この仮面の闘士に異世界を! (GPSA(´・ω・`)FB)
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プロローグ『駄女神の祝福で異世界転生を!?』

駄女神によってアクセルの街に送られるまでの話です(´・ω・`)
色々と端折っている場所がありますが、生暖かい目で見守って下さいm(_ _)m


−−−−−

 

「…ん?」

 

青年が気が付いた時には、微かな光が仄めくだけの…部屋のような暗い空間で倒れていた。

 

「あれ…ここは?」

 

青年は謎の空間にいる事に不思議そうにしつつも、今置かれている状況を確認する為、ゆっくりと起き上がると周囲を見渡そうとしたが、近くにあるものに気付いてその方を見る。

黄色と橙色がベースの特徴的なバイクがその場に置かれていたのだ。

 

「…あっ!ファイトバスター!良かったー!お前も、此処に居たんだな。」

「ー!ーー!!ーー!」

 

ファイトバスターと呼ばれたバイクは、青年の声に反応したのか、ヘッドライトを点滅させながら、声の代わりのように少し特徴的な電子音を出して青年の元に近付いている。

そんな変わったバイクを見て安心するものの、ふと疑問が浮かび上がれば周囲を見渡しながら不思議そうに考える。

 

「…それにしても、何で俺達こんな殺風景な場所にいるんだろ?」

 

周囲を見渡しても特に何かがあるという訳でもない為、何も無い殺風景な場所に困惑していたが、ふと、誰かの視線を感じたのか、後ろを振り向く事にした。

そこには無造作に置かれている事務机と、向かい合うように椅子に座ってお菓子を食べている、水色の髪と瞳が特徴的な変わった格好をした少女がいた。

少女は普通の人と比べられないような美貌をしているが、昔話に出てくる天女が付けているような羽衣を身に付けている。

 

「あれ?次の死んだ若い魂でも来たのかしら?…って、ちょっと、何で魂と一緒にバイクまで来てるのよ!?」

「えぇ?いや、そう言われたって…いつの間にか此処に居たんだから知らないよ。」

 

いつの間にかこの場にいた青年を見て面倒そうな表情を浮かべた少女だったが、なぜかこの場な一緒にいるバイクを見てツッコミを入れて来たのだ。

見た目に反して随分と適当な話し方をされた青年は、そもそも何故この場に自分達いるのか分からない為、困った表情を浮かべながら返答する。

しかし、少女から死んだという言葉に何処か納得したような表情を浮かべながら、続けて話を聞く事にした。

 

「…まあ良いわ。時間が無いし、ちゃっちゃっと終わらせる事にするわ。死後の世界へようこそ佐藤和真さん。私は女神アクア。貴方はつい先ほど……」

「…あれ?ちょっと待って。俺、闘野真護って名前なんだけど?」

「…えっ?」

 

そして、その少女は気を取り直した様子で丁寧な口調で話し始めたのだが、名前を言われてキョトンとした表情を浮かべた青年…闘野真護がすぐさま訂正するように自分の名前を告げる。

彼の言葉に書類に目を通そうとしていた少女の手が止まってしまう。

 

「…いやいやいや、あり得ないから!?連れて来られた魂に間違いがあったなんて前例無いわよ!?」

「そんな事言われても…」

 

すると、自分の事を女神と言う少女…アクアの様子がおかしくなり始めたのだ。

今までに前例がないだのと言い出し始め、慌てふためきどうしようかと混乱している。

そして、そんな彼女の様子を見ながら、どういう訳なのか全く見当の付かない様子に困った表情を浮かべるものの、真護はそばに居る愛機のバイク…ファイトバスターに座って返答を待つ事にした。

 

「…はっ!?と、とにかく!貴方が選べるのは、このまま天国に行くか…それか、今まで住んでいたのとは違う異世界に行くかの二つだけよ!」

 

すると、慌てた態度から何か閃いた表情を浮かべたアクアが勝手に話を切り出していた。

女神アクア曰く、天国には欲などが無いので何もないらしい。

肉体も無ければテレビも無いし、漫画やゲーム…娯楽なんて物もない。

一応人はいるから、彼らと永遠に、意味もなく、日向ぼっこでもしながら世間話するぐらいしかやる事がないらしい。

 

「…天国って、意外と寂しい場所なんだな。」

「でしょ!?それでね、私がお勧めするのは…今の記憶やステータスを受け継いで異世界に行く事よ!」

 

天国についての話を聞かされれば、思っていたものとは違った様子で少し残念そうな表情を浮かべながら話す真護。

そして、天国に行く事に遠慮気味になった彼の様子に、しめたと言わんばかりの表情を浮かべながら話を続けるアクア。

 

ここではない別世界…要するに異世界には魔法とモンスターが存在する、幻想的な世界があるらしい。

その異世界に存在する魔王が率いる魔王軍の侵攻によって人類が危機に陥っているのだ。

魔王によって死んだ人間は異世界への転生を拒否し、生まれてくる命は少なくなり、このままだと滅びてしまうとの事らしい。

そのため、異世界の人間の魂をそこに送り込もうという。

しかし、ただ送り込むだけでは、送り込んだ人達も死んでその世界への転生を拒否する可能性が高い為、その世界に持っていけば有利になる『特典』という物を付けたとの事だ。

 

「んー…地球に帰れる方法があるかも知れないし…じゃあ、女神様がお勧めする異世界って所に行くよ。」

「はーい!一名様ご案内!…よし…!面倒だったけど、後1人で今日の女神ノルマも終わりよっ…!」

 

真護からすれば、目の前の女神様が話を都合良くしている気がしたものの、地球とは違う場所でも困ってる人が居るなら…と考え、異世界に行く事に決める。

それに、異世界を救ってから元の世界に帰れる方法があるかもしれない為、アクアの提案を飲む事にした。

さり気なくアクアが小さくガッツポーズをして呟いていたが、真護は聞こえていなかったのか、大して気にしないでいた。

 

「…あれ?でも、異世界の文字とか本って読めないと思うんだけど、大丈夫なのか?」

「その辺は問題ないわ。神々の親切なサポートとして、異世界に行く際にあなたの脳に負荷を掛けて、一瞬で習得できるようにしているわ。もちろん文字だって読めるわよ?副作用として、頭がパーになっちゃうかもしれないけど。」

「そこは運要素なんだ…」

 

ふと、別世界に行く際の不安を質問として告げたが、随分と便利そうな力を付与してくれるのかと思うものの、副作用の話を聞けば再び不安そうな表情を浮かべつつ話を聞く事にした。

 

「じゃあ、後は好きなものを選ぶだけね!このカタログを渡すから1つだけ選びなさい。何者にも負けない力を授けてあげるわ。例えば強力な特殊能力、伝説級の武器…さあ、どんなものでも1つだけ、異世界に持って行く権利をあげるわ!」

 

そして、用意周到な様子で真護にカタログを渡したアクアは、ご機嫌な様子になりながら、異世界に一つだけ何でも持って行く事が出来ると話す。

 

「1つだけかぁ…そういえば女神様、確認したい事があるんだけど、今の俺の体ってどんな感じになってるか分かる?」

「どんな感じって…まあ、魂が弱り切ってたみたいだから、此処に連れてきた誰かが回復させたみたいね。…プフッ!!…ついでにそのお腹に付いてる変なオモチャとバイクも…プクククッ…!!」

 

特に必要な物が何か分からない真護は、カタログを見ながらどうしようかなと悩んでいたが、何か気になった様子でアクアの方を見て話し出す。

すると、真護の現在の状態を確認したアクアは、彼の魂…もとい、身体に一体化しているように付いている、オモチャのようなベルトを見て吹き出しそうな表情を浮かべながら、此処に現れた際には治って万全な状態になっていると話す。

 

「そっか…じゃあ、この輪…ベルトの力を最大限引き出せるようにして欲しいんだけど…良いかな?」

「ブフォッ!!?べ、別にそれでも良いなら…良いわよ?で、でも…それだと不安だから…ククッ…そのベルトとバイクも…こ、壊れないようにしてあげたわ……」

「…?ホント!?助かるよ、女神様。」

 

吹き出しながら話すアクアの言葉に、真護は何故彼女が吹き出しいるのか分からないものの、ベルトの力を引き出せるだけでなく壊れないようにしてくれる事に嬉しそうにすれば、安堵した表情を浮かべながら自分の腹部を撫でるように触っていた。

 

「そ、それじゃあ、これから貴方を異世界に送るからじっとしてて…クククッ…!」

「えっ?あっ、うん…うわっ!?」

 

必死に笑うのを堪えている様子のアクアの言葉と共に、真護の足元に魔方陣が現れれば、彼が乗っているバイクごと光に包まれて行けば、その場から真護とバイクの姿がその場から消えていたのだった。

…因みに真護が消えた後、我慢の限界を超えて爆笑していたアクアが、その後に現れた佐藤和真という少年と異世界に行く羽目になるという事を知る由もなかったのだった…

 

 

−−−−−

 

 

視界を覆い尽くしていた光が消えると、中世欧州時代にあった目を開けると石造りの街並みと、澄んだ青空が広がる景色へと変化していたのだった。

少し町というには小さいものの、長閑で静かな雰囲気を感じさせる。

 

「わあぁっ…本当に異世界みたいだ……」

 

鮮明になった視界に映る景色が、自分が知っている地球の日本のモノとは別物だという事が分かると共に、本当に異世界という存在があった事実に静かながらも驚いていた。

歩いている人達の服装も、建物の作りも日本のものとはまるで違う。

 

「…ん?これは…?お金かな?」

 

これから先の事についての不安はあるものの、まずは行動を開始しようとしたが、ふと、ポケットに何か入っている事に気付いて取り出す。

この世界で必要な金貨なのだろうか…いつのまにか数枚ほど入っていた。

異世界での貨幣類は有難い為、大事に使おうと決めた真護は、次に自分の片腕にギュッと力を込めてみる。

 

「…うおっ!?本当に力が戻ってる!?」

 

力を込めた片腕からは、結晶のような光が激しく迸れば、それを確認した真護は驚きと喜びを感じながら、いつのまにか腹部に出現しているベルトに軽く触れていた。

これでまた、自分は護る為に戦う事が出来る…そう確信した真護は嬉しそうな表情を浮かべながら、自分の現在の状態を確認し終えると、乗っているファイトバスターを走らせ、街の中で情報を集めれるような場所を探す事にした。

案内板のような看板を見付けた真護は、書かれている文字がちゃんと読めている事に安堵しながらも、アクセルの街の地図を覚えようと眺めていた。

 

「『駆け出し冒険者の街 アクセル』…かぁ。えぇっと…正門があっちで、ギルドって所がこの道を進んだあの建物で、役所が向こうの道の方向で……よし、まずはギルドって所にでも行こうか。」

 

そして、アクセルの街の地図をある程度把握した真護は、まずはギルドと書かれた場所へと向かう事にしたのだった…

後にこの青年…闘野真護は、色んな人々にこう呼ばれる事になるだろう。

仮面ライダーファイターと…

 

−−−−−




次はギルド登録及び、オリ回になると思います(´・ω・`)
ぼっちのゆんゆんも登場する予定です(´・ω・`)


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第1話『駆け出しの青年に冒険者登録を!』

オリ主がギルドに到着して冒険者になる話です(´・ω・`)
オリ主の詳細については次のオリ回後にしようと思っています


−−−−−

 

「此処がギルドかぁ…」

 

冒険者ギルドと書かれた看板が付いた建物の近くに着いた真護は、道の邪魔にならないような場所にファイトバスターを停めてから、建物の中へと入っていく。

 

「あっ、いらっしゃいませー!お仕事案内なら奥のカウンターへ、お食事なら空いてるお席へどうぞ!」

 

すると、赤毛の元気の良いウェイトレスの人に迎えられれば、そのまま奥に見えているカウンターへと向かっていく。

酒場と併用している為か、武器を携えている人達がテーブル席で食事をしている。

そして、カウンターへと着くと、金髪ウェーブの受付嬢がおっとりした口調で尋ねてきた。

 

「ギルドへようこそ。本日はどうされましたか?」

「えっと…とりあえず、仕事を探しに来たんだけど…あっ、後、ついでに魔王を倒しに行きたいから、魔王が何処に居るのかって知ってますか?」

 

受付嬢の言葉を聞いた真護は、まずは仕事が無いかを尋ねるものの、途中で女神から話された魔王討伐の事を思い出せば、その準備もしないといけないなと考えると、そのまま仕事探しのついでに魔王についての情報を聞こう問い掛ける事にした。

しかし、魔王という言葉に賑やかだった酒場がピタッと静かになり、更には受付嬢の反応も変になっていた。

 

「えぇっと…失礼ですが、冒険者の方でしょうか?」

「冒険者?いや、違うけど?えっと…冒険者って何ですか?俺、此処の街には初めて来たばっかりで、まだ何にも知らなくて…」

 

聞き間違いかなと言わんばかりの困った表情を浮かべている受付嬢の様子に、変な事を言ったのかなと心配した真護だったが、受付嬢に冒険者かと尋ねられるものの、聞き慣れない言葉に不思議そうにしながら首を横に振りながら返答する。

 

「ギャハハハハッ!!おい、聞いたか!?アイツ、イカレてんじゃねぇのか!?」

「ちょ、ちょっと、ダスト!やめなって……」

「はっ!今のが笑わずにいられるか!?こんな駆け出し冒険者が集まるような街で、いきなり魔王を探してる…なんて言ってんだぜ!?しかも、冒険者登録もしてねぇ奴がだ!笑っちまうだろ!?」

 

すると、酒場の方から嘲笑うような下品な笑い声が聞こえると、真護はその方向を向く。

ダストと呼ばれた金髪で短髪な男が、酔っ払っているのか顔を赤くしながら笑っていたのだ。

彼がすわっているテーブルには、仲間と思われる人が3人座っており、その中のローブを着て杖を携えている女性がダストと呼ばれる男に注意していた。

 

「そうなんだ…じゃあ、冒険者登録ってのをお願いします。」

 

カウンターの女性も困った表情で苦笑いを浮かべていた為、冒険者というものにならないと魔王を倒しに向かう事すらままならないのだろうかと思えば、ひとまず先に冒険者登録を済ませようと考えた真護は、受付嬢に登録を申請するのだった。

 

「…は、はい。分かりました。では、登録料として1000エリス頂きます。」

「エリス?…この金貨で良いの?」

「…はい。確かに1000エリス頂きました。それでは、冒険者登録の説明をさせて頂きますね。」

 

1000エリスと言われた真護は此処の金貨はエリスと呼ばれているのかと思いつつも、ポケットに入っていた金貨を取り出せば、カウンターの女性にそれを渡す。

そして、金貨を受け取って確認した受付嬢はそのまま冒険者の説明をし始めた。

 

