ハイスクールD×X (寧々火丸)
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第零話

始まりの話


登場人物達の最初の話に成ります。

時間軸はバラバラです。

 

 

 

あの時俺を救ってくれたのは、天使でも、堕天使でも悪魔でもなかった。

 

「おや?君!大丈夫かい?こんなに怪我をして・・・」

 

 

俺を助けてくれたのは、一人の人間。

そして・・・

 

「もし良かったらですけど、家の子に成りません?丁度貴方と同じ歳の子もいるので、兄弟になって欲しいです」

 

 

自分の息子として、俺を引き取ってくれた。

 

「そうですか・・・そんな事情が。なら強く成らなくてはいけませんね。ん?あぁ、違います。力ではありません。ココです」

 

俺の心臓に手を当て優しく笑っていた。

 

「優しく強い人に成りなさい。君の力は、決して何かを壊す為だけではないのですから」

 

「怖いと思う気持ちを否定してはいけません。その気持ちは、君を強くしてくれる大切な気持ちです」

 

「人と人の繋がりを大切になさい。それはきっと君の力になる。」

 

「男の子は簡単に泣いてはいけません。涙は女の子の武器です。男の子は紳士たれです」

 

楽しそうに色々な事を俺に示してくれた。力の在り方を教えてくれた俺の父。

 

 

 

 

走った。身体が心が悲鳴を上げた。

大切な妹を置いて囮になった。追っ手を撒いて迎えに行くつもりだった。

 

でも・・・

 

「あぅっ!」

 

足に魔弾がかすった。

 

「よっしゃ!当たった当たった」

「これまでだな、いい加減遊ぶのにも飽きた。颯々と殺るぞ」

 

 

遊びだったのだ。アタシが逃げ惑うのを嘲笑っていたのだ。

 

悔しい・・・

 

「あれ、泣いてんの?あ、もしかして妹?」

「お前の妹なら心配はいらねーよ。俺達が有効に活用してやる」

 

悪魔が嘲笑う。安心して死ねと・・・

でも一人の悪魔がそれを止める。

 

「なぁ、此処までの駄賃欲しくね?」

 

アタシの身体を厭らしく見る悪魔に怖気が走る。

 

「確かにな、良く良く見れば中々に良いモン持っているし、お前だって痛いのより気持ちヨく死にたいだろ?」

 

「だからさ、オラッ!」

 

悪魔達がアタシを組敷く。悔しい・・・

でも、泣きたくなかった。哭きたくなかった。啼きたくなかった。だから、睨んだ。それが気に入らなかったらしくて、殴られた。けれども、歯を食い縛った。

 

 

「・・・誰か」

 

「誰も助けねぇよ、お前なんて」

 

この世界に神様なんていない。いたらこんなに苦しくて、悔しくて、悲しい事になんてなってなかった。

 

「誰か・・・助けて・・・」

 

次の瞬間何が起こったのか分からなかった。悪魔がアタシの上から吹き飛んだから。

 

其処にいたのは、神様だった。

金の瞳が爛々と、アタシを見ていた。

 

月明かりに照らされて、豊かな金の毛並みが暗い夜を明るく波打っていた。なんて、なんてキレイな

 

 

「神様・・・」

 

アタシの目から涙が零れた。

 

 

 

 

「待ってくれ、フランシス!」

 

薄色の髪を後ろに撫で付け、眼鏡を掛けた男を呼び止める男がいた。

 

その男はピジョンブラッドを砕いて絹糸に溶かし込んだ髪を持ち、同じくらい極上のピジョンブラッドを目にした美丈夫だった。

 

「お前か・・・何の用だ」

 

フランシスと呼ばれた男は此方には無いと言わんばかりに、美丈夫に背を向けた。

 

「何故、冥界から出て行くんだ・・・此れから、此れから冥界を立て直すのに・・・何故「本気で解らないのか?」フランシス?」

 

フランシスは呆れたと言わんばかりに見る。

 

「確かに此度の大戦の際、多くの悪魔が死んだ。しかも悪魔の出生率はとても低い。だからこその“悪魔の駒”なんだろう?」

 

