艦これ大戦 ~君あるがために 恋する艦娘達よ大志を抱け~ (タケノコ屋)
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第一章 始まりはあの海の向こうから編
ソルティ・ロード0「アイアンボトムサウンド海戦」


艦これをベースにしたオリジナル小説「艦これ大戦 ~君あるがために 恋する艦娘達よ大志を抱け~」は艦これをベースにし、アニメ版の設定に加え、サクラ大戦やスカイガールズ、ストライクウィッチーズ、蒼き鋼のアルペジオなどの設定を加え、さらにシリアスな人間ドラマに様々な思惑により暗躍する各国や軍の策略や陰謀、時には悩み傷つきながらも真っ直ぐに行き、成長する主人公達の青春と友情を描いた壮大な物語で、本作のヒロインである特型駆逐棲姫の少女、桜は劇場版に登場した深海棲艦をモデルとしており、さらに本作の提督をゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えりの主人公、伊丹耀司を主人公とし、彼らを主人公に様々な出来事や特型駆逐棲姫の少女、桜を巡る陰謀などを立ち向かい、提督である伊丹の元で成長し、時には艦娘や深海棲艦達との友情、時には敵との一騎打ちや友情も必見です。
さらにオリジナルの艦娘や深海棲艦も登場、さらに東方Projectやけものフレンズ、ストライクウィッチーズなどのキャラを加えたオリジナルキャラクターも登場しますので、ぜひ見てください。

今回は序章に当たるソルティ・ロード0「アイアンボトムサウンド海戦」で、本作はヒロインである特型駆逐棲姫の少女、桜の視点で描かれており、13年前の激戦、「アイアンボトムサウンド海戦」と13年後での物語を描かれております。
文章は短めですが、次回作の第2話と合わせればより楽しめますので、お楽しみに。

では、艦これ大戦 ~君あるがために 恋する艦娘達よ大志を抱け~、ソルティ・ロード0「アイアンボトムサウンド海戦」を御賞味ください。


艦これ大戦 ~君あるがために 恋する艦娘達よ大志を抱け~

 

ソルティ・ロード0「アイアンボトムサウンド海戦」

 

 

西暦1974年。人類は深海棲艦(しんかいせいかん)と呼ばれる脅威に晒されていた。圧倒的な力と戦力に人類の兵器には役に立たず、海上のほとんどを深海棲艦に支配されてしまった。

 

しかし、人類は深海棲艦に対抗するため、国家の枠を超えた統合人類軍を結成、ある技術により深海棲艦を倒すために造られ、在りし日の艦艇の魂を持つ者達「艦娘(かんむす)」を戦力についに深海棲艦と対抗できるようになった。

 

さらに事態の打開を図るために一大反攻作戦「IBS作戦」を計画、統合人類軍と艦娘達は深海棲艦の本拠地である鉄底海峡(アイアンボトムサウンド)にて、総力戦を開始、深海棲艦の大部分を撃破に成功、壊滅に追い込んだが、その代償に多くの戦力や艦娘達を失った。

 

のちに「アイアンボトムサウンド海戦」と呼ばれる戦いであった・・・・・。

 

西暦1987年 アイアンボトムサウンド 激戦地

 

ドオオオオオオン・・・・・・ドオオオオオオン・・・・・・ドオオオオオオン・・・・・・。

 

艦娘達と深海棲艦との激戦を繰り広げた鉄底海峡(アイアンボトムサウンド)中心部。その戦いで一人の深海棲艦がいた・・・・。

 

???「・・・・・・」

 

外見は全身が真っ白で白いドレスをまとい、深紅の眼に、2本に生えた頭の角、首には千切れた鎖がつけられ、左腕は魚のヒレの様なものがついたおぞましいものが特徴の少女である。

 

彼女の名は“特型駆逐棲姫(とくがたくちくせいき)”。深海棲艦の中でも上位種である。

 

今、彼女は艦娘達と激戦を繰り広げていた・・・・・。

 

ヒュウウウウウウン・・・・・・・。 

 

特型駆逐棲姫「!!?。」

 

チュドオオオオオオオオン・・・・・・・・ドボオオオオオン・・・・・ゴボゴボゴボゴボ・・・・。

 

特型駆逐棲姫は砲撃の直撃を受けて倒れ、海の底へと沈んでいく・・・・・。

 

特型駆逐棲姫「・・・・・(・・・・・カエリタイ・・・・カエリタイ・・・・シニタクナイ・・・・シニタクナイ・・・・ワタシハ・・・・)。」

 

心の中で悲痛な思いを呟きながら海の底へと沈んでいく特型駆逐棲姫。

 

彼女の存在は誰一人も気付かず、その記憶は無くなっていた・・・・・・。

 

それから13年の年月が過ぎた。

 

西暦2000年。とある鎮守府(ちんじゅふ)

 

硫黄島鎮守府(いおうとうちんじゅふ)

 

ここは統合人類軍の重要拠点でる鎮守府であるが、終戦後、有力な艦娘達が他の鎮守府へ異動もしくは転属、さらに物資の大半以上は他の基地に送られており、今は僅かな者しかいない寂れた島であった。

そんな島に運命的な出会いが待っていた・・・・。

 

ザアアアア・・・・・ザアアアア・・・・・ザアアアア・・・・・ザアアアア・・・・・。

 

波打つ砂浜で一人の少女が倒れていた。それはかつてアイアンボトムサウンド事変で撃沈したはずの特型駆逐棲姫であった。

 

特型駆逐棲姫「・・・・・・・・。」

 

今だ眠っている特型駆逐棲姫の体はかなりボロボロで、すでに重傷を負っているようだ。

 

タッタッタッタッタッ・・・・ザッ。

 

特型駆逐棲姫に近づく者。それは彼女とある人物との不思議で運命的な出会いであった・・・・・・。

 

どのような物語になるのかは、彼女達次第である・・・・・・・。

 

 

 

ソルティ・ロード0 終    CARVE WITH VICTORY ON THE HORIZON OF THE DAWN!




如何ですか?。ヒロインである特型駆逐棲姫の少女、桜の視点で描かれた序章は?。

アイアンボトムサウンド海戦で起きた戦いにより多くの艦娘や深海棲艦が失い、さらに自身も攻撃により轟沈してしまう事になりましたが、13年後に何故か主人公がいる硫黄島鎮守府に流れ着いていました。
何故轟沈したはずの彼女が生き延びていたのかは、それは物語を読んで見てからのお楽しみです。

また、続きの意味をするCARVE WITH VICTORY ON THE HORIZON OF THE DAWN!は、実は「暁の水平線上に勝利を刻みなさいっ!」の意味で、艦これのキャッチフレーズの部分から取ったものです。

次回作の第2話では、主人公である伊丹耀司の視点で描かれており、特型駆逐棲姫の少女、桜との出会いと大戦後に起きた世界情勢について明かされる事になります。
また、唯一の副官である艦娘まるゆや艦娘建造に関わる職人であるオリジナル艦娘の三菱、三原と桃取が登場し、どのような活躍するのか、楽しみにしてください。


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ソルティ・ロード1「硫黄島鎮守府と招かれざる者」

こんにちわ。タケノコ屋です。
艦これ大戦 ~君あるがために 恋する艦娘達よ大志を抱け~の第一話を投稿しました。
第一話は主人公、伊丹耀司やその部下、まるゆ、さらにオリジナル設定により、新たな艦娘として生まれ変わったヴェールヌイ、オリジナル艦娘の三菱、三原と桃取が登場し、それぞれ得意分野で活躍するシーンが見られます。
特に100隻以上の深海棲艦と相手に立ち向かうまるゆの意外な活躍と建造したばかりのヴェールヌイが戦艦ル級を相手に勇敢に戦う戦闘シーン、さらにオリジナル艦娘の三菱、三原と桃取による艦娘建造シーンに必見です。

作中では世界に関する情勢や伊丹耀司の過去が明かされ、かつて所属した統合人類軍第13独立部隊に関する情報について少なからず登場、オリジナル艦娘である三笠や土佐、薩摩などのメンバーについて簡易的に書かれています。
また、沖田十三を初めとする宇宙戦艦ヤマトシリーズに登場するキャラが元帥及び提督として登場、歴戦の戦士としての威厳と伊丹の理解者である一面を併せ持つキャラとして描かれています。

前回のソルティ・ロード0「アイアンボトムサウンド海戦」では、後のヒロインである桜の視点で描かれており、本作は主人公、伊丹耀司の視点で描かれ、二人の出会いまで描かれており、ソルティ・ロード0と合わせて読めばより楽しめます。

艦これ大戦 ~君あるがために 恋する艦娘達よ大志を抱け~

ソルティ・ロード1「硫黄島鎮守府と招かれざる者」


どうぞご覧ください。


艦これ大戦 ~君あるがために 恋する艦娘達よ大志を抱け~

 

ソルティ・ロード1「硫黄島鎮守府と招かれざる者」

 

 

ボオオオオオ・・・・・ザッ。

 

硫黄島 沿岸港

 

ここは硫黄島鎮守府。本国より辺境な場所で、今は島民や軍人がいない寂しい場所である。

そこにある軍人がこの島に降り立った。

 

???「・・・・(ここが俺が配属する硫黄島鎮守府か・・・・噂通り、ずいぶん寂れているようだな・・・・・・)。」

 

無理もない。ここはかつて、13年前のアイアンボトムサウンド海戦にて、重要拠点の一つであり、多くの艦娘や物資が大量に配備していた。

しかし、終戦後、多くの艦娘達が他の鎮守府へ異動もしくは転属、さらに物資の大半以上は他の基地に送られており、今は僅かな者しか所属していない寂しい鎮守府へと落ちぶれていた・・・・・。

そんな鎮守府に配属されたのが、この島の提督である。

 

彼の名は伊丹耀司(いたみ ようじ)。元統合人類軍第13独立部隊司令官で、数多くの激戦を制して生き延びた歴戦の勇士であるが、今は日本海軍呉鎮守府(くれちんじゅふ)少佐である。

彼がここへ配属された理由は一ヶ月前に遡る・・・・・。

 

一ヶ月前、日本海軍本部 執務室

 

ここは日本海軍の大本営である海軍本部で、ここで伊丹はある人物から召集命令を受けて来た。

 

伊丹耀司「失礼します。」

???「入りたまえ。」

伊丹耀司「失礼いたします。」

 

ガチャ・・・・。

 

執務室にいたのは、沖田十三(おきた じゅうぞう)。現在は海軍名誉元帥で、士官学校理事長を務めているが、13年前のアイアンボトムサウンド海戦にて、統合人類軍総司令官を務めた歴戦の勇士で、見事までの采配と指揮、さらに先読みと洞察力、決断力により、数々の激戦を繰り広げ、人類に勝利を収めた。

また、伊丹はかつての部下でもある。

 

右側にいるのは土方竜(ひじかた りゅう)。海軍中将で、士官学校理校長を務めているが、今は日本海軍第11外洋防衛艦隊司令長官も兼任している。

沖田同様、アイアンボトムサウンド海戦で激戦を生き延びた歴戦の勇士で、彼の同期でもある。

 

左側にいるのが、山南修(やまなみ おさむ)。海軍少将で、海軍本部第七艦隊司令を務めているが、かつてアイアンボトムサウンド海戦では沖田の副官であり、共に激戦を乗り込んだ勇士である。今は本部直轄の士官学校校長を務めている。

 

三人の偉大な提督達に呼ばれた伊丹は、彼らに対し、敬礼した。

 

伊丹耀司「日本海軍呉鎮守府、伊丹耀司少佐、召還命令によりただいま帰還しました。」

沖田十三「うむ・・・・遠征を終わった後に呼びつけてしまってすまない。座りたまえ。」

伊丹耀司「はい。」

 

伊丹は椅子に座るが、三人の提督たちは浮かない顔をしていた。

 

沖田十三「伊丹。君を呼んだのは他でもない。一週間前の遠征の事だ。」

伊丹耀司「ああ・・・・あれですか・・・・・。」

 

それは伊丹が輸送船団の護衛を任された任務で、伊丹は護衛艦隊を率いり、輸送船団を帝都まで運ぶ任務を遂行していた・・・・。

 

土方竜「報告では輸送船団を護衛中、深海棲艦の襲撃を受けたそうだな。」

伊丹耀司「え、ええ・・・・今回の任務は深海棲艦が掃討された区域を進んで輸送船団を帝都に運ぶ楽な仕事だったのですが、まさか・・・・襲撃を受けるとは思いもしませんでしたよ。」

土方竜「だが、君はたった一人しかいなかった艦娘、しかも他の艦娘よりも弱いまるゆを自在に使い、たった一人で深海棲艦を撃退させたようだな。」

伊丹耀司「え、ええ・・・・護衛艦には彼女以外の艦娘が配属されていなかったんで、それでまるゆ一人と護衛艦隊と協力して、何とか撃退させたのですが・・・・・。」

土方竜「護衛艦隊の半数以上を失い、輸送船団も壊滅的な被害を受けたそうだな。」

伊丹耀司「え、ええ・・・・・。」

山南修「その事だが、君は護衛中に漂流した船を救助活動をしていたようだね。」

伊丹耀司「・・・・え、ええ・・・・・そうですが・・・・何か?。」

山南修「聞いた話では彼らは他国から流れ着いた不法侵入者の船ではないのか?。何故彼らを救助しようとした?。」

伊丹耀司「・・・・ほっとけなかったからです。」

山南修「・・・・・何故ほっとけなかったと言うのだ?。」

伊丹耀司「相手は不法侵入者でも相手は人間です。助けを求めれば救いに行くのが我々軍人の務めではありませんか?。」

山南修「・・・・・確かに君の判断は正しいかもしれない・・・・だが、現実を見たまえ、アイアンボトムサウンド海戦で多くの艦娘と兵師達を失ったが、大半を撃退したとはいえ、今だ深海棲艦の脅威を去っていないのだよ。目の前の情よりも使命を果たすのが最優先と私は思う。」

山南修「・・・・・そ、それでも・・・・俺は・・・・。」

沖田十三「山南君。それくらいにいいではないか?。」

山南修「・・・・・し、しかし、沖田さん。」

沖田十三「例え命令であったとしても、一度立ち止まり、振り返る勇気も必要なんだよ、山南君。伊丹。君の処罰は本部から通達が送られた。君の処遇は硫黄島鎮守府への転属だ。」

伊丹耀司「!?・・・・・硫黄島鎮守府ですか?。」

土方竜「硫黄島鎮守府への転属だと!!?、上層部は何を考えているのだ!?。あそこは不要と判断した人材を送り、島流しのような場所ではないか!!?。」

沖田十三「・・・・・。」

山南修「・・・・沖田さん・・・・私も土方君と同じ意見です。確かに彼は命令違反を犯し、輸送船団を失いましたが、そもそもあの護衛艦隊に艦娘を配属させなかったのも、上層部の決定で、今回自ら犯した失態を彼に擦り付けるとは、私には納得できません。」

沖田十三「・・・・確かにその通りだ。だが、今の時代は変わってしまった・・・・・かつて、人類は協力して戦うあの時代とは・・・・・。」

土方、山南「・・・・・・。」

伊丹耀司「・・・・。」

 

かつて、深海棲艦との激戦を繰り広げた統合人類軍は勝利を収めたが、その代償に多くの艦娘や兵員、戦力を大きく失い、さらに国力を大幅に低下し、経済活動や政治・軍事の混迷により人類同士での内乱も生じ、衰退へと転がり落ちていった。

各国と吸収合併されながら、それぞれ新たな国家が誕生した。

 

ロマノフ連邦、天凰人民共和国、スオムス欧州同盟、ゲルマニア帝国、エイルシュタット共和国、アトランタ合衆国、そして、 日本皇国の七大勢力、通称「ワールド・ビック・セブン(WB7)」。

 

統合人類軍に属しながら、互いに主導権を争っていた。しかし、国だけではなく、軍内部の権力争いも少なくなかった・・・・・。

 

沖田十三「あの戦いで、この国が変わってしまった。今では国力増強政策に腐心し、艦娘の建造や大量生産を重点的に行われている。さらに上位部隊や精鋭部隊などを重点的に配属させているという。」

土方竜「・・・・例の「アマテラス計画」ですね。」

山南修「・・・・まあ、そのおかげで護衛艦隊などの戦力にならない部隊には配属できずにいるのだがね・・・・・上層部は権力争いに腐心し、さらに現場に働く部下達を軽視しておる。権力争いの為に今回の護衛任務も艦娘を配属できず、今回の失態を引き起こしたのだからな・・・・・。」

伊丹耀司「・・・・・・。」

 

日本皇国の軍部の腐敗した権力争いに頭を抱える沖田達。今回の護衛任務の失態は上層部が権力争いの為に艦娘を配備されなかった事が原因であった・・・・・。

 

沖田十三「伊丹。今回の任務失敗の責任は上層部の失態だが、今は責任の押し付け合い、その責任を君に押し付け、辺境の地である硫黄島の鎮守府へ左遷、そこの提督に任される事になるが、それでも構わないかね?。」

伊丹耀司「・・・・・・かまいません・・・・それが上層部の決定なら従います。」

沖田十三「・・・・すまない。」

伊丹耀司「いえいえ・・・・沖田さん達の助力がなければ、俺なんてここにはいませんよ。それにこういうものには慣れっこですよ。何だって、俺・・・・趣味に生きるために仕事してるんですよ。」

土方、山南「・・・・・・。」

伊丹耀司「?・・・・あ、あれ・・・・ど、どうしたのですか?。」

 

土方、山南の二人は顔に手を当てて、呆れている様子。

 

土方竜「・・・・・伊丹、昔、前に同じ事を言ったようだな・・・・。」

伊丹耀司「いっ!!?。」

土方竜「あの時、俺はお前の根性を叩き直す為に、特別訓練を叩き込んだがな・・・・・。」

山南修「ああ・・・・その根性は直せなかったが、そのおかげで統合人類軍第13独立部隊司令官にまで修まるまでの腕前になりやがっただがね・・・・。」

伊丹耀司「・・・・は、ははは・・・・。」

沖田十三「・・・・ふっ、君のことだ。そんな事には気にしないと思うが・・・。」

伊丹耀司「あはははは・・・・・。」

土方竜「伊丹。一応、君の部下であるまるゆを先に派遣して置いた。」

伊丹耀司「え、まるゆを、ですか?・・・・。」

山南修「ああ、彼女の左遷先を君の左遷先へ変更させておいたからな。一応感謝するんだね。」

土方竜「まあ、彼女は君のかつて教え子で、最強と謳われた第13独立部隊の一人でもあるからな。」

山南修「伊丹。彼女を泣かせるなよ。」

伊丹耀司「あはははは・・・・・。」

沖田十三「伊丹耀司少佐。本日、硫黄島鎮守府への転属命令を命じる。」

伊丹耀司「はっ。」

土方竜「気張っていけよ。」

山南修「健闘を祈っている。」

 

こうして、伊丹は、硫黄島鎮守府の提督として、配属される事になり、現在に至った。

 

伊丹耀司「・・・・しっかし・・・・・迎えの奴はまだいないようだが・・・・・まだ伝えていないのか?・・・・・ん?。」

 

伊丹の前に慌てて走ってくる者がいた。

お腹のまるゆのマークを持つ白いスク水を着た小学生中学年程度に見えるショートカットの少女である。

 

???「た、隊長~~~~~~~・・・・お、お待ちしまし・・・・った?・・・・・うきゃああああああ!!。」

 

つるっ・・・・ずごっ。

 

伊丹耀司「・・・・あ、あはははは・・・・相変わらずだな、“まるゆ”。」

まるゆ「あううう・・・・す、すみません・・・・隊長~~~~~・・・・・・。」

 

どうやら伊丹とまるゆは昔ながらの上司との部下のようだ。

 

伊丹耀司「お迎えご苦労様、まるゆ。」

まるゆ「あ、は、はいっ・・・え、遠路はるばる・・・・ご、ご苦労様でした。」

伊丹耀司「まさか、君とここで働くとはね。」

まるゆ「は、はい・・・・沖田さんからここへ配属されると聞かされたので、ここへ配属に送られました。」

伊丹耀司「そうか・・・・沖田さんが・・・・なら、一緒に頑張ろうな、まるゆ。よろしく頼む。」

まるゆ「は、はい・・・・。」

 

出迎えたまるゆと一緒に硫黄島鎮守府へ行く伊丹。

 

硫黄島鎮守府 正門

 

そこで着いた先は、外壁はボロボロで、使い古したような場所で、敷地内には廃車置き場があり、一応ドック場もあるが古びている・・・・・・。

 

伊丹耀司「・・・・・こ、ここが・・・・・硫黄島鎮守府か・・・・・。」

まるゆ「あ。あわわわわ・・・・は、はい・・・・・。」

 

さすがにこの光景に伊丹も唖然、まるゆも慌てる始末。

 

???「おーーーい・・・・あんたがここに着任する司令官か?。」

伊丹耀司「!?・・・・・え、ええ・・・・そうですが、貴方は?。」

???「私か?、私は硫黄島鎮守府工廠長、三菱(みつびし)だ。よろしくな、司令官。」

伊丹耀司「あ、ああ・・・・こ、こちらこそよろしく・・・・三菱さん。」

 

現れたのは腰まである紺色のロングストレートに薄紫色の瞳、白と紺のセーラー服だが、その上に茶色い分厚い作業服を羽織っており、黒い軍帽を着用した長身の女性、三菱であった。

 

伊丹耀司「も、もしかして・・・・貴方は艦娘ですか?。」

三菱「ああ、確かに私は艦娘だが、生憎戦闘向きではないでな・・・・移動型工廠を備えていると言われるほどの修理・工作設備を有した工作艦としての特性を持った艦娘でな、修理や近代化改修を行うだけではなく、艦娘の建造を行っているんだ。。」

伊丹耀司「か、艦娘の建造って・・・・艦娘が艦娘を作るってのは始めて聞いたけど・・・・・。」

三菱「ああ・・・・それが生まれ持った私の能力でな、まあ・・・・私の工廠に来てくれよ。」

伊丹耀司「あ・・ああ・・・・。」

三菱「それと、あんたは確か、伊丹耀司って言うの?。」

伊丹耀司「あ・・・ああ・・・そうだが・・・・言い忘れたな、俺は伊丹耀司。ここに配属する事になった司令官だ。」

三菱「伊丹・・・・!、伊丹って、かのアイアンボトムサウンド海戦で活躍し、人類軍に勝利を導いた伝説の第13独立部隊司令官、伊丹耀司何だろう!?。」

伊丹耀司「いや・・・・昔の話だが、よくそんな事に覚えているんですね。」

三菱「まーな、第13独立部隊と言えば、たった20人で、深海棲艦大部隊を殲滅したという噂を聞いたんだ。中でも鬼の三笠と異名を持つ戦艦三笠を筆頭に二人の副官、土佐と薩摩、そして、駆逐艦や潜水艦、特務艦などを集めた17名の精鋭隊を編成した日本海軍最強の部隊で、彼女達の活躍なくして、アイアンボトムサウンド海戦の終結はなかったと言われるほどじゃ。」

伊丹耀司「・・・・あ、ああ・・・・まあ、あの最後の戦いで、部下を半数を失ってしまったけどな・・・・・。」

三菱「!?・・・・す、すまねえ・・・・悪気がなかったんだ・・・・。」

伊丹耀司「いや、気にしないでくれ。あいつらは最後まで諦めずに戦い続け、己の信念を貫き通して散ったんだ。俺はあいつらの最後は立派なもんだと思う・・・・できれば・・・・全員帰還して欲しかったけどな・・・・・。」

まるゆ「・・・・司令官・・・・。」

伊丹耀司「・・・悪い悪い・・・・しけた雰囲気になってしまって・・・・・三菱さん、工廠の案内をお願いいたします。」

三菱「あ、ああ・・・・任せな。」

 

タッタッタッタッタッタッ・・・・・・・・。

 

伊丹たちは三菱が所属する工廠へ案内された。

 

硫黄島鎮守府 工廠

 

三菱「ここが私の工廠だ。今、ここに所属する子達を呼ぶから、待ってな。お~~い、三原(みはら)桃取(ももとり)。」

三原「へい、親方。新装備はまだですぜ。ん?、誰だ、お前、オレッチ達の工廠に何しに来たんだ?。」

桃取「あらあら、お客様が来るのは何十年ぶりですわね。工廠長、どなたですか?。」

三菱「ここに新しく配属された司令官よ。」

三原「え・・・・え、ええ~~~~~~!!、し、司令官っ!!?。」

桃取「あらあら・・・・貴方が司令官ですか、これは失礼しました。」

 

現れたのは作業用のつなぎに上にジャンバー、頭に前鍔の付いた紺の戦闘帽形略帽を着用した二人の艦娘である。

 

三菱「紹介するよ。この二人が私の部下で、ここの工廠で働く工作艦の艦娘の三原と桃取だ。」

三原「オレッチが三原だ。工作艦明石の流れを持つ工作艦だぜ。よろしくな、司令官。」

桃取「私は桃取ですわ。工廠長と三原と同じく工作艦明石からの生まれを持つ艦娘ですわ。」

伊丹耀司「ああ、よろしくな。」

 

三原

黒髪のボブヘアーとゴーグル、芦黄色の瞳、明るく元気いっぱいな性格で、一人称は「オレッチ」が特徴の艦娘。

 

桃取

膝くらいまである黒の長い三つ編み、左側に着けた桃の花の髪飾り、トロっとした芦黄色の落ち着いた瞳で、お嬢様口調が特徴の艦娘。

 

伊丹耀司「・・・・・も、もしかしてだと思うけど・・・・この二人って・・・・双子?。」

三菱「ああ、その通りだ、よく気付いたね・・・・建造した際、二人同時に出来上がったんだ。まあ、性格が異なるが工廠での腕前は一流だ。」

伊丹耀司「・・・・・・・こ、工作艦と言うと・・・・もしかして・・・・武器とはないのじゃ・・・・・」

三原「その通りだぜ、司令官。オレッチ達工作艦の艦娘は、他の艦娘と違って、武器を装備でねえんだ。」

桃取「ええ、その代わり、修理・工作設備を有し、艦娘の修理や改修、武器の製造などを特化した能力ですわ。」

三菱「ああ、ただし、我々は特殊な特務艦娘でな、生まれつき艦娘を妖精なしで誕生させる能力を持っているんだ。その力でアイアンボトムサウンド海戦で、多くの艦娘を建造してきたんだ。」

伊丹耀司「ま、まじでっ!!?。」

三原「ああ、あの戦いで俺達が大きく支えてきたんだ。けどよ、あの戦争が終わった時、本部直属の新型の艦娘製造工場が大きく出来上がって、オレッチ達はお払い箱。今じゃこの寂れた鎮守府に置かれる事になってしまったんだよ。」

桃取「まあ、本部の工場はかなり高性能で、戦艦や空母、駆逐艦などを大量生産させ、各地の鎮守府に優先的に配属させているですわ。」

三菱「だが、我々は誇り高き工作艦明石の流れを持つ艦娘。我らは我らの信念は最後まで貫き通すまでだ。」

三原「その通りだぜ。親方。司令官にオレッチ達の実力を見せようぜ。」

桃取「ええ、やりましょう。私達の力を見せ付けましょうですわ。」

三菱「そうだな・・・・・司令官、我々の艦娘建造を見ていてくれ。」

伊丹耀司「ああ・・・・。」

 

三菱達は、燃料・弾薬・鋼材・ボーキサイトの4つを集め、ハンマーや電気溶接機、ドリルなどの工事道具を装備しながら、作業を開始した。

 

カ~~ン・・・・カ~~ン・・・・ジジジジジ・・・・ジジジジジ・・・・チュイイイイイイイイイイン・・・・・。

 

三菱「よし、後はこのかまどに入れて、完成。高速建造材も忘れずにな。」

三原「おう。」

 

ゴオオオオオオオオオオオ・・・・・・・・・・・・。

 

三菱は作業を終えた物をかまどに入れ、さらに高速建造材を投入して、かまどに電源を入れて起動した。

 

ゴオオオオオオオオオオオ・・・・・・・チ~~~~ン。

 

高速建造材の効果で完成が早く出来上がった。

 

三菱「よし、完成だ。後はどのような艦娘になるかはかまどが開くまでのお楽しみだ。」

伊丹耀司「おお・・・・マジか・・・・。」

 

プシュウウウウウウウウ・・・・・・・ガゴオオオオン・・・・・・・・・・タッタッタッタッタッタッ・・・・・。

 

蒸気を発しながらかまどの扉が開いた。蒸気の煙に包まれながら、煙の奥から人影が現した。

 

伊丹耀司「・・・・お、おいおい・・・・嘘だろ・・・・ほ、本当に出来上がったのか?・・・・・。」

 

姿を現したのは、長袖の冬服仕様の白い制服に、腰にはベルトを巻き、「鎌とハンマー」の入った白い帽子、そして、白銀の艤装で、右肩に連装砲一基、腰に四連装魚雷発射管を左右合わせて二基、背中に響時代同様に煙突型の基部を背負っている。煙突型の基部からは大きな碇が吊り下がり、シールドを左肩に装備している艦娘であった。

 

伊丹耀司「・・・・見た所、暁型2番艦の響らしいが?・・・・・。」

???「・・・・違う・・・・私の名ははВерный(ヴェールヌイ)だ。信頼できると言う意味の名なんだ。」

伊丹耀司「ヴ、ヴェールヌイ?・・・・・。」

ヴェールヌイ「そうだ。生まれはロシアで、日本の駆逐艦である響をモデルに作られ、今はソ連赤色海軍に所属する海外所属艦でもある。」

伊丹耀司「ソ連赤色海軍って・・・・この子、外国の艦娘じゃないですか?。三菱さん。」

三菱「まあ、そうだな・・・・・私達艦娘を建造する能力はピカイチだが、どの艦娘になるのかはランダムで決まるそうなんだ。後、全力で鍛えれば、最大3人の艦娘を建造できるぜ。」

伊丹耀司「そうですか・・・・?。」

ヴェールヌイ「Спасибо(スパスィーバ)。貴方が私の司令官か。建造されたばかりだが、よろしく頼む。」

伊丹耀司「こちらこそ、よろしくな。ヴェールヌイ。」

三菱「ちなみにこいつは不死鳥の異名を持ち、装甲・耐久値が高く、駆逐艦の中でもトップクラス。対潜値が高い上に、増設バルジを装備すれば、さらに耐久力を高められる事も可能。ちなみに弾薬消費が多いの玉に瑕さ。」

 

伊丹は三菱達の艦娘建造の工程を見た後、執務室へ向かった。

 

硫黄島鎮守府 執務室

 

三菱「ここが執務室だ。仕事があるので工廠に戻るが、用があればいつでも呼んでくれ。では、私はこれで失礼するぜ。」

伊丹耀司「ああ、よろしく頼みます。」

 

三菱は工廠へ戻っていった。

 

伊丹耀司「ふ~~~・・・・・疲れた・・・・・あ、すまないな、まるゆ。書類の整理を任せていいか?。」

まるゆ「あ、は、はいっ・・・・頑張ります。」

 

書類整理をまるゆに任せ、伊丹は居眠りに集中した。

 

ヴェールヌイ「・・・・・・・まるゆ?。」

まるゆ「は、はいっ!、な、何ですか?。ヴェールヌイさん。」

ヴェールヌイ「司令官はああいう方か?。」

まるゆ「あ、は、はいっ・・・・い、いつもあれ何ですが・・・・・誰よりも私達艦娘を案じているお方です。かつて最弱の艦娘と呼ばれたまるゆを拾ってくれたのも、隊長です。いつかあの人に助けられた恩を返す為にまるゆは今日まで頑張ってきたんです。」

ヴェールヌイ「・・・・そうか・・・・・それほどあの司令官を信頼されているのか。хорошо(ハラショー)。」

まるゆ「え、ええ・・・と・・・・あ、ありがとう・・・ございます・・・・!!?。」

 

ヴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ・・・・・・・・・。

 

伊丹耀司「な、な、何だ!?、敵襲か!!?。」

 

鎮守府に響き渡る警報。それは深海棲艦の襲撃を意味するのである。

 

ダダダダダダダダッ・・・・・バタンッ。

 

三菱「司令官!?。」

伊丹耀司「三菱!。敵の襲撃か?。」

三菱「ああ・・・・試作型の全方位広域探査装置を着けた二式練習戦闘機を飛ばした所、深海棲艦らしい機影を発見したんだ。」

伊丹耀司「で、敵の数は!?。」

三菱「二式からの報告によれば、駆逐イ級40隻、駆逐ロ級20隻、駆逐ハ級10隻、軽巡ホ級10隻、雷巡チ級10隻、重巡リ級5隻、重巡ネ級5隻、戦艦ル級2隻、空母ヲ級3隻、計105隻がここに迫って来るようだぞ!!?。」

伊丹耀司「105隻・・・・・かなりの戦力のようだな・・・・ここへ到着するまでの時間は?。」

三菱「せいぜい2、3時間程度で、ここに着く予定だが、今の鎮守府における戦力はヴェールヌイ以外のまともな戦力はないし、今いるのは、戦闘向きではない私

ら工作艦3隻と潜航輸送艇一隻しかいないぞ。」

ヴェールヌイ「・・・・・」

まるゆ「あ、あわわわわ・・・・・・。」

伊丹耀司「・・・・・まるゆ。」

まるゆ「あ、は、はいっ!?。」

伊丹耀司「出撃準備だ。それとヴェールヌイ、君はこの基地の守りをしてくれ。」

三菱「って、正気か!?。潜航輸送艇一人で、あの大部隊と立ち向かう気!!?。これでは死にに行くようなもんじゃないか!!?。」

ヴェールヌイ「・・・・私も三菱と同意見だ。100隻以上の大軍に彼女一人だけに出撃するのは納得できない。理由を聞かせてくれ。」

伊丹耀司「・・・・ただ一つだけ勝機がある。三菱さん。頼みがある。」

三菱「何だ。」

伊丹耀司「木炭と硫黄、硝酸カリウムかもしくは硝酸ナトリウムを出来るだけ集めて欲しい。それと運貨筒100個以上作ってくれないか?。」

三菱「?・・・ああ、可能だが・・・・一体何を使う気だ!?。」

伊丹耀司「奴らを倒す為の秘策だよ。後、まるゆ、天候はどうなっている?。」

まるゆ「え、ええと・・・・確か・・・・二時間後に嵐が出てくるようですが・・・・?。」

伊丹耀司「そうか・・・・この戦いは俺達の勝ちだ。」

全員「え、ええええええ~~~~~~~~!!?。」

 

伊丹からの驚愕の言葉に驚きを隠せない艦娘達。

 

ヴェールヌイ「し、司令官!?・・・・100隻以上の大軍を勝つとは・・・・一体どういう事だ?・・・・。」

伊丹耀司「それはこれから話す。まるゆ、いつでも出撃できるように準備してくれ。」

まるゆ「あ、は、はいっ!?。」

 

太平洋

 

伊丹はまるゆ単艦のみを出撃させ、三菱が急造に開発し、その中に大量の木炭と硫黄、硝酸カリウムが入った運貨筒100個を持って、100隻以上の深海棲艦へ向かった。

 

まるゆ「・・・・はうううう・・・・。」

 

まるゆは敵の大群の前に怯えつつ伊丹の作戦を決行しようとしていた。

 

回想

 

伊丹耀司「まるゆ。君はその運貨筒100個を持って、作戦開始時までに待機してくれ。」

まるゆ「あ、はいっ・・・・待機だけですか?。」

伊丹耀司「ああ・・・・・“合図”が来るまで絶対に動くなよ。いいな。」

まるゆ「あ、は、はいっ・・・・ま、まるゆ、任務を必ず遂行しいます。」

伊丹耀司「おいおい、肩に力を抜いていけ。大丈夫、君ならできるはずだ。何だって、土佐に鍛えられたからな。」

まるゆ「あ、は、はいっ!!?。」

 

まるゆはかつて統合人類軍第13独立部隊のメンバーであり、戦闘能力的は艦娘の中では最弱だが、機動性や潜航能力、隠密行動はピカイチである。

 

まるゆ「よし・・・・・所定の位置に着いた・・・・・後は“合図”が来るまで待機・・・・・。」

 

一方、鎮守府では・・・・・・。

 

鎮守府 執務室

 

伊丹耀司「・・・・・・」

ヴェールヌイ「・・・・・」

三菱「・・・・・」

 

執務室で気難しそうな顔をする伊丹とヴェールヌイ、三菱。

 

伊丹耀司「・・・・・・そろそろ時間だ。」

ヴェールヌイ「?・・・・時間?・・・・何の時間だ?、司令官。」

伊丹耀司「嵐と海流の流れが変わる時間だ。」

 

一方、海の中で待機しているまるゆは・・・・・。

 

海の中

 

まるゆ「・・・・・(そろそろ合図の時間です・・・・。)」

 

まるゆは運貨筒100個を持って、深海棲艦の大軍の1000m先まで潜航した。

 

まるゆ「それ~~~~~!!。」

 

まるゆが運貨筒100個をその先にある深海棲艦の大軍に向けて投げた。

 

運貨筒にはそれぞれネット()に繋がっており、海流に乗って、深海棲艦の大軍に流れていく。

 

鎮守府 執務室

 

三菱「嵐と海流の流れが変わる時間だと?・・・・・どういう事だ?。」

伊丹耀司「ああ、この時間帯に海流の流れに嵐が重なれば、かなり複雑な流れになるからな・・・・うまくいけば敵を一網打尽にする事が可能だ。」

三菱「ま、まさか・・・・こんな策を考えるなんて・・・・すごいぞ、あんた。」

伊丹耀司「まあな・・・・ん?、ヴェールヌイは?。」

三菱「あいつか?・・・・あいつなら出撃して行ったぞ。」

伊丹耀司「しゅ、出撃って・・・何時の間に!!?。」

三菱「あの子一人だけじゃ、心細いと思ってこっそり出撃したみたいぜ。」

伊丹耀司「・・・・・はあ・・・一人で飛び出すとは・・・・。」

三菱「どうする気だ?、司令官。」

伊丹耀司「・・・・まあ、今回は作戦中、問題があった場合に護衛として配置した上で、上には緊急時の為の救援と言う事でしといてくれ。」

三菱「・・・・・わかった。お気遣い感謝するぜ。」

 

ヴェールヌイの気持ちを察し、一応作戦の予備のための護衛とした上、上層部への対応する伊丹に感謝する三菱。

一方、作戦を開始したまるゆというと・・・・・。

 

海上

 

深海棲艦達は鎮守府に向けて侵攻して来たが、嵐のため、思う様に進む事ができずにいた。

 

ガクンッ。

 

重巡リ級「!?。」

 

重巡リ級は何かに絡まった事に気付く。

 

ガグンッ・・・グググググッ・・・・。

 

重巡リ級「!!!?。」

 

次々と絡まった深海棲艦達が動きを止められ、海流の流れに流されていく・・・・・。

 

ゴオオオオオオオオオオオ・・・・・・・。

 

海流の渦の中心部にまで追い込まれた深海棲艦達。その真下にまるゆが潜伏していた。

 

まるゆ「・・・・・隊長の作戦通りです。」

 

回想

 

伊丹耀司「あの時間帯になると海流の流れが変わる上に嵐を重なり、さらに網を付けた運貨筒100個を投入すれば、足を絡めて足止めだけだはなく、敵を海流の渦の中心部に集めればいい。後はそこに魚雷を打ち込めば、火薬が入った運貨筒が連鎖爆発して、一気に撃沈させる事は可能はずだ。」

まるゆ「は、はわわわ・・・・そ、そんな事が可能ですか?。」

伊丹耀司「まあ、嵐と海流次第だが、この作戦の要はまるゆの腕次第だからな。期待しているぞ。」

まるゆ「あ・・・は、はいっ。」

 

すでに運貨筒の網に絡まり、ちょうど渦の中心部に密集していく深海棲艦の大軍に向けて、魚雷の発射準備していた。

まるゆが持つ魚雷は普通の魚雷ではなく、九三式酸素魚雷で、戦艦を一撃で轟沈させる威力を持つ魚雷である。

 

まるゆ「い、いっけ~~~~~~~!!。」

 

ゴオオオオオオオオオオオ・・・・・・・・・カアアア・・・・・・・・ドガガガガガガガガガアアアアアアン・・・・・・・・。

 

九三式酸素魚雷の爆発で運貨筒100個が次々と爆破連鎖を起こし、大爆発を引き起こした。

 

ザバッ・・・。

 

まるゆ「・・・・や、やった?・・・・・!!?。」

 

海面に出たまるゆは大爆発した炎を見るが、何かを見つけた。

 

ゴオオオオオオオオ・・・・ザアアアアア・・・・・。

 

炎の中から戦艦ル級2隻、空母ヲ級3隻の深海棲艦5隻が現れた。炎に包まれ、すでにボロボロに損傷しているが、まだ走行可能のようだ。

 

まるゆ「あ、あわわわわ・・・・!!?。」

 

ガチャッガチャッガチャッガチャッ・・・・・・・。

 

まるゆ「はうっ!!?。」

 

戦艦ル級2隻がまるゆに向けて発射体制を開始していた。さすがにまるゆも避けられないと感じ、死を覚悟した。

 

まるゆ「(し、司令官・・・・)。」

 

ドガアアアア・・・・チュドオオオオオオン・・・・。

 

まるゆ「!!?。」

 

爆発したのは戦艦ル級の一体の方で、爆発して撃沈していく・・・・・。

 

まるゆ「い、一体誰が?・・・・・はっ!!?。」

 

そこにいたのはヴェールヌイであった。

 

まりゆ「ヴ、ヴェールヌイさん、どうして?。」

ヴェールヌイ「味方一人を行かせるわけにはいかないからな・・・・・御叱りはいくらでも受けてやる。だから、ここで死ぬな。生き延びて帰還するぞ。」

まるゆ「あ、は、はいっ!。」

 

ガチャ・・・・ドオオオオン・・・・ドオオオオン・・・・バゴオオオオオオン・・・・バゴオオオオオオン・・・・。

 

もう一体の戦艦ル級と交戦するヴェールヌイ。

 

ヴェールヌイ「まるゆ。こいつは私がやる。お前はあの三隻の空母を!?。」

まるゆ「あ、は、はいっ。」

 

ヴェールヌイが戦艦ル級と引き受けている間に、まるゆは大破、炎上している空母ヲ級3隻に対し、追撃を開始した。

 

まるゆ「ま、まるゆの本気を見せます!!?。」

 

まるゆはロープを引っ張ると何と、水中から大量の潜水艦53cm艦首魚雷が出てきた。潜水艦53cm艦首魚雷4発を纏め、全部で10個で、計40発である。

何とまるゆは運貨筒100個だけではなく、潜水艦53cm艦首魚雷4発を纏めた10個も運んでいたのだ。

まるゆは10個の潜水艦53cm艦首魚雷4発を空母ヲ級3隻に向けて発射する。

 

まるゆ「こ、これで終わりです!!?。」

 

バシュウウウウウウウ・・・・・カアアア・・・・チュドオオオオオオオオオン。

 

空母ヲ級3隻は大爆発を起こし、爆炎に飲まれた。

 

ヴェールヌイ「・・・・やったか。」

まるゆ「・・・ふうう・・・・終わりました・・・・ん?。」

 

作戦の成功に力を抜いたまるゆだったが、何かを見つけた。

 

ビュウウウウウウウン・・・・・・・。

 

まるゆ「と、搭載機!!・・・・・!!?。」

 

何と爆炎の中から炎に包まれた搭載機が現し、そのまままるゆの方へ特攻して来た。

 

ドガアアアアアアアアアアアン・・・・・・・・・・・・・。

 

ヴェールヌイ「まるゆっ!?・・・・・!!?。」

 

ゴオオオオオオオオ・・・・・・バアッ・・・・ザッ・・・・ザアアアアアアア・・・・・。

 

何と爆炎から空母ヲ級が飛び出し、そのまま逃げ出してきた。

先ほどの搭載機はその空母ヲ級のようで、すでに大破の状態でありながらもそのままの状態で搭載機を発進させたのだ。

 

ヴェールヌイ「!!?(な、なんて奴だ・・・・あの状態で搭載機を飛ばしたのか・・・・!!!?)。」

 

ドオオオン・・・・ドオオオン・・・・ドオオオン・・・・ドガアアアアン・・・・。

 

ヴェールヌイ「くっ!!?。」

 

ヴェールヌイは、戦艦ル級の砲撃を受け、中破。大破は免れたが、もう一度、戦艦ル級の砲撃を受ければ、大破もしくは轟沈は免れない・・・・・・。

 

ヴェールヌイ「・・・・もはやここまでか・・・・。」

 

カチャ・・・・。

 

絶体絶命のヴェールヌイ。その時!!。

 

ドガアアアアアアアアン・・・・・。

 

戦艦ル級「!!?。」

ヴェールヌイ「!?。」

 

何と戦艦ル級が爆発した。爆破炎上する戦艦ル級。

 

ヴェールヌイ「・・・・い、一体何が?・・・・!!?。」

 

彼女が目にしたのは何と・・・・轟沈したはずのまるゆであった。

 

まるゆ「・・・・・い、今です・・・・。」

ヴェールヌイ「!?・・・・わかった・・・・Спасибо(スパスィーバ)。」

 

カシャッ・・・カシャッ・・・カシャッ・・・。

 

ヴェールヌイの全武装を装填、戦艦ル級に向けて構える。

 

ドドドドドドドドオオオオン・・・・・・・・チュドオオオオオオオオオン・・・・・・。

 

ヴェールヌイ「до свидания(ダスビダーニャ)

 

見事、戦艦ル級の撃破に成功したヴェールヌイ。彼女はまるゆの所へ急いだ。

 

ヴェールヌイ「まるゆ・・・・貴方、あの搭載機の特攻を受けて、よく生きていたな。」

まるゆ「あ、は、はいっ・・・・まるゆの戦闘能力は低いのですが、土佐さんから鍛えられたおかげで、隠密行動や機動力、それと耐久力も高くなったのです・・・・戦艦の主砲数発受けても平気ですが、さっきの搭載機の特攻はギリギリ危なかったでした・・・・運が悪ければ・・・・まるゆは轟沈していました・・・・・。」

ヴェールヌイ「・・・・だけど、貴方のおかげで私は生き延びたわ。Спасибо(スパシーバ)。」 

まるゆ「え、えへへへ・・・・・。」

 

こうして、まるゆ、ヴェールヌイの活躍で、105隻の深海棲艦の大軍を壊滅させる事に成功した。

だが、伊丹達は知らなかった・・・・・105隻の深海棲艦達は先遣隊である事を・・・・・・・。

後に硫黄島鎮守府最大の危機に陥れろうとは、まだ誰も知らない・・・・・・・。

 

まるゆ、ヴェールヌイの帰還した鎮守府では・・・・・。

 

硫黄島鎮守府 執務室

 

ヴェールヌイ「・・・・・以上が今回の作戦の報告です。」

伊丹耀司「・・・・・ご苦労さんだったな、ヴェールヌイ。今回君が犯した命令違反についてだが、今回の作戦が成功した功績に免じ、無罪放免にするよ。あまり無茶をするんじゃないぞ。」

ヴェールヌイ「はい・・・・それで、司令官・・・・まるゆの容態は?・・・・。」

三菱「それなら、彼女は大丈夫だぜ。轟沈寸前だったけど、君のおかげでいち早く助かったけど・・・・。」

ヴェールヌイ「?・・・・けど?。」

三菱「傷が深く、艦娘として活動できないほどの重傷で、現在は温泉治療による絶対安静と長期の療養が必要になるんだけどね・・・・・。」

ヴェールヌイ「!!?・・・・・高速修復剤なら、一瞬修復が可能では?。」

三菱「・・・・・すまんな・・・・ここには高速修復剤はないんでな・・・・あるのは普通の修復剤しかないのだ・・・・・。」

ヴェールヌイ「・・・・・そうですか・・・・・。」

伊丹耀司「気にしない、気にしない・・・・・お前らが無事に生き延びた事だけでもよかった・・・・礼を言う。」

ヴェールヌイ「・・・・司令官・・・・。」

三菱「そんなに気に病むことはないぞ。ヴェールヌイ。私達の司令官を信じようぜ。」

ヴェールヌイ「・・・・・ええ・・・改めて・・・こちらこそよろしくお願いいたします・・・・司令官。」

伊丹耀司「ああ・・・・。」

 

こうして、長いいちにちが終わりを告げるのであった・・・・後にこの戦いは後の「ソロモン海戦」の前哨戦「硫黄島戦役」と呼ばれる事になる・・・・。

 

翌日

 

伊丹は散歩していた。そんな彼だが、内心では複雑な思いがあった・・・・・。

今回の戦いで、戦闘に参加できる艦娘が不足している事、艦娘を修復できる設備や防衛施設がない事、鎮守府の修復や部隊編成に必要な資金があまりない事など、様々な問題が山積みになっていた・・・・・。

 

伊丹耀司「は~~・・・・・まいったね・・・・いきなり問題だらけとはな・・・・・確か・・・・三菱の奴、言っていたな・・・・。」

 

回想

 

三菱「司令官。できるだけ良質のいい材料を集めるだけ集めて、実力の高い艦娘を増やしていくぜ。」

伊丹耀司「・・・だ、大丈夫か?。戦闘に参加できる艦娘を建造する事に?・・・・・。」

三菱「心配するな・・・・私達工廠の誇りと名にかけて、建造させてやるぜ。」

三原「そうだぜ。楽しみにしてな。司令官。」

桃取「私達を信じてくださいな。」

伊丹耀司「あ、ああ・・・・。」

 

三菱達は艦娘建造に必要な材料集めをしており、しばらく工廠は大忙しである。

 

伊丹耀司「新たな艦娘が出来上がるまでは、しばらく休息か・・・・・ん?。」

 

伊丹は砂浜で何かを見つけた。

 

伊丹耀司「・・・・あれは何だ?・・・・人か!?・・・・。」

 

伊丹は急いで、砂浜にいる人影の方へ走った。

 

伊丹耀司「!!?・・・・・こ、こいつは・・・・人じゃない・・・・・。」

 

伊丹が見つけたのは人ではなく、深海棲艦の少女であった・・・・・。

 

外見は全身がボロボロになった白のドレスを纏い、眼は深紅、頭からは角を2本生やし、首には千切れた鎖がつけられている。

 

伊丹耀司「・・・・・・こ、これって・・・・・深海棲艦だよな?・・・・・。」

 

これが伊丹と後に“桜”と呼ばれる深海棲艦との運命的な出会いであった。

 

 

ソルティ・ロード1 終    CARVE WITH VICTORY ON THE HORIZON OF THE DAWN!