冒険者とは冒険者稼業を行う者達の総称らしい。

主な活動としては街の外でモンスターの討伐をしたり、薬草の採集や荷物の運搬等…要するに何でも屋のようなものだ。

この世界の冒険者は自分の能力などが書かれたカードがあり、それは身分証明書にもなる。

冒険者はただ冒険者としてはなくその中にも職業があり、どの職業になれるかは身体能力を測る事で分かるらしい。

 

「へぇーっ、単純に冒険者ってだけじゃないんだ…」

「はい。レベルを上げれば、下級職から上級職への転職も可能ですよ?」

 

剣と攻撃を専門に置くソードマン、攻撃魔法専門のウィザード、回復や補助の専門のプリーストなどがある。

因みに、最低職が冒険者なのだが、レベルがあがると上級職に転職出来る。

そして、そのカードに経験値を溜めて成長するとの事だ。

因みにレベルが上がると、その職業で使用可能なスキルなども覚えられるようになるとの事だ。

 

「まるでゲームの世界みたいだ…あっ、とっても分かりやすかったです。ありがとうございます。」

「いえいえ。それではまず、こちらの書類に必要事項を記入していただけますか?書き終えた後は、こちらの水晶に手をかざしてください。」

 

説明が終わればゲームの世界みたいな場所だなと呟きながらも、説明に納得した真護は受付嬢に礼を言う。

そして、そのままカウンターに置かれているカードに自分の名前や身長と体重といった必要事項を書いてから、水晶に近付いて言われた通りに手をかざす事にした。

すると、手をかざした水晶が輝きを放つと、側に置かれているカードに文字が記されていく。

その光景を目にした真護は驚きを隠せない様子で声を出しながら見ていた。

 

「…はい、終了しました。えっと、トウノシンゴさんですね?…って、な…何ですかこれっ!!?」

 

やがて、水晶の輝きが静まれば、カードに文字が書かれていたのだった。

そのカードを手に取ったカウンターの受付嬢は内容を見るなり、何か途轍もないことが書かれていたのか、驚きの声を上げていた。

その様子に酒場の方が再び騒めき始めていた。

 

「…何か、変な事でも書かれてるんですか?」

「…はっ!?い、いえ、変な事は書かれていませんが…じゃなくて、シンゴさんのカードに表示された数値が凄いんですよ!」

「えっ?そうなの?」

 

驚いている受付嬢の反応に少し不安そうな表情を浮かべながら尋ねるものの、少し興奮を抑えられないような様子で受付の女性は話し続けるのだった。

 

「生命力、筋力、魔力、知力、俊敏性に器用度…そして、幸運のステータス全てが平均値を大きく超えてます!特に生命力と筋力、俊敏性に至っては他を寄せ付けない程の高数値なんですよ!?これほど数値が高い人、初めて見ました!それに、見たこともないスキルまで…って、あ、あれ?職業は固定されているみたいですね…?」

「職業が…?えっと、何て書かれてるんですか?」

 

興奮が治らない様子で、カードに記された数値や変わったスキルに目が行きながらも話を続けていた女性だったが、何かに気付いたように不思議そうな表情を浮かべながら真護に問い尋ねてくる。

しかし、ギルド所かこの異世界に来たばかりで何も知らない真護は不思議そうにしながら逆に何が書いてあるのか聞く事にした。

 

「えっと『ライダー』と……」

「あっ……なるほど、そういう事か…。じゃあ、職業は固定のライダーでお願いします。」

 

受付嬢が目にした真護のカードにある職業の欄には『騎乗士』と書かれていたのだ。

しかも、今までの職業の中には無かったものである。

しかし、そのライダーというワードに思い当たる節があるのか、納得した様子で真護はコクリと頷いて、確定している職業を承諾したのだった。

 

「…分かりました。それでは、これで登録完了です!冒険者ギルドへようこそ、トウノシンゴ様!スタッフ一同、今後の活躍を期待しています!エリス様のご加護があらんことを!」

 

そして、真護の言葉に頷いた受付嬢は、職業が記された冒険者カードを真護に手渡しする。

そして、真護の目の前でギルド職員全員が頭を下げると同時に、酒場の方で一部始終を見ていた冒険者達から激励の言葉が飛んで来ていた。

一部はやや小馬鹿にしたような様子だが…

 

「えっと、じゃあ早速で悪いんだけど、クエストを受けたいんで何か無いですか?」

「早速ですね、かしこまりました!シンゴ様の現在のレベルで現在受けられるクエスト等は、あちらの掲示板にクエストの依頼書が出ているので、そこで確認をお願いしますね。」

 

無事冒険者になれた事に安堵の表情を浮かべながら、早速何か受けられるクエストは無いだろうかと考えて問い尋ねると、受付嬢の言葉に掲示板の方を見ながら頷けば、掲示板の場所に行ってどんなものがあるのかを見る事にした。

 

張り出されている紙を見ていくものの、街の掃除や雑用…そして薬草の採取や荷物番など、あまり良さそうなものが見当たらない。

しかし、ジャイアントトードと書かれたクエストを見れば場所と時間の効率を考えて丁度良さそうだと思えば、ジャイアントトード討伐任務の近くの森に行く必要のある薬草採取のクエストと共に受ける事にした。

 

「…ん?」

 

ふと、掲示板にある紙の中にパーティ募集の欄の、とある募集の紙に目が行く。

 

『パーティーメンバー募集してます。優しい人、つまらない話でも聞いてくれる人、名前が変わっていても笑わない人、クエストがない日でも、一緒にいてくれる人。前衛職を求めています。できれば歳が近い方―――』

 

その紙には詳細を事細かく書き過ぎているような紙があった為、気になったのか手に取りながら不思議そうに見る。

 

「……?何、これ?ちょっと聞いてみようかな?」

 

しかし、募集を掛けている人がこの場にいない為、どうしようかなと考えた真護は、まずは依頼を受けるついでに聞いてみようと考えて受付嬢の元へと戻る事にした。

 

「すみませーん。この薬草集めと、後…このジャイアントトード討伐…ってやつをお願いします。」 

「かしこまりました!」

 

そして、取った紙を手に持ちながらギルドのカウンターに戻ってくると、受付の女性に自分が受けるクエストの紙を表示すると承諾するように頷いて話す。

 

「では、何人で参加なされますか?」

「えっ?何人って言われても、今は1人しか居ないんで…1人で。」

「えっ!?ソロで行かれるのですか!?」

「うん。」

「か、かしこまりました…」

 

しかし、受付嬢の一言に不思議そうにしながら、クエストには1人で行くと言うと驚かれた為、困った表情を浮かべながらも1人でも問題ないと話す。

元々、地球でも何かと1人でしなければならない時が多かったのか、カエルと薬草ぐらいなら問題ないと考えていたのだ。

しかし、レベル1とはいえ貴重な新職業の冒険者を1人で向かわせる事に受付嬢は不安そうにしながらも、渋々了承していた。

 

「あっ、そうだ…ついでに聞きたい事あるんだけど…この紙を出してる人って居ます?」

「えっ?えっと…この募集を掛けている人はゆんゆん様ですね。今はギルドに来て居ないみたいです。確か、この方もソロで…」

「ホント!?ソロの人の方が組みやすそうだし…じゃあ、その人が来たらパーティに入りたいって伝えて欲しいんだけど…あっ、置き手紙とかあった方が良いかな?」

 

しかし、話が進展しない為にどうしようかなと悩んでいたが、先ほど目に止まったパーティ募集の紙を出せば募集者が此処に居ないか問い尋ねてみる。

すると、この募集者も1人で行動している事がほとんどと聞いた真護は、受付嬢の人にメモ帳の紙ぐらいに名前とパーティに入りたい節の伝言の紙を書いていく。

 

「あ、あの、シンゴ様…とりあえず、ゆんゆん様が来てからでも……」

「でも、さっきので手持ちが無くなっちゃったから、外が明るい内に行かないと危ないし…じゃあ、悪いけど行ってきます!ギルドの受付のお姉さん!」

「あっ、し、シンゴ様!?」

 

伝言の紙を書き終えると、それを受付嬢に渡せば、不安そうにしている受付嬢に謝りながらも、そのままギルドから飛び出すように外に向かって行ったのだった。

尚、こんな事になったのは真護が元いた地球で周りの影響を受けた事もあるのだが…

 

「…行ってしまいましたね…。って、あっ…」

 

ドタバタしながらあっという間にギルドから出て行った真護の様子に不安そうにしていた受付嬢だが、その彼と入れ替わりでギルドに入ってきた少女に気付く。

 

「あっ、ル、ルナさん…その、こんにちh…」

「ゆ、ゆんゆんさん!丁度良い所に!」

「はひぃっ!?なな、何ですか!?」

「実は…」

 

紅魔族と呼ばれる特徴的な赤目に、やや露出の多い黒服を来た少女…ゆんゆんは、オドオドとしながら受付嬢のルナに挨拶するものの、先ほど飛び出して行った真護がパーティ募集の紙を出していた本人がゆんゆんな為、やや慌てた様子で話し掛けたのだった…

 

…因みに、ルナの様子に不安そうにしていたゆんゆんだったが、話の内容を聞いて驚愕した後、慌てた様子でトウノシンゴという青年が向かった草原地帯へと急いで向かったのだった。

 

 

−−−−−




次はオリ回となっておりますm(_ _)m
最後のゆんゆんのセリフが飛んでいますが、次のオリ回でもちゃんと出て来ますので(´・ω・`)


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第2話 『異世界の初クエストで変身を!』

今回はオリ回及び、オリ主の戦闘回です(・ω・)
登場人物はモブの冒険者及び、ゆんゆん、クリス、ダクネスとなっておりますm(_ _)m


−−−−−

 

ギルドを出る際に入れ違いになっている事など気付く事もなく、ジャイアントトードの目撃情報があった草原へと着いた真護。

バイクであるファイトバスターに乗ってきた為、普通なら数十分程掛かる距離も2、3分程で来れる距離になっている。

 

「さーてと、まずはジャイアントトードを5匹倒せば良いんだったな。それと、薬草を集めてと……薬草がある森は此処から近いし、帰る前にでも良いかな?」

 

移動手段にアドバンテージがある分、これならもう少し多くクエストを受けるべきだったかなと思いつつも、慣れない事をするから時間は取っておいた方が良いなと考えれば、まずはジャイアントトードというモンスターを探す事にした。

 

「あれかな?…にしても、でっかい蛙だなぁ……」

 

すると早速、近くに緑色と白色の体をした巨大な蛙を見付ける。

依頼書に書いてあった絵の通りで蛙だった為、この世界だと蛙は大きいのが普通なのだろうかと思いつつも、ジャイアントトードがこちらを見ている事に気付く。

更に、バイクの音に気付いたのか、地中からも数体のジャイアントトードが現れたのだ。

 

「おっと、ちょっと多いな…ファイトバスターは離れててくれないか?」

「ーー。ーーー。ーーーーー。」

「大丈夫大丈夫!ちゃんと力を使えるか分からないし、リハビリついでに戦うだけだ。それに、あれぐらいなら変身しなくても勝てるよ。」

 

ジャイアントトードが動き出した様子を見れば迎撃した方が良いなと真護は考えると、乗っていたファイトバスターから降りながら離れるように指示をする。

ファイトバスターの方はと言うと、機械音を立てて離れようとしなかったが、真護の言い分を聞くと納得した様子でその場から少し離れていく。

 

「よーし、蛙退治開始だ…来いっ!」

 

ファイトバスターが離れたのを確認すると、そのまま近付いてきているジャイアントトードを見据えながら身構えていくのだった。

最初に気付いて近付いてきたジャイアントトードが、標的として真護を捉えているのか、大きな口を開けると勢い良く舌が鞭のように飛び出して真護に迫っていく。

 

「おっと、はっ!!」

 

鋭く迫ってきたジャイアントトードの舌に対して真護は前転して回避すれば、空振りに終わった舌を引っ込めたジャイアントトードに向かって勢い良く走っていく。

そして、距離が縮んだ辺りでもう一度舌が飛んでくると、ガラ空きの懐に潜り込んでいけば、光の粒子を纏っている片腕を振りかぶって、ジャイアントトードの胴体へと拳を叩き込んだ。

直後、凄まじく鈍い衝撃音と共に光の粒子がジャイアントトードに駆け巡っていくと、拳を撃ち込まれたジャイアントトードが泡を吹きながらその場に倒れていったのだった。

 

「よし、まずは1匹!…次だ!」

 

倒れたジャイアントトードを見て殴った感覚を確かめるように軽く拳を握れば、戦闘に問題ない事を確認すると、続いて集まるように来た数十体のジャイアントの群れを見据えて身構えれば、先手必勝と言わんばかりに突っ込んで行ったのだった…

 

−−−−−

 

真護がクエストに出発し、更にゆんゆんがルナの話を聞いてギルドから飛び出して、早くも30分程が過ぎていた。

ゆんゆんは、自分のパーティーに入りたいと言ったレベル1の新職業の冒険者が、いきなりジャイアントトードの討伐に一人で向かったと聞いて急いで草原に着いたのだが…

 

「ル、ルナさんの話だと…こ、此処に来てるみたいだけど……」

 

その場には数体のジャイアントトードが横たわっており、更に一箇所に集められていたのだった。

また、横たわっているジャイアントトードの体には切り傷や魔法を受けた跡が残っておらず、頭部や腹部に一箇所だけ、何かで殴ったような跡があるだけなのだ。

 

「ジャイアントトードって、打撃攻撃が効かない筈なのに…って、えっ?」

 

ゆんゆんは不思議そうにしながら、綺麗な状態で倒れているジャイアントトードの亡骸を見ていたが、その近くにいるある物体に視線が移る。

車輪のような物が付いた、カラフルな金属の物体が動いていたのだ。

 

「ーーー。ーーー。ーーーー。」

「えっ?…ええええぇぇっ!!?」

 

カラフルな金属の物体ことファイトバスターは、その場に現れジャイアントトードに近くゆんゆんに気付いて機械音を出しながら近付いていく。

 

「しゃ…喋ってる…!?」

「ーー。ーーーーーーーー!ーーー。」

 

対してゆんゆんの方はというと、見た事もない金属の物体がこちらに向かって来ている事に唖然としつつ恐怖を感じていたが、機械音に気付いた後、金属の物体が意識を通して自分に話し掛けて来ている事に気付くと、恐る恐るファイトバスターに近付いていく。

 

「え、えっと、トウノシンゴさんの知り合いなの?」

「ーーーー。ーーーーーーーー、ーーーー。」

「や、薬草を取りにあっちの森に入って行ったんだ…。えっ?あ、案内してくれるの?あっ、まっ、待ってーーっ!!」

 

