オバロキャラとスケベする話 (ENE)
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第一話 シャルティアちゃんにちんちん入れる話

神様が【オーバーロード】の世界に特典付きで転生させてくれると言うので『原作主人公の立ち位置でオバロキャラにエロい事したい』とお願いしたら叶った。

数十年後。なんやかんやあって異世界初日、もはや俺を阻むものは何も無い。

 

さあ、NPCにエロい事をしよう(ゲス顔)。

 

 

「これはこれは さば味噌さま。ようこそお出で下さいました、わらわの守護領域へ」

 

銀髪の吸血鬼、シャルティア・ブラドフォールン。

スカート部分を大きく広げた暗色のボールガウンドレス、白に近い銀の髪、赤い瞳と可憐な容姿。俗に言う銀髪ロリ吸血鬼である。正直かわいい。凄くかわいい。これを作った変態バードマンでかした、と心の内で褒め称え、おもむろにその尻を揉む。

 

ひゃうん!? とか言葉を飾り立てる余裕もなく声を上げたシャルティアを見下ろしながら、スカート越しの細く柔っこい尻たぶを手の平全体で揉みあげる。

くっそ柔らけえ。出会って数秒でもう勃起した。

 

「あっ、あの。さば味噌、さま……?」

 

突然のセクハラに頬を染め、羞恥と驚愕に混乱とが綯い交ぜになった少女の小顔。

軽く震えるその唇を、おもむろに奪った。

 

「んっ!?」

 

突然の行動に驚きはあっても、目に見えるほどの抵抗は無い。

ふるりと震える朱色の肉。それを己の舌先で上下左右好き放題に弾いては舐め上げ、柔らかな感触を文字通り味わう。僅かに開いた口腔へと太い舌を遊ばせれば、吸血鬼らしい尖った犬歯の滑らかな質感が舌先に触れた。

口の中が冷たい。アンデッドだからだろう。このエロ肉 生物的には死んでるのかな、と考えるとちょっと死姦っぽくて萎えそうなので血の狂乱モードとか諸々と一緒に記憶の奥底へと沈めておいた。

 

目いっぱい広げた右掌で すべすべのドレスごと彼女のロリ尻を揉みしだき、左手で乱暴に掴んだ顎をキスしたままの体勢で固定する。

ちゅ、ちゅ、とわざと音を立てて口を吸う。

小さな唇をしゃぶり、少女の可愛らしい舌を吸い、己の舌を侵入させて口腔内をべろべろと舐め上げた。

美味え。すっげえ美味え。そんな筈ないのに甘ささえ感じた。だからまるで食べるみたいに堪能する。

口を離せば荒れた吐息が盛大にこぼれ、互いの口を繋ぐ唾液はぬめりを帯びて糸を引いていた。

 

「さ、ば味噌、さま」

 

息も絶え絶えな吸血鬼。アンデッドなら呼吸など必要無いだろうに、しかしエロいから良し。

顎から離した左手で少女の柳腰を撫でさすり、右手はスカートの向こうにある尻の割れ目を探るようにして五指を差し込み何度も何度も強くこすり上げた。

興奮する。紅潮した頬を隠せぬシャルティアもまた、今の状況に高ぶっているのが見て分かる。

だが、そこに僅かな躊躇いも見えた。状況への混乱か、あるいは俺と言う個人への好悪の情か。

 

「アンデッドじゃないと駄目か?」

 

は、と息を吐くのが聞こえた。

死姦趣味のサドマゾ両刀。実に罪深いどこぞの鳥は、酷い性癖を注ぎ込んだものである。ギルド長権限で設定を書き換える機会もあったのだが、原作そのままのキャラを汚すからこそ興奮するのだ。

 

アンデッドの癖に赤らんでいる少女の頬を唇で強く吸い、己が情欲の痕の残るそこを更に舌で舐め唾液を塗す。肌理細かな少女の柔肉は、生きていないのに僅かな熱が篭っている気がした。

仕立ての良いドレス越し、力任せに まさぐっていると少女の身体をより強く感じられる。

細い。柔らかい。股間が痛い。我慢、したくない。

 

「エロっ、過ぎだろ。こんなん勃起するに決まってるだろ。ちんぽ入れたくてたまんねーんだよッ!!」

 

独り言のように。

自己を飾る余裕も無く、乱暴な口調があっさりと漏れた。

 

せっかくの二次元世界、可愛いキャラクターだ。もうちょっと格好良くロールプレイしながら口説きたい、などという安い男の見栄もあったが即座に捨てる。まだ裸になってもいないのに脳味噌が溶けそうなくらいに興奮していた。

上位者としての余裕なんて欠片も無い。仮に拒まれたところで止まらない。

きっとここで何を言われても、この細い肢体を第三階層の床に組み敷いてドレスを剥ぎ取り、欲望の限りを尽くすだろうと自覚した。

 

「ぁ、」

 

シャルティアが、小さく言葉を漏らす。あるいは、それは単なる喘ぎ声だったのだろうか。

続く言葉に、理性が切れた。

 

 

「べ、ベッドに。連れて、行って、……ください」

 

胡散臭い廓言葉を失くした、女の子の声だった。

 

 

「――ゴメン! 無理!!!!!!!!!」

 

アバター設定、物理特化の筋力値が彼女のドレスを力任せに引き裂いた。下着と共に胸部を盛り上げていたパッドが飛び散る。

ぁう、と か細くも艶のある声を漏らして、もはや襤褸同然の布地に包まれた少女を更に魅力的に捉えさせた。

ああ堪らない。裂けたドレスの隙間から手を忍ばせて不死者特有の肌を存分に味わう。

撫ぜる。揉む。抓む。冷たい。柔らかい。なんか良い匂いする。辛抱出来ずに今度は顔を突っ込んで無遠慮に舐め上げては歯形さえ残し、真っ白な少女を余さず己の色に染め上げんと息を荒げた。夢中になって、今自分がどこに触れているのかさえ分からない。この子の身体なら尻の穴だって舐めしゃぶっても後悔しないだろう。

もう股間はガチガチだ。ズボンを強く突き上げ、ちんこの先端が痛いほど。

 

「挿れるぞッ!!!」

 

呂律は回らず、身に着けたベルトもズボンも千切り取るように乱暴な動きで引き剥がす。

視線の先のシャルティアは余ったドレスの端を両の拳で小さく握り、それで口元を隠すようにした恥らう顔のまま――両目をぎゅ、と閉じて、ゆっくりと肢を開いて そこを見せた。

 

「ん。」

 

言葉さえ失った。

もう、ここまで来れば感想の一つも言えやしない。

毛の生えていない、とか。色狂いの癖にあざとい、とか。

素面ならもっと下品な言葉で嬲るようにして愉しんだだろうに、今の俺は頭の中が肉欲以外は空っぽで。

少女の密やかな すじ。無理に挿れようとして何度も何度も棒の先端を擦り付けていると、回を増すごとに漏れ出す白濁で穢されながら、導くような所作で幼い吸血鬼が目を閉じたまま細かく腰を浮かせて角度を調整してくれる。

 

入、った。

 

声にならず、強く息を吐く。真っ赤な顔をしたシャルティアが、僅かに目蓋を開いて微笑んだ。嬉しそうに。

気遣いなど無い。腰を振った。

苦しげな声で呻く。息を吸って、吐き。飲み込みきれない唾液が散った。

腰だけを小刻みに動かしてこちらを刺激してくれる少女に応える事さえ出来ず、衝動だけを拠り所に必死になってその内側を味わう。

 

気持ちが良い。

融けてしまいそうだ。

 

は、と息継ぎのために開いた彼女の口へ噛み付くようにしてキスをすると、最初の無理矢理なあれとは違い、小さな舌がこちらのものへと淑やかに絡んだ。

口元を隠していた両手が伸びて、抱き締めるような動きで俺の首を捕まえる。

こちらも両手で少女の小さな頭を掴み上げ、呼吸を忘れて唇を吸った。

腰が動く。素肌が触れる。全身から汗が噴き出し、腰元以外からも水の音が鳴り響いている。もう、それしか聞こえないくらいに。

 

シャルティア。シャルティア。シャルティア。

 

口付けを繰り返す舌で声にならないままそれでも求めるように相手を呼んで、けれど身体の動きは自分勝手だ。最早全身全てが気持ち良い。配慮なんて微塵も無い。腰を振りながら好きに吐き出し、薄い乳房に己の胸板を擦り付けては更に重ねて射精する。尖った八重歯を舐めしゃぶり、ただそれだけで相手を征服した気になっては また出した。

 

「うぅ、あ――っ!」

 

口が離れた。

両手で少女の腰を掴みガンガンに腰を振りたくって叫びを上げる。どちらの声だったかも分からない。

物のような扱いにも非難は飛ばず、ただ肉欲で蕩けきったシャルティアの顔を見るだけでもう一度射精出来た。

 

互いの顔を見ながら荒い息を吐く。

見下ろした先、汗で額に張り付いた銀色の毛先を優しく撫で付け、ゆっくりと唇を重ねた。

そっと離れれば嬉しそうな顔で己の唇をなぞる吸血姫を見て、痛いくらいに心臓が脈打つ。

湧き上がる情欲に逆らう事無く再度彼女へと襲い掛かれば、やはり嬉しそうな声でシャルティアが応えた。

 

これが、俺の異世界性活初日の話だ。




【さば味噌】
R-18系転生オリ主。オーバーロードのリアル世界に転生して就職してユグドラシルを遊んでギルドに加入して目一杯楽しんで原作主人公が引退する際にギルド長を引き継いで異世界に行く、という無駄に丁寧に段階を踏んだ人生を送ってきたが長過ぎるので概ねカット。別にスケベ出来たらええねん。
元は無駄に格好良くて中二病臭いアバター名だったがアンチスレで煽られたのでキャラを作り直したヘタレ脳。でもセックス中に鯖味噌(おいしい)呼ばわりされると萎えるな、と今更になって後悔している。
前世から護り続けた童貞はシャルティアで捨てた。死ね。

※原作主人公の中の人である鈴木悟さんは転生特典の力によってリア充になって引退しました。オリ主に先んじて既に非童貞です。


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第二話 純朴な村娘をsenkaする話

※当話、残酷な描写に御注意下さい。


異世界の空に日が昇る。

青よりも白に近い色を持つ天蓋に、眩い太陽が顔を出した。

 

「ふ、世界とはかくも美しい」

 

別に童貞を捨てて調子に乗っているとかではないが、非常に清々しい気分だった。いやほんと調子に乗っているとかでは全然ないのだが。

初体験は最高だった。

もうシャルティアENDでも良いかな、とか妄想しながらズボン越しに己の股間を撫で摩り、脳内で繰り広げられる吸血鬼の痴態も相まって既にパンツはべちゃべちゃである。

このまま街に繰り出して「えーっ!? 二十歳超えて童貞とか実在するんですかぁー!?」と道行く男性諸君を煽り倒したいところだが、この後も予定があるので仕方なしに断念。尚、上記の煽り行為に際して俺の実年齢は考えないものとする。

 

時間は差し迫っている、ゆえに急がなければならない。この異世界で、今しか出来ない事があるのだ。

正直に言えばこのままナザリックに引き篭もっていても良い。全然構わない。だが違うのだ。俺が異世界転生に求めるものはオナニーとセックス、時に情け容赦の無いレイプ。

 

パワハラは良い。セクハラもまた美しい。だが人生には陵辱が必要だ。

 

「そうだろう、モモンガさん――」

 

リアルの雑踏へと姿を消したかつての友を思い起こし、俺は立ち上がった。

向かう先は皆大好きカルネ村。

供は墳墓内に自動POPするそこそこレベルのスケルトンを二体のみ。ナザリックが異世界に来たなんて誰にも知らせてないから仕方ないね。でも多分すぐバレる。

隠密系スキルを付与してくれる神器級装備を身に付け、スケルトンにもそれよりは劣るが似通った効果を持つ物に加えて物理性能と素早さの増加効果を持つ装備品を貸し与える。が、そういう面倒な説明はこの際心底どうでも良い。

 

やる事は簡単だ。

 

帝国軍部隊に扮する法国兵士、今まさにカルネ村を襲わんとする彼ら。その中から位置関係上視覚的に孤立した者を計三人ひっそりこっそりブチ殺し、装備を剥ぎ取って俺とスケルトンが身に着ける。物は全て全身鎧だ。これによって俺の顔も、魔物であるスケルトンの正体も伏せられる。残った三人分の死体はアイテムボックスに放り込んで証拠隠滅。

ちょっと手間が掛かったが準備オッケー。さあ行こう。

 

剣を抜き放ち走り出す。気分は平和な開拓村に襲い掛かる人類の守護者(自称)。崇高なる我らが使命を果たすために民草の命を多数手にかけるが、ちょっとくらい美味しい目を見ても良いよね、と自分への御褒美を許す度量もあるナイスガイだ。

その視線の先。偽帝国軍の凶刃から両親の手によって助けられ、幼い妹の手を引き森へと走る村娘。栗色の三つ編みを揺らす彼女の背を追い掛けて、人目が完全に無くなった辺りで走る速度を急激に引き上げ至近に迫り、軽くソフトに細心の注意をもって剣の腹を使い殴り倒す。

 

短く悲鳴を上げて倒れ伏した娘達。走る勢いも加わり派手に転べば、あっという間に土塗れだ。

けれど心は折れていない。すぐさま傍らの妹の無事を確認すると、既に逃げられないほど間近で自分達を取り囲む我ら偽帝国軍兵士三人組を、睨み付けた。

健気な事だ。肩が震えて瞳も潤み、身の内の恐怖を隠せていない。

 

それでも。

村娘――エンリ・エモットは全身全霊の虚勢を張って、もう居ない両親に代わり妹を守らんと歯を食い縛りながらこちらを見上げる。

 

その顔とシチュエーションに、勃起した。

 

絶対に勝てない状況。あとは好きに焼くのか煮られるか、選択肢なんてどこにも無い。彼女の行う抵抗とさえ言えない抵抗が俺を興奮させてくれる。

こういった、いわゆるマウントを取った状況というのが さば味噌は大好きだ。

知らぬ間に優しくリードされていたシャルティアの時とは異なる、絶対に俺が勝つ状況が実に気持ち良い。

偽帝国軍部隊の装備品、何の変哲も無い金属剣をゆっくりと突き付ければ、陽光を跳ね返してギラリと輝く刃の色がエンリの強気を削り取る。

 

「ぃ」

 

引き攣ったエンリの口元から、小さな音が零れ落ちた。

悲鳴か、と僅かに思う。が、違う。

 

「妹、だけは。ネムはっ、助けて、下さい」

 

はつはつと不規則な息継ぎと共に聞かされる懇願。頬に触れるほど近付けられた凶器を視界に映しながらも、彼女の視線は兜に覆われ尽くした俺の顔へと真っ直ぐに向けられている。

傍らの妹、ネム・エモットは両目から涙を流しながら何も言えずに、震える姉の手に縋り付いているだけだ。

 

「餓鬼を引き剥がせ」

 

声色は酷薄そのもの。俺がスケルトンに命令する。

 

「ぉねーちゃん!!」

「あっ、ああ! ま、って! 待ってください、ネム、ネム!!」

 

甲高い声。子供の泣き顔を目にして僅かだけ罪悪感を覚えたが、それ以上の興奮が俺の股間に熱を齎していた。

ユグドラシル基準においての雑魚とはいえ、鎧の中身は多種の装備品によって強化された不死者たるスケルトンが二体。レベル一桁の村人では為す術も無く、俺の命令通りに姉妹が引き剥がされて、ようやく場が完成する。

 

「お願いします! 私なら構いません、だからっ、妹だけは」

 

まさしく、何処かで見たような光景だ。

暴力によって支配された空間。幼い妹という人質。垢抜けない純朴な村娘。無力な少女二人を取り囲む、武装した兵士達。

そう。

 

ヤる事は、簡単だ。

 

「脱げ」

 

懇願するエンリの動きが止まる。

表情を見れば俺にも分かる。この娘は、何を言われたか分かっていない。見るものが見れば明らかな状況なのだが、平和な開拓村に暮らす村娘の常識からすれば想像もしなかった言葉なのだろうか。

だから親切に、もう一度だけ言ってやる。

 

「服を脱げ。裸見せろ」

 

吐き捨てるように言い。

今度こそ、エンリが息を呑んだ。

言葉は、意味は通じている。片手に握った金属剣をざくざく地面に突き立てて、分かり易く妹の方へと視線を向けて、姉である彼女の顔へと戻す。そこでようやく、少女は泣き出しそうな顔で小さく呻いた。

 

ああ嫌だろう。助かりたいだろう。逃げ出したいだろう。それでも、見捨てられないのだろう。

 

剣を持たない空いた左手で股間を摩りながら、鑑賞する。

エンリが動く。

声も無く、えずくように泣くように、飾らずともそれなりに見れるその顔を恐怖と義務感で くしゃくしゃに歪めながら己の衣服へと手を掛けた。

安っぽい、粗末な生地。誰かの綺麗なドレスとは違う、飾らないナマの生活感。その奥から見えてくるものもまた、整い過ぎてはいない生きた人間の身体だ。現時点では誰も手を付けていない生娘の肌だ。

 

悪いなンフィー。俺のお古で我慢してくれよ。

 

譲る気なんて微塵も無いのに頭蓋の内で呟いて、げらげらげらと意地悪く笑った。

寝取りは良い、心が洗われる。興奮と共に、股間を摩る手の動きが加速する。此処に来るまでに乾いていた俺の下着が、新鮮な先走りで再度湿った。

 

エンリのそれは、ストリップと呼ぶには盛り上がりに欠けていた。

手は震え、全体の動きが余りにも遅い。それでも一度たりとて止まる事無く布が捲られ、見えてくるのは女の肢体だ。日に焼けて美味そうな、加えて転んだ際の土の汚れが現状の生々しさを彩ってくれる。

激情からか、食い縛った歯列を通して乱れた呼吸がふーふー聞こえた。

 

エンリ・エモットが泣いていた。

 

興奮した。俺は滅茶苦茶勃起していた。今すぐ飛び掛かりたいくらいだった。

覇王炎莉、または炎莉将軍閣下。世界有数の軍団長。それは既に掻き消えた、もしもの可能性でしかない名前。だがそんな特別な女が、今この場では俺一人の慰み者だった。

こういうのを穢すから良い。改めて強くそう思う。

 

村に程近い森の一角に、裸の少女が立っている。

大きいと言うほどではないがしっかりと丸く膨らんだ乳房、土地に根ざした日々の生活ゆえか弛みも無い健康な肢体、まだ誰のちんこも入れられた事がない16歳村娘のまんこ。

そんな彼女は真っ赤な顔で俺を見た。少女としての羞恥心も、姉としての責任感も愛情も、現状への諦観さえも、全てが混ざり合った実に複雑な表情だ。涙を流し、感情を剥き出しにしたエンリ・エモットの素の表情だ。

 

「よし、オナニーしろ」

 

張り切って命令すれば、エンリの眉根が更に深く歪んで涙が落ちた。

しかし動きが無い。言語の翻訳は効いている筈なのだが、単語として通じていない可能性も踏まえて繰り返す。

 

「自慰だよ。オナニー。そのエロい乳とまんこ弄って気持ちよくしろ」

 

なので恫喝すれば、はぃ、と消え入りそうな声で返事が返る。

よしちゃんと通じたな、と満足して俺も ちんこをぼろりと零す。

 

「ひ――っ」

 

心臓に剣を突き立てられた法国兵士のような鋭い悲鳴。俺の相棒を目にしたエンリの声だ。

自分のモノで女の子がこれほどの反応を示してくれるとは、実に嬉しい事である。思わず股間から漏れるものもあった。

腰を軽く前後左右に揺らしながら眼前の処女を威嚇する。その正確な意図が通じたかは不明だが、やがてエンリの両手が動いて自分の身体を弄り出す。

 

が、何か、微妙だった。

状況ゆえに気分が乗らないのか、あるいは不慣れなだけなのか。泣きながら消極的にオナニーするエンリを見てもあんまり興奮しない。

なのでスパイスを投入する。

 

「スケっ、……スケさん、餓鬼寄越せ」

「あっ、ま、待って! しますっ! 気持ちよくなりますっ! ネムは――!!」

 

相変わらずの乱暴な口調で鎧スケルトンに命令して、エンリの叫びは全て無視。

懇願と共に激しく身体を弄り出すエンリお姉さんを放置して、今度は妹ちゃんのターン。

 

こちらへと渡されたネムは泣いていた。

姉が何をさせられているのか完全には理解出来ていなくとも、酷い事をされている、というのは十分過ぎるほどに分かるだろう。それも、自分が原因で、自分が捕まっているせいなのだ。兵士達に襲われる村から逃げ出して以降、妹である自分を助けるために頑張っている姿をずっと間近で見てきているのだ。子供ながらに負の方向へと昂ぶるものはあって当然。

 

だからお姉ちゃんのために頑張ろうね!

 

「ほうら、おじちゃんの下級治癒薬(マイナー・ヒーリング・ポーション)瓶を撫で撫でしようねえ」

 

ねっとりした声音を意識して出すと、自分がいけない性犯罪者になった気分を味わえて大変よろしい。

地面に座り込んだ己の、胡坐の上に少女を乗せる。幼い彼女の涙を優しく拭い、件のポーションとは別方向に赤くて黒い大人ちんぽをその小さな手に握らせた。おおおっ、ちっちぇええ。

 

「おじさんのこれはポーション瓶よりも大っきいけど、これもお姉ちゃんのためだから。ねっ! お姉ちゃんのためだからさっ、ほらっ」

 

子供は素直だ。

何を言えば良いのか分からず、何も言えないままに俺の言葉に従って。そっと俺のちんぽを両手で握る。

小さな手だ。きっと全力で掴まれても痛痒の一つも覚えまい。自身が絶対的優位に立つ事を再確認して、ネムの手の甲に重ねるように そっと己の手を添え、熱く熱を持った陰茎を こすらせる。

おっかなびっくり、何をさせられているのかも分からない幼女を使った自慰行為。オカズは勿論、妹の現状に涙を流しながら必死に自己を慰め続けるエンリの姿だ。その隣には当然スケルトンが立ち威圧する。

座れ、と空いた手でエンリに指示すれば、立ったままの姿勢から身を屈め、同じ高さの目線になって自慰を続ける。

素直だ。素直にさせているのは俺なのだが、気分が良いからどうでも良い。

姉のオナニーを肴に、妹の手でちんこを刺激する。余りにも酷過ぎる、しかし最高の贅沢だ。

だから思わず叫んだ。

 

「あ゛あっ!」

 

高ぶる。

高ぶり過ぎて、限界だった。両手をネムの頭に移し、未だ幼く彫りの浅い顔にちんこを擦り付ける事で新たな刺激を味わい尽くす。鼻梁の脇、目頭辺りに はち切れそうな肉棒を宛がい、上下に腰を振って我慢せぬまま吐き出した。

 

「駄目っ、ねむ、ネムっ! ネムぅ!!」

「おね、えちゃーっ! ぅああ、ぁ゛ーっ!!!」

 

物言わぬ全身鎧のスケルトン二体が見守る中で。

泣きながら妹を案じる姉が、それでも手を止めずに必死になって まんこを濡らしている。

白く粘ついた男の精液で顔と胸元までの衣服を汚されながら、妹はわけも分からず泣き出した。

 

そのまま俺は、泣き喚くネムをスケルトンに押し付けエンリに走り寄った。

 

射精したばかりの陰茎は再度血流を加速させ、折れる事など無いとばかりに全力で勃起している。

手を伸ばし、細い肩を地面に押し付けた。

肉体労働で引き締まっていても少女の身体だ。レベル100異形種、それでなくとも健康的な成人男性である俺からすれば華奢過ぎる。簡単に組み敷き、肉付きの良い両脚を開いた。

視線の先に、小さく陽光を照り返す粘りがあった。

 

悲鳴が上がる。

 

「いやっ!!! いやあ!! 助けて! 誰か!!!!」

「誰も来ねえよ!!!!!!」

 

殴り付けるように強く怒鳴っても、声は止まない。

だがそれで良い。俺は、此処に、レイプしに来たんだ。

抵抗しろ。

 

不っ細工な顔で泣き叫ぶエンリ・エモット、その少しだけ湿った股座に、ガチガチにいきり立ったモノを突っ込んだ。

 

「おら!!!! 入ったぞッ、おい!!!」

「い゛っ! や! あ! あっ! ああ、ああ、ああ、あっ、あ、あ、あああ゛あ゛!!!!!」

 

穴が何処にあるかは、もう分かる。だから躊躇いは無かった。

腰を振って、腰を振って、それでも壊さないように打ち付ける。

すぐ出した。出しながら更に腰を捻って、エンリのまんこの全体を、もっと味わう。

柔らかくて、何より熱い。興奮から互いの体温が上昇しているのも分かった。特にエンリの中は格別だ。

もう一度射精しそうになったから、ぎりぎりで抜いてエンリの身体にぶっかける。胸のふくらみに白色が掛かったのを見て、もう一度中に入れると腰を振る。気持ちが良い。生きた女の身体も良かったが、現実では有り得ない犯罪行為に対する興奮が大きかった。まだ汚れていない側の乳を鷲掴んで揉みしだくと、柔らかさに涎が溢れた。

悲鳴と、歓喜の声が混ざり合う。絶対に人には見せられない汚物の心地だ。

 

計四度ほど吐き出して、エンリを離す。

 

どろどろに汚れたちんぽを見下ろし、スケルトンが捕まえているネムに近付く。もはや泣いてさえいない。完全に心の許容量を突破したのだ、呆然と大好きなお姉ちゃんを見下ろす視線に今の俺では思う事も無く、小さな口を開けてちんこを軽く突っ込んだ。

頭を掴んで腰を振り、口の中や喉に こすり付けるために己の腰と少女の頭を同時に揺すった。

粗方ちんぽ掃除が終わった辺りでまた軽く勃起していたが、痛くない程度に幼女の頬をちんぽビンタしてズボンの中に仕舞い込む。ハッスルし過ぎて流石に疲れた。肉体ではなく精神的に、だ。

 

「よし、撤収ー」

 

あとは姉妹を放置して、村に向かう途中で帝国軍の全身鎧を脱いで再武装。そこそこ見栄えの良い聖遺物級だ。

そして今回の共犯者たるスケルトン二体は、貸し与えた装備品を回収してから鎧ごと ぶった斬って燃やして消した。目撃者は要らぬ。俺のはっちゃけ過ぎた酷い姿を知る者など残すわけにはいかない。ナザリック勢に対しては威厳ある支配者で居たいんだ!!(原作モモンガ並の感想)

 

「そろそろカルネ村を救いに行くか」

 

ご苦労だったなスケルトン共。安らかに眠るが良い。

そんな事を呟きながら、俺は遅過ぎた救世主として原作っぽいムーブを開始するのだった。




カルネ村イベントは本来転移後4日目ですが、時系列は無視してあります。


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第三話 ユリ姉のおっぱいを吸う話

神聖さを強く香らせる黄金の短杖が掲げられると、強く、しかし目を焼く事の無い不思議な輝きが場を満たした。

やがて薄れいく其処から起き上がったのは、酷く見慣れた人の姿だ。

 

「おとうさん、おかあ、さん」

 

死んだ筈だった人達だ。

 

自分と妹を庇って、きっと、絶対、間違いなく死んでいると予測して。事実、先の騒動が治まった後のカルネ村に戻れば二人の遺体が転がっていた。

肌や衣服に付いた土を丁寧に拭っても、他の犠牲者共々整然と並べられたとしても、そんな気休めが何の役にも立たないくらいに、絶望的な事実。

 

既に失われた幸福、だった筈だ。

 

「エンリ? ネム? 無事だったのかっ!」

「此処、は?」

 

大きな泣き声が聞こえた。

ネムが駆け寄り、両親に抱き着いている。

大きな声が聞こえた。

お父さん。お母さん。そう呼び掛けたいのに言葉が出ない。

大きな声が――。

 

歓喜一色。それ以外のものを知らぬとばかりに盛大に、赤子のような形の無い泣き声がエンリの鼓膜を揺らし続ける。

 

大きく開いた自分の口が全く閉じてくれなかった。声を出し過ぎた喉は裂けてしまいそうなくらいに強く痛んで、ずっと吐き出すばかりで呼吸も出来ないから胸が苦しい、なのに一瞬だって止めたくない。

溢れ出す涙で塗り潰されていく視界の中で、沢山の村人達が再会を喜ぶ姿が見えた。その更に向こう側に、日差しを浴びて優しく微笑む救世主の姿を確かに見た。まるで神様のよう、と歓びの中でエンリは思う。

幸福、平穏、両親、貞操、そして未来。全てを失った筈のエンリ・エモットは。この日、自分がまだ何も失ってはいないのだと知らされた。

 

 

善い事すると気持ちが良いお!

 

ドン底から救い上げる行為というのは実に楽しい。全力でマウント取ってる感がある。

俺は異世界転移を知っていたので蘇生の短杖(ワンド・オブ・リザレクション)も腐るほど死蔵していた。村一つ分蘇生した所で痛くも痒くもない。そうでなくとも蘇生くらい、いざとなればナザリックからペストーニャ・S・ワンコを呼び寄せれば済む話だ。

懸念としてはレベル1とかそれ未満の村人が灰になる事だったが、無事に終わったので問題は無い。

 

村を襲った賊徒共は残らず排され、悲しみに暮れていた村人達も死に別れた家族との感動の再会を遂げられた。皆が皆涙を流して喜びを分かち合い、今この瞬間の記憶を、彼らは生涯忘れる事がないだろう。

しっかりと噛み締めるんだなあ! 今のお前らの幸福はエンリの処女膜と引き換えにしたものなんだからよお!

 

村人達のこちらを引き止める声に対しては意味深なイケメンスマイルのみを残して、ペストーニャって顔の割りに良い乳してるよな……、と若干 人の道を外れる事を考えつつカルネ村を後にした。

俺は射精すると眠くなるタイプなのだ。森でエンリに沢山出したし、ネムにもぶっかけたし、そもそもシャルティアと致してから日付変わってないから今。これ以上は無理。お家帰ってうんこして寝る。

 

何はともあれ、これにてイベント終了だ。

 

カルネ村は結果的にだが全員生存。1ガゼフとニグンたん!は部下諸共一般社会から無事ログアウトした。要するにナザリック送りだ。

そのせいで墳墓が異世界に来ている事がバレてしまったが、転移自体は俺のせいじゃないから詳しく訊かないで欲しい。デミえもんは頭良いから無駄に深読みしてきて非常に困る。確かに拠点ごと転移する事を知ってたけど、何で俺が知っていたという事実をお前が知ってるの? 読心系能力者なの? きもい。

頭の良い人って怖っ。あいつとは距離を置く事を今決めた。

あ、でも十日くらいしたらワールドアイテム持ちが近くまで遠征して来るから、そいつらは捕まえとけよ。

 

ちなみに超重要アイテムの傾城傾国に対する興味はあんまり無い。俺は催眠系エロ同人は好きだが洗脳モノはちょっと趣味から外れるんだ……。それにあのチャイナ服、使用者のせいで加齢臭ヤバそう。

 

 

そんな事を寝惚けながら指示した翌朝、俺はユリ・アルファのおっぱいをチラチラ盗み見ながら茶を飲んでいた。

ナザリックに住まうメイド衆は異形も多いが基本的には勃起必至な美人揃いだ。うちのギルドには最低でも三人のメイド狂いが居たのだが、動き出したメイド型NPC達からは既に引退した彼らの熱意が垣間見える。NPCユリ・アルファを設計したのは やまいこだが、あの豊満なおっぱいが映えるメイド服もまた、彼らの遺した遺産なのだ。

あの乳袋を見よ。仕立ての良い白のドレスシャツが、みっちり詰まった女性によって盛り上がり、腰部分は戦闘も考えた仕様なのだろうがキュッと締まって胸のサイズを殊更強調して魅せている。

 

エロい。

 

あのぱつんぱつんになった白い布地の側面を、こう、指先で、ふにっ、としたい。

したい。

性的なものを感じさせない、涼やかな容姿。派手さは無いのに見事な艶を感じさせる黒の夜会巻き。黒を基本色としたメイド服から浮かび上がる、不死者特有の白蝋の肌。

 

「さば味噌さま、どうかなさいましたか?」

 

気付けば、じっと彼女を見つめていた。

小首を傾げて俺へと尋ねるユリの声。目にする者が不快感を覚えない程度の、品の良さを感じる小さな微笑み。

そして貞淑なメイドの胸部を大きく盛り上げる、唯一明確に性的な、女の肉が目に映った。

 

手が伸びる。

 

白く膨らんだ薄手のシャツと一緒に手に取る、その向こう側には僅かな硬さを持つ下着の存在があった。その更に奥には男なら誰だってしゃぶりたくなる柔らかさ。そこに、じっとりとした熱を感じた。

出来る女、と呼ぶべきユリ・アルファの、否定しようの無い性の証。

酷く幸せな感触が右掌に広がっている。無造作に掴み上げたメイドの巨乳、ただそれだけで股間が疼く。

 

「……お戯れを」

 

抑揚の消えた声でユリが言う。

朝っぱらから、職務に励む侍従に対してのこの所業、言い分けしようの無いセクハラだ。

誰に聞いても、窘める物言いにこそ納得するだろう。

だが俺はしない。納得なんて、絶対しない。

 

いや増していく興奮から、早くも俺の呼吸が乱れる。

片手では不足だ、ともう一方の手も伸ばし、両手でそれぞれを鷲掴みにした。

シャツの内側、下着が邪魔だ。これでは思う様に味わえない。しかし。シャツのボタンに指を掛けた所で細い女の手指が割って入った。俺の手首にそっと添えるように置かれた彼女のしなやかな手が、力を篭められずともこれ以上の暴挙を制止する。

 

「さば味噌さま。このような場所で、……お控え下さい」

 

叱責、だろう。ユリの口にする言葉だけは。

だがその表情は、緊張と羞恥によって赤く染まってはいても行為そのものを否定しきれていない。

口だけだ。しかし己の立場に乗っ取った、まさしく主を想っての諫言である。

 

胸を揉まれている事実に恥じらって、視線一つさえ合わせられずに。

俺を止めるために伸ばした手だって、力無くこちらに触れるだけ。

 

「誘ってんのかよ、お前!!」

「えっ。い、ぃえっ、ボクは――」

 

唇を奪った。

こいつのやり方は全部全部逆効果だ。絶対に誘っている。俺がそう決めた。だって、もう、股間が熱い。

にちゃにちゃと音を立てて唇を合わせながら、ボタンを外す手間を惜しんでシャツを千切るように割り開く。乳房ごと布を引っ張ったせいで開いた瞬間に胸が跳ねたが、眼福過ぎて反省する理由が何処にも無い。

 

露わになった下着ごと強く両手で揉みしだく。

でかい。しかも無茶苦茶柔らかい。たっぷりとした雌の肉は目一杯広げた手の平にさえ僅かに余り、掴んだ指の隙間からも ふるりと形を変えたそれが溢れている。俺の浅い性経験において、これほどのものは一人も居なかった。

アンデッドらしい冷たさを感じるのにその素肌には瑞々しい張りが合って、力任せに揉み潰そうにも跳ね返るような絶妙の柔らかさが五指に篭められた力を散らす。そして軽く手の平に触れた乳首には、下着越しでも若干以上の硬さを感じた。

は、と笑って、ボールで遊ぶように軽く両乳を跳ねさせる。

離した口から唾液が落ちる。

 

「ユリ――」

 

腰を突き出し、己の股間をメイド服のスカート部分へと触れさせる。より正確には、そこに隠れた彼女の肢体にだ。

ユリ・アルファは位置のズレた伊達メガネを掛けた真っ赤な顔で、何も言えずに唾液で湿った下唇を噛んで黙った。恥らう仕草は乙女のようだ。いや、乙女なのだ。世の穢れを知らず、設定以上の何をも持たない、まだまだ生まれたばかりの一人の女。

 

俺が好きにして良い、飛びっきりの、だ。

 

先程まで茶を飲んでいた机の、その一面に広げられた物を全て払い落とした。

落ちた茶器類の破損によって立て続けに音が鳴り、残ったものは染み一つ無いテーブルクロス。その上にユリだけをそっと寝かせる。

 

中央を乱雑に割り開かれた、皺の寄ったメイド服。その隙間に手を差し込んで、ユリらしい奥ゆかしさを感じさせる純白のブラを力尽くで引き抜いて放り捨てた。そうすればあとは胸部から鎖骨、細いその肩と首元と、――お堅い見た目の癖して大きく派手に素肌を晒す、いやらしいメイドだけが其処に残った。

小さく口を閉じては開き、主たる俺の行いだからこそ意図して肌を隠す事も出来ないまま、羞恥に顔を染め上げたユリ・アルファは両手の置き所さえ無く宙に浮かせて、所在なさげに その視線をさ迷わせる。

 

余りにも可憐だった。全体図ではエロチックなのに性の匂いがどこか薄い。

理知的な振る舞いなんて残っていない。

六連星(プレアデス) 副リーダーたる責任感など窺えない。

 

食って良いよ、と食卓に並べられた肉だ、これは。

 

「ひう、――んっ」

 

だからむしゃぶりつく。

強く力を篭めた舌の筋肉で、根元から先端まで勢いよくユリの乳房を舐め上げた。

ああ、本当にいい乳してやがる。

ぶるんぶるんと波打つ柔い肉の動きに熱が高まり、空いている左手で長いスカート越しにユリの脚を掴み上げてその太腿を己の股間に擦り付ける。

 

「さっ、さば味噌さまっ!」

 

俺の行いにユリが声を上げる。

非難だろうか。拒絶だろうか。ただ、仕事用の堅い声音ではなく感情の乗った可愛らしい響きだったので全く構わず、むしろより一層勢いを増して彼女の脚を使った自慰を続ける。

音を立てながら乳首を吸い上げ、恥を嫌ってか声を押し殺した彼女の吐息の音に興奮を高めた。

気持ち良いのに もどかしい。ベルトを外す。ズボンも半端に下ろして、硬くなった陰茎を晒した。

まろび出たものは角度の関係からユリには見えず、しかし音を聞いていれば下を脱いだ事くらいは分かっているだろう。彼女は宙にさ迷わせていた両手で きつく口元を覆い、声を押し殺そうとする そのいじましい仕草に我慢出来なくて漏れた白濁がスカートの黒地を汚すのが見えた。

 

結構厚い生地なんだな、と再度布越しの太腿に擦り付けながら考える。

スカートの向こうにある、肉付きの良いユリの下半身。だがガチガチに固まった俺のちんこの方が硬いのだろう、強く押し付ければ彼女の引き締まった その皮膚と脂肪が、俺のものを押し付けられて形を変えるのを確かに感じる。その度に、口元を覆い隠して声を耐える淑やかな女が ひくりと震えた。

何度か射精し終わって見下ろせば、メイド服の一部が白く汚く染められて、溜まったものが下方向へと糸を引く。自分の出したものだと思うと汚い、が。

 

「……これは、背徳感があるな」

 

至高の御方々から与えられたものを。彼女らの職務、その誇りの象徴を。俺はこんな好き勝手に穢しているのか。

吹き出すように笑って、黒い布地を大きく捲り上げた。

 

「さば味噌さま、それ以上は、これ以上、は……」

 

ユリが乱れた呼吸を隠せぬままに制止する。それに、少しだけ首を傾げた。

ここまで来て、如何なる理由から拒むのか。

もう随分と好き放題やられているだろうに。そもそも、拒む理由が彼女に、メイドであるユリ・アルファにあるのか。

ギルド長たる俺の立場もあってか、嫌われているようには見えない。心身を苛む多大なる羞恥を理由にして抵抗していたのは分かっているが、ああ、いや、――いいか。

 

「ごめんな、ユリ」

 

薄っぺらい。謝罪なんて口だけだ。きっと悪い顔で笑っているだろう、俺。

でももう、ユリにちんぽ挿入する事しか考えられない。

 

悪く言えば澄ました顔で普段を過ごす、このユリが。絵に描いたような出来るメイドが。見た目も中身も大人の女性そのものの、とても立派で凄い彼女が。俺におっぱい舐められて太腿使ってオナニーされて、顔を赤くして息も絶え絶えに やめてやめてと懇願してくるのだ。

この状況で我慢する奴は死ね。俺は生きる。

 

ユリの下着はドロワーズだった。

 

普段だったら「ねーよ」と言い切る。だが今の精神状態ではむしろこれこそが俺にとってのベストアイテムだったようで、目にしただけで股間から先走り過ぎた白濁がまた飛んだ。

肌触りの良い上質な白絹を引き裂く事無く勢い良く下方向へと引きずり下ろすと、熱が篭ってほんのり染まった下半身とようやく出会えた。

全面の白に混じる、火照った桜色。汗で湿った肌が部屋の照明で艶かしく輝いて、俺を待ち受けるかのような無意識の媚びを感じさせた。

 

クッソ美味そう。

分かるかオイ。俺のだぞ、これ。

 

「さば味噌さま――」

「ユリ、愛してる」

 

キリッ。

 

台詞には特に意味は無い。両目を大きく見開いた彼女に構う事無く、俺は俺の欲しい侭に滾る肉棒を突き入れた。

うほっ、と思わず感嘆が漏れ出す。

侵入者への抵抗は弱く、ほぼ滑り込むようにして奥へと潜った。濡れ過ぎだろうがスケベメイドめ褒めてやる。

 

全部入りきる前に、どろどろの膣内に強く舐められて射精した。だがもはや自身の早漏ぶりも慣れたもの、射精しながら腰を押し出し、根元まで入ると即座に勢いを付けて限界まで引き抜く。大量の潤滑油が効き過ぎて、十分強い筈の締め付けが酷く柔らかなものに感じられた。

先端とカリ首で入り口付近を掻き乱し、奥へと突っ込んで腰を振る。

机の上に乗せられた上半身を気遣う事無く、腰を強く掴んでユリの下半身相手に性交を続けた。

レベルの低い人間(エンリ)と違い、今の相手は近接戦闘職を修めたアンデッドだ。遠慮なんて必要無い。突っ込んで、腰を振って、出す。乱暴極まるがそれこそ俺のやりたい事だ。テクなんて必要ねーんだよ!!

 

「もうちょっと慣れたら頑張るからっ!」

「ああ――!」

 

中身の無い言い訳を叫びながら胸を揉む。片手は彼女の腰を掴み、もう片方でユリの処女乳を思う存分嬲り尽くした。本当は乳首を舐めたい、だが気持ち良過ぎて幾度も打ち付ける腰の動きが止まらなかった。口付けるために屈むような余裕など無い。

 

出る。出る。出る。出るっ!

叫び、もしかすると今までで一番具合の良いかもしれないユリのまんこに思いっきり吐き出した。

出し切って、倒れ伏す。

 

雑に乱れたテーブルクロスに脱力しきったユリの身体が投げ出され、その更に上に俺が乗る。目の前で呼吸に合わせて ふるふる動くおっぱいを咥えると、なんだか酷く安心した。

ばぶぅ、とか言いたくなる。言わないけど。

 

「さば味噌さま」

 

まだまだ整えきれていない呼吸でユリが呼ぶ。

なんだいユリママ、僕は今おっぱい吸うので忙しいんだよ。と言葉ではなく唇で伝える。具体的に言うと じゅるっ、と音を立てて一際強く乳首を吸った。その刺激で喘ぐユリが愛おしい。

けっこう無理矢理ヤったし お説教かな、と眉根を寄せて続きを待った。

 

「さば味噌様のお気持ちはこの身に余る程の幸福。ですがこのような事、シャルティア様に何と申し上げれば……」

 

ちょっと待って。俺がシャルティアとヤった()出回ってんの???




異形種の処女膜の有無に悩むのでその辺りの描写は削ってあります。
なおエンリの膜に関しては一人称なので主人公が意識していないだけです。


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第四話 男装した銀級冒険者と睡眠姦する話

「あ゛あ゛ああああああああああ――――ッッ!!!!!!!!!!」

 

知れ渡って、いた。

ナザリック全域に、俺の初体験セックス・レポートが出回っていた。

 

初手で尻を揉んだ性欲持て余す狒々親父並のセクハラ糞上司ムーブも、ちんこ挿入するの何度もミスって無駄射精した回数も、シャルティアの可愛さに血迷って甘えた声音で好き好き言いながら朝まで徹夜でセックスしていた事も、全部だ。

 

ユリ・アルファが俺の執拗なセクハラに抵抗を示し続けたその理由。

――異世界転移後 僅か一日で、ナザリック内において俺とシャルティアのカップリングが常識化していた。

 

何やっとんじゃ あの美少女!!!!!!!!!!

 

思わずブリッジしながら四方八方を跳ね回り、恐怖公の居る守護領域まで乱入して大小数多のゴキブリ達を轢き潰しながら全身ドロドロのぐっちゃぐっちゃになるまで錯乱し通した。

 

これが後に言う第一次ナザリック事変である。

 

 

シャルティアが可愛過ぎるので家出する事にした。

 

だってアイツ俺が文句言いに行ったら、食堂で照れ照れしながら沢山のNPC相手に「あの夜のさば味噌さまったらとっても情熱的で」とか「種族の垣根を問われる切なげなお顔が」とか「……すき」とか惚気てるんだもん。

 

俺の方が好きじゃい!!!!!!!!!!!!

 

負けるわ! 負けるわコレ!! 怒れないよ! あの子作ったペロロンチーノの脳構造ってばどうなってんの!!? 最高かよ!!!!!

 

「行くぞおらナーベラルおらッ! お前は今日から南方出身の人間種そのいち、漆黒のナーベじゃ!!!」

「は、はいっ。かしこまりました、さば味噌さま!」

「さま付けんな押し倒すぞ!!!!!!!」

 

当初は自分で冒険者をやるつもりは無かった。全然無かった。

きゃーきゃー騒がれるのはナザリック内だけでお腹パンパン、俺の予定ではナーベラル・ガンマとセバス・チャン辺りを冒険者コンビとして活躍させて、原作通りの美姫ナーベを爆誕させるつもりだった。

何故かって? エロい事するためだよ。それしか無いだろ。

 

しかしその予定がシャルティアの(とこ)自慢によって盛大に狂った。今やナザリックにおける俺は彼女持ちの童貞系非童貞、権力と暴力を用いたパワハラ系レイプレイでしか女の子とスケベ出来ない糞雑魚セックス弱者なのだ。周りの視線が余りにも居た堪れなくて自室に引き篭もる以外の道が無い。結婚式の予定とか無えよ、まだ。

 

嗚呼゛んっ、夏の浜辺に自動POPする金髪チャラ男並の性的コミュ力が欲しい……!

くそう。くそう。よくもやってくれたなシャルティアめ。でも好き。

 

後事はアルベドに託した。あのビッチには報酬としてマーレ辺りをくれてやれば十分だろう。あのショタエルフときたら何っ時も ちらちらちらちら短いスカート揺らしおって、そっちの属性持ってない俺でもついつい視線が吸い寄せられて妙な気分になっちゃうだろうが。ナザリック地下大墳墓には おちんちんランドの開園予定は有りませんっつーの!!

 

今更になってようやく悟った。ナザリックは、魔窟だ。

業の深いギルメン連中のせいで俺が苦労する羽目になる。俺はもっと健全にエロい事がしたいんだよ!

 

「さば味噌さま、何卒っ、何卒お考え直し下さいませ。至高なる御身が後れを取るなど万に一つとて考えられませんが未だナザリックの外部は多くの未知を有する異郷の地平、この卑小なる(しもべ)めに幾許かの(いとま)を頂ければ必ずや貴方様の望みに適う――」

「うるせえ!!! 長え!!!! イケボか!!!!!!」

 

無駄に聞き取り易い早口で言い募るデミウルゴスは勢いで押し切り、お供にナーベラルを付けるのだから心配するなと納得させた。いや、納得したと思うんだけどアイツの脳味噌がどういう具合に俺への賛意を弾き出したのか聞きたくないので訊いていない。た、多分大丈夫じゃろ……っ。

アルベド? なんか妙に聞き分け良いんだよねアイツ。やはり設定を書き換えていないのが効いているのだろう。あれがきっと本来のアルベド。ありがとうタブラくん、でも俺ってば処女厨且つ独占厨だからビッチは無いかな、って。

 

ナザリック頭良い勢の筆頭二人が俺側に付いたので後の奴らは抵抗不可能。

シャルティアとは今ちょっと顔を合わせ辛いというか、あんな惚気てるの見たせいで恥ずかしいのでユリに伝言を頼んだ。ついでに俺がユリのボインをボインボインした件を今暫く秘密にして欲しいと土下座(ゲザ)っておく。いやホントお願いしますよユリさん……!

 

さあ後顧の憂いは綺麗に晴れた、いざ行かんエ・ランテルへ。付いて来いナーベ!

 

 

なんて事を言い放った矢先の道中、エ・ランテル行きの街道をのんびり歩く冒険者達の姿が遠い視界の向こうに映る。

金髪の好青年、金髪のチャラ男、大柄な顎髭、短髪の少年――っぽい見た目に仕立てた男装の少女。

 

あそこに見えるは皆大好き漆黒の剣ではないだろうか。

 

数日後にはクレマンティーヌに疾風走破されてしまう悲劇の冒険者チーム。等級としては下から三つ数えた銀に至っている将来有望な若者達であり、原作でも危地から依頼人と仲間を逃がすために明らかにヤバい系の空気を纏ったクレマンマン相手に時間を稼ごうと奮闘するも、儚く散った四人組。チーム間の仲の良さや個々の善人っぷりにも非常に好感が持てる奴等だ。

 

なのでちょっと俺のちんこ慰めて貰おっかなって!

ほら、男装少女とか単語だけでムラムラくるからさ、俺!

 

「ナーベ、ちょっとお仕事して来てくれない?」

「は。畏まりました。あの下等生物(ダニ)共を薙ぎ払い、御身の視界の景観を取り戻せば宜しいのですね」

「ちげーよポンコツ」

「!?」

 

何時ぞやも使用した隠密効果付きの神器級装備を、臨終寸前まで恐縮するナーベに無理矢理押し付け、彼等の視界を外れた方角から正体を一切見せぬまま、漆黒の剣御一行を魔法で纏めて薙ぎ払わせる。あれ? ナーベの物言いと全然変わらない指示になったぞ……?

いやいや違う。俺の目的はここからなのだ。

彼等のレベル帯ではそうそう お目にかかれないだろう攻撃魔法で見事一人残らず気絶、ないし戦闘不能となった漆黒の剣を――、いかん、死んでる……!

 

やっ、()りやがったなあのメイド!?

 

だっ、大丈夫だ、俺には蘇生の短杖がある。まだ終わってはいない。

至高の御方からの御命令を遂行せしめたぴょん、と満足気なナーベの顔を押し殺しきれぬ戦慄と共に仰ぎ見つつ、目撃者が出ない内に新鮮な死体四つを担いで逃げる。大丈夫だ、ちょっと派手過ぎるエフェクトだったが先程の魔法を視認可能な範囲内には誰も居ない。大丈夫。……本当に大丈夫だよな?

 

ああもう面倒臭い! こんな事なら一人で来るんだった。

 

全力で走って主要街道から可能な限り距離を取る。ナーベに任せると遺体損壊待ったなしなので全て俺が担いで走った。四人分の死体が凄く持ち運び難いし肉の焼けた臭いは酷く臭いし、おまけに攻撃魔法の熱で融けたルクルット産の焦げ肉か何かが口に入りそうだしで吐き気を催す。なんでちょっとオナニーするだけで こんなに苦労してるんだろう俺。

 

街道から十分な距離を取った上でアイテムボックスに手を突っ込んで、グリーンシークレットハウス同様の拠点作成用アイテムを使用する。

出来上がったのは小型でみすぼらしい外観の、掘っ立て小屋だ。

ナーベが至高の御方に相応しくないとか ぐちぐち文句を言い出すのを待たずに、1LDKの小屋内に死体三つを早々に放り出す。臭っせえんだよ男共っ!!!! とか自業自得なのに言い放ち、こんがり焼けてるニニャの死体だけを担いで奥の部屋へ――と、行く前にナーベへと向き直る。

 

「隠れたまま小屋の外で待機。誰も近付けるなよ。死体残ってれば殺して良いから」

「畏まりました さば味噌さま」

 

返事だけは良いんだよなあ……、と はっきりとした命令さえすれば細かく訊いてこないナーベの神器級装備に隠れた背中を見送って、見た目だけは汚く粗末な、寝台付きのプレイルームへと足を進める。

 

第1位階魔法 修復(リペア)を使用出来る回数消費型アイテムを振り翳し、まずは焦げたり燃えたり融けてしまった衣装を形だけでも綺麗に修繕。次いで特定の耐性値を上昇させる代わりに状態異常耐性が下がる指輪型のへぼアイテムを、固く焼き上がったニニャの指に二つ三つと嵌めさせる。更に追加で装備を与え、HPと物理防御値も上げておいた。当然ながら、最後のこれはプレイ用の強化アイテムである。

後は召還アイテムで睡眠付与、及び麻痺の状態異常スキルを使ってくれる小型ゴーレムを複数体呼び出して部屋の隅に並べてしまえば準備完了だ。

 

「……疲れたな」

 

何故だか知らんが滅茶苦茶手間が掛かった。もうヤらなくて良いんじゃないかな、と弱気の虫が疼いたが、俺は初志を貫徹する男。漆黒の剣がナーベの放つ凶弾によって全滅した時点で萎えきっていた ちんこを右手で揉んで臨戦態勢。いざゆかん、睡姦系エロ同人の地平へ。

 

短杖を振るって蘇生させた少女を、ゴーレム達のスキルが襲う。

重複する耐性低下効果が即座に彼女を眠りに落として麻痺を重ねる。いち早く服を脱いだ全裸の俺が傍へと寄っても反応なんて出来もしない。

 

綺麗な顔だ。

ギルメン達の手によって設計されたNPCと比べれば格が落ちるが、その肌も白く綺麗な色をしていて十分以上に美形の範疇。これで髪さえ伸ばせば美少女だろうに、ベリーショートのままでは男の子みたいでちょっと辛い。

なので女の子らしいところを見せて貰おう。

 

腰元を締め付ける厚く頑丈なベルトを外してズボンを下ろす。これまた厚手の黒いそれをぐぐいとずらせば、全く色気の無い女性用下着が視界に映った。だから更に脱がす。脱がして、ようやく対面出来た。

 

ニニャは女の子だった。

 

まんこだ。まんこが付いている。おちんちんランドは此処には無い。

柔らかくもひっそりと閉じたそこは身持ちが固いと言う他無い。きっと多分間違いなく、未使用だ。こんな大層なものを隠したまま男所帯で過ごしていたなんて、ニニャちゃんは警戒心が無さ過ぎる。

 

喜びと共に毛の薄い秘肉を指の腹でぷにぷに弄ってそこから彼女の顔を見上げれば、先程までとは違い、紛れも無い美少女が其処に居た。

まんこを確認した今、もはや性別を誤認する事など有り得ない。俺のちんこの納まるべき場所が此処にある。

そうなれば性別を隠すための、必要以上に色気を排した魔法詠唱者の服装さえどこか可愛らしく見えてくるから不思議なものだ。

 

びくりと震えて俺のちんこが屹立する。

僅か一メートルほどの距離を歩いて、情欲を宿した堅い肉の棒を彼女の小さな唇へと触れされた。

実に良い。過敏になった己の性器からニニャの体温と柔らかさが伝わってくる。

普段言葉を話す口、魔法を詠唱する仕事道具、物を食べる大事な器官。きっとキスをした事も無い十代の少女の唇が、意識も無いまま俺のちんこに密着している。

 

興奮のままにニニャの胸部へと手を伸ばした。

厚手の布地、その奥のものはサラシで覆われているのだったか。手の平を強く押し込めば僅かな弾力を確かに感じ、今度は夢中になって手を動かしながら両の乳房を片手で擦る。質の悪い生地の感触も、少女が普段から着慣れた物だと思えば興奮を煽る材料でしかない。

熱くなった肉棒を顔に乗せたまま腰を振る。整った顔の凹凸が刺激を齎し、けれど射精に至るにはまだ足りない。上半身、衣服の合わせ目を探って胸元を開けば、更にそこを覆う肌着が見えた。

 

けれどそれだけでも先程より素肌に近い。胸の膨らみを探して、手の平で掴めば間違いなくニニャの乳房がそこにある。ぐにぐにと揉み込んで彼女の小振りなおっぱいを味わっていると、ちんこの先端から透明な先走りが落ちて小顔を汚した。

それを、更に腰を揺すって棒の裏筋で塗りたくる。

整った顎先と細い首筋を男の肉でゆっくり味わう。粘液で濡れて糸を引くさまに口元を歪めて、眠る少女の下半身へと視線を戻した。

 

恐らくは誰も触れた事の無い、未使用のまんこだ。舐めて濡らそうと思ったが、未だ部屋の中やニニャの衣服には焼けた肉の臭いが染み付いている。それらに不快感を覚えると同時に、冒険者という肉体労働に従事する彼女の秘部が清潔だとは限らない事に気が付いた。

 

俺なら、女の子のまんこが臭かったら絶対萎える。

 

軽く舌打ちをして、アイテムボックスから料理用素材の蜂蜜を取り出す。

たっぷりと手の平に落とした黄金の蜜が、眠る少女冒険者の柔らかな部分へと塗り込まれていく。蜂蜜でぬるぬるに湿っていく まんこの感触は上々で、再度溢れた先走りが剥き出しの素脚に落ちてゆるりと流れた。

これくらいだろうか。軽く指を差し込んで性器の具合を確かめて、彼女の両足首を掴むと大きく開く。

 

御開帳、である。ニニャが起きていれば羞恥一色で慌てふためき声を上げるだろう大胆な姿勢。何も身に着けていない健康的な下半身の、開かれた両足から緩やかに下った中央部。濃い黄金の蜜に(まみ)れた股間は、静かに眠り続ける彼女の表情と相まって例えようも無く艶かしい。

 

少女への情欲に腫れ上がった ちんぽをそこに置く。

 

ぬるりとした蜜の感触がちんこに届いて痺れが走った。今、出そうになった。だがそれでは勿体無いと首を振る。せめて中で果てなければ俺のムスコが可哀想だ。ゆえに食いしばりスキルを発動し、いま少しばかりはと射精を耐えた。

熱く息を吐いて ちんこを宛がう。自身への刺激が強くなり過ぎないようにゆっくりと、互いのそこを擦り合わせて棒の表面へと蜂蜜を塗した。その間にも先端から益々漏れ出す体液が蜜の金色と混じり合い、僅かずつ濁らせていくのを見て頃合だろうと腰を引く。

 

熱い凶器に右手を添えて、確実に少女の穴へ入るようにと調整を繰り返した。

挿れたら、起きるだろうか。起きたらどうしようか。少しだけ悩んだが、ゴーレム達のスキルを信じて挿入する。

 

「ふぅ、――っく」

 

短く息を吐いた。ニニャと同時、異物が侵入した際の違和感で一緒に呻く。

腰を細かく揺すりながら狭苦しいニニャの内側を奥へと進み、やがて何かが先端に触れてくるのを感じた。

 

処女膜か。

 

悟って、嗤う。この感触は初めてだった。幾度か性交を行ったが、どれも自分が気持ち良くなる事ばかりを優先させて、相手側の状態なんて己が気持ち良くなれているかどうかでしか見ていない。

シャルティアもユリも、エンリだって皆初めてだった。特に実質生まれたばかりのNPC達は確実だ。

しかしこうして初物を前に意識したのは一度目だった。相手が眠っている間に、相手の知らぬ間に、少女の大切なそれを奪う事に愉悦を感じる。

 

もっと丹念に味わうためにも。殊更ゆっくりと、腰を進めた。

徐々に先端に触れた抵抗が消えていき、やがてそれが無くなった瞬間を捉えて哄笑を上げる。

余り劇的なものではなかった。だが。

やばい。もうこれだけで楽しい。

 

最高だ。

 

「ニニャ!!!!」

 

叫んで、腰を振る。一方的に。眠る相手への遠慮など捨てた。

きつい。

余裕の見えない処女の肉の内側で、新しく穴を掘るような前後運動を繰り返す。

蜂蜜を用いた潤滑油効果は確かにあるが、物理的に入りきらないサイズ差までは考慮していなかった。それでも無理矢理ちんこで穿ればニニャの膣内に負担を掛けながらもセックスは出来た。

意識の無い少女の顔が眉根を寄せて悲痛に歪む。吐息だけでなく声まで漏れるが、まだ起きない。

 

眠ったままのニニャを掴んで腰を振る。道具のような扱いはやはり己の嗜好に合っている。大丈夫、誰にも迷惑は掛けていない。俺は当人の意識を奪った状態で性欲の捌け口にしたいだけ。衣服越しの肩に掴み掛かって唇に吸い付き、僅かに土の味のする、恐らくはファーストキスだろうニニャの大切なものをまた一つ奪えた事に喜んだ。

柔らかな頬を鷲掴みにして眠る少女の口を吸い、唾液で音を立てると同時に腰を押し付け、キスしながらのセックスを続けた。

 

射精する。射精する。もっと穢さなければと腰を振り、小さな唇が真っ赤に腫れてしまうくらい更に強く吸い上げて、また精液を吐き出した。

 

息を荒くして少女を見下ろす。

上半身は冒険者としての普段着で、表情だって不快気に顰められてはいても静かなままだ。

なのに腰よりも下は裸にされて。蟹股気味に大きく広げられた両脚の間、一度も使った事の無かった性器は見知らぬ男のちんこを咥えて好き放題に汚されている。

事実を再確認する事で精神が高ぶり、腰を動かさずにもう一度欲望を吐き出した。

 

――孕んでいたら良いな。

 

そんな事を考えて嗤い。未だ休む事無くスキルを使い続けるゴーレムの集団に囲まれる中、薄汚い掘っ立て小屋の中のベッドの上で、俺は眠る少女を犯し続けた。




尚、このあと自分のちんこと間接キスした事に気付いて反吐を吐く模様。


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第五話 美姫ナーベにちんこしゃぶらせる話

「<疾風走破><超回避><能力向上><能力超向上>――!」

 

重ね掛けされた、近接戦闘能力強化型の武技、四連。

肉体の全てに力が満ちる。

その状態から、一呼吸の間も置かず、地に伏せるような動きで駆け出した。

 

両手に輝く刺突武器。対面する敵対者から見えない位置に構えた左手には雷撃(ライトニング)の魔法を込めた特別製のスティレット。誇示するように掲げた右の刃が敵の迎撃を誘った上での相殺を狙い、魔法蓄積(マジックアキュムレート)を施された本命の左が対人体特効の雷属性で動きを止める必殺コンボ。

あとは好きに料理すれば良い。目の前の糞もそれでようやく悟るだろう。人類最強のクレマンティーヌ様に逆らった自分は世界一の大馬鹿野郎だったのだ、と。

 

ほぼ一瞬。秒もかからず縮んだ距離が、此処を逃げ出すまでの最後の猶予。

 

ほら、間抜け野郎が分厚い刃を真一文字に片手で振るい。

それを見て。思い通りだ、と口が裂けるように哂ってやった。

 

「<不落要塞>」

 

生半な使い手では決して修められぬ、英雄の域に立つ自分だからこそ許された上位の武技だ。

敵の攻撃を無効化する鉄壁の防御が、寸分の狂いも無く男の一撃を迎え撃ち――。

 

 

<次元断切(ワールドブレイク)>

 

 

世界を斬り裂く、九曜至高の刃が翻る。

 

余りにも美し過ぎる鋼の軌跡が、武器と武技、かつて積み上げた強さに対するあらゆる想い、彼女の抱く祖国への憎悪、既にして人を超えた己の持つ力の全てを、当たり前のように斬り裂いた。

 

握り締めるスティレット諸共斬り飛ばされた右前腕部に左の手首と、胴体を斜めに分割された肉体がてんでバラバラに宙を舞う。

落ちていく上半身、そこに付いたままの頭部の、呆けた視線を剣を振り切った人影へと向けたまま。脳内を疑問符で埋め尽くされながら、それでも消えきらぬ自我が声無き声をもって強く叫んだ。

 

何をされた。何が起こった。今、自分は、どうなっている。まさか、この私が下級冒険者如きに負けたなどと言う事は――ッッ!

 

そんな。

私は。

私は。

ああ。

 

なんてきれいな、剣。

 

複数の肉塊が土に落ちる音が耳に届いた。

それは自分にとって酷く聞き慣れた音で。今まではずっと自分以外が鳴らしていたものの筈だった。

奈落へと崩れ落ちるような温度の無い巨大な喪失感と共に、視界の全てが黒く染まって消えていく。

 

それが、先のエ・ランテルにおけるアンデッド事件の終幕であった。

 

 

 

 

人類圏における要衝の一つたる城塞都市、エ・ランテル。

城壁内にある共同墓地から突如溢れ出した不死の軍勢(アンデス・アーミー)によってあわや都市滅亡の危機かと思われたその時、流星のように現れた二名の冒険者が瞬く間に首謀者を討ち果たした事で、おぞましき死霊術師達の陰謀は一夜の悪夢として終わりを迎えた。

 

数多の不死者を斬撃をもって滅ぼし尽くした剣士。

若くして第3位階魔法を操る美しき魔法詠唱者。

 

――人呼んで、エ・ランテルの英雄。

 

 

 

 

「ほーれ、至高のちんぽは美味しいかぁ、ナーベ君」

「んん、ふむ、んぅうっ」

「うんうん。何言ってっか分かんねーなコレ。だが良し、許す。可愛いぞぉナーベ!」

 

巷で噂の美しき魔法詠唱者とやらが、今、俺の足元に跪いて一心不乱のちんぽしゃぶりに精を出していた。

 

ちんこ咥えて頭を前後に動かす度に、彼女の綺麗な黒髪が揺れて僅かにほつれる。それを優しく手で撫で付けてやれば、小さなお口で必死にちんぽ ちゅっちゅしながら伏し目がちの視線を更に細めて喜色を表す。その反応がまるで良く出来たペットのようで大変よろしい。喋らなければ本気で可愛い奴である。

人間に対する一貫した冷たい振る舞い、流れるような黒髪とギルメンによって設計され尽くした造形美、かくも美しき女冒険者。誰が呼んだか美姫ナーベ。

 

しかしてその実態は、当然ながら俺専用のオナホメイドである。

 

唾液が溢れてぬめぬめのドロドロになったナーベの口内にて、舐め溶かす勢いで動く彼女の舌が、俺の肉棒を余さず しゃぶり尽くさんと奮闘している。

貞淑なるユリ・アルファとは違い、ナーベラル・ガンマにとって性行為そのものに対する恥じらい等はほとんど無い。だというのに行為後に俺から御褒美代わりのスキンシップを行うと、頬を染めるほど喜ぶ始末。実に良い。ナザリック産の忠誠心が股間に響いて堪らない。

普段は都市の人間相手にクソみたいな対応なのに、表裏を知れば人見知りのワンコのようなギャップがあった。

 

「出るぞナーベ、飲め」

「ん――」

 

刺激に溺れて催すと、一切我慢せずに発射する。

手元の新聞を手繰り寄せれば、紙面には俺とナーベの名前が載っていた。俺に関してはさて置くとして、若さと美貌を多大に有した実力ある女冒険者、という分かり易いアピールポイントを持つナーベに関してはよくよく人の耳目を集めるもので。そんな有名人が個人用オナホとして何時でも何処でも しゃぶってくれるというのが実に気持ち良い。

 

エ・ランテル在住の男性諸君っ、君らが御執心の美姫は今、俺の下で精液飲んでますよーっ!

いやあ悪いね。きっと皆 大なり小なり妄想するだろうシチュエーション、俺は朝っぱらから味わってるんだ!

 

考えるだけで背筋を駆け抜ける凄まじい優越感。

ナーベラル・ガンマを冒険者にした理由は一つ。

 

美姫と称され尊ばれる彼女相手にエロい事をしたかったからだ。

 

それだけだ。それだけなのだ。いやマジで。ただそのためだけに、最初はセバスと一緒に冒険者登録させようとしたし、変更の意思など微塵も無かった。結局は、第一次ナザリック事変が原因で自分でやる羽目になったのだが。

 

「はふ、っん……、お掃除が終わりました、さば味噌さま」

「ああ。良く出来たな、ナーベ」

「勿体無いお言葉です……っ!」

 

肌理細かい真珠色の肌。褒めてやりながら手の甲で頬を擽れば、心底嬉しそうにナーベが微笑む。

……なんかもう、このままナーベラルと退廃的に過ごしていても良いかな、とか血迷いそうになる。なんでこんなに可愛いんだろ。ポンコツなのは対人関係限定で、人間と関わらなければ俺が苦労する事も無い。一生此処でこうして ちんこしゃぶらせて過ごしたい。

だがそれではいかんのだ。俺にはナザリックを守る使命と、セックスセックス&セックスの人生を送る義務がある。

 

まったくもって、この世界には俺を惑わすものが多過ぎる。

外気に晒され、唾液塗れのちんこが渡世のしがらみにビクビク震えた。

 

「ちんこ冷えてきたな。ナーベ、温めて?」

「畏まりました。少々お待ち下さい」

 

するりと衣擦れの音を伴い下ろされたズボンの奥から、艶かしい卵肌がその身を晒す。

原作同様、ナーベの美貌に見合わぬ地味な服装。極力肌を見せぬようにと全身を覆い隠す、野暮ったい色合い。ただし下着だけは気を使わせている。何故ならば、その方が俺が興奮するからだ。

華美な装飾など必要無い、欲するものは清潔感と表裏のギャップ。分厚い服の下から顔を出すのは薄く肌に張り付いた真っ白な女性用下着。一目で分かる上質な仕立ては男に魅せる事をこそ目的としたナザリック産のオーダーメイド。

太腿の半ばまで下ろされたズボンを手で止める。脱ぎかけの方が、エロい。

 

腰掛けていた椅子の背に深く体重を預けると、大きく股開いた裸の下半身をナーベに見せ付ける。

俺の上半身に細い背中を預けさせ、主に尻を向ける羞恥と不敬に身を震わせる彼女の腰を上に乗せると、殊更にゆっくりと、いきり立つモノへとその体重をかけさせた。

 

柔らかくてすべすべの、ナーベの未使用まんこ。ちんこの先端がそこに触れただけで透明なものが ぴぴゅっと漏れた。

 

まったく、ナザリックの女性陣はどいつもこいつも極上で困る。

 

はあ、と息が漏れる。熱の篭った、情欲の表現。それは俺だけでなくナーベからも聞こえた。

先端から徐々に埋まっていく陰茎が、やがて待ち受ける快楽を全身に伝えて身を震わせる。

俺の上に乗ったナーベの身体で互いの結合部は全く見えず、だけどこの気持ちよさは嘘ではない。堪えきれず、両腕で彼女の身体を抱きすくめ、その白い首筋に はあはあと飢えた雄犬のような吐息を当てた。

 

「はあ、っ」

 

色っぽい喘ぎ声がナーベから聞こえる。当然ながら嫌悪の色など微塵も無い。

俺の性欲処理のためにその可憐な唇と穢れの無い女陰を差し出して、背後から抱きすくめられながら男の欲望を宿した熱気を吐き付けても、彼女にとっては喜ぶばかり。きっとプレアデスとしての使命感だけではなく、女としての欲を覚えて興奮していた。

 

柔らかく肉厚の()に、俺の肉棒が呑み込まれていく。不快な抵抗など全く無かった。

快楽だけがある。俺に悦んで欲しいと訴える美姫ナーベの内側が、膣全体で揉み上げるように全力で ちんこをしゃぶっていた。

 

「ナーベ。ナーベ、ナーベ、なぁべ……っ!」

 

言葉や思考だけでは無い、無意識領域における肉体の生理的な働きに至るまで、彼女の全てが余りにも献身的で、カリ首がナーベの中に潜り込んだ時点で堪えきれなくなって射精した。

そのまま、ナーベの腰を浮かせた半端な体勢で暫く呼吸を整える。

 

まずい。気持ち良過ぎる。彼女のお腹を抱き締めた腕が震えて、それ以上一センチだって動けない。

まだ今日は二回しか出してないのに、ナザリックの外という環境がそうさせるのか、興奮が酷い。

 

「さば味噌さま、どうか私にお任せ下さい」

 

やめろポンコツぅ!

