ポケットモンスター XY 新たな物語 (水被り)
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一話

ども、水被りです。

これを見てくれる方にはもう一つの作品の方も見ているかもしれません。

これから続いていきますのでよろしくお願いします。


 

 

ポケットモンスター、縮めてポケモン。

 

この星の不思議な不思議な生き物、海に、山に、町に、空に、その種類は、今までに発見されているもので700を越えている。

 

そして、ここカロス地方に母の車に乗せてもらっている男の子がいる。彼の名前はアルス、今年で10歳になりポケモントレーナーになろうとしていた。

 

ポケモントレーナーになろうとしたきっかけは1年前の事件、カロス地方で暗躍していた組織、フレア団が伝説のポケモン イベルタルを利用した破壊兵器を使ってポケモンや人間を皆殺しにしようとした事件が起きようとしていた。

 

だが、その野望は一人のポケモントレーナーによって阻止された。

 

そのフレア団からカロス地方を救った人こそ、現チャンピオンのカルムであった。アルスはカルムの勇姿を見てトレーナーになろうと決意した。

 

目的地のミアレシティポケモン研究所に着き、アルスは車から降りた。

アルスの他に車の中からもう一人、女の子が出てきた。

彼女の名前はウラン、アルスの幼馴染で、アルスと同じくポケモントレーナーになるため、アルスの母に送らせてもらった。

 

「やっと、ポケモントレーナーになれるんだね......。選ぶポケモンは決まってるの?」

 

「うん、とにかく入ろう」

 

そう言うと二人は研究所の中に入った。

入ったもののどこに行けばいいのか迷っていると声を掛けられた。

 

「やぁ、君たちが新しくトレーナーになる子か、ようこそ研究所へ」

 

「あなたがプラターヌ博士なんですか?」

 

「そうさ、僕がプラターヌだ。早速(さっそく)だけど、今からポケモンを選んでもらう」

 

プラターヌの後ろから助手と思わせる人が三つのモンスターボールを運んで来た。プラターヌが三つのボールを投げると3匹のポケモンが出てきた。

 

「ハリマロン、フォッコ、ケロマツ、この3匹のどれかを選びなさい」

 

アルスは選ぶポケモンは決まっていた。カラムの相棒、ゲッコウガの進化前のケロマツを選んだ。ウランは一瞬迷ったがフォッコを選んだ。

 

「ケロマツとフォッコか、うん、いいポケモンを選んだね。せっかくだから名前もつけてみたらどうだ」

 

「はい」

 

アルスとウランは自分のポケモンにどんな名前をつけようか考えた。

 

「よし、お前の名前はケロスケだ」

 

「ケロッ!」

 

「決めた、名前はフォコリンにする!」

 

「フォッコッ!」

 

ケロスケとフォコリンは名前をすごく気に入ったのか嬉しそうに鳴いた。

 

「君たちはこれから、カロス地方を巡り、様々なポケモンを見る。ジムに挑戦するのも、トライポカロンに出るのも、君たちの自由だ」

 

「「はい!」」

 

「まず最初にジムに行くのなら、ここから近いハクダンシティに向かうといいよ。ミアレのジムは今、内装工事でやっていないからね」

 

「ありがとうございます!」

 

プラターヌにお礼を言った二人はハクダンシティに向かって行った。その後ろ姿が見えなくなるまでプラターヌは動かずに眺めていた。

そろそろ研究所に戻ろうとすると、バイクに乗ったジュンサーがやってきました。

 

「プラターヌ博士」

 

「ジュンサーさん、どうしたんですかここに来るなんて」

 

「実はここ最近、ポケモントレーナーが行方不明になる事件が続出しまして、新人トレーナーの規制をしてもらい来ました」

 

「行方不明!?」

 

「その行方不明者数は300人を超えるとの情報が入って来まして、その中には新人トレーナーがいるみたいでして」

 

「今さっき、ポケモンを渡したトレーナーがハクダンシティに向かっているんだ」

 

「わかりました。ではハクダンシティにいる姉に要請してもらいます」

 

「こっちも新人トレーナーの規制をするから、ハクダンシティの子を頼みます」

 

 

 

○●○●○●○●○●

 

 

 

ミアレシティとは別の場所で男が玉座(ぎょくざ)に座っていた。

その男の前に灰色の服を着た男がやってきた。

 