そして、恐る恐るトウノシンゴという人物について何か知っているのだろうかと聞き尋ねると、ファイトバスターは道案内をする為、先に真護が入った森へと向かっていく。

そんなファイトバスターの行動に、再び慌てた様子で追い掛けていくゆんゆんであった…

 

−−−−−

 

「よーし、これぐらいあれば十分かな?」

 

袋を片手に大量の薬草を集めていた真護だったが、倒したジャイアントトードも持って帰らなくてはならない為、欲張らずに取れる分だけ持ち帰ろうと決めると、袋の口を括りながらすぐさま踵を返して森から立ち去ろうとした。

 

「…ん?…血の匂いだ。それに…何かいるな?」

 

しかし、森の奥の方から微かに血の匂いと共に嫌な予感がすれば、迷う事なくすぐさま森の奥へと走っていく。

すると、その場には3mぐらいの巨体な黒い熊が、獲物を追い詰めているかのように立ち上がっていた。

 

「あれは…熊だな。それと…」

 

その大きな熊の近くには、気を失っているのか倒れている騎士、怪我をして木に座り込んでいる剣士や、怪我をしている冒険者の傷口に光を当てて癒しているプリーストがいた。

更には、動けない冒険者達を守るように大熊相手に立ちはだかり、剣一つで相手しようと身構えている、鎧を着けた凛々しく妖麗な女性…そして、身軽そうな服装をした可憐な少女が短剣を片手に大熊を見ながら身構えているという状況だった。

怪我人を庇いながら戦っている2人の女性は、見るからに肩で息をしているのが分かるぐらいバテている。

 

「くうっ…!?」

「ダクネス!?くっ、このままじゃ…」

「良いぞ…凄く、イイッ!!」

「…………」

「…あの2人もヤバイ状況だけど、怪我してる人達が1番危ないな。」

 

すると、前衛をしていた騎士の格好の女性が大熊から放たれた一撃を防ぎきれず、大きく吹き飛ばされてしまった。

…が、何故か吹き飛ばされた筈の女性が喜んでいる事について気になったのだが、まずは目の前の熊から怪我人達を避難させる為、すぐさま大熊の注意をこちらに晒そうと行動に移す事にした。

ちなみに、薬草を入れた袋の口をしっかり括り閉めた後、何処かに飛ばないように重い石を重しにして置いている。

 

「すぅーっ……おーい!こっちだ!!デカい熊!!まだ此処にも居るぞ!!掛って来い!!」

「「……えっ?」」

 

意を決した真護が最初に取った行動は、大熊に向かって大きな声を上げたのだった。

 

「グゥ?ゴアアァッ!!」

「…よし、そのままこっちに来いっ…!」

 

真護の叫び声に反応したのか、大熊はダクネスと呼ばれていた騎士の女性の方から叫んでいる彼の方へと振り向く。

そして、咆哮を上げながら真護の方へと勢いよく走っていく。

その熊の行動を確認した真護は、上手くおびき出せたと考えると、冒険者達から熊を離す為に森の奥深くの方向へと走り出していった。

 

「「…ええええええぇぇっ!!?」」

 

突然現れた青年の行動と、青年を追い掛けて行った熊の様子にに唖然としていた軽装備の少女と、ダクネスと呼ばれていた騎士の女性だったが、少しの間の静寂が流れた後に驚愕していた。

 

「…お、おい、クリス!一撃熊があの青年を追い掛けてしまったぞ!?」

「い、急いで助けに行かないと…!!」

 

そして、混乱しながらも我に帰れば、気が付いた冒険者達や、怪我人を治しているプリーストの様子を確認してから、急いでこの森から立ち去るように言えば、すぐさま森の奥へと急ぐ事にした。

ちなみに、ダクネスは自分を追い詰めていたモンスターが、そっぽを向いて別の人の方へと行った事にショックを受けつつも恍惚の表情を浮かべている。

 

真護がおびき寄せた熊は一撃熊と呼ばれており、強靱な前足から放たれる一撃は、人の頭部を簡単に刈り取ってしまう程の威力を誇る。

ギルドや冒険者内でも有名で、危険モンスターとして指定されている為、冒険初心者やソロで活動する冒険者は遭遇したら逃げるのが得策である。

但し、一撃熊は体格に見合わず素早い為、普通なら逃げるのも困難なのだ。

 

そう、『普通の人間』なら…

 

「…おっと、群れの方も来たみたいだな。それに、これだけ離れてれば問題ないかな?」

 

一撃熊をおびき寄せてから暫く走っていた真護だったが、前方からも複数のモンスター…一撃熊の群れが来ている事に気付いて足を止める。

恐らく、血の匂いに釣られてこちらの方向に向かって来ていたのだろうと考えつつも、周囲に人の気配が無いかを軽く確認すれば、挟み撃ちの形で迫り来る一撃熊を見据えながら身構えていた。

 

「さてと…怪人でもないのに力を使うのはちょっと気が引けるけど、無闇に人を襲ってるそっちが悪いんだからな。」

 

脚を肩幅ぐらいに広げてから腰を少し落とし、両腕を腰辺りに下ろしながら構えると、光の粒子と共にベルトが出現する。

ベルトの中心には翠色の輪石が埋め込まれており、神々しさを感じさせるよう仄かに煌めいている。

出現したベルトは使用者である真護の意思を汲むように中心部にある輪石の光が強く輝きを増すと共に回転していけば、周囲を照らすほどの眩い光を放っていた。

 

−−−−−

 

「ーーー!ーーーーーーーー!」

「ま、待ってよーっ!、って…あ、あの人がシンゴさん?ま、まさか…素手で戦うつもりなの!?」

 

ファイトバスターを追い掛け、別方向から森の奥へとたどり着いたゆんゆんだったが、呼吸を整えながらも森の奥に見える人影に気付いて近付いていくと、複数の一撃熊相手に武器も持たずに素手で構えている真護の姿を見つけたのだった。

 

「は、早く助けないと…!」

「ーー、ーーーーー。ーーー、ーーーー。」

「…えっ?で、でも…あれ?」

 

すぐさま真護を助ける為に魔法を唱えようと、魔力を集中させるゆんゆんだったが、ゆんゆんの前に出てきたファイトバスターの機械音に詠唱が止まる。

そして、ファイトバスターは相棒の様子を見守る事にしたのか、そのままその場に止まったまま真護のいる方向へと向いたのだった。

ファイトバスターの反応に不安そうにしていたゆんゆんだったが、視界に映る変化に気付く。

 

「…?何、あの光……」

 

真護を中心に光の粒子が現れていたのだ。

そして、彼の腹部にはいつのまにか変なベルトが付いていたのだ。

ベルトから放出されている光は、魔力の力でもなければ浄化の力でもない…全く別物の力だという事だけをゆんゆんは感じ取っていた。

 

−−−−−

 

「はぁっ、はぁっ…追い付いたは良かったけど…っ!?」

「クリス!あの青年、一撃熊の群れに囲まれているぞ!?な、なんて羨ま…は、早く助けなければっ!」

「………ダクネス、ちょっと黙っておこうか。」

 

一撃熊と真護を追って来たダクネスとクリスも現れるものの、彼が危機的状況に陥っているのを羨ましそうに見て呟くダクネスに対して、呼吸を整えながらどうしようかと考えるクリス。

下手に奇襲を掛けた所で一撃熊の群れが一斉に暴れ出すのは目に見えているのだから…

 

「(あ、あの光は一体……?)」

 

しかし、真護が着ている服や彼の体から発している光の粒子…そして、腹部に出現しているベルトの存在に気付けば、彼が異世界からの転生者だという事にすぐさま気付いた。

しかし、クリスにはどうしても違和感があった。

何故なら、彼が着けているベルトから発する力は、転生者が手にする特典としてはあまりにも異質だから。

 

「すうぅっ…はあぁぁっ……」

 

周囲に人がいる事に気付いていないのか、真護は静かに構えたまま目を瞑りながら深呼吸をして集中する。

真護の身体に纏わり付いている光の粒子が、腰辺りに添えている左腕に集まっていた。

右脚をすり足のようにゆっくりと前に出し、同時に右腕を前方に出しつつ胸元の高さまで持っていく。

粒子同士のぶつかり合いによって、その場が激しい光の輝きに覆われていくと、目を瞑っていた真護は静かに目を開けながら敵である一撃熊を見据え、添えていた左腕に力を入れて拳を強く握る。

 

「…変身ッ!!」

 

そして…真護は力強く叫ぶと共に光の粒子が集まっている左腕を、正拳突きの要領で勢い良く突き出していけば、溜まっていた光の粒子の塊が握りしめられていた左手の拳から放たれたのだ。

 

「ゴアッ!!?」

 

放たれた粒子の光は勢い良く前方の一撃熊に向かっていき、粒子が直撃した一撃熊の一頭は大きく吹き飛ばされていた。

そして、大量の光の粒子が真護の元に戻っていけば、彼を包み込むように集まっていくと人の形を象っていく。

やがて、何かが弾け飛ぶような鋭い破裂音と共に、掻き消えた粒子の光から人影が出現した。

 

橙色の基本色と黄色の模様が施された、軽鎧のような装甲皮膚

灰色と黒色の混じった、ラバースーツのような強化皮膚

仮面のような顔に、虫のような大きな赤色の複眼

人間の髪のような茶色のパーツ

そして、赤い鉢巻を付けた…格闘家のような姿をしたモノがそこに現れたのだ。

 

「えっ…えぇっ!?」

 

「なっ!?」

「姿が…変わった…!?」

 

真護が変身と掛け声を上げてから、謎の存在の出現までの一連を目撃した3人は、突然の出来事に唖然として言葉が出なかった。

ただ分かっている事は、一撃熊に囲まれていた青年の姿が変わったモノという事だけだ。

ファイトバスターに連れられて来たゆんゆんはもちろんの事、追い掛けて来た筈のダクネスとクリスも、本来するべき事を忘れてしまうくらいの衝撃を受けていたのだった。

 

「グオオオォォッ!!!」

「…行くぞっ!」

 

唖然としている外野をよそに、威嚇してきている一撃熊を見据えて構えるモノ…ファイターはすぐさま身構えると、一撃熊に向かって勢い良く走って行く。

いきなり目の前に現れた異形に違和感を覚えながらも、群れの1体の一撃熊が目の前の獲物を返り討ちにしようと、向かって来たファイターに対して、振り上げた両腕を勢い良く振り下ろす。

しかし、振りかぶった腕は空振りに終わってしまう。

そう、ファイターは一撃熊の間合いに入る前に横に避ける訳でもなく、後ろに下がる訳でもなく…跳躍して避けたのだ。

だが、ファイターは跳躍して避けただけでは終わらない。

そのまま跳躍した勢いで空中で片足を突き出すと、そのまま落下の勢いに乗って急降下していく。

すると、突き出した足の裏から光の粒子が発生すれば、急降下する速度が更に速くなっていた。

 

「はあああぁぁぁっ……だりゃあああぁぁっ!!!」

「ブオオオォォッ!!?」

 

急降下しているファイターに対して、一撃熊はそのまま彼を叩き落とす気なのか、勢い良く両腕を振りかぶったものの、急降下してきた速さに反撃が間に合わず、ファイターが繰り出した飛び蹴りをその身に受けてしまい、大きく後ろに下がっていく。

飛び蹴りを放ったファイターは着地をしたものの、飛び蹴りを命中させた一撃熊を見る事なく、背中を向けたまま静かに深呼吸をしていた。

 

「グオオォッ!!」

 

それに対して飛び蹴りを受けた一撃熊は、大きなダメージを受けたとはいえまだ動けるのか、背中を向けているファイターに向かって突撃しようと四足歩行になって走り出していた。

 

「はぁぁぁ……」

「グゥ…!?…ゴ…ゴオォ…」

 

しかし、ファイターの背後にまで迫って来ていた一撃熊の動きが突如止まる。

ゆっくりと身体を起こし二足歩行の状態になったと思えば、ゆっくりと後ろに後退していたのだ。

1歩ずつ後退するたびに、ファイターが纏っていた光の粒子の光が、まるで稲妻のように一撃熊の身体を駆け巡っていく。

 

「ゴアァッ…ゴアアアァァッ!!?」

 

そして、退がる歩数が増えるごとに稲妻の勢いと光の輝きが強くなっていく。

やがて、光の粒子と稲妻の勢いに耐えられなくなったのか、そのまま一撃熊は膝をついて前のめりに倒れていく。

直後、一撃熊の身体から大量の粒子が吹き出すように現れれば、眩い閃光ともに大爆発を起こしたのだった。

 

「…まだ、来るか?」

 

一撃熊から発せられた爆発が静まり、ゆっくりと顔を上げたファイターは、こちらに威嚇したたま動かない一撃熊の様子を見ながらポツリと呟く。

すると、ファイターが見せた力に怖気付いたのか、一撃熊達はそのまま逃げるように森の奥深くへと走り去っていった…

逃げ去った一撃熊を追い掛ける事なく、様子を見ていたファイターだったが、一呼吸置いてからポツリと呟くと、再び光の粒子に包まれていく。

激しい粒子の光が収まると、その場に再び真護が現れたのだった。

 

「…行ってくれたか。ふぅっ、力は完全に戻ってる…けど、無闇には使えないかな?」

 

そして、爆発した一撃熊がいた場所を見れば、自分が失っていた力が問題なく使えている事を確信していた。

そして、人前では決してこの力を使わないようにしようと決意する。

だが、その決意はすぐさま無意味なものになってしまう事になる。

 

「君!!今のは何だ!?ただの飛び蹴りで一撃熊をどうやって倒したんだ!?」

「うわあぁっ!!?だ、誰っ!?どちら様!?…って、あ、あれ?さっきあの熊と戦ってた人…?」

 

先程薬草を置いてきた場所に戻る為、その場から立ち去ろうとした真護だったが、大きな声を上げながら近付いてきた声にビックリしてしまう。

慌てて聞こえてくる声の方向を向くと、自分が誘き寄せた一撃熊と戦闘していた、騎士の格好のような金髪の女性…ダクネスがいたのだ。

しかも、爛々とした表情を浮かべ、目を輝かせながら…かなり近い距離で。

 

「…えっと、怪我してるみたいだけど大丈夫?」

「ん?あぁ、この程度ならどうという事は無い。それに、私はこれでも力とタフさには自信があるんだ。だから、私の事については気にしないでくれ。」

「そ、そうなのか……」

 

突然現れたダクネスに驚きつつも、服や鎧の所々に傷や土埃が付いている様子に気付いて心配して声を掛けるものの、特に問題ないと言いたげな様子で話すダクネス。

しかも、何故か嬉しそうな表情を浮かべている為、更に真護は困惑していた。

 