 

何を思ったか、身動きを止めた俺を気遣うような声を出しながらナーベが性行を再開する。

止まってくれ、というただ一言が出てこない。腹に回された俺の両手にそっと繊手を添えると、御奉仕意欲に溢れたメイドがゆっくりとその腰を下方に向かって沈め始めた。

 

柔らかな肉に舐め上げられながら、俺の一物が更に奥へと潜り込む。

内側で愛撫される感触に か細く呻きながらまた出した。ナーベの中から滴った雫が棒の表面にくすぐるような快楽を饗して、俺のちんこがまた震える。

 

歯を食い縛って息を吐く。震える両手を上へと動かし、厚いシャツ越しに存在を主張するナーベの乳房をしっかと掴んだ。

そんなせめてもの抵抗に反応してか、一際強くなったナーベの吐息が鼓膜に届く。俺もまた、掌中の柔らかさに深く息を吐き目蓋を絞った。

こいつの乳は、ユリほどには無いが結構でかい。先程までの抗議の意を篭めて殊更無遠慮に弄べば、更にナーベが身を震わせる。それに僅かな勝機を見出し、絶対に痛いだろう力強さで絞るように揉み潰す。でも、多分、ナザリック的にはこれでも忌避感無く喜ぶのだろうな、と頭の何処かで諦めてもいた。

 

ぐ、と勢い良くナーベの腰が落ち。俺のモノが完全に彼女の中へ埋没する。

その衝撃で、また精液を噴き出した。

 

「はっ、はあ、はあ……ッ」

 

呼吸荒く、そこで僅かな小休止が設けられた。

俺は腰掛けた椅子に体重を預けて、更に俺の上に座るナーベはこちらへ背を押し付ける体勢で息を整える。

女一人の体重と、心地の良い柔らかさ。俺は彼女の体温を感じながら、手探りでシャツのボタンを外して胸元へ両手を忍ばせる。

 

「さば味噌さま――」

 

うわ言のように名を呼ばれるも、俺の興味は彼女の豊かなおっぱい二つ。すべすべの乳房を守る下着の縁から手先を潜り込ませ、緩く摩るような手付きで丁寧にその形を確かめた。

丸く、滑らかでその手触りも最上級。これを手にしたいと思う男共が世にどれほど居る事か。澄ました顔の下にこんな御立派なものを隠し持っていたとは、全くもってけしからん。なので俺が彼等の分まで存分に堪能する。

 

指の腹で乳首を押し込み、軽く抓んで先の感触を楽しんだ。

もにもにとした真っ白な肉饅頭を力一杯握り締めれば、苦痛よりも悦びを強く感じさせる声がナーベの口から漏れ出して、掌中の柔らかさと相まって実に幸せな気持ちを与えてくれた。

 

薄く汗の浮いた首筋へと唇を寄せる。なめらかな素肌に淡く触れさせる程度の口付け。彼女を知る男なら誰だってやりたいだろう、この美姫に自分の匂いを擦り付けて所有権を主張するような、軽い遊びだ。

一つ触れる度に小さくナーベの身体が震えて、意味の無い単音が吐息と一緒に耳朶を震わす。

 

興奮する。

 

襟の合わせ目を掴んで肩が露出するほどに大きく開いた。ボタンが幾つか飛んで床に落ちるが、重要なのはその中身だ。伸ばした両手で乳房を揉み上げ、その下に浮かぶ肋骨や無駄な脂肪の無い女の腹部を荒っぽく摩ると股間部の仰角が更に上向いた。

 

細い肩を噛み歯型を付ける。ナーベを抱き締めたままの姿勢で腰を浮かせて前のめり、床板の上へと細い全身を押し倒す。

骨盤ごと掴んだ彼女の腰を軽く上げさせ、己の腰を、張りのある尻に叩き付けた。

 

「ぅ――!」

「ナァ、ベ、っ!」

 

粘着質な水音が安宿の一室に鳴り響く。

ぱつぱつと肉を打つ音が耳に届けば、今自分が女を犯しているのだと強く認識出来てより昂った。

 

気持ちが良い。凄く気持ちが良い。ポンコツの癖に女としての味だけは最高だった。

何時も人間相手に虫けらだのゴミだのと罵る高慢な女冒険者が、こんなに具合の良い身体を隠し持っているとは誰が知ろうか。無論、誰にも知らせてやる気は無い。絶対に独占して、絶対に未来永劫、俺が、俺だけが可愛がり続けるとそう決めた。

 

耳元に口を近付けて低く囁く。

 

「孕め。射精してやるっ!!!」

「はひ、はい、さば味噌さまっ! どうか、ナーベラルにっお情けを、ください――!」

 

勢い良く、その内側に熱が噴き出す。

腰だけを掴んだ姿勢で全身が一挙に硬直する。呼吸さえ止めたまま ただ一心にナーベの膣内に射精して、その状態を数十秒間維持しながら余韻に浸った。

モノを引き抜けば勢い良く精液の糸が宙を舞い、幾らかの汚い飛沫がナーベの白い尻と背中、薄汚れた板張りの床へと飛び散った。

 

あー、と軽く唸って目の前に転がる尻を叩く。

 

「掃除」

「はい、っお任せ下さい」

 

疲労から短く命じれば、弾む息を整えながらメイドらしい返事が応える。

どろりとした粘液に日の明かりを跳ねさせる肉棒を、美しい黒髪の女が躊躇い無く頬張った。

主のために奉仕出来る事が心から嬉しい、そう言わんばかりの熱心な口淫(ちんしゃぶ)。掃除という名目なのに、すぐさまモノが立ち上がる。

野暮ったい服装の大きく着崩された隙間から、真っ白なナーベの裸身が見える。視界と性器、双方からの刺激が再びの射精感を強く引き出して濁った欲熱を吐き出した。

 

時刻は朝。アンデッド騒ぎからまだ一日程度しか経っていない今、少しくらいサボったって誰も文句は言わない筈だ。

そう考えて、今度は備え付けられたベッドの上へと場所を移すと、俺は可愛いらしいパートナーの身体を押し倒した。

 

――まったく、冒険者は最高だぜ。




最強系チート転生オリ主。


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第六話 中古の村娘に恩返しックスさせる話

「わたし、ここで帝国の兵士に強姦されたんです」

 

 

カルネ村の外れ。木々の立ち並ぶ、森の程近く。

涼やかな風が吹き抜けて、頭上には空の青が輝いている。

其処で、一人の少女が泣いていた。

 

なのでセックスをします。

 

陵辱の記憶に震えるその手を掴み、引き寄せ、唇を奪った。

ナザリックの者以外と真っ当にキスをするのが初めてだったので、ちょっと、若干、いやかなり結構 腰の引けたアレだったが、多分失敗していない。なにせ俺はもう女性を知らない童貞などではないのだからなっ!

 

少女の片手を掴んだまま、至近でお互いの視線を絡める。

たった今 唇を奪われたばかりの少女――エンリ・エモットは先程までの悲痛さなど何処に置き忘れたのか、呆然とした顔で言葉を失くして動きを止めた。視線だけが目まぐるしく四方八方へと不規則に踊り、内心の動揺を表すかのようだ。

 

精神的にマウント取れた感があったので、ここから更に言葉をもって畳み掛ける。

 

「俺は村の恩人だ」

 

帝国兵士に扮した法国の部隊。彼等の作戦行動によって多数の同胞の命を奪われ、もはや滅びは必至という所まで追い詰められていたカルネ村。

そこへ颯爽と現れたイケメン、俺。八面六臂の活躍の果てに汚らしい賊徒共を皆殺しにした上で、なんと殺された村人達を生き返らせてくれるという超凄い奇跡まで起こしてくれたのだ。これはもう恩人中の大恩人と言っても過言ではないだろう。

 

「だから、……そうだ。お礼を、して欲しいだけだ。あんなに助けてやったんだから、ってね」

 

勿体ぶるように そう言って、軽く笑う。きっと間違いなく、悪い顔で。

笑いながら、俺はエンリの片手を掴んだまま。逃がす気など欠片も無いのだと暗に告げている。それはきっと田舎暮らしで学の無い彼女にだって分かるだろう。

 

そう。俺は、――お礼ックスがして欲しいだけだ。

 

助けてやったんだからヤらせろよオラ! という、そんなシチュエーションがやりたかったんだ。

そのためだけに、今日、カルネ村までやって来た。

 

エンリ・エモットは逃げられない。

 

だって助けてやったじゃないか。

村を襲った兵士達は一人残らず血煙と化す勢いで斬り潰したし、追撃のニグン聖典は一人残らず墳墓の底で地獄を見ている。ガゼフはおまけだ、指輪ありがとうね戦士長。

先の襲撃で被害に遭った村人達、エンリにとっては特に実の両親を蘇生してあげたという最大級の恩もある。

恩を受けたのだから、返さなければ。

それは、人ならば当然の行いだろう。

 

視線を真っ直ぐに合わせて、正直な気持ちで言い放つ。

 

「君を抱きたい」

 

君を抱きたい(ゲス顔)。

 

俺の言葉に空気が固まる。風さえ止んで、互いの身体の震えも止まった。

さあ言ってやったぞ。

どうする覇王! 目の前に居るのはカルネ村にとっての永世恩人、決して敵に回してはいけない尊き御方だ。お前の個人的な事情で機嫌を損ねるなど許されようか。

顔の分からぬ偽帝国兵士に処女まんこ強姦されたこの場所でっ、今一度その花を散らすのだオラァン!

 

「わたし」

 

唇を指先で押さえたエンリが、小さく呟く。

少しだけ俯いた顔からは表情というものが抜け落ちて、何を思っているのか窺えない。

だが何にしろ彼女の答えは一つだろう。拒む理由、拒めるだけの言い訳など何処にも無いのだ。

自信満々にそう思った。

 

なのに。

 

 

「――キス、初めてです」

 

 

可憐な花が綻んだ。

 

野に咲くような雑草(それ)ではない。まるで何か大輪の。誰もが知り得る最愛たるもの、国の象徴――国花とされるような。決して忘れられない美しさをそこに見た。

 

 

「え、あ、え」

 

だから、数瞬呆けた。

何を言われたのか、ちょっとだけ理解出来ずに固まってしまう。

そういえば兜してたからファーストキスまでは貰えなかったんだよね、とか頭の隅で考えていた。

 

ぱたりと衣擦れの音が聞こえて、気が付けば俺の目の前には恥じらいの混じった表情で裸の上半身を日差しに晒したエンリが、掴まれていない側の手をこちらへと伸ばして微笑んだ。

 

「もう汚れてしまっていますけど……。その、精一杯、がんばりますね」

 

???

えーと、うん。その。

 

ちんこ入れてから考えれば良っか!

 

 

 

 

エンリ・エモットは癒えぬ傷を抱えたままに生きていた。

 

村が襲われ、両親を殺され、心無い兵士達にその純潔さえも奪われた。

生き残った当時は命ある事さえ決して救いとは思えずに、むしろよりエンリを苦しませるために わざと生かされたのだろうとさえ嫌悪して。なのに自死を選ぶ事もまた出来なかった。

 

妹が、ネムが居る。

居なくなった両親に代わり、姉である私が守らなければ。

 

義務感だけで、度重なる不幸によって罅割れた心を必死に繕い、姉妹共々もはや両親の死を直視した時でさえ涙は無い。そんな有り様をこそきっと、人は絶望という名前を付けて呼ぶのだろう。

 

もはや全てが終わってしまった。

あとはもう、きっと死ぬまで、姉としての義務感に従いながら生きるだけ。

村の生存者は数少ない。何処かの誰かが御親切にも兵士達を追い払ってくれたようだが、カルネ村という共同体が満足に機能する事は二度と無かろう。一日でも早くこの地を捨てて、幼い妹のために最低限生きていけるだけの環境を整えなければならない。

何も持たない自分がまず最初に出来る事といえば――。

 

金を稼ぐための身売りだろうか。

 

そう思い至って、げたげた笑った。傍らのネムがそんな自分を見て泣いている事にも気付いていたが何も出来ない。こんな事では駄目なのに。姉として生きなければいけないのに。もうそれだけしか、エンリ・エモットには残っていないというのに!

 

この汚れた身体でそれでも正しく生きるには、何らかの言い訳が必要だった。

そのために最も都合が良く、最も死んだ両親や穢される前の自分が望みそうな事が、妹を幸せにする事だった。

そうやって大切だった妹の存在を利用しなければ、自分はきっと動けない。

奪われて、穢されて、何処かの誰かの思い通りに終わってしまう。

それだけは何故か、許せない。そんな無意識の本能が叫ぶまま、壊れた人形のように身体だけを動かしていた。

 

けれど。

己が何も失ってはいないのだと、あの御方に教えられてしまった。

 

死人が生き返っただけだ。それが如何程の奇跡であろうと、傷付いた過去は決して消えない。

なのに、壊れた心が涙を流す。傷の痛む身体が歓喜に震えて止まらなかった。

皆が同胞との再会に喜びの涙を流す中。真っ白な日差しの向こうで微笑む姿に、終わった筈のエンリ・エモットは己の中の神を見た。

 

期待してしまう。夢を見てしまう。世界は未だ眩く輝いているのだと、無垢な子供のように信じてしまう。

信じたいのに、罅は消えない。あの時からずっと悲鳴を上げ続ける見えない自分を抱えたままで、心の何処かが彼を疑おうと怒声を上げる。信じているのに、信じ切れない。歪な精神の不均衡が己を追い詰めていくのを自覚していた。

発狂寸前。だけど自分の心などより、あの日の輝きを裏切る事に耐えられない。

 

ああなんと罪深い。私は死ぬべき人間だ。

恩知らずのエンリ・エモットを排して、少しでも彼の御方の世界を綺麗にしよう。

 

だから汚い現実を、致死に至るほどの不敬と知りつつ吐き出したのに。

消えきらず染み付いた絶望と苦痛に震える心を繋ぎ止めるかのように、強くその手で握られた。

 

そのまま、唇を奪われる。

 

――いや。奪った、という表現は正しくない。そっと野の花の花弁を慈しむような、互いの感触さえ定かではない余りにも淡過ぎる口付けだった。性の臭いがしない、体ではなく心に触れるためのキス。

呼吸が止まる。視線が定まらない。何をされたのか正しく理解出来ないまま、頭の中がぐちゃぐちゃと回る。

 

村の恩人だと? そんな事は正気を失くした物狂いにだって否定できない当然の事実。誰に言われるまでもなく、一生忘れ得ないだろうエンリ・エモットの宝物だ。

恩に着せた上で女に迫るような物言いさえ白々しい。こちらを捕まえる彼の右手が震えている事に気付いていないと思っているのか。

そんな、まるで異性を知らない初心な少年のように頼り無い有り様で、一つ一つ噛んで含めるように説明されれば、馬鹿な村娘にだって貴方様の考えている事が理解出来る。

 

じりじりと、先程触れられた唇が熱を持つ。

初めての口付けだった。

欲に塗れた獣の交感ではなく、理性ある人間の営みの一つ。そこに紛れも無い愛を感じた。

 

ああ。ああ。ああ!

神様。わたしのかみさま。なんとお優しい、慈悲の君よ。こんな私を、愛してくださるのですか。

 

既に穢されてしまった裸体を晒し、わざとらしく言葉を捻る。

汚れている、貴方に捧げるには相応しくないものなのだと。その大いなる愛で否定して頂くためにこそ口を開いた私は、ずるい女だ。

だけどもう一度だけ、あの日の歓びを賜りたい。

 

ソレさえあれば、きっと私は()にだってなれるだろうから。

 

 

 

 

日差しの中でエンリたんの乳を揉む。

 

太陽は中天へと差し掛かり、日に焼かれた程よい大きさの柔肉が俺の手の平に熱を伝えて じわりと染み出す汗で湿った。

じりじりとした熱を持つ、少女の乳房。それをゆっくりと揉み込んで、指先が軽く乳首に触れればエンリの身体が ひくりと震える。

お互いに、息が荒い。汗が流れる。俺以上に、目の前の彼女の方が興奮しているように錯覚した。

 

「あ、んっ」

 

向き合って立つ少女の顔に首を伸ばせば、察したように目蓋が閉じる。唇を合わせて舌を入れれば、恐る恐るとエンリも応えた。ちょっと強めの鼻息が顔に当たってくるのが地味に気になる。

小さな水音が耳に届き、口内が互いの熱気で息苦しい。

 

胸を揉んでいた手を下ろし、未だスカートに隠れる下半身をいやらしく撫でた。

日々の労働によって引き締まった村娘の身体。揉めば分かる。こいつは、良い尻をしている。

布地ごと握り締めるように強く尻の肉を掴めば、その度にエンリがびくびくと震える。震える度に絡め合う舌が動きを止めるので、抗議するためにも舌を吸う。

 

この時点で、俺は甘やかに勃起していた。パンツもちょっと濡れている。

太陽の下での野外セックス。それも無理矢理ヤったあの時とは違い、エンリの側にもある程度の積極性が見て取れる。二種ある行為のギャップが良い。すんすん鼻を鳴らして酸素を確保しながら健気に舌を動かす少女の有り様は()く善く そそるものがあった。

 

「帝国の兵士にも、こうやって胸を揉まれたのか」

「いっ、いえ。あの男は乱暴でっ、こんな、に気持ち良くは」

 

意地悪く訊けば素直に答える。

エンリの返答にニヤニヤと笑う。そうか乱暴だったのか、と。それもまた俺だったのだが内緒の話。今が気持ち良いと言われれば俺も嬉しい。

思わず堅くなった股間を押し当て ぐりぐりと動かせば、エンリの腰がその度に跳ねる。

正面にある女のこめかみから、一筋の汗が落ちて線を引くのが見えた。

 

熱い。

 

このままじっくり前戯を続けても良いのだが、ほぼ十日ぶりのエンリのまんこだ、さっさと入れたい。そして吐き出したい。俺のムスコもそう言っている。

 

股間の導きに従い、尻を揉みながらスカートを脱がす。脱が、……脱げない。スカートの上部、腰の辺りを弄り回すがそもそもどんな構造なのか全く知らないので、何処を動かせば脱げるのか分からなかった。下に引き下ろせば良いのだろうか。手を止めたまま困っていると、焦った様子のエンリが自分で脱ぎ出す。

 

服の一枚も脱がせない自分の情けなさに、ちょっとばかり泣きそうになった。ナザリックに帰ったら服飾系スキルを持つNPCに教えを請う事を心に誓う。

 

何時か見たような味気無い下着を、今度こそ俺自身の手で引き下ろせば、そこには懐かしの村娘まんこが細く銀の糸を引いて待っていた。

濡れてる、と思わず口に出せば、エンリの可愛い顔がかあ、と赤く染まって見えた。

一丁前に恥ずかしがるとは愛い奴めっ、ちんぽ挿れてやる。

 

ぐっ、と全身で少女の身体を抱き締めて、見えないように脱いだ下からちんぽを取り出す。熱くなった己が分身をエンリの性器、太腿に押し当てて軽くその熱を伝えれば嫌がるように身を捩った。やはり経験から、性行に忌避感があるのだろう。だが止めない。お互いが立ったままの姿勢で何度か腰を動かして、はしたなくも愛液を垂らす使用済みまんこに自慢の一物を侵入させる。

 

「入るぞ、エンリ」

「は、はぅ――」

 

そこは、前よりも ほぐれている気がした。

徐々に深く入り込む感触に身体を震わせ、亡羊とした視線で天を仰ぐエンリの唇を食べてしまうかのように、ゆっくりとキスして中の唾液を吸い上げる。

そうすると、やがてエンリも舌と唇で応えだす。閉じた目蓋から涙を流しながら、赤ん坊のように こちらを吸った。

 

その間にも、俺は腰を動かして彼女を味わう。

浴びた日差しで上がった体温で、中の熱さも増している。未だ固さを残した膣の肉襞を細かく解して、途中一度だけ性欲を吐き出し腰を振る。

骨盤の形を撫でて汗の浮いた尻を揉み、ちょっとした悪戯心で尻の穴を指で撫でると一際大きくエンリが跳ねた。跳ねた動きが再度の射精を促すが、余り早いと侮られそうなのでスキルで耐える。

俺は恩を盾にしてセックスしている最中なのだ。この場の優位だけは譲れない。

 

腕を回して彼女の身体を抱え上げ、近くに聳える樹木に近付く。

おかしな格好で抱えられたエンリが、不規則に揺れる視界に恐怖を覚えたのか俺に抱きついて己を支える。そのままモノが抜けないよう慎重に互いの身体をずらして、木の幹に彼女が両手をつく体勢をようやく作れた。

 

そう、――立ちバックだ。

 

一度やってみたかった。ナーベ相手には床に伏せる形でしたのだが、野外で周りに木々があるとなれば誰だってやってみたくなる筈。ヤって見たくなる筈だ。

目の前にあるエンリの背中に幾筋もの汗が滴り、日差しを反射してキラキラと輝く。

 

それを、舌で舐め上げた。

 

土に塗れて生きる村人の身体だが、汚いとか不衛生とかどうでも良い。やりたくなったからヤる、それが俺だ。

背を舐めながら腰を振る。もう我慢は無い。このまま何度だって、射精する。

 

「あっ、ぁああ――ッッ!!!!」

 

己の身体を好き放題に扱われる嫌悪感からか、強く、甲高い声でエンリが叫んだ。

激情に伴いエンリの膣肉が収縮し、互いの性器が抱き締め合うように密着する。

 

横から首を伸ばして覗き込めば、少女が目を見開いて泣いていた。

感情を剥き出しにした声を上げ、股座を突き上げられる度に栗色の髪と涙が荒々しく宙を舞う。

俺もまた、飾らない彼女の姿に興奮が増して腰を振る速度を加速させた。

何度も何度も背中を舐めて。痕を付けるような強い口付けを落としては、淫らに音を鳴らしてエンリに聞かせる。

ああ、もう限界だ。

 

「出す、ぞエンリっ。中にっ! 全部!!!」

「はいっ! はいっ、出し、出してくださいっ!! おねがいしますっ。私に、貴方の――っ」

 

腰から離した両腕で背後から少女の身体を抱き締めて、押し付けた腰から弾けるように射精した。

 

ふーふー息を吐いて、震えるように腰を振っては押し付ける。精巣に貯蔵されたものを全部吐き出すために幾度も繰り返し腰を揺すって、その度にエンリの尻の肉が音を鳴らした。

もう出ない、という所で腰を止めると、お互いの荒れた呼吸だけが森の一角に広がった。

抱き締めた上半身、大量の汗に濡れそぼつ肌の柔らかさを堪能しながら、軽く乳を揉んで息を整える。

 

ああ、と感極まったような吐息が漏れた。

 

抱き締めた腕の中、汗だくのエンリが首を巡らせこちらを見つめた。

滂沱たる涙を流しながら、震える声音で俺を呼ぶ。

 

「かみさま――」

 

んん?

……ごめん、何だって????




エンリの はおうのきざし!
とくこうが ぐーんと あがった!

※副題「未来の覇王に捕食される話」


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第七話 ルプーと汗だく獣ックスする話

『わたし、ここで帝国の兵士に強姦されたんです』

 

想い人の声が木霊する。

 

『キス、初めてです』

『精一杯、がんばりますね』

『あ、んっ』

『あの男は乱暴でっ、こんな、に気持ち良くは』

『おねがいしますっ。私に、貴方の――』

 

これは罰だ。

 

一番大変な時にその場に居合わせる事も出来ず、挙句の果てに偶然とは言え、誰にも知られたくないだろう彼女の秘密を、盗み聞きに近い形で知ってしまった自分への、罰だ。

 

先のアンデッド事件における恩人を護衛として雇い、馴染みの村へ訪れた際の出来事。

帝国の兵士に襲われたけれど奇跡的に犠牲者も無く解決した、という夢みたいな言葉を鵜呑みにして。良かったね、と笑って口にした愚かな男。

 

僕は、――ンフィーレア・バレアレは大馬鹿野郎だ。

 

女性にとって最低最悪の傷痕を抱えていた彼女に対して その内心を察する事も出来ずに、何が「良かった」だ。

だから毎夜こんなものを目にして呻く。

 

ずっと好きだった想い人が、決して勝てない恩人とまぐわう夢。

あんなに嬉しそうに、心の底から求め合う姿なんて見たくなかった。なのに、いつもこの夢は最後まで決して止まらないのだ。

内容だって憶えてしまった。

次はキスをする。次は体位を変えて。次は。次は。次は。

 

胸が痛い。吐き気がする。身体の中身が丸ごと毒薬にでも変えられたみたいな不快感。

 

ああ、でも、ようやく終わりがやって来た。

起きたら、また下着の洗濯を、しない、と――。

 

 

 

 

歩き慣れたナザリックの廊下をとぼとぼ歩く。

掃除中の一般メイドが俺に気付いて御辞儀するのをあしらいながら考えるのは、先日カルネ村でお礼ックスをさせたエンリの事だ。

 

上手く言えない、のだが。何か、こう、変な事になっている気がする。気のせいかもしれないけど。

 

脅しが効き過ぎたのだろうか。

あの時の俺は実に悪い男だった。それが純朴な村娘を心底怯えさせてしまったに違いない。

追い詰めすぎたのかと不安になって精神系状態異常に高い耐性効果を持つアクセサリーを装備させたが、あれに意味があったのかどうかも不明瞭。一応そのまま装備させておいたけど、これ今後もカルネ村行って様子見ないと駄目な奴だ……。

 

ああ、どうしてこうなった。

俺は彼女を破滅させたかった わけではない。ただ、エロい事がしたかっただけなんだ。

セックス自体は気持ち良かった。でもなんかモニョる。気持ちがすっきりしていない。

 

溜息一つ。

 

うだうだ考えても仕方が無い。罪滅ぼしも兼ねて、カルネ村には何らかの援助を行おう。援助を行って、それからもう一度改めてエンリにお礼ックスをしてもらうんだ。

俺は諦めんぞ、覇王! 必ずや、最高のお礼ックスをしてみせる!!

 

うらー、と気合を入れ直せば、丁度視界の向こう側から見知ったメイドがやって来るのが見えた。

 

黒の装束にエロい切れ込み(スリット)獣耳(ケモミミ)フードと赤い髪、褐色の肌に大きなおっぱい。

六連星(プレアデス)の一人、人狼(ワーウルフ)のルプスレギナ・ベータだ。

 

せっかくなので、片手を上げて声を掛ける。

 

「おーっす」

「これは、さば味噌さま」

 

両手を揃えて仰角30度、行儀良く御辞儀するルプスレギナ。

プライベートでの態度は結構軽いのだが、俺は上司なので丁寧なですます口調しか見た事が無い。

声を掛けはしたが特に用があるわけでもなく。褐色エロいなー、とか考えながら眺めていると、ふとルプスレギナの形の良い鼻が動いたのを、俺のレベル100ボディが視認した。

 

こう、スピスピと。

犬が匂いを嗅ぐような感じに。

 

うん?

 

「ちょっと待て今お前なにを嗅いだ」

「は――、も、っ申し訳ございません!!」

 

いや謝らなくて良い。犬系だからね、本能的なアレだろう。でも何を嗅いだ。俺か? 俺の匂いか?

ちょっと困る。ひょっとして、臭いのだろうか。こいつ仕事モードの真面目な顔の裏で「さば味噌さまって、なんか調理済みの魚介類みたいな臭いするっすよねー!」とか考えてて、空いた時間に姉妹とお喋りしたりしてるのか!?

 

やめろよ……、やめろよっお前!

 

「今日は朝風呂入ってないだけなんだよっ、違うんだ、ルプー!」

「おっ、お待ち下さい さば味噌さま! 私は断じて そのようなつもりはございません!」

「でも臭い嗅いだじゃん!!」

「それは、その」

 

どもるなよ。どもるなよ お前。

 

「くさい? 俺、くさい?」

「そのような事は決して! 決してございませんっ!! ご許可さえ頂けるならば、私はもっと御傍で」

「じゃあ何、何を嗅いだの。何を察知したの、ねえ」

「いえ、あの」

 

言い募る度に元気を無くしていくルプスレギナを見て、こちらも少しばかり勢いを落とす。

今の俺はナザリックにおける絶対支配者、単なる詰問も至高のパワハラと化してしまう。大声で怒鳴る度に泣きそうな顔をする褐色美人に内心興奮しながらも、泣かせたいわけではないのだ、と己の股間を叱咤する。

 

深呼吸をして心を落ち着けよう。俺は最っ高にクールな墳墓の主、挙動(キョド)ってる姿なんて相応しくないぜ!

Be Cool びーくーる。なんだか凄く面倒臭い絡み方をしてしまった。でも異性に臭い関係で文句言われるとさ、傷付くよね。ねえ、ウルベルトさん?

 

ナーちゃんの匂いが、と。

 

ルプスレギナの呟きが耳に届いた瞬間、俺は風となった。

肉付きの良い身体を両手で抱えて全力疾走。一番近い扉を半ば蹴り開けて そこに飛び込む。

 

部屋の中には掃除中の一般メイド。邪魔というわけではないが居合わせて貰っては少々困る。なので抱えたままの人狼娘を備え付けの寝台に放って、今度はお掃除メイドを抱えて部屋を出た。

床に立たせて肩に手を乗せ、真剣な声音でお願いする。

 

「ちょっと、ちょっとだけ此処を後回しにして欲しいんだ。お願いします何でもしますから!」

「は、はい。畏まりました、さば味噌さま」

 

絶賛混乱中の一般メイド。金髪ロングで超可愛い。しかし今の俺に、ねちっこいセクハラをしている暇は無い。なのでメイド服越しの細っこい肩を両手で揉み回すだけで我慢する。んんっ。ちょっと勃起したぞオイ!!

 

しかしこれで時間は稼げた。部屋に舞い戻り、ベッドの上で途方に暮れたような顔を見せるルプスレギナに覆い被さる程の勢いで顔を寄せる。

そのまま、低い声で囁いた。

 

「ナーちゃん? ナーちゃんって言った?」

「は、はひ。もうしわけ ごじゃいませんっすぅ……!」

 

ナーちゃん。ナーベ。ナーベラル・ガンマ。我が愛すべきポンコツメイド。

あいつの匂いがするのか、俺。凄い良い匂いしそう。――ではない。違う。そういう話じゃないだろう。

思わず己の肩口に鼻を押し付け匂いを嗅ぐが、自分の体臭なんて良く分からん。だが思い返せば異世界に転移して来て以降、俺が最も傍に置いていたのは美姫と呼ばれる冒険者ナーベだ。朝も昼も夕も夜もと、冒険者登録以後アイツにちんぽ しゃぶらせなかった日は一度も無い。思い出しただけで股間が膨らむ。

 

人狼の嗅覚で察知されるほど強く匂いが染み付くなんて、考えてみれば当然かもしれない。

 

言葉が出てこず、視線を落とす。白い布地に包まれた胸の膨らみが視界に映り、思わず唾を飲み込んだ。

視線を更に下方へと向かわせれば、腰元まで深く入ったスカートの切れ込み。部屋の照明に照らされた褐色の太腿が艶かしい。そっと手を伸ばして指先をそこに、直接肌に触れないよう細心の注意を払って忍び込ませた。

 

「ひぁ」

 

しまった、指が当たった。ミッション失敗。

囁くような女声(じょせい)が耳朶を撫で、小さな悲鳴に()を感じたせいで、今更ながらに至近距離から香るルプスレギナの体臭に意識を囚われた。深く吸い込む動きで鼻孔が膨らむ。

 

良い匂いするな、こいつ。

 

「良い匂いするな、こいつ」

「へぁう!?」

 

顔を上げれば、ルプスレギナと視線が合った。

潤んだような黄色い瞳が、俺の情欲を刺激する。なんて可愛い顔をするんだ、こいつは。

 

そうだ。口封じを、しなければ。

 

シャルティアとの公然としたセックス。ユリとの秘めたる おっぱい祭り。ナーベラル相手の口便器奉仕。

開き直ればナザリック・ハーレムだと喜べるが、今の俺にそこまでの糞度胸は存在しない。だから、バレるわけには いかないのだ。今はまだ、全ての関係を伏せていく時。

 

口封じだ。口封じをしなければ。

目の前の女の、薄く開いた唇を封じてやらなければならない。

 

は、ふ。と互いの吐息を閉じ込めた。

 

ゆっくりと閉じていくルプスレギナの両目に合わせて、俺もまた己の視界を閉ざし その柔らかさを堪能する。

駄犬、ドS、残虐超人。彼女に対する事前情報を全て捨てる。今の俺が考えるべきは、目の前で小さく震える女の子の事だけだ。

 

真っ暗に閉じた視界の中、スカートに忍ばせた手でルプスレギナの太腿を撫でる。すべっすべしてる。

そのまま奥へと進めれば、指先に薄く滑らかな下着が触れる。ぴく、ぴく、と細かく反応を返す人狼の娘の腰を空いた反対の腕で抱きすくめ、そのまま静かに柔らかいベッドの上へと押し倒した。

 

唇を離し、目蓋を開く。

熱い吐息を漏らしながら視線を絡めて、こちらを見上げるルプスレギナに小さく微笑む。

 

「抱くぞ、ルプー?」

 

ここで拒否されたら心が折れてた。

 

はい、と快活さとは無縁の声での返事を聞いた。

大きく膨らんだ胸に手の平を乗せて、優しく押し込むように幾度も手を沈ませて感触を楽しむ。

肩へ手を伸ばし軽く膨らんだ半袖(パフ・スリーブ)越しの身体つきを撫でて確かめると、そのまま手先を滑らせ二の腕の細さと肌の柔らかさを丁寧に味わう。袖口から軽く指を入れて奥の素肌を擽れば、小さく笑うルプスレギナが身を捩った。

 

そしてもう一度キスをする。

 

その間にスカートの切れ込みへと手を伸ばし、そのまま横へ大きく布を捲くった。

口を離して彼女の下半身を見下ろせば、辛うじて下着の見えない位置まで脚を晒した、大層いやらしい姿が俺の視線を出迎える。

これ絶対メイドの着るべき服じゃないよな。と実にセックスし易そうな服の構造に賞賛を送って、ギリギリ見えないスカートの奥へと手を入れた。するとすぐに、下着に触れる。

 

手触りの良い薄手の布地と、それを柔らかく盛り上げるルプスレギナの雌の肉。そこを揃えた四指でゆっくり擦った。

動かした手首が両足の内腿に当たり、それだけで股間が先走る。

指先には柔らかく、確かな熱を感じている。そのまま擦り続けていると先に俺の方が興奮を募らせてしまい、耐えるように、自分の顔を彼女のお腹の上に伏せた。

黒のメイド服から覗く腹部の衣服。素肌に程近い、白い生地。息を吐けば篭った熱が女の腹を温めて、ひくひくと反応する肉体と、更に頭上から聞こえるルプスレギナの声が俺の心を更に熱くする。

 

股座を擦り続けた指が熱くて、これでは下着の湿り気が増したかも分からない。両手を伸ばして見えない下着を引き摺り下ろし、辛抱出来ぬと頭をスカートの中に潜らせると、暗がりの中を口で啜った。

 

「ィ――っ!? 背っ、徳的ぃ」

 

何か叫んでいるようだが聞こえない。俺は今、ルプーのまんこを舐めるのに忙しいんだ。

 

柔らかく、舌触りも良く、その奥からは熱いものが溢れ出す。必死になって舐めしゃぶり、突き出した唇で何度も何度も強く啜り上げた。顔や鼻、顎先まで汁が飛び散って目を開けられなくなりながらも、夢中になって口淫を続ける。

 

少し強引にやり過ぎたかもしれない。痛くなかっただろうか、という心配は、頭を上げた先で蕩けたような貌を晒しながら笑うルプスレギナを見て解消された。

ふふふ、俺、結構こういうの上手いんじゃないだろうか。

 

はいとく、ナザリックてき、はいとくっす……、と意味の分からないうわ言を繰り返す雌犬の顔を見て自信を付ける。

 

衣服を緩めてちんぽを放り出し、ルプスレギナのスカートを完全に捲り上げると腰を屈めた。

褐色の女、その美味そうな腰付きは今ままでの経験に無いものだ。新鮮味がある。

ひどく瑞々しい肌の照りと、どろどろに濡れた まんこが俺を誘っている。両足ごと女の尻を抱え上げ、最後にもう一度だけ女陰を啜ると、口内で己の唾液と混ぜ合わせた大量の滴りを吐き出して潤滑油の補充を完了した。

 

震えながら声を漏らすルプスレギナを見下ろして、腰を掴んだまま互いの姿勢だけを変えて先端を添えると、躊躇いも無く一気に奥まで突き入れる。

 

「ぉぁあ――!」

 

呆けた彼女への警告など無い。挿入の衝撃で声を上げるルプスレギナを見下ろしながら、寝台の位置よりも高く持ち上げた女の尻に己の腰を勢い良く叩き付ける。

雫が飛び散り、鼓膜に強く響くような音が鳴った。

下半身を俺に抱えられた人狼の娘の、大きく開いたその口に幾らかの飛沫が落ちる。

 

視線が合った。だけど止まらない。止める気が無い。遠慮無く腰を振って彼女の中を堪能する。

 

が、少しばかり体勢が悪い。こちらはほぼ立ったまま、腰から下を抱えられたルプスレギナは体重の過半を持ち上げられた状態で、ろくに身体も動かせない。だから彼女の腰を掴む手を動かし、片脚だけを両手で抱える。寝転がった身体を捩じらせ、互いの下半身を十字に交差させた状態で行為を続行。

 

「は、ん、んあっ、あっ」

 

がくがくと揺れる身体、ルプスレギナが小刻みに声を上げる。喘ぎ声では、多分無い。だがそこに苦しさなどは見えず、喜んでいる、ような気がした。

けど、やっぱりこれもちょっと微妙だ。

無駄にアクロバティックな体位を試したが気に食わん。下半身では繋がったまま、ルプスレギナの全身をぐるりとひっくり返してうつ伏せに寝かせる。俺は上も脱いでその背に覆い被さると、ほぼ密着するような体勢で腰を振った。

 

相手の体温が伝わってくる。何度も強く押し付けた腰の、下腹部辺りにスカート越しの柔らかい尻が当たって非常に良い。腰を掴んだ両手から親指だけを伸ばして小さく尻を揉むと、ふんふん甘い声で鳴く雌犬の声が俺の耳朶を愛撫する。

 

だから出した。

 

流し込まれる白濁に反応して、ルプスレギナの膣内が俺の肉棒をより強く締め上げる。

うつ伏せたルプスレギナの身体と柔かなシーツの間へ腕を捩じ込んで、好き放題に揉み回す。衣服越しの感触がもどかしいが、背後から服を脱がす高等技能など俺には無い。辛うじて胸を隠す布だけは無理矢理引っ張る事で乳を放り出すが、今度は下着が邪魔だった。

ああ本当にもどかしい。だけど届きそうで届かないというのに興奮する。両手を暴れさせながら強く腰を押し付けもう一度、ルプスレギナの中に射精した。

 

「クソッいい乳しやがって。興奮するだろうがっ!」

 

口からは意味の分からない罵倒が飛び出す。謝れ、と理不尽な要求をしながら胸を揉み潰すと、言われた女が蕩けた声でごめんなさいっす! と素直に謝罪した。

言っている自分でさえ意味が分からない。だけど分からないまま、声を上げるだけで興奮が更に高ぶっていく。

 

びくり、とルプスレギナの全身が真っ直ぐに硬直し、それに合わせて急に膣が締め付けられた。その妙な動きに何の意味があったのかは分からないが、今の刺激が気持ち良かったのでもっと欲しくなって腰を振る速度を加速する。

 

「しゃば、さば味噌しゃまっ、わたっ、わたし! いま!!」

「ああ! 気持ち良いぞ、ルプー!!」

「は、……はひぃ!!!」

 

舌足らずな声が耳を犯す。真っ白なシーツに二人の汗が飛び散って染みを作り、それを更に増やしてみようと全身の動きを更に激しく変えていく。

出して、出して、出し尽くす。何度射精したかも分からなくなり、小休止のため、荒れた呼吸で弾むように動き続けるルプスレギナの身体を抱き締めて寝台の上に転がった。

 

数十分振りに見た彼女の顔は、口元の涎と、ちょっとだけ垂れた鼻水で濡れていた。

しょうがない奴だな、と苦笑しながら開けっ放しの口内に舌を入れて嘗め回す。やがて意識が戻ってきたのか、ちゅうちゅう音を立てながら俺の舌を吸いキスをしてくるルプスレギナが、どうにも可愛くて仕方が無い。

 

「ああ、最高だ……」

「さいこーっす……」

 

そう呟いて、小休止の筈が目蓋を閉じる。

やがて本格的に寝入ってしまう俺なのだが、難しい事は未来の自分に任せよう。

 

褐色美人は、良いものだ。

 

今日のところは、その事実だけで十分ではなかろうか――。



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第八話 王国の姫君を拉致強姦する話

王都リ・エスティーゼ上空。

球体型の飛行ゴーレムの背に立って、俺は王族の住まうロ・レンテ城を見下ろしていた。

 

目的は一つ、セックスだ。

標的は一人、ラナー王女だ。

 

――もうこの時点で胃が痛い。

 

ふうふう短く息を吐き、腹部を押さえて蹲る。

此処までの足として使った球体ゴーレムが、胴体各所をピカピカ光らせ俺を気遣ってくれるが効果は薄い。

だって、あのキチ姫様だ。正直逃げたい。ヤりたいけれど、ヤりたくない。

 

ラナー・なんとか・ヴァイセルなんとか。

リ・エスティーゼ王国の第三王女。黄金と称される慈愛に満ちた美貌の姫君というのが世間の評だが、その実態はアルベドやデミウルゴスに並ぶ知性を有した性格破綻者、精神の異形種。簡単に言ってしまえば ちょー頭の良いヤンデレだ。

実の兄にさえ化け物呼ばわりされるアンチクショウ。それが今回のターゲットである。

 

「……帰ろうかな」

 

弱気の虫が鳴いている。

戦闘能力だけで考えるなら、現地住民に何をされても問題無い。まして相手は肉体だけなら戦いと無縁の御姫様。バッと押し倒してズブッと挿れてピュッと出して逃げれば良いだけだ。

しかし幾度己の武力を確認しても、内心の不安は拭えなかった。

 

率直に言おう。精神が異形とか言われる奴を相手にして、精神的にマウント取れる気が全くしない。

俺のハートは繊細なのだ。具体的に言うとナザリック内に初体験のセックス・レポートが出回ったせいで半狂乱になってゴキブリ部屋に突撃した上で恐怖公の眷属相手に大量虐殺かますくらい。

 

ズブッと行った状態でなお冷たい視線を向けられてしまったら、俺の心が死んでしまう……!

 

だけど相手は金髪碧眼のリアル御姫様、エロ的に考えても希少属性のてんこ盛りである。ナザリック一のセックスモンスターを自称するこの俺に、アレに手を出さないという怠慢が許されるだろうか。

手を出したら些細な反撃で精神死を迎えるかもしれないが、出さないと負けた気になる。気持ちは大事だ。やる気が犯る気に変わるというのは、実に理に適った話だろう。

 

うじうじと悩みながら月を見上げる。とっても綺麗な満月だった。

それによって、ふとシャルティアを思い出す。月と言えば吸血鬼、吸血鬼といえば(うち)の子だ。

 

「シャルティア、俺に力を貸してくれ……」

 

思えば初日に手を出して、ユリに預けた伝言を除いて十日以上、ほとんど放置プレイしかしていない。あの性癖盛り盛り吸血鬼ならばそれさえ御褒美かもしれないが、これは全力で埋め合わせをしなければ「わたしとのことは遊びだったでありんすか……?」とか哀しそうな顔で言われて俺が血を吐く羽目になる。というか、想像しただけで心臓が痛いくらいの衝撃を受けた。やばい。

 

一国の王女相手に夜這いックスとかやってる場合じゃねえぞ!!

 

帰らなければ。

俺はもうちょっと、身近な相手をこそ大事にするべきだ。というわけで、やはりラナーは無い。クライム君と末永くお幸せにねっ!

 

「行くぞゴーレムくん!!!!!!」

『ごっ!』

 

俺の呼び掛けに答えて、球体型ゴーレムが再度不規則な光を放つ。

宙を滑るように王城へ向けて疾走する。そう、目指す先は、――ラナー王女の私室である。

 

違う、そっちじゃない。

 

やめやめろ。行くぞと言ったが方向が逆だ。俺は墳墓に帰るんだ。シャルティアに真っ白なウエディングドレス着せてのコスプレイで数日振りのラブラブックスをするんだ!

そっちに居るのは胸パッド入り銀髪吸血鬼ではない、原作アルベドと並ぶ接触禁忌(アンタッチャブル)

だから止まれ止まってお願いします。無理無理ぜったい無理だってば! アレ相手に俺が精神的優位(マウント)取れると思ってるのか!? いいのか、酷い事になるぞ? 俺の心がな!!!

 

ああああああああああああ。

 

「助けてモモン様――っ!!!」

 

轟音。

 

王城を揺るがすほどの衝撃が都市内に響き渡り、俺は国の中枢へと踏み込んだ。

分厚い城壁を見事貫通したゴーレムが巨体そのままに大穴を開けて、大量の土煙の中で誇らしげにピカピカ光る。

 

「おのれ、るし★ふぁー。絶対に許さんぞ貴様ァ――ッ!」

 

おそらく多分、俺の言葉不足が原因なのだが。

今はもう居ない製作者に毒を吐き、全身を白く染める埃を払う。

へばり付くように掴まっていたゴーレムから床へと降りて、惨状としか言えない有り様を晒す王女の私室を視線でぐるりと見渡すと――。

 

身体の半分をグシャグシャにへし折られた少女が其処に居た。

 

「うぎゃあああああ――っ!!!!!?」

 

己の目にしたモノが何かを理解し、頭を抱えて絶叫する。

全身の各所から血を噴き出しながら、暗い瞳で俺を真っ直ぐに見つめるラナー王女が、瓦礫に埋もれるような形で倒れていた。

 

余りにも瀕死過ぎる。死んでいないのは単に運が良かっただけだ。

いや、むしろ暗闇の中でさえはっきり分かるほど明確に手足の折れ曲がった身体を見れば、痛みでショック死してもおかしくない。どちらが良いかは人によるだろう。俺ならどっちも御免であるが。

 

アイテムボックスから最上級の治癒薬(ポーション)を取り出し、治療が間に合わず死んだ場合も考慮して、蘇生の短杖を一緒に掴む。

相変わらず真っ直ぐこちらを見つめているラナーだが、俺をそんな目で見ても無駄なのだ。

だってお前のそれって偶にアルベドが向ける視線と一緒だし。……あれっ、俺って実は結構ピンチ?

 

過ぎった不安に首を振る。このままだと目の前の重傷者が死んでしまう。俺は彼女をレイプしに来たんだ。処女のまま死なせるなど男の名折れ。即座に治療をしなければ。

傍らに膝を突き治癒薬を、ぶっかけようとした所で声が掛かる。

 

「――こんばんわ。良い夜ですね」

 

輝きの欠けた瞳のままで、ラナー王女が薄っすらと笑った。

 

やべえぞコイツ。全然痛そうに見えない。

 

頭のおかしい奴だと知ってはいたが、身体中血塗れで一部除いて全損状態なのに声が微塵も震えていない。我慢強いとかいう域を超えている。胴体に穴が開いているのに、内臓潰れても普通に喋れるなんて人間の身体構造では有り得ないだろう。

それこそ運良く必要な器官だけが無事だったのか、あるいは一瞬の判断で不要な箇所のみで怪我を抑えた、とか。

 

要するにこいつがキモい奴なだけなので、考えても仕方ないんだけどね。

 

言葉に答える余裕は無い。このままだと本当に死んでしまうのだ、と慌てて動いた。

だばだばと治癒薬を頭から浴びせる。見る間に治っていく自分の身体を、感情の見えない視線でラナー王女が観察していた。ううむ、どんな事を考えているのか全く知りたくならないな。

 

「ラナー様!!!!!」

 

瓦礫で封鎖された扉の向こうから、血に濡れた彼女の名を呼ぶ男の声が聞こえた。

す、とそちらへ目を向けたラナーは何も言わずに、すぐさま俺へと視線を戻す。

何を考えているのか分からない。

 

おい愛しのクライム君だぞ。多分だけど。会った事も無い相手を声で判断するとか俺に出来るわけがないし。

しかし俄かに騒がしくなってきた。これだけの惨状なのだから当然なのだが、もう夜這いックスとか言ってられる状況じゃないな。

かぁーっ! 仕方無ーなーっ! ヤりたいけどなー! ナザリックの皆のためにも捕まるわけにはいかないもんなー!!

 

よし、逃げよう。

 

即時判断して治癒薬の空き瓶をアイテムボックスに放り込み、結局使わなかった蘇生の短杖も仕舞い込もうとした所で、またもラナーの声が掛かる。

 

「扉の向こうの、あの子も一緒に連れて行って頂けませんか?」

 

そう言って、俺の頬を傷の癒えた手で撫でる。

何言ってんだコイツ、と思ったが、柔らかい手の感触でふと気が付いた。

 

――俺、顔隠して無いじゃん。

 

リ・エスティーゼ王城襲撃犯。犯人は宙を舞うイケメンか!?

 

そんな言葉が脳裏を過ぎり、素顔を晒した間抜け(じぶん)を罵る。現実に国際指名手配されたとしても、ナザリックの総力をもってすればどうにでもなる。しかし、それはつまり俺の所業をNPC(あいつら)に暴露するという事だ。

 

『デミえも~ん! 王女様に夜這いックスしに行ったら、城壁壊した上で顔バレしちゃったよ!』

『万事私共にお任せください さば味噌さま!』

 

いかん。

あの阿呆共は張り切るだろうが、俺の自尊心がマッハでヤバイ。

 

情報の漏洩は、それすなわち俺の精神への大ダメージを意味するのだ。第二次ナザリック事変の幕開けである。

謀ったなラナー、と他者に責任を押し付ける事も出来ない。完全に俺が悪い。あるいはゴーレム。

 

「おれはっ、」

 

至高の脳細胞が唸りを上げる。

選択肢は多くない。最低限、目の前の女だけはどうにかしなければ。

しかし俺は魔法の一つも使えない脳筋職だ。今までのセックスだって全部小道具(アイテム)頼りのプレイが多い。ぶっ殺す事にかけては随一だが、それ以外ではちょっとだけ不器用だった。ちょっとだけね。

 

記憶を操るような都合の良過ぎる道具は無く、有ったとしてもすぐさま取り出せるほどの覚えは無い。そして今の俺に頼れる相手は誰も居ない。常に単独でレイプしていた弊害である。

それでも、動かねばならない。

時間は待ってはくれないもので。俺には一つの使命があった。

 

「俺は、セックスがしたいだけなのに――!」

 

自分の頬をむにむにしながら、こちらを見上げるラナー王女。

その顔が、何言ってんだコイツ、と言った気がした。

 

 

 

 

――この男は化け物だ。

 

腐敗した弱小国家とはいえ、国の中枢たる王城に真っ向から攻め入る、常軌を逸したその行動。

想像さえした事の無い詳細不明の巨大なゴーレムを操り、城の壁面をああも容易く粉砕し、重傷によってもはや死を待つしかなかった私の肉体を瞬く間に癒した道具の数々。

自分が、実の兄にさえ化け物と呼ばれる黄金の思考が、思い描く事さえしなかった複数の事象。

 

それらは、まさしく神話の域にある。

 

貴族の派閥。八本指。バハルス帝国。あるいはスレイン法国。各種大小の秘密結社。

可能性を列挙しても正答は無い。これだけの大事を為せるのならば、もっと別の方向で発揮するのが暴力の真価だ。

 

王国の第三王女を襲って何の利益が生まれるだろう。

だって、殺害するよりも取り込んだ方が利益は大きい。貴族の派閥が発端ならば、何れかの家に降嫁させるという手段こそが常道だ。そもそも王城を破壊するなど意味不明な上に派手過ぎる。国を騒がせて得をするなら他国だろうけれど、繰り返すがこれだけの力があればもっと別の、いわゆる賢い手段というものが無数にあるのだ。

 

利益の追求をせざるを得ない組織的な犯行ではないだろう。では個人か、他の何かか。考えた所で理解出来ない。思考を一旦全て放棄。――否。放棄する前に、もう一度思考を僅かに戻す。

理解出来ない。

そう、つまり、己の常識を超えている。考えた所で分からない、そういうモノとして判断しよう。

 

目の前の男は疑いようの無い化け物だ。

黄金と称されるような美貌はあるが、たかが女一人との性交(セックス)目当てで王城の一角に大穴を開けるなど、力も異常だが発想が異次元過ぎて正気じゃない。賢者や愚者あるいは英雄と呼ばれるような、知り得る現実の延長線上を、尋常の域を超えていた。

 

しかしこれは一つの好機でもある。

 

ガゼフ・ストロノーフ戦士長および麾下戦士団の失踪から始まり、今や宮廷内の政治的均衡は完全に崩れた。

レエブン侯の奮闘虚しく、次の帝国との小競り合いが終われば順当に貴族派閥の勝利が決する。

 

むしろそこまで時間をかけて軟着陸する目処を立てた事こそ褒められるべきだが、その先に王国の未来は無い。此度の王城襲撃はリ・エスティーゼの国名と歴史に決して癒えぬ傷を遺すだろうが、語るべき歴史など、早ければ数年以内にも終わりを迎える。

民の声望を大きく集める黄金の姫がこうも公然と誘拐されれば、内外を問わず、国体への圧力は否応なしに暴走し、王国の滅びは目前だ。

 

ラナー・ティエール・シャルドロン・ライル・ヴァイセルフにとって、祖国の未来などどうでも良かった。

たった一つ大切なクライムも、今は別室。共に攫われた先、山腹に設けられたこの屋敷の一角で眠っている。

国は滅ぶ。余計な(しがらみ)は必要無い。姫でなくなった悲劇の少女と、そんな自分を守る一人の男。二人が寄り添い合う望んだ未来は、もはや手の届く位置にある。

 

この化け物の、おおよその性情は理解した。彼は力も思考も常軌を逸した生粋の怪物だが、だからこそ言葉に嘘が無い。比較も出来ない圧倒的な格下相手に、上位者が嘘を付く必要などどこにも無いのだから。

 

失敗すれば全てを失う。己が全霊をもって、この状況を望む方向へと動かしてみせる。

貞操を差し出す程度で輝かしい未来を手にする事が叶うのならば、真綿で首を絞められ続ける王女の立場などより余程素晴らしい窮地ではないか。妊娠等の懸念はあるが、遠い未来まで見通してしまえば些細な事だ。むしろより一層クライムを縛り付ける材料にだって出来るだろう。

だからやる。やらねばならない。他の選択肢は、自分で捨てた。

 

瓦礫に埋もれた私室の片隅で作り上げた無垢な乙女の貌を使って、あとは化け物の歓心を買うだけだ。千載一遇、二度とは訪れない絶対の好機。一生に一度の大舞台。

踊りきってみせよう。娼婦のように。奴隷のように。家畜(ペット)のようでも構わない。

 

私の世界にクライム以外は要らないのだから。

 

――そう思って、いた。

 

 

 

 

何故だか知らないけどラナー様がセックスして良いよ、って言うからセックスする。

 

迷いは捨てた! 今の俺はただ只管に腰を振る機械!! やることは簡単、穴に挿れて出すだけだ!!!

心の内で宣言すると、俺はラスボスへ向けて足を踏み出した。

 

手を伸ばして、擽るように黄金の髪を指で梳く。

首筋をなぞって軽く指で押し、肌の感触を味わった。

肩に手を置き、腰を手の平で撫でて、太腿から足先まで確かめる。

 

華奢な女の子だ。

 

中身はアレだが、頬を薄く朱に染めて恥らう様子からは、内面の異形っぷりは窺えない。

こいつは王国の御姫様。スタンダードな金髪美少女。キャベツ畑を信じる清らかな乙女だ。――そうやって自己暗示を繰り返しながら、ただ一心に少女らしい体付きを味わう事にのみ己を(やつ)す。

そうすると、僅かずつだが下腹部へと熱が下りていく。

 

首筋に鼻を押し付け匂いを嗅ぐと、怪我をした際の血の匂いが残っているのが分かる。そのつもりも無いのに強いた傷だ。ごめんよ、と小さく呻いて唇を押し付けた。ん、とラナーの口から声が漏れる。

空色のドレス越し、細い肢体を隅々まで味わい続ける。薄い膨らみに手を置いて、痛くないよう上下に摩ってはすぐに手を離す。細い。柔らかい。女の子の身体である。力で競えば決して俺に勝てない、弱々しい少女のものだ。

 

そう考えると興奮してきた。

 

「んっ、あぁ」

 

髪を撫でる度に、頬に触れる度に、首筋を舐める度に、胸を軽く擦る度に、ラナーの口から細く甘やかな声が聞こえる。こいつ、反応が逐一かわいい。声色に至るまで股間に響く。

 

まったくもって大した演技力だ。経験豊富な俺でなければ絶対に騙されていただろう。

だが敢えてここでは騙されてやる。だってその方が興奮するから。

マウント取る事は諦めた。俺がラナー様に勝てるわけないだろ!

 

ドレスの胸元を無理に引っ張れば、乳房を覆う補正(コルセット)付きの下着(ビスチェ)が姿を現す。それに、きゃっ、と恥ずかしがって思わず悲鳴を上げる様子まで愛らしい。愛らしいのだが、内面知ってると逆に萎える時もあるから、もうちょっと控えてくれないだろうか この処女。

下着から零れた乳の上部を指の腹でつついて、そのまま内側へと潜り込ませる。

誰も触った事の無い、王国の至宝。柔らかな感触と先端の突起を、手の平で確かめて呼吸を止める。己の下半身から先走ったものを感じて、不快感と同時に煮え立つような情欲を自覚した。

 

動きを止めたこちらを不思議そうな表情で見上げるラナーを寝台の上に転がして、ドレスのスカートを引き裂いた。

 

「きゃっ!」

 

王女の秘所を覆う下着と、ガーターベルトにストッキング。

それら全てが白一色で、成程、これを見立てた奴は分かっているなと関心する。

 

こいつは絶対処女だろう。

 

御姫様の貞操だ、未婚の身の上で奪われている事など想定できない。こっそりクライム君に逆レかましている可能性は除外したとして、挿入するならば準備をするのが当然だ。

だけど、もう我慢出来ない。

隠されたラナーの本性とか、上手なセックスの手順とか、そういうのは全部どうでも良くなった。

 

勃起している。

 

誰も触れられない筈の御姫様を、今、俺が好きにしている。直に胸を揉んでも抵抗の一つも無い。見た目だって最高水準だ。肉体をじっくり味わいたいのなら後でも出来る。今は一秒でも早く、ちんこ挿れて射精したい。中に出して、気持ち良くなりたかった。

 

「そんなっ、急に」

 

ただの演技、上っ面だけの抗議は聞かない。

乱暴に下着を引き下ろし、膝の上辺り、半端な位置で動きを止める。揃えた両脚を抱えて持ち上げ、晒された生尻と綺麗なまんこを軽くしゃぶって、取り出したちんこを突き立てた。

 

「――っ!」

 

苦痛に呻く両者の吐息。先端を突き入れようとしたが、本当に固い。だから無理矢理に押し込んだ。

腰を回して捩じり込むように挿入しながら、腕で抱きしめている王女の足の膝裏を舐めた。ストッキングごと口で吸い、無理に引き下ろして布地がくしゃくしゃになった下着に唾液が落ちる。変態染みた行為に興奮したせいで、まだカリ首まで入ってもいないのに一度目の射精を行った。

 

僅かに溢れる白濁の中に、更に強く腰を突き込む。

揺すって、押し込んで、僅かに引き抜き、その気持ち良さに呼吸が乱れる。

 

細い両脚に絡まる下着を力尽くで引き抜いた。

 

今までの人生で一度も無いだろう程、王女の両脚を大きく限界まで押し開く。軽くその腰を持ち上げて、仰向けに寝そべった彼女からよく見えるようにと、白濁と混じる僅かな()を、互いに繋がった性的な部位を、俺は笑って見せ付けて。

 

 

王女が泣いた。

 

 

「えっ」

 

輝きの消えた、異形の気配が瞳に宿る。

余りにも暗過ぎる視線が己の女性器を真っ直ぐに捉えて、表情は何も変わらないのに その両目から音も無く雫が二筋(ふたすじ)落ちた。

 

それを、少女は殊更ゆっくりと伸ばした指で拭い取る。

濡れた指先。小さく濡れたそこを目にして、ラナーは本当に不思議そうな顔で首を傾げた。

 

やがて。ああ、と得心したような吐息が漏れる。

 

「わたくしにも、()ったのですね」

 

そう言って小さく笑う。

多分、じゃない。絶対に、それは偽りの無い笑みだった。

 

己の大切な貞操(もの)を失くした事実を悲しむ、泣き笑いの表情だった。

 

 

絶叫する。

 

ほんの数秒間、俺は、屋敷中に響き渡るほどの大声を上げていた。

落差(ギャップ)が酷い。精神的にあらゆる人類を超越していた筈のラナー、そんな彼女に対する歪な信頼が一瞬で砕けた。人の心など持っていない化け物め、何をしてもコイツなら大丈夫だろう、傷付く事なんて有り得ないんだ。そういう身勝手な俺の考えが目の前で完全に否定された。

 

そして叫びながら射精した。身体は素直だ。死にたくなる。

 

 

「どうして貴方が泣くのですか」

 

よしよし、と頭を撫でられる。

泣いていた筈のラナーに慰められた。これが俺を懐柔するための策略かどうかも、今はちょっと考えられない。衝撃を受けたが泣いてはいない、と否定してみたが目元を軽く拭われて口を噤んだ。

 

悲しかったわけでない。ただ、気構えが出来ていなくて、想定外の事態に少しショックを受けただけだ。

心を踏み躙るような行為なら、エモット姉妹で散々楽しんだ。俺はレイプも楽しめる万能選手(ユーティリティー・プレイヤー)。これは、ただ単に事前通告の無い寝取られ系エロ漫画を読まされたような辛い心境に陥っただけであり、多分数日後には立ち直っている。

 

つもり(・・・)が無いのに傷付けたから落ち込んでしまっただけなのだ。

 

そう説明すれば、そうですか、とラナーが怖い目をしたまま頷いた。

話している最中も彼女の膣はぬるぬる動いて俺のちんこを刺激して、膣内への射精回数が増えていたりするのだが欠片も動じた様子が見えない。さっきの涙は何だったのだ。俺の胸の苦しみを返して欲しい。……自業自得だけど。

 

「改めまして、」

 

ん、と疑念を表せば、目の前の少女が笑って続ける。

 

「リ・エスティーゼ王国第三王女、ラナー・ティエール・シャルドロン・ライル・ヴァイセルフです」

 

よろしくお願いしますね、とラナーが笑った。

 

股座にちんこ入れたまま、告げる彼女の顔を見て。

やっぱりコイツが分からない、と俺は大きく顔を歪めるのであった。




リ・エスティーゼ王国崩壊の引き金を引く話。


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第九話 墳墓でロリが性を貪る話

スカートに隠れた互いの陰部が絡み合い、にちにちと(ぬる)い水音をたてていた。

 

黒い肘掛け椅子(アームチェア)の上に座り正面から向き合った体勢で、抱きしめ合いながら ゆさゆさと細かく腰を揺する。ああ、互いの足がどうにも邪魔だ。うまく位置が合わないせいで繋がった部分も深く入りきらずに、半端な快楽ばかりが蓄積していく。

 

それは焦れったいくらい小さな刺激だが、今の俺達には丁度良い。

 

「わたし、ずっと、ずっと、お会いしたか、ったで、ありんすぅっ」

「シャルティア……っ」

 

俺も会いたかったよシャルティア! ――なんて言おうとしたが、恥ずかしくて喉が詰まった。なので代わりに腰を振る。つ、伝わってるよね俺の気持ち?

 

久方ぶりの逢瀬のために、性欲を満たすよりも、相手により多く触れる事を重視した交合。

好き、好き、とその言葉ばかり繰り返しながらキスをする。これはシャルティアだけでなく俺も言っているので、人に見られたら赤面ものだ。

いや、ははは。そんなの居るわけ無いけどね?

 

ぬるぬると(ぬめ)りながら動くシャルティアのまんこが、俺の巨根(ビッグサン)を三分の一ほど包んで(しご)く。内側で掻き混ぜられる愛液は熱いのに、膣内の肉は不死者の体質ゆえに冷たいままだ。熱くて冷たい、不思議な快感が俺を襲う。

 

はう、と堪え切れずに腹の底から息を吐いた。

 

腰の動き自体は小さいが、中の動きは積極的だ。

気持ち良過ぎる。シャルティアの身体を正面から強く抱きすくめ、僅かでも内側の動きを止めようとするが、結局何も変えられぬままに射精した。それがちょっとだけ情けなくて、恥ずかしい。

 

「いいんでありんすよ。わらわの膣内(なか)に沢山出して構いんせん」

 

美しい吸血鬼が俺の耳元で妖しく囁く。

それだけで膨張した海綿体が軽く痙攣し、出し切れていなかった精液の残りがもう一度シャルティアの中に噴き出した。

射精の余韻に肩を震わせる俺を見て、潤んだ視線の少女がそっと口付けてきて また笑う。

 

いかん、いかんぞコレは。このままではまた騎上位ックスからのシャルティア優位。違うのだ、俺はもっと亭主関白な感じのセックスをしたいんだ。前回頼んだらしてくれたけど、それは何か違うだろう。俺が、上で、やりたいんだ。頼んでして貰うと単なるプレイじゃん!

どうにかして場の主導権を握りたい。そっ、とその頬に手を添えると、突然の攻勢に目を丸くしたシャルティアが照れ臭そうに微笑んで、俺からのキスを待つために目蓋を閉じた。

 

かわいい。結婚したい。

 

これは魔性だ。圧倒的な魔性を感じる。

初めての時はもっと乙女っぽかったのだが。回を増すごとに色気を増して、日が昇る頃には完全に逆転されていた過去の記憶が蘇る。あれは、同性相手の性経験値が俺に適用されたという事だろうか。しかし俺とてあの時のままの俺ではない。

 

思い出すのは此処に至るまでの性経験。

レイプ、セクハラ、レイプ、パワハラ、セックスパワハラレイプの連続。

――そうとも、俺はもうあの頃の初心な童貞などではない。だからシャルティアにも勝てる、勝てるのだ。

 

柔らかくて ひんやりとした女の子の唇の感触で幸せな気持ちになりながら、俺は決意を新たにするのだった。

 

「よし、次はバニーで頼むぞシャルティアー!」

「畏まりんしたっ、さば味噌さまン!」

 

貧乳バニーガールは良い、ぶかぶかの胸元とか凄く捲ってみたい。お前もそう思ったんだろう、ペロロンチーノ。

もう二度と会えないだろう友人の姿を胸に思い描きながら、俺はじっとシャルティアの衣装替えが終わるその時を待ち続けるのだった。

 

 

ぼくシャルティアちゃんと結婚すゆ……。

 

あの後たっぷり絞り取られた俺は、可愛い吸血姫を彼女の自室まで送り届けた後、ナザリック内の廊下をふらふらと歩きながら自身の願望を口から垂れ流していた。

自室への帰り道。わざわざ自分の足で歩かずともリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを使えば一瞬で目的地へと転移出来るのだが、俺はあの指輪をシャルティアの部屋に置いて来たので持っていなかった。

 

別に、うっかり忘れ物をした、とかではない。

ほら、あれだ。童貞卒業させて貰ってから長い間放置してしまったし、あくまでも彼女に対する御機嫌取りだ。別に指輪を贈るからといって一生ものの深い意味は無い、と念押しをさせて貰おう。

予備を含めて百個くらいあるアレも、一応は貴重品且つ特別な品だ。特にナザリックのシモベ達にとっては、至高の御方(ギルドメンバー)の証でもある。

実用品という点が気に掛かるが、贈り物としては悪くないのではなかろうか。原作でもやってたし?

 

喜んでくれるだろうか。喜んでくれたら良いのだが。俺があげたからと言って、そこまで心に響かなかった、という事も無い、筈。ちゃんと「好き」って言ってくれたから大丈夫だろう多分。

 

「いやいや、NPCの忠誠を信じろ。食堂で惚気ていた姿を思い出せ、俺!」

 

寝ている枕元に置いたのは失敗だったかもしれない。答えの分からない不安感でお腹が痛くなってきた。

うーうー呻きながら廊下を歩く。後でパンドラズ・アクターに予備(リング)を持って来て貰わないと、俺は今後一生ナザリック地下大墳墓を歩き回って移動する羽目に陥ってしまう。愛用の指輪をプレゼントする前に宝物殿へ足を運んで、貰っておけば良かったのだ。そっちはうっかりミスしたな、と溜息を吐く。

まあ至高のイケメンである俺とて偶には失敗もするだろう。先程までの懊悩を振り払って、空元気の笑顔を浮かべた。

 

「――まあっ。其処にいらっしゃるのは さば味噌さまではありませんか」

 

聞こえた声に、思わず姿勢を正してしまう。

 

俺の顎先辺りに、流れてもいない冷や汗を感じる。ゆっくりと声のする方向へ振り向けば、そこに立っていたのは当然ながら、見間違いようも無い一人の悪魔。

ナザリック地下大墳墓 守護者統括。

 

慈悲深き純白の悪魔(アルベド)が陰りの無い笑顔で俺の返事を待っていた。

 

「う、うす、アルベドさん」

「もうっ、またそのような言葉使いを……。貴方様はこのナザリックの主なのですから、シモベに対して(おもね)るような振る舞いはお控え下さい。私のこの物言いとて、本来ならば叱責なされて当然ですのに」

「はぃ、すみませぇん……」

 

黒髪美人に柔らかな口調で懇々(こんこん)と説教される、俺。紛れも無い至高の御方。

傍から見ると困った息子を窘めるお母さんみたいなアルベドだが、これに関しては俺が悪い。もっともっと偉そうにしなければ。その大っきなおっぱい二時間ぶっ続けで揉ませろよオラ! みたいな感じが理想だろうか。

でも言えない。そしてそれ以上に、「原作知ってるから お前の顔見ると思わず背筋が伸びるんだよ」とはとても言えない。こいつは悪くないのだ、本当に。ビッチだけど。

 

「そ、そういえば、マーレとは上手くやっているかっ?」

 

話題を変えるための発言に、思わず語尾が上擦った。

問われたアルベドは、しょうがないな、と言いたげな優しい顔で微笑むと、何時も通りの笑顔で俺に答える。

 

それは玉座の間に常駐していたNPCアルベドの笑顔だった。

 

「はい、勿論です。彼も私もこのナザリックで生まれた同胞、仲が良いのは当然です」

「そっかー。それは良かった。うん、良かった良かった」

 

冒険者として墳墓の外へと出る際に、アルベドへと面倒事を多数押し付けた事は未だ記憶に新しい。

NPCが自発的に褒美を欲しがる事など無いが、俺は前世から持ち込んだ先入観のせいでアルベドが少し怖かった。なので少しでも好感度を稼ごうと、御機嫌取りのためにショタをビッチに押し付けたのだ。性的な意味で仲良くしてね! という気持ちを篭めて。

 

つまり既にあの女装ショタは非童貞。ぶくぶく茶釜もニッコリ(憤怒)である。

 

笑顔とは本来攻撃的なもので……、とか考えながら うんうん頷く。タブラくんの設定(せい)でナザリック内がアルベドを中心とした乱交サークルと化す懸念はあった。無論、立場を弁えて何もしない可能性とて十分あるのだが、それでは逆に鬱屈を溜める事になり兼ねない。なので、俺が直に生贄(マーレ)を下賜する事で、コレ使って適度に発散してね、という許可を与えたのだが。

 

この物言いだと、しっかり食べちゃったか。

そうか。ちょっと羨ましいな。

 

――俺にとって、アルベドは一際扱いの難しいNPCであった。

原作通りに『モモンガを愛している』と設定を書き換えた所で、愛する魔導王陛下はリアルの世界でリア充している、会える機会など二度と無い。押し付けられた設定に従い、捧げる相手も居ないのに想い続けるなど、控え目に言っても嫌がらせだ。

 

色々考えた結果、放置した。

 

これで何か起こったとしても、悪いのはタブラくんだ。俺は悪くない。

だって、俺は何もしてないんだからな! と言い張れる。

あのおっぱいとお尻は少し、けっこう、いやかなり惜しいが。でも俺って押しの強い人苦手なんだよね。俺が上でないと嫌だ。マウント取れない異性関係なんて何したら良いか分かんないし。

これで関わりの薄い現地人だったら一回限りと割り切って手を出したのだろうが、相手はナザリック所属の守護者統括、つまるところ身内である。余り酷い事をする気になれない。

 

さらばマーレ。お前の犠牲は忘れない。精々おねショタされて76年物の童貞(ショタちん)をしゃぶり尽くされるが良いさ!!

 

「ふふふ」

「くふふ……っ!」

 

何も問題は無い。完全論破。誰も傷付かない冴えた思考だ。

思わず笑みを浮かべると、何故かアルベドも含み笑いを くふくふ零す。何か良い事でもあったのかい???

 

「ところで、先立ってのカルネ村に対する支援のお話ですが」

「あ、うん」

 

そして何時も通り、包容力溢れる対応によって話の主題を切り替えられる。

 

今、カルネ村にはエンリ・エモットに対する謝罪の意をこっそりと篭めた幾らかの援助が、ナザリックのシモベ達によって行われており、その詳細に関しては統括の任に就くアルベドへ全権を委任されていた。

本音を言うならNPCに任せる事に対する多大な不安があるのだが、こいつらの脳味噌の出来に関してだけは信頼している。多少の行き違いが有ったとしても、食料と村の防護にさえ気を使っておけば あの田舎村には十分だろう。細かな調整は覇王の意向を汲んであげてね、とお願いもしている事だし。

 

俺は後ろ暗い面倒事を押し付ける事が出来てニッコリ。NPCも至高の御方から御仕事を貰えてニッコリ。カルネ村だって生活が豊かになるのならニッコリだ。誰も損をしていない。

 

ちなみに先日誘拐して来たラナーとクライムもカルネ村送りだ。

 

冒険者としても普通に素顔を晒して活動している都合上、王女誘拐拉致強姦、指名手配犯寸前の俺を知るラナーを、人情的には城に帰すべきなのだが、そうするわけには当然いかない。でも泣かせてしまった罪悪感はある。もうナザリックに引っ張り込むか、と頭を悩ませていた所で、当人の要望も有って、最終的にカルネ村で監視付きの生活を送らせる事と相成った。

クライムはラナーが誤魔化すらしい。悪魔的頭脳が光って唸る。

 

正直不安だ。信用出来ない。あの後も結局何度かセックスしていたが、奴が何を考えているかなんて俺の普通に優秀なだけの頭脳では想像も出来ない。念のため虎の子の八肢刀の暗殺蟲(エイトエッジ・アサシン)を就けておいたが、ちょくちょく様子を見るべきだろう。

 

そんな魔境カルネ村の現状に関して。

アルベドからは、何の問題もございません、と告げられた。

 

そっか、じゃあ大丈夫だな!

 

いやー良かった、これで肩の荷が下りたよ。

はははと笑えばアルベドも くふくふ笑って追従する。とろっとろに蕩けた視線が気遣うように俺の全身を舐め上げて、今日はもうお休みになられたらいかがでしょうか、なんて優しい言葉で二の腕を撫でられた。

 

うひゃん、と跳ねる。こいつの手、淫魔(サキュバス)だけあって柔っこいな。ちょっと勃起しそうになった。

シャルティアとの連戦直後でなければ危うかっただろう。だが今日の俺は清純派、絶対にシャルティア以外との浮気なんてしないっ。

 

「そういえば、」

 

――と。

自室へ向かうために踵を返した俺の背中に、アルベドからの問いが投げ掛けられた。

 

「しばらく前にアウラがシャルティアの元へと向かった筈ですが、鉢合わせ なされませんでしたか?」

 

????

いや、見てないよ!