如何ですか?。始まりと戦い、そして、出会いを描かれた一話は?。

主人公、伊丹耀司の視点で、なぜか寂しい鎮守府、硫黄島鎮守府の提督として着任される経緯と部下のまるゆに的確な指示を与え、100を超える深海棲艦を撃滅に成功させたり、艦娘に対する心優しい一面を見せます。
そして、ラストでヒロイン、桜との運命的な出会いが描かれて、第2話にて、その出会いの続きで描かれており、伊丹との出会いで何かが変わるのかは、第2話を呼んでからのお楽しみです。

ちなみに前回に登場したヒロイン、桜は劇場版艦これのオリジナルキャラである深海吹雪(第2形態)をモデルとしており、当初は名はなく、「特型駆逐棲姫(とくがたくちくせいき)」の名称で呼ばれ、後に伊丹により名前を付けてもらう事になります。
また、17年前に起きた回想シーンはソルティ・ロード0でも見られましたが、実はソルティ・ロード0では明かされていない意外な事実が隠されており、第2話の冒頭シーンにて明かされますので、どのような内容になるのか楽しみにしてください。


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ソルティ・ロード2「君の名は ~私にできること~」

こんにちわ。タケノコ屋です。
艦これ大戦 ~君あるがために 恋する艦娘達よ大志を抱け~の2作を連続で投稿しました。
前回のラストで、伊丹と桜(特型駆逐棲姫)との出会いを果たし、本作は伊丹と桜の夜空での下で彼女に名前を名付けるシーンがあります。
また、冒頭ではソルティ・ロード0でも見られたアイアンボトムサウンド海戦の内容ですが、実はソルティ・ロード0では明かされていない意外な事実が明らかになり、桜の視点によりより詳しくその状況を表すようになりましたが、その内容はどのようなものなのかは呼んでからのお楽しみ。
また、後半では前回、戦力補充の為、三菱が建造した13人の艦娘が登場、これまでない能力や武器、さらに艦娘の詳しい説明も必見です。

艦これ大戦 ~君あるがために 恋する艦娘達よ大志を抱け~

ソルティ・ロード2「君の名は ~私にできること~」


どうぞご覧ください。


艦これ大戦 ~君あるがために 恋する艦娘達よ大志を抱け~

 

ソルティ・ロード2「君の名は ~私にできること~」

 

ドオオオオオオン・・・・・・・ドオオオオオオン・・・・・・・ドオオオオオオン・・・・・・・。

 

漆黒の夜で繰り広げる戦い。

それはかつて人類と深海棲艦達の雌雄を決する戦い「アイアンボトムサウンド海戦」であった・・・・・・。

 

13年前 鉄底海峡(アイアンボトムサウンド)

 

多数の深海棲艦達が艦娘や戦艦などと交戦していた・・・・・。

 

特型駆逐棲姫(とくがたくちくせいき)「・・・・・・!!。」

 

特型駆逐棲姫は仲間の深海棲艦達と共に艦娘達と戦い続けていた・・・・。

 

ドオオオン・・・・ドオオオン・・・・ドオオオン・・・・ドオオオン・・・・

 

雷巡チ級、軽母ヌ級、空母ヲ級、戦艦ル級、重巡リ級、軽巡ト級、戦艦レ級などの深海棲艦達は艦娘達に対し、砲撃を開始した。

 

特型駆逐棲姫(とくがたくちくせいき)「・・・・・・!!?。」

 

チュドオオオオオオオオン・・・・ドガアアアアアアアアアン・・・・ドオオオオオオオオオン・・・・・。

 

砲撃の嵐を受け、次々と撃沈していく深海棲艦達。その様子に驚愕する特型駆逐棲姫。

 

ドガアアアアン・・・・・ザザザザザ~~~・・・・・・。

 

砲撃を食らい、速力が落ちていく特型駆逐棲姫。砲撃により額から血が流れていた。

 

特型駆逐棲姫「・・・・・・・」

 

特型駆逐棲姫は砲撃により倒された仲間達の屍を見渡した。ゆっくりながら沈んでいく仲間達の姿に悲しみの表情を見せるのであった・・・・・・・・。

 

カアアアア・・・・・ドオオオオオオオオオオオ・・・・・・ビュウウウウウウウウ・・・・・・・・。

 

突然、水平線の向こうで光だし、そこから巨大な爆発と衝撃が響き、その衝撃波に吹き飛ばされる特型駆逐棲姫。

 

ガッ・・・・ゴッ・・・・ゴロゴロ・・・・・・バシャアアアアン・・・・・・・・・。

 

衝撃によりかなりの場所から吹き飛ばされ、大破に近い損害を受けた特型駆逐棲姫。

 

 

特型駆逐棲姫「・・・・・・・!!?。」

 

彼女が見た光景は想像を超えたものだった・・・・・・。

それは巨大なキノコ雲であった。その光景はまるでの世界の終焉のようだ・・・・・。

その光景に特型駆逐棲姫は驚愕しながら見つめていた・・・・・。

 

ヒュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ・・・・・・・・・・・・・・。

 

特型駆逐棲姫「!!?。」

 

けたたましい風切り音を聞いて、空を見た。それはこちらに向かう砲弾の音であった。気付いた時にはすでに遅かった・・・・すでにここまで迫っていたのだった・・・・・。

 

ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン・・・・・・・・・・・・ドボオオオオオオオン・・・・・・・・・。

 

砲弾の直撃を受け、大爆破し大破、完全に海の底へ沈んでいく特型駆逐棲姫。

顔の左半分は焼け爛れ、爆風で魚のヒレの様な左腕は吹き飛ばされ、血を流しながら海中に漂っていた。

さらに出血は止まらず、海中は血で真っ赤に染まっていた。

 

特型駆逐棲姫「・・・・・・・・。」

 

意識は朦朧し、もはや風前の灯であった・・・・・。

 

特型駆逐棲姫「(ワ、ワタシ・・・・・死ヌノ・・・・・ヤ、ヤダ・・・・・シ、死ニタクナイ・・・・・ク、暗イ海ノ底デ・・・・誰一人モ看取レズ・・・・死ヌナンテ・・・・・カエリタイ・・・・カエリタイ・・・・シニタクナイ・・・・シニタクナイ・・・・ワタシハ・・・・)。」

 

悲痛な思いを抱きながら、特型駆逐棲姫は海の底へと沈んでいった・・・・・。

 

・・・・・・・・・パアアアア・・・・・・・。

 

特型駆逐棲姫「・・・・・。」

 

海の底で何かが光に包まれていた。

 

特型駆逐棲姫「・・・・(ア、暖カイ・・・・海ノ底ナノニ・・・・マ、マルデ・・・・太陽ノヨウニ・・・・・)。」

 

海の底でありながら、まるで太陽のように暖かったと感じる特型駆逐棲姫。

 

特型駆逐棲姫「・・・・・・!?。」

 

彼女の目の前に光の中から何かが降りてきた。光の逆光で影で顔が見えないが、両手をつなぐ赤いリボンが特徴的な黒いドレスに身を包む銀髪の少女のようだった。

 

特型駆逐棲姫「・・・・・・(貴方ハ・・・一体・・・・誰ナノ?・・・・)。」

 

それが特型駆逐棲姫の最後の言葉で、朦朧する意識の中、銀髪の少女が右手を向けて近づいて来た所で、意識を失い、深い眠りに入っていった・・・・・・。

 

特型駆逐棲姫「はっ!!?。」

 

ガバッ・・・・・バサッ。

 

特型駆逐棲姫「はあああ・・・・・はあああ・・・・・はあああ・・・・・ゆ、夢か?・・・・・ん?。」

 

夢から覚ました特型駆逐棲姫は自分が置かれた状況を見た。

見慣れない部屋にペッド、そして、月明かりの空。

 

特型駆逐棲姫「っ!!・・・・・ま、眩しい・・・・!?。」

 

自身の体に異変に気付いた特型駆逐棲姫は驚きを隠せなかった。かつて、砲撃を食らって、顔の左半分は焼け爛れ、爆風で魚のヒレの様な左腕が吹き飛ばされたはずの姿はなく、一つ以外は元の姿になっていたことに驚く。

 

特型駆逐棲姫「・・・・・元に戻っている・・・・・でも、どうして左腕だけ?・・・・・。」

 

左腕は魚のヒレの様なものではなく、右腕と同じ姿をしていた。自身の姿に驚きを隠せない特型駆逐棲姫。

 

特型駆逐棲姫「・・・・・はっ。」

 

隣のペッドには安静して眠っているまるゆがいる事に気付いた。

 

特型駆逐棲姫「・・・・・。」

 

ゴソゴソ・・・・タッ・・・・カッカッカッカッカッ・・・・・・。

 

まるゆに対し何もせず、そのまま廊下へ歩き出した。

 

特型駆逐棲姫「・・・・・(ここは何処?・・・・どうして私は生き延びたの?)。」

 

複雑な思いを抱きながら、真夜中で歩き続けた・・・・・・・・。

 

ザアアアアアア・・・・・・ザアアアアアア・・・・・・ザアアアアアア・・・・・・。

 

砂浜

 

ここは人気のない砂浜。一人で夜空の月を見つめる特型駆逐棲姫。

 

特型駆逐棲姫「・・・・・・。」

 

波の音のせせらぎを聞きながら、夜空の月を見つめる特型駆逐棲姫に近づく者がいた・・・・・。

 

ガチャッ・・・・。

 

???「動くな。」

特型駆逐棲姫「!!?。」

 

砲塔を突きつけたのは、ヴェールヌイであった・・・・・。

 

ヴェールヌイ「そのまま動くな!?。」

特型駆逐棲姫「・・・・・・・。」

 

ザッ・・・ザッ・・・ザッ・・・ザッ・・・・。

 

特型駆逐棲姫に近づくヴェールヌイ。今まさに対峙しようとしていた・・・・・。

 

???「その辺でいいぞ。ヴェールヌイ。武器を下げるんだ。」

ヴェールヌイ「!?・・・・・し、司令官?。」

特型駆逐棲姫「!?。」

 

そこへ提督である伊丹耀司(いたみ ようじ)が現した。彼の命令を聞いて、武器を下ろすヴェールヌイ。

 

伊丹耀司「後は俺がやるから、任せてくれないか?。」

ヴェールヌイ「し、しかし・・・・相手は深海棲艦だ、無闇に近づいては危険だ!?。」

伊丹耀司「あの子から敵意らしいものは感じない。ここで戦う必要はない。」

ヴェールヌイ「し、しかし・・・・。」

伊丹耀司「ヴェールヌイ。俺を信じてくれ。にひっ。」

ヴェールヌイ「・・・・・・。」

 

ヴェールヌイは伊丹の根拠のない笑みを見て、呆れながらこう言った。

 

ヴェールヌイ「・・・・はああ・・・・わかりました。でも、あの子が少しでも攻撃するような仕草があれば容赦なく攻撃するので、ご容赦を。」

伊丹耀司「ああ、わかった。」

 

伊丹は特型駆逐棲姫へ近づくが、彼女は警戒している模様。

 

伊丹耀司「そんなに警戒しなくてもいいよ。君を危害をつける気はないんだよ。君と話し合いしたいだけなんだ。」

特型駆逐棲姫「・・・・・・」

 

特型駆逐棲姫に警戒されながら、少しずつ近づいていく伊丹。

 

伊丹耀司「覚えているかな。君が海岸で流れてきた所を助けたんだだが、どうしてここへ流れてきたのかい?。」

特型駆逐棲姫「・・・・・・」

伊丹耀司「ま、まあ・・・・話す気がないならいいけど・・・・・何でこんな所に来ていたんだ?。」

特型駆逐棲姫「・・・・・・」

 

伊丹の問いに答えず、そのまま月の方へ見つめる特型駆逐棲姫。沈黙を続ける彼女から言葉を発した・・・・。

 

特型駆逐棲姫「・・・・・・どうして、生き延びたの?。」

伊丹耀司「?。」

特型駆逐棲姫「あの時・・・・私は海の底へ沈んだはず・・・・・。」

伊丹耀司「沈んだ?・・・・何の話だ?。」

 

特型駆逐棲姫の言葉に理解できない伊丹であった。

 

特型駆逐棲姫「・・・・かつて・・・貴方達人類と私達が戦った・・・・あの戦争で・・・・。」

伊丹耀司「戦争?・・・・。」

特型駆逐棲姫「仲間達と共に艦娘と呼ばれる存在と戦った・・・・けど・・・・仲間達は次々と倒れ、生き残ったのは私だけ・・・・それから巨大な閃光と衝撃に襲われ・・・・・目の前には巨大なキノコ雲が広がった・・・・。」

伊丹耀司「・・・・・もしかして・・・・ 鉄底海峡(アイアンボトムサウンド)の事かい。」

特型駆逐棲姫「・・・・」

 

コクリ。

 

伊丹はそれに答えると特型駆逐棲姫は頷いた。そして、彼女の話はまだ続いた・・・・。

 

特型駆逐棲姫「その光景はまさに世界の終焉みたいだったわ・・・・・巨大なキノコ雲が広がり、私はそれを見つめたわ・・・・・そして、私は艦娘の攻撃を受けて・・・・沈んだ・・・・・・。」

伊丹耀司「・・・・・。」

特型駆逐棲姫「あの砲撃で・・・・私の顔の左は焼け爛れ、左腕も吹き飛ばされたわ・・・・・でも、不思議と痛みもなく、何も感じなくなったわ・・・・・・そして、海の底へ沈んだ・・・・二度と空へ戻れる事もなく・・・・・・・・・。」

伊丹耀司「・・・・・。」

特型駆逐棲姫「私が覚えているのはここまで・・・・・・気付いた時にはベッドの上にいたの・・・・・それだけよ・・・・・。」

伊丹耀司「・・・・・。」

 

特型駆逐棲姫の話を聞いて、悲しげに彼女を見る伊丹。

 

伊丹耀司「なあ・・・・君は・・・・一人になるのが怖いのかい?。」

特型駆逐棲姫「!?・・・・。」

 

伊丹の問いに驚きを見せる特型駆逐棲姫。

 

伊丹耀司「やっぱりそうか・・・・君の顔を見れば何となく感じたからね・・・・・。」

特型駆逐棲姫「・・・・・あの時・・・・海の底で沈んだ時・・・・・・誰にも看取れず・・・・死にたくなかった・・・・・帰りたい・・・・そう思ったの・・・・・でも・・・・私だけ生き残ったと知った時・・・・・どうして私だけ生き残ったの?、何のために生きてきたのか・・・・・そう思うと私の心に恐怖と不安、プレッシャーが感じるようになったの・・・・・・。」

伊丹耀司「・・・・・。」

特型駆逐棲姫「・・・・・私に今日を生きる資格はあるの?・・・・・。」

 

月を見ながら悲しげな顔を見せる特型駆逐棲姫。その頬に一筋の涙が流れた・・・・・。

 

伊丹耀司「・・・・・。」

 

伊丹は、そんな悲しげな特型駆逐棲姫を見て、意外な行動を見せた・・・・。

 

バサッ・・・・。

 

特型駆逐棲姫「!!・・・・?。」

 

特型駆逐棲姫の頭にかけたのは伊丹の軍帽であった。

 

伊丹耀司「・・・・・一人で寂しく考えるよりも、みんなでいれば楽しめるよ・・・・・君は一人じゃない・・・・・みんながいるんだからね・・・・。」

特型駆逐棲姫「・・・・・・・・。」

伊丹耀司「大丈夫、大丈夫だよ。明日はきっと良い事あるさ。」

特型駆逐棲姫「・・・・・・・」

 

特型駆逐棲姫を抱きしめて宥める伊丹。伊丹の行動に驚きながらも彼の言葉を聞いて涙を流す特型駆逐棲姫。

その様子を見つめるヴェールヌイ。

 

ヴェールヌイ「それで、これからどうなさるつもりですか?。司令官。」

伊丹耀司「ま、大丈夫。任せて。何とかなるから。」

ヴェールヌイ「・・・・・・・。」

伊丹耀司「・・・・あ、あれ!?・・・・な、なにこの空気!!?・・・・まずい事を言っちゃた・・・・・。」

ヴェールヌイ「いいえ・・・・司令官がそうおっしゃるならと私は何も申し上げません。」

伊丹耀司「どう・・・僕、人道的でしょ?。」

ヴェールヌイ「・・・・ふっ。」

 

伊丹の真意を知り、微笑むヴェールヌイ。

 

ヴェールヌイ「それで、この子をどうするのですか?。」

伊丹耀司「この子は保護にする事にするけど、みんなにこの子を紹介するのはしばらく伏せてくれないか?。時が来れば俺が話すから・・・・・。」

ヴェールヌイ「ああ、わかった。で、この子の名前は決まったか?。」

伊丹耀司「名前?。」

ヴェールヌイ「まだ名前を聞いていないからね・・・・名無しのままでは可哀想だと思うだが・・・・。」

伊丹耀司「わかった・・・・俺が何とかするからな・・・・・・先に言ってくれないか?。後から行くから。」

ヴェールヌイ「・・・・ああ、わかった・・・・御武運を祈る。」

伊丹耀司「ご、御武運って・・・・・大げさすぎな・・・・・。」

 

伊丹はヴェールヌイと別れ、特型駆逐棲姫の所へ向かった。

 

伊丹耀司「ねえ、君の名は?。」

特型駆逐棲姫「・・・・・・・・。」

 

伊丹の問いに特型駆逐棲姫は沈黙を続けるのであった・・・・・・・。

 

特型駆逐棲姫「・・・・・名前はない・・・・・。」

伊丹耀司「な、名前が無い?・・・・。」

特型駆逐棲姫「正式名称は“特型駆逐棲姫(とくがたくちくせいき)”。それ以外、何もないの・・・・・。」

伊丹耀司「ふーん・・・・じゃ、散歩して見る?。」

特型駆逐棲姫「へっ?。」

伊丹耀司「こういう時は気分転換に散歩するれば、何か思いつくかもしれないからね。行くか?。」

特型駆逐棲姫「・・・・・う、うん・・・・・。」

 

浜辺を散歩する二人。そんな時、彼らの前に不思議な光景を見た。

 

特型駆逐棲姫「・・・・・あ、あれは・・・・何?。」

伊丹耀司「・・・・ま、まさか、あれって・・・・桜か?。」

 

硫黄島に桜が咲いていた事に驚く伊丹。桜は日本のみ春しか咲かないはずだったが、この季節で桜が咲いていた事に最も驚いた。

二人は桜が舞う花びらに見とれていくのであった・・・・・。

 

特型駆逐棲姫「・・・・・き、綺麗・・・・・満月の下で咲く桜の花は綺麗だわ・・・・・・。」

伊丹耀司「・・・・ああ、そうだな・・・・・ん?。」

 

伊丹の前に桜の花びらが舞い踊り、手のひらに落ちてきたのを見た。

 

伊丹耀司「・・・・そうだ、決めたぞ!?。」

特型駆逐棲姫「?・・・・何を決めたのですか?。」

伊丹耀司「君の名前だよ。これを見て思いついたんだ。」

特型駆逐棲姫「・・・・そのような名前ですか?。」

伊丹耀司「そうだな、きっと素敵な名前だと思うよ。」

特型駆逐棲姫「・・・・その前に・・・・貴方の名前を教えて欲しいの?。」

伊丹耀司「俺か・・・・ああ、そうか、名前を言わなかったな・・・・俺は伊丹耀司。硫黄島鎮守府の提督を務めている。」

特型駆逐棲姫「・・・・伊丹・・・・私の名前は何?。」

伊丹耀司「そうだね・・・・今から名づけるよ・・・・・君の名は・・・・。」

 

伊丹は特型駆逐棲姫の名前を名づけようとした。桜はそんな二人をまるで祝福するように桜を舞い続けていた・・・・。

それから数日後、伊丹の所で嬉しい報告が待っていた。

 

硫黄島鎮守府 会議室

 

伊丹耀司「それで、報告とは?。」

三菱「ようやく新たな艦娘十数隻を建造してできた事を報告するわ。」

伊丹耀司「本当か!?。」

三菱「ああ、使えそうな資材や試験用に作られた素材を丹念に込めて、数日かけて建造に成功したんだ。」

伊丹耀司「すごいな・・・・・一度に三隻しか建造できなかったはずじゃなかったのかい?。」

三菱「そりゃあそうだ。私だけじゃない。三原や桃取も徹夜を通して頑張ったからね。今はぐっすり眠っている世。」

伊丹耀司「そうか、ご苦労だったな。ゆっくり休んでくれ。」

三菱「ああ、休ませて貰うよ。まあ、艦娘達の紹介をしてから眠るけどね。入っていいぞ。」

 

ガチャ・・・・タッタッタッタッタッタッ・・・・・・。

 

ドアから入ってきたのは13人の艦娘であった。

 

三菱「順番に紹介するわ。一番目は軽巡洋艦の阿武隈(あぶくま)。」

阿武隈「長良型軽巡洋艦の阿武隈です。建造も間もない不束者ですが、提督のご期待に応えるよう頑張ります。」

三菱「彼女の武装は14cm単装砲だけど、新技術の恩恵のせいか性能が高いなったのよね。発射速度、射撃精度、射程距離が向上し、劣っている適性をカバーするために武装を主砲のみに絞り、魚雷を装備しない代わりに21号対空電探改や32号対水上電探改などの水上電探・対空電探を追加装備し、高い索敵能力を誇るけど、魚雷を外しているから単艦での戦闘力は他の軽巡級艦娘と比べて低いけど、索敵能力を活かして、味方との連携で能力を発揮する艦娘よ。まあ、使いこなせば貴重な主力にもなるから期待できるわよ。」

伊丹耀司「確かに期待できそうだな。」

三菱「次は駆逐艦の子日(ねのひ)。」

子日「初めまして、初春型駆逐艦2番艦の子日だよ。子日、張り切って頑張るよ。」

三菱「この子は駆逐艦としては未熟な部分があるけど、武装では12cm単装砲改二や12.7cm連装砲C型改二、さらに61cm三連装(酸素)魚雷に25mm三連装機銃 集中配備、21号対空電探改など、火力や対空能力、索敵を特化した艦娘だけど、能力が高い反面、注意力や集中力が低い上、スタミナ、耐久値と装甲値が極端に低いのが難点だけどね。また、それを補うように改良型艦本式タービンや新開発のフロートスピナーシステムを加えているから機動力や回避性能は高いけど、それと彼女しかない独自の装備があるわ。それはネズミ型の艤装で、それぞれ意思を持ち、独自の行動も可能、さらに武装は背中に12.7cm連装砲B型改二、両手に12.7cm単装高角砲や12.7cm連装高角砲(後期型)、61cm四連装(酸素)魚雷を装備して、さらに22号対水上電探改四及び三式水中探信儀、四式水中聴音機により索敵能力が高く、対潜能力も高いわ。それを子日の索敵能力を合わせれば、より高い索敵範囲が広がるはずよ。まあ、育てれば戦力になれるはずよ。まあ、性格は問題だけどね・・・・・。」

伊丹耀司「・・・・・考えとくよ・・・・・。」

三菱「次は重雷装巡洋艦の北上改二。ある意味意外な艦娘だよ。」

北上(改二)「アタシは軽巡、北上。まーよろしく。」

三菱「こいつはすごい艦娘だよ。まさか改装した状態で建造されるとは予想外だったけど、重雷装巡洋艦としての高い能力を持ち、全艦娘中最多の魚雷装弾数を誇り、非常に高い雷撃能力を持ち、ここから繰り出される先制雷撃が持ち味で、火力も持ち合わせているため砲撃戦にも貢献でき、潜水艦への攻撃も可能で、先制爆雷攻撃実装で対潜でも先制攻撃も可能。まさに主力に相応しい戦力よ。まあ、撃ち尽くしてしまうとその場で再装填ができないなど問題点も多く、武装は12cm単装砲改二改良型に12.7cm連装高角砲、8cm高角砲を装備しているけど、あくまでサブウエポンとしての兵装であり、砲撃で敵を撃破することは想定されていないわ。後、特殊装備として、対潜水艦・索敵能力に優れた21号対空電探改やHF/DF+Type144/147 ASDICに、脚部の魚雷発射管に付属している「甲標的」は、機動力・火力は下がるが遠隔操作による雷撃が可能だが、索敵能力は重視していないから、味方のサポートに頼る面は多いわ。まあ、主力としての戦力である事が間違いないわ。」

北上(改二)「あの~提督~。」

伊丹耀司「?。どうした、北上?。」

北上(改二)「もし、部隊編成の際に~、阿武隈の所に加えて欲しいのですが~。」

伊丹耀司「へっ?。」

阿武隈「ちょ、ちょっとっ!?、き、北上さんっ!!?。な、何を言っているですか!!?。」

北上(改二)「いい~じゃない~。だって、ワタシ達、“チューした仲”じゃん!。」

阿武隈「!!!。」

伊丹耀司「“チューした仲”?。」

阿武隈「あああああああっ~~~~~~!!!。あ、あれは事故よ!。て、提督っ!!、これは聞かなかったことにしてください!!、いいですかっ!!?。

北上(改二)「むぐっ。」

伊丹耀司「あ、ああ・・・・・(一体、あの二人に何があったんだ?)。」

三菱「おほんっ・・・・つ、次の子は軽空母の瑞鳳。」

瑞鳳「瑞鳳です。軽空母ですが、錬度が上がれば、正規空母並の活躍をおみせできます。」

三菱「瑞鳳は、初期艦ながら改装なしに搭載数48機を誇っているわ。搭載機は零式艦戦21型(熟練)や零式艦戦52型や彗星、天山など高性能なものばかりよ。また、強風改や二式水戦改(熟練)などの水上戦闘機や二式大艇などの大型飛行艇も搭載可能で、より広範囲の索敵能力も高いわ。とはいえ、防御力ともに若干頼りない感はあるけど、まあ、彼女の言う通り、正規空母並の戦力になるわ。」

伊丹耀司「期待しているよ。」

瑞鳳「はいっ!。」

三菱「次に・・・。」

???「Hi(ヘイ)Me(ミー)が説明するネ。」

三菱「ちょ、ちょっと!!?。ア、アイオワ、私の説明を・・・。」

アイオワ「You(ユー)がこの艦隊のAdmiral(アドミラル)なのネ?。Me(ミー)は、アイオワ級戦艦、アイオワよ。これからもよろしくネ。」

伊丹耀司「あ、ああ・・・・こ、こちらよろしく・・・・。」

三菱「おほんっ・・・・このアイオワは大和型に匹敵するほどの火力・耐久・装甲を誇っていてね、16inch三連装砲 Mk.7+GFCSや41cm三連装砲改二、16inch Mk.I三連装砲改+FCR type284、試製51cm連装砲、38cm四連装砲改、381mm/50 三連装砲改、OTO 152mm三連装速射砲、試製35.6cm三連装砲、対空用に5inch連装砲 Mk.28 mod.2、Bofors 40mm四連装機関砲、QF 2ポンド8連装ポンポン砲、10cm連装高角砲改+増設機銃、10cm高角砲+高射装置、12.7cm高角砲+高射装置、20連装7inch UP Rocket Launchers、12cm30連装噴進砲改二、Bofors 40mm四連装機関砲を装備し、対空攻撃、高火力を特化した反面、重力が重すぎて、回避性能が低いのが難点だけど、32号対水上電探改やSK+SGレーダー、15m二重測距儀+21号電探改二、SKレーダーなどの高い探査能力により、広範囲の索敵を可能としているから、迎撃や奇襲に向いているわ。また、一応、追加装備として、新開発のフィールドジェネレーターとチョバムアーマー、ビクトルエンジンを加えたから、機動力や回避能力、艤装性能はある程度向上しているわ。さらに彼女には独自の武器があるわ。それはこれまで艦娘、主に戦艦にはない武装、対艦ミサイル「ハープーンミサイル」を装備している事ね。」

伊丹耀司「ハープーンミサイル?、すごそうな武器だな。」

三菱「ええ、ハープーンミサイルは彼女しかない武器で、誘導装置により敵を捕捉、それに向かって発射して攻撃できる優れもので、威力は戦艦級を一撃で撃破できるほどの威力ね。まあ、攻撃の主力としては期待できそうね。」

伊丹耀司「まあ、期待できそうだな。」

???「なあなあ、提督。どう、酒を飲まない?。」

伊丹耀司「えっ?、い、いや・・・・し、仕事中だから・・・・。」

???「いいじゃない、いいじゃない・・・・たまにはパーッといこうぜ~。パーッとな!」

三菱「ちょ、ちょっと!、隼鷹(じゅんよう)さん。勤務中は酒を飲まなでって、あれほど言っているじゃないですか!!?。」

隼鷹「大丈夫~、大丈夫~。まだまだ八文目だから~~。うぃっく。」

伊丹耀司「・・・・どう見てもかなり酔っているしか見えないけど・・・・・。」

三菱「す、すみません。提督。お見苦しい所を見せてしまって・・・・。

伊丹耀司「い、いや・・・気にしなくていいよ。続きをしてくれないか?。」

三菱「ええ、彼女は軽空母の隼鷹さん。軽空母としては実力が高いのですが・・・・・かなり酒豪で、いつも酒ばかり飲んでいる方なんです・・・・・。」

伊丹耀司「・・・・あ、あははは・・・・。」

三菱「でも、軽空母にしては、並みの隼鷹型の4倍の搭載機を誇っています。それゆえ、九六式艦戦、九九式艦爆、九七式艦攻の通常艦載機はもちろん、零式艦戦52型(熟練)や彗星、烈風、烈風改、零式艦戦63型(爆戦)、橘花改、瑞雲(六三四空/熟練)など、艦上戦闘機や艦上攻撃機、艦上爆撃機、艦上偵察機、水上戦闘機、水上爆撃機、水上偵察機などを搭載可能とする万能ぶりを見せます。後、防御力が低い反面、13号対空電探改や21号対空電探改の高い索敵能力や12cm30連装噴進砲改二や25mm三連装機銃 集中配備、12.7cm高角砲+高射装置などの対空能力で補っていますが、さらに96式150cm探照灯や試製15cm9連装対潜噴進砲、三式爆雷投射機 集中配備、プリエーゼ式水中防御隔壁、艦本新設計 増設バルジ(大型艦)、四式水中聴音機など、軽空母では装備できないものすら装備してしまうのがすごい所なんです。航空戦力として貴重な一材と言えますが、如何ですか?。」

伊丹耀司「・・・・ま、まあ・・・いいじゃない、それ・・・・。」

隼鷹「く~~~、く~~~・・・・。」

伊丹、三菱「・・・・・(寝てる!!?)。」

三菱「おほん・・・・つ、次の子は装甲コルベット艦の龍驤(りょうしょう)さん。」

伊丹耀司「装甲コルベット艦?。」

龍驤((りょうしょう)「始めまして、提督様。自分は装甲コルベット艦の龍驤です。これからもよろしくお願いいたします。」

三菱「龍驤さんは、艦娘の中では存在しない装甲コルベット艦の艦娘で、明治時代に存在した最も古い艦の生まれです。特徴的な所は、アームストロング砲2門と両手を持つ装甲版で、アームストロング砲は元々は古い大砲だったけど、現在の技術と艦娘の能力を合わせて、より強力な武器に生まれ変わったわ。次弾装填はかかるけど、その威力は深海棲艦数隻を一撃で轟沈するほど。また、装甲版は戦艦級の砲撃を食らってもびくともしない防御力と耐久力を誇るから盾代わりになるわね。本人の小型なためか耐久と装甲は控えめだから無理は禁物よ。」

伊丹耀司「ああ、わかった。」

三菱「次は陽炎型駆逐艦の秋雲(あきくも)。」

秋雲「秋雲着任!提督、よろしくね。」

三菱「秋雲は駆逐艦としてはそれなり優秀ですが、回避・運の初期値が高めで、対空の初期値が低めですが、育てれば優秀な戦力になるのが間違いなしです。武装は12.7cm連装砲、10cm高角砲+高射装置の他、25mm三連装機銃や61cm四連装(酸素)魚雷、さらに三式水中探信儀や13号対空電探も装備しているから、対空、対潜、索敵能力もそれなり高いから、いいわね。」

伊丹耀司「うむうむ。」

三菱「次は高雄型重巡洋艦の摩耶(まや)よ。」

摩耶(改二)「よ!、オレ、摩耶ってんだ、よろしくな。提督。」

三菱「摩耶は、川上同様、改二の状態で建造された艦娘で、武装も20.3cm(2号)連装砲、25mm三連装機銃 集中配備、94式高射装置、12.7cm連装高角砲、61cm五連装(酸素)魚雷、三式弾を装備、21号対空電探改に四式水中聴音機も装備しており、対空、対潜能力も高いわ。これも主力の一つにもなるわ。」

伊丹耀司「うーん、悪くないな。」

三菱「次は同じく、改二の状態で建造された衣笠(きぬがさ)よ。」

衣笠(改二)「はーいっ!。衣笠さんの登場よ!。よろしくね!」

三菱「衣笠は改二により武装は充実で、20.3cm(3号)連装砲や20.3cm(2号)連装砲、25mm三連装機銃、61cm四連装(酸素)魚雷、533mm 三連装魚雷、8cm高角砲を装備、13号対空電探改や22号対水上電探改四

(後期調整型)、零式水中聴音機も装備、さらに新開発の試作型イージスシステムも組み込んでいるからより索敵能力を大きく向上しているはずよ。さらに探照灯により夜戦への対応できるようになったわ。また、改良型艦本式タービン、新型高温高圧缶の特殊装備により儀装の機関部の強化も行ったわ。ただ、唯一の欠点は燃費を大きく消費してしまう事ね。運用には気をつけないとね。」

伊丹耀司「・・・・・ああ、わかった。」

三菱「次は軽空母の神鷹(しんよう)。」

神鷹「・・・・こ、こんにちは。私、神鷹って名前・・・・その・・・航空母艦です。まだ色々と慣れなくてごめんなさい。でも頑張ります。」

伊丹耀司「あ、ああ・・・・」

三菱「神鷹は、ドイツのロイド汽船所属の客船「シャルンホルスト」を改装したと言われている艦娘で、性格はあれだが、搭載数33機を可能とし、零式艦戦52型や九七式艦攻の二種類だけど、どれも優秀なものばかりよ。軽空母としては未熟な面が目立つけど、まあ、実戦を積めばそれなり戦力になることは間違いなしよ。」

伊丹耀司「ほう。」

三菱「次は多摩(たま)。」

多摩(改二)「にゃふ~~・・・・にゃふ~~・・・・。」

三菱「って、寝るなっ!!。」

 

バシッ。

 

多摩(改二)「にゃにゃっ!!?・・・・ふああああ・・・・軽巡、多摩にゃ。もちろん猫じゃないにゃ。猫は改装できないにゃ。」

伊丹耀司「・・・・(い、いや・・・どう見ても・・・・猫かも?。)

三菱「お、おっほん・・・・・こいつは他の三人同様、改二の状態で建造された艦娘で、12.7cm連装高角砲(後期型)や14cm連装砲、15.2cm連装砲改、203mm/53 連装砲、25mm三連装機銃、8cm高角砲改+増設機銃、61cm四連装(酸素)魚雷、61cm五連装(酸素)魚雷、三式爆雷投射機など、対空、対潜戦闘も完備し、北方迷彩(+北方装備)、13号対空電探改、21号対空電探改、二式水戦改、三式水中探信儀、四式水中聴音機の特殊装備により索敵や装甲、対潜、対空能力も向上したわ。これも即戦力になる人材よ。」

伊丹耀司「いいね。」

三菱「最後に軽巡洋艦の由良(ゆら)。」

由良「長良型軽巡洋艦の由良です。どうぞ、よろしくお願いいたしますっ!」

三菱「由良は、初期艦ながら、12.7cm単装高角砲(後期型)や零式水上偵察機11型乙の改二の装備をしており、14cm連装砲や61cm四連装(酸素)魚雷、25mm三連装機銃 集中配備、13号対空電探改を完備しているわ。まあ、対潜能力は高いけど、他は標準的な能力だから、こつこつ育てる必要はあるわ。」

伊丹耀司「わかった。」

三菱「以上が、私達硫黄島鎮守府の戦力よ。私は眠いから失礼するわ。ふああああ・・・・・。」

伊丹耀司「ああ、おわすみな。」

三菱「ああ、それと・・・・“あの子”の紹介はまだみたいだから、御披露目にはもってこいよ。じゃあ。」

伊丹耀司「ああ、そうするつもりだ。」

全員「?。」

 

三菱の意味深な言葉に艦娘は気になる様子。

 

伊丹耀司「そうだ。皆にはまだ紹介していない“子”がいるんだが、ある事情で伏せているんだ。」

阿武隈「あ、あの・・・・手、提督・・・・どういう子ですか?。」

アイオワ「Hi(ヘイ)!、Admiral(アドミラル)Me(ミー)の知らない子って誰ですカ?。」

伊丹耀司「ああ、それはな・・・・ちょっと待ってね。」

 

ガチャ・・・・。

 

伊丹は通信機を取り出し、誰かと話をしていた。

 

伊丹耀司「ヴェールヌイ、まるゆ。あの子をここへ連れてきてくれ。」

阿武隈「?。」

 

通信から10分後。

 

ガチャ・・・・タッタッタッ。

 

ドアから現れたのはヴェールヌイ、まるゆ、そして、布に包まれた謎の存在。

 

阿武隈「・・・・・あ、あのう・・・・提督・・・・これって?・・・・・・。」

伊丹耀司「まあ、最初から見れば驚いてしまうから、今はこれで隠したんだ。布を取っていいよ。」

 

バサッ・・・シュルルル・・・・・・。

 

布を取り出し、その姿が露になった。

 

阿武隈、北上「えっ!?。」

 

驚きを上げる阿武隈、北上。他の面々も同様だった・・・・・爆睡している隼鷹以外は。

 

伊丹耀司「紹介するよ。彼女はここで働く事になった深海棲艦の娘、“桜”だ。」

桜「・・・・・さ、桜です。よ、よろしく・・・・・。」

艦娘達「・・・・・・・・え、ええええええええええっ~~~~~~~~~~~~~!!?。」

隼鷹「く~~~、く~~~・・・・ん?、どうした、そんなに大声を叫んで?。」

瑞鳳「てっ、提督!?・・・・どうして、深海棲艦がここにいるのですか?。」

アイオワ「why(ホワイ)?、どういう事ですカ?。Admiral(アドミラル)。」

龍驤(りょうしょう)「て、提督様。これはどういう事か説明を!!?。」

多摩(改二)「提督、にゃんて、にゃんて!!?。」

神鷹「て、提督!、わ、訳を話して下しださい。」

子日「ね、子日も知りたいです。」

摩耶(改二)「おいおい、提督。まさか・・・・俺達を売ろうと思っているんじゃないんだろうな?。」

北上(改二)「提督。覚悟は決めてください。撃ちますよ。ええ、撃ちますよ。」

阿武隈「ちょ、ちょっと、北上さん。お、落ち着いて!!?。」

由良「え、ええと・・・・こ、これは・・・・ちょっと意外だね・・・・・。」

衣笠(改二)「おー、これは良いモデルになりそうですね。」

秋雲「こ、こんな子がいるなんて・・・・あ、秋雲知らなかったですよっ!!?。」

艦娘達「ワイワイ・・・・ガヤガヤ・・・・ワイワイ・・・・ガヤガヤ・・・・。」

ヴェールヌイ「・・・・・まるでカオスだな・・・・。」

まるゆ「あわわわわわ・・・・・。」

 

艦娘はパニックになっていた・・・・・。その様子を見つめるヴェールヌイとまるゆ。

 

伊丹耀司「わ、わかった、わかったから、皆落ち着け。こ、これにはいろいろ事情があるんだよ。」

艦娘達「事情?。」

 

伊丹は艦娘達に桜について事情を話した。桜はかつて13年のアイアンボトムサウンド海戦で戦い、沈没した事、ここ鎮守府に流れて着いた所を助け出した事、そして、孤独に感じ、一人寂しい事など、これまでの事の詳細をすべて話した。

 

アイオワ「オー、ナルホド。それでこの子を保護する事になったのですカ?。」

伊丹耀司「ああ、だから俺が彼女を保護したんだ。」

阿武隈「で、でも・・・・深海棲艦を保護するなんて、上に知られたらやばいのでは・・・・・。」

伊丹耀司「それは心配ない。ここは本土から離れているから、よほどの事態がない限り、本部からの通信はないと思うよ。」

北上(改二)「提督。この子の事を知っているのは、提督以外知っているのですか?。」

伊丹耀司「ああ、ヴェールヌイとまるゆ、後工廠長の三菱にも教えたが、他の二人は仕事に集中していたから、知らないはずだ。」

阿武隈「そうなんですか・・・・・それで私達に見せたのは、彼女を一人ではない事を教える為ですか?。」

伊丹耀司「ま、そうなるんだが、できれば・・・・・友達になってくれないか?。」

阿武隈「と、友達ですか!?。」

伊丹耀司「ああ、君達は工廠から建造されて間もないからね、皆、桜の友達になってくれないか?。虫の良すぎるだと思うが、どうか頼む。あの子の為に友達としてお願いする。」

 

伊丹は艦娘達に向けて、頭を下げてお願いした。

 

阿武隈「・・・・わかりました。提督。」

北上(改二)「え!・・・あ、阿武隈いいの!?・・・・あいつは深海棲艦だよ!・・・・そんな奴の為に友達になるなんて・・・・。」

阿武隈「でも・・・・ほっとけないよ・・・・あの子を・・・・提督が頭を下げてお願いするなんて、よほどの事情があるみたいようだし・・・・・。」

北上(改二)「・・・・で、でもな~・・・・・。」

子日「ね、子日は賛成ですよ。友達になるなら大歓迎です。」

瑞鳳「・・・・敵である深海棲艦」

多摩(改二)「・・・・・ふ~~~・・・・・多摩は信用できないけど・・・・・。」

隼鷹「私は構わないよ、提督。仲間なら歓迎!、それより、貴方・・・・酒は好き?、」

アイオワ「OK(オーケー)Admiral(アドミラル)Hi(ヘイ)Me(ミー)You(ユー)FRIEND(フレンド)ヨ。よろしくネ。」

龍驤((りょうしょう)「私は提督様の命に従います。たとえ深海棲艦でも提督様にご命令なら致し方ありません。」

神鷹「わ、私は・・・・・べ、別に・・・・か、構いませんが・・・・。」

摩耶(改二)「・・・・・はあああ・・・・仕方ねえ・・・・(ダチ)になってやるから光栄に思え!!。」

由良「え、ええと・・・・こ、これは・・・・ちょっと意外だね・・・・・。」

衣笠(改二)「ま、まあ・・・・提督に従うわ。この子はどんな娘なのか気になるからね・・・・。」

秋雲「あ、秋雲は・・・・提督に従います。以上。」

ヴェールヌイ「хорошо(ハラショー)、これは意外だな・・・・大勢反対するかと思ったが、すごいな。」

まるゆ「え、ええ・・・・ま、まるゆもびっくりです。」

 

桜に対して、友達になってくれる事を賛成する者が意外に多かった事に驚く二人。

 

伊丹耀司「どうだ。桜。」

桜「あ・・・は、はい・・・・。」

伊丹耀司「僕の言った通りだろ。君の友達になってくれる子がいっぱいいるって、にっ。」

桜「・・・・・・・はいっ。」

 

伊丹はにっこり笑うと桜は微笑み返した。

こうして、硫黄島鎮守府で新しい仲間と共に深海棲艦である桜を迎え入れた伊丹。

だが、そんな二人に待ち受ける新たなる脅威が迫りつつあった・・・・・。

 

ソロモン海 棲地

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ・・・・・・・・・・・・。

 

ソロモン海。太平洋南西部の海で、パプアニューギニア近隣海域である。

そこにはおびただしい深海棲艦の群れが集まっていた。

その数は・・・・全部で1000万以上を超えている・・・・・。

その中で、かつて、まるゆやヴェールヌイが倒し損ねた空母ヲ級がいた。

 

空母ヲ級「・・・・・・。」

 

これが硫黄島鎮守府に所属する艦娘達と激闘を繰り広げる海戦「ソロモン海戦」が始まろうとしていた・・・・・。

 

ソルティ・ロード2 終    CARVE WITH VICTORY ON THE HORIZON OF THE DAWN!




如何ですか。冒頭に明かされる新たな真実と伊丹と桜の出会いと名付け、そして、新たなる艦娘達の登場を詳しく描かれた第2話は?。

冒頭シーンの桜視点で描かれたアイアンボトムサウンド海戦の真実。
実はこの爆発は、主人公にとっては忌まわしい記憶として、深い傷に負う事になり、伊丹達統合人類軍第13独立部隊を解散に追い込んだ元凶でもあります。それはストーリーの中で明らかになります。

何故か生き残った事に疑問を抱き、一人になるのが怖いという桜のナイーブな心情を描かれており、それに気付いた伊丹との交流、そして、名前を名付けるシーンは見物で、伊丹が言う「君の名は」ですが、有名な映画「君の名は。」から取ったもので、タイトルも同じものにつけられていますが、実はストライクウィッチーズのOPの一部からとったものも含まれています。
また、ストーリーの中で桜の回想シーンで謎のキャラの登場にお気づきですか?。
名前は伏せていますが、容姿から誰かのキャラと気付いていますが、ネタバレになるので今は伏せておきます。
この登場キャラはこの物語の重要な鍵に握る存在であり、ストーリーの進む中で少しずつ明かされる事になります。

後半で登場する13人の新しい艦娘が登場、それぞれ個性溢れたキャラで描かれています。
また、13人の中には改二状態の武装やありえない装備、改二状態で建造された艦娘も含まれており、さらにオリジナルキャラの艦娘も登場しました。
詳しい紹介は「登場人物・用語紹介 硫黄島鎮守府編(1)」にて記載されています。

また、ラストに登場する空母ヲ級は、ソルティ・ロード1「硫黄島鎮守府と招かれざる者」に登場し、硫黄島鎮守府へ襲撃した深海棲艦の先遣部隊の一人であった空母ヲ級で、まるゆの攻撃を耐え切り、重傷を負わせた実力を持つ彼女が今まさに硫黄島鎮守府の艦娘を攻めようとしています。

次回は新しく新設されたヴェールヌイ達硫黄島鎮守府遊撃隊と1000万以上の深海棲艦の群れとの壮絶な死闘が繰り広げ、最大の危機に陥る事になります。
その危機に桜が動き出します。
励まし、自分を支えてくれた提督や仲間達を守る為に桜が1000万以上の深海棲艦の群れとの壮絶なバトルが繰り広げますので、お楽しみに。


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登場人物・用語紹介 硫黄島鎮守府編(1)

こんにちわ。タケノコ屋です。
艦これ大戦 ~君あるがために 恋する艦娘達よ大志を抱け~の2作を連続で投稿しました。

「艦これ大戦 ~君あるがために 恋する艦娘達よ大志を抱け~」の登場人物の紹介ですが、今回は硫黄島鎮守府編時点での主人公達や用語の一部の紹介をします。

どうぞ楽しんでください。


艦これ大戦 ~君あるがために 恋する艦娘達よ大志を抱け~

 

登場人物紹介 硫黄島鎮守府編(1)

 

 

登場人物

(さくら)

主人公(ヒロイン)。硫黄島鎮守府所属の鹵獲艦(表向き)で、後に硫黄島鎮守府遊撃艦隊第0特務艦隊「桜花艦隊」旗艦。

元深海棲艦の少女で、外見は全身が真っ白で中間棲姫等に似たドレスをまとい、眼は姫クラス特有の深紅、頭からは角を2本生やし、首には千切れた鎖がつけられのが特徴。

性格は寡黙かつ無表情で、無垢で機械的であるが、仲間の深海棲艦が撃沈されながら、轟沈したはずの自分だけ生き残った事にコンプレックスを抱いたり、自身が深海棲艦であるにも関わらず、同胞と戦わなければならない事に苦悩を抱えたり、自身が深海棲艦という理由で差別発言の際には深く傷つくなど、繊細でナイーブな一面と人見知りが激しく、親しい人以外には物怖じたり、赤面するなど、引っ込み思案で内気な一面を持つ。

また、根は素直で優しく温和で、たとえ自分に敵対する者であっても愛と哀しみを込め、その最期を情でもって見送ったり、他者の危機には率先して手を差し伸べる優しさと正義感を持つなど、争いを好まない心優しい人物で、誰より強情で、こうと決めたら決して引かない強さを併せ持ち、敵味方問わずに好感を持たれている。また、仲間への想いは非常に強く、危険を顧みず助けに向かう程。

当初は寡黙で無表情だったが、伊丹との出会いと交流により少しずつ心を開くようになり、さらに艦娘の吹雪やほっぽちゃんなどの出会いにより、感情表現が豊かさを見せるようになった。

非常に優れた身体能力を持ち、三菱(みつびし)が支給された試作兵器群を自在に使いこなし、100万以上の深海棲艦の軍勢を相手に互角以上に戦い、たった一人で壊滅寸前まで追い込んだほど。また、普通より遥かに遠くを見渡し、夜の中でも敵の位置を見分けたり、約1km先の飛行する標的も狙撃するなど、潜在能力と瀕死に近い重傷を僅か数日で完治するなどの治癒能力を持ち合わせている。

最初は魚のヒレの様なものがついたおぞましい左腕があったが、アイアンボトム海戦の戦いで、吹き飛ばされて失ったが、伊丹に助けられた際には右腕と同じ普通の腕になっていた。

後に艦娘仕様の艤装及びセーラー服型の服装を支給される。また、彼女専用の艤装は彼女の能力に合わせてチューイングされ、試作兵器の搭載も可能としている。

 

伊丹 耀司(いたみ ようじ)

主人公。硫黄島鎮守府提督。33歳。階級は少佐。後に大佐へと昇進する。

能天気で細かい事に気にしないお気楽な性格で、勤務態度は誠実とは言い難く、常に危険を避け、何となく任務を果たしてお茶を濁している。評価は「不可にならない程度に可」で、本人も「趣味と仕事、どちらかを取れと言われれば迷わず趣味を取る」とうそぶいている。しかし作戦時や任務などでは、優柔不断な態度とは打って変わり、歴戦の兵士としての指揮官を見せる。とっさの状況判断能力に優れているほか頭の回転も速く、現場指揮官としての能力はかなり高く、物事を客観的に判断するなど、軍という枠に収まらない柔軟な思考の持ち主で、仲間のためにルールを破ることを厭わない義侠心を持つ一方、理想と現実をすり合わせてシビアな判断を下すこともできるなど、直感的な状況観察能力と咄嗟の状況判断力に優れ、危機察知能力と危機回避能力を併せ持つ優秀な司令官でもある。

困っている人は助ける等人柄そのものは良く、相手が深海棲艦でも傷ついているなら助けたり、行き場がない深海棲艦を鎮守府に迎え入れたり、深海棲艦でもある桜を一人の人間として接するなど、包容力と寛大さ、さらに部下である艦娘の身の安全が大事だと考え、彼女達を守るためなら常に命をかける覚悟と度量を持つ部下想いを併せ持つ。

元統合人類軍第13独立部隊司令官で、13年前のアイアンボトムサウンド海戦にて数多くの激戦を制して生き延びた歴戦の勇士であるが、第13独立部隊解散後、日本海軍呉鎮守府へ転属したが、大本営から輸送船団の護衛任務を任され、護衛艦隊を率いり、輸送船団を帝都まで運ぶ任務を遂行していたが、深海棲艦の襲撃を受け、さらに艦娘はまるゆ以外なく、大本営から艦娘を配属しなかった為に護衛艦隊半数を失い、輸送船団も壊滅的な被害を受けたが、まるゆを巧みに使いこなし、残りの護衛艦隊と共に撃退に成功するも、護衛中、他国から流れ着いた不法侵入者の船を救助した事、さらにその失態の擦り付けにより、硫黄島鎮守府へ転属させられたが、本人はそんな事に気にせず、気楽に楽しんでいる模様。

桜との出会いを受け、それらを巡り、様々な陰謀や策略などに巻き込まれる事になり、彼女のを守る為とはいえ、ケッコンカッコカリで結ぶ事に・・・・・。

 

副官

【まるゆ】

伊丹の副官を務めるスク水を着た小学生中学年程度に見えるショートカットの艦娘。伊丹とは長年苦楽を共にした部下で、元統合人類軍第13独立部隊の隊員で、作戦の要として任されるなど、伊丹から信頼が厚く、自身を拾ってくれた伊丹を強く慕っている。

性格は気弱だが、任務を最後まで果たそうとする健気さとかつて同僚を失った過去から仲間想いな一面を持つ。

本来艦娘の中でも最弱の存在であったが、当時副官であった土佐に鍛えられ、耐久力や機動性、潜航能力、隠密能力を大きく向上、大量の木炭と硫黄、硝酸カリウムが入った運貨筒100個及び潜水艦53cm艦首魚雷4発を纏めた計40発の10個を運び出したり、艦載機の特攻を食らっても、ギリギリながら生き延びた。

硫黄島戦役後、艦娘として活動できないほどの重傷を負い、現在は温泉治療による絶対安静と長期の療養を受けながら、戦闘以外の後方支援や作戦の補佐を務める。

かつて陸軍出身の艦娘であったが、最弱の艦娘と呼ばれるほど、性能が低く、役立たずの烙印を押され、廃棄処分として解体されそうになった所を当時、まだ新米兵士であった伊丹に拾われ、部下として様々な戦いを経験し、さらに統合人類軍第13独立部隊の隊員として、アイアンボトムサウンド海戦終戦まで戦い抜いた。

 

【ヴェールヌイ】

伊丹の副官を務める艦娘。硫黄島鎮守府遊撃艦隊旗艦。

三菱達により始めて建造した初期艦で、日本海軍の駆逐艦・響が改装可能した姿をしているが、本人曰く「生まれはロシアで、日本の駆逐艦である響をモデルに作られ、今はソ連赤色海軍に所属する海外所属艦」との事で、日本の駆逐艦である響をモデルに作られたロシア生まれの艦娘である。

性格は物静かで大人びた様な喋り方をするクールビューティーで、平時でも戦闘時でも、気合の入った「Ура(ウラー)!」や驚きと感激を表す「хорошо(ハラショー)」など、ロシア語でバシッと決める。

普段は冷静な艦娘だが、戦艦級に対して臆さず立ち向かう勇敢さと単独で作戦行動するまるゆをほっとけず、独断で行動したり、仲間を侮辱した相手に激しい怒りを表す激情家な一面をみせるなど、意外と仲間意識が強く、情に厚い。また、大破したまるゆを心配し気遣ったり、まとめ役を買って出るなど、面倒見のいい一面を持つ。

まるゆとは建造された間もない頃、少ない交流の内に副官でありながら、親友かつ戦友になった。

伊丹に対しては当初はだらしない司令官と思っているが、硫黄島戦役で、司令官としての実力を見て、賞賛し、提督として認めた。また、敵である桜を警戒しつつ、伊丹の決めたことには素直に従うなど、伊丹の理念を重んじる。

また、建造されたばかりの駆逐艦ながら、高い戦闘能力と冷静な判断力、高い指揮能力や作戦立案能力が優れた為、短期間で旗艦として選ばれており、伊丹から作戦の指揮を一任を任されるなど、信頼は厚く、また、負傷し療養中のまるゆに代わり、伊丹の秘書艦として兼任している。

桜に対しては当初、深海棲艦である彼女に抵抗を感じているが、たった一人で深海棲艦を互角以上に戦う彼女の素質を一目で見抜き、彼女の実力を認める。

また、自身のコンプレックスを抱く彼女を気遣い、助言したり、買い物を誘うなど、配慮かつ面倒見を見せる。

 

硫黄島鎮守府工廠

三菱(みつびし)

硫黄島鎮守府工廠長。

腰まである紺色のロングストレートに薄紫色の瞳、白と紺のセーラー服だが、その上に茶色い分厚い作業服を羽織っており、黒い軍帽を着用した長身の女性。

移動型工廠を備えていると言われるほどの修理・工作設備を有した工作艦としての特性を持ち、修理や近代化改修を行うだけではなく、艦娘の建造を行うという珍しい能力を持つ艦娘である。

