女神転生 中島 (ジャックオニール)
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白鷲 弓子

「はぁ…また会社クビになったんだな…。」

 

そう一言呟いて中島はトボトボと歩いていた。

 

「はぁ…。僕はどうしてこんなにもツイてないんだろう…。」

 

下を向いて歩いていたのでいつの間にか見たことのない路地裏に入ってしまった。どうやら道に迷ったようだ。

 

「はぁ…。」

 

中島が路地裏を歩いていたら男の人が倒れて居る。血溜まりができてる…。うううっ、まだ微かに息があるようだ…。

 

「人が血を流して倒れて居るんだな…。怖いんだな…。」

 

中島は怖くなって逃げ出した。

 

 

中島は………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

転けた!

 

「君…。待ってくれ……。」

 

男は必死で中島の足を掴んでいる。

 

「嫌だ!僕はまた無職になったけどまだ死にたくないんだな!助けて!」

 

中島は必死で泣き叫んでいる。

 

「君…。落ち…着い…て聞…いて…ほし…い。」

 

男はかすれた声で中島を止める。

 

「これ…を…、しら……し…ゆ…こ……に……わ……し……て……………。」

 

男は中島にノートパソコンを渡すと息絶えた…。

 

「………え、えっ、ちょっと?」

 

中島は事態が飲み込めず呆然としている。が、しかし何者かが中島に近づいてきた!

 

 

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」

 

それは人の腐ったような容姿の化け物が三体中島に向かって近づいてきていた。

「えっ?えっ?映画の撮影?もしかしてバイオハザード?」

化け物は中島に襲いかかる。化け物は中島を掴んで噛みつこうとしている!

 

「うわあああああ!嫌だああああ!死にたくない!嫌ああああ!」

 

中島は化け物を振り払い必死で逃げ出した…………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中島は…………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

転けた!

 

中島「あああああ、も、もう駄目なんだな………。」

 

中島は腰を抜かして動けない…。しかし、化け物達はお構いなしに中島に襲いかかる!

 

「アギ!」

 

いきなり現れた火の玉が化け物達を燃やしていく。

 

中島「た、助かったんだな…。」

???「死ねー!化け物がー!」バキ!

中島「ぶへぇ!」

???「この糞オークがー!人様を襲いやがって!人間を舐めるな!死ねー!」ドカ!バキ!ドカ!

 

いきなり化け物達を燃やして倒した女は中島を容赦なく蹴り倒している…。

 

中島「助けて!痛い!僕は何もしていないんだな!」

???「貴様等悪魔共は狡猾に人間の世界に入ってくる糞共だ!死ね!オークが!」ドカ!バキ!ドカ!バキ!

中島「僕は人間なんだな!蹴らないで欲しいんだな!助けて欲しいんだな!」

???「はぁ?どう見ても豚じゃねぇか!一度自分の姿を鏡で見てみろ!」バキ!

中島「うううっ……。酷い人なんだな…。今日は酷い日なんだな…。会社はクビになるし…目の前で人は死んじゃうし…化け物に襲われるし…女の人に蹴られて………僕はもう生きていく気力も無いんだな…。うううっ」ポロポロ…

???「おい、泣くこと無いだろ!」

中島「あなたが一番酷いんだな……。」ポロポロ…。

???「テメエ…。あたしのどこが酷いんだ!」バキ!

中島「痛い…。そうやって蹴る所なんだな…。僕もさっきノートパソコンを渡してきた人みたいに死んじゃった方がいいんだな…。」ポロポロ…

???「ノートパソコン?まさか!おい豚!それちょっと見せろ!」

中島「嫌なんだな…。これを持っていた人は僕に『これをある人に渡して欲しい』って頼まれたんだな…。だから渡せないんだな…。」

???「良いから見せろ!また蹴られたいのか!」

中島「声がかすれて聞き取りにくかったけど『しらしゆこ』って人に渡さないといけないから駄目なんだな!」

???「しらしゆこ?もしかして、白鷲 弓子か?あたしの事だ!」

中島「暴力を振る人は信用できないんだな…。」

弓子「良いから見せろ!あたしはそのノートパソコンを持っていた奴とここで落ち合う約束だったんだ!」

 

ファンファンファンファン パトカーのサイレン音が鳴り響く。

 

弓子「チッ、察か…。逃げるぞ!豚!ついて来い!」

中島「警察?じゃあ事情を話して助けて貰うんだな。」

弓子「警察が助けてくれる訳無いだろ。良いからついて来い!」

中島「でも……。」

弓子「警察はお前の話なんて聞く訳無いだろ。警察に見つかったらお前はそのノートパソコンを奪い取った強盗殺人として逮捕されるだけだけどな。それでいいならそこにいな。」

中島「分かったんだな。ついていくんだな…。」

 

中島は渋々この白鷲 弓子と言う女について行くことにした。これがきっかけで彼は人生を良くも悪くも変わっていくことになる。

 

 

 



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悪魔召喚プログラム

中島は白鷲 弓子について行くと小さなビルのオフィスにたどり着いた。

 

中島「ここは?」

弓子「あたしの事務所だ。入れ。」

 

見ると大きな看板が掲げられている。

 

『白鷲探偵事務所』

弓子はドアを開けて入っていく。

 

???「弓子、おかえり。」

弓子「おう!兄貴!」

???「おや?そちらの方は?」

弓子「ああ、豚だ。例のクライアントと接触している…。あれを持っている。」

???「君?妹の弓子が失礼な事を言って申し訳ない。僕は白鷲 大輔。ここ探偵事務所の所長なんだ。よろしく。」

中島「僕は中島 朱美なんだな。」

大輔「中島君だね。実は君が受け取ったノートパソコンなんだけど…。依頼者から僕達が受け取る事になっていたんだ。」

弓子「だからさっさと渡せよ豚!」

大輔「弓子!度々ゴメンね中島君。失礼な妹で…。」

中島「僕は…今日、化け物に殺されそうになってそこの弓子さんに訳も分からずいっぱい蹴られたんだな…。」

弓子「何兄貴にチクってんだ豚!ぶっ殺すぞ!」

大輔「弓子…。席を外してくれ。」

弓子「だってコイツ見た目がオークじゃんか!」

大輔「弓子…。僕はたった1人の兄妹を手に掛けたくない…。だから席を外してくれ…。これが最後の警告だ…。」

弓子「分かったよ…。(兄貴怒らせたらヤベェからな…。)」

 

弓子は渋々事務所を出て行った…。中島は所長の白鷲 大輔と2人きりになった。

 

大輔「中島君!うちの妹が本当に申し訳ない!許してくれ!!」

 

大輔は中島に土下座をした。

 

中島「頭を上げて欲しいんだな。」

大輔「中島君にはちゃんと説明しないといけないね…。君が襲われた化け物…。僕達の間では『悪魔』と呼んでいる。」

中島「悪魔?僕が襲われたのはバイオハザードに出て来るようなゾンビだったんだな。」

大輔「そういうのも含めて『悪魔』って呼んで居るんだよ。ちなみにファンタジーに出て来る妖精達やモンスターもひっくるめて『悪魔』って位置付けしているんだ。」

 

大輔の説明は続く…。

 

大輔「中島君が受け取ったノートパソコン…。今回、それが原因で悪魔が出て来たんだ。」

中島「これが?」

大輔「悪魔召還プログラム…。」

中島「え?」

大輔「弓子が会う予定だったクライアントはその悪魔召還プログラムを悪用していたのだけど自分の手に負えなくなって僕達の所で処理をして欲しいって依頼だったんだ。」

中島「何で僕に依頼の話をするんだな?」

大輔「中島君…。君は偶然その現場に居合わせてしまった。悪魔は普段人目に付かない用に行動しているんだ。中島君は悪魔を目撃してしまった事でこれから悪魔に命を狙われるかもしれない。」

中島「何で…。何で僕がこんなことに…。」

大輔「そこで、僕から提案が有るのだが…。」

中島「提案?」

大輔「僕の探偵事務所の助手として手伝ってくれないか?」

中島「………でも僕は今、会社をクビにされて新しい仕事先を見つけないと生活が出来ないんだな。」

大輔「なんだ。そんな事か。お給料もちゃんと出すよ。これでもウチは自分で言うのはなんだけど余所の探偵事務所より稼いでいるからね。君1人増えても問題ないよ。」

中島「お給料も出る?探偵って浮気調査とペット探しを手伝うって事?」

大輔「ハハハ!そんなに難しく考えなくてもいいよ。しばらくは弓子と一緒に行動して貰うから大丈夫さ。」

中島「えっ?それは…」

大輔「じゃあ決まりだね!これからは仕事のパートナーとしてよろしく!」

中島「いや…あの…。」

 

中島は断る事も出来ずに探偵の仕事を手伝う事になってしまった。

 

大輔「中島君、そのノートパソコン…渡してもらえるかな?」

中島「分かったんだな。僕が持っていても仕方が無いんだな…。」

 

中島は大輔にノートパソコンを渡した。そして大輔はノートパソコンを起動させる。

 

弓子「兄貴!話は終わったのか?」ガチャ

 

弓子は待ちきれなかったのか事務所の中に入ってきた。

 

大輔「ああ、今終わった所だよ。そうだ、中島君は今日からウチの事務所で働いてもらうことになった。弓子の助手をしてもらうから。」

中島「僕は中島 朱美なんだな。」

弓子「はぁ?あたしがコイツの面倒見るのかよ!兄貴!ここは養豚場じゃないんだぞ!」

大輔「弓子、もう決まった事だから…。よろしく頼むよ。」

弓子「チッ。分かったよ…。」

 

弓子は軽く舌打ちをした。

 

弓子「所で兄貴、例のあれ…。どうなったんだ?」

大輔「ああ、悪魔召還プログラムだね。今起動させてる所なんだが…。全然作動しないんだよ…。」

弓子「そんなの所詮は機械なんだから叩いたら動くんじゃねぇの?」バンバン!

 

弓子がノートパソコンをバンバン叩く。それを見た中島が慌てて止めに入る。

 

中島「駄目なんだな!壊れてしまうんだな!」

弓子「だったらお前が起動させろよ、中島ー!!」

 

弓子は中島にノートパソコンを押し付けた。中島がノートパソコンの画面を触るとディスプレイがまぶしく光った。

 

大輔「えっ?プログラムが起動した?中島君?何をしたんだ?」

中島「ぼぼぼ僕はまだ何もしていないんだな!うわ!まぶしい!」

弓子「なんだよコレ!なんかヤバいぞ!」

 

まぶしい光と共に何かがパソコンのディスプレイから飛び出した!

 

???「ヒーホー!オイラを呼び出したのはお前だな!」

 

パソコンのディスプレイから飛び出したのは雪だるまのような姿をした生き物だった。

 

大輔「悪魔が出て来た!」

中島「ヒィィィイ!あっ悪魔!助けてー!!」

 

中島は弓子の影に隠れた。

 

弓子「中島!あたしを盾にするな!こんなクソ雪だるまにビビってるんじゃねぇよ!豚が!!」

???「ヒーホー!女!オイラが偉大なジャックフロスト様だと知らないのか?」

弓子「アギ!」

 

弓子の放った火の玉がジャックフロストに命中した。

 

ジャックフロスト「ああああ熱い!溶ける!オイラ死んじゃうよー!」

弓子「うるせー!そのまま死ね!!」

大輔「弓子、落ち着いてくれ。………君、ジャックフロストって言ったね?」

ジャックフロスト「兄ちゃん!あの女、いきなり攻撃してきてヒドいよ!」

大輔「ごめんね?僕が起動したプログラムでいきなり出て来てびっくりして攻撃してしまったんだ。」

ジャックフロスト「ん?オイラを呼び出したは兄ちゃんじゃないぞ?」

大輔「えっ?プログラムを開いたのは僕だけど…。」

ジャックフロスト「違う、そっちの隠れてるオークみたいな奴だよ。」

大輔「中島君が?」

中島「えっ?僕?僕は何もしていないんだな!命だけは助けて欲しいんだな!」

ジャックフロスト「オイラを呼んだ理由はなんだ?」

中島「ななな何がなんだか分からないんだな!」

ジャックフロスト「用も無いのにオイラを呼んだのか?オイラ、頭にきたぞ!みんな氷付けにしてやるぞ!ヒーホー!」

弓子「アギ!」

 

弓子の放った火の玉がジャックフロストに命中した。

 

ジャックフロスト「ああああ熱いよう!溶けちゃうよう!」

 

ジャックフロストは悶え苦しんでいる。

 

中島「弓子さん、もう許してあげるんだな。可哀想なんだな。」

ジャックフロスト「お前、助けてくれるのか?」

中島「僕も弓子さんにいきなり蹴られて今日死にかけたんだな。」

ジャックフロスト「お前もやられてたのか?あの女はヒドい奴だ…。オイラ、ヤラれっばなしで悔しいよう…。」

中島「僕の持ってるグミをあげるから元気出すんだな…。」

ジャックフロスト「オイラにくれるのか?お前、良い奴だな…。よし!オイラ、お前の仲間になってやるよ!これからよろしくな!ヒーホー!」

 

ジャックフロストが仲魔になった。

 

弓子「どういう事だよ!あたしが悪者みたいじゃないか!クソッ!」

大輔「ジャックフロスト君?」

ジャックフロスト「なんだい兄ちゃん?オイラ、兄ちゃん達とは戦わないぞ。」

大輔「君はこのパソコンから出て来たんだよね?」

ジャックフロスト「そうだよ。それがどうしたんだい?」

大輔「他にも君の仲間がこの中に居るのかな?」

ジャックフロスト「オイラだけだったよ…。その中に入ったり出たり出来るのは契約をした奴しか無理なんだよ。」

大輔「じゃあ、ジャックフロスト君?一度中に入って貰ってもいいかな?」

ジャックフロスト「でもオイラの契約者は中島だからな。だから兄ちゃんの言う事は聞かないよ。」

大輔「中島君が?」

ジャックフロスト「そうだよ。だからその機械も中島しか使えないよ。」

中島「僕が?」

ジャックフロスト「だからオイラは中島の言う事しか聞かないぞ。ヒーホー!」

大輔「中島君?一度彼に悪魔召還プログラムの中に入ってもらうように命令してくれないかな?」

中島「えっ?でも、1人でこの中に入るのは可哀想なんだな…。」

ジャックフロスト「ヒーホー!中島は良い奴だ!」

中島「でもいちいちジャックフロストって言うのは長ったらしいんだな…。」

弓子「じゃあクソダルマでいいだろ!逆らったら燃やしてやったらいいんだし。」

ジャックフロスト「中島、オイラあの女怖い…。」

中島「弓子さんはおっかないんだな…。ジャックも気をつけるんだな…。」

ジャックフロスト「ジャック?オイラの事?」

中島「いちいちジャックフロストって呼ぶのは長ったらしいからジャックって略したんだな。」

ジャック「ヒーホー!それ良いな!オイラ気に入ったぞ!」

大輔「そうだね…。これから一緒に居る仲間だもんね。ジャック君、僕は白鷲 大輔、これからよろしくね。」

ジャック「ヒーホー!大輔の兄ちゃん!兄ちゃんとは契約してないけど仲良くしてくれよな!」

弓子「兄貴、マジでかよ…。クソ弱えけど悪魔だぞソイツ…。」

大輔「弓子、彼は悪い事を出来る様には見えないよ。それに一緒いたら悪魔の生態についていろいろ分かるかもしれないじゃないか。」

弓子「分かったよ…。兄貴は一度言い出したら聞かないからな…。あっ!もうこんな時間かよ。おいクソダルマ!ちょっとでもおかしな真似したらぶっ飛ばすからな!覚えとけ!」バタン!

 

弓子は行きよい良く事務所を飛び出した。

 

大輔「ジャック君、弓子がゴメンね。」

中島「弓子さん…行っちゃたんだな…。」

大輔「ああ、大丈夫だよ。弓子は今日、テコンドーの道場に行く日だからね。」

ジャック「テコンドー?」

大輔「弓子はテコンドーの師範代なんだ。他にもムエタイ、空手、ボクシングいろいろ格闘技をたしなんでいるよ。でもテコンドーが一番続けているかな。」

中島「す、凄いんだな…。」

大輔「だから2、3時間したら帰って来るよ。その時に中島君達の歓迎会として一緒に食事をしよう。」

中島「僕は生まれて初めて人に歓迎されるんだな…。とっても嬉しいんだな…。」ポロポロ

ジャック「ヒーホー!オイラも人に歓迎されるのは初めてだよ!ヒーホー!」

大輔「ハハハ!大げさだな…。僕も張り切って料理をしないとね!後、出前で色々と頼もうかな。」

中島「ううう…。」ポロポロ

 

中島は泣いた。人が自分に優しくしてくれた事、ジャックという仲間が出来た事、ただただ嬉しかった。少し前に死の恐怖を体感した後だからかもしれない。自分は生きていて良いんだ。そう思った。

ガチャ!中島が泣いているとドアが行きよい良く開いた。

 

弓子「兄貴!戻って来たぞ!って、中島ー!お前、何を泣いてるんだよ!」

中島「ううう…。」ポロポロ

弓子「クソダルマ!お前が何かしたんだろ!消し炭にしてやろうか?」

ジャック「ヒーホー!オイラは何もしてないぞ!大輔の兄ちゃんがオイラと中島の歓迎会をしてくれるって言ったらいきなり泣き出しただよ!」

弓子「はぁ?歓迎会だぁ?兄貴はどこだよ?」

ジャック「料理を作るって言ってた。」

弓子「兄貴がマトモな料理出来る訳無いだろ!」

中島「うう…。でも、僕は嬉しいんだな…。人に優しくしてくれたは初めてなんだな…。」ポロポロ

 

弓子は軽く溜め息をついた。

 

弓子「なーかーじーまー!お前、いちいち下らない事で泣くなよ!嬉しい時は笑え!!泣くな!」

中島「ありがとう…。ありがとう…。」ポロポロ

弓子「泣くなって言ってんだろ!笑え!!」

中島「弓子さんも優しい人なんだな…。」ポロポロ

ジャック「中島?弓子は凶暴だぞ!今も中島に怒鳴っているぞ?オイラよく分からないぞ。」

弓子「おい、クソダルマ。今からお前を消し炭にしてお別れ会にしてやろうか?」

ジャック「ヒーホー…。中島、助けて…。」

 

大輔が奥の部屋から出て来た。

 

大輔「あれ?弓子、今日は早かったね。」

弓子「ああ、今日は本場の韓国からの選手が来ていてあたしが軽く相手したらてんで弱くてボコボコにしたら追い出されたんだよ!」

大輔「………。後で謝りに行く僕の気苦労も考えてから行動してくれるかな…。」

弓子「謝りに行くのに気苦労するのなら最初からあたしのように謝らなきゃ良いじゃんか。」

ジャック「なぁ、中島。あれでも弓子は優しいか?」

中島「ジャック、僕らはもう静かにしているんだな…。」

 

中島とジャックはとばっちりを受けたくなかったので静かにしていた。

 

弓子「まあ、テコンドーはもういいや。それより兄貴!何が歓迎会の料理だよ!兄貴、唐揚げしか作れない癖に見栄張った事を言うなよ!」

大輔「まあ、細かい事は良いじゃないか。もうすぐ宅配ピザも届く頃だし歓迎会にしよう。」

 

そして、白鷲探偵事務所ではささやかながら中島達の歓迎会 が行われた。

 

大輔「そうだ、中島君。この悪魔召還プログラムは君が持っていないと使えないらしいから渡しておくよ。」

中島「分かったんだな。」

弓子「それが有ったらお前も少しは役にたつかもな。」

中島「使い方はまだ分からないけど、これからはペット探しや浮気調査を頑張るんだな!」

ジャック「ヒーホー!オイラも中島を手伝ってペット探しを頑張るぞ!」

 

弓子「兄貴…。こいつ等にちゃんと仕事内容説明してないだろ…。」ヒソヒソ

大輔「………。ゴメン…。」

 

弓子は大きく溜め息をついた。

 

弓子「兄貴はどこか抜けてるんだよなぁ…。はぁ…。」

 

 

こうして、中島は白鷲探偵事務所の探偵助手としての第1歩が始まるだった。



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最初の依頼

中島が白鷲探偵事務所で助手を勤める事になって数日後の事だった。中島が勤める事になって初めての来客だった。豆柴を抱いたセレブな女性だった。

 

???「白鷲さん、ご機嫌よう。」

大輔「これはこれはマダム。わざわざ来ていただいてすみません。」

マダム「ちょっと依頼が有るのだけど良いかしら?」

弓子「依頼?オバハン、またあたしに悪魔退治させる気だろう?」

中島「弓子さん…、お客さんに失礼なんだな…。」

弓子「失礼なのはお前の顔と腹だ。豚は豚小屋に行ってろ…。」

マダム「相変わらず無礼な小娘ね…。悪魔に殺されたらいいのに…。あら、パスカルちゃん?どうしたの?」

 

パスカルと呼ばれた犬は突如マダムから離れて中島の足に噛みついた!

 

中島「ああああ!痛いんだな!助けて欲しいんだな!」

パスカル「バウ!バウ!(オレ様、オマエ、マルカジリ!)」

弓子「ハハハ!このバカ犬、中島をエサだと思ってやがる!ハハハ!腹痛えー!ちゃんとエサ食ってないからじゃねぇのか?ハハハハハハ!」

大輔「弓子!失礼だよ!謝りなさい!」

マダム「良いのよ。いつもの事だから。その人、新人さん?」

大輔「はい。中島君は見習いの助手です。」

マダム「あら?そうなの?でもウチのパスカルちゃんが懐くなんて初めてだわ!そうだ!彼にパスカルちゃんのお散歩に連れて行ってもらおうかしら?」

中島「助けて欲しいんだな!痛いんだな!」

パスカル「バウ!バウ!(オレ様、オマエ、マルカジリ!)」

 

パスカルはまだ中島の足を噛みついている…。

 

マダム「フフフ、パスカルちゃん楽しそうね。じゃあ中島君にパスカルちゃんをお散歩に連れて行ってもらえるかしら?もちろん報酬は別で出すわよ。」

大輔「分かりました。中島君?その子を今からお散歩に連れて行ってくれるかな?」

 

中島はまだ返事をしていないがパスカルを散歩に連れて行く事になった。

 

中島「それでは行ってくるんだな。」

 

中島はパスカルを連れて事務所を出て行った。

 

マダム「それで依頼なんだけど…。」

ジャック「ヒーホー!大輔の兄ちゃん!隣の部屋の掃除終わったぞ!」

 

隣の部屋に居たジャックが入って来た。

 

大輔「ジャック君、今はお客さんが来てるから隣の部屋に居てくれるかな?」

弓子「消し炭にされたくなかったらあっちに行ってろ。」

ジャック「ヒーホー!さてはオイラを除け者にする気だな!」

マダム「あら?その子は?」

ジャック「オイラ?オイラは偉大なる悪魔ジャックフロスト様だ、ヒーホー!所で姉ちゃんは誰だ?」

マダム「フフフ。可愛らしい悪魔ね。飴ちゃんあげるから大人しくしててね。」

ジャック「ヒーホー!人間の女はみんな弓子みたいに凶暴だって思っていたけど姉ちゃんは優しいな!オイラも姉ちゃんの依頼のペット探しを手伝ってやるぞ!ヒーホー!」

マダム「あら?ペット探しじゃないけど依頼、手伝ってくれるかしら?」

ジャック「ヒーホー!オイラ頑張るぞ!」

マダム「依頼の説明させてもらってもよろしいかしら?」

大輔「マダム、お願いします。ジャック君、少し静かにしていてね。」

マダム「実は最近、地下の下水道なんだけどよく水が詰まるみたいなの…。それで水道局の人達が調べに行ったのだけど誰も帰って来ないらしいの…。」

大輔「悪魔の仕業かもしれない…と言うことですか?」

マダム「まだはっきり分からないわ。それを調べに行って欲しいのよ。」

弓子「オバハン、あたしは汚い所は嫌だよ!」

マダム「あら、あなたの心よりキレイから大丈夫よ。お願いね。」

大輔「じゃあ弓子、よろしく頼むよ。」

弓子「はぁ?」

マダム「報酬は多めに出すわ。お願いね弓子ちゃん。」

ジャック「弓子、頑張れよ!」

弓子「お前も来るんだよ!クソダルマ!」

マダム「ジャック君、手伝ってくれるのでしょ?お願いね。」

ジャック「ヒーホー…。」

弓子「さっさと行って片付けるぞ。クソダルマ!来い!」

 

弓子は諦めたのかしぶしぶジャックを連れて下水道に向かって行った。

 

 

 

 

 

一方その頃、中島はパスカルを連れて散歩をしていた。

 

中島「地元だけど名古屋城は初めて来るんだな。」

 

緑の多く広い所、名古屋城の隣の二之丸庭園だ。パスカルも大喜びだ。パスカルが行きよい良く走り出して中島は持っているリードを放してしまった。

 

中島「パスカル!待って欲しいんだな!」

 

中島は必死でパスカルを追いかける。

 

パスカル「ウゥゥ!バウ!バウ!」

「なんだよ、この犬!邪魔するなよ!」

 

パスカルが子供達に向かって威嚇している。中島は慌ててパスカルを止めに入る。

 

中島「パスカル!止めるんだな!」

パスカル「バウ!」

 

パスカルは中島に噛みついた。

 

「ハハハハ!この豚飼い主の癖に噛まれてやんの!ハハハハハ!」

中島「痛いんだな!僕を噛んだら駄目なんだな!君達、笑ってないで助けて欲しいんだな!」

「助けてくれだってよ!ハハハハハ!」

 

子供達は中島の醜態を見て笑っている。

 

パスカル「バウ!(オレ様、オマエ、マルカジリ!)」

「ハハハハハ!コイツ、ノートパソコンなんか持っているぞ!」

 

中島は子供達にノートパソコンを奪い取られた。

 

中島「君達!それは僕の大切な物なんだな!返して欲しいんだな!」

「ハハハハハ!必死だコイツ!きっとエロ動画がいっぱい入っているんだぜ!起動させようぜ!」

 

子供達が悪魔召還プログラムを起動させた。

 

中島「ああ!駄目なんだな!それを起動させては!」

「あれ?何も起こらないぞ?」

パスカル「バウ!バウ!(オレ様、オマエ、マルカジリ!)」

 

パスカルが中島を足を噛む。

 

「あれ?なんか字が出て来た。なぁ、お前の犬、パスカルって名前か?」

中島「そうなんだな…。なんでパスカルの名前を知っているんだな?」

「えっ?何コレ?ハハハハハ!この豚、エサと勘違いされてるよ!ハハハハハ!」

中島「君達、何を言っているんだな?それは危険な物なんだな?」

「これ、凄いぞ!この犬の言葉が分かるぞ!」

中島「ちょっと!僕に返して欲しいんだな!」

「ほらよ。お前、いい年した男の癖に情けねぇな。面白い物が見れたし返してやるよ。後、後ろに居るちっこいのも見逃してやるよ。じゃあな!」

中島「ちっこいの?良く分からないんだな…。でも、返してくれてありがとうなんだな。」

 

子供達は去って行った…。

 

???「良かったー!もう少しであいつ等に捕まる所だったよー。」

 

後ろから声がした。中島は振り返った。

そこには手のひら位の大きさで羽の生えた女の子が空を浮かんでいた。

 

中島「ききき君は誰なんだな!」

???「何驚いてるのよ!失礼しちゃうわね!私はハイピクシーよ。あんたが助けてくれたのでしょ?」

パスカル「バウ!バウ!(ナカジマジャナク、オレ様ガ、タスケタ!)

