魔法科高校の劣等生 〜異世界からの来訪者達〜 (zaurusu)
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重要オリキャラ

 

名前:篠田信春(しのだのぶはる) メンバーからはノブと呼ばれている。

年齢:15 (高校入学時)

髪型 やや癖っ毛が目立つ

身長: 148.9cm

体重:41kg

職業: ウェイター及びコック

使用武器 神双 ラピス

 

好きな事 宴会又は昼寝

 

嫌いな事 団長の作った飯を買う事とマーリンの研究に付き合わさせられる事。

 

魔力 拒絶(リジェクション)

ありとあらゆるものを拒絶する魔力。

マーリン曰く、かなり万能な魔力らしく、応用と使い方次第では七つの大罪をも凌ぐかもしれないとかのこと。

 

 

主な技 ※ストーリーが進むにつれ追加する予定

 

我は否定する者なり(パーソナル・リジェクト)

 

意識した対象を否定し無効化する。使い方によってはマーリンの絶対強制解除(アブソリュート・キャンセル)と似た事もできる。

攻撃はや魔力は勿論、怪我や病気も否定する事で消したり、治したりすることができるが、とマーリンとの実験によりわかった。

 

しかし、発動には対象に手で触れる必要があり、腕が使えない場合は使用できないデメリットがある。

 

我は我を否定する(リミット・オブ・リジェクション)

 

己の限界を否定し、武力、魔力、気力を上昇させる。身体強化。エスカノールの天上天下唯我独尊(ザ・ワン)に似ていはいるがかなり劣っている。しかし、時間に関係なく発動できる点においてはこちらの方が優っている。

 

しかし、使用後は副作用で激しい疲労と筋肉痛に襲われる。

 

そのため、滅多に使う事はない。

 

滅びゆく偽りの世界《ロスト・ファンタズム》

 

呪文を詠唱する事で発動する固有結界。Fateの固有結果を再現しようとして、マーリンと共に編み出した固有結果。

 

全てが拒絶されて、やがては滅びゆく世界を体現。

 

木々は枯れ、大地は荒れ果て、争いの果てに残ったのは血に染まった赤い砂漠。

 

自身の心象風景というよりは魔力が大いに関係しているともいえる。

 

対象にはありとあらゆる拒絶を体験させ、精神に直接攻撃する。物理攻撃が聞かない相手や実態のない者、不死の能力を持つ相手に絶大な効力を持つ。

 

1日に一回しか発動できないため、、いざという時の切り札としている。

 

 

付呪・拒否(エンチャント・マジック)

 

自身の魔力を自らの武器に付属させる。そうする事で手に触れなくても、剣で触れれば、相手に技を発動することができる。

メリオダスの付呪・獄炎(エンチャント・ヘルブレイズ)を参考に編み出した技。

 

あくまで魔力を付属させるだけなので攻撃性はない。

 

 

月華乱舞(ムーン・アサルト)

 

連続として斬撃を飛ばし、相手を切り裂きながら押し込む。

 

殲斬り(ザ・リッパー)

 

至近距離から高速の斬撃を繰り返し、相手に隙を与えず切り刻む。

 

 

 

神双 ラピス

 

七つの大罪と共にヘンドリクセンの野望を打ち砕き、リオネス王国を救った時、リオネス国王から感謝の印としておくられた双剣。

 

名前が無かったので、信春がつけた。

 

見た目は、Fateの干将莫邪に似ているが、綺麗な装飾が施され、真ん中には丸い藍色の宝石が埋め込まれている。

 

特性は自身の武力を半減することで、高速行動を可能とするもの。(クロックアップのようなもの)

 

使用後は強烈な吐き気を伴い、長時間使用すると意識を失うこともある。

 

一見弱そうだが、ある一定の条件を満たすと唯一無二と言っていいほどの強力な力となる。

 

 

 

これまでの経緯

 

中学一年の時、オカルト好きの友人の悪ふざけで謎の儀式に参加した結果、突如床に魔法陣が発動し、七つの大罪の世界に転移してしまう。

 

広大な大地をさまよっていた時、偶然移動中の豚の帽子亭を発見。メリオダスにこれまでの経緯を説明し、住み込みの従業員として雇ってもらう。

 

メリオダスとホーク。ホークママと2人と2匹でブリタニアの各地を旅する。

 

旅の最中、立ち寄った村の魔術師から強力な力が潜んでいることがわかり、それが原因でメリオダスとの修行という名の荒行が始まる。

 

そして、2年後にリオネスの王女エリザベスが訪れたことで原作がスタートする。

 

エリザベスの話を聞いたメリオダスはかつての仲間を集める決意をし、信春も協力しなければ、店を追い出すと脅され、渋々承諾。

 

その結果、信春は大いなる戦いに巻き込まれていくことになった。

 

そして、大いなる戦いが終わり、平和が訪れた頃、マーリンが元いた世界へ帰る魔法陣が完成したとの報告をうける。

 

迷った挙句、元いた世界へ帰ることを決意する。

 

七つの大罪のメンバーに見送られながらも、魔法陣へと踏み込む。

 

いざ、帰還!

 

とその時、酔っ払たバンが魔法陣にゲロをぶちまけ、魔法陣が暴走。

 

巨大化した魔法陣が辺りを包み込み、閃光がはしった。

 

魔法陣が暴走した事により、範囲は拡大し、それに巻き込まれる形で七つの大罪メンバーも転移。

 

気がつくと、其処は高層ビルが立ち並ぶ見知らぬ土地。

 

そう。そこは信春が暮らしていた時間から遥かに先の未来。

 

魔法が科学によって証明された、世界だった。

 

 

 

 

 

 

 

 



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異世界からの来訪者達

異世界からの来訪者達

 

当初は約80年前に行方不明になった生徒が行方不明当時と姿変わらず発見されたと言うこともあり、マスコミはこれを大スクープとして、緊急特番として報道された。

 

そして、突然開かれた緊急記者会見でその一部始終をを見ていた人々は思わず驚愕した。

 

行方不明当日、友人の悪ふざけで作った魔法陣で異世界に転移してしまった事。

 

メリオダスとの出会い。

 

エリザベス王女を救い

 

かつての仲間を探す旅。

 

数々の死闘を繰り広げ

 

生と死の蓋を彷徨い。

 

王国の危機を救い

 

復活した魔神族との戦いへ

 

そして、現在

 

 

この時の雰囲気はなんとも言えないものだった。

 

息を飲んで話を聞きながら。一句一句を記録するものもいれば、馬鹿馬鹿しいと嘲笑うもの。

 

三者三様だった。

 

しかし、たった1人の記者の質問で馬鹿にした連中らは嫌でもそれが真実だと思わざるを得なくなる事になる。

 

その質問とは

 

「その、魔術と言うのを見せてもらっていいですか?」

 

と、シンプルなもの。

 

信春達が考え、その答えとして彼が出した答えが

 

「了解した」

 

パチン!