性格は男勝りで整備要員ながら正に叩き上げの職人気質で、口が悪いが、情に厚く面倒見が良い面を持ち、阿武隈達の危機を助ける為に独断で助けに行こうとする桜をあえて止めようとせず自身が作った多数の試作型兵器を搭載したフリート・アームズを貸し出し、出撃許可を与えて行かせるなど、自身の信念を貫き通す一面を持つ。

また、建造した艦娘の説明や作戦内容を行うなど、秘書艦のような役割を見せる事務的な面を持つ。

艦娘の修理や近代改修、新兵器の開発を行っており、特に試験用に開発された新兵器は最新技術で積み込まれており、通常の艦娘の武器を遥かに越える成功を発揮する。

艦娘建造では三原、桃取と共に燃料・弾薬・鋼材・ボーキサイトの4つを集め、ハンマーや電気溶接機、ドリルなどの工事道具を装備し、作業を施し鍛え、それをかまどに入れる事で完成する。さらに全力で鍛えれば、最大3人の艦娘を建造可能。

かつて、三原と桃取と共にアイアンボトムサウンド海戦で、多くの艦娘を建造し、その戦いで支えたが、終戦後、建造された本部直属の新型の艦娘製造工場により、お払い箱にされ、現在の鎮守府に置かれる事になった過去を持つが、最後まで信念を貫き通す気である。

主な担当は、兵器開発、改修・修理、艦娘建造担当。

また、アイアンボトムサウンド海戦時代から古株の艦娘で、伊丹がかつて統合人類軍第13独立部隊の司令官と知り、感激するなど、統合人類軍第13独立部隊への敬服を抱いていた。

非戦闘の為、戦闘は行えない為、普段は工廠で勤務しているが、緊急時などではオペレーター及び秘書艦代理を行う。

 

三原(みはら)

硫黄島鎮守府工廠職員。

黒髪のボブヘアーとゴーグル、芦黄色の瞳、明るく元気いっぱいな性格で、一人称は「オレッチ」が特徴の艦娘。

桃取とは、建造した際、二人同時に出来上がった存在で、性格は異なるも互いを認め合うなど、仲が良い。

工廠での腕前は一流で、アイアンボトムサウンド海戦では、三菱の部下として、多くの艦娘を建造し、その戦いで支えた。

主な担当は、兵器の整備、オーバーホール担当。また、艦娘建造の補佐。

非戦闘の際は工廠での勤務が主だが、臨時ののオペレーターとして行う。

 

桃取(ももとり)

硫黄島鎮守府工廠職員。

膝くらいまである黒の長い三つ編み、左側に着けた桃の花の髪飾り、トロっとした芦黄色の落ち着いた瞳で、お嬢様口調が特徴の艦娘。

三原同様、建造した際、二人同時に出来上がった存在で、性格は異なるも互いを認め合うなど、仲が良い。

工廠での腕前は一流で、アイアンボトムサウンド海戦で、三菱の部下として、多くの艦娘を建造し、その戦いで支えた。

主な担当は、火器管制システム及びインターフェイス担当。また、艦娘建造の補佐。

三原同様、非戦闘の際は工廠での勤務が主だが、臨時ののオペレーターとして行う。

 

硫黄島鎮守府遊撃艦隊

初期メンバー

阿武隈(あぶくま)

戦力増強の為、三菱達が建造した硫黄島鎮守府遊撃艦隊初期メンバーの一人。長良型軽巡洋艦6番艦の艦娘。

明るい茶髪にスカイブルーの瞳、一見しただけでは構造の掴めない複雑怪奇な髪型が特徴であり、本人もかなり気を配っている様子で、よく髪型をセットしなおしたりしている自慢の髪である。

服装や艤装は両腕とバックパック艤装下部(腰)の両側に単装砲を一門づつの計四門備え、薄緑と白のセーラー服を着用し、足にはブーツを履いている。

あどけない印象の残る艦娘で、大人しくちょっと自信がなさげで神経質な性格で、自分の名前が難しいのを気にしており、負けず嫌いで見た目以上に子供っぽいところもある。しかし、根は真面目で努力家で、鍛錬を忘れずに行っている。また、面倒見が良く、深海棲艦である桜を怖がらず、仲間として友達として接したり、傷ついた桜を気遣うなど、桜を初め、仲間や後輩からも慕われる。

深海凄艦泊地の偵察中に襲われた時、夜戦仮面に助けられて以降、夜戦仮面に憧れ、「夜戦仮面お姉さま」と呼ぶ程。よく組まされる北上のことはちょっと苦手で、演習で北上と衝突するなどトラブルは絶えなかったが、彼女がいると北上の調子が上がるため、任務では北上と組むことが多い。

彼女の単装砲は発射速度が改良されており、射撃精度・射程距離が向上している。また、劣っている適性をカバーするために武装を主砲のみに絞っており、魚雷を装備しない代わりに水上電探・対空電探を追加装備し、高い索敵能力を持っている。

魚雷を外しているため単艦での戦闘力は他の軽巡級艦娘と比べて低いが、索敵能力を活かし、味方との連携で能力を発揮する。

後に副砲や機関砲などの強化兵装を装備する事で、機動力、火力などを向上する。

 

子日(ねのひ)

硫黄島鎮守府遊撃艦隊初期メンバーの一人。初春型駆逐艦2番艦の艦娘。

髪形は三つ編み1本でピンク髪で、アーム付の艤装を背負っており、頭部には『U』を逆にした、耳のような機械が2つ浮遊している他、両手を覆う形で連装砲・単装砲を装備しているのが特徴。発光機の色は青で、中破以上の際、紅く点滅する。また、手首・足首に包帯が巻かれており、スパッツを着用している。

一人称は「子日」と呼ぶなど、子供っぽい、ノリの良い天真爛漫な性格で、桜に対してフレンドリーに接する事もある。また、自分の名前に纏わるネタを気に入っており、事あるごとに口にする。 駆逐艦のくせに潜水艦による雷撃で戦没した事から潜水艦が苦手というトラウマを持つ。

桜がどこか寂しげだった事から友達として接する内に誰よりも早く打ち明けるようになり、桜の親友となった。

武装は12cm単装砲改二や12.7cm連装砲C型改二、さらに61cm三連装(酸素)魚雷に25mm三連装機銃 集中配備、21号対空電探改など、火力や対空能力、索敵を特化し、さらに改良型艦本式タービンや新開発のフロートスピナーシステムを装備した事で、元より高い機動力と回避能力を大幅に強化され、一撃離脱の電撃作戦を得意とする。

また、独自装備としてネズミ型の艤装「子日ズ(ネノヒーズ)」4機を持ち、それぞれ意思を持ち、独自の行動も可能、さらに武装は背中に12.7cm連装砲B型改二、両手に12.7cm単装高角砲や12.7cm連装高角砲(後期型)、61cm四連装(酸素)魚雷を装備して、さらに22号対水上電探改四及び三式水中探信儀、四式水中聴音機により索敵能力が高く、対潜能力も高いわ。それを子日の索敵能力を合わせることで、より高い索敵範囲が広がる。

ただし、駆逐艦としては未熟な部分が多く、油断して被弾する事も少なくない。

 

北上(きたかみ)(北上 改二)】

硫黄島鎮守府遊撃艦隊初期メンバーの一人。球磨型軽巡洋艦3番艦の改二である重雷装巡洋艦の艦娘。

ロングの黒髪を三つ編みにして右肩から垂らし、明るいベージュ色の長袖のセーラー服そのままの衣装が特徴。

ゆる~い喋り方が特徴のとにかくマイペースな性格だが、阿武隈の事を非常に大切にしており、阿武隈を傷ついたり、侮辱した相手に怒りを見せる激情家な一面を見せる。そのあまりの怒りは「北上さん」「北上さん」と壊れたプレーヤーのように連呼するクレイジーサイコレズキャラである大井ですら恐れてしまう程。また、阿武隈が連れ去られた際、自身のせいと自身を責めたり、怒りのあまり指示を無視して、単独で専行してしまうなど、ナイーブな面を持つ。

阿武隈とは建造してばかりの頃にあった一件以来、結構 阿武隈に対して好意を抱いている。

改装した状態で建造され、重雷装巡洋艦としての能力を持ち、雷装が高く、ここから繰り出される先制雷撃が持ち味で、火力も持ち合わせているため砲撃戦にも貢献でき、潜水艦への攻撃も可能で、先制爆雷攻撃実装で対潜でも先制攻撃も可能。また、全艦娘中最多の魚雷装弾数を誇り非常に高い雷撃能力を持つ。しかし、予備の魚雷を携行できず、撃ち尽くしてしまうとその場で再装填ができないなど問題点も多く、単装砲は小型・軽量だが発射速度が低く装弾数も少ない。あくまでサブウエポンとしての兵装であり、砲撃で敵を撃破することは想定されていない。脚部の魚雷発射管に付属している「甲標的」を装備する事が可能で、機動力・火力は下がるが遠隔操作による雷撃が可能だが、索敵能力は重視されておらず、味方のサポートに頼る場面は多い。

また、意外にも身体能力が高く、艤装無しで駆逐イ級や重巡リ級を圧倒する程。

深海棲艦である桜に対して気を許さず警戒し、阿武隈と仲良くなる姿を見て嫉妬を燃やしているが、内心ではその実力は認めており、阿武隈を連れ去られた際、共闘し、救出に成功、その後、桜の事を認めるようになる。

 

瑞鳳(ずいほう)

硫黄島鎮守府遊撃艦隊初期メンバーの一人。祥鳳型軽空母2番艦の艦娘。

セミロングの茶髪を一房だけポニーテール状にまとめ、紅白縞模様の鉢巻をし、オレンジ色がかったキリッとした目が特徴。上の服装は縁沿って朱い飾りの付いたノースリーブの白い弓道着を身につけ、振り袖を肩口で紺色の糸のようなもので数カ所縫い付けており、意図的に肩口あたりを露出している。とはいえ縁にある朱飾りのお陰で地肌そのものはほとんど露出していない。また袖先には肩の糸と同じ色の紺色の網目模様が入っている。胸には少し大きめの胸当てを薄水色の紐で胴に括りつけている。下半身は丈の短い赤に白のラインが入ったもんぺを空母仲間の間では彼女だけが着用している。ちなみに太もものあたりに金具があり、それで裾を縛っている。足は白い足袋と、鉢巻同様の紅白縞模様のぽっくりを履いている。

艤装は腰に装備した横棒の両端に、後方に開放された取っ手付きの箱状のものを装備し、その中には噴進砲が3基入っている。また自身の艦底を模した装甲が付いた円柱状の矢筒に、艦載機型の鏃がついた矢のようにさし、手には瑞鳳の飛行甲板に見立てた紅白縞模様の弓を持っている。

また腰の艤装基部からは鎖状のものが二本伸びており、それぞれが袖の端に繋がっている。さらに右手には弓道などで用いる茶色い手袋「ゆがけ」をつけている。

初期艦ながら改装なしに搭載数48機を誇り、搭載機は零式艦戦21型(熟練)や零式艦戦52型や彗星、天山など高性能なものだけではなく、強風改や二式水戦改(熟練)などの水上戦闘機や二式大艇などの大型飛行艇も搭載可能で、より広範囲の索敵能力も高い。とはいえ、防御力ともに若干頼りない感はあり、僚艦との協力が必要。

性格は真面目なしっかり者で、不真面目な伊丹に代わってしっかりと仕事を処理する一方、たまに「提督ぅ、仕事、しようよぉ」と注意するなど、提督に対しては世話を焼く一方、「朝ご飯作って?」や「スイーツ食べたいなぁー…」というなど甘えたり、MVPを取ると「やったぁ!」と声を上げて喜んだり、さりげなく「戦績とかいつ見るの? 今でっ…」とか流行語を言うなど、素直で幼いところもあり、ノリも良いフランクで、非常に明るく朗らかな面を持つ。また、航空機に関する言及が非常に多いなど、航空機マニアの面を持つ。

桜に対しては若干苦手意識を持つものの内気な彼女を気遣い、世話を焼くなど、面倒見な面を見せる。

 

【アイオワ】

硫黄島鎮守府遊撃艦隊初期メンバーの一人。アイオワ級戦艦一番艦の艦娘。

金髪ロングで巨乳というステレオタイプなアメリカンガールで、灰色の瞳の中に星が浮かんでいる事が特徴。大きく開いた胸元に目が行きがちだが、タイトスカートから伸びるむちむちとしたふともももまぶしい。サイハイソックスはアイオワから見て左側が黒と灰色のストライプ、右側が星条旗を思わせる赤と白のストライプ。

性格は陽気で朗らかなアメリカン気質で、日本語に英語を過剰に混ぜる喋り方が特徴で、語尾にカタカナをつけるのが特徴。一人称は「Me(ミー)」。

深海棲艦である桜を敵視せず、不安に震える彼女を優しく抱き締めたり、彼女の為にパーティーを開こうとしたり、不安になる仲間達を鼓舞するなど、ムードメーカーな面を持つ。

大和型に匹敵する火力・耐久・装甲を誇り、武装は16inch三連装砲 Mk.7+GFCSや41cm三連装砲改二、16inch Mk.I三連装砲改+FCR type284、試製51cm連装砲、38cm四連装砲改、381mm/50 三連装砲改、OTO 152mm三連装速射砲、試製35.6cm三連装砲、対空用に5inch連装砲 Mk.28 mod.2、Bofors 40mm四連装機関砲、QF 2ポンド8連装ポンポン砲、10cm連装高角砲改+増設機銃、10cm高角砲+高射装置、12.7cm高角砲+高射装置、20連装7inch UP Rocket Launchers、12cm30連装噴進砲改二、Bofors 40mm四連装機関砲を装備し、対空攻撃、高火力を特化した反面、重力が重すぎて、回避性能が低いのが難点だが、32号対水上電探改やSK+SGレーダー、15m二重測距儀+21号電探改二、SKレーダーなどの高い探査能力により、広範囲の索敵を可能とし、追加装備として、新開発の装備、機動性能を大幅に向上する「フィールドジェネレーター」と戦艦級の砲撃を数発受けても耐え切るほどの防御力と耐久力を誇り、追加ブースターにより機動力を向上させる「チョバムアーマー」、艤装の能力を大幅に向上させる「ビクトルエンジン」により、機動力や回避能力、艤装性能はある程度向上している。

さらに独自の武装として、誘導装置により敵を捕捉、それに向かって発射して攻撃できる優れもので、威力は戦艦級を一撃で撃破できるほどの威力を誇る艦対艦ミサイル「ハープーンミサイル」と一発で1万以上の深海棲艦を殲滅できる核砲弾「W23」の二つの切り札を持つが、どれも強力な反面、提督の使用許可は必要なものばかりで、特にW23は味方を巻き込む危険性に加え、条約違反に犯しかけない危険な兵器でもある。

同じ戦艦である金剛とは似た者同士の為か、初めて合った際に意気投合した。

 

龍驤(りょうしょう)

硫黄島鎮守府遊撃艦隊初期メンバーの一人。装甲コルベット艦の艦娘。

艦娘の中では存在しない装甲コルベット艦の艦娘で、明治時代に存在した最も古い艦の生まれ。白い軍服の上に黒いコートを肩に羽織る。小柄で灰色の髪と茶色い目が特徴。

幼い容姿ながら、性格は真面目で、訓練を絶やさない鬼教官だが、訓練を重んじているものの、ジュエリーボックスをねだったり、グラーフの帽子に憧れる等年相応の女の子らしさもある。また、「おでんを食べながら一杯」という台詞もあり、酒飲み勢である事が伺える。

伊丹に対し、「提督様」と呼ぶなど、提督への忠誠心を見せるなど、どこか古風な軍人の一面を持つ。

アームストロング砲2門と両手を持つ装甲版が特徴で、アームストロング砲は元々は古い大砲だったが、現在の技術と艦娘の能力を合わせて、より強力な武器に生まれ変わり、深海棲艦数隻を一撃で轟沈するほど威力を持つ次弾装填はかかるのが欠点。後に連射できるよう改良型に装備を施された。

また、装甲版は戦艦級の砲撃を食らってもびくともしない防御力と耐久力を誇るから盾代わりになるが、本人の小型なためか耐久と装甲は控えめ。

艤装は上記の他に20.3cm(3号)連装砲二門、533mm 三連装魚雷二門を装備している。

同じ名前を持つ空母の龍驤とネタにされる事が多いが、同じ容姿を持つが故に仲が良い。

 

秋雲(あきぐも)

硫黄島鎮守府遊撃艦隊初期メンバーの一人。陽炎型駆逐艦19番艦の艦娘。

毛先が若干巻いており、少しばかりクセっ毛を持つ栗毛に近い茶色の長髪を、黒いリボンで束ねてポニーテールにしている。瞳はオリーブ色。 服装は夕雲型と同じジャンパースカートを着用。

性格はノリが軽く、一つ事にこだわらず忙しなく動き回るタイプで、どこか人を小馬鹿にしたような上がりっぱなしテンションが特徴。また、スケッチ好きで、時には他の艦娘の絵を描いており、相手が深海棲艦でもモデルになってくればそれでいいなど、絵に対する情熱を持ち、細かい事に拘らない芸術家の面を見せる。

数少ない駆逐艦の中でもそれなり優秀で、回避・運の初期値が高めである一方、対空の初期値が低め。

武装は12.7cm連装砲、10cm高角砲+高射装置の他、25mm三連装機銃や61cm四連装(酸素)魚雷、さらに三式水中探信儀や13号対空電探も装備し、対空、対潜、索敵能力もそれなり高い模様。

後に強化型艤装により大幅に強化された。

 

摩耶(まや)(摩耶 改二)】

硫黄島鎮守府遊撃艦隊初期メンバーの一人。高雄型重巡洋艦三番艦の艦娘。

改二状態で建造された艦娘の一人で、通常の艦娘を越える性能を有する。

ノースリーブにしたものに近いセーラー服の海色に近い若干淡く緑がかった制服と艦首を模した桜紋入りのペンダントをあしらった胸のリボンと丸帽子、側頭部に「高射装置」と「22号対水上電探」を模した飾りが付いたアンテナ型カチューシャがトレードマーク。

艤装は両腕、両腰のユニットに多数の重火器を集中しており、腕輪には12.7cm高角砲がセットされている。

武装も20.3cm(2号)連装砲、25mm三連装機銃 集中配備、94式高射装置、12.7cm連装高角砲、61cm五連装(酸素)魚雷、三式弾を装備、21号対空電探改に四式水中聴音機も装備しており、対空、対潜能力も高い。

一人称は「オレ」など、口調が非常に荒っぽく、思った事をそのまま言うなど、直情かつ男勝りな性格で、深海棲艦である桜に対して見下す態度が目立つ一方、桜が単独で神鷹の救出を行った際、共に共闘して助け、あっさり認識を改めて打ち解け合い、桜が不安とストレスから軽度の摂食障害に陥った時には彼女を気遣うなど、良くも悪くも単純で仲間想いでもある。

直感と状況判断を優先し、命令無視されることが多いが、危機的状況の最中、冷静に見極め、突破口を見出すなど、臨機応変さを見せる。

 

隼鷹(じゅんよう)

硫黄島鎮守府遊撃艦隊初期メンバーの一人。飛鷹型航空母艦2番艦の艦娘。

ツンツン頭が特徴で、服装は、上半身はワインレッドのブラウス(襟元に勾玉アクセサリー)の上に陰陽師の着る狩衣風の白い上着で、下半身は裾口の広い緋色のズボン袴で、足は白足袋の上から艦首を模した艤装靴を履いている。

搭載機数58機を誇り、航空装備は艦載機の形をした式神と飛行甲板を模した巻物で、そこから多数の搭載機を発進する。

航空戦では、九六式艦戦、九九式艦爆、九七式艦攻の三つの搭載機を自在に操り、一航戦である赤城と加賀を越える緻密な戦術を見せる。

大雑把で磊落、豪快かつ気さくでノリのよく、飄々とした姐御肌な性格で、任務中でも一升瓶を片手に酒を飲んだり、敵陣のど真ん中だろうがお構いなしに酔っ払って寝てしまったり、作戦会議中に昼寝したりやりたい放題するなどの豪快な酒豪でもある飲んだくれの一面を持つ。また、「ひゃっはぁー!」という雄たけびを上げる変わった癖を持つ。

しかし、気配を消した相手の存在をを人一倍感じ取り、一目で相手の策略を見破ったり、また、水中の中ですら敵の気配を正確に察知するなど、本意をつかませない飄々さと僅かな事で察知する思慮深さを併せ持つ。

飲んだ暮れの一面が多い一方、深海棲艦である自身を悩む桜を親身になって気遣ったり、教わってきたはずの艦隊として規律をとった行動である索敵を怠るなど慢心が目立つ加賀にそれについて忠告させたり、焦りを感じ始める吹雪に気晴らしに桜達と共に自身のお気に入りの場所に連れて行き、和ませるなど、何かと仲間への配慮や優しさを見せる。

また、気功の使い手で、航空戦のみならず、戦艦や空母クラスの深海棲艦の大軍と単身相対して無傷で切り抜け、一撃のみで相手の気の流れを乱し戦闘不能にしたり、内部の破壊により撃破するほどの実力を誇る氣法師である。

気功を操り、水中の敵を正確無比に撃ち抜いたり、身体能力を大幅に向上、さらに防御力を強化させたり、さらに巻物も同様に強化させて、防御や拘束、足場にしたりするなど多彩な応用を見せる。

気を集中させる事で、数々の必殺技や多数の艦載機を搭載した巻物の大量召喚を発動させる事を可能させる一方、大量の気を使う事で体力を大幅に失い、しばらく戦闘が行えない欠点を持つ。

 

衣笠(きぬがさ)(衣笠 改二)】

硫黄島鎮守府遊撃艦隊初期メンバーの一人。青葉型重巡洋艦2番艦の艦娘。

改二状態で建造された艦娘の一人で、通常の艦娘を越える性能を有する。

服装は青葉型共通の襟と袖の青いセーラー服、スカートを着用しているが、を履いている点が青葉とは異なる。両腕とふとももには20.3cm連装砲を装備し、背中にはラッタルが垂れ下がった艦橋とクレーンを背負っている。また、左側に小さくサイドテールを結び、制服も正面に二本の黒いラインが入り、袖口にリボン飾りが付き、連装砲を持つ手には、茶色の手袋を着用し、腰には赤い飾り緒がなびいている。

明るく気さくでお転婆な性格で、一人称は「衣笠さん」と呼ぶなど、自分の名前を「さん」付けしたものを一人称にしている。

真面目だがノリが良く、常に元気で騒がしく、提督のお触りには触り返そうとするノリの良い一方で、改装や大破で肌を見られるのを恥ずかしがる初心な面と心配症で世話焼きな所も有り、良く提督の世話を焼いたり、気にかけている。

深海棲艦である桜に対しては"深海棲艦すべてが敵"という固い考えは持っておらず好意的であった。

 

神鷹(しんよう)

硫黄島鎮守府遊撃艦隊初期メンバーの一人。大鷹型軽空母4番艦の艦娘。

金髪蒼眼という西欧風な風貌。髪は後ろで1本にまとめており、煙突を模した黄色の円筒形の飾りを結び目に着けている。

物静かで内気なタイプ。生まれ育ちの関係で、ドイツ語が時折出ることがある。夜間雷撃によって戦没したためか、戦闘にかぎらず極端に夜を恐れており、朝の到来を待ち望んでいる様子。もともと客船として活動していたことから料理や給仕が好き。作る料理はドイツパンをはじめとするドイツ料理で、客船時代のディナーコースも作れるようで、提督や艦娘にも出している。また、長く神戸港に係留されていたゆえ、神戸の街について語ることがあり、その影響によるか神戸牛を食べたがる模様。

搭載数30機だが、零式艦戦52型や九七式艦攻を中心した艦上戦闘機で編成され、さらに錬度の高いものばかりで、ソナーや爆雷投射機、爆雷が搭載可能で、対潜先制爆雷攻撃可能とする。

気弱で自信がないせいか、桜と似ている所があり、仲が良い模様。

 

多摩(たま)(多摩 改二)】

硫黄島鎮守府遊撃艦隊初期メンバーの一人。球磨型軽巡洋艦2番艦の艦娘。

改二状態で建造された艦娘の一人で、通常の艦娘を越える性能を有する。

北方迷彩仕様の衣装で、白地に黒の不特定なラインが描画され、さながらホワイトタイガーを思わせる。股下丈ほども短いミニスカートや脚には厚手のストッキングと同じ丈ほどもある脚絆を着用し、手には黒い手袋も付けている。

上の北方迷彩のジャケットの下は赤のアンダーを着ており、みぞおち辺りで錨型のアクセサリーで留めており、前髪の左側に半月状の髪飾りが付いている。

胸元と脚絆に着いたの黄金色のリボン紐を始め、金色のラインがそこかしこにあしらわれ、脚部主機も、爪先に装甲板のついたハイヒール、絶対領域が眩しい右大腿部には13号対空電探を模したガーターリング。

艤装は、61cm四連装魚雷、アームから大型の四連装魚雷発射管が二基伸びており、足元には鎖の付いた錨が伸びてる。右手首には12.7cm連装高角砲後期型を主砲として配備し、背部の機関部周辺も大型化し、複数の25mm三連装機銃座に、水上機用カタパルトと回収用クレーン、電探檣と北方迷彩仕様の煙突2本、スロープに乗った発動艇と、まさにてんこ盛りである。

性格は無口で、一人称はタマで、本人は「タマだけど猫じゃない」と言っているが、語尾に「にゃ」がついたり、ドックで丸くなったりしている所を見ると、猫っぽい一面を持つ一方、いかなる状況でも常に冷静さを失なわず、慢心は禁物であると説くなど、慎重な面と虎の如く敵に対して恐れをしない闘争本能を見せる。

深海棲艦である桜を警戒心を抱いているが、ある戦いで彼女の事を認め、仲間として気軽に接した。

 

由良(ゆら)

硫黄島鎮守府遊撃艦隊初期メンバーの一人。長良型軽巡洋艦4番艦の艦娘。

薄い桃色の髪をポニーテールにし、テール部分をリボンでぐるぐる巻きにしているという特徴的な髪型をしている。またセーラー服の両袖口に単装機銃が配されている。

武装は14cm連装砲や61cm四連装(酸素)魚雷、25mm三連装機銃 集中配備の他、初期艦ながら、12.7cm単装高角砲(後期型)や零式水上偵察機11型乙の改二の装備をしており、13号対空電探改を完備している。対潜能力は高い以外、他は標準的な能力しかない。

穏やかで優しく礼儀正しい性格で、言葉遣いは落ち着きがあり、礼儀正しい態度がうかがえる一方、MVP時には「やったぁ!」と喜ぶなどかわいらしい一面もみられ、提督や仲間達とはフランクでありながら丁寧な応対をしており、気心の知れた親しみやすい関係を築いている。

阿武隈とは同じ長良型の姉妹の関係で、彼女を気遣い、細かい配慮を見せるなど、姉のような関係を持つ。

また、深海棲艦せある桜達を気遣ったり、助言を言うなど、頼もしい存在であった。

桜達と共に行動し、その成長を見守っていたが、彼女自身にある悲劇が訪れようとはまだ知らない・・・・・・。

 

用語

艦娘(かんむすめ)

女の子の外見に「艤装」と呼ばれる装備を身に纏い、水上を航行し、正体不明の敵「深海棲艦」と戦闘を行う存在で、生まれた時から戦いを宿命づけられていると言われているほど、唯一深海棲艦に対抗できる人類の戦力でもある。第二次世界大戦で活躍した艦艇をベースとしているが、中には海防艦や外国生まれの艦娘など、まったく異なる艦娘も多く登場する。

人間と兵器を合わせており、国の為に戦う道具として扱われる一方、一部の良識の提督から人間として扱う事は少なくない。

出撃の際は専用のドッグにて、水上カタパルトで射出され、その前後に艤装を装着する装置などでダイナミックに装備するという、装着というより変身・合体に近いシークエンスを取って出撃するが、直接艤装を装備して出撃する事も少なくない。

両足で海面に立って文字通り水上を滑って移動したり(航行時はアイススケートのように走り、砲撃時には仁王立ちで水上を疾走する)、酸素ボンベも無しに長時間潜水したりするなど、様々な能力や特性を持つ。

また、駆逐艦や軽巡洋艦、さらに空母や戦艦などの様々な種類が多く、特に戦艦、空母は強力で旗艦なる艦娘も少なくない。また、一定の練度に達して改修可能な状態になると艦娘の身体が発光、改二にする事で強力な個性を発揮する。

また、同じ姿の艦娘は数多く存在し、性格も異なるの事が多い。

艦娘の名前の多くはかつて戦艦や空母などから付けられたものが多い一方、人間のような苗字を持つ者や戦艦や空母にはない名前を持つ者も少なくない。

 

深海棲艦(しんかいせいかん)

人類に襲う敵対艦船群の総称。人と機械が混ざったような不気味な姿をした異形の怪物で、目的や正体も不明な存在で、艦娘達と同じように艦隊を組み、理由も不明なままに襲い掛かってくる。

最も弱い駆逐艦などは異形の怪物だが、戦艦や正規空母などのクラスになるにつれ、人の姿に近くなっていく。

それぞれにelite(中間ランク)、flagship(上位ランク)、改elite(準最上位ランク)、改flagship(最上級ランク)といった強化版も存在し、通常の個体より戦闘能力が高い上、通常個体にはない能力や武装を持つ。

また、鬼・姫級と呼ばれる上級クラスが存在し、高い戦闘能力だけではなく、障壁(バリア)を展開する能力を有する。

多くは一見、無表情で寡黙な者が多いが、攻撃から仲間を庇う仲間意識も見られ、また、鬼・姫級や一部の戦艦や正規空母などは片言ながら人の言葉で会話する者がいるが、極小数しかいない。

主に本能的に動いてるようだが、手薄になった鎮守府を奇襲したり、鎮守府側の暗号通信を傍受して出し抜くなどの高い知能を持つ。

本拠地である鉄底海峡(アイアンボトムサウンド)にて、統合人類軍との最後の激闘を繰り広げたアイアンボトムサウンド海戦により、壊滅的打撃を受け、主力を失い敗退したが、生き残った残存勢力は各地で散発的にゲリラ戦を行っている。

また、アイアンボトムサウンド海戦以降、それぞれの派閥が生まれつつあり、独自の行動を行っている模様。

同型の個体が多いが、特型駆逐棲姫と言った希少な存在もする。

 

【硫黄島鎮守府】

硫黄島にある使い古したような鎮守府。現在の提督は伊丹耀司。

本国より遠く離れた辺境な場所で、今は島民や軍人がいない寂しく、外壁はボロボロで、敷地内には廃車置き場があり、古びたドック場を持つ。

13年前のアイアンボトムサウンド海戦にて、重要拠点の一つであり、多くの艦娘や物資が大量に配備していたが、終戦後、多くの艦娘達が他の鎮守府へ異動もしくは転属、さらに物資の大半以上は他の基地に送られており、今は僅かな者しか所属していない寂しい鎮守府へと落ちぶれ、現代に至る。

当初は所属する艦娘は三菱や三原、桃取の三人だったが、伊丹赴任後、副官のまるゆや初日に建造されたヴェールヌイ、さらに13人の艦娘達、深海棲艦(表向きは艦娘)を加え、16名になった。

現在、提督に就寝した伊丹は防衛の為に三菱に頼んで、施設の改装や建造などを行っている。

 

【硫黄島鎮守府遊撃艦隊】

司令官である伊丹耀司の指揮下の下、新設された機動艦隊で、硫黄島近海の防衛及びパトロール、味方艦隊の支援を目的とする。旗艦(隊長)は、ヴェールヌイ。

部隊の多くは建造されたばかりの艦娘で構成されているが、能力が高く、これまの艦娘にはない特殊な艤装を持つ者も多い。

部隊編成はヴェールヌイは旗艦及び第一艦隊「ヴェールヌイ隊」旗艦で、第一艦隊は多摩(改二)、衣笠(改二)、隼鷹、第二艦隊「アイオワ隊」はアイオワを旗艦とし、龍驤、由良、神鷹、第三艦隊「摩耶隊」は摩耶(改二)を旗艦とし、瑞鳳、阿武隈、北上(改二)、子日、秋雲の三つの小艦隊で構成されている。

建造したばかりで錬度が低く、連携は難しいが、次第に錬度が向上し、主力としての戦力となった。

 

IBS(アイビス)作戦】

統合人類軍と艦娘達の総力を上げて計画した一大反攻作戦。正式名称「Iron(アイアン) Bottom(ボトム) Sound(サウンド)作戦」。

深海棲艦の本拠地である鉄底海峡(アイアンボトムサウンド)への反攻作戦で、世界各地の艦娘と戦力を総動員し、総力戦による短期決戦を行われた。

多くの艦娘や兵員などの多数の犠牲をしながらも深海棲艦を壊滅寸前に追い込み勝利した。

 

鉄底海峡(アイアンボトムサウンド)海戦】

深海棲艦の本拠地であるアイアンボトムサウンド(鉄底海峡)での戦いで、世界各地の艦娘と戦力を総動員し、総力戦による短期決戦を行われた。

この戦いで深海棲艦の大半以上を殲滅し、壊滅に追い込んだが、その代償に多くの艦娘や兵員、戦力を大きく失い、さらに国力を大幅に低下し、経済活動や政治・軍事の混迷により人類同士での内乱も生じ、衰退へと転がり落ち、各国と吸収合併されながら、それぞれ新たな国家が誕生する要因にもなった。

しかし、ある艦娘によれば、戦闘中、巨大な閃光と爆発、そして爆風と衝撃を受けた後、目の前に巨大なキノコ雲が現したと言う目撃証言があり、それに関する記録は存在しないなど、不審な点が多い。




如何ですか?。硫黄島鎮守府編の登場人物・用語紹介は?。

今回は主人公やヒロインとなる深海棲艦の娘、さらに仲間達の紹介や用語の一部の解説も出てきましたが、登場する艦娘の中にはオリジナル艦娘も含まれている他、通常の艦娘にはない装備や性能、能力を持つオリジナル要素が持つ艦娘が多く登場します。
特に龍驤(りょうしょう)は明治時代に存在する装甲コルベット艦「龍驤」の艦娘という設定で、モデルには戦艦少女の龍驤をベースにしており、性格も戦艦少女の龍驤に近い性格にしています。また、オリジナル武器として、アームストロング砲を装備しており、元々は古い大砲だったが、現在の技術と艦娘の能力を合わせて、深海棲艦数隻を一撃で轟沈するほどの威力を持つ強力な武器に生まれ変わりました。
また、登場人物の一人に意味深な情報がありますが、それは次回で見ればのお楽しみです。

次回は激戦となる「ソロモン海戦」の戦いで、窮地に陥る艦娘達に桜が独断で助けに行く話で、桜のとんでもない実力を発揮する事になります。
次回の3話をお楽しみに。


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ソルティ・ロード3「死闘!ソロモン海戦 ~WHAT I CAN DO~」

こんにちわ。タケノコ屋です。
艦これ大戦 ~君あるがために 恋する艦娘達よ大志を抱け~の最新作を投稿しました。
本作はソロモン海での激戦「ソロモン海戦」とその裏で伊丹達を陥れる陰謀と絶体絶命の危機を描かれており、仲間の死や桜が発動する力、艦魂(かんバースト)、そして、ソロモン海の激戦の裏で暗躍する者達の陰謀など、シリアスなドラマが展開、伊丹達を落としいれよとする者達の策略に絶体絶命の危機に陥るのですが、そこへ意外な助っ人が登場、それは本編を読めばわかります。
本作に登場する艦娘専用艤装「フリート・アームズ」はガンダムシリーズ(主にSEEDシリーズ)の装備が多数登場し、これを装備した桜が4000万以上の深海棲艦を相手に一騎当千をする姿と伊丹達を助ける助っ人の活躍、そして、二、三話に登場した空母ヲ級との最後の戦い、そして、千銃士に登場する大量破壊兵器「ミルラ」を破壊するのですが、この後、衝撃の展開になるのですが、それは本作を見てからのお楽しみ。
また、のちに桜や伊丹達を苦しめる最強最悪の敵、“エヴァンゲリオ・ザ・アギオ・コズモス”のある幹部二人が終盤あたりで登場します。


艦これ大戦 ~君あるがために 恋する艦娘達よ大志を抱け~

ソルティ・ロード3「死闘!ソロモン海戦 ~WHAT I CAN DO~」


どうぞご覧ください。


艦これ大戦 ~君あるがために 恋する艦娘達よ大志を抱け~

 

ソルティ・ロード3「死闘!ソロモン海戦 ~WHAT I CAN DO~」

 

 

ソロモン海 棲地

 

ドオオオオオン・・・・・ゴオオオオオオオオ・・・・・・。

 

ここはソロモン海。深海棲艦の棲地の一つ。

今、ヴェールヌイは絶体絶命の危機に落ちていた。

 

ヴェールヌイ「くっ・・・・」

 

艤装は損傷し、服もボロボロ。大破状態になっていた。その周りにはおびただしい数の深海棲艦達に囲まれていた。

 

ヴェールヌイ「・・・・(хорошо(ハラショー)・・・・ま、まさか・・・・これほどの勢力がいるとは・・・・それに・・・・)。」

 

予想もしない深海棲艦の大群に驚愕するヴェールヌイ。さらに彼女は後ろを振り向いた。

そこには大破、中破した艦娘達がいた。それぞれ互いに庇い合い、防御姿勢を取っていた。

 

ヴェールヌイ「くっ・・・・(“由良”が轟沈、今、戦闘できる艦娘は子日、瑞鳳、隼鷹だけ・・・・・けど・・・・この戦力では・・・・何故こんな事に・・・・・)。」

 

予想もしない状況に困惑するヴェールヌイ。なぜこの危機的状況に陥たのかは・・・・。

すべては大本営からの司令から始まった・・・・・・。

 

ソロモン海戦 三日前

硫黄島鎮守府 執務室

 

伊丹耀司「ふあああああ・・・・・・・・。」

ヴェールヌイ「хорошо(ハラショー)・・・・司令官、朝からあくびしているが、大丈夫か?。」

伊丹耀司「ああ・・・・せっかく14人集まったからな・・・艦隊編成はどうするのか考えていたんだが・・・・中々決められないんだね・・・これが・・・・。」

ヴェールヌイ「そうか・・・・それと桜についてだが・・・・。」

伊丹耀司「?・・・・もしかして、桜に何か問題でも?。」

ヴェールヌイ「ああ・・・・他の艦娘との交流は少しずつだが、打ち明けているのだが、中には敵意を抱く者がいるが・・・・。」

伊丹耀司「・・・・も、もしかして・・・・北上と多摩か?。」

ヴェールヌイ「ああ・・・・どうする、司令官。彼女らに厳しく言いつけるか?。」

伊丹耀司「・・・・いや・・・・御互い分かり合うまで手を出さない方がいい・・・・。」

ヴェールヌイ「わかった・・・・司令官。」

伊丹耀司「ん?、どうした?。」

ヴェールヌイ「私も手伝っていいか?。」

伊丹耀司「・・・あ、ああ・・・いいよ。少数での艦隊の規模はどう決めたらいいか、悩んでいた所だ。」

ヴェールヌイ「ふっ、私に任せてくれ。」

 

こうして、ヴェールヌイの協力を得て、艦隊編成を考案してから一日後。

ヴェールヌイ以外13名の艦娘が会議室に集まった。

 

鎮守府 会議室

 

伊丹耀司「皆、集まったか?。今日集まったのは他でもない。今日、新しい艦隊の編成ができたからだ。」

阿武隈「新しい艦隊の編成ですか?。」

伊丹耀司「ああ、艦隊編成の説明は彼女から話す。ヴェールヌイ。」

ヴェールヌイ「・・・今回、組織編制についてだが、前々から司令官が考案した新たな艦隊の設立をする事になった。」

龍驤(りょうしょう)「それは、どのような艦隊ですか?。」

ヴェールヌイ「今回、司令官が設立した艦隊は、少数精鋭の機動艦隊だ。」

摩耶(改二)「き、機動艦隊?。」

ヴェールヌイ「ああ、我々の艦隊の主な任務は硫黄島近海の防衛及びパトロール、味方艦隊の支援を目的としている。今回、三つの小艦隊の編成も決まった。」

衣笠(改二)「三つの小艦隊ですか?。」

ヴェールヌイ「ああ、小艦隊の発表は司令官が話す。司令官、どうぞ。」

伊丹耀司「ああ・・・・・これから三つの小艦隊の編成についてだが・・・・その前に・・・この艦隊の旗艦をヴェールヌイをする事に決めた。」

アイオワ「why(ホワイ)Admiral(アドミラル)。それはどういう事か説明をネ?。」

伊丹耀司「ああ・・・・彼女は建造されたばかりの駆逐艦ながら、高い戦闘能力と冷静な判断力、高い指揮能力や作戦立案能力が優れた為、艦隊の旗艦として一任した。前回の戦闘で、彼女ほどの指揮艦がいないと思うが、みんなはどう思う?。」

 

ガヤガヤ・・・・ガヤガヤ・・・・。

 

摩耶(改二)「・・・俺はいいと思うぜ。司令官がそういうなら任せてもらうよ。」

龍驤(りょうしょう)「私も提督様に賛成します。」

アイオワ「まあ、いいですヨ。司令官が認めたのなら従いますネ。」

伊丹耀司「どうやら、他の皆も賛成のようだね。よし、話がそれたが、三つの小艦隊の編成を発表する。」

艦娘達「・・・・」

伊丹耀司「第一艦隊は、ヴェールヌイを旗艦とし、多摩、衣笠、隼鷹の四名。」

多摩(改二)「よし、多摩が一番にゃ。」

摩耶(改二)「ちっ、一番乗りを逃したか。」

衣笠(改二)「衣笠なのも!?。」

隼鷹「へ~~・・・・私もか。」

伊丹耀司「次は・・・第二艦隊は、アイオワを旗艦とし、龍驤、由良、神鷹の4名。」

アイオワ「yes(イエス)Me(ミー)flagship(フラグシップ)ネ。」

龍驤(りょうしょう)「提督様の御心のままに従います。」

由良「うへー・・・・由良もですか。」

神鷹「・・・・ベ、ベストを尽くします・・・・。」

伊丹耀司「第三艦隊は、摩耶を旗艦とし、瑞鳳、阿武隈、北上、子日、秋雲の6名。」

摩耶(改二)「よっしゃ、俺が旗艦か。全力で努力するぜ。」

瑞鳳「私もですか?。」

阿武隈「・・・・なんでこの人と一緒なの?。」

北上(改二)「やった~~。阿武隈、これで一緒だね。」

子日「ね、子日もですか?。」

秋雲「へー、よし、秋雲頑張るよ。」

アイオワ「Hi(ヘイ)Admiral(アドミラル)。どうして、こっちは4名なのにあっちが6名ですカ?。」

伊丹耀司「それは第三艦隊は予備戦力で、敵の潜水艦に対する対潜戦闘や後方支援を行う為の戦力になるんだよ。」

アイオワ「ふ~~ん・・・・・OK(オーケー)Admiral(アドミラル)Admiral(アドミラル)の決めた事に従うワ。」

伊丹耀司「わかった。以上が我々の艦隊「硫黄島鎮守府遊撃艦隊」の編成だ。以上、解散。」

艦娘達「はっ。」

 

艦隊編成の発表を終えた伊丹は執務室に戻った。

 

鎮守府 執務室

 

伊丹耀司「はあああ・・・・・疲れた・・・・。」

ヴェールヌイ「хорошо(ハラショー)・・・・御疲れ様。司令官。」

伊丹耀司「艦隊編成が終わったし、後は本部に艦隊の申請をするだけだ。」

ヴェールヌイ「хорошо(ハラショー)、これで私達の艦隊としての任務がうけるのか?。」

伊丹耀司「ああ、後は桜の存在を伏せてつつ、鎮守府の報告をするだけだ。後はよろしく頼む。」

ヴェールヌイ「Да(ダー)Понятно(パニャートナ)。」

 

ヴェールヌイが返事すると報告書を持って、部屋に出た。

 

伊丹耀司「ふああああ・・・・俺も寝るか・・・・?。」

 

就寝しようとする伊丹の前に桜が現れた。

 

伊丹耀司「桜、どうした?。」

桜「・・・・あ、あの・・・し、司令官・・・・。」

伊丹耀司「?。」

桜「こ、こんな・・・私を受け入れてくれて・・・ありがとう・・・・。」

伊丹耀司「・・・・・・・。」

桜「で、では・・・し、失礼します・・・・・。」

伊丹耀司「ああ、何か悩みがあるならいつでも相談に乗るからきてくれよ。」

桜「あ、は、はいっ・・・。」

 

桜は敬礼して去って行った。こうして、今日も一日が終わった。

しかし、この後、最悪の明日が待っていたとは伊丹達もまだ知らなかった・・・・・・。

 

鎮守府 執務室

 

ヴェールヌイ「司令官!?。」

伊丹耀司「ん、どうした?。ヴェールヌイ。そんなに慌てて・・・・。」

ヴェールヌイ「大本営から緊急の指令書が届いたわ。」

伊丹耀司「大本営からの緊急の指令書?。どういう指令だ?。」

ヴェールヌイ「指令書によれば、ソロモン海にある敵棲地攻略の為の支援のようです。」

伊丹耀司「支援か?。それじゃ、今から編成を・・・・。」

ヴェールヌイ「・・・・そ、それが大本営からすぐにでも出撃するよう厳命されてな・・・・・しかも余剰戦力を含め、全艦娘の出動命令も記載されているぞ。」

伊丹耀司「ぜ、全艦娘の出動命令だと!!?。」

ヴェールヌイ「どうする。司令官。この命令は無視するか?。」

伊丹耀司「・・・・・。」

 

伊丹はしばらく考え・・・・そして・・・・。

 

伊丹耀司「ヴェールヌイ。全艦娘に出撃準備するよう言ってくれ。」

ヴェールヌイ「!?・・・・あ、ああ・・・・司令官はどうするつもりだ?。」

伊丹耀司「念の為、大本営に司令の確認をする。それまでの間、確認が終わるまで出撃はしないでくれよ。」

ヴェールヌイ「ああ・・・・。」

 

伊丹は提督室へ戻り、大本営に指令書の内容について確認する為に電話をかける事にした。

 

ピッポッパッポッ・・・・・ガチャ・・・・トルルルルルル・・・・トルルルルルル・・・・トルルルルルル・・・・。

 

大本営に電話をかける伊丹。彼は大本営からの司令に不備はないかを確認する為に大本営に話をつけようとしていた・・・・・・。

 

ガチャ・・・・。

 

大本営のオペレーター「こちら日本皇国帝都大本営。所属と名前、ご用件をお願いいたします。」

伊丹耀司「こちら、硫黄島鎮守府司令官、伊丹耀司です。今回大本営からの指令書についてお伺いたいのですが?・・・・。」

大本営のオペレーター「指令書ですか?。どのような内容で?。」

伊丹耀司「指令書にはソロモン海にある敵棲地攻略の為の支援についてですが・・・・これは上層部が考えたものですか?。」

大本営のオペレーター「ああ・・・それは・・・・申し訳ありませんが・・・・それについては我々がお答えかねないものですので・・・・答えられません・・・・。」

伊丹耀司「そうですか・・・・では、この作戦の司令官は誰か教えてくれませんか?。」

大本営のオペレーター「え、ええ・・・・と・・・・・も、申し上げませんが・・・・それについては・・・・。」

伊丹耀司「なら、こっそりでいいのですから、教えてくれませんか?。ここでの話は口外するつもりはないので安心してください。」

大本営のオペレーター「・・・・・。」

 

伊丹の予想外の提案に困惑するオペレーター。しばらく黙っていたが、重い口から言葉を発した。

 

大本営のオペレーター「・・・・・私から言った事を誰にも話さないでくれませんか?。」

伊丹耀司「わかりました。約束しますので、安心してください。」

大本営のオペレーター「・・・・はい、今回の指令の指揮官は・・・・・日本皇国帝都大本営の柊暮人(ひいらぎ くれと)元帥閣下です。」

伊丹耀司「・・・・柊暮人元帥ですか?。では、今回の作戦はすべて元帥がお考えによるですか?。」

大本営のオペレーター「はい・・・今回のソロモン海攻略作戦はすべて元帥閣下による考えですが、そこまでは教えていないので、申し上げません・・・・・。」

伊丹耀司「・・・わかりました。では失礼しました。」

 

ガチャッ・・・・・。

 

電話を切ると深く考え出す伊丹。

 

伊丹耀司「・・・・(柊暮人と言えば、かつて深海棲艦殲滅の為なら手段を選ばない過激な強硬派の中核に当たる柊家の当主で、かの有名な“聖天子事変”の首謀者である元日本皇国帝都大本営元帥、柊天利(ひいらぎ てんり)の息子。自分に逆らう者や不信感を抱く者には容赦せず、目的のためならば身内であっても拷問や殺害、裏切りなども躊躇しない過激派の中でも異常なまでの過激思想を持つ危険人物だが、奴の所属する艦隊はたった一人で100の深海棲艦を殲滅できるほどの実力を持つ精鋭中の精鋭を集めた最強の無敵艦隊だが、深海棲艦の殲滅だけではなく、反乱分子と見なした対象を、圧倒的な武力によって制圧、身柄拘束・尋問・処刑も許可され、正規軍より上位で、あらゆる面で優遇されているなどの極めて強大な権限が与えられた柊元帥直轄の親衛艦隊「独立特殊作戦00艦隊」、通称「特00艦隊」。あれだけの精鋭艦隊がいればソロモン海を攻略できるほどだが、わざわざソロモン海攻略の為に俺達硫黄島鎮守府艦隊総動員するとは・・・・何か胸騒ぎがする・・・・・。)」

 

伊丹は何故か胸騒ぎを感じるようになっていた・・・・・。

一方、大本営では大いなる陰謀が水面下で静かに行われていた・・・・・。

 

日本皇国帝都大本営 提督室

 

女性「・・・・・以上が、今回の作戦に関する報告です。」

???「そうか・・・・・では、手筈通りに・・・・・。」

 

何やら作戦を考えていたようだが、不穏な雰囲気である・・・・。

 

彼の名は柊暮人(ひいらぎ くれと)。日本皇国帝都大本営の元帥で、今回のソロモン海攻略作戦の指揮官。

もう一人いる女性は柊暮人の副官で、直轄の親衛艦隊「独立特殊作戦00艦隊」総旗艦を務める艦娘、三宮葵(さんぐう あおい)

 

柊暮人「奴の所にも指令書を送ったな。」

三宮葵「はい・・・・暮人様、仰せのままに、あの男の所に送りました。」

柊暮人「・・・ふっ・・・・・これで俺の計画通り、奴を始末できるな・・・・。」

???「そう簡単にうまく事が運べると思えないが・・・・。」

暮人、葵「!?。」

 

声を掛けたのが、黒い髪のポニーテール、左目に眼帯をした艦娘であった。

彼女の名は地字竜(ちじりゅう)。三宮葵同様、独立特殊作戦00艦隊に所属する艦娘である。

 

三宮葵「地字竜・・・・それはどういう意味?。」

地字竜「簡単な事さ。あの男、伊丹さ。あの男が指令書で動くような男ではないからさ。あの男は妙な所に感づいてしまうのさ。あの男を侮ると足元をすくわれるよ。」

三宮葵「あ、貴方・・・・暮人様の計画に疑うのですか?。あの男に暮人様の計画をバレるはずは・・・・。」

柊暮人「葵。」

三宮葵「!!?・・・・く、暮人様?。」

柊暮人「お前の言う通りだ。奴を侮ってはいかん。奴を侮って墓穴を掘ってしくじった奴を俺は知っている。」

三宮葵「・・・・」

柊暮人「・・・・では、お前はどうするつもりだ?。」

地字竜「奴は用心深く直感が優れ、状況判断力に、危機察知能力と危機回避能力、逃走能力が非常に厄介だ。あの指令書だけでは奴を信用できないと思うわ。」

柊暮人「・・・・なら、すでに策を講じたのか?。」

三宮葵「なっ!?。」

地字竜「ええ・・・念の為に沖田元帥からの推薦書をもらい、今頃届いているはずよ。あれならさすがに慎重かつ用心深い奴でも、信頼できる者ならうまくいくからな。」

三宮葵「あ、貴方・・・・勝手な真似を!!?。」

柊暮人「控えろ、葵。」

三宮葵「・・・・は、はい・・・・。」

柊暮人「これで計画通り、深海棲艦諸共、奴を始末できる。」

地字竜「・・・・暮人元帥。本当にこれでいいのか?。」

柊暮人「・・・・なんだ?。俺の計画に不満か?。」

地字竜「いいえ・・・ただ・・・・ソロモン海攻略の為に我々独立特殊作戦00艦隊だけなら制圧、殲滅できるのだが、何故あの鎮守府の艦隊に“だけ”支援要請をしたのか?、それも余剰戦力を含めて全艦娘の出撃命令を出すのは・・・・何故なのか気になるのだけだ。そこまでしなくても、奴を辺境の鎮守府に縛り付けるだけで十分だと思うが・・・・そこまで奴を拘るのか?。」

