カントー地方冒険物語 (ホウデン)
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ポケモンのタマゴ
原作の設定は完全に無視してオリジナルの展開になってます。
細いところで設定に違いがあるかもしれませんがオリジナル設定って事でご理解いただけたらなと思います。
10歳になれば自分のポケモンを持ち世界を旅することが出来る。勿論その為には親から旅に出る許可やポケモンを貰う必要がある。俺はそれを7歳の時に友人から聞きその日の内に両親に頼み事をした。
「10歳になったらポケモンと一緒に冒険したい!お願い、ポケモンをちょうだい!」
その時の両親の反応は良くなかった。がなんとか1年間親の言うことを聞いて家の手伝いなど頑張れたら考えてくれるとのこと。正直両親は先延ばしにしてたら自然と冒険の事など忘れると思っていたのだろう。
だが実際は忘れることはなく毎日ポケモンの為に頑張り親の言うことを何でも聞いていた。
そして1年が過ぎ8歳になった誕生日にプレゼントでポケモンのタマゴを渡された。引き続き家の手伝いなどをしながら10歳までの間にタマゴを孵化させ、自分にある程度なつかせることが出来れば旅に出ても良いとのこと。
普通ならそこで絶対に無理だと諦めるだろう。けど自分だけのポケモンとの自由な旅、冒険に出るという夢はそう簡単に諦めることをしないほど自分の中で大きく膨らんでいた。
そしてタマゴを渡されて半年が経とうとした頃、突然タマゴが震え始めた。最初は驚き両親に見てもらったがもう少しで孵るそうだ。
「そう言えばこれは何のポケモンのタマゴなの?」
ふと今まで何のポケモンが孵るのか知らなかったので両親に質問してみた。すると父親から予想外の答えが返ってきた。
「これは父さんの知り合いの人からたまたま頂いたタマゴなんだ。だから何が生まれるかは分からないんだよ。」
何のポケモンのタマゴなのか、何のポケモンが生まれてくるのか謎だらけで楽しみでワクワクしてる反面、実際に分からない不安が互いに戦争をしながらさらに数日が経つ。
そしてついにタマゴの内側から微かに音が聞こえ始めた。もう数日の間に生まれるであろうとのこと。まだ10歳じゃないからトレーナーではないけど初めての自分のポケモン。これから長い付き合いになるだろう相棒の名前を考えることにする。
「うーん。ピエール、ナナ、セス、マル、クリス...色々候補があって悩むなぁ〜。」
その日もいつも通り一日家の手伝いをし、夜眠る前タマゴに向かい合い名前を考えていた時タマゴにヒビが入る。突然の出来事に驚き急いで両親に報告に向かう。さっきまで考えていたことなど既に頭の中から忘れ去ってしまう。
「あっ、タマゴが...。」
「大丈夫だよ。あれは中からポケモンが出てくるためにタマゴの殻を壊してるんだ。」
そしてみんなが見守る中殻が破られポケモンが姿を表そうとしていた。
他にも書かせていただいているモノもありますので更新のペースは遅いかもしれませんが今後も続けて投稿していけたらなと思ってます。
読んでいただいた方に楽しんでもらえれば幸いです。
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さよならマサラタウン
目の前のタマゴが一瞬光り視界を遮る。光は一瞬でおさまり瞼を開く。そこには茶色い毛の四足動物の姿があった。
「これが俺の初めてのポケモン...。」
「そうだね、大切に育てるんだよ。」
名前は知っていた。小さい頃親に買って貰ったポケモンの本に載っていた。生まれてきたポケモンはロコンだ。ロコンは目の前に座っていた少年を見つめている。少年は恐る恐る手を伸ばしロコンに近づくが逃げ出す気配は全くない。少年が頭を撫でるとロコンは嬉しいのか尻尾を左右に揺らす。
「撫でられて嬉しいのか?」
『コーン!』
まるで少年の言葉に返事をするかのように鳴くロコン。とても心地よさそうな表情をしていた。
「よし、ロコンお前の名前は今日からイナリだ。」
『コン』
既に夜だったので両親から寝るように言われ、その日少年はロコンと一緒に布団に入り眠りについた。
次の日の朝親から1つのボールを渡される。赤と白色のモンスターボールだ。それと腰に巻くボールを付けれるベルトも一緒に渡された。どうやら旅に出るまで2年ぐらい待たなければならないが既に両親は旅に出ることを認めてくれたようだ。
「残り2年近く引き続き頑張りなさい。」
少年は予想外の出来事に最初は驚き戸惑っていたが、次第に表情は満面の笑みに変わっていった。
それから時が流れ10歳の誕生日を迎えた。いよいよ明日からは夢に見たイナリとの冒険の始まりの日だ。家で最後の出発に向けての準備をしていたところに村で唯一同い年の子が訪ねてきた。その子こそ自分にポケモンとの旅のことを教えてくれたり村で有名なポケモン博士の孫である人物だった。
彼が言うには明日の朝冒険に出る前に一度研究所に寄ってくれと伝言を預り伝えに来てくれたようだ。場所はよく孫である友人と2人で遊びに行っていたので覚えている。何があるのかと考えていると友人は伝えたからなと言い走り去っていった。
次の日言われた通り研究所に着くと博士が待っていた。
「おはようございます。何か用ですか?オーキド博士。」
「おお、おはよう。実はエル君が旅に出るとリオンから聞いてのぅ。是非エル君に頼みたい事があって来てもらったんじゃ。」
「頼みたい事ですか?」
「うむ。実はワシも昔はポケモントレーナーとして旅をしていたのじゃが、その時にこの世界の全てのポケモンをこの目で見てみたいと思ったんじゃ。しかしついにその夢は叶わなんだ、そう思った時リオンが旅に出たいと言いおってのぅ。そこで思いついたんじゃ。エル君やリオンに代わりに見て・集めて・記録してもらおうとな。そこでこれを受け取ってもらいたいんじゃ。」
そう言いオーキド博士は何やら赤く四角い物体を取り出した。
「何ですか?これ。」
「よくぞ聞いてくれた。これはポケモン図鑑と言ってな出会ったポケモンを自動的に登録してくれるワシの発明品じゃ。受け取ってくれるかの?」
「分かりました。図鑑を埋めれるように頑張ります。」
「受け取ってくれるか!それじゃあ任せたぞ。それとこれはワシからの贈り物じゃ。」
ポケモン図鑑と一緒にキズぐすりを渡される。
「ありがとうございます。」
