奇跡を軌跡で返す物語 (眠たげな一般人)
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はじめまして眠たげな一般人です。

小説初投稿なので至らぬ点も多いと思いますが是非読んでいってください。



〜設定〜

 

[主人公 御園 恭介(みその きょうすけ)]

性別:男 16歳 高校2年 誕生日7月7日

・大図書館の羊飼いのキャラクターの御園千莉のオリジナル兄

・歌だけでなくバレエやピアノなどの楽器も出来る音楽界の神童

・身長は高めの女性で通じる

・容姿のイメージは魔法科の一条将輝

・妹の千莉とは違い毒舌では無いが怒らせると容赦がなくなる

・A-RISEの幻の4人目のメンバー[斎藤 光(さいとう ひかり)]でもある

・A-RISEのファンや世間からは正体はバレて居なく知っているのは関係者のみ

・ツバサ同様に男女バランス良くファンを獲得している

 

[御園 千莉(みその せんり)]

性別:女 15歳 高校1年 誕生日1月23日

・大図書館の羊飼いのキャラクター

・世界から歌姫として注目を集めている

・兄の恭介と一緒に公演することも多い

・恭介の事はお兄ちゃんと呼んでいる

・時期A-RISEメンバー候補

・恭介からの呼ばれ方は千莉

 

[芹沢 水結(せりざわ みゆ)]

性別:女 15歳 高校1年 誕生日4月23日

・大図書館の羊飼いのキャラクター

・今作では歌の道を諦めずに進んで行っているため千莉とのわだかまりは無し

・歌では千莉に敵わないものの踊りも含めたものとなると千莉も超える実力がある

・恭介の事はお兄さんと読んでいる

・時期A-RISEメンバー候補

・恭介からの呼ばれ方はみーちゃん

 

[綺羅 ツバサ(きら つばさ)]

・A-RISEのリーダー

・恭介に負けない様に日々努力をしている

・ファンは男女バランス良くいる

・恭介のことはライブでは光、普段は恭君と呼んでいる

・恭介からの呼ばれ方はツバサ

 

[優希 あんじゅ(ゆうき あんじゅ)]

・A-RISEのメンバー

・恭介はあんじゅにとって頼りになるお兄ちゃんのような人(あんじゅの方が年上)

・ファンは男性の方が多い

・恭介のことはライブではひかりん、普段は恭ちゃんと呼んでいる

・恭介からの呼ばれ方はあーちゃん

 

[統堂 英玲奈(とうどう えれな)]

・A-RISEのメンバー

・恭介は英玲奈にとって尊敬するべき音楽の先人

・A-RISEのお姉さん的ポジション

・ファンは女性の方が多い

・恭介のことはライブでは光、普段は恭介と読んでいる

・恭介からの呼ばれ方はレーナ

 

〜御園兄弟の住居〜

御園家と芹沢家の両親が元々中が良かったため3人でアパートでの生活の許可が出たため恭介と千莉と水結の3人の共同生活

 

〜UTXと音乃木坂の関係〜

理事長同士が昔からの親友でUTXの理事長は音乃木坂から生徒を奪う形になってしまった事を悔やんでいるし助けたいとも思っている

 

〜学校の形式〜

UTXは今作品では元々共学となっています。

音乃木坂はアニメスタートの時点で男子テスト生募集となります。

 




他の大図書館の羊飼いのキャラクターを出すかどうかは不明です。
誤字脱字がありましたら報告よろしくお願い致します。
では次は本編で会いましょう。


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プロローグ
プロローグ1


本編スタートの前です


僕の名前は御園恭介受験を控えた中学生です。

しかし今ぼくはとても困惑しています…なぜなら

「スクールアイドルの繁栄に協力してほしい…ですか?」

「ええ、これから先の日本の音楽界の繁栄と新たな分野の開拓に協力してほしいのです」

と国のお偉いさんが僕に頭を下げて頼み込んで来たのです。

「頭をあげて下さい。その件は了解しました。

しかし一つ質問をしてもよろしいでしょうか?」

「はいなんでしょう?」

「いまこの時期にそれを言うという事は進学先が指摘される訳ですよね?」

「察しのいい事で…あなたにはUTXに行ってもらう事になります、もちろん授業料はこちらで負担しますよ」

「はぁ…分かりました、それではその手筈で宜しくお願いします」

 

 

帰り道僕はこれから先の事を考えていた

あの場所で例のスクールアイドル[A-RISE]のライブの映像を見せてもらったが荒い所が多いのだ(まぁ結成してまだ一年近くだから仕方がないのだが)

これからどうしようかなぁ…

 

そんな事を考えていたら見知らぬ人とぶつかってしまった

「すみません」

「いや気にしなくていいよ、それより君は何かに迷っているね?」

「そうですがあなたは誰でしょうか…初対面ですよね?」

「ああ君と会うのは初めてだぼ私の名前は『羊飼い』とでも名乗っておこうか」

「羊飼いといえば願いを叶えてくれるというあの…」

「そうだ、その羊飼いだ君は今回の件、指導だけではなくメンバーとしても参加すべきだろう」

そういって羊飼いを名乗る人は過ぎ去っていった

「それってどうゆ……う?」

その意味を聞こうと振り返ると羊飼いはもう消えていた

「何だったんだ今のは…」

僕は暫く立ち尽くしていたが雨が降り始めた為走って帰った

 

「ただいま」

「お帰りお兄ちゃん雨に当たらなかった?」

「当たってしまったから先に風呂に入っていいか?」

「そういうと思ってお風呂にお湯入れておいたよ」

「ありがとう千莉」

 

