IS 楽しむことは忘れない 転生者の物語 (滝温泉)
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プロローグ  

こんにちは、初めまして。滝温泉と申します。初心者で文才力の少ない私の作品ですが最後まで読んで行ってくれると嬉しいです。

それでは本編スタート!


11/20修正しました。


何も楽しいことがない。

人によってはこの世界はとても面白く楽しいのだろう、だけど俺にはつまらないとしか思えない。行きたくもない高校、大学への受験を受けさせられて毎日毎日聞きたくもない講義の繰り返し。やりたいこともできず勉強をしては寮へ戻り一日の復習予習をするだけ。そんな日常は娯楽も何もない、監獄へ入れられているようだった。

 

日に日に思う。「あの頃に戻りたい、楽しみたい」と。子供のころ、みんなで集まってはバカみたいに遊んでいた記憶。

 

知らないところへ行って探検、学校が終わってゲームして対戦したり、後アニメを見てかっこいいと騒いでごっこ遊びもしたっけなぁ、特に仮面ライダーがかっこよかった。玩具の武器や変身ベルトを買って無邪気に喜んでいた小学生のころの自分、仮面ライダーになりたいと思ってたっけ。中学生になってからはパソコンに夢中だったと思う、仮面ライダーの設定見たりアニメの学園ものも見たりしてさ。

 

でも今となってはそれも出来ない。漫画みたいな出来事があるわけでもない。やりたいこともやらせてもらえない俺はこの世界に嫌気が差し、何も変わらない日常がつまらないと確信していた。

 

「(今日は何か、ないかな。それも劇的に楽しくなるような『なにか』が)」

 

気づけば目の前は横断歩道、そして赤信号だ。左側の別の横断歩道からは小学1~2年位の子供が来ていた、恐らくお使いか何かの途中なのだろう。買い物袋を両手に持ってゆっくりと危なげに歩いている。

 

「(おいおい、大丈夫かよ、あれ)」

 

信号が変わる。俺の前の信号は赤から青へ、左側の信号は青から赤になった。子供はまだ半分も歩いていない。そして横からはトラックが急カーブして曲がってきている。運転手は驚きブレーキを踏む。だがもう遅いだろう。時速55kmで走ってきた車が急ブレーキを掛けてもおよそ37mは進む、あの子供は助からない、誰かが助けないかぎり。

 

ーーー僕も仮面ライダーみたいにかっこいいヒーローになりたい!ーーー

 

頭に幼い頃の自分の言葉を思い出す。

 

「(………)」

 

無意識に、足は動いていた。今に接触するであろう子供と車の方へ、子供を突き飛ばし、車がぶち当たり空中へと体が飛ぶ。そんな中で自分は思っていた。

 

「(子供の頃の夢、まだ諦めてなかったのかよ、俺。)」

 

「(ああ、これでさよならだ。つまらない人生…………でも、本当にもっと、楽しんで、生きたかった、なあ…………)」

 

体が地面に沈み、意識を、手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気が付くと、俺は真っ白な空間にいた。上下左右、東西南北を見渡しても白、白、白、真っ白だった。

 

「………...ここはどこだ?」

 

「気がついたか」

 

後ろから声がして、正体を確かめるために振り替える。そして、そこにいたのは2メートルを超える一人の老人だった。

 

「まったく……まさかお主が死んでしまうとはのぉ、普通ならお主はあのまま学校へ行っとるはずじゃったのに……」

 

その老人はぶつぶつと独り言を言っている。この老人のセリフからわかったことは自分が死んだこと、突き飛ばした子供は助かったこと、この老人が自分のことを知っているということ。

 

「………とりあえず…貴方はどちら様ですか?」

 

「ん?おお、紹介が遅れたのぉ。わしはお主の世界で言う神様という存在じゃよ」

 

………神様、か。この空間やさっきの事故のことからして嘘ではないだろう。

 

「そうなんですか。では俺はどうなるんでしょうか?」

 

「いやぁそれがのぉ、実を言うとお主は地獄にも天国にもいけん。このままだと消える」

 

………は?消える?

 

「あの、どういうことなんですか?」

 

「わしらは死ぬべき人間を連れて行くためにあらかじめ地獄、または天国に空きを作っておくのじゃが、現在は地獄も天国もいっぱいいっぱい、お主が入る分がなく、このままだとここをさ迷い消えてしまうのじゃよ」

 

とんでもない自体だなおい、じゃあ俺はこれから消えるのを待てって?冗談じゃない。

 

「まあ、安心しろ。生き残る方法はある」

 

「…その方法とは?」

 

「ほっほ、そう身構えんでもよい。転生をすればいいのじゃ、元の世界にこそ戻れんがお主にとってこれほど嬉しいこともなかろうに、言っていたじゃろう?楽しんで生きたかった、とな」

 

「そうですが、というかもちろん転生しますけど…どこに?」

 

「なんじゃ、もっと喜ばんか。まあよい、お主にはIS(インフィニット・ストラトス)という世界にいってもらう」

 

「IS」確か中学半場ごろに一巻だけ友達に見せてもらったが、女にしか乗れない高性能な機体がどうたらこうたらとした話だったな。

 

「もちろん、あの世界にそのまま行っても何も面白くはないじゃろう。特典を幾つかつけてやろう」

 

特典?

 

「特典とは能力みたいなものじゃよ。欲しいものをあたえてやる、ISに乗れるのはセルフサービスに与えてやろう」

 

ありがとうございます。

さて、となれば特典を決めなければいけないな。

 

「なら一つ目は高い身体能力をください。ちなみに人外にはしないでくださいね」

 

アニメの世界に行くのにチートを使っても何も面白くはない、これは俺の考え、自分だけ圧倒的に強いのに何が楽しいというのか。

 

「二つ目は仮面ライダーの変身ドライバーが作れてISも改造できる位の頭脳をください」

 

あのとき自分が思ったこと、仮面ライダーになりたいというのは本心から来たもの、そして原作を壊さないためにISを改造して専用機として造らないといけないかもしれないからな。

 

「三つ目、原作に関わらせてほしい。四つ目、機械、装置を作ってもおかしくない環境、そうだな……工業的会社の息子として転生させてほしい」

 

あえてこれは説明するまい。

 

「五つ目、絶対にこの世界で楽しませてほしい」

 

これが俺の願いだ。

 

「ふむふむ、いいじゃろう。では、行ってこい」

 

俺の真下にワームホールのような黒い穴ができて、その中に落ちる。

 

「え、ちょ、うわああぁあああぁぁぁああぁぁぁああ!?」

 

「あ、それとわしもたまにお主のこと見とるからのー、わしも楽しませてくれよー」

 

「知らねええぇぇぇえええぇぇぇえええ!!」

 

再び意識を、手放した。



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一話 俺、転生。過去説明&現在十五歳

.........俺がインフィニットストラトス、つまりはISの世界に転生して十五年くらいたった。...え?飛ばしすぎじゃないかって?

まあ特に話すようなことがないんだよ、高校生だった俺が乳幼児からやり直し、特別なことと言えば運動会やら卒園式くらいだな。まあ他にも色々あったけど、十五年。誰が何を言おうと十五年過ぎたのだ。でも少し気になる人もいるだろうから説明しておこう。

 

それで俺はこの世界に夜霧亜久斗としてこの世界に転生した。名前を聞いた時はうわぁ厨二病……って少し思ったけど全然違った。小学の時なんてもっと凄い名前の子がいたし、俺の名前なんてまだましだったよ。古淵灯(こぶのともしび)とか、鋭気氷河(えいきひょうが)とか。こいつらに比べたらましだね。そう思った時は本気でこの名前に感謝したね。

 

俺の家は会社運営夜霧グループ。なんでも六世代ほど前からあるらしい、父さんは九代目会長だとさ。突っ込みはいらない。五代目と六代目が三十歳程度で死んだからとかそんな話しじゃあない。それにしても、頼んだのは俺だがマジでびびった。家が若干他の人達より大きいだけだと思ったら地下にも部屋があったし、会社なんて高さ半端ない。びびりまくって絶句どころの話じゃないな。

 

閑話休題

 

俺の家は父親と母親、そして姉と俺の四人家族、構成はどうでもいいとして、父親がグループ会長、母親がその秘書役で、五歳の時に俺は一つの会社を創ると父さんに聞かされた時はびびった。普通に驚いた。そこまでやるかと思うくらい。夜霧グループは過去代々機械業を経営してきたんだとか、その中には乗り物が殆どで家の父さんはジェット機とか造ったらしい、ありえない。まあ俺も物心ついたかな?と思うころから仮面ライダー制覇!とか言って造り始めたが。最初はプラモンスターやアニマルディスク、フードロイドにカンドロイドから造ってみた。周りの人は驚いていたが父さんたちは普通に喜んでいた。さずが俺の息子だな。てきな感じで。それから色々あって会社造った。というより貰ったな、必要なビルとか土地とか。

 

だがISが世界に発表されてからグループの状況は一編した。元々夜霧グループの会社で造られる製品の技術が高いためか、お国の方々から電話がいっぱい来た。簡単に言えばお前らの技術力生かしてコアはやるからIS造れやコラ、みたいな感じ。

 

まあ断ることも出来るが色々と不都合だし父さんもノリノリだった。そのため父さんと母さんの経営する会社の幾つかから人が集められてIS開発会社が完成した。考えから実行までわずか数ヶ月だ、その実行力にびっくりだよ。

 

それから俺は会社を建てたんだがやはり学生ということもあって、姉さんと共同して造ることに、学校行ってる間は姉さんが代理で社長をしてくれるらしい。ちなみにバイクや車など輪車を扱う会社である。この当時十二歳。

 

それからは前途多難で最高だった。会社経営する楽しさを知った。バイク造る際にカラーデザイン等をアニメ仮面ライダー原作と同じにしたり、でもクウガとか龍騎とか、カブトはさすがに販売しなかった。クウガはカッコいいけどあのデザインを再現して売るのは無理があったし、龍騎は造るのに苦労して現在は俺の専用ラボに保管してある。カブトの場合再現したらやばい、でかいし、道でCast Offなんてしたら不法投棄で捕まるからな、これもラボに保管した。

 

あと裏でちょくちょくと仮面ライダーを造ることもした。クウガのアークルにアギトのオルタリングを始めとしたライダーたちの変身ドライバー、龍騎のVバックルや響の変身音叉音角(へんしんおんさおんかく)は種類全部は大変だった。何げに種類一番多かったの響だ、形は一緒だが同じ数造るのには大変だった。

 

平成仮面ライダー十五周年、なんて簡単に言うけどサブライダーに名前だけ登場したモブライダーまで造るのは疲れた、全部終わるのにかかった時間なんて数えてない。だって龍騎シリーズだけで約十六人、バースやイクサにG3Xは楽だったから調子に乗って量産した、響にいたっては何人いたかすら覚えてない、剛鬼に羽撃鬼に吹雪鬼とか、書類の名前にしか登場しないライダーもいたから大変だった。

 

ちなみにドライバーだけ作ってもしょうがないので、アイテムもちゃんと作った。ラウズカードやライダーカード、デッキにゼクター、ライナーパスにメモリ、メダルとetc.etc……。

 

とまあ何はともあれ、最高に楽しかった十五年間だった。あ、あと昨年より少し前に兎を拾った。空から降ってきた巨大な人参がラボの目の前にあった時はびびった。中から出てきたのがあのISの開発者「篠ノ之束(しのののたばね)」さんだったから二倍だね。何が、とは言わないが。

まあ政府から追われて休んで無いのか髪はボサボサで少し匂いもしたので家に泊めてあげた。特にISの事を聞き出すつもりもないし政府に引き渡すつもりも無かったけどな、一年くらい俺のラボで過ごしていったよ、巨大人参はラボで修理したしな。飛びたつ時にISのコアもらっちゃったよ。そんな土産みたいに渡していいものかと思ったね。

 

それでつい最近、織斑一夏という男がIS動かしたとニュースで広まっていた。政府の皆さん方は大忙し、俺の家は特に動かなかったけど。

 

だって俺も動かせるから。

 

嘘だと思うが事実だ。ニュースよりも少し前にISコアを改造させてもらったから、俺でもIS乗れるようになった、実感したのはIS造って改z…げふんげふん、調整した後に試したら本当に乗れたし。隠しておくつもりが政府のお偉いさん方が全世界男IS適性審査なんて始めるもんだから引っ掛かっちゃった。IS学園行けって言われた、今もう四月だけど、始業式始まってると思うんだけど。それでいいのかIS学園。

 

まあ喋り過ぎたな、それで今俺が何をしているのかというと____

 

「あっくん早くー、束さん待ちくたびれちゃうぞ!」

 

今からIS学園に向かうところだ。しかも束さんが送ってくれるんだと、いやあんた今までどこにいたんだよ、とか言いたいけどわざわざ送ってくれるんならお願いします的なノリだ。説明するなら。

 

IS適性審査で俺がIS操縦できることが世界に広まる。

狙われないためにIS学園行け、会社は任せろ。だが夏休みは帰ってきて仕事しろよ

急だったので始業式の一日後に準備完了。そこへちょうど泊まっていた束さんが嗅ぎ付ける。

どうせなら束さんが送ってあげよう!ならお願いします←今ここ

 

こんなところ。

 

「ほらほらあっくん!時間はまっちゃくれないよ!」

 

「今行きますよっと」

 

そんなこんなで、夜霧亜久斗十五歳。IS学園に行ってきまーす。

 

 

 




まさか文章だけで2/3埋まるとは……。


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二話 inIS学園(男二人)

束さんに送ってもらい現在IS学園に到着しました。夜霧亜久斗だ。入学式は昨日、終わっているので他の人達とは一日遅れて入学することになる。先程すれちがった教員に訪ねたから間違いないだろう。

 

ちなみに、入学式は終わっていると聞いたがまだ始業式は今日行われる。一時間前に終了したらしがな。それで現在入学届けを職員室に提出した俺はこれから一年を過ごすことになるクラス、一年一組の前にいるんだが……。

 

「どうやって入ればいいんだ……」

 

いや、ドアの開け方がわからないというわけじゃない。なんて言って入ればいいのかがわからないんだ。俺は現在進行形で遅刻をしているわけで入るのが凄く気まずい。こうしてドアの一歩前に立つこと五分である。おまけに教室からは何かが倒れる音や何かが勢いよく叩かれる音やらソニックブームを放つ黄色い歓声が聞こえてきたりする、恐ろしくて入るに入れない。

 

「でもさすがにこのままってわけにはいかないからな……」

 

よし、もう当たって砕けていいから普通に入ろう。なに、さっきの音やソニックブームは全て気のせいだと思ってしまえばいい。というわけで。

 

「失礼します。少々遅れてしまいまし___」

 

スパァン!

 

……おかしい、いくら何でもこれはない。教室に入った瞬間に出席簿で叩かれるとかありえないだろ。なにげに痛い。

 

「初日に遅れてくる奴があるか、馬鹿者」

 

その通りだから言い返せない。叩かれた頭を少しさすって俺を叩いた人を見ると、その人は黒のスーツにタイトスカートを履いている長身の女性がいた。つまりは教師だ。その後ろにはサイズが合っていない服とメガネをかけた童顔の人がいた。制服を着ていないことから教師だとは思うが、全然そうは見えない。

 

「まあいい、お前も自己紹介をしろ。既に他の奴は終わっている」

 

「わかりました」

 

俺は教壇の前に立ちクラスの人達に顔を向ける。一番手前にはISを動かせるとニュースで騒がれていた織斑一夏もいた。

 

「今日からIS学園でみんなと一緒に過ごすことになる、夜霧亜久斗です。一応「RIDE」の社長をやってます、でも関係なく接してほしいです。これから一年間よろしくお願いします」

 

こんなものかな、自己紹介なんてそこまで詳しく言っておくものじゃないと思うしな。

 

「……き」

 

「ん?」

 

「「「きゃああああ!!」」」

 

「「ぎゃあああああ!?」」

 

み、耳が痛い!これがさっき聞いたソニックブームの本質か!廊下で聞いたのとはわけが違う。その性で俺と織斑は悲鳴をあげてしまった。

 

「男子!二人目の男の人!」

 

「しかも二人目もうちのクラス!このクラスで良かったあ!」

 

「しかもイケメン!エリート系男子!おまけに玉の輿よ!」

 

「彼女はいますか!?私立候補します!」

 

一言で言おう、うるさい。女三人そろえばなんとやらとはよく言ったものだ。

 

「騒ぐな、静かにしろ」

 

「「「………」」」

 

凄い、あれだけうるさかった女子がこの人の鶴の一声で静かになった。カリスマ性が高いんだろうなこの人。

 

「夜霧、自己紹介が終わったのなら席につけ。後ろに空いている席があるだろう」

 

「わかりました。えーと……」

 

「私はこのクラスの担任の織斑千冬だ。織斑先生と呼べ」

 

「わかりました。織斑先生」

 

俺は後ろの空いている席に座った。

 

「ではこれでSHR(ショートホームルーム)は終わりだ。諸君らにはこれからISの基礎知識を半月で覚えてもらう。その後実習だが、基本動作は半月で体に染み込ませろ。いいか」

 

「「「はい」」」

 

でも俺ってもうISで特に覚えること無いんだけどなぁ。造る時にほとんど学び終えたようなものだしな。……たぶん

 

 

 

 

こうして授業が始まり、一時間目の理論授業が終わって現在は休み時間。クラス内ではクラスメイトの女子の視線が俺と織斑に、クラス外には他クラスの女子が廊下に詰めかけていてこちらも同じように俺と織斑に視線が注いでいる。

 

だけどそんなことは特に気にしない。俺が社長になった時の周りの視線や会議中の時に発せられる視線の方が痛いからな、視線の痛さはあまり感じなくなっている。

 

「(……にしても、楽しめるといいな)」

 

俺がこの世界に来たのは楽しむため、原作なんて見たことがないから知らないしメインキャラとかも知らない。

 

唯一わかっているのはあの織斑が恐らく原作の主人公で、今織斑を廊下へ連れだしたポニーテールの女子がメインヒロインの一人だということだ。本屋で見た小説の表紙が彼女だったので間違いはないだろう。

 

だが知ったことか。

 

俺は別に主人公とかヒロインだとか思って近づかない。原作崩壊なんてあるらしいがそんなのは俺がこの世界に来た時点で起こっている。それに読んだこともない小説の原作を崩壊させるなと言われても無理だ。知っている人なんて織斑と彼女しかいないんだから。しかも姿だけ。

 

だから、俺はこの世界で楽しめるように生きていく。友達作って、仲間ができて、前よりも充実した人生を送る。これが俺の目標だ。

 

「(暇だな……)」

 

次の授業の準備も終えて、やることもなくなって暇なので、とりあえずメ○トスを食べることにした。




原作スタートしました。
ここでちょっと説明をしておきます
◇は時間経過
◆は場所変更です


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三話 騒動波乱、セシリア・オルコット

「____であるからして、ISの基本的な運用は現時点で国家の認証が必要であり、枠内を逸脱したIS運用をした場合は、刑法によって罰せられ____」

 

二時間目、すらすらと教科書を読んでいく山田先生※さっき聞いた。クラス内の女子たちは時々頷いてはノートをとっている。そう、「女子たち」は。

 

「(ぜ、全然わからん……)」

 

「(……フォーゼ、ゼ、ゼロノス、スキャニングチャージ、G3X、ストロンガー、アギト、トリニティ……)」

 

男子の方は正反対であった。織斑はどっかりと積まれた教科書五冊を時々みるが、まったく理解していない様子。逆に亜久斗の方は既に知っていることばかりなので暇をもて余している状態。一応ノートはとっているが覚えたことをもう一度やる必要はないと思い、表面上真剣な顔をしながら、脳内では仮面ライダー用語でしりとりをしている。

 

「織斑くん、何かわからないところはありますか?」

 

「あ、えっと……」

 

一通り説明を終え、区切りを入れて織斑を指す山田先生。だが織斑は困惑状態、しどろもどろな口調になっている。

 

「わからないところがあったら訊いてくださいね。なにせ私は先生ですから」

 

えっへんとでも言いたそうに胸を張る山田先生。貴女が胸を張ると健全な男子高校生の目に毒なのです。そんな山田先生に二人は。

 

「(おお、もしかしたら頼れる先生なんだろうか、よし訊いてみよう)」

 

「(……イクサ、サイガ、ガイ、インペラー、ライア、アマゾン、あ……)」

 

織斑は表情を変えて返事をしようと考え、亜久斗はまだしりとりを続けていたがどうやら終わったようだ。

 

「先生!」

 

「はい、織斑くん!」

 

「ほとんど全部わかりません」

 

「(………マジ?)」

 

「え……。ぜ、全部、ですか……?」

 

山田先生の顔が困り果てたかのようになり引きつっている。織斑先生は呆れ顔になっている。

 

「(織斑は俺よりも早くIS学園に行くことが決定したから勉強期間は多かった筈だが……)」

 

「織斑、入学前の参考書は読んだか?」

 

織斑はその質問にいい笑顔でこういった。

 

「古い電話帳と間違えて捨てました」

 

パアンッ!

 

「(……何やってるんだこいつ……)」

 

答えた織斑の頭に出席簿が火を噴いた。今日で織斑の頭の細胞は一万は死んだだろう。思わず亜久斗も顔が引きつっている。

 

「あとで再発行してやるから一週間以内に覚えろ。いいな」

 

「い、いや、一週間であの分厚さはちょっと……」

 

「やれと言っている。返事は?」

 

「……はい。やります」

 

「(頑張れ織斑、へこたれるなよ)」

 

「夜霧、お前までわからないということはさすがにないだろうな?」

 

「いえ、大丈夫です。問題ありません」

 

「そうか、では山田先生、授業の続きを」

 

「は、はいっ!」

 

そう言って山田先生は教壇に戻って____こけた。

 

「うぅ、いたたた……」

 

「「(大丈夫か?この先生)」」

 

 

 

 

二時間目の休み時間、一番前の席に座っていた織斑と、先程の休み時間で織斑と廊下にででいた女子が俺のところへ来た。

 

「俺は「織斑一夏」え?何で知ってるんだ?」

 

「あれだけニュースで騒がれたんだ。世界中の人がお前を知っていると思うぞ。俺の名前は夜霧亜久斗だ、一応「RIDE」の社長をやっている。社長とか堅苦しいのは無しで頼む」

 

「あ、ああ、よろしくな。織斑一夏だ。こっちは幼馴染みの箒」

 

「…篠ノ之箒だ。よろしく頼む」

 

「ああ、こちらこそよろしく、篠ノ之、織斑。気軽に亜久斗でいいぞ。どうせ同じ男同士、付き合いは長くなるだろうしな」

 

「そっか、じゃあ俺も一夏でいいぜ。箒は?」

 

「私も名前でいい」

 

「ちょっとよろしくて?」

 

「へ?」

 

突然、会話の中に金髪ロールのお嬢様のような雰囲気を持つ女子が割り込み、話しかけてきた。

 

「どうしたんだ?」

 

「どういう用件だ?」

 

「………」

 

俺たちが答えると、目の前の女子はわざとらしく声をあげた。

 

「まあ!なんですのそのお返事は。わたくしに話しかけられるだけでも光栄なのですから、それ相応の態度というものがあるのでなないかしら?」

 

「「「………」」」

 

ああ、こういう奴か。女尊男卑の影響で成り上がったタイプの女子。こういう奴がいるんだよなぁ、おかげで会社の取り引きも大変なんだよ。男が社長やっている会社と話す気はないわ!的な感じで。まあそれは今話すことじゃないが。

 

「悪いな。俺、君が誰か知らないし」

 

「それに初めてあった奴にその態度はないんじゃないか?」

 

実際俺は自己紹介の時に教室にいなかったから知るわけがない。

 

「わたくしを知らない?このセシリア・オルコットを?イギリスの代表候補生にして、入試首席のこのわたくしを!?」

 

知るわけがない。俺は今日、自己紹介の後に来たんだ。そんな大きな声で捲し立てられても知らないものは知らないんだよ。

 

「あ、質問いいか?」

 

一夏が尋ねるとその女子、オルコットは上から目線で、見下したように答えた。

 

「ふん。下々のものの要求に答えるのも貴族の務めですわ。よろしくてよ」

 

あまりそういう態度はよくないぞオルコット。見ろ、箒なんか青筋立てて怒り丸見えだぞ。しかも関わりたくないような顔してるし。

 

「代表候補生って、何だ?」

 

がたたたっ

 

一夏の言葉に、その場で聞いていた者全員がずっこけた。

 

「あ、あ、あなたっ、本気でおっしゃってますの!?」

 

「おう。知らん」

 

「……信じられませんわ。極東の島国というのは、こうまで未開の地なのかしら。常識ですわよ、常識。テレビがないのかしら……」

 

多分こいつが知らなすぎるだけだと思う。それとテレビはあるに決まっていんだろう。日本の歴史を調べてから出直してこい。

 

「一夏……。代表候補生って言うのはな、国家代表IS操縦者の候補生のことだ、言わばエリート。名前から想像できるだろう?」

 

「そういわれればそうだ」

 

俺の言葉に反応してオルコットが復活し、一夏にびしっと人差し指を向けた。

 

「そう!エリートなのですわ!」

 

エリートねぇ……。あ、箒が自分の席に逃げた。

 

「本来ならわたくしのように選ばれた人間とクラスが同じだけでも奇跡なのですから、その現実を理解してくださる?」

 

「そうか。それはラッキーだ」

 

「……馬鹿にしてますの?」

 

「自分でエリートエリート言ってるのに何言ってるんだか、それに、世界最強のIS操縦者と言われた織斑先生の生徒になれた方が幸運なんじゃないか?」

 

俺はそこまでそうは思わないがな。だがオルコットは俺の言葉に応えたようだ。

 

「だ、大体、あなたたちISについて何も知らないくせに、よくこの学園に入れましたわね。世界で二人だけ男のIS操縦者と聞いていましたけど、とんだ期待外れですわね」

 

言いたい放題だなオルコット。

 

「俺に何かを期待されても困るんだが」

 

「過剰評価して勝手に幻滅されてもな」

 

「ふん。まあでも?わたくしは優秀ですから、あなたのような人間にも優しくしてあげますわよ」

 

逆に、これが優しさならどんなに良かっただろうな。

 

「ISのことでわからないことがあれば、まあ、泣いて頼まれたら教えて差し上げてもよくってよ、何せわたくし、入試唯一教官を倒したエリート中のエリートですから」

 

ISのことでお前に何か聞くことは恐らく無いだろう。あと唯一やらエリートやら、強調して言うんじゃない。目敏いだけだ。

 

「あれ?俺も倒したぞ、教官」

 

「は……?」

 

オルコットは目を見開き驚いている。にしても一夏、教官を倒したのか、ISを操縦したばかりなのに、やるな。

 

「わ、わたくしだけと聞きましたが?」

 

「女子ではってオチじゃないのか?」

 

そうだろうな。

 

「あなた!あなたも教官を倒したって言うの!?」

 

オルコットはそう言い、今度は俺に指を差して来た。

 

「いや、俺は試験は受けてない。今日来たばかりでそんなことしてる暇なかったしな」

 

キーンコーンカーンコーン。

 

そこで丁度チャイムが鳴る。一夏の顔は喜びが浮かんでいてわかりやすい。だが一夏、それは失礼だ、気持ちはわかるがな。

 

「……。また後で来ますわ!よろしくって!?」

 

別に来なくていいぞ。ノット、ウェルカム。

オルコットは自分の席に戻っていった。あ、

 

「一夏、後ろを見てみろ」

 

「え?」

 

パアンッ!

 

「さっさと席につけ、馬鹿者」

 

「は、はい……」

 

一夏は織斑先生の一撃を受けて、消沈しながら席に戻っていった。

 

 

 

 

「では次の授業を始める前に再来週行われるクラス対抗戦に出る代表者を決める」

 

クラス対抗戦?つまりあれか、IS使って戦うってことなのか?だとしたらぜひ立候補____

 

「クラス代表者とはそのままの意味だ。対抗戦だけでなく、生徒会の開く会議や委員会に出席してもらうクラスの長のことだ。ちなみに、一年間変更はないからそのつもりで」

 

はしないでおこう。そんなのはお断りだ。休み時間を潰してまで代表者なんてやりたくない。

 

クラス内は色めき立っているが誰も手をあげようとはしない。

 

「誰かいないのか?いなければ自薦他薦でも構わんぞ」

 

ちょっ、それを言ったら……。

 

「はいっ。織斑君を推薦します!」

 

「私もそれがいいと思います!」

 

ほら、優先順位的に男である俺たちが推薦されるに決まってるじゃないですか……。見てくださいよ、一夏なんて現実逃避してますよ?

 

「では候補者は織斑一夏……他にはいないか?」

 

「お、俺!?」

 

ここで目を覚ました一夏が立ち上がる。そして一夏にはクラス中からの視線が降り注いだ。

 

「織斑。席に着け、邪魔だ。それに、自薦他薦は構わないと言ったはずだ。指名されたのなら相応の覚悟を持て」

 

「くっ、なら俺は亜久斗を推薦します!」

 

何言ってんのお前!?諦めてクラス代表になれよ!

 

「私も夜霧君に賛成です!」

 

「私も私も!」

 

「彼ならクラス代表としてカリスマ性を発揮してくれると思います!」

 

「お待ちください!納得がいきませんわ!」

 

ここでバンッと机を叩いて立ち上がったのはオルコットだった。

 

「そのような選出は認められません!大体、男がクラス代表なんていい恥さらしですわ!このセシリア・オルコットにそのような屈辱を一年間味わえとおっしゃるのですか!?」

 

酷いいいようだな、そこまで言うのならイギリスに帰れ。

 

「いいですか!?クラス代表は実力トップがなるべき、それはわたくしですわ!物珍しいからという理由でこんな極東の猿にされるのはおかしいですわ!」

 

物珍しいという理由でクラス代表にするのは間違いだが、言い過ぎだ。織斑先生を見ろ、額を抑えて呆れてるぞ。

 

「わたくしは島国までIS技術の修練に来ているのであって、サーカスをする気は毛頭ございませんわ!それに大体、文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体、わたくしにとっては耐え難い苦痛で「イギリスだって大してお国自慢ないだろ。世界一まずい料理で何年覇者だよ」なっ……!?」

 

あ、一夏が切れた。我慢するなら我慢しろよ。オルコットの顔がモモタロスみたいに真っ赤になっているじゃないか。いやそれは言い過ぎか。

 

「あっ、あっ、あなたねえ!わたくしの祖国を侮辱しますの!?」

 

「先に言って来たのはそっちだろ!」

 

二人の言い合いはどんどんヒートアップしていく。取り合えず、止めよう。

 

「おい、二人ともやめろ。というかオルコット、お前IS開発したのは日本人だぞ、それに後進的っていうけどさ、どの国も軍事力以外は対して変わらないぞ。それと一夏、イギリスにも上手い料理はある、一時期の感情に流されるなよ」

 

「「はい…」」

 

「それに、お互いに不満があるなら決闘して決めたらどうだ?ハンデ無し、あとくされも無しで、それで決めればいいだろう」

 

「……それもそうだな」

 

「ええ、それで構いませんわ」




二人が静まったところで織斑先生がぱんっと手を打って話を締める。

「話はまとまったな。それでは勝負は一週間後の月曜。放課後、第三アリーナで行う。織斑とオルコット、それと夜霧はそれぞれ準備しておくように」

「え?俺もですか?」

「当たり前だろう、お前も推薦されたんだからな。自薦他薦によって選ばれたお前ら三人で勝負してもらうぞ」

「……まあ、構いませんが」

むしろ大歓迎だ。なんせ、楽しめそうだしな。


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四話 ルームメイト、更識簪

 

俺と一夏、オルコットさんのクラス代表決定戦が決定……ややこしいな。まあとにかく俺たち三人がクラス代表の座をかけて戦うことが決まった。

 

そして今日の授業は全て終了し放課後となった。IS学園は全寮制なので生徒全員が利寮で暮らすこととなっているらしい。だが俺と一夏は急な入学で部屋割りが決まってないとかで一週間は自宅通いらしい、まあ普通ならマンションやらアパートやらに住むのだろうが俺は違う。IS学園を出て人目につかないところに行ってウィザードライバーを使えば一瞬で家に戻れる。このウィザードライバーは夜ごろに放送されていた某猫型ロボットのどこでもドアのような便利さを持っているのだ。

 

「さて、帰るか……」

 

まあそれでも、一人で帰るというのに変わりはない。俺はそんなぼっちのようなことはあまりしたくはない。なので俺と同じ自宅通いの一夏と一緒に(途中まで)帰ることにした。

 

「……何うなだれてるんだ」

 

案の定、教室に一夏は残っていた。勿論他の女子も複数人ほど教室で駄弁っているがな。まあそれはどうでもいい。俺は机にうなだれている一夏の方へと近づいた。

 

「……うう……授業内容が全然わからん。なんでIS学園の授業はこんなにややこしいんだ……?」

 

「そりゃ難しいに決まってるだろう。逆に簡単な授業だとでも思っていたのか?」

 

「そりゃある程度は覚悟してたけどよ……」

 

まあそりゃそうだろうな。専門用語の羅列がびっしりと詰まった教科書数札に加えて今までISの勉強なんて全くしてこなかったんだからな。一般的に例えるなら戦い方を全く知らないのにイマジンとの戦闘をすることになってしまった電王第一話の野上良太郎と同じ感じだろう。

 

そんなことを考えて溜め息を吐いた。それから一夏が復活するのを待つために隣の席に腰かけさせてもらった。幸い教室は静かだし___

 

「あ!あそこ私の席よ、やったわ!」

 

「ちょっとずるいわよ!織斑君と同じ席なだけでなく夜霧君に座ってもらうなんて!」

 

「私あそこの席がよかった~!」

 

「私の苗字が別だったらよかつたのに!」

 

……静か、だったんだがな。

 

「あ、織斑君に夜霧君。まだ教室にいたんですね。よかったです」

 

「はい?」

 

一夏と俺が声の方を向くと、そこには俺たちのクラスの副担任の山田先生が書類を片手に立っていた。

 

「どうしたんですか山田先生。俺と一夏はこれから帰るんですが」

 

「ああ、そのことなんですけど。実はですね、寮の部屋が決まりました」

 

そう言って俺たちに部屋の番号がかかれた紙と鍵を渡す山田先生。……どういうことなのか。

 

「山田先生。俺の記憶が正しければ俺たちは一週間は自宅通いの筈では?昼休みに他の先生から聴きましたよ」

 

「そうそう。部屋が決まってないとかで」

 

「そうなんですけど、事情が事情なので一般的な処置として部屋割りを無理矢理変更したらしいです。……二人とも、そのあたりのこと政府から聞いてます?」

 

聞いてるわけがないでしょう。

 

「そう言うわけで、政府特命もあって、とにかく寮に入れるのを最優先したみたいです。一ヶ月もすれば二人の部屋が用意できますから、しばらくは女子との相部屋で我慢してください」

 

ちょっと待った。

 

「山田先生。相部屋が用意されているんなら俺たちの二人部屋として女子の部屋を変更できなかったんですか?」

 

「そ、それがですね……一応IS学園にも個室がいくつかあるですが、そこに住む女子の方たちが部屋を変えたくないって……それで相部屋でも構わないという人がいたので……」

 

なるほど。致し方ないな。

 

「山田先生、それで、部屋はわかりましたけど、荷物は一回家に帰らないと準備できないですし、今日はもう帰っていいですか?」

 

「あ、いえ、荷物なら____」

 

「私が手配しておいてやった。ありがたく思え」

 

ここで織斑先生登場。

 

「ど、どうもありがとうございます……」

 

「織斑のは私が、夜霧の荷物はお前の姉が用意したそうだ。まあ、生活必需品だけだがな、着替えと、携帯電話の充電器があればいいだろう」

 

それだけの荷物で暮らせるのなら人々にストレスと娯楽は存在しなかっただろうな。

 

「じゃあ、時間を見て部屋に行ってくださいね。夕食は六時から七時、寮の一年生食堂でとってください。ちなみに各部屋にはシャワーがあるのでそちらを使ってください。……えっと、二人は今のところ大浴場は使えませんので」

 

「え、なんでですか?」

 

「一夏、ここは俺たちが来るまで女子専門学園だったんだ。そんなところに男湯があると思うか?まして、女子と入る気じゃあるまいし」

 

「あー、そういうことか……」

 

「おっ、織斑君っ、女子とお風呂に入りたいんですか!?だっ、ダメですよ!」

 

「い、いや、入りたくないです」

 

「ええっ?女の子に興味がないんですか!?そ、それはそれで問題のような……」

 

どうしろというんだ。そして山田先生と教室に群がっているふ女子たち。顔を赤めながらこっちを見るんじゃない、薄い本なんて作るな。

 

「えっと、それじゃあ私たちは会議があるので、これで。二人とも、ちゃんと寮に帰るんですよ。道草くっちゃダメですよ」

 

貴女は五十メートル内で道草をくうのか山田先生。そして寄るところなんかもない筈だろう。

 

「それじゃあ、これから相部屋同士、よろしくな」

 

「……お前は何を聞いていたんだ」

 

入学早々、不安になってきつつある。俺の胃が痛むことなどありませんように、逆に楽しみだけをくれ。

 

 

 

 

俺たちは、職員室でそれぞれの荷物が入った鞄を受けとると、寮に向かった。

 

「えーと、ここか。1025号室だな」

 

「俺は少し向こうの1030号室だ。また明日な一夏、それとノックぐらいはしろよ」

 

「わかってるよ、じゃあな亜久斗」

 

IS学園の寮で一夏と別れ、俺も自分の部屋に向かった。ノックをして、了承をとってから入る。

 

「……誰?」

 

ノックから数秒後、部屋からは女子の声が聞こえる。

 

「失礼、今日から相部屋となった夜霧亜久斗だ。入ってもいいだろうか?」

 

「どうぞ……」

 

返事がしたのでドアを開けて部屋に入る。中には、メカニカル・キーボードをカタカタと叩いている女子がいた。髪はセミロングで癖毛のハネが内側に向いている。頭には大きめの髪飾りをしていた。

 

「俺は夜霧亜久斗。よろしく」

 

「……更識簪」

 

「よろしく、更識さん」

 

「……」

 

「……」

 

まさかの会話が続かないという事件が発生した。まあなにやら更識さんはキーボードでなにやらするのに忙しい様子、ならば無理に話しかけるよりも自分の荷物をほどいていくのがいいだろう。

 

「あ、荷物置かせてもらってもいいかな?」

 

「別に、いい……」

 

あ、返信はちゃんと返してくれた。

 

まあとりあえず、用意してもらった荷物の確認と整理が先だな。

俺が鞄を開けて中身を確認する。

 

・IS学園指定の制服、ベルトが隠れるように少し大きめになっていた。

 

・俺の携帯、ケータッチケータロススタッグフォンファイズフォンetcetc

 

・俺の着替え、下着やUシャツ、私服等

 

さて、一つ一つ整理して行こうか。まずIS学園の制服の内一着はクローゼットへ、残りと着替えはコネクトリングを使ってしまって置いた。※俺の部屋だからな。

 

次に大量に出てきた俺の携帯。およそ十個ほど。こんなにあってどうするんだと言われても俺は知らん、文句はライダーを考えた人に言ってくれ。とりあえず一つを残して残りは同じくコネクトリングで収納。

 

とりあえず荷物はこれだけだった。本当に生活必需品だけだった。まあ俺には関係無い。好きな時に好きな物が出せるからな

 

コネクトプリーズ コネクトプリーズ コネクトプリーズ

 

俺は魔法陣から冷蔵庫やテレビ等を出していき、更識さんの邪魔にならない位置に並べた。ついでにポットも、これだけあればいいだろう。

 

「?何のお____」

 

そして更識さんが俺の模様替えの音を確認しようとこっちを向いた瞬間、丁度更識さんの隣に置いてあったカップに腕が当たり、カップは落下してしまう。

 

「おっと」エクステンドプリーズ

 

まあ当然、防ぎますが。魔法陣に腕を通して、通した腕をカップへと伸ばす。カップは伸びた俺の手によって落下を免れた。

 

「え……?」

 

当然、その様子を見ていた更識さんは目を瞬かせたり擦っている。そりゃ落ちると思ったカップが伸びた俺の手で落ちなかったんだからな。

 

「え、えっと、何が、起きたの?」

 

「あ、いや。ISの能力だと思ってくれ」

 

とりあえず、誤魔化す。だがそんなんじゃ更識さんの疑問は晴れないわけで

…。

 

「他のこともできるの……?」

 

「え?ああ、まあ、できるが」

 

「見せて」

 

「え?」

 

「見せて、ほしい……」

 

更識さんの目が好奇心いっぱいで溢れている。これはあれだ、見せないと終わらないタイプだ。まあ荷物の整理も終わったし、打ち解けるぶん構わないが。

 

「うーん。そうだな…これでいいか」グラビティプリーズ

 

俺はグラビティリングを使ってポットを宙に浮かせる。

 

「……もっと」

 

「………マジか」

 

それから約二十分。マジックショーは続いた。そして色々話し会った結果、様々なことが解った。更識さんが特撮物が好きということや生徒会長の姉がいること。その姉に対するコンプレックスを抱えていることも知った。

 

まあでも、いくらその姉が凄かろうがISを一人で作るなんて無理だ。束さんなら楽勝だろうが、研究所や施設の天才でも専用機を作るのには時間と人手、費用がかかる。一人でそんな風に造れる筈がないのだ。

 

……まあ、俺は造ったけどな。

 

でもそれは装甲が薄く、IS自体にそこまで費用や時間がかからなかったからだ。嘘ではない。

 

「___とまあつまりだ。色々長くなったが俺が言いたいのは、もっと人を頼れ、無理をするなってことだ。……簡潔にしすぎたな」

 

話しをまとめようとしたら簡単な答えになってしまった。小学生か、俺は。

 

「じゃあ、貴方を頼ってもいいの……?」

 

「ああ、俺だけじゃなく、他の人たちもな、友達いるだろ?」

 

「うん……」

 

「じゃあこの話は今日はここで終わり。寝ようか」

 

「うん……ありがと。まだ、設計段階だから、そこを手伝ってほしい……」

 

「ああ、わかったよ」

 

その後は、シャワーを浴びてすぐに寝た。

 

 

 

 

 

 




感想に意見があったのでルームメイトに簪を入れてみました。

そしてアンケートをとることにしました。気軽にお書きください、それではまた次回


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五話 夜中の激闘・VSウィザード

こんにちは。作者こと滝温泉です。
ただいまアンケートをとっているので書き込んでくれるとうれしいです…。

では本編スタート!


IS学園入学から一日後、時刻は午前二時半頃。そんな夜中に夜霧亜久斗こと俺は、訓練も兼ねて無人島に来ていた。

 

何故俺がこんなところにいるか、解らない人のためにご説明したいと思う。

 

~回想~

 

昨日の夜、つまりは二十三時半頃に俺は目を覚ました。いつもと違うベッドの性なのか殆ど寝付けなかったのだ、何回寝直しても熟睡することができなかった。そこで俺はこう考えた。

 

逆に考えるんだ、眠らなくていいさと。

 

普通はこんな考えにはたどり着かないだろう、たどり着くのは馬鹿だ。だが俺は違う、俺にはウィザードライバーがある。そしてスリープリングとタイムリング、テレポートリングもしくはコネクトリングがある。これらさえあれば今眠らなくても自由に時間を過ごすことができるのだ。

 

1 まずはタイムリングを使い少し未来へ飛ぶ。

 

2 テレポートリングを使い人気の無い無人島へ移動。

 

3 そこで自由行動開始

 

4終わったらタイムリングで元の時間へ戻る。

 

5 スリープリングで一瞬で眠ることができる。

 

完璧だ。何故今まで気づかなかったのか不思議なほど完璧な作戦だ。普通にスリープリングだけ使って眠ればいいという考えはいらん。放っておく。

 

よし、ならば早速実行しよう。というわけで俺は右手にタイムリングを填める。

 

「あ、念のためにテレポートを先にすることにしよう」

 

そうだった。もしウィザードライバーの音で簪が起きる可能性を忘れていた。先にテレポートで無人島にでも行くとしよう。

 

「レッツゴー」テレポートプリーズ

 

~回想終了~

 

というわけだ。因みにもうタイムリングは使っている。つまりここは元の時間よりおよそ三時間後の世界ということになるな、時間が短すぎて実感がわかない。

 

「まあそんなことは放っておき、クラス代表決定戦に向けて、秘密の特訓といくか」

 

ここなら人目の心配もないからな。思う存分やるとしよう。

 

「変身」ドライバーオン!

 

シャバドゥビタッチヘンシーン!シャバドゥビダッチヘンシーン!フレイムプリーズヒーヒーヒーヒーヒー!

 

ウィザードライバーの黒い手形部分『ハンドオーサー』を左手側に傾かせ、フレイムウィザードリングをかざすことで魔法陣が俺の体を透過し、仮面ライダーウィザード・フレイムスタイルに変身した。

 

「よし、まずは何をするかな……組手でいいか」コピープリーズ

 

ハンドオーサーを右手側に傾かせコピーリングをかざす。そして魔法陣が再び俺の体を透過する、そして俺と同じウィザードフレイムスタイルが複製された。

 

「さあ、寝る前の軽い運動と行こうか」

 

「オーケー。相手に決定だを与えた方の勝ちでいこう」

 

「「スタート!」」

 

俺たちは向き直り、すぐに相手へと走り出す。今回は戦闘ではないからウィザーソードガンは使わない。今回の組手は体を動かすことを課題とする。今回は複製された俺をCアクトと呼ぶことにする。

 

まず俺はCアクトの右肩を狙って回し蹴りをする。それをCアクトは前転のようにかわし、右手でアッパーを繰り出してきた、が俺はそれを左手を使い受け止め、自分へと引っ張る。

 

「よっこらせっ!っと!」

 

「おわっ!しょい!」

 

俺はもう片方の腕も掴みともえ投げでCアクトを投げ飛ばした。Cアクトは難なく受け身をとり着地、ダメージはゼロ。

 

互いに正面を向きながらじりじりと足をずらす。そして三歩半ほどお互いに足を移動させ立ち止まった数秒後、俺とCアクトは指輪をはめてハンドオーサーにかざした。

 

ビッグプリーズ

 

エキサイトプリーズ

 

「はっ!」

 

「へあっ!」

 

俺はビッグリングで魔法陣に右腕を透過して腕を巨大化させて拳を繰り出す。それに対しCアクトはエキサイトリングを使い筋力を増大し筋骨隆々な姿となり、俺の巨大化した腕を受け止めた。

 

「ぐぐぐぐぐぐ……!」

 

「ああああああ!」

 

正に力と力のぶつけあい。俺は巨大化した腕を突き刺すように押し、Cアクトはそれを受け止め、力で押し返そうとする。このまま行けば硬直状態となり、時間が過ぎていくだけだろう。そう思い俺は次のウィザードリングに手を伸ばそうとする。

 

が、それは出来なかった。Cアクトは俺がリングを手に取る寸前に、俺を振り回すようにして投げ飛ばした。恐らくエキサイト使用状態だったからこそ俺の巨大化した腕ごと俺を投げ飛ばせたのだろう。

 

そして勢いよく投げ飛ばされた俺は無人島の奥へと飛び、樹に向かって行く。だが体を縦に勢いよく回転させることで体制を立て直し、樹に着地した。この樹が太く丈夫で助かった。

 

「はあああ!」

 

「ちっ!」

 

投げ飛ばされたことでCアクトから大きく距離を取った俺だが休む暇はなかった。Cアクトはいつの間にか上空へ飛び上がり、キックストライクを使用して俺に蹴りを放とうとしていた。ここで当たれば確実に大きなダメージとなるだろう。避けなければならない。

 

「はあああああっ!」

 

「どんな攻撃も、当たらなければ意味がない!」

 

スモールプリーズ

 

ディフェンドプリーズ

 

俺はスモールリングを使い自分の体を小型化、更にディフェンドリングで壁を創りCアクトの攻撃が届くまでの時間稼ぎとし、俺はCアクトの蹴りの直線上から離れた。

 

「くっ、どこだ?」

 

目標を失ったCアクトは俺の姿を探そうと辺りを見渡す。だが周りはたくさんの樹で囲まれていて俺の姿を見つけることはできない。

 

「……こっちも決めさせてもらうぞ」

 

バインドプリーズ

 

「何っ!?」

 

突如後ろから現れた大量の鎖にCアクトは反応できず、全ての鎖がCアクトを捕縛した。

 

「さあ、フィナーレと行こうか」

 

チョーイイネ!キックストライク!サイコー!

 

キックストライクリングをハンドソーサーにかざし、上空へと跳ぶ。そして俺からCアクトへの直線上に魔法陣が現れる。

 

「これが正しいやり方だ。行くぞ!はああああああ!!」

 

蹴りを放つように魔法陣を透過、俺の足に炎が纏わられた一撃『ストライクウィザード』をCアクトへと放った。

 

ドオオオン!!

 

鎖で動きを封じられたCアクトはストライクウィザードが直撃し、多大なダメージを受けたことにより消滅した。

 

「ふぃー。いい運動になった、これで終了しようか」

 

タイムプリーズ

 

元の時間へと帰り、無人島も戦う前へと姿か変わっていた。空も真っ暗で、元の時間へと戻れたと実感する。

 

テレポートプリーズ

 

テレポートリングを使い、IS学園の自室へと帰る。

 

 

そして変身を解除した後、軽くシャワーを浴びて着替え、寝ることにした。

 

「おやすみ……」スリーププリーズ

 

 

 

 

 

 

これで、俺のIS学園生活初日が完全に終了したのだった。




今回はオリジナルで戦闘シーンを書いて見ました。いやあ、戦闘描写って難しいですね...。

アンケートへの応募待ってます。
ではまた次回


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六話 食堂&教室にて

 

「なあ」

 

「「…………」」

 

「なあって、いつまで怒ってるんだよ」

 

「……怒ってなどいない」

 

「顔が不機嫌そうじゃん」

 

「生まれつきだ」

 

「………」

 

俺は今、食堂で食事をとっている。ちなみに注文したのは肉うどんと野菜の天ぷら。IS学園の学食は今まで通ってきた学校の給食なんかよりも旨く、食べた十人中十人が旨いと言えるほどだ。

 

この雰囲気さえなければだが。

 

俺は食堂にIS学園の一年生。女子全員が集まっている中、一夏に箒と共に朝食取っている。だがこの二人、朝出会った時からずっとこの調子なのだ、一夏は箒に声をかけて会話を広げようとしているが箒は不機嫌な顔で食事を取っている。

 

「箒、これうまいな」

 

「………」

 

……はあ、しょうがない。そんな顔で食事を取られたらこっちの料理の味が悪くなる。

 

「あのな箒、食事は一期一回、毎回毎回大事にしろ。そんな不機嫌そうな顔で食べてても、味なんてわからないぞ」

 

「……私は怒ってなどいない」

 

……駄目だ。俺が天の道を往き、総てを司る男の名言を使っても対して効果がなかったようだ。というか、今更だが何故箒は不機嫌なんだろうか。

 

「おい、一夏」

 

「ん?」

 

「何故箒不機嫌なんだ、原因を知っているか?」

 

「………」

 

原因はこいつか……。絶対昨日、一夏と箒の間に何かがあったな。だが俺と一夏が別れてから今日までの間に会う時間は恐らく無かった筈だ、ならばこの二人は同室だったのだろうか。そしてその時に何かがあったというのが自然だな。まあ後で聞けばいいか。

 

「ねえねえ、彼らが噂の男子だって~」

 

「なんでも千冬様の弟らしいわよ」

 

「えー、姉弟揃ってIS操縦者なの?ならやっぱり彼も強いのかな?」

 

「ならもう一人の男子はどうなんだろ?」

 

そしてこの問題の次がこれだ。周りでは女子が一定の距離を保ちつつ俺たちを遠回しに見ている。言わば『私達興味津々ですよ。でもがっつきませんよ』という感じ、視線に包囲されながらの食事というのはいささか良いものでは無いがここで全員に注意するのもきついからこの視線は無視でいいだろう。

 

「だから箒____」

 

「な、名前で呼ぶなっ」

 

「篠ノ之さん」

 

「………」

 

なんなんだろうか。一夏が名前で呼んだら呼ぶなといい、名字で呼んだらまた不機嫌な顔になった箒。女子というのはやっぱりよくわからないものだ。

 

「お、織斑君、隣いいかなっ?夜霧君もっ」

 

「へ?ああ、別にいいけど」

 

「俺も構わないぞ」

 

声のした方にはトレーを持った女子が三名、そして俺たちが了承するとその子たちは安堵の息を漏らし、後ろの女子は小さくガッツポーズをした。そして周囲からはざわめきが聞こえる。

 

「ああ~っ、私も早く声をかけておけばよかった……」

 

「まだよ、まだ二日目。大丈夫、まだ焦る段階じゃないわ」

 

「昨日のうちに部屋に押しかけた子もいるって話だよー」

 

「なんですって!?」

 

そういえば、昨日合計でおよそ四十人ほど部屋に自己紹介をしに来ていたな。中でも二年生の人が一番多かった気がするが、寮官注意されなかったのか。おまけに……いや、これはよしておこうか。

 

その女子三人は、予め座る席を決めていたかのように非常にスムーズに席に着いた。一夏の隣に一人、俺を挟むように二人座った。これで六人掛けのテーブルの席全てが埋まることとなったわけだ。

 

「うわっ、織斑君って朝すっごい食べるんだー」

 

「夜霧君も、お、男の子だねっ」

 

「俺は夜少なめに取るタイプだから、朝取らないと色々きついんだよ」

 

「確かに夜は消費するカロリーが少ないから、朝は多め、夜は少なめが体型維持などにはちょうどいいかもな。あくまで適度にだが」

 

「「「た、体型……」」」

 

「ていうか、女子って朝それだけしか食べないで平気なのか?」

 

三人のトレーに乗せられたメニューは、飲み物一杯にパンが一枚、おかずが一皿だけ、男から見たら明らかに少ないようにしか見えない。

 

「わ、私たちは、ねえ?」

 

「う、うん。平気かなっ?」

 

「お菓子よく食べるしー」

 

間食はほどほどにしろよ。

 

「……織斑、私は先に行くぞ」

 

「ん?ああ。また後でな」

 

箒は席を立って食堂からさっさと行ってしまった。一夏の呼び方が名字になっていたな、本当に何故不機嫌なんだろうか。

 

「織斑君って篠ノ之さんと仲がいいの?」

 

「お、同じ部屋だって聞いたけど……」

 

あ、やっぱり同じ部屋だったのか。なら恐らくだが、俺の予想も当たっている筈だ、中身は知らないがな。

 

「ああ、まあ幼馴染みだし」

 

周りからは「幼馴染み」という単語に反応して『え!?』という声が聞こえてきた。

 

「え、それじゃあ____」

 

と、一夏の隣の女子(名前は知らん、自己紹介の時聞いていなかったからな)が質問しようとしところで、突然手を叩く音が食堂に響く。そこには俺たちの担任、織斑先生の姿が。

 

「いつまで食べている!食事は迅速に効率よく取れ!遅刻者はグラウンドを十周させるぞ!」

 

そして織斑先生の声が食堂内に響いた後、他の女子全員が慌てて食事の続きに戻った。なんせこのIS学園、グラウンドが一周五キロある、ここで走り続ければマラソンが余裕でクリアできるだろう。

 

まあ俺は食事を既に食べ終わっていたので、先にトレーと皿を片付け、教室に向かった。

 

 

 

 

「…………」

 

二時間目が終わった時点で、一夏はグロッキー状態、俺は暇になっていた。といっても、それはISの基本を既に知り終えていたからであるから、半年もすればまたわからないところが出てくるのだろうが。

 

でも一応授業は聞いている。ノートとかはしっかり取らないといけないしな。

 

「というわけで、ISは宇宙での作業を想定して作られているので、操縦者の全身を特殊なバリアエネルギーで包んでいます。また、生体機能も補助する役割があり____」

 

駄目だ。いい加減暇を通り越して退屈になってきた。ここは何か別のことを考えて授業を過ごそう。

 

 

 

 

「ねえねえ、織斑君さあ!」

 

「はいはーい、質問しつもーん!」

 

「今日のお昼ヒマ?放課後ヒマ?夜ヒマ?」

 

さて、あれから俺の脳内での「第二百二十一回、昭和対平成ライダー!」も終了して休み時間となった。そして現在俺と一夏はクラスの女子の半数以上に質問攻めをされている。まあできる限りは答えているがな。

 

ちなみに、昭和対平成でV3対カブトを想像していた。クロックアップの瞬間にV3バリアーを張ることが出来れば勝てるだろうが牽制を入れたら攻撃できるのでカブトの勝ちという判断になった。

 

「千冬お姉様って自宅ではどんな感じなの!?」

 

「え。案外だらしな____」

 

パアンッ!

 

「休み時間は終わりだ。散れ」

 

いつの間にか一夏の背後にいた織斑先生の出席簿によって織斑は自分の机に頭を沈めることとなった。なんと言おうとしていたのだろうか、一夏よ。

 

「ところで織斑、お前のISだが準備まで時間がかかる」

 

「へ?」

 

「予備機がない。だから少し待て。学園で専用機を用意するのだそうだ」

 

「???」

 

あ、こいつわかってないな。首をかしげているからわかる。

 

「せ、専用機!?一年の、この時期に!?」

 

「つまりそれって政府からの支援が出てるってことで……」

 

「ああ~。いいなぁ……。私も早く専用機欲しいなぁ」

 

「織斑。わかっていないようだな。教科書六ページ。音読しろ」

 

「え、えーと……『現在、幅広く国家・企業に技術提供が行われているISですが、その中心たるコアを作る技術は一切開示されていません。現在世界中にあるIS二百六十七機、その全てのコアは篠ノ之博士が作成したもので、これは完全にブラックボックスと化しており、未だ博士以外はコアを作れない状況にあります。しかし博士はコアを一定数以上作ることを拒絶しており、各国家・企業・組織・機関では、それぞれ割り振られたコアを使用して研究・開発・訓練を行っています。またコアを取引することはアラスカ条約第七項に抵触し、全ての状況下で禁止されています』……」

 

「つまりそういうことだ。本来なら、IS専用機は国家あるいは企業に所属する人間しか与えられない。が、お前の場合は状況が状況なので、データ収集を目的として専用機が用意されることになった。理解できたか?」

 

「な、なんとなく……」

 

ここでわからない人のため、簡単に説明しよう。つまり話をまとめると、

 

・ISは世界中で四百六十七機しか存在しない。

 

・コアは開発者である篠ノ之束博士以外製作不可能であり、本人がこれ以上作らないために増えることもない。

 

・一夏が男性操縦者ということなので政府の人たちから実験台としてISが渡されることとなった。

 

ということだ。ちなみに篠ノ之博士というのは俺が昔助けた人のことだ。※詳しくは一話を読んでくれ。

 

にしても、俺は束さんからコアを渡されたんだが、登録してある四百六十七個の内の一つなのだろうか?非常に気になる。

 

「あの、先生。篠ノ之さんって、もしかして篠ノ之博士の関係者なんでしょうか……?」

 

「そうだ。篠ノ之はあいつの妹だ」

 

さらりととんでもない爆弾投下したなこの担任。個人情報保護法案というのを知らないのかあんたは、そんなことを言ったら……。

 

「ええええーっ!す、すごい!このクラス有名人の身内が二人もいる!」

 

「ねえねえっ、篠ノ之博士ってどんな人!?やっぱり天才なの!?」

 

「篠ノ之さんも天才だったりする!?今度ISの操縦教えてよっ」

 

こうなるに決まっているじゃないか。たたでさえ噂や事件に興味津々なお年頃な女子の前で言ったらその中心となる人物へと人は群がっていくものだ。現に、クラスの女子のほとんどが箒の元にわらわらと集まっている。例えるならインペラーのファイナルベントのように。※知らない人はwikiで調べてみよう!

 

「あの人は関係ない!」

 

突然の大声、全員が何が起こったかわからないような表情になった。

 

「……大声を出してすまない。だが、私はあの人じゃない。教えられるようなことは何もない」

 

そう言うと、箒は女子から顔を背けるように窓の外に顔を向けた。女子は盛り上がったところに冷水を浴びさせられた気分のようで、それぞれ困惑や不快を顔にして席に戻った。

 

箒は束さんを嫌っているようだ。簪のような天災の姉と自分を比べられたコンプレツクスなのだろうか、はたまた別の何かなのか?

 

「さて、授業を始めるぞ。山田先生、号令」

 

「は、はいっ!」

 

いや、織斑先生。こうなった原因は貴女だろう、何故何事もなかったかのように始められるんだ。

 

「」

 

「」

 



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七話 学食&一夏のこれから

皆さんこんにちは。滝温泉です。
『IS 楽しむことは忘れない 転生者の物語』をお気に入りに登録してくれている方々、感想を書いてくれている方、本当にありがとうございます。作者からのお願いなのですが出来れば評価が欲しいです。これからも頑張って行きますのでよろしくお願いします。

それでは本編スタート!


「安心しましたわ。まさか訓練機で対戦しようとは思ってなかったでしょうけど」

 

一夏に専用機が与えられることになった数時間後の休み時間(昼休みともいう)。授業が終わって早速一夏の席にオルコットさんがやってきて、腰に手を当ててそう言った。結果としては丁度そこにいた俺も話に混ぜられてしまい、昼飯を食べに行くのを邪魔されたんだがな。

 

律儀にさん付けをするのは止めた方がいいんだろうか、一夏なんてもはや呼び捨てを通り越して名前呼びだしな。……別にいいだろう、そういうことにしておこう。

 

「まあ?一応勝負は見えていますけど?さすがにフェアではありませんものね」

 

「?なんで?」

 

「あら、ご存じないのね。いいですわ、庶民であるあなたたちに教えて差し上げましょう。このわたくし、セシリア・オルコットはイギリスの代表候補生……つまり、現時点で専用機を持っていますの」

 

「「へー」」

 

「……馬鹿にしてますの?」

 

こいつは俺の自己紹介を聞いていなかったのだろうか。自分でも庶民とは程遠い自覚しているのに、朝に寝坊したらキバットバットlll世やらフードロイドたちが起こしにきてくれるんだぞ?ライダー好きにはたまらない特権だろう。まあそれ以前に社長だしな。

 

「いや、すげーなと思っただけだけど。どうすげーのかはわからないが」

 

「それを一般的に馬鹿にしていると言うのでしょう!?」

 

バン!と両手で机を叩くオルコット、その性で一夏のノートが机から落ちた。拾っておこう。

 

「おいオルコット、落ち着けサプリメントをやるから。イライラするのならカルシウムを取った方がいいぞ」

 

「余計なおせわですわ!」

 

余計怒らせたようだ。どうやら相当ご立腹の様子。

 

「……こほん。さっき授業でも言っていたでしょう。世界でISは四百六十七機。つまり、その中でも専用機を持つものは全人類六十億超の中でもエリート中のエリートなのですわ」

 

「だとしたら、俺たちもそのエリートなんだろうな。よかったな一夏、エリートの仲間入りだぞ」

 

「何故あなたたちのような男が!?」

 

「さっき自分で言っていただろう。簡単に言えば専用機を持っている人類がエリート、つまり政府から専用機が貰えるこいつはエリートということになる。違うか?」

 

「っ!で、ですが。貴方は専用機を持っていないのでしょう?」

 

「話聞いてたか?俺も専用機くらいは持っているぞ、ほら」

 

俺はベルト型の待機状態の専用機をオルコットに見せてやる。勿論ウィザードライバーではなく、れっきとした専用機をな。

 

「ふ、ふん。まあ。どちらにしてもこのクラスの代表にふさわしいのはこのわたくし、セシリア・オルコットであるということをお忘れなく」

 

ぱさっと自分の髪を手で払って綺麗に回れ右をして、オルコットは俺たちのもとを去っていった。結局何がしたかったのか。

 

一夏はオルコットが去っていくと、箒のもとへと向かっていった。

 

「箒」

 

「………」

 

「篠ノ之さん。飯食いに行こうぜ」

 

先程の一件ですっかり浮いてしまった箒をフォローしているのだろうか。

 

「他に誰か一緒に行かないか?」

 

「はいはいはいっ!」

 

「行くよー。ちょっと待ってー」

 

「お弁当作ってきてるけど行きます!」

 

……一夏よ。さすがに浮いたばかりの状態の箒にそんなにたくさんの人と食事にいかせるのは無理があると思うぞ。

 

「……私は、いい」

 

ほらな。

 

「まあそう言うな。ほら、立て立て。行くぞ」

 

「お、おいっ。私は行かないと____う、腕を組むなっ!」

 

箒の腕を自分の腕と組ませて無理矢理立たせる一夏、箒は顔を赤くして照れているせいで嫌がっているのかわからない。

 

「なんだよ歩きたくないのか?おんぶしてやろうか?」

 

「なっ……!」

 

一体いきなり何を言っているのだろうかこいつは、本当に。女子高校生に向かって気軽におんぶしてやろうか?なんて言える奴を見たのは初めてだ。

 

「は、離せっ!」

 

「学食についたらな」

 

「い、今離せ!ええいっ____」

 

そこからの箒の行動は速かった。掴んでいた一夏の肘を中心に曲げ、そのまま床に投げ飛ばした。喰らった一夏は痛っという声と共に背中から倒れていた。

 

「腕あげたなぁ」

 

随分と平気そうだなぁ。

 

「ふ、ふん。お前が弱くなったのではないか?こんなものは剣術のおまけだ」

 

古武術をおまけ扱いしているのはお前くらいだろうな。にしても、中々の技だったな。

 

「え、えーと……」

 

「私たちやっぱり……」

 

「え、遠慮しておくね……」

 

一夏のお陰で集まった女子たちがさーっと退散していった。一夏は体を起こしに、体についた埃をぱんぱんと払っている。対して箒は自分は悪くないと言いたげに腕を組んでそっぽを向いていた。

 

「箒」

 

「な、名前で呼ぶなと____」

 

「飯食いに行くぞ」

 

がしっと、今度は男らしく箒の手を掴む一夏。

 

「お、おいっ。いい加減に____」

 

「黙って俺についてこい」

 

「む、むぅ……」

 

どうでもいいが、俺ってさっきから空気になってないか?

 

 

はい、そんなわけで学食到着。昼休みということなので物凄く混んではいるが、なんとか座れそうだ。

 

「箒なんでもいいよな。何でも食うよなお前」

 

「一夏……さすがにそれは女子に失礼じゃないか?」

 

「そ、そうだぞ。私にも好みがある」

 

「ふーん」

 

流すな。

 

「あ、日替わり三枚買ったからこれでいいよな。鯖の塩焼き定食だってよ」

 

「話を聞いているのかお前は!」

 

十中八九、聞いていないな。ちなみに俺は鯖は味噌煮派だ。

 

「聞いてねえよ。俺がさっきまでどんなに緩和に接してやってると思ってんだ馬鹿」

 

女子の腕を強引に組ませて学食まで連れて行こうとする姿はちっとも緩和には見えなかったがな。

 

「お前、友達できなかったらどうすんだよ。高校生活暗いとつまんないだろ」

 

それはごもっともだ。

 

「わ、私は別に。……頼んだ覚えはない!」

 

それもごもっともだ。

 

「俺も頼まれた覚えはねえよ。あ、おばちゃん、日替わり三つで。食券ここでいいんですよね?」

 

いつの間にか俺の昼飯まで決められているな。俺は味噌煮派なのに。

 

「いいか?頼まれたからって俺はこんなこと、普通はしないぞ?箒だからしてるんだぞ」

 

「うわっ、格好いい台詞」

 

思わず口に出てしまった。

 

「な、なんだそれは……」

 

「なんだもなにもあるか。おばさんたちには世話になったし、幼馴染みで同門なんだ。これくらいのお節介はやらせろ」

 

「そ、そうか……。その、ありが___」

 

「はい、日替わり二つお待ち」

 

……空気読めよ、おばちゃん。

 

「ありがとう、おばちゃん。おお、うまそうだ」

 

「うまそうじゃないよ、うまいんだよ」

 

「そ、それは楽しみだな。なあ、二人とも?」

 

「ああ。箒、テーブルどっか空いてないか?」

 

「………」

 

「箒?」

 

あーあ。また不機嫌になっちゃったよ。俺は重苦しい空気でしか食事できないのか……?

 

「……向こうが空いている」

 

一夏の手を振り払い、自分の分の日替わり定食を手にした箒はすたすたと空いている席に向かう。

 

「……ドンマイ」

 

「……何であいつ怒ってんだ?」

 

知るか。

 

 

「そういやさあ」

 

「……なんだ」

 

「どうした?」

 

一夏は鯖の身をほぐしながら話をする。それを箒は味噌汁を、俺は豆腐を口にしながら聞く。

 

「二人とも、ISのこと教えてくれないか?このままじゃ来週の勝負で何も出来ずに負けそうだ」

 

「くだらない挑発に乗るからだ。馬鹿め」

 

「そこまで言う必要はないだろう?にしても、確かにISの知識が全体的に足りない一夏にはきついかもな」

 

「亜久斗はISについて詳しいのか?だったら教えてほしいんだが」

 

「まあ、父さんと母さんの仕事がIS関連だからな。まあ別に教えるのは_____」

 

「ねえ、君たちって噂のコでしょ?」

 

俺がいいかけている途中で、隣から女子の声で阻まれた。見ると、赤色のリボンをしているので三年生のようだ。

 

「はあ、たぶん」

 

「多分じゃないだろうな。絶対」

 

俺たちが返事をすると、その先輩は見事に自然な動きで一夏の隣の席に座った。

 

「代表候補生のコと勝負するって聞いたけど、ほんと?」

 

「はい、そうですけど」

 

「でも君、素人だよね?IS稼働時間はいくつくらい?」

 

「いくつって……二十分くらいだと思いますけど」

 

「俺は試験を受けれなかったから、一夏とは違うだろうな」

 

嘘は言っていない。実際は結構前からISは動かしていたし、仮面ライダーに至っては一日三回は変身していた。ここで本当のことを言うと、色々と厄介なことになるので、こういう言葉を使わせてもらった。

 

嘘は言ってない。だって一夏とは稼働時間が全然違うから。

 

「それじゃあ無理よ。ISって稼働時間がものをいうの。その対戦相手、代表候補生なんでしょ?だったら軽く三百時間はやってるわよ」

 

三百÷二十四=約十二日分ほど。一日四時間稼働していたとして七十五日。悪いな、俺の方が多い。

 

「でさ、私が教えてあげよっか?ISについて」

 

一夏に身を寄せてくる先輩。一夏としてはありがたい話なのだが俺はそうでもない。別に教えてもらわなくても殆どわかりきっているし、何より実戦訓練が会った場合、俺の動きを不信に思うだろうからな。できれば断りたい。

 

「結構です。私が教えることになっていますので」

 

そんなとき、食事をしていた箒がそのままそんなことを言い出した。ん?お前が教えることになってたっけ?

 

「あなたも一年でしょ?私の方がうまく教えられると思うなぁ」

 

「……私は、篠ノ之束の妹ですから」

 

さっき自分で私と姉は違うと言ってなかったか?これでは虎の衣を借りる狐だな。

 

「篠ノ之って_____ええ!?」

 

「ですので、結構です」

 

まあ、これで先輩が諦めてくれるのなら俺としてはラッキーなんだが、なんかな……。

 

「そ、そう。それなら仕方ないわね……」

 

先輩は驚き、たじろぎながら軽く引いた感じで行ってしまった。一夏はそんな箒をじーっと見ている。

 

「なんだ?」

 

「なんだって……いや、教えてくれるのか?」

 

「そう言っている」

 

大丈夫だろうか?

 

「今日の放課後」

 

「ん?」

 

「剣道場に来い。一度、腕がなまってないか見てやる」

 

「いや、俺はISのことを____」

 

「見てやる」

 

「……わかったよ」

 

同じ言葉を繰り返し、異論を認めんとする箒。一夏はその姿に折れた。

 

「一夏」

 

「ん?」

 

「もし、どうしても必要だったら俺の部屋に来い。ISのことを理論だが教えてやる」

 

「……そうする」

 

案の定、放課後の食事後に一夏は俺の部屋にISのことを教えてくれといいに来た。

 

 





最後の方にしか主人公のセリフがない件について……。


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八話 クラス代表決定戦・青い涙VS電仮面

今回はセシリアとの戦闘です。相も変わらず戦闘描写はむずかしいですね...。

それでは本編スタート!


 

そして又時は立ち、月曜日。いよいよクラス代表決定戦当日となった。

 

「「……なあ、箒」」

 

「なんだ、一夏、亜久斗」

 

この数日で一夏と箒も初日の名前で呼び会う仲に戻っていた。それと、箒が不機嫌だった理由は一夏が部屋に入った際に、箒の風呂上がりのバスタオル一枚の姿を見たかららしい。話を聞いた後に一夏の頭を教科書で叩いた俺は悪くないと思う。

 

「気のせいかもしれないんだが……」

 

「そうか。気のせいだろう」

 

今現在、本当の問題はそこではなかった。肝心な問題を見逃していたこととなってしまっていた。

 

「ISのことを教えてくれる話はどうなったんだ?」

 

「…………」

 

「目 を そ ら す な」

 

箒が一夏にISのことは自分で教えると見栄をはってから今日までの間、箒は剣道の稽古以外何もしていないらしい。案の定、俺の予感は当たっていた。

 

「俺が一応理論知識だけは教えておいたが。……他に何か教えることは無かったのか?」

 

「し、仕方ないだろう。お前のISもなかったのだから」

 

「でも、訓練機を予約していれば一週間に一度は借りられたんじゃないか?」

 

「それはどうかわからないが。にしてもこの前の「一夏には私が教える」と大見得を張っていたのはなんだったんだ……」

 

「…………」

 

「「目 を そ ら す なっ」」

 

つまりこういうことだ。あの日、放課後に一夏を剣道場に呼び出した箒は、一夏の腕が鈍っていないか確認するために試合を挑んだ。が、あまりにも腕が衰えていたらしい一夏に腹を立たせた箒は、ISのことをほったらかして剣道の稽古ばかり一夏にしていたということ。そして二時間にも及ぶ稽古の後、俺の部屋にボロボロになりながら頼み込んできた一夏。勲章を与えてやりたかったほどだ。

 

そして、一夏に与えられる専用機は、まだ来ていない。

 

「一夏、一から十まで選ぶとしたら?」

 

「なんだよ、急に……八だ」

 

「そうか……」

 

「「「………」」」

 

部屋に、三人の沈黙が流れた。こういう時の沈黙というのは、一人の時よりも辛い物なのだ。

 

「お、織斑くん織斑くん織斑くんっ!」

 

連呼しても何も起こりませんよ先生、一回で充分聞こえます。

 

第三アリーナ・Aピットに駆け足でやって来たのは副担任の山田先生。本気で転びそうな、見てるこっちがハラハラする足取りで慌てふためいてやってきた。

 

「山田先生、落ち着いてください」

 

「そうですよ、はい、深呼吸」

 

「は、はいっ。す~は~す~は~」

 

「はい、そこで止めて」

 

「うっ」

 

一夏の言ったことを本当に実行して息を止める山田先生。この人はオレオレ詐欺の標的になったら絶対に騙されるんじゃないだろうか。

 

「一夏、何やってんだよお前。山田先生、これは一夏の冗談ですから本当にやらなくていいんですよ」

 

「……ぶはあっ!そ、そうなんですか?酷いですよ織斑くん!」

 

「目上の人間には敬意を払え、馬鹿者」

 

パァンッ!

 

突如としてピットに響く弾けるような打撃音、この喰らったが最後、地味に痛いどころでは済まなくなるような出席簿を降り下ろすのは織斑先生だ。

 

「ち、千冬姉……」

 

パァンッ!

 

「織斑先生と呼べ。いい加減学習しろ、さもなくば死ね」

 

うわぁ……。絶対に姉が弟に言うセリフじゃないな、良太郎のお姉さんを見習え、電王を一話から見ることをオススメする。

 

「そ、それでですねっ!来ました!織斑くんの専用機!」

 

やっとか。ギリギリじゃないですか、もうちょっとなんとかならなかったんですかね

 

「織斑、すぐに準備をしろ。アリーナを使用する時間は限られているからな。ぶっつけ本番でものにしろ」

 

無理に決まっているだろう、初心者だぞ。

 

「この程度の障害、男子たるもの軽く乗り越えてみせろ。一夏」

 

ほう、ならお前はできるのか?とは言わないでおこう。

 

「え?え?なん……」

 

「「「早く!」」」

 

ピット内の三人の女性の声が重なった。

 

「一夏、不憫だと思うな。宿命だと思えば楽になる」

 

「……なんか嫌な宿命だな。でも、悪くはねえな」

 

ごごんっ、と鈍い音がしてピット搬入口が開く。斜めに噛み合うタイプの防壁扉は、重い駆動音を響かせながらゆっくりとその向こう側を晒していった。

 

そこにあるのは、飾り気の無い白を纏ったIS目を凝らして見れば、薄い灰色にも見えなくは無いが。それは「一次移行(ファースト・シフト)」すらしていないからだろう。

 

「これが……」

 

「はい!織斑くんの先生IS『白式(びゃくしき)』です!」

 

「体を動かせ。すぐに装着しろ。時間がないならフォーマットとフィッティングは実戦でやれ。出来なければ負けるだけだ。わかったな」

 

織斑先生にせかされて、一夏は『白式』に触れる。

 

「背中を預けるように、ああそうだ。座る感じでいい。後はシステムが最適化をする」

 

かしゅっ、かしゅっという空気を抜く音が響く。そして白式は一夏に繋がった。

 

「あ」

 

「ISのハイパーセンサーは間違いなく動いているな。一夏、気分は悪くないか?」

 

あの織斑先生が、一夏を生徒ではなく、弟として心配をしている。何だかんだ言っても、姉弟なのだろう。

 

「大丈夫、千冬姉。いける」

 

「そうか」

 

「一夏」

 

「ん?」

 

俺は一夏に声をかける。このIS学園に来て一番初めに出来た「仲間」、いや、「友達」に。

 

「頑張ってこい、応援してるからな」

 

友達にかける言葉なんて、シンプルに、伝えたいことを芯から伝えることが出来るのなら、それでいい。

 

「ああ。……箒、亜久斗」

 

「ん?」

 

「な、なんだ?」

 

「行ってくる」

 

「あ……ああ、勝ってこい」

 

「今言ったばかりだろ?二度も同じことは言わない」

 

一夏は首肯で応えて、ピットゲートに進み。オルコットとの試合に向かっていった。

 

その姿は、まるで騎士のようだ。

 

 

 

 

 

 

そして、結果から言えば、一夏は負けた。エネルギー切れという呆気ない結末だった。一夏のIS『白式』の唯一の武器、«雪片弍型»はその性能の割りに比例してエネルギー消費が激しいようだ。一夏は試合中に「一次移行」をやってのけ、オルコットを寸前まで追い詰めたという大健闘を果たした。

 

まあ、そこの姉と幼馴染みに色々駄目押しされていたがな。

 

そして一夏の試合終了から三十分後、俺は第三アリーナの十メートルほど上空で、専用機「仮面ライダー」を展開させ浮遊していた。一夏の『白式』とは違う白のボディカラーに黒のライン、その装甲は普通のISよりも薄く、小さい。膝や肘だけでなく、体の至る部分が駆動型となっていて、しなやかな動きが可能となっている。

 

目の前には先程一夏と試合をしていた、セシリア・オルコット。だが一夏の試合の時のような慢心とした態度ではなかった。

 

「夜霧さん」

 

「なんだ?」

 

そういえば、オルコットに名前を呼ばれたのは初めてだったな。

 

「戦いの前に、これまでの非礼について。御詫びを申し上げます。すいませんでした」

 

「……以外だな。どうしたんだ、急に」

 

「自分でもよくわかりませんわ。ですが一夏さんとの試合でわかりましたもの。私が思っている男とはちがうと」

 

「それはよかった。だが手は抜かないぞ」

 

「勿論ですわ。わたくしこそ本気ですわよ」

 

試合開始まで、後三十秒。

 

「オルコット」

 

「どうしました?」

 

「行っておくが、驚いて呆気を取られて負ける。なんて辞めてくれよ、俺は本気のお前と戦いたい」

 

「ええ、勿論。わたくしもですわ」

 

「ならよかった。……来い、電王」

 

声に反応するかのように、俺の腰にデンオウベルトが装着される。左手には、黒を基本としたカラーのパス・ライナーパスが現れた。

 

「さあ、初めようか。変身!」

 

右手で四色のボタン「フォームスイッチ」の一番上、赤色のボタンを押す。すると、電車のミュージックホーンのような効果音が発生。更に左手のライナーパスをICカード専用改札機を象ったバックル部「ターミナルバックル」にセタッチする。

 

SWOD FORM

 

そしてISの装甲が電王・プラットフォームへと転送変換され、ターミナルバックルから装甲が展開。変型・回転をしながら俺の体に装着される。電仮面

は桃のレリーフが顔のデンレールを伝わり俺の眼前で収まり、中央から割れた状態で固定、桃の葉の部分はチークガードのように移動した。

 

赤い装甲の基本カラー・桃を現すような電仮面・手には専用武器「デンガッシャー・ソードモード」を装備した仮面ライダー。

 

その名、電王。ソードフォーム

 

「俺、参上!最初からクライマックスで行くぞ!」

 

普通ならイマジンとの契約をして変身する電王だが、この世界にはイマジンはいない。ならば、何故変身できるのか?

 

ノリと、根性、そしてテンション。この三つをクリアした時に、変身できた。

 

「……ええ、わたくしもイギリスの代表候補生。その実力を見せて差し上げますわ!」

 

オルコットは変身後に驚いた表情になるが、直ぐに戦闘体制に入り六十七口径特殊レーザーライフル«スターライトmklll»を握りしめ、俺に構えた。

 

そして俺に放たれる高速のレーザー。キュインッ!とそれに伴い耳をつんざくような音が聞こえた。だがそれに反応したはならない。思考判断が鈍くなるからだ。目の前に放たれるレーザーを俺はデンガッシャー・ソードモードの刃「オーラソード」でレーザーを弾き、後ろに流した。

 

「これぐらいの攻撃なら、簡単に避けれる」

 

「なるほど、小細工は要りませんのね。ならお行きなさい!ブルー・ティアーズ!」

 

そしてオルコットのISのスカート部分から四つの自立起動兵器«ブルー・ティアーズ»が現れる。その機体と同じ名を持つそれは、フィン状のパーツに直接特殊レーザーの銃口がついている。

 

刹那。ティアーズ、スターライトmklllから弾丸の雨が俺に向かって降り注ぐ。だが俺はその一つ一つの位置を見極め、デンガッシャーで弾く、又は体を左右上下にずらしながら避け続け、徐々に進んでいく。だが進むべきは本体ではなく、その周りに浮いている«ブルー・ティアーズ»。

 

「あらよっと!セイッ!」

 

体を捻らせ、アクロバットのように動かしながら勢いを付け、ブルー・ティアーズをデンガッシャーで叩き切る。回転動作で力が加えられた一撃でブルー・ティアーズは撃墜させられる。

 

そして反応するかのように、他のティアーズは俺から離れていく。だが、俺のリーチはそんな距離なら簡単に届く。

 

「離れさせるのは失敗だオルコット!」

 

Full Charge!

 

ライナーパスをもう一度ターミナルバックルにセタッチし、フリーエネルギーをフルチャージさせる。それにより強化されたオーラソードを本体から分離させる。

 

「これがエクストリームスラッシュだ。覚えておけ!」

 

オーラソードを遠隔操作して、円状にいたティアーズ二機に直撃させる。オーラソードが直撃したティアーズは爆散し、撃墜された。

 

「なっ……やはり、一筋縄ではいきませんのね」

 

「ああ。ついでにサービスだ、見ていけ」

 

ROD FORM

 

右手で上から二番目の青のフォームスイッチを押し、再びミュージックホーンのような効果音が発生する。そして同じようにターミナルバックルにライナーパスをセタッチする。

 

赤だった装甲が剥がれ、変型・回転して今度はデンレールを海亀のようなレリーフが頭部から伝い眼前で固定されると、ヒレが逆転して角上のアンテナ・ストレイダーに可変される。甲羅部分はヘキサゴンスキャンアイを象っている。

 

青の基本カラーの装甲、ボディの装甲は変型してショルダーガードとなった海亀を現すような電仮面。「デンガッシャー・ロッドモード」を装備した仮面ライダー。

 

電王。ロッドフォームとなった。

 

「お前、俺に釣られてみろよ。すぐに終わらせてやるからさ」

 

「言ってくれますわね。……そろそろ、終わりにしましょう。ブルー・ティアーズ!」

 

今度は三機へと数を変えるブルー・ティアーズ。その銃口は俺に向いている。




「いいよ。第二ラウンド、開始といこうか!」

降り注ぐ弾雨を、槍の形態をしたデンガッシャー・ロッドモードでそれを弾く。だが、たえまなく放たれるレーザーはいくつか俺に当たって、エネルギーを徐々に削っていく。

「……これじゃあジリ貧だね。奥の手と行こうか」

ロッドを竿形態に変型させ、持ち手にあるデンリールを回転させることでロッドヘッドからオーラの糸、オーララインを伸ばす。全てのティアーズを捕まえるように、斜め横にしならせて。

「なっ___」

「一本釣りィ!」

捕縛した三機のティアーズをオルコットに向けて投げつける。本体にこそダメージは大きくなかったものの、三機のティアーズを撃墜することに成功した。

「これで、ティアーズはもういない。これで終わりだよ!」

Full Charge!

ターミナルバックルにライナーパスをもう一度セタッチすることでフリーエネルギーがフルチャージされる。

俺はロッドをオルコットに向けて突き刺してオーラキャストに変化させて、オーラを亀甲縛りのように捕縛する。

「さあ、終わりだ!」

空気を蹴るようにして飛翔し、オルコットよりも数段高い位置にまで跳ぶ。そしてそのまま体を一回転させて前方に勢いをつけ、ソリッドアタックを喰らわせた。

『試合終了。勝者______夜霧亜久斗』

オルコットのシールドエネルギーが継ぎ、試合終了のブザーがアリーナに鳴り響いた。

「俺の勝ちだな。オルコット」

俺はベルトを外して変身を解除し、元のISの姿でオルコットに向けてそう言った。

「ええ。ですが、次は負けませんことよ」

「勿論。次も楽しみにしている」


青い涙(ブルー・ティアーズ)VS電仮面(電王)

勝者・電王


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九話 クラス代表決定戦 一夏VS亜久斗

一夏とオルコット、そして俺とオルコットの試合も終わり後は俺と一夏の試合を残すのみとなった。ピットへと帰還した俺に一夏たちは驚き織斑先生には激励?の言葉を頂いた。

 

「夜霧、織斑との試合は十分後だ。体を軽く休ませておけ」

 

俺がスポーツドリンクを飲んでいたら織斑先生にそう言われた。

 

「わかりました。まあ、そこまでシールドエネルギーも減ってないし、問題はないな」

 

俺とオルコットの試合で削られたシールドエネルギーは最大値の1/5にも満たない。このまま少し休めば一夏との試合も可能だった。

 

俺は飲みかけのスポーツドリンクの蓋を閉めて置き、ピットを後にした。

 

「じゃあな一夏、試合楽しみにしているぞ。今度は武器の特性を忘れるなよ」

 

「わかってるって!」

 

 

さてどうしようか。一夏のシールドエネルギーは恐らく俺の試合中に回復していると思うからもうすぐアリーナに来るだろう。一夏のIS『白式』は武器が近接ブレード一本というある意味での欠陥機なのだがその機体の性能は割りといい。特効タイプのISだろう。

 

なら俺にはいくらでも対策はできる。だがISの操縦がたった二回の初心者に万全な対策をした状態で戦って楽しいと思うか?答えは否だ。相手が初心者で武器も多用するわけでもなく攻撃パターンも限られている。普通なら楽しめる筈もないだろう。

なので俺は今回だけこの試合において少しだけ制限をかけることにする。

 

今このアリーナで俺はISを展開した状態で浮遊して一夏を待っている。腰にオーズドライバーを填めた状態で。

 

「……来たか」

 

「ああ悪い、少し待たせちまったか?」

 

「いや、特に気にしてはいない」

 

一夏がピット・ゲートからISを展開して姿を現す。

 

「清々しい程の「白」だな」

 

白式は俺がピットで見た時とは違い純白なカラーとなっていた。一次移行した証とも言えるだろう。

 

「なあ一夏」

 

「なんだよ?」

 

「俺は手を抜かないからな」

 

「?ああ、当たり前だろ」

 

 

「……わかった。変身!」

 

タカ!トラ!バッタ! タットッバ!タトバタットッバ!

 

俺は仮面ライダーOOO、オーズに変身した。

 

「なっ!他にも変身するのか!?」

 

一夏驚きを隠せないでいる。

 

「ああ、さっき変身したのは電王。こいつは…仮面ライダー、オーズだ!さあ、いくぞ一夏!」

 

「おう!」

 

『試合開始』

 

「「うおおおおお!」」

 

一夏が雪片ニ型を、俺がメダジャリバーを持ち、相手を切りつける。

 

「さすがだな、亜久斗!」

 

「お前もやるじゃねえか、一夏!」

 

剣と剣が重なりあう力の押し合い。やっぱ最高におもしれぇ!

 

「おらぁ!」

 

俺は力いっぱいメダジャリバーで一夏を吹き飛ばす。

 

「コンボチェンジ!ラトラータコンボ!」

 

オーズドライバーのメダルを入れ換え、ラトラータコンボに変身する。

 

ライオン!トラ!チーター!ラタラター!ラトラータ!

 

「フォームチエンジってやつか!」

 

「ああ、だが変わったのは見た目だけじゃねえぜ!」

 

「ぐっ!」

 

チーターレッグの速さを使用して一夏にタックルを決める。

 

「だが、ただじゃ喰らわねえぜ!」

 

吹き飛ばされながらも雪片ニ型で切りつけつけてくる一夏、俺はそれを避けられず喰らってしまう。

 

「ちぃ!やるな!だったら…喰らえ!」

 

俺は一夏にたてがみの部分からから強力な光、ライオネルフラッシャーを放ち眼を眩ませる。

 

「がっ!め、目がっ!」

 

目が一時的に見えなくなる一夏、ライオネルフラッシャーはISのハイパーセンサーさえも混乱させる!

 

「おらおらおらおらおらおらおらおらおらおらぁ!」

 

「ぐあっ!」

 

隙ができた一夏に組み付いて、リボルスピンキックで素早い連続蹴りを繰りだし、一夏は地面に叩きつけれる。

...今のうちに!

 

「コンボチェンジ!ガタキリバコンボ!」

 

ガータガタガタキリッバ!ガタキリバ!

 

「スキャニングチャージ!」

 

上へ高くジャンプし、5体の俺の分身体・ブレンチシェイドを作りだす。

 

「な!ふ、増えただと!?」

 

「そのとおり!しかも全部本物だぜ!喰らえ!」

 

一斉に一夏にライダーキックを繰り出す。

 

「くっ、うおおおおおおおおおぉぉ!!」

 

「「「「「な!?」」」」」

 

一夏は分身の間をすり抜け切りつけてきた。……って普通そんなことできねえぞ!?

 

「ぐあっ!」

 

「はあっ、はあっ、…どうだ!…亜久

斗!」

 

「はあ、はあ、やるじゃねえか。もう全然シールドエネルギー残ってねぇよ」

 

「俺もさ、だから…これで決める!」

 

ワンオフ、アビリティー零式白夜発動

 

「こっちだって!」

 

スキャニングチャージ!

 

「「いくぜ!」」

 

「オーズバッシュ!」

 

「零式白夜!」

 

「「うおおおおおおお!!」」

 

お互いの一撃が決まる。一夏の雪片が俺の左肩を、俺のメダジャリバーが一夏の右脇を切りつけ………

 

『試合終了 引き分け』

 

お互いのシールドエネルギーが、0になった。

 

 

「楽しかったぜ…一夏」

 

「こっちこそ…亜久斗」

 

俺たちは互いに向き合い、握手を交わす。こうして、クラス代表決定戦が終了した。




クラス代表決定戦、終了しました。グダグタっぽいかもしれませんが戦闘シーンは書いていて楽しいです。
次はクラス代表対抗戦です。お楽しみに!


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十話 クラス代表決定!



それでは本編スタート!


翌日

 

「では、一年一組のクラス代表は織斑一夏君に決定です。あ、一繋がりで縁起いいですね」

 

山田先生は嬉々としてしゃべっている。その一声に女子は嬉しさで盛り上がり、一夏は納得がいかない顔をしている。…というか山田先生、本当に縁起がいいんですか?

