機動戦士ガンダム RT (ネーベル)
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序章 亡霊
暗い宇宙に浮かぶ一つの星、地球それは太陽系で唯一命を育むことが出来た星だと言われる。
宇宙から青き宝石と言わられるほど美しいものだが、星々の一つ、ビューナスは遠くから見ると美しい、だが付近によるととても過酷な環境な星であることがわかる。
地球もそうだ、外から見ればこの様な綺麗な星だが中身はそうでは無い、人間により荒らされており、それは地球連邦によってなされている。
そんなよくわからない演説が流れているのを聞き流している子供はふと外を見た。
足元には青い星が見えいまからあそこに行くと思うとウキウキしてならないのだろう、食いつく様にして窓の外を見ている。
子供の耳につけているイアホンが雑音を流しながら音声が入り出す
「
嫌そうな顔をしながらマイクに手を当て高い黄色の声で無線に出た
「なにー?」
ダルそうな声で返事をする
「今回の作戦君が一番厳しい所に向かう事になる。他の皆は10人単位で動いているが我々の支援者の要望により君は一人という事になった、支援は無いぞ」
子供はつまらないのか欠伸をすると無線を切る
「全く、どうでもいいよ、この綺麗な星を見たいんだから」
重力に引かれて落ちて行く物はまるで地上からは隕石に見えるのだろう。
***********************
ある一人の女性が寝付けずに空を見上げていた
「流れ星?珍しい」
一筋の光が地球の蓋をなぞり落ちてくる、まるで流れ星の様に
「何か願うかな」
静かに手を合わせると大きくため息をついた
「まぁ、何を願っても無駄よね」
何を願ったのかは本人以外知る余地は無いだろう
「おーい、ユグドラシル入るぞ」
返事をする前に入ってきた二十歳前後の男は椅子に座ると欠伸をした
「まだいいって言ってないわよカワナカ先輩」
「まぁまぁ、友人なんだからいいだろ?」
ユグドラシルは男と女の友情なんてあり得るの?とか思いながらベットに座る。
二人は同じ隊の同僚で歳が近いこともあり仲良くしている。
「どうしたの?ユミカを連れず貴方一人で来るなんて」
「ユミカに言うと煩いからな、機密だとか何だとか」
カワナカと呼ばれた男は持っていたペットボトルにはいっている水を飲むと紙を広げる
「見ろよこれ」
それはMSの設計図であり上に名前が書いていた
「
この基地は前線から遠く離れたニホンのシマネにあり、人里離れた寂しい基地なのだがアナハナムの工場が近くにありその影響でテスト機がよく配備される。
「ガンダムタイプか…ニュータイプのお前が乗るんじゃあないか?だってガンダムはニュータイプのための機体みたいな物だろ?」
カワナカの言葉にユグドラシルは首を横に振った
「多分この基地にいる坊ちゃんじゃあないかしら?」
現地球連邦首相の息子がこの基地に所属しており、かなり優雅されているからそう言う事を考えれる
「あー、あいつか…まぁ腕はそこそこ良いんだが周りの連中がな」
「そうそう、あいつ自体も性格は悪く無いだけど取り巻きがね」
坊ちゃんの取り巻きは他の連邦のお偉いさんの息子だったりする。
そのため、上役と関係ある整備士などで囲まれており評判が悪い
「シュナ、入るよ?」
「あ、ユミカどうぞ」
中に入ったユミカはMSの設計図をみてカワナカを睨み付ける
「機密をまたバラして…」
呆れた顔でため息をつくユミカをみてユグドラシルはなだめた
「まぁまぁ、ユミカこのガンダムすごいと思わない?」
「…バックウェポンシステムを基準として作ってるのね、背後ではなく足元に噴射口をつける事によってバックウェポンシステムをつけれる様にしてるの」
「一応背中にも補助ブースターが有るけどあくまでも補助なのね」
「バックウェポンシステムか、俺的にはそのまま付けてくれていた方が楽でいいんだがな。」
三人がそうやって談笑をしているとまた流れ星が落ちて来るのが見える。
