【御坂美琴】は【御坂美琴】であると胸張りたい (巳傘ナコ)
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望みは叶わない
御坂美琴は孤独だった。
幼い頃は能力が暴走し、【大切】を傷つけた。
離れて行く者、離さない者、同情する者、利用する者、羨む者と様々な人に囲まれた。
暴走を無くそうと頑張る内に【学園都市】なる場所に目をつけられ、移り住まないかと持ち掛けられた。
そこなら変わるだろうか・・・
そこなら変われるだろうか・・・
淡い期待と微かな望みを抱いて小学四年生の御坂美琴は家を出た。
中学生になるまでの二年間で色々変わった。
能力の制御は上手くなったが、当時level2だった能力はlevel5になった。
皆が喜ぶのに対して御坂美琴の中に広がるのはやるせなさ。
欲しかったのは強い力じゃなくて暴走を止める力。
確かに制御は上手くなった。
しかし、力が強まったぶんlevel2だった頃の制御は役にたたなくなった。
一番辛かったのは暴走した際の被害は上がったこと。
大切を傷つけたくなくて来た場所
1人が嫌で来たのに、誰かに聞いて欲しくて来たのに、希望寄せた【学園都市】は御坂美琴の希望を置き去りにして御坂美琴を育てた。
御坂美琴が中学二年生になった夏
学園都市ですら今の今まで観測出来なかった事態が起きた。
それは能力の向上を目的とした学園都市から見れば不測も不測の緊急事態。
学園都市七人のlevel5が1人にして第三位《御坂美琴》のlevelダウン。
測定の度に能力と御坂美琴の波長がずれていく。
それに伴ってレールガンの射程は短くなり、電撃範囲と規模は縮小し、最終的にはlevel2にまで落ちた。
落ちこみ、憤る周りに反して御坂美琴は喜んだ。
level2まで堕ちたなら今の制御方で十分足りるからだ。
自分のような能力者が数多存在する此処なら友達も出来ると信じた。
それから半年はlevel5へ戻そうと研究者達も躍起になったが、結果は惨敗。
用済みと判断され、研究者は【学園都市】は御坂美琴への期待と干渉を止めた。
やっと日常に戻れる・・・そう信じた彼女に待っていたのは外にはなく、【学園都市】だからこそ起こった最悪の現実だった。
それは、【抵能力者】への差別と侮蔑。
万人が高level思考及び主義に染まっている訳ではないが、此処は【学園都市】高みを目指す者が集う場所。
level5からlevel2へのlevelダウン現象はあっというまに知れ渡り、御坂美琴の日常は御坂美琴を無能視する悪意に満たされていった。
そんな彼女を更に追い込んだのは学校からの自主退学宣告通知。
level向上の意思と成果が見られない彼女を学校は切り捨てる事にした。
こうして御坂美琴は【学園都市】でも孤独となった。
後ろ楯を無くした彼女には当然、【お礼参り】なんてことも起こったが全て返り討ちにした。
level5の能力を効率よく使う為に身につけた技術はlevel2の能力を使うには充分過ぎる技術だった。
砂鉄を操れる量は圧倒的に少なくなったが、操れない訳じゃない。
砂鉄の壁は出来ないが、針程度の大きさてな質量なら問題ない。
電撃の威力と規模には天と地ほどの差が出来たが、level5時に学んだ技術を応用すればスタンガン程度には威力を出せるし、ビルの1つや2つを停電にするくらい訳はない。
襲い来る奴等が数人なら針サイズに束ねた砂鉄操り、急所に打ち込む。
大量に居るとき体の表面に電撃を流して置けば後は相手が勝手に触れて、勝手に乾電してくれる。
そして止めに一言
「なに・・・今、アタシ機嫌悪いの・・」
目を血走らせながら笑みを浮かべるというアンバランスな表情で彼女が告げれば皆逃げていく。
御坂美琴は退学してから2ヶ月余りをそうやって過ごしてきた。
返り討ちにしたやからが広めたせいか【常盤台の超電磁砲】の2つ名は薄れ、今では【堕ちた雷】やら【不機嫌な雷帝】やらと実に中2臭い不名誉な2つ名が広がって居ることを御坂美琴はまだ知らない。
そしてそんな2つ名持ちになってしまった彼女は色んな者達の興味を惹いてしまっていることもまだ知らない。
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出会い最悪
「feverキタァー!!」
台が鳴らすは天使のラッパ
ジャラジャラ出てくる銀の玉
出てくる出てくる金になる結晶
「これで二週間は持つ!!」
台が玉を放出し始めてかれこれ10分経つが再びラッパが鳴った。
通路塞ぐほどに山積みされたボックスを店員が台車に乗せてせっせと運んでいた店員の顔には絶望が色濃く出ていた。
~1時間後~
「やぁー、出た出た♪」
「ま、またのご来店・・・・待つわきゃねぇーだろ!!!!!!」
満面の笑みで店を出てきた少女の手には分厚い茶封筒
恨めしそうにその背中を睨む店員が握る看板には
┏━━━━━━━━━━━━┓
┃ビリビリ娘殿堂入り!! ┃
┃当店入場お断り!! ┃
┗━━━━━━━━━━━━┛
と書かれていた。
~ゲコ太の解説コーナー~
そもそも学生が何故パチンコ出来るの?