 

「先生、質問です」

 

そんなことを考えている間に一夏が挙手をする。

 

「なぜ俺がクラス代表なんですか?勝敗でいけばオルコットさんか亜久斗になるとおもうんですが?」

 

「それはー「それは私と亜久斗さんが辞退したからですわ!」うぅ…」

 

一夏の質問に答えようとするがオルコットにさえぎられてしまう山田先生。先生……ドンマイ。

 

「確かに昨日の結果では私か夜霧さんがクラス代表になるのは当然。ですが私たちは一夏さんの才能を見込み、クラス代表を譲ることにしましたわ。IS操縦が上達するにはやはり実戦がなにより、クラス代表になれば戦うことは多くなりますからね」

 

そのとおり、クラス代表になれば戦うことが多くなる。なによりもうすぐクラス代表対抗戦だからな、一夏にはもう少し頑張ってもらわないとな。

 

「才能?」

 

一夏が不思議に思ってるので俺が説明を加える。

 

「一夏、昨日の戦いを思いだしてみろ。お前は俺やオルコットと違い初めてISを動かした。にも関わらずオルコットを追い詰め、俺と引き分けた。その才能を俺たちは認めたんだ、もっと喜べ」

 

「……本当は?」

 

「いやぁ一夏が弱いままだと守るのがめんどいし、なによりクラス代表なんてやりたくな…ゴホッ、ゴホッ一夏を日中一夜鍛えるためだ」

 

「いまさらりと本音がもれなかったか!?それにどっちの理由もお断りだぞ!?」

 

失礼な、せっかぐ代表になったんだから素直になれよ。皆から期待の目で見られるおいしいポジションなんだぞ。まあ、俺もやる気はないが。

 

「席につけ、大馬鹿者」

 

教室に入り、立っている一夏を叩く織斑先生。おまけに馬鹿者がおお馬鹿者にランクアップしている。可哀想に…

 

「クラス代表は織斑一夏、異存はないな?」

 

一夏以外のクラス全員が賛成する。一夏、そんな顔するなよ、後でなんかやるからさ。

 

 

 

 

 

「ではこれよりISの基本的な飛行操縦をしてもらう。織斑、オルコット、夜霧。試しにISを展開して飛んでみせろ」

 

織斑先生のいうとおりに俺はオーズドライバーにベルトを変化させる。

 

タカ!クジャク!コンドル!タージャードルー

 

「すいません織斑先生、俺のISは普通の状態では高く飛べないので」ヒソヒソ

 

周りにあまり聞かれたくないので小声で伝える。

 

「ああわかった。よし、三人とも飛べ」

 

返事をしてオルコットが急上昇し、俺は翼を広げて飛翔する。俺とオルコットは上空20メートル?ほどで止まり、下にいるいる一夏を見ると、出力が安定していないのか上昇速度が遅い。

 

「何をやっている。スペック上では白式の方が出力は上だぞ」

 

一夏はオープンチャンネルで織斑先生に怒られ、やっと俺たちと同じところに来た。

 

「大丈夫ですか?一夏さん」

 

「ああ、大丈夫だ。心配してくれてありがとな、オルコット」

 

「セシリアとよんでくださいまし、亜久斗さんも」

 

「ああ、じゃあそうさせてもらう」

 

「わかった。セシリア」

 

「はい♪」

 

一夏が名前を呼んで嬉しそうな顔をするセシリア。

 

「にしてもなんで遅かったんだ?」

 

「ああ、よくわからなかったんだよ。『自分の前方に角を展開させるイメージ』って言われてもなぁ…どうせなら亜久斗みたいな翼がよかったなぁ………」

 

「一夏さん、イメージは所詮イメージ。自分がやりやすい方法を見つけるのが一番の近道ですわよ」

 

「セシリアのいうとおりだぞ。それに翼はデメリットの方が多いんだ。自分のISにもっと自信を持て」

 

「そういわれてもなぁ、大体空を飛ぶ感じがまだあやふやなんだよ。なんで浮いているんだこれ?」

 

「説明しますわよ。ISが飛べるのは反重力と流動波干渉が…」

 

「い、いや大丈夫だ。説明はしなくてもいい」

 

「そうですか、残念ですわ。」

 

『織斑、オルコット、夜霧、急降下と完全停止をやって見せろ。目標は地表から十センチだ」

 

そんなことを話していると話していると織斑先生から命令が指示された。

 

「ではお二人とも、お先に失礼いたしますわ」

 

セシリアはすぐにしたに急降下、そして完全停止をなんなくやってのけた。

 

「じゃ、俺も行くか。一夏も早くこいよ」

 

俺は翼を動かすのをやめ、急降下して目標地点の少し手前で翼を大きくひろげることで勢いを殺し止まった。

 

「流石ですわね、亜久斗さん。なぜそんなに操縦に慣れているのですか?」

 

「ん?ああ、俺のISの動かし方をよく理解してるし、…何より夜中に寮を脱け出して遊んでるしな」ヒソヒソ

 

その回答に若干苦笑いをするセシリア、脱け出すっていっても簡単なんだけどな。

 

その瞬間、ズドォォン!!という音がし、地面が揺れる。慌てて確認してみると、一夏が地面に巨大なクレーターを開けていた。

 

「馬鹿者。誰がグラウンドに穴を開けろと言った」

 

「……すみません」

 

どうやら一夏は急降下はしたものの完全停止が出来ずに地面に激突してしまったようだ。俺は一夏をクレーターから取り出す。

 

「大丈夫か?一夏」

 

「ああ、大丈夫だ」

 

「織斑、武装を展開しろ。それくらいは出来るはずだ」

 

「はい」

 

「よし、それでは始めろ」

 

一夏は横を向き、雪片ニ型を取り出した。

 

「遅い。0.5秒でだせるようにしろ」

 

織斑先生、一夏は初心者なんですから、必ず展開出来るようになっただけでも誉めてあげてください。

 

 

「オルコット、武装を展開しろ」

 

「はい」

 

セシリアは0.5もかからず真横に手を広げ、一瞬で武器を取り出す。さすが代表候補生。

 

「さすがだな。…ただしそのポーズはやめろ。お前は一体誰を打つ気だ。正面に展開出来るようにしろ」

 

「で、ですがこれは私のイメージをまとめるために必要な「直せ、いいな」…はい」

 

セシリアは抗議するが直ぐに静められてしまった。

 

「次、夜霧。武装を展開しろ」

 

「はい」

 

俺はタジャトルコンボの時のみ使えるタジャスピナーを取り出した。

 

「ふむ、まあいいだろう。それでは今日の授業はここまでだ。織斑、グラウンドの穴を塞いでおけ、いいな?」

 

「……はい」

 

他の人達はそれぞれ戻ってしまう。

 

「一夏、手伝うぞ。そのほうが早い」

 

「ああ、ありがとう」

 

そして俺たちは約50分弱で穴埋めを終わらせた。

 

「一夏。飯を食べたら俺の部屋に来てくれないか?「あれ」が完成したからな」

 

「そうか!ほんとにありがとな。じゃあまた後で!」

 

「おう、じゃあな」

 

一夏は食堂へ俺は自分部屋へ向かった。



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十一話 頼んだ「あれ」夜霧制の特別品だよ

「よ、やっときたか」

 

現在俺の部屋には俺と更識さん、そしていまきた一夏がいる。

 

「おう、それで「あれ」はどこにあるんだ?」

 

「まあ慌てんなって、それじゃ他の見つかんないため移動するぞ………ん?」

 

俺は「あれ」の置いてある第三アリーナにテレポート使用としたがなぜか更識さんが俺の服の裾を掴んでいた。

 

「…私も、一緒にいっていい?」

 

「別に大丈夫だと思うが。いいか、亜久斗?」

 

「ああ、更識さんはルームメイトだし問題ないな。じゃ、今度こそ移動するぞ。テレポートプリーズ」

 

 

 

 

第三アリーナ

 

「さて、ここなら出しても大丈夫だな。人も居ないし、じゃみせるぜ。コネクトプリーズ」

 

魔法陣から取り出したのは仮面ライダーフォーゼが乗っていたバイク、マシンマッシグラーだった。

 

「おお!かっこいいなこれ!本当にもらっていいのか!?」

 

「ああ、賭けに負けたのは俺だしな」

 

そう、クラス代表決定戦の時に賭けていた内容は「一夏がセシリアに勝てたら俺の会社のバイクを作ってやる」という内容だったのだ。なぜこのバイクをチョイスしたのかと聞かれれば、一夏のISと同じ色だったからだ。

 

「でも俺は実際勝ってないし「いいんだ」」

 

「お前は代表候補生相手にあそこまで追い詰めたんだ。だからお前にはこれを受けとる資格がある!」

 

「わかった。俺、これを大事にするぜ」

 

「ああ、頼むぞ。それじゃ一夏、乗って動かして見てくれ」

 

「え?いやまだ俺免許とって無いし駄目だろ」

 

「いや、それはISと同じ感じのものだから大丈夫だ。ちなみにISと同じ感覚で呼び出すことができるぞ。はい、つー訳でこれもっとけ、」

 

「?なんだこれ?」

 

「それは俺の改造したバイクに乗る奴に必要なものだ肌身離さすもっとけ、それとピンチになった時につけるといい」

 

ちなみにフォーゼドライバーじゃないよ。ほんとだよ。

 

「ああ、わかった何から何までサンキューな」

 

一夏はマシンマッシグラーに乗り、アリーナ内を走る。途中でウィリーモやらせた。

 

「………」チョンチョン

 

「ん?どうしたの更識さん?」

 

「………私もあれ、欲しい」

 

確か更識さんは特撮ものが好きらしいから欲しくなる気持ちもわかるが…

 

「じゃあ更識さんのISが完成したらね。でも、だからって無理しちゃ駄目だからな」

 

「…わかった」

 

どうやら了承してくれたみたいだ。更識さんのISは設計は終わったがまだ完成はしていないらしい。…あ、一夏が戻ってきた。

 

「どうだった?一夏」

 

「ああ、もう最高だった!ありがとな、亜久斗!」

 

「それは良かった。バイクの名前をよべばでてくるからな、名前は自分できめていいぞ」

 

マシンマッシグラーじゃちょっと長いからな。

 

「じゃあこいつの名前は…白輪«びゃくりん»だ」

 

「OK。それじゃあ部屋へ戻って寝るか」

 

「そうだな」

 

「……」コクッ

 

俺たちは第三アリーナからテレポートして一夏と別れて寝た。



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十二話 セカンド幼馴染み襲来/面倒な予感



それでは本編スタート!


翌朝<簪side>

 

朝、いつもより少し早く起きる。

 

(ちょっと早起きしたかな)

 

隣のベットを見るとまだ夜霧亜久斗は眠っていた。…当たり前だ。時計はまだ五時、普通は起きているはずもないのだ。

 

ふと、亜久斗の寝ているベットを見てみる。布団もかけずにすやすやと眠っていた。その姿を見ると戦っているときの亜久斗の姿を思い出す。

 

(かっこ…よかった……)

 

全身装甲でできている亜久斗のIS、仮面ライダーは特撮好きの簪から見ればとてもかっこよかったのだ。

 

(ん?)

 

なんとなく下を見ると一つの指輪が落ちている。

 

(…これ………)

 

見つけたのは亜久斗がいつも持っているウィザードリング、見つけたことで好奇心が駆られてしまう。

 

(ちょっと、使ってみようかな?)

 

指輪をはめ、亜久斗のベルトに当てる。

 

スリーププリーズ

 

「え?」

 

不意に眠気がさし、意識が落ちた。

 

 

<亜久斗side>

 

現在AM六時、亜久斗は起床した。

 

「んー、よく寝たなぁ…?」

 

起き上がろうとするも体が重い、それも何かが上に乗っている感じである。なにがあるのかと、腰に視線を送る。

 

「!?」

 

そこには、亜久斗に覆い被さる姿で眠っている、更識簪の姿があった。

 

「……(オーケー、落ち着くんだ俺、ここは取り乱すのではなく冷静に何が起きているか確かめるんだ)」

 

・更識さんが俺に覆い被さるように寝ている、…寝顔が可愛い。

 

・ただし覆い被さっているのは体の半分だけであってしかも手は俺のベルトに置いている。

 

・そして更識さんの手には指輪がある。……ん?指輪?

 

更識さんの手をとって見てみる。そこには昨日亜久斗が使った、スリープリングがはめられていた。

 

「なんだ、これを使ってねちゃったのか。更識が持っているってことは昨日落としちゃったのかな?」

 

それから30分の間に更識さんを起こし、食堂へ向かいご飯を食べたあと、教室に向かった。

 

 

 

 

教室、俺は一夏の机の側に来ていた。

 

「夜霧君、おはよー。転校生の噂聞いた?」

 

そして教室では転校生がくるという噂が広まっていた。

 

「なんでも中国の代表候補生なんだって」

 

「あら、私の存在に危機感を持っての転入かしら?」

 

そういって俺と一夏の側にくるセシリア。やはりお嬢様といったところか、貴賓を漂わせている。

 

「転校生か…」

 

「ん?気になるのか、亜久斗」

 

「そりゃそうだろ仮ににも中国代表候補生だぞ、気になるに決まっているじゃないか。…そんなことより一夏、もうすぐクラス対抗戦だ。頑張れよ」

 

「そうだよ織斑君、それに専用機持ちって今のところは一組と四組だけだし、楽勝だよね!」

 

「織斑君、頑張って!フリーパスの為にも!」

 

どうやらクラス対抗戦で優勝すると食堂のデザートが半年間食べ放題になる。フリーパスがもらえるらしい。

 

「でもデザートばかり食べてると、太るんじゃ…」

 

「「「シャラップ!!」」」

 

「うお!」

 

みんながすごく大きな声で反応する。女の子ってやっぱそういうのきにするんだな…。

 

「その情報、古いよ?」

 

そんな話しをしている内に誰か教室に入ってくる。

 

「鈴?…お前、鈴なのか?」

 

「そうよ、中国代表候補生、凰 鈴音。今日は一組に宣戦布告に来たってわけ!」

 

どうやら教室に入ってきた茶髪ツインテールは凰 鈴音というらしい。

 

「鈴………何カッコつけてるんだ?全然似合ってないぞ」

 

「んなっ!?……なんてこと言うのよアンタは!」

 

…あ!危ない凰さん!いますぐそこから逃げるんだ!

 

「おい」

 

「なによ!?」

 

バシンッ!っと、返事をした凰さんに強烈な出席簿アタックを喰らわせる織斑先生。

 

「口の聞き方がなっていないな。それとSHRの時間だ。教室に戻れ」

 

「ち、千冬さん…」

 

「織斑先生と呼べ、さっさと教室に戻れ馬鹿者」

 

「わ、わかりました。またあとでね一夏!逃げないでよ!」

 

そういうなり凰さんはピューっと走っていった。

 

「一夏、今のは誰だ?えらく親しそうだったが?」

 

「一夏さん!?あの子とはどういうご関係で…!」

 

やめるんだ二人とも!今そんなにさわいだら…!

 

バシンバシンバシンッ!!!

 

「席に着け、馬鹿ども」

 

一夏、箒、セシリアが叩かれる。

はあ………、今日も人騒動ありそうだ。

 



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十三話 セカンド幼馴染み襲来/一触即発の自己紹介



それでは本編スタート


「お前のせいだ!」

 

「あなたのせいですわ!」

 

昼休み、開口一番から一夏に箒とセシリアが文句を行っていた。この二人は授業中、ボーっとしていたようで山田先生に注意を五回、織斑先生に三回叩かれている。一体何を考えていたんだ?一夏のせいになるというのらやっぱさっき来ていた凰さんのことかな?

 

「ま、まあ、話なら飯食いながらにしよう、だからまずは学食いこうぜ、な?」

 

「む……。まあお前がそう言うのなら、いいだろう」

 

「そ、そうですわね。言って差し上げないこともなくってよ」

 

「じゃあ決まりだな。おーい、亜久斗、一緒に学食いこうぜ」

 

一夏は学食に俺まで誘ってきた。やれやれ人使いの荒いやつめ。

 

「分かった。じゃあいくぞ箒、セシリア、一夏の体をつかんでおけよテレポートプリーズ」

 

 

と言うわけで学食に到着。だがそこには…

 

「待ってたわよ、一夏!」

 

凰さんが食券機の前で待ち構えていた。効果音があるならばドンッという感じだろう。

 

「鈴、とりあえずそこをどいてくれ。食券とれないし通行の邪魔になるぞ」

 

ごもっともだ。

 

「う、うるさいわね。わかってるわよ!大体、アンタを待っていたんでしょうが!なんで早く来ないのよ!」

 

「待つくらいなら一夏に声を掛けていけば良かったんじゃ」

 

「うっ」

 

どうやら図星だったようだ。というかちょっと理不尽な気がする。

 

俺たちは食券をおばちゃんに渡す。

 

「それにしても久しぶりだな。ちょうど一年ぶりになるねか。元気だったか?」

 

「まあ元気だったわよ。アンタこそ、たまには怪我とか病気しなさいよ。」

 

いってる意味が解らない。こうしてみると一夏の周りはいろんなやつが集まっているのがよくわかる。そういえば俺、転生者だった。原作知識が少ない分忘れてしまいそうだ。

 

「あー、ゴホンゴホン!」

 

「ンンッ!一夏さん。注文の品、出来てましてよ?」

 

「お、向こうの席が空いてるぞ。いこうぜ、凰さんも行く?」

 

俺が訪ねると当然といった顔をしてきた。

 

そしてテーブルに座る。席順は俺と一夏のまえに箒、セシリア、凰さんが座っている。

 

一夏 俺

 

凰 箒 セシリア

 

こんな感じである。

 

「にしても鈴、いつ日本に帰ってきてたんだ?おばさん元気か?いつ代表候補生になったんだ?」

 

「質問ばっかしないでよ。アンタこそなんでIS操縦できんのよ。ニュースで見たときびっくりしたんだから」

 

完全に俺は蚊蝶の外なんでもくもくとご飯をほうばる。あ、このカボチャうまいな。

 

「一夏、そろそろどういう関係か説明してほしいのだが」

 

「そうですわ!一夏さん、まさかこちらの方と付き合ってらっしゃるのですか!?」

 

「べ、べべ、私は付き合って訳じゃ…」

 

「そうだぞ鈴はただの幼馴染みだ」

 

「…………」

 

ワーオびっくり、恥ずかしがっていたはずの凰さんが一夏の一言で急に怖い顔になってしまった。最近きずいたけど、どうやらこの学園には一夏に好意を持っている人が多いようで、恐らく箒やセシリア、それに凰さんもそうなのだろう。

 

「なに?幼馴染みは私だけじゃなかったのか?」

 

「あー、ほら、箒が引っ越していったのが小四の終わりだっただろ?鈴は小五の初めに入ってきたんだよ。」

 

なるほど入れ違いってやつだな。

 

「ほら、鈴。こっちが箒。前に話したことあるだろ?小学校からの幼馴染みで俺の通っていた剣術道場の娘」

 

「ふうん、そうなんだ。初めまして。これからよろしくね」

 

「ああ。こちらこそ」

 

そういいながら二人は笑顔で握手を交わす。おかしい、後ろに虎と龍がみえる。

 

「で、鈴。こいつが俺の友達で二番目にISを動かした…」

 

「夜霧亜久斗だ。宜しく凰さん」

 

「鈴でいいわよ。あんたがそうなんだ。確か専用機は…仮面ライダーだっけ?」

 

「こりゃあ驚いたな。まさかもう知っているとは思わなかったぜ」

 

「データで見ただけよ。にしてもあれ、ISに比べたら地味じゃない?」

 

「ま、まあね。でもその文高性能だから問題ないさ」

 

「確かに問題ないな」

 

一夏はうんうんとうなずく。

 

「ンンンッ!私の存在を忘れてもらっては困りますわ。」

 

「…誰?」

 

「なっ!こ、このイギリス代表候補生であるセシリア・オルコットをご存じないのですか!?」

 

「うん、だってあたし他の国とか興味ないし」

 

「なっ……!い、言っておきますけど、私はあなたのような方には負けませんわ!」

 

「ふーん、残念だけどあたしだって負けないわよ強いもん」

 

やばい、一触即発な感じだ。なんかここ、いずらいなあ。一夏には悪いが、先に戻ろう。

 

「じゃあ一夏。食べ終ったし俺は先に戻るな」

 

「おお、じゃあまた後でな」

 

 

 

 

ふう、よかったよかった。無事にあの場から立ち去ることができた。…そこ。ヘタレなんていうなよ。



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十四話 予感的中/喧嘩と亜久斗の禁止事項。by亜久斗

「………暇だ」

 

放課後。俺は部屋で一人、退屈していた。更識さんはついさっき専用機・打鉄弍式を作りに第三アリーナにいってしまったので俺は一人でやることがなく、退屈している。

 

「(………一夏の部屋にでも遊びにいくかな)」

 

よし、そうと決まれば善は急げ。早く行くとしよう。

 

テレポートプリーズ

 

 

 

 

「一夏のバカッ!!犬に噛まれて死ね!」

 

俺が部屋に入るとそこには涙目で一夏に怒っている鈴。

鈴に打たれたのか頬が紅く染まっている一夏。

呆れや驚愕の混じった顔の箒がいた。

 

バタン!

 

あ、鈴が出てってしまった。

 

「一夏……何があった」

 

「亜久斗……実は………」

 

 

少年説明中←(°∀°⊂=)

 

説明を聞いた俺は取り合えず一夏を殴る。

 

「痛てっ!何するんだよ!」

 

「一夏…流石にそれはひどいぞ」

 

「何がだよ」

 

「女子との会話、しかも幼馴染みであり親友という立場にいた鈴との約束を忘れることがだ」

 

「いや、さっきもいったけど約束はちゃんと覚えて」

 

「ならなんで鈴は怒ったんだ?俺にはお前が約束を間違えているとしかおもえないんだが」

 

「………」

 

「取り合えずだ一夏。早く約束を思い出して鈴と仲直りするんだ。」

 

恐らく一夏の言っている「鈴の料理の腕が上がったら毎日酢豚を奢ってくれる」というのは日本の「私の料理の腕が上がったら毎日味噌汁を飲んでくれる?」ということだろう。

 

「…わかった。俺は鈴に謝る。このままの関係なんてつらいしな」

 

「な!」

 

「おお、お前もやっと男になったか!」

 

「絶対に元の関係に戻す!」

 

「「……………」」

 

だめだ。この鈍感やろうはなんというかためだ。……取り合えず。

 

「「一夏」」

 

「ん?」

 

「「馬に蹴られて死ね」」

 

「お前らもかよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝五時

さーて今日もISの特訓もしたし、寝るか。(規則違反)

 

ガチャ

 

「よう」

 

「ごきげんよう」ダッ!

 

な、なぜ俺の部屋に織斑先生がいるんだ!?

 

「まあまて」

 

「がはっ!」

 

逃げようとする襟を捕まれ捕らえられてしまう。

 

「ちょっとこっちに来てもらおうか」

 

「え、ちょっ、ま、弁明をさせ、あ!引きずるのやめ」

 

そのまま織斑先生に引きずられてしまい連行されてしまった。

 

 

「………」

 

「………」(ο△о;;)

 

織斑先生の部屋に連行された俺は手を後ろに縛られ正座させられていた。

 

「で、お前は夜中に何処へいっていた?」

 

「………外で特訓をしていました。」

 

「ほう。寮からの無断外出は禁止されているはずだが?」

 

「………はい、心から反省しております」

 

「もう一つ聞こうか。寮の監視は完璧で誰も外にでた痕跡はなかったがどうやって外に逃げ出した?」

 

や、やべえ。織斑先生まじ怖えぇ。こんなことなら勝手に抜け出すんじゃ無かったぜ畜生!

 

「どうした?早く答えろ」

 

「え、ええと。俺のベルトの力を使って寮からテレポートしました。……あの、一つ聞いていいですか?」

 

「何だ、言ってみろ」

 

「な、なぜ、織斑先生は、俺が抜け出したとわかったんですか?」

 

「そんなの簡単なことだ。私が見回りをしていると第三アリーナで更識が寝てしまっていてな。部屋に送っていったらお前がおらんかったから帰って来るのをまっていたんだ」

 

「さ、さいですか………」

 

「さて、私から言うことは一つだ」

 

織斑先生はそういって出席簿を取り出す。

 

「勝手に規則を破るなぁぁぁぁ!」

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

出席簿が振り落とされ、俺は意識をうしなった。

 

 

 

 

 

~~追記~~

 

次の日、掲示板にはこんな紙がはってあった。

 

夜霧亜久斗

 

上記の者は必要の時、教師が認めた時以外にISの力を使うことを禁止する。

※なお、リングは没収し、織斑先生の許可以外では使ってはならない。

 

 

……………この前の俺を、殴りたい。



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十五話 クラス対抗戦/割り込んできた無人機

 

 

やあ皆、こんにちわ。この前特訓から帰ってきたら織斑先生にばれて最悪の処罰を受けてしまった夜霧亜久斗だ。数週間経ったのにまだ頭が痛いぜ。それにいつも着けていたウィザードドライバーが没収されてしまってただいまオーズドライバーを着けている。あのあと織斑先生に数時間土下座をしたところ。条件をつけてクラス対抗戦が終わったら返してくれるそうだ。いやぁよかったよかった。そのかわりテレポートリングは没収されたままだけどね。まあ、俺のことはここまでにして。

 

あれから数週間がたち、一夏も鈴に謝り無事に仲直り…が出来そうだったのだが一夏が最後に「結局あの約束ってなんだったんだ?」と聞き、そのせいでまた教えろだの教えないだのと言い争いなぜか対抗戦で勝ったら相手の言うことを一つ聞くという訳がわからん約束をしてしまっていた。そのときの箒やセシリアは後ろからオーラが見えるほどやばかった。

…………こほん。

んで俺こと夜霧亜久斗は何をやっているのかというと。

 

『それでは両者、試合を開始してください』

 

クラス対抗戦、一夏VS鈴をピットから見ていた。え?時間が飛びすぎじゃないかって?いいんだよそんなこと。特に目立ったこともなかったし。お、鈴の攻撃が一夏に直撃した。

 

「なんだあれは………?」

 

不思議に箒が呟く。しかしそれに答えたのは俺ではなくセシリアだった。

 

 

 

「『衝撃砲』ですわね。空間自体に圧力をかけて砲身を生成、余剰で生じる衝撃それ自体を砲弾化して撃ち出す……」

 

さすがにずっと説明を聞くわけにもいかないのでモニターに目を戻す。

 

(頑張れよ。一夏)

 

 

 

 

「よくかわすじゃない。«龍砲»は砲身も砲弾も見えないのが特徴なのに」

 

確かにその通りだ。«龍砲»は砲弾が見えないのはまだしも、砲身までも見えないのだ。だけど…

 

「鈴」

 

「なによ?」

 

「俺は絶対に負けない!本気でいくぞ」

 

そう、放課後に自分の自由時間までけずって俺の特訓を手伝ってくれた箒やセシリア。ISがまったくわからなかった俺に手をかしてくれた亜久斗。

みんなのためにも、俺は負けられない。

 

「なによ、そんなの当たり前じゃない!格の違いってのを見せてあげるわよ!」

 

「うおおおおっ!」

 

俺はこの一週間で身に付けた『瞬時加速(イグニッション・ブースト)』を使い一回限りの奇襲をかける。

 

ズドオオオオンッ!!

 

「「!?」」

 

そして鈴に刃が届きそうになった瞬間、突如アリーナ内に大きな衝撃が走った。ステージ中央からはもくもくと煙をあげている。どうやら「それ」はアリーナの遮断シールドを貫通してはいってきたらしい。

 

「な、なんだ?何が起こったんだ?」

 

その瞬間、「それ」は俺と鈴へ熱線を放ってくる。

 

「鈴、危ねぇ!」

 

「え?きゃ!」

 

「ぐっ!」

 

俺は鈴を抱え、その場から離れる。だが完全には避けきれず、シールドエネルギーを大幅に削られてしまった。

 

「ちょ、ちょっと、どこ触ってるのよ!」

 

「お、おい暴れるな!今降ろすから…」

 

にしても…なんなんだ。こいつは………

 

姿からして異形だった。深い灰色をしたそのISは手が異常に長く、爪先よりも下まで伸びている。

そして何より特異なのが「全身装甲」ということだ。

全身装甲といっても亜久斗は全然違う。人とは思えない巨体で、腕を入れると二メートルもあり姿を維持するためか全身にスラスター口が見てとれる。頭部には剥き出しのセンサーレンズが不規則に並び、腕には先ほどのビーム砲口が左右合計四つあった。

 

『織斑君!凰さん!今すぐアリーナから脱出してください!すぐに先生たちがISで制圧に行きます!』

 

だが先生たちがくるまでには時間がある。だからそれまでは俺たちでなんとかしなくてはならない。

 

「一夏、あんたははやく避難しなさい。ここは私が抑えておくから」

 

「な!?なにいってんだよ!それなら俺も「誤魔化さないで!」」

 

「知ってるのよ。あんたがさっきの攻撃のせいでシールドエネルギーが少ないことくらい。だからこれは助けてくれた恩返しでもあるのよ、あんたはまってなさい!」

 

「おい!鈴!」

 

鈴はISの方へいってしまった。

くそっ!なんだ俺は、誰も守れないじゃないか!

 

『一夏』

 

ISのプライベートチャンネルで亜久斗が話しかけてくる。

 

「…なんだよ」

 

『お前は…まだ戦う勇気があるか?』

 

「当たり前だ!俺は、皆を守りたいんだ」

 

『オーケー。だったら俺が渡したものぐらいちゃんと使ってくれよ』

 

亜久斗が渡したもの?………そうか!

 

「これだ!」

 

俺は亜久斗から受けとったベルトを取り付ける。

 

『どうやら、ベルトをつけたみたいだな』

 

「な!?亜久斗!?どこにいるんだ?」

 

「落ち着け、お前がベルトをつけたことで会話が出来るだけだ。それよりも…ベルトの説明をするぞ。これは………………さらに………というやつだ。準備はいいか?」

 

「ああ!勿論だ!」

 

 

 

 

<山田side>

 

どうしたんでしょうか、夜霧君。さっきから独り言をいっています。まるで誰かと話している用に……。

 

「山田先生」

 

「は、はい!?」

 

「ちょつと俺の体、お願いします」

 

え?それってどういう…………

 

 

「じやあいくぞ、一夏。」

 

「おう!」

 

「「変身!」」

 

 

 




さあ、戦闘シーンに入りました。
会話だけで仮面ライダーがわかってしまう人もいると思います。

ではまた次回!


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十六話 VS無人機/二人で一人の仮面ライダー

 

 

「「変身!」」

 

CYCLONE JOKER

 

タブルドライバーに俺がサイクロンメモリ、一夏がジョーカーメモリを差し込み俺たちは二人で一人の仮面ライダーW(ダブル)に変身した。

 

「一夏!あの機体は無人機だ。全力でぶちかますぞ!」

 

「おう!」

 

俺らすぐに無人機に向かって走り飛び蹴りを喰らわせる。

 

『鈴!大丈夫か!』

 

「ええ、助かったわ。でもあんた誰?一夏?亜久斗?」

 

「両方だ!」

 

「ここで待ってな!」

 

走る。俺らに無人機がビームを放ってくるがそんなものは当たらない。サイクロンメモリの速さのおかげで全て避けきる。

 

『おらぁ!』

 

そのまま詰め寄り連続蹴りを喰らわせるが大きなダメージにはならない。

いったん無人機を蹴りで吹きとばし体制を整える。

 

「一夏、メモリチェンジだ。素早さは少なくなるが大丈夫か?」

 

「大丈夫に決まってんだろ!」

 

HEAT JOKER

 

サイクロンメモリをヒートメモリに入れ換える。

 

「これでも喰らえ!」

 

拳に炎を灯し、殴りつける。

不意に無人機が連続でビームを放つ。

 

「くっ、これじゃ攻撃ができねぇ!」

 

「おまけにメモリチェンジする隙もないとはな」

 

そのとき無人機の手が横に弾かれる。鈴が«龍砲»で援護してくれたようだ。

 

「ほら、なにかするんでしょ!早くしなさい!」

 

「サンキュー鈴!」

 

LUNA TRIGGER

 

ルナメモリ、トリガーメモリに切り替え、ルナメモリで追尾するバレットとなったトリガーマグナムをかわしながら打ち続ける。

 

「そっちのビームは当たらないが」

 

「こっちの銃弾は当たるんだぜ!」

 

敵の攻撃をかわしては反撃する。これの繰り返しを続ける。

 

(いける。これなら!)

 

「そろそろ終わらせるぞ」

 

「任せろ!」

 

「一夏ぁっ!」

 

トリガーマグナムにルナメモリをさしこもうとしたその時中継室から箒の声がする。

 

「男なら、そのくらいの敵に勝てなくてなんとする!」

 

「あのバカっ!」

 

箒の声に反応して無人機が箒にビーム口を向ける。

 

「!一夏急げ!マキシマムドライブだ。あのままじゃ箒が危ない!」

 

「わかった!鈴も«龍砲»撃ってくれ」

 

「わかったわ!」

 

TRIGGER!マキシマムドライブ!

 

『トリガーフルバースト!』

 

「喰らいなさい!」

 

俺らと鈴の攻撃が無人機に直撃し破壊される。そのお陰で箒への攻撃を防ぐことが出来た。

 

『ふう、終わったな』

 

 

<一夏side>

 

「一夏、変身解除してくれ」

 

「ああわかった」

 

変身が解除され元の白式の状態に戻る。

 

「なんにせよ。これでおわ……」

 

敵ISの再起動確認! 警告! ロックされています!

 

「!?」

 

片方だけ残った左腕。それを、さらに歳出力形態に変形させたISが地上から俺を狙っていた。

 

次の瞬間、迫りくるビーム。俺は、ためらいなく光の中に飛び込む。真っ白視界の中、刃が装甲を切り裂く手応えが感じられた。………

 

<sideout>

 

 

 




クラス対抗戦終了!
次回からはモグラさんのコメントを反省し、ちゃんとキャラや個性を作って行きたいと思います。

アンケートへの書き込み。感想待ってます。

これからもこの作品を宜しくお願いします。


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十七話 神様だからって何でもしていいとはかぎらないはずだ

皆さんこんにちは。滝温泉です。
今回は学年別トーナメント編の前に少しやっつけでオリジナルを書きました。不満を持つ方もいるかも知れませんがこの話は本編に大きく関わって行くのでご了識ください。



 

zzzzzzz

 

「おい、亜久斗」

 

zzzzzzzzzz

 

「おい、起きよ」

 

zzzzzzzz

 

「とっとと起きんか!」

 

「うわっ!?」

 

俺が目を覚ますと周りには何もなく真っ白で。前に死んだときに来た場所だった。

 

「ようやく起きたか」

 

「あれ?神様?てことは俺死んだのか!?」

 

そんな!俺はまだ楽しみたいのに!仮面ライダーだってまだ全部に変身してないし遊びにいったことすらないのに!

 

「落ち着け。お主がここに来たのは他でもない、伝えたいことがあるからじゃ」

 

「伝えたいこと………?」

 

「そうじゃ。わしはたまに上からお主の生活を覗いているんじゃが…」

 

「なにしてんすか!?」

 

プライバシーもあったもんじゃねえ!

 

「少しつまらなくてのぉ」

 

余計なお世話だ

 

「なのでお主には多重人格者になってもらう」

 

…………………は?

 

「言い方が悪かったな。……ほれ、あれじゃ、お主の世界でいう仮面ライダー電王みたいになるというわけじゃ」

 

「なにかんがえてんのあんた!?」

 

「安心しろ。電王にでてきた。モモタロス、ウラタロス、キンタロス、リュウタロスを送り込むだけじゃ。リスクも何にもないから大丈夫じゃ」

 

「………本当にリスクはないんだな?」

 

「当たり前じゃ。たまに憑依したりするだけじゃよ」

 

それを大丈夫とは言わないと思う。

 

「ええいうるさいぞ。とにかくわしが決めたんだから貰えるもんは貰っとけ」

 

そこで俺の意識はブラックアウトした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………は!?」

 

俺は自室で目が覚めた。周りを確認してみる、が何もいない。

 

「よかった。夢だったのか………」

 

現在の時刻は7時40分。日曜日なので授業は休みみたいだ。部屋には誰もいない。

 

「何がよかったんだ?」

 

「うわぁ!」

 

俺が声のした方をみるとそこにはモモタロスたちがいた。

 

「おい桃の字、驚かせたらあかんやろ」

 

「そうだよ先輩。あ、こんにちは。今日から居候?することになったからよろしくね」

 

「ねえねえ!ここ探検してもいい?答えは聞いてないけど!」

 

「は、はは………まじかよ」

 

その光景に俺は笑うことが精一杯だった。

 

 

 

 

 

 

 

<一夏side>

 

やあみんな、織斑一夏だ。俺は今鈴、そして親友の五反田弾«ごたんだ だん»と一緒に遊んでいた。

 

「ねえ一夏。次はどこいく?」

 

「うーん。ゲーセンもいったしなぁ。弾、なんかないか?」

 

「そんな都合のいいのがあるわけないだろ」

 

「なあなあ、あっちで路上ダンスやってるみたいだぜ!」

 

「しかも上手いらしいよ行ってみようよ!」

 

周りからそんな声が聞こえる。

 

「あったな……。俺たちも見にいくか?」

 

「別にいいわよ」

 

「俺も見てみたいしな」

 

人だかりの方に歩いていくとそこには…………亜久斗がブレイクダンスをしていた。

 

「ね、ねえ一夏。あれって………」

 

「ああ、亜久斗だよな」

 

「ん?知り合いか?」

 

「ほら、さっき話しただろ、ISを動かせれもう一人の男子」

 

「へぇー、あいつが……」

 

「でもあんな髪だったかな?」

 

亜久斗の髪は紫のメッシュが掛かっていて髪型も全然違った。

 

「にしても上手いわね、あいつ」

 

「「ああ」」

 

その後10分ほど見てそのまま帰った。

 




はい、かなりグダグダでしたね。次回はアンケートが終了してから更新します。

それではまた次回


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十八話 転校生がやってきた。

アンケートの集計が終わりました。
メインヒロインに選ばれたのは楯無、簪、ラウラ、シャルロット、千冬です。うまく組み込ませたらいいなと思います。

それでは本編スタート!


 

 

 

「おはよう一夏」

 

「ああ、おはよう亜久斗。お前ってあんなにダンス上手かったんだな」

 

「ダンス?」

 

俺が教室に入って一夏に挨拶をすると変なことをいわれた。

 

「ほら、昨日メインストリートでブレイクダンスをしてたじゃないか。すごく上手かったぜ」

 

ブレイクダンス………………。思い当たる人物が一人だけいる。

 

(なあリュウタロス)

 

R(ん?なに?)※心の中でのイマジンとの会話には記号がつきます。

 

(昨日まさかお前俺がきを失った間に憑依したのか?)

 

R(うん。とても楽しかったんだ~)

 

(…………次からは俺にいってからにしてくれ)

 

R(オッケー)

 

はぁ…これから大丈夫かよ、なんとかしなくちゃいけないよなぁ。

 

そんな中、女子の会話が聞こえてくる。

 

「やっぱりハヅキ社製のがいいなぁ」

 

「え?そう?ハヅキのってデザインだけって感じしない?」

 

「そのデザインがいいの!」

 

「私は性能的に見てミューレイのがいいかなぁ。特にスムーズモデル」

 

「あー、あれねー。モノはいいけど高いじゃん」

 

この前の落ち込みはどこえやら。クラス対抗戦が中止になったとき、クラスのほとんどが落ち込んでいた。まあデザートが食べ放題のフリーパスが無くなったからってのはよくわかるがな。

 

「織斑君や夜霧君のISスーツってどこのやつなの?見たことない型だけど」

 

「あー。特注品だって。男のスーツがないからどっかのラボが作ったらしいよ。えーと、元はイングリッド社のストレートアームモデルって聞いてる。亜久斗は?」

 

「俺もお前と一緒の特注品だ。ただ作ったのは俺の父さんと母さんだけど」

 

「でもISスーツなしでも動かせるのにな。反応速度が鈍るらしいけど、なんでISスーツを着ると良くなるんだっけ?」

 

「ISスーツは肌表面の微弱な電位差を検知することによって、操縦者の動きをダイレクトに各部位へと伝達、ISはそこで必要な動きを行います。また、このスーツは耐久性にも優れ、一般的な小口径拳銃の銃弾程度なら完全に受け止めることができます。あ、衝撃は消えませんのであしからず」

 

一夏の言葉と同時に山田先生がすらすらと説明しながら山田先生が現れた。

 

「山ちゃん詳しい!」

 

「これでも先生ですから。………って、や、山ちゃん?」

 

「山ぴー見直した!」

 

「今日が皆さんのスーツ申し込み開始日ですからね。ちゃんと予習してきてあるんです。えへん。………って山ぴー?」

 

入学から大体二ヶ月。山田先生には8つくらいの愛称がついていた。

 

U(ねえ亜久斗)

 

(ん?どうしたウラタロス)

 

U(あの先生大丈夫かな?ちょっと釣って見たいんだけど)

 

(教師にナンパするのはやめてくれ!)

 

「と、とにかくですね。ちゃんと先生とつけてください。わかりましたか?わかりましたね?」

 

ウラタロスとしゃべっていたら会話は終了していた。というかみんな返事だけだな、これからも山田先生のあだ名は増え続けるんだろう。

 

「諸君、おはよう」

 

「お、おはようございます!」

 

織斑先生が登場した瞬間、教室のざわめきが一切消え、全員席に座る。

本当にすごいな。これがカリスマ性というものなんだろう。

 

「今日からは本格的な実戦訓練を開始する。訓練機ではあるがISを使用しての授業になるので各人気を引き締めるように。各人のISスーツが届くまでは学校指定のものを使うので忘れないようにしろ。忘れたものは代わりに学校指定の水着で訓練を受けてもらう。それもないものは、まあ下着で構わんだろう」

 

いやだめだろ。前までは良かったかもしれないけど今は男が二人もいるんだぞ。

 

「では山田先生、ホームルームを」

 

「は、はいっ」

 

R(ねえねえ亜久斗)

 

(なんだよリュウタロス)

 

R(廊下の方に誰かいるみたい)

 

(そうか、教えてくれてありがとうな)

 

R(へっへーそれほどでも)

 

「ええとですね、今日はなんと転校生を紹介します!しかも二人です!」

 

「え………」

 

あ、やばい。

 

「「「「「ええええええええっ!?」」」」」

 

いきなりの転校生紹介にクラス中がいっきにざわつく。というかソニックブームが発生した。まあ俺は耳塞いだから平気だが。

ならさっきリュウタロスが言っていた廊下にいる二人ってのは転校生だったのか。

 

「失礼します」

 

「……………」

 

 

転校生が入ってきた。ん?あいつは………

 

「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。この国では不馴れなことも多いかと思いますが、皆さんよろしくお願いします」

 

「お、男………?」

 

「はい。こちらに僕と同じ境遇の方がいると聞いて本国より転入を…………!」

 

デュノアが俺を見て少し驚いた表情をする。

 

「きゃ………」

 

「はい?」

 

あ、またくる

 

「「「きゃああああああーーーー!」」」

 

三人目の男の出現により女子たちが歓喜の声をあげる。

 

「男子!二人目の男子!」

 

「しかもまたうちのクラス!」

 

「美形!守ってあげたくなる系の!」

 

「織斑君や夜霧君もいいけどこっちも最高!」

 

「地球に生まれてきて良かった~~~~!」

 

女子の声があがる中、俺はシャルル・デュノアの方をみていた。

金髪で中性的な顔立ち。そしてフランス出身でデュノアという姓、間違いない、あいつだ。

 

M(知り合いか?亜久斗?)

 

(ああ、昔ちょっとな。後でせつめいするさ)

 

M(おう、わかった)

 

「み、皆さんお静かに。まだ自己紹介が終ってませんから~!」

 

いったん考えるのをやめ、もう一人のほうを見る。銀髪の髪を腰近くまでおろしている。そして眼帯をつけて冷徹さを放っている。軍人という感じが似合うだろう。

 

「……挨拶をしろ、ラウラ」

 

「はい、教官」

 

「教官」すっげえ似合っている気がした。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

 

「……………」

 

その他に何も言わないボーデヴィッヒ。これはあれだな、これ以上は何も言わなそうだな。

 

そう思いながらぼんやりと窓をみていた。

 

U(ごめん亜久斗!緊急自体だ。体かりるよ!)

 

(え?)

 

俺の意識はまた急にブラックアウトした。

 

 

<一夏side>

 

ラウラが亜久斗の方を向くと急に歩きだし近寄ったところで無駄のない動きで手を振り上げる。…たいして亜久斗は気がついておらず窓の外を向いたままだ。

 

ガシッ

 

誰もが亜久斗がやられると思っていたが亜久斗は逆にラウラの腕をつかんでいた。

 

「…いきなり何するのかな。ボーデヴィッヒさん」

 

「なっ!」

 

ラウラは驚きを隠せないでいる。

だがすぐに冷静に戻った。

 

「私は認めない。貴様があの人の弟であるなど認めるものか」

 

「僕の姉さんが何をしたかは知らないけど、いきなり殴ろうとするのはいけないんじゃない?仮にも君だってかわいい女の子なんだ、きれいな手が傷ついちゃうよ」

 

「なっ…!」

 

亜久斗の雰囲気がいつもと違う。この前の時もそうだったが別人に見える。

クラスの人達はポカーンとしていた。

 

「ふ、ふん。貴様の性で教官はな……」

 

「教官…?僕は織斑先生の弟じゃないよ。自己紹介させてもらうけど僕の名前は夜霧亜久斗。よろしくねボーデヴィッヒさん」

 

「………」

 

なんだ人違いだったのか。…ん?今度は俺の方に来た。

 

バシンッ!

 

俺はラウラに顔を叩かれた。

 

「何しやがる!」

 

「私は認めない。貴様が教官の弟であるなど絶対に…!」

 

ラウラは亜久斗にいった台詞をそのままいって空いている席に座った。あ、亜久斗の後ろだった。

 

「「「…………」」」

 

みんながラウラを、というか亜久斗のいる方を見る。それを見た亜久斗は

 

「ニコッ」

 

「「「/////」」」

 

スマイルというのを皆にむけていた。皆顔が赤いがどうしたんだろうか。

 

「……っは!あーゴホンゴホン!ではこれよりHRを終わる。各人はすぐに着替えて第二グラウンドに集合。二組と合同でIS模擬戦闘を行う。解散!」

 

千冬姉がぱんぱんと手を叩いてみんな元に戻った。というか千冬姉も少しボーっとしていた。風邪でもはやってんのか?

 

 

 

 

 



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十九話 銀髪の転校生は群れるのがきらいなようです

<亜久斗side>

 

(ん?気を失ったけど誰か憑依したのか?)

 

U(あ、亜久斗。緊急だったんで僕が憑依したんだ)

 

(そうか、とりあえず何があったか教えてくれ)

 

~イマジン説明中~

 

(なるほど、助けてくれたことは嬉しい、でも最後のほうおかしくね?)

 

U(何が?)

 

(なにがじゃねえよ!なんで最後にナンパまがいなことしてんだよ!)

 

U(失礼だなぁ。ナンパまがいじゃないよ、ちょっと釣ってみただけさ)

 

(なお悪いわ)

 

U(それよりも、先生の話聞いときなよ)

 

(くっ、わかったよ)

 

「織斑、夜霧。デュノアの面倒を見てやれ。同じ男子だろう」

 

デュノアは男じゃ………まあいいや、隠してるってことは何かあるんだろう。これ以上は詮索しないでおこう。

 

「え、ええと初めまして、僕は……」

 

「ああ、いいから。とにかく移動が先だ。女子が着替え始めるから。亜久斗のあれも使えないし」

 

「………すまん」

 

「あ!いやいいって!気にすんなよ、運動も必要だし!元気だせって」

 

「ああ、ありがとう」

 

あんなことしなければよかったなぁ。……まあ悔やんでてもしょうがないか。

 

「まあとりあえず男子は空いてるアリーナで着替え。これから実習のたびにこの繰り返しだから早めに慣れてくれ」

 

「う、うん……」

 

「ん?どうした?トイレか?」

 

「トイ……っ違うよ!」

 

「二人とも急ぐぞ、織斑先生の怒りを受けたくはねぇ」

 

「わ、わかった」

 

「ほら、いくぞ」

 

俺はデュノアの手を取り一夏と教室を出て階段下って一階へ。そこには女子が複数いる。

 

「ああっ!転校生発見!」

 

「しかも織斑君と夜霧君とも一緒!」

 

「者ども出会え出会えい!」

 

おいおい、口調変わってないか?ここは屋敷かなんかか?

 

「織斑君たちの黒髪もいいけど、金髪っていうのもいいわね」

 

「しかも瞳はエメラルド!」

 

「きゃあ!見てみて!夜霧君と手を繋いでる!」

 

「夜×シャル。いいわね!」

 

やべぇ寒気がしてきた。というかデュノアは男じゃないから。

 

「ああもう、一夏!シャルを連れて先へ行くんだ!」

 

「え!?」

 

「でもお前は!?」

 

「大丈夫だ!いいから早く行くんだ!」

 

「わかった!俺はお前のことは忘れねぇ!」

 

「ごめんね!また後で!」

 

一夏とデュノアは走り去っていった。…っていうか今の俺に死亡フラグがたったみたいじゃね?

 

「……さてと」

 

(おーい、ちょっと皆!)

 

とりあえず、俺に被害が及ばず、尚且つ最良の選択枝を選ばなければならない。

 

M(あぁ?なんかようかよ)

 

U(どうしたの?)

 

(いやさ、四人ともアニメみたいに実体化できる?)

 

U(できると思うけど………まさか僕たちが囮になるわけじゃないよね?)

 

R(わかった!大きな声を出して皆の気を引けばいいんでしょ?)

 

(そ、そうそう!だからちょっと反対側へいって皆の気を引いて欲しいんだよ)

 

K(よっしゃぁ!わいにまかしとき!)

 

U(あ…もう、金ちゃんたら…しょうがない、僕もいこうかな)

 

(頼んだよ!)

 

お、モモタロスの合図だ。

 

R「あーーーっ、あんなところに!」

 

今ので皆の気が逸れた、今のうちに逃げよう。ナイス、リュウタロス!

 

M「でっかいプリンが!」

 

………ちょっと微妙じゃね?まあいいか。

 

「「痛っ!」」

 

曲がり角を曲がると誰かとぶつかってしまったようだ。だがそんなことを気にしている暇はない!

 

「す、すいません!ちょっと急いで……」

 

「あら、別に大丈夫よ、君もけがはない?」

 

「あ、大丈夫です。それじゃあ!」

 

残り時間は2分半、ファイズのアクセルフォームの如く走り抜けるしかない!

 

絶対に間に合って見せる!皆の苦労を無駄にしないためにも!

 

 

 

「遅い!」

 

はい、すいません、やはり間に合わずに怒られてしまいました。

 

「遅かったですわね、亜久斗さん」

 

「なんかあったの?あんたが一夏よりも遅いなんて」

 

「なあ鈴、それどういう意味だ?」

 

なんか痴話喧嘩始めた。

 

「ちょっとね。囮になっていただけだ」

 

「何やってんのよあんたも、ばかねぇ」

 

「安心しろ。バカは私の前に三人もいる」

 

バシーン!

 

あ、そういえばもう、授業始まってた……。

 

 

「では、本日から格闘及び射撃を含む実践訓練を開始する」

 

「はい!」

 

二クラスが同時にやるので人数も二倍になり返事にも妙な気合いが混じっている。

 

「今日は戦闘を実演してもらおう。夜霧!やれ」

 

「なぜに俺!?」

 

「お前が専用機持ちで一番格闘と射撃のバランスが優れているからだ。何よりこれは実演、両方を知ってもらわねば意味がないからな」

 

「そういう理由だったらお引き受けします。けど相手は?一夏ですか?」

 

「慌てるな。対戦相手は…」

 

「ああああーっ!ど、どいてください~っ!」

 

上から山田先生が落ちてきた…って避けないと!

 

すぐに体を捻らせ地面を転がる。なんとか避けれた。

 

「あうぅ、すみません。少し久しぶりで失敗してしまいました。」

 

………大丈夫なんだろうか

 

「織斑先生、大丈夫ですか?いろんな意味で」

 

「大丈夫だ。山田先生はああ見えて元代表候補生だからな」

 

「む、昔のことですよ。それに候補生止まりでしたし…」

 

「まあいい、それでは実演を始めろ」

 

「「はい」」

 

M(なあ亜久斗、俺の出番か?)

 

(うーん確かに臨機応変な戦いをするなら電王がいいかもね)

 

M(よっしゃあ!)

 

「何をしている。早くISを展開しろ。」

 

「はい。……変身!」

 

ソードフォーム

 

M「俺、参上!」

 

「い、行きます」

 

試合開始だ。

 

「いくぜいくぜいくぜぇ!」

 

デンガッシャーを組み立て、地面をえぐる感覚で踏みつけ、ジャンプと同じようにして突っ込む。……これをスタート・ダッシュと名付けよう。

 

「そう簡単に喰らいませんよ!」

 

剣を使って連続で切りかかるが避けられ、空中に逃げられる。…だが

 

「俺の必殺技、パート2!」

 

エクストリームスラッシュで山田先生を攻撃する。ダメージは与えられたがこのままでは不利だ。

 

「ちぃっ!交代だ。小僧!」

 

ガンフォーム

 

R「倒すけどいいよね。答えは聞いてないけどっ!」

 

向こうが遠距離ならこちらも遠距離から攻撃するだけだ。

 

「くぅ、中々当たりませんね」

 

そう、いくらISが速かろうと空中よりも地上の方が細かい動きがしやすく、リュウタロスはブレイクダンスをしながらかわして撃ち続ける。

 

「そろそろ決めるよ♪」

 

連続で山田先生の周りだけに遅い銃弾を撃つ。

 

フルチャージ

 

「もらったぁ!」

 

銃弾が周りにあるせいで身動きが出来なくなった山田先生にたたみかける。

 

「そこまでっ、実演を終了する。」

 

「ちぇっ、まあいいや。おもしろかったし」

 

亜「ふう、大丈夫ですか?山田先生?」

 

「は、はい。それにしても強いですね夜霧君は」

 

「そんなことありませんよ。たまたまです」

 

(ありがとな、モモタロス、リュウタロス)

 

M(へっ!張りあいねぇぜ)

 

U(でも最初だけでしょ?)

 

M(んだとこのやろう!)

 

(落ち着け)

 

「さて、それでは今から八人グループになって実習を行う。各グループリーダーは専用機持ちがやること。いいな?では別れろ」

 

織斑先生が言い終わるや否や、俺と一夏とデュノアに一気にニクラス分の女子が詰め寄ってくる。

 

「織斑君、一緒にがんばろう!」

 

「ねえねえ夜霧君、さっきの実演かっこよかったよ、教えてくれない?」

 

「デュノア君の操縦技術をみたいなぁ」

 

なんというか、人数が多くて反応が出来なく、一夏とデュノアも一緒らしい。その状況を見て織斑先生は面倒くさそうに額を指で押さえながら低い声で告げる。

 

「この馬鹿者どもが……。出席番号順に一人ずつ各グループに入れ!順番は織斑、夜霧、オルコット、デュノア、ボーデヴィッヒ、凰だ。次にもたつくようなら今日はISを背負ってグラウンドを百週させるからな!」

 

まさしく鶴の一声。二分とかからずグループが出来上がった。カリスマ性ってすごい。

 

「最初からそうしろ。馬鹿者どもが」

 

各班ごとから声が聞こえてくる。

 

「やった!織斑君と同じ班だ。名字のおかげね」

 

「セシリアさん、よろしくね!」

 

「凰さん、宜しくね。後で織斑君のこと教えてよっ」

 

「デュノア君!わからないことがあったら何でも聞いてね!ちなみに私はフリーだよ!」

 

「夜霧君と同じ班だ!やったあ!」

 

「…………」

 

なんかボーデヴィヒさんの班静かだな。誰も話してないしボーデヴィッヒさんにいたっては口も開かずに見下したような目で周りをみている。…あれだと上手く進まないだろうな。

 

「織斑先生」

 

「なんだ、夜霧」

 

「ボーデヴィッヒさんの班があのままだと遅れてしまいそうなので合同で練習してもいいでしょうか?」

 

「ああ、かまわん」

 

「ありがとうございます。みんなもいいかな?」

 

「うん全然大丈夫だよ」

 

「みんな一緒のほうがいいしね!」

 

「あのままだとちょっとかわいそうだし…」

 

「じゃあ行こうか」

 

俺は『リヴァイヴ』と『打鉄』運びながらボーデヴィッヒさんの方へ向かった。

 

「俺たちも一緒にやることになったから、よろしく」

 

なぜかみんな安堵の息を吐いた。

 

「まて、私は許可していないぞ」

 

「じゃあ聞くがなぜ駄目なんだ?」

 

「そんな大勢で群れていては効率が悪いからだ」

 

「だったらボーデヴィッヒさんが教えてあげれば良かったんじゃないか?俺はそれをしないから来たんだが」

 

「ふん、こんなふぬけている奴らなんかに教えたくはないからな」

 

そういってボーデヴィッヒさんは帰ろうとするが俺が手を掴んで止める。

 

「これは授業なんだ。個人の意見でかってに動いてはいけないんだよ。それにみんなISのことを学びに来ているんだ。それにボーデヴィッヒさんの方がISの稼働時間は長いんだからみんながふぬけているように見えるがスタート地点が違うだけだろ、勝手に逃げるなよ」

 

「は、離せ!」

 

無理やり手をほどきボーデヴィッヒさんはグラウンドからででいってしまった。

 

「………ごめん。実習を始めようか」

 

その後実習訓練をして授業が終わってもボーデヴィッヒさんは教室に戻っていなかった。

 

そしてそのまま放課後になった。



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二十話 問題解決、とりあえず友達の安全は確保された

祝!おきにいり登録数100達成!!

こんな作者が書いている小説を100もの方が登録してくれているなんて感激です!これからも頑張ります!

それでは本編スタートです!


 

「おい夜霧。話しがある」

 

放課後、ボーデヴィッヒさんのことで悩んでいた俺を織斑先生が呼んだ。

 

「…なんですか?」

 

「お前の部屋割が変わった。広い部屋が用意してあるから織斑、デュノアと相部屋だ」

 

そうか、とうとう変わったのか。…更識さんにお礼をいっておこうか。

 

「それと夜霧」

 

「…なんですか?」

 

「ボーデヴィッヒのことで悩んででいるなら心配いらん。お前は自分があいつを傷つけたとでも思っているんだろうがそれは違う」

 

「どういうことですか?」

 

「あいつはドイツの軍人でな、昔私が教官を担当していたんだが私はあいつに戦闘の仕方しか教えていなかった。だからあいつは「強さ」を「力」だと勘違いして周りを見下している。…お前のやったことは正しいことだ、深く考えるな」

 

「…わかりました。ありがとうございます」

 

………そうだな、とりあえず謝りに行こう。話しはそれからだ。明日は授業にででくれると思うからその時に謝ろう。

 

 

 

 

1030号室

 

「じゃあ更識さん。今までありがとな、IS、がんばってくれ」

 

「………あの!」

 

俺が部屋から出ようとすると少し大きな更識さんの声に呼び止められた。

 

「………ISが完成したら、練習に…付き合ってもらっていい?」

 

「ああ、いいぞ。元は俺が手伝うって言ったことだしな。責任とって、最後まで手伝わせてもらう」

 

「……ありがとう」

 

「どういたしまして、じゃあまたな」

 

「………うん」

 

部屋を出て、新しい部屋に向かう。

 

 

新しい部屋は寮の端に作られていた。

 

「お、来たか亜久斗。ひどく落ち込でいたが大丈夫だったか?」

 

「ああ大丈夫だ、心配かけたな。…ところでデュノアは?」

 

「ああ、シャルルならまだだ。なんか先生に呼ばれているみたいだ」

 

「そうだったのか。………なあ一夏、デュノアが帰って来たら一度部屋から出てくれないか?知り合いとして少し話しがしたい」

 

「別にいいぜ………ってお前シャルルと知り合いだったのか?」

 

「ああ、ほら会社同士のパーティーで会ったことがあるんだ。その頃にちょっとな」

 

「わかった。じゃあ終わったら呼んでくれ、俺は……鈴の部屋にいってるから、それじゃ後で」

 

「あ、おい!………別に今からじゃなくて良かったんだがな」

 

 

数分後、デュノアが部屋に入ってきた。

 

「あれ?一夏は?」

 

「あいつには別の部屋に行ってもらっている。お前と話しがしたかったからな」

 

「う、うん………」

 

デュノアは俺が腰掛けている布団の前に座った。

 

「久しぶりだな、シャル」

 

「!……気付いてたんだね」

 

「当たりまえだ。あんな変装じゃあ俺の目は誤魔化せんぞ。………何でIS学園に来た?それも男装なんかして」

 

「やっぱり亜久斗には敵わないね。……僕はね、親の命令で来たんだ。織斑一夏と夜霧亜久斗のISのデータを盗んでこいっていうね……」

 

俺がシャルと出会ったのは一年半位前の時。デュノア社の開いたパーティーと言うなの資金集めに俺は父さん、姉さんと来ていた。その時は姉さんが父さんに付き添っていたから俺は退屈になっていた。そこで探検していたら少しこじんまりしていたシャルと知り合った。その日から少しの時間だけ遊ぶようになり仲良くなった。

だがその時にフランスに居られたのは3日だけ、そして最後の日、シャルはいろいろ話してくれた。自分が愛人の娘だということ、新しい母に邪魔者扱いされていること、いろんなことを打ち明けてくれた。泣きながら……………この話しはここまでにしておこう。

 

そんなことがあったから俺はシャルの家の事情は知っている。

 

「……でもこんなに簡単にばれちゃうなんて思ってもいなかったんだろうね。僕と亜久斗が友達だって知らなかったみたいだし」

 

「……なんかお前の親ホントに馬鹿だよな。IS学園の特記事項を知らずに送って来るなんてな」

 

「?」

 

シャルはわからないといった顔をしている。

 

「IS学園特記事項第ニ一、本学園における生徒はその在学中においてありとあらゆる国家・組織・団体に帰属しない。本人の同意がない場合、それらの外的介入は原則として許可されないものとする。この特記事項がある限りシャルの身柄は卒業まで安全の様なもの、お前に帰る気がいないならここにいてもいいんだよ」

 

「…本当に?」

 

「ああ、良かったな。ただししばらくはそのまま正体隠してた方がいいと思う。いくらなんでも早すぎると疑われそとだしな」

 

「うんありがとう亜久斗。やっぱり亜久斗は優しいよ」

 

「……そうか?」

 

「うん。ほら、亜久斗が帰っちゃう日に僕、泣いちゃったでしょ、その時も亜久斗は必死で慰めてくれたじゃん」

 

あの話しは正直しないで欲しい。めっちゃ恥ずかしいから。

 

「さ、さて!話しも終わったし一夏を呼んで早く寝ようかな!」

 

「そ、そうだね!」

 

その後一夏を呼んで三人で改めて自己紹介をした後寝た。シャルが上機嫌だったことにも一夏は気付かなかったことは誰にも言わないでおこう。

 

 

 

 

 

<シャルロットside>

 

ふふっ♪やっぱり亜久斗は変わってなかったなぁ。それに一段とかっこよくなってたし、これからはもっと一緒にいられるのがとても嬉しいな♪

 

 

 



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二十一話 ……何か締まらない。by一夏

スターライトmkスリーのさんや
カスタムツーのにがどうやって変換させたらいいのかわからず、数字を使っています。書き方を知っている方は教えてください。


シャルとボーデヴィッヒさんが転校してきて五日たった。土曜日はIS学園は午後は完全に自由時間になっていてアリーナも全開放の状態なので多くの生徒が実習に使う。なので俺たちイツメン+シャルでISに関するレクチャーを一夏にしていた。

 

「ええとね、一夏がオルコットさんや凰さんに勝てないのは、単純に射撃武器の特性を把握していないからだよ」

 

「そ、そうなのか?亜久斗から教えて貰ってるから一応わかっているつもりなんだが…………」

 

「それは多分理論上の知識しか知らないから実戦であまり活かされていないのかもしれないな」

 

余談だが四日前にボーデヴィッヒさんに謝りにいったら何か無視されてしまった。……そこまで酷いことをいったか?俺?。

 

「確かにそうかもね。さっき僕と戦ったときもほとんど間合いを詰めれなかったよね」

 

「うっ……、確かに。瞬時加速«イグニッション・ブースト»も読まれてたしな……」

 

「一夏のISは近接格闘オンリーだから、より深く射撃武器の特性を把握しないと勝てないよ。特に一夏の瞬時加速は直線的だから反応できなくても軌道予測で攻撃できちゃうからね」

 

「直線的か……うーん」

 

「だが瞬時加速中は無理に軌道を変えない方がいい、空気抵抗とか圧力の関係で機体に負荷がかかると最悪の場合骨折してしまうからな、それに一夏は瞬時加速の使いどころが下手過ぎる。隠し玉や秘密兵器としていざという時以外はあまり使わない方がいい」

 

「………なるほど」

 

「ふん。私のアドバイスをちゃんと聞かないからだ」

 

「あんなに分かりやすく教えてやったのに、なによ」

 

「私の理路整然とした説明の何が不安だというのかしら」

 

一夏の後ろで(自称)コーチがぶつくさいってるよまったく、箒は効果音で説明するし鈴は感覚がどうとかで全然分かりやすくない、逆にセシリアのほうは詳しすぎて一夏は全然理解できていないから俺とシャルが教えているというのに…….。

 

「一夏の『白式』って後付武装«イコライザ»がないんだよね?」

 

「ああ。何回か調べてもらったんだけど、拡張領域«パスロット»ガ空いてないらしい。だから両子変換<インストールは無理だって言われた」

 

「たぶんワンオフ・アビリティーの方に容量を使っているからだと思う」

 

「ワンオフ・アビリティーっていうと…………ああ、零落白夜のことか?」

 

「そうだ、普通は第二形態から使えるんだがお前の白式は第一形態で使える。しかもその能力が織斑先生が使っていたISと同じときた、無理矢理使えるようにしたから他の物が入らなくなったんだと思う」

 

「姉弟だからとかそんなもんじゃないのか?…っていうか亜久斗だってワンオフ・アビリティー使えるだろ?」

 

「俺のはワンオフ・アビリティーではなく個々の武装、武器が持つ能力だから違うな。まあそのことは置いておこうぜ、俺ちょっとトイレいってくるな」

 

「わかったよ、じゃあ一夏、射撃武器の練習をして置こうか」

 

 

 

<一夏side>

 

亜久斗がトイレにいってから俺はシャルルから射撃武器を貸して貰い、練習していた。

 

「そういえば、シャルルのISってリヴァイヴなんだよな?」

 

「うん、そうだよ。………あ、腕が離れてきているから、ちゃんと一回ごとに脇を締めて」

 

「お、おう。………こうか?」

 

「オーケーだよ。あと、なるべく重心を移動させて視線の延長線上に置いた方がいいね。首を傾けて撃つと、とっさに反応できないよ」

 

「で、そのISなんだけど、山田先生が操縦していたのとたいぶ違うように見えるんだが本当に同じ機体なのか?」

 

「ああ、僕のは専用機だからかなりいじってあるよ。正式にはこの子の名前は『ラファール・リヴァイヴ・カスタム2』。基本装備をいくつか外して、その上で拡張領域を倍にしてある」

 

「倍!?そりゃまたすごいな……。ちょっと分けて欲しいくらいだ」

 

「あはは。あげられたらいいんだけどね。そんなカスタム機だから今両子変換してある装備だけでも20はあるよ」

 

「そんなにあるのか……なんか亜久斗のISみたいだな」

 

「亜久斗のIS?」

 

「ああ、あいつのは今まで戦うごとに別の姿になるんだ、おまけに戦い方も違うし対応しにくいから強いんだよ」

 

「でも一夏はその亜久斗に引き分けだったんでしょ?」

 

「あのときは純粋に楽しむためにやってたからな、本気でやったら勝てる自信がない」

 

「あはは」

 

「ねえ、ちょっとアレ……」

 

「ウソっ、ドイツの第三世代型だ」

 

「まだ本国のトライアル段階だって聞いてたけど……」

 

急にアリーナ内がざわつきはじめて、俺は射撃をやめ、注目の的に視線を移した。

 

「……………」

 

そこにいたのはもう一人の転校生、ラウラ・ボーデヴィッヒだった。

転校初日以来、クラスの誰ともつるもうとしない、そそれどころか会話さえしない孤高の女子。亜久斗と何か言い争った日から亜久斗のことを避けている様にみえる。……まあ俺も話しかけてはいないけど……

 

「おい」

 

「……なんだよ」

 

正直いうとこいつと話すのは気が進まない、だって会った時にされたのが平手打ちだ、そんなことをしてきた人と話したいと思うやつはそうそういないだろう。

 

「あいつはいないのか…………まあいい、貴様も専用機持ちのようだな。ならば話しが早い。私と戦え」

 

前半の方は聞こえなかったが、何を言っているのか、コイツは。戦闘狂なのか?

 

「イヤだ。理由がねえよ」

 

「貴様にはなくても私にはある」

 

……………

 

「貴様がいなければ教官が大会ニ連覇の偉業をなしえただろうことは容易に想像できる。だから、私は貴様を…貴様の存在を認めない」

 

コイツは二年前『モンド・グロッソ』の決勝戦のことを言っているのだろう。確かに俺が誘拐なんかされなければ千冬姉は決勝戦を辞退することは無かっただろう。だから千冬姉の経歴に傷を付けた俺が憎いんだろう、だけどそんなことは戦う理由にはならない。少なくとも、俺はやるきがない。

 

「また今度にしてくれ」

 

「ふん。ならば……戦わざるを得ないようにしてやる!」

 

言うが早いか、ラウラはその漆黒のISを戦闘状態へとシフトさせる。刹那、左肩に装備された大型の実弾砲が日を噴いた。だが…

 

crock over

 

「!」

 

一瞬の間に実弾は弾かれており、そこには銃を構えたカブトムシのような物体がいた。………多分亜久斗だろう。変身する前を見ていないと誰だかわかりづらい。

 

「何者だ、貴様………」

 

「逆に聞こうか、何をしているんだ?ボーデヴィッヒさん」

 

「!その声、亜久斗か、ならちょうどいい、貴様も私と戦え」

 

おいおい、亜久斗にも戦いを吹っ掛けるのかよ。

 

「別にその事に関しては構わない、ただ今ここで起きていることよりも君に言っておきたいことがある」

 

「この前は君のことも考えないであんなことを言ってしまって悪かった。許してくれ」

 

そういって頭を下げる亜久斗。………なぜだろう、謝っているということは分かるが全身装甲のカブトムシに身を包んでいるため誠意がまったく伝わっていない気がする。

 

「…………ふ、ふん。私に勝てたら許してやろうじゃないか」

 

「本当か!?」

 

亜久斗は銃を向けたままラウラに近づく、おいおいそんなことしたら

 

『そこの生徒!何をやっている!学年とクラス、出席番号を言え!』

 

ああ、やっぱり……。

 

アリーナにスピーカーからの声が響く。騒ぎを聞きつけてやってきた担当の教師だろう。

 

「……今日は引こう」

 

「ああ!約束忘れないでくれよ!」

 

………なんか、やってきた嵐が中途半端に消えた。そんな感覚に周りは陥った。

 



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二十二話 波乱の前兆

ひさしぶりの更新です。
皆様、またせてしまって申し訳ありません。

※11/11 セシリアの一人称を「私」から「わたくし」に変更しました。

それでは本編スタート!


「「あ」」

 

ここは第三アリーナ、そして授業も終わり放課後、二人そろって間の抜けた声を出したのは鈴とセシリアだ。

 

「奇遇ね。あたしはこれから月末の学年別トーナメントに向けて特訓するんだけど」

 

「奇遇ですわね。わたくしもまったく同じですわ」

 

二人の間に火花が散る。どうやらどちらも狙っているのは優勝らしい。

……それもそのはず今現在進行形で学園には『月末の学年別トーナメントで優勝した者は織斑一夏、夜霧亜久斗と交際が出来る』という噂が広まっている。

自分の好きな相手(一夏)を手に入れるために優勝を狙う二人はライバルと呼べるだろう。………いつもだけど

 

「ちょうどいい機会だし、このさいどっちが上かはっきりさせとくってのも悪くないわね」

 

「あら、珍しく意見が一致しましたわ。どちらの方がより強く優雅であるか、この場ではっきりさせましょうか」

 

お互いにメインウェポンを呼び出すと、それを構えて対峙した。

 

「ではーーー」

 

ーーーと、いきなり声を遮って超音速の砲弾が飛来する。

 

「「!?」」

 

だが砲弾は手前で爆発し二人にはあたらなかった。鈴とセシリアは砲弾が飛んできた方向を見る。そこには『シュヴァルツェア・レーゲン』を展開したラウラ・ボーデヴィッヒがたたずんでいた。

 

「………どういうつもり?いきなり砲弾ぶっ放すなんていい度胸してるじゃない」

 

「中国の『甲龍』にイギリスの『ブルー・ティアーズ』か。私はあくまであいつと戦うためにここへ来ただけだ。。数くらいしか能のない国と、古いだけが取り柄の国の軟弱者の代表候補生などにようはない」

 

ぶちっ!

 

何かが切れる音がして、鈴とセシリアは装備の最終安全装置を外す。

 

「へぇ、言ってくれるじゃない。だったら、見せてやろうじゃない。……セシリア、どっちが先やるかジャンケンしよ」

 

「ええ、そうですわね。わたくしとしてはどちらでもいいのですが………」

 

「ふん、貴様らのような沸点の低いやつとは戦う必要はないが。……やるというのならかかってこい、下らん種馬を取り合うようなメスに、この私が負けるものか」

 

周りから見れば挑発的な態度だが、堪忍袋の緒が切れた二人にはもはやどうだっていい。

 

「……今なんて言った?あたしの耳には『どうぞ好きなだけ殴ってください』って聞こえたけど?」

 

「場にいない人間の侮辱までするとは、同じ欧州連合の候補生として恥ずかしい限りですわ。その軽口、二度と叩けぬよう、ここで叩き折ってあげましょう」

 

「ご託はいらん、とっととこい」

 

「「上等!」」

 

ドイツVS中国&イギリスの、プライドをかけた戦いが始まった。

 

 

 

 

「いやー、本当に最近はいろいろあったけど、一夏はどんだけ問題を起こせば気がすむんだろうね?」

 

「うぐっ、で、でも俺はそこまで酷くは無いだろ、亜久斗だって夜中に寮を脱け出して千冬姉に怒られてたじゃねぇか」

 

「そういうことじゃないんだよなぁ、大体、一夏は問題の内容が酷すぎる。どうやったら同じ部屋の女子の裸を二回も見るんだよ」

 

うっ、と一夏は言葉を濁らせ、シャルは顔を赤くする。

 

「し、仕方ないだろ!箒はともかくシャルルは男だと思ってたんだぞ、それにあれは事故に近い出来事だろ」

 

「なんでも事故ですまされたら世の中変わっちまうだろ、それに……」

 

何故今こんな話しをしているか説明しよう。

あれは昨日の出来事、俺の隣にいる鈍感の塊、織斑一夏がシャルの裸を「うっかり」見てしまったために女だったとバレてしまったのだ。まぁそんときは少しばかり制裁を加えてやったが。

 

「そ、それより!二人とも、今日も放課後特訓するんだよね?」

 

シャルが話題を切り替えてきた。

 

「ああ、亜久斗は?」

 

「俺は今日はやらないぞ、ボーデヴィッヒさんと模擬戦をするからな。確か今日使えたのは……」

 

「第三アリーナだ」

 

「「「わあっ!?」」」

 

突然の声に驚き、後ろを向くとそこには箒がいた。

 

「………そんなに驚くほどのことか、失礼だぞ」

 

「お、おう。すまん」

 

「ごめんなさい。いきなりのことでびっくりしちゃって」

 

「あ、いや、別に責めているわけではないが……」

 

「な、なあ箒。いつから後ろにいたんだ?」

 

「『そ、それよりも~』の辺りからいたぞ、それがどうした?」

 

「いや、なんでもない」

 

もし、最初から聞かれていたら終わっていた。今シャルが女だとわかったらまずいからな。

 

「 ともかく、だ。第三アリーナへと向かうぞ。今日は使用人数が少ないと聞いている。空間が空いていれば模擬戦も出来るだろう」

 

「あ、箒、今日はボーデヴィッヒさんと模擬戦をしたいんだけどいいかな?」

 

「ああ、構わん」

 

俺たちがアリーナに向かっていると、そこに近づくにつれてなにやら慌ただしい様子が伝わってきた。第三アリーナの方で何かあるみたいだ。

 

「なんだ?」

 

「さあ?とりあえず見に行ってみようぜ」

 

「あ、亜久斗。……いっちゃった」

 

言うや否や亜久斗は走り去ってしまった。

 

「亜久斗は先にアリーナに行っちゃったけど、とりあえず僕たちも様子を見に行く?」

 

シャルルの意見に賛成して俺たちもアリーナへと入る。

 

「「「!?」」」

 

だがアリーナに居たのは対峙しているラウラと亜久斗、そして体の所々にダメージを負った鈴とセシリアだった。

 



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二十三話 仮面ライダーのパンチは最低でも1tを越えるはず、止めることは実質不可能。

初心者で、仮面ライダー大好きな作者は、感想評価を募集中、評価してくれると、嬉しいです。

それでは本編スタート!


 

「…………なんでこんなことをしたのかなぁ?今日は俺と戦うんじゃなかったのか?」

 

俺がアリーナへ入ると、そこには『シュヴァルツェア・レーゲン』を展開させたボーデヴィッヒさん、そしてボロボロと化した鈴とセシリアがいた。

 

「ああ、そうだな。だがこれは向こうから仕掛けてきたものだ、それを防ぐために攻撃するのは仕方のないことだろう」

 

確かに相手が攻撃してきた場合、反撃するのは仕方のないことかもしれない。だけど……。

 

「確かにそうかもしれないけどさぁ、いくらなんでもこれはやりすぎじゃないか?操縦者生命危険域<デッドゾーン>になるまで攻撃するなんて、これじゃあ正当防衛ならぬ過剰防衛だと思うんだけど」

 

「ふん……。戦闘において正当も過剰もないだろう。それよりも、約束はいいのか?」

 

うん、一度整理しようか。

 

・ラウラは鈴とセシリアから戦闘を挑まれた。

・だがラウラはやり過ぎ、結果二人は今危険な状態。

・つまりこれは両方とも悪いってことなんだな。

 

「………そうだね。でもその前に一つ、いいかな?」

 

「……何だ」

 

「約束の内容、変えてもらう。俺が勝ったら、鈴とセシリアに謝ってもらう。俺から見たら今回はどっちとも悪いと思うからね」

 

「いいだろう。…まあ、そんなことはないだろうがな」

 

俺とボーデヴィッヒは、戦闘体制にはいる。

 

「亜久斗っ!!」

 

そこへ一夏が『白式』を展開し、俺に近づいてくる。ちょうどいい。

 

「一夏、鈴とセシリアを避難させてくれ、頼んだ」

 

一夏の返事を待たず、俺はクナイガンを構えて突っ込む。まずは小手調べ、俺は五回ほど引きがねを引く。

 

「なっ!?」

 

しかし銃弾は当たる数センチ手前で止まってしまう。とりあえず、一時撤退、今近づくのは危ないな。

 

「ふん。さすがだな、あのまま突っ込んだままだったら、やられていただろうな」

 

ボーデヴィッヒの武器は二つのプラズマ手刀+ワイヤーブレード、そして肩ね大型カノンがメイン。そして今の銃弾の反応からしてあのまま突っ込んでいたら俺の動きも止められ、やられていたかもしれない。

 

「確かにね、理由は知らないが俺の攻撃は君の手前で止まってしまうようだな、でも、やられるつもりはないから………カブト!」

 

俺の腰にベルト、そして右手にカブトゼクターが転送される。

 

「変身」

 

Henshin

 

そしてISが解除され、仮面ライダーカブト、マスクフォームが姿を現す。

この高さなら問題がない。大丈夫だ。

 

「さあいくぜ、こっからは全力でいくからな」

 

「面白い、力の差を見せてやる……!」

 

「「喰らえ……!」」

 

俺が拳をボーデヴィッヒがプラズマ手刀を構えて打ち出す。

 

ガギンッ!

 

しかし俺たちの攻撃が金属同士が激しくぶつかり合う音が響くと共に止まった。

 

「……やれやれ、これだからガキの相手は疲れる」

 

「えっ?お、織斑…先生?」

 

あっるぇーおっかしいなぁ、俺の記憶がただしければ確かカブトのパンチ力は最大8t、いくらIS用近接ブレードを使ったとしても二人分の拳を同時、それも生身で止められるなんてありえな…あるぇー?

 

「模擬戦をやるのは構わん。…が、いくらなんでもやりすぎだ、ボーデヴィッヒ。この戦いの決着は学年別トーナメントでつけてもらおうか」

 

「教官がそう仰るのなら」

 

素直に頷いて、ボーデヴィッヒはISの装着状態を解除する。

 

「夜霧、お前もそれでいいな?」

 

「え、あ、はい。わ、わかりました」

 

トリップから抜け出し、返答をする。

 

「では、学年別トーナメントまで私闘の一切を禁止する。解散!」

 

 




織斑先生なら生身でショッカーと戦えるかもしれない、と、小説を読んで思った私。


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二十四話 天が呼ぶ地が呼ぶ人が呼ぶ!悪を倒せと(ry)※このタイトルは本編に一切関係ありません。


はい、どうもー最近タイトルが思いつきにくくなってきている滝温泉です。

いやぁ織斑先生や楯無会長をどうやってヒロインに入れようかまったく分かりません。日常編なら思いつくんですけどねー。
まあそんなことはさておき、本編スタート!


 

 

「別に助けてくれなくてよかったのに」

 

「あのまま続けていれば勝っていましたわ」

 

あれから一時間、そして場所は保健室。ベットには打撲の治療を受けて包帯を巻かれた鈴とセシリアがいてむすっとしている。うん、一夏にぼろ負けしたところを見られて恥ずかしいのはわかるけどもう少し素直になろうか。こういうのをツンデレっていうんだろうねぇ。

 

「お前らなぁ、素直に礼をいったらどうだ。……でもまあ、怪我がたいしたことなくて安心したぜ」

 

ごもっともだ。

 

「でも、二人だって悪いんだぞ?ボーデヴィッヒさんも悪いけど二人から仕掛けた戦いだろ、ちゃんと後で謝っておけよ」

 

「あんたはあたしの親かっ!」

 

おおう、ナイスつっこみ。

 

「ま、先生も落ち着いたら帰っていいって言ってるし、しばらくやすんだら………ん?」

 

途中、廊下からドドドドドドドッ!と地鳴りが響いてくる。しかもそれは徐々にに近づいてきている。

 

「?何の音だ……」

 

直後、ドカーン!という効果音とともに保健室のドアが吹っ飛んだ。そして数十名の女子たちが雪崩込んできた、そして俺たちを見つけるなり一斉にとりかこんできて手を伸ばしてきた。しかもシンクロしている。織斑先生のときぐらいびびった、マジで。

 

「織斑君!」

 

「夜霧君!」

 

「デュノア君!」

 

「「「「「これ!」」」」」

 

女子生徒一同が学園内の緊急告知文が書かれた申込書を取り出した。

 

「?えーと何々……『今月開催する学年別トーナメントでは、より実践的な模擬戦闘を行うため、二人組での参加を必須とする。なお、ペアが出来なかった者は抽選により選ばれた生徒同士で組むものとする。』………つまり?」

 

「私と組もう、織斑君!」

 

「私と組もうよ!夜霧君!」

 

「私と組んで!デュノア君」

 

「「「「「お願いします!」」」」」

 

全員が俺たちに向かって手を伸ばしてくる。とりあえずペアはまだ決められないからな、ここは断って後からきめよう、うん、そうしよう。

 

「皆、おr「悪いな。俺はシャルと組むから、諦めてくれ!」」

 

な、なん……だと……っ!

俺の声に被せて一夏が皆に聞こえるようにいいはなつ。

その手があった!確かにシャルは女の子で他の人にそれがバレる訳にはいかないから俺らの中からしかペアにはだせない。他のみんなから見れば男同士だから気軽に組めるペアと認識される!

 

「じ、じゃあ!」

 

「夜霧君!」

 

そして一夏たちの方を向いていた女子たちがこちらを向く。恐らく、一夏がだめだったので俺に標的を切り替えたのだろう。くそっ一夏め!こうなったら俺もその場凌ぎをするしかない。

 

「ご、ごめんな。俺はボーデヴィッヒさんと組からさ、ほ、ほら、どうせならクラス全員で楽しく過ごしたいじゃん?だからボーデヴィッヒさんに打ち解けてもらうために組もうと思ってね!」

 

か、かなり苦しいぞこれ、というか皆納得してくれるだろうか?いや納得してくれ、納得してほしい!三段活用!

 

「まあ、そういうことなら……」

 

「他の女子と組まれるよりはいいし……」

 

「ボーデヴィッヒさんならきっと大丈夫よね……」

 

おお!どうやら納得してくれた見たいだ。ありがとう三段活用!君のことは30秒は忘れないよ!

そして女子たちは各々が仕方ないか、などと口にしながら、一人また一人と保健室を去っていった。

 

「ふう……」

 

ふう……じゃねえよ一夏、こっちのセリフだよまったく。

 

「あ、あの、一夏…「一夏(さん)!」うう……」

 

「あ、あたしと組みなさいよ!幼馴染みでしょうが!」

 

「いえ、クラスメイトとしてここはわたくしと!」

 

ワォ、まるで一夏を締め上げかねない勢いで二人がつめよる、怪我人なのに。浸透滅却すれば火もまた涼しとはよくいったものである。というかしゃべれなかったシャルが可愛そうだ。

 

「ダメですよ」

 

もう驚かない、驚かないぞ。こちとら8tのパンチを止める人や女子数十人のシンクロを見たんだ、急に現れたくらいじゃ驚かないぞ。

後ろから山田先生が登場し急に現れたので皆目をぱちくりとさせ驚いていた。

 

「おふたりのISの状態をさっき確認しましたけど、ダメージレベルがCを越えています。当分は修復に専念しないと、後々重大な欠陥を生じさせますよ。ISを休ませる意味でも、トーナメント参加は許可できません」

 

「うっ、ぐっ……!わ、わかりました……」

 

「不本意ですが……非常に非常にっ!不本意ですが!トーナメント参加は辞退いたしますわ………」

 

苦い顔をして山田先生の言葉を素直に聞き入れる鈴とセシリア。

 

「しっかし……なんでボーデヴィッヒさんとバトルするなんてことになったんだ?」

 

「え、いや、それは……」

 

「ま、まあ、なんと言いますか……乙女のプライドを侮辱されたから、ですわね」

 

「?へぇ、あ、そうだ!今週末、皆俺の家に遊びに来ない?鈴やセシリアも気分転換にさ、どう?」

 

「マジで?いくいく!一度亜久斗の家って行って見たかったんだよな」

 

「僕も行きたいな、亜久斗の家って行ったことないし」

 

一夏が行くということに反応する鈴とセシリア。

 

「ま、まあしょうがないわね、そこまで来てほしいっていうんなら行ってあげるわよ」

 

「そ、そうですわね。亜久斗さんの会社と言うものにも興味がありますし……」

 

理由はともあれ、全員来てくれるそうだ。

 

「うん、じゃあ一夏、ちゃんと箒も誘っといてよ。仲間はずれとか可愛そうだからな」

 

「わかったよ。でもあいつ剣道忙しいだろうし、来るかなあ?」

 

来るよ。お前がいる限り、高確率で。

 

「じゃあ俺は先に戻るからな。反省文書かないといけないだろうし」

 

「おう、また後でな」

 

 

こうして俺は保健室を後にした。

 

 

その夜、元ルームメイトとしてお世話になった簪やボーデヴィッヒさんも誘った。いやぁ皆、俺の家に来たらどういう反応するか楽しみだなぁ。まあ、とにかく

 

「…あ、メグ姉?今週のさ……………」

 

許可をとって置かないとね。






感想、評価など、お待ちしておりまーす。


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二十五話 夜霧家亜久斗のラボ見学ツアーその1

さあ!
やってきました!
この私が一番書きたかったオリジナル編。
夜霧家亜久斗のラボ見学ツアー!
ワアードンドンパフパフ!
さあ!今回は学年別トーナメントに挟んでオリジナル編を書きました!最近出番の少ない簪ちゃんやラウラちゃん、そしてオリキャラも登場!
この回は作者の自己満足で書くので質問、疑問、何でも受付ちゃうぜヤッハー!

それでは本編スタート!


 

六月○日 

場所 IS学園前

 

 

 

 

 

やあみんな、織斑一夏だ。

今日俺、いや俺たちは亜久斗の家に行くことになり待ち合わせ場所としてIS学園前にいる。そして今俺の周りにいるのは箒に鈴、セシリアとシャルルがいる。

 

「でも亜久斗の家ってどんなんなんだろうな?」

 

「仮にも会社の社長なのですから、豪邸とかじゃありませんこと?」

 

「でもあいつを見てるとそんな感じしないのよねぇ。デュノアはなんか知ってる?幼馴染みなんでしょ?」

 

「う~ん、僕も一緒だったことはあるけど亜久斗の家には行ったことがないんだよね」

 

「む、やっと来た………ぞ?」

 

亜久斗が来た方を向くとそこには亜久斗と知らない女子、そしてラウラがいて。

 

「わ、私は別にいい!お前たちだけで行ってくればいいじゃないか!」

 

「だからさぁ、俺はラウラに来てほしいんだって」

 

「だからどうして貴様はそう淡々と恥ずかしいセリフを言うんだ!」

 

「………」ギュウ

 

「ちょ、ちょっと簪?なんで俺の腕つねってるの!結構痛いから、それ!」

 

どういうことか、右には少し赤いをラウラがいて左には青い髪で眼鏡をかけた子にジト目でつねられている。

あ、こっちに来た。

 

「ごめん皆、待った?」

 

「いや、そんなに待ってないけど…。その人は?」

 

「ああ、俺の元ルームメイトの更識簪さん。お世話になったし一緒にどうかと思ってさ、俺ん家に来ることになった」

 

「そうか、よろしくな、更識さん」

 

俺が握手のつもりで手を差し出すと更識さんは亜久斗の後ろに下がってしまった。

 

「……よ、よろしく」

 

次に隣にいるラウラの方に目を向け軽い自己紹介のようなことを始める。

 

「んでこっちはみんな知ってるラウラ・ボーデヴィッヒさん、皆と打ち解けてほしくて来てもらったんだ」

 

でもな亜久斗、さっきの風景を見ると「来てもらった」とは思えない。

 

「まあ、それでさ!どうやって亜久斗の家に行くの?」

 

シャルルが話の内容を変え亜久斗に尋ねる。

 

「ああ、向こうにいると思うからこっちに来てくれ」

 

俺たちは亜久斗に言われた通りに移動する。そして海に出たところには『巨大な四輪車』と一人の女性がいた。

 

「やっほーメグ姉、久しぶり」

 

「やっほー亜久斗、久しぶり。迎えにきたよ」

 

「サンキュー。さて、行こうか」

 

「ね、ねえ亜久斗、その人は?」

 

「ん?私のことかな?まあ紹介しておくわね。私の名前は夜霧恵<よるきりめぐみ>。正真正銘、そこにいる亜久斗のお姉ちゃんさ、まあ自由に呼んでくれればいいよ」

 

「へぇー亜久斗も姉がいたんだな」

 

俺も千冬姉という姉がいるため親近感がわいてくる。ISを動かせる男で姉がいるってところが一緒だな。

 

「一夏、何を鼻の下を伸ばしておるのだ!」

 

「ええ!?いやいやいやいや、伸ばしてねえって、ただ意外だと思っただけだよ」

 

嘘は言っていない。

 

「そ、そうか、ならばいい」

 

ふう、箒が木刀を持って来てなくてよかったぜ。持ってたら叩かれていただろうし。

 

「あはは、にしても大きな車ですね」

 

「ああ、それは私も思った。軍の施設にもこのような物は無かった」

 

「……それに、かっこいい」

 

確かにこんなでかい車?は見たことが無い。横3メートル、縦2.5メートルくらいある。恐らく一般市民は絶対見ることは無いと思う。

 

「わかる!?」

 

更識の「かっこいい」に急に反応した恵さん。そして淡々と話し始める。

 

「これはね!あたしが作りあげた最高傑作なのよ!磨きあげられた漆黒のボディー!陸・海・空全てでの活動が可能となる改造を施した内部オーパーツ!後は機密で言えないけどとにかくこれが!私の愛車!その名も『マイティド・カスタム』!通称MKよ!」

 

目をきらつかせ自信満々に答える恵さんに戸惑ってしまった全員。

 

「……全く、ほらメグ姉、みんないるんだから語って無いで早くハッチを開けてくれ」

 

「…ハッ!そうだったわね。それじゃあ開けるからね、ポチッと!」

 

ボタンを押すと同時に車が変形する。下部に取り付けられていたタイヤはたたまれて中央へ入りそこからウイングと巨大なブースターのようなエンジンが飛び出して、後部が開く。

 

「「「「(°д°")」」」」ポカーン

 

「さあみんな!早く乗った乗った!」

 

「あ、ああ、わかった」

 

亜久斗に声を掛けられてようやく我に帰った俺たちは一人ずつ『マイティ・カスタム』MKに乗り込む。マイティってなんでもできるっことか?実際出来そうだから怖い。

 

「さあ、我が家へ出発だよ!」

 

 

やあ、夜霧亜久斗だ。やっぱりみんなはMKを見て呆然としていたな、まあ普通はそれが当たり前なんだけど。

 

「凰、そしてオルコット」

 

「なによ?」

 

「なんですか?」

 

ラウラが口を開く。それに鈴とセシリアが答える。

 

「…すまなかった、あのときやり過ぎてしまった性でお前たちをひどい目に会わせてしまった。本当にすまない」

 

頭を下げて謝るラウラ、それに対し鈴とセシリアは驚き、そしてすぐに頭を下げる。

 

「いえ、わたくしの方こそごめんなさい」

 

「喧嘩吹っ掛けたのはあたしたちも悪いからね、ごめんなさいラウラ」

 

いやぁ良かった良かった!これでラウラとのいざこざも無くなったし皆仲良くなれるね!