「うむ。それじゃあ気をつけて行ってくるんじゃぞ〜。」
オーキド博士から大きな夢を託され最後に生まれ育った村、マサラタウンに別れを告げる。
「よし、イナリ。次にこの村に帰ってくる時は冒険に一区切りしたらだ。行くぞ、冒険の始まりだ。」
『コン!』
1人の少年エルと1匹のロコン、イナリは次なる目的地トキワシティを目指して旅立つのだった。
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コラッタに襲われて
とても励みになります。
これからも頑張って書いていくつもりなのでよろしくお願いします。
1番道路。それはマサラタウンとトキワシティを結ぶ道である。そこには行き交う人々だけでなく野生のポケモンたちも姿を現す。
この辺りのポケモンたちはこちから危害を加えない限り襲ってくることは無く、ポケモンを持ってない人でも通れることで有名だった。そう、危害を加えない限り。
フレンドリィショップの制服に身を包んだ青年が荷物を載せたバイクを運転している。近くで眠っていたコラッタたちはバイクの音に襲われたと勘違いをしバイクを取り囲む。
「うわっ。危ねぇ〜、急に出てきたら轢くところだったぞ。ん?」
周囲に群がってくるコラッタたちに身の危険を感じ、道を塞がれていたのでバイクを降りて逃走する。
「だ、誰か〜。助けてくれ〜!」
マサラタウンを旅立ったエルたちは現在1番道路にて持ってきた荷物の中から昼食を取り出し食事をしていた。
「やっぱり外で食べるにはおにぎりが1番だな。」
『コン!』
昼食を食べ終えたエルたちは少し休憩をとっていた。
「あと半分ぐらいだから夕方にはトキワシティに着きそうだな。」
『コン』
「さて、休憩も充分したしそろそろ出発するか?」
『コーン』
エルたちがそろそろ旅立とうとした時、道路の向こう側から微かに声が聞こえてくる。
「だ、誰か〜。助けてくれ〜!」
誰かの助けを求める声が途中で途切れる。
「っ!行くぞ、イナリッ!」
『コン!』
エルたちは急いで声のした方に走っていく。エルたちが辿り着いた時にはコラッタたちに囲まれて襲われかけていた男性を発見する。
「イナリ、ひのこでコラッタたちの気をそらせ。」
イナリが男性たちの少し離れた場所にひのこを放つ。それに驚いたのか多くのコラッタたちが逃げ去ったが、数匹のコラッタたちがイナリに向かって襲いかかってきた。
「危害は加えたくなかったんだけどな。イナリ、でんこうせっかで躱しつつ攻撃だ。」
幼い頃よりポケモンとの旅を夢見て親にポケモンの本を買って貰い勉強をしていた為か、エルにとって初めてのポケモンバトルだったが焦らず冷静に指示を出す。
イナリのでんこうせっかを受けたコラッタたちは勝てないと感じたのか辺りから去っていった。
「ありがとう、お疲れ様イナリ。」
『コン♪』
「危ないところ助かったよ。本当にありがとう。」
襲われていた男性がエルとイナリに頭を下げる。
「いえ、それより何でお兄さんは襲われていたんですか?」
「それが仕事で荷物の配達をバイクに乗ってしてたら急に襲われたんだ。多分バイクの音に反応したんだと思う。」
「災難でしたね。」
「全くだよ。そうだバイクのところまで付いてきてくれるかな?ぜひお礼がしたい。」
最初は旅をしていてトキワシティに急いでると断ったものの、男性も一旦お店に報告でトキワシティに戻るとのことでトキワシティまで同行することになった。
「はい、助けてもらったお礼に受け取ってくれ。」
お兄さんからキズぐすりと空のモンスターボールを渡される。
「店の商品の見本として持ってたけど普通に使えるから。」
「ありがとうございます。ぜひ使わせてもらいます。」
道中お兄さんのバイクに跨らせてもらい予定より早い、昼少し過ぎぐらいにトキワシティに着いた。
もしかしたら覚えない技やその地方には居ないポケモンなど今後も出てくるかもしれませんがオリジナル設定って事でお願い致します。
なるべく無いようには注意してるつもりですが...。
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予想外の再会
これからもよろしくお願い致します。
トキワシティに着いたあとフレンドリィショップのお兄さんと別れ、エルたちは赤い屋根の施設ポケモンセンターに訪れていた。
「予定より早く着いたけどどうしようか?」
ポケモンセンター内でそれぞれ飲み物を注文し、くつろぎながらイナリに話しかける。
『コン?』
これからの予定を考えていると不意に背後から話しかけられた。
「すみません。ここの地元の方ですか?」
振り返るとエルと同い年ぐらいの少女が立っていた。
「いえ、マサラタウンから来たばっかりで違います。」
「そうでしたか。失礼しました。」
「あの、どうかされましたか?」
「実はこのトキワシティにあるトキワジムに挑戦しに来たのに閉まっていたから、何か事情を知っている人はいないかなと思って。」
「ええ!?そうなんですか?」
今日すぐにとは思ってはいなかったが、トキワシティに来たからにはジムに挑戦しようと考えていたエルはジム閉鎖の話を聞いて驚きの声をあげる。
「はい、そうなんです。」
「トキワジム閉まってるのか...。」
落ち込むエルを見て少女は自分が行った時にたまたま閉まっていただけかもと励まし、後で行ってみることをエルに提案する。
やはり少女とポケモンセンターで別れてからジムに様子を見にやって来たが閉まっていた。
「マジかよ...。」
『コン...』
ジムの前で黄昏ている1人と1匹の背後から1人の老人が話しかける。
「数年前からここのジムは閉じたままなんじゃよ。次に開くのはいつになるかのぅ。」
その老人が言うには、昔はかなり強いジムリーダーが居たがある日突然に姿を消したそうだ。
仕方なくポケモンセンターに戻ろうとした時ある事を思い出す。
「そう言えばトキワシティの近くにポケモンリーグへの道があったな。バッジがないと先には進めないけど見るだけ見に行くか?」
『コン!』
トキワジムには挑戦できなかったがこのままポケモンセンターに戻るには悔しい気持ちがあったのでエルとイナリは少しだけ22番道路に行くことにする。
22番道路に少し入っていったところでふとエルたちを呼び止める声が聞こえた。
「やっぱりエルじゃんか。こんなところで何してんだ?」