「あー…急にダクネスがゴメンね。驚かしたみたいで。」

「えっ?あぁ、いや、大丈夫だよ。確かに驚いたけど…2人って、さっき怪我人を庇いながらあの熊と戦ってた人達だよな?」

「アタシはクリスだよ。それで、こっちがダクネス。よろしくね。」

「あ、あはは…よろしく。」

 

そこに、動き易そうな格好をした少女…クリスも遅れて現れる。

因みにクリスは、変身していた真護に呆気にとられていたのだが、更にダクネスが彼に詰め寄っていた事に気付いて慌てて来たのだ。

 

「…そういえば、あんなデカイ熊と戦ってたのに大丈夫なのか?結構ボロボロだったみたいだけど…」

「まぁね。けど、君が一撃熊を何とかしてくれたお陰で大丈夫だよ。」

「えっ?あ…あ、あははは……あの熊って、そんな名前付いてたんだ…知らなかったよ。」

 

2人の様子を見ながら心配して聞き訪ねる真護だったが、変身して一撃熊を倒した事をクリスから言われれば、返答に困った表情を浮かべながら話し続ける。

 

「…所で、君が使っていたあの力は何なの?それに、お腹に付いてたベルトも今は無いみたいだけど…」

「そうだ!その事について私も聞きたくてだな!」

「ええっ!?あぁーっ、えっと…あれは、そのー……」

 

そして、案の定と言うべきか、クリスにベルトの事について聞き訪ねられれば、困った表情を浮かべながらもどうやって話を逸らそうかなと考えるものの、視線を逸らした先に視界に入ったゆんゆんの姿に更に顔が青ざめていく。

しかし、何故かこの場にファイトバスターが居る事に気付くと、視線をファイトバスターに送る。

すると、ファイトバスターは何かを察した様子で森の出口へと向きを変える。

 

「えっ、ど、どうしたの?」

「ーーー、ーーーーーー。ーーーーーー。」

「えっ?今から逃げるから乗れ?って……え?」

 

ふと、方向転換したファイトバスターに気付いたゆんゆんがファイトバスターに問い掛けるものの、返って来た返答に困惑するゆんゆんだったが、言われるがままにファイトバスターの座席へと座る事にした。

 

「えっと…その、さよならーーーーっ!!!!」

「あっ!!?」

 

そして、クリスとダクネス質問から逃れる為、身体に粒子を纏いながら謝った真護は、急いで全力疾走しながらその場を離れる事にした。

クリスとダクネスが慌てて追いかけようとするものの、その場で発生した突風で身動きが取れなくなっていた。

 

「えっ?ひゃあああぁぁっ!!?」

 

そして、走り出した真護の様子にキョトンとしていたゆんゆんだったが、同じくエンジンを吹かせて走り出したファイトバスターの急加速に吹き飛ばされそうになりながらも、慌ててグリップを持ってしがみ付いていたのだった。

 

「ま、待って!…って、早っ!!?」

「あ、あっという間に行ってしまったな…」

 

入り組んだ森の中にも関わらず、凄まじい勢いで逃げて行った真護とファイトバスターの様子に唖然としながら、ダクネスとクリスはただ見ていたのだった。

…因みに、後にこの行動が悪手だったという事を真護は思い知らされるのだが、それはまたもう少し後の話になる。

 

−−−−−




次はオリ主のやらかしによる反省回になります(´・ω・`)
引き続きゆんゆんが出ます(´ω`)


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第3話『この孤独な闘士にパーティを!』

オリ主の能力バレ及び、パーティ加入回となっております(´・ω・`)



−−−−−

 

「はあぁっ…まさか、ファイターに変身した所を見られてたなんてなぁ…参ったなぁ…。」

 

ジャイアントトードを倒した草原にまで戻って来た真護とファイトバスター。

変身した所をライダーでない人達に目撃されていた事にショックを受けていた。

 

「ーーーーーー。-----、-----。」

「んー…まあ、起きた事をいつまでも悔やんでてもしょうがないよな。さーてと…これからどうしようか。」

 

しかし、気に病んでいる暇はないと考えた真護は開き直るように気を取り直せば、これから先の事についてどうしようかなと考えていた。

 

「きゅうぅぅっ……」

「…後、気を失ってるこの子にも、ちゃんと謝らないと。」

 

なお、戻ってくる途中に置いていた薬草も無事に回収した為、後は受けた依頼を報告するだけなのだが、気を失っているゆんゆんの目が覚めるまで待っているのだ。

彼女が気を失っている理由は簡単…この世界では存在しないバイクであるファイトバスターに振り回された為である。

 

 

「…ん、んんっ…こ、ここは?」

「…ん?あっ、気がついた?」

 

暫くの間、気を失っていたゆんゆんだったが、うっすらと意識が戻った様子で静かに目を開けると、いつのまにこんな場所にいたのだろうかと思いながらも、身体を起こして辺りを見回していく。

 

「そのー…ごめん!思いっきり騒動に巻き込んじゃったみたいで…ホントにごめん!」

 

意識を取り戻したゆんゆんの姿に気付いた真護が声を掛ければ、先程の騒動から逃げる際に巻き込んでしまっていた為、頭を下げて謝っていた。

 

「えっ!?え、えっと…だ、大丈夫!大丈夫ですから!」

「そ、そう?なら良かったんだけど…」

 

唐突に頭を下げて謝ってきた真護を見れば少し混乱するゆんゆんだったが、気を失ってただけで特に怪我も無い為、慌てながらも問題ない事を話す。

申し訳なさそうな表情を浮かべていた真護だったが、ゆんゆんの言葉を聞くとホッとした様子で顔を上げれば、近くの小石に腰を掛けていく。

 

「あっ、そういえば…君って誰なの?ファイトバスターが案内してきてたみたいだけど…?」

「ふぇっ!?え、えっと…わ、分かりました!」

「えっ?」

 

ふと、何かを思い出したかのようにハッとした表情を浮かべた真護は、ファイトバスターと一緒にいた事から何か用事があってあの場に来ていたのではないかと考えると、ゆんゆんが何者であるか聞き訪ねる事にしたのだ。

すると、何故かどうしようか悩みながらも決心したような表情を浮かべて返答してきたゆんゆん。

そんな彼女の様子にキョトンとした表情を浮かべながらも、真護は彼女の話を最後まで聞く事にした。

 

「わ、我が名はゆんゆん!あ、アークウィザードにして、いずれ最上級魔法を操る者!や、やがては紅魔族の長となる者!」

 

すると何故か立ち上がったゆんゆんは、恥じらいながらも大きな声を出してポーズを取って名乗り出たのだ。

突然のゆんゆんの行動にキョトンとする真護と、静まり返った場の空気に顔を真っ赤にするゆんゆん。

 

「…えっと、俺は闘野真護。ジョブはライダーだよ。よろしく、ゆんゆん。」

「わ、私の名前を聞いても笑わないんですか?」

「いや、別に変とは思わないよ?」

 

ゆんゆんの反応に困惑しながらも、自分の名前と職業を言って自己紹介をする真護。

そんな真護の気遣いとは裏腹に、特有の名乗りをした事が恥ずかしかったのか、ゆんゆんは顔を赤くしたまま心配そうな表情を浮かべながら聞き訪ねてきた。

しかし、ゆんゆんという名前が特に変だとは思わない為、真護はそんな事はないと話す。

 

「あっ、話を戻す事になるんだけど、ゆんゆんは何であの森に来てたんだ?」

「そ、それは、シンゴさんがギルドで私のパーティーに入りたいって聞いて…でも、何の装備も無しにジャイアントトード討伐に行ったって聞いたから……」

「…あっ、あーっ!?あの募集、ゆんゆんが出してたのか!あ、あはは…ゴメンゴメン。ちょっとタイミングが悪かったな。それなら、もう少しギルドで待ってても良かったな。」

 

ゆんゆんがあの森にいた理由を聞けば、ギルドで自分が見つけた募集の紙の事を思い出し、ポンと掌を軽く叩きながら、納得しながらも困ったように笑いつつ話す。

 

「それと、紅魔族って?名前からして凄そうな感じがするんだけど?」

「えっと…紅魔の里という場所に住んでいる一族の事を紅魔族って言います。私みたいに紅い目の色と、生まれつき高い魔力が紅魔族の名前の由来なんです。」

「へぇーっ…あっ、本当だ。綺麗な紅色……」

 

続いて紅魔族というワードに興味を持った真護は、続け様に問い尋ねるとゆんゆんが丁寧に答えていく。

ゆんゆんの言葉に対して真護は彼女の目を確認するように見る。

彼女の瞳は鮮やかな紅色をしていた為、真護は素直な感想を述べながら見入るように見つめていた。

 

「あ、あの…シンゴさん?」

「…あっ、ゴメンゴメン。俺の瞳は黒色だから、ちょっと羨ましいなって思ってさ。」

「い、いえ…」

 

ふと、ゆんゆんの声が聞こえてくれば、顔を赤くしたまま困ったような表情を浮かべている彼女の様子に気付くと、人の顔をマジマジと見つめるのは失礼だったと考えながら謝る。

 

「私、こんなに人と話した事が全然なくて……」

「えっ?そうなの?」

 

しかし、アクセルの街に来てから変態や変人に絡まれていた事の多かったゆんゆんは、真護のように素直に話を聞いてくれる男性はいなかったのか、おどおどとした様子で安心した表情を浮かべながら話し続ける。

無論、真護からすればこんな大人しくて良い子なゆんゆんが、何故話し相手が今まで居なかったのかが不思議で仕方が無いのだが…

 

「いやーそれにしても、ゆんゆんがいきなり仮面ライダーみたいな感じに名乗ったのは、ちょっとビックリしたな。」

「か、仮面ライダー…?」

「あっ……」

 

そして、ゆんゆんの名乗りがインパクトが強かったのか、はたまた気が緩んだ様子で仮面ライダーの名乗りみたいだと話してしまう。

更にそのワードに気付いたゆんゆんに突っ込まれた事で、自分がとんでもない事を口走った事に気付いて固まってしまう。

 

「あ、あの!その仮面ライダーって、さっきシンゴさんが一撃熊を相手してた時、『変身っ!!』って叫んで変化した姿に関係してるんですか!?」

「あ、あはは…」

 

仮面ライダーだという事を言ってしまった事で何かを思い出したような表情を浮かべたゆんゆんは、森の奥地で一撃熊相手に彼が叫んで変化した事を掘り返してきたのだ。

先程のおどおどした表情は消え、純粋な子供のような眼差しで目を輝かせている。

 

「(俺の馬鹿っ!ライダー関連の事を言っちゃ駄目なのに!しかもこの子、凄い勘が鋭い!?)」

 

ファイターに変身した所を彼女にも見られてたのかと思うも、自分がやらかした事に自分に対して怒りながら、これ以上は隠し通せない為、どうしようか困り果てしまい苦笑いを浮かべるしかなかった。

 

「カッコ良かったです!それに、一撃熊をあんな簡単に倒すなんて!」

「…えっ?そ、そうかな?」

 

ファイターとしての姿に何か言われるのだろうかと思っていたのだが、格好良いなんて言われた事は無かったのか、ゆんゆんの言葉に驚きながら褒められた事に素直に嬉しそうにしていた。

 

「…でも、そんな憧れるような良い力でも無いよ。」

「どういう事ですか?」

「んー…それを説明するにはちょっと話が長くなるんだけど良いかな?」

 

同時にこの力を手にしてから過酷な運命に翻弄された事もある為、憧れるようなものでもないと言いたげに呟く。

強力な力を持っている事にあまり良い印象を持っていない真護。

そんな彼の様子にゆんゆんは不思議そうにしながら理由を尋ねれば、暗い話題になるので話しても良いだろうか悩みつつも、話す事に決めた真護はそのまま話を始めた。

 

「確かにこの力は特別だけど、同時に厄災も呼び寄せちゃうんだ。俺がいた故郷でこの力と巡り合ってから、色んな事が起きて…色んな人達が巻き込まれた。この力と何の関係もない、普通に生活してた人達も…だから、此処でも同じ事が起きたら嫌だから、極力ライダーの力に関わらせたくないんだ。」

「それで、さっきあの場から…」

 

座りながら腕に意識を集中させて力を込めると、光の粒子が迸って輝きを放ち煌め、腹部に再び変わった形状のベルトが出現していた。

真護は遠くを見つめつつ、今まで自分が遭遇した…普通ならあり得ないような過去を思い返しながら、ライダーの力の危険性を話していく。

単にライダーの力自体が危険なら使わないか、いっそのこと関わらなければ良いだけの話になるのだが…それで済まないのが仮面ライダーとしての因果なのである。

 

「…でも、何でシンゴさんはその力を手に入れたんですか?そんな危険な力なら……」

 

話を聞くうちに、彼が変身した姿を見られる事を嫌がるのは、ライダーの力を知られる事に不安を感じているのだろうかとゆんゆんは考える。

そして、あまり良しとしていない筈の、ライダーの力を手にしている真護の事が気になったゆんゆんは続けて手に入れた理由を聞く事にした。

ゆんゆんの質問について真護は少し考える。

何故なら、元々は望んで手に入れたような力では無かったから。

 

「あー…成り行きで…って言ったら変になるかな?たまたま光る石…今のベルトの真ん中に入ってるこのメビウスリング…ってのを見つけたんだけど、キメラ…化物に見付かって殺されそうになったんだ。えっと、此処でいうモンスターみたいな感じの奴だよ。」

 

正直に話そうにも余計に話が長くなる為、ベルトの中心にあるメビウスの輪石と呼ぶ、神秘的な光を放つ石を見せる。

そして、真護は当初の出来事を大まかに噛み砕きながら説明を始める。

 

「えっ?じゃ、じゃあ…シンゴさんは死に掛けてその力に目覚めたって事ですか!?」

「んー…ちょっと違うかな?ベルトに付いてる…というよりも、お腹に入っている輪石の力が作用してるから、厳密には俺の力じゃ無いと思うんだ。最初は不完全な力だったし、この力をちゃんと使えるようになるまで大変だったし…けど、今まで上手く戦って来れたのも、メビ…このベルトの力のおかげってのは確かなんだけどな。」

 

力を手に入れた説明を聞いていたゆんゆんだったが、死に直面するような状況に陥らないと力を獲得出来ないのかと思ったのか、戦慄したような様子で聞き尋ねるものの、真護は直接的な要因ではない事を話す。

…最も、『変身が出来る資格を有している』という条件をクリアしている前提なのだが。

 

「…さてと!もう日が暮れそうだしお腹も空いてきたから、一緒にギルドに行こっか。」

「あっ…は、はい!」

 

辛気臭い話を切り上げるように真護は周囲を見渡しながら立ち上がると、日が暮れて夕闇に沈んでいく太陽を見ながらゆんゆんに話すと、彼女も頷いて真護に付いて行くのであった…