でも周りは妙にしーんとしてしまった。

 

「よし、家に着くまで後30分位だしトランプでもしない?」

 

「お、いいな、俺やるよ」

 

「あ、じゃああたしも」

 

「私もやるぞ」

 

「……私も」

 

それから八人でのダウトがスタートした。

 

「そういえば亜久斗の家ってどこに在るの?5だよ」

 

「あ、それは確かに気になるわね。6」

 

「会社は日本海のにあるウルルン島にあるぞ。今日はそこにある俺のラボに行くよ。7だよ」

 

「……ウルルン島って朝鮮の区域じゃないの?8」

 

「いやぁ、自分の研究施設がほしいっていったら使っていない島を買ってくれてねそこに住んでるんだよ」

 

「………へぇ、すげえな亜久斗の家って。……9だ」

 

「「「「「ダウト!」」」」」

 

「ちょっ、ちょっと待てよ!なんでそんなにハモってんだ!?もうちょい考えてからでも」

 

「はいはい、しのごの言わない。それで結局そのカードは?」

 

「くっ!」

 

一夏がカードを捲るとそこにはスペードの3があった。

 

「だぁー、駄目だ!なんでみんなわかるんだよ」

 

「それは…ねぇ?」

 

「……織斑君、さっきから別のカード出すとき、顔にでてる」

 

「げっ、まじかよ…。通りで勝てない訳だ」

 

「おぉーいもうすぐつくよー。ちゃんと座っててねー」

 

窓から見える島にはたくさんの施設が建っており幾つか小さいビルのような物がある。

 

「あれが……」

 

「さあ、もう着くよ。俺の家こと、ラボにようこそ!」

 





感想、評価待ってまーす!


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二十六話 夜霧家亜久斗のラボ見学ツアーその2

さあやって来ました!その2です!
一体何話まで行くのか、私にもさっぱり分かりません!言えることは一つ!
読者の皆さん!読んでくれてありがとう!そして今回は一夏視点で行きます。

それでは本編スタート!


 

 

「さあ、着いたよ!思う存分楽しんで行ってね!」

 

MKから降りた俺たちの目に入ったのは一つのビルと幾つかのドームの形をした建物。恐らくここが会社でドームがラボとなっているのだろう。

 

「じゃあみんな、私は会議があるからまた後でね、後は亜久斗に案内してもらってね」

 

そういうと恵さんはスタスタとビルの中に入ってしまった。

 

「ていうか招待したの俺なんだけど……、まあいいや。皆、ラボはこっちだよ」

 

亜久斗は恵さんとは逆にビルの裏側を指す。

 

「え?あんたのラボってあっちのここじゃないの?」

 

鈴も亜久斗に疑問を抱いたみたいだ。良かった、俺だけじゃないみたいだな。

 

「ああ、違う違う。あっちにあるのは工場やメグ姉の研究所だけ、俺のはこっちさ」

 

亜久斗は再びビルの裏側まで歩いて行くので全員ついて行く。そしてそこにあるのは……

 

「…………電車?」

 

そう、電車だ。正確には新幹線の頭部だけが地面から抜け出すような形で飛び出している。何があると思えばこれだけである。

 

「うーん、電車と言うよりは新幹線にも見えるね」

 

「まさか、これだと言うんじゃないだろうな?」

 

「ははは、違うって、これはエレベーターだ」

 

「エレベーター?」

 

「そう、なんとこのエレベーターは地下に繋がっていて、そこが俺の敷地となっているのさ!」

 

まあ入ってみなよ。と、亜久斗がエレベーターに近づくと自動で扉が開いた。そして俺たちも入って行く、この人数でもまだ余裕があるとは、一体どうやって作ったんだろう。

 

「じゃあ閉めるよ」

 

全員入ったところで亜久斗が扉を閉める、どうやら閉めるのは手動らしい。そして扉が閉まるとエレベーターが動き出す。

 

 

「さあ!ここが俺のラボだぜ!」

 

扉が開くとそこは完全に別の空間だった。まず見えて来たのは広い廊下、奥には幾つかのドアが見え、その一つ一つに手のような物がついている。そして手前の右側は中までは見えないがでかいガラスがある、右側に何かあるのだろう。おまけに下の真ん中はエスカレーターのようになっている。科学の進歩が早すぎると思う。

 

「さあさあ!ご案内しまーす!」

 

「なんか亜久斗のテンション高いな」

 

「久しぶりの家だからじゃないか?」

 

「誰でもこんな物を見たら興奮するだろう。ほら、そこにもう一人いるぞ」

 

ラウラが指す方を見ると更識が目を輝かしていた。たぶんこの地下に驚いて興奮しているんだな、気持ちはわかるぜ。俺も弾と初めてゲーセンに行った時はあんな感じだった。

 

「おーい、皆どうした?」

 

「あ、ああ、すまん。今行く」

 

 

「おい夜霧、この手のようなものは何だ?」

 

「それはあれだ、鍵みたいなものでな、一部の人しか開けれないようにしてあるんだ」

 

こんだけ広いラボだけあって、セキュリティは厳しいみたいだ。

 

「そうだ、皆にも渡しておこうか。これがないと自由に移動できないからな」コネクト プリーズ

 

亜久斗は俺たちの人数に合わせて指輪を取り出す。ていうか久しぶりにみたなぁそれ。

 

「な、なんだ?一体どこから取りだしたんだ?」

 

「それは企業秘密だから教えられないなぁ、さて」

 

一つのドアの前で足を、いや、エスカレーターから降りた。それに合わせて俺たちも降りる。着いたみたいだ。

 

「さあ、ここが俺の研究室だ。驚かないでくれよ?」

 

そう言われると逆に驚いてしまいそうだ。

 

「亜久斗、俺が開けてもいいか?」

 

「おお、どうぞどうぞ」

 

俺が前へ出てドアの手に指輪をかざす。オープン プリーズガチャリとゆっくり開け…

 

「よう」

 

バタン 勢いよく閉めた。

 

「?どうした一夏、なんか恐ろしい物でも見た顔してるぞ?」

 

「や、やっぱり、お前が開けてくれないか亜久斗、俺ちょっと遠慮する」

 

「?そうか」

 

今度は亜久斗がドアの前に立ち、開ける。

 

「ねえ、一夏、何があったの?」

 

「そうですわよ一夏さん、まるで幽霊でも見たかのようですわ」

 

「…………鬼がいた」

 

「「「「え?」」」」

 

亜久斗がドアを開けると

 

「よう亜久斗」

 

「お帰り」

 

そこには赤と青と黄色と紫の色をした、生物がいた。

バタンッ

今度は亜久斗が俺よりも強く扉を閉めた。

 

「………ちょっと待ってて、すぐに終わるから」

 

……何が?

亜久斗はそれだけ言うとまた入って行くそして

 

「なんでお前らがここにいるんだよおおおぉぉぉおおぉぉぉ!!」

 

亜久斗の叫びがこの広い廊下に響いた。

 

 





次回に好ご期待!

夜霧恵さんのイメージは読者のご想像にお任せします。

感想、評価待ってまーす。


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二十七話 夜霧家亜久斗のラボ見学ツアーその3






最近感想、評価をしてくださった方が増えてきてとても嬉しいです!もちろん評価や感想の内容だって忘れずに何回も読む位ですよ。

今回も作者の書きたいこと書いて、尚且つストーリーにうまく絡ませることができたら、と思っています。
そして今回は亜久斗視点、何が起こるかは読んでから!ハードルあげすぎて逆に怖くなってきました(笑)まあそんなことより、

それでは本編スタート!


 

 

 

 

 

「何でお前らがここにいるんだよおおぉぉぉおおぉぉ!」

 

俺がドアを開けると、そこにはプッチンプリンをプッチンして食べているモモタロス、からになったコップを置き雑誌を読んでいるウラタロス、いびきをかきながら寝ていたキンタロス、そしてプラモンスターやフードロイドを持って遊ぶリュウタロスの姿があった。ちなみにキンタロスの部分が過去形なのは俺の声で起きたからだ。

 

うん。何でモモタロスはプリンを食べている、それは俺が冷蔵庫の三段目の一番奥に隠しておいたとっておきのはず。プッチンプリンは意外と高いのに…。ウラタロスとキンタロスは特に問題は無い。いや、ここにいるという時点で問題なのだが。そしてリュウタロス、お前は何故それを持っている?生憎お前に俺特性オープンウィザードリングを上げた覚えは無いぞ。まあそんなことは後だ、とりあえず………。

 

「なーんだ、最近妙に大人しいと思ったらここに居たのか、というか何故いる?ってかどうやって入ったんだ?」

 

「何だぁ?いきなりどうしたんだ亜久斗、あ、プリン貰ってるぜ」

 

「ああ、わかった………。じゃねぇよ!何でここにお前たちが居るんだよ!説明面倒くさいし、隠しておこうと思ってたのにっ!しかも何でわざわざ実体化してんの!?」

 

最悪だよ!今日はいい日になると思っていた俺がばかみたいじゃねぇかっ!

 

「まあまあ、亜久斗落ち着いて。ちゃんと話すから、ね?」

 

「おい、夜霧、どうかしたのか?何やら騒がしいが」

 

あ、皆のこと忘れてた。とりあえずちょっと別の場所にでも連れてって誤魔化さなければ!

 

「あ、ああ、悪い!少し時間かかるから隣の部屋で待っててくれ!」

 

「ふむ、了解した」

 

足音が遠ざかりドアを開ける音がする。隣の部屋は、観覧専用部屋になっているはず、とりあえず皆にはそこで待ってて貰おう。さて

 

「じゃあ説明して貰おうか?」

 

 

◇~イマジン説明中~

 

 

「………なるほどね」

 

5分程たち、大分落ち着いてきたことだし、ここまで聞いた話しを簡単に整理してみよう。

 

・イマジンたちは普段から俺のラボにいるらしい。恐らくここはデンライナーと同じ役目を果たしているっぽい。

 

・これらの原因は駄神。

 

ここまでわかってるのならいいか。詳しくは後で聞くとしてとりあえず……、

俺は壁に掛けてあるカラオケボックスにあるタイプと同じ電話を取り番号を押し、電話を掛ける。

 

4 33 2222 4444 2 77 3 7

 

た す  け   て  か み さ ま

 

 

 

 

……言わずともがな、ケータイでひらがなで打つとこうなる。無駄に長いから腹が立ってくる。もっといいごろ合わせは無かったのか。

 

『もしもし?神ですけど」

 

うん、死ね

 

「神様ですか?ちょっと聞きたい…いえ、言いたいことがあるんですがいいですか?」

 

『ん?なんじゃ、言ってみい』

 

ならば言わせて貰おう。俺は思いっきり息を吸い込み

 

「……一体これはどういうことだ何でモモタロスたちが家にいる俺の精神かなんかにいるんじゃないのか、この前だって何の伝言も無しにいきなり連れて来たしこっちは精神が大変なんだよどういうことか説明してくれ、ていうか呼び出すとか実体化させるんならせめて人の姿にしろよ知らない人が見たらとんでもないことになること位わかるでしよう?ていうかもう切れちゃってもいいよね?ね?」

 

マシンガントークとも言えるスピードで伝える(?)。すると駄神ははっきりと返事を返した。

 

『いやね?ほら、外に出歩けたりしないとイマジン可哀想じゃろ?というわけでわしが特別セルフサービスでお主の家をデンライナーと同じく実体化出来るようにしたのじゃよ。あ、それと説明はわしはしんからな、じゃが心の優しいわしはお前の望みを聞いてやろう。一日18時間位なら人間になれるようにしておくからの、それじゃわしは今からぷよぷよやってくるからの。それじゃあ』

 

 

「おい待て何ですかそれ、どうせならずっと人間に………切りやがった」

 

あんのクソ爺!なんでよりにもよって18時間なんだ、24時間にすればいいじゃねえかよ。

 

「どうだった?」

 

「………………」

 

受話器を元に戻し、後ろを振り向くとそこには俺の姿をした四人がいた。いや、俺に憑依した時の姿でだ、まあ、とりあえず、この事を皆に説明しなくてはならない。だが一つ、言わせて欲しい。

 

「何なんだコレは!!」

 

俺は某ジャンプ漫画の椿○介のごとく叫んだ。




はい、自分でいうのもなんですがぐだぐだですね。

ちなみに某ジャンプ漫画の椿佐○が誰か知りたい人はスケ○トダ○ス19巻を見てみよう!

感想、評価待ってまーす。


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二十八話 夜霧家亜久斗のラボ見学ツアーその4






はい、こんにちわ。この小説を投稿している時は夜ですがこんにちは、滝温泉こといずみです。
11/27から愛称を友人につけられたのでユーザネームに登録してしまったいずみです。
みんなもこれから呼ぶときはいずみって呼んでね☆

………はい、すいません。これからはいろいろと自重していきたいと思います。前書きだけで結構な文字数を使ってしまうので読む必要がないと思う人は飛ばして本文へGO。個人的には見てもらいたいですが……、そこは読者の皆さんが決めること。

さて、今回の更新が遅れたのには訳(いいわけ)があります。
先週に入ってからキーボードに麦茶を溢して修理するはめになり時間をとってしまいました。
まあ、そんなことよりも作者にとってもっとも恐れていたことが起きてしまったのです。続きは後書きで




 

 

 

 

 

時は過ぎ、現在12時34分となりました。

え?飛びすぎ?そこはほら、あれだよ、あの後モモタロスたち連れてしょうがなく皆に説明したり(もちろんイマジンとは言ってない、言える訳がない)女子たちがプラモンスターやフードロイドに反応しまくったり(特に箒や簪はやばかった、ギャプの差がすげぇあった)まあ、モモタロスら四人?を加えて色々あったんだよ。

 

今の状況?ははっ、皆に聞こうか、お昼に皆はいつも何してる?そう、飯だ。部屋にある大型キッチンで女子たちが料理しています。(ラウラは場の雰囲気的に流されたと思う)いやぁ女子が料理する姿って絵になるね。

 

「ねえ、そう思わない?一夏」

 

「主語が抜けてるぞ、なんのこといってるかわからん」

 

隣のソファー座っている一夏に声をかける。ああそういえば俺たち男六人がなにをしているのか言ってなかったね。

 

「ごめん。一夏は女子が料理するさまは絵になると思わないか?」

 

「ん~女子の料理姿か、中学の時に鈴がしてるの見たけどまあ、確かにいいんじゃないか?」

 

後ろでよしっ!と聞こえたが気にしないでおこう。

俺たちは女子が料理しているのをじーっと待っている。なんでも出来てからのお楽しみなんだとさ。それで暇となりキッチンの近くにあるソファに座りながら雑談をしている。女子の料理が出来るまではおとなしく待っておかないとな。

 

「あら、赤色が足りませんわね。でしたら……」

 

「待つんだセシリア、とりあえず手に持ったタバスコを置け、そして色で調味料を決めるんじゃない」

 

「ラウラ?なんで包丁じゃないてサバイバルナイフで切ってるの」

 

「別に切れるなら変わらんだろう。それに包丁なんかより私のサバイバルナイフのほうが切れ味はいいぞ」

 

「どっちを使おう…」

 

「それならこっちのトマトのほうがいいわよ絶対、普通の二回切るより大きいのを一つ使ったほうが楽よ」

 

 

女子のほうから声が聞こえる。

というか最初の声は危なげな気がするけど大丈夫……だよね?

 

「そういえば亜久斗の家って広いよな。どんな仕組みになってるんだ?」

 

「かなり広いから迷ったら簡単には出られないくらいあると思う」

 

「そういえばリュウタ、迷子になってたもんね」

 

「うん!でも途中でモモタ…たちが見つけてくれたから大丈夫だよ!」

 

「正確にはモモタ以外で探してたんやけどなぁ、普通にプリン喰っとったさかい」

 

「モモタ、ちなみにいくつ食べたんだ?」

 

「ん?ここにあるプリンは全部食っちまった…あ、ちょ何すんだ亜久、やめ」

 

「うるせー!あれ一個600円したんだぞ、全部食ったのか!」

 

「おう!」

 

とりあえずモモタロスを絞める。

今の会話からわかるようにモモタロスたちの呼び方を変えた。

 

モモタロス→桃他(モモタ)

ウラタロス→浦島(ウラシマ)

キンタロス→金太郎(キンタロウ)

リュウタロス→竜太(リュウタ)

 

名前なんて安直で決めた。モモタロスとリュウタロスは省略しただけ、ウラタロスとキンタロスは元の名前の由来から、浦島太郎だったから浦島、金太郎はそのまま金太郎。

適当の間違い?ははは何を言う、とっさに誤魔化した時に出る名前なんてこんなもんさ。

 

「さあ皆さん、出来ましたわよ」

 

「今運ぶから座ってなさい」

 

『はーい』

 

うわ、すげぇ豪華、この状況に感謝しよう。女子の手料理を食べるなんて何年ぶりか………初めてだな。

 

「わあー!凄いね、ご馳走だね!」

 

「にしても皆料理上手なんだ、やっぱ美味しそうだね」

 

「当然ですわ!」

 

「人数を考えて多めに作ったからどんどん食べてね」

 

「ワーイ、それじゃあいただきまーす」

 

リュウタが食べ始め、皆も料理を食べる。

 

「お、この酢豚はやっぱり鈴が作ったのか?」

 

「そうよ、そ、それでどう?一夏、美味しい?」

 

「何いってんだよ。凄く美味しいぞ」

 

「そ、そう、ありがと///」

 

「一夏、私の作った唐揚げも上手いぞ、食べてみてくれ」

 

「一夏さん、わたくしの料理のほうが美味しいですわよ」

 

「亜久斗、美味しい?」

 

「うん美味しい。こんな美少女たちの料理が食べれるなんて夢みたいなくらい」

 

「「び、美少女////」」

 

「お、肉じゃがやないか、上手いのぉ、ほれ桃の字、お前も食ってみ」

 

「いはひふふっへふ(今肉食ってる)」

 

「うまいな、私もこれくらい作れるようになってみたいものだ」

 

「にしても、食べる姿も、絵になるね」

 

そんなこんなで昼食を終えた。

うん、美味しいご飯を楽しく食べれるっていいことだと思うね皆もそう思うでしょ?

 

 




話が短いですね。

さて、前書きの続きですが、ネタが浮かびません。主に恋愛系のネタが、それを友人に話したらバカじゃねぇの?って言われました。クスン

というわけで、もうプライドとかいろいろ捨てて、いずみボックスを作ってみました。主にしてほしい恋愛ネタや日常ネタを募集します。
アンケートの時といい、読者の皆さまには救いの手をさしのべていただきたいです。

感想、評価も待ってまーす。


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二十九話 夜霧家亜久斗のラボ見学ツアーその5


螺旋だいすきさん、『いずみボックス』へのコメントありがとうございます!お礼だけを返信することも失礼だと思ったので前書きでさせていただきました。

いやぁ自分でも思いますが、長いですね~本当に、早く終わらせようとはしてるんですが中々収まりません。後二話ほどで終わらせるつもりです。

それでは本編スタート!


 

 

 

さて、昼御飯を終えて俺は片付けをしています、さすがに片付けまでやらせちゃ悪いもんね。そんで今皿洗いが終わり片付けが終わったんだけど

 

「あれ、簪とラウラたちは?」

 

人数が足りない。今居間にいるのは箒に鈴、セシリア、シャルとウラタロスだけだった。あ、洒落じゃないから。

 

「リュウタやキンちゃんたちは部屋に戻って行ったよ。モモタは…知らない」

 

「簪と一夏はトイレに行くって言ってたわよ。ラウラはわからないけど」

 

三人はともかく、簪たちはすぐにもどってくるみたいだ。いや、ラウラがどこにいるのかは知らないけど。ここ広いからなぁ

 

「じゃあちょっとラウラとモモタを探してくるから。多分どっかで迷子になってると思うし」

 

「行ってらっしゃい」('∀')ノ

 

「…………ん?」

 

部屋を出て廊下にでてからあることに気づいた。

 

「……俺、あいつらにトイレの場所、教えたっけ?…………」

 

 

 

 

 

 

やあ、織斑一夏だ。俺と簪さんはトイレに向かってるんだけど……迷った。

 

「あ~どうしよ、先に亜久斗に場所を聞いとけばよかったな」

 

「確かに…」

 

さて、困ったぞ。簪さんは話すのが苦手なのか会話を持ちかけてもあまり弾まない。トイレがどこかわからないけどとりあえず片っ端からドア開けていけばなんとかなるだろ。

 

オープンプリーズ

 

「zzz……」

 

「…ここじゃないな」

 

なんか金太郎さんが寝てた。椅子に座って寝てたから寝室じゃないようだな。

 

オープンプリーズ

 

「…何もなかった」

 

「そっか」

 

それから4部屋目を見たらやっとトイレだった。というかトイレにまで鍵がついているわけないか。

 

その後、部屋に戻る途中で亜久斗に会った。俺たちを探していたらしいけどなにもトイレに行くだけで心配し過ぎじゃないか?

※亜久斗の家は広すぎるためトイレが計7個存在します。実際、一夏たちが見つけられなかったのはそのためです。

 

 

 

 

一夏たちの無事を確認した俺は現在、どこかへ行ってしまったラウラを捜索中だ。一夏たちは部屋から結構近かったから見つけられたがこっちはそうもいかない。さっきからタカカンに探してもらってるけど帰ってこない。……どうしようか。

 

「はぁ、どこにいるんだ…………お、帰ってきた」

 

俺は帰ってきたタカカン(25匹)についていきラウラのところまで案内させてもらった。

 

 

 

 

諸君、ラウラ・ボーデヴィッヒだ。

私は夜霧が食器を片付けている間に家の中を詮索していた、この家には摩訶不思議なものが多すぎる。

 

ある部屋では機械でできた虫やコウモリが動いている。

ある部屋では剣や銃、ベルトやカメラが保管されたいる。

またある部屋ではパワードスーツやISのパーツ等が置いてある。

ここまで来ると次第に詮索するのが楽しくなってしまいあれよあれよという間に奥へ進んでしまった。

そして今、私はとてつもなく広い部屋にいる。壁には幾つもの傷があり、焼き焦げた跡や凹んだ箇所も見られる。どうやらここはアリーナのような場所のようだ。………ドイツ軍の基地程ではないがな!

む、なんだこの鳥の玩具は、かわいいではないか。恐らく夜霧(あいつ)の作ったものだな、こうしてくれる。ギュー

 

「……何してんの?ラウラ」

 

「ほわあ!」

 

び、びっくりした。急に現れるから変な声を出してしまった。

 

「な、なんだ貴様か、驚かせるじゃない」

 

「?別にそんなつもりも無いけどな。ていうかどこまで進んで来たんだよ、ここ地下二階だぞ」

 

む、知らず知らずの間に地下二階まで来てしまったのか。

 

「ほら、皆のところに戻るぞ」

 

こ、こら、いきなり手を引っ張るな!

……悪い気はしないが。

 

「どうした?顔赤いぞ」

 

「な、なんでもない!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、居間では

 

「そういえばIS学園ってどう?楽しい?」

 

「う~ん、楽しい、というより周りからの視線が痛いです」

 

「ふふっ、確かに一夏君みたいな顔の良い子なら、注目されるだろうね」

 

「いや、俺今まで全然モテることなんてなかったですし。浦島さんの方が格好いいし視線を集めると思いますけど」

 

「ふふ、ありがと(この子、絶対鈍感だね、もしかしたら後ろから刺されちゃたりして)」

 

「(一夏め……あれだけの好意を受けても気づかんとは)」

 

「(どうしたら振り向かせることができるのでしょうか。やっぱりここはわたくしの料理を振る舞って…)」

 

「(やっぱ、一夏って……もしかしたら亜久斗も…)」

 

「(あははは、一夏って亜久斗よりも鈍感なんだね、三人とも大変だなぁ)」

 

「(早く…帰って来ないかな…亜久斗)」

 

こんな茶番が繰り広げられていた。

 





はい、最近グダグダですね。
タッグトーナメント終了後、ちゃんとした設定を更新しようかなと思っています。
いずみボックスへのコメント、感想、評価、お待ちしております。

さあ、オール仮面ライダーでも買って来ますか。行ってきまーす(°∀°ノ)


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三十話 夜霧家亜久斗のラボ見学ツアーその6

こんにちは、滝温泉こと、いずみです。
今回で夜霧家のくだりは最後となります。ここまで付き合ってくださり、ありがとうございます。次回から再び原作へ戻りますので暖かい目で見送ってください。尚、今回は前回から話が飛びまくっております、ごめんなさい。。

それでは本編スタート!


そんなこんなで夕方となり、メグ姉の車に乗せてもらい俺たちはIS学園へ帰って来ていた。

 

「にしても、すごかったな、亜久斗の家」

 

「広いっていうよりも広すぎだったもんね」

 

「面白いものがたくさんあったわね」

 

「ああ、持って帰りたかったぐらいに…」

 

「それは駄目だって…」

 

「亜久斗に顔がそっくりの四つ子がいたなんてね、びっくりしたよ」

 

「似すぎだな」

 

「自分でもそう思う(俺に憑依した姿だからだけど)……そういえば学年別トーナメントまで後一週間くらいだったな」

 

「うむ、織斑一夏」

 

「なんだ?」

 

「私はお前に負けるつもりはない。全力でねじ伏せてやる」

 

「おう!俺も負けるつもりはないからな、そっちも俺と当たるまで負けんなよ」

 

「ふ、安心しろ。お前を倒すまでは絶対に他のやつには負けん」

 

「あ~いいところで申し訳ないんだけど…」

 

「もう寮に着いたよ」

 

話してる間にもうIS学園の寮に着いてしまった。

 

「ではわたくしはここで失礼しますわ、皆さん、また明日」

 

「一夏、また明日ね」

 

「おお、じゃあまたな」

 

セシリアたちとは部屋が反対なのでここで別れた。

 

「じゃあ、私も…」

 

「うん、じゃあまた明日な、簪」

 

「夜霧、まだ私はお前を認めた訳じゃない、織斑一夏の次はお前だからな」

 

「わかってるって、ラウラもまた明日な」

 

簪、ラウラも自分の部屋に戻って行った。

 

「じゃあ俺たちも戻ろうか」

 

「そうだね」

 

「早く行こう、それと一夏、シャルが女だってこと忘れんなよ、またラッキースケベなんてこと、起こされたらかなわん」

 

「なんだよラッキースケベって、俺はそんなことした覚えは無いぞ」

 

どの口がいうんだか…入学初日に箒の裸を見て、ついこの前シャルの裸を見たやつのセリフじゃないな。

 

「ま、まあまあ。それより早く入ろうよ」

 

「「そうだな」」

 

 

亜久斗は気がつかなかった。自分の携帯を落としたことに、そしてこれが後々のことに影響することを…。

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、ウルルン島所属夜霧グループ子会社『RIDE』に移る。

 

ここは夜霧恵、夜霧亜久斗が扱っている会社であり、『RIDE』は表向きは二輪車、四輪車などの機械を造り販売を行う。だが裏では政府や国へ改造車や微兵器を売る会社でもある。主には暗殺、射殺などから守るためのパワードスーツ、ISの絶対防御を取り付けた乗用車を造るなどの科学力を秘めている。だが、それゆえ他国やテロから「技術力を奪うため」に狙われ安い。

 

現在夜霧恵は会議室で三人の部下とアメリカの企業からの使者と共にいる。相手は男性がほとんどで対し女は二人のみ、それ以外ばSPのように鍛えられた体つきをしている。

 

「それで、御用件は何でしょう?」

 

恵からの質問に相手は笑顔を崩さずに答える。

 

「はい、私たちは『RIDE』にその素晴らしい技術の提供していただきたいのです」

 

「……理由を伺ってもよろしいでしょうか?」

 

「夜霧グループの技術力は世界各国の会社、企業の中でも優れておりますゆえ我が国にもその力を貸していただきたいのです。しかしそれには夜霧グループ本社では駄目なのです」

 

「確かに夜霧グループの本社の技術力も素晴らしい、だがそれはISに関してのものが多すぎる。それでは、女尊男卑の影響が強くなり国は駄目になってしまいます」

 

「だから『RIDE』に目をつけた…と」

 

「そうです!『RIDE』は技術力で世界にも勝るものを持っています。その技術力を活かし、全人類が元の暮らしを取り戻すために、力を貸していただきたい」

 

「…「全人類に平等に」「女尊男卑からの解放」そういってきた企業は幾つも見てきたわ。でも、そんなことが出来るのならとっくに世界は変わっているわよ。どうせ貴方たちも他の企業のように私たちの機械や技術を利用したいだけ、お引き取り願えるかしら」

 

恵は冷たくいい放つ、その瞳には警戒だけが表れている。相手もその一言で笑顔を戻し、冷たい表情になる。

 

「ならば……」

 

ジャキィッ!

 

後ろにいたSPたちが懐から銃を取り出し四人に銃口を向ける。

 

「交渉決裂ですね」

 

「ええ、貴方たちには帰って貰わないといけなかったけど、こういう手段に出るなら話は別よ」

 

「…というと?」

 

「強制送還よ。斎藤(さいとう)、小雨(こさめ)、小鳥遊(たかなし)は下がってなさい。久しぶりに私やるわ」

 

「「「了解」」」

 

「変身」

 

KAMEN RIDE DIEND

 

恵はディエンドライバーを取りだし、仮面ライダーディエンドに変身した。

 

「…それが貴方方が造りあげたパワードスーツ、素晴らしいですね……ですが、この人数では無理でしょう。ここにいるのはかつて軍で鍛えあげられたものたちばかり、無論、私もね」

 

「別になんでもいいわ、どうせ、帰ってもらうんだし。とっとと来なさい」

 

リーダーの男に青筋が立った。

 

「いい気になるなよ女ぁっ!」

 

全員が引き金を引く、だが

 

「効かないわよ」

 

ATCK RIDE BARRIER

 

「なっ!?」

 

攻撃は全て、届かない。当たる前に弾かれてしまった。

 

「十人って、一人だと面倒くさいわよねぇ」

 

KAMEN RIDE BLACK

 

仮面ライダーBLACKを召喚し、ディエンドライバーによる射撃ではなく、蹴り、拳で相手を気絶させる。

 

「ぐあっ!」

 

「げはっ!」

 

次々に男たちを気絶させ、残る人数は3人となるリーダーの男と女が二人だ。

 

「!……へぇ」

 

後ろにいた二人がISを展開させる。男は勝ち誇った表情を浮かべる。

 

「ふ、ふははは!いくらお前の「それ」が強くても、このIS、打鉄 改、それも二機には敵わねぇだろっ!」

 

「恵様」

 

「小雨、片方は任せるわ、斎藤、小鳥遊、くたばっている奴の処理を頼むわ、それと、そこのリーダー格は生かしておいて」

 

「「「了解」」」

 

斎藤、小鳥遊は倒れた男たちを運び。

 

「変身」

 

Henshin

 

Cast Off

 

Change Dragonfly

 

小雨はトンボを模した仮面ライダー、ドレイクに変身した。

 

「先に言っておくわ、そんな機体じゃ私たちは倒せないわよ」

 

「……すぐ終わらせます」

 

「ええ、被害は最小限でね」

 

「ふっ!」

 

一人がブレードで切りつけてくるが、それを避け、ライダーカードをディエンドライバーに入れる。

 

ATTACK RIDE BLAST

 

引き金を引き、ISを外へ飛ばす、中に被害が及ばないために二機が重なる位置で同時に当てる。

 

「さて、いくわよ」

 

「了解」

 

ディエンド、ドレイクも割れた窓から外へ飛び出す。

 

「あっさりと、やられてちょうだい」

 

FINAL ATTACK RIDE DI_DI_DI_DIEND!

 

「貴方もです」

 

Clock Up

 

Rider Shooting

 

二機のISのシールドエネルギーを一撃で削り、ISコア以外を壊す。女性の体を確保し会議室に戻る。

 

「恵様、こいつら、どうしますか?」

 

斎藤が一ヶ所固めて倒れている男たちを指差す。

 

「ん~今回も本物の企業じゃないし、とりあえずリーダーの男以外は殺してもいいわよ。そいつには後からいろいろと聞き出すから」

 

「「了解」」

 

「恵様、こちらのISコアはどうしますか?」

 

「……私が持っていてもしょうがないし……本社にでも送りつけといて、事後処理は私がやるから」

 

「了解」

 

そして三人は部屋から出ていく。残った部屋には恵一人、そして、壊れた窓と銃弾の後がついた壁。

 

「全く……こういうのもほどほどにしてほしいわね」

 

恵は深いため息を吐いた。

 

余談だが夜霧グループ子会社『RIDE』が襲われる回数は月に2~4回であり最近になって増加している。

 

 




はい、なんとなく戦闘シーンを入れてみました。戦闘描写って難しいですね。

活動報告、いずみボックスへのコメント、感想、評価、お待ちしております。


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三十一話 設定(一部)

祝!UA20000超え!

今回はUA20000超えを祝して今まで前書きで書いていた設定をここに載せたいと思います。どうか、見ていってください。

ちなみに本編が進むにつれて内容が増えていきます。


夜霧家(母と父は後程)

 

夜霧亜久斗(よるきりあくと):自分のつまらない世界に嫌気が指し、ISの世界に転生してきた今作品のオリ主。

 

神様からの特典で変身ドライバーやIS装備を造ったりできる程の頭脳と人外の一歩手前の身体能力を持っている。

 

転生先の家族は夜霧グループという元常用車などの一般的な機械を造る会社。だがISが造られてからは親は本社がISを作り始めたので現在は姉の恵と共に、子会社という形で会社を設立。ISの世界に来てフードロイド、やプラモンスターを始め、変身ドライバーやバイク、マシンを作りあげ、原作に近づくにつれてISの作製を行った。バイクの製造販売を行っている。

 

尚、神様の気まぐれを嫌がりながらも最終的には受け入れて暮らしていている。

 

基本的に誰にでも優しく、友達、仲間と共に楽しむことを心がけている。

 

夜霧恵(よるきりめぐみ):夜霧家長女の亜久斗の姉、亜久斗と堂々の頭脳を持ち夜霧グループ子会社『RIDE』で亜久斗の代理社長をしている。

 

周りがやりたがらないようなことを進んでやる変わり物、と部下から思われているが、実際は仲間思いで優しいために、騒動の事後処理、片付けなどを自分で行い部下に楽をさせようとしている。

 

亜久斗がバイク製造を行うに対して恵は車やマシンの作製(主に改造)の製造販売を行っており、亜久斗がIS学園に行ってる間は亜久斗の変わりに社長をしており、仕事関係の場合は護衛を2~5人ほどつけている。

 

変身ライダー ディエンド

 

夜霧甲斐斗(よるきりかいと):夜霧グループの会長であり亜久斗の父親。身体、頭脳とともに並外れており亜久斗からは人外に認定されるほど、だが妻の冥孤には敵わないらしい。

 

変身ライダー スカル

 

夜霧冥孤(よるきりめいこ):夜霧グループ会長夜霧甲斐斗の妻であり亜久斗の母親、見た目は二十代前半に見えるがその年齢は四十五歳、童顔である。「ババア」が禁句であり過去に言った者は行方不明となっている。

 

変身ライダー オーディン

 

 

護衛の方々

 

斎藤源氏(さいとうげんじ):夜霧亜久斗の護衛をこなす亜久斗の参謀、だが亜久斗がIS学園へ行くに行くに当たって護衛対象が恵に一時変更している。

 

夜霧家以外の人物には冷たく接して警戒を怠らない。訓練を一日も欠かさず、戦闘では剣よりも肉体や銃をよういて戦い、その姿から恵の部下に『軍総』とに呼ばれている。

 

変身ライダー バース

 

小雨優(こさめゆう):護衛だけでなく仕事や書類も難なくこなす恵の秘書。失敗をしたとこはない信頼のもっとも高いと完璧超人。だが無口で必要以上のことはあまり喋らない。銃撃戦を得意としている。

 

変身ライダー ドレイク

 

小鳥遊楓(たかなしかえで):童顔でおっとりとした子供のような見た目に反して素早い行動力を持ち早口な亜久斗の秘書。過去に剣術を5年ほど学んでいる実力者。亜久斗が居ない間は斎藤と同様、恵の護衛として活動している。

 

変身ライダー ナイト

 

ミリアム・ルギーザ : つり目で金髪を後ろで束ねて降ろしているできる系の女性。販売科の主任を勤めており、裏では様々な仕事をこなしている。信頼されライダーを託された一人で会社では三年ほど働いている。

 

変身ライダー ライア

 

藤堂影鷹(とうどうかげたか) : いつもふざけているようにしか思えない態度だが実力は本物、以前十五で親を無くしてさ迷い続けたところを『RIDE』に拾われた形で就職。過去を一切話したがらないが調べたところ親は事故死となっていた。それ以外は夜霧家以外は誰も知らないし経歴書にも書いていない。~っすという後輩口調を使う。加賀とは犬猿の仲といえる。

 

変身ライダー 王蛇

 

加賀利之(かがとしゆき):『RIDE』の経済科主任で研究者でもある。細身だが筋肉はついており喧嘩でも簡単には負けることはない。藤堂とは犬猿の仲である。

 

変身ライダー ベルデ

 

その他

 

夜霧亜久斗はほとんどの平成ライダーの変身ドライバーを作りあげており、全て『RIDE』地下にあるラボに収納されている。

 

亜久斗は信頼できる人にのみ襲撃対策としてドライバーを渡している。※現在は家族三人と裏を知っている限られた部下にのみ。約五十人。

 

親とは仲が悪い訳ではない、ただ造りたいものが違うため別々に暮らしているだけ。むしろ良い関係といえるだろう。

 

神様によってやってきたイマジンは一日18時間のみ、人間の姿になることができる。ただし後から来たジークとデネブは好きな時に人とイマジンになるようになっている。

 

 

 

亜久斗のISについて

 

機体名 仮面ライダー

 

姿:白をベースとした全身装甲(フルスキン)黒のラインがところどころ入っている。(顔は普通のIS同様出ている)

 

亜久斗が改造を施した専用機。

軽装備で最小限の装甲しかなく、転送装置が取り付けられ、ラボに置かれている変身ドライバーを転送、装着することができ、IS展開させてから変身させた場合のみ、仮面ライダーをISとして扱うことができる。

 

だが拡張領域(パススロット)が足りず、仮面ライダー最終形態になることが出来ない。(ディケイドコンプリートフォーム、ウィザードインフェニティーなど)

 

機体特殊能力、US(ユニゾンシステム)

 

変身した状態でISの展開、搭乗者の声帯認証を確認しロックを外すことで発動する。これはISと仮面ライダーを合成し爆発的な力を生み出すシステムである。

 

発動時、シールドエネルギーが5000に増えるというチートだが防御力が減り、一秒ごとにシールドエネルギーを削ってしまう。

 

主にISをベースとした形態となりUS発動時に変身したライダーの姿をベースとする。変身後はライダーの能力を使うことが可能となる。

 

 

 

 




こんなもんですかね。次から原作が再びスタートします。これからの展開をお楽しみにしてください。


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三十二話 学年別トーナメント/前編

翌朝、一人の少女は一つの携帯を拾う。

「なんだこれは、IS…なのか……?」

少女が携帯を手に取ると足元にベルトが転送され、携帯と共に、消えた。

「なんだったんだ……?」

だが消えた携帯とベルトは転送されていた。







少女の持つ、ISへと


 

 

時は進み、学年別トーナメント当日、一夏とシャルルはアリーナの更衣室にいた。更衣室のモニターからは観客席の様子が見える。そこには各国政府関係者、研究所員、企業エージェント、その他諸々の顔ぶれが一堂に会していた。二人は戦いの作戦、役割の確認を整え、モニターがトーナメント表に切り替わるのを待っていた。

 

「相手は誰だろうね」

 

「まあ、あいつらと当たるまでは絶対に負けないけどな」

 

「ふふっ、一夏、気合い入ってるね」

 

「まあな、あそこまで言われちゃ、頑張らないとな」

 

「鈴とセシリアの分も頑張らないとね」

 

「ああ……お、対戦相手が決まったみたいだ」

 

二人が見たモニターにはこう写っていた。

 

一回戦 織斑一夏、シャルル・デュノアペア

        対    

ラウラ・ボーデヴィッヒ、夜霧亜久斗ペア

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、一夏たちが使っているのとは反対側の更衣室。そこにはモニターを見ているラウラ・ボーデヴィッヒ、と夜霧亜久斗の姿があった。

 

「いやぁまさか初戦で一夏たちと戦うなんてね、これなんか仕組んでない?男操縦者同士を戦わせるとか」

 

「そんなことはどうでもいい」

 

ま、確かにね。と亜久斗は置いてある飲料水を口にしながら呟く。

 

「いいか、私はあいつと戦う。お前は___」

 

「援護をすればいい…だろ?」

 

亜久斗がラウラの言葉を遮る。ラウラはそれに不満げな顔になる。

 

「…違う、お前は邪魔をしなければそれでいいと言っているだろう」

 

「ラウラが一人で一夏と戦うと思っていてもあっちは違うんだよ。これはタッグマッチ、二対二で戦う模擬戦のようなもの、だからこちらも二人で戦わなきゃ、負ける」

 

「……ならば、お前は私の援護をしていろ。あいつとは、絶対に私がやる」

 

正当な亜久斗の言葉に折れたラウラ、だがその瞳の奥の信念は変わっていない。

 

 

一夏(あいつ)は必す私が倒す

 

 

「あ、そうそう」

 

アリーナへ向かおうとすると、亜久斗が立ち止まりラウラに声をかける。

 

「なんだ?」

 

「ラウラはさ、織斑先生をどう思ってる?」

 

何を今更。だがラウラも移動を止め、言い返す。

 

「あの人は私の目標である人物だ」

 

「……それはどういう目標だ?」

 

「私は教官のように強くなる。それだけだ」

 

「…先に言っておこう」

 

「お前が織斑先生になろうとしている限り、お前は、一夏には勝てない」

 

それだけ言うと亜久斗は背を向けアリーナへ向かった。

 

「…どういうことだ……私が教官になろうとする限り…?」

 

考えたが答えは出ず。ラウラもアリーナへ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一回戦目で当たるとは。待つ手間が省けたと言うものだ」

 

「そりゃあなによりだ。こっちも同じ気持ちだぜ」

 

アリーナで四人が対峙していた。一夏とシャルル、ラウラと亜久斗だ。

 

「ま、いい勝負にしようぜ」

 

「そうだね」

 

「それと織斑、お前には絶対に負けん」

 

「こっちのセリフだな、それは」

 

ビーッ!

 

「「叩きのめす」」

 

試合開始のブザーと共に一夏とラウラは瞬時加速でお互いに突っ込み、亜久斗とシャルルは僅かに後ろに下がる。

 

「来い、カブト、変身!」

 

カブドゼクターとドライバーを転送させ、カブトゼクターを素早く腰に装着、そして2段変身スイッチを操作しライダーフォームへと変身する。

 

Henshin

Cast Off

Change Beetle

 

「さて、援護ってのはなにも、射撃だけじゃないって教えてあげよう」

 

亜久斗はそう言うとクナイガン・ガンモードを一夏たちの方へ向ける。

 

「(狙うのは本体じゃなく、雪片の方__!)」

 

「なっ!」

 

一夏は雪片を銃で弾かれたことで無防備の体制のままラウラのAIC(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)に動きを止められてしまう。更にそこへラウラのレールカノンが向けられる。

 

「させないよ」

 

だがそこへシャルルが一夏の頭上を飛び越えて現れ、同時に六十一口径アサルトカノン<ガルム>による爆破弾の射撃を浴びせる。

 

「ちっ……!」

 

射撃をずらされ、砲弾が空を切る。さらにたたみかけてくるシャルルの攻撃に、ラウラは急後退をして間合いを取る。

 

「逃がさない!」

 

シャルルは即座に銃身を正面に突き出した突撃体制へと移り、ラピッド・スイッチで左手にアサルトライフルを呼び出す。だが

 

「右サイドが空いてるぞ」

 

光の糸が虚空で集まり、アサルトライフルを形成するまでの僅かの隙を亜久斗は見逃さなかった。亜久斗はベルトのスイッチを操作する。

 

Clock Up

 

瞬間、世界の時は限りなく減速する。止まったに等しいこの状況では僅かな隙が命取りとなる。

 

「ふっ!」

 

クナイガンでシャルルに近づき連射を浴びせる同時に<ガルム>を蹴りで弾き飛ばす。

 

Clock Over

 

時は正常に動き出す。

 

「えっ!?」

 

シャルルは驚愕する。自分のアサルトカノンが弾き飛ばされ、一瞬でシールドエネルギーも削られていたからだ。

 

一夏とラウラも突然のことに少しその場から下がった。

 

「ふん、余計なことを」

 

「いつまでも強がってないで、認めたらどうだよ、助かっただろ、実際」

 

『シャルル、無事か?』

 

『うん、エネルギーもまだ大分残ってるしね、すぐにサポートに入るから』

 

『いや、いい。このまま例の作戦で行こう』

 

『…。わかった』

 

一夏たちはプライベート・チャンネルで短いやりとりを交わした後、シャルルはラウラの射程圏内から離脱し、亜久斗へと間合いを詰める。標的をラウラから亜久斗へと変更したようだ。

 

「(…いや、俺を抑えておいて援護をさせない気か?)」

 

「(亜久斗の機体にはまだ、何があるかわからない、それにさっきの攻撃のことも含めたら、今亜久斗を戦闘に参加させる訳にはいかない!)行くよっ!」

 

「よっしゃ、かかってこいよ!」

 

シャルルが瞬時に呼び出した近接ブレード<ブレッド・スライサー>を亜久斗はクナイガンをアックスモードにすることで受け止めた。

 

「さすがだね、でもこれならどう___!」

 

シャルルは少し下がり、左手の<レイン・オブ・サタディ>で連射する。

 

「効かないな!」

 

Put On

 

亜久斗は銃弾が届く前にさっきとは逆に2段変身スイッチを操作し、防御特化のマスクドフォームに変身する。

その装甲にはダメージがみられない。

 

「今度はこっちから行くぞ!」

 

「くっ!」

 

攻撃を受けきった亜久斗はシャルルに近づき、連続で切りつける。シャルルは左手の<レイン・オブ・サタディ>を検討違いの場所に連射すると離し、<ブレッド・スレイサー>でクナイガンを防ごうとする。

 

「何をしてんだ?ま、これで終わらせるぞ」

 

亜久斗は疑問を抱きながらベルトのスイッチを操作する。

 

1

2

3

 

Rider Kick

 

「おらよっ!」

 

足エネルギーをためで放つ強力な一撃、ライダーキックをシャルルに放つ。

 

「きゃあっ!」

 

それを受けきれなかったシャルルのシールドエネルギーは大幅に削られてしまう。

 

「これでとど「ああああああああっ!!」!?」

 

再び蹴りを放とうとした瞬間、突如アリーナにラウラの絶叫が響く。そしてそこにいたのは

 

 

 

 

どろどろ深く濁った黒がラウラの全身を包み込んでいく姿。そしてそれは全身装甲となり、ラウラを完全に飲み込んだ。

 




次回に続きます。一話では埋めるのが難しいので前半後半に分けます。


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三十三話 学年別トーナメント/後編

ちょっと強引に持ってきた学年別トーナメント、スタートです!


 

亜久斗がシャルルと交戦をしている同時刻、一夏とラウラは空中で同じく交戦していた。

 

「先に片方を潰す戦法か。無意味だな、その戦法は相手より自分が強い場合のみ有効だ、あいつでは荷が重いだろう」

 

「確かにシャルルよりも亜久斗の方が強いと思う、だからシャルルには亜久斗を倒すんじゃなく、手を出させないようにしてもらってる、言わば時間稼ぎだ」

 

「ほう…貴様が殺られる時間か?」

 

「まさか…俺がお前を倒す時間のだ……よっ!」

 

一夏は瞬時加速でラウラに体当たりをして接近、そのまま雪片弍型で接近戦を繰り広げる。

 

「うおおおおおっ!」

 

「貴様の武器はそのブレードのみ、近接戦でなければダメージを与えられない、対策などいくらでもできる」

 

ラウラはプラズマ手刀を解除し両手を交差して突き出し、その手のひらを一夏に向ける。

 

「(くっ、AICか!」

 

刹那、ビシッ!と凍り付いたかのように一夏の体が止まる。

 

「では___消えろ」

 

六つのワイヤーブレードが一斉に噴出され、一夏へと噴出される。だが___

 

「なっ!?」

 

それは一夏には届かなかった。否、届く前に弾かれたのだ、シャルルが連射した弾丸によって。下を確認すると追い詰められながら交戦していたシャルルの姿があった。

 

「(あいつ、俺よりもきつい状況でカバーするなんて……いや、情につかるのは後だ。今は決定的なチャンス!)うおおおおっ!」

 

一夏はワイヤーブレードを弾かれ、武器のないラウラに切りかかり、それは確実にラウラの機体を捕らえた。

 

 

 

 

 

「(こんな……こんなところで負けるのか、私は…)」

 

「(亜久斗(あいつ)の言う通りに…負ける)」

 

ラウラの頭には試合前、亜久斗に言われた言葉が霞んでいた。

 

『お前が織斑先生になろうとしている限り、一夏には勝てない』

 

だが、その言葉がラウラを奮い立たせた。

 

「(だからどうしたと言うのだ…!私は…教官の汚点となったあいつに…勝たなければいけないんだ!)」

 

『___願うか?……?汝、自らの変革を望むか……?より強い力を欲するか……?』

 

「(言うまでもない。私に、私にあの男を倒す力をよこせ!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああああああっ!!」

 

突如、ラウラが身を裂かんばかりの絶叫を発する。そしてラウラが、ISそのものが変型していた。装甲をかたどっていた線は全てぐにゃりと溶け、どろどろのものになって、ラウラの全身を包み込み、最後には黒い全身装甲のISに似た『何か』に形状を変えた。

 

だが一夏が目を向けていたのはその手に持たされている武器である。

 

「<雪片(ゆきひら)>……!」

 

それは一夏の姉である織斑千冬がかつて振るった刀、雪片に酷使していた。そして、それを見た一夏は無意識のうちに<雪片弍型>を握りしめ、ISに向けて突進していた。

 

「お前が、お前が千冬姉の力を使うんじゃねえええええ!」

 

「落ち着け!」

 

だがいつの間にか亜久斗に拘束されており、ISに近づくことは出来なかった。

 

「放せ、亜久斗!あれは、千冬姉のデータだ。それは千冬姉のものだ。千冬姉だけのものなんだよ。俺はあいつらをぶっ叩いてやんねえと気がすまねえ!邪魔をするんならお前から___!」

 

「いいから落ち着け!」

 

「つぅ~~!」

 

ガンッ!、と亜久斗が暴れる一夏を一喝する。いや、ヘッドバットを喰らわせた。

 

「うわぁ……」

 

それを見たシャルルはその威力に軽く引いている。操縦者が痛がるヘッドバットなんてどれほどの威力なんだろうか。

 

「お前のその気持ちには俺も一理ある。だけどな、むやみに突っ込んでそれで勝てるのか、未知の相手に」

 

「違うぜ亜久斗、勝てるのか勝てないのかじゃない、こういうのはやるかやらないかなんだよ。俺はやりたいからやるんだ、ここで引いてしまったら俺はもう織斑一夏じゃなくなっちまう!」

 

「あ、あの、二人とも…」

 

二人の言い合いにシャルルが声をかける。その声は少し震えている。

 

「あれって…何?ラウラが変型して、しかも携帯とベルトを持っているように見えるんだけど」

 

「何っ!?」

 

その声に大きな反応をしたのは亜久斗だった。黒いISはいつの間にか携帯とベルトを取りだし、ベルトを装着していた。

 

「(あれは…ファイズフォン!?なんでラウラが持ってんだ!?)」

 

そしてISはファイズフォンを操作する。

 

「____やめろ!「それ」は、お前には使えない!」

 

亜久斗の叫びも空しく、ISの指は動く、そして、ベルトにファイズフォンが装着される。

 

5

5

5

ENTER

 

Standing by

 

Error

 

が、Errorの電子音と共にISは、上空へはじき飛ばされた。

 

「「!?」」

 

「くそっ!」

 

だが、ISは何もなかったかのようにこちらに向き直る。そして

 

『……た…助け…て………』

 

この言葉が3人に聞こえた時、3人は行動にでた。

 

「聞こえた?今、助けてって…」

 

「ああ、とっととあいつをぶっ倒して、助けてやらないとな」

 

「だったら、感情的にならずに、冷静に行こうか」

 

『非常事態発令!トーナメントの全試合は中止!状況をレベルDと認定、鎮圧のため教師部隊を送りこむ!来賓、生徒はすぐに避難すること!繰り返す!…』

 

緊急放送が入るが、もう関係ない。

 

「先生たちが来るまで時間がある、そんなの待ってられないよね」

 

「一刻も早く助け出さないとな、助けてって言われたんなら」

 

「だったら、作戦を決めようか。俺があいつの動きを止めて、一夏が零落白夜を叩き込む、シャルは一夏の援護、オーケー?」

 

「「もちろん!」」

 

「じゃあ、行くぜ!」

 

シャルルが移動しながら、ライフルを構え、一夏と俺がラウラに突撃する。

 

「一夏、お前は零落白夜を発動させて突っ込め!」

 

「はあ!?お前はどうするんたよ!?」

 

「あいつの動きを止めるに決まってんだろ!」

 

Clock Up

 

クロックアップを発動し、一夏よりも早く、ラウラに接近し、仕掛ける。

 

「まずは邪魔なその刀から!」

 

蹴りで<雪片>を弾く、どんなに性能のいいISでもクロックアップを越えることは、出来ない。

 

「はああああっ!」

 

がら空きとなったボデイに拳を一発叩き込み、くの字に曲がった体の腕、足を体を使って拘束する。

 

「(これが俺からの一発だ。後もう一発、喰らっときな)」

 

Clock Over

 

クロックアップが解除されたとき、一夏の目に写ったのは亜久斗に体を拘束された黒いISの姿。

 

「やってくれるぜ。…とっとと目を覚ませ、ラウラあぁぁあああ!」

 

零落白夜を黒いISに叩き込むと、紫電が走り、その姿は真っ二つに割れ。そこからラウラが現れ、ラウラは気を失っていて地面へと落ちていく。

 

「(ま、まずい!)」

 

自分のISも零落白夜を使ったことによりエネルギーが限りなくゼロに近い、亜久斗もダメージこそ大きくないがその威力で後ろに少し飛んでいる。このままではラウラは落ちてしまうだろう。だが

 

「ふう、お疲れ様、二人とも」

 

地面まで残り数メートルと言うところでシャルルがラウラをキャッチした。腕の中で気絶している。ラウラも無事なようだ。一夏は2人のところへ近づく。

 

「…終わったな」

 

戻って来た亜久斗が呟く。

 

「ああ、千冬姉のものも守れたし、一発いれることもできた。……帰るか」

 

「「うん(ああ)」」

 

こうして、波乱の学年別トーナメントは幕を閉じた。……後に控える波乱を残しながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、終了しました。学年別トーナメント。次回はその後を書きたいと思います、それではまた、次回。



PS
先日、仮面ライダーVSスーパー戦隊を見ました。サブライダーまでは居ませんでしたがメインライダーの活躍だけでも満足しました。このさい映画限定のライダーカードも使っちゃおうかな?
byいずみ


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三十四話 学年別トーナメント/その後



皆さんこんにちは、滝温泉こといずみです。ある日、私は思いました。ライダー関連の敵がいないのならば、作ってしまえばいいと!というわけで原作の他にちょくちょくオリジナルが混ざることが多くなると思います。

それでは本編スタート!



時はたち、場所は変わり医務室のベッドでラウラは上半身を起こして座っていた。気絶から目を覚ました後、織斑千冬との会話を終えた彼女は一日安静ということで医務室からでることを禁じられていた。ラウラは誰もいない医務室で呟いた。

 

「…私はラウラ・ボーデヴィッヒ、他の何ものでもない……か……」

 

「ん、どったの?急に」

 

「はわあ!」

 

「ど、どうした、こんどはいきなり大きな声あげて…」

 

誰もいないはずの医務室に、夜霧亜久斗がいた。驚くのが普通だろう。

 

「い、いつからいたのだ」

 

「ん?今さっき来たところ。それでさ、どうしたの急にあんなこと呟いて」

 

亜久斗の言葉、ラウラは一息ついてから答える。

 

「あのとき、お前は言ったな。私が教官になろうとする限り、織斑には勝てないと、それがなんてなくわかった気がしたのだ」

 

目標に「追い付こうとし、目標と同じようになろうとするラウラ」目標を「超えて、守れる強さを手にしようとする一夏」スタート地点は違えど意思の強さ、努力の多さは違う。追い付くと追い越す、どちらが強いのかははっきりしている。だから、亜久斗はいったのだろう目標を追い越す努力をするやつに目標に追い付く努力をするやつは勝てないと。

 

「だから私は、教官ではなくラウラ・ボーデヴィッヒとして、お前や織斑を超えてみせる!」

 

そう言い放つラウラの目にはしっかりとした意思があった。

 

「へえ、よかったじゃん、なら俺が言うことは二つだけだね。ひとつ目、明日ちゃんと一夏に謝っておけよ、俺はともかく、一夏はラウラに勝ったんだから」

 

「う、うむ、それはわかっている。約束は必ず守る」

 

「そっか、なら二つ目…本当に悪かった、ごめんなさい!」

 

亜久斗は先程までの態度とは一変し、頭を地面につけて謝る。DO☆GE☆ZA☆である。

 

「と、とりあえず頭をあげてくれ、急にどうしたのだ、謝れてもわからんぞ」

 

「……そうだな、説明しようか。まずラウラ、自分がトーナメントで携帯とベルトを使ったのを覚えてるか?」

 

「いや、携帯とベルトは使った覚えはないが…確か先日、拾ったと思う。すぐに消えてしまったが」

 

「その携帯はファイズフォンと言って、あ、一種パワードスーツを形成させるためにある物って感じだと思ってくれ、その拾ったときにラウラのISに武装として取り組まれてしまったんだと思う」

 

「だけどこのファイズフォンは適合者以外が使うと弾き飛ばされるという欠点を持つ、ラウラがVTシステムに取り込まれた後、ISがそれを使ったんだ。そのせいでISのパーツが一部破損、修理にも時間がかかってしまうことになってしまったんだ。本当に申し訳ない」

 

「い、いや大丈夫だ。理由はどうあれ使ってしまったのは私だしな、それにISは予備パーツで組み直せば大丈夫だ」

 

「そ、そうか、ありがとう」

 

「「…………」」

 

再び部屋に沈黙が訪れた、それを脱出させたのはラウラだった。

 

「夜霧」

 

「え?」

 

「お前がしたことは、許す。だが今度、また私と勝負しろ一対一でな、そ、それと、その……」

 

「た、助けてくれて…ありがとう……」

 

「……ははっ」

 

「な、何を笑うのだ!」

 

「いやぁごめんごめん。そっか、ありがとう、か。うん、いいよ。だから、また明日、学園で」

 

「ああ、またな」

 

亜久斗はそういって部屋を出ていく、が、すぐに戻ってきた。

 

「どうした?」

 

「ちょっとしたプレゼントとしてね、これ、やるよ」

 

亜久斗はポケットからウィザードリングを取り出すとラウラの指にはめる。勿論レプリカではない、亜久斗が作ったオリジナル、オープンリングだ。

 

「また、家に来なよ、今度はもっと時間もある時とかにさ。じゃあな」

 

亜久斗は今度こそ、部屋を出ていった。医務室にはラウラが一人、リングはしっかりとはめられていた……左手の薬指に。

 

もちろん亜久斗は意識などしていなかったし単なる偶然だ。だが15歳の乙女をときめかせるのには充分だった。

ラウラは頬を赤くしながら電話を手に取る。

 

「もしもし、クラリッサか?私だ。実は…」

 

その日、ドイツの黒兎部隊では赤飯が炊かれたとか、炊かれてなかったとか。

 

 

 

 

亜久斗は見つめていた。手に握られている、ファイズフォンを。

 

「…やっぱりこれは、携帯として使うのは失敗かな。こんなことが起こるんなら」

 

そう言って亜久斗はファイズフォンを床に落とし、勢いよく踏みつけた。足を退けるとそこにはファイズフォンの面影はなく、バラバラの機械が散らばっていた。亜久斗はそれをゴミ箱に捨て、懐からケータロスを取り出すと、電話をかけた。

 

「…あ、もしもしメグ姉、亜久斗だけど…うん、俺携帯変えたからそっち登録しといて、うん………じゃあまた、そっちも頑張って」

 

そして電話を切ると天井に向かって呟いた。

 

「……やっぱり……必要以上の物は作るべきじゃないな…あれももっと人目につかないところに置かないと……」

 

その日の夜事件は多発した。一夏が箒に買い物くらい付き合ってもいいと言ったら正拳を喰らったり、大浴場が使えるようになったり、風呂に入っているとシャルルが入って来たり、ケータロスに全ての番号を写し変えたりなど、色々あって亜久斗は寝不足だった。

 

そして夜亜久斗また呟く。

 

「明日は何も起きませんように」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、朝のホームルームにシャルロットの姿は無かった。

 

「なあ、シャルルの姿が見えないんだけど…なんか知ってるか?」

 

「さあな、そう言えばラウラの姿も無いし」

 

「み、みなさん、おはようございます……」

 

教室に入ってきた山田先生はふらふらしている。恐らく、昨日のことで片付ける書類やら仕事が増加したのだろう。とりあえず心の中でお疲れ様ですと亜久斗は呟いた。

 

「今日は、ですね……みなさんに転校生紹介します。転校生といいますか、すでにみなさんは知っているのですが、ええと……」

 

なんか説明が可笑しい山田先生、みんながすでに知っているとはいったい……

 

「じゃあ、入ってください」

 

「失礼します」

 

ん?この声_____

 

「シャルロット・デュノアです。皆さん、改めてよろしくお願いします」

 

「(あ~、転校生ってのはシャルのことかだから山田先生はあんな言い方をしたのか)」

 

「ええと、デュノア君はデュノアさんでした。ということです。はあぁ……また寮の部屋割りを立て直す作業が……」

 

ドントマインド♪頑張れ、山田先生。

 

「え?デュノア君って女……」

 

「美少年じなくて美少女だったのね……」

 

「ちょっと待って!昨日って確か、男子が大浴場使ったわよね!?」

 

全員の視線が俺と一夏に集められる。そして次の瞬間

 

「一夏ぁっ!!」

 

バシーン!教室のドアが蹴破られたかのように開く、そこにいたのは2組の代表候補生凰鈴音。

 

「ちょっとまて、俺は何も____!」

 

「死ね!!」

 

一夏の言葉を聞かず、鈴はISのアーマー展開、そして両肩の衝撃砲が解放される。

 

「(く、駄目だ!間に合わない!)」

 

亜久斗は変身して防ごうと心みるも無情利にそれは一夏へ___

 

「………」

 

___届かなかった。一夏と鈴の間にはラウラがISを見にまとい、AICで衝撃砲を防いでくれていた。

 

「た、助かった……」

 

「織斑一夏、この前はすまなかった」

 

そう言ってラウラは頭を下げた後

 

「あ、ああ別にいいぜありがと、な!?」

 

一夏の頬にキスをした。それにクラスは唖然。

 

「?どうした、人に詫びをいれるときはキスをするのだろう?」

 

誰だ、そんなことを言ったのは、アメリカでもそんなことは無いはずだ。

そしてラウラは次に亜久斗の方へ歩みよると

 

「(?…▲▽○☆♂%▼!?)」

 

亜久斗にも、キスをした。しかも唇と唇を重ねたキスである。

 

「お、お前は私の嫁だ!異論は認めん!」

 

すかさず教室が一夏のときより唖然となる。亜久斗も混乱している。

 

「よ、嫁?婿じゃなくて?」

 

「日本では気に入った相手を『嫁にする』というのが一般的な習わしだと聞いた。故にお前は私の嫁だ」

 

だから誰だ、そんなことをいったのは。だがそんなことを気にしてる場合ではない。

 

「あ、アンタねええぇぇ!」

 

「あらあら一夏さん、まさか女性とお風呂に入って挙げ句キスまで…少し私とお話でもしませんか?」

 

「一夏、貴様どういうつもりか説明してもらおうか」

 

こちらはまだ一夏がシャルロットと風呂に入ったと勘違いしている側、とりつくしまもない。そして

 

「亜久斗って他の女子の前でキスしちゃうんだね、僕びっくりしちゃった☆」

 

いつもなら最高にかわいい笑顔だろうシャルロットよ、だが今は後ろにオーラが見える程やばい笑みだ。シャルロットはさらにISを展開させ、パイルバンカー『盾殺し(シールド・ピアース)』をパージさせる、こちらもとりつくしまがもないようだ。

 

「(……一夏……)」

 

「(……オーケー…)」

 

一夏と亜久斗はアイコンタクトを交わすと素早くISを展開、亜久斗も人生最大のスピードとも言える早さで変身した。

HensinCastoffChangeBeetl

 

「逃げるぞ!白式ぃぃ!!」

 

「クロックアップ!!」

 

ClockUp

 

二人は脱出した。この場から、生きるために、自分のあらん力を持ってして、窓から脱出したのだ。空気を読んでくれたのか変身速度まで速かった。そして、二人は

 

 

 

 

 

 

 

後で織斑先生に叱られ、反省文200枚、出席簿アタック15回の刑にかかり、ねっちょりと絞られるのであった。

 

 

 

 

 

 

 




はい、色々飛ばしてすいません!自分には一話で書ききる自信がなく、駄文となって部分を消した結果こうなってしまいました。反省はしている、だが後悔はしていない(キリッ)……はい、申し訳ありません。

それではまた次回!


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三十五話 帰ってきた、ウィザードライバァァァアアア!

はい、総合評価が5.55になっててファイズを想像し、挿絵を描いたところ顔が上手く描けずに試行錯誤している滝温泉こと、いずみです。

今回から原作三巻に突入します、ライダーの活躍の舞台を増やしていきたい…。

それでは本編スタート!




 

 

 

 

 

学年別トーナメントから数日たち現在は朝六時過ぎ、いや七時だな。シャルルがシャルロット・デュノアが女性としての性別に戻ってからは俺こと夜霧亜久斗は個室にいる。流石に思春期の男女を同じ部屋にしたままなのはいけない、前に使っていた三人部屋は他の女子が使っているそうだ。というわけでまた部屋変えだ。二人部屋(女子つき)と個室があったため俺と一夏は拳と拳を様々に変形し繰り出す競技(ジャンケンです)を行い、結果俺が個室を使えるようになった。

 

ん?その二人部屋を俺と一夏で使えばいいだろうって?それもそうなんだけどその女子って今一時臨時帰国してるせいで学園にいないんだよ、いない間に勝手に変更するのは悪いからね、てかよく考えたら二人とも個室みたいなもんかはっはっはっは(笑)……現実逃避はするもんじゃないな。

 

「…スゥ……」

 

さて、あ、ありのままのことを説明するぜ、俺が朝起きたらベットの隣でラウラが裸で俺の腕を掴みながら寝ていた。な、何をいっているかわからないと思うが俺にもわからない。しかもがっちり掴んでるせいで抜けだせない。

 

このままもし誰かに見られたりしたらとんでもない事態となるだろう。というわけでラウラには悪いがこっちもいろいろと限界なんだ、起きてもらう。

 

「おーい、ラウラー、起きろー」

 

「ん、んぅ……なんだ…?朝か…?」

 

「そうだぞー、おはようラウラ、ついでに俺の腕を離して服を着てくれると嬉しい」

 

「そうか…おはよう亜久斗」

 

そのまま起き上がるラウラ、ってちょっと待て。

 

「ラウラ、そのまま起き上がらないでほしい裸が見える、俺は今から洗面所に行ってくるからその間に服を来てくれ、オーケー?」

 

「?何を言っているのだ、日本ではこういう起こし方が一般的だときいたぞ。何も恥ずかしがることはないだろう」

 

本当に誰なんだ、ラウラにそんなことを言った奴は、日本の夫婦でそんな劇的な朝を迎えている奴なんかいないぞ。………多分。

 

「俺は今起きた、だから裸になってないで服を来てくれ、というか着てください」

 

「ない」

 

………は?

 

「服は部屋に置いてきた。だから無い」

 

……ま、まじかよ。てことは全裸で俺の部屋まで来たのか、こいつには恥じらいというものが無いのか。この前は風呂にまで入ってきたしあ、それはシャルもか。

……いや、そんなことを考えるのは後でいい、今はこの状況をなんとかしなくちゃならない。

 

「よし、ラウラちょっと待ってな」

 

俺はベッドから降りて冷蔵庫を開ける。

 

「何をしているのだ?」

 

そして取り出したのはそう、学年トーナメントの件での報酬として制限ありで日常使用を許可された、ウィザードライヴァァァアアアである。

 

「ラウラ、ちょっとこの指輪を填めてくれ…ってまだ付けてたのか、オープンリング」

 

「あ、ああなにせお前がくれたものだ肩身離さず所持している」

 

そういえば最初は大変だったなぁ、あの逃走劇から翌日にラウラがあげたリングを婚約指輪って言ったときのシャルの……いかん、足が震えてきた、思い出すの中止。

 

「まあいいや取り合えず填めてて」

 

ドレスアッププリーズ

 

俺はドレスアップリングでラウラを制服に着替えさせる。

 

「相変わらず凄いな」

 

「だろ?もう時間だし、一緒に食堂に行く?」

 

「ああ、行こう」

 

俺たちは部屋を出て食堂に向かった。勿論俺も着替えてからだよ?あとウィザードライバー着用。

 

 

 

 

 

 

 

さて、場所は変わって食堂だ。今俺はカツ丼とキツネうどんを食っている。ラウラはパンとコーンスープ、チキンサラダだ。ちなみに正面には後からやってきた一夏と箒、がいる。二人とも仲がよろしいようで、ズズズ、うん、汁が上手い、そして平和だ。

 

「わああっ!遅刻っ……遅刻するっ……!」

 

そこへシャル登場、足をばたばたと忙しそうに食堂に駆け込んできて、余っている定食からとりあえず一番近くにあったものを手に取り、集まっていた俺たちの方へ来る、そして俺の隣に座った。

 

「おはようシャル、珍しいね、シャルがこんなに遅いなんて、寝坊でもしたか?」

 

「う、うん、ちょっと…二度寝しちゃってね」

 

へぇ珍しいね本当に。今度改造型目覚まし時計でもあげようかな?

 

「にしてもなぁ」

 

「どうしたんだ亜久斗、急にキョロキョロして、あ、そのカツ貰っていいか?」

 

「やらん。いやぁ考えたことも無かったけど今の俺って両手に花の状態だなぁと思って」

 

「ああ、みんな綺麗だし可愛いもんな、確かに考えたことあんまり無いな」

 

「「「/////」」」

 

なんかみんな顔を真っ赤にしている。可愛いって言われて恥ずかしいのかな?

 

キーンコーンカーンコーン。あ、予鈴がなった、ちなみに俺はもう食べ終わっているから大丈夫っと。

 

「うわあっ!い、今の予鈴だぞ、急げ!」

 

「確か今日は織斑先生のSHRだったな」

SHR:ショートホームルームの略。ちなみに織斑先生のSHRに遅れる=死を意味するといっても過言ではない。

 

「先に行くぞ、私はまだ死にたくない」

 

「右に同じく」

 

「ごめんね、二人とも」

 

女子勢は先に行ってしまう。俺と一夏を残して。

 

「お、おい亜久斗!俺たちも早く行くぞ!」

 

ちなみに、俺にはウィザードライバーがある。テレポートは制限されて使えないがしかし、俺は原作には無いオリジナルリングを持っている。これには何も言われていないから大丈夫だ。

 

だが靴はどうしようも無いので内履きがあるとこまでは普通に走る…分けはない。

 

「よし、行くぞ」

 

「へ?」

 

ソニックプリーズ

 

俺が作ったソニックリング、効果は速度の上昇。ちなみに某青いハリネズミをイメージして作った。

そして俺は一夏を背負い走る。勿論玄関で靴を変えるのを忘れずに、だ。

 

「あっ、一夏、亜久斗って速っ!」

 

校舎の玄関で靴を履き替えるとそこにシャルが待っていた、ちょうどいい。

 

「よし、シャルも行くぞ」

 

「って、ええぇぇえええ!」

 

「よっ、シャルロット、さっきぶり」

 

俺は一夏を肩に背負い、シャルをお姫様抱っこの状態で運ぶ。そしてあっという間に教室に到着。

 

「っしゃー!ついたぞ」

 

「おう、ご苦労なことだ」

 

しかし、教室の前には我らがラスボス、織斑先生がいた。だがしかし、今の俺には怒られる材料が見当たらない、なんの問題も無い。

 

「おはようございます、織斑先生。ちなみにテレポートはしていませんので俺の頭を出席簿で叩くのは不可能ですよ」

 

「そのドヤ顔はやめろ。夜霧、織斑、デュノアは早く席につけ、あと十秒でチャイムがなるぞ」

 

「「「は、はいっ!」」」

 

俺らが席に着くと同時にチャイムがなり、SHRがスタート。

 

「さて、来週からはじまる校外特別実習期間だが、全員忘れ物などするなよ。三日間だが学園を離れることになる。自由時間では羽目を外しすぎないように」

 

ちなみに校外特別実習期間というのは平たく言ってしまえばそう、臨海学校だ。そして三日間の内初日は全時間自由時間となっている。もちろんそこは海なので、泳ぐこともできる、あと持ち物自由。周りのテンションは上がっていることだろう、俺もだけど。

 

「ではSHRを終わる。各人、今日もしっかり勉学に励めよ」

 

う~ん何を持っていこうか。取り合えずウィザードライバーは必須、あとドライバーを少し持って行こうか。お菓子はどうしような、やっぱチュッパチャップスとアイスだよな。あとは……。

 

スパアアアアンッ!

 

「人が呼んだらすぐに返事をしろ、夜霧」

 

「イ、イエスマム。それで何のご用件で?」

 

「今度の校外特別実習期間すなわち臨海学校だが、お前は___」

 

織斑先生の言葉は

 

「____余分なものは持ってくるなよ」

 

俺の淡い夢を打ち砕いた。






その後

「お願いします!織斑先生!危険物とか改造バイクの持ち込みとかぜっっっっったいにしませんから!SHRの発言を取り下げてください!」

「「「「「お願いします!」」」」」

放課後、織斑先生の個室こと寮長室で俺と分身はDO☆GE☆ZA☆をしていた。ちなみにコピーリングを使って総勢十人で土下座をしている。

「わ、わかった。危害を加えないものなら許可しよう」

「ありがとうございます!」

分身消した。どうやら誠意は伝わったようだ。

「そのかわり______」



以外と織斑先生って、ズボラなのかもしれない。


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三十六話 そうだ、買い物に行こう。

こんにちは、パソコンが壊れて3DSで更新している滝温泉こといずみです。

次回から臨海学校が始まります。今回は買い物回です。

それでは本編スタート!


週末の日曜、俺たち五人はとある駅前にあるショッピングモール『レゾナンス』に来ていた。五人で来ていた。

 

大事なことかもしれないので二回いった。ちなみに他の四人は一夏、箒、シャル、ラウラだ。この状況にいたるまでを説明するために少しだけ回想に入ろうと思う。

 

 

 

~回想~

 

「ねえ亜久斗」

 

「ん?どうしたのシャル」

 

木曜日の放課後、俺が教室から出ようとしたところで俺の幼馴染み的な存在ことシャルが話しかけてきた。

 

「こ、今度の日曜日に、買い物に付き合ってもらってもいいかな?」

 

思わず、いいともー!と言ってしまいそうになった。まあ、そんなことしたくないのでなんとか堪えた。普通にしよう、普通に。

 

「ああ、別にいいよ。その日は特に予定は無いからな」

 

ここで「何を買いにいくの?」や「どこに?」など追加して言ってはいけない。俺はこの理由を一夏で体感したことがある。前に箒が一夏に付き合ってと言ったとき、一夏はそれを了承、そして「何を買いに行くんだ?」と聞いたもんだからそんときは本当にやばい、まさかのボディブローが炸裂した。あれの二の舞にはなるまい。

 

「(やたっ!)じゃ、じゃあ「何を話しているんだ?」」

 

そこへラウラ登場、話しを割って入ってきたから乱入と言うべきかな。

 

「今週末に一緒に買い物に誘われたんだよ。なあ、シャル」

 

「う、うん」

 

「そうか、ならば私も追いていこう」

 

「へ?」

 

「ん?ラウラもなんか買う物があるの?」

 

「ああ、今月の臨海学校で着る水着が無いのだ。ちょうどいい機会だし、二人が行くのなら私も追いて行こうと思ってな。…駄目だろうか」

 

「俺は別にいいよ。シャルは?」

 

「あ…うん、僕もいいよ。……やっぱり部屋で話すべきだったな…」

 

「ん?」

 

「あ、なんでもないよ!」

 

 

~回想終了~

 

そうだった。それで行く途中で一夏と箒がいて一夏が「一緒に行こうぜ」って言って途中まで一緒に来たんだ。そのときの箒の顔は少し怖かったとここに記しておこう。

 

まあ、そんなこんなで『レゾナンス』へ到着。

 

「じゃあ俺たちはこっちだから。じゃあね」

 

「ああ、一夏、行くぞ」

 

一夏は箒と、というか引っ張られて行ってしまった。どうでもいいが腕を組んでいるように見える。

 

「よし、では私たちも行くぞ」

 

「ああ、まず水着売り場へ行こうか…って二人とも?」

 

なんということだろう、まさかのシャルとラウラが手を組んで来た。二人とも、当たっているんですが。

 

「まあまあ、あの二人だってやってるんだし、別にいいよね♪」

 

「そうだぞ、では行くか」

 

周囲の視線が痛い。それもそのはず、一人の男が金髪と銀髪の美少女に腕を組まれているのだから。ははは、そこの男たち、羨ましいか、めっちゃ恥ずかしいぞ。

 

水着売り場到着。

 

「じゃあ男と女は売り場が違うし、いったんここで別れようか」

 

「あ、うん。じゃあとりあえず三十分後にまたここで」

 

「また後でな」

 

やっと解放された。いや、嬉しかったけどね?周りからの視線が半端じゃないから。嬉しさが塗りつぶされそうだったよ。

 

「さて、水着を選ぶか。う~ん」

 

今の手持ちは諭吉が七枚、聖徳太子あ、違った野口英世が三枚ほど、うん、充分あるな。これでも社長だしね。

 

でもどれにしようか、水着。ちなみに俺は色で決めるタイプ。てか流石ショピングモール、種類が豊富ですな。あ、あっちにフォーゼがある、おっ、これはブレイド、これはガオウか。……なんで仮面ライダーで例えているんだろう俺は。

 

「(あ、これいいな。まだ約束の時間まで少しあるけど……待ってればいいか)」

 

俺はマゼンタの赤と白と黒のラインが入った水着を買った。ディケイドを想像させる色合いだった、気に入った。

 

「さて、ベンチにでも座っていよう」

 

そう言いながら俺は女の水着売り場

を通る。場所的な都合でベンチに行くにはここを通らなければならならいのだ。決して邪な考えなどではない。

 

「ちょっと、そこのあなた」

 

なぜか知らない女性に声をかけられた。

 

「男のあなたに言っているのよ。そこの水着、片付けておいて」

 

…こういう女尊男卑を強調している輩は苦手だ、こいつらは偉そうなことを言って来るくせに自分の思い通りにならないとうるさく言ってくる。なので

 

「失礼、もしかしてあなたは障害者ですか?もしくはなんらか負傷をおっているのですか?」

 

ここは平和的に行こう。

 

「何を言っているの。あなたは男でしょう?女の私の言うことを聞くのは当然でしょう」

 

「なぜ「当然」なのでしょうか。確かにISの登場によって女性の地位は上がりました、ですがISを動かせるのは現在数あるISコアと同じ人数、すなわち497人までの筈です。あなたはISを持っているんですか?どこの企業に属しておいでで?適性度は?D?それともE?」

 

「なっ!あ、あなただって動かせないでしょうが!とやかくうるさいのよ!」

 

「失礼、紹介が遅れました。夜霧グループ『RIDE』社長IS学園所属、夜霧亜久斗と申します」

 

俺は内ポケットから名刺を取りだし女に渡すとそいつは顔を青くして逃げていった。はははははざまあみろ(笑)

 

「お待たせーってどうしたの亜久斗?」

 

「いや、なんでもないよ。…ん?あれって織斑先生じゃね?」

 

俺が指す方向には織斑先生と山田先生、それに一夏と箒、なぜかセシリアと鈴もいた。

 

「む、確かに教官だな」

 

「……話しかけてみる?」

 

「「気になるけどやめとく」」

 

「だよねー」

 

ちなみに織斑先生たちとの距離は数メートルだ影になっていて向こうからは見えないはず、このまま帰____

 

「お、亜久斗、お前もこっちにこいよ」

 

___ることができなかった。

 

 

 

 

それから何故か山田先生が俺と織斑姉弟を除いたメンバーをつれてどこかへ行ってしまった。その後織斑先生に水着の意見を聞かれたりした。

 

「お前らは彼女を作らないのか?」

 

いきなり爆弾発言。

 

「幸い学園内には腐るほど女がいるし、よりどりみどりだろう?」

 

「一夏、お前はどうだ?」

 

「う~ん確かにIS学園に女子ばっかだけど…俺のことを好きな女子なんていないだろ?」

 

ズビシッ!

 

「!痛ぇ~~」

 

とりあえずチョップを噛ましておいた。織斑先生も呆れている。

 

「なら夜霧、お前はどうだ?お前も会社の社長だ。妻の一人や二人欲しいだろう」

 

一人や二人って………。社長にそんな権限ないし…一夫多妻なんて無理だ。

でも、周りの異性について、かぁ~。

 

「そうですね~。気になってるのはシャルやラウラ、簪ですかね。皆すごく可愛いですし」

 

……ん?二人とも呆気に取られている。

 

「お前…すげえな」

 

「…まさかここまでストレートに言えるとはな。どこぞの誰かさんとは大違いだな」

 

多分一夏だ。

 

「あっ、織斑先生も綺麗ですよ」

 

「教師を口説くな、馬鹿者」

 

今度は俺に織斑先生のチョップが……。そんなつもりはなかったんだけど。

 

「まあ、これからじっくり考えていけばいいさ。…一夏は相手の気持ちに気づくことだな、一ヶ月以内に」

 

「なんで!?」

 

「冗談だ」

 

「ははははは」

 

それから、戻ってきたシャルとラウラを連れて寮に帰った。さあ、来週は臨海学校が土下座を無駄にせず、楽しむことにしよう。

 

 

 

 

 

 

 




ちょっとしたアンケートを取ることにしました。作品の方向性に関わることなので活動報告にできれば参加していただきたいです。


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三十七話 臨・海・学・校

こんにちは、先日「仮面ライダーになりたい……」という呟きを妹に聞かれてかなり気まずい状況で更新しました、滝温泉こといずみです。
やって来ました臨海学校!そしてアンケートへのコメントが多かったことを盛大に感謝します!

それでは本編スタート!


 

「臨海学校、キターッ!」

 

「うるさいぞ夜霧」

 

「くぺっ!」

 

どうも、夜霧亜久斗です。臨海学校初日でテンションが上がりまくってるせいでフォーゼのセリフをパクッて叫びました(^°∀°^)。そしていつも通り織斑先生の一喝。

 

「それでは、ここが今日から三日間お世話になる花月荘(かげつそう)だ。全員、従業員の仕事を増やさないように注意しろ」

 

「「「 よろしくおねがいしまーす」」」

 

「はい、こちらこそ。今年の一年生も元気があってよろしいですね」

 

ちなみにここ、花月荘では毎年お世話になっているらしい。あ、目があった。

 

「あら、こちらが噂の……?」

 

「ええ、まあ。今年は二人も男子がいるせいで浴場分けが難しくなってしまって申し訳ありません」

 

「いえいえ、そんな。それに、いい男の子たちじゃありませんか。しっかりしてそうな感じを受けますよ」

 

「感じがするだけですよ」

 

わあひどい、これでもしっかりしてるんですけどねえ。

 

「お、織斑一夏です。よろしくお願いします」

 

「夜霧グループ『RIDE』の社長を勤めております、夜霧亜久斗です。どうぞ、よろしくお願いします」

 

「うふふ、ご丁寧にどうも。清州景子(きよすけいこ)です」

 

ちなみに挨拶と同時に名刺交換は忘れない。これでも内ポケットに名刺を保管してある。にしてもこの人、すごく気品がある。織斑先生とは大違いだ。

 

「それじゃあみなさん、お部屋にどうぞ。海に行かれる方は別館の方で着替えられるようになっていますから、そちらをご利用なさってくださいな。場所がわからなければいつでも従業員に訊いてくださいまし」

 

女子一同は、はーいと返事をするとすぐさま旅館の中へと向かう。さて……

 

「夜霧、先ほど変なことを考えなかったか…?」

 

「はい、考えてました。ごめんなさい」

 

ズビシッ!

 

織斑先生のチョップ…いや、手刀が炸裂した。

 

「夜霧、お前の部屋はさっき説明した通りだ。織斑を連れて部屋に行け」

 

「はーい」

 

「ね、ね、ねー。おりむ~たちの部屋ってどこなの~?一覧にも書いてなかったー。遊びに行くから教えて~」

 

…何も知らないこの子が羨ましい。今だけ布仏本音さんと入れ替わったらどれだけ楽になるか。

 

「ああ、織斑先生と一緒なんだ」

 

その場の空気が変わった気がした。

 

「そ、それって本当に~?」

 

「うん、でも遊びに来るぐらいなら言いと思うから…

 

「そっか~。じゃあまた後でね~」

 

……たぶん」

 

俺の最後の呟きは聞こえなかったはずだ。がんばれ、俺にもどこまでがセーフなのかわからないけど、がんばれ。

 

「…さて、逝くか」

 

「亜久斗、字が違うぞ。さっきのテンションを思い出せ」

 

「大丈夫、海に行ったら忘れる」

 

俺と一夏は各々荷物を持って部屋へ向かう。ああ、にしても荷物が重い。流石に量が多かったみたいだ、もっと自重するべきだったのかもしれない。

そんなことを考えている間に部屋についた。

 

「ここだ」

 

織斑先生は今教員会議やらなんちゃらでいない。俺はドアを開けた。中は家族でも使える程に広い間取りになっており、外側の壁が一面窓となっていてそこから見える景色も素晴らしいものだった。俺のラボが地下にあるからこういう景色は久しぶりな気がする。

 

「おお、すげー」

 

一夏も感動する節があったのだろう。でも入ってすぐトイレとバスルームを見るのもどうかと思った。にしても

 

「…簪もくれば良かったのに、はぁ…」

 

そう、ここには簪がいない。なんでもあと少しで打鉄弍式が完成するらしく、臨海学校の間に終わらせたいとのこと、……本当に来れば良かったのに。

 

「さて、一夏。先に確認をしておくぞ。俺たち男子は大浴場が使えるが時間交代らしい、なにせ俺たち以外は全員が女子だ。一部の時間しか使えない、それ以外に入りたいのならそこにあるバスルームを使え、だそうだ」

 

「おう、わかった。…にしてもなんだよその荷物の量、お前は登山家か」

 

「ナイスつっこみ。ちょっと色々と持ってきたい物を入れたらこうなった。まあそんなことより、初日は自由時間なんだし、泳ぎにいかないか?」

 

「いいな。じゃあ早速行くか」

 

俺たちは部屋を後にして荷物から水着、タオル等を持って更衣室にある別館へと向かった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……のだが、途中の道端にウサ耳が生えていた。それを見た途中で出くわした箒は先に行ってしまった。にしても

 

「よし、ひっこ抜いてみよう」

 

ウサ耳に『引っ張ってください』とご丁寧に張り紙まで貼ってあるときた。それを一夏がひっこ抜こうとしている。だけどこの地面の下には何もないだろう、恐らくダミー。

 

「のわっ!?」

 

「やっぱりか…」

 

案の定、ウサ耳の下には何もなく、変わりにキィィィィンという音だけが聞こえる。さて、

 

「クロックアップ」

 

Clock Up

 

Clock Over

 

とりあえず一夏を少しウサ耳から離れさせる。すると謎の飛行物体こと___巨大な人参が地面に突き刺さった。

 

「に、にんじん……?」

 

一夏がそう声を漏らすのは普通の反応だろう。だけど俺はこれを何回も見たことがあるからわかる。

 

「ふぅ、どうしたんですか?束さん」

 

俺が人参に声をかけるとばかっと真っ二つに割れ人参から、不思議のアリスのような格好をした篠ノ之束さんが出てきた。

 

「あちゃー、やっぱりあっくんにはわかっちゃったかー。にしてもあっくん、さっきの高速移動なに!教えて教えて!」

 

「今度説明しますから、それよりも、お久しぶりです束さん」

 

「お、お久しぶりです、束さん」

 

一夏、混乱から復活。

 

「うんうん。おひさだね、いっくんあっくん。ところで、箒ちゃんはどこかな?さっきまで一緒だったよね?トイレ?」

 

「箒なら先に海に行ってると思いますよ。あと、これ返しますね」

 

俺が地面から生えていたウサ耳を渡すと束さんはそれを頭に装着。なんやかんやで似合っている気もする。

 

「ありがとあっくん。じゃあ二人とも、また後でね!」

 

すたたー!と走り去ってしまった。てかむちゃくちゃ速い。なんだろうね、織斑先生も束さんも人外急の運動神経を持っている。そこに痺れも憧れもしないが。

 

「…なあ亜久斗」

 

「なんだ一夏」

 

「お前、束さんと知り合いだったのか?」

 

「ああ、ちょっとね。まあそんなことよりも、早く海に行こうか」

 

ちなみにこの臨海学校では『ISの非限定空間における稼働試験』というのが主題であるため、各国から代表候補生宛に新型装備山ほど送られてくる。俺もだが。しかし一応部外者は参加できない決まりになっているため、装備だけが運ばれる場合が多い。

 

「あ、待ってくれよ!」

 

 

 

最後に、先程のクロックアップについてだが、新しく変身ドライバーに取り付けたもので変身時でなくてもそのライダーの能力が一部だけ使える用にしたのだ。

 






ちよっとグダグダかも知れませんね。

アンケートを実地しておりますのでコメントをお願い致します。

それではまた、次回で


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三十八話 海と水着と思い出の一枚

こんにちは、今回は方苦しい挨拶を抜きにして、

それでは本編スタート!


 

「あ、織斑君と夜霧君だ!」

 

「う、うそっ!わ、私の水着変じゃないよね!?大丈夫だよね!?」

 

「わ、わ~。体かっこい~。鍛えてるね~」

 

「織斑くーん、夜霧君も、後でビーチバレーしようよ~」

 

「おー、時間があればいいぜ」

 

「俺も後でなら構わないよ~」

 

さて、地面から生えたウサ耳(束さん)の乱を終えたあと、更衣室から出てきた女子数人と出会う。にしてもあれだな、全員が水着だから目のやり場に困る。ウラタロスが見たら十人くらいナンパをするだろう、改めて神の偉大さがわかった気もする。ありがとう、十八時間。

 

「あちちちっ」

 

隣を見ると、一夏が砂浜を裸足で踏みつけて熱がっていた。今は七月、太陽の光が砂浜を照らしつけていて熱いのは当たり前だと思う。ちなみに俺はサンダルを入っているから熱くもなんともない。あと、ベルトはつけたまま、防水加工?しているに決まっているだろう?