 

中島は悪魔召還プログラムを起動させた。

 

中島「さっきの子供達が言ってた事があっていたらこれでパスカルの言葉が分かるんだな…。」

ハイピクシー「ちょっと私を無視しないで!」

中島「君を助けたのはパスカルみたいなんだな。お礼はパスカルに言うんだな。」

ハイピクシー「そう…。でもあんたが来たからあの人間達はどっかに行ったんだからあんたにもお礼を言うわ。あんたの名前、教えてくれない?」

中島「ぼ、僕は中島 朱美なんだな…。こっちはパスカルなんだな。」

ハイピクシー「そう…。改めて助けてくれてありがとう、中島にパスカル。」

パスカル「バウ!(気にするな!)」

中島「僕は何もしていないんだな。ねぇ、君はいつもここに居るの?」

ハイピクシー「うん…。前まではそこまで人間は多く無かったんだけど、何年か前から『おもてなしイケメン戦国武将』ってのが出て来て昼間に毎日自分の名前を叫んで凄く五月蝿いの…。それを見にくる人間が増えて住みにくいのよ…いい加減静かな所に引っ越したいのだけど…人間に見つかるとさっきみたいに捕まるかもしれないし…。」

中島「うううっ…。可哀想なんだな…。君は何もしてないのにあんまりなんだな…。僕達、人間の所為で!酷すぎるんだな…。うううっ…。」ポロポロ

ハイピクシー「ちょちょっと!何であんたが泣くのよ!」

パスカル「バウ!バウ!(いちいち泣くな!)」

 

中島が突然泣き出したのでハイピクシーとパスカルは困惑した。

 

 

 

 

 

その頃、弓子達は…………

 

弓子「おい、クソダルマ!ちんたらするなよ、きびきび歩け!」

ジャック「オイラは中島と一緒に犬の散歩が良かったぞ…。」

 

弓子はジャックと共に消息の途絶えた水道局の人達の捜索に下水道にいた。

 

弓子「ちっ…。それにしてもクセーな。後五分探して何も見つからなかったら帰ろうぜ、クソダルマ。」

ジャック「あああっ…。ゆ、弓子…。前に何か居る…。」

弓子「何?ちっ!オバハンの言った通り悪魔の仕業か!」

 

 

ブラックウーズが現れた!

 

 

弓子「何だよ、あれ?ゲロが動いてるぞ。気持ち悪!」

ジャック「ゆ、弓子!逃げよう!アイツはヤバいよ…。」

弓子「あのなぁ…。この白鷲 弓子様に撤退の文字は無いんだよ。このゲロシャブ野郎はあたしがぶっ殺す!」

 

ブラックウーズは仲間を呼んだ!ブラックウーズは6匹になった。

 

弓子「うわぁ…。ゲロシャブ野郎が増えやがった…。あれ触りたくないなぁ…。魔法で倒そう…。アギ!」

 

弓子の放った火の玉がブラックウーズに命中した。

ブラックウーズを一匹倒した!

 

「おおおおおお!!」

 

ブラックウーズは弓子ににじりよってきた。

ブラックウーズは弓子ににじりよってきた。

ブラックウーズは弓子ににじりよってきた。

 

ジャック「ああ!弓子が危ない!クソゥ…オイラも戦うぞ。いくぞ!マハブフ!」

 

ジャックフロストの攻撃!

ブラックウーズは凍りついた!

ブラックウーズは凍りついた!

ブラックウーズは凍りついた!

 

弓子「よし!後、二匹か。アギ!」

 

弓子の放った火の玉がブラックウーズに命中した!

 

弓子「後、一匹だ!くたばれ、ゲロシャブ野郎!」

ジャック「弓子!危ない!今の奴、まだ生きてる!」

 

ブラックウーズの毒ガスブレス!

弓子は毒に侵された!

ジャックフロストは毒に侵された!

ブラックウーズのデスタッチ!

弓子の体力が奪い取られた!

 

弓子「アギ!」

 

ブラックウーズは攻撃をかわした!

 

「おおおおおおおっ!」

 

ブラックウーズが仲間を呼んだ!

ブラックウーズは8匹になった!

 

弓子「クソッ!また増えやがった!クソダルマ、お前は今すぐ兄貴を呼んで来てくれ…。あたしでは相性が悪い。」

ジャック「でも…オイラが行ったら弓子が…。」

弓子「あたしに撤退の文字は無いんだよ、行け!」

ジャック「ヒ、ヒーホー!弓子待っててくれよ!」

 

ジャックフロストは逃げ出した!

 

 

ジャックフロストは………………

 

 

 

 

 

 

 

 

逃げ切った!

 

 

ジャック「ヒ、ヒーホー…。毒を受けて苦しい…。事務所の場所も分からない…。中島のパソコンの中に避難しよう…。中島のパソコンならオイラと繋がっているから分かるぞ…。」

 

ジャックは命からがら逃げ切り中島を探して居る。這いつくばいながら何とか中島の居る公園にたどり着いた。

 

中島「うううっ……。」ポロポロ

ハイピクシー「いつまで泣いてるのよ…。」

 

中島はまだ泣いていた。

 

ジャック「ヒ、ヒーホー…。中島…。やっと見つけたぞ…。」

中島「ジャ、ジャック!どうしたんだな?しっかりするんだな?」ポロポロ

ハイピクシー「中島、ソイツは?」

中島「ジャックは僕の友達なんだな。具合が悪そうなんだな…。お医者さんの所に行くんだな。」ポロポロ

ハイピクシー「ソイツ、毒を受けてる…。大丈夫よ、私が治してあげるから泣かないで!『ポズムディ!』」

 

ジャックフロストは元気になった。

 

ジャック「ヒーホー!オイラ、助かったぞ!」

中島「ジャック…。良かったんだな!良かったんだな!」ポロポロ

パスカル「バウ…。(泣くなよ…。情けない…。)」

ジャック「オイラを助けてくれてありがとう!そうだ!弓子がピンチなんだよ!中島!いつまでも泣いてないで一緒に来てくれよ!」

中島「弓子さんが?分かったんだな!ジャック、案内して欲しいんだな!」

ハイピクシー「待って!私も行くわ!中島じゃ頼りないもん。」

ジャック「ありがとう!弓子も毒を受けてるんだ!治してくれるかい?」

ハイピクシー「分かったわ!あっその前に、中島、あんたと契約するわ!あんたサマナーでしょ?」

中島「サマナー?なんの事なんだな?」

ハイピクシー「もう!説明は省くわ。そのパソコン貸して!」

 

ハイピクシーは中島のパソコンをいじりだした。

 

ハイピクシー「はい、これで私もそこのジャックフロストと同じ仲間になったわ。今後ともよろしくね。中島!」

 

ハイピクシーが仲魔になった。

 

ジャック「オイラが弓子の所に案内するよ!」

中島「お願いなんだな。」

パスカル「バウ!バウ!(ナカジマ、ヤクニタタナイ。オレ様、マカセル!)」

 

中島達は弓子の所に急いで向かった。

 

 

 

 

 

 

 

ジャックの案内で弓子の所にたどり着いた。

 

弓子は懸命に戦っている!

弓子の攻撃!弓子の蹴りでブラックウーズは飛び散った!

弓子の攻撃!弓子の蹴りでブラックウーズは飛び散った!

 

 

中島「ゼイゼイ…ハアハア…。ゆ、弓子さん…大丈夫なんだな?」

ジャック「ヒーホー!弓子!オイラ達が助けに来たぞ!」

弓子「は?オイ、クソダルマ!あたしは兄貴呼んで来いって言ったんだよ!なんで中島が来てるんだよ!」

 

「おおおおおおおっ!」

 

ブラックウーズは仲間を呼んだ!

ブラックウーズは8匹になった!

 

ハイピクシー「今すぐ毒を治してあげるから動かないで!みんな!アイツをこっちに近づいてさせないで!」

中島「そうだ!これが役に立つんだな!」

 

中島は悪魔召還プログラムを起動させた。中島はブラックウーズ達に近づいて言った。

 

ハイピクシー「今の内ね。『ポズムディ!』」

 

弓子の毒は治った。

 

弓子「おお!!動きやすくなったぞ!」

ハイピクシー「まだ体力が回復してないよ!『ディアラマ!』」

 

弓子の体力は回復した。

 

弓子「良し!良くやった、チビ羽虫!」

ハイピクシー「なんで…。助けてあげたのに…。そんな言い方無いじゃない!」

ジャック「ヒーホー!弓子の言うことはいちいち気にしたら駄目だぞ!」

弓子「ゲロシャブ野郎!さっきは良くもやってくれたな!あたしのテコンドーで全て蹴り殺してやる!」

中島「弓子さん。待って欲しいんだな!」

 

中島は悪魔召還プログラムを作動している。なにやらキーボードを打ち込んでいる。

 

中島『こんにちは、僕は中島 朱美なんだな。君の名前を教えて欲しいんだな。』カタカタカタカタ。

 

弓子「あいつ…。何をしているんだよ…。」

ジャック「あれでいろんな奴とお話が出来るだよ!パスカルともお話出来るぞ!」

弓子「………なぁ、あのゲロシャブ野郎に言葉が理解出来るのか?」

ハイピクシー「………多分、無理…だと思う…。スライムだもん…。知能ないよ…。」

 

ブラックウーズ「おおおおおおおっ!」

 

ブラックウーズの毒ガスブレス!

中島は毒に侵された!

ブラックウーズは中島ににじりよってきた!

ブラックウーズは中島ににじりよってきた!

ブラックウーズは中島にまとわりついた!

ブラックウーズ達は中島を連れて逃げ出した!

 

中島「ああああ!助けて欲しいんだな!」

ハイピクシー ジャック「中島ーーー!!」

 

中島は連れて行かれた!

 

弓子「何しに来たんだよあの豚は…。あのゲロシャブ野郎が逃げちまったじゃねぇか!!」

ハイピクシー「中島はあんたを助けに必死で走って来たのにそんな言い方無いじゃないの!!」

弓子「このチビ羽虫が!あたしに逆らうのか!カマキリのエサにしてやろうか?」

ジャック「ケンカしてないで中島を探すのが先だよ!」

パスカル「バウ!(コッチダ!)」

 

パスカルが中島の匂いを嗅いで案内する。中島はブラックウーズ達に取り込まれている…。

 

「おおおおおおおっ!おおおおおおおっ!」

 

ブラックウーズが雄叫びをあげる。

 

弓子「良し!あのゲロシャブ野郎をぶっ殺すぞ!お前ら、行くぞ!」

ジャック「待って、弓子!中島が取り込まれている!」

弓子「中島ごとやるんだよ!見ていろ!」

 

弓子の攻撃!

弓子の蹴りが中島にヒットした!

中島がブラックウーズの中から飛び出した!

 

弓子「良し!狙い通りだ!あのゲロシャブ野郎にトドメを刺すぞ!」

 

ブラックウーズ達が再び中島を取り込もうとしている!

 

ハイピクシー「中島!そうはさせないよ!『マハジオ!』」

 

ハイピクシーの電撃がブラックウーズ達を襲う!

ブラックウーズは感電した!

ブラックウーズは感電した!

ブラックウーズは感電した!

ブラックウーズは感電した!

 

ハイピクシー「ああ!残りの奴が中島の所に!」

 

感電を逃れたブラックウーズ達が中島を取り込もうとしている!

 

ジャック「ヒーホー!後はオイラに任せな!『マハブフ!』」

 

ブラックウーズは凍り付いた!

ブラックウーズは凍り付いた!

ブラックウーズは凍り付いた!

 

パスカル「バウ!バウ!(ノコリハ オレ様ガ マルカジリ!)」

 

パスカルがブラックウーズを食いちぎった!

 

弓子「お前ら!あたしの獲物横取りするなよ!あのゲロシャブ野郎はあたしがぶっ殺す予定だったんだぞ!」

ハイピクシー「中島!大丈夫?」

ジャック「中島!しっかりしろ!」

 

2人は地団駄を踏む弓子を無視して中島の所に駆け寄った。

 

中島「うううっ…。」

パスカル「バウ!」

 

パスカルが中島を噛んだ。

 

中島「ああああ!痛いんだな!パスカル!僕は食べ物じゃないんだな!」

ジャック「中島…生きてた!」

ハイピクシー「中島!良かったよぅ!」

 

みんなは中島の無事を喜んだ。

 

弓子「お前ら!あたしを無視するなよ!クソッ!」

 

弓子達はブラックウーズを倒した!

 

中島「うううっ…。」

ハイピクシー「中島、すぐに治してあげるね。『ポズムディ!』」

 

中島の毒は治った。

 

中島「うううっ…。みんな…、来てくれて嬉しいんだな…。弓子さんも無事で良かったんだな…。うううっ…。」ポロポロポロポロ

 

中島は泣き出した。それを見て弓子はため息をついた。

 

弓子「はぁ…。なーかーじーまー!いちいち泣くなよ!前にも言っただろうが。嬉しい時は笑え!後、あたしがあんなゲロシャブ野郎に負ける訳ないだろ!」

ジャック「でも、弓子は毒ガス喰らってピンチだったぞ!」

弓子「最初からあたしのテコンドーを使っていたら一瞬だったんだよ!」

ハイピクシー「じゃあ、なんで最初から使わなかったのよ!」

弓子「はぁ?決まってるだろ。靴が新品だったからゲロシャブ野郎の体液で汚したくなかったんだよ。」

ハイピクシー「呆れた…。」

中島「でも、本当にみんな無事で良かったんだな…。」

弓子「お前ら、まだ依頼は終わってないぞ!下水道を調べに来た水道局の人間を探すぞ。」

中島「分かったんだな…。」

弓子「中島、お前はゲロシャブ野郎の体液でベトベトでクセーからあたしから40000km離れて歩けよ。」

中島「弓子さん…それだと地球を一周して戻って来るんだな。」

弓子「口答えするな。」バキ!

 

中島は弓子に思いっきり蹴られた。

 

中島「い、痛い…。」

弓子「行くぞ、中島!」

 

それから中島達は下水道を探索を再開した。

 

パスカル「バウ!(コッチカラ、ニオイスル。)」

 

パスカルの案内で行方不明の水道局の人達を見つけた…。

しかし、グリーンスライムに取り込まれている…。

 

弓子「さっきと同じ要領でいくぞ!」

 

弓子は下水道の人達を蹴り飛ばした!

 

弓子「良し!緑のゲロシャブ野郎から引き離した!」

 

弓子の攻撃!弓子の蹴りでグリーンスライムは飛び散った!

弓子の攻撃!弓子の蹴りでグリーンスライムは飛び散った!

 

弓子「みたか、あたしの力を!」

 

弓子はグリーンスライム達をやっつけた。

 

弓子「良し!これで依頼は完了だ。じゃあ帰るか!中島!こいつ等もゲロシャブ野郎の体液でクセーからお前がおぶって行けよ!」

中島「弓子さん、待って欲しいんだな…。」

 

こうして中島達は水道局の人達を助け出し依頼は完了した。

 

 

 

 

 

しばらくして中島達は事務所に帰ってきた。

 

大輔「ああ、弓子おかえり。」

マダム「あら?帰ってきたのね。」

弓子「お帰りじゃねえよ!やい、オバハン!お前のせいで新品の靴が汚れたじゃないか!あたしの靴を弁償しろよ!」

 

弓子は帰って来るなり捲り立てる。

 

マダム「臭いから近づかないでもらえるかしら。………下水道で死んだら良かったのに…。」

弓子「クセーのは中島の方だよ。」

大輔「中島君?一緒だったのかい?それに失礼な事を言っちゃ駄目じゃないか。」

弓子「失礼かどうか証明してやるよ。中島!入って来い!」

 

弓子が中島を事務所に招き入れた。

 

中島「臭いから入るなって言ったり入れって言ったり…弓子さんは忙しい人なんだな…。」

 

中島の身体からはブラックウーズの体液が染み込んで死臭がする。

 

大輔「なかじま…くん…。ちょ…こ…うっ!ゲロロロロロ!」ビチャビチャビチャビチャ!

 

大輔はあまりの臭いに盛大に吐いた。

 

マダム「うっ…か、帰るわね…。白鷲さん、何日か後にまた来るわ…。酷い臭い…。パスカルちゃん、帰るわよ…。」

パスカル「バウ!」

 

マダムはパスカルを連れて一目散に帰って行った…。

 

弓子「だから言っただろ。中島の方がクセーって…。」

大輔「オエー!オエー!」ビチャビチャビチャビチャ!

 

事務所は悲惨な状況だ…。

 

ジャック「オイラ、せっかく掃除頑張ったのに…。」

ハイピクシー「………ドンマイ…。いつかきっと良いこと有るよ…。」

弓子「中島、クセーからその服捨てて風呂入って来い。あたしも靴捨てるから…。」

中島「分かったんだな…。」

 

 

 

 

事務所をみんなで掃除をした。そうこうしている内に中島も風呂から戻ってきた。

 

中島「今、戻ったんだな。」

ハイピクシー「お帰り、中島。」

 

ハイピクシーが中島を迎え入れる。

 

大輔「さっきから気になっていたけど君は?」

ハイピクシー「私?私はハイピクシー!中島と契約したのよ。」

中島「彼女がみんなの毒を治してくれたんだな。」

大輔「そうなんだ。しかし、中島君と一緒にいるとまるでおとぎ話のピーターパンとティンカーベルみたいだね。」

中島「でも僕はピーターパンみたいにカッコ良く空は飛べないんだな…。」

弓子「兄貴はたまに訳の分からないことを口走るから友達が全然いないんだ。お前ら、兄貴がこういう発言をしたら無視しろよ。」

 

それにしても弓子は誰に対しても失礼である。

 

弓子「それに中島が空飛んだら紅の豚じゃんか。」

大輔「例えの話じゃないか。それに中島君に失礼だよ。」

 

弓子と大輔が言い合いをしているとハイピクシーがわって入った。

 

ハイピクシー「ねぇ…。ティンカーベルって何?」

大輔「ピーターパンに出てくる君みたいに可愛らしい妖精の名前の事だよ。」

中島「あっ!そうなんだな。ティンカーベルをあやかって僕はこれから君の事をティンクって呼ぶ事にするんだな。」

大輔「中島君、いいねそれ!」

ハイピクシー「………なんか人間って変わってるね。ティンクか、中島が付けてくれたんならいいかな。」

大輔「ティンクちゃん、これからよろしくね。」

弓子「おい…このチビ羽虫までここに居座るのかよ!ふざけるなよ!」

 

新しい仲間が出来てまたいっそう賑やかになる白鷲探偵事務所であった。

 

 



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サバト

下水道での事件からしばらく過ぎたある日の事だった。

白鷲探偵事務所に中島宛てに一枚の封筒が届いている。

 

弓子「中島、何を持っているんだ?見せろよ。」

 

弓子は中島の持っている封筒を奪い取って封を勝手に開けた。

 

中島「弓子さん、それは僕宛の物なんだな…。」

弓子「なんだこれ?『シャチホコエビフリャーズ コンサートチケット』聞いたこと無いぞ。アイドルか?」

中島「僕も聞いたことが無いんだな…。」

弓子「お前宛に来てるのに知らないこと無いだろうが!」バキ!

 

弓子の蹴りが中島にヒットした!

中島は吹っ飛んだ。

 

中島「………痛いんだな…。僕は何もしてないのに…。」ポロポロ

ティンク「ちょっと弓子!何て酷いことするのよ!中島が泣いちゃったじゃないのよ!謝りなさいよ!」

弓子「このチビ羽虫が!あたしに逆らってんじゃねぇ!」ブシュー!