 

 

 

 

ふつふつと短く吐息が弾ける。

己の両手をズボンの股座に伸ばしては躊躇い。解消されぬまま持て余した謎の衝動を、荒い呼吸の中で堪え忍ぶ。

 

「しゃるてぃあっ、さば味噌さま……っ」

 

幾度もまぐわう二人の姿を思い描いた。

考えてはいけない、と理性が言う。思い出す度に身の内の熱が増していくと知っているのに、肯定と否定、いずれであっても先の場面を意識するだけで、この目で見たものが己の脳裏に蘇る。

好き合う男女がそういった事をするというのは知っていた。しかしあくまで知識のみ。詳細など満足に知りもしない、漠然とした甘い幻想だけが己の思い描ける限界だった。いや、それももう、二時間ほど前までの話だ。

 

大切な友人が、大切な御方と繋がっていた。

 

好きだ好きだと繰り返す声。

シャルティアのスカートに隠れて細かに揺すられ、水音を立てる二人の腰元。

双方共に見知った相手で、己の中に決して軽くない比重を置く人達。

 

「んーっ、んーっ!」

 

持て余した衝動と情動が、閉じた口の奥から漏れ出した。

じわりと滲み出すナニカの熱に下着の中が酷い不快感を覚えて、堪え切れなくなった心が涙を零す。

どうしたら良いの、と胸中で呟いても答えは無い。お隠れになられた至高の御方は勿論、この場には特に任される仕事も無く暇を持て余した自分以外に誰も居ない。

 

本当はどうすれば良いのかを、心や頭ではなく己の身体だけが知っていた。

 

「さば味噌さま――!」

 

求める相手。一際強くその名を呼べば、全身がひくりと震えて下着が湿る。

結局一度も秘部(ソコ)へと触れぬまま、生まれて初めて果てた疲労で小さな身体が傾いた。

荒い息を吐きながら、ゆっくりと閉じていく視界の中で、アウラ・ベラ・フィオーラは理由の分からぬ罪悪感を抱えたまま意識を落とした。

 

――それを知る者は彼女自身を除いて、ただ一人の悪魔だけ。



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第十話 中二病患者と路地裏セックスする話

※当話、長文に御注意下さい。


最近のこの街には暗い雰囲気が漂っている、と全ての王都民は思っているだろう。

 

まず始めにガゼフ・ストロノーフ戦士長の失踪。ほぼ間違い無く死亡したと見做されている彼の不在から始まり、最も近く知られているのはやはり、夜間におけるロ・レンテ城への襲撃及び王女ラナーの誘拐だ。民衆からの多大な支持を得ていた二人の人物が連続して姿を消して、今や王都は火が消えたかのような静けさを得ている。

 

誰も彼も、民衆の顔が暗く沈んで見えてしまう。

王都内の活気もどこかしら陰り、炎天下の下でさえ聞こえてくる声が小さく思えた。

 

私、ラキュース・アルベイン・デイル・アインドラもまた、姿を消してしまった友人を想い、気落ちした心を奮い立たせるための熱意に欠けていた。

 

正体不明の何かがロ・レンテの城壁に大穴を開け、同時に王女も姿を消した。

部屋の中は瓦礫の山で、何者かの血痕が多量に残された状態だった、らしい。

それは死亡していると見做されるほどの出血量。王女のものだ、というのが大方の見解だ

完全なる同時期に行われた王女付きの兵士クライムの失踪から、彼が王女誘拐の幇助、あるいは実行を行ったのではと言われているが、その意見自体は何の意味も持たないものだ。

だって彼は只の孤児で、後ろ盾と呼べる人物も、居なくなったラナー王女ぐらいのもの。責任を追及すべき当のクライムは既に居らず、ならばと娘可愛さに出自の知れない孤児を引き立てる許可を与えた国王ランポッサ三世にこそ責があるのではとの意見すら飛び出た。

 

暴論だ。

 

誰でも良いから責任を押し付けてしまいたい、という貴族達(ひと)の弱さが目に見える。

しかし同時に、それは更なる王派閥の弱体化を目論んだための言い掛かりでもあった。

 

――かくして先の意見は罷り通った。通ってしまった。既に周知のものとして、王都内には先の噂が蔓延している。

こんな無茶な話が民の耳にさえ届いてしまうくらいに、今現在の宮廷政治は貴族派閥側にその天秤が傾いていた。

 

これ以上の詳しい内情はラキュースの耳に届いてこないが、きっと碌なものではないだろう。信頼する戦士長と愛娘、その二人を喪い失意にくれた、日に日に痩せ細るランポッサ王の姿が容易く思い描けるほどだ。

 

このまま貴族派閥が国の権勢を握ってしまえば、一体どうなってしまうのだろうか。

 

冒険者として如何に名を上げようと、打ち倒せるのは人に牙を向く魔物だけ。ラナーが居なくなった事で八本指への度重なる攻勢も止んでしまった。彼女からの情報と依頼が無ければ人間社会における悪と向き合う事さえ出来ない事実に、確固とした筈の己が揺らぐ。

政治への介入など叶わない。戦うべき敵さえ目に見えない。

明日をも知れぬという域には無くとも、王女誘拐を切欠として、王都を中心に広がり続ける民の嘆きが心を苛む。

 

国の壊れる音がする。

 

それが錯覚であって欲しいと、私は毎夜 月を見上げながら願ってやまない。

願うだけ、なんて。そんなものは、かつて憧れた冒険者の姿ではない筈なのに。

 

「ラナー……」

 

友人の名前を幾ら呼んでも、目の前の現実は変わらない。

暗い思考ばかりが次から次へと湧いてくる。これではいけない。一人で居ては、本当に心が折れてしまう。

早く仲間の下へ戻ろう。単独行動などするから嫌な考えに思考が囚われ暗くなるのだ。

強引に胸中の澱を否定して、意識して顔を上向けて。足を動かし宿へと向かう。

 

――私が彼と出会ったのは、そんな時の事だった。

 

 

「俺だ」

 

其処は既にして黄昏時。王都の薄闇、雑踏の中。

足首まで覆う黒い外套に身を包んだ美しい銀の髪を持つ青年が、長方形の何かを耳に当てて言葉を紡ぐ。

 

「どうやらアインズは俺達とやる気らしい……」

 

見れば耳元に添えた何かからは、円形の魔方陣が空中にはみ出す形で生じていた。

非常に精緻で目を引くソレは、常に回転しながら稼動し続け、耳に届く彼の物言いから推察するに、囁いた言葉を恐らくは何処か遠くへと届けているのだろう。伝言(メッセージ)の魔法の応用だろうか。

 

「ああ、わかってる。あいつなりの考えだな」

 

声が、酷く良く通る。まるで私の耳に直接届けているかのように。

 

そして気付いた。

周囲の雑踏。ラキュース以外の全ての人間が、これほど目立つ姿で大通りの中央に立っている彼の事を、一切注視していないではないか!

明らかにおかしい。だが動けない。圧倒的な存在感を醸し出す彼から、どうしても視線が離せなかった。

 

首を巡らせた彼の視線が、ゆっくりとこちらへ向けられる。

 

視線が絡んだ。

呼吸が止まる。

 

銀色の下には、目と鼻を覆う黒の仮面(ドミノマスク)。そこから覗く二つの瞳は赤と青の奇妙な、――否、神秘的に過ぎる虹彩異色(ヘテロクロミア)。揺らめく両眼の輝きは美しく、宝石のそれにも劣らない。

 

そして呟く。

 

 

「ラ・ヨダソウ・スティアーナ」

 

 

まるで意味の掴めない、しかし間違い無く強い意思が篭められた三節の呪文。

彼が告げて、右手が小さく動くと、手にした長方形の物体へと魔法陣が収束し、やがて消える。

 

そして、私に向けて歩き出した。

 

正面から向かい合うと、彼の姿がよく見える。

前を留めずに開かれた、風に揺れる外套の内側もまた黒一色。外套も含む全身、多数のベルトが衣服越しの肉体を締め付けて、まるで彼自身を拘束しているかのようだ。所々に輝く銀の鋲、揺れる細い鎖(チェーン)が薄闇の中で鋭く光を跳ね返す。

日常にそぐわない特徴的過ぎる装いなのに、誰もが彼を見ていない。気が付いているのは私一人。

まるで彼と私だけがこの終わった世界から浮かび上がっているかのようだった。

 

そして、そのまま通り過ぎた。

 

ちりちりと小さな金属音が耳朶を擽り、背後で足音が遠ざかっていく。

自分を見ている、と思った。自分を目指して歩いてくるのだ、と思ってしまった。なんて自意識過剰。恥ずかしくて思わず大きく膨らんだ己の胸を押さえてしまう。

 

抑えた片手に、胸の鼓動が強く響いた。

顔が熱い。きっと真っ赤に染まっているのだろう。

堪らなくなって己の背後に振り返るが、そこに求める姿は無かった。この世界から、彼という存在が忽然と消えてしまったかのよう。

 

「あなたは、いったい……」

 

呟く声は、届かない。

それでも。歯車が回るような金物の音が、私の耳奥をずっと揺らし続けていた。

何かが始まる。始まってしまう。そんな予感を、確かに覚えた。

 

 

 

 

「ラ・ヨダソウ・スティアーナ」

 

だってお!!!!

 

もう一度例の定型句を呟いて、俺は思わず噴き出した。堪え切れなくなって路地裏の壁をバンバン叩く。

仮面を外すと両目の色が元に戻って、使い捨ての染色アイテムで銀色に染め上げた頭髪を、片手で軽く掻き回す。路地裏の上空で鳥が かあかあ鳴いていた。

 

あー、イタイ。俺イタイ。今生において最も痛々しい姿を晒した自覚があるぞ。

だがこれも必要な事なのだ。途中から段々と楽しくなってきた気がしたけど、やりたくてやった わけではない。ないのだ!

これで第一段階は完了だ。あとはこの調子で運命の出会いを繰り返すだけ。

 

待っていろ、すぐに無垢なる白雪(ヴァージン・スノー)を着れない身体にしてやるぜえっ!

さあ、中二病患者(ラキュース)よ! 闇の炎に抱かれて消えろっ!!! (精一杯の口説き文句)

 

 

 

 

――それから、幾度も彼の姿を目撃した。

 

宿泊する宿の自室から見上げた夜空、高い尖塔の上に立つ、風に揺らめく黒の外套。

降りしきる雨の中で王城をじっと睨み付ける、秘めた憤怒を隠しきれない後ろ姿。

月を見上げて輝く銀髪、仮面で隠されたその切なげな横顔。彼が口にした世界の選択とは、一体。

 

路地裏から人の倒れるような音を聞き駆け付ければ、倒れ伏す一人の男と、全身を痣と傷痕に覆われた半死半生の女性を抱えた、何時も通りの、影が独りでに立ち上がったかのように真っ直ぐな背中。

 

「これも運命か、なんて。……ごめん、遅くなった」

 

まるで失敗した子供のような呟きに、胸を締め付けられる程の切なさを覚える。

だと言うのに私は、拷問染みた陰惨な傷痕を抱える女性に対し、義憤と哀れみ、そしてきっと、彼に宝物のように優しく抱き上げられている姿への羨望があった。

 

そこまでを意識してようやく、立ち尽くす私に彼が気付いて視線を向ける。

 

「お()――っ」

 

おまえ、というまるで飾り気の無い雑な呼び方に少し驚く。

貴族の生まれと、アダマンタイト級という最高位冒険者の立場。それゆえに仲間以外からはまず使われないだろう乱暴な、しかし先程の独り言と合わさって、男の子らしい言い方だな、と好意的なものさえ感じてしまう。

 

だが、私が何かを告げるだけの猶予は無かった。

舌打ちをした彼はすぐさま身を翻し、傷だらけの女性を抱えたまま行方をくらませる。

勿論 後を追いかけたが、一つ目の角を曲がった時点で完全に撒かれてしまった。忽然と消えたかのような、その余りの速さに仲間の双子以上ではないかとさえ考えてしまう。

 

「……私だって、治療の手伝いくらいなら出来たのに」

 

一人呟いて、それがまるで拗ねた子供のようだと恥ずかしくなる。

数日前まで表面を取り繕いながらも王都の現状に対する気落ちを隠しきれず、青の薔薇の皆からも心配されるくらいだったというのに、今はこんなにも生きた感情に満ちている。不謹慎だと己自身を戒めても、心だけは偽れない。

 

全て、彼に出会ったせいだった。

胸が高鳴る。仲間と共に街を歩く時も気付けば視線を巡らせて、彼の身に纏う黒を探してしまう。

まるで、まるで――恋をしているかのよう。

 

「ぅきゃーっ!!!」

 

まさか。まさかそんな。そんな馬鹿な。

確かに劇的な出会い、物語のような邂逅だったが。

考えれば考えるほど首から上に熱が集まって胸中の動揺が増していく。

 

そのまま、合流が遅いと探しに来た双子に発見されるまで、一人悶え続ける私であった。

 

 

 

 

ツアレ忘れてた。

 

彼女に関しては別に俺に何らかの責任があるわけでも無いのだが、順当に進めば助かっていた筈の人が気が付けば死んでしまう寸前だった、というのは若干ながら動揺するものがあった。

ごめーん遅れちゃった☆ と取って付けたような言い訳を口にしたが、その実態は単にド忘れしていただけである。ごめんツアレ、俺ってば堂々と嘘吐いたんだ。

 

ちなみに彼女の救世主になる予定だったセバスだが、今現在はナザリックとカルネ村を往復する日々を過ごしている。村の御婦人方からの熱い視線を浴びる姿に、男として嫉妬しなくもない。

いやっ、俺にだってシャルティアが居るもんね! 他にもパワハラ前提の秘密な関係だけど、ユリとナーベラルも。ルプスレギナは顔を合わせる度に視線が泳いで、微妙に避けられているような気もするが。

 

話を戻すがツアレの件だ。

と言っても、特に悩むほどの事でもない。身体の治療はナザリックのペストーニャに任せて、後はカルネ村送りで十分だろう。困ったらとりあえずカルネ村、面倒事はシモベに任せる。これが俺の知り得る至高の判断。

 

今の俺の最優先目標はラキュース。あの中二病患者を口説き落とす事なのだ。

 

ラキュースといえば中二病。人工的な銀髪オッドアイと全身黒尽くめも、全て彼女一人のために用意した伝説級(レジェンド)装備である。伝説級なのはレジェンドという響きが中二病っぽくてカッコイイから。

 

濁流の如き大量の中二設定を利用した騙されックス。――それが今回の目的だ。

 

この異世界では公的に認知されていない思春期特有の妄想体質、中二病。原作設定と合わせて、俺には彼女に対する圧倒的な情報の優位性(アドバンテージ)がある。つまり、マウントを取れる。

 

――そうだ。この姿の時の俺は大いなる光に導かれし闇の戦士。人知れず世界の裏側で運命と戦う美しき影!

 

カルネ村への支援を始めて、俺も少し開き直った。なので今回は協力者の姿もある。

八肢刀の暗殺蟲達に最重要極秘任務だという嘘八百を厳命した上で、ラキュース以外の青の薔薇メンバーの動向を監視してもらい適時報告を義務付けて、単独行動時のみを狙い打ちながら俺の意味深な振る舞いを目撃させていく。

これだけで、きっと会う度に好感度爆上がりである。俺の中学生時代なら、絶対心がときめいた。

 

偶然ツアレを廃棄する場面に出くわし、娼館の下っ端を殴り倒した姿を見られたのは失敗だった。あれでは闇の戦士として失格だ。直接的な暴力など振るえば、カッコイイ俺の神秘性が下がってしまうじゃないか。せめて課金エフェクトを使用してそれっぽい演出をするべきだったと深く反省する。

 

だがこれだけイベント回数を重ねれば、そろそろイケるのではなかろうか。

 

正直そろそろ飽きてきた。何でちょっとセックスするだけで一週間近くも王都で暗躍(笑)しなければいけないのだ。俺のちんこも既にラキュース戦へ向けて気持ちが固まり、この作戦期間中は他の誰ともシていない。そろそろ我慢汁の限界だった。

 

だから。

 

「次で、決める……!」

 

決意を新たに、王都における最終決戦が幕を上げた。

 

 

「何故俺を追う、――答えろッ!!」

「違う、わ、わたしはっ!」

 

ラキュースの両手を壁に押し付け、間近でオッドアイの視線を絡めて詰問する。

今の気分はヒロインの行動を、自身を付け狙う敵の手の者だと誤解してちょっと強引に迫るイケメン。イケメンなのは事実だが、こういう強引なのが女の子には効果的だ、と大図書館(アッシュールバニパル)に置いてある少女漫画に描いてあったから ちょっと気合入れて頑張っている。

不必要に顔を寄せ、唇が触れず、しかし吐息が当たる距離を維持。

どうだ! ……ど、どきどきしてるかな? 俺はしてる。

 

「あっ、うぅ」

 

顔を赤くして あうあう唸る、釣り目の美人。それを見てちょっと勃起する。

距離を近付けたせいで彼女の体臭が鼻腔を擽り、一週間分の蓄積された性欲が下腹部辺りで渦を巻く。今のラキュースは目立ち過ぎる浮遊する剣群(フローティング・ソーズ)を外した鎧姿。魔剣だけは帯びているが、鎧を身に纏いながらも必要以上に鍛え過ぎていない女性の肢体が俺の欲望を刺激した。

 

特に肩が良い。

 

肩部を鎧で覆わず、肌に密着する橙色のタイツがその下の華奢な女体を偽らずに教えてくれる。

真っ白な鎧だって負けていない。胸部を盛り上げる形状は、冷たい金属の筈が、熱く俺の劣情を炙ってきやがる。絶対に性的な意図をもって作っただろ無垢なる白雪(コレ)の製作者!!

 

やばい、もう完全に勃起(おっき)した。

この密着寸前の体勢で。格好付けたイベント中に! 今下半身の状態が相手にバレたら、俺の心が危険域に達してしまうぞ!

もっと頻繁に性欲処理しておくべきだったのだ。そう後悔しても、もう遅い。

 

かくなる上は、仕切り直すか。

チャンスはまだある。今回は自身の過失であるからして、もう一日くらいは延長しても頑張れる。

す、と手を離し身を翻す。さらばラキュース、次こそきっと本番だ。

 

「待って!」

 

だというのに、抱き着かれた。

 

あああああああ! 硬い筈なのに丸い感触が外套(コート)越しの背中に当たるのおおおっ!!

やめろー! やめろー! パンツの中がちょっと酷い事になりかけてるからーっ!

硬いのに! ちゃんと鎧の感触なのに、この丸みがラキュースのおっぱいを表してると思うとッ!

 

「教えて。貴方は一体、何と戦っているの?」

 

今はお前のおっぱいと戦っているよお!!

 

王国有数の強者らしからぬ女性らしい細腕が、俺の胴に回されている。細い。勃起した。

衣服越しではあるが、急な抱擁に揺れた彼女の髪が、俺の肩や背中、遂には頬を擽っていく。快い。射精した。

射精。……射精してしまった。

 

「――いえない」

「そんなっ」

 

――俺は、自分が情けない。

 

女の人に抱き着かれただけで、射精()るものなのか。

転生して異世界に来てようやく童貞を捨てたと言うのに、沢山の美女美少女達とセックスしたのに。ちょっとオナ禁しただけで、久しぶりに一週間くらい射精しない時期があっただけなのに。

 

涙が溢れた。

 

自分の情けなさ、恥ずかしさ。あらゆる想いを抱えきれずに地へと落とした。

これは身体が泣いているのではない。心が、俺の魂が流す涙だ。

 

「あなた、泣いているの……?」

 

そしてそれをほぼ初対面の女性に指摘される情けなさと来たら、筆舌に尽くし難いものがあった。

 

彼女の両腕を掴んで引き剥がす。

もう、俺は開き直るしかない。このまま逃げても場の残り香から「あっ(察し」されてしまう。前に進むのだ。此処で闘わなければ、俺の心が死んでしまう。

 

だから止まらない。止まるわけには、いかないんだッ!!!

 

唇を奪った。

ラキュースの柔らかさを感じながら、止め処なく溢れる涙がキスの味を彩っていく。

それを楽しむだけの余裕なんて、無い。

何度も、何度でも。唇を合わせて涙の味を彼女に伝える。最初は驚きから戸惑っていたラキュースが、掴まれたままの両腕を動かして密着した距離を離そうと試みるが、そんなものを許す優しさなど今の俺には存在しない。

 

「どうしてだっ」

「どうして、って貴方」

 

どうして、俺はこんな目に遭っている。

 

パンツの中が、生温かくて不愉快なんだ。身を捩る度に、内腿の辺りにやや粘っこい精液の感触が糸を引いて、俺の心を締め上げる。向かい合った二人の男女の中間辺りに、精液特有の生臭さが悪意の篭った魔手を伸ばした。

 

このままじゃ、臭いでバレる。

勢いで押し切ってしまわなければ。

 

「どうして俺だけが、こんな辛い宿命を背負う――ッ!!!」

 

心からの叫びに、ラキュースが息を呑んだ。

問いの答えは分かっている。他人(ひと)の中二病を嘲って利用して、「ゲハハこれが闇の戦士の通過儀礼だァ!」とか嘘吐いた挙句の騙しックスをしようとしたのが原因なのだ。あるいは単に性欲処理の怠慢である。

 

左手のみを腕から離し、装備に包まれたラキュースの尻を鷲掴む。

びくりと大きく彼女が震えた。

明らかに性的な意図を持った行動。キスの時点から察していただろうが、事此処に至っては言い訳のしようが何処にも無い。俺の狙いを察知して、真っ赤な顔でラキュースが何事かを言い募る。

 

だが止まらない。聞こえない。少しでも動きを止めれば彼女は冷静さを取り戻し、精子の臭いに気付いてしまう!!

だからこのまま押し切る。

悪いなラキュース、今の俺は、自分のプライドが一番大事なんだよおっ!

 

尻を掴んだ手の平を押し付け、上へと押し上げるようにして強く揉み上げる。腰辺りで手を離せば、装備に包まれた大きな尻が、重くぶるりと肉を揺らした。

布の感触が邪魔だが十分に柔らかい。いいもん食ってんだろうなー! と僅かに何時もの調子を取り戻し、賊の下っ端のような台詞を考えながら彼女の身体を弄ぶ。

 

「待って! ねえ!」

 

抗議は聞かない。真っ赤な顔で小さく怒鳴ってくる姿は最高位冒険者の立場にそぐわぬ位に可愛いが、今 場の主導権を手離してしまえば俺の無駄射精がバレてしまう。

絶対に離さん。この距離ならば互いの吐息と汗の臭いで今しばらくは時間が稼げる!

 

「嫌だ。――離さない」

「はうっ!?」

 

僅か二、三秒。全身が痙攣するほどの強い震えが、掴んだ腕を通じて伝わってくる。漫画みたいに赤一色に染め上げられた顔を見れば、俺の攻勢が上手く行っていると自信が持てた。

腰の前後を隠す青い垂れ布の下に手を忍ばせて、タイツ越しの柔らかな尻と、女性の秘部を激しく探る。

儚い抵抗としてラキュースが身を捩ってくるが、互いのステータス差は歴然だ。もう一度その唇を奪って、柔らかな上下の肉襞を舐めながら異性の唾液をとっくり味わう。

 

壁に押し付けたまま、腕を掴んでいた片手も離し、鎧越しの乳房を撫でた。

ああ、とか細い声でラキュースが鳴く。

実際に触れているのは素肌でないのに、恥ずかしいのだろうか。俺も、鎧の表層に過ぎないのに球面に触れているだけで何故か嬉しい。こういうものは、やはり精神的な受け止め方こそが最も重要なのだろう。

本当は鎧を脱がして、この実に大きそうな胸を存分に揉んでみたいのだが。

 

時間は無い。次へ行く。

 

腿の付け根、股間の辺り。そこを覆う橙色のタイツを、両手で強く破り捨てた。

素肌を包む薄手の布は、冒険者用の防具だからか結構固い。だけど俺の筋力には意味が無かった。火照った肌が路地裏の風に触れて小さく震えたのを目に留めて、そっと指先から始まり、己の手の平を殊更ゆっくりと当てて彼女の形を確かめる。

 

「わたしっ、」

 

濡れていた。

 

何時ぞやのルプスレギナとは比較できない少量だったが、俺の行為は確かに彼女の性感を刺激したのだろう。指先だけで触れた無垢な秘裂はその奥から漏れた熱によって熱く熟れており、しっとりと絡んでくる愛液がラキュースの中に生じた情欲を俺に伝えてきてくれる。

 

「ご、ごめんなさい、わたし、初めてなの」

 

知ってる。だって君 無垢なる白雪着てるからね。

 

真っ赤な顔と逸らした視線。震えた声音と潤んだ瞳が秘めたものは羞恥か拒絶か。先の言葉に篭められた感情の意味合いが賛否どちらにあろうと俺はもう止まらないのだが。

 

「大丈夫だ。俺が、導いてやる」

「嗚呼、夜の君……!」

 

誰だよ、夜の君。

 

ちょっと頭が冷めそうになったが、俺は夜の百戦錬磨。成程、夜の君とは言いえて妙だ。

腰を締め付けるベルトを五本くらい ちまちま外して、ようやく精液臭いちんこを外へ取り出す。

そこまで気温が低いわけでも無いのに、通気性最悪な服の中から開放された御立派な一物に外気が纏わりつき、ひんやりとした風を感じる。うーん気持ち良い。さっき出してなかったら多分、今此処で射精していただろう。結果的にはグッジョブ早漏。

 

はわわっ、と両手で己の口元を押さえたラキュースが、相変わらず赤らんだ顔のままで我が闇の聖剣を見つめて震えていた。生娘らしい反応が実に良い。

どやっ、立派じゃろ! これが今からお前の中に入るのだぜ!

 

実はちんこに纏わり付く精臭に何時気付かれるのかと気が気でない。出来れば今すぐラキュースの膣内に俺のモノを隠したかった。挿入さえしてしまえば何時射精しても大丈夫、な筈。処女に早漏と遅漏の違いなんて分からないだろうさ多分。

綺麗に生え揃った金の陰毛に、僅かだけ感慨深いものを感じる。もっと剛毛かと思ってた。

思ったよりもずっと可愛らしいじゃないか。そんな気持ちを篭めて、軽く指の腹で女陰を擽って最後の慈悲を彼女に贈った。

 

挿入(はい)るぞ」

 

返事は、言葉にならなかったようだ。

ああついに私も……、なんてどうでも良い言葉だけは耳に届いたが、そっちは別に聞きたくなかった。その年齢で処女って気にする事なのかな。男の俺には分からない。

 

だって彼女(ラキュース)の初めてが貰えるというのは、俺にとってとても嬉しい事なのだから。

 

何故かラキュースが両目を見開き、穴が開くほど強い視線で俺を見つめた。

その時には、俺ももう腰を前に進めている。

処女の感触は固いが、それでも年齢的な肉体の成熟が理由なのだろう、ラナーよりもずっと柔らかい。ゆっくりと押し込んでいけば、射精しそうになるくらいの激しい愛撫が膣の内側で行われて、僅かに腰の動きを鈍らせる。

それでも進めば、僅かな抵抗が進入者を出迎えた。

 

処女膜だ。

激しい運動をする人は膜が破れているとエロ漫画で読んだ事もあるが、残っているらしい。流石ファンタジーだ、とっても嬉しいサプライズ。あるいは回復職に就いている事が関係有るのかも知れない。が、今更どうでも良い事だった。

破れるのならば破る。さあ、無垢なる白雪に別れを告げろっ!! (キメ台詞)

 

「ん――っ」

「ふう、う――!」

 

僅かながら、ラキュースの内側のぬめりが増した。

 

そのまま入る所まで腰を進めて、互いの腰が触れた辺りで一息ついた。

ふ、と思わず笑ってしまったが、見下ろしたラキュースも同じように小さく笑う。なに(わろ)てんねん。

 

滑り落ちるように、白い鎧が土に塗れた。

 

固定する金具に手も触れていないのに、音も無くラキュースの無垢なる白雪(ヴァージン・スノー)が地面に落ちて、装備条件を満たせなくなった事実を二人に告げる。

ユグドラシルならば軽いメッセージ・アナウンスが入る場面だろう。

異性である俺と肉体的に深く繋がった事で、彼女は無垢たる資格を失ったのだ。

ラキュースの視線が、地に落ちた鎧の白をじっと眺める。何を思ったのかは定かでない。ただ、俺としては さっさとセックス続けたいから、空気を読みつつも ぴくぴく股間を動かしていた。

 

「もうっ。……したいの?」

 

それに気が付き、怒られた。しかしすぐさま彼女は苦笑して、俺もそれに頷いた。

さっきから出そうで辛いんです。

 

鎧が外れた事で邪魔物も消えて、彼女の胸に手を触れられる。

青い上着の下へ両手を差し込んでタイツ越しの乳房を掴んだ。僅かに下着の感触があるが、そこまでしっかりした物でも無い。十分に手の平へ柔らかさが伝わってくる。軽く撫でながら表面に指を沈み込ませて、摩るように形を確かめた。

 

キスをした。胸を柔く揉んだ。そのまま、腰を揺するように小さく振った。

中はきつく、ぐるぐるに締め付けて俺のちんこを愛撫する。腰を引いて敏感な先端部分だけで膣肉を穿ると、気持ちが良くて精液を吐き出す。それに気付かれないよう、更に強く深く腰を振ってラキュースの身体を味わった。

 

やがて動きが激しく変わる。

犬のように舌を出し、互いの唇と口内を舐める度に鼻から甘い吐息が漏れた。

ラキュース、と呼べば夜の君、と呼ばれてちょっと萎えたが、変装している関係上、さば味噌と名乗るわけにもいかない。というか名乗る勇気が無い。なんだよ、さば味噌って。そう過去の自分を罵倒しながら、より一層深く腰を振った。

 

都合三度目の射精が終わる。

 

だというのに、いまだラキュースが絶頂を迎えた様子は無い。

ちくしょう。もっとエロ漫画みたいに気持ちよくなれよ。それとも俺が下手なのだろうか?

額から落ちる汗が目に入り、塩気で眼球が じわりと痛む。しぱしぱと瞬きを繰り返した。

 

「また泣いているの?」

「ちがう」

 

そうとも、違う。ただ単に汗が目に入っただけだ。

どうでも良いから早くイって欲しい。俺ばかりが絶頂を迎えて射精しているなんて、セックスしてる相手に知られたくない!

 

お互いにずっと立ったまま。

狭い路地裏で腰を押し付け合い、俺はラキュースの頭を抱えるようにして その身体を抱き締めて、何度でも何度でも腰を振りながら射精した。

 

「はぁ、……ふう」

 

互いに息を吐いて脱力する。

 

やがてどちらともなく疲れ果て、下半身を半端に晒したままで限界を迎えた。

疲労から弛緩するラキュースの身体を支えながら、それでも細かく腰を揺する。こちらの動きに応えるように、彼女の膣内もまた僅かに痙攣し続ける。

ラキュースは疲れきっているのか、俺の腰に手を回し、胸元に顔を埋めたまま動かない。

俺も体力的にはともかく、精神的には限界だった。此処に至るまでの一週間の疲労と、女性に抱きしめられただけで射精してしまった甚大な心の傷。その後のセックスでかなり癒されたのだが、結局最後までラキュースは一度もイかなかった。「んあーっ!」とか叫びながらビクンビクンしてくれなかったのだ。

敗北感が拭いきれない。だが同時に満たされるものもあった。

 

結局のところ力任せで、ちょっと強引過ぎる部分もあったが、俺は自分の意思と行動によって完全に初対面の相手との対等なセックスにまで持ち込んだ。この事実は今後、俺の人生にとって大きな意味を持つだろう。

 

ふはは、俺という男は日々進化し続けているのだ!!

 

そんな事を考えながら手触りの良いラキュースの金髪を撫でていると、不意に俺の内側に声が響いた。

 

『さば味噌さま。お忙しい所大変恐縮ですが、少々ご報告したき儀がございます』

 

何時も通り、落ち着き払ったアルベドの声。

直接脳内に響くこれは、伝言の魔法だ。詰まるところ緊急事態、……なのか?

アルベドの声が何時も通り過ぎて、緊急性が微塵も感じられない。守護者統括としての責任ある立場を弁えて、敢えて声の調子を整えている可能性もあるが、いや、考えても仕方ないか。

 

「何があった?」

 

頭上を見上げて呟いた俺を、腕の中のラキュースが見上げてくるのを察するが、放置。今ちょっと忙しいからゴメンね!

 

『カルネ村に亜人種の群れが襲撃を行い、これを撃退致しました。本来は御耳に入れる程の大事ではございませんが、彼の村落を気にかける御身の御心を思い、御報告致しました。……この叱責は後ほど、如何様にもなさって下さいませ』

 

カルネ村への襲撃。

亜人。恐らくはトブの大森林からのもの。

となると、俺の知る限りでは――。

 

「ザイトルクワエ。――破滅の竜王(カタストロフ・ドラゴンロード)か」

 

言うと、腕の中でラキュースがびくんびくん震える。ちょっと待って、何で興奮してるの。膣内もまた ぐにょんぐにょん蠢いて、アルベドとの伝言中なのに俺は我慢出来ずに射精した。

 

「う、あ……!」

『さば味噌さま!? 如何なさいましたか!!?』

「いやっ、大丈夫。ちょっと、今、うん、だいっ、ぁっ、大。丈夫だからあ……っ!」

 

そのまま、上擦った声で喘ぎながら精液を吐き出す。

ちんこの動きがようやく治まり、深く息を吐きながら荒れた呼吸を整えた。

 

すっっっっっごい恥ずかしいぞコレ!!!!!!!

電話しながら相手に気付かれずに射精してる、みたいなシチュエーションじゃぞ!!!!!!

 

やめろよ! という抗議の意味を篭めて、作っていたキャラ設定も忘れてラキュースのまんこにガシガシと上下運動を御見舞いする。すると更に刺激が増して、もう一度だけ射精した。ああ無限ループ。

 

「とにかく、すぐに行く! 被害確認だけしておいてくれ!」

『……畏まりました』

 

言い捨てて、アルベドからの伝言が切れる。

はあはあ言いながら俺もラキュースも肩を弾ませ、想定外の羞恥と快感でどっちも揃って腰砕けだ。

 

なんだコレ! 傍から見たらバッカみたいだぞ俺!

 

人一人を抱き締めながらその全体重を支えているため頭を抱える事さえ出来ず、胸中で叫びながら俺は一時ナザリックに戻るための身繕いを開始するのであった。




※破滅の竜王がザイトルクワエであるという描写は原作に存在しませんが、主人公の認識に過ぎないので細かな指摘はお控え下さい。


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第十一話 駄犬とシクススにパワハラする話

「クソッ! クソッ!! クソがあァッ!!!」

 

明かりの消えた自室に、口汚い罵倒が何度も響く。

己の黒髪を振り乱しながら、恐らくは鬼のような形相で。顔も知らぬ誰かを呪って唾を吐く。

 

「何処の馬の骨がっ! 至高のっ、至高の御方とッ!! わタっ、私との会話中にィイ゛っ!!!!!」

 

右手が下着の中で暴れ回り、ガッシュガッシュと激しい水音をたてて自身の女を慰める。

思い起こすのは先程の報告。ナザリック地下大墳墓に未だ籍を残す唯一の至高、さば味噌さまとの短い会話。その最中に、何処のどいつか知らないが、彼の御方との情事を間接的ながら、この守護者統括たる私に聞かせてきやがったのだ。

 

許せない。ゆるせない。許せない。絶対に、許せなイギビビビビ――ッッ!!!!!

 

なんたる不敬。なんたる邪悪。なんたる淫蕩か!!

私だって未だ一度も御寵愛を頂いた事が無いのに。これがナザリックの同胞ならばまだ許せる。だが知っているのだ。さば味噌さまが幾度も外部で、現地の下等生物相手にその至高の精を注がれておられるという事実を!! 淫魔としての嗅覚が察せてしまうのだ!!

 

ああ妬ましい! 至高の御方の御意向だからこそ邪魔など出来ぬが、何故その相手が私では無いのだ。淫魔としての技ならば自信がある。きっと、絶対、御満足頂ける筈なのにっ。あの可愛らしく歪むお顔が私の中で果てる度に熱い涙を零し、先程の伝言のように、あるいは数日前に二の腕を撫でたあの時のように、性に似合わぬ甲高い声で喘ぎ声を――!

ああ。ああ。ああ!!!

 

「うっ! ……ふぅ」

 

ぽたぽたと黒髪から己の汗が滴った。

雫を払い、己の髪を最低限見苦しくないように撫で付ける。すぐに汗を流し、身なりを整え、万全の体制をもって至高の御方を出迎えなければ。

 

脳内にて準備に必要な時間を秒に至るまで細かく計算しながら、寝台から腰を上げて歩を進める。

 

「寝取られというのも結構クルものなのね……。くふーっ!」

 

酷く清々しい声音で、そんな言葉を呟きながら。

 

 

 

 

カルネ村に砦が建っていた。

 

????

箱庭系都市開発ゲーム(シム)だったかな、この世界(コレ)???

なんでド田舎の開拓村に立派な砦が建ってるの? ナザリック基準で下等生物(ニンゲン)の住まう集落に援助しろ、って言ったら砦建設するのアイツ等????

 

俺の脳内は今疑問符ばっかりじゃい!!!!!!

 

どういう事だ。いや、まさか。……そういう事か?

未知の異世界にやって来たのにシモベを全く頼らない俺が、初めてナザリック勢に対する具体的な命令を出したから阿呆共が張り切り過ぎちゃった、とかそういう事なのか? それとも本気であいつら俺がこういうのを頼んだと思っている、とかは流石に無いですよね……?

 

「アルベドォ!!!!」

「はい。我等が至高の御方、さば味噌さま。守護者統括アルベド、御身の前に」

「これどういう事????」

 

聞けば、つらつらと説明を聞かされた。

 

先の偽帝国兵士による襲撃から、カルネ村一同は村の防備が必要である、という結論に達していたらしい。

今まではトブの大森林からの魔物による襲撃も無く、平和そのもの。ゆえに護りを意識した事など全く無かった。だが違ったのだ。敵は来る。予想もしない方向から、それこそ同族たる人間であろうとも。

 

最初は柵を設けていただけだった。

次に村の男手が声を挙げ、自分達だけでも戦えるように、と素人の生兵法だが手製の武器を揃えたり振るったりして頑張っていた。

 

その成果は、特に無い。

 

当然だろう。そもそも敵など何も来なかったのだ。仮に来たとしたら、多分村は全滅していただろう。

それでも万が一の事態を恐れて素人同士、意見を出し合って色々試していたのだが、時間ばかりが過ぎていく。徒労に感じる、先の見えない未来への不安と、乏しい備えを見るたび感じる自分達自身の至らなさ。

そこにやって来たのが、村の恩人たる俺の配下を名乗る異形種(ナザリック)勢。俺の関係者であるという証拠もバッチリ揃えて証明完了。新たな村長エンリの一声もあって、無事カルネ村に受け入れられたのでした。めでたしめでたし。

 

……しまった。種族誤魔化すように言ってなかったな。

ナザリックの奴らも、自分の出自や所属を誇るタイプだ。俺からの命令でも無ければ偽りなど口にすまい。いや、結果として受け入れられたというのなら別に良いけど。何時の間にエンリが村長に? 襲撃での死人は居なくなったのに結局就任するとは、そういう星のもとに生まれたのだろうか。

 

「で、村長(エンリ)の意向を最大限汲み取った結果がコレかー」

 

砦を見上げる。でかい。宵闇の下で黒光りして実に強そうだ。

更に左右方向へと広がる城壁までもが建設中で、一体何と戦う事態を想定して造っているのかと疑問が尽きない。

 

俺が細かな調整は覇王の意向を汲んであげてね、と言ったのが原因だったらしいが、汲み過ぎだろう。明らかに過剰だよ。ちょっと事情を話しただけのエンリも、想定を遥かに高く超えられ恐縮してしまったらしい。

 

「はい。さば味噌さまも、随分とあの人間(エンリ)を買っていらっしゃるようですし――?」

 

だって覇王だからね。

 

何時も通りの判を押したような笑顔を向けてくるアルベドに、生返事をして溜息を吐いた。

まあ、大丈夫だろう。何か問題が起こっても、ナザリックのNPCが複数居て解決出来ない事態なんて中々無い。そもそもこの村への援助に関する一切はアルベドが指揮を取っているのだ、ナザリック頭良い勢の一角が見てさえいれば、少しばかり派手過ぎる結果になっても不測の事態で爆発オチなどという惨事にはならない。周りへの配慮とかもコイツなら普通に出来るだろうし。

うん、大丈夫だな。

 

「分かった。アルベドなら大丈夫だろ。このまま任せるよ」

「ああっ、勿体無い御言葉です!」

 

彼女の頭脳に対する信頼を口にすれば、感激した様子を隠しもせずに跪く。

やめてよね、此処はナザリックの外なんだから、夜間とはいえ本日の撤収作業のため未だ疎らに居残っている村の人目が チラチラこっちを向いているぞ。無駄に目立って恥ずかしいじゃないか。

ほら、あっちの方からも金髪碧眼の超絶美少女が興味深そうに俺達を見て――らっ、らららラナーだああああああ!!!!!!! あーっ!! あーっ!!

 

ひゅーひゅー呼吸が乱れて身体も震える。

こんな宵の口に奴と会うなんて、本気で驚いてしまったじゃないか。

見ているとクライム君が夜中に出歩くラナーに苦言を呈し、申し訳なさそうに しょんぼりする王女の姿に大慌てて両手を振って否定する様が結構笑える。しょんぼりラナー可愛いな。いや、内面を考慮しなければ、だけどね?

 

ちらちらラナーに視線を向ける俺を見て、傍らのアルベドが口を挟んだ。

 

あの人間(ラナー)はそれなりに頭が使えるようでして、この村の長(エンリ)と時折言葉を交わす姿も目にします」

 

覇王炎莉 VS 黄金の姫、FIGHT(ファイッ)

 

いやいや、流石にエンリが不利だろう。純朴な村娘が悪い影響を受ける可能性が否めない。

ラナーに関してはナザリックのシモベ達に囲まれた現状で下手な事は出来ないと思うし、此処の監督はアルベドだから大丈、……大丈夫? 裏で仲良く手を組んでたりしない?

 

アルベドの頭脳は信じているが、頭良過ぎるから逆に変な事しそう。

世界征服するよ! なんて言っていない俺だし、設定も弄ってないから大丈夫だよね、きっと。

余り言葉にしてしつこく訊いたら「至高の御方の信頼を得られぬ我が身などグワーッ!」とかされそうだから お口にチャックする。今こそ至高の器を見せるときじゃろ。大丈夫、俺はお前達を信じるよ!

 

「じゃあ、帰るか」

「お供いたします、さば味噌さま」

 

そういえば、こっちに来た一応の理由である亜人種は、シモベ達の手によって あっさり殲滅されたそうだ。

そりゃそうだよね……。覇王の部下となる好機を失った彼等だが、どんなものでも貴重な資源。彼等の死骸も、きっとナザリックの地下で我等がギルドに貢献してくれる事だろう。

 

つい先日も、ニグン製の巻物(スクロール)が俺の元へと献上された。

人皮紙によるスクロールとか正直素手で触りたくなかったが、現状でも第五位階魔法を篭められるという事で、製作に携わったNPC及びニグン聖典には何か褒美を取らせようかと考えている。そう言ったらデミウルゴスが滅茶苦茶尻尾振って喜んでいたのは少し面白かった。ふふふ、俺は褒めて伸ばす事の出来る至高の上司だぞー。

 

 

場所は変わって数分後、ナザリック地下大墳墓にて。

力任せに揉み潰された女の乳房が、メイド服ごと大きく歪んだ。

 

「ああっ! そんな、さば味噌さまっ。いけません、こんな事はいけません!」

()えやろ、ルプスレギナ。なあっ、ええやろっ、ええやろっ!」

「ああ! ああん! こんなのナーちゃんに悪っ、だっ、そこ駄目っすう!」

 

背後から抱きすくめたメイドの身体が、俺の腕の中で暴れ回る。

だが逃がすわけが無い。お前はメイドで、俺は御主人様なのだ。特に今日は色々あってセクハラしたい気分だったんだ、そんな大袈裟に嫌がられても ちょっと胸が痛いだけ。この丸々と実った大きなおっぱいを好き放題貪られて喘ぐが良いわっ!

 

「嫌がってる癖にノーブラじゃねーか! 誘ってたんだろう!? あぁん!?」

「ち、違うんですぅ! これは、これはあ!」

「ふははははーっ!」

 

すっごいたのしい。

 

ルプスレギナが身を捩るがその動きは弱々しく、簡単に抑え込める程度のものだ。

胸元の布地からは軽く乳首の形が浮き上がり、触って嬉しく見て楽しい。口では否定しながらも身体はちゃんと反応するし、立場ゆえの消極的過ぎる抵抗も、分かり易いほど小さなものだ。

俺、今、すごくマウント取ってる。やばい、今のルプスレギナの事ちょー好きだよっ、俺!

 

感極まって好きだ好きだと物も考えずに耳元で囁く。耳、……ルプスレギナの耳って頭頂部のコレ? それとも顔の横に、髪で隠れたのが付いてるの?

世界の真実を解き明かすべきか否かに心が迷い、両手の動きが鈍ってしまう。しかし既に勃起している股間は変わらず彼女の豊満な尻にぐいぐい押し付けられており、先走りが俺のパンツを濡らしていた。

快楽に歪む口元を見ながら、褐色のふにふにほっぺにキスをする。耳の件は、また今度だ。

 

「おらっ、股開けよルプー。また、……パンツ履いてないじゃんお前ェ!?」

「あっ。それは、さば味噌さまの御姿が見えたので御手間をお掛けしないように、と……」

「やっぱり誘ってんじゃねーかオラァーッ!」

「きゃーっ! っす!」

 

今の俺は強引に部下を手篭めにする悪い上司だ、前戯などしない! ぬるりと湿ったルプーのまんこに俺の比喩的表現(スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウン)を強引に挿入し、互いにキスをしながら空き部屋のベッドの上で激しくまぐわう。

 

しかし、二度ほど射精した辺りで俺の研ぎ澄まされた戦士の勘が警告を発した。

 

「――誰だッ!!!!」

 

アイテムボックスから取り出した神器級装備の長葱型直剣(ドンパッチソード)を用いて一閃、中距離攻撃系スキルでもって部屋の扉を大きく斬り裂いた。

 

「あわわ……っ、も、もうしわけございませんっ!!」

 

其処に居たのは頬を紅潮させて半泣きになった、何時かの金髪メイド。名前は確か、えっと、……とにかく金髪メイド。長い金色の髪に整った容姿の可愛らしい、癖の無いスタンダードなメイドさんである。

 

覗かれていた。

 

それに気付いて、精神的な理由から心臓が強く締め付けられる。ちんこも縮んだ。

俺がナザリック公認の恋人シャルティアに隠れて、しかも権力に物を言わせたレイプレイに興じている姿を、至高の御方と呼び習わし心底から敬ってくれる忠誠心豊かな一般メイドに見られてしまった。

 

不っ味ぅーい!! これは不味いですよ たっちさん!

 

「ふふふ、覗き見なんて良くないっすねぇ~。良くない、これは実に良くないっすよぉ」

 

状況に混乱する俺を余所に、先程まで ひんひん泣いていた筈のルプスレギナが、元気溌剌な仕草で立ち上がる。

そっと金髪メイドの背後に回り、その細い肩を掴んで俺を見た。

――すごく、悪い顔をしていた。

 

「さば味噌さま、これは口止めをしなければなりませんね。非常に心苦しいのですがっ、主人の秘め事を覗き見たイケないメイドには罰を与えなければなりません!!!」

 

そっ、そうだな!

 

全くもってルプスレギナの言う通りだ。罰と言う名の口封じを敢行しなければ、俺も今度こそ第二次ナザリック事変を起こした上で、今度は帝国辺りに出奔しなければならなくなる。

アルシェちゃんペロペロ! と脳内において軽く錯乱しつつ、ちんこ丸出しの格好でメイドに近付く。

 

「ぁ、あうあうあう……っ」

 

やがて徐々に屹立する()の姿。一般メイドの円らな瞳が俺の勃起ちんこを ふらふら追い掛け、見られているだけで先走りの汁が滾々と漏れた。精液でないならセーフ。先に二回射精してるから、それくらいじゃまだ出ないぜ!

 

ひたり、と俺の熱い想い(ちんぽ)がメイドの頬に触れると、それだけで彼女の全身が小さく震えた。

性的な接触に視線が泳ぎ、しかし頬の触覚と視界の端では勃起したソレを捉えているのだろう、僅かずつ乱れていく呼吸が、詳細は知れないが彼女の心中を表している。

 

そのまま、ゆっくりと性器で顔をなぞった。

 

先走りに濡れた先端が金色の毛先を軽く掻き上げ、ふるふると震える睫毛が、棒の裏筋に繊細な刺激を与えてくれる。快楽によって玉袋が打ち震え、もう出ても良いよね? と言っている気がするがまだ我慢。流石にここでは早過ぎる。

 

「くわえろっ」

 

荒い呼吸に紛れて、酷くか細くなった声で命令する。

震える唇をそっと開いて、金髪のメイドが両目をぎゅ、と閉じた表情で俺のちんこを咥えてくれた。

――で、即座に射精する。

 

クソァ!!!!!

 

先端が唇の向こう側に姿を消した時点で、腰が震えて三度目の射精が行われる。

宙に浮いた両手で掴むものも無く左右の五指を固く震えさせ、出し切った疲労による大きな呼吸で肩が弾んだ。

僅かに空気が揺れていた。ねえ誰か笑ってない? 気のせいだよね? ねえルプー?

 

いきなり精液を口内に注がれたメイドは、口の中のものが零れないように顔を上向け、ちんこの最先端を唇だけで咥えたまま、飲み込む事も吐き出す事も出来ずに両目を閉じ切ったまま身を震わせていた。

僅かだけ開いた口の中から漏れ出す吐息は熱く、俺のちんこを炙って癒す。

 

ああ、なんて健気なメイドだろう。

口止めと称した性的行為の強要に対し、彼女は何一つとして抵抗出来ず、必死になって耐えているのだ。

滾るじゃないか。再勃起した。

 

「飲んで?」

 

嬲るような口調でメイドに告げる。

それを聞いたルプスレギナが、びくびくと震えて己の股座を両手で押さえた。何やってんだコイツ。

 

ぐっ、とメイドの喉が動いた。

ゆっくりと、何回かに小分けして口の中の精液を飲み干しながら、それでもメイドは口からちんこを離さない。生真面目で、健気で、一生懸命な彼女の性格が窺える。もう四度目の射精をしそうになってしまう程、この女の子は仕草の全てが股間に悪い。

 

飲み干した辺りでちんこを離し、身を屈めてメイド服越しの乳房に、濡れた男性器を押し付けた。

ちんこの先端だけが柔らかく沈み込み、彼女の胸の真っ白な布地が、湿って僅かに色を変える。

熱に浮かされたように薄っすらと目蓋を開いた表情で、全身を震わせながらメイドが必死に耐えている。その姿に、腹の底から熱が噴き出す。

出る。

出る、出るっ、出るぅ!

興奮がヤバイ。先程までのルプスレギナとの性交よりも高ぶっていた。

 

両手を伸ばして胸の両側を掴み、こちらへと引っ張り出すように おっぱいの形を強調させた。そしてそのまま、衣服の合わせ目に向かって腰を強く突き出し、僅かに先端が奥へ沈んだ所で我慢出来ずに射精した。

あ゛ぁ、ホントきもちいい。

 

「はっ、ふう、ふう……!」

「おぉ……っ」

 

己の荒い呼吸が鼓膜を震わせる中で、感嘆するようなルプスレギナの声が聞こえた。

視線を下げて見下ろした先、金髪のメイドは赤くなった顔と潤んだ瞳で、汚された自分の胸元を見下ろしている。その口元には僅かに俺の体液の残りがこびり付き、清潔感溢れる容姿との落差で男の情欲を刺激する。

 

射精直後で力を無くし、しかし未だ膨れた形のままの ちんこを、メイドの顔に押し付けた。

 

「ふあ……っ」

 

押し付けた先の唇、その隙間から零れた呼吸がモノを擽る。

唇と頬から始まり、少女の顔がゆっくりと粘液で濡れていく。その胸元を見下ろせば、メイド服の純白が内側に溜まる精液によって汚らしい染みを広げていた。

 

その細腕を掴んで、部屋の寝台へと引き立てる。

少女の体躯を軽く放れば、柔らかな夜具が大きく沈んで柔らかに弾んだ。

 

真横から、ルプスレギナが犬のような短い呼吸で己を慰める音が聞こえる。だがそちらに気を払うだけの余裕は無い。今の俺が手を伸ばせるのは目の前のメイド一人だけ。

 

「捲れ。捲って見せろっ」

 

メイド服のスカートを顎で指せば、真っ赤に恥じ入る顔をしたメイドが隠されたそこを、己の股間をこちらの視線に大きく晒した。

ほう、と熱い吐息が口から漏れた。

シンプルで可愛らしい飾りの付いた薄手の下着を、手で掴んで乱暴に引っ張り、中身を暴く。

正直、もう我慢出来ない。びくびくと股間が震えて、何もしなくたって吐き出しそうだ。

 

下着のウエスト部分を力尽くで引っ張って、形が崩れるとかゴムが伸びるとか一切気にせず、暴徒そのものの手付きで彼女の下半身から引き剥がす。小さく控えめなメイドの悲鳴が耳朶を叩くが、聞いていられる余裕は無い。

 

やがて晒される閉じた女性器に、俺の一物を突き付けた。

 

お互いに、乱れた呼吸が混ざって聞こえる。もっと濡らしたりと準備するべきなのだが、これは覗き見をした いやらしいメイドへの御仕置きなのだと言い訳をして勃起したものを押し付けた。

ちゅ、と湿り気が先端に触れて音を立てる。酷く小さいが、確かに聞いた。

だから、もう十分だと嘘を吐いて、準備不足なそこに強く肉の棒を押し込んでいく。

 

「ふ、ぅ――うっ!」

 

少女が呻いた。俺も、気持ちの良い締め付けに同じような声を上げる。

先端が埋まった時点で一度止め、呼吸を整える。間近に見える丸出しの太腿を手の平で撫でて、小さく伸ばした舌で舐めた。瑞々しい女の肌は、ただそれだけで口中を潤す。

そしてもう一度、彼女への侵攻を再開する。

途中で射精してしまったが、構うまい。もっと奥へ。もっと奥へと腰を進めていく。

半ばまで入った時点で一度引き、内側の痛みか只の肉体的な違和感か、メイドの喘ぐ声音に腰が震えた。

 

打ち込む。

 

腰を鷲掴みにして力一杯、しかしゆっくりと己の雄で彼女を味わう。何度も突き入れては ちんこを絞る膣肉の感触に声を上げ、最初は小さく、やがて大胆に腰を振り始めた。

ああ、ああ、と二人で揃って声を上げる。中で弾けた射精の快感に、それでも腰の動きを極力止めない。

 

キスがしたいな、と思って汚してしまった唇を見下ろす。

下げた視線が少女のそれと合わさって、己の思考が抜け落ちた。

 

開き直って唇を合わせる。ぬちぬちと唾液を混ぜる音が鳴り、肉の絡み合う音が口の中から鼓膜を揺らし、更に興奮を掻き立てる。止まらない腰の動きで何度目かの射精を行い、やがてどちらともなく寝台の上へと倒れ込んだ。

 

二人分の呼吸の音と、部屋の何処かから聞こえる駄犬の自慰をする水音が、意識の端を捉えて離さない。

そっと片手を伸ばしてメイドの金髪を軽く撫でれば、満足気な吐息が傍らから聞こえた。

 

落ち着いたら、遠回しに名前を聞こう。

そんな事を考えて、俺はゆっくりと目蓋を閉じた。

 

 

 

 

――その陰に。

 

「はあ、はあっ、さば味噌さまっさばみそさまっ!」

 

独り己を慰める幼い闇妖精が居た事を、今はまだ悪魔以外の誰も知らない。




斬った扉がそのままだった件。


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第十二話 請負人の元貴族令嬢を監禁レイプする話

※当話、残酷な描写に御注意下さい。


今日もぶつぶつと肉を削がれる音で目が覚める。

目蓋を開けば何時も通りのメルヘンチックな血塗れ洋館。入り口の扉を中心に薄く氷の残った酷く寒い部屋の中で、私はここ暫くで見慣れてしまった魔物(バケモノ)を相手に、拷問仕事の相方を勤めさせられていた。

 

「あらん。お目覚めかしらん、可愛い子猫(クレマンティーヌ)ちゃん」

 

反吐の出そうな気色の悪いダミ声が鼓膜に触れる。

耳が腐るからやめろと言っても、己の美声が理解出来ない可哀想な生き物、みたいな事を言われて梨の礫だ。控え目に言っても価値観が狂っていると思うのだが、種族の違いとはそういうものなのだろう。体臭だけは良い匂いがするのが本当にウザイ。ここ数日で花の香りが嫌いになった私が居る。

 

とりあえず死ね、と罵倒したが、今日は寝起きの時点で既に舌が無くなっていた。

 

「そうそう、明日から貴女はデミウルゴス様の人皮紙工房に栄転よん。寂しくなるわねん……。だ、か、ら! 今日はお別れの拷問(キス)をしようと思って! これって二人だけの思い出よん?」

 

よよよ、と本気で涙目になっているグロ肉を横目にしながら、言われた言葉を胸中にて反芻する。人皮紙、という時点で致命的におかしい。効果の全く無い拷問漬けの毎日が終われば、今度は家畜の真似事か。元漆黒聖典第九席次が随分と遠くへ来たものだ。

 

此処に連れて来られて以降、毎日毎日拷問ばかり。

最初は大量のゴキブリに内側から肉を食われる斬新な御風呂に入れられた。次に身体の半分に蟲を巣食わせる昆虫への愛護精神に溢れた共生生活体験。それからようやく、本来ならば捕虜の尋問用だろうと推測される、この凍った洋館にやって来たのだが。

 

拷問にはもう飽きた。

 

過去の経験で得た拷問への耐性とは関係無い。ゴキブリに食われている間に変な武技に目覚めたらしく、肉体の苦痛と精神の安定を切り離すことが可能になったのだ。そのせいでより鮮明に五体の損壊度合いが判別出来てしまうのが気に障るけれど、気色の悪い拷問狂の思い通りにならないというのは実に気分が良い、胸がすく思いだ。

 

この汚い肉塊による拷問の開始から既に二週間は経っている、筈。朝も夜も分からぬ環境で血生臭い洋室の景観を眺めるだけでは、流石に時間間隔までは健常なものを保てなかった。

拷問の開始以降、持ち得る情報は何一つとして漏らしていない。

とは言え、初めて目にする種族名さえ分からない異形種が相手だ。実は知らない内に情報を吸い出されている可能性も否めない。その場合は、まあ、仕方ないな、と納得する。人生諦めも肝心だ。

 

拷問による肉体的な苦痛を感じる事こそ無いが、愉快な状況とは到底言えない。

そもそも何らかの謎手段で痛みを消せると言うのに、わざと痛がるように事を行う性根の腐り具合が実に私と気が合いそうで、このカマ野郎には一秒でも早く死んで欲しいと心底願う。同属嫌悪では断じてない、コレとの間に共通点を持つ事実が気持ち悪いから、という至極生理的な理由である。

 

以前この部屋で私の隣に並べられていたニグン・グリッド・ルーインは毎日毎日五月蝿いくらいに泣き叫び、心や身体が壊れれば御丁寧にも薬と魔法で全て癒され、体感で一週間以上前に件の人皮紙工房とやらへ異動した。

あいつはさっさと情報を白状(ゲロっ)たから出荷されるのも仕方ないが、私の場合は、やはり知らぬ間に魔法で頭を弄くり回されて吐いたのか、あるいは耐えている間にもっと良い情報源がこいつらに捕まったのかもしれない。居た場合は御愁傷様、と顔も知らない何処かの誰かに黙祷する。

 

「先に向かったニグンちゃんはなんとっ、その働きが認められて至高の御方から御褒美が頂けるそうよん!! ああん羨ましいわあ。――子猫ちゃんも頑張らないとねん?」

 

至高、という呼称に片方しか無い目蓋が小さく震える。

 

働きが認められた、という発言に関しては絶対ろくでもない功績だろうから無視するが、此処に来て以降出会った奴等が時折口にする、至高の御方とやらには心当たりがあった。

そんな呼び方をされる、そんな呼び方を認めても良いと思える相手は、私にとってたった一人だ。

 

肉体の感覚から遠く乖離した意識の奥底で、美し過ぎる刃の軌跡を思い描く。あれが、あれこそが、私の知り得る唯一至高。即死させる事無き絶妙な手加減、生命保全に最低限必要とされる体内器官を傷付けずに人間の身体を解体し、かつ完全なる行動不能と化させた魔なる技。こんな拷問狂いのキモ肉共に敬われているという点は全く理解したくないが、それでも、此処に至る経緯を考えれば互いが無関係だなどと絶対に思えない。

 

御褒美。御褒美か。

何百何千と生皮を剥がされ、家畜としての価値を認められれば、もう一度アレに触れられるのだろうか。

 

そう考えると、胸の奥底から酷く熱いものが込み上げる。この洋館の冷気など一切気にならなくなる程の、決して錯覚ではない熱気が生じた。

ああ、また新しい武技に目覚めたのか。此処に来て以降 我ながら凄まじい成長速度だが、正直、そんなものはどうでも良かった。ダミ声で、ああん、と喘ぐ糞も居たが、純粋に不愉快なのでそちらも無視する。

 

金属製の器具で無理矢理開かれた口腔から一本一本丁寧に抜かれていく歯の動きを把握しながら、私は、剣、けん、と声にならない言葉を繰り返す。

あのきれいな剣が見たい。

御褒美が貰えると言うのなら、私に相応しいのはあれしか無い。

ただ目にするだけでも良い。ぶった斬って貰えるのならば更に良い。もはや私にはあれしか見えない。

 

ああ、ああ、ああ!! 死の神に祈っていた何処かの誰かの気持ちが今なら分かる。

これは信仰だ。これこそが信仰だ。たった一つのために己に許された全てを捧げる、狂気の恍惚。

 

「ん、ちゅーっ」

 

頭部に細い管が刺されて思考が乱れた。吸い出されていく大切な何かが、私の想いを純化する。

剣だ。剣だ。剣を見せろ。あの至高の軌跡をわたばあぎぶごげばばばあかがげぐぎままま――!

 

このクレマンティーヌ様を、至高の御方に引き合わせろ。

 

 

 

 

いやあ、破滅の竜王は強敵でしたね。

 

HPばかりが無駄に膨れ上がった推定レイドボスも、アルベドの着た傾城傾国によって即落ち2コマシリーズである。

ちなみに俺でも全裸(フルチン)に剣一本あれば余裕で殺せる。守護者一同が気晴らし(レクリエーション)感覚で倒せる相手だ、然もありなん。

 

というわけで、せっかく支配したのだから『どんな病も癒すとされる伝説の薬草』とやらを育てるための生きた畑になってもらおう。お世話は森祭司(ドルイド)職業(クラス)を修めている推定非童貞(マーレきゅん)に一任する。お手伝いが必要ならちゃんと言ってね! と注意しておけば十分な筈。

 

余談だが、白のチャイナ服を着たアルベドは実にエロかった。普段とは違って胸元の見えない おっぱいがね、あと豊満な お尻もね。そして深過ぎる切れ込みから覗く生足もね。……つまり全部か、やべーなアイツ。

いかがでしょうか、なんて聞かれたから「抱きたい」と率直に答えてしまったが、俺は処女以外相手にせんぞ! お前に膜が無い事は知ってるんだこのビッチ! おいっ、ちょっと! お尻触らないでくれませんか!? やめっ、ヤメロォー!

 

ぶった斬るわけにもいかないので大変だったが、シャルティア達(ロリふたり)が助けてくれたので俺の貞操は清いままだ。清いと言っても既に非童貞だけど。非童貞だけどー!

今後はもう少し発言に気を付けよう。淫魔相手にあの発言は、俺が悪いな、うん。至高の反省。

 

何にせよ、トブの大森林における最大の脅威、らしき何かは片付いたので、大森林全域の実効支配を命令しておく。俺の理想としては環境保全を最優先とした自然保護区域に指定したい。大自然の中でキャンプとか、良いよね。訳すとつまりは青姦だが。

 

大自然の中で全裸を晒す美女美少女! 先走る俺のちんこ! そしてセックス!!

 

良いんじゃない? 良いんじゃないのコレ? 俺のムスコが早くも勃起する素敵計画。

うーん、夢が広がるな。今度大森林行きの冒険者依頼を受けて、ナーベと一緒に大自然の中で全裸ックスしてみよう。その感想次第ではトブの大森林の未来像もちょっぴり変わるかもしれないが。

よーしテンション上がってきた。次に行くぞ、次っ!

 

 

短く切り揃えられた艶やかな金髪。青い瞳と、表情に乏しいが気品ある顔立ち。

痩せた体躯には荒事に多く触れる請負人(ワーカー)らしい実用性を重視した防具を身に付けている。だが俺としてはそこに潜んだ僅かな個性、彼女なりの着こなし(コーディネート)にこそ女の子らしい魅力を感じてしまう。

 

アルシェ・イーブ・リイル・フルト。

 

可愛い尻尾(・・)の似合いそうな、元帝国貴族の御嬢様。

ぱっと見で、実にちんこ挿れたくなる顔をしている。

 

彼女の属する請負人チーム(フォーサイト)は、帝国との国境線近くに突如現れた巨大砦の調査依頼を受けてやって来たらしい。

……うん、調査するよね。当たり前だよ。俺だって絶対に調べさせるもん。

普通に考えたらリ・エスティーゼ王国が対帝国戦闘を想定して造った、という発想から調査を開始するだろう。

だがその実態は、田舎の開拓村を護るために建てられた木柵(もくさく)の発展形である。

 

この世界の戦力ならば何処が相手だろうとどうにでもなる。俺はそういう楽観から許容したが、実際問題アルベドは何を考えてあそこまでの大規模建築を指示したのだろう。こうなる事くらい、アイツなら絶対予測出来る。つまり現状は想定内、なのか?

うーん。分からん。分からんので、とりあえずエロい事しよう。

 

「へっへっへ、覚悟は出来てるんだろうなあ、御嬢ちゃん」

 

典型的な悪役の台詞を口にすれば、アルシェは硬い表情でこちらを見つめる。

睨む、というほど強い視線ではない。状況が見えているのだろう、共に捕まったフォーサイトの仲間達の事も考えれば、無闇に反抗的な態度を取る愚は冒せない。実に頭の良い娘だった。

とはいえ、僅かにその身体が震えていた。

 

二人きりの密室。自身は女で、相手は覆面で顔を隠す下卑た口調の男。これから何が起こるかなんて、一端の人生経験を積んだワーカーならば想像も出来る。

 

そう、――尋問(レイプ)だ。

 

実は彼等の受けた依頼内容とかそういう情報は、既に魔法で精神支配(クルクルパーに)して聞き出している。

この部屋は今、俺の命令によって誰の目も耳も残っていない。入ってきたら絶交するからな! と本気で言ったから絶対来ない。

つまり俺を止める者なぞ誰も居ないのだ。

もはやこのシチュエーションだけで勃起している。覚悟しろアルシェ、その澄ました人形面、「んほぉー!」とか言うようにしてやるからなあ!!

 

ぼるん、と臨戦態勢の尋問棒(ちんこ)が姿を現す。

アルシェの全身が恐怖に震え、己の想像していた通りの展開に、それでも動揺を隠せない。

追い詰められた精神が肉体を縛り付け、動きの小さかった眉根が大きく歪んでいく。はあはあと呼吸が乱れていく様を見て、凶器の先端部から先走りが とろりと落ちた。

 

「ぃや」

 

小さく、拒絶の声を聞いた。

それに反比例して俺のテンションが上昇していく。股座に力を篭めて、ひくひくと揺れるモノで彼女の視界を埋め尽くそうと、殊更ゆっくりと距離を詰める。

 

今のアルシェは見た目だけ粗末な木椅子に縄で縛られ、派手に身動きする事も出来ない。魔法詠唱者の武器たる杖も、取り上げた上で今はパンドラズ・アクター辺りが現地のアイテム調査の一環で、好き放題に弄繰り回している頃だろう。

そもそもが魔法の一つでも使って俺を退けられたとして、此処からどうやって脱出するのだ。

 

嫌がった所で、逃げ場は無い。

 

「大人しくしてろよお? そうすりゃあ、うんと気持ち良くしてやるからよお……!」

 

ねっとりとした声で少女に囁く。他人に見られたら首を吊りたくなる台詞と声音だ。

ちなみに、沢山(うんと)気持ち良く出来る自信は無い。俺だって結構頑張ってるんだけど、誰かナザリックでエロ漫画並の媚薬とか作っていないだろうか。エロ最悪なら持っていたかな?

 

ひっ、と頬に近付けた ちんこから、アルシェが必死に顔を背ける。

そこには先程までの無表情(ポーカーフェイス)など残っていない。うむ、実に良い。無表情娘が嫌悪と恐怖を露わにする様は、俺の胸を暖かくしてくれるのだ。

そのまま触れそうで触れない動きを繰り返すが、徐々にそれにも飽きてきた。

もっと動きが欲しい、と俺の中のAV監督が囁いている。なので燃料を投下する。

 

「――そういえば、御嬢ちゃんには妹さんが二人ほど居るんだっけかあ?」

「ッ!?」

 

言われたアルシェが、声を出さずに深く息を呑んだ。

その視線が動揺から ぐるぐると踊っている。それはそうだ、初対面の男がワーカーである自分の家族関係まで把握しているなど、想像出来る方がどうかしている。だが残念、俺には原作知識(チート)があるのだ。

 

「可愛いんだろうなあ。本っ当に! 可愛いんだろうなあ!!」

「やめて! ……やめ、て、くだ、さいっ」

 

最初は必死に叫んでいたのに、くしゃりと歪んだ表情で、涙を零しながら その首が垂れた。

――折れた。

これ以上の抵抗など、もはや彼女には無いだろう。少なくとも、完全に追い詰められるまでは。

 

びゅる、と沸き立つ興奮から飛んだ白濁が彼女の頭頂部、金色の髪に付着したが、身を震わせる以上の反応は返ってこなかった。涙の雫が一つ二つと床に落ちては跡を残しただけだった。

俺は にんまりと笑いながら、僅かに力を失った ちんこを彼女の項垂れた頬に寄せる。臭いと熱で近付くそれが分かったのだろう、ひくり、とアルシェの全身が一度だけ震え、涙を流しながら顔を上げると、目蓋を閉じて俺のちんこを口に咥えた。

 

完全勝利。

 

ぴゅ、ぴゅ、と残った精液を口の中に吐き出しながら、腰を押し進めて半ばまで竿を侵入させた。

そのまま、前後にゆっくりと腰を振る。手は使わない。俺の動きとアルシェの動きだけで刺激する。

せめて視覚で捉えないようにと、両目を強く閉じた、感情を押し殺すその表情。元とはいえ生粋の貴族の御令嬢が、今や立派な ちんぽ穴だ。実に良い。やはり偶のレイプは俺の心を熱くする。ラナーやラキュースの時は、あれ絶対何か違ったし。多分エモット姉妹以来の、正しいレイプの形が此処にあった。ニニャはオナニー。

 

頬の内側、上顎の感触を肉棒で味わう。躊躇いがちに触れてくる舌の熱さも中々のものだ。

今も ぽろぽろと涙を零すアルシェの動きは上手いものでは無いが、嫌がりながらも自身の知識の範疇で努力している感があって非常によろしい。彼女の誠意をちんぽで感じる。

動き続ける少女の頭の上には、艶めく金髪を汚す精液の溜まり。前後への運動によって僅かずつ白く垂れ落ちていく様が、より一層彼女の惨めさを煽っていた。

 

腰を動かし ずるりと引き抜けば、多量の唾液に精子の混じった汚濁が垂れる。

それらが細い顎を汚すが、アルシェには己の顔を拭うだけの自由も無い。今も必死に目蓋を閉じて、涙に濡れた顔で呼吸を整えようと胸を弾ませる。

 

胸。胸か。

伸ばした右手で、厚手の布に包まれた胸部に触れた。

 

またアルシェの身体が震えたが、先程よりは心構えが出来ていたのだろう、すぐに小さく治まっていく。俺は無遠慮に彼女の装備を撫でて確かめ、小さそうに見えて意外とあるらしい膨らみを擽った。

乳首辺りを指で強く引っ掻くと、うあ、と小さな喘ぎ声。あるいは嫌悪ゆえの悲鳴が聞こえる。

痩せぎすだからだろうか、仄かに膨らんでいる少女の乳房は、衣服越しだが意外と大きく感じてしまう。確かに有る、と言えるだけの脂肪がそこに蓄えられており、脱がした時が楽しみだと ほくそ笑んだ。

 

だけど既に股間が痛い。

 

我慢は身体に良くないからなと苦笑して、俺は身を屈めるとアルシェの呼吸に揺れるスカートの中を覗いた。

が、垂れている布はスカートでは無く上衣の裾だったらしい。奥には酷く裾の短いショートパンツが、彼女の肉付きの乏しいお尻を護るべくして頑張っていた。

無駄なんだけどな!

 

「ショーパン短過ぎだろうがあ! 勃起するわ! してるけど! おらーっ!」

「いっ、や、ぁ、……ぅ、ううう!」

 

儚い抵抗、小さな悲鳴。椅子に座ったまま無理矢理に下を脱がされたアルシェが、先程以上の涙を零す。

俺も思わず作っていた尋問官(キャラ)が崩れてしまうが、彼女にそれを気にするだけの余裕は無い。

 

下着(パンツ)だ。下着が見える。

 

意外と貴族っぽい、仕立ての良くて高そうな下着。多分経済状況的に新しく買ったりしていないのだろう。実用性を重視したワーカー装備の下には、かつてを思わせるアルシェ御嬢様の残り香が! とか考えると実に良いね!

 

手を伸ばして指で触る。ふにふにと弄ればアルシェが喘ぐ、いや喘ぐと言うか泣いている。この状況で性的に興奮出来るほどの上級者(へんたい)ではないらしい。でも下着が僅かに湿っているのだけど、これはまさか おしっこだろうか。

 

「アルシェ御嬢様! ちょっと! おしっこ漏れてますよ!」

「っ! う、あああぁぁ――っ!!!」

 

それを言ったら泣いてしまった。てへぺろ!

号泣である。先程までのシクシク涙を流す程度の勢いではない、本気(ガチ)の悲哀だ。

家族を護る為お金目当てのワーカーとなり、信頼出来る仲間と出会って、ちょっとした調査依頼程度のつもりが取っ捕まって酷い事をされている現状。しかも何故か妹の存在まで知られており、それを材料にエロい事させろと脅迫される絶妙コンボ。――うん。普通なら泣くな、これは。

 

仕方無ぇーな、もう!

