるから聞いてもいいかしら?」

 

どうしてこっちに来たらこんなことになってしまったんだろう。だけど、楽しい。いつも楽しいと思えているからこっちに来て良かったと思う

 

 

放課後

 

 

もはや時間が惜しいのでさっさと帰って練習しておかないと…

そうは問屋が卸してはくれないらしい

 

「直人」

後ろから沙綾の声が聞こえる

 

「どうした沙綾。俺は早く帰りたいんだけど」

 

「女の子の前でそういうこと言っていいのかなぁ?とりあえずこっち来て早く」

そうやって付いていくと少し道をそれたところの公園に座らされた

 

「で?何の用?」

 

「で?じゃないでしょもう」

少し怒ったようにこっちを見てくる

 

「パン、食べてないでしょ」

 

「あ…」

昼休みはイヴに連れていかれたせいでパンを食べていなかった

 

「あれは仕方ないだろ…でも感想を言わないとな」

バックから取り出して、食べ始めた。傍から見ると何かを尋問されているような感じだろうな

 

「はい、ありがとう直人」

 

「ほんとにごめん…なんなら机の中に入れておこうかな」

 

「それだと匂いが漏れちゃうんじゃない?それで別のことなんだけど」

 

「なに?」

 

「どうしていきなりあんなにイヴと仲良くなったの?」

 

「あー別に。同じハーフだから仲間だってさ」

すると沙綾は驚いた顔をした

 

「え?直人って日本人じゃないの?」

 

「あれ?言って…ないね。俺の本名は小原 ウォルフ 直人 一応セカンドネーム持ちだよ」

 

「ええええ、全然知らなかったよ」

 

「まぁハーフというより日本人でいた方が楽だしな。この体だし」

 

「これからもそうするの?」

 

「もちろん、楽なのを選ばない手はない」

 

「そうなんだ…なんかハーフの方がかっこいいと思うけどね」

 

「結局それだとなんかガッカリされるし、イヴと比べられるし嫌なんだよな」

 

「そういうことされたことないでしょ」

 

「まぁな、そういうことだから皆には言わないようにしてくれ」

 

「もちろん。そういうお願いならね。じゃあ帰ろっか」

 

「そうだな」

 

 

沙綾の家まで一緒の道なので一緒に行って着くと店ではちっこいのが店番をしていた

 

「おかえり!」

 

「ただいま純、ちゃんとやってた?」

 

「もちろん、大丈夫だよ…お客さんはどうしてそこでずっと立ってるの?」

さすがにずっと立っているのはダメだったか

 

「いや、ただ沙綾と一緒に帰ってきただけ。すまないな。じゃあな沙綾」

特に用もないのでさっさと帰ってまた昼寝でもしよう…

 

 

 

 

「なんだったんだろうあの人」

 

「まぁ別に悪い人じゃないから大丈夫」

 

「そうなんだ、じゃあ彼氏とかでもないの?」

 

「ううん、全然。ただの友達」

 

「そっか」

 

「じゃあ私も準備してくるからね」

 

 

直人が恋人ね…容姿は学校でもかなりいい方だと思う。基本的にはめんどくさがりっぽい感じだけど押しに弱い。まんま有咲だね…

 

やっぱり直人は有咲といるのが1番似合ってるとは思う。

でも私の隣にもし彼がいるなら…そう想像しただけで心があったかくなる。ドキドキとかそういうのじゃなくて安心して落ち着く。ほんとに何も気にせずにいることがすごく楽で良かった。そうさせてくれるのは直人だけだから…




自分はマー君の評価で1番好きなのは6回8失点したときの「謎の存在」
です


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地獄の終は天国に続くとは限らない

27がクリアできないのぉぉぉ

ヴァイスシュヴァルツはじめました





いやはや全くここまでやっておいてなんなんだが、一切の目標なしにやっているせいか全然やっている気がしない。アホですね。やめます

 

「全く…ほぼ意味無いじゃんかよー」

朝っぱらからすまねぇ軍曹。少しは愚痴らせてくれ

 

「でも少しは動くようになったでしょ〜」

ミナさんは軍曹を抱きかかえながらそう行ってくる

 

「そりゃそうですけど…あーもうやだーぐんそーかえしてー」

 

「はいはいどうぞ」

軍曹は降りるとすぐにこちらに寄ってきてくれた

 

「あぁもうやだ最高可愛い」

何だかんだ言って軍曹には助けられている。悪く言うとはけ口である。別に暴力をしているわけではなく遊んでストレスを発散させている

 

「でももう1匹いればもっと可愛いかもね〜」

 

「たしかに複数いることでいろんなことが起こりますからね」

 

「どこかに猫落っこちてないかな〜」

 

「なんてこと言ってるんですか…」

 

「冗談よ。じゃあ直人はなにかやるべき曲があればいいのよね?」

 

「まぁそんな感じ…ってたしかにそうですね早くライブでやる曲を決めないと」

 

「そういうこと、だから今日からは無しで夜に曲を決めましょ」

 

「そうしましょっか」

そんなこんなでまた今日も始まるのだ

 

いくら徹夜したとはいえ解放感があるせいで何故か眠くならない。なので今日は家で朝食を食べてから行くことにした。その時に曲ぎめをすることも伝えてある

 

 

 

朝食を食べ終わってから少し軍曹と遊んでから家を出た。今まで通りの時間である。だいぶ秋も深まってきて風は少し肌寒く空気は乾燥している。ちなみにもう冬制服を着ている生徒もいる。まぁまだ俺は夏制服だけどな

 

「おはよう!直人君!」

ギュッー

 

「おおおう、おはよう香澄」

背中に抱きついてきたのは香澄だった

 

「えへへ、直人君見つけたから走ってきちゃった」

 

「だからって抱きつくまではないでしょ」

やっぱり女の子の体はすごい魅力的だと思うのですよ。だからヤメロォ!(建前)ナイスゥ!(本音) どこがとは言わないけどとっても圧が強い場所とか

 

「お姉ちゃん…はぁ…突然走り出さないでよ…」

後ろの方からさらに別の女の子が来た。ちなみにそっちは冬服であった

 

「あ!そういえば直人君にはあっちゃんのこと言ってなかったね」

 

「それがこっちのか?」

 

「はい…戸山明日香です。いつも姉がお世話になってます」

香澄とは違い礼儀正しい。ほんとに妹の方がお姉ちゃんしてる姉妹とかいるんだなぁ

 

「あ!りみりんだ!じゃあ直人君、あっちゃん、先に行ってるねー」

そういって少し先にいるりみに向かって走っていった

 

「じゃあ、改めて。小原 直人だ。よろしく」

 

「はい、よろしくお願いします。私は中学3年なので先輩ですね」

 

「そうなるな。じゃあ明日香の方がいいか?それともあっちゃん?」

 

「それはどっちでも…いえ、明日香のほうがいいです」

 

「ふーん、じゃあ、あっちゃん!」

当然『あっちゃん』の部分だけ香澄の声で言ってやった

 

「多分そんな気はしてました…あと、いつ録音してたんですか?」

 

「録音だなんてやだなぁ、いつでも録音してるような人じゃないぞ」

 

「え?じゃあさっきの声は?」

 

「もちろん俺の声だ」

やっぱり初めてやる人は驚いてくれる

 

「ほんと…なんですか?」

 

「もちろん、1度聞いた音とか声なら完全に同じ音を出せる。もし誰かがあいうえお、と言ったら俺はその先の全部も全く同じに言える」

 

「人間離れですね…そして日本人じゃないのは分かります」

 

「ん?どうしてだ?俺は日本人のはずだけど」

 

「白々しいですね、携帯の中日本語じゃないところたくさんあるじゃないですか」

 

「いつの間に見てたのさ…ま、たしかに日本生まれじゃないけど半分日本人だから」

 

「ハーフなんですか?」

 

「今じゃダブルなんて言い方もあるみたいだな。そんなところ」

 

「こんな日本人まんまのハーフなんですね」

 

「一応残り半分はヨーロッパなんだけどな」

 

「だからお姉ちゃんのことあんまり気にならないんですね」

 

「それは別問題だと思うけど、そういう子も向こうにいたしな」

 

「モテるんですね」

 

「そんな風には思わないんだけどな。ま、そうなら嬉しい限りだな」

 

「あれ、沙綾さん?」

見ると前の方から沙綾が向かってきている。なにかあったんだろうか

 

「おはよう沙綾、何か用か?」

 

「何か用って、今朝うちに来てなかったでしょ」

 

「まぁな、軍曹と遊んでから出たから遅くなったな」

 

「ならいいんだけど、お昼とかは持ってきてあるの?」

 

「いや持ってきてないな」

 

「じゃあはい、これ」

紙袋には当たり前のようにパンが入っていた

 

「別になにも言ってないんだけど」

 

「最近いつも来てたら今日も来ると思うでしょ?だから準備しておいたの」

 

「いつもって2日間だけだけど」

 

「まぁ気にしない気にしない」

 

「あの…少しいいですか」

少し黙っていた明日香が話し始めた

 

「沙綾さんと先輩は付き合ってるんですか?」

 

「え"」

 

「なにいってだ明日香」

 

「そ、そうだよ。まだ知り合って一ヶ月ぐらいしか経ってないんだし」

 

「やっぱり先輩はモテるんですね」

 

「女子に対する耐性を誰かさんに付けられたんだ。それだけだ。てか明日香もだいぶ強くないか?」

 

「お姉ちゃんがやばいだけだから…変な風にすると目、付けられますからね」

 

「特に自分からはやってないから。そんなの関係ないか」

 

「それよりも2人の方が注目されているから早く行こっか」

周りを見るとうちの生徒がちらちらこっちを見ていた。そりゃだいぶ身長差もあるしな

 

 

 

 

「小原さん、ちょっとよろしいですか」

昼休み 沙綾とイヴがこっちに話しかける前に紗夜先輩が教室にやってきた

 

「あ、はい」

なにかあったんだろうか

 

 

 

 

「今日の朝、中学の生徒と一緒にいたそうですね」

 

「あぁ明日香のことですか」

 

「では妹さんの方の戸山さんですか。一応あなたは有名な方でして、少しでも不審なことしたら小原さんの名前だけ出てきますから面倒なことになりますよ。まぁそういうことしない人だとは私もよく分かってますから」

 

「ありがとうございます」

 

「それで、最近はどうですか?生活は」

 

「お陰様で足も問題ないですし、いつも楽しいですよ」

 

「そうですか、なら良かったです。すみませんお時間を取らせてしまって」

 

「いえ、こちらこそ久しぶりに紗夜先輩と話せて良かったです」

 

「はぁ…嬉しいですが、生活指導的なお話はこれ以上は無いようにしてくださいね」

離れていく紗夜先輩は少し苦笑いしながら、でも優しく笑いながら去っていった

 

 

 

 

帰ってくると教室にはイヴはなく、沙綾はポピパで固まっていた。しかしこっちに気づくと離れてこっちにやって来てまた感想を求めてきた。毎回違うものだけどどれだけあそこには種類があるんだろうか。その後には何故か有咲がやって来た

 

「どうした有咲」

 

「いや別に、沙綾がそっちいったからなにかあんのかなって」

 

「あぁ、沙綾のとこのパンの感想を言わされてんの」

 

「ほんと、お前って転校生か?私より顔が広いし」

 

「あはぁ?もしかして有咲はずっと俺が帰った後はあの感じだったんだぁ」

 

「うるせぇ!そもそも私はそこまで人と話せねぇんだ。今だって元は香澄が…」

 

「じゃあさ、香澄には感謝してるだろ?」

 

「はぁ?」

 

「ずっと1人でいた頃とさ、今。どっちが楽しい?」

 

「そりゃどっちも楽しいけど」

 

「なら良かった」

 

「?いきなりどうした?」

 

「こっちに戻ってきた時にさ、もし有咲がいなかったら、その前に会えてなかったらって思うとさ。だから俺は有咲に感謝してるんだ。だからその有咲が楽しいなら良かったなって」

 

「なんだそれ…お前らしくもないな」

 

「?当たり前じゃん、だってそこまでそう思ってないもん」

 

「は?」

 

「思いつきで話してた。要するに脊髄反射」

 

「今まですごいいい雰囲気だったのに自分からぶち壊したな」

 

「ま、少なからず言いながら思ったことだから、多少はそう思ってる」

 

「そ、じゃあ今のは適当に聞き流しておく」

 

 

「私は香澄のおかげってか…考えたくもないけどそう…かもしれないな」

 

 

 

 

 

 

 

帰宅すると既に自分以外は帰ってきていた。何故か部屋を暗くし、サングラスをかけそれに光を当てていた。当然手は組んでいる。そんなに碇ゲ〇ドウごっこが好きなのかあなた達は

 

特に反応も示さず部屋に行き着替えて降りると片付けられていた

 

「さっきのなんなんですか」

 

「ま、気にしないで〜」

 

「あんなん恐怖以外のなにものでもないわ」

 

「まぁ置いておきましょう」

 

「ミハさん絶対触れられたくないんでしょやらなきゃ良かったでしょ」

 

「うるさいよナオト」

 

「あれなんでシュミだけそのまんまなの。あ、気に入っちゃったかー」

 

「というわけで〜曲を決めましょ〜」

一応ひとりひとり決めていたのでそこまで滞りそうになかったが地獄がこの後に待っているとは知りもしなかった

 

 

 




この後に自分に地獄が待ってるんですよねぇ…
次の回の内容がね…

正直いってこの回ってほぼ意味なくね?


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世界が幻だとしたら

ちょくちょく書くとめっちゃ遅くなっちゃうのよね


 

曲ぎめは各自が決めていた曲を全員で聞いてどれがいいかを決めるだけだったのでそこまで時間がかかることでは無かった。しかしここからが地獄だった

 

「ねぇねぇちょっといいかしら〜」

 

「どうしたんですか」

 

「今回のライブに出るバンド調べたんだけどね、あることに気づいてしまったのよ…それはね…」

ミナさん以外が固唾を呑む

 

「私たちのバンド名の語感の悪さよ!」

一同が呆気に取られる

 

「考えてみてよ、Abenteurerなんて、略称すらできないじゃない!」

 

「でもそれってみんなが全然考えつかなかった結果、こうしようって」

 

「問答無用、言語道断よ!」

 

「ちょっと意味が違うと思うけど…」

 

「とにかく!覚えやすい、言いやすい、省略してもわかりやすい、な名前をつけるのよ!」

なにその『早い、安い、飯がうまい』的なやつは

 

不満を言おうにも全くもってその通りなので考えるしかない

 

33-4

 

66-8

 

99-12

 

30分経過しても全く案が出てこない。なんでや阪神関係ないやろ!

 

 

「またこれは辛いものかあるね…」

全員頭から蒸気が出ているように考え込んで死にかけている。このバンド、全くもってネーミングセンスが無いのが一番の弱点かもしれない

 

「誰も思いつかないの〜?」

 

「まずはミナが思いつかないとじゃないの?」

 

「私はもう頭が動かないのよ」

 

「じゃあ明日に回しましょうか?」

 

「みゃあ」

そんな時に軍曹が鳴いた

 

その刹那全員が軍曹に目を向けた

そう言えば軍曹は黒猫…

 

「Schwarze Katze?」

 

「いいんじゃないかしら!」

 

「でも黒猫っていっても名前負けっていうか」

 

「ならライブの先頭で軍曹出せばいいんじゃない〜?」

この人何言ってるの

だけど軍曹は何も言わず俺をずっと見ているだけだ。でも伝えたいことはわかる

 

「(別に、俺はどっちでも構わない。お前がやりたい方を選べ)」

そう言ってきているのだ

 

「じゃあ出てみるか?Schwarze Katze」

そう言うと何も言わずに離れていって毛繕いし始めた

 

「なら決まりね」

 

「じゃあバンドリーダーは…」

 

「もちろん軍曹でしょ〜」

は?

 

「いやいや、さすがに出ますけどリーダーって」

 

「だって名前が黒猫なんでしょ?ならやっぱりリーダーは軍曹でしょ」

 

「分かりました…リーダーは軍曹として、人間代表は?」

 

「まぁここは年長者の私でしょ〜」

 

「ナオトとシュミは?」

 

「ミナがやるならそれでいいと思うよ」

 

「右に同じ」

 

「じゃあ決まりねぇ〜じゃあとりあえず明日は練習なしで、よろしく〜」

そういってミナさんは洗面所に行った。あとどのくらいなのか把握してるのかなぁ

そういう自分は軍曹のところにいって抱き上げた

 

「いいのか?軍曹」

特に返答もないのに言った。でも軍曹はずっとこっちを見ている

 

「いいんならいいんだ。ありがとう」

撫でてやるとはっきりとは喜んでいなかったが喜んでいることはわかる

 

「世界が幻である確率は、世界が現実である確率よりも論理的に上である」

 

「んにゃ」

 

「割とすごい言葉だと思うんだよな、多少のことなら気にならなくなるしな」

 

「にゃ」

 

「まぁもし現実だとしても、結局やらなきゃ成功もしないし失敗もしないな」

わけのわからない言葉ばかり羅列したけどいつもこうやっていたのだから正直あっちにとってもいつも通りらしい

 

 

軍曹は俺の両親が殺された後に仲良くしていたご近所さんから譲り受けた。寂しくならないようにってことだったけどその時にはもう他のことを考えないで父の技術に追いつくことだけを考えていた。初めて来た時の感想は「邪魔はするな」とかいう心無いものだった

 

でも軍曹はその頃思いっきり子猫だったのでずっとついてまわってきた。さすがに放置するのは気が引けた。そうやって自然と軍曹と触れ合っている時間が増えた。終いには練習しない日すら出てきた。まぁミナさんはそうなって欲しかったらしいけど。でも断ち切ってやる日もあった。そういう時は肩とかに乗っけて練習していた。それ断ち切ってないやん。まぁその延長で頭に乗っかるようになったんだけどな。結構今は重い。

 

 

で、日本から帰ってきた後に、本格的な練習を始めた。約2年間軍曹と離れていたのだがその間はそのご近所さんに預けていた。その時に驚くほど賢く、利口になっていて今のように人の言葉を理解していた。なぜ自分が軍曹の言葉がわかるかはわからない。おかげで練習には集中できるようにあまり寄ってこなかったり、帰ってきたらくっついてたり。ほんとに賢い。かわいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

朝になりいつも通り朝ごはんを食べて軍曹と遊んでいるとインターホンがなった。ミハさんが玄関に向かうと

 

「ナオト、お客さん」

すこしリビングに顔を出して言った

 

 

「あ、おはよう直人」

 

「なんで朝から来てるんだ?沙綾」

 

「いやまぁ…また来てなかったから届けてあげようかなぁって」

 

「だから何も頼んでないって…わかった。少し待って」

すぐに準備していた荷物を取って玄関に戻った

 

「ごめんな、じゃあ行くか」

 

 

「なんだか、昔を思い出すな」

 

「昔?」

 

「あぁ、小学5年生の夏からのことだな。有咲に出会ったあとに毎日朝登校する時に一緒に行ってたなって」

 

「へえー有咲がそんなことしてたんだ」

 

「あの時は有咲毎日目をキラキラさせてたよ」

 

「あはは、よっぽど直人のことが好きだったんだね」

 

「さぁどうだかな。でも俺と有咲は別の学校だったから途中で別れてたんだよ、でさなんでか気になって帰った後になって調べたらさ、有咲、ずっと全力で走って間に合うか間に合わないかぐらいの距離だったの」

 

「まさか有咲がそんなことしてまで会いたがったんだからやっぱり好きだったんじゃない?」

 

「うーん…分からないな。なんなら有咲に直接聞いてくれ」

 

「絶対答えないでしょ」

俺もそう思う

 

 

 

 

 

 

学校につく手前にもはや見慣れた弦巻のところの黒服がいた。するとこちらに近づいてきて紗綾にだけ小さな封筒を渡した

 

「なんですか?これ」

 

「後で内容を確認してください。あと隣にいらっしゃる小原さんには絶対に見せないように」

 

「あの、なんで沙綾だけなんですか?」

あちらが沙綾の耳元で話していたのでわからなかった

 

「小原さんには関係ありませんのでご心配なく」

 

「いや余計気になります」

 

「そういえば今日は小原さんは記録を測定するのでは?」

「あ、たしかにそうですね。てかなんで自分のスケジュール知ってるんですか」

さすがに怖くなるわ

 

 

 

「なぁ香澄」

教室について、前の席にいる香澄にこえをかけた

 

「なに?直人君」

 

「今日の朝、なんか弦巻のところの人からなんか貰わなかったか?」

 

「あ!これのこと?」

すると目の前に朝に見た封筒が出てきた。馬鹿め、目にも留まらぬ速さで奪って中身を確認するのだ!

そう思って手を伸ばした瞬間、その封筒が誰かに取ってかれた。

おたえだった

 

「香澄、だめだよ。この封筒を見せちゃ。だからなお、はいこれ、私の」

そう言っておたえがその封筒を渡してきた

 

「おたえ!だから渡しちゃダメなんだよ!?」

 

「「香澄がツッコミをした!?」」

 

「もー!二人とも!」

そういって馬鹿やってるうちに見る機会を失った。自分がバカでした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆、集まったわね!」

そうこころが注目を集めるように言った。周りにはハロハピと、ポピパとイヴとなぜか紗夜先輩が混じっていた

 

「で、これはどういうことですか?」

紗夜先輩が聞いた

 

「そのまんまよ、直人のオフショットを皆で見てみましょうってことよ」

 

「それは一種の盗撮ではないのですか?」

 

「盗撮?なんのことかしら?」

それはとぼけているのかどっちなのか…

 

 

 

結局紗夜先輩も一緒に弦巻邸にやってきた。こころの部屋に入ると一人一人に用意されたタブレットがあった。これ位は朝飯前だろう。早速起動させてみると

 

「うおっ…なんだこれ…」

有咲が驚くというか引くのも当たり前のようなものだった。なぜならそこには大量の直人の写真があったのだから

 

中はそれこそ色々な場面での直人が写っていた。車椅子を紗夜先輩に押してもらっている時の写真、クラスメイトと笑っている時、それによくテレビに出てる議員の人と話している写真…

 

「この人ってよく見るけどなんで直人としゃべってるのかな」

周りに聞いてみた

 

「あぁ、確か小原…小原!?」

有咲が自分で二度言った。

 

「これって皆知ってるのかな?」

 

「雰囲気が違いすぎて誰も気づいてないだろ」

それはそうかもしれない

 

そして特に多かったのは飼い猫、軍曹だったと思う。と一緒にいる写真だ。どれだけ直人が溺愛してるかがわかる。そして猫もそれに応えている。この間に入るのはすごい難しそう…ほんとどれだけ好きなんだろう

 

「あ!りみりんが抱き合ってる写真!」

 

「えええ!」

りみがすぐに顔を赤くして確認している

 

「どれ!」

「どこですか!?」

おたえとイヴが速攻で探し始めた

「落ち着けよお前ら…」

 

「あ!あったよ!」

はぐみが見つけるとすぐに全員に転送した。おそらく何度も使っているんだろう。転送されたものを見てみる。それはあの日に見たものを横から撮ったものだった

 

「あれ?でもなんかここら辺がぼやけてるような…」

美咲がなにか見つけたようで色々と操作している。

 

「うわぁ!な、なにこれ…」

美咲が思わず叫んだ

 

「どうしたの?美咲?」

 

「いや、これ見間違いじゃないよね…とりあえず転送する」

その画像には赤いマルが付けられていた。その中が少しぼやけていた

 

「で、次に送る2枚目だから、びっくりしちゃうかもしれないけど…」

次のものには完全な状態として写っていた

 

「これって…幽霊?」

おたえがそう聞いた

 

「多分…そうだと思う。で、この後ずっと写ってるんだよ」

おそらく連写したんだろう。一連の流れがそのまま写っていた。そして、その全てにその幽霊が写っていた

 

「ねぇねぇこれよく見ると、直人君まんまじゃない?服とか夏服だよ!」

たしかに透けて入るが顔を見ても直人そのものだった

 

「これって結局なんなの?」

最終的にこの場では答えは出なかった

 

 

 

「とにかく、もうこれ以上小原さんの写真を勝手に撮らないことです」

なぜか紗夜先輩は黒服の人たちに説教?ではないけど言っている。そのままそれぞれの家に送ってもらった。なんかおたえと有咲とイヴは写真をもらってたけど…

 

家に着くと特に何も考えずベッドに寝転がった。こんなことなら今日は行かないでずっと測定している直人を見ていれば良かった…

 

 




ほんっと意味無い回を続けて申し訳ない


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どうしてこうなった

学校始まっちゃうのぉぉぉぉぉ


測定が終わった後は特に何もなく、週末には練習をして、週明けの月曜日。今日は香澄の練習に付き合う日だ。

 

「えへへ〜直人君と一緒に練習だ〜」

 

「全くなにが嬉しいんだか」

ずっと朝から香澄はこの調子だ

 

「えーだってなんかさ、秘密の練習って感じがするじゃん?」

 

「特にそんな気もしないけどな」

 

「でもでも、ふたりきりは初めてじゃない?」

 

「まぁ、それはね」

 

「じゃあ嬉しい!」

じゃあってなんだよじゃあって

 

「こんな所で歩いてたって仕方ないよ!」

 

「いや別に急ぐことでもないだろ」

 

「もったいないじゃん!走ろ!」

そしてこっちの返答を待たずに走り出した。なんで走る必要がないのに走るんだか…仕方ないので全力で香澄を追い抜いていった

 

 

 

 

「な、直人君…早すぎるよぉ…」

結局香澄をすぐに追い抜き練習場所の某Moon Islandさんがスタッフのスタジオに先についた

 

「先に走ったのはそっちだろ」

 

「でも〜」

そう言って膝に手をついて下を向いているとこっちから胸が見えてしまうのでやめて欲しい。眼福なのか目に毒なのか…にしても有咲ほどではないけど結構持ってるのね

 

 

「いらっしゃい!二人とも」

入るとまりなさんが受付にいた

 