〜30分後食卓にて〜

「お兄ちゃん高校内定したの⁉︎」

事情を説明すると開口一番そう言われた

「音楽にも携われるし授業料もカットそれに有名どころの私立高校だから別にに悪い話じゃないだろう?」

「それはそうだけど…この家から結構距離あるよねどうするの?」

「アパートを借りようと思ってるよ『A-RISE』と本気で関わる以上ては抜けないからね、移動時間は短い方がいいでしょ?」

そう言うと千莉は俯いてしまった

「………嫌」

今にも消え入りそうな声で千莉が言う

「私もお兄ちゃんと歌のレッスンしないといけないし…それにお兄ちゃんがいないと寂しいよ…」

少し涙声になりつつ千莉がそう告げる、場違いだが少しキュンとしてしまった

「………」

確かに僕と千莉は一緒に公演を行う事も多く別れているとなると不便である、それに国の人からは全力で協力しろとは一言も言われていなかった住居くらいは勘弁してくれるだろう

「お兄ちゃん?」

急に黙り込んだ僕を不思議に思って声を掛けてくれたのだろう、それに心なしか不安の色が濃くなっている気がする

「……分かった、UTXからはこの家から通うよ」

できる限り明るい声で千莉にそう告げた

すると千莉は雲が晴れる様に表情が明るくなり無言で頷いていた

こうして今日の食卓は幕を閉じた

 

〜Anoher View 千莉〜

「もしもし水結」

『どうしたの千莉こんな時間に?』

「今日お兄ちゃんの進路分かったよ」

『本当⁉︎どこの高校なの?』

「水結落ち着いて、UTXに行くんだって」

『ん?受けるじゃなくて、行く……?』

「うん、そうなの国の方から推薦が入って内定したみたい」

『お兄さんがUTXにねぇ…なら私達にできるの勉強を頑張って同じ高校に入る事だね』

「うん、一緒に勉強頑張ろうね水結」

明日から勉強で忙しくなりそうだ

〜Anoher View End〜

 

僕はあの時自称羊飼いに言われた事を思い返していた

「僕がアイドルとして活動か…」

実際に活動したいという気持ちがある反面、ある程度顔が知られている僕がやって良いものだろうか?という理性が投げかけてくる様々な葛藤を抱えたままその日の夜は過ぎて行った

 

〜それから数ヶ月〜

僕は無事UTXに入学する権利が与えられ真新しい制服を身にまとい校門の前に立っている

今日の新入生歓迎会ではA-RISEがライブをするそうだ

「さて僕にどんなパフォーマンスを見せてくれるんだろうね…」




今回はここまでとさせて頂きます。
次回恭介とA-RISEが対面します。


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プロローグ2

予告通りA-RISEと恭介が対面します


一応推薦入学という形なので僕は入学式前に理事長室に行って挨拶をしておいて欲しいと国の人から言われたので僕は今理事長室に向かっているが…

「まずい、地図もらうの忘れた…」

この広い学園で手探りに探すのは大変なので困っていると

遠くの方から

「御園恭介が入学してくるって噂本当だったんだ…」

「え、あの音楽会界の神童の?」

といった会話が聞こえてきた

本当に勘弁して欲しい、そんな話をするくらいなら今すぐ助けて欲しい…気が重くなりため息をついた

するとそこに

「新入生ですか?」

っと後方から声を掛けられた

どこかで聞いたことのある声だと思いつつ振り返ると納得がいった

声を掛けてきたのは優木あんじゅだった

「そうなのですが、理事長室が分からなくて困ってたんです教えていただけますか?」

「初めてだったら迷いますわよねそこまで案内しますよ」

「ありがとうございますぼくの名前は「御園恭介さんですよね」…はいそうです」

「こんど演奏を聴かせてはいただけませんでしょうか?」

「それは構いませんが…今は理事長室に向かいたいのですが…」

「あらすみません忘れていましたわ」

 

〜移動そして理事長室前〜

「ここまでありがとうございました、ライブ楽しみにしています」

「あら、あの神童さんに言われたらみっともない姿は見せられないわね」

そうして優木さんは去っていった

「失礼します。御園恭介です」

「お前が『音楽界の神童』御園恭介か…」

巌のような人が僕にそう言ってきた、正直先生のような見た目ではない…

がカリスマ性がかなりありそうな人だ

「はい、そうです」

「俺はここの理事長をしている十文字克人だ、A-RISEの質を上げる手伝いをしてくれると聞いている、頼みがあるならなんでも聞こう」

思わず兄貴と言いそうになったのは僕だけではないだろう

「取り敢えず今は大丈夫です」

「そうか、まだ始まってすらいなかったな」

そう言って理事長は紙にペンを走らせる

「これは俺の電話番号だ他の生徒には教えるなよ」

「これをなんで僕に?」

「あの神童と個人的な繋がりが欲しいと思うのはおかしな事か?」

「はぁ…なら僕も、どうぞ僕の電話番号です」

「ふむ、ありがとうなそれはそうともうそろそろ入学式が始まるぞ御園」

「もうそんな時間ですか、ではこれからよろしくお願いします」

 

〜入学式〜

特出すべき点は無かったどんなに規模が大きい学校だとしてもそういう所はほかと変わらない事が分かった

そして入学式に続いて新入生歓迎会へと移った

 