エルたちを呼び止めたのは同じマサラタウンで育ったリオンだった。
「リオン?何でこんな所にいるの?」
「何でって、じいさんから聞いてないのか?お前の家にじいさんからの伝言を伝えに行った後、俺はじいさんから貰ったポケモンと旅に出たんだ。」
「え?そんなの聞いてないよ!?」
まさか幼なじみのリオンもポケモンと旅に出ていたとは思ってもいなく驚くエル。
「まあ、お互いこれからはポケモントレーナー同士って事だな。」
リオンが話しながらモンスターボールを取り出す。
「せっかくココで会ったんだ。来いよ、どれくらい戦えるか見てやるぜ。行け、ポッポ。」
言うが否やリオンはモンスターボールからポケモンをくりだした。
「イナリ、頼んだ。」
エルとリオンのポケモンバトルが始まったのだった。
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ロケット団現る
「行け、ポッポかぜおこし。」
「イナリ、躱してひのこ。」
エルの指示を受けたイナリが相手の攻撃を躱しひのこを命中させる。ひのこをくらい相手のポッポの動きが鈍る。
「相手が弱ってる。チャンスだ、でんこうせっかでトドメ。」
相手のポッポに追い打ちをかけるよう、すかさずでんこうせっかを叩き込む。これが決定打となり相手のポッポは目を回し戦闘不能になる。
「へえ、なかなかやるじゃん。じゃあ俺はそろそろニビシティに向かうわ。そこに行けばニビジムがあるからな。ま、お前らも頑張れよ。」
リオンは言うが早く颯爽とその場を後にし去っていった。
「相変わらずせっかちなヤツだな。もう少しゆっくりすればいいのに。な、イナリ?」
『コン?』
リオンと別れポケモンリーグの入口にやって来たが警備の人に中に入らないよう注意される。目的も達成したし今日はもうトキワシティのポケモンセンターに帰ることにする。帰り道の途中傷だらけのニドラン♂が目の前に飛び出してくる。そこでニドランは力尽きたのかその場に倒れる。慌ててエルたちがニドランに近づくとニドランの背後から黒い服に身を包んだ男性が現れた。
「おい、そこのガキ。大人しくそのポケモンをこっちに渡しな。」
野生のポケモンを捕まえる時に第三者が横槍を入れたりする事は原則禁止とされているが、1つだけ例外がある。それはポケモンを捕まえるにあたり周りに迷惑になる事や明らかに過剰にポケモンを痛めつける行為を見た時だ。普通では目撃したりするとジュンサーさんに報告し対処してもらうのだが、今回はそんな時間はないとエルは判断した。
「おじさん。ポケモンを捕まえるだけならここまでしなくてもいいよね?」
「うるせぇ!ガキはとっとと大人しく言うことを聞いてりゃいいんだよ!」
黒服の男性はコラッタをくりだした。
「そっちがその気なら。イナリ、先手必勝でんこうせっか。」
イナリが素早く相手のコラッタに攻撃する。
「チッ。コラッタ、ひっさつまえば。」
指示を受けた相手のコラッタはイナリに噛み付こうと飛び掛ってくる。
「イナリ、躱しつつあやしいひかり。」
コラッタが噛み付く直前で攻撃を躱しあやしいひかりを放ちコラッタを混乱状態にさせる。
「何やってんだ。敵はあっちだ!」
黒服の男性にコラッタが近づく。それに合わせてエルもイナリに指示を出す。
「イナリ、最大の力でひのこ!」
指示を受けたイナリは黒服の男性も一緒にひのこで攻撃をする。しかしイナリの攻撃にエルは驚いた。それはひのこにしては威力の高い炎の息吹にも見える攻撃だった。
イナリの攻撃に黒服の男性とコラッタは空の彼方へと吹き飛ばされる。
「イナリお前、もしかしてかえんほうしゃを覚えたのか?」
『コン!』
エルの問いかけにドヤ顔で鳴くイナリ。エルはイナリを抱き上げ頭を撫でてやる。イナリをボールに戻したあと倒れたニドラン♂を抱きかかえトキワシティのポケモンセンターまで戻る。
ジョーイさんに事情を伝えイナリとニドランを預ける。そのままジョーイさんが伝えてくれジュンサーさんが少しした後ポケモンセンターに現れ詳しく事情の説明をする。
「それは恐らくロケット団の仕業ね。」
「ロケット団?」
エルは初めて聞く組織の名前に首を傾げる。
「最近ポケモンを使って悪いことをする集団が出てきたのよ。それがロケット団と名乗って全員が黒い服を着ているの。」
エルはジュンサーさんからロケット団の大まかな情報を教えてもらい、今後も気をつけるようにと注意を促された。
予定ではトキワのもりまで書く予定でしたが長くなりそうだったので今回はここまでにしておきました。
次回はストーリーは進まず初のポケモンゲットの予定です。
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ポケモンゲットだぜ
こんなに沢山の方に読んでいただけるとは思いもしませんでした。
これからも頑張って書いていきますので宜しくお願いします。
翌朝のポケモンセンターにて。
「お預かりしたポケモンは元気になりましたよ。」
ジョーイさんからモンスターボールを返してもらう。
「それと、例のニドランの事ですが...。」
ジョーイさんが言うには昨日散々ロケット団に痛めつけられたせいか、人を見ると襲いかかったそうだ。今は何とかケージに入れる事に成功し人目の少ないところに保管されているそうだ。
「そのニドランに会わせてもらえますか?」
ニドランの様子を聞きどうしても会ってみたくなりジョーイさんにお願いをする。ジョーイさん曰く数時間後にジュンサーさんに来てもらい引き取ってもらう予定らしく、その間の時間なら問題ないとの事で会わせてもらえる事になった。
ポケモンセンター内部のある部屋の中、中央にあるテーブルの上に1つのケージが置かれていた。エルたちが部屋に入ると音が聞こえたのかケージが動く。
「なるほど。これは相当暴れてますね。」
エルはケージに近づき正面から中のニドランを見ながら話しかける。
「ゴメンな。俺達がもう少し早くお前を見つけれたらこんな事にはならなかったのに。」
エルの言葉に反応したのかケージの中のニドランが暴れるのを止めた。それを見たジョーイさんが驚く。
「あんなに暴れてたのに...嘘みたい。」
エルがニドランに話し終えジョーイさんと部屋を出ようとした時背後からニドランの鳴き声が聞こえた。それは威嚇と言うよりも何かを伝えたがっているように聞こえた。
「どうしたんだろ?」