「そうだ。他種族を悪魔に転生させ、悪魔を増やす為にだ」

 

矢張りその事か、と男は思った。フランシスは悪魔で在る事を誇りにしていた。が、他種族に関して排他的ではなかったはず・・・何が気に入らないと言うのだろう。

 

 

「“転生悪魔を守る法”すら確定していない状況で“悪魔の駒”を作成?馬鹿なのか?」

 

「フランシス、何を言っているんだ?転生悪魔は我々にとって大切な存在だ「出生率を現段階より大幅に引き上げる存在で在る。か?そんなもん気に掛ける真面な気概のヤツはいか程いるんだろうな?」そんな事はない!」

 

 

男はフランシスの言葉を否定する。だが、男は知っている。フランシス・ダンダリオンがどの様な男で悪魔で在るかを知っていた。

 

 

「サーゼクスよ、いや、魔王ルシファーよ、今に見てろ。私が言う事は必ず的中する。お前は法を作らなかった事を必ず後悔する」

 

「私にも眷属はいる。私を信頼し共感し共に在ると誓ってくれたな。だからこそだ。私には、彼らとその家族を守らねばならない。義務であり、責務でもある」

 

フランシスの言葉にサーゼクスは、まるで自分はその責任すら出来ていないと言われた気になる。

 

「君の言い分では、此のままでは冥界と共にいたら巻添えを食う。と言っているみたいだね」

 

「実際その通りだろ?今のまま何もしないでいたら、まず冥界に未来は無い。私はそんな泥船に乗る気は無いな」

 

「何処へ行くんだい?」

 

 

すがる様にフランシスを見るサーゼクスにもう用は無いと言わんばかりに立ち去ろうとする。

 

「日本」

 

 

それだけ言うと今度こそ立ち去って行った。

 

後にサーゼクスはフランシス・ダンダリオンの言葉通りに後悔する。

文字通り頭を抱える羽目になった。

 

 



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設定

オリキャラの簡単な設定になります。



斉宮 灯(いつき あかり)

 

羅刹種:半鬼

 

外見:黒髪真ん中分け。可愛い顔立ち。

華奢に見える。

 

性格:温厚。処により冷徹。

 

 

もふもふをこよなく愛する少年。

 

学園に置いて、風紀委員長を務める。

術士としてもえげつない。

 

武器:金棒・呪符

 

腕力でドつく。呪符で色々と封じる。

色々と伝あり。

 

小設定:ヴァーリとは義理の兄弟

ヴァーリを兄弟と言う。また、ヴァーリも灯の事を兄弟と言う。

 

親は、母親が地獄の鬼。その鬼に惚れて口説き倒した斉宮家の当時の当主。現在、灯父は死亡した為地獄の獄卒を務めている。

将来は、中間管理の仕事。

ちなみにヴァーリは妖怪お巡りさん。

 

 

斉宮家とは、五大宗家とはまた違う名家。

古より、国柱を支える一族。バランスを保つために存在する。その血を強い物とする為、人成らざる者との婚姻を必要としている。(歴代当主は自分に必要な伴侶を本能的見つける事があり、力が強い弱いは関係無いとしている)

 

 

 

 

御山 太郎(みやま たろう)

 

神狼種:半神狼

 

外見:金髪のハーフアップ。でかいワンコ。しっかりした体格。

 

性格:暢気。人当たりは良い。ただし戦闘に置いてはバトル中毒。

 

学園に置いて、風紀委員。問題児を締める。性格が性格だけに、敵対する存在には精神を抉る。

 

武器:特になし

 

獣頭人身になって殴る蹴る。

 

小設定:大神信仰の神様とその神様に惚れて口説き倒した女の人との合いの子。下にいる妹達は双子の不思議ちゃん。

将来は、とある山を納める予定なので、卒業後は師事する神様の許可が降りる迄修行する。

 

狼になって走る事が出来る。

 

最近の悩み、好きな人が中々自分を見てくれないこと。

もし、彼女がテロリストになっていたら、迷わずテロリストになっていた人。色んな意味ヤバいのがコイツ。

 

 

 