「今日は多いね流れ星」
「まぁ、衛星かコロニーの残骸が落ちてきてるんだろうよ、さてそろそろ消灯か俺は帰るぜ」
ユミカとカワナカは別れを告げて部屋から出て行く。
ベットに横になり天井を見上げる。
「ガンダムか、戦争が起こるのかな」
そんな呟きを残して夢の中へと旅立っていった。
***********************
人気のない砂浜に少女は一人で座っていた。
「アーシャヒトリヒトリ」
緑色の球形のロボット、ハロが追いかけて来たのかぴょんぴょん跳ねながら少女の周りを飛び跳ねる
「ごめんねハロ、ちょっと空を見たかったの。」
ハロを抱きしめると再び空を見る。
「コロニーのお父さんとお母さん元気かな?」
学生である彼女は研修旅行で地球に降り、このニホンのシマネの学校にきている。
ホームシックになり空を見ているのだ、まだ15歳、親が恋しい年頃でもある。
空を見ていると何かを感じ立ち上がり走り始めた、少し先の灯台に登り眼を細めて地平線の彼方を見ると水飛沫が上がる。
「流れ星が落ちのかな?」
そういえば先ほど端末にデブリ注意報が来てたよね?
そう思いながら灯台から降りてホテルの方へ向かい歩き始めた
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ユグドラシルは目覚まし音により眼を覚ました。
春先とは言えまだ朝は肌寒いと思いながら制服に手を通して起き上がる。
今日は学生とガンダムが来る日である、ユグドラシルは学生の案内役を命じられたため面倒くさいと思いながらも髪を整える
「シュナ、準備できたかしら?」
部屋に入ってきたユミカを横目で見ながら鏡をみるとため息をつく
「学生相手なんて私もそんな歳変わらないだけど?」
18歳の彼女達とそこまで変わらない子達の案内役に指定された方がよっぽど嫌なようであった
それはそうだろう、あまり社交的な性格でないユグドラシルにとって一番苦手とするものたちを相手するのだから
「相変わらずね、MSに乗っている方が安心するのかしら?」
「棺桶の中が眠りやすいんでしょきっと」
そんな小話もそこそこにユミカに連れられ基地の外へと出ると学生が一箇所に集められ騒いでいた。
アナハナムの学校で学んでいる者達なだけあってMSに興味があるのだろう。
指差し叫んでいる者も何人か見受けられる
「学生の皆さん、本日はようこそこのシマネ基地に、私はシュナ・ユグドラシル軍曹、隣が」
「クリス・ユミカ軍曹です。私たちはMS乗りなんですよこう見えてもね」
女性のMS乗りが珍しいのかざわざわとなっていた、ユグドラシルはめんどくさいとか思いながら作り笑顔を作り学生を誘導していく
「ここはアナハナムの工場が近いため試作機の実験がよく行われています。周りに現地住民が少ないのも理由の一つです」
聞いていないだろうがテンプレートなセリフを言うと一人の手があがる
「質問いいですか?」
ハロをかかえた少女を見て少し微笑ましいと思った。
ハロとは1年戦争の英雄、アムロ・レイが作ったペットロボットであり、そ世界的に売れたおもちゃだ、いまだに持っている者は少ないが
「何かな?」
「ここにはNTの方がいるのですか?」
その言葉にユグドラシルは作り笑顔を向ける
「ええ、いるわよ。しかしそんな古い言葉よく知っているね。」
ジオン・ズム・ダイクンによって提唱されたニュータイプ理論は最早形骸化しており今では普通の人より感覚の優れた者として扱わられるようになっていた。
「軍人には何人かいるだろうと言っていたから先生が」
学校の授業で聞いたのかとユグドラシルは納得した時だった、圧倒的なプレッシャーを感じる
それと同時にアラームが鳴り響く
「敵襲!数は1!」
田舎とはいえたった一機で基地に攻め込んでくるとは余程の馬鹿か腕に自信があるものかのどちらかである。
前者であることを祈りながらユグドラシルは学生の誘導を始める、ユメカも同じだ
