赤き龍の宿りし少年 (blackcat☆)
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目覚めの時

いや〜…………(;^ω^)

ヒロアカ読んでたら書きたくなりました!

しかもヒロアカの二次創作では見られない?設定なので上手く出来なくてもそこは生暖かい目でお願いします!
(ちなみにもう一作品ヒロアカと仮面ライダーのを考えています……(;^ω^))


緑谷出久が赤龍帝だったら

 

僕はいつも、オールマイトが活躍してる動画を見ていた。けど、僕には個性がなかった。かっちゃん達からはそのせいで虐められていた。だけど、それでも、僕は諦めきれなかった。だから体を鍛えた。そして僕が中学一年の時、夢を見ていた。

 

『お前が今代の宿り主か?』

 

「へっ?」

 

それが、僕達が最高のヒーローになる物語の始まりだった。

 

 

***

 

 

「ふぁ〜……」

 

『デカい欠伸だな、出久』

 

「いや〜オールマイトの動画見てたらついつい寝るのが遅くなっちゃって…」

 

『それで今日の授業中寝ることになったら起こさんぞ』

 

「それは酷い」

 

()は緑谷出久。現在中学三年生で今学校に向かってる所。元々は俺は無個性だったが、さっき一緒に喋っていたかなり渋い声を出してたのは俺の中に個性として宿っているドラゴン、 赤き龍(ア・ドライグ・ゴッホ)とアーサー王伝説に出てくるドラゴンである。正直最初聞いた時は失神しかけたなぁ。まぁ、個性なのかどうかドライグの話を聞いたら分からないけど。

 

『何を考えている。こっちにも筒抜けだと言うことを忘れてるのか?』

 

「筒抜けなら分かるでしょ?この世界には個性というものが蔓延ってるけど、それよりも容量がデカすぎるんだよ」

 

『フンっ、それではヒーローになるのは夢のまた夢だな』

 

「いやそれはないない。ヒーロー達も元は人なんだから。この話されても失神するから」

 

『相変わらず人間は弱いな』

 

「それはお前が強すぎなの」

 

『それは当然だ。それはそうと、そろそろ学校だぞ?』

 

あ、どうやらそこまで来てたんだ。クラスメイトはいるけど友達はいないし、かっちゃんはかっちゃんでめんどくさいなぁ。まぁ最近はよく組手に付き合ってもらってるけど。さっさと気配を消して入ろう。って寝ないようにしないと……

 

 

***

 

 

授業を受け、今日最後の授業は進路についての授業であった。

 

「えー、皆も3年ということでそろそろ本格的に進路を考えていく時期だ。今から進路希望のプリントを配る、が」

 

担任の先生はプリントを投げた。先生がそんなことしていいのか……

 

「皆大体ヒーロー科志望だよね!」

 

それを聞きクラスの人達はそれぞれの個性を使う。正直百鬼夜行並だと俺は思う。

 

「うんうん、皆良い個性だ。けど学校で使うのは原則禁止な?」

 

「センセー、皆とか一緒くたにすんなよ」

 

さっきから机に足をかけていた少年…俺の腐れ縁で幼馴染のかっちゃん…爆豪勝己が言った。

 

「俺はこんな没個性共と仲良く底辺なんざ行かねーよ」

 

それはさすがに言い過ぎでしょかっちゃん!?ほら!周りからもブーイングが出てるよ!

 

「ああ、そういえば爆豪は雄英志望だったな」

 

あ、そういえばそうだったなぁ。かっちゃんすごいよ。

 

「そのザワザワがモブたる所以だ」

 

「模試じゃA判定!」

 

「俺はうちでの唯一雄英圏内!」

 

「あのオールマイトをも超えて俺はトップヒーローになり、必ずやトップ納税者ランキングに名を刻むのだ!」

 

「そういや、緑谷も雄英志望だったな」

 

それを聞いたクラス中が一瞬黙り込み、教室内が笑いにつつまれた。いや、まぁ理由は分かるけどなぁ…

 

『こいつら殺していいか?』

 

やめて!?ヒーロー志望なのに殺しちゃいけないんだよ!?

 

「おい!マジか緑谷!」

 

「絶対無理だって〜」

 

「わはははは!!ほら!爆豪もなんか言えよ!」

 

「……黙れ」

 

かっちゃんの言葉でクラスの笑いが止まった。殺気が出てたからなぁ……

 

「おいデク、お前まだ言ってなかったのかよ」

 

「うん、なんか今更言うのもアレだしね」

 

「チッ、雄英に入ったら絶対負けねぇ」

 

「それは俺もさ」

 

そんな俺達の会話をクラスメイト達は黙って聞いていた。

 

 

***

 

 

「はぁ……疲れたぁ」

 

『フンっ、情けないな出久。お前ならクラスの奴らを実力で認めさせること等容易じゃないか。なぜあそこでやり返さない?』

 

「それこそめんどくさい事になるからやだなの」

 

『相変わらず人間と言うのはめんどくさいな…』

 

放課後になりクラスメイト達から絡まれ、まくために逃げてたせいで変に疲れたなぁ……

 

「Mサイズの隠れ蓑、見っ…」

 

「遅いよ」

 

「ふぎゃっ!?」

 

ヘドロ男の後ろに周りヘドロ男を蹴り飛ばし、今日の運の悪さに呆れる。

 

「はぁ、ただでさえ疲れてるのにここでヴィランに出会ってしまうなんて……」

 

『今日は厄日だな相棒』

 

「うるさい」

 

そんな会話をしていると、ヘドロ男は立ち上がっていた。

 

「この…さっさとその体をよこせ……!!」

 

「TEXAS SMAAAAAASH!!!!」

 

空気の砲弾が投げられ、ヘドロ男を風圧で…!?まさか、その技で、その声は……!!!!

 

「私が来たァ!!」

 

「オールマイトォォォォォ!!??」

 

「大丈夫か?少年」

 

「オ、オ、オールマイトだ!!」

 

「いや〜個性を使わずによく耐えたね!君はすごいよ!」

 

オールマイトがヘドロ男をペットボトルに詰めながら褒めてくる。やばい!本当に嬉しい!!

 

『……あの風圧、並々ならぬ力だったな…』

 

「にしてもヴィラン退治に巻き込ませて悪かったね!それじゃ、こいつを警察に届けるから、また液晶越しにね!」

 

『出久!あいつが帰るぞ!?』

 

「ハッ…!?ま、待って!!」

 

「プロは常に敵か時間との戦いさ。それでは今後とも……」

 

やばい!ドライグ!お願い!

 

『Boost!!』

 

「応援よろしくねーーー!!!」

 

よっし!何とか掴めた!!

 

「ってコラコラー!!!」

 

てか高い!?すごい力だ!!さすがオールマイト!

 

「離しなさい!熱狂が過ぎるぞ!?」

 

「ーー!!ーーー!!」

 

(訳 今離すと!!俺死んじゃう!!)

 

「むっ…確かに!」

 

『こいつ話が通じた!?』

 

「ーーーー!!ーーーー!!!」

 

(訳 俺はあなたに!!聞きたいことがあります!!!)

 

その時、俺は見てしまった。オールマイトの口から血が出ているのを……



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聞かなければならないこと

ちなみにヒロアカの二次創作書いた理由は読んでて書きたくなったのと、YouTubeでのヒロアカのMADを見てからです。あれはマジで最高。

指摘があったので小説のタイトルをちょっとだけ変えました。


どこかのビルの屋上に俺とオールマイトは着地した。

 

「全く!階下の方に話せば降ろしてもらえるだろう。私は時間がないのでマジでこれで!!」

 

「待ってください!!」

 

「待たない!」

 

俺は、今このチャンスを逃したくないんだ!聞かなきゃならないんだ!!

 

「個性がなくても、ヒーローは出来ますか!」

 

「っ……」

 

よし!オールマイトが止まった!

 

「個性のない人間でも、あなたみたいになれますか!」

 

「個性が……!?」

 

「個性がないせいで…そのせいだけじゃないですけど、ずっと馬鹿にされてきて、だからかは分からないけど、人を助けるってめちゃくちゃカッコイイって思うんです…!」

 

俺の思いが届かなくてもいい…!俺は、この人に聞きたい!

 

「恐れ知らずの笑顔で助けてくれる!あなたみたいなヒーローに俺もぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!??」

 

顔を上げるとそこには骸骨みたいな人がいた。いや、髪が金髪ってことは…!

 

「萎んでる!?オールマイトが萎んでる!?」

 

「よく私がオールマイトってわかったね。確かに私はオールマイトさ」

 

『劇的ビフォーアフターだな……』

 

「…恐れ知らずの笑顔、か……」

 

なぜここまでの体に…?それに栄養がしっかり取れてない体だ。なぜここまで…?

 

「見られたついでだ少年。間違ってもネットには書き込むな?」

 

そう言ってオールマイトが服をめくった。そこには普通にはありえないほどの傷跡と手術の跡があった。

 

「5年前…ある敵の襲撃で負った傷さ」

 

「酷い…!」

 

「呼吸器官半壊、胃臓全摘。度重なる手術と後遺症で憔悴してしまってね。私のヒーローとしての活動時間は今や1日約3時間程なのさ」

 

「5年前…毒々チェーンソーの事件ではないですよね……」

 

「詳しいな。あんなチンピラにはやられはしないさ!」

 

やっぱり違うんだ。つまり表沙汰にはなっていない事件ってことなんだ。

 

「これは世間には公表されていない。公表しないでくれと私が頼んだ」

 

なぜそう頼んだか、俺には分かる気がした。

 

「人々を笑顔で救い出す“平和の象徴”は決して悪に屈してはいけないんだ」

 

「ッ……!!」

 

「私が笑うのはヒーローの重圧、そして内にわく恐怖から己を欺く為さ 」

 

そうだ。やっぱりそうだった。オールマイトも、一人の人間だ。ただ、個性が強くて、心が人一倍強い人間なんだ。

 

「プロはいつだって命懸けだよ。『“個性”が無くとも成り立つ』途轍もじゃないが…口に出来ないね」

 

「…………」

 

「人を助ける事に憧れるなら警察官って手もある。『敵受け取り係』なんて揶揄されちゃいるが、あれも立派な仕事だ!」

 

オールマイトはよろめきながら立ち、扉を開ける。

 

「……夢見るのは悪いことじゃない。だが…相応に現実も見なくてはな少年」

 

そう言ってオールマイトは立ち去った。

 

「……やっぱり、ドライグの言ってた通りなんだね」

 

『あぁそうだ。戦うのであれば、必ず命をかけることがある』

 

「うん……でも、オールマイトは口には出来ないって言ってた。可能性は十分あるってことさ」

 

『フッ、いい顔をしているな相棒』

 

「そうかな…?まぁ、これからもよろしくな、ドライグ」

 

『あぁ、よろしく……おい、なんか聞こえないか?』

 

「え?」

 

耳を澄ませ、周囲の音を聞く。すると、遠くから爆発の音が聞こえる。

 

『そういえば言い忘れていたが……』

 

「……嫌な予感しかないんだけど、なに?」

 

『あのヘドロ男が入っていたペットボトル、落ちてったぞ?』

 

「…………それを早く言えよぉぉ!!!」



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ヒーローとは

「クソっ…!」

 

「待ちやがれェ!!」

 

目付きが悪い少年、爆豪勝己は今、路地裏でヘドロ男のヴィランに辺りの建物を壊されながら追われていた。まさか、蹴ったペットボトルにヴィランが入ってるとは誰も思わないだろう。

 

「捕まえた奴はなにしてたんだよクソがァッ!!!」

 

「大人しく乗っ取らせろ…!」

 

「誰が乗っ取らせるかボケッ!!!」

 

爆豪は焦る。ここで個性を使えば雄英には行けなくなる。だが逃げるだけではいつかは捕まってしまう。そんな焦りが爆豪の心の中に生じてしまう。

 

(誰か…!早く何とかしてくれ……!)

 

 

***

 

 

ヘドロ男が逃げたことを知った出久はヘドロ男が暴れている所を目指して走っていた。

 

「クソっ…!俺の私情のせいで……!!」

 

『今焦っても仕方ないだろ!早く追うぞ!あのヘドロ男がなぜあんなにも派手に暴れているのかは分からんが丁度いい!!そのまま目指すぞ!!』

 

「分かってる!!それに必要なものも揃えたし、ドライグ!」

 

『おう!』

 

『Boost!!』

 

瞬間、出久は人離れした速さで街を走り抜く。走り抜き、暴れていた場所に着く。そこには、幼馴染の爆豪勝己が、捕まる瞬間であった。周りは野次馬や、プロヒーロー達がいるが、立ち往生していた。

 

「ッ…………!!」

 

そして、爆豪勝己がこっちを見た顔が、出久を奮い立たせた!

