ぬらりひょんの孫 ~桜舞い、龍の如く!~ (あこ姫)
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序幕 人物紹介
また、新作書いてみました。
初の転生ものです。相変わらず女主人公ですが(笑)
では、どうぞです。
龍宮 咲桜 (たつみや さくら)
オリ主。
ジャンプ好きな平凡なJK。
特に好きな漫画はぬら孫。
「ぬら孫」の世界に転生することになる。
友人の水無瀬真紀奈にはかなり毒舌。
奴良 龍桜菜 (ぬら りおな)
イメージCV:高垣彩陽さん
オリ主がぬら孫の世界に転生した姿。
奴良鯉伴・奴良若菜の娘で奴良リクオの双子の姉。
龍妖怪の血が流れており、それも相まって自分の体内にある妖怪の血の割合が1/4ではなく1/2。半妖。
なので、一日の半分は妖怪でいられる。時間帯は任意で変更可能。
祖母(珱姫)・父(鯉伴)と同じく治癒の力が使える。
戦闘スタイルは祖父,父親譲りのぬらりひょんの畏を使う他、龍妖怪の雷の力を使う。
これにより、近接,遠距離両方に対応する事が出来る。
また、龍妖怪の力を更に高める為に陰陽道も会得している。
使用する術の五行属性は「水」。
戦略・統率にも長けていてそれに助けられている出入りもしばしば。
なので幹部内から「三代目総大将は龍桜菜様だ。」と推す声もある。
「三代目総大将になるのは自分ではなくリクオであるべき」と思っているので
自身が総大将になることには消極的。
使用する武器は桜と龍の意匠が施された日本刀×2
畏の強さによって刀の強度も違ってくるという変わった性質を持つ。
鬼發・・・明鏡止水
鬼憑・・・鏡花水月
使用技
明鏡止水・"桜花”・・・・明鏡止水・"桜”を盃無しで発動できるようにした技。
技の効果などは明鏡止水・桜と同様。
明鏡止水・"桜花乱舞”・・・・明鏡止水・"桜花”をより広範囲に放つ技。
橘花・・・・龍の意匠が施された方の刀で放つ技。
雷の礫を広範囲に展開させ、相手を穿つ技
金木犀・・・雷の力を一点集中させ、相手を貫く技。複数個出現させることも可能。
白亜・・・・刀を地面に突き刺し、結界を展開させる。その結界はカウンター効果を持つ。
水無瀬 真紀奈 (みなせ まきな)
イメージCV:悠木碧さん
咲桜の幼馴染で友人。腐れ縁といっても良い仲である。
一言で言ってバカ。表情が顔に出てわかり易いバカ。
感情表現超ストレートであと無駄に長いしウザイ。
絡んできたら、ひたすらシカトするのが賢い選択である。
そんな彼女だが、人一倍優しい娘である。
六華(りっか)
イメージCV:進藤尚美さん
死んだ主人公を転生させた張本人。
実はあの羽衣狐である。
ある日、息子である安倍晴明(鵺)に対して違和感を感じると同時に自身に危機感を覚える。
なので、それらしい擬似人格を作り上げて精神のみ逃亡。
その後は自身で精神世界を作り、息子を止めてくれる人物を待っていた。
今回は恒例の人物紹介です。
次回より本編開始。
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第一幕 少女、転生
本編すたーと!なのです。
いきなりですが、ここで質問。
「皆は『転生』の存在を信じますか?」
……通常だったら、「そんなの漫画とかの創作での出来事でしょ? 現実でそんなのあるわけないじゃん」って感じで終わるだろう。
余程の事がない限り、誰だってそうだろう。
私・龍宮咲桜もそう思う。
……いや、違うな。
何故かと聞かれれば、「余程の事があった」と答える。そう、あれは(たぶん)先週の話である。
「サク、放課後ヒマだったらどっか遊びに行かない?」
学校の授業が終わり、放課後。友人である水無瀬真希奈が話しかけてきた。
「ゴメン。ちょっと用事あるし、ムリだわ」
私はやんわり(のつもりで)誘いを断る。それを聞いた真紀奈は誰がどう見ても超わかりやすい不服な表情だった。
「……またジャンプ買いに行くの?」
「…………なぜバレたし」
「いや、毎回月曜日に誘うと断ってんじゃん。サク」
「察してるんなら、誘うなし。マキ」
「いやぁ……今回こそは大丈夫かなって」
「……バカだ。コイツ。それくらい察してくれ」
「バカはないでしょう。バカは。粘り強いと言って」
「訂正。マキは『諦めの悪いバカ』だな」