〜Anoher View あんじゅ〜

これからライブをするのでいい緊張感が流れている

「新入生に私達のパフォーマンスを届けましょう」

リーダーのツバサがそう私たちに言った、英玲奈とツバサは自信に満ちた表情をしている私はどうだろうか…

「ん?あんじゅどうした緊張しているのか?」

ここはあのひとのことを話さない方がいいのかしら…

いや、メンバーに隠し事はしない方がいいわね

「実は御園恭介がここに入学するという噂は事実だったのよ…」

2人に緊張が走ったのが分かった

「あんじゅそれは本当なの?」

ツバサが声のトーンを少し低くして聞いてくる

「本当よ、あって話したもの」

すると不意にツバサが笑った

「成る程、神童が見ているのにみっともない姿は見せられないわね…」

そしてツバサが口にした言葉は私が彼に言ったものとおなじものだった

不意に自分が笑っていることに気がついた

仲間と同じ感覚を持っていて嬉しいと心から感じる…

「ええ、誰が見ていても関係ないわベストなパフォーマンスをしましょう」

3人の気持ちが1つになったのが感じられた

それじゃあ行きましょう

「We are 〜」

「「「A-RISE!!!」」」

〜Anoher View End〜

 

『A-RISE』がステージに上がった周りの新入生のテンションは最高潮だ

「新入生の皆さん入学おめでとうございます」

「私たちはここUTXのスクールアイドルA-RISEです」

「今日はこの場所で私達が皆さんに激励の意味を込めてライブを行います聞いてください」

 

そうしてライブが終わった周りは満足しているようだが僕はどうしても不完全燃焼感が拭えなかった

「ここで新入生から本日のお礼があるそうです」

僕は入学初日に仕事をする真面目な生徒に心で敬礼を送った

「それでは、新入生代表御園恭介さんお願いします」

はい…?What?僕の耳がおかしくなったのかな?今確かに御園恭介って……

司会の言葉に周りがざわめく、 そうして理解できた、いや理解してしまった、今呼ばれたのは確実に僕だ…

あとで覚えておいてくださいよ理事長、この貸しは大きいですからね

 

〜Anoher View ツバサ〜

彼の演奏が聞けるそう分かった瞬間ライブの余韻は私の中から消えていた

「彼の…神童実力を見せてもらおうじゃない」

「あの佇まい只者じゃないわね…まぁ最初からわかっていたことだけどね」

「まぁ今回は純粋に彼の演奏を楽しもうじゃないか」

3人がそれぞれの心境を口にした時、彼に違和感を覚えた

「彼ピアノの方に向かっているのに楽譜持っていなくないか?」

「もしかすると…彼今回の演奏について何も言われて無いのでは?」

そんな疑惑が私たちの中で生まれる

そんな時、ついに彼が喋った

「今日は、私たち新入生のために、このような素晴らしい場を設けてくださり有難うございました」

しかし私たちの疑惑とは裏腹に彼はとても落ち着いていた

「今回は、みなさんに感謝を込めてこの曲を送りたいと思います」

すると彼は息を吸い曲名を言い放った

「『四季』より『春』」

 

演奏が終わった、いや終わっていたこの場の人間全てが『もっと聞いていたい』と思っていることだろう

それだけの技量が彼にはあった

成る程これが『音楽界の神童』か…

まるで敵う気がしない圧倒的な差というものを感じてしまった

「………」

「………」

「………」

私でさえ、いいやA-RISEでさえも彼…御園恭介が創り出した世界に呑み込まれてしまっていた

〜Anoher View End〜

 

新入生歓迎会終了後僕はある場所に向かっていた

そうA-RISEの所だ

そしてお目当ての3人に偶然遭遇した

「優木先輩先程はありがとうございました」

「…ええ、どういたしまして」

先輩はぎこちないながらにも答えてくれた

「どうかなさいました」

重い沈黙が流れるすると綺羅先輩が口を開く

「お世辞を抜いて答えて欲しいんだけれど…私達のもライブはどうだった?」

「本当にお世辞抜きでいいんですね?」

少し強い口調で言ったが

「…ええ、お願いできるかしら?」

「分かりました、それでは場所を変えましょう」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「以上が今目立つあなた達の修正点です」

やっぱり思った以上にショックが大きかったようだ…

「つぎにあなた達のの良かった点です」

3人の顔が同時に上がる(どんだけな仲がいいんだよ…)

「あなた達は音楽を楽しんでいるそして聞いている人にも楽しんでもらおうと3人全員がそう心から思っているように感じられました」

そういうと3人は顔を赤く染めた、とても可愛らしい表情をしている

ここで本題に入らせてもらおうか…

本当は指導するだけで良かったんだが彼女らのライブを見て気が変わった

僕も一緒に彼女達と歌いたいという気持ちが生まれたのだ

「1つお願いをしても構いませんか?」

すると3人は顔を見合わして頷きあい代表して綺羅先輩が返事をしてくれた

そして僕は気持ちを落ち着かせるために深呼吸をして一息に言った

「僕をA-RISEのメンバーに加えて下さい!!!」




次回でプロローグは終了です
A-RISEメンバーの口調が正直あっているか不安です、おかしければ教えてください


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プロローグ3

A-RISEに入れて欲しいと言い放った恭介
彼は一体どうなるのか?