 

「うおおおぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

「ッ!?おい!止まれ!!」

 

「止まりなさい!!」

 

プロヒーロー達が止めてくる。だが、そんなのは出久にとっては知ったこっちゃない。

 

「止めるな!!」

 

「はァッ!?」

 

走りながらヒーロー達に叫ぶ。

 

「お前らなぜそこで止まってやがる!!」

 

「なっ……」

 

「ヒーローってのは……!!」

 

ヘドロ男のそばまで走る。バッグから内装用の粉を出して袋を切り、ヘドロ男にぶちまける!!

 

「誰かを助ける為の!奴らだろ!!!!」

 

「ケッ!それがなんの役に…!?」

 

実は内装用の粉は、セメントを作る時に使われる粉である。床用、壁用等色々あるが、この粉はある特徴がある。

 

『不純物が混ざっていると固まるのが早くなる』

 

そして周りはヘドロ男が暴れたせいで炎が立ち上っている。つまりは、ヘドロ男は固まり、動けなくなってしまう。

 

「グッ…!?」

 

「かっちゃん!」

 

「デクッ……!」

 

「助けに来た!!」

 

「待ちやがれ…!」

 

だが勝己を助けようと出久が近付こうとするが、まだ動けるヘドロで出久を捉えようとするその時!

 

「え……?」

 

「君を諭しておいて…己が実践出来ないなんて!!!」

 

「オールマイト!?」

 

オールマイトがヘドロ男の攻撃を庇った。

 

「プロはいつだって命懸け!!!!!」

 

オールマイトは右腕を振りかぶる。

 

『DETROITSMASH!!!!!!!!』

 

その一撃は、天候をも変えた。上昇気流が発生し、雨雲が生まれ、雨を降らせた。そして周りの炎を鎮火させる。

 

『これがオールマイト、か……』

 

「すげぇ……」

 

出久の隣で勝己はオールマイトの力に驚き、そして放心している。ドライグはその光景を出久の目から見て、オールマイトに感心していた。

 

「……これが、俺が超える存在…!」

 

出久は、己が超える存在に戦慄していた。

 

 

***

 

 

ヒーロー達が集まり、周りの撤去作業等をしている中、出久はヒーロー達から小言を言われていた。

 

「君が出る必要はなかったんだぞ!」

 

「もっと自分を大切にしろ!」

 

「…………うるさい」

 

『ッ!?』

 

だが出久はこの場のヒーロー達に怒りを覚えていた。

 

「なぜヒーローが彼を助けなかった?」

 

「それは」

 

「個性の相性が悪かったから?そんなの知るか!」

 

「相性が悪かった?近付けなかった?そんなの言い訳にしかなんないんだよ!!!」

 

未だ倍加が解けておらず、地面に足がめり込む。

 

「ヒーローはなんの為にいる!?ヒーローはなんの為に活躍している!?いいか!!ヒーローは誰かの為に動く奴のことを言っているんだ!!ヒーローの意味を履き違えてんじゃねぇよ!!!!』

 

それは出久の心からの叫びであり、ドライグの叫びであった。

 

「…………では」

 

その場を去った出久を止めること等出来ず、ヒーロー達やTVスタッフ達は動けなかった。後に、出久の言葉によりはヒーロー達から尊敬や感謝の感情を向けられることになる。



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ワン・フォー・オール

思わず怒りに任せてすごいことをメディアとヒーローの前で言っちゃったぞ俺!!

 

「……明日の学校行きたくない…」

 

『まぁ…どんまい、相棒』

 

そんなフォローいらねえ!いるのは癒しと休学だちくしょう!

 

「おいデク!」

 

あ、やっべ。そういやかっちゃんのこと忘れてた。

 

「あ、かっちゃん!大丈夫か!?」

 

「あぁ、何とか無事だ」

 

よかった〜……かっちゃんに何も怪我なくてよかった。

 

「それと……その…ありがとな」

 

「え?」

 

「助けてくれたことだよ!俺は行くぞ!」

 

顔を赤くしながらかっちゃんは帰っていく。……ふむ。

 

『ツンデレだな、あいつは』

 

あ!それ俺が言おうとしてたのに!?

 

『フンっ、俺らもさっさと帰るぞ』

 

「はいはい……」

 

「私が来た!!!」

 

突然目の前にオールマイトが出てきたァ!?

 

「オールマイト!?ビックリさせないで!!てかなんでここに!?さっきまで取材班に囲まれていたんじゃ……」

 

「HAHAHA!!抜けるワケないさ!何故なら私はオールマゲボォッ!!!」

 

『一つのお家芸か?』

 

「ちょっ!?大丈夫ですか!?」

 

「あ、あぁ大丈夫さ。それと、少年。君には礼と訂正、そして提案をしにきたんだ」

 

「へ?」

 

礼はさっきの行動か?けどあれはある意味知らない人からすると危ない行動だしな……

 

「君がいなければ…君の質問を聞いてなければ、口先だけのニセ筋になるところだった!!ありがとう!!」

 

『その姿だと確かにニセ筋だろうな…』

 

「いやいや、今回は運がよかったんですよ。それに、俺は仕事の邪魔をしちゃったし、すごい御大層なことも言っちゃったし……」

 

「そうさ!!」

 

「あの場の誰でもない!“無個性”の君だったから!!あの言葉があったから!!私は動かされた!!」

 

俺の…言葉……?

 

「トップヒーローは学生時代から逸話を残している……彼らの多くが話をこう結ぶ!!【考えるより先に体が動いていた】と!!」

 

その言葉で、俺の師匠達の言葉を思い出していた。

 

《お前ならやれるさ》

 

《君なら、最高のヒーローになれる》

 

「君もそうだったんだろう!?」

 

「はい……!」

 

「君は、ヒーローになれる!!!」

 

あぁ、そうだ。俺は師匠や、こんな最高のヒーローに言われたかったんだ。この言葉を!

 

 

***

 

 

「すみません、みっともない所を見せてしまって……」

 

「ノンノン!気にしないでくれたまえ!」

 

こんな嬉しいことがあるだろうか?ましてや俺が憧れるヒーローに言われたのが更に拍車をかけているよ。

 

『……よかったな、相棒』

 

うん…!本当によかった……!!

 

「君なら、私の“力”を受け継ぐに値する!!」

 

「……え?」

 

力を、受け継ぐ……?

 

「HAHAHA!!何て顔をしているんだ!?『提案』だよ!本番はここからさ。いいか少年……」

 

オールマイトは真剣な顔になる。

 

「今日見た、ヒーロー達を見てどう思った?」

 

「!!」

 

「今のヒーロー達は、ヒーローの本質を理解していない人が多いと私は実感した。だが!君は違った!!」

 

血を吐いてるがビシッと音をたてながら俺に指を指す。

 

「君はヒーローの本質を理解している!!ならばこんなにもいいチャンスを逃す訳がないさ!!」

 

「チャンス……?」

 

「そしてここからは私の個性の話だ少年」

 

「写真週刊誌には幾度も“怪力”だの“ブースト”だの書かれインタビューでは常に爆笑ジョークで茶を濁してきた。“平和の象徴”オールマイトはナチュラルボーンヒーローでなければならないからね」

 

「一体、どんな個性なんですか…?」

 

「私の個性は聖火の如く引き継がれてきたものなんだ」

 

「引き継がれてきた…もの!?」

 

『なに…!?』

 

これは俺もドライグも驚いた。まさか、引き継がれてきた個性があるなんて……

 

「私は隠し事は多いが嘘はつかん!」

 

「個性を“譲渡”する個性…それが私の受け継いだ“個性”!冠された名は!!」

 

【ワン・フォー・オール】

 

「ワン…フォー・オール……」

 

「一人が力を培い、その力を一人へ渡し、また次へ…そうして救いを求める声と義勇の心が紡いできた力の結晶!!!」

 

「それを……俺に…?」

 

「私は元々後継は探しに来ていたのだ…そして君になら渡しても良いと思ったのさ!!さぁ、どうする?」

 

どうするかって?そんなの決まっている!!!ドライグ!君も手伝ってくれるか?

 

『フッ、分かっているんだろう?相棒』

 

ハハッ、やっぱりそうだよな!!

 

「お願いします!!」

 

「即答…そう来てくれると思ったぜ。明後日の朝、海浜公園に来なさい!」

 

「はい!!」

 

俺は、最高のヒーローになる!!!



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ヘドロ事件から二日後、俺はオールマイトに指示された場所に来ていた。

 

「……そういや、ドライグのこと話さないとな」

 

『そうだな。俺は個性と言えるが細かく言えば個性ではないからな』

 

「あぁ……にしても…」

 

周りを見渡す。そこら辺はもう海の漂着物や廃品回収されていない物、粗大ゴミなどがあるな。これらを見ていると……

 

「……掃除がしたくなるな」

 

『さっきからなにをうずうずしていると思っていたらそういうことか……』

 

仕方ないだろ!?こう、なんて言うかしたくなるんだよ!

 

「HAHAHA!!待たせたね緑谷少年!」

 

ドライグと話しているとトゥルーフォームのオールマイトが来た。

 

「あ、オールマイト」

 

『ようやく来たか…』

 

「君の特訓をする前にあることを聞きたいんだ」

 

聞きたいこと?なんだろ?

 

「君、無個性じゃないよね?」

 

「!?」

 

『む、鋭いなこいつは』

 

さすがNo.1ヒーローだ。まぁちょうど良かったし、話そうか。

 

「……個性ではないですが、確かに力があります」

 

「個性ではない?それはどういうことかね?」

 

「俺の左腕を見てください」

 

左腕を前に出し、赤龍帝の篭手を展開する。

 

「WOW!これは一体!?」

 

「赤龍帝の篭手、と言います。そしてこれから話すことは秘密にしてください」

 

「…わかった。約束をしよう」

 

「ありがとうございます。よかったな、ドライグ」

 

「ドライグ?」

 

『あぁ、さてどこから話すか……』

 

「し、喋ったァ!?」

 

おぉ、オールマイトがめっちゃビックリしている。まぁ確かに初めて知るとビックリするよな。

 

『大袈裟だな、オールマイト』

 

「み、緑谷少年!?これはなんなんだい?!」

 

「こいつはドライグと言います。アーサー王伝説に出てくる赤い龍です」

 

「……はい?」

 

それを聞いたオールマイトの表情が何とも言えない面白さであった為、説明する為に我慢するのが大変だった。

 

 

***

 

 

オールマイトにあらかたドライグのことについて説明をした。

 

「なるほど……それで君はそれをドライグ……赤龍帝の篭手を使う為に身体を鍛えていたと言う訳か」

 

「はい。今俺が使えるドライグの能力は、倍加や譲渡、透過です。あとは制限時間は今の所ありますが、禁手化も使えます」

 

「禁手化?なんだいそれは?」

 

『一種の覚醒だ。俺達神器にはある上のステージがある』

 

「上の…ステージ……?」

 

『相棒、実際に見せた方が早いな』

 

「わかった。じゃ、ちょっと見せますね」

 

オールマイトから離れ、集中する。

 

「『禁手化!!!』」

 

赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スメイルケイル)

 

「凄い……!なんだこの存在感は……!?」

 

「これが今の所俺が使える最強の武器ですね。まぁ制限時間が1時間と言うのがネックなんですが……」

 

「いやいや!これは凄いよ!たとえ1時間でもここまで凄いのはそうそうないよ!!」

 

オールマイトから絶賛されたぞドライグ!めっちゃ嬉しいぞ!!

 

『当然だ。禁手化になるには相当の修行や訓練が必要だからな』

 

「ふむ……制限時間か。緑谷少年、君の体力が続かないのが理由かな?」

 

禁手化を解くとオールマイトはそう聞いてくる。

 

「はい。ランニングとか色々としてはいるんですが……」

 

どうも伸びが遅い。それを実感したのは最近だ。何とか1時間まで持ってこさせたが如何せん短い。

 

「……よし、やはりここに呼んで正解だった!」

 

「ここに?」

 

「あぁ、まずは……」

 

オールマイトはトゥルーホームからマッスルフォームに変わり、近くの壊れた冷蔵庫を押し潰す。そう、文字通りに。

 

『初めて見てたら驚くだろうな……』

 

「このゴミの山を片付けようか!」

 

「……!なるほど、そういうことですね」

 

「やはり察しがいいね!さすがだよ緑谷少年!!」

 

オールマイトは俺にここのゴミ全部を片付けさせて体力向上と暗に言っている。なるほど、確かにこれはうってつけだ!

