須賀京太郎集め (TOMO)
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京久

 

私―――竹井久―――は、気になるヒトがいる。

 

そのヒトとは、とある麻雀部員で清澄高校の転機となった人物。

 

「だぁぁー。また、負けちまった。」

 

その人物は唯一の男子麻雀部員こと、須賀京太郎である。

 

1年生同士で打っていたが、決着はついたようだ。

 

「疲れたじぇー。京太郎、悪いがタコスを買ってきてくれー。」

 

「こら!ゆーき、駄目ですよ。今日初めて会った、須賀君にそのようなこと頼んでは。」

 

「そんな硬いこと言いっこなしだじぇ、のどちゃん。」

 

「ふふっ。二人共仲が良いのねぇ。流石同じ中学出身なだけあるわね。」

 

実際問題、この二人―――原村和と片岡優希―――は、仲が良い。

思いつき振り回す優希と振り回されつつも意外と面倒見が良い和。

非常に相性が良い二人だ。

 

「いえ、そんなことは。」

「私とのどちゃんはベストフレンドだじぇ。」

 

「それじゃぁ、俺はタコスでも買ってきますね。学食のメニューにありましたし、ずっと気になってたんですよねー。」

 

そして、気になってる子も思いの外気が利くというか、面倒見が良い。

 

理由を聞いたら、

「幼馴染の面倒見てたら、こういうことができるようになっちゃいまして。」

 

と言っていた。

 

いいなぁ、その幼馴染。私も面倒見てほしいなぁ。

 

グヘヘ。そしたら、あーんな事やこーんな事も。

 

 

「おおぅ。京太郎は話がわかるじぇ。頼んだぞ。」

 

「ゆーき!もう。申し訳ありません須賀君。」

 

「良いって、良いって。飲み物買う序だし。和は何か飲むか?」

 

「いえ、そんな。私は結構です。」

 

「私は、オレンジジュースが良いじぇ。」

 

「優希もああ、言ってるし。な。」

 

「……それでは、お茶をお願いしても良いですか。」

 

 

―――ほら、部長どうして欲しいんですか?教えて下さいよ。

 

―――よく出来ました。ご褒美をあげますよ。

 

―――部長、いや、久さん。俺、もう……我慢……出来ないッ

 

「任せろって。部長はどうします。」

 

ハッ。ヤバイ、妄想で話の半分も聞いてなかった。

 

落ち着くのよ、私。クールになりなさい。

 

恐らく、飲み物の話題。そして、何か欲しいものはあるか。

 

「私?私は、須賀くんにお任せするわ。」

 

正解の選択肢はこれね。

 

「一番難しいじゃないですか、ヤダー。」

 

「須賀くんのセンスが物を言うわねぇ。」

 

あ、ヤバイ。こんな軽口の応酬が、すっごい楽しいし、嬉しい。

こういうタイプじゃないって思ってたんだけどなぁ、私って。

 

「私も手伝います。任せっきりなのも嫌なので。」

 

「サンキュー、和。助かるよ。それじゃぁ、行ってきます。」

 

「行ってきますね。」

 

「タコス待ってるじぇー。」

 

「いってらっしゃい。気をつけてね。」

 

やるわね、和。

 

さり気なく手伝うことで高感度を上げ、同時に、二人っきりになれる。

 

ぬかったわね、私が行けばよかった。

 

 

「それにしても疲れたじぇー。」

 

「フフッ。お疲れ様。調子は中々よさそうね。」

 

「うおっ。流石は部長。よく見てるのは、京太郎のことだけじゃないんだな。」

 

え?何と言ったのかしら、優希は?

 

え?もしかしてだけど、気づかれてる?

すごい、恥ずかしいんだけど。

 

「どいうことかしら?」

 

「いやーそのまんまの意味だじょ。部長は京太郎の方よく見てるし。

対局中も視線を京太郎と行ったり来たりしてるし。」

 

嘘。私ってそんなに須賀くんのこと見てるのかしら。

バレない程度に抑えてると思ってたんだけど。

 

 

「そんなことは無いと思うけど。」

 

「いーって。気にすることないし。それより、部長は京太郎のこと好きなのか?」

 

意外と直球で来るわね。

 

「……そうね。きっと好きよ。1人の男性として。そいう優希はどうなの?」

 

「私?うーん、嫌いではないじぇ。

すごい美味いタコスを作れるようになったら考えてやらんでもないじょ。」

 

そんな人日本にいるのかしら?

 

「優希を唸らせる程のタコスを作れる人なんているのかしらね?」

 

「きっといるじょ。本場のメキシコとかになら。

そんなことより、部長は、京太郎の何処を好きになったんだ?」

 

須賀くんの何処を好きになったのか、かぁ。

 

「そうねー。私にも分からないわね。気付いたら須賀くんのことを目で追ってたわね。

これが、一目惚れなのかもしれないわね。」

 

柄でもないのは自分が良く分かってるし。

 

「部長って思ってたより乙女なんだな。のどちゃんも大変だじぇ。」

 

「それは、どういう意味かしら?そして、どうして和の名前がでるのかしら?」

 

「気にすることないじぇー。」

 

ちょっと気になるんだけど。

え?和もなのかしら? 嘘でしょう。

 

 

 

「買ってきました。」

「只今、戻りました。」

 

「お帰りだじぇ。さぁ、京太郎!私に、一刻も早くタコスを渡すんだッ!」

 

「はいはい。分かりましたよー。」

 

「ちゃんと、お礼を言うんですよ、ゆーき。」

 

うーん、そんな感じには見えないわねぇ。

 

「部長には、此方を購入してきました。」

 

「……水とは、まぁまぁね。」

 

「何でも良いって言ったじゃないですかー、ヤダー。」

 

和がどうなんて関係ないわね。

今は部活を楽しんで須賀くんと一緒にいれる時間を満喫しましょう。

 

カンッ

 

 

 

外で体育をしてるのは1年生かしら。元気ねー。

 

あの金髪の頭は須賀くんね。やっぱり格好いいわね。

此方に気づかないかしら。2階だし、無理かしら。

 

あっ、此方見た。手でも振ってみようかしら?

 

手を振ると、須賀くんもちょっと照れたように手を振り返してくれる。

 

やっぱり、可愛い所もあるなー。

 

「……ッ!……イッ!?」

 

もう、五月蝿いわね。もう少し静かにしてもらえないかしら?

 

「……けいッ!竹井ッ!?聞こえているか!」

 

「ハッ、ハイッ。」

 

「きちんと授業に集中するように。」

 

「はい、分かりました。」

 

怒られちゃった。

それにしても、須賀くんは楽しそうだなー

 

もいっこカンッ

 



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京久2

『全国大会で優勝できたきっかけですか?』

 

『はい。失礼ですが、無名だった清澄高校が、優勝まで辿り着いたきっかけがあれば是非とも教えて頂けないかと。』

 

『それは、簡単ですよ。ある1人の部員が入部してからです。

そこから、清澄高校麻雀部は始まったと言っても過言ではありません。』

 

『それは、―――』

 

 

 

今でも、鮮明に思い出せる。昨日のことのように。

それは、晴れた春の出来事だった。

 

 

 

 

 

若い草の芽ものび、桜の咲き始める、季節が今年もやってきた。

 

我が清澄高校には新たに320名が入学した。

その中から、麻雀部に興味を、関心を持ってくれる人は何人いるのだろうか?

 

議会長権限でどうにか廃部は免れているが、今年入部希望者がいなければ、廃部となってしまう。そうなれば、夢でもある全国制覇にも手が届かない。

 

「はぁ。弱気になっちゃ駄目ね。まだ、入部希望者が0っていう訳でもないのに。」

 

そう言って、自分に活を入れる。

 

でも、心の何処かでは諦めている自分がいる。

 

去年はやっとの思いで、実家が「Roof-top」という雀荘を営んでいる“染谷まこ”を入部させられることができたのだ。

今年はいないのかもしれないという暗雲に包まれる。

長野で麻雀をやるならば強豪校―――名門風越女子か龍門渕―――に向かうだろう。

 

 

 

部室がある旧校舎から少し距離がある所からは、部活勧誘の声が聞こえる。

今日で、4日も経ったというのに、戸が叩かれる気配がない。

 

部員が少ない上に、生徒議会で忙しく十分な勧誘もできていないので、

叩かれる事自体が稀有なのだが。

 

それでも、期待というものを人はしてしまうものだ。

 

 

 

権限で強制的に入部させても、意味がない。

それでは、2年前と同じ轍を踏むことになる。

それだけは、避けたい。

何よりも、目標であり、夢でもある全国制覇を成し遂げるためには、経験者のほうが望ましい。

 

と、物思いに耽っていた時だった。

何か視線を感じる。

 

入部希望者か見学者かしら?と思い、振り返ってみる。

 

そこには、金髪の少々あどけなくも、体付きはしっかりとした、青年が佇んでいた。

 

 

「部活動見学者かしら、それとも入部希望者? 」

 

そうであって欲しいという願いで聞いてみる。

只の希望的観測でしかないが。

この際、男子生徒だからといって拒否をしてはいけない。

仲の良い女子生徒を連れてきてくれるかもしれないという思いにフタをする。

 

「いや、違うんです。迷子を探していて。」

現実というものは非情で

世知辛いものである。

 

「そうなの。」

 

表情が変わっていないか不安になる。

残念そうな表情を見せるわけにはいかない。

あからさまに目の前でがっかりされると辛いのだ。

私にも経験があるので、そんな思いをさせたくはない。

 