「香澄ちゃん、直人くん、はいギターね」

昨日のうちにギターを預けていた

 

「じゃあ一番奥のスタジオでやってね」

鍵を受け取った香澄はすぐさまスタジオに向かっていった

 

「まりなさん、まだ自分たちの事は」

 

「もちろんまだ誰にも言ってないよ。なんたって私が初めてプロデュースするだから!」

やけに気合が入っているが空回りしないことを祈ろう

 

 

「遅いよ!直人君!」

別にそこまで時間は経ってないはずだがまぁいいか

 

「すまん、じゃあ始めようか」

 

 

さすがに大体半年やってるだけあり、特に心配することもない。おどおどしているところもあるけど。俺はというと昨日決めた曲の練習をしていた。結局俺はいるのだろうか

 

 

しかし出来ないところがあるのか、少し顔をしかめるフレーズがあった。

 

「ねぇねぇ直人君」

 

「どうした?」

 

「ここなんだけどさ…うわっ!」

香澄がこっちに問題なく来ることを想定していたせいですぐ横に来るまで全く見てなかったが、スタジオの床の窪みに足を取られてこっちに倒れ込んできた。

 

その時は2曲目のスコアを眺めていただけだった。香澄もスコアだけだった。結果的にギター同士でぶつかることは無かったが人間同士の衝突は避けられなかった

 

ドサッ

 

香澄がそうしたのかは知らないが椅子から落ちて床に転がった

 

「痛っ…」

 

香澄が転倒してそのまま俺を押し倒すような形になった。当の本人は俺の体の上に跨っていた。その時音を聞いたのか隣のスタジオにいたであろうあの羽丘の制服を着た赤髪混じりの少女がドアのところに立っていた

 

「香澄、なにしてるの?」

 

「あ、蘭ちゃん」

 

「なに顔赤くしてるの、早くどいてよ。そいつ〇せない

 

「あ、うん…って何しようとしてるの!?」

 

「香澄は気にしないで、ほら立って」

なぜか首の後ろを持ち上げられた。

 

「わかった、で俺に何の用だ」

 

「問答無用!」

思いっきり鳩尾にグーパンが決まった。有咲より強い力でやられたため当然失神コース。俺…どんだけ鳩尾弱いんだろう…香澄…ナズェミテルンデス!オンデュルルラギッタン…

 

 

 

 

 

 

 

「ほんと…ごめん。特に事情も知らずに殴って」

起きるとさっきの子が横に座っていた

 

「まぁ勘違いさせる状況ではあったな」

 

「だから…ごめん」

 

「もういいよ、そんなに謝られるとこっちが困る。早く帰って練習したら?」

 

「いいの?」

 

「別にいいよ、嫌だろ男をずっとみるなんて」

 

「そ、じゃあそうする…あんた、名前は?」

 

「そういうのは先にそっちがって…めんどくさいな。小原 直人」

 

「小原 直人。わかった。美竹 蘭 あたしの名前」

 

「どうも、これから何か縁でもあればよろしく」

そう言って出ていこうとした時にまた追加で人が入ってきた

 

「すいません、うちの蘭が…」

入ってきた4人の中で一番背の高い紫がかった赤髪の女の人が謝った

 

「申し訳ないですけど、もう終わったことなので。もう出さないようにお願いします」

 

「あ、はい。ですけど謝らないと気がすみません」

 

「…じゃあ1回きりです。これまでです」

 

「はい、ありがとうございます。アタシは宇田川 巴っていいます」

 

「はーい、青葉 モカでーす」

 

「羽沢 つぐみです。商店街で喫茶店をやってます」

 

「上原 ひまりです。よろしくお願いします!」

 

「そしてアタシらと蘭の5人でAftergrowってバンドやってるんだ」

Aftergrowね……あっ…

いや、もうここで練習してるガールズバンドな時点で予想ついてたけどね

 

「わざわざありがとう、俺は小原 直人だ。見ての通りギターをやってる」

 

「小原さんね…ってあれ?」

 

「どうしたの巴ちん」

 

「いや、小原ってどこかで聞いたことあるなって」

 

「あ!もしかして、小原議員のこと?ここが選挙区の」

 

「そう!つぐ!それだ…ってまさか」

なぜか顔を青くしている。別に俺は反社会勢力ではないぞ

 

「誰か身内で議員をやっている人とかいるんですか?」

 

「あぁ!うちのじいさんのことかい?一応画像みせようか」

そういって来た頃に撮ったじいさんとのツーショットを見せた

 

「やっぱりあの小原議員の直系?」

 

「うちのじいさん、そんなに有名なのか…まぁ孫ってところ」

 

「じゃあ私達すごいことしちゃったんじゃ…」

 

「なんでそうなるかな…別に俺が問題にしてないから。特に何も起きないから大丈夫」

 

「そうですね…すみません」

 

「じゃあもう終わりにしましょう。そちらも練習したほうがいいだろ?」

 

「はい、ありがとうございます」

そういって全員…いや、1人だけ手を振って帰っていった

 

 

「はぁ…すまんな香澄。こんなことになって」

 

「うぅん、元は私のせいだし…」

 

「こっちがちゃんと見てればあんなことにはならなかっただろ?だからこれは俺の責任だ」

 

「へぇじゃあ責任とってくれるのー?」

 

「できる範囲でな」

 

「じゃあ、来週末ここでやるライブに私達出るんだけど、それを見に来てくれないかな?」

ま さ かのそれですか…俺それに出るんだけど…

 

「他のことに出来ないか?」

 

「ええ!見にこられないの?私達すっごい輝いてるのに」

 

「あぁすまないが他の用事が先に入ってるんだ。だから他のことに出来ないか?」

 

「ならいいよ、無理しなくても」

 

「いや、そういう訳には」

 

「あ!もうこんな時間!」

見るともう貸す時間も終わりだ

 

「じゃあ帰ろっか」

待ってくれ。そう切実に願ったとき、視界が歪む。あの時と一緒だ。そして流れてきたのいくつもあった。全て失敗していた。

 

「(全くどれだけ失敗してるんだか)」

とにかくどうにかして止めて、予定を入れなければ…

 

結果的に絞り出した言葉は…

 

「なぁ、こっちからお願いしていいか?」

 

「ん?なに?」

 

「俺に…歌い方を教えてくれないか」

 

 

 

 

結果的にはOKだった。自分の悩みを勝手に香澄にぶつけたような形だった

 

「自分の声で歌えない?」

 

「あぁ、何もかも真似をした歌しか歌えないんだ。だから俺は自分の声で歌を歌いたいんだ」

 

「でも歌い方なんて…特にないよ?」

 

「だよな…でも聞いているだけでもいいから。香澄の歌を聞かせてくれないか?」

 

「うん!任せて!」

これで良かったのだろうか…俺もああいうものを残して進むのかもしれない…

 

 

 

_______________________________________

 

 

 

 

別れてからずっとドキドキしていた。いつも掴みどころがない彼が全力で真剣に私に悩みを打ち明けてくれた。それってさ、私を頼ってくれたってことだよね。あんまり頼られることが無かった。でも彼は私を頼ってくれた。それはとっても嬉しくて、嬉しくて…だから私は彼の悩みを無くしてあげたい…




割とハイペースで書き上げたのでかなり雑です…
早くライブやってその後の個別ルートにとっとと入りたいけどちゃんと書きたい衝動…


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大抵のことは自分の知らないところで起こる

だいぶ疲れてきました…まだまだ走ります





 

結局今週の土曜日にカラオケに行くことになった。

とにかく、カバー曲がほとんどの初ライブなので自分の声で歌えないと…

そうやって授業内容もろくに頭に入らずそのまま学校が終わってしまった

 

「はぁ…」

 

「どうしたの直人、そんな景気悪そうな顔して」

 

「あれ?でも今って景気は回復してるってよく聞くけど?」

 

「別に社会の話はしてないよ、おたえ」

呑気な話さえ入ってこないほど深刻な問題なのだ

 

「うーん…これはとってもめんどくさい感じがするね…おたえ、どうする?りみと香澄と有咲はもう行っちゃったし」

 

ガシッ

 

「ん?どうしたおたえ」

 

「なお、今日この後空いてる?」

 

「まぁ何も無いけど」

 

「うん、じゃあ沙綾、私今日練習休むね」

 

「ちょっといきなりすぎない?おたえ」

 

「でも、これくらいポピパじゃ普通じゃない?」

 

「そうかもしれないけどさ…」

 

「そういうわけだから、ほらなお行くよ」

 

「ちょっと待て、どこに連れていく気だ」

 

「どこって、私の家だけど?」

は?

 

「いや、突然は悪いだろ」

すると携帯を取り出してどこかに電話をし始めた。まさかまさか

 

「はい、今から行っていいって」

ですよね

 

「ちょっと、直人もいいの?」

 

「こうなったら止められないだろ。大人しく行くよ。じゃあな沙綾」

そういっておたえに腕を引かれて教室を出た

 

 

 

「あれってお家デートって言うんじゃないかな…」

 

 

 

 

「ごめんな、なんか」

 

「ううん、別に。だっていつかうちに来るって話だったし」

 

「確かにな…ってなんだ?」

校門に妙な人だかりがある。女子がこぞってしゃがんでいる。中には先に行ったはずの香澄たちもいた

 

「かわいいー!」

「ちょ香澄、いくら懐いてるからって触りすぎるなよ。野良猫かもしれないし…でもこいつどっかで見たことあるんだよなぁ」

なにか有咲はいぶかしんでいるようだ

特に用もないし、なんなら会わないで行ったほうが良さそうなので声をかけずに行こうとしたその時

 

「みゃあ」

 

「!?」

すぐに立ち止まって鳴き声の方を見ると人をかき分けて出てきた真っ黒な黒猫が出てきた

 

「軍曹か、なんでこんなところにいるんだよ」

当然なにも返答はない

 

「まぁいいや、来るか?」

 

「にゃあ」

そういうと足元からバックの上に座った

 

「重っ、どっかほかの場所ないのか?」

するとじっと顔の方を見ている

 

「ここでやるか?まぁいいか」

持ち上げて頭の上に乗っけた

前を見るとさっきまで遊んでいた女子たちが呆然と立っていた

 

「ほら、なおいつまでいるの?あ、香澄、私今日休むからよろしくね」

そして返答を得る前にまた俺の手を引いていった

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃい、久しぶりね」

 

「はい、お久しぶりです」

実際俺は昔にこの家に来ていたことがある。だからおたえの家族とも一応知り合いではある

 

「すみません、なんも持ってきてなくて」

 

「いいのよ、来てくれただけでも嬉しいのよ。そして、こっちははじめましてね」

頭の上に乗り続けていた軍曹に挨拶をした。早く降りてくれませんかね

 

 

家の中には当然のようにうさぎが闊歩していてなにかをねだっているみたい

 

「あ、モフってみる?すごい気持ちいいよ」

「そうなのか?じゃあ失礼して手づかみで」

あ、やばい。手触りが軍曹の比じゃない。最高

 

「あ、軍曹は?」

 

「そこでうさぎの中にいるよ」

なぜかうさぎのように丸まっていた。別にうさぎのようなモフモフがあるわけではないのに。ほんと癒し効果半端ないっす

 

結局そのままモフり続けた結果、夜になってしまいご飯をいただいた

 

「すいませんご飯までご馳走になって」

 

「いいのよ、だって今日ここに泊まるんだからご飯はうちでたべるんだし」

 

「ん?別に自分は今日帰りますよ?」

 

「あら?でも泊まるって聞いてるわよ?」

どういうことだおたえ

 

「だってなお、すごい疲れた顔してたじゃん?だから休むには寝るのが一番だと思ってね」

 

「だったら一人で寝かせろ」

 

「私は誰かと一緒に寝るのが休まるけど」

 

「おたえのことは聞いてない。それになにも準備してないんだぞ?」

 

「じゃあ…無理?」

やめてくださいそんなしょんぼりした顔で見ないでください。泊まりたくなるから俺は帰るのぉぉぉぉぉ

 

「ちょっと待て、電話する」

なんで帰ればいいものを…

 

「ほんと!?」

そんなに目をキラキラさせないでください

 

 

『もしもし?ナオト?何か用?』

 

『えっとですね、ミハさん。いま友人の家にいるんですけど、なぜか泊まることになっていてなんですけど…』

 

『じゃあ泊まっていきなさい、これは休暇よ?良かったじゃない。だってたえちゃんでしょ?ならなおさらよ』

 

『いやなんで知ってるんですか』

 

『あら、当たっちゃった。羨ましいわね、このこの〜』

 

『え、じゃあもう、泊まれ ですか?』

 

『ええ、今日はたえちゃんのところに泊まりなさい』

 

『じゃあすぐに荷物とりいくんで』

 

『ええ、待ってるわ』

 

 

「どうだった?」

 

「はぁ…今日はこっちに泊まれってさ」

 

「ほんと!?」

 

「ほんとにほんとだ」

泊まることになったけど実際泊まれることが嬉しい俺がいる

 

 

 

 

荷物を持って帰ってから風呂を借りようとすると

 

「あ、お風呂入るの?じゃあ私も入ろ」

 

「なにその新しい邪魔の仕方」

 

「邪魔じゃないよ。ただお風呂に一緒に入ろうって言ってるだけだよ?」

 

「は?あのな、俺たちはもういい歳なんだからさ、一緒に入ったら問題なわけよ」

 

「あ、じゃあ水着で入ればいいのか」

 

「それをしてもダメなものはダメだ」

結局どうなったかって?それはもちろん…

 

 

水着で入ることになった

 

持ってきてなかったけどおたえのお父さんのを使っていいそうでなんかほぼ強制的におたえと一緒に入ることになった

 

 

「いいお風呂だね」

 

「おたえ、それ本心か?いくらなんでも水着でお風呂なんてなんか変な感じするぞ」

 

「でも、なおがいれば大丈夫だから」

 

「お、おう」

にしてもおたえの髪は綺麗だし、体についても申し分ないと言えると思う。ほんとに中身を知らなければすぐにでも惚れるだろうな

 

「?どうしたおたえ」

なぜかずっとおたえがこっちをじっと見ている

するとこちらにじりじりと寄ってきた。そして

 

「えい」

俺の首に腕を、腰にあしを巻き付けて抱きつくような形になった。ちょうどおたえの胸が顔のところにある。少し顔をずらして

 

「なにしてんの?」

 

「わからない?こうやってあったまってるの」

 

「おい、ここは風呂だぞ。別に寒くないし、てか熱くなりそうだわ」

変な意味でな

 

その後は特に何もなく風呂を出た。何もないっていったけどずっとそのままだったからな

 

 

 

「にしてもほんとに髪綺麗だな」

本当にこれは何も手入れをしていないのか…

 

「なおもドライヤーすごく上手いよ。今までの中で一番」

 

「そりゃどうも」

 

「でも、なおのところには女の子っていなかったよね?どうして?」

 

「まぁ向こうに同じような髪のヤツがいたからな」

 

「その子とは?」

 

「別に、特段仲が良かっただけだな」

 

「そっか、じゃあ有咲みたいな感じ?」

 

「そうだな、でもあそこまでやさぐれてないけどな…っとはい終わり」

 

「ありがとう」

そういってそのままこちらに寄りかかってきた

 

「おい、まだドライヤー片付けてないんだけど」

 

コンコン

 

「入るわね」

そういって持っているドライヤーを取り上げた

 

「じゃあごゆっくり〜」

微笑みながら部屋を出ていった

行動の一切に迷いがなかった。そしていつの間にか軍曹も部屋に入っていた

 

「じゃあなお、寝よっか」

 

「そうだな、特にやることもないしな。で、俺はどこで寝ればいい?」

周りにはおたえのやつ以外には何も寝るためのものはない

 

「どこでって、私と一緒に寝るんだよ?なお」

 

「まてこら曲がりなりにも女子高校生だろ、互いの年齢を考えたらどうだ?」

 

「うーん…とくに問題ないんじゃない?だって特になお何もしないでしょ?」

クソッ、チキン判定されてやがる。反論できないから悔しい

 

「じゃあおやすみ、なお」

そういって部屋の電気を消した

 

 

 

 

 

 

「なんでこっち向いてんだ」

 

「だって背中合わせとか同じ向きより向き合ってた方がいいじゃん?だから」

 

「だから…って理由になってないだろ…もういいや、おやすみ」

 

「うん、おやすみ、なお」

疲れていたのかすぐに意識が溶けていった…

 

 

 

 

 

「もう寝たかな?」

少し近づいて手を握ってみても軽く握り返してくるだけだ

 

「…寝てるよね」

長い間見てなかったけど少し男らしく、かっこよくなったように見える

あの頃はもう少し幼くて、もって笑っていた。

 

 

 

私が初めてなお…いや、ウッチャンに出会ったときに心が震えた。皆よりも上手くて少し誇らしかった心はすぐに無くなった。私と同い年でこんな技術を持った人がいるなんて思ってもなかった。だから少しでもそこに近づいて、追い越すために毎週会いに行った。それぞれ毎週違う課題が出されてそれの試験を次の週にやるといった感じだった

 

「ウッチャン、ここ出来ない」

 

「ここか?まぁ仕方ない。今回で一番難しいところだからな。ここは、こうして、こうじゃ!」

今考えてみれば何を言っているか分からないけど私にとってはわかりやすかった

 

そして、できた時には自分の事のように喜んでくれた。私はもっと笑顔を見てみたくなった。そしていつかウッチャンの隣に立って弾くんだってそう思ってた

 

でも、ウッチャンが帰ってからもっと大きいものだって気づいた。今すぐにでもそっちに行けるならと思うようになっていた。どこか彼を感じられるものを探しながら高校生になっていた。その時にやっと見つけた。それこそ香澄が持っていたランダムスター。直感で本物だと思った。だからどれくらい上手いのか気になった。結果は私よりも下手だった。でも、ウッチャンは絶対に喜んで使わせると思った。だから私は、香澄たちとバンドをやって、なおの隣に立つ。そしてずっと隣にいたい

 

でも皆がなおに少なからず好意を抱いていることは分かっている。特に有咲とイヴと香澄と沙綾、りみはよくわからない。あれ?ポピパ全員なんじゃないかな?でも、なおのことだからこれからも増えるかもしれない。だからいまはっきりさせる。なおには悪いけど

 

 

 

なおの上に馬乗りになって少しずつ顔を近づけて唇にキスをした

 

 

「いつか、堂々とやろうね、なお。おやすみ…」

そういってなおの手を掴み寝た

 

寝るまでずっとドキドキしっぱなしな夜は初めてだった

 

 

 






そろそろライブにいきやがれ


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二度目のカラオケ

前回の零時閲覧アニキはいったい何者なんだ。絶対自分日は越さない主義なんで(聞いてねーよ






香澄に約束したとおり土曜日の午後、ショッピングモールのカラオケ店に来た。全額俺の奢りだ

 

 

まずは香澄がカラオケの人気曲を歌い始めた。俺も一度は聞いたことのある曲なのだがやはり小声で歌ってみるとオリジナルと同じ声しか出せない。いや、出せなかったに今日中にする。そのためにここに来たんだから。まぁ同時に香澄も楽しめてるみたいだし、良かった良かった

 

 

 

_______________________________________

 

 

 

 

「ナオト、ちょっといいかしら〜」

カラオケに出かける20分前くらい、ミナさんが話しかけてきた

 

「なんですか」

 

「あなたは、歌ってなんだと思う?」

歌か…

 

「誰かに想いを伝えるためのもの?」

 

「う〜ん、なかなかに美化されてるわね〜」

 

「美化って、歌ってだいたいそういう事じゃないんですか?」

 

「そうね…この際はっきり言わせてもらうわ」

 

「別に今まで特に何も言われませんでしたけど」

 

「いいのよそういうのは、つまり歌というのは…あくまで自分勝手な言い分なのだけど…」

 

「はい」

 

 

「ただ!考えた独り言を!魂を込めて!音に乗せて!言っているだけなのよ!」

 

 

 

「独り言ですか」

 

「そうよ!ただ自分の考えたことをとりあえずぶちまけるものよ。だからね、ナオト。もし自分の声で歌いたいならその状況を意識するか、もしくは妄想しなさい。そうすればどんな歌詞か理解できて、なりきれて、魂を込められるはずよ。後は自分のいいように歌いなさい。ナオトはコピーじゃなくてもすごい歌上手いんだから」

そう言われてから家を出た…

 

 

 

 

 

 

 

 

…ものすんごい変なところでひねくれてんだよなぁミナさん

そうこうしているうちに香澄が1曲目を終えた。

 

「はい!直人君の番ね!」

そういってマイクを手渡しされた。選んだ歌はもちろんライブで歌う予定のやつだ。

 

「(上手くなくてもいい、ただ俺は自分の声で歌いたい)」

そう思って歌い始めた

 

 

 

結果は自分の思うようなものではなかった

 

「直人君、硬すぎるよ。もっとこう、踊りながらぐらいでやらないと!」

香澄がマイクをひったくるともう次の歌が始まった

 

 

正直、ここまで香澄に憧れる日が来るとは思わなかった。ほんとに楽しそうに気が済むまで歌っている。歌うと自然と体が動き出している。それをただ俺は見つめていた

 

「直人君!あれから全然歌ってないじゃん!」

歌いたいものをある程度歌いきったのかこっちにマイクを渡してきた

 

「なぁ、香澄。どうやったらそう歌いながら動けるんだ?」

 

「え?別に特に意識してないよ?だったらリズムに合わせて足踏みすることから始めてみよ!私もタンバリンで盛り上げるから!いぇい!いぇい!」

ジャラジャラとタンバリンを鳴らした

なるべくノリやすくて人気の曲にしておこう

 

 

そうやって選んだ曲は最近大ヒットしたアニメ作品の主題歌、妄想しながら…よくわからなかったけどだいぶ軽い気持ちで歌えたと思う

 

だから次は思いっきりぶっとばして全力で歌ってやる。香澄なんて関係ない、ただただ狂いたい

 

というわけで、デビュー曲でありながらとんでもないヤンデレ曲であるあれを歌おう

 

 

 

 

 

 

「う〜ん!楽しかった!」

カラオケを終え、外に出ると香澄が伸びをした

 

「あぁ、多分今までで一番歌ってて楽しかった」

 

「えぇ!あれだけ上手いならずっと楽しくないの?」

 

「上手すぎて困ってたんだ。だから香澄、今日はありがとう。香澄と一緒で良かった」

 

「うん!こっちこそ!じゃあまた来週も…」

 

「おいおい、ライブがあるんだろう?」

 

「あ!そうだった!でも直人君と一緒なら行きたい!」

 

「それはファンに失礼すぎるだろ…じゃあカラオケ以上のものをプレゼントしてやるから楽しみにしてな」

 

「え!?なになに?」

 

「教えるわけないだろ。じゃあな香澄」

 

「うん!またね!直人君!」

 

 

 

 

香澄と別れて家に直帰すると…

 

 

「にゃあ…にゃあ…」

なぜか湊さんが俺の部屋で軍曹相手に息を荒くしていた

 

 

 

_______________________________________

 

 

 

 

Ruin

 

『紗夜、少しいいかしら?』

 

『はい、なんでしょう。湊さん』

 

『小原 直人って人知らないかしら。多分花咲川の生徒だと思うのだけど』

 

『小原さんですか』

 

『知ってるの?』

 

『えぇ、知り合いといった感じですが』

 

『そう。で、ここから本題なのだけれど。彼の家を知らないかしら』

 

『家ですか?』

 

『そう、家よ。知ってるかしら?』

 

『はい、知っていますが、さすがにプライバシー的な問題がありますので』

 

『そう、残念ね。教えてくれたらポテトのLの無料券3つあげようと思ったのだけれど』

 

『わかりました。今から家のところの地図を送ります』

 

『ありがとう、紗夜』

 

 

 

_______________________________________

 

 

 

 

「あの人、チョロすぎるんじゃないですかね」

 

「いえ、これは等価交換よ」

 

「俺は一方的な損害しかないですけどね…にしても今日はどうして直接突撃してきたんですか?」

しかも、家にいれたミナさんもどうかと思う。でもあの人、人を見る目半端なくいいんだよなぁ…性格を見ただけで判断するとか頭おかしい

 

「あなたに連絡したのだけど、返信がなかったからよ」

驚いて携帯を確認すると、Ruinには3回不在着信になっていた

 

「すいません…」

 

「別に構わないわ。この子に会えただけで充分よ」

すると軍曹は湊さんに抱かれるような形になった

 

「はぁ…はぁ…」

おいこら、ここはあなたのお家ではないのですよ。

でも…

 

「これはこれで、ずいぶんなギャップ萌えだと思うんだ」

 

「ギャップ萌え?なんの話かしら」

 

「いえ、さっきまでずっとキリッとしてたのに、いきなりデレデレした顔になったんで。すごい可愛いなぁと」

 

「かっ、可愛い…」

 

「まぁ、もちろん軍曹の方が可愛いですけど」

 

「え、えぇ…それに異論はないわ」

結局二人して一匹の猫を触りまくっていた

 

 

 

 

「今日はごめんなさい。突然」

 

「いえ、なんか湊さんを独り占めした感じがしたので楽しかったですよ」

 

「そう、あなたも楽しめたようで良かったわ。それじゃあ私はここら辺で」

 

「はい。じゃあ軍曹を降ろしましょうか」

 

「……今日はうちに泊まりたいみたいだから私がお持ち帰りするわ」

 

「まてや」

 

「なら私に付いてきなさい」

結局出会った公園まで歩かされた

その間ずっと湊さんの顔は崩れっぱなしだった

 

 

_______________________________________

 

 

 

 

俺たちSchwarze Katzeはその後も練習を続けて遂にライブ前日を迎えた

 

 

なんか出演が決定しているバンドで壮行会のようなことをするらしい。まぁ当然参加出来ないが。そして俺たちはその間にリハーサルを終える。段取りも完璧にして、CiRCLEを出た。若干軍曹がバンドリーダーであることにまりなさんは困惑したがそれもバンドのひとつだよね!といって許可してくれた。明日猫アレルギーがいないことを祈ります。

 

「軍曹、まさかこんなことになるなんてな」

 

「にやぁ」

 

「もっと、落ち着いた生活できると思ってた。でも、そんなのは世界が許さないらしい」

 

「みゃあ」

 

「さぁ、精一杯暴れ尽くして、楽しもうじゃないか」

 

失敗してなんだ。それは死んだ時残るのか。もし幻としたらどうなるか。もうどうだっていいんだ。俺は決めたことを全力でやり尽くす。そうやってここまで生きてきたんだから

 

 

 






ついにここまでキマシタワー。全く用法が違いますね。そろそろ個人分岐をしっかりしなきゃ


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First Live!