 

マーリンによる、転移。

 

ここにいる全員を上空五千メートルへと飛ばした。

 

突然、空へと転移さられた者たちは大混乱。そして、挙句には美化にしていた人物たちを地面ギリギリまでスカイダイビングさせるという魔術を見せた。

 

しかも、リアルタイムで放送され、見ていた者達を驚愕させた。

 

後日、民放の特番にて魔法大学の教授がこれを解析したのだが、現代魔法とは全く違う物であり、解析は不可能だっと言う結果が出た。

 

さらには、国の調査機関や軍部も調べたがやはり解析出来なかった。

 

このことから、彼らが異世界人だと言うことが証明され、その情報はネットやSNSを通じ世界へと拡散。

 

世界中が彼らに注目することになった。それが、いい意味でなのか悪い意味なのか

 

異世界からの来訪者達。

 

果たして、彼らがもたらすのは恩恵か混乱か。

 

今はまだ、誰も知らない。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

七つの大罪及び、信春がこの世界に来て1ヶ月がたった頃。

 

信春は昨夜の宴会で荒れ放題になった、豚の帽子亭を掃除していた。ちなみにメリオダスとエスカノールは店で出す酒を調達。

 

バンとキングは酔いつぶれて未だに爆睡中で、無理に起こして暴れては困るためそのまま放棄

 

ゴウセルは異世界の本に興味があるとかで、図書館に。

 

エリザベスとディアンヌ、エレインは近くのデパートへ服を買いに。たまには女の子同士で話し合いたいんだとか。ちなみにディアンヌはマーリンによって小さくなっている。

 

マーリンさんは……残飯処理騎士団長のホークを連れて何処かへ出かけてしまった。

 

なので、実質俺1人でこの荒れ果てた部屋を片付けている。

 

エリザベスさんとディアンヌ、エレインさん、エスカノール(眼鏡着用時)をを除いて、豚の帽子亭にはロクな奴しかいない。

 

大罪人なのは置いといて、掃除の一つくらいは出来るようになってほしい者だ。

 

これは給料を上げて貰わないと割に合わない。

 

と、考えていると

 

「あー、重かった。まったく、残飯処理騎士団長の俺にこんなことさせるなよ」

 

「すまないな、ホーク殿。今日は団長に頼んで残飯の量を増やしてもらうからゆるしてくれないか?」

 

「それなら、お安い御用だ!!」

 

扉が開く音が聞こえ、振り返るとそこにはマーリンと大量の荷物を括り付けられたホークがいた。

 

このやり取り、もう何回目だろうか。

 

まぁ、ホークは気にしてないようだから問題はないか。

 

それよりも……

 

「マーリンさん。一体何処にいたんですか、探したんですよ?」

 

マーリンさんがいれば、魔術でパッパッと片付けられたのに。朝起きたら既にいないから、してやられた気分だった。

 

「ああ、すまない。今日はちょっと用事があってな」

 

「用事?」

 

「この世界のありとあらゆる物が揃うという、アキハバラとか言う所にな。やはり、噂通り……いや、想像以上な場所だったなあそこは」

 

なんか、えらく上機嫌だ。

 

オタクの聖地だとかアイドルのなんやかんやとか言われてるけど、電化製品の天国であるからなあそこは。

 

マーリンは知識を求める故に、ブリタニアよりも遥かに文明が進んだこの世界に興味深々だった。

 

特に、電化製品には目がなく、昔流行った爆買いと言うものをしている。

 

そのせいで、店は電化製品で一杯に……なるどころか、ほとんど見かけない。

 

マーリン曰く、四次元空間に保管してあるから心配ないとのこと。

 

取り出すときは専用の袋に手を入れて、出したいものを唱えるだけでいいらしい。

 

なんか、どこかで見たことある気がするのだが、これ以上踏み出すのはやめたほうが良さそうなのでやめにする。

 

それはさておき

 

「秋葉ですか……メリオダスに出会う前はよく友人と行きましたね。面白い街ですからね。あそこは」

 

「ああ、確かにそのとうりだが、少し変わった奴が多い所だったな」

 

「変わった奴ですか?」

 

まぁ、オタクとか多いからね。きっとそんな人に出会ったの……

 

「ああ、R- 18というカーテンがかかった地下の店に入った時にな。よくわからんが、私を見た奴らが突然、四つん這いになって、踏んづけてくださいとか言ってきてな」

 

「ぶふー!?」

 

思わず吹き出してしまった。

 

マーリンは何かおかしな事言ったか?という顔で平然と話を続ける。

 

「最初は気色悪くて断ったんだが、その店の主人が踏んでくれたら最新の製品をプレゼントするというのでな。軽く、その場にいた20人位は踏んでやった」

 

その店の店長大丈夫なのか?それと、何してんだマーリンさん

 

「それでもらったのが、これなんだが……このちっこくて丸っこいピンク色の球体はどうやって使うんだ?見た所、このボタンを押すとブルブルと震えて……」

 

「わーわー!!それ以上はダメ!!」

 

マーリンさんの手からそれを取り上げる。

 

「取り敢えず、これは色々と危険でアウトなので俺が責任持って預かります!!」

 

そして、誰にも見つからないように秘密裏に処分する。

 

「そ、そうか。よくわからないが、危険なら仕方ないな。この世界のことは私よりもお前の方が詳しいからな」

 

まぁ、未来とはいえ故郷ですから

 

「それと、今後そういった店ははあまり近づかない方がいいです」

 

「何故だ?」

 

「アダル……んん、あそこは大人の性欲が詰まった場所ですから」

 

隠したようで隠しきれてないのだが、この際は仕方ない。

 

「ふむ、私たちの世界でいう娼館か?」

 

「ちょっと違いますが、同じようなものです」

 

実際は全然違うのだが、めんどくさいから否定しない。

 

「そうか。なら、今後R-18と書かれた場所には行かないようにしよう」

 

「そうしてください」

 

「しかし、娼館の割には男しかいなかったが……あそこは男色か?」

 

「マーリンさんこの話はもう、これで終わりにしましょう。出ないと、自動的に絶対強制解除(アブソリュート・ギャンセル)が発動してしまいます」

 

「わかった」

 

自分の顔が必死だったのか、マーリンさんもこれ以上、追求するのはやめた。

 

「私は研究室にいるから、何かあったらよんでくれ。頑張ってこの店を綺麗にするんだな」

 

どうやら、手伝ってはくれなさそうだ。

 

まぁ、手伝ってもらったら見返りになにを求められるからわかったものじゃないから、いいか。

 

休憩のつもりでマーリンさんと話したが、余計疲れてしまった。

 

掃除を再開しようとしたその時

 

「あ、そういえばだな」

 

自身の研究室へと向かう途中、なにかを思い出したのかくるりと一回転して信春の方へ向く。

 

その時だが、俺は何故か嫌な予感がした。

 

マーリンさんの顔が笑ってるのだ。こういうときは大抵良くないことを考えているときだ。

 

そして、出てきたのが

 

「ノブ、お前にはこれから学校に通ってもらう」

 

「はい?」

 

まさかの入学宣言だった。

 

 

 

 




信春はマーリンさんには敬語で話します。

何故かって?