「ボス、ご報告します」

 

「なんだ」

 

「はい、補充をしていた(こま)を確認したのですが二体ほど見当たりませんでした。おそらく誰かが勝手に持ち出したと思われます」

 

「そうか、すぐに探せ」

 

「ボス、大変です!」

 

話の間に割り込んできたのは白銀の髪をした女性だった。急いできたのか息を切らしていた。

 

「どうした、ツララ」

 

(あね)さんがどこかに行ってしまいました!」

 

「なんだと!まさかクレアの奴が(こま)を持ち出したのか」

 

ツララの言葉に灰色の男は驚愕し、それを聞いた玉座(ぎょくざ)の男は肘掛をミシミシと鳴らすほど握りしめ、小さくため息をして冷静を(たも)った。

 

「他の奴らに連絡し、すぐにクレアを連れ戻せ、今はまだ我々の存在を知られるわけにはいかない」

 

「はっ」

 

「わかりました」

 

灰色の男と白銀の女はボスの命令に従い、クレアという女を探しに行った。

 

彼らはユートピア団、世界を揺るがす大事件を引き起こす悪の組織の名である。

 

○●○●○●○●○●

 

 

 

「ケロスケ、あわだ!」

 

「ケロッ!」

 

ハクダンシティに向かう途中でアルスはポッポと戦っていた。ハクダンのジムリーダーは虫ポケモンで戦うことを得意と聞いていたアルスはひこうタイプのポケモンを探して見つけたポッポを捕まえようとしていた。ケロスケのあわで弱ってきたところでモンスターボールを投げた。

 

ボールは見事に命中し、ボールはポッポを吸い込むように入れユラユラと揺れた。ポーンとポケモンが捕まえられた音が鳴り、ボールを手に取った。

 

「よっしゃ!ポッポ、ゲットしたぜ!」

 

「ケロケロッ!」

 

アルスはケロスケを()いて一緒に喜びを分かち合っていた。

 

「もうちょっとしたらハクダンシティに着くけど、ジム戦の前にハクダンの森に行こうよ」

 

「ん、どうしてだ?」

 

「ハクダンの森にゲットしたいポケモンがいるからどうしても」

 

ウランの捕まえたいポケモンはピカチュウ、ピカチュウはハクダンの森によくいると言われているから今を逃せられないのです。

 

「いいよ別に、ジム戦の前に他のトレーナーとバトルしてみたいし」

 

「じゃあ善は急げ、だね」

 

二人はまだ知らなかった。この先に起こる大事件に関わっていくことに

 

 

 

 

 

 



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二話

「フォコリン、ひのこよ!」

 

ここはハクダンの森、緑に囲まれている中でウランはピカチュウと戦っていた。ピカチュウはとても素早く、フォコリンのひのこを避けていき、でんこうせっかでフォコリンを攻撃した。

 

「フォコリン大丈夫!?」

 

「フォ......コウっ!」

 

フォコリンは大きく鳴いたが、急所に当たったのか足が少し震えていた。ピカチュウは次にでんきショックをくりだしてきた。

 

「フォコリン避けて!」

 

フォコリンはなんとかでんきショックを避け、ピカチュウに近づくことができた。

 

「フォコリン、ひっかく!」

 

フォコリンの攻撃がピカチュウに当たり、その衝撃で低く飛んだ。

 

「モンスターボール、えい!」

 

ピカチュウが着地する瞬間を狙ってボールを投げ、ピカチュウがモンスターボールに入った。ゆらゆらとボールが揺れた後にピカチュウを捕まえることができた。

 

「ピカチュウ、ゲットー!」

 

ウランは初めてのポケモンバトルで捕まえたピカチュウをボールから出した。

ウランはピカチュウにピカリンと名付け、ピカリンの頭を優しく撫でた。それが気持ちいいのかピカリンは目を細めて可愛い声で鳴いた。

アルスはウランのやりたいことが済み、トレーナーを探そうとした。

 

するとどこからか草を踏む音が聞こえ、突然二人のトレーナーがアルスの前に現れた。

見た目は短パンを履いたたんぱんこぞうと普通の緑髪の男の子だが、何か違和感があった。顔を1ミリも変えず、目も何を見ているのかさっぱりわからない、そんな奇妙な二人は何も言わずにボールからポケモンを出した。これはポケモンバトルをしたいのかとアルスはケロスケを出してそのバトルを受けた。ウランもアルスと違和感(いわかん)を感じたのかピカリンを前に出し、バトルに(いど)んだ。