 

おしっこ臭そうな下着に顔を埋めて舐めしゃぶる。

やめてやめてと少女が叫んだ。腰を揺すって必死の抵抗、もはや先程までの冷静さなど残っていない。だが止めない。押し付けた舌先が、舌触りの良いパンツ越しに柔らかい処女まんこを探り当てた。うん、処女だと思う、多分。違ったら訴訟ですよこれは。

舌で押し込んで、舐め上げる。ふにっ、ふにっ、と極力優しく刺激を与え、舌先に感じる何か(おしっこ)の味は意識しない。ちょっと塩気で痺れたような しないような、不思議な感触は全て錯覚だ。流石に小とはいえ糞尿愛玩性癖(スカトロジー)は未知の世界だ。俺には五年ほど早過ぎる。

 

より一層深く頭を押し付け、唇で まんこを咥えて軽く揉む。揉んで一転、強く吸った。

すると度重なる刺激に全身を緊張させたアルシェの両脚、けっこう柔らかい太腿が、俺の頭を挟んで抱き締める。

顔に太腿が当たって何とも幸せな気持ちだった。あとそのせいで床に向かって再度射精した。

帝国から此処に来るまでに色々あったのだろう、ちょっと汚れていたり汗の臭いがするけれど、ギリギリどうにか許容範囲。もっと反応させてみたくなり、更に強く まんこを啜る。

 

「あ――」

 

ぎゅ、と太腿が頭を挟んだ形で跳ねるように固まった。

大きな動きの後、細かに痙攣するような震えが断続して伝わってくるが、これは多分俺の愛撫に効果があったのだろう。込み上げる達成感を手放さぬように止まる事無く舌を動かす。

 

「っやめ、あっ、待っ、まって、あつ、っああ!」

 

喘ぐ喘ぐ。酷く弱々しい声が頭上から聞こえてくる。

げっへっへ、アルシェ御嬢様も好き者ですなあ、とか考えながらプレイ続行。もっとだ! 俺はまだイケるぞアルシェ! お前だって、まだこんなもんじゃ無い筈だッ!!

 

ずるずると粘着質な音が、ナザリックの尋問室に響き渡る。

ひあ、ひあ、とやがて悲鳴さえ上げなくなったアルシェが滅茶苦茶可愛い声でうわ言を発していた。

気が付けば結構な時間を費やしていたらしい。

 

やり過ぎてしまったかも知れん……。

 

童貞を捨てて以降沢山の経験を積んだ俺は、きっと凄いテクニシャンになっている。種々様々な感情で ぐちゃぐちゃになったアルシェの表情を見て少しばかり腰が引けるものを感じるが、まだ事は終わっていないのだ。

呆けた少女の首元に ちんこを宛がい前後に滑らせる(スライド)。刺激を用いてフル勃起完了、良い具合に磨き上げられた ちんぽを構えて、椅子に座ったアルシェの腰を持ち上げる。

 

「アルシェ、処女貰うぞ」

「ぁ、え――?」

 

面倒臭くなって演技を放棄、普通に言った。

言葉の意味を理解出来ていないアルシェの、揺れる両目と視線を合わせながら腰を進める。

 

「あっ、あ――っ」

 

徐々に時間を掛けて彼女の視線が定まっていく。

その間も腰の動きは止まらずに、熱く潤ったアルシェの女性器にちんこが密着。下着は ずらされ、手で軽く位置を調整しながら入り口を探し当てると、じっくり中へと侵入する。

 

「ま、って」

「嫌です」

「待って」

「無理です」

「待ってええええええ!!!!」

 

掠れた女声が、それでも必死に拒絶を口にした。

無論、それを聞き入れる俺ではない。

 

ちんこが熱に呑まれていく。

 

あああ、と目を合わせた状態でアルシェが呻いた。ん、と俺は呼吸を止めて、恐らくは彼女の純潔の証、膣内の最終防衛地点を察知した。

処女膜だ。

また、俺に破られるための純潔(モノ)が目の前にやって来た。だから待たない。お前の処女は俺が貰う。

 

「待、って。お願、わたしっ」

「妹は良いのか?」

 

それでも最後まで、尊厳を護る為の、アルシェ必死の抵抗が為される。

が。嘲って聞き返せば、子供のような泣き顔を見せた。

 

ひどい、と少女が言葉を口にする。

 

「だってお前可愛いんだもん」

 

――だったら、食っちゃうだろ、普通。

 

アルシェは何も言えない。どう解釈するべきか、とかそういう段階でさえ無かった。

思考する以前に、驚愕も恐怖も嫌悪も抵抗も、どれとも言えないくらい複雑に混ざり合って渦巻いている。そして俺は、そこから明確な答えを見い出すまで待つほど気が長くない。

 

真っ直ぐに前へと腰を押し出し、アルシェの少女期を終わらせた。

 

涙が零れていた。

声にならない声で泣いているアルシェと、顔が触れるくらいの距離で目を合わせ、笑う。

徐々に腰を動かし、拘束用の縄でアルシェと繋がった木椅子が、床に当たって音を鳴らした。

苦痛を訴える少女の顔を眺めながら、最低限壊さない為の気遣いだけを篭めて内側を貪る。

くちくちと水音が小さく耳に届くが動きは鈍く、どうにも潤滑が足りていない。いや、単に解れていない膣肉のせいか。固い女の肉を無理矢理開花させようと、ひたすらに腰を振って性交を続ける。

 

途中、一度だけ射精する。出たぞ、と正面から囁けばアルシェが涙を零すのだ。唇を噛んで俺を睨むが、泣きじゃくる少女の顔では迫力が全然足りていない。首を動かし耳たぶを咥えて、きもちいい、と彼女のまんこへの評価を伝える。

 

アルシェの顔が、強く俺の肩口に押し付けられた。

見たくない、聞きたくないという意思表示、だと思う。多分。もう抵抗らしいものは何も無い。

 

「可愛いぞ、アルシェ。好きだぞ、アルシェ。ずっと、こうしたかったんだ……!」

 

――具体的に言うと、Web版読んだ辺りから。

よく似合う尻尾を付けてやるからな、という想いを篭めて脂肪の薄い尻を撫でる。ぴくりと小さく、腰の振りとは関わりの無い動きが生じて、指先だけで肉を摘んで弄ぶ。

 

「大丈夫、ちゃんとクーデとウレイも助けてやるから。だから、ほら、腰振ってっ、可愛いアルシェ!!」

 

正直、今は物を考えて喋っていない。だから内側の欲望が駄々漏れだ。

明日には忘れているかもしれない一方的な約束を押し付けて、腰を動かす。そしてまた射精した。

 

もう一度、出たぞと囁く。言葉にならない唸り声が聞こえたが、やがてアルシェの側からも少しずつ腰を動かし始めた。

逆らえない状況だ、言う通りにするのは ある意味賢い。だが、そういう賢しさはどうでも良かった。

気持ち良い。

椅子が邪魔だが、こういうプレイも新鮮だ。あとは互いの呼吸と腰から漏れ出る音だけで、休む事無く互いの性器を擦り合わせてセックスを続けた。

 

そういえば他の奴等(フォーサイト)ってどうなってるのかな、と今更な事を考えながら。



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第十三話 ソリュシャンにローションプレイして貰う話

「お前達っ、緊急事態だ。ラキュースが、ラキュースが――ッ!」

 

始まりは、イビルアイの必死の呼び掛けだった。

 

緊急事態。

かつて国堕としとさえ呼ばれた吸血鬼、アダマンタイト級冒険者チーム青の薔薇における最強戦力たる彼女が常の冷静さを かなぐり捨てて叫ぶほどの事態。

 

――我等がリーダーに一体何が起こったのか。

 

緊張から僅かな冷や汗さえ流しながら集まったラキュース以外の青の薔薇メンバーが顔を突き合わせ、続くイビルアイの言葉を待った。待った、のだが――。

 

「リーダーが」

「マジで」

「はっ、はっはははははっ! 何だよ目出度い話じゃねーか! 今夜はお祝いかあ!?」

 

仮面で素顔を隠す小柄な魔法詠唱者が、身振り手振りで逼迫した気持ちを伝える。

見ようによっては幼い子供が大人相手に両腕を振り回して はしゃいでいるだけだが、忍者姉妹(わたしたち)の片割れがそんな彼女の愛らしい姿に喜びつつ頭を撫で始めた時点でイビルアイも正気に返り、撫でてくる腕を振り払っ、いや振り払おうとして避けられたために大きく脱力。溜息を吐いて肩を落とした。

今更になって己の慌て振りを自覚したらしい。きっと仮面の下は真っ赤になっている。

 

「いや、だって。……驚くだろうが」

 

仮面越しのくぐもった声が、子供みたいに言い訳がましく言葉を零す。

もっともだ、と場のメンバーも思ったが、珍しく感情を露わにするイビルアイの様子が面白かったので、酒類を片手に座っていたガガーランは思わず肩を揺らして笑ってしまう。ティアと(ティナ)も似たようなものだ。

 

「しっかしマジか。あのラキュースがねえ。で、――相手は?」

 

ニヤニヤと笑うガガーランが、最後の一言だけは鋭く言った。

問われたイビルアイは、あっ、と短く声を上げて動きを止めて、誤魔化すように空いた席へと腰を下ろした。

 

「……訊いてねーのかよ」

「……驚いたんだよ」

 

ガガーランの呆れた声に仮面(かお)を逸らして、もう一度先程と同じ言い訳を繰り返す。

姉妹もわざとらしいジト目で二人揃って赤いローブ姿をじっとり睨む。が、これは演技だ。イビルアイを一方的に からかえる好機、逃す気など欠片も無かった。(レズ)の方はちょっとだけ熱の篭った視線も向けているが。

 

ラキュースが非処女(おとな)になった。

 

由々しき事態だ、と鬼ボスの貞操を狙っていた青い方(ティア)が水を飲む。

これ美味しいな、と若干どうでも良さげに赤い方(わたし)が手元の料理を口にした。

冷やかすべきか、まずは相手の身元を調べ上げるか。どちらが良いかを悩むガガーラン。

いきなり性交(そこ)までイクのは如何なものか、と一番乙女な事を呟くのがイビルアイだ。

 

相手の居ない男日照りの見栄(うそ)などではなく本当に乙女でなくなったのなら、優秀な性能を持つ全身鎧である無垢なる白雪(ヴァージン・スノー)が使えなくなる。そうとなれば冒険者チーム青の薔薇としても少々戦力的な問題があるのだが――。

今回の話、ここ暫くの重苦しい停滞感を吹き飛ばす、良い起爆剤(ネタ)になった。何事も下を向いてばかりでは上手く行かないものだ。ならば今宵は一つ、パーっと騒いで気持ちを盛り上げるのも良いだろう。

そうと決めたガガーランが、木製の容器(ジョッキ)を持ち上げ笑みを浮かべる。

 

「何はともあれ、乾杯でもしようじゃないか。ラキュースの、くくっ、処女(おとめ)脱却によお」

 

独特の緩い返事で賛同する姉妹と、先程の醜態に未だ気まずい思いを消しきれないイビルアイ。

そんな自分達の座るテーブルの端に、皺の寄った今日の新聞が一部、どうでも良さそうに置かれていた。

 

――リ・エスティーゼ王国国王バルブロ一世陛下、即位。

 

一面に載せられた記事(それ)を軽く目で追った(ティナ)は、何を言う事も無く小さく息を吐いて、明るい場の空気に流される事をこそ選んだ。

紙面に向けて何を言ったところで、自分達の直面する現実は何一つとして変わらないのだ。

だからまあ今夜くらいは、馬鹿な事を言って盛り上がろう。まだまだ心を折るには早過ぎる。明日のために、明日の明日のために。あの鬼リーダーが足を止めないのなら行ける所まで付き合うと、何年も前に決めたのだから。

 

けれど現実は止まる事無く、国中で帝国との戦争に向けた嫌な熱気ばかりが高まっていく。

王国の未来は、未だ暗い。

 

 

 

 

フォーサイトの皆さんは、アルシェ以外とても酷い事(みせられないよ!)になっていました……。

 

「ああ゛ー! あ゛ーっ! あ゛ぁーッッ!!!」

 

それを目撃したアルシェさんは現在、一時的発狂状態に陥っている。

喉奥から えずくような悲鳴を上げて、唯一傍に立つ俺に縋り付いたまま泣いていた。

 

いやあ、これはちょっと予想外ですねえ……。

 

気持ち良く射精した後の鷹揚な気持ち(けんじゃタイム)に身を任せて「フハハいいだろう、お仲間に会わせてやるっ!」みたいな事を言って此処までやって来たのだが、フォーサイトの皆さんは些か以上に俺の想定を超えた見た目(ビジュアル)になっていた。雰囲気変わり(イメチェンし)過ぎだろう……。ちょっと()く。

人間ってあんなになっても生きていけるのか、と要らぬ生命の神秘を知ってしまった。

 

「……治る?」

「御命令とあらば、すぐにでも」

 

アルシェは未だ俺に引っ付いて泣き叫んでいる。やべーよ、お仲間を取引材料にして二回戦目の脅迫ックスに繋げようと思ったのに、そんな雰囲気が全然全く残っていない。

想定外の惨状に気まずい思いをしながら此処まで案内してくれたデミウルゴスに尋ねれば、実に頼り甲斐のある返事が返ってくる。

 

じゃあお願いしまーす、と言おうとしたのだが、奴曰く「なにゆえ至高の御方が保護を望む村を襲った不心得者をお助けになられるのか」みたいな事を訊かれる。お前俺がそんな難しい事考えて生きてると思ってんの???

まったく、しょうがないなあデミ太くんは。ちょっとばかり俺に対して過剰に期待し過ぎだろう。

 

なので適当に答える。

 

「ふ。お前なら分かる筈だ、デミウルゴス……!」

「ッ!! ――そっ、そういう事でしたか! このデミウルゴス、感服致しました」

「せやろ」

 

アインズ様風(テキトー)に答える!!!!!

 

ほら! なんか勝手に納得してくれたぞ!! ちょっと楽しいなコレ!

正直、俺に真っ当な損得勘定や論理的思考とか期待されても困る。こちとら徹頭徹尾ノリと勢いと性欲で生きているんだぞ。ムラっときたらセックス! で良いじゃないか。それだけで人生を生き抜きたい。

 

じゃあ任せたぞい、とデミウルゴスに手を振って拷問場を後にする。あんなのずっと見てたら今日の晩御飯 食べられなくっちゃうし。

しかしあれだな、原作のアインズ様語録は意外と使い勝手良いな。今後も頼ろう。

別にこれで何か致命的な事態を引き起こすとか、そんな事は無いだろうさ。ははは。ははは。

……無いよね?

 

「よし、今後は更にデミウルゴス(あいつ)と距離を置こうかなっ」

 

ひょっとすると、既に致命的(やっちゃった)かもしれない。デミえもんの深読みが今後俺に不利益を呼び込まない事を祈ろう。いやでも、そもそも俺の不利益って何だ? 勃起不全(Erectile Dysfunction)になる、とかかな? 実に恐ろしい想像だけど、なんでデミウルゴスが深読みすると俺のちんこが駄目になるの???

 

はあ、と益体も無い思考に溜息を吐く。

 

デミウルゴスの扱いには、ちょっと困るな。仕事振りとかは実に忠義溢れるナイスデビルなのだけど。

俺は別にギルド内でも智謀に長けている、なんて評価を受けた憶えは無いのだが。なんでそっち方面の評価まで高いのだろうか。異世界転移系の話が尾を引いているのか。もう「実は俺アホなんです!」とか言った方が良いのか? いや阿呆(それ)ほど酷くは無いと思うけど、それでアイツが大人しくなるなら言うぞ俺は。

 

「どうして」

 

小脇に抱えて乳を揉まれていたアルシェが、ようやく落ち着いたのか言葉を漏らす。

ただし視線は未だ定まらず、俺を見ているのかいないのか微妙な感じだ。

 

「どうして、みんなを助けてくれたの?」

 

彼女の問いに関して考え、るのが本気で面倒臭かったので、先程の繰り返しで凌ぐ事にする。

 

「ふ。お前なら分かる筈だ、アルシェ……!」

「ッ!!」

 

得意(ドヤ)顔で少女を見下ろして、わざとらしい低い声を絞り出す。

言われたアルシェの身体がびくりと震える。真っ青になった顔で俺を見上げて、その視線が床へと落ちた。

よわみ、ひとじち、きょうはく、ごうかん、……と一頻り言葉を繰り返し、くしゃくしゃに歪めた顔で、泣きながら俺を見上げて大きく叫んだ。

 

「が、がんばります! わたしが頑張りますからっ! だから皆は! 妹達は――っ!!」

 

えっ。

 

「うっ、うううぅ、うぅぅぅうううううううう!!!!!」

 

先程までの正気を失った状態とは異なり、ただただ哀しそうに泣いていた。

文言だけなら同じものを投げ掛けたデミウルゴスとアルシェ。片や嬉しげに俺を賛美し、片や泣きながら頑張リマス宣言。そう来たかー、とだけ小さく呟いてまた乳を揉む。

どいつもこいつも、皆して思考が自由過ぎませんかね。俺が悪いのかこれは。悪いんだろうなあ……。

 

とりあえず性行為の跡は綺麗にしてあるから、あとは暫くユリかペストーニャ辺りに預けよう。借金のかたにメイドやらされてる、みたいなシチュエーションにも興味があるし、俺が面倒を見るより余程上手くやってくれるさ。それから、えーと。

 

「……どうしようかなあ」

 

あーあ! 難しい事など何も無く、俺はただエロい事をするためだけに生まれてきたんだけどなー!

 

 

「お加減は如何でしょうか、さば味噌さま」

 

落ち着きのある女の声が、俺の極々間近から聞こえてくる。

にゅるにゅると全身を包み込んでくるスライムの感触が非常に気持ち良く、更に素肌へと触れる軟体が直接言葉を伝えてくれるのも新感覚。んああっいけませんですソリュシャン御嬢(たま)ぁ、とか見っとも無く喘ぎたくなる。というか喘いだ。

 

「ちょぉ気持ち良いですぅ……!」

「ぁはっ、勿体無いお言葉です」

 

伏し目がちの青い瞳が淡く潤み、喜びの感情に打ち震える声音が俺の心とちんこを刺激する。

もよもよと動くソリュシャンの本性に愛撫され、単に身体を洗う以上に性的な意味で愛撫されているような気さえする。スライム風呂って意外と良いよね、とか考えながら射精した。……射精、した。

 

んあーっ、お精子出ちゃうのーっ!

 

とか誤魔化せる雰囲気でも無い。ふっ、やってしまったな。

風呂場の敷物(マットレス)の上に寝転がった俺に覆いかぶさる金髪の美女。見た目だけなら貴族の美しい御嬢様だが、今現在は俺の身体をえっちな感じに洗ってくれる献身的なメイドである。

ただ洗っているだけなのに、気持ち良過ぎるのだ。だから、出しちゃった俺は悪くない。よね?

 

「はあん……っ、さば味噌さまの至高の子種を私の体内(なか)に賜れるなんて……!」

 

ソリュシャンも喜んでいるので多分セーフ。でもスライムに子種とか言われると、俺の遺伝子を継いだ軟体生物が増殖するホラーな想像をしてしまうから、表現をもう少し控えて欲しい。怖いのは苦手だ。

 

手を伸ばして、酷く手触りの良いお尻を触る。種族特性が影響しているのか、普通に触れるし掴めるのに、お肌がぷるっぷるしていた。一晩中揉んでいられそうな触感である。

外見は人型の美しい女性。

しかしその下半身は、俺に触れた部分から ゆっくりと融けて、こちらの身体を包み込むような形で広がっている。実は内心、見た目がちょっと怖いな、とか考えているのだが、じっと見なければ気持ち良いだけの女体である。思わず精液漏れるくらいには心地良い。

首筋に顔を押し付けると、ソリュシャンの綺麗な縦ロールが鼻筋を擽ってくる。

 

ナザリックの大浴場で音も無く、二人きりで肌を重ねながら腰を振る。

……違うのだ。最初は本当に性的な意味など一切無かった。スライム風呂に興味があって、どうせやって貰うなら女の子が良いな、という事でソリュシャンに声を掛けたのだ。

だけど綺麗な女の人と裸でくっ付いていたら高ぶるだろう。先程うっかり射精したので箍が外れて我慢出来なくなったというのはあるが、中に出されたソリュシャンも喜んでいるのだから問題は無い、筈だ。

俺はただメイドさんと御風呂に入っているだけ。そう、御風呂(ソープランド)にね。

 

「ソリュシャンっ、なか、気持ちい……っ」

「はい。どうぞ私の内側(なか)へ存分に」

 

細い首筋に はあはあと荒い息を吐きつける。

優しく頭を撫でられて、そのせいで何か特殊なプレイに興じている気にさせてくるが、実際にスライムプレイという特殊な性行為なので間違っていない。

両手でソリュシャンの尻を鷲掴み、指が沈み込みそうで沈まない不思議な感触に恍惚とする。

やばい、俺、スライム種けっこう好きかもしれない。勿論美人に限るが、肌に触れる感触がとても良い。

 

そしてまた射精した。

快楽に耐え切れず閉じた視界で、蠢くソリュシャンの肉体が変幻自在の愛撫をもって俺の性器を嘗め尽くす。真っ当な身体構造を持つ者達では決して出来ない愛し方だ。

仰向けに寝転がりながら、覆い被さってくる女の身体に向けて必死になって腰を振る。

俺の胸元に押し付けられた乳房もその形を保ったまま、硬くなった乳首の形と豊満な肉の柔らかさを伝えてくる。

 

「そりゅ、しゃん。ソリュシャン。ソリュシャン!」

 

口を開けて舌を突き出せば、出来るメイドが同じく口でもって受け入れる。

絡める舌の感触まで極上だった。

ひょっとすると目に見えない口の中はスライム状のどろどろで、俺の舌が捕食されているような状態かもしれないが、気持ち良過ぎて細かい事を考えられない。

 

「んんぅ――っ!」

 

噴き出す。耐える事無くまた出した。

 

目蓋を開いて風呂の天井を見上げながら、全身で呼吸しながら脱力する。

やばい。すごい。まずい。きもちいい。語彙力を失いながら、胸中でソリュシャンの全身奉仕を絶賛する。これは癖になりそうだ。股間を揉み上げる微温の刺激に新しい精液を追加しながら、彼女の細い腰を腕で抱きかかえて息を吐く。

 

そんな俺を、美しい異形(スライム)が微笑みながら見下ろしていた。



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第十四話 カルネ村在住の王女様とおねだりックスする話

「やっ、やめて欲しいでござるーっ! 助けてでござるうーっ!!」

 

そっ、それがしはー! と叫ぶ何か。

黒く濡れた美しい毛並みの狼型魔獣が、巨大な毛玉を甘噛みしながら振り回す。

その度に愛らしいハムスターの悲鳴が森の一角に響き渡り、ぶんぶん動く蛇の尻尾が周囲の木の幹に傷跡を増やした。

 

「はあ……」

 

自らの使役魔獣(ペット)が現地の魔獣を可愛がる様子を見るとはなしに視界に入れている男装の少女、(あたし)――アウラ・ベラ・フィオーラは同じくペットの六本足、上位魔獣イツァムナーである固体名クアドラシルの背中に腰掛けて溜息を吐いた。

椅子代わりのクアドラシルが私の横顔を気遣うように見上げたが、それに気付いても何も出来ない。

 

至高の御方から命じられた、トブの大森林の実効支配。

 

野伏(レンジャー)でありながら魔獣使い(ビーストテイマー)のクラスも修めた自分ならば、数多の魔物犇く森林領域の踏破も容易い。未だ情報の不足する未知の環境を鑑みて、私の従える100の魔獣が四方八方へと無数に放たれて今この時も別区画での事前調査を行っているため、万が一の事態が起きる可能性は酷く低かった。

 

「はあああ……」

 

必要ならば、他の守護者へ協力を求める許可もある。

その保障された安全性ゆえ、というわけでは無いが。

大森林の調査と支配を主導する立場に就いたは良いのだけど、ここ数日、ずっと憂鬱な溜息ばかりを吐いていた。

 

「フェン、もう良いよ。毛玉(それ)、さっさとナザリックに送っちゃおうか」

 

わふ、と犬っぽい鳴き声で返事をした大狼(フェン)が毛玉を放り出し、目を回して ござるござると呻く現地の魔獣を回収するために、運搬係として着いて来ていたナザリックのシモベ達が群がっていく。

常の精神ならば皮を剥いでやろうか、などと考えていただろう程度には良さげな毛並みの魔獣を見送って。クアドラシルの背中で気持ちを切り替えるように身体を伸ばした私は、結局また何時も通りにとある御方の名前を口にしてしまう。

 

「さば味噌さま……」

 

任された仕事だ。誇らしい事だ。全身全霊を注ぎ込む姿勢こそが肝要である。

それが分かっていて尚、十全に仕事をこなす以上の事が出来ない。きっと他の守護者達が今の私を見れば言うだろう、怠慢だ、と。私だって逆の立場ならそうする筈だ。

 

もじ、と立ったまま腰を小さく捩る。

何時まで経っても忘れられない未知の快楽を思う。今も両手が自身の股座に伸びそうになっては自覚して、ぐっと我慢しては動きを止める。その繰り返し。

何もしていないのに首から上へと熱が溜まって、呼吸が強く深く乱れる。

 

ここ最近、私の頭の中には何時だって至高の御方の御姿があった。

シャルティアと繋がり愛し合う姿。プレアデスや一般メイドと絡み合い、少しだけ意地悪な言葉を使う姿。

 

――そしてそれを覗き見ながら、必死になってあそこ(・・・)を弄る自分。

 

「あううっ」

 

思い出すだけで顔が火を噴く思いだった。思わず両手で覆い隠して、それに対して すわ変調か、と心配したペット達が寄ってくる。

こんなのは自分(あたし)らしくない。これではまるで双子の弟(マーレ)のようだ。元気一杯、何時だって顔を上向けて笑うのが私の在り方だった筈。そう定められたのだから、そう在らねば。在らねばならない、のだが、出来ない。無理だった。

 

さば味噌さまの股間に屹立するモノ。

ナザリックの女達が嬌声を上げる様。

本当に嬉しそうに笑う至高の御方の、陽気な声音が名前を呼ぶ。

 

アウラ、と。

 

「あああああああーっ!!!!!」

 

違う。違う。あんな声で呼ばれた事が私には無い。だって、まだ、一度も。

――私は、して貰っていない。

 

ぱたり、とクアドラシルの上に倒れる。そのまま横に滑って落ちて、森に生い茂る薬草の群生地にまで転がっていく。ペット達がぎゃあぎゃあ鳴きながら追いかけて来るが、気にしてあげるだけの余裕が無かった。

やがて赤ん坊のように丸まった姿勢で、自分の股間部を意識したまま目蓋を閉じる。

 

「私だってさあ……」

 

自分だって。自分だって、彼女達のように――。

そう言って、しかし言葉の続きだけは、未だ口に出来ないままだった。

 

 

 

 

「武技! ――<六光連斬>!!」

 

全力の斬撃が六度閃く。

しかし、眼前に立つ二足歩行の蟲王(ヴァーミンロード)はただの一歩も動く事無く、自身(ガゼフ)が全力で放つ全ての攻撃をその手に握る刃をもって打ち払った。

 

敵手は依然無傷のままだ。

ライトブルーに輝く外皮には、未だ一太刀も届いていない。

 

「っ、まだだ!」

「ウム。来ルガ良イ、戦士ヨ!」

「<急所感知><流水加速><可能性知覚>」

 

手持ちの武技を三連続で重ね掛け。

今向かい合うのは、手加減など絶対に出来ない遥か格上の相手だ。ゆえに打てる手は全て打つ。

その弱点を調べ。神経系を加速して対応力を跳ね上げる。そして強化された第六感が行動の成功率を補強した。その上で――。

 

「<能力向上><能力超向上>!!」

 

更に二つ、武技を重ねた。

 

効果は単純、肉体能力の強化だけ。それを二つ乗せれば一時的ながら常とは段違いの力が満ちる。

それでも目の前の相手には全く届かないのだが、だからと言って全力を尽くさない言い訳にはならなかった。

 

そして今日もガゼフは敗北する。ただの一矢も、報いる事無く。

 

「コキュートス様、お時間です。そちらの家畜(ガゼフ)を工房へ連れて行かなければなりません」

「ム、モウソンナ時間カ」

 

血と汗と泥に塗れた自分の傍らで、異形達が言葉を交わす。

武技を用いるサンプルとしての時間が終わり、これから日が変わるまでは人皮紙工房で皮を剥がれる家畜としての時間が始まる。何時も通り、此処に捕えられて以降の長い間変わらない、ガゼフ・ストロノーフの日常だ。

 

それでも諦める事はしない。

 

己は王の剣であるのだ、今でこそ囚われの身だが、何時までも此処には居られない。

帰らねば、ならないのだ。

王の下へ、己の仕えるべき主の下へ。如何なる痛苦に見舞われたとしても、この忠誠心だけは決して折れさせはしない。

 

「デハ、マタ会オウ、ガゼフ」

 

六つ並んだ青の複眼が己を捉える。

彼もまた主君に忠を捧げる戦士(シモベ)であると言う。未だ(まみ)えた事こそ無いが、決して味方でないとは言え彼ほどの素晴らしい戦士が全てを捧げる相手なのだ、きっと恐ろしくも慈悲に満ちた、王の器を持つ輝ける存在なのだろう。

 

尊敬、している。彼の実力も、その在り方も。

だが、だからこそ自分は此処を出なければならない。(コキュートス)と、せめて在り方だけは対等な敵であるために。

 

家畜のままでは居られない。俺は王国戦士長ガゼフ・ストロノーフなのだ。必ずや国王ランポッサ三世の下へと馳せ参じ、人を人とも思わぬ彼等異形種(ナザリック)から王と王国に住まう民を護らねばならない。護るために、起たなければならないのだ。

 

「ああ、コキュートス殿。また明日、必ず」

 

未だそのための道など欠片も見えぬが、それでも必ずや成し遂げる。

例えどれほど己の弱さと至らなさを思い知らされたとしても、心だけは決して折れない。

諦める事だけは、したくなかった。

 

例えこの墳墓を出た先で、――己の護るべき何もかもが終わっていたとしても。

 

 

 

 

「あら。ちゃんと、来て下さったのですね」

 

出迎えの言葉を無視して家の中を見回す。

小奇麗ではあるが上質ではない、カルネ村の一家屋。内装を一通り観察してみたが、造りそのものは特別なものなど何も無い、普通の民家だ。

 

だが俺は油断などしない。此処は彼の黄金――ラナー王女の住む家なのだ。

 

女の子の家に御呼ばれしたからといって、それだけで機嫌の良くなる俺ではないぞ! なんかこの家良い匂いするけど!

フシャーッ、と両手を身体の前に出して威嚇する。しかし相手はラナーだ。俺の精一杯の虚勢にも、くすくすと笑みを零すばかり。実に手強い。

 

若干椅子を引き気味に、一つしかない卓の前に腰掛ける。そして対面には当然ラナー。

見回してみたが、誰の存在も家中には見えない。俺以外にはラナーだけ。

 

「心配しなくともクライムなら居ませんよ」

 

むしろ居ないから心配しているのだが、こいつに(ひと)の気持ちが分かるとも思えん。

予想外に手際良く用意された香りの良いお茶に口を付けて、ようやく俺は口を開いた。

 

「で、何の用だよ……?」

 

実は、カルネ村へ訪れる機会はそれなりにある。

ナザリック内の仕事はほぼ全てがシモベ達に割り振られている以上、俺のやるべき事なんて余り無いのだ。一時期頑張っていた冒険者稼業も、美姫ナーベとの優越感ありありセックスが終わったため、何時やめても問題と言える問題が無い。精々が街中でイチャイチャして見せつけるくらいか。

エ・ランテルの冒険者組合から色々言われる事もあるが、基本無視。ナーベを盾にしての没交渉だ。

 

ギルド拠点の維持費用に関しても、ユグドラシル時代に貯めた金貨が山とある。ちょっと位のんびりしたって余裕余裕。半永久的にユグドラシル金貨を確保する手段に関しては、出来る限り現地の環境を傷付けない、という条件さえ守れば何でも良い。あとは頭の良い奴等に任せるだけだ。

 

つまり、暇である。俺が普段セックスしかしていない理由はそこにある。

 

何ものにも追われない日々というのは実に素晴らしい。素晴らしいが、暇でもあった。

なので空いた時間に、カルネ村の視察という名目で散歩をする日が増えている。カルネ城砦建設現場を のんびり眺めながら、こっそりシモベ相手にセクハラをする俺。至高の余暇の過ごし方だった。

 

そんな暇人の俺に対して今日、ラナーからの誘いがあった。

 

正直無視したかったのだけど、俺はコイツに対して微妙に思うところがあるのだ。泣かせた事を未だに引き摺っているとかでは無いが。全然無いが。

そして実際訪れてみれば、これである。ニコニコ笑顔で茶を入れて、俺が口にする様を観察する。……まさか、毒? いや、毒耐性はちゃんと備えている。なので問題無い筈だ。

俺がお茶を味わいながら色々考えていると、ラナーが動いた。思わず肩が震えてしまう。

 

ふわり、とスカートの裾が翻る。

簡素な衣服だ。王女様が着るには値しない、なんとも素朴な平民服。

真っ白な、生地の薄いワンピース・ドレス。

その裾をそっとラナーが指で摘んで、秘められた奥が晒され、る。

 

茶を噴いた。

 

「パぁぁーンツ!!!!」

「うふふっ」

 

はいてなかった。

ラナーは、パンツを履いていなかった。

 

なんでや!!!!!!

 

「何!? 何事なのっ!!?」

 

まさかパンツ買うお金も無いからお小遣い下さい、とかそういうのか!? いかがわしい!!!

いや違う、そんなわけは無い。だって俺の方からちゃんと生活用の支度金、通称ラナー資金を用意させていた。アルベドに直接言ったので、金か物資か、形はともかく不足があるとは思えない。

じゃあ何だ。今俺は何を見せられている。女の子の綺麗な身体を見せられて、なのに混乱続きで勃起も出来ない。どうすれば良いのだコレは。

 

「やってみると少しばかり恥ずかしいですね、これは」

 

じゃあやめてよお!!!!

 

叫びながらも、俺は視線が離せない。

秘所を晒しながらラナーが近付く。椅子の上で後退りしようとするが、がたりと音が鳴るだけで退(すさ)れないどころか、椅子ごと倒れそうになって、咄嗟に足の裏で床を叩いて重心を保つ。

椅子に座った姿勢で動けない俺の、俺の膝の上に、ラナーが重さを感じさせない動きで、畳んだ形の膝を乗せた。

 

圧倒的至近距離、俺の目の前でたくし上げられたスカートの中身が輝いている。

片膝だけを乗せているので少女の股は はしたなくも開かれており、そこの、本来ならば秘められるべき箇所は丸見えだ。

ガラスなどない木枠の窓から差し込む陽光がラナーの真っ白な肌を透き通らせて、酷く神秘的な色を、俺の瞳に焼き付けんばかりに印象深く見せつけた。手が伸びる、いや、伸びそうになって、俺を見下ろすラナーと互いの視線が絡み合う。

 

「ずっと待っていたのに、来て下さらないんですもの」

 

だから、お誘いしたんです。

 

そう言って恥ずかしそうに微笑む黄金が、俺の心臓を暴れさせようと誘惑する。

何を企んでいる、とか言えなかった。胸が痛い。心臓が痛い。興奮が、加速度的に増していく。

俺の太腿に乗せられたラナーの膝が、裸の足が するりと動いて、ズボン越しの股間を撫でる。それに、うあっ、と情けなく呻いてしまった。

 

優しく触れてくる皺一つ無い膝小僧。手で触れればきっと凄く滑らかで気持ち良い。だけどこれはきっと何か腹黒い意図を隠し持った媚態なのだ、ならば俺は、この誘いに負けるわけにはいかない。

ああそうだ。俺には一端の男としての矜持と、ナザリックの主としてこの背に背負うものがある。

 

ナザリックの皆のためにも、ラナーなんかに絶対負けないっ!

 

 

キスをされた。

射精した。

 

 

あっあっあっ、と何処か遠くで喘ぐ誰か(おれ)の声が聞こえてくる。

頬を擽る細い金髪の感触が、ぞくぞくと背筋を駆け上ってくる快感と連動していた。

掴まれ、優しく導かれた右手の先には、滾る女の熱がある。その滴りで濡れていく感覚さえもが心地良い。

 

口元まで捲り上げられた(ドレス)の中、晒された裸体、起伏の薄い真っ白な乳房の膨らみが唇に触れる。そのまま、何を言われるでも無く乳首を吸った。ん、と小さく聞こえる彼女の声に耳朶を舐められ、ズボンの中で、もう一度勢い良く射精した。

 

「――気持ち良いです」

 

嬉しそうな笑みを含んだ、ラナーの声。

押し付けられてくる胸の柔らかさ、彼女の素肌の瑞々しさが俺を高ぶらせる。口でしゃぶり、右手で熱を宿した秘部を弄って、左手は細い腰を支えながら衣服越しの臀部を優しく優しく撫でていた。

 

悦楽(ラナー)に溺れて、何も考える事が出来ない。

しかしそれに対する不快感など一切感じず、荒々しさもなく互いに求め合うように肌を重ねていた。

 

「もう十分。そろそろ挿入(はい)りましょう?」

 

うん、と夢見心地で答えを返した。

取り出された一物が雄の臭いを纏わり付かせながら天を突き、そのまま、暫く振りのラナーの中へと還っていく。位置の調整のための支えなど要らない。どちらも真っ直ぐ、上と下から腰を動かすだけで奥の奥まで繋がれた。

 

内側の熱が俺のモノを揉み上げる。その快楽に三度目の射精をしながら、やがて互いの腰が密着するところで動きを止めた。

ラナー、と呼べば唇が重なる。舌を絡めて唾液を送り込み、彼女が飲み込む音が耳に届いた。

互いに腰を僅かに交差させた姿勢で抱き締め合う。隙間無く密着する股間部で、濃淡に差のある相手の陰毛が絡んでくるのが くすぐったい。

 

「近く、王国と帝国の戦争が行われます」

 

耳元でラナーが囁く。

それに、やっぱり裏があったんじゃないか、と薄っすら苦笑した。

 

「そこに介入しましょう。第三の勢力として、――覇王エンリ・エモットの名を掲げて」

 

どこか楽しそうに話すラナーの小さな鼻を口先で咥えると、両目を細めて少女が微笑む。

くにくにと微細な刺激が股間を襲う。ろくに腰を動かさないまま、内側だけでの愛撫が繰り返される。

小刻みに射精しながら、ぼんやりと口を開いた。

 

「ナザリック名義じゃないんだな」

「はい。だって、興味無いでしょう?」

 

内面の表出した、異形種の視線が俺を見る。何処まで覗き込まれているのかと少しばかり考えるが、実際、俺に支配欲と言えるものは殆ど無い。そんなものはベッドの上、女の子相手の時だけで十分だ。

今だって実質アルベドとデミウルゴス、細かな部分にパンドラズ・アクターを噛ませてナザリックを動かしており、俺自身がやるべき事など頂点に君臨して偉そうに振舞う事くらい。それこそが彼等にとって一番大切な事なのだと、原作知識ゆえに知っているのだ。

 

俺の、ギルドの名前が世界中に轟けば、NPC(アイツら)はきっと喜ぶのだろうけれど。

 

「なんで……、覇王?」

「貴方がよく言っているではないですか」

 

そうだったっけ。

快楽に茹だった頭で思い出そうとしたが、覇王(エンリ)炎莉(はおう)なのは俺にとっては当然の話だ。正直全然意識していなかった。そこまで頻繁に覇王ネタを口にしていた気もしないのだが、そういえばアルベド辺りにも時折言ってしまっていたかもしれない。やっぱり仲良いのかなコイツら。

 

ぎゅ、とラナーを抱き締めて射精する。もう出したのが何度目だかも分からない。

 

「まあ、いいか」

 

どうでもいいか。

 

だって気持ち良いし。戦争で何があっても俺にとって損は無い。

それに戦争とか難しい事は面倒臭い、平和な方が、のんびりセックス出来て気分も良いさ。

本当に何か、ナザリック全体に不利益が生じてしまう場合は、俺も本気を出すだけだ。

 

どうせ誰も、俺に勝てるわけなど無いのだから。

 

びくびくと、突如ラナーの身体が震えた。

何やら酷く興奮しているらしい。突然の強い刺激。膣内が激しく蠢き纏わり付いてくる。つい、と見上げた彼女は先程のままの暗い瞳で、蕩けるような笑顔を浮かべて俺にその頬をこすり付ける。

 

「ああ、ああ、ああっ!!! ――好きです」

 

そう……(無関心)。

 

これは余りにもあからさまな演技だろう。バレバレなので ちょっと萎える。だってラナーがクライムくん大好きっ子なのは当然の事実、世界の真理。突然の告白に白けた思いを隠しきれずに、いいから腰を振れと伝えるために強く激しく突き上げる。

 

ひどい人、と言いながらラナーが笑う。笑いながら全身で応えて、そのまま只のセックスへと移行した。

とばっちりで覇王の呼称が広まりそうなエンリに対して、ちょっとだけ申し訳無く思いながら。

 

 

 

 

響く二人の声が、耳に入ってこない。

 

両の拳を握り締め、噛み潰した唇からも血が滴る。

結ばれる事など無いと知っていた。それでも為し得る限りの全てを捧げ、彼の御方の幸福を守る事こそが己が使命と決めていた。

なのに、苦しい。

心が、苦しい。

風に乗って微かに耳に届く謀も嬌声も、聞こえてはいても頭に入って来なかった。

 

「らなー、さま」

 

呻くような呟きにも力が無い。

国のため、民のため。そう言い聞かせられてカルネ村に滞在し、今日も客人を出迎えるというラナーに命じられて家屋の外で待機していた。ギリギリで話の詳しい内容が判別出来ない距離、家の中の二人にも位置を悟られない場所で、だ。

 

その結果がこれである。

 

何をしているのか、何が起こっているのか。自分(クライム)とて幼子ではない、理解出来る。

だが、何故ラナー様が、という想いがある。今すぐ剣を抜きあの場所に飛び込み、全ての音を止めてしまいたい。だけど出来ない。全てを予測なされていたのだろう主の事前の命令が、己の肉体を縛り付ける。

 

両目から ぬらりと零れ落ちる重たい何かは、激情から生じた涙だろうか。

何たる不敬。何たる不遜。たかが一従者が、主に対して何を考えているのだろうか。

 

王国と其処に住まう民のためにと、自分如きには些少も理解出来ぬ思索を重ねてきた黄金の姫。自分に出来る事は御下命に従い殉ずる事のみ。たとえ、例えどれほど苦しもうとも、ラナー様はそんな自分以上に壮絶な覚悟と大いなる愛をもって、懸命に未来を紡ごうと動いておられる。

 

ごり、と噛み締めた奥歯が幾らか小さく毀れ落ちた。

耐えろ、耐えろと自分自身に言い聞かせ、一歩も動く事無く声が止むまで立ち尽くす。

それが、それこそが、今の自分に出来る唯一なのだから。

 

 

 

 

――その真横、血の涙を流す(クライム)の左右。

 

「ああっ! そんな、そんな所までっ!? どうして私では駄目なのですか、さば味噌さまあ!!」

 

ぐちぐちびちびちと、激しい水音を響かせながら両手で股間を掻き回す黒髪の淫魔(アルベド)と。

 

「どうして人間なんかとっ。あたしも、あたしだって……っ。さば味噌さま、さば味噌さまあっ!」

 

土下座するように蹲りながら股間に手を当て腰を揺する、淫魔と比すれば慎み深い自慰をする闇妖精(アウラ)

 

他者の情事を遠く耳にして心を震わせる謎の三人組。

そんな異常な有り様を、覇王たる宿命を背負わされた とある少女が「えぇ……」と呟き、冷や汗を流しながら呆然とした表情を隠す事も出来ずに しっかり見ていた。




寝取られオナニー同盟結成。


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第十五話 犬抜きプレアデスとエッチする話

「――それで、結局何も分からず仕舞いか」

 

頬杖を突きながら、これ見よがしに溜息を吐く。

上段から嫌みったらしい言葉を投げ掛けられた側は、表情だけが申し訳なさそうに、全体の仕草としては大きく肩を竦めるだけで答えを返した。なんとも不遜な振る舞い。たが許す、此処には気にするような人目など一切立ち入れないのだから。

 

バハルス帝国帝都アーウィンタール。

国家元首たる皇帝ジルクニフは、部下からの報告にフンと鼻息を一つ落とすと片手を伸ばし、グラスに注がれた果実水を軽く口に含んで思考を巡らせる。

 

――王国との国境線付近に、突如要塞が出現した。

 

突如や出現という表現が何とも怪しい。だが現に件の砦は前触れも無くその威容を露わにし、今現在も帝国を対象とした防衛線を張るかのように、長い長い防壁が建設中であるという。

 

それ以上の情報は、無い。

囮として複数放った玉石混交のワーカー達はともかくとして、その影で本命として派遣した帝国の情報収集部隊さえもが一人たりとも帰還せず。消息不明、の一言だけで済んでしまう始末。

全滅した、という凶報さえない。完全に、情報が途絶えていた。

もしもの事態を想定して義務付けられている定時連絡さえ、国境線以前が最後の一報。王国に足を踏み入れて以降の情報は無い。何も、何一つ、だ。その結果を受けて編成を弄った第二次派遣部隊もまた消息を絶ち、事ここに至り、報告を耳にしたジルクニフによって以後の部隊派遣は禁じられた。これ以上は無意味な損耗である、と結論を下したのだ。

 

部隊単位ではない別口で向かわせた極少数の密偵もまた、足跡不明で連絡が無い。

控えめに言っても散々な結果だ。人を育てるというのがどれほど大変か、彼等を始末しただろう王国の者達は分かっていないのだろうか。そう皮肉気に口にしたとして誰が責められようか。

 

「爺。突如現れたあの不可思議な要塞、さては魔法でも使ったか?」

 

一先ず犠牲者達に関しては脇に置くとして、事態の焦点であり原因に対する話に戻る。

突如、出現した、要塞。

それに連なるように築かれた広範囲防壁に関しては真っ当に建設している、らしい。遠目遠目の至極原始的且つ確実性の低い手段によって得た情報だが、それさえ虚報であるならば最早考える事そのものが無駄だろう。

 

要塞は在り、防壁は造っている最中。そういう前提で考える。

となれば、件の要塞もまた正規の、自分達の知る手段で造られた物、という事になるのだろうか?

 

帝国における魔法の第一人者、超越者フールーダ・パラダイン。

毛髪も衣装も、目に見えるほぼ全てが白系統で構成された老人が、皇帝の問い掛けに対し長過ぎる顎鬚を撫でながら口を開いた。

 

「ふむ。私の知る限りでは、不可能ですな。よしんば可能でも人力で行わせた方が余程効率が良い」

 

石を作成する魔法。作成したそれを用途別に加工する魔法。加工したそれを運ぶ労働力(ゴーレムなど)を作る魔法。そしてそれら全てを要塞一つ造り上げる期間中幾度も行使し、維持し続ける魔力と集中力。

 

不可能だ。凄腕の魔法詠唱者が一人居るだけでは絶対に潰れて施工中断、早ければ初日で倒れるだろう。適度な休憩を挟めば良いと思うかもしれないが、そうなると次は工期の早さに疑問が残る。ならば複数人? それこそまさかだ、そんな凄腕が王国に何人も居て堪るものか。

 

造るものがデカ過ぎる。フールーダでは不可能、ならば他の誰にも出来はしない。

 

「そもそも魔法とはあくまで個人の為し得る力の放出、その一形態。無論伝説にあるような――」

「分かった。爺、講義はまた今度にしてくれ。今はもっと他に話すべき事があるだろう?」

 

つらつらと魔法に関する薀蓄を並べるフールーダ。自分の世界に入り込もうとする老人を、物事の優先順位を弁えているジルクニフが掣肘する。

言葉を途中で遮られて仕方なさそうに髭を撫でながら、しかし僅かに不満そうな目をしたフールーダが口を噤んだ。

 

「ふむ」

 

余裕ぶって椅子の背凭れに体重を預けたジルクニフが、豪奢な部屋の天井を仰いだ。

件の要塞に関しては、肝心な情報の全てが不明。これ以上の調査も不可だ。

 

そも王国に、話に聞く要塞を建設するほどの力と頭があるだろうか。あの国は今まさに滅び行く途上。王国最強の戦士は行方知れずで死亡説が最有力、第三王女は帝国にさえ噂の出回った先の王城襲撃事件以降 姿が見えず死亡を推定される状態、体調を崩して療養しているという前国王ランポッサ三世に代わり戴冠した元第一王子は武断派とは名ばかりの貴族派閥の傀儡だ。

 

完全に詰んでいる。ジルクニフは王国の民達に本心から同情していた。

 

「まあ良い。どちらにしろ次の戦は王国も本腰を入れてくる。それを真っ向から粉砕して終わりだ」

 

自信に満ちた態度を維持しながら、場に集う者達全てに向けて言い切った。

 

新たな国王は国や民、何よりも自分を支持する貴族達に力を示すために、誰にとっても分かり易い功績を上げられる帝国との戦場にて一層の奮起をするだろう。

貴族達もまた、新たな王の下での自身の立場を確保するため、かつて無い規模の兵数を用意して存在感を出そうと気炎を揚げる。

全てがそうであるとは言わない。だが、大多数、今の王国の出せる全力が向かってくる。

今までの戦争ごっことは訳が違う。正真正銘、本気の国家間戦争だ。

 

ゆえに勝つ。

 

どちらが上かを分かり易く、戦争(ケンカ)の勝ち負けで教えてやろう。

あとは簡単だ。貴族は使える者を残して首を刎ね、民は大人しく帝国に恭順する。力とは、強さとは、そういうものだ。抗えない、抗いたいとさえ思わない絶対的な恐怖(カリスマ)であるのだ。

 

完全な勝利をもって王国を併合し、自身の率いる帝国は黄金の時代を迎えるだろう。

そう考えれば、さしものジルクニフも愉快な気持ちになってくる。

 

「要塞は捨て置け、これ以上は悪戯に被害が増すだけだ。次の戦にて勝てば、あれもまた我等帝国の資産の一つ。大事にしてやらねばな?」

 

最後に冗談交じりの台詞を付ければ、帝国四騎士の中でも特に気安いバジウッドが真っ先に乗って笑いを零し、他の者達も少なからず笑みを浮かべた。戦争を目前にした時期とも思えぬ帝国首脳部の明るい空気に、良い傾向だと内心にて満足する。

 

多少なりと不可解な要因があろうと己の支配する帝国(くに)は磐石であり、勝利への道筋は既に見えている。

ならば問題は無い。王国側に隠し玉の一つ二つがあろうとも、まさか御伽噺の一説でもあるまいに、帝国の総力をもってして対応不可能な事象など、ジルクニフには想像出来ない。つまり恐れるに足りない、という事だ。

 

笑い、笑い、笑って息を吐き目蓋を閉じる。

望む未来は想定よりもずっと早く、今まさに己の手の届く位置にある。

 

――この戦い、我々の勝利だ。

 

一足早く、ジルクニフは胸中にてそう呟いた。

 

 

 

 

スレイン法国上層部は騒然としていた。

 

漆黒聖典の第一席次(たいちょう)を始めとする外部派遣された総員が失踪、乃至行方不明。

現時点で既に半月が経過。その存命さえ危ぶまれる。

 

それを聞いた漆黒聖典 番外席次――絶死絶命(わたし)は、「ふーん」と短く呟いた。ぶっちゃけ興味が無かった。

 

神人が如何に強かろうとも戦い続ける以上は何時か死ぬ。それが遂にやって来た、それだけの事だ。

もっとも、自分以外の漆黒聖典を皆殺しにしたかもしれない謎の存在にはとても興味がある。強さばかりあっても戦う機会そのものに恵まれない私が、ようやく外に出て戦えるかもしれないのだ。それは一体、何年振りの事だろうか。

 

興奮の余り、手元の玩具(ルビキュー)がガチャガチャ回る。雑に扱ったせいで せっかく揃った一面が崩れてしまい、また全部揃え直しかと眉根を寄せるが、すぐに気を持ち直して くすくす笑った。

 

「どんな奴かな? 男? 女? 数は? 種族は? ふふ、ふふふふふ――っ」

 

尋ねる相手も居ないのに言葉ばかりが口を突く。

今まではあの名前も憶えていない第一席次が答えていたのだったか。そう考えたが、すぐに興奮の渦に呑まれて消える。自分と満足に対峙する事さえ覚束無かった弱い男、死んだ相手だ。憶えていた所で意味は無い。

 

傍らの壁に立てかけた戦鎌(ウォーサイズ)に首だけを伸ばし そっと柔らかな頬を寄せて、長い柄の冷たさに触れさせる。もうすぐ、またこれを振るえるかもしれない。考えるだけで笑みが止まらず、声が零れた。

 

「男だったら良いな。飛び、っっきり強い、(おとこ)。わたしを、――正面から抱き締められるくらいの」

 

まだ見ぬ相手を想い、形の無い愛を囁く。深く、深く、飢えた獣のような笑みを浮かべながら。

早くその時が来て欲しい、と夜空を見上げて本気で願った。

 

 

 

 

「んあーっ! ナーベラル、裏筋(そこ)っ、そこぉ! ちょー気持ち良いれすううう!!」

「はむ、はむふはふ! むふーっ!」

「喋ると声がちんこに響いて……っ! こっ、こいつ、進化してやがる。エロ方面にっ、依然、足を止める事無く! ふ、ふおおおお――ッ!!!!」

 

我が家のポンコツメイドが、気が付けばエロ方面限定で有能な(デキる)メイドに成長していた。

これも俺の薫陶の賜物なんだよぉ、弐式炎雷くぅん!!? (ゲス顔)

 

射精直前で口から引き抜き、美しいメイドの顔にぶち撒ける。

び、び、びっ、と断続的に噴き出す白濁が彼女の黒髪と白肌、整った鼻梁までをも陵辱する。

ちんこを引き抜いた瞬間の、唇が前に伸びたフェラ顔のままで。かかる精液の熱に、ナーベラルの口から恍惚とした吐息が漏れる。エロい。僅かに散ったものが戦闘メイド服にも跡を残して、見事に穢されてしまった有能メイドの有り様に、射精直後の俺の熱気(ボルテージ)も鰻上りだ。

 

「ソリュシャン、掃除して?」

「はい。失礼致します、至高の御方(さばみそさま)

 

上から目線で命じれば、汚れきった半勃起ちんぽを恭しく両手で掬い上げ、うっそりと笑うソリュシャンが丸く開いた ぬるぬるの御口に深く深く呑み込んだ。

 

にゃる、と金髪メイドの口の中で何かが渦巻く。

左右へと回転する重い粘液(スライム)が俺のちんこを優しく絞る。更に渦に紛れて前後に裏筋を摩ってくれる微細な流水、先端部だけを温度高めで優しく揉み洗いする不定形の舌の感触。

口に挿れただけで無数の快楽が俺を襲う。

それに耐え切れず、一分ともたずに射精した。

 

「はあ……っ、すっごい。ソリュシャンすっごい。おれ、すらいむ、すき」

「勿体無い御言葉です」

 

口元を拭いながら優雅に一礼するデキるメイド。こっちの方が有能そうだ。

傍らのナーベラルが不満そうに頬を膨らませるのを目にして、軽く足先で丸い胸の膨らみを擽った。すると、ちょっと構ってやっただけなのに表情が綻ぶ。それが良く懐いた犬のようで大変可愛い。

 

「ユリ」

 

二人の後ろでずっと待機させていた女の名を呼ぶ。

 

無表情でじっと俺達を見つめるユリ・アルファの手を引いて、背後から抱きすくめる様に俺の膝の上へと座らせた。あ、と小さく漏れた声で、二度射精した股間が僅かに力を取り戻す。太腿の上に乗る豊満な尻に押し付けられたモノの存在に、間違い無く彼女は気付いているだろう。

彼女にはセクハラが良く似合う。俺は満足げに頷いた。

 

「ユリはどうして欲しい?」

 

調子に乗って、いやらしく問い掛ける。その間も ぐいぐい腰を押し付けて、徐々に一物が上を向く。

膝の上の成熟した女体が、幾度か口を開いては閉じて、やがて震える声音で答えを返した。

 

「以前のように言、あ、愛っ、……いえ。さば味噌さまの、お望みのままになさって下さい」

 

なんとも歯切れの悪い物言い。

……ひょっとして姉妹(プレアデス)に手を出した事を怒っているのだろうか。

以前もシャルティアの件を大層気にして、俺からの誘い(セクハラ)を固辞していた。つまり、今ユリはかなり本気で腹を立てている。いかん、いかんぞコレは。目の前で好き放題やり過ぎたのか。でもメイドさんを侍らせるとか男の夢だろう? 俺は、俺は間違ってなんかいないッ! そうだろうメイド狂い(ホワイトブリム)!!

 

「ユリっ!!」

 

背後から強く両肩を掴み、二人で寝台に倒れこむ過程で体勢を入れ替え、彼女の身体を押し倒した。

メイド服の乳袋が ふよんと揺れて、しばし視線を奪われる。いかーん! エロぉーい!!

肩を掴んだまま真っ白なシーツの上に組み敷きながら、真っ直ぐに眼鏡越しの黒瞳を捉える。やだ、この()ってば凄い美人……。ではなく、キリリッと真面目な表情を作ってユリに言う。

 

「お前が欲しい」

「っ! さ、ば味噌、さま……っ」

 

感極まったようなユリの声。両手で口を覆って瞳も潤む。

よし。効果はあった、らしい。以前もこんな感じだったし、あとは勢いでヤればイケるやろ! なっ!

 

なんだかんだ言ってユリ・アルファは押しに弱い。それだけ憶えてればスケベ出来る。大丈夫、大切にするから! アンデッドだから妊娠は出来ないかもしれないけど、末永く面倒見るよ! 代わりに俺のちんこの面倒も見て貰うけどー!

 

両手で好き放題に乳を揉みしだきながら、唇を重ねる。

最初は躊躇いがちだったユリの舌が、時間を掛けるほど徐々に俺のものへと絡みだした。それに調子付いて、俺も膨らんだ ちんぽをスカート越しのメイドの股間(あそこ)に押し付けて、殊更ゆっくりと上下に動かす。

ほうら妹達が見ているぞお、と囁けば、恥らうユリが顔を逸らしながら唇を動かす。何か言い訳でも口にしたのだろう、だがすぐにキスで塞いだので聞こえないし気にしない。おっぱいを掴んで右手で引っ張り出すように激しく揉んだ。黒いスカートに左手を伸ばし、綺麗な太腿が派手に露出するように捲り上げる。さあ保健体育の時間だ、妹達に大人のセックスを見せてやるんだ、お姉ちゃん!!

 

露わとなったユリの股間を覆うのは、以前とは違い大胆な黒のショーツだった。

カボチャじゃない。それにちょっと驚き、俺が両目を瞬いているとユリが恥ずかしそうに口を開く。視線は、横に逸らしたままで。

 

「その、殿方はこのような物を好むとペス、ペストーニャが」

 

何者だよあの犬。そもそもお前(ペストーニャ)語るほどの経験あるのか。しかしグッジョブ。今度褒美を賜わそうぞ。

それよりユリだ。俺のために新しい下着まで用意してくれるなんて、実はこっそり待っていてくれたんだな!

 

「嬉しいよユリ。可愛いよユリ。愛しているぞ、ユリっ!」

「あ、――ぁああっ!!」

 

感情任せの雑な告白を ぺらぺら連ねると、聞かされたユリが頬を染めて、ようやくその顔が綻んだ。どや、至高のイケメンボイスやぞ。

 

丁寧に下着を脱がし、しっとり濡れている股間の裏地にちょっと視線を奪われて、先走りの止まらない ちんぽを構えてユリの入り口に突き立てた。

ぬるっぬるのどろっどろ。この膣の状態、明らかに期待していた感がある。んもーっ、ユリちゃんってば本性ドスケベなんだからぁー! すき!!!

 

やっばいなコレ、速攻で出そう。

などと考えていた所で、――気が付けば部屋の中に更にメイドが増えていた。

 

完全な無表情でこちらを見つめるプレアデス二名、自動人形(オートマトン)シズ・デルタと蜘蛛人(アラクノイド)エントマ・ヴァシリッサ・ゼータ。

 

ほあっ、と思わず悲鳴を上げる。

ひんっ、と同じく びっくりしたのだろう、ユリのまんこが ぎちっと俺のちんこを締め付けて、室内のプレアデス四名に見られながら射精した。

 

「ン、んっ!」

 

そして体内に吐き出される精液を捉えて喘ぐユリ。声や吐息が非常にエロかったので、鼓膜からの心地良い刺激を受けた俺も全身が震えて、びくびくと揺するように腰を振って残りを吐き出す。

 

束の間訪れる賢者タイム。

 

無表情で俺達を見ているシズとエントマ。……いや、エントマは和風メイド服の袖先で己の口元、仮面状の蟲の口型模様を隠すようにして僅かに肩を震わせていた。表情は分からん。顔に見えるアレは仮面だし、素顔も蟲だから。

いやん、えっち。とか言える状況ではない。呼んでいないぞお前ら。思わず思考に空白が生まれ、何も言えぬまま腰だけ振ってユリを味わう。プレアデスの末っ子ズに情事を見られて固まっているユリもまた、表情だけは呆然としながら時折短く喘ぎながら身を震わせていた。

 

「あら、シズとエントマも来たの」

「じゃあほら、至高の御方の御姿を間近で拝見させて頂きなさい」

 

そして空気を読ま、読む、……逆に空気を読んでいるのかもしれないナーベラルとソリュシャンが、謎のアシスト力を発揮して新顔二人を場に混ぜようと言葉を並べる。

 

なので、そういう事になった。

 

シズとエントマは床に座って、寝台の上、正常位で繋がりセックスしている俺とユリを至近距離にて観察している。なんだろうか、この歪な授業参観みたいなのは。

無表情だが興味深そうに見ている二人を余所に、見られている側のユリはもう、整った顔立ちが史上稀に見るほど真っ赤に染まり、僅かばかりの涙さえ零しながら両腕で顔を覆って いやいや首を振っていた。

俺はそんなユリを見て、今非常に興奮している。

 

「おいおい。妹達が見ているんだぞ、もう少し堂々としなきゃ駄目じゃないかユリ!」

「もっ、申し訳ございませっ、あ、ああ、見っ、見ないで、ふたりとも……っ」

 

無茶な命令に従おうにも、己の感情が付いてこない様子。ふふっ、良いじゃないか この反応。

か細い声音で懇願するユリの姿に、俺は猛烈に欲情していた。深く腰を振りながら射精して、更に内側の潤いが増した まんこを執拗に掘り返しては声を上げて笑う。

 

前を開いたシャツの内側、放り出された巨乳が淫らに揺れる。上の下着を宙へと放れば、じっと情事を見守っているシズの頭に落ちたが、当人は全く反応しない。表情からは分からないが、ひょっとすると、かなり集中して見ているのだろうか。

エントマは男女で繋がった股座と揺れる乳房、そして俺達二人の表情と、何処を特に見れば良いのか分からないのか、視線をそこら中に行ったり来たり。依然和服の袖で口元を隠して、時折甘い声で、ふあっ、と言葉にならない感情を漏らす。かわいい。

 

脇から細い両手が伸びてくる。

見ればソリュシャンが薄く開いた唇を寄せて、キスをねだる様子が見えた。

互いの朱色を優しく合わせて舌を突き入れ、つるつると舌を吸われる感触が気持ち良い。

繋がった二人の股間に、ぬめる何かが触れてくる。視線だけを向ければ暇を持て余したナーベラルが、ソリュシャンに倣ってか結合部を緩く舌先で舐めながら奉仕していた。それに少しだけ嬉しく思って口端で笑う。

 

出る。

 

下腹部で射精の衝動を感じると同時に、腰を勢い良く引き抜き己の性器を外気に晒す。

急な刺激にユリが喘いだ。

最後の最後で強い快感を受け取った俺のモノが、痙攣するように震えながら精液を噴き出す。

雄の欲望が歪な形で舞い上がる。それを、じっと大人しく観衆に徹していた二人に、遠慮無く振りかけた。

 

シズの綺麗な赤金の髪(ストロベリーブロンド)、整った少女の顔と簡素な眼帯(アイパッチ)が白く汚れる。

エントマの種々様々な蟲によって構成された顔、髪型、和服にそれぞれ疎らな跡が ぱたぱたと落ちた。起伏の少ない仮面状の蟲の外皮、普段見えている彼女の()の表面に、たらりと精液が糸を引く。無表情な顔の模様と相まって、汚された、という印象が強くて実に良い。

 

大きく、大きく息を吐く。

疲れた。凄く疲れた。ただでさえ初の三人相手だと言うのに、更に追加で二人が見学。直接行為を行うわけで無くとも、見られていると意識するだけで、どうにも気持ちが疲れてしまう。

 

疲労からか、呆然とベッドの天蓋を見上げるユリの顔。いそいそと後始末を行うソリュシャンとナーベラル。掛けられた精液に何を思えば良いのかと、不思議そうな顔をしながら指先で薄く広げたり、逆に持て余しているシズとエントマ。

俺も、疲労に任せてベッドに倒れた。

 

だけど、まあ。かなり良かった。メイド天国、またやろう。

そんな事を考えながら、後の掃除を彼女等に任せて眠りに落ちた。




※オナニー同盟の覗き描写は省略してあります。


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第十六話 元漆黒聖典第九席次で性欲処理する話

ここ最近で少しばかり物々しくなったカルネ村を、強い日差しが照らしていた。

 

「――ふうっ。これで荷解きは終わりですね」

「はい。お手伝いありがとうございました、クライムさん」

「いえ、この程度ならば!」

 

労働の後の小休止、男二人で笑いあう。

これでカルネ村への引越し作業もほぼ全てが完了し、残りは屋内における錬金術関連の物の整理しか残っていない。一番大変な作業は終わり、手伝いを申し出てくれたクライムさんには、機会があれば今回のお礼をしたいものだ。

今までは錬金術漬けだったために然して縁の無かった同年代の同性と居るのは、意外や意外、なんとも落ち着くものだった。特に彼に対しては理由不明の親しみを感じるというか、馬が合うと言うべきか。どうにも他人のような気がしない。

 

僕、ンフィーレア・バレアレは、祖母と共に今日この日、カルネ村への移住を終えた。

 

昨今のリ・エスティーゼ王国は政情不安定と言うべき状況で、王国戦士長の失踪以降立て続けに不幸が起こり、新しい国王陛下が起った現在(いま)でさえその不穏さに変わりは無い。

国家間の要衝であるエ・ランテルは、その立場上独立性こそ強いが、結局の所王国の一都市。戦争が始まれば位置関係上大きな影響を受ける事は変わりなく、新国王が直轄領に対する強権を振るって強制徴収を行う、という可能性だって否定は出来ない。

国で名の知れたバレアレ薬品店も、品質の高い治癒薬の有用性を考えれば店ごと接収、というのも決して絵空事とは言い切れなかった。特に祖母であるリイジー・バレアレは、僕の将来を思って頻りにこれから先の心配をしていたほどだ。

 

だから、カルネ村へと逃げてきたのだ。

 

住み慣れた街から逃げ出すような自分に抵抗もあった。

何時の間にか一大軍事拠点と化しているカルネ村に、幼馴染(エンリ)の生まれ故郷に迷惑を掛けるかもしれない、という事も懸念の一つ。特に、今のこの村、……村? は多数の異形種が行き交う場所となっている。王国との間に僅かでも問題が起こってしまえばどうなる事か、僕の常識では血の惨劇しか思い描けない。迷惑を掛けてしまうのでは、と不安になる。

 

異形種(ひとではない)という点に関して抵抗は無かった。

村の恩人、エンリの恩人。ならば僕にとっても恩人だ。……振られる事さえ出来なかった初恋の相手だが、僕は彼女を嫌えない。悪く思うなど不可能だった。

迷惑は掛けられない。そう思ってカルネ村への移住の誘いも固辞していたのだが、結局は口説き落とされてしまって、今がある。

 

「あら、少し遅れてしまったかしら?」

「やっほー、二人とも」

 

顔を思い浮かべれば、渦中の二人がやって来た。

白の両角に黒い翼、艶やかな長い黒髪を靡かせる女悪魔。

美しい少年、少女? と少しばかり首を捻ってしまう外見の、小さな闇妖精。

 

アルベド様とアウラ様。

僕達バレアレ一家が移住を決めた、元凶だ。いや、元凶と言うのはかなり意地の悪い言い方なのだが。

 

「いいえ、アウラ様がお貸し下さった魔獣さん達には随分と助けられました」

 

僕の言葉に、傍らのクライムも頻りに頷く。

人間では不可能な重量さえ容易く持ち運ぶ、立派な魔獣。今はもう役目を終えて姿を消したが、エ・ランテルとカルネ村を繋ぐ街道の半ばから此処まで、荷馬車を引っ張って進む速度は驚くほどのものがあった。

 

「うんうん。あの子達はちゃーんと後で褒めてあげないとね!」

「引越しの作業が終わったのなら、――ンフィーレアの引越しのお祝いをしましょうか」

 

引越しの、お祝い。

その言葉をアルベド様が口にした途端、場の空気が大きく変わる。

 

あれっ? と思うが、何が原因かも分からない。だが、僕の隣でにこやかに笑っていたクライムさんが突如全力で走り出し、その肩を音も無く伸ばされたアルベド様の片手が掴んで、場に縫い付けるように動きを止めた。……片手?

 

「さば味噌さまなら、さっき覇王と一緒にあっちの茂みに向かったそうだよ!」

「そう。丁度良いわ、それなら急がないといけないわね!」

 

何だろうか、これは。

雄たけびを上げてアルベド様から逃げようとするクライムさんを気にもせず、お二人は和やかにお祝いとやらの段取りを話し合う。

 

気が付けば僕の背後に回りこんだアウラ様が、背中を押して何処かへ誘導しようと笑っていた。

 

「アルベド様っ、私はそのような事に興味がありませんので……!」

「何を言っているのよ。貴方は彼の友人でしょう? 最初(はじめて)は刺激が強いから、同性の貴方が隣で支えてあげないと。――貴方ならば分かる筈よ、同志クライム」

「くっ! いや、ですがっ!!」

「大丈夫よ、じきにこれが病み付きになるから。情報源(ソース)は私」

「ぐうううっ、ら、ラナー様! ラナー様ァア!!!」

「ええ、あの女(ラナー)の時には貴方も呼ぶわ、だから安心なさい。くふーっ!」

 

ええ……。

何だろう、これは。本当に何なのだろうか。

 

「このっ、一生使い道の無い駄目ちんぽを腐らせるなんて勿体無いわ!」

「いたい! 駄っ、一生!? じょ、女性がそのような言葉を使うのは如何なものかとっ!」

 

スパァン! と被服越しにクライムさんの股間が叩かれ、耳を疑うような台詞がアルベド様の口から飛び出す。いや、幻聴だろうきっと。そうに違いないし、そうであって欲しい。

 

突如始まった漫才は、互いに遠慮の見えない遣り取りで。仲が良いんだな、と実に不思議な印象を受けた。

その間にも、僕の身体は ぐいぐい押されて何処とも分からない場所へと連れられていく。

 

「大丈夫大丈夫、ンフィーレアには適性あるから。最初は胸が痛いけど、慣れるとすっごいよ!」

「えっ」

「元々そのために勧誘したようなものだもの」

「えっ?」

「あああ、酷い裏話を聞いてしまったあ……!」

「えぇ……?」

 

何が起こっているのかは分からないが、何か大変な事が起こっているような気がする。

この先に一体何があるのか。未知への期待と大きな不安で心臓が強く音を鳴らしていた。そう、まるで警告のように。

笑い合う二人と、冷や汗に塗れながら重い足取りで引き摺られていくクライムさん、そして僕。

 

――この日、僕は新たな世界(せいへき)の扉を開き。同時に、とても親しい友人(なかま)が三人も増えた。

 

 

 

 

竜王国は、突如拓けた明るい未来に沸いていた。

 

つい先頃、リ・エスティーゼ王国から移籍してきた冒険者チーム。リーダーたる男性(さばみそ)と彼に付き従う五名からなるメイド集団六連星(プレアデス)、そして恐ろしげな仮面を被った男女二名。

竜王国の窮状を救うために来た、と公言して憚らない件のチーム【オーバーロード】。

当初は国内不穏な王国から逃げ出してきたのだ、などと口さがない意見も全く無くは無かったが、彼等は批判的な意見と視線の一切を、文句の付けようの無い戦果をもって否定し尽した。

 

僅か、七日。一週間足らず。

たったそれだけで竜王国に侵攻して来たビーストマンの群れ、その大半を殲滅したのだ。

 

国民は沸いた。それこそ熱狂というほどの勢いをもって。

もはや国さえ滅ぶのではないか。そう考える者は多く居て、国家元首たる女王(おのれ)でさえ例外ではない。それを、国中に蔓延っていた絶望を、彼等は瞬く間に払い除けた。

思わず見た目通りの童女のように、私も椅子の上で飛び上がって喜ぶほどの吉報、否、――福音だ。

 

嬉しい。喜ばしい。有り難い。彼の冒険者達には、己が報いれる限りをもって報いなければ。既に国内の冒険者組合とも国家不干渉の規約さえ誤魔化した上で裏でこっそりと話を通し、最高位たるアダマンタイトのプレートを用意してある。歴史に残るほどの偉業(すくい)を成した者達だ、仮に爵位を望むのならば、可能な限りのものを渡そう。

 

そう考えていたのだ、が。

 

「何を求められるかと思っていればなあ」

貞操(ロリコン)よりマシではありませんか?」

「どっちもどっちだろ……」

 

だらーん、と子供体型用の執務机の上で寝そべった。

手元には一枚の書状。それも、聞いた事も無い国家の名を記された、立派な代物。うちの国では用意出来ないんじゃないか、というくらいに見た目からして金の掛かった上物である。

 

どうしてこう、竜王国の高位冒険者は変な奴ばかりなのだろう。

 

「涼しい顔をして渡してきたと思えば、見た目詐欺にも程があるぞう」

「いやあ確かに美形揃いでしたねえ彼等は」

 

朗らかに笑う宰相に、顔の問題か、と愚痴を言う。いや、確かに美形(そう)だったが。

しかも相手は救国の英雄。あの顔と声で真正面から口説かれたら、()ちない自信が全く無い。

 

「あのまま滅ぶよりは余程良い、か」

「ですな。法国への献金とは何だったのか」

「言うな。言うなあーっ! 竜王国(うち)が幾ら払ったと思ってるんだー!! あ゛ー!」

 

はっはっは、と笑う宰相の声が実に癪に障る。

だが今まではこれほど明るい声で笑う事さえ無かった気もする。冒険者チーム オーバーロードは、間違いなく国と其処に住まう人々の心を救ったのだ。自分のような名ばかりの女王には出来ない事を、やってくれた。

ならば、こちらも彼等の行いに応えなければならない。

 

きっと民も賛同する。国の政治と関わる事の出来ない冒険者という立場からすると、彼等の申し出は疑いようの無い重大な規約(ルール)違反だが。それを、国ごと救い上げられた我等が口にする事は生涯無かろう。

他国からの文句も知った事か。綺麗事なら、竜王国を助けてから言ってくれ。

――国家としては問題のある思考だが、かつてと違い、今は胸を張って言えるだろう。

 

だって、今の竜王国には未来があるのだ。彼等の齎してくれた、明るい未来が。

 

「竜王国の未来と、アダマンタイト級冒険者オーバーロードの誕生に、乾杯っっ!!!」

 

机に足を乗せてそう叫べば、呆れた顔の宰相でさえ小さな拍手で乗ってくれる。

ああなんと素晴らしい。手にした安物のワインが美味い。これも全ては彼等のお陰だ。

この国の未来は明るい。そう、掛け値無しに信じられた。

 

 

 

 

あー、虐殺の後は おちんちんがイライラするんじゃー。

 

そんな事を呟きながら、ヤルダバオト仮面を被った金髪の女戦士の乳を揉む。

この仮面邪魔だな、正面から見たら絶対萎える。でも今はとにかくスケベしたい気分なのだ。むらむらするから。

地面に座り込んだ女戦士の背後から抱き付いて、胸元の鎧に圧迫されて盛り上がった乳を揉む。げへへ、ええ乳しとるやんけ、と囁いてみるが、仮面を被った彼女(だれか)は うーうー唸るだけで言葉を話さない。多分この仮面と、嵌められた簡素な首輪とかが効いているのだろう。詳しい効果は全然知らんが。

 

本当なら、竜王国まで連れて来たプレアデスの誰かに処理して貰うところだ。しかし彼女等は俺の命令で今この瞬間出払っていた。ここ最近戦場で ちらちら目に映る、この女戦士の乳が俺を誘うんだよおお!