 

「亜久斗、準備運動するか?」

 

「当然、足をつって溺れたら格好つかないもんね」

 

「い、ち、か~~~っ!」

 

「のわっ!?」

 

二人で準備運動をしていると突然に鈴が一夏に飛び乗ってきた。来ている水着はスポーティーなタンキニタイプ。色はオレンジと白のストライプ。小柄な鈴にとてもマッチしていると思う。

 

「あんた、今失礼なこと考えてなかった?」

 

「いや別に?よく似合ってるなと思っただけ、ねぇ一夏?」

 

「おう、すっげえ似合ってるぞ、鈴」

 

「あ、当たり前じゃない!ほらほら、体操終わったんなら早く泳ぐわよ」

 

一夏の褒め言葉に照れている鈴。顔が赤くなっているが一夏は気づいていないだろう。哀れ、鈴。

 

「こらこら、お前も準備運動しろって。溺れてもしらねえぞ」

 

「あたしが溺れたことなんかないわよ。前世は人魚ね、たぶん」

 

恐らく前世は猫なんじゃない?ていうか準備運動はしなよ、中学で調子に乗って体操せずに深水して足がつってウニが刺さったやつがいたのを見たことがあるよ?マジで。

 

「おー高い高い。遠くまでよく見えていいわ。ちょっとした監視塔になれるわね、一夏」

 

「監視員じゃなくて監視塔かよ!」

 

「いいじゃん。人の役に立つじゃん」

 

「誰が乗るんだよ……」

 

「んー……あたし?」

 

「ナイスピース」

 

パシャリ

 

鈴が一夏に笑顔を向けたのでカメラで一枚、撮らせてもらった。ナイス、ツーショット。

 

「おいおい、何で写真撮ってるんだよ」

 

「まあまあ、いいじゃんいいじゃん。思い出のメモリとして脳内に刻んでおくだけじや勿体ないし」

 

「う~ん、それもそうか、でも撮るときは許可をとってからにしろよ」

 

「オーケーオーケー」

 

「亜久斗、後で写真ちょうだい」

 

「あっ、あっ、ああっ!?な、何をしてますの!?」

 

そう言ってやって来たのはセシリアだった。水着は鮮やかなブルーのビキニ。腰に巻かれたパレオは優雅さを引き立てていてモデルの様、この人には青が似合う。更に手にはビーチパラソルとシートとサンオイルを持っている。……一夏に塗ってもらう気が満々だね。なぜだろう、この臨海学校はみんなが積極的に見える。

 

「何って、肩車。あるいは移動監視塔ごっこ」

 

「ごっこかよ」

 

「そりゃそうでしょ。あたし、ライフセーバーの資格とか持ってないし」

 

「あ、俺心肺蘇生ならできるよ」

 

「わ、わたくしを無視しないでいただけます!?」

 

あ、セシリアを無視して喋ってしまった。これじゃあ無視された方は楽しくないわな。

 

「とにかく!鈴さんはそこから降りてください!」

 

「ヤダ」

 

「な、なにを子供みたいなことを言って……!」

 

ざくっ!とセシリアがパラソルを砂浜に刺した。うん、紛れもなくご立腹だね、こりゃ。

 

「なになに?なんか揉め事?」

 

「って、あー!鈴さんが織斑君に肩車してもらってる!」

 

「ええっ!いいなぁっ!いいなぁ~!」

 

「きっと交代制よ!」

 

「そして早い者勝ちよ!」

 

「だ、だったらあたしは夜霧君に!」

 

ああ、この騒ぎで女子たちがこっちに集まってきた。おまけに鈴が一夏に乗っているせいで肩車をしてもらおうと、俺も含めて。

 

「鈴、このままだと色々と誤解が広まるからさ、降りた方がいいよ絶対」

 

「ん。まあ、仕方ないわね。よっと」

 

すごいね、ひらりと手のひらで着地してそのまま前方返りで起立。鈴さん、君の前世は間違いなく猫だと思う。

 

「ところでセシリア、そのビーチパラソルとサンオイルは……」

 

「ああっ!そうでしたわ!一夏さん、さっそくサンオイルを塗ってください!」

 

「「「え!?」」」

 

ああ、これじゃあ二次災害が発生しちゃうよ全く。何故そこで大きな声を出すんだ。

 

「私サンオイル取ってくる!」

 

「私はシートを!」

 

「私はパラソルを!」

 

「じゃあ私はサンオイル落としてくる!」

 

最後のはいらないと思う。てかみんな速いな!?なにその行動力、ある意味で尊敬するわ。

 

「コホン。それでは、お願いしますわね」

 

そう言って、しゅるりとパレオを脱ぐセシリア。何故かその仕草は色っぽくて、とても気恥ずかしい。

 

「い、一夏。男の俺がここにいるのも不味いと思うし……じゃあな、また後で!」

 

「おおい!?」

 

俺はスタスタとその場を去る。いくらなんでも女子の半裸を見る分けにはいかない。あとは一夏に任せた。俺は少し離れた砂浜に行く。

 

「さて、と。……泳ぐか」

 

サンダルを脱ぎ、俺は海にカメラを持って潜る。辺りは一面、美しい蒼い世界が広がっていて地上から射す光がとても綺麗だ。

 

「(ナイスショット)」

 

パシャリ

 

本日二枚目、いい写真が撮れました。ん?あれは…鈴か?なんか溺れて…あ、一夏が助けた。ていうかサンオイルは終わったのか、なにごとも無かったと思いたい。取り合えず気になるのでついていく。

 

「おーい鈴、大丈夫か?やっぱ足がつって溺れた?」

 

「足はつってないわよ!お、溺れたのは一夏が……」

 

「ん?俺がどうした?」

 

「なんでもないわよ!」

 

「取り合えず、もう砂浜に着いたし降ろしてあげたら?鈴なんか恥ずかしくって顔真っ赤だし」

 

「よけいなこと言うんじゃないわよ!……ちょ、ちょっと向こうで休んでくるから……」

 

一夏が降ろすと鈴はさっさと別館の方へ向かって歩き出す。

 

「あ、亜久斗に一夏。ここにいたんだ」

 

「あ、シャル……と、誰?」

 

俺が振り向くとそこにはシャルとバスタオル数枚を全身に巻いて覆い隠している何かがいた。でもこの大きさからすると……

 

「もしかして……ラウラか?」

 

「うん、更衣室から出てからこの調子で…。ほーら、せっかく水着に着替えたんだから、亜久斗たちに見てもらわないと」

 

「ま、待て。私にも心の準備というものがあってだな……」

 

「もー。さっきからそればっかりじゃない。一応僕も手伝ったんだし、見る権利はあると思うんだけどなぁ」

 

にしてもこの二人、学年別トーナメントの一件から凄く仲が良くなっている。同じ部屋同士、何か通じ会うものでも会ったのだろう。

 

「ねえ、亜久斗もラウラの水着姿見たいでしょ?」

 

シャルはそう言うと俺にウインクをして来た。ああ、なるほど

 

「ああ、俺もラウラの水着姿、見てみたいな、でもバスタオルが取れないんじゃあ無理か、なら、シャルと一夏と俺だけで遊びに行こうかなぁ」

 

「~~~!ええい、脱げばいいのだろう、脱げば!」

 

バスタオルをかなぐり捨て、水着姿のラウラが現れる。黒の水着、レースをふんだんにあしらったもので露出度が高く、一見大人の下着のようにも見える。おまけにいつもの伸ばした髪ではなく、左右で一対のアップテールとなっていて、恥ずかしいのかもじもじと落ち着かなさそうにしている。何この可愛い生き物。

 

「わ、笑いたければ笑うがいい……!」

 

「おかしなところなんてないよね、二人とも?」

 

「お、おう。ちょっと驚いたけど、似合うと思うぞ。なあ亜久斗」

 

「ああ、すっごい可愛い。よく似合ってる」

 

「なっ……!」

 

あ、ラウラの顔が赤くなった。

 

「しゃ、社交辞令などいらん……」

 

「いや、本当に可愛いって、ねえ?」

 

「うん。僕も可愛いって褒めてるのに全然信じてくれないんだよ。あ、ちなみにラウラの髪は僕がセットしたの。せっかくだからおしゃれしなきゃってね」

 

「へえ、そうなんだ。にしてもシャル水着、よく似合ってるね」

 

「う、うん、ありがと。亜久斗も似合ってるよ」

 

それにしても二人ともよく水着が似合っている。可愛い金髪と銀髪の美女の水着姿。全日本男子が見たがる姿かもしれない。

 

「二人とも、一枚写真とっていい?」

 

「えっ、い、いいけど…あとでみんなでもとろうよ」

 

「オッケー。じゃあ二人とも、並んで」

 

ここで写真を撮らなきゃいけない気がするので撮らせてもらう。ちゃんと許可もとった、問題ない。

 

「はい、チーズ」

 

パシャリ

 

「うん、よく撮れた。じゃあ次はみんなで」

 

近くにあったテーブルにカメラをセットして四人で並ぶ。一夏、俺、ラウラシャルの順番で。

 

「「「ピース!」」」

 

「ピ、ピース……」

 

パシャリ

 

「ありがと、この写真、焼き増しして渡すからお楽しみに」

 

「うん、楽しみにしてるよ」

 

「おっりむらくーん!よーるきーりくーん!」

 

「さっきの約束!ビーチバレーしようよ!」

 

「オッケー!」

 

それからみんなでビーチバレーをやったり写真を撮ったりラウラが赤面して逃げたりして、楽しんだ。こんな楽しい平和が、大好きです。

ちなみに、砂浜で撮った写真の合計枚数、十二枚。二枚が一夏、五枚が景色、残り五枚がシャルやラウラ、みんなと一緒に撮った写真である。




なにげに文字数が多かったです、大変でした。

挿絵って難しいですね。挑戦しても全然上手く描けません。どうやったら顔を上手く描けるんだろう。ε=(・д・`*)

感想、評価等、待ってます。
アンケートを活動報告にて行っているので、コメントが欲しいです。


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三十九話 女子一同の、気持ち

どうも、こんにちは。アンケートへのコメントが来るたびに喜びと達成感を感じます。滝温泉こと、いずみです。

変身させるオリキャラの名前が厨ニっぽくなってしまい、絶賛苦戦中です。ヘルプミー。

それでは本編スタート


自由時間が過ぎ、現在PM七時半。大広間三つを繋げた大宴会場で、食事を取っている。

 

ちなみに、全員が浴衣を着ている。『お食事中は浴衣着用』というのがこの旅館の決まりらしい。俺もここではベルトを外して部屋に置いてきた。

 

ずらりと並んだ一学年の生徒は座敷なので当然正座、そして一人一人に膳が置かれている。まあ、このIS学園には日本人のみならず世界各国からの生徒が来ているわけで____

 

「大丈夫か?セシリア。顔色良くないぞ」

 

「だ……ぃ…ょう、ぶ……ですわ…」

 

こういう、正座に慣れていない生徒がいる。隣に座っている一夏に心配されているのはセシリア。普段洋食を取って過ごしている西洋の人にとって和食、ましてや正座はかなりの苦労がいるだろう。

 

そのことを考慮して、正座ができない生徒は隣の部屋にあるテーブル席を利用して食べることができる。だが、セシリアはテーブル席ではなく正座で一夏の隣に座っている。

 

「セシリア、正座が無理ならテーブル席の方に移動したらどうだ?うちのクラスでも何人か行ってるし、別に恥ずかしくないだろ」

 

「へ、平気ですわ……。この席を獲得するのにかかった労力に比べれば、このくらい……」

 

うん、さっさとテーブル席に行ってきた方がいい。というか行け、こっちが気になってしょうがない。

 

俺が座っているのは一夏の隣で俺の隣にはシャルが座っている。そして___

 

「っ~~~~~!!」

 

こっちはこっちで何をしているんだ。ワサビを生でそれも一口サイズのを口に入れて鼻を押さえて涙目になっているシャル。ワサビの食べ方が違う。

 

「ふ、風味があって、いいね……。お、おいしい……よ?」

 

「うん、でもね、ワサビは本来浸けて食べる物なんだ。ほら、お茶飲んで口を濯いで」

 

「う、うん…ありがとぉ……」

 

俺からお茶を受け取って飲む。楽な顔になって来たのでもう大丈夫だろう。

 

「ほら、ワサビはこうやって刺身につけて…。はい、うまいぞ」

 

「へ?」

 

「ほら、あーん」

 

「!?あ、あーん////」

 

俺がワサビを浸けた刺身をシャルに食べさせようとするとシャルは顔を赤くしながら食べてくれた。

 

「な?おいしいだろ?」

 

「う、うん…とっても…/////」

 

「あああーっ!シャルロットずるい!夜霧君に食べさせてもらってる!」

 

「セシリアも織斑君に食べさせてもらってる!卑怯者!」

 

「ず、ずるくありませんわ。席が隣の特権です」

 

「織斑君!私も私も!」

 

「じゃあ私は夜霧君に!」

 

俺がシャルに食べさせたのが不満だったのか、みんなもしてほしいと口を開く。っていうか一夏もセシリアにしてたのか。鈴はテーブル席に行ってるからいいとして箒は……怒ってるね、うん。一夏を睨みつけているね、嫉妬ですよねわかります。

 

「じゃあ、あー「あ、亜久斗っ!」」

 

騒ぎを止めるために食べさせてあげようとするとシャルに怒られてしまった。だがなシャル、早くこの騒ぎを止めないと___

 

「お前たちは静かに食事をすることができんのか」

 

こうなる。織斑先生が騒ぎを止めに来る。

 

「お、織斑先生……」

 

個人的には貞子かターミネーターを流したい。デデンデンデデン!ってね。

 

「どうにも、体力があり余っているようだな。よかろう。それでは今から砂浜をランニングしてこい。距離は……そうだな。五十キロもあれば十分だろう」

 

「いえいえいえ!とんでもないです!大人しく食事をします!」

 

各人そう言って自分の席に戻って行く。にしても五十キロか……この人なら出来そうだね。さすがは人外。

 

ズビシッ!

 

「夜霧、織斑、あまり騒動を起こすな。静めるのが面倒だ。それと今やられた理由はわかっているだろう?」

 

「は、はい……」

 

「わ、わかりました」

 

「だ、大丈夫?音が響いてたけど……」

 

「だ、大丈夫。それよりも食事を先に取ろう」

 

「う、うん……」

 

おーいて、相変わらず威力が半端ないね。にしても織斑先生は読心術の心得でもあるのか。

 

 

 

 

 

 

時は過ぎ、一夏と俺は食後に温泉、露天風呂に二人きりで使っていた。いや、風呂に入っているから浸かっている、が正しいのだろうか?…どうでもいいや。

 

 

※ここから少しの間、音声のみでお送りいたします。

 

「はぁ~。やっぱ風呂はいいなぁ~」

 

「どうした急に。おっさんみたいだぞ一夏」

 

「うるせ、いやぁIS学園でも最近までシャワーしか使えなかったからな。風呂の良さが染みるぜ」

 

「ああぁ確かに、気持ちはよく分かる。特に何も気にせずに風呂に入って休むなんてこと、中々出来ないもんな」

 

「おまけに海を一望できる露天風呂、最高だよな」

 

「あ~、いい湯だねぇ~」

 

「「最高」」

 

 

「さて、風呂にも入ったし、部屋へ戻るか」

 

「あ、こっち向いてー」

 

「ん?」

 

パシャリ

 

「ナイスショット」

 

「またかよ…。今日来て何回目だよ」

 

「特別行事の間はカメラで写真を撮るのが俺のポリシー」

 

「知らねえよ。俺は先に部屋に戻るぞ」

 

「ああ、俺はちょっと夜の浜辺を撮ってから戻る」

 

「はいはい、後で見せてくれよ」

 

「オッケー」

 

 

「いやぁ~絶景だった。やっぱ、楽しいって最高だよねぇ………ん?」

 

俺が浜辺で何枚か写真を撮って部屋に戻ると、ドアに少数の人だかりが、箒と鈴、シャルにラウラだった。

 

「……何してんの?顔真っ赤にしながら……」

 

「あっ!亜久斗……!」

 

「ほら、中に入りたいんだったら早く入ればいいじゃん」

 

俺がドアを開けるとそこには織斑先生と一夏とセシリア。一夏の手の位置やセシリアの体制から見て……マッサージでもしていたのだろうか?

 

「一夏、マッサージはもういいだろう。ほれ、全員好きなところに座れ」

 

あ、やっぱりマッサージだった。ちょいちょいと手招きをされて言われた通りに五人で座った。

 

「ふー。さすがにふたり連続ですると汗かくな」

 

「手を抜かないからだ。すこしは要領よくやればいい」

 

「いや、そりゃせっかく時間を割いてくれてる相手に失礼だって」

 

「愚直だな」

 

「織斑先生ったら。たまには正直に褒めてやっても___はい、すいません。調子こいてました、だからその振り上げた手を降ろしてください」

 

「は、はは……はぁ」

 

「ま、まあ、あたしはわかってたけどね」

 

「「…………」」

 

「おーい、お前らは一体何を想像したんだ、戻ってこーい」

 

シャルとラウラは真っ赤になってうつむいて、反応がない。おーい。

 

「まあ、お前はもう一度風呂にでも行ってこい、夜霧はベルトを取ってこい」

 

「ん、そうする。……くつろいでいってくれ。って難しいかもしれないけど」

 

「はいはいっと。全く……あ、風呂場に忘れた、取ってきまーす」

 

「早くしろよ三分以内だ」

 

「カップラーメンができるよりも早く!?行ってきまーす!」

 

亜久斗と一夏が部屋を出ていくと、どうしたらいいのかわからない女子が五人、言われたまま座ったところで止まっている。

 

「おいおい、葬式か通夜か?いつものバカ騒ぎはどうした」

 

「い、いえ、その……」

 

「お、織斑先生とこうして話すのは、ええと……」

 

「は、はじめてですし……」

 

「まったく、しょうがないな。私が飲み物を奢ってやろう。篠ノ之、何がいい?」

 

いきなり名前を呼ばれて、箒はびくっと肩をすくませ、言葉が出てこずに、困ってしまった。

 

そうこうしていると千冬は旅館の備え付けの冷蔵庫を開け、中から清涼飲料水を五人文取り出していく。

 

「ほれ。ラムネとオレンジとスポーツドリンクにコーヒー、紅茶だ。それぞれ他のがいいやつは各人で交換しろ」

 

そうは言われたものの、受け取った全員が渡されたもので満足だったために交換は行われなかった。

 

「い、いただきます」

 

全員が同じ言葉を口にして、次に飲み物を口にする。そして女子の喉がごくりと動いたのを見て、千冬はニヤリと笑った。

 

「飲んだな?」

 

「は、はい?」

 

「そ、そりゃ、飲みましたけど……」

 

「な、何か入っていましたの!?」

 

「失礼なことを言うなバカめ。なに、ちょっとした口封じだ」

 

そこでドアが勢いよく開かれ、亜久斗がウィザードドライバーを持って入ってきた。かかった時間は二分二十三秒、お疲れ様です。

 

「お、織斑先生……取ってきました、よ…」

 

「おう、ご苦労。早速出してくれ」

 

「はいはい、………本当に人使いが荒いんだから……」コネクトプリーズ

 

亜久斗は織斑先生に言われてコネクトリングを使ってキンキンに冷えた缶ビールを数本、つまみも取り出す。

 

「全く、明日は早いんですから程ほどにしておいてくださいよ。はぁ…」

 

「わかったわかった。お前も走って汗をかいただろう。風呂に入ってこい」

 

「誰の性ですか誰の…。行ってきまーす」

 

再び亜久斗はトビラを閉めて出ていく。不憫だ。

 

「…………」

 

全員が唖然としている中、千冬はプシュッ!と景気のいい音を立ててゴクゴクと喉を鳴らしながら飲むと、上機嫌でベットに腰かけた。

 

「ふむ、つまみまでは頼んでないんだが、気がきくじゃないか…」

 

いつもの凛とした姿はどこえやら、全面厳戒態勢の『織斑千冬』と目の前の人物とが一致せず、女子全員がぽかんとしている。特にラウラは、さっきから何度も何度もまばたきをして、目の前の光景が信じられないかのようだった。

 

「おかしな顔をするなよ。私だって人間だ。酒くらいは飲むさ。それとも、私は作業オイルを飲む物体に見えるか?」

 

「い、いえ、そういうわけでは……」

 

「ないですけど……」

 

「でもその、今は……」

 

「仕事中なんじゃ……?」

 

「堅いことを言うな。それに、口止め料はもう払ったぞ」

 

「あっ」

 

「さて、前座はこのくらいでいいだろう。そろそろ肝心の話をするか」

 

そう言いながら二本目のビールをラウラに言って取らせ、また景気のいい音を響かせて千冬が続ける。

 

「お前ら、あいつらのどこがいいんだ?」

 

あいつら、とは言っているがこの学園には男子生徒は二人しかいない。____一夏と、亜久斗だ。

 

「わ、私は別に……以前より腕が落ちているのが腹立たしいだけですので」

 

「あたしは、腐れ縁なだけだし……」

 

「わ、わたくしはクラス代表としてしっかりしてほしいだけです」

 

全員ツンデレなのか、肯定をしない。

 

「ふむ、そうか。ではそう一夏に伝えておこう」

 

「「「言わなくていいです!」」」

 

「はっはっはっ。で?お前たちはどうだ?見たところ、夜霧に気があるのだろう?ん?」

 

この人、酒を飲んでいる性か、態度がいつもと違う、これではうざったいおっさんのようだ。

 

「僕は……優しいところ、です…」

 

「ほう。しかし、あいつは誰にでも優しいぞ」

 

「そ、そうですね……。そこがちょっと、悔しいかなぁ。でも、そういうところが亜久斗の良いところで……」

 

照れ臭そうに、熱くなった頬をぱたぱたと扇ぐシャルロット。その様子がうらやましいのかくやしいのか、前述三名はじーっと黙ってシャルロットを見つめている。

 

「で、お前は?」

 

「わ、私は…強いところで…しょうか…」

 

「ふむ、確かにあいつは強いな。お前が思う以上はな」

 

千冬は三本目のビール手に取る。

 

「まあ、強い弱いは別にしてだ。あいつらは役に立つぞ。織斑は家事も料理も中々だし、マッサージだってうまい。夜霧は現社長だし身体頭脳ともに優秀、玉の輿だな」

 

「というわけで、付き合える女は得だな。どうだ、欲しいか?」

 

「く、くれるんですか!?」

 

「やるかバカ」

 

ええ~……と心の中で突っ込む女子一同。

 

「女ならな、奪うくらいの気持ちで行かなくてどうする。自分を磨けよ、ガキども」

 

三本目のビールを飲み干した千冬は、実に楽しそうな表情でそう言った。

 

 

 

 




ウィザードライバーってなにげに一番実用性が高いですよね…。あったらほしい。

現在アンケートを行っています。意見がある読者の方は書き込みをお願い致します。(m_ _m)
感想、評価、お待ちしてます。


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四十話 臨海学校波乱へ突入。

こんにちは、周りはクリスマスで賑やかなのに対し、一人で過ごすことを前提に冬の予定を建てている滝温泉こと、いずみです。

最近感想が少ないことの理由を友達に相談してみたところ、『書くことがないから仕方ないだろ(笑)』の一言。解せぬ。その通りだが。

まあそんなことは置いといて
それでは本編スタート!


 

 

臨海学校および合宿2日目。初日の自由時間も終わり今日は一日中ISの各種装備試験運用とデータ取りに終われる。専用機持ちは試験云々として大量に装備が贈られてくるから大変だ。

 

だが俺は違う。元々俺のIS仮面ライダーは軽装備の武器庫と言った感じで拡張領域を広めに設定して造ってあり、全て埋まっているため入れ換える、もしくは二次移行しなければ他の装備を使うこともないから楽なのだ。取りに行く必要がない。

 

今、全員がIS試験用のビーチで、四方を切り立った崖に囲まれている。集合時間から五分後、遅刻した者含めて全員が集まっだ訳だが____

 

「ようやく集まったか。_____おい、遅刻者」

 

「は、はいっ」

 

____その遅刻したのがラウラだった。にしても珍しい、ラウラはいつもなら早目に来ている筈なのだが、寝坊してきたのだ。やっぱり完璧な人間などいないのだ、織斑先生が家事スキルゼロで生徒にビールを私物化して持ってこさせるズボ______!

 

「……ボーデヴィッヒ、ISのコア・ネットワークについて説明してみろ」

 

「は、はい。ISのコアはそれぞれが相互情報交換のためのデータ通信ネットワークを持っています。これは元々広大な宇宙空間における相互情報交換のために設けられたもので____」

 

痛たた……。くそぅ何故織斑先生は俺の思考が解るんだ、つくづく人外との差を感じさせら……これ以上は考えないようにしよう。またダメージを喰らう訳にはいかない。

 

「さて、各班ごとに振り分けられたISの装備試験を行うように。専用機持ちは専用パーツのテストだ。全員、迅速に行え」

 

はーい、と一同が返事をする。ちなみに、最初に俺には取りに行く必要がないと言ったが何もしない訳ではない。俺は今日のうちに仮面ライダーの種類を変更、入れ換えを行わなければならない。イマジンたちが来たため、家の警備兵変わりに電王に変身できるようにドライバーを一人ずつ渡してある。そのため俺の機体にある電王は消え、別のライダーを補充しなければならない。

 

「ああ、篠ノ之。お前はちょっとこっちに来い」

 

「はい」

 

打鉄用の装備を運んでいた箒は織斑先生に呼ばれてそちらへ向かう。

 

「お前には今日から専用_______」

 

「ちーちゃ~~~~~~ん!!」

 

「……束」

 

物凄い速さでこちらに走ってきた人影、もとい篠ノ之束さんが堂々と臨海学校に乱入。さすが束さん!俺たちに出来ないことを平然とやってのける!でも痺れも憧れもしない、本当だよ、いくら楽しそうなことになろうとも、この人数に突っ込めるほどの実力じゃないよ俺は。

 

「やあやあ!会いたかったよ、ちーちゃん!さあハグハグしよう!愛を確かめ合おう!」

 

ダイビング宜しく飛びかかる束さんを織斑先生は片手で掴んで動きを止めた。それは見事なアイアンクローとなり顔面に指が食い込んでいる。

 

「うるさいぞ、束」

 

「ぐぬぬぬ……相変わらず容赦のないアイアンクローだねっ」

 

その容赦のないアイアンクローから抜け出すことの出来るあんたはもっと凄いと思う。この人も人外だということが改めて認識させられる。

 

「やあ!」

 

「……どうも」

 

拘束から抜け出すと束さんは、よっ、と着地をして今度は箒の方を向いた。

 

「えへへ、久しぶりだね。こうして会うのは何年ぶりかなぁ。おっきくなったね箒ちゃん。特におっぱいが____」

 

「殴りますよ」

 

「な、殴ってから言ったぁ……。し、しかも日本刀の鞘て叩いた!ひどい!箒ちゃんひどい!」

 

確かにひどいが、実の妹にセクハラ発言をするのもどうかと……。

 

「え、えっと、この合宿では関係者以外_____」

 

「んん?珍妙奇天烈なことを言うね。ISの関係者というなら、一番はこの私をおいて他にいないよ」

 

「えっ、あっ、はいっ。そ、そうですね……」

 

ドンマイ山田先生。

 

「おい束。自己紹介くらいしろ。うちの生徒たちが困っている」

 

「えー、めんどくさいなぁ。私が天才の束さんだよ、はろー。終わり」

 

その自己紹介はどうだろうか。まあ、みんなやっとこの人がISの開発者、篠のノ之束さんだということに気づいたようだ。

 

「はぁ……。もう少しまともにできんのか、お前は。そら一年、手が止まっているぞ。こいつのことは無視してテストを続けろ」

 

「こいつはひどいなぁ、らぶりぃ束さんと呼んでいいよ?」

 

「うるさい、黙れ」

 

織斑先生、ストレートすぎです。もっとオブラートに包んで言いましょうよ……。

 

「あの、それで、頼んでおいたものは……?」

 

ふたりのやりとりを前に、ややためらいがちで箒がそう尋ねるとそれを聞いた束さんの目がキラーン☆と光った。

 

「ふっふっふっ。それはすでに準備済みだよ。さあ、大空をご覧あれ!」

 

その瞬間、いきなり激しい衝撃を伴って、銀色の金属の塊が砂浜に落下してきた。

 

そして次の瞬間正面らしき壁がばたりと倒れてその中身が姿を現す。

 

「じゃじゃーん!これぞ箒ちゃん専用機こと『紅椿(あかつばき)』!全スペックが現行ISを上回る束さんお手製ISだよ!」

 

真紅の装甲に身を包んだその機体『紅椿』は束さんの言葉に応えるかのように動作アームによって外にでてくる。

 

というか現行最高のISなんか造ったらやばくない?世界混乱するよ?今だ頑張って第二世代を造ってる会社にとっちゃ号泣もんだよ?

 

「さあ!箒ちゃん、今からフィッティングとパーソナライズをはじめようか!私が補佐するからすぐに終わるよん♪」

 

「……それでは、頼みます」

 

「堅いよ~。実の姉妹なんだし、こうもっとキャッチーな呼び方で____」

 

「はやく、はじめましょう」

 

「ん~。まあ、そうだね。じゃあはじめようか」

 

束さんがリモコンを操作すると刹那、紅椿の装甲が割れて、操縦者を受け入れる状態になり、自動的に膝を落として乗り込みやすい姿勢にと変わる。

 

「束さん、俺もちょっと見たいんですけど、いいですか?」

 

「おお、あっくん!いいよいいよ。さあ、束さんの膝を貸してあげ「では後ろから見させてもらいます」ぶ~あっくんのいけず~」

 

いけず~じゃあない。

 

「箒ちゃんのデータはある程度先行してあるから、あとは最新データに更新するだけだね。さて、ぴ、ぽ、ぱ♪」

 

コンソールを開いて指を滑らせる束さん。空中投影のディスプレイを六枚呼び出した空中投影のキーボードを叩いて……ん?気のせいか。

 

「近接戦闘を基礎に万能型に調整してあるから、すぐに馴染むと思うよ。あとは自動支援装備もつけておいたからね!お姉ちゃんが!」

 

「それは、どうも」

 

お姉ちゃんが、の部分を強調する束さん、箒と仲を戻したいのにそれを箒が避けてるから無意味となってしまってるんだよなぁ……。

 

「あの専用機って篠ノ之さんがもらえるの……?身内ってだけで」

 

「だよねぇ。なんかずるいよねぇ」

 

みんなの気持ちも解る。確かにずるい気もするが…

 

「おやおや、歴史の勉強をしたことがないのかな?有史以来、世界が平等であったことなど一度もないよ」

 

この人がそんなことを気にすることもない。ピンポイントに指摘を受けた女子は気まずそうに作業に戻る。……俺も早く作業をしよう。

 

 

 

 

 

 

「ねえあっくん、あっくんの機体も見せてもらっていい?いっくん同様、束さんは興味津々なのだよ」

 

そして数分がたち、俺もライダーのインストロールが終わったところで束さんが話しかけてきた。

 

「別にいいですけど…。ひとつ、聞いていいですか?」

 

「なになに?あっくんからの質問なら束さん、ばっちし答えちゃうよ!」

 

「じゃあ質問です。……なぜ、紅椿にあのシステムが登載されているんですか?」

 

「ん~。前にあっくんにデータを見せてもらったときにちょっと拝借しちゃった!」

 

「………」

 

「え、ちょ、待ってあっくんまでアイアンクローをするのは…いたいいたい!本気でやってるでしょ!」

 

束さんは俺からのアイアンクローから抜け出す。だが今はこっちの話しが最優先事項だ。

 

「でもいいでしょ?あれは普通は使えない(・・・・・)ものなんだから」

 

「……俺は束さんに渡すつもりはありませんよ」

 

「うん、別にいいよ。貰うのは箒ちゃんたちだもん。あとあっくん、あっちがなんか騒がしいね」

 

俺が束さんの指した方を見ると、織斑先生と山田先生がジェスチャーで会話をしていた。だが使われているのは一般的なものではなく、軍などで使われているものだった。

 

「そ、そ、それでは、私は他の先生たちにも連絡してきますのでっ」

 

「了解した。_____全員、注目!」

 

山田先生が走り去った後、織斑先生はパンパンと手を叩いて生徒全員を振り向かせる。

 

「現時刻よりIS学園教員は特種任務行動へと移る。今日のテスト稼働は中止。各班ISを片付けて旅館に戻れ。連絡があるまで各自室内待機すること。以上だ」

 

「え……?」

 

「ちゅ、中止?なんで?特種任務行動って……」

 

「状況がわかんないんだけど……」

 

突然の事態に女子一同はざわざわと騒がしくなる。

 

「とっとと戻れ!以後、許可無く室外に出たものは我々で身柄を拘束する!破ったら反省文だけでは済まないと思え、いいな!」

 

「「「は、はいっ」」」

 

全員が織斑先生の声の一喝で慌てて動きはじめる。

 

「束さん。勝手に世界に公表なんかしたら、俺はあなたを一生許しませんからね……」

 

俺はそれだけ言うと束さんの元から去り、みんなの元へと戻る。

 

「専用機持ちは全員集合しろ!夜霧、織斑、オルコット、デュノア、ボーデヴィッヒ、凰!____それと、篠ノ之も来い」

 

「はい!」

 

専用機持ち全員が織斑先生に付いていく、その途中で俺の携帯が鳴った。

 

「…もしもし。……なに!?それで被害は……そうか、なら藤堂とルギーザを警備へ配置してくれ、そこに……ああ、任せた」

 

そう言って携帯を閉じた俺は、不安に駆られていた。

 

「無事に終わるといいな……。臨海学校も、この騒動も……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先程までISの各種装備試験が行われていたビーチで、篠ノ之束は独りでいた。

 

「あっくん…私は、あっくんの味方だよ…だから……」

 

独りで呟く彼女の表情は哀しみを浮かべていた………。




いろいろ伏線を張ってみました。これからも頑張っていきます。

登場希望仮面ライダーがいるかたは、活動報告アンケート2にてコメントをお待ちしております。読者の皆様の希望には出来るだけ答えるつもりでいます。


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四十一話 銀の福音

 

「では、現状を説明する」

 

あの後、織斑先生に呼ばれた俺たち専用機持ちは旅館の宴会用の大座敷・風花の間に集められた。照明を落とした室内には大型の空中投影ディスプレイが浮かんでいる。

 

「二時間前、ハワイ沖で試験稼働にあったアメリカ・イスラエル共同開発の第三世代型の軍用IS『銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)』が制御下を離れて暴走。監視空域より離脱したとの連絡があった。以下、この機体のことを福音と呼ぶ」

 

一夏と箒を除く全員が真剣な顔つきになる。「軍用ISの暴走」下手をしてもし町や人の多い場所で起これば多大な被害とともに多くの死者を出すことになる。俺やメグ姉、代表候補生などはこういった事態のために訓練を受けている。だからそういった経験の無い一夏と箒はこの場には不釣り合いな気もするが。

 

「その後、衛星による追跡の結果、福音はここから二キロ先の空域を通過することかわかった。時間にして五十分後。学園上層部からの通達により、我々がこの事態に対処こととなった」

 

「教員は学園の訓練機を使用して空域及び海域の封鎖を行う。よって、本作戦の要は専用機持ちに担当してもらう」

 

この場にいる専用機持ちは七人、一体の軍用ISを七人だけで対処することになる。

 

「それでは作戦会議を始める。意見があるものは挙手するように」

 

「はい」

 

早速、手を挙げたのはセシリアだった。

 

「目標ISの詳細なスペックデータを要求します」

 

「わかった。ただし、これらは二ヵ国の最重要軍事機密だ。けして口外はするな。情報が漏洩(ろうえい)した場合、諸君には査問委員会による裁判と最低二年の監視がつけられる。いいな」

 

「了解しました」

 

にしても今回の福音の暴走、ただの事故なのか?それに重なったうちの事件、偶然なのか?思考、考察が頭の中を駆け巡り、疑いが生まれる。いや、こんなことを考えるのはよそう。今は目の前のことが最優先事項だ。

 

考えを止めた俺は開示されたデータを覗き、専用機持ちのみんなと相談をする。

 

「広域殲滅を目的とした特殊射撃型……わたくしのISと同じく、オールレンジ攻撃を行えるようですわね」

 

「攻撃と機動の両方を特化した機体ね。厄介だわ。しかも、スペック上ではあたしの『甲龍』を上回ってるから、向こうの方が有利……」

 

「この特殊武装が曲者って感じはするね。ちょうど本国からリヴァイヴ用の防御パッケージが来てるけど、連続しての防御は難しい気がするよ」

 

「なら、当てるのは機動力重視、もしくは攻撃に特化したタイプ、だけど危険性を考えたらオールレンジ型がいいかもな、でも……」

 

「しかし、このデータでは格闘性能が未知数だ。持っているスキルもわからん。考慮しても危険を回避するには材料が薄い。偵察は行えないのですか?」

 

「無理だな。この機体は現在も超音速飛行を続けている。最高速度は自足二四五○キロを超えるとある。アプローチは一回が限界だろう」

 

「一回限りのチャンス……ということはやはり、一撃必殺の攻撃力を持った機体で当たるしかありませんね」

 

その言葉で、全員が一夏の方を見る。

 

「え………?」

 

「一夏、あんたの零落白夜で落とすのよ」

 

「それしかありませんわね。ただ、問題は____」

 

「どうやって一夏をそこに運ぶか、だね。エネルギーは全部攻撃に使わないと難しいだろうから、移動をどうするか……」

 

「しかも目標に追いつける速度が出せるISでなければいけないな。学年別トーナメント時の亜久斗の機体ならいけると思うが……」

 

「それは多分無理だと思うな、クロックアップは永遠に高速で動けるわけじゃないから、運び続けるのは無理だと思う。うちの製品に音速を超える物は造ってないし…」

 

「ちょっ、ちょっと待ってくれ!俺が行くのは行くのは決定事項なのか!?」

 

「「「「「当然」」」」」

 

俺たちの声が見事に重なった。

 

「織斑、これは訓練ではない。実戦だ。もし覚悟がないなら、無理強いはしない」

 

「……やります。俺が、やってみせます」

 

織斑先生の言葉で一夏が決心を決めた顔つきになる。

 

「よし。作戦の具体的な内容に入る。現在、この専用機持ちの中で最高速度が出せる機体はどれだ?」

 

「それなら、わたくしのブルーティアーズが。ちょうどイギリスから強襲用高機動パッケージ『ストライク・ガンナー』が送られて来ていますし、超高感度ハイパーセンサーもついています。亜久斗さんのISの音速機動が続かないのなら、多少は遅いですが安全だと思います」

 

確かにカブトのクロックアップは制限時間、つまり長続きはせず、再び使用するのに時間がかかる。Dファイズを使用するとしても10秒。アクセルトライアルが使用できたとしても同じことだろう。ならばここはオルコットの方が適任だ。

 

「ふむ、オルコット、超音速下での戦闘訓練時間は?」

 

「二十時間です」

 

「ふむ、それならば適任「待った待ーった。その作戦はちょっと待ったなんだよ~!」……山田先生、室外への強制退去を」

 

織斑先生が了承する前に、言葉を遮った束さんが天井から顔を出していた。……嫌な予感しかしない。

 

「ちーちゃん、ちーちゃん。ここは断・然!紅椿の出番なんだよっ!」

 

「なに?」

 

「紅椿のスペックデータ見てみて!パッケージなんかなくても超高速機動ができるんだよ!」

 

数枚のディスプレイが織斑先生を囲むようにして現れる。

 

「紅椿の展開装甲を調整して、ほいほいほいっと。ホラ!これでスピードはばっちり!」

 

ん?展開装甲?

 

「おや、みんなわからないような顔をしているね?展開装甲というのはだね、この天才束さんが作った第四世代型ISの装備なんだよー」

 

……は?

 

「第四世代ってのは『パッケージ換装を必要としない万能機』という、現在絶賛机上の空論中のもの、具体的には白式の«雪片弍型»に使用されてまーす。」

 

「「「え!?」」」

 

「それで、うまくいったのでなんとなんと紅椿は全身のアーマーを展開装甲にしてありまーす。システム稼働時にはスペックデータはさらに倍プッシュだ★」

 

「ちなみに紅椿の展開装甲はより発展したタイプだから、攻撃・防御・機動と用途に応じて切り替えが可能。これぞ第四世代型の目標である即時万能対応機(リアルタイム・マルチロール・アクトレス)ってやつだね。束さん、箒ちゃんのために頑張り過ぎちゃったよ。ぶいぶい」

 

しーん。と場の一同は静まりかえって言葉もない。

 

「はにゃ?あれ?何でみんなお通夜みたいな顔してるの?誰か死んだ?変なの」

 

状況のわからない方に説明しよう。今この瞬間、第四世代型が造りだされたことにより、各国が多額の資金と膨大な時間、優秀な人材の全てをつぎ込んで競っている第三世代型ISの開発が無意味となってしまいました。……うちの会社、ISメインじゃなくてよかった。父さんたちには内緒にしておこう。

 

「束、言ったはずだぞ。やりすぎるな、と」

 

「そうだっけ?えへへ、ついつい熱中しちゃったんだよ~。って待ってちーちゃん!その振り上げた出席簿は___グエッ!」

 

今、束さんが女が出してはいけないような声をあげて叩かれました。そしてそれをスルーして織斑先生が話す。

 

「話を戻すぞ。……束、紅椿の調整にはどのくらいの時間がかかる?」

 

「なっ!?」

 

「お、織斑先生!?」

 

驚いた声をあげたのは俺とセシリアだった。

 

「織斑先生、俺は反対です!代表候補生のセシリアならともかく、経験の浅い箒と一夏だけで実行せるのは危険です!」

 

「そ、そうですわ!それにわたくしのブルー・ティアーズなら必ず成功してみせますわ!」

 

「そのパッケージは量子変換してあるのか?」

 

「そ、それは……まだですが……」

 

「ちなみに紅椿の調整時間は七分あれば余裕だね★」

 

量子変換には時間がかかる。だが紅椿の調整には時間がかからないという正攻法で痛いところを突かれてしまった俺はやるせない気持ちになっていた。

 

「よし。では本作戦では織斑、篠ノ之の両名による目標の追跡及び撃墜を目的とする。作戦開始は三十分後。各員、ただちに準備にかかれ」

 

ぱん、と織斑先生が手を叩く。それを川切りに教師陣はバックアップに必要な機材の設営を始めた。

 

 

 

 

 

 

「一夏、箒」

 

作戦決行時、俺は砂浜に並び立つ一夏と箒の元へ向かった。二人とも既にISを展開させ準備を済ませている。

 

「どうしたんだ亜久斗、他の専用機持ちは待機中の筈だろ?」

 

「いや、ちょっとした用件でな。これをつけておいてくれ」

 

俺は一夏と箒の機体の腕部に機械型のリストバンドを取り付ける。

 

「なんだこれは?」

 

「これは一種の通信機だ。俺の持っているもうひとつの通信機とならアメリカから日本までの距離でもいつでも通信ができる。緊急時のときなどに使ってくれ」

 

「まったく、何を心配しているんだ。私と一夏が力を合わせれば出来ないことなどない。そうだろう?」

 

「ああ、そうだな。でも箒、先生たちも言っていたけどこれは訓練じゃないんだ。実戦では何が起こるかわからない。そのための通信機なんだろうし、十分に注意をして____」

 

「無論、わかっているさ。ふふ、どうした?怖いのか?」

 

「そうじゃねえって。あのな、箒___」

 

「ははっ、心配するな。お前はちゃんと私が運んでやる。大船に乗ったつもりでいればいいさ」

 

「………」

 

ダメだこいつ。専用機を手に入れて浮かれてやがる。大丈夫かよ……。

 

「とにかく、織斑先生から伝言。『今回の作戦の要は一撃必殺(ワンアプローチ・ワンダウン)だ。短時間での決着をつけろ』それと箒は『実戦経験が皆無だからあまり無理はするな』だ。

わかった?」

 

「ああ、任せておけ」

 

……………。

 

「一夏」

 

「ん?」

 

「箒は今浮かれている。もしかしたらなにかをし損じるかもしれない。いざと言うときはサポートしてやれ」

 

「わかった。意識しておく」

 

「あと、箒」

 

「なんだ?」

 

「……いや、やっぱりいい」

 

それだけ聞くと俺は二人から少し距離をとる。

 

「よし、だったらオーケーだ。それでは、作戦開始!」

 

その言葉と同時に箒が一夏を背に乗せ、飛んでいった。

 

「……無事に、終わってくれよ………」

 

俺は、いいようの無い不安でいっぱいで思わず呟いた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……それから約数十分後、箒からの連絡が入り、作戦は失敗。一夏が負傷、そして各自現状待機が言い渡させれたのだった。

 

 





こんにちは、滝温泉こといずみです。
次話かその次辺りで専用機持ちにライダーを使わせるか決めようかと考えています。賛成か反対か、または変身させたいライダーを教えてくれるとありがたいです。できれば誰がどの仮面ライダーになるのかとか。


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四十二話 VS銀の福音

どうも、12月24日今年もやってきましたクリスマス!私は一人で小説書いてますけどね(笑)
やっぱりクリスマス特別話って書いた方がいいんですかね?どうでしょうね?

まあそんなことよりもメリークリスマス!そして本編スタート!





 

 

「___クソッ!」

 

作戦失敗から約二時間後、亜久斗は自室の壁に背を預け拳を強く握っていた。

 

「(俺はあのとき、どうすればよかったんだ?仲間の危険を考慮するのなら世界に流出してでも力を貸すべきだったのか……?)」

 

「(あのときの俺は、この任務が失敗するとわかっていた……。なのに、友達よりも自分の危険を守る方が大事だとでも思っていたのかよ。その結果がこれじゃねえか!)」

 

亜久斗の拳は己への嫌悪感と自分の選択肢の怒りを表すかのように強く、強く握りしめられ色は白く、失っていた。

 

現在ISの操縦者絶対防御、その致命領域対応によって一夏は昏睡状態になっている。全てのエネルギーを防御に回すことで操縦者の命を守るこの状態は、同時にISの補助を深く受けた状態になる。それ故に、ISのエネルギーが回復するまで、操縦者は目を覚ませなくなってしまうのだ。

 

「(俺は今から、どうすれば___)」

 

そのとき、ドアが開いて顔を出したのはシャルル・デュノアだった。

 

「どうしたんだシャル、今は各自待機中だろ?俺に何かようか?」

 

「うん……ちょっとね。大事な話があるんだ。…入ってもいいかな?」

 

いいぞ。と亜久斗が返事を出すとシャルルは部屋の中に入り、ベットに腰掛けた。

 

「ねえ、亜久斗。僕たちは今から、福音の撃墜に行く」

 

「(……!)ああ……」

 

「でも、僕たちだけじゃ不安なんだ。第四世代型でも敵わなかった軍用IS、倒すのは困難だと思う。だから僕は…僕たちは亜久斗に力を貸して欲しいんだ。」

 

シャルルの話を聞いた亜久斗は、戸惑っていた。友達を、仲間を見捨てたに等しい自分が参加をしていいのかと、亜久斗は自問自答を……やめた。

 

「わかった。俺も行く」

 

亜久斗は自分の罪を償うことに、昏睡状態の一夏に変わって自分が戦うことを決めた。

 

「(悔やむことなんていつでもできる。でも、失敗を取り戻して成功して、自分の罪を……いや、あいつらの仇を取るのは今しかできない!)」

 

「…ありがとう、亜久斗」

 

二人は他の専用機持ちの元へと向かう。

 

 

 

 

場所は変わって現在、亜久斗の周りにはセシリア、シャルル、ラウラがいる。鈴は戦意喪失してしまった箒にも声をかけにいった。

 

「……よし、じゃあ今からインストールを行う。だけど時間が掛かりすぎるから俺が強制インストールを行い時間を短縮させる」

 

亜久斗が手を開くと各専用機の前に空中投影のデータが浮かび、亜久斗自身の前にも空中投影のディスプレイが四つ、同じく空中投影のキーボードが五つほど浮かび上がり、ディスプレイに映ったデータを確認しながらキーボードを叩いていく。そのスピードは凄まじく早い。

 

「ゆ、指が増えているように見えますわね……」

 

「もう半分以上インストールが終了してるよ!」

 

「さすがだな、世界有数の技術力を誇っている会社を束ねている実力は伊達じゃないな」

 

「…………」

 

専用機持ちのセシリア、シャルル、ラウラが驚きの表情を浮かべる。それもその筈、本来インストールはパッケージを量子変換させることで行うことができ、それには幾つものデータ処理と時間が必要とされる。それを亜久斗は五つのインストールを一人で行いデータを処理し、15分ほどで行ったのだ。

 

「………終わったよ」

 

その言葉で全ての空中投影キーボード、ディスプレイが閉じ、ISのインストール完了を知らせるデータが映しだされた。

 

「あら、もうインストール終わったの?箒、連れて来たわよ」

 

そこへ鈴が箒を連れてきた。箒の目には信念と決意が宿っていた。亜久斗はその目を見て、改めて尋ねる。

 

「なあ、箒……。俺たちは今から福音の撃墜に向かう。お前は、もう一度戦場に向かう勇気があるか……?」

 

「当たり前だ!私はこの力を使い、あいつの仇を打つ!もう負けはしない!」

 

それを聞いた亜久斗は薄く笑い、全員に告げる。

 

「じゃあ今から、福音の撃墜に向かうぞ、エネルギーは残しておきたいから船に乗っていく」

 

え?と全員が驚愕の表情になる。

 

「でもそれだと時間がかかるんじゃ……」

 

「大丈夫だ。ISよりも少し遅いけど全員が乗れる船、有るから」コネクトプリーズ

 

亜久斗はコネクトリングを使う。魔法陣から出てきたのは3.5メートルほどの大きな船を模したバイクが出てくる。

 

「これがハードボイルダーを改造した俺の特性品。ハードボイルダー・カスタムって所かな。最高時速は170キロ独自変形が可能で空も飛べるんだよ。怪我人が出てもこれで運べるし、福音の回収も楽になる」

 

「確かにこれなら全員乗れるし、行けそうだね」

 

「ああ、ISは近づいてから展開しても間に合う、心配はいらないだろう」

 

「じゃあ、行くぞ!」

 

五人は、戦場へと向かう。

 

 

 

 

 

「…………」

 

海上二〇〇メートル。そこで静止していた『銀の福音』は、まるで胎児のような格好でうずくまっていて膝を丸めた体を、守るように頭部から伸びた翼が包んでいる。

 

_____?

 

不意に、福音が顔を上げた瞬間、超音速で飛来した砲弾が頭部を直撃し、大爆発を起こした。

 

「初弾命中。続けて攻撃を行う!」

 

砲弾パッケージ『パンツァー・カノニーア』を装備したシュバルツェア・レーゲンは五キロほど離れた位置から砲撃を行う。

 

「くっ!予想よりも速い!」

 

だが福音は砲撃を機動力を活かした動きでかわしながらラウラに向かって接近する。

 

そして福音が三〇〇メートル地点からさらに急加速を行い、ラウラへと右手を伸ばす。だが___

 

「やらせないって!」

 

ATACK RIDE SLASH

 

_____!

 

突如横から、何もなかった場所からの斬撃を喰らい、機体が横に弾かれる。

 

福音がハイパーセンサーで捕らえたのは、マゼンタ・白・黒のカラーを持ち、ボディの至る所に十・Xの意匠が取り入れられている仮面ライダー。

 

その名、仮面ライダー・ディケイド

 

「今だ、セシリア!」

 

「了解ですわ!」

 

そして、弾かれた体が止まった一瞬を突き、福音の上空からセシリアがレーザーライフルで狙撃する。

 

セシリアが使っているレーザーライフルは強襲用高機動パッケージ『ストライク・ガンナー』に搭載されており、その威力は«スターライトmklll»を越える。

 

レーザーが直撃した福音は体制を立て直し、残りのレーザーを全てかわしながら目標をセシリアに変更するが、

 

「遅いよ!」

 

ステルスモードにして控えていたシャルが背後からショットガン二丁による近接射撃を浴びた事により再び姿勢を崩す。

 

だが福音は一瞬で姿勢を元に戻し直ぐにシャルに«銀の鐘(シルバー・ベル)»による反撃を開始した。

 

「おっと。悪いけど、この『ガーデン・カーテン』は、そのくらいじゃ落ちないよ」

 

シャルはリヴァイヴ専用防御パッケージにある実態シールドとエネルギーシールドの両方によって福音の弾雨を防ぐ。

 

そして防御の間にもシャルは得意の『高速切換(ラピッド・スイッチ)』によってアサルトカノンを呼び出し、タイミングを計って反撃を開始する。

 

「シャル、ラウラ、セシリア!全員で囲んで四方射撃を行う!」

 

「了解!」

 

「わかりましたわ!」

 

ATACK RIDE BLAST

 

俺とセシリアとラウラはお互いに別々の場所につき、それぞれ射撃を行いじわじわと福音のシールドエネルギーを削る。

 

そして多く被弾した福音は全方向にエネルギー弾を放ち、次の瞬間に全スラスターを開いて強行突破を計るが、

 

「させるかぁっ!」

 

水面が膨れあがり、爆ぜる。

 

そして飛び出してきた紅椿とその背中に乗った甲龍だった。

 

「鈴!福音に衝撃砲を連射!箒はいつでも離れる準備をしておけ!」

 

「わかった!」

 

「任せなさい!」

 

箒は福岡に突撃し、鈴はその背中から飛び降りて機能増幅パッケージ『崩山』を戦闘状態に移行させる。

 

両肩の衝撃砲が開くのに合わせて増設された二つの砲口が姿を現し、計四門の衝撃砲が一斉に火を噴いた。

 

___!!

 

箒が福音から離れると同時に、その後ろから衝撃砲による弾丸が一斉に降り注ぐ。しかしそれは普段の不可視の弾丸ではなく、赤い炎を纏っている。

 

それは、福音に直撃した。

 

「やりましたの!?」

 

「__いや、まだだ!全員一旦離れろ!」

 

____«銀の鐘»最大稼働____開始

 

直撃を受けてなお、機能を停止させていなかった福音ば、両腕を左右いっぱいに広げ、さらに翼も自身から見て外側へと向ける。刹那、眩いほどの光が爆ぜ、エネルギー弾の一斉射撃が始まった。

 

「くっ!」

 

KAMEN RIDE KABUTO

 

俺は防御の高いカブト・マスクドフォームにカメンライドし、ダメージを和らげる。

 

「みんな無事か!?」

 

「問題ないですわ!」

 

「離れたからダメージは少ないぞ」

 

「箒は僕の後ろにいたから大丈夫!でも福音の異常は連射のせいでシールドが一枚破壊されちゃった……」

 

シャルの方を見ると確かにリヴァイヴの物理シールドが一枚、完全に破壊されていた。

 

「だったらシャルは後退して、セシリアとラウラは左右に別れて射撃をして!」

 

「わ、わかったよ!」

 

「言われずとも!」

 

「お任せになって!」

 

シールドが破壊されたシャルが後退し、セシリアとラウラが左右から射撃を行う。

 

「足が止まればこっちのもんよ!」

 

そして直下からの鈴の突撃。頭部にあるマルチスラスター«銀の鐘»を狙って至近距離からの拡散衝撃砲を玉砕覚悟で浴びせる。

 

そして互いに深いダメージをうけながらも、ついにその斬撃が福音の翼を奪った。

 

「はっ、はっ……!どうよ____」

 

片翼だけになった福音は一度崩した姿勢をすぐに立て直し、そのまま鈴に回し蹴りを叩き込もうとする。が、

 

「やらせねえよ!」

 

ATACK RIDE CLOCK UP

 

俺はクロックアップを発動させ、福音を越えるスピードで突っ込み跳び蹴りを喰らわせる。

 

「まだだっ!」

 

俺は福音に向かって踵落としを喰らわせ、福音は下に落ちていく。

 

「今のうちに攻撃を叩き込む!全員一斉射撃を開始しれくれ!」

 

「「「「「了解」」」」」

 

俺の言葉で箒は天月の弾丸レーザーと空裂の帯状レーザー、鈴は拡散衝撃砲、セシリアはレーザー射撃、シャルはグレネードランチャー、そしてラウラの砲撃を福音構える。

 

___!!

 

福音は横に飛び、かわそうとするが、

 

「避けるなんてさせるかよ!」

 

FINAL ATACK RIDE KA_KA_KA_KABUTO!!

 

____!!!

 

飛んできた福音をライダーキックで蹴り飛ばし、射撃方向へと引き戻す。そして五人から発射させられた射撃が福音を襲い、直撃し、

 

ドガァァァァァアアアン!!!

 

福音は近くの島へと墜落し、小規模の爆発が発生した。

 

 

 

 

 

 

 

 





戦闘描写は難しい、特に複数系となると本当に………。
福音編はあと五話ぐらいで終了かな?

感想やアンケートへの書き込み、待ってまーす。


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四十三話 VS銀の福音。覚醒する仮面ライダー

感想とコメントが嬉しくって頑張っちゃたゼ☆そんなこんなで連続更新!私が考えたオリジナル設定が火を噴くんだゾ。

それでは本編スタート!


「ふぅ、撃墜成功だね。みんな、被害状況は?」

 

爆発を確認した後、俺は上空にいるみんなの下へとハードボイルダーmklllに乗って近づいた。

 

「この程度何でもないわよ。半分もシールドエネルギーは残ってるし」

 

「僕もそれくらいだよ。後はシールドが破壊されちゃったけど…」

 

「全員、ダメージがあるだけでそこまで大事には至っていない。福音を回収したら旅館に戻るぞ」

 

「ああ、そうだ_____!!」

 

俺がそうだな、と言おうとした瞬間突然無人島の周囲が強烈な光の珠によって吹き飛んだ。

 

「なんだ!?」

 

全員が光のあった方を向くと驚愕の表情を浮かべる。

 

球状の光が放たれた場所にあった島は巨大な隕石が落ちたかのようなクレータができており、その中心には青い雷を纏った福音が自らを抱くかのようにうずくまっている。だが一番驚くのは装甲が修復されているということだ。

 

「装甲が修復されて……まさか!」

 

「!?まずいぞ、これは___『第二形態移行(セカンド・シフト)』だ!」

 

俺とラウラが驚愕に声をあげた瞬間、その声に反応したかのように福音がこちらに顔をあげる。無機質なバイザーに覆われている顔からは何の表情も読み取れないが、そこからは明確な敵意が伝わってきた。

 

「全員離れろ!こいつは___!」

 

『キアアアアアアア……!!!!』

 

まるで獣の雄叫びのような声を発し、福音は一番近くにいたラウラへと飛びかかる。

 

「なにっ!?」

 

あまりに速いその動きに反応出来ず、ラウラは足を捕まれる。そして、切断された頭部からはゆっくり、ゆっくりと、まるで蝶が蛹から孵るかのように、エネルギーの翼が生えた。

 

「危ないっ!ラウラ!」

 

KAMEN RIDE FAIZ

 

FORM RIDE FAIZ ACCEL

 

俺は急いで仮面ライダーファイズへとカメンライドし、ファイズ・アクセルフォームへとフォームライドした。

 

そしてラウラの足を掴んだ福音の手を勢いよく握ることで圧迫させた後、手を離させ、蹴りを決めて一度離れた。

 

「す、すまない、亜久斗…」

 

「別にいい、それよりも後ろで援護を頼む。俺は福音と戦う、離れていてくれ」

 

KAMEN RIDE KUUGA

 

FORM RIDE KUUGA TITAN

 

俺はクウガ・タイタンフォームにフォームライドし、福音を待ち構えた。ラウラには巻き添えを喰らってほしくはないので離れてもらう。

 

福音は俺に向かって突っ込んでくる。俺はタイタンソードを構え、福音との距離が詰まるのを待つ。

 

『キアアアア!!』

 

このクウガ・タイタンフォームは絶対的な防御力と強靭な腕力を誇る形態。だが動きが鈍いため高速で移動することが出来ない。

 

ならば相手が近づくのを待ち、カウンターを決める。

 

福音との距離が約一〇メートルほどになり、俺は俺の足を掴もうとする福音に向かってタイタンソードを突くようにして攻撃する。

 

『キアアアアア、ア、ア、ア……!!!』

 

顔に強烈な一撃を喰らった福音は、その体が一瞬、固まった。その隙に全身全霊の一撃を叩き込む!!

 

「喰らええええええええ!!」

 

俺は力の限りタイタンソードを連続で福音に振るう。そして、翼を叩き切り、腕を掴み、誰もいない西方面へと投げ飛ばす。

 

『キギアアアアアア!!!!』

 

翼を切られた福音は叫びながら飛んでいく。この場で反撃の危険を避けるためには、近距離ではなく、遠距離から攻めるのが有利。飛んでいく間に俺はライダーカードを差し替える。

 

KAMEN RIDE FAIZ

 

FINAL KAMEN RIDE FAIZ BLASTER

 

クウガからファイズへそしてファイズ・ブラスターフォームへと姿を変える。

 

『聞こえるか!全員再び一斉射撃を行う!いいか!』

 

『『『『『了解』』』』』

 

全員に聞こえるようにオープンチャンネルを使って指令を伝え、再び全員が福音に向けて構える。

 

FINAL ATACK RIDE FA_FA_FA_FAIZ!

 

俺はフォトンバスターを放ち、全員の攻撃を避けきれなかった福音はいくつかに被弾した。

 

「やったか?あ、やべ、これって死亡フラ___がっ!?」

 

射撃が終了し、爆発から出てきた福音は、俺の首を絞めるようにしながら投げ飛ばし、福音はそのまま翼を広げてエネルギー弾を俺に打ってきた。

 

「ぐっ、アアアアァ!!」

 

「!?あ、亜久斗っ!」

 

俺は全てのエネルギー弾を喰らい、俺の周りは爆発に包まれた。

 

 

 

 

「あ、亜久斗!亜久斗ぉ!」

 

「そんな、まさか亜久斗さんまで………」

 

「くっ、余所見している場合ではないぞ!」

 

爆発を確認したかのように福音は煙を見つめている。そして、五人の方向を向き、叫びながら近づいてくる。

 

『キアアアッアアアアアアア!!』

 

だがその途中で一つの荷電粒子砲が福音に直撃し吹き飛んだ。

 

「俺の仲間は、誰一人としてやらせねえ!」

 

 

「…………一、夏……?」

 

全員の目に映ったのは白式第二形態・雪羅を纏った一夏、そして

 

ボウウウウウン!!

 

煙が晴れると同時に爆風が行る。煙の中から現れたのは…

 

「絶対に、お前を撃墜するぞ福音!みんなをやらせはしない!」

 

黒と銀色とマゼンタ色。ボディにつけられた十のライダーカードに腕にはケータッチをつけた仮面ライダー

 

仮面ライダーディケイド・コンプリートフォームへとファイナルカメンライドをした亜久斗の姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

爆発の中で亜久斗は意識を刈られそうな痛みを堪えていた。

 

「(くっ!痛い痛い痛い痛い痛い!しぬほどいてぇ!でも!)」

 

亜久斗の脳裏の映ったのは福音にやられた仲間の姿、それが彼を奮い立たせていた。

 

「(あんな姿を見るくらいなら、俺は絶対に死なねえ!絶対に負けねえ!)」

 

瞬間、爆発は煙へと変わり、痛みが消えていく。

 

『第二形態移行(セカンド・シフト)完了しました。フォーマットとフィッティングが完了しました。確認ボタンを押してください』

 

頭の中にデータが流れ、音声が聞こえ、第二形態移行を知らせる。

 

「(このタイミングで……ありがたいね。もう一度チャンスがあるってことなんだからさ!)」

 

亜久斗は喜びを堪えデータを確認した。

「(第二形態移行により「拡張領域」と全体ステータスの増加を確認。……だったら、今なら使える!)」

 

俺の手には無意識のうちにケータッチが握られていた俺は気がつけばそれを使っていた。

 

KUUGA AGITO RYUKI FAIZ BLADE HIBIKI KABUTO DEN-O KIVA

 

FINAL KAMEN RIDE DECADE

 

俺はケータッチを操作し、ディケイド・コンプリートフォームにカメンライドする。そして爆風が起こり、煙が晴れ、俺の前に福音が映る。

 

「絶対に、お前を撃墜するぞ福音!みんなをやらせはしない!」

 

 

 

 

「あ、亜久斗…大丈夫なの?」

 

「それに、その姿は…」

 

「ああ大丈夫だ。第二形態移行(セカンド・シフト)したおかげでね、さて……」

 

俺は福音と戦闘をしている一夏を確認する。第二形態移行した二つのISは凄まじい程速く、銃弾は当たり難いだろう。

 

「やってみるか……。U(ユニゾン)シスデム起動!」

 

『声態認証確認。Uシステム起動します』

 

俺の体からディケイド・コンプリートフォームのボディが離れ、空中でバラバラになり浮遊し俺のIS仮面ライダーが展開される。

 

展開されたのを確認するようにボディパーツは俺の周りを一回転しISの装甲に合わせるように形を変えて再び装備される。

 

『仮面ライダー・ディケイドの同調を確認。準備完了しました』

 

そして、ISと仮面ライダーが完全に一つになった。元の白黒の最低限の薄い装甲は一回り大きくなり色もディケードと同じように変化していた。

 

「あ、亜久斗のISが……」

 

「変型した……」

 

「こ、こんなことってあるの……?」

 

全員が驚きの表情を浮かべる。俺も発動するまでどうなるかわからなかったが……。

 

「ん、問題無いな……ん?」

 

俺は体を軽く動かし、状態の確認をする。異常の無さを確認する。そして前方から嵐のようなエネルギー弾の弾雨が襲ってこようとしている。

 

その一歩手前で一夏からプライベート・チャンネルを繋がれた。

 

『なんだ一夏』

 

『亜久斗!今そっちにエネルギー弾が飛んでいく!俺の変わりに鈴たちを守ってくれ!』

 

『了解!』

 

俺は一度プライベートチャンネルを切りエネルギー弾へと向き合う。

 

「さて……やらせはしねえぞ福音!」

 

KAMEN RIDE FAIZ BLASTER

 

俺はケータッチを操作し、ファイズ・ブラスターフォームを召喚ファイズは俺とシンクロして動く。

 

FINAL ATACK RIDE FA_FA_FA_FAIZ!

 

二人分のフォトンバスターが全てのエネルギー弾を包み込み、後ろにいるみんなへの攻撃を防いだ。

 

「さて、援護させてもらうぞ一夏」

 

俺は再びプライベート・チャンネルを一夏へと繋ぐ。

 

『一夏、こっちの被害はゼロだ。全部防いだ』

 

『サンキュー亜久斗!こっちも箒のお陰で万全だ!』

 

ふと見ると箒が一夏の少し離れたところにいるのが確認できた。

 

『ならこっちから俺が攻撃する、そしたらお前が止めをさせ、いいか?』

 

『任せろ!』

 

プライベート・チャンネルが切れる。俺は近くにいるシャルを呼ぶ。

 

「おーいシャル」

 

「何?亜久斗」

 

「今からシャルの力が借りたい、いいか?」

 

「う、うん!」

 

先に言っておこう。ISと同調したディケイドはISであり仮面ライダーでもある、そしてISと同調したことによりディケイドはISの力を使うことができる。これは相手の許可を取らなければ発動が出来ず、データが搭載されていなくてはならない。シャルの『ラファール・リヴァイヴ・カスタム』からのデータは今まで見てきた記憶がそのままISに繋がっている。そして俺は今シャルから許可を取ったつまり。

 

「じゃあ後ろ向いてくれ」

 

「え?う、うん……」

 

FINAL FORM RIDE LA_LA_LA_LAFARL!

 

「え?うわわわ!」

 

俺がシャルのIS『ラファール・リヴァイヴ・カスタム』に手を触れると、ラファールは変型し、巨大なマシンガンとなる。ラファール・マシンガンってところか

 

「え?え?え?これどういうこと!?」

 

シャルは何が起きたかわからない様子、当たり前だ。

 

「俺のISの力でシャルのISを一時的に武器化した、少しだけ辛抱してくれよ」

 

「うん、別に問題は無いんだけど……(力が借りたいってこういうことだったんだぁ……)」

 

「じゃあ行くぞ」『一夏、一旦離れろ』

 

「……喰らええええ!」

 

FINAL ATACK RIDE LA_LA_LA_LAFARL!

 

ラファール・マシンガンから弾が発射され、福音に向かう。福音は避けようとして上に飛ぶが範囲が広すぎて避けきれずに被弾し、弾かれた。そして

 

「おおおおおっ!!」

 

弾かれた福音を瞬時加速(イグニッション・ブースト)で加速した一夏の零落白夜の刃が切り裂き、そして福音は動きを停止し、アーマーを失い、スーツだけの状態になった操縦者が海へと堕ちていく。

 

「しまっ____!?」

 

「____よっと。まったく、爪が甘いのよ、ていうかこれ速すぎじゃない?」

 

堕ちていく操縦者をハードボイルダーmklllに乗った鈴がキャッチした。

 

「まあなんにせよ、これで終わったな…」

 

俺の胸には達成感と自分の成長が感じられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




感想、評価、コメントをお待ちしておりまーす。


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四十四話 銀の福音・エピローグ。新たなるプロローグ?



まさかの一日三回更新!今回で臨海学校は終了!
そして書き終えた私はサーティーワンのアイスクリームをクリスマスケーキの変わりに食べるのさ!……悲しくなってきた……。でも挫けない!この作品を愛してくれる読者がいる限り!

そ、それでは本編スタート!


 

 

銀の福音との戦闘を終えた俺たちは現在独自行動の罪を犯した罰として大広間で正座をかれこれ三十分も正座させられている。

 

これどう思う?頑張って戦ってきた戦士たちへの歓迎が説教と正座だよ?おかしいよ!そりゃぁ勝手に撃墜に行った俺たちも悪いけどさあ…。セシリアなんか顔真っ青だよ!もうやめてあげてよ!横暴d…あ、はい、すいません。俺たちが悪いんですはい、だからその拳をどうかお納めください。

 

「あ、あの、織斑先生。もうそろそろそのへんで……。け、怪我人もいますし、ね?」

 

「ふん……」

 

おおっ!天使だ天使がここにいるよ!……普通に考えたら織斑先生が厳し過ぎるだけなんじゃないだろうか……?

 

「じゃ、じゃあ、一度休憩してから診断しましょうか。ちゃんと服を脱いで全身見せてくださいね。___あっ!勿論男女別ですよ!わかってますか、ふたりとも!?」

 

「わかってますよ」

 

何を急に言ってるのだろうか。わかっていない奴は一夏を超える唐変木か変態ぐらいだろう。

 

「それじゃ、みなさんまずは水分補給をしてください。夏はそのあたりも意識しないと、急に気分が悪くなったりしますよ」

 

はーいと返事をして俺たちはそれぞれスポーツドリンクのパックを受けとる。ありがたいことで……。さて、

 

ドリンクを飲み終えた俺は、すぐに部屋から立ち去る。

 

「……よくやった……」

 

通り過ぎるときに聞こえた織斑先生の言葉はきっと、空耳ではないだろう。

 

「「「「「とっとと出てけ!」」」」」

 

俺が部屋から出てからすぐ五人の声が聞こえた後、一夏が慌てて部屋から出てきて襖を閉めた。

 

「全く、診断は男女別って言われただろ?何で部屋に残ったんだよ」

 

「うっせ、ていうか声をかけてくれてもよかったんじゃないか?」

 

「それもそうだな」

 

はははと俺たちは笑い合う。そして少しの間その場には静寂が訪れる。

 

「……なあ亜久斗、仲間を、守れたよな。俺は……」

 

「……ああ、守れたさ。だから今この場で笑っていられるんだろう?」

 

「……それもそうだよな」

 

「…………ぷっ」

 

「…………ははっ」

 

「「ははははははは!」」

 

「うるさいぞ、静かにしろ」

 

スパンッ!スパアアン!

 

 

 

 

 

 

あれから夜になり、俺は旅館を抜け出して岩場に座っていた。

 

今日は、疲れた。部屋の中だと何故か落ち着かないので気分転換に海を眺めていた。何も考えずにカメラを海に向けて写真を取る。確認しようとするとカメラを落としてしまい、カメラは岩に当たって転がっていく。

 

「あっ、……たくっ」

 

俺がカメラを拾おうとすると、それよりも先にカメラを拾う手が見えた。

 

「はい、カメラ落としたよ。あっくん」

 

「………束さん」

 

カメラを拾ってくれたのは、束さんだった。思えばあの作戦を思い付いたのは束さんだったんだよな…。いや、こんなことを考えるのは止そう。俺はカメラを受けとると近くにある岩に腰かける。

 

「あっくん、隣座っていい?」

 

「……いいですよ」

 

俺が座った岩に束さんも座ってくる。俺も、束さんも何も話さない、空気が重いけど、何も話さない。それから数分ほど立つと束さんが口を開いた。

 

「ねえ、あっくん、怒ってる?紅椿のこと、勝手にUシステムを使っちゃったこと……」

 

「…………」

 

束さんは下をうつ向いたままぽつぽつと呟く。そんないつもと違う雰囲気を持った束さんに、俺は何も言えないでいた。

 

「そりゃそうだよね、勝手に自分の作った物使われたようなものだもんね……。ねえ、覚えてる?束さんと始めて会ったとき……」

 

「………」

 

「あのときはいろんなところから追われてて、勿論束さんは天才だから捕まることなんてなかったんだけどね。でも、日に日に疲れちゃって、全然休むことも出来なくて……」

 

「そんなときに、声をかけてくれたのがあっくんだったよね。他の奴はみたいに利用したり、捕まえるんじゃなくて純粋に助けてくれたよね」

 

「………」

 

「それが…束さん、とっても嬉しかったんだよ?天才だからじゃなくて、っ一人の人間として普通に接してくれたことが…束さん…本当に嬉しかったんだ……」

 

そうやって話す束さんは、泣いていた。あのいつも笑っている束さんが泣くなんて、思いもしなかった。やっぱり彼女はただの人間だ。この人は普通よりも頭が良かっただけで避けられ、認められもしなかったんだと思う。それがISが世界に広まった途端、今度は利用しようと考える人から狙われ、独りで生きていたんだろう。

 

俺がもし、環境に恵まれていなかったら束さんと同じふうだったんだと思う。生まれたときから頭がよくて運動神経も抜群で、五才のころから機械を造っている子供なんて気味悪く思われても仕方ない。

 

でも、俺の親は違った。メグ姉もそうだったからかもしれないが、俺を優秀な子供だと言って育ててくれた。俺も、それと同じことがしたくて、束さんを助けたんだと思う。

 

「でも、そんなあっくんと同じくらいっ、箒ちゃんが大事だったから、だからっ、だから束さんは_____」

 

俺はそんな束さんを見ていられなくなり抱き締めていた。

 

「_____あっくん……?」

 

「束さん。俺はもう、怒ってませんから、束さんが箒を思ってやったことだって、わかりましたから。だからもう、泣かないでください。俺、束さんが泣いているとこなんて、見たくないですから」

 

「あっくん……」

 

俺がそう言うと、束さんは俺の胸に顔を埋めて、

 

「……ありがとぉ!」

 

思いっきり、抱き締め返してきた。

 

「……へ?束さん?……」

 

「うっ……うっ…グスッ、本当に……ありがとう、あっくん!」

 

束さんは抱き付きながら、俺に笑顔を向けた。

 

純粋な嬉しさを表したような、最高の笑顔を。

 

「どういたしまして……」

 

 

 

それからしばらく、俺と束さんは一緒に海を眺めていた。その時の束さんは本当に幸せそうで、疑っていた自分が恥ずかしくなってしまった。

 

「ねえあっくん」

 

「なんですか?束さん」

 

「この世界は、楽しい?」

 

「はい、楽しいですよ。笑い会える友達がいて、学校が会って、いい環境と才能に恵まれて。作りたいものが作れている。本当に、楽しいですよ」

 

「そっか。束さんもね、あっくんがいて前よりも楽しいよ!」

 

そのときの笑顔は、思わず写真に納めておきたいくらいのかわいい笑顔だった。

 

 

 

 

 

 

翌朝。朝食を終えて、すぐにIS及び専用装備の撤収作業に当たっていた。

 

「いいよなぁ、亜久斗は特に何も送られてきてないから楽だろ?」

 

「なら、変わろうか?訓練機の三分の一は俺が運んでるんだぞ」

 

「やっぱいい」

 

そうこうして十時を過ぎたところで作業は終了。全員がクラス別のバスに乗り込む。昼食は帰り道のサービスエリアで取るらしい。

 

「あ~………」

 

隣では、一夏がボロボロで某ボクサーのように燃え尽きている。昨日、一夏も実は旅館を抜け出していたらしい、それが織斑先生にばれてまた大目玉を喰らい、挙げ句の果てに箒とキスをしようとしたところを鈴とセシリアに一時間ほど追いかけられたらしい、まあ、俺が言うことじゃないか。俺も抜け出して束さんと一緒に海にいたんだからキスはしようとしてないけど。

 

「すまん……だれか、飲み物持ってないか……?」

 

「知りませんわ」

 

「ふ、ふんっ……!」

 

「すまん、私は持っていない」

 

「ごめんね、僕も……」

 

三人に断られた一夏は俺に目を向ける。

 

「亜久斗………」

 

「オロナミンCと天然水と赤蝮どれがいい?」

 

「天然水で…って最後のは何だよ……」

 

「ははは、冗談だ。ほら、水」

 

「サンキュ」

 

俺が一夏にペットボトルを投げると一夏はそれを受けとる。それを見てセシリアと箒はあっとした顔になる。

 

ここで渡してあげれば好感度UPだったかもしれないのに、ツンデレだなぁ。

 

「ねえ、男性操縦者のふたりっているかしら?」

 

「ん?」

 

「あ、はい。俺が織斑一夏ですけど」

 

俺と一夏は一番前の席だったのでバス内に入ってきた人を確認することができた。

 

その女性は俺たち以上、織斑先生くらいの大人で鮮やかな金髪が輝いている。

 

「君たちがそうなんだ。へえ」

 

その人はそう言うと俺たちを好奇心の目で観察してくる。それが堪らなかったのか一夏が口を開く。

 

「あ、あの、あなたは……?」

 

「私はナターシャ・ファイルス。『銀の福音』の操縦者よ」

 

「え____」

 

その女性、ファイルスさんは困惑している一夏の頬に唇を…ってやばい、後ろの席からの威圧感が伝わってくる。絶対箒とセシリアだ。

 

「あら、何で離れるのかしら?」

 

「いえ、俺までキスされると色々と問題が生じるので遠慮しておきます」

 

「あらあら、照れちゃって。意外と好みな顔してるのに」

 

問題が生じるのは本当だ。キスしたことがマスコミとかに広まったらスキャンダル方面でやばい。そしてなにより、一夏の二の舞になるわけには行かない。

 

その時、俺の携帯が鳴った。

 

「あ、すいません。ちょっと電波が悪いのでバスから出ますね」

 

「何いってんだよ。それメールだろ?」

 

うぐっ、こういう時だけするどいんだから。

 

「クスッ、意外とシャイなのね。『RIDE』の社長さんは。じゃあ、またね。バーイ」

 

そう言うとファイルスさんはバスから降りて何処かへ行ってしまった。まったく、人騒がせな人だなぁ。

 

「一夏……」

 

「一夏さんは本当に先々で幸せいっぱいのようですわね」

 

後ろで騒いでる一夏たちを尻目に、メールの内容を確認するためバスから離れる。

 

そのメールは、新たな戦いを知らせるかのようだった。

 

 




あれ?何故か束さんがヒロイン見たいになっちゃった。ナターシャさんにも微妙なフラグ立てたかな?

次回はオリジナル編です。ライダーたちの戦いがメインとなると思います。いずみボックスにコメントを書いてくれたある人の安を実行したいとおもいます。

それでは、感想、評価、コメントをお待ちしております。

そして最後に、メリークリスマス!!


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四十五話 臨海学校(裏)『RIDE』

さて、前回宣言した通り今回からオリジナリティを加えて書いてみよう!
いずみボックスへコメントを書いてくれたyoshiakiさんと螺旋大好きさんの意見を参考に考えでみました。本当にありがとうございます!

それでは本編スタート!


 

 

亜久斗が臨海学校へ行っている間、『RIDE』ではある事件が発生していた。

 

夜霧グループ『RIDE』経済科主任を表で勤めている男「加賀利之(かがとしゆき)」主に金、材料費などの経理を行っている加賀は裏では防衛プログラム・システムの管理、そして過去に天才ハッカーとして輝き、才能を買った夜霧グループで働いている男である。

 

その男、加賀利之が島から姿を消した。最悪の形で。

 

亜久斗が臨海学校へ行く前日、加賀は当時裏の整備科へ回されていたガイアメモリとダブルドライバーを警備員を殴り倒し強奪。更に社長室のPCをハッキングしてデータを手に入れて逃走、その一部始終が監視カメラに残っていたが加賀は社長室を出た後仮面ライダーベルデに変身。そして姿を消して島から脱出したのだ、今だに居場所は掴めていない……。

 

そして加賀の逃走から2日後、会議室では裏関係の部下が集められていた。その人数約50人ほど、そして部屋の奥には代理社長の夜霧恵が座っている。

 

「さて、まずは状況確認といきましょうか」

 

恵は手元の小型PCを操作するとそれぞれの下に空中投影ディスプレイが浮かびあがる。

 

「2日前、経済科主任担当の加賀利之が社長から整備科へ回されていた七つのガイアメモリ、ダブルドライバーとライダー、パワードスーツのデータをハッキングして島から姿を消したわ。奪ったデータの範囲まではわからないけど恐らくほとんどを手に入れているでしょう」

 

恵の声に全員が驚愕の表情を浮かべる。中には怒るもの、悲しむものもいた。

 

「そんな……まさか加賀さんが……」

 

「加賀のやつ…社長からの恩を忘れたのか!社長がいなかったら俺たちは生きていけなかったかもしれないんだぞ!?」

 

この会社の大半数が女尊男卑のせいで解雇、免罪による失脚などで行き場を失った男たち、才能を認められて雇われた人で構成されており、加賀もその中の一人だった。

 

「静かにしてちょうだい。話しが進まないわ」

 

「今回盗まれたガイアメモリは「Cyclone」「Heat」「Luna」「Joker」「Metal」「Trigger」「Fang」の七つとそれを使うためのダブルドライバー。何の目的かはわからないけど今回の加賀の行動は『裏切り』とみなし、今後は警備を強化していくつもりよ」

 

「はい」

 

「何かしら、西本」

 

手をあげたのは西本俊輔(にしもとしゅんすけ)。当時整備科の警備を任されていた男でありG3を託されている。警備担当の裏関係者は信頼されている物のみ、主にG3、バースプロトタイプ、イクサのどれかを託されてその部隊の上にたつことができる。

 

「警備を強化とは、どうなさるのですか?」

 

「そうね、まずは会社の警備を場所ごとに一人ずつ増やすわ、これはあくまで私が勝手に決めたことだから警備科がやりたくないと言えばやらせない、他の人に頼むわ。…やってくれるかしら?」

 

「はい!任せてください!」

 

西本はそういうと席に着いた。自分担当していた警備科のミス、ましてや自分自身がやられてしまったのを西本は悔いていた。それを挽回すべき機会を噛み締めているのだろう。

 

「話しの続きよ。それでもし、加賀が何か別の組織に所属してデータを渡していた場合、更にそいつらは狙ってくると思うわ。だけど会社にはパワードドライバーは無い、…黒田、貴方が加賀だつたならどうする?」

 

恵は眼鏡をかけ髪をオールバックにしてある男、「黒田清四郎」を名指しする。

 

「はい、社長代理。私なら……ドライバーが保管されている場所、つまり……社長のラボを狙います」

 

黒田は若干汗を流しながら話す。するとまた全員が騒ぎ出すも恵が止めた。

 

「そうよ、でも社長のラボは普通の鍵では入れないし扉を開けることも出来ない。だから警備を担当するなら鍵を渡されている人物のみ。先程斎藤が確認したところ社長から藤堂とルギーザが指命されたわ」

 

「え、私ですか?」

 

「……へぇ!」

 

女性、「ミリアム・ルギーザ」は驚きの声をあげ、対して男性、「藤堂影鷹(とうどうかげたか)」は少しニヒルに笑い恵を見つめる。

 

「ルギーザと藤堂は鍵を持っているから、今日からラボで警備に当たってもらうわ。ラボの中には社長が雇った協力者がいるらしいからその人たちと警備にあたって頂戴、不審人物、襲撃者を見つけたらその場で捕らえ私に連絡すること、いいわね?」

 

「はい、わかりました…」

 

「オッケーっすよ。任せてください」

 

「おい、藤堂!お前はまた……敬語を使え、敬語を!」

 

藤堂の態度に隣にいた男が怒鳴る。しかし恵はそれには特に反応はしなかった。

 

「それじゃあ今日はこれで解散。各自注意は万全にしておきなさい、貴方たちが持っているドライバーが狙われる可能性だってあるのだから」

 

「「「「「はい」」」」」

 

会議室にいた部下たちはそれぞれが別々に部屋を出ていく。恵とルギーザ、藤堂は残ったままだ。

 

「それじゃあ二人は早速警備に当たって頂戴、住み込みでやってもらうからそのつもりでね」

 

「「はい(了解っす)」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え~と確かここに~」

 

「早くしてください、鍵ぐらい常に填めておきなさい。指輪の形をしているのだから、私が開けますよ」

 

「ちょいまち!あったから、あったから!だから俺に開けさせてよ!」オープンプリーズ

 

「全く…入るわよ」

 

「はいはい……大丈夫かねぇ」

 

「こつちのセリフよ」

 

二人がエレベータを降り、そこで待っていた人物を発見し藤堂は声をかける。

 

「あ、どうもっす、今日からここで警備をすること……」

 

「何してるのよ藤堂、早く挨拶……」

 

二人が待っていた人影を見るとそこには

 

「俺が助っ人の桃他だ。よろしく頼むぜ」

 

「僕は浦島。お姉さん、僕に釣られてみない?」

 

「わいは金太郎や。よろしく頼むで」

 

「僕竜太!よろしくねー!」

 

「「………社長…が、四人……?」」

 

現在臨海学校に行っている自分たちの社長、夜霧亜久斗と同じ顔をしている人物、それも四人もいた。それに対して二人はフリーズする。

 

「(……警備、大丈夫っすかね?名前間違えそうなんすけど)」

 

否、藤堂は別のことを考えていた。

 

それから警備が始まり、翌日、襲撃が行われた。

 

 

 




はい、いろいろとやっちゃった感が半端ないです。でも後悔はしていない☆

次回、謎の襲撃者襲来。藤堂とルギーザ、イマジンたちは守りきることができるのか!?

そして設定を追加しておきます。気になる人は設定(一部)を見てくださいね。


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四十六話 青・黄色・紫VS黒・青・黄色

今日も頑張った連続更新!これはさっきチョコボールで金のエンゼルが当たった嬉しさのあまりにやっちゃったんだゼ!
でも私は応募できない、なぜならハガキがないからだ(笑)走って買いにいったら気持ち悪くなって吐きそう。これじやメリー苦シミマスだよ!

それでは本編スタート!


その日午後七時三十分ごろ、襲撃は起きた。

 

藤堂たちとイマジンたちはそれぞれ狙われるであろうフロアの前で待機していた。戦闘経験の多い藤堂、ルギーザ、モモタロス。バランスの良いウラタロス、キンタロス、リュウタロスで別れていた。

 

ウラタロスたちは亜久斗の部屋の前、亜久斗が保管してある仮面ライダーたちの全ての極秘データはここにあるのでウラタロスたちはここを守っていた。

 

そして三人と三人の下にそれぞれローブを纏った三人の人間がやって来た。ウラタロスは持っているトランシーバーの無線をONにする。

 

『もしもし、こっちにローブを着た怪しい連中が来たけど、どうしたらいい?』

 

『こちらにも同じ格好をした連中が来ましたよ、お互いに撃墜して捕らえましょう』

 

『了解』プツッ

 

ウラタロスは無線をOFFにしたあと怪しいローブたちと向き直る。

 

「じゃ、そういう訳だから、早めに捕まってくんない?」

 

「降伏するなら今のうちやで」

 

「「「………」」」

 

ローブの人間たちは何も話さず、変わりにローブの下から物を取り出した。

 

「なっ!?それは……」

 

「ガイアメモリだ!」

 

「ドライバーまで持っとるで!?」

 

ローブの人間が取り出したのはガイアメモリとロストドライバーに疑似した物、違うところはそれがJokerではなく、そしてドライバーの色が黒だけではなく黄色、青であるということ。

 

「「「……変身!」」」

 

Joker!

Trigger!

Luna!

 

ローブを着ていた人間はそれぞれがWではなく、仮面ライダージョーカーのように単体化して変身をした。仮面ライダートリガー、仮面ライダールナと言ったところだろう。

 

「……降伏する気はないみたいやな」

 

「だったら力づくで捕縛するよ!」

 

「み、みんな変身してる!僕もっ!」

 

「「「変身!」」」

 

ROD FORM

 

AXI FORM

 

GAN FORM

 

相手に続き、ウラタロスたちも仮面ライダー電王ソードフォーム、アックスフォーム、ガンフォームに変身した。

 

「ねえ君たち、僕に釣られてみる?」

 

「俺の強さに、お前が泣いた…」

 

「お前たち、倒すけどいいよね?答えは聞いてない!」

 

それぞれが前に踏み出し、戦闘を始める。ウラタロスはルナと、キンタロスはジョーカー、リュウタロスはトリガーと戦う。

 

「ふっ、ほっ、やっと!」

 

「ぐっ…!」

 

ウラタロスはデンガッシャー・ロッドフォームでルナの反撃を中距離から防いでいた。武器を持っている分、こちらが圧倒的に有利、ウラタロスがそう確信してルナにロッドを降り被ったとき、ルナの腕が伸び、その拳は正確に顔を捕らえた。

 

「ぐっ、なっ!?」

 

「……行くぞ!」

 

ウラタロスは一瞬の出来事に戸惑う。だが反撃は止まない、相手の戦い方が一変し、腕や足が自由自在に伸び縮みして、鞭のように蹴りを放ったりゴムのように拳を放つ。ウラタロスはロッドでいくつかは防ぐが変則的な攻撃を受けきれずに、ボディにゴムのように伸びた蹴りが放たれた。

 

「がっ…!?…はっ、はっ…」

 

ウラタロスは攻めきれなかった、仕掛けることも出来たが相手の射程距離が分からない状態では無理に突っ込むこどができない。だがルナはお構いなしに手足を伸ばして攻撃してくる。

 

「喰らえ!」

 

Mximum Drive!

 

「ぐあっ!?」

 

そのとき、ルナの手足が交互に、高速で、連続で放たれた。手数の多さに攻撃を喰らってしまう。

 

「まずいね……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「行くでぇ!」

 

キンタロスはデンガッシャー・アックスモードにしてジョーカーへと踏み込んだ。ジョーカーはキンタロスに向かって跳び、蹴りを放つ、だが…

 

「効かへんで!」

 

「なっ!?」

 

防御力の高い、キンタロスはクウガ・タイタンフォームのように相手の攻撃を受けきり、攻撃するというスタイルで戦うため電王・アックスフォームの防御力は四人の中でも最も優れている。

 

「おらっ!」

 

キンタロスは蹴りを受けきられて動きが止まったジョーカーにアックスを降り下ろす、力強い一撃にジョーカーは壁に叩き込まれた。

 

「まだ行くで!」

 

キンタロスはアックスを降りかぶりながらジョーカーへと勢いよく近づく。それを見たジョーカーは体を捻らせ、アックスをギリギリで避けた後キンタロスへヤクザキックを咬まし、その反動を利用して離れた。

 

勿論キンタロスに攻撃が効いていないわけではない、いくら防御力が高いとはいえダメージはいくつも受ければ大きくなっていく。

 

「これで終わりや」

 

Full Chaerge!

 

「来るっ!」

 

キンタロスはライダーパスをベルトに通し、フルチャージで力をため、上にジャンプする。このフロアは縦五メートル以上あるのでぶつかることもない。

 

「ダイナミック・チョップ!」

 

キンタロスはジョーカーにアックスを降り下ろし、それがジョーカーに当たる一歩手前でジョーカーは緊急回避を行い、キンタロスの下を潜るようにして跳んだ。

 

「なんやて!?あっ、しもた、抜けん!」

 

勢いよく降り下ろされたアックスは床に刺さってしまい、抜けなくなっていた。その隙をジョーカーは見逃さない。

 

「…もらった!」

 

Joker!Mximum Drive!

 

マキシマムドライブにより、強化された拳が、キンタロスに向かって放たれた。

 

「ぐおおおっ!」

 

キンタロスはそれを敢えて完全に真っ正面から受け止めることで攻撃を耐えた。防御力の高いキンタロスだからこそ使えた技、しかしダメージは大きい。

 

「ぐうっ、なかなかやるやないかい……!」

 

武器が使えなくなったキンタロスは、それだけではなく、ダメージも大きい。

 

 

 

 

 

 

こちらはリュウタロスとトリガーが少しだけ離れたところでデンガッシャー・ガンフォームとトリガーマグナムによる撃ち合いを行っていた。

 

「おりゃおりゃおりゃおりゃ!…おおっと!」

 

「…ふっ!…喰らえっ!」

 

リュウタロスとトリガーは避けては撃ち、撃っては避けるというヒットアンドウェイを繰り返していた。お互い少ないが被弾はしている、だがダメージはお互い全くないといってもいいだろう。

 

「いっくよー!」

 

Fuul Chaerge!

 

「こっちだって!」

 

Trigger!Mximum Drive!

 

リュウタロスはフルチャージによるドラゴン・ジェムをトリガーに放つ、だがトリガーもマキシマムドライブによるトリガードライブを放ったことで威力は相殺され、ダメージはゼロ、風を撒き散らすだけとなった。

 

「このままじゃ埒があかない…!」

 

 

ここでウラタロス、キンタロス、リュウタロスの三人は敵を倒すための一つの結論にたどり着いた。

 

「「「(二人の力を借りる!)」」」

 

三人はお互いの目線を一瞬だけ合わせると、それぞれが行動に出た。

 

「うらああああ!」

 

リュウタロスがジョーカー、トリガー、ルナの全員に当たるように移動し、ガンを連射し、銃弾で視界を塞ぐ。

 

「「「!」」」

 

「今だよウラタロス!」

 

「任せて」

 

Full Chaerge!

 

ウラタロスのフルチャージ、ソリッドアタックが三人を亀甲縛りにし動きを封じる。

 

「キンちゃん早く!」

 

「うおおおおおお!抜けたでえ!」

 

時間が空いたことで力いっぱい抜くことに集中したキンタロスはアックスを抜くことに成功した。

 

「さあ」

 

「終わり(やで)(だよ)!」

 

Full Chaerge!