怖いからです。いろんな意味で


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国立魔法大学付属第一高校

全国に九校しかない、国立魔法大学付属高校。

 

その中でも特に優秀な人材が集まる国立魔法大学付属第一高校にて、劣等生の兄と優等生の妹が入学した時から

 

波乱の幕開けが始まる事になろうとは、そのときはまだ、誰も知らない。

 

それに付け加え……

 

「やべ、遅刻だ!」

 

異世界からの来訪者が加わることになるなんて、なおさらだ。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

「遅いですね……」

 

第一高校生徒会の書記中条あずさは来賓を出迎えるために校門前でその人物が到着するまで待っていた。

 

なんでも、ものすごい人が来ると会長からは聞いていたが、それが誰なのかは当日のお楽しみということで、極秘扱いなため、中条は誰が来るのか気になる反面、オドオドしていた。

 

そして、約束の時間が来ても一向に現れる気配がない。

 

そんな中、中条は会長が言っていたものすごい人が誰なのかを自分なりに考えていた。

 

生徒会内では情報を知るのは生徒会会長の七草真由美のみ。他にも部活連会頭の十文字克斗は知っているようだが、風紀委員会会長の渡辺摩利はしらないらしく、本人も立場上からして知る必要があると真由美に問い詰めたそうだが、それでも、極秘だからとの理由で跳ね返されたそうだ。

 

会頭と会長しか知らない情報。

 

2人の共通していることといえば、十師族の一員という事。

 

そうなると十師族がらみという線が有力になる。

 

このことから、来賓というのは十師族の当主なのではないかと、あずさは思い始めた。

 

可能性としては七草家の当主、七草弘一。

 

もしくは、十文字家当主、十文字和樹。

 

他にも九島烈を思いついたが、引退してからは九校戦か師族会議以外は、滅多にお見えになる事はないことから外された。

 

それに、あの人が来たらもっと警備は厳重になるだろう。

 

それも、難攻不落の要塞みたいに。

 

 

以上の事から、あずさはとんでもない依頼を承諾してしまったとのではないかと、若干後悔した。

 

しかし、生徒会書記としてせっかく来てくださった来賓にみっともない姿を晒すわけにはいかない。

 

臆する事なく堂々としていよう。

 

とあずさはぐっと拳を握りしめた。

 

足が震えているのは余談だが……。

 

しばらくして

 

「あ、すいません。もしかして、第一高校の方ですか?」

 

来た!

 

あずさは息を整え、いざ対面

 

「はい、あ、あの!今日はお忙しい中……」

 

目の前にいた人物にあずさは言葉を失った。

 

なぜなら……。

 

「はじめまして。自分は篠田信春と言うんですが……」

 

つい先月、異世界から来たということで、全世界に衝撃を与えた話題の人物のひとりの

 

篠田信春がそこにいたからだ。

 

それを間近で見たあずさはというと……。

 

「えぇえええええ!!」

 

驚きのあまり、開いた口が塞がらなかった。

 

 

 

 

 

 

「落ち着きましたか?」

 

「あ、すいません」

 

とりあえず、落ち着かせるのに五分はかかった。

 

「大声をあげてすみませんでした。私は第一高校2年、中条あずさです。これでも、生徒会書記なんです!」

 

一応マーリンからは向こうの生徒会のメンバーが迎えに来てくれるからとは聞いていたが、一向にそれらしい人が見つからず、校門前まで来て見たら、新入生らしき人を見つけたので、挨拶して見たところ、突然、大声をあげて驚きはじめた。

 

とりあえず落ち着いて話を聞いたところ、がまさかの生徒会関係者だった。

 

普通に新入生かと思った。

 

まぁ、人は見かけによらないからな。

 

特にメリオダスとかメリオダスとかメリオダスとかメリオダスとか……

 

「えっと、その……会長が言ってた極秘の来賓というのは篠田信春さんで間違い無いんですか?」

 

あずさはなにかを確認するかのように聞いてきた。

 

会長というのは恐らく七草真由美の事だろう。マーリンからは渡されたパンフレットに紹介されていたが、写真でも見る限りでも群をぬいての美少女だった。

 

自身は直接会った事はないがマーリンは面識があるらしい。

 

信春も師族会議には出た事があるが、そこで出会ったのは現当主か次期当主ぐらい。

 

自分と年の近い物との面識はなかった。

 

それにしても極秘扱いされるとは……自分はこの世界(・・・・)では一般人と変わらないのだから、そこまですることではないと思う。

 

「ええ、極秘扱いされてるのは知りませんでしたが、今日から第一高校にお世話になる予定ですね」

 

「え、そうなんですか!?」

 

本当になにも知らされてないようだ。

 

少なくとも、名前くらいは教えても良かったのではないだろうか?

 

そうすれば、多少は気が楽になっただろうに。

 

「はい。取り敢えず、生徒会長の所まで案内してもらってよろしいですか?そろそろ時間が……」

 

入学式まで後50分。

 

まだ、リハーサルもしてないので急がないまずい。

 

「あ、はい! ついてきてください!!」

 

ぴしっ!と回れ右をしてあずさは信春を生徒会関係者がいる部屋へと案内する。

 

緊張していたのか、こけそうになってはいたが……。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

「遅いわね……」

 

第一高校生徒会会長、七草真由美は一向にあずさからの連絡が無いことに不満を持っていた。

 

本当は真由美自身で迎えに行くはずが、入学式の準備が切羽詰まっているため、代理としてあずさに迎えは行かせた。

 

迎える人物というのは、先月世間……いや、世界に衝撃を与えた異世界人のひとりである篠田信春という人物。

 

彼の場合異世界人ではなく、帰還者と聞くがぶっちゃけそんな事はどうでもいい。

 

問題なのは、彼らが使用する未知の魔法……魔術というらしいがそれを狙う者たちが後を絶えない事だ。

 

真由美自身は、魔術なんて古式魔法とそう変わらないだろうと思っていたが、彼らが見せた異世界の魔術は魔法なんてものをはるかに超えたものだった。

 

特に、ブリタニア最強の魔術師というマーリンが見せた飛行と転移を可能とする魔術。

 

現代魔法では難関とされた物と、不可能とされたものをいとも簡単にやってのけたのには、魔法関連に携わる科学者は度肝抜かれた。

 

そういったこともあり、彼が入学してくると父親である弘一から話を聞いた時、真由美は頭を抱えた。

 

どうやら、師族会議の途中、マーリンがこの世界の魔法に興味があるから何処に行けば詳しく知る事ができる?と直談判しにきたらしく、その結果、大学の資料が保管され全国の魔法科高校の中でも屈指のセキュリティーを誇る第一高校をオススメしたらしい。

 

だが、世の中ギブアンドテイク。

 

見返りとしてマーリンは各魔法大学付属高校で1ヶ月ごとに講義を行う臨時の講師として雇われることになった。

 

そして、なぜか信春はそれに巻き込まれる形で第一高校に入学することになったそうだ。

 

その篠田信春なのだが……予定の時刻から15分経っても来ないのだ。

 

写真を見た限りだと、男子にしては背丈が低く、何処か幼さが残る印象だったが……約束を破るような子には見えなかった。

 

何かトラブルに巻き込まれたかと思い始めたその時

 

「あ、あーちゃんからだ……」

 

携帯の音がなると、画面にあーちゃんと書かれた文字が浮かび上がる。

 

「会長!! 例の来賓の方なんですが篠田信春さんで間違い無いんですか!?しかも、入学するって本当ですか!?」

 

と電話に出ると異様に興奮したあずさが映った。

 

「お、落ち着いてあーちゃん。取り敢えず、信春君をここに案内してね?色々と聞きたいことはあると思うけど、話は会議室で詳しくはなすから」

 

「わかりました!」

 

通信が切れた。

 

やはり、名前くらいは教えても良かったかもしれない。これは、後から来るメンバーに説明が大変だと真由美は胃がキリキリする思いだった。

 

 

 

 

 

 

 

中条から例の人物が来て事を確認してから、数分後

 

 