やべぇ走りすぎて何書いてるかわかんねぇというわけでライブ回です


 

CiRCLEの控え室で、ずっとライブの様子を見ていた。最初はハロハピだった。

やっぱりと言うべきか、常軌を逸したライブをしている。なんで客の方に飛ぶ必要があるんですかね…あなた仮にもJKでしょ?少しは恥を覚えたらどうだ

 

 

次はPastel*Palette。時々丸山先輩が変なポーズをするがその他は洗練されていて、アイドルらしい楽曲で湧かせていた。ドラムの人が誰なのかは知らない

 

 

次はAftergrow、ギターとボーカルはあの猪突猛進ガールである。そういえば美竹ってここら辺の花道の流派のトップじゃなかったっけ。

演奏については多少粗いところはあるけど確かなものだ。ポップもロックもこなせる万能バンドのような感じがする

 

 

次はPoppin'Party 全員知り合い…いや友達と言っておこう。だからおそらく一番反応を示すと思っている。聞いていると勝手に体が動き出すような曲調で盛り上げている。あと、衣装も今のところパスパレの次に派手だと思う

にしても、おたえも有咲も変わったなぁ。こう見ると改めて実感する

 

 

トリとして出てきたのはRoselia 他とは一線を画すような技術とボーカル。ほんとにあの人はあの人なのか目を疑うレベルだ。じゃあうちの軍曹が出た時の反応をお楽しみに…

 

 

ここまであっという間にやって来てしまった。軍曹はまりなさんに呼ばれて先にステージに向かった。一応あれがバンドリーダーだから挨拶をするのだろう。まぁ絶対わかる人いないけど。

 

 

段取りはこうだ

 

まず演奏が終わったバンドはステージと客席の間にある専用スペースに行くようにそちらのリハ段階でも言ってある

そして、次は一旦ステージの幕を下ろし、幕の前にまりなさんと、軍曹が立つ。そして軽めのバンドの説明をまりなさんと軍曹にしてもらう。後々ちゃんと紹介はするが。

その間に中で楽器を入れ替え、ミナさん以外は一旦ステージを出て、一人づつ増えていって、最後に俺が出て音合わせを終わったあとに、何も言わずに一曲目を始めるというものだ

衣装については、特に用意しなかったので今までの公演と同じ服を着た

 

「いよいよね」

 

「ほんとにこんなことになるとは思いませんでした」

 

「そうだな、ヤーパンでこんなことをするとはね」

 

「まぁ、頑張りましょう。観客が近くていつもより緊張するかもしれないですけど」

 

「まぁ、その時はその時で、いい演奏をしましょ?」

そういってステージに移った

 

 

 

ステージにまりなさんと猫の声が響く

 

「皆さん、今日は忙しい中このライブに来ていただいて、ありがとうございます。CiRCLEスタッフの月島 まりなです。さて、この後ライブをやる新バンドについて、少し説明させていただきます。彼らは元々ここの練習スタジオで、時たま練習していた4人組です。それぞれバンドと全く関係の無い楽器を練習していました。そこで、私がオーナーに許可をとって、その彼らにここでバンドをやらないかと私から提案しました。その結果、今日この場でデビューしてもらうことになりました。では、ここでそのバンドのリーダーに話を聞きましょう」

 

「にゃあ、にゃにゃ」

 

「ごめんなさい…私猫語はさっぱりなので通訳できませんが、これからよろしくお願いします。じゃあ挨拶しよっか」

 

「にゃ」

 

 

 

 

 

幕の向こう側から悲鳴に似た何かが聞こえてくる。おそらく軍曹の挨拶だろう。つまり、もうすぐ始まるのだ

 

 

 

「じゃあ、行ってくるわね」

 

「はい、お互いに頑張りましょう」

 

「ええ、待ってるわよ」

そういって、ミナさんはドラムに座った…

そして、その時幕は上がる

 

 

 

最初は決まったワンフレーズをドラムは繰り返す

その後、キーボード、ベースの順で入り、最後に軍曹と一緒に出て12小節を168で弾き、その後曲を始める

 

 

俺の番だ。必ず歓声には反応しない、呼ばれてもだ

 

 

 

「あー!直人君だ!」

真っ先に香澄が反応した、するとそれで、俺を知っているのもいないのも全員が反応を示す

 

「ほんとだ!直人よ!」

「あー…小原さんもバンドやるのかー…」

「儚い…」

「小原くん、なんで外国人とやるんだろう?」

「なおくんってギター出来るんだね!」

「直人くんもバンドやるんだね」

「そうね、これでまた学校が騒がしくなりそうね」

「るんってきた!」

「日菜さん、この人は誰なんですか?一気に雰囲気が変わったんですが」

「ナオトさん!かっこいいです!」

「あの人、蘭がぶっ倒したひとじゃない?」

「たしかに、そうだね」

「議員の孫がバンドマンってあるのか?」

「私たちが知らないだけでいっぱいいるんじゃない?」

「どんな演奏するか楽しみだね!」

「なおが来れない理由ってこれだったんだね」

「ま、来なくても別に良かったけどな」

「よく見るとあの家に全員住んでるもんね」

「直人さんの家ってシェアハウスなの?」

「にゃあ…」

「小原さん、あなたの腕を見させてもらいます」

「こらこら友希那、落ち着いて」

「衣装は…普通ですね」

「りんりん!楽しみだね!」

 

 

それぞれ色々な知らない声を含め聞こえてくる。それぞれいろんな期待を寄せているようだ

 

一旦弾き終えて、皆の方を見ると全員と目が合った

「(よし、いける)」

 

全員が前をむいて、軍曹に注目する。それを確認してから軍曹はしっぽをあげ、振り始めた。4回目に始める

 

1曲目は…

 

『SAVIOR OF SONG』

 

 

 

 

演奏を終えると歓声が上がる。公演の時とは少し違う感じがした

ここからは、トークである

 

 

「皆さん初めまして。このバンドの人間代表、ミナ・ガンヴォルトです。このバンドは…ってくどいわね。バンド名はSchwarze Katze。黒猫という意味よ。もちろんこの子が由来よ。この場を用意してくれたまりなに感謝するわ。私たちは家族のようで、いつも楽しいわ。長々と、私の話をしたってあれだから全員の自己紹介をするわ。まずはkeyのミハ」

 

「初めまして、ミハエル・シンドラーです。特技…っていうか本業はコントラバス奏者。精一杯頑張っていきます」

 

「じゃあ次はシュミ」

 

「シュミット・シュヴァルツァー、Baです。港高校の2年生です。こっちのナオトとは、小さい頃から仲が良くてそのまま今も一緒のところで立ってて嬉しいです。もっと魅力できるように頑張ります」

 

「さぁ、最後はGtとVoのナオト」

 

「初めましてって言っても初対面じゃない人も一部いるが、ご紹介にあずかった小原・ウォルフ・直人です。花咲川高校の1年です。これからよろしくお願いします」

 

「なおー!あとでサインちょうだい!」

 

「いまそういうのは言わないでくれるか?後でやってやるから」

 

「じゃあ私もお願いします!」

 

「ちょっとまずこっちの話をさせてくれイヴ…まぁこんな感じにガヤガヤしてるけど、よろしく」

 

「これで、全員ね」

 

「待ってください、まだ軍曹が終わってないですよ」

 

「そうだったわね、じゃあ最後にリーダーの軍曹よ」

 

「にゃあ、にやぁみやぁ」

 

「相変わらず分からないわね。ナオト、通訳して」

 

「こんにちは、なぜかここにいる軍曹です。これからもうちの飼い主共々よろしくお願いしますだそうです」

 

「OK。じゃあ2曲目行くわよ!」

 

 

 

『拝啓ドッペルゲンガー』

 

 

 

「ありがとうございます。次は今回唯一のオリジナル曲です。若干押しちゃってるみたいなので、すぐに行っちゃいます。それでは3曲目」

 

 

 

 

『生きる意味』

 

 

 

 

 

「なかなかね、紗夜」

 

「ええ、難しいフレーズをやりながらボーカルをこなすのは並大抵ではないでしょう。それに声もよく通ってます」

 

「たった1人に私たち二人の技術が入ってるのね」

 

「でも、私たちは頂点に立たなければいけないのでしょう?」

 

「もちろん、だからあのバンドを超えなければいけないわね」

 

 

 

 

 

 

「ありがとうございました。次は今日の最後の曲となります。その前に前座としてナオトの特技をやってもらいます!」

おお、と若干期待した声がする

 

「元々この技術は嫌いでした。でも、持ってるものを出来るだけ好きになれるように頑張ってきました。よろしくお願いします。すぅ…『まんまるお山に彩りを!丸山彩です!』」

 

「えっ!?私?」

 

『えぇそうよ、彩ちゃん』

 

「え?千聖ちゃん?」

 

「私は何も言ってないわよ?」

 

『そうっす。千聖さんは何も言ってないです』

 

「あれ?今度はジブンの声っすか?」

 

『あはは、るんって来るね』

 

「うん、ほんとにくるね!すごいよ!直人くん!」

 

「私!私はないんですか!?」

 

「日菜先輩で切れてしまったみたいだからイヴにはないな…『(友希那)分かってもらえたかしら、これが私の特技とういうか、能力というか(蘭)これを使う時ずっと思ってたんだ。本当はあたしの声なんてなくて、ずっと誰かの声をコピーし続けてるんじゃないかって(香澄)でも、そんなことを知ることなんて出来るわけじゃない。だから私は誰かの声かもしれない自分の声で、歌いたい。』次の歌はPoppin'Partyのカバー曲です。俺はコピーをした声で歌おうと思います。決して真似を自慢するわけじゃない。この曲には香澄の声が一番合うと思うから俺はその声で歌います。でも、それは俺の思いを込めた歌です。それでは聞いてください」

 

 

 

 

 

『走り始めたばかりの君に』

 

 

 

 

 

 

「ありがとうございました!これからまた機会があればよろしくお願いします!Schwarze Katzeでした!」

 

 

控え室に戻ると疲れがどっと出てきて、だるくなってきた。でも、それ以上の達成感もあった

 

「良かったのかな、これで」

 

「別に、わからないわよ。でもまずは私たちが楽しまないと。このバンドをね」

 

「そうですね」

 

ガチャ

 

「なお、お疲れ様」

 

「おたえか。お疲れ、すごい良かったよ」

 

「それよりも、そっちの方だよ。いきなり出てきてあれだけの演奏したから。ほら見て。これ今日のライブのスレなんだけど」

すると、全員が寄っておたえの携帯を見ていた

中身は賛否両論というとこだ。少し良かったのほうが多い気がする。悪いところは特徴が無いところらしい

 

「ね?初回でこれならいい方だよ」

 

「そうか、なら少し自信がつくな」

 

「それで、この後皆で、打ち上げすることになってるんだけど、来る?」

 

「どうしましょうか」

 

「う〜ん、私は家で楽にしたいわ」

 

「確かに初めてて余計疲れた感じもするわね」

 

「俺は早くシャワーを浴びたいな」

 

「すまんな、おたえ。今回はパスだ。また次の時な」

 

「うん、わかった。じゃあなお、ここにサイン書いて」

 

「なんで特に有名でもないのに」

 

「いいから、私が欲しいだけ。あと、一緒に写真ね」

 

「はいはい、仰せのままに」

 

 

 

 

CiRCLEから出ると

 

「ナオトさん!」

ギュー

 

「なんだイヴ、いきなり抱きついたりして」

 

「あー!先越された!私も!」

そう言うと次には香澄が抱きついてきた

 

「なんだお前ら。暑苦しいんだけど、」

 

「だってだって、すっごい良かったもんあのライブ!」

 

「はい!私もそう思います!」

 

「分かったからもうやめてくれ。こっちはもう帰るから」

 

「あ、そっか。じゃあここでさよならだね」

 

「そうなんですね。ではナオトさん、また学校でお会いしましょう!」

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまぁ」

 

「疲れたわね〜」

 

「早くシャワー浴びたいわ〜」

 

「寝たいわ〜」

それぞれしたいことがあるらしいが皆ニコニコ笑いながらであった。ほんとに今日、ライブが出来て良かったと思う。

 

母さん、父さん。しばらくやりたいことが見つかったよ。また会うときにたくさん教えてあげる…

 

そういって泥のように、消えていくように眠った

 

 






ここで、蘭ルートは独立するんですが、とりあえず今はやりません。まずポピパを全完走する気でいます。有咲かおたえか。そういえば最近有咲の出番すくなくね?

ずっと前からでしたが
☆9 新庄 雄太郎さん

評価ありがとうございます!これからも出来るだけいいものを送りたいと思います。


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翌日

文化祭前は忙しいから投稿します





 

 

その日の朝はまぁそれなりに気持ちいいと思ったけれど、思いのほかだるかった。

 

「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁそういえば水曜からテストだっけ」

とんでもスケジュールとかやめてください

 

「お前、何呻きながら登校してんだ?」

 

「あ、有咲だ。『おはよう!』」

いつも香澄がしてることをやってやった

 

「何してんだお前!重すぎるんだよ!」

 

「全く殴ることにしか力を発揮出来ないのかよ…」

渋々離れてやった

 

「にしてもお前、それ使えばとんでもない詐欺師になれるんじゃね」

 

「たしかにそれあるな。じゃあ有咲を見つけ次第香澄の声出して体当たりしてあげるね」

 

「それはマジでやめろ。私が死ぬ」

 

「それはもっと力をつけなきゃ。でさ有咲。聞きたいことがあるんだけど」

 

「ん?なんだ?」

 

「あの頃はさ、毎日こうやって一緒に登校してたよな。別の学校なのにさ。それにギリギリのところまで。どうしてだ?」

 

「え!?いやそれは…それはだな!お前が1人で登校してるのが気の毒だなと思っただけだ!」

 

「それ、有咲にそっくりそのまま返そうか?」

 

「めんどくせぇなお前。別にどうだっていいだろ?」

 

「うーん、俺的には良くないかな?」

そういって有咲の体を持ち上げてお姫様抱っこなるものをやってみた

 

「おいおいおいおい!登校中に何してんだバカ!」

 

「教えてくれないと降ろさないぞ?」

若干脅迫じみた口調で言ってやった

 

「絶対教えねぇ!早く降ろせ!」

 

「教えてくれないと降ろせないなぁ」

そういって足の下にある手をだんだんと上に動かしてやった

 

「お前、堂々とセクハラやってんぞ」

 

「それな」

結局すぐに降ろした。有咲はほんとに面白い。だって持ち上げたらすぐに顔真っ赤になったんだから

 

「(全く…もし私が、好きだって言ってらどうなるんだろう。あいつのことだからどうせそこまで気にしないだろうけどな。)」

 

「なんか言ったか?有咲」

 

「いや、なにも」

 

「そっか、何やかんや茶番やってたせいで遅れそうだから急ぐぞ」

 

「全く、誰のせいだと思ってんだよ…」

そうやってあいつは走り出した。そして私は聞こえない声で

 

 

「好きだよ、直人」

 

 

 

 

 

 

 

教室に入ると待ってましたと言わんばかりに人が集まってきた。もちろん昨日の話だ

 

「なんだなんだ、いきなり」

周りには人が大量。ついでに大量の質問。これ聖徳太子でも分からないんじゃないか?

 

とりあえず席に座って、香澄に話しかける

 

「なぁ、香澄。これはどういう状況?」

 

「どういうって、皆直人君についてもっと知りたいんだよ。だって昨日いきなり出てくるし、それで歌も上手いし、ギターも完璧だし!誰でも知りたくなるよ!」

 

「そういうもんかねぇ」

結局HRが始まるまでずっと質問攻めにあった

 

 

 

 

 

 

昼休み、まだ聞き足りないのかまだ寄ってくる人がいる。主に駿輝1人。正直めんどくさい

 

逃げるように校内を歩いていると

 

「あら、小原さん」

 

「こんにちは、白鷺先輩」

 

「なにかから逃げているようだけれど?」

 

「自分のクラスのやつが追ってくるんですよ。昨日のことについて聞きたいって。別に聞かれる分にはいいんですけど如何せんしつこくて」

 

「なら、こっちにくる?多分私といれば寄ってくることはないはずよ」

 

「ほんとですか。ですけど迷惑をかけるわけには」

 

「私も聞きたいことがあるし、何よりもっと聞きたい子もいるし」

 

「あぁ、大体察しがつきました。わかりました。よろしくお願いします」

 

「じゃあこっちに付いてきて」

 

付いていくと分かっていたけど丸山先輩と、イヴと松原先輩がいた

 

「ナオトさん!」

当然のように抱きついてきた。しかし知らなかったけどイヴはモデルをやっているそうでスタイルもやっぱりいいということでヤメロォ!(建前)ナイスゥ!(本音)

 

「直人くん、こんにちは」

 

「はい、昨日はお疲れ様です」

 

「そちらこそ。昨日はすごかったよ」

 

「その中で私たちが気になったことがあったのだけど、これから質問してもいいかしら?」

結局こっちでも質問されるのは知っていたがしつこくない分、周りが女子な分楽だった

 

 

 

 

「そろそろ時間ね、小原さん、今日は放課後は暇かしら?」

 

「はい、暇ですが」

 

「私がよく行ってる喫茶店があるのだけど、そこで続きを聞いてもいいかしら?」

 

「はい、構いませんよ」

 

「ありがとう、じゃあ皆で校門にいるか、いなかったら待っててくれるかしら?」

 

「わかりました。よろしくお願いします」

 

「こちらこそ」

実際断って休もうと思ったけど縁は沢山持ってた方がいいよね。パイプライン大事よ

 

 

 

 

放課後、先輩についていくと駅前の喫茶店に入った

 

「ここよ」

 

『心屋』

 

「(あれ?これ俺も前通ったことあるような…だったら三紀がいるのかな)」

 

続いて入っていくと落ち着いた声がした

 

「いらっしゃいませ。千聖さん」

 

「ええ、昨日ぶりね」

 

「丸山さん、若宮さん、松原さんと…直人?」

 

「お!正解!覚えててくれたのか〜三紀〜」

 

「そりゃ平日の帰りにランドセル背負ったまま来たら誰でも覚えるよ。久しぶりだね直人」

 

「あら?2人とも知り合いなの?」

 

「うん!久しぶりだよ。たしかに千聖さんがいない時にしか直人は来てなかったです」

 

「当たり前だろ、毎日学校帰りに寄ってたんだから」

 

「そうそう、あの頃は直人ブラック飲んでたから少し羨ましかったなぁ」

 

「いまは、そこまで飲んでないけどな」

 

「そっか、まぁここにいてもなんだから好きなところ座って。花奈さん、この後少しキッチンお願いできる?ありがとうございます。あと、皆はコーヒーと紅茶どっち?」

伝えると奥の方の席に座りまた話し始めた。基本的には向こうでの生活についてだ。飲み物を運んできた三紀もそのまま話に参加した

 

 

そんな時、店のドアが開けられる

 

「おーい、三紀くん。いるかい?」

 

「あ、小原さん。お久しぶりです」

じいさんが入ってきたのだ

 

「じいさん」

 

「おお、直人もいたのか、すまないがコーヒーを頼めるかね」

 

「はい、少々お待ちください」

じいさんはこちらにやってきて

 

「席をご一緒してもいいかな?」

先輩たちにそう聞いていた、話に参加する気なのかよ

 

 

また話し始めるとじいさんも興味があるらしくちょくちょく聞いてくることもあった。やはり孫のことは気になるのか

一通り話終わったあと、じいさんが

 

「そういえば、昨日の見せてもらったぞ」

 

「あれ?来てたの?」

 

「いや、撮ってもらったんだ。こっちの皆も見せてもらったよ。それでだ、ここから本題なんだが…直人、お前にはバイトをしてもらいた…いやしてもらう」

 

「なんで本人の了承を取らずに入れてるんですかね」

 

「まぁいいじゃないか、それで場所なんだが…」

 

「CiRCLEでしょ?大体察しはつく」

 

「なら、話は早い。ほれ、今から行くぞ」

 

「だから突発的すぎるんだよ…」

 

「お代は俺が払うから、じゃあ皆ありがとう」

 

「あの!私たちもついて行っても良いですか!」

 

「君は…若宮くんだね、いいのかい?」

 

「はい!」

 

「よし、なら車に乗りな」

結局三紀を含めた全員が付いてくることになった

 

 

 

「お、来たきた。待ってたよ直人くん」

 

「まぁ話は聞いてます」

 

「ならOK、基本的な業務はスタジオの清掃、機器の整備、受付かな。シフトは…どうしよっか」

 

「どうしましょう」

 

「まぁ元々私1人でもやれてたから休みたい時は言ってくれたら休ませるよ」

 

「そうですか」

 

「じゃあこっちが決めたシフトでも大丈夫?」

 

「はい、大丈夫かと」

 

「じゃあ、とりあえずこの先一ヶ月分のシフトね、全部夕方から夜だから、ご飯は持ってこなくていいと思うよ」

 

「はい、ありがとうございます」

 

 

 

「ねぇじいさん」

 

「なんだ」

 

「ただ自分の支持基盤多くしたいだけじゃないの?」

 

「さて、どうだかな。だがいい縁は持ってなんぼだ」

 

「だからって孫を使うかよ」

やや不満もあるが新しいこともやってみなければという気持ちでいた

 

 

 

 

 





三条 三紀(みのり)

心屋の次期オーナー。元々は祖父がやって三紀は手伝いだったが入院中のため学校終わりからずっと働いている。港高校の1年
千聖はここの常連、直人も毎日来ていたが基本昼間だったため千聖とは会わなかった。父親、母親はベンチャー企業の社長と専務。料理の腕はここら辺ではダントツでお菓子も作れる





はいまたオリキャラ出しました。実はいまこっちの三紀の方のストーリーを書こうとも思ってます


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テスト明けは突然に

UA5000ありがとナス!あと峰風さん☆9ありがとナス!
1人でもお気に入りが増えるだけでモチベが倍増しますので、これからもよろしくお願いします!





 

 

テストが終わると、また普通の日常に戻り来週からはバイトも始まる。その前にあるのがテストの順位発表らしい。まるで勉強してこなかったのでまぁまぁ不安なところはあったが特に問題はなかったのであまり身構えずに学校に来た

 

やっぱり人が集まっている。特段俺は順位を知らなくてもいいので通り過ぎようとした時

 

「おいおい、あいつだぜ。あの市ヶ谷の牙城を崩しかけたやつだ」

 

「まじかよ、結構なイケメンじゃねぇかよ。羨ましいわ。天はやっぱり与えるやつには二物以上与えるんだな」

自分にはさっぱりだが、話を聞くと有咲は学年1位をぶっちぎっていたが俺が突然食いついたって形か

 

「あ、いたいた。おい、直人」

 

「あ、有咲。どうした?」

 

「どうしたのってお前…まぁお前のことだから見てねぇのか」

 

「あぁ順位?見てないな」

 

「仕方ねぇな、こっち来い」

別に興味はないんだけどなぁ

 

 

 

 

1位 市ヶ谷 有咲 +0

 

2位 小原 直人 -3

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに次の3位にはかなりの差をつけて、俺と有咲だけダントツだった

 

「全く危ないことしてくれるなよな」

 

「別に2位に落ちたところで特に問題もないだろ」

 

「私の取り柄が無くなるだろ!」

 

「有咲、それしか取り柄ないの?悲しくない?」

 

「うるせぇ!」

まぁ二人に共通することはそこそこにしか勉強していないことだった

 

 

 

 

 

 

 

昼休み、最近は色々ありすぎて疲れたので前に昼寝をしたところで座っていた。少し肌寒い日はあったものの今日は残暑が厳しい日になった

 

「あっつ…だからといって動きたくもねぇなぁ」

そんな時だった

 

「いたいた、君だね。小原 直人くん」

誰かが正面にいる。だがずっと俯いていたので顔を確認できてない

 

「どちら様ですか」

 

「たしかに自己紹介が先だね。牛込 ゆり 3年生だ」

 

「牛込…あぁ、りみのお姉さんでしたか。これは申し訳ない。それで自分に何の用ですか」

 

「随分と単刀直入だね。まぁこれと言った話題もないけれど、少し付き合ってくれるかな」

 

「まぁ構いません」

 

「ありがとう、じゃあちょっとこっち向いてくれるかな」

 

 

「ありがとう、うん、やっぱりいい目をしてるね」

 

「いい目ってどういうことですか」

 

「さぁ?私も詳しいことはわからないけど、でもいい目」

 

「それはありがとうございます」

 

「で、本題。君は誰か決めている人はいるのかい?」

 

「決めた人?いえ、許嫁もいませんし誰もいませんよ」

 

「そう…あんまりたぶらかし過ぎると大変なことになるわよ」

 

「はぁ…よく分かりませんが」

 

「まぁ君のやりたいようにすればいいよ。悪かったね時間を取らせてしまって」

 

「いえ、こう落ち着いて話したのは久しぶりですから。こちらこそありがとうございます」

 

 

 

 

 

「小原さん、よろしいですか」

 

「紗夜先輩、なんですか」

 

「小原さんはいまは部活には所属していませんよね?」

 

「えぇ、まだ入って間もないですから」

 

「では、弓道部に興味はありませんか?私も入っていますから教わるのに不安はないと思います」

弓道部か…前に剣道はやっていたし、この際もやったことの無いことをやってみよう

 

「あの、活動はいつなんですか?」

 

「基本的には月、火、木 日ですね。日曜日は午前中だけですが」

ちょうどバイトのシフトがほとんど入っていない所だった

 

「そうですか…では、1回見学させてもらってもいいですか?」

 

「ええ、構いません。特に何も持ち物は要らないので、明日の放課後、弓道場で待っています。それではこれからバンドの練習があるので失礼します」

 

 

「(私は、小原さんのことがどうしてあそこまで上手くなったのか知りたい。あの人は私なんて歯牙にもかけないほどの技術を持ってる。だから少しでも高みへ近づくために私はもっと小原さんのことを知らなくちゃいけない)」

 

 

 

 

 

休暇のはずなのにいつの間にか休暇とは程遠い生活を送らされるはめになってしまったわけだが…

 

「これが俺が避けようとしなかった道だから仕方ないのか…」

 

今はそういう風に感傷に浸りながら大通りを歩いている。ちなみに軍曹と一緒だ。夜回りってとこだ。関係ないけど夜廻って結構良作だと思うのよね

 

ずっと歩いていると目の前から見知った人が歩いてきた。あのRoseliaのメンバーだ。紗夜先輩が言っていたように今日は練習だったようだ。一瞬のうちに湊さんの顔が変わった。見つけた瞬間踵を返して帰ろうとすると

 

「待ちなさい」

めっちゃ低い声で言われました

 

「なんでしょうか」

 

「今日こそその子を渡しなさい。私の子よ」

錯乱状態かな?