 

「ただし!倍加などの力を使わずにね!!」

 

「なるほど。確かにドライグの力に頼ってばっかではいけませんからね」

 

「そういう事さ!さぁ!早速始めようか!!」

 

「はい!」

 

よっしゃ!!やってやる!!



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特訓の成果

出久のヒーロースーツどうしよう……

あ!それとお気に入り250を超えました!皆さんありがとうございます!ヒロアカの他のを執筆しながらこれからも頑張ります!


朝日が立ち上ってくる時、俺は集めたゴミ山の上で叫んでいた。

 

「うおおぉぉぉぉぉ!!!」

 

よっしゃァ!!なんとか……!!なんとか5ヶ月(・・・)で掃除したぞ!!

 

『凄いな……まさかここまでくるとは……』

 

叫びながらこれまでのことを思い出す。ゴミ掃除をしながらオールマイトと組手したり、かっちゃんも参加してきてオールマイトの秘密がバレて怒られたり、かっちゃんと一緒にオールマイトと組手したり……あ、やっば。泣けてきたぞ。

 

『まさかゴミを持ったまま組手してきたりとはな……』

 

理不尽にも程があるぞオールマイト!確かに人を運びながら戦闘に入ることはあるだろうけどさ!?ギプス付けて「ちょっと重いね」だぞ!?さすがオールマイトだよこんちくしょう!!!!

 

『荒れてるな……』

 

仕方ないじゃん!まさか、覇龍(・・)が使えるようになってしまったからさ!!

 

『それは俺だって驚いたぞ……』

 

そう、俺はオールマイトと特訓をしていたら覇龍に目覚めてしまった。しかも制限時間内なら寿命が削られる心配もなくだ。

 

「オーマイ…オーマイグッネス!!最高だよ緑谷少年!!」

 

「あ、オールマイト……」

 

「あ、じゃないよ君は!まさか指定した所以外全部までやるなんてなんていうことだ!!本当に最高だよ!!」

 

「い、いや〜………」

 

「HAHAHA!!それじゃぁ!授与式の始まりだ!」

 

俺が山の上から降りてきたら、そう言ってオールマイトは髪の毛1本抜き、渡してきた。

 

「食え」

 

「はい!?」

 

 

***

 

 

オールマイトの髪の毛を食べた翌日から俺はオールマイトと組手をしていた。その1ヶ月後、オールマイトが所持している土地でギプスを付けながらオールマイトと組手をしていた。

 

「ほらほら!!遅いぞ!!!」

 

「チッ……!」

 

回し蹴りや裏拳、右ストレートを人離れした速さで繰り出すが、しっかりと受け流されたり躱されたりで全然追い付いていない。

 

『相棒!行くぞ!!』

 

「あぁ!!禁手化!!!」

 

鎧を展開し、更に攻撃をオールマイトに繰り出すが掠るだけで当たらない。このギプスが重すぎる!!

 

「ヘイヘーイ!遅いぞ緑谷少年!!ほらもっと来いよ!!」

 

「ちょっと遊んでませんかオールマイト!?」

 

「あ、バレた?」

 

憧れてるけどそれはムカつくぞ!?こうなったら!!

 

『BBBBBBBBBBBBoost!!!』

 

「ちょっ!?緑谷少年それはやばいのでは!?」

 

「ムカつきましたのでちょっときついですよ!!!」

 

「うおぉぉっ!!??」

 

チッ!ギリギリ避けたか!!

 

「危ないではないか緑谷少年!!」

 

「フルカウル!!」

 

「緑谷少年!?」

 

今なら使える!!ワンフォーオール30%!!

 

「DRAGONSMASH!!」

 

「ぎゃぁぁぁ!?」

 

よし!!腕で防がれたけどなんとか5mは吹っ飛ばせた!!オールマイトを吹っ飛ばせたぞ!!

 

「よしじゃないぞ緑谷少年!!危ないじゃないか!!」

 

「オールマイトが遊んでたのが悪いんですよ……はぁ…はぁ………」

 

やばい、ギプス付けてたからかなり体力消費している。

 

「このトレーニング方法なかなかいいだろう?」

 

「えぇ、これなら更に鍛えれます…めっちゃ疲れた……」

 

鎧を解除しながら座り込みギプスを外す。うわっ、体が羽のように軽い。

 

「鎧の時間が伸び、更にはワン・フォー・オールの制御をこなした。雄英を受けたら君は首席だろうな!HAHAHA!!」

 

「……そういえば、あと数ヶ月で試験か……」

 

この中学三年の前半は本当に濃い期間だったな……

 

「さて、君にはあることを言おうと思っていんだよね」

 

「あること?」

 

「あぁ。君の攻撃はよく腕を使うね?その理由はなにかな?」

 

「理由…まぁオールマイトを意識してますから……」

 

「それじゃダメさ!私は私で、君は君なんだ!君だけの必殺技を考えなきゃいけないのさ!」

 

「俺だけの……必殺技……」

 

『確かにな。相棒はよく腕ばかり使っている。確かに鎧があるからまだいいが、鎧を使わない以外だと危険だ。どうする相棒』

 

「腕……」

 

腕ばかりではダメ……確かにそれだと腕が使えなくなる時、何も出来なくなる。脚しか……ん?脚?そうか!!

 

「そういうことか!!」

 

「お?何やら分かったようだな!」

 

「はい!」

 

「よし、それじゃ今日はこれくらいにしてまた今度だ!!」

 

「ありがとうございました!!」

 

よし、俺は確実に強くなっている!最高のヒーローになる為にも頑張るぞ!!



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入学試験、開始!!

あれから数ヶ月経ち、試験日。

出久は雄英の前にいた。

 

「……よし、勉強も頭に詰めた。特訓もしっかりした。行くよ、ドライグ」

 

『あぁ、ようやくここまで来たな』

 

出久は一度止まり、雄英を見ていると後ろから聞きなれた声をかけられた。

 

「おい、悪いが早くど……なんだ、デクか」

 

「あ、かっちゃん。おはよう」

 

「おう。そうだデク」

 

「ん?」

 

「絶対に俺が首席で入学してやる。首洗って待っとけ!」

 

「あぁ!俺だって負けないさ!」

 

「行くぞ」

 

「うん……あ」

 

「あ?」

 

出久は行こうとすると、目の前で転びそうになっている女子がいた。出久はすぐさま移動し、女子を受け止める。

 

「へっ!?」

 

「大丈夫か?」

 

「え、あ、だ、大丈夫!ありがとね」

 

「うん。一緒に受験頑張ろう!」

 

「うん!」

 

この時、この女子はさっきまでそっちにいたはずなのにと疑問に思いながらも入っていった。ちなみにその光景を見ていた勝己はと言うと。

 

「……そういや、あいつの力って異性にも影響されるんだったか?いつか刺されるんじゃねぇのか?」

 

と出久を心配していた。それともう一つ。

 

(……あれ?あいつ女子とまともに話すのって初めてじゃねぇか?)

 

そう思っていると、出久は初めて女子と話したことに思い付き、ちょっと顔がアレな感じになっていた。

 

 

***

 

 

筆記試験を終え、今は実技試験の説明である。

 

『今日は俺のライブにようこそー!!! エヴィバディセイヘイ!!!』

 

シーン……

 

『この状況で掛け声をする奴などいなかろうに……』

 

(まぁね……けどよく見ると抑えてる人もいるよ)

 

『マジか』

 

出久の指摘にドライグは出久の目を通して辺りを見る。すると本当に抑えてる人もいた。

 

『こいつぁシヴィーー!!!受験生のリスナー!実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ!!!Are you ready!?YEAH!!!』

 

シーン……

 

『なんか……』

 

(ここまで来ると不憫だなぁ…プレゼンマイク……)

 

『入試要項通り!リスナー達にはこの後!10分間の「模擬市街地演習」を行ってもらうぜ!!持ち込みは自由!プレゼン後は各自指定の演習会場へ向かってくれよな!!』

 

勝己は出久に目配せをしてお互いの指定された場所を見る。

 

「同校同士で協力させないってことか」

 

「どうやらそのようだね」

 

『演習会場には仮想敵が三種(・・)多数配置しており、それぞれの「攻略難易度」に応じてポイントを設けてある!各々なりの個性で仮想敵を行動不能(・・・・)にし、ポイントを稼ぐのがリスナー達の目的だ!!』

 

「……かっちゃん」

 

「…あぁ、今回はぶっ飛ばすしかないな」

 

「うん」

 

プレゼンマイクが説明した内容に、ヒーローとはなにかのヒントを察した二人である。今回同じ演習会場ではないことが本当によかったと言える。

 

「質問よろしいでしょうか!?」

 

『!』

 

プレゼンマイクの説明に一人の受験生が立ち上がる。

 

「プリントには四種(・・)の敵が記載されております!誤載であれば日本最高峰たる雄英において恥ずべき痴態!我々受験者は規範となるヒーローのご指導を求めてこの場に座しねいます!!」

 

(覚悟あるなぁあの人……)

 

『オーケーオーケー受験番号7111くん、ナイスな便りサンキューな!四種目の敵は0P!そいつは言わばお邪魔虫(・・・・)!各会場に一体!所狭しと大暴れしているギミックよ!』

 

「なるほど…避けて通るステージギミックか…」

 

「まんまゲームみてえな話だこりゃ」

 

「有難う御座いました!失礼します!」

 

(……なにか引っかかるな)

 

出久はその四種目の敵になにか違和感を感じていた。

 

『俺からは以上だ!!!最後にリスナー達へ我が校の校訓をプレゼントしよう!』

 

『かの英雄ナポレオン=ボナパルトはこう言った!「真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者と」!!』

 

『“Puls Ultra”!!それでは皆いい受難を!!』

 

 

***

 

 

出久は個性のプレゼンが終わり、バスで指定された演習会場に着いていた。

 

「広っ………」

 

『さすが雄英と言った所か?』

 

「だな」

 

(しかし、ほかの人達の個性を見るとすげぇな。こりゃ気が抜けないな)

 

出久は赤龍帝の篭手を展開して準備運動をする。ちなみに準備運動をしながら朝に受け止めた女子がいるのを確認していた。

 

『はいスタート!!』

 

『Boost』

 

プレゼンマイクの声が聞こえた瞬間出久は1回目の倍加をして前回走った時よりも速いスピードで走り出す。そして時を同じく勝己もスタートの声を聞き爆破で飛んでいく。

 

『どうしたあ!?実戦じゃカウントなんざねぇんだよ!!走れ走れぇ!!賽は投げられてんぞ!?もう動いてる奴なんかいるんだぞ!!』

 

それにより、出久と勝己以外の受験生達は出遅れていた。



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実技での活躍と結果

マジで出久のヒーロースーツどうしよう……
ヒーロー名は決まってるけど、本当にどうしよう……
あとヒロインもだなぁ…


実技試験の審査員達がいる所では、受験生達について話していた。

 

「今年はなかなか豊作じゃない?」

 

「特にあの赤い篭を着けている緑の少年は凄い!あの動きは人離れしている!」

 

「手刀であのロボットを斬るなんて人離れした技をしているわ」

 

「ほかの所だと爆破の子も凄いな……」

 

「この二人同じ中学だね」

 

「そういえばあの赤い篭手着けてる子ってあのヘドロ事件の子じゃないか」

 

「……これは今年は荒れるな」

 

(爆豪少年、そして緑谷少年!頑張っているね!!)

 

オールマイトはこの場で出久と勝己の活躍を見ていた。なんせ二人は他の受験生達よりも群を抜いていた。

 

「さて、真価の問われるのはこれからさ!!」

 

一人の教師がボタンを押す。それが行われる少し前、出久はフルカウル5%で仮想敵と戦っていた。

 

「DRAGONSMASH!!」

 

5%の力で仮想敵を殴り、後ろの仮想敵も巻き込み倒していた。

 

(よし、かなりポイントは稼いだ……!)

 

周りを見て一人の受験生が囲まれていた。

 

(フルカウルシュートスタイル!)