 

弓子はゴキジェットをハイピクシーに噴射した。

ハイピクシーは悶え苦しんでいる。

 

ティンク「あああ!目に入ったー!痛いよー!染みるよー!」

弓子「ここではあたしが一番偉いんだ。例え天皇でも逆らったらぶっ飛ばされる運命なんだ。分かったか、お前ら!」

 

兄の大輔がジャックフロストと出かけているので弓子の横暴が続く…。

そうこうしている内に大輔が戻って来た。

 

大輔「今帰ったよ。」

ジャック「ヒーホー!」

弓子「おう、兄貴。」

大輔「弓子、何を持っているんだい?」

弓子「ああ、これ?なんか中島宛てに来てたコンサートのチケットだよ。」

大輔「ああ、それは僕が転売目的で片っ端から懸賞に応募したやつの一つだよ。何が当たったんだい?」

 

大輔はコンサートチケットを手に取ってパソコンでなにやら調べ物をしだした。

 

中島「どうして僕の名前で応募したんだな?」

大輔「ああ、中島君だけじゃなくて弓子と僕の名前でも応募しているよ。それでたまたま中島君が当たっただけのことだよ。」

弓子「兄貴、勝手に人の名前を使うなよ。」

大輔「何を言っているだよ。数は多い方が当たりやすいんだよ。ああ、これは転売出来ないな…。お金にならない。どうせならSKEでも当たってくれたらお金になって良かったのに…。」

中島「もしかして、僕が住み込みでここで働いているのって…。」

大輔「うん、そうだよ!悪魔から身を守れるのもあるけどメインは懸賞さ。それに昨日、中島君達が食べたレトルトの餡掛けスパゲティも懸賞で当たったやつだよ。」

 

大輔は笑顔で答えた。

 

弓子「兄貴、レトルトぐらい金で買えよ…。」

大輔「弓子は馬鹿だなあ。懸賞で当てるから良いんじゃないか!中島君は分かってくれるよね!」

 

そんな事を言われても困る中島であった。

 

弓子「で、兄貴このコンサートチケットどうするんだよ?」

大輔「そうだな…。せっかくだから中島君、行ってきたらどうだい?」

中島「え?」

大輔「決まりだね!日にちは明後日だからその日はお休みで良いよ。」

ジャック「オイラも行きたいぞ!」

大輔「ペアチケットになっているから大丈夫だよ。ジャック君も一緒に行くと良いよ。」

ジャック「ヒーホー!」

 

こうして中島は断る事も出来ずに知りもしないアイドルのコンサートに行く事になった。

 

 

 

2日後

 

 

 

中島が居ない間、ここ白鷲探偵事務所では来客が来ていた。

 

大輔「今日はどういったご用件でしょうか?ルイ サイファさん。」

 

ここに来るって事は警察や他の探偵事務所では解決出来ない事、つまり悪魔がらみである。

 

ルイ サイファ「最近なんだが…ディスコ?で踊っていた人達が帰ってきた翌日から精気を吸い取られたようになる事例が相次いでいる。」

弓子「ディスコだぁ?もしかしてクラブの事言ってるのか?オッサン、いったい何世紀前の人間だぁ?」

大輔「弓子、市長さんに失礼じゃないか!」

 

ルイ サイファ。この街の市長である。この胡散臭い事務所が成り立っているのもこういう人の力添えのお陰でもある。この名前はもちろん偽名を使っている。

 

ティンク「どうぞ、お茶だよ。弓子が失礼な事を言ってゴメンね。」

 

ティンクがお客様にお茶を運んできた。

 

ルイ サイファ「ありがとう。君はハイピクシーだね。」

ティンク「うん。でも私にはちゃんと中島に付けてもらった『ティンク』って名前があるんだからね。」

弓子「あっちに行ってろチビ羽虫。またゴキジェットかけるぞ。」

ティンク「ベー!だ。」

 

ティンクは弓子にあっかんべえをして隣の部屋に飛んで行った。

 

弓子「あのやろう!この白鷲 弓子様に向かってなんて態度だ!後でカマキリの餌にしてやる!」

ルイ サイファ「話の続きをしても良いかな?」

大輔「すみません、どうぞ。」

ルイ サイファ「精気を吸い取られた人達だが病院で検査しても原因が分からない…。そこで君達にそのディスコを探し出して原因を突き止めて貰いたい。どうも嫌な予感がするんだよ。」

大輔「情報が少ないですね…。」

ルイ サイファ「その情報を集めるのも君達探偵の仕事じゃ無いのかね?こういう仕事は警察より君達が適任なんだよ、理由は分かるよね?ではお願いするよ。」

大輔「………分かりました。」

 

ルイ サイファは事務所を去って行った…。

 

大輔「中島君達が戻って来たら対策を練ろう。人手は多い方がいい…。弓子もそれまで勝手な行動は控えてくれ。」

弓子「………分かったよ。今のままじゃ動きようも無いしな…。」

 

 

 

 

 

一方その頃、中島とジャックフロストは栄にある小さなライブ会場に来ていた。 すでに50人ぐらいの人が来ている。

 

「おやおや?お主達は初めて見る顔ですな。」

 

知らない人が声をかけてきた。ガリガリに痩せたメガネをかけた男だ。

 

中島「僕達は懸賞でチケットが当たって来たんだな。」

「デュフフフ、それはお主達ラッキーですな。このアイドル達はいつかビッグになるから今からファンになると良いですぞ。」

ジャック「兄ちゃん、このアイドルっての詳しいのか?」

「デュフフフ、我が輩はこの『シャチホコエビフリャーズ』のファンクラブ会員のNo.0001ですぞぉ!何でも聞いてもらっても良いですぞ。」

ジャック「何でもって言われても…。」

「そうですな。このアイドルユニットは北条アリスちゃんと小野のリリーちゃんと紫セイレンちゃんの3人組ユニットでセンターはアリスちゃん、キュートでセクシーなリリーちゃん、そして歌が上手いセイレンちゃんと覚えておくと良いですぞ。」

中島「そうなんだな。教えてくれてありがとうなんだな。」

「お主達、これも何かの縁。せっかくだから我が輩がライブの合いの手を伝授するですぞ!」

 

中島達は変なのに捕まってしまった。

 

ジャック「ヒーホー!オイラ達兄ちゃんに弟子入りするぞ!せっかくだから色々教えて欲しいぞ!」

中島「ジャック、初対面の人に迷惑かけてはいけないんだな。」

「デュフフフ、迷惑ではないですぞ!お主もせっかくだから楽しまないと損ですぞ!」

中島「………じゃあ、僕もお願いするんだな。僕達は教わる立場だからあなたは師匠なんだな。」

「し、師匠!なんて良い響き!我が輩は今、感動しているですぞ!」

中島「僕は中島 朱美、こっちはジャックなんだな。」

「中島氏とジャック氏ですな!今日は我が輩と精一杯ライブを楽しむですぞぉ!」

 

そして気を良くしたこの男と中島達は共に行動する事になった。中島は終始楽しそうにしているこの男が少し羨ましかった。

 

「中島氏、ではそろそろライブ会場に入るですぞぉ!」

ジャック「ヒーホー!中島、早く入るぞ!」

中島「待って欲しいんだな!」

 

中島を急かす二人を見て少し笑顔になった。自分の居場所が少し広がってただ嬉しかった。

 

 

ライブ会場に入って少し経つと辺りが真っ暗になった。

 

「みんな!今日は『シャチホコエビフリャーズ』のミニライブに来てくれてありがとうー!MCはこのDJバフォメがお送りするぜー!みんな今日はよろしく頼むぜー!」オー!

 

DJの声と共に観客の歓声が沸き上がる!

 

「では、早速みんなお待ちかねの『シャチホコエビフリャーズ』の登場だ!さぁ!今日も3人組の楽しいライブが始まるぜー!みんな最高の声援をよろしく頼むぜー!」ウォー!

 

観客の歓声はさらにヒートアップした。3人組が出てきて更に会場は盛り上がる!

 

「みんなー!今日は来てくれてありがとうー!私達、ご当地アイドルユニット、『シャチホコエビフリャーズ』です!」

 

3人はシャチホコのように反り返ってからエビのように飛び跳ねた。

ダサいポーズである…。

 

「中島氏、ジャック氏、曲が始まったら我が輩が教えた通り合いの手をするですぞ!」

中島「分かったんだな。緊張するんだな…。」

ジャック「オイラ、がんはるぞ!」

 

二人は初めてのライブで興奮している。

 

「今日もアリスのために応援してねー!まずはこの曲『恋のスパイス 八丁味噌』よ!」ウォー!

 

ライブが始まった。会場は歌う3人組と合いの手をするファンが一体となっている。みんな心の底から楽しんでいる。中島も戸惑いながらも精一杯合いの手をして楽しんだ。

 

「みんなー!ありがとうー!次の曲はセイレンがソロのこれ!『モーニングを待ちわびて』」

 

先ほどの曲とはうって変わって会場が静まり返った。

セイレンの美しい歌声にみんなが聞きほれている。

 

中島「綺麗な声なんだな…。」

 

そうこうしている内にライブも最後の曲となった。

 

中島「凄いんだな!楽しいんだな!」

ジャック「オイラも楽しいぞ!」

「中島氏、ジャック氏、最後まで応援の合いの手を忘れては行けませんぞ。」

中島「分かったんだな。」

 

最後の曲も終わりファンの熱気に包まれてたままライブは終了した。

 

 

 

中島達はライブ会場を出た。

 

ジャック「ヒーホー!今日は楽しかったぞ。」

中島「来て良かったんだな。」

「二人が気に入ってもらえて何よりですぞ!」

 

まだライブの興奮が冷めないまま話していると何者かが近付いてきた。

 

「君、今日のライブは楽しんでもらえたかい?」

 

この声は先ほどのDJである。見た目は普通の好青年だ。

 

「楽しんでもらえたならこのチケットを持って今晩このライブ会場に来てくれよ!コレ一枚で何人でも会場に入れるからお友達も是非連れて来てくれよ!待ってるぜ!シーユー!」

 

そう言ってDJの男は去っていった…。

 

「中島氏、何を頂いたのですかな?」

中島「ライブのチケットなんだな。これ一枚で何人でもって言ってたから良かったら師匠も一緒に来て欲しいんだな。」

「我が輩を誘って頂けるとは、我が輩、絶対にお供致しますぞ!」

???「いや、駄目だな。これはあたしがいただく。貸せ、中島!」

 

中島は後ろからチケットを取られた。

振り返るとそこには弓子が立っていた。

 

ジャック「ヒーホー!さては弓子、オイラ達が楽しんでたから嫉妬しているな?」

弓子「な訳ねぇだろ!依頼だ。」

中島「弓子さん、そのチケットは僕がもらったんだな。返して欲しいんだな。」

弓子「なーかーじーまー!お前、少しは警戒心を持て!だいたいライブのチケットをタダでもらえるなんて有り得ないんだよ。見ろ!『DJバフォメのミッドナイト サバト』って。完全に悪魔の仕業じゃねぇか!オラ!」バキ!

 

弓子は中島を蹴り飛ばした。

 

中島「…痛いんだな。」

弓子「いいか。サバトってのはな、悪魔召喚の儀式の事だ。」

中島「でも、シャチホコエビフリャーズも来るんだな。」

弓子「口答えするな!」バキ!

 

弓子はまた中島を蹴り飛ばした。

 

中島「痛い…。」ポロポロ

「中島氏、しっかりするですぞぉ!しかし、お主は酷い女氏ですな…。」

弓子「なんだ?テメエ。この白鷲 弓子様に逆らうのか、オラ!」バキ!

 

弓子は男を蹴り飛ばした。

 

「痛い!骨が折れてるかもしれないですぞぉ!」

弓子「中島を蹴るときの3分の1の力で蹴ったぐらいで骨が折れるか。このヒョロヒョロキモ野郎が!」

 

相変わらず初対面の人間に対しても酷い言いようである…。

 

「中島氏、この女氏は一体何者ですかな?」

中島「弓子さんは僕が勤めている探偵事務所の上司なんだな…。僕は毎日弓子さんに蹴られているんだな…。」ポロポロ

 

中島はまだ泣いている。

 

「中島氏!それはパワハラですぞぉ!訴えたら勝てますぞ。」

ジャック「オイラも弓子に毎日酷い目にあってるぞ。オイラが火が苦手なのにチャッカマンでオイラの尻に火を着けてくるんだ…。」

「我が輩が弁護士を紹介するですぞ!二人とも我が輩と一緒に戦うですぞぉ!」

弓子「弁護士でも呼びたきゃ呼べよ。それより中島!依頼内容は後で教えるからさっさとこのライブ会場に行くぞ。」

「我が輩もついて行きますぞ。お主!白鷲 弓子と申したな。白鷲女氏、我が輩は暴力に屈しませんぞ。弁護士を雇っていずれ裁判を起こしてやりますぞ。」

 

無駄に正義感の強い男である。

 

弓子「ああ、もう面倒くさいから来たけりゃ勝手にしろよ。後でどうなっても知らないからな。後、お前気持ち悪いからあたしから20000km離れろよ。」

中島「弓子さん…それだと師匠はブラジルまで行ってしまうんだな。」

弓子「口答えするな!」バキ!

 

弓子は口答えした中島を蹴ってズカズカと歩いて行った。

 

「中島氏、大丈夫ですかな。」

中島「師匠、ありがとうなんだな…。でも弓子さんの事は穏便にしてほしいんだな…。弓子さんは暴力を振るうけど優しい所も有るんだな…。」

「………中島氏。」

中島「さぁ、ライブ会場に行くんだな。」

「そうですな。でも、中島氏。困ったら何時でも我が輩に言うですぞ。」

 

そうこうしている内に日も暮れて目的地のライブ会場にたどり着いた。先ほどの会場より大きく500人ほど入る規模である。

 

「おお!これはなかなか大きなライブ会場ですな。我等がシャチホコエビフリャーズも知名度が上がってきた証拠ですな。」

弓子「知らねえよ…。面倒くさい奴だな…。」

「そうであった!我が輩としたことが…。白鷲女氏、これも何かの縁ですから我が輩がシャチホコエビフリャーズの曲の合いの手を伝授致しますぞ!さぁ我が輩に続くですぞぉ!」

 

男はオタ芸を弓子に披露しだした。

 

弓子「………。」

 

弓子がオタ芸を披露している男を無視していると空からハイピクシーがやってきた。

 

ティンク「あっ、中島!やっと見つけた!なかなか帰って来ないから心配したんだよ!弓子に虐められなかった?」

ジャック「ティンク、良い所に来たな。オイラ達と一緒にライブに行くぞ。とっても楽しいんだぞ。」

弓子「オイ、チビ羽虫!何しに来たんだ、兄貴と留守番してろよ!」

ティンク「やーだよーだ!私、意地悪ばっかりする弓子の言うことなんか聞かないもんねー!中島と一緒に居るもん!」

中島「ティンク!迎えに来てくれて嬉しいんだな。でも、ここは人間がたくさん居るから僕の服の胸ポケットに隠れているんだな。」

弓子「中島!そのチビ羽虫をこっちに寄越せ!あたしの恐ろしさを思い知らせてやる!」

ティンク「ベー!」

「おや?中島氏、その胸ポケットにあるフィギュアは一体?さっきまでなかったですぞ?」

 

男がティンクに気がついた。

 

中島「いや、あの…。」

弓子「あー、だから来るなって言ったのに…。」

ティンク「あなた?中島のお友達?」

「フィギュアがしゃべったですぞぉ!中島氏、コレは…。」

 

バレてしまった。

 

ティンク「私は人形じゃ無いもん!ちゃんとティンクって名前が有るんだからね!失礼ね!」

「お主…。もしかして妖精ですかな?我が輩初めて見ましたぞぉ!」

 

男はティンクに興奮している。

 

「お主、中島氏と白鷲女氏の友人ですかな?」

ティンク「うん!仲魔だよ!弓子は私達に意地悪ばっかりするけど。」

「し、白鷲女氏!お主はこんな子にまでパワハラを働いているとは!」

弓子「黙れ!お前、コイツの事言いふらしたらぶっ殺すからな!」

中島「弓子さん、師匠も落ち着いて欲しいんだな。会場に入れるんだな…。」

 

弓子達は中島に言いくるめられ会場に入っていった。

会場に入ってしばらくすると辺りが真っ暗になった。

 

「今日はこのDJバフォメのミッドナイト サバトに来てくれてありがとう!今日はオールナイトで楽しんで行こうぜー!」

中島「楽しみなんだな…。」

ジャック「オイラ、ワクワクしてきたぞ!」

弓子「お前等、気を抜くなよ。」

 

DJの軽快なトークが続く。

 

「さぁ!まずは我等がご当地アイドル『シャチホコエビフリャーズ』の登場だ!」

 

アイドルの3人組が登場した。

 

アリス「みんなー!今日はアリスの為に………」ニタァ

 

アリスの邪悪な笑みに弓子が気づいた。

 

弓子「アイツ、何かする気だ。とりあえず『テトラジャ』!」

 

弓子達の周りに魔法のシールドが張られた!

 

アリス「………死んでくれる?」

 

アリスのエナジードレイン

 

観客達の精気が吸い取られた!

 

アリス「あっ!アイツ等シールドを張ってる!侵入者よ!バフォメット!お願い!」

「OK、アリス!なかなかのエナジーが集まったぜ!さぁ、次はこのエナジーを使って侵入者を退治しよう!ボディコニアン!出番だぜ、Come on!」

 

バフォメットはサバトマを唱えた。

 

ボディコニアンが8体現れた!

 

弓子「チッ、数で攻めて来やがった!」

「ハハハ!お前の事は俺達の間では有名人だからな。白鷲 弓子!お前の事は対策積みだ!」

 

DJの声が響きわたる!

 

アリス「フフフ…。散々私達悪魔の邪魔をしてきた白鷲 弓子もお仕舞いね。………白鷲 弓子お願い………死んでくれる?」

 

アリスはタルカジャを唱えた!

ボディコニアン達の攻撃力が上がった!

 

アリス「リリム!セイレーン!あなた達もやるのよ!」

リリム「ハハハ!死んじゃえー!」

 

リリムはタルカジャを唱えた!

ボディコニアン達の攻撃力が上がった!

 

ボディコニアン達が中島達に襲いかかった!

 

弓子「テメエ等、この白鷲 弓子様がこんな屍クソ女共にビビると思っているのか!あたしのテコンドーで全員ぶっ殺してやるよ!かかって来い!」

「どどどどどうなっているのですぞぉ!」

 

男はパニック状態になっている。

 

弓子「チッ、だから来るなって言ったんだ。中島!お前はクソダルマとチビ羽虫と一緒にそいつを外に連れ出せ!」

セイレーン「………逃がさない。」

 

セイレーンは誘惑の歌を歌った。

意識が朦朧としている観客達を操り出口が塞がれた。

 

弓子「クソッ!」

アリス「フフフフフ…。これで逃げ場は無いわね。あなた達みーんなみーんな、死んでくれる?」

 

アリスのエナジードレイン

観客達の精気を吸い取られた。

 

「OK、アリス!相手はあの白鷲 弓子だ!このエナジーでまだまだ悪魔を召喚するぜ!Come on!」

 

バフォメットはサバトマを唱えた。

 

グールが8体現れた!

ゾンビが6体現れた!

 

リリム「フフフ、まだまだこんなもんじゃ無いわよ。」

 

リリムはマリンカリンを唱えた!

中島達以外の観客達を魅了した。

観客達も中島達に襲いかかって来た!

 

ボディコニアンのマヒひっかき!

 

中島「師匠、危ないんだな!」

 

中島がパニックになっている男を庇い傷を負った!

中島は身体が痺れて動けなくなった。

 

ジャック「中島!」

弓子「クソッ、テメエ等!弱い奴を襲いやがって、あたしが相手だ!行くぞ!」

 

弓子が悪魔達を相手に突っ込んで行った!

 

ティンク「弓子!無茶だよ!一旦逃げようよ!」

弓子「黙れ!お前は中島の傷を治せ!あたしの辞書に撤退の文字は無いんだよ!」

ジャック「弓子!無茶だ!ティンク、オイラ達も弓子に加勢するぞ!」

弓子「バカ野郎!良いか!お前等は悪魔を召喚している奴を探しだせ!こんな雑魚共はあたし1人で余裕なんだよ!中島!聞こえたか!お前は傷を治したらその男とティンクとジャックを連れて行け!」

 

ティンク「中島、しっかり『パララディ』!」

 

中島のマヒが治った!

 

中島「ティンク、ありがとうなんだな!さあ、僕達は悪魔を召喚しているDJの人を探すんだな…。」

「中島氏、傷は?」

中島「痛いけど、弓子さんの蹴りの方がもっと痛いんだな…。だから大丈夫なんだな。」

ティンク「中島、大丈夫?無理しちゃダメだよ。」

ジャック「中島、弓子を助けないと…。」

中島「ジャック、弓子さんは僕達を信頼してくれているんだな。だから僕達がやることはDJの人を探し出すことなんだな。」

「中島氏、DJはきっと上の階に居ますですぞ。あそこの階段から行けますぞ。」

中島「みんな、相手が弓子さんに集中している間に階段を上るんだな。」

 

中島達は悪魔達に気付かれず階段を駆け上がった。

 

弓子「よーし、中島達は行ったようだな。あたしのテコンドーでテメエ等を血祭りにしてやるぜ!」

 

弓子の攻撃!

弓子のトルリョチャギがグールに直撃した!

グールを倒した!

弓子の攻撃!

弓子のパンダルチャギがグールに直撃した!

グールを倒した!

 

背後からボディコニアンのマヒひっかき!

しかし、弓子が放つカウンターのティオティッチャギがボディコニアンに直撃した!

ボディコニアンを倒した!

 

弓子「テメエ等、あたしはピンピンしてるぞ!どうした!かかって来いよ!」

 

弓子が敵を挑発する。

 

アリス「何やってるのよ!束になってかかりなさいよ!」

「おおおおおおおおおぉぉぉ!!!!」

 

ゾンビが束になって弓子に襲いかかる!

 

弓子「まとめて来やがったか、『マハラギ!』」

 

弓子の放った火の玉がゾンビ達に命中した!

ゾンビは燃え尽きた!

ゾンビは燃え尽きた!

ゾンビは燃え尽きた!

ゾンビは燃え尽きた!

弓子の攻撃!

弓子のネリチャギが直撃した!

グールの頭が飛び散った!

 

弓子「うぇぇ、またあたしの靴に悪魔の体液が付いたじゃねぇかよ…。」

 

弓子の横からボディコニアンが襲いかかる!

しかし、弓子のヨプチャギがボディコニアンにヒットした!

 

セイレーン「白鷲 弓子の蹴り技テコンドーは攻撃の威力が低い。これで負けない。『ラクカジャ』」

 

セイレーンはラクカジャを唱えた!

悪魔達の防御力が上がった!

 

アリス「これでお前もお仕舞いね!『ラクカジャ』」

 

アリスはラクカジャを唱えた!

悪魔達の防御力が上がった!

 

弓子「あたしのテコンドーが威力が無いだと!あたしのテコンドーは他の格闘技を取り入れたオリジナルだ、お前等のチンケな補助魔法なんか意味ないぞ!」

 

弓子の攻撃!

弓子のオルグルトルリョチャギがゾンビに直撃した!

ゾンビを倒した!

弓子の攻撃!

弓子のネリチャギがボディコニアンを直撃した!

ボディコニアンを倒した!

 

弓子「こいつ等の防御力が上がったおかげで頭が飛び散らなかったな。感謝するぜ。」

アリス「何なのよ、アイツ!ムチャクチャじゃないのよ!」

 

弓子の悪魔殺戮ショーはまだまだ続く…。

 

 

 

一方、弓子が戦っている間、中島達は階段を上がって二階を探索していた。

 

中島「弓子さんが心配なんだな…。」

 

1人残った弓子を心配しながら中島達は扉の前にたどり着いた。この部屋はライブ会場の音響を操作するDJのプレイルームになっている。

中島は恐る恐る扉を開けた。

 

「誰だ!」

中島「ぼぼぼ僕はななな中島 朱美なんだな。」

「OK!ここに来たって事はあの白鷲 弓子の仲間だな!君達は可哀想だが瞬殺してあげよう!」

 

DJの男はみるみるうちに姿が変わっていく。

羊の頭に黒い翼が生えた悪魔に変身した。

 

邪神バフォメットが現れた!

 

中島「こここ怖いんだな!」

「ななな中島氏!DJが山羊に変身したですぞぉ!」

バフォメット「ハハハ!山羊だと?バカめ!俺は神をも喰らう強さのバフォメット様よ!紙は食わないがな!」

 

バフォメットはいきなり襲いかかってきた!

バフォメットの攻撃!

バフォメットのパンチが中島にヒットした。

中島は少しよろめいた。

ティンク「中島!ちょっと!いきなり攻撃するなんて酷いじゃない!中島、大丈夫?」

中島「…思ったより痛くなかったんだな。」

バフォメット「フフフ、どうせやせ我慢に決まっている。もう一撃喰らえ!」

 

バフォメットの攻撃!

バフォメットのパンチが中島にヒットした。

しかし、中島にはあまり効いていない。

 

中島「やっぱり痛くないんだな…」

バフォメット「そんなはずはない!俺は通信空手の初段だぞ!」

ジャック「…お前もしかして、弱い奴だな?」

バフォメット「俺は弱くない!クソー!」

 

逆上したバフォメットがジャックフロストに襲いかかった!

 

ティンク「させないよ!『ジオ!』」

 

ティンクのはなった電撃がバフォメットを襲う!

 

バフォメット「電撃は止めろ!」

ジャック「ヒーホー!アイツ、電撃が弱点だ!ティンク、もう一度だぞ!」

ティンク「よーし、いくよ!『マハジオ!』」

 

ティンクの電撃がそこら一帯に放たれた!

しかし、バフォメットが電撃をすべて受け止めた!

 

バフォメット「おい、電撃は止めろって言っているだろ!」

ジャック「効いているぞ!」

バフォメット「機材がいっぱいあるから電撃を放ったら壊れてしまうだろ!」

 

どうやら弱点ではなく機材の心配をしているらしい。

 

バフォメット「この機材がなかったらライブが出来なくなるんだ!だから止めろよ!」

 

ティンク「じゃあ、もう一度いくよ!」

バフォメット「お願いだ!止めてくれ!」

「だったら、アリスちゃん達を利用して酷い事をするのを止めるですぞぉ!」

バフォメット「違う!俺がアリスに利用されているんだよ!」

中島「どういう事なんだな?」

バフォメット「分かった、説明するからその妖精を止めてくれ!俺は降参するから!」

ティンク「ハハハハハハ!それ!『マハジオ!』『マハジオ!』『マハジオー!』」

 

ティンクがそこら一帯の機材に電撃を放っている。

中島は慌ててティンクを止めに入った。

 

中島「ティンク、もういいんだな。」

 

中島に声をかけられてティンクは電撃を放つのを止めた。

 

バフォメット「ああ、良かった。機材は無事だ。」

中島「君が黒幕じゃなかったら弓子さんが心配なんだな。」

ジャック「ヒーホー!中島、オイラも弓子が心配になってきたぞ!」

 

中島達は急いで弓子のもとに行こうとした。しかし!

 

バフォメット「バカめ。俺に背を向けるとは、死ね!『マハラギオン!』」

 

バフォメットの放った炎が中島達を襲った!

 

ティンク「キャ-!」

ジャック「ああああ!熱いよう!オイラ溶けちゃうよ!」

中島「ああああ!熱いんだな!ああああ!」

バフォメット「ハハハ!バカな奴等め!次でトドメだ!ハハハハハハ!」

 

バフォメットの不意討ちで中島達は大ダメージを喰らった!

 

中島「ううう…。酷いんだな…。僕は何もしてないのに…」ポロポロ

ティンク「ちょっと!後ろから何するのよ!中島が泣いちゃったじゃない!」

ジャック「そうだ!酷いぞ!中島に謝れ!ヒーホー!」

 

それにしても中島は情けない男である。

 

バフォメット「バカめ!何故敵の俺が謝らないといけない!」

 

バフォメットの言うことは間違ってはいない。

 

ジャック「謝れ!『ブフーラ!』」

 

ジャックの放った氷の刃がバフォメットを襲う!

 

バフォメット「うお!こ、こいつ!」

ティンク「謝れ!『ジオンガ!』」

 

ティンクの放った雷がバフォメットを襲う!

 

ジャック「謝れ!『ブフーラ!』」

 

ジャックの放った氷の刃がバフォメットを襲う!

 

ティンク「謝れ!『マハジオ!』」

 

ティンクの放った電撃がそこら一帯に襲いかかる!