「ガ━━(;゚Д゚)━━ン!!」
私の指摘に項垂れるマキ。
「これ以上コイツの相手してんのは時間の無駄だ」
そう判断した私は絶賛凹み中のマキを放置して書店へと急いだ。
高校から最寄りの書店までは徒歩10分くらいである。道中には横断歩道があってそこを使えば徒歩3分まで短縮できる。通常なれば横断歩道を使うだろうが、地元民はその横断歩道を使わない。
それは何故か。理由は簡単。
「その横断歩道で交通事故が頻繁に発生し、沢山死亡者が出ているから」
故に人々は遠回りでも周辺の歩道橋を利用している。その横断歩道を使うのは余程の命知らずだけとなっていた。
私は急いでいた故にあろう事か「死を呼ぶ横断歩道」を利用した。
その結果、私は…………青信号で渡った瞬間、暴走したトラックに撥ねられた。
どうやらブレーキが故障して止まらなくなっていたらしい。
結果は言うまでもなく即死だった。そして私の意識は薄れて闇の中に誘われて行った。
次に私が目を覚ましたのは何とも言えない不思議な空間だった。
「お、目を覚ましたか? 娘」
「え、は、はい…………」
私は戸惑いつつも話しかけてきた女性に答えを返す。
「えっと、ここは……? それに貴女は……?」
「ふむ……。随分と“てんぷれ”な質問じゃの。まぁ良い。
先ず、ここは妾の精神空間じゃ。で、妾は羽衣狐・
「精神空間…………羽衣狐・六華…………」
私は六華さんの答えに考える。
あれから死んだ私はどうやら天国若しくは地獄に送られず、ここに送られたようだ。そういえば、なんか体が透けているような気がしないでもない。
うわ、これってまるで二次創作にありがちな転生フラグじゃないか。
まぁ、それは一旦置いといてだな。
羽衣狐…………。聞いたことがあるな。あ、あれだ。私が好きな漫画・「ぬらりひょんの孫」の登場キャラじゃないか。
でも、あの作中の羽衣狐と六華様が同一人物(?)なのかな? よし、ちょっと聞いてみるか。
「あの、六華様。ひとついい?」
「ん、なんじゃ?」
「六華様の息子さんは安倍晴明で鵺だったりしないよね?」
「おお、良くわかったな。そのとおりじゃ」
…………ビンゴじゃん。私の推測大的中だよ。うわぁ、マジか……。
「娘、何を考えているか知らんが、妾の話を聞いてはくれんか?」
「あっ…………はい」
「こほん。では単刀直入に言う。娘よ、お主に妾の本体がいる世界に転生して妾の息子……安倍晴明を止めて欲しい」
えっと、つまり、私がぬら孫の世界に転生するって事だよね……?
……………………。
考えるまでもないよね。うん。
「了解。その依頼受けさせてもらうよ」
「おお。引き受けてくれるか。すまない、感謝する」
「で、私は向こうの世界ではどんな感じに…………?」
「奴良組・二代目奴良鯉伴の娘じゃな」
「あ、そうなんだ。ありがと」
奴良鯉伴の娘……。ってことは、原作主人公・奴良リクオとは兄妹か姉弟になるってわけか……。
「おっと、忘れるところじゃった。娘よ、転生にあたって何か希望はあるか?」
「希望……」
「うむ。強さとかの類じゃな」
「龍の力も使える半妖で。あとは珱姫の治癒能力も使えると有難いかな」
保険はあった方がいいよね。龍の力は私の苗字が「龍宮」だったし、そのつながりの思いつきだけど。
「そうか……。それくらいなら容易いから構わんよ。了解した」
「有難うございます」
「あ、それとお主が使う武器は向こうの世界で齢3つになった時に宅配便で送るからの」
「了解です」
了承するものの、心の奥底では「宅配便でかよ……」と突っ込む私であった。
「それでは、そろそろ時間じゃ。転生作業を始めるぞ。娘よ、そこの魔法陣へ」
「あ、はい……」
六華様に促されるまま、私はちゃぶ台の真横にある魔法陣へ移動する。
「準備は良いか?」
「はいっ!」
「そうか。では最後に一つ妾に教えてくれんかの?」
「…………? 何か?」
「お主の名前じゃ」
「私の名前は
「咲桜か……。良い名じゃな。では咲桜よ。お主の人生に幸があらんことを…………」
六華様の言葉の後、魔法陣が眩く光り、私の意識は再びフェードアウトした。
「お、目を覚ましたか、
目を覚ました私の上には父親である鯉伴様がいた。そうか、もう転生後の世界なのね。
私の名前は龍桜菜。
いつまでも寝ているわけにもいかないので、私は起き上がろうとしたが、うまく起き上がれない。どうして……?