 

相手のポケモンはたんぱんこぞうのジグザグマと緑髪の男の子のクヌギダマ、そのポケモンもトレーナーと同じ目をしていてアルスは少し怖く感じた。

 

先制にとジグザグマが(たい)()たりをケロスケに繰り出し、ケロスケは(たい)()たりを受け、木にぶつかった。あのジグザグマはトレーナーの命令を聞かずに体当たりを仕掛けた。トレーナーもそれに気にする様子もなく黙ったままバトルを続けた。

 

「ケロスケ、ジグザグマにあわだ!」

 

「ピカリン、ジグザグマに電気ショック!」

 

ケロスケのあわとピカリンの電気ショックがジグザグマに当たるが、ケロスケにずつきを繰り出した。クヌギダマもピカリンに(たい)()たりを仕掛けてきた。

 

「ケロスケ、避けてはたくんだ!」

 

「ピカリン、でんこうせっかでむかえうって!」

 

ケロスケはジグザグマの上を飛んではたき倒し、ピカリンはクヌギダマとぶつかり合うがピカリンの方が力が強いためか弾き飛ばした。

 

「クヌギダマにとどめの電気ショック!」

 

クヌギダマに電気ショックが命中すると、クヌギダマは目を回して動かなくなった。これで勝利したと思ったら奇妙な二人が急に倒れた。

 

「おい、大丈夫か!?」

 

アルスとウランはその二人に近づいて声をかけたり体を揺すったりしたが、目を覚まさなかった。心配しているとまたどこからか草を踏むを音がしてきた。音のする方を見ると、白いドレスみたいな服を着て、水色の髪の女性がいた。

それと同時に寒気と倒れた男の子とは違う不気味さを感じた。

 

「こいつら使えねえな、まあ弱い()を選んじまったから仕方ねえか」

 

女性は弱いと言って倒れた男の子を睨み、ボールからユキカブリを出した。

 

「おいお前ら、こいつらを回収するからどっか行け」

 

「回収?」

 

「そう、無駄に駒を減らすわけにはいかないからな。リサイクルするんだよ」

 

それを聞いてアルスは怒り、女性に向かって言った。

 

「アンタ、一体何ですか!」

 

「アタシはクレア。それ以上は言わねえ」

 

「何だと!」

 

「やるぞユキカブリ」

 

クレアはバトルを仕掛けようとし、アルスとケロスケは身構えた。タイプの相性ではユキカブリが有利、バトルで勝てるかどうか不安。だがもし負ければ男の子がどうなるかわからない。バトルが始まるかと思った時、急にクレアはユキカブリをボールに戻していった。

 

「邪魔が入るみてえだな」

 

そう言うとクレアは森のどこかに消えていった。すると茂みの中からジュンサーさんが現れた。クレアが言う邪魔とはこの人だったのだろう。

 

「貴方達ね、ミアレシティの妹が言っていた新人トレーナー」

 

「ジュンサーさん、この人を運んでくれませんか目を覚まさないんです」

 

「この二人......、わかったこの子を連れて行くから貴方達はその子をお願い」

 

「「はい!」」

 

ジュンサーさんはたんぱんこぞうを、アルスとウランは緑の髪の子を運び、ハクダンシティに向かった。

 

 

 

◯●◯●◯●◯●◯●

 

 

 

クレアが森の中を歩いていると声が辺りに響いてきた。

 

「やっと見つけましたよクレア様、早く戻りますよ」

 

「わかってるって」

 

奥の手(・・・)、使ってませんよね?」

 

「使ってねえよ、あいつに言っといて欲しいことがあるの」

 

「ギーラ様にですか?」

 

 

 

 

「ぶっ殺しがいのある二人に見つかったって」

 

 

 

 

 




遅くなってすいません
色々と忙しくて書けませんでした。
とにかく頑張っていきます。


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三話

最近は学校での課題が多く大変でした。
何とか書いてみたので見たいってください。


クレアが去った後、アルス達はジュンサーに事情聴取(じじょうちょうしゅ)された。

 

「行方不明者、あの人たちがですか?」

 

「ええ、服装と名前から行方不明者の二人とわかったわ、二人の話だと(むらさき)(かみ)でメガネをかけた女性に声を掛けられたところから記憶がないの」

 

「記憶が、ですか」

 

「おそらく催眠術で操られていたと思うわ、あなた達があったクレアって女性もなんらか関わってることは確かだわ」

 

自分たちはとんでもないことに巻き込まれてと感じたアルスたち、クレアはトレーナーを操って何をするのだろうか?

