弟と一緒に地球という人外魔境に送られた下級戦士だけど何か質問ある? (へたペン)
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開幕 弟と一緒に地球という辺境に送られた下級戦士だけど何か質問ある?

バーダックさん家に女の子(オリ主)が生まれたけれど、その日常が淡々と垂れ流されるだけの物語ですとも、ええ。


   プロローグ

 サイヤ人の下級戦士として生まれた私は弟と共に戦闘力の低い辺境惑星に送り込まれた訳だが、どうやら私は運悪く宇宙船が事故って頭部を強打しまい『命令』を忘れていたようだ。

 

 記憶障害を起こした私が覚えていたのは『キャロット』という自分の名前と当時名前は思い出せなかったが、もう一つの宇宙船に乗っているのが弟ということだけだった。

 それでも運がいいのか悪いのか私は不時着した土地にひっそりと暮らしていた孫悟飯という老人に拾われた。

 

 右も左もわからず行き場のない私達を悟飯は本物の孫のように受け入れてくれて記憶を失っていた時の私はそれはもう感謝したものだ。

 だが『命令』を思い出した今、『おじいちゃん』と慕っていたのは黒歴史でしかない。

 

 暴れて谷から落ちた弟を助けようとしたが間に合わず私達姉弟は頭を強打してしまった。

 その結果『命令』を覚えていた弟のカカロットまで記憶障害を起こしてしまったが、不幸中の幸いなことに私は逆に『命令』を思い出すことが出来たのだ。

 

 

 下級戦士とはいえ私だって誇り高き戦闘民族だ。

 駆逐対象に「おじいちゃん♪」とバカみたいに甘えていたのを思い出すだけで吐き気がする。

 

 

 私は孫悟飯抹殺の為に今すぐにでも襲い掛かりたいのだが、母星から出発した時の私の戦闘力はたったの2だったことも思い出せている。

 

 自分で言うのもなんだが私の戦闘力はゴミみたいな数字であり下等生物相手でも負ける恐れがあるのだ。

 

 だから私は『命令』を忘れたカカロットなしで無事『地球人抹殺』を果たす為、表面上は良い子のフリをして孫悟飯の戦闘力を見極める為彼に武術を習い始めた。

 

 予想通りとても今の未熟な私で勝てる相手ではなかったが幸いなことにこの星には月がある。

 サイヤ人の真価を発揮できる満月の夜になら孫悟飯を亡き者にできるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――そう思っていた時期が私にもありましたとも、ええ。

 

 

 

 

 

 

 

 孫悟飯抹殺を決行した日の次の朝、私はベッドの上で横になっていた。

 

「満月の夜は怪物が出るから外に出てはダメじゃぞ?」

 

 大猿化で理性をなくして昨日の夜の記憶はないが、心配そうに全身打撲で動けない私を看病をしてくる孫悟飯の様子から戦闘結果は私の敗北なのは嫌でも理解できた。

 

 この惑星『地球』は住民の戦闘力が低い辺境惑星ではなかったのだろうか。

 そのことを惑星ベジータに報告しようと孫悟飯の目を盗んでこっそり宇宙船に行ったが母星である『惑星ベジータ』との通信が繋がらなかった。

 

 カカロットの宇宙船でも試してみるがこちらも繋がらない。

 まさか宇宙船が2つとも故障していようとは本当に運がなさすぎだろう私って奴は。

 

 しかし予定よりも原住民の戦闘力が高かったとはいえ戦えば戦うほど強くなるのが私達戦闘民族サイヤ人だ。

 いつかあの老いぼれ爺さんを私自らの手で殺してその後他の地球人達も滅ぼしてやる。

 私はそう遠くないであろう未来に頬を緩ませながらスカウターを手に取り今現在の戦闘力差を計ってみた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 キャロット:戦闘力6

 孫悟飯:戦闘力100

 

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 そしてそっとスカウターを閉じる。

 あんな老いぼれで戦闘力が100もあるのだ。

 若者や武道家相手なら200や300…もしかしたら1000を超える相手だっているかもしれない。

 特別戦闘力が高い星とは言えないが戦闘力2の赤子を送り込む星ではないだろう。

 

「あれ、もしかして私詰んだ?」

 

 

 

 

§

 

 

 

 

    第一話『悲報 私の尻尾が切れた』

 孫悟飯との修行中の事故で尻尾を失い、また生えてくるとはいえ割とショックを受けた。

 

 尻尾がないとバランスが取り辛く戦闘に支障が出る。

 何よりも満月で変身できなくなるのは戦闘力の低い私にとっては死活問題だ。 

 

 尻尾を奪った孫悟飯本人に心配されても殺意しかわかないがカカロットが心配してくれたのには少し癒された。

 なんだかんだで母星と連絡の取れない今同族はカカロットただ一人だ。

 

 ダメな弟の為にも私が『命令』を実行しなければならないという使命感。

 自分よりダメな奴がいる安心感。

 命令も忘れ『カカロット』と呼んでも「オラ悟空って名前だぞ」と名前を受け入れてくれないが、無邪気で無知で自分よりも劣るカカロットの存在は私の心の支えとなっていた。

 

 問題は孫悟飯から植えつけられた地球人の倫理観だ。

 早めに孫悟飯を殺し再教育しなおさなければカカロットは間違いなく地球人抹殺の邪魔をしてくるだろう。

 

 カカロットは孫悟飯のことも私のことも好いているので孫悟飯殺害自体も全力で止めに入ってくるのも目に見えている。

 孫悟飯殺害後自体も難易度が高いというのにその後カカロットの説得まで必要になると思うとため息しか出てこなかった。

 

 一番楽な道はカカロットを切り捨てて一人で地道に地球人を抹殺することなのだが、母星と連絡が取れず帰れる見込みもない今同族が一人もいないというのは種族として詰んでいるし、最終的に私の戦闘力に追いついてこられるのは同じサイヤ人であるカカロットだけだ。

 

 来るかもわからない母星からの迎えを孤独に待つよりも二人で戦闘を楽しんだ方がいいに決まっている。

 そういった意味で考えればカカロットは生きててくれれば敵でも味方でも構わない。

 だから断じて私が情などという甘い考えを持ちカカロットを殺せないなどという話ではないのだ。

 

 

 

 

 

 ――その結果満月を見て大猿化したカカロットに追い回されている私がいる訳ですが、ええ。

 

 

 

 

 

 カカロットがトイレに行こうと夜な夜な起きて満月を見てしまい大猿化してしまった。

 今私には尻尾がないのにやめてもらいたい。

 

「カカロット!! 姉はお前をそんな子に育てた覚えはないぞ!?」

「そんなことを言っておる場合じゃない! 早く逃げるんじゃ!!」

 

 私の足では逃げられないと判断したのか孫悟飯が私の体を抱きかかえて走り出す。

 確かに逃げきれないのは事実だが後々殺そうとしている人物に助けられるとはなんたる屈辱。

 だがカカロットが大猿になり『命令』を覚えている私に理性が残っているのは孫悟飯を亡き者にする絶好のチャンスだ。

 なんとかしてカカロットの破壊衝動を孫悟飯に向けなければ。

 

「カカロット!! じじいだ!! じじいを狙え!! いつもきつい修行で苦しめられた鬱憤を今晴らすんだ!!」

「ふぁ!? もしやキャロット最近どぎついのはわしの修行が辛かったからなのか!?」

 

 結局この後カカロットは言うことを全く聞かずに私ばかりをしつこく追い回してきた。

 いくら大好きな姉である私と遊びたいからと言ってこのスキンシップは過激すぎだ。

 おかげで孫悟飯にエネルギー波で助けられることになった。

 屈辱である。

 

 

 

§

 

 

 

 

     第二話『最近祖父が変なんだがどうすればいい?』

 最近孫悟飯が私を女の子らしくしようと変なことばかり強制してきて非常にうっとうしい。

 

 どうやらカカロットが大猿化した時に私が修行が嫌になって暴言を吐いたと勘違いしたようだ。

 近くの人里で育てた野菜や狩った動物の肉と物々交換して洋服や書物。

 料理をする為の調味料などを仕入れるのに付き合わされた。

 

 山暮らしのせいでこの星はもっと原始的な暮らしをしていると思っていたのだが、通貨の概念や乗り物などの機械類があることから文化レベルはそれなりにあることが伺える。

 

 

 もっとも私の宇宙船を直せる技術レベルとは到底思えない辺境の地であることには変わりないのだが。

 

 

 しかしそんな辺境の惑星でも長所はもちろんある。

 自然豊かで異星人に高く売れる星だというのはもちろんのこと何よりも驚かされたのはその食文化だ。

 

 読まされた書物で知ったのだが食に関しての意識は非常に高く、宇宙のお偉い方が食べているような食品が霞むくらいに地球の料理というものは手間暇を掛けている品物だった。

 

 一見無駄な手間にも見えるがその無駄な手間を加えた分だけ味も素晴らしく向上する。

 たかが食事けれど食事。

 

 

 手の凝った料理というものを一口食べただけでわかった。

 この食文化だけでも異星人の間に広めれば金になるに違いないと確信できるほどの衝撃を私は受けたのだ。

 

 

 ただ肉を焼くだけ。

 ただ飾り付けて調味料をまぶせるだけ。

 ただ栄養を摂取するだけ。

 

 その程度で満足する宇宙全土に革命を起こせるほどの文化を安易に滅ぼしていいものかと戦闘民族である私が迷うほどの魅力がこの地球にはあるのだ。

 

 惑星ベジータと連絡を取れない事を考えると、先住民の抹殺ではなく支配に任務を切り替えるべきだろう。

 抹殺より難易度が格段と跳ねあがってしまうが、もしも惑星ベジータと連絡が取れればこの食文化を手に入れた功績は必ず認められる筈だ。

 しっかりこの星の食文化を伝えられるよう料理の勉強はしっかりしておこう。

 

 料理の基礎だけとりあえず抑えたところで、そろそろ孫悟飯との戦闘力差は縮まったかなと久々にスカウターを使う。

 下級戦士とはいえ私達は戦闘民族サイヤ人だ。

 そろそろ30は超えていても良い頃合である。

 

 

 

 

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 キャロット:戦闘力7

 カカロット:戦闘力9

 孫悟飯:戦闘力100

 

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 ―――30どころか弟に戦闘力を抜かされた私はそっとスカウターを閉じましたとも、ええ。

 

 

 

 

 

 

 地球を支配するのはまだまだ当分先になりそうだ。

 

 

 

 

 

§

 

 

 

 

 

    第三話『冷酷な私がツンデレ扱いされている件について』

 私の兄ラディッツは今頃どこかの星を侵略しているというのに私は今日も料理をしている。

 料理を覚えてからというものすっかり私が家事当番だ。

 料理をし、畑を耕し、獲物を狩り、血抜きをしている間に掃除をして、薪を割り、たまに狩った獲物の肉を売りに遠い村まで足を運ぶ。

 

 正直なところ戦闘民族サイヤ人の私にとってこの生活は辛い。

 こんな生活ではこの星を支配するどころか体がなまってしまう。

 

 そもそもこんなヒラヒラと動きにくい恰好をさせるなんて何様のつもりだと怒りに任せて孫悟飯に攻撃するも軽くあしらわれてしまった。

 

 戦闘力の差はやはり覆せないようだ。

 それでも今日は体力が尽きるまで孫悟飯に攻撃をし続けた。

 そんな私をカカロットは「今日の姉ちゃんは真面目に修行してんだな」と笑って見ている。

 

 

 

 届かない。

 戦闘民族サイヤ人の私がいつまでたっても老いぼれ相手に手も足も出ない。

 終いには弟に笑われる始末だ。 

 

 

 

 

 

 

 ―――――私のプライドはボロボロですとも、ええ。

 

 

 

 

 

 

 体力が尽きて動けなくなった私の代わりにカカロットが今日の食材を探しに狩りへ出る。

 孫悟飯はいつも通り穏やかに私に接し、動けない私の側にいてくれる。

 

 悔しかった。

 それと同時に理解が出来なかった。

 なぜこの老いぼれは私達にここまで尽くしてくれるのかが理解できない。

 

「今は私達は子供だからいい。床も早い。だが月を見れば変身し理性を失う化け物になる。私達にその間の記憶はない。そんな連中危険とは思わなかったのか?」

 これは大嫌いな孫悟飯に対しての嫌味だった。

 いい子を演じていたストレスを吐いているだけだ。

 

「見ての通り私達は見境なく人を襲う化け物だぞ?」

「化け物ではない。化け物なんて呼ばせない。おぬしらはわしの大切な孫じゃ」

「反吐が出る程甘い考えだ。いつか絶対寝首を掻いてやるぞクソジジイ」

 

 いつもは多少なりとも演技を混ぜているが私はもう限界だ。

 日に日にこの生活に慣れていき、こんな生活も悪くないと思い始めている自分自身が許せない。

 私の使命は、この星を支配することなのに、戦闘民族サイヤ人なのに、辺境の星にいる老いぼれ一人始末できない。

 

「泣かんでもいい。わざと嫌われようとせんでもいい。わしが二人と暮らしたいんじゃ。誰が何と言おうと、おぬしらはわしの自慢の孫じゃよ」

「うるさい。『爺様』なんて大嫌いだ」

 

 この日から私は毎日孫悟飯を襲うのを日課に入れた。

 相変わらず手も足も出ないが前みたいに悔しくないのはなぜだろう。

 

 

 

§

 

 

 

 

  エピローグ

『弟と一緒に地球という辺境の地に送り込まれた下級戦士だけど元気でやっています』

 

 エイジ748年、孫悟飯が天寿を全うした。

 よく懐いていたカカロットは泣いていたが、孫二人に見守られながらこの世を去った孫悟飯の表情はとても穏やかなものだった。

 結局私は一度も孫悟飯に勝つことは出来なくて、その悔しさに涙を流しただけで、私は断じて身内が死んだから悲しんでいる訳ではない。

 

 孫悟飯に負けたままこの星を支配するなんて私のプライドが許さない。

 もう邪魔する者はいないが、地球の支配は孫悟飯の戦闘力を超えてからしようと心に決めた。

 

 それからの生活も私が家事をしながら、カカロットと畑仕事をしたり狩りをしたり修行したり、今までと変わりない生活を送っている。

 組手の戦歴は姉の尊厳に関わる為聞かないでもらいたい。

 

 それから一年がたっても私の戦闘力は100に届かず、この地球という星にはまだ戦闘力100前後の連中がまだまだいる。

 孫悟飯がこの星の中で強い人物だったのは嬉しい誤算だが、この星を支配するには相当時間が掛かりそうだ。 

 

「姉ちゃん! 今日のメシなんだ? オラもう腹減って死にそうだぞ~」

「そうだな。久々に魚でもさばいてみるか。カカロット、沢山食いたければデカい奴を捕ってこい」

「久々の魚かぁ! 姉ちゃんが焼くとどんな奴でも美味いかんな。よぉし、オラいっちょ行ってくっぞ!」

 

 

 

 

 ――――――戦闘力は私より高いけど頭を打って使命を忘れた弟と共に、この辺境の地で今日も元気に生きていきますとも、ええ。

 

 

 

 




そして原作一話の流れへ。
変わったことはきっとほんの些細な事。
指輪が一つ増えてタイムパトロールがあたふたしたりしますが、多分続きません。


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Q1『一体みんな誰と戦ってるんだ』

おそらくトキトキ都の日常的風景。


 ――――――エイジ776――――――

「ナッパ! 貴様どういう食い物かも見きれんのか!? スシに焼き肉のタレを掛ける奴がどこにいやがる!! クソッタレが!!」

「す、すまねぇベジータ。危うく醤油とソースを間違えるところだったぜ」

「あああああああああ!! ラディッツ兄ちゃん、それオラの肉だぞ!! そっちがその気ならオラだって!!」

「カカロット!! 今のは間違えただけだ!! 悪かった!! 取った分は返すから俺の皿から取っていくのは止めろ!!」

「俺たちは生き残ったサイヤ人のわずかな仲間、仲良く食おうぜ、弱虫ラディッツさんよ」

「ターレス、貴様もどさくさに紛れて俺から取るな! まっ、まて―――――っ!!」

「ええい、貴様ら静かに食事も出来んのか!! ん、カカロット。今貴様俺の皿から取りやがったな!? サイヤ人の王子であるこの俺の皿に手を出すとはいい度胸だ。表へ出やがれ!!」

 

 

§

 

 

 トキトキ都で歴史改変以上の大事件、『時の指輪』が増えてしまった事が確認された。

 既に存在する世界を改変する歴史改変は『終わりと始まりの書』を使用することで回避できるが、別の時間軸として独立した世界を生む時間移動によるパラレルワールドは一度確立してしまうと『時の指輪』となって残り続けてしまう。

 

 新たに指輪が出来たということは誰かがパラレルワールドを作ってしまったということだ。

 その原因を突き止めて抑えなければ鼠算式に平行世界が増えてしまう恐れがある。

 

 時の界王神が『時の指輪』の世界を覗いてみると、最初に目に映ったのはサイヤ人達による食事という名の厨房戦争だった。

 次から次へと運び込まれていく食事をサイヤ人達が次から次へと平らげていく。

 本来の歴史でもよくみられる光景だが、悟空とベジータの他にも本来死亡する筈のラディッツとナッパ、それに加えてターレスまで仲良く食事をしているのは異様である。

 

「時の界王神様……これはいったい……」

「見ての通りよ。一見すると平和な世界だけど、何が原因でこんなことになってしまったのか見当もつかないわ。もう少し過去の書を見てみましょう」 

 状況が理解できないトランクスと同じく時の界王神もこんな歴史の大改変されたケースは初めてだ。

 歴史の管理を任されている時の界王神は何としてもこれ以上『時の指輪』を増やさない為に原因の究明を急がなければならないと焦りを感じながら巻物を取り出しては目を通していく。

 

「待って! この書……歴史の改変が行われようとしているわ!」

「何ですって!? 指輪が生まれた原因も正しい歴史もわからないのに歴史の改変まで発生してしまうだなんて! 一体どうしたら!?」

「暗黒魔界の連中が絡んでいる可能性が出て来たわね。もしかしたらキリを集める為の実験的な世界なのかも……とにかく、どんな改変が行われているか見てみましょう!」

 

 

§

 

 

 ―――――エイジ767――――――

「結婚したんですね! ヤムチャさんと」

「ああ。トランクスって言うんだ。可愛いだろ? 本当はギョクロって名前にしたかったんだが、ブルマの奴がどうしてもトランクスが良いって聞かなくてさ」

「はははは、ヤムチャさんすっかり尻に敷かれちゃってますね」

「言うなよクリリン」

「いっ、父ちゃんはベジータじゃないんか!?」

「何で私がベジータと結婚しなちゃいけないのよ。おかしなこと言わないでよね孫君」

「そうだぞ悟空。俺はな、ブルマを守る為に今日まで修行してきたんだ。ブルマの為にって思うとどんどんパワーが沸き上がって、今ならベジータの野郎だってぶっとばしてやれそうだぜ」

「もう、ヤムチャったら。そんなこと言って調子に乗ってるとまた痛い目見るわよ。だけどありがとう。あの時真剣に私と向き合ってくれて嬉しかったわ」

 

 

§

 

 

「俺えええええええええええええっ! 俺の存在が消えたあああああああああああああああっ!?」

「落ち着いてトランクス! まだ改変は確定されていないわ! 誰かもっと過去の書に行ってヤムチャ君のやる気を削いできて! 平行世界だからこっちの世界に影響ないけれど向うのトランクスが現実を受け入れられずタイムマシーンを必要以上に使ってしまうかもしれないわ!」

 

 慌ただしい中、トランクスの相棒であるタイムパトロールは思う。

 一体皆は誰と戦っているんだ、と。

 

 




次回続くようでしたらまたキャロット視点の少女期から始まります。
一発ネタの短編集から連載に変わるかどうかはわかりませんので予めご了承ください。


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少女期 其之一『ブルマとキャロット』

小出しながら少女期始まってしまいました。
原作アニメどちらかを見ている前提で駆け足に話は進んでいきます。


「姉ちゃん! 姉ちゃん以外の女がやってきたぞ! こいつにもメシ食わせてくれ!」

 

 料理の下ごしらえをしているとカカロットがブルマという女を連れて来た。

 なんでも孫悟飯の形見である球はドラゴンボールと言い7つ揃えると何でも願いを叶えてくれる物のようで、それをレーダー頼りに探してパオズ山まではるばるやって来たらしい。

 

 何でも願いが叶うなんて便利なものがあるか疑わしいし、そんな願いを叶える球が世界各地バラバラに散らばっているところがまた怪しいところだ。

 

 

 

 

 

「爺様の形見を貸すのは構わない。だが一つ聞かせろ。無制限に願いが叶えられる物がそう簡単に散らばるとは到底思えない。なんせどんな願いでも叶えられる球だ。世界中の人間を逆らわせないようにして永遠の命を手にすることだって出来た筈。このドラゴンボールとやらはどのくらいの周期で願いは叶えられる?」

 

 

 

 

 

 軽い吹っかけのつもりで言葉を投げかけてみるとブルマの表情からは動揺の色が見て取れる。

 

「あんた、口が悪いけど頭は回るのね。こいつの姉とはとても思えないわ」

「カカロットの頭と一緒にするな。あいつは昔頭を打ってからおかしいんだ」

「ああ、それで。あんたも大変なのね」

 

 こんなやり取りをしてもカカロットはなんの話をしてるんだと首を傾げるだけだ。

 これでいて私よりも戦闘力が上なのだからやるせない気持ちになる。

 

「1年だろうが10年だろうが100年だろうが爺様の形見は貸してやるし、ボディーガードの件も引き受けよう。私達サイヤ人は戦闘種族。戦える場を用意してくれるというのなら願ったりだ」

「サイヤ人?」

「私達のように尻尾の生えた種族とでも思っておけ」

「あ、あんた達の尻尾本物だったのね。てっきりダサイアクセサリーかと思ったわ」

「獣が二足歩行で喋る惑星で何をいまさら。それで周期はどうなんだ?」

 

「なんだ? 姉ちゃんも願い事あるんか?」

「大したことではないからこいつの願いが先でいい。個人的に『ステキな恋人』なんていう馬鹿げた願いがどのような形で叶えられるか興味がある」

「馬鹿げたって何よ! 私にとっては真剣な願いなのよ!?」

 

 

 

「大雑把な願いだ。無から理想の恋人を作り出すのか、それとも今生きている人間が連れてこられて恋人として洗脳されるのか。貴様は気にならないのか?」

 

 

 

「願いが叶えられるってことに夢中で私としたことがそこまで頭が回らなかったわ。もう少し詳細な願いにした方がいいかしら……」

「一つだけ叶えるという条件で詳細な情報がどこまで一つの願いとして扱われるかの問題もある」

「そうね。少し頭が冷えたわ。ありがとう。お礼といってはなんだけど周期は1年よ。願いをかなえるとドラゴンボールは1年の間ただの石ころになってしまうらしいわ」

 

 