柊暮人「・・・・・奴は・・・・奴は、俺にとっては最大の屈辱を与えた汚点だ!。かつて奴によって俺はすべてを失った。いずれ俺の理想の障害になる存在だ。奴をこの世から髪の毛一本残らず消す。奴を消さない限り、俺の理想は実現できない。」

地字竜「・・・・」

柊暮人「だが、お前の言う通りだ。念には念を入れる・・・・“例のもの”も用意したからな。」

地字竜「?・・・・“例のもの”?。」

柊暮人「・・・・“ミルラ”だ。」

地字竜「!!?・・・ミ、“ミルラ”だと!!?・・・・元帥・・・・ま、まさか・・・・あの兵器を使う気か?。」

柊暮人「・・・・そうだ。」

地字竜「正気か!、元帥。貴方も分かっているはずだ。あの兵器は元々ミルラ条約の条約違反に当たる兵器ではないのか!?。たかが、あの鎮守府を消す為にそれを持ち出すとなると、上層部に知られてしまうではないのか!?。」

柊暮人「・・・・その心配はない・・・・すでに手は打っている。」

地字竜「手を打っている・・・・だと?・・・・。」

柊暮人「今回使用する“ミルラ”は正式なものではなく、非公式を使うのだ。」

地字竜「非公式?・・・・。」

柊暮人「ああ・・・・あるコネから“ミルラ”と運搬用の艤装タンカーを受け取ったからな。非公式のものなら、誰が使ったのか分からないからな。」

地字竜「・・・・元帥、どこでそんな非公式の“ミルラ”と艤装タンカーを手に入れたのか?。」

柊暮人「ふっ・・・・ちょっとしたコネとは古い付き合いでな・・・・いろいろと世話になっているからな・・・・・。」

三宮葵「・・・・。」

地字竜「・・・・。」

柊暮人「地字竜。」

地字竜「はっ。」

柊暮人「お前は伊9と伊10、伊11と共に硫黄島近海へ迎え。試作型のジャミング装置を使い、他の鎮守府や本部への通信を阻害するよう、通信妨害工作を行え。」

地字竜「了解しました。では、ただちに行きますので、失礼します。」

 

ガチャッ・・・バタンッ・・・・。

 

三宮葵「・・・・。」

柊暮人「気に入らないのか、彼女を?。」

三宮葵「!?・・・・い、いいえ・・・・暮人様は・・・何故あの者をスカウトしたのですか?・・・・彼女は元々大本営直轄の研究機関「731機関(ななさんいちきかん)」が極秘裏に開発した実験部隊“黄泉(よみ)(がらす)”の人造艦娘です。そんな得体の知れない者に独立特殊作戦00艦隊に所属させるには危険すぎます。」

柊暮人「それがどうした?。」

三宮葵「!?・・・・。」

柊暮人「奴の素性など関係ない。能力と実力、そして忠誠心があれば過去には問わない。それに、奴は俺の命令を忠実に守り、最後まで俺を裏切らずに忠義を尽くしてきた。あれほどの人材を手放すには惜しいくらだ。お前もそう思うだろ。なら、計画を進めてくれ。」

三宮葵「・・・・・は、はい・・・・わかりました。」

 

ガチャッ・・・バタンッ・・・・。

 

柊暮人「伊丹・・・・ソロモン海が貴様の墓標になる・・・・この俺の理想の為に沈むがいい・・・・・。」

 

恐るべき柊暮人の陰謀。いままさに狡猾な策謀が伊丹達硫黄島鎮守府に襲いかかろうとしていた。

一方、何も知らない伊丹と言うと・・・・・・。

 

鎮守府 会議室

 

伊丹耀司「・・・う~ん・・・・わからん。」

ヴェールヌイ「?・・・・どうしたんだ?。司令官。」

伊丹耀司「指令書は確かに暮人元帥が考案、送られたものだが、同日に沖田元帥からの推薦書が送ってくるなんて・・・どう見ても変だ。」

ヴェールヌイ「・・・・・もしかして、その推薦書は偽者か?。」

伊丹耀司「いや・・・・元帥の署名も書かれているから本物だと思うが・・・・。」

ヴェールヌイ「そうか・・・・では、出撃は?。」

伊丹耀司「予定通りに行うが、念の為に三菱達に他の鎮守府や本部にも連絡するよう伝えてくれ。」

ヴェールヌイ「ああ、わかった。」

 

伊丹達は予定通り、艦娘達硫黄島鎮守府遊撃艦隊を出撃させるのであった・・・・・。

 

ヴェールヌイ「と言う事だ。本艦隊は大本営の艦隊の支援が主な任務である。では、司令官どうぞ。」

伊丹耀司「・・・・みんな、聞いての通り、大本営はソロモン海に敵棲地を発見した。そこへ精鋭艦隊の強襲を行い、敵を殲滅するようだ。我々の任務は味方艦隊の支援を行う事だ。本作戦の目標はソロモン海の深海棲艦を排除し、制海権奪還させることだ。各自心して作戦にかかってほしい。敵を侮らず、油断せず気を引き締めろ!。些細な慢心は命取りになりかねない。暁の水平線に勝利を刻むのだ!。」

艦娘達「はっ。」

伊丹耀司「ああ、それともう一つ、お前達に言いたい事がある。」

艦娘達「?。」

伊丹耀司「これから出向く戦場では、君達の命を賭けてもらう事になる。この先、戦場では何が起きるのか分からない・・・・・だが、あえて言わせてもらいたい・・・・・・死ぬな!必ず生きて帰って来い!!。以上だ。」

艦娘達「・・・・はいっ、司令官。」

 

伊丹の言葉を聞いて、敬礼して答える艦娘達。

 

ザザ~~~~~・・・・・・ゴオオオオオオ・・・・。

 

ヴェールヌイを総旗艦とする硫黄島鎮守府遊撃艦隊はソロモン海へ向けて出発した。しかし、その監視する者がいた・・・・・。

 

???「よし・・・・行ったか・・・・・三宮葵に“羊使いが狼を狩りにしに来た”と伝えろ。」

???「わかりました。」

???「・・・・これで予定通り、事は進んでいる・・・・・後は向こうが何とかしてくれるか・・・・。」

???「どうしますか?。地字竜さん。このまま監視しつつですか?。」

地字竜「ああ・・・・通信を傍受し、合図が入り次第、電波妨害工作を行う。伊9、伊10、伊11。各自予定の配置に着き、合図があるまで、試作型のジャミング装置を起動するな。」

伊9、伊10、伊11「はっ。」

 

ざ~~~~~~・・・・・・ちゃぷん・・・・・。

 

硫黄島の予定の配置へ着くべく、潜行する三人の潜水艦の艦娘。

伊9、伊10、伊11は、独立特殊作戦00艦隊の一員であり、少数精鋭の潜水艦隊である。

三人とも服装は潜水艦娘に共通するスク水と、白襟に黒いアウトラインが入った丈の短いセーラー服を着用しており、両手の黒手袋に背中に艦橋型格納庫、両腕の二の腕に艦首魚雷発射管ユニット、頭部に魚雷発射管六門付きの艦首を模した帽子を被り、耳には潜水艦のソナー手がするようなヘッドホンを装備している。

まるで三つ子のように見えるが、性格は異なるようだ。

伊9は常に冷静な性格で、平時でも戦闘時でもいろいろな人をフォローする気配り上手で、時には身を挺して味方を庇うなど、味方との連携重視した戦闘スタイルを持つ。

伊10は好戦的だが、誰に対しても飄々として陽気な性格で、フレンドリーでこざっぱりとした態度をとる。

伊11は基本的に仏頂面で武骨な性格だが、冷静沈着で頭の良さに加えて他人の能力の利点を見抜き、活用する能力の持ち主で、自分の考えをはっきりと口に出す辛辣さがあるが、その分受け入れるに値する発言であれば上下を問わず受け入れる上、役目を果たせばその分きちんと報いる。また、常に自己鍛錬を行うスイトックな面を持つ。

 

地字竜「・・・・さて・・・・元統合人類軍第13独立部隊司令官を務めたあんたが、この状況でどう動くか御手並み拝見してもらうよ。伊丹耀司少佐。」

 

鎮守府の近くに恐ろしい策謀が迫りつつであったが、伊丹はまだそれには気付かなかった・・・・・。

それから6時間が経った・・・・。

 

ソロモン海 近海

 

ソロモン海の近海まで進むヴェールヌイ達硫黄島鎮守府遊撃艦隊。彼女達には三菱が急造で作られた遠征用の装備をしており、食料や燃料も完備しており、長期の任務に適している。

ヴェールヌイ達は帰還用の遠征装備を岩場に隠した。

任務が終わればそれを使って帰るようだ。

 

ヴェールヌイ「みんな。油断するな。ここが敵の勢力内である事を忘れるな。各自警戒を怠るな。」

艦娘達「了解。」

阿武隈「・・・・・。」

北上(改二)「どうしたのー?。阿武隈」

阿武隈「あ、ごめん・・・・こういう場所に着た事が初めてだから・・・・落ち着かなくて・・・・。」

北上(改二)「・・・・まぁ何ですかねー、気楽にいきますかねー。私はねー。」

阿武隈「ちょ、ちょっと、北上さん・・・。ふざけている場合ですか?。」

北上(改二)「落ち着いた?。」

阿武隈「あっ!?。」

北上(改二)「阿武隈は真面目すぎるんだよー。気楽に行こうよー。」

阿武隈「も、もー・・・・。」

多摩(改二)「・・・・やれやれにゃ。」

摩耶(改二)「のん気な奴らだ。」

由良「それより阿武隈。桜ちゃんはどうだったの?。」

阿武隈「え、ええと・・・・ちょ、ちょっと・・・・仲良くなったみたいです・・・・。」

由良「そう、まあ、あの子は深海棲艦だけど、そんなに悪い子じゃないよ。あの子。礼儀正しく、優しい子だったと由良は思うよ。」

阿武隈「・・・・由良さん。」

由良「安心しなさい。何が起きようとも由良が守ってあげるから。」

 

笑顔を見せる由良を見て安心する阿武隈。その様子を見るヴェールヌイ。

 

ヴェールヌイ「・・・・・。」

隼鷹「どうした、ヴェールヌイ?。浮かない顔をして。」

ヴェールヌイ「隼鷹か・・・・・いや、司令官の言葉になってな・・・・。」

隼鷹「司令官の言葉?。」

ヴェールヌイ「ああ・・・・司令官が私達に言った言葉・・・・。」

伊丹耀司『これから出向く戦場では、君達の命を賭けてもらう事になる。この先、戦場では何が起きるのか分からない・・・・・だが、あえて言わせてもらいたい・・・・・・死ぬな!必ず生きて帰って来い!!。以上だ。』

ヴェールヌイ「恐らく司令官は今回の任務に何か裏がありそうと感じていると思うわ。わざわざ私達に生きて帰る様言うなど、訳がありそうだわ。」

隼鷹「ふーむ・・・・なるほどね・・・・で、どういう事だ?。」

ヴェールヌイ「今回の作戦、大本営の柊暮人元帥が考案したものと司令官が言っていた。」

隼鷹「柊暮人元帥?。誰だそいつは?。」

ヴェールヌイ「司令官から聞いた話によれば、かつて深海棲艦殲滅の為なら手段を選ばない過激な強硬派の中核に当たる柊家の当主で、かの有名な“聖天子事変”の首謀者である元日本皇国帝都大本営元帥、柊天利(ひいらぎ てんり)の息子。自分に逆らう者や不信感を抱く者には容赦せず、目的のためならば身内であっても拷問や殺害、裏切りなども躊躇しない過激派の中でも異常なまでの過激思想を持つ危険人物だが、奴の所属する艦隊はたった一人で100の深海棲艦を殲滅できるほどの実力を持つ精鋭中の精鋭を集めた最強の無敵艦隊である元帥直轄の親衛艦隊「独立特殊作戦00艦隊」を配下としているようだが、今回の作戦の主力だが、あれだけの精鋭艦隊がいればソロモン海を攻略できるのだが、わざわざソロモン海攻略の為に私達総動員するとは何か胸騒ぎがすると言っていたわ。」

隼鷹「ふ~~ん・・・・なるほど・・・・・で、あんたはそれを知りながら、司令官の命令に従ったわけかい?。」

ヴェールヌイ「いや・・・・出発前に司令官から事前にある事を頼まれた・・・・。」

 

回想

ソロモン海攻略作戦 出発前

 

伊丹耀司「ヴェールヌイ。君に伝えたい事がある。」

ヴェールヌイ「何だ?、司令官・・・・藪から棒に・・・・ケッコンカッコカリでも申し付ける気か?。」

伊丹耀司「いやいや・・・そんなことじゃなく・・・・・出発前に事前に伝えたい事があるんだ。」

ヴェールヌイ「それは何だい、司令官?。」

伊丹耀司「今回の任務にはどうも腑に落ちない所が多くてな・・・・おまけにあの柊暮人元帥が関わっている以上、どんな状況になるのか俺も予想できない。もしこの任務自体が罠だとしたら・・・・もし何か異変や違和感を感じたら・・・・即時撤退をしてくれ。」

ヴェールヌイ「・・・・・わかった・・・・撤退のタイミングは?。」

伊丹耀司「それは君に任せるよ。今回状況を冷静に見極め、瞬時に判断できる君にしかできないな。」

ヴェールヌイ「任せてくれ。司令官。必ず全員を帰還させる。」

伊丹耀司「ああ・・・・頼むぞ。ヴェールヌイ。」

ヴェールヌイ「Да(ダー)Понятно(パニャートナ)。」

 

隼鷹「ふ~~ん・・・・そういう事か?。」

ヴェールヌイ「ああ・・・・万が一、戦場ではどのような事態になるのか分からない。だから、司令官はこういう状況を見越して、私に密命を下さったと思う。」

隼鷹「・・・・そうかい・・・・実は私はどうも胸騒ぎがしてしかたないんだよ・・・・まあ、指揮官はあんただ。私らの命、あんたに任せるわ。」

ヴェールヌイ「・・・・ああ、任せてくれ。」

アイオワ「Hi(ヘイ)!ヴェールヌイ。そろそろソロモン海へ到着する頃だヨ。」

ヴェールヌイ「・・・・そうか。」

 

ヴェールヌイ達はソロモン海へ到着した。

 

ヴェールヌイ「みんな、油断は禁物だ。まずは偵察及び索敵を行う。隼鷹、瑞鳳、神鷹。頼む。」

隼鷹「ひゃっはー、任せな。よーし、攻撃隊!発艦しちゃってー!。」

瑞鳳「航空母艦、瑞鳳。推して参ります!攻撃隊、発艦!。」

神鷹「神鷹航空隊、どうか、お願いします!。」

 

シャシャシャ・・・・ヒュンッ・・・ヒュンッ・・・ゴオオオオオオオオオオオ・・・・・。

 

巻物や弓矢から攻撃機を発艦していく隼鷹、瑞鳳、神鷹。

 

ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオ・・・・・・・・・。

 

攻撃機のパイロット「・・・・・・!!?。」

 

攻撃機のパイロットである妖精が何かを見つけた。それは夥しい数の深海棲艦の群れであった。

 

隼鷹「・・・お、おいおい・・・・なんて数なんだよ・・・・おい・・・・。」

瑞鳳「ま、まさか・・・・これほどの数とは・・・・。」

神鷹「・・・・ど、どういたしますか?、ヴェールヌイさん。」

ヴェールヌイ「・・・・・瑞鳳、先行している敵棲地攻略艦隊は?。」

瑞鳳「そ、それが・・・・どこにもいません。」

神鷹「し、司令官から・・・・大本営の攻略艦隊が来ていると聞いていますが・・・・どこにも存在しないなんて・・・・・。」

隼鷹「・・・・おいおい・・・・こりゃああ・・・・・私達・・・・はめられたんじゃ・・・・・。」

ヴェールヌイ「・・・・・・。」

 

ヴェールヌイは深く考え、目を閉じて考案中・・・・そして・・・・彼女の答えは・・・・。

 

ヴェールヌイ「・・・・・・全艦、即時撤退を命じる。この空域から緊急離脱する!!。」

艦娘達「えっ!!?。」

阿武隈「ヴ、ヴェールヌイさん。そ、それでは大本営の命令を破るのでは?。そもそも、私達の任務は攻略艦隊の支援ではないのでしょうか?。」

ヴェールヌイ「・・・・確かに君の言う通りだ・・・・しかし、大本営の命令とは違っていた。そもそもソロモン海の敵棲地攻略艦隊がいない以上、これ以上の作戦行動は無意味だ。無駄死にさせる気はない。」

阿武隈「・・・・・。」

ヴェールヌイ「全艦、この海域から急速離脱!。全員生き延びて帰還せよ。それが司令官の命令だ!!。」

艦娘達「!?・・・・はいっ!!。」

ヴェールヌイ「隼鷹と瑞鳳は敵艦隊の進撃に爆撃を加えてくれ。それで敵の侵攻を遅らせるはずだ。」

隼鷹「おう、任せな。」

瑞鳳「はいっ。」

ヴェールヌイ「神鷹は司令官に通信し、状況を報告。司令官からの指示を随時聞くように!!。」

神鷹「あ、は、はい・・・・Ich(イッヒ) verstehe(フェアシュテーエ).!!?。」

ヴェールヌイ「北上や子日、アイオワ、龍驤(りょうしょう)さん、多摩、由良、摩耶は敵艦隊に雷撃、迎撃を与えつつ後退、敵を足止めをさせてくれ。」

北上(改二)「了解~。」

子日「ね、子日・・・頑張ります。」

アイオワ「イエーイ。任せなサーイ。」

龍驤((りょうしょう)「お任せを。」

多摩(改二)「行くニャー。」

由良「由良、頑張ります。」

摩耶(改二)「おっしゃー、任せな。」

ヴェールヌイ「他の皆は全速で離脱、阿武隈は前方に敵がいないか索敵しつつ味方を誘導してくれ。」

阿武隈「う、うん・・・・わかったわ・・・・。」

 

ヴェールヌイ達硫黄島鎮守府遊撃艦隊はそれぞれの役割を持って対処する事になった。

一方硫黄島鎮守府では・・・・。

 

鎮守府 執務室

 

執務室では三原と桃取が臨時オペレーターを行っており、三菱が臨時オペレーター及び秘書艦代理を務めていた。

 

伊丹耀司「・・・・・。」

 

伊丹はヴェールヌイからの連絡を静かに待っていた・・・・・。

 

伊丹耀司「・・・・三菱、ヴェールヌイから連絡は?。」

三菱「いや、まだ連絡はないわ。そろそろ到着してもいい頃合なんだが・・・・。」

伊丹耀司「・・・・・そうか・・・・。」

三菱「それと司令官。無事を祈る気持ちは分かるけど、それはみんなも同じ気持ちだよ。」

伊丹耀司「・・・・そうか・・・・すまんな。」

三菱「気にしないで。これも秘書艦代理の役目だからよ。」

伊丹耀司「・・・・ああ。ありがとな。」

 

タタタタタタタタタタタタタタッ・・・・・・・バタンッ。

 

三菱「!?。」

伊丹耀司「・・・・まるゆ?。」

まるゆ「た、た、隊長!?。ヴ、ヴェールヌイさんからの連絡は!!?。」

伊丹耀司「いや・・・・まだだが・・・・・ヴェールヌイが心配か?。」

まるゆ「あ、は、はいっ・・・・ヴ、ヴェールヌイさん達が心配で・・・・。」

伊丹耀司「大丈夫。ヴェールヌイには独自の判断で任されている。万が一に何かあった場合、撤退するよう命じているからな。そんなに無茶な事はしないから大丈夫だよ。」

まるゆ「・・・・・・・。」

 

伊丹の言葉に安心するまるゆ。そこへ・・・・。

 

三原「親方。司令官。」

伊丹耀司「!?。」

三菱「!?・・・・どうした。三原?。」

三原「神鷹から通信。ヴェールヌイからの報告でソロモン海の敵棲地攻略艦隊が不明、現在敵の追撃を受けており、想定外の艦隊に苦戦中、ただちに救援を求めているとの。」

伊丹耀司「わかった。桃取。本部への通信は?。」

桃取「すでに本部への通信を繋がっています。いつでも支援要請を行えます。」

伊丹耀司「よし、直ちに本部に支援要請を送ってくれ。三原は神鷹に支援要請を送ったと伝えてくれ。」

桃取「はいですわ。」

三原「おう。」

 

伊丹の指示で直ちに通信を始めようとしていた・・・・・。

一方、鎮守府近海では・・・・。

 

地字竜「そうはいかないよ・・・・・。」

 

近海に潜んでいた地字竜は通信機を取り出した。

 

カチッ・・・・ガガガ~~~・・・・・・。

 

地字竜「作戦開始。試作型のジャミング装置起動!」

伊9、伊10、伊11「了解。」

 

ヴウウウウウウウウウウウ・・・・・・・・・・・・。

 

地字竜からの合図により伊9達により、試作型のジャミング装置の起動を開始した。

 

ガガガガガ~~~~~~~・・・・・・・・ガ~~~ビ~~~~~・・・・・・・。

 

桃取「えっ?、嘘・・・・ど、どうして・・・・。」

伊丹耀司「どうした?。桃取。」

桃取「そ、それが・・・・・通信が突然繋がれなくなったのですわ。」

三菱「何!?。さっきまでは通信は正常ではなかったのか?。」

桃取「ええ、通信は良好でしたが、突然通信が繋がらなくなったのですわ。」

三原「こっちもだ。何度も無線を調整してもつながらねえよ。これじゃ、向こうからの通信ができねえ。」

三菱「い、一体・・・・何が・・・どうなっているのよ!!?。」

伊丹耀司「・・・・・。」

 

地字竜達の暗躍により通信を妨害された硫黄島鎮守府。まさに絶対絶命の危機!!。

 

地字竜「・・・・こちら、“モグラ”・・・・手筈通り、鎮守府の通信を妨害した。こちらの計画を実行せよ。成功を祈る。」

???「了解。“モグラ”。本隊は直ちに計画を実行する。引き続き、妨害工作を進めよ。以上。」

 

ガチャッ・・・・。

 

地字竜達別働隊とは違う本隊はソロモン海の遠い所にいた。その本隊の指揮官は柊暮人の副官、三宮葵であった。

 

三宮葵「地字竜達の作戦はうまく言っているようね・・・・・こちらも計画を進めるわ。大鳳。」

大鳳「はい、わかりました。予定通り作戦を開始します。」

三宮葵「うむ・・・・・よし、これより作戦を開始する。奴らに通信を送れ。」

士官「はっ。」

 

暗躍する三宮葵率いる本隊。一方、ヴェールヌイ達硫黄島鎮守府遊撃艦隊では、予想もしない通信障害に混乱していた。

 

ヴェールヌイ「・・・どうした、神鷹。」

神鷹「そ、それが・・・・つ、通信が・・・・通じないのです!!?。」

ヴェールヌイ「!!?・・・・・通じない?・・・・一体どういう事だ?。」

神鷹「そ、それが・・・・さっきまでは通信が繋がっていましたが・・・・と、突然の通信障害で繋がらなくなりました!?。」

ヴェールヌイ「通信障害!?・・・・・!!・・・・ま、まさかっ!?。」

 

ヴェールヌイは何かを悟った所、予想のしない事が起きた。

 

神鷹「!!?・・・・・ヴ、ヴェールヌイさん・・・・・通信が繋がりました!!?。」

ヴェールヌイ「!!?・・・・通信が繋がった!?・・・・・鎮守府本部から?。」

神鷹「いいえ・・・・・“ソロモン海敵棲地攻略艦隊”からです。」

ヴェールヌイ「な、何!!?。」

 

これまで姿を見せなかった“ソロモン海敵棲地攻略艦隊”からの通信にさすがに驚きを隠せないヴェールヌイ。

 

神鷹「“ソロモン海敵棲地攻略艦隊”からの通信が来てます。指揮官との話がしたいようですが・・・・。」

ヴェールヌイ「・・・・わかった・・・・私が話をつける・・・・・。」

 

ヴェールヌイは“ソロモン海敵棲地攻略艦隊”と話をつけようと決めた。

 

ヴェールヌイ「こちら、硫黄島鎮守府遊撃艦隊旗艦、ヴェールヌイだ。指揮官と話がしたい。何ゆえ“ソロモン海敵棲地攻略艦隊”は、ソロモン海にいないのか?。説明してもらいたい。」

オペレーター「こちら“ソロモン海敵棲地攻略艦隊”。本艦隊は敵の奇襲を受け、修理と補給も重ねて、到着に大幅に遅れた。現在本艦隊は全速で向かっているが、救援のために航空支援を行う。航空支援まで10分ごろになるので、それまで持ち堪えてください。」

ヴェールヌイ「・・・・・・わかった、それまで出来るだけ早く来てくれ。敵の勢力は不明だが、予想以上の数で、これ以上持ちこたえない。至急頼む。」

オペレーター「わかりました。できるだけ全力へ急ぎます。」

ヴェールヌイ「・・・・・・みんな、味方が来るまで持ち堪えてくれ。」

隼鷹「へいへい・・・・わかったわよ。」

アイオワ「OK。Me(ミー)達も聞いたわネ。後30分で、味方の航空支援が来るネ。それまに、全艦、迎撃体制で敵を迎え撃つワヨ。」

北上(改二)「了解~~。」

阿武隈「了解。」

多摩(改二)「了解ニャッ。」

摩耶(改二)「了解。」

由良「了解です。」

 

航空支援の為、30分間奮闘するヴェールヌイ達硫黄島鎮守府遊撃艦隊。一方硫黄島鎮守府では様々な手段を詮索しつつ通信回復に奮闘していた・・・・・。

 

鎮守府 執務室

 

伊丹耀司「三菱、どうだ!?。まだ通信が繋がらないのか!!?。」

三菱「い。いや・・・・考えるだけの方法が使ったが、どれも無駄だった・・・・。」

伊丹耀司「くっ・・・・くそっ!!?。」

 

ドンッ。

 

机を叩く伊丹。その様子を心配そうに見つめるまるゆ。

 

まるゆ「・・・・・・!?。」

 

まるゆはドアの隙間に覗く人影がいた事に気づいたが、その人影は何処かへ去って行った。

 

まるゆ「・・・・・・。」

 

タッタッタッタッタッ・・・・バタッ・・・・タッタッタッタッタッ・・・・。

 

伊丹耀司「!?・・・え、ええっ!!?・・・・ま、まるゆ!?。」

三菱「・・・・・・。」

 

人影を追って走り去るまるゆ。その様子に驚く伊丹。その様子から何かを悟った三菱。

 

タッタッタッタッタッタッタッタッタッタッ・・・・・・・・。

 

人影は湾岸の方へ向かって走っていた・・・・・・・。

 

まるゆ「桜さん。」

桜「!!?。」

 

まるゆが呼び止めたのは、桜であった。

まるゆの声を聞き、足を止めて振り返る桜。

 

まるゆ「桜さん・・・・も、もしかして・・・・ヴェールヌイさん達を助けに行くのですか?・・・・。」

桜「・・・・うん。」

まるゆ「ひ、一人で行くつもりなのですか!?・・・あ、相手は・・・かなりの数で構成されているのですよ。無事ではすみませんです。」

桜「・・・・それでも行く・・・・そこに私の“友達”が待っているから・・・・・。」

まるゆ「!!?・・・・・。」

 

桜は・ヴェールヌイ達を助けようと単独で行こうとしていた。しかし、まるゆはそれを静止した。

 

まるゆ「だ、だめですっ!!?・・・・た、隊長の許可もなく出撃するのは・・・・き、危険すぎます・・・・ここからソロモン海までは遠く・・・・・駆けつけるのに間に合いませんし・・・・・そ、それに・・・・貴方は深海棲艦です・・・・・他の艦隊に見られたら・・・・貴方だけじゃない・・・・・た、隊長も・・・・軍法会議に掛けられてしまいます・・・・。」

桜「っ・・・・・。」

 

まるゆの指摘に動揺する桜。

 

???「・・・・それなら“いいもの”があるわよ。」

桜、まるゆ「えっ!!?。」

 

その声をする方へ向くとそこに立っていたのは・・・・・・。

 

桜、まるゆ「三菱さん。」

三菱「よっ。」

まるよ「ど、どうして・・・・ここに?。」

三菱「貴方が彼女を追いかけてきたのを見て、何かあると思って、こっそり後をつけたのよ。しかし・・・・深海棲艦である貴方が助けに行くなんてびっくりしたわ。」

桜「・・・・三菱さん・・・・・私は・・・・。」

三菱「言わなくてもわかるわよ。貴方、ヴェールヌイ達に行くのでしょう。なら、着いて来なさい。」

桜、まるゆ「?。」

 

桜とまるゆは三菱に連れられ、ある場所へ案内された。

 

硫黄島鎮守府 工廠

 

桜「ここって・・・・・。」

まるゆ「こ、工廠・・・ですね・・・・。」

三菱「見せたいものがあるのよ。」

 

バサササッ・・・・・・。

 

桜、まるゆ「!!?。」

桜「こ、これは・・・・一体!?・・・・。」

 

桜達が見たのは、巨大な戦艦型の艤装であった・・・・。

 

三菱「こいつは艦娘の支援、性能強化を目的に開発した多目的機動戦術強襲型大型支援アームドモジュール「MMTATLSAM(マッタテルサム)((MULTIPURPOSE(マルチパーパス) MOBILE(モビル) TACTICS(タクティクス) ASSAULT(アサルト) TYPE(タイプ) LARGE(ラージ) SUPPORT(サポート) ARM(アーム) MODULE(モジュール))‐000X。通称「“フリート・アームズ”」。まだ試作型で、実戦データを取っていないけど、ちょうどいいわ。こいつをあんたに託すわ。」

桜「えっ!?・・・わ、私にですか?・・・・・でも、私は・・・・。」

三菱「わかってるわよ。私が出撃許可を許すわ。後で提督に話をつけてとくから。後、こんな事があろうと、こいつには脳内から発生する電気信号を、コンピュータを通して自分の意思をダイレクトに伝えられる「バイオコンピューターシステム」を組み込んでいるわ。これなら深海棲艦の貴方でも操作できるわ。後、この専用バイザーと戦闘帽形略帽を付ければ、正体を明かされないと思うわ。貴方のやりたい事をやりなさい。」

桜「三菱さん・・・・。」

三菱「私もあの子達を助けたいの。提督も同じ気持ちだと思うよ。だから・・・・・生きて帰ってきなさい。あの子達と共にね。」

桜「!?・・・・は、はいっ。」

 

互いに敬礼する桜と三菱。

 

ウィィィィィィン・・・・・・・・ガチャン・・・・ガチャン・・・・・・ゴオオオオ・・・・・ガコンッ。

 

フリート・アームズに様々な武装を補充、換装、さらに長距離飛行用バックパックユニット5基を装着した。

 

三菱「桜。こいつに専用ブースターを装着したわ。フリート・アームズの大出力に加え、機動能力があれば、ソロモン海までわずか数十分で着くはずだよ。作戦の成功を祈るわ。」

まるゆ「さ、桜さん。」

桜「?。」

まるゆ「ヴ、ヴェールヌイさんの事・・・・・よろしくお願いします。」

桜「・・・・わかった。必ず無事に帰還させる。約束する。」

まるゆ「はあ・・・・。」

 

敬礼するまるゆに対し、敬礼して笑顔を見せる桜。それを安堵するまるゆ。

 

ウウウウウウン・・・・・ウウウウウウン・・・・・ウウウウウウン・・・・・。

 

アナウンス「フリート・アームズ、発進シークエンス・・・・OK。」

桜「桜、フリート・アームズ、行きますっ!!?。」

 

ゴオオオオオオオ・・・・・・ドシュウウウウウウウウウウウウン・・・・・・・・・ゴオオオオオオオオ・・・・・。

 

凄まじい速度で発進するフリート・アームズ。空の彼方まで飛び去っていった・・・・・。

 

三菱「よ~し・・・・私達も司令官に報告するか。行くわよ。まるゆ。」

まるゆ「う、うん・・・・。」

三菱「そんなに心配しなくても大丈夫だよ。あの子ならきっとやってくれるはずよ。だから信じて待ちましょう。」

まるゆ「・・・・はいっ。」

 

一方、鎮守府の外にいる地字竜達というと・・・・・。

 

硫黄島鎮守府 近海 小島

 

地字竜「仕掛けは上々。元帥から頂いた試作型のジャミング装置は正常に起動している。後は向こうの作戦が成功するだけ・・・・・!!?。」

 

ゴオオオオオオオオオオオオオオオオ・・・・・・・ビュウウウウウウウウウウウウウ・・・・・。

 

突然、目の前に白い水飛沫を上げながら突っ走る光景を目撃する地字竜。

 

地字竜「・・・・・な、何だ・・・・い、今のは?・・・・・・!!?。」

 

ビーーー・・・・ビーーー・・・・ビーーー・・・・。

 

突然の光景に唖然する地字竜。そこへ別の通信が上がった。

 

地字竜「・・・・こちら“もぐら”・・・・・あんたか・・・・・珍しいな・・・・お前から通信をしてくるなんてよ・・・一体何の用だ?・・・・・・な、何!?・・・・“本土防衛軍”が!!?。」

 

その通信からは予想外の報告であった・・・・・・。

 

地字竜「・・・・・・・わかった・・・・・すぐに部隊を撤収させる・・・・・。」

 

ガチャッ・・・・・ガガ~~~~・・・・・。

 

地字竜「・・・・・伊9、伊10、伊11、良く聞け・・・・・たった今本国の“本土防衛軍”が向かっていると言う情報があった・・・・。」

伊9、伊10、伊11「えっ!!?。」

地字竜「到着は一時間後のようだが、全速でこちらに向かっているようだ。奴らを見つけ次第、作戦を即時に中止、こちらの妨害工作を悟られない内に撤収、ポイントM0-M1にて合流せと。痕跡も残すなよ。」

伊9、伊10、伊11「了解。」

 

通信を終えると次は本隊への通信だが、長距離通信だと傍受される危険性を考慮し、暗号通信を送った。

 

ピーピーピーピー・・・・・・カタカタカタ・・・・・ピーピーピーピー・・・・・・カタカタカタ・・・・・。

 

地字竜「・・・・非常事態・・・・“本土防衛軍”・・・・作戦ヲ中止・・・・撤収ヲ申告・・・・。」

 

本隊への暗号通信を送る地字竜。彼女は何かを察していた・・・・・。

 

地字竜「・・・・大本営との通信を妨害している中、独自の行動と迅速な対応・・・・・まさか、奴が!?・・・・。」

 

一方、ヴェールヌイ達硫黄島鎮守府遊撃艦隊は味方の救援が来るまで奮闘していた。

 

ソロモン海 近海

 

ドオオオオン・・・・ドオオオオン・・・・ドゴオオオオオン・・・・・ザバアアアアアン・・・・・。

 

摩耶(改二)「おらああああっ!?、食らえ!!。」

アイオワ「さぁ、Me(ミー)の火力見せてあげるわ、Open(オーブン) fire(ファイヤー)!」

神鷹「神鷹航空隊、どうか、お願いします!。」

瑞鳳「アウトレンジ、決めます!」

隼鷹「ひゃっはー!。」

 

100万以上の深海棲艦の軍勢を相手に奮闘する硫黄島鎮守府遊撃艦隊。しかし、膨大な物量の前に徐々に劣勢に追い込まれていく・・・・・・。

 

子日「ヴェ、ヴェールヌイさん・・・・こ、これ以上・・・無理です・・・・。」

北上(改二)「はあ・・・はあ・・・確かに・・・・これ以上は留まるのは・・・・ヤバイかも・・・・。」

阿武隈「はあ・・・はあ・・・ヴェールヌイさん・・・・・援軍はまだですか!?。」

ヴェールヌイ「はあ・・・はあ・・・はあ・・・はあ・・・そろそろ予定の時間になっているはずだが・・・・!!?。」

 

ヴウウウウウウウウウウウウウン・・・・・・・・・・・。

 

そこへ現れたのは航空戦力である瑞雲(六三四空/熟練)と瑞雲(六三一空)、晴嵐(六三一空)の編成部隊である。

 

ヴェールヌイ「あ、あれは・・・・救援部隊!?・・・・・。」

摩耶(改二)「はあ・・・はあ・・・よ、ようやく・・・・・来たのかよ・・・・・遅かったじゃねえか・・・・。」

阿武隈「こ、これで・・・・みんな助かるのですか?。」

北上(改二)「ふああ~~~~・・・・・・しんど~~~・・・・。」

瑞鳳「はああ・・・・はああ・・・・こ、これ以上は・・・・・耐え切れません・・・・。」

子日「やった~~~。」

 

味方の救援部隊を見て、安堵する硫黄島鎮守府遊撃艦隊。しかし、ヴェールヌイは不安を抱いていた。

 

ヴェールヌイ「・・・・・(・・・・あの編成は確か・・・・・水上爆撃機ばかり編成しているようだが・・・・・攻撃機がいないようだが・・・・・!!?。)」

 

ヴェールヌイは何かを気付き、周囲に向かって叫んだ。

 

ヴェールヌイ「みんな、逃げろ!、早くっ!!?。」

阿武隈「え?。」

 

ヴェールヌイの突然の言葉に唖然する阿武隈達。

 

ヴウウウウウウウウン~~~~~・・・・・・・・ヒュウウウウウウウウウウン・・・・・・・・・・。

 

阿武隈「!?・・・・・!!?。」

 

何と編成部隊から無数の250キロ爆弾がこちらに目掛けて向かって来た。

予想もしない味方の攻撃に唖然し立ち尽くす阿武隈。爆弾が彼女目掛けて向かって来たその時、誰かが彼女を庇った・・・・・。

 

チュドオオオオオオオオオオオオン・・・・・・・・・・・バゴオオオオオオオオオン・・・・・・・。

 

深海棲艦の群れ諸共大爆発に巻き込まれた硫黄島鎮守府遊撃艦隊。

 

阿武隈「・・・・?・・・・!!?。」

 

爆撃から誰かを庇ったのを感じた阿武隈が見たものは・・・・・。

 

ゴオオオオオオオオオ・・・・・・・・・・・パチパチ・・・・パチパチ・・・・。

 

阿武隈「・・・・ゆ、由良さんっ!!?。」

 

爆撃により艤装が大破、炎に包まれながら重傷を負う由良の痛ましい姿であった・・・・・。

 

由良「・・・・あ、阿武隈・・・・・無事だったね・・・・よかった・・・・。」

阿武隈「ゆ、由良さんっ!・・・・今助けますから・・・・・。」

北上(改二)「阿武隈っ!、危ないっ!!?。」

 

ヒュウウウウウウウウウウン・・・・・・・ドガアアアアアアアアアン・・・・・・・・・。

 

阿武隈は北上に庇われるも爆撃に巻き込まれるのであった。

一方、由良は爆撃の直撃により轟沈寸前に追い込まれていた・・・・・。

 

由良「(・・・・・・阿武隈は?・・・・・・。)」

 

炎に包まれながら沈みつつ自身より阿武隈を気遣う由良・・・・。

 

由良「(・・・・よかった・・・・無事で・・・・・まぁ・・・・魚雷処分よりは・・・いいかな・・・・阿武隈・・・・提督さん・・・・桜ちゃん・・・・・ごめんね・・・・・。)」

 

チュドオオオオオオオオオオオン・・・・・・・・・・・。

 

阿武隈や伊丹、桜の事を思いながら爆炎の中に消えていく由良。

 

阿武隈「・・・・・そ、そんな・・・・嘘よ~~~~~~~~~!!?。」

ヴェールヌイ「・・・・くっ・・・・。」

 

由良の轟沈を信じようとせず絶叫、号泣する阿武隈。仲間の轟沈に自身の無力さを感じたヴェールヌイ。

 

ドガアアアアアアアアアアアン・・・・・ドガアアアアアアアアアアアン・・・・・ドガアアアアアアアアアアアン・・・・・。

 

降り注ぐ爆撃に次々と巻き込まれるヴェールヌイ達と深海棲艦。そして、爆撃が収まりつつあった・・・・。

 

ヴェールヌイ「・・・・ゴフッゴフッ・・・・み、みんなは?・・・・無事か!?。」

 

爆撃により艤装は損傷し、もはや大破状態であったヴェールヌイだが、自身の事より仲間の身を案じていた。

 

ヴェールヌイ「!?・・・・誰か生きているか。生きているなら答えてくれ!!?。」

北上(改二)「生きているよ~~~・・・・。」

ヴェールヌイ「!!・・・・き、北上・・・・無事だったのか!?。状況を報告してくれ。」

北上(改二)「私と阿武隈は無事だよ。ただ私と阿武隈の艤装は大破しちゃって、阿武隈は気絶、他のみんなからは爆風ではぐれて、通信できないだけどね・・・。」

通信『ガガ~~~~・・・・・こちら、隼鷹・・・・ヴェールヌイは無事か?。』

ヴェールヌイ「!?・・・・隼鷹か!!?。無事だったのか?。」

隼鷹『ああ・・・とっさに爆撃を身を守ったのさ。ただ、他のみんなは爆撃で中破、大破、轟沈寸前にまで追い込まれてしまってね・・・・・無事なのは子日と瑞鳳だけだ。』

ヴェールヌイ「・・・・そうか・・・・我々は無事だが。由良は・・・・。」

隼鷹『?・・・・由良はどうした?。』

ヴェールヌイ「・・・・轟沈した・・・・味方の爆撃で・・・・・・。」

隼鷹『・・・・・そうか・・・・。』

ヴェールヌイ「隼鷹。お前は他の負傷者を連れて、この空域から・・・・!!?。」

隼鷹『どうした?。』

ヴェールヌイ「どうやら・・・・敵は我々を一人も逃がさないつもりようだ。」

隼鷹『お、おいおい・・・・嘘だろ・・・・こっちもすげえ数の深海棲艦に囲まれているぜ・・・・・ざっと数えて・・・・1000万以上だな・・・・。』

ヴェールヌイ「1000万以上・・・・・くっ・・・・。」

 

1000万以上の深海棲艦に囲まれたヴェールヌイ達は絶体絶命であった・・・・・・。

 

ヴェールヌイ「・・・・(хорошо(ハラショー)・・・・ま、まさか・・・・これほどの勢力がいるとは・・・・それに・・・・)。」

 

予想もしない深海棲艦の大群に驚愕するヴェールヌイ。さらに彼女は後ろを振り向いた。

煙が晴れたおかげで、味方の爆撃により大破、中破した艦娘達がいた。それぞれ互いに庇い合い、防御姿勢を取っていた。

 

ヴェールヌイ「くっ・・・・(“由良”が轟沈、今、戦闘できる艦娘は子日、瑞鳳、隼鷹だけ・・・・・けど・・・・この戦力では・・・・)。」

 

もはや戦える戦力は少なく、絶望的な状況であった・・・・・。

 

ヴェールヌイ「・・・・・(司令官・・・約束は守りそうもありません・・・・ここが私達の死に場所のようです・・・・・)。」

 

1000万以上の深海棲艦の前に死を覚悟し、静かに目を閉じるたヴェールヌイ。風前の灯はそこまで来ていた・・・・と、その時っ!!?。

 

ドガアアアアアアアン・・・・・ドガアアアアアアアン・・・・・ドガアアアアアアアン・・・・・・・。

 

ヴェールヌイ「!!?・・・な、何が起きたんだ!!?。」

 

突如、深海棲艦の群れに複数の爆発が起きた。その状況に飲み込めず、驚愕するヴェールヌイ。

 

ゴオオオオオオオオオ・・・・・・・ダダダダダダダダダダダダダダダダダ・・・・・・・・・・・。

 

空から巨大な戦闘機のような物が高速に飛行、そこからガドリングガン4連2門を出し、連射した。

 

ドガガガガガガガガガガガガガ・・・・・・・ドオオオオオオオオオオオン。

 

ガドリングガン4連2門の凄まじい銃撃により、深海棲艦の群れは文字通り、蜂の巣となり撃沈させた。

 

バシュウウウ・・・・バシュウウウ・・・・バシュウウウ・・・・バシュウウウ・・・・ダダダダダダダダダダダダダダダダダ・・・・・・チュドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン・・・・・・・・・・・。

 

さらに三角柱状(テトラ)ポッド4つを発射、発射されたポッドが敵集団内に達すると内蔵ミサイルが乱射され、深海棲艦の群れを一掃していく。

 

キュウウウウウウ・・・・・・・バシュウウウウウウウウウ・・・・・ゴオオオオオオオオオオン・・・・・。

 

極めつけは二門の艦首砲からエネルギーをチャージ、そこから放つ巨大なビーム砲で周囲の敵をなぎ払った。

 

ヴェールヌイ「あ、ああ・・・・・。」

北上(改二)「・・・・す、すげえええ・・・・・。」

阿武隈「・・・・(い、一体誰が?)。」

 

その光景に唖然するヴェールヌイ達。そんな彼女達のよそに巨大な飛行物体が着水しようとしていた。

 

ゴオオオオオオオ・・・・・ヒュウウウウウウン・・・・・ザブウウウウン・・・・・。

 

飛行物体は着水し、ヴェールヌイ達の前に現したのは・・・・・。

 

???「みんな、無事ですか!?。」

ヴェールヌイ「!!?・・・・ど、どうして君が!!?。」

 

そこへ現したのはバイザーと戦闘帽形略帽、赤いマフラーを着た桜であった。

 

ヴェールヌイ「なぜ君がここに・・・・・そ、それに・・・・その装備は?・・・・・。」

桜「三菱さんからお借りしたのです。艦娘専用に開発した多目的機動戦術強襲型大型支援アームドモジュール「フリート・アームズ」です。」

ヴェールヌイ「・・・・・フ、フリート・アームズ・・・・。」

桜「私が敵の注意を引き付けますので、その間に撤退を開始してください。」

ヴェールヌイ「あ、ああ・・・・し、しかし・・・・君一人で?・・・・・。」

桜「はい・・・・みんなを必ず無事に帰還させる。それが司令官やまるゆさんとの約束ですから。」

ヴェールヌイ「!?・・・・す、すまん、桜・・・・由良は轟沈してしまった。」

桜「!!?。」

ヴェールヌイ「味方の爆撃から阿武隈を庇って轟沈したんだ・・・・最後まで阿武隈を気遣ってた・・・・。」

桜「・・・・・そうですか・・・・・。」

 

由良の死を悲しむ桜であった。そこへ大量の深海棲艦が現れ、その中心には敵主力の旗艦である装甲空母鬼がいた。

 

ヴェールヌイ「・・・・ま、まさか・・・・姫クラスの旗艦自ら来るとは・・・・。」

桜「ヴェールヌイさん。私が敵は引き付けます。ヴェールヌイさんは、フリート・アームズを使ってください。貴方なら使いこなせるはずです。」

ヴェールヌイ「・・・・わ、わかった・・・・死ぬんじゃないぞ。」

桜「・・・・はい。」

 

ピピッ・・・・ウィイイイイイン・・・・・ボシュウウウウン・・・・・ザッ。

 

フリートアームズから対艦刀「シュベルトゲベール」や超高インパルス砲「アグニ」、二門高エネルギー長射程ビーム砲「ケルベロス」、レーザー対艦刀「エクスカリバー」、二丁ビームライフル・ショーティーなどを装備したフルアームズストライカーパックを取り出し、1000万以上の深海棲艦の前に対峙、戦闘態勢を取る桜。

一方、敵主力の旗艦である装甲空母鬼は深海棲艦達を指揮し、周囲を囲んだ。

 

桜「・・・・・・」

 

ガシャン。

 

1000万以上の深海棲艦の前にして怯まずシュベルトゲベールを構える桜。

 

サッ・・・・ガチャガチャガチャガチャ・・・・・ドドドドドドドドドドン・・・・・。

 

装甲空母鬼が手を上げて振り下ろすと、深海棲艦の一斉射撃が開始した。

 

ヒュウウウウウウウウウ・・・・・・・・・・・・。

 

深海棲艦の砲弾の嵐の前に怯まず、ゆっくり歩く桜。

 

ヴェールヌイ「い、いかんっ!!?。桜、よけろ!!?。」

 

砲弾が目の前まで確実に迫っていた。しかし、桜は恐れず、目をゆっくり閉じて・・・・そして・・・・。

 

カッ・・・・・・ドドドドドドドド~~~~~~~~ン・・・・・・・・・・。

 

桜の目が開いた瞬間、突然体中が光だした直後、砲撃が命中、爆発した。

 

ヴェールヌイ「さ、桜~~~~~~~!!?。」

 

ヴェールヌイが絶叫する最中、次の瞬間、予想もしない展開を見せた・・・・・・。

 

×ここからPC、またはCDから"ヤマト渦中へ もしくは ヤマト渦中へ 30分耐久"を聞きながら朗読するとより楽しめます。×

 

ヒュンッ・・・・ズバアアアアアアアアアン・・・・・・ドサササササッ・・・・・・。

 

装甲空母鬼「!!?ッ。」

ヴェールヌイ「なっ!!。」

 

何と一瞬の内に深海棲艦を横一線で両断、瞬殺した。それは対艦刀「シュベルトゲベール」を装備した桜の仕業であった。予想外の光景に驚愕する装甲空母鬼。

しかし、桜はすぐさま反撃を開始、超高インパルス砲「アグニ」や二門高エネルギー長射程ビーム砲「ケルベロス」を構えた。

 

ザッ・・・・ガチャッ・・・・・バシュウウウウウウン・・・・・ドオオオオオオオン・・・・・・・・・・チュドオオオオオオン。

 

アグニ、ケルベロスの連射を開始、深海棲艦を次々と撃破していく。

 

ザアアアアア・・・・・ガチャチャッ・・・ガチャチャッ・・・ガチャチャッ・・・。

 

桜「!!?。」

 

深海棲艦に囲まれた桜。さらに・・・・

 

ビュウウウウウウウウウン・・・・・・・。

 

多数の深海棲艦の搭載機が上空から攻撃を加えようとしていた。まさに袋の鼠である。

その時、桜の身に異変が起きた。

 

カアアアアアアア・・・・・バアアアアアアアアアン。

 

ヴェールヌイ「!?・・・・あれは一体・・・・。」

 

突然、桜の体が発光、美しい虹色の光の粒子を放っていた。その姿に困惑するヴェールヌイ。

後に彼女の力は艦娘の力の基礎になるもの「“艦魂(かん・バースト)”」である事は今は知らない。

 

ヒュン・・・・・ガシッ・・・・ビュンッ・・・ビュルルルルルルル・・・・ガシッ、ガチャンッ・・・ビュンッ・・・ビュルルルルルルルル・・・・・ズババババババババババ・・・・ドゴゴゴゴゴゴゴオオオオオオオオ~~~~~~~ン・・・・・・・。

 

ビームブーメラン「マイダスメッサー」と2つのブーメランの本体部分を結合する事でビームと実体の刃を持ったブーメランとして使用可能な「フラッシュエッジビームブーメラン」を放ち、大量の搭載機を紙切れの如く、次々と切り裂き、撃沈していく。

 

カチャッカチャッ・・・・・ダダダダダダダダダダダッ・・・・・ドガガガガガガガ・・・・・・。

 

次に3連装35mmガトリング砲二門を構え、360°全方位に高速回転しながら撃ちまくり、それを受けた深海棲艦達を次々と撃沈していく。

 

ビュンッ・・・・・ヒュウウウウウウウン・・・・・・ガシッ・・・・ビュウウウウウウウン・・・・ドカアアアアアン。

 

ロケットアンカー「パンツァーアイゼン」を巧みに使いこなし、空母ヲ級を捕縛、そのまま深海棲艦の群れに投げつけて叩きつけた。

 

バシャアアアン・・・ガシッ・・・ガチャンッ・・・・ヒュンッ・・・・・ズババババババババババ・・・・・ドボオオオオオオオオオンッ。

 

着地し、二振りの大型レーザー対艦刀「エクスカリバー」を連結、一瞬で深海棲艦数十隻を斬撃、瞬殺した。

 

ビュンッ・・・・・ヒュルルルルルルルル・・・・・カチャッ・・・・ブンッ・・・ブンッ・・・・。

 

さらに攻撃を緩まず、さらなる追撃を加えた。連結したエクスカリバーを投げつけ、さらにデファイアントビームジャベリン2本を投げつけた。

 

ズバババババババ・・・・・・ザシュウウウン・・・・ザシュウウウウン・・・・ドボボボオオオオン。

 

高速回転するエクスカリバーに一刀両断され、さらに2本のデファイアントビームジャベリンにより深海棲艦5体ずつを串刺しにして撃墜した。

 

カチャカチャッ・・・・カアアアアアア・・・・・バババババババババババババババ・・・・・。

 

装甲空母鬼「!!?。」

 

二丁ビームライフル・ショーティーを構え、銃身と体中が光り出し、そこから高速に大量の光弾を撃ち出した。

 

ドガガガガガガガガガガガ~~~~~~~ン・・・・・・ゴオオオオオオオオオオ・・・・・・。

 

 

艦魂技(トリガーバースト) “ショーティー・バーストブレイク”

 

正確無比と命中率、高い連射速度と取り回しにより、4000万以上の深海棲艦の群れを一瞬にして撃ち抜き、壊滅に追い込んだ・・・・・。

 

装甲空母鬼「!!?・・・・・。」

 

さすがに装甲空母鬼も驚愕していた。たった一人の深海棲艦のために全兵力が一瞬にして壊滅されたのだ。

 

ガチャ。

 