 

一瞬でその生徒を囲んでいた仮想敵の半分を蹴り倒す。

 

「大丈夫?」

 

「あ、あぁすまない…」

 

「それじゃ頑張って!」

 

出久はこういった他の受験生が危ない所を何度も助けていた。周りは何をしているんだと言う視線を向けているがそんなのは出久の知ったこっちゃではない。ちなみに違う場所で実技をしている勝己も手助けをしており、出久と同じ視線を向けられている。

 

「フッ!」

 

今度は手刀で仮想敵を倒す。その時、模擬市街地の置くからマンションと同じくらいの大きさをしている仮想敵が出てくる。

 

『相棒!あれがあのお邪魔虫だ!』

 

「あぁ……!?」

 

0Pの仮想敵が暴れていたせいで建物が崩れている。そして瓦礫が発生し、その下に足を下敷きにされている女子を見つけた。

 

「ヤバい!」

 

仮想敵に対して向かおうとすると、プレゼンマイクに質問をしていたメガネの男子が声をかけてくる。

 

「あれは倒さなくてもいいものだろ!早く避難を!」

 

「ふざけるな!」

 

メガネの少年の言葉に出久はイラついた。

 

「ヒーローってのは!誰かを助ける奴のことなんだよ!!」

 

「お、おい!」

 

メガネの少年が声を上げて止めようとするが出久は反応せず女子の所まで一気に走る。

 

「君は朝の!?私はいいから早く逃げて!」

 

「大丈夫だ!俺が来た!!!」

 

出久は力強く言い放つ。

 

「禁手化!!!」

 

『BBBBBBBBBBBBoost!!!』

 

鎧を展開し、一気に倍加をする。出久から濃密な存在感を感じる。そして出久は一気に跳躍した。

 

(フルカウル10%!)

 

『DRAGON SMASH!!!』

 

アッパーで打たれたその一撃は風圧が見える程の力を持っていた。その力に耐えきれず0Pの仮想敵の上半分がペシャンコになり行動不能になっていた。それを見ていたオールマイト以外の教師達、そして出久と同じ演習会場にいた受験生達はその威力に目を奪われていた。出久は背中から特訓でできるようになった翼を生やし、綺麗に着地をする。

 

「よし、大丈夫か?」

 

「え?え、あ、うん大丈夫!!てか凄いね!」

 

「まぁ鍛えたからな」

 

そう言いながら出久は女子の足を下敷きにしていた瓦礫を撤去して女子を担ぐ。

 

「あ……こ、これくらい大丈夫だよ!?」

 

「怪我してるからダメだ。安全な所に行く」

 

「あ、ありがとう……」

 

出久は安全な速度で走って安全な所に女子を下ろす。

 

「ありがとね……試験なのに……」

 

「気にしなくていいから」

 

『しゅ、終了〜!!!!』

 

そこでプレゼンマイクが実技試験終了の声を上げる。

 

「あ……終わっちゃったね…」

 

「だから気にしなくていいさ。それなりに結構ポイント稼いでたし、俺は大丈夫さ」

 

「う、うん……」

 

ちなみに出久は今顔の部分を解除している。それを見て女子は顔を赤らめているがそれに出久は気付いていない。

 

『……やはり相棒は鈍感だったか』

 

(ドライグ?)

 

『いや、なんでもない』

 

そうしてドライグが出久の鈍感さに気付きながら出久達は戻っていった。

 

 

***

 

 

あれから出久はその女子、麗日お茶子と連絡を取り、通知が来るまで暇を潰したりオールマイトとは連絡がとれないため筋トレ等で過ごしていた。

 

「通知……そろそろね」

 

「ん?あぁ、だね」

 

出久の母親、引子は出久の自然に過ごしてるのに驚かされていた。引子は出久が小さい時に謝ったことを後悔していた。しかし最近の出久を見て、母親である自分が支えないとと思っている。

 

「……暇だね」

 

『……暇だな』

 

ちなみに引子はドライグのことは知っている為、出久と話していても驚いたりははしない。慣れと言うものだ。

そう過ごしていると、引子が封筒を持って廊下を走ってきた。

 

「出久!来てた…!来てたわ!」

 

「!分かった!」

 

出久は出久に一人で見ると言って封筒を受け取り部屋に入る。

 

「なんかデカいのが入っているな……」

 

出久は封筒を開け中から何かの機械を取り出す。

 

『私が投映された!!』

 

「オールマイト!?」

 

出久は雄英からだよなと封筒の中にある紙を確認する。それほどオールマイトが出てきたことに驚いていた。

 

『諸々手続きに時間がかかって連絡取れなくてね。いやすまない!私がこの街に来たのはね、他でもない雄英に勤めることになったからなんだ』

 

「マジか」

 

『えぇ何だい?巻き?彼には話さなきゃいけないことが…あとがつかえてる!?分かった……さて、筆記は上位に入っていて凄いよ!そして実技は79P!凄いぞ!!だがしかし、実は他にもあるのさ!私はこれでもエンターテイナー!!先の入試で見ていたのは敵Pのみにあらず!!!!正しいことをした人を考えないヒーロー科などあってたまるかって話だよ!!』

 

『あったら潰してた所だぞ……』

 

ドライグが呟くがオールマイトの話は続く。

 

『綺麗事!?上等さ!!命を賭して綺麗事実践するお仕事だ!!その名も救助活動P!!しかも審査制!!!我々雄英が見ていたもう一つの基礎能力!!緑谷出久、90P!!!!首席で合格さ!!』

 

「っしゃぁ!!!」

 

『来いよ緑谷少年!ここが君のヒーローアカデミアだ!』

 

「はい!!!」

 

出久は投映が終わると真っ先に引子に合格したことを伝えにいった。彼のヒーローとしての道はまだ始まったばかりである。



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会合、そして入学

ヒーロースーツのイメージが出てきたなぁ……
けど言葉にするのムズい…!
だが俺頑張る!


合格通知が来た翌日の夜、出久はオールマイトから掃除をした公園に来るよう呼ばれていた。

 

「オ…や、八木さん!」

 

出久は後ろに一般の人達がいたためオールマイトの本名を言った。

 

「やぁ、少年。そして合格おめでとう」

 

「はい!ありがとうございます!」

 

そう言ってオールマイトと出久はハイタッチをする。

 

「一応言っとくが学校側には君との接点は話してなかったぞ。君そういうのズルとかで気にしちゃうタイプだろ?」

 

「お気遣いありがとうございます!」

 

やはり一人称が変わっても出久の根本は変わっていないため、オールマイトは気付いていたようだ。

 

「オールマイトが雄英の先生だなんて驚きましたよ。だからこっちに来てたんですね…」

 

「あぁ。学校側から発表されるまで他言はできなかったからね。後継を探していた折に雄英側からたまたまご依頼があったのさ」

 

「なるほど……そういえば個性の引き継ぎが終わったらオールマイトは無個性になるんですか?」

 

「いや、まだ個性はあるが例えるなら残り火でね。段々と個性は衰えていき次第に無くなっていくんだ。ただあまりやりすぎると活動時間が短くなっていくけどね!」

 

「え……じゃあ俺達と特訓してた時は……」

 

「あれは大丈夫さ!しかしそこまで時間は掛からなかったがかなり成長したな!私はビックリしたぞ!特にあの0Pの仮想敵を倒した時はな!」

 

「やっぱり禁手化が体力が続く限りできるのがいいですからね」

 

「そういえば君と爆豪少年の点差なんだが、僅か一点差だったよ。さすがだね君達は!」

 

「ありがとうございます!」

 

『……オールマイトよ、少し聞きたいことがある』

 

2人がそう話していたらドライグは篭手を展開して話しかけてきた。

 

「おや、なんだい?」

 

『ワン・フォー・オールが生まれた理由についてだ』

 

ドライグの言葉にオールマイトの体が固まる。まるで聞かれたくないことを聞かれたように。

 

「……なぜ知りたい?」

 

『フンっ、貴様には俺のことを話したはずだ。俺の中にいる奴らのこともな。そいつらと一緒に疑問に感じていたんだ。ただの個性でここまで巨大な力になれるのか、とな』

 

「……」

 

出久は篭手とオールマイトを交互に見ていた。

 

「……どうなんですか?オールマイト」

 

「……今はまだ、君に話すべきではないと考えている。これは私の勝手だがな…」

 

『舐めるなよ、貴様』

 

一瞬オールマイトですら恐怖する存在感が篭手から溢れる。オールマイトには一瞬、赤い龍が見える程感じた。

 

『俺や俺の中にいる奴らは相棒を気に入っている。もし相棒が死ぬようなことになったら……分かっているだろうな?』

 

より一層強まる存在感。篭手からオーラが出る程までになっている。

 

「……大丈夫ですよ、オールマイト」

 

「緑谷少年?」

 

「俺は、夢で度々師匠達の過去を見ていました」

 

「!?」

 

出久が言った通り、出久は歴代の赤龍帝達の過去を何度も見てきた。夢の中ではあるが、何度も見てきた。そして歴代の赤龍帝達の過去にあったことを軽くだがオールマイトは知らされていた。だが軽くと言っても人にとっては苦しいものである。それを何度も見たと聞かされたのだ。驚かない訳がない。

 

「俺は何度も色んな地獄を見ました。愛する者を殺された赤龍帝や道を間違えた赤龍帝……様々な人達を見ました」

 

「だけど、それでも俺は目指したかった。ヒーローに。そして、最高の赤龍帝に」

 

「俺は、ここに宣言します」

 

出久はまっすぐオールマイトに覚悟を決めた目を向ける。オールマイトはその目の奥に炎のようなものが見えた。

 

「俺は、あなたを超える最高のヒーローになります。それが俺の目指す未来です!」

 

「………」

 

オールマイトは出久の言葉に自分の判断は間違っていなかったと気付いた。

 

(……やはり、君に託してよかったよ)

 

「……分かった。話そう。そして私の師匠のこともね」

 

「……ありがとうございます」

 

それからオールマイトは出久にワン・フォー・オールの理由、そしてオールマイトの師匠が殺されたことを話した。そして、出久が最高のヒーローとなる頃にはもういないことも。

 

「…………これが全てだ。緑谷少年、ありがとう」

 

「……オールマイト、俺は頑張ります。あなたに最高のヒーローになったって、あなたを超えたって胸張って言えるようになります!」

 

オールマイトの話を聞いた出久は、より一層自身の覚悟を強めた言葉をオールマイトに伝える。

 

「……ありがとう…!本当に…ありがとう……!!!」

 

出久の言葉にオールマイトは涙を流し、感謝を述べる。オールマイトにとってその言葉は本当に嬉しいものであった。

 

 

***

 

 

そして春になり、入学の日である。

 

「出久!ティッシュ持った!?」

 

「持ってる!」

 

「ハンカチは!?ケチーフ!」

 

「持ってる!」

 

(ちょい遅れたー!かっちゃんもう先行ってるし!!起こしてよ!?)

 

「出久!」

 

「なに!?」

 

「……超カッコいいよ!」

 

引子は若干涙目になって出久に伝える。

 

「…おう!行ってきます!」

 

引子に挨拶をして出久は走って学校に行く。

 

(キツい!?ドライグ、お願い!)

 

『全く、何をしているんだ』

 

『Boost』

 

倍加を使い雄英に向かって走る。しかし忘れるな。今の出久に倍加をしたらどうなるかを。10分で雄英に着く。

 

「ふぅ……着いた……クラスは……確かA組だから…」

 

地図を見た出久は自身の教室に向かう。

 

(かなり広いなぁ……)

 

『迷いそうだな。気を付けろよ』

 

(だなぁ…)

 

そして出久はA組の教室に着く。

 

(ここからだ。俺はオールマイトと約束したんだ!絶対に最高のヒーローになる!)

 

そう決意して出久はバリアフリーの扉を開ける。ここから、出久の学校生活が始まる。



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個性把握テスト

出久は教室の扉を開ける。すると聞き覚えのある声が聞こえる。

 

「机に足をかけるな!雄英の先輩方や机の製作者方に申し訳ないと思わないのか!?」

 

「朝から疲れてんだから仕方ねぇだろ!!てめぇどこ中だよ!」

 

(なにやってんのかっちゃん!?そしてメガネの君!?)

 

『……朝から疲れるなこいつら』

 

「ぼ…俺は私立聡明中学校出身飯田天哉だ」

 

「聡明……エリートじゃねぇか。さすがだな。ま、頑張ろうぜ」

 

「あ、あぁ……む?」

 

「あ、デク」

 

2人が話していると出久は教室に入ってきていた。

 

「おはようかっちゃん」

 

「なに寝坊してんだおめぇは」

 

「あはは……」

 

「俺は私立聡明中学校の……」

 

「聞いていたから大丈夫。俺は緑谷出久だ。よろしく!」

 

自己紹介をすると飯田は出久に悔しそうな顔をしていた。

 

「緑谷くん…君はあの実技試験の構造に気付いてたのだな」

 

「あれか。俺とかっちゃんは気付いてたよ」

 

「なに!?」

 

そう言って飯田は勝己にも悔しそうな顔をする。

 

「俺は気付けなかった…!悔しいが君達の方は上手だったようだ!」

 

飯田が悔しそうな顔を続けてると前髪を立てた男子が話しかけてくる。

 

「いや〜あん時は凄かったぞ!俺切島鋭児郎!よろしくな!」

 

「あ、よろしくね」

 

「あの0Pの奴に立ち向かったと思ったらなんか鎧来てたもんだからビックリしたぞ!」

 

「あ、デクくん!!」

 

出久は後ろから話しかけられる。そこには入試の時助けてそれ以来電話とかで話していた麗日お茶子がいた。

 

(……制服姿やっべぇぇ!?)