 

「こらこら友希那。急に走り出さないで…ってあの猫のバンドのギターの人だね。ええっと名前はたしか…」

 

「小原 直人さんです」

 

「そうそう!小原さん!てかなんで紗夜が言ってるの?まぁいっか。アタシ、今井 リサって言うんだ。ベースやってるんだ」

 

「えっと…白金 燐子です…キーボードやってます…」

 

「ふっ…我は…」

 

「あこ、初対面でしょ?ちゃんと挨拶しなさい」

あれ、案外しっかりしてるんだな。見直しました湊さん

 

「は、はい!宇田川あ…」

 

「違う、そうじゃない。噛まないように、詰まらないようにやりなさいということよ?別にいつものやつで構わないわ」

前言撤回。あほだ

 

「ふっ、我は魔界より出し悪魔……ええっと…何言えばいいの?」

 

「あこちゃん、こういう人だからよろしくお願いします」

 

「にしても小原くんってさ、こんなに同学年の女の子に囲まれても何とも思わないわけ?結構みんなかわいいと思うんだけど」

 

「幸い肝は座ってるほうですし、何よりもっと酷いのがいましたから」

 

「酷いってどんなことされたの?」

 

「見つければ速攻で、手を繋ぐ&腕を組む。一緒にご飯を食べようもんならあーんは当たり前。毎日のように家に来てはベットに押し倒され抱きつかれる。しかも学校一の美少女。これなら説明が付くだろう?」

 

「それって妹とかじゃないの?」

 

「いや、赤の他人だ。いつも一緒ってだけだ」

 

「それ付き合ってるんじゃないの?」

 

「まぁたしかに告白されたらOKしただろうな。ちなみにこんなやつだ」

画像フォルダにある画像を見せてやった。一応分けるために個別のアルバムを作ってある

 

「もうそれって好きなんじゃないの?小原くん」

 

「いやだから好きじゃないんですって」

 

「それにしても、本当に綺麗だね」

 

「リサ姉、こっちにも見せて!」

 

「じゃあちょっと待ってくれ」

 

「ん?なにしたの?」

 

「機能制限をかけた。このアルバム以外は見れないようにした」

 

「それってさ、もしかして見られたくないものがあるってこと?」

 

「そういう訳じゃないですけど…あまりいいものでもないので」

 

「ふーん、じゃあこっちは自由に見させてもらうね!ほら皆見てみて」

皆…いや一人例外を除いて画像をみて、あれやこれやと言っている

 

「湊さんは見なくてもいいんですか」

 

「ええ、こちらの方がよっぽど可愛いわ」

そう言って軍曹と遊んでいる

 

 

 

「はい、ありがと!」

ある程度見終わったようで携帯を返してくれた

 

「やっぱり付き合ってるんじゃないの?そうじゃないとおかしい画像ばっかだよ」

 

「個人的には構いませんが、くれぐれも学校内ではこのようなことは控えてください」

 

「なんか、これぞ天使!って感じだったよ!」

 

「すごく…美人さんでした…」

 

「すみません、時間を使ってしまって」

 

「いいのいいの!元はアタシが聞いたんだから。あ、それと…一緒に写真撮ろ!」

すると答えは聞いてないと言わんばかりに腕を回され携帯の画面を向けた

 

「はい、チーズ!」

結局チーズの意味はなんなんだろうか

 

「ありがと!あと、今の画像送りたいから…どうしよっか」

 

「Ruinでいいなら」

 

「あ、持ってるんだ。じゃあはい、アタシのQRコード」

 

「ありがとうございます。はい、今送りました」

 

「お、これかな?やっぱりホームとアイコン猫なんだね」

 

「自分の飼い猫ですから」

 

「いい人に飼われて良かったね、この子も」

喉元を撫でられゴロゴロなってる。お前普段やんないだろ

 

「短い時間だったけどありがとね!」

 

「こちらこそです」

 

「じゃあまたね!」

 

「小原さん、明日待っています」

 

「紗夜先輩、わかってます」

 

「ならいいです」

そう言ってRoseliaと別れて歩き始めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん…」

 

「どうかした?リサ」

 

「友希那、小原くんのことどう思う?」

 

「どうって…たしかに歌唱力は私に匹敵するかそれ以上のものを持ってるわ。ギターも紗夜より上手いわ。悔しいけれど」

 

「別にそっちの事を聞いてないんだけど…ってそういえば友希那ずっと猫触ってたもんね」

 

「ええ、人より猫よ」

 

「そっか、友希那らしいね。それで元に戻すね。小原くん、パソコンから携帯に入れたのか結構小さい頃の画像もあったんだ」

 

「それがどうかしたの?」

 

「うん…その時はすごいいつも笑ってる写真だったの。でも今に近づくにつれて全然笑わなくなったんだ」

 

「女子とのスキンシップが少し照れてそういう風になったんじゃないかしら」

 

「たしかにそれもあるかもしれないけど、もっと深いところ…簡単に言うなら昔の友希那みたい」

 

「私?」

 

「うん、なんでも背負ってそして壊れちゃうの。どんなことがあったかは知らないけど、小原くんもそんな感じがするの」

 

「だからといって別にリサには関係ないことでしょう」

 

「でも、放っておけない。あんなにいい演奏が出来るのにそれを無くしちゃうなんて。それに、友希那には全然してあげられなかった。だから私は放っておけない」

 

「そう、別に止めはしないわ。だけどRoseliaのことも忘れないでよ」

 

「ありがとう!友希那」

 

「(私を救ってくれた人を止めるなんてそんなことはしないわ)」

 

「(なんでだろう…さっき初めて話したはずなのにこんなに気になるんだろう…もっと知りたいんだろう…これって何だろう)」

 

 

 

 

 






ハーレムものとか書きたい


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いろんなこと始めました

遅くなって申し訳ありませんでしたぁ!
(ダイナミック土下座)

そろそろ有咲あたりにしぼろうかと





 

 

 

 

 

翌日の放課後、昨日紗夜先輩に言われた通り弓道部に足を運んだ

 

「待っていましたよ。小原さん」

 

「紗夜先輩、今日はよろしくお願いします」

 

「こちらこそ、よろしくお願いします。では早速道着と袴に着替えてほしいのですが…一人でも大丈夫ですか?」

 

「はい、大丈夫です。剣道着なら何回も来たことあるので」

 

「そうですか、では着替え終わったらまたこちらに」

 

「はい、わかりました」

 

着替え終わったあとからは練習を始めた。まずは当然基本から。やったことがないのでまず姿勢から。その後は弓を引く形。結局実際に弓を引いたのはもう練習の最後のところだ

引いたところで狙ったところからは遠いところに飛んでいってしまったのだが

 

 

 

 

 

 

「今日はお疲れ様でした。小原さん」

 

「紗夜先輩もお疲れ様です」

 

「初日ですからそこまで気にしなくても大丈夫ですよ。ある程度家でイメージトレーニングなりする必要もあるかもしれませんが、今からなら3年の頃には上手くなってるはずですから」

 

「そうですね、練習すれば出来ますよね」

 

「ええ、その通りです…では、今日はありがとうございました」

 

「こちらこそありがとうございました」

 

 

 

 

 

校門で紗夜先輩と別れた後、まだ学校から少し駅の方に歩いていた時

 

「ナオトさん!」

 

「おおぅ、イヴか」

 

「はい、イヴです!」

相変わらずあいつに似ている。まぁなんのこれしきといった感じだ。そんなので堕とされるわけがない

 

「なんでこんな時間まで学校にいたんだ?部活か?」

 

「はい!今日は剣道部でした!ナオトさんは?」

 

「俺は紗夜先輩に誘われて弓道部を見てきた」

 

「弓道部ですか。いいと思いますよ」

 

「たしかにいいとは思うんだけど…休む時間がなくなっちゃうし…でも紗夜先輩がいるから言い訳みたいなんだよなぁ」

 

「何かあるんですか?」

 

「いや来週からCiRCLEでバイトさせられんの。全くあのじいさん…」

 

「CiRCLEでバイトするんですか。私達も時々そこで練習するので会えるかもしれませんね」

 

「そうだな。だといいな。それにしてもいつまでイヴは抱きついたままなんだ?」

 

「ずっとです!」

oh......このままだとアイドルと抱き合ってると報道間違いなし。やめてくださいまだ一般人でいたい。なに?もう逸般人だって?

だとしてもこのままでは、社会的に殺されることは必至。なんとかして引き離さなければ

とりあえず人気のない路地に入った

 

 

 

 

 

 

「イヴ」

 

「はい?」

するりとイヴの腕から逃げるとイヴの正面を向き

 

 

 

ギュッ

 

驚くべき行動である、自分から抱きしめてやった。まぁ満足してくれるなら離してくれるはずという安直な思考でやってしまった

 

「ナオト…さん…」

イヴからは女の子らしいあれこれを感じる。たくさんやってきたとはいえ、久しぶりの感覚で少し懐かしくなり、つい強くやっていた

 

「ナオトさん……」

そのうちイヴも体に腕を回し強く抱き合っていた。なにかイヴは少し吐息を荒くしてゆっくり体を動かしていたが

その時、少し遠くで声が聞こえた

 

「イヴさーん!どこにいるんっすかー?」

誰だかはわからないがたしかに聞いたことがある声を聞いた。だんだん走りながらこちらに近づいている

 

「おい、イヴ。誰か探してるみたいだぞ」

 

「…ごめんなさいマヤさん…今は少しこうしてたいです…」

いや、約束誰かとしてたんなら優先しやがれ

 

「ほらとっとと離れて行けよ」

もし見つけられたらやばい事になるのは必至だ

 

「あと少しだけです!」

 

「無駄に大きい声出すな!」

バレたらどうするつもりだ。イヴより先に俺が死ぬ

 

「イヴさん、そこにいるんっすね!」

やばいやばいやばいやばい。早く離れろこの白髪外国人!そしてなぜお前は携帯をもって写真を撮ろうとしてるんじゃぁぁあ!

 

 

 

 

 

 

「見つけましたよ!イヴさ……ん?」

あ…終わった…

 

「ええっと…し、失礼しました?」

 

「あの、ちょっとすみません。とりあえずこの外国人を離してくれますか?」

 

「あ、はい。了解っす。イヴさん。今日は皆でお茶しようって言ってたじゃないですか」

おいおい、予定入ってんならそっち優先して

 

「すみません、マヤさん。たった今ナオトさんとソーシソーアイの関係になったことが嬉しくて、つい長く抱き合ってしまいました!」

 

 

_______________________________________

 

 

 

 

 

「さて、話してもらいましょうか」

結局あの爆弾発言のあと、あの時撮った写真をパスパレのグループチャットに上げたらしく、白鷺先輩に一緒に来いと通達された次第であります。そして今商店街にある羽沢珈琲店にて地面に座らせれております。一生の不覚…

 

 

「全く…そんな節操無しだとは思わなかったわ」

 

「全くの誤解であります。自分はただ要求を飲んだだけであります。」

 

「たしかに相手から逃れるのに満足させるという手もあるわ。でもあなたの相手はアイドル兼モデルよ?話は違うわ」

 

「たしかに…そうですけど…」

 

「まぁまぁ千聖さん、そこら辺にしてください。別に小原さんだって悪い人ではないのは分かってるんじゃないですか?」

 

「つぐみちゃん…まぁ今までそういう状況でそういうことが無かったのは認めるわ」

 

「ならいいんじゃないんですか?小原さんも反省してるみたいですし」

あなたは天使ですか

 

「わかったわ。今回は見逃してあげるわ小原さん。でも次はないわ」

 

「はい!承知しております。今回は申し訳ありませんでした!」

これが土下座というものですか…

 

「良かったですね。小原さん」

 

「ありがとうございます。羽沢さん」

今度はこちらを向いて土下座…

 

「そんなことしないで下さい!小原さん。別に私は何もしてないですよ」

 

「そんなことはありません。この恩、一生忘れません!」

 

「そんな!大げさですよ…」

 

「なにか出来ることがあれぱ何なりと…」

 

「小原さんってこんなキャラだったっけ…?」

 

「保身に走ってるんじゃないかしら?一応議員の孫だし」

 

「そ、そうなのかな…でもどうしよう…」

 

「そうね…小原さん。私からの提案でもいいかしら?」

 

「はい」

 

「私たちのマネージャーになってくれないかしら」

 

「はい!?」

 

「千聖さん!?」

 

「パスパレの今のマネージャーさんがいま妊娠しててね。流石にこの時期と子供が生まれたあとすぐに復帰させるのは申し訳ないと思ってね。今新しい人を探してるの。ずっとあの人は私の個人的なマネージャーもやってくれててね。信頼してるのだけど…ほかの人をあまり知らないから迷ってるのよ。そこで小原さんよ。私たちがある程度信頼していて、成績も優秀」

 

「でも…仕事内容なんて何一つ分からないですよ?」

 

「別にはい、やりなさいじゃないわ。最初の頃は今のマネージャーさんと一緒にやって覚えてくれればいいわ」

 

「千聖さん、高校生にそういう仕事させて大丈夫…」

 

「残念かもしれないけど、ある程度の権限を持ってるのよ。だからマネージャーを指名もしくは持ってくることも出来るはずよ」

自分…これ休暇っすよね?

 

「もはや拒否権はないと…ですよね?」

 

「そういう訳では無いわ。やりたくないならやらなくてもいいわ。もちろんそのくらいはね?一応改めて自己紹介…する必要もないわね。するとしたら麻弥ちゃんだけかしら」

 

「自分だけっすか?」

 

「ええ、皆知ってるでしょう?小原さん」

 

「はい、一応は」

 

「なら麻弥ちゃんね」

 

「はいっす。後ろから読んでもやまとまや。大和麻弥っす!Pastel*Paletteのドラムをやってます。この間のライブはすごかったっす!」

 

「ど、どうもです」

 

「そうそう、特にオリジナル曲!あれ歌いながらやるってすごいよね〜。るんってきたよ!」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「照れてるナオトさん、かわいいです!」

 

「ふふ、イヴちゃん、直人くんにゾッコンみたいだね」

 

「ほんと困ります…なんで自分なんでしょう」

 

「というか、学校とキャラブレッブレよ小原さん?」

 

「一応大体先輩なんですから…あと、あんまり褒められるのに慣れてないんですよ」

 

「あら、そうなの。意外なことを聞いたわね」

あ…いらんこと言ったかな…

 

「ほら!もうこんな時間ですから…」

 

「何言ってるのかしら?何もこれからよ?お茶会…というかもうご飯ね…ここで食べていくことにしてるのよ」

 

「そうなんですね…でも自分は参加してないんで、ここらで帰ります」

 

「あら、帰っちゃうのね」

 

「ナオトさん…帰るんですか?」

いや、あのだからそんな目をしないで下さい。泣かないでください。また、おたえみたいなことはしたくないんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!

 

 

 

 

「残っても大丈夫なんですか?」

 

「ええ!もちろん大丈夫よ」

 

「やったぁ!ナオトさん!こっちです!」

あぁもうどうにでもなれ。

 

 

 

 

 

 

 

結局ずっとイヴはくっつきっぱなしで若干息苦しくかった。付き合ったらと白鷺先輩に言われる始末。でも、それはとても楽しいもので、いつまでも続いて欲しいものであった。

 

さて、CiRCLEでのバイト、弓道部、さらにマネージャーときた。流石に取捨選択をしないと行けないと思う。でないと自分のしたいことも出来なくなる。早急に決断をしないといけないだろう。また体を壊すのは御免だ

 

 

 

 





忙しいようでただサボタージュしてました。ごめんなさい。次は早めに書きましょう


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やるなら全力

うちの体育祭はとてつもなくつまらないのでこんな体育祭がしたかった





 

 

結局の所決めあぐねてるこの日々に体育祭がやって来る。

あんまり運動自体は好きではないのだが親は練習無しで学校内でぶっちぎりの運動神経を持っていたようで…

それが遺伝したのか、自分も大体の競技で平均以上を出せていた。

まぁこの花咲川にはダンスもあるようなのだが

 

「白組ねぇ」

 

「なおも白組だよね」

白組の知っているメンバーは、一年だと香澄、おたえ、りみ、奥沢さん、こころ 二年は紗夜先輩、白鷺先輩、白金先輩、松原先輩 といった感じだ。

 

 

 

 

最初の競技は徒競走、100m走だ

全員が参加する訳ではなく足の速い人が走るというものだ

自分は最終でした。皆学年の紅白でトップの早さだそうです(^p^)じゃあ自分白組の1年で1番速いのか(^p^)

 

最初の走者の中に紗夜先輩がいた。たしかにあの日菜先輩の双子なら納得できる。

実際、かなり早く、見事1位だった

 

 

はてさて自分の番である。最終走者だけあって注目を集める

「お前、そんなに足早かったんだな」

隣のレーンは1年の赤組、某駿輝がいた

 

「お前こそ」

 

「ま、お互い頑張ろうや、先輩さんに花持たせてあげるかい?」

 

「まさか、そんなの御免だよ」

 

「あくまで全力か。面白い。俺もお前をぶっちぎってやるわ」

 

「そっくりそのまま返してやるよ」

若干の挑発をしてスタート位置につく

 

「なおー!頑張ってー!」

やめろおたえ。立って俺に話しかけたら俺が視線で焼き殺されるんや。少しは自分の容姿を気にしてくれませんかねぇ

まぁだからといってマイナスになるわけじゃない。余計に力が湧いてくるものだ。

 

パンッ

 

乾いた音が響いた途端、全員が走り出す。俺は1番内側。最初は追いかける立場だ。周りからは歓声が上がり続けている。

 

 

「すごい!なおくん1番早いよ!」

 

「あいつ、あんなに早かったのかよ…」

 

「さすが、外国人って感じだね」

 

 

コーナーで一気に視界から他の走者は見えなくなった。後ろは見ずに全力で走りきった。

 

おそらく、俺の感覚ではゴールテープは切られていなかったと思った。後ろも確認せずに誘導の人に付いていくと、1位の旗の列に並んだ。前には女子の最後で1位だったはぐみがいた。

 

「すごいね!なおくん!ここて1位ってことは学校で1番はやいよ!」

oh......そこまでなのかよ…まぁ1位は悪い気はしない

 

「お前…早すぎだろ…俺も2位だったけど最後の直線で伸びすぎ…」

なんと某駿輝くんは2位でした。こっちの方が驚きだわ

 

 

 

 

 

 

次の競技は玉入れ。おたえとりみと奥沢さんの出番というわけだ。向こうは沙彩とイヴと和也だ

 

 

始まるとおたえは投げる係、奥沢さんとりみは玉を集めると、分担していた。おたえの送球は完璧で、百発百中だ。一方赤組は和也が周りを歩きながら足元の玉をバンバン入れていく。向こうからは有咲の応援する声が聞こえてきた

 

 

「小原さんは応援しないんですか?」

突然後ろから声をかけられた

 

「紗夜先輩ですか。たしかに応援…というかおたえに声はかけられましたけど…」

 

「なら、返したらどうですか?その方がもっと花園さんも頑張れると思いますよ」

 

「そうよ、あなたが声をかけるのがおたえちゃんに1番よ」

白鷺先輩まで追い打ちをかけてきた

 

「わかりました…よっと」

あんまり注目は集めたくないんだけどなぁ…

 

立ち上がり口の周りに手を当てて……

 

 

『おたえー!頑張れー!』

 

 

声を思いっきりかけてやると一瞬今まで正確な送球をしていた腕が止まった。しかし次の瞬間、今度は片方だけでなく両方同時に100%の送球をし始めた。目がさっきよりも本気になってやがる

周りも一旦は驚いたものの、全ておたえに任せた方がいいと分かりとにかく玉をおたえの周りに集めまくった

その結果、玉をすべて入れるという完全勝利を成し遂げた。あれ、自分もしかして勝利の使者っすか?違いますね

 

 

 

 

「なお!全部入れられたよ!」

終わったあと、すぐに俺のところに駆け寄ってきた

改めて体操着を通してみるとほんとモデルより綺麗なんじゃないかと思えてくる。

 

「いやほんと、小原さんのおかげですよ」

遅れて奥沢さんとりみがやってきた

 

「おたえちゃん、声かけられた後怖いぐらいだったもん…」

りみはおたえの本気を見て震えている様子。どんな覇気を放っていたのか

 

「これでまた少し赤組に追いついたな」

 

「そうだね、でもまだまだだよ。赤組にははぐみっていう最終兵器がいるんだから」

実際赤組の中だと1番稼いでるんじゃないかぐらいにぶっちぎりだった

 

「まぁ、最終的に勝てばいいんだろう?」

 

「そうね!勝てばいいのよね!」

やめろそんな事言うなこころ。もしかしたら黒服さんが動いちゃうかもしれないだろ!ほら見ろ!あそこの陰でうずうずしているぞ!