 

バフォメット「クソ!何で俺がこんな雑魚悪魔に…。」

「ティンク女氏やジャック氏だけではないですぞぉ!」

 

男は近くにあった機材をバフォメットに投げつけた!

 

バフォメット「機材は止めてくれー!」

ティンク「だったら中島に謝れ!『マハジオ!』」

 

ティンクの放った電撃がそこら一帯に襲いかかる!機材のいくつかは壊れてしまった!

 

バフォメット「ああああ!俺の機材が~ああああ!酷いぞ!お前ら!」

「中島氏!いつまでも泣いていては行けませんぞぉ!さぁ、中島氏も我が輩と一緒にアイツに機材をぶつけてやるですぞぉ!」

 

みんなの勢いは止まらない。

 

バフォメット「もう許してくれ!機材を壊さないでくれ!謝るから!」シクシク

 

バフォメットは泣きながら謝り出した。

 

中島「みんな、もう許してあげるんだな。早く弓子さんを助けに行かないといけないんだな。」

バフォメット「お前、いい奴だな…。」

「でもさっきみたいにまた後ろから攻撃するかもしれないから縛りつけて連れていくのですぞ。」

 

そして中島達は縛りつけたバフォメットを連れて弓子のいる一階のホールに戻っていった。

 

 

 

 

 

 

一方その頃………

 

弓子は懸命に戦っている!

 

弓子の攻撃!

弓子のパンダルチャギがゾンビに直撃した!

弓子の攻撃!

弓子のヤンバルチャギがボディコニアンに直撃した!

弓子はマハラギを唱えた!

複数の火の玉がグールを襲う!

グールは燃え尽きた!

グールは燃え尽きた!

グールは燃え尽きた!

グールは燃え尽きた!

グールは燃え尽きた!

 

弓子「よし!後はそこの屍クソ女共だけだな!そこの3人、覚悟しとけよ!」

リリム「こうなったら人間をけしかけて時間を稼ぐしかないわね。『マリンカリン!』」

 

会場の人々が魅了され一斉に襲いかかってきた!

 

アリス「フフフ♪同じ人間同士なら流石の白鷲 弓子も手が出せないって事ね。」

弓子「オラー!」

 

弓子は相手が人間だろうとお構い無しに叩きのめしていく。

 

アリス「ち、ちょっと!おんなじ人間なのに…。」

弓子「いいか!あたしに逆らう奴は操られようが何者でもぶっ飛ばされるって日本の法律で決まっているんだよ!」

 

そんな法律は日本には無い。

 

セイレーン「………キチガイ。」

リリム「マズイよ!こっちに近づいてる……。アリス!あんたのせいよ!責任とりなさいよ!」

アリス「何でよ!バフォメット!何してるのよ!何とかしなさいよ!」

 

しかし、返事が返ってこない…。

 

「弓子!大丈夫?」

 

ティンクが一足先に弓子のもとにたどり着いた。

弓子が魅了された人々を問答無用で蹴り続けている。

 

ティンク「ちょ!ちょっと!駄目じゃない!関係ない人を倒しちゃ!」

弓子「いいか!逆らう奴は全てぶっ飛ばすんだよ!」

ティンク「操られるだけだから蹴ったら駄目だよ!『ドルミナー!』」

 

ティンクの魔法で観客達は眠りについた。

そうこうしているうちに中島達が弓子のもとにたどり着いた。

 

中島「ハァハァ…。弓子さん、大丈夫なんだな?」

 

走って来たのか中島は息切れしている。

 

弓子「中島!お前があたしの心配だなんて10年早いんだよ!息切れしてるんじゃねぇ!」バキ!

 

弓子は中島を蹴りあげた。

 

中島「………痛い。」

ティンク「弓子!中島は弓子の事を心配していたのに…。酷いよ!」

「白鷲女氏!中島氏はお主を心配していたのですぞぉ!それをなん足る仕打ち!」

 

中島を蹴りあげた弓子を皆が批難する。

 

弓子「あー、分かった、分かった。それより中島!悪魔を召喚する奴はやっつけたんだろうな?」

中島「みんなが助けてくれて捕まえたんだな。」

 

ジャックが縛りつけたバフォメットを連れて来た。

 

ジャック「ヒーホー弓子!オイラ達がこいつを捕まえたからもう大丈夫だぞ!」

弓子「その山羊頭か?よし!チビ羽虫、今から便所に行ってトイレットペーパーをありったけ取ってこい!」

ティンク「何に使うのよ…。」

弓子「決まってるだろ。こいつに食わすんだよ。できたらウンコがついた誰かが使った奴がいいな。取ってこい!」

 

それを聞いたバフォメットは涙目になっている。

 

中島「弓子さん、許してあげるんだな。彼は黒幕じゃないんだな。」

弓子「口答えするな!」バキ!

中島「痛い…。僕は何もしてないのに…」ポロポロ

 

弓子がまた中島を蹴りあげたので中島が泣き出した。

 

アリス「アイツ、負けてるじゃない!役に立たないわね。」

リリム「ヤバいわね。」

アリス「ボディコニアン達!さっさとアイツらを殺しなさい!」

「オオオオオオオォォォ!」

アリス「さぁ、今のうちにさっさと逃げるわよ!」

セイレーン「バフォメットは?」

アリス「あんな役立たずほっといたらいいのよ!」

セイレーン「駄目、バフォメットが居ないとライブ出来ない。」

アリス「はぁ?どうでもいいでしょ、そんなの!逃げるわよ!」

セイレーン「良くない。」

 

アリス達が言い争っているうちに弓子達が目の前に来ていた。

 

弓子「よう!お前ら、ぶっ飛ばされる覚悟は出来たか?」

リリム「あたしは悪くないわよ!みんなアリスが悪いのよ!だからぶっ飛ばすのはアリスだけにしてちょうだい!」

アリス「ちょっと!」

中島「君たち、もう降参するんだな。」

セイレーン「分かった。」

アリス「ちょっと!何勝手に言ってるのよ!」

リリム「あたしも降参する。だから許して!」

アリス「あんた達!人間なんて信用したら駄目よ!」

リリム「何でもするからあたしだけは助けて!」

弓子「何でもするんだな!」

リリム「あたしだけは助けてよ!」

弓子「じゃあ………

お前、あたしの女になれよ。」

 

弓子はいきなりリリスのスカートの中に手を突っ込んだ!

 

リリム「ちょ、ちょっと!キャ!何するのよ!止めて!」

弓子「じたばたするな!」

リリム「あっ!パンツの中に手を入れないで!止めてよ!あたし、そういう趣味ない!あたしを汚さないで!あたしは将来アイドルで有名になって中日ドラゴンズの一軍選手と結婚する夢があるのよ!だから止めて!やるならアリスの方にしてよ!」

アリス「こいつ…。何言ってるのよ…。」

 

この発言には流石のアリスもドン引きである。

 

弓子「そういってるのは今だけだ。男では味わえない快楽を教えてやるよ!」

「白鷲女氏ぃー!アイドルにおさわりはいけませんぞぉ!」

 

男が弓子を止めに入るが直ぐに蹴り飛ばされる。

中島達も弓子を止めに入った。

 

弓子「何だよ、お前ら!まるであたしが悪いみたいじゃねぇか!」

アリス「だから人間なんて信用するからこうなるのよ!あたしを育ての親の赤おじさんも自分勝手な人間殺されたのよ!あたし一人でもあんた達を殺してあげるわ!だからお願い。死んでくれる?」

弓子「しまった!シールドが切れてる!マズイ!」

 

アリスはエナジードレインを使った!

しかし、男が中島達を庇い一人でエナジードレインをくらった!

男は倒れこんだ。

 

弓子「おい!何やってるんだ!このヒョロヒョロキモ野郎!変な冗談やめろよ!起きろよ!」

アリス「フフフ、まずは一人。フフフフフ。」

中島「どうして…。彼は君たちの事が大好きだったのに…。酷い…。」ポロポロ

「な、なか、じまし、し、しらわし、じょ、し、み、んな、ぶじで、な、なにより、です、ぞ…。」バタ!

アリス「これでかなりのエナジーが吸いとれたわ。さぁ、バフォメット!これで悪魔を召喚しなさい!」

バフォメット「アリス…もうやめよう。俺はファンのみんなをこれ以上苦しめたくない…。」

アリス「チッ、あんた達!ここの人間を全員殺すわよ!」

セイレーン「嫌だ。私は歌を聞いてくれるファンのみんなが大事。アリスの言うことは聞かない。」

リリム「あたしも嫌よ!あたしはアイドルで成功して中日ドラゴンズの年棒の高い一軍選手と結婚する夢があるのよ!」

アリス「チッ、使えない奴ら…。」

リリム「アリス!あんた、一体何様のつもりなのよ!」

アリス「あんた達も後でちゃんと殺してあげるわ。でも先にあんた達からよ。」

中島「いい加減にするんだな。」

アリス「フフフ。逆らうのね…。あんたから殺してあげるわ!」

 

アリスのエナジードレイン!

しかし、中島には効かなかった!

中島はアリスに近づいていく。

 

アリス「今のはまぐれで効かなかっただけよ。もう一度よ。」

 

アリスのエナジードレイン!

しかし、中島には効かなかった!

 

アリス「え?何で?もう一度よ!死んでくれる?」

 

アリスのエナジードレイン!

しかし、中島には効かなかった!

中島は更にアリスに近づいていく。

 

アリス「何で?何で?何でよ!こうなったらとっておきよ!『ムドダイン!』」

 

アリスはムドダインを唱えた!

死の呪いが中島に襲いかかる!

しかし、中島には効かなかった!

中島はアリスの目の前まで近づいた。

 

弓子「な、中島?」

ティンク「中島?」

アリス「何で?何で効かないの?死ね!死ね!死ね!死ね!」

 

アリスのエナジードレイン!

しかし、中島には効かなかった!

アリスはムドダインを唱えた!

しかし、中島には効かなかった!

アリスのエナジードレイン!

しかし、中島には効かなかった!

アリスのエナジードレイン!

しかし、中島には効かなかった!

 

中島「もう止めるんだな。」

アリス「何よ!」

 

アリスのマヒひっかき!

中島はかすり傷を負った。

 

アリス「なんなのよ、こいつ…。」

中島「もう降参するんだな…。」

アリス「…嫌よ。そうやって油断させてあたし達を殺すつもりでしょ!あたしの育ての親もそうやって殺されたんだから…」

中島「でも…ここにいるみんなは君たちの事が大好きで集まっているんだな…。」

アリス「でも…。」

中島「僕も君たちが楽しそうに歌っている姿が好きなんだな。」

アリス「…分かったわよ。降参するわよ。でも殺すならあたしだけにして、あたしがみんなを利用したんだから、他の子は殺さないで!」

中島「もうこんな事は二度としないって約束して欲しいんだな。」

アリス「分かったわよ…。」

中島「ジャック、もう彼を解放してあげるんだな。」

ジャック「分かったぞ。」

バフォメット「すまない!俺ももうこんな事はしない!約束する!みんなの吸いとったエナジーも元に戻す!『ペンパトラ!』」

 

観客達は目を覚まし出した。男も目を覚ました。

 

ティンク「中島!この人、生きてるよ!死んでないよ!」

弓子「本当か!」

中島「良かった…良かったんだな…。」ポロポロ

 

中島は男の無事を聞いて安心したのか泣き出した。

 

アリス「何泣いてるのよ。本当に殺すわけないじゃない…。」

バフォメット「アリス、ここのみんなにお詫びの意味を込めてライブを再開しよう!」

セイレーン「アリス、歌おう。」

リリム「アリス!あんた、リーダーでしょ?MCよろしく!」

アリス「…分かったわ!みんなー!夜はこれからなんだから寝てる場合じゃないわよ-!バフォメ!景気の良い曲をお願いね!」

 

中島「僕達は観客席で君たちを応援しているんだな!」

 

中島達は観客席に戻った。

 

「OK、アリス!ここはライブ初の新曲のこのナンバーだ!観客のみんな!最後までシャチホコエビフリャーズの声援をよろしく頼むぜ!」ウオー!

 

中島「弓子さん…。彼女達を許してあげて欲しいんだな。」

弓子「なーかーじーまー!あたしに命令するとは良い度胸だなぁ!」

中島「弓子さん、でも彼女達はもうしないって約束してくれたんだな!」

弓子「うるせーっていうとこだが今回は許してやる。」

中島「ありがとうなんだな!」

弓子「行け!ライブの応援するんだろうが!」

ジャック「中島ー!こっちだぞ!」

「中島氏ー!こっちですぞぉ!」

中島「今行くんだな!」

 

中島はライブの応援をしに行った。

そして弓子はライブ会場を出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

弓子「………良く頑張ったな、中島…。」

ティンク「弓子もお疲れ様。」

 

 

 

 

 

 

ライブも終わり中島達が会場から出てくると弓子が外で待っていた。

 

中島「弓子さん、待っていてくれてたんだな。」

弓子「お前ら、終わったんならとっとと帰るぞ!後、新田!お前、病院で検査受けとけよ。」

「白鷲女氏、どうして我が輩の名前を?」

弓子「ホラよ。」

 

弓子は男に何かを投げつてた。

 

弓子「お前が倒れてる間に免許証を拝見させてもらった。お前、絶対に病院に行けよ!立っているのもやっとだろう。」

新田「白鷲女氏にはかなわないですな。それに口では悪く言ってはいるけど、本当は中島氏の言ってた通り優しい方ですな。」

弓子「うるせー…。行け!」

新田「では、我が輩はこれで失礼しますぞ。中島氏、ジャック氏、ティンク女氏もサラバですぞぉ!」

 

男は去って行った。

 

弓子「じゃあ、あたし達も事務所に戻ろうか。」

中島「分かったんだな。」

 

そして中島達は事務所に戻るなり倒れてるかのように眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日

 

 

弓子「お前ら!昨日は良くやったな!今日は特別にあたしが喫茶店に連れて行ってやる、好きなものを頼んでいいぞ!」

ジャック「ヒーホー!オイラ、かき氷が食べたいぞ!」

ティンク「バカねー。まだ春なのにかき氷があるわけ無いじゃない!あたしはイチゴが食べたい!中島は?」

中島「モーニングで良いんだな。」

弓子「よし、この店だ!入るぞ。」

中島「えっ、この店って…。」

 

弓子に勧められるまま店に入っていった。

 

弓子「ジャックはかき氷にティンクはイチゴだったな。」

中島「ゆゆゆ弓子さん!ぼぼ僕はコーヒーだけで良いんだな!」

弓子「なーかーじーまー!あたしの奢りだから遠慮なんかするなよ!お前デブだからどんぶりにしろ!じゃあこれだな!」

 

弓子が店員を呼んでメニューを頼んでいる。しばらくして料理が運ばれて来た。

 

「お待たせしました!八丁味噌かき氷に甘口イチゴスパに小倉丼になります。」

弓子「お前ら、良かったなぁ!好きなものが出てきて。」

ティンク「何コレ…」

ジャック「味噌がかかっているぞ…。」

中島「だから僕はコーヒーだけで良いって言ったんだな…。」

「後ミックスサンドのお客様?」

弓子「あたしだ。」

ティンク「えっ?何で弓子だけ普通の物なの?」

弓子「じゃあ、食べよう!」

 

中島達は恐る恐る自分達の目の前にある物に手をつけた。

 

ジャック「しょっぱい…。」

中島「甘い…。アンコの中のご飯にイチゴシロップがかかっているんだな…。」

ティンク「生クリームが温かい…。スパゲッティに油が絡んで美味しくない…。」

 

当然キテレツなメニューに、中島達の箸は進まない…

 

弓子「よし、食った。代金はあたしが出しといてやるからお前らはゆっくりしていけよ。」

ティンク「は?弓子、ちょっとこれ一口食べてみてよ!」

弓子「何であたしがそんな不味そうなもん食わなきゃいけねーんだよ。ちなみにお前ら残したらぶっ飛ばしてやるからな!頑張って食えよ!」

 

弓子は代金を払って一人先に出て行った。

 

中島「酷い…。」ポロポロ

ジャック「オイラ、つらいぞ。」ポロポロ

ティンク「ジャックは一番まだマシじゃない!あたしのなんて…。温かい生クリームに油が混ざってるんだよ!食べれる訳無いじゃない!」ポロポロ

中島「ジャックが一番マシなんだな…。」ポロポロ

ジャック「…ゴメン。」

ティンク「謝るぐらいならこれ食べてみてよ…。」

ジャック「それは無理だぞ…。」

 

中島達の弓子に対する苦悩はまだまだ続く…。

 



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入院患者の女の子

弓子は先に喫茶店を一人で出て病院に向かった。

 

弓子「ここの病院だな、アイツが入院しているのは…。」

 

弓子はナースステーションでとある入院患者の病室を聞いて見舞いに向かった。

 

弓子「おい、新田!」

新田「おお!これは白鷲女氏!来てくれて嬉しいですぞぉ!」

弓子「お前、あんなのまともに喰らったのに元気そうだな…。」

新田「一応検査入院ですので2、3日で退院できると聞いていますぞ。」

弓子「そうか…。で、今日はお前に言う事があって来た。」

新田「話?」

弓子「ああ、アイツらの事だ。」

新田「アイツら?ジャック氏やティンク女氏の事ですかな?」

弓子「ああ、お前は何も見なかった、いいな?」

新田「白鷲女史!我が輩を見くびらないでもらいたいですぞぉ!」

弓子「相手が『悪魔』でもか!」

新田「悪魔?」

弓子「ああ、アイツらの事だ。あたしと中島はそういうの専門の探偵だ。」

新田「例え悪魔でも我が輩は友達を売るような事はしませんぞ!」

弓子「………。まあいい。じゃあ、もし、中島がお前を見舞いに訪ねに来たら、普通に接してやってくれ。頼む…。」

新田「当たり前ですぞぉ!中島氏は我が輩を助けてくれた恩人ですぞ。それに中島氏は心の優しい人でありますぞ。あっそうですぞ、我が輩退院したらお主達の事務所にお茶菓子を持って訪ねに行きますぞ!」

弓子「青柳ういろうだ…。」ボソ

新田「えっ?」

弓子「だから、事務所に来るなら青柳ういろうを買って来てくれ。あたしあれ好きなんだよ。言わせるなよ!」

新田「分かりましたぞ。」

弓子「後、あたしが来たこと中島達には言うなよ。」バタン!

 

弓子は病室を出て行った。

 

 

 

 

 

 

次の日

 

 

中島達は新田が入院していると聞いてお見舞いに向かった。

 

ティンク「あの人大丈夫かなぁ?中島と違ってガリガリだったから心配だね。」

中島「心配なんだな…。」

ジャック「オイラも心配だぞ。」

 

中島達は新田を心配しながら病室の前に来た。

 

中島「個室なんだな…。きっと具合が悪いんだな…。」ポロポロ

ティンク「中島、泣かないでよ。」

ジャック「あの兄ちゃん、悪い病気なのか?そんなのオイラやだぞ。」

中島「ううう…。」ポロポロ

ティンク「もう!ジャックも余計な事考えないの!ドア、開けるよ。」ガチャ

 

ティンクがドアを開けた。

 

新田「おお!中島氏!みんなも良く来てくれましたぞ!」

ジャック「あれ?兄ちゃん、元気だぞ?何で?」

中島「良かった、良かったんだな…。」ポロポロ

新田「中島氏?どうして泣いているのですかな?」

ティンク「あんたが悪い病気だと思って心配していたからよ。」

新田「そうであったか。でも心配は無用ですぞ、我が輩は検査入院なので明後日には退院ですぞぉ!」

中島「良かったんだな…。」ポロポロ

ティンク「もう!中島、いい加減泣き止みなさいよ。」

新田「ティンク女氏、他人の為に涙を流せるのは中島氏の良いところですぞ。我が輩の為に涙を流してくれる友達なんて我が輩、初めてで嬉しいですぞぉ!」

中島「師匠?」

新田「そうですぞ。だからこれからは我が輩の事は新田で良いですぞ。」

ジャック「兄ちゃんが元気でオイラ安心したぞ。」

ティンク「あたし、安心したら喉乾いちゃったよ。」

ジャック「オイラが自動販売機で買って来るぞ!」

中島「ジャック、お金を渡すからみんなの分を買って来て欲しいんだな。」

ジャック「じゃあ行って来るぞ!」

 

ジャックは病室を出て一階のロビーに向かう所だった。

 

「助けてー!悪魔に殺されるー!」

「待てー!待たんかー!」

 

奥の方で声が聞こえる。

 

ジャック「ヒーホー!大変だぞ。」

 

ジャックは声のする方へ向かった。

 

「このガキ!観念しろ!病室に連れ戻してやる!」

 

年老いた看護師が女の子を捕まえようとしている。

 

ジャック「ブフ!」

 

ジャックが放った氷の玉が看護師を襲いかかる!

 

ジャック「よし、今のうちだぞ!逃げよう。」

「うん!」

 

ジャックフロスト達は逃げ出した!

 

ジャックフロスト達は………………………

 

 

 

 

逃げきった。

 

 

 

 

 

ジャックは看護師に追われていた女の子と一緒に病院の外の庭まで逃げ出した。

 

ジャック「ここまで来たらもう安心だぞ!」

「うん、ありがとう!えっと…君は誰?」

ジャック「オイラか?オイラは偉大なる悪魔ジャックフロスト様だぞ!」

「悪魔?」

ジャック「そうだぞ!オイラは凄く強いんだぞ!」

「えー、うっそだぁ!全然強そうに見えないよ。だって私と同じくらいの背丈だもん。」

ジャック「お前を襲いかかってた悪魔はオイラが撃退したんだぞ!」

「そうだった。でもババアは恐ろしいんだよ。私が逃げてもどこまでも追いかけて来て捕まえるんだよ。あれこそ本物の悪魔だよ!悪魔ってのは君見たいなヘンテコリンじゃ無いよ。」

ジャック「よーし!じゃあオイラがそのババアを退治してやるぞ!そしてオイラの強さを証明してやるぞ!」

「フフフ。君、面白いね。えっと…。」

ジャック「ジャックフロスト、ジャックで良いぞ!」

「ジャック?」

ジャック「そうだぞ!中島がつけてくれたあだ名だぞ!」

「中島?誰?」

ジャック「中島はオイラの友達だぞ!」

「ふーん、悪魔なのに人間と友達なんだね。変なの。」

ジャック「全然変なんかじゃ無いぞ!今日だってオイラは中島と一緒に新田の兄ちゃんのお見舞いでここに来たんだぞ!」

「そうなんだ…。じゃあさぁ、私とも友達になってよ!」

ジャック「もちろんだぞ!今日からお前もオイラの友達だぞ!」

「私、ユキ!よろしくね。」

ジャック「ユキか。オイラの事はジャックで良いぞ!」

「ねぇ、ジャック。私、もう何年も病院で生活しているの。だから、外のお話聞かせて欲しいな。」

ジャック「分かったぞ。」

 

ジャックはユキに中島と出会ってからの事を話した。パスカルの事、ティンクの事、そして弓子がおっかない事、たくさん話した。

楽しく話をしている二人の背後から何者かが近づいて来ていた。

 

「見つけたよ!このクソガキ、さぁ病室に戻るよ!」

 

二人が振り返るとそこには先ほどユキを追いかけてた年老いた看護師が仁王立ちしている。

 

ジャック「ヒーホー!悪魔め、オイラがやっつけてやるからな。ユキ、オイラがついてるから安心だぞ!」

 

ジャックはユキの方を見たがユキは先ほどとはうって変わってうつむき苦しんでいる。

 

「まずいね。早く病室に連れ戻して治療してやらないと。」

ジャック「ユキ!お前!ユキに何をしたんだ!オイラ、怒ったぞ!『ブフーラ!』」

「あたしゃ、あんたの相手している暇は無いんだよ!『マハラカーン!』」

 

ジャックの放った氷の刃は跳ね返されジャックはダメージを負った。

 

「しばらく大人しくしていな。『シバブー!』」

 

ジャックは金縛りにあった!ジャックフロストは動けない!