 

「あと、プラターヌ博士が外であなた達を待っているわ、何か話をするみたいだけど」

 

アルス達はジュンサーの案内で外へ出るとプラターヌがベンチに座って待っていた。アルスを見ると立ち上がって近づいてきた。

 

「君たち、怪我(けが)とかなかったかい」

 

「はい、プラターヌ博士はどうしてここに?」

 

アルスたちがいるのはハクダンシティの警察署前、ミアレシティからは近いが何故(なぜ)ここにいるのだろうか?

 

「本当にすまない、トレーナーが行方不明になることを知らなくて君たちを危険な目に会わせてしまって」

 

「い、いいですって、大丈夫でした頭を上げてください」

 

プラターヌは深く頭を下げて(あやま)り、いきなりのことで二人は驚いた。ウランがここに来た理由を聞いてきた。

 

「もしかして、私たちの旅を止めに来たのですか?」

 

どういう組織(そしき)かはわからないが二人はそれに巻き込まれてしまった。

今度は自分(じぶん)たちが危ない目に会うかもしれない、旅ができなくなるのも無理はなかった。

 

「いや、ポケモントレーナーの旅を止めることは僕にはできない。だからせめて......」

 

プラターヌは持っていたカバンから3つのモンスターボールを取り出し投げた。中から出てきたのはヒトカゲ、ゼニガメ、フシギダネだった。

 

「この中から好きなポケモンを一体連れてってはくれないか、その方が心強いからね」

 

プラターヌは旅を引き止めずに新たなポケモンを渡してアルスとウランの旅に協力しようとした。

 

「「ありがとうございます!」」

 

二人はお礼を言うと悩んだ末にアルスはヒトカゲを選び、ヒートと名付け、ウランはフシギダネを選び、フシリンと名付けた。残ったゼニガメはしょんぼりと落ち込んでいった。

 

「そこの(きみ)もポケモンを持っていくといいよ」

 

誰のことを指しているのかアルスはプラターヌ博士の視線の先を見ると行方不明者の一人だったクヌギダマを持っていた少年だった。

 

「君はサボテ(くん)だよね、あの時はポケモンを受け取るのを断っていたけど今回は受け取ってくれるよね?」

 

「はい、今回のことでポケモンを受け取ればよかったと思いました」

 

サボテはプラターヌ博士の(すす)めで最後に残ったゼニガメを選んだ。ゼニガメはパァーと笑顔になった。

 

「よし、君たちの無事を願っている。それじゃあ」

 

プラターヌ博士は別れを言うとミアレシティに続く道へ進んでいった。

 

「ハクダンジムに行くぞ、ウラン!」

 

「ちょっと待ってよ」

 

新しいポケモンを手に入れたアルスはすぐに戦いたいとウランを引き連れてハクダンジムへと向かった。

アルスがハクダンジムに着くと最初(さいしょ)に目についたのは(とびら)に張られた一枚の(かみ)だった。

 

『ハクダンの森にて不審者が現れたため調査に向かっています。ジム戦に来た人は3日後に来てください。dyビオラ』

 

アルスは余程(よほど)バトルがしたかったのか、紙を見つめたまま動かなくなった。書かれていた不審者とはおそらくクレアのことを()しているだろう。

 

「あの、すいません......」

 

 

後ろからついてきたサボテがアルスに声を掛けてきたが、何を言うのかおどおどとして中々(なかなか)話が進まなかった。やっと決心したのかアルスに話しかけた。

 

「僕とポケモン勝負してくれませんか、ジム戦前に特訓でもしないと大変ですから......」

 

「ああ、いいぞ、近くにバトルする場所があるからそこに行くか」

 