装甲空母鬼「!!?。」

桜「・・・・・勝負は付きました。これ以上の戦いは無益です・・・降伏してください。」

 

装甲空母鬼「・・・・・!!!。」

 

ザッ・・・・ドガガガガガガガガ~~~~~~~~~ン・・・・・・ドドオオオオオオオオオオオオオオオオン。

 

桜により多数の部下を多く失った装甲空母鬼は桜の言葉を聞いて激怒、16インチ連装砲6門を一斉射撃に加え、魚雷多数を放った。その攻撃で桜は直撃、爆発した。

 

装甲空母鬼「フッ・・・・・!!?。」

 

勝利を確信した装甲空母鬼はその時、何かを気付き、空を見た。

 

ヒュウウウウウウウウ~~~~~~ン・・・・・・・・ズババババババ~~~~~~ン。

 

それは対艦刀「シュベルトゲベール」を構え、振り上げたまま落下する桜であった。そのまま装甲空母鬼に一閃、海が割れてしまうほどの斬撃であった。

 

装甲空母鬼「!!?!!!????!!??。」

 

ズル・・・・ズシャ・・・・ザバアアアアアン・・・・・・・。

 

桜「・・・・。」

 

何が起きたのかわからないまま装甲空母鬼は対艦刀「シュベルトゲベール」により立て一閃に一刀両断され、そのまま崩れて海に没した。その最後に悲しげに見つめる桜。

 

深海棲艦達「!!?。」

 

生き残った深海棲艦達は旗艦である装甲空母鬼を失い、戦意損失により攻撃続行は不可能になった。

 

ブウウウウウウウウン・・・・・・・・・・。

 

その様子を監視する一機の二式陸上偵察機。それは三宮葵率いるソロモン海敵棲地攻略艦隊所属の偵察機である。

 

ソロモン海 海上

 

ソロモン海敵棲地攻略艦隊旗艦『さきがけ』 戦闘指揮所

 

三宮葵「・・・・・」

 

二式陸上偵察機から送られた映像データを見て、驚愕する三宮葵。苦々しく拳を握り締めていた。

 

三宮葵「・・・な、何なの・・・・あれは?・・・・。」

オペレーター「指揮官。“もぐら”から暗号通信。“本土防衛軍”が硫黄島鎮守府が接近中、ただちに作戦を中止、撤退せよとのこと。」

三宮葵「バ、バカな・・・“本土防衛軍”が来ているだと!!?。は、早すぎる!!?・・・・。」

オペレーター「いかがいたしますか?。」

三宮葵「直ちにこの区域から撤退する。大鳳は補給を終わった編成部隊を奴に差し向けろ。」

大鳳「今からですか?。しかし、奴はたった一人であの4000万以上の深海棲艦を壊滅させた化け物です。爆撃だけで倒すのは不可能です。」

三宮葵「誰が爆撃で倒せと言いましたか?。ただ足止めさせていいのですよ。」

大鳳「足止め?、何のためにですか?。」

三宮葵「“ミルラ”でとどめを刺すのよ。」

大鳳「!!?・・・ま、まさか・・・・編成部隊を“ミルラ”を発射する間、時間稼ぎの為の捨て駒にするつもりなのですか!!?。」

三宮葵「そうだ、あの編成部隊は我が部隊を語るテロリストが送り込んだ刺客として上に報告、“ミルラ”をぶつければすべての証拠は残らない。目障りな奴ら諸共、あの怪物を消せばいいのですよ。」

大鳳「!!?・・・・・。」

 

葵の冷酷な言葉に言葉を失い、唖然する大鳳。

 

三宮葵「編成部隊を向かわせた後、作戦区域から離脱後、準備が出来次第、“ミルラ”を発射せよ。」

オペレーター「は、はいっ!!?。」

大鳳「・・・・・。」

 

桜達に迫りつつある巨大な新型兵器「ミルラ」の脅威。一方、一方硫黄島鎮守府では急展開を見せるのであった。

 

鎮守府 執務室

 

伊丹耀司「ヴェールヌイからの通信はまだか?。まだ通信は回復できないのか?。」

三菱「すまない。司令官。まだ通信不良が続いて、回復にはまだかかる。」

伊丹耀司「くっ!?・・・・。」

 

今だ通信が回復できない状況に苛立ちを見せる伊丹。何とかヴェールヌイ達の無事を知りたい一心である模様。

 

伊丹耀司「くっ・・・(まだ通信障害が続いている状況の中・・・・どの機材も正常なのに繋がらないとは異常すぎる・・・・まさか・・・・誰かが妨害工作を行っているのか?・・・・。)」

???「ヒュ~・・・こりゃあ大変だね~~。」

伊丹耀司「!!?」

 

伊丹は後ろから声を聞いて驚いて振り向くと一人の少女が壁に背に載せて立っていた。長身で大人びた容姿、猫のような髪型を持つ少女だが、服装はまるでくの一のような出で立ちであった。

 

三菱「あ、あんた!?・・・・何時の間にここに入ってきたのよ?。」

???「さっきからここに来たからよ・・・・・。それより、ここの通信が繋がらない原因を知りたくない?。」

伊丹耀司「!!?・・・・つ、通信障害の原因を知ってのか!?。」

???「ええ・・・・今頃仲間達が向かっている所よ。後は私達に任せて。」

伊丹耀司「・・・・君は一体・・・・何者なんだ?。」

???「私・・・・私は藤林長穂(ふじばやし ながほ)。日本皇国本土防衛軍玉狛支部直属の特務任務艦隊にして、私設諜報機関「ツキカゲ」の隊長を務めているのよ。」

伊丹耀司「ツキカゲ?・・・・。」

藤林長穂「ツキカゲって、知らないの?。それなら・・・・“迅悠一(じん ゆういち)”って人は知っている?。」

伊丹耀司「迅悠一・・・・!?、まさか・・・あいつか!!?。」

藤林長穂「ええ、ようだよ。迅悠一は日本皇国本土防衛軍玉狛支部の司令官で、私の上司でもあるのよ。」

伊丹耀司「・・・・そうなのか・・・・で、あいつは今何処に?。」

藤林長穂「提督は本土防衛軍艦隊と共にソロモン海へ向かっているはずだよ。」

伊丹耀司「そうか・・・・では、我々は準備次第救援を・・・・。」

藤林長穂「ああ・・・いいよ・・・貴方達はここで彼女達を帰るのを待ってくれない。」

伊丹耀司「え?。」

藤林長穂「司令官がここで離れて、誰が彼女達を迎えをするの?。彼女達を信じてみなよ。」

伊丹耀司「・・・・・わかった・・・・貴方の言葉を信じて、信じて待ちます。」

藤林長穂「それならいいよ。じゃ、私は仕事があるからこれで失礼するよ。」

 

ガチャッ・・・バタンッ・・・・。

 

互いに敬礼する二人。敬礼を終えた長穂は部屋から出た。

伊丹は彼女の言葉を信じ、ヴェールヌイ達が帰ってくる事を待った。

一方、一方、鎮守府近海では急展開を見せていた。

 

鎮守府近海

 

地字竜「そろそろ・・・・奴らがここに来る頃だが・・・念のために撤退準備を命じた方がいいな。」

???「残念。手遅れだけどね。」

地字竜「!!?」

 

突如、後ろを振り向くと、二人の少女がいた。一人はオレンジ色のサイドテールが特徴の少女。もう一人は右目に刀傷を持つ青髪のポニーテールの少女である。

 

地字竜「・・・・(い、何時の間に!!?・・・・気配を感じなかった・・・・・ま、まさか!!?。)」

 

地字竜は正体を隠す為に頭巾と光学迷彩やレーダーに映らないステルス機能を持つマントを着用していた。

素顔を見られないが、相手がかなりの実力者である事を瞬時に悟っていた。

 

ポニーテールの少女「通信妨害をしていたのはお前か。」

地字竜「・・・・だったら、どうなんだい?。」

ポニーテールの少女「お前を拘束する。はああああああ!!。」

 

ガキィィィィィィン・・・・・・・・ザザ~~~~~。

 

一瞬の内に間合いを取られ、刀による斬撃を受けるも、瞬時に手に持つ砲塔で弾き、後ろに下がった。

 

地字竜「・・・ふうう・・・・なかなかやばかったよ・・・・もう少しで反応しなければ、今頃首チョンしていたよ。あんたら、一体何者なんだい?。ただの艦娘ではないようね・・・・・。」

ポニーテールの少女「私達はツキカゲ。日本皇国本土防衛軍玉狛支部直属特務任務艦隊「ツキカゲ」だ。」

地字竜「ツキカゲだと!?・・・・空崎市に本拠地を置く私設諜報機関がなぜこの近海に来ているんだ。」

サイドテールの少女「そりゃ、私達の提督の命令で来たからね。」

ポニーテールの少女「やはり、提督の読み通り、ここで通信妨害の工作をしていたのね。」

 

ポロッ・・・ポチャン・・・・。

 

地字竜「!!?(ほ、砲身を切り裂かれただと・・・・い、何時の間に・・・・何と言う剣の速さよ・・・・)。」

 

地字竜は、ツキカゲの実力に戦慄を覚えた。少しでも気を抜けば、殺られる。そう感じてた・・・・・。

 

地字竜「・・・・(私の“アレ”を使えば倒せるが、今は使う時ではないか・・・・ここは退くとするか。)」

 

地字竜は何やら奥の手があるようだが、今は使う時ではないと悟り、その場を脱出することにした。

 

シュッ・・・・カアアア・・・・・バジュウウウ~~~~~~~~ン・・・・・・・・・。

 

閃光手榴弾を投げつけ、閃光と煙に怯む二人。音と煙が消えた時、地字竜の姿はいなかった。

 

サイドテールの少女「あらあら・・・・・逃げられちゃったね。どうする、ユッキー。」

ポニーテールの少女「追わなくていいわ。あれはおそらく指揮官のようね。通信妨害をさせる装置がない所を見ると、別の者がが所持している可能性が高いわ。」

サイドテールの少女「さすがユッキー。じゃ、そいつらを捕まえて、白状させる?。」

ポニーテールの少女「ええ、私はモモの所へ行くわ。貴方は真の所へお願い。」

サイドテールの少女「わかったよ。任せてね。ユッキー。」

 

そう言うと二人は分かれて走り去りました。

彼女達の名は半蔵門雪(はんぞうもん ゆき)八千代命(やちよ めい)。日本皇国本土防衛軍玉狛支部直属の特務任務艦隊「ツキカゲ」に所属する艦娘である。

半蔵門雪はツキカゲの副隊長で、コードネームは「半蔵(はんぞう)」で、真面目な性格で、自他共に厳しい。基本的にはクールで、あまり物事に動じない精神の強さを持つ。

八千代命はコードネームは「千代女(ちよめ)」で、能天気で明るい性格をしており、チームのムードメーカー的な存在。大雑把な性格をしているが、建物と建物の間を飛び越えられるほどの高い身体能力を持つ。

一方、硫黄島の各地ではそれぞれツキカゲと独立特殊作戦00艦隊との激闘が繰り広げていた。

 

硫黄島近海1

 

ドボオオオオオ・・・・ドボオオオオオ・・・・ドボオオオオオ・・・・ドボオオオオオ・・・・。

 

伊9「くっ・・・なかなかやるね・・・・。」

 

独立特殊作戦00艦隊の伊9は二人のツキカゲに追撃していた。

 

二人はカトリーナ・トビーと高坂信(こうさか しん)。共にツキカゲに所属する艦娘である。

 

カトリーナ・トビー。コードネームは「カトー(加藤)」。艤装なしで数人の成人男性を制圧できるほどの高い格闘技術、敵の手を正確に打ち抜く射撃技術を持つ艦娘。

 

高坂信(こうさか しん)。コードネームは「甚内(じんない)」。小学生に間違われることもあるほど幼い容姿であり、スパイとは思えないほど性格・身体能力ともにごく一般的だが、任務では自身の目立たない体質を利用して潜入・潜伏任務や囮役を務めたりするなど、入技術に特化している。

 

水中の敵を狙い撃ちできる正確無比の射撃とソナーによる索敵による支援を使う二人の猛攻の前に伊9を後一歩で追い詰めていた。

 

伊9「・・・・(このままでは追い詰められる・・・・ここは一旦引くしかないわ・・・・。)」

 

ピッ・・・・シャッツ・・・・ピッピッピッピッピッピッ・・・・チュドオオオオオオオオン・・・・・・。

 

試作型のジャミング装置に爆薬をつけて水中で爆破させた。

 

カトリーナ・トビー「くっ・・・シン様!、敵の位置は!?。」

高坂信「!!?・・・・ソナーから消えた!?・・・爆発の音響を利用して逃げられたようです。」

カトリーナ・トビー「くっ、不覚・・・・申しありません。シン様!。」

高坂信「い、いいのですよ。カトリーナさん。それより雪さん達の援護を・・・。」

八千代命「師匠。」

高坂信「あっ、メイちゃん。」

八千代命「応援に来たけど、そっちはどうだったの?。」

高坂信「ごめんなさい。逃げられてしまって・・・・。」

カトリーナ・トビー「それよりシン様。私達も援護もしなくては・・・・。」

高坂信「うん、わかりました。カトさん。メイちゃんも行こう。」

八千代命「了解。師匠。」

 

三人は他のツキカゲへ援護の為に他の近海へ赴いた。

 

硫黄島近海2

 

ドオオオオオン・・・・ドオオオオオン・・・・ドオオオオオン・・・・ドオオオオオン・・・・。

 

伊10「・・・・・へっ・・・・なかなかやるじゃない・・・あんたら。」

 

伊10を追い詰めていたのは、クールビューティーな容姿を持つ長い黒髪の少女とロングヘアの赤メガネの少女であった。

 

彼女達二人はツキカゲに所属している艦娘で、一人は青葉初芽(あおば はつめ)。コードネームは「(つぼね)」で、多くの秘密道具を開発を担当し、情報開示や作戦説明役、任務では遠隔操作などのサポート役を主に務め、状況によっては仕込み槍を武器に自ら前戦に立つこともある実力者でもある。

もう一人は石川五恵(いしかわ ごえ)。コードネームは「五右衛門(ごえもん)」。戦闘ではスナイパーライフルを使った後方からサポート、かぎ爪のような手甲で接近戦もこなし、武器はなくとも格闘術だけで相手をいなすなど、戦闘力が高く、本気を出せば組織を一つ壊滅させることができるほどの実力を持つツキカゲの切り札でもある。

五恵はスナイパーライフルによる後方支援を、初芽は自ら開発した試製61cm六連装(酸素)魚雷の改良型を使った追撃を行った。

 

ゴオオオオオオオオ・・・・・・バゴッ・・・・・ザザザザアアアアアアア・・・・・・。

 

初芽が開発した試製61cm六連装(酸素)魚雷の改良型は標的に向かってある程度距離に進んだ所、内部に内蔵している超小型高性能クラスター魚雷を散布し、多数の小規模な爆発を引き起こして広範囲の目標に損害を与えるのである。

 

ドドドドドドオオオオオオオオ~~~~~~~ン・・・・・・・・・・・・・。

 

伊10「くっ!!・・・・あ、やべっ!!?・・・・・・。」

 

超小型高性能クラスター魚雷により広範囲の爆発を食らい、試作型のジャミング装置を落としてしまう。

 

伊10「・・・・なかなかやるじゃない、あんた達・・・・やりがいありそうだけど・・・・今はゆっくりやっている暇がないわね。ここで捕まる訳にはいかないわ!!。」

 

ダダダダダッ・・・・・キイイイイイイイイイイイイイン・・・・・。

 

二人「く・・・ぐっ・・・・。」

 

伊10が放ったの音波魚雷により凄まじい音響を受けて怯む初芽と五恵。

 

伊10「本当はあんたらと戦ってみたいけど、今回は妨害工作が任務だからね。今は引かせてもらうよ。あばよ。」

 

そう言い残すと、水中の闇の中へと消えていった。

 

青葉初芽「くっ・・・・逃げられてしまいましたか・・・・・。」

石川五恵「すみません、師匠・・・・私がもっとも気付けば・・・・・。」

青葉初芽「そんなことはないですよ。ごえちゃん。さっき、ジャミング装置らしきものを落としていました。それさえ回収すればなにかわかるかもしれません。急いで回収しましょう。」

石川五恵「・・・・・はい、師匠。」

 

伊10が落としたジャミング装置の回収を取り掛かる二人。一方、別の近海でも死闘を繰り広げていた。

 

硫黄島近海3

 

ドゴオオオオオオン・・・・・ダダダダダダダダダダ・・・・・・。

 

???「きゃっ!!?。」

???「モモ。大丈夫?。」

モモ「あ・・・はい、大丈夫です。フーちゃん。」

 

モモとフーちゃんと呼ばれる二人の少女はツキカゲ所属の艦娘で、モモこと(みなもと)モモは、コードネームは「百地(ももち)」で、ツキカゲの中でも新造されたばかりで、戦闘能力は他のツキカゲより低いが、視力が良く、夜目が利き、嗅覚に優れ、他人の肌を舐めると、その人の健康状態や感情を把握することができる特殊能力を持つ。

もう一人はフーちゃんこと

相模楓(さがみ ふう)はコードネームは「風魔(ふうま)」、ツキカゲの中でも最年少のメンバーで、姿を変えたり声を変えたりするなど、高い変装術を得意とし、爆弾が内蔵された手裏剣を武器とする。

 

対して、伊11は、三人の中でも戦闘経験が高く、冷静さと相手の能力を見抜く持ち主で、モモと楓の攻撃を見抜き、冷静に対処して迎撃していた。

爆弾内蔵の手裏剣を扱う楓や事前に罠を仕掛ける仕込みを使うモモの特徴と弱点を瞬時に見抜き、相手の攻撃を制して有利を経つ事に成功していた。

とはいえ、さすがツキカゲであって、息のあったコンビネーションに苦戦し、倒しきれずにいた。

 

伊11「・・・・・・(さすがツキカゲであって、始末しきれないか・・・・ここで足止めしている内に仲間が来る可能性が高い・・・・ここで一気に方をつけるしかない!!。)」

 

ウィィィィン・・・・ガチャン・・・・ジャキンッ。

 

左手に一撃で複数の深海棲艦を呑み込む範囲と破壊を可能とする高出力のビームと実弾の二種使い分けが可能なドーバーガンと右手には対艦刀を装備して一気に勝負をしかけようとする伊11。

 

源モモ「・・・フ、フーちゃん・・・・な、なんだかやばい雰囲気ですけど・・・・。」

相模楓「どうやらあっちは本気を出してきたようね・・・・ここは正念場よ。覚悟を決めなさい。モモ。」

源モモ「は、はいっ!!。」

 

覚悟を決めた二人はそれぞれ手裏剣と日本刀を構え、伊11に立ち向かうのであった。

 

???「ヒューー・・・・こっちは盛り上がったてるね。私も混ぜてよ。」

伊11「!!?。」

楓、モモ「な、“長門”さん!!?」

 

現れたのは伊丹達と話していた“長門”こと藤林長穂であった。

 

伊11「・・・・(こ、こいつ・・・・何時の間に・・・・気配もなくここまで近づいているとは・・・・こいつ・・・できる!!?。)」

藤林長穂「ねえ、君。大人しく投降してくれない。君の仲間も今頃捕まっていると思うけど、投降してくれは無駄な戦いをする手間が省けるけどね。」

伊11「・・・・断る・・・・・貴様らに投降するほど・・・・・私は愚かではない・・・・・。」

藤林長穂「ふ~~ん・・・・そうか、残念だよ・・・・。」

伊11「私を止めたければ、全力で来い。貴様から強い意思と決意、覚悟を見た。お前は私と互角以上の力を感じる。私が本気を出したからにはお前も出し惜しみもなく、全力で立ち向かって来い!!。」

藤林長穂「あららら・・・・見抜かれたね・・・・・ならお言葉に甘えて・・・・全力で行くよ!!。」

伊11「ふっ・・・・。」

藤林長穂「熱く、鋭く・・・・リリース・ザ・スパイス!!。」

 

ジャキンッ・・・・ビュウウウウウウン・・・・ジャキィィィン・・・・ガガガガガガガガッ・・・・ジャンッ。

 

凄まじい攻防を繰り広げる長穂と伊11。

 

伊11「はああああああああ・・・・・。」

 

バシュウウウウウウウウウン・・・・・。

 

藤林長穂「はあ~~~~~!!。」

 

シャッ・・・・ズバアアアアアアアン・・・・・・・バシュッ・・・・ドオオオオオオオオン・・・・・・。

 

伊11が放つドーバーガンのビームに対し、長穂は一歩も怯まず、何と日本刀による一閃でビームごとドーバーガンを切り裂いたのだ。

伊11は切り裂かれたドーバーガンを瞬時に切り離し、誘爆を防いだ。

 

伊11「くっ・・・・できるな・・・・!!?。」

 

ドーバーガンの爆発の瞬間に一瞬の内に目の前に現れた長穂に驚く伊11。

 

ジャキィィィン・・・・・・・ギリギリ・・・・ギリギリ・・・・。

 

伊11「・・・・なかなかやるな・・・・お前・・・・。」

藤林長穂「お言葉に褒めていただきありがとう。」

伊11「だが、御互い実力は拮抗している。私を倒すにはまだまだだがな・・・・・。」

藤林長穂「・・・・そうでもないけどね。」

伊11「?・・・・!!?。」

 

伊11は後ろに何かが感じ取った。

 

ザンッ・・・・ザザ~~~~~~・・・・・・・・・。

 

しかし、伊11は瞬時に回避、紙一重で避けた。

 

伊11「・・・まさか・・・・奥の手がいるとは予想外だわ・・・。」

藤林長穂「悪いね・・・私達師弟で力を合わせれば怖いものはないよ。」

半蔵門雪「師匠、援護をいたします。」

伊11「・・・・・(さすがにこいつ一人ならどうにかできるけど、達人が二人だと私でも防ぎきれない・・・・この辺りが潮時か・・・・・。)」

 

伊11は速やかに撤収する引き際を決め、ジャミング装置を持ち出すと・・・・。

 

長穂、雪「!!?」

伊11「これが欲しいいか?・・・・・なら・・・・くれてやる!!。」

 

ビュン・・・・・・ヒュウウウウウ~~~~~~~~~・・・・・・・・・ガチャッ・・・・バシュッ・・・・・。

 

ジャミング装置を投げた伊11。空高く放り投げられたジャミング装置に目掛けて、艤装に内蔵したダガーミサイルを放った。

 

ドスッ・・・・・カアアッ・・・・・ドゴオオオオオオオオオオオン~~~~~~~~~・・・・・・・・・・・。

 

ダガーミサイルに刺さったジャミング装置は爆発、辺りは閃光と爆音、衝撃波、黒煙に包まれた。

 

長穂、雪「・・・・・・・!!?」

 

辺りが収まると、伊11の姿は消えていた。どうやら、爆発に乗じて、撤退をしたようだ。

 

藤林長穂「あちゃ~~~・・・・・・逃げられたか・・・・。」

半蔵門雪「追いますか?。師匠。」

藤林長穂「いや、私達の任務は果たした。深追いは不要だ。(ユッキー)。」

半蔵門雪「・・・・はい、わかりました。」

源モモ「師匠。長穂さん。」

相模楓「雪先輩。長穂先輩。」

 

長穂と雪を駆け寄るモモと楓。

 

半蔵門雪「・・・・モモ、大丈夫だった・・・・ケガはしていない?。」

源モモ「は、はい。大丈夫です。どこもケガはしていません。」

藤林長穂「やれやれ、(ユッキー)はももに対しては激甘だね~~。」

半蔵門雪「し、師匠~~~!!?。」

藤林長穂「あははは・・・・(ユッキー)、顔が真っ赤だよ~~~。」

半蔵門雪「んも~~~~~~~~!!?。」

源モモ「・・・・し、師匠・・・・。」

相模楓「・・・・な、何やっているやら・・・・。」

 

雪をからかう長穂を唖然して見つめる二人。

 

プルルルルルル~~~・・・・プルルルルルル~~~・・・・。

 

藤林長穂「ん?・・・・もしもし・・・・あ、初芽・・・・何々・・・・え、本当!!・・・・わかった。」

半蔵門雪「師匠。初芽から何か?。」

藤林長穂「初芽が敵が落としたジャミング装置を回収したらしくてね・・・・・今、解析している所ってらしいよ。後、ジャミング装置の効果が切れたようで、通信が回復したようだよ。」

半蔵門雪「本当ですか。師匠。」

藤林長穂「これで任務終了・・・・と言いたい所だけど・・・・鎮守府の艦隊が帰還するまでの間、ここを護衛するのが、私の任務だから、気を抜かずに行こうか。」

半蔵門雪「はい、師匠。」

源モモ「師匠!、私がんばります。」

相模楓「モモには負けないよ。綿も頑張ります。」

藤林長穂「いいね~~いいね~~たぎるね~~~・・・・鎮守府へ戻って、初芽達と合流するわよ。」

雪、モモ、楓「はいっ。」

 

ようやくツキカゲと独立特殊作戦00艦隊との戦いは決着、妨害電波もなくなり、通信の回復を成功した。

 

三菱「司令官。通信が復旧した。これで向こうの通信ができるはずだ。」

伊丹耀司「そうか、急いで艦隊との連絡を急いでくれ。」

 

通信復旧を急ぐ伊丹達。一方、ソロモン海では急展開を見せるのであった・・・・・・。

 

ソロモン海

 

ヴェールヌイ「・・・・終わったのか?。」

 

ヴェールヌイ達は深手を追いながらも、フリート・アームズを装備した桜の奮戦により生き残ることが出来た。

 

桜「ヴェールヌイさん。」

ヴェールヌイ「桜。」

桜「みんな、大丈夫ですか?。」

隼鷹「ひゃっは~~・・・・みんな無事だよ・・・・・それより酒が飲みたいけどね・・・・・。」」

北上(改二)「・・・・あたしと阿武隈は大丈夫・・・・だけど~~~・・・・・。」

阿武隈「・・・・・・・。」

 

阿武隈は姉のような存在である由良を失った事がショックで傷心していた・・・・・。

 

桜「・・・・・・!!?。」

 

阿武隈の気持ちを察し、悲しむ桜。その時、後ろに何かを察知した。

 

ヴェールヌイ「?・・・どうした、桜!?。」

桜「・・・・何かが来ます。」

ヴェールヌイ「?・・・・!!?。」

 

ヴェールヌイが驚愕していた。それは自身が知っているものであったから・・・・・。

 

空母ヲ級「・・・・・・。」

 

かつてまるゆやヴェールヌイが倒し損ねた空母ヲ級でった。フリート・アームズの猛攻を受け、すでにボロボロになっており、頭部の帽子の左目部分は破損、右肩や頭にも負傷しており、流血してた。

そんな状態で桜達の前に現した。

 

ヴェールヌイ「・・・あ、あいつは!!?。」

北上(改二)「ヴェールヌイ、知ってるの?。」

ヴェールヌイ「ああ・・・・あいつは前に鎮守府を襲撃した艦隊の中にいた一人だ。奴はまるゆは10個の潜水艦53cm艦首魚雷4発を食らって生き延び、しかも大破状態で搭載機を飛ばして攻撃してきた。かなりの強敵だ。」

隼鷹「うへ~~~・・・・・やばくない・・・・・。」

桜「ヴェールヌイさん。阿武隈さん達をお願いいたします。」

ヴェールヌイ「!?・・・・ま、まさか、一人で!!?・・・・危険すぎる・・・・せ、せめて仲間と協力して・・・・。」

桜「大丈夫です。私一人なら対処できますし、それに今はこの海域からの離脱が最優先です。ヴェールヌイさんさんは負傷者を連れて、この海域から離脱してください。」

ヴェールヌイ「・・・・桜・・・・。」

桜「それにまるゆさんから約束されています・・・・みんなと一緒に生きて帰ってくると・・・・。」

ヴェールヌイ「・・・・・わかった・・・・だが、約束しろ・・・・・お前も生きて帰って来い・・・・・死ぬなよ・・・・桜。」

桜「・・・・うん。」

 

ヴェールヌイの問いに笑顔で答える桜。ヴェールヌイ達の撤退を見届けると、桜は空母ヲ級へ対峙する。

 

桜「・・・・これ以上の戦闘は不要です・・・・・そのケガでは戦えません・・・・撤退してください・・・・。」

空母ヲ級「・・・・・・。」

 

桜は傷だらけのヲ級に対して戦わず撤退するよう忠告する一方、対してヲ級は一度目を瞑って沈黙した後、目を開けた・・・・・・。

 

ザッ。

 

桜「・・・・。」

 

ヲ級はあくまで戦うつもりで、ステッキを構えた。

 

桜「・・・・それが貴方の答えね・・・・・なら、私はそれに応えるまで!!。」

 

ガシィィ・・・ジャッ・・・・シャキィィィン。

 

艤装から折りたたみ式ナイフのような対装甲コンバットナイフ、アーマーシュナイダーを取り出し、構える桜。

 

桜「・・・・・・・。」

空母ヲ級「・・・・・・。」

 

それぞれの武器を構えながら対峙する二人。この瞬間、凄まじい闘気を放ちながら動かずにいた。

達人同士の勝負は一瞬で決まる。まさに文字通り、命がけの真剣勝負である。

 

グッ・・グッ・・・・・・。

 

それぞれに手に力を入る二人。今まさに一瞬に勝負が決まろうとしていた。

 

ザッ・・・・・シャッ・・・・・・ザシュウウウウウウウウン・・・・・・。

 

・・・・・・・・・・・勝負は一瞬で終わった・・・・・・・・・。

 

ポタッ・・・・・ポタッ・・・・・。

 

血が流れていた・・・・・その血の主は・・・・・。

 

・・・・・・・グラッ・・・・・・ドサッ・・・・・。

 

倒れたのは・・・・・・空母ヲ級であった・・・・・。

 

桜「はあああ・・・・はあああ・・・・。」

 

ヲ級のステッキは桜の右頬にかすり、対して桜のアーマーシュナイダーはヲ級の胸に命中していた。

 

空母ヲ級「・・・・・・。」

 

致命傷を受けたヲ級は胸から流血を流しながら徐々に沈んでいく・・・・・。

 

桜「・・・・・。」

 

そんなヲ級の姿に悲しげに見つめる桜。

 

ザバアア・・・・。

 

沈みかけたヲ級を抱く桜。

 

桜「・・・・・貴方も私と同じ・・・・・海の底へ沈んでいくのですね・・・・・。」

空母ヲ級「・・・・・・。」

桜「・・・・もし・・・・生まれ変わったら・・・・いつか友達としてなってください・・・・・。」

空母ヲ級「・・・・・・。」

 

桜の意外な言葉に驚く空母ヲ級。桜はたとえ敵対した敵でもその最後を情けで見送る優しさを持っていた。

 

桜「・・・・それまでに・・・・安らかに眠ってください・・・・・ヲ級さん。」

空母ヲ級「・・・・・ふっ。」

 

桜の言葉を聞いて、笑みを浮かべるヲ級。

 

ザアアアアアアアア・・・・・・・・。

 

目を閉じ、笑みをしながら海の底へと沈没していくヲ級。沈み行くヲ級は最後は桜に対してこう言った。

 

空母ヲ級「・・・・・・。」

桜「・・・・・!?。」

 

ヲ級は言葉はしなかったが、口の動きから桜はその言葉の意味を知った。

 

“・・・・アリ・・・ガ・・・・トウ・・・・”

 

自身を気遣う桜に対して感謝するヲ級の言葉に涙を流す桜。

 

桜「・・・・・・。」

 

ザバアア・・・・。

 

ヲ級の最後を見送った桜は、彼女の形見である帽子を取り、ヴェールヌイの所へ向かおうとしてた。

 

桜「!!?。」

 

ダダダダダダダダダダダダダダダダダダ~~~~~~~。

 

突如空から銃撃の雨が降って来た。それは“ミルラ”を発射する為の時間稼ぎをするために空襲してきた編成部隊である。

 

桜「!!?・・・くっ。」

 

一方、撤退中のヴェールヌイはいうと・・・・。

 

ソロモン海

 

神鷹「ヴェールヌイさん。通信が入りました。」

ヴェールヌイ「誰からだ。鎮守府か?。」

神鷹「いいえ、日本皇国本土防衛軍艦隊からの通信です。貴官達の救援に来た。ソロモン攻略は我々に任せてくれとのことです。」

ヴェールヌイ「そうか・・・・みんな、もう少しの辛抱だ。頑張ってくれ。」

艦娘達「はいっ!!。」

 

一方、桜は編成部隊と交戦していた。

 

ダダダダダダダ・・・・・ヒュウウウウウウウウ・・・・ドゴオオオオオオオン。

 

桜「くっ・・・・・!!?。」

 

桜は何かが来るのを察した。それはヴェールヌイ達を深海棲艦諸共消す為に放ったミルラであった。

 

桜「!!?・・・・・あ、あれは・・・・。」

 

巨大なミサイルであるミルラを見て、桜は悟った。あれは危険な物だ。ここに爆発すればヴェールヌイ達が危ない。桜がやることは唯一つ・・・・・・。

 

ジャキ・・・・・コオオオオオオオ・・・・・・・・・・。

 

桜はヴェールヌイ達を救う為、体が光だし、ミルラに向けて砲身にエネルギーをチャージする。

これが艦魂(かんバースト)の必殺技、艦魂技(トリガーバースト)の前兆である。

 

桜「はあああああああ・・・・・・・」

 

ドオオオオオオオオオオオン・・・・・・・ビュウウウウウウウウウウウ・・・・・・・。

 

艦魂技(トリガーバースト) “ドッズバスターキャノン”

 

砲身から放つ螺旋状の巨大エネルギー弾はミルラに向かっていき・・・・・。

 

カアアアア・・・・・ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオン・・・・・・。

 

ミルラが大爆発を起こしたが、その衝撃波が轟き、その凄まじい衝撃は桜だけではなく、編成部隊や深海棲艦の残党にも被ることになった・・・・・

 

編成部隊パイロット「!!?。」

深海棲艦達「!!?。」

 

ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアン・・・・・・・・・・・・・。

 

桜「!!?・・・・・・・・・。」

 

ミルラの大爆発に巻き込まれて消滅する編成部隊と深海棲艦達。その爆発に巻き込まれて吹き飛ばされる桜。

 

ミルラの大爆発によりソロモン海は壊滅的な打撃を受ける事になった・・・・。

それは救援に来た日本皇国本土防衛軍艦隊にも察知していた。

 

日本皇国本土防衛軍艦隊 司令室

 

???「何!?・・・・ソロモン海で大爆発だと!!?。」

???「はい・・・・爆発の規模は予想以上です・・・・・データを検索した所、条約違反の“ミルラ”である事が判明しました。」

???「“ミルラ”だと!!?・・・・・ただちに現地に調査隊を送れ!。」

???「はい。」

 

ただち調査隊を送るよう指示する指揮官。まさに現場は混乱していた・・・・・・・。

 

???「すまないが調査隊の護衛を頼めるか、“(じん)”君。」

“迅”「お任せてください。忍田(しのだ)本部長。」

 

迅と呼ばれている男は日本皇国本土防衛軍玉狛支部提督にして、長穂達ツキカゲの司令官、迅悠一である。

忍田と呼ばれる温厚そうな男は日本皇国本土防衛軍本部長を務めている忍田真史(しのだまさふみ)である。

 

迅悠一「ああ、それと忍田本部長。彼女達をお願いいたします。」

忍田真史「わかっているさ。彼女達に何かあったら、伊丹に詫びなきゃならないからね。」

迅悠一「では、実力者エリート、迅悠一。出撃します。」

忍田真史「ああ、頼む。」

 

急遽ソロモン海で調査することになった日本皇国本土防衛軍。一方とある組織のアジトでは、何やら暗躍を動き出そうとしていた・・・・・・。

 

とあるアジト 司令室

 

???「それは本当なの?。アーエス。」

アーエス「はい・・・・部下からの報告ではたった単機でミルラを一撃で破壊したそうです。」

???「・・・そうか・・・艦娘一人でミルラを破壊するとはね・・・・・。」

アーエス「・・・いいえ、それは違います。」

???「?・・・どういう意味だ?。」

アーエス「報告では、ミルラを破壊したのは“艦娘”ではなく・・・・・・“深海棲艦”のようでした。」

???「!!?・・・・・“深海棲艦”だと・・・・まさか・・・・そいつがミルラを破壊したと言うのか?。」

アーエス「はい・・・・しかも奴は敵であるはずの艦娘を守ったそうです。」

???「ほう・・・・敵である艦娘を守っただと?・・・・フッフッフッ・・・・・。」

アーエス「?。」

???「ハハハハハハハハハハ・・・・・面白い、面白いぞ・・・・艦娘を守る深海棲艦か・・・・ますます興味深い報告だったよ。アーエス。」

アーエス「はっ、如何がのおつもりですか?。」

???「決まっているのさ。その深海棲艦はどのようなものか、確かめて行くのだよ。」

アーエス「!!?・・・・お、お一人で確かめに行くつもりですか!!?。」

???「そうだ。私は自分の目で見たものしか信じない性質(タチ)でね。ちょうど、奴との交渉をするために日本皇国へ行く所だ。」

アーエス「柊暮人ですね。」

???「ああ・・・・ついでに“浅倉”との取引もしなければならないからな・・・・奴が持つ“NVX(ネヴィクス)”は我々“エヴァンゲリオ・ザ・アギオ・コズモス”にとっては重要なものである。必ず手に入れるわ。それと、その深海棲艦の居場所は分かっているの?。」

アーエス「いいえ、監視用の自動潜航艇はミルラの爆発により破壊されており、今だ調査中です。」

???「そうか・・・・それに柊との交渉でつまらん鎮守府の艦娘共の始末に付き合う羽目になったが、まさかこんな大物が連れるとは予想外だ・・・・・まさに・・・・“海老が鯛を吊る”とはこのことだな・・・・・そうでしょ、アーエス。」

アーエス「・・・・はい・・・・その通りです・・・・・。」

???「ひさひさに懐かしき日本へ行こうではないか。」

アーエス「“M0”は如何いたしますか?。」

???「無論、護衛として連れて行くわ。」

アーエス「・・・・しかし、奴は強者との戦いを生き甲斐を見出す戦闘狂で、それ以外は興味ないようです。そんな奴を護衛として連れて行くには・・・・承諾しかねません・・・・・。」

???「いいじゃない・・・・もしあいつがあの深海棲艦を見せたらどのような反応するのか見ものだわ。今後の戦闘データの為に期待したいからね。」

アーエス「・・・・わかりました・・・・・・すぐに日本への手配を行います・・・・・・“ベルク・カッツェ”様。」

ベルク・カッツェ「ふふふふ・・・・・楽しみだわ・・・・・日本。」

 

ベルク・カッツェとアーエス。この二人は巨大組織“エヴァンゲリオ・ザ・アギオ・コズモス”の中心人物であり、そして、伊丹耀司や桜の運命を大きく狂わせる存在でもあった。

 

ミルラの爆発に巻き込まれた桜の運命はいかに・・・・・。

 

一方、ミルラの爆発に包まれ、文字通り火の海と化したソロモン海では・・・・・。

 

ソロモン海

 

ミルラの爆発により深海棲艦のほとんどは轟沈、炎に包まれた死体だけしかいなかった・・・・・はずだった・・・・。

 

・・・・・ゴボ・・・・ゴボゴボ・・・・ゴボゴボゴボゴボ・・・・・ザバアアアアン・・・・・。

 

現したのは駆逐棲姫だった。顔左側にひどい火傷を負い、帽子にノースリーブのセーラー服、肌も焼け爛れており、艤装も中破状態である。

そんな姿になっても彼女が動かしているもの。それは・・・・・憎悪・・・・。

駆逐棲姫は桜のフリート・アームズの猛攻とミルラの爆発に巻き込まれながらも生き延びた・・・・。

しかし、彼女の心の奥で燃やしていたものは自分達の壊滅状態に追い込んだ存在、桜に対する憎しみと怒りだけであった。

 

ザ~~~・・・・・。

 

桜を求めて当てのない海に探し出す駆逐棲姫。後にとある島で桜と戦うのである・・・・。

一方、とある無人島には桜が出会う者がいた・・・・・。

 

無人島 浜辺

 

ザザザザザ~~~・・・・ザザザザザ~~~・・・・ザザザザザ~~~・・・・。

 

ここは深海棲艦や艦娘がいない平和な島で、ここに一人の深海棲艦がいた。

 

幼い深海棲艦「・・・・・。」

 

幼い容姿を持つ深海棲艦は浜辺で月を見つめていたが、何処か寂しげに見えるようだが・・・・。

彼女の名は北方棲姫(ほっぽうせいき)。深海棲艦の上位個体『姫』級の一種である。

彼女と桜の出会いは・・・・もう少し先での話で明らかになる・・・・・。

 

 

ソルティ・ロード3 終    CARVE WITH VICTORY ON THE HORIZON OF THE DAWN!




如何ですか。伊丹提督指揮下で編成した新たな艦隊「硫黄島鎮守府遊撃艦隊」設立、そして4000万以上の深海棲艦との死闘、そして仲間を救う為に戦う桜の4連戦、そして裏で暗躍する者達の策略と伊丹提督を支援するツキカゲ達の活躍を描かれた第3話は?。

後にソロモン海戦と呼ばれる戦いで4000万以上の深海棲艦との死闘を繰り広げる硫黄島鎮守府遊撃艦隊。そして、非情な策により命を落とされる由良の最後まで仲間を気遣ういたいげな最期は悲しいものでした。
また、桜が敵に対して撤退を諭したり、その最期を情けで見送るなど、戦いを好まない彼女の優しさと慈悲深さが表れます。
また、空母ヲ級の最後の決闘も見物で、その戦いぶりはまさに達人同士の勝負は一瞬で決まるそのものでした。
自分を看取ってくれた桜に感謝の言葉を放つ空母ヲ級の満足した最期は必見です。
後に意外な形で登場し、桜達の仲間になるのですが、それは読んで見ればのお楽しみです。

本作の激戦であるソロモン海戦では4000万以上の深海棲艦を相手に奮闘する硫黄島鎮守府遊撃艦隊ですが、伊丹を異常なまでに敵視する柊暮人(ひいらぎ くれと)の策略により壊滅寸前にまで追い込まれ、さらに鎮守府の通信が使えなくなるなど、絶体絶命の危機に陥りました。
本作に登場する柊暮人(ひいらぎ くれと)は終わりのセラフの柊暮人をモデルとしたキャラで、原作同様、徹底的な合理主義者であり、虐殺、騙し討ち、人質を手にかける、人体実験、裏切りといった卑劣な手段も必要と判断すれば迷うことなく選択するなど、目的のためならば非道な行為を整然と行う冷酷非情さを描かれており、また、伊丹を異常なまでに敵視する理由は本作の中で書かれております。
さらに部下の三宮葵や大鳳、オリジナル艦娘である地字竜や潜水艦艦隊の伊9、伊10、伊11と登場しており、特にオリジナル艦娘の地字竜は元々大本営直轄の研究機関「731機関」が極秘裏に開発した実験部隊“黄泉鴉(よみがらす)”の人造艦娘という出自で、731機関はのちに物語の多くに登場し、伊丹と桜が関わるようになります。

本作に登場する艦娘専用艤装「フリート・アームズ」は機動戦士ガンダムSEEDに登場する機動兵器「ミーティア」をモデルとしており、武装もSEED、SEED DESTINYに登場するストライクガンダムやインパルスガンダムの武装が多く登場しており、多数の敵との戦闘を得意としています。
作中、桜が発動する力「艦魂(かんバースト)」は、身体能力の強化や攻撃能力、そして、必殺技艦魂技(トリガーバースト)の使用など、後に艦娘達の能力として使う事になりますが、現時点では桜のみしか使えないようです。

劇中で登場した迅悠一(じん ゆういち)やツキカゲは、原作からワールドトリガーやRELEASE THE SPYCEから選び出したキャラで、迅悠一は日本皇国本土防衛軍玉狛支部の提督で、伊丹とは後輩の関係で、戦況予測や先読みを得意とする名提督でもある。
ツキカゲは私設諜報機関であるが、表向きは日本皇国本土防衛軍玉狛支部直属の特務任務艦隊を務める艦娘の設定で、特に藤林長穂のリーダーシップと戦闘能力は原作通りで、伊11が持つドーバーガンをビームごと切り裂くという神技に必見。

物語のラスト終盤では、巨大組織“エヴァンゲリオ・ザ・アギオ・コズモス”の中心人物であるベルク・カッツェとアーエスが登場、ミルラの調達や暮人との取引や“浅倉”との交渉、さらに“NVX(ネヴィクス)”の入手など、様々な暗躍をしているようで、深海棲艦である桜に興味を抱き、戦闘データ収集の為に“M0”を戦わせようともろ汲んでいるようです。
ちなみにアーエスは、PCゲーム「シェイプシフター」の登場人物の一人、アーエス・カーニュエールをモデルとし、ベルク・カッツェの右腕として、様々な任務に従事してきました寡黙なクールビューティーの艦娘という設定です。。
ちなみにベルク・カッツェはガッチャマンに登場するギャラクターの首領の名前ですが別人で、名前はコードネームの名前のようで、本当の名前は存在しますが現地点では明らかになっていません。
後に伊丹耀司や桜の運命を大きく狂わせる存在として、様々な策謀により二人を大いに苦しめる事になります。

ラスト終盤近くでは、桜のフリート・アームズの猛攻とミルラの爆発に巻き込まれながらも生き延びた駆逐棲姫が登場、桜に対する憎悪と執念で追いかけて来ますが、後に空母ヲ級同様、桜とは仲間になる存在になります。

ラストは北方棲姫(ほっぽうせいき)ことほっぽちゃんの登場で、僅かだけですが、無人島で一人で暮らしてた彼女ですが、次回作に桜と出会い、のちに鎮守府のマスコットキャラとなる人物でもあります。
次回作には何とアニメ版艦これと繋がるシーンがいくつか存在しており、どのように関わるのかお楽しみです。


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ソルティ・ロード4「彼の地にて、斯く戦えりと月夜の出会い」

こんにちわ。タケノコ屋です。
艦これ大戦 ~君あるがために 恋する艦娘達よ大志を抱け~の4話を投稿しました。
本作は桜と後に鎮守府のマスコットキャラとなるほっぽの出会いを描かれており、作中アニメ版の艦これも加え、新キャラの登場で物語を大きく動き出す事になります。
特に艦これアニメ第3話「W島攻略作戦!」の悲劇的なシーン、通称「如月ショック」は、当時の視聴者がショックを受けたトラウマ回でしたが、設定の改変により桜と因島鎮守府の艦娘達と繋ぐ重要なシーンになっており、ファンには必見です。
因みにアニメ艦これに登場する主人公、吹雪が所属する鎮守府は通称「因島鎮守府」と呼んでおり、アニメ版の提督も健在で、原作同様、セリフはないのですが、作中では驚きを見せるなど、アニメではあまり見せないシーンがありますので、読んでからのお楽しみです。
見所は、ミルラの爆発により遭難してしまった桜が10日間、ある無人島で出会った深海棲艦、北方棲姫ことほっぽとの出会いを描かれており、桜とほっぽとの出会いでこれまで戦ってきた艦娘と深海棲艦との共存を臭らせるシーンが登場します。
アニメ艦これの第1話及び第3話とのリンクし、そこで桜の登場で吹雪や如月の運命を大きく変える様子を描かれ、アニメ版のIFとも言えます。
さらにラスト近くで意外なキャラが登場し、物語の重要なカギを握る存在として描かれております。
どのようなキャラなのかは見てからのお楽しみです。


艦これ大戦 ~君あるがために 恋する艦娘達よ大志を抱け~

ソルティ・ロード4「彼の地にて、斯く戦えりと月夜の出会い」


どうぞご覧ください。


艦これ大戦 ~君あるがために 恋する艦娘達よ大志を抱け~

 

ソルティ・ロード4「彼の地にて、斯く戦えりと月夜の出会い」

 

 

とある無人島

 

桜「・・・・・・」

???「・・・・・」

 

今、桜は困惑しながら考えていた・・・・・・。

桜の膝元に眠る頭の左右に黒い角、白いワンピースにミトン状の手袋が特徴の幼女が眠っていた。実はこの少女は()()()()であった。

何故彼女がこの無人島で深海棲艦と一緒にいるのか?。それは遡る事一週間前。

 

一週間前

 

遭難1日目

とある海上

 

ザザ~~~・・・・ザザ~~~・・・・バシャアアア・・・・バシャアアア・・・・。

 

桜「・・・・・・。」

 

ミルラの爆発で気を失っており、体の半分を海に浸りながら漂う桜。

 

桜「・・・・・・ん、んん・・・・・!!?。」

 

ザバアアアアアン・・・・・・。

 

目を覚ました桜は周囲を確認したが、ここはどこなのか困惑していた・・・・・。

 

桜「・・・・・・ここは・・・・どこ?。」

 

桜は現在地がわからず、迷っていた。

 

桜「・・・・・・考えても状況が変わらないし、何か手掛かりがあるかもしれない・・・・。」

 

そう言うと桜は進んでいった。

 

一方、硫黄島鎮守府では本土防衛軍に送られ、帰還したヴェールヌイを迎えた伊丹耀司達。

今、日本皇国本土防衛軍本部長の忍田真史(しのだまさふみ)と会議していた。

 

 

硫黄島鎮守府 執務室

 

伊丹耀司「まさか・・・・あなたが助けに来てくれるとは驚きましたよ。忍田さん。」

忍田真史「いや・・・・こちらもいろいろあってね、日本皇国帝都大本営に不審な動きがあったという情報があってな、迅君やツキカゲに内偵をしてもらった所、君の所の鎮守府にソロモン海にある敵棲地攻略の為の支援の指示を受けたようだが、他の鎮守府や支部などにはその報告がなく、余剰戦力を含めて全艦娘の出撃命令とは普通では考えられないし、それに君に送った沖田元帥からの推薦書は沖田元帥に確認した所、推薦した覚えがないとのことだ。やはり君の言う通り、柊暮人が関わっているようだな。」

伊丹耀司「ええ・・・・今回のソロモン海の敵棲地攻略の支援の本当の目的は我々硫黄島鎮守府の戦力を潰す為であった事で、知らなかったいえ、まさか、条約で禁止された“ミルラ”を投入するとは思いもしなかったですが・・・・。」

忍田真史「・・・・迅君の部下である初芽(はつめ)君からの報告があった。君の鎮守府の通信を妨害工作した敵が落とした装置を解析した結果、通信を阻害させる強力なジャミング装置であることが判明された。」

伊丹耀司「ジャミング装置?。」

忍田真史「ああ・・・・調べた所、そのジャミング装置は元々は日本皇国大本営が極秘裏に開発した対深海棲艦戦用の試作型の通信妨害装置だったようだ。深海棲艦同士の通信を阻害させる為に作られたが、深海棲艦には通じず、実験は失敗を終わり、艦娘との通信が阻害するしか効果がなく、莫大な費用もあって装置は放棄されたと聞いていたが、かなり改良されて、より強力なジャミング効果を持つ装置に完成したらしい。」

伊丹耀司「改良って、まさか!!?・・・・・。」

忍田真史「ああ・・・・おそらく、こんな事ができるのは柊暮人元帥だけだ。元々あの装置の機密データは元帥直属の研究機関しか存在しないからな。今、上層部が柊暮人に対する査問会議を行っている所だ。現状では、彼の部隊を語るテロリストの仕業となっているが、内偵調査によっては謹慎、もしくは指揮権停止が免れないと思うよ。」

伊丹耀司「そうですか・・・・。」

忍田真史「君の部下であった艦娘が轟沈したと聞いている。彼女達は今は何をしているんだね?。」

伊丹耀司「今、葬儀を行っているようで、今はそっと押して欲しいです・・・・・。」

忍田真史「・・・・・すまなかったな・・・・・もう少し、奴の目的がわかっていたら、早く救援を向かわせることができたはずだった・・・・。」

伊丹耀司「いいえ・・・私ももう少し迅速な行動していれば、このような結果にならずに済んだんですが・・・・。」

忍田真史「・・・・そうか・・・・。」

伊丹耀司「それと忍田さん。実は美味しくて良質なワインがあるんですよ。もしよければ一緒に飲みませんか?。」

忍田真史「・・・・あ、あははは・・・・遠慮しとくよ・・・・今は勤務中でね・・・・。」

伊丹耀司「あ、そうでしか・・・・すみませんね・・・・。」

二人「あはははははは・・・・・。」

 

伊丹と忍田は明るく談話している一方、桜はとある戦域にいた・・・・。

 

 

因島鎮守府近海

 

ここは因島鎮守府近海で、そこには深海棲艦の敵棲地が存在し、現在、深海棲艦の上位種である泊地棲姫を旗艦とする深海棲艦の艦隊と敵棲地攻略を目指す因島鎮守府所属の艦娘の艦隊と交戦していた・・・・・・。

 

桜「・・・・・・。」

 

戦場となった近海の近くにいた桜は辺りを見渡していた。

 

桜「・・・・・・(ここは戦場みたいようだけど・・・・ここから離れた方がいいね・・・・!!?)。」

 

ドオオオオン・・・・・ドオオオオン・・・・・ドオオオオン・・・・・。

 

彼女が見たのは、深海棲艦の艦隊と戦う艦娘達、第三水雷戦隊であった。

 