3人はまだ固まっている、さっきの僕のお願いの真意が分からないのだろう

「ごめん、聞き間違えたかもしれないからもう一度さっきのお願い言ってくれる?」

恐る恐ると言った感じで僕にそう聞いてきた

「分かりました、ではもう一度言わせてもらいます…」

3人が一言も聞き漏らすまいという雰囲気になった、こっちとしては気恥ずかしい…

「僕を、A-RISEのメンバーに入れて下さい」

頭を下げながら僕はそう言った

 

〜Anoher View ツバサ〜

彼は2度もA-RISEに入りたいと言ってくれた

正直に言って私達の実力は彼に釣り合って居ないのに…

「なぜ、私達なんですか?」

他の2人もそこが1番気になっているようだ

「何故って…まぁ理由は大きく2つあります」

彼がそんな事も分からないのかと言いたげな顔をして言った

「まず1つ目は『スクールアイドル』なんだから自分の学校じゃないとおかしいという点ですね」

そこは私達も分かっている理由だ

「なら何でスクールアイドルを…?」

自分でも思わず口に出して聞いてしまった

「まぁまぁ、そう焦らないで下さい」

彼が私にそう言って落ち着かせる、ちょっと恥ずかしいことしちゃったな…

「最後に2つ目の理由は、あなた方『A-RISE』が本気で音楽を楽しんでいたから…ですね」

彼が照れ臭そうにそう言う

私たちの想いが観客に届いていると分かって嬉しくなった

そんなことを感じていると隣から

「私は彼がメンバーに加わるのは賛成よ、A-RISEの質も上がるし…何よりも楽しそうじゃない?」

「私も賛成だ、彼の実力はさっき見せてもらったが控えめに言って私達以上だ、彼が作曲を手伝ってくれたら確実に曲の質もあがるだろう」

あんじゅ、英玲奈がそう言ってこちらを見る

その目視線は『ツバサお前はどうなんだ?』と問いかけてきていた

そんなのもちろん決まっている

「こちらからお願いしたいくらいよ、御園恭介さん是非A-RISEに入ってもらえますか?」

彼は微笑みながら

「ありがとうございます!」

っと返してくれた

その笑みに魅入ってしまったのは私だけの秘密だ

〜Anoher View End〜

 

「それはそうとして、大きな問題がある」

先程の話が終わってから暫く経って統堂先輩がそう口にした

「御園は世界中にも顔が知れている、一個人としてスクールアイドルで活動するのは問題にならないのか?」

他のメンバー2人もそのことの重要さを理解してこちらを向いてきた

「あっ…忘れていました、今から事務所の所に連絡してきます」

今僕の表情は間抜けなものになっているだろう

「御園さんって案外抜けている所あるんだね…」

僕は苦笑いで返すしかできなかった、本当穴があったら入りたい…

 

〜10分後〜

事務所との通話を終えてA-RISEの元へ戻ると3人はこちらに駆け寄ってきた

「一応、了承は得られたよ」

「一応って事は何か条件があるの?」

流石に鋭い…

「はい…まぁ2つだけですけど」

続きを目で促してくる

「1つ目は、こっちの事務所の仕事とA-RISEのライブが重なった時は仕事を優先することです」

みんなは少し悲しそうな表情をしたがすぐに切り替え

「そう、まぁ貴方はプロだから仕方ないわね…」

僕は少し罪悪感を覚えたがその気持ちを抑えた

「そして2つ目です、ライブやPVに出る際僕は、仮面を被って臨みます、そして僕は『御園恭介』の名前を使わずに『斎藤光』と言う名前…まぁ偽名ですねそれを使わして下さい、そしてその名前でA-RISEの4人目として加えて下さい」

僕はみんなと『御園恭介』としてではなく1人の学生としてステージに立ちたい、だけど今までの積み上げてきた実績がそれを阻んでくると思うだからみんなと一緒にゼロから始めたいんだ!

まぁ、恥ずかしいから口には出さないけどね

「分かったわ、私達からも1つお願いしてもいいかしら?」

綺羅先輩がそう聞いてきた

「物によりますが…何でしょう?」

「そんな難しい事ではないの、先輩後輩としてではなくこれからは友人として接しましょう、これからは無理に敬語を使う必要はないわ」

「分かりま…分かったよツバサ」

そう言うとツバサは頬を赤く染めた

「(いきなりは反則でしょう…)」

何と言われたか分からなかったが悪口ではないだろう…多分…

 

A-RISEが4人になって約一年今僕らは世間からトップアイドルと言われるレベルまで成長を遂げた

そして今年、僕は2年生に他のA-RISEメンバーは3年生に進級する

そして何よりも千莉とみーちゃんがここUTXに入学してくる

新しい生活に対して期待に胸を膨らましていると所に僕の携帯電話が震えた

電話だ…しかも十文字理事長からだ…

これから僕は何を言われるか不安になりながらも僕は電話に応じた

「もしもし、御園です」

『ふむ、十文字だ、今日はお前に重要な要件があって電話を掛けた』

何だろう…すごい嫌な予感がする

『本当は会って話すべきなのだろうが互いに忙しいからな…』

「いえ、気にしないでくださいそれで要件とは何でしょう?」

『お前には、進級後から数ヶ月、音乃木坂で男子テスト生を行ってもらう』

………今何と言った…

「テスト生という事はその高校は女子校何ですか?」

『そうだ、そこで数ヶ月過ごしてもらう、勿論A-RISEの活動の為にUTXに来るのは構わない』

ならばささやかな抵抗をしよう

「それは、確定事項ですか?」

『ああ、そうだ。詳しい事は向こうの理事長に聞いてくれ』

「待ってください、制服はどうすればいいんでしょう?」

『向こうの理事長いわくしばらくはUTXの物で構わないという事だ』

この時点で僕はもう諦めた…

「はい、分かりました」

『メールで今回の件についての詳細は送っておく、それでは…頑張れよ御園』

ここで電話が切れた

もうこうなった以上どうでもなればいいと思う…

これから先僕はどうなっていくんだろう…

 

千莉とみーちゃんの入学式見たかったな…




今回でプロローグは終了です。
時間を一気に進めてアニメの学年まで持ってきました。
ここでの空白は番外編で出せたらいいなと思います。
それでは、また次回お会いしましょう。