 

「こころ…あくまで正々堂々とね」

奥沢さんが釘を刺す

 

「もちろんよ!卑怯な手なんて使うわけないじゃない!」

良かった…黒服さんが沈静化しました。まじで卑怯な手を使う気だったんですかねぇ

 

 

 

 

その後も順調に進み、お昼ご飯の時間だ。

 

「おたえ、お前の弁当はバランスというものがないのか…」

見事おたえの弁当にはハンバーグしかありませんでした。好きだからってそれはおかしいと思います

 

「それを言うならりみにも言ってあげなきゃだよ」

見ると当然のようにチョココロネしか入っていないやまぶきベーカリーの紙袋がありました。そうでしたこっちもやばい人でした。

 

「まぁ普通の人もいるから…てかそれって小原さんが作ったんですか?」

奥沢さんはほんと普通の弁当でした。何でだろう、感動する。

 

「ええ、今日は皆先に出ちゃってたんで自分で作りましたね。まぁ一人暮らしの経験があるんで難しくはないですけど」

 

「すごいですね…うちは親が作ってくれたので」

 

「別にすごい事でもないですよ。あっちの方がすごいですよ…」

当然視線の先には1人だけ圧倒的な場違い感を生み出している弁当を持っているこころである

 

「?こっちを見てどうしたの美咲、直人?」

 

「いや、弁当がすごい事になってるなぁと」

某高級食材を使っている弁当が注目を集めないわけがない。俺たちが集まっている輪を通り過ぎる人たちは皆目を見張る。まぁこれで動じてたら弦巻家なんて務まらないと思うのだが

 

「これが弦巻だから仕方ないよ小原さん…」

奥沢さんに共感していると自分の弁当に箸が伸ばされていることに気づいた

そして弁当を見るといつの間にか中身がいくつか無くなり、代わりにハンバーグが綺麗にはまっていた

 

「おたえ…なんで取ってるんだよ」

当然おたえ以外に犯人はいない

 

「だって、なおが作ったんでしょ?食べたいなぁと思って」

 

「だとしても断ってからにしろよ…」

まぁ花園家のハンバーグは文句無しなのだが。何度も食べたから分かる

 

「でもなおって怒らないでしょ?有咲みたい」

怒らないからで判断するんじゃない

 

「おたえちゃん、ずるいよ。直人さん、私にも貰えますか?」

そういえば最近りみが自分にポピパと同じような感じで話してくれることに嬉しく思ってる

 

「あ、じゃあ私も」

なんで便乗するのかは分からないが奥沢さんも

 

「私はこの唐揚げを貰うわ!」

そしておたえと同じようにこころが奪っていきました

 

「じゃあ私は栗きんとん貰っていきますね」

 

「あ、私は鳥の照り焼きもらいますね」

お返しとして奥沢さんからは生姜焼き、りみからはチョココロネでした。ほんとチョココロネしかないの…?こころからはエビフリャーでしたがさすが弦巻。今までで1番美味かった。

 

香澄は有咲と約束してたそうで赤組の方で食べたそうだ

 

 

 

 

午後の最初は全体でのダンスだ。香澄はなぜか全力で走っていき、おたえとりみはそれに付いていった

 

「さて、それじゃあ行きますか」

 

「ダンス楽しみね!」

ダンスといえばシュミのやつはタップダンスがかなり上手い。今度ライブで弾きながらやってもらおう

 

そんなことを考えながらダンスの始まりである。幼稚園や小学生がやるような呑気なものではなく、ダンス部がやるようなテンポの速さである。最初の頃は音を上げる生徒も多数いた。有咲もそうだが

しかし、例外中の例外は全く動ぜず皆が休んでる間に踊ってるやつがいたりもした。主に3人

 

ダンスの後半はペアで踊る。なんだって?相手がいません?そんなことは無い。当然クジだ。

 

まぁ相手が厄災なんだけどな…

 

「さぁ!直人、踊りましょう!」

よりにもよってこころだ。当然こころに手加減なんて言葉はない。最初はこころのペースに振り回されたもんだ。

だが、今はそうじゃない。息はぴったりになるまで練習したんだ。

弦巻の令嬢と踊るとあって自然と視線が集まる。でも、それが少しいい気分だ。なによりこれからどこよりもハチャメチャな演舞をしてやるんだから。

ペアの時間はリズムさえ外さなければどんな踊りでもいいということになっていた。そうすれば当然こころはとんでもないことを指示する。当然初心者には無理難題だ。それをやろうと言うんだから鬼畜そのものだ。

 

でも出来ないのは俺が許さない。結果として完璧な演舞をこころとやることができるようになった。もちろんド派手なものである。下手したらマジで怪我をする。させたら俺が死ぬ。だけどそれは心地よい緊張となりよりよい物へと変えていった……

 

 

 

「まじで疲れた…」

 

「いや、ほんとやる方がおかしいですから」

奥沢さんは毎回こんなことになってるんだから尊敬でしかない。

 

 

 

 

 

ついに最後の競技、リレーである。点差は僅差、リレーの勝者が優勝である

 

「なお、頑張ってね」

 

「まぁ勝てるように精一杯やるよ」

 

白組の最終走者である俺は入場門のあたりに行った。赤組ははぐみと駿輝がいた。ということは駿輝は最終か

 

「なおくん!リレーに出るんだね」

 

「まぁな、最後だよ」

 

「ほんと!?じゃあはぐみも頑張って駿くんに繋がないとね!」

 

「おいおい、俺はそんなに弱かないよ」

 

「まぁたしかにほんの少しだけならすぐ抜いちまうよ」

 

「うん!勝つために全力で走らないとね!」

 

「そうだな、こっちだってやるからにゃ勝ちたいからな」

 

「じゃあバトン渡しまでだね!お互い頑張ろう!」

 

 

 

「駿輝」

 

「なんだ」

 

「なんかかけないか?」

 

「お断りだよ。あんたには負ける気しかしねぇんだ」

 

「どうだかねぇ…そっちははぐみが前だろう?なら絶対かなりの差がついてこっちに来る。勝機はあるだろう?」

 

「それでもだ」

 

「了解」

 

 

 

乾いた音が響き、走り出す。続々とバトンが渡っていき、ついに一つ前だ。その時点では差はなかったのだが、はぐみのスピードは異常そのもの。ぐんぐん突き放していく。ついに駿輝に渡る

 

「お先だぜこの野郎」

 

「すぐ追いついてやるよ」

 

「言ってろ!」

バトンが駿輝に渡り、走り出してから約2秒後今度は俺が出る。もう駿輝はスピードに乗り遠くだ。だが追いつけないわけじゃない!距離は最終走者だけ2週だ。だから十分食らいつける。

 

 

 

 

 

 

歓声は聞こえずただ全力で走っていく。そしてついに駿輝の背中を捉えた。しかしもう最後の直線だ駿輝もここに来てスピードをあげた。

 

「(届けよぉぉぉぉぉぉ!!)」

足がどういうふうに動いてるかすらも分からなくなり、その後すぐにゴールを突き抜けた…

 

 

 

 

意識がはっきりした時には赤組の生徒が大喜びしていた。要するに届かなかったのだ

 

そのまま閉会式、駿輝が優勝杯を受け取り、俺は盾を受け取った。

 

「小原くん、お疲れ様」

 

「あぁ、牛込先輩ですか」

 

「いやぁ最後のリレー、惜しかったね」

 

「すみません、最後の体育祭なのに…」

 

「たしかに悔しい気持ちもあるけど…そこまでつめてはないよ。ほんとここ最近のなかでも1番のものを見させてもらったから感謝だよ」

 

「そうですか…」

 

「まったく…そこまで落ち込んでどうするの?なんならお姉ちゃんがに甘える?」

 

「それは遠慮しておきます」

 

「ストレートで傷つくなぁ。ならほら顔あげる!早くりみたちのところ行ってきな。待ってるでしょ」

見ると皆少し遠いところでこっちをうかがっていた

 

「ほら若いもんは若いもんでやってなさい。ほんとにありがとう」

そういって牛込先輩は別のところへ行ってしまった

 

まぁ終わった直後こそ落ち込んでいたものの思い出すようになれば楽しいものでみんなで打ち上げなんかもした。イヴやおたえはなぜかずっと隣にいたのだが…

 

 

 







急遽作ったので最後らへんがとてつもなく雑になって申し訳ありません!あと、この後自分テストなので約3週間ぐらい投稿しないかもしれませんのでよろしくお願いします。シナリオは作っておくので書く速度は早いと思います


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これまでのこと。これからのこと

まじで3週間開けてしまって申し訳ない




初登校です


 

体育祭の翌日は休みであり、こういう日は軍曹と遊ぶのが1番!なのだが今日に限って外出中らしい。特にやることもないのでちゃんとバイトのことを考えることにした

 

 

まずひとつ、CiRCLEてのバイトである。基本的な業務は清掃とアンプ等機器の整備だ。そこら辺は特に苦にならないし、元々まりなさんが全部やっていたこともあり、あまり重労働でもなさそう。まぁ彼女たちとよく会うことにはなるが…

 

次にパスパレのマネジャー。仕事を何もかも知らない状態から始めることになる。メンバーが全員知人なのは唯一の救い。正直これをやるならほかの仕事は断らないといけないと思ってる。

 

 

もうひとつ、弓道部である。これは一応バイトと一緒にこなすことも出来る。紗夜先輩が所属している。まだ何をすればいいかわからない

 

 

 

 

正直ここに来て決められなくなってきた。とりあえず気晴らしに午前中はギターの練習をして、昼飯を食べた後は軍曹も帰ってきた。そして帰ってきた瞬間に抱き上げて外に出た

 

 

 

特になんのあてもなく歩き、最終的に川沿いの河川敷の土手に座り込んだ。秋も深まって草も枯れ始めていた。

 

結局、なにをやりたいのか分からなくなってしまった。ただ手元には軍曹の温もりだけだ。久しぶりに何も考えずに過ごしてみると大きな虚無感に包まれ、開放された気持ちになる。いっそ全部断る手もある。ダメだと言われそうだが…

 

そうやっていると早く時間が過ぎてしまい、もう夕方になってしまった。それでも何も考えずにいると、声をかけられた

 

「あれ?直人じゃん!どうしたの?」

後ろを振り向くと羽丘の制服を来た茶髪の高校生がいた

 

「今井さんですか。どうしてこちらに?」

 

「ううん、特に用事はないんだ。あと、そんな敬語使わなくてもいいよ。リサって呼んで」

そう言いながら隣に座ってきた

 

「今日はRoseliaの皆さんはいないんですか?」

 

「うん、今日は練習が無くなったんだ。だから1人だけで適当に歩いてたら見つけたってわけ」

 

「そうですか」

 

「で、直人は何をしてたの?」

 

「特に何も、ただ何かを考えようとして考えるのをやめたんです」

 

「結局、なにもしてないんだね」

 

「はい、こんなに清々しいのも久しぶりです。何も考えずに空の下でただぼーっとしているんです」

 

「んーと、じゃあ何を考えようとしたの?教えてくれない?」

どうしようか。ただ自分が優柔不断であるだけなのに

 

「別に、話したくなかったら話さなくてもいいんだよ?」

そういうとこっちが話さないといけないって思えてくるんですよ…

話したくもない恥ずかしい話だが1人では決着がつかなさそうなので話すことにした

 

 

 

 

「なーんだ。そんなことか」

 

「でも、決められないんです。何をすればいいかわからないし、何をしたいかもわからないんです」

知らないうちに涙が出ていた。ずっとなにかやらなきゃいけないことをし続けてきた。でも、自分で好きなことを決めろと言われても自分には何がしたいか全くわからなかった。酷く言っていまえばただの機械のようであった

 

 

突然目尻を舐められた。目を開けると腕に前足をかけた軍曹がいた

 

「ほら、君もひとりじゃないんだよ?なんならアタシもいるし」

そう言って頭を撫でてくれた。余計泣いてしまいそうだったから、立ち上がって軍曹をほおり投げた。

 

ちゃんとキャッチしてリサさんに向き直った

 

「ありがとうございますリサさん。もう少し気楽に考えてみます」

 

「うんうん、もっと気楽にね。アタシ結構あのバンド好きだからさ。実際ネットでも『Roselia越えの技術!?メンバー全員プロの楽団員!Gtの祖父はあの有名議員!』なんて記事があるんだよ」

画面を見せてもらった。それは記事とは違い某chのスレだった

 

 

『CiRCLEからまさかの男女混合バンド!』

そんなスレタイだった

 

『続き頼む』

 

『男2の女2の男はどっちも高校生で女の方は両方成人やで』

 

『ほーん、面白そうやん』

 

『ちな現地だったけど、演奏技術はほんとRoseliaのそれを圧倒してるわ。特にGtのあの動きは頭おかしいと思った』

 

『どんなだったん?』

 

『腕に猫をぶら下げながらやってたんやで。しかもそれでいてあの上手さだから驚異的。しかも歌うまやし、声を完コピ出来るそうやで』

 

『自分はドラムや。あのふわふわ感からのギャップが最高。しかも演奏中にじっと見てたら微笑み返してくれたで』

 

『ま?でも僕はkeyなんだよなぁ』

 

『オリ曲でのベースソロが入ってないだと?ふざけるな!』

 

『オリ曲についての評価よろ』

 

『はっきり言って普通に良曲。ベースソロとかあるように技術はトップ、声もいい。アップテンポな曲だからノリやすい。このバンドは普通にCiRCLEで伸びる気がする。まぁ唯一の弱点はネーミングセンスの無さだな』

 

『正直言って全員の技術はぶっ壊れてるゾ。あんなんできる普通?』

 

 

 

そんな感じにずっと続いていた。

 

「ね?結構評価高いでしょ?だからアタシとしてはバンドを続けていける程度でやるといいと思う。アタシはバイトと部活とやってるけど別に無理はしなくていいしとにかく肩肘張らずに気楽にね」

リサさんは立ち上がって

 

「じゃあ帰ろっか。寒くなって来たしね」

寒く…?このくらい普通なんだが

 

「このくらいで寒いのか?」

 

「あ!そっか直人は外国人だしね。どこだっけ?」

 

「オーストリア。こっちで言えば北海道ぐらいだと思ってくれれば」

 

「でさ、なんで日本に来たの?」

これを説明するには自分の経歴を多少明かさなければいけない。まぁリサさんならいいか

 

 

「元々オーストリアの楽団で活動してたんです。それで今ドラムやってる人から言われたんです。ちゃんと青春を過ごして欲しいって」

 

「自分は中学生の頃からずっと練習してきてプロ顔負けの技術を得ることも出来ました。でもその代わり普通の生徒ではなかったんです。白鷺先輩…とは違いますけどそんな感じでした。だからそうじゃなくて普通の生徒になって欲しいって。昔日本にいたのを知っていたからまたそこに行こうって……」

 

 

突然そうなんだというリサさんの声が遠ざかった。視界が歪む。たまらず立ち止まったがリサさんが気づかない。嫌な予感がする。

 

 

そして映像は流れる

 

 

 

 





わりと出すために雑になってしまった…

次の次ぐらいで大きな分岐点です


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誰かが願った未来の先に

そろそろこの能力の設定の説明した方がいいですかね…





 

 

目が覚める

 

これから起きることは今見せられた映像であることはりみのことでわかっている。だからリサさんを助けるために駆け出す

 

正直言ってこれが自分にも多大なる危険が及ぶことはわかっている。だけどやらなきゃリサさんが死ぬ。今の俺には選択肢はひとつしかない。

 

 

距離は10数メートル。ここでリサさんがこっちが離れていることに気づいて立ち止まりこっちを向いた。そこで立ち止まらなくてもいいのに…

こちらに振り返ったせいで事件の正体の存在に気づかずにいたのが原因。信号前で減速することなく加速し、パニックに陥り急ハンドルを切ったであろう

 

そんなことはどうでもいい!とにかくやらないかん。既に車は加速を開始した。ここからリサさんまで10メートル、記憶では残り1秒ほどしかない。つまりこちらに引き寄せるのは不可能。押し出すしかない

 

 

 

無我夢中で走った。リサさんに手が届く。だが非情にも車は既に俺の足を捉えていた。

 

「(せめてリサさんだけでも…!)」

 

そう思い伸ばした手は今までのエネルギーを全てリサさんに伝えた。その刹那、視界が急速に移動した……

 

「(全く…もっと早く教えて欲しいもんだね…未来の俺さんよ…)」

 

 

 

_______________________________________

 

 

 

「…………い……み…!お…」

耳のすぐ横あたりだろうか。何か呼びかけているような声が微かに聞こえる。

 

「(なんだよ…今気持ちよく寝て…)」

待てよ…いまさっきまで俺は寝てたのか?

そして次の時にはもう飛び上がった

 

一気に視界が広がる。日も落ちたらしく辺りは暗くなっていた。しかし目の前は赤のライトがチカチカしており目に悪かった

 

「君!大丈夫か?」

おそらく声をかけていたであろう警察官が尋ねてきた

 

「ええ…特に痛いところもありません」

 

「そうか…なら良かった。ちょうどこの辺りの救急車が全部出払っててな。特に外傷もないが…大丈夫か?」

注意しながら立ち上がってみる。立っても酷く痛む所もない

 

「大丈夫…だと思います…あ…リサさんは!?」

ようやく思い出した

 

「リサさん?あぁあの子かい?茶髪の。その子なら署にいるよ。少しの間事情聴取って所だ。被害者の君がしてくれればおそらくすぐに終わるだろうけど…」

 

「じゃあお願いします。すぐに向かいましょう」

 

「そんな風に積極的に署に行く人なんてそうそういないよ」

 

そう言って笑いながら彼はパトカーを走らせた

 

 

 

 

入った部屋には既にリサさんがいた。目元が若干赤くなっていた。そしてその膝には軍曹が座っていた。目を合わせてから数秒後に掴みかかってきた。思いのほか力が強い。

 

「ちょっと!病院に行かなくていいの!?」

 

「大丈夫ですよリサさん。自分妙に頑丈なんで。どこも痛いところはありませんよ」

するとリサさんは少し落ち着いたように再び椅子に座り、俺も加わって当時の状況を聞かれた。ドライバーとの話も合致しているとのことで当然ながら罪はなし。すぐに帰ることが出来た

 

 

 

「ごめんね…せっかくの休みだったのに…」

リサさんは俯いて言った

 

「大丈夫ですって…もう終わったことですよ。無事なら無事で良かったじゃないですか」

 

「そうだけど…もしかしてたら死んじゃってたかもしれないんだよ!?もっと自分のことを大切にしてよ?」

 

「そこは…今後は気をつけます。善処します」

 

「またなんかやっちゃいそうな答えだね。ほんとに気をつけてよ?」

 

「まぁリサさんもですけど」

 

「うぅ…そう言われると言い返せない…」

 

「お互い様ですよ。じゃあ自分はこっちなのでここでお別れですね」

 

「え…うん。じゃあまたね!直人」

 

「はい、またいつかの時に」

曲がり角を曲がってリサさんが見えなくなる前に1度振り返ると手を振っていた。こっちが振り向いたらぶんぶん振り始めた。それに俺は小さく振って返してもうひとつの曲がり角を曲がり、リサさんは見えなくなった。

 

 

帰るとすぐにミハさんが寄ってきてご飯の時のように座らされた。シュミやミナさんもいる。警察から事情は聞いてあるようでその上で質問があるようだった。当然能力についてだ。今まで進んでああいったことはしなかったから何があったのかということだった。ここで初めて変化について説明した。皆はなら納得したとすぐにご飯の用意に移った。グイグイ聞いてこないし皆察しがいい人だから助かっている。

 

 

 

 

朝になっても痛いところはなく、異常もない。しかしゆっくり行った方がいいとミハさんが言うのでゆっくり歩きながら登校した。かなり早く出たせいかいつもの30分以上前に着いてしまった。しかしそこには予想外の先客がいた。

 

 

「あ!待ってたよ直人」

 

「リサさん?どうして花咲川に?」

リサさんは羽丘の生徒だ

 

「用事は…はいこれ!」

渡されたのは紙袋。中を見るとメロンパンと小包に入ったクッキーがあった

 

「なんですか?これ」

 

「昨日のお詫び。命を助けて貰ったからね。これしか出来なかったけど…」

 

「全然!とっても嬉しいですよ!メロンパンもクッキーも大好物ですから。後でしっかり感想言わせてもらいますね!」

 

「ありがと!じゃあアタシは行くからRuinでもいいから教えてね!」

すると手を振りながら走っていった

 

 

「さてと…少しは期待しちゃっていいよね?」

すぐに教室に入ってメロンパンとクッキーを食した。

 

 

 

 

 

そしてある所に電話をし始めた。昨日決めたこと。そのことを3人に伝えるためだ。この時選んだ選択は間違いだったのだろうか、それとも正しかったのか。ソレトモもっと前に決まっていたのか。それを知ることはもっとあとの話し…

 

 

 

 





サボタージュしすぎましたァ!申し訳ありません!(ダイナミック土下座)

ここで分岐させます。最初は有咲かおたえか沙綾をやります!今後もよろしくお願いします!


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ポピパ共通
嵐の前の静けさなんてなかった


割と行きあたりばったりな小説だけど頑張ります!






 

放課後、今日連絡した2人に会いに行った。紗夜先輩と白鷺先輩だ。内容は2人からの誘いをお断りすることだ

 

「すみません、忙しい時に」

 

「いえ、今日は家で練習するだけだったので大丈夫です」

 

「私もレッスンだから多少は大丈夫よ」

 

「ありがとうございます。それじゃあ単刀直入に言います。先輩方から受けていたことなんですけど…どちらもお断りさせてもらうことにしました。CiRCLEで専念したいと思います。すみません」

精一杯頭を下げた

 

「頭を上げてください小原さん。別に謝るような事じゃありませんから」

 

「そうよ?あなたが決めることだったもの。私たちはそれに従うだけよ。だからあなたは気にしなくていいのよ」

そっと胸を撫で下ろした

 

「だけどお詫びの品なりなんなりはしてもらうわよ?」

え…?

 

「そうよね?紗夜ちゃん?」

 

「え、ええそうですね白鷺さん」

紗夜先輩困ってるじゃないですか…

 

「じゃあ紗夜ちゃんは何にするのかしら?」

若干声を出しながら笑った。こわい

 

「別に私は大丈夫なんですが…そうですね…小原さんはバイト以外は空いてるんですか?」

 

「そうですね。多分大丈夫ですよ」

 

「では、私にギターを教えてくれませんか?」

え?どうして紗夜先輩が?正直先輩は自分で練習した方がずっと身になる練習が出来るとおもうのに…

 

「それはあなたが私よりも上手いからよ」

 

「そ、そうでしょ…うか?」

 

「ええ、そうだと私は確信しています。だから私はあなたに教えて欲しいんです」

 

「それじゃあそれで決まりでいいかしら?小原くん?」

 

「まぁ断れませんから…わかりました。それじゃあ紗夜先輩には後でシフトを送るので好きな時を指定してください。それでは俺はここで」

 

「わざわざありがとうね。小原くん」

 

「これからもよろしくお願いしますね。小原さん」

 

優しい笑顔をした2人を見た瞬間に心停止しかけたのは言わないでおこう

 

 

 

 

場所は変わってCiRCLEである。ちなみに私服に着替えてある。

 

「やっと来たね!待ってたよ!」

入った瞬間に言われた。絶対外にいる時から待ってたでしょ

 

「早速って言っても今は特にやることないんだよね。あ、これ今日のこれからの予定ね。一応覚えておいてね」

 

そのあとは受付の仕方を教えてもらい、どこに何があるかや掃除とか教えてもらった。

 

そのまま特に何も無く今日の仕事は終わった。

 

「お疲れ様直人くん。ちょっと拍子抜けしちゃったかもしれないけど混む時は混むからその時はよろしくね」

 

そんなこんなで今日も終わると思っていた…

 

 

 

 

帰り際やまぶきベーカリーに寄ってから帰ろうと思った。すると中にはポピパの全員が集まっていた。

 

「あ!直人くんだ!おーい!」

香澄が店の中から呼んできた

 

「どうもっと。別にそんなに大声出さなくてもいいだろ」

 

「珍しいね夜に来るなんて」

 

「今日はCiRCLEでバイトした帰り。クリームパン1つで」

 

「まいどあり〜」

 

「お疲れ様です。直人さん」

 

「ありがとうりみ。初めて言われたよここで」

天使かな

 

「はい、なお」

 

「ん?なにこれ」

 

「あまりの弦」

めちゃめちゃいらないもの渡されても困るんですけど

 

 

ブルルルルルル

 

「直人、電話なってんぞ」

 

「誰からやろ」

見るとミナさんからだった

 

 

 

『もしもし?なんですか?ミナさん』

 

『えっとね。今直人はどこにいるの?』

 

『今ですか?やまぶきベーカリーにいますよ』

 

『おーけー。じゃあそのままいてくれる?』

 

『これからなにか買うんですか?それなら自分が買いますけど』

 

ツーツーツー

 

 

「切れてる…」

 

「で、なんの話だったんだ?」

 

「いや、なんかここにいてくれって。パン買うなら買って帰るんだけど…なんか怖いからここにいとくわ」

 

「なお、今日沙綾の家に泊まるの?」

 

「誰もそんなことは言ってないし、泊まる気もない」

 

「ちょっと、ストレートすぎて少し寂しいなぁ」

 

「あーそこはすまん。今後は気をつけてお断りするわ」

 

「お断り前提なんだね直人さん」

 

「にしても何の用なんだろ…うっ…」

なんだこれ…今までとは全く違う…

 

「直人!?急に屈んでどうした!?」

 

「沙綾…少し中に入れてもらってもいい?」

 

「あ、うん。はい、こっち」

 

レジの下でうずくまった瞬間

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Hallo!ナオト!久しぶりね……ってどこかしら?」

史上最強のやべぇ幼なじみが侵略してきました

 

 

「こんな狭い店の中でかくれんぼなんて無駄なのに〜。フロアには居ないとなると〜もう決まっちゃうよね〜」

やめてくれよ…

 

「ちょっと失礼するね〜」

少し軋む音がする。そして……

 

 

 

「みつけた」

 

 

\(^o^)/

 

 

 

「皆、はじめまして!パトリシア・ルーデルです!」

別名魔王(自分だけ)女に対する耐性を持たせた張本人。親の関係でアメリカにいたはずなんだけど…

 

「あなたがカスミさんね!こっちがアリサ。それでオタエ。リミ。最後がサアヤね!」

 

「正解だ。そして離れろ」

あの時と同じように当たり前のように腕を組んでいる

 

「なんでパトがここにいるんだよ。お前アメリカにいたはずじゃないのか?」

 

「それがね。今度はトウキョウに転勤になって、わたしだけでもナオトの方で住んだらってことで今日引越ししてきたの!」

 

「そいつは運がいいのか悪いのか…」

 

「そんなこんなで住むことになったの!学校は羽丘なんだ!ナオトと皆は花咲川でしょ?」

 

「えぇ…そうですけど…」

 

「あーあ、わたしも花咲川にしとけばよかったー」

それはダメだ

 

「あの…すみません。パトリシアさんですか?」

 

「ええ!なにかしら?アリサ。あと呼び方はパトでいいわ」

 

「じ、じゃあパト…直人とはどういう関係なんだ?」

 

「ナオト?そうねぇ…大雑把に言えば幼なじみね。1番長く友達やってると思うわ。あとあの猫。あの子は元々うちで生まれた子だったのよ!」

 

「あの黒猫!」

 

「ええそうよ。カスミ」

 

「ところでなんでずっと直人さんにくっついてるんですか?」

今まで聞いたりみの声なはずなのにどこか黒い何かが入っているような気がする…

 

「なんでって…なんでだろうね?わたし、ナオトといる時はずっとこうだったからわからないわ」

 

「そしてなおはそれをどうして受け入れてるの?」

今度はおたえからそのオーラが俺に向けられる。こわい…

 

「そ、それは…もうこれが俺たちの当たり前だから…かな。逆に落ち着く」

 

「直人って私たちをたぶらかしてたんだね」

沙綾が少し怒ったような声で言う

 

「タブラカス?あ、(´º∀º`)アハーンそういう事ね!ナオトも罪な男ね!」

 

「は?俺がいつ法を犯したって言うんだ」

 

「別にそんなこと言ったんじゃないわよ。そうね…皆に言えることは、わたしは別にナオトは狙ってないわ。だからナオトは好きにしていいけど…変なことしたら許さないから」

最後の言葉を聞いた時ポピパの皆がビクッとなった。やだ俺モルモットになる予定だったの?

 

「それじゃあわたし達はここら辺で失礼するわ!これからもよろしくね!」

そのままパトに連れられてやまぶきベーカリーを後にして、帰宅した。

 

 

 

 

「さーてナオト!寝ましょ寝ましょ!」

 

「なんでこの年にもなってやるのかねぇ…勝手にしろ」

 

「それじゃあ失礼して〜おちつく〜」

 

手を繋いで一緒のベッドで寝る

これでいて俺たちの間に恋がないのが不思議なくらいである

 

 

 

 




次、個別でやります


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有咲編
嵐は過ぎ去らず


すまない気が乗らなかったんやぁ(^p^)

なんとか頑張ってやっていきます

もうなんか別のオリジナル作品を考え始めてしまいました


ぴぽさん☆10と感想ありがとうございます!
来た時は飛び上がってました







 

その日夢を見た

 

馬鹿みたいな夢を見た

 

想像もしたくない夢を見た

 

真っ白な部屋の中で私はあいつの隣にいた。だけどすぐに消えていく。そして私から離れたところに再び現れる。隣に誰だかわからないやつを連れて。

 

それは人のようだった。だんだんはっきり見えてくるがなぜか特定出来ない。髪は黒のようにも白にも銀にも青にも赤にも、金にも茶色にも見えた。髪型もショート、ロング、サイドテール…もう理解するのも嫌になるくらいだ

 

そしてあいつはずっととそれの隣で笑っている。私のことなんてこれっぽっちも見やしない。私なんていないかのように…

 

…嫌だ…そんなのは嫌だ…私はあいつのあの場所にチャンスがあるなら絶対に…

 

 

_______________________________________

 

 

 

目覚めは最悪だった。夢であんなのを見たからだろう。あのパトリシアとかいうやつのせいかもしれない。狙ってないと言っておきながら本当はもう捕まえているからそう言ってるのか。でも直人は彼女がいた事なんてないと前に言っていた。つまり本当にパトリシアは狙ってない?

