東方得露本記 (少年 G)
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プロローグ

時は平安、都の貴族の男性の間では一つの書物が流行っていた。

 

 

 その名を『竹取物語・裏』である。

 

……内容は、輝夜姫をモデルにしたエロ本だ。

 

 装丁は普通の『竹取物語』と変わらないが、中身はまったく別物だった。

学の無い者によって書かれ、文体もおかしく、下品だったが、密に流行り、中には保存用と言って、隠す貴族まで現れた。

 

 

 

 

 ――そして、100年後、貴族によって使われ、その後、隠された一冊が長い年月を経て九十九神になった。

 

……それも、完璧な人型で。

 

 

 見た目は、流石『竹取物語』と同じ!と言える見た目なのだが、いかんせん中身があれじゃ……。

 

 

 なにせ九十九神になって初めの一言めが「性欲が、溢れ出す。」である。

残念過ぎて何も言えない。

 

 

 

 これは、そんな彼がいろんな女の子と出会い、まともになる物語である。……だと、いいね。

 

 

 

 



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2話

 
 『竹取物語・裏』(たけとりものがたり・うら)は日本最古の物語と言われる『竹取物語』に登場する「かぐや姫」をモデルにして書かれた物である。成立年・作者はともに不明である。



・あらすじ
物語のあらすじとしては、貴族達とかぐや姫を中心に都の淫らな生活を描いたものである。主人公の名前は「藤原 陽斗」であり、かぐや姫に恋する人物として描かれている。
ただひたすら作者の欲望を追及した作品で、あまり良い作品とはいえないが人気があったようである。




・逸話
書かれて100年ほど経った頃、九十九神になったという話があり、一部の地方では「性と子供の神」として崇められている。


・関連文献
竹取物語
東方見聞録
東方求文史記
文文。新聞



・関連項目
かぐや姫
竹取物語
幻想郷




 

 時は、平安。太陽が地平線に沈み始めた頃。

 

 

 都の郊外の森の中を銀髪赤目の少女が歩いていた。

 

 ふいに、少女の目に木の根元に落ちている一冊の本が目に入る。

手に取り題を見ると、煤けて読みにくかったが『竹取物語・裏』と書いてあるのがわかった。

 

 

 「竹取物語……あの女についての本か。」

と、少女は憎々しげに目を細めながら呟いたあと、興味を無くしたようにポイッと捨てる。

 

 

 その瞬間。本は激しい光を発しながら変形する。

少女が手から放したその瞬間に光り始めたのは、偶然か、それとも必然か。

 

 

 どちらにせよ、少女は再び本に目を向けた。

そして、変形は最終段階へと移り……黒髪黒目の男へと姿を変えた。

 

 

 そして、男は呟く。

 

 「性欲が、溢れ出す。」

 

 「は……?」

少女――妹紅は、一瞬、時が止まったように感じられた。

 

 

 「てか、あれだよな、うん。さすがに、100年も童○じゃな。ちょっとやばいよな~。」

再び時が止まった。もしかして、ザ・ワ○ルド?

 

 妹紅は顔を赤くしながら叫ぶ。

 「あなた何なんですか!?いきなり現れたと思ったら、100年も童○なんて言い出すし!私だって100年くらい処○ですよ!」

 

 男は今気づいたとばかりに妹紅の方へ向く。

 「おぉ。ごめんな。気づいてなかったわ。俺のことは、陽斗って呼んでくれ。ふむ、にしても、処○なんてあんな大きな声だ叫ぶなんて……嬢ちゃん、なかなかの強者だね。」

 

 

 陽斗の言葉に妹紅は、元々真っ赤だった顔をさらに赤くさせる。

 

 

 「でも、ごめんな。嬢ちゃん。ちょっと……まな板はな。あんまり興奮しないんだよ。手助けできなくてごめんな。」

 

 その後もずっとごめんな。と、言ってる陽斗に妹紅は叫ぶ。

 

 「手助けなんかいりません……!!」

 

 

 「そうか……まぁ、いいや。ここらへんに色っぽいお姉ぇさんっていない?」

 

 「色っぽいお姉ぇさんなら、ここにいるじゃないですか!」

まな板のことを引きずっていた妹紅は思わず言ってしまう。

 

 

 「色っぽい……?」

 

 「そうです!!色っぽいです!!」

 

 「お姉ぇさん……?」

 