「おいおい、赤ん坊が無理すんなって。ほら起きるなら、俺が抱いてやるから」
そういって、父さんは私を抱き上げる。そして、散歩がてらなのか、私を抱っこしたまま、屋敷内を歩いていた。
途中、鏡で私は自分の姿を確認することができた。……で、結果的に驚愕だったよ。
もう当然でしょ。だって転生前は高校生だった私は今は0歳の赤ん坊なんだもん。
驚かないほうが可笑しいって。転生だし有り得る話だけども!
……て事は武器が届くのは3歳になった頃なのね……。随分先かぁ……。大丈夫かな……。マジで。
こうして私・龍宮 咲桜改め、奴良 龍桜菜の転生ライフが幕を開けた。
はい。いかがだったでせうか。
キャラ崩れしてねぇといいけど。
もう転生物初だしね。
上手く出来てるか超不安だわwww
こんな拙い文章ですが、お付き合いしてくれると嬉しい・・・・。
更新自体も不定期間違いなしなのでその点もご了承頂ければな・・・・。と。
では、いつになるかわからない第二幕でお会いしませう。
ではでは。
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第二幕 少女、始動す
約半年ぶりの更新です。
半年に一度くらいの更新になるかもですがよろしくお願いしますm(_ _)m
私が奴良龍桜菜となってから早いものでもう3年が経過していた。って、ことはもう3歳な私である。
前にも言ったけれど、今年は私の刀が届くらしい。宅配便で。
いや、嬉しいんだけど……何故に宅配便なんだ? 怪しまれないようにするためなのか……其処らへんは知らないけど。
…………で、その刀だが、昨日届いた。うん。宅配便で。
で、ビックリしたのがその刀を届けてくれた人? があの鬼童丸さんでした。
いやぁ、びっくりもびっくり。玄関の戸を開けたらいきなりだもん。叫び声上げるところだったが、なんとか抑えた。バレたらなんか厄介そうだし。色々とね。
その後、そのまま鬼童丸さん……師匠に基礎を教えてもらった。
師匠は見た目的に厳ついおじーちゃんなんだけど、教え方も丁寧で、こちらのペースに合わせた指導方法だったし。正に師匠さまさまである。その妖選大当たりだよ! 六華様!
茨木童子だったら…………考えたくもないな。絶対、スパルタ指導決定だろ…………。声はイケボなんだけどね。私は即逃げだな。うん。
で、桜の意匠が施された刀と龍の意匠が施された刀があって、自分で銘を決められるらしい。
なので桜の方を「
特別な仕様らしいが後々判明するだろう。
取り敢えずは、師匠を超えるとはいかなくても、互角までにはなんないとね。修業だ、修業。
父さんやリクオ達には勿論内緒だ。あ、特におじーちゃんと狒々には気付かれると色々マズイかも。過去に対戦済みな意味で面識あるかもだし、気をつけないと。
で、なんやかんやであれから2年の年月が経過してもう私も5歳である。
え……? 「色々と端折りすぎ!」……?