 

Full Chaerge!

 

「はああああ!」

 

「ダイナミック・チョップ!」

 

「もらったぁ!」

 

 

「「「うああああああ!」」」

 

三方向からの必殺技を受けたジョーカー、トリガー、ルナは多大なダメージを受け、変身が強制解除された。

 

ローブたちは気絶しており、ウラタロスはロープでローブたちを縛った。

 

「……ふう、なんとかなったね」

 

「危なかったわい」

 

「ねえねえ、早く連絡しようよ!」

 

「わかったわかつた」

 

ウラタロスはトランシーバーを取り出し無線をONにする

 

『もしもし、僕だけど……おーいもしもし?……』

 

しかし、トランシーバーから聞こえてくるのは雑音だけで繋がらなかった。

 

「どうした?まさか桃の字たちになんかあつたんか?」

 

「だったら助けに行かないと!」

 

確かに助けに行かないと行けないが自分たちはここでこいつらを迎えが来るまで見張って居なければならない。

 

「いや、僕たちはこいつらを見張らなきゃいけない。…だから、先輩を信じよう」

 

「ああ(うん)」

 

 

 

 

 

 

 




次回はモモタロスたちの戦闘です。お楽しみに


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四十七話 裏切りの契約戦士

最近やる気スイッチがON状態な気がするので連日更新して頑張っちゃいますよ!

今回は藤堂たちの戦闘、続きが気になる方は本編へGO!
それでは本編スタート!




 

一方、ウラタラスたちが戦闘を始めたころのモモタロス、藤堂、ルギーザ、は同じくローブを着ている敵と対峙していた。ウラタロスたちと違うところと言えば人数が四人であるということ。

 

ルギーザはトランシーバーを内ポケットにしまうと藤堂たちと同じく、四人を睨む。

 

「さて、貴方たちは何者?どこから来たのかしら」

 

「……ふっ。おいおい、同じ会社員の顔も忘れたのですかぁ?」

 

ルギーザは問いかける。すると中心にいた一人が挑発的に返し、ローブを脱ぎ捨てた。その男は先日裏切り、失踪した加賀利之だった。

 

「加賀ァ……!」

 

藤堂は加賀を見ると憎しみと怒りの目で睨み付ける。

 

「何故お前はデータを盗んだ!社長の恩を忘れたのか!?」

 

「忘れてなんかいないさ、ただね。我慢出来なくなっていたのだよ僕は、この世界がな」

 

「なに……?」

 

「お前も感じたことはあるだろう?ISが世界に広まったことにより世の中の風潮は女尊男卑へ変わってしまった、男は人生を狂わされたと言ってもいいだろう……。僕達は男というだけで見下されていた、「女はISに乗れるから男よりも偉い」などと考えた馬鹿な女のせいでな。それに人生を狂わされたのは男だけではない、女もだ!女はISの適性が高いやつらから戦争に送りだされ、保護プログラムなどで家族から引き離されたやつもいるだろう。女尊男卑の性でストレスが溜まった男からの暴行を受け死んだ女性だっているそうだ違うか?」

 

加賀は語りかけるように三人に話す、その間に加賀を含めて誰一人臨戦態勢を緩めていないのは訓練、実戦を経験してきた物だからこそだろう。

 

「だから僕はこの会社を利用させてもらった。元々僕は別の組織に加入していたのだから、なに、僕にとって過去歴を変えることなんて造作もないこと。まあこれは置いとこう。そして僕はこの会社である程度の信頼を得て、社長が居ず、帰って来るのに困難なこの先日に実行を移させてもらったんだよ」

 

「……結局、お前、お前らの組織の目的はなんだ?」

 

藤堂が加賀に殺気を剥き出しながら訪ねる。

 

「さあね、組織の連中はそれぞれ目的が異なるから知らんさ。だが僕たちの目的を平たく言えば、ISをぶっ壊すことさ!」

 

「「!」」

 

「……」

 

ISをぶっ壊すという答えに藤堂とモモタロスは驚き、ルギーザは目を細めて見ていた。

 

「まあ、僕は憎たらしいISを破壊できる戦闘機とかが造れたりすればそれでいい。全く、社長のバカさ加減には呆れるよ、IS以上のパワードスーツを作ることができながらどうして公表しないのかねぇ」

 

その言葉が藤堂の怒りに火をつける。

 

「おい加賀ァ!てめえ何社長を馬鹿にしてんだよォ!社長はそんなつもりで仮面ライダーを造った訳じゃない!」

 

「社長は楽しむためっ!俺らが狙われても無事になるようにこれを託してくれた!社長は戦争なんか望んじゃいねえ、勝手な解釈をするなァッ!」

 

ふむ。と一言付け加えて加賀は嘲笑う。

 

「僕の今回の目的は一つ、ダークライダーの強奪だ」

 

「「「何!?」」」

 

全員が驚愕する。ダークライダーとは原作でもその圧倒的な強さと性能で主人公たちの敵となった存在。この世界では亜久斗がその力に世界感が崩れるのを恐れ、ラボの奥に封印し、亜久斗以外がそこへ出入りすることは許されていない。

 

「まさかダークライダーまで知っているとはなァ、さすがだなァ加賀」

 

「当たり前なことを言うなよ藤堂。さて、話しがすぎたな。そろそろお前たちを倒し、ダークライダーは僕たちが手に入れる」

 

加賀は自分のズボンのポケットからカメレオンが描かれたデッキを取り出す。と後ろにいた三人のローブたちもガイアメモリと色違いのロストドライバーを取り出した。

 

「変身」

 

Cyclone!

Heat!

Metal!

 

「……変身」

 

加賀はデッキを壁に反射した自分に向けると、現れたベルトにデッキを差し込み仮面ライダーベルデに変身。後ろの三人もドライバーにガイアメモリを差し込み仮面ライダーサイクロン、ヒート、メタルに変身した。

 

藤堂たちも同じようにデッキを、モモタロスはベルトをはめてライダーパスを取り出した。

 

「変身!」「変身」「変・身」

 

ソードフォーム

 

藤堂とルギーザは加賀と同じようにデッキをベルトに差し込み、仮面ライダー王蛇、仮面ライダーライア、仮面ライダー電王へと変身した。

 

「俺、参上!。…ったくよぉ、さっきからちまちまちまちまと下らねえことばかり言いやがって……どのみち俺たちがお前らにすることは一つだ」

 

決めゼリフを決めたモモタロスは加賀に向かっていい放つ。

 

「お前らをぶっ飛ばすことだ!!」

 

「その通りだ!いくぞ!加賀アアアア!!」

 

「やれやれ……」

 

モモタロスのセリフを引き金とし、三人は突っ込む。

 

「行くぜ行くぜ行くぜぇ!」

 

ガキィン!

 

「ぐっ!」

 

モモタロスは加賀にデンガッシャー・ソードモードで切りつけようとするが仮面ライダーメタルの持つメタルシャフトにより阻まれ、勢いを止められる。

 

「へっ……だったらてめえから相手をしてやるぜ!」

 

ガキィン!ガキャン!キンッ!

 

モモタロスは走りで勢いをつけながらメタルに突撃し、モモタロスのソードとメタルシャフトの乱戦となる。

 

力はモモタロスの方が上だがメタルはメタルシャフトを素早く小回りに振るうためモモタロスの攻撃はかわされるか防がれてしまう。

 

「ちぃっ!厄介だなその棒は、だったらこれを喰らいやがれ!」

 

フルチャージ!

 

「俺の必殺技・パート2!って何ぃ!?」

 

モモタロスはライダーパスをベルトに通し、エクストリームスラッシュによる連続切りをしようとするがここは地下、ある程度広くはあるが壁に弾かれてデンガッシャーのオーラソードはメタルには届かなかった。

 

「くそっ!部屋が狭え!これじゃあ俺の必殺技パート2が使えねえじゃねえか!?」

 

焦るモモタロス、その隙を見てメタルはモモタロスに接近しメタルシャフトを連続で振るう。

 

「うおっ!?調子に乗るんじゃねえ!」

 

モモタロスは反撃にメタルの腹にヤクザキックを放つがメタルも固い防御力をある程度持っているため、ダメージは少ない。

 

「うおら!」

 

「ふっ!」

 

カキィン!

 

「モモタロスはオーラソードを飛ばして攻撃するも真っ直ぐと飛んで来たオーラソードは簡単にメタルシャフトによって弾かれてしまう。

 

「こうなったらあの棒を吹き飛ばすしかねえ!渾身の力で吹き飛ばしてやるぜ!」

 

フルチャージ!

 

「行くぜ行くぜ行くぜえ!」

 

「!無駄だ!?」

 

モモタロスは力強くソードを握りしめ、メタルに向かった走る。狙いはメタルシャフト、全てをそれに集中させ、上から叩き切るのではなく、斜め下からアッパースイングのように振り上げる。フルチャージで強化されたオーラソードは飛ばさず、そのまま自分の遠心力等を利用して放った一撃は___

 

ガキンッ!……カランッカラン……!

 

「なっ……!」

 

メタルシャフトを、弾き飛ばすことに成功した。敵は丸腰で攻撃を阻むものは何もない、つまり。

 

「さあこれでやっとてめえをぶっ飛ばすことができるぜ…!」

 

フルチャージ!

 

「ひっ!」

 

モモタロスは再度フルチャージを行いオーラソードを強化、最高の一撃を叩き込む。

 

「今度こそ行くぜ、俺の必殺技・パート1!」

 

「うごああっ!」

 

渾身のエクストリームスラッシュは今度こそメタルを捉え、吹き飛ばした。

 

「たくっ手間かけさせやがって……」

 

ふと見るとサイクロン、ヒートも倒れている。ルギーザがやったのだろう。モモタロスはルギーザに近づき声をかける。

 

「よお、終わったな。こいつらどうすればいいんだ?」

 

「………そうですね」

 

ルギーザはモモタロスの方を向かずに左腕に装慎された召喚機エビルバイザーにアドベントカードを差し込む。

 

スイングベント

 

「その前に、貴方にはやられてもらいましょうか!」

 

「があっ!?」

 

突如、ルギーザから放たれたエビルダイバーの鞭を模し、電撃を纏った一撃がモモタロスを襲った。警戒をしていなかったモモタロスをそのダメージを真に喰らってしまい、床に倒れた。

 

「なっ……てめえ、なにしやがる…!」

 

モモタロスは薄れ行く意識の中、声を振り絞りルギーザに問いかける。するとルギーザはふふふと笑いを浮かべモモタロスを踏みつける。そして、モモタロスの意識は途絶えた………。

 

 

 

 

 

 

「行くぞ、加賀アアアア!!」

 

「そう熱くなるなよ」

 

藤堂は怒りを顕にし、ベルデへと変身した加賀に向かって跳び蹴りを放った。だが加賀は体を捻ることで蹴りを避け、後ろに下がった。

 

加賀は左腿に装慎されたカメレオンの頭を模した召喚機、バイオバイザーのカードキャッチャーを手元まで伸ばし、藤堂はコブラを模した召喚機、ベノバイザーの頭の部分にそれぞれアドベントカードを装慎した。

 

ソードベント

 

コピーベント

 

藤堂はベノスネーカーの尾を模したドリル状の剣ベノサーベルを手にし、対するベルデはコピーベントにより王蛇のベノサーベルをコピーして同じく手に取る。

 

「うおおお!」

 

「さあかかってこいよ!」

 

二つのベノサーベルによる乱戦。切ってはかわし、避けては離れるの繰り返し。そして乱戦から数十秒後藤堂は尋ねる。

 

「言え!お前の組織の上には誰がいる!?」

 

「んー、そうだなぁ。例えば………」

 

そこまで言うと加賀は藤堂に背を向け、逃げた。

 

「!待てっ!!」

 

藤堂は追いかけるが見失ってしまう。周りを確認すると曲がり角からライアに変身したままのルギーザが出てきた。

 

「あ、おいルギーザ。加賀の奴を見なかったか?さっき逃げていったんだが……」

 

「あら、見てないわよ。それより……」

 

ルギーザはそういうと何の躊躇いもなく鞭を藤堂に放った。

 

「がはっ!?」

 

藤堂は目の前に起きた光景がわからなかった。ベルデの持つアドベントカード・コピーベントは他のライダーの姿になること出来る。だが加賀は自分のベノサーベルをコピーしたはず、ならば目の前にいるルギーザは本物。

 

そして目まぐるしく働いた藤堂の脳はひとつの仮説に辿り着く、絶対にあってほしくない最悪の可能性に。

 

「ぐ…ま、まさか……お前…!」

 

そのとき、ルギーザの背後からベルデ、加賀が姿を現した。

 

「ははは、さっきの答え…まだ教えてなかったな。ちなみに、こいつも組織の人間だぜ?」

 

「なっ……!?」

 

最悪の仮説は、可能性から真実へと変わった。藤堂はルギーザに顔を向ける。

 

「ふふ、ええそうよ。さっき一緒にいた協力者さんは今頃ぐっすり寝てるわよ。貴方も早く休んだら?」

 

藤堂は更に怒りを震わせた。

 

「ふざけるんじゃねえ!!!」

 

ファイナルベント

 

藤堂はベノバイザーにファイナルベントのカードを装慎し、ベノスネーカーが現れる。

 

「二対一で敵うとおもわないことね」

 

ファイナルベント

 

「とっとと殺られてくれよ」

 

ファイナルベント

 

加賀とルギーザも同じくファイナルベントを発動させバイオグリーザ、エビルダイバーが現れる。

 

「「はあああああっ!!」」

 

藤堂は空中からベノスネーカーから吐かれた毒液の勢いを乗せて連続蹴りを、ルギーザはエビルダイバーの背に乗り波乗りのように藤堂に体当たりを喰らわす。二つの威力は相殺されるあと一歩で藤堂が押し込み、ルギーザは壁に叩きつけられる。

 

「はあっ、はあっ、どうだ……!?」

 

「残念だけど、僕を忘れないでよ!」

 

加賀はバイオグリーザの舌を足に巻きつけ振り子の要領で藤堂を捕まえる。

 

「なっ!?」

 

「さあ、終わりだ」

 

そして藤堂を捕まえた加賀はパイルドライバーを喰らわせ、藤堂の頭を地面に激突させた。

 

「がっ……は……」

 

「あれ?まだ生きてるみたいだね。まあ起き上がれそうにもないし、先に回収するとしよう。行くぞお前ら」

 

「わかったわよ」

 

藤堂は見た。加賀に付いていくルギーザの後ろにいたのは、先程ルギーザが倒した筈のサイクロンとヒートだった。

 

 

 





何故か途中で打ち込めなくなってしまったのでここで一旦区切ります。次話は明日に更新する予定です。

感想、評価、活動報告のアンケート等へのコメントをお待ちしております。


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四十八話 藤堂影鷹の過去・奪われたダークライダーと守られたダークライダー

祝!感想五十突破!

バトル回に入ってから感想が増えていき本当に嬉しいです!ちなみに、私はアドベントカードの所有者を『仮面ライダー龍騎アドベントカード』で検索したときに画像つきのサイトを見つけたのでそちらを利用させていただきました。間違いがありましたら報告お願いします。

そして夏休み編(現実は冬休み)に入るとライダーメインになりIS関係ねえ!って感じになるかもしれませんのでここで謝っておきます。ごめんなさい。

登場させたいライダーや会社のオリキャラも募集しますので良かったら応募してください。

前書きが少々長くなりましたがこれで終了です。

それでは本編スタート!


藤堂影鷹

 

彼は一般家庭の一人息子として生まれた。家は父親が抱えた借金を負わされており、父親は毎日酒と暴力に明け暮れ、借金を残して家を出ていく始末。母と子だけの生活は決して裕福な暮らしとはいえなかった。母親が親戚や祖父母を頼り働き詰めていたため学校へは何とか行けた、苦しい中働く母のために藤堂は必死で勉強をし、早く自分が母の代わりとなるために身も鍛えた。そして小学五年のとき、成績優秀、運動神経抜群となっていた藤堂は周りから優等生と呼ばれていた。だが藤堂は慢心することなく精進した。

 

だが進学して中学二年、十四歳のときにそれは一変した。学校に母親が仕事場で倒れたと連絡が入ったと聞いた藤堂はすぐさま病院に駆けつけた。母親はガンを煩わせていた。それから母親は入院し、消費される金は多くなった、病院の治療や入院費、学校の給食費や学費に加えまだ残っている普通では支払えない量の借金。

 

それから、藤堂は学校へ行くことが出来なくなった。十五歳となった藤堂は毎日朝昼晩とアルバイトを繰り返していた。休みなどなく、ガンの手術代をため、借金を払い、アルバイトを繰り返す日々。

 

それからおよそ半年、貯まった手術代で母親を手術させることが出来た。手術は無事に終え、一週間後には退院できると聞かされた藤堂は歓喜に溢れていた。だが退院当日、母親は死んでいた。容態が急変したということだった。ベットに寝かされた母親を見たとき、藤堂は自分の母親を抱きしめた。

 

ふと、藤堂は気づく。母親の体が軽すぎることに、そして後ろにいた医者が怪しい笑みを浮かべていたことに。

 

その日の間、藤堂は医者に一日だけ側にいさせて欲しいと頼んだ。許可をもらった藤堂は別の大病院から小型レントゲン器具を借り、母親を写した。写真に写った母親の体には、内臓か殆ど残っていなかった。

 

藤堂は気づく、自分は騙されたのだと。それから藤堂は病院にそのことを訴え、裁判を起こした。しかし裁判当日、何者かによって部屋を荒らされていさ。物が無くなっていた。証拠となる写真も。裁判当日、出頭した証人と病院の責任者、裁判員全てが女性だった。今は女尊男卑の時代、証拠もなく、圧倒的に不利な立場だった藤堂は起訴することが出来ず無罪判決が言い渡された。

 

その日から二年間、藤堂は借金の肩代わりに荒ら仕事を始める。母が死んだ日から体を鍛えていた藤堂は主に裏ストリートで戦った。各場で消え去ったと思われるプロボクサーや力自慢、ゴロツキが集まり賭け事を行うその場で藤堂は自分が勝つことで借金の返済に明け暮れた。

 

そんなある日、転機が訪れる。賭けを終えた藤堂は賞金を持って届ける途中、突然後ろから鈍器で頭を殴られリンチにされる。試合に勝ち続け、金を総なめしていた藤堂は恨みを買っていることが多く、賭けに負けた腹いせに襲われ、賞金を奪われた藤堂は地面に倒れ、痛みの中で意識を手放した。

 

 

目を開けると知らない天井があった。藤堂が混乱していると突然人が入ってくる。それが現夜霧グループ総会長夜霧甲斐斗(よるきりかいと)とその息子夜霧亜久斗との出会い、それから藤堂は戦闘能力の高さを雇われ、『RIDE』で働き自分を助けてくれた夜霧家に仕えた。

 

このとき、藤堂影鷹はある決意をする。

 

俺は、この人たちのために生きよう

 

この人たちに恩を返すために、残りの人生は使う

 

 

 

そして、その決意が藤堂影鷹を立ち直らせていた。

 

「(……俺は、まだやれる!)」

 

「(…社長や会長の恩をわすれるな!)」

 

「うおおおおお!!」

 

倒れていた藤堂は、雄叫びと共に起き上がった。周りを目だけで確認すると、目の前に加賀たちがいた。侵入経路は不明だがそれぞれが抱えたトランクケースからするともうダークライダーは回収されてしまったようだ。

 

「(だが…それがどうした!)」

 

盗られたなら逃げられる前に捕まえればいい。それだけだった。

 

「……驚いた。あれを喰らってまだ起き上がれるなんて、まだ三十分しかたってないと思うんだけど」

 

驚きが隠せない加賀。藤堂は拳を握りドアに貼り付けられた手形を殴りつけた。

 

ビーッ!ビーッ!ビーッ!

 

途端、ラボに警報が鳴る。緊急事態時のみ発令を許された警報方法であり、ラボのみならず会社までその音は伝わる。時期に会社に残っている警備員がこちらに向かってくる。

 

「ちっ!余計なことをしやがって!おい!急いで逃げるぞ!」

 

「させ……るか……!」

 

加賀たちは走ってラボから脱出しようとするが藤堂は腕を広げ行く手を阻むように立つ。

 

「邪魔です、往生際が悪いですよ藤堂」

 

「はっ!」

 

Heat!Maximum Drive!

 

「がああああっ!!」

 

立ちはだかる藤堂をヒートは炎を灯した拳で殴りつける。藤堂は膝をつきベノバイザーで体を必死で支える。しかしその間に加賀たちは藤堂の横をすり抜けるようにして走っていく。

 

「く…そがぁ!」

 

スチールベント

 

藤堂は渾身の力を絞ってベノバイザーにアドベントカードを差し込み、トランクを二つ強奪し、加賀たちとは反対方向に蹴りとばす。

 

「なっ!こしゃくなマネを……!」

 

「おい!その二つは諦めろ!残りを持って早くここを出るぞ!」

 

加賀たちが見えなくなり、ボロボロとなった藤堂だけが残った。藤堂は床に倒れ込み、意識を手放した。

 

「…………はっ!」

 

気を失った藤堂が目を覚ますと、そこは病室だった。島に建てられている会社専用の小さな病院、医療器具なども整っている。

 

藤堂が周りを見るとそこには協力者の桃他が同じように眠っていた。

 

「いつつ……」

 

藤堂が体を痛みとともに起こそうとすると扉が開いた。入って来たのは『RIDE』代理社長夜霧恵だった。

 

「気分はどうかしら、藤堂?」

 

「あまり良くはないっすね。身体中が痛いっす」

 

そう、といいながら恵は藤堂のベットの近くの椅子に腰かける。

 

「さて、加賀の襲撃から三日ほどたったわ。加賀に続いてルギーザが裏切ってダークライダーをいくつか奪って逃走していったわ」

 

「……っ!」

 

藤堂は自分の不甲斐なさに唇を噛み締める。

 

「でも、貴方がしたことが不幸中の幸いとなっているのよ」

 

「……?」

 

「貴方が守った五つのダークライダーは数ある中でも強力な部類に入るものでね、敵に渡らなくて本当に助かったわよ」

 

「………社長代理」

 

「なにかしら?」

 

「……俺は、役に立てたでしょうか?」

 

恵は呆れたように藤堂に言う。

 

「当たり前じゃない。貴方のお陰でそのダークライダーは守れたし、貴方が警報を鳴らしたお陰で駆けつけることが出来たんだから」

 

「……そうですか」

 

「ええ、それと、敵の組織のボスがわかったわよ。名前だけだけどね……」

 

「!」

 

「そいつの名前はゴウラ。身元不明で今回敵が所持していたドライバーは彼が造ったらしいわ」

 

「ゴウラ……」

 

「それじゃあ私は会議に戻るわね、しっかり休んでおきなさい」

 

恵は扉から出ていく。藤堂は起き上げた体は倒れ込むようにして寝かせ、力強く手を握った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ふう、深夜だからってちょっと雑でしたかね。まあ、何はともあれ夏休みからはライダーメインで行きます。原作キャラも登場させようと思います。

ではまた次回。


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四十九話 夏休み開幕、新たなる仲間(混乱)


今まで出てきたオリキャラは九人。そのうち二人が裏切り、一人は病院行き。そして亜久斗が帰ってくる。どうなる、仮面ライダーたちよ!

それでは本編スタート!



 

 

亜久斗は襲撃から一週間後、自分のラボに帰って来ていた。今回はIS学園に許可を取った後にテレポートして島に一瞬で移動した。亜久斗は島に戻るとまず自分の会社に足を進めた。

 

「亜久斗様、お帰りなさいませ」

 

「ああ、久しぶりだな小鳥遊。現在の状況を説明してほしい」

 

亜久斗は社長室で待ち構えていた自分の秘書、小鳥遊楓(たかなしかえで)を見かけると自分のPCを立ち上げ、状況の説明を要求する。

 

「はい、まず亜久斗様が臨海学校に向かう前日経済科主任の加賀利之が七つのガイアメモリとダブルドライバーを整備科から強奪しライダーのデータを持ち逃走、その二日後に仲間を引き連れてラボを襲撃し裏切ったルギーザとともにダークライダーを強奪していきましたが藤堂と協力者のお陰で計五つのダークライダーは無事、三人の敵を束縛することができました」

 

「ありがとう、そこまでで構わない」

 

亜久斗は小鳥遊から話しを聞くとキーボードを打ち込み状況を保存した。

 

「まだ続きがあります、藤堂は現在重傷で会社の医務施設で体を休めておりますそして束縛した三人から聞き出した情報から加賀たちのボスはゴウラといい目的はISの破壊すること、これによりIS学園が狙われる可能性も疑われます」

 

「……ゴウラ……ん?」

 

「どうかなさいましたか?」

 

「いや……何でもない、続けてくれ」

 

ゴウラと聞いて亜久斗の頭に浮かんだのは前世で発売されていたオール仮面ライダー・ライダージェネレーション2のボスキャラを思い浮かべた。だが気のせいだろうと思考を停止した。

 

「そこで恵様はIS学園の襲撃に備えて護衛をつけることと暗部組織十七代目楯無様に協力を申請しました」

 

「……パードゥン?」

 

「十七代目楯無様に協力を申請しました」

 

「楯無…更識楯無?」

 

「はい」

 

「オウ……」

 

更識楯無、確か彼女はIS学園の生徒会長だったはずだ終業式であいさつをしているところを見た。そして簪の姉だったはず、彼女から情報が漏れるのはかなり不味い。

 

「……情報が漏れる危険性は?」

 

「それなら問題ありません、恵様が会談のさいにきつく言っておられましたから向こうも言いふらすことは無いと証言がとれました」

 

「そ、そうか、なら問題ないな…」

 

亜久斗は若干汗をかきながらPCに保存を終え、閉じた後部屋を出る。

 

「どちらへ?」

 

「一度ラボに戻る。被害状況を確認してくるから何かあったら呼ぶように、護衛の件は考えておく、十七代目更識楯無さんとの会談はいつだ?」

 

「四日後となっております」

 

「よし、五つのダークライダーは俺が所持しておくどこにある?」

 

「それなら協力者の浦島という方に渡しております」

 

「わかった。後はとりあえず普段通りに働いてくれ、警戒は怠らないように」

 

亜久斗はラボに向かった。

 

 

 

 

「うわ…結構派手にやったなぁ……」

 

亜久斗はラボの戦闘の後を確認していた。抉られた傷、蹴りの凹みの後など戦闘が行われた場所はボロボロだった。

 

「しっかし、誰を護衛にするか……」

 

亜久斗は確認した後、ウラタロスたちの待つ自室に向かう途中で考えていた。IS学園に入るには二つの方法がある、一つは生徒として、一つは教師としてだ。自分の部下に生徒として入れる年齢の人物はいないから消去法で教師として入れることになるが……。

 

まず前提条件として信頼できる者、量産型として造ったバース、イクサ、G3以外のライダー持ちであること。藤堂は怪我でダウンしているから不可能、恵と小雨と小鳥遊には会社のことを頼まないと行けないのでこちらも却下。やはり斎藤が一番良いのだが男であるために何かと不憫な役割となるかもしれないので惜しいが却下。ライダーを渡している者は警備科を除けば

十二人。うち二人が裏切りで四人と姉を除いて残り六人。教師役となる人物は一人も……ん?

 

「……いた、あ」

 

亜久斗は気がつくと部屋に辿り着いていた。そしていつものように鍵を開けると自分の足元に何か飛び出してきた。

 

「………んん?」

 

屈んでよく見るとそれはちっちゃくなったウラタロスとキンタロス、リュウタロスだった。自分が知っている中でこんなことが出来るやつが一人いた。亜久斗がドアを開けると

 

「遅かったな」

 

エレガントなコーヒーカップを片手に椅子に腰かけている男、コーンロウのヘアスタイルと羽だらけの首飾りを装着していて目の色は白、その顔は自分の顔だった。そして、彼の名は

 

「我が名はジーク。呼ぶときは気軽にプリンスでよい」

 

仮面ライダー電王第23話に初登場した白鳥をイメージしてこの世に生まれたイマジン、ジークだった。

 

「……まじかよ…OTL」

 

味の濃いイマジンが増えたことにより、亜久斗は膝をついた。

 

 

 

 

 

 

「………で?何故にジークはここにいるんだ?」

 

亜久斗が復活し、ウラタロスたちが元を大きさに戻ったところで亜久斗はジークに問いかけた。

 

「ふむ、まあこの世界に来た方法はそこにいるお供たちと同じだ。まあ、理由は違うがな」

 

「理由?」

 

「そう、神とやらがミスを犯した性でゴウラという男がこの世界に流れついてしまった。その男を捕まえるために我らは来てやったのだ」

 

ジークをコーヒーカップを手に取りながら上から目線で答える。亜久斗はジークの意見で気になるところを見つけた。

 

「「我ら」ってどういうことだ?」

 

「この世界に来たのは私だけではない、デネブとやらも来ているらしい」

 

「……え?」

 

「「「ええええええー!!?」」」

 

「煩いぞ。頭が高いっ!」

 

ジークの言葉に亜久斗たちは驚愕するが大声を出したウラタロスたちは小さくされてしまった。

 

「……ってことは、ジークは俺たちと戦ってくれるのか?ゴウラと」

 

「何を言っている。動くのは私ではなく、世界の方だ。私自ら出迎える必要などあるまい」

 

……そうだった、こいつはそういう奴だった。

亜久斗はそこで肝心のデネブがいないことに気づく。

 

「デネブは?」

 

「知らん、来る途中ではぐれてしまった。どこかに要るだろう」

 

「おいおい……」

 

もしデネブが町を彷徨いていたらある意味危険なのに……。そこへ亜久斗の携帯が鳴った。

 

「……もしもし?」

 

『……亜久斗か?』

 

「一夏か、どうしたんだ急に」

 

冷静に返すも、内心はもの凄く不安だった。

 

『イマジンって知ってるか?』

 

「ぶっ!」

 

いきなりのことに吹いてしまった。

 

「そ、そのイマジンがどうしたんだ?」

 

『い、いや対したことじゃないんだけど。今俺の目の前に俺と同じ姿をいしたデネブって人が……』

 

「………OTL」

 

やりおった。まさか一夏の下に行くとは……。

 

「と、取り合えず明日お前の家に行くからそいつは停めてやってくれ」

 

『ああ、わかった』

 

携帯が切れる。亜久斗はこの状況がよくわからなかった。整理すると

イマジンたちがゴウラを倒すために来たけどジークはやる気無さそうだしデネブは一夏の家に着いちゃったぜ!ということになる。

 

「……なぜだ。はああぁぁぁ……」

 

亜久斗は深い溜め息を吐いた。

 

 






やっちゃった感が半端ない、
反省も後悔もしている。だがこのまま行く!



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五十話 デネブ(おかん)と一夏(鈍感)


最初に言っておく。今回はかーなーり短い!

暇過ぎて更新し、感想を待つことが楽しみとなって来ている私、滝温泉こといずみは冬休みの課題を取り合えず放棄して更新をすることにしました。

感想欄へのコメントが増えてきてかなり嬉しいです。さて、今回は一夏とデネブとの絡みを書いて行きます。

デネブとジークの互いの呼び方がわからないのでそのままにしています。誰かわかる人がいたら教えてください。

それでは本編スタート!




 

 

「………」

 

「………」

 

リビングに座っているのは二人の男。その顔はそっくりで片方の髪には緑のメッシュが入っている。彼らを見かけたら十人中十人が双子だと答えるほどそっくりな二人はテーブルは挟むように座っている。一夏は座ったはいいが何を話していいかわからず、沈黙が流れる。

 

「あの~取り合えずお互いに自己紹介から始めませんか?」

 

「そ、そうですね。じゃあ俺から、俺の名前は織斑一夏、IS学園に通っています」

 

「俺はデネブ。イマジンって言われる種族です、これからお世話になります」

 

「………え?」

 

これからお世話になります。という言葉の意味がわからなかった一夏は疑問を浮かべる。がまずはイマジンについて聞くことにした。

 

「あの、デネブさん。イマジンってなんですか?」

 

「デネブでいいですよ。イマジンというのは人の願いを叶えて契約をする種族です。一夏が俺に願いを望んだので契約したので俺はこれから一夏と共に暮らしていくわけです。キャンディーをどうぞ」

 

「は、はあ……」

 

一夏には何が何だかわからない。というか契約をした覚えがない。別に部屋は余っているから暮らすことに問題は無いのだが自分が何を望んだのか全く覚えていない。取り合えずキャンディーを口に運んだ、美味しい。

 

「あ、その顔は願いに覚えがありませんね?昨日の夜のことを思い出して下さい」

 

「昨日の夜……はっ!」

 

ここで回想に入る。

 

昨日家へと帰宅してきた一夏はIS学園から帰って来たあとすぐにベットにダイブしたのだ。そのあと一時間ほどして目が覚めると自分と同じ顔、つまりはデネブがいたのだがそこで言われた。

 

「貴方の願いは何ですか?」

 

と、一夏は起きたばかりで寝ぼけていたので何故家の中に人がいるのか、この人は誰なのか?ということを考えずに答えた。

 

「俺の願いは、強くなることだ。千冬姉やみんなを守るために強く……なる……zzz」

 

ここで一夏は疲労もあって寝てしまうのだがデネブはしっかりと危機届けていた。実はこのとき、デネブは一夏のことを亜久斗だと思い込みそのまま契約してしまったのだった。

 

「そうだ。確かに俺は願ったな……強くなりたいって」

 

「ええ、そして俺は一夏と契約した。だから俺は一夏が強くなるのを手伝う」

 

「…例えば?」

 

一夏の頭に浮かんだのはIS学園での訓練。箒は擬音だらけでセシリアは教科書どおりの模範的な説明だが詳しすぎてわからない、鈴は自分を基準にして説明するのでどれも理解できなかった。その三人みたいな感じだった場合を思い浮かべた一夏は冷や汗を流した。

 

「そうだなあ……基本的な身体能力をあげるために筋トレとか、実戦訓練に組手をしたりしよう」

 

普通の回答だったために一夏はほっとした。

 

「じゃあデネブ、俺を鍛えてくれ!」

 

「任せろ一夏!ただしもうお昼だからご飯が先」

 

「なんだそりゃ」

 

一夏はズッこけてしまった。デネブは席を立つとキッチンに向かった。

 

「俺が料理を作ろう。こう見えて、結構家事は得意なんだ」

 

「へぇ~奇遇だな、俺も家事は得意なんだぜ。千冬は反対に家事はできないけど」

 

「ははは、これからお世話になるんだし、取り合えず今回は俺に任せておけ」

 

「おう、よろしくな」

 

それから、ご飯を食べながらお互いのことを語りあった二人は元の性格もあって、かなり打ち解けた。

 

 

 

 

 

 

その日の夜、食事を終えた二人は一緒に洗濯物を畳んでいた。

 

「あ、そういえば千冬姉にデネブのこと伝えないとな、ちょっと電話してくるな」

 

一夏はリビングのテーブルに置いてある携帯を取りに言った。残りの洗濯物を畳んだデネブは窓を開け、空の星を眺めていた。

 

「侑斗……俺はこっちでも頑張るからな。応援してくれ……」

 

デネブは星を見上げながら呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

一夏とデネブの日常コメディ

 

「にしても一夏、この家の部屋を覗いたんだが一つだけ物凄い汚い部屋があったぞ」

 

「ああ、それは千冬姉の部屋だ。いつもは俺が掃除するんだけどまだやって無かったな」

 

「そうだったのか、実はこんなものを見つけた」

 

「なんだこれ?ノート?見たら殺すって書いてあるし……」

 

「ああ、千冬さんの部屋で見つけたんだ。気になって開けようと思ったんだが怖くて出来なかった」

 

「わかるぜ、俺も千冬姉に部屋に入るなって言われると怖くてな入れないぜ。あれはよほどの隠し事があるに違いない」

 

「「ははははは!」」

 

「ほう…面白いことを話しているな。私も混ぜてくれないか?」

 

ズビシッ!ズビシッ!

 

 

「デネブ、ここが五反田食堂だ。俺の友達の弾って奴がいるんだ」

 

「一夏には友達が居たのか、どんな人か楽しみだ」

 

「俺普通に友達ぐらいいるから!?おーいだーん!」

 

「何だよ一夏、あっ、その人がお前の言ってた人か?」

 

「はい、俺はデネブ、一夏ともに宜しく、キャンディーどうぞ」

 

「あ、どうも。にしても…本当にそっくりだな。このキャンディーうまっ」

 

「だろ?デネブが作ったんだぜ」

 

「へえ~、あっ、デネブさん。うちで食べません?汚いところですが味は良いですよ」

 

「デネブで良いですよ。それじゃあ、お邪魔します」

 

 

「なあデネブ、夏休みが終わったらどうするんだ?IS学園は俺と亜久斗以外の男は学生か教師じゃなきゃ入れないぞ?」

 

「ISが動かせなくったって整備士志望として入れば大丈夫だろう。亜久斗からも任されたしな」

 

「そっか、悪いな。俺のためにワザワザ」

 

「なあに、IS学園でも俺は大丈夫さ。それに、強くなるんだろ?俺はISのことはさっぱりだけど鍛えることは出来るからな」

 

「でもIS学園に入るには勉強しないと無理だぜ?」

 

「えっ!?」

 




デネブ入学フラグを建てました。

クウガってフォームチェンジの時どうやってやるんでしょうか?誰か教えてください。

そして最後に言っておく。次回から一夏の出番は殆どないだろうと、そして亜久斗の出番が増え、会長と接触するであろうと。


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五十一話 会談、更識家十七代目当主更識楯無


やったよ!感想数六十突破しましたよ!みんなクウガのフォームチェンジを教えてくれてありがとう!そして最後に自分の感想も書いてくれるなんて、嬉しいです。

その感謝を込めて五十一話を更新しました。

それでは本編スタート!


 

 

亜久斗は更識楯無との会談を行うために、更識家にやって来ていた。亜久斗の服装はオーダーメイドされた黒のスーツであり、いざというときのために腰にある専用機、仮面ライダーを装着していた。ベルトは上からスーツを被せておけば目立たないため問題はない。

 

「……しっかし、早く来ないかなぁ」

 

先程この部屋に案内されてから十分は経っている。使用人らしき人がすぐに呼んできますと言ってから十分だ。ここの使用人にとっての時間の定理が気になる。

 

それから更に二分ほどすると襖が開き、一人の女性が入って来た。水色の髪に赤い瞳、IS学園の制服ではなくこちらもオーダーメイドされたスーツを着ていた。おまけにスーツでありながら動き易さを前提に作られたようだが。

 

「待たせて申し訳なかったわね。私は更識楯無、更識家の十七代目当主よ」

 

その人、更識楯無は向かって正面に座ると扇子を開く。その扇子には歓迎!と書かれていた。

 

「いえいえ、私は夜霧グループ『RIDE』の社長を勤めております、夜霧亜久斗です。今回は更識楯無様に依頼があって参りました」

 

「あら、そんなに畏まらなくてもいいわよ。気軽に楯無でいいわよ?もしくはたっちゃんでも可」

 

……今のでわかった。この人、自分を隠している。相手に悟られないように、弱味を見せないように。それでこんなフレンドリーでお姉さん的なキャラを通しているのだろう。だがこの手の対処法は知っている。

 

「ではたっちゃん。今回の用件を説明致します」

 

「……まさかそっちで呼んで来るとはね。君もやるわね」

 

相手の誘いに乗ればいい、それだけで相手の調子は狂い、こちらへと風は傾く。

 

「たっちゃんには以前家の社長代理、現在の副社長が以前話されたと思いますが、先週、私の開発したパワードスーツが部下によって強奪され何者かの手によって渡りました。そしてその部下の目的はISの破壊でした。そして可能性としてIS学園が狙われる場合がありますので万が一、IS学園が襲撃された時のために力を貸していただきたいのです」

 

重苦しい空気と沈黙が流れる。たっちゃんの顔つきも先程とは違い真剣になっている。数秒間考えた後たっちゃんは口を開く。

 

「その依頼に関しては受けてもいいわ。でも、二つ条件があるわ」

 

「条件、とは?」

 

「まず一つ目、貴方はそのパワードスーツで何をしようとしたのかしら?」

 

亜久斗はど直球な質問を当然のように答えた。

 

「自分の部下の身を自分で守らせるためと単純な警備の強化です。我が社は高い技術を持っていることから政治家や各業者からの依頼が絶えず、中には脅しをかけ自分の物にしようとする者まで現れます。そういった不純な奴等から守るために作りました」

 

今いったことは半分は真実である。亜久斗が警備の強化、襲撃から守るためにライダーを配布したのは本当だ。だが造ったのは自身が楽しむため、仮面ライダーとなり戦うためである。

 

「そう、じゃあもう一つの条件よ。私と戦って満足させることが出来たら、その依頼を受けてあげるわ」

 

「ありがとうございます。たっちゃん」

 

「そ、その呼び方は止めてほしいかな、普通に名前で呼んで頂戴」

 

「わかりましたよ、楯無。それで、対戦方法はどうし……おーい、楯無ー」

 

楯無の顔が赤い、自分で呼べと言って自分で恥ずかしがってたらわけないと思うが、亜久斗は口には出さなかった。楯無ははっ!として告げた。

 

「そ、そうね!こっちに来て頂戴!」

 

楯無は早歩きで行ってしまう。亜久斗はその後をついていった。

 

「(やれやれ……以外と初だなこの人)」

 

「(……なんで亜久斗君はこんな積極的に来るのかしら。平常心平常心)」

 

 

 

 

「……ここは、道場ですかね?」

 

亜久斗が楯無に連れられて来たのは木の板で造られた床の広い部屋。IS学園の剣道部の道場とよく似ている。

 

「うーん、ちょっと違うわね。まあそのことは今はいいじゃない。それで勝負の方法だけど……」

 

楯無はスーツを脱ぎラフな姿になる。身体のラインが分かり安い感じにたるので困る。が顔には出さない。

 

「組手をしてもらうわ!」

 

楯無は扇子をビシッ!と亜久斗に向けていい放った。

 

 

 

 

「さて、始めましょうか」

 

「ええ、それにしても、悪いわね。服用意してもらって」

 

「別に構いませんよ。さすがにあのまだと戦うのには抵抗がありましたからね」

 

「あ、もしかして照れてる?お姉さんに見とれちゃったかしら?」

 

「ええ、とっても麗しい姿でしたよ。ですがあのまま戦ってもし事故が起こるなんてことになったらしゃれになりませんからね」

 

亜久斗は先程楯無にドレスアップリングで体操服に着替えさせた。自分もアンダーシャツと膝まであるズボンという動き易い格好に着替えた。ちなみに

楯無の格好は亜久斗と同じ膝まであるズボンに紺色の体操服だ。決してブルマではない。

 

「では……私が楯無を満足させたら良いのでしたっけ?」

 

「ええ、それと、組手のときぐらいは敬語を直したらどうかしら?」

 

「そうですね……じゃあ始めるとしますか!」

 

亜久斗は一歩踏み出し右肩の内側へと、牽制の掌打は放つ。このとき、前のめりに移動するのではなく、身体の頭、背、腰のラインが縦に直線になるようにしたまま放つのが反応速度を上げるコツだ。

 

「甘いわよ!」

 

「知っていますとも!」

 

楯無は亜久斗の手首を掴み合気道の要領で投げ倒そうとしたが亜久斗の身体は勢いには乗らずに引っ張られることも無かった。亜久斗は楯無の足の間に自分の左足を滑り込ませそのまま体当たりをする。

 

「痛たた…結構強いじゃない。亜久斗君」

 

「楯無も凄いね。当たる直前て体を後ろに引いてダメージを無くすなんて、痛たたって絶対嘘でしょう」

 

「あらら、張れちゃった。じゃあ次はこっちから行くわよ!」

 

楯無は古武術の奥義が一つ『無拍子』でによりどんっ!といきなり亜久斗の目の前に急接近する。『無拍子』とは律動の空白を使う技術のことであり、人間のリズムを相手に感じさせることなく攻撃することである。

 

「ぐっ……!」

 

楯無は亜久斗の関節が強ばる瞬間を狙って一瞬で両肺に双掌打を叩き込む。亜久斗は呼吸が止められたような痛みを喰らいつつも反撃に足払いをしてバランスを崩した後倒れ込む楯無の腹の位置に両手拳を合わせるようにして構え、拳は腹に直撃する。

 

「くっ!(本当に強いわね亜久斗君、もしかしたら私と同等いや、それ以上かも!)」

 

「はあ、はあ!(やべえこの人かなり強いな。さすがは学園最強と言われた生徒会長なだけはある、人外までとは行かないが)」

 

二人は再び相手の部位を狙って組手を行う。合気道、カポエイラ、マーシャルアーツ、古武術等様々な技で打ち込む楯無。高い身体能力を活かしたカウンター、斎藤から習った拳法などで反撃をする亜久斗。既に二人は汗だくとなっていた。

 

「はあ、はあ……」

 

「ぜ、はあ、強いな…」

 

二人の汗が床に垂れ、そして二人は疲労のこともあって倒れこんだ。

 

「はあ、はあ、ひ、久しぶりに本気で戦った気がするわ。はあ、お姉さん、疲れちゃった」

 

「……こっちも、凄くいい経験になりまきたよ。あ、ところで依頼、協力してくれますか?……」

 

「え、ええ…いいわよ。元からこの依頼は受けるつもりだったし。亜久斗君て戦ったのはちょっと試してみたかっただえよ」

 

「そ、そうですか……」

 

倒れて、肩で息をしながら会話をしていた二人は数分後起き上がり。握手を交わした。

 

「これからよろしく。楯無」

 

「う、うん、こちらこそよろしくね亜久斗君」

 

楯無の顔が赤くなっていたのは運動をしたからだと思いたい。亜久斗は自分の会社に戻っていった。

 

楯無は亜久斗を見送ると、自分の部屋に戻っていく。途中の廊下で自分の妹を見かけた。

 

「あら、簪ちゃん。どうしたの?」

 

「お姉ちゃん、ずるい。私も亜久斗と話したかった……」

 

「あらあら、ごめんね簪ちゃん。なんたって簪ちゃんの初恋の人だもんね?」

 

「お、お姉ちゃん!」

 

「ごめんごめん。じゃあ私は汗を流して来るわね」

 

楯無は風呂場に入り、照れながら怒る妹から退散した。

そして、シャワーを浴びる楯無の頬は、赤く染まっていた。

 

「ごめんね簪ちゃん。お姉ちゃん、亜久斗君のこと好きになっちゃったかも……」

 

その顔からは先程と違い、一人の恋する乙女だった。






ああ、ライダーを書きたい、そろそろ戦闘に行こうかな?今度は龍騎じゃなくて別シリーズのライダーを活躍させたいですね。

それはそうと、藤堂が守り抜いた五つねダークライダーは何がいいですかね?よかったら意見を求みます。


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五十二話 狙われた本社、そして撃墜

前回ダークライダーの意見を聞いたところエターナル、オーガ、ダークキバの人気が半端では無いことをしった。調べたところダークキバは並外れた身体能力さえあれば変身できる模様、ライフエナジーが無くなったら死にますが。エターナルの人気は恐らくビジュアルの良さとIS×Wのss登場による影響かと。

今回の話しは亜久斗の両親が登場します。戦闘メイン、無双意外の何物でもありませんが……。

それでは本編スタート!


「まったく……誰だい君たちは、会社の窓を割って登場なんて前代見門だよ、ましてやここ社長室なのだが……」

 

夜霧グループ本社の社長室に、謎の男たちが窓を蹴破って侵入してきた。それも全員が変身しておりその数は十五人程、そしてこの場にいるのは亜久斗の父親であり夜霧グループ会長の夜霧甲斐斗(よるきりかいと)とその妻夜霧冥弧(よるきりめいこ)のみであり、男たちは二人は囲むようにして移動していた。

 

「まあ何はどうあれ、不法侵入者扱いってことでいいかな?亜久斗の方で色々あったようだし、巣巻きにでもして送ってあげればいいだろう」

 

「あらあら、こうしてると思いだしますわね。甲斐斗さんとの二度目のデートのときを」

 

「なら今度休暇でも取って、二人で旅行にでも行かないかい?」

 

「あら、甲斐斗さんったら…」

 

何この茶番、シリアスはどこに行った。と侵入した男たちは思った。先程のシリアスムードが一変してこの二人のデートの話しになっているし、というか二度目のデートで何があったんだ。

 

「んん!おい、死にたくなかったらここにあるはずのダークライダーを寄越せ、一体はここに保管されているのは知っているぞ」

 

「この数じゃあどう足掻いたって敵わないぜ、ほら、死にたくなかったらとっとと出せよ会長さん」

 

「はっはっは、面白いこと言うねぇ、息子のから頼まれたことを放棄する親がどこにいる?君たちのようなしたっぱに渡す気ははない、とっとと捕まえられてくれ」

 

甲斐斗の挑発態度を剥き出しにして男たちの沸点を下げる、対して男たちは笑い飛ばした。

 

「はははは!あんたら二人で俺たちを捕まえる?無理無理!この数で全員が変身してんだぜ?敵わないって!」

 

下衆の笑い声が室内に響く。甲斐斗は軽い溜め息を吐く。その意味は目の前の男たちに対する哀だった。

 

「やれやれ、本当は傷つけたくはないけどこういう場合はしょうがない。やりますか」

 

「ええ、痛い目を味会わせないとわからないようですからね」

 

「「変身」」

 

Skull!

 

甲斐斗はスカルドライバーにガイアメモリを差し込み、仮面ライダースカルに変身、冥弧はフェニックスが描かれたデッキをベルトに填め、仮面ライダーオーディンに変身した。

 

「さあ、お前らの罪を数えろ」

 

「…やっぱ変身するんだな。だけどそれは俺たちだって同じ、数では勝っているから特に変わらねえ、ゴウラのおっさんが造ったファングに殺られて後悔すんなよ!」

 

男たちは仮面ライダーファングに変身しており、肩、腕、足のそれぞれの部位に異なって牙がついている。例えるなら仮面ライダーメイジのように。そして甲斐斗たちに殴りかかる。

 

「喰らえやぁ!」

 

だがここで男たちはミスを犯してしまった。いや、正確には侵入した時点で詰んでいる、何故ならこの二人は____

 

「ふっ!」

 

「ぐぼろえっ!」

 

人外だからだ。

 

「「「………は?」」」

 

残りの男たちは思わず立ち止まってしまう。それもそのはず、殴りかかった男はスカルに変身した甲斐斗の拳一つ喰らっただけで壁に叩きつけられた。訳がわからない、スカルは何か特別な力を持ったわけでもなく武器はスカルマグナム一丁のみ、そのはずなのに男は簡単に吹き飛ばされた。

 

「さて、次は誰だ?」

 

「おい、全員で掛かるぞ!やっちまえ!」

 

「「「おお!」」」

 

「あら、時代劇のやられやくのセリフですわね」

 

ソードベント

 

「ぐあっ!」

 

「がはっ!」

 

冥弧はアドベントカード・ソードベントを杖型の召喚機、ゴルトバイザーに装慎する。そしてゴルトフェニックスの翼の一部を模した剣、ゴルトセイバーを二本召喚し、一番近くにいたファング二人を一瞬で切り裂いた。

 

「っ!だったらこれでどうだ!」

 

「行くぞ!」

 

Fang!Mximum Drive!

 

マキシマムドライブにより空中回転蹴り、ファングストライザーを放つ二人。だが

 

ガードベント

 

「効きませんね」

 

ガアアンッ!と大きな音を立て、ファング二人は弾き飛ばされる。冥弧はガードベントによりゴルトフェニックスの背と尾を模した大型の盾、ゴルトシールドを召喚し、ファングストライザーを防ぐ。ゴルトシールドは原作劇中、龍騎サバイブのメテオバレットを防ぎ、他のライダーのファイナルベントにもビクともしないほど頑強にできている。一体となったファングのマキシマムドライブ二つではビクともしない。

 

「ば、バカな……」

 

「こっちを忘れないで欲しいな」

 

「がべしっ!」

 

驚愕していた男を甲斐斗が膝蹴りで蹴り飛ばす。周りを見ると残りはたったの三人となっていた。

 

「ど、どんだけ強いんだこいつら……」

 

「こんなババアがここまで強いな、んて………」

 

瞬間、空気が凍った。夜霧冥弧は容姿は二十代中場と若く見えるが年齢は四十五歳、それが冥弧の気にしていることであり、それを言った奴がどうなるかわかっている甲斐斗は震えていた。

 

「……言ってくれましたね?確かに私は四十六歳ですがババアと呼ばれるのは聞き捨てならないですね……」

 

「ひっ……!」

 

この男は悪意を込めて行った。だが冥弧の年齢は二十代ほどだと思っていた。では何故ババアと言ったのか?答えは簡単だ、男は、ロリコンだったのだ。

 

「貴方たちには、もう少しきついお仕置きが必要ですわね」

 

タイムベント

 

「……えっ?」

 

景色が戻り、気絶した仲間も体力が元に戻っていた。ただ違うのは、冥弧の怒りは消えていないこと、そして部屋の隅に甲斐斗が離れていることだった。

 

「さて、もう一度痛みを味わっていただきますわ」

 

冥弧はタイムベントで戦闘が始まる前の時間まで巻き戻したのだ。男たちに苦痛を与えるために。

 

「……」

 

「がっ!?」

 

「ぐふっ!」

 

「ぐあっ!?」

 

冥弧は高速でファングたちに近づくと窓に向かって吹き飛ぶように蹴り、拳、投げを放ち、男たちは外に放り出される。

 

「うわああああ!?」

 

ファイナルベント

 

冥弧はファイナルベントによりゴルトフェニックスを召喚し、背中に合体させ外に飛びたつ。

 

「喰らいなさい!」

 

オーディンの周囲が黄金の光に包まれ、一部に吹き飛ばされたファングたちに向かって冥弧は蹴りを放ち、更なる上空に蹴り飛ばす。

 

「はあああ!」

 

そして落ちてくるファングに向かって天に昇るようにゴルトフェニックスと光を纏い、突撃した。

 

「「「ぎゃあああああっ!」」」

 

そして、男たちは爆発した。跡形もなく……。

 

「………哀れ」

 

甲斐斗は、冥弧を怒らせた男たちに合掌した。哀れみを含みながら、後始末の方法を考えたのだったが、とりあえず無かったことにした。




やってしまった。スカルよりもオーディンが目立ってしまった……。詳細ほぼ不明のファイナルベントを調べるのは大変でした。

今回の戦闘でファングメモリは量産されたということがわかりました。さすがにダークライダーだけでは数がきつかったので……。



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五十三話 どうしてこうなった……。

今回は最後に一回目のダークライダーとの戦闘も含まれますがシリアスが皆無になっております、そして何故か4735文字しか本文に打ち込めないので後書きを使いました。何故か知っている方は教えてください……。

それでは本編スタート!


 

八月の晴天の下、気温は二十八度。雲一つない空が地面を焼くように照らしつける。その炎天下の中、亜久斗は噴水広場の前に座っていた。

 

「ふう、……暑い、けどそこまで酷くもないな。先週なんて三十度越えてたし……」

 

亜久斗は仕事用スーツ姿ではなくラフな裾が肘まである少し大きめのシャツとジーパンを来ている。そして亜久斗から少し離れた影が見える、水色の透き通るような髪、赤い瞳、先日出会った更識楯無だった。楯無は亜久斗を見つけるとこちらに向かってきた。

 

「亜久斗くーん。待った?」

 

「いや、今来たところです。……それでは行きますか。って……何で腕を組むんですか。楯無さん」

 

「まあまあいいじゃない。折角のデートなんだし、それと前みたいに楯無で良いわよ?」

 

「わかったよ楯無、行こうか」

 

亜久斗は腕を組まれてペースを持っていかれたくないと思い頭を軽く撫でながら歩いていく。

 

「ええ////」

 

何故この二人がデートをしているのか、それは程度時間を遡る必要がある。あれは三十六万……いや、昨日のことだった。

 

 

~二日前~

 

「……わかったよ父さん。とりあえず父さんたちが無事でよかったから、ああ。じゃあ切るよ……ふぅ……」

 

亜久斗は社長室の椅子に腰掛け電話を切った。内容はファングメモリが量産されていたこと、そしてぶち切れた冥孤がファングに変身した侵入者を跡形もなく消し去ったと言うことだった。

 

「……これが本当のモンスターペアレントか……」

 

「馬鹿なこと言ってないで仕事してください、書類は貯まっているんですから」

 

「はいはい、わかりましたよ小鳥遊」

 

亜久斗の机に並べられたのは市販定規ほどの高さに積み上げられた書類だった。これは裏と表両方の経費の確認と承認の書類であり、亜久斗は一時間以上前から机上の書類に印を押す作業を繰り返していた。机の下には押し終わった書類が積まれている。

 

「限界なんて~ぶっ壊して行け自分の手で~。ピッ、はいもしもし」

 

そしてまた書類を書き始めてから電話がかかってくる。通話時間=休みなので亜久斗は内心喜んでいた。相手は、楯無だった。

 

『亜久斗君?明日デートに行かない?』

 

「……切りますよ」

 

『え!?ちょっ、ちょっと待って話しを最後まで聞いて!?』

 

「わかりましたよ……どうぞ」

 

何かと思えば、まさかのデートのお誘いである。いつもの亜久斗なら喜んで引き受けただろうが今は奪われたダークライダーの事で余裕などない、ましてや事情を知らない表の仕事まで入って来ている性で忙しく書類を片付けているのにデートである。これが仕事だったらまだいいものを」

 

『んん!亜久斗君さあ、敵の詳しい情報が無いじゃない?」

 

「ええ、残念ながらその通りです」

 

ウラタロスたちが捕まえた男たちからは敵のボスの名前、甲斐斗から聞いた話しではダークライダーからは独自の電波反応が発生しているとのこと。そして奪われたファングメモリは量産されている、いや、他のライダーも同じかもしれないがあれだけの力を持ったダークライダーを複数量産するのは難しいだろうが。……兎に角亜久斗は現時点での情報が少なかったのである。

 

『それで、亜久斗君と私が二人でデートしていれば敵は近づき易くなるだろうと考えたのよ』

 

「何故そこに辿り着いた」

 

まあ、敵が嫉妬して襲って来る可能性も考えられるが。

 

『それで……亜久斗君は明日デートしてくれるかしら?』

 

亜久斗は明日の予定を考えた。楯無とデートしていれば敵が来るかどうか置いといて休みになるだろう。逆に断れば明日も仕事漬けになり退屈な日となるだろう。

 

Q貴方は楽しい休日と退屈な書類処理どちらを選びますか?

 

A楽しい休日

 

「いいですよ。では十時に○○○○の噴水広場前で待ち合わせしましょう」

 

『やった♪ありがとう亜久斗君。じゃあまた明日♪』

 

「はい…ピッ…。小鳥遊、俺は明日更識楯無と予定ができた。色々と準備があるので仕事は後日片付ける。では___」

 

ガシッ!と小鳥遊に肩を捕まれる。抜け出せない、そして痛い。

 

「ええ聞いていましたよ全部、明日は楯無様とのデートがあるのでしょう?ならば先に書類を終わらせましょう」

 

「え、ちょっと待て全部聞いてたっておい、仕事は期限があるんだし後日でも「明日まで時間はたっぷりありますからそのうちに終わらせましょうね、」いやだかr「終・わ・ら・せ・ま・しょ・う・ね?」はい……」

 

 

 

 

 

 

「さて、何に乗る?やっぱり最初はジェットコースターかしら」

 

「うわ…ここのジェットコースターすご。回転しながらって、しかも足場ないってえげつな…」

 

そして時は流れ、こうして楯無と遊園地にデートに来ている。なぜ楯無が都合良くチケットを二枚持っていたのかとかはどうでもいい。折角書類を無理矢理片付けてまで手に入れた休日なんだ。楽しもうじゃないか。

 

「まあ面白そうだし、楯無が良いなら乗ろうか」

 

「決まりね、じゃあしゅっぱーつ♪」

 

また腕を組んでくる。周囲から視線が凄い当たってる。周りからは

 

「うわ、……」

 

「なになに!あの二人芸能人とか?男の人凄くカッコいいんだけど!?」

 

「あの娘すげえスタイルいいな……彼氏が羨ましい」

 

「くそっ、リア充め!俺もあんな彼女ほしい~」

 

「お前じゃ無理だ(笑)」

 

等々、嫉妬や憧れ、羨みの声が聞こえる。別に俺たちは付き合っているわけじゃないんだが、そう見えるよな。あと最後の奴、もっとオブラートに包んで言え……あ、さっきの男にジャーマンスープレックス咬まされてる。

 

「ふふ、どう?こんなスタイル抜群の綺麗なお姉さんとデートしてるのよ?何か感想は?」

 

楯無はニヤニヤと俺を上目使いで見てくる。やばいね、この人すっごい可愛い。シャルやらラウラやら簪やら、どうして俺の周りには可愛い女子が集まるのだろう。まあ、多分一夏だったら何が?とか言いそうだが俺は一夏のような唐変木では無いのでは無いので感想にお答えしよう。

 

「へっくし!」

 

「どうした一夏?」

 

「いや、急にくしゃみが……風邪かなあ?」

 

「誰かが噂でもしてるんじゃないのか?でも夏風邪だと危ないから今日の昼ご飯は栄養のある物にしようか」

 

「ああ、ありがとなデネブ。……へっくし!」

 

ここで大事なのはと単純に答えるのではなく、誉め、照れさせることが必要である。楯無のターンは与えない。ずっと俺のターンだ!

 

「そうだな、俺も楯無みたいな可愛いくて好みの女性と来れて嬉しいよ。ありがとな楯無」

 

俺は普通に言うのではなく、耳に呟くように言う。そして

 

「あ、ありがとう////さ、さあ!早くジェットコースターに乗るわよ!」

 

楯無は顔を隠すように俺を引っ張って行く。だがな、ちゃんと見たぜ?楯無が顔を真っ赤にしてるのを。

 

 

「いやー、結構面白かったな」

 

「そうね。ISで感じられない風を味わうのも良かったわね」

 

「実際ISでジェットコースターの動きを再現したら止まらなくなるだろうけど……。もう昼ですし、休憩します?」

 

「そうね、あっ、あそこのフードエリアで食べましょうか」

 

楯無が見つけたのは外にテーブルがあるタイプのフードエリアだった、ハンバーガーが売っているがマク○ナル○ではない。取り合えず席を確保するために座った。

 

「何にしますか?俺はセットで頼みますが」

 

「う~ん、チーズバーガーとメロンソーダにしようかな」

 

「了解。じゃあ俺が買ってきますので待っていてくださいね、折角のデートですし、今回は俺が奢りますよ」

 

 

「合計千二百八十円になります。二千円からお預かり致します、七百二十円のお釣りになります。ありがとうございました~」

 

遊園地のようなレジャーパークでは一般の店より値段が高い例えば一般では二百円ほどで売っているメロンソーダもここでは四百円と倍の値段だ。それはいいとして、~~からお預かり致しますはなんとかしてほしい、日本語が間違っているじゃないか、あの店員は二千円から何を預かったんだ。正しくは二千円をお預かり致します、だろう。まあこの話しはおいておくとして、俺がハンバーガーと飲み物を持って楯無のいるテーブルに向かうと……。

 

「ねえねえ、君可愛いね。俺たちとお茶しない?ついでに一緒に遊ぼうよ」

 

「別にいいわ、私は貴方たちなんかと関わりたくないし」

 

「まあまあそう言わずに!楽しいよ?」

 

案の定、チャラい男たちにナンパされている楯無さんがいました。ていうか時代古っ!?いつの世代のナンパだよ、逆にレアなもん見た気がする。

 

とはいえこのまま放っておくのもどうなので追い払うとしよう。自分の連れがナンパされてイイ気はしないので

 

「なあ、彼女は俺の連れなんだ。ナンパは諦めてくれどっか行ってくれ」

 

俺は適当な一人の肩を掴んで楯無を庇うように男たちに向き合う。

 

「ああ?何だよお前、あっち行ってろよ」

 

「聞こえなかったのか?俺の連れに手を出すなよ。と言ったんだ、まあ、お前たちみたいなしつこいことしか取り柄のないナンパしかできない奴にはわかりずらかったかな?」

 

「てめえ!」

 

「おっと」

 

男は俺に殴りかかって来るが簡単に避ける。

 

「ここではなんだし、やるなら向こうでやろうか」

 

俺は裏の人目が少ない方向を親指で指す。

 

「いいだろう、後悔すんじゃねえぞ!」

 

「マジすいませんでした!もう勘弁してください!……おい、逃げるぞ!」

 

「くそっ、覚えていろよ!?」

 

二分後、あっという間に負け犬が出来上がりました。調理方法は顔は傷つけずにボディーブローやヤクザキックでの圧倒的な力を見せつけるだけ、三分にも満たない調理時間でした。

 

男たちが去っていった後、俺は楯無さんのいるテーブル席に戻った。

 

「あ、ごめんね亜久斗君。私がちゃんと追い払っておけば良かったんだけど……」

 

「いいっていいつて、困っている人がいたから助けただけですよ」

 

「そうね、ありがとう亜久斗君」

 

「どういたしまして。さて、食事をしようかな、あっ、まだ暖かい、ラッキー」

 

俺は自分のハンバーガーを手に取ると食べ始めた。ちなみにセットでついてきたポテトは二人で食べる、普通だろ?

 

「亜久斗君。あーん」

 

「……え?」

 

食べていたら、急にポテトを口に差し出された。片手は落ちても大丈夫なように下には構えてあり続にいうあーんのポジションだ。しかもなぜか周りは殆どがこっちを向いているし、さすがの俺でもこれは気恥ずかしい。

 

「あ、あーん///」

 

「あ!今照れたでしょ?ねえ?」

 

「こんなに注目された中であーんなてされたら恥ずかしいに決まってますよ。……あーん」

 

「え、ええ?」

 

「ほら、楯無もしたんですから、俺もしますよ。あーん」

 

「あ、あーん///」

 

周りから黄色い声があがっている気がするが、気のせいだろう。

 

 

 

 

 

 

それから、色んなアトラクションを乗った俺たちは遊園地から出て、楯無を家に送っていた。

 

「いやぁ、楽しかったわね♪」

 

「そうですね、でも結局敵は現れませんでしたけど…」

 

「あっ!そういえばそうだったわね……」

 

「……まさか、忘れてたんですか?自分から言っておいて……」

 

「そ、そんな訳無いじゃない!ちゃんと覚えていたわよ?」

 

あっ!と言ってからじゃ説得力ゼロですよ。

 

「ま、楽しかったですし、別に良いですけど。あ、楯無さん、これどうぞ」

 

「え?これってネックレス?それに今敬語に戻ってた?」

 

「はい、今日のお礼ですよ。それとさすがに年上の先輩をこんなときまで呼び捨てで呼ぶのは失礼かと思いましてね」

 

俺がプレゼントしたのは小鳥遊から持たされたネックレスだった。家を出る際に小鳥遊がデートに行くのならこれを最後にネックレスくらい渡したらどうです?と言って来たので持ってきたのだ。

 

「……嬉しい、ありがとう……」

 

「い、いえ////」

 

なんか、そんな可愛くらしく顔を赤くされたらこっちまで赤くなってきてしまった。

 

「ね、ねえ亜久斗君。これつけてくれるかしら?」

 




「ええ、わかりまし「いい加減にしろやゴラァ!」!」

俺は楯無の首にネックレスを正面から着けようとしたその時、いきなり後ろから大きな声をあげた男が出てきたので驚き、びっくりして離れてしまった。

「折角夜霧グループの社長が一人になるからと思ってチャンスを伺っているのをいいことに、さっきからイチャイチャイチャイチャしやがって!ムカついてくるんだよ!ングッ!」

男は愚痴を吐き出すかのように怒鳴ると、元気ドリンクのような物を飲み干し、携帯のボタンをピッピッピと押し出した。

9・1・3
ENTER
standing by

「変身!」

Complte

男はベルト・フォンコネクターにカイザフォンを突き立て左に倒し、仮面ライダーカイザに変身した。

「俺はゴウラ様の部下の一人本城克!本当なら隙をついてお前を襲うつもりだったがもうどうでもいい!ドライバーの無いお前を全世界のモテない男たちの恨みを込めてぶん殴ってやる!」

男が変身前に飲んだドリンクはなんなのだろうか?原作知識と同様であれば恐らく特製薬品「変身一発」と同じ効果を持つものだろう。だが、

「……お前さ、何このタイミングで出て来てんの?」

「は?」

そんなことはどうでもいい。ムードがぶち壊された亜久斗は心の怒りを放出していた。

「いい加減にしろよ?こっちはお前たちが色々やらかしてくれたお陰で仕事が増えてストレスが貯まってる中できた折角の休みなのによぉ、それを何?嫉妬したから任務無視してぶん殴る?ふざけるのもいい加減にしろ」

「え?え?」

「だからさ、お前の変わりに俺がぶっ飛ばすから。来い、カブト」

「変身」

Henshin

亜久斗はカブトゼクターを転送し、カブトゼクターをベルトに装着。仮面ライダーカブトに変身した。

「キャストオフ」

Cast Of
Thange Beatl

カブトゼクターのホーンを反対方向に倒し、キャストオフにより仮面ライダーカブト・ライダーフォームに変身する。

「すぐに終わらせる。クロックアップ」

Clock Up

時が限りなく減速する。カイザは動けない。亜久斗は一瞬でカイザの正面に詰めより、軽く上に蹴りあげる。そして____

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオワオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!」

Clock Over

そして時は動き出す。

「ウゴッ!ガ……ハッ……」

亜久斗は猛ラッシュを繰り出し、本城の変身が一瞬で解除され気絶するほどのダメージを負わせた。

「ふぅ………、帰りましょうか」

「……ええ」

本城の性で、完全に萎えてしまった二人は楯無の家に向かった。ちゃっかりとカイザフォンと会社への回収命令を忘れずに……。








感想、評価等、お待ちしておりまーす。


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五十四話 夏休み終了。デネブ歓迎会・前編


色々ありましたが今回で夏休み編は終了します。ライダーバトルと原作を混ぜたかったので、次回からは原作五巻がはじまります。アンケート2への登場ライダー募集しておりますのでコメントが書き込んでほしいです。そろそろ終了しますので……。

それでは本編スタート!


 

 

「よう一夏、久しぶり」

 

「久しぶりだな亜久斗、シャルロットはもう来てるぞ上がっていけよ」

 

「そっか、じゃあお邪魔しまーす」

 

亜久斗は現在、一夏の住む家に来ている。デネブの一件で用があると言ったら話しが進むにつれてデネブのことをどう説明するのか、という話題になった。そこで一夏がじゃあ俺の家でデネブの歓迎会でも開いてそこでみんなに説明しよう、と言い出した。デネブは一夏と契約しているのでIS学園に入学してどの道ばれるので別にいいか、と思いそれを亜久斗が承認した。

 

「あ、亜久斗。久しぶりだね、雰囲気少し変わった?」

 

リビングではシャルが麦茶を飲んでいた。水着選びの時とは違う服装だがこれも似合っていた。

 

「久しぶりシャル。まあ、仕事で色々あったしそれが影響してるのかもね。それとその服、よく似合ってるよ」

 

「あ、ありがとう////」

 

「それで一夏、今日は誰が来るんだ?」

 

「え~と、亜久斗とシャルロットに箒、セシリア、鈴、ラウラだろ?簪は用事があってこれないらしい」

 

「そうか。まあ用事なら仕方ないよな。あ、麦茶いただきます」

 

亜久斗はテーブルに置かれた麦茶を一杯飲んだ。実は簪の姉の楯無とは裏で協力者として一緒に活動しているので関係の無い簪はあまり巻き込みたくはないし、デートの時のことを聞かれるかもしれないので今回ばかりは助かったと思う。

 

「確か今日は歓迎会って聞いたけど……そういえば誰の?」

 

「ああ、俺の従兄弟のデネブって言うんだ。先週からホームステイしているんだ」

 

「へえ~、どんな人なんだろうね?」

 

「それは後で、デネブは今向こうの部屋にいるからみんなが来るまでのお楽しみだ」

 

デネブが従兄弟というのは嘘だ。みんなを納得させるために敢えて従兄弟というふうにさせてあるのだ。

 

ピンポーン

 

「あ、他の奴が来たかな。俺ちょっと出てくる」

 

「うん、わかったよ」

 

「いってらっしゃい」

 

一夏は玄関の方へ行った。そしてその二分後ほどした後、一夏とセシリアが入って来た。

 

「おーい、二人とも。セシリアが来たぞ」

 

「あら、お二人とも、久しぶりですわね。あ、これはおいしいと話題のデザート専門店のケーキですわ」

 

「久しぶりセシリア、元気そうでなによりだよ」

 

「久しぶりセシリア。まあ、座りなよ」

 

「ええ、失礼致しますわ。それより、今日は一夏さんのお宅に住まれる方ね歓迎会と聞いておりますが……亜久斗さん、何かご存じで?」

 

「あ、えーと。俺も詳しくは知らないけど、女じゃないらしいから、デネブさんっていう一夏の従兄弟だ」

 

「そ、そうでしたの。こほん、まあ一夏さんと共に住まれることになるお方が少し気になっただけですわ」

 

「「(素直じゃないなあ……)」」

 

もうちょっと素直にならないと一夏をときめかせることは出来ないぞ、何せあの鈍感っぷりだし……。

 

ピンポーン

 

「あ、また来たみたいだ、ちょっと待っててくれ」

 

「畏まりましたわ」

 

それから十分ほど駄弁っていると、呼び鈴がなったので一夏は再び玄関に向かった。次に出てきたのは鈴と箒、ラウラだった。

 

「お邪魔するわよ」

 

「うむ、久しぶりだなみんな」

 

「久しぶりだな亜久斗、元気だったか?」

 

「お久しぶりですわね箒さん」

 

「みんな久しぶり」

 

「久しぶりラウラ、鈴、箒。夏休みはどうだった?」

 

「ん~特に何もなかったわよ。一時帰国したけどすぐに戻って来たし」

 

「私は…いや、特に何もなかった」

 

箒、若干顔が赤いぞ、夏休みに何があった。

 

「私もだ。亜久斗はどうなんだ?ずっと忙しかったそうじゃないか」

 

「殆どが仕事だった。まあ今日からやっと休みが出来たんだけど……」

 

「そうか、今日は一夏の家に新しく住む奴の歓迎会とやらなのだろう?」

 

「相手誰なのだ?女か?」

 

「いえ、デネブさんという男の方だそうですわよ箒さん」

 

「デネブって、外人?」

 

「さあ?でもこれで全員そろったな」

 

「ああ、じゃあデネブ、出てきてくれ」

 

扉が開き、デネブが姿を表す。

 

「どうも、デネブです。一夏の家に住むことになりました、宜しく」

 

「「「………え?」」」

 

「「「えええ~~~!?」」」

 

その場にいる亜久斗と一夏以外の全員か驚愕の声をあげた。なぜなら、扉から現れたデネブの姿は織斑一夏そっくりだったからである。

 

 

 

 

「へえ~デネブってIS学園に入るの?IS動かせないんでしょ?」

 

「はい、でも一応整備科志望なので、一夏とともにIS学園に入学するんです」

 

それから数分後、みんなが落ち着いた後俺たちはセシリアの持ってきたケーキを食べながら質問タイムに突入していた。

 

「にしても、本当にそっくりね……」

 

「ええ、髪のメッシュが無ければわかりませんわ」

 

「………旨い」

 

一方ラウラはデネブキャンディーを美味しそうに食べていた。満足そうである、可愛い。

 

「さて、こうして話すだけなのもあれだし、何かしようぜ」

 

「まー、そういうと思って、あたしが用意してきてあげたわよ。はい」

 

そう言って鈴がよこした紙袋には、トランプから花札、モノポリーに人生ゲーム、その他様々なカードゲームとボードゲームが溢れていた。

 

「おー。そういや鈴はこういうの好きだったな」

 

「そりゃそうよ、勝てるもん」

 

「にしても、凄い量だな」

 

ここまで多々様々な種類があるとは、持ってきた鈴は逆に凄いと思う。

 

「じゃあ、これで遊ぶとするか。みんなは希望とかあるか?」

 

一夏に言われて、他の面々も紙袋をのぞきこむ。

 

「あら、日本のゲーム以外にもありますのね」

 

「あ、これやったことある。機材買うゲームだよね」

 

「ほう、これが日本の絵札遊びか。なかなかにミヤビだな。今度、帰国するときには部隊に土産として買っていくとしよう」

 

「私は将棋がいいのだが、あれはふたりでしかできないしな」

 

「というか今日は一応デネブの歓迎会なんだし、最初はデネブが決めたら?」

 

「そうだなぁ~。このバルバロッサというゲームが気になるな」

 

「ほう、我がドイツのゲームだな」

 

デネブが取り出したゲームに描いてあるドイツ国旗を見つけたラウラは腕組をしながら少し嬉しそうにする。

 

「じゃあこれで遊ぶか」

 

かくして、専用機持ち+αによるバルバロッサがスタートした。

 

 

 

 

 






出かける用事が出来てしまったのでここで区切ります。

次回は夏休み終了。デネブ歓迎会・後編です。

登場ライダーやオリキャラをアンケート2によりお待ちしております。


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五十五話 夏休み終了。デネブ歓迎会・後編

どうも、もうすぐUA40000を越えることを喜んでいる滝温泉こといずみです。
最近簪の影が薄くなってきてしまった。なんとか絡ませないといけませんね。そして今回で夏休み編は終了します!前回も同じこといった気がしますが気にせずにお送り致します。

それでは本編スタート!


 

「で、結局これはどういうゲームなんですか?」

 

デネブは初めてやるゲームに興味津々なようだ。これがアニメなら目の中に星が見えるだろう。

 

「このカラー粘土で何かを作って当てていくゲームよ。質問とかしていいわけ」

 

「え?それでは、作る人間の技量に左右されるのではなくて?」

 

「そんなことないわよ。むしろ逆。上手く作りすぎると、すぐに正解されてポイント入んないから。適度にわからないくらいがいいわけ」

 

「ということは、下手すぎると不利なのでは……」

 

「いや、質問次第なんだよ。答えに当たりをつけて、質問で埋めていけば大丈夫だ。どっちかっていうと、造形どうこうよりどういう質問をするかがこのゲームの鍵だぞ」

 

「へー。面白い物作るなぁドイツは」

 

「そ、そうだろう!わかっているな亜久斗!」

 

自分の国を褒められて照れながら嬉しそうにするラウラ。そしてゲームは経験者である鈴と一夏は最初は説明役に回るということで始まった。

 

こねこねこねこね……。

 

……何を作ろう?簡単過ぎるとポイントが入らないし難し過ぎてもだめ、か。まあ無難な物でいいか。

 

「できたっ」

 

「それじゃ、スタートね」

 

シャルロットからサイコロを降り、ゲームが開始される。

 

「えーと、一、二、三、と」

 

「あ、宝石を得ましたわ」

 

「私は……質問マスか。よし、ではラウラの粘土に質問するぞ」

 

「受けてたとう」

 

「ちなみに回答は『はい』『いいえ』『わからない』よ、『いいえ』を出されるまで質問できるから、最初は大分類で始めるとお得ね」

 

鈴の説明を聞きながらふむふむと箒がうなずく、そして再びラウラの粘土を見る。が、その粘土は『ゴゴゴゴ……』と静かな威圧を放っているような円錐状のなにかで、検討が付きにくい。実際、ラウラ以外の全員が『あれはなんだ?』と気になっていた。

 

というか早くも技量レベルから抜け出している。もはやこれは心理ゲームだ。この状態になったら相手が何を作るのか接点を探して行かなければならない。……以外と侮れないな、バルバロッサ。

 

「それは地上にあるものか?」

 

「うむ」

 

「よし……。では、それは人間より大きいか?」

 

「そうだ」

 

俺にはあれがピラミッドに見える。人間より大きな円錐状の物はそれくらいのはず。

 

「それは都会にあるものか?」

 

「どちらとも言えないな。あると言えばあるがないと言えばない」

 

「人間の作ったものか?」

 

「ノーだ」

 

「はい、質問終了。箒はこのまま回答もできるけど、する?」

 

「う、うむ。そうだな。外しても失点はないようだし、答えよう」

 

人間の作ったものではない、とすると俺のピラミッドではありえない。ならばなんだ?考えろ、ラウラに関係していそうなもの。ドイツにあるものと考えよう、そしてドイツの自然で有名なものを思い出すんだ……。

 

「じゃ、答えをどうぞ」

 

「油田だ!」

 

「違う」

 

何故油田?人よりも巨大な自然物で地上にあるのに、何故?

 

そんなこんなでゲームは進み、中盤を過ぎる。

 

「そろそろ正解しないと、当てられた人も得点入らないわよ」

 

ちなみにシャルロットの作った馬はすぐに当てられた。すぐに当てられたために本人には得点は入らなかった。箒の作ったのは『井戸』殆どわからなかったがシャルロットの質問が上手かったこともあり、ベストタイミングで正解している。

 

そして正解されていないのは俺とデネブ、そしてセシリアとラウラであった。ラウラは謎の円錐物体、セシリアはアメーバのように薄っぺらいぐにゃぐにゃしたものだった。そして何故か二人は誇らしげである。ちなみにデネブは皿の上に乗った何かだと言うことはわかっている。

 

「そ、それは食べ物?」

 

「ちがいますわ」

 

「それはビルより小さいのか?」

 

「いや、巨大だ」

 

「……ラーメン?」

 

「いや、少し惜しいな」

 

そして俺がラウラに質問をする番となった。

 

「さあこい」

 

何故か誇らしげに腕を組み、自信満々なラウラ。

 

「……それはたくさん存在してるものかか?」

 

「ああ」

 

「それは全て同じ形をしているのか?」

 

「違う、別のものもあるな」

 

この時点で質問タイムは終了。さて考えろ、ここは形に固定していては外れるだろう。取り合えず頭の中で整理するんだ。

 

・地上にある。

・人よりもビルよりも大きい。

・都会にも田舎にも存在していて全てが同じ形ではない。

・人が作ったものではない。

・数多く存在されている。

 

うん。わからん。……ん?待てよ?人が人工物ではなくて巨大。たくさん存在しているもの……あっ!

 

「山だっ!」

 

「正解だ。さすが私の嫁だな」

 

「「「………山あ!?」」」

 

よし、正解だ!形に囚われていたら解くことができなかっただろうな。

 

「いやいや待て待て!こんなに山は尖ってないだろ!」

 

「むっ……。失礼なことを言うやつだな。エベレストなどはこんな感じだろう」

 

「それならエベレストに限定しねーとわかんねーって!」

 

「エベレスト以外にもこういう山はある。現に亜久斗にはわかったぞ」

 

「な、なんでわかったの?」

 

「形からよりも質問の回答から考えたら山だと思った」

 

「そ、それじゃあラウラと亜久斗は得点ね。それで、セシリアのは?」

 

「あら。誰もわからないのかしら?」

 

すまない、それは俺にもわからない。

 

「我が祖国、イギリスですわ!」

 

「「「…………」」」

 

………まさか『国』そのものを粘土でつくるとは思わなかった。

 

「まったく、みなさんの不勉強には驚きますわ。一日一回世界地図を見ることをおすすめします」

 

恐らく全員が「イギリスの形を知らないわけじゃねーよ!」と言いたいだろうが、ここまで自信満々に言うセシリアには言いづらかった。

 

「ま、まあセシリアは答えられなかったから減点ね次はデネブ」

 

全員がデネブの作った粘土を見る、皿の上にに載った何かだとしかわからない。対して鈴と一夏はわかっているようだ。

 

「これは冷やし中華だ」

 

……何故に冷やし中華?

 

「この冷やし中華は俺が一夏の家で初めて作って食べた思い出の一品なんだ、だから粘土をこねるとき、これが一番最初に思い付いたんだ」

 

「なるほど、だから冷やし中華を作ったのか。でも一夏はわかるとして何故に鈴もわかったんだ?」

 

「そりゃわかるわよ。あたしの家は中華料理店ですもの」

 

そういえばそうだった。

 

「まあ、大体のルールはわかったでしょ!じゃ、次からあたしと一夏も入って全員でやるわよ」

 

それから八人での第二戦目が始まった。

 

「わかった、カマボコだ」

 

「ちがうわよ!しっつれーね、あんたは」

 

「ラウラのそれ、人……?」

 

「違う。なぜわからん。完璧な造形だぞ」

 

「今度こそわかったぞ、セシリアのはトマトだな?」

 

「箒さん、これがトマトに見えますの?」

 

「あ、デネブのはカラスか」

 

「そうだ、良くできているだろ?」

 

わいわいと騒ぎつつ、楽しい時間はあっという間に過ぎていく。そして時刻が四時を過ぎたところで、唐突に予想外の人物がやってきた。

 

「なんだ、賑やかだと思ったらお前たつか」

 

織斑先生でした。私服姿は白いワイシャツにジーパンという行動的な人柄を表しているそれで、服の下では黒いタンクトップが豊満な胸を窮屈そうに押し込めていた。

 

「千冬姉、おかえり」

 

「千冬さん、おかえりなさい」

 

「ああ、ただいま」

 

すぐさま一夏は立ち上がって、織斑先生の側に行き、カバンを受け取った。

 

「昼は食べた?まだなら何か作るけど、リクエストある?」

 

「バカ、何時だと思っている。さすがに食べたぞ」

 

「そっか。あ、お茶でもいれようか?熱いのと冷たいの、どっちがいい?」

 

「そうだな。外から戻ったばかりだし、冷たいものでも____」

 

と、そこまで言ってから織斑先生は箒たちの羨ましそうな視線に気がついた。

 

「……いや、いい。すぐにまた出る。仕事だ」

 

「え?そうなんだ。朝に作ったコーヒーゼリー、そろそろ食べれるのに」

 

「また今度もらうさ、では、着替えてくる」

 

「あ、千冬さんのスーツなら別のを部屋に畳んで置いてありますので、秋物とかもバッグで置いてありますので」

 

「わかった」

 

織斑先生はリビングから出ていく。

 

「一夏、千冬さんは今日はいらないみたいだし、みんなで食べよう」

 

「え?でも千冬姉の分は……」

 

「また作ればいいさ。それに、俺たちは今日おもてなしも対してしてないし、それくらいならいいだろ」

 

「そ、そうね!気が利くじゃないデネブ!」

 

「え、でも鈴。お前コーヒー嫌いだろ?それにコーヒーゼリーは前にいらないって……」

 

「好きになったのよ!そ、それにせっかくのデネブの好意だし、貰わないと悪いじゃない!」

 

「そ、そうだな、私もコーヒーゼリーはそれなりに好きで……な、それに折角の好意なのだし、私が味見をしてやろう!」

 

「え?」

 

「そうですわね!折角ですしわたくしも、あ、味見をしてさしあげましょう!」

 

ちゃっかりデネブをダシにして一夏のコーヒーゼリーを食べようとする箒、鈴、セシリアの三人。当然俺たちもいただくことにした。

 

「なんだ、揉め事か?この家にいる限りは仲良くしろ」

 

そこへリビングのドアが開き、織斑先生が戻ってきた。スーツ姿がよく決まっていて格好いい、綺麗という言葉が似合うだろう。

 

そして織斑先生はテキパキと出かける用意をして二分足らずで玄関へ通じるドアに向かう。

 

「一夏、デネブ。今日は帰れないから、後は好きにしろ。ただし女子は泊まるんじゃないぞ。布団がないからな」

 

そう言って織斑先生はリビングから出ていった。

 

「緊急の仕事なのか?うーん。それじゃあ、まあ、仕方ないか」

 

そこへデネブがコーヒーゼリーを持ってきてテーブルに置き、全員の前に並べた。

 

「これは俺と一夏で作った自信作だ。千冬さん好みに作ったから、ミルクやシロップはお好みでどうぞ」

 

そして全員がそれぞれに必要な分を手にして、ゆっくりと食べ始める。

 

「ふむ、これはなかなか」

 

「あんたたちって男のくせにデザート作りもうまいわけ?」

 

「いや、デザートはデネブの方が上手だぜ。キャンディーとか自分で作っちゃうし」

 

「一夏も料理が上手いじゃないか」

 

「なんか一夏とデネブって得意分野が似てるんだな」

 

「ふむ、教官は毎日手料理を味わっていたわけか。羨ましいな」

 

「そんな大したもんじゃないって。ああ、そういやみんな何時までいる?夜までいるんなら、夕飯の食材を買ってこないと____」

 

「なら、夜は私が作ってやろう!何、昼とゼリーのお礼だ」

 

「そうね!あたしの腕前も披露してあげちゃおうかしらね」

 

「じゃ、じゃあ僕も作り側で参加しようかな?」

 

「無論、私も加わろう。軍ではローテーションで食事係があったからな、期待しろ」

 

「わたくしも腕によりをかけますわ!期待なさってくださいまし!」

 

それから買い物を終え、女子の料理を堪能してまた少し駄弁った後、みんなは帰っていった。

 

「じゃあ俺もそろそろ帰るよ」

 

「ああ、またな亜久斗。次はIS学園で」

 

「ああ、またな二人とも」

 

俺が家を出るとデネブがジュースを買ってくると言って付いてきた。俺たちは立ち止まり誰も周りにいないことを確認した。

 

「ほらデネブ、これを渡しておく」

 

「これは……」

 

「もし俺のいない所で、一夏が危険な目にあった時のために、それを渡しておく。デメリットなんて無いように作ったから、後は任せた」

 

「ああ、任せろ!一夏は俺が守るぞ」

 

デネブは自分の胸をドンッと叩いた。

 

 

 

 

 

 






次回、学園祭編スタート。

感想、評価待っております。それと登場させたいライダーにオリキャラも募集しています。



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五十六話 新学期・デネブ入学

どうも、気分は朝からテンションMAXの滝温泉こといずみです。感想数八十突破に加えてオリキャラが答案されてきてテンションはもうMximumDrive!

今回は新学期デネブ入学、そしてシュウトさん改めリュウヤさんのオリキャラが登場します!リュウヤさん、ありがとうございました!

それでは本編スタート!


 

「どうも、IS学園に入学してきました、一夏の従兄弟のデネブです。一夏共々宜しく!」

 

現在は新学期初日、一年一組にデネブが入学しました。ですがデネブの顔は一夏と同じイケメン、つまり____

 

「「「「きゃああああああああ!!」」」」

 

「ぎゃあああああああ!!」

 

 

教室には女子たちの歓喜の声、もといソニックブームが発生する。一夏は耳を塞ぐのを忘れたようだ、ダメージを二十負ったな。

 

「また男!?しかも織斑君そっくりのイケメン!」

 

「草食系男子!メッシュが格好いい!」

 

「おまけに織斑君の従兄弟!これは薄い本が作れるわ!」

 

女子の黄色い歓声は止む気配がない、それより最後の方、腐女子がいなかったか?