 有力な情報を聞き出せた。

 使える周期が長いようだったら願いを横取りすることも考えていたが、たった1年というのなら実験もかねてまずはブルマに願いを叶えてもらおう。

 いきなりぶっつけ本番で願いを叶えるにはドラゴンボールというものは未知数すぎる。

 

 例えば『不老不死にしてくれ』という願いをした時、老いず死なないだけで傷は治らず肉片や骨だけになっても生き続けたらたまったものではない。

 『この惑星の支配者になりたい』というのも支配者と認知されても即クーデターを起こされるような甘い洗脳だったら意味はない。

 それらの願いはドラゴンボールをしっかり理解してから願った方がいいだろう。

 

「十分だ。なら来年は私の願いを叶えさせてもらおう。方針は固まった。食事をすましたら球探しに出かけるぞ」

 

 せっかくカカロットが取ってきた魚を粗末にはできない。

 今日は初めての客人もいる。

 昼は刺身と炙り焼きに加え、頭と骨で出汁を取った味噌汁に白米で行くとしよう。

 

 




悟空の口調をアニメのなまり有りにするか原作基準にするか迷いどころ。
どちらの悟空も好きなのでしばらくはブレるかもしれません。

何気に『エサ』ではなく『メシ』と言っているのは、キャロットがいることによるほんの些細な変化だと思ってください。


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其之二『戦闘力がない』

球ではなく別のものがなくなってると思った話。


 危うくカカロットが壊す所だったらしい自動車に乗り長い道をしばらく。

 途中で花摘みをするブルマを襲おうとしたプテラノドンを返り討ちにして肉を調達できた。

 

「助けてくれたのはありがたいけど、私はそんなもの食べないからね!」

 

 魚料理は食べたのに何が違うのかがわからない。

 だが食い分が増えるというのは嬉しいことだ。

 今晩のおかずに追加するプテラノドンのソテーと唐揚げはカカロットと二人で食べるとしよう。

 

「しまった、調味料を忘れた」

「そのくらいハウスの中にあるから安心しなさい」

 

 どうやらブルマが持っているホイポイカプセルには家も入っていたようだ。

 科学技術がそこまで発達していない星だと思っていたが一部の技術は私が知っている宇宙の水準を超えているのかもしれない。

 もっとも、幼くしてこの地球に送られてきた私が単に見たことがないだけの可能性は十分にある訳だが。

 

 夕暮れ時にホイポイカプセルから出された家は大きいものの、ホイポイカプセル以外の文化レベルは遠い村にある一軒家とそう変わりはない。

 だが物々交換などで村に降りたことのないカカロットは電気やテレビといった文明器具に驚いていてしまっている。

 

 姉としてもう少し世間や文化についても教えておくべきだったと一瞬後悔するが、カカロットが頭までよくなってしまうと私が勝っている所がなくなってしまう。

 これからも能天気で無知なままカカロットにはいてもらいたいところだ。

 

 

「あんた達はボディーガードなんだからお風呂に入ってさっさと寝ちゃいなさい。特に孫君! あんた小さいんだから夜更かししないの!」

「フロ? ドラム缶見当たんねぇぞ?」

「ドラム缶がお風呂だなんて、あんたほんと田舎もんね。ほら、洗ったげるからきなさい!!」

 

 

 家にある文明的なものと言えば調理器具とドラム缶で作った風呂と石鹸くらいだ。

 孫悟飯が『女の子は綺麗にしないとダメじゃぞ』と作ったので、カカロットも風呂くらいは知っている。

 もっとも、羞恥心のようなものはなく「前ぐらい隠しなさいよっ!!」と今まさに怒られている最中なので無知であることに変わりはない訳だが。

 

 

「そう言えばあんた達って小さい癖してやたら強いわよね。戦闘種族だっけ? 聞いたことないけど大人はもっと強いんでしょうね。あんた達は年いくつ?」

「カカロットが12、私が15だったか。3歳にもなれば未熟ながら戦士だ。大人だろうが子供だろうが強い奴は強いし弱い奴は弱い」

 

 

 下級戦士は一生下級戦士のままでエリート戦士には勝てないというのが一般的だ。

 だけど私の父、バーダックは下級戦士の身でありながらエリート戦士の戦闘力を持っていたと聞いたことがある。

 

 

 

 

 

 

 

 

「絶対に生き延びるんだぞ。じゃあな」

 

 

 

 

 

 

 

 ふと父の言葉が脳裏をよぎる。

 だが父バーダックと母ギネが私達に投げかけた言葉は思い出せるのに、どんな表情で送り出してくれたのかが思い出せないことに気付いた。

 

 何を思って保育器で育て途中であるカカロットと一緒に私を地球へと送ったのだろう。

 私一人だと戦力不足だと判断したのだろうか。

 戦闘力たったの2、サイヤ人の赤子以下の戦闘力しかなかったからだろうか。

 

 だとしたら、ほんの少しだけ、悲しい、いや悔しいと思った。

 

 




男性と女性の違いを少し理解できる。
ドラム缶風呂に入っている等、キャロットがいる影響で悟空の知識が増えております。


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其之三『海へドライブ』

亀を連れて海へとドライブしに行く話。


 朝、カカロットが亀を拾ってきた。

 どうやら陸に上がり迷子になって海に帰れない亀であるらしく、甘いカカロットはその亀を海に連れて行ってやろうとしている。

 

 ブルマは夏休みという限られた期間中にドラゴンボールを探さなくてはならないようで、当然ながらそんな無駄足を踏みたくないと異を唱えていた。

 

 護衛を引き受けた以上依頼主であるブルマを優先するべきだが、ここでカカロットと別行動を取ると戦闘力30以上の相手に遭遇した時逃げるしかなくなってしまう。

 ここはほんの少しだけカカロットに助け舟を出すとしよう。

 これはあくまで私の保身の為であってカカロットの為では決してない。

 

 

「海の方角にドラゴンボールの反応があるかどうかを確かめてからでも遅くはない。もしも海の中にドラゴンボールがあるのならこの亀には利用価値がある」

「あんた口悪い癖してフォローが上手いのね。いいわ、もしもドラゴンボールが海の方に有ったら考えてあげる」

 

 

 ブルマがレーダーを取り出し地図と照らし合わせると、海の南にドラゴンボールの反応が一つあったようだ。

 今向かっている場所より距離が離れてしまうがいずれ立ち寄らなければならない場所だから問題ないと、亀とカカロットを自動車の上に乗せて海に向かうことになった。

 

 

 

 

 

「なんかでっけぇクマがいっぞ」

 

 

 

 

 

 その道中、車の上で亀のおもりをさせていたカカロットが道に立ちふさがる獣人を見つけた。

「なななななな、なんかおっかないのがいるわよ!?」

「慌てるな女。大した戦闘力じゃない。ただの見掛け倒しだ」

 スカウターで計ってみると獣獣人の戦闘力は10以下とカカロットなら拳一発で倒せるレベルの相手だ。

 

「戦闘力?」

「こいつはスカウターといって相手がどれくらい強いのかがわかる機械だ。この星くらいならすべての場所の戦闘力を測定することが出来る」

「変な物つけてると思ったらそんな機能がついていたのね。ちょっと貸してみなさいよ」

「構わんが壊すなよ。代えがない」

「へぇ、すごいじゃない! よく分からない部品を使ってるしとっても精密な機械ね」

「壊すなと言ったそばから解体するな!」

「いいじゃないの少しくらい。壊れるようなヘマなんてしないわよ。あー、もう! パーツが劣化してるし、ここなんて緩んで取れそうじゃない! 精密機械なんだったらメンテナンスくらいしなさいよね!」

 

 ブルマは機械に強い人種なようで劣化したパーツをバラしては組み直している。

 

「理解出来るとは驚いたな。都の人間は貴様みたいなのが多いのか?」

「ふっふっふ、この私が天才なだけよ。天才ブルマさんに掛かれば壊れてないメカのメンテナンスなんてちょちょいのちょいなんだから!」

 

 このブルマという女は予想以上に使えそうだ。

 もしかしたら私の宇宙船も直せるかもしれないので利用できるだけ利用することにしよう。

 そんなやり取りをしている内にカカロットが獣人を予想通り一撃で倒して戻って来る。

 

「姉ちゃんより(つえ)え奴はなかなかいないな」

「あの程度の相手に勝てたからといって調子に乗るなカカロット。お前以上の奴はこの星だけでも沢山いる」

「やっぱ姉ちゃんは物知りだな。へへへ、オラ早く(つえ)え奴と(たたけ)えてえぞ」

 

 強い相手と戦うとしても、なるべくなら段階を踏んで戦いたいところだ。

 いきなり戦闘力100を超えたの相手と戦うことになったら今の私達の手に余る。

 

 それなのに自動車が向かう遥か先には戦闘力100を超える反応があるではないか。

 ブルマが見ていた地図と照らし合わせると距離的には海よりも先だから問題ない筈だが、よりにもよってこの星で最上位の戦闘力を持つ相手がいる方向に進むことになるとはついていない。

 もしもの時はカカロットを囮にして逃げるとしよう。

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなで亀を海まで送り届けると、亀はお礼がしたいと戦闘力100を超えるジジイをドラゴンボール付きで連れて来た。

 目当てのドラゴンボールの反応とセットなせいで逃げる訳にもいかない私はどうしたらいい?

 

 




キャロットの受難始まります。


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其之四『この星の爺は強い』

亀仙人のじっちゃんだからしかたない話。


 私は戦闘力の高い爺と縁があるのか、それともこの星の戦闘力が高い奴が爺しかいないのか。

 とにかく亀を助けたということで亀仙人という爺が友好的であるのはありがたいところだ。

 

 カカロットは亀を助けたお礼として筋斗雲という空飛ぶ乗り物を貰って、さっそく楽しそうに空を飛び回っている。

 筋斗雲は清い心の持ち主しか乗れないらしいので私は乗ることは出来ないだろう。

 

「姉ちゃんも乗ってみろよ。気持ちいいぞ!」

「嫌味か。乗せようとするな。私は絶対乗れないから引っ張るな! 私は絶対乗れないからな!」

「そっかな。オラ姉ちゃんなら乗れる気ぃすっけど」

 

 地球を支配しようとしている私が清らかな心を持っているだなんて笑えない冗談だ。

 だけどカカロットが乗れた乗り物に乗れない瞬間を見られるのも姉として悔しいから意地でも筋斗雲には乗らない。

 

 

「ちょっとキャロ! あんたも遊んでないで交渉手伝んなさい! 言われた通りパンツ見せたのにドラゴンボールは出し渋るのよ!」

「名前を略すなスポーツ用パンツ。私がエロ爺に出来ることなど何もない!」

「あんたダサイ格好してるけど元はいいんだからその体使って誘惑して! ボディーガードなんだから私の体の代わりになりなさい!」

 

 

 ブルマに理不尽な要求を押し付けられた。

 爺を殺してドラゴンボールを奪えれば楽なのだが、戦闘力に差があり過ぎて不意を衝いても殺せそうにない。

 だが、相手を殺す為ならどんな手段でも使うのがサイヤ人だ。

 不本意であるがこの先色仕掛けが必要になって来る時も出て来るだろう。

 ここは手ごろなエロ爺に試してみるのもありである。

 

 

 

 

 

 

 

 お爺ちゃんのボール、欲しいの……なんて言う自分の姿を想像してみる。

 吐き気がこみ上げ自分で自分を殴りたくなった。

 

 帯を緩め道着を少しはだけさせながら爺の腕を自分の小さな胸で挟んで抱きしめている自分の姿を想像してみる。

 そのまま爺の腕をへし折りたくなったが、妄想の中でへし折ることはできても現実でへし折ることは無理だろう。

 

 結論、私に色仕掛けは無理だ。

 

 

 

 

 

 

 

「ほらほら、悪い子ぶってみせてるけど恥ずかしがっちゃって可愛いところもあるでしょ? あの子の今穿いている下着と物々交換ってのはどう?」

「……よかろう。あげる」

「スポーツ用パンツ、貴様何を勝手に決めている!? 爺、貴様も条件を飲むんじゃない!!」

「なんだよ姉ちゃん。いいじゃねぇかパンツぐれぇ。オラのパンツ貸してやっぞ?」

「カカロットは黙ってろっ!! 姉の下着は弟の命より重いと知れ!!」

 

 

 結局私は爺の戦闘力を恐れるあまり抵抗出来ず、ブルマにズボンごと下着を剥ぎ取られた。

 勢い余ったと謝られたが、やはりこの星の人間は滅ぼした方がいいのかもしれない。

 

 




15歳は子供としても女性としても見える絶妙な年齢。
サイヤ人もそろそろ大きくなってくる頃合だと思います。(悟空はまだ小さかったですが)
個人的に戦闘で命を落としやすいサイヤ人は、子孫を残す為に地球人とあまり変わらない速度で女性は成長していくんじゃないかなと考えていたりします。
それでもキャロットは少し小柄な中学生といった感じのイメージではある訳ですが。

以上、キャロットの受難でした。


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其之五『消化不良』

消化不良で少しもやもやする話。


 ドラゴンボールの反応のある小さな村。

 ドラゴンボールを報酬に女を攫う妖怪退治の依頼を引き受けたまではよかった。

 

 面倒なことに今まで攫われた女の救出も依頼に含まれており、女好きである妖怪の特性から女である私がヒラヒラの衣装を身にまとい囮になる事になったのも仕方ない。

 相手の住処がわかる前に倒してしまうと攫われた女達を助けに行けないから不愉快ではあるがここまでは受け入れられた。

 

 

 

 だが鬼の姿で現れた妖怪の戦闘力があまりにも低すぎて一気に私のやる気は削がれた。

 

 

 

 村の子供程度しか戦闘力がないのに村の住人は何をそんなに恐れたのだろう。

 想定していた相手の戦闘力が5から30くらいで、あれこれ対処法を考えていたのに、これでは恥ずかしい姿をしているのがバカバカしくなってくる。

 

 呆れながらも妖怪ウーロンを力技で組み伏せて攫われた女達の居場所も聞き、無事報酬のドラゴンボールも貰ったところでウーロンの処遇について少し話した。

 

 戦闘力は皆無だがウーロンの変身能力は地球を支配する上で役に立つ能力だ。

 この星の支配者を暗殺してからその支配者に変身してもらえば裏から徐々に侵略を進めていけるだろう。

 

 理由は私と違うだろうがブルマも変身能力が役に立つと考えウーロンは強制的にドラゴンボールを探す旅に連れて行く事にした。

 

 

 ボートで川を移動する間、逃がさないようウーロンは私の膝の上に置き、保険としてブルマがピーピーキャンディーという物を食べさせている。

 効果は知らないが保険というのだから逆らうと害をなすような何かだろう。

 これからはブルマから出される飲食物には注意しておくとしよう。

 

 

 

 

「おっかなくなければ特等席なんだけどなぁ」

 

 

 

 

 今のところウーロンは愚痴をこぼすだけで大人しく私の膝の上にいる。

 私に身を預けてニヘラと笑っている姿にこの星の奴はこんなのばかりなのかとまた真剣に人類の抹殺を考えてしまうが、ただのブタに目くじらを立てていても仕方がない。

 一先ずこれは人類ではなくブタなんだと割り切っておこう。

 

 

「次の目的地はフライパン山だったか。距離的には戦闘力50以上の奴がいるな。カカロットと二人掛かりなら、まあ最悪ボールを盗み出すことくらいは出来るだろう」

「姉ちゃんと二人掛かりで勝てないのか? へへへ、おもしろいじゃないか」

「ああ。ただのパワーバカだったら十分に勝ち目はある。ようやく戦闘らしい戦闘になるぞカカロット」

 

 

 

 私一人ではどうにもならないが二人掛かりなら時間稼ぎくらい十分できる範囲だ。

 幸いまとまった戦闘力は周りにないので、勝てなければ二対一で時間を稼いでいる間にブルマとウーロンにドラゴンボールを探してもらえばいいだろう。

 手ごろな格上一人とはサイヤ人にとってこれとない鍛錬相手だ。

 

 

「俺の強さを見たっていうそのスカウター? ってので強さ知ってんのに挑むってなら止めないけどよぅ……俺は絶対危険なことはしないかんな!!」

「安心しろ。ブタごとき戦力に考えていない。格上すらも殺す戦闘種族サイヤ人の戦いを大人しく見てるがいい」

「お前、本当に口悪いよな……」

 

 

 戦闘力100を目指す私にとって好条件の戦場になる予感に気分を向上させていると、不意にプスンと音を立ててボートのエンジンが止まった。

 

 さらに言うと、ブルマが地図を取り出す時にホイポイカプセルのケースを落としてしまったようで、移動手段も宿泊施設も調味料もなくなり、時間を掛けてフライパン山に徒歩で向かうことになってしまったのだ。

 

 この日は実に消化不良が続く一日だった。

 

 




武天老師の弟子ということで牛魔王の戦闘力は50以上90以下くらいに考えております。
それでも二人掛かりなら何とかなるとキャロットが思っているのはサイヤ人特有の慢心。
そして組手をし続けて来た関係上悟空の戦闘力が原作よりも高く、2倍くらいの戦闘力差なら立ち回りで埋められると判断したからだったりします。

これが戦闘力100を超える相手だと孫悟飯との組手による思い出補正で一気にへたれるキャロットでした。


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其之六『荒野のハイエナヤムチャ』

ヤムチャしやがってな話。


「アレは女じゃない。アレは女じゃない……ただのガキだ。よし、待たせたな」

 荒野で休憩中に変な男と宙に浮いてる生物と遭遇した。

 

 最初名乗りを上げた時男の方はヤムチャ、浮いている生物はプーアルと言ったか。

 ヤムチャは私を見るなり俯きブツブツと何かを呟くと真っ直ぐ私の方を睨みつける。

 

 戦闘力は8。

 人間の中では強い方だが私達よりも格下だ。

 

 

「さあ、早く金かカプセルをよこせ」

「丁度退屈していたところだ。遊んでやる。欲しい物は力ずくで奪うんだな」

 

 

 格下とはいえ戦闘は戦闘だから喜んで引き受けるとしよう。

 なんだかんだで孫悟飯とカカロット以外の人間とは戦っていないから盗賊相手ならいい憂さ晴らし、もとい練習相手だ。

 

 構える私とヤムチャを見てもカカロットは状況を飲み込めていないようで首を傾げている。

 戦っても組手をしてる程度にしか思わないだろう。

 実に暢気なものだ。

 

 

「なるほど。貴様そんなに天国を旅行したいのか」

「その鈍らで地獄への片道切符を切りたいならさっさと掛かって来い」

 

 

 私の挑発にヤムチャが曲刀を抜き逆手による横薙ぎを仕掛けてきた。

 意味もなく逆手で攻撃したのは子供だと侮った慢心か。

 兎にも角にもわかりやすく捌きやすい攻撃に対し私は単純に左手でヤムチャの右手を払いのけ、右の拳をヤムチャの腹部に食い込ませる。

 

 

 

「ごふっ……ぐっ」

「ほう、意識を手放さなかったか。まだやる気があるなら待ってやる。やる気がないならさっさと失せるんだな」

 

 

 

 弱者をいたぶるにしても歯向かってこなければつまらない。

 そう思い相手が立ち上がるのを待ち、ついでに必殺技まで撃たせてやる。

 

 

 狼牙風風拳とやらを正面から全て受け流してやろうなんて調子に乗ったのがいけなかった。

 最後の突撃攻撃を胸に受けてしまう。

 

 

 対したダメージにもならない貧弱な攻撃力だが痛いものは痛い。

 何よりも足を踏ん張り倒れなかったものの、あれだけの大口を叩いておきながら直撃を貰ってしまったのは格好がつかない。

 

 カカロットが「ヤムチャって奴けっこうやるなぁ」と言っているのが特に気にくわなかった。

 姉の威厳を守る為にもこの辺りで遊びはお終いにしておくべきだろう。

 

 

 

 

「柔らかい感触が、柔らかい感触があああああああああああっ」

「ヤムチャ様落ち着いて下さい!」

「うるさいわね。寝られないじゃない……!!」

「こっちにも女ぁっ!? い、いいか! この借りは必ず返してやるからな!!」

 

 

 

 

 これからやってやろうという時にヤムチャは慌ただしく逃げ出していってしまった。

 『柔らかい感触』、『こっちにも女』がという言葉からヤムチャは女が苦手なのだろうか。

 

 

 戦闘種族サイヤ人である私を戦闘中に女として扱ったということだとしたらなんて侮辱だ。

 

 

 逃げるヤムチャにエネルギー波を飛ばそうとも考えたが、『この借りは必ず返す』という言葉を信じるならヤムチャは再びやってくるだろう。

 一度実力差を見せてまだ挑む気なのはただの馬鹿なのか度胸があるのか盗賊としてのプライドが高いのか。

 少なくとも馬鹿でなければ次は奇襲、それも寝静まった夜を狙ってくる筈だ。

 その時に八つ裂きにしてくれる。

 

 

 

 

 その日の夜、安全の為にとウーロンはしぶしぶ隠し持っていたホイポイカプセルを取り出し、宿泊設備の整った自動車で寝泊まりする事になった。

 

 ブルマがシャワー中、ウーロンが旅の目的を聞きカカロットがドラゴンボールの説明を大雑把に説明している中、予想通り戦闘力8が近付いてくる。

 また女扱いされて逃げられたら興覚めだから、今度も先手は譲ってやるとしよう。

 

 

 

 

 そう思っていたら突然戦闘力8が6まで減った。

 近くに有る戦闘力はプーアルと思われるものだけだ。

 あの男はいったい一人で何をしているんだ。

 

 

 

 

 

 呆れて殺す気も失せた私はヤムチャの襲撃を待つのがバカバカしくなり、ブルマと入れ違いにシャワールームを使って軽く汗を流す。

 シャワーから上がるとカカロットは既に寝ておりブルマも二階で眠っているようだ。

 

 

 

「風呂上がりのジュースでも飲めよ」

「ブタにしては気が利くな。貰っておく」

 

 

 

 

 甘いジュースはそこまで好みではないが、これもこの星ならではの珍味だ。

 ウーロンからジュースを貰い、護衛の為にブルマが眠るベッドのすぐ傍の床で横になる。

 今日はやけに眠いが、何かあれば、いつも通り目を覚まして対処できるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 朝目を覚ました時、私はブルマと同じベッドで眠っていて道着ははだけ下着がずれていた。

 何がどうしてこうなったのか誰か説明して欲しい。

 

 




おっぱいが4つ Byヤムチャ
寝てからの流れはキャロットもベッドに隠す以外同じ流れとなります。
ヤムチャの戦闘力は皆大好き語呂でつかわれる8と6を使わせていただきました。


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其之七『かめはめ波』

皆大好きかめはめ波が出る話。


 フライパン山に行く道中、ヤムチャがやって来て「昨日は悪かった」と襲い掛かった詫びとして懐中時計を投げ渡しそそくさと逃げていった。

 ブルマは「良い男からプレゼント貰っちゃった」などと喜んでいるが、敵からの贈り物に爆発物などが仕込まれているとは思わないのだろうか。

 馬鹿と天才は紙一重という言葉がぴったりと当てはまる女である。

 