 

「さて、この子を病室に連れて行くかね。かなり危険な状態だね…。」

 

看護師はユキをおんぶして病室へと戻って行った。

 

ジャック「く、くそ…。動けないぞ…。」

 

 

 

その頃、中島達は…

 

 

 

ティンク「ジャック、遅いね。」

中島「大きな病院だからもしかしたら迷っているかもしれないんだな…。」

新田「中島氏、我が輩の事は気にせずに探してくるといいですぞ。」

中島「新田君。ごめん、行ってくるんだな…。」

ティンク「あたしも行く!新田のお兄さん、行ってくるよ!」

 

中島達は戻って来ないジャックを探しに病室を出た。

 

中島「とりあえずロビーの方に行くんだな。」

 

ロビーに着くと一人の青年が看護師の女の人をナンパしている。

 

「ヘイ!そこの麗しきレディ、このイケメンの僕と今晩ディナーを取ってくれないかい?」

「あの、私、今勤務中なので…。」

「ハハハ。じゃあ、君の勤務が終わるまで待っているよ。」

「いや、迷惑なので…。」

「僕はイケメンだから君の為なら何時間でも待って居られるさぁ。」

 

看護師の女の人は迷惑そうにしている。

すかさずティンクが声を荒立てた。

 

ティンク「ちょっとあんた!女の人が困っているじゃない!止めなさいよ!」

「し、失礼します!」

 

看護師は自分の業務に戻って行った。

 

中島「ちょ、ちょっと、ティンク。声を出すと人に捕まってしまうんだな。早く僕のポケットの中に隠れるんだな。」ヒソヒソ

 

中島は急いでティンクを胸ポケットに入れた。

 

「君、困るじゃないか!イケメンの僕に嫉妬してナンパの邪魔をするなんて!」

中島「えっと…。あの…。」

「ん?さっきと声が違うね?」

中島「あの、それは…。」

「ははーん分かった!僕があまりにイケメンだから緊張してるんだね?ハハハ、君がブサメンだからって気にしなくていいんだよ。僕がイケメンなのは生まれつきだからね。」

 

中島はめんどくさいのに捕まってしまった…。

 

ティンク「中島、早くジャックを探さないと…。」ヒソヒソ

中島「ごめんなさい!僕は友達を探しているから失礼するんだな!」

「待ちたまえ、そんな事このイケメンの僕が手伝ってあげるよ!じゃあ、僕はこっちを探してくるよ!」

 

そう言うと青年は走って行った。

 

中島「行ってしまったんだな…。」

ティンク「………。」

中島「ティンク?どうしたんだな?」

ティンク「ううん、何でも無い。」

中島「ん?ジャックを探さないと。」

 

中島達はジャックを探しに行った。

 

ティンク「んー。さっきの奴、どっかで見た事あるんだよなー。」

 

中島達はジャックを探しに中庭に出た。

ジャックが仰向けになって倒れている!

 

中島「ジャック、ジャック!」

ティンク「ジャック!どうしたの!」

ジャック「な、中島…ティ、ティンク…オ、オイラ…か、から…だが、しびれ…て、動けないぞ…。」

中島「ジャック、ジャック、しっかりするんだな。」ポロポロ

 

中島は泣き出した。

 

ティンク「中島、泣かないでよ。ジャック、ちょっと待ってて。『パトラ!』」

 

ティンクの魔法でジャックの身体の痺れが取れた。

 

ジャック「ヒーホー!ティンク、助かったぞ!」

中島「ジャック、良かったんだな、良かったんだな…。」ポロポロ

ティンク「ジャック、いったい何があったの?」

ジャック「そうだ!オイラ、悪魔と戦って、オイラの魔法が跳ね返されて、それでユキが連れて行かれて!」

ティンク「ジャック、落ち着いて!」

中島「ジャック、とりあえず新田君に挨拶してから事務所で弓子さんに相談するんだな。」

 

そして、中島達は新田に挨拶をしてから事務所に帰って行った。

 

 

 

 

 

中島達は事務所に戻って来ると弓子が待っていた。

 

弓子「中島、依頼が来た。行くぞ。」

中島「弓子さん、その前にジャックの話を聞いて欲しいんだな。」

弓子「中島ー!お前、あたしに指図するなんてずいぶんと偉くなったなぁ!」

 

弓子は中島を蹴りあげた。

 

ティンク「中島!大丈夫?」

中島「痛い…。」

大輔「弓子、いきなり何をするんだい!中島君、大丈夫かい?」

中島「痛いけどいつもの事だから大丈夫なんだな…。それよりジャックの話を聞いてあげて欲しいんだな。」

 

ジャックは先程の病院でのいきさつを説明した。

 

大輔「……………確かに、その看護師さんは悪魔かもしれないね。」

弓子「魔法が使えるのは悪魔かあたしや兄貴のように素質のある人間だけだからな。」

大輔「でも、だからと言って協力する事は出来ないね。」

中島「何で…どうしてなんだな?」

大輔「依頼じゃないからね。お金にならないからさ。僕達はボランティアでこんな危険な事をしている訳ではないんだよ。」

ジャック「…もういいぞ。オイラ、1人でも行ってくるぞ。」

 

バタン!ジャックは事務所を出て行った。

 

中島「ジャック!待つんだな!」

弓子「中島!ほっとけ!依頼が先だ!」

中島「でも…。」

弓子「口答えするな!」

ティンク「何でよ!」

弓子「テメエもだ!行くぞ!」

大輔「弓子、今回は僕も後から現場に行くよ。」

弓子「兄貴、後からじゃ依頼は解決しているかも知れないぞ。じゃあ、行って来る。」バタン!

 

弓子は中島達を強引に連れて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャックは1人で病院に戻っていた。病院までの道中、時間がかかったのですっかり夜になっていた。

 

ジャック「うう…。昼間と違って薄気味悪いぞ…。早くユキを連れて行った悪魔を退治しないと…。」

 

ジャックは人に見つからないように病院を探索していると後ろから声が聞こえてきた。

 

???「ジャック、ジャック。」

ジャック「誰だ!?」

 

ジャックは後ろを振り返った。

 

中島「僕だよ。ジャック、怖いけど僕もジャックの手伝いをするんだな。」

ジャック「中島!オイラ、オイラ、来てくれて嬉しいぞ!」

中島「シー!夜だから静かにするんだな…。」

ジャック「ゴ、ゴメンよ…。でも…中島、依頼はいいのか?」

中島「うん…。弓子さんにはコンビニでトイレ借りて来るって言ってウソをついて黙って来たんだな…。」

ジャック「…弓子、絶対怒ってるぞ…。」

中島「後で怒らるんだな…。」

 

中島とジャックは女の子の病室を探すためエレベーターの前にきた。

 

中島「今いる場所は二階で女の人が入院しているのは5階と6階だからエレベーターを使って6階から探すんだな。」

 

中島はエレベーターのボタンを押してしばらく待った。エレベーターのランプが1階まで降りてから2階のランプがつき扉が開いた。

 

中島「さぁ、ジャック。探しに行くんだな。」

ジャック「あああああぁ…。な、中島…。まずいぞ…。」

中島「どうしたんだな?早くエレベーターに…グシャ!」バキ!

 

中島はいきなりエレベーターの中から攻撃を喰らってぶっ飛んだ!

 

弓子「なーーーかーーーじーーーまーーー!!」

ジャック「ゆ、弓子だ…。オ、オイラ、悪魔より怖いぞ…。」

 

エレベーターの中には鬼のような顔で弓子が仁王立ちしていた。

 

弓子「中島!テメエ!この白鷲 弓子様を出し抜こうだなんていい度胸だな!ええ!」ドカ!バキ!

 

弓子は倒れた中島を蹴り続ける。

 

ティンク「ゆ、弓子!止めて!中島が死んじゃうよ!」

弓子「うるせー!あたしに楯突いたらどうなるか教えてやるんだよ!」ドカ!バキ!

 

弓子の蹴りのラッシュが中島を襲いかかる!そこに1人の青年が止めにかかった。昼間、看護師の女の人をナンパしていた男である。

 

「君、何があったか知らないが暴力はいけないよ。イケメンの僕の顔に免じて彼を許してあげなよ!」

弓子「どけ!」バキ!

 

弓子のパンダルチャギが青年にヒットした!青年は中島の横に倒れた!

 

弓子「いいか!あたしに逆らった奴はみんな地獄を見る事になるんだ!分かったか!返事しろ!中島ー!!」

 

中島は倒れている…。

 

ティンク「中島、しっかり。『ディアラマ!』」

 

中島は回復して目を覚ました。

 

中島「はっ、さっき僕の亡くなったおじいちゃんが川の向こうで呼んでいたから行かないと行けないんだな!」

ティンク「中島!行っちゃダメ-!」

 

どうやら三途の川を渡りかけていたらしい…。

 

中島「ティンク、おかげで助かったんだな。」

「君、イケメンの僕も回復してくれるかい?」

弓子「誰だ、テメエ?」

「ハハハ、バカだなぁ。僕はどう見てもイケメンじゃないか!」

弓子「テメエ、あたしをバカにしてるのか!」

「君は何をカリカリしてるんだい?ははーん、分かった。さては生理だね!」

弓子「死ね!」バキ!

 

弓子は青年を蹴り飛ばした。初対面の相手にも容赦しないのが弓子である。

 

ティンク「うーん。あっ!思い出した!ユキムラ!真田ユキムラだ!」

中島「ティンク?いきなりどうしたんだな?」

弓子「はぁ?チビ羽虫、いきなり何言ってんだよ!」

ティンク「こいつの名前だよ!どこかで見たことあると思ったら名古屋城にいつもいるおもてなしイケメン武将の1人だよ!」

ユキムラ「ハハハ、僕の事を知ってるのかい?ははーん、さては君、僕のファンなんだね!」

ティンク「違うよ…。名古屋城の裏でノブナガって人にセリフを間違えるなって怒られてたのを見てたから覚えていたんだよ!」

ユキムラ「ハハハ、冗談を言っちゃいけないよ!僕のファンなんだろ?そりゃ当然さ!なんたって僕はイケメンだからね。さぁ、イケメンである僕のサインをあげるよ!受け取りたまえ!」

 

ティンクはユキムラのサイン色紙を手にいれた。

 

ティンク「………いらないよ。」ポイ!

 

ティンクはユキムラのサインをゴミ箱に投げ捨てた。

 

ユキムラ「あああああぁ!俺のサインに何て事を!」

 

「誰だい!病院で騒いでるのは!」

 

後ろから何物かの声がした。中島達は後ろを振り返った。

振り返るとそこには年老いた看護師がいた。

 

「あんたら、病院で騒ぐんじゃないよ!とっとと出ていきな!」

ジャック「ヒーホー!現れたな、ユキを連れ去った悪魔め!今後は中島達も居るから昼間の様にはいなかいぞ!」

「おや?あんたは昼間の小僧だね。お見舞いの時間はとっくに過ぎてんだよ。お家に帰りな!」

ジャック「さては、オイラの事を舐めてるな!よし、弓子!アイツを蹴り倒すんだぞ!」

弓子「クソダルマ!あたしに命令してるんじゃねぇ!『アギ!』」

 

弓子の放った火の玉が調子に乗ったジャックに命中した!

 

ジャック「あああぁぁぁぁ!熱いよぅ!オイラ溶けちゃうよぅ!」ジタバタ

 

ジャックは悶え苦しんでいる!

 

中島「ジャック!」

ティンク「弓子、酷いよ!何て事するのよ!」

弓子「あたしに逆らうのか!チビ羽虫!テメエ!」ブシュー!

 

弓子はティンクをめがけて殺虫剤をおもいっきりかけた。

 

ティンク「あああぁぁぁぁ!目に入った!痛いよぅ!」ジタバタ!

 

ティンクも悶え苦しんでいる!

 

ユキムラ「ハハハ!ごめんよ、お婆さん!彼女は今、生理中でちょっとイライラしてるだけなのさ。そういう事だからイケメンの僕に免じて許してやってくれないかい?」

弓子「死ね!」ドカ!バキ!

 

弓子の連続の蹴りがユキムラにヒットした!ユキムラは気絶した。

 

「この小娘!病院で暴れるんじゃないよ!とっとと出ていけ!」

弓子「おい、ババア!あたしは今、気が立っているんだ。中島!予定変更だ!クソダルマが言ってたこのババアを先にぶっ飛ばしてから依頼に行くぞ!」

「あんた、白鷲 弓子だね。相手になってあげるよ。でもその前に…。ちょっと待ってな。」

 

年老いた看護師は近くにいた看護師に悶え苦しんでいるジャック達を運ばせた。

 

「すまないね。この子達を手当てしといてくれるかい?」

「はい、夜茂津主任。すぐにナースステーションに連れて行きます。」

「そこの太っちょのあんた!一緒に行くんだよ!」

中島「分かったんだな!」

 

中島は運ばれるジャック達と共にナースステーションに向かった。

 

「白鷲 弓子、待たせたね。病院で暴れられたら迷惑なんでね。表にでな!」

弓子「ババア、何であたしの名前を知ってる!」

「そりゃ、あんたら兄妹はあたしらの間じゃ有名人だよ。来な!」

 

弓子は年老いた看護師と共に病院の中庭に出た。

 

「ここだと患者に迷惑はかからないからね。」

弓子「いいかババア、あたしは相手が死にかけの老いぼれでも容赦しねえぞ!」

「やれやれ、これじゃどっちが悪魔か分からないね…。」

 

ヨモツシコメが現れた!

 

ヨモツシコメはスクカジャを唱えた。

ヨモツシコメはスクンダを唱えた。

 

弓子「ババア!こっちからいくぞ!」

「やれやれ、せっかちな小娘だね。」

 

ヨモツシコメはスクンダを唱えた。

弓子の動きが鈍くなった。

 

弓子の攻撃!弓子のパンダルチャギは空をきった!弓子の攻撃はかわされた!

 

「おやおや、何処を狙ってるだい?」

弓子「ちっ!」

 

ヨモツシコメはスクカジャを唱えた!

ヨモツシコメの動きが速くなった!

弓子の攻撃!弓子はヨモツシコメにめがけてネリチャギを繰り出す。

しかし、またしてもヨモツシコメにかわされた。

 

弓子「くそっ!当たらねえ。」

「もう、お仕舞いかい?」

弓子「ババア!テメエふざけてるのか!ちゃんと戦え!」

「あたしゃあんたと戦う理由がないんでね。白鷲 弓子、一つ聞いてもいいかい?」

弓子「何だよ。」

「あんた、あたしと戦う理由はなんだい?」

弓子「ババア、何が言いたいんだよ。」

「あの小僧のためかい?」

弓子「んな訳ねぇだろ!」

「そうかねぇ。」

弓子「ババア、テメエは何で看護師なんかやってんだよ!」

「あたしゃ、自分よりも若いのが先に死なれるのが嫌なだけさ。助けられる命があれば助けてやりたい、それだけさ。」

弓子「じゃあ、あのクソダルマは…。」

「ただの勘違いだよ。まぁ、あたしゃこんな見た目で悪魔だからね…。」

弓子「あのやろう!」

「所であんた、あたしをぶっ飛ばすんじゃあなかったんかい?」

弓子「あー、もうあいつら連れて出ていくよ。」

「噂の白鷲 弓子がずいぶんとお優しい事だねえ。あの太っちょのサマナーの影響かい?あの男には不思議な魅力があるからねぇ。」

弓子「はぁ?中島が魅力的だぁ?ババア、もしかしてアルツハイマーか。中島はただのデブだよ!見たら分かるだろ!」

「口の減らない小娘だね。いいかい?ふつう契約した悪魔はあそこまでサマナーになつきやしないよ。あんたも知ってるだろ?」

弓子「さぁな。あたしは他のサマナーってのは知らないからな。ババア、クソダルマが悪かったな。もう行くよ。」

 

弓子が去ろうとしたその時1人の看護師が駆けつけて来た。

 

「夜茂津主任!大変です!503号の患者が!」

「分かったよ、すぐに行くよ。白鷲 弓子、あんたも後で来てくれるかい?」

弓子「はぁ?何でだよ。」

「あんたらにしか頼めない事があるんだよ。」

弓子「クソダルマが迷惑かけたからな。分かったよ、後であいつら連れて行くよ。」

「そうかい、それじゃあたしゃ先に行かせてもらうよ。」

弓子「ああ。」

 

ヨモツシコメは大急ぎで走って行った。

 

「あの~。」

 

看護師が弓子に声をかけてきた。

 

弓子「何だ?テメエ、あたしの女になりたいのか?」

「いや、あの…。先程、夜茂津主任があなたの頼みごとをされてましたが…。あなたはいったい?」

弓子「ああ、あたしか。探偵の白鷲 弓子様だ!」

「そうですか、どうか夜茂津主任の力になってあげて下さい!夜茂津主任が誰かに頼みごとをするなんて私は初めて見るので…。」

弓子「まだ話を聞いてねぇから力になれれるか分からねえよ。それよりあたしの連れの豚どもは何処にいる?」

「二階のナースステーションにいます。後、イケメン(笑)はまだ目が覚めないのですが…。」

弓子「ああ、そいつはあたしの連れじゃあねえから霊安室にでもぶちこんどいてくれ。」

「分かりました。」

 

そして、弓子は中島達を連れて五階に向かった。

 

弓子は中島達を連れて五階のナースステーションにたどり着いた。

 

弓子「ここだな。ババア!来てやったぞ!」

「大声出すんじゃないよ!他の患者に迷惑だろ!さっさと入りな!」

弓子「ババアも声デカイんだよ。」

中島「お邪魔するんだな…。」

弓子「で、ババア。あたしらに話って何だよ。」

「実はね、503号の患者の女の子、昼間にそこの小僧と一緒にいた子なんだけどね…。具合が良くなくてね、もう長くはもたないだよ…。」

弓子「そうか、来世では長生きできるといいな。中島、行くぞ。」

「お待ち!まだ話しだしたばっかりだろ!せっかちな小娘だね、まったく。」

ティンク「弓子、ちゃんと聞いてあげないと。」

弓子「だったら早く本題を言えよ、ババア!」

ティンク「弓子が失礼な事を言ってごめんね。」

「それじゃあ、話を続けるよ。その子は手術をすれば治るんだけど、その手術を受けるだけの体力が無いんだよ。」

中島「そんな…。」

ジャック「そんなのウソだぞ!オイラといた時は元気だったぞ!」

「それはあたしが使ったソーマの雫のおかげなんだよ。で、今そのソーマの雫が無くてね。あんたらにはドリアードからソーマの雫をもらって来て欲しいんだよ。」

弓子「ババア、そのドリアードってのは道路の真ん中に立ってる奴か?」

「ドリアードを知ってるのかい?あんた。」

弓子「ああ、運が良かったなババア。ちょうど今、受けている依頼が道路公団からそのドリアードを切り倒そうとしたらが暴れだしたから何とかしてくれって依頼でな。次いでだからそのソーマの雫も取ってきて来てやるよ。」

「ドリアードはあたしの古い付き合いなんだよ。あまり手荒な事は止めておくれよ。」

弓子「まぁ、相手しだいだ。行くぞ、中島!」

ジャック「オイラも行くぞ!」

「待ちな小僧、あんたとそこのおチビはここに居な。」

ティンク「何でよ!」

「おチビちゃん、あんたは回復魔法が使えるね。気休めにはなるからあの子にかけ続けてやって欲しいんだよ。頼めるかい?」

ティンク「うん、分かったよ。」

ジャック「でもオイラは行くぞ!」

「駄目だ、ここに居な!」

ジャック「バァチャン、何でだよ。昼間の事だったら謝るから行かせてくれよ。オイラ、ユキの力になりたいぞ!」

「いいかい?あんたはあの子の側で励ましてやって欲しいんだよ。あんた、あの子と友達になったんだろ?」

ジャック「そうだぞ!オイラ、ユキの友達だぞ!」

「いいかい?今、あの子の側に居てやれるのは、白鷲 弓子でも太っちょのサマナーでもない。あんたなんだよ。あんたにしかできない事んだよ。あたしからのお願いだよ。」

中島「ジャック、君はその女の子の側に居てあげるんだな。僕と弓子さんでソーマの雫を取って来るんだな。」

ジャック「中島、大丈夫か?」

中島「怖いけど、頑張って来るんだな…。」

弓子「中島!さっさと行くぞ!兄貴が来たらソーマの雫どころじゃなくなるぞ!早くしろ!」

中島「弓子さんちょっと待って欲しいんだな。」

「白鷲 弓子!持っても明日がとうげだよ!急いでおくれよ!」

弓子「ババア!そういう事は先に言えよ!」

中島「ジャック、行って来るんだな。」

 

中島はジャック達の事を新田に頼み弓子と共に依頼に向かった。

 

ティンク「中島、大丈夫かな…。」

「あんた達、優しいサマナーに出会えたね…。」

 

ヨモツシコメはつぶやいた。

 

「さぁ、話は終わりだ。あんたらも頼んだよ!」

 

 

 

 

 

中島と弓子は道路の真ん中に立ってる木のもとにたどり着いた。中には道路公団の作業員が数名いる。外に居た警備員の男が中島達に近づいて来た。

 

「コラッ!この中は立ち入り禁止だ!」

弓子「オイ、したっぱ!あたしらはお前らの上の者に頼まれて来た探偵だ!どけ!」

 

相手が誰であっても暴言を吐くのが弓子である。

 

「探偵?探偵が何しにここへ?」

弓子「オラ!」バキ!

 

弓子のパンダルチャギが警備員の頭に見事に決まった!

警備員は倒れた!

 

弓子「よし、行くぞ中島!」

中島「ゆ、弓子さん、この人…。」

弓子「気絶させただけだ。早くしろ!兄貴が来るまでに片付けるんだよ。」

中島「ゆ、弓子さん、待って欲しいんだな。」

 

中島達は現場の奥に進んで行った。

 

「お前ら!何勝手に入って来てるんだ!出ていけ!」

弓子「お前らの上の者を出せ!雇われた探偵だ!」

「探偵?少しだけ待っててくれ。親方を呼んでくる。」

 

作業員はそう言うと直ぐ様親方を呼んできた。

 

「あんたらか、市長に呼ばれて来た探偵ってのは。警備員が入口に居ただろ。そいつを通さないと駄目だろう。」

弓子「ああ、その警備員な。ぐうすか寝てたから仕方なく入って来たんだ。ろくに仕事も出来ない奴はクビにした方が良いぞ。」

 

お前が気絶させといて何を言う。

 

「それは失礼しました。直ぐ様警備会社の方に連絡を入れその者の処分を致します。」

 

こうして弓子のせいで1人の男が路頭に迷う事になった。

 

弓子「取り敢えずその暴れだした木の所に案内してくれ。」

「こちらです。」

 

作業員の親方に案内されて中島と弓子はドリアードのもとにたどり着いた。

 

 

「おい、様子はどうだ?」

「あっ親方、今は大人しくしてるけど切り倒そうとすると暴れだすッス。親方、それよりその人達は?」

「ああ、市長が呼んだ探偵だ。」

「へー。探偵さん。」

弓子「この木か。こいつを何とかしたらいいんだな。」

 

弓子は木に近づいて行った。

 

「探偵さん、近づいたら危ないッス!」

 

若い作業員が弓子を止めに入る。が弓子はそれを振り払う。

 

弓子「ケガしたくなかったらどいてろ!あたしはこういう事専門の探偵だ。テメエがドリアードだな。」

 

木がいきなり弓子に襲いかかった。

 

ドリアードが現れた!

 

ドリアードの攻撃!ドリアードは木の枝を鞭のようにしならせ攻撃してきた!

ドリアードの攻撃は弓子の頬をかすらせた!

 

弓子「っ!あたしの顔に傷つけるとはなかなかやるな樫の木おじさん!でもな!テメエはジャジャマルとピッコロぐらいにしか需要はないんだよ!」

 

ポロリにも需要はある。

 

「探偵さん、大丈夫ッスか?あの木、本当に樫の木おじさんなんッスか?」

弓子「邪魔だからどいてろ、したっぱ!今度はこっちから行くぞ!」

 

弓子は単身ドリアードに突っ込んで行く!

しかしドリアードも木の枝で弓子を迎撃する!

弓子も負けじと得意のテコンドーで対抗する。一進一退の攻防だ。

 

「あの探偵さんスゲーッス!」

「何者なんだ?あのねぇちゃん…。」

「親方!あの木、樫の木おじさんッス!にこにこ島から来たんッスよ!」

「何?本当か!」

 

邪魔な外野である…。

 

弓子「ハハハ!ここまでやるとはな!気に入ったぜ、樫の木おじさん!」

「オオオオオォォォォ!」

中島「弓子さん!待って欲しいんだな。」

弓子「中島!邪魔するな!」

中島「僕に考えがあるんだな!」

 

中島は悪魔召喚プログラムを起動させた。

 

中島「こんばんは、僕は中島 朱美なんだな。」カタカタカタカタ

『我は聖霊ドリアード。我に何用だ。』

 

「あのにぃちゃん、何やっているッスか?」

弓子「したっぱ、まだ居たのか。あれであの木と話をしてんだ。」

「スゲーッス!自分もお話をしてみたいッス!」

「あんたら、いったい何者なんだよ?」

弓子「あたしらは悪魔専門の探偵だ。まぁ簡単に言うとああいう奴らを退治する事だ。」

「ゴーストバスターズみたいでカッケーッス!」

 

いちいちうるさいしたっぱである。

中島「僕達は君にお願いがあって来たんだな。」カタカタカタカタ

『ほう、言ってみよ。サマナー。』

中島「2つあるんだな。」カタカタカタカタ

『早く言え!』

中島「わ、分かったんだな。一つは看護師のお婆さんに頼まれて君の持っているソーマの雫を譲って欲しいんだな。」カタカタカタカタ

『ヨモツシコメのばぁさんか。』

中島「そうなんだな。それがあるとジャックの友達の命が助かるんだな。」カタカタカタカタ

『我には関係ない事だな。後、一つはなんだ?』

中島「君がそこにいると工事が出来ないから退いて欲しいんだな。」カタカタカタカタ

『サマナー、残念だがそれは聞けない。』

中島「そんな…。」

『我はこの場所に厄介な悪魔達を封印している。我が動くとその悪魔達が地上に出てきてお前達人間に迷惑がかかる。』

「樫の木おじさん、いい人ッス!」

『樫の木おじさんではない!』

弓子「なんだ、そんな事か。いいか?よく聞け、樫の木おじさん。お前が退いて封印された悪魔達が暴れてもそれは人間どもの責任だ。お前のせいじゃない!それにあたしは強い悪魔と戦える。さらに事務所は依頼でウハウハだ。ついでにお前はにこにこ島に帰れるんだぞ。良いことばかりじゃんか!」

 

自分勝手な言い分である。

 

『分かった…。お前達が我に勝てたら望みを聞いてやろう。』

中島「僕は戦いに来たんじゃないんだな。君と戦いたくはないんだな。」

『では、帰れ!』

中島「帰れないんだな。僕はジャックと約束したんだな。ソーマの雫を取ってくるって、約束したんだな。だからお願いなんだな。」

弓子「中島、どけ。あたしがやる!」

『良いだろう!我に勝てないと封印している悪魔には勝てないぞ!』

弓子「そうこないとな!いくぞ、樫の木おじさん!あたしの力でにこにこ島に帰してやるよ!」

『我は樫の木おじさん等ではない!』

 

弓子とドリアードは戦いを再開した!