夕立「ぽいー!。」

川内「ビビってる暇はないよ!。」

 

ドオオオン・・・・ドオオオン・・・・ドオオオン・・・・。

 

敵の猛攻に受けながらも反撃する第三水雷戦隊。その様子を遠めで見守る桜。

 

桜「・・・・・・!?。」

 

中心部に黒雲に包まれた海域があった。そこが深海棲艦が住む敵棲地であった。

第三水雷戦隊は間もなく敵棲地へ到着する所だった。

 

泊地棲姫「・・・・・。」

 

多数の深海棲艦を引き連れた泊地棲姫。敵棲地攻略を目指す第三水雷戦隊。

 

ザバアアアアアア・・・・・ドオオオオオオン・・・・。

 

那珂「吹雪ちゃん撃って!。」

吹雪「お願い!当たってください!。」

 

ドオオオオオン。

 

駆逐イ級eliteに砲撃を放つ吹雪。しかし、無情にも砲撃は外れてしまう。

 

吹雪「・・・・。」

 

接近してきた駆逐イ級eliteの砲身が定められ、絶体絶命の吹雪。誰もが絶望に包まれた・・・・その時!!?。

 

バシュウウウウウウウウン・・・・・・・・。

 

吹雪「!!?。」

 

突然、謎の光線により真っ二つにされた駆逐イ級elite。

 

ザバアアアアアアアン・・・・・ドオオオオオオオオン・・・・・・・。

 

吹雪「・・・・・い、一体・・・・何が?・・・・!!?。」

 

ブウウウウウウウウウウン・・・・・・・・・・・・。

 

空を見上げる吹雪。そこには無数の搭載機が飛んでいた。

 

赤城「第三水雷戦隊。ご苦労様でした。ここからは第一航空戦隊が参ります!」

 

赤城と加賀を旗艦とする第一航空戦隊が到着し、次々と搭載機を放っていく。

 

ゴオオオオオオオオオオオオ・・・・・・・・・・ドオオオオオン・・・・・ドオオオオオン・・・・・。

 

搭載機による爆撃で次々と深海棲艦を撃沈させるが、泊地棲姫は障壁で攻撃を防ぎつつ、赤城らの艦載機へ主砲による対空砲火を行おうとした・・・・・その時!!?。

 

バシュウウウウウウウウン・・・・・・・・。

 

泊地棲姫「!!?・・・・。」

 

突然、光線により打ち抜かれた泊地棲姫。障壁は何時の間に貫通しており、いつ撃たれたのか理解できずに困惑したまま、倒れていく・・・・。

 

ドガアアアアアアアアアン・・・・・・・・。

 

金剛「What's!!?」

比叡「ひええええええ!!?。」

 

泊地棲姫が突然倒された事に驚きを隠せない金剛、比叡。

 

吹雪「・・・・す、すごい・・・・(・・・なんてカッコいいんだろう・・・・)。」

 

その光景を見て、息を呑む吹雪達第三水雷戦隊。第一航空戦隊の実力を見て驚いているようだが・・・・。

 

ガチャッ・・・・。

 

桜「ふ~~~・・・・・。」

 

砲身を下げてため息を放つ桜。砲身から煙が上がっている。

実は吹雪を助けたのも、泊地棲姫を討ち取ったのも彼女であった。

 

回想

 

砲撃で駆逐イ級eliteを外してしまう吹雪。遠くから見た桜は直感した。

 

桜「いけない!、助けなきゃっ!!。」

 

バッ・・・・ガシッ・・・・

 

砲身を駆逐イ級eliteに向け、狙いを定める桜。

 

カアアアアアア・・・・・・・。

 

桜の身体が光りだした。それは艦魂(かんバースト)の発動した際の光であった。

 

バシュウウウウウウウン・・・・・・×3

 

砲身に光を集中し、それを放ったビームを放つ桜。前、横、後ろのアングルで撃つ瞬間を見せるのであった。

 

ビュウウウウウウウウウウウウ・・・・・・・・・・・・・バシュウウウウウウウウン・・・・・・・・。

 

遠距離からの砲撃により、光より速く、狙いは正確に、そして確実に駆逐イ級eliteに向かっていき、見事にクリティカルヒットした。

 

ザバアアアアアアアン・・・・・ドオオオオオオオオン・・・・・・・。

 

次に泊地棲姫への攻撃はこうだった。

 

桜「あれが深海棲艦の旗艦・・・・悪いけど沈めてもらいます!!。」

 

桜は艦娘達を助けるために泊地棲姫を倒す事に決意し、狙いを定めた。

 

キュウウウウウウウウン・・・・・・。

 

砲身にエネルギーをチャージしていく。

 

カアアアアア・・・・・バシュウウウウウウウウウウウン・・・・・・・・。

 

艦魂技(トリガーバースト) “ドッズバスターキャノン”

 

砲身から放つ螺旋状の巨大エネルギー弾は超高速に撃ち出され、真っ直ぐ泊地棲姫へと向かっていく。

泊地棲姫の周辺を包む障壁は搭載機の爆撃や戦艦の砲撃でも数発程度で耐えるほどの強固さを誇るのであった・・・・はずだった・・・・・。

 

バシュウウウウウウウウン・・・・・・・・。

 

何と、ビームは障壁ごと貫き、泊地棲姫に致命傷を与えた。

たった一発の砲撃により一撃で泊地棲姫を倒した桜はこの場から去る事にした。

 

桜「・・・早くこの場から去らなきゃ・・・・。」

 

ザザ~~~~~~・・・・・・・。

 

桜が去った後、因島鎮守府の司令部に泊地棲姫の撃破と敵棲地の攻略成功の報告が上がった・・・・。

 

因島鎮守府 指令所

 

大淀「海域、解放されました!。」

長門「ふぅ・・・。」

陸奥「うふっ。」

 

海域の解放の報告を受けて安堵する秘書艦の長門。

しかし、これが深海棲艦である桜の活躍によるものとは誰一人も知らずにいた・・・・・。

一方、桜と言うと・・・・。

 

とある海域

 

ザザザザザ~~~~~~~・・・・・・・・ビュウウウウウウウウウウン・・・・・・・・・。

 

嵐が吹き荒れ、転覆なりかけながらも懸命に進む桜。

 

桜「・・・・・・・。」

 

ビュウウウウウウウウウ~~~~~~・・・・・・・・・ヒュウウウウウ・・・・・。

 

嵐が過ぎ去り、穏やかな天候に巡られたが、ここでアクシデントが起きた。

 

ヴォオオオオオオオオオン・・・・・・・・・・・。

 

桜「!!?。」

 

桜の艤装から煙が出ており、一時海の上に停止した。

 

カパッ・・・・ボフウウウウウウウウウン~~~~~~~・・・・・・・・・・・・。

 

桜「けふっけふっ・・・・・機関部が故障しているみたい・・・・・どこか休ません所で修理しないと・・・・!?。」

 

桜が見つけたのは無人島であった。そこには深海棲艦や艦娘がいない平穏な場所であった。

 

桜「ここは・・・・良い所ね。しばらくここに休んで、艤装を修理しなきゃ。」

 

ガサガサ・・・・・・・。

 

???「・・・・・。」

 

桜は儀装の修理を単独でやろうとしていた。その様子を草の影から伺う謎の存在がいた・・・・。

しかし、桜は修理に集中しているのか気付かずにいた・・・・。

 

ガチャガチャ・・・・コンコン・・・・カチャカチャ・・・・カチャカチャ・・・・ヴウウウウウウウン・・・・・・。

 

桜は艤装に関する説明書を見ながら修理しつつ、艤装に内蔵された自己判断システムを起動した。

 

自己判断システム「システム最適中・・・・システム再起動実行中・・・・・再起動までしばらくかかります。」

桜「これで何とか修理できそうだけど・・・・ふああああ・・・・少し寝ます・・・・。」

 

桜は長旅と戦闘の疲れから眠気に誘われ、安心して眠る。

 

それからしばらくした後・・・・・。

 

桜「く~~~・・・・・・く~~~・・・・・・く~~~・・・・・・?」

 

目を覚ました桜は何か体に異常に感じた。

 

桜「・・・・・何か体に抱かれているようだけど・・・・!!?。」

???「・・・・・・・。」

 

そこに幼い少女が桜の真横から抱きつきながら眠っていた。

 

桜「・・・・・・(・・・・・・だ、誰なの?・・・・この子・・・・・)。」

 

桜は困惑しながら、その姿をもう一度確認した。白い肌に上側頭部に低く緩い一対の角、幼い体型、それを覆うワンピース、その両手にミトン、その姿を見て悟った。

 

桜「・・・・・・し、深海棲艦!?・・・・・・で、でも・・・・・・。」

 

桜はこれまで敵対した深海棲艦とはどこか違っていたと察知した。

 

桜「・・・・・・この子・・・・・敵意はない・・・・むしろ・・・・無垢?。」

 

彼女は純粋無垢であることを察した桜。その対応に困惑しつつそのまま寝る事にした。

 

桜「・・・・これからどうするのかは・・・・・明日でも決めよう・・・・。」

 

桜はそのまま目を閉じ、眠っていく・・・・・。一方、鎮守府では桜について会議していた・・・・・・。

 

硫黄島鎮守府 執務室

 

ヴェールヌイ「司令官。桜の捜索の許可を頂きたい。」

瑞鳳「お願いいたします。提督。みんな、桜を心配しています。」

伊丹耀司「う~~~~ん・・・・・。」

 

ヴェールヌイ達はミルラの爆発に巻き込まれ、行方不明になった桜の捜索を願い出たが、伊丹は難しい顔で渋っていた。

 

伊丹耀司「ヴェールヌイ・・・・桜を助けたい君らの気持ちは分かる・・・・しかしな・・・・・・ソロモン海戦以降、ミルラに巡って、大本営や他の鎮守府から調査の為にソロモン海に多数の艦隊を送っている。もしここで桜と君らを目撃するようになったら、俺も君達も無事にはすまないはずだ。」

ヴェールヌイ「・・・・・。」

艦娘達「・・・・・。」

伊丹耀司「捜索は大本営や他の鎮守府のソロモン海の調査が終わり次第、頃合を見計って捜索をする。それまで待機してくれ。」

ヴェールヌイ「・・・・・わかった。」

 

伊丹はソロモン海調査のために多数の艦隊が展開している中で、捜索は危険と判断し、頃合を見計って捜索する事を決めた。

一方、桜と言うと・・・・。

 

遭難2日目

因島鎮守府近海 無人島

 

桜「・・・・ん、んん・・・・ふはああ~~~・・・・・・・。」

 

気持ちい朝。お日様の光で目を覚ます桜。ふと自身に抱きつく深海棲艦の姿を見た・・・・。

深海棲艦「・・・・・・ン、ンン・・・・・エヘ。」

 

深海棲艦は目を覚ますと桜を見て、笑顔を見せた。

 

桜「・・・・・・。」

 

桜は深海棲艦の笑顔を見て、困惑。さらにその笑顔から純粋さを感じ取った。

 

桜「・・・・貴方は一体・・・・何?。」

???「・・・・?。」

 

桜の問いに頭をかしげる深海棲艦。

 

???「・・・・ナマエ・・・・オシエテ・・・・。」

桜「・・・・桜・・・・貴方の名前は?。」

???「・・・ホッポ・・・ホッポ・・・・セイキ・・・・・。」

桜「・・・・じゃあ、ほっぽちゃんって、呼んでいい?。」

???「・・・・・ホッポチャン・・・・・ウン・・・・ワカッタ・・・・・。」

 

深海棲艦である北方棲姫ことほっぽは桜に名前を付けてくれた事に嬉しかったようだ。

 

ほっぽ「・・・サクラ、サクラ・・・・ホッポト遊ンデ。」

桜「・・・・悪いけど・・・今は遊んでいる場合じゃないんだけど・・・・。」

ほっぽ「ム~~~・・・・・・ホッポト遊ボウヨ・・・・一人デ遊ブヨリ二人デイレバ楽シイヨ・・・・。」

桜「・・・で、でも・・・・ごめんね・・・・今は忙しくて・・・・・。」

ほっぽ「デモ、ホッポハ楽シイヨ。」

 

笑顔でニコニコするほっぽ。桜はその顔を見て困惑しながら深く考えると・・・・・。

 

桜「・・・・・はあああ・・・・わかったわ・・・・少しだけ遊んであげます。」

ほっぽ「ヤッター。」

 

しかたなくほっぽと遊ぶ事になった桜。一方、因島鎮守府では・・・・。

 

因島鎮守府 司令室

 

司令室に集まっているのは、秘書艦の長門、陸奥、航空母艦の赤城と加賀が何やら話し合いをしていた。

 

長門「・・・・で、話とは何だ?。」

赤城「・・・はい・・・・実は・・・吹雪さんのことで。」

長門「?・・・特型駆逐艦の事か・・・・・何かあったのか?。」

赤城「いいえ、吹雪さんの事じゃないんです。」

長門「?・・・・どういう事だ?。」

赤城「実は・・・・この前の敵棲地攻略戦で吹雪さんが深海棲艦に襲われた際、私たちの艦載機が深海棲艦を撃墜をしたのですが、あれは艦載機が攻撃する前に何者かが攻撃して、吹雪さんを助けたようです。」

長門「何!?・・・。」

加賀「それだけではありません。敵棲地にいる敵の旗艦ですが、何者かの攻撃で倒されたようです。それも一撃で・・・・。」

長門「何!?・・・い、一撃でだとっ!!?。」

加賀「あの砲撃した方向を艦載機を調査した所をその海域から逃走する者を見つけました。」

長門「誰だ、それは?・・・・艦娘か?・・・・確かは・・・あの時出撃していたのは、主力の第一機動部隊と第二支援艦隊、第三水雷戦隊だけで、それ以外の艦隊はいないはずだ。」

加賀「・・・・それは・・・・。」

長門「?・・・・どうした?。」

加賀「・・・・・それを見つけた艦載機が写真を撮ったのですが、これを見てください。」

長門「・・・・!!?・・・・こ、これはっ!!?・・・・・。」

 

加賀が出した航空写真を見て驚く長門。それは彼女にとって信じられないものだった。

 

長門「・・・加賀・・・・これは本当に・・・・そうなのか!!?・・・・。」

加賀「ええ・・・・私も最初、信じれませんでしたが、まさか、艦娘を救うとは驚きました。」

陸奥「・・・・本当にこれが貴方が見つけた者なのね。」

加賀「・・・・・はい・・・・。」

赤城「・・・・・・。」

長門「・・・・まさか・・・・我々を救ったのが・・・・艦娘ではなく・・・・“()()()()”だとは・・・・・。」

 

長門達は自身を助けた“深海棲艦”について協議していた。

 

陸奥「どうするの?。長門。提督に報告するの?。」

長門「・・・・・いや・・・・しばらくこの事は伏せてくれ。提督には私が時期に話す。赤城、加賀。この事は内密に頼む。」

赤城、加賀「はいっ!!。」

 

長門はこの事は内密にし、深海棲艦の調査を内密にする事を決めた。

 

陸奥「長門。もし、これが本当ならどうするつもり?。」

長門「・・・・さすがにこれには私一人では決められない。提督の判断に任せるしかない・・・・。」

 

その頃、司令室から出た赤城と加賀であったが、赤城は何かを考え事をしていた・・・・・。

 

赤城「・・・・・。」

加賀「・・・・どうしたのですか、赤城さん?。」

赤城「あ、いいえ・・・・あの深海棲艦は・・・・どうして、私達を助けたのか、気になって・・・・。」

加賀「そうですか・・・・しかし、考えるのは我々ではなく、提督が考える事です。今は我々のするべき事をやるだけです。」

赤城「・・・・・そうね・・・わかりましたわ、加賀さん・・・・私は大丈夫だから・・・心配しないで。」

加賀「・・・・いいえ・・・。」

 

自身に心配して気遣う加賀を宥める赤城。しかし、彼女はある違和感を抱いていた。

 

赤城「・・・・・(・・・・あの深海棲艦・・・・()()さんと似ているようだけど・・・・・偶然なのかしら・・・・・・)。」

 

赤城は搭載機から取った深海棲艦の写真を見た時、一瞬、特型駆逐艦である吹雪の姿を思い浮かべた。何故、吹雪に似て異なるはずだった彼女の姿が吹雪と被って見えたのか不思議と思うのであった・・・・・。

一方、桜はほっぽと遊びながら今後の事を考えていた・・・・。

 

遭難5日目

無人島

 

桜「・・・・・・(これからどうしよう・・・・この子を鎮守府に連れて行くわけには・・・・)。」

ほっぽ「・・・・?・・・・サクラ・・・・ドウシタノ?。」

桜「・・・・ううん・・・・ごめんね・・・・ちょっと考え事をしていただけ・・・・・。」

ほっぽ「・・・・・モシカシテ・・・・・帰ルノ?。」

桜「・・・・うん・・・・私の帰りを待っている人がいるから・・・・・艤装のシステムが直ったら、すぐに旅立つつもりなの・・・・。」

ほっぽ「・・・・・・・。」

 

桜の言葉を聞いて、ほっぽはしょんぼりして気を落としていた・・・・・。

 

ガバッ・・・・。

 

桜「!?。」

 

ほっぽは桜に抱きついていた。すると顔を桜に向けるほっぽ。

 

桜「!!?。」

ほっぽ「・・・・・オ願イ・・・・ホッポヲ一人ニシナイデ・・・・・・・。」

 

上目遣いに見上げるほっぽの瞳に、不安と懇願の色を見せ、幼い彼女の手は、服を掴んだまま震えていた。

それを見た桜は嘆息しながらこう言った・・・・・。

 

桜「・・・・・はあ~~~・・・・・・わかったわ。しばらくここで滞在するわ。数日だけならいいでしょう。」

ほっぽ「!?・・・・ウン。」

 

結局、数日間滞在する事になった桜。その頃、ある島でとある組織の会合が行われていた・・・・・。

 

とある孤島 秘密基地

 

ここはある犯罪組織の拠点であり、そして、あの人物が指揮する作戦基地でもある。

その秘密基地の一室、作戦司令室では、その人物が会議していた。

 

秘密基地 司令室

 

空中に浮かぶ無数の空間モニターが並んでいた。その映像には男女様々な人達が移っていた。

その周りに囲む中心にはあの人物がいた・・・・・・。

 

???「・・・・そういう事だ。今後の“研究”の為に“あの娘”の確保をする。」

モニターの人物・男性1「し、しかし・・・・君が調査していた対象は深海棲艦ではないのか?。」

モニターの人物・女性「そうしてでも確保するほどの価値があるのですか?。Missベルク・カッツェ。」

ベルク・カッツェ「その通りだ。それだけの価値をあるのよ。あれには・・・・。」

モニターの人物・老人「ふむ・・・・確かにこれまで深海棲艦を見ていたが、人間に友好に接し、これほどの強力かつ明確な自我を持つ個体は見たことはない。」

モニターの人物・男性2「だが・・・・彼女を狙っているのは我々だけではないはずだ。」

ベルク・カッツェ「・・・・確かにその通りだわ。多くの各国の諜報機関や組織などが狙って来るはずだ。」

モニターの人物・老人「どうするつもりかね。」

ベルク・カッツェ「奴らを利用するのさ。これほどの貴重な存在だ。まずはその力を見極める為に、データ収集をする予定だ。」

モニターの人物・男性1「・・・・う、うむ・・・・。」

モニターの人物・男性2「それで、Missベルク・カッツェ。一体どうやってあの深海棲艦を確保するつもりですか?。相手はたった一人で、4000万以上の深海棲艦を壊滅させたそうじゃないか?。捕獲するのは困難ではないか?・・・・・。」

ベルク・カッツェ「その心配はありませんよ・・・・・それを対抗する為の策を考えておりますので・・・・。」

 

ガチャッ・・・・

 

モニターの人物達「!?。」

 

ドアから入ってきたのは、清楚な佳人といった容姿と毒々しい紫色の髪の毛を持ち、メガネを着用した美女であった。しかし、その容姿を反して、どこか狂気を感じさせる雰囲気を持つ不気味さを感じさせた。

 

ベルク・カッツェ「紹介しましょう。彼女は我がエヴァンゲリオ・ザ・アギオ・コズモスが誇る科学者で、B.O.W.(ビー・オー・ダブリュー)(生物兵器)研究開発部主任で、「レヴェナント計画」最高責任者を務める、セレニケ・アイスコル博士だ。」

セレニケ・アイスコル「セレニケ・アイスコルだ。それにしても・・・・本当に美しいわ・・・・切り刻み甲斐がありそうね・・・・久しぶりに殺りがいがあるイキのいい獲物ですわ・・・・。」

モニターの人物達「!!?・・・・・。」

 

セレニケの言葉に戦慄するモニターの人物達。彼女の言葉は心を切り刻むように感じるほど、サディストそのものであった・・・・・。

 

ベルク・カッツェ「・・・・・Dr.セレニケ・・・・戯れはほどほどに・・・・彼女は貴重な実験体ですよ。できれば傷つかずに捕獲して欲しいのですが・・・・・。」

セレニケ・アイスコル「あらあら・・・・これは失礼しました・・・・Mrsカッツェ・・・・しばらく良い素体が見つからず、出来損ないの実験体を飽き飽きした所だったのよ・・・・これほど美しくて、やりがいある素体はこれまでもないくらい素晴らしいものだったら、ひさしぶりにワクワクしたからよ。」

ベルク・カッツェ「・・・・・はああああ・・・・。」

 

新しいおもちゃを見て喜ぶ子供のようにはしゃぐセレニケに呆れるカッツェ。

その後、モニターの人物達=エヴァンゲリオ・ザ・アギオ・コズモスに支援する各組織や企業の幹部や協力者達との会合を終わった二人は帰路をついていた。

 

ベルク・カッツェ「・・・・以上がこの深海棲艦に関するデータだ。君ならやれるかね。Dr.セレニケ。」

セレニケ・アイスコル「・・・・誰に向かって言ってるのかい、Mrsカッツェ・・・・私が開発中のB.O.W.の試作型にレヴェナント計画により開発、研究中の“例のアレ”のデータ収集にも兼ねて、念には念を入れて計画を入念に考案している所よ。」

ベルク・カッツェ「さすが“パープル・ヘルウィッチクラフト”の異名を持つ天才科学者ね。その用意周到さには賞賛に値するわ。」

セレニケ・アイスコル「ふんっ・・・・あんたに言われても嬉しくないよ。それより・・・・こいつの所在はわかっているの?。」

ベルク・カッツェ「いや・・・・まだわからん・・・・。」

セレニケ・アイスコル「ちょ、ちょっと・・・・大丈夫なの?。居場所が分からないのに、何その自信は?。」

ベルク・カッツェ「・・・・心配するな、すでに手に打っている・・・・後は奴が動くのを待つだけだからな・・・・。」

セレニケ・アイスコル「ふんっ・・・・・相変わらず食えない奴ね・・・・あんた・・・・・。」

ベルク・カッツェ「まあ、それよりも・・・・そろそろ、アーエスの所へ戻らないといけないしね。」

セレニケ・アイスコル「“M0”を連れてきたようだけど・・・・大丈夫なの?。あいつは“織斑計画(プロジェクト・モザイカ)”により生み出された1000番目の試作体である艦娘で、元々は1000番目に同時に二人が生まれたようだったけど、もう一つの個体が成功体として選ばれ、失敗作として廃棄処分されかけた所を私が拾い、改良を加え、今日まで生き永らえさせたのよ。戦闘能力は素晴らしいけど、性格はあれだしな・・・・・。」

ベルク・カッツェ「・・・・・ふっ・・・・その心配はない。その為に奴を戦わせるのだよ。奴の能力は“M0”と互角、いやそれ以上を持っている。奴の戦闘意欲を満足させるだけの価値があるからね。自分以上の存在と戦えば、より良いデータが取れる上、奴自身の成長にもなるからね。」

セレニケ・アイスコル「ふ~~~ん・・・・・。」

 

カッカッカッカッカッカッカッカッ・・・・・・。

 

ベルク・カッツェとセレニケ・アイスコルが話し合いしている中、一方、硫黄島鎮守府では伊丹の元にある恩師が来ていた・・・・。

 

硫黄島鎮守府 執務室

 

伊丹耀司「いや~~・・・・まさか、あなたが尋ねるとは驚きですよ。酒月(さかづき)さん。」

酒月「おいおい、自分の部下を気遣って来てやったんだからよ。少しは感謝しろよ。それと、お前のためにいい酒を持ってきたぜ。一緒に飲まねえか。」

伊丹耀司「あ、ありがとうございます。」

飛鷹「提督。いくら部下の為とは言え、お酒はほどほどにしてくださいよ。」

不知火「不知火も同感です。」

酒月「細かい事は気にするんじゃね~~よ。飛鷹。今日は無礼講だから行こうじゃねーか。」

飛鷹「はああ・・・・。」

不知火「・・・・。」

 

伊丹と一緒に酒を飲んでいた漢の名は酒月 歳三(さかづき としぞう)中将。日本海軍呉鎮守府(くれちんじゅふ)司令長官で、かつて伊丹の上司でもある。

粗暴な言動が目立ちながら、軽口を叩かれるが、一切気にせず(というかむしろ気に入る)豪傑笑いで笑い飛ばす豪快な性格で、冷静な判断力や分析力により時には予想もしない策を講じたり、状況によってによっては臨機応変に行い、場合によっては越権行為すら辞さないという、決断力や行動力を見せる大胆な行動を見せるなど、冷静さと豪胆さ、義侠心を併せ持つ優秀な人物でもある。また、土方竜とは従兄弟の関係で、かつてアイアンボトムサウンド海戦で激戦を生き延びた歴戦の勇士でもある。

当時部下であった伊丹の実力をいち早く認めてた理解者であり、問題行動を見せる彼を叱責しつつも、彼の才能と義侠心、理想と現実をすり合わせてシビアな判断を下す信念を認めており、問題が起きるたびに庇ったり、幾度も危機を救われた事がある。

当時伊丹が引き受けた輸送船団の護衛任務での責任問題で、護衛艦隊に艦娘を配属させなかった上層部に直訴し、彼の弁護を行った結果、彼の尽力により伊丹の処遇は硫黄島鎮守府へ左遷させる事に留まった。

そして、彼に付き従っている二人の艦娘は副官の軽空母の飛鷹と駆逐艦の不知火で、二人共酒月から信頼が厚い優秀な艦娘でもある。

 

軽空母の飛鷹は、礼儀正しく温厚で真面目な性格の艦娘で、秘書艦補佐を務めて、副旗艦を務めている。実力は高く、アイアンボトムサウンド海戦では、後方支援を行い、味方の援護を行うなど、歴戦の勇士でもある。

仲間意識が強く、常に艦娘を気遣い、手作りの料理を振るわせるなど、面倒見を見せる。

ちなみに旗艦である艦娘は用事で出かけており、済ませば戻ってくるようだ。

 

駆逐艦の不知火は寡黙で任務に忠実で、エリート意識も高い性格。常に冷静沈着な態度を崩さず、状況を的確に判断し、臨機応変に対処する。その性格故に時折辛辣な物言いをすることもあるが、仲間の艦娘の有効性を見抜いてスカウトしたり、他人への評価・対応が正当なこともあり、人望は比較的高い。

エースとしての数多くの作戦を参加し、特にアイアンボトムサウンド海戦でも多大な戦果を上げた。

 

酒月歳三「それでよ。お前さんのおかげで、ソロモン海にある敵棲地攻略は成功したが、ソロモン海敵棲地攻略艦隊を語るテロリストが起こしたあの爆発のおかげで、上層部も大慌てらしいぜ。この所、調査のために大本営や各鎮守府から多数の艦隊がてんやこんやで出撃しているようだぜ。中には手柄を狙う輩も多くいるらしいぜ。」

伊丹耀司「・・・・・そうですか・・・・・。」

酒月歳三「それより聞いたぜ。お前さん。新型武装を開発したじゃないか。しかも艦娘が独自に開発した優れものじゃねえかよ。上もぜひ譲ってくれないかと殺到しているようだぜ。まあ、そいつのおかげで部下を救ったようじゃいか。」

伊丹耀司「ええ・・・・ただ・・・部下一人を救うことができませんでした・・・・。」

酒月歳三「・・・・由良か・・・・残念だったな・・・・建造して間もないのによ・・・・こんな形で部下を失うとはな・・・・・。」

伊丹耀司「・・・・あの後、みんなで送別会を開いて、彼女を見送りましたよ。みんな・・・・泣いていましたよ。あんなに慕われていた彼女が亡くなるなんて思っていないのですから・・・・・・。」

酒月歳三「そうか・・・・ご冥福を申すぜ・・・・・それとお前さんを助けた迅の坊主から伝言を頼まれたぜ。」

伊丹耀司「伝言?。」

酒月歳三「ああ・・・・近々お前さんを会いに来るそうだってことだ。それと新型武装について話したいと言ったそうだぜ。」

伊丹耀司「・・・・わかりました。」

 

ガチャッ・・・・。

 

???「司令官。終わったか?。」

酒月歳三「ああ、終わった所だ。もう用事は済んだのか?。利根(とね)。」

 

姿を現したのは重巡洋艦の利根。彼女は酒月の秘書艦にして旗艦で、女房でもある。

明るくあっけらかんとした豪放さと真面目な性格で、部下達から慕われる。また、旗艦としての実力が高く、飛鷹と不知火と共にアイアンボトムサウンド海戦では数多くの深海棲艦を撃沈させた。

また、ケッコンカンコカリしている艦娘でもあり、恋女房として支えている。

 

利根「無論、終わった所だぞ。そろそろ調査を行わないと上から叱られるぞ。」

酒月歳三「わかったわかった・・・・・じゃ、そういう事で俺は失礼するぜ。お前さんも元気出せよ。」

伊丹耀司「はい、酒月さんもお気をつけて。」

 

酒月達を見送った伊丹に副官であるまるゆが来た。

 

まるゆ「た、隊長、隊長・・・・。」

伊丹耀司「どうした、まるゆ?。」

まるゆ「はい、三菱さんからぜひ隊長に見せたいものがるので来て下さいと言われてきましたので、ぜひ工廠に来て下さい。」

伊丹耀司「ああ、わかった。」

 

伊丹はまるゆに連れられて、工廠へやって来た。

 

硫黄島鎮守府 工廠

 

工廠へやって来た伊丹。三菱はそこで何やら作業をしているようだが、伊丹が来た事に気付いた彼女は二人を任せて、伊丹の所へ走って来た。

 

三菱「司令官。よく来てくれたね。」

伊丹耀司「まるゆから聞いたからね。で、俺に何のようでここへ?。」

三菱「司令官に見せたいものがあるからね。」

伊丹耀司「?。」

 

三菱の案内で作業場に来た伊丹が目にしたものは驚きのものだった・・・・。

 

伊丹耀司「!!?・・・・こ、これは・・・・。」

三菱「驚いたか。こいつが私が開発中の艦娘専用の武装の数々だよ。」

伊丹耀司「か、艦娘専用の武装・・・・。」

 

伊丹が驚くのも無理もない。今まで艦娘専用の武装を開発した鎮守府はいなかったからである。しかし、彼女は艦娘専用武装の開発に着手しており、様々な武装を試験的に開発していた。

 

三菱「まず、初めはこいつだ。これは「フランキキャノン砲」で、駆逐艦でも扱えるように改良された大型キャノン砲で、火力や射程は戦艦に匹敵するけど、ただ、反動が強すぎてな・・・・一発でふっとぶ可能性が高いから、今、専用装備の開発を行っている所よ。」

伊丹耀司「ふ~~ん・・・・すごいな・・・・。」

三菱「次にこれだ。「F-15J」。こいつは私が作った最高傑作でね。これまで空母が使う搭載機とは違ってね。これらより遥かに凌ぐ機体性能誇ってるのよ。武装は短距離空対空ミサイル「AIM-9(サイドワインダー)」及び「AIM-7(スパロー)」、中距離空対空ミサイル「99式空対空誘導弾(AAM-4)」、固定装備として20mmガトリング砲「JM61A1(M61 バルカン)」、さらに電子戦ポッドに、標準装備として、BADGEシステム(自動警戒管制組織)からデータリンク装置、リードコンピューティング・ジャイロなどの多彩な装備を満載した優れものだ。ただいま増産中しているけど、これをベースに最新型の戦闘機を考案中している所よ。期待してね。」

伊丹耀司「お~~・・・・それは楽しみだ。」

三菱「次はこいつ。ドッズライフルとダブルバレット、対艦万能剣フリートアームズソード、HVAPキャノン砲、スパローレイザー、エールグラスパー、アクアダイバー、ガッツウインガーⅠ&Ⅱ&Ⅲ、ウィザードストライカーなどの試作兵器の数々。」

伊丹耀司「お~~・・・・これはすごいものばかりだな。」

三菱「まずはこれ、ドッズライフル。桜の戦闘データを元に開発した新型武装で、エネルギー粒子を螺旋状に回転させることで共振粒子現象を引き起こし原子崩壊を起こすという原理を応用、戦艦クラスの装甲を一撃で貫通、撃破させるなどの艦娘の武装とは比べ物にならない極めて高い威力を持つほか、銃身を回転させることで精密射撃モードや先端の銃身を外すことで連射性能や取り回しに優れたハンドガン(拳銃)モードにもなる。まだ試作品数個しか完成していないけど、駆逐艦でも扱える性能は折り紙付よ。」

伊丹耀司「考えとくよ。」

三菱「次はダブルバレット。こいつはフリートアームズの設計データと桜の戦闘データを組み合わせて完成した対大群用の大火力兵装で、大出力のツインドッズキャノンを両肩のバインダーに装備し、長大な粒子加速器を利用した高出力砲撃の他、ドッズキャノンは分離してドッズライフルとして使用可能な他、ドッズライフルを外した箇所からはビーム刃も発生でき、近接戦闘にも対応可能。また、脚部に装着しているカーフミサイルは対面攻撃にも優れている。機動力も優れ、高速移動も可能。まさに小型版フリートアームズなんだぞ。」

伊丹耀司「す、すげ~~・・・・・・。」

三菱「次は対艦万能剣フリートアームズソード、HVAPキャノン砲。対艦万能剣フリートアームズソードは対戦艦戦用を重点に開発された兵器で、超高硬度と耐久力を誇るスタンフィールインゴット超合金に出力を高めることで防御範囲を広めることも可能なビームシールド「ビームガーター」による高い防御力を誇り、さらにシールドやビームキャノン、ツインソード、ガドリングガンなど多彩な武器への変形を有している。HVAPキャノン砲は、戦艦用の徹甲弾を軽巡クラスでも扱えるように開発された試作型キャノン砲で、戦艦クラスが使用する高速徹甲弾(HVAP)を軽巡艦用に開発された専用キャノン砲に装填する事で、威力は申し分悪くない。ただし、駆逐艦二人分の余剰出力は必要である上、命中精度が低く弾の数は少ないのが欠点。現地点ではデータ収集用として試作品のみしか開発されていないけど、実戦データさえ取れば、完成型が期待できそうよ。」

伊丹耀司「うむうむ・・・・。」

三菱「次は艦娘専用に開発された新型艤装の数々。まずは高速戦闘用に開発された「スパローレイザー」で、徹底した軽量化と艤装各部に内蔵された姿勢制御バーニアによって艦娘史上かつてない機動性と運動性を実現、忍者のように敵の死角に回り込みながらの近接戦闘を可能とし、臀部に懸架された2本の短剣状の高周波振動ブレード「シグルブレイド」と、両膝に内蔵された奇襲装備「ニードルガン」、両腕と両脛に装備された4振りの大剣「レイザーブレイド」、中でもシグルブレイドの刀身には、高密度プラズマと硬化金属による特殊表面処理を施したレアメタル合金が採用されており、運用次第ではビームサーベルを上回る切れ味を発揮する。また、レイザーブレイドはシグルブレイド同様、高密度プラズマと硬化金属による特殊表面処理を施したレアメタル合金が採用されているが、最大の特徴は複数の刃を重ねた多層構造の刀身を採用したことで、摩耗しても即座に新しい刃を露出させ戦闘を継続することができる上、両腕のブレイド2枚を取り外して連結することで、投擲用のレイザーブーメランとしても使用可能。刀身の重量化により発生する慣性力も相当なものとなるけど、これを姿勢制御に利用することで変幻自在の機動と攻撃が可能となる。推力や移動速度も高く、防御面が低い上、多数のバーニアによりあまりの速さに並みの艦娘ではコントロールが出来ないくらいビーキーな装備なんでね。現在検証中。次は空戦用に開発された「エールグラスパー」。ラジエータープレート兼用の大型可変翼と4基の高出力スラスターを持つ高機動戦闘用艤装で、ハイジャンプや空中での方向転換さえも可能とし、さらには水中戦でも機能する優れもの。専用武装としてMk1323 無誘導ロケット弾ポッドや空対地ミサイル「ドラッヘASM」、Mk438 3連装ヴュルガー空対空ミサイルポッドなど各種ミサイルポッドや75mm対空自動バルカン砲塔システム「イーゲルシュテルン」2門、接近専用として、ビームサーベル2門、57mm高エネルギービームライフル二丁を装備している。追加装備として、機動防盾を装備できるぞ。現地点では数基開発しているけど、駆逐艦や軽巡艦、重巡洋艦程度なら装着可能だけど、空母や戦艦などは重量や特殊な構造ゆえに装着できないのが欠点だけどね。今はそれらに向けて製作中しつつ、出力強化や改良も行っている所よ。次の艤装は水中戦専用に開発された「アクアダイバー」で、潜水能力を持つ艦娘以外潜水行動が出来ない艦娘用に開発された新型艤装で、専用ゴーグルにスノーケル、優れた水中運動性能を発揮するハイドロジェットモーター、四肢に装備され、アーマー表面に並べられた無数の鱗(Scale)を模した機器を振動させて推力とし、水中内で急速転換やスライド移動をも可能するスケイル・アーマーで構成されている。さらにロレンツィーニ器官を模した高性能レーダー・周囲電位センサーを備えている上、高い耐水性能を誇る優れものよ。武装は7連装魚雷発射管や水中用ライフルダーツ、対潜水艦用機雷、最大の武器であるマーク70スーパーキャビテーティング魚雷やフォノンメーザー砲、携行武装として、対艦大型魚雷と小型ミサイルを装填可能なミサイル・ランチャー・ガンやハープーン(銛)の先端に指向性爆薬が内蔵されており、敵内部から破壊する炸裂式ハープーン・ガンが装備している。特殊装備として艤装に装着している後頭部のカメラは分離して有線式の潜望鏡にもなるんだ。この装備は駆逐艦、軽巡艦しか装備できないけど、実戦データによる改良を行う予定よ。お次は私、三菱が設計、開発、自身が持てる技術と大量の資材を投入して完成させた最高傑作「ガッツウインガーシリーズ」。これは何と今までの艤装と違い、超高性能無人戦闘機としての機能を併せ持つ新型艤装なんだ。一号機から三号機まで開発して、まだ試作段階だけど、性能は折り紙付きよ。まずは一号機「ガッツウインガーⅠ」、主翼の可変機構も併せて戦闘はもちろん宇宙飛行や狭い洞窟内やビル街での低空飛行、空中静止、垂直離着陸、ホバリングなどの性能を誇り、艦娘と合体する事で、艦娘の性能を大幅に強化できるものよ。性能はエールグラスパーを超える程で、幅広い状況に対応出来る高い汎用性を誇る。専用武装としてカートリッジによって様々な効果を発揮するビームガン「GUTSハイパー」二丁を装備、さらに専用のバレルとストックを付けて組み立てる事で、より強力な攻撃を可能とする高性能ビームライフル「GUTSライフル」にもなるんだぜ。この機体の武装は機体前部から発射するビーム砲・ニードルと機関砲、機体下部のハッチに搭載されたミサイル・ヒート、機首から発射するレーザー、また、下部のハッチにはヒートとの換装でマイクロウェーブ砲、アルミジャマー、高周波ジェネレーター、消火弾、水中機雷、三連装空対地機関砲ポッド、液体窒素弾、スーパーウェーブ照射装置、探照灯、冷凍弾をなどの多彩な武装を搭載可能で、機体前部のナパーム弾や狭角ミサイル、機首からの液体窒素ビームを装備しているのが特徴で、現地点では数基開発しており、駆逐艦や軽巡艦用に調整されているから、空母や戦艦、重巡洋艦は不向きね。次は二号機の「ガッツウインガーⅡ」、これは一号機と同時開発されたもので、機体に搭載されているコンピューターによるデータリンク機能を始め、専用カメラに備わるカメラのデジタルビデオ映像を受信し、分析する機能や物資や武器を収納する格納庫を持ち、VTOL機能を備え、空中での静止や成層圏まではギリギリ飛行が可能、飛行性能や汎用性は1号に劣るけど、その代わりに火力を大幅に強化されていてね。一号機と同じ、ビーム砲、ニードルと機関砲、超光子レーザービームを放つスパル砲。そしてこれの最大の武器は、ハイパーモード時に展開されるハイパーレールガンから発射されるデキサスビームで、威力は戦艦クラス数人を一撃で撃破させるほどで、さらに遠隔操作による発射も可能。合体時は機体が分離し、右手にハイパーレールガンを装着、駆逐艦でも戦闘能力を大幅に強化、戦艦クラスの戦闘力を発揮するわ。まあ、火力を特化した分、防御も弱いから慢心は禁物よ。そしていよいよシリーズラストはこれよ。「ガッツウインガーⅢ」、一号機であるガッツウインガーⅠの飛行性能や汎用性、二号機のガッツウインガーⅡの火力を併せ持つ最新型で、さらに後部に装着している子機の多目的主力戦闘機「ガッツウインガーイーグル」を分離させる事も可能で、ハイパーレールガンの改良発展型「ツインハイパーレールガン」から放つ「スーパーデキサスビーム」は、デキサスビームの数倍の威力を誇り、ビーム砲、ニードルと機関砲、下部のハッチからはミサイル・ヒートの他に様々な兵装を搭載することが可能。さらに子機の「ガッツウインガーイーグル」はそれぞれ、α、β、γの三機の子機に分離する事も可能で、その上に3機のエネルギーを直列させた高出力光線砲「トルネードサンダーキャノン」を備えており、威力はスーパーデキサスビームに匹敵するほどの威力の上に連射を可能とする優れもの。αはガッツウインガーイーグルの先端部分を構成する高速偵察機。高速性能に優れており、武器はレーザー熱線の「ジーク」は連射が高く、深海棲艦小隊クラスを全滅させるほど。βはガッツウインガーイーグルの中央及び主翼部分を構成する作戦指令機兼爆撃機。武装は機首と主翼のビーム砲「ボルキャノン」と爆雷。γはガッツウインガーイーグルの後部を構成する重武装戦闘哨戒機。機体の半分以上を占めるその砲身にはレーザー熱線、ホーミングミサイル、冷凍ミサイル、そして大型ビーム砲「ガイナー」が備わっており、特にガイナーはトルネードサンダーには及ばないものの並の戦艦クラスを一発で倒せるかなりの威力を持つ。合体時は分離し、両手にそれぞれ分離したツインハイパーレールガン二丁を装着、それらを合体することで高威力かつ火力を誇る攻撃を発揮する。また、子機であるガッツウインガーイーグルとの連携プレイをする事で多彩な戦法を発揮するわ。まあ、性能は一号機と二号機を遥かに越えるほどは私が保証するわ。けど・・・・・あまりの高性能ゆえに扱えるのが難しいから、機体調整をしている所よ。」

伊丹耀司「ああ・・・・す、すごいな・・・・・。」

三菱「次はこいつ、「ウィザードストライカー」。戦況に応じて兵装換装を可能とした艤装で、機動戦型、砲戦型、近接格闘戦型の三つのタイプを備えており、状況に応じて換装を可能とするわよ。まずは機動戦型の「ウィザードストライカー・ブレイズ」は、多数のスラスターを備えており、機動力は高く、その上、機動力を飛躍的に向上させると共に、スラスター前部のミサイルポッド「ファイヤビー」で火力を向上させている。武装は両側スラスターブロック先端部に内蔵された小型ミサイル「ファイヤビー誘導ミサイル」は、弾幕形成による撹乱に威力を発揮する。装弾数は片側19発、計38発が可能で、一応装弾機能を持ち合わせているから、連射は可能よ。武器と併用する事でさらなる攻撃が可能よ。あと、これも一応駆逐艦や軽巡艦、重巡洋艦用に開発されているけど、空母用も開発中よ。次は砲戦型の「ウィザードストライカー・ガナー」は、遠距離戦を得意とし、エネルギータンクと折りたたみ式長射程ビーム砲「オルトロス」のみで構成されているけど、エネルギー供給タンクからほとんどが賄われるから、稼働時間の大幅な延長が強化されたわ。武装は高エネルギー長射程ビーム砲「オルトロス」は、威力と連射性を共存させる事に成功、射線上の敵艦隊を殲滅可能な強力なビームを発射可能。さらに付属のビーム突撃銃と両方使用することは可能よ。これも駆逐艦や軽巡艦、重巡洋艦用に開発されているわ。最後は近接格闘戦型の「ウィザードストライカー・スラッシュ」は、ビームガトリング砲「ハイドラ」を二門、白兵戦装備として大型ビームアックス「ファルクス」を搭載、さらにハイドラ自体はエネルギー供給タンクが艤装のジェネレーターと独立しているから、稼働時間の大幅な延長ができた上、機体の運動性を維持すべく軽量化されてたわ。武装はガトリングビーム砲「ハイドラ」、ビームアックス「ファルクスG7」、ビーム突撃銃、ビームトマホーク。ハイドラはバックパックに2門装備されるエネルギー系ガトリング砲で、敵機を破壊する決め手にはなり辛いものの、高速連射による牽制や迎撃で重宝されるわ。ビームアックスのファルクスG7は白兵戦用に作られた大型ビームアックスで、一撃で戦艦クラスの装甲を切り裂く威力を誇るわ。ただ、重量が重過ぎて、力の弱い駆逐艦には無理だから、代用の武器や装備を考案中よ。性能はどれも高く、錬度の低い艦娘でも扱える代物よ。まあ、後は練習と経験を積めば後は何とかなるわ。」

伊丹耀司「・・・・・き、きっぱり言うね・・・・君は・・・・・。」

三菱「最後に硫黄島鎮守府遊撃艦隊の各メンバー用の強化兵装ね。例えば、阿武隈(あぶくま)の艤装は単装砲の発射速度を改良することで、射撃精度・射程距離が向上、劣っている適性をカバーするために武装を主砲のみに絞り、魚雷を装備しない代わりに水上電探・対空電探を追加装備し、高い索敵能力を持つ反面、魚雷を外しているため単艦での戦闘力は他の軽巡級艦娘と比べて低く、その為、機動力、火力などを向上するために副砲や機関砲などを取り付ける改修を行ったり、龍驤(りょうしょう)のアームストロング砲は凄まじい威力を持つ反面、次弾装填はかかるので、連射できるよう作られた改良型に、秋雲(あきぐも)には専用の強化型艤装などを開発したわ。後は全員の特性を合わせて開発、調整中よ。これで戦力を大幅な強化できるはずよ。」

伊丹耀司「さ、さすが三菱。頼もしい限りだな・・・・・・・・。」

三菱「まあね、それと今、新たな艦娘の建造を急ピッチで行っている所よ。」

伊丹耀司「新たな艦娘ですか?。」

三菱「ええ・・・・この前の戦闘で、由良(ゆら)を失ったばかりだからね。戦力増強の為に新しい艦娘の建造をしなきゃならないからね。司令官に期待できる人材を建造して見せるから、期待してね。」

伊丹耀司「・・・・ああ・・・・期待しているぞ、三菱。」

 

伊丹は執務室へ戻ろうとした・・・・。

 

三菱「ああ、それと司令官・・・・・言い忘れたけど、桜の艤装にはビーコン機能を内蔵してるよ。」

伊丹耀司「ビーコン機能?。」

三菱「ええ・・・・万が一遭難した際に、自動的に発動できるよう組み込んだでね、艤装から救難信号を発信し、位置情報がわかるのだよ。それと自動修復機能もつけているから万が一ビーコンが故障した際にある程度までは修復は可能よ。」

伊丹耀司「・・・・ある程度修復可能ってというと・・・・もしかしては後は自力で修復する事ですか?。」

三菱「ええそうよ。万が一自動修復機能が不完全の場合、自力で直すしかないからね。」

伊丹耀司「・・・・」

三菱「あ、でも・・・安心して、一応説明書も入れているから、初心者でも分かるように書いているから大丈夫・・・・はず。」

伊丹耀司「はず!!?。」

 

執務室へ戻った伊丹だったが、桜のことが心配で悩んでいた・・・・・。

 

伊丹耀司「・・・・・」

ヴェールヌイ「どうした?。司令官・・・・・桜のことで心配か?。」

伊丹耀司「!!・・・・・ああ、そうだが・・・・すまないな、ヴェールヌイ・・・こんな情けない司令官で・・・・。」

ヴェールヌイ「そう、自分を自嘲しなくていいぞ。司令官は自分の信念を信じて貫き通して来た。ただそれだけで、他の艦娘達も救われたからな。」

伊丹耀司「・・・・ごめん、ヴェールヌイ・・・・こんな事に考えている場合じゃないか・・・。」

ヴェールヌイ「司令官。大本営や他の鎮守府のソロモン海の調査が終わったようで、そろそろ艦隊の半数以上が減ってきたが、まだ調査を行う艦隊も残っているが、私達も調査と言う名目でソロモン海を探索をしたいが、どうか?。」

伊丹耀司「・・・・わかった・・・・状況を見極めてから出撃させる・・・それまでにいつでも出撃命令にできるように準備してくれ。艦隊の編成は君に任せる。」

ヴェールヌイ「Да(ダー)Понятно(パニャートナ)。」

 

一方、桜達に住む島に近づく者達が来ていた・・・・・。

 

遭難7日目

無人島近海

 

ザ~~~・・・・ザ~~~・・・・ザ~~~・・・・。

 

真夜中の夜。無人島の近海に進む者達がいた・・・・・。

 

ザザ~~~・・・・ザザザ~~~~・・・・・。

 

大本営の命令でソロモン海付近の調査へ向かっていた鳥海率いる第八艦隊である。

外南洋部隊である第八艦隊の独立旗艦である鳥海を中心に、第六戦隊の古鷹・加古・青葉・衣笠と第一六戦隊所属の天龍で編成された構成部隊である。

 

鳥海「・・・・・!?。」

 

鳥海はふとその島に何かを気付いた。

 

古鷹「どうしたの?。鳥海。」

鳥海「・・・あの島に・・・・人の気配をしたの・・・・・。」

青葉「人の気配ですか?。」

天龍「おいおい・・・・こんな所で、油を売って大丈夫かよ?。」

鳥海「確か私達の任務はソロモン海への調査・・・・・でも、この海域に深海棲艦がいるのなら、それらを倒し、ここを安全海域にするのが、我々艦娘の使命。ここの海域を調査し、もし異常がなかったらソロモン海へ向かうわ。」

全員「了解。」

 

ふと無人島にかすかだが、何かの気配を感じ取った鳥海は、ソロモン海への調査よりも、この付近の無人島での調査を行う事得を決めた。

一方、そんな事に知らない桜達というと・・・・・。

 

ほっぽ「キャッキャッキャッキャッ・・・・。」

桜「・・・・・・はあああ・・・・・。」

 

ほっぽと戯れる桜。

 

艤装は自己判断システムにより正常に戻る事に成功したが、通信装置などはまだ不調らしく、もう一度自己判断システムを行っているようで、しばらくほっぽと遊ぶ事になったようだ。

 

桜「・・・・・・!!?。」

ほっぽ「?・・・・ドウシタノ?。桜。」

桜「・・・・誰かが来る・・・・。」

ほっぽ「!!?。」

 

桜の言葉に驚くほっぽ。

 

ほっぽ「・・・・誰ガ来ルノ?・・・・ホッポ・・・・怖イ・・・・。」

桜「大丈夫よ。島の奥へ隠れていれば見るからないはずよ。私がいるから大丈夫よ。」

ほっぽ「・・・・・ウ、ウン・・・・。」

 

桜はほっぽを連れて、島の中央へと隠れた。ここはジャングルになっており、用意に見つからないはずだ。

無論、痕跡を消しているので、大丈夫であるはずだ・・・・。

 

数十分後

 

ザバアアア・・・・ザバアアア・・・・ザバアアア・・・・。

 

鳥海率いる第8艦隊は桜達がいる無人島にたどり着いた。

 

鳥海「・・・・・確かにここに人の気配が・・・・・。」

古鷹「本当にここにいるのですか?。鳥海さん。」

加古「ふあぁあ、ねむい・・・・・さっさと終わらせて行こうよ・・・・。」

青葉「気になるな・・・・青葉取材・・・・いえ偵察をいたしますね。」

衣笠「衣笠さんにお任せ!」

鳥海「天龍。貴方は周辺の海域の見張りよ。もし、この島に深海棲艦が来たら知らせてね。」

天龍「あいよー。」

 

鳥海達は天龍を見張りとして残し、島の探索を行うために向かった。

一方、鳥海達を追っている者がいた・・・・・。

 

???「・・・・・」

 