 

 さて、三日も掛けてフライパン山についた訳だが、肝心のドラゴンボールはというと炎に包まれる牛魔王の城の中。

 戦うつもりでいた牛魔王はというと、孫悟飯と一緒に亀仙人の元で修業した身らしく、カカロットの如意棒と筋斗雲を見るなり友好的に接してきた。

 ドラゴンボール探しとしては友好的なのは嬉しいところだが、強い相手と戦いたいという欲求は見事に打ち砕かれてしまった形となる。

 

 

 亀仙人の持っている芭蕉扇で牛魔王の城を囲む炎は消えるらしく、城の火が消えればドラゴンボールを快く譲ってくれるらしい。

 そうなってくると移動速度が一番ある筋斗雲に乗れるカカロットに亀仙人の所へと行ってもらうのが自然な形だ。

 他にも先に爺の元に向かわせた娘を回収してくれとも頼まれたが、居残る私には特に関係ない話である。

 

 

「爺様と貴様はエロ爺……亀仙人の弟子といったな。修行で力をつけたのか?」

「んだんだ。それはもう厳しい修行でメキメキとオラ達を鍛えてくれたべ! いや~、なっつかすいなー!」

 

 

 もともと戦闘力が高かった訳でなくトレーニングで己を鍛えて強くなったようだ。

 一般的な成人の戦闘力が5のこの星の人間である孫悟飯が戦闘力を100まで高めた。

 何か亀仙人のトレーニングに強くなる秘密でもあるのだろうか。

 

 嫌な事を思い出すのであまり会いたくはないが、強くなる秘訣を盗み出したいところだ。

 

 私にとって運がいい事に芭蕉扇がなかったらしく、カカロットが牛魔王の娘チチの他に亀仙人を連れて戻って来た。

 なんでも直々に炎を消してくれるらしい。

 

 やって来た亀仙人はブルマと何か約束事があって少し席を外したのが少し気になるが、今はどうやってあの激しい炎を消すかの方が気になる。

 

 常識的に考えれば炎を消し飛ばす程のエネルギー波を放つ事だが、戦闘力100程度であの炎を吹き飛ばす程の衝撃を生み出せるとはとても思えない。

 何か特別な術を持っているのだろうとあれこれ考察していると、亀仙人が戻って来て城全体が見渡せるほどの高さの瓦礫をよじ登った。

 

 

 

 骨と皮しかないような体だった亀仙人の筋肉が盛り上がり戦闘力が爆発的に上がる。

 そしてエネルギー波が掌に凝縮されていき更に戦闘力が跳ね上がった。

 本来誰もが垂れ流し状態になっている戦闘力を無駄なく一点に集中させているのだろう。

 

 

 

「かめはめ波!!」

 

 

 

 信じられない事だが亀仙人は戦闘力をコントロールする術を持っているのだ。

 凝縮されたエネルギーが掛け声と共に解き放たれて牛魔王の城は炎ごと消し飛ばされた。

 

 いや、城だけではない。

 城がそびえ建っていた大きなフライパン山すらもエネルギー波で吹き飛んでしまっている。

 

 

 

 これは戦闘力100なんてレベルの問題ではない。

 この爺は一撃だけならサイヤ人の平均的な下級戦士とやり合うだけの潜在能力を秘めている。

 その気になれば小惑星くらい破壊できるのではないだろうか。

 

 

 

 

 カカロットが真似をしてエネルギー波で乗って来た自動車を壊す。

 その時わずかだが戦闘力に変化があった。

 カカロットは一回見ただけで戦闘力を一点に集中する術を身に着けてしまったらしい。

 

 私も試しに集中したつもりになってエネルギー波を放つが自分の戦闘力は変わらない。

 ここでもカカロットに差をつけられてしまったのは悔しいが、戦闘力のコントロール術があると知れただけでも大きな収穫だ。

 しばらくは戦闘力のコントロールができるものだと意識して生活してみる事にしよう。

 

 

 戦闘力とは生命からあふれ出るエネルギーを数値化したものだ。

 戦闘力を凝縮して無駄をなくし突き詰めていけば先ほど亀仙人がやったように瞬間的な戦闘力の向上を私も出来るようになるかもしれない。

 

 

 

 

 

 

「キャロ、ちょっといい?」

「スポーツ用パンツ、あの爺に変なことを要求されているなら自分で何とかするんだな」

「安心して。ウーロンにあんたの姿させるだけだから。せっかくの変身能力だものね」

 

 予想通りといえば予想通りだがカカロットが余計な約束を亀仙人としたらしい。

 それが私かブルマどちらかの胸を触る事を条件に炎を消してやるという約束だったようだ。

 そこでウーロンの変身能力で私の姿に変身してもらい身代わりになってもらうとの事。

 

 

「貴様の姿でいいだろう」

「何言ってるの。私と同じ姿をしたのがセクハラを受けるなんて嫌に決まってるじゃない」

「嫌なことを平気で俺達に押し付けるんだもんな。お前ろくな死に方せんぞ」

 

 

 ピーピーキャンディーで脅されているウーロンと全くの同意見だが、戦闘力が100どころではなかった亀仙人の機嫌を損ねるのは不味い。

 自分の胸でないのだからここは我慢すべきだろう。

 

 

 

 

 我慢して許可を出した結果、私の姿をしたウーロンは亀仙人の顔を寄せた小さな胸で挟んでパフパフと自ら揉み始めた。

 約束が違う。何を調子に乗っているんだあのブタは。

 自分と同じ姿をした者が破廉恥なことをしている様子に怒りがこみあげてくる。

 

 私はこの日、激しい怒りでも戦闘力が僅かに向上する事を知った。

 これが戦闘力コントロールの第一歩だというのだから実に情けない話である。

 

 




まさかのキャロットかめはめ波撃てず、再び羞恥プレイに遭う。
武天老師は元々強く月を破壊したこともあるので、Maxパワーかめはめ波の戦闘力は大きく水増しして考えております。

ヤムチャは女が二人いる為最初からドラゴンボール7つ揃ってから奪えばいいと、朝の襲撃はせずに車ではなく懐中時計に発信機をつけて渡しました。
他にも悟空がチチにパンパンしていなかったりと原作から変化があるところがありますが、しばらくはキャロット視点での話を楽しんで頂けたら幸いです。


おまけ程度ですが少女期立ち絵をあらすじに追加しました。
見ての通り?ギネ似の少女となっております。


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其之八『亀裂走る』

何かが壊れる話。


 燃料補給で立ち寄った街で人参にされたりしたが今は五体満足な姿で旅を続けられている。

 

 御託はいいから掛かってこいと街を恐怖で支配していた兎獣人を挑発し、拳を受け止めたところで私は人参に変えられたらしい。

 触れた相手を人参に変える能力なんて初見殺し過ぎる。

 

 カカロットと後ろからストーカーのようにずっと着いて来ているヤムチャが居なかったら今頃兎の胃袋の中だ。

 この二人に助けられたのは複雑な心境だが素直に感謝しておくとしよう。

 

 

 そして今、最後のドラゴンボールを目指している訳だが、スカウターに頼っていた私は戦闘機械による不意打ちに気付けず砲撃を迎撃することが出来ず、乗り物への直撃を許してしまった。

 吹き飛ばされる中、ドラゴンボールが入ったトランクとブルマどちらを優先すべきか一瞬迷ったが、一応依頼は護衛なので車体から投げ出されたブルマの体を抱え着地する。 

 

 

 その間に襲ってきた戦闘機械はドラゴンボールの入ったトランクを持って逃走。

 どうやら狙いは最初からドラゴンボールだったようだ。

 

 すぐさまカカロットに筋斗雲で後を追わせるが途中で戦闘機械を乗り捨てたようで、おつむの弱いカカロットは乗り捨てられた戦闘機械だけを倒して帰って来た。

 意地にならず今度からはある程度の常識を叩き込んでおこう。

 

 ドラゴンボールを5つ奪われてしまったが、幸いカカロットが爺様の形見である四星球を持っているので、奪った相手が願いを叶える事は出来ない。

 偶然を装いヤムチャがやって来て壊れた乗り物の代わりの足を用意してくれるが、ドラゴンボールが奪われたタイミングで出てきたという事はヤムチャもまたドラゴンボールを狙っていると考えるべきだろう。

 

 足としてなら利用価値はあるし、人参にされた時に助けてくれた借りもあるので、まだ八つ裂きにはしないでおいてやろう。

 

 

 

 レーダー頼りに辿り着いた城に入ると床に矢印が書いてあった。

 明らかに罠だが、あえて罠にはまって相手が四星球を取りに来たところを抑え込むのもありといえばありだ。

 だが一度人参にされた身としては未知の能力や罠にはまるというのは抵抗がある。

 

 

「ちょっとキャロ。何ぼーっとしてんのよ。あんた私のボディーガードでしょ?」

「少しは罠の可能性を考えろスポーツ用パンツ」

「平気平気。あんた達とヤムチャ様がいれば何があっても大丈夫よ」

 

 

 どうやら道を変えるつもりはないようだ。

 実力を認めてくれるのは嬉しいがこいつらのこの能天気さはどうにかならないものだろうか。

 呆れながら矢印の先へと進むと行き止まりに辿り着き後ろの通路が閉まる。

 

 

 

「おいお前達!! 私はピラフ大王だ!!」

 

 

 

 壁に設置されているモニターに小柄な男が映りピラフと名乗りを上げた。

 残り一つのドラゴンボールを要求し、渡さなければ後悔する事になるぞと脅しをかけているが、構わずにエネルギー波を壁に向かって放ってみると壁は抉れ破片が飛び散った。

 連続で同じ個所を狙えば問題なく壊せるだろう。

 

 

「お前人の話を聞け! やめろ! やめろと言っているだろう! ええい、睡眠ガスを早く出せ!」

 

 

 噴出口からガスが噴き出してきたので慌ててエネルギー波で壊すが、勢いは緩むもガスは漏れ出し続けている。

 やはりブルマたちの能天気さを無視してでも罠は避けて通るべきだったと後悔してももう遅い。

 

 

「悟空! お前もかめはめ波だ! かめはめ波を使え!!」

「あ、そっか。でも何でヤムチャがそんなこと知ってんだ?」

「そんなことどうでもいいから早く何とかして頂戴! ガスがまだ漏れてるのよ!?」

 

 

 遅いと思ったのに、私がエネルギー波を連射して徐々に砕いていた壁をかめはめ波一発で吹き飛ばした。

 私の攻撃で壊れかけていたとはいえ戦闘力の一点集中はやはり威力が段違いのようだ。

 これ以上カカロットとの差が広がる前に戦闘力の一点集中を覚えなければ姉の威厳が不味い。

 

 色々思うところはあるが今はガスが充満しようとしているこの場所から逃げることが先決だ。

 私達はガスを吸い込まない内にカカロットが吹き飛ばした壁の穴を潜り抜けて走り出す。

 

 

 ピシリ、と何かが砕けて崩れる音がしたがきっと後ろの壁がさらに崩れた音だろう。

 

 




かめはめ波の威力が高くて罠を脱出できてしまったり、歴史が本格的に壊れ始めました。
次回最初の大きな改変が始まります。


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其之九『激突ピラフ大王』

ピラフ大王とドラゴンボールを奪い合う話。


「お前ら! 人が折角忠告してやったのに無視しおってからに。もう許さんぞ!」

 ガスから逃げ一度外に飛び出すと空からマイク越しの声が響き渡る。

 降って来たのは三種類の戦闘機械。

 

 

「このピラフマシンはとんでもないパワーなのだぞ!! 大人しくドラゴンボールを渡さなかった事を後悔させてやる!」

 

 

 足が長い物、大柄な物、小柄な物、それぞれが合体し一つの戦闘機械となる。

 相手は戦闘機械だから戦闘力は計れないからまずは様子見にエネルギー波を撃つと、ピラフマシンはそれをアームで弾く。

 自慢するだけあって簡単には倒せそうになさそうだ。

 

「撃ち出せマイ!」

「はっ! ピラフ様!」

 

 そして左アームの関節部が逆に折れ曲がり中から銃身が飛び出す。

 そこから私目掛けて雨あられのように放たれた。

 威力がわからない以上生身で防ぐのは不味いと判断。

 銃身の向きから弾を予測して直撃しないようにとにかく走り続ける。

 

「ひっ、ひぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

「危ない!!」

 

 ヤムチャはブルマを抱き抱えて建物に隠れ、ウーロンとプーアルも後に続いて飛び込む。

 

「ロン毛、そのまま役立たず共の面倒を見ていろ!!」

「キャロット! 悟空! お前達も早く逃げろ! 相手はガトリングを持ってるんだぞ!?」

「必要ない! 行くぞカカロット!」

「へへ、そうこなくっちゃ! 伸びろ如意棒!!」

 

 カカロットが如意棒を伸ばしてガトリングとやらを撃ち続けるピラフマシンの左アームを押し出すように弾き、銃口が私からそれる。

 その隙に私は右手にエネルギーを溜めながら一気に距離を詰め、迎撃に振り回される右アームを足場に全力のエネルギー波を至近距離から人の姿が見える胴体のキャノピー目掛けて撃ち込む。

 

 キャノピーは焦げ目と僅かな亀裂が入るだけでパイロットには届いていない。

 至近距離からの大技が決め手にならないとなると、締めはカカロットに任せるか長期戦に持ち込むしかないか。

 

 

「ひぃっ! ピラフ様!」

「落ち着けマイ! 主砲だ! 主砲で迎撃しろ!」

 

 

 足場にしたアームが振り回される前に離脱しようとすると、ピラフマシンの胴体につけられた二門の砲門が開き、私目掛けてビーム砲が放たれた。

 回避は間に合わないから防ぐしかないと腕で防ぐが、勢いに負け吹き飛ばされピラフ城の壁に叩きつけられる。

 

 

 

 衝撃で一瞬息が詰まる。

 

 

 

「姉ちゃん!」

「背後を取ったなら攻撃しろカカロットっ!」

「ふっふっふ、背後にも武装があるんだなこれが! シュウ! 火炎放射だ!!」

「了解!!」

 

 私の方を向きカカロットに背を向けていたピラフマシンだが、下半身の後ろには尻尾のような機関が取り付けられており、その先から炎を出してカカロットを近付かせないように牽制し出した。

 

 その間にピラフマシンが両方のアームでがっしりと私を掴み、カカロットの方を振り向く。

 アームは頑丈で握力も強く振りほどこうと力を入れてもうんともすんとも言わない。

 そんな抵抗する私の姿にアームの力はさらに強まりメキメキと骨がきしむ音がした。

 

 

「姉ちゃんと今言ったな。ふはははははは、このまま姉を握りつぶされたくなければ最後のドラゴンボールを素直に渡すんだな! お前らの内の誰かが持っていることはわかっているんだぞ? さあどいつが持っている!!」

 

 

 どうやら私をダシにドラゴンボールのありかを聞き出そうとしているようだ。

 一人ずつ殺して調べていかないのはドラゴンボールの正確な位置はわからないのだろうか。

 何を考えているのかはわからないがドラゴンボールを渡したからといって見逃してくれるとは到底思えない。

 

「カカロットっ……。言う事を聞くなっ……!!」

「お前は黙っていろ! マイ! もっとアームの力を強めてやれ!!」

 

 

 アームの力がさらに強まりバキバキとどこかの骨が折れた。

 おそらく左腕と、脇腹だろうか。

 

 

「ピ、ピラフ様。も、もう少しアームを緩めた方がよろしいのではないでしょうか?」

「この子死んじゃいますよ?」

「しかしだな。あの壁を壊す化物だぞこいつらは。しっかり拘束しておかんと不安でたまらん」

「姉ちゃんを放せ! 爺ちゃんの形見は渡すから! 姉ちゃんを殺すな!!」

 

 

 姉でありながらカカロットの荷物になるとは情けない。

 こんな戦闘力の低い奴等に後れを取るなんて情けない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は誇り高きサイヤ人の戦士バーダックの娘で、地球人孫悟飯の孫だ。

 こんなところで終われない。終わらせない。終わらせてたまるか。

 

 

 

 

 

 

 

 まだぎりぎり動く右腕に意識を集中させるエネルギーの刃を作り出す。

 土壇場だが出来た。

 戦闘力の一点集中により作られた短い刃はアームを豆腐のようにたやすく切断する。

 

 

 ピラフ達の驚きの声とカカロットの私を呼ぶ声。

 アームから零れ落ちる私の体が地面にぶつかれば痛みでしばらく動けなくなりまた捕らわれの身、最悪の場合もう捕えておくには危険すぎるとトドメを刺されてしまうだろう。

 

 

 だからそうなる前に決めなければならない、ほんの刹那の最後になる攻撃チャンス。

 

 

 刃を青白いエネルギーに変え、どうせできやしない受け身など一切考えずそれをピラフマシンに投げつける。

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで最後だああああああああああああああっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 地球で学んだ戦闘力圧縮方法と、保育器の中で学習の為に見続けた父バーダックのスピリッツキャノン。

 ただの見様見真似だが私が知る限り最高の二つを合わせたエネルギー波がピラフマシンに直撃し、ピラフマシンを空高く打ち上げ爆発四散させる。

 

 

 地面に激突し激痛に耐えながらも無意識に右手を空に伸ばしていた。

 決して届かない空、孫悟飯と父バーダックの背中は遠い。

 それでもほんの少しだけ近づけた気がして嬉しさに痛みを忘れ頬を緩ます。

 

 私は空を掴もうと伸ばした手をぎゅっと強く握りしめた。

 

 




原作のピラフマシンは出るタイミングが遅すぎただけで、タオパイパイを倒した悟空を僅かながらアームで拘束できるパワーを持っていたり、最初のキックで機体が壊れなかったりと強力な兵器だと思います。
そんなピラフマシンのガトリングとビーム砲は懐かしのゲーム『スパーキング』から。
以上、最初の歴史改変によるまさかのピラフマシン先行登場でした。

ファイナルスピリッツキャノンの台詞がバーダックと被っているのは偶然です。
憧れの父と偶然台詞が一致するのも良いなと叫ばせました。
なおピラフ一味は機体が大破しただけでしっかり生きております。

次回ようやく神龍にお願い事です。


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其之十『願い事一つ』

ドラゴンボールで願いを叶える話。


「あんたその怪我神竜に頼んで治してもらいなさいよ」

 ドラゴンボールをピラフ城で見つけ、無事7つ揃えたところでブルマがそんな事を言ってきた。

 

 惚気話からの推測だが、ガス部屋に閉じ込められたり、ガトリングを撃たれたり、私がピンチでもうダメだと思った側にヤムチャが居たりしたので、吊り橋効果で素敵な恋人はヤムチャが居れば必要ないと思うようになったらしい。

 ヤムチャの女が苦手なのも、同じく緊張状態の中ブルマと一緒にいた事で改善されたようだ。

 

 

 

 ヤムチャもドラゴンボールを使うつもりがなくなったということは願いは『女が苦手なのを克服』といったところか。

 誰もかれもしょうもない願い事ばかりである。

 

 

 

「つまり願いは私に一任する、ということでいいのか?」

「あんたその怪我を放って他の願いを叶える訳?」

「骨が少し折れているだけだ。その内治る」

 

 問題は実験不足で何を願ったらいいかが迷っているところか。

 出来る事なら今回の願いで不老不死になりたいところだが、永遠の命を与える不死鳥という鳥が食中毒で死んだということを亀仙人と亀が話していた記憶がある。

 

 さらに言うと、もしも不老不死で体の成長と共に戦闘力の成長まで止まってしまったら、永遠にこの星を支配できないまま生き続けるなんて事態になりかねない。

 

 そんなこんなでまだ願いを考えているというのに「いでよ神龍。そして願いを叶え給え」とブルマが神龍を呼び出してしまった。

 昼間なのに空が暗くなりドラゴンボールが光輝くと巨大な龍がその姿を現す。

 

 

 

 

「さあ願いを言え。どんな願いでも一つだけ叶えてやろう」

 

 

 

 

 待ったをかけておけばよかったと後悔するが呼び出されてしまったものは仕方ない。

 無難に適当な願いでも叶えるとしよう。

 

 

 

「私の育ての親、孫悟飯を生き返らせることは可能か?」

「死亡したものを蘇生することは可能だが、その者は天寿を全うした。魂に宿る命を使い果たし自然死した者を蘇生することは出来ない」

 

 何でもという割には出来ないことがやはりあるらしい。

 孫悟飯にまだ挑む為に生き返ってもらいたかったが残念である。

 

「キャロ……残念だったわね。その、気を落とさないで」

「スポーツ用パンツ、そんな憐みの目で私を見るな。ただたんに死者を生き返らせられるかを聞いただけだ。別に私はまた爺様と暮らしたかった訳ではない」

 そう、思うことにした。

 

 

「ならば私を宇宙一強くしろ」

「それは無理な願いだ。私は神によって生み出された。したがって神の力を超える願いは叶えられん」

 

 

 どうやらこの願いも無理なようだ。

 叶えられる願いの幅が少ないのではないかと疑ってくる。

 

 

「なら、戦闘力の伸びはそのままに私を不老不死にしろ。不老不死の定義は傷ついたり死んだりしても常に健康な状態まで体が元通り再生するものとする。こいつも叶えられないかトカゲ野郎!!」

「成長する不老不死は矛盾している。不老不死にすることだけならばたやすい願いだ」

「戦闘力が伸びないならいらん!! スポーツ用パンツ、こいつ全然使えないぞ!! どういうことだ!?」

「不老不死になれるんなら十分だと思うけど、あんたも欲張りね」

 確かに戦闘力が十分にあれば魅力的な願いであるが、戦闘力が未成熟な私にとって死よりも恐ろしい願いだ。

 

 

「最後の確認だ。戦闘力の向上はそのまま、このくらいの傷ならすぐに完治する体にしろ。そのくらいなら出来るだろう?」

「不老の定義をそこまで下げるのであれば力の増加は問題なく行える。不死ではないが願いはそれでいいか?」

「ああ、さっさとしろ」

 

 

 痛みに耐えながら色々考えるのがバカバカしくなってきたので傷を治す事を優先する事にした。

 傷の治りが早ければ格上との戦いで長期戦がしやすく有利に戦えるだろう。

 

「願いを叶えられなかったサービスだ」

 

 神龍の目が光ると体から痛みが消え、ピラフマシンの攻撃でボロボロになり血と泥で汚れた道着も綺麗になる。

 どうやら傷と一緒に道着も直してくれたらしい。

 

 

 

「願いは叶えてやった。ではさらばだ」

 

 

 

 神龍が消えるとドラゴンボールが宙に浮きあがり四方八方に飛んでいく。

 やはり世界中に散らばっていたのにはこういう理由があったようだ。

 

「ドラゴンボールみんなパーって飛んでっちまったぞ!!」

「あ、ごめんなさい。あんた達のお爺ちゃんの形見だったのよね。すっかり言い忘れていたわ」

「姉ちゃんの怪我は治ったし……ま、いっか。もう一度あつめれば」

 

 相変わらずカカロットは軽い奴だ。

 一年後探せるようにとカカロットはブルマからドラゴンレーダーを貰っている。

 