それを見たジョーイさんがエルに伝える。
「もしかしてこの子、貴方と旅をしたいんじゃないかしら。」
「え?」
ジョーイさんの一言にエルは驚く。
「そうなのか?」
エルはニドランに問いかけるとまるで頷くように首を縦にふる。それを見たエルはニドランを旅に連れて行く事を決意した。
「ジョーイさん!あのっ、俺...。」
ジョーイさんはニドランの件はジュンサーさんに伝えてくれると言い中庭でケージからニドランを出してくれた。
「さあ、後は頑張って。」
「はい。行くぜ、ニドラン。」
ジョーイさんの応援に答えイナリを出す。ニドランもイナリを見るなり臨戦態勢に入る。
「行け、でんこうせっか。」
イナリが素早くニドランに迫り攻撃が当たる。しかしニドランはぶつかると同時につのでイナリに反撃をしていた。
「大丈夫か?イナリ。」
『コ...ン』
どうやら先程の一撃でかなりのダメージを受けたようだ。さっきの攻撃で接近する技は使えないとエルは判断し次の指示を出す。
「それなら、ひのこで攻撃。」
指示を受けたイナリのひのこでニドランはかなりのダメージを受ける。
「よし、いまだ。行け、モンスターボール。」
ニドランの様子を見てエルはすかさずショップのお兄さんに貰ったモンスターボールを投げる。
ボールが揺れそれを見守る。暫くすると揺れが止まった。どうやらニドラン♂をゲットしたようだ。
「これから宜しくな。」
エルはニドランが入ったボールを拾いながら話しかけていた。
次は森を抜けてニビまで行きたいなと思ってます。
もしかしたら長くなるかもしれません...。
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トキワのもりで別次元の戦い
見事ニドラン♂を仲間にしたエルは現在2番道路に来ていた。
「これからトキワのもりに着くけどその前にパープルに言っておく事がある。」
パープルとはエルがニドラン♂につけた名前である。
『?』
パープルはエルの言葉に首を傾げる。
「これから俺たちはニビシティに向かう。勿論そこには沢山の人が住んでいる。そこでまたお前がパニックにならないようにこのトキワのもりではお前をメインに戦ってもらおうと思ってる。」
『!!』
エルにゲットされてから少しは人にも危害を加えなくなったが、未だに恐怖は完全に消えていないらしく沢山の人の前では軽いパニックになる事も度々あった。
それを見たエルはニビシティに着く前に克服をする必要があると気づいていたようだ。
「トキワのもりにはピカチュウとか人気のあるポケモンが生息しているからな。そこそこ人もいるらしい。そこで少し頑張ってみないか?」
エルはパープルに問いかける。最初は人が多いと聞き嫌がっていたパープルだが、エルの話を聞き自分自身今のままではエルたちの旅の足でまといになると考えたのかやる気を見せる。
『!!』
「そうか。でも無理はするなよ?キツいと思ったらいつでも言ってくれ。」
エルはパープルを撫でてやりトキワのもりへと入っていった。
「行け、パープル。つのでつく。」
「ああ、僕の自慢のキャタピーたちが...。」
エルたちはトキワのもりにて他のポケモントレーナーとバトルをし勝利を重ねていた。
「よしいいぞパープル。お疲れ。」
最初はパニックになりがちだったが、エルと一緒に戦うことで慣れてきたのか今では他の人を見ても襲ったりパニックになる事もなくなっていた。
トキワのもりも中程まで進んだ辺りで黒服を着た2人組が1人の男性を取り囲むところ目撃する。
「あいつらは、ロケット団!」
1人の男性がロケット団に襲われていると思い込み飛び出す。
「おじさん大丈夫?ロケット団また悪さしてるのか!」
「き、君は?」
突然飛び出したエルに戸惑う男性。
「俺たちを知ってるのかこのガキ。」
「もしかしてこの前のエリートがガキに邪魔されたって言ってたのって...。」
「なら、こいつを倒したら昇進間違いなしだな。行くぞ。」
ロケット団はそれぞれコラッタとキャタピーをくりだした。
「頼む、パープル。」
エルが2匹目のイナリを出そうとした時男性がエルに話しかけてきた。
「流石に2対1じゃ分が悪い。手伝おう。」
そう言い男性はペルシアンをくりだした。
「コッチは任せなさい。行け、ペルシアン。きりさく。」
男性の指示を受けたペルシアンは目にも留まらぬ速さでキャタピーを切り裂く。
「す、凄い。」
そのペルシアンの動きに圧倒されていたエル。
『!!』
「おっと、そうだったな。パープル、睨みつけながらどくばり。」
近くまで迫ってきていたコラッタを睨みつけて怯ませ毒針を叩き込む。相手のコラッタは1撃でどく状態になったようだ。
「よし、いいぞ。とっしんでロケット団ごと吹き飛ばせ!」
エルの指示を受けパープルはコラッタとロケット団を空の彼方へと吹き飛ばした。
ふとエルが隣を見ると走り去っていくロケット団と無傷のペルシアンの姿が。
「おじさんたち凄いんだね。」
「まあ、昔ちょっとな。」
昔に何があったのか少し気になったエルだが、何故かこれ以上聞いてはいけない気がして追究するのをやめる。
「では私はそろそろ行くよ。君も気をつけたまえ。」
男性はエルに別れを告げ去っていった。
「いつか俺達もあれぐらい強くなれるかな?」
『!!』
「そうだな。やってみなきゃ分かんねぇもんな。」
圧倒的な強さを見せつけられ自分たちに足りないモノ、すべき事を改めて考えさせられたエルたちであった。
お気づきになられた方もいるかもしれませんがまだ男性の名前は伏せております。
まあ、カントーでペルシアンと言えばあの人ぐらいなんですが...。
次回ようやくスーパーニビ人が登場の予定です。
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やって来ましたニビシティ
次からは自分のペースで更新しようと思います...。
トキワのもりを抜け現在エルたちはニビシティへと着いていた。
「ここがニビシティ...。凄い広いな。」
ニビシティはカントー地方でも有名な博物館があったりジムがあったりと意外と広い土地を有していた。
エルたちがニビシティに着くと最初にこの街の地図が書かれた大きな看板が目に付いた。
その看板には
この街オススメ。ここにしかないポケモンとの出会いと発見。絶対に来て損は無いニビ博物館入場料は1人50円!!