 

『耐性があるのかないのかハッキリしてくれ……』

 

「おはよ!」

 

「お、おはよう…」

 

出久はその子の言葉に顔を赤くする。それを見た勝己はこれからの出久の学校生活が心配になった。過保護かよ。

 

「今日って式とかガイダンスだけかな?先生ってどんなに人なんだろうね。緊張するよね」

 

「お友達ごっこしたいなら他所へ行け」

 

麗日の後ろから声が聞こえる。みんながそっちに振り向くと、寝袋に入った人がいた。

 

「ここは…ヒーロー科だぞ」

 

(((なんかいるぅぅ!?)))

 

『芋虫みたいだな……』

 

(ドライグやめて!?そう見えちゃってくるからさ!!)

 

「ハイ。静かになるまで8秒かかりました。時間は有限。君達は合理性に欠くね。俺は担任の相澤消太だよろしくね」

 

(((担任!?)))

 

クラス全員の心の声が揃ってる時相澤は寝袋から雄英の体操服を取り出す。

 

「早速だが体操服着てグラウンドに出ろ」

 

(生温かそう……)

 

 

***

 

 

『個性把握テスト!?』

 

出久達はグラウンドに集合させられ、相澤から伝えられた。

 

「入学式は!?ガイダンスは!?」

 

「ヒーローになるならそんな悠長な行事出る時間ないよ。雄英は“自由”な校風が売り文句。そしてそれは“先生側”も、また然り」

 

その時、勝己と出久はここで察する。もうヒーローに向けての試練は始まっているんだと。

 

「中学の頃からやってるだろ?“個性”禁止の体力テスト。国は未だ画一的な記録をとって平均を作り上げ続けてる。合理的じゃない。まぁ文部科学省の怠慢だよ」

 

相澤はそう言ってボールを取り出す。

 

「入試首席の緑谷出久。中学の時ソフトボール投げ何mだった」

 

「え、あ、はい!確か77です」

 

それを聞くと相澤は出久にボールを渡す。

 

「じゃあ個性を使ってやってみろ。円から出なきゃ何してもいい。早よ。思いっきりな」

 

「分かりました」

 

出久はボールを受け取り、円の中に入る。そして倍加をしてワン・フォー・オールを発動させる。

 

(フルカウル5%!)

 

『Boost』

 

「DRAGON…SMASH!!!」

 

一気に解き放たれたのは正に弾丸。スナイパーライフルの弾丸と同じ速さで飛んでいき、見えなくなった。。

 

「……2308.2mか」

 

「2kmを越えた…!?」

 

「すげぇ……!」

 

「なんだこれ!!すげー面白そう!」

 

「個性思いっきり使えるんだ!さすがヒーロー科!」

 

その言葉に相澤の雰囲気が変わった。それに気付いたのは出久と勝己だけであった。

 

「面白そう……か…ヒーローになる為の3年間、そんな腹積もりで過ごす気でいるのか?」

 

出久と勝己は相澤の雰囲気で冷や汗をかく。

 

「よし、こうしよう。トータル成績最下位の者は見込み無しと判断し除籍処分しようとしよう」

 

「はあああ!?」

 

『ほぅ……こいつ、なかなか分かっているな』

 

(あぁ。プロになるためには生半可な気持ちでなれるようなものじゃないことを証明しようとしている。そしてあの目は本気だ)

 

「生徒の如何は先生の“自由”だ」

 

「最下位除籍って……!」

 

「入学初日ですよ!?いや初日じゃなくても理不尽すぎる!!」

 

「自然災害、大事故、身勝手な敵達……いつどこから来るか分からない厄災、日本は理不尽にまみれている。そういう理不尽を覆していくのがヒーローだ。放課後マックで談笑したかったならお生憎、これから3年間雄英は全力で君たちに苦難を与え続ける」

 

相澤は生徒達に挑発する。

 

「“Plus Ultra”全力で乗り越えて来い」

 

その言葉を聞いた出久と勝己は周りとは違い笑う。

 

((上等だ!!))

 

 

***

 

 

・50m走

 

『2秒01』

 

「やっぱりちょっと反応が遅いかな…」

 

「くっ…まさか抜かれるとは……!」

 

 

・握力

 

「あ……」

 

「おいデクてめぇ何壊してんだゴラァ!!」

 

「あ、やっべ。次かっちゃんだった」

 

「俺の記録を超えられただと……?」

 

 

・立ち幅跳び

 

「フッ!!」

 

『105m』

 

「おい、あいつ地面に穴開けたぞ」

 

「場所小さいなぁ…」

 

 

・反復横跳び

 

『991回』

 

「やっべ。穴また開けちゃった」

 

「緑谷こえええええ!!」

 

 

・ソフトボール投げ割愛

 

 

・持久走

 

『2分3秒』

 

「体力強化しててよかった……」

 

「ぬ、抜かれた……」

 

 

・上体起こし

 

『321回』

 

「ありがとう障子君」

 

「いや、お前の個性で何とかなった。こちらこそありがとう」

 

 

・長座体前屈

 

『85cm』

 

「普通だ」

 

「普通だな」

 

 

***

 

 

それぞれの体力テストが終わり、出久達は相澤の所に集まっていた。相澤はそれぞれの順位が映されたホログラムを出している。

 

「んじゃ、パパっと結果発表だが……ちなみに除籍は嘘だ」

 

「!?」

 

相澤初めまして薄ら笑いを作る。

 

「君らの最大限を引き出す合理的虚偽」

 

「「「はーーー!!??」」」

 

「あんなのウソに決まってるじゃない……ちょっと考えればわかりますわ……」

 

しかし出久と勝己は合理的虚偽ということが嘘だと気付いてた。

 

(……先生が見込みはあるって感じたことなんだろうな)

 

『あぁ。だが油断するな。これからの生活はより一層厳しい試練が来るぞ』

 

(あぁ)

 

 

***

 

 

俺達はあれから色々と話したりして帰る準備をしていた。

 

「いや〜凄かったな緑谷の記録!」

 

「まさかあの握力計を壊すとはな…」

 

それについては本当にやりすぎてしまった…反省せねば。

 

「次人がいる時に壊したら爆発させる」

 

「ひっ!?」

 

かっちゃんの目がマジだ!?

 

『さすがに俺はそれには同意だな…』

 

ドライグまで!?

 

「帰っぞ。デク」

 

「あ、うん!」

 

「私も!」

 

そうして俺と麗日さんとかっちゃん、そして途中来た飯田と一緒に帰ってった。なんかこういった学校生活は新鮮だな……

これから頑張らないとな!



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戦闘訓練 前編

体力テストがあった翌日、午前中は普通の授業を受けていた。プレゼント・マイクの授業だったが至って普通だった。時々相乗りしそうだったけど。そしてここ雄英は昼食も凄い。なんせプロヒーローの飯が食べれるからな。

 

「白米に落ち着くよね!」

 

「うめぇな」

 

たまに作ってくれるかっちゃんの飯も美味いけどこっちもすっげぇ美味い…!そんなこんなで午前の授業が終わり、次はヒーロー基礎学である。

 

 

***

 

 

「わーたーしーがー!!」

 

「普通にドアから来た!!」

 

このヒーロー基礎学はオールマイトが担任するんだ!すげ!

 

「オールマイトだ!すげぇや!本当に先生やってるんだね!」

 

「シルバーエイジのコスチュームだ!」

 

「画風が違いすぎて鳥肌が……!」

 

いやほんと画風違いすぎる!やっぱカッコイイなぁ…

黒板の前に立ったオールマイトが何かを取り出す。

 

「ヒーロー基礎学!ヒーローの素地を作る為様々な訓練を行う科目だ!」

 

けど単位数が多いんだよな…頑張らないと。

 

「早速だがコレ!!戦闘訓練!!」

 

「戦闘……!」

 

「訓練…!」

 

「そしてそいつに伴ってこちら!」

 

すると教室の壁からケースが出てきた。

 

「入会前に送ってもらった個性届けと要望に沿ってあつらえたコスチュームさ!!!」

 

『おおお!!!』

 

「着替えたら順次グラウンドβに集まるんだ!」

 

『はい!!』

 

「来いよ!有精卵共!」

 

 

***

 

 

クラス全員がコスチュームに着替え、集まった。

 

「あ、デクくん!カッコイイねそのスーツ!」

 

「あ、ありがとう……」

 

俺が頼んだコスチュームは母からもらったジャンプスーツを改良して、モスグリーンと赤色の龍のシンボルが刺繍された上着とズボン、そして金属の胸当を付けたスーツだ。ちなみにこの胸当のデザインはドライグの因子?を宿したかのアーサー王が付けていた鎧の一部を真似したらしい。ちなみに靴は頑丈なものを作ってもらった。

 

「要望ちゃんと書けばよかったよ…パツパツスーツんなった…」

 

……なぁドライグ。俺まだ女子に対して免疫がまだないけど、これヤバない?

 

『なぜ言葉が変わった……』

 

仕方ないじゃん!こんなのアレだよ!鼻血出ちゃうよ!?

 

『……知るか』

 

あ、ちょっ、ドライグ!?

 

「…ヒーロー科最高」

 

そしてお前なにサムズアップしてる峰田ァァァ!!彼女の見るんじゃねえぇぇぇ!!

 

 

***

 

出久が心の中で色々とやばくなってる時、授業が始まろうとしていた。飯田が質問をしていた。

 

「先生、ここは入試の演習場ですからまた市街地演習を行うのでしょうか?」

 

『……アイツの姿に似ているな…』

 

(ん?どうしたドライグ?)

 

『気にするな』

 

ドライグが飯田のヒーロースーツを見て思い出す。かつてのライバル、アルビオンの神器が禁手化した姿に似ていたため、思い出していた。そんな中オールマイトは続ける。

 

「いいや!もう2歩先に踏み込む!屋内での対人戦闘訓練さ!!敵退治は主に屋外で見られるが統計で言えば屋内の方が凶悪敵出現率は高いんだ」

 

(わざわざ外で活動する奴なんていねぇからな…)

 

(多分これは個性を使ってどれだけ危険かを知ることもあるかもな…)

 

オールマイトの説明を聞いて勝己と出久はそう考えていた。

 

「監禁・軟禁・裏商売…真に賢しい敵は屋内に潜む!そこで君らにはこれから『敵組』と『ヒーロー組』に分かれて2対2の屋内戦を行ってもらう!!」

 

「基礎訓練もなしに?」

 

「その基礎を知るための実践さ!!ただし今度はぶっ壊せばオッケーなロボじゃないのがミソだ」

 

オールマイトの説明を聞くと周りから多数の質問を出てくる。

 

「勝敗のシステムはどうなります?」

 

「また相澤先生みたいな除籍とかあるんですか……?」

 

「分かれるとはどのような分かれ方をすればよろしいですか」

 

「このマントやばくない?」

 

(最後の質問全く無関係だぞ!?)

 

『馬鹿がいるな…』

 

周りからの質問に若干苦しくなるオールマイト。

 

「んんん〜聖徳太子ぃぃぃ!!」

 

『なぜ叫んだオールマイト』

 

(いやさすがに教師初めてだからそこは言わないでおこうよ)

 

するとオールマイトは懐からカンペを取り出し説明を続ける。

 

「いいかい!?状況設定は敵がアジトに核兵器を隠してヒーローはそれを処理しようとしている!ヒーローは制限時間内に敵を捕まえるか核兵器を回収すること。敵は制限時間まで核兵器を守るかヒーローを捕まえること。ちなみにコンビ及び対戦相手はくじで決める!」

 

「適当なんですか!?」

 

「飯田、プロは他事務所のヒーローと急造チームアップすることが多い。だからそのためだと思うぞ」

 

「そうか…!すみません!失礼致しました!」

 

「いいよ!!早くやろ!!」

 

そうしてクラス全員くじを引き、出久はお茶子とA組でコンビを組むことになった。

 

「よろしく!デクくん!」

 

「おう。よろしく!」

 

ちなみに勝己は飯田とD組として組むことになっていた。

 

「む、よろしく頼む!」

 

「あぁ。よろしくな」

 

「続いて最初の対戦相手は〜……こいつらだ!!」

 

オールマイトがヒーロー組と敵のくじを引く。そこにはヒーローはA、敵はDとなっていた。

 

「……へぇ」

 

「……やりがいがあるじゃねぇか」

 

それを見た2人は互いに不敵な笑みを浮かべていた。



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戦闘訓練 中編

お気に入り800超えました!ありがとうございます!
これからも頑張ります!!