 

 この後ブルマはヤムチャ達と共に西の都に帰るらしく一緒に来ないかと誘われたが、カカロットは亀仙人の爺に弟子にならないかと誘われているのでそちらに顔を出すようだ。

 ブルマの頭脳も利用価値があるし都の様子を見てみたいところだが、まずは基本戦闘力がなくては話にならない。

 

 あまりあのエロ爺には会いたくはないが、戦闘力を伸ばす事を優先して私もカカロットについて行くとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 日が暮れ筋斗雲から落ちないようにカカロットに掴まっている最中。

 今日は満月だったようでカカロットが大猿になり危うく殺されかけたけど、私はこの辺境の地で今日も元気に生きていきますとも、ええ。

 

 




不老不死は戦闘力が上がらないというのは、強さを求めるブラックゴクウが不老不死を願わずこの体だけで十分だと言ったところから考えました。(ただのサイヤ人の体に引っ張られた慢心だと思いますが)
キャロットの願いの効果も物語が進むごとに詳細が判明して行く事でしょう。


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其之十一『カメハウス』

カメハウスで亀仙人と雑談する話。


 カカロットと死闘の末、尻尾をエネルギーの刃で切断する事でなんとか生き延びる事が出来た。

 何も覚えていないカカロットの能天気な反応に私も月を見て大猿同士の殴り合いをすればよかったと思った私は悪くない筈だ。

 

 兎にも角にも簡単な荷物をまとめ亀仙人のいる家に向かった訳だが。

 

 

 

「おお、ぱふぱふ娘もおるではないか」

「先に言っとくがアレはブタが化けた偽物だからな」

「なんじゃおぬしじゃなかったのか。恥じらいがないからおかしいと思ったわい」

 

 

 

 あの約束は私が我慢する姿を見て楽しみたかっただけだったのか、亀仙人は残念そうにしているもののそれ以上追及はしてこなかった。

 

 

「わしの修行はちーっと厳しいぞ」

「構わねぇよ。オラ亀仙人のじっちゃんより強くなりてぇんだ!」

「なるほどのう。わしより強くなりたいか。じゃが、タダでは修行はさせんもんねー」

「私に何かしてみろ。これ以上屈辱を味わうくらいなら貴様と戦って死を選ぶ」

「本気で言っている辺りキャロットは融通利かないのう」

「エロ爺が全面的に悪いだろう! 少しは自重しろ!」

 

 

 この爺はなんだかんだ言って突然襲ってきたりはしてこない。

 あくまで約束を取り付けて卑猥なことをしてくるだけだと今のところは信じている。

 というよりもそうでることを願っている。

 

 

「それじゃあ条件じゃが、キャロットに代わるピチピチギャルをここに連れてこい。じゃったら修行させてやってもええぞ」

「貴様に卑猥なことをさせてくれる女などこの世にいるものか。神龍でも呼び出せんぞ」

「別にセクハラ目的じゃないわい! 可愛い花が増えた方がわしもやる気がでちゃうなー」

 

 

 やはりロクな理由ではなかったが、私の代わりに卑猥な行為を受ける奴が居たら助かる。

 ここは少し不安だが筋斗雲に乗れるカカロットに女を連れて来てもらうことにしよう。

 

 

 

 

 亀仙人と二人きりで無駄な抵抗として戦闘をする覚悟を決めていたが卑猥な事をされる事はなかった。

 代わりに麦茶を出され孫悟飯との暮らしについて聞かれる。

 私が地球の人類を絶滅させる目的で送られた事や今は地球の支配を考えている事は伏せて孫悟飯との暮らしを話し、最後は満足そうに天寿を全うした事を伝えると亀仙人は「あやつらしいわい」と微笑みながら私の頭を撫でてきた。

 

 頭を無許可で触られたが、卑猥な事をされた時のように嫌な感じはしない。

 だが嫌ではないが嫌だ。

 頭を撫でられるなど戦闘民族にあるまじき姿である。

 

「触るなエロ爺」

「ほっほっほ、お主に必要なのは人との交流じゃ。女友達を増やしおしとやかさを学ぶとよい」

 

 自分の心を見透かされているようで嫌な気分だ。

 私は亀仙人が様々な面で苦手である。

 

 




武天老師こと亀仙人はキャロットには色々な人との交流、特に同世代か少し年上の女性と過ごさせて女の子らしさを学んだ方が良いと判断し、半分エロもう半分がキャロットの為にピチピチギャルを要求しました。
心をある程度読める仙人で真面目な時は真面目な亀仙人なので、エロだけではなくこういうお爺ちゃん的な面も少し出していきたいと思います。
それでもセクハラをしてしまうのが亀仙人な訳ですが。


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其之十二『新たな出会い』

新たな仲間と出会う話。


 カカロットがピチピチギャルを連れて来るというお題にてこずっていると、微弱な戦闘力が近付いて来た。

 舟をこいでカメハウスに近づいてくる男の戦闘力はこの星の平均を少し上回る程度で、舟から恰好をつけて回転ジャンプしたところ失敗して砂浜に頭から突っ込んでいる。

 

 男はクリリンといい亀仙人の弟子になる為、はるばる東の村から海を渡って来たらしい。

 

 亀仙人は滅多に弟子を取らないと断ろうとしたが、スケベな事も有名なのかそれともクリリンもどこかずれているのか、卑猥な本をプレゼントする事で取り入っている。

 

 

「ところで武天老師様。あちらにいる可愛い子ともう一人は?」

「悟空とキャロットの事か。わしの弟子孫悟飯の孫でな。お主と同じ弟子候補じゃ」

「そうでございましたか! わたくしクリリンと申します。どうぞお見知りおきを!!」

「オッス、オラ孫悟空だ!!」

「挨拶したのは君にじゃないんだがね」

 

 

 わかりやすく下心のある男だ。

 案の定『女の子にモテたい』という理由で武道を始めたらしく、カカロットとピチピチギャルを探しに行く時、筋斗雲に乗れずにいた。

 

 今まで会ってきた人間が人間だ。

 この星は筋斗雲に乗れる人間の方が少ないのではないかと思いながら、ピチピチギャルを探しに出かける二人を見送る。

 

 

「おいエロ爺、滅多な事では弟子を取らないんじゃなかったのか」

「ほっほっほ、競い合う友が居た方が修行が身になるからのう」

「まともな事を言いたいなら、まずはその卑猥な本を読むのを止めろ」

「キャロット、心に余裕がないのはいかんぞ」

「自分より強いエロ爺と一緒にいて心に余裕を持てるか」

 

 

 今は大人しいが今後どんなことを要求してくるか分かったものではない。

 強くなる秘訣を盗み出したらこんな所すぐにでも出ていくつもりだ。

 亀仙人と二人きりという状況に再び身構えながらしばらく待つと、カカロットとクリリンが女を連れて帰ってくる。

 

 女はランチというらしく、危ないところをカカロットに助けられたらしい。

 亀仙人が「ここでのんびりと暮らしてみないか」と誘うと、追われている身なので丁度落ち着ける場所が欲しかったとランチは喜んでその誘いを受け入れた。

 ランチは私よりも亀仙人好みの女らしいスタイルをしているので、ランチが居る間は安全になると思いたい。

 

 

 筋斗雲に乗れる清い心を持つランチだが、ここは原住民が一癖も二癖もある地球という星。

 当然ながらランチも変なところがあり、くしゃみをすると性格が狂暴な人格に変わるようだ。

 

 

 亀仙流のユニフォームだと偽り、ランチだけではなく男もビスチェ姿という異様な光景。

 私だって意識が目覚めた瞬間にこのような状況になっていたら警戒を通り越して即攻撃しているだろう。

 

 

 

「なんだてめぇらは!!」

 

 

 

 だから悪いのは全て亀仙人だ。

 銃を取り出し乱射し出すランチに対し、私はカカロットとクリリンの頭を掴んで後ろに下がり亀仙人の体を盾代わりに使った。

 

 私に亀仙人と戦える戦闘力があれば一緒に攻撃していたのに残念である。

 

 

 




ドラゴンボールの良心クリリンと途中退場するには惜しいランチ登場。
今回もどちらかといえば亀仙人と会話する話なので、ランチとの絡みは次回やろうと思います。


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其之十三『海の珍味』

海の珍味を料理する話。


 カメハウスのある小島では修行するには狭すぎると引っ越す事になった。

 人口300人程度の自然あふれる大きな島にボートで移動し、ホイポイカプセルにしたカメハウスを元の家に戻せば引っ越しは完成である。

 拠点をこのように持ち運べるホイポイカプセルは実に便利だ。

 

 今日は身体能力を測るだけとの事なので、私はランチと共に夕食の買い出しをする事にした。

 

「見てキャロット。市場のおすすめですって」

「フグが市場に置いているとは驚いたな。確か珍味書によると一部に毒があり調理するのが難しいようだ」

「あら、そうなの? キャロットが居なかったら私普通に買ってお料理しているところだったわ」

「そいつは危なかったな。だが市場で置いている以上この島ではフグをさばける奴は多い筈。少し鮮度が落ちてしまうが誰かにさばいてもらおう。せっかくの珍味を食べないのは損だ」

 

 魚市場の人間に聞くと目の前で簡単な説明をしながらフグをさばいてくれた。

 せっかくフグが食べられるチャンスなので大量に買っておく。

 

 今日はフグの鍋である『ふぐちり』、『フグの刺身』、『フグの唐揚げ』、『フグ皮の刺身』に鍋にさっと入れた『フグ皮のしゃぶしゃぶ』、締めに鍋を『雑炊』にして食べるとしよう。

 

 

「キャロットはお料理が上手なのね」

「この星の食は素晴らしいからな。私などまだ遊び程度だ。ランチの方が手慣れているだろ」

「そんなことないわ。私フグのことも知らなかったし、キャロットが居てくれてとても助かっているのよ?」

 

 

 二人でテキパキと調理しながらも会話が弾む。

 こうして誰かと料理のことを話すのは初めてでとても新鮮だ。

 

 

 

 

 

「へっくしょん」

「料理中にくしゃみをするなランチ」

「あ? なんだてめぇは!?」

「二重人格だかなんだか知らないが、手伝わないなら大人しく待ってろ。見ての通り料理中だ」

「お、おぅ……待たせてもらうぜ」

 

 

 

 

 どうやらこちらのランチは料理をしないようで、包丁をしばらく見つめた後それを置いてソファーに座る。

 

 

「で、何なんだてめぇは。見たところ刑務所じゃないみてぇだが、ここはどこでオレとはどういう関係だ?」

「関係は知り合ったばかりだから私に聞くな。とりあえず貴様はここに住んでいて私が出す飯を食う。それでいいだろ。邪魔したり残したりしたら承知せんからな」

「なんだよそりゃ。てめぇその年で一人暮らしか?」

「私より小さなガキが二人とエロ爺が居る。エロ爺は撃っても死なないが目障りなら撃っておけ」

「訳わかんねぇが……オレを気にせず料理し続けるガキなんて気に入ったぜ。てめぇオレの子分になるか?」

「私が親分なら考えてやる」

「くっくっく、キモが座ったガキだぜ。それにしても旨そうな匂いだな。唐揚げ一つ貰うぜ」

「つまみ食いは構わんが、食い過ぎて雑炊を食う余裕をなくすなよ。雑炊ありきの鍋だからな」

 

 

 子分になるのはごめんだが、何だかんだでもう一人のランチとも会話は弾んでしまった。

 

 




地元の人にさばいてもらった為、食中毒は避けられました。


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其之十四『修行はじまり』

修行が始まる話。


 私とランチは二階で一緒のベッドで眠り、エロ爺が何かしてこないようカカロットは見張りとして部屋の外の廊下に家から持って来た布団を敷いて眠ってもらっている。

 布団が足りなくて私の荷物である布団をしぶしぶ貸し、亀仙人とクリリンは一階で寝ている形になった。

 

 私の布団一つで喜ぶ男二人に私はどうすればいいだろうか。

 エネルギー波を放とうかどうか真剣に迷うが、たかが布団で怒るのも馬鹿らしい。

 今は亀仙人の方が遥かに強いのだから諦めて好きに使わせる事にした。

 

 

 早朝から修行が始まるというので4時に起き、亀仙人が来る前に道着に着替えておく。

 ベッドから抜け出す時にランチを起こしてしてしまったようだ。

 もぞりとベッドのシーツがこすれる音が聞こえた。

 

 

「……どこに行くんだてめぇ」

「トレーニングだ。起こして悪いな」

「朝飯には帰れよ」

「エロ爺次第だ。朝は作り置きをしておくから勝手に食え」

 

 

 まだ早朝と早い為、ランチは私の言葉を聞くとポフリと枕に頭を沈めまた寝始めた。

 ドアを開けまだ眠るカカロットの頭をまたいで通り、一階のキッチンへと向かう。

 

 早朝の特訓とやらがどんなものかは知らないが、ランチと私達の朝食にサンドウィッチでも作っておこう。

 肉がないと昨日夕食抜きにされたカカロットがうるさそうだ。

 何枚かカツを揚げてカツサンドも作っておく事にしよう。

 

 

 

 カツの香りに釣られてカカロットが起きて来た。

 作ったサンドウィッチのほとんどを食べられてしまったが、注意してランチの分は残させる。

 そんなやり取りに亀仙人とクリリンも目を覚まし、程よい時間だと早朝の特訓が開始された。

 

 

 

 早朝の特訓内容はいたってシンプルだ。

 広い島中をランニングして牛乳配達し、朝食前に素手で農家の畑耕しを手伝う。

 言葉にする以上に体力を消耗する内容だが、戦闘力のコントロールと関係ない肉体労働だ。

 

 朝食は外食で済ませ昼までは勉強。

 おつむの弱いカカロットに教える手間が省けて助かると言えば助かるのだが、国語という授業で卑猥な文章を読ませるのはどうかと思う。

 まず亀仙人自身に倫理を学ばせたいところだ。

 

 

 昼食が終われば昼寝タイム。

 よく動き、よく学び、よく遊び、よく食べ、よく休む。

 これが亀仙流の修行であり、孫悟飯や牛魔王もやった修行らしい。

 

 

 想像していたものと全然違う。

 確かに持続し続ければ戦闘力が上がるとは思うのだがのんびりとし過ぎている。

 これなら朝から晩までカカロットと組み手をしていた方がまだ戦闘力の伸びしろが良い気がした。

 それに戦闘力のコントロールについては一切触れられていない。

 やはり秘伝で簡単には教える気がないのだろうか。

 

 

 その次の修行が工事のアルバイトであり、体力作りと金稼ぎを同時にこなすらしい。

 私とカカロットの食費を考えると必要な事だが、そろそろ修行らしい修行をしてもらいたいところだ。

 カカロットとクリリンは8カ月後にある天下一武道会に参加するんだと意気込んで体を動かしているが、くだらない祭り事よりも目の前の亀仙人を超えなければならない私はこの無駄な時間の浪費に対していら立ち始めていた。

 

 

 

「やっぱりキャロットさんは悟空のお姉さんだけあって凄いですね」

「何がだ、ハゲ頭」

「ハゲ……名前で呼んでくださいよ」

「私より強くなったら認めて呼んでやる。それで何がだハゲ頭」

「いや、僕達がひいひい言ってる修行を息を切らさずこなしてるじゃないですか」

 

 

 

 確かにまだ息を切らしていないがもう体力はいっぱいいっぱいで疲れ切っている。

 早いところこんな泥くさい作業終わらせてしまいたい。

 

 

「貴様の体力がなさすぎるだけだ。喋ると余計に疲れるぞ」

「ははは、キャロットさんってキツイようで優しいですよね」

「変に聞き取っているなら耳鼻科へ行け」

 

 

 そして工事のアルバイトが終わると今度は水泳だ。

 これも運動としては優れているが特別なものではない。

 どうやら亀仙人は基礎体力作りを重点的に行うつもりのようだ。

 

 正直ここで止めてしまいたいが、ここで止めたら続けているカカロットに負けた気がする。

 例え馬鹿らしい体力作りだとしても、姉としての威厳をカカロットに見せなければならない。

 

 

 

 泳ぐ為に道着を脱いで下着だけになると、亀仙人とクリリンがじっと私の事を凝視していた。

 

 

 

 

 

「ハゲ頭共、修行だというならさっさと始めさせろ。でなければ山に帰らせてもらうぞ」

 

 

 

 

 これが修行だというのならいやらしい目で見ないでもらいたいところだ。

 こんな事ならブルマについて行った方が良かったかもしれないと私は後悔した。

 

 




戦闘力のコントロールを盗むつもりで来ていた為、亀仙流の修行に不満がある模様。
でもなんだかんだでランチとは仲良くやっているキャロットでした。


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其之十五『修行で得たもの』

修行で得たものの話。


 20キロの甲羅を背負いながら初日と同じ特訓を毎日続けさせられている訳だが、ある日ふと思った事がある。

 この星の重力が軽過ぎるせいで想定より戦闘力の伸びが悪いのではないだろうか。

 

 こうして甲羅を背負いながら遠回りな基礎体力作りをしているだけで、徐々にだがスカウターで確認できる私達の戦闘力は上昇していっている。

 もしかすると今まで体に掛かる負荷が少な過ぎたのかもしれない。

 ブルマに宇宙船を直して貰い、一度惑星ベジータに帰還して体を鍛え直すべきだろうか。

 

 いや、惑星ベジータは不味いか。

 侵略者として何の成果もあげられていないので、帰ったら役立たずの烙印を押されてしまう。

 この近くに重力の大きい手軽に行き来できる惑星があれば嬉しいところだ。

 

 

「そういえばキャロットさん。何で悟空の事をカカロットって呼ぶんです?」

「姉が弟を本名で呼んで何が悪い」

「え? じゃあ俺もカカロットって呼んだ方がいいですかね?」

「カカロットって名前よりじっちゃんが付けてくれた悟空って名前の方が好きだ。それによ、クリリンまでそう呼んで来たら、オラ姉ちゃんの名前とこんがらがっちまうよ」

「ははは、カカロットとキャロットって響きが少し似てるもんな」

「貴様は爺様が付けた名を大事にするといい。カカロットという名は私が覚えていれば十分だ」

 

 

 甘いカカロットはサイヤ人の本業である惑星の侵略行為を認めないだろう。

 だから私がもしも任務を達成しても惑星ベジータにカカロットを連れて帰る事は出来ない。

 目の前にいるのは使命を忘れて地球人になってしまった孫悟空なのだ。

 だったらせめて地球人として暮らさせてやるというのが姉の情けというものである。

 

 

「お前、あんまり自分の姉さん困らせるなよ?」

「姉ちゃん困ってるんか?」

「いつも貴様には困らされてばかりだが、貴様はやりたいようにやれ。骨くらいは拾ってやる」

 

 

 私が任務を放棄しない限りどんな形であれ必ずカカロットとの別れは訪れる。

 とうの昔に覚悟していた筈なのに、戦闘力が上がるにつれ地球の支配という目標が僅かながら現実味を増していき、最近その事ばかり考えるようになった。

 カカロットの甘さが移ってしまったのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今は余計な事は気にせず、どうすれば亀仙人を超えられるかだけを考えるよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 基本戦闘力が上がったとはいえまだ私の戦闘力50と100には届かない。

 戦闘力を解放した亀仙人を超えるのは程遠い数値だ。

 圧縮で底上げした戦闘力60のスピリッツキャノンを撃っても正面から防ぎきるだろう。

 見様見真似では限度があると数値で思い知らされた。

 

 戦闘力のコントロールに日々意識を向けてきた成果なんて酷いものだ。

 色々試した結果、自分の戦闘力を0近くにまで下げる事が出来た。

 戦闘力を向上させたいのに、なぜ下げる方法を編み出してしまったのだろう。

 

 

 この分だと地球を支配するのは当分先になるなと私の口元が緩む。

 そこでようやく自分が安心してしまっていた事に気付き、私は唇を強く噛み締めた。

 

 




仲間との生活が心地よくて、力による地球支配すらも躊躇い始めたようです。


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其之十六『なりそこない』

とても悩む話。


 天下一武道会まで後3カ月。

 確か世界中の強豪達が集まる大会とか言っていたか。

 大会に出場する奴等が全員亀仙人のように戦闘力をコントロール出来る連中だったら、力による支配は無理だと諦めがつくだろうか。

 

 だが星を侵略できなければ私は惑星ベジータに帰る事は許されない。

 父バーダックに、母ギネに、兄ラディッツの元に帰る事が出来ないのだ。

 

 カカロットのように記憶を失くしたままならどんなに楽だっただろう。

 記憶を失わず孫悟飯に出会う事無く地球人を虐殺していたらどんなに楽だっただろう。

 今の私はサイヤ人にも地球人にもなり切れない中途半端ななりそこないだった。

 

 

 

 ドラゴンボールに願えば誰も傷つける事なくこの星の支配者になれるだろうか。

 支配者になった後も、カカロットやクリリン達は今と同じ態度で居続けてくれるだろうか。

 答えは出ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「カカロット。もしも私が悪い事をしようとしたらどうする?」

「ん? 姉ちゃん悪い事なんてしないだろ」

「例え話だ。意味もなく人を殺そうとしたらどうする? 闘ってでも止めるか?」

「じっちゃんが人殺しはよくねぇって教えてくれただろ。変な姉ちゃんだな」

「そうだな。カカロットはそれでいい」

 

 

 

 

 

 答えが出ないから私は考えるのを止めた。

 私が世界の支配を初めそれが悪い事だと知ればカカロットは必ず反対し、()()()()()()()()

 そんなカカロットに私の人生を預けてみるのも悪くはないか。

 

 3カ月後の天下一武道会。

 参加者の戦闘力が低く私が優勝するような事があればこの星の支配を目的に本気を出す。

 カカロットが優勝するようであればこの星の支配はカカロットに免じて諦める。

 他の奴が優勝するようなら、今まで通りなりそこないのまま迷い続けよう。

 

 自分で決められないから他者に身を委ねている情けない道だが後悔はしたくない。

 やるならば戦闘種族サイヤ人の誇りに懸けて全力で勝つ為に己を鍛える。

 

 

 朝から夕方は亀仙流の修行に打ち込み、夜は戦闘力のコントロールの練習を自己流で行なう。

 そんな生活を続けているある日の夜、外で自己鍛錬中に亀仙人がやって来た。

 

 

 

「キャロット。やりたくない事を無理にせんでいいんじゃぞ?」

 

 

 

 修行の事や天下一武道会に出る気になった事、だと思うが亀仙人の表情は珍しく真剣だった。

 せっかく覚悟を決めたのに、その覚悟すらも揺らぐタイミングで揺らぐ言葉を掛けるのは止めてもらいたい。

 

「自覚はないかもしれないが、お主は優しい子じゃ。このまま穏やかに暮らす事を孫悟飯は望んでるじゃろう」

 

 それで納得出来たらこんなに悩んでいない。

 孫悟飯を祖父と認めてしまい、だけどサイヤ人である父バーダックと母ギネを否定出来ないからこんなに苦しいんだ。

 

 