本田 智尋(ほんだ ともひろ)

悪魔名〔フランシス・ダンダリオン〕《「知識は力なり」を名言したイングランドの哲学者〔フランシス・ベーコン〕から》

 

悪魔種:元大公 (現在、人間として生活中)

 

外見:髪を後ろに流している眼鏡。

年不相応。

 

性格:自分が心許した相手にはとことん甘いが、そうで無い相手にはとことん冷血漢。敵対する存在には、自分の持てる全てを持って対応する所存。

 

学園に置いては、風紀委員長の秘書的な存在。ある意味学園最強。

 

とある理由で冥界と縁を切る。

現悪魔が嫌い。

 

 

小設定:眷族は、悪魔の駒を使わない。昔ながらのやり方。

血を媒介に、契りを交わすやり方を好んで使う。

 

その知識故に、魔王の素質があったにも関わらず、魔王になれなかった悪魔。

 

老害は颯々と滅ぶべし慈悲は無い。

将来は、日本の魔王、方相氏に仕える予定。

 

 




大まかになります。
初めてなので時々直しながら、挙げていきたいです。


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第零ノ壱話

まだ原作に入りません。
とりあえず、書き貯めた分だけUPします。


「で、何か言いたい事ある?」

 

穏やかで有りながら、決して逃げを許さない声が耳を打つ。

 

俺達の目の前には、四人の男子生徒が俺達を冷ややかに見ていた。

 

コイツ等四人は、一年生で有りながら風紀委員幹部で、非モテな男達の宿敵だ。

 

 

四人組の中で、一番背が高く体格も良いイケメン。しかも金髪って、人当たり良いってドンだけ盛ってんの?っつーのが、

御山 太郎(みやま たろう)

モテ男の癖に彼女ナシ。好きな娘はいるらしい。

 

四人組の中の頭脳担当。インテリ眼鏡。何か、一人だけ一年生に見えない雰囲気を持ってんのが、

本田 智尋(ほんだ ともひろ)

モテ男。だが、彼女ナシ。本人興味もナシ。理由、子供に興味が無いんだと。一回で良いから言ってみてーよ。ンなセリフ!

 

四人組の中で、“二大王子様”と言われているのが、コイツ。

斉宮 ヴァーリ

もう一人の方が、爽やか系王子様に対して、コイツは俺様系王子様。見た目程俺様じゃなくて、結構人当たりは良い。只、つるむ相手は選んでいるらしくて、基本的四人だったり、兄弟とだったり、何故か俺達三人だったりとで女の子とかとは一緒にいない。

・・・一番モテるのもコイツ。只、コイツも好きな人がいるからといつも断っている。

 

四人組の頭格なのが、イケメンって言うか可愛い?

斉宮 灯(いつき あかり)

ヴァーリの兄弟でこの中で一番小柄。

・・・俺達は知っている。コイツが一番ヤバいヤツなのは。

俺達が入学した時、風紀委員は其処まで目立つ存在じゃなかった。むしろ風紀委員ってあった?て言うのが当たり前。

風紀なんて名ばかりで上級生の溜まり場。生徒会も注意とかしていたけど、効果ナシ。そんな時にコイツは当時風紀委員長していた上級生を風紀委員から、果ては、学校から追い出した。

さすがに、先生達からやり過ぎと怒られたけど、コイツは当時の風紀委員長がやらかした事を挙げて挙げまくった。

何か、本気で学校事態ヤバい事になる案件がヤバい位あったらしく、さすがに学校も日和見出来ないって判断したらしい。

乱れた風紀をコイツは数日で立て直すなんて事をした。だから一年生で有りながらコイツは風紀委員長をしている。

 

 

そんなね、怒らせたらヤバいヤツ等を前にね、なんで正座させられているかってね、それはね・・・

 

女子更衣室の誘惑に負けて、覗き見しちまったんだよ!

 

あぁ、そうさ!俺達三人がこの学校に入った理由が、高レベルの女子がいるからと言う理由さ!

でもさ、同じ学年にだよ、ヤバいヤツ等がいるなんて思わないだろ!