「急いでシェルターに、ユメカ」
「ええ、私に任せてシュナは早く倉庫へ!」
倉庫からもうすでに何機かのMSが飛び立っている
BGZ-100 バゼル
リゼル系の可変機から進化させたもので最新のMSである、連邦の中でもアナハイムに近いここの基地に最近配備されたもだ。
そんな機体がどんどん落とされていく
ビームライフルで銀色のMSを破壊しようとするがヒートアックスで弾かれマシンガンで破壊されていく
銀色のMSはヒートアックスで二機落とす
「バケモンかアイツは!」
目の前にいる機体をタックルして弾き飛ばすとクラッカーを投げ当ててまた一機落とす
その姿はまるで悪鬼の如く戦い方は恐怖しかない
「あれはMS-06、ザクⅡ!一年戦争時の機体だぞ!どうしてうわぁ!」
無線が切れてしまいそれ以上先は聞き取れない、ユグドラシルは機体に乗り込むが動かない、他のMSは全て出ており残っていない
「ユグドラシル、それは整備中だ、早く逃げろ」
整備士のコハン・イマナカは叫ぶ
「他にないのイマナカさん!」
「…ない事はない、だけど向こうの二機とも機密だぞ!」
機密という言葉から何が置いてあるか想像がついた、ガンダムであろう
しかし二機とは聞いていなかった話である
そうこうしていると他の倉庫から大きな音が聞こえ白いMSが立ち上がっていた。
**********************
アーシャはシェルターに入ろうとした時に何かを感じてそちらの方向を見る、ビームが飛んできており死んだと思っていた。
だがザクがビームをアックスで弾く、まるでアーシャたちを守る様にして
何故か妙なプレッシャーを感じていた、殺気ではなく他のものだ、仕方ないという感じである。
アーシャは導かれる様に走り始める、彼ではない何かを感じていた。
基地の方から焦った様なものを感じる
奥の基地の方から焦った声が聞こえている
「坊ちゃん!やめてください危ないですから」
「ええい!邪魔だ!私もパイロットだ!」
争っている横でアーシャは走り抜ける。
目の前には二機の白いMSがありアーシャは一機に乗り込み電源をつける。
「ガンダム?」
起動して立ち上がる、まるで初めからこれに乗ることを定められていたかの様に素直に操縦出来るのだ
メインカメラを起動して周りを確認していると叫んでいる人達が見えるが無視してブースターを吹かせ外に出る
先ほどのザクが全ての連邦の機体を落としていた
1年戦争の亡霊、そう呼ぶのが正しいだろう
「ガンダム、僕の敵になるのか」
ザクのパイロットはそう呟きガンダムに斬りかかる、ガンダムはブースターを使い避け、前に出てビームサーベルで切ろうとするが避けられ思いっきり胴体を蹴られ吹っ飛んでしまう
なんとか立て直すものの目の前にはモノアイが無機質に見ていた
《右は避けて》
何処からかそんな声が聞こえ右に避けると避けた所にビームライフルが当たりザクはその場を離れる、空にはもう一機の白いモビルスーツが飛んでいる
「貴女はさっきのアナハイムの生徒ね!」
無線がアーシャの所に入ってくる
「さっきの軍人さん…」
空から牽制射撃をするガンダムを撃ち落そうとマシンガンを撃つが当たらない
「ほぉ、ガンダムが二機か、僕の仕事はそろそろ終わりの時間か」
ザクのパイロットはそう呟くと腰についている二つのクラッカーを空へと投げる、空にいるガンダムがクラッカーを撃ち落とすと閃光がほとばしる。
「しまった閃光弾!」
アーシャも眩しくて目を瞑ってしまい、目を開けた時にはもうすでにザクは居なくなっていた…
「…逃した…いえ、逃げてくれたのね」
空に飛んでいるガンダムのパイロットはそう呟くと地上へと降りる。
「この基地を助けてくれたのはお礼を言うわ、でも軍規違反よ。拘束させてもらう」
アーシャは大人しくガンダムのコックピットから出てそのまま拘束されて連れていかれた。
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