 

 

どうして私は直人に執着するようになったんだろう。

 

直人とは小学五年生の春に出会った。あの頃からもう私は流星堂で手伝っていた。そんな日々の休日だった。いつものようにただ突っ立っていた。

 

あいつは軽い挨拶をして店の中に入ってきてただ中を物色していた。そこで私からあいつに聞いた。どうしてそんなことしてるのかって。

 

知らないことを知ることが好きだと言っていた。今でもよくわからないけど結局好奇心なんだろう。そしてその延長で私を外に連れ出した。訳も分からず連れ回されてうんざり…なはずだった。だけどなんだか楽しくて最後には名前を聞いていた。それから……

 

もう学校に出る時間だ。思い出話はやめて家を出た。登校する途中羽丘の制服を着た外国人を見てしまった。そしてそっちもこっちに気がついた

 

「あら!アリサ!」

 

さすがに少し警戒してとっさに猫を被っちまった

 

「ご、ごきげんよう」

 

「Guten Morgen?アリサ、無理しすぎじゃない?」

 

一瞬で見抜きやがった

 

「そりゃナオトからアリサのこと沢山聞いてるからね。普通は猫被ってるけど仲良くなったら口悪くなるって聞いてるよ」

 

「あいつ、余計なこと言うなよ…」

 

「そういうこと気にしない人だから仕方ないよ。それよりさ!皆ナオトが好きみたいで」

 

は?

「ちょ、そんなわけないだろ!」

 

「あらあら慌てちゃって〜そういう時は大抵逆のこと思ってるって分かってるからね〜アリサはナオトがよっぽど好きなのね」

また余計なことを教えていたらしい

もうここまで言われてしまったら仕方がない

 

「ああ好きだよ!小学生の頃からずっとだよ!」

言ってしまった

 

「やっぱりね!わたしの見立ては間違いないわ!」

 

「もしかして、それってただの自己満足?」

 

「まぁそうかもしれないけど、一応の確認よ」

 

「それってす、好きってことの確認か?」

 

「ええ、それ以外にあるかしら?」

 

「そ、それで好きならどうなんだよ」

 

「ふっふっふ〜」

なんだか焦らしているようだ

 

「な、なんだよ」

 

「それはね…」

 

 

 

 

 

「わたしが直々にナオトとの恋を手伝ってあげるってことよ!」

 

 

 

_______________________________________

 

 

 

なんでも昨日突然思いついたらしい。にしてもなんで私なんだろう

 

「わたしはねナオトに幸せになって欲しいの。だけどさ、わたしはもうあの関係で終わりだからね〜ナオトにはもっと刺激的な人生を送ってほしいの!」

 

「は、はぁ。でもなんでそんなのを私にやらせるんだ?」

 

「だって好きなんでしょ?ナオトのこと」

 

「そ、そうですけど…」

 

「なら疑う余地はないわ!」

 

「だけど具体的には何するんだ?」

 

「………………」

 

「ノープランかよ!嘘だろほんとかよ…ちょっとは使えると思ったんだけど…」

 

「人を物として見るのはどうなのかしら?」

 

「ノープランで提案してきたあんたが言えたことじゃないけどな」

その時

 

『おはよう!有咲!』

突然後ろからの衝撃に襲われた

 

「なんだよ!かす…っ!?」

振り返るとそこには猫耳に似た髪ではなく、平坦な黒髪で

 

「ははは!!相変わらず反応がいいねぇ有咲は!」

あの時とは少し違い、いじらしく笑っている直人がいた

 

パトリシアの話があったせいか、今までしまっていた直人への思いが大きくなっていた

 

「ばっ…な、なにしてんだお前!」

自分が感じられる程顔が熱くなっていた

 

「言ってたでしょ?朝見つけたら香澄の真似するって」

 

「あら、わたしがいない時にそんなこと約束してたの?」

 

「まぁこの声持ってるしな。有咲だけだからこんなことするの」

そんなことで特別になんてなりたくねぇよ……でもそっちからくっついてくれるんだよな…?

 

少し顔を下げて考えて、また顔を上げると昨日みたいにまた直人とパトリシアが腕を組んでいた

 

「あんたら…よく人前で堂々とできるな。それ」

 

「もう無意識でやってるだろパト」

 

「そうねぇ。やっぱりここが落ち着くわ」

 

「さすがにやめて欲しいんだけどな。ここ日本だし」

 

「日本じゃなくてもやめとけよ…」

だけど…パトリシアのことを嫉妬している私がいた

 

 

 

 

 

 

やがて、羽丘と花咲川で別れる所まで来た

 

「じゃあね!ナオト、アリサ!」

 

「おう、いってらっしゃい」

直人は手を振り、見送っていた

 

 

「それじゃあ俺たちも行くか。有咲」

 

「おう、そうだな」

 

「それにしてもさっきからずっと妬ましそうに見てたけど腕組みたいのか?」

お前、さらっと心読むなよ!

 

「別に!そんなわけないだろ!恋人じゃあるまいし」

 

「それにしても有咲ってほんと嘘つくの苦手だよな。バレバレだぞ」

なんだ?お前若干おたえっぽいな

 

「そりゃいつもして欲しいことと真逆のことは強く言うし、素直な時は消えそうな声で言うし」

やべーな。普通に嘘が効かないおたえタイプだったそういえば

 

「だから。今有咲がして欲しいのはこれだよね〜」

すると少し隙間の空いていた右腕を引き寄せられ、直人の左腕が絡められて………って

 

 

ええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!???

 

 

 

その後は学校に着くまでずっと口を聞かずに顔を赤くして俯いていたそうだ。後で直人に聞いた話だ

 

 

さすがに生徒が見えるようになってくると腕を組むのは終わった。その時に今まであった左腕の感覚が無くなるとなんとも言えない喪失感を感じてしまった。あぁ…もうほんとに私は直人に恋をしてるんだ……

 

 

 

だけど私が好きになるってことはやっぱり直人はモテる存在だと言っていい。現におたえとイヴ。逆に気づかない方がおかしいと思うレベルだ。それに沙綾も多分気になっているだろう。ちょくちょく直人のことを表情を柔らかくして眺めている。そして香澄。あいつはほとんど気にしてないと言ってもいいかもしれない。だけど、直人のことが気になりだしたら直人の思いを私に向けることはもっと難しくなるだろう。うさんくさいけどパトリシアを頼ることになると思う。そうでもしても私は直人を手に入れたい

 

 

 

 

 




やっぱり難しいねんな…なんとか年明けまでにあと2話ほど出したいと思っています


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彼女に続く思い

年明けまでに上げられなくてすみません。

あけましておめでとうございます。昨年から始まりましたこの小説もはや半年。かなりペースは落ちてますがこれからもよろしくお願いします。

新たにお気に入り追加して頂いてありがとうございます!!





俺が日本に来て1番の思い出というのはおそらく真っ先にあの2人との関係を述べるだろう。市ヶ谷有咲と花園たえだ。正直に言うとその2人以外まともに覚えていないんだがな。あと、その2人を会わせたこともない。まぁ高校で出会ったからいいんだが。

 

こう長ったらしく言う必要があったかはわからないが要するに俺にとって市ヶ谷有咲と花園たえが特別な存在であることだ。その中で今は在りし日の俺と市ヶ谷有咲の話をしよう。

 

 

 

 

_______________________________________

 

 

 

 

 

「はぁ?ピアノのレッスンについて行きたい?」

俺は知り合った約1年後、いつものように放課後に流星堂を訪れた際にピアノのレッスンを見てみたいと有咲に話した。

この頃には既に自分は音楽で、演奏家として父の後に続こうと幼いというには歳をとっていたが、そう決心していた。そう思っていたから音楽には人一倍プライドを持っている気でいた。まだ自分に音楽がないことも知らずに。

 

「うん!有咲のピアノ。見てみたいから」

 

「そんなのプロの演奏をネットで見りゃいいじゃねえか」

 

「うーん…それでも俺は有咲のピアノがいいかな」

 

「…ま、見学ぐらいなら別にいいけど…」

特徴的な金髪の先っぽをいじりながらそう答えた。その仕草が照れ隠しに似た気持ちであることは知っている。

 

「ほら、もう時間だからいくぞ。直人」

自然に手を繋いで俺たちはレッスンに向かった。

 

 

 

 

有咲について行き、有咲が説明をすると先生であろう人ににこやかな顔で中に案内された

 

「君はピアノに興味があるの?それとも有咲ちゃんに興味があるの?」

 

「両方です。ピアノは純粋にやってみたいです。有咲はすごく仲のいい友達なのでもっと知りたいっていう気持ちです」

 

「うんうん、顔もいいし有咲ちゃんとお似合いだよ。あ、それとももう彼氏さんなのかな?」

そう笑いながらその人は言った

 

「有咲の彼氏……」

 

「どうだい?そのまま結婚かい?いいねぇ夢が広がるねぇ」

大きな笑い声を上げている

 

想像したこともなかった。有咲の彼氏であったとしたら、どうなんだろう。そのまま結婚したら?そのくらいの妄想力ならある。しかし考えたところで特段新しい生活は浮かんでこなかった。つまりもうそんな生活をしているということだろうか。

少し有咲の方を見てみると顔は見えないものの耳が真っ赤になっていた。少し想像でもしたのだろうか。

 

その後ピアノをやらせてもらう場面もあったが、全く才能がないようで、有咲に笑われてしまった

 

 

帰り道、有咲に聞かれたことを聞いてみた

 

「もしさ、俺たちが結婚することになったらどうなるんだろうな」

 

「はぁ!?お前と結婚!?……お前はどう思うんだよ」

 

「うーん…別に今とそこまで変わらないんじゃないか?俺は別にいいと思うよ。子供とかいても良さそうだね」

この時、俺はそこまで本気で言ったわけじゃなかった

 

「こ、子供!?早すぎるっつーか、それでもやっぱり結婚してすぐはふたりっきりでイチャイチャしてたいとか………」

 

とんでもない早口で有咲が話…いや独り言をしている。もし結婚してもこんなふうな時があるのかもしれない。そう思うとしてる訳でもないのに愛おしくなってきた。そして行きの時のように手を繋いだ

 

「うん、有咲としても絶対後悔しないと思うよ。俺は」

 

「え!?お前ほんとに私として後悔しないのか!?」

 

「だからそう言ってるじゃん」

そう笑って帰ったのだが、なぜかその後少し有咲が顔を赤くしながら密着してきたのはなんでだろうか

 

 

 

 

 

 

 

もう一つ話そう。これも会ってから結構経ってからの話だ。

放課後、いつものように三紀の店でコーヒーを飲んでいた

 

「今日は有咲さんとじゃなくていいのかい?」

 

「今日は学校のやつといるんだとよ。まぁ俺の入るところじゃないだろズゾゾ」

 

「それは男の子?」

 

「男だって言ってたな。まぁ有咲に友達ができるなら嬉しいな」

それは皮肉でもなんでもない彼女に対する純粋な思いだ

 

「でも有咲さん、直人じゃなくて大丈夫かなぁ…」

 

「どういう意味?全く分からいな。あ、カステラひとつ」

 

「うーん…よくはわからないけど有咲さんはやっぱり直人が今のところいいと思うんだよね。はい、カステラね」

 

「今のところだろ?そっちがいいならそっちがいいだろ。相変わらず美味しいな」

そんな感じでその日も俺は心屋を後にした

 

 

 

 

その日、なんと有咲は告白を受けたという。しかもその相手はここらじゃ名の知れたところの息子らしい。常日頃の生活で猫を被っている有咲はそいつの押しに負けて承諾したそうだ。夜にそう電話をしてきた。別に俺は有咲が幸せならそれでいいと思った。数少ない友達だから……

 

 

だけど俺も有咲もまだ子供だったんだろう。その日から朝に有咲と登校できなくなった。その息子が家の前で待っているのだそうだ。別にそれは付き合ってるなら当然なのかもしれない。だけど習慣を崩された人は不機嫌になるのはこれまた当然なのだ。有咲も不満があるとしょっちゅう電話をしてきた。

 

 

やがて有咲がそいつと別れようときりだした。理由は自分の好きなように出来ないからと。この時はまた有咲に会えると喜んだものだ。

 

「にしても、本当に良かったのか?別れて」

 

「当たり前だろ、私はあいつのこと好きじゃないし。今回付き合ったおかげではっきりしちまったからな」

 

「何がはっきりしたんだ?」

 

「別に、お前には分からないと思うな」

 

「なんだよそれ。世界の心理でも見つけたのかよ」

 

「私の真理を見つけたんだよ。そしていつかお前にわからせてやる」

そして、またいつものように登校する日が始まるようになった。

 

 

 

 

_______________________________________

 

 

 

 

平日の大体は有咲と過ごしていた。有咲が受験するとなった後は少し会わない日も続いたけれど、それでもたまに有咲が家に誘ってくれることもあった。その時は今までとは違ってかなり距離が近かったように思った。もしかしたらもうあの日々から有咲は俺が好きだったのかもしれない。今考えればそういう行動が最後は多くなっていたし。そしていなくなった間もずっと想い続けていたんだろう。それはそれで嬉しい。だけどここからが問題だ。

 

 

今日俺は市ケ谷有咲に告白された。嬉しい。その感情に嘘はない。だけど恋愛をしたことがないからわからない。俺は有咲と付き合ってもいいのかと。彼女の気持ちに答えることができるのだろうか

 

 

 




完結するまで長い目でよろしくお願いいたします


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迷いと覚悟

年末年始にかけて風邪をひいて死にかけてました。はい。


ここからまた頑張ります





有咲と腕を組んで登校したあとのこと。いつも通りに過ごす。しかし、昼休みに紗夜先輩に呼び出された

 

「すみません、また呼び出してしまって」

 

「いえ、構いませんよ。それで何かあるんですか?」

 

「そうですね、ですがその前に言いたいことがあります」

 

「?なんでしょうか?」

 

「はい、あなたと市ケ谷さんとの関係についてです」

有咲との?あぁ…朝のことか

 

「今朝登校している日菜から連絡がありました。しかも画像付きで。まぁその顔ならわかっているでしょうが。別に私は小原さんと市ケ谷さんの邪魔をしているわけではありませんが、少しはTPOをわきまえた行動をですね。別に誰にも見られない状況ならどんなことをしてもらっても私は構わないんですが、やはり学生であることを忘れずにお付き合いしてもらいたいんです」

 

「はい、すみません。自分も少しはしゃぎすぎました。あと、勘違いしてるみたいなので言わせてもらいますけど俺と有咲は付き合ってませんよ」

 

「え…?」

紗夜先輩が驚愕、信じられないという表情をしている。周りからそんな風に見えてたのかな?

 

「じゃあ、あれはなんだったんですか?」

 

「あー、ただの遊びですよ。有咲には悪いかもしれませんが」

 

「はぁ…まさかあなたがそんな人だとは思いませんでした。ですが基本誠実な人ですからねあなたは。私だって信頼しています。本当にお付き合いしていないんでしょうね。では最後に、もし市ケ谷さんがあなたを本気で想っているとしたら、あなたはどうされるんですか?」

 

「有咲に?どうって……」

 

「……すみません、私が聞くことじゃありませんでしたね。それでここからが本題なんですが、予定表によると今日は空いているそうですね」

 

「はい、空いてますよ。もしかしなくても練習ですか?」

 

「ええ、それで大丈夫ですか?できるなら放課後すぐにでも始めたいのですが」

 

「はい大丈夫ですよ。では放課後ですか?」

 

「放課後校門のあたりでお待ちしてます」

 

「いえ、自分の方が先に待ってますよ。それでは」

軽く会釈して紗夜先輩と別れた。

 

有咲から想われていたら。それは俺に恋をしているということで間違いないだろう。それは嬉しい。こんな俺でも好きなのなら。だけどもし、もしだ。本当に俺が好きなのなら俺はその気持ちに答えられるのだろうか。ただ友達としか見ていない俺にその資格が有るのだろうか。俺にはわからない

 

 

 

 

そんなこんなで放課後まで過ごしていた。帰りのHRも終わり席を立った

 

「どーん!!」

突然後ろからの衝撃に襲われた

 

「なんだなんだ香澄」

 

「今日さ、有咲の蔵で練習なんだけど、一緒にどうかな?」

 

「すまん、今日は先約があってな。またの機会によろしくな」

 

「ええ!?今日教えてもらおうと思ったのに〜」

 

「今はおたえがいるだろ。そっちに教えてもらえ「呼んだ?」」

 

「「うわぁ!?」」

 

「二人とも驚きすぎ。それでなお、今日一緒に蔵練しない?」

 

「今日は無理だってさっき言ってただろ。またいつかな」

 

「あ、そっか。今日紗夜先輩と練習だって言ってたね」

 

「なっ…」

 

「ええええ!?紗夜先輩と!?やっぱりすごいなぁ直人君は。だってあの紗夜先輩とだよ!」

 

「そんな大きい声を出すな、先に行くぞもう」

 

「あ、待ってよー」

結局俺は紗夜先輩を。ポピパのA組は有咲を校門で待つことになった

 

「小原さん」

呼ばれる声がした方を向くと紗夜先輩がギターケースを背負って立っていた

 

「すみません、待たせてしまって」

 

「いえ、男が待たせてるのってあれですから」

 

「そうですか、それでは参りましょうか」

 

 

 

 

 

 

所は蔵。今日もポピパのメンバーはそこの地下で練習だ。

 

 

「1回休憩にしよっか!」

香澄が声をかける。かれこれ1時間以上はやった。すぐさま袋を開けてパンにかぶりつく

 

「香澄、ちゃんと水も飲まなきゃだめだよ。はい、麦茶」

 

「ありがとう!沙綾!」

 

「チョココロネ♪」

 

「有咲も食べる?何がいい?私はメロンパン!」

 

「私は…なにが余ってる?沙綾」

 

「もう一個メロンパンあるよ。それにする?」

 

「じゃあ私それで」

こんな感じでお茶しながら全員でパンを食べる。前の私からは想像出来なかったし、めんどい…けどやっぱり楽しいんだよなこの時が

 

「あ、それでさ有咲。紗夜先輩となおが話してる時に聞いたんだけど…」

 

「なんだ?それ私限定?」

 

「うん、今日なおと腕を組んで登校してたんだってね」

 

まさかの爆弾がおたえに投下されちまった!?やべぇよぜってーやべぇよ!こいつらなにしてくるかわからな………

 

「あはは!有咲、顔真っ赤だよ?」

 

「有咲ちゃん、直人くんのこと好きなの?」

 

「ええ!?有咲、直人君のこと好きなの!?応援するよ!」

 

「いや別に私は1回も直人のことが好きだなんて言ってねぇぞ!!」

 

「有咲、私負けないから」

 

「いや別にお前が直人をどうしよう……ってぜってーお前には渡さねぇ!!………あ」

 

「有咲ちゃん、もう認めちゃったね」

あぁ……おたえごときにはめられちまった……

 

「なんだか落ち込んでるみたい」

 

「お前の性だよおたえ。まさかお前に引っ掛けられるとは思ってなかったよ」

 

「有咲、それって褒めてるの?」

 

「褒めてる褒めてる…ってもうなんだこれ」

 

「とりあえず有咲は直人が好きってことでいいね」

 

「それじゃあ皆で有咲のこと応援しようよ!直人君と有咲、お似合いだし!」

 

「はぁ!?勝手に応援されても困るし第一お前が応援したら絶対取り返しつかないことになるからやめろ」

 

「まあまあ私も応援するし、香澄だけじゃさすがに私も心配だからね」

 

「なぁ…これって逃げられないのか?もう今すぐ逃げ出したいんだけど」

 

「逃げたら本当に私がなおのこともらうから」

 

「だぁああもうわかったよ!お前ら後々で直人欲しくなっても絶対やらないからな!お前らの性で直人もらわなきゃいけなくなったんだからな!」

 

「それじゃあ!今すぐ直人君の家にレッツゴー!」

 

「馬鹿野郎!今はあいつの家には紗夜先輩がいるだろ!」

 

「じゃあいつ有咲は直人君に告白するの?」

 

「なんでもう今に告白するんだよ!?今日やったって仕方ないだろ!後、あいつの気持ちも知らないし」

 

「直人の気持ち?」

 

「別に、あいつが私のことが好きとは限らないし…」

 

「でも直人くんならその時はその時の返事をしてくれるはずだよ?それか確実にしたいならこれから私たちが協力して有咲ちゃんに注目するようにすることをしたり」

 

「それだよりみりん!」

 

「ええ!?なにが?」

 

「私たちが有咲の告白が成功するようにお手伝いしようよ!」

 

「いや今さっきまでそのこと言ってただろ」

 

「あれ?そうだっけ?とにかく、有咲の恋が成功するように頑張ろー!」

 

「おー」

 

「別に答えなくていい!!」

 

 

 

はぁ…めんどくさいことになっちまったな。だけど思わぬ形でポピパの脅威はなくなった。覚悟しておけよ直人

 

 

 

 




頑張って1週間以内に投稿します。あぁ7thライブの抽選発表が…緊張してきた……


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敵機直上、急降下

※お読みのssはバンドリで間違いありません


後半はかなり悩みながら書いておりました。おそらく1番長くなりました。でも4000までしかいかねぇ……

あと、ちょくちょくお気に入りの人数が増えてるのにとても嬉しいです…!ひっそりとやりたいようなもっと人気を取りたいような…そんなことはあまり考えずに頑張ります







 

 

「やっぱり紗夜先輩は1人で練習した方がいいと思いますよ」

 

場所は自宅の地下室。紗夜先輩が練習しているフレーズをジャカジャカ弾きながらそう質問した

 

「私が練習しているフレーズをいとも簡単に弾いてる時点で気付いて欲しいですね。そういうところですよ」

 

「別にこれは俺がこれをずっと練習していたからであって紗夜先輩と差がつくのは当然かと。それよりも自分にあった練習をした方がいいかと」

 

「その練習がこれなんですけどね…すみません、ここの動かし方がよくわからないのですが」

 

「あぁそこですか。そこはここをこっちにして…こう!ですね」

 

「ほとんど言葉に出来てないじゃないですか。うちの日菜と同じみたいですね」

 

「体では理解出来てるんですけどね…そこら辺はやっぱり動きが重要なのでフィーリングかと」

 

「まぁそうなってしまうのも仕方ないかもしれませんね。それでもう時間もいい頃なのではありませんか?」

時計を見ると19時の5分前、ざっと3時間はノンストップだった。

 

「たしかにそうですね。さすがに遅すぎると俺が日菜先輩に怒られちゃいますかね」

 

「一応言ってはあるのでそこまで怒らないと思いますけど…もしかしたらここに来るかもしれませんね」

立ち上がって片付けを始めようとした瞬間

 

「おねーーちゃーーーん!!」

これが双子か。なるほど過激だ

 

「日菜!?なんでここに!?」

 

「おねーちゃんが直人くんちで練習してるっておたえちゃんに聞いたんだ〜。それでもう練習は終わり?」

 

「今さっき終わったところよ」

 

「ええ〜少し遅かったか〜」

 

「紗夜先輩、今後日菜先輩と予定が合えばうちで練習しませんか?その方が自分はいいと思うんですが」

 

「いいね!るんっ♪てするよ!ね!おねーちゃんもいいでしょ?!」

 

「……私もいいと思うわ。一緒にやりましょう、日菜」

 

「やったー!」

 

「すみません、人が増えてしまって」

 

「自分から提案したんですしそこら辺は大丈夫ですよ。スペースについては余りに余ってるんで」

 

「それで次に3日後にやりたいんですが」

 

「私その日空いてるよー!」

 

「はい、バイトもないですから大丈夫ですよ」

 

「すみません他にも戸山さんも花園さんも今日練習したかったらしいのに断らせてしまって」

 

「聞いてたんですか?」

 

「戸山さんは声が大きいですからね、それで大丈夫なんですか?」

 

「まぁいつかはそちらにも付き合うようにはしますよ。頼ってくれるのに悪い気はしませんから」

 

「そうですか。それでは私たちはここで失礼します」

 

「送っていきますよ」

 

「…よろしくお願いします。私と日菜がなにかあったらあなたは後悔してしまいそうですから。すみませんなにからなにまで」

 

「それじゃあレッツゴー!」

 

「…今度なにか菓子折りを持ってきます…」

 

「ならこっちはいい紅茶でも用意しておきますよ」

俺は携帯と足元にずっと居た軍曹をかかえ、上着を羽織り外に出た

 

 

「最近は少し寒くなってきたわね。日菜は薄着だけど寒くないの?」

 

「全然大丈夫だよ!おねーちゃんの方こそ寒くない?」

 

「上着、貸しましょうか?」

 

「いえ、別に大丈夫です。心配されるようなことではありません」

 

「そうですか、まぁ湯たんぽ代わりにこいつでも持っててください。あったかいですよ」

軍曹を掴みあげ紗夜先輩に渡した。当然人に慣れている猫なので暴れることはない

 

「かわいい…」

紗夜先輩が頭を撫でると可愛らしい声で軍曹が鳴く。もう媚びにはなれた

 

「ねぇねぇ直人くん!これうちで飼ってもいい!?」

 

「ダメに決まってるでしょう日菜。触りたいなら小原さんの家でやりなさい」

……あれ?当たり前のようだけど姉直々にうちへのフリーパスが発行されたぞ?