 

ーーーーーー

 

「それでは、パーティ結成を祝して…乾杯ー!」

「か、乾杯…」

 

ギルドに帰還した真護とゆんゆんの2人は、受付にジャイアントトードの討伐及び薬草集めのクエストを完了した事を報告し報酬を受け取り、やや早めの夕食をとる事にしたのだった。

また、ギルドの受け付けで改めてパーティ申請を無事に終えた事でゆんゆんの仲間になった為、初パーティ結成を祝して軽いパーティみたいなノリで食事を始めていく。

 

「んーっ!!美味しいーっ!あのカエルの肉を加工して調理したら、こんなに美味しいんだなぁ!」

「(すごい勢いで食べてる…)」

 

自分で討伐したジャイアントトードの肉で作られた唐揚げを食べれば、カエルの肉とは思えない旨さに箸が止まらないのか、頬張るように食べている。

 

「ほら、ゆんゆんも一緒に食べようよ?こういうのは出来立てが1番美味しいんだしさ。」

「は、はい。…いただきます!」

 

真護が食べている様子を呆気にとられたように見ていたゆんゆんだったが、彼女の様子に気付いた真護が声を掛けると、ゆんゆんも唐揚げを食べ始めていた。

 

因みに、真護が年齢的にも幼いゆんゆんにお金を出してもらうのは申し訳なく思った事と、せっかくパーティを組んだから自分が奢りで出すよと話した為、パーティ結成祝いとして真護が食事代を出す事にしたのだった。

最も、ゆんゆんも自分が出すと言った為にやや時間が掛かったのだが…

 

「アークウィザードって上級職って言われてるんだよな?まだ年端も行ってないのに…ゆんゆんは凄いな!」

「そ、そうですか?えへへっ…」

 

食事を取りながら会話をしていけば、徐々にゆんゆんのぎごちなさがなくなった事もあって打ち解けていき、ドンドン会話が弾んでいく。

 

「それでですね…こんな性格だから、紅魔族の中で私だけが孤立しちゃって……」

「うわぁ…でも、大丈夫!ゆんゆんはいい子だって分かるよ!ほら、待たずに飛び出した俺なんかの事を気に掛けて来てくれただろ?他の人だって分かってくれる人は絶対にいるよ!」

 

真護も仮面ライダーの事を隠さずに話せる大切な友人になったゆんゆんに気兼ねなく話せる為、嬉しそうに会話を続けていく。

 

「怪人も強かったけど、外にいるファイトバスターと一緒に戦って、俺も強くなったんだ!今度別の変身した姿も見せるよ!」

「本当ですか!?わぁーっ…楽しみです!」

 

そして、2人はお互いに知っている事や事件に巻き込まれた事、今までに起きた事などを話し合っていたのだった…

 

 

 

「はーっ!食った食ったー!ご馳走様でした!それにしても、さっきの飲み物…炭酸みたいな音がして面白かったな。」

「はふぅ…シュワシュワって言うんですぅ〜……」

 

どれだけの時間が経っただろうか…

会計を済ませてお腹いっぱいになるまで飯を平らげた真護は、シュワシュワを何杯か飲んで軽く出来上がってしまったゆんゆんをおんぶしていた。

ギルドを後にして宿を目指し、ファイトバスターに道を先行して貰いながら歩く真護。

 

「シンゴさん…」

「ん?どうしたゆんゆん?」

「これからも…よろしくお願いしますね……」

「うん、もちろんだよ。俺の方こそ、よろしくなゆんゆん。」

 

安心しきったような様子でギュッと真護の背中に抱き着くゆんゆんの言葉に、これからの事を考えつつも星が鮮明に移る綺麗な夜空を見上げながら、真護は彼女の問いに答えたのだった…

 

−−−−−




序盤にも関わらず、話の構成が上手くいかなくて詰まってしまう…(´・ω・`)
一応ゆんゆんがヒロインとなっておりますが、オリ主がゆんゆんを妹のような扱いをしている為、ここから恋愛に発展するかは未定にしています。
次はオリ主の設定詳細となっております(´ω`)


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オリキャラ詳細及びオリジナルライダー詳細

オリキャラの設定詳細及び、基本フォームと派生フォームの説明になっています(´・ω・`)
とても長い為、読まない方は次のページに行く事をお勧めしますm(_ _)m
【追記】
各フォーム説明分の微修正、及び新フォームの追加をしましたm(_ _)m


−−−−−

 

【名前】闘野 真護(トウノ シンゴ)

【年齢】18歳

【性別】男

【身長】180cm

【体重】78kg

【容姿】

首辺りまで伸びてある少しばさついた黒髪に、黒色の目でややキリッとした目付き

青と黒の小さいチェック柄の長袖の上着に、銀色の装飾が施された白の長袖シャツを着ている

白色の線模様が描かれた青色のジーンズを穿いており、黒色の靴を履いている

【性格】自由翻弄で結構天然な所がある

【職業】ライダー

【ライダー名】仮面ライダーファイター

【変身ツール】

『メビウスリング』

輪石と呼ばれる、物質を構築する力や破壊する力を持つ粒子エネルギー『マテリアル』で構築されている神秘なる石が埋め込まれているベルト

また、ベルト及び輪石も身体と一体化している為、直接粒子エネルギーを引き出す事が可能で、常人には想像できないような身体能力を持っている

【変身方法・備考】

ベルトを出現させた後、粒子エネルギーが体中に流れ、それを掌に溜めて前方に拳を突き出す変身ポーズを取る事で変身可能

また、ベルトから体に粒子エネルギーを流してフォームチェンジも可能

愛機のバイクはファイトバスター

ファイターと同じくフォームチェンジが可能

【情報】

カズマのいた日本とは違う次元の日本から迷い込み、アクアによって異世界へと送られた青年

元の世界では坏沢町という東京の郊外にある街の出身で、坏沢大学という大学の学生

5歳の時に両親を事故で亡くしており、以後は祖父母の元で育てられた

厳格な祖父の指導の下で柔道や古武術を受けていたが、武術を学んでいるにも関わらず、能天気で温厚かつマイペース

しかし、自分が一度決めた事は決して諦める事なく成し遂げる強い意志と、強靭過ぎると言っても過言ではない程のメンタルの持ち主である

とある経緯によってライダーシステムの適用者となり、宿敵との死闘の末に地球の危機を救ったのだが、その反動で死後の世界に迷い込んでしまっている

 

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【変身フォーム説明】

 

『ルーキー』

【身長】2m

【体重】90kg

【パンチ力】5t

【キック力】10t

【跳躍力】20m

【走力】100m走8秒(時速45km)

【召喚武器】無し

【必殺技一覧】

『チャージアップ』

独特の構えを行い力を溜める事で技の威力を1.5倍に引き上げる技

『ルーキーパンチ』

腕に粒子エネルギーを流し込み、拳の突きと共に撃ち込む技

『ルーキーチョップ』

腕に粒子エネルギーを流し込み、手刀を繰り出す必殺技

『ルーキーキック』

脚に粒子エネルギーを流し込み、飛び蹴りと共に撃ち込む技

【備考】

戦いへの決意が無い時や、暴走後や極度のダメージによって変わる不完全なファイターの姿

メビウスの輪石と呼ばれる光り輝く石が埋め込まれたベルトの力によって変化する

『白色』に輝く粒子を纏う

白い身体に灰色のアーマー、灰白色の髪パーツ、大きな黒色の複眼に黒いハチマキが特徴的な姿をしている

身体能力は上がっているものの、本来のファイターの半分ほどのスペックしかない為、下級の怪人に対しても苦戦を強いられる事が多い

因みに、必殺技の威力はファイターの時の半分以下になっている

 

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『ファイター』

【身長】2m

【体重】100kg

【パンチ力】15t

【キック力】30t

【跳躍力】40m

【走力】100m走3秒(時速120km)

【召喚武器】無し

【搭乗兵器】

『ファイトバスター』

最大時速700kmだが、粒子エネルギーチャージ時には1400kmもの速さになる

ファイターの相棒であり、意思を持つ戦闘バイク

心や意識に直接呼び掛ける事が出来るため会話も可能

ベースの色は黒だが、ボディーは橙でフレームは黄色

意思があるので日常会話は勿論の事、粒子エネルギーによって様々な姿へと変身する事が可能

【必殺技一覧】

『ジャージアップ』

独特の構えを行い力を溜める事で必殺技の威力を倍にする必殺技

『クイックダッシュ』

全身に粒子エネルギーを纏う事で身体能力や反応速度を上げ、常人には残像しか捉えられない程の高速移動を行いながら体当たりを繰り出す技

持続効果は体力が続く限りなので比較的長い

主に他の必殺技に繋がるコンボパーツとしてよく使われる

『スマッシュビート』

腕に粒子エネルギーを流し込み、拳の突きと共に粒子エネルギーを撃ち込む技

使いやすさも相まって良く使用される

『クエイクローカス』

粒子エネルギーを足に流し込み、勢いよく飛び蹴りを放つ必殺技

『ストームブラスト』

粒子エネルギーを全身に溜め込み、粒子エネルギーの衝撃波と共に飛び蹴りを繰り出して撃ち込むファイターの必殺技

この技を放つ際に余波で突風の嵐が吹き荒れる

『ブーストバスター』

ファイトバスターに乗っている時のみ使用可能

粒子エネルギーをファイトバスターと共に纏いながら敵に突進する必殺技

使用時には粒子エネルギーによる衝撃波が発生する

【備考】

ファイターの基本となるフォーム

『橙色』に輝く粒子を纏う

橙色の基本色と黄色の模様色の装甲皮膚に、灰色と黒色の強化皮膚、大きな赤色の複眼に茶色の髪パーツと赤い鉢巻を付けたという…格闘家のような姿が特徴

武器が使えないが、身体能力や体感速度を強化する事が可能

そして、ファイターフォームの最大の特徴は、他フォームでしか使えないファイトバスターの変身形態も自由に扱う事が可能

 

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『レンジャー』

【身長】2m

【体重】90kg

【パンチ力】10t

【キック力】20t

【跳躍力】80m

【走力】100m走1秒(時速360km)

【召喚武器】

『ツインブラスター』

アサルトライフル程の大きさを持つ双銃

基本的に両手に持ってエネルギー弾を撃って戦闘する為、このレンジャーフォームの基本装備とも言える

下記のグレイブカノンと合わせる事で強力な必殺技を放つ事が可能

『グレイブカノン』

大砲のような銃口の銃身が特徴的な大型銃

扱い辛い為に動きながらの射撃は難しいものの、非常に強力なエネルギーの光線砲を放つ事が可能

主に遠距離での狙撃や、強固な装甲や高耐久の敵を倒す為の切り札になる

また、上記のツインブラスターに接続する事で更に強力な必殺技を放つ事が可能

『マテリアルストア』

コンテナ型の武器庫だが、内部にはエネルギー弾を撃つ銃口や大量のミサイルが収納されている

常に浮遊しており、展開すれば収納されている武器が纏めて発射される為、乱戦時の使用に適している

【搭乗兵器】

『エアロリフター』

全幅5m・全長約1m・翼幅12m・全高約1m程

最大速度は時速1200kmで、粒子チャージによる最大速度は時速2400kmになる

機体の色はベースは黒色、フレームが白銀色で、動力部分は碧色

ファイトバスターが粒子変化によりフォームチェンジした姿

飛行ユニットとしての姿な為、バイクとしての原型は無いが、代わりに高高度飛行能力・超高速戦闘能力を手に入れている

また、胴体部に機関砲が2基搭載され、翼部にはレーザーブレイドが装備されている為、攻撃能力も飛躍的に高くなっている

【必殺技一覧】

『ツインブラスト』

ツインブラスターを合わせ、粒子エネルギーを溜め込む事でフルチャージした後、強力なエネルギー弾を放つ技

強力な誘導性能を誇り連射可能

『レールカノン』

グレイブカノンに粒子エネルギーを最大までチャージした後に、巨大なエネルギー砲を放つ技

非常に持続性が高く射程も長い為、狙撃や掃討などにも頼もしい技である

『グラビティバズーカ』

ツインブラスターとグレイブカノンを接続した場合のみ撃つ事が可能な技

最大までチャージして放ったエネルギー弾は、着弾点に強力な引力を発生させる為、小型の怪人や分裂する怪人などに対して非常に強力な技となっている

発射された弾に引力が発生するため射程と効果範囲が非常に広い

『フルオープンパレード』

マテリアルストアを展開する必殺技

格納されている武装が一斉に放たれる為、威力は他には劣るが広範囲に渡って攻撃が可能

『エアロダンス』

エアロリフターに乗っている時のみ使用可能

エアロリフターの機関砲による銃撃からの、超高速飛行によるレーザーブレイドの斬撃を繰り出す必殺技

【備考】

青色の基本色と藍色の模様色の服のような装甲皮膚に、灰色と黒色の強化皮膚、大きな水色の複眼に黒色の髪パーツ、そして、水色のベレー帽を被った…銃戦士のような姿が特徴

『蒼色』に輝く粒子を纏う

速さと火力を意識したフォームで、銃火器類を駆使して戦う

俊敏性がより高く、感覚神経や反射神経がより鋭くなっている為、高機動戦闘や遠距離戦闘を得意としている

銃火器の一部には貫通能力があり、強靭な装甲を打ち抜く事が出来る

魔力耐性・耐久性が低く打たれ弱い

ファイトバスターは『エアロリフター』という飛行ユニットへと粒子変換によって姿を変え、高高度までの飛行や高速戦闘を可能とする

 

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『ウィッチ』

【特徴】

【身長】2m

【体重】95kg

【パンチ力】6t

【キック力】12t

【跳躍力】30m

【走力】100m5秒(時速72km)