 「そうです!!お姉ぇさんです!!」

 

 「いやいや。ないだろ。」

陽斗は手を横に振りながら言う。

 

 「いえいえ。あるんです。……そのうち。」

 

 「へぇ……でも未来じゃなぁ。わかんなくね?」

 

 「じゃあ見届ければ良いじゃないですか!」

 

 「は?どうやって?」

 

 「私は今、旅をしています。それについてこればいいです!」

 

 「ふ~ん。まっいいか。」

随分と気の長い話なこって。と、思いながらも了承する。

 

 

 「じゃあいくですよ!!」

 

 「へいへい。」

 

 

 

 森に入る時は一人静かに入ってきた少女が、森から出てくる時は男を一人連れ、賑やかに出てきたのを、森の妖精たちは見ていた。

 

 

 

 

 

 



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3話

 

 「胸……大きくならなかったな。」

 

 「うるさい……!!」

 

 「背……高くならなかったな。」

 

 「うるさい……!!」

 

 「色っぽくなれなかったな。」

 

 「うる、さい……!」

 

 「100年も経ったのにな。」

 

 「うるさいって、いってるだろ!!」

 

妹紅が陽斗を殴る。

 

 

 今の会話からわかる通り、妹紅は色っぽくならなかった。

――いや、なれなかった。何故なら、100年経っても年を取らなかったからだ。だから、何も変わらなかった。

……いや、口調だけは変わったか。

 

 

 「今、そこにいる女の子が色っぽくないと聞こえたが、君が言ったのかね?」

 

 「ん? ああ、俺が言った。……っていきなり胸倉掴むのは無いだろ!? ……てか、あんた誰だよ?」

 

 「おっと、自己紹介が遅れたが私の名は、阿倍清明だ。」

 

 「安部清明って、都で最も有名な陰陽師の安部清明?腕は良いけど、セクハラすることで有名な?」

 

 「その通りだ。」

 

 妹紅は安部清明の悪評に顔をしかめている。

 

 「私の名前がわかったようだからもう一度聞くが、彼女が色っぽくないとはどういうことだね?」

 

 「逆に聞きたい。どこが色っぽいんだ?」

 

 俺は、こいつ頭おかしいんじゃね?と言う視線で

妹紅は、期待した視線で、安部 清明を見る。

 

 

 

 

 「小さい胸、低い背、子供っぽい顔。どこが色っぽくないんだ……!?」

 

 速報、安部清明はロリコンだった!!

もう一度言う、安部清明はロリコンだった!!

 

 

 

 妹紅は絶望で燃え尽きていた。

 

 

 「プッ。お前ロリコンかよ?……俺は絶対巨乳の方が良いがな」

 

 「ふん、ぶくぶくと太った女に興味は無い!!」

 

 「あ?なんつったてめぇ?」

俺と清明が睨み合う。妹紅はまだ、沈んでいる。いや額に青筋が見えるようになった気もする。気のせいか?

 

 

 

 数分睨み合っていたが、

 

 「にしても、まだエロについてこんなに語れる人物がいるとは……都も捨てたもんじゃないのかもな。」

 

 「いや、私も久しぶりだよ。こんなに語れたのは。女の子はすぐ逃げるし、男は最近流行りの草食系ばかりだし。」

 

 俺と清明はうんうんと頷いた後、堅い握手をする。

 

 

 「これからは清さんって呼んでいいか?俺のことも陽斗でいいから。」

 

 「わかったよ。陽斗君。」

 

 握手をさらに堅くさせる。

 

 

 

 

 「……良い雰囲気の所悪いけど、私の怒りパラメーター吹っ切れてんですよ。さっきから、胸が小さいとか、背が低いとか、顔が童顔とか、本人が気にしてることズバズバ言ちゃってくれて、キレても良いですよね……?」

目からハイライトの消えた妹紅が近寄ってくる。

 

 さっきのエロ談議で大きくなった息子が再び小さくなる。

 

 

 清さんなんて、泡吹いて漏らしてるし。男のお漏らしとか……キモいだけだから。

 

 

 俺、死んだかも。

これ、生き残れたら、色っぽいお姉さんと結婚するんだ。

 

 

 妹紅の拳が顔面に近づいてくるのを鑑賞した後、俺の意識は消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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4話

 

 妹紅の拳を鑑賞してから2週間がたった。

2週間前は森に住んでいたが今は都に住んでいる。

 

 理由は簡単。

妹紅の髪と目を清さんが黒色に陰陽術でしてくれたからだ。

 

 

 ……便利だよな陰陽術。俺も習おかっな?