それぞれの組のくじが引き終わり、最初の訓練のため出久達は準備をしていた。特に出久は準備体操をしていた。

 

「おーデクくん気合い入ってるね!」

 

「かっちゃんが相手だから余計にな」

 

「そうなん?」

 

「あぁ。俺が知る限りこのクラスで勝てる人は少ない。勝てるなら轟って奴だな」

 

「ほぇー……そうなんや…」

 

「そんじゃ作戦を考えますか」

 

「うん!」

 

一方、勝己・飯田ペアは作戦を考え、核を最上階に置いていた。

 

「良し、ひとまずこれでいいか」

 

「あぁ。飯田、てめぇの個性じゃここの通路とかでは発揮出来ねぇ。お前はここで待ってろ」

 

「済まない。しかし、思ったが君は凄いな。作戦もすぐに思いつくし、君は素晴らしいよ」

 

「……そーかよ。確認だが俺が一人逃がしたらお前が相手をする。それでいいよな?」

 

「あぁ。存分にやって来てくれ」

 

「……おう」

 

各々の準備が終わり、訓練が開始される。

 

『屋内戦闘訓練開始!!』

 

 

***

 

 

麗日を背負って跳び、窓から侵入した出久と麗日は狭い通路内を歩いていた。

 

「かなり狭いな…」

 

「うん…」

 

「……!来る!」

 

出久の言葉通り、曲がり角で出会い頭に勝己の爆破が襲いかかってきた。

 

「フッ!!」

 

「あ、ありがと!」

 

「まだ来るぞ!」

 

「え!?」

 

勝己は爆破で飛んで殴りかかってくるががそれを出久は正面で受け流す。

 

「さすがだなデク!」

 

「相変わらずすげぇなかっちゃん!お茶子さん!俺が抑えるから先に行って!」

 

「う、うん!」

 

麗日は上へと向かうが勝己の爆破で進路を妨げられる。

 

「なっ!」

 

「ケッ、そう来るのは予想済みなんだよデク!」

 

勝己は爆破で飛んで麗日に近付き、始まる前に渡された確保テープを取り出し、巻付けようとするが、手を突き出しいたため瞬時に出久が腕を掴み背負い投げをする。

 

「がっ…!」

 

「お茶子さん!早く!」

 

「うん!」

 

勝己の一瞬の隙を感じ取り、麗日に先を行かせる。そして出久はすぐに飛び上がった勝己を見て体を構える。

 

「チッ……おい飯田。悪い、一人逃がした」

 

『なに!?分かった!』

 

勝己は飯田に連絡を取り状況を伝えて構える。

 

「……ここからは」

 

「正々堂々と勝負だ!デク!」

 

互いに同じタイミングで走り出し、殴る。互いの拳が交差し、クロスカウンターとなった。

 

「グッ…!」

 

「ガァッ…!」

 

 

***

 

 

時間は遡り、モニター室では出久と勝己の戦いに興奮していた。

 

「奇襲とか男らしくねぇ!」

 

「けど敵だから仕方ないだろ」

 

「あの奇襲よく避けたよね!」

 

(やはりこの2人がこのクラスの中で群を抜いているな…だが私も教師だ。贔屓目なしで厳しめに成績を付けるぞ!)

 

それぞれが2人の戦いを見ている。

 

「おぉ!女子を先に行かした!」

 

「確かにあれじゃ一人しか行けないよな…」

 

「てか爆豪なに話してんだ?」

 

切島の疑問にオールマイトが答える。

 

「あれは小型無線で話しているのさ!どうやら一人逃がしたことを伝えているようだね」

 

「うおっ!?2人同時にいった!?」

 

「「「「「クロスカウンター!?」」」」」

 

(やはり君たちは凄いな!)

 

 

***

 

 

クロスカウンターが起こり、2人は吹き飛ばされていた。

 

「クッ…やっぱり凄いなかっちゃん!」

 

「てめぇこそだデク!徹甲弾(APショット)!」

 

「うおっと!」

 

直線状にのびてきた爆破を出久は避け、今度はこちらの番ばかりに体を構えた。

 

「シュートスタイル、DRAGONSONIC!」

 

有り得ない速さで通路内を縦横無尽に駆け巡り、勝己を翻弄する。

 

「どこからだ…ガッ!」

 

いつの間にか倍加で底上げをした拳で空気砲を撃ち、勝己の体に確保テープを巻く。

 

「なに!?」

 

「良し、確保!」

 

「ちくしょう!」

 

勝己は悔しがり次は絶対に勝つと喋りながら出久が最上階に向かうのを見ていた。

 

 

***

 

 

「あれ…あっさり捕まった……?」

 

「あの人たちは互いの実力を知っているようです。つまり彼らは周りに被害が出ないようにしたのだと思いますわ」

 

(さすが推薦!彼らの癖を見抜くとはな!)

 

オールマイトが心の中で言った癖とは、出久と勝己が組手をしている時必ず短期決戦になることを言っていた。2人の場合、互いの実力を知っている為周りを巻き込んでしまう可能性を覚え、一瞬で勝負が着いたりすることがある。だがそれでも2人は互いの悪い点を見つけ、改善をする為彼らにはこの戦い方があっていた。

そして、出久は麗日と合流し、飯田と対決をすることとなった。




自分の中で2人が競い合ったりしたらこうなるかなと思ってました。なんせ爆破と天候を変えるような威力ですからね……


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戦闘訓練 後編

ちょっと変ですが、頑張りました!
今回で戦闘訓練編終わりです!
お気に入りが950超えました!本当にありがとうございます!


出久は階段を上り、途中で麗日と合流していた。

 

「さすがやねデクくん!」

 

「ありがとうお茶子さん。けど今回ので改善点が見つかったんだよな…」

 

「改善点?」

 

麗日は出久が言った改善点が気になって聞く。

 

「俺は敵を捕らえるまでの行動の単調さとパワー調整だ。壁を蹴った時に結構壊しちゃったからそこら辺気を付けないと」

 

「す、凄い……」

 

ちなみに勝己の場合は狭い空間での訓練があまりなく、慣れていなかった為戦闘が早く終わった理由の1つにもなる。

 

「っと……そろそろ最上階だ」

 

「あ、ほんとだ」

 

「ちなみにお茶子さん」

 

「ん?」

 

「自分の体って浮かせれる?」

 

こうして出久達の作戦が決まった。

 

 

***

 

 

出久達は飯田の正面の柱に隠れて出るタイミングをジェスチャーで表す。

 

(今!)

 

「むっ!?2人同時にだと!?」

 

「これでもくらいやがれ!」

 

出久が投げたものは先程勝己との戦闘で壊した壁の破片である。

 

「くっ!こんなもの!」

 

「よそ見厳禁だぜ?」

 

「なに?」

 

『ヒーローチームWIーーーーーN!!』

 

「……え?」

 

「ナイスお茶子さん!」

 

「うん!」

 

飯田の後ろから麗日の声が聞こえた為飯田は振り向く。そこには核に触っていた麗日がいた。

 

「な、なんだとーーーー!!?」

 

今日一番の飯田の叫びが木霊した。

 

 

***

 

 

戦闘訓練をした4人はモニタールームに入り、講評の時間となった。

 

「講評の時間だ!さぁ誰がMVPだった?」

 

「はい、オールマイト先生」

 

オールマイトの言葉にヒーロースーツが大胆な女子が手をあげる。

 

「この戦闘訓練では爆豪さんが最もよかったと思います。自身の個性を把握して行動したり瞬時に仲間に通信をして状況を報告していました。緑谷さんや飯田さん、麗日さんもよかったですが、今回の戦闘訓練では核があった為緑谷さんの最後の行動はあまりよろしくはないかと思います」

 

(確かにあれは危険だな…なるほど、確かにこういうのも気を付けるべきだな。さすが推薦だな )

 

(思ってたより言われた!!)

 

「まぁ…正解だよ、くう…!」

 

そこら辺で講評の時間が終わり、次の戦闘訓練となった。

 

 

***

 

 

出久達はそれぞれの戦闘訓練を見て観察していった。

 

((…倫理的にアウトだろ))

 

葉隠透の行動には心の中で一緒に突っ込んでいた。

そしてそれぞれの戦闘訓練が終わり、授業が終わる。

 

「お疲れさん!大きな怪我もなし!しかし真摯に取り組んだ!初めての訓練にしちゃ皆上出来だったぜ!」

 

「相澤先生の後でこんな真っ当な授業…なんというか拍子抜けというか……」

 

「真っ当な授業もまた私たちの自由さ!そうそう、相澤先生のことなんだが」

 

オールマイトの言葉に生徒達が疑問符を浮かべる。

 

「君たちには相澤先生の個性は伝えてなかったね!彼の個性は個性を消すことが出来るんだ!」

 

ちなみにこのことはオールマイトは相澤先生に許可をもらっている為話していることであった。

 

「個性を…消す……?」

 

「……イレイザーヘッド」

 

『あ!?』

 

出久の呟きにイレイザーヘッドを知っている人達が思い出す。

 

「あのアングラ系ヒーローか!」

 

「ちなみに彼ドライアイだからいつも目薬を常備してるけどね!」

 

『個性凄いのに勿体ない!!』

 

そんなこんなで授業が終わり、放課後出久と勝己は反省会に誘われ、互いに自己紹介しながら反省会を行っていた。

 

 

***

 

 

どこかのバー、そこには体がモヤになっている男と沢山の手を付けた男が新聞を持っていた。

 

「……教師、ね……」

 

手を沢山付けた男は新聞をテーブルに置く。

 

「どうなると思う?平和の象徴が……敵に殺されたらさ…」

 

その男の表情はとても歪んでいて、そして恐ろしかった。出久達が敵に襲われるまで、あと少しであった。



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最初の騒動

戦闘訓練から数日、今俺達の学校は、

 

「あの、オールマイトから教師をやっていると聞き様子を伺いたいんですが!」

 

「オールマイトの話を聞かせてください!」

 

……取材班達によって囲われてます。行きたくねぇ……

 

『どの道通らなきゃいけないから行くしかあるまい』

 

だけどさ…俺ヘドロ男の時に言った言葉が今世間に知れ渡ってるんだよ?その本人が来たら余計にやばいだろ。

 

『うだうだするな』

 

はぁ、仕方ないか……

 

「オールマイトの授…ってあなたあのヘドロ事件の!?」

 

「なんだって!?」

 

「話を聞かせてくれないか!」

 

「オールマイトのご様子は!?」

 

あ、ダメだ。イラついてきた。

 

「……うるせぇ』

 

 

***

 

 

出久がそう呟くと周りが途端に静かになる。

 

「……うるせぇ』

 

その一言に殺気が込められ、出久から龍が出てるかのように錯覚させられる。

 

「オールマイトがここで教師をしているからってくだらない理由でここの生徒達にまで見境なく聞こうとするんじゃねぇよ。俺達はヒーローになるため、それ以外でも自分の目標の為に必死でやってんだ。それを邪魔すんじゃねぇよ』

 

言い終えた出久はそのまま記者達の横を通って自身の教室ヘ向かっていった。

 

 

***

 

 

朝の騒動が過ぎ、昼休みになり出久は勝己と麗日、飯田と昼食をしていた。

 

「あー……イライラする」

 

「どうしたん?」

 

「マスコミだろ」

 

「そうなんだよ……それに前にカメラの前で大層なこと言っちゃったからかなり認知度高いからそれでウザかったから殺気出した」

 

「おいデクそれはやめろよ!?」

 

「大丈夫、見える程度にしたから」

 

「いやアホだろお前!」

 

「どうしたのだ爆豪君」

 

「こいつが言ってる殺気はかなり濃密だ。一般人なら簡単に気絶するぞ」

 

それを聞いた麗日と飯田はあんぐりした顔で出久を見るが、出久は気付いていない。

 

「それって本当なの!?」

 

「前にあいつの好物無断で食べたらブチ切れてやばかった。あれは…うん……」

 

勝己はキャラ崩壊する程体が震え、その時のことを思い出してしまっていた。

 

「な、なんとも恐ろしいな緑谷君は……」

 

「しかもなんで委員長なんか……」

 

「あー……実力で決められたと思うぞ」

 

そう、今日のホームルームで委員長決めが行われて出久がクラス委員長となってしまったのだ。それもありかなりイラついていた。

 

「ちなみに私デクくんに入れたよ!」

 

「実は俺もだ」

 

「まぁ俺もだけどよ」

 

「かっちゃんまでもか!?」

 

「だが緑谷君は客観的にも僕よりも実力であり観察力もある。だから君に投票を入れたんだ」

 