覗き見だけで、吊し上げなんて

 

「ねぇ、君達が何思っているか興味無いんだけど、自分達がやった事、犯罪だって理解してる?覗き見って軽犯罪だから。親御さんを呼んで、罰金払う位の犯罪だから。親関係無いって?馬鹿言っちゃいけないよ。君達の親なんだから、君達の罪の責任をとって貰う。?君達、賠償金払える?無理でしょ?そう言うレベルなの」

 

ガンガンと頭を直かに殴られる感じがした。松田と元浜も顔が真っ青になって泣きそうになっていた。

 

「反省してる?その態度に免じて救済措置有るけどどうす「本当か!」やる気有るみたいだね」

 

「被害にあった女生徒達に許可は取った。この学校では初犯と言う事を考慮してだ、勘違いはするな。救済措置はあくまでも初犯だからと言う形だ。何度も有ると思うな」

 

斉宮灯と本田が俺達に言う。

そうか、二度目は無いんだ。最後のチャンスなんだ。

俺達がやって来た事は犯罪って言われる迄、俺達は覗きを軽く考えていた。

 

「君達には、向こう三年間奉仕活動を有る事と併用でして貰う」

 

斉宮灯はにこりと笑い俺達に手を差し伸ばした。

 

「君達は風紀委員預かりだ。ようこそ」

 

最後にさ、巷じゃ駒王学園の風紀委員ってなんて呼ばれているか、知っているか?

 

風“鬼”委員会って呼ばれているんだと。

 

 

誰もいない部屋で電子音がなり、携帯を灯は取った。

 

「もしもし、はい。耳がお早いですね。手緩い・・・ですか。私がした事はきっかけです。後は本人達の努力次第。はい、確かに私には“地獄の血”が流れています。ですが・・・申し訳ありません。出過ぎた事を言いました。はい。お心遣い感謝します。昨今の・・・はい。分かりました。こちらで対処を・・・はい。では、失礼します。鬼灯様」

 

 

灯は通話を切ると深いため息を吐いた。

 

 

「中間管理職って、大変」

 




投稿に四苦八苦。

オリ主ってなっているけど、それっぽくなってます?

某風紀委員長ぽい事をしてます。


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第壱話

やっと原作に片足入りました。
原作主人公とその友人を弄くりまくってしまった。
一応、自己解釈ってあるし、大丈夫ですか?


俺、兵藤一誠はあの時から、無事進級しました!

 

あれから、色んな意味で地獄が始まった。

奉仕活動って言うのは、美化委員会と風紀委員会の共同でのボランティア活動。後は、風紀委員会活動(付添人あり)別にこれは地獄じゃない。その他だ。

 

その他は、俺達の煩悩制御の為の滝行。冬は、暗い小部屋での読経。

 

この、滝行も読経も大した事なさそうだけど、そんな事なかった。

最初、滝行したら足ガクガクで立つ事すらできなかった。

読経は終わったら目の前がぐるんぐるんになったし、慣れる迄本当に辛かった。

エロにすら反応出来なかったくらいだ。

 

暫くそれ続けてたら、ボクサー体型になって怠くなるし、キツくて止めそうになったし、逃げようって思った。

松田と元浜もそう思ったって言っていた。

逃げようって思えば逃げられたって思う。でも、斉宮、灯は只、俺達に付き合った。灯は俺達に奉仕活動と精神修行に関係無いのに付き合った。

・・・格好良い事じゃ無いけど、灯に負けたくないって思った。そしたら、修行頑張れた。

 

そもそも、灯は別にエロを否定してはいないんだって。ただ、俺達の所業があんまり過ぎて、自制しろって事らしい。

 

そのお陰なのか、エロは自制出来て来たとは思う。

 

 

「兵藤君、松田君、元浜君。今日は上がりで良いよ」

 

「あ、はい。これ片付けたら上がります!松田早くそれ入れろって」

 

「ほれ、三人とも今日の駄賃な」

 

 

そう渡されたのは、アクエリ三本。

 

最近、副委員長さん達からも信頼されて来ていると思う。

委員長さん達に頭下げて帰る事になった。灯から、今日は上がったら帰って良いと言われていたし・・・

 