 

濡れた布で拭っただけの首筋に舌を這わせる。汗の残滓で しょっぱいし、土の味だろうか、ちょっと苦い。だけど偶には野良ックスも良いよね! の精神で気にせず口付け、キスマークを刻印する。ふへへ、気持ち悪かろう。抵抗も出来ず、貴様は俺に穢されるのだー!

 

びくびく震える女戦士――いや誤魔化すのはよそう。これ、多分クレマンティーヌだよね???

 

なんで昔映画で観た謎の奴隷剣闘士みたいになってるんだろう。せめてこの趣味の悪い仮面外して声を聞かせろよ。クラスの皆には、内緒だよ! とか言ってみろよ。くそう。くそう。でも おっぱい気持ち良いよう……。

俺は本来、非処女は抱かないんだ。だって「さらまんだーより、ずっとはやい!!」とか言われたら死ぬだろう、物理的に。以前即射してルプーに笑われた気がするけど、あれは幻聴なのでセーフ。俺のちんこ以外を知ってる女はビッチだ、俺が言うのだから間違い無い。つまりアルベドはビッチ。

 

だが男は皆、おちんちんの衝動には勝てないんだ!

 

というか誰だってクレマンティーヌのエロボディを好きに出来るなら勃起するだろ。俺は悪くねえ。

うーうー唸るだけで喋れないから、俺のセックス弱者振りを罵る言葉も聞こえない。と必要な言い訳を並べ終わって、むき出しの土の上にクレマンティーヌの身体をうつ伏せの姿勢で押し倒す。

コイツの装備、以前と然して変わらず無駄に露出が多いんだよ。誰だコレ用意したの。グッジョブ。

 

がりがりと彼女の指が土を掻く。だがその抵抗自体は弱かった。そもそも互いのステータス的に、俺とクレマンでは勝負にならない。墓地での戦闘を忘れたのだろうか? 一撃で終わったあの戦いらしき何かを思い出せば、無駄な抵抗だと分かる筈。

でも俺こういうの大好きです。マウント取ってる感じがするから。今物理的にも取ってるけど。

 

「お前が悪いんだぞ。こんな身体を見せ付けられたら、誰だって勃起するだろ……!」

 

しかも血飛沫が多いに舞うケダモノ相手の戦場である。ストレス堪るっすよアレ。

ちらっちらチラッチラ胸や太腿が視界を掠めて目を釘付ける。その不意を突こうと突貫してくるライオンさんを見もせず殺す事幾百幾千、万に届いてはいない筈。数えてないけど。

躍動感溢れる戦闘挙動の全てに、年頃の女の乳と尻がぷるんぷるんだ。

 

戦闘中なのに俺のパンツは びちゃびちゃだよ!!!!!

 

「だから責任取れ! オラっ!!!」

 

クレマンティーヌの太腿は張りがあり、無遠慮に揉んだお尻も脂肪がとってもたっぷりしている(ボリューミー)。以前よりも伸びた金髪に鼻先を埋めて、絶対に嬉しくないだろうけど好き好き囁きセクハラを続ける。

その度にびっくんびっくん痙攣しているが、こいつちょっと敏感過ぎるな。スケベ! と罵っても反応は変わらず、きっと凄惨な性体験を多数経ているのだろうと窺える。業が深い。せめて脳内で過去の男達と俺とを比較していない事を天に祈った。

 

最近はプレアデスとの合意ックスばかりで、無理矢理なプレイが出来ていない。ちょっとした腹黒い下心があっても救援に来た竜王国で手当たり次第、などというのは俺のやりたい事ではなかった。というか名有り(げんさく)キャラの方が興奮するからそれ以外(モブ)は要らないです。

 

服も鎧も脱がさずにスカートの中へ手を忍ばせて、汗で肌に張り付く彼女の下着だけを剥ぎ取った。

半端に脱がし、丸めた下着は片脚に残す。ふふふ、良い眺めだ。と笑ってちんぽを取り出した。

先走りで先端部分が ねちゃねちゃしているが、戦場の興奮等が綯い交ぜになった俺の男性器は極限まで張り詰めている。指を突っ込めば熱く潤った まんこが準備万端と無言で訴え、俺はクレマンティーヌの中古まんこを存分に味わうべく、遠慮を捨てて勢い良く挿入した。

 

「――っ!!!!!」

「ふああっ」

 

声も無く叫んだクレマンティーヌに対し、俺はちんこを包み込む ふわとろの感触に思わず喘いだ。

凄く良い感じの膣内の感触。こなれている、という奴なのだろうか? そうなるとやはり こういった行為に慣れてるんだな、と勝手に残念な気持ちになって、それでも止めずに腰を振る。無我夢中の、一度目の射精。

中古まんこ気持ち良いよ! と大きな声で伝えれば、ぶんぶん勢い良く首を横に振って彼女の意思が伝えられた。ごめん、ここで止められるなら最初からやってないんだ。仮面の下から僅かに零れ落ちる涙を見て、逆に興奮してヤる気が湧いた。

 

ヤルダバオトのキモい仮面を見ないために、背後から地に組み伏せたまま腰を振る。

無理に上へと引っ張った短いスカートに皺が寄り、行為の強引さを良く表している。そこに強く腰を打ちつけ、少量だけ飛び散った体液がいやらしい。

鎧の板金で寄せて上げられた胸を揉む。上から手を差し込み、付着した土を塗り付けるように素肌を擦って、乳首に当たった感触もまた気持ちが良い。なので遠慮無く射精した。

 

腰だけ掴んで持ち上げて、獣を突き上げるような姿勢で行為を続ける。

あのクレマンティーヌが四つん這いで、装備のせいとは言え言葉も話せず、今、俺の下で喘いでいるのだ。最高に気分が良い。アンデッド事件では異世界初の真っ当な一騎打ち(PvP)イベントに気が逸って初撃決着してしまったが、あの時ヤっていたら この興奮は無かっただろう。

 

「また、出すぞ、クレマンティーヌ!」

 

強く、腰を振って打ち付ける。

名前を呼べば、一際大きく俺の下にある肢体が跳ねた。

激しい動きに堪え切れず、堪える理由も見つけられず、そのまま奥に射精した。

 

「産め! 神の子を!」

 

脳裏に過ぎった台詞を、物も考えずに口にした。

数百年前に降臨した同郷の集団を六大神と呼ぶのだから、同じプレイヤーである俺の言う事も多分間違ってはいない。いない筈なのだが、何かを致命的に間違った台詞を口にしたような気がする。

などという事を、射精後の余韻に浸りながら考えた。

 

手を伸ばして、金色に輝く後ろ髪を優しく優しく撫で付ける。射精直後なので俺の慈悲の心は天元突破しているのだ。よしよし、と ろくに知りもしない男に強姦された可哀想なクレマンティーヌちゃんの頭を撫でた。いやあ、レイプしておいて優しくするとか、自作自演(マッチポンプ)過ぎてちょっと申し訳無いな。

でも、ちょう気持ち良かった。やっぱり無理矢理ックスは最高だぜ!

 

さあ、プレアデスが帰ってこない内に後始末をしなければ。

アイテムボックスから水とタオルを取り出して、俺は振る舞いだけは甲斐甲斐しく、倒れたまま荒く息を吐くクレマンティーヌの身体を丁寧に清め始めるのだった。




あくまでも仮定に過ぎないが、クレマンティーヌが処女でも良い。自由とはそういうものだ。

※竜王国のドラウディロン女王陛下に関しては、容姿に関する情報さえ不足しているので行為の描写をする予定はありません。非常に申し訳ありませんが、御了承下さい。


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第十七話 かわいいシズChang!と廊下でセックスする話

自室の扉を開いた私が最初に感じたものは、凄まじいまでの悪寒であった。

 

派手に開かれた大窓の向こうには夜空が覗き、それよりも私に近い位置、部屋の中央。備え付けられた人工的な明かりではなく、ただ月光のみによって照らされた其処に、美しい少女が一人、立っていた。

その背後には二人ほど、黒い眼球に赤い光を宿した瞳を持つ、人ではない吸血鬼(モノ)達が跪く。

 

目に見える姿は、実に恐ろしくも美しい。

彼女達が居るだけで、空虚な自室がまるで晴れやかな舞台のようだ。

 

「今夜は実に、良い夜でありんすね」

 

小首を傾げ、挨拶を口にする。

しかしその口元は酷薄な笑みを刻んでおり、赤く嗤う両眼が彼女の心を正直過ぎる程に伝えてくれていた。

 

――ああ、何故こんな吸血鬼(バケモノ)が此処に居る。

 

扉を開いた直後から感じている悪寒が止まらない。磨き上げた戦士の勘が、逃げ出すべきだと言い張って、しかし同時に逃げられないとも告げている。矛盾した思考の結果、私の身体は動けない。動かせない。

 

「ええと、たしか、……帝国(てーこく)四騎士、レイナース・ロックブルズ、でありんすね?」

 

少女の繊手が紙切れを取り出し、宝玉のような瞳が紙面をなぞる。

ゆっくりと、噛んで確かめるように名を呼ばれた。どうやら場違いな闖入者、というわけでも無いらしい。

相手の狙い、自分がこのような危機的状況に陥った原因は、己の立場にあるようで。さっさと辞めておくべきだったか、と胸中のみで叶う事の無い愚痴を吐く。

 

何が狙いだ、とわざわざ問い掛けるような事はしない。

相手は間違い無く強者であり、当然の如く私を見下している化け物だ。不況を買うくらいなら口を噤んで、彼女の望むように事を運ばせた方が余程良い。それで駄目なら、どうしようもない。と万が一の事態を想像して両足が震えた。

 

かくして、吸血鬼の差し出す一封(いっぷう)の書状が私の手へと無事渡された。

 

目を通しても良いか、という問い掛けには欠伸交じりの返事が返る。その優雅で傲慢な所作に思うところはあるが、安全第一、逆らわない。素早く内容を視線のみで確かめる。

しばし、思考が動きを止めた。

書かれていたのは聞いた事の無い国名と、客観的な私の身分を考えれば馬鹿みたいな内容。異形種特有の(ひとにはわからぬ)タチの悪い冗談か何かか、と口中で奥歯を噛み締めた。

 

しかし紙の質も、文字を書くのに用いられているだろう墨液(インク)でさえも、貴族の生まれで且つ今現在バハルス帝国皇帝直属の地位にある私でさえ、そうそう目に掛かれない上質な代物、のように見える。私見だが帝国四騎士(わたし)以上の力を持つ野良の吸血鬼が配下を従え、この重爆レイナース・ロックブルズの自室に忍び込んだ上で直接手渡してくる程の物品なのだ。洒落や冗談でやるには、少しばかり手間が掛かり過ぎていた。

 

「私は要らないと思ったのでありんすがデミ、んんっ、仲間が、人間らしい小細工の痕跡も必要、と言うから、こうしてわざわざ小汚い犬小屋にまで足を運んで上げんした」

 

先程から続く偉っそうな物言いの連続で、流石に目元が引き攣った。

だがそれ以上表情に出す事は無い。こんな所で死んで堪るか。吸血鬼相手の不興を買わぬために、どうにかこうにか我慢する。

 

ああ、と蕩けるような声が耳朶に届いた。

見た目だけでなく声まで美しい。それが、酷く癪に障るのだ、と相手はきっと気付いていない。

 

「それもこれも、――私の愛しい御方のため。少しでも喜んで頂けると良いのでありんすが」

 

ぶつり、と口中で舌の端を噛み切った。

 

月明かりの中で掲げられた、少女の左手がよく見える。

その薬指に輝く黄金の台座、真紅の宝石。国宝か、と見紛わんばかりの美麗な装飾品。

人と異形の違いなど意味が無い。きっと、薬指の指輪(ソレ)が意味する所は何一つとして変わらないものだ。

 

銀の髪、白い肌、赤い瞳、甘い声、優雅な所作。美しい、美し過ぎる吸血鬼(バケモノ)の娘。

人間である私がかつてこの指に嵌める筈だった、約束された愛の証を何故こんな奴が持っている。そんな嫉妬を、胸に抱いた。

だからこそ、私は我慢出来ずに吐き捨てる。

 

「所詮見た目だけの癖に。――哀れなバケモノめ」

「……あ゛?」

 

言い捨てると、ただそれだけで赤い両眼が先程までの二倍ほどにまで大きく見開かれた。

あからさまな怒気を感じる。否、むしろこれは殺気に近い。胸の内にある私の本音を、口にするべきではなかった。それを理性によって理解しながら、けれど言葉を止めたいとは、私は欠片も思わない。

 

開いた窓から強い風が吹き込んで、顔の右側が晒される。ふるりと膿が風に流されて、僅かに胸元へと零れ落ちたのを察知した。

どうでも良い。今の私は気にもしない。むしろ、自分から晒す手間さえ省けたと笑う。

 

「見た目が綺麗だからでしょう、どうせ。どうせ、どうせッ!! 貴女も私のように(みにくく)なれば、絶対すぐに捨てられるわ。愛しい御方? そんなもの、所詮上っ面だけのものでしょう!?」

 

愛していた。家族も、婚約者も、土地に住まう領民も全て。

呪いを受けて、綺麗な顔が半分駄目になった。ただそれだけの事ではないか。それだけの事で皆が皆、私という女を捨てていった。家族、伴侶、人間でさえそうなのだ。ならば、魔物風情が愛なぞ謳うなと唾を吐く。

 

書状を握り潰し、空いた片手で膿を拭った。

指先を汚すソレを、吸血鬼に向かって撒き散らす。

 

先程までの怒気も消して、美しい吸血鬼が私を見つめている。殺される事さえ考えたのに、何も無い。これはまさか、哀れまれているのだろうか、バケモノに。そう思ったら嗤い声が零れた。魔物にさえ悼まれ見下されている、己に向けた嘲笑だ。

腹を抱えて蹲った。

笑いが止まらない。なんで、どうして、私はこんな場所で惨めに震えて自分自身を嘲笑っているのだろうか。冷めた思考が生まれたけれど、それでも身体が止まらない。両目から涙が滲み出し、右から落ちた熱が膿に混じって絨毯を汚した。

そして。

 

『ぁあ゛ぁぁわれぇな人間ねぇえええええ』

 

まるで深い洞窟の奥底から響くような。

おぞましい、声が聞こえた。

 

『見た目ええ? 上っ面ぁああ? 捨てられ、られるるう!? きゃあははははっははは!!!』

 

月の光でさえ照らし切れない、暗闇の中で蠢くソレを視界に映す。

眼球全てが真っ赤に輝く異形の瞳。円形に広がる大口と、360度乱雑に立ち並ぶ細かな乱杭歯。根元が(レイナース)の腕ほどもある太く長い舌。枯れ木のように白い歪んだ全身、大振りの小刀(ナイフ)ほどもある五指の爪。窓から流れ込む風とは無関係に揺らめいている、先程とは異なり汚らしくさえ見える銀の頭髪。

 

ああ、恐ろしい。なんてザマだ。

こんなバケモノが実在するのか。こんな、こんなモノが――!!!

 

『実ににいぃいい醜い(・・)でしょぉおおおおおっ?』

 

こんなもの――、という独白の先を、胸中でさえ紡げない。

 

だって、そんな事、言えるわけが無い。絶対に、嫌だ。

その言葉がどれほど自分(おんな)を傷付けてきたか、心が歪むほどに知っている。

 

「わたし、この姿も嫌いではないのよ」

 

吸血鬼の姿が元に戻る。

先程のアレから美しい少女へ。虫が羽化する様子の真逆、それはまるで魔法の如き変わりよう。

言葉遣いも気取ったものでは無くなって、見た目通りの少女の口調(もの)に変わっていた。

 

「だって私の大事な御父様(ペロロンチーノさま)が与えて下さったものだもの。仲間からさえ円口類(ヤツメウナギ)呼ばわりされる見た目で、醜い事実に自覚もあるけど。それだけよ?」

 

肩を竦めて、気負う事無く彼女が笑う。先程まで異形の本性を晒していたとは思えない、本当に心底気にしていない、と理解出来てしまう態度であった。

 

「勿論、私の愛する御方も知ってるわ。あの方は少女(こっち)の方が好きみたいだけど、全部知った上で抱いて(あいして)頂いたの。それも真っ先に、誰よりも早く、――選んでくれた」

 

語る少女の口元が、照れ臭そうに小さく はにかんだ。恋する乙女、という題で額に飾ってしまいたくなるような、本当に美しく、とても可憐な姿であった。目に見える形だけではない、その心の内に至るまで。

薬指に輝く指輪を優しく撫でる。それは愛に溢れた所作だった。

支配者の指輪(リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウン)を贈られたのは自分だけなのだ、と誇らしげに口にする。

 

嗚呼。

 

――負けた。

 

女として、圧倒的に負けてしまった。

なんだろうか、これは。余りにも酷過ぎる話ではないだろうか。

不法侵入者の吸血鬼に見下されて馬鹿にされ、我慢の限界が来たからと当り散らせば、私にとって特に致命的な事実ばかりを並べた上で勝ち誇られた。いや、勝ち誇った気は無いのだろう。ただ単に、――惚気ただけだ、コレは。その機会があったから、丁度自慢出来そうだったから。間違い無い。だって私が彼女の立場だったら絶対そうする。

 

うらやましい。羨ま死にたい。もうやだ人生。なんで私ばかりがこんな惨めな思いをするのだ。

 

「ころして……、ころして……」

「何を言ってるでありんす。殺したら私が御役目を果たせないではありんせんか」

「もういきていたくない。ひどい。あんまりよこんなの、ちょーりふじん」

「???」

 

ありんす? ありんす? と謎の問い掛けを繰り返されるが、答えるだけの気力が無い。肩を揺すられ顔の右側を覗かれるが、抵抗しようと望む意思そのものが私に残っていなかった。

んー、と傍らで愛らしく唸る声が聞こえてくる。唸り声まで可愛いなんて酷い。もうどうでも良いから、さっさと私を殺してくれないだろうか。

 

お前(ぬし)、カースドナイトでありんすか? 確かに私も、抱える呪いが億劫に感じる時がありんすが……」

「のろい」

「ええっと、クラス取得の失敗、だっけ? ……ああ、そういえば さば味噌さまが『糞みたいな呪い解くだけで祖国売ってくれる超便利な半分美人(メンヘラ疑惑有り)ゲットしといて』と仰っていらしたような。ナザリックなら、ペストーニャに頼んで呪いを解けると思いんすが」

 

のろいを、とける。

言葉の意味を理解した瞬間。私は勢い良く起き上がり、少女の整った顔を真正面から睨み付ける。

 

「国ぐらい幾らでも売るわ。だから治して下さいお願いします。あっ、まず足を舐めてからの方が良かったかしら……?」

「え、えぇ……? えっと、主に対する忠誠心、とか」

「今この時から貴女こそが私の生涯の主よ」

「逆に信用出来ない豹変ぶり……っ! コイツ、本当に必要でありんすか?」

 

レイナース・ロックブルズ、××歳。

どうやら、まだ死ぬには早かったらしい。強くそう思えた夜だった。

 

 

 

 

シーズちゃーん! にっぽんいちーっ!

 

というわけで、今日はCZ2128・Δ(シーゼットニイチニハチ・デルタ)――略称シズ・デルタにセクハラをする事にした。ついに六連星(プレアデス)末妹までやってきたのだ、と思うと感慨深い。エントマも一応末っ子の地位を競い合う立場なのだが、流石に蟲姦は難易度が高過ぎる。でもまた今度 ぶっかけようかな、とか考えている辺り、俺も中々に業が深い。カルマ値は中立()だけど。

 

「さば味噌さま、御仕事……」

「今は俺のちんこ慰めるのがシズちゃんの御仕事だからっ。ねっ、ちょっとだけだからさっ!」

 

鼻息荒く、実に鬱陶しいセクハラ糞上司ムーブでシズに迫る。

この子は種族が自動人形なのでセックス出来る身体なのか不安だったが、スカート越しに触ったお尻はけっこう柔らかい。つまり、いけるで、多分。そっと握った御手々も実に女の子している。ぷにぷにの細い指で ちんこ弄って貰う事を考えると、股間の辺りが三角(テント)を張った。

 

彼女の右側から抱き締める。

眼帯に覆われていない不思議な色をした右の瞳が、じっと無感情に俺を見つめていた。

だが俺は知っているのだ、以前プレアデス・ハーレムプレイをヤった時、この子が深く集中しながら俺とユリのセックスを見ていた事を。むっつりスケベなのか、性に疎いだけなのか、どちらだろうと俺は構わない。でも出来れば無知シチュ(こうしゃ)が良いな、今まで()た中にそれ系の子が居なかったし!

 

「はー、可愛い。マジ可愛い。天使かな、この子?」

「自動人形、です」

 

ロリ系かと思ったが、意外と胸も膨らんでいる。しかも自動人形なのに硬くない! エロい! これはちゃんとセックス出来る身体ですね間違い無い。

シズちゃんはセックス出来るんだね、と言うと実に如何わしかった。道徳的な意味で。

 

綺麗な赤金の髪に顔を埋めて大きく息を吸い、何をしているのか分かるように、俺の呼吸音を彼女に聞かせる。ちょっとくらい恥ずかしがってくれないかな、という試みだが、あんまり効果は無さそうだ。

軽く眼帯を親指で撫でれば、シズが少しだけ右目を細めて反応を示す。何を感じ取ったのかは全く分からん。

だけど反応薄いのもコレはコレで、興奮出来るから問題無い。

 

現在地はナザリックの廊下の片隅。何時誰に見られるかと実に不安になる場所だ。

 

だが俺は反省しない。だって興奮するし。何時も誰かが行き交っていて、毎日メイド達が一生懸命に掃除している場所なのだ。日常の片隅でスケベする非日常感が俺の心を惹き付ける。実際見つかったらどうするかなんて、実は全く考えていないが。

俺は、性欲を満たすためなら多少の冒険なんて躊躇しない男なのだぜ。

 

なーに心配するな、見つかったら不味い相手なんて、そうそう此処にはやって来ないさっ!!

 

「よし、脱ごうかっ。シズちゃん、ちょっと お上だけ脱ぎ脱ぎしようねー!」

 

相変わらずのセクハラ発言と共に手を伸ばす。

上半身のボタンだけ外して、その下に隠されたものを露出させる。薄い上半身用下着(キャミソール)が少女の起伏を控えめに覆って、僅かに透けて見えるシズの身体は発育途上という印象が見受けられ、場に立ち篭める犯罪臭が増していく。

 

下着の肩紐を外し、腰元まで引き下ろして一纏めに丸めて固める。

そうすると其処に居るのは墳墓の廊下で上半身のみを露出した、メイド姿の少女が一人。裸に襟巻き(マフラー)とは、実に偏った嗜好を感じる。白く ぷにぷにした素肌の上に迷彩色の厚い布地が半端に覆い被さって、マフラー越しの乳を揉んでみたくなるような新鮮味ある装いに、俺のちんこも先走りを次々吐き出す。

此処は廊下、公共施設でイケナイ事をしている感が凄い。もはやパンツも びちょびちょだった。

 

舌を垂らして乳房を舐める。小さく、(シズ)から吐息が漏れた。

臍から脇腹、染み一つ無い素肌を手の平で撫でて、軽く柔らかな脂肪を抓んでは指を離す。

真っ白な腹部に唇で吸い付き、ちゅ、ちゅ、と音を鳴らしては繰り返す。回を重ねていけば、僅かずつシズの身体も震えるように反応を返してくれるため、何も感じないというわけでは無いらしい。

見上げた顔は相変わらず感情など窺えないが、無表情メイドも良いものだ。思わずズボンの中で射精した。

 

「……? におい、」

「シィイ――ズッ!! パンツ見せてぇえ――っ!!!!」

 

何かを察知した自動人形の言葉を遮るために大声を上げて、ド直球で要求する。

言われたシズは首を傾げて暫し黙考、やがて静かに、己のスカートをたくし上げていく。

 

「おお……っ」

 

思わず感嘆の声を上げた。

膝辺りまでを隠していた、あの重そうな黒のスカートが。今、着用者自身の手でその役目を放棄しつつある。じりじりと露わになっていく両脚、それを覆う迷彩柄のタイツもまた実に そそるものだ。

己の両手で秘めるべき箇所を晒したシズは、その整った顔をあらぬ方向に逸らして黙る。

……もしかして、恥らってくれていたり、するのだろうか。

 

「シズ、下着見えてるよ。迷彩柄の奴」

「……はい」

 

覆い被さるような体勢で壁に手を突き、耳元で囁く。わざとらしい、言葉責め。

僅かな沈黙と、何時も通りの静かな返答。実際の心中は分からないのだが、それを恥らっていると捉えた方が俺は嬉しい。なのでシズは恥らっている。はい決定。

至高の御方の御命令に従って服を脱いで下着も晒すが、内心では恥ずかしくて、そんな自分を誤魔化すために視線だけは余所へと逸らす。ほら、可愛いじゃないか。そんないじらしい戦闘メイドの女の子なんて、想像するだけで射精してしまう。

 

その場に膝を突いて、小さく開かれた両脚の間からシズの下着をじっと見上げる。

 

「さば味噌さま」

「じっとしてろ、シズ」

 

それは主人(おれ)女中(シズ)よりも低い位置に居るという現状に対する抵抗か。名前を呼ばれるがすぐに遮り、それ以上構う事無く舌を伸ばした。

下着越しのシズのまんこ。ちょっと体温低いな、と考えながら唇も使って優しく愛撫を始める。

ついでに空いた両手も伸ばして尻を揉んだ。意外と肉付きは良い、か? それでも外見年齢相応か、ユリ等とは比べ物にならないくらい薄い脂肪が俺の触覚を楽しませる。

下着越しの尻肉の感触は直接触れるものとは少し違い、これはこれで良いものだ。セクハラしてる感が強くて興奮する。華美な装飾(レース)など無い、ただ素肌に優しいだけの薄い布地(パンツ)。軽く指で押したりと感触を楽しみ、ゴムの締め付けを潜り抜けて奥に入って、直に丸みを味わった。

 

「あー、シズのお尻は柔らかいなあ」

 

これ見よがしに声を上げ、ベルトを外しながら立ち上がる。

見下ろしたシズの顔は、少しだけ赤くなっている、気がした。気のせいかもしれない。自動人形に血が通っているかと言えば、擬似的な何かなら有るかもしれない、という所だろう。細かな設定は知らん。

俺はセックスがしたいんだ。可愛いシズに ちんこ挿入して、誰も使った事の無い膣と子宮に精液を吐き出す。それこそが肝要、今此処にある俺の全て。種族(オートマトン)ゆえに子宮が無くても関係無かった。挿れて、出す。最早そうすると決めたのだ。

 

シズの片足を俺の肩の上に乗せ、見た目通りの只の少女なら苦しいだろう体勢で、パンツの股間部分だけを横にずらして陰茎(モノ)を宛がう。視界の端に見える迷彩タイツ越しの足の柔らかさがちょっとばかり股間に悪いが、せめて中に侵入しさえすれば即時射精しても問題無い。

 

「シズ。シズはちんぽ挿れた事あるかー?」

「……一度も、無い、です」

 

すう、とシズの側から吐息が届く。興奮、してくれているのだろか。

 

「じゃあ、俺が最初で最後だ、これからもずっとな。憶えておくように」

「はい、さば味噌、さ、ま゛っ」

 

返事の途中で、我慢出来なくなって腰を進めた。

無表情、整った顔、静かで平坦な声音と、素直な返事。うん、実に良い。なので堪えられなくなっても仕方ない。

 

しかし挿れたは良いが、凄くキツイ。

先端が一センチ未満しか入っていないのに、なかなか前へと進めなかった。

ここまで性器が固いのは未経験がゆえか、繁殖を必要としない自動人形という種族のせいか。まんこが付いているだけでも僥倖だが、種族名が自動人形(ラブドール)で無い事が悔やまれる。クソ運営、とユグドラシル本来の年齢制限に身勝手極まる毒を吐いた。

 

それでも徐々に腰が前へと進む。

錯覚かもしれないが挿入のショックで呆けて見えるシズは、ちょっと不味い、のかもしれない。痛くはないだろうか。痛覚があるならきっと痛いのだが、表情から内面を窺い知れないので少し不安だった。

 

「シズっ」

「ん、……さば味噌さま?」

 

彼女の小さな頭を抱きかかえ、触り心地の良い髪を撫でる。

その間も、腰を小刻みに振って奥へ奥へと侵攻を図った。

射精する。

まだカリ首だって入りきらないが、固いシズの膣口から受け取る刺激自体はかなり強かった。なので我慢出来なくても仕方ない。仕方ないので射精しながら潤滑油ゲット、と己を誤魔化し腰を動かす。

 

眼帯にキスをして、唇でゆっくりと耳を撫でる。頬から顎、首筋まで、手を使って撫でながら少女の感触に息を乱しつつも名前を呼んだ。

 

「シズ、シズっ」

「ん。んっ、あ――」

 

裸の上半身を抱き締めて、折れそうなほど細い腰を撫でさする。俺の衣服越しに押し付けられたシズの乳房が、もどかしいくらいに遠く、しかし確かな弾力と柔らかさを伝えてくれた。

薄い尻を鷲掴みにして腰を揺すりながら、互いの視線を絡めたまま唇を重ねた。それに応えるようにシズの右目蓋が静かに落ちていき、互いに唇を揉み合わせるだけの優しいキスをじっくりと続ける。

 

動きの少ない腰より上とは異なって、下側は徐々に勢いを増していく。

もう射精回数を数えることは止めていた。

だって気持ちが良いのだ。気持ち良ければ、もうそれだけで全部許せる。ろくに水音も鳴らないキスをしながら、腰だけ振って快感を貪る。気が付けば棒の半ばまでがシズの内側に身を埋めて、立った姿勢は変わらないが普通のセックスに移行していた。

 

シズの晒された裸の背を廊下の壁に押し付けて、ひたすらキスを続けて小さな唇の味を記憶する。

ふ、ふ、と鼻息だけが激しく顔を擽った。それがシズのものか、あるいは彼女の顔で跳ね返ってきた自分自身のものなのかは、特に考える必要も無い。だってキスに応えてくれているから、拒絶されないのなら ただそれだけで満足だ。

 

最後にもう一度だけ精液を吐き出し、唇を離した。

唾液が本当に小さく糸を引き、見下ろした下半身はお互いにドロドロの酷い有り様だ。衣服も同様。

さっさと着替えておかないとな、と考えていると、そっとシズが両手を伸ばす。伸ばされた手が俺の頬を擽って、そのまま何かを移すように、自分の唇を両の指先で優しく撫でた。

 

「えへ」

 

そして、笑った。

 

本当に ささやかなものだったが、確かに目の前でシズが笑った。それに酷く驚いて、ちんこからもう一、二度だけ精液の残りを噴き出した。やばい、今のは本気で興奮した。もう一回だけセックスしようかな、とか考えてしまうくらいに。

 

うーむ、かわいい。シズ可愛い。製作陣グッジョブ。

 

 

「さばみそ、さま……?」

 

ちんこ丸出しで腕を組み、シズの可愛さに満足する俺。

そこに掛けられた声に気付いて、視線を巡らせて見てみれば――。

 

 

シャルティア・ブラッドフォールンが、廊下の先で俺達を見ていた。




次回、特に修羅場にはならない! ……筈。ご安心下さい。


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第十八話 元請負人の少女と御風呂セックスする話

シャルティア・ブラッドフォールンは、さば味噌という名の一人の男を愛している。

 

かつて次々とお隠れになった至高の御方々。それは、自身の創造主であるペロロンチーノ様さえ例外では無かった。

最後の一人となっても未だ御残りになって下さっている、自分達ナザリックのシモベの存在価値を保障して下さる。ただそれだけでも法悦に浸るほどに、奉謝の祈りが全身を満たす。ああ本当に、なんと有り難く、なんと慈悲深き御方だろうか。彼の御方のためならば、この身を惜しむ事など無い。それはナザリックの全てが胸に抱く誠の心だ。

 

だというのに。

あれほどまでに女として強く求められるなど、考えてもみなかった。

 

欲する心を隠さぬ熱い視線と、乱暴でさえある雄の振る舞い。

死者にこそ欲情する己の性質を問い、つまりはこの身に設定(ゆる)された全てを知った上で、それでも自分の想いを受け入れて欲しいと語り掛ける、あの潤んだ瞳、泣きそうな童貞(こども)の顔を何度だって思い描く。

ただの一度だって情事における自分自身を見栄え良く飾れぬまま、女としての私を必死に求めてくれた格好の()い一人の男に、シャルティア・ブラッドフォールンは恋をした。

 

それだけでもう全てが満たされていた筈だった。

なのに、冒険者として外部に出向く際の、ユリ・アルファに預けられた伝言が更に私の胸を高鳴らせる。

 

『ユリっ、シャルティアに「俺も好き」って伝えといて! ――いや自分で伝えるとか絶対無理だから! ホンっト無理だからね!? お願いしますマジで!! おら行くぞナーベおらっ! 押し倒されたくなきゃキリキリ走れっ! ……なに、全霊をもって務めます? 何を言ってるんだお前は???』

 

聞く者(ギルドメンバー)が居れば「小学生(こども)か」と毒気を抜かれるような拙い告白。

実は物陰からその御言葉を直に耳にしていたのだと、彼の御方は知らないけれど。

あの言葉があったからこそ、十日余りの長い時間を寂しく感じる事も無かった。

 

二度目の伽の翌朝に、枕元で輝く指輪を手にした時は、アンデッドでなければ間違い無く心臓が止まって、至福の境地に至ったまま、己が生命を終えていただろう。

 

リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウン。

 

この手にする日が来るなんて、数多居るシモベ達の一体誰が想像し得ただろうか。

 

幸せだ。

幸せだ。

幸せ過ぎて、毎日毎日意味も無いのに至高の指輪を磨いては一人でにやにや笑ってしまう。

 

――だけど、こういう日が来るという事も、ずっと以前から知っていた。

 

女としての幸福だけに(かま)ける事など。ナザリックの同胞として、彼の御方を想う他の者達の気持ちを無視し続けるなど。そんな生き方は許したくないし許されない。全ては、至高の御方の御心のままに在るべきなのだ。そうしたい、とずっと想い続けて生きてきたのだ。

そうと理解した上で、それでも、短くも美しい夢を見てしまった。独占、していたのだ。身勝手極まる、我侭を叶えてしまっていた。何時壊れても良い、と覚悟した上での事ではあるが。

 

だから良い。何も、何一つとして彼の御方を否定する理由など見つからない。

 

ただ。

少しくらいは、泣いてしまっても良いだろうか。

あとで独りでこっそりと。たった一度だけ。

それくらいは、御方(かれ)に恋をした自分自身に許したかった。

 

――だと言うのに我慢一つし切れなかったのは、我ながら実に情けない話ではあるが。

 

 

 

 

「――私も、薄々勘付いて居んした」

「!?」

 

我等アインズ・ウール・ゴウンの有するギルド拠点、ナザリック地下大墳墓。

その内部。とある廊下の片隅で、俺はちんこ出したままの格好で正座して、怒れる美少女吸血鬼シャルティア様の御言葉を賜ろうと待ち構えていた、のだが。

 

先の言葉、俺は一時己の耳を疑った。

まさか気付かれているとは思わなかった。マジで。今回(シズ)はともかく今までの、俺の隠蔽は完璧だった筈だ。その筈なのだ。……だ、駄目だったかな?

何時だ、何時バレた。今更浮気を誤魔化す気など全く無いが、そこだけはちょっと気になっている。

 

「以前、挙動不審なチビ助(アウラ)大口ゴリラ(アルベド)の後を()けた際に」

「なにしてんのアイツら????」

 

守護者連中にはバレバレだったと言うのか。この俺の、浮気(スニーキング)セックスが。

 

下半身丸出しのまま、その場に頭を擦り付けて土下座する。日本古来の謝罪法である。

謝って許してくれるかと言うと、男女間の揉め事ゆえに、互いの上下関係を加味したとしても微妙な所だ。立場を傘に着て好き放題やって来たのだが、悪い事だという自覚くらい、俺にもある。自覚した上で一切自重しなかっただけで。

ゆえに頭を下げる。言葉は不要、誠意とは言葉ではなく土下座である。フルチンで頭を下げる程度、シャルティアと決定的な破局を迎えるより全然良い。尻も出ているが気にしない。

 

だって俺を好きって言ってくれたの、この子だけだし。ラナー? 員数外です。

 

セックス・レポートという悲劇の一件からこうして覚悟を決めるまで随分と時間は掛かったが、指輪を渡した件、一生ものの深い意味は無いと自分で自分に言い訳したが、かと言って軽い気持ちだったわけでも当然無い。男女の恋愛とかマジで縁が無かったので良く分からないけど、俺なりに真剣に考えてきたのだ。

 

ナザリックの主として、女性(シャルティア)に対する責任は取る。

 

大丈夫、もう原作キャラもそんなに数残ってないし、ここで全部終わっても心残りは無いZE☆

と、この時はそう思っていた。

 

「さば味噌さま」

「はい」

「わたしは、あなたが好きです」

 

途端に罪悪感が湧いてくる。先程までの、実に数千倍の苦しみであった。

冷静に正面から言われると凄く胸にくる。何だコレ、直で告白されたのに嬉しくないぞ。

しかも口調。口調が、意識して作った廓言葉じゃない。彼女の本音、本気の言葉だった。

 

「だから、良いんです」

 

そう言って、シャルティアが笑った。

好きだから全てを受け入れ許すのだと。

ちょっとだけ涙を流しながら、人間(ふつう)の女の子のように笑って言った。

 

なので、俺も笑って口を開いた。

 

「しにます」

 

――これが、第二次ナザリック事変の始まりである。

 

 

 

 

「ああ、やっと戻って来れた。戻って、来ちまったなあ……」

 

見上げた先には黒光りする巨大な要塞。一目で分かる、軍事都市カルネの中枢だ。

後ろを振り返れば自分の仲間、フォーサイトのメンバーであるイミーナとロバーデイク。自分もそうだが、三人揃って手足が欠けていたり、隻眼だったり、装備以外の目に見える範囲のそこら中が包帯塗れだったりと、嘘一つ無い重症患者(コワレモノ)がぞろぞろと。

 

本当に治るんだろうな、と この傷を付けた奴等に対して敵意を抱く。

だが、結局のところ俺達の側に選択権など全く無い。異形種(バケモノ)共の命令通りに、一人欠けながらも命辛々逃げ延びた悪運の強いワーカーチームとして依頼主に報告し終え、残りの人生は鮮血の女怪 覇王エンリの御膝元でのんびり隠居生活の予定である。その予定というのも実際には強制だが。

 

「アルシェは、無事でしょうか」

「無事じゃなかったら どうしてくれようかしら……」

「妹二人と一緒に居たのは俺等も見たんだ。まずは顔を見に行こうぜ」

 

ロバーデイクとイミーナが顔を俯けたまま呟くのを、殊更明るく言い返す。

二人の口振りにも苦味が混じり、しかしどうしようも無いという、厳しい現実に対する諦観も見えた。

生きているだけでも喜ぶべきだ。今は敵愾心も抱けるが、再びあの墳墓に戻されれば即座に心が折れるだろう。それを、俺達は皆知っている。否定したくても否定出来ない。かつて味わった恐ろしさが骨身に沁みて、今でも眠る度に夢を見る。

 

肉が、俺の身体が。イミーナの、ロバーデイクの、人としての形が融ける夢。

こちらを見上げながら絶叫するアルシェの、絶望に満ち満ちた顔を憶えているのだ。

 

依頼(めいれい)は達成した。これで文句は無い、筈、……だ」

 

口にする言葉にも力が無い。不足だ、と言われてもう一度あの地獄に戻されたらと思うと、眦から涙が零れてしまう。仮定に対する恐怖だけで、大の男が、一端のワーカーが本気で泣きそうになっている。

情けない、と震える拳を力無く握り締めれば、傍らのイミーナが指の欠けた手で俺の背中を摩ってくれた。片足の無いロバーデイクも、まるで皆で寒さを凌ぐかのように、その大柄な身体を間近に寄せてくれている。それが、情けないのに有り難かった。

 

ワーカー仕事はもう無理だ。仮に許可が出ても、二度と危険には挑めない。心が、俺達三人の精神の支柱が、粉々に砕けて形も無かった。立ち直れる日は、絶対に来ないと言い切れる。

 

空は青く、太陽は眩い。この都市内(カルネ)にも沢山の笑顔が増えていた。

けれど俺達がもう一度笑える日が来るなんて、夢の中でさえ思い描けないままだった――。

 

 

 

 

かくして第二次ナザリック事変は終わった。長く苦しい戦い(NKT)だった……。

 

「恐怖公には悪い事をしたな……」

 

いや、本当に悪い事をしたな。本当に酷い有り様だった。あとでちゃんと謝らないと。

コキュートスの守護階層も、あんなに大きな雪達磨作っちゃって申し訳無い。至高の御方が御作りになられたのだー、とか喜んでたけど、景観損ね過ぎだろう。此処は悪党の巣食う墳墓(ダンジョン)であって、子供の喜ぶ観光地じゃ無いんだぞ。

仮面被った無言のガゼフとクレマンティーヌも、後者に至っては途中分身とかしてた気がするし本気で意味が分からない。あれも俺が悪いのだろうか。

ありがとうパンドラズ・アクター。お前のあの、大見得を切った説得と献身には流石の俺も心を動かされたよ。俺の中の迷いは、確かにあの時お前に断たれた。

 

「ふふっ」

 

思わず微笑み、それに伴って腰を突き出す。

ぅあ、と小さく女声が漏れて、返る締め付けに俺も、ンアーッ、とちょっと喘いだ。……ちょっとじゃないなコレ。と射精しながら首を振る。

 

ナザリック地下大墳墓、第九層ロイヤルスイート。

大浴場で湯船に浸かる俺の上で、紺色のスクール水着を着た元ワーカー、アルシェ・イーブ・リイル・フルトが必死に腰を振って、主人である俺を喜ばせようと奮闘していた。パチャパチャお湯が顔まで跳ねてくるのはちょっとウザイけど。

 

向かい合ったまま腰を振り、時折彼女の身体を(まさぐ)る。

思わず手を伸ばして控えめ気味の胸を揉むと、んんっ、と気持ち良さそうな反応が返る。

これが演技だったら世も末ですよ、と俺は満足気に頷いて、水着越しの乳首をコリコリと扱いた。

 

浮気は許された。

 

許しを与えてくれたシャルティアが泣いちゃったので、それに驚いた俺が丸二日くらい個人的に暴走したけど、シモベ達の命を懸けた頑張りによって今は完全に復調している。なのでセックスをしていた。

今現在ナザリック地下大墳墓内では俺とシャルティアの結婚式の準備が着々と進められていたりするのだが、特に拒否する理由は無い。なので今はセックスをしている。

 

つまりは、お祭り騒ぎに気疲れしたので、休憩がてら大浴場に足を向け、途中で見つけたアルシェを連れ込み心のリフレッシュに努めている、という状況なのだ。

 

「俺がエロい事するの止めると思ったかっ!! 俺も思ったよ、オラァ!!!」

「ぁあっ!! ごっ、主、人、さ、まっ、あ!!!」

 

断じて二日()かなかっただけで我慢の限界に達したとかでは無いが、やはりセックスは良い。心が満たされる。

自分(シャルティア)以外に手を出す事を我慢しなくて良い、と言われたが、それで実際に手を出すと自分が人間のクズになった気がしてしまう。今は異形種だから問題無い(ノーカン)、とかそういう問題でも無い。

 

けれどまあ、あれだ。うん。開き直った。

 

この世界に来てから毎日開き直っている気もするが、細かい事は気にしない。

再度の射精で、緊張の途切れた俺の全身が弛緩する。上に乗って腰を振るアルシェも、先程からの上下運動で疲労が溜まり過ぎたのだろう、ぐったりと俺の胸板に身体を預けて力を抜いた。スクール水着を着た金髪短髪(ショート)の女の子が俺にべったり くっ付いているとか、まるで漫画の世界である。客観的に捉えるとまた ちんこが膨張を始め、繋がったままでいるアルシェの膣内を押し広げた。

 

「ぁ、御主人、様……、んっ」

「もう少し休んでて良いぞ、アルシェ」

「……はい」

 

ちんこだけピクピク動かしながら、湯船で湿った金髪を撫で付ける。

ピンク色に火照った肌が実に可愛らしい。指でこすると すべすべしていた。俺の太腿に ふにっと乗せられた水着越しのお尻だって負けていない。まんこの中で幾らでも先走ってない先走り液が吐き出せそうだ。

 

「御主人様、」

「んー?」

 

そういえばまだ尻尾を付けていないな、と原作ファンにあるまじき己の失態を反省していると、腕の中のアルシェが俺を見上げて呼んでいた。うーむ、上目遣い可っ愛いなコイツぅ!

 

「妹達の件、ありがとうございました。それに、仲間達(フォーサイト)の事も」

「俺は、約束を守る男だ。――可愛い女の子(アルシェ)のためなら、尚更な」

 

なーんて、かつてのレイプ中その場の勢いでした口約束を一時忘れていた事など おくびにも出さず涼やか(クール)に笑う。どやっ、さば味噌くんも顔だけはかっこええやろ! と自画自賛。

呆と、こちらを見上げてくるアルシェの頬に触れるだけのキスを落として、無駄な脂肪の無い彼女の背中に腕を回すと抱き締める。力を抜いて俺に身を預けてくる金髪美少女って、本当に良いものですね。ぶっちゃけ妹達とかフォーサイトとか、俺は命令しただけで実際はシモベ達がやってくれたんだけどー!

 

あ、フルト家に関しては適当に屋敷内へ金銀財宝(たいきん)ぶちまけて、あとは放置を指示しておいた。

正直、異世界版家庭板案件とか俺には荷が重い。最低限アルシェが当初予定していた以上の送金は行ったので、あとの事はフルト家(かれら)の自主性に任せよう。アルシェもそれで良いって言ったし、大丈夫大丈夫問題無い。

そうやってのんびりし過ごしていると、やがてアルシェが自発的に腰を振り出す。おっ、エロい事したいんか?

 

「御主人様っ、わた、しっ、頑張り、ます、からっ!」

 

自分から奉仕してくれるなんて、この子も随分と変わったものだ。

最初は嫌々やっているのが丸分かりで、それが逆に良かったのだが、こういうのもまた良しだ。姉妹とフォーサイトを平穏無事に過ごさせるだけで俺の好きに出来る元貴族令嬢とか、最っ高に滾るじゃないか。なので射精する。

 

「今度、お前に良く似合う尻尾を付けてやるからな、アルシェ!」

「はいっ、はいっ! 付けて下さい、アルシェにっ、御主人様の、しっぽ!!」

 

従順な、従順過ぎる少女の台詞に気持ちが高ぶって激しく腰を振りながら射精する。

お湯の中で体勢を入れ替え、その後も俺は時間を掛けて、たっぷりとアルシェの肉体を味わうのだった。




SAN値が回復しきっていない内に優しく接して篭絡する知将さば味噌(深く考えてないだけ)。


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第十九話 アウラたんのおまんこペロペロする話

今俺は、かつての自分の不見識というものを反省している真っ最中だった。

 

「ちょっ、待って! 待ってシャルティア!! あたし雪山(アゼルリシア)から帰ってきてまだ汗流してないからっ!! さば味噌さまもこんな姿見ないで下さいぃ!!!」

チビ助(アウラ)ったら、つれない事を言いなんし。きっと自分で弄るより余程気持ち良くして頂けんす」

「じぶっ、自分で弄ってるって何の事かなー!? 至高の御方の前で変な事言わないでくれるーっ!?」

 

女の子同士の絡みというのも、存外悪くはないものだ。

 

そんな事を考える俺の前では今、椅子に縛られた姿勢でM字開脚し無毛のまんこをこちらへと差し出すように見せ付ける幼い闇妖精(アウラ)が、銀髪美少女(シャルティア)に身体を押さえつけられながら悲鳴を上げていた。

 

目の前には実に具合の良さそうな まんこ。見た目からして ぷりっぷりである。

突き出された褐色の痴部。外見的に考えると流石に幼過ぎる気がしたのだが、アウラとて何処ぞのショタちん(マーレ)と同様、見た目にそぐわぬ実年齢76歳。立派なおばあちゃんである。つまり合法、合法ロリだ。むしろ合法ロリBBAなのだ。全然イケる。

それはそれとして今度アウラおばあちゃんと呼んで揶揄ってみたいが、今はそういうのは置いておく。

 

常の男装の、下のみを全て脱がされた幼くも愛らしい闇妖精(ダークエルフ)

……良いね。

もう勃起した。ロリもイケる俺は、正に至高の男優であろう。

 

「アウラーっ!」

「待っ、さば味噌さま、あの、本当にあたしまだそのえっと――」

 

何か言っているが、さらっと聞き流して幼いまんこに口付ける。

んんんっ!? と大きな声で呻くのが聞こえたが、俺は今それどころでは無いのだ。

 

汗でしっとり濡れている、淡い産毛以外の装飾が一切存在せぬ秘肉の丘。確かにちょっとしょっぱかったが、それを言ったら多分アウラは恥ずかしがるだろう。なので一頻り舐め終わってから教えてあげよう。お前(アウラ)のまんこ結構塩辛かったよ、って!!!!!

 

考えるだけでヤる気がむんむん湧いてくる。俺は舌で膣口とその周辺を丁寧に舐め上げ、僅かだけ舌の先端が埋まるように優しく、本当に優しくアウラのまんこを耕した。

 

「あっ、ああ! ああ! ぅあああ!! そんな、そんなトコ、駄目、駄目ですっ!」

「おやおや、そのように蕩けた顔をしていては説得力が無いでありんすよう?」

 

悲鳴のような。恐らくは嬌声、だと思われるアウラの声。

嬲るように、けれど優しく囁く淫らなシャルティア。

一心不乱に小学生相当の見た目なアウラの股間を舐めしゃぶる俺。

 

これはヤバイ。他人(ひと)には絶対見せられない光景である。いや普段から情事に関しては他人に見せられない惨状だけど、今回に限っては別の意味でヤバかった。お巡りさん俺です、みたいな。

でも止まらない。ロリ系二人を相手にこの状況、実に背徳的で射精(こうふん)する。

 

アウラの太腿を両腕で抱えるようにして、股間に顔を埋めながら口での愛撫をたっぷり続けた。見た目が細いのに意外と肉付きの良い少女の腿の感触が俺の興奮を大いに高めて、思わず尻の辺りまで顔を動かしてキスしてしまう。美味(うま)し。

 

「やめっ、だ、だめ、だめ、だめっ、駄目ぇええ――ッ!!!!」

「あっ」

「んっ? なに、どうし――」

 

今までとは違う種類の悲鳴が耳に届いた。

どうした、何があった。そう考えて顔を上げれば、丁度俺の目の前にあるアウラのあそこから――。

 

 

綺麗な花畑の映像と、「しばらくお待ち下さい」の文面が頭の中に思い浮かんだ。

 

 

別に、何も無かった。

目の前でアウラがか弱い女の子みたいに泣いているが、何も無かったのだ。

俺の顔が生温かい何かで濡れていたり、大慌てのシャルティアが俺の顔とアウラの股間の両方を拭き清めようと高そうなハンカチ片手に右往左往していたりするが、本当に何一つとして事件性など存在しない。

 

「ご、ごめんアウラ」

「私も、その、ごめんなさい、アウラ」

 

ひくひくと喉の引き攣ったような嗚咽が満ちる。すまない、まんこ美味しかったんだ。本当にすまない。帰って来たばかりでトイレ行ってないとか、全然考慮していなかった。

俺とシャルティアが二人して頭を撫でたり手を握ったりと、暫し涙を流す彼女の世話をして気持ちを落ち着かせる。

 

そうしてアウラの呼吸も落ち着いた辺りで、俺の服の袖が褐色の指先によって小さく握り締められた。

 

「その、……ふつうに、おねがいします」

 

ちらちらと上目遣いで俺を見ながら、へにょりと下がったエルフ耳、真っ赤に染まった闇妖精特有の艶々ほっぺ。それに加えて当人(アウラ)は自分の服装を忘れているのか、毛の生えてない下半身丸出しで女の子座りという実に凄い格好だった。

かわいい。射精しそう。普段の元気な振る舞いとのギャップが、控えめに言っても最高です。

 

バッ! と傍らのシャルティアに視線を向ければ、握った拳、その指の隙間から親指が飛び出す。

()握り、という奴だ。

 

――セックス。セックスでありんす。セックスをするのでありんす、さば味噌さま!

 

そう語り掛ける彼女の声が心に響く。幻聴などでは無い。口の端から舌先を覗かせた満面の笑顔、締めに片目を瞑って(ウインク)、今、俺達二人の心が通じ合っているという確信があった。

未来の花嫁によってGOサインを出された、嫁の親友との浮気ックス。正直滾るものがある。

 

「アウラぁあ――っ!!!!」

 

服を脱ぎ去り、鍛え抜かれた全身をその場で露出する。

下着のゴムに引っかかった勃起ちんこから勢い良く白濁が飛び出し、座り込んだアウラの脹脛が熱気(せいし)で穢れる。白と褐色の色彩対比(コントラスト)が股間を刺激し、出した直後だというのに一物の勃起が止まらなかった。

 

早々に出したが気にしない。

小柄な妖精を両腕でもって抱え上げ、先程まで座っていた椅子の上に そっと下ろした。

 

「いただきまっす!!」

「えぅ、あっ、……め、召し上がれ?」

 

俺の雄叫びに応えるのは照れの混じった、小さな小さな愛想笑い。

思わず拳を握って歓喜の(ガッツ)ポーズ。今の台詞は実に良かった。さば味噌くんポイント10点です。

 

林檎色のほっぺを左手で撫でる。

すべすべプルプルな少女の肌は、触っているだけでも気持ちが良い。そっと唇を寄せれば、緊張した顔のアウラが目蓋を閉じる。両の睫毛が小刻みに震えて、彼女の心情が訊くまでも無く伝わってきた。

 

キスをする。とても柔らかな感触だった。

 

はあ、と熱の篭った吐息が漏れる。

張り詰めた陰茎が既にアウラの股座へと触れており、彼女もその熱を感じているのだろう。俺と視線を合わせながらも、時折色違いの瞳が下半身へ逸れたりして落ち着かない。

 

アウラの背後で、シャルティアが握り拳をブンブン振り回して応援している。

うん、気が散るから止めてくれないかな応援(ソレ)……。きっと初めての友人を気遣っているのだろうけれど、もうちょっと俺の事も気にして欲しい。せめて混ざれよと思うのだが、今日はアウラの初体験、譲るつもり、なのだろう。多分。だけどついつい視線が気になった。

 

いや、集中しろ。アウラの記憶、ズボンを脱ぐだけで射精した至高の早漏っぷりを塗り替えるのだ。

確かに俺は早い。だが、情熱と回数ならば緑爪(ザリュース)にだって負けていない!

 

もう一度彼女と唇を重ねた。今度はもっと時間を掛けて、ゆっくりと互いの唇を舐め合い、やがて舌を絡めていく事で気持ちを昂ぶらせる。柔らかな髪、尖った耳、首筋と、触れる範囲を意識して増やした。

腰を振る事でアウラの秘部と俺のモノがぬるぬると絡む。

徐々に濡れてきてはいる。いや、俺の出した体液(もの)が塗り広げられているだけだろうか。ちんこの先端を軽く割れ目に押し付けて、跳ねて滑らせるように擦り付けた。何度も射精しそうになるので、その度にスキルで食い縛る。

 

指の腹で痛くないように膣口(いりぐち)を撫でて、小さ過ぎる陰核は敏感そうなので触れないように周りだけを刺激していく。ふふふ、日々の勉強の成果が生きている、筈。で、出来てるよな……? おしえてシャルティア先生!

 

「さば味噌さま、そろそろ」

「もう少しだけ、ん――」

「ふあっ、んん、んっ」

 

今すぐ挿れたい。だけど我慢だ。

 

だって、この子小さいし。絶対シズ以上に固いだろ。

俺だって経験を積んでいるんだ。小さい女の子(アウラ)相手なら気遣いくらいはするさ。

さっきからずっと射精しそうだけど! でもがんばるー!

 

「んもう、しょうがない御方(おひと)でありんすえ……」

 

くすくす笑う吸血姫が手を伸ばした。

 

はむり、とアウラの耳を咥えて、シャルティアの手の平が衣服越しの上半身、胸の辺りから脇腹までを、流れるような動きで撫で摩る。友人とはいえ同性に弄られて、ぎょっとしたアウラが身を捩るが、逃げられない。

 

すごい。何か良く分からないけど、すごい。

繊細な手付きがアウラの性感を刺激して、息は乱れ、その全身が火照るように赤く染まっていく。

だから何となく、もう良いのかな、と思った。

 

「アウラ、挿れたい。挿れるぞ」

「あっ、さ、さばみそ、さま、あっ」

 

呼び掛けながら、また、キスをする。それだけで分かる。凄く熱い。この小さな少女は、もう完全に出来上がっていた。きっと冬なら熱で湯気が立つほどだ。

シャルティアに視線を向ければ、自身に満ちた様子で補正具(パッド)入りの胸を張る。

うん、凄いなこの子。俺の愛撫も多少は効果があったと思いたいが、僅か一、二分でアウラの準備が整った感があって実に驚く。でも同性相手の性的手腕を見せられると、心中で少しばかり()いてしまう俺が居た。

 

――大丈夫だ、アウラ。俺が、ちんこの良さを教えてやるからっ!

 

くにっ、と柔らかいゴムみたいな感触だった。と思う多分。精液出し過ぎて互いの感触がちょっと遠い。

無理矢理押し広げないように、小刻みに腰を揺すって前へと進む。先程のシャルティアの真似をして胸元を探り、衣服越しだと全然膨らみが分からない事に落胆する。なので服を脱がそう。

白地の胴衣(ベスト)を脱がし、その下の軽装鎧を脱がし、更に……多いぞ、オイ! 茶釜ァ!!

過程に関しては完全省略、とにかく全部脱がした。起伏の少ない、しかし腰のくびれが見える褐色の、第六階層守護者アウラ・ベラ・フィオーラの全部が見える。

 

素肌の上には汗が浮き、思わず舐め取ってしまいたくなり舌を乗せた。

小さな悲鳴と共に少女の身体が刺激によって跳ねたから、咄嗟に腰を掴んで ちんこを固定。んっ、と力を篭めながら腰を押し出せば、酷く熱い内側へと、僅かだが侵入を開始した。

 

「さば味噌さま、わたしの、中、どうでしょうか?」

 

呼吸と痛みと、快楽で、だろうか。僅かに声を弾ませながら問い掛けられる。

答えは、射精で返した。

我慢出来なかったのだ。俺は悪くない。アウラの中は、今までで一番熱かった。

 

「あ――っ。え、えへへっ。うれしいです、あたしで、良くなってくれてるんだ。こんなに小さいのに」

 

喜んでくれているアウラだが、心中では早漏と思われていないか凄く不安だ。

というかお前(アウラ)俺のセックス覗いてたって本当なのか。訊きたいけれど、余裕が無い。

 

だから只管に腰を振る。どんどん飲み込まれていく ちんこに意識を集中して、もはやスキルによる我慢もしたくないくらいに気持ち良いアウラの膣内を時間一杯、可能な限り味わわんと身体を動かした。

細い首筋をべったりと舐め上げると、悲鳴と一緒に嬉しそうに抱き付かれる。

エルフ耳に舌を突っ込んで、唾液を塗しながら音を立てて強く啜った。ちょっと変態っぽいかもしれないが、実は前からやってみたかったのだ、悔いは無い。

 

小さなお尻を掴んで少女の腰を持ち上げると、両腕で首を抱き締めた姿勢でしがみ付かれた。

軽い。本当に、見た目そのままの幼い少女。それが俺に抱かれて幼い喘ぎ声を上げていた。

興奮が止まらない。立った姿勢で腰を振る。

射精して、射精して、どろどろに体液が滴った。そして挿入出来る限界まで、更に深く、アウラの膣に己のモノを突き入れる。

 

「う、く――!」

 

互いに声無き声を上げる。そこでもう一度だけ己の欲を吐き出して、繋がったまま身体の向きだけを180度回すと、俺が下になった状態で先程まで彼女が座っていた椅子の上に腰を下ろした。

 

「はあっ、ふう」

 

息を吐く。息を吸う。二人分の呼吸が、部屋に響いた。

腕の中の小さな少女を抱き締めたまま、ぼんやりと部屋の中を見回していく。

視界に捉えたシャルティアが、頬を膨らませて こちらを見ていた。

 

「さば味噌さまっ、――次は私でありんすね!」

 

マジか。俺結構疲れたんだけど。

言い張る嫁の顔を観察すれば、真っ赤になって発情していた。マジみたいだ。うん、頑張る。がん

ば、る――。

 

 

 

 

晴れ渡る一面の戦場、カッツェ平野。

 

実に四カ国に隣接する呪われた土地、アンデッドの多発する危険区域。

今日この日、王国と帝国が戦争を行う一日のみ薄霧の晴れる平野部において、かつて無い規模の軍勢を用意した二国両軍は今まさに戦端を開こうと意識を研ぎ澄ませ続けていた。

しかし。

 

それを引き裂く竜の咆哮が、戦場の全てを両断した。

 

「……はっ?」

 

誰かが呆けたように音を漏らした。他も、あるいは言葉も無く立ち尽くす。

それは王国と帝国の区別無く、両軍の頂点にて参陣する王や皇帝とて例外では無い。

 

一頭のドラゴンが、何時の間にか戦場のド真ん中に立っていた。

 

何故か眼鏡を掛けた美しい白銀の竜鱗が、年に一度だけ差し込む眩い朝日で照り輝く。戦場の中心から放たれた銀の光に目を焼かれ、それでも誰一人として視線を逸らす事など出来ない。

その巨体から考えれば余りにも静かな地響きが、一歩一歩、丁寧に刻まれ無数の兵士達の身体を揺らす。

時折吐き出される竜の吐息は陽光の下で真っ白な(つめたさ)を印象付けて、踏み出される四肢が土や雑草に霜を降らせた。それらを目敏く捉えた極少数が、目の前を歩く竜が霜の竜(フロスト・ドラゴン)であると認識したが、この状況下では何の意味も持たない無駄な知識だ。

それは大きさからしても未だ年若い、しかも歪な体型のドラゴンである。

 

縦横の区別無く丸々と太った若年の竜が、その背に豪奢な(いす)を乗せて頭を垂れる。

赤く透き通った、血濡れの玉座。

真っ白なドラゴンの上だからこそ良く栄える。玉座に腰掛ける少女(・・)は、悠然と肘掛けに凭れ掛かり、戦場に立つあらゆる全てを睥睨していた。

 

丸い丸いフロスト・ドラゴン。ただ太っているだけの、きっと彼単体ならば今この場でさえ多くの人から失笑を買っただろう肥満した体。だが、その歪な巨躯がたった一人の王者を背に載せるためだけに誂えられたものならば、決して嘲笑など浮かべられまい。竜としての在り方さえ切り捨てて極限まで研ぎ澄まされた、生ける玉座としての誇りを幻視する。

 

「何だ、あれは」

 

思わず、皇帝ジルクニフが言葉を漏らす。最上位者にあるまじき、力の抜けた声だった。

圧倒されてしまう。この大事な一戦の、開始直前に現れた空気の読めない闖入者達に対して。意識が集中出来ない。余りにも場違い過ぎるのだ。ゆえに呆ける、軍勢への指示など何を口にすれば良いのかも分からなかった。

 

戦場に突如姿を現した、白銀と鮮血の、翼持つ玉座(ヘジンマール)

その上で気だるげに視線を巡らせる少女が、口を開いた。

 

『わたしは、――覇王エンリ』

 

一人残らず耳朶に沁み込む、魔法によるものだと超越者(フールーダ)が瞬時に見抜いた、二重三重に音を拡げた一つの宣言。

誰も、高慢な王国貴族達でさえ口を挟めず言葉が続く。

 

『今この時をもって、リ・エスティーゼ王国及びバハルス帝国の支配を宣言します』

「――ふざけるなッッ!!!!」

 

魔法を用いた少女の言葉(もの)とは比較にもならない小さな怒声。

リ・エスティーゼ王国国王バルブロ一世が、覇王降臨から初めて明確に彼女等の行動を遮った。

 

だが、彼の発した王者の怒りに対する反応は何も無い。

覇王と名乗る少女はただ天のみを見上げて耳を澄まし、首元に輝く神秘的な伝説級装備(くびかざり)を指で愛しく撫でさする。玉座たる霜の竜は主への暴言にも身動き一つせずに目蓋を閉じて、まるで寝息を立てているのでは無いかとさえ思うほど静かなままだ。

 

『不敬』

 

短い呟き(しっせき)

その次の瞬間、バルブロの頭が吹き飛んだ。

 

頭部から噴き出す二度の鮮血。次いで首と肩、両腕が胸部と同時に、胴周りから腰と両脚。

上部から順繰りに血飛沫を散らす、八回連続、不可視の斬刑。斬首や腰斬、などと言う情の通った人の刑罰とは全く異なる。屠殺・解体と言って良い無惨な死に様に、(バルブロ)は末期の台詞さえ口に出来ずにその生涯を終えてしまった。

 

あああ、と震える声音が王国軍、死んだバルブロの護衛達から零れ落ちる。

全軍指揮官の死亡による混乱と恐怖は瞬く間に広がり、王国軍が瓦解する。――その前に。

覇王の言葉が全てを鎮めた。

 

『国の名は、覇王国。覇をもってして人を統べる、真に尊き我が神より賜った、唯一至上たる国の名を――』

 

神に選ばれし(はおう)が築く。覇王国を、――讃えよ。

 

銅鑼の音が鳴り響く。

戦場に響き渡る轟音の中で、王国と帝国、カッツェ平野に展開された両軍を取り囲む形で、完全に取り囲めるだけの大軍勢が姿を現す。

異形、亜人、魔獣、不死者、人間種。

軍の構成に統一性など何も無い。ただ、国の貴色であるのだろうか、皆が皆 血のように赤い装飾品を必ず一つ、身に付けていた。

 

「なんだ、これは……っ」

 

冷静さなど保てるものか。混乱と動揺からジルクニフの呼吸が乱れる。苦痛と絶望に喘ぐ声が、己の喉奥から零れて消えた。それを他人事のように自覚して、しかし立ち直るだけの余裕など、この状況下で湧いてくる筈が無い。

 

そこに、更なる追い討ちが襲い掛かった。

 

「覇王エンリ、万歳!!!!!」

「万歳っ!!!」

「万歳!!!!」

 

帝国軍陣中(・・・・・)において響き渡った、複数回に渡る覇王礼賛。

何を、と思い視線を向ければ、かつてジルクニフが直々に召し上げた帝国四騎士、重爆レイナース・ロックブルズが武器を天に掲げながら全身全霊で覇王の御名を謳っていた。

彼女の周囲に侍る幾人か、レイナースの部下に当たる兵士達も同じ動きで覇王を称える。

それに倣うように、軍の各所で同じような叫びが一つ一つと増えていく。

 

何を、何を、何をしている。

 

突如正気を逸したかのような四騎士の一角(レイナース)。彼女の口を塞ごうと身体を動かした不動ナザミ・エネックが、レイナースによる腕の一振りで一蹴された。

は、と思わず目を疑うが、目の前の現実は変わらない。

確かに皇帝が目を付けるだけの実力が有り、攻撃に関しては四騎士随一。だが彼等四人の実力差は、ここまで歴然としたものでは無かった。無かった、筈なのに。彼女の何かが、ジルクニフの知るものとは決定的に違っていた。

 

「裏切ったのか、レイナース!」

 

顔を歪めて感情的に唾を吐く。自身の思い描く理想の皇帝らしからぬ事だった。

言われたレイナースは爽やかに笑い、軽く除けられた金色の前髪から、美しく整った顔の右側が晒される。

呪いが、あの黄色い膿の噴き出す顔が、治っていた。治された、のだろう。それに全く気付かなかった、何故だ、何時の事だ。状況から見て恐らくは覇王、あるいはその手の者。アゼルリシア山脈に住まうという霜の竜を(いす)のように従える女だ、得体の知れない魔法の一つくらいは有るだろう。だが、そんな予測で感情が納得するものかっ!!

 

爺っ! と此度の戦における万全の勝利のために参陣を願った頼れる宮廷魔術師(フールーダ)に呼び掛けたのだが、当の本人は「んほおおおーっ! デスナイトがっ、それ以上の魔法生物が一杯居りゅのほぉーんっ!!!」とか叫びながら失禁して気絶していた。爺の魔法狂いにも困ったものだ、と一時ジルクニフは激情を忘れる。無論、それは何の解決にもならなかったのだが。

 

壊乱寸前の両軍、特に王国軍内で強制的に徴収された農民兵が戦場から逃げ出そうと浮き足立つが、完全に一分の隙も無く、覇王の軍勢によって押し留められる。皮肉な事に、覇王とその麾下の恐ろしさが故に、軍の壊走による死傷者数は大幅に抑えられる事となった。

 

「なんだこれは、なんだ、一体。負けたのか? 俺は、おれが、こんな、ことが――っ!!!!」

 

戦いにさえ、ならなかった。

あるいは覇王が現れた時点で、全軍に殺せと命ずるべきだったのだろうか。

否、そもそも奴等は何処から現れた。自分達を取り囲む軍勢にしても、何時から包囲を完了していた?

 

何もかも分からない事ばかり。ただ一つ確かな事は、王国も帝国も、あの覇王を名乗る少女(バケモノ)に敗北した、という結果だけ。それを認めたジルクニフは、膝を屈して声を上げながら大いに笑った。自棄っぱちの、意味の篭らぬ空虚な笑いに過ぎなかったが。

 

戦場の空には複数の影が舞い踊り、地上で這いずる人間種(ムシケラ)共を見下ろしている。

ああ、勝てない。ここから何を為したところで、既に戦の趨勢は決していた。

まるで何処ぞの黄金(バケモノ)のように常軌を逸した策と実行力。鮮血帝ジルクニフはあの、ぽっと出に過ぎない覇王エンリに負けたのだ。それを、もはや認めざるを得なかった。

 

 

――こうして。

リ・エスティーゼ新国王の殺害と、帝国皇帝の捕縛。両国の有する全戦力の無力化。ろくに血を流す事無く勝敗を決した戦争の終結。白銀の玉座と覇王の威容。

 

それら全ての成果をもって、エンリ・エモット覇王国の建国宣言が終了した。




はおうエンリの いばる!
ラナーの でんごん(メッセージ)
エイトエッジ・アサシンの きりさく!

おうこく・ていこくとの
しょうぶに かった!