 

さて、どうしようかと頭を悩ませていると、向こうから質問が飛んできた。

 

「此処は一体何をするんでしょうか。」

 

先程、迷子を探していると言っていたからか、よく確認もせずに入ってきたのだろう。

 

意外とおっちょこちょいというか、可愛らしい所があるものだ。

 

「麻雀よ。知ってるかしら?」

 

現代の大人気競技となった麻雀。今や知らない人はいないとでも言えるモノ。

 

「耳にしたことはある程度ですね。細かいルールは知りません。」

 

男子麻雀の黄金期から結構な時が経った今では、男子が麻雀から離れていても可笑しくはない。

 

実際に、男性雀士の数は年々減少傾向にある。

 

「そう。なら、教えて上げるわ。其処の卓の椅子に座って。」

 

あわよくば、このまま麻雀に興味を持ち、入部してくれたらという思いを秘めつつ話を進める。

 

「麻雀は、四人制で行うの。その中で一番得点が高い人の勝利。

使うものは雀牌と言われる萬子、索子、筒子、字牌の四種類、百三十六枚を使用するの。そして、役を作って和了る。ここ迄は良いかしら?」

 

そういえば、麻雀の説明って初めてじゃないかしら、

中学時代は、他の子がやっていたし、高校に進学してからは言わずもがな。

 

「はい。」

 

物覚えはいい方なのかしら?

 

「ふふっ、続けるわね。萬子、索子、筒子は数牌と呼ばれ各種に一~九まで区別されているの。字牌はそれぞれ東、西、南、北の四風牌、白、發、中の三元牌に分けられるのよ。これらを様々に組み合わせていく競技よ。分かったかしら?」

 

私って、教師に向いているのかもしれない。

そう思うほどに良く出来ている。我が事ながら自分の才能が恐ろしいわね。

 

「はい。あの、その役って何種類あるんですか?」

 

「良い質問ね。一般的に採用されているのは三十八種類よ。ローカル役を含めると大凡九十近くね。」

 

役の数を教えると、驚いた表情を見せてくれる。

慣れてる此方からすれば、何てことはないが、初心者でもある彼からすれば驚天動地なのも頷ける。

 

「そんなにあるんですか!?」

 

実際に大会で採用されているのは、一般に普及してる38種類。

国際大会ともなると、話はまた別となるが。

 

 

「といっても一般的な三十八個だけで十分よ。本当なら、体験させてあげられたらいいんだけど……」

 

本当に、惜しい。

まこが居てくれたら、彼にも実際に触れさせてあげれるのに。

麻雀の楽しさを教えてあげられる絶好の機会を逃してしまうなんて。

 

「ごめんなさいね。本当なら二年生の娘がもう一人居るんだけど、今日は家庭の事情で来れなくて。せめて三麻だけでも体験させてあげられたら良かったのに。」

 

幸運の女神は前髪しかない。それを掴み損ねた者に次はない。

 

 

「なら、明日はその先輩は居るんですか?」

 

「え?」

 

逃したと思っていた幸運の女神はもう一度私に微笑んでくれるらしい。

 

 

「ですから、明日はその、三麻?でしたっけ。それは出来るんですか?」

 

思い掛けず彼を抱きしめてしまいたい感情に駆られるも、それを押さえ込む。

 

「えぇ!明日なら出来るわ!私が、どんな事をしてでも、らt,連れてくるわ!」

「今なんか、不穏な言葉が聞こえた気が……」

「気のせいよ。気のせい。」

 

どんな事をしてでも明日は、まこを連れてこなくてはならない。

 

 

「俺、一年生の須賀京太郎って言います。」

 

彼が、自己紹介をしてくる。

もしや、私自己紹介してない?

 

「へ?……そうね、自己紹介がまだだったわね。麻雀部部長で生徒議会長を務めてる三年の竹井久よ。よろしくね、須賀くん。」

 

 

思いがけず興奮して、失敗したわ。という囁きは聞こえていないだろうか?

聞かれていたら、結構恥ずかしい。

 

 

「それでは、また明日来ます。」

「えぇ、待ってるわね。明日こそ須賀くんに麻雀の楽しさをお姉さんが教えてあげるわね。」

 

ウィンクをしながら彼―――須賀くん―――を見送る。

 

 

明日は大きな仕事ができた。

思わず笑みが零れそうになるのを抑える。

事がうまく運べば、部員が増えることになる。

 

まぁ、女子じゃないのがネックだけど。それには目を瞑りましょう。

 

我儘を言える立場ですらないのだから。

 

 

 

「あぁ、まこ。丁度良かったわ。今日は部室に顔を出しなさい。」

「いきなり、何を言うとるんじゃ?」

 

探していた相手は、見つかった。まこを、部室に来るようにしなければいけない。

 

「何って、言ったままよ? 今日は、部室に顔を出しなさい。」

 

「なんでじゃ。まさか、入部希望者でも来たとか言うんじゃなかろうな?」

 

「惜しいわね、見学者よ。その子は麻雀をやったことのない、初心者みたいなのよ。

昨日来てくれたんだけど、流石に打たせることはできなかったわけ。

それで、今日も来るみたいだから。三麻でも、ってね。」

 

昨日起きたことを説明する。

 

「ほんまか?」

 

疑い深いわね。

 

「本当よ。だから、本日は部活にくるように。分かったわね?」

 

「あぁ、了解じゃ。これで、おんしの夢じゃった女子団体での全国制覇に近づいたのぅ。

楽しみが増えたのぅ。なぁ、部長。」

 

「そういうものよ。それじゃ、放課後に会いましょう。じゃーね。」

 

嘘は言っていないわね、嘘は。

 

「おう。放課後な。」

 

まぁ、誰も女子生徒だなんて言ってないんだけどね。

 

さてと、まこは今日は来る。

あとは、須賀くんの為に簡単な役一覧表を完成させないとね。

 

 

 

「どんな奴なんじゃ、その女子は?」

 

「んーー。そうね、見ての楽しみね。きっと、驚くわ。」

 

「そうか?驚くほどか。」

 

「えぇ。」

 

驚くでしょう、女子だと思ったら来るのは、男子生徒なんだから。

 

 

というか、本当に須賀くんは今日来るのかしら。

昨日のあれはリップサービス所謂、お世辞だったのかしら。

 

あ、ヤバイ。舞い上がってたのかしら私って。

 

 

ドアがノックされ、昨日の声が聞こえる。

 

「失礼します。」

 

そこには、昨日の彼―――須賀京太郎―――がいた。

笑みが零れそうになる。来てくれるかどうかで不安になってた私がなんだかあほみたいだ。

 

「待ってたわ、須賀くん。こっちが昨日言っていた二年生の染谷まこよ。」

 

「おい、部長。わしは、一年生の初心者と三麻やるっちゅうから来たんじゃが、男子生徒とは聞いとらんぞ。」

 

「だって、言ってないもの。昨日来た一年生と三麻を今日やるから、と言っただけよ。」

 

「はぁ、お主は。わしの名前は、染谷まこじゃ。よろしくの。」

 

「は、はい。一年生の須賀京太郎です。よろしくお願いします。」

 

「自己紹介も終わったみたいだし、早速三麻を打ちましょう。」

 

まこがぶつくさ言いつつ、手伝ってくれる。

なんだかんだ、手を貸してくれるまこは、出来た後輩だ。

 

 

「あの、俺にも何か手伝えることはありますか?」

 

そんな折、須賀くんが手伝いを申し出てくれる。

とは言っても、手積みではないので準備なんてすぐに終わる。

 

「いいから、須賀くんは座って待ってて。」

「京太郎は、待ってんしゃい。準備は先輩たちに任せときぃ。」

 

まこと、ハモる。

中々のコンビネーションじゃない?と目で訴えるも、まこはこちらを見向きもしない。

ぐぬぬ。なんて可愛げのない後輩なのかしら。

 

 

 

さて、須賀くんに飲み物を渡したことで、準備が終わる。

競技中に食事は許されていないが、飲み物を飲むことまでは却下されていない。

 

長丁場となる麻雀では集中力を維持するためにも、また、脱水症状を防ぐという理由で飲料の持ち込みは許可されている。

 

「それじゃ、三麻のルールを説明するわ。三麻の場合昨日教えた萬子の二~八が除外されるわ。また、北牌については今回、共通役牌として使用するわ。

それで、須賀くんにはこれを渡しておくわ。」

 

そして、ここで登場するのは、竹井久が手作り、『初心者でも理解る、麻雀役一覧』

創作期間1日を費やして創った大作よ。

 

「これは、なんですか?」

「役の一覧よ。例も載ってるわ。これを参考に打ってみてちょうだい。」

「なに、今回はゆっくり慌てず打ってみるとえぇ。時間はたっぷりとあるけぇ。」

 

 

 

 

須賀くんは、初めての麻雀ということもあってか視線を私お手製の役一覧と手牌を行ったり来たりしたり、長考したりする。

仕方がないのかもしれない。

 

他にも部員がいたら、実際に須賀くんの前で打つことができるのに。

彼はろくにルールを教えれていない。

 

心配である。彼はちゃんと楽しめているだろうか。

ある程度のルールは把握してくれただろうか、と不安が積もる。

 

小さい子をみる母親というのはこういう気持ちなのだろうかと思っていると、此方をニヤニヤと見てるまこと視線が合う。

 

―――何かしら?