と書かれていた。
「博物館か〜。入場料もそんなに高くないし行ってみるか。」
リオンからジムがあると聞き楽しみにし、ニビシティに来たがそれと同じぐらいに看板に書かれてあったここにしかないポケモンとの出会いと発見に興味を持ち見に行こうと決意させたのだった。
【プテラの化石】
・古代に生きていたとされるポケモン。今では見かけることはなくなった。
【オムナイトの化石】
・古代に生きていたとされるポケモン。今では見かけることはなくなった。
【カブトプスの化石】
・古代に生きていたとされるポケモン。今では見かけることはなくなった。
ニビ博物館には色々なポケモンの化石と思われるものが展示されていた。試しにオーキド博士から貰った図鑑をかざすとポケモンの簡単な説明が表示された。
「スゲー。こんなポケモンにもいつか出会ってみたいな〜。」
化石を見ながらエルがつぶやく。
「おや、古代のポケモンに興味があるのかな?」
背後から知らない人に話しかけられる。
「?」
「おっと、すまない。私はこの博物館で働いている研究員の1人だよ。ところでどうかな?興味はあるかい?」
「興味はありますけど...。」
「そうか。今時の子にしては珍しい。君にこれをあげよう。」
研究員と名乗った男はエルに琥珀色の石を差し出す。
「あの、これは?」
「これはひみつのコハクと言ってね。中には古代のポケモンの遺伝子があると思ってるんだ。ただ僕にはそれ以外の事はお手上げでね。君のその持っているもの。それを作れる程の人ならもしかしたらと思ってね。君に渡そうと思ったんだ。」
どうやら図鑑をかざして見ているところを見られていたようだ。
「なるほど。分かりました。」
エルは男性からひみつのコハクを受け取り博物館を後にした。
博物館を出たエルの前を少年たちが会話しながら通って行った。
「おい、あの超強いタケシが挑戦者に負けたんだってよ。」
「あ、知ってる!確かリオンって人でしょ?」
「なんだ、知ってたのか。」
少年たちの会話を聞くにどうやらリオンがこの街のジムに挑戦して勝ったようだ。
「こりゃ俺達も頑張らないとな。」
エルはニビジムへと向かった。
ニビジムに着きドアを開ける。
「挑戦に来ました〜。」
エルの声を聞き人が出てくる。
「ようこそニビジムへ。俺はここのジムリーダー、タケシだ。付いてきてくれ。」
タケシに言われ付いていくと広いスペースのある部屋に出る。
「ココで勝負をしよう。ルールはお互いのポケモンが戦闘不能になるか降参するかだ。俺に勝てればグレーバッジを授けよう。」
タケシから軽くバトルの説明を聞きいよいよ初のジム戦が始まる。
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VSタケシ
「それじゃあ準備はいいか?」
「はい。いつでも。」
エルの返事を聞きポケモンバトルが始まった。
「行け、イワーク。」
ジムリーダーのタケシはイワークをくりだした。
「頼んだ、パープル。」
対するエルはパープルを出す。
「まずはお手並み拝見といこうか。イワーク、たいあたり。」
タケシの指示を受けイワークがパープルに迫ってくる。
「パープル、避けてつのでつく。」
エルの指示を受けイワークの攻撃をギリギリで避ける、がイワークは急な方向転換で体当たりをパープルに当てる。
「なっ、あんな動きが出来るのか!」
イワークの動きに驚くエル。
「こんなので驚いてもらっては困るな。イワーク、いわおとし。」
タケシからの指示にイワークはどこからか出現した岩石をパープルに向けて落とす。
「パープル!」
イワークの素早い攻撃にエルは名前を呼ぶことしか出来なかった。だがパープルはエルに名前を呼ばれ迫ってくる岩石を蹴りつけて攻撃を回避する。
「何ッ!」
今度はパープルの動きに驚かされたタケシ。そしてエルはその隙を逃さなかった。
「よしパープル、もう一度にどげりで攻撃!」
エルの指示を受けイワークに見事な蹴りを当てる。結構なダメージを与えたようだが相手のイワークはまだ戦闘不能にはなっていなかった。
それがパープルの敗因だっただろう。
「よしイワーク、がまんを解いていいぞ。」
タケシの一言にイワークはただパープルに触れた。それだけでパープルは吹き飛ばされた。
「パープル!」
パープルは目を回し戦闘不能になっていた。
「さあ、ここでリタイアするか?それともまだ続けるか?」
タケシはエルに問い掛けた。
「まだ続けます!」
「そうか。なら、かかってこい!」
「ありがとう、お疲れ様パープル。」
エルはパープルに労いの言葉を言いながらボールに戻す。
「頼む、力を貸してくれイナリ。」
エルはイナリをくりだした。
「まさか俺にほのおタイプで挑んでくるヤツがいるとはな。イワーク、いわおとしで終わらせてやれ。」
イナリを見たタケシはもう勝敗は決したとばかりにイワークに指示を出す。
「イナリ。でんこうせっかで躱しながらあやしいひかり。」
エルの指示に従い迫ってくる岩石を見事素早い動きで避ける。そしてイワークに光を放ち混乱状態にさせる。
「何だと!」
一撃で決まると思っていたタケシは本日再び驚くこととなった。
「よしイナリ、かえんほうしゃ!」
普段であればそれなりのダメージを受けて終わりだが、先程の戦闘でダメージが残ったままの状態で受けるのはマズいとタケシは判断をし指示を出した。
「アレを受けるとマズい。避けるんだ、イワーク!」
タケシの指示を受けるが混乱状態にあるとイワークはイナリの攻撃を避ける事は出来なかった。
エルの指示を受けたイナリのかえんほうしゃがイワークを包み込む。かえんほうしゃを受けてしまったイワークは目を回し戦闘不能になる。
「や、やったぜ!イナリ。」
エルはイナリを抱きかかえて頭を撫でてやる。
「どうやら君たちを見くびっていたようだ。」
タケシはエルたちに近づいて来てある物を差し出す。
「これが俺に勝った証のグレーバッジだ。」
「これがバッジ...。」
タケシからグレーバッジを受け取りそれを眺めるエル。
「ところで、君たちは他にもジムに挑戦する予定なのかい?」
タケシに質問をされる。
「ええ。そしていつかポケモンリーグに挑戦するつもりです。」
質問に答える。
「そうか。なら次の街へ向かう前にコレに参加していくといい。」
そう言ってタケシから1枚のチラシを渡される。そのチラシにはニビシティポケモンバトル大会。全国の猛者求む!と書かれていた。
「これは?」
チラシを見ただけではよく分からずタケシに質問をする。
「明後日このニビシティでポケモンバトルの大会が行われるんだ。勿論賞金や賞品も出るから旅に出る前に参加しとくといいと思ってね。」
タケシの言葉を聞いてエルは参加を表明するのであった。
次回は完全にオリジナルの展開です。
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ニビ大会 前日
とても励みになります。
今回と次回は完全にオリジナル展開です。
タケシに勝利を収めたエルは現在ポケモンセンターに来ていた。
「すみません。ポケモンの回復をお願いします。」
「はい。ではお預かりしますね。」
エルはジョーイさんにボールを預ける。
手持ちのポケモンがいない今では特にすることも無くセンター内を見渡すとテレビ電話機が目についた。
ここで博物館でひみつのコハクを受け取った事を思い出し報告しようと考えテレビ電話を利用する。
「あ〜もしもし?おおエル君か。元気にしとるかのぅ?」
「はい、元気にしてます。今日はオーキド博士に聞いてもらいたい事があって連絡しました。」
「聞いてもらいたいこと?何じゃ?」
「実は...。」
そこでエルは現在ニビシティにいること。博物館でのこと。ジムバトルのことなどをオーキド博士に話した。