「複雑な家庭のようじゃな。いや種族か。そんな決まり事に囚われる必要がどこにある」

「エロ爺。なぜそんな言葉が出て来る。貴様、まさか心が読めるのか? 私の心を盗み見たのか?」

「もっと心を鍛えんと、わかってしまう者にはわかってしまうものじゃ」

「エロ爺に心を覗き見されるなんて反吐が出る。今すぐやめろ」

「じゃが、抱えているものを誰かと共有すると少しは身軽になるじゃろ?」

 

 

 私が地球侵略の為に送り込まれたと知られても態度を変えないのには確かに安心感を覚えるが、それとこれとは話は別である。

 心を見られるなど体を見られるよりよほど屈辱的だ。

 

 

「武道会で優勝したら真っ先に貴様を殺してやるぞ、エロ爺」

「ふぉっふぉっふぉ、そんな()()が言えるならもう大丈夫じゃろ」

「だから心を読むな!」

「今のは読んでないもんね~」

「本当に殺すぞ!」

 

 

 覚悟を決めた筈なのに結局私はなりそこないらしい。

 こんな甘い私を、父と母は許してくれるだろうか。

 もしも許してくれるなら、この星で家族と共に暮らしていきたかった。

 

 




悩んで、迷って、迷走して、また振り出しに戻るキャロットでした。


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其之十六『迷走武道会』

無事予選は突破する話。


 天下一武道会に出場する為、正装に着替え飛行機に乗って南の都まで移動し、都からはタクシーで移動する。

 結局私はどっちつかずのなりそこないのままだが、大会には戦闘力調査で参加する事にした。

 

 亀仙流の道着を作ってもらったが、私は強さの秘訣を盗みに来たのであって弟子ではない。

 いつもの道着で出場する事にすると亀仙人に「いじっぱりじゃのう」と笑われた。

 また心を読まれたのではないかと疑うも亀仙人が言うにはわかりやすい性格なだけらしい。

 やはり亀仙人は少し苦手だ。

 

 

 

 いざ予選が始まった訳だが拍子抜けする程相手が弱い。

 闘った中で多少マシだったのは怪獣ギランだけだった。

 

 だが、ジャッキー・チュンなんて名前で変装した亀仙人が参加しているのを見掛けた。

 そこまで私を優勝させたくないのかあのエロ爺は。

 対策は練っているが、まだ基礎戦闘力が足りていないのだから大人しくしていてもらいたい。

 

 

「悟空。キャロット。おめでとう! 武道会出場だな!」

 

 

 まだ唯一本戦出場が決まっていないクリリン最後の試合をカカロットと見ていると、髪の毛を短く切ったヤムチャが話し掛けて来た。

 この大会を目指して修行していたらしいがあまり戦闘力が伸びていない。

 大会の優勝は亀仙人、戦い方次第ではカカロットや私も僅かながら可能性があり、大穴はクリリンと言ったところか。

 流石にヤムチャの戦闘力ではどんな戦い方をしても優勝は無理だろう。

 

 

「喜べハイエナ。貴様が絶対に勝てない相手が3人いるぞ」

「ロン毛の次はハイエナか。砂漠のハイエナはもう辞めたから普通に名前で呼んでくれ」

「呼ばれたければその低い戦闘力を何とかするんだな」

「くそう、強さを計る機械を付けられて言われると傷つくぜ。こりゃ初戦突破も危ねえな」

 

 

 ヤムチャと軽く話をしている間にクリリンの本戦出場が当然のように決まる。

 戦闘力100を超える実力者はこんなレベルの低い祭り毎に興味はないようだ。

 

「そういや悟空にキャロット。ブルマ達も武道会場に来てるんだぞ」

「え!? ほんとか!?」

「特にブルマはキャロットに用事があるみたいだったから、会ってやってはくれないか?」

「私もブルマに用事があったところだ。カカロット、探しに行くぞ」

 

 

 予選会場から出てしばらく観客席を探すとカカロットがブルマ達を見つけた。

 変装を解いている亀仙人も何食わぬ顔で一緒にいる。

 

「おいエロ爺。あれは何のつもりだ。私への嫌がらせか?」

「悟空とクリリンの為じゃ。あの年で優勝なんてしてみい。調子に乗って堕落するわい」

「カカロットはともかく、ハゲ頭はありそうだな」

「まったく、そのスカウターとやらは厄介じゃの。祭りの日くらい置いてこんかい」

 

 どうやら私への嫌がらせではなく弟子達の成長の確認と今後も修行をさぼらないよう活入れとして参加したらしい。

 確かにこの地球にはもっと強い奴はいくらでもいるのだから、ここでトップレベルである亀仙人が実力を見せるのは二人にとっていい刺激になるだろう。

 一応納得はしておいた。

 

 

「ちょっとキャロ。私を無視してひそひそ話しないでもらえる?」

「悪いな、スポーツ用パンツ。待たせた」

「あんたが謝るなんて珍しいわね」

「そんな事はどうでもいいだろう。用事があるんじゃなかったのか?」

「そうそう、これ見てみなさいよ。ジャーン!」

 

 

 ブルマは得意げな顔をしてポーチの中からスカウターを取り出して見せた。

 

 

「一から作ったのか」

「ふっふっふ、天才ブルマさんに不可能はないのよ。だけどね、これ変なのよ」

「やはり再現は難しかったのか?」

「違う違う。ちゃんと戦闘力を計る機能はついてるんだけど、妙な空洞が内部に出来ちゃってね。この機械に通信機能とか付いてないの?」

「戦闘において情報は命だ。付いているに決まってるだろう」

「やっぱり。あんたのそれ、その通信機能が丸々取り除かれてるわよ」

 

 

 ブルマの言葉に一瞬頭が真っ白になった。

 不良品をつかまされたのだろうか。

 いや、壊れているならともかく通信機能だけ取り除かれた不良品なんてない筈だ。

 なら取り外されていたと思うのが自然である。

 

「ちょっとキャロ、顔色悪いけど大丈夫?」

 

 何の為に外されたのか、なぜ母星と連絡させないようにしたのか。

 嫌な考えばかりが、ありえない考えばかりが私の中でぐるぐると周る。

 

 たった戦闘力2だった私は、捨てられたのだろうか。

 父と母の言葉を覚えているのに、一瞬でもそう思ってしまったのが許せなくて拳に力が籠る。

 

 




ありえないとわかっていても、理由がわからなくて不安になるキャロットでした。


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其之十七『姉弟対決』

姉と弟が対戦する話。


 くじ引きで対戦相手を決める訳だが、一戦目からカカロットと戦う事となった。

 

「姉ちゃんと戦うの久しぶりだな」

 

 カカロットの能天気さが妬ましくも羨ましい。

 怒りに身を任せて戦うのは自分勝手な八つ当たりだとわかっている。

 わかっているが、やり場のないこの気持ちをぶつけられる相手がカカロットしかいなかった。

 

 

 拳を撃ち込み合い、受け流し合い、時には当て、時には当てられ正面からぶつかり合う。

 

 

 戦闘力はカカロットの方が上だ。

 このまま正面からの殴り合いを続ければいつか一方的に私が殴られるだけになるだろう。

 

 そうなる前に不意を衝いて一気に決めなければ私の勝機は薄い。

 右の拳に戦闘力を集め威力を高める事で想定以上の衝撃を与え強引にカカロットのガードを崩し、左ブローを腹部に食い込ませ怯ませ、そのまま回し蹴りを後頭部に叩き込む。

 

 この程度の攻撃でカカロットが倒せるとは思わないし、一度威力を変化させて見せてしまったから二度目は的確に受け流してしまうだろう。

 カカロットに勝つにはこのタイミングでさらに追撃を仕掛ける必要がある。

 ダウンしたカカロットに全力のスピリッツキャノンを叩き込んだ。

 

 

 

「へへへ、姉ちゃんもやっぱ強くなったな。今のは効いたぞ」

 

 

 

 それでもカカロットは嬉しそうに立ち上がって来た。

 ダメージは大きかった筈なのに動きは全く衰えず真っ直ぐ向かってくる。

 サイヤ人としての記憶がない筈なのに、私よりもずっとサイヤ人らしく戦闘を楽しんでいた。

 

 

 殴り、殴られ、蹴り、蹴られ、初めの内は攻防になっていたそれは次第にノーガードでの殴り合いになっていく。

 

 戦うのは私も好きだ。

 こうやって戦いを楽しめている間は自分もサイヤ人なんだと実感が湧ける。

 それでも迷いが、悩みが、どこまでも私の後ろからついてくる。

 こんなの全然サイヤ人らしくない。

 だから私は―――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、皆でどこかに逃げようよ」

「ダメだ。俺達はスカウターですぐに見つかってしまう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カカロットの拳を受けると同時に母ギネと父バーダックの言葉が脳裏を過る。

 何から逃げようとしているのかは理解出来なかった。

 それでも私が侵略目的で飛ばされた『飛ばし子』ではなかったと思う事が出来た。

 役立たずで捨てられた訳でもないという事は理解出来た。

 銀河パトロールに気を付けろと最後まで身を案じてくれていた。

 

 

 今思えば私の両親もサイヤ人らしくない優しさを持っていたなと頬が緩む。

 

 

 言葉を覚えていた筈なのに、なぜこんな簡単な事に気づけなかったのだろうと自分が馬鹿らしくなってくる。

 これだけのことで吹っ切れるのだから、カカロットの事を単純な奴だともう馬鹿に出来ない。

 

 

 だって、私の方がよほど単純で、よほど馬鹿だったのだから。

 

 

 互いに楽しみながら殴り合いは続く。

 結局殴り合った末、先に私の体力が尽きて倒れてしまい勝負は負けてしまった。

 悩み事は吹っ切れたが負けたのはやはり悔しい。

 次は勝つ為にもっと鍛えようと思う。

 

 

 

 

 

 この後カカロットは決勝戦まで勝ち進み、ジャッキー・チュンを名乗る亀仙人と比較的いい勝負をしていたが、今日は満月でよりにもよってそんな日に尻尾の再生が終わり、カカロットは大猿になってしまった。

 

 カカロットに人殺しをさせたくないので直ぐにエネルギーの刃で尻尾を切断しておく。

 私よりも強い癖して本当に手のかかる弟だ。

 

 

 そんな弟と二人で、地球で出来た仲間達と共に、私はこの辺境の地で両親が迎えに来てくれると信じて生きていきますとも、ええ。

 

 




思いっきり暴れて一先ずは色々吹っ切れたキャロットでした。
これからはサイヤ人らしくない自分と向き合って生きて行く事でしょう。
それでもあらすじの内容は変わらず、物語は進んでいきます。

キャロットの上下に激しく、殴られると思い出すポンコツ機械じみた精神の波をこれからも見守ってくれると幸いです。


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其之十八『新たな修行』

新しい修行法を試す話。


 天下一武道会の後、カカロットは再びドラゴンボールを探す旅に出た。

 ついて行こうにも私は()()()()()()()()()()()()()()し、何よりもカカロットと同じ事をしてもカカロットを超える事は出来ない。

 

 孫悟飯の形見はカカロットに任せて、西の都でブルマに色々と世話になる事にしよう。

 

 

「スポーツ用パンツ、この星の近くに重力が重い星はないか?」

「あんた突拍子のない事言うわね。どうしたのよ急に」

「この星の重力は軽すぎて戦闘力が上がりにくい。いつまでもカカロットに劣るのは姉としてのプライドが許さん」

「要するに重力が重い環境が欲しいのね。それなら宇宙なんか行かなくてもカプセルコーポレーションの専売特許だわ。少し時間掛かるかもしれないけど訓練用の重力コントロール装置のある部屋父さんと作ってあげる。どうせ私も父さんも暇だし」

 

 

 ブルマの父の会社はホイポイカプセルだけでなく、反重力装置といった重力コントロール装置を使った製品を取り扱っているらしい。

 文明レベルが低い星だと思っていたが、一部の天才はやはりどの星にもいるものだ。

 

 

「そういえばキャロ。宇宙に行くつもりだったけど、宇宙船とか持ってたりするの?」

「ああ。壊れてしまっているからそいつの修理も頼もうとしていた」

「惑星間を移動するつもり満々ってことは、あんたもジャコと同類なのね。尻尾生えてるし、おっきな猿になるし、やたら強いし、文明の違う機械持ってるし……なんか納得したわ」

 

 

 ブルマは幼い頃、他の星から来た宇宙船を少しいじった事があるらしい。

 何だかブルマは生まれる星を間違えたのではないかと思う程の知能を持っている。

 宇宙規模からみても引っ張りだこな天才なのではないだろうか。

 

 

「宇宙船も見てあげるけど、他に何か面白そうなのないの?」

「後は戦闘服くらいだな。大猿に変身しても問題ない強度と柔軟性を持つ」

「何よ。良い物持ってるじゃない。いつも着てるその道着がそうなの?」

「いや、いざという時の為に取っていた。この星では代えが効かないと思っていたからな。調べたいなら解体してもかまわん。戦闘服に頼るような事はもうないだろうしな」

 

 

 何があるかわからない宇宙に行かなくて済むのであれば、今のところ戦闘服を使う予定はない。

 ブルマの探求心を満たして、それがトレーニングルームへの支払いになるなら安いものだ。

 それにスカウターを再現してみせたブルマなら戦闘服も再現できてしまうかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 そしてたった数日で完成した重力制御装置付きの訓練部屋。

 体感的に地球と惑星ベジータの重力差は5倍から10倍だろうか。

 大きく見積もって10倍でも戦闘民族の私には大したことはないだろう。

 私は10倍の重力で起動させる。

 

「っ」

 

 体が重くて床に這いつくばる。

 まさか母星の重力で痛い目を見るとは思いもしなかった。

 這いつくばりながら重力装置を止め、息絶え絶えに仰向けになる。

 

 情けないがまずは無理をせず5倍の重力から慣れていくとした。

 

 




部屋の耐久性をそこまで考慮せず簡単な重力装置を取り付けただけなので、比較的早く完成したようです。
インフレ化を加速させる重力制御装置が早く出来た事で物語がどのように変わっていくかゆっくりとお待ちください。


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其之十九『重力修行』

重力修行をする話。


「学校は楽しいんだが、これじゃあいつまでたってもお前らに追いつけない。俺も修行するぞ」

 そんな事を言ってヤムチャも修行に参加する事になった。

 ヤムチャが5倍の重力に耐えられなかった為、まずは2倍の重力でヤムチャを鍛えよう。

 5倍の重力で組手が出来るようになれば一人でやるよりも修行効率は上がる筈だ。

 

 

「どうしたハイエナ。まだたった2倍の重力だぞ」

「2倍って60キロなら120キロだぞ。お前よくこんな中で動けるな……」

「やる気がないならスポーツ用パンツの機嫌でも取りにでも行くんだな。貴様の女癖が悪いとこの前愚痴っていたぞ」

「俺は別に何もしていない! 女の子達の方から勝手に言い寄って来てだな」

「彼女が居るとでも言っておけ」

 

 

 特訓の内容は基礎トレーニングと徒歩での私との追いかけっこ。

 私にとっての2倍は亀仙人の所で40キロの甲羅を背負っていた時とそれほど変わらない。

 それでも追いかけて来るヤムチャの手を同じテンポで歩きながら避けるというのは中々に難しい。

 手加減する練習と攻撃を見きる練習にはなるだろう。

 

 

 戦闘力のコントロールで戦闘力を下げるのが思わぬところで役に立って私は苦笑する。

 

 

「ハゲ頭でもこのくらい平気で走ってみせるぞ」

「ハゲ頭……。クリリンの事か? お前らどんな鍛え方したらそんなに強くなれるんだよ」

「貴様の鍛え方が甘いだけだ。私が最初に起動した倍率は10倍だぞ」

「じゅ……10倍!? くそ、俺だって男だ。このくらいっ!!」

 

 見栄は張っているが噓は言っていない。

 女の私がそこまでの重力を耐えているのに焦りを感じたのかヤムチャのやる気は上げられた。

 

「5倍にしてくれ! キャロットの修行をいつまでも足引っ張っている訳にはいかないからな!」

「5倍か。まあ貴様ならこの程度で死ぬことはないだろう。重力設定を上げるぞ」

 

 動ける動けないは別にしてヤムチャなら5倍の重力でも重傷を負うようなことはないだろう。

 もしもの時はすぐに装置を停止させてやれば平気な筈だ。

 

 

 

 

 

 

 

「ごふぁげっ」

 

 

 

 

 

 

 

 ヤムチャから潰れたカエルの鳴き声のような奇怪な声が漏れて慌てて装置を停止させた。

 

「ハイエナ、その、なんだ。大丈夫か? 平気だと思ってしまって悪かった」

「き、気にしないでくれ……。俺は大丈夫だ。だが3倍から行こう」

「やる気があるのはいい事だが、本当に大丈夫なんだろうな?」

「問題ない。ブルマとプーアルにいつまでもカッコ悪いところを見せる訳にはいかないからな」

 

 見たところ重傷を負っている気配はない。

 本人がそう言うなら修行を続けよう。

 3倍で起動させると足をプルプルとさせているもののヤムチャは倒れずに立っている。

 思ったよりも根性がある奴だ。

 この調子なら1カ月か2カ月くらいで5倍の重力を歩かせる事が出来るかもしれない。

 

 

「よし、ヤムチャ。そのままゆっくりでいいから私の所まで歩いてこい。そして腕を上げてハイタッチだ。出来るな?」

「あたり、まえだ! 俺もやればできるってところを、みせて、やるぜっ」

 

 

 ヤムチャがゆっくりと歩きだし、私の目の前で手を上げる。

 が、そこで力尽きたのか膝から崩れ、倒れないようにと反射的に私の道着に手を伸ばした。

 

 

 

 

 戦闘服ならともかく、普通の道着が重力3倍の中で持ちこたえる事が出来る訳もなく簡単にはだけ、持つところが襟の隙間と悪くヤムチャの指が上のインナーに引っ掛かりインナーが裂ける。

 

 

 

 

 ヤムチャが悪かった訳でもなく、ただの事故だった訳だが、重力装置を切って気絶するヤムチャを部屋まで運ぶ私の姿を見たブルマの感想は違った。

 どうやらヤムチャが私に性的な意味で手を出して返り討ちに遭ったと思ったらしい。

 

 誤解を解くのに数日の時間を費やしてしまうのだった。

 数日の間カプセルコーポレーションから追い出されたヤムチャに悪い事をした気がする。

 

 




亀仙流の修行をまだしていないヤムチャにはまだ重力装置は早かったようです。


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其之二十『姉弟再開』

姉と弟が一度合流する話。


 ヤムチャが3倍の重力でまともな修行が出来るようになった。

 戦闘力の飛躍的な上昇はサイヤ人の専売特許だと思っていたが、地球人も体への負荷で己を鍛えられるようだ。

 ヤムチャが帰ってきたら今日は4倍の重力で修業を付けてやるとしよう。

 

 そんな事を考えながら5倍の重力でダンベルを手に拳を撃ち込んでいると、何となくだがカカロットの気配が近づいている気がした。

 カカロットはこの場所を知らない筈だから気のせいな筈だが一応確認しておこう。

 

 重力装置を切ってスカウターを取りに行き、カカロットの戦闘力だと思うものを探してみる。

 すると高い戦闘力が真っ直ぐカプセルコーポレーションに向かってきているのが確認できた。

 これがカカロットだとするとまた少し強くなったようだ。

 

 

 

「ブルマー!! オラが来たぞー!!」

「カカロット、インターホンくらい知っておけ」

 

 

 

 どうやら気のせいではなく本当にカカロットが来ていたらしい。

 警察官に道を尋ねてここまで連れて来てもらったようだ。

 それにしても、どうして私はカカロットが近付いてきた事がわかったのだろうか。

 自分でもよくわからない。

 

 

「姉ちゃん、ブルマ居るか?」

「大学で講義中だ。教え甲斐がない学生達だと愚痴っていたから、そろそろ飽きて戻って来るのではないか?」

 

 

 ブルマは大学とやらで特別講師をしているが退屈らしくすぐに帰ってくる事が多い。

 もっともカカロットにそんなことを説明しても通じないので詳しくは説明しないが。

 カカロットには本を読み分からない事は辞書を引く習慣を身に着けてもらいたいところだ。

 

 

「姉ちゃんも大学っつーところ行ってるんか?」

「いや、私はブルマに修行場を提供してもらっているだけだな。ここは書物も多くて修行以外にも便利だ」

「そっか! また姉ちゃんと組手するの楽しみにしてっぞ!」

「何なら今相手をしてやってもいいんだぞ?」

「本当か!?」

 

 

 戦闘力なら私の方が僅かに上だ。

 今まで負け越しだった雪辱を晴らす時が来たと言えよう。

 しかし私とカカロットは乗り気だったが、喧嘩はいかんと警察官に止められてしまった。

 

 

 そんなことをしている間に予想通り講義を中断してブルマが帰って来た。

 もっと丁寧に扱いなさいよねと言いつつも、簡単にレーダーを直すブルマはやはり凄い。

 

 

「あれ? まだ二つしか集まってないじゃない。のんびりしてるわね」

「へへ、結構見つけるのやっかいなんだ」

「戦闘種族サイヤ人の本分は戦いだ。貴様のように効率的な集め方を求めるのは無理がある」

「それもそうね。退屈してたし私も探すの手伝ってあげるわ」

「ブルマは筋斗雲のれねぇだろ。オラが担いでいくんか?」

 

 

 筋斗雲は普通のジェット機よりも速度が出るので足並みをそろえるのが難しい。

 しかしブルマは『ミクロバンド』という小さくなれる装置を使い小さくなって見せた。

 ネズミくらいの大きさになればどこにでも入れられるので移動のジャマにはならないだろう。

 それにしても小さくなる装置まで作れてしまうとはブルマの頭脳には驚きっぱなしである。

 

「キャロの分はないんだけど、あんたはどうする?」

「……筋斗雲に乗る。カカロットに掴まっていればなんとかなるだろう」

 

 カメハウスに向かう為カカロットに掴まった時、隠していたが私は筋斗雲に(さわ)れた。

 乗れる事を知られるのは気恥ずかしいので隠しておきたいがブルマの護衛は必要だろう。

 不本意ながらまた乗れないフリをしながらついて行く事にする。

 

 

「姉ちゃんは筋斗雲乗れるもんな」

「私は乗れないと言っているだろ。空気を読めカカロット!」

 

 

 空気の読めない弟だが、私にとっては大事な弟だ。

 久々の何でもないやり取りが嬉しくて、筋斗雲に乗っている最中、誰からも見られることのないカカロットの後ろでつい頬が緩んでしまうのだった。

 

 




なんだかんだ言って弟離れが出来ないお姉ちゃんでした。


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其之二十一『忘れ物にご注意を』

忘れ物をした話。


 海底にあるドラゴンボールを取りに行くのにブルマがホイポイカプセルを忘れた。

 厳密に言えば父ブリーフのカプセルケースと間違えて持ってきてしまい、そのホイポイカプセルの中身も卑猥な書物が大量に入っているだけという残念な結果に終わった。

 