 

「じゃあ直人くん!あたし、明日直人くんち行くからよろしくね!」

 

「いや明日自分バイトなんですけど…まぁミハさんいるからいいか…」

 

「くれぐれも迷惑をかけてはいけませんよ。日菜」

 

「わかったよおねーちゃん。あ、もう家ついたよ!」

ごくごく普通の一軒家。うちには及ばないが立派な家だ

 

「それじゃあね!直人くん!」

 

「今日はありがとうございました、また学校で」

 

「こちらこそありがとうございました。また待ってますね」

扉が閉じるまでそこに立ち続け、そのあとは軍曹を抱えながら来た道を帰ることにした

 

 

 

 

 

 

帰り道、都電早稲田駅の前を通った際に車内から香澄、おたえ、りみから手を振られた。となると駅にはおそらく有咲と沙綾がいるんだろうと思ったらそちらが気づいてくれた

 

「お前家そっちじゃないだろ。何してたんだ?」

 

「氷川姉妹を送ってた。日菜先輩が突然来てな、それで家まで」

 

「日菜さんまで来てたのかよ…お前ん家賑やかになりそうだな」

 

「香澄におたえ呼んだら直人の家はもうお祭り状態だね。その時のケータリングはよろしく」

 

「そのうち蔵に全員閉じ込めてやるからな。覚悟しとけよ」

 

「あはは、その時は直人も一緒に閉じ込めて上げるから」

 

「沙綾、それじゃあもう誰も出られねぇから。私あんな所で死にたくないんだけど」

そんな風に他愛のない話をしながら沙綾の家まで付いて言った

 

「有咲、それに直人、今日はありがとう。それじゃあまた明日ね」

 

「おう、また明日な」

 

「まぁまた昼休みに」

 

その後はもう行きなれた有咲の家へ向かった。その道中、突然有咲が言い出した

 

「なぁお前、誰か好きなやついるのか?」

好きなやつ?あぁ…なら

 

「まぁいるな」

 

「まじか!?それ本当か!?」

 

「うん、人じゃないけど」

 

「どんなやつなんだ…って人じゃない?」

 

「ほら、これ」

ずっと腕に抱えていた軍曹を有咲に渡した

 

「……は?」

 

「好きなやつ。これくらいしかないけど」

 

「あっそ!じゃあ私これ持って帰るから」

 

「いやいやいや待って待って!」

ほら軍曹も暴れちゃって…ないやん。ちゃっかり有咲の体にしがみついちゃってます。うーんこれはけしからん!というわけで奪取だ

 

「ごめんごめん。結局の意味は好きな人がいるかということだろ?しかも恋愛的な意味で」

奪い返した後、有咲の質問の意味を問うてみた

 

「ま、まぁそんな感じ。それで誰かいるのか?」

誰か…と言われてもわからない。パトリシアは絶対ありえない。もうあれは違う。学校だと…最近絡みが多いのはポピパとイヴ、後は氷川姉妹だろう。やっぱり誰もそういう気で見ていないのが事実だ

 

「すまん、そもそも俺には恋愛がなんなのかすら分からないらしいな。ほとんどパトリシアに破壊されてしまったからな」

物心がついた頃からあいつはいたんだ。幼なじみとして…幼なじみ…?なにか、どこか引っかかる。まぁ今はどうでもいいか。とにかく犬も歩けば棒に当たると言うがあいつは歩けばナンパに合う。これは日常。そんなやつが俺のくっつき虫だったんだからまぁ関係のとり方がわからないのは必然なのかもしれない

 

「……なぁ直人」

若干俯きがちに有咲が話した

 

「それを知りたいと思うのか?お前は」

知りたいか知りたくないかで言えばおそらくたいていの人はとりあえず知った方がいいと言うだろう。かの有名な小説では全くの反対なのだが

 

「知りたい知りたくないで言うなら多分知りたいんだろうな。単純な知的好奇心かもしれんし興味があるのかもしれないな。はたまた人間味が欲しいのか」

 

「…なんだかめんどくせぇけど結局は知りたいってことでいいのか?」

 

「多分そうなるな。まぁかなり苦労しそうだけどな」

 

「ふーん…ま、頑張れよ」

 

「わざわざ聞いておいてしょっぺぇーな反応が。まぁいいけど」

そんなこんなで有咲の家の前まで来た

 

 

 

 

 

 

「わざわざすまねぇな。ま、お前には当たり前かもしれねぇけどな」

 

「たしかに当たり前だったな。もうそろそろ遅いからな。それじゃあまた明日な」

俺はその時なにもなく帰ろうとした。だけどそれを有咲が止めたんだ

 

「なぁ直人、お前、さっき知りたいって言ったよな」

有咲が俺の服を掴んで俯きながら聞いてきた

 

「あぁ、それがどうしたんだ?」

全くこの時は知らなかったんだ。有咲の、彼女のその気持ちについて

 

「じ、じゃあさ。今誰かのそれを知る気はない…か?」

上ずり消えてしまいそうな声でそう言った

 

「なんだい?誰かの告白でも掴んでるのか?それを覗き見ってのはいかがなもんかと思うんだが」

 

「だぁああ!もういいよ!こっち向け直人!」

 

「なんだなんだそう怒って……」

その言葉に従って向いたが最後だったのかもしれない

 

「んっ……」

最初は理解出来なかった。いや、したくなかったのかもしれない。とにかく遅れてわかったことは有咲が首に腕を回して口づけをしてきた。そのことだった

 

 

 

その時間は10秒あるかないかだろうが、かなり長い時間だと感じていた

 

「そ、それじゃあな!」

顔を真っ赤にしながら有咲は門をくぐり脱兎のごとく逃げてしまった

 

「なぁ、軍曹。俺、どうすればいいんだ?」

 

「にゃ(知るか、自分でなんとかしろ。とにかく寒いから抱えてくれ。帰りたい)」

 

「全く冷たいねぇ、体はあったかいのにさぁ」

 

「にゃー(余計なお世話だ。それよりお前は自分のことを考えておけ。明日会うんだろう?)」

 

「自分のことねぇ。うーん……」

有咲、彼女は全力で今の自分自身の気持ちに精一杯応えたのだろう。その気持ちは俺への恋。恋愛感情。それを俺は唇経由で受け取ったんだろう。だからこそ俺はしっかりと考えなきゃいけない。あれはもう告白と同意義と取って問題ないだろう。有咲への答えを出さなきゃならない。だけどわからない。恋とはなにか。恋愛感情。そのいろはを知らないうちに答えを出さないといけない。それは俺の心に明らかな乱れを生んでいた

 

 

 

 

 

 

『もしもし、有咲』

 

『おう、なんだ沙綾』

あの事以来顔は熱を持ち、心臓が強く脈打っている

 

『……どうだった?唇の味っていうのは』

 

『なっ……見てたのかよ沙綾!?』

 

『いやぁなんだか気になっちゃってね、今日のことがあったしさ…あ、絶対他のみんなには言わないよ。ごめんね、覗いちゃって。それじゃあおやすみ』

 

『ツーツー』

 

余計に心臓がきゅうと締めあげられる感覚がする。見られていたという恥ずかしさでベッドに飛び込んだ。そうしてなにも見ないでいるとさっきのことを思い出してしまう。私が好きな人、直人に勢いに任せたとはいえ確実に自分の意思でキスをした。そしてその行為を振り返るだけでどうしようもなくてあいつが離れなくて妙に力が入り息が荒くなっていた

 

 

 

 

 






結構疲れました…ここからまた動かしていかなきゃ…


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二つの疼き

割と難産でしたが割と山を越えた気でいます。あと、お気に入り50件ありがとうございます!俄然やる気が出ました!これからもよろしくお願いします





「ただいま」

 

答えは出なかった。別に有咲のことが嫌いというわけではない。ただ、ただ友達としての好きを歩んできた。俺は有咲との関係を壊したくない。だから壊さないためにそれを受け入れる。それじゃあ受け身でしかない。そんな自問自答を繰り返していた

 

「おかえり、ナオト。Reis とSchnitzel あっためるわね」

パトリシアがエプロンを付けてKitchen に立っている。それだけで本当に絵になる。多分写真集とか出したらすごいことになりそうだなぁ。

 

「それで、なんだか浮かない顔してるけど何かあった?」

女の勘というやつだろうか。ここら辺は本当に強いのがパトリシアである。勘ぐられたくない問題だから。特に何も、軍曹のおもちゃのこと考えてた。と素っ気なく返した

 

「ふーん、それでそれはアリサのこと?」

 

絶対に体には出さなかったが体の中が硬直したのがわかった。でも声色で完全な当てずっぽうで今の発言をしたんだ。パトリシアはどうして的確にアリサをだしたんだ?

 

「ふふっ、どうやら当たったみたいね。適当に言ってみたんだけれど。それでどうしたの?」

これが幼なじみ。嫌という程実感させられる

 

「ちょっと有咲との間でいざこざがあっただけだ。そのうち直る」

 

「そうなのね。わかったわ。それじゃあ食べましょうか」

その後はテレビを付けてところどころ笑いながらご飯を食べた。あぁ、ずっとこうならいいのに……

 

 

 

『もしもし、アリサ?ごめんなさい。こんな遅くに電話してしまって』

 

『…っあ、いや、別に大丈夫だぞ。それで何の用だ?』

 

『それじゃあ単刀直入に聞くわね。今日ナオトと何があったの?いや、何をしたの?』

 

『い、いや別に特に大事でもないぞ。気にすることじゃ…』

 

『わたしをなめないでちょうだい。その程度の嘘見抜けないと思って?はっきり言ってもらえれば直人との関係をさらによくできるわよ?』

 

『なあ、1つ質問してもいいか』

 

『ええ、なにかしら』

 

『お前は直人のなんなんだ。どうしてそこまで直人に執着する』

 

『……今は答えられないわ。いつかわかる日が来るわ。わたし…いえ皆が直人のことをどうして大事にする理由がね……さて、質問には答えたわ。本題に戻りましょう』

 

『ほんとに言わなきゃダメか?これ。すっごい恥ずかしいんだけど…周りに誰もいないよな?』

 

『ええ、わたしの部屋だもの。そこは保証するわ。外にも誰もいないみたい。確認したわ』

 

『じ、じゃあ言うぞ。わ、笑うなよ?』

 

『…すぅー…』

 

『な、直人と…き、キスした…』

 

『え……ガタッ』

思わず手から携帯を落としてしまった。そりゃそんなこと言われたらどうしようもないでしょう?

 

『ごめんなさい、落としてしまって。それでその後は?』

 

『あくまで冷静なんだなお前……私が逃げちまってその後は何も…』

 

『あらあら、アリサも直人もチキンなのね。それで、あなたはどうしたいの?そのキスを取り消したいの?』

 

『そんなことはない!あれは私の嘘偽りのない気持ちだ!』

 

『うーん、これはどう足掻いても最終的に直人が決める問題ね。すまないけれどわたしも確約は出来ないわ。だけどある程度誘導まではできるわ』

 

『……いや、それはいらない』

 

『あら?どういう風の吹き回しかしら?』

 

『元々、お前がいなけりゃ私がやらなきゃならねーことだったんだ。だからいらないって言ったんだ』

 

『うふふ、そう来なくっちゃね。わかったわ。あとはアリサに任せるわ。ナオトのことよろしくね』

 

『なぁ、あともう1つ質問いいか?』

 

『ええ、もちろんよ』

 

『お前、なんで私に直人のこと任せてんだ?』

 

『うーん……女の勘?』

 

『なんだそれ』

 

『人間の行動なんてそんなものでしょ。決して論理的とは言えない行動をしたアリサならわかるでしょう?』

 

 

 

 

 

朝起きる。隣には丸くなった軍曹がいる。時は晩秋。冬の訪れがひしひしと感じられる朝だ。布団に入ったまま撫でてやる。腕にしがみついた。やだ最高。もうこのまま一緒に休んでたいわ……

 

 

朝は憂鬱だ。といっても俺は普段からそんな感じではない。朝は好きな方だ。だが今は別だ。これから会うかもしれないとなると少し気が沈んでしまう。別に嫌いという訳では無い。言ってしまえば好きな方で周りから見れば勝ち組といったところだろう。しかしなにかがそれを止めていて何故か付き合おうとする気が起きない。それについて隠しながらパトリシアに聞こうと思ったんだが今日は早く出るという。なにか日直でもあるのだろうか。よくわからない。思い悩みながら歩いているとふとした匂いに釣られるもので、いつの間にかやまぶきベーカリーにたどり着いた

 

 

「あ、お、おはよう。直人」

 

「おはよう沙綾。少し慌ててるみたいだけど今買っても大丈夫かな」

 

「う、うん。あ、でも少し早い方が嬉しいかな。私も学校行かなきゃだし」

 

「おう、じゃあこれで」

メロンパンをさっと1つ選んで持っていった

 

 

「待たせてごめんね。それじゃあ行こっか」

購入した際、沙綾がすぐに出るから一緒に行こうと言ったので待っていた

 

「なんか浮かない顔してるけど何かあった?」

 

「なんか…ね。詳しくは言えないけどあったよ。そのせいでこのザマさ」

 

「根掘り葉掘り聞かないけど心配させないでよ?」

 

「まぁいつかは治るさ。気長に待ってくれや」

 

「その時はうちのパンたくさん買ってよね」

 

「おいおい、プレゼントじゃないのかよ。ケチだなー」

 

「うちだって商売だからねー。そこら辺は譲れないよ」

 

「知ってるよ。在庫なくしてやんよ」

 

「あはは、なにその口調。似合ってないよ」

 

「めんどくさそうな口調が1番あってるか?」

 

「そうかもね。やっぱりどこかめんどくさそーにしてる直人が1番あってるよ」

 

「どうも。沙綾もパン屋似合ってるよ」

 

「それ褒め言葉?」

さぁ?どうだろうか。でも今はパン屋じゃない沙綾とか想像出来ないな

 

 

 

 

 

 

今日は正直誰にも会いたくはなかった。買ってあったメロンパンを持ってあの昼寝とゆり先輩に出会ったあのスペースに向かった。体育座りをしながら袋を開けて俯いて小さくメロンパンを食べた。いや、決して陽キャとも言わないが別にド陰キャってわけじゃない。ただそういう気分なだけだ

 

かなり長い時間をかけてたった一つのメロンパンを食べていた

 

「モキュモキュモキュモキュ」

 

『なにしけた顔してるんじゃ』

誰もいないと思っていたのに…驚いて顔を上げると悪魔のような姿をしたぬいぐるみが揺れていた

 

「デベコ、触ってもいいぞ!」

なるほどこいつはデベコというらしい

デベコとやらを受け取った。なるほど触り心地はかなりいい。まぁ軍曹には及ばないがな。それでも軍曹にはない柔らかさがある。あぁいいなこれ。

 

「それで、君は何に悩んでるの?あ、ごめんね。私の名前は鵜沢リィ。君は?」

 

「小原 直人です。最近転入したばかりです」

 

「あー!あのリレーのアンカー!いやぁあれはすごかったよ」

 

「楽しんでもらえたなら嬉しいです。それで何か用ですか?」

 

「そうそう、なにかに悩んでるの?『相談に乗るぞ』」

デベコを顔の前に持っていき、声を変えて話してきた

 

「悩み…ですか。悩みといえば悩みでしょうね。聞いていただけますか?」

 

『もちろん。ほれ、言ってみるんじゃ』

 

「実は今、告白みたいなのを受けたんです。プライバシー的なもので名前までは言えませんけど」

 

「あれ、結構深刻な問題だね」

 

「はい、深刻な問題です。それで……」

 

キーンコーンカーンコーン

 

「あ、もう時間ですか。すみません、最後まで言えなくて」

 

「それじゃあまた明日の昼休み、ここでね『絶対に来るんじゃ』」

 

「まじですか…」

 

「先輩に時間とってもらってるんだから当たり前だよね?」

 

「お、おっしゃる通りでございます」

 

「よろしい。それじゃまた明日ね」

 

 

 

 

 

5、6時間目今日は木曜日。クラスメイトから地獄と呼ばれる時間。めっちゃ眠くなる古典と現代社会。しかも古典の先生がすごいゆっくり話すから余計眠くなる。いつの間にか教室の八割は無事死亡。俺は最近悩みが重なって夜しか寝られないからおっけいです

 

 

 

今日はバイトがあるというのに日直。しかも余計な仕事を担任に増やされました。絶許。割とイライラしながら仕事をしていると教室のドアから誰か覗いている気がした

 

「そこにいないで入ったらどうですか?今は誰もいませんよ」

少し外の影が反応した。その後ドアのへこみに手をかけてガラガラとあける音がしたので顔を上げると……

 

「よ、よう」

 

「……有咲」

なんでだろう。うまく言葉が出せない。心臓が痛い。顔を向けられない…この感情はなに?

いつも香澄が座っている席に着く

 

「…ごめん、直人。昨日は。いきなり…その…やっちまって。自分勝手でお前の気持ちも考えないで、ほんとごめん…」

 

「な、なんで有咲が謝ってるの?べ、別に有咲は自分の…したいことをしただけだしさ…それに答えてない俺の方が、悪いよ」

 

「直人は悪くないよ。絶対に。私がお前に徹底してないだけだったから」

 

「て、徹底?な、なにそれ…」

 

「後でちゃんと言うからまってな。…すぅ…」

有咲は自分の胸を押さえてなにか落ち着こうとした

 

 

 

 

 

 

「小原 直人。私、市ヶ谷 有咲は直人のことがずっとずっと好きでした!!あの小学生の時からずっと!だから私と…付き合ってください!!」

 

 

 

有咲が耳を真っ赤にさせて手を差し出しながらお辞儀をしている。

 

正直今すぐその手を取りたい。だけどどうして?…どんどん胸が苦しくなるの?息が苦しくなるの?口が渇く。どうしようもなくて泣いてしまった

 

「な、直人…?どうして泣いてるんだ…?ごめん!やっぱり私が」

 

「そんなわけない!有咲は絶対悪くない!その気持ちは本当に嬉しいよ…だけど…わからない。なんて言えばいいかわからないくらいわからないんだとにかく…………だからさ有咲、こんな不甲斐ない男じゃなくてさ……「ふざけんな!」」

いつの間にか有咲に手を伸ばされ胸ぐらを掴まれた

 

「なんでお前の勝手な都合で変えなきゃいけないんだよ!いいか!それではいわかりました。なんて言うわけないだろ!私がそんな気持ちでいると思ったら大間違いだぞ!!私にはお前しかいないんだよ!そのくらい学年2位ならわかれよ!わからないならまたわからせてやる!!」

今度は正面から勢いよくキスされた。こんなことされて冷静で居られると思うか?心臓なんて有咲に聞こえそうなくらい強く脈打っていた

 

「…ぷはぁ…はぁ…はぁ…」

もう有咲は正気なんてないみたいだ。目は虚ろになっている。

 

やばい、気持ち的にもそうなんだがバイトの時間がやばい。有咲には本当に申し訳ないのだが

 

「あ、有咲。さすがにもうすぐ下校時刻だから。俺は担任に渡してくるからじゃあね。それに今日はバイトあるから一緒に帰れないんだ。……ほんとごめん…それじゃ…」

あぁ…なんと情けないことか……告白を受けたのに何も答えずに帰るとか…あーあ、明日からどうすればいいんだろ…

 

 

 

「な、直人…」

 

行ってしまった…私も早く帰らないと怒られる。

 

「はぁ…」

自然とため息がこぼれる。あれってフラれたのかな…私、どうすればいいんだろ。今は何も考えたくない。体に力が入らねぇ……

 

 

 

 

 

 

「………」

これじゃぁじいさんに怒られちまうなぁ…男らしくない!なんて言われて多分有咲の所に行ってこい!って言われるだろうなぁ…

 

「小原さん?すみません、小原さん?」

 

「あ、ああ紗夜先輩。なんでしょうか」

 

「なんでしょうかではないでしょう。Roseliaはこの時間に予約してあるんですが」

 

「すみません…こちらが鍵ですね」

 

「紗夜〜そこまで強く言わなくてもいいでしょ〜?はい、クッキーね。今日はチョコクッキーだよ☆」

 

「あ、ありがとうございます。あ、そういえばすみません直接言ってなかったんですけどあの時のすごく美味しかったです!」

 

「ありがとう!よろこんでくれて嬉しいよ」

 

「?今井さん?」

 

「はいはい紗夜には関係ないから安心して。それで何か気が入ってないみたいだけど…」

 

「……それは答えられません」

 

「まぁ無理には聞かないから大丈夫大丈夫。紗夜が心配しちゃうからなんとかしてよ?」

 

「べ別に私は小原さんとの練習に影響が出ないようにと」

 

「なーに紗夜〜今の話なに〜」

 

「はっ!いえ今井さんには関係ありません。ほら行きますよ」

 

「ええ気になるから話してよ〜じゃあよろしくね〜☆直人〜」

 

 

 

 

 

その後、Roseliaは時間を終え、帰って行った。バイトも終え、エプロンを片付けていると何か嫌な雰囲気が漂ってきた




皆!荒野のコトブキ飛行隊見ような!最高だぜ!


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身勝手な黒猫

テスト期間なんでまたおそくなります…


 

「おい!軍曹!どこまで行くんだよ!!」

 

極寒の土砂降りの中俺は傘もささずにバイト終わりから走り続けている。あぁこりゃ絶対風邪ひくなと思いつつ見失わないように走り続けた……

 

 

 

 

 

 

 

仕事が終わり、片付けを終わらせ外を見ると土砂降り。朝ろくに天気予報を見なかったから知らなかった。さて、どうしようかと思っていたが店の外に見慣れた黒い物体がいるのに気がついた。その体は猫にはふさわしくなく、びちょびちょに濡れていた。とりあえず中に入れて、タオルで拭く。自分の体で水を切ると話しかけてきた

 

「にゃん(助けて欲しい)」

 

はて?体を持ち上げて身体の至る所を確認するが目立った外傷や病の兆候は見られない

 

「にゃー!(馬鹿かお前は)」

 

軍曹は外に視線を向けている。なんだ?外になにかいるのか?

 

「にゃ〜ん(外で鳴いてるやつをこの前に見つけた。雨だから早く助けて欲しい)」

 

外に?捨て猫か?軍曹は基本嘘はつかない。多分本当なんだろう。明日見に行ってもいいと思うんだがその時体が冷めていたら…と思うと本当に今日やるしかないみたいだ

 

「直人くん、お疲れ様。今日は上がっていいよ。あ、軍曹ちゃん久しぶりだね」

 

「にゃん」

 

「俺を借りるぞって言ってますよ」

 

「ふふ、もう終わったから軍曹ちゃんの勝手だよ。それじゃあまた12月のライブでね」

 

「にゃー」

 

軍曹がよろしくというと踵を返してドアの方に向かっていった……あれ?俺12月のライブとか知らないんだけど!?

 

「あ、そうだ。まりなさん…」

 

「にゃん(傘を借りる暇はないぞ。急げ)」

 

「まじかよ…風邪ひいたら軍曹の責任だかんな」

 

「にゃ(勝手に言ってな)」

ふざけるなと思いつつ軍曹について行くところでもう軍曹に溺愛してるんだろうなぁと雨に打たれながら感じていた

 

 

 

 

 

『もしもし?直人くん?』

走ってる途中、日菜先輩から電話がかかってきた

 

「日菜先輩?今すみませんかなり電話がきつい状態で」

 

『すぐ終わるから。それで明日は軍曹ちゃんに会いに行けないから明後日におねーちゃんと一緒に練習だよ!』

 

「わかってますよ日菜先輩」

 

『あと軍曹ちゃん突然いなくなっちゃったんだけど知らない?』

 

「軍曹ならこっちにいますよ。すみません遊びに来てくれたのに」

 

『うんうん全然大丈夫だよ。それじゃあまたね』

 

目線だけで用事は終わったか?と言ってくる。終わったぞと返すとさらにスピードを上げて走り始めた

 

 

 

 

やべぇ強いな雨…一応折りたたみ傘さしてるけど結構濡れてる。そろそろ帰らなきゃな。時間もそうだし寒くなってきたし………あれ?今どっかで……

 

 

 

 

走っているおかげか今のところ体の冷えはそこまで大きくない。軍曹もノンストップで走り続けている。かれこれかなりの距離を走ったと思ったんだがまだ着かないのか?そう思った矢先、ようやく目の前に見慣れた、そして軍曹が目的地にしていた公園が見えてきた

 

そのまま公園の中に入っていき、葉のない生け垣が続く場所で軍曹は止まった。見るとそこには濡れてシワができ始めたダンボールと中に子猫と子犬が一匹ずつ身を寄せあっていた。自分の目で見るのは初めてなんだが、生で見るとかなり来るものがある

 

「そうだ、動物病院…」

ここに来た時、じいさんに紹介してもらってた所。電話しないと…やってるかなぁ……

 

「直人…お前なにやってんだ?」

 

「げっ…有咲」

 

「げっ…ってなんだよ。で、それなんだ?」

 

「……捨て猫と捨て犬だと思う。あ、はい。…今から大丈夫ですか!?ありがとうございます!今すぐ行きます!はい、それでは」

 

「どこと電話してたんだ?」

 

「動物病院。この子達を治療しないと」

 

「治療ってお前金かかるのぐらいわかるだろ?」

 

「これでも俺はもう金稼ぎしてたっつの。それじゃあな有咲」

 

「あ、待ちやがれ!私も行く!」

 

「どうしてだ?別に用事がある訳でもないし」

 

「その…その猫と犬が気になるっつーか…そもそも私はお前に用がある」

 

「……そうだよな。ここ、動物病院の場所な。俺は走っていくけど無理して追わなくていいから。それじゃあまた後で」

 

「……あいつぜってー風邪ひくだろ…もし帰る時にひいてたらうちに連れてこうかな……」

 

 

 

 

 

 

だいたいの場所はわかっているので近道になりそうな小道をガンガン進んでいく。もちろん全力疾走で。約5分後、closedとかかっている動物病院の中に勢いそのままに入っていった

 

「すみません!この子達なんですけど!」

 

「わかった。少し見させてもらうよ……受付にいてもあれだから中に行こうか。詳しくはそこで。…お孫さんはまずは体を拭いた方がいいね。そこにあるタオルを使ってくれ。そこの軍ちゃんも拭いてもらってね」

軍ちゃん、ここに来た時に軍曹に付けられた愛称。その軍ちゃんは早くタオルを取れとせがんでいるのでぱっと取りある程度水気をとるとすぐに診察室に向かっていった。かなり気になるみたいだ

 

少し丁寧に水をとる。まぁ他人の店だしちゃんとしなきゃね?一応政治家の孫なんだし…丁度取り終わったとき、取ったといっても服は体にひっついていてかなり冷たいんだがな。その時に有咲がやってきた

 

「さっきの猫と犬は?」

 

「今中で診てもらってる。さて、自分も行くかね」

 

「わ、私も」

 

 

「やせ細ってはいますが健康状態に異常はそこまで見られないですね。少しうちで見て元気になればすぐ退院出来ますよ」

 

「よかった…」

 

「これで一安心だな。直人」

 

「それでなんだけど、この子達の引き取り先を決めたりしてるのかい?」

 

「いえ、まだ…」

決まってないと言おうとした時、軍曹は強い視線を向けてきた。わかる、わかるぞ。うちで飼え!と言うのだな。まぁうち広いし猫や犬の一匹や二匹飼えるけどさぁ…あ、飼え?強制?もう仕方ないな〜

 

「俺が引き取ります」

 

「まじか!?」

 

「そう言うと思ったよ。軍ちゃんずっと見てたからね。じゃあそういうことにしよう。またなにかあればこちらから連絡するし見たいなら毎日来ても構わないから。それじゃあ二人ともお疲れ様」

 

 

 

 

 

動物病院で傘を借りて今は帰宅途中。軍曹は相変わらず頭の上だ

 

「有咲」

 

「ん?なんだ?」

 

「明日、話したいことがある。ちゃんと理由を話しておかないと」

 

「…うん。わかった。明日放課後か?」

 

「放課後。蔵練があるなら終わったあとでいいから。それじゃあまた明日な」

 

「おう…また明日」

 

 

 

……あぁやばいくらい体が冷たい。こりゃ風邪ひいたなぁ…人間にもそういう水切りさせてくれよ軍曹……クシュン……




7thライブ、ポピパに行ってきました!!本当に最高でした!毎日の活力になるようなライブでした!みんなもバンドリーマーなら1回はライブ行こうな!!