アルスとウラン、そしてサボテはバトル場にやってきてバトルの準備を始めた。

ルールは一対一(いったいいち)のシングルバトル、アルスの出すポケモンは新しいポケモン、ヒトカゲのヒート、あとはサボテが出すポケモンによって勝敗が分かれてくる。

 

「それでは、アルス君とサボテ君の一対一バトル、始め!」

 

審判役(しんぱんやく)のウランの言葉でバトルが始まった。アルスはヒートを出し、出てきたヒートは元気よく飛び跳ねていた。対するサボテはクヌギダマを出してきた。

タイプの相性ではヒートが有利、この勝負勝ったと確信したアルスは素早く攻撃(こうげき)を指示した。

 

「ヒート、ひのこ!」

 

ヒートのひのこがクヌギダマに命中すると思ったアルスをよそに、今まで何もないのに目が泳いでいたサボテの表情が変わった。

 

「クヌギダマ、こうそくスピンでひのこを受け流せ!」

 

クヌギダマはサボテの指示に(したが)い、文字通りひのこを受け流した。そのことにアルスは心底(しんそこ)(おどろ)いた。サボテのテンションが変わったこともあるが一番は攻撃(わざ)を使って防いだことだった。

 

「攻撃は最大(さいだい)防御(ぼうぎょ)、この程度(ていど)で驚いててはジムに挑戦しても負けるかもしれませんよ。さぁ、もっときてください!」

 

「ヒート、ひっかく!」

 

「クヌギダマ、こうそくスピン」

 

ヒートのひっかく攻撃が当たる手前でこうそくスピンで(はじ)き飛ばされ当たることはなかった。

 

「そうだヒート、えんまくだ!」

 

アルスは(いち)(ばち)かのえんまくを出し、クヌギダマの視界を(さえぎ)った。これをチャンスだと思ったアルスはヒートに指示した。

 

「クヌギダマを見つけたらひのこで()めろ!」

 

「クヌギダマ、がまんだ!」

 

ヒートはえんまくの(なか)(はい)るとえんまくからヒートのひのこが辺りに飛び散っていった。えんまくが消えるとクヌギダマはボロボロになりながらも立っていた。

 

「今だヒート、とどめのひのこ!」

 

「がまんを(はな)て!!」

 

アルスはがまんがどういうものか知らずに好機と思い攻撃を仕掛け、クヌギダマは白い光線を放った。白い光線はひのこを吹き飛ばしヒートに直撃した。ヒートはゴロゴロと(ころ)がって壁にぶつかって止まった。

 

「ヒート戦闘不能、よって勝者サボテ君」

 

ウランはヒートの状態を確認すると勝敗を決めた。アルスが負けたことを(くや)しがってるとサボテが話しかけてきた。

 

「あなたに助けてもらったことは感謝しますが今のままだとこの先に進めません。新しいチャンピオンが現れてからトレーナーは強くなっています。ですので、しばらくの間あなたの実力を上げるために特訓(とっくん)をしましょう」

 

話していくうちにサボテのテンションがバトルする前に戻っていった。

 

「サボテ君は戦い慣れてるけど初心者じゃないの?」

 

「ポケモントレーナーになったばかりだけど、父さんからポケモンバトルについて(おし)えてもらってたから......。とにかく、ポケモンバトルに慣れるためにもバトルを続けましょう。次はフシギダネを()します」

 

「じゃあ俺はポッポのポルルを出すぞ、次は勝つからな」

 

二人は空が暗くなるまでバトルを続け、ジム戦の対策を()っていくのであった。

 

 

 

 




サブタイトルの3話を三話に修正しました。


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四話

ジム戦への特訓を始めて3日が経ちジムリーダーが帰ってきていよいよジムに挑戦できるようになった。

 

「しばらくの間休んでてごめんね、私がハクダンジムのジムリーダービオラよ」

 

「ヒヨウシティのアルスです、ジム戦よろしくお願いします!」

 

ビオラに挨拶をし、アルスと見学のサボテとウランはビオラの案内について行った。

進んでいくと廊下が続いており、壁には虫ポケモンの写真がかけられていた。どれも背景やポケモンも綺麗に写っていた。

 

廊下を抜けていくと天井はガラス張りで木々と観客席に囲まれたバトルフィールドが見えた。ウランとサボテは観客席に向かっていきアルスはビオラに向かい合わせ、バトルの体勢についた。

 