―――いや、何も。

―――何も無いっていうことではないでしょ。ニヤニヤして。

―――ほんに、気にすることじゃないんじゃ。

 

アイコンタクトで会話をしていると、不意に須賀くんが声を上げる。

 

「あ。」

 

何かしらの役が出来たのかしら。

 

「どうかしたの、須賀くん。」

「何か役でもできたんか?」

「はい、出来ました。」

 

何ができたのかしら。ちょっと、興味がある。

 

そして、須賀くんは先程渡した、役一覧の一つを指す。

 

「えーっと、この、国士無双って奴ですね。」

 

指したのは一番上のモノだった。

まさか、初麻雀で役満それも、国士無双を和了るなんて。

 

「嘘。凄いじゃない、須賀くん!」

「初めての三麻で、というか、初麻雀で国士とはのぅ。」

 

 

私は須賀くんを褒め、まこは国士で和了ったことに驚いている。

 

そんな彼は、喜びを噛みしめるように小さくガッツポーズをしていた。

 

その彼の口元には、小さな微笑が浮かんでいた。

 

 

 

切りが良い所で、休憩を入れる。

先程の国士で味を占めたのか、役満ばかりを狙う須賀くん。

うーん。仕方がないとは言え、そればかり狙っていては、分かり易い。

 

狙い撃ちとまでは行かないものの、中々和了ることができない時間が続いた須賀くん。

 

嫌気が差さなければ良いのだけど。

 

けれども、やはり。

須賀くんには悪いとは思うが、この部室で麻雀を囲えるのは嬉しい。

 

「やっぱり、三麻とはいえ、麻雀を打てるって良いわね。」

 

「そうじゃのう。家とは違い、学校で部活として打つのでは何とも言えない嬉しさっちゅうもんがあるのぅ。」

 

まこも、同じようだった。

 

私にとって、長い長い時間が過ぎて、漸く私はちゃんと麻雀を打てている。

雀荘で顔馴染みになった面子でも、知り合いのプロとでもない。

清澄高校の麻雀部として打てるという喜ばしさが湧き出てくる。

 

 

「あの、この麻雀部って何か目標とかあるんですか?」

 

須賀くんが此方に質問を投げかけてきた。

 

「えぇ勿論。目標は、団体での全国制覇よ!

と言っても、五人制だから只の夢なんだけどね。」

 

そう、団体戦の必要最低限の人数は、5人となっている。

個人戦で、応募申し込みをしても意味は無いのだ。

私は、竹井久は、『清澄高校麻雀部』として、全国制覇を夢見ているのだから。

 

「まぁ、言うのは勝手じゃけぇ。減るもんでもないしのぅ。」

 

まこが、言うように言うだけならタダである。

 

勿論、言うだけで終わらせるきは毛頭無いのも事実なのだが。

 

私とまこは、顔を合わせて笑い合う。

そうだ。まだ、何も終わっていない。

なにしろ、まだ何も始まってはいないのだから。

 

そう、意気込んでいると、須賀くんから衝撃の言葉が聞こえた。

 

「俺。この麻雀部に入部します。今日しか、まだ麻雀は打ってないですけど、楽しかったですし。」

 

あまりの展開に言葉が出てこない。

人はあまりにも驚くと言葉は出ないし、呼吸を忘れるようだ。

 

 

思考が再開される。

 

 

これは、本当に現実なのだろうか?

最近の生徒議会の多忙さ故に見える幻聴・幻覚の類ではないのだろうか?

 

そう思えるほどに、眼の前にいる彼の発言は予想を上回っていた。

 

「本当に?本当に入部してくれるの?」

 

私にとっては、棚から牡丹餅だ。

この後、如何に麻雀の楽しさを教え、素晴らしさを刷り込み、

麻雀部に所属した場合のメリットを示すかを考えていたというのに。

 

世の中はそんなに甘くはない。

本当のことなのかという不安に押しつぶされそうになる。

 

「そんな簡単に決めてしまってええんか?まだ、体験入部期間はある。色々と周ってから決めたほうがええんじゃないか?」

 

まこは、まこで、彼を労っている。

 

彼女の気持ちも分からなくはない。

まこは条件付きでこの麻雀部にいるので

このまま他に1年生が入部してこなければ、彼はこの部に1人になり得る。

まこは条件付きでこの麻雀部にいるので

 

 

今でこそ2人でも麻雀部として存在できているのも、廃部になっていないのも

私の、生徒議会長という肩書を十二分に活用してこその現状なのだ。

 

「いいんです。決めたんです。俺は、麻雀部に入部します。久々にこんなに楽しいって思えたんです。それに竹井先輩の夢である全国制覇を手伝いたいんです。」

 

 

そう、楽しそうに笑って言う彼に私たちは何も言えなかった。

 

「だから、これから、よろしくお願いします!竹井先輩、いや、部長!染谷先輩!」

あぁ、そうだ。何が同じ轍を踏むか、だ。

私は彼を、須賀京太郎を、策略を以て入部させようとしていた。

 

それでは、意味がないじゃないか。何れ、あの時のように幽霊部員になってしまう。

 

麻雀を楽しむことが大事じゃないか。楽しむという気持ちが大事なのに。

彼は、何かを忘れていた私にソレを思い出させてくれた。

 

「ううん。此方こそ宜しくね、須賀くん。入部したからには厳しくいくわよ。」

「わしにとっては、初めての後輩じゃ。頼もしくはないかもしれんが、宜しくのぅ京太郎。」

 

 

私達はその日握手を交わし、活動を終えた。

 

 

 

 

 

 

 

『それは、大将を務めた宮永咲さんでしょうか?

それとも、副将を務め昨年のインターミドル覇者の原村和さんでしょうか?』

『いいえ、違います。

私達の、私の、清澄高校の麻雀部は、1人の男子生徒が迷い込んだ所から始まりました。』

 

 

 

そう、それは桜が舞う季節のこと。

 

 

 

 

そして、私が知らず知らずのうちに恋に落ちていた瞬間でもある。

 

 

カンツ

 

 

 



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京久3

 

中学生の時、熱中になったのはハンドボールだった。

あんなに夢中になったのは初めてだった。

縦横無尽にフィールドを走り回り、ドリブルやパスのチームワーク狙いを定めて放つシュート。ゴールネットを揺らす快感は最高だったし、勝利をチームメイトの皆で噛みしめるのは悪くなかった。

 

 だがそれも、中学時代最後の全中長野予選決勝で幕を閉じた。

 決勝途中で右膝前十字靭帯を損傷し、俺のハンドボールいや、スポーツの道は途絶えた。

 

頂いてた推薦も白紙になり、目が離せない存在―――ポンコツのため―――である、幼馴染“宮永咲”と共に受験勉強を経て、清澄高校に入学したのは記憶に新しい。

 

清澄高校では、部活動への入部が推奨されている。とは言ったものの、義務というわけでもなく個人の自由でしかない。そんな事を説明している担任の話を聞き流していた。

 

文芸部への見学が一人では不安だからという理由で、咲に着いていったにも関わらず、終いには、見学しているのは俺だけであったり。今度こそはと意気込むも、迷子になったお姫様を捜索したりをしていると、運動部関係から勧誘される。それを激しい運動はもう出来ないという理由で撥ね付けてきた。

運動部に入る気はないし、文化部にも興味が湧かない。

「折角だから、文化系の部活も見て回ってみようよ。」と誘ってくれたものの逸れてしまった幼馴染を探しつつ、三年間の高校生活は帰宅部かなと思っていた。。

 

探せる場所は探し、残すは古い建物、所謂、旧校舎に足を踏み入れたそこで俺は運命と出会ったのだ。

 

気弱のくせに、迷子時には気が強いのか勝手に部屋に入っていく幼馴染のため、一部屋ずつ探す。

 

その空き教室のひとつに、窓の外を椅子に腰掛け、眺める一人の女学生。入学式で議会長挨拶をしたその人がいた。

 

思わずその姿に、見惚れてしまった。こんなにも美しい風景がこの世にあるのかと思うほどに美しかった。

 

此方に気付いた、女学生が口を開く。

 

「部活動見学者かしら、それとも入部希望者? 」

 

鈴を転がすような声で、茶目っ気.のある笑顔で聞いてきた。

 

「いや、違うんです。迷子を探していて。」

 

そう答えると、顔に憂愁の影が差し、残念そうに

「そうなの。」と答えた。

 

思わず、

「此処は一体何をするんでしょうか。」

と、質問してしまった。

「麻雀よ。知ってるかしら?」

「耳にしたことはある程度ですね。細かいルールは知りません。」

「そう。なら、教えて上げるわ。其処の卓の椅子に座って。」

 

あれよこれよという間に、麻雀教室が始まってしまった。

 

「麻雀は、四人制で行うの。その中で一番得点が高い人の勝利。使うものは雀牌と言われる萬子、索子、筒子、字牌の四種類、百三十六枚を使用するの。そして、役を作って和了る。ここ迄は良いかしら?」

「はい。」

「ふふっ、続けるわね。萬子、索子、筒子は数牌と呼ばれ各種に一~九まで区別されているの。字牌はそれぞれ東、西、南、北の四風牌、白、發、中の三元牌に分けられるのよ。これらを様々に組み合わせていく競技よ。分かったかしら?」

 

「はい。あの、その役って何種類あるんですか?」

 

「良い質問ね。一般的に採用されているのは三十八種類よ。ローカル役を含めると大凡九十近くね。」

 