それは桜を追ってソロモン海から来た駆逐棲姫で、偶然鳥海達を見て密かに追いかけてきたのだ。

ここで桜と鳥海達、そして、駆逐棲姫との三つ巴の戦いが始まろうとしていた・・・・・。

一方、森の奥に隠れる桜とほっぽは言うと・・・・。

 

無人島の奥

 

桜「・・・・・」

ほっぽ「・・・・桜~~・・・・何時マデ隠レルノ?・・・・。」

桜「彼女達がここから出るまでよ。我慢してね。」

ほっぽ「・・・うん。」

桜「・・・・(とは言え・・・・このまま立ち去ってくれば助かるけどね・・・・)。」

 

しばらくここに隠れてここを去るのを待つ桜であったが・・・・。

 

鳥海「・・・・これよりここの探査を始めます。古鷹と加古は島の右側を。青葉、衣笠は左側を。私はこの島の中央を探しますので、気をつけながら探索をお願いいたします。」

古鷹「わかった。行こう。加古。」

加古「ふあぁあ~~~・・・・ねむ~~い・・・・!?・・・はいはいはいはい!ちゃんと聞いてるから!スカート引っ張んないで!。」

青葉「了解!青葉取材・・・・いえ調査しまーす。」

衣笠「衣笠さんにお任せ♪。」

鳥海「では、集合地点はここで。みんな気をつけてね。」

全員「了解。」

 

鳥海達はそれぞれ島の探索を開始した。一方、周囲の見張りを任された天龍というと・・・・。

 

ザ~~~~・・・・ザ~~~~・・・・ザ~~~~・・・・ザ~~~~・・・・。

 

天龍「ふああああ~~~~・・・・・・・暇だ・・・・・・・見張りばっかで退屈だよ・・・・・ん?。」

 

天龍はふと気付いた。何か不吉な気配を感じ取った・・・・・。

 

天龍「・・・・(何だ、このプレッシャーは?・・・・・こんな凄まじい殺気は初めてだぜ・・・・!!?。)」

 

天龍が見たのは、傷だらけの駆逐棲姫だが、手負いでありながら凄まじい殺気を放つそれは武人である天龍すらゾッとするほどである。

 

天龍「・・・・(こ、こいつ・・・・なんつう、プレッシャーを持っているんだ・・・・手負いとはいえ・・・・これほど凄まじい殺気と執念を感じるぜ・・・・一体何があいつに動かしているんだ・・・・)。」

 

手負いの駆逐棲姫から放つ凄まじい殺気と執念を感じ取り、たじろぐ天龍。

 

天龍「・・・・・。」

駆逐棲姫「・・・・。」

 

対峙する二人。今まさに戦いのゴングが今始まろうとしていた・・・・・・。

一方、そんな事を知らない鳥海達は島の調査を行っていた。

 

ザッザッザッザッザッザッザッザッ・・・・・・。

 

島の中央を調査していく鳥海。彼女が近づく森の中に桜とほっぽが隠れていた・・・・。

 

桜「・・・・・・。」

ほっぽ「・・・・・。」

 

二人はじっと息を殺し、去るまで隠れ続けていた。

 

鳥海「・・・・・気のせいね・・・・私の勘違いなの?・・・・。」

 

ザッザッザッザッザッザッザッザッ・・・・・・。

 

島から立ち去ろうとする鳥海。それを見て安堵する桜とほっぽだったが・・・・。

 

ほっぽ「クションッ!」

桜「!!?。」

鳥海「!!?。」

 

ほっぽのくしゃみを聞いて驚く鳥海は、すかさず砲身を声がした方の森へ構えた。

 

鳥海「出てきなさい。いるのを分かっています。」

 

森の奥に向かって出てくるよう話す鳥海。

 

鳥海「・・・・!?。」

 

ガサガサ・・・ザッ。

 

木の影から現す桜。その後ろを隠れるほっぽ。

 

鳥海「・・・・・深海棲艦!?・・・・ここで何をしているの!?・・・・・。」

桜「・・・・通りすがりの者です・・・・この島に休んでいただけ・・・・こちらに手を出さなければ危害を加えない・・・・このまま立ち去って・・・・・。」

鳥海「・・・・。」

 

ジャキッ・・・・・ガチャッ。

 

鳥海「・・・・残念だけど・・・・それはできないわ・・・・私達の使命は深海棲艦から人々を守る事・・・・貴方達を見逃さすつもりはありません・・・・・。」

桜「・・・・そう・・・・だったら!!?。」

 

ガチャ・・・・バシュウウウウウウウン~~~~~・・・・・・・・・。

 

古鷹「今、砲音が聞こえたよ。加古。すぐ行こう!!。」

加古「あ~~~・・・・待ってよ、古鷹~~~・・・・・。」

青葉「衣笠さん、急ぎましょう!。」

衣笠「あ~~~待ってよ~~~~~・・・・。」

 

砲音が響いた事に気付き、その音がした方へ向かう古鷹達。

 

古鷹「!?・・・あ、あれは・・・・。」

加古「鳥海だよ。古鷹。」

青葉「あ、青葉びっくりです・・・・鳥海さんが中破!?。」

衣笠「し、しかも・・・・相手は・・・・見た事もない深海棲艦だよ。」

 

鳥海が中破しているが、破壊されていたのは艤装のみで、不思議な事に砲身や魚雷管だけが完全に破壊されており、それ以外は怪我は無いようだ。

 

古鷹「みんな、油断しないでね。散開しつつ距離を取れば倒せるはずだよ!!。」

加古「わかったよ!。古鷹。ぶっ飛ばすッ!。」

青葉「青葉、行きまあああす!!。」

衣笠「衣笠の本気、見せてあげる!」

桜「・・・・・。」

 

散開しつつ距離を取って攻め入る4人の艦娘に対し、桜は砲身を構え・・・・。

 

ガチャ・・・・バシュウウウウウン×3・・・・ヒュウウウ・・・・ボシュウウウウウン・・・・ドガガガ~~~ン・・・・。

 

古鷹「きゃっ!!?。」

加古「うわっ!!?。」

青葉「くぅっ!!?。」

衣笠「はわわっ!!?。」

 

砲身から放たれたエネルギーの砲弾は無数に分かれ、4人の艤装を正確に破壊した。

 

古鷹「うう・・・・う、嘘でしょう・・・・。」

加古「マ、マジでっ!!?。」

青葉「け、桁が違う・・・・・。」

衣笠「あぁっ!!・・・・ちょっ、直撃~~!!?。」

 

艤装だけを撃ち抜かれて破壊された事に驚きを隠せない4人。

 

桜「・・・・・このまま去れば、何もしないわ。今すぐここから立ち去って。」

四人「・・・・・。」

 

島から立ち去せようと話す桜の言葉に動揺する4人。その時・・・。

 

ドガアアアアアアアアアアアアアアン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

桜、4人「!!?。」

 

爆発が起きた海岸の方へ向けた桜達。

 

古鷹「あ、あの方角は・・・・まさかっ!!?。」

加古「い、急ごう、古鷹!。」

青葉「待ってくださ~~~~い・・・青葉も置いていかないでくださ~~~~い・・・・。」

衣笠「はわわっ・・・ま、待ってよ~~~青葉~~~~~!!。」

桜「・・・・。」

 

タッタッタッタッタッタッ・・・・・・。

 

桜は古鷹達を追った。そこで彼女が見たものは・・・・・。

 

ポタッ・・・ポタッ・・・。

 

桜、4人「!!?。」

 

血塗れになり、無残な姿の天龍と血塗れになった右手から血を流す駆逐棲姫であった。

 

古鷹「う、嘘でしょう・・・・・て、天龍さんが・・・・。」

駆逐棲姫「・・・・!!?。」

4人「うっ!!?。」

 

駆逐棲姫は4人に対して鋭い眼光を発した。

 

古鷹「・・・・・?。」

 

古鷹は気付いた。駆逐棲姫の殺意に満ちた視線はこちらに向けていなかった事を・・・・。

 

古鷹「!?・・・・!!?。」

 

彼女の視線へ振り向くと・・・そこには意外な人物がいた・・・・・。

 

桜「・・・・・・。」

古鷹「えっ!?・・・・(艦娘である私達じゃなく・・・・この深海棲艦に向けていたの?・・・・)。」

 

古鷹は駆逐棲姫の視線は深海棲艦である桜に向けていた事に驚愕した。何故か同じ深海棲艦である仲間に殺意を向けていた事に困惑していた・・・・。

 

駆逐棲姫「・・・・・オ前ヲ・・・・殺ス・・・・・。」

桜「・・・・仲間の復讐ですか?。」

駆逐棲姫「・・・・・・。」

 

それ以外何も話さない駆逐棲姫であったが、桜はすでに悟っていた・・・・・。彼女はかつてソロモン海戦で戦った深海棲艦の生き残りである事を・・・・。

そして、彼女の目を見て悟った・・・・自分に対する憎しみと怒りのみで動いていた事も・・・・・。

 

桜「・・・・・なら、ここで決着(ケリ)をつけましょう!!。」

駆逐棲姫「・・・・・・。」

 

ザッ・・・ザッ・・・ザッ・・・ザバアアアン・・・・ジャバッ・・・ジャバッ・・・ジャバッ・・・。

 

桜は海の方へ歩き出し、そのまま海に入りだした。

 

ガチャ・・・・チャキ・・・・。

 

艤装なしで艦砲のみで戦う桜と重傷ながらも右手の主砲で立ち向かう駆逐棲姫。互いの艤装を構える二人。今まさに戦いのゴングがなろうとしていた・・・・・。

 

桜「・・・・・。」

駆逐棲姫「・・・・・・。」

 

ヒュウウウウウウウ・・・・・・・・。

 

互いに動かない二人。その様子を不思議そうに見つめる

 

青葉「・・・ね、ねえ・・・衣笠・・・ちっとも動かないですね・・・・かれこれ10分以上すぎていますよ・・・・・。」

衣笠「・・・・・う~~ん・・・・何で攻撃しないのかな~~?。衣笠さん、眠りそう~~~~。」

天龍「・・・・お前らの目は節穴か?。」

青葉、衣笠「えっ!?。」

古鷹「て、天龍さん!?・・・・今は動かないでください。」

加古「そうだよ~~・・・・古鷹の言う通りだよ~~~。」

天龍「う、うるせ~~な・・・・・お前らはこの戦いの凄まじさが分かってねえな・・・・あいつら、互いに寸分の隙もなく、一歩も踏み込めないでいるだぜ・・・・それに・・・・あいつらから凄まじい闘気が肌でビンビン感じるぜ・・・・・こ、こりゃああ・・・・どちらがが動いた時が・・・・勝負だ・・・・・。」

4人「・・・・・。」

 

ヒュウウウウウウウ・・・・・・・・。

 

桜「・・・・・。」

駆逐棲姫「・・・・・・。」

 

スウウウ・・・・・・・ザッ・・・・バシュウウウ~~~~ン・・・バシュウウウ~~~~ン・・・。

 

一瞬の内に艦砲を素早く打ち合った。互いの砲弾は紙一重でかわされた。

 

ザッザッザッザッザッザッ・・・・・・・・・。

 

互いに距離を離れすぎ海上に走り出す二人。

 

カチャッ・・・バシュウウウウン・・・・・ビュウウウウウウウン・・・・・・・・・。

 

艦魂技(トリガーバースト) “シャインイリュージョンショット”

 

サクラが放ったエネルギー弾は複数に分かれていき、それぞれ弾道を自由に変化させながら、駆逐棲姫に向かって追尾していく。予測不能の複雑なエネルギー弾の雨に一巻の終わりのように見えた・・・‥‥はずだった・・・・・・。

 

ビュウウウウウウウン‥‥サッ・・・スウウウウ‥‥サッ・・・スウウウウ‥‥。

 

複雑で予測不能な動きをする無数のエネルギー弾を容易くかわしていく駆逐棲姫。

 

桜「!!?。」

 

駆逐棲姫の予想もしない俊敏さに驚きを隠せない桜。そんな彼女に対し、駆逐棲姫は猛スピードで走り、一瞬の内に目の前に迫っており、右腕で殴打してきた。

 

ドガアアアアア・・・・・バシャアアアアアン。

 

深手を負えたとは思えない凄まじい打撃にまるで紙切れのごとく吹き飛ばされた桜。

 

桜「・・・・・つ、強い・・・・。」

駆逐棲姫「・・・・・・・」

 

手負いとはここまで強いとは予想外だったと感じた桜だったが、すぐに立ち上がり構えた。

 

桜「・・・・。」

 

相手は予想もしない俊敏さで反応よりも早く翻弄してしまうほどの機動力を持つ駆逐棲姫である。

手負いとは思えぬ凄まじい闘志と殺気に内心怯えるも、自身も気合を入れて対峙した。

 

桜「・・・・はあああああ・・・・・・・。」

 

ガチャ・・・・・バシュウウウウン・・・・・バシュウウウウン・・・・・バシュウウウウン・・・・・。

 

艦魂技(トリガーバースト) “バレットショットキャノン”

 

桜の主砲から放つエネルギーの砲弾は分裂、さらにより細かい無数のエネルギー弾となり、逃げ場をなくし、確実にダメージを与えられる・・・・はずだった・・・・・。

 

ササッ・・・・ドドドドドド~~~~~~ン・・・・・・・・・サッ・・・・。

 

桜「!!?。」

 

ドガ~~~~~ン・・・・・・・・。

 

桜「ガハッ。」

鳥海「!!?。」

 

バシャ~~~~~ン・・・・・・・・ザバアアア~~~~・・・・・・・・。

 

桜すら見切れないほどの駆逐棲姫の超高速移動によりバレットショットキャノンを容易く回避、蹴り飛ばされ、海面にめりこまれて吹っ飛んだ。

 

ザバアアアアア~~~・・・・・。

 

鳥海「!!?。」

桜「・・・ハアアア・・・・ハアアア・・・・」

 

桜は立ち上がったが、二度の攻撃にダメージが与えられており、立つのがやっとである。

 

ジャキッ。

 

桜「!!?。」

鳥海達「なっ!!?。」

 

桜に砲口を向ける駆逐棲姫。この攻撃を受ければ、間違いなく轟沈してしまう。

 

駆逐棲姫「・・・・終ワリダ・・・・。」

桜「クッ・・・・。」

鳥海達「・・・・・・・・。」

 

頭に砲口を突きつけられる桜。今まさに砲撃を放とうとした・・・・その時っ!!?。

 

ドガアアアアアアン~~~~。

 

駆逐棲姫「!!?。」

 

突然、駆逐棲姫が爆発した。駆逐棲姫は何か起きたのか驚愕していた。

 

古鷹「・・・・な、何が起きたの!!?。」

加古「あ、古鷹。あれを見て!!。」

古鷹「!!?。」

 

ヴウウウウウウウン・・・・・・・

 

青葉「か、艦載機?。」

衣笠「!!・・・・・あ、青葉・・・あれを見て!?。」

 

駆逐棲姫を空爆したのは何とほっぽであった。

 

ほっぽ「・・・・・。」

駆逐棲姫「・・・・・。」

 

互いに睨み合い対峙するほっぽと駆逐棲姫。

 

ほっぽ「・・・・桜ヲイジメルナ・・・・。」

駆逐棲姫「・・・・・。」

 

ヒュンッ。

 

ほっぽ「!?。」

 

駆逐棲姫は一瞬の内にほっぽの左横に移動、蹴りを食らわせろうとした。

 

ガシッ・・・・。

 

駆逐棲姫「!!?。」

鳥海達「!!?・・・・・。」

桜「・・・・・・。」

 

ほっぽのピンチを救ったのは、桜であった。傷だらけになりながらも駆逐棲姫と同様の速さで動き、ほっぽと駆逐棲姫の間に割り込んだのだ。

 

ほっぽ「・・・・サ、桜・・・・・。」

桜「・・・・あなたの相手は私です・・・・。」

駆逐棲姫「・・・・・・・・。」

 

バッ・・・・・バシャアアアアン・・・・・・・・。

 

素早く距離を取る駆逐棲姫。

 

ほっぽ「・・・・桜・・・・。」

桜「・・・・」

 

ぽんっ。

 

不安そうに見上げるほっぽ。そんなほっぽに優しく頭を撫でる桜。

 

ほっぽ「・・・・・・。」

桜「ほっぽ、助けてありがとう・・・・私は大丈夫から、後は任せて。」

ほっぽ「・・・・ウン。」

 

桜の感謝の言葉に笑顔を見せるほっぽ。再び駆逐棲姫と対峙する桜。

 

桜「・・・・決着をつけましょう。」

駆逐棲姫「・・・・・・。」

 

決着をつけようとする桜と駆逐棲姫。そんな二人を見守るほっぽと鳥海達。

 

桜「ハアアアアアアア・・・・・・・・。」

 

カアアアアアアアアア・・・・・・・・。

 

駆逐棲姫「!!?。」

 

桜の身体が黄金の輝きを放ち、その姿に駆逐棲姫は驚いた。

 

古鷹「う、嘘・・・見てた、加古・・・あの深海棲艦・・・・光ってよ。」

加古「う、うん・・・あんな輝く深海棲艦・・・・見たことない・・・・。」

青葉「あ、青葉もです。これは取材になりそうですよ。」

衣笠「青葉ったら・・・・もう・・・・。」

 

黄金の光に輝く桜の姿に驚く中、鳥海、天龍は冷静に見つめていた。

 

鳥海「・・・・天龍・・・・やはりあの深海棲艦・・・・。」

天龍「ああ・・・・今までの深海棲艦とは何かが違うな・・・・。」

鳥海「あれだけの深手を受けながらもあの素早さ・・・・普通の深海棲艦じゃないようね・・・・。」

天龍「・・・・あいつはいったい何者なんだ?・・・・。」

 

ヒュウウウウウウウウウウ~~~~~~ン・・・・・・。

 

桜「・・・・・・・・。」

駆逐棲姫「・・・・・・・・。」

 

静かに対峙する桜と駆逐棲姫。お互い一歩も動かずにいた。

 

鳥海「・・・・す、すごい闘気だわ・・・・。」

天龍「・・・・あ、ありゃ・・・・やる気満々だな・・・・。」

 

しばらく静止し続ける二人だったが、その瞬間が来た。

 

ヒュウウウウウウウウウウ~~~~~~ン・・・・・・ポチャアアアアン~~~~・・・・・・・・ヒュンッ。

 

鳥海達「!!?。」

 

桜と駆逐棲姫の姿が一瞬の内に消えてしまった。

 

鳥海「・・・・き、消えた?・・・・。」

天龍「お、おいおい・・・・嘘だろ・・・・。」

古鷹「う、嘘・・・き、消えちゃったよ。」

加古「え、え、ええ~~~!!!?。」

青葉「あ、青葉・・・こ、言葉も出ません・・・・。」

衣笠「・・・・う、うん・・・・。」

 

二人が消えたことに驚愕し、慌てふためる鳥海達。

 

天龍「!!?・・・・お、おいっ!?、あれを見ろ!!。」

鳥海「え?・・・・・・・・!!?・・・・う、嘘でしょう・・・・。」

 

鳥海が見たのは、ここより遥か高く、空中に浮遊し続ける桜と駆逐棲姫の姿であった・・・・。

 

鳥海達「・・・・・・・・。」

ほっぽ「ワアア・・・・高イ高イ~~~。」

鳥海「・・・・み、見た・・・・て、天龍・・・・わ、私達・・・・とんでもない奴らを相手をしていたの?・・・・。」

天龍「・・・・あ、ああ・・・・こ、こりゃ・・・・俺達が出る幕もねえよ・・・・・・・。」

 

唖然する鳥海達をよそに桜と駆逐棲姫の戦いが始まった・・・・。

 

ヒュンッ・・・・ドガガガガガガガガガガガ~~~~・・・・・・・・・・・・。

 

目に留まらない凄まじい蹴り技を繰り出す二人。互いの蹴りは相殺しており、まさに互角以上である。

 

鳥海「・・・・・・ね、ねえ・・・・天龍・・・・本当にあれは・・・・・・・・深海棲艦なの?・・・・・・・・」

天龍「・・・・あ、ああ・・・・俺達とは・・・・・・次元が違いすぎる・・・・・・・・。」

 

次元の違いを見せつけられた鳥海と天龍。一方、空中戦で互角以上に繰り広げる桜と駆逐棲姫の戦いは続く。

 

ダダダダダダッ・・・・・ガキンッ・・・・・ガキンッ・・・・・ガキンッ・・・・ダダダダダダッ・・・・・。

 

目に留まらない超高速の攻防戦を繰り広げる二人。もはや艦娘や深海棲艦とはレベルが違った・・・・。

 

ザバアアアアアアアン・・・・・・・・。

 

桜「・・・・・・・・。」

駆逐棲姫「・・・・・・・・。」

 

地上に降りた繰り広げる桜と駆逐棲姫。今まさに史上最強の激闘を繰り広げようとしていた・・・・。

 

桜「はああああ~~~~・・・・・・・・。」

駆逐棲姫「!!~~~~~~~・・・・・・。」

 

シャッ、シャッ・・・・ドカカカカカカカ~~~~~・・・・・・・・バキィィィィィィン~~~~・・・・・・・・。

 

超高速の連撃を繰り返す桜と駆逐棲姫。どちらも互角以上であった。

 

桜「はああああ~~~~・・・・・・・・。」

駆逐棲姫「!!~~~~~~~・・・・・・。」

 

ゴオオオオオオオオオオオ~~~~~~~・・・・・・・・・。

 

鳥海「・・・・・す、すごい気迫・・・・空気がピリピリする・・・・。」

天龍「ああ・・・・・付け入る隙がねえぜ。」

 

バチチチチ・・・・バチチチチ・・・・バチチチチ・・・・。

 

互いに力を溜めていく二人。二人の周りに闘気が激しくぶつかり合い、今まさに激しい戦いが始まろうとする予感を感じさせた。

そして・・・・ついにその瞬間が来た・・・・。

 

バッ・・・・ズザアアアアアアアア・・・・・・・・ドガガガガガガガガガガガガ~~~~~~~・・・・・・・・・・・・。

 

攻防は先ほどより激しさを増し、もはや艦娘と深海棲艦との戦いの次元が違いすぎた・・・・・・・・。

 

バアアアアアアアン・・・・・・・・・・・・ザ~~~~~~~・・・・・・・・・・・・。

 

二人が激突させた衝撃により海水は飛び散り、雨のように降り落ちた。

 

桜「・・・・・・・。」

駆逐棲姫「・・・・・・。」

 

目に留まらぬ俊足で桜の周りを走り回る駆逐棲姫。

 

桜「・・・・・・・・。」

 

桜は目を閉じ、精神統一していた・・・・・・・・。

 

シャシャシャシャ・・・・・・・ササッ・・・・ガチャッ。

 

桜の背後を回り込み、素早く砲身を向く駆逐棲姫。

鳥海「!!?」

天龍「お、おい・・・・後ろだ!!?。」

 

今まさに砲撃を放とうとする駆逐棲姫に対し、精神統一している桜は動かずにいた・・・・・・・・。

 

天龍「お、おいおい・・・・あ、あいつ・・・・何で動かないんだ!!?。」

鳥海「・・・・はっ・・・・な、何か・・・・あの深海棲艦の砲身・・・・光っています。」

 

桜の砲身が光りだした。それは力を溜め込んでいるようだ。

 

天龍「・・・・ま、まさか・・・・・あいつ・・・・・・。」

 

天龍は何かを察したようだ。その間、駆逐棲姫は砲身を放った。

 

ドドドドン・・・・・・・・。

 

駆逐棲姫が放つ砲撃は真っすぐ桜の方へ向かった。一方、目を閉じ、沈黙を続く桜であったが、砲身だけではなく全身から白い光の輝きは増し続けていた・・・・・・・・。

 

シュウウウウウ・・・・・・・・ドガガガアアアアアアン~~~~~~・・・・・・・・。

 

駆逐棲姫「!!。」

鳥海「!!?・・・・・き、消えた?・・・・・・・・。」

天龍「ど、どこに消えたんだ!!?。」

 

何と、桜は一瞬内に消えてしまった。慌てて辺りを見渡す駆逐棲姫。しかし、周囲にはどこにもいなかった。

 

駆逐棲姫「・・・・・・・・!!?。」

 

ジャキッ・・・・バシュウウウウウン・・・・ドガアアアアアアアアアン・・・・・バシャアアアアアアン・・・・・・・・。

 

艦魂技(トリガーバースト) “ドッズバスターキャノン”

 

何と駆逐棲姫の後ろに現れ、それに察知した駆逐棲姫は振り向く同時に桜のエネルギー砲を至近距離に打ち込まれて直撃、吹き飛ばされてしまった・・・・・・・・。

 

桜「はああ・・・・はああ・・・・はああ・・・・はああ・・・・。」

鳥海「・・・・・・・・・やったの?・・・・。」

天龍「・・・・あ、あいつ・・・・い、一体・・・・どういうトリックを使ったんだ?・・・・・・・・。」

 

何故桜が一瞬にして消え、駆逐棲姫の後ろに表れてたのか。では、桜の砲身がチャージした所からもう一度見てみよう!。

 

キュウウウウウウウン・・・・・・・・カアアアアアアアアア・・・・・・・・。

 

桜の砲身から全身に光が輝きだした。それはチャージした砲身のエネルギーが全身に伝えていたからだ。

その砲身のエネルギーは攻撃のためではなく、全身の身体能力の強化の為に転用した。

その結果・・・・・・。

 

シュウウウウウ・・・・・・・・ドガガガアアアアアアン~~~~~~・・・・・・・・。

 

身体強化を向上させた結果、駆逐棲姫の機動力をも超える超絶高速移動を可能とし、砲撃をかわし、周囲を移動しながら、隙を見て、駆逐棲姫の後ろに回り込んだ。

その時間は砲撃からかわし、後ろに現すまで、僅か30秒。

 

桜「はああ・・・・はああ・・・・はああ・・・・はああ・・・・。」

鳥海「・・・・!?・・・・あ、あれはっ?。」

天龍「ち、ちくしょうが・・・・・・まだ生きてやがったか!?。」

駆逐棲姫「・・・・・・・。」

 

至近距離での攻撃を受けながらも不屈の闘志で立ち上がる駆逐棲姫。すでに互いも体力に限界が近づきつつある・・・・・・・・。

 

駆逐棲姫「・・・マ、マダダ・・・・マダ・・・・勝負ハ・・・・終ワッテイナイ・・・・。」

桜「・・・・いいでしょう・・・・決着をつけましょう・・・・・・・・。」

 

カアアアアアアアアア・・・・・・・・。

 

二人の体が輝きだした。すべての力をこの一撃に勝負をかけたようだ・・・・・・・・。

 

桜「はああああ~~~~・・・・・・・・。」

駆逐棲姫「!!~~~~~~~・・・・・・。」

 

カアアアアアアアアアア・・・・・・・・バシュウウウウウン・・・・・・・・。

 

二人は光を包まれながら激突して爆発した・・・・・・・・。

 

鳥海&天龍「!!?・・・・・・・・。」

 

煙が晴れて、姿を現す桜と駆逐棲姫。勝利の女神はどちらに微笑むのか・・・・・・・・。

 

桜「・・・・・・・・。」

駆逐棲姫「・・・・・・・・。」

 

最後の力を使い果たし、疲労を隠せない二人であったが、それでも必死に立ち上がっていた・・・・・・・・。

 

駆逐棲姫「・・・・グッ・・ゴホッ!!?・・・・。」

鳥海&天龍「!!?。」

 

勝敗は・・・・桜に軍配に上がった・・・・・・・・。

 

ザバアアアアン・・・・・・プカプカ・・・・。

 

吐血して倒れた駆逐棲姫。先ほどの決着ですでに致命傷を受けていたのだ。

 

桜「・・・・・・・・グッ!!?。」

 

ドサッ・・・・。

 

しかし、桜もダメージを受けており、膝をつかせていた・・・・・・・・。

 

駆逐棲姫「ゴボッ・・・ゴホッ・・・ガハッ・・・ハア・・・ハア・・・ハア・・・ハア・・・。」

桜「・・・・・・・・。」

 

致命傷を負い、沈没寸前になりつつある駆逐棲姫。もはや勝負はすでに明らかであった・・・・。

 

駆逐棲姫「ハア・・・ハア・・・ハア・・・ハア・・・・ヘッ・・・・ウ、裏切リ・・・者ノ・・・・クセニ・・・ヤル・・・ジャ・・・ナイ・・・・。」

桜「・・・・・・・・。」

 

駆逐棲姫が放つ自身を倒した敵を称賛する言葉に驚く桜。そうしている内に駆逐棲姫の身体は徐々に沈んでいく。

 

駆逐棲姫「・・・・ク、悔シイ・・・・ケド・・・・私ノ・・・・負ケ・・・ミタイ・・・・ネ・・・・デモ・・・・サ、最高・・・ノ戦イ・・・ダッタ・・・・ヨ・・・・ア、ハハハ・・・・タ、楽シ・・・・・カッ・・・・・・・タ・・・・・・・・ヨ・・・・・・・・。」

 

ズズズズ・・・・・・・ブクブク・・・・・ゴボゴボ・・・・・・・・。

 

そう言いながら、深く海の底へと沈んでいく駆逐棲姫。しかし、その顔には満足したような笑みを浮かべた清々しい顔をしていた・・・・・・・・。

 

ゴボゴボ・・・・バシャアアアアン・・・・プカプカ・・・・プカプカ・・・・。

 

海の底へ沈んだ彼女の遺品である帽子が海面に浮かんでいた。

 

桜「・・・・・・・・。」

 

バシャアアア・・・・ポタポタ・・・・。

 

その帽子を拾い上げ、お互い全力を尽くし、悔いのない戦いに満足して散っていった駆逐棲姫を思い慈しむ桜であった。

その様子を見続けていた鳥海達。

 

鳥海「・・・・終わったのですか?・・・・。」

天龍「・・・・!?・・・・いや・・・まだ終わりじゃないようだぜ・・・・。」

鳥海「え?・・!!?・・・・う、嘘でしょう!!?・・・・。」

 

鳥海達が見たのは無数の深海棲艦であった。戦艦ル級を筆頭に軽巡ヘ級2体、軽母ヌ級4体、重巡リ級4体、軽巡ホ級4体、駆逐イ級10体の25体で構成されており、小隊クラスの艦隊である。

どうやら騒ぎを聞きつけてやってきたらしい。

 

鳥海「ま、まさか・・・・この戦いの騒ぎで聞きつけたの!!?。」

天龍「だが・・・・こっちは艤装はあいつに破壊されてしまっているしな・・・・・ちっ!・・・・これじゃ、八方塞がりだぜ。」

鳥海「くっ!!。」

 

鳥海達の艤装は桜と駆逐棲姫との戦闘で、破壊され、今は戦える状態ではなかった・・・・。

 

戦艦ル級「・・・・ニヤ。」

 

サッ・・・・ジャギジャギジャギジャギ・・・・・・・・。

 

鳥海達の艤装が使用不能であることを知り、笑みを浮かべながら自身の艦隊に攻撃指示する戦艦ル級。

戦艦ル級の攻撃指示により砲撃準備する艦隊。

 

鳥海「くっ!!。」

 

戦うすべを失った鳥海は死を覚悟した。その時っ!!?。

 

バシュウウウウウウウン~~~~~・・・・・・・・ドガガガガガガガ~~~~~ン・・・・・・・・。

 

戦艦ル級「!!?。」

 

何と光の砲弾が無数に分かれ、次々と敵艦隊の艤装を破壊した。

 

鳥海「!!・・・・何が起きたの!?。」

天龍「おい、見ろ。」

鳥海「!!。」

 

彼女が見たのは、先ほどの光弾を放った桜であった。

 

加古「み、見て!、古鷹!。あの深海棲艦、あたし達を守ったよ!!。」

古鷹「・・・・私達を守ったの・・・・あの深海棲艦は・・・・。」

青葉「・・・!?・・・・み、みんな・・・・あの深海棲艦の様子が変だよ!!?。」

衣笠「あわわ!!?。」

 

グラ・・・・バシャアアアアン・・・・。

 

海面にへたり込む桜。駆逐棲姫との戦闘のダメージが大きく、先ほどの攻撃は最後の力を振り絞っての砲撃であり、これで桜は戦うすべを失った。

 

天龍「まずいぞ・・・・あいつ、さっきの戦いでもう戦う体力がないはずだ。このままだと・・・・俺達はおしまいだ。」

鳥海「くっ・・・・・。」

 

敵は艤装を破壊したとはいえ、まだ戦う意思を見せている。

 

深海棲艦達「・・・・・・・・。」

桜「・・・・(どうしよう・・・・さっきので、力を使い果たしてしまっている・・・・今は艤装を破壊したけど、まだ戦うつもりみたい・・・・このままでは・・・・・・)。」

 

すでに力を使い果たした桜に艤装を破壊されてなおも今なお襲い掛かろうとする戦艦ル級を始めとする深海棲艦。

まさに絶体絶命である・・・・。

 

その時っ!!?。

 

ドガアアアアアアアン~~~~・・・・・・・・。

 

戦艦ル級「!!?」

 

突然、戦艦ル級が爆撃を受けた。何が起きたのか困惑する戦艦ル級の前に何かが飛んでいた。

 

ヴウウウウウウウウウン・・・・・・・・。

 

それは深海棲艦が使う搭載機だった。それを放ったのは・・・・・・・・。

 

鳥海「!?・・・・あ、あれは・・・・。」

天龍「さっきのチビ助!!?。」

ほっぽ「・・・・・・。」

 

どうやらほっぽが放った搭載機による攻撃であった。ほっぽは桜を庇うように歩き出すと深海棲艦に対し睨みつけた。

 

戦艦ル級達「!!?・・・・。」

桜「・・・・ほっぽ?・・・・。」

 

困惑する戦艦ル級達。そんな中、ほっぽが何かを呟く。

 

ほっぽ「・・・・カエレ・・・・。」

戦艦ル級達「?・・・・。」

ほっぽ「カエレッ!!!!。」

戦艦ル級達「!!!?っ。」

鳥海、天龍「!!?。」

 

ほっぽの怒声に大きく怯む戦艦ル級達と鳥海、天龍。さすがは「姫」級の深海棲艦であって、幼いながらもその威厳は健在である。

 

戦艦ル級達「・・・・・・。」

 

さすがにほっぽの威厳に恐れた戦艦ル級達は動揺していたが、しばらくすると海域から離脱を始めだした。

 

鳥海「・・・・去って行くわ。」

天龍「・・・・どうやら、あの深海棲艦のおかげで助けられたな・・・・・・。」

鳥海「え、ええ・・・・・・!!?。」

 

バシャアアアアン・・・・・・・・。

 

天龍、鳥海「!!?。」

 

何と桜が倒れてしまったようだ。駆逐棲姫との激闘、残り少ない力を使って戦艦ル級達を撃退した結果、力を使い果たしてしまい、気を失ったようだ。

 

鳥海「・・・・・・!?」

 

桜に近づこうとした鳥海にほっぽが咄嗟に飛び出し、両手を広げて立ちはだかり、桜を守ろうとした。

 

ほっぽ「・・・・・・。」

鳥海「・・・・・・。」

 

長い沈黙する鳥海とほっぽ。そして、先に動いたのは・・・・・・・・。

 

鳥海「・・・・・・安心して・・・・もう貴方達と戦う気はありません・・・・もうその子には手を出ししません・・・・。」

ほっぽ「・・・・・。」

鳥海「・・・・・・私達はこの海域から離脱します。司令部には貴方達の事は誰にも話しませんので、安心してください。」

天龍「いいのか、鳥海。あいつらを見逃してよ。」

鳥海「・・・・本部や提督には現場調査へ向かう途中に敵深海棲艦の襲撃を受け、撃退にしたもののこちらも艤装を失い、やむ得ず帰還することなった・・・・それでいいではありませんか?。天龍。」

天龍「・・・・はいはい・・・・わかったよ・・・・俺らもそうするつもりだよ・・・・ん?。」

ほっぽ「・・・・・・・・。」

 

天龍は自分に近づくほっぽに気づくが、何故かほっぽは目を輝かせながら見ていた。

 

天龍「・・・・何見ているんだ?、おい・・・・。」

ほっぽ「オ~~~、パ~~フィクト~~ボディ~~。」

天龍「ぱ、ぱ~~ふぃくとぼでぃ~~????。」

 

ほっぽからパーフェクトボディと言われ、動揺する天龍。そして・・・・。

 

ぽよ~~~ん。

 

天龍「のわっ!!?。」

ほっぽ「キャキャキャ。」

 

何とほっぽが天龍の胸を埋め込んできました。さすがに天龍も状況を理解できずに唖然してしました。

 

天龍「は、離せっ!、ガキンチョっ!!。」

ほっぽ「ヤ~~~ダ~~~~。」

 

必死に話そうとする天龍だが、どうやらほっぽに気に入ってしまったようで、離れなくなった。

 

鳥海「・・・・・・・・。」

 

鳥海は倒れている桜を見ていた。

彼女はふと考えていた。もし、彼女は今まで自分達を助けた友好な深海棲艦を会ったことはなかった・・・・・・・・。

敵である深海棲艦を倒すのは艦娘の務めであることは自覚していたが、自身を襲ったはずの深海棲艦に助けられ、その敵を見逃すという自らの行動に困惑しており、自分でもわからなくないいてと複雑な心情を抱いていた。

ふとその時・・・・。

 

ポニョッ。

 

鳥海「きゃっ!!?。」

ほっぽ「キャッキャキャキャ~~。」

鳥海「も~~~~やめて~~~~~~~!!?。」

 

今度はほっぽに気いられてしまい、絶叫する鳥海。

ほっぽと戯れて数時間後・・・・。

 

ザ~~~~・・・・ザ~~~~・・・・。

 

鳥海達は提督への報告と修理と補給のために本部へ帰還していった。

 

鳥海「・・・・・・。」

天龍「なあ、鳥海。あいつらのことが心配していたのか?。」

鳥海「!?・・・・そ、それは・・・・。」

天龍「気持ちがわかるぜ。けど、あいつら、敵である俺達を助けたんだ。あそこで静かに暮らした方がいいかもしれないぜ。大丈夫だよ。あいつらはまた会えるかもしないぜ。」

鳥海「・・・・え、ええ・・・・。」

 

鳥海は複雑な思いを抱きながら帰還して行った。

一方、桜とほっぽは言うと・・・・・・・・。

 

桜「く~~・・・・く~~・・・・く~~・・・・く~~・・・・」

ほっぽ「す~~・・・・す~~・・・・す~~・・・・す~~・・・・」

 

全力を尽くして疲れて眠った桜と彼女を添い寝するほっぽであった。彼女達の長い夜はようやく終わった・・・・。

一方、硫黄島鎮守府では、新たな動きが見せようとしていた・・・・・・・・。

 

硫黄島鎮守府 執務室

 

伊丹耀司「ヴェールヌイ、ソロモン海の調査だが、大本営の方針で3日後に調査が終わる未定が決定したらしい。これで大本営や他の鎮守府の艦隊も徐々に引き上げるようだ。これを機会に我々はソロモン調査の名目として、桜の捜索することにした。」

ヴェールヌイ「!!?・・・・提督・・・・それでは・・・・。」

伊丹耀司「ああ・・・・これで心置きなく桜を探し出せるからな・・・・ヴェールヌイも捜索する艦隊の編成をしてくれ。好機を見て出撃させるまで待機してくれ。」

ヴェールヌイ「Да(ダー)Понятно(パニャートナ)。」

 

ガチャッ・・・・タッタッタッタッタッタッ・・・・・・・・。

 

ヴェールヌイ「!!?」

 

ヴェールヌイは返事し、敬礼して執務室を出て、歩くとふと足を止めた。彼女の前に現したのは、阿武隈、北上、瑞鳳、子日の4人であった。

 

ヴェールヌイ「・・・・・・君達。」

瑞鳳「ヴェールヌイさん。捜索の許可をもらったのですね。」

ヴェールヌイ「ああ・・・・司令官から許可をもらった。これで心置きなく捜索できるさ。」

瑞鳳「・・・・よかった・・・・。」

子日「やった~~。これで子日達も行けるね~~。」

阿武隈「ま、まあ・・・・あたし的にはOKですけどね・・・・。」

北上「そう心配しないでよー。阿武隈。私達があの海域への調査の名目で出撃するからねー。これなら怪しまれずに行動できるし、安心して桜を探し出せるよねー。」

阿武隈「・・・・うん、ありがとう・・・・北上さん。」

ヴェールヌイ「出撃予定は三日後、それまで各自艤装の点検を行い、艦隊の編成後、司令官からの合図があるまで待機してくれ。尚、編成は私が決めるので、編成の際に呼ばれたら、よろしく頼むぞ。」

全員「はい!。」

 

伊丹率いる硫黄島鎮守府遊撃艦隊は密かに桜の救出計画を動き出していた・・・・・・・・。

一方、そんな硫黄島鎮守府遊撃艦隊の行動を密かに監視していた者たちがいた・・・・・・。

 

硫黄島近海 座礁した古びたタンカー

 

???「・・・・以上が硫黄島鎮守府に関する報告です。」

???「・・・・やっぱ思った通りだな・・・・・・あの鎮守府は何か隠しているようだな。」

???「提督、それって・・・・どういうことでしょうか?。」

???「・・・もしもだけどな・・・・まあ・・・・深海棲艦かもしれないな・・・・。」

???「深海棲艦!?、それってやばいですか!!?。」

???「まあ・・・・そうなるな・・・・俺の直感はよく当たるからな・・・・。」

???「ヒュ~・・・・こりゃあ大変だ・・・・。」

???「どうします、提督?、直ちに内偵調査しますか?。」

???「いや・・・・暫く泳がせていい・・・・仮にあの人が隠しているのが深海棲艦なら・・・・それは俺達の敵ではない・・・・・・・・。」

???「何故そう言い切るのですか?。」

???「・・・・俺のサイドエフェクトがそう言ってるからさ・・・・・・・・。」

???達「・・・・・・・・」

 

謎の人物の言葉に困惑している一団。まあ、そうなるな・・・・。

 

???「まあ、気にせず任務を楽しもうか・・・・俺の指示があるまでしばらく待機、そのまま監視を続けてくれ。以上、はい解散。」

???達「はい。」

 

そういうと一団は一旦解散し、指示があるまで硫黄島鎮守府への監視を続けることにした。

 

???「ねえ、提督。」

???「ん?。」

???「監視だけでいいの?。もしかして・・・・あの提督が艦娘と深海棲艦の共存できるかもしれないと思っているのかな?。」

???「・・・・どうしてそう思っているだい?。」

???「・・・・まあ・・・・しいと言えば・・・・貴方と同じサイドエフェクトって感じっかな・・・・。」

???「・・・ふっ・・・・。」

 

密かに硫黄島鎮守府を監視し続けている謎の一団。敵か味方なのかは近い内に明かされる・・・・。

 

それから五日後・・・・。

 

 

遭難10日目

無人島近海

 

自己判断システム「システム再起動実行中・・・・・再起動を完了致しました。」

桜「よし、これでうまく修理ができた・・・・かもしれないけど・・・・。」

 

自信ないそうなセリフを言う桜。彼女の艤装はほぼ修理を終えたようだ。

 

桜「あ、そうだ、ほっぽに挨拶しなきゃ・・・・ほっぽ!。」

 

桜はほっぽに別れの挨拶しようと探した・・・・・・・・。

 

桜「・・・・ほっぽ~~・・・・・・ほっぽ~~・・・・・・」

 

周囲を探索しつつほっぽを呼んで続ける桜。そして、しばらくして・・・・・・・・。

 

ザザ~~~ン・・・・・・ザザ~~~ン・・・・・・バシャ~~~・・・・。

 

桜「・・・・・・」

 

結局、ほっぽが見つからず、別れを告げずそのまま去ることになった桜。ふと、ほっぽがいた島を振り返ると一言言う・・・・・・・・。

 

桜「・・・・さようなら・・・・。」

 

別れを告げて去って行く桜。草むらの中で去って行く桜を見送るほっぽ。

 

ほっぽ「・・・・・・。」

 

鎮守府とソロモン海の中間辺り

 

一方、ソロモン海の調査を名目に桜の探索を行っていたヴェールヌイ達救援艦隊。

部隊編成はヴェールヌイを旗艦とし、阿武隈、北上、瑞鳳、子日、摩耶、神鷹、アイオワの8隻で編成され、特に瑞鳳と神鷹は三菱が長距離偵察及び索敵特化仕様に開発されたU-2十数機と試作型戦闘機「試作疾風(しさくはやて)04式」を装備された。

試作疾風04式は四式戦闘機「疾風」をベースに翼付け根前縁を頂点とした円錐に合わせて翼端では翼形全体までも湾曲させるコニカルキャンバーを主翼、アナログ計器主体のコックピット仕様、電子装備に、ターボエンジンであるF401-PW-400改良版2基搭載、機体をチタンやチタン合金を使用、武装として、M61A1機関砲二基、ミサイル「サイドワインダー」、「スワロー」計8発、対潜水艦用に開発された新型魚雷「試作型拡散魚雷0式」は内-部に小型ながら広範囲での火力と威力を誇る炸裂式破裂魚雷多数搭載した魚雷で、計4発を装備、ターボエンジンを搭載したことで、最大速度マッハ6を誇り、F-16以上の高速戦闘を得意とする

一方、子日には偵察及び索敵能力を強化した艤装を装備、センサー機器を増設し、索敵能力が大幅に向上、ネズミ型の艤装「子日ズ(ネノヒーズ)」にも装備され、索敵能力を大幅に強化され、より広範囲での索敵を可能とする。

ちなみに武装は護身用に76mm重突撃機銃二丁、パルデュス3連装短距離誘導弾発射筒二基を装備している。

ヴェールヌイ達は桜の艤装に搭載されているビーコンを頼りに捜索範囲を広げて探索していた。

 

摩耶「は~~・・・・・・暇だな~~~・・・・・・・・。」

北上「へ~~・・・・そうだね・・・・・・・・。」

阿武隈「・・・・あ、あの~~・・・・摩耶さん、北上さん。私達は桜さんの捜索をしているのですよ。気をしっかりしないといけないと、他の艦隊に気づかれてしまうますよ。」

北上「大丈夫~~大丈夫~~、この辺の海域はもうすでに調査が済んだみだいだし、ここを調査してた艦隊の殆どは撤退済みだから、安心だよ。」

阿武隈「・・・・・・・・。」

 

楽天すぎる北上に呆れる阿武隈。その様子を瑞鳳は心配する。

 

瑞鳳「・・・・だ、大丈夫でしょうか?。」

ヴェールヌイ「・・・・まあ、大丈夫じゃない・・・・」

アイオワ「Oh(オー)no(ノー) problem(プログラム)。」

子日「・・・・ね、子日・・・・心配です・・・・。」

神鷹「・・・・うん・・・・。」

 

心配しそうになる瑞鳳達。

 

ヴェールヌイ「無駄話せずに急ぐぞ。艦隊が撤退したといえ、まだ調査している艦隊はいるはずだ。気を付けて行くぞ。」

全員「おー(はい。)」

 

ヴェールヌイ達は急ぎ桜の捜索を続けた。そんな彼女達を密かに追っている者達がいた・・・・・・・・。

 

???達「・・・・・・・・。」

 

彼らはいったい何者なのか・・・・それはしばらく先で明かされる・・・・・・・。

一方、桜は硫黄島へ帰還すべく急いでいた・・・・・・・・。

 

W島近海付近

 

W島近海付近まで来ていた桜は硫黄島鎮守府を探し続けていた。

 

桜「・・・・・・ここまで来たけど、まだ鎮守府から通信が入っていない。まだ遠くにいるのかな・・・・・・・・。」

 

まだ鎮守府からの通信がなく、受信範囲ではないことを知る桜。さらに奥まで進んでいく・・・・・・・・。

 

桜「・・・・・・・・!!?。」

 

奥へ進む桜は何かの気配を感じ取り、後ろへ振り向いた。しかし、周囲には誰もいなかった・・・・・・・・。

 

桜「・・・・・・ふう~・・・・気のせいかしら・・・・・・・確かに誰かの気配が感じたんだけ・・・ど・・・・ね・・・・。」

 

桜は一度前へ向くと口が唖然となるほど驚いた・・・・・・・・。

 

桜「・・・・・・ど、どうして・・・・ここに・・・・・・。」

 

桜が驚くのも無理もない。桜が目の前にいたのは、そこにはいないはずだった者だった・・・・・・・・。

 

ほっぽ「エヘヘヘヘ・・・・。」

 

その意外な人物は島で会わないまま別れたはずのほっぽだった。満面の笑みを浮かびながら喜んでいた。

 

桜「・・・・・・・・」

ほっぽ「ホッポ、桜ト一緒ニ行ク。アソコデ待ツヨリ桜ト一緒ニイタ方ガ楽シイ~~~。」

桜「え、ええと・・・・・・・・。」

ほっぽ「キャキャキャキャ・・・・」

 

純粋な笑顔を見せるほっぽに桜は困惑、気まずくなった・・・・・・・・。

 

桜「・・・・ほっぽ、よく聞いてくれる・・・・・・。」

ほっぽ「?。」

桜「私はこれから鎮守府へ帰る所なの。」

ほっぽ「・・・・チ、鎮守府?。」

桜「そう、私が拾ってくれた所なの。提督や仲間達が住んでいるけど、ここで暮らしたいならいいけど、ただ、仲間といっても皆艦娘なんだけど、もしやだったら、引き返してもいいのよ。」

ほっぽ「・・・・・。」

桜「でも、このままだと他の鎮守府の艦隊に見つかって撃墜される危険性も高いし、本当なら仲間の所まで返したいけど、今は無理みたい・・・・ごめんね・・・・・・・・。」

ほっぽ「・・・・・アソコニ行ケバ、遊ンデレル?。」

桜「・・・・え、ええ・・・・司令官や仲間と許可を貰えば遊ばせるよ・・・・。」

ほっぽ「ヤッタ~~~。」

桜「あ、あははは・・・・・・・・はああ・・・・・・どうしよう・・・・・・・・。」

 

ほっぽは遊んでもらえると知り大喜びした。そんなほっぽを見ながら桜は困惑しながら今後どうするか考えていた。

 

桜「・・・・どうしよう・・・・!?。」

 

ピコーン・・・ピコーン・・・ピコーン・・・。

 

桜の艤装に内蔵していたレーダー機能が復旧され、鎮守府へのナビゲートが可能となった。

 

桜「・・・・これで現代地がわかったし、鎮守府へ帰られるわ。」

ほっぽ「ワ~~イ、ワ~~イ。」

桜「・・・・しかないね・・・・行くよ。」

ほっぽ「ウン。」

 

こうして、深海棲艦であるほっぽと共に鎮守府への帰還を急いだ。一方、ヴェールヌイ達救援艦隊も動きがあった。

 

鎮守府とソロモン海の中間辺り

 

子日「ヴェールヌイさん、レーダーに桜さんの艤装のナビゲート機能の反応をキャッチしました。」

ヴェールヌイ「よし、瑞鳳と神鷹はU-2を飛ばして、レーダーに反応した所を重点的に索敵してくれ。」

瑞鳳「はい、航空母艦、瑞鳳。推して参ります!。」

神鷹「航空母艦、神鷹。出撃致します。」

 

ビュウウウウウウウウウ・・・・・・・・バアアアアアアアアアアア・・・・・・・・。

 

甲板から次々とU-2を発艦させる瑞鳳と神鷹。U-2は艤装に装備されたナビゲート装置から放つ反応を目指して飛んで行った。

 

ヴェールヌイ「よし、これなら見つけらそうだ・・・・!!・・・・皆、散れ!!」

阿武隈「!!?」

北上「!!?」

瑞鳳「!!?」

子日「!!?」

摩耶「!!?」

神鷹「!!?」

アイオワ「!!?」

 

ヒュウウウウウウウ・・・・・・ドオオオオオオオオン。

 

突然の襲撃を受けたヴェールヌイ達。阿武隈達はヴェールヌイの声で散った事で最小限の被害を留めたが、突然の襲撃に困惑しいた。

 

阿武隈「い、一体・・・・何が?・・・・。」

北上「!!?、阿武隈、あれ見て!!」

阿武隈「えっ!、あ、あれって・・・・・・。」

 

阿武隈が見たのは驚愕なものだった。それは深海棲艦達が現れていたことであった・・・・・・・・。

数は駆逐イ級30隻、駆逐ロ級20隻、駆逐ハ級20隻、軽巡ホ級10隻、軽母ヌ級10隻、戦艦ル級6隻、空母ヲ級6隻、戦艦タ級6隻、重巡ネ級6隻、計114隻で編成されていた。

 

アイオワ「ホワーイ!、どうしてここに深海棲艦がいるのデスカ!?。」

瑞鳳「確か、ここは大本営や他の鎮守府の艦隊が調査した時はいなかったはずです。でも、どうして?・・・・・。」

子日「あわわわわわ~~~~!!?。」

摩耶 改二「こうなったらやるしかないぜ!、どうする、ヴェールヌイ。」

ヴェールヌイ「……しかたない、総員第一級戦闘配置!敵艦隊を掃討する。全員、生き残れ!、Ура(ウラー)!。」

アイオワ「さぁ、私の火力見せてあげるわ…Open(オープン) fire(ファイア) !」

摩耶「おう、いくぜ!,

摩耶様の攻撃、喰らえ~っ!!。」

阿武隈「阿武隈、頑張ります!。」

北上「砲雷撃戦、よーい、ってーー!!。」

子日「子日、張り切って撃ちまぁす、てぇぃ!。」

瑞鳳「さあ、やるわよ、試作疾風04式攻撃隊、発艦、アウトレンジ、決めます!。」

神鷹「神鷹航空隊、攻撃開始して下さい。」

 