「なるほどのぅ。話はわかった。じゃがな〜、なんと言ったらいいかのぅ。確かにワシはポケモンについては詳しいと自負しておるが化石となるとのぅ。専門外と言うか...お、そうじゃ。」
オーキド博士は唐突に何かを思い出したようにエルに言う。
「確かグレンじまという島でポケモンの遺伝子やら化石やらを研究している所があるみたいなんじゃ。そこに持っていけば何か分かるかもしれんのぅ。」
「グレンじまですか?分かりました。そこに行くことがあったら探してみます。」
「うむ。是非そうしてくれ。」
オーキド博士とやり取りを終え自宅にも連絡を入れ、両親にもオーキド博士と同じく近況報告を済ませる。既に外では日も傾き夕方になっていたので買い物や街の探索は後日にし今日はこのままセンターに泊まるエルだった。
翌朝。
「お預かりしたポケモンは元気になりましたよ。」
ジョーイさんから2つのボールを返してもらう。
「ありがとうございました。」
ジョーイさんにお礼を言いポケモンセンターを後にするエル。
昨日タケシから伝えられた大会が明日に控えているからか街には昨日と比べ物にならないくらい大勢の人がニビシティに訪れていた。
「うっわ。スゴい数の人だな。」
街の人々を見て驚いているエルに背後から声がかけられる。
「何だか明日ポケモンバトルの大会があるらしいよ。」
背後からの声にエルは振り返るとトキワシティで出会った少女が立っていた。
「あっ、君は確かトキワシティで...。」
エルの問い掛けに少女は少し考える素振りを見せ思い出したのか手を叩く。
「ああ〜君はこの前のジムのことを私が聞いた人ね。」
どうやら相手もエルのことを覚えていたようだ。
「って事は君、もしかして明日の大会の事タケシって人から聞いてたりする?」
その質問を受けエルは瞬時に理解した。
「うんそうだよ。ほら。」
エルは少女にタケシから貰ったバッジを見せる。
「あっちゃ〜。タケシに勝ったし優勝はもらったと思ってたんだけどな〜。」
少女もエルに話しながらグレーバッジを見せる。
「大会楽しみにしてるよ。...あ、言い忘れてたけど俺はエル。よろしく。」
「あら、失礼。私はエリ、明日はよろしくね。」
そう言い残し少女は去っていった。
「明日の大会楽しみだな。」
エルは新たな強敵を見て大会当日を待ちわびるのだった。
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ニビ大会 当日
ニビシティポケモンバトル大会当日。
屋外に円形のステージが建ち、周りには多くの人やテレビ等の中継用に長椅子が置かれている。
既にその椅子には沢山の人々や報道陣で埋め尽くされていた。
円形のステージの上に1人の人物が進み出る。
「皆さん、お待たせいたしました。これよりニビシティポケモンバトル大会を開催したいと思います。」
ニビシティのジムリーダー、タケシがステージ上で大会の開催を宣言し、大会の賞金や賞品等の説明を終えると空に大きな花火が打ち上げられる。
「さあ、それでは最初の対決...。」
大会は手持ち1匹でのシングル勝ち抜き方式だったがエルは見事決勝まで勝ち残った。そして。
「決まったー!最後の決勝へと駒を進めたのはエリ選手だー。」
エルと戦う最後の相手が決まった。
「さあ、いよいよこの大会もクライマックス。決勝戦の始まりです。まずはこちら、エル選手。順調に決勝へと駒を進めましたかそれもその筈。私タケシも見事彼にポケモンバトルで敗れました。そして対するエリ選手。彼女もまたグレーバッジ所持者の1人。この戦いどちらが勝ってもおかしくない!果たしてどんなバトルが繰り広げられるのか楽しみです。」
タケシの煽りに会場は最高潮に盛り上がっていた。
「何かすごくやりにくいな...。」
エルは少し会場の雰囲気に戸惑っていた。
「やっぱり最後はエル君だったね。君になら本気を出せそうだよ。」
「俺だって。早く戦いたくてウズウズしてるのを我慢してたぜ。」
2人は互いにボールを構え、ポケモンバトルが始まった。
「お願い、ゼニガメ。」
「頼む、イナリ。」
お互い自分のポケモンに指示を出す。
「ゼニガメ、みずでっぽう。」
「イナリ、避けてあやしいひかり。」
相手のゼニガメが水を放出し攻撃してくるがそれを何とか躱したイナリの怪しい光がゼニガメを混乱状態へと誘う。
「クッ、混乱状態にさせるなんてやるわね。」
「今だ、でんこうせっか。」
混乱状態のゼニガメへと素早く迫るイナリ。ゼニガメに近づいたところで。
「お願い、からにこもって。」
ゼニガメは混乱状態にあったがエリの指示を聞き取りイナリの電光石火を直前で殻にこもり防御する。
「そっちこそ、あの状態から防御するなんてやるじゃん。」
「そりゃ私の自慢のポケモンだからね。行くわよゼニガメ、みずでっぽう。」
混乱状態から回復したゼニガメが殻から水を放出しながら出てきた。
「マズい。イナリ避けろ。」
エルも指示を出すが相手のゼニガメの水鉄砲の方が少し早くイナリに当たってしまう。
『コ...ン...』
何とか立ち上がるが既に立ってるだけで限界のように見える。
「ゼニガメ、楽にしてあげて。」
極限状態のイナリを見て何も出来ないと思いエリは油断をした。エリの指示を受けたゼニガメはイナリに体当たりを当てようと近づいてくる。
「イナリ、お疲れ様...。」
エルがイナリにかけた言葉はその場にいた誰しもが負けたけどよく戦ってくれたと言ったと解釈をした。がその想像は次の一言でかき消される。
「がまんを解け、イナリ。」
目の前まで近づいていたゼニガメが一瞬で吹き飛ばされ目を回し戦闘不能になっていた。
暫くの間辺りに静寂が訪れる。
「............き、決まったー!見事この大会を勝利したのは最後に大逆転を見せたエル選手だ〜!」
タケシの台詞に周りから銀幕のテープが打ち上がり舞い散る。
「見事だったわ、最後に油断しちゃった。次は負けないからね。」
ゼニガメをボールに戻したエリが話しかけてきた。
「ああ、俺たちも最後水鉄砲みたいに遠くから攻撃されてたら負けてたよ。」
エルとエリは最後に握手を交わし再戦を誓い合うのだった。
お気づきになられた方もいらっしゃるかも知れませんがエルとエリはリメイク版で出た男の子、女の子主人公をイメージしてます。
リオンはライバルをイメージしてます。
次回はオツキミやまの予定です。
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新たな仲間と強敵出現
ニビシティでの予定を済ませたエルたちは現在4番道路にあるポケモンセンターにて休憩をとっていた。
「ふぅ、出会うトレーナーから次々と挑戦を受けて疲れたよ〜。」
『コン...』
エルは知らないが現在エルはニビシティでの一件以来少し有名になっていた。テレビ中継もされていたので当然と言えばそうなのかもしれないが。と言う訳で現在エルを見かけると勝負を挑むトレーナーが多いようだ。
「やあ、人気者は大変みたいだね〜。」
センター内で休憩をとっていると見知らぬ男性に話しかけられる。
「ええ、まあ。」
見た目から怪しい雰囲気を漂わせている男性にエルは適当に返事をする。
「実は君だけにとっておきなココだけの話があるんだがね、どうだい?このコイキング。勿論育てて進化させればあの強力で有名なギャラドスにもなる。このポケモンを君だけに特別、500円で売ってあげようと思ってるんだが、買わないかい?」
どうやら怪しい男性はエルにコイキングを買ってもらおうと思っているらしい。男性の話を聞いたエルは少し悩んでいた。
(うーん。新しいポケモンをゲット出来るのはいいけど、コイキングってギャラドスまでに育てるのが大変だって昔読んだ本に書いてたしな〜、でも500円かどうしようかな?)