「そんなにあるんですか!?」

「といっても一般的な三十八個だけで十分よ。本当なら、体験させてあげられたらいいんだけど……」

 

彼女はとても残念そうに呟いていた。

 

「ごめんなさいね。本当なら二年生の娘がもう一人居るんだけど、今日は家庭の事情で来れなくて。せめて三麻だけでも体験させてあげられたら良かったのに。」

 

ただ、何となくだった。気の迷いだったのかもしれない。

「なら、明日はその先輩は居るんですか?」

 

気がつけばそんな事を口走っていた。

 

「え?」

 

彼女の驚いたような顔に思わず笑いそうになる。

 

「ですから、明日はその、三麻?でしたっけ。それは出来るんですか?」

 

「えぇ!明日なら出来るわ!私が、どんな事をしてでも、らt,連れてくるわ!」

「今なんか、不穏な言葉が聞こえた気が……」

「気のせいよ。気のせい。」

 

先程とは打って変わって楽しそうに笑う彼女がそこに居た。

 

そういえば、自己紹介がまだだったなと、思い返す。

 

「俺、一年生の須賀京太郎って言います。」

「へ?……そうね、自己紹介がまだだったわね。麻雀部部長で生徒議会長を務めてる三年の竹井久よ。よろしくね、須賀くん。」

 

思いがけず興奮して、失敗したわ。という囁きは聞こえないフリをしておこう。

 

触られたくないだろうし、うん。

 

「それでは、また明日来ます。」

「えぇ、待ってるわね。明日こそ須賀くんに麻雀の楽しさをお姉さんが教えてあげるわね。」

ウィンクをしてくる竹井先輩に別れを告げ、旧校舎を後にする。

 

 

その後、幼馴染は無事に東校舎の三階で見つけ出した。

泣き付かれ、怒られたが。

世の中は理不尽である。

 

 

今日も何事もなく、無事に放課後を迎える。

「今日こそは、キチンと文芸部を見学してくるからねッ。京ちゃんが居なくても大丈夫だって証明してあげるんだから。」

と、意気込む幼馴染を尻目に教室を後にする。

 

本当に大丈夫なのかと一抹の不安を感じながら、麻雀部の部屋へ足を踏み入れる。

 

「失礼します。」

 

扉を開け、中に入るとそこには竹井先輩と昨日言っていた二年生の先輩が居た。

 

「待ってたわ、須賀くん。こっちが昨日言っていた二年生の染谷まこよ。」

「おい、部長。わしは、一年生の初心者と三麻やるっちゅうから来たんじゃが、男子生徒とは聞いとらんぞ。」

「だって、言ってないもの。昨日来た一年生と三麻を今日やるから、と言っただけよ。」

「はぁ、お主は。わしの名前は、染谷まこじゃ。よろしくの。」

「は、はい。一年生の須賀京太郎です。よろしくお願いします。」

「自己紹介も終わったみたいだし、早速三麻を打ちましょう。」

 

竹井先輩がパンパンと手を叩き喜ばしそうに準備に取り掛かろうとする。

 

溜息をつき、よう確認せんかったわしの不手際じゃのぅ。

と愚痴を零しながら準備する染谷先輩。

 

仲が悪いのだろうか?

 

「あの、俺にも何か手伝えることはありますか?」

 

何もしないというのは居た堪れないので手伝えることはないかと聞くも、

 

「いいから、須賀くんは座って待ってて。」

「京太郎は、待ってんしゃい。準備は先輩たちに任せときぃ。」

 

訂正、仲は良い方だ。同時に言われた、此方を見るでもなく。

 

 

飲み物も渡され、準備が終えたようだ。

「それじゃ、三麻のルールを説明するわ。三麻の場合昨日教えた萬子の二~八が除外されるわ。また、北牌については今回、共通役牌として使用するわ。

それで、須賀くんにはこれを渡しておくわ。」

 

「これは、なんですか?」

「役の一覧よ。例も載ってるわ。これを参考に打ってみてちょうだい。」

「なに、今回はゆっくり慌てず打ってみるとえぇ。時間はたっぷりとあるけぇ。」

 

 

 

 「あ。」

 「どうかしたの、須賀くん。」

 「何か役でもできたんか?」

 「はい、出来ました。」

 

先程渡された、役一覧の一つを指す

 

「えーっと、この、国士無双って奴ですね。」

 「嘘。凄いじゃない、須賀くん!」

 「初めての三麻で、というか、初麻雀で国士とはのぅ。」

 

 ハンドボールで初めてゴールを決めた時にも勝るとも劣らない衝撃が走った。

 ただのビギナーズラックかもしれない、それとも、先輩たちが手を抜いてくれたのかもしれない。

 それでも、この、雷に打たれたような感覚はきっと間違いじゃなく本物だと思う。

 

 

 キリが良くなったので、休憩を取ることになった。

 先程の役満はやはり、ただのまぐれだったようで、一回も和了ることは叶わなかった。

 

「やっぱり、三麻とはいえ、麻雀を打てるって良いわね。」

 

竹井先輩が嬉しそうに喋る。それに賛同するかのように染谷先輩も、

 

「そうじゃのう。家とは違い、学校で部活として打つのでは何とも言えない嬉しさっちゅうもんがあるのぅ。」

 

二人はそこで同時に微笑み合っていた。

 

「あの、この麻雀部って何か目標とかあるんですか?」

 

好奇心が働いたので、聞いてしまっていた。

 

「えぇ勿論。目標は、団体での全国制覇よ!

と言っても、五人制だから只の夢なんだけどね。」

 

「まぁ、言うのは勝手じゃけぇ。減るもんでもないしのぅ。」

 

何故だろうか、そう言う二人の顔は悲壮に包まれてはいなかった。

だからだろうか、その全国制覇という夢を叶えたいと思ったのは。

それとも、入部希望者じゃないと言ったときの寂しそうな顔を見てしまったからだろうか。

この人を支えたいと思ってしまったのは。きっと可笑しなことではないのだろう。

 

そう思った時には、勝手に話していた。

 

「俺。この麻雀部に入部します。今日しか、まだ麻雀は打ってないですけど、楽しかったですし。」

 

そう、俺は笑顔で言っていた。

 

この発言を受けた二人は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていた。

 

「本当に?本当に、入部してくれるの?」

片方は不安ながらも、

 

「そんな簡単に決めてしまってええんか?まだ、体験入部期間はある。色々と周ってから決めたほうがええんじゃないか?」

片方は此方を案じるように。

 

「いいんです。決めたんです。俺は、麻雀部に入部します。久々にこんなに楽しいって思えたんです。それに竹井先輩の夢である全国制覇を手伝いたいんです。」

 

ハンドボールが出来なくなってからは、何もやる気が出なくなっていた。そんな俺に気を使ってか部活動見学に誘ってくれた幼馴染。

大体一年近く、何事にも突き動かすものを感じなかったが、麻雀にふれて、忘れかけていた何かに火が点いた気がした。

 

「だから、これから、よろしくお願いします!竹井先輩、いや、部長!染谷先輩!」

 

「ううん。此方こそ宜しくね、須賀くん。入部したからには厳しくいくわよ。」

「わしにとっては、初めての後輩じゃ。頼もしくはないかもしれんが、宜しくのぅ京太郎。」

 

三人共笑いながら、握手をしてその日の活動は終わったのである。

 

こうして、清澄高校麻雀部は部員が三人になったのだった。

 

 

 

 

麻雀部に入部してから数日。

麻雀部に新しく一年生二人が入部した。

 

片方は、一年生の間で有名―――並外れたプロポーズで―――となっている、原村和。

もう片方は、本当に高校生か?と、疑問を持たずにはいられないほどの低身長の片岡優希。

 

二人は同じ中学校出身で、麻雀経験者とのことだ。

そして、和と優希が入部したことによって、三麻からの脱出である。

 

その日は、染谷先輩は家庭の雀荘の手伝いがあるらしく、部室には寄らないらしい。

一年生三人と部長を加え、俺にとって、初めての四人で打つ麻雀だった。

 

結果は見るも無残な結果となったが。

 

優希は東場で、何かこう、凄かった。あと、タコス、タコスと煩かった。

和は何かこう全体的に凄かった。色々と。ありがとうございます!と言いたい。

 

「疲れたじぇー。京太郎、悪いがタコスを買ってきてくれー。」

「こら!ゆーき、駄目ですよ。今日初めて会った、須賀君にそのようなこと頼んでは。」

「そんな硬いこと言いっこなしだじぇ、のどちゃん。」

「ふふっ。二人共仲が良いのねぇ。流石同じ中学出身なだけあるわね。」

「いえ、そんなことは。」

「私とのどちゃんはベストフレンドだじぇ。」

 

話が一段落ついた様だし、飲み物の序にタコスでも買ってくるとしよう。

 

「それじゃぁ、俺はタコスでも買ってきますね。学食のメニューにありましたし、ずっと気になってたんですよねー。」

「おおぅ。京太郎は話がわかるじぇ。頼んだぞ。」

「ゆーき!もう。申し訳ありません須賀君。」

「良いって、良いって。飲み物買う序だし。和は何か飲むか?」

「いえ、そんな。私は結構です。」

「私は、オレンジジュースが良いじぇ。」

「優希もああ、言ってるし。な。」

「……それでは、お茶をお願いしても良いですか。」

「任せろって。部長はどうします。」

「私?私は、須賀くんにお任せするわ。」

「一番難しいじゃないですか、ヤダー。」

「須賀くんのセンスが物を言うわねぇ。」

 