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本編1(アニメ一期)
いざ、音乃木坂へ


これから、本編に入って行きます
今回は『Anoher View』が多いです。


〜Anoher View ツバサ〜

恭君が十文字理事長に言われたことを私たちに簡潔に話してくれた。

「え…?恭君が一時期だけ転校になるの?」

私たちは動揺が隠しきれない。

今の恭君はA-RISEの精神的支柱と言っても差し支えない。

「うん…詳しい事はこのメールを読んで」

そこに書かれていたことを簡単に訳せばこうだ。

・UTXと音乃木坂の理事長は昔から仲が良かった。

・私達A-RISEの影響が大きくて、UTXを受験する人が急増してしまった、その結果音乃木坂の生徒数が激減し始めている。

・このままでは廃校の恐れがある。

・打開策として今回の「音乃木坂共学化」が挙がった

…とのことだ、正直私達の影響が大きいとの事があり少し罪悪感もある。

その一方でA-RISEの実力がそれだけ周りに認めらていると分かって、不謹慎だが嬉しくなった。

「この一件だけだけど…僕たちの影響も少なからずあるから…僕は行こうかと思っている」

恭君が渋い顔をしながら私たちにそう告げた。

「UTX入学式のライブが終わったら音乃木坂に向かうよ、それにA-RISEの活動は放課後できるしね」

「あら、そのライブは私たちだけも大丈夫よ、だから最初から音乃木坂に行っていいわよ」

テスト生が入学式に居ないのは問題だろう。

「いや大丈夫、音乃木坂の入学式は午後だしそれに…」

彼はそう言って言葉を区切る、どんな内容だろうか。

「千莉とみーちゃんの晴れ姿を見逃すわけにはいかないからね」

みーちゃん…?千莉は分かる、御園千莉…『歌姫』その人だろう。

私が疑問に思っていると隣から

「まさか…『ミュージカルの申し子』芹沢水結のことかい?」

嘘…私は絶句してしまった音楽界の若手の三巨頭と言われる3人がこのUTXに集まるというのだ。

「そうそう、だからこそ僕自身も歓迎したい」

「2人にはあなたがA-RISEメンバーというのは言ってあるの?」

「言ってないよ、だけどライブを見たら一瞬でわかるだろうね」

「すごいわね…あらもうこんな時間、この話はここまでにして今日の練習を始めましょう」

これからしばらく、恭君との練習時間が短くなる。

だけど私達も少しでも早く恭君に追いたい。

そう改めて思わせる話だった。

〜Anoher View End〜

 

 

 

練習が終わりそれぞれが帰路につく。

しかし今日から帰る場所が変わるのだ。

なんとか自分の親とみーちゃんの親に了承をとって(何故かみーちゃんの両親はかなり乗り気だったが)僕と千莉とみーちゃんの3人の共同生活が今日から始まる。

因みに引っ越しは昨日、業者と僕で終わらせた。

「おっと、今日は恭介の帰り道がいつもと違うのではないか?」

レーナがそう尋ねて来る。

「うん、昨日引っ越しが終わって今日から住むんだ」

隠す事でもないので素直に伝える。

「一人暮らしは大変でしょうから、今日は夜ご飯を作りましょうか?」

あーちゃんがそう尋ねて来る。

「別に一人暮らしじゃないから大丈夫」

「あら、千莉さんも一緒に住むの?」

「うん、そうだよ(みーちゃんも一緒っていうのは言わないほうがいいな…)」

「じゃあ私はここで」

最初にツバサと別れて他の2人とも順に別れた。

 

 

 

「ただいま〜」

まぁ…まだ誰もいないけどね。

「「おかえりなさい」」

2人の声が奥から聞こえて来た。

もちろん不審者ではない。

千莉とみーちゃんの声だ。

「2人とも、もうこっちに来たんだ」

2人は、もっと遅くの時間に来る予定だったはずだ。

「今日はレッスンがない日だったから、予定を早めたの…迷惑だった?」

千莉がそう上目遣いに聞いて来る。

すると追い討ちをかけるように。

「私も千莉とお兄さんと一緒に生活するのが楽しみで、早くきてしまいました」

とみーちゃんが言う。

「そっか、まぁ…積もる話もあるだろうから続きは食事の時でどう?」

そう提案すると。

「今日は千莉と2人で作っておきましたよ」

それは、ありがたい。

「引っ越して来た日からわざわざありがとうね」

僕はそう2人に感謝を述べた。

 

 

 

〜Anoher View 千莉〜

「ごめんお兄ちゃん、もう一度言ってくれる?」

「お兄さん…流石にそれは笑えない冗談ですよ」

私と水結がそういうのも無理はないだろう。

なぜなら…。

「…音乃木坂に、数ヶ月男子テスト生としていく事になった」

…とのことだからだ。

「一緒に行きたい気持ちは山々ですが仕方ないですね…でもそれが終われば一緒に通えるんでしょ?」

お兄ちゃんと一緒に学校生活が送れると水結と喜んでいたのに…。

「うん、でも結構長い時間かかると思うよ…」

私たちの気持ちは一気に重くなった

「せめて入学式くらいは来てくれますか?」

と水結が苦しげに声を出す。

水結は私よりも楽しみにしていたのに…

「もちろん2人の晴れ姿だからね」

それを聞くことができて私達は安心した。

しばらくは一緒に学校生活を送れないけど、今はそれで我慢しよう。

〜Anoher View End〜

 

 

 

シャワー後。

スマートフォンを取り出しチャットアプリを起動すると。

A-RISEメンバーのグループのメッセージ数が多くなっていた。

どうやら、盛り上がっているようだ。

僕は軽くチェックだけして。

『明日ライブだから程々にしておけよ』

と発言しておいた。

今日は色々あって疲れていたのでその後すぐに夢の世界へ旅立った。

 