 ブルマは天才だがどこか抜けているところがあるので仕方ない。

 卑猥な書物を大量に所持していたブリーフについても、この星はそういう連中ばかりなのだと諦めよう。

 卑猥な連中ばかりだとしたら、男が自分の事をどういう目で見ているかをもっと気にするべきかもしれない。

 

 

「それでスポーツ用パンツ。一度カプセルコーポレーションに戻るか?」

「二度手間は嫌よ。幸い人が住んでるみたいだしカプセルぐらい売っている筈だわ」

 

 

 カカロットが海底の深さを理解せず海に飛び込んでいる間にこれからどうするべきか話し合うと、ブルマは今から戻るよりもカプセルを購入した方が早いと結論付けた。

 筋斗雲の上から船が見えたので無人ではないと思うが、島を見下ろした時に集落や都市は見ていない。

 

 

「まともな流通が通ってる島とは思えないがな」

「そんな事ないわよ。ほら、あそこ! 反重力装置を積んだ乗り物だわ!」

 

 

 ブルマが空に浮かぶ二機の小型機の方を指さし「やっほー」と大きく手を振る。

 すると二機の小型機は挨拶代わりに機関銃を乱射してきた。

 

 

 すぐさまブルマを左腕で抱えて飛びのいて機銃の射角外である機体の横腹に回り込み、後部にある推進動力を右手からエネルギー波を放って撃ち抜いて二機立て続けに行動不能にする。

 

 

 

 まだ反重力装置は生きているから墜落までは時間が掛かる。

 いきなり襲われたのだ。その間に脱出できなかったら時の事までは面倒見きれない。

 

 

 

「いきなり撃って来るとはずいぶんと野蛮な島だな」

「何だったのよ今の連中は!?」

「私が知るか。だが、この分だとカプセルは期待出来そうにないぞ」

 

 

 護衛として着いて来ておいてなんだが、いきなりブルマを守る事になるとは思わなかった。

 もしかしたら前と同じようにドラゴンボールを狙う競争相手が居るのかもしれない。

 そう考えるとカカロットがドラゴンボール集めに時間が掛かっているのも納得出来る。

 

 

「今心当たりが出来た」

「あの機体に見覚えでもあったの?」

「前の時みたいに競争相手が居るのかもしれない。だとしたら相手は相当やる気満々な奴だ。貴様は家に帰れ、スポーツ用パンツ。カカロットに送らせる」

「警告も無しに撃って来たものね。でもキャロが今みたいに何とかしてくれるんでしょ?」

「貴様に死なれたら困るから障害は全力で跳ね除けるが、後で駄々をこねても知らんぞ」

 

 

 余程講義で退屈していたのか、ヤムチャが他の女と仲良くしているのにストレスを溜めているのか、ブルマは危険があるかもしれないと知らせても帰ろうとしない。

 こうなったブルマはテコでも動かないだろう。

 仕方ないのでブルマの護衛を続ける事にした。

 

 

 そう決めた直ぐ後、筋斗雲に乗ってカカロットが戻って来る。

 やはり海底深くに沈んだドラゴンボールを素潜りで取る事は出来なかったようで、カカロットは亀仙人なら海に潜れる乗り物を持ってるかもしれないと比較的近くに在るカメハウスに行く事を提案してきた。

 

 

 エロ爺の亀仙人とはあまり会いたくないが、買い物用の乗り物が万能型で海も潜れる飛行機だった筈だ。

 

 

 ブルマもあからさまに嫌な顔をしていたが、着いて来ると言った手前強く断れないのだろう。

 ブルマはそういう性格な奴だ。

 

 競争相手が居るのならあまりのんびりとはしていられない。

 私達は乗り物を借りにカメハウスへと向かうのだった。

 

 




キャロットが機関銃を撃たれた時点で反撃した為、チカンではなく未知の相手という認識になりました。
キャロットがブルマの事を理解しているように、ブルマはキャロットの事をしっかり理解しているいい関係であったりします。


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其之二十二『海底探索』

海底を探索する話。


 亀仙人に卑猥な要求をされる事なく、ミクロバンドと引き換えに潜水艇を貸してくれる事になった。

 だが、どうせ亀仙人の事だ。

 卑猥な目的でミクロバンドを使うつもりに違いない。

 

 今はクリリンとランチが潜水艇で買い物に出ているのでしばらくの間待つことになったのだが、案の定と言ったところか亀仙人はブルマがトイレを借りるとその後を追っていこうとする。

 

 

 

 

「エロ爺、トイレを覗くのは悪趣味だぞ。恥を知れ」

 

 

 

 

 後ろから忍び寄り、小さくなったところを指でつまんで窓から海の方へと放り投げておく。

 小さくなっていても亀仙人ならあれくらい何とかするだろう。

 海に落ちてずぶぬれになった亀仙人が「わしを殺す気か」と息を切らしていたが自業自得である。

 

 

 そんな事をしていると潜水艇で買い物に出かけていたクリリンとランチが戻って来た。

 久々の再会に話を弾ませながらも本来の目的を伝えると、クリリンも面白そうだとついてくる事になった。

 なんでもドラゴンボールが沈んでいる海域には海賊が隠している宝が眠っている伝説があるという。

 

 

 ブルマは金持ちだから金銀財宝は必要ないのだが、宝という響きにロマンを感じているようだ。

 こういう日常から掛け離れた刺激が欲しかったのだろう。

 

 

「ついてくるのはいいがハゲ頭。貴様修行をさぼっていたな。戦闘力が上がってないぞ」

「俺はのんびりと武天老師様と一緒に暮らしていただけですからね。やっぱりキャロットさんと悟空はあれから強くなってるんですか?」

「当然だ。貴様も重力制御装置で修行をすればまだまだ伸びしろがある筈だぞ? 帰ったら修行を付けてやる」

「ははは、お手柔らかにお願いしますよ」

「という訳でスポーツ用パンツ、クリリン用の重力制御装置を後で頼む」

「別に構わないけど、そう言うのは口約束する前に頼みなさいよね」

 

 

 そんな会話をしながら海中を潜水艇で探索しているとレーダーが洞窟らしき反応を捉えた。

 どうやらドラゴンボールは小さな溝に落ち、溝は運よくその洞窟の奥と繋がっているようだ。

 

 

「クリリンと同レベルの戦闘力が後をつけてきているな。あの潜水艦か」

「またレッドリボンの奴等かな。しつこい奴等」

 

 

 カカロットのその言葉にブルマとクリリンは「え!?」と悲鳴に近い驚きの声を上げる。

 どうやらレッドリボンはこの星で有名な軍隊らしく、世界最悪の軍隊と悪名高い組織らしい。

 そのレッドリボン軍がカカロットにちょっかいを掛けて邪魔をしている相手のようだ。

 

 

 相手の潜水艦が魚雷を撃って来きた所慌てて洞窟の中に潜水艇を潜り込ませる。

 相手もドラゴンボールを狙っているなら、入り口をふさぐような馬鹿な真似はしないだろう。

 

 

「孫君! あんたレッドリボン軍のことなんか一言も言わなかったじゃない!!」

「スポーツ用パンツ、さっそく泣き言か。あの程度の数と戦闘力カカロット一人でもどうとでもなる」

「相手は軍隊なのよ!?」

「その軍隊相手にカカロットはドラゴンボールを手に入れているんだ。大した事はない」

 

 

 海底洞窟は次第に狭くなっていき、ドラゴンボールが落ちた洞窟へと潜水艇を浮上させる。

 クリリンとブルマはもう走って逃げるしかないと潜水艇を乗り捨てるが、潜水艇は帰りに必要だ。

 

 

「ハゲ頭、忘れ物だ。奪われでもしたら死ぬまで海中暮らしだぞ」

「あ! 俺とした事が慌てて! すみませんキャロットさん!!」

 

 

 潜水艇をカプセルに戻してクリリンに投げ渡すと、クリリンはそれを慌てて受け取る。

 

「カカロットはスポーツ用パンツ共と先に行け」

「姉ちゃんは行かねえんか?」

「小型艇を叩く」

 

 丁度相手の潜水艦から出た小型艇が浮上してきたのでエネルギー波を放ち沈めておく。

 これで相手が強力な武器を持っていたとしても多くは持ち出せないだろう。

 カカロットが言われた通りブルマ達を追う中、私は潜水艇から慌てて脱出する連中を見下ろす。

 

 世界最強の軍隊だか何だか知らないが、私達に喧嘩を売ったことを後悔させてやろう。

 

 




まさかの先制攻撃がレッドリボン軍を襲う。
ブルー将軍は次回無事に出ます。


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其之二十三『対決ブルー将軍』

ブルー将軍と戦う話。


「やってくれるじゃない。こんなことしてタダで済むと思っていないでしょうね?」

 周りの男達がブルー将軍と呼んでいたか。

 一番戦闘力の高い男ブルーの手の仕草による指示で男達が動き始める。

 このブルーがこの中のリーダー格である事は間違いないだろう。

 

 指示で動く男たちの動きは一部が私を取り囲むように動き、残りがカカロット達を追おうとしている。

 

「先に仕掛けてきたのは貴様らだろう。ここから先は通行止めだ」

 

 男達の動きを阻害するようにエネルギー波で地面を軽く薙ぎ払い牽制する。

 あまり高威力でやり過ぎると洞窟が崩れてしまいそうなのが実にもどかしいところだ。

 

 

「手からビーム砲!? さては貴女……人造人間ね!! ドクター・ゲロ以外に人造人間を作れる天才が居たなんて、シルバー隊とホワイト隊が全滅させられた訳だわ」

 

 

 ブルーは何かおかしなことを言っている。

 人造人間、人工的に作られた人間……どうやら私のエネルギー波を化学兵器と勘違いしているようだ。

 

 

「生身の体だ。エネルギー波も撃てんとは期待外れだな。世界最悪の軍隊が聞いて呆れる」

「私だけではなくレッドリボン軍まで侮辱するだなんて、そんなに死にたいのかしら」

「降伏するというのなら陸までの送り迎えくらい考えてやってもいいぞ?」

「貴女を殺して、お仲間も殺して、潜水艇を奪った方が効率的でしょう!!」

 

 

 周りの男達は私のエネルギー波に半ば戦意を喪失しかけていたがブルーはそうではないようだ。

 ブルーは構えを取り勢いよく私目掛けて拳を振り抜く。

 

 

「何が効率的だって?」

 

 

 それを僅かに体の軸をずらす事で躱し、膝蹴りを鳩尾に撃ち込み、回し蹴りで蹴り飛ばす。

 地球にしては戦闘力が高い方だがそれでも戦闘力100未満の相手だ。

 触れた相手をニンジンに変えるような初見殺しを持っていない限り私の敵ではない。

 

 ブルーが簡単にやられ周りの男達がうろたえるが、すぐに援護しようと立ち向かってくる。

 見上げた忠誠心だが技量や連携練度があっても一人一人の戦闘力が低すぎだ。

 これが全員ブルーくらいの戦闘力があったならまた結果は違ってきたのだろうが、私は次々に襲い掛かって来る男達を殺さない程度に加減をしながら打倒していく。

 

 レッドリボン軍の情報を色々吐いてもらう為にも殺す訳にはいかない。

 襲い来る火の粉はいつでも払えるように万全の態勢を整えておきたいのだ。

 

 

「ブルー将軍っ! 今です!!」

「私をごらんなさい!!」

 

 

 男の合図とブルー将軍の叫びに何かする気なのか身構え、慌ててブルー将軍の方を向く。

 向いたところですぐに体に異変を感じた。

 体がピクリとも動かない。

 

 

「ほほほほほ……いかがかしら? 私の超能力は」

 

 

 ブルーがよろりよろりと近付き、私の横顔を蹴り飛ばす。

 攻撃されても体は動かず、私の体が宙を舞いごろごろと地面を転がった。

 何が起きたのかはわからないが何かをされたのは確実だ。

 

 超能力と言ったか。

 体が動かないのは非常に不味い。

 解除条件は何か、発動条件は何か、有効射程はあるのか、様々な思考が頭を駆け巡るが、何一つ解決策が思いつかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「お下品になってもかまわないわ。私に恥をかかせた罰よ。お前達、遊んであげなさい」

 

 

 

 

 

 

 ブルーの合図によろりよろりとまだ動ける男達は起き上がる。

 薄気味悪い笑いを浮かべて近付く男達に嫌悪感を感じる。

 不味い。不味い。不味い。不味い。不味い。不味い。不味い。不味い。不味い。

 

 

「生きてても死んでてもかまわないわ。無残な姿の仲間を見ればシルバー隊とホワイト隊を全滅させた少年も隙が出来る筈よ。ふふふふ、絶望に染まる顔が楽しみだわ」

 

 

 

 男達の手が私に伸びる。

 ここでカカロットの足を引っ張る訳にはいかない。

 一か八か戦闘力を集中させ自分を中心にエネルギーの爆発を起こさせる。

 

 弾き飛ばされる男達と私の体。

 肉が焼ける焦げ臭ささと体全体に走る激痛。

 衝撃で洞窟が揺れ僅かに天井が崩れ始めた。

 

 

「何なの!?」

 

 

 ブルーの驚きの声と共に体が動くようになり、再び超能力を使われる前に洞窟の奥へと飛び込む。

 まだ体が動くという事は有効射程はそんなに長くないのだろう。

 ブルーはあの時、わざわざ「私をごらんなさい」と声を掛けたから超能力を発動させた。

 自分と相手が互いに見えているのが発動条件だろうか。

 いや、そう結論付けるには判断材料が足りなさすぎる。

 

 少なくともあのブルーという男は私にとってもカカロットにとっても脅威だ。

 まだ戦闘力が100未満の内に何とかしないといつか手におえない相手になるだろう。

 

 

「お待ちなさい!」

 

 

 特に馬鹿正直に戦うカカロットとは相性最悪の相手だ。

 ここで絶対に倒さなければならない。

 私は痛みに悲鳴を上げる体に鞭を打ち、床を勢いよく蹴り、壁や天井も足場に使って立体的な動きで相手の視界に入らないようとにかく動き回る。

 

 

「速い!? この!! ちょこまかと動くんじゃないわよ!!」

 

 

 視界に捉えられなければ超能力が発動しないという予想は当たってくれたらしい。

 ブルーは私の動きを捉え切れず、私の体はまだ自由に動かす事が出来る。

 次第に崩れ始める洞窟の天井に身を隠しながらブルー将軍の背後に降下し後頭部に手刀を入れ、回し蹴りで蹴り飛ばしたところに追撃でエネルギー波を連続で叩き込んでいく。

 

 

 エネルギー波の衝撃で崩れた壁や天井の岩に埋まったブルーが動く気配はない。

 生きていたとしても、戦闘の余波で今にも崩れそうな洞窟の中潜水艇も無しに助かるのは無理だろう。

 

 

 私は洞窟が崩れきる前にカカロットと合流する為、急いで洞窟の奥へと向かった。

 洞窟は途中から人工の建物に変わり、途中罠もあったが強引に駆け抜け、海賊の港に辿り着く。

 

 

「キャロットさん!! こっちです!!」

「キャロこっちこっち!! 早く!!」

「姉ちゃん。ここのドラゴンボールもじっちゃんの形見じゃなかったぞ」

 

 

 洞窟が崩れ始めているのにドックで潜水艇を出しながら待っていてくれたようだ。

 しっかりとドラゴンボールを手に入れ、詰めるだけの財宝を潜水艇に詰め込んでいる。

 

 痛みはもう引いているが今回はとても疲れた。

 無事海賊の港から潜水艇で脱出する中、眠気に抗えず深い眠りにつくのだった。

 

 




気を集中させて爆発させる自爆業で緊急脱出するキャロットでした。
自覚はありませんが気の使い過ぎてものすごく疲れているご様子。

なお、これだけやっても死なないブルー将軍ですが舌には勝てないようです。


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其之二十四『兆し』

少し素直になる話。


 目を覚ますとロープで縛られていて状況が理解できなかった。

 今はカメハウスの外にいるようで、カカロット達も同じように縄で縛られている。

 カカロットと亀仙人が居るのに全員が捕まり無力化されている今の状況が信じられない。

 一体眠っている間に何があったのだろうか。

 

「確かに3個あったわ。遠慮なく頂いて行くわね」

 

 するとカメハウスからドラゴンボールを手にしたブルーが出て来る。

 そのもう片方の手には変身したランチがやはり縛られた状態で抱えられていた。

 

 どうやら洞窟の倒壊を恐れるあまりエネルギー波の威力を抑えすぎたらしい。

 それにしてもまさか潜水艇なしで生き延びるとは思いもしなかった。

 しっかり死んでいるかどうかを確かめておくべきだったと後悔する。

 

 

「あら、化け物が目を覚ましたみたいね。でもお仲間も不死身の化け物でなくて安心したわ」

「くそ! 放しやがれオカマ野郎!!」

「下品な言葉を使う女ね!! 今すぐに殺してもいいのよ!?」

 

 

 ブルーはドラゴンボールをリュックに入れ、ホイポイカプセルから散弾銃を取り出し、ランチを乱暴に地面へ放り投げるとその頭部に銃口を押し付けた。

 力が入りにくいように縛られているが縄はエネルギーの刃を出せば切断できる。

 だが今迂闊に動けばランチの命はないだろう。

 

 

「一人でも殺してみろ。今度こそ貴様を殺してやる」

「あらやだ怖い。貴女がそこで大人しくしてくれたら、貴女以外は助かるかもしれないわね」

 

 

 どうやら私を生かすつもりはないらしい。

 だがブルーは私に銃口を向けようとしない。

 銃では威力不足な事を悟られているのだろうか。

 

 

 

 

 

「頭を吹き飛ばしても動いてきそうで怖いわね。そうだわ! 貴女にはバラバラになってもらいましょうか!! これは強力な時限爆弾よ。制限時間は5分。精々遠くに運んで消し飛びなさい!!」

 

 

 

 

 

 ブルーはランチに銃口を向けたまま時計型時限爆弾のスイッチを入れ地面に置き、私を警戒しながらホイポイカプセルで飛行機を出しそれで飛び去って行く。

 

 爆弾の威力がどれほどのものかわからないが放っておけば全滅だ。

 私はエネルギーの刃を手から出して縄を切り裂いて解き時限爆弾を手に取る。

 時限爆弾は時間指定と起動装置はあるが解除装置がついていない。

 ブルーの言う通り遠くへ持って行くしかないだろう。

 

 

 爆発の規模がわからない以上、これは覚悟を決めるしかないか。

 

 

「キャロ! 早くそれを何とかして!!」

「すぐに何とかする。それと今まですまなかったな()()()。カカロットの事を頼んだぞ」

 

 

 時間がないからブルマの縄だけ切断し、私は財宝が詰まれた亀仙人の潜水艇に乗り込む。

 本当はしっかり今まで名前で呼べなかった事を謝りたかったが時間がない。

 皆ともっと話をしたかったが時間が足りない。

 

 

「キャロットさん、何をする気ですか!?」

「キャロット早まるでない!!」

「姉ちゃん!? くっ、くそっ!! ほどけねぇ!!」

「キャロット無茶すんじゃねぇ!!」

 

 

 皆の心配する声が聞こえる。

 心配してくれる仲間の為なら悔いはないと思えるようになった。

 サイヤ人としては甘い考えだけど、私らしい選択だと思えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんで私は今まで皆の事を名前で呼んで、もっと素直に話が出来なかったのだろう。

 それだけが心残りだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 複雑な操縦は出来ないが飛行機を真っ直ぐ飛ばすくらい私にも出来る。

 親切にも簡単な操作の仕方にしてくれているカプセルコーポレーションに感謝だ。

 私は潜水艇を飛行モードに切り替え、ただがむしゃらに真っ直ぐ空を目指す。

 

 残り爆発まで5秒。

 カメハウスはもうはるか遠くだ。

 もう操縦しても操縦しなくても距離は稼げないのでキャノピーを開いて脱出を試みる。

 それでも至近距離の爆発だ。

 後は強力な爆弾というフレーズが大げさなものだと祈ることしか出来ない。

 

 

 

 

 爆弾が爆発し、自爆した時とは比べ物にならない衝撃が私を襲う。

 

 

 

 

 意識はぎりぎり保てるが体がピクリとも動かない。

 痛いし熱いし何も見えないし最悪だ。

 それでも私が生きているという事はカメハウスに届くほどの惑星攻撃に使うような爆発物でなかった事に安心感している自分が居る。

 

 

 

 

 ふと、カカロットの気配が強くなった気がした。

 大気がカカロットの気配で満ちた気がして、どこか心地が良い。

 

 

 

「姉ちゃん!!」

 

 

 

 近づくカカロットの声。

 その後すぐに抱きしめられる感覚。

 全身が痛いけど、その暖かな温もりに身を預けて私は意識を手放した。

 

 

 後で聞いた話だが、ブルマがロープを斬る前に私が乗った潜水艇が爆発したところを見たカカロットは自分でロープを引き千々り筋斗雲で落下していく私を助けてくれたらしい。

 なんでもその時カカロットを中心に謎の衝撃波がほとばしり、危うく皆吹き飛ばされて海に落ちるところだったという。

 おそらく怒りか何かをきっかけに戦闘力が爆発的に上がった余波だろう。

 

 カカロットは私をカメハウスまで運んだ後、そのままブルーを追って行ったらしい。

 

 

「まったくもう! 何とかしてって頼んだけどあんな無茶は頼んでないでしょ? 怪我一つせず戻って来たからいいものの心配したんだから」

「すまん、ぶ……」

「ぶ?」

「ブルマ……」

「よろしい。次からはあんな無茶するんじゃないわよ?」

 

 ブルマがわしゃわしゃと嬉しそうに微笑みながら私の頭を撫でる。

 名前を素直に呼ぶだけでこんなに喜んでくれるなら、悪い気分ではない。

 

 いつ終わるかもわからない人生だ。

 もう少しだけ素直に生きようと思った。

 

 




悟空は『最強への道』の怒り状態になって縄を吹き飛ばしたようです。
戦闘力が足りてS細胞が多かったらきっと超サイヤ人になっていた事でしょう。

突貫で少し半端になってしまいましたがこれにてキャロットの名前呼びが解禁されます。


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其之二十五『作戦会議は食事のついで』

炒飯を食べる話。


「レッドリボン軍は早めに壊滅させた方がいいと思うのだが」

「キャロ、炒飯作りながら何物騒なこと言ってるのよ!?」

 

 昼食を作りながら今後の事を一つ提案するとブルマにダメ出しを食らう。

 やはり悪人とはいえこちらから攻めるのは倫理的によくないのだろうか。

 地球の倫理観は難しい。

 

 

「しかしだな、私達はレッドリボン軍に目を付けられている。それに爺様の形見を探しているカカロットとの衝突は避けられない。先に攻めて潰さなければ再びここを狙われてもおかしくないぞ」

 

 

 実際問題危うくカメハウスは爆弾で吹き飛ばされるところだった。

 多少の倫理は無視してレッドリボン軍は身の安全の為にも壊滅させるべきだと考えている。

 

 