 

「静かにしろ馬鹿者」

 

そして織斑先生の一言で静かになる、懐かしいなぁ。俺たちやシャルが転校してきたときを思い出すよ。

 

「今日からはデネブが整備科指導として入学する。当然ISは動かせないからそこを忘れないように」

 

「「「はーい!」」」

 

「ではデネブは席につけ、机を夏休みのうちに申請しておいたから空いている。布仏の隣だな」

 

「はい」

 

「デネネン~よろしくね~」

 

「よろしく、キャンディーどうぞ」

 

「わ~ありがと~、!美味しい~!」

 

「ありがとうございます、もうひとつ食べますか?」

 

「うんうん!食べる食べる~」

 

「そこ、話しは後にしろ。これでホームルームを終了する、山田先生、号令を」

 

「あ、はい!」

 

そしてホームルームは過ぎていき、やはり廊下にはデネブの噂を嗅ぎ付けて教室の中を覗く人達、まあデネブは女子たちに囲まれて質問されて見えないだろうが。

 

「ねえねえデネブ君!特技とかってあるの?」

 

「彼女っている?いないんなら私立候補するよ!」

 

「デネネン~、お菓子作るの得意なの~?」

 

「特技はこれといってありませんが、お菓子作りや料理が得意です。彼女はいません、けれど自分と生涯を過ごすこととなる異性をそう簡単に決めてはいけませんよ」

 

おお、全ての質問を答えてるな、おまけにごもっともなことで、そしてデネネンって……あ、あの人布仏さんだ。確か簪の従者だったと思うけど、そうわ見えん

 

「おいお前たち、休み時間は終わりだ。席につけ」

 

 

 

 

昼休みとなったので俺たちは、食堂に来ていた。面子はまあ、わかるだろう。

 

「デネブどうだ?IS学園は」

 

「いやあ、覚えることが一杯で大変だ。こんな内容がわかるなんて、みんなは凄いな」

 

「い、いや、まあ、ははは」

 

デネブの反応に一夏は苦笑い。それもそのはず、一夏はIS学園の授業内容を全て理解しているわけでもないし期末テストは下の方にいるからな。

 

「あ、それとデネブは整備科志望として入学してきたんだから、もっと頑張らないとな」

 

「おう!頑張るぞ!」

 

「あ、ねえ夜霧君たち、隣いいかな?」

 

「デネネン~隣座っていい~?」

 

「デネブです。お構いなく、どうぞ」

 

そこに布仏さんたちが来た。特に断る理由もないので了承。布仏さんはデネブの隣に、俺の隣の席にはクラス一のしっかり者、鷹月さんが座った。その隣が相川さん。

 

「夜霧君って夏休み何してたの?」

 

「会社の仕事ばかりかな、一度だけ休日に遊園地にいったけど。鷹月さんは?」

 

「私は家に帰ってたよ、でも出掛けたりするのは少なかったかなぁ」

 

「亜久斗、遊園地って誰と行ったの?」

 

「ん?仕事仲間の人だよ、その人がチケットを二枚持っていたから一緒に行った」

 

「そ、そうなんだ」

 

嘘はついていない、楯無は確かに仕事仲間と言える立場にいるし俺は何も後ろめたいことはない。それに色々と出会った理由とか聞かれると面倒だしな、嘘をつくときは、偽りの感情を込めるか、怪しまれないようにもどらないこと、ワンテンポ置いたらすぐに答えるのがコツだ。

 

「デネネン、またキャンディー頂戴」

 

「さすがに何個も食べるのはいけませんよ。まだ何個かあるのでどうぞ」

 

「わ~い!ありがとデネネーン!」

 

「なあ亜久斗」

 

「ん?」

 

「のほほんさんからから凄い癒しオーラが出てるんだけど、あれってどう思う?」

 

「あれはプラチナイオンだ。人々に癒しと安らぎを与えてくれるこの時代では希少価値のあるものだ、そしてデネブのキャンディーが余程美味しかったんだろうな」

 

「そうか……はぁ、それにしても、なんでパワーアップしたのに負けるんだろう」

 

三時限目の授業は二学期最初の実戦訓練、一組と二組の合同練習が行われて、クラス代表同士ということで始まったバトルで一夏は鈴に負けた理由を考えているようだ。

 

「だから、燃費悪すぎなのよ、アンタの機体は。ただでさえシールドエネルギーを削る仕様の武器なのに、それが二つに増えたんだからなおさらでしょ」

 

「うーん……やらなきゃいけないことが多いなぁ」

 

「ま、まあ、アレだな!そんな問題も私と組めば解決だな!」

 

うおっ、凄いこと言い切ったな箒、積極的になったじゃないか。まあ確かに一夏の「零落白夜」がエネルギーを大幅に削りダメージを対して箒の「絢爛舞踏」は相性がいいかもな、ずっと使えることになるし。

 

「ざーんねん。一夏はあたしと組むの。幼馴染みだし、甲龍は近接も中距離もこなすから、白式と相性いいのよ」

 

「な、何を勝手な……!?ゴホン!それならこのわたくし、セシリアも遠距離として立候補しますわ。白式の苦手距離をカバーできましてよ?」

 

「ええい、幼馴染みというなら私の方が先だ!それに、なんだ。白式とは絵になるからな。……お、お似合いなのだ……」

 

まさかのここに来て一夏争奪戦だ。でも、「絢爛舞踏」を抜きにしたらセシリアが一番良いのかな?白式がスピードとパワー重視の特攻型に対したら援護射撃が必要だろうし。

 

「あ、亜久斗!亜久斗は誰と組むの?」

 

「ん?」

 

「亜久斗、前回は私と組んだのだから。それにお前は私の嫁だろう?故に私と組め」

 

何故か俺にまで広がってきたよ。

 

「うーん、組むとしても。特に変わらないと思うぞ?」

 

「え?どうして?」

 

「だって俺の機体は武装を転送して戦うタイプだからな、どの武装かによって戦い方を変えるから誰とでも相性は合うと思うな」

 

「そ、そうなんだ」

 

『magic time トリックじゃない!魔法を~』

 

!この着信音は!

 

「悪い、ちょっと電話がかかって来たからさ、静かな所に行くからまた後で!」

 

「あ、うん」

 

俺は誰もいない男子トイレに向かい、そして電話に出た。

 

「もしもし」

 

『よお亜久斗!久しぶりだな!』

 

間違いない、この声は……。

 

「久しぶりだな、リュウヤ。どうした?」

 

『いや、恵さんから俺たちのいない間に襲撃があったって聞いてさ、いてもたってもいられなくなったから今度会社に戻ることにしたぜ』

 

「え!?お前今旅行中なんだろ?どこにいるんだよ」

 

『えーとちょっと待って。おーいシゲル、ここどこたっけ?あっ、そうか……。今マチュピチュにいるぜ』

 

「どこまで行ってるんだ。確かに長期期間の休日に旅行に行くとは聞いたけどさ…」

 

『ははは。まあそれで、一週間後あたりには戻るから』

 

「わかった。あ、後さ、もうすぐ学園祭があるんだけど、遊びにこないか?チケット最大二つ分しかないけど」

 

『え、いいの?行く行く!じゃあ会社戻ったらまた連絡するから、じゃあな亜久斗』

 

「ああ、じゃあなリュウヤ。ピッ……」

 

「あいつらが、帰って来るのか……」

 

一人呟いた俺の顔は笑っていたと思う。最高に。

 

「楽しみだな」

 

 

 




はい、取り合えず伏線終了!今回から話数が増えると思います。

感想、評価等、オリキャラや登場してほしいライダーの募集もします。それでは次回


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五十七話 放課後ティータイム・学園祭は波乱の予感?


こんにちは、連続更新です。
今日はこれで終わりかな?
前半が殆どそのままだけど……大丈夫だよね?


 

「ですからっ!実弾装備を送ってください!」

 

『その要求には答えられません。セシリア・オルコット。貴方のブルー・ティアーズはBT兵器の実働データをサンプリングすることです。実弾装備のデータは対象外です』

 

「わかっています!わかっていますとも!……ああもうっ、融通の聞かないっ!」

 

六時限目の実習が終わり、ニクラスの女子を詰め込んだロッカールームの集団から少し離れた角で、セシリアは携帯電話を片手に本国イギリスのIS整備部門担当者に国際回線でしつこく交渉していた。

 

『そもそも、どうして急に実弾装備が必要なのですか?』

 

「うっ……!」

 

理由は単純にして明快、BT兵器しか積んでいないISでは一夏の白式には勝てないから、である。

 

一夏の白式は二次移行したことによりエネルギーを無効化出来る盾が追加され、セシリアのBT兵器ではそれを貫通することが出来ないからである。

 

午後の実習で軽く空中制動訓練と併せての対戦を行ったが、セシリアだけは一夏に負けてしまった。燃費の悪い白式第二形態に負けたとあって、セシリアのプライドはかなり悲惨な様相になっている。

 

「(わたくしだけが、わたくしだけがっ……!)」

 

『兎に角、BT兵器の実戦データ収集が貴方の任務です。それでは』

 

「あっ、……ああもうっ!」

 

「せ、セシリア?どうしたの?」

 

「……。なんでもありませんわ」

 

衝動的になり、携帯電話を投げそうになったセシリアに声をかけてきたのはシャルロットだった。

 

(そういえば、白式が第二形態になって一番影響が無かったのはシャルさんと亜久斗さんでしたわね……)

 

それはシャルロットの装備のほぼ全てが実弾兵器であるためだった。亜久斗に至っては基本が近接ソードとショットガンで更に自由に戦い方の変更、そして多々ある経験があるからだったがそれでなくても二人は強い。

 

「(現在の成績では上から順に亜久斗さん、ラウラさん、シャルロットさん、鈴さん、そして箒さんに一夏さんとわたくし…)はぁ……」

 

深い溜め息が漏れる。

 

「ね、ねえ、セシリア?このあと学食カフェに行こうよ。気持ちが沈んだままだとイヤでしょ?」

 

「そうですわね……」

 

「そうだ。一夏や亜久斗たちも誘ってみんなで行こうよ。大勢だと楽しいし」

 

「……一夏さんがいるなら辞退しますわ」

 

地雷を踏んでしまったシャルロット。プライドの高いセシリアにとって、いくら片想いの相手とはいえ負け星が付いた状態で会うのは嫌らしい。少なくとも、時間が経っていない今では。

 

「じゃあ、女の子だけで行こうよ。ね、セシリア」

 

「ふぅ……。そうですわね、シャルロットさんのお気遣い、ありがたく頂戴いたしますわ」

 

 

 

 

「~♪~~♪」

 

その日の放課後、気分の良かった夜霧亜久斗は学食カフェでジャスミン茶の入ったカップを片手に、学食カフェでお茶を飲みながら本を読んでいた。タイトルは「人間の感情の心理」。

 

少し微笑みながら優雅に紅茶を飲むその姿を、その場にいる女子一同は見つめていた。絵になるのだろう。そこにシャルロットとセシリアが入って来たのを見ると亜久斗は声をかけた。

 

「シャルにセシリアじゃないか。一緒にどう?」

 

「ええ、御一緒いたしますわ」

 

「じゃあ僕も……」

 

二人は亜久斗とは反対側の席座った。

 

「にしてもここの学食カフェの紅茶やコーヒーって美味しいな。俺はジャスミン茶派だ」

 

「僕はアップルティーかな、セシリアは?」

 

「わたくしはハーブティーがお勧めですわ。心が落ち着きますもの」

 

「へえ、でさセシリア、顔が少し浮かないけど、何かあった?」

 

「あっ」

 

亜久斗の地雷発言により落ち込むセシリア。

 

「よかったら何が会ったのか教えてくれよ。力になるからさ」

 

「ええ、実は……」

 

「ふむふむ、つまりは自分だけ一夏に勝てないのが悔しいけど今のBT兵器では敵わないから実弾装備を整備担当者に頼んだけど断られてしまった。と…」

 

「はい、いつまでも負けたままではこのセシリア・オルコットのプライドが許せないのですが……。やはり今のままではどうにも……」

 

「なら任せてよ」

 

「え?」

 

「丁度今俺の会社に使われていない装備があるから、それをあげよう。使うかどうかはセシリアに任せるけど……どうだ?」

 

セシリアの表情が明るくなった。

 

「ええ!お願い致しますわ!」

 

「ははっ、じゃあ学園祭くらいに届けるよ。元気出せて良かったねえ」

 

「うん、セシリアはやっぱりこうじゃないとね」

 

セシリアには落ち込むよりもやはり、自信満々な態度が似合っていると思った二人だった。

 

 

 

 

学食カフェでのティータイムを終えた亜久斗は部屋のドアの前にいた。しかし、中からは誰かがいる雰囲気が漂っている。

 

「(……絶対、あの人だな)」

 

亜久斗はカメラをスタンバイして部屋に入る。そして中には案の定、楯無がいた。

 

「お帰りなさい。ご飯にします?お風呂にします?それともわ・た・し?」

 

カシャリ

 

「そうだな、あまり腹は減ってないから、先にシャワーを浴びます」

 

亜久斗は裸エプロンで待っていた楯無の写真を撮ると、さらりと流した。

 

「あ、あれ?これでもお姉さん結構頑張ったんだけど……。っていうかカメラを渡しなさい!」

 

「ええー、自分が裸エプロンでいるのが悪いんでしょう?まあ取り合えずこの写真は焼き増しして簪に送ります」

 

「えっ!?ちょ、ちょっと待って!それだけはやめて!」

 

「大丈夫ですよ。いくら自分の姉が露出狂だとしても、きっと大丈夫ですって………多分」

 

「多分って何!?それと私は露出狂じゃないから!」

 

「ははは、世の中の捕まった人たちはみんなそう言うんですよ」

 

「違うんだってばーーー!」

 

「ははは、冗談ですよ。ほら、データはもう消しましたし。それで、何しに来たんですか?」

 

「へ?冗談?………んん!今日から私、ここに住もうと思ってね」

 

「いやぁ、バックアップって大事ですよね。ちょっと寮長のところにいってきまーす」

 

「待って!話しを聞いて!ちゃんと説明するからぁ!」

 

いきなり人の部屋に入って来て何を言ってるんだこの人。俺は実を言うとこの一人部屋が気に入っているんだ。まあ、それなりの理由があるのならばいいがそれ以外で明け渡すつもりはない。

 

「亜久斗君の持つパワードスーツって他の人たちに知られたら不味いじゃない?」

 

「そうですね」

 

「それで、その秘密を知っている私が同室になれば、問題は解決ってわけよ」

 

楯無は扇子をバンッと開いた。そこには万事解決と書いてある、どこがだ。

 

「何の権限があって……」

 

「生徒会長権限」

 

「なら俺も社長権限」

 

「ここでは社長権限は意味ないわよ」

 

あー、どうするべきかな。確かに他の人に仮面ライダーの情報が漏れるのは嫌だけどさ、俺にも譲れないものがあるわけで……。

 

「じゃあ、俺の言うことを二つ聞いてもらいましょうか。今日入学してきたデネブのことは一切関与しないこと、いいですね?」

 

「まあ、良いわよ。亜久斗君がそう言うのなら信用出来るって事だしね。それで、二つ目は?」

 

「二つ目は……」

 

俺は楯無の後ろから抱きつき、

 

「あっ、亜久斗君!?そ、その、気持ちは嬉しいけど////」

 

「早く服を着ろ!」

 

ベットの布団に向けてともえ投げをした。

 

「キャッ!?痛たた……。酷いわよ亜久斗君!こんな可憐な女子に手を出すなんて!」

 

「可憐な女子は裸エプロンを男に見せびらかしたりはしない!見てるこっちが恥ずかしいんですから、早く服を着てください」

 

「あら?照れてるの?亜久斗君かーわいー♪」

 

「さて、バックアップを「ごめんなさい」やっぱ止めとこ」

 

かくして、俺と楯無の同室が始まった。後、都合が言いとか何やらで生徒会に入ることとなった。デネブも誘って来てほしいとのことだったので、電話で事情を伝えたらOKだった。俺が会長補佐、デネブは第二書記なんだと、なんでも書記一名が仕事になれていないらしい、というか絶対に疲れることになりそう……。主に楯無関連で。

 

 




とりあえず二人を生徒会に加入させました。一夏?この時点で加入させたらストーリーが成り立ちません。

感想、評価等、オリキャラや登場させたいライダーも募集しております。それでは、また次回


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五十八話 Tは生徒会長/I争奪戦の序章

やっぱり何もすることがなかったので連続更新。今回のタイトルはW風にしてみました。

最近になって感想や評価が増えて来ました。評価に一がつくのは最初に行き当たりばったりで書いているのと私の文才力の無さだと思いました。それでも私は頑張って書いていきます!

それでは本編スタート!


 

翌日。SHRと一時限目の半分ほど使っての全校集会が行われた。内容は今月中程にある学園祭についてだ。だが俺は不安でしょうがないしこの全校集会には参加したくなかった。

 

理由は今朝、楯無が部屋を出ていくときに聞いた「今日の全校集会は楽しみにしているといいわ」という言葉の性だ。俺は楽しむことが好きだが今回はろくなことが起こらないのではと思う。

 

「それでは、生徒会長から説明をさせていただきます」

 

ちなみに今の声はデネブだ。昨日生徒会に加入した俺たちはこうして全校集会の進行を手伝っている。俺はモニターやら空中投影システムの管理をしている。もう中身だけでやる気が無くなっている。何故一夏の写真を写しだすためだけに働かなければならないのか、まあ引き受けた俺も俺だけどさ……。

 

「やあみんな。おはよう」

 

そうこうしている間に楯無は壇上に上がり挨拶をした。楯無はふふっと笑みを浮かべると話しを始めた。

 

「さてさて、今年は色々立て込んでいてちゃんとした挨拶がまだだったね。私の名前は更識楯無。君たち生徒の長よ。以後、よろしく」

 

「では、今月の一大イベントの学園祭だけど、今回に限り特別ルールを導入するわ。その内容というのは……」

 

楯無しが俺にウインクをしてくる。何故かこの合図である。俺はキーボードを軽く操作すると空中投影の巨大ディクプレイが浮かび上がった。

 

「名付けて、『各部対抗織斑一夏争奪戦』!」

 

「え……」

 

「「「ええええええ~~~!?」」」

 

ぱんっ!と気持ちのいい音を立てて、扇子を開く。それに合わせてEnterキーを押す。するとディスプレイには一夏の写真が浮かび上がる。ちなみに臨海学校で撮った浴衣バージョンだ。悪い一夏、これしかなかった。後で学食奢る。

 

「静かに。学園祭では毎年各部活動ごとの催し物を出し、それに対して投票を行って上位組は部費に特別助成金が出る仕組みでした。しかし、今回はそれではつまらないと思い____」

 

「織斑一夏を、一位の部活に強制入部させましょう!」

 

それにより、再度雄叫びが上がる。というか一夏に了承は……取ってないだろうな。うん、後から説明する気だよこの人。

 

「うおおおおおっ!」

 

「素晴らしい、素晴らしいわ会長!」

 

「こうなったら、やってやる……やぁぁぁぁってやるわ!」

 

「今日からすぐに準備始めるわよ!秋季大会?ほっとけ、あんなもん!」

 

ほっといたら駄目だ。引き返せ、練習した方がいいぞ。

 

「なあ楯無。俺たちはどうなるんだ?」

 

「それはあ・と・で。一夏君を生徒会室に呼んでから伝えるわ」

 

「わかった。ふぅ……」

 

かくして、『各部対抗織斑一夏争奪戦』が始まったのであった。

 

 

 

 

それから放課後の特別HR。内容は学園祭での出し物、朝の全校集会で全員がわいのわいのと盛り上がっている。

そしてクラスの出し物として提案されたのが……。

 

『織斑一夏、デネブと夜霧亜久斗のホストクラブ』『男子たちと王様ゲーム』『織斑一夏とツイスター』『夜霧亜久斗とポッキー遊び』

 

「「「却下」」」

 

「「「えええええー!?」」」

 

「あ、アホか!誰が嬉しいんだ、こんなもん!」

 

「私は嬉しいわね。断言する!」

 

「言っとくけどこれ出し物に出来たとしてもやるのは俺たちと客の人だろ?女子たちやることがないじゃん」

 

「……あ」

 

「今気づくのか!?」

 

「それに、折角一年一組の初めての学園祭なんだし、みんなで楽しめる物にしよう」

 

「そ、そうそう!とにかく、もっと普通の意見を出してくれ!」

 

「では、メイド喫茶はどうだ」

 

そう言ったのはラウラだった。あのラウラがメイド喫茶とは……。全員がぽかんとしている。

 

「客受けはいいだろう。それに、飲食店は経費の回収が行える。確か、招待券制で外部からも入れるのだろう?それなら休憩場としての需要も少なからずあるはずだ」

 

確かに、デネブの意見にも当てはまっているし接客や料理が得意分野で分けることが出来るな。……これを提案するのがラウラだとは思わなかった。

 

「え、えーと……みんなはどう思う?」

 

「いいんじゃないかな?一夏たちには執事か厨房をと担当して貰えばオーケーだよね」

 

「それに男子だって料理できるんだから丁度いい案だと思うぞ」

 

俺とシャルの言葉でぽかんとしていたクラスの女子が息をふきかえした。

 

「織斑君たちの執事姿!いい!」

 

「それでそれで!」

 

「デネブ君凄くデザート得意みたいだったし!」

 

「メイド服はどうする!?私、演劇部衣装係だから用意出来るけど!」

 

「メイド服ならツテがある。執事服も含めて貸してもらえるか聞いてみよう」

 

…………え?

 

「____ごほん。シャルロットが、な」

 

全員がシャルの方を向く、急に振られたシャルは困った顔をするばかりだった。

 

「え、えっと、ラウラ?それって、先月の……?」

 

「うむ」

 

先月に何があったのか、凄く気になる。

 

「き、訊いてみるだけ訊いてみるみるけど、無理でも怒らないでね」

 

「「「怒りませんとも!」」」

 

かくして、一年一組の出し物はメイド喫茶改め『ご奉仕喫茶』に決まったのであった。

 

 





続きは明日か今日の夜頃に更新します。感想、評価に加えオリキャラや登場させてほしいライダーを活動報告のアンケート2でをお待ちしております。マイページをお持ちでない方は感想欄でも構いません。


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五十九話 織斑一夏、生徒会室へご案内

どうもこんにちは、滝温泉こといずみです。
昨日の夜更新する予定でしたがすみません、できませんでした。でもこれには訳があります。

昨日の夜、私は3DSを使って更新していました。そして書き終えた後、誤って私は「やめる」のボタンを押してしまったんです。

当然「やめる」を押した場合は今まで書いた文章が全て消えます、しかも私は決定を押して休むなんてことしなかつたので自動保存もされませんでした。よって昨日は更新できずに書く気が失せてしまったのです。

なので今日改めて更新しました。昨日心待ちにしていたかたはすみませんでした。

それでは本編スタート!


放課後のHRも終わり、一夏は出し物の報告に、俺とデネブは生徒会室に向かった。

 

「「失礼します」」

 

「よく来たわね二人とも」

 

生徒会室で待っていたのは生徒会長の楯無と俺たちと同じ生徒会役員の布仏虚さんだった。

 

「それで、今日は何の御用事で?」

 

「ん?とりあえず一夏君に今日の全校集会の説明をするのよ。その為に二人には来てもらったわ」

 

ああ、『織斑一夏争奪戦』でしたっけ?それは説明しないと不味いだろうな、勝手に決めたらしいし。

 

「でも肝心の一夏は職員室に行っていて居ませんけど?」

 

「だから、今から連れてくるのよ。亜久斗君も一緒に行くわよ」

 

「何故に俺が、デネブはどうするんだよ」

 

「デネブ君には私たちが一夏を連れてくるまで虚ちゃんとここで待ってもらうからいいわよ」

 

「わかりました。布仏さん、紅茶、貰ってもいいですか?」

 

「ええ、どうぞ」

 

順応制が高いなデネブ、いくらなんでもお前程馴染み易いイマジンはいないと思うぞ。

 

「さあ行くわよ」

 

「わかりましたよ……」

 

何だろう、最近は疲れることが多い。

 

 

 

 

 

 

さて、現在職員室前に俺と楯無はいる。一夏が出てくるのを待っているわけだ。

 

そして職員室のドアが開き、一夏が出てきた。

 

「やあ」

 

「あれ?亜久斗、と……」

 

職員室前に俺たちがいたことに疑問を浮かべた一夏だったが、楯無を見かけた瞬間声のトーンが下がった。

 

「……何か?」

 

凄い警戒されてるし、まあ当然だと思うが。いきなり本人の許可もなく『織斑一夏争奪戦』なんて始めた張本人だし。

 

「ん?どうして警戒しているのかな?」

 

「それを言わせますか……」

 

ごもっともだ。

 

「ああ、最初の出会いでインパクトがないと、忘れらると思って」

 

「忘れませんよ、別に」

 

逆に忘れられない出会いをしたということになるが、どんな出会いをしたのか非常に気になる。

 

だがこのままでは話しがズレていくので本題に入らないといけない。

 

「一夏、俺たちは朝の全校集会の説明をするために来た。生徒会室で話しがしたいから来てくれないか?」

 

「別にそれはいいんだけど……なんで亜久斗まで?」

 

「それは俺も生徒会役員だからだ。後、デネブもな」

 

マジか!?と言って驚く一夏。俺たちは職員室を後にして生徒会室に向かう。だが一夏は楯無に警戒を解いてはいないようだ。ジト目だし。

 

「まあまあ、そうふさぎ込まずに。若いうちから自閉しているといいこと無いわよ?」

 

「誰のせいですか、誰の」

 

楯無のせいだろうな。

 

「んー。それなら交換条件を出しましょう。これから当面私がキミのISコーチをしてあげる。それでどう?」

 

「いや、コーチはいっぱいいるんで」

 

確かに、人数が多すぎて交代制でコーチを変わりながらしてもらうくらいいるな。

 

「うーん。そう言わずに。私はなにせ生徒会長なのだから」

 

「はい?」

 

「あれ?知らないのかな。IS学園の生徒会長というと____」

 

ちょうど楯無が言葉を続けようとしたところで、前方から一人の女子が物凄い勢いで竹刀を片手に襲いかかってきた。

 

「あー、どうします?あれ」

 

「じゃあ亜久斗に任せちゃおうかな」

 

「わかりましたよ」コネクトプリーズ

 

俺はコネクトリングを使い魔法陣からウィザードソードガンを取り出した。

 

「覚悟ぉぉぉぉっ!!」

 

「はいはい、ちょっと今都合が悪いんで後にしてください」

 

俺は右手に持ち構えたウィザードソードガンで竹刀を防ぎ、左肘を鳩尾に当てて気絶させる。

 

そして女子が崩れ落ちると同時に今度は窓ガラスが破裂、楯無を狙って矢が次々と飛んでくる。

 

「ふっ!」

 

ウィザードソードガンをガンモードに変えて矢を撃ち落とす。そして矢の飛んできた方向を見ると、隣校舎から弓を構える袴姿の女子が確認できた。

 

「おらよっと!」

 

さすがにウィザードソードガンを人に向けて放つわけにはいかない、なので俺はポケットからデネブキャンディーを取りだして袴姿の女子の頭を狙って投げつけた。命中した女子は仰向けになって倒れていった。

 

「もらったぁぁぁぁ!」

 

バンッ!と今度は廊下の掃除道具ロッカーの内側から、三人目の刺客が現れる。その両手にはボクシンググローブが装着されており、軽やかな動きで体重を乗せたパンチが襲いかかってきた。

 

「次から次へと、しつこいな……。あ、そういえば一夏、知ってるか?この学園の生徒会長はある一つの事実を証明しているらしいぞ」

 

「この学園の生徒会長は___」

 

俺はボクシング女のラッシュをかわしながら一夏に話しかける。そして俺が横へと跳ぶと俺の後ろから楯無が出てきて

 

「最強である、とね」

 

俺の後ろから飛び出した楯無は女子にムエタイを応用した蹴りを放つ、するとその女子はビデオテープの巻き戻しのようにロッカーに叩き込まれていった。

 

「ナイスキック」

 

「いえいえ」

 

「………あの、これは一体どういう状況なんですか?」

 

一夏が目の前で起きた光景を見て混乱しているようだ。

 

「うん?見たとおりだよ。か弱い私は常に危機に晒されているので、騎士の一人や二人もほしいところなの」

 

「嘘つけ、か弱い乙女が俺と組手で互角なわけないだろう。それに今生徒会長は最強って言ったばっかしじゃないか」

 

「あら、ばれちゃた」

 

一夏はまだ混乱しているようなので説明をしよう。

 

「まあ簡単に説明するとだね、最強である生徒会長はいつでも襲っていいのさ。そして勝ったなら、その者が生徒会長になる」

 

「はぁ……。無茶苦茶だな」

 

「うーん、そろにしても私が就任して以来、襲撃はほとんどなかったんだけどなぁ。やっぱりこれは……キミのせいかな?」

 

そう言って楯無はグイっと一夏に顔を近づける。

 

「な、なんでですか」

 

「ん?ほら、私が今月の学園祭でキミを景品にしたから、一位を取れなさそうな運動部とか格闘系が実力行使に出たんでしょう。私を失脚させて景品キャンセル、ついでにキミを手に入れる。まあ憶測だけどね」

 

「凄く当たっている気がするんですが」

 

「安心しろ一夏、俺もそう思う」

 

「ではまあ、改めて一度生徒会室に招待するから来なさい。お茶くらいだすわよ」

 

「は、はぁ…わかりました」

 

「ん、素直でよろしい」

 

そして俺たちは生徒会室に向かった。

 

 

 

 

 

 

場所は変わって生徒会室、俺たちは生徒会室にある椅子に腰かけている。生徒会室にはいつの間にか同じクラスの布仏本音さんが座っていてデネブからもらったであろうキャンディーを舐めていた。

 

「さて、改めて自己紹介をするわ。生徒会長の更識楯無よ」

 

「私は生徒会役員の布仏虚。妹は本音」

 

「むかーしから更識家のお手伝いさんなんだよー。うちは、代々。コロコロ」

 

「先日新しく生徒会役員となりました。デネブです」

 

「同じく生徒会役員の夜霧亜久斗だ。……っていうかこの自己紹介必要なのか?」

 

「いいじゃない。こういうのは気分よ、気分」

 

「え、えっと織斑一夏です。」

 

律儀にお前まで挨拶する必要はないけど、何故か楯無は満足そうだ。

 

「一応、最初から説明するわね。一夏君たちが部活動に入らないことで色々と苦情が寄せられていてね。生徒会はキミをどこかに入部させないとまずいことになっちゃったのよ」

 

「ちょ、ちょっと待ってください。亜久斗とデネブは!?」

 

「俺たちは色々と事情があってな、たまに様々な部活に出入りするという条件で生徒会に加入したけど、お前はそうもいかないだろ?」

 

「うぐっ」

 

これは事実だ。一夏は最近ISの訓練と勉強で精一杯のようで時間がないから部活には入れない、逆に入ろうとすれば争いが起きるだろう。なので後腐れなく決めるための『織斑一夏争奪戦』なんだ。

 

「でね、交換条件としてこれから学園祭の間まで私が特別に鍛えてあげましょう。ISも、生身もね」

 

「遠慮します。どちらも間に合ってますので」

 

「まあまあ、そう言わずに。あ、お茶飲んでみて。おいしいから」

 

「……いただきます」

 

一夏は楯無に誘われて紅茶をゆっくりと飲む。その間に俺はデネブにこっそりと話しかけた。

 

「なあデネブ」ヒソヒソ

 

「なんだ亜久斗」ヒソヒソ

 

「一夏の生身を鍛えてるのってお前だろ?いいのか?」ヒソヒソ

 

「別に構わないさ、俺は一夏が強くなってみんなを守れるようになってくれればそれでいい」ヒソヒソ

 

なるほど、デネブは構わないらしいな。なら後は一夏が許可をすればいいのか。

 

「大体、どうして指導してくれるんですか?」

 

おっと、知らない間に話しが進んでいたようだ。

 

「ん?それは簡単。キミが弱いからだよ」

 

あまりにもさらりと言ったな。まあ、一理ある。いくらデネブに生身を鍛えてもらったとはいえ、まだまだ強いとは言えないしISだって第二形態の白式を満足に扱えてはいないしな。

 

「それなりには弱くないつもりですが」

 

「ううん、弱いよ。無茶苦茶弱い。だから、ちょっとでもマシになるように私が鍛えてあげようというお話」

 

あ、この人完全に一夏を挑発してる。恐らく、罠にかけてるな。

 

「そういえばデネブは整備科志望として入ったんだろ?大丈夫なのか?」

 

「ああ、布仏さんが教えてくれるらしい。日々勉強はしているし、心配はいらないぞ」

 

そこで、楯無に挑発された一夏が立ち上がった。

 

「じゃあ、勝負しましょう。俺が負けたら従います」

 

「うん、いいよ」

 

あ~あ、やっちゃったよ一夏。楯無は俺と同じくらい強いのに、お前が勝てるわけないだろう。

 

 

結論から言おう。一夏は負けた。デネブに鍛えられて少しは善戦していたが、最終的には負けた。おまけに、楯無の胴着を勢いよくつかんで胸を見るというラッキースケベを発動して。

 

それから学園祭までの間は放課後の訓練には楯無が加わることとなり、そして日は進み、学園祭当日がやってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある飛行挺の中、ある一席には四人の男女が座っていた。

 

「楽しみね。早く日本につかないかしら」

 

「確かに、あいつに会うのは久しぶりだし、早く会いたいぜ」

 

「落ち着きなさいよ。焦っても飛行機のスピードが変わることなんてないわよ」

 

その中の一人は、窓から見える日本の景色を眺めていた。手にはフルーツの描かれた錠を持っている。

 

「早く会いたいぜ。亜久斗」

 

オレンジ!

 




次回は学園祭当日です。ちなみに、これを書いてる途中でまた「やめる」を押してしまってへこたれながら書いていました。

これが今年最後の更新となります。では皆様、よいお年を。


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六十話 お正月記念番外編 正月の『RIDE』

お正月記念に番外編を書いてみました。本編とは無縁なので気軽にお読みください。ちなみに本編開始時から一年前の設定なのでそこら辺を理解していただきたい。

それと明けましておめでとうございます!


 

これは、夜霧グループ子会社『RIDE』のオリキャラメンバー等が送る正月の様子である。オリキャラを知らない人は設定(一部)を見ることをオススメする。

 

 

 

 

 

 

 

「正月」

 

『RIDE』ではクリスマス、お正月などの行事の日は基本は休みである。だが全ての人員が休むと会社が滞ってしまうので何十名かはその前日か後日に休みをとってもらっている。そして正月のその日『RIDE』ではある男女たちが集まっていた。

 

藤堂「あー、やっぱコタツ最高っすねぇ。日本文化万歳…」

 

ルギーザ「何やってるのよ、コタツに入ってばかりいると体が衰退するんですよ」

 

藤堂「そういうルギーザだってコタツに入ってるじゃないっすか」

 

ルギーザ「私はいいんです。いつも貴方よりも働いているんですから昨日くらいはいいんです」

 

藤堂「なんすかそれ……あ、誰かゴミ箱とって、蜜柑の皮捨てるから」

 

小雨「どうぞ、それとその蜜柑、私にも貰えるかしら?」

 

藤堂「別にいいっすよ、はい」

 

斎藤「お前たちコタツに入ってないでこっち手伝え!」

 

コタツに入ってのんびりしていた藤堂たちを斎藤が一喝する。

 

ルギーザ「何ですか斎藤。私たちは今忙しいのですからそちらには行けませんよ」

 

斎藤「ほぉ、俺の目にはお前らがコタツでくつろいでいる姿しかみえないんだが?」

 

藤堂「コタツの中を人肌で温めてるんすよ」

 

斎藤「コタツは元から温かいだろう!いいからお前たちも準備をしろ!他の奴を見習え!!」

 

斎藤に怒鳴られようが藤堂たちは出る気はない。

 

藤堂「うるさいっすよ斎藤。そんなんだから部下の人たちに軍総なんて呼ばれるすよ」

 

小雨「そうよ。それに私は出たいけどコタツがそれを許さないのよ。このコタツが日頃の仕事と家事で疲れた私を手放さないのよ」

 

ふぬけた態度の藤堂たちを見て斎藤の額に一つの青筋が浮かびひくつかせている。

 

斎藤「ほぉ、そうかそうか。ならばそんなコタツはぶっ壊してしまおうか。なに、軍総である俺にとってはそんなこと簡単だ、すぐに終わらせてやる」

 

藤堂「さーてっ、早く俺も手伝いに行こ、準備は早めに終わらせた方がいいしな」

 

ルギーザ「私もそろそろ仕事に戻りましょうか。いつまでも休んでいるわけにはいきませんしね」

 

小雨「そうですよね。だから斎藤、変身するのだけわやめてちょうだい」

 

斎藤がバースに変身してコタツを壊そうとすると藤堂たちは急にコタツから脱出し、自分たちも手伝いに向かう。

 

何故この四人が正月なのに同じ場所にいるのか?答えは、今年の正月は『RIDE』の社員たちで開催される年末の食事会だからである。藤堂たちがいたのは給湯室の畳み部屋である。

 

小鳥遊「やっと来ましたか藤堂、早く料理を並べるのを手伝ってください、猫の手も欲しいところなんですから」

 

藤堂「俺の手は猫と同様の価値ってことなんすね。まあ手伝うっすよ」

 

斎藤「おい西本、テーブルの量は足りているか?」

 

西本「はい軍s、いえ斎藤さん。今日参加される人数と椅子の数は確認してありますので大丈夫です」

 

斎藤「お前今俺のこと軍総と言おうとしなかったか?」

 

西本「い、いえ空耳です。それでは私はこれで、向こうで別の準備を手伝って来ますので」

 

斎藤「あっ、おい、……まあいいか」

 

加賀「なあルギーザ、お前顔に髪の毛の跡ついてぞははははっ、くぺっ!」

 

ルギーザ「気のせいですよ加賀」

 

そうこうしているうちに準備は着々と過ぎて行った。会場には『RIDE』本社で働く社員約二百四十人あまりが来ていた。

 

藤堂「おい加賀、今お前俺に業とぶつかったっすよね?」

 

加賀「気のせいだ藤堂、相変わらずの自意識過剰な男だなお前は、そんなんだから彼女に降られるんだ」

 

藤堂「そのことは今関係ないっすよね。最近研究室ばかり閉じ籠って出てきたとき水簿らしさのあまりどん引きされていた加賀」

 

「「…………」」スタスタスタ、チャキ

 

二人はお互いに相手を睨みつけながら大鏡の前に移動してデッキを取り出す、周りに誰もいないのを確認して。

 

藤堂「今日こそお前をぶっ飛ばしてやるぞ加賀ァ!」

 

加賀「寝言は寝てから言え藤堂ォ!」

 

二人は王蛇、ベルデに変身してお互いの顔面を狙って拳を振り抜く。が。

 

恵「はいはい、争うのは後にしなさい二人とも」

 

KAMEN RIDE GAI

 

そこで二人の間に恵が割って入り、藤堂は恵に、加賀は恵が召喚したガイによって拳を止められる。

 

恵「ほらほら、もうすぐ始まるから貴方たちも会場に向かいなさい。喧嘩はその後にしなさい」

 

藤堂「ちっ!わかりました。……後で覚えてろよ加賀」

 

加賀「ふんっ!わかりました。……返り討ちにしてやるぞ藤堂」

 

二人はまた睨みあいながら会場へと向かう。変身を解いてからいく辺りは律儀と言えるだろう。

 

恵「まったく、困ったものね。さて、ここの道具は邪魔ね、運んでおきましょうか」

 

KAMEN RIDE RIOTROOPER

 

恵「さ、任せたわよ私の兵隊さんたち♪」

 

「「「「「コクッ」」」」」

 

恵はライオトルーパーたちに道具の片付けを任せて自分は会場に向かった。なんて使い方だろうか。

 

 

 

 

 

 

時間は立ち、時刻は十一時五十五分ちょっととなった。会場のテーブルには料理が並べられており社員の人達も各々好きな場所で待機していた。

 

亜久斗「さて、皆。今年も働いてくれたありがとう。心から感謝する」

 

パチパチパチパチと拍手が鳴る。亜久斗は会場の一番奥のみんなより少し高い位置にいる。

 

亜久斗「今年ももう三分程度となったが、来年も『RIDE』での皆の仕事と功績に期待している。今日はその礼を兼ねてこのような場を設けさせてもらった。好きにくつろいでくれ」

 

新年まで、残り三十秒。

 

亜久斗「それでは、カンパイ!」

 

「「「「カンパーイ!」」」」

 

これが、毎年行われる『RIDE』での年越しの時である。食事をする者、駄弁る者、殴り合をする…あれは藤堂と加賀だけだが。それぞれが楽しそうである。

 

亜久斗「皆!今年もよろしく!」

 

新年まで、残り零秒。




以上、番外編でした。次回から本編に戻ります。


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六十一話 学園祭スタート!


明けましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします。滝温泉こといずみです。
今年の年越しはかなりショッスな物となってしまいました。実は私は毎年年越しの瞬間はジャンプして空中で過ごすのです。ふと時計を見上げると年越しまで後二分、私は残り一分になったときから自分で六十秒を数えていたのですがタイミングを誤り着々して時計を確認した瞬間に年が変わってしまったのです……。OTZ
まあこんな話しは置いておいて今回から学園祭がスタートします。

それでは本編スタート!


 

そして学園祭当日となった。

 

俺たちのクラス一年一組の『ご奉仕喫茶』は盛況で朝から大忙しだった。といっても客の殆どが女子なので主に忙しいのは男である俺と一夏とデネブなのだが。全員が料理を出来るということなので時間交代で一人が厨房に入ることになっている。今はデネブが厨房で俺と一夏は執事服を着て接客をしている。

 

「いらっしゃいませ、お嬢様方。二名様でよろしいですか?」

 

「は、はい!」

 

「ではこちらの席にどうぞ、注文がお決まりになられましたらお呼びください」

 

俺は執事として接客をかれこれ一時間もしていることになる。あ、一夏が鈴を相手にしているな、鈴はチャイナドレスか、さしずめ二組は中華喫茶といったところか。

 

「ねえ、あの執事の人かっこよくない?」

 

「確かに、凄いイケメン……」

 

「私はあっちの人が好みかなぁ」

 

ちなみに接客班は男である俺たちとシャルにセシリア、そして箒とラウラだった。何故かこのメンバーは固められることが多い。容姿がいいから接客班になったのだろうが箒はさっきから仏頂面なので仕事になっているか心配です。

 

「いらっしゃいませ……あれ、簪?」

 

「う、うん…。来ちゃった」

 

店の最前列にいた簪は照れ臭そうに頬を赤く染めてコクリと頷く。……何この可愛い生き物、俺の周りは可愛い系女子で溢れているのか?

 

「わかりました。それではお嬢様、こちらへどうぞ」

 

「お、お嬢様……////」

 

更に簪は顔を赤くしてしまった。

 

そういえば当店の内装は学園祭とは思えないレベルの調度品があちこちに置いてあり、セシリアと俺が家から手配したものだ。テーブルや椅子、ティーセット等が特に高級品を扱っており値段を教えたら調理担当のクラスメイトたちは手が震えそうにしないので精一杯だとか。

 

「それでは、ご注文はいかがなさいますか?お嬢様」

 

「え、えっと……じゃあこの「執事にご褒美セット」でお願いします」

 

oh、最初からクライマックスと来たよ。このメニューが出来た時から注文が多く来ることは理解したがまさか簪までもが頼むとは。だがここで拒否をしないのが仕事だ。断るというのは俺のプライド?が許さない。

 

「畏まりました。では少々お待ちください」

 

俺は簪に一礼してからキッチンに向かう、そこには丁度デネブがおり、何故か応援の眼差しを向けられた。

 

「執事にご褒美セット」を手にした俺は再び簪の元へと向かう。ちなみにアイスハーブティーとポッキーのセットのことだ、値段は三百円。考えれば執事へのご褒美は三百円分しかないことになる。せめて五百円にしてほしかった。

 

「お待たせしました、お嬢様」

 

「は、はい……」

 

「では、失礼します」

 

「ふぇ!?」

 

俺は簪の向かい側の席に座り、簪へポッキーを差し出す。あーんのポーズである。

 

「え、あ、亜久斗?」

 

簪はいきなりの行為に戸惑っている。それもそうだ、俺も楯無にあーんをさせられた時はびびった。

 

「当店の「執事にご褒美セット」というのは私たち執事がお嬢様にポッキーを食べさせるというものとなっております」

 

「ふぇ!?」

 

簪の顔がさっきから凄い真っ赤なんだが、そんな恥ずかしがられるとこっちも恥ずかしくなってしまう。

 

「こちらはお嬢様の任意のサービスなのでお嬢様がご不満ならやらなくてもよろしいのですよ?」

 

「や、やります!せっ、折角だし……。最近私だけアプローチ少ないし」

 

「それでは失礼します。あーん」

 

「あ、あーん////」

 

ポッキーだが簪はぽきっ、と音は立てずに食べる。効果音としてははむっが合っていると思う。

 

「も、もう一度///」

 

もじもじしながら口を開ける簪。……可愛い、なんかあれだな、簪は守ってあげたくなる系の子だ。俺からはそう見える。

 

「畏まりました。あーん」

 

「あーん////」

 

それから十分に及ぶあーん、恥ずかしくて死にたくなってきた。死なないけど、言葉のあやというやつだ。

 

「あら、仲がいいじゃない」

 

「いらっしゃいませ、お嬢様」

 

そこへ入って来たのは何故かメイド姿の楯無だった。更に何故かこのクラスのものと同じの物だ。いつ用意したんだろうか?

 

「うーん。亜久斗君は普通の反応かぁ、もっと驚いてくれるといいのに、それと私には仕事口調じゃなくていいわよ」

 

「ジー……」

 

そんな楯無を簪はジト目で睨んでる。何故だろう、そういえばこの二人は夏休みのうちに和解したらしい。なんでもデネブ歓迎会の後に三人で出掛けた日にらしいが。

 

「……お姉ちゃん、ずるい。今は私が亜久斗と話してたのに……」

 

「あら、別に簪ちゃんの邪魔をする予定じゃないのよ、ただ亜久斗君が私のメイド服を見たときの反応が見たかっただけよ」

 

「………」

 

どんな理由だ。と、そこで教室に一際騒がしい女子が飛び込んできた。

 

「どうもー、新聞部でーす。話題の執事君たちを取材しに来ましたー」

 

確かこの人は……黛薫子先輩だったな。

 

「あ、薫子ちゃんだ。やっほー」

 

「わお!たっちゃんじゃん!メイド服も似合うわねー。あ、どうせなら夜霧くんとツーショットちょうだい」

 

とかなんとか言いながらもうシャッターを切り始めている。楯無に至っては「いえい♪」とピースまでしてるし。おまけに腕組んでくるし。

 

「むう……」

 

簪は頬を膨らませて少しむくれているし。

 

「じゃあ私はもう帰るね……」

 

「わかりました。お会計は此方です、お嬢様(後で簪のクラスに行くな)」

 

「!う、うん……」

 

簪は教室から出ていった。帰るときに簪の顔が少し晴れやかなのは良かったと思う。

 

「じゃあ私は織斑くんの方も行ってくるね、後デネブくんも」

 

「いってらっしゃーい」

 

黛先輩は一夏の方へ行った。そこで教室に身に覚えのある二人か入って来た。

 

「あ、リュウヤ、それにメイアも!来てくれたのか?」

 

教室に来たのは俺の幼馴染みであり、俺の会社の正社員として働いている親友。剣崎龍矢(けんざきりゅうや)と佐藤萌衣亞(さとうめいあ)だった。

 

「よう亜久斗、遊びに来たぜ!」

 

「私もいるわよ」

 

「あら、亜久斗君。お友達かしら?」

 

親しげに話す俺たちを見て楯無が聞いてくる。

 

「俺は剣崎龍矢。亜久斗の幼馴染みで親友だ」

 

「私は佐藤萌衣亞。同じく亜久斗の幼馴染みでリュウヤの婚約者よ」

 

「「「「ええええええ!?」」」」

 

俺たちの話しを聞いていた教室内の人たちから驚愕の声があがる。

 

「こ、婚約者!?本当に!?」

 

「で、でも同じ指輪してるし!」

 

「それに亜久斗君の幼馴染み!?詳しく聞かせてほしいわ!」

 

教室が客、メイド問わずに混沌と化した。だが楯無が静かに!と一喝すると再び静になる。

 

「ここは模擬店よ、今騒いだらお客様に迷惑でしょ。静かにしなさい。……さて、私は更識楯無。この学園の生徒会長よ。よろしく」

 

「よろしく、リュウヤと呼んでくれ」

 

「よろしくね、私もメイアで構わないわ」

 

三人は握手を交わした。ふと教室を見ると元の風景に戻っている。すげえ。あ、シャルがこっちに来た。

 

「亜久斗、折角だしそろそろ休んだら?丁度いいし、その人たちと学園祭を回ってきなよ」

 

シャルの気遣いにちょっと感動した。ありがとうシャル。

 

「ありがとう。じゃあリュウヤ、着替えてくるから店の外で待っていてくれ」

 

「わかった。早く来いよ」

 

「ああ」

 

俺はすぐに更衣室で着替えて、店の外で待っているリュウヤたちのところに向かった。

 

 

 

 



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六十二話 親友と回る学園祭

 

 

それから着替えた俺はリュウヤたちと一緒に学園祭を回っていた。はずだった。

 

「なあ、お前執事服のままでいいのか?」

 

「俺だって着替えたいけどそれをクラスの女子が許さなかったんだ」

 

そう、着替えて教室を出る寸前にクラスメイトの女子たちに呼び止められ、店の宣伝になるから執事服のままで行って!と言われたのだ。おかげで俺は執事服のまま回っているわけだ。

 

「まあいいんじゃない?似合ってるしさっきから女子からの視線が暑いわよ?」

 

「その暑さはこの時期には必要ないと思う」

 

「羨ましいな(笑)あ、あそこの店入ってみようぜ」

 

「そうね、ほら、早く行くわよ」

 

「さっきリュウヤの発音がおかしいと思ったのは俺だけか?まあいいけど」

 

俺たちが入ったのは射撃体験ができる訓練状を模した出し物の教室だった。射的じゃなくて射撃な、ここ重要。

 

「いらっしゃいませ、あっ、夜霧君だ!写真もらっていい?」

 

「どうぞ、それでここはどういうところなんだ?」

 

まあ説明なんて部屋の中見れば大体わかるけどな。

 

「えっと、この中にある銃の中から好きなものを使って射撃するだけだよ。的の得点部分に当てて二百点越えたら景品ね!制限時間は二分だよ!」

 

見ると部屋の奥には半径二十センチほどの的がありその的の所々に得点がかかれている。

 

「よし、亜久斗。勝負しようぜ、俺が勝ったらさっきのクラスに戻ってメイド服を着てもらおう」

 

「地味に嫌がること考えるなお前!?……じゃあ俺が勝ったら会社の貯まった仕事を全部やってもらおうか、一日で、休みの日に」

 

「あんたもえげつないこと考えるじゃない。そういや景品って何があるの?」

 

景品の書かれた掲示板を見ると、上から順にブランドバッグやら他の教室のタダ券やら過去のモンドグロッソ優勝者のブロマイドやらアサルトライフル。

 

いや、最後のは景品に出したら駄目だろう。

 

「じゃあ私も参加するわよ、バッグ欲しいし」

 

「あれ?でもメイアってバッグなんて使わないだろ?」

 

「いいじゃない、こういうのは持っておきたい物なのよ」

 

そういうもんか。かくして射撃競争とも言える俺のメイド服とリュウヤの休日の有無を賭けた試合が始まった。

 

俺たちが手にしたのはレーザー型アサルトライフル。同じ武器でやることで後腐れを無くした。

 

「では……スタート!」

 

さて、戦争だ。

 

 

「くそっ、馬鹿な……!」

 

「悪いなリュウヤ、俺はメイド服なんて着るわけには行かないんだ」

 

「きゃー、やった!一等ゲット♪」

 

「そ、そんな……」

 

「全員ハイスコアだなんて……」

 

結果だけ言おう。

俺:三百九十点

リュウヤ:三百五十点

メイア:四百二十点

 

つまり俺は自分のプライドを守り抜き、メイアは欲しい物を手に入れることが出来たという最高の結果となった。

 

「お前射撃苦手なのに何で勝負挑んだんだよ。今まで挑んで来た中で射撃で勝ったことなんて一度も無かったろ?」

 

「うぐっ、まあ、メイアの喜んだ顔が見れたからいいさ。……はぁ、今週は書類の缶詰か」

 

「大丈夫よリュウヤ。私も手伝ってあげるわよ」

 

「ありがとうメイア……」

 

「おーい、混んでるんだから早く行くぞー」

 

 

それから俺たちは縁談がてら昼食をとることにしたので四組のコスプレ喫茶に行くことにした。

 

「コスプレ喫茶か、中学の時は俺たちのクラスがやってたな」

 

「ああ、お前モン○ンのレ○ス装備だったな。用意するのは自分だったとはいえあれはびびった」

 

「知り合いに丁度持ってる人がいたからな。さて入ろうか」

 

「いらっしゃいませ、三名様でよろしいですか?」

 

中から出てきたのは、レースクイーンのコスプレをした女子だった。露出が少ないタイプだがよく着たなこれ。

 

「ああ、出来れば奥の方の席で頼む」

 

「かしこまりました、ではこちらへどうぞ」

 

俺たちは案内された席に座ってメニューを見た。あ、この店って二百円追加で指名できるんだ。指名になんの意味があるのかは知らないけど。

 

「俺はスパゲッティで、ミートソースで頼む」

 

「なら私はカルボナーラにするわ」

 

「じゃあ俺はクリームパスタ、後指名で更識簪を頼む」

 

「!はい、かしこまりました」

 

うおっ、なんか凄いスピードで走っていったぞあの子。ウェイトレスが店内走ったら駄目だろう。

 

「……更識簪って誰だ?」

 

「さっき教室で言ってたじゃない、多分楯無っていう人の妹とかじゃないの?」

 

「メイアの言う通り、簪は楯無の妹だ」

 

「そういや亜久斗は生徒会長さんのこと呼び捨てだよな、何で?」

 

「色々あるんだよ。俺のことより、リュウヤたちのこと教えてくれよ、一年間、どこに行ってたんだ?」

 

「まあ、世界の世界遺産を巡ってきた」

 

「まあ、それだけじゃなかった気もするけどね。ピラミッドやエアーズロック、自由の女神にナスカの地上絵、最後に行ったのがマチュピチュ遺跡ね」

 

「軽く世界一周旅行だな……。そういやシゲルたちは今どこにいるんだ?」

 

「ああ、シゲルとエリナは会社に行ってるぞ。俺たちも帰ったら恵さんに帰国した報告書書かないと……」

 

それから少し駄弁っていると店のキッチンから簪が出てきた。

 

「え、えっと……ご指名された更識簪です……。スパゲッティとカルボナーラとクリームパスタをお持ちしました////」

 

「ワォ、凄い可愛い子じゃないか亜久斗」

 

「IS学園の女子ってみんなレベル高いのねぇ。」

 

「あ、ああ……」

 

俺は驚いていた、そりゃ驚くよ、いや、簪を知っている人が見たら全員驚くだろう。何故なら今の簪の服装は白いドレス、それもウェディングドレスよりも丈が短いが同じタイプの物だ。それに簪自身可愛いから凄く似合っている。

 

「ど、どうかな?やっぱり…似合ってない?」

 

「い、いや凄く似合ってる!今まで見た中で一番綺麗だと思う!」

 

「そ、そう?良かった……(一番綺麗だなんて……)////」

 

あ、ヤバい、大きく言い過ぎたな。でも嘘は言ってないし後悔もしていない、それほど簪のドレス姿は素晴らしい物だったのだ。

 

それから、簪も含めての縁談が始まり、全員特撮物が好きということで仲が進展した。

 

そして縁談は楯無からメールで呼ばれるまで続くのであった。内容は生徒会の出し物があるから今すぐ来て(・ω<♪)だった。わざわざ顔文字使う意味はあるんだろうか?

 

 



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六十三話 灰被り姫・奪われた「白」取り戻す「ゼロ」



「で、生徒会の出し物って何やるんだ?」

あの後、俺は一年一組の教室に戻ってきていた。そこには職場放棄人間こと生徒会長の楯無がいたので俺は生徒会の出し物について聞いていた。

「演劇よ、観客参加型演劇」

「シーユー」

取り合えず嫌な予感しかしなかったのでその場を去ることにした。

「だが、逃げられない」

「進路方向を塞ぐだけならまだしも何故抱きつく?それに俺許可してないし、観客参加型演劇って何だよ?それに許可してないぞ俺」

「勝手に決定してもいいじゃない。生徒会長だもの」

「辞退したっていいじゃないか、社長だもの」

「だーめ♪」

そこで抱きつく力を強くされても困…って痛い!結構本気だよこの人!?

「……はぁ、わかったよ」

「ん、それじゃあ本人の正式な許可が出たことだし、決定ね♪あ、一夏君とデネブ君も」

「「え?」」

「あのー、先輩?さすがに全員も連れて行かれると、ちょっと困るんですけど……」

執事服を着て接客していた一夏とデネブがこっちを向く。そして、近くにいたシャルは楯無に許可が出せないらしい。

「そうだシャルロットちゃん、あなたも来なさい」

「ふえ!?」

「おねーさんがきれーなドレス着せてあげるわよ~?」

「ど、ドレス……」

どうでもいいが、言葉だけなら誘拐犯となんの変わりもないな。もしくは不審者。

「じゃ、じゃあ、あの……ちょっとだけ」

「ん~。素直で可愛い!じゃあ箒ちゃんとセシリアちゃんとラウラちゃんもゴーね」

「「「はっ!?」」」

聞き耳を立てて様子をうかがっていたらしい三人が、同時に驚きの声をあげる。

「全員、ドレスを着せてあげるから。それに、一夏君たちの王子姿が見れるわよ?」

「そ、それなら……」

「まあ、付き合っても……」

「ふ、ふん。仕方がないな……」

それでいいのか、乙女たち。気がつくと俺の横に一夏とデネブも来ていた。

「なあ、亜久斗。俺たちに決定権は無いのか?」

「あのメンツに嫌だと言える勇気があるんならあるんじゃないか?」

「………だよな」

「それで、ちなみに演目って何ですか?」

ぱっと扇子を開く楯無。そこには『迫撃』と書かれている。

「シンデレラよ」

「」

「」





 

現在は第四アリーナの更衣室。そこに俺と一夏、デネブはいた。言わずともがな、いかにも王子様という感じの衣装で、だ。この衣装からシンデレラの王子役だということがわかる。

 

「ああ、なんでこんなことになったんだろう……」

 

「それは俺たちも思っている。もっとポジティブに考えるしかないぞ」

 

「そうだぞ、例えば何故王子役をすることになったか、と考えるよりも、逆に王子役で良かったと考えた方が楽だぞ」

 

「ああ、楯無なら俺たちにシンデレラ役をやらせてもおかしくはないからな」

 

「そりゃあそうだけどよ……何故王子役が三人もいるんだ」

 

「三人ともちゃんと衣装着たー?開けるわよ」

 

「開けてから言うなよ」

 

「なんだ、ちゃんと着てるじゃない。おねーさんがっかり」

 

「……なんでですか」

 

「はい、王冠」

 

「どうも、って楯無は制服のままかよ」

 

「あら?おねーさんのドレス姿が見たかったのかしら?」

 

「そんなわけないでしょう!」

 

「俺も実を言うと普通にドレス姿の女性なんてたくさん見たことあるからそこまで興味は無い」

 

簪?あれはそんじょそこらの女性と同じにしてはいけない。ましてやウェディングドレスだったしな。比べたら簪に失礼だ。

 

「あらら、おねーさん傷ついちゃうわ、およよよ……。さて、そろそろはじまるわよ」

 

「あのー、俺たち脚本とか台本とか一度も見てないんですけど」

 

「大丈夫、基本的にこちらからアナウンスするから、その通りにお話を進めてくれればいいわ。あ、もちろん台詞はアドリブでお願いね」

 

「あの、それって成功するんですか…?」

 

「どうにも大丈夫とは思えない」

 

「大丈夫よ、生徒会長の言うことは絶対なのよ。私を信じなさい」

 

……不安だ。これほどまでに自信満々に堂々と言っている人に対して初めて不安を持った。成功とか失敗とかとは違うベクトルで。

 

いい知れぬ不安を抱きながら俺たちは舞台袖に移動する。にしてもこのアリーナいっぱいに作られたセットはかなり豪華だな、階段とか背景の絵とかよくできてる。セットの全てがとても強固で頑丈に作られているな。………ん?

 

「さあ、幕開けよ!」

 

ブザーが鳴り響き、照明が落ち、セット全体にかけられた幕が上がっていき、アリーナのライトが点灯した。

 

「むかしむかしあるところに、シンデレラという少女がいました」

 

まあ普通の出だしだな。特に問題は無いのかもしれない。俺たちはセットの舞踏会エリアへと向かう。ちなみに同じところからというのもあれなので一夏はそのまま舞台袖から、俺は階段の上、デネブは舞台袖の反対側から移動する。そういえばシンデレラって誰なんだろうか?やはり先程呼ばれていたシャルたちの誰かなのか?

 

「否、それはもはや名前ではない。幾多の舞踏会をくぐり抜け、群がる敵兵をなぎ倒し、灰塵を纏うことさえいとわぬ地上最強の兵士たち。彼女らを呼ぶにふさわしい称号……それが『灰被り姫(シンデレラ)』!」

 

……は?

 

「今宵もまた、血に飢えたシンデレラたちの夜がはじまる。王子たちの冠に隠された隣国の軍事機密を狙い、舞踏会という名の死地に少女たちが舞い踊る!」

 

「は、はぁっ!?」

 

「もらったぁぁぁ!」

 

いきなりのことでわけがわからず大声を出した一夏の下に、白地に銀のあしらいが美しいシンデレラ・ドレスを身に纏った鈴だった。

 

というか楯無のアナウンスと鈴の行動から察するに、恐らく呼ばれた専用機持ちのメンツが俺たちの冠を奪うという内容だろう。

 

鈴は一夏の冠取ろうとしてるし、何故か中国の手裏剣、飛刀を投げつけてるし、セシリアや箒も一夏を狙っているな。

 

あ、一夏が冠外そうとしたら電流が流れてる。

そこへ、再び楯無のアナウンスが入る。

 

「王子にとって国とは全て。その重要機密が隠された王冠を失うと、自責の念によって電流が流れます」

 

恐ろしいもん作ってんじゃねえよ!え?じゃあこれ外せないじゃないか、ツール器具でもあればいいのに……。

 

「一夏王子!俺も助太刀するぞ、シンデレラたちから冠を守りきるのだ!まだ俺たちの国が滅ぼされるわけにはいかん!」

 

……デネブ、ノリノリだな。そしてちょっと言葉が古いぞ、それでは時代劇だ。そんなことを考えていると俺の方にもシンデレラ・ドレスを着たシャルとラウラが来ていた。二人ともドレス姿が様になっている。さすがだと思うぞ。

 

「王冠は私がいただく」

 

「ご、ごめん亜久斗、その王冠渡してくれると嬉しいんだけど……」

 

「とは言ってもこれ外すと電流が流れるしな……。悪い」

 

「そ、そんなぁ!?困るよ!」

 

取り合えずダッシュ、安全地帯に逃げることにする。一夏はデネブに任せた。

 

 

 

 

 

 

俺こと織斑一夏は、シンデレラたちから逃げる途中に引っ張られてセットから転げ落ち、誘導されるままに更衣室へとやって来ていた。一緒にいたはずのデネブもいなくなっていた。

 

そして改めてその人を見ると、今日学園祭休憩時に名刺をくれた巻紙礼子(まきがみれいこ)さんだった。

 

「あ、あれ?どうして巻紙さんが……」

 

「はい。この機会に白式をいただきたいと思いまして」

 

「……は?」

 

「いいからとっととよこしやがれよ、ガキ」

 

「えっと……あの、冗談ですか?」

 

「冗談でてめえみたいなガキと話すかよ、マジでムカツクぜ」

 

いきなり口調が変わったことについていけずにいると、思い切り腹を蹴られた。なんとか、手で腹を守るがその衝撃でロッカーに叩きつけられる。

 

「くっ!あ、あなたは一体……」

 

「へぇ、よく防いだじゃねえか。私か?企業になりすました謎の美少女だよ。おら、嬉しいか」

 

そういって俺に向かって二発蹴りをかましてくる。だが俺は体勢を立て直し、蹴りをかわして巻紙さんから距離をとった。

 

「(あ、危ねぇ、デネブとの特訓が無かったら間違いなく喰らっていた……)」

 

「ちったあやるじゃねえか、なら、こいつでならどうだ?」

 

「!?」

 

スーツを引き裂いて、巻紙さん、もとい目の前の女の背後から鋭利な「爪」が飛び出す。それも、クモの脚に似たそれは、黄色と黒という禍々しい配色で、刃物のような先端を持っている。

 

その刃を見た瞬間、俺の本能が働いた。こいつは敵だと。俺は白式を展開した。

 

「なんなんだよ、あんたは!?」

 

「ああん?知らねーのかよ、悪の組織の一人だっつーの」

 

「ふざけん____」

 

「ふざけてねえっつの!ガキが!秘密結社『亡国機業(ファントム・タスク)』が一人、オータム様って言えばわかるかぁ!?」

 

その言葉が、戦いの引き金となり、俺と亡国機業、オータムとの戦闘が始まった。

 

 

 

 

 

 

「はっ!この音は!?一夏が危ない!!」

 

突如更衣室の方向から響く銃声を聞き、デネブは一夏の下へと走りだした。

 

手には一つのベルトとカードを持って。

 

 

 

 

「くそっ!?白式を返しやがれ!ふざけんじゃねえぞ!!」

 

戦闘を繰り返した俺はオータムとの戦いで大きなダメージを負ってしまい、«剥離剤(リムーパー)»という道具とせいで、白式を奪われてしまった。俺は白式を失うもオータムに立ち向かった。が、

 

「だから、遅ぇんだよ!」

 

白式の無い俺はオータムによって蹴り飛ばされ、壁に叩きつけられる。手で咄嗟に防御するが、ISの蹴りを防ぐことが出来ず、壁に勢いよく叩きつけられる。

 

「がはっ!?」

 

「じゃあな、ガキ。お前にはもう用がないから、ついでだし殺してやるよ」

 

オータムはニヤリと笑い告げる。

 

「あば「でやあ!!」何っ!?」

 

オータムは『アラクネ』の脚を俺に降り下ろそうとするが一つの影によって跳ばされた。影の正体は、デネブだった。

 

「てめえ……!よくもやってくれたじゃねえかよ!」

 

オータムは蹴り跳ばされてヨロヨロと立ち上がる。体勢が崩れただけで、ダメージは無いようだ。

 

「一夏!これを使うんだ!」

 

そう言ってデネブが俺に渡してきたのは自動改札機を象っているベルトと切符型のカードだった。カードに走る溝が緑色の面のカードだった。

 

「白式が無いんだろう!だったらそれを使って奪い返せ!使い方は頭に流れ込んでくるはずだ!」

 

「デネブ……ああ!わかった!」

 

俺はベルトを腰に装着する。するとISを初めて触れた時のように頭の中にデータが流れ込んでくる。

 

「変身っ!」

 

アルタイルフォーム

 

俺はバックル部の「クロスディスク」にカードを挿入する。そして緑の基本カラーの牛の頭のような仮面の形状、そしてベルトのバックル部分には「A」の文字が浮かび上がった。その名、仮面ライダーゼロノス・アルタイルフォーム。

 

「なんだそりゃあ?ISか?」

 

デネブはオータムから距離をとり、俺の後ろに走ってきた。

 

「最初に言っておく、白式は絶対に返してもらうぜ!!」

 

「やってみなガキが!そんなちっぽけなISでこのアラクネに敵うと思うなよ!」

 

「喰らわねえよっ!」

 

オータムはアラクネの脚についた刃で俺を切り刻もうとする。だけど俺はゼロノスのベルトにセットされている「ゼロガッシャー」を連結させ、「セロガッシャー・サーベルモード」の形態にきて構えて脚を防ぐ。

 

「おらあ!」

 

「なっ!?てめえアラクネの足を!?」

 

俺はゼロガッシャーのオーラサーベルをアラクネの駆動部分、つまり装甲が薄い部分を狙ってゼロガッシャーを降り下ろし、脚を叩き切った。

 

「俺の白式はっ!返してもらうぜ!」

 

俺は脚が切れたことにより、アラクネの動きが一瞬止まった瞬間に懐に入り込み、オータムが手に持っていた白式を奪い取る。

 

「デネブ、これを持っていてくれ!」

 

「わかった!」

 

俺は剥離剤(リムーパー)によってコア形態となった白式をデネブに託した。白式を奪われたオータムの顔には焦りが見える。

 

「てめえ!よくも奪ってくれたな!」

 

「元からお前のじゃないだろうが!!」

 

俺とオータムはお互いの格闘用ブレード、ゼロガッシャーで切り合う。だがオータムは脚を一部だけ切られたことによりバランスが悪く、力が弱くなっている。

 

「でやあ!」

 

「ぐっ!?」

 

俺はオータムを切り飛ばし、壁に叩きつけた。

 

「さあ、止めだ!」

 

フルチャージ!

 

俺はベルトのバックル左上のフルチャージスイッチを押して、フリーエネルギーをゼロノスカードにフルチャージする。そしてそのカードをそのままゼロガッシャーのガンパーツに付属されている「ガッシャースロット」に装着する。

 

「終わりだぁぁぁ!!」

 

俺は「スプレンデッドエンド」フルチャージしたゼロガッシャー・サーベルモードを振り抜き、オータムに向かって至近距離でフリーエネルギーの斬撃を飛ばす。

 

「く、くそ……ここまでか……!」

 

そのとき、プシュッ!と圧縮空気の音を響かせて、オータムのISが本体から離れ、光を放ちはじめる。

 

ま、まずいっ!

 

「デネブゥゥゥゥ!!」

 

俺は危険を察知し、デネブを守るようにして覆い被さり、爆発から守った。

 

「……大丈夫か。デネブ」

 

「ああ、無事だ一夏」

 

「そうか、よかった……はっ!あの女は!?」

 

「あいつなら、自分のISの装甲だけを爆発させて逃げたみたいだ」

 

「そうか。あ、これってどうやって解くんだ?」

 

「カードを抜き出してベルトを外せば元に戻るぞ」

 

「こうか?あっ、戻ったな……はぁ」

 

俺は危険が去ったことを確認すると床に座り込んだ。

 

「ほら、一夏。お前のISだろう?しっかりと持っておいたぞ」

 

「ありがとうデネブ、これ、返すぜ」

 

デネブは白式のコアを、俺はゼロノスベルトを渡す。

 

「いいのか?これからもこういう時のために必要になるかもしれないぞ?」

 

「いいんだよ」

 

俺はふっと微笑む。

 

「それはテネブのだ。俺には白式がある。それに、強い力は持っているだけで慢心しちゃうからな。俺は白式が無くなった時、自分が無力だった。だから、俺はこれ以上の力は必要ない、俺はこれから頑張って強くなって、もう白式が奪われないようにする。だからさ……」

 

 

 

 

 

 

 

 






「また、俺を鍛えてくれよ、デネブ。俺はもっと、強くなるからさ」

「一夏……ああ!」

俺たちは固い握手を交わした。新たな決意を噛み締めるように。



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六十四話 忍び込んだ敵・「実力」の差

どうも、ちょっと仮面ライダー鎧武「天下分け目の戦国MOVIEダイガッセン」を見てきました。滝温泉こといずみです。最高に面白かったついでに3DSのゲームも買っちゃいました。

今回は一夏が戦闘している間の亜久斗たちの様子です、こちらも戦闘回です、ダークライダーたちも登場します。オリキャラの実力も明らかに!

それでは本編スタート!


フリーエントリー組とかいう数十人のシンデレラから逃げ切った俺はアリーナの舞台裏のセットを潜り抜け、誰もいない第二アリーナへと来ていた。ここは今日は使われておらず立入禁止になっているから見つかる可能性はゼロだろう。明かりは付いているがばれまい。

 

「……ふぅ、シンデレラの数多すぎだろ、バイオ○ザードじゃあるまいし……」

 

そんな愚痴を吐いたとき、不意にアリーナ内に三つの気配が聞こえた。一瞬女子たちかと思ったがすぐに違うと判断した。足音がしないからだ、ラウラや楯無なら可能だろうが気配は三つだ。人数が合わない。

 

「……誰だ?」

 

俺が気配のある方を向くと、そこには二人のガタイのいい男と長身の女がいた。

 

「初めまして、だな。前置きはいらないだろう。お前の持つISを壊して、ライダーの力を頂く」

 

「やらせると思うか?」

 

中心にいる男は鼻でふっと笑った。

 

「三対一で、圧倒的有利な状況だ。本社へ侵入した奴等は量産型で力が足りなかったが、俺らは違う。覚悟してもらおうか」

 

「それは違うぜ!」

 

全員が声のした方を向く、その声の正体は俺の親友であるリュウヤ、その側メイアもいた。男は少し移動し、俺たちを同時に見ることの位置に移動する。

 

「なんだお前は?言っておくが、死にたくなかったらとっとと帰るんだな」

 

「帰るわけないでしょ、親友置いて逃げる奴がどこにいるのよ」

 

「それに、俺らが死ぬなんてないしな。これで三対三だ。俺も戦うぞ亜久斗」

 

「ああ、三人で倒そうか!」

 

「いいだろう、かかってこい」

 

俺たちはそれぞれが変身ツールを取り出す。俺もリュウヤたちの隣に移動し、ウィザードライバーを取り出した。

 

「「「変身」」」

 

Open Up

 

相手の三人はWA「CHANGE」をバックルに内蔵されたトレイ・レディエーションオーブに装着する、そしてバックル部のミスリルゲートを開く事で光のゲート・オリハルコンエレメントを手前に放出、エレメントが自動的に三人を通過しすることでグレイブ、ラルク、ランスに変身した。

 

「変身!」

 

ドライバーオン!シャバドゥビタッチヘンシーン!シャバドゥビタッチヘンシーン!フレイムプリーズヒー!ヒー!ヒー!ヒー!ヒー!

 

俺はウィザードライバーの手にフレイムリングをかざし、魔法陣を潜ることで、仮面ライダーウィザード・フレイムスタイルに変身した。

 

「「変身!」」

 

オレンジ!

 

ブドウ!

 

二人は変身ベルト・戦極ドライバーを装着しオレンジ、ブドウのロックシードを解錠する。すると二人の頭上に形成されたアームズが空間の裂け目から召喚され、空中でゆっくりと降下しながらアームズは待機される。

 

ロック・オン!

 

ロック・オン!

 

そしてロックシードを戦極ドライバーにセットして錠を押す。リュウヤのベルトからは和風のほら貝の音、メイアのベルトからは中華洋風変身音が流れる。二人はベルトに取り付けられたカッテイングブレードを倒してオレンジ・ブドウのロックシードをカッティングする。

 

ソイヤ!オレンジ・アームズ!花道・オンステージ!

 

ハイィーッ!ブドウ・アームズ!龍・砲!ハッハッハッ!

 

するとリュウヤとメイアの頭上のアームズが頭部に被さった後に各部を展開し、鎧へと変化する。リュウヤは和の鎧をモチーフにした仮面ライダー鎧武・オレンジアームズに、メイアは中華をモチーフにした仮面ライダー龍玄・ブドウアームズに変身した。

 

「さあ、ショータイムだ」

 

「ここからは俺たちのステージだ!輪切りにしてやるぜ!」

 

「すぐに撃ち抜いてあげるわ」

 

「俺は右の赤い仮面ライダーをやる」

 

「なら私は真ん中のオレンジの仮面ライダーで」

 

「じゃあ俺は左の紫を」

 

お互いに武器を構え、一人ずつ対峙する。

 

「いくぞ」コネクトプリーズ

 

俺はコネクトリングを使い魔法陣からウイザードソードガンを取り出し、グレイブに突っ込む。

 

「ふん!」

 

グレイブは専用の剣型カードリーダー・グレイブラウザーを降り下ろす。

 

「喰らうかよ!とっ!」

 

「せいっ、はっ!」

 

ウィザードソードガンとグレイブラウザーでお互い相手の切りつけようと振り抜き、お互い相手の攻撃を避ける。少しずつだがグレイブを押している。

 

「!うおおっ!」

 

グレイブは壁に追い込まれまいと俺にグレイブラウザーを突き刺すように持ち構え、前にでる。

 

「熱くなるなよ!」ディフェンドプリーズ

 

「何っ!?」

 

だが俺はディフェンドリングを使い、魔法陣でできた壁がグレイブの動きを防ぎ、防がれた反動でグレイブはのけぞった。

 

「チャンスだな、無闇に突っ込むものじゃないってことだ!」バインドプリーズ

 

「ぐっ!」

 

更にバインドリングでできた鎖がグレイブを捕らえる。俺はウィザードソードガンの手形にフレイムをかざした。

 

キャモナスラッシュシェイクハンズ!フレイムスラッシュストライク!ヒー!ヒー!ヒー!

 

「ぐああああっ!」

 

俺は炎の力を付与して威力を強化したウィザードソードガンでグレイブに向かって切りつけ、グレイブは受け身をとれず、吹き飛び地面を転がっていく

 

「くそっ!今度はこっちの番だ!」

 

MIGHTY

 

グレイブは起き上がり、トレイを円状に展開してカードを引き抜き、スラッシュリーダーにラウズする。そして必殺技「グレイブスラッシュ」を発動する。グレイブラウザーの刃先に重力場を生成し、俺に向かって切りつけてくる。

 

「社長を、舐めるなよ!」クリアプリーズ

 

「なっ!?どこに消えた!?」

 

俺はクリアリングを使うことで別次元、四次元に移動することでグラビティスラッシュを避けた。

 

「ここだ…よっ!」

 

「がはっ!?お前、どこから!?」

 

俺が元の次元に戻り、後ろからグレイブを蹴りつける。グレイブは俺が急に消え、急に現れたことに驚いている。

 

「別にどこからいいだろう?なんにせよ、これで終わりだ!」チョーイイネ!キックストライク!サイコー!

 

「ぐあああっ!?」

 

ドカアアン!!

 

俺は足元に発生した魔法陣から炎のエレメントを右足に纏い、ロンダートによって威力を増幅して空中反転しながら高く跳び、空中から跳び蹴り、「ストライクウィザード」をグレイブに叩き込んだ。

 

ストライクウィザードを諸に受けたグレイブの体は爆発し、変身が強制解除された。

 

「……まったく、お前らも量産型とたいして変わりはないな。その程度じゃ俺はおろか、リュウヤたちには絶対勝てないぞ」

 

そこで携帯から通信が入った。俺は携帯を手に取り通話ボタンを押した。

 

「もしもし?」

 

『もしもし亜久斗君?今どこにいるのよ、亡国機業っていう組織が攻めてきたのよ。一夏君が狙われててさっきデネブ君が追いかけて行っちゃったんだけど』

 

「……なら大丈夫だと思う。俺も今ちょっと忙しいからそっちで判断してくれ」

 

『亜久斗君?まさかそっちも亡国機業と戦闘中なの!?』

 

「いや、俺が今追っている方だ。すぐにそっちにいくから。それじゃ。ピッ……」

 

 

 

 

「おらっ!よっ!」

 

「くっ!何故当たらない!」

 

一方こちらはリュウヤVSラルク。

 

ラルクは先程から専用のボウガン型カードリーダー・ラルクライザーの先端部の弓部分・バジリスクボウを開き、強力な光矢を遠距離から鎧武に射ち放っている。

 

だが鎧武はそれを避け、或いは自身の専用ウェポン・大橙丸と無双セイバーを使用する二刀流で光矢をうち落とすでラルクの攻撃を防いでいた。

 

そして鎧武も隙を見つければブライトリガーを引くことで銃口のムソウマズルから強力な弾丸を連者してくる。ラルクの光矢は全て防がれるのに対して鎧武の弾丸は確実に矢を放つ瞬間を狙ってくるので全て被弾する。そのせいでラルクの苛々は時間ごとに増えていく。

 

「だったらこれよ!喰らいなさい!」

 

MIGHTY

 

ラルクは上部に設けられたスラッシュ・リーダーにカードをラウズすることでラルクラウザーから貫通力に優れた強力な光矢を放つ必殺技「レイバレット」を発動した。

 

「そんな簡単に、奥の手は見せるもんじゃないぜ!」

 

だが、鎧武に変身したリュウヤには効かない。鎧武はアクロバットの要領で体を捻りながら高く跳ぶことでレイバレットを避けた。

 

「なっ!?何故全て防ぐことができる!?」

 

ラルクは空中に跳び上がった鎧武に悪態を付くように叫びながら光矢を連者する。

 

「そんなの簡単だ…よっ!」

 

鎧武は大橙丸を無双セイバーとジョイントすることで無双セイバーを「ナギナタモード」にする。そしてさらにオレンジロックシードを戦国ドライバーから外し、無双セイバー・ナギナタモードに装着した。

 

イチ・ジュウ・ヒャク・セン・マン・オレンジチャージ!

 

「おりゃりゃりゃりゃりゃりゃー!……っと!」

 

そして鎧武は無双セイバー・ナギナタモードの刀身にエネルギーを溜め、バトンのように振り回す。光矢は全て弾かれ、鎧武は再び地に足を付けた。

 

「お前みたいにそんな遠い位置から矢を撃って来られても、簡単に避けれるぜ。まあ、簡単に言うと、遠すぎるんだよ」

 

鎧武は頭をかく仕草をしてラルクに向き直る。

 

「さぁーて、終わらせるぜ!距離があるからこいつでな!」

 

パイン!

ロック・オン!

パイン・アームズ!粉砕・デストロイ!

 

鎧武はパインロックシードを変身時と同じ手順で戦国ドライバーにセットする。

 

「これでも喰らいな!」

 

「ああっ!?」

 

鎧武はオレンジアームズを展開前に戻し、ラルクに向けてアームズを飛ばしてからパインアームズを被り、展開した。

 

「ぐっ……!」

 

ラルクは後ろに下がり距離を開けようとするが

 

ドンッ!

 

「「なっ……!?」」

 

その方向にはランスが同じように下がって来ており、ラルクとランスはぶつかってしまった。

 

「おっ、メイアも圧勝か?」

 

「当然、この程度の奴に負けるわけないわよ。二人纏めて止めと行こうかしら?」

 

「ああ!」

 

パインスカッシュ!

 

「ぐあっ!」

 

鎧武は専用のフレイル型アームズウェポン・パインアイアンを飛び回し蹴りでラルクとランスに向かって投げつけると、巨大化したパインアイアンの鉄球はランスに当たり、ラルクの頭部に被さった。

 

「セイハァァァッ!」

 

そして視覚と動きを封じられたラルクとパインアイアンが直撃したことにより地面に倒れこんだランスは身動きがとれない。その隙を狙い、鎧武はラルクに「無頼キック」を放つ

 

「ああああっ!!」

 

「ラルクっ!」

 

無頼キックを受けたラルクは壁に吹き飛び叩きつけられ、多大なダメージによって変身が強制解除された。

 

「仲間の心配をしてる場合じゃないわよ」

 

「はっ!?」

 

ブドウスカッシュ!

 

龍玄は専用の多銃身ハンドガン型アームズウェポン・ブドウ龍砲のレバー緑宝撃鉄を引いてエネルギーをチャージすると、葡萄の粒を模した小型エネルギーを火砲六連に集中させる。

 

「さあ、終わりよ」

 

「ぐっ!ああああつ!!」

 

そして龍玄はそれを東洋龍型の大型エネルギー弾に変化させ、発射してランスに向かって撃ち抜いた。ドラゴンショットをを喰らったランスもラルクと同じように吹き飛ばされ、多大なダメージによって変身が強制解除された。

 

「「いえーい!」」

 

そして変身を解除したリュウヤとメイアはハイタッチを交わす、すると同じく変身を解除した亜久斗がグレイブに変身していた男を引きずってきた。

 

「相変わらず、強さは衰えてないみたいだな」

 

「当然!亜久斗の方も終わったんだな」

 

「ところで、こいつらどうするの?」

 

メイアは気を失っているラルクとランスに変身していた男女を指す。

 

「取り合えず、IS学園に調べさせるわけにはいかないからな、メグ姉のところに送りつけるさ」

 

「まあ、確かに……それじゃ、俺たちは行くから!学園祭、楽しかったぜ!」

 

「じゃあね亜久斗!」

 

二人はそれだけ言うと走ってアリーナから出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




「あいつら、どうしたんだ急に……あっ」

亜久斗はリュウヤたちの戦闘の跡を見て二人が走って行った理由を理解した。

ラルクとランスに変身していた二人が叩きつけられた壁は多少に凹んでおり、アリーナ内も光矢の跡や弾丸の跡が残っていた。

「まじかよ……あいつら、後仕事を俺に押し付けて逃げたぞおい……」

その後、テレポートでこっそり『RIDE』に戻り、グレイブたちを自身の姉に引き渡した後、亜久斗は、ばれないうちに凹みのを修復した。

だがその後、舞台に戻る途中にシンデレラ・ドレスを着た簪に見つかり、さすがにこれまでのことがばれるわけにはいかないので、口封じに王冠を渡した。織斑先生の説教を喰らうのを防ぐためなら、多少の電流は我慢しよう。


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六十五話 学園祭エピローグ

どうもこんにちは、最近夜中に更新するとUAの伸びが少ないので朝に更新しました。
今回は学園祭エピローグということなのでこれで原作五巻は終了です。

それでは本編スタート!




 

 

さて、あれから俺は簪に王冠を渡そうとしたんだがなんと簪がツールセットを使って解除してくれたおかげで電流は流れることなく、俺の頭から取れました。そのときの簪は凄い笑顔で王冠抱き締めてたな、カメラを持っていなかったのが悔しい。簪が王冠持っているのを見たシャルとラウラは悔しそうだった、そこまでして欲しい物なのか。

 

閑話休題

 

そして現在は自室にいる。俺と簪は同室になり二人きりでお茶を飲んでいた、飲んでいた筈なんだが……。

 

「……何でいるの、お姉ちゃん」

 

「あら、別にいいじゃない、お土産にケーキ持って来たし、簪ちゃんも食べてるじゃない」

 

「それとこれとは話しが別……モグモグ」

 

そう、何故か俺たちの部屋に楯無がいるのだ。それも俺がシャワーを浴びていた間に来たようで簪とケーキを食べている。

 

「なあ、この時間って自分の部屋から出たらいけないと思うんだが……ましてや寮が違うだろう」

 

「堅いこと言わないの。それに、今日は説明に来たんだから」

 

「PTOって知ってるか?夜の九時に寝巻き姿で部屋でする話しじゃないだろ、ましてや簪もいるんだぞ?」

 

「その変は抜かりないわ、絶対に見つからないようにしたし、簪ちゃんにはもうとっくに説明したもの」

 

「おい」

 

説明したって……。俺の気遣いは何だったんだろうか。というか言っていたのなら俺に教えてくれよ。

 

「はぁ、まあいいや。それで、そっちはどうなった?」

 

俺はタオルを頭から首にかけ、ベッドに腰を降ろして楯無たちと向き合った。

 

「そうね……。まずは一夏君たちの方から、一夏君を襲撃したのは亡国機業(ファントム・タスク)という組織よ。私が駆けつけた時は一夏君とデネブ君が二人で追い払ったみたいね」

 

「それと逃げ出した亡国機業を専用機持ちが捕獲しようとしたのだけれど、イギリスの第三世代IS『サイレント・ゼフィルス』によって妨害されて逃げられてしまったわ」

 

「そうか、じゃあ俺の方からも報告しよう。楯無がフリーエントリー組なんて作ったおかげで俺は安全地帯の第二アリーナに向かった。大体なんで一般生徒にまでシンデレラ・ドレスを着せてるんだよ。バイオ○ザードかと思ったぞ」

 

「お姉ちゃん……」

 

「やめて二人とも!そんな目で私を見ないで!」

 

「まあ話しを続けるぞ。そしてその後第二アリーナでIS学園にまで忍び込んでいた敵と戦闘していた。リュウヤたちと一緒にな」

 

「敵が忍び込めたのは……多分招待状を偽装してたから?」

 

「正解だ簪。それとリュウヤたちもこっち側の仲間だからな。倒した敵は全員今ごろ会社で尋問か何かで情報を聞き出されているだろうな」

 

ああ、そういえばリュウヤたちは今会社だろうな。リュウヤは罰ゲームの事もあって、ちゃんと仕事してるといいが。

 

「そしてその後簪と遭遇し、王冠を見事簪が手に入れたと言うわけだ」

 

「わかったわ。それと一夏君の同室になったのは私よ」

 

楯無は手に持った王冠を指で回している。

 

「なら一夏の部屋に行けよ、尚更ここにいるべきじゃないだろう」

 

「えー、でも今日はもう室内から出ちゃ行けないのよ、だから私は今日はこの部屋に泊まるわ。荷物もまだ残ってるしね」

 

そういってベッドにダイブする楯無。おい、そこは俺のベッドなんだがな。

 

「亜久斗君も一緒に寝る?」

 

俺のベッドの布団をはだけて、少し色っぽく寝巻きを崩した楯無が誘惑をしてくる。だがここはIS学園、ここで何か不純なことがあれば何が起こるかわかったものじゃない。

 

俺ははだけた布団を再び被せて技と聞こえるように言う。

 

「よし、楯無には簪と一緒に寝てもらおうと思ったけど俺のベッドがいいんじゃあしょうがないな。俺は簪とベッドで寝ることにしようかな」

 

「ふえっ!?」

 

いきなり話しを振られて、異性から同じベッドで寝ると言われた簪は顔を赤くした。そんな反応されても困る、嘘で言ったつもりなのにこっちまで恥ずかしくなってくるから。

 

「わ、わかったわよ!私が簪ちゃんのベッドで寝るからぁ」

 

「ってお前その姿で出てくるなよ!?」

 

「えっ………?」

 

楯無は急に起き上がる、その性で崩したままの寝巻きは胸や腰のライン等がはっきりと見えてしまっている。

 

「も、もう!亜久斗君のえっち!」

 

「お前はアニメのヒロインか!俺を責める前に服を元の状態に戻せ!そして簪、俺には一切被がない筈だ。なんで不機嫌になる」

 

「だって……」

 

「あ、わかった、亜久斗君が私の胸を見て興奮してるから嫉妬してるんだぁ?」

 

「ちっ、ちがっ……」

 

「誰が興奮するか、大体裸エプロンで部屋に侵入して来たときに胸なんてみただろ」

 

「……お姉ちゃん」

 

「ちょ、ちょっと待って簪ちゃん!説明を、説明をさせて!」

 

「……それじゃあ二人とも、お休み」スリーププリーズ

 

それから先は寝ていたので何があったかは知らない。

 

 

 

 

 

 

「みなさん、先日の学園祭はお疲れ様でした。それではこれより、投票結果の発表を始めます」

 

翌日、全校集会が再び行われて一夏争奪戦の結果発表である。今回も俺は同じ係で空中投影ディスプレイを操作している。

 

「一位は、生徒会主催の観客参加型劇『シンデレラ』!」

 

「「「「……え?」」」」

 

俺がEnterキーを押すと、シンデレラの名前が浮かび上がる。ちなみに作ったのは俺じゃない、楯無だ。

 

そしてその数秒後に、ぽかんとしていたけ全員が我に返り、女子一同からブーイングが起こった。当たり前である。

 

「卑怯!ずるい!イカサマ!」

 

「なんで生徒会なのよ!おかしいわよ!」

 

「私たちも頑張ったのに!」

 

「劇の参加条件は『生徒会に投票すること』よ。でも、私たちは別に参加を強制したわけではないのだから、立派に民意と言えるわね」

 

「(ちゃっかりしてるなぁ……)」

 

楯無が説明するも、ブーイングは止まない。

 

みんなはカラオケに行ったことはあるだろうか。カラオケでは時々キイイイと急にマイクが鳴ることがある。あまりに煩かったのでノイズを調整して、それと同じ現象を三秒ほど起こして会場のブーイングを止めた。

 

「はい、ありがとう。生徒会メンバーになった織斑君は、適宣各部活動に派遣します。男子なので大会は無理ですが、マネージャーや庶務をやらせてあげてください。それらの申請書は、生徒会に提出するようにお願いします」

 

俺は一夏、頑張れとディスプレイに映し出した。書いたのはデネブだ。

 

「ま、まぁ、それなら……」

 

「し、仕方ないわね。納得してあげましょうか」

 

「うちの部活勝ち目なかったし、これはタナボタね!」

 

それから歓声が上がり、各部からアピール合戦が始まった。

 

「それでは、特に問題も無いようなので、織斑一夏君は生徒会へ所属、以後は私の指示に従ってもらいます」

 

一夏の意志は関係ないんだろうなぁ……。

 

 

 

 

「織斑一夏君、生徒会副会長着任おめでとう!」

 

「おめでと~」

 

「おめでとう。これからよろしく」

 

「おめでとう一夏、一緒に頑張ろう!」

 

「おめでとう一夏、まぁ、頑張れ」

 

一夏を除いた全員がぱぱーんと盛大にクラッカーを鳴らす。場所は生徒会室、一夏はうなだれている。

 

「……なぜこんなことに……」

 

「元気だせよ一夏、それに元はお前が部活に入らなかったのが原因だ」

 

「そうそう、おりむーがどこかに入ればー、一部の人は諦めるだろうけど~」

 

「その他大勢の生徒が『うちの部活に入れて』と言い出すのは必至でしょう。そのため、生徒会で今回の処置をとらせていただきました」

 

「俺の意志が無視されている……」

 

「あら、なぁに?こんな美少女が三人もいるのに、ご不満?」

 

「一夏、こう考えるんだ。入っちゃってもいいさと」

 

「まじかよ……」

 

「さぁ!今日は生徒会メンバーが揃った記念と一夏君の副会長就任を祝ってケーキを焼いてきたから、みんなでいただきましょう」

 

「わ~。さんせ~」

 

「では、お茶を入れましょう」

 

「じゃあ俺は取り皿を持ってこよう、本音さん、手伝ってくれるかい?」

 

「はーい!わかりました~」

 

「じゃあ俺はこれを」コネクトプリーズ

 

全員が作業を進めていく中、俺はコネクトリングを使い『織斑一夏生徒会就任おめでとう!』と書かれた看板を取り出す。

 

「記念に一枚、どうだ?」

 

「あら、いいわね。全員で撮りましょう!」

 

「さんせーさんせー」

 

「ほら一夏、早く早く」

 

「ちょ、待ってくれよデネブ!」

 

「じゃあ撮るぞー」

 

「「「「チーズ!」」」」

 

パシャリ

 

こうして、一夏の生徒会所属が決まったのだった。

 

 






その夜

「じゃあ護衛の件だけど……」

『ごめんね亜久斗、榎本さんがインフルエンザで寝込んじゃったのよ』

「えぇー」

『安心して、榎本さんは無理だけど、他の人を用意したから』

「……まさか」

『ええ、多分予想している通りよ。それじゃあ転入は一週間後だから』

「え、ちょい、ま……まじかよ」

この学園、大丈夫かよ……




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六十六話 転入×再開=非日常

こんにちは、もうすぐ学校です。勉強したくないと思いつつ現実から逃れることはできません。
みなさんは初詣で何を祈りましたか?私は「神様転生がしたい」と願いました。痛い奴と思っているでしょうがこの願いを持つのは私だけではないはずです。
そんなことより本編へ進みます。今回から原作六巻がスタートします。ですが今年から受験生となるので更新が遅くなるかもしれません。

それでは本編スタート!