「真由美、例の件はどうなった?」

 

準備もひと段落し、あとはその人物が来るだけなので、一休みしている最中に、風紀委員会会長の渡辺摩利が訪ねて来た。

 

ちなみにこの会議室にいるメンバーは生徒会と部活連会頭の十文字と新入生総代の司波深雪を含めた計5人だ。

 

「今、あーちゃんが連れて来てるわ」

 

「そうか」

 

と言って、摩利は椅子に座る。

 

例の件とは篠田信春の事である。真由美と十文字以外は知らない極秘である。

 

ここにいる中で何も知らないのは新入生の深雪だ。

 

「七草会長、例の件とはなんですか?」

 

だがらか、少し気になったので聞いてみることにした。

 

「もうじき来るわよ」

 

真由美はそれ以上喋ることはなかった。

 

話の限り、だれか人を待っているようだが……

 

一体、誰なんだろうと思ったその時

 

「失礼します!」

 

と息を切らしながらあずさが入ってきた。

 

「どうやら来たみたいね。ごめんねあーちゃん。はい、お水」

 

「ありがとうございます……」

 

よほど喉が渇いてたのかものすごい勢いで飲んでいる。

 

「失礼しました。それよりも、会長!連れてきましたよ!」

 

その言葉に当たりの空気が一変した。

 

なぜだが、ソワソワしだす面々。

 

特に渡辺先輩はどんな人物が来るのか楽しみにしてるようで上機嫌だ。

 

真由美があずさを先に座らせたところでドアを叩く音が聞こえ

 

「どうぞ」

 

と真由美が言うと

 

「失礼します」

 

扉がすっとあき、そこにいた人物は……。

 

「今日からここに入学する篠田信春です。生徒会の皆さん、よろしくお願いします」

 

出てきた人物に皆が目を見開いて驚いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




マーリンさんのキャラが崩壊している気がする


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第一高校生徒会

中条さんに生徒会控室まで案内してもらい、扉の前まで来ると少し待つように言われ、しばらくすると、向こうからから「どうぞ」と女性の声が聞こえてきたので、軽くノックをして扉を開けた。

 

中には、生徒会と思わしきメンバーが椅子に座っており、信春を見た途端、驚いたのか、全員が目を見開いていた。

 

ただ、唯一驚かなかったのは2人の女子生徒。生徒会長の七草真由美と中条あずさのみ。

 

どうやら、本当に極秘扱いだったようだ。

 

なんとも言えない空気が漂うが、嫌悪感は感じない。

 

どうやら、あまりにも予想外(イレギュラー)な事に驚きを隠せなかっただけのようだ。

 

「いらっしゃい、篠田信春君。取り敢えずみんなの事を紹介したいから席に座って」

 

「わかりました」

 

空いている先を探し、席に座る。

 

「えっと、色々聞きたいことがあると思うけど、まずは自己紹介からね。私は第一高校の生徒会長を務めています、七草真由美です。ななくさと書いて、さえぐさと読みます」

 

写真で見たとおり……いや、それ以上の美少女だった。

 

優れた魔法師には美形が多く、特に十師族や数字付き《エクストラ》と言った血筋は特に多いとマーリンから聞いたことがある。

 

ここにいる、生徒会の面々は特にそうだ。

 

少なくとも、名家の血筋は引いているだろう。

 

信春の考えは当たらずとも遠からずだが、ここにいる面々がかなりの実力者である事は間違ってはいない。

 

「私の隣にいるのが、会計の市原鈴音。通称、りんちゃん」

 

なんだ、そのあだ名は。

 

「……私のことをそういうのは会長だけです。気にしなくても良いですよ、信春さん」

 

確かにこの人にはちゃんは似合わない。どちらかというとさんの方が似合うだろう。

 

少し、きつめな印象だが十分整っていて、かなりの美形。美少女というよりは美女といった感じだろう。

 

「その隣にいるのが、風紀委員会会長の渡辺摩利」

 

「よろしく!」

 

この人に関しては、凛々しくて頼り甲斐がありそうな先輩といったところだろうか。

 

どことなく姉さんという言葉が似合いそうだ。

 

それにしても、この声どこかで聞いたことあるような……まぁ、気のせいか。

 

「それから、書記の中条あずさ。通称あーちゃん」

 

「会長!お願いですから下級生の前で『あーちゃん』はやめてください!私にも立場というものが……」

 

確かにこれはあーちゃんだ。必死に反抗しているようだが、すればするほど意味をなさないというか、立場が下がっている気がする。

 

「最後に副会長の服部刑部少丞範蔵。通称、ハンゾー君」

 

「服部刑部です、会長!」

 

「それは、お前の官職だろ?」

 

「一応、学校では服部刑部で登録されています!」

 

生徒会唯一の男子生徒。やたらと名前が長い。

 

どこの厨二の名だと思ったが、どうやら本当のようだ。

 

名前を聞いた限り、忍者の末裔かなのかだろうか?

 

今度、忍術でも見せてもらおうかな。

 

「あ、それと、信春君の隣にいるのが、司波深雪さんね。今年度入学主席の生徒よ」

 

「初めまして。新入生総代の司波深雪と申します。お噂はかねがね」

 

先ほどから物静かにこちらを見ていた少女。

 

どうやら、今年の新入生総代らしい。

 

エリザベスさんとは違った美しさというか、雪のように洗礼された白く美しくも儚さを連想させる。

 

言うなれば絶世の美女といったところだろう。

 

言葉遣いもさることながら、礼儀もわきまえているようだ。しかも、一つ一つが洗礼されていて美しかった。

 

是非、豚の帽子亭で雇いたいものだ。

 

一通り、生徒会メンバー+αの紹介が終わったところで今度はこちらが自己紹介をする。

 

「改めまして、今日からここに入学する篠田信春です。色々知らないことだらけなので迷惑をかけると思いますがよろしくお願いします」

 

席を立ち、軽く自己紹介をおえ、改めてお辞儀をする。

 

皆、本当に入学するんだといった顔で驚いていた。

 

「えっと、篠田信春君だったな?どうして第一高校に?」

 

「信春でいいですよ?これから後輩になるんですから。 それに関しては僕もよくわかりませんが……強いて言うなら監視ではないでしょうか?」

 

本当はマーリンさんが知識を得るための代償を払うことになり、さらに巻き込まれたのが正しいのだが、そんなこと、アホらしくて言えるわけがないので適当に本当ぽくごまかしておく。

 

「監視?」

 

「一応、僕らは異世界人ですからね。特に魔術に関しては魔法関連に携わる者からしたら喉から手が出るほどのものですからね」

 

これは本当だ。

 

特に転移や飛行といった物は信春達がいた世界では魔術師がごく普通に使っていたが、この世界だとまだ実現すらできていないのだ。

 

狙われないわけがない。特に、帰還者である信春は特にそういった輩のターゲットにされている。

 

「もしそれが、テロリストや敵対国に渡ったら大変ですからね。おおかた、お偉いさん達はそういったことを恐れて僕達を監視したいんだと思いますよ?」

 

「成る程な」

 

どうやら、納得してくれたようだ。

 

「 まぁ、色々思うことはありますが、個人的には皆さんと仲良くなりたいのでそんなかしこまらなくていいですよ?」

 

この一言のお陰で、あたりの空気はだいぶ緩くなった。

 

そんな中

 

「あの、信春君!」

 