「これより、チャレンジャーアルスとジムリーダービオラの2対2のバトルを開始します。どちらかが先に全てのポケモンが倒した方を勝者とします。使用ポケモンの交換はチャレンジャーのみ認められます」

 

「いい作品が撮れるようなバトルをしましょう、行くわよアメタマ!」

 

審判の宣言が終わるとビオラは自分のアメタマを出してきた。

 

「いけポルル!」

 

アルスが出したのはポッポのポポ、タイプの相性で言えばポポの方が有利、しかしそれはジムリーダーも分かっている。その為の対策があるから注意して戦えとサボテの言っていたことを思い出し、攻撃を仕掛けた。

 

「ポルル、でんこうせっか!」

 

「アメタマ、避けるのよ!」

 

ポルルがでんこうせっかで攻撃しようとするもアメタマは地面をスイスイと滑って避けていった。スピードではでんこうせっかが上回っているがアメタマは来る場所を先読んでいるのか簡単に避けていった。

 

「ポルル、もう一度でんこうせっか」

 

「アメタマ、こっちもでんこうせっか」

 

アメタマはポポのでんこうせっかに対して同じでんこうせっかで迎え撃ってきた。そのまま押し合いをしているとアメタマのでんこうせっかがポポを押し勝って飛ばしていった。そこから連続ででんこうせっかで何度もぶつかって体力を減らしていった。

 

「ポポ、上に逃げろ!」

 

「アメタマ、れいとうビーム!」

 

アメタマの触覚かられいとうビームが放たれてポポに当たろうとした。ポポは当たるギリギリで避け、れいとうビームは天井に当たって氷で覆われていった。これがひこうタイプ対策の技だとわかり、アルスはより気を引き締めて次の指示を出した。

 

「ポポ、かぜおこしからのでんこうせっかだ!」

 

かぜおこしをするとアメタマが風で宙に浮き、それを狙ってポポはでんこうせっかで攻撃した。でんこうせっかは見事に命中して地面に滑りながらも耐えた。

 

「さぁここから一気に行くよ!アメタマ、フィールド全体にれいとうビーム」

 

アメタマは(くう)にれいとうビームを放ってビームが全体に分かれた。ポポはれいとうビームに当たらぬよう避けていくとビームが止んで飛行体勢を整えた。

フィールド全体は薄い氷で覆い尽くされて輝いていた。これは陸上に立つポケモンの対策の方法、陸上ポケモンの動きを鈍らせるための方法だろうとアルスは考えた。

 

「アメタマ、ねばねばネットよ」

 

次にアメタマは白いネットを放ってきた。ポポがそれを避けると天井に貼り付いて取れなくなった。そのネットを連続で出してきてポポはそれを避けていく、天井にはねばねばネットがいっぱい貼り付いていて、天井に近づいたら動けなくなるだろう。

 

だがアルスはそれを逆手にとろうと考えていた。

 

「ポポ、一旦高く飛ぶんだ!」

 

ポポはその指示に従って高いところで止まった。ここからは相手が先に攻撃をしてくるのを待っていた。

 

「アメタマ、ねばねばネット!」

 

「今だ!全力でねばねばネットにかぜおこし!」

 

アメタマのねばねばネットを目一杯のかぜおこしで勢いを殺していき、ネットがアメタマに向かってきた。ビオラは急いでアメタマに避けるようにと指示した。

 

「少し低く飛んでネットにかぜおこし!」

 

ポポは降下したところからかぜおこしを起こしてねばねばネットの方向を変えてネットがアメタマの足に引っ付いた。アメタマはネットから離れようとしている間にアルスはポポを戻して、二体目のポケモンのヒトカゲのヒートを出した。

 

「ヒート、りゅうのいかり!」

 

「アメタマ、シグナルビームで押し返して!」

 

ヒートのりゅうのいかりは青黒く燃えてアメタマのシグナルビームとぶつかり爆発が起きた。しかし爆発の煙の中からりゅうのいかりが出てきてアメタマに直撃した。アメタマは目を回して倒れていた。

 

「アメタマ戦闘不能」

 

ビオラはアメタマを戻して笑って言った。

 

「やるじゃない、でも次はそうはいかないよ。出てきてビビヨン」

 