絶対に、揶揄ってる。短い付き合いだがそんな気がする。

 

「私も手伝います。任せっきりなのも嫌なので。」

和が助けてくれるようだ。

 

「サンキュー、和。助かるよ。それじゃぁ、行ってきます。」

「行ってきますね。」

「タコス待ってるじぇー。」

「いってらっしゃい。気をつけてね。」

 

俺は、和と共に、部室をあとにする。

思わず、その胸に目が行ってしまう。悪いなぁと思いつつも思わず目で追ってしまう。

そんな事をしていると、和が切り出した。

 

「須賀君、女の子は思っているよりも視線に敏感です。気をつけてください。」

 

バレていたみたいだ。

 

「あー。悪い、和。こう、思わずというか、何というか。これからは気をつける。」

「いえ、次から気をつけて頂ければ。」

 

そうして、会話が終わり、俺と和との間には静けさが流れる。

思わず気まずくなってしまったので、何か会話の種が無いものかと詮索する。

 

「そういえば、和も優希も麻雀やったことあるんだな。」

「そうですね。ゆーきと出会えたのも麻雀のお陰です。」

「そうなのか?」

「はい。中学二年生の時に此方に引っ越して来まして、その時に仲良くなったのがゆーきと先輩が一人います。」

「へぇー、そうなのか。」

「はい。」

「それにしても、和って麻雀強いよな。家に雀卓あったりするのか」

「えぇ。ありますよ。」

「マジか!?やっぱり、必要なのか?家でも勉強するには。」

「そういう訳でもありませんよ。今ではアプリで配信されていたりしますし。」

「そうなのか!和はどれをやってるんだ?」

「それは……」

 

何でもないような会話をしているうちに、食堂に到着し、頼まれたタコスと飲み物を購入し部室へと戻る。

 

今日のレディースランチも美味しそうだった。今度からは部活に行く前に食べてから行こうと、決心するのであった。

 

 

ここでの決意があんな事になるとはその時の俺は思いもしなかったのだ。

 

 

部長には、水を購入した。

評価は「まぁまぁね」だった。

 

 

「カモつれてきたぞーっ」

後ろで、麻雀キライと言っているがこの際無視だ。

 

今日、部長は議会での仕事、染谷先輩は実家の雀荘。

和と優希との三麻も悪くはないが、打つなら四人で打ちたいし、勝ちたいし。

 

そんな、軽い気持ちで咲を麻雀部に連れてきたのだが、カモどころじゃない大物だったのだ。

 

 

咲が正式に、麻雀部に入部してから、数日。

俺は、部長話がしたいので、部活が終わったら、二人っきりになれませんか?という手紙を渡した。

その日の部活が終わり、和と優希はタコスが待ってるじぇと騒ぐ優希に和が振り回される形で帰宅。染谷先輩も帰宅。咲は一緒に帰ろうと誘ってくれたものの、残って勉強したいからというと、渋々ながらも了承し帰路についた。

 

最初に口を切ったのは、部長だった。

 

「それで、須賀くんからの話たいことがるのよね?」

「はい。」

「何かしら?もしかして、告白?

駄目よッ!?私は三年生で須賀くんはまだ一年生!?寂しい思いなんてさせたくないわ、私は!?」

「違いますって。」

「そうなの~?連れないわねぇ、須賀くんも。それとも恋の相談かしら?相手は本命の和?それとも対抗で咲?大穴で優希というのもあるわね。」

「違いますって。部長だって、分かってる筈です!

俺が何を言いたいのかは!!」

 

部長は分かった上で、とぼけている。

その解りづらい優しさは今になるととても苦しい。

 

「部長、俺は、」

 

早速切り出そうとしたら、部長に遮られる。

「良いのよ、須賀くん。そして、ごめんなさい。貴方にとって、辛いことを言わせようとしている私は、駄目な先輩ね。」

 

そういう部長の顔はとても苦しげに歪ませていた。

俺は、あぁ、この人もこんな表情ができるのかと思っていた。

 

深呼吸をしてから、部長は、いや、竹井先輩は口を開いた。

 

「須賀くん。君には裏方に回って欲しいの。咲が入部してくれたお陰で、全国大会への切符が漸く手に入られたの。

私はこの最後のチャンスを物にしたい。無駄にしたくない。麻雀の初心者である須賀くんへの指導はどうしても疎かに、優先順位が低くなってしまう。

それでも、麻雀部にいてくれるなら、あの日言ってくれた事がまだ心変わりしていないなら、雑用をしてくれないかしら。

嫌なら、麻雀部を辞めてくれたって、構わない。皆には、私から説明するわ。」

 

「辞めると言ったら、竹井先輩は咲たちになんて説明するんですか。」

 

「須賀くんには、退部してもらったわ。私の夢は皆にも言ったように、全国制覇。須賀くんへ割く時間は減ってしまう。麻雀部にいるのに麻雀しない時間が増える前に退部させた、とでも説明するわ。」

 

先輩は拳を握り締めながら話してくれた。

先輩も辛いのに、俺は何を言わせてしまったのだろう。

 

「先輩が悪者みたいじゃないですか。」

「良いのよ。これくらい何とも無いわ。」

「そうですか。」

「えぇ、そうよ。」

「なら、大丈夫です。先輩が悪者になる必要なんてないんです。明日、俺から皆に言います。

皆が麻雀に集中できるように、裏の仕事、所謂マネージャーをこなすって。」

 

俺は、笑顔で言い切る。そうだ、俺は、初めて三麻をした時に言ったんだ。

先輩の全国制覇の夢を手伝うと。なら、俺は、俺にできる事をする。

たったそれだけのことだ。

 

「ありがとう、そして、ごめんなさい。須賀くんには辛い思いをこれからさせることになるわ。」

 

先輩は苦しそうな表情で声をかけてくれる。

そんな必要はないのだ。これは必要なコトなのだから。

 

「大丈夫ですよ。これでも身体は鍛えてるんで。」

 

俺は親指を挙げ、笑いながら言う。

それに釣られたのか、

「そうね、なら、これから期待してるわよ。須賀くん。」

部長も漸く笑顔を見せてくれた。

 

「任せてください、部長!」

 

 

 

そして、俺は翌日から牌譜の記録・整頓、部室の清掃、買い出しやらといった雑務をしていくことになった。

 

咲は、一緒に打とうと誘ってくれるし、和や優希も代わると言ってくれる。だが、毎回俺は、

「全国に行って優勝するには、女子が沢山打った方が良いって。それに、ネト麻だってあるしな」

と言って、提案を一蹴する。

 

 

 

ここから清澄高校麻雀部はきっと始まったのだろう。

 

 

 

カンッ

 

 

 



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京咲

京太郎「何だって、俺と同じ大学に来るんだよ。お前なら引く手数多だったろうに。」

 

咲「だって、一度きりのキャンパスライフ味わってみたいし。

それに、京ちゃんと一緒の方が良いし。」

 

京太郎「お姫様にそう言ってもらえるとは恐悦至極。んで、本音は?」

 

咲「だって一人は不安なんだもん。

無理だよ、和ちゃんとか優希ちゃんとか、ムロちゃんにマホちゃんとかならまだしも、

初対面とか数回しか会ったことのない人とどう接すれば良いかなんて分からないもん。」

 

京太郎「はぁ、まったく。」

 

咲「なんだかんだ文句いってもやってくれる京ちゃん好きだよ。」

 

京太郎「はいはい。自分の進路より優先してくれる幼馴染を持って感謝してるし、

そんな幼馴染を愛してますよーっと。

そんなことより、ガイダンス始まるからさっさと行こーぜ、咲。」

 

咲「うん!それで、何処に行くの?京ちゃん。」

 

京太郎「えーっと。A会館の201室だな。逸れないでくださいね、お嬢様。」

 

咲「なら、エスコートをお願いするわ、執事さん。」

 

 

咲「ねぇねぇ京ちゃん。」

 

京太郎「はいはい。どうかしたか?」

 

咲「授業の組み方ってどうやったら良いの?」

 

京太郎「パソコン使うんだよ。」

 

京太郎(あー。このまま、咲の面倒を一生見るんだろうなぁ、俺って。)

 

 

 

◆◇◆数ヶ月後◇◆◇

 

 

京太郎(学生ホールで何してんだ?咲は。全く仕方ない奴だなぁ。)

 

京太郎「おーい、さk」

「あー、もう、やっと見つけたよ咲ちゃん。授業はじまるから教室行こ。」

 

京太郎(そうだよな、麻雀サークルだってあるんだから咲には咲の繋がりがあるよな。)

 

 

 

◆◇◆数日後◇◆◇

 

京太郎(ここ数日、咲の面倒見てないなー)

 

京太郎(いやいや、何残念がってんだって俺。寧ろ清々だね、うん。)

 

京太郎(俺の時間をちゃんと割けるんだからな、うん。)

 

京太郎(あー、けど、なんか、落ち着かねーなぁ。)

 

 

◆◇◆数日後◇◆◇

 

京太郎(あー、駄目だ。何も手が付かなーい。咲が気になって仕方がない。)

 

京太郎(アイツ迷ってたりしないよな。電車乗り間違えてたりしないよな。)

 

京太郎(心配で心配で、不安だ。)

 

「咲」プルルルプルルル

 

京太郎「どうした?咲。また、迷ったのか?」

 