突然声をあげたのはあーちゃんこと中条あずさ。なにやら、すごく興奮している。

 

「その腰につけているものって……」

 

信春の腰元につけている物を指差しながら、目が輝いている。

 

「あー、これですか?」

 

「はい、それです!!」

 

案の定、それを腰から抜き、目の前に出すと食いつく勢いで迫ってきた。

 

「これがどうかしたんですか?」

 

気になったので聞いてみると

 

「あ、えっと、見たことないタイプのCADだったのでつい……」

 

CADって、魔法師の必須アイテムのことだっけ?俺たちで言う神器みたいなものかと思ったが、少し違ったりと……詳しくはわかっていない。どうせ、つかえないのだから。

 

そんなことを考えていると.真由美が近寄ってきて耳元で囁くようにこっそりと教えてくれた。

 

「あーちゃんはね、デバイスオタクなの。多分、信春君なCADが珍しかったからじゃないかな?双剣の武装型一帯なんて私でも見たことないから……」

 

成る程、そう言うことか。

 

「えっと、これはCADじゃないです」

 

「「「「「「え、そうなのか!?(んですか!?)」」」」」」

 

みんな、驚いてる。

 

ここは、詳しく説明しておいた方が良さそうだ

 

「これは神器って言うんです」

 

「神器?」

 

「自身の持つ力を最大限に活かせるように作られた武器を神器って言うんです」

 

「CADとはどう違うんだ?」

 

「補助という点ではいたようなものですね。ですが、機能……役割が違うんじゃないでしょうか?CADの事はあまりよく知りませんが、神器の場合は魔力を泉とした場合、それを組み上げる道具みたいなものですね」

 

「つまり、CADは魔法発動の高速化するための計算機だとすると、信春君のいう、神器とは一度にたくさんの水を救えるバケツのようなものという事でしょうか?」

 

「だいたいそんな感じですかね」

 

話をまとめ上げた鈴音さんは本当に優秀だと思う。

 

自分でも神器とはなにかと聞かれて、詳しく説明できなかったから、これでいつでも説明できる。

 

「成る程な……しかし、そんなものどこで手に入れたんだ?見た感じ、かなりの業物だが……」

 

まぁ、神器自体それなりに高いものだし、さらに王家の宝物庫に眠っていたものとなるとかなりのものなのかもしれない。

 

詳しくは知らないが。

 

「リオネスを救った際に国王から感謝の印として送られたものです。名前は神双 ラピス。バルトラ国王曰く、国宝だそうです」

 

「国宝!?」

 

「はい、値段がつけられないって言っていたんですけど、よくわからないんですよね」

 

国宝と言った瞬間、何故か全員がその場から離れた。

 

そんなに驚く事なのだろうか?

 

まぁ、ただ1人だけすごく興味あるけど国宝だからどうしようかといった感じで躊躇している人が1人いるので……

 

「触りますか?」

 

「いいんですか!?」

 

「はい、ですが、切れ味が鋭いんで気をつけてください」

 

「ありがとうございます!!」

 

神器を渡すと餌を待っていた子犬のようなそぶりを見せるあずさ。

 

じゃっかん、犬耳が見えた気がするのだが、気のせいだと思いたい。

 

「こんな細かい金の装飾は見たことないです!それに、バランスも完璧!鏡のような美しい刃!何より美しいのはこの宝玉!どれも職人のこだわりと繊細さが伝わる物ばかりです!それから……」

 

どんどんゾーンに入っていく。

 

あずさはじっくり堪能するまでの30分間、ずっとゾーンに入りっぱなしだった。

 

まぁ、その間、リハーサルが出来たので信春とはちょうど良かった。

 

ただ、返してもらうとき、ものすごく物足りなさそうな顔をしていたので後日、また貸し出すことを約束し、ことなきを得た。

 

さて、もう少しで入学式だ。

 

果たして、何も知らない新入生は異世界からの来訪者にどんな反応をしめふか。

 

雑にたのしみである

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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入学式

入学式は特にこれといったトラブルもなく淡々と進んでいく。

 

ただ、新入生総代の司波深雪が挨拶をするのだが、これがまた際どいものだった。

 

特に「皆一丸となって」や「魔法以外でも等しく」など、自分はそうは思わなかったが、結構ヒヤヒヤする場面があったらしい。

 

まぁ、皆深雪の美しさに見とれて聞いてはいないようだが……。

 

市原先輩曰く、この学校は一科生と二科生に分けているらしく、ステージから見て前にいるのが一科生で、後ろに座るのが二科生との事。

 

見分け方は制服の胸に花のエンブレムがあるかないか。

 

実にわかりやすいものだった。

 

どうやら、一科生は優等生。二科生は劣等生というレッテルが貼られているらしく、差別意識が激しいとの事。

 

しかも、それは既に入学した時から決まってしまう。

 

実に残酷なものだ。

 

でも、実際は学校の「最低でも100人以上を魔法大学へ合格させるという」第一高校の方針を実現させるべく、 仕方なくこの制度を採用したとの事。

 

学校側は差別しているつもりはないそうだ。

 

でも、それが裏目に出てしまった。

 

実に皮肉な話だ。

 

幸いなのが、今年の新入生総代である司波深雪がそういった考えを持っていない事だろう。

 

本当の優等生は彼女のような人のことをいうのだろう。

 

彼女が手本となって、この学校の流れを大きく変えてくれることを願うばかりだ。

 

「新入生総代、司波深雪さんでした」

 

拍手が会場に響き渡る。

 

どうやら、無事終わったようだ。

 

ということはそろそろ、出番か……。

 

席を立ち、舞台袖へと向かう。

 

そこでちょうど、深雪とすれ違った。

 

「いいスピーチだったな」

 

「ありがとうございます。貴方も頑張ってくださいね?」

 

「ありがとう。まぁ、そんな大したものじゃないけどな」

 

お互い軽く談話し笑いながら別れ、舞台裏についた。

 

一応パンフレットのスケジュール表だとこれで終わりなのだが……成る程、お楽しみは最後にというやつか。

 

これはかなり責任重大だな。

 

「では、これで入学式を終わります……と言いたいところですが、皆さんに連絡があります」

席を立ち帰ろうとしていた生徒たちが立ち止まる。

 

「実は今年度入学式にて特別ゲストをお呼びしました。そのゲストから皆さんに向けて挨拶があります」

 

会場がざわつき始める。

 

「では特別ゲストの登場です。どうぞ」

 

真由美から手招きされ舞台袖から登場する

 

「皆さん、この度魔法大学付属第一高校に入学することになった、篠田信春です。よろしくお願いします!」

 

全員が開いた口が塞がらなかった。

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

中々際どいワードがあったが、みな深雪に見とれていて耳に入ってないようで何よりだ。

 

司波達也は妹である、司波深雪の式辞を聞いて時々出るワードには冷え汗が出る思いだった。

 

まぁ、深雪らしいといえば深雪らしいスピーチだったな。

 

特にこれといったトラブルがなくてよかった。

 

入学式も終わると、次はIDカードの登録と発行。そして、クラス分けだ。

 

「何組だと思う?」

 

「私はDかE組だと思います。達也さんはどう思いますか?」

 

「俺も美月と同じだ。ただ、俺の場合は実技が悪かったからE組の可能性が高いな」

 

「みんな同じクラスだといいね」

 

「私もそう思います!」

 

「こればかりは運に任せるしかないな」

 