ビオラの次のポケモンはビビヨン、そのポケモンは色鮮やかで綺麗な姿をしていた。そんな姿にアルスは少し見惚(みと)れるがバトルに集中し直してバトルを始めた。

 

「ヒート、ひのこを出すんだ!」

 

「ビビヨン、ひのこにかぜおこし」

 

ビオラのビビヨンはヒートのひのこをかぜおこしで対抗して()()りに吹き飛ばした。その威力はポポよりも強力だとアルスは見ただけでわかった。

 

「ヒート、りゅうのいかりだ!」

 

「ビビヨン、避けて」

 

ヒートがりゅうのいかりを放つもビビヨンが華麗に避けて当たることはなかった。それでもアルスはヒートにりゅうのいかりを続けるように指示するが落ちる木の葉のように攻撃が当たらなかった。

 

「ビビヨン、かぜおこし!」

 

ビビヨンのかぜおこしを受けたヒートは耐えようとしたが、凍った地面でうまく踏ん張れず吹き飛ばされてしまった。

 

「ビビヨン、サイコキネシス!」

 

その後にヒートがサイコキネシスにかかってしまい、ヒートは天井に叩きつけられてしまった。叩きつけられたところにはアメタマの時についたねばねばネットがあり、ヒートは身動きが取れずにいた。

 

「シャッターチャンスよ、ソーラービーム!」

 

ビビヨンに緑の光が集まって大きいビームとなり、ビームがヒートに直撃して爆発が起きた。爆発の中からヒートが落下しアルスの目の前に落ちた。ヒートは目を回してもう戦えそうにもいかなかった。

 

「ヒート戦闘不能!」

 

アルスはヒートを戻しポポを出した。これが最後のポケモン、ビビヨンのかぜおこしはポポよりも強く、同じ技のぶつかり合いならビビヨンが勝つ。こうなればでんこうせっかで攻めようとした。

 

「ポポ、でんこうせっかだ!」

 

ポポはビビヨンに素早く攻めていった。ビビヨンがポポの攻撃を華麗に()け、ポポがもう一度でんこうせっかを繰り出して突撃、そんなビビヨンとポポの攻防が続き(しび)れを切らしたアルスはケリをつけようとした。

 

「ポポ、でんこうせっかで後ろを取れ!」

 

「ビビヨン、サイコキネシス!」

 

でんこうせっかをするも瞬時にサイコキネシスに捕まってしまい、地面に叩きつけられた。ポポが飛行体勢につき、アルスは一か八かの勝負をした。

 

「ポポ、かぜおこしだ!」

 

「ビビヨン、こっちもかぜおこし!」

 

ポポが飛びあがってかぜおこしを起こし、ビビヨンも同じようにかぜおこしを起こした。2つの風がぶつかり合うが、やはりかぜおこしのレベルならビビヨンが上だった。ポポはビビヨンの風に押されて墜落していった。

 

「シャッター切らせてもらうよ、ソーラービーム!」

 

ビビヨンが緑の光を集めている中、ポポは動かずにいた。ポポの姿はボロボロになっていて、また攻撃を受ければ戦闘不能になってしまうだろう。だが、この戦いには勝ちたい、負けたくないという思いが駆け巡りアルスはポポに叫んだ。

 

「飛ぶんだ、ポポ!」

 

ポポは勢いよく飛び、ソーラービームを避けることができた。

 

「まだ飛れるのね、だったらかぜおこしよ」

 

ふらふらと飛ぶポポはアルスの目を見てきた。アルスはポポが目で(うった)えていることがわかり、ポポに命令した。

 

「ポポ、ふきとばす!」

 

ポポはこのバトルの中、ふきとばすを覚えたのだ。ポポが起こした風はさっきのかぜおこしよりも強く、ビビヨンのかぜおこしを押し返してビビヨンを吹き飛ばした。

 

「ポポ、でんこうせっかだ!」

 

「ビビヨン逃げて!」

 

ボロボロになりながらもポポはビビヨンを必要に追いかけてき、ビビヨンはでんこうせっかを避けていった。だが、さっきのように華麗にではなく急いで避けている、それが分かると攻撃を続けろとポポに、命令した。

何度も続けたことでやっとでんこうせっかを当てることができ、次々と攻撃が当たっていき、真正面(ましょうめん)から攻撃をしようとした時、ビオラが笑った。

 