 

「スゲーッス!この戦いをユーチューブに動画にして乗せるッス!」

 

作業員のしたっぱが携帯を取りだし撮影しだした。

 

 

そのころ、ジャック達は女の子の病室にいた。眠っているが昼間にジャックが会った時と違って苦しそうだ。

 

ティンク「この子苦しそうだね…。とりあえず回復魔法をかけてみるね。『ディアラマ!』」

 

女の子の顔色が少しだけ良くなった。

 

「ん?あれ…?ジャック…?」

 

女の子が目を覚ました。

 

ジャック「ユキ、お前が急に具合が悪くなってオイラ、心配したぞ。」

「ごめ…んね…。」

ジャック「オイラが来たからもう安心だぞ。」

「もう…い…いよ…。わた…し…この…まま…死ん…じゃう…から…、い…いよ…。」

ティンク「『ディアラマ!』」

 

女の子の呼吸が少し整った。

 

ジャック「そんなの絶対にダメだぞ!今、中島と弓子がお前の体を良くする薬を取りに行ってるんだぞ!」

「でも…。わたし、体が弱いから…。もう外には出られないよ…。」

ジャック「病院のバァチャンも手術ってのをしたら大丈夫って言ってたぞ!」

「ムリ…だよ…。」

???「無理ではありませんですぞ!」

 

何者かが病室に入って来た。

 

「だれ…?」

新田「我が輩はそこのジャック氏やティンク女氏の友達でありますぞ!」

「なに…し…にきた…の…?」

新田「デュフフ、何しにきたとはいきなりですな。それにしてもジャック氏、お主我が輩の見舞いに来て女氏をナンパとはお主、さてはリア充ですな。」

ジャック「新田の兄ちゃん、何しにきたんだ?」

新田「おお、そうであった!我が輩、実は中島氏にお主達の事を頼まれて来たのですぞ!」

「…。」

ティンク「『ディアラマ!ディアラマ!』」

 

ティンクは女の子に回復魔法をかけ続けている。

 

「妖精さん…。もう…いいよ…。わたし、もう、この…まま…しんじゃう…から…いいよ。あり…がとう。」

ジャック「オイラは嫌だぞ!オイラはユキともっと遊んだりしたいぞ!」

「もう…いきる…の、つか…れたよ…。」

ティンク「ダメだよ!そんなの!『ディアラマ!』」

新田「みんな、お主の為に頑張っているのですぞ!ジャック氏もティンク女氏も中島氏も!白鷲女氏も!みんな、お主に生きて欲しいから頑張っているのですぞ!それをお主が諦めていけませんぞ!」

「でも…。わたし、病気が治っても女だから…。強くないし…。」

新田「女氏でも強い者はちゃんといますぞ。今アップされた動画を特別に見せてあげますぞ。」

 

そう言って新田は自分のノートパソコンを起動させた。

 

新田「これですぞ!今、お主の為に白鷲女氏が戦っているですぞ!」

ジャック「弓子だぞ!」

ティンク「すごい!弓子だ!」

「ゆみこ?」

新田「お主も元気になったら白鷲女氏のように頑張ったら強くなれますぞ!」

「ほんとう?」

新田「もちろんですぞ!それに外には楽しい事がいっぱいありますぞ。だからお主の為に戦っている中島氏や白鷲女氏の為にも希望を捨ててはいけませんぞ!」

「…うん。分かったよ…。その動画もういちど…みたいな…。」

新田「いいですぞ。」

 

新田は弓子がドリアードと戦っている動画をもう一度再生した。

 

ティンク「『ディアラマ!』」

「ありがとう、妖精さん。少し楽になったよ。」

ジャック「ユキ、大丈夫か?無理しちゃダメだぞ。」

「ありがとう、ジャック。この動画見たらもう一度寝るね…。」

ジャック「分かったぞ。今日はオイラがずっとついてるからな。」

「うん。この人、カッコいい…。わたしもこんなふうになれるかなぁ…。」

新田「きっと、なれますぞ。病気を治したらお主も白鷲女氏のようにテコンドーを習うといいですぞ。」

「テコンドー…か…。びょうき…なおして…。わたし…も…。」zzz

 

女の子は疲れて眠った。

 

ジャック「ユキ?」

新田「ジャック氏、大丈夫ですぞ。眠っているだけですぞ。」

ティンク「少し、顔色良くなってるね。後は中島達を待つしかないね。」

ジャック「新田の兄ちゃん、ティンク、ユキの為にありがとう。」

新田「気にする事はないですぞ。我が輩はこれで自分の病室に戻りますぞ。」

 

新田は病室を出ていった。

 

 

 

 

その頃、弓子は懸命に戦っている。

 

弓子の攻撃!

しかし、弓子の蹴りはドリアードが伸ばした枝に受け止められた!

弓子の攻撃!

しかし、弓子の蹴りはドリアードの枝に受け止められた!

ドリアードの攻撃!

しかし、ドリアードが鞭のように飛ばした枝は弓子に避けられた!

弓子の攻撃!

弓子の蹴りがドリアードの胴にヒットした!

 

弓子「よし!やっと攻撃が当たったぜ、樫の木おじさん!あたしが勝たして貰うぞ!」

『白鷲 弓子、我に攻撃を当てるとは…。しかし、それでは我には勝てんぞ。『ラクカジャ!』』

 

ドリアードの防御力が上がった!

 

弓子「久しぶりに強い相手に会えてあたしはうれしいぜ!」

中島「どうして…。僕達が戦う理由はないのに…。弓子さん、もう戦わないで欲しいんだな。」

 

中島は弓子とドリアードの戦いを止めに入った。

 

弓子「どけ、中島!あたしの邪魔をするな!これからが面白いところなんだよ!」

『そうだ、サマナー。戦う気のない者が邪魔をするな。白鷲 弓子、かかって来い。』

弓子「そうこないとな、いくぞ!」

中島「ぼ、僕は二人が傷ついて欲しくないんだな。だから、止めて欲しいんだな!」

 

中島は竜巻を放った!

真空の刃が弓子とドリアードを襲う!

 

『クッ。この力は。』

 

ドリアードは大ダメージを負った!

 

弓子「な、中島、お前、何したんだ…。」

 

弓子はダメージを負った!

 

中島「や、止めて欲しいんだな!僕達が戦う理由はないんだな!」

『サマナー。お前にこのような力があるとはな…。いいだろう。お前の願いを聞いてやろう。』

中島「あ、ありがとうなんだな!」

 

ドリアードは中島達に降伏した。

 

弓子「中島!あたしは納得してねぇぞ!せっかく強い相手に会えたのに邪魔しやがって!落とし前つけろ!」

『白鷲 弓子、我との再戦は別の日にすればいいであろう。』

弓子「ちっ!樫の木おじさん!約束だぞ!」

中島「なんで…。駄目なんだな!」

『サモナー、我はお互いを高め会う為に戦いをするのだ。相手を殺す為だけが戦いではない。』

中島「でも…。」

弓子「でもじゃねぇ!そう言うことだから次に邪魔したら蹴り倒すからな!」

中島「でも蹴られるのはいつもの事なんだな。」

弓子「口答えするな!」バキ!

 

弓子の蹴りが中島にヒットした!

 

中島「痛いんだな…。」

弓子「ところで樫の木おじさん、どうやってここから移動するんだよ」

「それは自分達に任せるッス!」

 

したっぱの作業員が4tトラックに乗って来た。

 

「このトラックでにこにこ島までひとっ飛びッス!」

「おい、ジャジャマルやピッコロにも会えるのか?」

「親方、大丈夫ッス!ポロリも待ってるッス!」

 

この話は『にこにこ ぷん』ではない。

 

『そんなものは不要だ。サモナー、お前と一時的に契約して悪魔召喚プログラムの中に入れば良いだけだ。』

「わ、分かったんだな。」

 

中島は悪魔召喚プログラムを起動させ契約しようとした時、

 

???「やれやれ、弓子は何をやっているだい。『アギダイン!』」

 

何者かの魔法でドリアードの体が火だるまになった。

 

『ぐわ!我の体が…朽ち果て…。』

中島「ああああ、樫の木おじさんが!どうして!」

大輔「中島君、危ない所だったね。」

 

魔法を放った犯人は大輔であった。

 

「あんた!なんて事をしたんッスか!」

大輔「悪魔退治が僕らの仕事だからね。当然の処置だよ。それに君達の依頼で来ているんだよ。」

「おい、今は樫の木おじさんを消火するのが先だ!」

「親方、分かったッス!」

 

作業員達がドリアードの消火作業にかかった。

大輔「これで依頼は完了だね。」

弓子「兄貴!何しやがる!せっかく上手くいってたのに!」

大輔「僕達は悪魔退治が仕事だ。弓子こそ何を遊んでいるんだい?」

『ぐっ…。』

 

ドリアードが最後の力を振り絞って大輔に木の枝を飛ばす。

しかし、弓子の蹴りで木の枝が切り取りとられた。

 

弓子「動くな!あたし達の仲魔に回復できる奴がいるから連れて来るまでおとなしくしてろ!お前ら!さっさと樫の木おじさんを消火しろ!」

大輔「弓子、どうして悪魔を助けるのだい?」

弓子「兄貴、話は後で聞いてやるから今は消えろ。」

大輔「やれやれ、そうさせてもらうよ。」

 

大輔は帰っていった。

 

中島「そんな…。彼は、僕達人間の為に強い悪魔を封印してくれてたのに…。酷い…。あんまりなんだな…。」ポロポロ

 

中島は泣き出した。

 

『サ…モ…ナー…。な…くな…。これを…ヨモツ…シコメの…ばぁ…さんに…。』

中島「こ、これは?」ポロポロ

『ソーマの…けっ…しょう…だ…。おま…えに…は…これ…を…。』

 

中島はソーマの結晶を手に入れた。

中島は生玉(せいぎょく)を手に入れた。

ドリアードは朽ち果てた。

 

中島「そ…そんな…。」ポロポロ

弓子「中島!泣くな!」

中島「ゆ、弓子さん…。でも…。」ポロポロ

弓子「いいか、よく聞け。これはあたしの持論だがな、生きてる奴は死んだ奴の分まで精一杯生きなきゃいけない。だから泣くな!死んだ樫の木おじさんの為にもお前自身が強くなれ!弱い奴は誰も助ける事ができないからな。分かったか!」

中島「弓子さん…。」

弓子「まあいい。病院に戻るぞ。」

 

弓子は切り取ったドリアードの木の枝を拾った。

 

「た、探偵さん!樫の木おじさんのいた所から何か出てきたッス!」

 

ドリアードのいた所から悪魔が数匹出てきた。

 

コボルトが現れた!

インキュバスが現れた!

オーガが現れた!

ゴブリンが現れた!

 

「な、なんなんッスか!あれ!」

「ヒャッハー!久しぶりの地上だぜ!」

弓子「死ね!雑魚が!」

 

弓子のパンダルチャギがコボルトに直撃した!

 

「この女!いきなり何しやがる!」

弓子「死ね!あたしは今、気がたっているんだ!」バキ!

 

弓子のネリチャギがゴブリンに直撃した!

 

「ハハハ!情けないな、お前ら!女なんて俺様の股間のバズーカで…」

弓子「死ね!」ボキ!

 

弓子のトプチャギがインキュバスの股間のバズーカに直撃した!

インキュバスの股間のバズーカは折れてしまった。

 

「ああああああぁぁぁぁぁ……………。」

 

インキュバスは悶絶している。

 

弓子「おい、したっぱ!お前らは今の内に中島を連れてとっとと逃げろ!」

「でも、後一匹だから大丈夫ッス!」

弓子「後からまだまだ出てくるんだよ!言うこと聞け!中島!お前はそのしたっぱのトラックに乗せてもらって病院に先に行け!」

中島「でも、弓子さん…。」

弓子「中島!あいつらが待ってるんだろうが!行け!それにな、この白鷲 弓子様に撤退の文字は無いんだよ、行け!」

「太っちょの探偵さん、乗るッス!」

中島「弓子さん、後からジャック達と一緒に戻って来るんだな!」

 

中島はトラックに乗って先に病院に向かった。

 

弓子「さて、とりあえず後はデカブツだけだな。」

「オンナ!コロス!」

 

オーガが弓子に突進してきた。

オーガが弓子めがけてパンチを繰り出す。

 

弓子「甘いな、デカブツ。」

 

弓子はすかさずカウンターの蹴りを繰り出す。

 

「ぐわっ!」

 

オーガが堪らず膝をつく。

しかし、弓子が狙いを定めてパンダルチャギを放った!

 

弓子「ほう、あたしの蹴りを喰らってまだ起き上がるとは褒めてやるぜ。」

「コロス!ナカマノカタキ!コロス!」

弓子「てめえらに仲間意識があったんだな。お前らは運が悪かっただけだ、諦めて死ね。」

「女だからって甘く見てた、俺様のバズーカの敵だ!」

弓子「あたしがお前に気付いてないと思っていたのか?この猥褻股間野郎が!」

 

弓子は振り向き様にインキュバスにヨプチャギを放った!

インキュバスを倒した!

 

弓子「お前の仲間は全滅だ。観念しろデカブツ!」

「イマノヤツ、ナカマジャナイ…。」

「そんな…酷い…。」ガク

 

インキュバスは力尽きた。

 

「くそ…。あの女…。強すぎる…。」

「ヒャッハー!逃げようぜ!オーガの兄貴!」

 

ゴブリンとコボルトが立ち上がって来た。

 

「アノオンナ、ヤバイ。」

「ヒャッハー!あの女は悪魔だぜー!」

「いきなり攻撃してくるキチガイの悪魔だ!」

弓子「悪魔はてめえらだろうが!全員あたしのテコンドーでぶちのめすぞ!」

 

悪魔達は弓子に恐れをなしている。

 

「お前ら、命が惜しいか?」

 

作業員の親方が弓子の前にわって入ってきた。

 

弓子「なんだよおっさん。逃げてなかったのかよ。」

「ああ、他の作業員より先に逃げる訳にいかないからな。それより、お前ら悪魔って言ったな。助かりたいか?」

「助けてくれ!」

「オレタチ、フウイントケテ、ソトニデタラ、イキナリコウゲキサレタ!」

「ヒャッハー!何でもするからあのキチガイ女から助けてくれ!」

「そうか、だったら今日から俺の作業員として働け。お前ら力有りそうだから役に立ちそうだ。」

弓子「おい、おっさん!何言ってるんだよ!頭おかしいのか?」

「いやぁ、うちも従業員少なくてな。ブラジルから来た人って事にしたら問題無いだろう。」

「ヒャッハー!おっさん、俺達を雇おうとはクレイジーだぜ!」

「オレタチ、フウイン、トカレタケド、イクトコナイ。」

「分かった。キチガイに殺されるよりましだ。よろしく頼む。」

「って事だ、探偵さん。」

弓子「分かったよ、おっさん。なんかコイツらが調子こいて暴れたら直ぐにあたしを呼べよ!それじゃあ、あたしは失礼するよ。」

「トラックはもう1台あるから送って行くよ探偵さん。」

弓子「助かるよ。」

「ヒャッハー!俺達も後ろの荷台に乗るぜー。」

弓子「てめえら!静かにしないとぶっ飛ばすぞ!」

 

弓子は親方のトラックで病院に向かった。

 

中島は一足先に病院に戻って来た。そのまま急いでジャック達が待つ五階に駆けつけた。

 

中島「早くジャック達と合流して弓子さんの所に戻らないと…。」

???「中島、あたしも戻って来たから別に戻らなくていいぞ。」

 

中島は後ろを振り返った。

 

中島「へ?弓子さん?何でなんだな?」

弓子「ああ、作業員のおっさんに送ってもらってな。信号も引っ掛からなかったから早く着いたんだ。とりあえず病室に行くぞ。」

「おや?白鷲 弓子に太っちょのサモナーじゃないか。早かったね。」

中島「おばあさん…。これ…。」

 

中島はヨモツシコメにソーマの結晶を渡した。

 

「こ、これは!ソーマの結晶じゃないか!これがあったらあの子も大丈夫だよ!よくケチンボのドリアードがこんなのをくれたね!」

中島「でも…。」ポロポロ

「なんだい?泣き出して。」

弓子「ババア…。すまねぇ。実は…。」

 

弓子はドリアードの木の枝を渡して洗いざらい事を説明した。

 

「そうかい。しかし白鷲 弓子、お手柄だよ。」

弓子「はぁ?ババア、余りのショックで頭がおかしくなったのか?」

「まったく…。なんて物の言い様だい。その木の枝があったらドリアードは復活できるんだよ。病院の庭にでも植えてたら2、3日で元通りさ。」

中島「良かった…。良かったんだな…。」ポロポロ

 

弓子は泣いてる中島を見て軽くため息をついた。

 

弓子「なーかーじーまー。いつも言ってるだろうが。嬉しいときは笑え、いちいち泣くな!」

中島「でも…本当に良かったんだな…。」

弓子「はぁ。中島、あいつらを連れてもう今日は帰るぞ。」

「お待ち、あの子らは明日迎えに来てやってくれるかい?」

弓子「はぁ…。分かったよ。ババア、また明日来るからな。行くぞ、中島。」

中島「あっ弓子さん、待って欲しいんだな。」

 

中島と弓子は帰ろうとした時、ひとりの看護師が駆けつけてきた。

 

「夜茂津主任!病院の前でおかしな人達が騒いでいて…。」

弓子「あっ、あいつらついて来てたんだった!」

 

 

 

 

中島達は急いで病院の外に出た。

 

「ヒャッハー!美人の女がいっぱいだぜー!」

「ココ、キニイッタ。パラダイス。」

 

先程、弓子に叩きのめされた悪魔達が騒いでいる。それを看護師達が注意しているが全く聞こうとしない。

 

「静かにしてください!入院している患者さんの迷惑です!」

「ヒャッハー!怒った顔もプリティーだぜー!」

「地上は良いところだ!」

弓子「てめえら!静かにしろ!ぶっ殺すぞ!」

 

弓子のテコンドーが騒いでいる悪魔達に炸裂した。

 

「キチガイが来た!ぐぇっ!」

「グワっ!」

「これで俺達も怪我人としてここに入院するぜー!」

「白鷲 弓子、なんなんだいコイツらは?」

 

ヨモツシコメも後からやって来た。

 

弓子「ああ、樫の木おじさんのいた所に封印されていた悪魔達だ。」

「コイツらが封印?コイツらに封印する価値がないと思うけどねぇ。」

弓子「ああ、多分強い悪魔の次いでに封印されていただけだろうな…。」

「そうかい…。お前達!ここは元気な奴が来るところじゃないんだよ!とっとと出ていきな!」

「オレタチ、キチガイノオンナニ、ケラレテ、ケガシタ。」

「入院する!」

「そうかい。今すぐ治療してやるよ。」

「ヒャッハー!ババアの介護は要らないぜー!」

「だったら、今すぐ消え失せな!」

 

バカな悪魔達である。

 

弓子「はぁ…帰るぞ、中島。」

「探偵さーん!待つッス!」

弓子「何なんだよ!したっぱ、お前も居たのか!」

「自分がトラックで送って行くッス!」

弓子「中島、お前は荷台に乗れ、あたしが助手席だ。」

中島「分かったんだな。」

「お前達も荷台に乗るッス!」

「ヒャッハー!先輩の言うことは絶対だぜー!」

「センパイ、エライ。イウコト、キク。」

「俺達も帰る。騒いですまなかった。」

 

こうして、無駄に体育会系の悪魔達と共に事務所に帰る中島と弓子だった。

 

 

 

 

 

次の日、中島達は再び病院にやって来た。

 

中島「ジャック、迎えに来たんだな。」

ティンク「中島!」

 

ティンクが中島に駆け寄ってきた。その後ろから一人の女の子がジャックと共にに近づいて来た。

 

「あなたが中島?」

中島「そうなんだな。君は?」

「あたしはユキ!ジャックの友達!」

ジャック「ヒーホー!中島のおかげでユキがすっかり元気だぞ!」

「もう治った!」

「治っちゃいないよ。さぁ、病室に戻るよ!」

 

ヨモツシコメがやってきた。

 

「やだよ!私は元気になったからテコンドーを習うんだ。そしたら、ババアなんてやっつけてやるから!」

弓子「おい、チビスケ!本当にテコンドーを習いたかったらババアの言うことを聞け!」

「あっ!動画で戦っていた人だ!」

弓子「ちゃんと手術をしたらあたしがテコンドーを教えてやるよ。」

「本当?分かった!」

「じゃあ、行くよ。」

「ジャック!みんな!私のためにありがとう!」

 

ヨモツシコメに連れられて女の子は病室に戻っていった。

 

中島「本当に良かったんだな…。」

弓子「ああ…。」

ジャック「中島、ありがとう。」

弓子「クソダルマ、あたしにも感謝しろよ。」

ジャック「ヒーホー!弓子は始めは協力してくれなかったぞ!」

弓子「クソダルマ、あたしに文句を言うとはいい度胸だな。今から蹴り倒してやるからお前も長期入院するといい。」

ジャック「な、中島…。助けて。」

弓子「死ね!クソダルマ!」

 

ジャックは中島の後ろに隠れたので弓子の蹴りは中島にヒットした。

中島は倒れた。

 

中島「か、川のむこうで死んだお爺ちゃんが呼んでるんだな…。行かないと…。」ガク

ティンク「中島ー!行っちゃダメー!」

 

薄れていく意識の中、人助けが出来て良かったと思う中島であった。

 



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レゴパークの怪異

始めに、このお話しはフィクションであり最近出来たレゴランドや名古屋おもてなし武将隊とは何も関係ございませんのであしからず。

 

弓子「中島!依頼だ、行くぞ!」

中島「依頼?こんな朝早くから?」

大輔「中島君、現地で依頼主から話を聞く事になっているんだよ。」

中島「現地って?」

弓子「レゴパークだ。」

中島「レゴパークって、最近出来た?」

ティンク「やった!あたし一度行ってみたかったんだよ!」

ジャック「オイラも行きたいぞ!」

大輔「君達は中島君の悪魔召喚プログラムに入っているんだ。」

ジャック「なんでだよ!オイラ、仲間外れは嫌だぞ!」

大輔「いいかい?よく聞くんだよ。入口から君達が居たら入場料を二人分多く払わないといけないじゃないか。だから、僕達が入場して暫く歩いた後に悪魔召喚プログラムから君達が出てきたら入場料が安上がりになるんだよ。分かるね。」

 

ケチくさい男である…。

 

弓子「兄貴…。こういうテーマパークってのは入口から楽しいものだろうが。そんなケチくさい事を言ってるから友達が居ないんだよ。」

中島「そうなんだな…。そんなの不法侵入で駄目なんだな。」

弓子「そらみろ!愚図の中島ですらそう言ってるだろうが!」

中島「ジャックの分は僕が一緒にお金を払うから一緒に行くんだな。」

ジャック「やった!オイラ、嬉しいぞ!」

ティンク「ねぇ、あたしは?」

弓子「お前は中島の胸ポケットにでも入って居たらいいだろ。」

ティンク「分かった!じゃあ、そうする!」

大輔「まあ、僕がお金を払うんじゃないならそれでいいよ。じゃあ行こうか。」

 

こうして、中島達は今、流行りのレゴパークに行くことになった。

 

 

 

 

レゴパークの入口ゲート前までやって来た。平日なので入場客は疎らである。

 

中島「すごいんだな!」

ティンク「楽しみだね!」

ジャック「ヒーホー!中島、早く!」

中島「直ぐに行くんだな!」

 

中島達はテンションが上がっている。

 

弓子「なーかーじーまー!あたし達は遊びに来たんじゃないんだぞ!」

大輔「僕は先に依頼主にあって来るから弓子達は先に楽しんで来なよ。」

弓子「そうか。友達が居ない兄貴にしては気が利くな。お言葉に甘えて行って来るよ!」

中島「お兄さん、行って来るんだな!」

弓子「なーかーじーまー!先に入るな!あたしが一番最初にゲートを通るんだよ!これは日本の法律で決まっている事なんだ!先に通ったら蹴り倒すぞ!」

中島「…。」

ティンク「…。」

ジャック「ヒーホー!弓子、何を子どもみたいな事を言ってるんだ?」

弓子「クソダルマあたしに楯突くのか?それじゃあ、今からお前を蹴り倒して病院に送ってやるよ!」

ジャック「…。中島、弓子がオイラを苛めるよ。助けて。」

中島「弓子さん、先にゲートを通るんだな…。」

弓子「分かれば良いんだよ。」バキ!