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第二十話 重爆さんに甘えさせてもらう話

「戻れっ、戻るのだ! 番外席次!!」

「絶死絶命っ! 聖域守護の任を離れるなんて、そのような事が許されると思うのですかっ!!」

 

スレイン法国における政治中枢。

かつてこの地に降臨した六大神、偉大なりし慈悲深き方々が遺した地、だ。

 

六大のうち五柱の装備が眠る聖域の入り口から、風に白と黒の髪を靡かせながら、ようやく私は日の光の下へと足を踏み入れた。

背後から追ってくる幾つかの声に関しては、正直うんざりする他ない。

 

「くだらない」

 

吐き捨てる。

整った容姿に見合う心地良い可憐な声音だ、とずっと昔に褒められた記憶のある自身の声が、しかし他者を詰るために飛び出した。

視線を向ければただそれだけで、後を追い掛けていた神官達の足が止まる。片手に握った戦鎌は戦意をもって翻る事こそ無いものの、この刃の輝きが、彼等彼女等の瞳に届いている事は理解していた。

 

「王国と帝国は、覇王国とやらの風下に立った。竜王国に至っては、覇王国を全面的に支持する構え。それも建国宣言とほぼ同時という手の早さ。ねえ、――これ以上、放っておいたら不味いんじゃない?」

 

笑いながら問い掛ければ、神官達の表情が一斉に歪む。

 

彼等とて理解している筈だ。

電撃的に名乗りを上げて、瞬く間に人類圏における主要二カ国を傘下に収めたエンリ・エモット覇王国。その頂点に君臨する覇王エンリは、間違い無く伝説の八欲王にも並ぶだろう、覇者の大器を見せつけた。

ただの人間が話に聞くほどの大戦力を用意した上で、国二つを容易く支配出来るわけが無い。

恐ろしいまでの力。おぞましい程の知略。そして何より、欲深き八欲王の如き野心がある。

かつて数多居た竜王達を討ち取り、スレイン法国が奉ずる死の神(スルシャーナ)さえも滅ぼした大罪人共と同様の存在。

 

――覇王エンリはプレイヤー、あるいはその従属神。

 

神から賜るという発言までを加味した結果、スレイン法国上層部の出した結論である。

相手が女なのは不満だけど、と空気を読まない本音を胸中にて呟いた。無論、それを顔には出さないが。

 

「あんまり時間を掛けてたら悪化するだけ。でしょう?」

「そっ、それでも、だ。出方を間違うわけにはいかん。これ以上の戦力喪失は法国としても」

「――わたしが負ける、って言うの?」

 

壮絶に笑う、私こそがスレイン法国最強不敗の存在だ。

場が凍る。多数の神官達が、ただ僅かに表情を変える以上に身動き出来ない。

だが、心臓のある辺りを強く握り締めた皺だらけの神官長が、それでも、と呼吸を乱して言い募る。

 

「人類のため、戦端を開く時には必勝でなければならんのだっ。未だ何も分かっておらんのだぞ、覇王も、その配下に関しても! 何も!」

 

友好か、敵対か。大まかに考えればこの二つ。

どちらを選ぶにしても、今を逃せば徐々に追い詰められて行くだけだろう。絶死絶命(わたし)の戦士の勘はそう訴えていたが、この神官長ならばそれ以外、特に政治的、且つ長期的な視野から考えた結果の言葉、の筈。多少は聞き入れる価値もある。そう考えられる程度には、私とこの神官長(ろうじん)の付き合いは長かった。

 

だが聞かぬ。

 

「私が駄目なら、もう誰だって、何だって無理でしょう。なら行くしか無いじゃない?」

 

だから笑い含みで言い捨てた。聞く気は無い、とこの神官長にならば伝わっただろう。

胸中にある私の本音。――この機を逃せば、本当に戦える機会が来るかどうかも分からない。だから行くのだ。

ずっと、ずっとずっとずっと大人しく彼等(くに)の言う事を聞いてきた。法国(こきょう)に対する愛着も、希薄ではあるが全く無いという程でもない。だが、今回くらいは自分の主張(わがまま)を聞き入れてもらおう。

 

陽光と漆黒、二つが欠けた六色聖典では覇王国(あれ)に対する戦力として心許ないどころか誤差の範疇。今や法国内で信頼出来る戦力と言えば、最終手段である私一人。

仮に自分(さいきょう)が殺されてしまえば、それこそ法国の選択は一つしかない。

恭順して、覇王の慈悲に縋りながら生き長らえれば良いではないか。弱者の生き方とは古来よりそういうもの。選ぶ自由など、何処にも無い。

 

渦中の人物である覇王エンリを首尾良く殺せた場合の事は、うん、あくまでも法国の有する一戦力に過ぎない私如きが考える事でもないんじゃないかな? と、自身にとってのみ必要十分な言い訳を用意して、再度国の外へ向かって歩き出す。

それ以上は、何を言われても耳を貸さなかった。

 

「覇王、強いと良いわね。ううん、もしかすると覇王の側近辺りに、強い男が居るかしら?」

 

神の顕現(プレイヤー)ならば、そんな夢のある話を期待したって良いではないか。

 

考えるだけで楽しくなってくる。こんな気持ちは何時振りだろう。

ああ、空が眩い。私の先行きはまさに明るく拓けているのだ。

 

「早く敗北(あい)を知りたいわ。このままだと長い寿命があっても御婆ちゃんになってしまうもの」

 

くすくす笑って呟くと、ただ真っ直ぐに未来(まえ)を目指す。

その先に、己にとって価値有る誰かが居ると願って。

 

 

 

 

「おお、ラナー。ラナーっ。生きていてくれたか。良かった。本当に、良かった……っ」

「はい。お久しぶりです、御父様」

 

目の前で、かつて傍に居た頃よりも一層痩せ衰えた主が、元国王ランポッサ三世が、愛娘との再会に涙を零した。

自分(ガゼフ)が居なかった間に、一体どれほどの心痛が彼の全てを苛んだ事だろう。考えるほどに己の不甲斐無さで心が沈み、食い縛った奥歯が決して外には漏れない密やかな異音をじわりと鳴らす。

 

そんなランポッサ三世に対し、笑顔で応じるラナー王女。否、元王女。

遠く離れていた実父と再会出来てとても嬉しい。全身でそう表現する、恐ろしい――化け物。

 

自分とて、己が主君の喜びに心底から同調したかった。だが知っているのだ、この美しい姫が何をしていたのか。先の戦争で、何のために、その知恵を振り絞り言葉を紡いでいたのかを。

祖国(おうこく)を売り払い、敵国(ていこく)を掻き回し、まんまと覇王国の宰相位をその手にしてみせたラナー・ティエール・シャルドロン・ライル・ヴァイセルフ。

果たして、この少女は本当に自身の知るかつての王女殿下その人であるのだろうか。

 

そう考えてしまう程に、知ってしまった事実(すがお)は俺の心を苛んでいた。

 

「――ガゼフよ。本当に、本当にお前には感謝している。お前を見い出した事は、私の、王として成せた唯一の功績だ」

「……勿体無い、御言葉です」

 

言って、頭を下げる。

胸中を決して漏らさぬように。目の前の主にこれ以上の心痛を与えぬために。

そのためだけに、秘された少女(ラナー)の真実を伏せる。

 

 

病床にある老人(ランポッサ)との話が終わり、二人肩を並べて退室し。長い廊下を歩きながらラナーが言った。

 

「御父様には、このまま療養という形で静かに過ごして頂きます。もう二度と、国という重責を背負う事は無いでしょう」

「では、私は陛下の御傍でその警護を」

「ふふっ」

 

どうなったとしても、自分の仕える主はランポッサ三世のみ。

そう考えて口にした自分を、少女の姿をしたナニカが笑う。

暗い異形(ラナー)の瞳が、こちらを見上げた。

 

「貴方ならば陛下(エンリ)も重用して下さいますよ?」

 

愚問である。

 

確かに墳墓での日々で己の力はかつてよりも大きく増した。今ならば、きっと以前よりも為せる事が多かろう。

だが違うのだ。自分が、ガゼフ・ストロノーフが剣として振るって貰いたい相手は、ただ一人。

それを誰にも違えさせない。例えそれが、誰にとっても、何の益にもならない選択だとしても。覇王国の動きによって民の生活が安定しつつある今、俺が果たすべき責務は主君の心を守る事のみ。

 

そう生きると決めたのだ。譲る事など出来はしない。

誰に愚かと罵られても、所詮自分は一介の戦士。そうとしか生きれない、不器用な人間だった。

 

決然と返した答えにラナーが笑う。理解出来ぬと人間(ひと)を見下し、奈落の瞳で空を見上げた。

 

「彼は、……クライムは、元気でしょうか」

 

口を衝いて出たのは顔見知りの少年の名前だ。

彼と王女はとても仲が良く、傍から見ていても互いの距離は近しいもので。

思い出(あれ)さえ嘘だと言われたら、自分は、目の前に居る少女の形をしたナニカを斬ってしまっていたかも知れない。

 

「元気ですよ。最近は御友達が出来たようで、何時も振り回されて大変そうです」

 

だから、安心した。

何時も通り。かつてのような王女の顔で。

人間のように当たり前に笑ってくれた事が、俺にとっては何よりも安堵出来る事だった。

 

 

 

 

「――宗教出来とるやん!!!!!!」

 

何だよ神って! 聞き間違いじゃなかったのアレ!?

何っ時も何っ時も野外セックスした後「ああ、かみさま……(恍惚」みたいになってたけど、エンリのアレって正真正銘本気(マジ)の言葉だったの??? 意味が分からなかったから常に聞き流してた俺って阿呆過ぎじゃね????

 

至高神アインズ・ウール・ゴウンってなんじゃい!!!!!!

 

「件の人間、覇王の意向を汲んだ結果です。人間にしては(げんじつ)分かる(みえている)と感心しておりました。加えて、さば味噌さまも国家の顔としてこの世界に打って出る事を厭っておられたようですので――」

 

だからって神様にすんなよ!! 至高神さば味噌よりはマシだけどー! 仮に神鯖に(そう)なってたら、百年後にユグドラシル・プレイヤーがやって来たとき大爆笑必至やぞ!!!!!

 

「私共としては至高たる御身にこそ世界の頂点として君臨して頂きたくありましたが……。いえ、これは所詮下僕の立場から生じた拙き考え。強請るような物言いは余りにも思い上がった振る舞いです。深くっ、謝罪を致します!!」

 

相変わらず台詞が長いんだよデミー!!!

 

国作れとか、そんなに目立ちたいのかコイツ等。俺は王様とか嫌だぞ。一通り玉座(とくしゅ)プレイしたら即禅譲で良いなら少しくらいやってみたいけど、多分気紛れで一度始めたらお前等が俺を退位させてくれないパターンだよね?

そもそも俺が上に立ってもなー。面倒事は全部ナザリック頭良い勢に押し付けるから、実質的な支配者はカルマ(マイナス)のシモベ達という事になる。つまりは人間種的に暗黒時代の到来じゃない? 違う???

 

「俺はナザリックさえあれば()-の。他の奴等従えるとか、ウッソだろお前。だるいわー」

「ッ!? さ、さばみそさま……っ!!!!」

 

仮に原作知識無かったら、絶対ナザリックに引き篭もってTHE ENDだったぞ、俺。メイドハーレムだけで第二の人生全う出来ると思う。

 

とか考えていたら、話をしていたデミウルゴスがその場に蹲ってブルッブル震えてた。

何やねん、性具(バイブ)か。震え過ぎやぞお前。……え、なに、病気? まさか働かせ過ぎた? えっ?

 

「だ、大丈夫かデミ」

「わたしはあっ!! 私は自分が恥ずかしい!!!」

 

何がだよ。

 

いきなり叫び出したデミウルゴスに、俺としてはドン引きする他ない。突然叫び出す今のお前の有り様こそが恥ずかしいんだけど、此処、誰も目撃者は居ないだろうな。俺まで今のお前と同一視されるとか嫌だよ?

 

「さば味噌さまが真に御望みであったのは下等なる人間種(ものたち)が崇拝する虚名ではなく、ナザリック地下大墳墓を、ひいては其処に住まう我等シモベの安寧であったとは――!」

「えーと、……うん。概ね間違ってないけど、うん。うん?」

「なんという、なんという事だ……ッ! 仕える主君の躍進を願う私の考えこそが大きな誤り!! これ幸いと覇王の意向に便乗するなどっ、致命的且つ余りにも身勝手な思考。いやっ、間違い無く私自身の欲がそこには混じっていた筈だ! 真に尊き御方だからこそ、より広く、その偉大さを世に知らしめたい、などとっ、なんとおこがましい!! 私如きが心を砕かずとも、既にして さば味噌さまは並ぶもの無き唯一至じょ」

「長ぇえ――よ、ボケ!!!!!!!」

 

張り扇(ハリセン)聖遺物級(レリック)装備を振るって、良く分からない長台詞を中断する。安心しろ、峰打ちスキル込みだから絶対死なない。

 

放っておくと多分自害案件だ、コレ。言ってる事の半分くらいは分からなかったけど雰囲気的に。

倒れ伏し、痙攣しながら辛うじて顔だけを俺に向けたデミウルゴスの両頬を、ハリセンでパタパタ叩きながら言い聞かせる。

 

「よく分かんないけど、今後も難しい事はお前らに任せた。俺は墳墓(ここ)で半永久的に自堕落(ダラダラ)するから。お前ら頭良い勢(ずのうは)は頑張って俺の平穏を守れ。以上」

「……はひっ。われらが、しごうのお゛がたっ!」

 

だから、何故泣く。いや、これはシモベ的に感動する話、なのか?

あー、まったく。まったく。仕方の無い奴等である、本当に。

 

ホント、あんまり変な事しないでくれよなっ! 次はもっと怒るぞ、俺!

 

 

――という説教をした数分後、俺の目の前には全裸で土下座している金髪美女が一人居た。

 

「この度は私如きのために偉大なる御力の一端を賜らせて頂き、このレイナース、感謝の念に堪えません」

 

くるしゅーない! くるしゅーないぞ!

 

人類の夢、男の浪漫。全裸土下座である。

しかも元とはいえ御貴族様だぞ。帝国最強の四騎士、その一角という知名度補正(ネームバリュー)もある。まん丸真っ白豊かなお尻を見下ろすだけで、俺のパンツの中で先走った汁が落ちる。

 

よし、満足したぜ!

 

「うんありがとう、もう帰って良いよ!」

「……えっ」

 

えっ?

 

不思議そうな顔で俺を見上げるレイナース。上から見下ろす大きなお乳も実に良い。顔を上げる際の動きで ふるんっと震えた。色の良い乳首も実に美味そう。勃起する。

 

「せっ、僭越ながら、と、伽の相手をお望みであるのでは、と」

「ごめん、俺処女じゃないと嫌です」

「!?」

 

クレマンティーヌの時は、戦い続きでちょっとムラムラし過ぎてたからね。正気を失くしていたかもしれない。

あと、アイツ相手なら勃起しない方が頭おかしいから。くっそエロい身体してたもん。声が出せず、一方的にレイプ出来たからというのも実に大きい。

 

でもレイナースは違う。

 

俺は処女厨だ。

こんな美人が、いい年した女が、大人の女性が、処女とか無いだろ。

 

あと、明らかに出来(デキ)る女って感じがちょっと気後れする。今の俺はナザリックの頂点に君臨する至高の無職(ヒモ)。そこそこ頑張っていた冒険者の立場にしても、竜王国助けた後は覇王国へ正式に籍を移すと触れ回ってからは開店休業状態。日々メイド相手に腰を振るだけの現実があった。

翻って今目の前で跪いているレイナースは、かつて帝国において裸一貫から成り上がり帝国軍部の最上位近くに勤めていたし、先の戦争後は覇王エンリに仕える名実共に立派な女騎士なのだ。くっころ。

 

俺と彼女を並べて見ると、こう、劣等感無い? 無くない? 俺が勝てる部分って何さ。直に戦う際の戦闘力? 部下の数と有能さ? あるいは射精する早さかな???

こんな凄い人相手だと、俺が精神的にマウント取れねーじゃねぇーかっ!!! 勃つか!!!!

 

「しょ、しょ……っ!」

 

顔を俯けたレイナースが、何か分からないけど滑舌悪く口走る。

しょ、小便? おトイレかな? 御小水(おしょうすい)ならあっちに御便所ありますよお姉さん。

 

「処女です!!!!!!!!!!」

「何言ってんだコイツ」

 

何言ってんだコイツ。

 

顔を真っ赤にして己の処女性を主張し始めたレイナースを見て、ついつい視線を下ろして おっぱい眺めて、更に下って綺麗なお臍と本人曰く新品(みしよう)である おまんこを見つめる。いや、この世界での結婚年齢加味すると新古品かな? ……流石に失礼な表現だな、至高の反省。

 

処女か。

未使用か。

ちんこ挿れた事無いのかよ。

 

こんなに美人なのに。

 

「婚約者は居りましたが、婚前交渉など立場上有り得ず。呪いで勘当されて以降は、その、顔が……」

 

赤かった顔が徐々に色を()くし始め、真っ白になった暗い表情でぽつぽつと呟く。

いかん、凄く酷い事を聞いてしまった気がする。多分心的外傷(トラウマ)直撃ですよ、コレ。

 

手を伸ばし、彼女の肩にそっと置く。

俺の動きに気付いたレイナースが感情表現の乏しい顔を上向けて、その額に触れるだけのキスを落とした。

あと、ついでに大きく実った おっぱいも空いた片手で軽く触った。うひょーっ! ()っきいですうー!

 

それによって、人形然とした顔が僅かに動く。

ふふふ、この麗しき美貌と貴様の子宮に強く響くだろうイケメンボイスを食らえっ!

 

「さあ、ベッドに行きょっ、……こ、んく」

 

噛んだ。

 

「……」

「……あの」

「しにます」

「!?」

 

 

紆余曲折あったが、無事に大きなベッドの上に、二人一緒に並んで座る。

 

いや、やはり紆余曲折など無かった。全裸のお姉さんに優しく励まされる至高の御方なんて、この世界には実在しないのだぜ。全て悪い夢だったんだ。だから全然恥ずかしくなんて、無いさ。

別に理由など無いが未だ少しばかり気落ちしながら、金髪お姉さんのおっぱいを揉む。よしよしと頭を撫でられながら乳房を吸うと、レイナースたんの優しさに母性を感じた。ままー!

 

そっと手を伸ばして、背中から腰、ベッドのシーツに半ば以上埋まった尻を撫でる。引き締まった女騎士の身体が、ペストーニャを始めとするメイド達の手腕によって傷一つ無い綺麗な肌を保って俺の触覚を楽しませた。

 

胸を触る、乳房を舐めて、強く吸う。

ふるふると震える女性特有の柔らかさが、俺の情欲を刺激した。萎えていた股間が力を取り戻し、乳房に顔を寄せた姿勢のまま正面から体重を掛けて、ベッドに押し倒しながら更にしゃぶる。

 

胸がお好きなのですか、と小さく問いを投げ掛けられる。

それに答える事無く、顔は豊かな乳房に埋めて、空いた両手は腰や脇腹、すべすべで張りのある太腿を弄びながら、ズボンの下で腫れ上がった性器を強く押し付けて腰を振る。

 

「レイナース、もう、挿れ()たいっ」

「はい。お出でください、可愛い方(しこうのおかた)

 

言質を取れたのでズボンを脱いだ。ぶるりと跳ね上がった俺のちんこが、レイナースの眼前で先走りを滴らせる。

 

少しだけ、彼女の動きが止まる。

そういえば初めてだったか。勃起したモノをこんな間近で見るなんて、今まで無かった事だろう。

先程から続く彼女の対応が原因だろうか、俺の中から優しい気持ちが込み上げて、怖がらせないように、と気持ちを篭めてゆっくりレイナースにキスをした。キスをしながら太腿辺りに、限界寸前の一物を触れさせる。これが今からお前の中に入るのだ、と脅し半分、心の準備をさせるつもりで滾る己の熱を伝えた。

 

いや直接の愛撫とかしてないし、準備全然足りてないだろうけどね。もう出そう。挿れる以前に射精とか、これ以上恥を掻きたく無いので今すぐにでも入りたいのだ。

 

そっとレイナースの手が俺のちんこに添えられる。んあっ!

そのまま導くように彼女の女性あっ、あっ、あっ。――あ゛っ!?

 

両手を振りかぶり、強く、強く、静かに波打つ豊満な乳を揉みしだいた。

 

「んう、あっ、そんな、強いっ」

「レイナース! 好きだ、レイナース! なんて美しいんだ君はーっ!!」

「ああっ、嬉しいです。こんな私をっ。醜い私をっ見つけてくれるなんて――!」

 

――このままっ、勢いで誤魔化す!!!!

 

実はもう射精している。さっきした。多分添えられたレイナースの手にもたっぷり白いのが掛かっている筈だ。だから、手は止めない。言葉を只管に積み重ねて、俺の早漏っぷりを気付かせぬまま挿入本番にまで漕ぎ着ける!!

 

揉み潰すように弄ばれた柔らかい乳房。乳首を指で強く扱くと、口で咥えて音を鳴らしながら吸い上げた。

喘ぎ声で大きく開いた口に舌を捻じ込み、鍛えられた尻肉を手の平で熱く擦るように確かめる。

何処も彼処も、硬さと共に女の脂肪が良く乗っている。興奮のままに腰を押し付け、レイナースの股座で末挿入の素股射精を繰り返し、徐々にぬめりを増やしていった。

両手で綺麗な金髪ごと彼女の頭を鷲掴み、小さな口、その唇を丸ごと食べる様に強引なキスをした。そのまま舌を啜り上げると、下にあるレイナースの身体が大きく震える。

 

互いに荒れた呼吸が顔に当たる。

意外と細めなレイナースの腰を探り、ちんこの位置を細かく調節。俺が何をしているか察したのだろう、人形のように綺麗な顔が小さく微笑み、口を開いた。

 

「貰って、頂けますか」

「……手放す気無いけど、それで良いなら」

 

お互いに笑って、深い部分で繋がった。

 

どろりと零れる破瓜の血(もの)が有ったかどうかは、もはや気にしていなかった。

中は結構、固い。使っていなかったからだろう。だけど良く絡み付く健気さ(かんしょく)があった。

ゆっくり呼吸を整えながら、再度胸に手を伸ばして彼女の母性(むね)を弄ぶ。

太腿の手触りだって上々だ。軽く抓んだり撫でて押し込み、誰も触った事が無いだろう重爆レイナース・ロックブルズの肢体に、指紋という名の俺の足跡を幾つも残した。その度に女体がいやらしく身を捩って、ついつい興奮して射精する。

だが構うまい。今更、腰を振る事を止められなかった。

 

強く叩き付ければ彼女の乳房が無軌道に躍る。それが目に見えて楽しくて、思わず幾度も腰を振る。

両手を互いに重ね合わせて、じっくりと時間を掛け、恋人のようなセックスを続けた。

汗でシーツに染みが落ちる。振り乱される金髪が、女を犯しているという自覚を強く意識させた。

 

また、出る。射精する。

奥の奥、限界まで突き入れて、今日一番の欲望(せいえき)を吐き出す。

 

「ふぅ、ふっ、ふう」

「わたし、やっと、もう、ついに……」

 

うわ言を呟くレイナースの頭を撫でて、頬に唇を落として笑う。

良かった。いや、凄く良かった。

相変わらずの早漏っぷりだったけど、上手くやったからバレてないだろ! よし完璧!

上位者(おんじん)としての面子は無事に保てた。これでレイナースの中の俺は超絶格好良い絶対支配者。ふはは、崇め奉っても構わないぞー!

 

「ふふっ、かわいい」

 

出し切って縮んでいく俺のちんこを弄びながら、無事非処女になったレイナースも嬉しそうに笑ってくれる。

 

よーし、一緒に御風呂入って二回戦しよう、二回戦!

今日の俺は一味違うぞー! バリバリ!




「うう……っ! 私は? ねえシャルティア、私の番は!?」
「何でわらわが無駄乳(アルベド)の手伝いなんて しないといけないでありんすか???」
「!? うっ、……ふう」


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第二十一話 シクススとフォアイルにセクハラする話

酒精が欲しい、と強くそう思った。

 

此処はバハルス帝国首都アーウィンタール、其処に建つ皇城の一室。――などと言えたのも、つい先日までの事である。

戦争での敗北、と呼ぶには些か圧倒的過ぎて、そもそも戦闘さえ発生せずに終わった先の惨めな敗戦(くつじょく)の結果、今の自分は皇帝ジルクニフである、と名乗る事さえ叶わない立場に落とされていた。

 

バハルス方面地方行政自治区。……長い。しかしそれこそが暫定的ながら、今のこの土地(くに)の名前なのである。

 

なんと驚け(びっくり)、気が付けば俺の治める帝国は国でさえ無くなっていた。自治区だ、自治区。名称通り、どれだけ広くとも一地方一区画という扱いだ。

そして俺はバハルス自治区を治める地方代官。ははは、このジルクニフは一大地方を主に運営する立派な官僚様なのだ。皇族どころか貴族でさえ無いぞ!!

 

ははは!

 

「う゛、うおおおオ――っ!!!!!」

 

唐突に長椅子から立ち上がり、部屋の天井を睨み付けながら叫びを上げる。

そのまま数秒。やがて火が消えたように項垂れながら、また座る。

 

酒が欲しい。

 

酔って全てを忘れたい。忘れた所で現実からは逃げられないが、俺とて人間なのだ、時には逃避も必要だろう。

そんな弱さをかつては嘲笑していたものだが、成程、飲酒というのは人である限り必須の文化であったらしい。今後は酒類に課す税を少しばかり気遣ってやろうとそう思う。その程度の権限ならば、今の俺にも普通に許されているのだからして。

 

あの戦い、戦い? の後の話になるが。

 

王国の貴族共は、その大半がかつて犯した大小様々な罪科を国中に丸っと公表された上で、罪に対して妥当な量刑を個々に課されて獄の中。多分ほとんど死んでいる。領主の椅子(せき)が空いた貴族の所領には、覇王国から次々と代官が派遣された結果、今も恙無く国が回っているらしい。

何処から湧いてきた人材なのかが非常に気になるが、あの国は戦争以外も出来るようだと理解して、思わず唾を吐き捨てたものだ。ちなみにその後、秘書官であるロウネに窘められた。……すまぬ。

 

帝国、いや元帝国であるこの地方に関しては、基本的に全て(ジルクニフ)に任されている。

実質的には皇帝であった時分と何も変わらない。覇王国は金も実権も、何一つとして要求せず、少なくとも現時点では「良く治めよ」と命じるのみ。その命令に対して俺が、相手(てき)の有する王の器を感じるかと言えば否だ。

 

これでは、奴が何のために参戦(らんにゅう)したのか分からない。

だって現状、覇王国には何の利益も無いのだ。何も求めて来ないのだ。何だそれは。俺の治めてきた帝国に、差し出させるだけの価値(なに)も無いと言うのだろうか。そう言って、何処か矛盾した憤りさえ感じてしまう。

 

かつて有った、国としての名前を奪われた。

実権は有れど、皇帝としての権威も残っていない。

己が誇る帝国四騎士も一つが欠けた。

信頼する宮廷魔術師(フールーダ)は、どうにかして覇王国に寝返ろうと今日も必死だ。

国も民も、貴族達でさえ何も問題無く今この時を生きている。爵位も据え置きとなっていた。

多少の混乱はあれど来年もまたその次も、この地における営みは、平和に続いていくだろう。

 

――苦しんでいるのは、俺だけだ。

 

「帝国にっ、皇帝である俺に何か恨みでもあるのか、覇王……ッ!!」

 

ぐしゃぐしゃと髪を掻き毟る。詰った所で何も変わらない、そう知っていても止められなかった。今此処に、地位を返上せず残ってくれた俺の臣下達の誰も居合わせない事だけが唯一の救いだ。

 

生殺しだ。なまじ実権が以前と大差無く残されているから、より強く実感する。

王国内で反乱を企てた幾人かの貴族の群れも、覇王エンリの有する圧倒的武力によって叩き潰され皆死んだ。

それは間違い無く、帝国に居る俺に対しても、変事あれば例外無く行われる処置だろう。

逆らえば死ぬ。戦場で目にした人魔(あれら)軍勢(いよう)は、決して虚仮威しなどでは無かったのだ。それを王国の自称貴種達は己が生命をもって実証したのだ。覇王の側からすれば、見せ付ける意図も当然ながら有ったのだろうが。

 

ああ思い出すだけで総身が震え出す。

覇王(バケモノ)が躊躇無く振るう圧倒的な暴力が恐ろしい。

――勝てない。

如何なる知性も論理も何もかも、抗いようの無い()の前には無力であった。

それでも敗北を認めたくなくて、幾度も幾度も思考を重ねて、結果、重苦しい心労ばかりが己の中に積み重なっていく。

 

「覇王め……!」

 

そして今日もまた、何一つとして為し得る事無く。

俺は覇王(かいぬし)から命じられるままに、バハルス方面地方行政自治区の健常な運営を執り行うのであった。

 

 

 

 

畑を耕したい、とぼんやり思った。

 

此処はエンリ・エモット覇王国の王都カルネ、其処に建つ漆黒の要塞ダークウォリアー。正式名称をモモン・ザ・ダークウォリアーと言う名の私の居城、らしき何かの一室。ちなみに、要塞の名前が何故闘士(ウォリアー)なのかは此処に勤めている誰も知らないらしい。

 

何が何だか一切分かっていなかったけれど、ラナー様の命じるまま、最近知り合ったばかりの霜の竜、ヘジンマール君の背中の上で椅子に座りながら魔法(メッセージ)によって伝えられる文面を棒読みで読み上げるだけだった私エンリ・エモットは、気が付けば凄く立派な玉座に座って覇王と呼ばれる事になっていた。

 

????

 

正直に言おう。何が起きたのか分からなかった。

死んだ両親が生き返ったあの時よりもずっと、私の頭は混乱していた。

 

「たすけて神さま……」

 

縋ってみたが、誰も助けに来てはくれない。

 

いや、そもそもこんな意味不明な状況で彼の御方に助けを求めるなど、私の方こそ信心が足りていないのでは無かろうか。ここは「抱いてください」と直球で頼むべきかもしれない場面だ。

あの御方は直接頼めば何時だって抱い()てくれるので、最近は私って図々し過ぎるかなと思っていたりもするのだが、それでも毎回毎回凄く嬉しいので止められない。アルベド様にも髪や肌のお手入れ等で随分と気遣って頂いているし、間違い無く情事の一切がバレているのだが、そこは今更気にしても仕方が無い。

 

「それでは陛下(エンリ)、本日も規定の執務時間中、玉座にて待機をお願いしますね」

「……はぃ」

 

宰相(ラナー)閣下からの呼び掛けによって、現実逃避は終わりを告げた。

玉座に腰掛け、神に賜った伝説級装備(くびかざり)を弄り回して精神安定を計る私。その真横から王国の元御姫様であるラナー様が、複数の書類を決裁しながら、私に向けて暇潰し用にと薄い一冊の本を差し出してくる。

内容に特に意味は無いけれど何時か必要になるので目を通しておいて下さい、だそうだ。

 

果たして、私は今何をさせられているのだろうか。さっぱり理解出来なかったが、辺境に住まう田舎娘には荷が重い仕事である事だけは間違い無い。座って本を読んでいるだけだが、毎日最低三時間もじっとしていると流石にお尻が痛かった。

 

ああ、畑を、畑を耕さなければ。

家の畑の世話を、両親や(ネム)にだけ任せるわけにはいかないのだ。

最近は村が村とは呼べなくなって、四人家族用の小さな畑も気付けばトブの大森林近くで大規模農場と化していたりするのだが、それでもサボる理由にはならない筈だ。

 

鍬を持て、と命令したら持って来てはくれないだろうか。いや、駄目だ。傍らでニコニコと笑うラナー様の細腕では、きっと鍬の一本も持てないだろう。彼女の護衛であるクライムさんならば可能だろうが、私はこの首輪を嵌めた護衛騎士が宰相閣下の命令以外で動いている場面を目にした事が一度も無い。覇王などという意味不明な呼称を用いられている一介の村娘の言葉では、きっと頭を下げても聞き入れてはくれないだろう。

 

――そうだ。薄い本(これ)を読み終わったら、ヘジンマール君の夕御飯を用意しなければ。

若干の現実逃避をしながら、私は凄く分かり易い戯画(まんが)を用いた『支配者のススメ』と言う名の概要説明書(うすいほん)に目を通す。

 

あれもこれもどれも皆、全ては神のための行いだ。そう私は教えられている。

 

難し過ぎて分からない部分とて多いのだが、ラナー様には「私達は竿姉妹(しまい)なのですから、お互いに助け合っていきましょうね。友情(ユウジョウ)!」とこれまた微妙に意味の通じない挨拶以降、実に親しくして頂いている。アルベド様だって何時かは自分も竿姉妹に(そう)なるのだ、と似たような事を仰っていたし、慕う御方(さばみそさま)も私が頑張ると嬉しいらしい。

だから頑張る。そう決めた。……未だに何故覇王呼ばわりされているのかは謎だったが。

 

 

その後、今日中にやる必要のある仕事(さぎょう)は全て終わったと告げられて、ようやく家に帰れる時間がやってきた。

 

此処は私の居城らしいが、当然ながら、こんな豪華で物々しい場所でぐっすり眠れるわけが無い。

なので何時も通りカルネ村、いや、王都カルネ、という慣れない呼び名に変わった生まれ故郷へ歩いて帰り、実家の薄い布団(ベッド)で眠るのだ。あれが一番落ち着くから。

帰り支度という程の準備も必要無い。玉座から重い腰を上げ、さあ帰る前にドラゴン用の夕御飯を用意しないと、と思った所で、ラナー様が少しばかり身嗜みを気にしている事に気が付いた。

気が付いた、という事を察知されたのだろう、振り返ったラナー様が私に言う。

 

「今日は、これから逢瀬(デート)なんです」

 

凄く嬉しそうに微笑む姿。薔薇色の頬が、同性なのに愛おしい。

嗚呼、王国の至宝、黄金の姫よ。そんな感想が頭に浮かび、彼女の(うつく)しさに思わず己の視線を手で覆って顔を逸らした。余りにも美人過ぎて、未だに彼女と私が知り合いであるという事実に現実味が足りていない。

 

しかしデート。デートか。

きっと何時も傍らに居る護衛騎士(クライム)さんと行くのだろう。前々から怪しいと思っていたのだが、身近な人の恋愛事情というのは心がワクワクしてしまう。いや、相手は王族、御姫様だ。不躾に聞くなんて絶対出来ない。でも気になる。

 

ちらちらと様子を窺えば、渦中の人であるクライムさんは両手を強く握り締め、歯を食い縛って眉間にも皺が寄っていた。……緊張しているのだろうか。うん、気持ちは分かる。だって相手は王女様だ、しかも凄く美人の。身分違いの恋と言うのであれば私とて、実に実に不遜であるが、彼の御方(さばみそさま)に対して秘めるものが多大にあった。

思わず、頑張って下さい、とラナー様に聞こえないように声を掛ければ、バキリと何かの砕ける音と共にクライムさんが確かに頷く。ええ、応援していますよ、私は!

 

背を向けて小さくなっていく御二人に頭を下げて、私も帰宅前の日課であるヘジンマール君の元へとトコトコ向かう。

昨日も今日も、恐らく明日も。自分が何をやっているのか薄々としか自覚出来ないが頑張(したが)っている。

 

日々の努力があの方の御役に立っている事を信じて、これからも覇王と呼ばれながら前を向いて歩いて行こう。

もしかすると多分きっと恐らく間違い無く凄い事の片棒を担がされているのだろうが、ほど良く目を逸らして心を守り、至高の御方(さばみそさま)が喜んで下さる御姿だけを思い描いて生きていくのだ。

 

――頑張ろう。

 

お腹を優しく摩りながら、私は笑って歩き出した。

 

 

 

 

セクハラがしたい、と激しくそう思った。

 

今日の気分は一般メイド。何時も通りのナザリックを歩いていると見慣れた金髪、以前ルプーと一緒にエロい事をした被害者(シクスス)ちゃんが廊下の掃除を頑張っていた。

なので徐に尻を揉む。両手を使って一心不乱に揉みしだく。

 

「きゃっ! えっ、あ、さば味噌さま!?」

 

お尻を触ると小さく飛び跳ね、しかし俺の姿を確認して丁寧に御辞儀をしてくれるシクスス。

実に礼儀正しい。そして可愛い。思わず勃起しますねコレは。

こんなの卑怯だ。エッチ過ぎる。これでは俺も、思わず気持ち悪い(キモイ)親仁(オッサン)風に迫ってしまうではないか!

 

「はあっ、はあっ、姉ちゃんええ(ケツ)しとるやないけ……!」

「え、えっと。勿体無い御言葉です?」

「ちょっと小父(おい)ちゃんとあっちの物陰行こ? な? ええやろ? 絶対気持ちええからっ」

「え、え、え、あの、その、えっと! 今、御仕事中で、いえでも、至高の御方の御命令で」

 

今は至高の御方ではなく「おじさまっ(はーと」とか呼んで欲しいかな! かな! ほら、シチュエーション的にさあ! 頼むよー!!

 

何をされるのか経験から察しているのだろう。顔を赤くして、抗おうにも抗えない立場ゆえの葛藤が見える。

あっ、やばい! もうパンツに染みが出来てる! 今すぐ御嬢(シクスス)ちゃんの中に入りたいぞな、って俺の股間意思(ワールドセイヴァー)が叫んでいるぞ!! これは是非とも聞き届けて上げなくちゃ!

 

「あ、あっ、さば味噌さまっ! そんな、私、まだ御掃除がっ、御掃除しなくちゃ!」

「あとで小父ちゃんも手伝(てつど)うたるから、な! 先に小父ちゃんのちんぽの掃除しよ!?」

 

首から上が真っ赤に染まって、その抵抗は実に弱い。嫌々言ってるが口だけですなゲヘヘ!

スカート越しの尻を撫で回しながら、シクススの細い腰を力強く支えて最も近い空き部屋の扉を開ける。

自分でもちょっと演技(セリフ)を気持ち悪く感じながら、でも変態っぽい方が興奮するのでそのまま続行。

さあセックスですぞ御嬢様! と笑って足を進めようとした所で――。

 

こちらを見ている、短髪(ショートカット)の一般メイドと視線が合った。

 

「……」

「ちがうんです」

 

違うんだ。合意の上なんだ。本当です信じてください。さっきのは全部演技なんです。決して本気では、いえ本気だけど、でも違うんです。どうか警察だけは、警察だけはーッ!

 

言い訳をしながらも俺の御手々は正直なもので、可愛いシクススたんのお尻やおっぱいを揉んだり撫でたり忙しない。それでも言おう。俺は、悪くない。エッチなメイドさんを相手にセクハラしない奴等(せかい)こそが間違っているのだ、と。

そう訴えかければ短髪メイドさんが赤い顔をして目を逸らし、俺に向かって一礼すると、そのまま背を向けて掃除に戻った。

 

うん。

――せめて何か言えよ。

 

「お前も道連れだ短髪メイドォ――っ!!!!」

「ええっ!!!? な、なんっ、何ですかあ!?」

 

実に綺麗な姿勢で床を掃くメイドを背後から勢い良く抱き上げて、シクススの元まで連れ帰る。

比較するとシクススよりも胸は小さい。そして短髪。長髪メイドだけではバランスが良くないと思っていた所だ、今日はコイツで楽しませてもらうぜぇー!

 

大丈夫大丈夫、ちょっと痛くて気持ち良いだけだから。俺は気持ち良いだけだけど!

 

「あ、あのあのあのぉっ! 私そういった御仕事はまだその良く知らなくてぇ――! きっとこのままでは何か至高の御方に御迷惑を」

「うるせえ! 俺が実地で丁寧に(ねっとり)教えてやるぁーっ!!」

「あぁーれぇー!」

 

両手でメイド二人を抱え上げると、ドアを蹴り開け空いた室内に躍り込む。

至高の性教育だオラァ! と ふっかふかの寝台に二人を放って、俺も服を脱いで全裸で飛び込む。

そして抱き締めた。

全裸で。可愛いメイドさんを二人、両腕伸ばして抱き締めた。全裸で!

 

素肌に触れてくる布地のすべすべが凄く気持ち良い。勃起したのでシクススの黒いスカートに ちんこを押し付け、一切の遠慮無く腰を振って擦り付けた。うぐぅ、出るぅ!

抱き締めた二人の胸に顔を(うず)めて、衣服と下着越し、大小二つの弾力(おっぱい)を味わいながら、息荒く射精の快感を堪能する。

 

「……ふう」

 

出してしまった。

やばいな。これは俺の威厳が地に落ちてしまう類の失態だ。メイドを連れ込み全裸でベッドに押し倒し、こすり付けるだけで射精した。実に一分未満の早業だった。まさに電光石火。ふふっ、泣きそう。

 

「シクススはかわいいなあ……」

「は、はいっ。ありがとうございます、さば味噌さま」

「かぁーっ! シクススは可愛いなあ!」

 

伝わる違和感から俺が射精した事に気付いているだろうに、無理矢理メイド仕事を中断させたキモい小父さん役の俺に対して、今日もシクススは天使だった。彼女の笑顔を見るだけで、股間がムクムク元気になっちゃう。

短髪メイドの事だって忘れていない。名前は知らないけど。こっそり抱き締めた腕を移動させ、ちょっと肉付きの物足りないお尻を揉む揉むする。おほーっ。やわらかいどー!

 

あああ、と慣れない刺激に短髪(メイド)が喘ぐ。

ええんか、ここがええんか、と先程までの演技がちょっと漏れ出し、スカートに手を突っ込んで短髪ちゃんの足を撫で回す。ガーターベルトとか、実に良く分かっているな製作者(ホワイトブリム)

 

そのままスカートの中に頭から潜り込み、淑女(メイド)の秘められた場所の匂いを胸一杯に吸い込んだ。

良い香りに肺を満たされ、俺の股間も完全復活。よく見えないスカートの中の暗がりで、手当たり次第にメイドの下半身を楽しんだ。細い! 柔らかい! 先走る!

ある程度満足したので身を起こすと、短髪メイドは視線を泳がせながら息を荒げて、隣に寝転がるシクススに縋り付くような形で手を握り合ったまま身を震わせていた。

 

「シクスス、脱いで?」

「はっ、はい!」

 

なので短髪は一旦放置。

 

命令すれば、明らかに恥ずかしがりながらも、少女(シクスス)が従う。

握り合っていた手を優しく解き、両脇からメイド服のスカートをたくし上げ、その下の下着を、ををを――。

我慢出来るか、こんなのー!!

 

「しくすすー!」

「ああっ! さば味噌さまっ!?」

 

俺、長いスカートに手を入れて たくし上げる姿とか凄く好きです。

あの、なんかこう、たっぷりの布が両手で腰の辺りに纏められた感じとか、ね? 分かって?

 

「もう! もう! 可愛過ぎるんだよお前(シクスス)ーっ! 好きだぁー!!!」

「はううっ、私如きには勿体無いお言葉です」

 

スカートに手を入れ、中途半端に下ろした下着。質の良いそれには目もくれず、いや訂正、ちょっとだけしか見ぬままに、俺は勃起した ちんこをメイドの秘めた膣口(ソコ)へと挿入する。

まだまだ固さの残った初々しいシクススまんこ。湿り気の足りないソコへ、割と強めにムスコが侵入。

 

ゆっくりと入り込みながら、手を伸ばして大きいおっぱいを弄んだ。

服が邪魔なのでボタンを千切る。下着に包まれた胸の谷間が俺の唾液を分泌させるほど艶かしくて、実に実に素晴らしい。敢えて下着は脱がさずに、そのまま両手で揉みしだいた。

撓む乳肉と下着(ブラ)の形。ほぼ入りきった陰茎が、腰を振る度に膣肉(シクスス)を耕し、興奮を抑えきれずにキスをする。ん、と声を漏らして目蓋を閉じた金髪美少女の顔が本当に綺麗だった。

傍らで、あわあわ震える短髪ちゃんの姿が僅かに視界の端を掠める。ふふふ、次はお前だぞー!

 

「シクスス、可愛いぞ……!」

 

抱き締めながら、彼女の内側に射精した。

背を逸らしてか細い声と荒い吐息を漏らしながら、シクススの身体がびくびくと震える。

 

優しくベッドの上に寝かせて乱れた髪を整えると、次はいよいよ新顔の番。

 

「覚悟は良いか?」

「わた、わたしがっががが、がんばりますぅー!」

 

これでも夜の百戦錬磨ですよー! と先程とは言っている事が全然違うが、よく分からない嘘八百と共に勢い良く、短髪メイドが服を脱ぐ。んー、自分で脱いで貰うのも結構良いな!

 

かくしてメイドが素肌を晒す。

尻の肉付きがシクススより乏しい? おっぱいが物足りない? ――そんな事は無かった。これはほっそりしている(スレンダー)と言うのだ。全然綺麗だ。勃起する。

下着は脱ぐな、と敢えて言った。今日はそんな気分だから。

上下の下着と、先程スカートに潜り込んだ際にも手で探り当てたガーターベルトにストッキング。どれも真っ白、彼女の白い肌にも良く似合う。思わず股間が先走った。

 

ベッドの上で膝立ちの姿勢、その細い肢体にちんこを当てる。

殊更にゆっくりと。俺の下半身に集まった熱が伝わるように、透明な汁で跡を残しながら肌の表面に汚液で線を引いていく。メイドの顔が益々赤い。大きくは無いが荒れた呼吸で、緑瞳の視線が俺の肉棒を追い続ける。

 

すぐに、我慢の限界がやって来た。

細い肩を掴んで、腰を強く押し付ける。左の鎖骨辺りに先端を当てて、柔らかな肌が僅かに凹む様を目にしながら、熱い白濁を吐き出した。

 

「ぁあ……っ」

 

吐息と然して変わらない小さな少女の声が聞こえた。

噴き出したものが彼女の身体に痕跡を残して、やがて重力に従い垂れていく精液が下着に覆われた胸元に至る。比較対象がシクススならば小さいと言えるが、恐らく平均的な豊かさ。普通サイズの乳房を流れて、俺の出した精子の群れが下着の隙間から更にその奥、秘された素肌を犯していくが、下着のカップに包まれているので目には見えない。見えないからこそ想像し、俺の心は より高ぶった。

 

呆然としたメイドの少女。正面からその腰を掴んで引っ繰り返す。

 

後背位。全体的に細い裸身が下着という極僅かな障害有ってさえ良く見える。白い背中も、実に美味しそうだった。

未だ力を失い切っていない陰茎を、尻に押し付け滑らせる。

 

「さばみそさ、まっ」

 

名前を呼ばれて、呼び返せれば良かったのだが、俺は彼女の名前を知らない。

後で聞かないといけないな、と考えながら、肌と下着(ショーツ)の間に勃起したものを挿し込んだ。

尻の張りが実に良い。下着の滑らかな感触も心地良かった。そのまま、幾度か腰を振って擦り付ける。そして完全に復調したモノを、メイドの秘唇に押し当てた。

 

「貰うぞ」

 

はあはあと互いの呼吸が耳に聞こえる。

隣に寝転がったままであるシクススの視線を感じたが、今はこちらの相手を優先。四つん這いの体勢で首だけを巡らせた短髪メイドが、唇を震わせながら言葉を紡いだ。

 

「わたしは、あなたさまのものです。――至高の御方(ごしゅじんさま)

 

そして小さく微笑んだ。

 

挿入する。

 

「――っ!」

 

細い、狭い、入り切らない。だが熱い。気持ちが良い。

メイドの腰を持ち上げるように鷲掴みしながら、俺もモノを突き出し、内側へと侵入する。

ひう、と甲高い声が聞こえた。俺の側に、斟酌するだけの余裕は無い。彼女の中を掘り進める心持ちで腰を揺すって、前へ前へと より深く。

その途中で、出る。出した途端に、またメイドが短く鳴いた。敏感な女だ。しかし声を聞くと興奮するので特に問題と言えるものも無い。腰を止めずにまた突いて、やがてほぼ全てが中に埋まった。

 

一先ず奥に入り切り、数秒間だけ休憩を取る。

その直後、ぐう、と唸りながら腰を引いた。

 

「あ、あああっ!!」

 

土下座するように強く頭をベッドに押し付け、短髪のメイドが声を上げる。

高く上げられた尻が実に良い。軽く撫でて、一度叩いて、カリ首近くまで引き抜いたモノを、再び奥に向かって焦れったい程の鈍重な動きで突き入れた。

 

前後運動を繰り返す。

 

シクススよりも声が大きい。シクススよりも汗を掻き易い。シクススよりも狭かった。そんな意味の乏しい比較をしながら、何度も何度もメイドの内側を掘り返す。固さがありながら吸い付くような膣肉の感触が癖になりそうだった。いや、癖になっても構わないか。何度だって、気が向く度に抱けば良いのだ。

 

「俺の、だもんな――?」

「はぃ! はい!! あなたのものですっ!!!」

 

その返答が嬉しくて、笑いながら更に犯した。

 

射精し終えて息を吐く。

呼吸を整えながらシクススを見れば、身を起こして俺とメイドをじっと見ていた。その肩を掴んで抱き寄せ、唇を重ねると舌を絡めて俺に応えてくれる。うん、嬉しい。気持ち良い。すごく良い。

そしてもう一度、今度はシクススに挿入するべく押し倒す。

 

――実に満足出来る、夜だった。




※エンリは覇王だけど御飾りなので、現状に関して殆ど理解出来ていません。
 ラナーに関しても未だ王女であると思っています。


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第二十二話 鬼ボス戦後、国堕としのビンテージ処女を喰う話

※当話、長文に御注意下さい。


国が二つも滅んだと言うのに、世の中は余り変わらない。

 

「ああ、ナーベちゃん……」

「まだ言ってるんですか、ルクルット?」

「いい加減しつこいのである!」

 

仲間達の他愛の無い話を聞きながら、手元の新聞に目を通す。

酒場の窓からエ・ランテルの街並みを眺めれば、街の住人もかつてと変わらぬ顔で日々の営みを続けていた。つい最近戦争が起こって、それで王国と帝国、二つの国が国で無くなったなどと全く思えない光景だった。

上に立つ者の首が挿げ変わった程度では、下々の生活は変わらない、という事なのかもしれない。自分には縁も無いが、悲しい話だ。

 

だが冒険者である自分(ペテル)達も、街の人々と変わらない。

生きていければ、それで良いのだ。

 

両国の土地を余さず併合し切ったエンリ・エモット覇王国は、国の在り方そのものを大きく変える事無く、ただより健全に、より豊かにと人々の幸せを願うかのような統治を行っていた。だからこそ、民衆は今日も当たり前に日々を過ごして、何に悩む事も無く笑っている。

実に都合の良い話だ。どことなく怪しささえ漂ってくる。

 

だが、都合が良くて何が悪いのか。

誰だって、幸せでさえあればそれで良い。悪徳貴族が悉く姿を消し、覇王国の代官達が国を正しく進ませてくれる。かつてのリ・エスティーゼ王国よりも、今のリ・エスティーゼ方面地方行政自治区の方が、ずっとずっと幸福に生きられる土地(くに)だった。

 

固定されきった古い慣習はそのままに、民にとって都合の悪い部分だけが徐々に時間を掛けて均される。それはまるで現代の理想郷のようだった。とりわけ御偉方への評判が余り良くなかった王国においては、覇王国とその頂点である覇王エンリの声望が、日を追うごとに高まるばかり。

実に平和だ、とそう言える。

 

「あ、また覇王エンリの記事ですか?」

「……ニニャは、随分と覇王様が気に入っているんだな」

 

手元の新聞に対する仲間の食い付きに苦笑して言う。

彼女(かれ)が貴族を嫌っている事は仲間内では公然の話だ。とある王国貴族が首を刎ねられたという噂が出回った際も、少しばかり距離を置いてしまった程度には比喩表現(げんき)な有り様を晒してくれた。

 

「それはそうですよ、覇王は王国の救世主ではないですか!」

「……そういう奴ほど後でやらかすんだぜー」

「ルクルット、やめるのである!」

 

机の上でだらりと垂れていたルクルットが皮肉を口にすれば、ダインが窘めニニャが憤る。

相変わらずの、元気な姿。

一時期、謎の魔法詠唱者(モンスター)の放った雷属性魔法が原因で盛大に体調を崩し、ニニャに至っては立って歩く事すら困難だった我ら漆黒の剣ではあるが、流石に数ヶ月も経てば完全に身体を持ち直す。

 

本当に、あの時自分達を助けてくれた人達には感謝の念しか浮かばない。

 

「ナーベさんと、何と言ったかな、あの不思議な名前の」

「おっ、ナーベちゃんの話題か、ペテル!」

「ルクルット、まだ話は終わってませんよ!」

「少しは私の話も聞いて欲しいのである……」

 

エ・ランテルに続く街道の半ばで、突如雷撃を受けて倒れ伏した漆黒の剣。そんな哀れな冒険者チームを助けてくれた男女二人組、彼等こそが後のエ・ランテルの英雄だ。

美男美女、無名のチームだというのに瞬く間に名を挙げて、かと思えば竜王国(たこく)への救援、新たに興った覇王国への電撃移籍。かくも話題に事欠かない人達だった。あの実力と容姿、そこに人徳まで加われば、そうなるのも当然の事だと思えて嫉妬も湧かない。

 

「この前、確かにナーベちゃんを見たんだよなー。メイド服着てたけど!」

「やはり、彼の御仁(さばみそ)は何処か貴族家の御子息だったのであるか?」

「どうかな。あまり詮索したくはないけど、そうであってもおかしくは無いさ」

 

男三人で好きに語る。勿論、物言いが下品になり過ぎない程度に、だ。

この話題になると、ニニャの口数が少なくなる。どうにも、ニニャは彼の事が好きになれないらしい。嫌っていない事だけは本人も言葉にしていたが。

貴族の子息だ、と俺達が言い始めた事が主な原因だ。確かに髪も肌も傷一つ無く、軽薄なくらいに壁を感じさせない明るい調子は、苦労知らずの若者に見えた。

 

だがあの実力だけは、甘やかされて育った御坊ちゃんの(ソレ)ではない。

憧れた。もっと見ていたいとさえ思ってしまった。

ダインもルクルットも、ニニャだって間違い無くそうだった筈だ。

 

あれこそが英雄、やがて伝説になる人だ、なんて。そう思った数ヵ月後には、歴史に残るような竜王国救済の立役者、今話題の覇王国初の冒険者チーム。――超越者(オーバーロード)。今やその名前を知らない冒険者なんて一人も居ない。話を聞いた時、嫉妬や羨望よりも自分の見る目が正しかったという一点にこそ喜んだ事を憶えている。

 

いや、まだ遅くなんて無い。自分達もきっと、あんな冒険者になってみせるさ。

 

「なあ、一度覇王国の王都行ってみねー? ナーベちゃんに会いたい」

「流石に軽率である」

「えっ、行かないんですか?」

「ニニャ!? 本気で言っているのであるか!?」

 

少し意識を逸らした隙にまた漫才を始めている仲間達の仲裁のため、手元の新聞を折り畳んで脇に放る。

世は並べて事もなし。今日も俺達漆黒の剣は、気楽な冒険者生活を営むのであった。

 

 

 

 

「ラキュース!」

「ああっ! 夜の君!」

 

そろそろその呼び方やめてくれない????

 

よく分からない内に王都ではなくなった元王都リ・エスティーゼ。その宿の一室で、俺はツリ目美人な金髪貴族令嬢のアダマンタイト冒険者(非処女且つ中二病)と只管乳繰り合っていた。

俺が此処に居る事に関して、特別な理由など何も無い。強いて言うならちょっと金髪おっぱい成分が欲しくなったのだ。ナザリック産ではない野性の金髪おっぱい成分が!!

 

中々に質の良いベッドの上で二人並んで横になり、ラキュースを背後から抱き締めながら ちんこを挿入。が、後ろからなので想像以上に入れ辛い。寝転がってるから普段やる後背位より難しいぞコレ。

襟元から忍ばせた両手で豊満な乳房を左右に引っ張り、好き放題に柔肉を捏ねる。舌で彼女の綺麗な首筋を舐めて、耳朶に息を吹きかけた。身を捩りながら漏れ聞こえてくる女の声に、俺のちんこも良い感じにびくびく震える。

 

でも、……うん。この体勢やり辛いな。ちんこ抜けそうなのが気になって、大きく腰を振れないぞ。

エロ漫画の嘘吐き! と胸中で罵りながら体勢を変える。やっぱり男なら正常位一択だよね。突く度に揺れるおっぱい見れるし。ぶるんぶるんして欲しい。

 

「んっ。あら、こっちが良いの?」

「こっちの方が、よく見えるからな」

「……もう。恥ずかしいわ」

 

胸がっ、よく見えるからー! と遠回しに伝えたらラキュースが恥ずかしがる。何か行き違いがあったようだ。

が、頬を赤らめて小さく呟いた姿がちょっと可愛い。ギャップ萌えでも狙ってるのか。冗談抜きにキュンと来たから俺の心臓(けんこう)のためにも少し控えて欲しいかなー、って!

 

服の襟元を大きく開けば、張りのある おっぱいが晒される。その際僅かに揺れる様子が俺の射精を倍速で早めた。けしからん、実にけしからん。なんとも美味しそうなラキュースの実りを やわやわ揉み上げ、乳首を吸って唾液を落とす。敢えて垂れ落ちる唾を放置し、乳房を汚されたような姿に大興奮、ちょっと射精しかけて咄嗟に耐える。

鎖骨、首筋、顎と頬から唇へ。順繰りにキスを落として、両手でラキュースの、子供を産むに適した腰をいやらしく摩った。張り詰めたモノは先程からずっと発射寸前で、正直さっさと挿入したい。

 

挿入(はい)るぞ」

「うん。……来て」

 

言えば、両腕を広げて抱き締められた。お陰で互いの顔がとても近い。小さくキスを繰り返し、ズボンと下着を太腿辺りまでズラした後に、ラキュースの既に露わとなっていた女陰を探る。

この体勢だと下が見えないので挿れ辛いのだが、どう考えても文句を言える空気じゃない。

目の前の中二病患者は、けっこう雰囲気(ムード)を大事にする奴なのだ。毎度毎度恋人のような遣り取りで繋がるのも好きだから良いけど、この体勢ってマジでちんこ挿れ辛い。「ちんこ挿れ辛いから抱き締めるの止めて!」とは絶対口に出せないので我慢するしかないのだけど。

 

熱く柔らかな膣口に触れる。押し込めば、一度目の頃とは比べ物にならない泥のような熱に包まれ射精した。まだろくに入ってないのに射精したので、今回も誤魔化すために胸を揉みながらキスをする。オラっ、乳首気持ち良えんかオラっ!

 

――でも多分、ラキュースには俺が早漏な(はやい)のバレてるよね。

 

「ラキュース。ラキュース! 俺はっ!」

「っ! いいのよ。私が受け止めてあげるから」

 

最近、俺の周囲の母性が凄く増してきた気がする。原因は恐らく、俺のセックス弱者振りだ。

くそう。くそう。早くて悪いか、そんなに下手か。哀れみやがって。でも優しくされると結構嬉しい。気が付くと攻守逆転してるのが難だけど。ソリュシャンには勝てないし、最近ナーベラルにも負け越してるし。

 

胸中の動揺を押し殺しきれず、殊更無遠慮に乳を揉む。音を立てながらキスした舌を吸い上げて、膣肉に扱かれ固さを取り戻した ちんこでラキュースの内側を精一杯刺激する。

腰を打ち付ければ大きな乳房が揺れて俺の欲情を強く煽った。引き締まった腹部も運動による汗が浮き、反り返った肌にも艶がある。振り乱された金髪は窓から差し込む陽光で眩く煌き、より一層ラキュースという女性を美しく魅せた。

ああ、本当に綺麗な人だ。それを再認識する事で、我慢出来なくなってまた射精。

 

強く、強く、腰を振った。胸郭に押し付けるように豊かな乳房を揉み潰し、丸く撓んだ白い乳肉に強く口付けを落として俺のものだと刻み付ける。キスマークが淡く色を残すと、少しだけ勝ったような気にもなる。何に勝ったのかは分からないが。

 

「跡が残っちゃうわ」

「残してる。――嫌か?」

 

ラキュースが笑った。ちょっと、嬉しそうだった。

結局問いの答えは言葉にならず、その後も体位を変えては幾度も吐き出す。

勝った気がしない。が、気持ち良かったから良いかな、と思う。

次こそは、とも考えながら。

 

今に見ていろラキュース! 俺はもっとエッチ上手くなってみせるぞーっ!!

 

 

 

 

ごとり、と重そうな音が机上で鳴った。

 

「……これは?」

 

目の前にあるのは白く優美な、一揃えの鎧だった。

青い薔薇の模様を刻まれた、女性的な設計(デザイン)の全身鎧。同色(あお)の茨が、鎧の各部から動きを邪魔しない程度に茎を伸ばして、まるで呪いか拘束か、防具としての意味が有るかも不明な装飾が各所で薄っすらと輝いている。――そう。輝いていた。刻印に過ぎない薔薇とは違い、青の茨は輝く全てが宝石のようで、ぼうっと灯りを宿しているのだ。

外観からも良く分かる。明らかに魔法の力を宿した、最高位(アダマンタイト)冒険者である(ラキュース)でさえ目にした事の無い、国宝級の逸品だった。

 

秘められた力が、人間である私如きでは計れないほどの芸術品(たからもの)

 

お前(ラキュース)の鎧」

 

拗ねた子供のように素っ気無く告げられた言葉に対し、返事の一つも返せなかった。

 

何時も通りの黒尽くめ、銀色の髪から覗く仮面(ドミノマスク)と二色の視線。実は時折仮面を付け忘れている事があるのだが、当人(かれ)は全く気付いていないらしい。あの神秘的な瞳の色が虚飾だと知った時は……いや、実を言うと余り気にならなかった。すぐに、その、肌を重ね(セックスし)ていたから。目の色に気付いたのなんて事後でのことだ。それに、元の色だって美しかった。

彼の事だから、理由があって正体を隠しているのだろう。瞳の色もその一環。目に見える姿の何処から何処までが本物なのか、気になってはいたが聞く気は無い。

 

昨今のリ・エスティーゼ王国で起きていた変事の連続。彼の口にした破滅の竜王(カタストロフ・ドラゴンロード)。そして覇王エンリと覇王国。

 

彼が何か重大事に関わっている事くらいは、分かるのだ。詳しく聞きたいが、私にも冒険者として、そして家を出た身であっても貴族としての立場があった。王国の危機に何も出来なかった無力感伴う負い目もある。

救いと呼べるようなものは、定期的に私に会いに来てくれる彼の存在と、きっと何があっても共に付いて来てくれる仲間達。

 

そっと鎧に手を触れる。

ひんやりと冷えたような金属の感触。痛みという程ではない、春に降る気紛れな雪のような、心地良く溶けていく優しい冷たさ。

私のために、彼が用意してくれた装備(もの)。きっと、既製品などではない。だってこんな、青の薔薇を象る特異な意匠、誂えなければ有り得ない。どれだけの財を注ぎ込まれたのか、如何なる技術をもって生み出されたのか、想像も出来ない代物だった。

 

「……ぇ、気に入らない?」

「そんな事ないわ!!! すごく嬉しい!」

 

酷く不安そうな声が聞こえて、咄嗟に自分の気持ちを言葉で返す。

気に入らない、なんて事は無い。見た目からも分かるほどの価値有る品だからではなく、まさに私を思って創られたのだと分かるから。これが、彼の想い(あい)の形だからだ。

 

片掌で口を覆って。そうか、と上擦った声が小さく呟く。それが耳朶に届いて、下腹部(おなか)が震えた。

ああ、いけない。ああ、抱き締めたい。この()本当に、いじらしい。何時も性的(エッチ)な事ばかりする癖に、凄く間が抜けている性格も分かるのに、時折見せる子供っぽい捻くれた仕草(やさしさ)が私の総身を痺れさせて堪らなかった。

 

敢えて控え目に言うと、押し倒(セックス)したい。

 

次は私が上になろう。きっとそっちの方が彼には似合う。大丈夫、私も頑張る。

湧き上がる欲望(あい)に従って身を起こした直ぐ目の前で、黒い外套が翻った。

 

「ふっ、また会おう。ラキュース! キラッ!」

「あっ」

 

そのまま、扉を開け放って姿を消した。

最後の擬音(キラッ)を口で言うのか、というツッコミさえ言えないままに。

 

残されたのは半端に身繕いだけを終えた私と、備え付けの机の上に置かれた鎧だけ。

青く刻まれた薔薇の模様を指でなぞれば、触れた部分が僅かに輝き、離せばやがて光が消えていく。無意味なくらい細かい細工に頬が綻び、早く着てみたいとそう思った。きっと、コレは長らく私の(まもり)を勤めてくれる。強く確信して白い鎧を抱き締めた。

 

次は、何時会いに来てくれるだろうか。所在さえ分かれば私から行くのだけど、そうもいかない。

どちらにしろ、また会える日が楽しみだった。

その時は、是非この鎧を着た姿を見せたいものだ。

 

 

 

 

「今の黒いの」

「鬼ボスの匂いがした?」

 

突然、ティア(レズ)ティナ(ショタ)がそう口にした。

 

咄嗟に視線を巡らせれば、其処には人混みに紛れて視界から消える寸前の黒尽くめ。

銀の頭髪、装飾過多な黒の外套、怪しい仮面。何故言われるまでその存在に気付かなかったのか、不思議なくらいの可笑しな風体。――いや、何か、あの雰囲気(いわかん)には憶えがあった。

 

「ほう、ちらっと見えたが中々の美形だったな。しかしありゃ童て、……童貞? いや、童貞なのかアレは?」

 

まるでこの世界(まち)にそぐわない、異質な装具。

黒一色の外套に、一見無意味な飾りが複数。その邪魔臭そうな無駄と不合理、外見に見合わない謎の隠形。歪な有様。それを何処かで、本当に遠い何処かで見た気がしたのだ。

 

思索を進めていけば、不意に、先日再会した昔の仲間を思い出す。

 

リグリット。

死者使いリグリット・ベルスー・カウラウ。

かつての仲間、十三英雄。リーダー。――九曜(ユグドラシル)の顕現。

 

「あっ」

 

思考(かこ)がついに既視感(いま)へと追い付く。ゆえに意識せぬまま声だけが漏れた。

まさか。そんな。有り得るのだろうか。不意に導き出された結論を認めたくない弱気が顔を出し、しかしすぐに頭を振ると、魔力を練り上げ地を蹴った。

 

「イビルアイ?」

 

呼び止める姉妹どちらかの声が聞こえたが、着いて来るな、と短く言い捨て走り出す。

もしも本当にあの珍妙な黒尽くめが己の推測の通り、――プレイヤーであるのなら、彼女達を連れて行くわけにはいかなかった。先日のリグリットも都合(タイミング)が悪い、彼女の来訪は一足早かった。今此処にあの老女が居てくれれば、と思うも、無いもの強請りは弱さの証だ。頭の中から振り払う。

 

「そうか、そうだったのか。童貞とは、非童貞とは――」

「ガガーランが壊れた」

「叩いたら治るかも」

 

仲間達の声を後ろに、(イビルアイ)は謎の男を追い掛けた。

 

 

 

 

魔力切れまで撃ち込まれ続けた水晶全てを斬り落とし、小柄な魔法詠唱者を見下ろした。

 

「その程度ではこの俺には届かんぞ、魔法詠唱者(マジックキャスター)

 

(なん)なん……?

何でいきなり攻撃されたの俺? ひどい、ひどくない?

 

「く……っ!」

 

くっ! じゃねーよ。この赤外套(ロリ)。俺が苦鳴を漏らしたいよ。君、加害者。俺、被害者。OK?

何で魔王に挑み敗れた勇者、でも(あたい)諦めないわ! みたいな雰囲気出してるんだよ。絶対に立場が逆だろコレ。

 

「終わりか、小娘」

 

だが今の俺は(くら)き闇の淵より出でた輝ける聖騎士(パラディン)。台詞はクールに、格好良く、だ。

黒い仮面に指を当て、意味の無い吐息をそっと零す。どやっ、格好良い(かっこええ)やろ?

 

そして良く見たらこいつイビルアイだし、今の俺とお揃いの仮面仲間じゃないか。本当に何で襲われたんだ。

 

「なぜ、なぜだ……っ、何が目的でラキュースに近付いた……!」

「愚問だな」

 

セックスしたかったからだよ、オラッ!

 

とか絶対に言えない。しかしアイツ(ラキュース)が原因だったのか。何で俺がアイツとチュッチュした事がバレたんだ。

エイトエッジ・アサシン! ――の奴等は、そういえば今日連れて来てないな。やばい。突発的に金髪おっぱい成分欲しくなって、それで一人で朝からナザリックを出てこっちに来たんだったぜ。だから青薔薇の監視とその動向報告も一切無く、うっかり俺の存在が目撃されたのか。

 

んん? そうなると俺がラキュース相手に超速早漏射精(ピュッピュ)した事もバレてる????

 

「もはや貴様を逃がすわけにはいかなくなったぞ、国堕とし(インベルン)……ッ!!!」

「な!? わ、私のことをッ?」

 

俺の性的戦闘(くそざこセックス)能力を知る者を、生かしておくわけにはいかないのだ!!

 

力を使い果たし尻餅をついた少女の身体を跨ぐように剣を突き付ける。

くっ、ともう一度イビルアイが呻いた。それ好きなのお前? そんなに くっころしたいの???

 

見下ろす先には、仮面で素顔を隠した吸血姫(ヴァンパイア・プリンセス)。少女の肢体を色気の無い赤と黒の装備で覆い、変な形をしたスカートの裾から年齢固定された細い脚が、――唾を飲む(ゴクリ)

いやいや落ち着け。目の前に居るのは200歳超えのお婆ちゃんだ。つまり合法。合法ロリ。

仮面越しなので声質が分かり辛いが、地声はとっても可愛い事を知っている。この場で、ももんさまー! とか言われたらそれだけで射精してしまうかも知れない。んん? ちょっと待って、さっきラキュースで出したばかりなのに股間がちょっと苦しいぞう???

待て、落ち着け俺の股間(ムスコ)よ。結論を出すにはまだ早い。

 

<次元断切>

 

無駄に精密且つ確実に仮面の防御を貫通し得る、至高の俺に相応しい最強スキルがイビルアイの素顔を晒す。

一閃した際の風で金色の髪が翻る。見開かれた赤く輝く異形の瞳と、桜色の口元から覗く小さくも尖った血吸いの白牙。その強い眼差しは不安に揺れて、俺と彼女の間に横たわる絶対的な実力差に内面の恐怖を隠しきれないでいた。

 

「ふん。――答えは出たな」

「わたしを、殺すのだな」

 

そう。答えは出た。

犯るべきか、犯らざるべきか。

 

結論。――可愛いから犯っちゃおうぜ、って。

 

呼吸が乱れる。股間はもうズボン越しでも尖って張り詰め、イビルアイの緊張が僅かでも逸れれば間違い無く俺の性欲(ぼっき)もバレるだろう。だが構わん、それはそれで興奮するから。

剣を持たない手を伸ばし、柔らかな少女の頬を擽るように指で触った。

イビルアイは眉根を寄せて、こちらの意図を察しかねているようだった。それを良い事に更に大胆に鼻筋、細い顎、長い金色の髪まで撫でる。うーん、気持ち良い感触だ。もうちんこ出しても良いかな?

 

「なにをして――んひゃあっ!?」

 

黒い襤褸のドレス越しの胸を揉んだ。実に平坦、胸パッド外したシャルティアと同等の俎板(まないた)である。

んひゃあ、とか可愛い悲鳴を聞かせてくれたので、ズボンの中でちょっと先走って湿気が増した。うひゃーい、マジ可愛(かわ)ですぅー。もっと聞きたいので、大胆に脇腹を撫で摩り、細い腕から脇の窪みを優しく擽る。

 

「お、おまっおまおまお前っ! にゃ、何をしている、この下種がっ!!」

 

下種、とか生まれて初めて言われたんですけど。こんな言葉使う人が実在するなんて、ちょっと感動。

顔を真っ赤にした女の子(イビルアイ)が、陽光を跳ね返した刃を目にして言葉を止めて、実に悔しそうに唇を噛んだ。なので俺は止まらない。靴の爪先をスカートの奥、太腿には触れるが秘された場所には当たらない、絶妙な位置まで踏み込ませる。

 

う、とイビルアイが小さく呻く。抵抗があるのだろう、嫌悪があるのだろう。だが、逆らえない。

だって俺の方が全然強い。自分から戦いを挑んだ上で、互いに傷一つ無く魔力切れによって勝負は決した。彼女と違って俺は全く疲れておらず。完膚無きまでに敗北し、彼我の上下は既に覆せない実力差をもって心に刻まれているのだ。

 

ふふふ、俺、今すっっっごくマウント取ってるぅー!!

くっころ。これぞ正に屈服姦(くっころ)なのだ。勝って敗者を好きにする、この瞬間のためだけに無茶苦茶頑張って強くなったからね! たっちさんより全然強いんだぞ、俺! 異世界転移(オバロキャラ)のためだけに第二の人生全賭けしてたから(死んだ目)。

 

「う……っ」

 

ひたひたと剣の腹で彼女の整った顔を嬲る。ちゃんと痛くないように当ててるよ!

呻くような声が漏れ聞こえ、肩を震わせる様子からは世界有数の強者たるイビルアイの葛藤が窺えた。

こちらを見上げ、泣きそうな顔で懇願する。

 

「らっ、ラキュースはっ、仲間達(あおのばら)だけは、助けて、くれ、ください……っ」

「くっそ可愛い」

「……っ。……は?」

 

くっそ可愛い。

 

この状況で、立場で劣る少女相手にセクハラしてくる不審者(クソムシ)全開の俺を前にして。類稀な経験と実力によって裏打ちされた己がプライドを捨てて慣れない敬語まで口にして、自分は好きにして良いから仲間達だけは助けて下さい、とそう言ったのだ。言えるのだ。言えてしまうのだ。200年以上生きている生粋の超越者(えいゆう)が、プレアデスにさえ勝ち得る魔法詠唱者が。

 

少し前にも聞いた気のする、自分以外(だれか)のためにこそ紡ぎ出された(まこと)の言葉。

 

なんて純情(ピュア)なのだろうかこの子は。

年食ってるんだからもっと擦れてても良いだろうに、今の台詞は心に響いた。射精する。

 

もう必要無い剣を放った。手が届かない距離にまで。

イビルアイの肩を掴み、もう片方の手は頬に添える。顔を近付け囁いた。

 

「好きだ。今、好きになった。抱きたい。抱くぞ。――キーノ」

 

許可も無く、知りもしない筈の本名(なまえ)を呼んだ。

 

「は!? な、ばっ、何を言って。きさまっ!」

 

言葉は無視した。

身勝手極まる発言だとは理解しているのだが、もうちんこ挿れたくて仕方ない。

 

赤い外套を力任せに引き剥がす。

晒された黒いドレス越しの彼女の身体は、本当に華奢で驚いた。目の前に居るのは一人の少女。見た目も、心も、抱き締めれば折れてしまいそうなほど可憐で美しい。

 

なので強姦(レイプ)します。

 

「あっ、あああああ、やめ、いや止めなくて、う、うううっ!」

 

触れられるだけで羞恥に染まる、少女の振る舞いが実に良い。ホント良い。

髪を掻き上げて細い首筋に舌を当てる。びくりと大きく震える身体を、逃げられないように抱き締めた。そのまま、唇を当てると強く吸い上げて跡を残す。唸るような声でイビルアイが身を震わせて、それでも必死に身体を縮めて堪えていた。ラキュースにもしたが、キスマークが残ると俺は嬉しい。なのでもう一度、より強く吸った。

所々伝線しているタイツと一緒に足を摩る。細い。若干脂肪が足りないとも思ったが、この形こそがイビルアイなのだ、不満は無い。脹脛から膝裏まで、指の腹と手の平でなぞって肢体を味わう。

 

「ふうっ、うう、きもちわるい。へんたいめ、こんな幼児体型(ちんちくりん)相手に……っ」

「全然綺麗だよ???」

「うっ、……うううううううう!!!!! だまれええええーっ!!!」

 

叫びながらも大きな抵抗は返ってこない。変態呼ばわりってもっと傷付くと思ってたけど結構、股間に来るな。ふふふ、やはり声が良いのだな。声優誰だったっけ。

止まる事無く、身体中を好き放題に弄り回す。

薄い胸も、柔らかなお腹も、細い肩も繊細な手指も、腰から肉付きの薄い尻と太腿。

金髪で隠れた首筋に鼻先を埋めて匂いを嗅げば、薄い少女の香りが肺へと通る。

 

そっと優しく、下着を触った。

 

「ひゅうんっ」

 

太腿の間、未だスカートに隠れたその先。彼女の秘められた場所を、優しく丁寧に擽った。

弄る右手とは逆の方、背中に回した左手で、震えるイビルアイを抱き締める。触れられたくない部分を探られた事で随分と緊張しているのだろう、手持ち無沙汰な少女の両手で、俺の黒い外套の端を握ってきた。引っ張ったり、握り締めたり、小さなその手は忙しない。荒れた胸中が透けて見えるかのようだった。

 

柔らかくて、肉が薄くて、体温も低いのに、彼女の無意識で細かに秘唇(そこ)が動いている。

決して強くしないように気を付けながら、彼女の未熟な()を擦り続けた。

 

俺の耳元より少し下の辺りで、はあはあと荒い呼吸が空気を揺らす。合わせる様に肩も弾んで、縋り付かれた両手の力が増していくのを確かに察した。

それでも、止めない。もっともっと繰り返す。

可愛いな、と口を衝いて心が漏れた。

またイビルアイの肩が震えたので、より強く左の腕で抱き締める。これで多分、抵抗不能。さっき以上に動けないだろう。

 

刺激を与える事を続けながら、朱に染まって瞳を潤ます小顔を覗いた。

揺れる赤瞳と、半開きになった口。小さな牙と一緒に見える赤い舌が美味しそうで、出来るだけゆっくりと唇を重ねた。

 

「ん。」

 

イビルアイの目蓋が落ちた。外套の裾ではなく俺の腕が掴まれて、俺も右手で弄る速度を更に速める。

びくびくと強く震えながらキスをする。先端だけだが互いの舌が絡み合い、少量だけの唾液の交換を済ませながら、やがてイビルアイの身体から力が抜けて弛緩した。

抱き締めたまま、俺の腕には未だ彼女が縋り付いている。

 

右手の指を擦り合せれば濡れていた。糸を引くような感触が確かにあって、少女から得た確かな手応えに心の中だけでガッツポーズ。ちゃんと気持ち良く出来たらしい。

 

濡れた片手だけでベルトを外し、ズボンとパンツも一緒に脱いだ。(まろ)び出るちんこが外気に震えて、気のせいだと思いたかったが僅かに精液の臭いが鼻腔に届いた。くさい。夢中でイビルアイのまんこ弄ってる間に俺も何度か出していたらしい。感触からして一回二回の量じゃない。

 

「キーノ」

 

と無許可で本名を口にして、俯いた顔を上向けさせる。

互いに額を合わせて視線が絡んだ。俺の側の仮面が邪魔だが、外しているだけの余裕も無い。

呼吸を整えながら、しかしイビルアイは何も言わない。経緯が経緯で、状況が状況だ。無茶苦茶な遣り取りのせいで身体と感情が混乱していたが故のものだが、敵対する不審者から性的悪戯を受けて気持ち良くなっていたなんて、立派な一人の女の子である彼女からすれば絶対認めたくない現実だろう。

でももう限界なので、ちんこ挿入します。ごめんね!