 

「なぁ、今日どうする?」

 

「見ちゃいます?」

 

 

AV・・・見る気分じゃねぇな。

 

「あー、今日は良いや。気分じゃねぇ」

 

「なんだよー、付き合いワリーぞ」

 

「しゃあねぇ、元浜行こうぜ。イッセーまたなー」

 

 

二人には悪いけど、AVを見る気分じゃなかった。

 

多分最近見てる夢のせいだと思う。

滝行とか、読経とかを初めてした時は泥の様に寝てたけど、最近余裕が出て来たみたいで、不思議な夢を見る様になった。

 

 

真っ赤なドラゴンの夢。

 

それもRPGに出てくる様なとびきりカッコいいヤツ。

 

そのドラゴンが誰かを乗せて空を飛んでいるんだ。

何か話しているけど、かなりペラペラの英語で、聞き取りずらかった。

 

だけど、雰囲気は分かる。

 

ドラゴンは誰かをとても大切にしているって言うのが分かった。誰かもドラゴンを大切に思っているのが分かった。

 

それは、何処と無く神聖な1枚の絵みたいだと思った。

 

 

そんな風景を見たら、AVを見れる訳なかった。

 

そんな事を考えていたら、騒がしい感じがした。路地の所に大学生っぽいヤツ等が女の子の手を掴んでいた。

 

俺は咄嗟に灯から渡された風紀委員の腕章を、腕に着けた。

いざと言う時、駒王学園風紀委員会の名前出せと言われている。

 

 

「おい、その子をはなせ!」

 

 

大学生達は、訝しげに俺を見て、腕章を見てぎょっとした。

あいつ等、どんだけ勢力広げてんの?

 

「駒王の風鬼委員会」

 

「ちっ行こうぜ」

 

逃げるように大学生達は立ち去って行く。

 

・・・うん、この腕章。あんまり使わない様にしよう。・・・何かめちゃくちゃ怖い。

 

「あ、あの助けて頂いて・・・ありがとうございます!」

 

絡まれた女の子がお礼を言ってくれた。

ちょっと、いや、かなり照れるし嬉しい。学校じゃ微妙に変態扱いだ・・・。

自業自得だけどな!

 

・・・だけど、何だろう?この、女の子から何か変な違和感が感じられた。

 

 

「あの、是非お礼をしたいのですが・・・」

 

「へ?あ、いや、大した事じゃ無いんで・・・後、こう言う所って物騒なんで気をつけてください。そんじゃ、失礼します!」

 

 

俺は、その子から逃げた。

 

俺は知らなかった。その子が虫ケラを見る様な目で俺を見ていた事を・・・

 

 

「・・・聞いていた話とは、違うのね。ふうん・・・生意気に警戒しているなんて」

 

「よう、さっきぶり。連れないよなぁ、あんたから誘って来たってのに」

 

ニヤニヤと逃げた大学生達が女生徒に絡んで行く。

 

彼等は気がつかない。先程迄の喧騒が消えていた事に。

 

彼等は気がつかない。その女生徒が彼等を嘲笑っている事を。

 

 

「馬鹿な奴ら、あのまま逃げていれば余計なケガしなくてすんだのにね」

 

 

 

突如として、黒い羽が彼等の視界を覆う。

 

脇腹に、鋭い痛みを感じ彼等は我を忘れる。その叫びを彼女は嘲る。

 

散々嬲り彼らが虫の息になった頃、飽きた様に飛び去る。

 

彼女の次の玩具は親切に自分を助けた虫ケラだ。

 

彼女は嗤う。どう遊んでヤろうか。

彼女は知らない。自分が何の逆鱗に触れ、自分の未来が永劫のどん底に落とされる事を。

 

 

 

「すみません、路地の所で人が三人大怪我しているんです。一応、応急措置程度は・・・、はい、一刻を争うかと・・・はい、自分は駒王学園の風紀委員です」

 

 

そう、彼は携帯の通話を切る。

 

そして、倒れた大学生達の周りに散らばった羽根を拾い上げた。

 

「これは、堕天使?」

 