咲「京゛ち゛ゃ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ん゛。ココド゛コ゛ォ゛ォ゛」グスッエッグ

 

京太郎「電柱か、自販機に住所書いてあるから、それ見てメールを寄越す。

あとは動かない。分かったな?」

 

咲「分かったァァ」グスッ

 

 

 

京太郎「おーい。迎えにk「京ちゃーーん!」ゴフッ。鳩尾辺りだから、飛び込んでくるなって」

 

咲「ご、ごめんね。なんか嬉しくて。」

 

京太郎「嬉しくてって。」

 

咲「やっぱり、私には京ちゃんしか居ないんだなって。

ここ最近はようやく出来た友達が居たんだけど。やっぱり物足りなくて。」

 

 

咲「だからね、京ちゃん。これからも私の面倒をちゃんと見て続けてくれる?」

 

京太郎「わかってねーなぁ、咲は。俺以外に、咲の面倒を見続けられる奴なんていねーよ。」

 

 

カンッ

 

 

 



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活動日誌

 

久「今日の部活は此処までね。今から根を詰めても大会に悪影響なので、帰りましょう。」

 

まこ「そうじゃな。合同合宿も控えとるしのぅ。」

 

優希「うぅ。疲れたじょー。タコスを補給しなければ。」

 

和「帰りましょう、咲さん、ゆーき。」

 

咲「うん。京ちゃんも帰ろ?」

 

京太郎「んー。牌譜の整理とかしてから帰るから先帰ってて良いぞ。」

 

まこ「明日でも良いんじゃないか?」

 

京太郎「ちょっと気になった事もあるんで確認とかしたいなぁって思ってみたりしてて。」

 

久「仕方ないわねぇ。一区切りついたらキチンと帰るのよ?明日も活動はあるんだから。」

 

京太郎「了解です。」

 

 

 

 

京太郎「なんだこれ?」

 

【清澄高校麻雀部活動日誌】

 

京太郎「日誌なんて在ったのか、知らなかったなぁ。

何が書いてあるんだろ」ペラッ

 

 

○月○日 天候:晴れ 記入者:竹井久

 今日は、新入生の須賀京太郎くんが入部してくれた。

 思っていたよりも、優しい子でよかったわ~。

 高身長・金髪なんて最初は怖かったけど、此方の話はちゃんと聞くし、立ててくれるし。

 いい子だわ~

 

 

○月●日 天候:晴れ(強風) 記入者:竹井久

 今日の発見。須賀くんは見た目以上に鍛えていた。

 須賀くんにぶつかって倒れそうになったら抱きとめられた。

 やっばいわぁ、須賀くん。っばいわ~。

 

 

○月☓日 天候:晴れ時々雨 記入者:竹井久

 須賀くんは格好いいわ。本当に、マジで、真剣に。

 だけれども、何とも言えない可愛さもある。

 懐っこい大型犬的な。あぁ~、ヤッバイ。

 

 

○月◇日 天候:曇 記入者:染谷まこ

 久々に部室に顔を出したら、見知らぬ男がいた。

 新しく入部したした1年生らしい。

初心者だから、宜しくしてやってくれと言われた。後輩じゃし面倒はキチンと見よう。

 

あと、久が書いてるのは活動日誌じゃなく、京太郎日誌じゃ。

 

 

○月□日 天候:曇り 記入者:竹井久

 採用。

 今日から、この日誌は、「須賀くん観察日誌」となります。

 以後、必ずその日の須賀くん情報を載せるように。

 

ということで、まずは私から。

昼休み、食堂で、仲が良好そうな女子とお昼ごはんを食べていた。

誰だったのかしら、あの娘?

 

 

○月◎日 天候:曇(部長の頭が) 記入者:染谷まこ

 阿呆じゃった。うちの部長は思ってたよりも阿呆じゃった。

昨日書いてあることもそうじゃが。

 

【今日の京太郎】

 休み時間に移動教室の帰りだったのか、儂の姿を見かけて挨拶に来た。

 何時の日か部長が書いてたように、犬っぽいというか何というか。

 あと、笑顔が素敵だった。

 

 

○月#日 天候:雨 記入者:竹井久

 ねぇ、私の頭が曇りってどういう意味?

ちょっと、まこ。どういう意味よ!

それと、「今日の京太郎」って駄洒落かしら?

 

今日は新しく入部した女子2人とで卓を囲んだ。

2人とも経験者で片方は去年のインターミドル覇者の原村和だった。

なんで、この高校に進学してきたのかしら?

もう片方は東場で異様に強い片岡優希。

 

とんでもない収穫になった。夢である全国制覇が現実に見えてきた、かも知れない。

 

【今日の須賀くん】

 麻雀の教導をしていたが、マジメな顔も凛々しくて良かった。

 ギャップって凄いわね。

 

 

何だかんだ書くまこも素直じゃないわね

 

 

○月$日 天候:晴れ 記入者:原村和

 あの、これは何なんですか?

 有無も言わさずに渡されましたが、何を書けばよいのか理解できません。

 何故、活動だけではなく、須賀君の事も書かなければならないのでしょうか?

 

 

 ただ、本日の対局も何故か納得ができるモノではありませんでした。

これからも、努力していきたいものです。

 

 

○月%日 天候:晴れだじぇ 記入者:片岡優希様

 やっぱり、清澄に進学してよかったじぇ。

学食にタコスがあるし、上手いし。

何より、のどちゃんとも一緒にいられるからな

 

【今日の京太郎】

 アイツは、教本を片手に唸っていたじょ。

 まぁ、私は感覚で打つタイプだからな。教本なんて要らないじょ。

 

 

○月&日 天候:晴れ 記入者:竹井久

 和はちゃんと須賀くんの事も書くように。

優希はもうちょっと集中力が維持できたらねぇ。

 

【今日の須賀くん】

 体型が良いので、何かやっていたのかと聞くとハンドボールをやっていたらしい。

 動画があったので見てみたが、カッコ良かった。

 シュートを決めていた瞬間はとんでもなく跳んでいた。

なんかもう、凄い以外の言葉がでなかった。

 

○月@日 天候:曇 記入者:染谷まこ

 確かに、昨日の京太郎の動画はカッコよかった。

 それは、認める。だが部活はちゃんとやって欲しいんじゃが、部長。

 京太郎の方見すぎじゃ。

 

 【本日の京太郎】

  分からないなりにも一生懸命麻雀に励んでいる姿は、好感じゃった。

  よく質問をしてくるし、健気じゃな

 

○月β日 天候:曇 記入者:原村和

 あの日見せられた動画で、何故ハンドボール部がない清澄高校に進学してきたのかを聞いてみました。

 彼は膝を壊し、未練を引き摺りたくないからと言っていました。

何時もとは違う笑顔が頭から離れてくれません。

 

 他の男性と違いさほど胸ばかり見ないので、これからはもう少し優しくしてみようと思います。

 

 閑話休題、宮永さんとは仲良くできそうにありません。手加減をされても何も楽しくはありませんから。

 

 

 

 

□月⊿日 天候:晴れ 記入者:竹井久

 咲も入部し、IH団体戦出場の機会を手に入れることができた。

 これも、須賀くんのおかげね。

 

 【今日の須賀くん】

  最近、雑用を引き受けてくれるようになった。

  一緒に打ちましょうと誘っても、今日は

  「団体戦に向けて頑張ってるのに、流石に初心者の俺が混ざっても……」

  と遠慮してくる。

  なんとかしなければ。個人レッスンとか良いかもしれない。

 

 

□月γ日 天候:晴れ 記入者:染谷まこ

 部長の個人レッスンなど不要じゃろ。

 それよりも、数じゃ。

 ということで、京太郎は儂がどうにかする。

 京太郎は働きながら、麻雀が打てる。その上お金も入る。

 儂も初心者の京太郎のお陰で色んな経験ができる。

 Win-Winじゃな。

 

 

□月θ日 天候:雨 記入者:宮永咲

 あの、これもう活動日誌じゃなくて京ちゃん日誌じゃ。

 これから、よろしくお願いします。

 この清澄高校の皆と麻雀を楽しめたらなと思います。

 

 あと、京ちゃんはあぁ見えて頭がいいです。

 中学の時も、地毛なのに金髪という理由で先生達から目を付けられていたので、

 文句を言われないようにと、常に成績上位者に名を連ねてました。

 私と一緒に。

 

 

□月Λ日 天候:曇り 記入者:原村和

 いえ、染谷先輩の雀荘に須賀君は時期尚早だと思います。

 まずは、河の読み方等を教えるなど初歩を叩き込む時期です。

 須賀くんも言っていました。

 「皆と一緒に打ちたいけどさぁ、やっぱり、基本って大事なんだよなぁ。」と。

 ですので、私が、マンツーマンで教えます。そちらの方が効率的ですし。

 

□月ν日 天候:晴れ 記入者:竹井久

 まこは、初心者の須賀くんと一緒に打つよりも他の高校やプロの牌譜とかを見た方が良いわ。

 和は、エトペンを抱いてリラックスして打てるようになった。けれどまだ、ムラッ気があるから家で打ってるようになれるようになるべきね。

 優希は南場まで集中力を保つとまでは言わないけども、なるべく切らさないようにドリル。

 咲は、ネト麻でもある程度の実力を発揮できるようになる。

 

 上には上がまだまだ居るわ。まずは、自分の事に専念しなさいな。

 

 その間に、京太郎くんの好感度じゃなくて、

 基礎能力は上げておくから。

 

□月υ日 天候:晴れ 記入者:染谷まこ

 いやいや、部長の手を煩わせる程でもなかろうて。

 生徒議会長の仕事も熟し、麻雀部部長としても取り組む。

 それだけでも大変なんじゃから、それくらいは後輩の私に任せぃ。

 

 実際に打ちながら教えたほうが良いしな。家の雀荘でやる。

 

□月Σ日 天候:曇り 記入者:原村和

 いえ。先輩2人の手を借りる程のことではありません。

 同じ1年生である私が教えます。ネト麻ならチャットを通して出来ます。

 実際に手に触れて教えることも可能です。

 今後同じ時間を過ごす者として、仲は良好の方が好ましいですしね。

 

 

険悪な仲は駄目かもしれませんが、仲が良すぎても何ら問題はありませんよね?