 

 

 

 それは置いといて、とりあえず都に引っ越したんだが……俺が一番期待してた美人なお姉さん、全員後宮で働いてんだよ!?

会えたのは幼女と熟女の二種類のみ、まったく酷い仕打ちだ。

 

 

……まぁ、妹紅は同年代の女の子としゃべれて嬉しそうだけど。

……最近、妹紅が笑顔なことが多くなって俺も嬉しいけど。

 

 

 けど……俺は胸が大きくて、くびれがあって、尻もでかい。なおかつ、顔も良い!!そんなお姉さんに会いたいんだ!!

 

 

 とか思って毎日叫んでたら……清さんからお誘いがあったんだよ。美人な帝の娘――お姫様に会いに行かないか?って。

今はまず、帝に挨拶するために清さんと二人で、謁見の間みたいな所でお辞儀している。

 

 

 「面を上げよ」

帝が言うと、清さんが顔を上げる。慌てて一緒に俺も上げる。

 

 「今日は、娘の運勢を占ってもらうために呼んだ。しかし清明。その男は誰だ?一応、娘に会わせるなら聞いとかなければな」

 

 「この者は今日の運勢の占い助手として呼びました」

 

 ……清さん、そんな喋り方できたんだな。と横で俺が感心してると

 

 「本当か?」

 

 と、帝は聞いてくる。

突然の帝の質問に焦った俺は思わず

 

 「い、いいえ。嘘です」

と答えてしまった。ヤベェ。額から、脇から、体中のいたるところから嫌な汗が出る。

 

 帝の目が細められる。

 

 「ほう。では、何をしに来た?」

 

 こうなったら、どうにでもなれ!とヤケクソになった俺は

 

 「淫話しにきました。」

 

と、堂々と言い切った。なんだろう。達成感か何か知らないが寒気と動悸、嫌な汗が止まらない。

 

 横にいる、清さんは口をあんぐりと開けている。同時に俺と同じくらいの汗を掻いている。

 

 帝は、愉快なものを見るような顔でこちらを見ている。

……逆に、その帝の顔が愉快だ。

 

 やっべ。帝が今度は不機嫌な顔になった。心でも読めんのか?

 

 

 「ふむ…………良いだろう。娘に会うことを許可しよう。ただしあくまでも話だけだ。触ったら殺すぞ?」

 

 

 なんか許可とれたああああああ!?うそ!?あれで良いの!?

 

 

 清さんなんか、帝と俺を交互に信じられないものを見るような顔で見た後、俯いて

 

 「私なんか、許可貰うのに1か月かかったのに……この扱いの差は何だ!?」

と、呟いている。

 

 

 ……どんだけ、信用が無いんだよ!?清さん!?

 

 

 

★★★★★

 

 

 

 俺は、今とてつもなく絶望している。

清さんが、美人と言っていた時点で気づくべきだった。

 

 

 ……そう、姫様は幼女だったのだ。

口説くどころか興奮さえしねぇよ。

 

 ……清さんは隣で今もまだ息を荒げ、涎をたらしてるがな。

 

 

 今はそんな幼女のお姫様と対面したところだ。

 

 

 「姫様、お久しぶりでございます。」

清さんが挨拶するが、姫様は嫌そうな顔で清さんを見ている。

 

 

 何をしたんだ清さん!?

 

 今度は俺の方を見る。

そして、首を傾げながら

 

「? あなただぁれ?」

と聞いてくる。

 

 やべぇ。マジ可愛い。

 

 ハッ。いかん!このままだと、清さんの仲間入りをしてしまう。俺はロリコンじゃない!!

 

 てか、横からの清さんの憎しみの睨みが超うっとうしい。マジウザい。ああはなりたくない。

 

 

 「なにしに、きたのぉ?」

姫様が可愛く聞いてくる。

 

 

 

 「淫話しに来ました」

 

 

 いかん……!!思わず正直に答えてしまった……!!同じ間違いを繰り返すなんて……!!

 

 

 「いんわぁ?ってなぁに?」

何て答えれば良いんだ!?