少し悩み考えた結果エルは男性からコイキングを買い取ることにした。
「えへへ、まいどあり。あ、返品はお断りだよ。それじゃ。」
男性は言うとその場から去っていった。
「よろしくな、コイキング。」
新たにコイキングを仲間に加えポケモンセンターを後にしオツキミやまへと向かうエル。そこである集団を目撃する。
「あの黒服は...何をしてるか知らないけどそこまでだロケット団!」
「何だこのガキ。」
「ロケット団の邪魔をするとどうなるか教えてやる。」
ロケット団はそれぞれボールを構えポケモンをくりだした。
「行け、ズバット。」
「ヤツを倒せ、コラッタ。」
「頼むイナリ、ミズチ。」
ズバットとコラッタが襲いかかってくる。
「イナリ、でんこうせっか。ミズチは...。」
ピチピチ。
ミズチはエルの目の前で跳ねている。
「ハハハッ、俺たちロケット団に挑んでくるからどんなヤツかと思えば。」
「あ〜、腹痛てぇ。そんな役に立たないポケモン出してくるとはな。」
ロケット団たちはミズチを見て笑いだす。
「役に立たないポケモンなんていない!イナリ、ミズチを守りながら戦えるか?」
『コン!』
イナリはコラッタに電光石火を当て一撃で戦闘不能にする。
「な、何だと!」
「まだだ!行け、ズバット。」
残ったズバットが上空から急降下してくる。
「イナリ、あやしいひかり。」
イナリの怪しい光によってズバットは混乱状態になる。混乱状態になったズバットは反転しロケット団の方へと襲いかかる。
「今だ、スピードスター。」
イナリから放たれた星はズバットとロケット団たちに直撃する。ズバットも戦闘不能になる。
「お、覚えてやがれ〜。」
ロケット団たちは走り去っていった。
その後もロケット団を見かけ戦闘を繰り返すうちにロケット団の目的が分かってきた。どうやらオツキミやまに住むピッピと言うポケモンの乱獲と化石や進化の石等の発掘のようだ。
暫く進むとロケット団の1人が待ち構えていた。
「お前が邪魔をするガキか。私を倒すことが出来たらピッピたちを解放しこの場を去ってやろう。しかし、私が勝てば貴様のポケモンを貰う!」
男はこれまでのロケット団とは少し雰囲気が違っていた。
「行け、ラッタ。」
ロケット団はラッタをくりだした。
「頼む、イナリ。」
「ラッタ、ひっさつまえば。」
ロケット団のラッタはイナリに噛み付こうと飛びかかってくる。
「イナリ、躱してあやしいひかり。」
「目を閉じろ。」
ラッタの攻撃を躱し怪しい光で混乱状態にさせようとするも目を閉じられ怪しい光は効かなかった。
「いかりのまえば。」
「イナリ、かえんほうしゃ。」
火炎放射に当たりながらも近づいてくる。
「そんな。イナリ、がまん!」
「無駄だ!」
そのままラッタに噛み付かれイナリは倒れてしまった。
「イナリ!」
「どんなに強かろうと所詮はガキ。俺に勝てるわけがないぜ。」
「頼む、パープル。」
2匹目のポケモンをエルがくりだす。
「どう足掻こうと結果は同じだ!行け、ラッタ。」
「絶対にお前たちロケット団に負けられない!」
ロケット団とエルの2回戦が始まった。
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決着
「ラッタ、でんこうせっか。」
「パープル、どくばり。」
パープルの毒針が迫ってくるロケット団のラッタに命中する。ラッタは先程の戦闘で受けたダメージの残りと毒状態により動きが止まってしまう。
「パープル、つのでつく。」
エルの指示を受けたパープルはラッタに角で突き戦闘不能にする。
「ふむラッタを倒したか。ならコイツはどうだ?」
ロケット団は新たにボールを取り出す。
「行け、マダツボミ。」
ロケット団は新たにマダツボミをくりだした。
「マダツボミ、まきつく。」
ロケット団のマダツボミはパープルに巻き付き継続的にダメージを与える。
「パープル!」
「まだだ、つるのムチ。」
ロケット団の新たな指示により開放されたパープルだが、かなりのダメージを受けてしまった。
そこに追い討ちをかけるように蔓でできた鞭が襲いかかってくる。
「パープル、避けろ。」
エルの指示により蔓を躱すパープル。
「そのままにどげり。」
「防げ。」
エルの指示に従いマダツボミに蹴りを入れるが蔓のようなものに防がれてしまう。
「そろそろ諦めて降参したらどうだ?」
「ポケモンたちや人々に迷惑をかけてるお前たちに降参なんかしない!」
ロケット団の問い掛けにエルは力強く答える。
「全く生意気なガキだ。」
「パープル、どくばり。」
油断していたマダツボミに毒針が命中する。さらに追い討ちをかけるようにエルは指示を出す。
「パープル、つのでつく。」
角で突かれたマダツボミは戦闘不能になる。
「なるほど、思ったよりは楽しませてくれたがこれで終わりだ。」
ロケット団は最後のボールを取り出した。
「トドメだ、アーボ。」
ロケット団はアーボをくりだした。
「へびにらみ。」
アーボに睨まれたパープルは動けなくなる。
「パープル!」
「無駄だ。かみつく。」
動けないパープルにアーボが噛み付く。パープルは何とか持ち堪えたがあと一撃でも攻撃を受けると戦闘不能になってしまうだろう。
「まだ粘るか。これで最後だ、もう一度かみつく。」
その時ロケット団の背後にあるケージの中にいるピッピたちが騒ぎ出した。するとピッピたちから光がパープルへと集まってくる。
「何だ!?」
「パ、パープル?」
光が集まるに連れて段々とパープルに力が集まるのを感じる。
「行けるか?パープル。」
『!!』
「よしパープル、つのでつく。」
光を角に纏ったパープルがアーボに迫る。
「へびにらみで動きを止めろ。」
ロケット団の指示によりパープルを睨むが、光を纏ったパープルには効かなかった。
「何っ!?」
そのままアーボに角で突く。突く。突く。
「パープルお前それはまさか...。」
光を纏ったパープルはいつの間にかみだれづきを覚えていたようだ。
ロケット団のアーボは乱れ突きにより戦闘不能になる。
「どうやら貴様は早急に対処せねばならんようだな。今日は大人しく引くとしよう。」
言い残してロケット団はその場から去っていった。
ロケット団を倒してピッピたちを閉じ込められていたケージから出て解放してやる。するとどこかへと去っていったピッピたちが石を持って帰ってきた。