ドドドドーーーン…………ドガガガガガ~~~~~~ン…………。

 

前の戦闘で仲間の由良を失った経験を元に艤装の強化、改良、さらに装甲の改良、轟沈対策の処置も行っており、戦闘能力も大幅に向上したが、試作疾風04式を装備した神鷹と瑞鳳の支援があるとはいえ、100隻以上の深海棲艦を相手に撃退するのに手がかかりそうである……。

一方桜とほっぽはいうと……

 

W島近海

 

ドガアアアアン~~~~……ダダダダ~~~……ドオオオオオン~~~……。

 

桜とほっぽはW島近海を来ていた。

そこでは、因島鎮守府所属の第三水雷戦隊と第四水雷戦隊が深海棲艦との激戦を繰り広げていた。

 

神通「撃ち方始め!!。」

 

ドオオン…ドオオン…ドオオン…ドオオン…ドオオン…ドオオン…。

 

無数の深海棲艦の搭載機を迎撃する第三水雷戦隊。それを見ていたさくらとほっぽはその光景を見つめた。

 

ほっぽ「桜、イッパイ飛ンデイルヨ。」

桜「ええ……こんな所で戦闘しているなんて……。」

 

そんな光景を見ている中、艦娘達は必死に応戦していました。

 

ドオオン…ドオオン…ドオオン…ドオオン…ドオオン…ドオオン…。

 

睦月「(……帰るんだ!絶対みんなと一緒に!……。)」

夕立「ブンブンうるさくて落とすの難しいっぽい~~~!!?。」

 

必死に搭載機を迎撃する第三水雷戦隊は、軽母ヌ級に魚雷攻撃を仕掛けた。

 

バババババッ……バシュウ~~~~~~ドオオオオオン……ドオオオオオン……。

 

魚雷攻撃を放つも搭載機に妨害され、軽母ヌ級に命中できずにいた…………。

 

ダダダダダダダダダダダダ…………チュンチュンチュンチュン…………。

 

搭載機の一機が睦月に向けて機銃を放ち、今間近まで追い詰められて絶体絶命の危機。

そこへ、吹雪が庇って迎撃した。

 

ドオオオオオオン。

 

桜「……すごい……。」

 

搭載機を撃破した吹雪。その様子を見て、吹雪のすごさを感じ取った桜。

 

睦月「はっ……吹雪ちゃん、魚雷!、正射必中だよ!。」

 

睦月の叫びで軽母ヌ級に向け、魚雷発射準備する吹雪。

 

吹雪「……(自分を信じて……)、お願い、当たってください!。」

 

バシュッ……ザバアアアン……ゴ~~~~……ドオオオオオオン。

 

吹雪の魚雷攻撃を受け、大破する軽母ヌ級。その隙を残さず、神通達は追撃を開始した。

 

神通「撃てー!!。」

 

ドドドドーーーン……ドガアアアアン…………。

 

神通の号令で第三水雷戦隊の魚雷攻撃を開始、大破して行動不能となった軽母ヌ級は命中し轟沈した。

 

ほっぽ「ワ~~~……スゴイネ、桜。」

桜「うん……!?。」

 

ヒュウウウウン……ドガガガガガ~~~~~~ン。

 

何と何処からか赤い砲弾数発が飛んできて、空中爆発し、無数の花火が周囲の深海棲艦に当たり、次々と撃沈していく。それは三式弾と呼ばれる対空用特殊砲弾で、大量の子弾が爆散、敵を編隊ごと一網打尽に殲滅する。

 

それは金剛率いる第二艦隊の支援砲撃で、遠征から戻る途中であった。

 

比叡「主砲、一斉射!。」

 

ドオオオン……ヒュウウウ……ドガッ……ドオオオオオオン。

 

比叡は放つ砲弾は見事、もう一体である軽母ヌ級に命中、爆沈させた。

 

睦月「ああ……」

吹雪「……す、凄い……。」

 

戦艦の強さに感じ取る吹雪達。一方、桜も戦艦の力を間近を見て驚いていた。

 

桜「……凄い……これが艦娘の力…………ん?。」

ほっぽ「桜?、ドウシタノ?。」

桜「さっき、砲撃で生き残っていた搭載機が飛んでいるみたい。まさか、誰かを狙っているかもしれない!。ほっぽはここに待ってね。」

ほっぽ「……ウン。」

 

ザ~~~~~~~~~…………。

 

桜は大急ぎで向かっていった。

 

同時刻。

 

球磨「見るクマ!、敵の残存艦が撤退していくクマ!。」

 

ザ~~~~~~~。

 

軽母ヌ級二隻を失い、次々と撤退していく深海棲艦の残存艦達。

 

如月「はあ……よかった…これでもう大丈夫そう……。」

 

睦月がいる艦隊が無事であるを知り、安堵する如月。

 

ヒュ~~~~……バサッ。

 

如月「やだ……髪の毛が傷んじゃう……。」

 

そこに潮風が吹き、髪が傷む事に気を取られてしまう。

 

ブウウウウウウウ~~~~~~…………。

 

すぐ近くに、金剛型による三式弾射撃によって壊滅した軽母ヌ級の放った艦載機の生き残りが損傷受けながらも飛んでおり、潮風に気を取られ、油断していた如月に対し、一瞬の隙を突いた決死の特攻を行った。

 

ヒュウウウウウ……ガコンッ…………チュドオオオオオン…………ヒュウウウウウウウ~~~~。

 

搭載機は三式弾射撃を受けた損傷が深く、爆弾を放った時には爆発したが、爆弾は如月の方へ真っすぐ投下していく。

 

如月「!!。」

 

 

振り向いた時には、既に爆弾は目の前に迫っていた…………。

 

 

睦月「(待っててね 如月ちゃん)」

 

チュドオオオオオン…………ゴオオオオオオ~~~~…………ゴポゴポゴポゴポ~~~~~~。

 

海上で大爆発を引き起こされ、海中でバラバラに砕け散る艤装と沈みゆく如月。

 

如月「……如月のこと、忘れないでね……。」

 

辞世の句と共に、ピンクの玉に三枚の羽根飾りが付いたような髪飾りだけ残して暗い深海の底へと消えていく如月。

周辺に味方艦はおらず、彼女の最期の声は、誰にも届かなかった………はずだった………。

 

如月「……ん、んん……?。」

 

何と轟沈したはずの如月が生きていた!?。

 

如月「……(こ、ここは?……私……生きているの?……!?)。」

ほっぽ「オ~~~……桜、目ヲ覚マシタヨ。」

如月「……(深海棲艦?……)。」

 

意識が朦朧しながら予想もしない光景に驚く如月。そこへほっぽが呼んできた桜が来た。

 

如月「(……あれは……吹雪さん?……)。」

 

桜の顔を見て自身が知っている顔を見て驚く如月。桜は如月の治療を行った。

 

如月「(……何で私が生きているの?……撃沈されたはず)」

 

何故如月が生きていたのか、理由は数時間前に戻す……。

 

数時間前 W島近海

 

ザ~~~~~~~~~…………。

 

桜は金剛達の砲撃で生き残っていた搭載機が艦娘を狙っていることを知り、大急ぎで向かっていった。

 

桜「……いた、あそこだ。」

 

潮風が吹き、髪が傷む事に気を取られてしまう如月。その後ろに損傷を受けた搭載機が油断している如月に向って飛んでいた。

 

ヒュウウウウウ……ガコンッ…………チュドオオオオオン…………ヒュウウウウウウウ~~~~。

 

搭載機は爆弾を放った直後、爆発、しかし、放った爆弾は如月の方へ真っすぐ投下していく。

 

桜「・・・・・!?……(間に合わない!!?)。」

 

この距離では間に合わないと悟った桜はある策を講じた。

 

桜「……(……あの子を助けるにはこの方法しかない!?)。」

 

カアアアアアア・・・・・ゴオオオオオオオオオ~~~~…………。

 

桜の体が光りだし、後ろの艤装が集中的に光りだした。

 

桜「はああああああ~~~~~~。」

 

バシュウウウウウウウウウウウウウウウウ~~~~~~。

 

ものすごい速度でぶっ走る桜。艤装に艦魂(かんバースト)のエネルギーを急速充填して超高速可能になったのだ。

 

桜「……(間に合って!!)。」

 

爆弾が如月に直撃した瞬間…………。

 

チュドオオオオオン…………。

 

海上で大爆発を起きた。如月はこの爆発に巻き込まれ、轟沈したかに見えた…………はずだった。

 

ゴオオオオオオ~~~~…………ザッ。

 

爆発した炎の中から現れたのは、如月を抱きかかえた桜であった。

爆発により真っ白なドレスはボロボロで、所々焼けている部分も目立つが、意外にも軽傷で済んでいた。一方、如月も爆発でボロボロになり、轟沈してもおかしくなかったが、桜が庇ったおかげで軽傷で済んでおり、気絶していた。

 

如月「…………。」

桜「……(何とか間に合った……)。」

 

爆発数分前

 

ヒュウウウウウウウ~~~~…………。

 

爆発した炎の中から現れたのは、如月を抱きかかえた桜であった。

爆発により真っ白なドレスはボロボロで、所々焼けている部分も目立つが、意外にも軽傷で済んでいた。一方、如月も爆発でボロボロになり、轟沈してもおかしくなかったが、桜が庇ったおかげで軽傷で済んでおり、気絶していた。

 

如月「…………。」

桜「……(何とか間に合った……)。」

 

爆発数分前

 

ヒュウウウウウウウ~~~~…………ガバッ。

 

爆弾が如月に直撃する瞬間、如月を庇った桜。

 

チュドオオオオオン…………。

 

爆弾の直撃で爆発を受けた二人であったが、桜が庇ったおかげで如月は軽傷に済み、桜はボロボロなりながらも無傷であった。

抱きかかえていた如月を優しく下した桜は艤装から緊急用の医療グッズを取り出した。

 

桜「…………。」

ほっぽ「……?。」

 

桜は説明書から医療グッズの使い方を学び、さらに轟沈対策として救命いかだとライフジャケットを取り出し、如月に装着した。

 

桜「…ふう……。」

ほっぽ「……大丈夫ナノ?。」

桜「ええ、後は治療キットで応急処置をすれば大丈夫だよ。まず、ここに信号弾を撃てば、救助がくるかもしれない。」

 

カチャッ……バシュウウウウ~~…………ヒュウウウウウウウウン…………。

 

信号弾を放つ桜。そこへほっぱが駆け付けた。

 

ほっぽ「オ~~~……桜、目ヲ覚マシタヨ。」

桜「わかった。今から治療するわ。」

 

目を覚ました如月は意識が朦朧しているようで、桜は応急キットで治療を始めた。

 

如月「……。」

 

意識が朦朧しながら予想もしない光景に驚く如月。そこへほっぽが呼んできた桜が来た。

 

如月「(……あれは……吹雪さん?……)。」

 

桜の顔を見て自身が知っている顔を見て驚く如月。桜は如月の治療を行った。

 

如月「……。」

桜「待ってね。今助けるから。」

 

桜は説明書通り、治療キットにより治療を行い、適切な応急処置を施した。

 

桜「……よし、これで応急処置は済んだし、後は艦娘が助けに来るかもしれないからここを出ないと……ん?……どうしたの?。」

如月「……ふ、吹雪……さん……。」

桜「……?……吹雪さん?。」

 

自身を見て誰かのことを勘違いしていたようだが、如月はそのまま気を失った。

 

桜「……一体、吹雪って誰のことだろう……。」

ほっぽ「桜、桜、早ク行コウ。」

桜「う、うん……。」

 

桜はほっぽを背負って、その場から離れ、艤装のナビゲート機能を頼りに進んでいく。

 

ザ~~~~~~~~~…………。

 

一方、ヴェールヌイ達というと…………。

 

鎮守府とソロモン海の中間辺り

 

ヴェールヌイ達は突如現れた深海棲艦の襲撃を受け、激闘の末、深海棲艦達を撃退に成功したが、搭載機を多く損失し、艤装も損傷が激しく、アイオワは大破、摩耶やヴェールヌイは中破、瑞鳳、子日も小破されたが、搭載機の多くを損失、戦闘の継続は不可能です。

 

 

ヴェールヌイ「ふ~……何とか撃退したな……。」

阿武隈「は~……一体、あの深海棲艦は何だったんですか?。」

北上「あの深海棲艦の群れ、これまでもない位強かったし…………。」

摩耶「……まあ、気にすることは仕方なねえよ……今は桜を見つけてさっさとこの海域から出る事だけさ。」

神鷹「し、しかし……今の戦闘で、搭載機が多く消耗し、艤装も多く損傷しています。今度、敵艦隊と出会ったら一たまりもありません。」

瑞鳳「それと、先ほどの戦闘で燃料も少なくなっています。このままだと鎮守府までの帰りまでの燃料が無くなってしまいます。どうしますか、ヴェールヌイさん。」

ヴェールヌイ「…………。」

 

ヴェールヌイは目を閉じ、考えを考案していた。このまま進めて桜の探索を続けるか、補給の為に引き返すか、どれかを選択をしていた…………。

 

阿武隈「ヴェールヌイさん……ま、まさか……捜索を打ち切りして引き返すつもりですか?。」

北上「阿武隈、そんな暗い事を考えちゃ……せっかくの顔がしわしわのもやしになっているよー。」

阿武隈「も~~~~、き、北上さんったら~~~。」

北上「うひひひひ。」

アイオワ「Oh!、元気ですネ~~。」

瑞鳳「それよりもあの深海棲艦は一体何でしょうか?。今までの深海棲艦とは比べ物の成らないほどの強さでした。」

子日「子日も、すっごく怖かったよ。あんなに恐ろしい深海棲艦は初めてだよ。」

摩耶「俺もそうだ。あの駆逐艦ですら砲撃を加えてもまだピンピンしてやがったぜ。」

アイオワ「Ouch(アウチ)!。駆逐艦と侮ってしまいましたネ……まさか、Me(ミー)の主砲を直撃してもものともしなかったですネ。おまけに駆逐艦一斉攻撃で大破されてしまいましたデス……。」

ヴェールヌイ「確かにそうだな……これは司令官に報告すないとな。」

神鷹「確かにそうの通りです。三菱が作ってくれた試作疾風04式のおかげで何とか撃退に成功しましたが、こちらは、摩耶さんやヴェールヌイさんが中破、アイオワさんも大破に追い込まれて、私や瑞鳳、子日さんも小破されましたが、搭載機の多くを損失、戦闘の継続は不可能です。このまま敵と遭遇すれば確実にやられてしまいます。」

瑞鳳「それよりヴェールヌイさん。これからどうしますか?。先ほどの戦闘で私達の艤装の多くは損傷、搭載機も多く損失し、航空支援もできません。それに帰りの燃料も少なくなっていますし、このままでは鎮守府までの帰還ができなくなります。」

子日「ひゃんっ!、どうしよう!、どうしようっ!!。」

ヴェールヌイ「…………。」

 

ヴェールヌイは目を閉じ、腕を組みながら静かに考えていた。深海棲艦との戦闘で艦隊の殆どが戦力を失い、さらに戦闘により帰還用の燃料も少なくなっていた。このまま探索を続行すれば鎮守府への帰還ができなくなり、補給と修理の為に鎮守府へ帰還すればいいが、その間にも他の鎮守府の艦隊に見つかる可能性が高くなり、救出が不可能になってしまい、このまま桜を見捨てる事になる。

桜の為にこのまま捜索は続行か、負傷した仲間の為に帰還するか。ヴェールヌイは苦情の選択に迫り、仲間の為に帰還するという苦情の決断を下そうとしていたその時……。

 

瑞鳳「ヴェールヌイさん。周辺の海域へ偵察していたU-2の一つが桜さんの艤装のナビゲート機能を探知しました。今、現在地を検出していますので、数分あれば場所がわかれば特定できます。」

ヴェールヌイ「Молодец(マラヂェーツ)!。みんな、場所が分かれば急ぎ向かうぞ。」

全員「はいっ。」

 

ヴェールヌイ達は探知したナビゲート機能から発する信号を頼りに急ぎ進んだ。

一方、桜達はナビゲート機能が示す鎮守府のへの案内に従い、突き進んでいた。

 

ほっぽ「!?……桜、何カ飛ンデキタ。」

桜「ん?…………!!?……あ、あれは?…………。」

 

ヴウウウウウウウウン………………。

 

それは瑞鳳が周辺の海域へ偵察していたU-2であった。U-2は桜を見つけると旋回しながら待機していた。

 

桜「…………。」

 

その様子を見る桜。その時、U-2は桜に近づくと、操縦している妖精がコクピット越しからハンドサインを行っていた。

 

桜「………(ついてこい?……もしかして、硫黄島鎮守府の妖精!?)。」

 

桜はU-2に操縦していた妖精は硫黄島鎮守府所属であることを知り、付いていく事に決めた。

 

桜「ほっぽ、あの飛行機について行くよ。」

ほっぽ「ウン。」

 

桜はほっぽを連れて、U-2に付いていくことにした。

 

海上 合流地点

 

ヴェールヌイ「桜!。」

阿武隈「桜さん!。」

子日「桜ちゃん!。」

北上「桜!。」

瑞鳳「桜さん!。」

神鷹「桜さん!。」

アイオワ「Hey、桜。」

摩耶「桜!。」

桜「……みんな。」

 

桜はヴェールヌイ達と再会したことで安堵していた。しばらく仲間達と離れ離れとなり、単独行動していた為、心細かったが、ほっぽとの出会いで安らぎを感じ、孤立しながらも再開するまで耐えてきたのである。

再会した時、安堵したせいか、涙を浮かべるのであった。

 

ヴェールヌイ「よく頑張ったな。桜。」

桜「……うん。」

瑞鳳「桜さん!。」

神鷹「桜さん!。」

桜「うわっ……ず、瑞鳳、神鷹……心配かけてごめんね……。」

 

瑞鳳と神鷹に抱き着かれる桜。二人も桜の事を心配していたようで、再会した瞬間、泣きながら抱き着いたのである。

 

阿武隈「提督が待っているよ。早く帰ろ。」

子日「やっほーい!、早く帰ろう。」

摩耶「おう、さっさと帰るぞ。」

アイオワ「Hey、Good job(グッ ジョブ)デスネ。!」

 

桜の救助という目的を果たしたヴェールヌイ達は今すぐ帰還しようとしたその時……。

 

阿武隈「あれ?、桜さん。その後ろにいるのは誰?。」

桜「あっ、忘れたわ。この子はを紹介するわ。さあ、ほっぽ、出てきて。」

ほっぽ「……。」

ヴェールヌイ「!?。」

阿武隈「!?。」

子日「!?。」

北上「!?。」

瑞鳳「!?。」

神鷹「!?。」

アイオワ「!。」

摩耶「!?。」

 

桜の後ろからこっそり顔を出したほっぽを見て、驚くヴェールヌイ達と唖然する桜。

 

阿武隈「さ、桜さん……な、ななななななな何で深海棲艦が!!?。」

子日「あわわわ………ガクっ。」

北上「あ~、何で深海棲艦がいるのか不思議だねぇ~~。」

瑞鳳「あわわわわわわわ~~~~~!!?。」

神鷹「Ich(イッヒ) bin(ビン) überrascht(ウーバーラシュットゥ)!。」

アイオワ「You(ユー) must(マスト) be(ビー) joking(ジョーキング)!。」

摩耶「……う、嘘だろ!おいっ!!。!?。」

ヴェールヌイ「……さ、桜……ど、どういう事は説明してくれないか…………。」

桜「え、ええと……鎮守府で帰ったら話すから……あ、あははは……。」

ほっぽ「……!!?。」

アイオワ「why?、何でMeを見ているのデス?。」

 

アイオワを見続けるほっぽ。そして、ほっぽの目が光りだすとこう言った…………。

 

ほっぽ「オ~~~、パ~~フィクトボディ~~。」

アイオワ「パ、パーフェクトボディ!!?……!!!?。」

ほっぽ「キャキャキャキャ~~~♡。」

アイオワ「OH(オー)!~~~~NO(ノー)!!~~~~。」

ヴェールヌイ「……か、Какой(カコイ) беспорядок(ビスパリャーダク)…………。」

阿武隈「………………。」

子日「あわわわ………ガクっ。」

北上「あ、あ~……ずいぶん情熱だねぇ~~~~…………。」

瑞鳳「あわわわわわわわ~~~~~!!?。」

神鷹「……お、Oh(オー) mein(マイン) Gott(ゴット)……ガクッ。」

摩耶「………………。」

桜「はああああ~~~~~………………。」

 

人目にくれず、アイオワの巨乳を揉む出したほっぽ。絶叫するアイオワ。その光景に赤面するヴェールヌイ達。顔を手を立てて嘆く桜。

 

しばらくした後、興奮したほっぽを落ち着かせた後、桜はヴェールヌイ達に状況を説明した。

ヴェールヌイ「………そうゆう事か、事情が分かった……まさか、こんなことになっているとはな…………。」

桜「ごめんなさい。この子がどうしてもほっとけなかったの。」

ヴェールヌイ「………。」

阿武隈「ど、どうすつのですか?。この深海棲艦を鎮守府へ連れて行く気ですか?。」

北上「ん~?、まいったね~~……。」

瑞鳳「……ど、どうするのですか?。」

摩耶「は~~~……まいったぜ……どうすんだよ、これ……。」

桜「提督には話をするのですが、ただこの子は敵対する意思はないの。ただ……独りぼっちになって寂しかっただけで…………。」

ヴェールヌイ「…………わかった、提督には帰ったら、一緒に報告しておこう。それまでこの子を鎮守府に連れていく。」

阿武隈「つ、連れて行くって、ヴェールヌイさん。この子は深海棲艦ですよ。このまま連れてっていいのですか!?。」

北上「あ~~~……でも、どう見ても~~~……あれだし…………。」

ほっぽ「きゃきゃきゃ~~~。」

阿武隈「…………。」

瑞鳳「あわわわわわ~~~~~。」

摩耶「おい、落ち着けよ。瑞鳳。お前まで気絶したら、これ以上担ぎきれないぞ。」

アイオワ「……mamma(マンマ) mia(ミーア)!」

ヴェールヌイ「…………やれやれ…………ほっぽと言ったね。今から鹵獲するけど、もし君が嫌なら何も見なずに見逃すけど、どうする?。」

ほっぽ「…………。」

 

ヴェールヌイの問いにほっぽはしばらく沈黙していたが、こう言った。

 

ほっぽ「……ツイテ行ッタラ、遊ンデモラエル?。」

ヴェールヌイ「……ああ……暇だったら、遊んでもらえるよ……。」

ほっぽ「行ク!、桜ガ一緒ナラ構ワナイヨ!!。ネエ、桜モイイデショ。」

桜「…………。」

 

ほっぽの無邪気な問いに少し困惑する桜だったが、さすがにほっぽの笑顔を見て、まいったのかこう言った…………。

 

桜「……わかった、一緒に遊んであげるからいい子にしてね。」

ほっぽ「ヤッタ~~~。」

桜「ヴェールヌイもそれでいいでしょ?。」

ヴェールヌイ「……まあ、本人の希望があれば何も問題はないさ。みんなもそれでいいか?。」

阿武隈「ま、まあ……桜さんやヴェールヌイさんがいいなら構いませんが…………。」

北上「ん~、阿武隈……もしかして……見惚れているでしょ?。」

阿武隈「!!?、そ、そんな事はないでしょ~~~!!、わ、わわわわわ私が~~~そそそそそんな事~~~~…………。」

北上「ひひひひ~~、そういう顔も可愛いよ。あ、因みに阿武隈がOKなら構わないよ。」

瑞鳳「……わ、私は……桜さんが認めているなら大丈夫です。」

摩耶「は~~~……しかたねえな……好きにしなよ。」

ヴェールヌイ「よし、みんなの総意が決まったら、そろそろ帰還するぞ。桜。」

桜「う、うん……。」

 

こうして、気絶した神鷹と子日を除き、全員からの承諾を得た桜はほっぽを連れ、ヴェールヌイ達と共に硫黄島鎮守府へと帰還していった…………。

 

しかし、そんな桜達の様子を伺う者達がいたことは誰も知らない…………。

 

???「ヒュ~……これは驚いたね……まさか、深海棲艦と行動しているとはね……。」

???「どうします。師匠。今すぐ現行犯で捕縛しますか?。」

???「いいや、その必要はないよ。まずは提督に報告し、その指示があるまでは待機。」

???「!!?、ど、どうしてですか!、彼女たちは明らかに深海棲艦を接触していたことを隠しており、軍機違反をしております。それを見逃すことは私達「ツキカゲ」が許されるはずは……。」

???「半蔵門。忘れたの?、私達ツキカゲはあの人の艦隊だけど、あくまでも私設諜報機関。大事なのは相手を見て、聞いて、どう考えることだよ。それに私にはあの子らが敵とは思えないだね。」

半蔵門雪「…………。」

 

彼女たちの正体は本皇国本土防衛軍玉狛支部直属の特務任務艦隊にして、私設諜報機関「ツキカゲ」であった。

ツキカゲである藤林長穂達は上司である迅悠一の密命により密かに伊丹の動向を探っていたのである…………。

 

半蔵門雪「……本当に彼女達は私達ツキカゲの……いえ……我々の敵ではないという保証があるのですか?……師匠……。」

藤林長穂「う~~ん……そうだね……まあ……保証はないけど……しいといえば……。」

半蔵門雪「……。」

藤林長穂「勘、かな?……てへっ。」

半蔵門雪「……し、師匠…………。」

藤林長穂「まあまあ、いいじゃない。待機中しているみんなに連絡して撤収、帰ったらいっぱいマッサージしてね雪。」

半蔵門雪「はいはい……。」

 

長穂達は桜達を見届けた後、上司である迅への報告をするために帰還することになった。長穂は一旦止まり、振り返るとこう言った……。

 

藤林長穂「艦娘と共存する深海棲艦と伊丹耀司提督か………どんな人なのか、会うのが楽しみね……。」

 

そう言うと長穂は笑いながら去って行った………。

 

後に桜との運命的な出会いをするのですが、それは次回にてのお楽しみに…………。

 

桜達が鎮守府へ帰還する中、誰もいないはずの海の中に何かが蠢いていた。

 

ゴポゴポゴポゴポ~~…………。

 

泡ぶく海面の真下には黒い靄のようなものが不気味に蠢いていた…………。

 

一方、何も知らない桜達は鎮守府へ帰還していた。

 

 

硫黄島鎮守府 執務室

 

 

ヴェールヌイ「司令官、ヴェールヌイ以下7名の他、桜、全員帰還しました。」

伊丹耀司「ああ、よく無事に戻ってくれたな。ヴェールヌイ。桜。後、他のみんなも無事に帰ってきてくれてよかった。」

桜「……は、はい……いた……し、司令官っ!。」

 

一週間ぶりに再会した桜達であったが、みんな余所余所しくなっていた。

 

伊丹耀司「?……どうしたんだ、みんな…………そんなよそよそしくなって、何があったんだ?。」

 

伊丹の指摘に皆顔を合わせてそわそわしていた。そんな中、桜が前に出た。

 

桜「……あ、あのう……司令官……じ、実は……。」

 

伊丹耀司「?……!!?。」

 

ヒョコ……ふるふる……。

 

そわそわする桜の後ろに謎のアホ毛が出ていた…………。

 

伊丹耀司「……(何でアホ毛が?…………!!?)。」

 

ひょこ……。

 

伊丹耀司「……え、ええええええ~~~~~~~~~!!!!!?。」

 

ガタッ……。

 

桜の後ろから出てきたのは、深海棲艦であるほっぽであった。突然の登場に驚く伊丹。

 

伊丹耀司「……え、ええと…………ど、どういう事か……説明してくれない?。」

桜「え、えええと…………実は…………。」

 

桜は提督に事情を話す事をした…………。

 

伊丹耀司「……なるほど……そういうことか…………事情は分かった……。」

桜「…………。」

伊丹耀司「そう顔をするなよ、桜。別にこの子が敵であるから、倒す訳ではないよ。俺はね、国民に愛される提督だよ。俺達とケンカするより、仲良くした方がいいと思うぜ。その子がここで住むというなら、受け入れよう。」

桜「!!?………し、司令官っ。」

伊丹耀司「まあ、責任は俺がとるから安心しな。にっ。」

桜「!!?………は、はいっ。」

 

伊丹はほっぽの受け入れを許可した。

 

ほっぽ「……桜、コノ人ガ桜ガ言ッタ提督?。」

桜「ええ、そうよ。この人が私達の提督なのよ。私達深海棲艦を受け入れてくれるの。」

ほっぽ「…………。」

伊丹耀司「え、ええと……こ、こんにちわ~~……言葉わかる?。」

ほっぽ「…………。」

伊丹耀司「ぼ、僕の名は伊丹耀司……見ての通り……この鎮守府の司令官で、桜の上司でもあるんだよ………君の名前を教えてくれたら……う、嬉しいけど…………。」

ほっぽ「…………。」

伊丹耀司「え、ええと……どうしたの?。」

 

ジト目で伊丹を見つめるほっぽ。しばらく沈黙が続いていたが、先にほっぽはこう言った…………。

 

ほっぽ「何カ聞イテイルダケデ痛ソウナナ名前ダネ……。」

伊丹耀司「ええええええ~~~~~~!!!?。」

 

ほっぽのあまりの痛すぎる言葉にショックを受ける伊丹。

 

ほっぽ「……デモ、ココニイレバ遊ベルッテ、桜カラ聞イテイルカラ……ソ、ソノ……ダメ?。」

伊丹耀司「うううん…………!?。」

 

伊丹は頭を傾げながら考え込み、しばらく沈黙してからこう言った…………。

 

桜「し、司令官。この子は確かに深海棲艦です。だけど、この子は島でたった一人で暮らしていたのです。仲間がいない中で一人ぼっちで我慢していたのです。無理の承知の上で申し上げますけど、どうかこの子を引き取ってくれませんか?。お願いいたします。」

 

頭を下げてお願いする桜。彼女の切実な願いに伊丹は…………。

 

伊丹耀司「…………大丈夫、任せて。ここに住みたいなら構わないよ。」

桜「!!?……し、司令官…………。」

ほっぽ「ヤッターー-、キャキャキャッ。」

ヴェールヌイ「!!?。」

 

伊丹はほっぽを受け入れる事を決めたが、それを聞いたヴェールヌイは慌てて進言した。

 

ヴェールヌイ「し、司令官……。」

伊丹耀司「ん?。どうした、ヴェールヌイ?。」

ヴェールヌイ「こんな簡単に受け入れて大丈夫なのか?。相手は子供でも深海棲艦、()()()()なんだぞ。桜だけでも危険なのにこれ以上庇い切れないだぞ?。それでいいのですか?。」

伊丹耀司「ふううう…………いいじゃない。一人ぼっちしているなら、受け入れるだけさ。傷つけている相手が例え深海棲艦でも助けるのが、軍人の務めだからね…………。」

ヴェールヌイ「…………上にはその事は報告しないつもりなのか?。」

伊丹耀司「ああ……時期が来れば報告するつもりだ。すまないけど、桜とほっぽとしばらく面倒見てくれないか?。」

ヴェールヌイ「…………。」

 

ヴェールヌイは返答できずにいた。敵である深海棲艦であるほっぽを受け入れる事に抵抗を感じていた…………。

そんな中、阿武隈が出てこう言った…………。

 

阿武隈「て、提督に質問があります……敵であるあの子を引き取るのはどうしてですか?。提督は何故深海棲艦を助けるのか気になっていますが……どうしてですか?。」

北上「お~~~確かに気になるね~~。」

伊丹耀司「ああ……それねえ…………。」

 

伊丹はしばらく沈黙した……そして…………。

 

伊丹耀司「確かに深海棲艦は我々人類を仇なす不倶戴天の敵であり、分かり合えない存在でもある……ただ、たとえ相手が深海棲艦でも傷ついていたり、帰る場所がないのなら……俺はほっとけないんだ。」

阿武隈「…………。」

伊丹耀司「俺はな……敵を倒すだけが使命とは思わないんだ…………深海棲艦の中には分かり合える者がいるかもしれないし…………たとえ敵でも傷つけていたなら、手を差し向け、手を取り合うのなら手を取り合うのが、俺の信条だ。」

阿武隈「………そ、それは………。」

伊丹耀司「……けど、俺は知っている……深海棲艦は戦いに敗れ、轟沈した艦娘達の成れの果てで、轟沈した艦娘は深海棲艦と化し、深海棲艦化後に艦娘に沈められた場合、再び艦娘としての姿に戻ることができるが、これが繰り返す限り、この戦は止まらない……。」

阿武隈「えっ!!?」

全員「!!?。」

桜「!!?。」

 

伊丹が放つ衝撃の言葉に一瞬言葉を失い、互いに顔を合わせるなど混乱していた。桜もびっくりしていた。

 

伊丹耀司「これを防ぐには……1人も沈まずに、深海棲艦達を全滅させる必要があるという事だが、今の我々はその様な事に気にせず、戦争を続いている…………偶発的な衝突、無計画な戦線の拡大、戦力の逐次投入、またたく間に拡大する戦火、その戦火に巻き込まれる人々。考えただけでぞっとする、ってさ……だから俺達がこの戦いをどう止めようと考えてきたんだ………それしかできないからな…………。」

阿武隈「…………。」

全員「…………。」

 

余りにも深刻で重い話に気難しくなる阿武隈達。

 

伊丹耀司「……けど、俺は桜と出会って確信したんだ…………深海棲艦とは、話し合えるとね……。」

阿武隈、全員「…………。」

伊丹耀司「だってそうだろう?……敵対していた奴が、危険を顧みず、敵である艦娘を助けたりなんかしないだろ……それに……深海棲艦の多くは艦娘や人間に敵意を持つ者が多ったが、ほっぽみたいな大人しい者も少なくないからな…………それにこの子は深海棲艦でありながら、人見知りだけど、桜が懐いているし、我々に敵意を見せていないのがその証拠だ。」

阿武隈、全員「…………。」

伊丹耀司「この国や人々を守るため、これは嘘じゃない。けどもう一つ……俺達と喧嘩するより仲良くした方が得だと上や深海棲艦に理解してもらう為さ。」

阿武隈、全員「…………。」

 

伊丹の言葉に躊躇いを感じさせる阿武隈達。

 

伊丹耀司「改めてみんなにお願いしたい…………この子を桜と同じように親友や友人、姉妹のように扱ってほしいんだ。この通りだ。」

 

頭を下げる伊丹。そんな伊丹に対し、ヴェールヌイ達の答えは決まっていた………………。

 

ヴェールヌイ「司令官、我々の答えはもう決まっている………私達は提督を信じていくだけだ。」

阿武隈「あ、は、はいっ!!、あたしも………阿武隈も提督を信じてついていきます。」

艦娘達「………………」

 

艦娘達もヴェールヌイや阿武隈に賛同して頭を縦に振った。

 

伊丹耀司「あ、ありがとう、みんな………なあ、どうだった、ヴェールヌイ………僕、人道的でしょ?。」

ヴェールヌイ「………司令官ならそう仰ると思ってるよ………ただ………。」

伊丹耀司「ただ?。」

 

ヴェールヌイ「司令官は特別な趣味をお持ちだからとか………あの子がロリだからとか………色々と理由を申し上げては失礼になるかと思うのだが………まあ、結果はオーライだけどね。」

伊丹耀司「うっ!!?。」

桜「し、司令官………。」

ほっぽ「む~~~~…………。」

伊丹耀司「………そんな目で見ないでくれ~~~~~………………。」

 

伊丹の言葉に対し、微笑みながら嫌味たらしく答えるヴェールヌイ。それを聞いてジト目で見る桜とほっぽ。

 

伊丹耀司「よし、みんな、今日は桜の帰還と新たな仲間ほっぽを祝って歓迎会を開くぞ。」

阿武隈「歓迎会、はい、あたしも頑張ります。」

北上「うひひひひ………阿武隈、本当に大丈夫か、あたしが手伝ってやろうか?。」

阿武隈「ちょっ!?………き、北上さん!、変な事言わないでください!!。」

ヴェールヌイ「おいおい………みんな、歓迎会の準備するぞ。」

艦娘「は~~~い。」

 

こうして、桜の帰還と新たな仲間になったほっぽを祝う歓迎会を開くことになった硫黄島鎮守府。

一方、因島鎮守府W島での戦いで終えた吹雪達が帰港していた………。

 

因島鎮守府 軍港

 

吹雪達を出迎えたのは利根達であった。利根、愛宕、高雄、大井、北上、暁、響、雷、電は活躍した吹雪を褒め称えた。

 

利根「金星を獲ったそうではないか。よくやったの吹雪。」

電「凄いのです。」

響「ハラショー。」

吹雪「四水戦のみなさんはまだ?」

利根「…あぁ まだじゃ」

 

吹雪が四水戦の帰還がまだなのかを聞くと、どこか重々しく気まずいた雰囲気で話す利根。

睦月はキョロキョロと辺りを見渡し、どこかへ走り去った………。

 

吹雪「睦月ちゃんどこいくの?」

睦月「岬!、一番最初に如月ちゃん達をお迎えしたいの!。」

 

睦月は帰還するだろう如月達を迎えに行くのであった。その様子に暗い顔をする利根、神通。

 

利根「………言っておらぬのか?」

神通「……まだ確定してませんから……希望が少しでもあるうちは……。」

利根「……じゃがその方が残酷なこともあるぞ………。」

神通「………そうですが………。」

利根「とはいえ………如月は今も意識不明じゃ………それをあの子に言える気か?………。」

神通「………。」

 

如月の事で心配し、睦月を案じる二人であったが、一方、長門は提督室にて提督にある報告をしていた………。

 

因島鎮守府 提督室

 

長門「………提督、ご報告致します………本日、一五四二 W島沖56kmの海域にて駆逐艦如月、敵艦の爆撃により大破炎上、夕張たちは捜索を続けていましたが、救援を呼ぶ信号弾を発見し、それを捜索した結果、無事に見つかりました………。」

提督「………。」

長門「発見当時は大破寸前で追い込まれ、意識はまだ回復していませんが、容体は安定しています。現在は医務室で療養中です………ですが………。」

提督「……?。」

 

長門の言葉に疑問を感じる提督。

 

長門「………実は提督には報告していないことがありました………あの時、如月を助けたのが……“()()()()”です………。」

提督「!!?。」

 

長門の衝撃の言葉に驚きを隠せない提督。さらに長門の報告は続いた………。

 

長門「報告によれば………如月を捜索、救助した夕張の話だと………何者かによる救援用の照明弾を発見、その照明弾を放った海域に零式水偵を捜索した所、如月を発見しましたが、発見当時、如月は大破していますが、軽傷で済んでおり、手当てを受けた形跡がありました………。」

提督「……。」

 

真剣に長門の話を聞いている提督。長門の報告はまだ続く………。

 

長門「探索した所、零式水偵は()()()()があるものを見つけました………」

提督「……?。」

 

提督は長門が言う()()()()と何なのかと首を傾げていた。

 

長門「零式水偵の報告では如月がいた海域から離脱して立ち去ろうとする人影を見たそうです………解析の結果………人影は深海棲艦の二体で、一つは子供のような姿をしていますが、恐らく上位(クラス)姫であるようで、もう一つは今まで見たことない新種のようです………恐らく彼女を手当てをしたのが彼女だと思います………。」

提督「……。」

長門「それだけではなりません………以前、鎮守府正面海域で、泊地棲姫を撃破した件ですが、実はこの深海棲艦が関わっているようです。」

提督「……。」

長門「報告を言い忘れていましたが、赤城からの報告で、吹雪が撃沈される寸前に助けられたり、泊地棲姫をバリアごと撃ち抜いて撃破されたようです。今回の鎮守府正面海域の作戦成功は彼女のおかげみたいなことです。」

提督「……。」

長門「この報告をしなかったのは申しありませんでしたが、まだ、事実確認できなかったため、この事実を確認するまで伏せていました。今回のW島沖の出来事を切っ掛けに、我々は一つの結論を致しました。」

提督「?。」

長門「私も今だも信じられませんが、この深海棲艦は艦娘を助けていました。」

提督「!!?。」

 

長門の衝撃の言葉に驚き江尾隠せない提督。そして、長門の話は続く………………。

 

長門「この深海棲艦は敵対していたはずの艦娘に対して助けたりする行動を見せており、今まで深海棲艦は艦娘や人類に敵対行動を見せていましたが、この深海棲艦はこれまでの深海棲艦の敵意を感じませんでした。この深海棲艦は新種のようでしたが、これまでの行動から人間のような感情を感じさせます。」

提督「……。」

長門「今回、救助された如月の様子から彼女を手当てしたのが鎮守府正面海域で遭遇した深海棲艦と思われます。現在、行方を追っていますが、今回の調査で深海棲艦に関する手掛かりを見つけました。」

提督「!?。」

 

長門の言葉に驚く提督。それは問題の深海棲艦の所在地の手掛かりを知ったことだ。

 

長門「如月を乗せた救命いかだに彼女が聞かせていたライフジャケットを調査した結果………救命いかだとライフジャケットは軍が支給している味方の鎮守府のものであることがわかりました。」

提督「!!?。」

 

バンッ。

 

長門の衝撃の事実に驚きを隠せず、机を叩きながら立ち上がる提督。彼が驚くのも無理もない。敵対関係であるはずの深海棲艦が艦娘を助けるという行動に驚くばかりか、その深海棲艦が味方の鎮守府が匿っている事も驚愕していた。

 

長門「調査した結果、その深海棲艦を匿った鎮守府は………硫黄島鎮守府でした………。」

提督「!!?。」

長門「救命いかだとライフジャケットを調査した所、硫黄島鎮守府が保有する装備であることを判明されました。その硫黄島鎮守府の提督は最近鎮守府に着任したばかりで、その鎮守府の提督の名前は伊丹耀司です。」

提督「!!?………」

長門「はい………13年前、かのアイアンボトムサウンド海戦で人類に勝利を導いた伝説の艦隊、“第13独立部隊”司令官で、終戦後、艦隊は解散され、日本海軍呉鎮守府へ転属されましたが、配属先でのトラブルにより穀潰し達の島流しと言われた辺境の鎮守府、硫黄島鎮守府へと再転属されました。とはいえ、優秀な指揮官ですが、いろいろ問題がありすぎて、上が手を焼いているようです………………。」

提督「………」

長門「提督、その提督が深海棲艦を匿っているとなると、これは紛れなく軍法違反になります………その事実確認のために硫黄島鎮守府への視察する許可を頂きたいのです………。」

提督「………」

 

提督は長門にある事を確認した………、それに対し、長門の答えは………。

 

長門「無論、その深海棲艦は撃破し、それを匿った提督を捕縛します………深海棲艦は我々艦娘と人類の敵であり、奴らを倒すことが、我々、艦娘の存在理由です………。」

提督「………」

 

それを聞いた提督は複雑な思いを抱きつつ、鎮守府への視察を許可した。

 

長門「ありがとうございました。艦隊を編成次第、あの鎮守府を調査し、必ずその深海棲艦を表へ引きずり出します。」

 

こうして、硫黄島鎮守府に長門達の視察が始まろうとしていた………。

一方、別の思惑も絡まっていた………。

 

とある島の倉庫

 

ここは誰も使われない補給施設の跡地で、ここである通信が行われていた………。

 

藤林 長穂「………了解、これより作戦コード“オペレーション天石屋戸(アメノイハヤト)”を開始します………。」

半蔵門 雪「………よろしいのですか?、上層部や財団の許可もなく、このような作戦をして………。」

迅悠一『………別にいいさ、いろいろ考えたけど、こういう場合は、やっぱシンプルなやり方が一番だと俺は思うぜ………これからも、きっと楽しいことはたくさんあるぜ……“彼女達”の人生には………。』

 

 

迅達ツキカゲは何やら「“オペレーション天石屋戸(アメノイハヤト)”」と呼ばれる秘密の作戦を行おうとしていた………。

一方、とある海域で異変が起きようとしていた………………。

 

ソロモン海

 

ゴポゴポゴポゴポゴポゴポゴポゴポ~~…………。

 

誰もいないはずの海面に一人で泡ぶいていた………。

そこへ何者かが近づいてきた………。

 

???「………」

 

姿を現したには黒いマントを身を包んだ女性で、目元には一本角と赤い四つの目をした不気味な仮面を付けて素顔を隠し、その顔は無表情で何を考えているのかわからない………。

その女性は泡ぶいている場所に右手をかざした………。

 

???「………目覚めなさい………深海より生まれし者達よ………。」

 

カアアアアア………ブクブクブクブクブク~~~~~………ザバアアアアア………………

 

そういうと右手が紫色に怪しく光りだし、泡ぶく海面に照射した。それを受けて、海面は激しく泡ぶき、海の底から何かが這い出てきた………。

 

深海棲艦達「………。」

 

何と現れたのは深海棲艦の大群でで、戦艦棲姫を初め、戦艦ル級、戦艦タ級、空母ヲ級、重巡ネ級、潜水ソ級、軽巡ツ級、軽巡ト級などの多数の深海棲艦に加え、泊地棲姫、南方棲戦姫、離島棲鬼、北方水姫、防空棲姫、軽巡棲鬼、軽巡棲姫、重巡棲姫、駆逐棲姫、飛行場姫、駆逐水鬼、駆逐古鬼、空母棲姫、水母棲姫などの上位個体『姫』、『鬼』級が多数存在、その数は10万以上超えていた………。

 

シュタ……シュタ……シュタ………ザッ……ババババババババババババッ………………。

 

仮面の女性は近づくと深海棲艦達が一斉に平伏した。

 

仮面の女性「………立ちなさい、我が同胞達よ。」

戦艦棲姫「………。」

 

仮面の女性はそう言うと戦艦棲姫が立ち上がると、それをに合わせて一斉に立ち上がる深海棲艦達。

 

仮面の女性「貴方達に命令を下しますわ………かの地にいる鎮守府へ向かいなさい。そして、その鎮守府にいるすべてのものを殲滅しなさい。」

戦艦棲姫「………はい、わかりました。これよりその鎮守府に向かい、殲滅して参ります。」

 

戦艦棲姫はそういうと、後ろにいる10万以上の深海棲艦達に合図を送ると一斉に動き出した。

 

ザ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~………………………。

 

戦艦棲姫はすぐに行こうとしたその時………。

 

仮面の女性「待ちなさい。」

戦艦棲姫「………?。」

 

仮面の女性に声をかけられ、足を止める戦艦棲姫。

 

仮面の女性「貴方に私の力を授けます。受け取りなさい。」

戦艦棲姫「………。」

 

カチャッ………ザッシュッ………………。

 

戦艦棲姫「!!?。」

 

何と仮面の女性が日本刀を抜き、戦艦棲姫を刺したのである………。

しかし、不思議なことに深く刺され。致命傷になってもおかしくない状況だったが、刺された戦艦棲姫は苦痛を感じず、不思議そうに頭を傾げていた。

 

カアアアアアア~~~………ゴオオオオオオオ………………。

 

刀から紫色の怪しげな光を放つと、その刀から放たれた禍々しいオーラが戦艦棲姫を包み込まれて体の中へと入りこんでいく。

 

ザシュッ………ヒュンッ………カチャッ。

 

仮面の女性「この力は万が一のために使いなさい。この力を得た貴方は無敵、艦娘など敵ではないわ。さあ、お行きなさい。」

戦艦棲姫「ありがたき幸せです。必ず奴らを殲滅して参ります。」

 

そう言うと戦艦棲姫はかの地である鎮守府へ向けて進撃して行った。

ただ一人残った女性をその様子を見送っていた………。

 

仮面の女性「…………!………“(ふくろう)”か。」

梟「……よくお気づきで………。」

仮面の女性「………何用ですか?。」

梟「ご命令の通り、例の“アレ”を探っていた所、ある鎮守府が匿っていたようでした。」

仮面の女性「…………そう………。」

 

仮面の女性の後ろに現れたのは、顔の上半分を黒い菱形を持つ布の覆面で覆い、大僧正の着る袈裟のような服装をし、髪型が翼のような形状をしているのが特徴の梟と呼ばれた謎の人物で、跪いて敬礼する。

 

仮面の女性「………“あの方”の命令で“アレ”を探し続けていたのですが、まさか、その様な所でいるとは驚きでした………梟、万が一のために別動隊は準備しなさい。」

梟「はっ………すでに準備しております。いつでも出撃命令に出せます。」

仮面の女性「貴方は先行する艦隊に就いていきなさい。あの鎮守府の実力はいかようなのか見届けなさい。」

梟「はっ………お任せください。“夜叉”様。」

 

シュッ………。

 

夜叉と呼ばれる謎の仮面の女性。まさにミステリアスな雰囲気を持っていた………。

 

夜叉「………万が一、あの艦隊を破るような事があれば………“彼女”の助けが必要ですね………。」

 

夜叉がそう呟く………彼女とはいったい何者なのか?………。

 

とある孤島

 

ヒュ~~~~~………………。

 

孤島で一人佇む深海棲艦。

 

???「………。」

 

その深海棲艦は空母ヲ級の姿をしていたが、これまでの深海棲艦とは何かが違う………………。

後にこれが伊丹や桜を幾度も窮地を追い込むのである………………。

 

ソルティ・ロード4 終    CARVE WITH VICTORY ON THE HORIZON OF THE DAWN!




如何ですか。桜とほっぽの出会いと活躍、アニメ艦これとのリンク、そして、深海棲艦を操る謎の存在、夜叉の暗躍を描かれた第4話は?。

今回桜とほっぽの出会いと硫黄島鎮守府の一員となるまでの流れ、アニメ艦これとのリンク、様々な艦娘や深海棲艦の出会い、ラスト、予想もしない脅威などを描かれており、遭難された桜が無人島で一人待ち続けているほっぽと出会い、行動を共にする内にほっぽに慕われるようになり、桜の危機に勇敢に立ち向かい、深海棲艦の群れに対し、一喝で撤退させるなど、幼いながらも深海棲艦の上位種、姫の実力を垣間見せます。
また、アニメに登場する第1話「初めまして!司令官!」及び第3話「W島攻略作戦!」をベースに、深海棲艦である桜が艦娘の危機に助けを向かい、原作では如月は轟沈されますが、本作は桜に助けられ、轟沈せず、大破に留められ、生還します。
また、吹雪や如月を助けた事が切っ掛けで桜の存在を感づくことになり、次回でツキカゲを交えた三つ巴の争いになることになります。

鳥海率いる第八艦隊の登場で、桜と交戦、武装だけを破壊され、戦闘不能に追い込まれてしまいましたが、戦いの最中、これまで深海棲艦とは違うことに違和感を感じたり、深海棲艦である桜に助けられ、深海棲艦に対する認識を次第に変化していく様子も描かれており、それが艦娘と深海棲艦との共存を誇示させるシーンも伺えます。

桜と前回、ソロモン海戦から唯一生き残った深海棲艦、駆逐棲姫の激闘も繰り広げます。
手負いの状態ながら桜の攻撃をマトリックスの如く容易くかわしたり、空中戦を繰り広げたり、桜をギリギリまで追い込むなど、桜と互角以上の実力を見せる駆逐棲姫でしたが、最後は壮絶な一騎打ちの末、敗北しましたが、全力を尽くして戦えた事に満足し、散り際に笑顔で見せました。
後に空母ヲ級同様、意外な形で登場しますが、それは次回を見ればのお楽しみです。

桜を探しにソロモン海の調査を名目で探索を行うヴェールヌイ達を襲撃する深海棲艦でしたが、アイオワの砲撃を耐え抜き、戦艦であるアイオワを大破を追い込み、艦隊に損傷を受けるなど、これまでの深海棲艦とは違う実力を見せており、後にこれがある存在の影響を受けていた事を窺わせます。
ラストで登場する夜叉と呼ばれる深海棲艦を操る存在が登場します。新サクラ大戦に登場する上級降魔、夜叉をベースとしており、原作とは異なる大幅な設定を加えており、深海棲艦を指揮したり、力を与えるなど、物語でどのような影響を与え、桜に対し、異常な執着を見せる重要なキャラとして描かれてます。
梟と呼ばれる夜叉配下の部下が登場しており、妖怪ウォッチ シャドウサイドに登場する妖怪ふくろうをモデルしており、設定では元々下級降魔が夜叉の力により進化した姿で、これまでサクラ大戦シリーズに登場する降魔とは異なる力を有しているが、それでも力は弱い方である。
実はもう一体存在していますが、それは物語が進む内に明らかになります。
また、夜叉が彼女と呼んでいる空母ヲ級の姿をした深海棲艦が登場しており、これまで深海棲艦とは異なる雰囲気を感じさせます。
彼女の正体は次回に明らかになりますので楽しみにしてください。

次回は長門達因島鎮守府の訪問と新たな仲間の登場、そして、新たな深海棲艦の登場を描かれており、深海棲艦である桜を巡って長門達と対立、さらにツキカゲを交えて、三つ巴の混相を繰り広げる事になり、窮地に追い込まれた伊丹と桜の運命はいかに………。
そして、新たな仲間とは何なのかは次回を読んでからのお楽しみです。


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