……だって、仕方ないじゃん。特筆する事無かったし。
昼間はフツーの幼稚園児として生活。そして夜は師匠と修行。
……偶に茨木童子だったり、しょうけらさんのイケメン'sも来てたな。
茨木童子に自分が使用する畏、『
本人曰く、「相性がいい」とのこと。
その過程は想像通りというか、なんというか。スパルタでした。でも、不思議な事に「逃げ出したい」とか思わなかったね。
上手い事、煽りに乗せられたかは知らないけど。対抗心剥き出しで臨んだら、あら不思議。習得どころか改良技まで生み出しちゃったよ。
『鬼太鼓桴"仏斬鋏"・一重』。
「一重」の名の通り、通常二本の刀で使用する技を一本の刀で繰り出せる様にした技。
威力も本家本元と互角くらいかな。元祖曰く、「及第点」らしい。手厳しい……。
しょうけらの時は主に私自身の治癒力と『紫桜』との相性について。
しょうけらさんに見て貰ったところ、どうやら私の持つ祖母譲りの治癒力と『紫桜』の相性は良かった。
大体は相性が悪く、複合出来ないらしいとのこと。
『複合』は簡単に言ってしまえば、「刀に能力を流し込んで能力を増幅させて発動させる」こと。
なのでついでに「複合」の基礎を教えて貰った。基礎を一通り習得したその後は「自分で調整」らしい。
しょうけらさん曰く、
「天からの祝福は人其々である為、個々で昇華させるべき」
とのことなので、「
そして、毎日夜の日課だった(内密の)修行は昨日の師匠との一対一を持って終了した。
組手の結果は師匠の勝ちだった。惜しいところまでは行ったんだけどな……。やっぱり師匠強いわ。
組手の後、
「ここまで来れば並の雑魚に遅れは取らんだろう。だから、後は自身で昇華させろ。お前の成長楽しみにしている」
と師匠は言っていた。上等だよ。今度は敵同士になる序でに私のことも忘却しているだろうけど絶対に鼻明かしてやんよ。
と、こんな感じ。別にフツーじゃん。
さて、私は今、天気も良いので庭の縁側で日向ぼっこしている。マジでこの瞬間は至福の時だよ、全く。
そういうのは前世からの共通の思いだ。転生したって変わらない。
あ……やば。ちょっと眠たくなってきたかも。この暖かさってのはいつも眠気を誘ってくれる……。
「……ってば!」
……? 誰か私を呼んでる…………。
「龍桜菜ってば!」
私を呼んでいたのは私の双子の弟で原作主人公の奴良リクオだ。その後ろには父さんもいる。
「あ、リクオ。どうしたの?」
「『どうしたの?』じゃないよ! また眠りかけてたよ? 風邪ひいたらどうすんのさ!」
「あはは…………ゴメン。で、リクオは父さんとお散歩?」
「うん! ちょっと其の辺まで」
「そっか。気をつけてね」
「わかってるって。龍桜菜も眠くなったら―」
「ハイハイ。わかってるって」
「じゃあ、行ってくるね!」
「うん。行ってらっしゃい」
リクオと会話を交わした後、リクオは父さんと散歩へ出かけて行った。
私はもう少し日向ぼっこしていたかったので、そのまま縁側に座っていた。
庭のヤマブキが綺麗に咲いている。そっか……もうそんな季節か。
私とリクオが5歳になった年……。そしてヤマブキの咲く季節……。
…………っ!
なんだろう、凄くイヤな予感。
ぞくり。
そして今までで感じた事のない悪意に塗れた畏。まさか、父さんの身に何かあった……?
こうしちゃいられない。私は羽織を身に付け、隠してあった「紫桜」と「華蕾」を腰に付け庭にあった草履を履いて、リクオ達の後を追った。
しばらく走ってお寺の辺りでリクオと出血多量で横たわる父さんを発見した。
。
リクオはまだ、この状況を飲み込めていないようだ。
「リクオ!」
「……龍桜菜! ねぇ、お父さんどうしちゃったの?」
「リクオ、私と同じ位の女の子っていたの?」
「え……? うん。さっきまでいたよ? 『妾は待ちかねたのじゃ、この刻を』とか言ってたけど」
……やっぱり、羽衣狐動き出してたか。
でも、父さんは絶対に死なせはしない。……それだけは
「リクオ、おじーちゃん呼んできて。居なかったら狒々、牛鬼でも誰でもいいから!」
「うん! わかった!」
リクオは私の頼みに応じ、本家の方向に走っていった。
リクオの姿が見えなくなったところでさて、こっちも始めるか。
「父さん、私の声が聞こえる? 聞こえたら返事して!」
「……その声、龍桜菜……か……?」
「そうだよ、父さん。待っててね。今から
「待て……俺の治癒力でもこの傷は治らないんだ。だから……下手に使えばお前が……」
「『私が死ぬ』ってか。父さんはそう言いたいのね」
「どのみち俺はそんなに長くは無ぇ…………。だから……」
「『母さん、それに私達が無事に生きてればいい』ってか……。巫山戯んな! クソ親父が! 」
「…………!? り、お、な……??」
「テメェが死んだら哀しむ人が沢山いるのは知ってんだろ? だったら、一つ位運命に逆らってみろよ!」
「……………………」
「父さんがなんと言おうともこの傷は絶対に治す!」
私は断言し、父さんの傷口に手を当てて治癒力を流し込む。
が、傷が塞がらない。治癒力が弱いのか……?