堕天使が、駒王町に入ったと言う話は聞いていなかった。

 

 

「委員長が怒らないと良いのですが」

 

 

彼は悪魔だ。

敬愛する主が信頼する風紀委員長に、彼を含めた眷族達は、悪魔ではないが風紀委員長を己の主と同等に敬愛していた。

 

此処最近、三大勢力やらかした事で主を含めた日本側の秩序が疲労困憊に、陥っていた。

元三大勢力側の悪魔として、本当に恥ずかしい限りだ。

 

 

「全く、此処の管理者はやる気あるのですかね?侵犯に当たるのに・・・気がつかないなんて・・・まさか、依頼されて初めて知っているとか?・・・だとすれば管理不行き届きに成ります」

 

丁度、救急隊がやって来て迅速に彼等を運んで行った。

警察も事情を聞きに来た。彼は当たり障り無い様に話した。

 

結果、不良のいき過ぎた喧嘩と言う事になった。

 

事情聴取を終わらせた彼は再び携帯を鳴らす。

 

 

「委員長。どうも堕天使が許可なくこの地に侵入した様です。はい、被害者は大学生三名。意識不明の重体です」

 

 

愚か者が、逆鱗に触れる。

何も知らずに、理解せずに。

 




某アパート式修行。

精神鍛えるのに最適かなと出してみました。
某アパートの主人公も直感が鋭くなってましたから。


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第弐話

届かなかった手


やぁ、たろーさんだよ!

近頃何かと物騒になっちゃって嫌になっちゃうね。

 

風紀委員の報告で、堕天使が領地侵犯しているみたいな事あって、一般風紀委員とは別に特務委員達に警戒体制を取る様に指示が出された。

 

駄天使にも困ったもんだよ。

自分がしている事の危険性を理解して無いんだもん。

 

まぁ、困ったちゃんは駄天使だけじゃないけどね。

 

最近、日本に亡命して来る神器持ちや、はぐれ悪魔がとても多い。

 

何してんの三大勢力。

 

確かに聖書勢は日本じゃ余りメジャーな宗教じゃない。だから安心して日本に逃げて来るんだろうけど。

ホント迷惑!

 

あ、聖書勢には感謝もあるよ?

 

あいつ等のお陰で、美味しい洋菓子や楽しいイベントが輸入されたもん。

 

問題も多々あるけどね!

 

んで、今問題が発生中。

松田と元浜が偉く憤慨して風紀委員室に入ってきた。

 

何でも、あのイッセーに彼女が出来たらしい。だから今日は来れないらしい。

イッセーにしちゃ、珍しい・・・。アイツはぐだぐだ文句言っても、修行はキッチリする奴だし、何より・・・

 

 

「イッセーからは何も連絡来てないよ?」

 

「あぁ、アイツ俺等に灯に伝えてくれって言って来たんだよ。それ位自分でやれっての!」

 

 

・・・あり得ない。

松田も元浜も、気付いていないけど。イッセーは必要連絡を怠る様な奴じゃない。灯も気付いたみたいで、不穏な気配が漂う。

 

「ま、とりあえず松田、元浜。今日はお前達だけ読経しろ。兄弟、お前はコイツ等の付き添いだ」

 

「ぎゃー、マジかよ、イッセーの奴~。なぁ灯、アイツの修行次からハードモードな!」

 

 

灯はヴァーリを見るとヴァーリは頷く。

灯が動け無い場合。ヴァーリが代わりに指示を出す事になっていた。

 

 

「特務委員各員に次ぐ。兵藤一誠が何者かに連れ出された模様。その際、魅了の術を使用されたと思われる」

 

イッセーがオイラ達に託したメッセージ。

伝えられない事が最大のメッセージ。

 

つまり、身動きが取れない。不自然にならない様に、疑問に思われない様に意識を阻害していると考えられた。

 

その中で、辛うじての意識の中でのメッセージ。あの修行は無駄じゃなかったんだ。

 

オイラは、窓を開けて全神経をイッセーの匂いに集中させた。

 

え?匂いって卑猥?しょうがないよね!