 

「「「「きゃあああああ!!」」」」×2

 

ああ、やはりこうなるんだな……。

 

場所は一年一組教室、時刻はSHRの時間。隣の二組と三組の教室からは黄色い歓声の塊が二つほど響いてくる。

 

「(……俺たちが入学した時の他のクラスもこんな感じだったのか?)」

 

「(凄い声だ……この教室にまでソニックブームが来るとは)」

 

「(やっぱり、こうなるのか……)」

 

現在、IS学園にはとある男女四人が転入してきている。自分の姉、恵が事の収まりまでの安全を考えて送ってきた護衛である。だがその四人が亜久斗の幼馴染みであり親友のリュウヤたちなのだから。

 

「……ではこれでSHRを終える。他のクラスを見に行くのは構わないが時間厳守は守るように」

 

「はーい!」

 

早く事が終わるように、なんとかしよう。今日また新たに亜久斗は決意した。

 

 

 

 

 

 

昼休み、IS学園の食堂では俺は一夏たちイツメンに加え、今日転入してきたリュウヤたちと固まって席に座り食事を取っていた。

 

「へぇ~四人とも婚約者同士なのか」

 

「ああ、俺はメイアの、シゲルはエリナとだな」

 

「ちなみにリュウヤとシゲルは俺たちみたいにISは動かせないからな、デネブと同じだ」

 

「そうそう、まあこれからよろしくな織斑」

 

「ISは動かせないけど、同じ男同士、よろしくな」

 

「一夏でいいぜ、こっちこそよろしくな剣崎、相川」

 

「リュウヤでいいぞ」

 

「俺もシゲルでいいぜ」

 

「よろしくなリュウヤ、シゲル」

 

織斑一夏、剣崎龍矢、相川蒼の三人は立ち上がり握手を交わす。おいそこの腐女子静かにしてくれ、握手ぐらいで騒がないでほしい。

 

そして俺たち男子と反対側にいる女子の方では。

 

「ねえメイア、リュウヤの婚約者って言ってたけど、どんな出会いだったの?」

 

「あっ、それは僕も気になるなあ」

 

「別にいいけどそんな深い話しじゃないわよ?」

 

「あら、エリナさんはISのテスターなんですか?」

 

「うん、セシリアやラウラちゃんたちみたいに代表候補生じゃないんだけどね」

 

「ちゃん付けはやめろ。それより、あいつをどうやって落としたんだ?」

 

こっちではリュウヤとシゲルの婚約者であり俺の親友の佐藤萌衣亞と雪村絵里那が女子一同とガールズトーク的な事を喋っている。男である俺たちには非常に混じりづらい空気である。

 

「そういえばデネブは?」

 

「織斑先生と授業で使った資料集の片付けに行っているらしいぞ?」

 

……あいつ、昼食取ることができるかなぁ。

 

「そういえばリュウヤたちの部屋はどこになるんだ?」

 

「一つの部屋に固められたぜ?なんか丁度数が偶数になったから前に三人が使っていた部屋にそのまま入ることになったぜ」

 

最初に俺と一夏とシャルが住んだ部屋か。デネブが前に転入して来たから生徒人数が偶数になってそのまま部屋に当てはめたんだろうな。

 

「そういえば三人は誰と合い部屋だったんだ?やっぱ幼馴染みとか?」

 

「………」

 

一夏は口を閉ざした。そりゃあ確かに幼馴染みと合い部屋だったけどあまりいい思い出無いもんな。ちなみに俺も説明はしたくない。色々あったしな。

 

「……俺は最初の合い部屋が幼馴染みの箒だったんだが……丁度風呂上がりの時に居合わせて木刀で襲われた」

 

「……マジ?」

 

「信じられないと思うがマジだ。お前たちも気をつけておけよ……色々とな」

 

「「あ、ああ……」」

 

最後の方は凄みをきかけて言っておいた。リュウヤたちなら大丈夫だと思うが一応、注意はしてもらわなくてはいけない。

 

そして昼食の時間は過ぎていった。ちなみにデネブが来た時は既に昼休み終了五分前だったのでメロンパンを渡してやった。

 

 

 

 

そして現在は放課後の夜、IS学園寮の自室で寝転がっている。簪は今大浴場に行っているそうだ。つまり今部屋には俺一人なのだ。

 

「……暇だ。……ん?」

 

気が付くと、メールの着信音が鳴っていた。相手は……楯無?…………返信っと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから時は立ち、日曜日の街中の駅前で俺は一人の少女と対峙していた。

 

「お願いだからぁ!下僕になってよぉ……!」

 

対峙しているというより、目の前に少女に下僕宣言され、おまけに少女は泣いている。

 

 

……どうしてこうなった。

 

 

 

 




気分転換にちょっと閑話を書くことにしました。もう少ししたら原作です。
読者の方々が私の気分転換に付き合って今回の話しを読んでくれることを祈っています。


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六十七話 閑話:俺とヤクザ娘 前編

今回は閑話です。閑話なのに六十七話とかついていますが気にしないでください。あと活動報告にお知らせがありますのでご覧ください。

それでは本編スタート!


 

現在日曜日の休日午前十時ごろ、俺は楯無の買い物に付き合うこととなり駅前のとある店の壁に持たれかかりながら楯無が来るのを待っていた。ちなみに約束の三十分前にはもう来ている。

 

「そこの貴方」

 

「ん?」

 

どこからか声がしたので周りを見る。だが見えるのは大通りを忙しいそうに歩くスーツの男、バーゲンバーゲンと連呼しながら走るおばちゃんたち、ラーメン屋の行列に並んでいる人々。女の子のような声の主は見当たらなかった。

 

「空耳か……」

 

「ねえ聞いてるの?貴方よ貴方」

 

また聞こえた、誰か早く答えてやれよと思いつつ首を回して声の主を確認しようとするがやはり誰もそれらしき人物が見当たらない。

 

「やっぱり空みm「呼んでるんだからさっさと気がつきなさい!」おふっ」

 

今度はいきなり腹に衝撃が来た。どうやら声の主は俺の目の前にいたようだ。それも腹にパンチを喰らわせるぐらい近くにいた。まあ対してダメージは無いが、俺は自分の手前下の方を見る。

 

「まったく、私が呼んでいるんだから早く気がつきなさいよ」

 

そこには、金髪をなびかせ白の生地にピンクのラインの入った服、その子の身長に合うようにオーダーメイドされたブランド物の鞄を肩に下げた女の子がいた、髪の色からして外人だろう。身長は百四十センチほどだろうか、これなら首を回すだけじゃ気づかないわけだ。小さいもの。

 

「えーと、どちら様で?」

 

「私の名前は宝丞アリサ(ほうじょうありさ)よ。貴方の名前は?」

 

「俺は夜霧亜久斗だ」

 

「そう、夜霧亜久斗。私の下僕になりなさい!」

 

ビシッ!と俺に指差し、いい放つ少女宝丞アリサ。

……ああ、なるほど。

 

「さようなら」

 

「えっ、ちよっと待って!」

 

俺が一刻も早くこの場から去ろうと足を進めると、なぜか少女も付いてきた。残念だが俺は特殊な性癖を持っているわけじゃないし、下僕宣言をする少女なんかに構っている暇はない。というか関わりたく無い。

 

「ねえっ!はぁ、待って…はあっ…たらぁ…ねぇ…!」

 

「………」

 

俺を追ってきた少女だったが体力はからっきしのようで、息が荒い。それから追いかけつこを繰り返すこと二分。

 

「………」

 

「ねぇ…お願いだからぁ…待ってよぉ。私の下僕になりなさいよぉ……グスッ」

 

とうとう少女は膝をつき、泣き崩れてしまった。なんか俺が悪いことをしたみたいじゃないか。そこのおっさん、俺をそんな目で見るんじゃない、あんたもだおばさん。

 

「ねぇ…下僕になってよぉ…」

 

「あぁもう、話しくらいは聞いてやるから、だから泣くな」

 

「グスッ……うん」

 

少女にハンカチを差し出し涙を拭わせる。

……なんだろう。俺は何も悪くない筈なのに罪悪感が込み上げてくる。

 

「まあここではなんだからそこら辺のファミレスでも入って話すぞ」

 

「あっ……」

 

俺は少女の手を取り店へと引っ張る、入ったのは○ストという店だ。取り合えず席は誰もいない一番奥、禁煙席にした。

 

「(…メールメール、今日は立て混んでて用事が出来ました。終わりしだい連絡しますっと)で?何でそこまで俺を下僕にしようとするんだ?」

 

俺は携帯電話で楯無にドタキャンメールを送り、少女へと問いかける。理由も無しに下僕にされてたまるか。いや理由があってもならないが。

 

「こほん、改めて名乗るわね。私は宝丞アリサ、ヤクザの娘よ」

 

「………マジで?」

 

まさかのヤクザだよ……。ここ最近なんなんだ本当に。

 

「それである日外を出歩いていた私は敵組織に誘拐されてね。人質として囚われていたんだけれど隙をついて逃げてきたのよ」

 

「朝から随分と重苦しいなおい。誘拐されたにしては服とか綺麗じゃないか?」

 

「そりゃあ私はヤクザの一人娘だしね。大切に扱うってのが礼儀でしょ」

 

「……ふーん」

 

うわー、本当に面倒臭い出来事と遭遇しちゃったよ。何?朝出会った少女はヤクザの娘で人質に囚われていたところを逃げだしたところで俺と遭遇しましたって?なんてご都合的な展開だ。

 

「それで貴方には私の下僕となって私をお父様のところへ連れてってもらうわ」

 

「決定事項かよ……。でもなんで俺なんだ?」

 

「丁度いい位置にいたからよ、強いて言うなら誰でも良かったわ」

 

無茶苦茶だな、何故俺がせっかくの日曜日にヤクザのアジトにお邪魔しなくちゃいけないんだ。

 

「いや下僕なんかになりたくないし」

 

「ええっ何で!?こんな可愛い美少女のお願いなのに!?」

 

「自分で美少女っていうなよ。だってし下僕なんてなりたくないからな。まあ連れていくだけならまだいいが……」

 

「本当に!私をお父様のところに連れてってくれるのね!」

 

「あ、ああ。それと声がでかいぞ。で、お前の家はどこにあるんだ?」

 

ちなみに現在位置は東京だ。色々言いたいことはあるだろうがここは本当に東京なんだ。

 

「金沢よ」

 

………ん?

 

「金沢って石川県の県庁所在地の金沢か?」

 

「そうよ、そこ以外に何があるのよ」

 

「……なんで東京にいるんだよお前」

 

「し、仕方ないでしょ!元々は遊びで埼玉に行くつもりだったのに途中で襲われたんだから!」

 

「まあ。ところでお前を連れ去ったヤクザってあいつら?」

 

「へ?」

 

俺が窓ガラスの向こうを指差すと少女もそっちを向く。そこにはをガタイのいいおっさんたちがいた。もの凄い顔で何かを探している。まあこの宝丞アリサを探しているんだろうがな。

 

「そ、そうよあいつらよ!私を誘拐したの!」

 

「そうか、じゃあ早くこの店を出るか。幸い何も頼んでないからすぐに出られる」

 

「そ、そうね……」

 

俺と少女はファミレスを出て、ヤクザたちに見つからないようにこっそりと離れようとする、が。

 

「いたぞ!宝丞家の娘だ!」

 

「わっ!ばれちゃった!?」

 

「これもう本当なんてドラマ?」

 

「きゃ…!」

 

「我慢してろ」

 

取り合えずヤクザから逃げる。だが宝丞の体力がないので俺が運ばないといけないのだ。お姫様だっこで、疲れるがこれが一番運び易いのだ。

 

「待てえー!」

 

「その娘を置いて行け!」

 

「嫌だね!待てと言われて待つやつがいるか!」

 

 

俺たちはある駐車場に来ていた。ヤクザのおっさんたちはまだ追ってくるが一旦撒いたようた。

 

「はぁ、はぁ、取り合えず、このままじゃいずれ捕まる。移動手段を変えるぞ」

 

「どうやって?ここには自販機ぐらいしかないわよ?」

 

「こうやってだ」

 

この駐車場には一台の自販機が置いてある。俺はその自販機の前に行き、セルメダルを入れる。すると自販機はバイクに変形した。これは仮面ライダーオーズに登場したライドベンダーである。もしもの時の場合に備えて、数は多くないが本州各街には一台ずつ普及してある。

 

「ど、どうなってるの?それ、さっきは自販機だったわよね……?」

 

「まあそんな事はどうでもいいだろ。ほら、早く乗れよ」

 

少女はヘルメットを被り、ライドベンダーの俺の後ろに乗る。ただ俺に抱きつくような形になってしまうが。

 

「じゃあ行くぞ、しっかり掴まっておけよ!」

 

俺たちは、街へと飛び出した。

 

 

 

 

 




亜久斗「そういえばお前っていくつ?」

宝丞「見てわからないの?中学二年、十四歳よ」

亜久斗「マジで?」



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六十八話 閑話:俺とヤクザ娘 後編

こんにちは、最近色々と忙しくなってきている滝温泉こといずみです。一話~の修正、頑張ってます。でも時間がかかるかかからないかはわかりません。これでも今年から受験生なので、でも目の前の娯楽に手を伸ばして気がつけば更新しています。

今回は閑話後編です、次回からは再び原作本編ですね、原作いつになるかわからないですけど。原作六巻て日常編的なのが多いんですよね、どうしましょうか。まあそんなことより

それでは本編スタート!




~東京都上野原~

 

 

「しっかり捕まってろよ!」

 

「は、はい……!」

 

「おい待て!そいつを渡せ!」

 

現在俺はひょんなことから誘拐されたヤクザ娘、宝丞アリサ少女を家に帰すためにライドベンダーに乗って石川県金沢市に向かっている。

 

当然誘拐した他のヤクザのおっさん、もといやっさんたちは俺たちを追いかけてくる。だが向こうは車、こちらはバイクなのだ、そう簡単には追い付けない。

 

「にしても、金沢市までとなるとライドベンダーだけじゃエネルギー不足だな……」

 

セルメダルはいくつかあるが恐らく足りない。もし俺が金沢市に一度でも行ったことがあればテレポートかコネクトで行けただろう。俺がウィザードライバーを所持していたのなら一度ラボに帰り、簡単な交通手段を見つけれただろう。だがそれはIFの話し、たら、ればは簡単には起こらない。

 

「だったら一度変えなきゃな」

 

「え?」

 

「なんでもない、ちょっと加速するぞ!」

 

エンジンをかけ、他の車の隙間を通り抜けてやっさんの車から離れる。取り合えずは距離を取るか隠れるのが一番。

 

「ちっ、おい!他の奴等集めろ!せっかくの人質を逃がすなよ!」

 

「「おうっ!」」

 

どうやら、更に人数が増えるらしい。ライドベンダーなら全力を出せばこんな奴等全員撒けるだろう。かといってスピードを出しすぎれば少女は降り下ろされてしまう。

 

「……!」

 

少女は俺の体にしがみついて降り下ろされないので精一杯、やはりこれ以上スピードを上げるわけにはいかない。

 

「しばらくはこのままか……宝丞、落ちるなよ!」

 

「あ、あたりまえよ!これくらいなんともないわ……!」

 

いや、腕が震えてるし時々涙声なんだけどな。

 

 

~山梨県笹子峠~

 

「ちっ!しつこいな本当に!」

 

「いやだったらとっととそのガキ置いてけ!」

 

「俺らは青森から山口、最後まで追いかけるぜ!」

 

「中途半端だなおい!」

 

せめて北海道から鹿児島くらい言えないのか。そういえばさっきと車や人が違うな。ガソリンが無くなって次の奴に交代しながら追いかせているのか、だとしたら凄い根性だな。

 

「おい」

 

「な、なによ……」

 

最初の威勢はどこえやら、完全に涙目である。

 

「一旦隠れるぞ、そろそろこのバイクも使えない」

 

「じゃ、じゃあどうするのよ」

 

「だから隠れてから考える。お前も腕が限界だろ?震えてるのがわかるぞ」

 

「だ、だれが____」

 

パンッ!

 

「きゃっ!?」

 

「おいおい、人質打つ気かよ!」

 

後ろを確認すると一つの車窓から身を乗り出して銃口をこちらに向ける男がいた。後ろから狙ったら宝丞に当たるんだぞ!

 

「お、おい。打つのはやべえよ、人質に当たったらどうすんだよ」

 

「なぁに、別に殺すわけじゃねえんだから心配ねえって、傷物にはなっちまうかもしれねえがな!」

 

「ひっ……!?」

 

……なるほど、そう来たか。

 

「……沈めておくか」

 

「え……?」

 

「大丈夫だ。お前は俺が家まで送ってやる。安心してればいい」

 

俺は金沢市に向かいながら、ライドベンダーを人気の少ない山の方へ走らせた。

 

 

 

 

~山梨県駒ヶ岳梺~

 

ライドベンダーを止めて、俺と少女は人気の無い少し町から離れた奥に進んだ。エネルギーの切れたライドベンダーは自販機に戻った。

 

「ね、ねえ、大丈夫なの?」

 

「ああ、もうすぐあいつらが来るからな。宝丞はあの小屋の中で隠れてろ」

 

「ちょっと待って!それじゃ貴方は!?」

 

「俺は大丈夫だ。早く行け」

 

「でも「そこまでだぜ、お二人さん」!」

 

声の聞こえる俺たちの後ろからは拳銃を持ったヤクザたちが三十人ほど近づいて来ていた。

 

「ちっ、結構早かったな」

 

「まあな。それより、早くそのガキを渡してもらおうか、死にたくはねえだろ?」

 

一人の男が俺に拳銃を向けた。ニヤニヤして勝ち誇った顔をしている。それも全員が、気持ち悪い……。

 

「宝丞、急いで小屋まで走れ。いいな」

 

「で、でも貴方は」

 

「大丈夫だって言ったろ?こいつらはなんとかするから、早く行け、いいな?」

 

宝丞はコクリと頷くと俺から離れて小屋へと走っていく。当然、ヤクザたちが追いかけようとするが俺が道を塞ぐ。

 

「……なんのつもりだ?」

 

「宝丞は俺が送り届けるって決めた。だから渡さない。お前たちみたいな奴等には尚更な」

 

「……そうかい、なら死ねや!」

 

バンッ!と俺に向けて弾丸が飛んでくる。だが俺には、当たらない。

俺は弾丸を避け、拳銃を持った男の鳩尾を殴った。男は泡を吹きながら倒れる。

 

「なっ!」

 

「遅いな、その程度の拳銃じゃ俺には当たらないぞ」

 

「くそがあ!」

 

今度は別の男が発砲する。だが俺はこれも避け、今度は拳銃を手から奪い、男を殴りつけて気絶させた。

 

「チャキ……」

 

俺が奪った拳銃を男たちに向けると全員が後退する。

 

「ば、ばかな……なんで当たらない!?」

 

「別に拳銃ぐらい避けるのは簡単だろ?空手やボクサーでさえできるぞ、一流ならライフルだって可能だ」

 

動体視力と反射神経。この二つが高い人間なら拳銃は軽く避けることができる。身体能力の高い俺なら尚更簡単だ。

 

「まあ、また撃たれると避けるのも面倒だし……」

 

「さっさと沈めておくか」

 

「はっ?ぐはっ!」

 

拳銃を一番出前にいた男の顔面に向けて投げつけて一人を倒す。これで残り二十八人。

 

「おらっ、よっ!」

 

「「うあっ!」」

 

次に男たちの中心に入り込み、ハイキックと回し蹴りを顔、太股に叩き込む、狙うなら骨の少ない急所。これで残り二十六人。さらに投げつけた拳銃を回収、拳銃を持っているのは残り三人。

 

「てめえ!?」

 

「声に出すのは撃ってからにしろよ!」

 

発砲しようとした男とその隣の男の拳銃に弾丸を放ち、拳銃は宙を舞い飛んでいく。

 

「くそっ!」

 

「一人なら簡単に避けれるぞ、あと学習しろ」

 

「がっ!?」

 

一人が俺に発砲してきたが斜め横から、それもまた声を出して撃ってきたから簡単に避けることができる。そのまま打ってきた男の拳銃を叩き落としたあと、後ろに回り込み手刀を首に当てる。これで残り二十五人。

 

「さあ、ここからが本番だ。かかってこいよ」

 

 

「すごい……」

 

宝丞アリサは、小屋の窓の隙間から亜久斗たちの戦闘を眺めていた。

 

亜久斗はまず拳銃を持った男たちを気絶させたあと、一人ずつ確実に倒していっていた。心臓を強く掌打することで一時呼吸停止にさせ、太股を蹴ることで立てなくする。向かって来た者は足をずらすだけでかわして転ばせ、そのまま蹴り飛ばす。圧倒的に不利な状況だが完全に亜久斗のワンサイドゲームだった。

 

「(カッコいい……)」

 

アリサはその戦いに魅了されていた。故に気づかなかった、後ろから近づく男に。

 

「きゃっ!?」

 

「へっ、油断したな!このまま連れてくぜ!」

 

アリサは抵抗し、足をばたつかせるが相手は大人の男で自分よりも力は強い。

 

「大人しくしろっ!」

 

「あっ……」

 

アリサは男に殴られ、気絶させられる。男は気絶したのを確認するとそのまま小屋から連れ去っていく。

 

「(助けて……夜霧……)」

 

 

 

 

「ぐべらっ!」

 

「さて、これで片付いたな……ん?」

 

亜久斗はこの場にいる男が全員倒れているのを確認した後、ふと違和感に気づいた。

 

「おかしい…二…十…十六…二十三…!一人足りない、まさか!」

 

亜久斗は人数が二十九人、一人だけいないことに気づいた。周りを確認すると奥に男が車に乗り込むのを確認した。後部座席にはアリサがもたれるようにしている。

 

「くそっ!待て!」

 

「!」

 

男は亜久斗に気づくとすぐにエンジンをかけて逃走した。残ったのは亜久斗と倒れている男たちのみ。

 

「くそっ!どうする……!」

 

ライドベンダーは使えない、男たちの車に乗り込む手段もあるが恐らく追い付けないだろう、それに自分はバイク免許しか持ってない。

 

「……ちっ、しょうがない」

 

亜久斗はポケットから赤いメモリを取りだした。もしもの時のために、敵が来ても対処することが出来るために持ってきていた物だ。

 

Accel!

 

メモリを鳴らすとベルトにバイクのスロットルを模したアクセルドライバーが転送される。

 

「ISは指定区域でしか使うのは駄目なんだが、今回は緊急事態だ。それにISは使ってないしな」

 

殆ど言い訳にしか聞こえない。

 

「変身!」

 

Accel!

 

メモリをアクセルドライバーの上部中央のモノスロットルに装着し、ドライバーの右グリップ部・パワースロットルを捻る。

 

そして亜久斗は赤の基本カラーに頭部には鋭利な形状となった「A」の文字、オンロードバイクをモチーフとし、フルフェイス・ヘルメットのマスクと背中、脚に車輪が装着されたライダー。仮面ライダーアクセルに変身した。

 

「急がないとな……!」

 

四つん這いのような体勢となり、アクセル・バイクフォームに変形させる。そして亜久斗は去っていった男を追いかけた。

 

 

 

 

ここは普段は渋滞ばかりの高速道路、だがこの日に限っては走る車は影もなかった。

 

「へへっ、ここまで来れば大丈夫だろ」

 

男はバックミラーで横たわる宝丞の姿を確認した。だが、その後ろに目を向けた瞬間、余裕は驚愕に変わる。

 

「ゆ、幽霊!?」

 

「おい、宝丞を返せ!」

 

男の車の後ろからは、誰も乗っていないのに走り、更に喋りかけてくる赤いバイクがもの凄い速さでこちらへ向かって来ていた。

 

「ひっ、ひいぃ!」

 

男は慌ててアクセルを踏み、スピードを上げる。だが、後ろから近づいてくるバイクを振りきることは出来なかった。

 

「とっとと止まれ!」

 

もちろんこのバイクはアクセルに変身した亜久斗だ。アクセル・バイクフォームは最高速度九百二十キロを出すことが可能なのだ。

 

バイクは回り込むようにして追い越し、ブレーキをかけた。男も爆発を避けるため慌ててブレーキをかける。

 

「さて、鬼ごっこはおしまいだな」

 

亜久斗はバイクフォームから通常形態に戻す。そしてゆっくり、一歩ずつ男に近づいた。

 

「た、助けてくれ!俺がっ、俺が悪かった!」

 

男は腰をつき、後ずさりしながら命ごいをする。だが亜久斗はエンジンブレードを構えて更に近づいた。

 

「俺はお前を許す気はない、誘拐、少女への発砲をしたんだからな」

 

「ひっ!」

 

亜久斗はエンジンブレードを大きく降りかぶった。

 

「さあ、絶望がお前のゴールだ!」

 

そしてそのまま、エンジンブレードを男の横顔面に降り下ろした。男は失神して白目を向いている。

 

「……ふぅ」

 

変身を解除した亜久斗は車の中にいる宝丞を外に出した。

 

「さあ、帰るぞ」

 

 

 

 

 

 

それから亜久斗は警察に男たちをつき出した後、電話を使いラボにいるモモタロスたちからセルメダルを転送してもらい、ライドベンダーで宝丞を家まで送り届けた。

 

「ほら、後は自分で行けよ?」

 

「わ、わかってるわよ……夜霧」

 

「ん?」

 

「……ありがとね」

 

チュッ

 

「……え?」

 

亜久斗の頬に柔らかい唇が触れ、リップ音が鳴った。亜久斗は何をされたのか理解した、キスだ。

 

「か、勘違いしないことね!こ、これは…そう、お礼よ!助けてくれたお礼!それじゃあね!」

 

宝丞はそれだけ言うと、家に向かって走っていった。

 

「ワォ……帰るか。まだ寮は開いてるよな」

 

亜久斗は頬の感触を確かめると、再びライドベンダーを走らせた。結局、時間こそは間に合ったものの、不機嫌になった楯無を宥めるのに時間を取ることになるのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「また、会えるかしら……?」

 

騒がしい家の中で、ふと呟いた少女の頬は赤くなっていた。次に会うのは、早いかもしれないし、遅いかもしれない。または会えないことだってある。だが、少女の胸は会いたいという思いでいっぱいになっていた。

 

「ふふ、私を惚れさせた罪は重いわよ、夜霧?」

 

 

 



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六十九話 日常・食堂にて

祝感想百三十、お気に入り二百六十、UA四万五千突破!

こんにちは、閑話を書いたらしばらく更新しないとか言っておいて後日に更新してしまいました。滝温泉こといずみです。でもさぼっているわけじゃありませんよ?

いやぁ、自分でもわかっているんですがテスト期間に入るとついつい目の前の娯楽に手が伸びてしまいます。というわけで息抜きに更新です。

それでは本編スタート!




 

 

「へえ、一夏の誕生日って今月なんだ」

 

「おう、九月の二十七、日曜日だな」

 

寮での昼食、俺たちはいつもの面々で食事を摂りながら談笑していた。そこでひょんなことから今月が一夏の誕生日だと知ることとなった。ちなみに俺の誕生日は十月の終わり、ハロウィンだった。

 

「一夏さん、そういう大事なことはもっと早く教えてくださらないと困りますわ」

 

「え?お、おう。すまん」

 

隣でビーフシチューを食べていたセシリアがパンを置いて一夏に話しかける。

 

「とにかく、二十七日の日曜日ですわね」

 

そう言ってセシリアは純白の革手帳を取り出すと、二十七日の日付の欄に二重丸を描く。

 

「大変だねぇ一夏、こりゃ誕生日は面白いことがありそうだな。主に女難メインで」

 

「リュウヤ、呑気なこと言ってる場合じゃないだろ、シャレにならないかもしれないし。にしても一夏はなんで黙ってたんだ?」

 

「え?いや、別に大したことじゃないかなーって」

 

「まあそうかもしれないけどな。でも、知っていて黙っていた奴もいるみたいだし、な?二人とも?」

 

「「う!」」

 

俺が箒と鈴に話しを振ると、固まってしまった。この二人は一夏の幼馴染みだし誕生日ぐらい知っていた筈だ、恐らく、二人きりで一夏と過ごすためにとか考えて敢えてみんなの前で言わなかったんだろうな。

 

「べ、別に隠していたわけではない!聞かれなかっただけだ」

 

「そ、そうよそうよ!聞かれもしないのに喋るとKYになるじゃない!」

 

二人はそんなことを言いながら黙々とご飯をほおばった。完全な言い訳だな、それ以外には聞こえない。ちなみにKYとは空気が読めない奴のことをいう。

 

「とにかく!九月二十七日!一夏さん、予定は空けておいてくださいな!」

 

「あ、ああ。一応、中学のときの友達が祝ってくれるから俺の家に集まる予定なんだが、みんなも来るか?」

 

「も、もちろん行きますわ!」

 

「あ、じゃあ俺たちもいいか?人数が増えまくるけど」

 

確かにリュウヤたちを合わせたら人数は十人を越える、一夏の友達を合わせたら何人になるかわからない。

 

「別にいいぜ、時間は四時からだけど。ほら、当日ってあれがあるだろ?」

 

「「「(あ、そういえば)」」」

 

「まさか全員忘れてたのか?」

 

九月二十七日はISの高速バトルレース『キャノンボールファスト』が開催される。本来なら国際大会として行われりが、IS学園では状況が少し違うらしい。

 

市の特別イベントとして催されるそれに、学園の生徒たちは参加することになる。といっても専用機持ちが圧倒的に有利ため、一般生徒が参加する訓練機部門と専用機持ち限定の専用機部門とに別れている。

 

そういえばリュウヤたちまで忘れているとはな、まあリュウヤとシゲルはISを動かせないから参加は出来ないしメイアやエリナはISのテスター(仮)として学園に来たから別にこういった特別行事に出る必要はないからかもしれないが。この前聞いたら全員出る気無いから興味は無いっていってたしな……。もっと興味を持てよ、なんのために来たんだお前ら。

 

「ん?そういえば明日からキャノンボール・ファストのための高機動調整を始めるんだよな?あれって具体的には何をするんだ?」

 

「ふむ。基本的には高機動パッケージのインストールだが、お前の白式には無いだろう」

 

「その場合は駆動エネルギーの分配調整とか、各スラスターの出力調整とかかなぁ」

 

ラウラとシャルが一夏に説明を述べた。ちなみに、前にも言ったかもしれないが俺のISにもパッケージは無い。二次移行形態で拡張領域が幅広くなったがもう残ってはいない。色々増やしたからな。

 

にしてもどうするかな、ブレイドのジャックフォームなら素早く飛べるがあれは今俺の手元には無い、アクセルは飛べないから却下。ウィザードハリケーンドラゴンやタジャトルも速さを競うには向いてないだろうし……。

 

よく考えたら飛べるライダーって少ないよな、最初から飛べるのなんてスカイライダーくらいだし。……後でじっくり考えてみるか。

 

「ああ、そう言えばみんな部活動にはいったんだって?」

 

おっといつの間にか話しが飛んでいたようだ。考え過ぎたな。

 

「私は最初から剣道部だ」

 

幽霊部員らしいけどな。まあ最近はちょくちょく顔を出しているらしいが。

 

「鈴は?」

 

「ら、ラクロスよ」

 

「へえ!ラクロスか!似合いそうだな!」

 

「ま、まあね。あたしってば入部早々期待のルーキーなわけよ。参っちゃうわね」

 

そういえば鈴とメイアって話し方が似ているな。あっ、あとこの前の宝丞にも。話し方は同じなのに何が違うんだろうか……。態度と、スタイルだろうな。

 

「せい!」

 

「いてっ!な、なにするんだよ……」

 

「あんた、今失礼なこと考えてなかった?」

 

「いや全然」

 

鈴も結構鋭いな、主な女子は自分の短所に敏感らしいし。……昔リュウヤがメグ姉に太った?って言われた時を思い出してしまった。鳥肌が立って来た。

 

「そういえば、シャルは何部なんだ?」

 

「えっ、僕!?」

 

「ああ、何部に入ったんだ?」

 

「え、えっと、その……」

 

「?」

 

言いにくいのか、シャルはモジモジと指をもてあそぶ。ちらちらと俺を上目遣いで見つめては、視線を返すとまたうつむいてしまう。

 

「そ、その……料理部」

 

「へぇ、料理部かぁ。確かにシャルは家庭的な女性に見えるし、似合ってるな」

 

エプロン姿のシャルが浮かんでくる。うん、可愛いな。間違いなく。

 

「そ、そうかな。日本の料理も覚えたくて入ったんだ」

 

「なるほどなぁ」

 

「も、もし良かったら。今度食べさせてあげようか?」

 

「え?本当に?じゃあお願いしようかな」

 

「うん!任せといて!」

 

シャルはそう言って力強く頷いた。にしても、フランスの料理も食べてみたい気もするな。今度食べに行こう。

 

「セシリアは?」

 

今度は一夏がセシリアに訪ねる。

 

「わたくしはイギリスが生んだスポーツ、テニス部ですわ」

 

「へえ。もしかしてイギリスにいたときからやってたとか?」

 

「その通りですわ。一夏さん、よろしければ今度ご一緒にいかがですか?」

 

「んー、俺テニスってやったことないんだよなぁ」

 

「だったらセシリアに教えてもらえば?私もテニス部だけど、楽しいわよ?」

 

メイアがセシリアを後押ししている、多分応援してるんだろうな、セシリアを。だがそれが届くかはわからないが。

 

「そ、そうですわ!一夏さんにもテニスの素晴らしさを知っていただくために、わたくしが直接教えてさしあげてもよろしいですわよ?と、特別に」

 

「おお、それはいいな。じゃあいつか頼む」

 

「ええ!」

 

「ちなみに私は茶道部だ」

 

そう言ったのはラウラだった。見るとちょうどパスタを食べ終えたところのようだ。

 

「茶道部か、そういえばラウラ、日本文化好きだよなぁ。……ん?茶道部の顧問って確か……」

 

「教官……いや、織斑先生だな」

 

やっぱりな。でも織斑先生が茶道部とは信じられないが、今度見に行こうか。

 

「茶道って、やっぱり着物着るのか?ラウラの着物姿ってあまり想像できないな……」

 

「そ、そうか?なら……いいだろう。今度見せてやろう、機会があれば、な。一着ぐらいはあるといいかもしれんな……。今度買うとしよう」

 

「楽しみにしてる。……ああ、着物なら初詣のときとかいいよな。そういえば年末年始はみんな、国に帰るのか?」

 

「い、いや。日本にいるとしよう。……お前がいることだしな……」

 

「お、それなら今度みんなで一緒に行こうぜ。せっかくだから除夜の鐘からな」

 

「確かに、人数が多いと楽しめそうだしな。俺もその頃はここに居るとするかな」

 

「じゃあ俺たちも行くぜ!」

 

「シゲル、ちょっと声が大きいってば。あ、ちなみに、私も行くよ」

 

「僕も残るよ」

 

「で、でしたらわたくしも!」

 

「まあ、帰国しても面白いことないしね」

 

全員、正月は残るみたいだな。楽しみだ。

 

「箒は神社の手伝いするのか?夏休みもしてたよな。また終わったら一緒に___」

 

「ば、馬鹿者!」

 

べしっ!と箒が一夏を叩く。ぺし、でもぽんっ!でもなくべしっ!だ。威力は高そうだな。

 

「いてえ!な、なんだよ!?」

 

「う、う、うるさい!軽々しく言うな!」

 

「「「「「また?」」」」」

 

また、という単語に全員が反応する。

 

「一夏ぁ!夏休みに何してたか話しなさいよ!」

 

「一夏さん!箒さんとそのような___見損ないましたわ!」

 

「なあシャル、見損なう要素が今あったと思うか?」

 

「さ、さあ……?」

 

「なあ一夏、箒と何したんだ?神社でデート?」

 

「話しをややこしくしないの」

 

全員、というより鈴とセシリア、メイアとエリナが立ち上がる。エリナとメイアは皿を返しに行くだけだが。

 

「わあっ!待て待て!別に何もやましいことは……なあ、箒!なあ!?」

 

「……なぜそこまで否定する……」

 

「え?」

 

ばしん!と一夏はさっきよりも強く頭を叩かれた。

 

「ふん!」

 

ちょうど食事も終わったらしく、箒はトレーを持って立ち上がるとそのまま去っていった。

 

「さて、俺たちもトレーを返しに行くか」

 

「そうだな。じゃあ俺も食べ終わったし、部屋に帰___ぶべっ!」

 

一夏は立ち上がったところを鈴に捕まれ、イスに戻された。

 

「一夏!夏休みに何があったのよ!」

 

「説明を要求しますわ!」

 

後ろから、女子の怒声と一夏の悲鳴が聞こえる。俺はあの中に混じることは出来ないため、リュウヤたちに話題を振ることにした。

 

「……なあ、二人は何部なんだ?」

 

「「陸上部」」

 

「ちなみに私は卓球部だよ!」

 

 





感想、評価等、お待ちしておりまーす。
これ言うの懐かしいですね。


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七十話 放課後緊急作戦会議っていい響きだよな

最近仮面ライダーのマスコレにはまりました。マスクコレクション。顔だけですがそれでもライダーの魅力はいっぱいです!ファイズやブレイドキングフォームは高かったです、お気に入りはカイザ、アクセルトライアル、オーズプトティラコンボ。ちなみについさっき買って来ました。十八個で四千円、安かったです。

それでは本編スタート!


 

 

一夏が箒と夏休みにカミングアウト的なことがあったのが発覚したその日の夜、ある一つの部屋には七つの影があった。

 

「では、これよりキャノンボール・ファストに向けての緊急作戦会議を始めたいと思います」

 

「「イエー!」」

 

「「ドンドンパフパフー!」」

 

「い、いえーい////」

 

場所は寮の一室、部屋に設けられた大きなクリアボードの前に立っているのがこの会議の主催者、「RIDE」の社長、夜霧亜久斗である。二つあるうち一つのベッドに腰かけているのがIS学園生徒会長、対暗部用暗部更識家十七代目当主、更識楯無。その妹、更識簪。亜久斗の親友の一人佐藤萌衣亞。

そしてもう一つのベッドには亜久斗の親友である剣崎龍矢、相川蒼、雪村絵里菜が腰かけて座っている。

 

ちなみに、先程の声は上から亜久斗、楯無&萌衣亞、龍矢&蒼、簪だ。あまり騒ぎ立てると隣どころか寮中に響いてしまうので緊急会議も何も無いのだが、防音がバッチリとしているので心配はいらない。

 

「今日の放課後、夕方に生徒会室で一度キャノンボール・ファストについての会議があったが、今回は別視点で会議を開こうと思う」

 

ちなみに生徒会室で行ったのは日程、当日の時間割りについて、生徒会の仕事の確認である。

 

「なるほど、それでこのメンバーなわけね」

 

「ああ、ここにいるのは全員裏関係、暗部の事に詳しい奴だけだからな」

 

「ちょっと待ってくれよ、簪さんも知ってるのか?一番無関係そうに見えるけど、生徒会にも属してないみたいだし」

 

「私たちも生徒会に入ってないじゃない」

 

「そうそう、それに簪ちゃんは私の妹よ?ちゃーんと説明はしてあります」

 

「と、いうわけだ。何か異論のある奴はいるか?いたら手を上げてくれ」

 

誰も手を上げる者はいない。

 

「よし、じゃあ会議を始めるぞ。先日、学園祭にて亡国機業(ファントムタスク)、そしてゴウラからの刺客がIS学園に侵入してきたのは知ってるな?」

 

「亡国機業は一夏君とデネブ君が撃退、残りの専用機持ちで捕獲を計ったけれど「サイレント・ゼファルス」によって妨害されて逃げられた。でしょ?」

 

亜久斗の説明を楯無が繋げて補則する。

 

「なんで撃退したって知ってるんですか?」

 

「見てたもの、最後の方だけだけどね」

 

「そうなんですか」

 

「話しを続けるぞ。それで俺の方にはゴウラからの刺客が三人、俺を襲って来たが……」

 

「俺とメイアが駆けつけて捕獲、そいつら三人は今会社の方で捕らえられていて、所持していたグレイブ、ラルク、ランスのバックルを回収することに成功した」

 

「……そして二人が派手にやってくれたおかげで俺はアリーナを一人で直すはめになったな」

 

「それについては本当に悪かった」

 

今度はリュウヤとメイアが補則する。そして当時のことを指摘されてリュウヤは頭を下げる。

 

「まあいい、ここからが本題だ。今年になってIS学園では特別行事にかこつけて襲撃されることが多い。次のキャノンボール・ファストでも学園祭と同じことが起こるかもしれない。起こるとしたら今までのことから恐らく狙われるとしたら一年生専用機持ちのレースだな」

 

「一夏君や亜久斗君が来てから襲撃多いわよね」

 

「亡国機業はISの強奪、ゴウラの方は俺たちが持つライダーを強奪してISをぶっ壊す、が目的だったっけ?」

 

「そうだ。そこでこの場にいる今回のキャノンボール・ファストに参加しないメンバーと楯無には襲撃の対策をしてもらいたい。主に警備とかな」

 

「亜久斗はなんで出るの?あたしたちと一緒に警備してた方がいいんじゃない?」

 

「いや、行事に俺が出ていないとゴウラが不審に思うかもしれないからな。それにもし一夏たちが競技中直接狙われた時のために俺が近くにいた方がいいだろうからな」

 

「本音は?」

 

「そんな楽しくて面白そうな行事を不参加とかありえない、ましてやサボってまで警備をしたくな…ゴホン」

 

「はい、予想通りのコメントありがとうございました」

 

「ホルワンコフ、ポテチョキン、フラシェキー、GO」

 

「え?あ、ちょっとタンm__アーッ!」

 

煩かったのでシゲルにはフードロイドたちの餌食となってもらった。

 

「質問……」

 

「ん?どうした簪」

 

簪がおずおずと手をあげる。別に声を出すだけでいいのだが。

 

「私は打鉄をキャノンボール・ファスト仕様に変更したく無いから参加しないけど、他のみんなはなんで?」

 

「俺とシゲル、デネブはISに乗れないからだ」

 

「私とエリナは会社テスターとしての範囲に入ってないから参加しなくていいって言われてるわ」

 

「……本音は?」

 

「めんどくさいから」

 

「だそうだ。簪、わかったか?」

 

「う、うん。……この子たち借りていい?」

 

「別にいいぞ。シゲル、フードロイド早く返してくれ」

 

「別に借りた覚えは「次はアカネタカだ」どうぞ簪さん」

 

「ありがとう……」

 

簪はフードロイドを膝に乗せて抱き抱えていて満足そうだ。いつの間にか楯無がポテチョキンを抱き締めているが。

 

「話しを戻すぞ。アリーナの観客席にはデネブとリュウヤ。一夏たちの近くには俺が、控え室廊下付近を簪とメイア。他の通路や外をエリナとシゲルが見張る形で頼みたい」

 

確認すると誰も異論は無いようだ。

 

「当日は通信機で連絡を取り合うという。通信機は後日配るからな。今回の会議はこれで終了だ。各自おやすみ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





たまにはこんな話しでもいいじゃない。思い付かなかったんだもの。


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七十一話 超速・高持久・安制御

早速ですが挨拶の前に一言。

一番クジで特性クリアファイルとグラスが当たりました。

こんにちは、UAが寂しくなってきてしまって更新しました。滝温泉こといずみです。

修正速度が遅いのなんのって、中途半端に終わらせるせいで話しが噛み合わなくなることもしばしば起こります。でも今月中にはそれもなくなるかも、と思うのでご安心を、え?安心できない?そこは安心してくださいよ~。まあそんなことより、

それでは本編スタート!※今回はネタバレ含みます。






 

「ここは……?」

 

沢芽市で行われていたアーマードライダーによる「戦国バトルロワイヤル」。そこに現れた謎の怪物を追って鎧武たちが辿り着いたのは過去、戦国時代!

 

KUUGA

AGITO

RYUKI

FAIZ

BLADE

HIBIKI

KABUTO

DEN-O

KIVA

DECADE

W

000

FOURZE

 

そこではこれらの数多くのライダー達が「武神(ぶしん)」と呼ばれ、織田信長、徳川家康などの武将たちの守護者となり、戦の鍵となり、戦う不思議な世界だった!

 

「運命の巫女を俺に寄越せ!天下は俺がもらう!」

 

そこには全てのライダーを倒し、巨大な力を求め、天下を取ろうとする謎のアーマードライダー「武神鎧武」がいた!

 

「うおっ!?」

 

「!仁藤!」

 

そして鎧武たちと同じように、ウィザードも異世界にやって来ていた!仲間を救い、天下を決める大合戦で、ウィザードはドラゴンの力を超え!鎧武、たちは奇跡の変身を遂げる!!

 

フィニッシュストライク!

 

ウィザードアームズ!シャバドゥビ・ショータイム!

 

オーズアームズ!タトバ・タートバー!

 

Wアームズ!サイクロン・ジョーカー・ハッハッハ!

 

フォーゼアームズ!青・春・スイッチ・オン!

 

平成仮面ライダー15th記念!

仮面ライダー×仮面ライダー鎧武&ウィザード天下分け目の戦国MOVIE大合戦!

 

絶賛上映中!

 

 

 

「………なんだこの夢は」

 

目が覚めた亜久斗はベッドから起き上がった。目を擦りながら洗面所まで向かい、顔を洗った。タオルで顔を拭いて鏡を見ると、少し髪が跳ねてしまっている。だが、直すのは後にした。

 

「もう朝か……」

 

時刻を確認すると六時半。目覚まし時計は六時五十分にセットしてある。いつも六時半に起きていたので今日も起きてしまったのだろう。

 

亜久斗は目覚まし時計のアラームを止めた後、IS学園の制服に着替える。白の基本カラーに赤と黒のラインが入ったIS学園の制服、腰に専用機を取り付け、デフォルメでウィザードライバーを転送させて上から装着する。右手にドライバーリングを着ける。

 

「……おはよう、亜久斗」

 

「おはよう簪。俺は今から食堂に行くけど、一緒に行くか?」

 

「……うん、行く」

 

着替えが終わったころに同室のルームメイト、更識簪も目を覚ます。これもいつも通りだ。

 

「じゃあ俺はちょっと寝癖直してくるから、その間に着替えるといい。終わったら呼んでくれよ」

 

「……うん、わかった」

 

 

 

 

 

 

時間は過ぎ、放課後。みんなが寮に戻る中、亜久斗は一人教室に残っていた。一夏たちはいつも通りISの訓練をしに第二アリーナ、簪は専用機『打鉄弍式』の整備、調整をしに第三アリーナへ、リュウヤたちはそれぞれの部活に向かった。

 

「……キャノンボール・ファストに使う仮面ライダー。どうするかな……」

 

机の上には白い紙が置いてあり、速さ、持久力、制御力の部門に別れて様々なライダーの名前が書いてある。それぞれの名前をこつこつとシャーペンで音を鳴らせながら亜久斗は肘を付きながら、今月のキャノンボール・ファストに使う仮面ライダーを考えていた。

 

キャノンボール・ファストは競争、速さを竸う競技のような物である、だがそれは速さを競うと同時に妨害有りというルールもついている。よって他の専用機に負けないような高速を超えたスピード、最後まで飛び続ける高い持久力、妨害を避け続け尚且つやり易くこちらが妨害できるような制御を持った仮面ライダーでなければならない。

 

さらにここで必ず守らないといけない点が「跳ぶのではなく、飛べるライダーではなければ駄目」ということだ。

 

様々な方法を使い飛べることができるライダーは昭和平成合わせて亜久斗が知っているのは

 

1号

2号

スカイライダー

ナイト

オーディン

ファイズ

サイガ

ブレイド

ギャレン

羽撃鬼

カブト

電王

キバ

キバーラ

アーク

アクセル

オーズ

バース

ウィザード

白い魔法使い

鎧武

 

以上、二十一体となる。これらのライダーの中には最初から飛べる者、フォームチェンジなどで飛べるようになるものもいる。実を言うと空を飛べるライダーは他にもいるのだが、そのほとんどがマシンなどに乗ることで可能となるので今回は候補から外している。

 

「………よし」

 

この二十一体の中から一人、ライダーを決めることになる。そのためには消去法で決めるしかないと亜久斗は考えた。今自分が所持していない、または造っていないライダーは当然除外する。ここでサイガ、オーディン、ナイト、ブレイド、ギャレン、アーク、キバーラ、バース、スカイライダー、1号2号は消去。

 

「次に……」

 

次に消去法で変身が難しいライダー、出来ないライダーを除外。ファイズやキバは人間には変身できないので除外、変身一発もしくはディケイドに変身してからなら可能かもしれないが制限時間の少なさとダメージを多く受けた時のカメンライド解除のことを考えると除外せざるを得ない。電王は超クライマックスフォームに馴れれば飛翔が可能だが、ラボにいるイマジン全員と心を一つにして尚且つモモタロスをメインとして完全に憑依されるので不可能。響鬼シリーズは変身解除時に全裸になるというデメリットを持つ、改造でなんとか半裸まで抑えることが出来たがそれでもお断りだ。女子がたくさん見てる前で半裸はあり得ない。

 

残りはカブト、アクセル、オーズ、フォーゼの四体。大分絞れたと言えるだろう。

 

「この四体か……どうするか」

 

速さから言えばカブトだろう。ハイパーフォームになれば飛ぶことは可能になり、ハイパークロックアップは歴代最速と言える。だがそれにも制限時間があり長く続く訳ではない。

 

アクセルはブースターとなれば爆発的な加速力、更に理論上は自由自在な飛行が可能となる。だがアクセルトライアルよりも遅く、そしてアクセルトライアルがカブトのクロックアップよりも遅い。さらに攻撃力・はアクセルトライアルよりも高いがその分防御力が足りず、被弾してしまった時の影響が高い。

 

オーズはタカ・クジャク・チーターの亜種形態となればいいと思う方も多いと思うがクジャクメダルの飛翔能力は亜種形態では機能しない。そしてタジャトルコンボは飛翔することはできてもそこまでの速さがないのだ、ISで例えるなら臨海学校での福音の半分のスピードもない。プトティラコンボならスピード、パワーも高い。が、制御が不安定で一歩でも気を抜けば暴走してしまう。

 

となると最後に残るのはフォーゼだ。フォーゼはロケットスイッチ、ロケットステイツを使えば飛べることが出来、スピードも申し分ないだろう。それにガトリングやランチャー、ウィンチ、マジックハンドなどのスイツチを使っての妨害が可能となる。一番の候補はフォーゼだ。だがフオーゼはスイッチを使うと射程対象、つまり銃弾などが当たり易くなってしまう。それにロケットステイツはアクセルブースター同様、爆発的な加速だが変身を解除するまで他のスイッチが使えなくなる。ロケットを止めればいいがそうすると急激に失速、そして降下してしまう。つまりフォーゼの場合は必ずロケットスイッチを使用状態にし、右腕が使えない状態でレースに挑むことになる。

 

「本当に、どうすればいいんだか……」

 

亜久斗ははぁと溜め息を吐いて紙を手に取る。

 

「せめてこれが全部一度に使えたらいいのにな……ん?あ!」

 

そこで亜久斗はとんでもないことを思い付く。この四人のライダーを瞬時に変身することが出来ればいいと。

 

亜久斗がキャノンボール・ファストで使うのは仮面ライダーではなく、ISの武装として転送された仮面ライダーなのだ。確かに変身中にベルトだけを転送交換して別のライダーになるのは可能。変身解除時に多少失速するかもしれないがその寸前に加速すれば最小限に抑えられる筈だ。

 

「よし」コネクトプリーズ

 

亜久斗は紙をコネクトリングで魔法陣の中にしまい。教室を後にして一夏たちが訓練している第二アリーナへ向かった。

 

 

そして第二アリーナに付いた亜久斗はISを展開して中に入る。そしてシャルを見つけると近寄り、こう言った。

 

「シャル、『高速切替(ラピッド・スイッチ)』を教えてくれ」

 

それから放課後、亜久斗はシャルに『高速切替』の指導をしてもらうことになる。亜久斗が時間を取らせてしまうのを申し訳なく思っているのに対し、内心シャルは二人きりの時間が出来て喜んでいるのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




感想、評価、待ってます。


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七十二話 成果と約束

こんにちは、また更新しちゃいました。滝温泉こといずみです。前回の話で色々指摘があったり、最初にノリで書いた映画予告のことがスルーだったりと感想で色々ありました。昨日確認したところ、何故か二話のUAが一番多かったです。理由はわかりませんが修正した結果だと思いたいです。

それと悲しいお知らせが、低評価がまたついていました。一番低評価が多くなってしまい、このまま行くと5.00以下になるのではとヒヤヒヤしております。そうならないためにも、頑張って行きたいと思います。

それでは本編スタート!




第二アリーナの一箇所に二つの人影、そこでは亜久斗がシャルの『高速切替(ラピッド・スイッチ)』を習って練習していた。

 

「ふぅ…」

 

亜久斗は一呼吸置き、念じるだけでベルトとカブトゼクターを呼び出し、カブトゼクターを手に取った。

 

「変身」

 

Henshin

 

「キャストオフ」

 

Cast Off

 

Change Beatl

 

以前と違い、声を出しながらキャストオフをしているのはイメージを崩さないため、慣れてこそはいるが完璧にはできていないためである。亜久斗はカブト・ライダーフォームに変身すると、ベルトのボタンに手を伸ばす。

 

「クロックアップ」

 

Clock Up

 

クロックアップにより亜久斗以外の時間は限りなく遅くなる。亜久斗はその状態で大きく円を描くように走る。

 

「アクセル!」

 

変身した状態でのドライバーチェンジ、この一週間でそれを物にした亜久斗はクロックアップ中でもそれが可能になり、カブトゼクターをアクセルドライバーに切り替える。手にはアクセルメモリを持っているが前回とは違い、その上部分にはガイアメモリ強化アダプターが装着されている。亜久斗はメモリをドライバーに差し込み、パワースロットを握る。

 

「変身!」

 

Accel! Boocter Upgeaid!

 

Clock Over

 

亜久斗がアクセル・ブースターに変身した瞬間、クロックアップが解除され、カブト変身時とはボディが違うので体が一時不安定になってしまう。が、空中での縦の回転動作を行うことにより体の姿勢を安定した状態で保つことができる。

 

そしてカブトの装甲が解除され、亜久斗はガイアメモリ強化アダプターを装着したアクセルメモリで多段変身したアクセルの飛行形態、アクセル・ブースターへと変身した。

基本カラーは黄で腕、脚、胸部の所々に銀色のアーマーが装着されており、元々は青かったマスクのシールドは黒鉄色のシャッターで覆われている。そしてアクセル・バイクモードに変身するために存在していた車輪は失われ、代わりに飛行用のブースターが全身に設けられている。

 

「はああああああ!」

 

ブースターの出力を調整して自在に空中を飛び回り、きりもみやつばめ返しなどの芸当も行うことで安定制の確認をする。

 

「次、オーズ!」

 

次にアクセルドライバーをオーズドライバーに切り替える。そして赤色のメダルが三枚、オーズドライバーにはセットされている。

 

「変身!」

 

タカ!クジャク!コンドル!タージャードルー!

 

仮面ライダーオーズ・タジャトルコンボに変身する。タジャトルコンボに変身した亜久斗は今度は体を捻らせ、自由に空中を飛び回る。

 

「ふっ、よっ、っと!」

 

その状態でタジャスピナーから火炎の玉を誰もいない地面へと打ち出す。その地面には的が描かれており、その真ん中の部分に全て命中させる。

 

「(次で最後)フォーゼ!」

 

ブースターの出力を最大にして勢いをつけた後、最後にオーズドライバーをフォーゼドライバーに切り替える。ここが一番の難関である。今は体は地面と平行な状態でブースターの勢いに身を任せている状態。気を抜けば衝突する。

 

亜久斗はフォーゼドライバーのバックル部。フォーゼのステータスを表示するステイタスモニタを挟むように二ヵ所ずつ存在する計四基のスイッチソケットの下部にあるトランスイッチを右側から順に下ろし、ON状態にしていく。

 

3

2

1

 

「変身!」

 

カシャン!

 

バックルの右側部のレバー。エンター・レバーを前に倒す。そして基本カラーが白、右肘、右脚、左脚、左肘の関節部分に位置するユニット・モジュールベイスメントにそれぞれ○X△□の幾何学模様の意匠が見られるロケットを模した頭。仮面ライダーフォーゼへと変身する。

 

「よっ!」

 

亜久斗はまず背後に装備しているブースター・スラストマニューバーによる推進剤噴射を行い再び円を描くように飛び回る。

 

「次はこいつだな」

 

Rocket On

 

亜久斗は一番右のスイッチソケットに付属しているロケットスイッチをON状態にする。すると右肘のモジュールベイスメントに小型ロケットが装備される。

 

「よっしょ!」

 

小型ロケットを噴射させてスラストマニューバーよりも格段に速いスピードで回る。ただし制御が難しい、細かな制御ができないので大きな円を描く。

 

「んー、よし。もういいだろ」

 

小型ロケットの噴射をスラストマニューバーの噴射に切り替えてゆっくりと降下する。そして地面に着いたところでトランスイッチを全て上げてOFF状態にし変身を解除させる。

 

「ふぅ……上々」

 

「お疲れ、亜久斗」

 

少し離れた所にいたシャルロットがタオルを持って近づいてくる。亜久斗は先程まで飛んでいたのは『高速切替』が出来ているかどうかの確認のためにシャルロットに下から見てもらっていたのだ。亜久斗はシャルロットからタオルを受けとると頭から被りわしゃわしゃと汗を拭いた。

 

「シャル、『高速切替』はどうだった?」

 

「うーん、最初に比べてかなり早くなってきたね。でも高速上でも簡単にできるようになったし、大丈夫、ちゃんとできてるよ!」

 

シャルロットは笑顔で亜久斗の質問に答える。亜久斗は満足そうに微笑む。

 

「ありがとな、シャル。俺の練習に付き合ってもらって、シャルも練習や調整する時間は欲しいはずなのに」

 

「そ、そんなことないよ。それに、亜久斗の練習に付き合いたかったのは一緒に居たかったからとかもあるし……」

 

「ん?」

 

「な、なんでもない!なんでもないよ!」

 

「そ、そうか……」

 

シャルロットは頬を赤めて下を見つめ、ごにょごにょと亜久斗に聞こえないほどの小さな声で呟く。聞き返すと両手を振ってごまかした。

 

「まあ、でもただ手伝ってもらうのも悪いし、何かお礼がしたいな。何がいい?」

 

「え!なんでもいいの!?」

 

別になんでもいいとは言ってないが。

 

「ああ、構わないが……」

 

「本当に!じゃ、じゃあ……」

 

「今度の日曜日に、一緒にショッピングに行こう!」

 

「いいぞ」

 

返答を受けて、シャルロットの顔が数段に明るくなり、喜びに満ちた顔になる。漫画ならぱあああという効果音とともに頭上に天使が舞い降りているだろう。

 

「じゃあ日曜日に、約束だよ!ほら、指切り!」

 

「ああ」

 

「指切りげんまん、ウソついたら散弾式グレネードのーますっ♪指切った♪」

 

可愛いのに、決まり文句が怖すぎる。散弾式グレネードなんて飲めるわけがない。飲んだら確実に死ぬ。

 

「じゃあ俺更衣室で着替えてくるから、またな、それとタオルありがと」

 

「うん、またね♪」

 

亜久斗はタオルを頭から肩に下ろし、更衣室に向かった。その時に見たシャルロットの顔は上機嫌そのものだった。

 

 




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七十三話 日曜Wデートショッピング午前十時

みなさんこんにちは、滝温泉こといずみです。指摘やら感想やらで感想欄が増え、評価も貰えました、嬉しいです。
今回はシャルロットと亜久斗のデート回。もちろん他のキャラも出ますよ。

それでは本編スタート!



日曜日の晴れ、駅前のモニュメントには一人の乙女がいた。

 

「(髪、変じゃないかな?もう一回見ておこうかな)」

 

約束の四十五分前にはすでに到着していたシャルロットは、そわそわと一夏を待ちながら十二回目になる前髪チエックを始める。

 

取り出した手鏡は輪島塗の二つ折りで、先日インターネット通販で直感的に購入したものだった。描かれているのは満月とススキが丘で、今の秋の季節にはぴったりである。

 

「ん……(なんか決まらないなぁ……)」

 

前髪を右に左にちょんちょんいじりながら、シャルロットは小さくうなり声をあげる。

 

先程から髪をいじってはいじり直すシャルロット。だが実際は気になるほどの差はないのだが、なぜだか今日はそんな気分のシャルロットなのだ。やはり、好きな男の子には百パーセントの自分を見てもらいたい。そう願うのは至極当然のことである。

 

「(でも、さすがに早く来すぎたかなぁ)」

 

手鏡をしまったシャルロットは、右手首の腕時計を確認する。約束の時間まではまだ四十分以上あった。

 

「(ふぅ……。気合い入りすぎたかな。ちょっとリラックスしよっと)」

 

にこっと笑顔の練習をするシャルロット。だがしかし、運の悪いことに、その笑みの先には見るからに『遊び人』といった風体の男が二人いた。その二人はシャルロットを見ると近づいて来た。

 

「ねえねえ、カーノジョっ♪」

 

「今日ヒマ?今ヒマ?どっか行こうよ~」

 

この場に日本人の四十年代以降男性がいたならば、十人中九人はこう思うだろう。

 

古い。

 

ナンパの世代が古い。古過ぎる。お前たちはいつの時代の不良だ、ヤンキーだ。いくら今の時代、容姿のいい男性が女性から多く愛される時代だとはいえ、ナンパにカーノジョっはない。はっきりいってダサイ。そう思うだろう。

 

閑話休題

 

「約束がありますから」

 

「えー?いいじゃん、いいじゃーん、遊びに行こうよ」

 

「俺、車向こうに駐めてあるからさぁ。どっかパーッと行こうよ!フランス車のいいところいっぱい教えてあげるからさ!」

 

フランスの____というところで、ぴくりとシャルロットが反応した。

 

「日本の公道で燃費の悪いフランス車ですか。ふぅん」

 

拒絶百パーセント、作り笑顔マックスのシャルロットが吐いた毒に、二人の男が若干たじろぐ。

 

「(あーあ、やんなっちゃうなぁ……。せっかくの亜久斗とのデートなのに……)」

 

男たちをどういう風に撃つかを想像して、五回ほど虐殺のイメージをする。そんなシャルロットの表情を『脈アリ』に見えたらしい男のひとりが、その肩に手を置こうと伸ばした。

 

「はいストップ」

 

「いでででででっ!?」

 

その手がシャルロットの肩に触れる瞬間、横から男の手首を捕まれ、関節を決められた。シャルロットが声の方を見ると、そこには自身の思い人、亜久斗がそこにいた。

 

「まったく、人の連れを何汚そうとしてんだ?香水の匂いきつすぎたぞ。それに勝手なボディタッチは今時猥褻(わいせつ)罪で捕まるんだぞ?」

 

「な、な、ななっ……!?」

 

「亜久斗っ!」

 

颯爽と現れた亜久斗は、悪の魔の手から自分を守ってくれた!

 

……というのはまあ、多少言い過ぎかもしれないが、シャルロットの瞳には亜久斗の横顔がキラキラと光って見えたのだから仕方ない。

 

「お、おい!何だよお前!離し___!」

 

「げふっ!」

 

「あがっ!」

 

混乱しながら相方を助けようとして男は亜久斗に殴りかかる。が、その拳が顔に届く前に関節を決めていた男を離して地面に蹴りつけ、殴りかかって来た男を一本背負いで地面に叩き付けた。

 

「俺か?まあ簡単にいうならこの娘の騎士(ナイト)だ。他人のお姫様にちょっかいだすなよ軽男」

 

亜久斗は叩き付けた男の顔を立ったまま除き混み、軽く睨み付けながらそういった。

 

「(す、凄い!王子様みたい!)」

 

その様子を、ぼーっと見とれるシャルロットだった。

 

 

 

 

「女性に対する強引な勧誘は条例違反だ。ほら、とっとと歩け!」

 

「いっ、いたたたたたた!痛いって!?」

 

「なんで腕じゃなくて襟を掴むんだよあんた!?」

 

「俺に質問するな!」

 

そう言われてチャラ男A&Bは赤いスーツを着た警部らしき男に駅内の派出所へと連行されていく。

 

「(照井竜にしか見えない……)」

 

その様子を俺は少し見つめていた。

 

「悪いなシャル。俺が遅れた性で不愉快な思いしただろ?」

 

「う、ううん。まだ時間前だし……。それに助けてくれてありがと。亜久斗が来てくれたから全然不愉快な思いなんてしてないよ?」

 

「そうか、ありがとなシャル」

 

なんて健気なんだろうかシャルは、約束よりも三十分も前とはいえ女子を待たせてしまったと言うのに。

 

「じゃあ行くか。ショッピング」

 

「うん♪」

 

俺たちは駅舎のショッピングモールへと歩き出した。

 

「なあ、シャル。その服よく似合ってるな」

 

「そ、そう?ありがと。亜久斗の服もよく似合ってるよ」

 

「ありがとな。……手でも繋ぐか?」

 

「え!いいの!?」

 

軽い冗談のつもりでそう言うと、シャルはこっちを見て大きな声でいった。

 

「あ、ああ。構わないけど……。声がちょっと大きい」

 

「あっ、ごめん……」

 

シャルが大きな声を出したことで、周りから見られて注目されてしまった。日曜日の駅舎というのは、平日休日問わず人が多い。

 

「じゃあ、繋ぐか」

 

「うん、それじゃあ……失礼します」

 

そんな畏まらなくても……。

 

「♪」

 

まあ、こんな上機嫌で俺の手を握ってくれてるのにそれを言うのは野暮だな。にしても、男女が二人でショッピングか。デートみたいだな」

 

「え!?あ、う、うん。そうだよね、デートだよね!」

 

……まさかの声に出ていたパターンかよ。やっちゃったよ。恥ずかしすぎるぞ俺。

 

「ま、まあ。とりあえず、どこからまわる?」

 

「え、え、えっと、あそこ!」

 

わたわたと慌てるシャルが見もせず指を指したのは、まさかの女性用下着売り場だった。

 

「……いや、さすがにあそこは俺が入ったらマズイだろう」

 

「え?……ご、ごめん!間違い!違うの!違うから!」

 

「あ、ああ、わかった」

 

さすがにこの事態にはシャルだけでなく俺も顔が赤くなってしまう。俺はちらりと下着売り場の方を見る、すると、そこには見知った顔があった。

 

「ん?」

 

「ど、どうしたの?亜久斗」

 

「いや、ちょっとな……。おーい、一夏ー!」

 

下着売り場のコーナーには、私服姿の一夏と、赤みがかかった茶毛の髪の女子ともう一人、だがそのもう一人は影になっていてよく見えない。

 

「え?……おお!亜久斗、シャルロット、どうしたんだ?」

 

「え!?」

 

「やあ一夏。両手に花だね」

 

「よ、一夏。誰だその子、もしかして彼女か?」

 

「か、かのっ!?」

 

俺とシャルが多少にやつきながらそういうと、赤茶毛の髪の女子は顔を赤める。一夏も少し顔を赤くして否定する。

 

「違う違う、この子は俺の親友の妹。五反田蘭だ」

 

「ど、どうも、五反田蘭です。こんにちは、それとこっちが……」

 

赤茶毛の髪の女子は五反田蘭というらしい、一夏は否定しているが恐らく脈アリの女子なんだろう。顔の赤らみが引いていない。

 

「つい最近に私と同じ聖マリアンヌ女学園に転入してきた宝丞アリサちゃんです」

 

………え?

 

「ひ、久しぶりね、夜霧。宝丞アリサよ」

 

そこには、可の一件でヤクザたちから助けた時に知り合った少女。宝丞アリサがいた。

 

「え…宝丞?なんでこんなところにいるんだ?お前の家って金沢じゃ……」

 

「そ、そうよ。でも前のこともあってこっちに転入してきたのよ。お父様もいい機会だって言ってたしね」

 

「そうだったのか……」

 

「え?何々?アリサちゃんと知り合いだったんですか?」

 

「え?この子亜久斗と知り合いだったのか?」

 

「ああ、まあ前にちょっと……な。まあ夜霧亜久斗だよろしく、それでこっちが俺のクラスメイトのシャル。フランスの代表候補生だ」

 

「シャルロット・デュノアです。よろしく、蘭ちゃん、アリサちゃん」

 

俺の隣にいるシャルが二人に挨拶する。にこっと少女純度百パーセントの笑みが眩しい。

 

「で、蘭は来年IS学園受けるんだってさ。俺たちの後輩になる予定なんだよな」

 

「は、はい!そうです!ぜひご教授のほどよろしくお願いします!」

 

五反田はびしっと九十度のおじきをしてわずかに顔を上げる。

 

「宝丞はどこの高校受けるんだ?やっぱりIS学園か?」

 

「そ、そうね。まだそこまで考えてないけど、IS学園に入ろうかしら。私が受かったら、ご、ご教授…頼むわよ」

 

「はは、わかったよ」

 

最後の方が顔を赤らめながらうつむいて言うので妙に可愛らしい。これがギャップ萌えなのか……。

 

「むぅ……」

 

「そうだ。あのチケットまだいけたはず。蘭、ケータイ持ってる?」

 

「は、はひっ!」

 

声が裏返っているぞ、五反田よ。一夏と五反田は取り出したケータイをダイレクト接続に切り替え、チケットデータの転送を行う。

 

「これって……」

 

「今月行われる『キャノンボール・ファスト』の特別指定席。見たいだろ?」

 

「あっ、はい!ぜひぜひ!」

 

ああ、そういえば今回のキャノンボール・ファストも学園祭と同じように一人一枚チケットが渡せるんだっけな。だったら今回はイマジン'sの誰かにでも……。

 

「………」ジー

 

「………」

 

……視線を感じる。主に俺の前にいる宝丞から、キラキラとした目で俺を見ないでほしい。

 

「宝丞、よかったら『キャノンボール・ファスト』の特別指定席のチケット、いるか?」

 

俺がそう言うと宝丞はキラキラとした目でジーっと見るのを止め、こほんと一息つく。

 

「ま、まあ。別に私はどちらでもいいのだけれど、夜霧がそこまでいうのなら行ってあげるわよ」

 

「そうか、じゃあ携帯持ってるか?」

 

「それぐらい持ってるわよ」

 

俺と宝丞はお互いに携帯を取り出して、さっき一夏と五反田がやっていたようにダイレクト接続に切り替えてチケットを転送する。ついでに番号交換もしたが。

 

「よし、完了」

 

「あ、あの!今日一緒にまわってもいいですか!?」

 

「うん」

 

「夜霧!私も一緒にまわってあげるわよ!べ、別に私が行きたいとかじゃないのよ、ただ付き添ってあげようと思っただけなのよ!本当なんだから!」

 

「ああ、別にいいぞ、シャルもいいか?(ツンデレか……)」

 

「うん、別に構わないよ(ツンデレだね)」

 

「じゃ、みんなで色々見て回るか!」

 

一夏ののんきな声に女子一同はこくんと頷き、一夏の右に五反田、俺の左右にシャルと宝丞が並んだ。

 

これってダブルデート?それともトリプル?

 

 

 

 

ここはショッピングモール内の時計店。その中で俺とシャル、宝丞は一夏とは少し離れた所に飾ってある時計を見ていた。買い物の途中で一夏の誕生日プレゼントをこの場で買うことになり、更には俺の腕時計も買うことになった。

 

「なあ、アナログ時計とデジタル時計。どっちがいいと思う?」

 

「う~ん、やっぱりアナログがいいと思うよ。デジタル時計は日の光で見えにくくなると思うし、アリサちゃんはどう思う?」

 

「え、えっと、私もアナログ時計でいいと思うわ。た、例えば、これとかどうかしら?」

 

そう言って宝丞が手に取ったのはゴールドと黒っぽいバイオレットを基準とした金属製の腕時計だった。時計の所々に黒紫のラインが入っておりΧの模様の金属が四つほど取り付けられている。

 

この時計を見るとカイザを思い出す。Φとは違うΧをモチーフとしたデサインには一時期心引かれたも。

 

「確かにカッコいいな。ありがとな二人とも、選んでくれて。元はシャルの買い物の付き添いだったのに」

 

「う、ううん。いいよ、僕はもう服とか買ってもらっちゃったし」

 

「わ、私もネックレス買ってもらったし、お礼に選んであげただけよ……」

 

「はは、ありがとな」

 

それから一夏の腕時計も探し、会計してもらった所で十二時となり、俺たちは近くの店で昼食を取ることにした。

 

 

 

 




入りきらなかったのでもう少しデート回は続きます。人数増えてデートと呼べるかわかりませんが(笑)

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七十四話 日曜Wデートランチタイム午後一時

どうもこんにちは、今回でデート回は終了します。なのでまあ、気楽に読んでいってください。

それでは本編スタート!


さて、時計店での買い物、および一夏の誕生日プレゼント等を買った俺たちは昼時になったということで、ちょっと洒落たオープンカフェでランチをとることにした。ちなみに、五反田からの情報によればこの店の料理は高いらしい、一般の女子中学生がドリンクしか頼めない程に。

 

まあそんなことを気にすることもない一夏と俺。そして俺たちが奢るという形で店に入った。まあ実際懐にはなんの支障も乱さないがな。

 

「へぇ、おしゃれだね、ここ。ちょうど今日って暖かいからロケーションも抜群だね」

 

さぁっと髪を撫でる風に微笑むシャル。その姿は貴族のお嬢様のようで、心がくすぐられるように可愛いと思えた。

 

「いらっしゃいませ」

 

「あ、本日のランチってなんですか?」

 

「はい。本日は蟹クリームスパゲッティとなっております。デザートは梨のタルトです」

 

ボルキャンサー、シザース喰ったんだっけなぁ。あんな無惨なシーンを産み出した奴がクリームパスタに……。いかん、どうでもいいことを考えてしまった。いい加減ライダー関連を単語で思い浮かべるのは無しにしたい。

 

「じゃあ、それを五人前ください」

 

「かしこまりました」

 

すらすらと注文を決めていく一夏、店員は帰っていった。あながち一夏がとった注文方法は間違っていない。こういった高い料金のカフェはオススメに自信があるタイプが多い、それにこの店自身結構有名らしいからオススメを五人前頼んで店員との会話をすぐに終わらせた一夏の判断は正しい。

 

それにカフェって食べることより会話を大事にする店だと思う。なのでカフェに来た場合は取り合えず先に注文をし、後は会話と食事で時間を過ごすというのが通。

 

「」

 

ふと気づくと、シャルと五反田、宝丞が一夏をじーっと見つめていた。

 

「な、なんだよ」

 

「いや、手慣れてるから」

 

「いや、普通だって。あんまり外食はしないけど、注文はすらすらできるようにしておけって千冬姉が言ってたから」

 

「ふーん」

 

「あ、あの、一夏さんって、よくこういう店に来るんですか?」

 

「いや、外食はあまりしないなぁ。あ、でも蘭の家では結構食べてるよな」

 

今まで聞いてきたエピソードから考えたらお前の外食は五反田と鈴の店でほとんどということになるな。注文がすらすらできても意味ない気もするが。

 

「う、うちみたいな定食屋と一緒にしないでくださいよ……」

 

「なんだよー。恥ずかしがるところじゃないだろ。五反田定食、うまいじゃん」

 

「私はあの名前自体がイヤなんですけど……」

 

俺の家も夜霧グループで自分の名字が使われているが、別に嫌だと思ったことはない。そこら辺が思春期女子との違いなのか。

 

「ね、ねえ夜霧、その……」

 

「ん?どうした宝丞」

 

宝丞は俺とシャルを見ながら口をもごもごと動かす。言いにくいようなことなのだろうか?

 

「えと、夜霧とシャルロットさんは、恋人なのかしら?」

 

「え……ええっ!?」

 

宝丞の爆弾発言により大きく驚くシャル、まさかの爆弾投下に話していた一夏と五反田もこちらに反応した。

 

「おいおい。いきなりどうしたんだ」

 

「だ、だって、その、仲良さげだし、それに私たちと会うまで二人っきりだったじゃない……」

 

やめてくれ、そこで目をうるませるな。罪悪感が沸くだろうが。

 

「…まあそれはあれだな。昔の馴染みもあるが、シャルは俺の数少ない女子の友達の一人だ。仲が良いのは当然だと思うぞ、なあシャル?」

 

「う、うん。そうだね……」

 

突然の発言でびっくりしたのか、シャルは顔を赤くしながら頷く。ただ少し残念そうに見えるのは気のせいだろうか?

 

「(『友達』かぁ。でも、出会いが早い分、他のみんなよりもリードしてるし、大丈夫だよね。それで、いつかは……)」

 

訂正。残念そうな顔ではなかった。顔に手を当てて赤くしているこの状態に残念そうの一言は絶対に違うと思えた。

 

「じゃ、じゃあ夜霧とシャルロットさんは恋人じゃないのね?」

 

「あ、ああ」

 

「……よかった。まだ大丈夫ね。私にだって可能性はあるわ……」

 

「え?」

 

「な、なんでもないわ!」

 

それから一分もしないうちにランチメニューが運ばれてきた。一夏はウェイターが一度に五枚の皿を持っていることに驚いている。だがな一夏、世界は広いぞ、パリには片手で六人前の料理を運ぶおっさんがいたんだ。

 

「お待たせいたしました」

 

そう言って並べられる三枚の皿。蟹クリームスパゲッティはちょうど真ん中に蟹のハサミが置かれていて食欲をそそる。全体的にほぐされた身がトマトクリームと絡んでいて、香りも良好。

 

どうでもいいが、また、ボルキャンサーのシザース補食シーンが頭に浮かんできてしまった。龍騎シリーズを見すぎた性だと思いたい。そういえば、シザースのデッキは四番目に造ったなぁ。

 

「それでは後ほどデザートをお待ちしますので」

 

そう告げてテーブルを離れるウェイターの人。俺たちはスプーンとフォークを取って、早速パスタを食べることにした。

 

「いただきます!」

 

「「いただきます」」

 

「「い、いただきます」」

 

上から一夏、俺とシャル、五反田と宝丞の順でのいただきますだ。一夏はここがカフェということを考えてしてほしい。声が大きい。

 

「おお、うまい!」

 

「うん。生パスタって書いてあったもんね」

 

「確かにうまい、それにこのアイスティーともよく合っている」

 

「お、おいしいですね」

 

「中々の味ね、値段は嘘をつかないってことかしら」

 

それは些か、店の人に失礼じゃないか宝丞?

 

「ん?蘭、ちょっと」

 

「はい?」

 

一夏はナプキンを一枚手に取ると、五反田の口元をそっとぬぐった。

 

「っ!?」

 

「ソース付いてた」

 

「い、い、言ってもらえれば、その……自分で拭きますから!」

 

「そ、そうか。悪い」

 

「あ、いや、あの、えっと、別に嫌な訳じゃ……あ、ありがとうございます」

 

かーっと顔が赤くなる五反田。一夏は女子へのデリカシーと配慮が足りない。気づけよ一夏、色々と。

 

 

「そういえばさ、蘭」

 

「は、はいっ!?」

 

「さっきあげたキャノンボール・ファストのチケットだけど、俺の誕生日のかぶってるんだよ。で、俺の家でする予定の誕生日会、ちょっと遅くなりそうなんだけど大丈夫か?」

 

「だ、大丈夫です!当日は、バカ……じゃない、その、兄もいますから!」

 

「(さりげに今兄をバカ呼ばわりしたな……)」

 

「ああ、そういえばそっか。そうだよな」

 

「は、はい……」

 

と、そこで五反田ははっ!となった。

 

「あ、IS学園の人もくるんですか!?」

 

「ど、どうしたんだよ。そりゃもちろん来る予定だけど」

 

「な、何人くらいですか!?」

 

「え、えーと………十一人くらい?」

 

多いな。今更だが、多いな。

 

「そ、そんなに……」

 

「安心しな五反田。そのうち四人は男だ、俺を含めてな」

 

「そ、そうなんですか……」

 

まあ恐らく、ライバルがたくさんいると思ってるんだろうな。IS学園は俺たち五人を除けば全員女子、そう思うのはいたしかたないのだろう。

 

 

それから少し時間がたち食事が終わり、デザートが運ばれてきた。

 

「あれ?この付け合わせのアイス、全員違うんだな」

 

「あ、確かにな」

 

「本当だね。なんでだろ?」

 

「え、えっと、私がストロベリーで、一夏さんがバニラ、シャルロットさんのがチョコで夜霧さんはミントでアリサちゃんが抹茶ですよね」

 

「だな」

 

なんとまあ、種類が豊富なカフェなんだろうか。もしかしたら他にもあるのかもしれないな。

 

「どうせなら食べさせ合いっこしようぜ」

 

「へっ!?」

 

「ん?」

 

「……え?」

 

ここにきてまさかの爆弾発言。それも二度目である。こいつは女子に対して何を考えているんだ……。何も考えていないんだろうな、うん。

 

「え、いや、あの、今なんて……」

 

「いや、だから、食べさせ合いっこしないかなーと」

 

「!!いたたたたた!」

 

「!?」

 

「どうした!?」

 

「い、いえ!なんでも!なんでもないです!」

 

びっくりした。いきなり五反田が痛みを訴えた。マジでなんなのかと思った。

 

「いや、一夏。こういうのは女子に確認した方が……なあ?」

 

「ぼ、僕はいいよ?そ、それにたくさんの種類が味わえていいと思うな!」

 

「え、ええ。シャルロットさんの言う通りね。抹茶だけじゃなくて他の味も試してみたいし……その、ミントとか」

 

「……マジで?」

 

それから、一夏が五反田にあーんをし始めたこともあって、結局全員で食べさせ合いっこをすることになった。顔を真っ赤にして口を開けるシャルと宝丞を見たときは、恥ずかしさでいっぱいになってしまった。

 

 

 

 

 

 

「お、送ってくれてありがとうね。……き、今日はまあ、中々に、楽しかったわ」

 

「それはよかった。俺も楽しかったぞ」

 

「そ、そう。良かったじゃない」

 

時刻は四時過ぎ、夏に比べてだいぶ日の落ちが早くなった空の下では、亜久斗とシャル、そして宝丞が屋敷の前にいた。言わずともがな、宝丞の家である。

 

なぜこうなっているか説明しよう。昼食後、それぞれ目的のお店を見て回った五人は「じゃあ二人を家に送ろう」という一夏の一言で五反田と宝丞を家に送ることとなった。

 

だがこの二人の家の位置は離れており、反対方向。なので一夏が五反田を、亜久斗とシャルが宝丞を家まで送ることとなったのだ。

 

「じゃあな宝丞。キャノンボール・ファストの時は、応援してくれよ」

 

「え、ええ。別にそれぐらいなら、構わないわよ。頑張りなさい。気がむいたら見に行くわ」

 

この少女、宝丞アリサは俗に言う「ツンデレ」である。故にこうは言っていても内心はいく気満々なのだ。出会った時からそれを理解している亜久斗はそれに関しては特に何も言わない。

 

「それじゃあ夜霧、またね」

 

「ああ、またな」

 

そして最後に挨拶を交わし、宝丞は家の中に入っていった。

 

 

「(あ、亜久斗と二人きりの帰り道……。二人きり……二人きり……)」

 

宝丞を家に送り、IS学園への帰路につく亜久斗とシャルロットだったが、そこには変な沈黙が漂っていた。

 

その原因は主にシャルロットがテンパって会話が出来ないからなのだが、亜久斗はそんなシャルロットに声をかけづらくなってしまっているのだ。

 

「悪いな」

 

「え!?」

 

なんとかこのチャンスをものにしたいシャルロットだったがいきなりの謝罪に困惑してしまった。

 

「今日さ、シャルロットと二人で買い物する筈だったのに。最終的には五人にまでなっちゃったからさ」

 

「い、いいよそんなの。僕も楽しかったし」

 

「うーん。じゃあ今度、埋め合わせとしてツーリングにでも行かないか?俺、バイクの免許なら持ってるし」

 

「え!?」

 

謝罪からの突然のデートのお誘い。これにはシャルロットのテンパリも上々である。

 

「い、いいの!?」

 

「ああ、正式にお礼になってないと思うし。俺も一度ツーリングってしてみたかったしな」

 

「そ、そっかぁ……うん。じゃあ今度行こうね」

 

「ああ」

 

二人きりのショピングこそは出来なかったものの。最高の一日となったと思えたシャルロットなのだった。




感想、評価等、お待ちしております。


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七十五話 キャノンボール・ファスト前日

平成仮面ライダーで野球チーム考えてみました。

一番センター:カブト
二番ショート:ファイズ
三番ファースト:アギト
四番キャッチャー:響鬼
五番ライト:電王
六番セカンド:キバ
七番レフト:ディケイド
八番サード:フォーゼ
九番ピッチャー:ダブル

ベンチ:クウガ、龍騎、ブレイド、オーズ、ウィザード、鎧武

……何考えてるんだ、私orz


「はい、それでは皆さーん。今日は高速機動についての授業をしますよー」

 

どうも、夜霧亜久斗だ。Wデー…ゴホン。ダブルデートの日から数日が立った火曜日。キャノンボール・ファストへの訓練として先ほど山田先生が言った通り、第六アリーナで高速機動の授業が行われている。

 

「この第六アリーナは中央タワーと繋がっていて、高速機動実習が可能であることは先週いいましたね?それじゃあ、まずは専用機持ちの皆さんに実演してもらいましょう!」

 

山田先生はそう言って手を一夏とセシリアへと向けた。

 

「まずは高速機動パッケージ『ストライク・ガンナー』を装備したオルコットさん!」

 

ここでの専用機持ちは俺、一夏、箒、セシリア、鈴、シャル、ラウラのことを指す。簪とメイア、エリナは不参加なので訓練機組みと一緒。俺たち以外の男子、デネブ、リュウヤ、シゲルはデータ記録と訓練機組みの機体調整を手伝うこととなる。

 

「それと、通常装備ですが、スラスターに全出力を調整して仮想高速機動装備にした織斑君!この二人に一周してきてもらいましょう!」

 

がんばれーと応援の声が聞こえた。一夏とセシリアは軽く手を振ってそれに答える。

 

「では、……3・2・1・ゴー!」

 

山田先生のフラッグで二人は一気に飛翔、そして加速し音速を突破。二人は高スピードで中央タワー外周へと進み、頂上から折り返しそのまま併走状態でアリーナ地表へと戻ってきた。

 

「はいっ。お疲れ様でした!二人ともすっごく優秀でしたよ~」

 

自分の教え子が優秀なのがそんなに嬉しいのか、山田先生は嬉しそうな顔でぴょんぴょんと飛び上がっている。

 

「………せめて自重してくれ」

 

「(うう、相変わらず目のやり場に困る人だ……)」

 

「(うわぁ…あんなに揺れるのかよ。すげえな、おい)」

 

「なんで目隠しするんだ?」

 

「シゲルは見なくていいの♪」

 

「(子供みたいな先生だ。できればもう少し周りを確認してほしい、一夏のためにも……)」

 

その姿に、男子メンバーの反応は様々である。

 

「おい、亜久斗。おい!」

 

「ん?どうしたラウラ?」

 

ふと後ろから、ラウラに声をかけられた。

 

「お前も、その……なんだ……。む、胸は大きい方がいいのか?」

 

「え……」

 

いきなり何を言ってるんだこいつは?大体授業中に聞くことじゃないだろ。ああリュウヤにシゲル、こっちを向いてニヤニヤするんじゃない、口を隠すな余計に腹が立つ。

 

とりあえず、ラウラのこの発言に悪気はないだろうから普通に、平常心で答えてここは済まそう。ただしリュウヤにシゲル、お前らは駄目だ。後で部屋にアカネタカを仕掛けてやる。

 

「……別に胸のことなんか考えたことはないし俺は別に大きいとか小さいとか興味はない」

 

「そ、そうか……。ん?妙に早口じゃないか?」

 

「気のせいだ。だから腕を構えるな、AICが発動するだろ」

 

別に俺は胸より性格と顔が良い女子が好みだから胸なんて関係ない。ホントダゾ?

 

そんなやりとりをしていると、織斑先生がぱんぱんと手を叩いて全員を注目させる。

 

「いいか。今年は異例の一年生参加だが、やる以上は各自結果を残すように。キャノンボール・ファストでの結果は必ず生きてくるだろう。それでは訓練機組の選出を行うので、各自振られた機体に乗り込め。ぼやぼやするな。開始!」

 

毎年恒例行事であるキャノンボール・ファストは本来、整備科が登場する二年生からのイベントである。しかし今年は四月からの予期せぬ出来事に加えて専用機持ちが多いことから、一年生時点で参加することになった。訓練機部門は完全なクラス対抗戦となるため、景品がでるらしい。

 

「よーし、勝つぞ~」

 

「お姉様にいいとこ見せなきゃ!」

 

「勝ったらデザート無料券!これは本気にならざるを得ないわねー」

 

そんなこんなで燃えている女子一同。いいねえ、これが青春という物だろう。だが専用機持ちである二人の女子はまったく燃えておらず、織斑先生にばれないように適当に終わらせるつもりのようだ。メイアなんてやる気の欠片しか見えない。

 

「専用機持ちなのに、父さんへのデータはちゃんと送れるのか……」

 

まあどうでもいいか。その内に行事がまたあるだろうし、放課後にIS運転使用すれば問題ないだろう。

 

ちなみに、専用機持ちは各自別れて準備をする。

高速機動パッケージ組・セシリア、鈴

機体出力調整組・一夏、箒

増設スラスター組・シャル、ラウラ

のそれぞれ自分の機体に必要なことをする。

 

そして俺は何をするのか。決まってる。

 

「いっちょやりますか。変身」

 

3

2

1

カシャン!