だったら…………。
私は腰から紫桜を抜いて治癒力を刀に込める。
「父さん……少しばかり痛いかもだけど、我慢して」
「え……!? 龍桜菜、お前一体何を……!?」
「複合・治癒合錬」
私は紫桜を父さんの傷口に突き刺す。
だが、傷口に呪詛が組み込まれていたらしく、その呪詛の勢いは増していた。
このままだと、父さんの畏は直ぐに枯渇して死に至るだろう。
まずはこの呪詛を解除しないと…………でも、一体どうすれば……?
「《我の能力を使え》」
…………? この声一体何処から……???
「《お前の腰の刀だ。それに込められている能力を使え》」
腰の刀……? それって華蕾のこと……?
「《ああ、そうだ。それには我……龍の能力が備わっている》」
龍妖怪の能力…………。そうか、そういうことか。
私はもう一つの刀・華蕾を腰から抜いた。
「解呪法印」
華蕾を地面に突き刺す。すると、父さんの真下に魔方陣が顕現し、呪詛がみるみる浄化されていく。
これなら行ける…………!
私の予想はあたっていた。阻むモノが無くなった状態での「治癒合錬」によって物凄い速さで父さんの傷口は癒えて、塞がっていく。
傷口が塞がり畏の治癒をしていた頃、リクオがおじーちゃんを連れてきたようだ。それと同時に私はふらっと倒れかけてしまう。
「大丈夫か……龍桜菜」
「あ、おじーちゃん。来てくれたんだ」
「全く、リクオが血相かかえて来るもんだから何事かと思ったぞ」
「取り敢えず、父さんのこと、お願い。私が大体の傷は治したから……」
「ああ、わかった。後のことは任せろ。龍桜菜はゆっくりと休め」
「うん。そうする……」
その後、私の意識は闇に堕ちていった。
続く。
何気にチート化していく主人公。
その気になれば鬼童丸の技とか使えたりするんじゃないかなwwww
今回初登場のオリジナル技
複合・治癒合錬(ふくごう・ちゆごうれん)
紫桜で使用する治癒技。
祖母譲りの治癒力を紫桜に流し込んで使用する。
そのままで使うよりも治癒力が高くなる。
更に龍の能力で増幅させることも可能。
その反面、多大な畏を使用するので、多用は出来ない。
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第三幕 少女、修行に赴く 壱
私が目を覚ますと、そこは知らない天井が眼前に広がって…………るわけもなくて、完全に見覚えのある天井だったわ。
私はふらりと起き上がる。
「此処は…………私の……部屋…………??」
どうして、私は自分の部屋で寝ているのか。私はその理由を記憶が覚えている限り、思い出そうとする。
山吹の花、魔王の小槌、山吹乙女
……そうだ。
私は父さんが
でも、私の治癒力じゃどうしても弱すぎて話にならんレベルだったけど、それでも絶対に助けたくって使ったんだ。龍妖怪の能力を。
龍の能力を行使して父さんに掛けられた呪いも解く事はできた。
でも、あの時に初めて使って慣れてないのと私自身の畏も弱いからほぼほぼ使い切って倒れてちゃったんだ。
「……父さんは、どうなったの、かな……」
私が誰も聴こえない様な音量で呟いた直後
「呼んだか……?龍桜菜」
父さんが襖を開けてぬらりと現れた。
いきなりの父さんの登場と自分のフラグ回収率の早さに思わず固まる私である。
「おい、龍桜菜どうしたんだ……?? 固まったりなんかして」
父さんが怪訝そうに此方を覗き込んでいる。
「え、あ、ううん。何でもないの。それよりも父さん……」
「……? なんだ」
私が質問を投げ掛けると父さんは眠たげな瞳の眼付きは変わらないが、言葉で表せない威圧感と言うか正体が不明な
その状態に屈してては話にならない。と、自分を奮い立たせながらも質問を続ける。
「えっと、その……傷はもう大丈夫なの?」
「おぉ……傷な。結論から言うと
父さんの返答に何か違和感を感じる私である。
父さんは今、何と言った?
『結論から言うと
………………。
何故に父さんは今、『外面』を強調した?
これではまるで『内面』……父さん自身の畏に異常がある様な言い方ではないか。
この考えは飽くまで私の単なる憶測でしかないから父さん本人に真実を語って貰うしか他無いんだけど。
答えて貰えるか解らないけども一応は尋ねてみるか……。
「あのね、父さんは……何処か悪いの?」
「……どうしてそう思うんだ?」
私が尋ねると父さんは私を試すような返答をする。
「だって、『外面』って強調するんだもん。だから、『内面』……具体的に言って畏に異常があるんでしょ?」
私も父さんの試練?に応えるべく自分の考えを述べた。
「……驚いたな。まさか自分の娘に言い当てらるたァ思わなかったぜ。 ああ、その通りだよ。今の俺の畏は総量が減ってるんだ」
畏が減ってるって……大問題じゃん!