 

弓子は中島をとりあえず蹴ってゲートを通って行った。

 

弓子「よし!お前らも早く通れ!」

ティンク「弓子!何でなにもしてない中島を蹴ったのよ!」

弓子「はぁ?中島があたしに蹴られるのは日課のようなもんだろ!1日は24時間しかないんだよ!早くしろよ!」

 

テーマパークに来て一番テンションが上がっているのは弓子であった。

 

???「あっ!君達は!こんなところで会うなんて奇遇だね!」

 

何者かが中島達に声をかけてきた。病院で会ったあの男である。

 

ティンク「うわ…。真田ユキムラだ…。中島、相手にするの面倒だから無視して行こうよ…。」

ユキムラ「君!イケメンであるこの僕を無視するだなんて、なんて酷い事を言うんだよ。」

ジャック「ヒーホー!兄ちゃんはいったい何してるんだ?」

ユキムラ「ハハハ!君達はバカだなぁ。女の子をナンパしに来たに決まっているじゃあないか。」

弓子「バカはお前だ。いいか、テーマパークに来るような奴はだいたいカップルか家族連れだ。女だけで来る奴はほとんどいない。」

ユキムラ「はっ!しまったー!僕は、独りでテーマパークを回るかー!」

ティンク「中島、もう行こうよ。」

中島「ティンク、ちょっと待って欲しいんだな。」

 

中島はユキムラに近づいた。

 

中島「もし、良かったら僕達と一緒に…。」

ユキムラ「本当かい?君はブサメンだけどいい人だ。喜んでご一緒させてもらうよ!」

弓子「中島!テメェ、何かってに!」

中島「弓子さん、こんなテーマパークで独りなんて耐えられない事なんだな。」

弓子「兄貴なんて友達がいないから常に独りなんだぞ!兄貴に対する当て付けか!」バキ!

 

弓子の蹴りが中島にヒットした。ただの言いがかりである。

 

ティンク「弓子!中島を苛めないで!」

ユキムラ「ハハハ!せっかくのテーマパークだのに何をカリカリしているんだい?」

弓子「あー!もういい!あたしが悪かった!これでいいだろ!早く行こうぜ!時間は限られているんだ!」

ユキムラ「僕のせいで…君、大丈夫かい?」

中島「僕はいつもの事なので大丈夫なんだな。えっと…。」

ユキムラ「真田ユキムラ。ユキムラでいいよ。」

中島「ユキムラ、分かったんだな。僕は中島 朱美なんだな。」

ユキムラ「ハハハ!知ってるよ。さぁ、今日は思いっきり楽しもう!」

中島「うん、そうなんだな!」

ティンク「ユキムラ、中島に感謝しないと駄目だよ!」

ユキムラ「分かっているよ!」

ジャック「ヒーホー!良かったな、兄ちゃん!」

ユキムラ「ユキムラでいいよ!さぁ、行こう!」

弓子「…。」

 

こうして、中島達は一人でいた真田ユキムラと共にテーマパークを楽しむことにした。

 

 

 

 

中島達はジェットコースターに乗っている。

 

中島「あああ…。どんどん上に上がってくるんだな…。こ、怖いんだな…。」

ユキムラ「ぼぼぼ僕はイケメンだからだ、大丈夫さ…。こ、怖くなんてないさ…。」

弓子「お前ら、情けねえな。ビビってんじゃねぇよ!」

 

ジェットコースターは上まで上がりきって一気に加速する。ジャックとティンクは身長制限で乗れなかったので外から中島達を見ている。

 

ジャック「オイラも乗りたかったぞ。」

ティンク「まぁ、まぁ。あっ、凄いスピードだ…。」

ジャック「オイラ、乗らなくて良かったぞ…。」

 

「ああああああ!兄貴~!助けてくれ~!」

「ああああああ!あたしが悪かった~!たすけて~兄貴~!」

「す、す、す、凄いスピードなんだな!」

「ハハハハハハ!」

 

中島達がジェットコースターから戻ってきた。

 

中島「凄かったんだな!」

ユキムラ「ハハハ!楽しかったね!」

弓子「まぁまぁだな…。もう少し速くても良かったかな…。」

ティンク「…。」

ジャック「…。」

ユキムラ「…。」

中島「…。」

弓子「…。なんだよ、お前ら。兄貴が待っているからそろそろ行くぞ。」

ティンク「…。」

ジャック「…。」

弓子「いいか、あたしらはあくまでも依頼で来ているんだ。早く行くぞ!」

中島「分かったんだな…。」

ユキムラ「僕もせっかくだから君達の手伝いをさせてもらうよ。」

弓子「遊びじゃねぇんだぞ!」

ユキムラ「ハハハ!僕はイケメンだからなんだって出来るから問題ないさ!さぁ、行こうじゃないか!」

弓子「お前が仕切ってんじゃねぇよ。」

さんざん楽しんだ後、中島達は依頼主の所に向かうのであった。

 

 

 

中島達はレゴパークのスタッフルームの近くまで来ていた。

 

弓子「中島、あたしは中で兄貴と依頼内容聞いてくるからお前らはその辺で待ってろ。」

ジャック「弓子、またオイラ達を仲間外れにする気だな!」

ユキムラ「まぁまぁ、ここは彼女の言う通りにしようじゃないか。」

弓子「ほぅ、お前わかっているじゃねえか。」

ユキムラ「ハハハ!僕はイケメンだからね、君の考えはお見通しさ!僕達はここで君の帰りを待ってるよ。便秘なんだろ?早く行くといいさ!ハハハ!」

弓子「んな訳ねぇだろ!死ね!」

 

弓子の蹴りがユキムラと中島に炸裂した。

 

中島「何で、僕まで…。痛い…。」

ユキムラ「ぼ、僕は、い、イケメンだからだ、大丈夫さ…。痛い…。」

弓子「じゃあ、お前ら!大人しくしとけよ!」

中島「わ、分かったんだな。」

 

一言余計な事を言うユキムラであった。

 

ティンク「中島、大丈夫?」

ユキムラ「君、イケメンの僕の心配をしておくれよ。」

ティンク「ユキムラのせいで中島まで弓子に蹴られたんじゃない!」

中島「僕はいつもの事だから平気なんだな。それより何か食べに行くんだな。」

 

 

 

 

弓子はスタッフルームの中に入り、奥の館長の部屋に到着した。

 

弓子「兄貴、居るか?入るぞ!」ガチャ

「君!ノックぐらいしたらどうなのかね。」

弓子「オッサンの依頼で出向いてやってるんじゃねえか!細かい事をガタガタ言うなよ。」

大輔「弓子!館長さんに失礼じゃないか!館長さん、妹がすみません。」

 

依頼主に対しても失礼な事を平気で言うのが弓子である。

 

弓子「で、兄貴。依頼内容は聞いたのか?」

「これから話す所でね。君もかけたまえ。市長さんから噂は聞いているよ。白鷲 弓子君だね。」

弓子「なんだよ、あたしもすっかり有名人だな。ユキムラじゃねえけど今度サインの練習でもしとくかな。ハハハ!」

 

弓子は大輔の座っているソファーの横に腰かけた。

 

弓子「おっ!このソファー座り心地いいな。」

「えーと、話を始めても良いですかな?」

大輔「あっ!すみません。どうぞ。」

「実はこのレゴパーク、完成して暫くしてからの事なのだが…。夜中になるとレゴふれあい広場のレゴブロックが空中に浮いたり勝手に動き出したりすると警備員から毎日の様に連絡を受けていまして…。」

大輔「うん、ポルターガイストだね。」

弓子「オッサン、建築費用ケチって地鎮祭とかちゃんとしなかっただろ。」

「それはちゃんとしました。」

弓子「まあ、それはいいや。で、被害とかは有ったのか?」

「いえ、今の所は何も…。こんなことが噂になってしまうと…。お願いします!原因を調査して下さい。このレゴパークは私と亡くなった息子の正太郎の夢なのです。」

弓子「正太郎?」

「はい…。息子はずっと重い病気でして病室でレゴで遊ぶのが大好きでした。私も病室で正太郎とレゴで遊んでいました。その正太郎と亡くなる前に私は約束しました。私達、親子がレゴで遊んでいたように世界中の親子がレゴで遊ぶ事が出来るテーマパークを作ると。」

弓子「そうか。オッサン、あたしに任せておけ。ふれあい広場だな。兄貴、あたしは中島達と合流して先に行く。細かい金のやり取りとかは任せたからな。」

「お願いします!」

 

弓子は館長の部屋を出て行った。

 

大輔「えーと、まず僕達が入った時に払った入場料を返して欲しいのですが。」

 

ケチな男である…。

 

 

 

中島「このポテト、レゴブロックの形になっているんだな。」

 

中島達が売店コーナーでくつろいで居ると弓子が戻ってきた。

 

弓子「中島!あたしが戻る前に勝手に何か食おうとしてるんじゃねぇ!」

中島「あっ、弓子さん。お帰りなんだな。」

弓子「いいか、そこにあるイタリアンレストランはバイキングだからそこで飯にするぞ。その時に依頼内容を話してやる。さあ行くぞ!店を閉店に追い込むぐらい食いつくすぞ!」

中島「バイキング!楽しみなんだな!」

 

中島達は少し早めの夕食をとり、依頼現場に向かうのであった。

 

 

 

 

日も暮れてきて中島達は依頼の現場にやってきた。閉館時間が過ぎているので客は誰も居ない…。

 

弓子「ここだな…。」

中島「こ、怖いんだな…。」

ユキムラ「ハハハ!イケメンの僕が付いているから問題ないさ。」

 

ふれあい広場に入ろうとすると一人の警備員に止められた。

 

「こら!閉館時間はとっくに過ぎているんだぞ!さっさと出ていけ!」

弓子「どけ!!」

 

弓子のパンダルチャギが警備員の頭にヒットした。警備員は気絶した。

 

弓子「よし、行くぞ。」

ティンク「行くぞじゃないよ!何でいきなり蹴るのよ!」

弓子「いちいち説明するの面倒じゃねえか。早く行くぞ。」

 

ふれあい広場にたどり着いた…。レゴブロックが独りでに動いている。

 

弓子「お前がここに居座っている悪魔だな!覚悟しな!この白鷲 弓子様が退治してやるぜ!」

 

ポルターガイストが現れた!

 

ポルターガイストの攻撃!

ポルターガイストのサイコキネシス!レゴブロックが宙に浮き弓子の頭にヒットした!

 

弓子「いて!こら!姿を見せろ!あたしと戦え!」

 

レゴブロックは次々と組み立てられていく。

 

ジャック「ヒーホー!お城になったぞ!」

弓子「このヤロウ!この白鷲 弓子様を無視しやがって!」

 

ポルターガイストのサイコキネシス!

複数のレゴブロックが宙に浮き弓子に襲いかかった!

 

弓子「この!いたたた。その組み立てた城をぶっ壊してやる!」

中島「ゆ、弓子さん、ダメなんだな!」

弓子「だったらお前が何とかしろよ!中島!」バキ!

 

弓子は中島を蹴りとばした!

 

中島「い、痛い…。これを使うんだな!」

 

中島は悪魔召喚プログラムを起動させた!

 

中島『僕は中島 朱美なんだな。君と一緒にレゴで遊んでも良いかな?』カタカタ

『お兄ちゃんも、レゴ好きなの?』

中島『うん、僕は小さい時はいつもレゴで遊んでいたんだな。』カタカタ

『ふーん、じゃあ一緒に遊ぼう。』

中島『分かったんだな。』カタカタ

 

中島はポルターガイストと共にレゴを始めた。

 

ティンク「中島、上手だね。」

中島「出来た!ヘリコプターなんだな!」

ジャック「オイラもやってみたいぞ!」

中島「そうなんだな。みんなで楽しむんだな!」

弓子「…。中島、今回はお前に任せる!あたしは外で待ってるからお前の好きにしろ!」

中島「弓子さん…。分かったんだな。」

 

弓子は中島達を残して一人で外に出た。

 

中島『そうだ、君の名前を教えて欲しいんだな。』カタカタ

『正太郎…。』

中島『正太郎君、よろしくなんだな…。』カタカタ

 

中島に心を開いたのかポルターガイストはうっすら子供の姿を現した。

 

ユキムラ「君達、いったい何をしているんだい?」

中島「正太郎君とレゴで一緒に遊ぶんだな。」

ユキムラ「ハハハ!このイケメンの僕を差し置いて。ヘイ、正太郎君!今日は特別にこのイケメンである僕のサインをプレゼントするよ!」

 

ポルターガイストはユキムラのサインを手にいれた。

 

『…いらない。』

 

ポルターガイストのサイコキネシス!

ユキムラのサインは遥か彼方に吹き飛ばされた!

 

ユキムラ「ああああ!僕のサインに何てことを!いいか、僕は怒ったぞ!見ていたまえ!今に後悔するからな!」

ジャック「ユキムラ、乱暴はダメだぞ!」

ユキムラ「ハハハ!僕はイケメンだから何でも出来るって事を証明するだけさ!このレゴブロックでとんでもない物を作ってあげるよ!」

 

ユキムラはレゴブロックを高く積み重ねだした。

 

中島「正太郎君、ユキムラは悪い人じゃないから大丈夫なんだな。」

ティンク「ちょっと面倒臭いけどね。」

 

ユキムラはレゴブロックをまだ高く積み重ねている。

 

ジャック「ヒーホー!ユキムラは何を作っているんだ?」

ユキムラ「ハハハ!完成だ!」

ティンク「完成って、ブロックを積み重ねただけじゃない。」

ジャック「何なんだ?これ?」

ユキムラ「ハハハ、君達はバカだなぁ。見て分からないのかい?これはイケメンタワーだよ!」

ジャック「ブロックを積み重ねるだけなら誰でも出来るぞ…。」

ティンク「ユキムラ、もう遅いからお家に帰りなよ…。」

ユキムラ「君達!イケメンの僕に対して何て事を!いいかい?よく見たまえ!この色の配合を!正太郎君!レゴが大好きな君なら分かってくれるよね!このイケメンである僕のアートが!」

『ハハハハハハ!』

 

ポルターガイストは笑っている。

 

ティンク「正太郎君もユキムラがバカだって言ってるよ。」

ユキムラ「なっ!でも、正太郎君。やっと笑ってくれたね。友達と遊ぶ時は笑顔じゃないといけないよ。そうする事がこの僕の様なイケメンに近づく第一歩なんだよ。分かったかい?」

ジャック「ふーん。オイラ、別にイケメンにならなくてもいいけど友達と遊ぶ時は笑顔でいたいぞ!」

ユキムラ「何でだよ!みんな、僕に憧れてイケメンを目指すべきだよ!」

ジャック「でもオイラ、バカなユキムラ見たいにはなりたくないぞ!」

『ハハハハハハ!僕もなりたくない!イケメンとかは良いからユキムラも遊ぼう!』

ユキムラ「良いよ!今日はみんなでとことんレゴで遊ぼう!」

 

中島達はみんなで楽しく遊んでいる。しかし、何者かが中島達に近づいている。

 

???「中島君、お手柄だね。ポルターガイストの姿がハッキリ見えるよ。これで依頼は完了だ。『ザンマ!』」

 

何者かの風の衝撃魔法がポルターガイストに向かって放たれた。

 

中島「!!正太郎君!危ないんだな!」

 

中島はポルターガイストをかばい衝撃魔法をまともに喰らった!

中島は吹き飛び、大量のレゴブロックが飛び散った。

ユキムラの作ったイケメンタワーは崩壊した。

 

ユキムラ「ああああ!僕の作ったイケメンタワーが!」

ティンク「中島!大丈夫!」

中島「うぅ…。」

 

中島はよろけながらも立ち上がった。

 

???「中島君、ごめんよ。次で決めるから今の一撃は許してね。『ザンマ!』」

 

中島「危ない!」

 

ふたたび中島はポルターガイストをかばい、衝撃魔法をまともに喰らった。

悪魔召喚プログラムが中島の手を離れ飛んでいった。

 

ジャック「中島!」

ティンク「中島!」

中島「ジャック、ティンク、僕は大丈夫なんだな。それよりも正太郎君を…。」

 

中島はふたたび立ち上がった。

???「中島君、何故その悪魔を庇うんだい?」

ジャック「その声、大輔の兄ちゃん。」

大輔「その悪魔を倒すから退いているんだ。『ザンダイン!』」

中島「そんなの、ダメなんだな!」

 

中島は再度、ポルターガイストを庇いまともに喰らった。

 

ティンク「中島ー!お兄さん、酷いよ!」

 

中の様子がおかしく感じて弓子がふれあい広場に入ってきた。

 

弓子「お前ら!何があった!」

中島「うぅ…。」

 

中島は気力を振り絞り立ち上がった。

 

大輔「中島君!退くんだ!そいつは悪魔だ!倒さないといけないんだ!」

中島「違う!正太郎君なんだな!悪魔なんかじゃないんだな!」

弓子「正太郎?」

大輔「弓子、耳をかさなくていい。中島君、僕達は悪魔退治をしに来ているんだ。君の戯れ言を聞きに来たんじゃないんだよ。君が退かないなら君ごと退治させてもらうよ。」

弓子「兄貴!テメエ、何を言ってるんだよ!少しは落ち着けよ!」

中島「僕は何があっても絶対退かないんだな!正太郎君、君は僕が必ず守るから大丈夫なんだな。」

ジャック「中島!オイラもついてるぞ!」

ティンク「『ディアラマ!』中島は殺らせないよ!」

 

中島の傷が回復した。

 

大輔「君達、いい加減にしないか!退くんだ!」

中島「退かないんだな!」

ジャック「ヒーホー!オイラも退かないぞ!」

ティンク「嫌だよ!」

 

中島達は両手を広げて正太郎を庇う。

 

弓子「兄貴!止めろ!あいつらの話をちゃんと聞いてやれ!」

大輔「弓子まで、何を言ってるんだ。もういい、君達の戯れ言にはウンザリだよ。『マハザンダイン!』」

 

今まで以上の風の衝撃が中島達を襲いかかる!

 

 

 

もうダメだ、って思ったその矢先、ユキムラが中島達の前に出てきた。

 

ユキムラ「ハハハハハ!このイケメンである僕にはそんな魔法は効かないね!」

 

ユキムラが大輔の魔法を跳ね返した!

 

大輔「ぐわっ!」

 

跳ね返った魔法が大輔を襲い大ダメージを負った。

 

中島「ユキムラ?」

ユキムラ「君達、大丈夫だったかい?」

ジャック「ヒーホー!助かったぞ!」

ティンク「ユキムラ!何処に行ってたのよ!」

ユキムラ「ハハハ!この飛ばされた悪魔召喚プログラムを取りにいってたのさ。少し使わせてもらったけどね。」

中島「えっ何でそれを?使う?どういう事なんだな?」

ユキムラ「そうだね、改めて自己紹介させてもらうよ。僕は名前はクーフーリン、イケメン武将の真田 ユキムラさ。このイケメンである僕も仲魔になるから今後ともよろしく頼むよ、マスター!」

 

クーフーリンが仲魔に加わった。

 

ティンク「えー。ユキムラ別に仲魔にならなくてもいいよ。」

ユキムラ「君は何て事を言うんだい!」

弓子「…。お前、なんか怪しいと思っていたらやっぱり悪魔か。」

ユキムラ「弓子にはバレていたんだね。」

中島「でも、ユキムラ…。どうして、僕なんかに?」

ユキムラ「ハハハ!そんなの答えは簡単さ!マスターは僕が命をかけて守るに相応しい男だからさ。正太郎君もこのイケメンである僕が守ってあげるよ。さぁ、何でも命令してくれよ、マスター!」

中島「ユキムラ…。ありがとうなんだな。でも、せっかく仲良くなれたのに僕は命令とかはしたくないんだな。友達に命令するとかはおかしい事なんだな。」

ジャック「ヒーホー!そうだぞ、中島の言う通りだぞ。」

ユキムラ「僕は、君達に会えてうれしいよ。」

弓子「お前ら、さっきからその悪魔を正太郎って言ってるけど、もしかして…そいつ館長の息子なのか?」

『うん…。僕…成仏する前に最後にお父さんとレゴで遊びたい…。』

弓子「そうか…。よし!あたしが館長のオッサンを連れて来てやるから少し待ってろ。」

 

弓子は走って館長室に向かった。そうしている間に大輔がよろめきながら立ち上がった。

 

大輔「弓子まで…。何を言ってるんだ…。悪魔は退治する存在なのに…。」

中島「違う、正太郎君なんだな。」

大輔「中島君…。どうしても退かないつもりなんだね…。」

ユキムラ「ハハハ!まだやる気かい?このイケメンである僕がいる限り正太郎君もマスター達も傷つけはさせないよ!」

大輔「…。君はいったい何者なんだ?どうして中島君達の肩を持つんだ?」

ユキムラ「何でかって?そんなの答えは簡単さ!それはこの僕がイケメンだからさ!」

 

答えになっていない。

 

大輔「そうかい。君も邪魔するなら容赦しないよ。」

ユキムラ「ハハハ!少し外に出ようか。」

中島「ユキムラ!お兄さんは…。」

ユキムラ「弓子のお兄さんなんだろ?大丈夫さ、マスター!ちょっとお話するだけさ!」

大輔「『ザンダイン!』」

ユキムラ「このイケメンである僕には効かないね。このまま跳ね返して外に出てもらうよ。」

 

ユキムラは魔法を跳ね返して大輔をふれあい広場の外に吹き飛ばした。

 

ユキムラ「マスター!しばらく正太郎君の事はお願いするよ。すぐに戻って来るよ!」

 

ユキムラも吹き飛ばした大輔の後を追い外に出て行った。

 

 

 

 

しばらくして弓子が館長を連れて戻って来た。

 

弓子「中島!館長のオッサンを連れて来たぞ!」

「これはいったいどういう事かね?」

中島「館長さんの息子の正太郎君がいるんだな。」

「正太郎が?」

中島「そうなんだな。さぁ、正太郎君。弓子さんがお父さんを連れて来てくれたから出てきても大丈夫なんだな。」

『ほんと?僕をいじめようとした人、いない?』

中島「その人はユキムラが連れて行ってくれたんだな。ここには君をいじめる人はいないんだな。」

 

ポルターガイストの姿がハッキリと写し出された。

 

「正太郎!本当に正太郎だ!しかし、どうして?」

弓子「正太郎は成仏する前に最後にオッサンとレゴで遊びたかったんだとよ。」

「そうだったのか…。ありがとう、探偵さん。」

弓子「礼なら中島達に言いな。あたしは何もしていない。」

中島「館長さん、正太郎君の所に行ってあげるんだな。」

「そうだった。」

『お父さん。』

 

館長と正太郎の二人はレゴで遊びだした。

 

弓子「そう言えば、兄貴はどうした?」

ティンク「外にいると思う…。ユキムラが相手しているよ。」

弓子「そうか…。ちょっと見てくる…。中島、兄貴がすまなかったな。」

 

弓子は外に出て行った…。

 

『なかじま、ありがとう。ぼく、もういくね…。』

中島「正太郎君?」

「正太郎!だめだ!逝かないでくれ!」

『おとう…さんと…さいごに…あそべて…うれし…かっ…た…。』

 

正太郎の身体が消えていく。

 

中島「正太郎君!そんな…せっかく友達になれたのに…。そんなの…。」ポロポロ

「正太郎!」

『あり…がと…さよ…う…なら…。』

 

正太郎は成仏した。

 

中島「そんな…。」ポロポロ

ジャック「中島…オイラ、悲しいぞ…。せっかく仲良くなれたのに…。」ポロポロ

「君達、正太郎のために泣いてくれてありがとう…。」ポロポロ

ティンク「あたしもやだよ…。正太郎君…。」ポロポロ

 

 

 

 

弓子が外に出るとユキムラと大輔がいた。

 

ユキムラ「弓子、お兄さんは君に任せていいかな?」

弓子「ああ、兄貴が迷惑かけたな。」

ユキムラ「僕はイケメンだから終わったことをグチグチ言うつもりはないよ。」

弓子「そうか…。悪かったな、せっかくテーマパークに来たのに。」

ユキムラ「今日は楽しかったよ。じゃあ僕はマスター達と合流するよ。」

弓子「ああ。」

 

ユキムラはふれあい広場に戻って行った。そして弓子は倒れている大輔の元に近づいた。

 

弓子「兄貴、こっぴどくやられたな。」

大輔「ゆ、弓子かい?彼は何者なんだい?僕の魔法が全然効かなかった…。こんな相手は初めてだ…。」

弓子「アイツか…。クーフーリンだとよ。中島の仲魔だ。」

大輔「中島君の?そんな大物の悪魔が中島君の下につくなんて…。」

弓子「下じゃねぇよ。仲魔だ。」

大輔「同じことじゃないか。僕が悪魔召喚プログラムを使えたら…。もっと有効活用できるのに…。」

弓子「兄貴には無理だよ。」

大輔「僕には魔力がある…。悪魔を従わせる事ぐらい…。」

弓子「兄貴…。中島だからジャックもティンクもユキムラも仲魔になったんだよ。それが分からない今の兄貴には誰もついてこない。」

大輔「…。」

弓子「兄貴、最後に1つ忠告しとく。中島を余り舐めてかかると痛い目に合うぞ。今日はこの程度ですんでラッキーだったと思ったほうがいい。アイツは自分でも分かってないがとんでもない魔力を秘めている。」