 

フォーゼドライバーを装着してトランスイッチを右側から順に下ろし、レバーを前に押す。そして仮面ライダーフォーゼに変身した。

 

「宇宙キターッ!……なんかむなしい」

 

あれだ。敵がいないしこんな状況で叫ぶと無性にむなしくなる。離れていたお陰で誰も聞いていなかったのがせめてもの救いだ。

 

「(うわ、むなし(笑))」

 

と思ったら違った。リュウヤが聞いていたようだ。肩が震えているのがわかる。

 

「……」

 

Hopping On

 

Flash On

 

一番右のスイッチソケットと一番左のスイッチソケットにスイッチを挿し込み、ONにする。左脚にホッピングモジュール、右腕にフラッシュモジュールが武装される。

 

「レッツゴー」ポヨーン

 

左脚のスプリングを使い、誰にもぶつからないように高く、目的の位置まで跳ぶ。着地したのは、リュウヤの前。

 

「え______」

 

「喰らえー」ビカッ

 

そして着地と同時に右腕の懐中電灯型ユニットの電球から軽く光を放つ。

 

「なっ!?目がっ!目があああああ!!?」ポヨーン

 

 

はっはっは、さっきから人を笑いやがって、お返しだよこの野郎。

 

そしてやりきった後俺はすぐにまた跳んでリュウヤから離れて着地する。……筈なのだが、止まらない、跳び続ける。このスイッチは一度跳ぶと止まるのが難しい。さっきからポヨンポヨンと跳び続けている。

 

「さて、早く降りようか」ポヨーンポヨーン

 

Parachute On

 

ホッピングスイッチをOFFにして代わりにパラシュートスイッチをONにする。左腕にパラシュートが武装され、上空からゆっくりと降下、着地することができた。

 

「よし、早く訓練をしよう」

 

話を戻すが、俺は調整もスラスターの増設もパッケージももう必要ないのですぐに訓練に入る。

 

「あ、亜久斗っ♪」

 

シャルが俺を見つけて手を振る。俺も軽く手を振り、そこにいたシャルとラウラと一夏のもとへと歩いた。

 

「どうした三人とも。それに一夏、機体出力調整は済んだのか?」

 

「ああ、箒と色々話し終わった」

 

「それで僕たち丁度スラスターの量子変換(インストール)が終わったところ。これから調整に入ろうと思って」

 

「それで二人が調整に入るところを俺が映像で見せてもらうところだったんだ。な?」

 

「ああ、その通りだ」

 

……なるほど。

 

「じゃあ俺も混じっていいか?丁度俺も練習に入るところだったから」

 

「うん、いいよ。二人は?」

 

「私も構わない」

 

「俺もだ」

 

「ありがとな」

 

そして俺たちは同じ位置に並ぶ、一夏はライブ映像を見るために画面のチャンネルを繋ぐ。

 

「じゃあ行くか」

 

Rocket On

 

フラッシュスイッチをOFFにしてから抜いて、代わりの位置にロケットスイッチを挿し込む。右腕に小型ロケットのユニットが武装される。そして俺は小型ロケットではなく。電磁浮遊と背中のスラストマニューバーを使い浮遊する。

 

同じく、シャルとラウラもISを展開して浮遊してくる。

 

「じゃあレッツゴーで」

 

俺は小型ロケットを噴射させて急加速し、第六アリーナのコースを駆ける。それにシャルとラウラも少し危なげな機体制御でついて来る。

 

「そろそろ行くか。カブト!」

 

中央タワー外周へと差し掛かる前にロケットの噴射を強くし、フォーゼドライバーを『高速切替』で一瞬も立たない内に別のライダーベルトと転送交換させる。手にはハイパーゼクターが転送されて、俺はハイパーゼクターを手に取り、ベルトへと装着させる。

 

「変身、キャストオフ!」

 

Henshin

 

Hyper Cast Off

 

ハイパーカブトに変身直後にゼクターホーンを反対に倒し、ハイパーキャステオフを行う。そしてそのままタワー外周を上昇していく。

 

それから一夏たちと同じように、タワー頂上で折り返してもとの位置まで帰ってきた。

 

「ふぅ。やっぱりまだ馴れないかな」

 

ハイパーゼクターを取り外して変身を解除した。その直後にシャルとラウラも帰ってきた。

 

「おう、おかえり。さすがに巧いよな。三人とも」

 

「このくらいは基本だ。珍しいことなど何もない」

 

「」

 

「お前ももっと練習すれば同じことができるようになると思うぞ」

 

「ああ、参考になったぜ」

 

「うむ、大いに精進するがいい」

 

そんなこんなで、一夏は他の専用機持ちのところを回り、俺たちは調整を繰り返すために訓練と復習をした。

 

 

 

 

 

 

それからまた時は立ち、いよいよ大会前日となった。勿論タイムベントもハイパークロックアップもしていない。しっかり、時間は立ったのだ。

 

「ふぅ……」

 

今日の放課後の訓練を終えた俺は部屋のシャワーを浴びていた。俺はシャワーを浴びて汗を落とした後。タオルを首にかけてベットに腰かけた。今の時間は簪は大浴場に行っているのでここにはいない。

 

「……いよいよ明日、か」

 

ふと、明日のキャノンボール・ファストのことを考える。そんなことを考えながら俺は冷蔵庫から冷えたスポーツドリンクを取り出し、飲む。

 

コンコン。

 

「ん?はーい」

 

スポーツドリンクの蓋を閉めてから、俺はドアに向かう。そしてドアを開けた先にはラウラが立っていた。

 

「どうした、ラウラ?」

 

「いや……、なんだ……、一緒に夕食でもどうかと思ってな」

 

「そっか、じゃあ御一緒させてもらうか。にしても、可愛い格好してるじゃないか」

 

「!!」

 

「いつもなら着てないのに、どうしたんその服?」

 

ラウラの今の格好はロング丈のワンピース。細身によく似合うスレンダーな黒い色のワンピースは、ラウラの銀髪と対比していて、さらに腰に巻いた紐ベルトがとてもマッチしていた。

 

一言でいうと、可愛い。

 

「こ、こ、これはだなっ!しゃ、シャルロットと先日買った物だっ!」

 

なるほど、恐らくシャルがチョイスした服なんだろうな。ファッションセンスあるな、シャル。

 

「そうか、よく似合ってるなラウラ。凄く可愛いぞ」

 

まあ元からの容姿がいいのもあるだろうが。

 

「か、かわっ……!」

 

「さ、行こうか。席が埋ま……って、どうした?」

 

見るとラウラの顔は真っ赤になっている。

 

「う、うるさい!なんでもないんだ!」

 

そう言ってラウラは食堂へ歩き出す。ただし、右手と右足が同時に出てしまっているがな。

 

「はいはい、じゃあ食堂に行くか」

 

 

「さて、ラウラは何を食べるんだ?俺はカツ丼にしようかと思っているんだが」

 

「………」

 

「もしもーしラウラー?」

 

「!な、なんだ!?」

 

さっきからこと様子だ。顔が真っ赤で時おりボーッとしている。多分食堂に入った瞬間に女子に褒められまくったのが原因だと思うが。

 

「ラウラは何を食べるんだ?」

 

「そ、そうだな!フルーツサラダとチョコぷ……い、いや何でもない!」

 

「なんだ?チョコプリンのことか?可愛いとこあるじゃないか」

 

「ま、前にシャルロットから貰ったのがおいしかったからな……」

 

「ふーん。じゃあ今日も我慢なんかせずに食べろよ量が少ないんだし」

 

「う、うむ……」

 

俺とラウラはおばちゃんから夕食を受け取り、テーブルにつく。

 

「「………」」

 

大抵、俺たちの食事は静かである。

 

「亜久斗」

 

「ん?」

 

「いよいよ、明日だな」

 

「ああ、絶対に負けないからな」

 

「それはこっちのセリフだ。……お互い、悔いのないようにな」

 

「ああ」




これだけ言って、俺たちは食事を再開する。明日のキャノンボール・ファストは、みんなにとっても俺たちにとっても大事な一日となる。俺は、明日が無事に終わることを願った。










とある場所の一室。

そこには、およそ十人ほどの人物がいた。

「さて、明日のキャノンボール・ファストとやらだが、そこでの「亡国機業」との襲撃及びライダーの強奪を命じたい。難しければ破壊でも構わんが、誰が行くかな?」

そこで名乗りあげたのは三人の男と、一人の女だった。

「……あたしが行く。亡国機業との襲撃なら、女であるあたしの方がいいでしょう?」

「絶対に任務は果たすぜ。なぁ、相棒」

「ああ、それに、もし殺られても、唯では転ばないさ」

「よし、ならばお前たちに頼もう。お前は俺と共にな」

「わかりました……」

キャノンボール・ファストへの魔の手が忍び寄る。一人の男は、口元を歪ませながら笑っていた。

「ふふ…。会うのが楽しみだ。この世界の仮面ライダー」








感想、評価等、お待ちしております。
次回からはUA53000突破を記念して新企画を行います。お楽しみに!

そして最後に

お願い!オラに元気(評価)を分けてくれえええええ!!(涙目)


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七十六話 キャノンボール・ファスト

お久しぶりです。滝温泉こといずみです。評価を下さった方々、本当にありがとうございます!久しぶりの好評価に感謝感激です!これからも頑張ります!

さて、それはおいていて。お知らせが一つ、期末テストが近づいてきているので更新が遅くなります。申し訳ございません。2/18辺りからもとのスピードに戻ると思いますので、ご了識ください。

それでは本編スタート!


そしていよいよキャノンボール・ファスト当日。会場は超が付くほど満員で、花火がポンポンと上がっている。

 

今日のプログラムはまず最初に二年生のレースがあって、それから一年生の専用機持ちのレース、そして一年生の訓練機組のレース。そのあと三年生によるエキビション・レースが行われる。

 

このキャノンボール・ファストでは俺たちライダー組は大会の妨害、学園祭の時のような襲撃が起こった場合の対処が優先している。亡国機業、ゴウラ、どちらが攻めてくるかわからない今、警戒は万全にしておかなければならない。

 

『_____全員、指定位置に入っているか?』

 

『当然。にしてもこの会場は人が多いわねー』

 

『こっちは流されないか心配だよ。俺もオッケー』

 

『モニターから試合を確認できる位置でよかった。廊下って退屈だ』

 

『俺たちも準備万端だけど、座っちゃだめなのかこれ?』

 

『別にいいぞ、但し、出口からなるべく近い位置の席にしてくれ。それじゃあ後は各自待機、不審人物を見つけたら状況に応じて連絡するように』

 

『『『『イエス、マム』』』』

 

『誰がマムだ』

 

 

 

 

わぁぁぁぁ………!と盛大な歓声がピットの中にまで聞こえる。現在は二年生のレースが行われている。

 

「あれ?この二年生のサラ・ウェルキンってイギリスの代表候補生なのか」

 

「そうですわ。専用機はありませんけど、優秀な方でしてよ」

 

モニターを見ながら話す一夏に答えるセシリア。その姿はすでにIS『ブルー・ティアーズ』の高速機動パッケージ『ストライク・ガンナー』を展開している。

 

俺たち一年生の専用機持ち組は、ISを展開しレースの準備に取りかかっている。俺はドライバーの不具合がないかの点検と調整をしている。

 

「それにしても、なんかごついな鈴のパッケージ」

 

「ふふん。いいでしょ。こいつの最高速度はセシリアにも引けを取らないわよ」

 

自信ありげにそう言い放つ鈴。増設スラスターを四基積んでいる状態の高速機動パッケージ『風(フェン)』は、それ以外にも追加胸部装甲が大きく全面に突き出している。出来れば、近寄りたくない機体だ。衝撃砲がいつもとは違い横を向いているのは妨害攻撃のためなのだろう。

 

恐らく、鈴のIS『甲龍』が一番有利な機体だろう。セシリアのパッケージは本来強襲離脱用、他のメンバーにしたって間に合わせの高速機動装置。完全にキャノンボール・ファスト仕様の鈴が一番有利な状態だろう。

 

「ふん。戦いは武器で決まるものではないということを教えてやる」

 

そう格好いい台詞を言ったのは、IS『紅椿』を展開している箒だった。展開装甲のエネルギー不足について悩んでいた箒は、マニュアル制御することで解消したらしい。

 

「それはどうかな。戦力が多い方が場の流れを有利にすることができる、どんなにスピードが速くても妨害で失速すれば意味がない」

 

この台詞は俺だ、既にフォーゼに変身して右腕のユニット・モジュールには小型ロケットが装備されている。実際に俺のISは仮面ライダーの装備・ベルト・アイテムが沢山詰まっている。今回キャノンボール・ファストで使用するライダーは四機。武器を数えたら五十は軽く越える。飛翔する武器庫と言えなくもない。

 

「戦いとは流れだ。全体を支配するものが勝つ」

 

三基の増設スラスターを背中に装備したラウラも話に入ってきた。専用装備ではないが新型スラスターは性能的に十分らしく、今回のレースも自信があるらしい。

 

「みんな、全力で戦おうね」

 

そう言って場を締めてくれたのはシャル。ラウラと同じように三基の増設スラスターを肩に左右一基ずつ、背中に一基配置している。

 

全員、準備は万全のようだ。

 

「みなさーん、準備はいいですかー?スタートポイントまで移動しますよー」

 

山田先生の若干のんびりとした声がピット内に響く。俺たちは各々頷くと、マーカー誘導に従ってスタート位置へと移動を開始した。

 

「(襲撃が来ても捕縛して情報が獲られればよし、無くてもよしだ。俺はそれまで、このレースを楽しませてもらう)」

 

『それではみなさん、一年生の専用機持ち組のレースを開催します!』

 

大きなアナウンスが響く。

 

俺たちは各自位置に着いた状態で、スラスターを点火する。俺はソケットにセットするスイッチを入れ換える。

 

超満員の観客が見守る中、シグナルランプが点灯する。

 

3

 

2

 

1

 

GO!

 

「行くぞ、フォーゼ!」

 

背中のスラストマニューバー・ロケットが噴射され、スタートの合図と同時に加速する。

 

「(俺は二位……一位はセシリアか!)」

 

あっという間に第一コーナーを過ぎ、セシリアを先頭にして列ができた。

 

「先頭は譲らせてもらうぞ!」

 

Launcher On

 

Rader On

 

スイッチソケットにセットしておいたランチャー・スイッチをONにする。右脚にブルーの五連装ミサイルランチヤー、左腕にブラックのレーダーユニットを装備する。

 

そしてレーダーによるホーミングをランチャーに付加させ、正確な狙撃をセシリアに放つ。

 

「(三発命中、二発は爆風と煙で後ろを撹乱できた筈)」

 

「くっ!やりますわね!」

 

「先に行かせてもらうぞ!」

 

直撃するも全弾の被弾を防ごうとロールしてかわすセシリア。その横をロケットで加速して抜き去った。

 

「____甘いな」

 

「っ!」

 

いつの間にか俺の後ろにぴったりとマークしていたラウラが前に出てきた。どうやらスリップ・ストリームを利用して機を窺っていたようだ。

 

「ちっ、やるなラウラ!」

 

Shiled On

 

ラウラの大口径リボルバーが火を噴く直前。レーダースイッチを差し替えシールドスイッチに、そのままONにして左腕にスペースシャトルを模した小型の盾を装備。回転をしながら直撃を避けるも僅かに被弾してしまい、コースラインからズレてしまった。

 

「さすが、ラウラは手強いな。だがな、やられてばかりじゃないぞ。オーズ!」

 

フォーゼドライバーを高速切替により0.1秒もかからずにメダルをセットしてあるオーズドライバーに転送切替させ、オーズスキャナーを最小動作でオーズテドラルに横一列に並んだメダルをスキャンさせる。

 

プテラ!トリケラ!ティラノ!プ・ト・ティラーノザウルース!

 

「ウオオオオオ!」

 

基本カラーは紫。コアメダルの縁と同形状に立体化した金縁のオーラングサークル。全身から紫の冷気と輝きを噴き出しているオーズ恐竜系コンボ。プトティラコンボに変身した。

 

だがこのプトティラコンボは暴走率が高く。今の俺が制御できる時間はわずか三十秒、それ以上変身を持続していると暴走してしまう。

 

だが、コースラインを外れた状態から戻し再び先頭に並ぶだけならば、三十秒もかからない。

 

「ハアアアアァ!」

 

背中の翼状の姿勢制御器官・エクスターナルフィンを伸ばし、展開。全身の筋肉が増加されたコンボの力で勢いよく飛翔する。

 

「くっ、もう追い付いてきたか!」

 

「アイニク!ソウカンタンニハマケナインデネ!」

 

力の限り飛翔し、一位のラウラと並んだまま二週目に入る。その時、上空から二つの光が先頭にいる俺たちに降り注がんと放たれた。

 

「ッ!?アブナイ、ラウラ!」

 

「亜久斗!?」

 

「________!!」

 

光が降りてきたと気づいた時は既に俺はラウラを口部分から衝撃波を放ち、軌道からそらした。

 

放たれてきた二つのレーザーが俺を包み込み、その勢いで俺は会場に落ちていった。

 

 

 

 

「あーあ、庇って墜落しちゃうなんて、かっこ悪いわねぇ。そう思わない?」

 

「……くだらん。貴様の仕事は終わりだろう。さっさと行け」

 

上空からレーザーを撃ち放ったのはイギリスのBT二号機『サイレント・ゼフィルス』ともう一つ、カブトムシをモチーフとしたかのようなIS、機体を纏った白髪の女。

 

基本カラーは黒、コンパウンドアイは黄色、太股から足首にかけて太く造られた脚にはZECTのイニシャル文字。背中にはカブトムシの羽をのような巨大なエネルギースラスターが付属されており、後ろに向けて放つ仕組みになっている。更に両手には一メートル半はあるゼクトクナイガン・アックスモードを手にしている。

 

「あー怖い怖い。じゃあ私はあの社長さんの所に行くわね、頑張ってね「亡国機業」さん」

 

「……とっとと行け」

 

その名を『ダークカブト』

 

 

 

一夏は会場に墜落していった亜久斗の方を見るが、すぐにBTライフルの攻撃が降り注いだ。

 

「くっ……!!亜久斗!」

 

「一夏さん!あの機体はわたくしが!」

 

「セシリア!?おい!」

 

「BT二号機『サイレント・ゼフィルス』……!今度こそ!」

 

一夏が制止するも聞く耳持たず、セシリアは襲撃者____サイレント・ゼフィルスに向かっていった。

 

 

「………そこ、退いてくれないかしら?」

 

「貴様、よくも亜久斗を!」

 

対立するのは『ダークカブト』と『シュバルツェア・レーゲン』。そして『ラファール・リヴァイヴ・カスタム』。

 

「………うーん。まあ良いわ、あなたたちからやっちゃいましょう。ボーナスを要求しないとね」

 

「ほざけ!」

 

「行くよ、ラウラ!」

 

ラウラとシャルは、もう一人の襲撃者。白髪の女、ダークカブトに挑む。

 

 

 

 

「クッ……。はぁ、はぁ」

 

一方、墜落した亜久斗は会場の売店コーナーにいた。幸いプトティラコンボに変身していたお陰でダメージはそこまでなかったので、体は普通に動いた。

 

立ち上がった亜久斗はすぐに変身を解除して元のISの状態に戻る。

 

「なんだったんだあれは……。あの姿は間違いなくダークカブト。だが俺の知っているダークカブトじゃない…そう、ISのような_____」

 

「ご名答」

 

「っ!?」

 

おかしい。亜久斗はすぐに思った。今開場は襲撃者の性で混乱と化しているのに、自分に声をかけてきた男の声は酷く冷静だった。

 

ゆっくりと、亜久斗は後ろを振り返った。

 

「俺の名前はゴウラ。初めましてだな。この世界の仮面ライダー」

 

「……お前が、ゴウラ」

 

そこに立っていたのは、三色の特殊スーツを纏い、右目にバイザーを付けた男。ゴウラだった。

 

 





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七十七話 VSダークライダーズ

連続更新です。かなり前に新企画とか言っといてほったらかしていたので今回から始めます。

名付けて仮面ライダー名言紹介!というわけで最初の名言はこちら!

「絆とは決して断ち切ることのできない深い繋がり!たとえ離れていても心と心が繋がっている!」

                         ー天道総司ー


 

亜久斗がゴウラと会う一方、シゲルとエリナは亜久斗が墜落していった売店へと向かっていた。

 

「こっちか?進路表示の看板がないぞ?」

 

「よく見て天井にぶら下がってるから!」

 

「あ、本当だ。次は左か!」

 

たまたま近くの通路を見回っていた二人は自分たちの位置を仲間に報告して、一番近い位置にいるために亜久斗の安否の確認に向かっている。

 

「あった!売店の看板!」

 

「後百メートル待ってて亜久斗!」

 

進んだ先にある看板を見つけた二人は走る速度を速める。だがその途中曲がり角から二人の男が飛び出してきて片方はシゲルにパンチを、片方はエリナにキックを突き刺すように放ってきた。

 

「ふぃっ、と!」

 

「よっと!誰おじさんたち?」

 

突然の攻撃を後ろにバックステップとアクロバットを組み合わせた捻り跳びでかわす二人。警戒するように男たちに向き直った。

 

「悪いがここから先は」

 

「行かせない」

 

「おいおい、やっぱり襲撃者の仲間かよ」

 

「おじさんたちはどっち?亡国機業?それともゴウラの手先?」

 

十メートル程離れた位置から相手の出方を伺うシゲルとエリナ。男たちはふっと笑い答えた。

 

「…そんなこと今はどうでもいい。違うか相棒?」

 

「ああ、今必要なのはそんなことじゃないだろ?」

 

「へっ、それもそうかもな」

 

「その方がてっとり早いね」

 

「「相手を倒すことが、現時点での最優先事項!」」

 

「「立ちはだかる敵は全て薙ぎ倒す!」」

 

Banana!

 

メロン!

 

シゲルとエリナは腰に戦極ドライバーを装着しバナナロックシード、メロンロックシードの錠前をそれぞれ解錠すると中央部のドライブベイにロックシードを固定する。

 

そしでバナナとメロンを模したアームズが空間の裂け目から召喚され空中でゆっくり降下しながら待機する。

 

シゲルの戦極ドライバーからはトランペットのファンファーレのような洋風テイスト、エリナの戦極ドライバーからはほら貝のような和風テイストの待機音が流れ、それが二周するとカッテイングブレードを倒す。

 

「変身ッ!」

 

カモン!Banana Armoz!Knight of Spear!

 

「変身!」

 

ソイヤ!メロン・アームズ!天・下・御・免!

 

カッティングブレードを倒すとロックシードがカッティングされ空中で待機していたアームズが頭に覆い被さる。と同時にアンダースーツ・ライドウェアが装着されアームズが変形し変身した。

 

シゲルはバナナと西洋の鎧をモチーフとした赤と白銀のライドウェアにスリッド状の複眼。バナナアームズが変形したことにより黄色と白銀の鎧となり複眼も黄色のバーンサイトへと変化、両脇にはバーニングホーン。

 

エリナはメロンと和の鎧をモチーフにした白のライドウェアで複眼はパルプアイ。メロンアームズが変形したことにより薄い黄緑のメロンの皮を模した鎧とパルプアイ。

 

仮面ライダーバロン・仮面ライダー斬月へとそれぞれ変身した。

 

「勝つのは俺だ!」

 

「俺たちは、でしょ?」

 

「ふっ、いいねぇ青春は」

 

「俺たちもそう有りたかったもんだ……」

 

男たちはバッタ型昆虫コア・ホッパーゼクターを取り出すとゼクトバックルを腰に装着した。

 

「「変身」」

 

Henshin Change Punch Hopper!

 

Henshin Change Kick Hopper!

 

男たちはホッパーゼクターをゼクトバックルのバックル部を展開させて乗せるようにセットアップする。

 

片方は緑の基本カラーの装甲に赤のコンパウンドアイ。左脚にはバッタの脚の形をした特殊兵装・アンカージャッキを装備したダークライダー。

 

片方は茶の基本カラーの装甲に白のコンパウンドアイ。右腕にはキックホッパー同様のアンカージャッキが装備されているダークライダー。

 

キックホッパー・パンチホッパーに変身した。

 

「はあああっ!」

 

いち早く動いたのはバロン。ランス型アームズウェポン・バナスピアーを右手に持ち構え、パンチホッパーに突くように攻撃する。

 

だがそれをパンチホッパーは右足を軸に体を回転させてかわすと剣先のパルプシャフトを掴む。

 

「いい攻撃だ、だが残念だったな」ニャ

 

「それはどうかな」ニャ

 

バロンは剣先のパルフシャフトを縮小しパンチホッパーが掴んでいた部分が無くなる。対象を失ったパンチホッパーはバランスを崩し前のめりになる。

 

その隙を計らい、再びバナスピアーを突き刺すバロン。その一撃はパンチホッパーの右腹部に当たりパンチホッパーは後ろによろけた。

 

「くっ……」

 

「油断大敵ってな」

 

「ふっ!はっ!」

 

「セイッ!たぁっ!」

 

キックホッパーは斬月に向かって連続で蹴りを放つ、ハイ・ローキックに加え回し蹴りを使うが巨大な盾・メロンディフェンダーを旋回させるように斬月が防御するので決定打というものが一つもなかった。

 

「なるほど、その盾はかなり頑丈みたいだな」

 

「なら大人しく降参しなよ!」

 

連続蹴りと言っても無限に繰り出せるわけではない。蹴りの連鎖が途切れた瞬間を狙ってキックホッパーをメロディフェンダーの両端・先端部に付属している刃を同じように旋回し切りつけようと降り回す。

 

Rider Jump

 

キックホッパーは斬月のリズムを狂わせるように数歩横に移動するとホッパーゼクターの脚部・ゼクターレバーの付け根部分のタイフーンを基点に動かし再び元の位置に戻す。そして波動化したタキオン粒子を左脚のアンカージャッキに収束し斬月に向かって勢い良く跳び蹴りを放つ。

 

これを斬月はメロンディフェンダーで体が後退するも防ぐ。だがキックホッパーはメロンディフェンダーを蹴った反動を利用してバロンに向かって跳躍した。

 

「おらよっ!」

 

「なっ、があっ!」

 

右脚をバロンの手前で降り下ろしその勢いを利用して本命の左脚でのライダーキックを叩き込むバイシクルシュートをバロンに直撃させた。

 

バロンはパンチホッパーとの戦いでキックホッパーへの注意が足りなかったこととライダーキックの威力が高まっていたこともあり大きくダメージを受けてしまい壁に吹き飛ばされた。

 

「シゲル!」

 

「いててて、すげえ力だ。だったらこっちも力で押すぜ!」

 

Mango!

 

カモン!Mango Armoz!Fight of Hammer!

 

赤と山吹色のカラーリングに複眼は山吹色のゴーサイト。背中にはマンゴーの皮を模したマント・ゴーケープを羽織り両脇の角・ゴーコルネットは下向きになる。バロンはマンゴーアームズへと形態を変え大型のメイス型アームズウェポン・マンゴパニッシャーを持ち構える。

 

カモン!マンゴー・オーレ!

 

「うおりゃあ!」

 

「ていっ!」

 

 

直後カッティングブレードを二回倒し、バロンはマンゴパニッシャーを勢い良く振り回しブロックバスタードを模したエネルギーを、斬月はブーメランのようにメロンディフェンダーをキックホッパー・パンチホッパーに向けて繰り出す。

 

「いいねぇ。必殺技か」

 

「こっちもやるか」

 

「「クロックアップ」」

 

Clock Up

 

刹那、目の前まで迫っていたパニッシュマッシュによるブロックバスタードとメロンディフェンダーが止まるように遅くなる。バロンはマンゴパニッシャーを降りかざした状態で、斬月はメロンディフェンダー投げたフォームで半停止状態となっていた。

 

「さぁてやるか相棒」

 

「ああ」

 

Rider Jump

 

ドドドドドドドドドドドッ!

 

キックホッパーは斬月の後ろに回り背中に連続で流れのようにパンチを繰り出す。耐間なく放たれるパンチに斬月の体が浮くもそのスピードは限りなく遅いせいで吹き飛びはしなかった。同じくキックホッパーはバロンにと壁を連続で交互に蹴り繰り返し勢いを増しながら前後左右あらゆる方向から蹴りを放つ。

 

Clock Over

 

「うああああっ!!」

 

「きゃあああああ!」

 

クロックアップが解除された瞬間。クロックアップ中に蓄積されたダメージがバロンと斬月を襲った。後ろから一方的な連鎖のパンチを喰らった斬月はバロンの方向に転がりながら吹き飛ぶ。全方向から強力な蹴りを喰らったバロンは体が弾けるようにパパパンッ!という音とともに倒れる。

 

「う……ぐ」

 

「くっ…は…速い……」

 

「イエーイ……やったな相棒」

 

「クロックアップを持たない奴は俺たちには勝てない」

 

変身が強制解除された二人は立ち上がろうとするがダメージが大きい分、中々立ち上がることができない。

 

「さあ」

 

「トドメだ!」

 

キックホッパーとパンチホッパーは飛翔し二人に止めを刺すためパンチとキックを放とうとする。

 

ブドウ・スカッシュ!

 

「「ぐあああっ!?」」

 

二人に止めが刺される瞬間。葡萄の粒を模したエネルギー弾がパンチホッパー・キックホッパーを吹き飛ばし、ガラスを破って個室に飛ばした。

 

「大丈夫シゲル、エリナ!」

 

「助けに来たぜ!」

 

エネルギー弾の放たれた方向を見ると、通路の向こう側にブドウ龍砲を構えた龍玄とリュウヤがいた。

 

「り、リュウヤ……。悪いな、こんなとこ見せちまって」

 

「ありがとうメイア…」

 

「気にすんな!相性が悪かっただけだよ!後は俺たちに任せろ!」

 

「助ける当たり前じゃない、親友だもの」

 

ドガァンッ!

 

「あーくそ、もう少しだったのにお仲間登場か」

 

「だが何人来ようと相手じゃねえ。クロックアップがある限りはな」

 

個室の壁を殴り蹴り破ってキックホッパーとパンチホッパーが戻ってきた。

 

「はっ!そう言っていられるのも今のうちだぜ。変身!」

 

Henshin

 

リュウヤはポケットからガタックゼクターを取りだし変身ツールに装着させて変身する。

 

「キャストオフ!」

 

Cast Off Change Sttag Beatl

 

ガタックゼクターの角を反対側に畳むとマスクドフォームの装甲が弾け跳び、ガタック・ライダーフォームへと変形した。

 

「これで終わりだ!」

 

「「クロックアップ!」」

 

「クロックアップ!」

 

Clock Up

 

「「なにっ!?」」

 

クロックアップが相手も使えることに驚くキックホッパーとパンチホッパー。二人は動けない三人ではなくクロックアップを使用することができるガタックへと攻撃をする。

 

ガタックはそれを潜るようにして回転することでかわしキックホッパーとパンチホッパーの間からダブルカリバースピンを喰らわせ打ち上げる。

 

Clock Over

 

打ち上げられている間にクロックアップは終了し全員の速度が元に戻る。

 

「形成逆転!メイア!」

 

「任せて。撃ち抜くわよ!」

 

ブドウ・スカッシュ!

 

カッティングブレードを一回倒しブドウ龍砲のレバー緑宝撃鉄を引いてチャージしたエネルギーを大型エネルギー弾に変化させ打ち上げられているキックホッパー・パンチホッパーに向けて発射した。

 

「「あがああああああっ!!」」

 

キックホッパーとパンチホッパーは床を転がって行き止まった所で変身が解除された。

 

「ははっ、やっぱり強いなお前ら」

 

「何言ってんだよ。シゲルたちがいなかったら簡単に倒せなかったぜ」

 

「それに私たちに倒せなくてエリナたちに倒せる相手だってゴマンといるんだから。気を弱くしないでよ」

 

「うん!」

 

四人は男二人を捕縛しメイアとエリナが男たちを見張りその間にリュウヤとシゲルは亜久斗の元へと向かう。

 




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七十八話 合成王虫VS光を支配せし太陽の神


「たとえ世界の全てを敵に回しても、たった一人を守るために戦う、それが仲間ってもんだ」
                       ー門矢士ー    


 

「答えろ。何が目的だ、それにあのISは……」

 

亜久斗は目の前の男ゴウラに問いかける。

 

「ふん。今日のは只のテストといったところだな、俺の改造ディエンドライバーはデータを合成させることで優秀な兵士を産み出すことができる」

 

「お前まさか……ISとダークカブトを合成したとでも言うのか」

 

「いかにも。君からいただいたダークライダーズを実験台にさせてもらった。俺はISを持っていなかったからこそ亡国機業と一時的に手を組み彼らが持つISを手に入れ、ISとダークライダーの合成を試みた。そして結果は成功。ダークカブトの力とISの力を持ち合わせた兵器が完成したんだからな」

 

「それがあのISか」

 

横目で空中で戦っているIS『ダークカブト』を見る。ISを展開したラウラとシャル、楯無が交戦中だ。

 

「……で?お前はただそれを確認するためだけに来たのか?」

 

「まあそういうことだ。自分で造りたした物は自分で見ておきたいものでね」

 

「まあいいや兎に角、お前をここで倒せば全部終了だ。大人しく捕まってもらうぞ」

 

亜久斗は手にハイパーゼクターを持ち臨戦体制に入る。ベルトもオーズドライバーから変身ツールへと転送してある。

 

「おっとそれは不味い。私はまだ捕まるわけにはいかんのでね、こいつと戦ってもらおうか」

 

「わかりました。変身」

 

Henshin Change!Beetle!

 

突如ゴウラと後ろから現れた男。左手の昆虫型コア・カブティックゼクターコーカサスバージョンを右手首の変身ツール・ライダーブレスにセットしブレスに対して真っ直ぐになるように右に回転させる。

 

基本カラーは金色でコンパウンドアイは青の金色のコーカサスオオカブトを模した仮面ライダー・コーカサスに変身した。

 

「ちっ、変身・キャストオフ!」

 

Henshin

 

Hyper Cast Off

 

亜久斗はハイパーゼクターをライダーベルトに装着。その後ゼクターホーンを倒しハイパーキャストオフ。通常のカブトよりもカブトホーンは大型化し全身のアーマーが内部にタキオンプレートを収納した二倍以上の強度を持ったカブテクター。ハイパーカブトに変身した。

 

「ふっふっふっ……。さらばだ仮面ライダー」

 

ATTACK LIDE INVISIBLE

 

ゴウラは改造ディエンドライバーに謎のライダーカードを装填し姿を消した。

 

「やっぱり逃げるか……。だったらお前だけでも倒させてもらう!」

 

「やってみろ……」

 

コーカサスはハイパーカブトに向かって低姿勢で走り出しロッーキックを繰り出す。ハイパーカブトはローキックを右足に喰らうも力を抜いて技と転び体でコーカサスの足を抑え込み、すぐさまクナイガン・ガンモードでアバランチシュートの射撃を放つ。

 

「ぐっ、はっ!」

 

「よっと!はあ!」

 

コーカサスはアバランチシュートを放つハイパーカブトから体を捻り転がるこで解放される。ハイパーカブトはアバランチシュートの射撃を止めずセミオート射撃をコーカサスに向かって放つがコーカサスは壁の向こうに転がりこんだ。

 

「クロックアップ……!」

 

世界の速度が限りなく遅くなる。射撃途中のアバランチシュートは光る棒に姿を変えそれが一列に並びゆっくりと進んでいる。

 

コーカサスは横からハイパーカブトに向かって攻撃し更に蹴りによってクナイガンを手から飛ばし射撃をできなくする。そしてベルトと胸の装甲の僅かな急所を狙って拳を連続で叩き込む。

 

Clock Over

 

「がはっ!」

 

ハイパーカブトはダメージを喰らい転がるように吹き飛ぶが敢えて自分から転がることでコーカサスから一旦距離をとる。

 

「そういやクロックアップできたっけな。つい忘れてたぜ」

 

ダメージを負うもあまり大きくはないようで、ハイパーカブトは簡単に立ち上がった。

 

「もう一度だ……クロックアップ!」

 

「これが本場だ。よく見ておけ!」

 

Clock Up

 

Hyper Clock Up

 

クロックアップの数十倍のスピードで移動・活動が可能なハイパークロックアップ。コーカサスも同時にクロックアップを発動させるがこの状態のハイパーカブトとってはそれすらもスローで視認され意味をなさない。

 

「オララララララッ!」

 

一瞬で懐に入り込み高速の連続蹴りを放つ。後ろにコーカサスがゆっくりと退けぞり吹き飛ばされるがハイパークロックアップの中ではそれすらも不可能。よってコーカサスは後ろにゆっくりと吹き飛ばされつつ蹴りの連打を味わう。

 

「ハイパーキック!」

 

Maximum Rider Power

 

蹴りの連打を止めコーカサスの十メートル後ろに回りこみハイパーゼクターのゼクターホーンを倒しカブトのライダーキックのようにゼクターを操作する。そして走って勢いをつけ飛び蹴り・ハイパーライダーキックをコーカサスの背中に放った。

 

「あ___ぐわああああ!!」

 

壁にコーカサスめり込み首ががくんと垂れた。気絶したようだがまだ変身は解除されてはいなかった。

 

「?おかしい。気絶したなら変身は解除される筈なのに……」

 

「おや、もう倒してしまったのかね」

 

気づくとまたハイパーカブトの後ろにはゴウラが立っていた。

 

「お前まだいたのか!」

 

「それは失礼じゃないか?まあいい。折角の被験体だ、回収させてもらおう」

 

「させると思うか?」

 

ハイパーカブトは吹き飛ばされていたクナイガンを拾う。ゴウラは笑いながらこちらを見ていた。

 

「残念だが、私は君と戦いたくはない……」

 

CAMEN LIDE

 

「こいつの相手をしてもらおう」

 

『………』

 

改造ディエンドライバーから召喚されたのは金の前角・銀と銅の後角を持つコーカサスのようなライダーが召喚された。基本カラーは金銀銅の三色でコンパウンドアイは白のコーカサスオオカブトをモチーフにしたような装甲で身長は二メートル以上という巨大の仮面ライダーだった。

 

「これはコーカサス・ケタロス・ヘラクスのデータを合成させたライダー。キングゼクターと呼ぶことにしよう。彼が君の相手をしてくれる」

 

『………』

 

召喚されたライダー・キングゼクターはハイパーカブトに体を向けながら無言で睨み付けている。

 

「俺はその間にそこの被験体を回収するとしよう」

 

「させるか_____」

 

ガシィッ!

 

「!………おい、退けよ」

 

『………』

 

ハイパーカブトがクロックアップを発動させようとスラップスイッチを押すため手を伸ばそうと動かしたが、キングゼクターが一瞬で目の前に現れ両手を掴んだ。

 

「では精々頑張れよ。仮面ライダー」

 

ATTACK LIDE INVISIBLE

 

その間にゴウラはコーカサスを抱えて姿を消した。

 

『………』

 

「くっ、オラよっ!」

 

ハイパーカブトは手を捕まれた状態のまま飛び上がりキングゼクターに両足での蹴りを放つこで拘束から解放された。

 

「ハイパークロックアップ!」

 

『………』

 

Hyper Clock Up

 

Hyper Clock Up

 

ハイパーカブトとキングゼクターは同時にハイパークロックアップを発動し、お互いに相手に向かって突っ込む。その速さ比例して風圧が発生し、売店の商品がいくつか吹き飛んでいく。

 

超高速の蹴りや拳が放ち合い、お互いの体に直撃していく。速さと手数の多さはハイパーカブトが勝っているがキングゼクターは一撃が重く、疲れか見える様子がなかった。交戦が続くにつれハイパーカブトの方には疲れが見え初め動きがぶれていく。

 

ドガッ!

 

「がはっ!」

 

Clock Over

 

そしてとうとうキングゼクターの一撃がハイパーカブトを完璧に捉える。腹に重い拳を喰らったハイパーカブトは壁に叩きつけれた。

 

「くっ…ここまで強いとはな。だったら奥の手を見せてやる。恨むなよ」

 

「Uシステム起動!」

 

『声態認証確認。Uシステム起動します』

 

ハイパーカブトのボディの装甲が剥がれ亜久斗のISが展開され纏う。空中でバラバラに浮遊したボディパーツは回転しながらISの装甲に合わせるように形を変えて装備させる。ISと仮面ライダーが一つになり、ハイパーカブトをベースとした形のISに変化した。

 

『仮面ライダー・カブトの同調を確認。Uシステム完了しました』

 

「さあ終わらせてやる。三秒数えな!」

 

Hyper Clock Up

 

『………』

 

Hyper Clock Up

 

ハイパークロックアップを発動し時間は限りなく遅くなる。キングゼクターもハイパーカブト同様に動けるがISと同調したハイパーカブトはそれ以上のスピードを誇る。

 

『瞬時加速(イグニッション・ブースト)』を使用し圧倒的な速さでキングゼクターに突進する。この間僅か0.54秒。突進を喰らったキングゼクターは退けぞるがそれよりも早く『円状制御飛翔(サークル・ロンド)』を使い後ろに回りこむ。ISの訓練はしていなかったわけでは無かったのでこれぐらいなら使用することは可能だ。そして

 

Maximum Rider Power

 

そしてその勢いをプラスしたハイパーライダーキックを横から叩き込む。キングゼクターの体が歪み装甲がいくつか剥がれ落ちたクロックアップはまだ続いている。1.27秒。

 

今度は大車輪のように何度も何度も蹴りを叩き込んだ。キングゼクターの角が折れたクロックアップはまだ続いている。2.58秒。

 

「これで終わりだ!」

 

両足での蹴りで壁にキングゼクターをめり込ませる。装甲はいくつも砕けで体の何ヵ所かは蹴りの跡で凹んでいる。そして壁にめり込ませた後両肩、鳩尾の三ヶ所を連続で蹴りまくり、最後にハイキックを喰らわせキングゼクターから背を向けた状態で歩きだす。2.98秒。

 

Clock Over

 

ドガガガガバガキヅジジズドドドドッ!!!

 

置き去りとなった蹴りの音がハイパークロックアップが解除されたことにより通路に響いた。キングゼクターの体は一気に凹み爆散した。

 

「きっかり三秒だ。力を合わせようが偽者が俺に勝てると思うなよ」

 

爆発の煙を背にし、ハイパーカブトはそう呟いた。

 

キングゼクターVSハイパーカブト。

戦闘時間・一分十五秒。



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七十九話 キャノンボール・ファスト終幕

「弱かったり、運が悪かったり、何も知らないとしても、それは何もやらない事の言い訳にはならない」
                          野上良太郎


空中では数機のISが戦闘を繰り広げていた。『サイレント・ゼフィルス』は一夏とセシリア、箒に鈴が。『ダークカブト』はシャルとラウラ、楯無が対応していた。

 

サイレント・ゼフィルスには同じBT兵器を持つセシリアが負傷ながらもダメージを与え、エネルギーを回復させた一夏が戦線に復帰。ダークカブトにはクロックアップという超高速移動があるもAICを持つラウラが動きを止め、シャルが高速切替を応用した中距離からの射撃に加え楯無の水のナノマシンを登載したISが徐々にお互いにダメージを与えていた頃。異変が起きた。

 

「_____スコールか、何だ?…………わかった、帰投する」

 

「何……?」

 

「……ふん……」

 

サイレント・ゼフィルスは一夏を一瞥すると背中を向けて飛び去った。

 

「あら?亡国企業は退散かしら?」

 

それを見ていたダークカブトが両手の巨大クナイガンをアックスモートで構えながら呟く。

 

「まああたしは最後まで______んもう、どうしたっていうのよ。……え?ああはいはい。わかったわよ。まったく、これからだったのに……」

 

ダークカブトはクナイガンをガンモードにすると片方を残し粒子に変換した。

 

「悪いけど、今日はこれでおしまーい。またね」

 

「行かせるとでも?」

 

「うーん。まあ全力で逃げれば余裕でしょ、AICは確かに厄介だったけど逃げるのにはなんの支障も満たさないしね。じゃあねえ」

 

Clock Up

 

ダークカブトは眺める様に手を振ると超高速移動で飛び去った。直線に飛んだ姿は確認できたがすぐにその姿は不可視となった。

 

こうして、キャノンボール・ファストの襲撃は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

「せーのっ」

 

「一夏、お誕生日おめでとう!」

 

「お、おう。サンキュ」

 

シャルの声を合図に連続して景気よくクラッカーが鳴り響く。キャノンボール・ファストは終了し時刻は夕方五時の織斑家。それは特に問題無いんだが……。

 

「この人数は何事だよ……」

 

そう、人数が以上に多いのだ。メンバーを整理すると、当初来る予定の箒、セシリア、鈴、シャル、ラウラ、メイア、エリナの女子軍。同じく俺、リュウヤ、シゲル、デネブの男子軍に加えて一夏の友達の五反田蘭とその兄五反田弾と御手洗数馬。

 

そしてさらには何故か生徒会メンバーの楯無、布仏虚、布仏本音。そして簪に新聞部の黛薫子先輩までいる、生徒会繋がりで楯無たちはまだいいとしてあんたは何故いる。

 

計二十人が決して広くないリビングに集まっていることでほぼパンク状態。さすがに入りきらないので何人かは外の庭に出て俺が用意した椅子に腰かけている。ついでに料理を用意するのも一苦労だったのでご飯はバーベキューになっている。

 

「にしても、何であんな事の後でよく騒ごうとするんだ……」

 

「いや、あんな事があったからこそ騒ぎたいんじゃないか?」

 

「……そうかもな」

 

庭から空を眺めながらジュースの入ったコップに口を付ける。そういえば、今回の襲撃でシゲルたちもゴウラの手下相手に戦ってくれたんだったな。

 

「なあシゲル」

 

「んー?」

 

「今回の襲撃のことで「ありがとう。は言うなよ」何故だ?」

 

シゲルは俺の言葉を遮るとジュースを飲み干して机に置いた。そして空を見上げながら口を開いた。

 

「親友だからって事もあるけどさ。今日俺はほとんど何も出来なかったんだ。リュウヤたちは励ましてくれたけどよ、やっぱりこればっかりは譲れない」

 

「だからお前が俺に礼を言うときは、一世一代の大活躍まで取っておけよ。驚かせてやるくらいの事をしてやるからさ」

 

「そうか……わかった。これからもよろしくな」

 

「おう!」

 

「亜久斗くーん、ちゃんと食べてるー?」

 

「おわっ、と、いきなり後ろから抱き着くのは止めてくれよ」

 

俺の後ろからのしかかるように抱き着いて来たのは楯無だった。いやに執拗に胸を強調するように俺の背中に当ててきた。

 

「ふふーん、いいじゃない。減るもんじゃないし」

 

「確かに無いよなー」

 

「ある。主に俺のSAN値とか理性が減る」

 

「あら、それならいいじゃない。傷心のおねーさんを慰めなさい」

 

「そうだぞ亜久斗、会長の好意を無駄にするんじゃないぞー」

 

「いい加減にしろお前ら。大体シゲルだって中学までエリナのアプローチに照れまくって……」

 

「ちょ、ちょっと待て!今それ言うか!?話題を戻そうぜ、その方が会長も」

 

「シゲルくんの恋バナ?面白いじゃない。おねーさんに話して見なさい」

 

「まさかの立場逆転!?亜久斗助けて!」

 

「さて、一夏のプレゼント渡さないとなあ」

 

「ちょっとお!」

 

後ろでシゲルが何か言っているが気にしないでおこう。俺は靴を脱いでリビングに上がり一夏のもとへ向かった。

 

「よお一夏……って何してるんだお前ら」

 

一夏はセシリアにケーキをあーんして食べさせていた。

 

「よかったなセシリア。役得だな」

 

「ええ、わたくしは満足しましたもの。少しおいとましますわ♪」

 

何やらご機嫌の様で鼻唄まじりにみんなが料理を食べているスペースに歩いていった。

 

「それ、オルコットのプレゼントか?」

 

「ああ、なんか高級のティーセットだってよ」

 

「そうか。なら俺からは費用二十万のCDサウンドスピーカーラジオを……」

 

「やめてくれ!?家の中にいるのにプレッシャーに囲まれたくねえよ!?」

 

「まあ冗談だ」

 

「な、なんだ冗談か……」

 

「これが本当のプレゼントな、一夏誕生日おめでとう」コネクトプリーズ

 

「サンキュ、これってCDプレイヤーか?」

 

「ああ、CDはついでにやるよ。俺の好きな曲が多い奴だけどな」

 

「サンキュな亜久斗。今度聞かせてもらうぜ」

 

「そうしてくれ、あ、トイレ借りるぞ」

 

ちなみに入っている曲は十五種類。

・仮面ライダークウガ!

・仮面ライダーAGITO

・Alive A life

・Justiφ's

・ELEMENTS

・始まりの君へ

・NEXT LEVEL

・Climax Jump

・Break the Chain

・Joumey through the Decade

・W-B-X~W-Bolied Extreme~

・Anything Goes!

・Switch On!

・Life is show time

・JUST LIVE MORE

 

である。オススメはJustiφ'sだ。この曲の良さを説明したいが、それよりもまずトイレに行こう。

 

 

「あー、また俺の敗けかよ……」

 

「大富豪じゃ大貧民の立ち位置は動かないとはよく言うけど……全部とはな」

 

「逆に会長はなんで全部大富豪なんですか?」

 

「くぅ……また勝てなかった。ジョーカー二枚あったのに……」

 

「スペードの三って便利ねー」

 

俺がトイレから戻ると、全員がボードゲームやカードゲームをしていた。トランプや人生ゲームをやっているようで、恐らく持って来たのは鈴だろう。

 

「お、亜久斗お前も入れよ大富豪と人生ゲームとツイスターゲームどれにする?」

 

「最後のはなんだ……。まあ大富豪で」

 

あっというまに時間は過ぎていった。リュウヤが大貧民から全く動かなかったり楯無とシゲルが上位争いをしたりセシリアやシャルたちとブラックジャックをしたりした。だがその途中で俺の頭から今日の襲撃の事が離れることはなかった。




テスト勉強の合間に更新。
新規小説『一戦前のライダーバトル~語られる事の無い物語~』始めました。よかったら御覧ください。感想評価等お待ちしております。


最後に一言。
ハーメルンの仮面ライダー龍騎ssの人気が薄いのは何故なのか。内容以前に見る人が少ないと思った。


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八十話 番外編・王様ゲーム


「お前のヴィレッジより面白い所なんざもう本当の地獄くらいしかあるまい?先に逝って、遊んで来い」
                           大道克己


 

「「「「…………」」」」

 

ここはとある部屋、集められたのは十四人の男女たち。その割合は女子の方が多くテーブルを囲んで座ったいた。全員からは緊張感がほとばしり汗を流している者もいた。そこで行われているのは_________

 

「王様ゲームッ!」

 

「「「「イエー!」」」」

 

王様ゲームだ。真ん中にいた男、剣崎龍矢が立ち上がるとそれに乗じて各人手を上げたり声を出したりと場の雰囲気をつくっていった。……三人を除いて。

 

「(王様ゲームってなんだ?)」

 

「(ていうかここ俺んち……)」

 

「(時刻が朝の八時という点に感しては無視なのか?)」

 

上からデネブ、一夏、亜久斗である。そう思うのも仕方がないと思うが話の都合上割合させて頂く。

 

「ルール説明!メイアよろしく!」

 

「オッケー。この箱の中に一から十三の数字が書かれた紙と王様の紙が入っているわ、王様の紙を引いた人は選択した数字の人物に好きな命令かできるわ」

 

「例えば三番が六番にデコピンをするとか、十番がコスプレとか命令内容は規定内を守っていれば何でもありよ。ただし私たちが高校生だと言うことを忘れないように、そしてこの王様ゲームの絶対に破ってはいけないルール。それは……」

 

「「「「王様の命令は絶対!」」」」

 

「(……何故全員ノリノリなんだ)」

 

亜久斗の思考が疑問の連打を叩き出すもそんなことは無視してゲームは始まる。ちなみに今回の番外編は特別に私、佐野満がお送りします。決してライダーバトルに参加したこととかは無いので勘違いをしないように。

 

「それじゃあ行くぞ。せーのっ!」

 

「「「「王様だーれだっ!」」」」

 

「「「「…………」」」」

 

勢いよく紙を手に取り自分にしか見えないように紙を見る男女たち、その反応は様々であった。

 

「……俺だ」

 

「王様」とかかれた紙を捲り見せたのは亜久斗だ。回りの反応は様々で顔を赤くする者や悔しがる者もいた。

 

「そうだな……」

 

じっくりと全員の顔を眺めながら笑う亜久斗、その姿に全員が内心でドキドキしている。

 

「二番と八番がコスプレをして外の街を出歩いてこい」

 

「「ええっ!?」」

 

ガタッと立ち上がったのはシゲルと鈴。その手にはしっかりと二番と八番の紙が握られていた。

 

「どうした?衣装なら俺が出してやるから早く行ってこい」

 

「ちょっと待ってくれ!コスプレって卑猥なのとか女装は嫌だぜ!」

 

「そ、そうよ!それに今何時だと思ってるのよ!」

 

「別にそんな事はないから安心しろ。それに朝からこんなゲームをしてる時点で時間帯を気にするな、それにこのゲームのルールを忘れたのか。王様の命令は」

 

「「「「絶対!」」」」

 

なんだかんだ言ってこの王様もノリノだったようだ。ニヤニヤと笑いながら王様の紙を見せつける。

 

「くっ、わかった。そんで?衣装ってどんな奴なんだ?」

 

「言っとくけどあんまり肌が見えたりするのは嫌よ」

 

いつも着ている制服の肩や腕を露出させている女子のセリフではない。

 

「これだ」コネクトプリーズ

 

亜久斗が魔法陣から取りだしたのは二つの着ぐるみ。片方は仮面ライダー真のそのまんまの姿の着ぐるみでもう片方はリュウタロスの姿の着ぐるみだった。

 

「ちょ、ちょっとさすがにこれは無理よ!チェンジ!」

 

「何故?肌も露出していないし女装でも卑猥な格好でも無いぞ」

 

「だからってもっと他のは無いのかよ!」

 

「鈴……」

 

「シゲル……」

 

なんとかこの着ぐるみを着ないですむように亜久斗に詰め寄る二人、そんな二人に一夏とエリナが寄り添う。

 

「「王様の命令は絶対♪」」

 

肩に手を置き飛びっきりいい笑顔ではにかみ、そういい放った。

 

二人は無言で着ぐるみに着替え玄関へと通じるドアの前に立った。

 

「「……いってきますー!」」

 

「ちゃんと人前にまで行けよー」

 

 

 

 

それから二人は帰ってきた。ぜえぜえと息をきらし若干疲れ目だった。

 

「人前に出たら物凄い勢いで撮影されたりしたわよ……」

 

「……俺なんて警察に通報されかけたぜ……」

 

着ぐるみを着たままなのに声でその場の現状が他の全員に伝わった。

 

「よ、よし。まあ次行こう次!せーのっ!」

 

「「「「王様だーれだっ!」」」」

 

「あ……私、王様」

 

次に王様と書かれた紙を開いたのは簪。それを見て一部は相当警戒していた、無理もない。一回目の結果がこれなのだから。

 

「じゃあ、五番は好みの異性のタイプを全員に言う」

 

「え、マジ?」

 

簪の言葉に反応したのは一夏だった。それに反応するようにほとんどが一夏の方に顔を向けた。

 

「え、……五番って一夏なの?」

 

「一夏の好みねぇ、そういや聞いたこと無かったな」

 

「……いや、俺は五番じゃない」

 

「またまたあ、嘘つくなって」

 

一夏は紙を掴みながら否定するもリュウヤがそれを否定する。一夏はふぅと息を吐くと紙を全員に見えるようにゆっくりと捲った。

 

そこには「3」と大きく書かれていた。

 

「な?違うだろ?」

 

「本当だ……。あれ?じゃあ五番は一体誰なんだ?」

 

「俺じゃないぞ」

 

「あたしも違うわ」

 

「……俺だ」

 

声の主は先程命令を下した亜久斗だった、その手には捲られた「5」と書かれた紙があった。

 

「じゃ、じゃあ……亜久斗。す、好きな異性は誰?」

 

「命令変わってないか?最初の命令を俺を実行するからな」

 

「まあ別にいいですけど、それで亜久斗さんの好みの異性のタイプとはどんな方なんですの?」

 

セシリアがそう聞くと他の全員も興味津々で亜久斗を見つめた。シャルロットやラウラに楯無と簪の顔は少し赤かったが。

 

「俺の好みか……。(どうする、今まで考えた事ないぞそんなこと。適当な事を言って誤魔化す事もできるがそれが後々響くかもしれないから駄目だ。どうすればいい……)」

 

顔はクールでもその頭の中はフル回転していた。好みのタイプ、亜久斗は五秒程考えた後、亜久斗は一つの結論に辿りついた。

 

「綺麗系より可愛い系の女子、以上。さて、次行くぞ」

 

簡潔に終わらせて次に持っていくことにした。何も詳しくとは言われてないので別にいいだろうと考えた亜久斗、ある意味でヘタレかもしれな____ウワッナニヲスルヤメロ!エンドオブワールドハカンベンシテ!※佐野くんがどこからか飛んできた銃撃で吹っ飛びましたのでここからは俺こと加賀美新が変わりにお送りする。ZECTの隊員とかじゃないからな。

 

「ま、まあ次に行きましょうか!(うーん、亜久斗くんは私をどう見てるのかしら?)せーのっ!」

 

「「「「王様だーれだっ!」」」」

 

ちなみに今のは楯無のセリフと心の声である。

 

「あら、わたくしですわ♪」

 

次に王様になったのはセシリアだった。

 

「では命令を……六番はわたくしにマッサージをしてくださいまし!」

 

「えーと、誰だ六番」

 

「俺じゃあないぞ、一夏は?」

 

「俺もだ、リュウヤは?」

 

「俺もだ、デネブ「長くなりそうなネタはカットしてね」はい……」

 

「で?結局六番は誰なのだ?」

 

「え~と……僕だよ」

 

ペラリと「6」の紙を捲って見せたのはシャルロットだった。

 

「じゃあ、マッサージするけど。肩揉みでいい?」

 

「え、ええ。構いませんわ」

 

それから数分はセシリアの肩をシャルロットが揉むという時間が続いた。その姿がお嬢様と執事に見えたのは見ていた者たちの秘密だろう。

 

「ふぅ、中々によかったですわよ」

 

「どうもセシリア。じゃあ次に行くよ。せーのっ」

 

「「「「王様だーれだっ!」」」」

 

「ふむ、私だ」

 

今度はラウラが王様、そして何故かその顔は自信満々だった。

 

「では命令を言うぞ。十番が九番にキスをしろ」

 

「「「…………え?」」」

 

ラウラの意外な命令に全員がぽかんと呆気を取られた。

 

「む?私の部隊の仲間から王様ゲームとはどういうものか聞いたのだが、こう言う命令をするものではないのか?」

 

「いや、一応あってるけど……その人って本当に軍人?」

 

「無論だ」

 

一度その人に日本の正しい文化もしくは自重というモノを学ばせてやれ。

 

「それで、誰と誰がキスをするんだ?」

 

「……俺だ」

 

「10」と書かれた紙を捲ったのは亜久斗。さっきからこいつに当たる確率が高い気がする。

 

「え……亜久斗?」

 

「そうだ。……で?俺は誰にキスすればいいんだ?」

 

ババッ!と全員がもう一度自分の持っている紙を確認する。安堵する者もいれば悔しむ者もいた。その中で、顔を赤くして紙を見る者が一人。

 

「……私」

 

IS学園生徒会長、更識楯無だ。

 

「え!?ほ、本当に!?」

 

「や、やっぱり止めた方がいいんじゃない?ほら、ラウラもそう思うでしょ?」

 

「私は最初にもうキスをしている。二度目などくれてやる」

 

「無駄に格好いい発言!?」

 

まさかの王様ゲームらしい展開に場は騒然とかした。対象者の二人を除いて。

 

「そうか……。楯無か」

 

「あ、亜久斗くん……」

 

亜久斗は顔を赤くした楯無の腰に手を回すと、ゆっくりと自身の体に近づけた。

 

「あ……」

 

「悪いな、我慢してくれ」

 

ゆっくりと二人の唇が近づいて行く。そして二人の唇が触れあう寸前、それは二人の間に挟まれた紙で遮られた。

 

「待って、お姉ちゃん……」

 

「簪ちゃん?さすがに今のを邪魔するのはちょっといただけないんじゃない?」

 

紙を二人の間に挟んだのは楯無の妹の簪だった。自分の好意を寄せている異性とのキスを遮られた楯無は不服な顔をしている。

 

「……お姉ちゃんの紙、六番」

 

「………え?」

 

簪が持っていた楯無の紙をもう一度見ると、確かにそこには「9」ではなく「6」と書かれていた。6の下には鉛筆で線がついているので確かにこれは9ではない。

 

「え、ええ~」

 

がっくしと肩を落とす楯無。それを見て安堵する回りだったがすぐに別の疑問が生まれた。

 

「……あれ?じゃあ九番は誰なんだ?」

 

全員がはっ!とし9番を探した。しかしその一秒後、それはすぐに判明した。

 

「……俺だった」

 

その人物は、織斑一夏。手には「9」と書かれた紙があった。

 

決して認められない一線が、今_____※しばらくお待ちください。

 

 

 

 

 

「ああ……、最悪だ」

 

がっくりとorz状態となる一夏、その目から涙が溢れていた。対して亜久斗は何でもないような顔をしている。

 

「な、なんでお前はそんなに平気なんだ?」

 

「ん?濃いめにリップクリーム塗ってたから」

 

そう言ってポケットからリップクリームを取り出す亜久斗。そのラベルには「新発売!乾燥を遮断するミントの匂い!」と書かれていた。

 

「そ、そうか……。じゃあ次で最後にするぞ。せーのっ」

 

「「「「王様だーれだ!」」」」

 

「っしゃー!俺だ!」

 

ガッツポーズしながら紙を捲って見せるリュウヤ。

 

「じゃあ王様からの命令な」

 

ゴクリ……。最後の命令に固唾を飲む一同。そしとリュウヤからの命令は……。

 

「一、三、四、七、十一、十二番は今日同じ部屋で寝ろ!」

 

「はあ?」

 

「なんだその命令は……」

 

「ていうか場所はどうするんだよ」

 

「そんなの寮でもホテルでも誰かの家でもいいだろ。明日は日曜日なんだしさ。で?誰なんだ?」

 

「「「「「「ピラッ」」」」」」

 

選ばれた六人が紙を捲った。

 

 

 

王様ゲーム最後の命令は終わり、その日は幕を閉じた。ちなみに今日一緒の部屋に寝ることとなったのは一夏、箒、鈴、シャル、亜久斗、楯無だったという。

 

 

 

 

 




番外編なのにろくなオチを作れなくてすいませんでした。
それと明日から本格的にテスト期間に入るので2月中旬くらいまで更新できません。感想評価等お待ちしております。仮面ライダー龍騎の方もよろしくお願いします。


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八十一話 乙女の喜び・迫る脅威

期末テスト~~~~オワター!イヤッフゥ!
どうもようやくテストを終えて更新に舞い戻って来ました、滝温泉こといずみです。普通に他の作品書いてたじゃねーかという方もいるでしょうが、私は戻って来たのですそれは確かなのです。それに書いていないと勉強なんてやるきになれかったですしISに時間を掛けすぎて寝不足でしたから他の作品書くくらいしか私には思い付かなかったんです。楽しみにしていた方はすいません。

それでは本編スタート!


「疲れた……」

 

バフッと気持ちのいい音を立てて大の字でベッドに倒れ込む亜久斗。その両腕はパンパンに腫れている。

 

その原因は長時間に渡る精密作業の性であった。キャノンボール・ファストの一件の後IS学園からの許可を取って一時会社に戻り事件の理と結果報告、それだけなら時間を使うだけでよかったのだがラボでイマジン'sが喧嘩していた性で仲介(物理)に入ることになった。

 

そしてなんとか納めたもののラボの部品や壁の一部等が損失してしまいその修復作業をしてからやっとIS学園に戻れたのだ。

 

ちなみに喧嘩の原因はウラタロスの彼女2からの電話にモモタロスが勝手に出てしまったことだったという。それから寝ているキンタロスが起きて椅子から転げ落ち寝転んでいたリュウタロスの上に落下、さらにリュウタロスの投げたボールがジークに直撃し……波紋のように広がっていったわけである。

 

時刻は夜九時半過ぎ、IS学園の一年生寮の食堂はとっくに閉まっており腹を満たすことはできない。

 

あのときに何か食べておけばよかったな……と寝ながら呟く亜久斗だがそう言いながらコネクトリングを使って魔法陣からカップメンを出している。ちなみにカレー味だ。

 

「……無理だな、もう腕が上がらない」

 

お湯を注ぎにいくだけで諦める男、なんと情けないことだろうか。カップメンから手を離して眠りにつこうと亜久斗は目を閉じる………。

 

コンコンコンッ

 

「………」

 

だがその直前、ドアをノックする音が部屋に届いた。ひかえめに感じる小さなノックだったが部屋が静かだったために亜久斗の耳にしっかりと届いた。

 

どうやら眠る事ができなかったようだ。亜久斗は体を前後に半回転運動させ無理矢理起き上がった後ドアに向かった。

 

「……誰だ?」

 

「私……今手が塞がってるから開けてもらってもいい?」

 

どうやらノックをしたのは亜久斗と同室の簪のようだった。亜久斗は二つ返事でそれを了承するとドアを開けた。

 

「こんな遅くまでどうしたんだ?まあとりあえずは部屋に入った方がいいな。廊下だと恐ろしい寮長に指導されそうだ」

 

「う、うん。お邪魔、します……」

 

ここは自分の部屋でもあるのに何故お邪魔しますなのかと思った亜久斗が言うのは止めて置いた。簪は部屋に入るとベッドに座った。それをよーく見ると両手には何かを持っていた。

 

「簪、それは…カップケーキか?」

 

簪が持っていたのは三つの抹茶のカップケーキ。一つ一つが丁寧に袋に入れられておりリボンで袋が閉じてあった。それを両手で大事そうに抱いていた。

 

「う、うん……作ってみたの。亜久斗に…食べて、ほしくて……」

 

簪は恥ずかしそうに顔を赤らめながら亜久斗に三つのカップケーキを渡した。貰った亜久斗も顔を赤くしながらそれを受け取った。

 

「ありがとな、丁度腹が空いていたから助かった。……ん、上手いな」

 

口に広がる砂糖の甘さと抹茶の芳醇な香り、やわらかいケーキの食感が亜久斗の空腹を消していく。

 

「ほ、本当に……?嬉しい……」

 

若き恋する乙女、簪は亜久斗が喜ぶのと自分の料理の味を美味しいと言ってくれたことにぱあっと表情を明るくした。

 

「ああ、ありがとな簪」

 

「えへへ……」

 

ここに毒男がいたならば、全員が血を吐いて倒れる程の笑顔ではにかむ簪。亜久斗も口にカップケーキを頬張ることで照れを誤魔化している。眠るまで幸せな時間が二人を包み込んでいた。それはまさに桃色と言えるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

どこかもわからない場所の薄暗い部屋の中、何人かの内一人の男が特殊なバイザーをかけながら空中投影ディスプレイに表示された幾つものデータをその向こう(・・・)を見ながら同じ空中投影型のキーボードを操作している。

 

「ダークカブトの稼働データとしては申し分無いがやはり全ての機能を使っていない分まだデータ不足、実践経験がいるな……」

 

その男、加賀利之は指を動かしたまま呟いた。加賀の周りにはその部下と思える数人が同じように空中投影型キーボードを叩いていた。部屋を照らしているのはディスプレイとキーボードの光、そしてディスプレイの向こう側のみである。

 

「どうかな?ダークカブトの方は」

 

プシューと音を立てながらスライド式ドアが開いた。入ってきた男ゴウラは加賀に近づきディスプレイの向こう側を見た。加賀はバイザーを取り外すとディスプレイを二周り程拡大させた。

 

「はい、稼働率とデータは申し分無く負傷箇所等もあまり見られませんね。ですがまだ使われていない武装が多いので更なるデータが必要かと」

 

「それなら大丈夫だろう。先日丁度いい訓練係が見つかった、彼にデータを取る相手役をしてもらおう」

 

「……なるほど」

 

加賀はバイザーを再びかけ直すとキーボードを叩く作業に戻った。

 

「もうすぐ完成ですね…」

 

「ああ、私の過去最高傑作だよ……。最も、更に進化しているがね」

 

ゴウラは向こう側の数十本もあるプラグに繋がれた人型の機体を見つめた。プラグを流れる電流に反応してその機体の眼が輝き光っている。

 

「クク……楽しみだ。早く試したくて溜まらんよ」

 

ゴウラは二つの機体を眺め続けていた。

 

 




いつもより短いですね、まあ大体二千~五千程度ですがね。それと新しく小説を始めました。仮面ライダー龍騎と東方モノです。よろしければぜひご覧ください。

感想等お待ちしております。


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八十二話 雑誌


「お前楽して助かる命はないって言ったな、タダで助かる命もないんだよ!」
                            アンク


「やっほー、織斑くん。篠ノ之さん」

 

翌日の二時限目終了後の休み時間、一年一組の教室に現れたのは二年の黛薫子先輩だった。呼ばれた一夏と箒が黛先輩に寄っていった。

 

「なんだと思うあれ?」

 

「恐らく……雑誌関係だと思うぞ」

 

「「雑誌?」」

 

リュウヤとシゲルが首をかしげながら俺の隣に立った。丁度一夏たちが見える方を向きながら。

 

「ISの専用機持ちって言うのはその大半が国家代表か候補生に絞られている。だからモデルやアイドルのようにタレント的な事をすることがあるんだ」

 

「へー、じゃああの黛先輩はその出版社の知り合いとかか?」

 

「ああ、そんなとこだな。あの人の姉黛渚子(まゆずみなぎさこ)さんが『インフィニット・ストライプス』の副編集長を務めているからな」

 

「なるほどなるほど、じゃあ今一夏たちはその許可を解任している最中ってことだな」

 

「可能性の話だからな」

 

そのときに鈴が教室に入って来た。話に割って入ると一夏の首を引っ張って自分の携帯電話の画面を見せている。

 

「……あの様子だと鈴もやったことあんのかな?」

 

「たぶんそうだろな。あ、次の授業内容確認してかないと」

 

「亜久斗も自分の席に着けよ」

 

「ここ俺の席なんだが?」

 

「わかってるって、ただボケて見ただけだぜ」

 

リュウヤたちが席に着いた丁度休み時間終了を告げるチャイムが鳴り響いた。黛先輩は自分の教室に、一夏と箒は自分の席に戻るが鈴だけは気づかず画面を見せるのに夢中に……織斑先生の拳骨が炸裂して頭を押さえながら教室に戻っていった。

 

「さて、今日は近接格闘における効果的な回避方法と距離の取り方についての理論講習を始める」

 

そしていつも通りの授業が始まった。織斑先生の行動に慣れてしまった俺はおかしいのだろうか?……いやまだ大丈夫な筈だ。

 

 

 

 

四時限目が終わり俺たちは食堂での食事を行っていた。ちなみに俺のメニューはレバニラ炒めとコロッケのセット、箸が進むな。隣にはリュウヤとシャルが座っている。

 

その途中でシャルがおもむろに口を開いた。

 

「そういえば一夏、二時限目の後黛先輩と何話してたの?」

 

「ん?ああ、雑誌の独占インタビューだってさ、でも俺と箒って芸能関係ほとんど疎いからよくわかんねえや」

 

「おっ、予感的中」

 

箸をビシッと一夏に向けるリュウヤ、汚いなおい。あ、使ってない箸ならいいか。

 

「予感的中ってなんだよ?」

 

「亜久斗が言ってたんだよ、雑誌関係だろうなって」

 

それを今言ってどうする。

 

「そういやみんなモデルとかしたことあるのか?鈴やセシリアはしたことあるらしいけど」

 

「ええ、イギリスでは少し有名だったものですから」

 

一夏の台詞に少し誇らしげなセシリア、それに箒が横からむすっと睨んでいる。

 

「僕はやったことは、ないかな。色々と忙しかったし」

 

「私もだな、軍人たるものそんな邪な物に参加する必要はないからな」

 

……この二人の場合過去の事もあるからな。シャルは存在自体隠蔽されていちようなものだし、ラウラはそれ以前だろうからな。というか一夏わかって言っているの……な訳ないな。

 

「ふーん。ん?雑誌ってメディア関係なんだろ?結局は有名な奴が載る訳じゃん?」

 

「そういうものなのか?ってそれがどうしたんだシゲル」

 

シゲルの突然の呟きに聞き返す一夏。

 

「いや……それなら亜久斗はやった事あんのかなあって……」

 

「ご馳走さまでした」

 

ガシィッ

 

「……どうしたんだ二人とも、腕を掴まれてたらお盆を返しに行けないだろう?」

 

俺が席から立ち上がろうとすると隣に座っていたシゲルとシャルが俺の腕を行かせまいと掴んで来た。

 

馬鹿な……なんだこの力は、お盆を持っているとはいえ俺が動けないだと!?

 

「いやいや、もうちょっと話してからにしようぜ。俺たち親友だろ?片付けなら一緒でもいいじゃないか」

 

だったらそのニヤニヤした笑顔を止めろ。

 

「そ、そうそう。それにほら、亜久斗が聞かれてるんだから答えないと」

 

悪いなシャル、これはどうやっても譲れないんだよ。

 

「あ、そういえば鈴の写真は携帯に____」

 

「携帯ゲットォー!」

 

「待てメイア!お前いつの間に俺の側に移動していたんだ!?」

 

一瞬のうちに俺の携帯、ケータッチが奪われてしまった。くっ、こんなことならデータを移入しておくんじゃなかった……!

 

「「「「………おお」」」」

 

「ほ、本当にこれが亜久斗なのか?」

 

「いや、これは……」

 

「「「「別人にしか見えない……」」」」

 

「くっ!」

 

俺の携帯のデータフォルダに写っていた写真。そこには俺が中学二年の時にメグ姉同伴で雑記出版社に連れていかれたついでで撮影されたモノ。そこにはドレスアップされたメグ姉と俺の姿、しかも俺の姿はハンフリー・ボガードばりのソフト帽にブラックウィンドスケールベスト、縦しまのシャツ。そしてスラックスという正に左翔太郎スタイル、おまけに左手にはマグナム。………思い出すだけでも死ねる!

 

「亜久斗が雑誌の経験をあると思ってたけど…まさかこの服装とは思わなかったぜ」

 

「す、すごく似合っているな……。この銃は本物か?」

 

「つーか亜久斗もノリノリじゃないか」

 

「うっ……」

 

くそっ、メグ姉の性だ!何がこれから社長をやっていくのには絶対に通らないといけない道なのよだ!しかもこの服装を選んだのは俺自身………畜生!

 

「………亜久斗」

 

肩を震わせている俺に手を置いてきたのはリュウヤだった。さっきのような笑った顔ではなく慰めの混じった顔で俺を見つめてくる。

 

「大丈夫だ、厨二病を日本人の中学生が体験するのは仕方ない事だからさ。恥ずかしがんなって」

 

「レディファイツ!」

 

バシッ!

 

物凄くムカついたので裏拳を鳩尾に喰らわせた。と思ったらいつの間にか横から割って入って来たデネブに防がれていた。

 

「亜久斗、こんなところで喧嘩はよくないぞ。食事中だ」

 

「ッ……ああ、悪い。すまなかったなリュウヤ」

 

「い、いや俺もかける言葉が悪かったしな。別に気にすんなって」

 

チョイチョイ

 

「ん?」

 

俺がリュウヤに謝ると今度は肩をそのデネブにつつかれた。

 

「まあ元気だせよ、俺の天ぷらを分けてやるから」

 

俺のお盆の皿にさつま芋の天ぷらを載せるデネブ、その手は親指がグッと立てられていた。

 

「唸れ俺の両腕!」

 

「「グアッ!」」

 

瞬間的にラリアットを喰らわせた俺は悪くないと思う。お盆?ちゃんと置いてからやったから傷ひとつないぞ、ちなみに天ぷらはしっかりいただいた。




コスプレで仮面ライダーの格好する人っていますよね。あれが自作って思うと作り方が知りたくなります、中学一年のときに何かの会場で地獄兄弟を生で見たことがあります。


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八十三話 タッグマッチ

「じゃあ…どうやって英雄に…なるのかな…。香川先生…次は僕…誰を…」
                            東條悟


突然だが、今月は全学年合同のタッグマッチが行われる。

 

その内容は前回のキャトンボール・ファストの襲撃事件を踏まえて各専用機持ちのレベルアップを図るために一年、二年、三年の専用機持ちでタッグを組ませてトーナメント形式で試合を行うというもの。これが個人ではなくタッグマッチであるのには万が一襲撃された場合の危険を考慮しての事だろう。

 

三年生の専用機持ちはダリル・ケイシー先輩とレナ・エイプリル先輩。二年先は生徒会長の更識楯無とフォルテ・サファイア先輩。一年生は俺と織斑一夏に篠ノ之箒、セシリア・オルコットに凰鈴音と更識簪。シャルロット・デュノアとラウラ・ボーデヴィッヒに佐藤萌衣亞と雪村絵里菜。合わせると計十四人、国家代表・代表候補生・テスターを含めた数は少ないとは言えずISの専用機持ちが十人以上いるならば軍隊を幾つも相手にできるだろう。

 

話がずれたな。全学年合同タッグマッチはその名の通り専用機持ちでタッグを組んでトーナメントを行う訳だ、当然俺もペアを見つけなければいけない。

 

だが一夏は楯無から頼まれたらしく簪と組んだ。一件は終わってもあの二人の仲が近くなく遠すぎずと言った状態だと見かねた楯無が親密にさせようと頼んだらしい。良いことだと思うぞ。ちなみに知ったのは昨日、まだ他の奴には知らせていないんだとか。

 

俺は組むとしたら誰にするべきなのか。だが俺にはそれを考えるまでにやるべきことがあるのだ。

 

「……いただきます」

 

この昼食、チャーシューメンを片付けるという仕事がな。

 

 

 

 

「待っていたぞ、亜久斗」

 

俺が食堂で食事を済ませ教室に戻ると、そこにはラウラが仁王立ちで待っていた。バーンと言う効果音が見える気がするな。

 

「どうしたラウラ、もうすぐ授業が始まるんだが」

 

「タッグマッチの件だ。当然私と組むのだろうな?」

 

………ふむ、どうだろうか。ラウラのIS『シュヴァルツェア・レーゲン』はプラズマ手刀や大型レールカノン、ワイヤーブレード等を備えている中距離と近距離タイプ。相手の動きを止めるAICもかなり強力だ。確かに戦力は申し分ないし全然問題は無いな。

 

「これが申請書だ。さっさとサインをしろ」

 

「ああ、じゃあ_______」

 

パンッ!

 

返事をしようとした瞬間、俺の頭が後ろから叩かれた。平たい鈍器とも言われるこの出席簿の威力は間違いなく織斑先生だ。

 

「ドアの前で通路を塞ぐんじゃない。もう授業を始めるぞ早く席に着け」

 

「はい……。悪いなラウラ、また後で」

 

「あ、ああ」

 

俺とラウラは席に着き、その後から走って教室に来た一夏は俺同様織斑先生の出席簿を喰らった。

 

 

 

 

「夜霧くんお願い、私と組んでくれないかしら?」

 

「What?」

 

放課後の一年生寮。その入り口に見知らぬ女子が立っていて俺を見つけると開口一番にその言葉を放たれた。

 

「(………誰だ?)」

 

俺はこの人に会った記憶がない。赤いリボンということは三年生なのだろうが俺の知り合いにIS学園の三年生はいないしまず接点が………ん。

 

ああ、そういえばある。全学年合同タッグマッチだ。それならばわざわざ一年生寮に来たことも納得がいく、組む相手を探しに来たということだろう。三年生ならダリル・ケイシー先輩もしくはレナ・エイプリル先輩だろう。ダリル・ケイシー先輩は二年生のフォルテ・サファイア先輩と組んでいるらしいからこの人がレナ・エイプリル先輩なのだろう。

 

翠色の瞳に太陽の光でキラキラと光る薄い金色の髪を腰の辺りまで伸ばして紐で束ねている。制服は簪以上セシリア未満ほどの長さのスカートだった。

 

「駄目かな?」

 

「いえ、駄目とかそういうことより何故俺を?他にも専用機持ちはたくさんいるでしょうに」

 

情報としては俺よりも生徒会長である楯無、ドイツの軍人でもあるラウラ等の実力の奴等の方がいい筈。それに俺の戦闘データは代表決定戦と学年別トーナメントのみだから俺の評価はそこまで高くは無い筈。

 

「理由は簡単よ。単純に組む相手がいないだけ、ダリルは二年生の子と組んじゃったし」

 

「でもそれなら他の一年生でもいいのでは?俺や一夏、箒はともかく他の生徒は代表候補生ばかりですが」

 

「それもそうなのだけれどね、私としては男性操縦者である君の実力が知りたいし、接点が欲しいからね」

 

「……接点?」

 

「ええ、貴方たちは結構注目されてるのよ?男子の一人とお近づきになりたいと思ってる人はたくさんいるのよ」

 

……なるほどな。確かにこの人の言う通りかもしれない。今までいなかった男性操縦者の存在は注目の的となるだろうからな。だが今の話でわかったことがある。

 

「……貴女はその目的じゃ無いんですよね?微塵も俺とお近づきになりたいとか思ってなさそうですが」

 

「あら鋭い。正解ね」

 

この人は嘘をつく気なのか違うのか。どこか楯無に近い気がするのは気のせいなのだろうか。

 

「実はね、私も新聞部なのよ」

 

「それがどうしたんですか?」

 

「知ってると思うけど私って専用機持ちなのよ、他の部員や同級生からの期待もある程度はあるし、それで薫子ちゃんや他の子たちに頼まれちゃったのよ。夜霧くんの×××」

 

………んー?

 

「というわけで私と組んでついでに新聞部に来て写真を撮らせて欲しいのよ。あと取材」

 

「……いや俺ご遠慮しますから」

 

できれば本当にご遠慮願いたい。撮影とか、最近は黒歴史を思い出した性で関わりたくない。

 

「それにタッグマッチならラウラと_____」

 

「あら、でも私戦力としては申し分なき筈よ?」

 

「……何故ですか?」

 

エイプリル先輩俺に向き直って自分の胸もとに手を当てた。

 

「だって私、元生徒会長だもの」

 

………なんですって?




ここに来てオリキャラを出しました。何しろ人数が合わなかったので、亜久斗だけ一人というのも考えたんですが他の方の作品と被ってしまいますのでね。まあ無理矢理ですが。レナ・エイプリルちゃんの出番は恐らく七巻だけだと思いますけどね。
タッグマッチは殆どオリジナルになっちゃうかなぁ、人数とかストーリーの都合で。それと私の家の電子レンジがぶっ壊れてしまいました。冷凍食品を温めていただけなのに……ウソダドンドコドーン!


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八十四話 結局ペアは……

「諦めるな!まだ俺がいる」
         操真晴人


前回のあらすじ

 

元生徒会長にペアの申し込みをされた。

 

 

 

さて、俺の目の前にいるIS学園元生徒会長レナ・エイプリル先輩。俺に今度行われる専用機持ち専門のタッグマッチのペアを組んでほしいと言ってきた。

 

いやそれは別に構わない、だが問題はISと個人の戦術の相性。そして今日先に俺に申し込んで来たラウラを断らなければならなくなるということだ。

 

俺のIS『仮面ライダー』なのだが現在使えるのはアクセル、オーズ、ウィザードの近距離戦重視がほとんどでありもしこの先輩の専用機が近距離型であるならば俺は恐らくそちらを使うかもしれない。

 

いやISに限らず戦術というのは近距離・遠距離が組むという法則なんてものは存在しない。一対一と一対一で行う場合もある。別にこれには問題ないわけだ。

 

もう一つはこの先輩と組んだ場合ラウラの申し込みを断らなければならない。ということだ。というかこっちの方がまずい。

 

そもそも先に申し込みをしてくれたのはラウラだ。それを俺は(織斑先生の件もあって)返事を出さないままでいる。これで俺がもしエイプリル先輩と組んだ場合、ラウラは絶対怒るだろう。

 

そして俺は女子の怒りというものを実感している、現に一夏がそうだ。あいつは『色々』あって箒たちを怒らせることが多い。その時の反応が尋常沙汰ではないのだ。全員がISを部分展開して襲ってくるらしいぞ、誰か止めてくれ。

 

「夜霧くん、さすがにいきなり押しかけちゃったし混乱してるかもしれないから、返事はまた後日でいいわよ」

 

「え?」

 

俺が百面相をしているとエイプリル先輩が突然話を打ち切らせてきた。これには俺も驚いてしまった。これが三年生か……楯無もこうなるのだろうか?

 

「ああ、そうしてくれるとありがたいですね。丁度他に来てくれた女子もいるので」

 

「おっ、夜霧くんモテてるね~。まあ頑張りなさいな。それと、私と組んだら新聞部に顔出してね」

 

「わかりました」

 

エイプリル先輩はそう言って帰っていった。門限内に帰っていくのはさすがというか……同じ生徒会長でこうも違うのか、見習ってほしいものだ。

 

というかペアの件。どうすればいいんだろうか。

 

 

 

 

 

 

数時間後。食事を終えて悩みまくった結果俺は一夏のところに助言を聞きに行くことにした。食堂では会わなかったが恐らく部屋にはいるだろう、日常茶飯事的に女子にいいよられているあいつなら解決策を聞かせてくれるだろうしな。

 

「あ、織斑先生」

 

「夜霧か、どうしたこんな時間に。織斑に用でもあるのか?」

 

廊下を歩いていると、曲がり角から織斑先生が出てきた。この時間帯ならば見回りをしているのだろう。

 

「ええ、少し聞きたいことがあるので……」

 

「そうか。あと一時間もすればお前も処罰の対象だからな、用は早めに済ませろ」

 

「わかりま……ん?お前「も」ってことは誰か問題でも起こしたんですか?」

 

「……ああ、篠ノ之とオルコットだな。勝手にISの無断使用をしていた罰として、第一グラウンドをIS装着して十周させている」

 

「……うわぁ」

 

大変だろうな、二人は。

 

「では私は行くぞ。お前も早く寝ろよ」

 

「わかりました」

 

織斑先生は俺と反対方向へ行ってしまった。俺は心の中で二人に合掌しつつ一夏の部屋に向かった。

 

 

 

それから、わかったことは二つ。一夏に聞いても対して変わらなかったこと、一夏の部屋のドアが吹き飛んでいたことだ。

 

ちなみに吹き飛ばしたのは織斑先生らしい。さすが人外。

 

 

 

 

翌日、一年生寮の食堂で俺はコーンフレークを口にしながらペアのことについて考えていた。

 

「(……あれから考えてみたが、やはり先輩にはお断りさせてもらおう。先に来たラウラに申し訳ないからな)」

 

「あ、亜久斗」

 

「ん?」

 

ふと声をかけられた方を見ると、そこにはお盆を手にしながら立っているラウラがいた。だがその表情はいつもと違っていた。

 

「ラウラか。ペアのことなんだが俺は_____」

 

「その、すまない!」

 

…………んー?

 

「お前には悪いが、その……実は昨日の夜にシャルロットと組んでしまったんだ!」

 

「」

 

どうやら、俺の知らない間にご都合主義が働いていたようだ。

 

そして昼休み、授業を終えた俺は三年生の教室に向かうことになるのであった。




普段より短いです。あと小説増えてきましたね。


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八十五話 タッグマッチ当日・双戦機

久しぶりの更新です。他の小説との両立も中々大変ですね。
今回はタッグマッチ戦当日、そして何話かに分けていこうと思います。そして、オリキャラの出番もあります。何話目にになるかわかりませんが……。

それでは本編スタート!


「それでは、開会の挨拶を更識楯無生徒会長からしていただきます」

 

あれから数日、いよいよ専用機持ちタッグマッチトーナメント当日となった。現在話しているのは同じ生徒会の虚さん、彼女は社交辞令と必要な事だけ言い述べると司会用のマイクスタンドから一歩下がった。

 

「ふあー……ねむねむ……」

 

「しっ。のほほんさん、教頭先生が睨んでる」

 

「この話で最後だから頑張って!」

 

「ういー、がんばるよー……ォ」

 

「………大丈夫なのか?」

 

虚さんと同じ生徒会メンバーである俺たちはその後ろで一列に整列していた。その中で布仏さんだけが眠そうに目を擦り、首を何度もコックリと動かしている。

 

そして彼女を挟んでいる位置にいる一夏とデネブが彼女を起こそうと必死なんだが……目が覚める気配は欠片もないだろうな。

 

「どうも、皆さん。今日は専用機持ちのタッグマッチトーナメントですが、試合内容は生徒の皆さんにとってとても勉強になると思います。しっかりと見ていてください」

 

よどみなく澄んだ声で開会の言葉を述べるのは楯無、彼女を見ているとやはりどうしてもレナ先輩と重なってしまう。

 

過去の生徒会長は全員同じ性格だとか……ないよな?

 

「まあそれはそれとして!今日は生徒全員に楽しんでもらうために、生徒会である企画を考えました。名付けて『優勝ペア予想応援・ 食券争奪戦!』」

 

ぱんっ、と『博徒』の文字が書かれた扇子を開き先程とは間逆の勢いでとんでもないモノを追加した楯無。お前は普通に行事を過ごすことはできないのか。

 

「ってかそれ賭けじゃないですか!」

 

「織斑くん、安心しなさい」

 

「え?」

 

「根回しはすでに終わっているから」

 

華やかな笑顔を浮かべながらグッとサムズアップを向けてくる楯無、周りをよく見ると教師陣は誰も反対しておらず、織斑先生が頭を痛そうにしているだけ、眠そうにしていた布仏さんも、彼女を起こそうとしていたデネブもいつの間にかサムズアップをしていた。

 

無駄にいい顔で。

 

というか俺は聞いていないんだが?そして布仏さんよ、先程の眠気はどこにいった。

 

「それにこれは賭けではありません。あくまで応援です。自分の食券を使ってそのレベルを示すだけです。そして優勝ペアを当てたら配当されるだけです」

 

「そ、それを賭けって言うんです!」

 

どうやらこいつも俺同様聞かされていない一員らしい。

 

「おりむー、全然生徒会にこないから~。私たちだけで多数決とってすすめましたぁ」

 

「くっ……。そりゃ確かに最近は行ってねえ…!デネブ、お前はどっちに票を入れたんだ?」

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

「……すまん、賛成に入れた」

 

「ウゾダドンドコドーン!」

 

一夏!?まさかショックでオンドゥル語を!?

 

「ちなみにぃ、夜るんは会長が『亜久斗くんは最近忙しいから多分反対だと思うし、呼ぶのも悪いからそっとしておきましょう』って言ってたから多数決には参加できなかったんだよ~」

 

………なるほど、俺が行かなかった二日間のうちに済ませていたとはな、そして情報をまったく漏らさないとは…恐ろしいな。

 

「では、対戦表を発表します!」

 

大型の空中投影ディスプレイが楯無の後ろに現れ、トーナメントの対戦表が表示された。

 

『第一試合 織斑一夏&更識簪 VS 篠ノ之箒&更識楯無』

 

 

 

 

「はぁ……俺はあの先輩苦手だ、同じ性格のようなんだがな、何が違うんだ……」

 

俺はあの開会式の後、試合時間までの時間潰しに廊下等を徘徊していた。前回の時に起こった襲撃が無いとは言えない、いや、今回も恐らくあるだろうな、前回同様に。

 

それを見据えて俺は今回、フードロイドを見渡しのいい場所に設置しておいた。俺だけの行動範囲では敵を見つけられない可能性が高い、そこでバガミールの機能を監視カメラ代わりにしている。

 

そしてついさっき携帯から鳴った着心音。だがそれはバガミールからの通報ではなく実にどうでもいい内容だった。

 

『夜霧くんへ

ちょっとダリルちゃんのとこ行ってくるね、試合まで時間はだいぶあるからそれまでには戻るから。

ちょっと話してくるだけよ、相手からの情報収集になる「かも」しれないし』

 

これがメールの内容、差出人は俺のペアことレナ先輩である。

 

そしてこのメールの胡散臭さである。絶対に情報収集なんてする気ゼロだろう、何よりあんたら同級生なのに情報収集そこまでいるのか?そして「」をつけるな、ばれたいのばれたくないのかどっちなんだあんたは。

 

「試合まであと三十分と少し、どうするか…………!」

 

一夏たちの試合までの時間を確認した時、着心音がポケットの中で響いた。今度は当たり、当たってほしくは無かったがな。

 

『不審人物発見!』

 

『場所!アリーナ外部!』

 

俺の足はその場所へと向いた。携帯に写し出された画像は、前回の襲撃の首謀者ゴウラだった。

 

 

 

 

「おやおや、よく俺がここに来たことがわかったな」

 

「まあ、監視カメラがあったからな。……何をしに来た、ゴウラ」

 

アリーナ外部、そこで俺はゴウラと対峙している。ゴウラは見たところ何も所持していないが、恐らくは懐にでも改造ディエンドライバーを隠している筈だ。俺も腰にオーズドライバーを装着している。

 

「監視カメラね……まあいいだろう。どうせ何も変わりはしない」

 

「どうかな、悪いがここから先には行かせない。……部下も彷徨いてる様子もないしな」

 

仕掛けたバガミール型の監視カメラは八台。そいつらは現在ゴウラの付近を彷徨かせている、携帯に通報がこないのならこいつの部下はここにはいないということだ。

 

「確かに、部下はここにはいない。だが今回は前回の襲撃で頑張った君たちにご褒美をあげようと思ってな」

 

「こいつらの最初の実戦相手をしてもらうという、な」

 

CAMEN LIDE

 

「_________っ!」

 

ゴウラは改造ディエンドライバーに紫色のカードを挿し込んだ。刹那、周りを光が包み込む。

 

そして光は止み、ゴウラの前には見に覚えのある二機が佇んでいた。

 

「これがかつて、俺の最高傑作。アガレスとストラスだ。ライダー全てのパワーとテクニック、そして怪人たちの憎しみと闘争本能を改造ディエンドライバーによりミックスしている」

 

そこには、闇を表す黒、血のようにドス黒い赤、紫に光る機体を持った兵士がいた。

 

黄金に輝くバイザー型のライン・アイ、三メートル程ありそうな巨体に赤血色と紫をベースにしたカラーに筋肉を模したような剛腕、まるで怒り狂う巨人のような姿をした機体、アガレス。その腕は垂れるような形になりながら強く握られている。

 

同じく黄金に輝くバイザー型のライン・アイ、こちらはアガレスのような巨大さは無いがそれでも二メートルはある。漆黒と紫をベースにしたカラー、その右腕はランスのようなライトセイバーになっており、身体中に浮き出ているラインが全てそこを通るようになっている。冷静に獲物仕留める狩人ような姿の機体ストラス。その体は空中に浮いている。

 

「もっとも、これは試作品。だが以前より格段にパワーアップしているぞ。そして____」

 

ゴウラはポケットへ手を突っ込むと中からカードを取り出し、ディエンドライバーを足元に向けて構えた。

 

「!?そのカードは!」

 

「ククッ……」

 

ATACK LIDE ILLUSION

 

「________!馬鹿なっ、そんなことが……!」

 

ゴウラが挿し込んだカードはイリュージョン。そしてその能力は分身を作ること。

 

俺の目の前で、アガレスとストラスは合計で十二体にまで分身した。

 

「改造ディエンドライバー用の使い捨てのカードだよ、本物とは違って、倒さないかぎりこの世に居続けるがね」

 

「ちィっ!変身っ!」

 

タカ!トラ!バッタ!タ・ト・バ・タトバ・タ・ト・バ!

 

十二体の機体が俺の方を見た事に危険を感じ、オースキャナーをオーカテドルにスキャンさせ仮面ライダーオーズへと変身する。メダジャリバーを構えるがアガレス、ストラスたちは一向に俺に攻撃してくる気配がない。

 

「そう身構えなくてもいい、君にこいつら全てを相手にさせる訳ではない。そんなことをしてもデータはとれん」

 

「………だったらどうするつまりだ?一体ずつ戦わせるとでも言うのか?」

 

「そんなことはしない。データは多い方がいいのだから……な」

 

「まさか!」

 

ゴウラはディエンドライバーを上空に一発、開会の相図のように撃った。

 

______pp

 

その瞬間、十体のアガレスとストラスが二組ずつで散らばっていった。

 

「お前……まさか、数を増やしたのは!」

 

「ああ、他のライダーたちと戦わせるためだ。一応、専用機持ちとやらの実力もためしたかったしな。今日はタッグマッチだそうじゃないか、二対二なら丁度いい。もっとも」

 

「君は一人で、だがな」

 

ゴウラは姿を消し、俺の前に残ったアガレスとストラスは囲むように移動する。お互い腕は下にだらんと垂れているがそのライン・アイは標的を確認したように輝いていた。

 

『敵ライダー・オーズ。条規にそってすみやかに戦闘を開始する』

 

「……やるしかないってことか。二対一だからって簡単に勝てると思うなよ!」

 

みんなはそれぞれで対応する筈、だったら俺はこいつらを倒す!

 




次回から戦闘へ、そして補足ですが改造ディエンドライバーのCAMEN LIDEは仕様です。


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