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私はなにを知っているのか

風邪をひく話を書き始めたら自分がインフルエンザというクリティカルヒットをくらいました。なんで今の時期だし




 

 

新しいあさが来た。希望の朝ーだ。よろこーびに胸をひーらきおおぞーらあおげー

 

 

 

 

「曇りだ…」チーン

 

まぁ昨日あれだけ雨降ってたし仕方ない。そして案の定風邪ひいた。そんな日でも軍曹は寄り添って…

 

 

 

くれませんでした。いつの間にか動物病院に旅立っていたようです

 

とにかく暇だ。熱があるだけでそこまで辛くない。仕方ないからライブ用に新しい曲作ろ。パッパと書いて歌詞送っとこ

 

 

 

ダラダラ書いていても時間が十分にあるおかげで学校が終わる頃にはほとんど書き終わっていた。その間にRuinにある程度連絡が入っていた。紗夜先輩からは今日の練習は中止にしましょう。終わったらお見舞いに行きますね。とか、沙綾からはポピパ全員で行くからうるさくなるかもだけど大丈夫?とかイヴからは風邪にはおしりの穴にネギを刺したらいいですよ!とまじの口調で電話されました……まじ?

 

 

寝た方がいいのに寝てないせいで午後になると症状悪化、呻き始めた。だけどあと少しだった歌詞を書き上げることを最優先にした。

 

 

 

午後4時、最初の訪問者がやってきたと思ったら軍曹が帰ってきた………あの子猫を連れて

 

「あー、今は寄ってくるなよ。その子にうつったら大変だからな。来るなら軍曹だけな」

そういうと子猫をくわえて部屋から出ていった。もううちで暮らすことは確実らしい。賑やかになりそうですね(白目)

 

その5分後紗夜先輩がやって来た。ギターケースを背負ったままだった

「すみません、今日練習なのに」

 

「音楽活動をする上で体調管理は最優先です。あなたは1度人前に出た身ですし、なによりあなたは教える身です」

 

「あはは…なんかいつも通りの紗夜先輩で安心しました。ほんとになにも言えませんよ。でもすぐに直しますよ」

 

「全く…なんの連絡もなかったですから皆さん心配してましたよ。特に鵜沢さんが昼休み中ずっと探してたみたいで」

 

「あ…そういえばそうでした」

 

「というわけで連れてきました」

 

なんで?

 

「こんにちは小原くん」

 

「あ、はい。昨日ぶりですね、鵜沢先輩」

 

「リィでいいよ。それでそれで、悩みについて相談したいんでしょ?」

 

「……私はもう用事を済ませたので下で猫を触っててもいいですか……?」

 

「全然構いませんよ。別に言わなくても。顔真っ赤ですよ?」

 

「なっ……そ、それではこれからはちゃんと体調管理をすること!いいですね?」

そう言うと返事も聞かないうちに部屋から飛び出して行った

 

「それじゃあ相談についてだけど…告白されたんだよね?」

 

「はい…それでどう答えたらいいかわからなくて…」

 

「うーん…小原くんはその子とは友達なの?」

 

「友達……友達以上って感じです。一緒にいてなにも困ることもないですし、楽しいです」

 

「………なんで付き合わないの?」

 

「……ほんとなんで付き合わないんですかね。自分でもわかりません。でも最近彼女と二人きりになると少し頭が痛くなるんです」

 

「それは厄介って意味?」

 

「そういう意味じゃないんです。説明しづらいんですけど、まず体質として自分の身に嫌なことが起きる前に頭痛とか吐き気が起こるんです」

 

「それだから少し躊躇してるの?」

 

「主な理由はそうです。もしこの予知能力通りなら彼女にもそれは嫌なことのはずです。それは避けたいんです」

 

「うーん…こりゃまたすごく簡単そうで難しいね…でもやっぱり私はそれでも付き合った方がいいと思う。多分理由はそれだけじゃないと思うけど、でもしないとわからないことだってあるよ。もしかしたらその悪い予感のおかげでもっと仲良くなれるかもしれないし。未来なんて誰にもわからないんだよ」

 

「……そうですよね!大事なことを忘れていた様な気がします」

 

「悩んで悩んで自分なりの答えを出していく。それが私たちに出来ることなんじゃないかな。数学みたいに答えのある問題ばかりじゃないからね」

 

「そういうことですよね。なんだか分かりきった気持ちでいたみたいです。やってみないとわからないことだらけなのに」

 

「そうそう、まだまだ若いんだからやらなきゃ始まらないよ。いいなぁ私もこんな青春したかったなぁ。彼氏とか作りたかったなぁ」

 

「作ったから良いって話じゃないとは思いますが…」

 

「それでもだよ。さてと、私もそろそろ帰らなきゃ。ゆりは海外行くみたいだし、受験勉強しなきゃ」

 

「ゆり先輩海外行くんですか」

 

「そう言ってたよ。いやぁ私たちとはスケールが違うねやっぱり。それじゃ頑張ってね小原くん」

 

「はい。今日はわざわざありがとうございました」

 

 

自分は結局のところなにもわかってはいないはずなんだ。ただ未来から送られてくる危険信号に頼っている。道に迷った時なんかそれぞれの道に少し入って確認なんかもした。大抵は強い後悔の念が送られてくる。だけどもしかしたら今まで生きてきた中で何回かは別のイメージで送っていたのかもしれない。そもそもこんなのは普通の人間には有り得ないこと。未来を正確に見ることなんて……今まで2回ほどあったが、別にそれがいつもじゃない。別にいいじゃないか。そんなに後悔しなくても。ま、そんなことはその時の自分にしかわからないことだが……

 

 

「入るよー」

頭の中がごちゃごちゃになっていてノックに気づかなかったんだろうか。ノブが動く音と誰かの声がした

 

「うん、そこまで辛くなさそうだね。結構皆心配してたんだよ」

最初に話しかけてきたのは沙綾だった。その後ろにはりみと有咲が立っていた

 

「リィ先輩なんか教室にまで来てたよ?さっき下の階で紗夜先輩と一緒に猫と遊んでたけど…あの子新しい子?」

 

「うん、直人が昨日拾った子。ま、そのせいで風邪ひいたんだけどな」

 

「……どうして有咲がそこまで知ってるの?」

 

「ん?あぁ言ってなかったわ。昨日直人が拾った時に偶然居合わせてな。だからそれで風邪ひいたんだろうなぁって」

 

「もう…有咲。そうなら早く教えてよ。朝とかおたえ怖かったもん」

 

「別に言うほどのことじゃなかったしな。それでどうだ?どこか辛いところとかないか?」

 

「ないない、多少だるいだけ。曲の歌詞作ってたしそこまで重くない」

 

「割と休みを満喫してんなお前…」

 

「まぁまぁ大丈夫ならそれでいいじゃん。それじゃあ私たちは蔵に行くから。あ、寂しかったら電話してもいいよ」

 

「……ほんとにそうなったらさせてもらう」

 

「お、今日は意外と素直なのかな?」

 

「あのね、直人さん、沙綾ちゃんじゃなくて有咲ちゃんに電話して欲しいなぁって」

 

「あ、そうだね。私じゃなくて有咲だった。そういうことだからよろしく」

 

「え、あ、うん。わかった」

 

「じゃあゆっくり休んでね。直人。お邪魔しました。……香澄、おたえ、もう行くよ。てかまだお見舞いしてないでしょ。するなら早くして」

 

下の階から沙綾のそんな声が聞こえるとすぐあとに香澄とおたえが部屋に突撃してきて嵐のように過ぎ去っていった……

 

 

 

 

『もしもし』

 

『なに…直人』

 

『言ってたでしょ。今日に話をするって。だから練習が終わったらうちに来て欲しい』

 

『うん、わかった。もう終わってるから今から行くな。ぜってー寝るなよ』

 

『寝れやしないさ。こっちだってかなり緊張してるんだから』

 

 

 

 




すみません、正直言って別のことに熱中してました。でもまたやろうという気が出てきたのでまたゆるく長く頑張りますので長い目でよろしくお願いします


対バンの2日目とアルゴナビスとRoseliaの2日目に行きます!楽しみだ!


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決意の夜に

サボりスギィ!ほんとすみません…ダラダラ書いてるのが悪いんだなぁ一気に書かないと


 

 

午後6時半、彼女は彼の家の前に着いた時彼は既に外で待っていた

「少し歩こうか」

彼はそういうと歩き始めた当然彼女もそれについていく。足元には黒い猫もいる

 

特に何も話はなかった。ただ二人は歩いているだけ。どこに向かっているか彼女にはわからなかった。それに彼もわからなかったというのは滑稽な話だろうか

 

結局数分歩いた後とある公園のベンチに並んで座った。少しの間隙の後、彼が立ち上がり彼女に話しかけた

 

「すまない、ただ自分の問題に付き合わせてしまって。少し有咲とのことについて考えるところがあった。そこでまず有咲に話さないといけないことがある」

 

「なんだ?」

少し緊張したように彼女は答えた

 

「まず、また俺が日本から出ていくことが確定していること」

 

「はぁ!?聞いてねぇよそんなこと」

かなり驚いたらしくベンチから立ち上がってしまう

 

「言ってなかったからな。そこはすまないと思ってる。大学を卒業する年…あと6年くらいか。そしたらまたオーストリアに戻る」

 

「お前は…また来てくれるのか?日本に」

 

「…それはわからないな…今の段階じゃな」

 

「それってどういう…」

 

「そして何よりもう一つ話したいことがある」

彼がそういうと少し彼女から距離を取った

 

「有咲、俺と付き合って欲しい」

 

「俺は結局今もってる感情が好きなのかはわからない。でも有咲といるのは嫌いじゃないし、なによりそういうのってこれから有咲と育んでいくものだと思ってる。だから…有咲、俺と付き合ってください!」

彼は今まで自分が見たこともないような綺麗なお辞儀をした。腰は90度に曲がりその腕は彼女の目の前に差し出された

 

「あはは……なんだよ…そういうことかよ。直人、顔だけ上げろ」

彼女は彼の手は取らず、その腕に沿って彼の目の前まで来た

 

「なに有咲」

彼が発せたのはそのことばだけだった。顔を上げた直後、彼女が彼の唇を奪ったのだ

 

「……っはぁ…私、もう躊躇いなくこうしていいんだよな?」

 

「さすがに時と場所は考えてほしいけどな…で、どうなの?」

 

「は?お前これでわからないのか?」

 

「確認。それじゃあ帰ろうか」

 

「手、繋げよ。ほら」

彼女は彼の上着の袖を掴んでアピールした

 

「たしかに、今はもう寒いしな。あと、恋人ってことが強いかな」

 

「そういうことだ。早くしろ」

彼が右手、彼女は左手。手を繋いで終わりかと思ったら

 

「なんか、味気ねぇじゃん?…その、恋人繋ぎ?っていうの?」

 

「有咲って割とそういうところ気にするよね」

 

「お前が無頓着すぎるんだよ。ほら──」

 

 

 

──

 

 

 

 

俺はいつ道を違えたのだろう。いや最初からなのかもしれない。ちゃんと有咲のことを知らないだけだったんだろう

 

とりあえず今の状況を振り返らせて欲しい。無事俺は有咲への告白?を成功し、晴れて?恋人同士となったのであるがそのまま今日は帰宅するかと思ったら有咲がうちに来ないかと言ってきたので素直に聞き入れるそのままついて行ったんだ

 

1番の間違いはここだったかなぁ…

 

もうずっと俺の目の前にいる有咲は普段の有咲とは別人になっていた。いやほんとここまで人って変わるもんなんだな…

 

「……んはぁ…どうした?直人」

その口からは有咲と俺の唾液が混ざった液をだらしなくたらしながら体を密着させた

 

「もう…キスはいいのか?」

上目遣いでまたしてくれとアピールしてくるのは可愛いっちゃ可愛いんだが賢者タイムに突入してしまったら一巻の終わりなのだ

 

「さすがに有咲の家とはいえこんなに乱れたら悪いっていうか…恥ずかしくなってきた」

正直なところ、魔王とはまぁあれやこれややってきた訳だが…いや決して一線とか大それたことはしていない。そんなことはどうでもいい。まぁ要するに結局俺はそれ以上のことになると初心なのだ

 

「たしかに最初から飛ばしすぎたな…ごめん…」

 

「別に謝ることじゃない。てかこの距離で言うことじゃないだろ」

まだほぽ対面座位の状態で真正面から謝られている。気まずいって話じゃない

 

「私もすこし熱くなりすぎたな…うわ、もうこんな時間じゃん」

夜ご飯はまだ食べていないのだが時計を見ると8時をゆうに越えていた。それに気づくととても腹が減ってきた

 

「ばぁちゃんに悪いことしちまったな…すぐ謝りに行かないと」

 

「俺もついてくよ」

 

居間に出ると有咲のおばぁさんが座ってずっと待っていれていたんだが、なんと全部聞かれていたようで私にもあんな時期があったねぇ、と言われてしまい俺と有咲は顔を真っ赤にして夜ご飯を食べ進めた。終いにはいつひ孫ができるんだい?と言われ、有咲はごちそうさまと強く言って自室に戻ってしまった

 

「すみません、聞かれてるとは思ってなくて」

 

「いいんだよ、私が盗み聞きしたようなものよ。有咲はあなたがいなくなった後、昔のように戻っちゃったのよ。高校になってからは香澄ちゃんとかとバンドもやるようになってだいぶ変わったけど元々はあなたが有咲と仲良くなって、信頼してあのギターをあそこに置いたおかげね」

 

「そんな大層なことじゃないですよ。こうなったのも有咲の選択です。僕はただ有咲と仲良くなっただけですよ」

 

「その仲良くなったおかげよ」

仲良くなっただけ、仲良くなったおかげ。そう言って、そう言われたけど自分も仲良くなったおかげでこうして付き合えてるわけだからこれからはちゃんとおかげと言おうとあまり気に留めず思った

 

 

有咲は部屋にこもっていて、足を伸ばして携帯を弄っていた

 

「もう遅いからそろそろ俺は帰るよ」

 

「ん?あぁ…もうこんな時間…ってさっきもこんなこと言ってたな。玄関先まで送るから行くぞ」

 

 

 

「それじゃ、また明日な」

 

「あ、明日は、何も飯持ってくるなよ…」

 

「え?どうして…ってお弁当作ってくれるのか!?こんなことってホントにあるんだ…」

 

「お前、鈍感なのか敏感なのかよくわかんねぇ…ほんとおたえタイプっていうか、直人とおたえが似すぎてるのかこの部分に関しては…まぁそういう事だ。楽しみにしとけよ」

 

「あぁ、こういうの初めて」

 

「そうか、ならよか「でも前回の時におたえと一緒にハンバーグ作ってたっけ」……は?」

 

「ん?なにかダメだったか?別に弁当は作ってもらってないぞ」

 

「あーはいはい、気にするだけ無駄な話だな。そういう事だからまた明日な」

 

「朝ここにいた方がいいか?」

 

「いや別に入ってきていいぞ。どうせ香澄来てるだろうしな」

 

「了解、それじゃあな。軍曹、帰るぞ」

 

「みゃー」

 

 

 

 

 

「これでいいんだよな?私」

そう、付き合えた。その事実があれば私はいい。だけど最近不安になることがある。どこか夢のように私の目の前で直人が霧のように消えていくのを見てしまう。まさか早死にするとかじゃないよな?

 

 

 





最近子供のように仮面ライダーにハマりましたまた。でもなんや、グランドフォームって仏壇フォームやんけ!でも面白いならいいです!あ、あとアルゴナビスとNGNC行ってきましたよ!


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違う朝、これからの朝

サボりすぎですね。アホです。この空白の間にRoseliaのライブに行ってたりします、楽しかったぁ


 

翌朝、有咲の家に行くと、有咲とばぁちゃんとは違う靴があり、香澄がもう来ていることを示していた

 

「あ!直人君おはよう!」

 

「おはよう、香澄。いつも来てるのか?」

 

「うん!有咲と出会ってからずっと!」

 

「まぁここのご飯は美味いもんな」

 

「お前らな…うちを無料のご飯屋とでも思ってんのか?」

 

「有咲~!おはよう!」

 

「あぁもう抱きつくな!飯食うならそっちに集中しろ!」

 

「たしかに、ご飯冷めちゃうもんね!食べないと!」

朝からわちゃわちゃしていてなんだか日々の有咲の苦労がわかるような気がする

 

「なんだか有咲が親みたいだな」

 

「えぇ~有咲がお母さん?ちょっと厳しいかも…でも直人君がお父さんなら良い!」

 

「なにさらっと私が毒親みたいにされてんだよ…」

 

「お母さんが怖いよ~お父さん~」

 

「よしよし、香澄、怖かったね。こら有咲!自分の子どもなのに乱暴なことしちゃいけないぞ!」

 

「お前ら2人まとめて蔵に10時間くらい閉じ込めてやるからな….」

 

「ほんと!?直人君にギター教わろ!」

 

「なんか朝からこれ以上になく疲れたわ今日は…」

 

「おつかれ。弁当も作ってもらってるのに悪ノリしてすまない」

 

「いいよ別に、もう慣れてるし…それより今日放課後空いてるか?」

 

「あーどうだろ。紗夜さんに今日やるか聞かないと」

 

すぐさまRuinを開いて紗夜さんに連絡をとる。すぐに返信がきた

 

「今日はRoseliaで練習があるんだとさ。要するに暇だ」

 

「OK、じゃあ今日は放課後蔵練だな」

 

「え!?直人君蔵練くるの!?」

 

「そういうことらしいな。といってもあんまりアドバイスとか出来ないからな」

 

「そんなことないよ。直人君の教え方すごくうまいし、なにより技術が私たちとは全然違うもん」

 

「そう言って貰えて嬉しいよ。香澄もこのくらいには上手くなるよ」

 

「直人君とかもう雲の上の存在みたいな感じだよ~」

 

「おたえとかはもう俺に近いくらいだし大丈夫だって時間が経てば経つほど上手くなるよ」

 

「なんか直人君のどこか触っておけばどっか上手くなるとかないかな?」サワサワ

 

「はいはい香澄、そろそろ出る時間だかんな」

 

「えぇ~あ!そっか!直人君独り占めされたから羨ましくなっちゃった!?ごめんごめん有咲ぁ」

 

「べ、別にそんなんじゃねぇし!ほら!早くしろ直人!」

 

「そんなに慌てることしなくてもいいんじゃない?お弁当忘れてるよ」

後ろをみると二人分のお部屋が置きっぱなしになっていた

 

「有咲ダメじゃん!」

 

「うるせー!元はと言えば香澄が悪いだろ」

 

「そんなことないよ!私に嫉妬してた有咲が1番ダメだよ!」

 

「嫉妬だぁ!?そんなもん私がするわけねぇだろ!」

なんだかんだ言い合いをしてるようだけどしっかし時間食いますねぇ…

 

「そこら辺にしとけ。有咲と香澄も」

 

「だって有咲(香澄)が!」

 

「あーはいはい、そういうのはもう昼休みにやってくれ。ちなみにあと15分しかないからな遅刻まで。ということでお先だ!遅刻すんなよ!」

 

「は!?まじか!おい香澄急げ!」

 

「え!?ちょっと待ってよ有咲~直人君~」

 

ちなみに遅刻は……しました!紗夜さんに放課後来るようにと言われてしまいました…

 

 

遅刻した後、教室で前の席の香澄が話しかけてきた

 

「ねぇねぇ直人君」

 

「なんだ」

 

「嫉妬されるって実際どうなの?嬉しかったりする?」

 

「まぁ嬉しいかと言われればそうかもだけどいつでもされたら俺もきついわ。ほどほどにしてほしいな。まぁポピパだったらもうしないんじゃないか?もう回してたりするんじゃないのか?」

 

「え!?なんで回すの?そうしたら可愛い有咲が何回も見れないじゃん!」

 

うーんこのナチュラルゲスなのかわからないけど、若干香澄にはそういうきらいがある

 

「いいなぁ…私も直人君みたいな恋人欲しいなぁ」

 

「香澄なら大丈夫だよ。俺が心配なのはおたえの方だよ。合わせられるやつがいるかどうか…」

 

「呼んだ?」

 

「呼んでない。にしてもおたえの席とは結構離れてるのになんでちょうどよくここに来てるんだ?」

 

「うーん…なんか私の話してるかもって思って」

 

「あの時の一瞬しか話してないのにそれを予知してるとかそれはそれですごいな」

 

 

 

 

 

「全く…3人揃って遅刻とは…確かにあなた達は特に仲がいいですけど、話す時間も程々にしておいてくださいね?特に小原さんにはそこをきっちりやって頂きます」

 

「え、俺だけですか?」

 

「えぇ、来年は風紀委員として私の下に付いていただきたいと思いまして。あなたは校内でとても有名です。あなたが感じている以上に。ですからどこかに引き抜かれる前にと思ったのですが、他からなにか勧誘を受けていますか?」

 

「いえ、どこにも…」

 

「では、そういうことでよろしくお願いします。おそらく三学期に風紀委員をやりたい人を応募しますがそれには何もしなくて結構です。私が強制的に参加させますので」

 

「…なんかいつになく強引ですね。紗夜さん」

 

「べ、別に私にだってこういう時くらいあります。それで話は変わりますけど、明日、また日菜と一緒にお邪魔しても大丈夫ですか?」

 

「はい、大丈夫ですよ。また紅茶をいれて待っていますよ」

 

「よろしくお願いします。くれぐれも気をつけてくださいね。市ヶ谷さんも戸山さんも」

 

「「は、はい。」」

 

「これで終わりです。私はもう練習があるので失礼します。外でお二人が待ってるんでしょう?早く行ったらどうですか?」

 

「そ、そうでした!失礼します!」

 

「ちょっと有咲!待ってよ〜!」

 

 

 

「ねぇねぇなお。ちょっとここ教えて」

「ねぇ直人、新しいパン作ったからちょっと食べてみてよ」

「直人さん、最近新しいゾンビ映画が気になってるんだけど1人じゃ入りずらいから一緒に行ってくれるかな?」

「直人君!ここなんだけど、こっちより…こっちの方がいいかな?」

 

 

 

「なぁ、お前は私の彼氏でいいんだよな?」

 

「まぁそうだけど、なにか問題でも?」

 

「問題しかねぇよ!なんだよ私と話さないで他の奴とばっかり話やがって!」

 

「そりゃあっちから話しかけてくるから仕方ないだろ。応えないのは失礼だろ」

 

「そうだけどよ…なんか…こう…ちげーじゃん?」

 

「…わからんでもないが…じゃあ蔵練のあとも俺だけ残ろうか」

 

「じゃあそういうことでよろしくな。さて、私も練習しねーと」

 

有咲が少し離れたところで、メールを確認する。同封されていた音源も確認しておこう

 

 

「ねぇねぇ、今直人君何聞いてるのかな?」

「ポピパの曲かな?」

「すごい集中してるね」

「リスニングとかかな?」

「いやいや、あいつがリスニングする必要ないだろ」

 

 

一通り聴き終わったところで練習してるかなと思い前を見るが皆こっちに注目して全く動かない

 

「なにかあったか?聞いていた方が良かったか?」

 

「別に聞いてなくても良かったんだけどお前が何聴いてるか皆気になってる」

 

「そういうことね。まぁ新曲ってところ。楽しみにしといて」

 

「新曲!早く聞きたい!」

 

 

 

その後はまたポピパの練習に参加して、すっかり日も落ち、香澄とおたえとりみを駅に送った。さて、有咲のとこに戻ろうか。今日は正気で終われるように祈るだけ。まだまだ俺は初心らしい

 

 

 





そして次なるライブ参戦はアルゴナビス2ndです!新しいカバー聞きたい!


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