「どうしたお前たち?」
二匹のピッピが持っていた石をエルに差し出す。
「もしかしてお礼に俺にくれるのか?」
エルの質問に肯定するように首を振るピッピたち。
「ありがとう。大切にするよ。」
ピッピたちに別れを告げハナダシティへと向かうエル。
未知なる街へと向けてオツキミやまを後にするのであった。
ピッピたちからは月の石と化石を貰いました。
次回はいよいよハナダシティです。
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ハナダの噂橋での再会
少しずつでも増えていくと嬉しく思いますし励みにもなりますね。
これからも書いていこうと思ってますのでよろしくお願い致します。
オツキミやまを出ると既に日は落ちかけ夕方になっていた。そこからハナダシティまで少し歩き到着する頃には夜になっていた。
「何とかギリギリ、ハナダシティに着いた...。」
エルはとても疲れた様子で歩いていた。ハナダシティまでの険しい道もだが一番はオツキミやまでのロケット団とのバトルが原因だろう。
あのバトルではピッピたちの手助けがあったからこそ勝て、そのままピッピたちの手助けが無ければ負けていた。エルはその事を重く受けとめていたようだ。
「とりあえずポケモンセンターに行くか...。」
ポケモンたちや自分自身限界が近いことを考え今日はもう休む為ポケモンセンターへと歩こうとした時。
「そこの人、止まりなさい!」
急に横からライトで照らされ動きを止められる。
照らされた方を見るとそこにはジュンサーさんが立っていた。
「少しお話を聞かせてもらいたいから付いてきてくれる?」
エルの姿を見てか先程呼び止められた時より少し優しい口調で任意同行を求められる。
ジュンサーさんに付いて行き交番にてハナダシティに来た目的、ロケット団との関係性、ロケット団のものと思われる事件について聞かれる。
話をまとめると、最近ハナダシティの民家がロケット団らしき者に空き巣に入られたらしい。それで10歳とは言え夜にハナダシティに着いたエルが怪しいと思われ事情聴取を求めたそうだ。
エルはジムに挑戦すること、ロケット団とのオツキミやまでのバトルのことをジュンサーさんに伝えその日は解放となりポケモンセンターまで送ってもらった。
「お預かりしたポケモンは元気になりましたよ。」
翌朝エルはジョーイさんからボールを返してもらう。街の人々は昨夜ジュンサーさんから聞いた話を知っている人が多くロケット団の噂で持ちきりだった。
噂によるとハナダシティの北にある橋、ゴールデンブリッジで5人のトレーナーが勝負を挑んできて全員に勝つとロケット団に無理矢理入団させられるようだ。
エルはオツキミやまで戦った強かったロケット団を思い出し次に戦う時は負けない為特訓を兼ねてゴールデンブリッジへと真相を確かめるべく向かうのだった。
「あれが噂のゴールデンブリッジか。」
目の前には大きな橋が架かっていた。エルが噂の5人のトレーナーと戦おうと歩くと橋の向こうからやってくる人影が見えた。
「よお!エルじゃねぇか。こんな所で会うなんてな。お前もマサキに珍しいポケモンを見せてもらいに行くのか?せっかく会ったんだ前よりどのくらい成長したか見せてみろよ。」
橋の向こうから姿を見せたのはリオンだった。リオンはエルを見るなりポケモンバトルを挑んできた。
ゴールデンブリッジへの挑戦の前にリオンとのポケモンバトルが始まった。
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新たな力
ゴールデンブリッジにて2人の少年が向かい合いモンスターボールを手に構えている。
「行け、ポッポ。」
「頼む、パープル。」
お互いに手持ちのポケモンをくりだす。
「この前は手加減してやったけど今回はナシだ!ポッポ、すなをかける。」
相手のポッポは指示に従い砂をかけ視界を奪おうとする。
「躱してつのでつく。」
エルの指示でポッポの砂を躱すも片目に砂が入り視界を奪われてしまう。しかし、もう片方の視力により角をポッポに命中させる。
「チッ!ポッポ、つばさでうつ。」
「近づいてきた所にどくばり。」
リオンの指示により近づいて来たポッポに毒針で反撃をするパープル。毒針の反撃によりポッポはどく状態になってしまう。
「そのまま行け、みだれづき。」
どく状態により動きの鈍ったポッポに乱れ突きで追い討ちをかける。これにより毒のダメージも受けポッポは戦闘不能になる。
「次はそう簡単に行かないぜ!行け、ケーシィ。」
新たにリオンはポケモンをくりだした。
「パープル、つのでつく。」
「テレポートで回避。」
パープルによる角を使った攻撃を瞬間移動のように避けるケーシィ。その姿はこちらの攻撃がまるで当たらないかのように思わせる。
「どうしたよ、そんな攻撃全然当たらねぇぜ!」
ケーシィのテレポートによる素早さ、移動能力は確かに攻撃を躱すのには凄い能力かもしれない。そう、攻撃に関しては。
「パープル、にらみつける。」
パープルに睨みつけらけ相手のケーシィは怯んでしまい少し動けなくなる。そしてエルはその隙を逃さなかった。
「今だ!みだれづき。」
怯んだケーシィにパープルの角による突きが炸裂する。パープルの乱れ突きによるダメージによりケーシィは戦闘不能になる。
「な、まさか俺の手持ちが続けて戦闘不能にさせられるとは...。」
リオンはエルに手持ちのポケモン2匹を連続で戦闘不能にさせられ少し驚いていた。
「パ、パープル!?」
エルの声にふと我に返り先程まで戦っていたエルのポケモンを見るとパープルことニドラン♂は光に包まれていた。
「まさか、進化だと!?」
またもリオンは驚かされることとなった。目の前では確かにリオンが言った通りポケモンが進化していた。リオンの声が聞こえてたのか、エルも最初は知ってはいたものの見たことがなかったので驚き戸惑っていたがリオンの進化と言う言葉を聞き目の前の光景に理解をする。
光がおさまり2人の前にはニドラン♂からニドリーノへと進化を遂げたパープルがそこに存在していた。
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