「もう!達也くん、そこは『俺もだよ』ていうところよ!」

 

「そうか。それは申し訳ないことをした」

 

「わかればよろしい!!」

 

「えりかちゃん……」

 

突然始まった漫才?に苦笑いする美月。その中に自分が入っている事には自覚がない。

 

早速3人でIDカードを登録しに行こうとしたその時

 

「では、これで入学式を終わります……と、言いたいところですが、皆さんに連絡があります」

 

と突然生徒会長が言い出したことで達也たちは立ち止まった。

 

「突然どうしたんだろう?」

 

「何か言い忘れたことでもあるんじゃないんですか?」

 

「いいや、深雪の答辞で終わりのはず……」

 

達也はパンフレットに書かれたスケジュールを確認する。

 

スケジュールにはきちんと深雪の答辞で終わりとなっていたため、なにかを飛ばしたとか見逃したという可能性はない。

 

「実は今年度入学式にて特別ゲストをお呼びしました。そのゲストが皆さんに向けて挨拶があります」

 

会場がざわつき始めた。

 

それは当然、波のようにこちらにも到達した。

 

「特別ゲスト?美月何か知ってる?」

 

「わ、私はしりませんよ?達也さんはどうですか?」

 

「俺も知らないな」

 

成る程、特別ゲストか。それなら、パンフレットに載ってないのも頷ける。

 

学園が用意したサプライズというやつだろう。

 

しかし、気になるのは……

 

「特別ゲストって誰だと思う?」

 

「こういった場合は、今はやりのアイドルとかお笑い芸人でしょうか?」

 

特別ゲストが誰なのかということだ。

 

美月のいう通り、普通ならアイドルやお笑い芸人と言った芸能関係者の線は有力だろう。

 

しかし、魔法科高校はセキュリティー関係やエリート意識の問題でテレビで映るような芸能関係者は招くことはほとんどない。

 

それに、テレビカメラが一台もないことも理由だ。

 

となると、特別ゲストというのは魔法師か魔法関係に携わる者の可能性が高い。

 

十師族の当主、又は関係者。この学校には十師族の血縁者が2人もいるのだから可能性はある。

 

または、魔法関連の大手会社の幹部クラス。

 

そんな感じだろうな。

 

「達也くんは誰だと思う?」

 

「俺か?そうだな……魔法関連での有名人じゃないのか?流石に戦略級魔法師はないだろうが、A級ライセンス辺りが濃厚だな」

 

「えー、それだとつまんなくない?」

 

「えりか、ここは魔法科高校だ。芸能関係者だとテレビとか新聞になる可能性があるからセキュリティー面で問題が出るんだ。あと、エリート意識が高い奴らはそういったものに関して見下しているからな」

 

「つまんない連中ね。でも、うちの兄貴達は結構見てるわよ?新◯劇とか」

 

「それは人それぞれだろ」

 

「そうですよえりかちゃん。よそはよそ、うちはうちですよ」

 

「ふーん、そういうもんなのかな〜……」

 

えりかの言いたいことはよくわかるが、それは仕方のないことだ。

 

「まぁ、今はその後特別ゲストを見ましょう」

 

「そうですね」

 

「そうだな」

 

この時は思いもしなかった。

 

「それでは特別ゲストの登場です!どうぞ!」

 

まさか特別ゲストというのが……

 

「皆さん、この度魔法大学付属第一高校に通うことになった篠田信春です!よろしくお願いします!!」

 

つい先日、全世界を驚愕させた異世界からの来訪者達の1人

 

篠田信春だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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クラス分け

入学式が終わると千葉エリカ、柴田美月、司波達也の3人はI交付受付へと向かい、IDカードを受け取った。

 

偶然にも3人ともE組だった。

 

それよりも

 

「しかし、まさか特別ゲストっていうのが」

 

「はい、篠田信春さんだとは驚きました」

 

「俺もだよ」

 

まさか、特別ゲストの正体があの篠田信春とは流石の達也も驚きを隠せなかった。

 

しかも、入学してくるときた。

 

今更なぜだ?

 

「でも、なんで入学してきたんだろうね」

 

「さぁ、わたしにもわかりませんね……達也さんはどう思いますか?」

 

「俺か?そうだな……ただ単に学校に通いたかったとかとかいうわけでもなさそうだったしな……」

 

エリカの疑問は達也も思っていたことだ。

 

彼が学校に通ってもなんのメリットも無いはず。

 

では、なぜここにきたのか?

 

そもそも、素性をわからないものを魔法科高校に入学させるなど前代未聞もいいところ。

 

門前払いされるのがオチだろう。

 

しかし、彼はなぜ入学できたのか?

 

考えられるのは裏で何らかの取引があったこと。それもかなりの力を持ったもの。

 

魔法科高校へ入学を認めさせるほどのものとなると……魔法師関連、それも十師族関連の何者かが関わっている

 

だが、そういった問題を四葉(いえ)が知らないわけがない。

 

深雪のガーディアンである達也は、次期当主を守るためにもそういった話はすぐに本家から伝わるはず。

 

しかし、そういった連絡はなかった。

 

では、十師族は関係ないと言うことなのだろうか?それとも、あえて伝えていないだけなのか。

 

四葉真夜ならその可能性はなくもないが、これといった確証がない。

 

軍からもそういった話は来てはいない。

 

それとも、篠田信春自身、何か目的があってな事なのか。

 

それが何なのかはわからない。

 

敵意はなさそうだが、もし奴が深雪に危害を加えるつもりなら、

 

容赦なく消す。

 

まぁ、今はそんなことはないことを願うばかりだ。

 

「まぁ、この話は置いといて。それよりもどうする?私たちもホームルームでもいく?」

 

これといった予定はないが

 

「悪い、妹と待ち合わせてるんだ」

 

エリカ達には悪いが最愛の妹を迎えに行かなくてはな。

 

「え、達也くん妹いたの!?」

 

エリカは驚いているようだ。

 

「あの……もしかして、妹さんって新入生総代の司波深雪さんですか?」

 

「へぇ、じゃあ、双子なの?」

 

「いや、よく言われるけど双子じゃないよ。俺が四月生まれで、妹が3月生まれなんだ。それにしても、よくわかったね?」

 

「いえ、2人とも、雰囲気というか、お2人のオーラは凛とした面差しががとてもよく似ています……」

 

達也は美月のこの発言に表情は変わらないが、ものすごく動揺した。

 

彼女は俺と深雪のオーラが似ているといった。

 

それは、オーラが見えていると言うことをはっきりと伝えるには十分だった。

 

恐らく、彼女は霊視放射光過敏症なのだろう。

 

それも、かなりの

 

「オーラの表情がわかるなんて、本当に目がいいんだね」

 

「え、いやその……」

 

これ以上、見られるのは危険だ。俺の秘密を守るためにも……

 

「お兄様! お待たせしました!」

 

物騒なことを考えている最中、丁度、深雪が言い寄ってくる団体を推し抜けて、達也の元へ。

 

「早かったね」

 

そして後ろには今朝あった生徒会長の七草真由美が副会長らしき人物を連れていた。

 

「こんにちは司波くん。また、会いましたね」

 

達也は頭を下げて会長に挨拶をする。それにつられて2人も挨拶しようとするが気圧されたのか少し手間取っていた。

 

「お兄様、その方達は?」

 

そういえば紹介してなかったな。

 