 

 あの、純粋無垢な瞳を汚してはいけない!!という使命感が体を駆け巡る。

っていうか、清さんの視線がマジうぜぇ。

この子を汚してみろ、お前殺すぞ!!みたいな意志がひしひしと伝わってくる。

 

 

 

 

 「え~。姫様、いんわとはですねぇ。…………そう!!俺が引火した時の話。縮めて、引話です。わかりましたか?」

 

 清さんがよくやった。と言わんばかりの笑顔でサムズアップしてくる。

 

 俺はいつの間にか掻いていた嫌な汗を手の甲で拭いながらそれに答える。

 

 

 「じゃあ、引話して!!」

と、姫様がこちらに駆け寄り膝の上に座る。

 

 

 その瞬間、清さんの親指が下を向いたのは言うまでもない。

 

 

 そして、俺はしょうがないから語り始める。

妹紅を怒らせ、体が燃えたときの話を。

 

 

 

 

 



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5話

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今日は、清さんに呼ばれて、清さんの家に来ている。

……何気に大豪邸でムカつく。

 

 

 「急に来てくれなんてどうした清さん?」

 

 「いやね、今日来てもらったのは新しい札を作ったからなのだよ」

 

 

 清さんがニヤりとしながら言う。

……キモいな。

 

 

 にしても、新しい札?

札ってあれだよな?あの……陰陽術使うときに投げるやつ。

どんな効果なんだ?……まあ、清さんがニヤリとしたってことは録でもないことだろうが。

 いや、待つんだ俺。清さんがニヤリとしたら録でもないとは、早計じゃないか?

清さんがニヤリとしたってことはエロだろ。最高じゃないか!?

 いやいや、待て待て俺。この前のことを思い出すんだ!!

清さんのエロと俺のエロはかけ離れているだろ!!

ってことは……録でもないことだな。そうに違いない。

 

 

 百面相しながら結論付けた俺は、素直に断る。

 

 

 「ふ~ん。知りたくもないから何も言わなくても良いよ」

 

 俺が断ると清さんは上を見ながらながら、いかにも独り言ですと言わんばかりに呟く。

 

 「……どんな服を着ている女性でも引っ付けただけで裸にできる奇跡の札なんだけどな~。いらないって言うならな~。帝にでもあげようかな~。あの人意外にエロいしな~。」

 

 

 陽斗は、清さんが裸と言った瞬間に目を光らせ清さんに近づく。

 

 

 「……どんな服を着ている女性も裸に?」

 

 「もちろん」

 

 「どんな服も?」

 

 「もちろん」

 

 「くれるのか?」

 

 「もちろん。……その代わりに、妹紅ちゃんにも引っ付けてくれ」

 

 「……わかった」

 

 

 

 エロという最低の目的のために努力する最低な人物がその部屋には二人存在していた。

 

 そして、その二人は堅い握手を結んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「妹紅~この札を体に付けてくれないか?」

 

 家に帰り妹紅に言う。……清さんは、屋根裏で待機中だ。おそらく、僅かな隙間から必死に除いているのだろう。

 

 

 「? わかった」

 

 素直に、妹紅は札を体に付けてくれる。……俺の体に。What? ナニヲシテルンダオマエハ?

 

 

 そして、俺の体は光輝き始め裸になる。

 

 

 それを、見た妹紅は拳を握りしめ、額に青筋を浮かべながら言う。

 

 

 「怪しいと思って陽斗に引っ付けてみたけど……裸ね。ふ~ん……死ねば良いのに、このクズが……!!てか、股についてる変なもの見せんな!!」

 

 

 そう言って殴ってくる。火を出さないのは妹紅なりの配慮だろうか?火付けられたらすぐ燃えるからな俺、なにせ紙だし。…………にしても、露出しながら暴力を振るわれている。

ハッ!?これが、噂のSMプレイ!?

いやだ!!俺は、Mじゃない!!

 

 

 ……ってか、さっきから、気になっているんだが、屋根裏から一般的にゲボと呼ばれるものが垂れてきているんだが……俺の裸、そんな見るに堪えないか!?いや、男の裸が嫌なのはわかるけどさ。

一応、エロ本の体だぜ?清さんの好…………そういうことか……そうだったな。

清さん、あんた筋金入りのロリコンだもんな?

男の裸とナイスバディの女性について書かれたエロ本。

相乗効果ってやつか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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