「……僕?」

 

「ちょっと思ってたけど飯田くんって坊っちゃん?」

 

麗日に言われちょっと苦笑いをする飯田。

 

「そう言われるのが嫌で一人称を覚えてたんだが……あぁ、俺の家は代々ヒーロー一家なんだ。俺はその次男だよ」

 

「マジか」

 

「凄い!」

 

「ターボーヒーローインゲニウムを知っているかい?」

 

飯田の質問に素早く反応したのは出久であった。

 

「もちろんだ!東京の事務所に65人もの相棒を雇ってる大人気ヒーローじゃねぇか!まさか!!」

 

「それが俺の兄さ!」

 

その言葉を聞いてあからさまに飯田のテンションが上がる。家族を褒められるとやはり嬉しいのだろう。

 

「規律を重んじ人を導く愛すべきヒーロー!俺はそんな兄に憧れヒーローを志した。人を導く立場はまだ俺には早いのだと思う。上手の緑谷君が就任するのが正しい」

 

そう言って飯田は自然と笑顔になっだ。

 

「ハッ、おめぇいい笑顔すんじゃねぇか」

 

「なんか初めて笑ったかもね飯田くん」

 

「え!?そうだったか!?笑うぞ俺は!」

 

出久達は仲良く食べながら話していると突然警報が鳴り響く。

 

「警報!?」

 

「あ!?」

 

『セキュリティ3が突破されました。生徒の皆さんは速やかに屋外へ避難してください』

 

突然の警報に周りは騒然となり、そして互いが難を逃れようと逃げようとする。そこで飯田は他の生徒にセキュリティのことを聞く。

 

「セキュリティ3てなんですか?」

 

「校舎内に誰か侵入してきたってことだよ!3年間でこんなの初めてだ!君らも早く!!」

 

だがそうはいかない。なぜなら他の生徒ら互いに邪魔をしてパニック状態になってしまっているからだ。

 

「人が多すぎて身動き取れないよぉ!」

 

「邪魔だゴラァ!!」

 

『相棒!窓を見ろ!』

 

「何が……ってはぁ!?」

 

ドライグに言われ窓を見ると、そこには記者達がいた。

 

「おいおい、まさか侵入してきたのって記者かよ!?」

 

「なに!?それ本当かデク!」

 

そうして勝己や飯田、麗日は窓をみてそれを確認する。

 

「おいおい…どうやって入っきたんだぁ……?」

 

「だが侵入者が分かったのは好機だ!麗日君、個性を俺に使ってくれ!」

 

「え、分かった!」

 

そう言って麗日に手をタッチしてもらい、飯田の個性を使って出入口の上に着く。

 

「皆さーーーーん!!もう大丈ーーーー夫!!」

 

それを見た出久は安心して飯田に任せ、なぜ侵入出来たのか気になっていた。

 

「……一体誰が?」

 

悪意は、すぐそこまで来ていた。



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USJ襲撃 前編

前回寝ぼけて午前0時にやってしまった……
さてここからはUSJ編です!頑張ります!!


マスコミ侵入事件から翌日、午前の授業は終わって残りはヒーロー基礎学となっていた。

 

「今日のヒーロー基礎学だが、俺とオールマイト、そしてもう一人の3人体制で見ることになった」

 

(なった……?この間のマスコミのと関係あるな)

 

(マスコミのと関係してんな……)

 

相澤の言葉でいち早く推測する出久と勝己。こいつらやばい。

 

「はーい!何するんですか!?」

 

瀬呂の質問に相澤は小さいプラカードを見せる。

 

「災害水難なんでもござれ、人命救助訓練だ!」

 

『おぉ!!』

 

(災害訓練…ちょうどいい。この授業で救助のコツを学ぼう)

 

出久は組手などばかりに着目していた為そこら辺のは疎かになっていた。この授業でその大事なことをしっかり学ぼうと考えていた。

 

「訓練場は少し離れた場所にあるからバスに乗って行く。以上準備開始」

 

出久達は準備に取り掛かる。がしかし思いもよらないだろう。悪意が己のそばまで来ていたことに。

 

 

***

 

 

生徒達の準備が終わり、バスになっていた。ちなみにその時飯田は委員長らしく出席番号順に列を作っていたが意味がなかった。ちなみに委員長は出久が辞退し飯田に変わった。

 

「こういうタイプだったくそう!!」

 

「イミなかったなー」

 

移動中自身の個性等について話していた。そんな中蛙吹が出久と話していた。

 

「私思った事を何でも言っちゃうの緑谷ちゃん」

 

「ん?なに梅雨ちゃん」

 

「あなたの個性私達の個性よりおかしくて異常よね」

 

「いきなりですね梅雨ちゃん」

 

「昨日の話を聞く限りあなたの個性に意思があるんでしょ?それにその個性の意思によって進化することが出来るのよね?常闇ちゃんの個性よりも異常だと私は思うわ」

 

「確かに強くなるのは聞いたことないよな」

 

「緑谷ちゃんのはかなりの強個性だわ。それにまだ隠し玉を持ってる気がするわね」

 

(ギクッ)

 

出久には心当たりがある。というか心当たりしかない。出久はまだ禁手化のことは話していないのだ。

 

「……まぁ、機会があったら見せるよ」

 

「あら、それは楽しみね」

 

(梅雨ちゃん突っ込んでくるなぁ……)

 

正直蛙吹にビクビクする出久である。

 

「もう着くぞ。いい加減にしとけよ」

 

『はい!!』

 

 

***

 

 

出久達が着いたその場所は、ありとあらゆる場面を再現した演習場であった。

 

「すっげーーーー!!USJかよ!?」

 

「水難事故、土砂災害、火事…etc…あらゆる事故や災害を想定し僕が作った演習場です。その名も、嘘の災害や事故ルーム(U S J)!!」

 

(((USJだった!!)))

 

「スペースヒーロー13号だ!災害救助で目覚しい活躍をしている紳士的ヒーロー!」

 

「私好きなの13号!」

 

そう言って麗日と出久のテンションが上がる中相澤はオールマイトがいないことに気付く。

 

「13号、オールマイトは?ここで待ち合わせるはずだが」

 

相澤の質問に13号は声を小さくする。

 

「先輩、それが……通勤時に制限ギリギリまで活動してしまったみたいで、仮眠室で寝てます」

 

「不合理の極みだなオイ」

 

そういった相澤の顔は呆れていた。

 

「仕方ない…始めるか」

 

「えー始める前にお小言を一つ二つ…三つ…四つ……」

 

(((増える……)))

 

「皆さんご存知だと思いますが、僕の個性はブラックホール。どんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます」

 

「その個性でどんな災害からも人を救いあげるんですよね!」

 

「えぇ……しかし簡単に殺せる力です。皆の中にもそういう個性がいるでしょう?超人社会は個性ので使用を資格制にし厳しく規制することで一見成り立ってるように見えます。しかし一歩間違えれば容易に人を殺せる行き過ぎた個性を個々が持っていることを忘れないでください。相澤さんの体力テストで自身の力が秘めている可能性を知り、オールマイトの対人戦でそれを人に向ける危うさを体験したかと思います。この授業では心機一転!人命の為に個性をどう活用するかを学んで行きましょう!君たちの力は人を傷付ける為にあるのではない!助けるためにあるのだと心得て帰ってくださいな」

 

(やっぱり13号は凄いな……)

 

『やはり自身の力の危険性を知っているからこのようなことを言える。相棒、お前も気を付けろよ』

 

(あぁ。この力は、13号の言った通り誰かの為に使うからな)

 

「以上、ご静聴ありがとうございました!」

 

「ブラボーブラーボー!!」

 

「ステキー!」

 

13号の演説は終わり、相澤が始めようとする。が、そこで出久と勝己は違和感を感じる。否、出久は察知する。

 

「相澤先生!」

 

「……!」

 

遅れながらも出久の呼びかけに相澤は気付く。噴水の前に黒い霧が発生していた。そしてその中から手をたくさん付けた男を筆頭に、次々と姿を表してきた。

 

「一塊になって動くな!!13号!生徒を守れ!!」

 

「なんだありゃ!?また入試ん時みたいなもう始まってんぞパターン?」

 

相澤はそこでゴーグルを付ける。出久はそれは戦闘準備だと気付く。

 

「動くな!あれは、敵だ!!!!」

 

ここに途方もない悪意が襲いかかって来る。



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USJ襲撃 中編

やっぱり遅くなった〜……(´;ω;`)
楽しみにしてくれてた方々、すみません!かなり遅れましたが中編です!


相澤の言葉により生徒達は状況を理解する。

 

「敵んん!?バカだろ!?ヒーローの学校に入り込んでくるなんてアホすぎるぞ!!」

 

上鳴電気が叫び、他の生徒達も動揺していく。

 

「先生、侵入者用センサーは!」

 

「もちろんありますが…!」

 

そんな中、冷静に考えているのが3人いた。

 

「これは計画をねって来たとしか思えねぇな」

 

「あぁ、現れたのがここだけが学校全体か…何にせよセンサーが反応しねぇなら向こうにそういうことが出来るヤツがいるってことだな」

 

「しかもここは校舎と離れた場所。そして建物の中。これだけで考えたくもないが、俺達のこの人数と時間。内通者がいるとしか思えないな」

 

「同感だ」

 

「あぁ。バカだがアホじゃねぇ」

 

『どうする、相棒』

 

(あれ(・・)が必要な時が来るかもしれないな…特にあの、脳が剥き出しのあいつの雰囲気はやばい。嫌な予感がする)

 

『あぁ。あの男だけは厄介だな』

 

出久とドライグが話し合っている中、相澤の指示が飛ばされる。

 

「13号避難開始!学校に電話試せ!センサーので対策も頭にある敵だ。電波系の個性が妨害している可能性もある。上鳴お前も個性で連絡を試せ!」

 

「っス!」

 

指示を飛ばした相澤は戦闘準備をする。それに気付いた出久は止めようとする。

 

「ちょっと待ってください!まさか相澤先生だけで戦うんですか!?」

 

「お前らはオールマイトから聞いてると思うが、俺の個性は個性を消せるものだ」

 

「けどあの数じゃいくら消せるとは言っても…!」

 

「一芸だけじゃ、ヒーローは務まらん」

 

その言葉に出久は相澤のプロの威圧を受ける。オールマイトとは違った威圧。それは出久達を守ろうとする威圧である。

 

「13号!任せたぞ」

 

そう言って相澤は敵達に向かって跳び出る。それを見てチャンスと思ったのか敵達が構える。

 

「射撃隊行くぞぉ!」

 

「情報じゃ13号とオールマイトだけじゃなかったか!?ありゃ誰だ!?」

 

「知らねぇよ!が、突っ込んでくるとは大間抜け!!」

 

攻撃をしようとする。が、敵達の個性は発動しなかった。

 

「あれ?出ね……」

 

その隙を相澤が見逃す訳がない。捕縛用の布笑使い目の前にいた3人の敵を捕縛し空中に浮かせてぶつけさせる。

 

「ばかやろう!!あいつは見ただけで個性を消すっつうイレイザーヘッドだ!!」

 

「消すぅ〜?へっへっへ、俺らみてぇな異形型のも消してくれるのかぁ?」

 

敵の忠告に体がゴツゴツしている敵が相澤の前に出る。しかしそれを見ても相澤は冷静に対処する。

 

「いや無理だ。発動系や変形系に限る。が」

 

ゴツゴツした敵を殴って捕縛して後ろの敵の攻撃を躱し、敵達が集まっている所に飛ばす。

 

「その辺は対策済みだ」

 

相澤は敵の攻撃をあしらいながら敵を倒していく。

 

「肉弾戦も強く、その上ゴーグルで目線を隠されては『だれを消しているのか』分からない…集団戦においてそのせいで連携が遅れるな……なるほど。嫌だなプロヒーロー…有象無象じゃ歯が立たない」

 

相澤を観察していた手を付けた敵がそう、呟いていた。

 

 

***

 

 

他のクラスメイトが避難する中、出久は相澤が敵をなぎ倒していく光景を見ては分析していた。

 

「なるほどな…相澤先生は多対一の戦闘が得意なのか。すげぇな」

 

「分析している場合じゃないぞ緑谷君!?早く避難を!」

 

「っと、そう…!」

 

後ろを振り返る時出久は黒いモヤを見る。あれは敵達が出てきたのと同じものであると見た同時に出久は気付く。

黒いモヤ初めまして人の形をとり、引率していた13号の前に立ちはだかる。

 

「させませんよ」

 

『Boost』

 

そこで出久は自身の全て(・・)を倍加させて相手を警戒する。

 

「初めまして、我々は敵連合。僭越ながら…この度ヒーローの巣窟、雄英高校に入らせて頂いたのは、平和の象徴オールマイトに息絶えて頂きたいと思ってのことでして」

 

(……は?)