「こちらが、千葉エリカさん。そして、こっちが柴田美月さんだ」

 

まだ出会ってすぐなので紹介できることと言えばこのぐらいだろう。

 

「そうですか、早速クラスメイトとデートですか?」

 

おかしい。

 

一体どう解釈したらそんな考えに至るのか。

 

取り敢えずここは落ち着かせるのが第一歩

 

辺りが凍り始めて、2人が震え始めているので、凍死してしまう。

 

「そんなわけないだろう。ただ、深雪を待つ間話し合ってただけだ。それに、そんな言い方は2人に失礼だよ」

 

その言葉で落ち着いた深雪は2人の方へとむき、謝罪する。

 

2人は気にしてないようだが、深雪がブラコンだと言うのが知れてしまった。

 

それには苦笑いを浮かべる2人だった。

 

「はじめまして、千葉さん、柴田さん。ご存知かもしれませんが司波深雪がです。お兄様どうようお願いいたします。それと、先程は失礼しました」

 

「柴田美月です。よろしくお願いします」

 

「千葉エリカです、よろしくねっ! それと、深雪って呼んで大丈夫?」

 

「え……ええどうぞ。司波ではお兄様どう区別がつきにくいので」

 

「ありがとう!あたしのこともエリカでOKよ!」

 

「私も見つかって呼んでください」

 

見た目に反して、かなり親しみやすい性格だったのか2人は深雪とすぐ仲良くなれそうだ。

 

友人はたくさんいた方がいい。

 

値に越したことはない

 

「深雪、生徒会の方々の用事は済んだのかい?」

 

「あ、その事なんですが……」

 

「大丈夫ですよ、深雪さん」

 

質問に答えたのは深雪の後ろにいた会長だった。

 

会長に視線が集中する。

 

「今日は挨拶だけですから、後日また、話を伺いましょう」

 

「しかし、それでは予定が……」

 

「もともと、こちらが勝手に立てた予定です。それに、私たちがいることで、いつまでも野次馬が集まっているのかもしれないでしょう?」

 

実際、辺りには人が集まり、野次馬とかしていた。

 

そして中には、二科生である彼らを見くびだし、陰口をするものがちらほら確認できる。

 

特に、深雪とじゃれあっている三人が気に入らないようだ。

 

二科生が一科生に馴れ馴れしくするなと言った感じだろうか。

 

そして、達也と深雪が兄妹だと知ると、突然バカにし始める始末。

 

真由美もこの雰囲気をさとって、わざと解散させたのだ。

 

しかし、副会長の服部刑部は納得してないようで真由美に食ってかかる。

 

「ですが……」

 

しかし、真由美が軽く手でせいすだけで黙ってしまう。

 

「それでは、深雪さん。今日はこれで。達也くんいずれまた、ゆっくりと」

 

そう言って真由美はさっていくが、その間、達也はきつい眼差しで刑部に睨まれた。

 

それにつられる形で野次馬もすっかりといなくなる。

 

「さて、帰ろっか?」

 

「深雪、達也くん、この後暇?」

 

まっすぐ家に帰ろうと思っていた矢先、エリカに話しかけられるその足を止めた。

 

「いや、特にないな。深雪は?」

 

一応、深雪にも確認をしておかないとな。

 

「私も特にこれといった用事は……」

 

「なら、お茶でもどうですか?」

 

「いいね!実はこの近くに評判のケーキ屋があるみたいでさ!」

 

「入学式の会場の場所は確認しないで、ケーキ屋は調べていたのか?」

 

「もちろんよ!大事なことでしょ?」

 

「そう言うもんなのか?」

 

少し、呆れる達也だがエリカの案は悪くない。

 

俺は問題ないが……

 

「どうする深雪?」

 

「わ、私はお兄様がよろしければ……」

 

深雪は少し遠慮気味なところがある。兄としてはもう少し我儘を言ってもらいたい。

 

それが兄として 唯一の家族として。

 

まぁ、今回はエリカの案に乗ろう。

 

「そうか、深雪がいいなら問題ない」

 

「達也くんて深雪に甘いよね」

 

「妹さん思いなんですね」

 

なんか、誤解されているようだが、取り敢えずエリカオススメのケーキ屋に向かうとしよう。

 

達也達が歩き出したその時

 

「なぁ、それ俺も付いてっていいか?」

 

突如として、音もなく気配もなく達也の背後に現れた何者かに達也は激しく動揺し、構えをとった。

 

 

「あ、驚かしちゃった?ごめんごめん。それと、入学式ぶりだな深雪」

 

「あ、信春さん!」

 

そこには篠田信春がいた。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

達也達が交付受付でIDカードを発行してる時

 

信春は真由美に呼ばれて、生徒会室に出向いていた。

 

「それにしても、広いですよね、この学校」

 

信春は改めて、この学校の広さに驚いていた。広さもさることながら、目に見えるだけで、体育館並みの施設があちらこちらに建っている。

 

一体いくつあるんだか。

 

「確かにそうよね。国立だからという理由もあるけど、魔法師育成機関と言ったところが大半の理由かしら」

 

「成る程」

 

「魔法師は国とって貴重な戦力だから……少しでも魔法師の才能があれば確保したいんしゃないかしら?」

 

魔法師の9割は軍関連の仕事に付いている。

 

魔法対抗するには魔法でしかない

 

その考えが定着しているせいで、国は魔法師の育成に多大な予算をかけるようになる。

 

極力言えば兵力拡大。

 

平和のための軍事力。

 

と言ったところか。

 

くだらない。

 

また、同じ過ちで繰り返すつもりなのだろうか?

 

まぁ、それはともかく

 

「そういえば、自分はどのクラスに所属するんですか?」

 

入学したはいいが、自分が所属するクラスがどこなのか聞いていなかった。

 

「あー、それについてなんだけど……」

 

何故か真由美の顔が曇る。なにか、あったのだろうか?

 

「いやね、信春君が入学するにあたって、一科生か二科生、どちらにして入学させるか教職員の間で問題になったの。魔法師じゃないから、ニ科生でいいんじゃないかっていう人もいれば、異世界人だから下手に扱えないからとの理由で一科生でっていう人もいて、結局未だに決定してないのよ」

 

「あー、だから未だに制服が届かないのも……」

 

「そうなのよ。ほら、一科生とニ科生で制服が違うから。まぁ、花のエンブレムがあるかないかだけどね」

 

そのエンブレムで差別を意識させてるとか、いい趣味してるな、全く。

 

「まぁ、本人の意思を出来るだけ尊重するようにって事で落ち着いたけど、信春君はどっちがいい?」

 

正直、どちらでも構わないが、先程真由美の話だと一科生には教員がつくが、ニ科生には無いという。

 

魔法について知識を学びたいなら、一科生になる事がおすすめだろう。

 

しかし、魔術は使えるのだが、この世界の魔法は使えない。

 

優等生が集まる一科生の中に魔法が使えないやつがいるとか、特にプライドが高い奴らにはたまったものではない。不満が溜まる一方だろう。

 

その点、ニ科生は割と自由がきく。だが、偏見の目で見られる。

 

どっちに行っても面倒なことは変わりない。

 

だが、世の中選択しなければならない時がある。

 

今がその時だ。

 

悩んだ挙句出した答えが

 

「ニ科生でお願いします」

 

だった。

 

それを聞いた会長は最初驚いてはいたが、どこか納得した顔だった。

 