「そうは言うが、流石のわしでもあれほどの軍勢を相手に戦う程のスタミナはないぞ?」

「何を言う。かめはめ波で遠くから拠点を消し飛ばせば済むだろう」

「これ! さらりと非戦闘員を巻き込む案を出すのではない!!」

「なんだよやらねぇのか? 人の宝おじゃんにしたレッドリボン軍なんて有無を言わずぶっ飛ばしちまえよ」

 

 

 ランチは乗り気だがやはり倫理面で亀仙人にダメ出しを食らってしまった。

 一番楽な方法だと思ったのだが戦う気がない者を巻き込むのは確かに不本意である。

 

「あの、キャロットさん。それならカメハウスをまた修行場に引っ越させてはどうですか?」

「それはダメだクリリン。もし見つかった時島の人に迷惑が掛かる」

 

 しっかりパラつかせた炒飯を皿に盛っていき、付け合わせにスープを出せば昼食の完成だ。

 もう一品くらい欲しいところだったが材料が底を尽きているから仕方がない。

 

 

「まあなんにせよ、レッドリボン軍が四星球を持っていたらカカロットは考えなしに特攻していくだろう。援護の準備は必要だ。ブルマ、ヤムチャと連絡しろ。どのみち飛行機の入ったカプセルを持って来てもらわなければ西の都に帰りにくいからな」

「連絡が取れるならとっくに取ってるわよ! ここ電話もないじゃない!!」

「飛び抜けた発明を作ってるんだ。ブルマなら通信機くらい作れると思ったのだがな。材料がなければ修行場まで飛んで廃品がないか探してくるぞ? まあ、金があるなら買った方が早い訳だが」

 

 

 飛行速度に自信がないので久しく飛んでいないが、下級戦士と言ってもサイヤ人のはしくれ。

 移動速度はともかくとして空を飛ぶことぐらいなら幼い頃から出来る。

 もっともカカロットは頭を打った影響か、空の飛び方を体が覚えていない訳だが。

 

「なるほど賢い! ナイスよキャロ!! ここにあるもので通信機くらい作れるわ!!」

 

 これで帰れる、なんてブルマは喜びながら使えそうな機械をバラしては組み立てていく。

 どうやらパーツを拾いに行く手間は省けたようだ。

 

 

「ううむ、目を付けられているなら仕方ないかのう。わしも手伝うとするか」

「世界最悪の軍隊を敵に回すなんて……悟空の奴何を考えてるんだよ」

「カカロットは何も考えていないだろうな。だが世界最悪の軍隊が叶えようとしている願いを阻止できる、と思えばやりがいがあるだろ。良かったなクリリン。成り行きだが世界を救えるかもしれないぞ?」

「勘弁してくださいよキャロットさん」

 

 

 レッドリボン軍の基地への攻撃方法はヤムチャが来てから話し合った方がいいだろう。

 スカウターは自爆した時に壊れてしまい詳しい戦闘力はわからないが、何とかなる筈である。

 

 

「炒飯が冷める。先に飯を食え飯を」

 

 話はこれくらいにして炒飯が冷める前に食事を開始する事にした。

 中華は温かい内に食べるに限る。

 

 




キャロットの中では炒飯の方が優先度が高い作戦会議でした。


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其之二十六『心の雨』

色々な感情が渦巻いた話。


 ヤムチャを待っている間、外でクリリンと軽い組手をしている最中だった。

 遠くで感じていたカカロットの気配が突然消えた。

 何かの間違いだとスカウターで調べようとしたが壊れてしまってもうない。

 もっと意識を集中してカカロットの戦闘力を探すと、カカロットよりも高い戦闘力を持つ気配がカカロットの気配が消えた位置から遠ざかっていくのを感じ取る事が出来た。

 

 

 

 つまり、そう言う事だろう。

 

 

 

「キャロットさん、顔色悪いですけど大丈夫ですか!?」

 クリリンが心配そうに私の顔を覗き込んでいる。

 

 

 カカロットが何者かに殺された。

 なぜ私はカカロットなら一人でも大丈夫だと楽観視してしまったんだ。

 私はカカロットを殺した相手と、カカロットを追い掛けなかった自分自身が許せない。

 怒りに拳を握りしめ、歯を食いしばり、背中にぞわりとした何かが芽生え、頭に血が上るのを感じる。

 

 

「絶対に許さない。あいつだけは絶対に」

 

 

 カカロットを殺した奴の戦闘力の位置がはっきりとわかる。

 なぜわかるかなんてこの際どうでもいい。

 時間が掛かっても構わない。

 私は宙を浮き、真っ直ぐ目標に向かって飛んでいく。

 

 

 

 前よりもずっと速度が出る。

 流石に筋斗雲には遠く及ばないが、今現在移動していた目標はその動きを止めている。

 これならカカロットを殺した奴に追いつけそうだ。

 

 

 気配を追って街に辿り着くと、丁度何かの店から目標が出て来るのが確認できたので目の前に着地する。

 

 

「ほう、武空術か。鶴仙人の新たな弟子か? ずいぶんと気が立っているなお嬢さん」

「カカロットをどうした」

「はて? カカロット?」

「孫悟空の事だ!! 貴様カカロットに何をした!?」

「ああ、あの小僧のことか。仕事で殺したよ。少々苦戦して見ての通り服をダメにしてしまった」

 

 

 おかげでダサイ服を着る事になったとどうでもいい情報を吐く男に拳を振り抜くが片手で止められる。

 

「街から出ろ。ぶっ殺してやる!!」

「世界一の殺し屋、桃白白を殺すだと? 礼儀を知らんお嬢さんだ」

 

 桃白白と名乗る男は街から出る気はないようだ。

 だが攻撃的な私に対して殺気立っている。

 襲う場所を間違えたかと一瞬後悔するが、悩むのはこいつを殺した後だ。

 

 桃白白の戦闘力はおそらく私よりも高い。

 それでもカカロットを殺したこの男を前に逃げ出すなんて選択肢は私にはない。

 

 桃白白が強烈な蹴りを放ち、私はそれを力の入れられた方向へと受け流して蹴り返す。

 しかし桃白白は体勢を崩された状態からすぐさま一回転して体勢を立て直し蹴りを腕で受け止める。

 このまま足をつかまれたら不味い。

 慌てて足を引いていったん距離を離す事にした。

 

 

「貴様、鶴仙流ではないな。それほどの実力……どこの者だ?」

「カカロットの姉で、貴様を殺す者だ」

「復讐か。こんな形でなければ鶴仙人に紹介してやれるいい目をしていたのだがな」

 

 

 桃白白が人差し指を私に向ける。

 何か来るが射線がわかっていれば避けようはある。

 

 

 そう思ったのに、いつの間にか人だかりが出来ていて私の後ろにはギャラリーが居た。

 何も知らない無関係な人間。

 無視して避けてしまえば楽なのに、復讐だけを考えればいい筈なのに、私にはそれが出来なかった。

 

 

「どどん!!」

 

 

 桃白白の指先から放たれる閃光を私は両手を前に出して掌で受け止める。

 吹き飛ばされないよう何とか両足を踏ん張り、ギャラリー手前まで押し込まれてしまったが何とか周りを巻き込まずに済んだ。

 ようやくここでギャラリー達は自分達の身の危機を感じて逃げていってくれる。

 

 

 

 両手が焼かれて熱い。

 しばらくは使い物にならないかと苦笑してしまうが、すぐに痛みが引いて行くのがわかった。

 代わりに襲ってくるのは突然の疲労感。

 両手を見てみると火傷一つない綺麗な手がそこにあった。

 

 

 

 一瞬自分の身に何が起こったのかがわからなかったが、すぐに私は思い出せた。

 確か私は神龍に『戦闘力の向上はそのまま、このくらいの傷ならすぐに完治する体にしろ』と願った。

 そして神龍『不老の定義をそこまで下げるのであれば力の増加は問題なく行える。不死ではないが願いはそれでいいか?』と答えたのだ。

 

 神龍があまりに願いの叶える幅が狭くてその場の傷が治ればいいと流れるように願いを言い続けたが、どうやらそれで私は『死ななければ傷が治る体』になったらしい。

 今思えば自爆や時限爆弾の時もすぐに怪我自体は治っていたのかもしれない。

 

 

 目の前で重症だった体が治っていく姿を見たのだ。

 ブルーが私の事を化け物扱いする訳である。

 

 

 だが一見最高の願いを叶えたように思えるが、体感的にこの体は欠点も持っている。

 傷の回復に体力を一気に消耗するのだ。

 スカウターがあるなら私の戦闘力が体力の低下でガクリと下がったところを捉えていただろう。

 

 致命傷を受けた時はありがたいが、放っておいてもいい怪我まで治して無駄に体力を持っていかれるのは戦闘において致命的だ。

 治るからといって攻撃を受け続けたら疲れ果てて動けなくなるか、爆弾の時のように気絶してしまうだろう。

 

 

「馬鹿な……まさか、私のどどん波が……」

 

 

 戦闘力を指先に集めて放出するとっておきの技だったのか、桃白白がうろたえている。

 傷を負う度に疲労するのでは迂闊に攻撃を防御するのも不味いかもしれない。

 たたみかけるなら相手が動揺している今しかない。

 

 エネルギー波を身にまとい突撃すると桃白白は慌てて迎撃態勢を取る。

 桃白白の膝蹴りを両腕で受け止めながらそのまま体当たりし、被害が出ないよう宙へと跳ね飛ばす。

 長期戦は勝ち目がない。

 この追撃に全てを懸ける。

 

 追撃で空を飛び追い掛け、拳を振り抜くが膝で防御されてしまう。

 桃白白の蹴りがすぐさま来るが、空中戦は苦手なのか蹴りに勢いがない。

 

 行ける。

 

 私は身を僅かに傾けギリギリのところでそれを躱し、戦闘力を一点集中させた拳を相手の顎に振り上げる。

 カウンターで放ったアッパーは顎に入り桃白白の体がよろめいた。

 続けて殴る。殴る。殴る。殴る。殴る。殴る。殴る。

 拳によるラッシュをたたみかけて高度はさらに増していく。

 

「調子に、のるな!!」

 

 桃白白の強引な回し蹴りが私の頬に当たるが、無理な体勢からの攻撃は威力が少ない。

 まともに地上戦をしていたら今の蹴りで体力を一気に持っていかれただろう。

 

 

 

 

「地獄に落ちろクソ野郎!!」

 

 

 

 頬に感じる痛みも、口の中に広がる血の味も、僅かに消費される体力も無視して顔面を殴り返す。

 そのままスピリッツキャノンを放ち桃白白を街から少し離れた平地に叩きつけた。

 この高さから落ちて生きているとは思えないが死体を確認しに地上へ降りる。

 

 

 

 

 

 

「すまん……私が悪かった……許してくれ……」

 

 

 

 

 

 

 虫の息だがどうやらまだ生きているようだ。

 薄汚れた鞄からカカロットが持っていたドラゴンボール3つが転がり落ちる。

 それはカカロットを殺した証のようなものだった。

 

 

「殺し屋とか言ったな。貴様はそうやって命乞いをした奴を見逃してやった事はあるのか?」

「……許してくれ……もう二度と……悪い事はしない……」

 

 

 こいつはカカロットを殺した。

 許せる訳がない。

 許していい訳がない。

 

 

 なのにいざトドメを刺そうとすると躊躇ってしまう自分が居て、そんな自分が許せない。

 振り下ろした拳は空を切り、桃白白の横顔を掠めて地面に突き刺さる。

 

 

 悔しくて、悲しくて、切なくて、苦しくて、涙が溢れ出す。

 私は結局、復讐すらまともにできない、なりそこないだった。

 

 




半端な気の察知が桃白白を襲う。
キャロットの回復はピッコロやセルのように気を消費しての回復となります。
悟空がどうなったかは次かその次の話辺りで判明する事でしょう。


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其之二十七『キャロット突撃』

レッドリボン軍に突撃する話。


 カカロットを生き返らせる為、レッドリボン軍のドラゴンボールを奪う事に決まった。

 元々攻めに行くつもりだったがそこまで急ぐ予定はなかった。

 だが私がカカロットの死を告げると、ドラゴンボールを集める方針に切り替わったのだ。

 

 ブルマが簡易型のドラゴンレーダーを半日で完成させたが、私も疲れているだろうと半ば強引に休まされ、翌日の出発となる。

 

 

 

 

「キャロ、そんな顔しないの。孫君は絶対に生き返らせてあげるから。だから……ね?」

 

 

 

 

 ヤムチャが乗ってきた飛行機で移動中、ブルマがまるで腫れ物に触るように声を掛けて来る。

 私は今どんな顔をしているのだろう。

 よくわからない。

 

 

「武天老師様、キャロットさんはブルマさん達と一緒に後方支援にまわした方が……」

「ふむ……今の状態のキャロットを戦わせる訳にはいかんからのう」

「いつもキャロットには修行の世話になってるんだ。抜けた穴は俺が埋めてみせる」

 

 

 やる気があるのは嬉しいがなぜ私が行かない事になっているのだろうか。

 戦えないくらい落ち込んでいるように周りから見られているのだろうか。

 そうだとしたらもっとしっかりしなければならない。

 カカロットを生き返らせようとして他の誰かが死んでしまったら本末転倒である。

 

 

 空から接近すると対空迎撃に遭うので、飛行機はレッドリボン軍の基地から離れた所に着陸させるらしい。

 飛び出すならそのタイミングだろう。

 

 

「私なら大丈夫だ。囮は空が飛べる私が引き受ける。地上から施設制圧の援護を頼んだ」

「待つんじゃキャロット!! 早まるでない!!」

 

 

 私は亀仙人の声を無視して空高く飛び、真っ直ぐレッドリボン軍の基地を目指す。

 空を飛べる私が囮になれば亀仙人達が基地に侵入して白兵戦がしやすい。

 

 接近するドラゴンボールの反応に不審を抱いていたであろうレッドリボン軍の警戒は厳重で、私は先制攻撃を仕掛けるまでもなく発見された。

 地上からは対空砲火が、空中からは戦闘機が弾を乱射してくる。

 

 

 

 まずはやっかいな対空砲火を何とかするべきだろう。

 

 

 

「死にたくない奴は道を開けろ」

 

 余裕がないから最初で最後の警告。

 いや、自分への言い訳か。

 弟の為に悪人とはいえ一方的な虐殺をするかもしれない自分への防衛線だ。

 

 とても卑怯な考え方だと思った。

 そうだとわかっていても、私はまたカカロットに会いたい。

 私は私の我儘の為にサイヤ人らしくない考えを持ちながら、サイヤ人のように人を殺す。

 

 

 弾幕を掻い潜り、戦闘機を盾にするよう意識して飛行し、エネルギー波で砲台を潰していく。

 だが空を埋め尽くす弾幕を全て避け切れきるのは無理があった。

 何発か直撃を貰い怯んだところ戦闘機に背後を取られる。

 

 

 閃光が空を射抜き私の背後を取った戦闘機が爆発した。

 遠くから亀仙人がかめはめ波で援護してくれたようだ。

 こんなところでダメージを負ってスタミナを大量消費する訳にはいかないので助かった。

 

 

 対空砲火が来ない安全な空域に陣取ってからエネルギー波の優先目標を戦闘機に切り替え、戦闘機や戦車が出撃する兵器庫を見つけては増援が来ないように発進口を破壊しておく。

 

 その際に歩兵が銃を乱射してきたが、射程外、それも地上から上空を飛び回る人間に向けた弾なんて滅多に当たるものではない。

 当たったとしても小機銃のダメージはたかが知れているだろう。

 地上からの小機銃は無視して戦闘機の破壊に専念する。

 

 

 

 

 制空権を取った頃、地上からの銃撃がいつの間にか止んでいる事に気付いた。

 

 

 

 

 基地の方を見下ろすとどうやら既に亀仙人達が基地に侵入したようで、亀仙人が正面から敵を引きつけ、戦車や砲台をかめはめ波で破壊し、クリリンとヤムチャが建物の陰に隠れながら敵兵士に接近戦を仕掛け、そんな二人のカバーを倒した敵から奪った銃火器でランチが行なっている。

 

 

 

 ならば私もカバーに入るとしよう。

 

 

 

 クリリンを狙撃しようとしていた兵士を蹴り飛ばし、スタミナが尽きかけている亀仙人にロケットランチャーを向ける兵士をエネルギー波で薙ぎ払う。

 

 倒しても倒してもキリがないが、暴れに暴れ回ったおかげか「化け物だ」と逃げ出す兵士が出始めて来た。

 このままドラゴンボールを置いて撤退してもらいたいところだ。

 

 

「キャロット! ブルマから連絡だ! ドラゴンボールがある所をドローンで誘導してくれる!」

 

 

 ヤムチャが建物の中から私に呼びかける。

 すると飛行ドローンが私の前に止まった後、真っ直ぐ一つの塔を目指して飛んでいった。

 ブルマが遠隔操作してくれているのだろう。

 

 

「ありがとう。ヤムチャ。ブルマ。皆。行ってくる」

 

 

 ドローンを目印に私は塔最上階の窓ガラスを蹴り破って中へと侵入した。

 

 




あのブルマがものすごく心配するくらいの顔。
理不尽?な突撃がレッドリボン軍を襲う。


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其之二十八『亀裂広がる』

亀裂がさらに大きくなる話。


 塔の中には大柄な男が一人、小柄な男が一人、そしてドラゴンボールが一つあった。

 

 

「畜生。あと一息だったのに……後少しで私の背が伸びたのに……」

 

 

 小柄な男が私を見るとドラゴンボールを背に隠すよう持って後ずさっていく。

 大柄の男は小柄の男を庇うよう立ちふさがるが、その言葉を聞き戸惑いの表情を見せていた。

 

 

「そんな理由でカカロットを殺させたのか。そんな理由で貴様は!!」

「そんな事だと!? 貴様にオレの何がわかる!? ブラック!! 早くこいつを始末しろ!!」

 

 

 私はドラゴンボールを気遣いながらも怒り任せに小柄な男を殴り飛ばす。

 ブラックと呼ばれた大柄の男はそれを止めようとはしなかった。

 どうやら願いの内容があまりにも酷く仲間に見放されたらしい。

 

 

「ぶ、ブラック! な、なにをしている!! 早くせんか無能が!!」

「無能はどちらだ。そんな願いの為に何人の兵士が犠牲になったのかわかっているのか?」

「訓練が足らんからやられるんだ!! 貴様らは黙って総帥の命令を聞いておればいいんだ!!」

 

 

 レッドリボン軍が哀れに思う程、トップの総帥は無能で、姿通りの小物だった。

 流石のブラックもそんな言動に耐えきれなかったのか拳銃を取り出すと総帥の頭を撃ち抜く。

 世界最悪の軍隊の総帥としてはあっけない幕引きである。

 

 

 

「見苦しいところを失礼した。孫悟空の事はすまないと思っている。全てレッド元総帥の暴走が招いた事故だ。このドラゴンボールを使って孫悟空を生き返らせるといい」

 

 

 

 ブラックはレッドの遺体の手からドラゴンボールを取り出し私に見せる。

 

 

 

「譲る代わりに見逃せ、という事か?」

「出来る事ならレッドリボン軍再建を手伝ってもらいたい。君達と私が手を組めばドラゴンボールに頼らなくても世界征服は出来る! 世の中を思い通りに動かせるぞ!!」

「カカロットを殺した組織に手を貸すつもりはない。もっと昔にスカウトするんだったな」

「そうか。では戦うしかなさそうだな」

「逃げるなら追わんぞ」

「君が生きていると兵士達が君に恐怖しレッドリボン軍の再建が難しくなる。私にも意地がある。犠牲になった兵士たちの為にも、レッドリボン軍の未来の為にも、新総帥として私は、いや俺はお前を倒さなければならない」

 

 

 

 ブラックはドラゴンボールを私に軽く投げ渡し、ホイポイカプセルから戦闘機械を出す。

 レッドリボン軍がブラックの居場所であり全てなのだろう。

 大切なモノを奪われた者同士の私闘だ。

 乗り込む前に攻撃するなんて野暮な事はせず、受け取ったドラゴンボールを懐に入れる。

 戦闘の邪魔になりそうだが大規模な戦闘になって瓦礫を掘り起こす事になるよりはマシだ。

 

 

「レッドリボン軍のバトルジャケットだ。レッドリボン軍再建の為死んでもらうぞ!!」

 

 

 ブラックが乗り込んだ戦闘機械バトルジャケットが腕を向けビーム砲を発射してくる。

 床を蹴り後ろに避けると床がビームの熱で焼かれ溶けて下の階まで突き抜けになった。

 桃白白のドドン波とどちらが威力が高いかと聞かれると困るが、直撃は避けるべきだろう。

 私を捕まえようと振り回される腕の速さも図体が大きいのにもかかわらず早い。

 このバトルジャケットが量産されていたら不味かった。

 

 振り回される腕を掻い潜りバトルジャケットの股を潜り抜けて膝裏に回り込むと、膝の関節部に拳を振り抜いて至近距離でエネルギー波を放つ。

 

 拳でもエネルギー波でも破壊できない耐久度。

 それでもバランスを崩す事は出来たようでバトルジャケットが転倒する。

 

 

 

 破壊するには戦闘力の一点集中か速度を加えて威力を増す必要がありそうだ。

 

 

 

「お前さえいなければレッドリボン軍は不滅だった! お前さえいなければ!!」

 

 

 

 バトルジャケットは上半身だけを起こし両腕からビームを乱射し続ける。

 それを距離を詰めようと相手に突進しながら避けようとしたが、回避が間に合わず一発右腕に貰い右手が焼かれ、痛みに歯を食いしばりながらもまだ真っ直ぐ突き進む。

 体の回復が始まれば攻撃するだけの体力が残らないかもしれない。

 自分の右腕が再生する前に左手と足に戦闘力を集中し、一気に床を蹴り、天井を蹴って拳を振り下ろしながらバトルジャケットへと突撃していく。

 

 衝撃で床が割れ、勢いが殺されないよう飛行でさらに加速し、階層を突き抜ける。

 それでもバトルジャケットの胴体には亀裂が入っただけだ。

 バトルジャケットを押し込む形で階層を何層も突き破ったところで、ようやく拳がバトルジャケットの装甲を貫き内部にめり込む。

 そこで右腕の再生が始まり一気に力が抜けるのを感じた。

 

 

 

 

 

「間に合ええええええええええええええええええええッッッ!!」

 

 

 

 

 

 最後の力を振り絞りスピリッツキャノンをバトルジャケット内部に放つ。

 力が入り切らず装甲は貫けなかったがバトルジャケットの内部を吹き飛ばす事は出来た。

 その爆発のダメージからの回復でまた余計に体力が持っていかれる。

 

 

 もう戦えるだけの体力は残っていない。

 それでも相手の生死の確認は必要だ。

 ふらついた飛行でバトルジャケットの近くに着地する。

 

 キャノピーの中を覗いてみると赤い血がへばりつき中の様子が確認できない。

 内部の爆発が原因か、床を何層も突き破った時の衝撃でこうなったのかはわからない。

 少なくともこの出血量で生きているとは思えなかった。

 