だってオイラ、三峰の大神の血を引いてるんだから。

 

 

「見つけた、公園!」

 

「全員、公園に急げ!まだ間に合う筈だ!」

 

 

あ、ヤバい。血の匂いがする。

ヴァーリは皆を公園に向かわせたけど・・・。

 

 

「間に合わなかった」

 

 

公園にあったのは大量の血の跡と堕天使の羽根。

そして、悪魔の力の痕跡だった。

 

 

 

オイラ達の手は・・・イッセーの伸ばされた手には届かなかった。

 

 

 

 

 




時間軸はバラバラ。
次は一誠視点からお送りします。


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第弐ノ壱

終わって始まって


朝の修行も無事終わって学校来ている、俺事、兵藤一誠です。

いや、朝っぱらの滝行は強制的に目が醒めるわ。

 

因みに家の両親は、灯達の事を全面的に信頼している。それは松田と元浜の両親もだけど。

俺達変わる切っ掛けくれたの灯達だし、当然といえば当然だ。

 

母さんには悪いけど、朝も早く弁当を二つ作ってもらっている。

感謝してもしたりない。

 

修行後で灯の家で朝飯食べるけど、はっきり足りない。滅茶苦茶腹がへる。

 

修行初めてから、滅茶苦茶へる。

 

アイツ等も親に無理言って作ってもらっている。

 

修行してエロが減るなんて、今迄マジ思わなかったし、俺達からエロを取ったら何が残るんだ!とも思った。

 

「YOU達は、エロスに頼らないと自己を保てないんですか?それは、なんとも哀れ通り越して滑稽ですよ。エロスは所詮エロスでしかないのですから、アイデンティティー位自分で形作んなさい」

 

と、エロの師匠から言われた言葉だ。

 

因みに師匠は阿〇寛みたいなイケボを持つイケメンだ。

灯が紹介してくれたイケメンなのだが、此がとても話が解る人だ。

でも、彼女いるのか聞いたら・・・

 

「・・・彼女と言う方は居ませんね。お慕いしている方なら居ますケド」

 

言葉を濁された。で、もう一人の師匠って言うか兄貴って感じの人は、長〇〇也

みたいなガテン系イケメンだ。

 

「ま、あのままじゃヤラハタ確実だったわな」

 

ケラケラ笑いながら恐ろしい事言いやがった事は俺達は忘れマセン・・・(怒)

 

「・・・あの、イッセー君達。おっぱいの何がいいんスか?」

 

兄貴って言うかにーちゃんと言うべきか迷うけど、師匠では無いけどよく話をするピュア系イケメン。

 

この人とは相容れないと思う。何故って?だってこの人

 

「足の方が良くないッスか?」

 

ピュア度100%の足フェチだからだ。

この間、ガチの言い合いをした。

 

必要な事、そうで無い事。俺達には全部必要な事で、糧になるそうだ。

 

変な言い方だけど、あの時の事があって俺達はちょっとずつだけどマシな方に変われたと思う。

 

灯は・・・俺達の・・・その、も、もう一人の・・・お、親みたいな・・・

 

あ”ーやっばい、滅茶苦茶ハズい!

 

あ、太郎やヴァーリ、本田に感謝していない訳じゃない。感謝している。そりゃもう。

 

学校が終われば、今日は読経の日だ。

そう思ってた。いつもと変わらない日だと思っていた。

 

「あの!兵藤一誠君ですよね?」

 

「君は」

 

俺に声を掛けて来たのは昨日の女の子。

 

「私、天野夕麻って言います!兵藤君、私とお付き合いして下さい!」

 

その子は有名女子高の制服を着ていて、美少女で、かなり俺のタイプだった。

 

だけど、違和感が拭えない。こう言っちゃ何だけど、俺は未だに微妙ではあるが、変態の異名を持っている。

 

しかも、他校にも有名だ。泣きたくなる。

 

「一目惚れしたんです。昨日助けてもらって・・・やっぱりご迷惑ですか?」

 

 

彼女の、夕麻ちゃんの目を見ていたら、頭がぼんやりしてきた。

 

「いや、迷惑だなんて・・・それに、そんなつもりじゃ・・・」

 