【召喚武器】

『ケイオスロッド』

ウィッチフォームの標準装備である両手杖

先端部分と柄部分にはコアのような装飾と刃が付いており、リーチが非常に長い

ウィッチフォームの身体能力をカバーする武器でもあり、中距離での魔法を放つ為にも必要な武器である

【搭乗兵器】

『ウィッチブルーム』

最大時速は500kmだが、粒子エネルギーチャージ時には1000kmもの速さになる

ファイトバスターが粒子変化によりフォームチェンジした姿

エアロリフターと同じく姿が箒の為、バイクの原型は無いが、浮遊能力と飛行能力を持ち、また、魔法障壁による魔法防御能力を兼ね備えている

また、瞬時に最大速度を出したりその場で急停止したりする事が可能で小回りも非常に利く

住宅街のような狭い場所や入り組んだ道、更には水中でも速度を維持しながら行動できる

【必殺技一覧】

『ストライクアサルト』

ケイオスロッドに粒子エネルギーを流し込み、連撃の後に共にエネルギーを叩き込む必殺技

複数の敵に対して放つ事が可能

『ルーンサークル』

魔法陣を展開する事で強力な魔法を放つ必殺技

魔法陣からは炎、風、水、土、光、闇など…様々な魔法が対象に向かって放たれる

魔法陣から絶え間なく放たれる為、持続性と効果範囲はかなり高い

また、罠のように幾つも設置してから発動する事も可能

『クラシックスペル』

ケイオスロッドに粒子エネルギーを流し込み、特大の魔法陣を展開して放つ必殺技

魔法陣自体が強力なエネルギーの塊として放たれる為、非常に範囲が広い

魔力に耐性の無い対象を一方的に破壊する事が可能

『ブルームドライブ』

ウィッチブルームに乗り、粒子エネルギーをチャージして魔法陣と魔法障壁を展開しながら突撃する必殺技

突撃の際には展開した魔法陣による魔法で対象を拘束する

対象が魔力に耐性の無い場合は一方的に破壊可能

【説明】

深翠色の基本色と茶色の模様色のローブのような装甲皮膚に、灰色と黒色の強化皮膚、大きな黄色の複眼に焦茶色の髪パーツ、そして、大きなツバが付いた深緑色のとんがり帽子を被った…魔術師のような姿が特徴的なフォーム

『緑色』に輝く粒子を纏う

箒と両手杖を駆使して戦うフォームで、魔法耐性が非常に高い

また、魔法による中距離戦が得意で、魔法陣を展開して様々な魔術を扱う事が可能

魔法に耐性の無い相手に対して一方的に有利を取れる強力なフォームである

但し、能力バランスが全体的に低く、特に耐久や物理火力では最も低い

ファイトバスターは『ウィッチブルーム』という箒にフォームチェンジが可能になる

魔法障壁を展開して突進する『ブルームドライブ』はどの戦況でも使える強力な必殺技

 

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『ソルジャー』

【身長】2m

【体重】150kg

【パンチ力】20t

【キック力】40t

【跳躍力】30m

【脚力】100m走6秒(時速60km)

【召喚武器】

『ベガルエッジ』

2本の刃が合体している両刃剣

軽いために非常に扱いやすく、取り外す事で双小剣としても使用可能

また、バルムソードと合体させる事で強力な必殺技を放つ事が可能

『バルムソード』

大きな刀身と長い柄が特徴的な両刃剣

大きな得物の為に扱いが難しいが、人よりも大きな刀身から放たれる一撃は凄まじい威力を誇る

『タワーシールド』

身を隠せれるほど大きく、強靭な耐久性を誇る大型盾

【搭乗兵器】

『タンクバギー』

全長7m、全幅3m、全高4m程で重量は10t

最大時速は400kmだが、粒子エネルギーチャージ時には800kmもの速さになる

ファイトバスターが粒子変化によりフォームチェンジした姿

機体前方には4本のパイルバンカーが装備されており、機体上部には4機の主砲が装備されており、機体の側面と後方部には4機の副砲が装備されている

姿が壁のような装甲に覆われた重装甲車な為、エアロリフター・ウィッチブルームと同じくバイクの原型は無いが、タワーシールド以上に強靭な耐久性と対魔法防御能力を誇り、様々な地形を走行可能

機体の重さも相まって巨体による体当たりを得意としている

因みに、最大50人まで収容可能な搭乗兵器である

【必殺技一覧】

『ベガルフロウ』

ベガルエッジによる乱舞を繰り出し、粒子エネルギーを叩き込む必殺技

機動力に難のあるソルジャーフォームの中で最も扱いやすい

『バルムスライサー』

粒子エネルギーをチャージしたバルムソードによる斬撃波を繰り出す必殺技

『カスタムブレイカー』

ベガルエッジとバルムソードを合体させた時のみ使用可能な必殺技

合体させた刀身に粒子エネルギーをチャージさせ、巨大なエネルギーソードを作り出した後、横薙ぎに斬り払う技

『シールドバニッシュ』

タワーシールドに粒子エネルギーをチャージして体当たりを繰り出す必殺技

主に相手の必殺技を受け流しながら放つ為に使用される事が多い

『タンクバンカー』

タンクバギーに装備されているパイルバンカーを粒子エネルギーと共に繰り出す必殺技

【備考】

銀色と赤色の基本色と紫色の模様色の重鎧のような装甲皮膚に、灰色と黒色の強化皮膚、大きな黄色の複眼に焦茶色の髪パーツ、そして、銀色のヘルムと赤紫色のマントを付けた…重戦士の姿が特徴的な剣と盾を駆使して戦うフォーム

『赤紫色』に輝く粒子を纏う

耐久力と攻撃力が非常に高く接近戦が得意なため、固い敵や攻撃威力の高い敵に対して強い

ただし俊敏性が低く、魔力耐性もそれ程高くない

ファイトバスターは『タンクバギー』という重装甲車へと姿を変え、タワーシールド以上の装甲を誇る

 

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『プリースト』

【身長】2m

【体重】100kg

【パンチ力】8t

【キック力】16t

【跳躍力】30m

【走力】100m走4秒(時速90km)

【召喚武器】

『タクティカルメイス』

取り回し易く威力の高い鎚部分と柄部分がペン状になっている特徴的な鎚矛

翳す事で怪我や状態異常を治療する粒子の光を放つ

また、ペンで敵の身体から力や能力を回収して、敵の能力を抗体として得る事も出来る

【搭乗兵器】

『フライトドクター』

全長約15m・全高約5m程

最大速度は時速600kmで、粒子チャージによる最大速度は時速1200kmもの速さになる

機体の色はベースは黒色、フレームが白銀色で、動力部分は碧色

ファイトバスターが粒子変化によりフォームチェンジした姿

ヘリコプターとしての姿な為バイクとしての原型は無いが、代わりに高度飛行能力を手に入れている

また、胴体下部に機関砲4基、胴体側部にミサイルコンテナを搭載している

【必殺技一覧】

『タクティカルスイング』

柄頭のペン部分で敵の能力を獲得した後、タクティカルメイスの鎚矛に抗体として獲得した能力を粒子エネルギーとして纏わせ敵を斬り裂く必殺技

『セイクリットフレア』

タクティカルメイスに粒子エネルギーを纏わせ、周囲に眩い光を拡散する必殺技

威力はそれほど無いが、敵を弱らせ味方の傷や状態異常を癒し力を強める事が出来る

『フォールディングシューター』

フライトドクターによる機関砲による掃射の後、追撃のミサイルを一斉射撃する必殺技

ミサイルの爆風は敵を弱体化させる効力がある

【備考】

白色の基本色と黄色の線模様色が施されており、聖職者のような姿が特徴的なフォーム

『檸檬色』に輝く粒子を纏う

治癒や抗体の力を扱うため戦うというよりは補助や支援に特化している

敵を弱めたり、敵の力を吸収して自分自身の力に変えたり、仲間を癒し治したり粒子エネルギーの力で補助及び強化したりする

力はウィッチフォームよりはあるものの対集団戦が得意というわけでないので殲滅には向かない能力だが、他のライダーやフォームチェンジを使う上で重要なフォームと言っても過言ではない

ファイトバスターは『フライトドクター』というヘリへと姿を変え、人命救助と掃討戦をこなす万能ヘリへと変身する

 

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基本フォームの説明は以上ですm(_ _)m
中間フォーム、最終フォームは後日追加したいと思います(´・ω・`)
次は時間を飛ばしてカズマ達との出会いとなっております(´・ω・`)


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第4話『この曲者揃いなパーティーに救済を!?』

原作主役の3人の登場です(´ω`)
登場人物はヒキニートと駄女神と爆裂ロリ…もとい、カズマ、アクア、めぐみんが追加されます。



ーーーーー

 

「ふあぁぁ〜っ…もう朝かぁ、早いなぁ…。」

 

並行世界から転送された青年…闘野真護がこの異世界に送られてから1ヶ月が経過していた。

 

「…よし!準備完了!ゆんゆんは起きてるかな?」

 

やや遅めに起床した真護はベッドから降り、顔を洗って歯を磨いてから普段着に着替え身支度を整えてから部屋を出る。

そして、朝食を取るのと仕事を見つける為にギルドに向かう為、まずはパーティーメンバーであり異世界で最初の友人であるゆんゆんが泊まっている部屋へと向かう。

 

「あっ、シンゴさん!おはようございます!」

「おはようゆんゆん。」

 

扉をノックすれば扉が開きゆんゆんが出てきた。

最初に起こしにきた時はパジャマ姿で現れていたのだが、毎日のように起こしに来る真護に寝間着姿を見られるのは恥ずかしかったのか、早く起きて既に身支度を終えている状態で出てくるようになっていた。

なお、真護本人は寝坊しても時間はある事と、クエスト以外だと何処かに遊びに行く事以外は暇になってしまうため、自分が起こしにくるからゆっくりでも大丈夫だと言っている。

 

「よーし、今日も一日頑張ろっか!」

「はい!行きましょう!」

 

準備を終えているゆんゆんと共に宿を出れば、外で待機しているファイトバスターに乗って宿へと向かう。

1週間辺りからこの異世界の生活に慣れたのか、重労働のクエストの時や宿で各部屋に戻るとき以外は基本的にゆんゆんと共に行動している。

 

ある時は別の街に行く商人達を護衛するクエストを…

またある日には危険モンスターの討伐を…

またまたある日は畑に生えた秋刀魚の回収を…

 

たまに変なクエストに遭遇するが、真護本人はそれなりに楽しんでクエストに励んでいたのだった。

そしてギルドに到着すれば、まず掲示板に貼られているクエストを確認する事にした。

しかし、見慣れたクエストしか確認する事が出来ない。

 

「んー…張り出されてるクエストが少なくなってる気がするな。」

「じゃあ、ルナさんに張り出されているクエスト以外に良いものが無いか聞きましょうか。」

「そうだな、そうしよっか。」

 

掲示板とにらめっこするように眺めていた真護だったが、ゆんゆんの提案を聞いて頷くと、受付に座っているルナの元に向かう。

 

「おはようございますルナさん。今日は何かクエストは無いですか?」

「あっ、シンゴ様、ゆんゆん様、おはようございます!そうですね…他のクエストはこんな感じになっていますよ?」

 

そして、受付にいるルナに挨拶してから良いクエストがあるか聞けば、掲示板に載せきれていなかったクエストを確認する事にした。

 

「んーっ…ジャイアントトードの討伐がズラリと並んでますね……」

「すみません…ここの所、クエスト依頼の件数が少なくなっているんですよ。」

 

しかし、やはりというべきか…農地や家畜を荒らすジャイアントトードが繁殖期を迎えているため、ジャイアントトードトード関連のクエスト依頼が多かったのだ。

しかも、別々に出ている上に報酬もややバラツキがある。

他のクエストも街の掃除や害虫駆除…剣術や魔法の顧問などが多いものの、どれもこれも真護には合わないクエストだった。

 

「そうなんだ…それなら、ジャイアントトードの討伐に行くしかないか。」

 

ルナの言葉を聞いた真護は更新されているクエストは無く、似たようなものしかないという事が分かると、少し残念そうにしながらも張り出されているクエストを受ける事にした。

 

「…ん?」

 

ふと、一枚のクエスト依頼の紙に気付く。

 

「ルナさん、ゴブリンは分かるんだけど…この初心者殺しってのは?」

「えっとですね…黒い猛獣の姿をしたモンスターで、ゴブリンなどの弱い魔物を討伐しに来た初心冒険者を襲うんです。」

「へぇーっ…」

 

ゴブリン討伐の紙の備考欄に初心者殺しの出現可能性ありと書かれた文章に不思議そうにしながらルナに尋ねれば、初心者殺しの特徴についてルナが簡単に説明を始めていく。

 

「名前も変わってるし、変なモンスターだな…じゃあ、このゴブリンと初心者殺しってのも討伐しに行きますよ。」

「かしこまりました。ただ、目撃情報などからしてもジャイアントトードが住む場所より少し離れた場所になりますが…」

「大丈夫だよルナさん。移動にはファイトバスターがいるし、アークウィザードのゆんゆんもいるんだし、問題ないよ。」

 

他のクエストも目新しいものもない為、ゴブリンと初心者殺しの討伐任務もついでに受けることにした。

 

「よし、じゃあ朝食を食べてからクエストに行こっか。」

「はい!」

 

受けるクエストも決まった為、朝食を食べてから出発する事にした真護とゆんゆん。

そして、酒場の席に2人で座っていけば朝食を注文する為、メニューを開く事にしたのだった…

 

ーーーーー

 

所変わってギルド入り口周辺…

 

「…何でこんなファンタジー満載の世界にバイクがあるんだああぁぁっ!!?」

「ーーー?ーーーーー。ーーー、ーーーーーーー。」

「しかもこのバイク、脳裏に直接話し掛けてきてる!?怖っ!!!」

 

外で相棒と友人を待っているファイトバスターの姿にツッコミを入れる1人の青年が居た。

彼の後ろには、ファイトバスターの姿に唖然としている青髪の少女と、大きなツバの付いた帽子と魔法使いが使うような杖を手に持っている少女がいる。

 

「カズマ、アクア、2人はこれが何か知ってるんですか?」

「…とりあえず、このバイクについての話は後だ。」

「はぁ…まあ、私は別に構わないですが。」

 

いきなり絡まれて困惑するファイトバスターだったが、絡まれるのも面倒だなという様子でソッポを向いてしまう。

そのファイトバスターを見て何かを悟った青年…佐藤和真は、このバイクの所有者である転生者がこのギルドにいる事に気付くと、早速ギルドの中へと入っていく。

 

「(あのバイクが転生者の特典だとしたら…もし俺の他にも地球から転生した奴が居るならチャンスだ!もうなりふり構っている場合じゃない!協力してもらうしかないっ!)」

 

追い込まれたような表情を浮かべるカズマは、何とかして強力な冒険者を自分のパーティーへと引き込む必要があった。

何故なら、彼に付いてきている2人が原因である。

 

「(俺のパーティーには回復と芸だけで戦闘の役に立たない奴に、魔法を一発撃つだけで使い物にならなくなる一発屋…碌な奴しか居ねぇ!というか、ホントに死活問題だから何とかしないと…)

 

片や戦闘面では全く使い物にならず、片や尖り過ぎたその性能のせいで一発屋に終わるという…何とも言えないポンコツパーティーと化しているのだ。

特典持ち…所謂チート持ちの転生者を何とか言いくるめてパーティーに入れれば御の字なのだが、それが上手く行っていればこんな苦労する事は無いし、なによりも上手くいく算段が皆無なのだ。

特に、女神を特典で選んだせいで碌な恩恵もない、最弱職である冒険者のカズマにとっては…

 

「…ん?」

 