そんな疑問をスパッと解決!!
【学園都市】にも裏はあるんだゲコ!
【裏】と言っても後々出てくる暗部とか研究の闇とかマジでガチモンの物ではないんだゲコ!
ここで解説する【裏】とは所謂、ヤクザやマフィア、薬や裏金、賭博や出会い系みたいなモノなんだゲコゲコ!
学園と言っても都市
都市と言っても学園
学園である以上、健全な学生生活は重要!
都市である以上、大人達の娯楽も重要!
【学園都市】なんて名前にしたあげく、更に独立国家みたいなポジションにしちゃったもんだから、外の街より規制が面倒臭くなっちゃったんだゲコォ・・・
【学園】ばかりを重視しちゃったら集められる大人は聖人君主のような絶滅寸前の大人ばっかりだけど、実際そんな大人は中々居ないし、それが可能なら原作は木原とか、木原とか、糞爺こと木原とか居なくて平凡な学生ストーリーだったはずゲコ!
逆に【都市】ばっかり重視したら利権争いや権力争い狙いの不埒な大人や邪な大人所謂、木原とか、木原とか、木原な糞爺しか集まらなくて原作は開始早々詰みのハードモードまっしぐらだったはずゲコ!
そこで創設者達は両方をいい具合にミックスし、【学園都市】を作り上げたんだゲコ!
結果、非常にグレーに近いグレーな街が完成した訳だゲコ!!
此処からが皆が知りたい答えだゲコ!
中間を取った【学園都市】では居酒屋やパチンコ等の未成年お断りなお店には外よりちょぉーっと厳しいルールと違反時の罰則を課してるんだゲコ!
故に外より儲かり憎いんだゲコ・・・
そんな場所だからこそルールを破る奴も出てくる・・
人間ってヤツァ、救いようが無いぜ・・って奴だゲコ!
今回はパチンコで仕組み解説だゲコ!
基本的に非申請なパチンコは短期勝負を掛けてるゲコ!
客層は子供から大人まで全世代をターゲットにし、期間はアンチスキルやジャッジメントの強制調査まで!
子供は悪いと言われりゃ手を出したくなる好奇心の塊で、大人は・・・今さら言わなくても分かるはずゲコ!
しかも、金持ちが多い【学園都市】では下手な大人より子供や学生の方が沢山の山吹色の紙を持ってるゲコ!
後は店側の努力次第だゲコ!
今回、御坂美琴が訪れたパチンコは台数が150で激甘な設定が15台あると公言し、その15台にイカサマはないゲコ!
5000円以上消費した客は二時間飲み放題!
休憩で台を離れる時は店員が必ずキープ
他にも表以上に色々サービスする事で客を掴むんだゲコ!
当然、儲かりは博打で強制調査前に閉店とかザラゲコ!
強制調査時期や客足など不確定要素多いから必ずリスクに見合ったリターンがあるとは限らないけど嵌まればウハウハも夢じゃないゲコ!
以上が今回の解説ゲコ!!