 

 

□月Ω日 天候:晴れ 記入者:宮永咲

 そういう意味なら、やっぱり私が一番だと思うんです。

 一緒にネト麻が出来るし。皆は休日とか大変だと思います。

 その点私は、京ちゃんの家も近いですし、受験勉強もテスト勉強も一緒にやっていたので

 遅い時間まででも何ら不安がられる事はないので。

 

 

 それに、京ちゃんのヤル気を維持させるのも、出させる為のツボも知ってますから。

 

 あと、やっぱり適切な距離ってあると思うよ、和ちゃん。

 

☓月♪日 天候:曇り 記入者:竹井久

 話が進まないので、1日交代で、皆で教えましょう。

 京太郎くん含め6人いる時は、4人が打って残りの人が教えましょう。

  ※京太郎くんが卓に着く場合もあるので注意。

  ※寧ろ京太郎くんを卓につかせることを推奨。

 

 5人の場合、須賀くんを優先的に卓へ。

  ※渋った場合は三麻。

   ※理由としては、京太郎くんは初心者なので実際に打ったほうが良いとかで。

 

 3~4人は卓を囲みましょう。

 

 万が一、億が一、2人っきりなら、マンツーマンね。

 その日は自分の幸運と運命の神様に感謝しなさい。

 

順番としては年功序列。

 1年生は入部届を出した和、優希、咲の順番ね。

  私→まこ→和→優希→咲

 

 順番の人が居なかった場合は次の人に移行。

  Ex;まこの順でまこが来れなかった場合は和が。

    翌日まこが、来たらまこが教える。

 

 

 良いかしら?

 

賛成じゃ。―――まこ

良いと思います。―――和

オッケーだじょ―――優希

分かりました。―――咲

 

 

 

 

 

 

▲月?日 天候:雨 記入者:竹井久

 部室のベッドで寝ていたら夢を見たわ。

 私と京太郎くんが結婚して幸せな家庭を築いていたの。

 これってお告げじゃないかしら?

 

▲月!日 天候:┐(´д`)┌ 記入者:染谷まこ

 ただ、疲れてるだけじゃろ。

 京太郎はRoof-topでの評判も中々良い。これからも安寧だと実際に言われてるしのぅ。

 

 因みに儂の夢では、3人の子宝に恵まれていた。

 

 あと部長は、現実じゃ京太郎くんなんて呼べとらんじゃろ。

 この日誌の中だけじゃろ、みっともない。

 

 

▲月!?日 天候:( ´―`)フゥー... 記入者:原村和

 現実的にみると、京太郎君の好みは私だと思います。

 大きな胸は疎ましく思っていましたが、立派な武器となります。

 

 京太郎君もついつい目で追ってしまうみたいですし。

 

 最近は、京太郎君呼びにも、呼ばれ方にも慣れてきました。

 初期から比べると大きな進歩です。

 

 これからも精進して行きたいです。

 

 

 夢といえば行商人と狼だったり、テロリストの同士だったり、勇者と魔王だったりしてます。

 不思議な出来事でした。

 

まぁ、恋仲の割合が高いですが。

 

 

▲月∩日 天候:ヽ(`▽´)/ 記入者:片岡優希

 京太郎のタコスの味が日に日に上達してくるじぇ。

 くっ、侮れないじょ。

 

 夢といえば、もっさりイケメンと鵜呑みするJKで同じチームを組んでたじぇ。

 

 

▲月√日 天候:(´;ω;`) 記入者:宮永咲

 買い出しの帰り、迷子になったら京ちゃんが迎えに来てくれた。

 世話が焼けると言いつつも手を繋いで学校にまで戻った。

 迷子にならないように気をつけなくちゃ。

 

 

 最近、そういった夢を見なくなったなぁ。

 また、そんな夢を見れたら嬉しいなぁ。

 

 

 

 

 

#月%日 天候:晴れ 記入者:竹井久

 無事に長野県予選を突破し、全国大会への切符を手に入れることができたわ。

 とても、喜ばしく思うの。けど、全国区はきっと県予選の比じゃないわ。

 兜の緒を締めて行きましょう。

 

 

 ところで、皆はちゃんと準備は進んでるかしら?

 功労者でもある、京太郎くんに感謝の意を込めたパーティーを開くのよ。

 準備は怠ってないかしら?

 

 

 ばっちりじゃ ―――まこ

 空前絶後のタコスを用意するじょ ―――優希

 可愛い服に下着と準備に抜かりはありません ―――和

 日頃の感謝をこめます ―――咲

 

 

 

#月&日 天候:快晴 記入者:竹井久

 いよいよ明日と迫った、パーティー。

 楽しみねぇ。

 

 グヘヘ。おっと、涎が。危ない危ない。

 

 

京太郎「」パタン

 

京太郎「え?明日何があるの?」

 

京太郎「怖いんだけどー!!」

 

カンッ

 

 

 



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活動日誌~京太郎視点

○月+日 天候:晴れ

 清澄高校に入学してからある程度の段落がついた。

今日から日記をつけようと思う

 取り敢えず、高校に進学が無事できてよかった。

 部活に入部するか迷う。

 

 

○月○日 天候:晴れ 

 部活動に入部するかどうかといったな、あれは嘘だ!

 ということで、麻雀部に入部した。

 

 やっぱ、議会長は美人だった。近くで見るとより一層凄かった。

 

 

○月●日 天候:晴れ(強風) 

 部長と部室に行く途中でぶつかってしまった。

 思わず抱き寄せてしまった。

 柔らかいし、いい匂いするし、柔らかった。

 

 これは、セクハラになってしまうんだろうか?

 不安になってきた。何かしら言われたらどうしよう、不安だ。

 

○月☓日 天候:晴れ時々雨 

 今日も今日とて部長と二人っきりだ。

 なんかじっと見られてた。

 要求内容でも考えているんだろうか?

 すんごい不安だ。

 

 

○月◇日 天候:曇 

 麻雀部は2人だけだと思った~?

 

ざんね~ん、3人でした。

 

2年生の染谷まこ先輩。

実家が雀荘を営んでいるらしい。其処で打たせて貰えたりするんだろうか。

ネト麻も悪くはないが、実際に手で触れてやってみたい。

 

これからも頑張るぞー!

 

 

○月□日 天候:曇り 

 咲に頼んでレディースランチを頼む。

 やっぱ美味い。レディースランチも男子が頼めたら良いのに。

 

 あと、タコスって何?って言ったら咲が教えてくれた。

 メキシコ料理らしい。

 フーン。

 

 

○月◎日 天候:曇 

 実験してる時って凄い、楽しいよね。

 

実験室からの帰りの途中染谷先輩を見かけた。

挨拶をしにいったら他の2年の先輩達と話していた。

 

 

あと2年生ってやっぱり大人っぽく見える。

 

 

○月#日 天候:雨 :

 部員が2人増えた。やったー

部室に行こうとしていると、ウロウロしてる2人組がいた。

片方は、すごいおもちをおもちだった。

 

 麻雀部の部室を探しているが、場所が分からないらしい。

 案内をするので付いてきて欲しいといったら、ちんちくりんの方の片岡優希が、

 「そんなこと言って人気がない場所に連れてくきかッ!?」とか言ってきた。

 

 するか!惹かれるけど、確かに和の胸は気になるけど。

 

 旧校舎に行くので、実際問題人気が少なくなる。

 警戒されまくった。

 なんてこったい。

 

 

○月$日 天候:晴れ 

 部員が5人になったので、部室で4人麻雀が打てるようになった。

 部長がなんかしみじみとしていた。今までは三麻かRoof-topで打っていたので感慨深い。

 

和が、何回か首を傾げていた。大丈夫だろうか?

 

そういえば、和からは警戒され、部長からはどんな無理難題が来るかわからない。

 

入部を決めるのは早まったのかもしれない。

 

 

○月%日 天候:晴れ 

 この麻雀部に初心者は俺1人しかいない。

 教本を片手にうんうん唸っていると、優希が来た。

 

取り敢えず、これから優希に何か教えを請うことは金輪際ないだろう。

 

 

○月&日 天候:晴れ 

 今日は書く気になれない。

 

 

○月@日 天候:曇 

 今日は、普通に麻雀を打った。

 

 咲に心配された。何か辛そうだけど大丈夫?って。

 目聡いなぁ、幼馴染は。深くは聞いて来なかった。

 勿体無い幼馴染がいてくれて、感謝しかない。

 

 

○月β日 天候:曇 

 咲が麻雀を打てるらしいので、麻雀部へGo!!

 

 ……俺よりも、打てる……だと……ッ!!

 何かしら、人には得意な事があるらしい。人間ってふっしぎー!