 

「本来ならばここにオールマイトがいらっしゃるハズですが、何か変更あったのでしょうか?まぁ…それとは関係なく…!?」

 

黒いモヤの言葉は勝己と切島の爆破と硬化した拳の邪魔により遮られる。が、相手には通じていなかった。

 

「チッ……!」

 

「危ない危ない…そう…生徒といえど優秀な金の卵」

 

「ダメだ二人とも!どきなさい!」

 

13号の声はもう遅く、黒いモヤが生徒達を覆う。

 

「散らして嬲り殺す!」

 

「!?」

 

出久は黒いモヤから逃れようとするが一足遅く、覆われてしまい、気付いた時には水の上にいた。

 

「水難の場所か!?」

 

『相棒!水中にいるぞ!』

 

「クソっ……!」

 

水の中に落ち、水中の中にいる敵を探していると敵が自ら向かってくる。

 

「おめーに恨みはないけぼガっ!?」

 

(邪魔だ!!)

 

出久は一気に敵の懐に泳ぎフルカウル15%で殴る。次に周りを見ると峰田を抱えた蛙吹が向かってきてた。互いにアイコンタクトをとり、船に乗り上げる。ちなみに峰田は蛙吹の舌で船に投げ捨てられた。

 

「はぁ…はぁ…」

 

「大変なことになったわね……」

 

「あぁ。ここのカリキュラムは割れていた。それに先日のマスコミが侵入してきたのはアイツら仕組んだ事のようだ。じゃなきゃこの時間、ここの場所に来れはしない。轟が言ってたように虎視眈々と準備を進めてきたんだ」

 

いつの間にか復活していた峰田が声を上げる。

 

「でもでもよ!オールマイトを殺すなんて出来っこねぇさ!オールマイトが来たらあんな奴らケッチョンチョンだぜ!」

 

峰田の言葉に蛙吹は待ったをかける。

 

「峰田ちゃん…殺せる算段が整っているから連中こんな無茶してるんじゃないの?」

 

蛙吹の言葉に峰田は絶句する。無理もないだろ。高校生に成り立てだ。そうなるのは必然である。

 

「俺もそう思う。いやそうとしか言えない。あの黒いむき出しの脳を持った奴が一番厄介だ」

 

「!!」

 

「奴らにオールマイトを倒す術があるなら、俺らが今、すべきことは」

 

出久は周りを見渡し、この場所にいる敵、それぞれの場所に敵の場所を倍加させた目で見る。

 

「戦って勝つことだ!!」

 

『禁手化』

 

出久は瞬時に禁手化をするが、それはオールマイトに初めて見せた鎧とは違う。それは亜種の禁手化。頭部はドライグに体があった時の頭と似て後ろに尖っており、胴体はヒーロースーツに合わせた軽装となり、脚には小さいブースターが付いている。そして背中には、ドライグの翼があった。峰田と蛙吹はその存在感にオールマイトの後ろ姿が思い浮かぶ。出久は2人に振り返り、不敵な笑みを浮かべて宣言する。

 

「ここからは、反撃ののろしだ」



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USJ襲撃 後編

「ここからは、反撃ののろしだ」

 

『BBBBBBBBBBBBoost!!』

 

『Transfer!!』

 

その場にいた峰田と蛙吹、そして他のゾーンに飛ばされたクラスメイト達や相澤と13号に出久から飛ばされた光に当たると個性の力が一気に上昇し、不思議と恐怖を感じることはない。むしろ安心と自信が湧き上がってくる。だがこの場にいた峰田はまだ不安を覚えていた。

 

「な、なんだこれ!?てか待てよ!何がのろしだよ!オールマイトブッ倒せるかもしれねー奴がいるんだろ!?」

 

「あぁ。けどそれは俺の『切り札』なら阻止出来るんだ。時間制限があるけどな」

 

出久が言う『切り札』は覇龍のことである。それならばOFAを100%使用出来る。いや、『それ以上の力』が使用出来る。

 

「緑谷ちゃん、それは本当なの?」

 

「あぁ」

 

蛙吹の疑問に、自信のある顔で頷く。そして出久は2人にここを脱出する作戦を伝える。

 

「まずはここの脱出だ。昨日の反省会で皆の個性を聞かせてもらったから伝える」

 

出久の言葉を不安に思いながらも2人は答える。

 

「分かったわ」

 

「お、おう!」

 

***

 

 

水面に顔を出していた敵達は中々出てこないことにイラつき船に攻撃を仕掛けようとする。その時峰田がやけくそ気味に頭のもぎもぎを投げ付ける。

 

「うわあああぁぁぁぁ!!!!!!」

 

「ケッ、やっぱガキだな」

 

それに最初は驚きはしたもののやけくそと判断した敵達はもぎもぎに触れないように行動をとる。それを見た出久はすぐに合図をする。

 

「梅雨ちゃん!今だ!!」

 

「分かったわ!」

 

「うわああああああああぁぁぁ!!??」

 

「は……?」

 

敵達は蛙吹達の行動に呆気をとる。それは何故か。蛙吹と峰田が空中に飛んで行ったからである。さっきの出久の譲渡でさらに跳躍力が上がった為かなりの高度まで飛べていた。そしてその隙を出久は見逃さなかった。

 

「特大のものだ!!イッケェェエエエ!!」

 

『DRAGONSHOT!!』

 

出久は特大のドラゴンショットを水面に撃ち放つ。そして水中で爆発し、水は中心に戻ろうとする。それで必然的に水中にいた敵達は巻き込まれていく。そして峰田は飛んでいる途中でももぎもぎを投げ続けていた。そして峰田が投げたもぎもぎに身動きが取れなくなり一塊になる。すぐに翼を羽ばたかせて飛び、蛙吹達を回収する出久。

 

「二人とも凄いわ。とりあえず第一関門突破ね」

 

 

***

 

 

一方、勝己が飛ばされた場所では文字通り一方的な蹂躙が行われていた。

 

「これで終わりだ!」

 

「ぎゃああああ!!」

 

勝己は最後の敵を調整された爆破で気絶させる。一緒に切島もいたが二、三人を相手しているうちに勝己が他の敵全員を無力化していた。

 

「っし…って早っ!?爆豪お前早すぎだろ!?」

 

「こんなの簡単だわボケ。さっさと次行くぞ。他の奴らが心配だがデクが何とかしたはずだ。それに俺達だけで対処出来るなら他の奴らも出来るからあまり気にしても意味はねぇ」

 

そんな勝己の説明に感心する切島である。

 

「ほぉー…やっぱおめぇすげぇな。それに緑谷のことすっげー信頼してんだな」

 

「ハッ!昔から努力をし続けたアイツがこれくらいで心配する程やわじゃねぇんだよ。さっさと次行くぞ!」

 

「おう!」

 

そう言って二人は元いた建物から出ていき、倒壊ゾーンにいる敵達を主に勝己が無力化しながら進んでいく。後に切島は出久や勝己に特訓をつけてもらうよう頼むこととなる。

2人は気付いていなかったが勝己には両肩、切島には右胸には龍を象った紋章がいつの間にか刻まれており、紋章は紅く輝いていた。

 

 

***

 

 

出久達三人は岸に近付き次の行動をどうするか考えていた。しかし出久は嫌な予感を感じ相澤の後ろに飛び出していた。それと同時に出久は数メートル殴り飛ばされる。

 

「緑谷!?」

 

「チッ……防いだのかよあいつ…チート野郎……」

 

(危なかった!嫌な予感がして一回の倍加で相澤先生の後ろにいた黒い奴の攻撃を防げたのは幸運だった!)

 

「緑谷!今すぐ逃げろ!!」

 

「ダメです!こいつの力自体がオールマイトと似ています!」

 

「なに!?」

 

それを言われた手を沢山付けてる敵がニヤリと笑う。

 

「へぇ……よく分かったな。こいつは対オールマイト用に作られた改造人間、『脳無』だ」

 

(やっぱりこれか!オールマイトと同じ力なのはかなり厄介だ……マジで使うしかないか!?)

 

「お前は早めに片付けた方が良さそうだ…やれ脳無」

 

「クッ!?」

 

敵の指示により出久に攻撃を開始する脳無。パンチはやキック、普通の攻撃であるがオールマイトと同じパワーであるため威力が恐ろしいことになっている。しかし出久は公園でオールマイトに特訓をつけてもらってた為何とか反応出来ているが防戦一方である。

 

「70%!『DRAGONSMASH』!!」

 

一瞬の隙をつき、禁手化の中で最高のパワーでスマッシュが決まる。がしかし、脳無はピクリともしていなかった。

 

「は……?グッ!!」

 

「残念だったな…そいつはショック吸収っていう個性持ってるんだよ」

 

殴り飛ばされながら敵の言葉を聞くが出久は嫌な予感を感じる。

 

「それと更には超再生っていう個性を持ってるからどんなにやっても無駄だよ」

 

「チッ…!」

 

出久は敵の言葉に舌打ちをしながらもOFAの出力を上げる。骨が軋む音を身体の中から感じるが、それを無視して脳無の攻撃を何とか相殺する。

 

「85%!『DRAGON LEG SMASH』!!」

 

ありったけの力を込めて脳無を蹴り飛ばす。距離が離れたのを確認し目を閉じ、神器の内部に意識を呼びかける。その瞬間、周りの空気が変わった。

 

「なんだ…?」

 

敵の疑問はすぐに晴れる。出久から恐ろしく感じるようなオーラが溢れ出す。そして出久の口が開く。

 

「我、目覚めるは」

 

『始まったよ』『始まってしまうね』

 

「覇の理を神より奪いし二天龍なり」

 

『いつだってそうでした』『そうじゃな、いつだってそうじゃった』

 

「無限を嗤い、夢幻を憂う」

 

『世界が求めるなら…』『世界が否定するなら…』

 

その姿は龍のそれと同じく、禍々しいものとなる。

 

「我、赤き龍の覇王と成りて」

 

『いつだって力でした』『いつだって愛だった』

 

『何度でもお前達は滅びを選択するんだな』

 

「汝を紅蓮の煉獄に沈めよう」

 

覇龍(ジャガーノート・ドライブ)!!!!』

 

溢れ出ていたオーラは鎮まるが地面には亀裂が走り、周りにいる者達は恐れていた。そんな中相澤はおそるおそる出久に聞く。

 

「緑谷…なのか?」

 

「はい。どうしたんですか?」

 

普通に答えた出久に周りが呆気をとる。無理もない。先程まで本当に死ぬかもしれないと感じていたからだ。

 

「お前、それは一体なんなんだ」

 

「奥の手ですね。時間制限付きで超えると寿命が縮みますが」

 

「……は?」

 

出久の言葉に固まる相澤。普通に答えられてさらにはデメリットの酷さを言われたらこうなるのも分かる。

 

「チィッ!!イライラする!!やれ脳無!!」

 

敵は苛つき、脳無に指示をする。その時敵の横を脳無が横切り、後ろの壁まで吹っ飛び、埋まった。

 

「フルカウル、『150』%」

 

出久は拳を突き出してそう呟いていた。拳からは殴ったせいか煙が出ている。

 

「は…?オイオイ!?なんなんだアイツはよ!!」

 

「死柄木弔、無事ですか!?」

 

そこにワープの個性を持った黒いモヤの敵が戻ってきた。

 

「最悪だ!!オールマイトは来ないし生徒に邪魔されるししまいには対オールマイト用の脳無をやられるしよぉ!!!!」

 

「なんですって!?」

 

「全ての計画がパァだ!!『あいつ』こんなチート野郎がいるってこと知らされてなかったぞ!!」

 

「『あいつ』……?」

 

「仕方ありません…撤退しましょう」

 

「チッ!!おいてめぇ!!てめぇはオールマイト殺した後絶対殺してやる!!」

 

敵達はその捨て台詞を言い残し、脳無を回収せず個性を使って撤退していった。それを見た出久は覇龍を解除し膝をつく。たった少しの時間でさえかなりの体力を消耗してまった出久だがなんとか立ち上がる。それを見た相澤はさっきの出久が言ったデメリットが本当なんだと理解する。

 

「緑谷、お前…」

 

「俺は大丈夫です…!それよりも他の敵達を!」

 

「…後で説教だ緑谷!」

そうして相澤と緑谷達は他の敵達を捕まえに行く。途中爆豪や飯田の知らせを受けて走ってきたオールマイトも合流し早くも敵達は捕まえることが出来た。しかしこれは、理由なき悪意との戦いはほんの序の口なのであった。



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