 

「挿れるから、力抜いて」

 

う、と目を閉じて少女が呟いた。抵抗する気力も理由も無いのだろう。

軽く相手の腰を抱え上げると、その下のタイツを更に破いて下着を露出させる。両手でちゃんと脱がしたいのだが、イビルアイが離れない。本格的に身体から力が抜けている。ちょっとは協力して欲しいな、と自分勝手な事を考えながら濡れた下着の中央をズラして、俺の精臭溢れる ちんこを宛がう。

 

腕の中の、吸血鬼。可愛らしい女の子。

その200年以上守り続けた純潔を、出来るだけ優しく静かに犯した。

 

「はぁっ、あ、ぅ……!」

 

痛そうな顔と声でイビルアイが鳴く。準備はしたが、漏れ出す露が足りていない。膜を破ったような感覚はあったが、気のせいだろうか、どうだろうか。どちらにしろ、初めて異物を受け入れるのだ、解き解されていない膣肉は固くて、慣れていないが故に痛みを感じるのは当然だ。ゆっくり耕し、徐々に慣らしていく必要があった。

 

頭を撫でて、イビルアイの耳元で聞こえるように、何度も大きく深呼吸を続ける。

やがて俺に合わせるように、彼女の方もゆっくり息を吐いて篭った力を抜いていく。それでも未だ小さな身体は緊張していたが、それに関しては仕方ない。初体験における訳の分からなさは俺とて確かに憶えがあるのだ。

 

触れるだけのキスを落として、震える少女の全身を撫で回す。撫でる、と言うより触れるように。

時間を掛けて身体の緊張を解していく。その最中にも固く締め上げてくる まんこが辛くて、実は一度だけ吐き出した。バレていないだろうか気が気でないが、多分大丈夫。大丈夫と信じてキスをする。

ぷるぷるとした柔らかい桜色の唇。舌で舐めて、軽く噛む。柔らかくて美味しくて、凄く凄く気持ちが良い。キスだけで射精しそうになって、スキルを使って食い縛る。食い縛りながら更にキスをして何度も吸った。

徐々にイビルアイからも応えてくれる。ちゅ、と水音が重なって、レイプだというのに行いだけは合意のようで、思わず嬉しくなってしまう。平たい胸を手の平で摩りながら、深く舌を突き入れて彼女の口内を味わい続けた。

 

腰を振る、というよりも揺すり続ける。

今も俺のちんこは全てが入り切らないままだが、それでも全然気持ち良い。

半端に繋がって、腰だけ揺すって、俺の上に乗ってキスを続けるイビルアイの口からも、短く声が漏れてきて耳だけ幸せになってしまう。可愛い吐息で俺の鼓膜が犯される。

だからまた射精した。何度目だったか、数えてないから分からない。

 

キスを止め、少女の全身を抱きすくめた姿勢で痙攣する。断続的に内側で吐き出される精液の感触を、彼女はどう感じているのだろうか。知りたいけれど、すぐに快感で思考が溶けた。ふうふう息をしながら金髪に顔を押し付けて香りに埋もれる。

かわいい、かわいい、と囁いた。絶対に嫌がられているだろうが、こればかりはセックス中に出る俺の癖のようなものなので直せない。気持ちが昂ぶるとついつい言ってしまうのだ。言うと俺が気持ち良いから仕方ない。許して欲しい、と小さく呟く。

 

背にイビルアイの腕が回されるのを感じながら、最後まで吐き尽くして力を抜いた。

 

すごく良かった。これで場所がベッドの上なら、もっと良かったのだろうけど。

ゆっくりモノを引き抜いて身体を起こす。あ、と小さく声が聞こえたが、もしかして抜く時痛かったりしたのだろうか。そうだったなら申し訳無い。そこまで気を使う余裕が無かった。

 

手早く身繕いを終えて息を吐く。ヤってしまった。ラキュースにバレたら不味い事になるぞコレ。

呆然と自分の身体を見下ろすイビルアイの身体も拭いて、見た目だけなら事後だとバレない。臭いも一応そういうアイテムで消したのだけど、膣内に残ったものもある。忍者辺りなら気付くだろうか。ヤベーなオイ。

かと言って、証拠隠滅に攫って消えるのも無理だろう。現地の吸血鬼との浮気だぞ。シャルティアの反応が、……同性もイケるからイビルアイの身が危ないな。うん、やめよう。

 

「この事は誰にも言うな。そうすれば仲間に危険が及ぶ事も、無い」

 

こちらを見上げるイビルアイに、大丈夫だよ! と口先だけだが約束(きょうはく)する。

うーむ、青の薔薇には二人もシた相手が居るのだから、シモベに頼んで身の安全を図るべきだろうか。冒険者に対してそういうのは失礼か? 言うだけ言って放置、とか無垢なる白雪(ヴァージン・スノー)失くしたラキュースの安全性(ぼうぎょりょく)ド忘れしていた件を思い出すので少し嫌だな。かと言って、謎のレイプ犯からの気遣いとか絶対要らないって言うだろうし……。

 

「おまえは、」

 

考え込んでいるとイビルアイが言葉を話す。レイプ途中から喘ぐだけだったし、久しぶりにコイツの側から喋った気がするな。やっぱり声かわいいよね、この子。

 

「ぷれいやー、なのか?」

「そうだよ???」

 

闇の戦士の演技も忘れて普通に返す。

言ってから、しまったな、とも思ったが、演技はラキュース相手だけで十分だろうと思い直した。

プレイヤー云々に関しては、そもそも俺ってそこまで必死に正体隠して無いし。バレたからって何やねん。どうせ負けないんだからどうでも()ーわ。スレイン法国? あそこはどうするか決めてないんだよね……。

 

いざとなったらブッ飛ばして服従させよう。雑に結論を出して開き直った。

 

「ラキュースは。ラキュースに、一体なにを……?」

 

何と言われても困る。

というかコイツ、俺を何か危険人物だと思ってない? プレイヤーというだけでもその実力を警戒するのは当然なのだが、いや、仲間想いが行き過ぎた、のか? 貴族兼アダマンタイトなラキュースに近付いて何か企んでるぞ危ないから守るー、とか。あとは見た目のせいかな? この黒尽くめ結構格好良くない? イビルアイ的には駄目だった?

 

お前も似たような格好じゃねぇーかっ!!!!

 

「自由セックスです」

 

なのでもう、正直に言っ(ぶっちゃけ)た。

口説いて、セックスしましたー! ラキュースのおまんこ最高でしたー! 髪綺麗でー! 胸も大きいしー! でもラキュースはお尻の方が魅力的だと思いまーす!! 今日も沢山揉んだったでー!!!!

 

「じゆう、せっくす」

「自由セックス」

 

もしくは自由恋愛。いや、中二設定(うそはっぴゃく)で騙している部分もあるが。

ううむ、今更ながらに罪悪感が。余り関係続け過ぎると情が湧いちゃう。でも手放すは嫌だ。

イビルアイの視線が盛大に泳いで、何を言うべきかと悩みながらも、言葉が何一つ見つからないようだ。

 

なのでこの隙に撤退す(バックレ)る。

 

「さらばだ国堕とし(キーノ)! またセックスしようね、さらばだ(アデュー)!!」

「えっ。あっ! 待て貴様おい逃げるなぁーっ!」

 

つまりどういうことだー! と言う叫びが聞こえたが、あの有り様では全力の俺には追い付けまい。

 

よし、帰ろう。帰ってソリュシャンに御風呂入れてもらうんだ。あー! スライム風呂楽しみだなー!

何かあったら、こう、ラキュース相手に土下座すれば良いさ! なっ! 立派な神器級装備(よろい)も上げたし、かなり好感度上がってるだろ! いけるいける! いけたら良いな!!

 

ははは! ……大丈夫かな?




――以後、イビルアイは仲間のセフレと浮気した、という十字架を背負って生きていく事となる。


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第二十三話 水着アウラとプールでセックスする話

「むむむ。お主、初めて見る顔でござるな!」

 

ハムスケェ!

 

生きてたのか、コイツ。というか何時の間にナザリックに来たんだ、コイツ。

不意の出会いに驚いて、思わず毛皮に顔を埋め、お腹辺りの比較的柔らかい毛を全身全霊でもしゃもしゃする。ほほーう、意外と悪くない、悪くないぞー!

 

丸っこい巨大ハムスターと戯れていると、やめるでござるー! とハムスケが暴れる。ははは、愛い奴愛い奴。でも尻尾をいくらブンブンしたって俺には効かないのだ。単純にレベル差が有り過ぎる。防御スキルも併用し、無駄だと理解出来るまで一撃残らず防いで見せた。

 

「お、お主中々やるでござるな……!」

 

お前のお毛々も中々でござるよ。超もふもふしてる。誰かに手入れされてんな、コレ。

いやー、しかしハムスケ生存してたのか。実はすっかり忘れていたんだ、無事で良かった。

別にコイツが生きていても目立った利益は無いのだけれど、なんとなく。あ、一応言っておくが俺に獣姦の趣味は無い。確かにハムスケにも穴はあるが、俺が使う日は間違い無く来ないだろう。

 

暫し巨大ハムスターの横腹に全身を埋めてみたり、尻尾を握って扱いてみたり。ハムスケ相手に遊んでいると、ようやく諦めたのか丸々とした巨体が脱力して、俺の望むままにさせてくれるようになった。わーい。

そのままモフモフ弄って遊び、一緒になって暇を潰した。

 

「そういえば知っているでござるか? 近々この墳墓でお祭りがあるそうでござるよ」

 

それ俺の結婚式ですぅ……、なんて言えない。

 

俺とシャルティアの結婚が決まって以降、ナザリックのシモベ連中は大忙しだ。

覇王国関連はほとんどラナーに丸投げで、どうしても必要な手数だけはしっかり協力しているそうなのだが、至高の御方である俺が主役の祝い事と比較すれば国の執政なんてゴミのようなもの。誰だって覇王国よりナザリックでの式の準備を手伝いたい。本当に皆が皆嬉しそうに墳墓内を駆けずり回っているのだ。

――と、先日ラナーに愚痴られたので、俺からアルベド辺りに覇王国(あっち)もちゃんと手伝ってね、と頼む羽目に陥った。

 

別に良いけどさ、あいつ(ラナー)って俺の事何だと思ってるの? これでも至高の御方だぞ。ちょっとパンツ見せるだけで、アレとコレをお願いしますね、とか。いや聞くけど。ちゃんとやるけどさ。何かおかしい気がする。あれだ、こう、便利(いいよう)に使われてる、ような。いやいや別に、難しい事を頼まれたりは全然無いのだけど。

 

溜息を吐きながら、より深くハムスケの毛の中に顔を突っ込む。

はっ、破廉恥でござるー! とか文句言ってるけど、そういえば雌なんだよねコイツ。でも破廉恥て。そういう方面の興味は全く無いから安心して欲しい。反応が面白いから言わないけど。

 

「まったくー、お主もこんな所でサボってて良いんでござるかー?」

 

婚前適応障害(マリッジブルー)なんです。多分。

自分だって何もせず寝転がってるだけの癖に、上から目線でハムスターが窘めた。

あ゛ー、とわざとらしく汚い声で唸りながら、ふっさふさの背中に登る。しょうがないでござるなあ、とか言って俺の行いを許してくれるハムスケの優しさが暖かい。すき。あくまでペット的な意味で、だけど。

 

最近のナザリックでは、何処も彼処も結婚式の話題で一杯だ。

 

そりゃあ至高の御方の御婚礼であるのだからして? 当然至極の事なのだろうが。

周りがあんなに盛り上がっていると、勢いに乗り遅れた俺が寂しいじゃないか。

シャルティアも毎日毎日仮縫いしたばかりのウエディングドレスを着回して、式中に何回お色直しするつもりなのかと突っ込みたくなる。俺が見た物だけで既に二桁超えてるんですけど、ドレスの数が。裁縫スキル持ちのシモベ共も気合い入り過ぎだろう。

俺にもタキシードばかり二十着くらい渡してくるし、想像の中の結婚式の、大雑把に言っても百倍くらい規模が大きそうで気後れしちゃうぞ。外の世界を二人でドラゴンの背に乗って遊覧、とかは流石に止めてもらったが、墳墓内を入り口から玉座の間まで皆で行列行進(パレード)するのは決定事項だ。しにそう。

 

結婚は良いんだけどさー。俺が考えていたのより全然大変そうだよ、コレ。大丈夫? 緊張し過ぎて恥掻くの俺だよ? 何かあったら第三次ナザリック事変待ったなし、って分かってるのか本当に。もう式の事考えるだけで今からお腹が痛いんだ。

 

シャルティアに対する責任は取る。勿論取るさ。だがしかし、想像以上に面倒臭い!!

なので(ハム)と戯れて現実逃避しても仕方ない。仕方ないのだ。

 

「いやー、森から連れ出された時はどうなる事かと思ったでござるが。にんともかんとも、此処は実に平和でござるなー」

 

ああっ、この気楽な齧歯類が羨ましい……ッ!

 

 

 

 

「ンンー! そのぅ花飾りはっ、もう少し上でぇ御願いしまっす……」

 

軍服の裾を翻し、発声の節々に聞き取り易い抑揚を欠かさずメイドへの指示を細かく下す。

指示を受けた一般メイドは少しばかり不思議そうな表情で、私の言葉通りに飾りの位置調整を行った。

私の指示に何か不服が有ったのだろうか? 疑問符を貼り付けた淑女の容色に首を傾げて、しかし幾度思い返しても己の眼識に不備は無い。作業に従事する者達の視点で何か懸念があるならば、後で訊ねておくべきか。そこまで思考を進めて、他の作業員へも視線を向ける。

 

今現在、このナザリック地下大墳墓では至高の御方(さばみそさま)一守護者(シャルティア)の婚礼の儀に向けた式場設営と予行演習が連日繰り返されていた。

 

万が一、いや億が一にでも失敗などは許されない。

至高の御方を主演とした御婚礼。未だ一度として我等シモベの立場で祝う機会など訪れなかった、前代未聞の一大式典だ。絶対に、絶っっっ対に! 失敗など出来なかった。シモベ一同、式に際して寸毫の瑕も許容出来ない。それはこの私、パンドラズ・アクターとて当然ながら例外では無かった。

 

「あぁ……っ、この後は、パレードの予行演習ぅぅ、ですか!」

 

第二次ナザリック事変における、我が身の働きの褒美として下賜された指輪を愛でる。

我が偉大なる創造主モモンガ様の遺された秘宝、流れ星の指輪(シューティングスター)。ただ一つの星も欠けていない万全なる輝きに、細める事の出来ない視線(くうどう)を緩めて小さく微笑む。

 

叶うならば、彼の御方(モモンガさま)にも来たる式典に列席して頂きたかった。

 

しかしそれは御隠れになった御方相手に、己の身勝手を理由としては望めぬもので。加えてナザリック地下大墳墓がこの異世界に在っては、偉大なる死の支配者とて尋常の手段では叶えられぬ願いだろう。

僅かながら、友に祝辞を述べる事ではなく己自身がモモンガ様の御尊顔を排する機会が来て欲しい、などと。そんな我欲は不敬極まる考えだ。シモベの身にあるまじき邪念であろう。

 

――どうか二度と会えずとも、御身が幸福であって欲しい。

軍帽を弄って虚空に敬礼。直接は届かぬ願いを胸に、私は今日も御残りになられた さば味噌さまに尽くすのみ。

 

あの人またやってる……、と困ったようなメイドの声が耳に届いた。

むむっ、何やら問題が起きたらしい。バババッ! と格好良いポーズを素早く五度ほど繰り返し、ひえっ、という小さな悲鳴の元へと凛々しく駆ける。決して見苦しくないように、創造主に誇れる自分を保ちながら。

 

今日も明日も、至高の御方が御許しになられる限りは永遠に。

パンドラズ・アクターは、アインズ・ウール・ゴウンのために在り続けるのだ。

 

そう。――我が神のお望みとあらば(Wenn es meines Gottes Wille)!!

 

ヤメテェ! という何処かで聞いたような幻聴(こえ)を決して聞き入れる事は無く、私は素早くメイドに近寄る。と、特に問題は有りませんですぅ、という忙しい私への気遣いを無用なものであるとして丁寧に丁寧に解き解し、幾度もポーズを決めながら、来たる式典()のために奮励努力の意思を再度己の心に刻んだ。

 

 

 

 

ナザリック地下大墳墓第九階層ロイヤルスイート。

其処にある大浴場の一角、風呂というより温水プールと呼ぶべき場所で。

水着姿のアウラ相手に、俺はちんこをしゃぶらせていた。

 

「ん、ぷっ、うあ。どうえふ(です)か、はあいほ(さばみそ)っ、さま!」

 

白を基本色とした二つ一組(ツーピース)の水着を着た褐色少女が、元気一杯に俺の勃起ちんぽを頬張っている。大きく開いた小さな御口は、何時も通りの快活な笑みを僅かに残し、しかし口の端から伸ばした舌でちんこの先端をぺろぺろ舐めて、実に実に如何わしい。

 

赤い口中に太い肉棒が出し入れされる。真珠のように綺麗な歯列が時折当たるが、そこに痛みは無くただ純粋に気持ち良い。迸る精液が彼女の肌と髪、そして水着に跡を残して俺の劣情を射精して尚掻き立てた。

 

「良い……」

 

凄く良い。凄く凄く凄く良い。アウラちゃん可愛い、と思わず呟く。

語彙力が死にかけるほど幸せだった。この水着を作った人にも賞賛の声を届けたい。

 

プールの縁石に座り込む膝の間、お湯に浸かったまま俺の股座で奉仕する小さな妖精。

身を乗り出して右手を伸ばし、胸を覆う布面積の少ない水着の、その隙間にするりと入る。布が脇の下辺りで既に切れている小さな水着だ、本当に簡単に手が入った。そのまま指を蠢かせ、すべすべの褐色素肌と、乳首を中心として薄っすら膨らむ胸の起伏を舐めるように楽しんだ。

 

それだけでまた射精しそうなくらいに昂ぶった。アウラ、と呼べば胸を擽られて嬉しそうに身を捩っていた少女は、膨らみ続ける俺の陰茎に頬を寄せてうっとり微笑む。すごく、ぷにぷにです。

頬肉の感触が肉棒の表面を滑って磨き、滾々と漏れ出す精液混じりの尿道球腺液(カウパー)が、塗り広げられるように彼女の笑顔を穢していった。

 

広い御風呂(プール)の片隅で、腰掛ける男の股間に嬉々として擦り寄る闇妖精。

 

絵面がヤバイ。そしてヤバイからこそ興奮する。俺の右手は休む事無く真っ平ら寸前の幼い乳房を弄び、何度でも勃起する大人ちんぽが少女の小顔をどろどろに汚す。視界内の淫らさに心が昂ぶり、再びの射精がアウラを更に白く染め上げた。

 

「うわあ、まだこんなに出るんだ……!」

 

射精する度に目を輝かせる少女というのは実に背徳的だが将来が不安だ。彼女の将来なんて俺の傍(ナザリック)以外には無いのであるが、この子は一応人間種区分なのでこれから先も成長する。大きくなった時にこの小さなアウラがどうなっているのか、正直ちょっぴり怖かった。何かあったら多分俺のせいだけど。

 

おっぱいはちゃんと大きくなるのかな。

肉感的な褐色美人に育ったアウラを想像しながら、今は幼い少女を貪る。

 

「わっ」

 

脇の下に手を入れて、見た目相応の体重を持ち上げた。

最初は驚いたアウラだが、すぐに俺に抱き上げられた事に喜んで、はにかむように小さく笑う。ほっぺが少しだけ赤くなっていて可愛らしい。なのでそのまま膝の上に乗せ痛いくらいに抱き締めた。彼女の顔に塗された精液が身体に張り付いてかなり不快だが我慢する。

 

「えへへー」

 

実に細くて小さくて、肌も気持ち良くて可愛らしい。

完璧な生命体(アウラ・ベラ・フィオーラ)が今、俺の腕の中に存在する。

 

極短洋袴(ホットパンツ)型の水着の尻を撫でながら、水着の布地越し、少女の股間に俺の肉棒を擦り付けた。擦り付けている内に位置がズレ、裾からちんこが侵入する。うん、意図したわけじゃないけど気持ち良い。

 

短い股裾から入り込み、瑞々しい太腿と、その先にある未熟な性器がひたひた当たる。

ちんこで何度も刺激しながら、徐々に息荒くしがみ付いてくるアウラの様子に口端をつり上げた。

腰を、彼女の側からも揺すり出す。そうなるともはや擬似性交だ。何時射精してもおかしくないから、水着の腰の方から両手を差し込み、薄い尻の肉を掴んで更に動かす速度を上げる。

尻を揉みながら、柔らかな肉の表面を必死に摩る。アウラも張りのある幼い尻肉を、腰を揺する動きに合わせて上下左右に振りたくった。尻に汗が浮き滑らかさが増していく。ひょっとすると汗ではなく風呂のお湯かもしれないが、どちらだとしても関係無い。気持ち良いからそれで良いのだ。

 

「あうらっ」

「さ、ばみ、そ、さ、まぁ……っ!」

 

どくりどくりと精液を吐き出す。

太腿の付け根、彼女の股間、流れ出して尻の谷間まで。ホットパンツの水着の中に、俺の吐き出した精液がたっぷりと流れて汚濁の溜まりを作り上げる。染みになって布地の表面から漏れ出すものも有るが、液体にしては重量のある精液は、大半がそのまま水着の内側で揺れていた。それはつまり、アウラの素肌に接するという事。汚しているのだ、と想像しただけで興奮する。

 

「うあ、もったいない……」

 

アウラが僅かに腰を上げれば、溜まった精液が水着の裾から白く垂れ落ちた。

そのまま太腿を滑るように糸を引く。白い、跡が褐色の表面を流れていった。

 

「んっ」

「ん、ああっ」

 

俺は興奮が収まらず、目の前の細い肢体を抱き締める。

お互い水着姿で、ほとんど裸同然だ。触れ合う面積が何時もよりずっと多かった。丸出しの小さな肩に甘く噛み付いて、舌で舐めるとそれに反応したアウラが短く喘ぐ。上の水着の脇腹辺りから捲り上げ、少しだけ覗く綺麗な乳首に舌を当てると、形をなぞるよう執拗なまでに舐めしゃぶった。

ふあっ、うあ、とアウラが幾度か言葉を零す。反応に気を良くした俺は、それで更に乳首を攻めた。

 

俺の両手が徐々に下方へと降りていく。

両脇で結んだ紐を解いてホットパンツを引き摺り下ろし、風呂の温水に精液が落ちて混ざる様子には目もくれず、復活しきった勃起を彼女の股座に宛がった。

 

「さ、さば、さばみそさまっ。きょう、はっ、あたしが、あたしからっ」

 

ごめん、我慢出来ない。と短く告げて、挿入する。

 

相も変わらず狭いというより小さい穴の、未だ膣肉での愛撫も拙いアウラの中身。ああ、だけどやはり此処は熱い。以前と同じ、熱々に出来上がった幼いまんこが俺のモノを必死に絞る。サイズ差ゆえに締め付けがきつく、反面、舐め上げる膣の動きは未熟だった。

それでも出そう。もう出そう。アウラアウラと名前を連呼し、応えるように少女の声で俺の名前が幾度も呼ばれる。

この小さい中に、目一杯吐き出す。限界まで肉棒を深く埋め込んで、股間の力を一気に抜いた。

 

「ぁあ――っ」

 

アウラの口が大きく開く。

射精で感じられるほど身体が出来(そだっ)ているわけじゃない。ならば多分、精神的な快楽だろう。

俺の精液を受け止めた事で気持ちが昂ぶり、痙攣しながら大浴場の天井を見上げるアウラの姿。照明に照らされた細い体躯が、艶かしい影を少しの間だけ硬直させて、やがて崩れ落ちるように俺の元へと撓垂れかかる。

 

もう一度、今度は優しく抱きとめて、濡れた金髪を撫で付けた。

――凄く良かった、と。きっと聞こえていないだろう感想を口にしながら。




※大浴場のマナー強制ゴーレムは事前に排除されております。


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第二十四話 番外席次と無知シチュ行きずりセックスする話

※情報不足ゆえ、番外席次・絶死絶命に関する設定の詳細部分は捏造しております。


「おなかすいた……」

 

戦鎌の柄を地に突いて、法国最強(わたし)は力無く呟いた。

気分そのままに項垂れれば、視界の上半分が白黒の前髪によって閉ざされる。視界が僅かに暗くなり、まるで今の私の精神状態を表すかのようだった。

 

ああ、どうしてこうなった。

 

意気揚々とスレイン法国を飛び出して、勝手気儘に大地を歩き、――半日ほど経ってから路銀を持っていない事実に気が付いた。

いや、そこまでは良い。良くは無いが、仕方が無い。だって私は箱入り娘、お金なんて使う機会が全く無かった。つまり全ての責任は法国にある。なので問題無いし私に非も無い。空腹に関してだって偶然出くわした親切な執事(セバス)さんが、当座の路銀と幾らかの糧食をくれたのだから大丈夫。それも既に、先日尽きたが。

 

……魔物って食べれるんだろうか。

 

残念ながら判断材料となるだけの経験が無い。それに生で食べるのはちょっと抵抗があった。今までは聖域に居るだけで勝手に食事が用意されていたし、私の全ては戦うためにあるものだ、料理とかちょっと、無理。別に不器用とかではないけど、うん、今まで必要無かっただけだから。なので大丈夫。法国が悪いんだ法国が。

 

「だいじょーぶだよおかーさん、わたしはまだまだイケるから……」

 

このままでは不味いと認識した時点で、連日連夜走り通しで覇王国を目指して進んだ。

だが、現実は厳しい。なんと驚け、身体を激しく動かせば動かすほど比例するように御腹が減るのだ!

まさかの事態。私は驚き、次に焦った。

 

このままだと、強い男に出会う前に餓死してしまうかもしれない。人類最強の癖に。

国の神人共が数を揃えても単独で勝利し、世界を滅ぼす強者さえ絶死絶命の前では獲物に過ぎない。なのにお腹が空くと動きが鈍って、やがては死んでしまうのだ。無敵の存在など無いのだと、私はこうして旅に出て初めて実感する事となった。

 

道端の雑草が食えるか否か。毒耐性があってさえ、それは私の知る所ではない。樹木に実った青い果実は、齧ってみたら酸っぱ過ぎて吐き出した。あの時我慢して飲み込むべきだったのだろうか。

 

人から奪うなんて出来はしない。これでも一応、人類の守護者の端くれだ。とちょっと格好付けてしまって、自分で自分を追い詰める。

都合良く賊の類が襲ってくれば嬉々として殲滅したのだが、何故か誰一人として襲って来ない。美人だぞ、美少女だぞ、それでも山賊盗賊か。外の世界の治安が余りにも良過ぎて、実は今まで受けた法国での教育は全て嘘だったのではないかと疑ってしまった。

人に聞いたら、賊が居ないのは覇王国のお陰らしい。おのれ覇王。私の御飯を奪うとは、なんて悪辣な奴だろう。きっと良い男も独占しているに違いない。

 

「ううっ、も、無理ぃ……」

 

一瞬だけだが、冗談抜きで視界が霞んだ。飲まず喰わずで早数日、人生初めての断食だった。

しかし無様に倒れるなど許せない。

近い樹木の根元で戦鎌を両手に抱え、のっそり座り込んで目を閉じた。

 

――私は、このまま死んでしまうのだろうか。

 

ぎゅーぎゅー音を慣らすお腹の音を恥ずかしがるだけの余裕も無い。閉じた目蓋の裏で、私を産み育ててくれた母の顔が過ぎって消える。思い出す表情のほぼ全てが変顔(アレ)だったが、思い出補正で凄く美人に見えてくる。でもきっと私の方が美人に育ったよ、おかーさん。と密かにドヤって力尽きた。

 

ああ、此処に豪華で美味しい大量の御飯(デザート付き)を恵んでくれる世界最強のイケメンが居たら、私は絶対に惚れてしまう。思い余って押し倒す。命を賭けても良い。

 

そうだ、命を賭けよう。

此処で餓死する前に突如イケメンが現れて私にお腹一杯の御飯を奢ってくれる可能性に、私は自身の全てを賭ける。

 

さあ、現れろイケメン――!

 

 

「なんだコレ。えっ、リアル行き倒れ? マジで?」

「むむむっ、随分と弱ってるでござるな。これは不味いかもでござるよ、さば味噌?」

 

 

――現れた。

 

 

 

 

かつかつと靴音を慣らして墳墓を歩く。

私の視界には居並ぶ資源(にんげん)の群れがある。

一人、二人、およそ二桁かそれ以上。どれもこれも現地の基準において強者と呼ばれる者ばかり。無論、このナザリックにおいては無価値で無くとも希少ではない程度。ただの家畜で、材料だ。

誰一人として死んだり壊れたりが無いように徹底管理されている。この私、クレマンティーヌもかつては此処の一員だった。今では懐かしい話であるが。

 

「あ~ら子猫ちゃんじゃないの~ん!」

「うげっ」

 

暫く目にする事の無かった人型のグロ肉。ぶくぶくに太った溺死体のような、おぞましい化け物。

拷問狂、ニューロニスト・ペインキルが酷く親しげに声を掛けてきた。

 

死ね、と即座に何時もの挨拶を投げたが、相手は全く気にしていない。相変わらず人の悪感情を欠片も理解出来ない奴だった。多分脳味噌が腐っているのだろう。ああ気持ち悪い、反吐が出そうだ。

実際に殺し合えば私が勝つが、こんな汚物でもナザリックの一員だ。実行すれば罰せられる、……罰せられる筈だ、うん。

至高の御方ならば少しくらいは私を支持してくれるような気がしたが、実行する気には到底なれない。生理的に絶対受け付けない最悪の化け物とはいえ、墳墓の一員を害するなど精神的な抵抗が多大にあった。神を試してはならない、と何処かで習った言葉を念じて必死に耐える。

 

「御方の御婚礼、ホンっト楽しみよねん。目一杯おめかししなくっちゃ!」

 

おめかししたニューロニスト。想像するだに恐ろしい言葉を全身全霊で聞き流し、周囲に広がる資源採取の作業風景に意識を逸らす。

 

人、人、トロール、ゴブリン、ウォートロール()、リザードマン、フロスト・ドラゴン(オラサーダルク)

資源は人間のみに限らない。実に種々様々な者達が背の皮を剥がされ骨を抜かれて、鱗や爪や眼球に、捨てる箇所など何も無いと言わんばかりに隅から隅まで、群がるシモベ達によって治療魔法と並行した採取作業を受けていた。

 

泣き叫ぶ者、狂ったように笑い続ける者、反応が無いようで視線だけが忙しなく動き続ける者など。生ある者を苦しめるための悪意ある知恵という知恵が出し尽くされている。かつては趣味で拷問などを嗜んでいた、ような気のする私だが、コレを見た上で、それでも続けようという気にはなれない。所詮は訓練を受けた趣味人と一流の職人、比較出来ぬほどに次元が違う。

 

苦しませる事を楽しみながら、しかし作業自体は必要だからと生真面目だ。

全てはナザリック地下大墳墓のため、つまるところ至高の御方のためのもの。必要とあらば喜びの情など かなぐり捨てて、彼等は人形のように無心のままで働くだろう。

うん。――実に素晴らしい。見習いたい、と心底思う。

 

「私ももっと御役に立てれば良いんだけどなー」

 

独り言ちて下腹部を撫でた。つい先ほど注いで頂いたばかりの精液が、私の内側でなみなみと揺れるのを感じて微笑む。

この感覚が実に嬉しい。嬉しいのだが、それ以上に、私は喜んで貰いたいのだ、あの御方に。

そう考え始めた切っ掛けなんて竜王国での情事以外に一つたりとも思い出せないが、今が幸せだという事だけは間違い無い。

乱暴に組み敷かれたり、優しく乳房を吸って頂いたりと、もう何度抱かれた事だろう。肉布団として使われるのは至上の幸福だが、競争相手も多いので頻度が少ない。

回数自体に不満は無くて、それ以外の時間でも御役に立ちたいというだけの話だ。

 

力が足りない。武技は増えたがナザリックの守護者を見れば良く分かる、私は弱い。弱いから、前に出て戦う程度では御方に対する貢献度が全然足りていないのだ。そもそも今現在は戦う敵が居ないのもあるが。

 

「はぁーっ。何か無いかなあ、私が出来る事」

 

 

――くれ、まんてぃーぬ?

 

 

憂鬱な溜息を落として呟いた。

足元でびくびくと痙攣する金髪の資源(にんげん)を踏まないように気を付けながら、未だ楽しそうに語り続けるニューロニストを無視して歩き出す。少し前にナザリック入りした森の賢王に声を掛けて、また模擬戦でもして貰おう。賢王(あれ)は今の私よりも弱いが、強過ぎるという程の力量差も無く、丁度良い訓練相手になってくれるのだ。

 

――くれまんてぃーぬ。わたしだ、わだ、ああ、ああっ、くれま゛んでぃーぬ゛っ。

 

「あらん、活きの良い子ねん。ちょっとだけ、採取のペースを上げちゃおうかしら?」

 

仕えるべき真に尊い方が居て、見上げる壁は数多有り、研鑽の機会だって私が望むだけ与えて貰える。

かつて抱えていた筈の破綻(ぜつぼう)した感情(じぶん)なんて、もはや意識する程にも残っていない。

 

これが幸福。これが、本当の意味で生きているという事なのだ。

もう何も、無為に踏み躙る事など無いだろう。他者を傷付けなければ満たされないような不完全、彼の御方の下で生きる以上は有り得ない。

 

――あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!!

 

(クレマンティーヌ)の心は満たされている。

それだけはきっと、このナザリック地下大墳墓に在る限り永遠に変わらない事実なのだから。

 

 

 

 

わたしは確かに番外席次(さいきょう)だった。ほんの数分前までは。

 

大振りの一撃が、容易く受け流されて音も鳴らせず勢いを失くした。

地に付いた足裏を幾度も擦り合わせ、腰を捻りながら肩を動かす。再度相手に向けられた戦鎌が、手首の動きだけで幾度も刃を閃かせる。――それを、全て体捌きのみで躱された。

 

隙を突くような一閃が伸びてきた。咄嗟に武器を手放して後退、手傷を避ける。

回避の直後、片足を伸ばして爪先のみで柄を掬うと武器を回収。しかし。その時には既に眼前、足と武器の隙間から伸びた切っ先が私の額に当てられていた。

 

「――ははっ」

 

攻撃は、されなかった。

挑み、戦い、当たる寸前で仕切り直し。

それがもう、六度七度と繰り返されている。

 

「ははははははっ!!!」

 

口中に居残る、林檎酒の味を舌で舐め取った。先程の食事は美味だった、と満足気に思い返してまた構える。

心身は間違い無く最高潮。ここ数十年は無かった程に、あらゆる全てが充溢していた。与えられた食事の全てが、何らかの力をこの身に与えてくれたのだと理解している。

 

なのに勝てない。私の側だけ、全然負けてる。

 

切っ掛けは至極単純、ちょっとした好奇心からの問いだった。

親切な通行人に食事を与えられた後の小休止中、彼が腰に下げた剣を見て戯れに私が訊いたのだ。

自分の事を、どれくらい強いと思う? と。本当に他愛の無い質問で、何と答えても気にしない、そんな事を考えていて。なのに。なのに。あんな事を言われては黙っているなど出来はしない。

 

彼は不思議そうに首を傾げて、ただ一言。

 

 

――せかいでいちばん。

 

 

「ふふっ。世界で、」

 

全身が燃えるように輝いて、修めた九種の武技を同時発動。砦一つだって引き裂く一撃を解き放つ。

なのに、翳された徒手の暗闇に受け止められた。

 

<次元断層>

 

「一番?」

 

知らない武技だ。

が、それ自体が問題では無い。

音も無く無効化された斬撃の直後、こちらに生まれた僅かな隙を突かれてまた負ける。さっきは脳味噌、今度は首の動脈、いや頚椎ごと斬り捨てるための位置取りだ。添えられた刃が、本当に何時でも私を殺せるのだと言葉も無く語っていた。

 

手加減なんて、していない。最初は冗談混じりにからかって、徐々に真面目な気分になって、もはや装備も武技もタレントも、スレイン法国最強不敗たる自身に許された持ち得る全てを振るっても。

 

「悪いが」

 

酷く冷めた表情で、世界最強の男が私を見据える。

銀色に輝く直剣が、私の心臓を狙って無音で駆けた。

 

「賢者タイムだ。俺の手順に不備は無い――」

 

そしてまた、私は彼に敗北する。

生まれて初めて、正真正銘、言い訳無用の敗北を喫した。

都合九度。一方的な戦いを、よくも此処まで粘ったものだと苦笑する。

 

ああそうだ。私は、――自身の惚れるべき番いをようやく見つけたのだ。

 

 

 

 

組み敷く少女の顔を見下ろして、頬に塗られた土を拭った。

白と黒の髪。黒と白の瞳。真っ白な肌とクールな表情。上位の装備。つまるところスレイン法国漆黒聖典番外席次、絶死絶命が此処に居る。

 

なんでこの人が行き倒れてるんですかねえ……。

 

しかしちょっとだけヤバかった。事前にクレマンティーヌとセックスしてなかったら気持ちが足りなくて怪我していたかもしれない。戦う度に強くなる、バトル漫画みたいな奴だった。

 

「んー、ごろごろ」

 

今は俺の首に抱き付いて、すんすん匂いを嗅いでいる犬か猫みたいな女だが。

どういう事だ。いや待て。番外席次といえば、強ければ誰でも良い、みたいなキャラだった筈。

 

つまり、モテ期か。

――俺にモテ期が来たのかもしれない。

これは恐らくセックスの流れ。運動してる間に再度充填された俺の股間が見る見る仰角を上向かせていく。

上向かせ、たのだが。

 

ちょっと臭うな、この子。

 

いや全然美人だよ? 美少女だけど。でも少し、そう、少しだけ気になったのだ。汗と土の混じった臭いが。饐えた感じの、俺の嗅覚を刺激するものが少しだけ。あくまで微量と強弁するが。

彼女の履いた、土塗れの靴を見下ろす。法国から覇王国に近しい此処まで、ひょっとしてずっと歩いてきたのだろうか。せめて馬を使え、とか。木の根元に蹲っていたから土の匂いが結構濃いな、とか。そもそも何で此処に居るんだ、とか思うところはあるのだが。俺の嗅覚(からだ)は正直だった。

 

申し訳無く思いながらも、恐る恐る訊いてみる。

 

「あの、前にお風呂入ったのって何時……?」

 

口にした直後、絶死絶命の動きが止まった。かちりと時間が停止するように。

俺も、訊ねる声が震えてしまう。身体の臭いとか、異性に訊くには非常にデリケートな問題なのだ。俺の心臓がばくばく脈打つ。

 

僅かに身を起こすと、白黒の少女が服の裾を持ち上げ己の鼻に押し当てた。

そのまま自分の臭いを嗅ぐ音が小さく聞こえて、俺の方へと視線を――いや、視線が若干ズレてるな。

平坦な声音で少女が言った。

 

「くさくないわ」

 

……そうだね。臭くないね。花のような香りだよ。と、そういう事にしておこう。

先程までの彼女のように細い首筋へと鼻を擦り付け、これ見よがしに匂いを嗅いだ。

すると幼児が嫌々するように、首を振って身を捩る。

 

「ねえ待って? ちょっとだけ、そう、ちょっとだけ待って欲しいの」

 

うーん、この乙女的反応。さっきまでとは全然違うな。勃起する。

別に臭くは無いのだけどっ、と前置きした上で身繕いの時間を要求してきた。

 

だが聞かぬ。

 

この弱気な反応、実に良し。

俺が! マウントを取る好機が巡って来たのだっ! 絶対に逃がさん!!

なので攻める。この機を逃せば逆転されるかもしれないからだ。何時もみたいに。

 

ゆったりとした余裕のある布地、装備越しの肢体を撫でた。中身は、結構細い。常の外見からは中々分かり辛い少女らしい形を手で確かめて、多分あんまりおっぱい無いな、とか考える。

しかし。

先程まで己の体臭を恥ずかしがっていた絶死絶命だが、今は不思議そうな顔で俺を見ていた。

 

「……何をしているの?」

 

ここで無知シチュ、だと……!?

 

俺は明らかに性的な意図を持って触れているのだが、強い男の子供を欲しがる、というキャラ設定に全く そぐわぬ反応だった。スレイン法国の性教育はどうなっているんだ、けしからん。

 

待て待て。ひょっとすると、俺は場の空気を読み違えてしまったのかもしれない。

セックスに移行する流れだと思っていたが、それは俺の勝手な勘違いだったのだろうか。

細い腰を上下にいやらしく撫で回しながら考える。俺の股間は、既に勃起を終えていた。先走りだってもう出ている。

 

「大丈夫だ、すぐに分かる」

「そう?」

 

至高のイケメンボイスで、力強く断言した。

本当に分かっていないらしい少女の無垢な表情にパンツをびちょびちょに濡らしながら、そっと尻を揉んで反応を確かめる。僅かに眉根を寄せて、けれどそれ以上の何かは見えてこない。気持ち良さそうにも見えなかった。俺の性技が未熟なのだろう、今度シャルティアに習ってみようかと少し悩んだ。

 

薄い布地に包まれた足を撫でる。細く引き締まった戦士の身体が実に良い。固い筈なのに確かな柔らかさを感じるのは女体の神秘か、あるいはユグドラシル成分のせいだろうか。右足に嵌められた謎のパーツが凄く邪魔だった。

身を乗り出し、左手で胸を、右手で彼女の股間を探る。

 

「んっ。……ねえ、これってもしかして」

 

やめろ、俺は今、元世界最強相手の無知シチュを精一杯楽しんでいるのだ。気付いてはいけない。気付かれたら、また俺が性的な意味で負けてしまう、かもしれないじゃないか!

すぐ分かるから! すぐ分かるから! と僅かな猶予を必死に稼ぐ。

土や汗の臭いなんて、もはや気にしている余裕が無い。自身のズボンを下ろして露出する。

ぶるん、と俺の自慢の最終兵器が卑猥な形を世界に晒した。

 

「うわ」

 

正負どちらの意味かも判然としない、絶死絶命の声が聞こえる。が、構っている暇は無い。

ズボンなのかタイツなのか不明瞭な彼女の装備、下半身を覆うソレを ぐいっと脱がす。

下着まで白黒に色の分かれたデザインで、ちょっと感心。この子けっこう趣味可愛いな!

 

気持ちが更に昂ぶったので、嬉しくて先走ったものが彼女の足に少しだけ落ちた。それに、んっ、と小さな反応があって股間が震える。

下着に手を添えて出来るだけ優しく引き下ろす。

 

「ねえ、これやっぱり。というか絶対」

 

ぺちぺちと俺の頭が叩かれた。止めようとしている、のだろうか。しかしそこまで強いものではない。抵抗は弱い。ならばイケる。このまま押せば、最後まで。

聞かぬ、止まらぬ、俺はセックスをするのだ。止まるわけにはいかないのだ!

 

「コラ、聞きなさい。……嫌じゃないから」

 

――いやじゃない。

 

びくん、と俺の肉棒が強く震えた。

堪らなくなって、一思いに下着を下ろす。ようやく見えた彼女のソコは、衣服で隠されていたためか目立った汚れが何も無い。

 

だから口付ける。正直そのまま挿入したいが、流石にそれは痛いだろうと慮ったのだ。

篭った熱気が鼻を炙る。唇で、触れるだけの愛撫を行う。舌で軽くつついて、反応を待った。

頭上から、絶死絶命の漏らした不規則な呼吸が聞こえてくる。相変わらず両手で頭を抑えられてはいたが、強く引き離す事は無い。つまり、このまま口淫を続行して良いという意思表示、だと思う。多分。そういう事にしておこう。

 

やがて小さく水音が響く。

 

丁寧に、休む事無く舐めしゃぶる。何時も俺がシて貰っているように、シて欲しいと思うように。男女の違いは当然あるが、痛くしない事だけを肝に銘じて、たっぷりと時間を掛けて愛撫を続けた。

どれくらい舐めていただろうか。半端に下を脱がされた少女の両脚が、気付けば俺の頭を締め上げている。

拘束するように。逃がさないように。もっと続けてと言うように。

 

顎先まで汁が垂れた。唾液かそれ以外かの判断は難しいが、潤いとしては十分だろう。

はあ、ふう、とお互い息を乱しながら身を起こす。

両脚での拘束を外すのに少々手間取ったが、仰向けに倒れこんだ少女の顔を見下ろせば、軽く指を噛んだまま頬を朱に染めて、虚空に逸らした視線が俺を睨んで僅かに泳いだ。

 

「ねえ。その、もう少し事前に――」

 

絶死絶命が言いよどむ。それは、何に対する言い訳だろうか。

潤んだ瞳が可愛かったからどうでも良いが、彼女の声は結構好きなのでもう少し近くで聞きたかった。

 

口元を大雑把に手で拭って、地に寝転がった少女の上に覆い被さる。

水音が鳴る。互いの股間が僅かに触れた。

 

「あなたって、けっこう」

 

人の話を聞かないのね、とそう言われた。

そんな馬鹿なと言い返せば、呆れた視線から漏れる溜息が俺の鼻尖を緩やかに掠めた。

 

「子供は欲しいと思ってたけど、遣り方なんて良く知らないし。シてくれるなら、まあ、勝手にして貰っても良いけれど」

 

むにゃむにゃと歯切れの悪い言葉ばかりが紡がれる。視線は再び俺から逸れて、背けられた顔は何も無い何処かへと向けられていた。

腰を前後に動かしながら、俺は互いの性器を擦る。少しだけ、少女の腰も応えるように ひくひく動く。

 

つ、と二色の視線が躊躇いがちに俺と絡んだ。

 

「……キスくらい、先にしてくれても良いんじゃないかしら」

 

射精した。

 

びゅくびゅくと吐き出しながら、唇を合わせる。

至近距離にある絶死絶命の視線が、比喩表現として白黒させながら下を見ていた。ああ、言いたい事は分かる。分かるけど、言わないで欲しいと切に願った。俺が早いからじゃなくてお前のせいだから! 可愛かったんだから仕方ないだろ!!

真っ白で柔らかな少女の股座、余裕のある衣服に包まれた見えないお腹。それらに向かって止まらない射精を繰り返し、そのまま腰を動かして更なる刺激を求め続けた。

手で探り、彼女の陰部を確かめる。ちんこの先端で目標を定めて、ゆっくりと腰を突き出した。

 

ふ、とキスをしたままの相手の鼻孔から、大きく息が吐き出される。

構わず舌を絡めて動かせば、そっと伸ばされた手が俺の頭をがしりと掴んだ。

 

強く互いの口を吸う。

上で激しく求め合い、下もまた確実に繋がり始めた。

入っていく。先ほど盛大に吐き出したばかりの陰茎が、ぐるぐると徐々に吸い込まれるように奥へと向かう。

揉み上げて、嘗め尽くし、膣の入り口が俺のモノを強く激しく呑み込んで行く。

 

僅かに腰を引いて、すぐ突き出すように繰り返して掘削する。そうやって進むと少量のぬめりが新たに生まれて、俺の陰茎を伝うように外へと向かって流れ出した。奥から溢れ出した愛液か、あるいはそれは処女ゆえの破瓜の血か。どちらだとしても、今はキスで忙しくて確かめられない。

 

腰を振る。

 

地面の上で、半端に衣服を肌蹴た姿で。獣のように まぐわい続けた。

衣服の下裾から手を入れて、見えない彼女の胸を揉む。柔らかくてでも小さくて、汗や汚れでちょっとだけ手触りが悪かった。乳首を抓んで軽く苛める。

 

「こども」

 

キスの合間に唇が離れて、呼吸と共に漏れ聞こえる声で少女が言う。

 

「こども、ほしいの。わたしの、」

 

わたしの、かぞく。強くて、ずっと、傍に居る人。

 

何を想っての言葉かは考えなかった。初対面同然で彼女の内面を探るのは無遠慮過ぎるし、そもそも口と下半身が気持ち良過ぎて俺の頭が回らない。

だから必死に腰を振る。言葉よりもずっと強く雄弁に、俺の熱意が伝わるだろう。その良し悪しに関しては、また別の話だ。今はとりあえず気にしない。

 

尻を掴んで、繋がった部分を深く押し込むように腰を突き出す。

噴き出すものを余さず奥へと注ぎ込み、ようやく深く息を吐いた。

 

額から流れた汗が下へと伝い、少女の顔へと静かに落ちる。俺の頭から離された片手が、その指先が、己の目元を濡らした汗を、流れ出した涙のように口元へ向かって引き伸ばす。

まるで泣いているように見えたが、完全なる錯覚だ。二色が混じった髪を撫でて、湧き上がる胸中の同情を誤魔化した。考えたところで仕方ない。ただ優しくしてあげたいと思って手を動かす。

 

「――ねえ、結婚しましょう?」

 

汗で出来た涙跡を何度も何度も なぞりながら、俺の下で空を見上げる少女が言った。

答える言葉なんて決まっている。俺は誠実に言葉を返す。

 

 

「ごめん。俺、明日結婚式なんだ」

 

鋭く輝く戦鎌が、俺の首を狙って翻った。

 

 

 

そんな二人から離れた木陰。

 

「いやー、繁殖(こい)の季節でござるなー」

 

それがしもなー、相手が居ればなーっ、と呟く魔獣が一頭。

主君の情交を覗き見て股間を激しく弄り回す二人の女性(アウラとアルベド)を気にする事無く、暢気に昼寝しながら目蓋を閉じた。



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第二十五話 アルベドさんとウエディング不倫セックスする話

※当話、長文に御注意下さい。


「さ、さば味噌さま! この、この度は御結婚、おめでとうございますっ!」

「ああ、ありがとうマーレきゅん!」

 

……きゅん? と首を傾げるショタちんを尻目に、俺は迫る式典の本番に向けて緊張していた。

 

今日は結婚式の当日であり、此処は新郎控え室。

先程から引っ切り無しにシモベ達が俺の元へと顔を出し、判を押したように おめでとうございますの挨拶ばかりを繰り返しては嬉しそうに先の展望を笑って話す。

 

そんな中、俺は緊張でお腹痛いのに手持ち無沙汰で、さっきから水ばかり飲んでいた。

 

ああ、ハムスケのもふもふが恋しくて堪らない。あの悩みなど欠片も持たないケダモノの温もりが何処にも無いのだ。俺の素敵な精神安定剤、ハムスケ。誰か、誰かハムスケ持って来て……っ!

 

「いやしかし、そのドレス良く似合ってるなー」

「えへへっ。ありがとうございます!」

 

水色のドレスを着た男の娘を愛でて精神の安定を計るが、上手く行かない。だってコイツちんこ付いてんだもん。アウラは? アウラは何処? 俺のつるつる褐色まんこちゃん。やっぱり俺よりシャルティアの方に行っちゃったの、あの子?

 

くそう。くそう。所詮ちんこでは同性(まんこ)に勝てないのか。

さらっさらの金髪を撫でて、照れ照れするマーレを見ているとちょっと正気度が削れてくる。もうちんこ有っても良いかな、って。此処で事に及んで色々吐き出し、緊張を解してしまいたくなる。

 

「……すまない、ちょっと用事を思い出した。留守を頼むぞ、マーレ」

「えっ。あ、あの! 御用事なら僕が代わりにっ」

 

両拳を可愛く握り締めて言い張るマーレに対し、俺は手を伸ばして言葉を遮った。

金色の髪を指で梳き、優しく褐色の頬を撫でて、尖ったエルフ耳の先端をこしょこしょ擽る。っん、あっ、と凄く色っぽい艶声を上げるマーレを目にして、俺の股間が誤作動を起こす寸前だ。やめるのですムスコよ、おちんちんランドはナザリックの法に反しています。やめるのです……!

 

「どうしても外せない用事なんだ。――頼むよ、マーレ」

「ほわあ、さば味噌さま……」

 

本日初のイケメンスマイルを、まさか同性相手に使うとは。拒否反応でちょっと吐きそう。

うっとり見上げてくるマーレの魔性に、口中の肉を噛み切ってどうにか耐えた。溢れ出す血の味が実に鉄臭い。だが耐えたぞ。これ以上はスキルの使用が必要だ、直視しないように踵を返す。

 

「大丈夫、時間は守るさ。これでもブラック勤務には慣れているんだ」

 

――ぶくぶく茶釜と俺は、きっと永遠に分かり合えない。

 

男の娘とか、世界の摂理に反していると思うんだ。今のマーレとの健全な戯れによって俺の海綿体に血流が流れ込みそうになっちゃったし。

ギリギリ耐えたが、次はどうなるか分からない。なので一旦精神をリセットするためにも、あの部屋から逃れる必要があった。

 

だからちょっとトイレ行ってうんこして来るね、俺!

さっきからお腹痛いんだよおおお! 緊張してついつい水ばかり飲んでたからさーっ!

あーあ! 結婚式とかするもんじゃねーなー!! こんなに心臓バクバクするもんなのかよー!

逃げるわけにもいかないから頑張るけどさー。本当にきついぞー、コレ。うー、トイレトイレ。

 

 

 

 

わたしは、――ビッチである。

 

ナザリック地下大墳墓守護者統括アルベド。

偉大なる至高の四十二人、その一柱。大錬金術師タブラ・スマラグディナ様によって淫蕩の(さが)を与えられた私は、だと言うのに未だ己の純潔を守り続けていた。

 

そもそもが玉座の右手に常に控えて、同じナザリックのシモベ達とすら顔を合わせる機会など無い。至高の御方々に御仕えする身分は幸福なれど、ただ立ち尽くすだけの日々は間違い無く孤独であった。

 

つまりこの世界に来るまでの私は、――ボッチであった。

 

ボッチである。多淫(ビッチ)なのに孤独(ボッチ)。これらは明らかに矛盾している。

持て余すものは多々あれど神聖なる玉座の間でまさか自慰に耽るわけにもいかず、じっと微笑んで時が過ぎるのを待ち続ける。苦ではなかった、だが己の斯くあるべしと定められた性を封じ込め続けた長い時間は、私にとって生後十数年間オナ禁するという現実以上の、常に心を苛み続ける苦行であった。

しかしそれこそがタブラ・スマラグディナ様から課せられた役目の一つ。つまり創造主直々の放置プレイ。一人孤独にハァハァ言いながら耐え続けるのは中々の興奮を伴って、さすが私の創造主である、と心から感銘を受けたものだ。

 

これこそが私の生涯、この身に許される世界の全て。

それが変わったのはあの日、この世界にナザリックが転移してきた瞬間だ。

 

『わー、美人。あっ、その、お、おお、オホン、ぅおっぱい触っても、良ぃ……? だめ?』

 

恐る恐る、シモベたる私に触れてくださった小動物。もとい至高の御方。

生まれて初めて異性と触れ合う、女の悦び。思わず股間から大量の潮を噴き出すが、童貞である彼の御方には全くバレなかったようで安心した。

 

残念ながら、そのままの流れで濡れ場へ縺れ込む事は叶わなかったが、それも当然。シモベ風情が至高の御方に尊き精を強請るなど、天に唾する行為に勝る。決して許されない事なのだ。

許されない事だ、と。あくまで私は思っていたのだが。

 

その日の内に、シャルティアが御方の寵愛を賜った。

 

喜ばしい事であろう。私も当然、喜んだ。

同胞の抱く喜びと、至高の御方に御喜び頂いた、という事実に対する喜びの二つ。蟠りなど何も無く、ただただ純粋に祝福出来た。良かったわね、おめでとうシャルティア、と。

 

変化が起きたのは至高の御方、さば味噌さまが墳墓の外へと本格的に出向く際。

 

知らぬ人間(おんな)の臭いを纏い、私に後事を託したい、とそう仰った。

この時点で既にナザリックが異世界に転移していた事は知っていた。だから当然お止めするべきで、なのに私は止められなかった。シモベに有るまじき事だった。

 

だって、あの臭いは、誰だ。

 

シャルティアとユリの二人は判る。シャルティア以外に一人増えている事も、それがプレアデスの一員であるのも問題では無い。だって私達は至高の御方に仕えるシモベ。求められる事こそが幸福で、侍る女が増えてもそれは立場に見合った華である。至尊の玉座を飾る()は多いほど良い。

だが違う。何かが違う。一人だけ、知らない何かが混じって視える。

シャルティア、そしてユリ・アルファ。その他の、ナザリックの同胞のものではない。ならば。ならば誰だ?

 

至高の御方からの命令は下った。ゆえに玉座の間を出て各階層守護者に直接の指示を飛ばす。まずは現状の再確認。――そうと命じながら、私の頭の中には疑問符ばかりが常に留まる事無く躍り続ける。

 

本来ならば、きっと、私は同胞達の中からオトコを見繕って夜毎渡り歩いた事だろう。

だって私はビッチなのだ。ビッチでなければいけないのだ。タブラ・スマラグディナ様がそう命じた。だから、そう在らねばならないというのに、私の思考は唯一ナザリックに御残りになられた御方の事で一杯だ。

 

初めて触れてくれた男性(ひと)の笑顔が、私の中から消えてくれない。

 

そして十日余りの後の御帰還。再度さば味噌さまの変化に気付く。

増えていた。

纏う香りが、二人分ほど増えていた。ナーベと知らない誰かが一人。

はて、この御方はここまで色を好む方だっただろうか。そう思うが、別に悪い事とも思わない。ただこの時点で、私の中で一つの欲求が形を得ていたのは確かな事だ。

 

――私も、抱いて頂けないだろうか。

 

決して。決して口には出せない言葉だ。シモベ風情が至高の御方を前に浅ましく強請るなど、立場を弁えぬ振る舞いであった。口にした時点で斬首程度では到底見合わぬ。

だが私とて女なのだ。

唯一至上、ナザリック地下大墳墓に君臨する至高の御方に一夜の情を賜りたいと望んでも、それそのものは何もおかしな事ではない。むしろ、御手を出される事を望まない存在なんて女として、いやさ生物として破綻している。

 

ゆえにビッチだが夢を見る。

そっと優しく膜を破って頂きたい。乱暴に貪られるのもまた嬉しい。

 

一人、また一人と さば味噌さまの御寵愛を頂くシモベが増えていく。

私の番はまだだろうか。

まだ、次こそは。

……あれ? ひょっとして、私は御方の好みでは無いのだろう、か?

さばみそさま、わたしは? わたしは???

はっ! まさかこれは懐かしの放置プレイ? わたし今、あの御方に焦らされてる!?

はあっ! はあっ! これが、寝取られ! ああっ、さば味噌さまが導いてくださる新しい世界の扉が開いて……っ!!

 

気が付けば酷く拗らせてしまったような気もするが、未だかつてない充足感が私の中に満ちている。

現地の人間種とさえ手を取り合って、しかしそれを悪くないと思ってしまう、新しい私が其処に居た。

これもまた、さば味噌さまの御威光だろうか。仲間も増えて、より一層私のオナニーライフも輝き始める。

 

何かを忘れている気がしたが、癖になってしまっているので仕方ない。気持ち良いのは良い事だ、とさば味噌さまだって言っていた。(ニグレド)に手伝って貰っての盗み聞きだが、言った事実を知っていた。

 

――さば味噌さま。

ギルド最強にして現状唯一の至高の御方。シモベ相手にも壁を感じさせぬ気さくな男性。

性に奔放。異形と人間、相手の強弱貴賎に一切構わぬその御姿は、まさにビッチ。

 

私の目指すべき姿であり、本来課せられた在り方だ。正直少し、憧れる。

何かがズレてしまった今の私に出来ていない事を当たり前のように成し遂げて。シモベを愛し、他者を愛し、当人の自覚無くして性的に負ける。ナザリック以外は要らぬと口になされた さば味噌さまの御言葉に、至福の涙を滂沱と流したのはデミウルゴス一人だけでは断じて無い。……きっと御方は知らないけれど。

 

心の内側が、彼の御方一人で埋め尽くされる。その切っ掛けが何だったのかと問われれば、それは初めて触れ合った玉座の間での一幕(パイもみ)であり、まるで何も考えていないかのような御顔で私や他の誰かの世界を塗り替えていく余りにも自由過ぎる在り方であり、ここまで私を惑わし続けた至高の魔性にあるのだろう。

 

今日この日、さば味噌さまとシャルティアの婚礼の儀が行われる。

 

「わたしは……」

 

過去に浸って女陰を弄り続けた手を止めて。私の望みは何だったのか、それを何度も考える。

今日という日が迫る中で、結論を出すべきだ、と心の内で己自身が叫ぶのだ。

誰に命じられるわけでもなく。誰が必要とするでもない。私自身が想うのだ。

 

私はビッチである。ゆえに淫蕩でなければならないし、男であれば誰であろうと股を開くような淫売でなければならなかった。そう在るべきで、そう在りたい、と常日頃から思っていたのだ。思っていた筈なのだ。

性的な意味で好きにしろと与えられたマーレ・ベロ・フィオーレに対しても、実はこっそり弄る程度はしたのだが、どうにも興が乗らずに足先で遊ぶ程度で留めて終わった。彼には悪い事をしただろうか。ひょっとすると年や顔に似合わず欲しがっていたのかもしれないが、やはり私は。そう、私は。私の処女(はじめて)は――。

 

嗚呼、申し訳ありません我が創造主、タブラ・スマラグディナ様。

 

 

「私を、貰っては頂けませんか。――さば味噌さま」

 

私は、この御方の事をこそ、欲しいと思っているらしい。

他の誰かではなく、この方を。この方こそを。欲しい、と私の中の淫魔(てんし)が願う。

 

だから私は、――ビッチではない。

それは本当に度し難い、シモベとしては決して許されない大罪だった。

 

 

 

 

「私を、貰っては頂けませんか。――さば味噌さま」

「ごめん、うんこしてからで良い???」

 

洒落や冗談じゃ無えぞっ、マジで漏れそうなんだよぉお――ッ!!!!!

どけ! どくんだアルベドォ!! 至高の脱糞が見たいとか、そんな異常性癖は俺が許さんぞ貴様! シリアスな美人顔見せたって絶対に許さねえからなッ!!!

 

あっ。

うまっ、産まれるゥー!! あ゛ーっ!

 

うっ、……ふう。

 

この世界に来てから一番のピンチだったな……。やはり慣れない行事の緊張というのは良くない。非常に良くないな。胃薬って何処で貰えば良いんだろ。今の内に飲んどかなきゃ。

 

「そういやアルベド、さっき何か言った?」

 

俺がお尻拭いてブツを流すまでずっとトイレの入り口で待機していたアルベドに訊ねる。

何故か堪え切れないという顔で苦笑して、大きく肩を震わせていた。

……いや、マジで洒落にならない腹痛だったんですけど。笑うのって酷くない? ねえ?

 

「さば味噌さま」

 

なんやねん。

 

そんな風に柔らかく微笑んだって、俺の胸が高鳴るだけだぞ。笑った事は許さないんだ!

手を取られて、うわあアルベドさんのお手々ふわっふわですう、みたいな感想が浮かぶけど、俺は別にお前みたいなビッチはなぁ――。

 

 

「あなたを、お慕いしております」

 

キュンッ。

 

 

――はっ!? 今、一瞬だけ意識が飛んでた。エンディング映像の謎の美女が見えたぞ!

あっ、ちょ、待って!? 近い、近い近い近いィ!!

手が、俺の手が大きなおっぱいにぃっ! 式用のドレスじゃなくて何時もの白い衣服越しの豊満な膨らみが、俺の両手を飲み込んでいくんだ! ああっ! いかんぞこれはマジで気持ちイイ!!

 

「あるべどさーん!?」

 

微笑を浮かべた女の顔が、薄く頬を染めて近付いてくる。

ふわり、と良い匂いが鼻腔に届いた。すごく勃起しそうな感じの匂いが。

 

「お嫌なら、跳ね除けてください」

 

淑やかに、言う。

だが実際にそう言われて、跳ね除けられる男が存在するのだろうか。

 

気付けば知らぬ間に伸びた己の両手が、ドレス越しに大きな尻の肉を包み込む。抱き締めるように彼女の触れて、それだけで股間が限界まで勃起していた。

呼吸が弾む。指先に力が篭り、音も無く俺の手がアルベドの尻に沈み込んだ。感じたのは、しっとりとした柔らかさ。表面が水に濡れているのではと錯覚するほど、極々自然に肌へと馴染む彼女の感触。まるで融け合うような心地良さ。

 

尻の表面を指の腹でなぞっていけば、下着の線が見つからない事に気が付いた。

――履いていないのか。女側の準備万端具合を意識すると、俺の股間がドクリと鳴った。

 

「アルベ、ドっ」

「さば味噌さまっ」

 

口を開いて視線を合わせれば、僅かに舌を伸ばした淫魔の唇がこちらに近付く。

そこもまた、蕩けるように気持ちが良い。

 

アルベドの尻肉を両手で弱々しく揉みしだきながら、絡め取られた舌が彼女の中で愛撫を受ける。

舐め上げてそのまま溶かすように、必要な強弱を心得た舌使い。ぐるりと回る女の舌が硬直した俺のものを擽って、たっぷりの唾液と一緒に何度も何度も淡く淫らに撫でられた。擦るというより舐められる、甘いキスの快楽が唾液の分泌を未だかつて無いほどに促した。

顎を伝い、唾液が落ちる。伝い流れたものは、口を離したアルベドが唇を使い、ねっとりと音も無く啜って綺麗にしてくれる。

 

はう、と震える吐息が口から漏れた。女の子みたいに喘いでしまって、けれど凄く気持ち良い。

胸板に当たって柔らかく潰れていた彼女の乳房が僅かに離れる。消えていく温かさに名残惜しさを感じて見下ろせば、ドレスの胸元を下へと捲くって笑うアルベドが、大きく晒された白く柔らかいものを再び俺の身体に押し付けた。

 

ああ、着込んだタキシードの厚さがもどかしい。直に触れれば、きっともっと柔らかくて気持ちが良いのに。

胸中の不満を表すように、アルベドの尻を強く握り締めて絞り上げた。

 

「っんん、ぁああ!」

 

感極まった、アルベドの悲鳴が耳朶を叩く。

 

決して、嫌がるような声ではなかった。その証拠により強く胸を俺へと押し付けて、腰を後方へと突き出すように、俺の両手の平へと小刻みに動かし、もっと欲しいと強請ってくるのだ。

潤んだ瞳を真っ直ぐ見つめる。口中の唾液を飲み下し、俺も張り詰めた股間を押し付けた。

 

軽く手を引かれ、導かれるようにトイレの中へと引き戻される。

少しばかり乱暴に個室の扉が閉められて、蓋を下ろした便座の上に腰掛けた俺の目の前で、アルベドがついにドレスの裾を捲くった。

 

白いドレスの下から現れる、これもまた白い、しかし興奮で火照った肌の色をした女の入り口。

そこは既に滴っている。

ゆっくりと落ちていく粘性の熱い雫が一つ、二つと、銀色の糸を真っ直ぐに下ろして輝いていた。

躊躇いはもう、無い。俺も自分の性器を晒し、彼女と視線を絡めたままで、ゆっくりとその手を引いて性交を求める。

 

ひたりと熱いそこへと触れた。準備万端、遮るものは何も無い。

そのまま入る、と思った所で、邪魔をするようにアルベドが口を開いた。

 

「私は、罪深い女です」

 

女が泣いていた。

ずっと避け続けてきた淫魔の女が、俺を見下ろして泣いていた。

 

「創造主より頂いた己の性を拒絶し、こうして貴方ばかりを求めている。わたしは、」

 

ビッチが泣いている。俺の嫌いなビッチが、はらはらと涙を流しているのだ。

だから。俺がその話を聞く必要なんて、当然ながら何処にも無い。

俺は――。

 

「俺は話を聞かない奴らしいぞ、アルベド」

 

だから、お前が泣いていようが笑っていようが、ここまで来て御預けなんて、そんな非道を許せるわけが無いだろう。馬鹿め。このビッチで有能な大馬鹿者め。

お前はナザリックの一員で、つまりは俺の所有物で。そんなお前が、この至高なる俺様から逃げるなんて出来るわけが無い事なのだ。自惚れるな、と言ってやろう。

 

抱きたいのだ。欲しいのだ。ぐだぐだ抜かさず、さっさと俺の所へ来い。

 

「好きだ、アルベド。――嘘じゃない」

 

捲り上げたスカートの裾から手を離さず、つまりくしゃくしゃに歪められたとても綺麗な泣き顔が、遮るもの無く俺の視界で震えて笑う。

まったく、美人は得だな。卑怯だな。だが許す。

何故なら俺は至高の御方。心の器も当然広い。

 

だからアルベドが非処女だとしても、こっそり嫌だが、寛大な態度で許してやろう。

 

まったく。マーレを好きにして良いよ、なんて。あんなの言うべきじゃ無かったな。設定なんて気にせずに性的な意味で喰っておけば良かったと、今更ながらに後悔している。

来い、と告げればアルベドが頷く。何度も何度も。照明の光で輝く涙を星屑のように振りまきながら、俺の元へと下りてくる。

 

そして入って即座に、射精した。

 

「……知ってた」

 

上下に重なる体位ゆえ、僅かに俺より高い位置にあるアルベドの、大きなおっぱいに顔を埋める。

おかしいな、また早かったぞ。いやー、おっかしぃーなぁー!! ここはもっとこう、ムード盛り上げる感じに時間を掛けてイケるんじゃないかな、って! そう思ったんだけどなーっ! 無理かー!

あーあ! しにたい! 死んで蘇生して、もう一回くらい死にたいなー!