 

 

 和との買い出しの途中に、どうして清澄に進学してきたのかと聞かれた。

 その、答えに礼儀を欠いた質問でしたと謝られた。

 

 気を遣わせてしまった。

 また自分が嫌いになりそうだ。

 

 

□月⊿日 天候:晴れ 

 最近、卓を囲んでいないことに部長に勘付かれた。

 すっと、雑用を熟していたのに。ぐぬぬ。

 

 全国制覇の為の役割分担だと思っているから仕方がない。

 

 

□月γ日 天候:晴れ 

 染谷先輩に、儂らに気を遣うなとは言えんが、Roof-topで打たないかと誘われた。

 

 なんて、良い先輩なんだ。

 

 

□月θ日 天候:雨 

 咲が新刊発売だというので本屋に部活帰りに寄った。

 懐かしいな~。受験勉強の時には、結構お世話になったなぁ。

 どの問題集を買うかであーでもないこーでもないって騒いでたなぁ。

 

 咲を待ってる間に、麻雀の教本を手に取る。

 どれが良いかで悩んでいると和に声を掛けられた。

 

 皆と一緒に打ちたいけどさぁ、やっぱり、基本って大事なんだよなぁ。と零したら

 これ私のお薦めです。と、ノートが渡された。

 和のお手製だった。頑張らないとな!

 

 新刊を買いに来たんだから、それ以外は諦めなさい、咲。

 

□月Λ日 天候:曇り 

 昨日渡された和のノートは分かりやすくて重畳する。

 

 最後には「これからも一緒に頑張っていきましょうね。京太郎君。」と

 和のメッセージも書いてあった。

 

 やる気 が 2000 上がった。

 

 

□月Ω日 天候:晴れ 

 最近、部室の空気が何とも言えない雰囲気になっている。

 なんというか、こうピリピリしてる。

 

 

 はっは~ん。部長の悪戯だな。

 短い付き合いだが、されて来た悪戯は数知れず。

 

 雰囲気が悪いのは付き合わされているからか。

 納得。

 

 

☓月♫日 天候:曇り 

 なんか皆近い。

 咲はいつも通りだから違和感が無いが。

 

 パソコンでネト麻する時は肩が触れ合うし、

卓に付いて教えてくれる時は顔が横にあるし。

 

皆近いよー、超近いよー。

 あと、いい匂いするよー。

 

無理して部長の企てに乗っからなくても良いのに……

 

というか、何時まで続くんだ?

 俺が止めてって言うまで?

 言ったら言ったらでアレだし、言わなかったら言わなかったらでアレだ。

 

 究極の選択かな?

 

 

▲月?日 天候:雨 

 和の京太郎君呼ばわりがまだ慣れない。

 

 あと、部員の俺を見る目が鋭い気がする。

 

 気のせいかな?

 気のせいだなッ!俺そんなに、魅力的じゃないし。

 

 というか、早く言い出せよっていう視線だな、アレは。

 

 

#月&日 天候:快晴 

 バーカ、俺のバーカ。

 なんで居残ったんだ今日。

 

 怖いよー、明日怖いよー。

 何が起きるんだろう、

 

 久々に明日が来なかったら良いのにって思う。

 

 

カンッ

 

 

 

 



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活動日誌~鶴賀

■月“日 天気:晴 智美

 今日から日誌をつけるぞー

 

 終わり

 

 

■月#日 天候:晴 ゆみ

 思い立ったが吉日で行動するな!

 そして、せめて初日位キチンと書け!全く。

 それはさておき、今日もネト麻の相手が分からなかった。

 即戦力になれると思うんだがな。

 

 

■月$日 天候:晴 睦月

 今日も部室でネト麻を行った。

 ネト麻も悪くはないが、実際に触れてみたい。

 

 

 あと、カードがダブって泣きそう(´;ω;`)

 

 

■月%日 天候:晴 佳織

 ルールが余り分かりません。

 うぅ、ちゃんと覚えないと駄目だよね?

 

 

■月&日 天候:曇 智美

 ワハハー。

 

 終わる。

 

 

■月@日 天候:晴 ゆみ

 はぁ。蒲原は何でこうなんだ。

 

 それはさておき、今日ネト麻の対戦相手が校内にいるのは分かった。

 コンピュータ室には1人の男子生徒しかおらず、彼は今此処に来たばかりだと言っていた。

 帰ってしまったのだろうか?

 

妹尾に関してはやはり覚えていた方が良いが、余り慌てずに1歩ずつ進んでいこう。

 慌てたところで何も良いことは起きないからな。

 

 

■月α日 天候:雨 睦月

 そういえば聞いたことがあります。

 とある男子生徒の周りで怪現象が起きると。

 七不思議の1つにありますね。

 

 

■月β日 天候:雨 佳織

 私も聞いたことあるよ、それ。

 私と同じ髪色の男の子だった気がします。

 重い荷物持って貰った時も、何故か痛がってたなぁ。

 ケガでもしてたら悪いことしちゃったかな?

 

 

■月γ日 天候:曇 智美

 何にしろ楽しくやれればいいぞー。

 

 

■月δ日 天候:晴 ゆみ

 妹尾や睦月の事もあったので、取り敢えず、金髪の男子がいたので君が欲しいと叫んでみた。

 

 勿論、女子麻雀部に欲しい等と言っていると、

 「お前、こんなに必要とされてるんだから、麻雀部に入ってみろって」

 

 男子生徒が隣を見ながら言うと1人の女子生徒が其処にいた。

 

 詳しい話は省くが影が薄いらしい。

 条件がついたが入部してくれて何よりだ。全国に向けて頑張ろう。

 

 

蒲原ではないが、行動に移さなければできないこともあるな。

 

 

■月ε日 天候:晴 モモ

 今日から入部した東横桃子ッス。

 影が薄いんで何かと大変かもしれないっすけど、

 そういう時は、京ちゃんさんに頼めば良いッス。

 

 京ちゃんさんは私を何度でも何処に居ても見つけてくれるっすから。

 

 あと、かおりん先輩は何も気を悪くする必要はないっす。

 あれは、京ちゃんさんが全面的に悪いんで。

 かおりん先輩の胸ばっかり見てたから自業自得っす。

 

 

 

 

○月!日 天候:曇 智美

 

 普通に卓を囲んで麻雀を打つのも良いけど。

 何か他に楽しく打てる案がある人は居ないかー?

 

 良い案があったら来週からやるぞ~。

 

 

○月“日 天候:雨 ゆみ

 

 だからお前は。はぁ。

 その日の最下位が近くのクレープ屋で奢るというのはどうだろうか?

 

 

○月#日 天候:曇時々雨  睦月

 プロ麻雀せんべいを、何卒。何卒。

 

○月$日 天候:久しぶりの晴れヽ(=´▽`=)ノ 佳織

 智美ちゃんはもぅ。

 

 私はまだ、ルールをきちんと覚えてないから何とも言えないよ。

 

 

○月%日 天候:晴 モモ

 部長はいきなりっすね。

 その日1位だった日が何にでも優先されるとか。

 その週の合算で1位だったら京ちゃんさんと何かしらできるとか。

 

 そんな感じのありきたりの奴で良いんじゃないっすかね?

 

 

 

○月δ日 天候:晴れ 智美

 

 モモの案でいくぞー。

 週毎で京太郎の優先権だぞー。

 

 わはは~。

 

 

負けられない。

 

 

 

×月/日 天候:雨 智美

 

 今回こそは京太郎とドライブに行くぞ~。

 

 佳織を狙い撃ちさ~。ワハハー。

 

 

×月*日 天候:雨 ゆみ

 

 狙い撃ちは良くない、と言いたいが。

 

 妹尾は勝ちすぎだな。

 私だって、普通に休日デートとかしてみたいんだ。

男女で。

 

 

 

×月-日 天候:曇 睦月

 1回でも勝ててしまえたらもう1回という欲が。

 

 今回は我に策あり。

 

 勝たせて頂きます。

 

 

×月+日 天候:晴 モモ

 かおりん先輩は勝ちすぎっす。

 

 なんで9回中7回も勝てるんっすか?

 ワケガワカラナイッス。

 

 

 ですが、今回はむっちゃん先輩と一緒に勝ちに行かせて貰うっす。

 

 

 

×月〒日 天候:晴 佳織

 

 な、何か、ごめんね。

 気づいたら勝ってて。

 

でも京太郎くんとは一緒に教本を買いに行ったり、その帰りに映画とか見たり。

服を見たり、ご飯を食べたり。遊園地に2人で行ってみたり。

 

京太郎くんのお家にお邪魔したり、カピバラに触らせてもらったりとか。

 

 

そ、そんな事しかしてないから。

変な事はしてないよ!

 

 

 

 

モモ「京ちゃんさん! かおりん先輩を家に招待したって本当っすか!?」

 

京太郎「何で知ってるんだよ。」

 

ゆみ「遊園地にも行ったらしいな、2人で。」

 

京太郎「だから何で知ってるんですか?」

 

佳織「うぅ。皆ごめんね。」

 

京太郎「なんで、佳織先輩が謝るんですか。

最近、調子がいいんですから。同じ初心者として俺も頑張らないと。」

 

   佳織「そうかな? でも京太郎くんのおかげだよ。2人で楽しく勉強できるから。」

 

   京太郎「そ、そうですか? お役に立ててるなら嬉しいです。」

 

 

   全員(今回こそは絶対勝つ!!)

 

 

カンッ

 



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