~ゲコ太の解説コーナー終了~
「第三位の糞ガキがこんな裏街でなにしてんだ?」
獲得したお金でアイスを買い、ルンルン気分な彼女に話しかける者が居た。
それは偶然か必然か、神の導きか悪魔の誘いか、原作ではハードでスペシャルなバトル繰り広げた第4位こと麦野沈利だった。
「誰?」
その問いかけに少女は間を開けずに返すが、それは麦野沈利にとって予想を遥か越える物だった。
なんせ会ったのは一度とは言え、それは学園都市のトップ7が集った会議の時。
周りは覚えるなと言っても自分達の事を覚え、目指すなと言っても目指して来る・・・それが学園都市のlevel5という肩書きだ。
それがまさかの「誰?」発言
「はぁ!? 三位認定されたときに他のlevel5と顔合わせした時に会ってんだろぉーがよぉ!!」
麦野沈利と御坂美琴の間にある大きな違い
それはlevel向上が指す意味と力への認識
故に美琴から見た彼女達の第1印象は「力もってウハウハしてる人」だった。
「・・・・・・・・・・1位?」
「1位は男だっただろぉーが!!! んでもって、アタシは女だ!!!」
普通なら断じて間違えない奴と間違えられた事で麦野沈利はプッチン♡ときた。
けしてプリンをプッチンした訳ではない。
けしてエーヴィバディプッチン♪を思い浮かべてはいけない。
だってプッチン♡という懐かしい音に反して今、美琴を襲うのは容器から解放されたプリンではなく、粒機波形高速砲・・・面倒だから簡略化しよう。
レーザーなのだから!!
「ひぃ!? わ、分かった!! 思い出した!! 麦飯ナンタラちゃんでしょ!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・コロスッ!!!」
【麦】はあっていた。
その後の飯ナンチャン・・・そんな名前は居ない、断じて居ない!!
怒りの頂点越えたどころか、能力抜きにして自壊してしまいそうな程にブチ切れる麦野沈利に焦る御坂美琴。
そんな彼女はレーザー避けながら必死に考えた。
悩みに、悩んで出した答えとは・・・!!
「違うの!? じゃ、じゃあ道路標示ちゃん!! なんて言ったっけ!! えっとぉぉ・・・あっ!! 思い出した! アヘオホメーター!!」
誰?
もう一度書かせてくれ・・・それは、誰?
「だぁーかぁーらぁー、ソイツは1位の名前だってんだよ糞ガキがぁぁ!! 仮にアタシがソイツだったとして、そんな変態な名前名乗るわきゃぁ、ねぇーだろうが!!」
麦野沈利の意見は正か非か・・・
あえて言おう!! 【正】であるとっ!!
「本ッッ当にゴメン!!」
「謝られたらアタシがワリィみていじゃねぇーーか!!」
まるでコメディーのような殺し合い
解決する方法を必死に考えた美琴は丸投げした。
解決方法を考える事を放棄した。
そればかりか怒らせた側は怒ってる側に解決方法を考える事を丸投げしたのである。
「な、ならどうしろってのよ!?」
「大人しく死ねぇぇぇ!!」
当然の反応である。
「ムリィィィ!! 今度は名前間違えないから! ちゃんと覚えるから! なんなら300円あげるか!! もっかい、もっかい自己紹介してくださいぃぃ!!!」
さっき爆勝ちしておきながらなんてセコい主人公だろうか・・・どこぞの銀髪にそっくりだ。
しかし、この時は誰も知らない。
この馬鹿げた出会いが【御坂美琴】が【御坂美琴】として胸張るための第一歩になることを・・・
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外伝~色々な御坂美琴ちゃん~
御阪美言α 闇入り 研究者 29歳 【LIFE】
研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究
寝ても覚めても【研究】ばかり・・・
中学生だった私は【学園都市】の闇に触れた、あの日、あの時、大人になってしまった今の私には分からない理由で覚悟を決め、自ら闇を形作る大きなナニカに飛び込んだ。
世界を知れば知るほど、見れば見るほど私の覚悟は何も変えられないと痛感させられ続けた十数年。
内部から変えようと飛び込んだ闇で研究者として、モルモットとして私は色々なモノを差し出してきた。
今では私のデータは目新しくもなんとも無くなってしまったが、身を粉にして仕えてきた功績を買われてソコソコの地位に着いた。
「ありゃ、もう最後の1本かぁ・・・」