ふと酒場の方へと視線が映ると、他の冒険者とは明らかさまに違う格好をした青年の姿が映る。

どちらかといえば、カズマのいた地球の服装と非常に似ているのだ。

しかも、青年の対面には少し派手な格好をしたスタイルの良い可愛い娘が一緒に食事を取っている。

 

「おい、アクア。あそこに座ってるのって…日本人だよな?」

 

その光景を見たカズマは少し憎そうな表情を浮かべながらも、女神である青髪の少女…アクアに意見を聞こうと彼女の方を向いて問い尋ねたのだった。

 

「…プッ、ブフォッ!!クッ…クククッ…!」

「…アクア?お前、何笑ってるんだ?」

 

しかし、アクアの方を見るやいな彼女の様子が変だった。

何か知っているような素振りでもあるが、必死に笑いを堪えようとしているのだ。

 

「が、カズマ…あいつは駄目よ。今見て思い出したんだけど、相当変わってる奴だから…プクククッ……!!」

「変わってるのはお前の方だろ。…って、あれ?めぐみんは何処に……」

 

そんな駄女神の様子をカズマはジト目で見ていたものの、側にいたはずの魔法使いのような格好をした少女…めぐみんがいない事に気付く。

周囲を見渡してから先程の2人が座っている席の方へと視線を向ければ、発育の良い少女とめぐみんが対立するように話していたのだ。

 

「(何やってんだあの馬鹿あぁぁっ!!?)」

 

その光景に叫びそうになったカズマだったが、何とか状況を最悪な方に流れないようにするため、めぐみんの勝手な行動を止めようと2人の話に割り込む事にしたのだった…

 

ーーーーー

 

事の始まりは、アクアとカズマの2人が話し合っている間に起きていた。

 

「(やれやれ、この2人は何をしているのだか…まずは腹ごしらえをして強敵との備えをしないといけないというのに…)」

 

アクアとカズマの2人の様子を見ていためぐみんだったが、先に席を取っておいた方が良いだろうと考えて酒場の方の席へと向かっていく。

 

「め…めぐみん!?」

 

すると、めぐみんにとって聞き覚えのある声と姿をした少女がめぐみんの進行方向を妨げるように現れたのだった。

 

「ひ、久しぶりねめぐみん!こんな所で再会するなんて!やっぱり私達は長きにわたる…」

「どちらさまでしょう?」

「…って、えぇぇっ!!?」

 

しかし、めぐみんが少し面倒くさそうな表情を浮かべたすぐ後に、いつも通りの表情に戻れば無慈悲にも知らない人を相手するように言い放ったのだった。

 

「 大体、名前も名乗らないなんておかしいじゃないですか。」

「うっ、ううぅっ…」

「ゆんゆん、その子…もしかして知り合いなのか?」

 

容赦のないめぐみんの言葉に涙目になるゆんゆん。

そんな2人の様子をキョトンとした表情を浮かべながら見ていた青年…闘野真護は、涙目になっているゆんゆんをフォローする為に聞き尋ねる。

 

「なっ…!?」

「ん?」

 

真護がゆんゆんに問い尋ねた途端、無頓着な表情を浮かべていためぐみんが、驚愕の表情を浮かべながら真護の方を見ていた。

 

「ゆんゆんが…里では常にボッチだったあのゆんゆんが…パーティーを組んでるっ!!?」

「やっぱりちゃんと覚えてるじゃない!!」

「えぇぇ…」

 

戦慄したような表情を浮かべながらこちらを見てくるめぐみんの様子に、どう反応を返せば良いか困る真護。

更にそこに自分の事を忘れたと言っときながら覚えていた事について怒っているゆんゆんの様子を見れば、この状況をどう打破すれば良いか悩む真護だった。

 

「おい、何やってんだお前は…」

「ん?あぁ、カズマですか…少し自称ライバルを称する私の追っ掛けに遭遇した所です。」

 

するとそこに、いかにも冒険者の格好をした青年と、青髪の少女…カズマとアクアがその場に現れたのだった。

ジト目でめぐみんを睨むように見ながら問い質すカズマと、何食わぬ顔で返答するめぐみん。

因みに、追っ掛けという言葉にショックを受けるゆんゆんを、真護は困った表情を浮かべながら宥めていたのだった。

 

「すいません。ウチのアークウィザードが変な事を…」

「いやいや大丈夫だよ。タイミングが悪かっただけだから、どっちも悪くないんだし……」

 

迷惑を掛けた事にカズマがめぐみんの代わりに頭を下げて謝るものの、特にトラブル事でもないので謝る必要は無いと話す真護。

 

「…あっ、そうだ!こっちのゆんゆんとそっちのめぐみんって子が知り合い同士だったみたいだし、此処で会った縁もあるから、良かったら一緒に朝飯でも食べないか?」

 

とはいえ、プチ騒ぎみたいな状況になっている酒場内の雰囲気をどうしようかなと考えれば、ゆんゆんとめぐみんが知り合いで何かの縁で再会した事もあるため、この世界で知り合いを増やしておくべきだと考えた真護は、せっかくだから一緒に食事を食べないかと提案する。

 

「えぇっ!?いや、でも俺達、あんまりお金が…」

「えっ、そうなの?じゃあ俺が出すよ。それに、朝食を食べる事は1日を過ごす中でも1番大事な事だしさ。」

「いや、でも…」

 

そんな彼の予想外の提案に困惑したカズマはバツが悪そうな表情を浮かべながら理由を付けて断ろうとするものの、朝食ぐらいなら特に問題ないと言わんばかりに話す真護。

 

「良いじゃないカズマ。奢ってくれるって言ってるんだし、此処は気持ちを無駄にしないように乗らないと。」

「(お前は単にタダ飯食いたいだけだろうが!)」

 

そこに先程まで必死に笑うのを我慢していたはずのアクアが、飯を奢ってくれる事に反応して話に割り込んできたのだ。

建前上は真護の気持ちを無下にしないようにする為と言っている事が分かっているカズマは、心の中でアクアにツッコミをし入れていたのだった。

 

「ん?…あれ?…ああぁぁっ!!?」

 

ふと、アクアの姿に気付いた真護は何処かで見たような顔だなと思いながら彼女の姿を見るものの、何かを思い出したような表情へと変化しながら立ち上がる。

 

「アンタ!もしかして、女神アクa…」

「はーい!!!悪いけど、ちょっとだけこっちに来てくれませんかねえぇぇっ!?」

「おわっ!?」

 

そして、真護が大声でアクアを見ながらアクアの事を言おうとした途端、察した表情を浮かべるカズマが慌てて割り込むように入れば、真護とアクアの腕を掴んで慌ててギルドの端に移動する。

 

「「…??」」

「ちょっ!?ちょっと!?何するのよヒキニート!」

「ニート言うな!それと合体させるな!」

 

慌てて引っ張られた為、バランスを崩しながらも大人しく歩く真護。

文句を言いながら離すように文句を言うアクアに対して、カズマは反論するように話し出しながら、そのままギルドの端に来れば2人の手を離す。

 

「えっと…ホント急に連れ出してすいません。この駄女神の事を知ってるみたいだったんで…」

「あはは、大丈夫だよ。何か事情があるみたいだし…その人の事を女神って言ってたら何か駄目なのか?」

「ちょっと!人聞きの悪い事言わないでよねっ!」

 

カズマの焦っていた様子から何か事情があるのだろうと思っていた真護は、気にしていない様子で横に首を振りながら答えれば、文句を言うアクアを無視してカズマは改めるように話を切り出した。

 

「コイツが女神って言っても周りは信用しないだろうから、あんまり他の奴らが聞いてる時に言わない方が良いと思うぞ?」

「あっ、それもそっか。本来なら、神様って世界に干渉しないみたいだし…」

 

話を聞いているうちに何故話を切って外に連れ出してきたか納得した様子で頷けば、今後はアクアの事を女神様と呼ぶ事はやめておこうと決める。

 

「3人で何を話してたんですか?」

「あぁ、ちょっとアクアとこの人が顔見知りだったみたいなんだ。」

「シンゴさん、そうだったんですか?」

「うん。けど、前に一回だけ会っただけだったから、さっき思い出したんだよ。色々事情があるらしいし…」

 

そして、めぐみんとゆんゆんがいる席に戻って来れば、若干誤魔化しながらも説明をしていけば、軽く自己紹介をして朝食を取るのであった…

 

ーーーーー




長くなると思った為、戦闘回は次回に回しました(´ω`)
因みに、ゆんゆんとめぐみんの邂逅は原作よりもかなり早い段階になったのですが、此処で入れていた方が都合が良いかな…と考えて入れる事にしました。


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第5話『この駄女神パーティーとの共闘を!?』

短めですがジャイアントトード討伐の戦闘回です(´ω`)
戦闘回と言っても描写は少ないですm(_ _)m


ーーーーー

 

「結局ジャイアントトードかよ…」

「ま、またジャイアントトードですか……」

「カエルは…嫌っ!!」

 

ジャイアントトードのいる草原地帯に着いたカズマ一行と真護達。

しかし、肝心のカズマの目は死んだ魚のような状態になっており、更にはアクアとめぐみんの2人は頭を抱えて震えている状況だ。

 

「…なあ、カズマ。何でアクアとめぐみんが怯えてるんだ?2人は上級職なんだよな?」

「あー…こいつらジャイアントトードに喰われそうになってトラウマになってるんだ。後、こいつら戦闘であんまり役立たないからアテにしない方がいいぞ?」

「そ、そうなんだ…カズマ達って色々と大変なんだな。」

 

震えている理由をカズマに尋ねるとアクアとめぐみんが戦闘でまったく役に立たないという事を聞けば、今までよく無事だったなと思いながら真護は困った表情を浮かべていた。

 

「な、何を言っているんですかカズマ!今度こそ私の爆裂魔法でこの一帯のカエルを一網打尽に…」

「お前、それやったら動けなくなるだろうがっ!!」

 

カズマの言葉にムキになったのか、めぐみんが杖を掲げて意気込みを語るもののすぐさまカズマにツッコミを入れられていた。

 

「俺とゆんゆんは合計で30体ぐらい倒さないといけないけど、カズマ達は何体倒すつもりなんだ?」

「5体です。」

 

真護がふとカズマ達が受けていたクエストにジャイアントトードがあった事を思い出すと気になって問い掛けるが、めぐみんからすぐさま5体という数字が帰ってきたため少し間が出来ていた。

 

「…えっ?」

「め、めぐみん…今、何体って?」

「だから、5体だけです。」

 

聞き間違えたのかなと思った真護とゆんゆんだったが、続けざまにきためぐみんの返答に何も言い返せずにいた。

 

「…なぁ、カズマ。5体倒しても2万5千前後のエリスしか貰えないけど?それだと生活出来ないんじゃ…」

「今は馬小屋で生活してるんだ。安く借りれるし…」

「…なんか、聞いちゃいけない事を聞いちゃったみたいでゴメン。」

 

たった5体しか倒さない事にそれでは普通に生活出来ないと言おうとしたが、言い切る前にカズマの口から馬小屋で生活している事を告げられ、再び少しの間が空いた後に謝る真護だった。

 

「…と、とにかく!まずはジャイアントトードを倒さないとな!まずは俺が先行してジャイアントトードを倒して行くよ。」

 

微妙な空気に変わってしまった場の雰囲気を変えるべく、先行してジャイアントトードの討伐へと乗り出そうと真護がファイトバスターから降りる。

 

「そういえば、そのファイトバスターって言ってるバイクは真護が貰った特典なのか?」

「特典?あぁーっ…違う違う。ファイトバスターは俺の相棒だよ。それに特典って力は多分、アクアが俺の身体とファイトバスターを修復してくれた分で帳消しになってるはずだから、そのままファイトバスターと一緒にこの異世界に送られたんだ。」

「…えっ?いやいや、そもそも死んだなら治すも何も無いんじゃないのか?」

「あ、あはは…普通の人の身体とは、ちょっと違うからさ。」

 

同情のような言葉に悲しそうな表情を浮かべていたカズマだったが、真護と共に行動しているバイク…ファイトバスターは特典なのかと尋ねるものの、一緒にこの世界に転生したという言葉に疑問を持てばそこにツッコミを入れる。

混乱しているカズマの様子にどうやって説明を付けようかと悩む真護だが、ベルトの事やライダーの力に関わらせたくない為に濁すように答えるが余計にカズマを混乱させていた。

 

「そのバイクは特例として一緒に送ってあげたのよ。まあでも、そうよねぇ…お腹にオモチャみたいなベルトが入ってるなんて、とても言えないもんねーっ。プッ、プクククッ…!!」

「オモチャのベルト?」

「………」

 

真護を転生させた本人であるアクアが代わりに説明を始めるものの、まだ彼の持つ力について分かっていない様子で話す彼女の様子にカズマは意味が分からない様子で呆れ返っていた。

アクアが何も知らない事は分かっているが、ベルトの事について笑われている真護の表情はあまり良いものではない。

 

「ん?今、何か足元が動いたような気がす…」

 

何とも言えない表情を浮かべる真護を小馬鹿にしているように笑うアクアだったが、自らの足場が動いたような感じがして言葉にするものの、話し終わる前に彼女の足元から一回り大きなジャイアントトードが地中から現れたのだ。

 

「ほぎゃあああぁぁっ!!?」

「あ、アクアーーーっ!!おまっ…食われてんじゃねえぇぇっ!!!」

 

勢いよく出て来たジャイアントトードの動きにバランスを崩して尻餅をついた上に、そのまま口を開けて舌を出したジャイアントトードに捕まえられて食われてしまっていた。

因みにアクアに近かったカズマは運良くジャイアントトードの側面に転がり落ちたものの、見事にジャイアントトードに食われているアクアを救出しようとショートソードを片手に持ち必死に斬りかかっていた。

 

「エクスプロージョン!!!」

 

そんな2人の様子をよそに迫って来ているジャイアントトードの群れに向かってめぐみんが己が得意として唯一使える爆裂魔法を放つ。

すると、1匹のジャイアントトードを中心に巨大な魔法陣が出現すれば、空から光が降り注いできたような閃光とともに魔法陣から凄まじい爆発が起こったのだ。

 

「おぉっ…ゆんゆん、今のは何なんだ?」

「あれは爆裂魔法って言うんです。めぐみんは爆裂魔法を使うので…」

 

ゆんゆんにめぐみんが放った魔法について聞けば、爆発が起きた辺りにクレーターが出来ている事から凄まじい威力を誇る魔法なんだなと真護は考えていた。

しかし、威力が高過ぎた事と爆裂魔法の範囲が1匹に対して行った事でそれほど広くなかったのか、爆発に巻き込まれたのは3匹程度しかいない。

 

「あれ?でも、そんなに倒せてないな。めぐみん、もう一回さっきのを……」

 