 

 

〜Anoher View 水結〜

「(はぁ〜、学校生活…最初からお兄さんと送りたかったな…)」

シャワーを浴びながらそう呟く。

その声も水の音にかき消されて消えていく。

この共同生活を提案してもらった時、私は舞い上がる気持ちをなんとか抑えていた。

実際今にも、心臓がどうにかなりそうな程、緊張している。

学校も一緒だと考えると顔も合わせられなくなると思う。

だから、今回の話は慣れる為の期間と考えれば、私にとって悪い話ではなかった。

「(せめて、お弁当を作ってお兄さんに学校に食べてもらおう)」

今、私の今後の方針が決まった。

これから、頑張っていこう。

〜Anoher View End〜

 

 

 

 

今日は千莉とみーちゃんの入学式だ。

午後からの予定を考えると気が滅入るが…。

今は、目の前のことに集中だ。

「恭君、肩に変な力入ってるわ」

「今日の観客は特別なんだ、しょうがないのではないか?」

「それにしても、ツバサは恭ちゃんのことよく見てるわねぇ〜」

ほかのA-RISE3人は、とてもリラックスしているようだ。

まぁ、誰が見ていようとやる事は変わらないけどね。

…っと、そろそろ時間が迫って来ているな。

「そんじゃ行きますか」

僕が言うとみんなで、顔を見合わせた。

「We Are 〜」

「「「「A-RISE」」」」

いつものツバサの掛け声で僕たちはライブのスイッチが入った。

 

 

 

〜Anoher View 千莉〜

入学式が終わり新入生歓迎会に移った。

『A-RISE』というスクールアイドルがライブを行うらしい。

「水結、A-RISEって知ってる?」

ふと、水結に聞いてみる。

「知ってるのはメンバーの名前くらいかな…」

私と同じ程度の知識量だった。

「私もそれくらいしか知らない、まぁ楽しんでライブ観よ」

隣でそうだね、と頷くのが見えた。

そして、『A-RISE』の4人が出て来た。

ここで違和感を感じた。

仮面の人…斎藤光…だったかなその人の立ち振る舞いに既視感があった。

まぁ、気のせいだろう。

ライブが始まった。

30秒ほど立った時に水結に話しかけてみる。

「水結…気付いてる?」

これだけで伝われば、私の感じたことは正解だろう。

「やっぱ千莉もそう思う?」

ここで一度言葉を区切る、やっぱりそうか…。

「あの斎藤光って人お兄さんだよね?」

疑問形になっているが、声色は99%で正しいと訴えるくらいのものであった。

「私もそう思う、終わったらお兄ちゃん達のところ行ってみよう」

水結は黙って頷いてライブに集中した。

それにつられて、私もライブに集中した。

〜Anoher View End〜

 

 

 

ライブ終了後携帯を見てみると案の定千莉からメールが入っていた。

『今からそっちに行きたいので、場所を教えて』

やっぱりばれたか…。

このメールを3人見せて、2人がここにくる事を了承してもらった。

 

〜数分後〜

「それで斎藤光さん、なんで私達に相談してくれなかったの?」

やっぱりばれてた…ダンスのスタイルも変えているはずなのにな…。

なんか、凄いショック…。

「参考までに、いつ僕だって気付いたの?」

「最初の立ち振る舞いから大体は察したけど、確信したのは始まってからだよ」

「まぁ、私は始まってからやっと、お兄さんじゃないかな…と思ったくらいですけど」

予想していたとはいえ、実際にあてらられると反応に困ってしまいう。

切り替えよう、気にしてもしょうがない。

ふと、感想を聞きたくなった、何と言っても若手の期待の星達だ、新たな視点をくれるかも知れない。

「正直に言っていいの?」

「ああ、頼む」

そういうと、他のA-RISEメンバーの緊張が高まった。

「S、A、B、C、で評価すると…全体で言うと『B+』といったところかな…」

そう言って、一度区切る。

まぁ、妥当な評価だろう。

「技術はお兄ちゃんの影響あってか良いものです、しかし体力が足りませんね、良い状態を保ちながら10曲程度歌えますか?もちろん私と水結それにお兄ちゃんは実際に経験済みのことですよ」

3人は俯いてしまった、音楽界のトップとスクールアイドルのトップの差があまりにも大きくて半ば絶望しているだろう。

しかし…そこで言葉を放てる人間がいた。

「いいえ、無理だわ」

ツバサがはっきりと言い切る。

「でも、そんな事もあり得ると知ったなら、これから対策していけばいい事よ」

「それに、御園さんにそこまで高い評価をしてもらえたことが、大きいと思うわ」

流石だな…人間あんな風に言い切られたら、普通は気が滅入るだろう。

そして僕は同時に、A-RISEは音楽が大好きで楽しんでいる事を再認識させられた。

「なるほど…これがお兄ちゃんがA-RISEに惹かれた理由?」

「楽しそうだろ?」

「うん、とっても…でもA-RISEはこれ以上人数が増えないほうがいいと思う」

千莉が悲しそうな表情をする。

みーちゃんも同様だ。

「なら『候補』って形で仲間になるってのはどうだ、僕たちはスクールアイドル、必ず卒業がくる…だから1年後から参加って事で」

僕がそう言うとツバサが賛同するように。

「それがいいと思うわ、もちろんレッスンに参加して欲しいし、悪いところも指摘して欲しい」

他のメンバーもそれに頷く。

「御園千莉さん、芹沢水結さんあなた達をA-RISE候補として歓迎します」

すると2人は迷わず、そして同時に。

「「はい、よろしくお願いします」」

そう返してくれた。

これから更に、活動が楽しくなりそうだ。

 