するりと、夕麻ちゃんが俺の腕に絡み付いてきた。おっぱいが当たって顔が思わずにやけた。

 

けど、頭のどこかでガンガンと嫌な感じがしてきた。

 

「一誠君・・・私とお付き合いして?」

 

「・・・あぁ、いいよ・・・でも今日は

「今日、貴方は私と出掛けるんでしょう?」っあぁ、そうだった」

 

「イッセー?何してんの」

 

元浜が声を掛けて来た。

助かったって思った。けど、自分の口からとんでもない事が出て来た。

 

「あぁ、実はさ、この子と付き合う事になった」

 

「はぁ!?」

 

元浜と松田は、面白い顔になった。普通だったら笑うけど今はとてもじゃ無いけど笑えない。

 

 

「おま、お前っざっけんなよ!何それ羨まけしからん!」

 

「神は死んだ!」

 

「ははっ、いいだろーこれからデートだ」

 

 

俺は、普段と変わらない感じで話す。

何だこれ・・・気持ち悪い。

 

「て、今日か?灯には言ったのか?」

 

!?

ナイス松田!灯になら・・・

 

 

「ワリー、灯に伝えてくれる?今日行けなくなったって」

 

「は?自分で言えよ」

 

頼む!頼む。灯に伝えてくれ!

 

「頼むって、今度奢るから」

 

「「よし、高いモン頼もーぜ」」

 

「遠慮って言葉知ってるか?」

 

これで、灯が気がついてくれるのを信じて時間稼ぎをしよう。

 

・・・でも、何で俺はこんな荒唐無稽な状態を灯なら何とかしてくれるって思ったんだろう?

多分、俺は灯を信頼しているからだろう。

 

間に合ってくれるかな・・・

 

いや、何でだろ・・・俺は死ぬ。

確実に灯達は間に合わない。

信じていない訳じゃ無いけど、そう頭が確信してしまった。

 

公園についた。おかしい。

まだ、そんなに暗く無いのに人通りが全く無い。

 

心臓が爆発するくらい激しく鳴る。

 

 

「ふふふ、凄いね一誠君。魅了の術かけたのに、必死に足掻いて・・・」

 

面白そうに夕麻ちゃんが嗤う。

 

「ねぇ、一誠君。お願いがあるの」

 

嗤う彼女は、酷く滑稽と言わんばかりに顔を歪める。

 

「死んでくれないかな♡」

 

黒い羽根が音をたてて宙を舞う。制服姿から、際どい姿へと夕麻ちゃんは変わる。

こんな時なのに、俺って奴はその姿にデレッとしてしまう。

 

彼女から放たれた光の矢は、寸分の狂いもなく、俺の腹に突き刺さる。

激痛で頭が真っ白になって何をしたのか覚えて無い。

ただ彼女がケラケラと俺が藻掻いている姿を嘲笑っていたのはわかった。

 

「じゃあね、一誠君」

 

彼女が翔び去って行く。

 

死ぬのか?俺は・・・

だんだん腹が立ってきた。何で俺は死ななくちゃならない?夕麻ちゃん・・・いや、あのくそ女でいい!

そもそも、何あれ!一目惚れとか、お付き合いして下さいとか、最後手の平くるーとか、男の純情持て遊び過ぎだろーが!

死にたくない。俺まだ、未使用なのに・・・死にたくない。

 

 

「っし、死にたくな”ぁ・・・い”!」

 

俺の手が何かを掴んだ。

 

赤い光が辺りを包んだ。

俺が最後に見た物は緋?赤?朱?どっちだろ・・・

 

 

「私を呼んだのは貴方?・・・あら・・・ふぅん」

 

赤は笑う。喚ばれて来てみたら死にかけの同校の生徒がいた。

 

それも、神器持ちだ。これは、良い拾いモノだと喜んだ。

 

 

「“死にたくない”ね。安心なさい。貴方の命。この私が拾ってあげる」

 

 

赤は笑う。

 

 

「この、リアス・グレモリーがね」

 




一誠視点です。

いやはや、リアルがしんどくて中々挙げられませんでした。


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