 

 ふと冷たい空気を感じた。

 周りを見まわすとよくわからない機械の数々。

 そして冷気はバトルジャケットの下から感じられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「後少しで妻と息子に再会できたというのに!! 貴様という奴は!! 貴様という奴はっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 突然駆け寄って来た老人が涙を流しながらバトルジャケットに押しつぶされた何かを掘り出そうとしているが、老人は戦闘力が高くないようでバトルジャケットを持ち上げられず、膝をついて泣き崩れている。

 

 

「貴様だけは絶対に許さんぞ!! 地獄の果てまででも追いかけて殺してやる!!」

 

 

 バトルジャケットの下から覗く女性のものと思われる細い腕。

 こんなつもりはなかった。

 だけど誰かを殺すという事は、どこかの誰かが悲しむという事はわかっていた。

 わかっていてレッドリボン軍を攻め込んだのだ。

 

 

「死体さえ無事なら人造人間として蘇らせる事が出来た!! その機会すら奪いおって!!」

「恨むなら恨め。復讐するなら好きにしろ。いつでも受けて立つ。ただ他を巻き込むな」

 

 

 この件に関しては私が全面的に悪いのだ。

 殺されてやるつもりはないが恨まれるのは私一人でいい。

 この老人に私が出来る事は恨まれ続けられる事だけだ。

 私は老人に背を向け、ふらついた頼りない飛行で天井の穴を登っていく。

 

 ピシリ、と何かが砕けて崩れる音がしたがきっと天井が崩れた音だろう。

 

 




レッドリボン軍基地の地下にドクター・ゲロの開発施設があり、そこに妻の遺体が冷凍保存されいたよう歴史改変が行われております。
この歴史の亀裂は後に大きくなる事でしょう。


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其之二十九『理想と現実』

現実で満足するべきなのに理想は遠かった話。


 レッドリボン軍はトップを失い兵士達は本格的な撤退を開始した。

 見つけたドラゴンボールを本部に届けに来たバイオレットという女性も、ドラゴンボールを持っていたらレーダーで追跡されて追いかけられると思ったようで、「これで他の皆も見逃して欲しい」と降伏し、交渉役となったブルマにドラゴンボールを渡す。

 

 元々撤退する兵士を追撃するつもりはなかった。

 それでもブルマは「また悪いことしたら容赦しないわよ」と釘を刺しているあたりしっかりしている。

 亀仙人、クリリン、ヤムチャ、ランチと戦闘に参加した仲間は全員無事。

 勝敗だけ見れば完全勝利の結末なのに、あの老人の泣き崩れた姿が頭から離れなかった。

 

 とにかくこれで残りドラゴンボールは2つ。

 後少しでカカロットを復活させてやる事が出来る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ? 皆なんでこんなとこにいるんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう思っていたら空から筋斗雲に乗ったカカロットが下りて来た。

 この場にいる誰もがカカロットが生きているとは思わず驚きの表情を見せる。

 

 

「カカロット……生きて、た、のか?」

 

 

 私は足から力が抜けるのを感じた時には地面にへたり込んでいた。

 疲れ切っていたのもあるが、それ以上にカカロットが生きていた事が何よりも嬉しかった。

 

 

「桃白白が持って行ったドラゴンボールを姉ちゃんが持ってるって事は、もしかして姉ちゃん桃白白を倒したんか!?」

「そう言う貴様こそ、どうしていたんだ。戦闘力が消えて殺されたとばかり思っていたんだぞ!?」

「オラか? 桃白白にてんで敵わなくってよ。今までカリン様に修行つけてもらってたんだ」

 

 

 暢気に笑う姿は見間違う事のないカカロットそのものである。

 カカロットが負けて急激に戦闘力が減ったのを死んだものと勘違いしてしまったようだ。

 勘違いで私に付き合ってレッドリボン軍を攻めてくれた皆には悪いと思う。

 だけどレッドリボン軍については悪いと思うところはない。

 

 どのみち攻めなければドラゴンボールをめぐって争う事になっていた。

 既にレッドリボン軍とは敵対関係にあり目を付けられていたのだ。

 カカロットが生きている事を私が知っていても、レッドリボン軍を攻め込むタイミングが変わるだけで同じ結末になっていただろう。

 

 

 

 どう転んでも誰かが誰かに恨まれるなら、親しい誰かが恨まれるよりも自分が恨まれていた方が気持ちが楽だ。

 

 

 

 出来る事ならという事であれば、あの老人の悲しみを何とかしてあげたい気持ちはある。

 ただ、それを言ったら兵士達の家族の事も考えてやらなければ不公平だとも思う。

 だが今回死んだ者を全て生き返らせてもまた同じことの繰り返しになるだけだ。

 人の願いはそれぞれ違うのだから、ドラゴンボールでも全ての人を幸せにする事は出来ない。

 

 

 だから余計な事は考えるなと自分に言い聞かせる。

 私には理想を叶えるだけの力はない。

 だからカカロットが生きているという今をただ喜び満足するしかないのだ。

 

 

「姉ちゃん、いきなり引っ付いてどうしたんだ?」

「……色々あって疲れたんだ。筋斗雲の方が寝心地が良い」

 

 

 私は筋斗雲に乗り、カカロットを後ろから抱きしめ瞳を閉じる。

 大事なものは全部無事なのだから、こんな結末でも喜んでいいと信じたい。

 

 




奪われる怒りを知って、失う悲しみに押しつぶされそうになって、生きていてくれた喜びに打ち震えて、だけど残る罪悪感。

あっさり帰ってくる悟空に対し、様々な感情を溜め込むキャロットでした。


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其之三十『友達との日常』

ちょっとした日常がはさまる話。


 カカロットは目の前で桃白白に殺されたウパの父親を生き返らせる為にドラゴンボールを使いたいそうだ。

 ドラゴンボールも6つ揃ったのでその願いはもうじき叶う筈だったのだが、ドラゴンレーダーは集まった6つの反応しか捉える事が出来ず、7つ目の場所がわからない。

 ブルマによるとドラゴンレーダーはドラゴンボールから発せられる特殊な電波を探知している為、生命体に飲み込まれるなどして電波を遮断されてしまうと捕捉出来ないらしい。

 

 探すのは絶望的だと困っていると、亀仙人が占いババなら占いで何とかしてくれる事を教えてくれた。

 亀仙人は占いババの宮殿の場所を地図を広げて教えてくれるが、当然ながらカカロットが地図で場所を教えられてもわかる筈もなくヤムチャが案内役を買って出る。

 

 

 レッドリボン軍はもうないのだから危険はないと思うが私も一緒に行っておこう。

 

 

 そう決めると、クリリンとブルマも一緒についてくる事になった。

 なんでも私が危なっかし過ぎるらしい。

 何でそこで私の名前が出て来るかはわからないが、心配してもらえているというのは嬉しいものだ。

 断る理由もないし好意は素直に受け取っておくとしよう。

 

 

 そうして占いババの宮殿に出発したが、道中でブルマがカカロットが匂うから街に寄ろうと提案した。

 確かにカカロットの道着はボロボロで穴まで開いているから新調してやった方がいいだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 そう同意したのが間違いだった。

 

 

 

 

 

 

 

「キャロ。この服とか似合うと思うわよ?」

「私は貴様の着せ替え人形ではないぞ、ブルマ。さては私で遊ぶ気で付いて来たな?」

「だってあんた全然元気ないんだもの。それにキャロは元がいいんだから勿体ないじゃない」

 

 洋服屋に着くなりブルマが服を押し付けてくる。

 どうやらボロボロの衣服を着たカカロットが居て、地図で道中に手ごろな街がある事を知ったブルマは最初から私を服屋に連れ込むつもりだったようだ。

 

 

「こんなヒラヒラな服着れるか。動きにくいしすぐ破れる」

「いつも戦ってる訳じゃないんだから普段着にすればいいじゃないのよ」

「いつどこででも戦えるよう心構えしておくのが戦闘種族サイヤ人だ」

「なら動きやすいように短パンとこのジャケットなんてどう? 田舎町にしては結構いいデザインよ、これ」

 

 

 ブルマは何が何でも私を着せ替え人形にして遊びたいらしい。

 黄色い短パンと青いジャケットの組み合わせをお勧めしてくる。

 

「ヒラヒラしたのと比べたらマシだが……」

「でしょ? ほらほら、試着はタダなんだから着替えた着替えた!! まだまだあんたに似合いそうなのは沢山あるんだから!!」

 

 だけど楽しみながらもどこか気遣ってくれているのも何となくだが察する事が出来た。

 それに服を選んでもらうのも悪い気はしない。

 最初は抵抗があったものの、気づいた時には服選びも楽しいと思えるようになっていた。

 

 




何だかんだで面倒見のいいブルマ。
天才で飛び級して大学まで卒業しているブルマも同じくらいの子とこうして買い物したり遊んだりしたかったかもしれないと思い、乗り気でキャロットをいじらせました。


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其之三十一『占いババの館』

占いババの館に行った話。


 占いババの宮殿に着いたものの、占ってもらうには一千万ゼニーか五対五の勝ち抜き試合に勝たなければならないようだ。

 亀仙人からそんな事は一言も聞いていないが、おそらく腕試しをして来いという意図が含まれての紹介だったのだろう。

 当然ながら試合をして占ってもらう事にした。

 

 こちらの参加メンバーは私、カカロット、クリリン、ヤムチャと四人しかいないが何とかなるだろう。

 そう思っていたら最初の相手ドラキュラマンにクリリンが油断して簡単に負けてしまう。

 最初に調子に乗って油断していた事と、相手が蝙蝠に変身して翻弄された事が大きな敗因になったが、クリリンの潜在能力なら油断していても十分勝てた相手だとも思えた。

 やはり重力制御室でみっちりと体を鍛えてやる必要がありそうだ。

 

 こちらの二番手ヤムチャは蝙蝠状態のドラキュラマンを空中で鷲掴みにして場外である湖に投げ込むことで難なく勝利を収めている。

 次の透明人間スケさんとやらも、攻撃を耐える事で相手の位置を把握し即座に反撃するという方法で狼牙風風拳を決めて勝利した。

 この調子ならヤムチャ一人で五人抜き出来てしまうのではないかと思えるほど快調だ。

 

 

 だが第三試合は試合場所が変わり、下が猛毒の沼で狭く細長い柵のないつり橋のような足場で戦わせるという、空を飛べない者にとって戦い辛い環境だった。

 今の所ヤムチャの長所は戦闘力以外だと隙をついてのラッシュ技しかない。

 足を生かせず一度防戦に持っていかれたら不利な地形はヤムチャの不得意な場と言えるだろう。

 

 

 

 

 

「ヤムチャ。まだ私とカカロットが控えている。不利になったと思ったら降参しておけ」

「キャロットと悟空が出るまでもないさ。強くなった俺の力を皆に見せてやるぜ!」

 

 

 

 

 

 と言いながらヤムチャは対戦相手のミイラ男に負けた。

 一応フォローしてやると途中までは互角の攻防をしていたのだが、狼牙風風拳を放った時に足払いをされ足場から転落してしまったのだ。

 カカロットが如意棒を伸ばして助けたからヤムチャは無事だが、手助けをしたので反則負けとなった。

 

 

「すまない、俺とした事が油断した。まさかこんなところにあれ程の奴が居るとは……」

「あの狼牙風風拳という技、足元ががら空きなのは何とかならないのか?」

「い、今まで技中に狙われたことなんてなかったんだ……面目ない」

「姉ちゃん。次オラが行っていいか? オラまだ自分がどれだけ強くなったか試してないんだ」

「構わんが油断するなよ。下に落ちたらシャレにならんからな」

 

 

 カカロットがやる気満々で試合場に向かっていく。

 詳しい数値はスカウターを着けていないからわからないが、今のカカロットの戦闘力は私よりも大きく感じる。

 対戦相手のミイラ男と比べてみてもカカロットの方が上だ。

 余程下手な戦い方をしなければ負けはないだろう。

 

 安心して見送ると、カカロットは試合開始直後にミイラ男を一撃で倒してしまう。

 まだ自分がどれだけ強くなっているのか実感が湧いていないようで首を傾げつつも、気絶して返事のないミイラ男を次の試合の邪魔にならないようにと控え室に運んでいく。

 

 

 次の試合アックマンはようやく力の加減を掴んできたのか、カカロットの一方的な試合なものの一撃で勝負が決まる事はなかった。

 しかし武器を使い出したアックマンにカカロットが怒り、最後はやはり一撃で決めてしまう。

 

 

 カカロットだからよかったものの、途中で撃ってきたアクマイト光線は私だったら不味かった。

 悪の心を膨れ上がらせて相手を爆発させる技と言っていたが、効果がえげつないと思う。

 この星の住民は何でこうも初見殺し技を持っているのだろう。

 

 

 

 

 

 そして最後の対戦相手、お面をつけているが声を聞き間違える事はない。

 

 

 

 

 

 天使の輪を頭に浮かばせた孫悟飯が「やあ」なんて暢気な挨拶をカカロットにしている。

 神龍でも生き返らせる事の出来ない孫悟飯がなぜこんな所にいるのかわからない。

 天使の輪がついているという事は死んだ状態でこの場にいると思えばいいのだろうか。

 

 カカロットはまだ相手が孫悟飯だと気づいていない。

 あれが孫悟飯だと教えてやるべきだろうか。

 いや、もしかしたら親しい誰かに化けて相手の心を乱す類の物の怪という可能性もまだある。

 

 そんなもやもやした気持ちを抱えたまま「この小僧とは思いっきり戦ってみたい」という孫悟飯の願いから、外の競技場へと移動する事になる。

 

 

 結論から言うと孫悟飯だった。

 試合前に一礼する礼儀正しさ、構え、戦い方、私達サイヤ人は尻尾を強く握りしめられると力が抜ける弱点を知っている私達への情報力。

 生前よりも戦闘力が増していたが、名乗られる前から孫悟飯だという要素を沢山見せつけられた。

 

 

 孫悟飯が降参して「わしじゃよ」と名乗りを上げ、カカロットが再会に泣きながら喜び孫悟飯の顔に飛びつく。

 

 

「キャロットも元気じゃったか?」

「それなりにな」

「久しぶりにキャロットも組手をするかの?」

「爺様は私よりも強い。それで今の私は満足している」

「そうかそうか。女の子らしい恰好をするようになったみたいだし一安心じゃわい」

「ブルマが……そこにいる女が勝手に着せたんだ。私の趣味じゃない」

「いい友達に巡り合えたみたいじゃな」

「……まあな」

 

 

 積もる話は沢山ある。

 だけど話せば話す程きっと未練が残ってしまうだろう。

 だから後は言いたい事を一言だけ言ってお別れしよう。

 

 

 

 

 

 

 

「爺様、育ててくれてありがとう」

「元気に育ってくれてありがとう」

 

 

 

 

 

 

 

 ようやく言えたお礼の言葉をお礼の言葉で返されてしまった。

 本当に孫悟飯には敵わないなと思う。

 

 




キャロット自身は戦わないので、さらっと流した占いババ編でした。
それでも変わっているところが色々あったりします。
(ヤムチャとかヤムチャとかヤムチャとか)


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其之三十二『しばしの別れ』

弟とまたしばらく別行動をする話。


 占いババの占いでドラゴンボールの場所を知ったカカロットは無事ドラゴンボールを見つけウパの父親を生き返らせる事が出来た。

 四星球はドラゴンボールが飛び散る瞬間に空中で取ったらしい。

 これでドラゴンボールを探す必要はもうないだろう。

 

 これからの事だがクリリンとヤムチャは悟空の強さに刺激され亀仙人の元で修行するようだ。

 カカロットと私もしばらく亀仙人の元で世話になろうと思ったが、もう既に亀仙流の修行では伸びしろがなくなっているので世界中を見て回って己を鍛えた方が強くなれると助言された。

 

 亀仙流の修行では物足りないのは事実だ。

 カカロットと重力制御室に籠って組手をし続けた方が戦闘力の伸びはいいだろう。

 だが、カカロットに色々な事を経験してもらいたいというのはわからないでもない。

 単純な戦闘力の数値ではなく、カカロットには強く清く自由に生きてもらいたい。

 

 

 少し寂しいし心配でもあるがカカロットも乗り気なのでしばらく一人旅をさせる事にした。

 会いたくなったら私の方から飛んでいけばいい。

 

 

「姉ちゃんはどうすんだ?」

「私はしばらく自由にやっていくつもりだ。それにクリリンとヤムチャを鍛えてやらないと張り合いがないからな」

 

 

 クリリンにも重力制御室で修業を付けてやると約束している。

 それに戦闘力のコントロールだけでなく、怪我をすると体力を消耗する不便な体の仕組みの理解を深めなければならない。

 ブルマにはポット型宇宙船や戦闘服を見せる約束をしているし、食べてみたい料理や作ってみたい料理もあるし、やる事は沢山あるのだから徒歩だけで世界中を周るなんて時間の無駄はしたくない。

 

 

 やりたい事をやりたいようにやって、いつの日か天国にいる孫悟飯に笑顔で土産話をしたい。

 こんなにも満足した人生を送れたんだと誇る事が孫悟飯を超えた証だと思う事にしたのだ。

 

 

「カカロット。尻尾が生えてきたら満月を長く見ないよう気を付けろよ」

「ん? なんでだ?」

「私達は尻尾がある状態で満月を直視し続けると大猿の化け物に変身するんだ。その状態で理性を保つのは難しく……いや、貴様にわかりやすく説明すると暴れて周りが迷惑するから満月は見るな」

「へぇ、オラ達満月見るといけねぇんか。尻尾鍛えるのと一緒になんとかならねぇかなぁ」

「試すとしても周りに人がいないところでしろよ」

「ああ! わかった!」

 

 

 満月を見ると大猿になるというサイヤ人の特性を知らせても、カカロットは驚くだけですんなりとその事実を受け入れる。

 相変わらず軽い奴だ。

 

 

「修行で筋斗雲は使うなとエロ爺は言っていたが、いざと言う時はちゃんと使うんだぞ?」

大丈夫(でえじょうぶ)だって」

「それと汚れたら水浴びくらいしろ。汚いままだと人に嫌な顔されるからな」

 

 

 カカロットは買い物などはしないと思うが人と関わる機会はそれなりに出て来るだろう。

 いつまでも私が居ないと体を洗わないままでは困る。

 

 

「それじゃあ姉ちゃん。3年後の天下一武道会でまた会おうな!」

「さらりと会う気がないような発言はやめろ。たまに様子を見に行くぞ」

「そうなんか?」

「たまにだから期待はするなよ」

「オラ別に期待なんてしてねぇぞ?」

「貴様という奴はそういうところは薄情だな」

 

 

 別れを全く惜しまないのはカカロットらしいといえばカカロットらしい。

 それでもカカロットは私にとって大切な家族で、カカロットもそう思ってくれている。

 

 そんな弟と一度別れるのは少し寂しいけれど、私はこの大切なものが沢山出来た辺境の地で今日も元気に生きていきますとも、ええ。

 

 




辛いこともあるけどそれ以上に幸せな思い出を作って自慢してあげたい。
孫悟飯との再会で前よりも前向きに歩いて行けるようになりました。

数話ほど小話をした後、3年後の第22回天下一武道会に入る予定です。
ゆったりと本編が始まるまでお待ちください。


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其之三十三『生命エネルギーの定義』

早めに気という単語が出て来る話。


 しばらく考察してみて気付いたが、亀仙流の修行は筋肉増加や基礎体力の向上が目的ではなく、生命エネルギーの効率的な運用法を学ぶ修行なのではないだろうか。

 

 戦闘力を抑えられるようになってからわかった事だが、サイヤ人の体は地球人の体よりも丈夫なものの戦闘力を抑え生命エネルギーで守られていない状態だと包丁で切り傷を作る事が出来る。

 銃弾を弾く体にも関わらず触ってみて柔らかい個所が残っているのが不思議だったが、戦闘力の源である生命エネルギーが体を覆い、本来ひ弱な筈の体を守ってくれていたからだろう。

 身体能力の向上も筋肉よりも生命エネルギーによる強化の方が大きい。

 

 亀仙流の修行は筋肉だけでは出来ない事をやらせて、言葉では説明しにくい生命エネルギーの効率のいい運用法を体で学び、人間を超える為の修行なのだろう。

 

 

 その事を亀仙人に尋ねてみると大体合っていたらしい。

 生命エネルギーを気と呼んでいる事を教えてくれた。

 

 

 そうなってくると、私が好き好んでやっている重力修行も気のトレーニングに入るのだろう。

 重力から常に気で体を守り続ける事で気に負荷をかけて鍛える修行と考えればいいかもしれない。

 

 

「という訳だクリリン。まずは重力に耐えながら自分の気を感じてみろ」

「無茶言わないでくださいよキャロットさん!! 立っているだけで精一杯ですって!!」

「そういうものがあると意識しながらやっていればその内出来る筈だ。少なくとも私は出来た」

 

 

 気の察知やコントロールを口で説明するのは難しい。

 クリリンの重力制御室での修行にさっそく気の概念を取り入れてみたが上手く説明する事が出来ない。

 

 

「わかりやすいように気を視覚化させると、通常時気は煙のように体から漏れ出しては消えている。この状態だと力が集約されていないおかげかドアの開け閉めや食事など日常生活に支障はない」

 

 

 エネルギー波の応用で気の流れに見立てて体からエネルギーを視覚化させて垂れ流す。

 見えているのと見えていないのとではわかりやすさが違うと思いたいところだ。

 

 

「戦闘状態だとこれが引き締まり、漏れ出す気が少ないほど効率がいい、筈だ。さらにこれを一点に集中させる事で攻撃力を上げたり、防御力を上げたりできるがその分他の部位の気がおろそかになる」

「こ、こう、ですか?」

「すまん、私にもどうなっているのかまだわからないから自分で判断してくれ」

「そりゃないですよ、キャロットさん」

「それでもかめはめ波モドキくらいならすぐに撃てるようになる筈だ」

「本当ですか!?」

「モドキだがな。エロ爺のかめはめ波は気の圧縮効率がおかしい。そこは練度の差だろう」

「へへへ、それでも俺もかめはめ波が撃てると思うと嬉しいですよ」

 

 

 そのまま修業を続けると、なんだかんだでその日の内にかめはめ波モドキをマスターするのだから、クリリンも才能がある。

 かめはめ波が撃てた事を飛び跳ねて喜び感謝するクリリンに私は頬を緩ませていた。

 

 

 




亀仙人は気という単語を次の天下一武道会では使っていたので、神様程の知識は持っていないものの武人や仙人として何か感じるものはあったのでしょう。
中途半端に齧った知識のキャロットによる気の講座その1でした。

気のコーティングを解いて油断している状態だとビームガンが通ってしまうよという程度の話ですが、本作の気のイメージは『HUNTER×HUNTER』の念が近いかもしれませんね。

気を纏ってぶつかり合い、気を消耗させていくのがバトルの基本で、戦闘力(気)が離れすぎていると腕がもげた天津飯のように気のコーティングを突破されて脆い体にダイレクトダメージが通ってしまいます。


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