 

 

「それじゃあ音乃木坂に行ってくる、放課後には戻ってくるから」

僕がそう言うと。

「今日は編入初日で疲れるだろうから、来なくていいわ」

「分かったそうさせてもらうよ」

「いつも花を送ってくれる『矢澤にこ』さんに気をつけておいてね、もしかしたら千莉ちゃんたち同様に些細な事で気づかれるかもしれないから」

あの後、A-RISEメンバーと千莉たちは互いを名前で呼ぶようになった。

そうだった、矢澤さんは音乃木坂に通っているんだった…。

「ありがとう、気をつけるね」

「そうだお兄ちゃん夜ご飯は何がいい?」

千莉が唐突に聞いてくる。

そうだなぁ…

「みーちゃんと相談して決めて、簡単なものでいいよ」

………やばい、今何気に僕みーちゃんとも暮らしている事を言ってしまったかも。

よし逃げよう。

「そうゆう事で千莉よろしく、行ってきます」

僕は走った後ろを振り返らずに…。

 

 

 

そして今僕は音乃木坂の前に立っている。

話によればこの学校の生徒会長に案内してもらうことになっているけど…。

そうしていると、1人の生徒がこっちに向かってゆっくり歩いてくる。

あの…立ち振る舞い…結構踊れるな…。

しかも、何処かで見たことがある印象だ…。

思い出した…、まさか僕にとってのバレエのライバルに会えるなんて…人生何があるか本当にわからない。

そして同時に僕は聞きたくなった、なぜ急にバレエ界から姿を消したのかという事を。

「お久しぶりですね…絢瀬絵里さん」

これが彼女と再び出会ってからの最初の一言だった。




水結は今作では歌の道を諦めていないので声優志望ではなくミュージカル志望という事にしました。
今後ともよろしくお願いします。


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絢瀬絵里との再会

本編2話です。
『←で始まり 』←で終わる文は今回ロシア語での会話となります。


「お久しぶりですね…絢瀬絵里さん」

彼女は驚いた顔でこちらを見ている、名前を覚えられていたことが想定外だったのだろう。

「私…あなたと会話したことありましたか?」

困惑しながらそう尋ねてくる。

「いえ、バレエの大会で何度かあなたと同じ大会に出ていただけですよ、あと敬語はいりませんよ」

「そう分かったわ、でもなんで私なんかの事を覚えていたの?」

心底疑問なようできいてくる。

彼女は自分の実力の評価を誤っているようだ。

「あなたは、日本の同年代で知る限り10本の指には入る踊り手だと考えています、踊りだけで言うなら芹沢水結以上です」

彼女は理解できないのか、まだ首をかしげている。

「でも、私は最優秀賞を取ることはなかったわ」

悲しげな声で、苦しげにそう吐き出す。

やっぱり、勝てなかったからモチベーションが持たなかったのか…。

おっと、周りにギャラリーが集まってきたな…。

『正直相手が悪かったんです、僕もいましたし、他にも今も最前線で演技している人が多数いました』

僕のこの言葉に綾瀬さんの顔に後悔の色が混ざってくる。

そして同時に、僕がロシア語で話し始めた意図を理解したようで、綾瀬さんは周りを見て。

「この話はまた今度にして、理事長室に向かいましょう」

僕はその言葉に従い理事長室に向かった。

 

 

 

そして特に何もなく理事長室についた。

「さっきの話しの続きまた今度聞かせてくれない…?」

「もちろんです、形はどうであれ、あなたが音楽界に戻る事を期待しています」

形はどうであれ、と言ったが…もしも、スクールアイドルになってブランクを戻したら…個人での実力は間違いなくツバサを超えるだろう、曲によっては僕も危ないかもしれない。

「私は、放課後は生徒会室に居るわ」

そう言って彼女は去っていった。

 

 

 

「失礼します、UTXの御園恭介です」

中にいたのは20代くらいの見た目の女性だった。

とても十文字さんの友人には見えない。

「音乃木坂学院理事長の南です、御園さん私たちはあなたを歓迎するわ」

そう言って、手を差し伸べてきたので、握手をして返す。

まぁ、そんなことより絢瀬さんの件だ、悪いけど、手短に行かせてもらおう。

「それで、入学式の後、僕は何をすれば良いのでしょう?」

「おっと、そうですね、あなたは特に何もすることはありません」

「それは、あなたが僕の紹介をしてくださる、ということですね?」

「話が早くて助かります、入学式の後に来ていらっしゃる保護者にも同時にに紹介できればいいと思っています」

「分かりました、それで行きm」

行きましょう、と言いかけた所で南さんの電話が鳴った。

どうぞ出てください、と目配せをすると頷いて電話に出た。

軽く聞こえた内容はピアノの伴奏者が、今日体調を崩してしまったらしく、来れないという内容だ。

南さんは、心底困った顔をしていた。

「困ったわ、入学式の入場の曲のピアノがCDなのは流石にまずいわよね…」

「他に誰か当てはいないんですか?」

「いたら苦労しないわよ…」

「曲は何ですか?」

「たしか…『威風堂々』だったはず」

入学式だったら『エルガー作曲の行進曲威風堂々第一番』だろう、あれなら、暗譜もしてあるから…弾けるな。

「それなら、僕引けますよ」

「あのね、御園さん、入学式に素人の演奏を出すわけにはいかないのよ」

この言葉は僕のプライドをかなり傷つけた、僕もまだまだ頑張らないと。

「取り敢えず、今すぐにネットで御園恭介で検索してくれませんか?」

南さんは訝しげな顔をしてから、調べ始めた

「分かったわ、…って、え?何この受賞した賞の数と経歴…とても1人の人間の物じゃないでしょう…」

南さんの顔の色から血の気が引いていった。

まぁ、あんな経歴の人間相手に素人と言ってしまったのを後悔しているのだろう。

「さっきの言葉は訂正します、ごめんなさいね」

「いえ、気にしないでください」

「あんな事を言った後で厚手がましい様ですが、ピアノ伴奏をお願いしても良いでしょうか?」

「了解しました、ピアノの感触を確かめたいので、今から行っても良いでしょうか?」

「分かりました、私も同行しましょう」

そう言って僕たちは予定より早めに移動した。

 