「ビビヨン、サイコキネシス!」

 

「ポポ、降下して避けろ!」

 

「!?、しまった!」

 

ビビヨンのサイコキネシスが来ることはアルスはわかっていた。アルスはサイコキネシスは視界に見える相手にしか効かないではないかと考え、ポポに下に逃げてビビヨンの視界から外した。アルスの考え通りサイコキネシスは失敗した。そこからアルスは追い討ちをかけた。

 

「ポポ、ふきとばす!」

 

ビビヨンの下からポポの強風が起こり、うまく飛行できずに上空に飛ばされ、天井にぶつかった。ポポの風が止んでビビヨンは動こうとしたが天井から離れなれなかった。ビビヨンがぶつかった場所はねばねばネットが張り付いていたところだからだ。

 

「ポポ、全力ででんこうせっかだ!」

 

動けなくなったビビヨンにポポが突撃しでんこうせっかが決まった。

ポポがビビヨンから離れて、審判がビビヨンの状態を確認し、勝者に向けて手が挙がった。

 

「ビビヨン戦闘不能、よって勝者はチャレンジャーのアルス」

 

「おっしゃーーっ!」

 

アルスは苦戦しながらも初めてジム戦に勝った。アルスは喜んでポポはアルスの周りを飛んで喜んでいた。

 

「負けちゃったね、でもとてもいい瞬間が観れたからいいか」

 

ビオラはビビヨンを戻してそう言うとアルスに近づいて審判が虫の形をしたバッジをアルスの前に持ってきた。

 

「ハクダンジムリーダーに勝った印、バグバッジよ」

 

アルスはバグバッジを受け取るとまた喜びが込み上がってきて大きく叫んだ。

 

「バグバッジ、ゲットーッ!」

 

バグバッジを高々(たかだか)に上げてケースの中にしまい込んだ。

 

 

 

◯●◯●◯●◯●◯●

 

 

 

ジムから出た3人は今後のことを話していた。ハクダンの森で出会ったクレア、彼女の感じから言えばかなりやばい奴だったとしか言えない。彼女の言う組織、ユートピア団にクレアのような危険人物がいるか、ユートピア団の存在を知ったアルスたちに何が起こるかわからない。するとサボテが提案をしてきた。

 

「......僕は君たちと一緒に冒険したいと思っています、彼女みたいな人が現れた時にみんなで協力して戦った方が安全だと」

 

サボテの言う通りにクレアの仲間が複数現れた時二人で戦うより三人で戦う方が心強い。

 

「よしわかった、サボテも一緒に冒険して、何が何でもユートピア団に勝って、そいつらの野望を止めよう」

 

アルスの言うことにウランとサボテは頷いて次のジムがあるショウヨウシティを目指して行った。

 

 

 

◯●◯●◯●◯●◯●

 

 

 

「うん、フィールドの掃除も完璧、綺麗にできたわ」

 

日が沈んだ夜、ジムリーダーのビオラはアルスとの戦いの後片付けを終え一息つこうとした。しばらく休憩したビオラはそろそろ帰ろうと立ち上がるとジムの入り口に続く廊下から足跡が響いてきた。暗い廊下から現れたのは紫色の髪のメガネを掛けた女だった。ビオラはこの辺りでは見ない姿の女をチャレンジャーだと思い近づいた。

 

「チャレンジャーの人?ごめんね、もう遅いからまた明日来て」

 

ビオラの話を(さえぎ)るように女の目が(あや)しく光り出した。その光を見たビオラはどんどん目が(うつ)ろになり、何も(しゃべ)らず何も動かずになり、女の口が開いた。

 

「あなたは今日から私たちの駒として働いてもらうわ」

 

「はい」

 

「しばらくの間はいつも通りにしてもらって、私が合図をしたら戦ってね」

 

「はい」

 

「よろしい、54秒にあなたは少し前のことを忘れていつも通りに動いてね」

 

「はい」

 

ビオラは女の言うことを一言で答え、女はそれだけ言って暗い廊下を歩いていった。その54秒後にビオラは正気に戻った。

 

「?私何してたっけ、そうだ帰らなきゃいけなかった」

 

ビオラは自分に何が起きているかわからずに帰っていった。

 




遅くなりました。

あと、この話はあのポケモン?漫画と全然違います。たぶん......。


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