「信春君なら、そういうと思ったわ。一応、聞くけど、理由はなにかしら?」

 

「やっぱり、魔法が使えないのが理由ですね。優等生が集まるクラスに全く魔法が使えない奴がいるとか、プライドの高い奴らからしたら許さないと思うんですよ。」

 

本当、そう言った奴の相手はめんどくさいんだよね。

 

あのクソ女神族と一緒で

 

「ふーん、で、本当は?」

 

というのは健全で、全く嘘だというのは真由美にはバレバレだった。

 

「店の営業が忙しいからです」

 

まともに働けるのがが俺しかいないのが理由だ。

 

メリオダスに飯を作らせたら、床がゲロまみれになって掃除をするのが大変だしな。

 

「店って、あのデカイ緑色の豚さんの上に立ってるあれ?」

 

「そうです」

 

デカイ緑色のママ……ホークママのことか。

 

「確か、豚の帽子亭って名前なのよね?」

 

「はい、今は改築しているので営業は来月から再開ですね」

 

資金稼ぎのために、豚の帽子亭は営業している。

 

異世界の料理や酒があって、連日かなり賑わっている。

 

まぁ、極たまに俺たちの事を調査しに来た諜報員が来たりもしてる。

 

まぁ、適当にボコって道にさらしておいたがな。

 

ある程度金が溜まったので、メリオダスと相談して改築することに。

 

元々メリオダスが神器を売って立てた店だが、建築費をケチったからメンバーが集まって手狭になったからだ。

 

メリオダスも特に反対とかはなかったし、ホークママが背負って移動できる範囲でだがな。

 

「へぇー、私も言ってみたいなー」

 

棒読みで、ジトーッと意味ありげな目線。

 

「今度、改築祝いで宴会やる予定なので、よければ七草さんも来ますか?」

 

「あらそうなの?じゃ、遠慮なくお邪魔せてもらうわ」

 

クールぶっているが、めちゃくちゃ目が輝いていたのを信春は見逃さなかった。

 

まぁ、宴会は人数が多ければ多いほど盛り上がるから、悪い奴じゃなければメンバーも反対はしないだろう。

 

意外にも慎ましやかパーティーよりも解放的なイベントが好きなのかもしれない。

 

心配なのはメリオダスのセクハラだな。

 

まぁ、きちんと言い聞かせておけばいいか。

 

「会長、例の新入生総代を向かいに行く時間です」

 

と、そんな事を思っているといつのまにか時間が過ぎ、副会長の服部刑部が訪ねて来た。

 

「あら、そんな時間。信春君、悪いけど、話はまた明日ね」

 

と言って席を立つと副会長と共に生徒会室から出て行く。

 

結果として生徒会室には信春1人だけとなった。

 

特に用はないので、信春は生徒会室から出て適当にぶらつきながら校舎を見学することにした。

 

そして、途中、校門先を見ると真由美と数人の生徒が話し合ってる姿を見つけ、耳をす増してみると

 

「でも、予定では……」

 

「こちらが勝手に立てた予定です」

 

どうやら、深雪に用があったが、野次馬が集まりすぎて、このままだと騒ぎになりかねないと思った会長は気を利かせて、深雪を帰らせることで、解散させようとしたが、副会長がそれに反発。

 

しかし、真由美の手で制されてことなきを得た。

 

その間、ある男子生徒を敵意を持った眼差しで睨んでいた。

 

やれやれ、物騒だな。

 

それにしても、あの男子生徒……エンブレムがない事から二科生だ。

 

妹が優等生で兄が劣等生。

 

皆バカにしているようだが、それは大きな間違いだ。

 

あの雰囲気は人を殺したことのあるものが出す独特なもの。

 

隙のなさ、歩き方からなんらかの武術を習っているのは間違いない。

 

それもかなりの実力者。

 

彼に敵うものは学園内にはいないだろう。

 

だが、何故そんな生徒が二科生なのか?

 

気になる。

 

見た感じすこし人相が悪いが、悪い奴ではなさそうだ。

 

少し、接触してみるか。

 

信春はその場から深雪達の元へと移動した。

 

無意識にも気配を消して

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

「悪い悪い、つい癖でな」

 

「癖で気配を消す奴がいるか?」

 

エリカ、美月、達也、深雪、信春の5人はエリカオススメのカフェテリアにてケーキを堪能しつつ、談話していた。

 

先程なぜ、気配を消して近づいたのか達也君に問い詰められたが、信春自身、特に意識はしていなかったが、自然と発動してしまったようだ。

 

達也の意見はごもっともだが、それは仕方がないこと。

 

あっちの世界で色んな戦いに巻き込まれて行くうちに、自然と身についてしまったのだ。

 

ここと違ってあっちはいつ死んでもおかしくないところだったのが理由だ。

 

やはり、皆、信春の事が気になってしょうがないのか、質問責めにあっていた。

 

内容は異世界について

 

皆目がキラキラしていたので、嘘偽りなく伝えたが

 

「あはは、信春君は面白いこと言うね」

 

「そうか?」

 

「はい、人と話すのは久しぶりだとかおかしいこといいますから」

 

どう言うわけか、笑い話として捉えられているようだ。

 

豚の帽子亭には殆ど人外しかいないから嘘では無い。

 

バンやエスカノールは人間だがあれを人とは呼んでいいのかわからないしな

 

マーリンさんは……これ以上言うのはやめよう。なんか、寒気がしてきた。

 

「それにしても、魔術だっけ?よくわからないけど魔法とどう違うの?」

 

「エリカ、魔法の散策はマナー違反だぞ」

 

そんなマナーがあるのか、しらなかったな。

 

「まぁ、問題ないんじゃ無いか?魔法の散策はマナー違反みたいだけど、魔術はそれに当てはまらないし」

 

「成る程、そのてがあったか、法の抜け道ってやつね!」

 

若干違う気がするが、悪知恵が働くという点ではあっている。

 

「信春さん、犯罪者の素質ありますね」

 

「確かにね、しかもかなりタチが悪いやつ!」

 

ひどい言われようだ。

 

しかし、犯罪者か……

 

まぁ、そのとうりなんだけどな……

 

「何か言ったか」

 

「いや、ただの独り言だよ」

 

危ない危ない、うっかり言葉に出てたか。

 

皆聞こえてないよううだし、問題ないか。

 

しかし、信春が一瞬動揺したことに気づいていたものがいた。

 

「………」

 

達也である。

 

達也は信春がエリカ達と話してる最中、バレないようにこっそりと精霊の目(エレメンタル・サイト)で信春の情報は見ていた。

 

しかし、それによって達也が得られた情報は何もなかった(・・・・・・)

 

 

普通じゃないかと思うが違った。

 

そもそも情報自体が入ってこなかったのだ。

 

人体構造もさることながら、思考、動作、視覚に至るまで全てが、何も読み取れない。

 

(師匠に相談してみるか)

 

達也はエリカ達と楽しそうに会話をしている信春をみながら忍術の師匠である九重八雲に彼について調査を依頼することにした。

 

たいした情報を得られないことはわかっている。

 

深雪のことを思うが故、なるべく害を減らすためにも思ってのことだ。

 

(まぁ、今は彼の異世界の話でも聞くとするか)

 

その日は、太陽が沈むみ、辺りが真っ暗になるまで、達也達は信春の異世界での体験話を聞きながら、談話を楽しんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 



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