 

「あるべどぉー!」

「くふー! やっぱり さば味噌さまは可愛らしい御方ですっ!」

「……アルベドさん!?」

 

何か重大な裏切り行為を働かれたような、そんな気がした。俺は最高に格好良い絶対支配者且つ最強のイケメンで、シモベ達もそれを承知していると思っていたのだが、違ったのだろうか。

射精して僅かに萎えた筈のちんこが、アルベドの中でうにゃうにゃと揉まれて再度血流を集束させる。

ヤバイ。射精した直後だというのに即時充填完了だ。淫魔の膣は気持ちが良過ぎた。

 

細く、しかし肉付きの良い腰を掴んで突き上げる。嬉しそうな声を上げたアルベドが、黒髪を振り乱しながら俺の動きに合わせて動く。全体の上下運動に合わせて跳ね回る両の乳房が、重苦しい肉の重量を淫らに揺らして俺を誘った。ほんの目の前、少し顔を突き出せば触れそうな距離で、アルベドのおっぱいが美味しそうに暴れている。

 

「吸って下さいますか、さば味噌さま?」

 

俺の視線に気付いた女が、誘いの言葉を口にした。

応えないなんて有り得ない。大きく口を開けて、噛み付くように捕まえた。

 

「はぁ、ああ――っ」

 

気持ち良さそうに彼女が善がる。それに気分が乗って、強く啜った。

ぶるり、と水気の混じった音が鳴る。柔らかくて豊満で、張りがあって瑞々しい。食べるように乳房を噛んで、呑み込むように深く吸った。舌先で激しく乳首を弄りながら、逃がさないように肉を引っ張る。

 

股間から、また新しく精液を吐き出す。

だが構うまい。出せる限りは、何度でもアルベドの中に出すだけだ。

白いドレスの、露出した腰元、晒された太腿。布の隙間に手を忍ばせて、直に尻を揉んで腰を振る。何処も彼処も気持ちが良い、撫でた骨盤の形でさえも俺の指先を楽しませた。撫でながら手の平で肌を味わって、好き放題に穿り返す膣内の動きにモノが萎える暇なんてろくに無い。だから、また精子を流し込む。

 

「あるべどっ、キス」

「はい。貴方様の仰せのままに」

 

唾液塗れの口から乳房を離し、舌を突き出す。それを綺麗な前歯で甘噛みされて、軽く擦り合わせるように愛撫を受けた。俺はアルベドの口の中に入りたいのに、唇にさえ触れられない。もどかしくて気持ち良い。射精しそうだ、一度出してから一分もたない。せめてアルベドにも快楽を与えたいと意地を張って、何度も腰を打ち付けるが、内側の動きが激しくなるだけ。俺の方がやり込められる。

 

興奮で眦から涙が零れて、やっと唇が合わさった。

俺が吸うよりも、アルベドが俺を吸う方がずっと強い。口中を執拗に舐め上げられて、流し込まれた唾液を飲み干した。だがそこに不快感など一切無い。尻を揉みながら射精して、首を伸ばして餌を強請るようにキスを続ける。

 

抱き締められて、タキシード越しの背中を爪の先だけで撫でられた。ぞくりと背筋が快感で痺れる。

腰の振り方が変化する。上下だけではなく、円を描くように、小刻みに何度も横へと動いて俺の肉棒が揉み上げられた。搾り取られた先程の精液が膣内のぬめりを増加させ、収まりきらないオスの白濁が外へと流れ出す中で、なのにもっと欲しいと襞が蠢いては俺から新しく熱を奪おうと吸い付いてくる。

 

止まらない。もっと出る。けれどもっと欲しい。アルベドの真っ白な尻に爪を立てながら、もう一度俺は射精した。

 

脱力して、唇を離すとアルベドの胸に凭れかかった。

はあはあと乱れた熱い吐息が乳房の表面に結露させ、垂れ落ちる雫が艶かしさを追加する。俺達はお互いに揃って汗だくで、タキシードの替えは何処だったかと頭の隅で他人事のように考えていた。

 

「もうじき、式典が始まりますよ」

 

アルベドが言うが、もう少しだけこうして居たい。流石に延長戦などとは言わないが、流石に疲れたし、今は腕の中の柔らかな肢体を手放したくない。

小さく乳を吸って己の頬を擦り付ける。意図が伝わったのか、優しく頭を撫でられた。

 

「今日で、さば味噌さまも妻を娶って、立派な旦那様へと御成りになるのですね。だから私も、もう……」

 

立派かどうかは分からない。というか、式の当日にこんな事してる男の人って控え目に言ってもクズの部類なのでは無かろうか。俺は心底自身の品性を訝しんだ。いや、この悩みもどうせすぐに忘れてしまうのだろう。

 

うん、俺は最低な糞野郎だ。間違い無い。でも気持ち良いから別に良いんじゃないかな!

これから先も、割と好き放題に隠れ潜みながらエロい事をしていくのだ。間違いない。

だから、アルベドもこれからは俺のものだ。他の奴には渡さない。悪いなマーレ、ショタちんは自分で慰めるか、近場の男連中に頼んで欲しい。お前両方イケそうだから大丈夫だろ。

 

「んー、お前(アルベド)も式挙げるー?」

 

固まるように、俺を抱き締めているアルベドが微細な動きの全てを止めた。

 

何か変な事を言っただろうか。俺は至高のヤリチンなので、別に結婚式を何回やっても良いと思うけど。妾は何人居ても良い。実に素晴らしいな、至高の御座という奴は。

いやシャルティアからの許可は必要だな。それに、せめて今年中はやめておきたい。ほとぼりを冷ますとか言うと聞こえが悪いが、ある程度以上の時間は置こう。

 

動きを止めてしまった彼女の反応を不思議に思うが、抱き締められているので顔が見えない。おっぱい舐めながらじっと待つ。というか適当に思い付いたから言っただけで、別に彼女の答えは求めてないのもあるのだが。どっちにしろヤると言ったらヤる男なのだ、俺は。

やがて再起動したアルベドが、小さな声で呟いた。

 

「まったく。本当に気が多い(ビッチ)ですね、あなたは」

 

お前(ビッチ)が言うなや。

 

抗議の意思を強く篭め、俺はアルベドの尻穴に深く指を突っ込んだ。

――凄く悦ばれたので、仕置きの意味は全く無かったが。

 

 

視界一杯に集まった数多のシモベが、涙を流しながら嬉しそうに笑っていた。

 

至高の御方の御婚礼。なんと目出度い、ああナザリックよ永遠なれ。と言ったところだろうか。

墳墓入り口から最深部までのパレードとか、無茶苦茶だるかった。マジで疲れた。あれ何の意味があるの? 皆して喜んでたから良いけどさ、俺は凄く疲れたよ。墳墓内とか歩いても、何時も隈なく見回っているから真新しさとか無かったし。いや祝いの飾りを一つ一つ見つけるのは結構良い暇潰しになったけどさ。

 

真っ白に着飾ったシャルティアも実に実に綺麗だった。マジふつくしい。今夜は新婚初夜ですね! と俺のムスコも大喜びだ。綺麗な格好で可愛らしく笑ってくれた彼女の顔を見て、ウエディングセックスへの期待も高まる。

 

今は今日限定で完全開放された玉座の間にて、立食形式の歓談中だ。

 

式典に戦鎌持ち込もうとした阿呆の絶ちゃんとか、全裸に蝶ネクタイ付けたコキュートスが興奮のし過ぎで冷たい吐息撒き散らして会場の一部に霜が降りたり、知らぬ間にツアレとフラグ立ててた白髪黒尽くめ(やみのせんし)のセバスとか、全身ド派手に着飾った厚化粧なニューロニストの狂気さえ感じる悍ましい有り様、嬉しさの余り尻尾振り回し過ぎて料理を駄目にするデミウルゴス、ぱっと見で性別が分からなくなる男装女装を取り違えた闇妖精の双子、妙に艶々しているが誰かと喧嘩したのかドレスの裾に丸い穴が開いているアルベド、何時も通り給仕等に励むがしっかり着飾っているプレアデス並びにメイド衆、ぽっかり人の空いた場所に集まる恐怖公を筆頭とするゴキブリ集団、メイドに混じったアルシェはともかく身の置き所が無くて可哀想なフォーサイトの三人組、彼等に気を使って話し掛けているデキる女レイナース、周囲の光景に目を白黒させる竜王国女王、血のように赤いドレスを着た覇王エンリとその妹にカルネ村一同。

 

うむ、混沌としているな。流石アインズ・ウール・ゴウン。CHAOS属性極まっている。

式典開始直前に服の替えを頼んだルプーには忙しい中悪い事をしたかな。でもスピスピ鼻を動かすのヤメテ。臭いを嗅がないで。あの時の俺、絶対がっつりアルベドの匂いしてたから。

 

覇王国の住人達や、竜王国の首脳陣、この世界で知り合った人達も多少ではあるが喚んである。青の薔薇は知り合いかと言うとちょっと違うし喚ぶにも喚べず、帝国はレイナースとアルシェ以外興味無いから基本放置。絶死絶命と言い合いしているスレイン法国の神官っぽいお爺さんとかは極一部の例外だが、まあ良い機会だろうと招待させた。一番怖い洗脳型ワールドアイテム傾城傾国は此方に在るのだ、事前に武装のチェックも徹底させたし、これ以上の隠し札も無いだろう。無いよね?

 

「さば味噌さま、わたし幸せです」

「シャルティア」

 

嬉しそうに瞳を潤ませた今日の主役、俺の花嫁であるシャルティアが笑う。かわいい。ちゅーしたい。

いやあ、最初はどうなる事かと思ったけれど、無事に式も終えられそうで良かった良かった。俺もやれば出来るじゃないか。緊張していたお陰か、退屈から来る居眠りもしなかったし、これで万事丸く収まる。

 

それ以上に、シャルティアが嬉しそうなら何よりだ。俺はちゃんと彼女の気持ちに報いる事が出来たらしい。

 

「うふふ。本日は御招き頂き本当に感謝致しますわ至高の御方、並びに可憐な花嫁様」

 

とか考えていたら、新郎新婦に個人的な祝辞を述べに来た黄金の悪魔。

――ラナー元王女がやって来た。

 

「おめでとうございます」

 

ニコニコ笑って、畏まり過ぎない台詞そのままの、祝福の言葉を口にする。

うんうん、コイツもコイツで空気は読むよね。この場で何か事を起こしたって旨味は無いのだ、当然だ。

ははは。善き哉善き哉。もっと言ってくれても良いのだぞー。

 

「ええ、本当におめでとうございます」

 

ああ、ありがとうラナー!

 

でも何でお腹を摩ってるのかな? かな?

ほら、傍らのクライム君もぎゅっと目蓋を閉じて握り締めた拳から血っ、血がー!? 衛生兵ー!

 

「もう一つ、おめでとうございます」

「なんで三回も言うの!?」

 

流石にツッコむ。

おめでとうの言葉よりも、クライム君を心配してあげて欲しい。お前絶対気付いてるよね?

俺の隣に居るシャルティアだって、ちらちら視線向けて気にしているぞ。生粋の異形種より情が無いとか、流石にヤバイんじゃないですかね! いや、多分心配してるんだよな、シャルティアは。新鮮な血を見てお腹空いたとかじゃないよね? 俺の血、吸う?

 

――ところで、御存知だろうか。

ラナーは女優(アクトレス)の職業レベルを持っている、名と立場だけの、なんちゃって王女様だったのだ。

女優と言えば、聞き取り易い声の発声法なども当然所持する技能の一つ。

 

とてもとても良く通る声が、鈴のような声音が、会場の全てに響き渡った。

 

 

「――覇王エンリ陛下との間の御懐妊、本当におめでとうございます」

 

 

音が消えた。

 

静かに笑うラナーの、その両目が何時か見慣れた異形のものへと変化している。

そのほっそりとした手はラナー自身のお腹を摩り、祝辞の回数が何を意味するのかを察しの悪い俺に優しく教えてくれていた。

 

真横から、びちびちと長く太い舌がのたうつ音が聞こえてくる。

視線を向ければ、綺麗なウエディングドレスを着たシャルティアさんが、真祖(トゥルーヴァンパイア)としての素顔を晒してこちらを見ていた。わー、ヤツメウナギ。さば味噌くんもウナギ大好きですうー。

 

かつて彼女は俺に言った。

好きだから許すのだ、と。

つまりそれは、許すという行為が必要となる程に、想う所が有ると言う事。

 

「シャルティアちゃん、おこってる?」

 

視線を合わせた彼女は無言。そっと手を握られて、俺は何も言えなくなった。

ラナーを見遣る。それ以外の、会場の皆さんの顔はちょっと目にする勇気が湧かなかった。

あ、でもエンリが耳まで真っ赤になって顔を抑えて、その場に蹲っているのは確かに見えた。

 

「何が望みだ」

 

震える声音でラナーに問うた。

この状況での爆弾発言。常に読めない彼女の意図が、今回もさっぱり理解出来ない。

初対面で殺しかけた事を恨んでいるのか。処女を奪った事が原因か。覇王国宰相としての激務が彼女の心を追い詰めたのか。――果たしてその内のどれが此度の動機であろうか。

 

花のように可憐に綻ぶ、ラナーの笑顔が輝いた。

 

「私達への責任も、取って頂きたいな、って」

「それ今日この場で言う事????」

 

時と場所と場合(TPO)を弁えろ。冗談抜きに血の雨が降るぞ、オイ!!

そしてクライム君! クライム君が血を吐いたぞ!! おいラナー! お前の大好きなクライム君が!

 

『おんどりゃぁああああ!!! 吐いた唾ぁ飲めんぞゴルルァアアアアア!!!!!!』

 

シャルティアは激怒した。当然である。

祝いの席。一生に一度、至高の御方である俺との婚儀。なのに先のラナーの言葉、空気読めないとかいう域を遥かに容易く超えている。ド直球の自殺かな? という感想が浮かぶほど。

 

取り出された神器級装備スポイトランスが翻る。

 

俺は咄嗟に取り出した同格の長葱型直剣で弾き飛ばそうと手首を返すが、その前に、黒い鎧を着込んだ女が割って入った。

轟音と共に、真祖の一撃が相殺される。

 

「アルベド!」

「場を騒がせて申し訳ありません、さば味噌さま。シャルティアは少々錯乱している様子。すぐに私共で落ち着かせますので――」

 

私も責任を取って頂けるのならば嬉しいですし、と小さな独り言が漏れ聞こえたのは気のせいだろうか。

 

咆哮を上げるシャルティア。防ぐアルベド。参戦するアウラ。武装を取り出す守護者達。客人達の避難誘導を行うプレアデス。愛用の武器を持って来いと要求する絶死絶命。そしてラナーがくすくす笑う。

 

「……何が望みだ?」

 

怒りたい。凄く怒りたい。流石の俺も、祝いの席でこれは無いのではないかと思うのだ。

だけど唸るように問い掛けられたラナーは笑う。何も変わらず、余裕に満ちて。

 

「仕返しですわ。――私を、此処まで連れて来てくれた事への」

 

本当に嬉しそうに、綺麗な笑みで答えを言った。

仕返し、復讐。そういった後ろ暗い意味合いを一切感じ取れない、可憐な少女の透き通った微笑みだ。

音も無く上品に近付かれるが、俺は彼我の実力差から一切の警戒無く互いの距離を詰められる。

そして、そっと唇を奪われた。

 

「私も、自覚出来る程度には――」

 

あなたの事が好きなのです、と。

 

好いた相手の結婚式。だからこれは、好き放題に女を食い散らかした俺に対する意趣返し。

その宣言に含まれる詳細な経緯も意味もが不明だが、そんな事を言われた俺が、それでも腹を立てる事など出来はしない。

それを狙っての虚言だろうか。どちらだとしても、胸中の熱は鎮火してしまって何も言えない。

 

「こんのヤツメウナギがああ!! 自分だけ上手い事やりやがったわねえええええ!!!」

『あああああんん!? 選ばれなかった女が何言ってるのかしるるぁあああ!!!?? 式の当日に人の旦那相手に盛ってた糞ビッチが偉っそうによぉおおおおおおお!!!!!』

「そんなのまだ結婚してなかったからノーカンよ!! ノーカン!!!」

『ずりゃあああああああああ!!!!!!』

「ぶるぅあああああああああ!!!!!!」

 

ああ、玉座の間が荒れに荒れ果て、参戦したコキュートスが打ち倒される。守護者総出で戦うが、災禍の中心たる女傑二人を止めるには至らない。シャルティアもアルベドも口汚く罵り合って、見るに見れない顔をしている。あれは私の旦那だとのたまう絶死絶命が、二人の共倒れを狙って武器を片手に光って駆けた。

 

壁一面に飾られた至高の四十二人、ギルドの全てを表す旗の内、俺の物だけがひらりと落ちる。

――味噌に塗れた魚類の紋章。

わあ懐かしい、と現実逃避をしながら、俺は無事だったテーブルから鯖の味噌煮を軽く摘んだ。

うまし。横で笑っているラナーにも差し出し、二人並んで皆の戦いを見物する。血を吐いたクライム君は先程メイドが搬送していった。

 

こういうのも、ある意味うちのギルドらしいと言えばらしいのだけど。やっぱり此処までブチ壊しにするのはやり過ぎではなかろうか。そう尋ねれば、ラナーが呆れたように笑って答えた。

 

「浮気男には優し過ぎるくらいでしょうに」

 

……。

そうですね!

 

そんなこんなで、今日もナザリックは平和、平和? ……うん。平和なまま、日々を過ごしていくのであった。

ちなみに、戦いは最終的に無傷で仁王立ちしていたエンリが勝ったので今度結婚式をするらしい。俺と。

 

えっ?

 

 

 

 

「さあ行くぞハムスケ。この先に、まだ見ぬ女体が俺を待っているのだ!」

「とか言いつつ夜逃げでござるか、この甲斐性無しは……」

 

大丈夫。シャルティアは満足するまで初夜ックスしたし、ラナーとも御詫びックスして御機嫌取りのような何かを終えたし、覇王に関しては帰ってから考えるから! 大丈夫大丈夫! 俺を信じてくれよ相棒!

 

「それがしも番いを見つけねばならぬゆえ、旅自体は構わないでござるが。お主、そろそろ刺されるのでは?」

「ふっ、その時は最強防御スキル<次元断層>の出番だな……」

 

和気藹々と言葉を交わし、俺は巨大ハムスターの背に乗って新たな地平を求めて旅立つ。

ナザリックには書置き残してきたから大丈夫だろ。エンリの出産までには絶対帰るし。ラナー? ラナーは、まあ、うん。別に嫌いじゃないけど。あいつと居ると何時も俺が負けてる気がしてちょっと苦手だ。

俺ってMじゃないからさー、とか話しながら荒野を駆ける。

 

この度無事に所帯を持つ事と相成ったが、だかといって止まるわけには行かないのだ。

そうとも。俺の異世界性活は、まだまだ始まったばかりなのだから――!




本編ここまで。当作品は完結です。
先を続けていこうにも、これ以上は終わりどころが見えなくなるので御了承下さい。

※なお、次話からは聖王国での番外編を投稿致します。
 おそらく一話程度、長くとも二話で終わります。


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番外編 聖王国でレズ疑惑三人組とちょくちょく爛れたりする話

※当話、長文に御注意下さい。
 申し訳ありません、二万字を超えてしまいました。


ローブル聖王国当代聖王カルカ・ベサーレスは運命を信じている。

何故ならば正に今、私は運命の出会いを果たしているのだから。

 

「むむ、カルカ殿ではござらんか。うちの阿呆ならまだ寝てるでござるよ?」

 

己の主に対する遠慮の無い物言いに苦笑する。

いや、当人達の言うところによれば主従ではなく対等の、相棒という関係だったか。

人と魔獣という大きな垣根を物ともせずに笑って魔物を半身と呼ぶ、彼の英雄の大らかな振る舞いには胸が透くような思いだった。忌避せず、差別せず、見下さず、ただ在るがままに相手を見て誠の心をもって接する。それを皆が実践出来れば、世界はどれほど素晴らしいものになるだろう。

 

無論、それが言葉で言うほど容易く成せるものではない事を、私という人間も骨身に沁みて知っているのだが。

 

白雪の如き魔獣の毛皮に埋もれて眠る、一人の男性を視界に見下ろす。

美しく整った面貌に、子供のように暢気な寝顔。口の端から垂れ落ちる涎さえ彼の飾らない人柄を表すかのようで、どうにも私には憎めない。そっとハンカチで口元を拭うと、そのまま折り畳んで懐に仕舞う。

 

ローブル聖王国の生ける英雄。九色を超える者。

今となっては彼のガゼフ・ストロノーフを超えるとさえ囁かれている、この国の、――訓練兵だ。

 

彼との出会いは、今も忘れる事が無い。そもそもが一月程度しか経っていないのだ、そんな最近の出来事を忘れられるほど齢を重ねた憶えも無かった。忘れたくないくらいに、不思議な出会いでもあったのだ。

 

立場から来る心労を慰めようと夜の散歩に出向いた先、王城の中庭に舞い降りた白銀の獣。

その背に跨る、優美なる騎士。

 

『いかんハムスケっ、早速見つかったぞオイ!』

『それがしのせいじゃ無いでござるよ!? どうするんでござるかこのバカチン!』

『うーむ。……よし、攫って逃げようぜ! なんか凄い美人だし!』

 

思わず呆気に取られて立ち尽くしてしまったが、それも仕方の無い事だろう。あんな珍妙な事態で冷静に対処出来る人間なんて、それこそ直感で敵を決めるレメディオスくらいのものだろう。

その後即座に駆けつけたカストディオ姉妹や護衛の兵士達によって大人しく捕縛された謎の侵入者達。ああ先程の攫うなどという遣り取りは冗談だったのだな、と安心したが、その後も中々に凄かった。

 

『名前? エルヤー・ウズルスです。帝国でワーカーやってますエルフとか大好きです』

『こやつ、微塵の躊躇も無く……!? あ、それがし森の賢王と呼ばれているでござる』

『ハムスケェ! 自分の名前忘れるんじゃないよハスケェ!』

 

尋問室にて、全身を椅子に縛り付けられながら平然と口にされた、偽名。

その後暫くの間は彼の名称がエルヤー・ウズルスで固定され、今でもレメディオス辺りは彼をエルヤーと呼び親しむ姿をよく見かける。……いや、国の極一部を除いて、既に国内では彼の名をエルヤー・ウズルスとして定着している。彼を本名で呼ぶ者は、私を始めとしたホバンスの王城に勤める上位層の数少ない者達だけだ。

 

『聖王女さまが凄く美人だと聞いて来ました。王城に侵入しちゃったのは其処のハムスターのせいです』

『ようし表に出るでござるよ甲斐性無し。今度こそメッタメタにしてやるでござるよー?』

『は? 有るし甲斐性。ナザリックの維持費誰が払ってると思ってんだよ齧歯類』

 

そのまま身体を縛る縄と鎖を引き千切り、尋問室の中央で取っ組み合いを始めた人魔一組。止められる者など誰も居ない。この時点でようやく判明した事実だが、彼も魔獣も、九色の白たるレメディオスを筆頭とする聖騎士団の面々でさえ全く動きを止められないのだ。

 

最終的に野菜のような武器(ドンパッチソード)を魔獣の、その、お尻に挿して勝負は決する。

酷く痛ましい、部屋の外にまで響く悲鳴が大きく上がった――。

 

 

 

 

「つまりだなー、わたしは、カルカ様のためにだなっ」

「うんうん。レメディオスちゃんは忠臣だなー、知り合い思い出すよマジで」

「そうか! わかるかエルヤー!」

「エルヤーじゃないです」

 

バンバカ無遠慮に俺の肩を叩いてくる茶髪の女性、聖王国の聖騎士団長レメディオス・カストディオ。

控え目に言っても脳味噌お馬鹿な彼女だが、その性格に裏表は一切無く、仲良くなれさえすれば実に気持ちの良い女性である。

 

良く分からないが普通に接していたら気に入られた。

ハムスケが「聖王国の現役頭悪い勢でござるな!」とか意味分からない事言ってきたから再度尻にネギを挿したが、俺は悪くない。俺は普通に優秀ですぅー。ハムスターには分からないんですぅー。ただしレメディオスが馬鹿(アレ)なのは否定出来ない。

 

「聞ーているのかっ、えるやー!」

「ごめん聞いてなかった」

「そうかぁ。ならばまた始めから話してやろう。あれはわたしが十一の頃だが……」

 

そして今、俺の隣で延々と思い出話兼カルカ様素晴らしいの話を聞かせてくるレメディオスは、俺の持ち込んだ高級酒類によってベロンベロンに酔っ払っている。

 

つまり、――酔姦の流れだ。

 

身を乗り出して俺に語り掛けてくるレメディオスの腰を抱く。うん? と不思議そうな顔をした彼女に、倒れそうだったから、と傍から見たままを伝えると、納得したのか笑いながら話を続ける。ちょろい!

 

肉付きの良い脇腹を撫でた。エロい。

良く鍛えられ、実に良い感じに成熟している。成人女性はレイナースとかで味わったものだが、うむ、良いものだ。この肉感的なのが実に勃起するし先走る。

 

「あのかたのお優しさをなんじゃくだー、とか言うものもいるが」

「俺は優しい人好きだよ。この前飴くれたもんあの人」

「そうだろう! そうだとも!」

 

適当に相槌を打ちながら、真っ赤な顔で酒を飲む彼女の身体をこっそり弄る。

腰から太腿、骨太に見えてやっぱり女性的な二の腕などを、優しく摩って介抱、している体を装った。欺瞞は大事だ。騙しックスとか、以前は失敗したが俺は大好きだぞホントに。

 

肉と脂肪が、鍛えた筋肉の上にしっかり実った柔らかな女の肉が俺を誘う。男っ気が無さ過ぎてレズ疑惑持たれてる聖騎士団長の身体とか、絶対美味しいぞ。食べ頃だぞ。触っているだけで興奮してくる。

あー、もうちんこパンパンですー。此処で強引に押し倒しても、良いかな?

 

「わたしはな、おまえに感謝しているのだ……」

 

ちんこ挿入しようかな、とか考えていたら、酔っ払いの口にする話の流れが変わっていた。

 

「罪人あつかいでありながら、お前たちの活躍はすごい。わたしより強いのだから当然だ。それにケラルトにも何かしてやっているのだろう? わたしでは中々あいつの役にはたてないからな、ほんとうに、ありがとうエルヤー」

 

王城侵入罪で取っ捕まった俺とハムスケ。

尋問室でちょっとばかり騒ぎを起こしたりもしたが、ハムスケの尻穴を除いて、誰か人の血が流れたわけでもない。ゆえに聖王女カルカの取り成しによって、今後の働き次第で罪を軽くする、という事で治まった。

優し過ぎて色んな奴等から嫌われている程度には優しいカルカだ、別に不思議な話でもない。尻を治療して貰ったハムスケも「恩に着るでござるよカルカ殿!」と畜生らしく懐いている。俺もまた、上手くやればヤれるんじゃね? という下心込みで聖王国の兵士になった。

 

兵士になった、筈なのだが。扱い的には一番下の訓練兵だ。給料も無い。衣食住は保障されてるが。

俺ワールドチャンピオンやぞ? お前らの全軍より強いぞ? ぞ?

 

悔しかったので即日アベリオン丘陵に乗り込んで、ド派手に亜人を殲滅してやった。派手なエフェクト込みで。

むしろ罪人の立場で勝手な事をするなと怒られたのだが、俺は一切反省しない。

 

バッチリ活躍しないと、俺が女の子とエロい事出来ないだろうがッッッ!!!!!

格好良く活躍して、キャー素敵! みたいな! あるだろうが、何かそういうのが!!

 

結果的に、レメディオスと仲良くなった。

 

違う、そうじゃない。

俺は聖王女とスケベしに来たんだ。あの内心でこっそり婚期に焦ってる金髪美人にちんこ挿れて、女の幸せ教えてやるためにわざわざ来たんだよ、原作の不人気枠は下がってろ! ――と、思っていたのだが。

 

「おまえはほんとうに強いなあエルヤー。わたしももっとがんばらないと……」

 

むにゃむにゃ言いながら俺の肩に擦り寄ってくる酔っ払い、もとい垂れディオス。

何時もはキツめの顔がほにゃほにゃ緩んで、酒気で火照った肌がなんとも艶かしくてイケナイ感じだ。

けっこう可愛いよなコイツ。もうイイ年の筈なんだが、身体もエロいし、全然イケそう。

 

レメディオスは、親しく付き合ってみると意外と可愛い。そして美人だ。頭は固いが、味方で居ればそれに対する不快感もあんまり無い。率先して前に出る、上位者らしからぬ生真面目さとかで良く慕われている。

日々の生活で仲良くなって、一緒に過ごす時間が増える度に彼女の良い所ばかりが目に付いた。

 

訓練兵且つ罪人の俺にあっさり負けたのに諦める事無く研鑽を重ね、時に教えを請おうと頭さえ下げる素直なところ。自分に足りない知性を自覚し、ならばと強さを磨いて主や妹の助けになるため努力を重ねる、頑張り屋なところ。

 

うむ、良い奴だ。そして可愛い奴だ。なので当然俺も勃起する。

――ゆえに今日この日、酒で酔わせてセックスしようと行動に移したのだ。

 

そっと衣服越しの乳房に触れる。けっこう大きい。ほどよく実った、女の重さだ。

そのまま摩っていると気持ちが昂ぶる。顔を寄せれば茶髪のショートヘアが鼻に掛かって、酒に混じった彼女の匂いが鼻腔を擽る。酔いが回り過ぎたのか、目蓋を閉じて寝息を立て始めた彼女は、普段と違って随分と大人しくて女らしい。

こいつに今から、ちんこを挿れる。意識の無いままセックスをする。

 

「レメディオス……!」

 

横に伸びた長椅子へ、起こさないように彼女を寝かせた。

仰向けになる、成熟した女の肢体。胸元がしっかり盛り上がり、軽く擦り合わされた太腿が衣服越しなのに俺を誘った。頭部の重さに従い横に逸らされた彼女の寝顔は、部屋の照明の中でただただ美しくあるだけだ。

 

二の腕を掴み、顔を寄せる。

そしてそのまま、キスをした。

 

「っんぅ」

 

僅かに反応したが、起きない。酒に濡れた唇が艶かしく照り輝いて、そこを当人の知らぬ間に奪った事実でパンツが湿る。下着の内側に先走りの汁が吐き出されて、早くも俺の興奮は最高潮だ。

 

太腿に頬擦りをしながらゆっくりと下を脱がす。起きるだろうか。多分起きるな。起きたらどうしようか。

悩みながらも手は止まらない。いざとなったら逃げ出そう、とか既に脳内では聖王国からの逃走計画が練り始められていた。いや終始力押しで成功するだろうけど、こんな事なら最初の偽名を貫き通すべきだっただろうか。

だが反省はしない。俺は、セックスしたいんだ。そのためなら頑張れる。

 

レメディオスの履く色気の無い下着に若干気落ちし、興奮を取り戻すために乳を揉む。

ううむ、直に触れば中々のボリューム。これは良いぞ。

裾から突っ込んだ片手が騎士団長殿の胸を揉み。酔いの最中でも正しくあろうと尊敬の念と常の努力を忘れない彼女の性根を思い出しつつ、いい加減ズボンが苦しくなってベルトを外す。

頑張り屋なレメディオス。酔って出た本音の中でさえ、主や妹を想い続ける素直な彼女。

そんな女をこれから穢す。具体的に言うと ちんこ挿れて処女を喰う。

ごめんねレメディオスちゃん。でも俺、自分の下半身は裏切れないんだ!

 

「……なにを、してる? えるやー?」

「ひぃ」

 

起きた。

 

レメディオスが、起きた。

そりゃそうだ。さっきから思いっきり おっぱい揉んでるし、下も脱がしたし。これで起きなかったら彼女の今までの研鑽と戦闘経験は何だったのかと言いたくなる。だがヤバイ。俺がヤバイぞ。助けてハムスケ!

見れば彼女の顔はまだまだぼんやり、ハッキリしない。酔いが抜けたわけではなかった。ならば、どうする。

 

「えるやー?」

 

今なら誤魔化し逃げ出せる。だが、だからと言って諦められるか?

レメディオスだけならば騙せるかもしれない。誠心誠意土下座すればどうにかなる、多分。だけど彼女の妹や主、特に妹のケラルトは一筋縄ではいかないのだ。あいつからは腹黒の臭いがプンプンする。俺のお陰でカルカと敵対する貴族共を間引く事が出来た、とか笑って言うような怖い美人さんなんだぞアイツは。

……よし、方針決定だ。

 

レメディオスにキスをする。

 

「好きだ」

「える、……えっ?」

「好きだ、レメディオス!」

 

つまるところ何時もの選択。――勢いで、押し切る。

勢い任せに、彼女の乳を搾り出すように揉みしだく。半端に脱いだ己のズボンを更に下ろして、ちんこを露出。色気の無い下着、というか下穿きと呼ぶべき女のそこへ、勃起したモノを押し付けた。俺の熱さが、間違い無く彼女自身に伝わるように。

 

「は? ま、えっと、待て! まてエルヤー!」

「待たーん!!」

 

イケる。相手は俺の勢いに押し負けている。このまま押せば、多分ヤれるっ、と良いなーって!

好きだ、と叫ぶ。素敵だ、と囁く。何時も見ていた、彼女の良い所を幾つも並べた。聞こえるように、何度も言う。その内心は何時もと何も変わらない。

抱きたい。ヤりたい。というかそろそろ出そうなんですけど。もう挿入しても良いのかな!?

 

「そっ、――そういうことは結婚しないとシちゃ駄目なんだぞっ!!」

 

乙女かっ!!!!!!

 

拒否されたのだが、俺はむしろ昂ぶった。乙女か。うん、乙女だ。この純情乙女め。そんな事言われたら好きになるだろ。

服の中に潜り込ませた俺の両手が、いよいよもって無遠慮な力でレメディオスの乳房を嬲る。

状況を理解した彼女の顔は、酔いだけでは無い別の理由で赤く染まっていた。この反応、絶対処女だ。ただでさえレズ疑惑有りなのでそうだろうとは思っていたが、立場と年齢に見合わない初心な反応は正に俺の好みのド真ん中。

 

「大丈夫だ、レメディオス。俺に任せろ」

「まかせ、っそ、結婚するという(そういう)意味なのか!?」

 

普段から察しの悪い彼女だが、今回はちゃんと察せたらしい。

そうとも。全て俺に任せればそれで良い。

 

――何か問題あったら逃げるから、俺!!!

 

だってセックスしたいだけだもん!! もうさっきから股間が暴発しちゃいそうなんですぅー!!

早くヤらせろやオラァ! という気持ちを篭めて、もう一度レメディオスにキスをした。

びゅる、と腰の辺りに違和感が生じた。おや幻聴かな? ちょっと擦り付け過ぎたのかもしれない。

 

身体を起こし、肉感的な成人女性の全身を見下ろした。腰を突き出し、俺を見上げるレメディオスに固く尖った陰茎を見せて威嚇する。驚きに目を見開いて、彼女の身体が硬直した。

ぼとりと落ちた白濁が、聖騎士レメディオス・カストディオの腹部に汚れた劣情の色を塗る。

 

「挿れるぞ」

 

脅しかけるように一方的に、震える声音で宣告した。

ぐ、と押し当てた先端が侵入していく。

固い。狭い。そしてやはり固い。イイ年をした女がこれとは、性的なものに縁が無いにも程がある。ひょっとすると、自慰さえ ろくにしていないのではなかろうか。マジか。

 

無理矢理入れる。子供ではないのだ、ある程度痛くても我慢出来るだろう。

 

「うぅーっ、いたい、いたいぞえるやーっ」

 

泣いとるやんけ!!! 全然我慢出来てないぞ、この子!!!

 

慰めるように頭を撫でて、頬や唇にキスをする。酔っているのもあるのだろうが、この状況で幼児退行とはちょっと俺にはレベルが高い。もっといやらしい感じの睡眠姦を想定してたのに!

尻を撫でながら腰を揺すった。張りのある乳を揉みながら、こんなエロい身体なのに、と溜息を吐く。ちょっと興奮が冷めてきた。

 

「えるやーっ、えるやぁーあ」

 

エルヤー君なら、多分今でも帝国辺りでワーカーやってるんじゃないですかね。

 

ひょっとすると泣き上戸だったのかもしれない。そうとするなら作戦を間違ったという事だ。こういう時、魔法詠唱者なら魔法でどうにでも出来るのだろうが、俺はぷにっと萌えに「え、魔法詠唱者やりたい??? ……お願いですから前線で剣振ってて下さい」と言われる生粋の脳筋職。モモンガさんみたいに自分の魔法全部憶えたりとか絶対無理なので仕方ない。

 

仕方ないのでカリ首まで入った辺りで、あとは乳と尻を揉むだけで処理をする。

あー、勿体無いなあ、このスケベボディ。せっかく勢いでセックスにまで持ち込んだのに、見た目潔癖そうな聖騎士団長の身体を好き放題弄り回すだけで終わってしまうとは。

軽く乳首を指先で抓んで、小刻みに震えるように腰を揺すって射精する。膣口のみでの ちんこへの刺激。ほぼオナニーだが、射精の快楽は嘘吐かない。レメディオスの肢体をオカズに、自分だけ気持ち良くなって精液を吐き出した。

 

「わたしは昔からべんきょーも駄目で」

「大丈夫、レメディオスが頑張っている事を俺は良く知っているよ」

「うーっ、ほんとうにやさしい奴だなおまえはー」

 

べそべそ泣き言を言う酔っ払いを相手に、それっぽい慰めの言葉を口にするだけでオナニー続行。

太腿を揉んでいるだけでも結構良いな。意外と可愛い形の耳を舌で舐めて、せめて自分の匂いを擦り付ける。レメディオスの身体をうつ伏せに転がし、ちんこを引き抜いて尻の谷間や下穿きの間に挟んで揺する。ふへへ、良く鍛えられたケツしてんじゃねーか姉ちゃん。とか脳内だけで自分が興奮しそうな台詞を並べ、そのまま尻穴にわざと被さるように熱い精液を吐き出した。

 

――その翌日。

 

「エルヤー。昨夜の話だが、式は何時にするんだ?」

 

一度ヤっただけで俺の彼女面するレメディオスが其処に居た。

 

クソァ! 膜も破ってねーんだぞこっちは!!

つーか酔ってたんじゃねぇーのか! 変な事ばっかり憶えてやがるしよおおおお!!!!

あー、もぉー! さっさと聖王女に手ぇ出しとけばなーっ!! あ゛ーっ!

というかその話、表でするんじゃねぇーぞコラーっ!!

 

 

 

 

何の変哲も無い金属剣が翻る。

ただそれだけの動きで、彼の間合いに入った複数の亜人達が身体を二つに分割されて、物のように地へ崩れ落ちて生命活動を停止した。

 

「すごい……」

「剣以外取り得の無い雄でござるからなー。手が無くなったら価値無しでござるよアヤツ」

「ハムスケェ! 聞こえてるからなハムスケェ!」

 

思わず感嘆の言葉を漏らせば、私を含む聖騎士団員を守ってくれている魔獣が詰る。それに文句を言う彼、――若き英雄の言葉は、同格の相手に対する気安いものだ。どちらの発言も全く欠片も遠慮が無くて、本当に互いを信頼し合っているのだと素直に思えた。種族の垣根さえ越えたその関係には、私でも少しばかり憧れる。

 

気が付けば、私達を襲っていた亜人は一匹残らず斬り殺されていた。

鈍い銀の刃を振り払い、血潮を散らす凛々しい背中。あれは私が手にしている剣と変わらない、何の変哲も無い訓練兵用の支給刀剣。同じ武器、だと言うのに互いの戦果は天地ほどにも掛け離れていた。

 

圧倒的過ぎる、強さだった。

あれが九色を超える者。兵役に就いて早五日で二つ名を得た、聖王国の若き英雄。

 

罪人エルヤー。

 

「かーえーるーぞ、っと? んー? そこの娘は……」

「おやおやっ、またナンパでござるか穀潰し」

「なんでお前最近俺に対する当たりが強いの???」

「そっ、それがしの御尻に何をしたか忘れたでござるかー!?」

 

お前のクソ穴とか知らんし、と胡乱気な目付きで英雄殿が吐き捨てた。

なんというか、こう、間近で見るとイメージが違う。確かに強いのだけど、彼には私のお父さんのような、威厳と呼ぶべき気迫が無い。まるでそこらのチンピラのような言動だ。

 

いや、助けられた身で何を無礼な。

進み出て、彼へと向かって頭を下げる。魔獣にも当然、守って貰った礼を言う。

助けてくださってありがとうございます、と言おうとしたのだ、が――。

 

「もしかして、ネイア? ネイア・バラハ?」

「えっ。……あの、はい。そうです、あの、何処かで?」

 

何処かで、会った事があっただろうか。そう問うたつもりだったのだが。

突如頭を撫でられて、間近に迫った彼の表情が綻んだ。

 

「へー。成程、うん、全然イケる。ナザリックで耐性付いたか。よくよく見ると可愛いな!」

 

かわいいな。

 

かわいい、な?

うん?

 

とても美しい男性が、白銀の獣を傍らに置いて私に微笑む。

何を言われたのか分からない。何を、言ったのだろうか、彼は先程。

可愛い? なにが? わたし? わたしが? 私に対して言ったのか、今のは。

こんな目をした女の私を、こんなに綺麗な人が。何と、言ったのだろうか。わからない。

 

可愛いなんて、身内以外からは初めて言われた。

頬が熱い。

嘘みたいだ、聞き違いでは無いだろうか。

 

「やはりナンパではござらんか! 次の定期連絡(メッセージ)で密告待ったなしでござるよー!!」

「はあっ!? 普通に喋っただけだろーが! その尻尾引き抜くぞオラァ!」

 

魔獣の毛皮に紋章が浮かび、数種の魔法を放って駆ける。

対する彼は、全て剣一本で斬り捨てるか身を躱し、地を這って距離を詰めると魔獣の巨体を空へ向かって打ち上げた。

また負けたでござるーっ、と吼える魔獣の影を見上げて、私達生き残った聖騎士団員はただただ呆ける事しか出来なかった。

 

ただ、うん。

可愛いと言われた事は、嬉しかったな。と思ってちょっと笑った。

 

 

 

 

んっ、と口中から引きずり出された ちんこの表面に吐息がかかる。

ぬらぬらと濡れそぼつ肉の棒が、射精の直後で力無く垂れた。

 

「もう終わりですか?」

 

それを嬲るように、ケラルト・カストディオが俺を笑う。

 

くそう。こいつ手馴れて、はいないな。ナーベラルの方が全然上手い。見て分かるくらい頑張ってはいるが、それだけだ。経験自体有るのか無いのか微妙なところ。それでもイカされる俺に関してはこの際無視する、考えない。

 

だが口先だけとはいえマウント取られるのは嫌だ! なので頑張る。

みちり、と身体強化スキルの影響を受けたブツが身を起こした。表面に塗布されたケラルトの唾液が、僅かな明かりを跳ね返して雄々しく輝く。

 

「む、」

 

見た目だけなら大人しそうな長髪美人が、軽く口を噤んで ちんこを睨む。

白い指ぬきグローブの手が伸びて、弄ぶように、震える肉棒を優しく掴んだ。んあーっ、と意識せぬまま俺が喘ぐ。前線で剣を振るよりも後方で魔法を扱う神官という立場上、余り固く鍛えられていない細い手指。ケラルトの手はとても華奢で、触られるだけでも気持ちが良い。手袋越しというのも新鮮だった。

 

女性的ですらある装いの神官服を着た綺麗な彼女が、今は膝を突いて俺の股座で手淫に耽る。

やばい。すごい。と快楽に負けて語彙力が死んだ。

 

「それで、この指輪の効果は何ですか、エルヤー」

「ぅ、エルヤー、じゃ、無、っああ」

「いいから早く教えて下さい。でないと、また今日も、挿入せずに出ちゃいますよ?」

 

そう言ってケラルトがまた笑う。ドSの笑顔で楽しそうに、俺のちんこを可愛がってくれていた。

一方的に責められて、なのにそれが気持ち良い。おかしい、こんな筈では。どうしてこうなったんだ。

 

彼女の言う指輪とは、俺が渡したユグドラシル産のアイテムだ。レベル100プレイヤーなら一目で要らないと判断するような、しかしこの世界の人達にとっては貴重な宝物。端的に言うとステータスの微量増加効果を持つアクセサリーだった。

 

――そう、俺はケラルト相手に援助交際をしている。

 

美人と噂の聖王女に夜這いックスするために王城へと侵入した俺とハムスケ。今考えると、其処で第一次遭遇を果たした金髪美人が当のカルカ・ベサーレスだったのだが、その時の俺は気付かなかった。

隔絶した実力差があるのだから、いざとなればどうにでも出来る。そう考えて余裕綽々で捕縛されると尋問室へ。うろ覚えの記憶から適当な偽名を引っ張り出して、この茶髪さんも結構美人だなー、とか考えていたのだが。ふと気付けば、王城侵入の罰則適用で訓練兵扱いの強制従軍、罪人兵士エルヤー・ウズルスが誕生していた。

 

要するにハムスケが全部悪い、完全論破。

 

なんで俺より聖王女に懐いてんの、アイツ? オバロのマスコットキャラである自覚は無いのか。

くそう。くそう。でもすっごく親しみやすくて離れられないの。

 

話を戻すが、かくして俺は訓練兵、ハムスケは俺と契約した騎獣となった。

別にその時点で国から逃げ出しても良かったのだが、件の聖王女カルカたんが理由はともかく俺達を庇い、聖王国軍部の超末端に組み込まれたのは別に悪い事でも無かった筈だ。

良い感じに活躍して、女性側からの好感度を上げて、素敵、抱いて! みたいな。そんな感じの展開を想定していた。しかし現実には、血が流れなかったとはいえ正真正銘の罪人扱いなので割と遠巻きにされており、強引に実力を示しても寄って来るのは汗臭い男の兵士ばかり。

 

……ナザリックに帰りたい。帰ってちやほやされたい。何故俺はこんな臭そうな職場で頑張っているのだ。

 

ストレス溜まったので訓練と称して兵士達を薙ぎ倒し、薙ぎ倒し、薙ぎ倒し続け。挑んで来てくれる奴が居なくなったのでハムスケと戯れていたら今度はレメディオスが寄って来て、勝って倒して転ばせて、何故か他の九色とまで戦う事になり、気が付けば何時の間にか聖王国最強の訓練兵と呼ばれるようになっていた。

 

ラノベか!!!!!

立場は一番下だけど実は国内でも一番強い、とか。ラノベか!!!!

 

違うんだよ、俺はエロい事がしたいんだ。そっちの意味でちやほやされたいわけじゃない。

もはや拘束用の首枷手枷どころか、罪人という呼び名さえ中二病めいた一種の異名、俺の社会的名誉(ステータス)となっていた。今此処にラキュースが居たら絶対興奮(キュンキュン)してるだろう。ああ貴族おっぱいがこんなに恋しい。

 

ケラルトが俺へ個人的に接触してきたのは、彼女の姉レメディオスを倒した辺りの事だっただろうか。

 

俺は素の実力を隠していないが、同時に持っているアイテム類に関しても特段秘匿など意識しない。だって便利だし、神器級でもなければ人目に晒しても損は無い。例外と言えばレイプレイ用のゴーレム類くらいだろうか。るし★ふぁー謹製の便利集団だ。最近使ってないけど。

渇きを覚えれば無限の水差しで喉を潤し、お腹が空けば食料系アイテムでお腹を満たす。

亜人討伐で怪我人が出れば回復アイテムを放り投げ、気紛れで直剣ハリセン長葱ドリル、その時使いたい武器で思う様自由に戦った。アベリオン丘陵の亜人種くらいなら別に木の棒でも勝てるけど。

 

俺を観察したケラルトは、それらを利用出来ると考えたのだろう。

――なのでこうなった。

 

「ふああっ、ま、待っ、て、けら、るとっ」

「うっふっふっふ、ココが良いの? ねえ?」

 

やっぱり ちんこ挿れてねーじゃねーか!!!!!!

 

これでは俺が一方的に責められているだけだ。俺は、俺があひんあひん言わされたいわけじゃない、俺が、あひんあひん言わせたいのだ!!! せめてもう少し脱げよ!! おっぱい見せろ!! くそう! 気持ち良いなー、もーっ!

 

「おっぱい好きですよね、エルヤーは」

 

これみよがしにエルヤーと呼ぶ、ドSの女神官。本名を知っているのに口にしない焦らしプレイだ。

白を基色とした清楚な神官服が割り開かれて、大きめの乳房が晒される。その谷間に、ふわりと俺のちんこが包まれる。駄目(らめ)ええ! おっぱい気持ち良いれすうっ!

 

汗で湿った谷間の肉が、やわやわと俺の比喩的表現(ユグドラシル)を愛撫する。

強い刺激ではない。だが、視覚的なものだけで俺を昂ぶらせるには十分過ぎた。

見た目清楚なのに、凄く美人なのに、にやにやと笑みを浮かべながら丸出しの乳房で男の性器を挟んで扱く。彼女の立場を考えれば、こんな時間のこんな場所で、こんな事をしているなんて誰が想像するだろう。

 

柔らかな肉に包まれたまま射精する。谷間の内側、見えない場所でどくどくと白を吐き出した。

息荒くケラルトを見下ろせば、大きな乳房を持ち上げるとその谷間を開き、ブチ撒けられた精液を細い指先で彼女が掬い、見せ付けるように伸ばした舌の上にゆっくり広げた。

エローい!

あ゛ーっ! また勃起しちゃうですぅー!

 

「まだイケますよね?」

「ぅ、うん……っ」

 

そして今日もまた、ケラルトのまんこに出会う事無く俺は果てた。

ちくしょう! 本当にこの姉妹はよぉーっ!! セックスさせろよ、いい加減にさああー!!!

 

 

 

 

気が付けば南部貴族からの不平不満、弱腰の聖王女(わたし)に対する悪評までもが減り始めていた。

 

きっと彼の働きのお陰だ。彼の本格的な活躍以降、月に幾度かある亜人による散発的な襲撃どころか、東のアベリオン丘陵での種族争いそのものが沈静傾向にあるようだ。

無論未だ安心するには早過ぎるが。それでも、これらの動きは戦い疲れた民の心を慰撫してくれる。

他の者達、レメディオスやケラルトを始めとする軍部だって頑張ってくれているのだ。本当に、本当に私の心には感謝しかない。もっと私も頑張らなければ、と強く思った。

 

起点は彼だ。罪人エルヤー。罪人、などという呼び名も、どうにかしなければ。聖王国のためにこれほどの働きを成してくれた方を、何時までも悲しい二つ名で苛むわけにもいかないだろう。きっと皆も納得してくれる。さて、何と呼べば彼は喜んでくれるだろうか。

美しい容姿、類稀なる実力、しかしそれらに溺れて傲慢な振る舞いをするわけでもない、少しやんちゃな年頃の異性。

 

「さば味噌さま……」

 

未だ照れ臭くて呼び慣れない彼の名を、口中で甘く躍らせた。

さま、などという敬称を付ける事への抵抗も無い。だって、今や彼の名前を知らない聖王国の民など居ないのだ。その働きを考えれば真実英雄、私と共に優しい時代を築いてくれるかもしれない、愛しい――。

 

「今度、御食事に誘ってみようかしら」

 

ああ、それは良い。自分で考えて自賛する。

一国の王との食事の席なんて何を意図したものであろうと、きっと堅苦しいものがある。けれど彼なら気にしない。そうと信じられるだけの振る舞いを、間違い無くこの目で見てきた。

仲を深めて、それで、それでやがては……。

 

「んっ、」

 

大き過ぎるという程ではないが、豊かに実った乳房を揺する。

いけない。そう思っても、己の手指が勝手に動いた。

仲を深めて、それで、けっ、結婚などをしてしまえれば、きっとそういう(・・・・)事をするのだ。想像するだけで少し、はしたない事を言うが、お腹の辺りが熱くなった。

 

彼はどのような女性が好みなのだろう。

 

容姿には自信がある。何時か出会う殿方のために、好きになって貰えるように、ずっとずっと磨いてきたのだ。ローブルの至宝と呼ばれる事は気恥ずかしいが、それは同時に己の美に対する自負へと繋がっている。

嫌われる事は、恐らく無いだろう。だが、好かれるかどうかはまた別だった。

 

少しくらい、こういった性的な部分を見せた方が良いのだろうか。はしたない、と忌避されないだろうか。けれど、この機会を逃がしたくは無かった。彼ほどの男性が他に居るのか。これまでの生涯では出会えなかった、国を救ってくれるかもしれない優しい人など、次を期待するほど夢は見れない。

無邪気に笑うその姿。美しい剣舞を生み出す彼の横顔。あれらが何時か、私のこの身に触れてくれれば――。

 

「さばっ、みそさ、まっ」

 

尖った乳首を指の腹で激しく擦る。肌蹴る事無い衣服越しの、僅かだけ遠い感覚がもどかしい。

股の間に挟んだ腕が幾度も揺すられ、秘所を刺激して視界が暈ける。

どんな風に触ってくれるのだろう。どんな顔で愛してくれるのか。無垢なドレスに身を包んだ私自身と、褥の中でそれを組み敷く彼の姿を脳裏に描いた。

 

絶対。絶対、絶対、絶対に逃がさない。彼を逃せば、きっともう無い生涯唯一の好機なのだ。

やっと見つけた。少しくらい、はしたなくとも構わない。そっと身を寄せるだけでは押しが弱い。

 

彼をこの手で捕まえたい。

 

「さば味噌さまっ、わたし、私をっ! 早く、私を――!」

 

そしてガチャリ、と。

鍵の掛かった扉を開いて、彼が姿を現した。

 

……えっ?

 

 

 

 

俺の名前を呼んでオナる美女の気配がしたから不法侵入しました。

嘘です。

 

実は時折遠隔視の鏡使って裸とか見てましたー! セックスは良いけど、覗きも良いよね!!

なんか良く分からないけど、知らない間に俺への好感度が上がっていたらしい。あるいはレズ疑惑出るくらい異性に縁が無いから、オカズになる男が俺くらいしか居なかった、とか。そう考えるとカルカも寂しい奴である。手持ちの微エロ画像とかプレゼントした方が良かったかな? かな?

何はともあれ勃起する。

 

「ぇ、あ、あのっ、そのこれはっ」

 

血の気が引いて、カルカの顔が白くなる。

それはそうだ。あんなに激しいオナニー見られて平気平然としている女性とか、俺の方が嫌だし。

 

つまり、イケる。弱みに付け込みマウント取って、あとは謎の好感度上昇処理がうまい具合に働いてくれる、と良いなーって! 希望的観測をねっ!

 

どちらにしろ、俺も我慢の限界だ。この国に来てから一度も満足にセックス出来てない。王城侵入の罪人扱いだし一時でも姿を消したら関係復旧無理そうだから、全然ナザリックに帰ってないのだ。もうおちんちんがパンパンです。

聖王女様も欲求不満が極まってるみたいだし、これはwin-winの関係という奴だろう!?

 

扉を閉めて、カルカの腕を掴むと部屋の寝台に押し倒す。

俺の突然の行動に、真っ白な顔のままでカルカが何がしかを口にした。しかし当然の事ながら無視。この状況で格好付けたトークなんてしたところで、また台詞噛むだけだから! 知ってるんだぞ、俺は! 経験済みだからな!

 

「さばみそさま――」

 

細い二の腕が、これから抱く女の肉付きを教えてくれる。

生粋の後方支援職。多少の鍛錬は当然重ねているのだろうが、脱いだら腹筋バッキバキとかいう悪夢の可能性は全く無い。つまりセックスだ。セックスをするのだ。

 

「カルカ」

 

名前を呼んだ。何時もは立場を弁え敬称を付けるが、ベッドの中なら俺が上だ。いやただの願望だけど。

 

今は夜。部屋に備え付けられた照明の中で、彼女の顔が僅かに火照った。

オナニー覗き見していたせいで、既に俺のムスコは臨戦態勢。覆い被さる体勢で見下ろして、真っ直ぐに彼女と視線を合わせた。

 

「抱くぞ」

 

ちなみに嫌って言ったら即レイプルート直行です。

 

数秒の間を置いて、カルカが両手で顔を覆った。僅かに見える肌は真っ赤だ。

真っ白なシーツの上に広がった、美しい金砂のような髪がただそれだけで神秘性さえ感じさせる。

白い神官服。聖王の地位に在る彼女のための衣装の下で、未だ誰も手を付けていないローブルの至宝が俺の情欲を刺激した。

これから無茶苦茶にされるというのに、身体の下で俺を見上げる女は凄く綺麗で、だからこそ強く興奮する。

 

「はい。カルカを、……抱いて、下さい」

 

言質は取った。もう止まらない。

 

小さな唇、聖王女の可憐なそれを貪った。

乱暴過ぎたのだろうか、カルカの側から抵抗があった。なので両手首をそれぞれ掴み、脇に押しやる。

ベッドの上に押さえつけたまま、何度も何度も唇を嬲った。最近上手く行かなかったから鬱憤が溜まっているのだ。部下である姉妹の行いのツケなのだから、上司である彼女に責任を取って貰わねば。膨らんだ股間を育ち切った骨盤の形に擦り付けながら、震えるカルカの唇を丹念に味わう。

 

目蓋を閉じて、時折薄く開き。カルカの視線が俺を見る。

もっと気遣いをするべきなのだが、無理だ。我慢出来ない。

 

「俺を想ってシていたのか?」

「それは、」

 

答えは聞いていない。口を離して意識を逸らし、彼女の手首から離した両手で乳を揉む。

先程まで弄り回されていた大きな胸だ。質の良い生地が、俺の動きで柔らかに歪む。揉んで扱いて、乳を搾るように乱暴な愛撫を繰り返す。堪え切れないカルカの声が、艶のある音が俺の耳朶へと確かに届いた。

 

衣服越しの、見えない乳首に吸い付いた。

その間に胸から離れた両手で腰を抱える。適齢期の腰付きは実に良い。太い尻と腿の肉は丸く実って触り甲斐があるし、ここから先の性交への期待がいや増していく。

尻を撫でて腰を押し付けた。太腿を摩りながら、長い布に包まれた内側の形を確かめる。

 

「いやらしい身体だな」

「そんなことっ、ああ、そんな事を言わないで下さい!」

 

身を捩るカルカの抵抗が弱い。

頬は赤く染まり、乳房は実に柔らかかった。腰をくねらせる仕草が凄くエロくて、聖職者はやはりこうでないとね、とエロ漫画発祥の要らぬ邪念が脳裏を過ぎる。

 

女の腰を覆い隠す、神官が纏う聖なる衣服を捲り上げた。

見えてくるものを隠そうとしたカルカに対し、腕を優しく跳ね除ける事で抵抗は無駄だと身体で教える。

衣服と似た色だがもっと白い、細かな装飾を施した綺麗な下着。なのに湿って色を変える有り様を隠しきれずに、聖王女の秘められた箇所がようやくにして晒された。

 

濡れてるぞ、と告げれば恥ずかしがるカルカに、俺の股間が大きく震える。

もう出そう。一刻も早く入らなきゃ。

姫カットの金髪美女が、ローブル聖王国の至宝、カルカ・ベサーレスが唇を震わせて口を開いた。

 

「わた、わたしと。さば味噌さま、私と結婚して下さいますか……?」

 

燃えるような瞳が言う。何処かで聞いたような台詞であった。

此処で既婚者です、と言ったらどうなるだろうか。僅かながらの悪戯心が疼きだしたが、それよりもセックスしたくて堪らなかった。まんこの中にちんこ挿れないと、何のために聖王国に来たのか分からなくなる。

だから誤魔化す。

 

キスをする。

 

優しい、触れるだけのキスをした。舌を入れない、強く押し付ける事も無い。

触れたそこをゆっくり離して、カルカに微笑む。

 

「ああ……っ!」

 

凄く嬉しそうに、聖王女の瞳が潤む。

肯定はしていない。繰り返す、肯定の言葉は口にしていない!

俺は知っているんだ、この人結婚願望強いって事。だから言質を与える事だけはしなかった。どちらにしろ現役の女王様に手を出したら明日から周辺関係が凄い事になるのだろうが、明日の事は明日の俺に押し付ける。今日の俺は俺らしく、とにかくセックス出来れば良い。

 

考えるな、射精するんだ。俺にはきっと、それだけで良い。

 

下着越しの聖なるまんこに、強く舌を押し付けキスをした。善がるカルカに構わずに、さっさと下着を引き下ろす。綺麗に整えられた金色の陰毛、その下にある未使用の女性器。もう少し、もう少しだけ耐えてくれ、俺のムスコよ。すぐ入るから! すぐに挿入してあげるから!

 

「挿れるぞカルカ」

「はい。来て下さい、――あなた」

 

ぞくっとした。

あなた、って呼ばれて背筋が冷える。いかん。萎える、萎えるぞこれは! 要らぬ情念で意識が逸れる。

 

うおおおおおお! はいれええええええ!!!

 

触れた感触はふわっふわだった。初挿入の筈なのに、カルカのそこは無茶苦茶柔らかく俺のちんこを包み込む。

我慢出来ずに噴き出した。射精しながら、腰を強く掴んで押し込んでいく。

入ってしまえばこっちのものだ。頼む、気付くな。俺は早漏かもしれないが、良い早漏だから。胸中で言い訳しながら奥へと突き入れる。膜の破瓜とか、察する余裕は欠片も無い。多分破った。赤いの見えたし。

 

幸い、カルカは初めての感覚に両目を閉じて耐える構えだ。射精した事は気付かれてない筈。

限界まで突き入れる途中、もう一度だけ射精しながら誤魔化すように尻を揉む。強く、真っ白な彼女の肌に俺の手形が残るくらいに。痛みでカルカが呻いたが、声がエロかったので気にしない。

 

ローブルの至宝にちんこを挿入。達成感に打ち震えながら、服を割り開いて生乳を求める。

当然こちらの下着も白い。丁寧に撫で摩り、一頻り感触を楽しんでから引き剥がすように素肌を晒させた。

ふるりと震えた果実の頂点。乳首綺麗だよ、とわざとらしく口にしながら遠慮無く吸い上げる。晒された乳房を隠すためにカルカが両手を動かすが、再度捕まえて脇にどけた。

 

上は胸を晒して股間は性交真っ只中、両手を掴んで両脇で固定、蛙のように開いた両足。その、無理矢理犯しているような光景に酷く興奮してしまい、もう一度内側で射精する。

 

ああ、とカルカが小さく喘ぐ。痛みがあるような様子も無い。いや、有るかもしれないが、分からなかった。

聖王女カルカ・べサーレスが、ちんこ嵌められながら乳丸出しで、オッパイ吸われながら両手を拘束されて気持ち良さそうに喘いでいる。最高だった。今までの我慢も今日この時のためのものだったと納得出来た。

 

射精する。

 

溜まったものが噴き出すように、一切遠慮無く精液を注ぎ込む。

内の衝動に従い腰を振る。ぱつぱつと音が鳴り乳房が揺れて、金色の綺麗な髪だって振り乱された。両脚が俺の左右でブラブラと揺れて、傍から見たらどんな光景かと笑って思う。

犯している、という気持ちになれた。俺に抱かれているのだ、と教えてあげたい。

 

「カルカ、すごく気持ち良いぞ、お前の、なか!」

「あ、ああ――っ」

 

耳元ではっきり教えてやれば、更にカルカも大きく喘ぐ。

目蓋を閉じていてさえ、今の状況を強く認識しているのだろう。声に反応するように、膣内が俺のモノを締め上げた。それに構わず腰を振り続け、綺麗な首に強くキスをして跡を刻んだ。

呻き声を上げながら、またカルカの中に射精する。

 

「っはあ、は、ふう」

 

呼吸に合わせて汗が落ちた。

ここ暫くの欲求不満が全部吐き出されたかのような、久しぶりの充足感。

 

ぐったりとしたカルカの姿。呼吸で震えるおっぱいを軽く指で叩いて大きく揺らし、ついにヤってやったぞという達成感と共に最後にもう一度だけ腰を突き出す。あ、と虚ろな女の声が室内に響いて、そこでようやく引き抜いた。

何度出したか数えていない。身を起こして彼女に跨る。どろどろのちんこを倒れ伏すカルカの乳房に挟み、ケラルトの時とは違い俺個人の意思でもって腰を振りながら慰める。

 

性行で力尽きて息も絶え絶えな聖王女様のおっぱいは最高だった。濡れ鼠となったような汗だくの感触が実に良い。徐々に広がっていく精液と愛液に破瓜の血さえもが混ざり合い、胸の谷間は酷い色をしていた。

両の乳首を抓んで引っ張り、丸々とした紡錘形に伸びた乳房同士の真ん中で精液を吐き出す。

 

なんという背徳。国を想う優しい為政者の乳が、今だけは俺のための性具に過ぎない。見れば初体験の疲れから寝入ってしまったらしいカルカが見える。その顔の横にまで移動して、軽く口を開けると ちんこを突っ込む。んあー! やっばいなコレ! きもちいいぞ!

 

意識の無い金髪美女の口の中で一頻りちんぽを掃除すると、綺麗な金髪に包んでモノを拭く。金砂の髪がどろりと汚れて、不敬な感じがとっても嬉しい。正直口の中で射精したかったけど、流石にそこまでヤったら起きるだろう。好き勝手やりたくはあるが、バレて無闇に悪感情を煽る事も無い。仲良くなったら普通にちんこ咥えてくれるかもしれないし!

 

「カルカ。最高だったぜ、お前の身体」

 

反面、お前の取り巻き二人は性的な意味で凄くアレだったが。

 

聞く者も居ない台詞をドヤ顔で告げて、一人満足気に服を着る。

一応髪の毛とか綺麗にしておいた方が良いのだろうか。いやしかし、朝起きて自身の惨状に気付いたカルカの様子も見てみたい。うーむ悩ましいぞー。

事後の満足感に浸りながら、俺はようやく果たされた当初の目的に上機嫌であった。

 

そう。上機嫌、だった。

 

――この時までは。

 

 

 

 

「実は昨夜、その、さば味噌さまと――」

 

照れ臭そうに、しかしとても嬉しそうな顔で告げるカルカ様のお顔が、よく見えない。

傍らでカップに口を付けていた姉様が「さばみそ? 誰ですかソレ」とか頓痴気な事を言っているが、その内容が全く己の耳へと入って来なかった。

 

本名、さば味噌。偽名、エルヤー・ウズルス。

情事の場でエルヤーと呼べば嫌そうな顔をする彼の反応が可笑しくて、何時も何時も顔を合わせる度にそう呼んでいた。

手で弄ってあげたり口で弄ぶだけで幾らでも希少な道具をくれる、便利で可愛い私の愛人。

 

そうだ。――わたしのだ。

 

別に恋人では無い。真正面から求められれば、まあ、考えてあげなくも無いが。今のところそういった事は起こっていない。いや好かれている確信はあるのだ。ただ気が付けば苛めてしまっているというか、最後まで事を致す機会が無いと言うか。ひょっとすると彼は、私が損得勘定のみで淫らな行為に耽るような、その、ふしだらな女だと思ってはいないか、と少しだけだが心配になる。

 

だから彼は私のでしょう? ……えっ?

 

「とても情熱的で」

「分かりましたカルカ様、そのさば味噌という男の元へ案内して下さい。まずは私がカルカ様に相応しいか否かをこの剣でもって確かめますので」

 

かちかちと手にした茶器が震える。

二人の会話が聞こえない。聞こえないと言ったら聞こえない。

 

どういう事だ。

 

昨日もあんなに絞ってあげたじゃないか。彼だって凄く悦んでいた。足りない筈など全く無い。

まさか、だって、そんな。やはり、腹黒そう、と呼ばれるこの顔がいけないのか。だが待って欲しい。カルカ様と聖王国のためには誰かが手を汚す必要がある。彼だって沢山の道具を用いて私の活動に協力してくれていたじゃないか。お陰で南方を良く治める目処も立った。手淫口淫はそのお礼。だから私に不満があるとかではない、筈。その筈なのだ。そうと言って欲しい。

 

「そういえばカルカ様。私も実は良い人が出来まして」

「まあ、本当なのレメディオス! それで、相手はっ?」

「はい。カルカ様も御存知であるエルヤーという男で――」

 

バキャリ、と手の中の茶器が砕けて落ちた。

 

 

 

 

「ふ、世界はかくも美しい」

 

実に清々しい朝だった。久しぶりに思いっきりヤりたい放題出来たから、俺の股間も頭もスッキリ。

だと言うのに傍らのハムスケは不満そうだ。かーっ! これだから独身はよぉーっ!

 

「なーんか嫌な予感がするんでござるよ。さば味噌、おぬしまた何かやらかしたのではござらんか?」

「はぁー? 何時もニコニコすっきり爽快、至高の男優さば味噌くんが一体全体何をするってんだよ」

「ああっ! やはり嫌な予感が増してきたでござるよう! 絶対、また何か阿呆な事を――」

 

ふと、俺達の身体に影が差す。

視線を上げれば、ちんこ挿れたのに膜が残ってるレメディオスが、剣を振りかぶった体勢で俺を目掛けて真っ直ぐに――。

 

「んん゛っ!?」

 

咄嗟に回避。背を預けていたハムスケの体躯を蹴り飛ばし、俺も同時に地を跳ねる。

 

ド、と轟音が地面を揺らした。

土煙の中でゆらりと身を起こす最強の聖騎士(レメディオス)が、感情の見えない視線を俺へ向ける。

 

「カルカ様の寝所に忍び込んだというのは、本当か」

「なん……、だと……」

 

バレていた。

ヤった翌日に周囲に知られて襲われるなんて、流石に展開が早過ぎないか。

 

「御仕置きですよ、エルヤー?」

 

地の底から這い出てきたかのような女の声。

視線だけで振り返れば、其処に立っているのはケラルトだ。

更にその背後には、不安気な顔で俺を見つめるカルカの姿。

 

こいつら、まさか全部知っているのか。

 

翌朝になって即座に枕事情込みの猥談をするとは、俺はカルカを見誤っていたらしい。婚期に焦っているだけでなく、密かな脱処女自慢までしてしまうとは。動きが早過ぎてちょっと俺では付いていけない。

いやそういえばレメディオスも、翌朝には式は何時だとか言ってたな。亜人と戦い続ける聖王国では、こういった機会は早いほど良い、とかそういう価値観なのだろうか。そんな馬鹿な。もっと俺を気遣って、そういう話題は一年くらいじっくりまったり温めて欲しい。

 

「さば味噌さま。嘘ですよね?」

「カルカ……!」

 

悲しそうなカルカの声。それに反応してレメディオスの闘志が増した。

やばい。絶対負けないけど、絶対嫌われるぞコレは。

 

ケラルトも凄い顔をして俺を睨んでいる。もっと笑顔増やした方が可愛いよ、とかそれっぽい台詞で誤魔化せそうな雰囲気じゃない。主君に手を出した犬を葬る狩人の顔だぞ、アレは。結構上手くやれている関係だと思ったが、所詮は物々交換だけの仲。ちんこしゃぶった口で死ねと言えるのだ、俺の知ってるケラルト・カストディオという女はそういう奴だった。

 

「俺は!」

 

戦闘範囲からしっかり逃げ終わっているハムスケが憎い。

周囲には俺達以外にも騒ぎを聞き付けた人が徐々に増え出し、遠目に見えるネイアちゃんの姿に助けを求めたくなったが、正直役に立たなそうなので止めておく。多少弓の才能は有るけど、結局は目付き悪いだけの子だもんね、あの子。

 

俺に出来るのは、正面突破のみ。

何時だってそうだった。竜の秘宝(ゆびわ)欲しさにガゼフをブッ飛ばした時も、ロ・レンテ城に穴を開けた時も、色んな女の子とセックスした時も、真っ直ぐに進む事こそが何時だって俺の最適解だったのだ。

 

なので、ブッ込む。

 

「俺は皆好きだ!!!!!」

 

セックスした娘はみんな好きだよ、俺はー!!

 

何の解決にもならなくても、俺は、この点に関しては嘘を吐かない!

だってエロい事したら好きになっちゃうだろうが! 俺は悪くねえ!!!

 

「っ! こ、こいつ、何て澄んだ目をしているんだ……」

 

そしてレメディオスには通じたらしい。マジか。

俺の誠意が通じた事で、一人脱落。ちょろいぞレメディオス、可愛いぞレメディオス。今度最後までセックスしようね!

 

しかし他の二人はそうもいかない。

 

「それで通じるとお思いですか、さば味噌」

「名前で呼んでくれるのか、ケラルト」

 

こんな状況だけど正直嬉しい。日頃からエルヤーエルヤー呼ばれていると、「あれっ、俺ってもしかしてエルヤーだったっけ?」って感じで自己の同一性に揺らぎが生じるんだ。エルフの奴隷とか俺も欲しいぜ。

しかし初めてケラルトが名前で呼んでくれたので凄く嬉しい。すき。セックスしたい。

 

「貴方はどうして私を、わたし、を!」

 

お前はどうして何時も俺に本番させてくれないの?

 

肩を震わせるケラルトの隣に、真打ちであるカルカ様が御出であそばした。

 

「さば味噌さま、貴方は私と結婚して下さるのですよね? ――この二人ではなく」

 

……。

んん゛っ!?

 

涙を流しながらカルカが訊ねる。この時点で、周囲からの視線はそれはもう凄い事になっていた。

だが問題はそこではない。この状況で真っ先に訊く事がそれなのか、コイツ。どんだけ結婚したいんだよ。

そりゃあ俺は至高のイケメンだが、もうちょっと身内の事想ってあげて? 何時もの優しさは何処言ったんだよお前。

 

「は?」

 

じろり、とケラルトが俺では無く、横に立っているカルカを睨む。

しかしカルカは気付かない。気付いた上で無視しているとか、そんな事実は無い筈だ。

 

まずい。どうしよう。俺のせいで聖王国首脳陣の鉄の絆がすっごくピンチだ。

 

『聞こえますか。聞こえますか さば味噌さま。今、貴方の心に直接語りかけています……』

「伝言の魔法? この声、アルベドか!?」

『違います。私は女神。淫らで美しく何時か貴方の第一夫人の座を勝ち取る、美の化身もかくやという守護者統括とは一切関係が有りません……』

「お前まだ第一夫人狙ってるの???」

 

あの件は既に決着した。順番的にも、シャルティアが永世第一婦人の筈だろうが。

突如空を見上げながら喋り出した俺に対し、周囲の人達がひそひそ言い出す。ヤメテェ! 修羅場に追い詰められておかしくなったとかじゃないから! ハムスケも「心配御無用、何時もの病気でござるよ」とか言ってるけどそれ全然フォローじゃないからあ!

 

「助けてアルベ、んんっ、女神様!」

『畏まりました。では只今からナザリック全軍をもって聖王国に攻め上がります。既に準備はデミウルゴスが』

「何やってんだよアイツはよお!!!!」

 

そういうのまだ諦めてなかったのか、あの馬鹿! 馬ァ鹿!! 泣いて納得してたじゃないか!

やるなよ? 絶対やるなよ!? 俺別にこの国と敵対したいとかじゃないからね!!

 

頭を抱えて うーうー唸る。

心配してくれたレメディオスが、先程までの戦意を散らして俺の肩を優しく撫でてくれる。だいすき。

ケラルトとカルカは先程同様、隣り合った状態で謎の牽制を行っていた。

 

周囲の人達はその内の幾らかが姿を消しており、多分今頃は俺の悪い噂が神殿辺りまで広まり始めているんじゃないかなー、って。マジで。

 

ど、どうすれば良いんだ。逃げる? 戦う? 幸い聖王国では偽名の方が通りが良い。一時姿を晦ませれば俺のやった事の大半は天武エルヤーが生涯背負ってくれる筈! いやだが、しかし! 俺まだレメディオスやケラルトとちゃんと犯ってないし!

 

「頑張ればネイアちゃんとだってヤれる筈なんだ。まだだっ、まだ逃げるには早い……!」

「!?」

 

何処からか驚く声が聞こえたが、反応するだけの余裕は無い。

 

『さば味噌さま、さば味噌さま……。ナザリック全軍、アベリオン丘陵にて布陣完了致しました……』

「やるなっ()ったろうがこのビィイッチ!!!!」

 

 

この後、本当に侵攻して来たナザリックとローブル聖王国との間でなんやかんやあるのだが、その話はまたの機会にするとしよう。

 

ただ一つだけを述べるのならば。

――次はもっと上手くやろう、と。つまりはそういう事になる。

 

 

こうして、俺の異世界性活はこれから先もやんわり続いていくのだった。




割と駆け足気味ですが、これにて当SSは完結です。くぅ疲。
ここまでの御閲覧、御感想、評価、等々本当にありがとうございました。


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