再び迫ってきているジャイアントトードを確認した真護は、先ほどの爆裂魔法を放ってもらおうとめぐみんの方を振り向いくものの、既に緊急事態に陥っている状況である事に気付く。

 

「…なぁ、ゆんゆん。あの子食われてるんだけど?」

「め、めぐみーーん!!?」

 

そう、爆発の衝撃波でめぐみんの近くに落ちて来たジャイアントトードにめぐみんが頭から食われ、今にも飲み込まれそうになっていたのだった。

そんなライバルの姿に驚愕の表情を浮かべ悲鳴のような叫びを上げつつ、詠唱して魔法を繰り出し救出に向かったゆんゆん。

そして、癖の強いメンバーと共に奮闘しているカズマを大変な思いを日頃からしているんだなと困ったような表情を浮かべて考えながら、光の粒子を拳や脚に纏った真護は大量に現れたジャイアントトードの討伐に専念したのだった…

 

ーーーーー




今更ですが、明けましておめでとう御座います(´・ω・`)
長いので分割しましたm(_ _)m
カズマは仮面ライダーについて知ってる事にします(´ω`)


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第6話『この駄女神パーティーに救援を!』

カズマ達との共闘中編になります(´ω`)
話の構成に悩みまくったせいで、2年以上も投稿遅くなって申し訳ないですm(__)m


ーーーーー

 

「ひっぐ、えぐっ…グスッ、生臭いよ…生臭いよぉ……」

「一度ならず二度もカエルに食われるとは思いもしなかったです…」

 

真護とゆんゆんの奮闘によって草原中に群がっていたジャイアントトード討伐は無事に終了した。

 

「うわぁ……」

「カズマって…色々と苦労してるんだな。」

「やめて!そんな可哀想なものを見る目で見ないで!」

 

しかし、カエルの粘液まみれになって泣きじゃくっているアクアと、同じく粘液まみれのままカズマにおんぶされているめぐみんの様子にいつもこんな感じなのだろうかと同情の眼差しでカズマを見る真護とゆんゆん。

 

「というか、打撃が効かないジャイアントトードを何で殴って簡単に倒せてんだよ。」

「あーっ…俺の戦い方はちょっと特殊だからだよ。」

「納得いかねぇ……」

 

アクアとめぐみんを捕食する事に夢中になっているジャイアントトードを死に物狂いで何度も切り掛かって倒したカズマなのだが、その傍で簡単に倒していた2人を見て不服そうにしていた。

ゆんゆんは多彩な魔法を放って倒していたが、真護に至っては単純に殴ったり蹴ったりして倒しているので納得がいかないのだ。

 

「まあ、とりあえずカズマ達は街に戻った方が良いんじゃないか?俺とゆんゆんはこのままゴブリンと初心者殺しってモンスターの討伐に…ん?」

 

まだ泣いてるアクアとグッタリとしているめぐみんの様子を見かねた真護が、カズマにアクセルの街に戻る事を提案しようと話を切り出すが、話の途中で言葉が止まる。

街とは反対側にあたる森林の方から緑色の肌をした小人のような群れが現れ、此方に向かって来ていたのだ。

 

「お、おい!あれ、ゴブリンだよな!?結構な数が来てるぞ!?」

「多分、初心者殺しがこの近くにまで追いやって来ているもしれないんじゃ…」

「嘘だろ!?こんな状況の所でそんな奴まで出て来られたら、真っ先に俺達が狙われるじゃねぇか!!」

 

20体ほどの群れを成して此方に向かっているゴブリンの様子を見たカズマは、使い物にならなくなっているめぐみんとアクアの様子からして今の状態で襲撃されたら詰み状態な為か、かなり焦っている様子で追い詰められたような表情を浮かべていた。

対してゆんゆんはそれほど苦戦するような数でも無いのか、特に問題無さそうな表情を浮かべながら魔法を唱える準備をしていたのだった。

 

「んー…」

 

そんな中、向かって来ているゴブリン達の様子を見ていた真護は、ゴブリンを見慣れていないとはいえ何処か違和感を感じていた。

それは、かつて元いた地球でファイターとして変身し戦っていた時に頼りにしていた直感だ。

ベルトによるファイターへの変身によって得た能力は真護自身にも影響を与えており、単に身体能力強化や五感が鋭くなっただけでなく敵意や殺気、そして違和感や罠にも過敏に反応するようになっている。

 

「(ゴブリンって普段は夜行性で洞穴とかを巣にしてるんだったかな?でも、何でこんな所に群れになって出て来てるんだ?身を守る武器とかも持ってないし…)」

 

ゴブリンは巣に居座っている時でも棍棒や弓を持ったり武装をしていると聞いた事があったのだが、この場に現れたゴブリン達は揃いも揃って武器も何も持っていない。

その上、何かから逃げて来たのだろうか…かなり疲弊しているように見える。

 

「(ゆんゆんがさっき言ってた初心者殺しってのが近くにいるんだろうけど…冒険に慣れてない人を誘き寄せるにしても単体を誘き寄せた方が手っ取り早い気がするし、仮に群れを誘き寄せるにしてもあんな数がいたら何匹ぐらいかは武器ぐらいは持つ筈だしな…)」

 

真護はまず、経験が浅い初心者の冒険者に弱らせたゴブリンに餌のように狙わせた所を襲い掛かる『初心者殺し』の仕業かと考えた。

しかし、仮にそんな魔物に追われていると考えても、こんな見晴らしの良い遮蔽物のないような所に誘き出すのだろうか…ましてやゴブリン達は武器も持っていない。

なにより逃げるなら蜘蛛の子を撒き散らすように散り散りに逃げた方が良い筈なのだが、明らかさまに群れとなって逃げてきている…こんな状況こそ初心者の冒険者達の良いカモにされるだけではないのかと。

 

「シンゴさん、先にゴブリンを倒しておきましょうか。」

「んー、あのゴブリン達かなり疲弊してるから、カズマ達に戦って貰ってレベル上げに専念してもらおうかなって思ったんだけど……」

 

喉に引っかかるような違和感を感じながらも、現れたゴブリン達に杖を構えるゆんゆんの言葉を聞いた真護は先程全く戦えていなかったカズマ達に倒して貰おうかと考える。

 

「いやいや無理無理!!今こっちの状況これだぞ!?無理だって!俺はもう剣振れるような余力もないし!なにより動けなくてカエル臭いめぐみん背負ってるし!!」

「ちょっ…レディーに臭いとか失礼だと思わないんですかカズマ!?」

 

しかし、ジャイアントトードとの戦闘で丸呑みされ掛けた事でずっと泣きじゃくっているアクア…

爆裂魔法を放った事で全ての魔力を使い果たし動けずとも、カズマの悪口に突っ込みを入れるめぐみん…

何よりも、その2人の救出でジャイアントトード2体を必死に討伐して疲れ切っていてなお、現在動けないめぐみんをおんぶしているカズマ…

 

「あー…うん、ごめんカズマ。仕方がないけど2人があんな状態だし、カズマも疲れ切ってるから俺とゆんゆんで戦おう。ゆんゆんは後方から頼むよ。さっきのジャイアントトードの時みたいに俺が肉弾戦で戦っていけば、ゴブリン達は俺の方を警戒するだろうし、初心者殺しが急に出ても何とかなるからさ。」

「分かりました!」

 

こんな状況でカズマ達にもう一戦は流石に過酷だなと考えた真護は、止むを得ずゆんゆんと共に現れたゴブリンを討伐する事にした。

ゴブリン達からすれば泣きっ面に蜂の状況だろう…しかし、ゴブリンの討伐任務も受けている為に一気に畳み掛けようと決めた真護は、勢い良く駆け出し疲弊しきっているゴブリン達に向かっていく。

 

「とりゃああぁっ!!!」

「…ゴブッ!?」

 

ゴブリン達が接近してきた真護に気付くも既に遅く、距離が詰まった所で粒子エネルギーを纏った拳で地面を殴り付けていた。

粒子エネルギーが弾けるように迸ると共に衝撃波を発生させ、近くにいたゴブリン達を吹き飛ばしていく。

 

「ファイアーボール!」

「グギャアアアァァッ!!?」

 

逃げようとその場を離れていくゴブリン達にゆんゆんが火の中級魔法を唱えれば大きな炎の玉が幾つか現れると共に勢いよく放たれ、背中を向けてなりふり構わず走り出したゴブリン達へと向かっていけば、着弾と共に炎がゴブリン達を取り囲むように燃え広がっていく。

逃げ場を失ったゴブリン達はそのまま残りの炎の玉に直撃して燃え上がり、次々とその場に倒れていくのであった。

 

「あのゆんゆんって子、あんなに可愛くてスタイルも良いのに色んな魔法使えて強いなんて羨ましいな。どっかの一発屋と違って頼りになりそうだ…」

「は?カズマ、それ誰の事を言ってるんですか?その一発屋とは私の事を言ってますよね?」

 

先程のジャイアントトード戦やゴブリン達の討伐でゆんゆんの活躍を見て、自分のパーティーに入って欲しそうな表情で羨ましそうに眺めるカズマ。

そんなカズマの本心駄々洩れな言葉に、魔力切れで動けずにいながらもややキレ気味でドスを聞かせたような低い声でめぐみんが問い掛けていたのだった。

 

「…ん?あ、ちょっとカズマ!初心者殺しも出てきましたよ!やはりゴブリンを倒してると出て来ましたね。」

「えっ!?アレが!?いかにもって言うか、凶悪過ぎるだろ!?あんな牙で噛み付かれたらそれこそ1発で死んじまうじゃねぇか!」

 

 

「あれが初心者殺しかぁ…」

「はい、このまま初心者殺しを倒せばクエスト達成ですねシンゴさん!」

「うん、この調子ならアクセルの街には昼前に帰れるな。」

 

そんなカズマ達を他所に、横たわるゴブリン達を見て必要な討伐数に十分達しており、尚且つ連戦にも関わらずあまり疲れなども無いのでこれなら後は残っている初心者殺しの討伐さえ終えれば、お昼までにはクエストが達成出来ると考えたゆんゆんは、昼食後からは真護と一緒に過ごせると思いながら嬉しそうな表情を浮かべつつ、このまま目の前にいる初心者殺しを手早く討伐しようと意気込んでいた。

 

「(…それにしても、やっぱり変だ。)」

 

意気込むゆんゆんの言葉に頷き、討伐したゴブリン達を横目に初心者殺しを見据える真護だったが、彼が感じた違和感は拭えずにいたのだった。

抵抗する力も無くなりふり構わず逃げていたゴブリン達の姿がどう考えても引っ掛かっていた。

初心者殺しは見た目からして黒い虎と言っても過言では無いほど体格こそ大きく素早そうだが、逃げるゴブリン達を負い掛けてきた訳では無いように感じた。

寧ろ、捕食者であるはずの初心者殺しですら何かから逃げてきたような…ゴブリンのように怯えているようだと感じ取っていた。

 

「グルルルルッ…ゴアアァァァッ!!」

 

こちらに気付いた初心者殺しは真護達を威嚇するように鋭い牙を剥き出しにし唸り声を上げて身構えている。

しかし、先ほど真護が感じたように捕食者である筈の初心者殺しの様子は、より強大な力を持つモノから身を護るような威嚇の仕方であった。

 

「何だか、随分とシンゴさんに威嚇してる気がしますね…」

「…いや、確かにアレぐらいだったらそんなに苦戦する事も無いけど、何だか戦い辛いなぁ…」

 

レベルの低い冒険者には容赦なく襲い掛かる事で有名な初心者殺しが威嚇し続けている様子から、パーティー内で1番レベルが高い自分や一撃熊を簡単に倒せる真護に警戒しているのだろうかと考えて話すと共に詠唱に入るゆんゆん。

そんな彼女に対して、初心者殺しから怯えの感情を感じ取ってしまった真護はやや気が引けるような様子で様子見をしていたが、初心者殺しを放っておけば被害も起きてしまう事や討伐クエストを受けた以上ちゃんと責務を果たさないといけない事を踏まえ、気を取り直して討伐対象である初心者殺しを倒すために身構える。

 

「グガアアアァァッ!…ッ!!」

「おっと!行かせないぞ!」

 

威嚇していた初心者殺しが意を決したようにゆんゆんやカズマ達に狙いを定め勢い良く突っ込んできたが、そうはさせないと真護が立ちはだかると毛を逆立たせて動きを止めてしまう。

同時に、真護を見上げると共に吠えながら威嚇をし続けていく。

 

「ライトニング!」

「ギャッ!!?」

 

しかし、アークウィザードであるゆんゆんが足を止めた初心者殺しを見逃す訳も無く、彼女達から放たれた雷の中級魔法をまともに直撃してしまった事により、そのままその場に倒れていったのだった。

 

「おぉ、すげぇ…一撃で倒すなんてな。うちのアークウィザードにも見習って欲しいぐらいだ。」

「は?」

 

初心者殺しも1撃で倒してしまったゆんゆんの様子に感心した表情を浮かべながら様子を見守っていたカズマが羨ましそうにしながら、現状あまり役に立っていないめぐみんを貶していた。

貶されためぐみんの方はというと、ややキレ気味な表情を浮かべながら容姿に見合わないような殺意と威圧を放っていたのだった。

 

「やりましたね、シンゴさん!」

「うん、これでジャイアントトードにゴブリン…初心者殺しも討伐完了だな。お疲れゆんゆん。」

「はい!」

 

倒れているゴブリンや初心者殺しの姿を見ながら討伐クエストの依頼を終えた事に嬉しそうな表情を浮かべながら話すゆんゆんの様子に、彼女の健気の姿に和んだ表情を浮かべながら話す真護。

 

「じゃあ、このまま街に戻ってギルドに報告しに向かいましょうか!」

「うん。街に戻ったらお昼時ぐらいになるだろうし、昼食を食べてから休憩にしようか。カズマ達もそれで良いかな?」

「うん、むしろ…俺達は街に戻らないとヤバいしな。」

「決まりだな、じゃあ行こうか。」

 

クエストを早く終えれた事で真護との時間を過ごせるゆんゆんは嬉しそうな表情を浮かべながら、さっそくギルドに戻る為に街へ向かう事を提案すると、既に疲れているカズマ達と共にアクセルの街へと向かって歩き始めて行くのであった。

 

「(…このまま何も無かったら良いんだけど……)」

 

しかし、真護は内心嫌な予感が更に悪い方向に向かったと感じていたのだった。

まるで大事な事を見落としている様な嫌な感覚を抱えながら…

 

 

ーーーーー




久しぶりに投稿しました…遅くなってしまい申し訳ありませんm(__)m
さくっと終わらせてしまいましたが、ゴブリンと初心者殺しとの戦闘でしたm(__)m
カズマ達との絡みはもう少しだけ続きますm(__)m


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