昔の私からは考えられなかったが、身に余る色々を知ってしまった私の【友達】酒と煙草・・・
「研究者としての仕事がなければ完全に駄目な大人よねぇー」
闇に身を沈めて以来、表の人に合うことは止めた。
大切なモノを守るため、大切なモノには何一つ知らせず、堕ちた。
ソレを選択したときは私自身は英断だと思っていたが、ソレは大きな過ち以外の何物でもなかった。
染まり、堕ちれば堕ちるほど【大切なモノ】の大切さを知った。
まぁ、時すでに遅しってヤツよね・・・
なんせ今の私はアンチスキルやら、ジャッジメントやら、暗部やらなんやらに指名手配されてお尋ね者状態だし・・・
「はぁ・・・・・」
ボッチで寂しがり屋な私にしては、この十数年良く頑張ったなぁ・・・
学園都市に始まり、木原一族、アレイスター、統括理事会、その他の皆さんを騙しまくってやっと此処まで来たんだ・・・
敵さんは罠にかかってくれたようだ。
じゃなかったら今、私を包囲なんてしてないだろうから。
「御坂美琴、君の計画はすでに露見したんだ。 君ほどの逸材を失うのは辛い・・・今ならまだ戻れるよ?」
「木原先生、今更止まれませんよ。」
「理由を聞いても?」
「私以外のlevel5の量産兵計画、魔術と科学の交差、ツリーダイアグラムによる他国経済の操作・・・携わった実験の被害者の恨みや血で染まった私は【表】には帰れないし、今更帰る気もありません。」
「確かに全てが平和の研究ではなかったが、君が【御坂美琴】と【周り】を犠牲にしなければ救われない命があったのは事実じゃないかね?」
「でしょうね・・ただ科学や魔術みたいな先行きも底も見えないようなモノは急に発展しちゃ駄目なんですよ。 手探りで、一歩一歩あるかないか分からない道を踏みしめて進むから過ちが少ないんです。 だからたった一度の失敗から多くの事を学べるんです。」
「はぁー、話は平行線のようだね・・御坂美琴を確保しろ。」
「貴方にもう少し良心があったなら、過ちも失敗も私は全てを共に背負えたかもしれない・・・失敗ばかりの人生を送ってきた者同士のよしみです。」
「今、なんと? 私が失敗ばかり? ふざけるなよ青二才!! 私の研究は数多を犠牲にすることを許された至高のモノだ!!」
「私の好きな学園都市、妹達、好敵手、六人のlevel5、大切な友達・・・何より私達【LIFE】と可愛い末っ子の【美坂美琴】の為に闇は闇の中に消します!!」
「な、何を言って・・まっ、まさか!?」
「先生が握っている計画は300通り用意したダミーの1つ・・・今頃、全ての闇に属する人達が各々が手に入れたダミーを信じ、【パーティー会場】に向かってるはずです。」
「生死は問わんっ!! あの小娘に何もさせっ・・!?!?」
「【パーティー会場】は全て情報とエネルギーを共有するため結ばれています。 私の力と技術を応用し、データを全て流出させました。 後は【答えがない問題】を各施設に送って機器をオーバーヒートさせました。」
「わ、私の数十年がぁぁぁぁぁ!!!」
「オーバーヒートした機器に対する各施設の対応プログラムを誤ったモノに書き換えました。 後、施設ごと私達も吹き飛ばせば次から次に沸いてくる害虫駆除はおしまいです・・闇と呼ばれる部分の90%が吹き飛べば再び蔓延る前に対応だっていくらでもたてられるでしょ?」
木原一族率いる部隊にも同様が走る
施設は1つ1つ離れてはいるが連鎖的に吹き飛べば此処にまで地響きやら爆音が聞こえてくる。
それが私達【闇】の敗北を告げ、私【御坂美琴】の計画が果たされた合図。
「短かったけど濃厚な29年だったなぁ・・・」
思い出すは私の青春を彩った実に個性的な面々
「さようなら私・・・お疲れ様、御坂美琴・・・」
逃げていく敵・・・彼等が無事脱出出来るくらいには崩壊を調整してる。
ただ【脱出】は許しても【逃亡】を許す気はない。
二度と関わらないと決めた面々に匿名で証拠の一部を添付したメールを送信したから外に出た瞬間に逮捕されるはず。
崩れ行く壁、燃え盛る部屋、酸素の低下で思考が鈍くなる・・・
最後に見たのは私を押し潰そうと崩れ落ちる天井
最後に聞いたのと来た衝撃は・・・
「こんな所まで探しに越させといて今さら手放す訳なんてあるわけ無いじゃん!!!!」
なんで来ちゃうかなぁ・・・【愛穂】
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