 

 

〜Another View 真姫〜

首席で入試を突破して正直憂鬱な入学式の日が来てしまった。

今から入場だ。

入る前に伴奏のピアノの音が聞こえてきた音が聞こえてきた。

自分の存在感を主張しつつ、それでも新入生が主役と言っているような伴奏。

何人ものピア二スト演奏を、実際に見て、聞いた中でもかなりレベルが高い。

「(嘘…このレベルとなると有馬公正さんや井川絵見さん、それから相座武士さんと同等なレベルじゃない…)」

でも、その3人は今ウィーンでの公演で日本に居ないはず…。

いや、いる、あと1人このレベルの演奏をする同年代の人間が。

「(まさか、伴奏者は有馬公正さんの2人目の弟子の御園恭介さん…⁉︎)」

だとしたら、イミワカンナイ、なんで世界レベルの日本ピアニストの1人がこんなところでピアノ弾いてるの。

いけない、随分と長い間考え事をして居たみたい、新入生総代挨拶しっかりしないと。

〜Another View End〜

 

 

 

入学式の最後に南さんから音乃木坂に廃校の可能性がある事が発表された。

周りは保護者も含めて少し騒然となったが、南さんが次の話しを切り出したので一応は落ち着きを取り戻した。

やっぱり、カリスマがあるんだなぁ。

「その対策として、男子テスト生を設けることになりました、なおこの件には期間があります」

生徒たちに不安の色が浮き出した、女子校に男子が入ってくるとなれば、当然の事だが。

「紹介します、御園恭介さんです」

紹介されてステージ上に上がる。

何人かの生徒が息を呑むのが分かった、同時に好奇の目で見られ始めている。

何人かの人間は僕の事を知っているのだろう、しかし視線には慣れているので気にはならない。

こうして僕の新しい日常の幕が上がった。

 

 

 

放課後僕は生徒会室を訪れた、もちろん絢瀬さんに会うためだ。

ノックをして入ると、だいぶ焦っている絢瀬さんとなんとかならないか思案しているもう1人の女生徒がいた。

「御園さん、あなたこの件について知ってたの?」

絢瀬さんがそう尋ねてくる、まぁ隠す事でもないだろう。

「ええ、その対策のテスト生として来てくれないかと言われてきました」

絢瀬さんは「そう」とだけ返事をしてまた考え事に戻った、あまりにも余裕がなさすぎる、大方自分が何とかしないといけないという『責任感』に囚われているのだろう。

正直言って正攻法ではどうにもならないだろう、男子テスト生なんていう手段は本当に最後の切り札の筈だ、そんな状況なら打てる手は全て南さんが打っているはず…ならば学生にしかできない奇策を打つ事それが生徒会の今打つべき手段だろう。

ここは少しキツく言った方がいいな…。

「絢瀬さん、あなた自分がどうにかしなければならないという責任感を感じてはいませんか?」

「当たり前でしょう、私は生徒会長だもの学校のことをどうにかしないといけないのは義務だわ!」

そう、はっきりと言い切った。

普通の人だったら押し切られているところだろうけど、こっちは世界でも活動している身だ、この程度のプレッシャーはプレッシャーのうちには入らない、そして、この状体の絢瀬さんのプランをきっと南さんは認めないだろう。

「2つ言わせていただきます」

一度そういうと、もう1人もこっちを向いた。

「まず1つ目、絢瀬さんあなたに対してです、物事において、負うべきものは責任、負わなくてもいいものまで負いたがるのが責任感、その境目を見失うと出来ることも出来なくなります」

そういうと綾瀬さんは、自分が焦っていた事に気付いて、少し冷静さを取り戻したようだ。

「2つ目、はっきり言って中学生が高校を選ぶ理由なんて単純なものです、難しく考えすぎず成功例を参考にしてもいいと思いますよ、例えばUTXの成功例を、そうすれば案外取るべき手段が浮かんでくるのではないでしょうか?」

言いたいことは言えたが、この状態では絢瀬さんに本来したかった話しはできないだろう。

「絢瀬さん、また、後日出直して来ます、今日はこれで」

「ええ…その…ありがとう、お陰で少し冷静に考えれそうだわ」

「どういたしまして」

この言葉を最後に僕は退出した。

さて、どんな一手を打ってくるかな…。

 

 

帰り道、メールが来ている事に気づく。

名前を見てみると………『羊飼い』からだ。

『1人の指導者と9人の女神が集いし時運命の歯車動き始める』

正直意味不明だが、しかし相手が相手なだけに、頭の片隅には入れおいた方がいいだろう。

 

そしてこの日、ある9人の人物達に『羊飼い』からメールが送られている事を僕はまだ知らない…




大図書館の羊飼いNINTENDO SWITCH版発売されましたね。
実を言うとVITA版を再びやってまして…投稿が遅れてしまいました、読んでいる人がいるならばごめんなさい。
やっぱり僕はヒロインの中では千莉が一番好きですね。
それでは次回もお楽しみ下さい。


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