下手に戦闘とかできないじゃん!!
え、そんなんで二代目総大将とか務まんの!?
「ああ。龍桜菜の察しているとおり今の俺の畏は普段の半分以下しか無ぇからとてもじゃねぇが総大将なんて務まんねぇから、親父に総大将の座を丸なg……返上してきた」
「………………」
父さんの告白に固まる私である。
前半部分はある程度察していたからそんなに驚かないんだけど、後半何て言った!?
『丸投げ』って言おうとしたよねぇ!? 明らかにさ。
普通に言い直しているけど絶対におじーちゃんと確実に何か……具体的に殴り合いあったよねぇ!?
「……で、当のおじーちゃんは納得したの?」
「ああ。つーか、させた。親父は『条件付きでなら』と言って苦虫潰した顔してたけど」
「ぇえ……。大丈夫なの、それ」
父さんの返答にドン引く私である。それ、絶対に納得行ってなくて最終的に渋々認めた感じだよねぇ?
「心配ねぇよ。なんだかんだ言って親父は上手くやるだろうしな」
父さんはけらけらと笑いながら流していた。流石は(元)総大将の器といった所か?
「それで、父さんはこれからどうするの?」
「俺か?俺ァ……遠野の半妖の里で隠居生活を送るさ。ま、龍桜菜とリクオの卒園式とか入学式とかの行事前には帰ってくるがな」
『半妖の里』ねぇ……。そういや、遠野の近くにあったな。
遠野ねぇ……あ。そうだ、そうだ。遠野だよ。
私は密かに思っていることを思い切って父さんに頼んでみることにする。
「ねぇ、父さん。お願いがあるの」
「『お願い』……? 何かあるのか?」
「うん。あのね、父さんが半妖の里に行く時に私も連れて行って欲しいの。 半妖の里って遠野にあるんでしょ?」
私のお願いを聞いて父さんは一瞬だけ固まったが直ぐに復活した。
「あ、あぁ……。確かにそうだが、どうしてまたそんな事言い出したんだ?第一それを俺が許可したって母さんや親父が何と言うか……」
「『どうして』って……それは勿論、強くなりたいから」
「強くなって、どうするんだ?」
私の答えに問い掛ける父さんの眼は私の答えに宿る意志を試しているかのように思えた。
「決まってるよ。そんなの。私は……護りたいから。私自身が大切だと思える存在を。それが味方だろうと敵だろうと人間だろうと妖怪だろうとね」
「それがお前のエゴだとしても……か?」
「勿論。そんなの承知の上だよ。私は私の仁義を貫き通すまでだしね。その為なら諦めないし何だってするよ」
父さんに私は自分の答えをハッキリと告げた後、父さんは「合格だ」と呟いた後に少しだけ笑っていた。
「解ったよ。ったく……親父が条件付きだって言ったのこういう事かよ……。ったく外堀から埋めるとか誰に似たんだか……」
どうやら、父さんの言葉から察するにおじーちゃんとの交渉成果が上手くいってたらしい。
まぁ、ぶっちゃけおじーちゃんとの交渉が骨折れたけどね。まさか一戦交えるとか思ってもみなかったし。
父さんの説得が完了したので私は晴れて修行の旅へと赴ける。
今のままじゃ絶対にアカンからな。納得いくまでの力を身につけねばな。
私は決意を新たに強固なモノとした。
「龍桜菜」
父さんに呼び止められる。
「……?どうしたの? わっ!」
返事を言い切る前に布団に戻された。
「修行に行く前にちゃんと体調を万全にしとけよ? 良いか、絶対にあ・ん・せ・いにしてるんだからな?」
強引に私は寝かされ、『安静する』様に念を押された。
「は、はぁーい…………」
私は父さんの要求に従うしか選択肢はなく、眠ることにした。
それを確認した父さんは私の部屋を後にする。
数日後。体調が完全回復した私は遠野へ向けて父さんと共に奴良組本家を後にするのだった。
続く。
本気で鯉伴様の口調に苦労した。
本編であんまり出番ないから(失礼)……。
次回はいよいよ遠野修行編開始。
なるべく早期に投稿するつもりではいるけど気長に待ってて欲しいのでありますよ。
それではまた次回のお話でお会いしませう。
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