大輔「中島君が?まさか…。」

弓子「あたしは忠告したからな。後、今日の事はちゃんと中島達に謝れよ。」

 

弓子は大輔を残して中島達がいるふれあい広場に戻って行った。

 

大輔「弓子…。」

 

 

 

 

弓子がふれあい広場に戻って来た。

 

中島「正太郎君…。」ポロポロ

ユキムラ「正太郎君…。そんな…。」ポロポロ

弓子「ん?お前ら、どうした?」

「ありがとうございました。正太郎は無事に成仏しました。」

弓子「そうか…。正太郎、逝ったんだな。」

中島「ううう…。」ポロポロ

ジャック「オイラ、いやだぞ。」ポロポロ

ユキムラ「そうだよ…。せっかく笑顔になってくれたのに…。」ポロポロ

 

中島達は正太郎を思い泣いている。

 

弓子「泣くな!お前ら、正太郎を笑顔で送ってやれ!それが成仏した奴への礼儀だ。」

中島「でも…。」ポロポロ

弓子「いいか、よく聞け。お前らがいつまでもピーピー泣いていたら正太郎がお前らの事が気になって成仏できなくなってこっちに戻って来てしまうだろ。だから正太郎の事を思うなら笑顔で送ってやるんだ。」

ユキムラ「…そうだね。」

中島「わ、分かったんだな。」

 

中島達は泣き止み正太郎の冥福を祈った。

 

弓子「じゃあ、そろそろ帰るか。」

中島「分かったんだな。」

「探偵さん方、本当にありがとうございました。」

弓子「気にするな、仕事だ。そうだ、オッサン!また、何かあったら連絡してくれ。」

「ええ、レゴパークにもまたいつでも遊びに来てください。」

弓子「あっ、そうだ。オッサン!あのジェットコースターもう少しスピードでたほうが面白いぞ!絶対そうしろ!」

中島「…。」

ユキムラ「…。」

ティンク「…。」

ジャック「…。」

弓子「何だよ…。お前ら、言いたい事があったらハッキリ言え。」

中島「…。何でも無いんだな…。」

ティンク「…。帰ろうよ。」

 

 

 

 

 

 

 

次の日

 

 

大輔「…。君もこの事務所に居座るつもりかい?」

ユキムラ「何を言ってるんだい。出来る限りマスターを守るのがこのイケメンである僕の使命じゃないか。」

大輔「…あのね、僕達はボランティア活動じゃないんだよ。誰彼構わず居座られては…。」

ユキムラ「ハハハ!僕はイケメン武将の仕事をしているからね。月々の家賃ぐらいは払わさせてもらうよ!」

 

ユキムラは大輔に三万円差し出した。

 

大輔「なんだ、そう言うことは早く言ってよね。ユキムラ君だったね。これからもよろしくね。」

弓子「兄貴、ケチ臭い事を言うなよ。」

ユキムラ「いいんだよ。僕がしたくてやってる事だから、それに君には怪我をさせてしまったからね。」

弓子「何を言ってるんだ。元はと言えば兄貴が悪いんだから気にするなよ。」

大輔「それは何度も謝ったじゃないか。」

 

みんなで談笑していると事務所のドアがいきなり開かれた。

 

新田「中島氏ー!吾が輩、無事に退院出来ましたぞー!」

中島「新田君!良かったんだな!」

大輔「…。今度は誰だい…。」

新田「そうだ!吾が輩、みんなにお茶菓子を持って来たのですぞ!」

弓子「ほぅ。新田、このあたしに貢ぎ物とはなかなか良い心がけだな。」

 

弓子は新田の手荷物をぶんどった。

 

弓子「あっ、青柳ういろうじゃないか!これあたし好きなんだよな!新田!よくあたしの好物が分かったな!」

 

お前が催促しといて何を言う。

 

新田「もしかしたらお主達と仲良くなって吾が輩、予知能力が身に付いたのかもしれませんな。」

ジャック「新田の兄ちゃん凄いぞ!」

ティンク「そんなはずないじゃない。あたし、みんなのお茶を淹れてくるね。」

大輔「えっと、新田君って言ったね。タダで貰える物は大歓迎だよ!」

 

ケチ臭い男である。

 

中島「そうだ!新田君、僕達レゴパークに行ってきたお土産があるんだな。」

新田「おお!中島氏、今流行りのテーマパークですな。」

ユキムラ「ハハハ!とっても楽しかったよ。」

新田「おや?お主は新顔ですな。」

ユキムラ「ハハハ!君はマスターの友達なんだね。僕はイケメン武将の真田 ユキムラさ。お近づきの印にこのイケメンである僕のサインをあげるよ!」

 

新田はユキムラのサインを手にいれた。

 

新田「なんだかよく分からないけどありがたくいただきますぞ。」

弓子「新田、良かったな!中島からお土産貰えて!」

新田「そう言えば、テーマパークはどうだったのですかな?」

弓子「まぁ、元々は依頼で行ったからな。1日中は遊んでないがまあまあ楽しめたぞ。」

新田「それはなによりですぞ。」

ジャック「弓子なんかジェットコースターに乗ってた時、『兄貴!助けてくれ~』って言ってたぞ。」

弓子「クソダルマ、テメェ!消し炭になりたいようだな。」

ジャック「そ、そうだ!オイラ、ユキのお見舞に行かないと!」

弓子「逃がすと思っているのか!クソダルマ!」

ティンク「みんな!お茶だよ!って弓子!狭い事務所で暴れないでよ!」

中島「ジャックも弓子さんも座って新田君が持って来てくれたういろうを食べるんだな。」

 

こんな楽しい日がいつまでも続くといいなと思う中島であった。



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挑戦状

レゴパークでの依頼の後、しばらくは依頼も無く穏やかな日々をおくっていた。

 

弓子「あー、暇だなー。中島、お前何か面白い事をしろよ。」

中島?「ブヒ?」

弓子「何がブヒ?だ!あたしに喧嘩売ってるのか!」バキ!

中島?「ブヒー!」

 

弓子が中島?を容赦なく蹴りあげる。

 

ティンク「ちょっと、弓子!中島をいじめちゃ駄目だよ!」

弓子「中島があたしに舐めた事を言うからだろうが!」

ジャック「弓子の言いがかりだぞ。」

ユキムラ「弓子、何をカリカリしているんだい?ははーん、分かった!さては生理だね。」

弓子「んな訳ねぇだろ!死ね!」バキ!

 

弓子はユキムラも蹴りあげる!兄の大輔が外出しているので弓子のやりたい放題だ。

 

弓子「いいか!あたしに舐めた口を利いた奴はみんなぶっ飛ばすぞ!」

中島?「ブヒ?」

弓子「中島!あたしを舐めてるのか!」バキ!

 

弓子は中島を容赦なく叩きのめす。

 

ティンク「弓子!止めなよ、中島が泣いてるじゃない!」

中島?「ブヒー…。」

 

事務所のドアが開いた。

 

大輔「ただいま。あれ?中島君が居ないね。何処かに行っているのかい?」

 

大輔が帰って来た。弓子以外のみんなはホッとしている。

 

弓子「はぁ?中島はそこに居るじゃないか。」

大輔「どうみてもオークじゃないか。中島君じゃないよ。」

ユキムラ「ハハハ!お兄さんこそ何を言ってるんだい?僕達がマスターを見間違えるなんてあり得ないよ。」

大輔「みんな、ちゃんと見なよ!どう見てもオークじゃないか!しっかりしなよ!」

 

大輔に言われてみんな中島?の方を振り返った。

 

弓子「あっ!中島じゃねぇ!」

ジャック「本当だぞ!」

大輔「何処で中島君と入れ替わったんだい!」

ティンク「あ、あたしは初めから分かっていたよ。中島じゃないって。」

弓子「嘘つけ!お前、ちょっと前に中島と何処か出かけていただろうが!」

ユキムラ「そ、そうだよ!」

ティンク「あ、あたしと居たときは中島だったよ!その後、中島はジャックとコンビニに行ってたよ!」

ジャック「オイラじゃないぞ!ユキムラだぞ!」

ユキムラ「イケメンであるこの僕を疑うって言うのかい?弓子がマスターを蹴ったりするからマスターが出ていってしまったんだよ!」

 

みんな責任を押し付けようとしている。中島?(オーク)が弓子に手紙を差し出した。

 

中島?「ブヒ!ブヒ!」

弓子「なんだ?手紙か?」

 

弓子は中島?(オーク)から手紙を受け取り読み出した。

 

弓子「なんだ?挑戦状?あたしにか?」

中島?「ブヒ!ブヒ!」

大輔「弓子、ちょっとそれを見せてくれるかい?」

 

大輔は弓子から挑戦状を受け取りった。

 

大輔「僕達みんなで来るようになっているね。えっと、場所は千種公園。名古屋ドームの近くだね。日にちは今日だ。」

弓子「今日だと!中日vs阪神のナイターの日じゃねぇか!よし、お前ら!さっさと行って片付けるぞ!」

ティンク「ちょっと弓子、中島はどうするのよ!」

弓子「知るか!腹が減ったら帰って来るから放っておいていいだろ!案内しろ、ブタ!」

 

 

 

その頃、中島は…。

 

「やい八戒!テメェ、ちゃんと挑戦状を渡したんやろうな!」

中島「ぼ、僕は中島 朱美なんだな。人違いなんだな!」

「八戒、何を言ってるんや。中島 朱美と白鷲 弓子はうちらが倒す奴等やろ!」

中島「えっ?弓子さんを倒す?そんなの駄目なんだな!」

「八戒!うちに逆らうんか!せっかく阪神戦のナイターチケット手に入れたのにもうええ!お前だけ外で待っとけ!」

中島「だから僕は八戒って人じゃないんだな。」

「八戒、俺達は長い付き合いやのにお前の事を間違える訳ないやろ。やから、な。今のうちに三蔵に謝っとけ。お前、今日の阪神戦めっちゃ楽しみにしとったやろ。やから取りあえず謝っとけ。」

中島「だから、僕は八戒って人じゃなくて中島 朱美なんだな。お願いだから僕を帰して欲しいんだな。」

「まだ言うんか!繰り返しはギャグの基本やけどな、今日のお前全然面白ないねん!」

 

中島は弓子達の所にいるオークと間違えられて千種公園に居た。訳も分からず三蔵と呼ばれる女の子に怒られている。

 

「八戒、三蔵をこれ以上怒らせるなや。中島と白鷲 弓子をやっつけて気持ちようドームで阪神の応援しに行こうや。」

中島「だから、僕が中島 朱美なんだな。」

三蔵「まだ言うんか!悟空!八戒の奴をぶん殴って黙らせろや!」

悟空「三蔵、ちょっとは落ち着けや…。」

 

 

 

 

 

 

弓子「ここだな…。」

 

弓子達は中島と間違えたオークの案内で千種公園にやって来た。ちょうどこの時期はユリの花が満開だ。

 

ティンク「お花がキレイな所だね。」

ユキムラ「ハハハ!花なんかよりイケメンであるこの僕のほうが美しいに決まっているじゃないか!」

ティンク「弓子、ユキムラを蹴り飛ばしてよ。」

大輔「ティンクちゃん、ユキムラも仲魔なんだからそんな事を言っちゃダメだよ。確かにこの時期はユリの花がキレイだね。良いところだ。」

ユキムラ「お兄さん、花よりイケメンの僕のほうが美しいって言ってるじゃないか。ははーん、分かった!さてはイケメンの僕に嫉妬しているね。」

大輔「…弓子、ユキムラの顔面を思いっきり蹴り飛ばしてくれるかい?」

弓子「兄貴、ユキムラがウザいのは今に始まった事じゃないだろうが。」

ジャック「そうだぞ。」

ユキムラ「みんなして酷い!」

弓子「ユキムラの事はほっといてだ、ブタ!ここにこの挑戦状を書いた奴がいるんだな、どこにいる!」

「ブヒ!」

 

オークが指を指す方に女の子と青年と中島がいた。弓子達は急いで中島がいる方に駆け寄った。

 

三蔵「おっ、お前が白鷲 弓子やな。よう現れたなぁ!」

 

弓子は話しかけてきた女の子を無視して中島に近づく。

 

中島「弓子さん!この人達は…。」

弓子「なーかーじーまー!」バキ!

 

弓子のティリョヨプチャギが中島に炸裂した!

中島は吹っ飛び公園の噴水に落ちびしょ濡れになった。

 

三蔵「お前、いきなり何をするんや!」

悟空「八戒!しっかりしろ!傷は浅いで!大丈夫や!」

中島「痛い…。服がビショビショなんだな…。」ポロポロ

三蔵「何を泣いてるんや、服ぐらいで。いつものバカ力で反撃しろや!」

弓子「なーかーじーまー!てめえが太ってるからだろうが!ちょっとは痩せろ!」ドカ!バキ!

 

弓子は関係なしに中島を蹴り続ける。

遅れてティンク達が近づいて来た。

 

ティンク「あっ!中島だ!弓子!蹴っちゃダメだよ!中島だよ!」

弓子「うるせー!知ってるよ!知ってるから蹴ってるんだろ!」

ユキムラ「弓子!マスターを蹴っちゃダメだよ!」

ジャック「みんなで弓子をとめるぞ!」

三蔵「お前、いい加減にせえよ!悟空!あのキチガイ女をとめるぞ!」

 

全員で中島を蹴り続ける弓子を止めにかかった。暴れる弓子を止めるのに15分くらいかかった。

 

悟空「八戒、大丈夫か?しっかりせい!」

中島「ぼ、僕は中島 朱美なんだな…。」

三蔵「八戒!お前、まだそれ言うんか!いい加減にせえよ!」

ティンク「中島、しっかり!」

中島「ティンク、みんな、来てくれて嬉しいんだな。」

ティンク「弓子!何で中島をいじめるのよ!」

弓子「コイツが豚に似てるからややこしい事になってるんだろ!」

悟空「ハハハ!コイツらうちの八戒と自分の仲間を間違えてるぞ!」

三蔵「よし、チャンスや!八戒!今のうちにソイツらをいてもうたれ!」

ジャック「ねぇちゃん達の仲魔はあっちの奴だぞ。」

三蔵「おいコラ、雪だるま!うちらは海より深い絆で結ばれた仲魔なんや!うちらが八戒を間違える訳ないやろ!」

弓子「何が海より深い絆だよ。あたしの兄貴の隣にいる豚をよく見てみろ!」

三蔵「あっ!八戒や!」

悟空「八戒!お前も分身の術、使えるようになったんか!やるやんけ!」

八戒「ブヒ!」

 

八戒と言われるオークが三蔵達の所に駆け寄った。

 

悟空「八戒が二人おる!」

八戒「ブヒ!」

三蔵「八戒、どう言うことや。ちゃんと説明せい。」

八戒「ブヒ!ブヒ!」

三蔵「えっと、何、みんなでコンビニ行ってた時、後から出てきたらうちらが居らんようになったから、しゃあなしに先に白鷲 弓子に挑戦状を渡しに行ってた?」

八戒「ブヒ!」

三蔵「お前、ちゃんと挑戦状渡したんやな!」

八戒「ブヒ!」

三蔵「ん?ほんじゃあコイツはいったい誰やねん?」

 

三蔵は中島を指差した。

 

中島「だから僕は中島 朱美なんだな。」

三蔵「じゃあ、うちらは八戒と間違えてコイツを連れて行ってたんか。」

弓子「まぁ、そういうことだ。」

ティンク「な、仲魔を見間違えて何が海より深い絆だよ!」

ジャック「…ヒ、ヒーホー!オイラ達が中島を見間違える事なんてないぞ!」

ユキムラ「ハハハ!僕達のマスターは返して貰うよ!」

大輔「…君達、よくそんな事言えるね…。」

 

中島は解放され泣きながらみんなの所に駆け寄った。

 

中島「みんな!僕の為に…。うれしいんだな。」ポロポロ

ティンク「中島、大丈夫?アイツらに何もされなかった?」

中島「うん、弓子さんに蹴られて痛いけど大丈夫なんだな。」

大輔「中島君…。いつも弓子が本当にごめん…。」

ユキムラ「ほら、弓子!マスターに謝りなよ!」

ジャック「ヒーホー!弓子、日本では謝るときは土下座だぞ!」

弓子「『アギ!』」

 

弓子が放った火の玉がジャックフロストに命中した!

 

ジャック「ああああ!熱いよぅ!」

大輔「弓子!いい加減にしないか!」

弓子「兄貴、このクソダルマはちょいちょい調子にのるから痛い目にあわせない駄目なんだよ。」

ジャック「ああああ!中島、助けて!」

弓子「まあ、それよりコイツらの相手だな。」

大輔「…そうだね。僕達の事を知ってるとはね。君達はいったい何者なんだい?」

三蔵「フフフ。やっとうちらの事を気にかけたなぁ薄っぺらい笑顔のにぃちゃん!しゃあないから自己紹介したるわ、耳の穴かっぽじってよう聞けよ!」

大輔「薄っぺらい…。」

 

悟空「まずは、あ~!お~れ~様は~!空~前、絶~後~!天下一の~!あ~!暴れん坊~!斉天大聖~!孫!ご」

弓子「オラッ!」バキ!

 

弓子の強烈なティリョヨプチャギが斉天大聖にヒットした!

斉天大聖は吹っ飛び、噴水に落ちた!

 

三蔵「お前いきなり何をすんねん!悟空!大丈夫か?しっかりせい!」

悟空「おいコラ!服が濡れてしもうたやろ、まだ俺様の自己紹介の途中やんけ!ちゃんと最後まで聞かんかい!」

弓子「何なんだよ、コイツら…。」

 

悟空「あ~!お~れ~様は~!」

ティンク「そこから始めるんだ…。」

悟空「空~前、絶~後~!天下一の~!あ~!」

弓子「オラッ!」バキ!

 

再度、弓子のティリョヨプチャギが斉天大聖にヒットした!

斉天大聖は再度、噴水に落ちた!

 

悟空「お前何さらすねん!びしょ濡れやんけ!」

三蔵「お前!最後までちゃんと聞けや!」

弓子「知らねぇよ。」

三蔵「ほんで何でお前は歌舞伎風やねん!うちが見本を見せたるわ!耳の穴かっぽじってよう聞いとけ!」

弓子「何なんだよ面倒くさいな…。」

 

三蔵「ラララ♪大阪は~♪新世界から~やって来た~♪32代目三蔵法師に~♪襲名した~♪」

悟空「何でミュージカル風やねん!」

三蔵「花の乙女の女子高生~♪武井 千枝子と言うんやで~♪コイツらのサマナーや~♪」

悟空「でもって俺様は~♪斉天大聖~♪孫悟空様よ~♪」

八戒「ブヒ~♪ブヒ~♪」

ユキムラ「因みに僕は~♪イケメンさ~♪僕のサインをあげようか~♪」

弓子「あー!本当にうざいな。『マハラギ!』」

 

弓子の放った火の玉が三蔵達とユキムラに襲いかかる!

 

ユキムラ「熱い!何で僕まで!」

八戒「ブヒ!」

悟空「熱っ!」

三蔵「熱っ!白鷲 弓子!お前いい加減にせえよ!まだうちらの自己紹介終わってないやろ!もうええ!悟空!八戒!コイツらしばき倒すぞ!」

弓子「兄貴、コイツらもうぶっ飛ばして良いよな?」

大輔「そうだね…。人が増えてきたからね。手短に頼むよ。」

 

三蔵達が襲いかかる瞬間、八戒が止めに入った。

 

三蔵「八戒!止めんな!」

八戒「ブヒ!ブヒ!」

三蔵「ん?何や?時間?」

悟空「もうナイター始まる時間やんけ!急がな不味いで!」

三蔵「ホンマや!お前ら!今日の所は引き分けにしといたる!今度は最近封印が解かれたスサノオを仲魔にしてから来てやるからな!覚悟しとけよ!」

大輔「えっ?スサノオ?」

 

三蔵達は一目散に逃げ出した!

 

中島「楽しい人達だったんだな…。」

ジャック「ヒーホー!なんか悪い奴等じゃなさそうだったぞ!」

大輔「それより、さっきスサノオって言ったよね?」

ユキムラ「ハハハ!でもそのスサノオよりこの僕の方がイケメンに決まっているよ!」

大輔「弓子、少し用事が出来た。先に失礼するよ。」

 

大輔は急いで立ち去った。

 

弓子「あーもう!アイツら何だったんだよ!ナイター始まるからもう帰るぞ!」

中島「あっ弓子さん!待って欲しいんだな!」

ティンク「弓子って野球好きだよね…。」

ジャック「オイラ、弓子が野球見ている時に一度チャンネル変えてボコボコにされたことあるぞ…。」

ユキムラ「僕もあるよ…。あのときは死ぬかと思ったよ…。」

 

 

 

 

 

夜になり中島達は事務所に戻りくつろいでいた。

 

ティンク「みんなー!お茶入ったよ。」

中島「ティンク、ありがとうなんだな。」

弓子「おぅ。気が利くな、チビ。」

ティンク「弓子!いい加減にお風呂入りなよ。」

弓子「今、九回表なんだよ!もう少し待てよ。」

ジャック「もう、中日の勝ちは決まってるぞ!」

ティンク「そうだよ。13vs2だからもう中日が勝つよ。早くお風呂に行きなよ。」

弓子「バカ野郎!野球は最後まで分からないから面白いんだよ!」

ユキムラ「もしかして、弓子は阪神を応援してるのかい?」

弓子「あたしは野球が好きなんだよ!何処のファンとかじゃねぇよ。いいか?野球は毎日がドラマなんだよ!」

 

弓子が野球について熱く語っている。

 

弓子「おっ!最後で塁にでた。」

ティンク「もう逆転はないから早くお風呂に行きなよ…。」

弓子「あっ!三振か。あー。終わったか。」

中島「じゃあ、チャンネルを変えるんだな。ホタルの墓が始まっているんだな。」

 

中島はテレビのチャンネルを変えた。

 

弓子「中島ー!まだヒーローインタビューが終わってねぇだろうが!ふざけるんじゃねぇぞ!」

 

弓子は中島を容赦なく蹴り倒す!

 

ジャック「ヒーローインタビューも見ないといけないのか…。」

ユキムラ「気をつけなきゃいけないね…。」

弓子「あー!ヒーローインタビュー終わってるじゃねぇか!あー!クソ!もう風呂入って来る。」

 

弓子は立ち去り様に中島に6発蹴りを入れて風呂に向かった。

 

ティンク「中島、大丈夫?」

中島「痛い…。酷すぎるんだな…。」ポロポロ

 

中島はまた泣き出した。

 

 

その二時間後、中島達がくつろいでいると事務所のドアをノックする音が聞こえた。

 

ティンク「あれ?誰か来たのかな?」

弓子「こんな夜遅い時間に来るやつはろくでもない奴に決まっている。相手にするな。」

 

再度ドアのノックが弱々しく聞こえる。

 

ユキムラ「さては、このイケメンである僕のファンが来たのかもしれないね。今開けるよ。」

 

ユキムラがドアを開けるとそこには昼にいたオークが傷まみれで倒れていた。

 

ユキムラ「君は!昼間の女の子の仲魔のオークじゃないか!」

弓子「ユキムラ!大声出すな!近所迷惑だ!」

中島「ユキムラ、どうしたんだな?」

 

中島達がユキムラに駆け寄った。

 

弓子「おい、中島!傷まみれじゃねえか!」

ジャック「ヒーホー!弓子、中島じゃないぞ!昼間の奴だぞ!」

中島「酷い…。誰がこんな事を…。」

ティンク「ちょっと待ってて!『ディアラマ!』」

八戒「ブ、ブヒ…。」

弓子「おい、誰にやられた!」

八戒「ブヒ…。」

弓子「ちゃんと喋れ!」

中島「弓子さん、待って欲しいんだな。これで君の言葉が分かるんだな。」

 

中島は悪魔召喚プログラムを起動させた。

 

八戒「…さんぞうを助けてくれ…。」

ユキムラ「君、しっかりするんだ!」

ティンク「『ディアラマ!』」

八戒「すまない…。厚かましい願いだが三蔵を…。頼む…。」

弓子「場所は!言え!」

八戒「千種公園…。」

弓子「よし!ユキムラ!ジャック!ついてこい!走れば10分位だ!」

ジャック「ヒーホー!」

中島「弓子さん、僕も…。」

弓子「中島!お前はトロイからソイツが回復してからティンクと一緒に後から来い!嫌な予感がする。ユキムラ!ジャック!急いで行くぞ!」

中島「でも…。」

ユキムラ「マスター、弓子にはこのイケメンである僕がついているから安心したまえ。」

弓子「ユキムラ!グズグズするな!」

ユキムラ「分かったよ!」

 

弓子はユキムラとジャックを連れ千種公園に走って行った。

 

八戒「おれはもう動ける。三蔵の所に行く。」

中島「まだ駄目なんだな!傷が癒えてないんだな!」

八戒「三蔵はおれの命より大事だ。行かないと…。」

ティンク「中島、あたし達も行こうよ。」

中島「ティンクまで、彼は安静にしてないと!」

八戒「でも、おれは行く。」

ティンク「行こう。『ディアラマ!』」

 

八戒の傷が少し回復した。

 

八戒「すまない…。」

ティンク「いいよ…。その三蔵って人、とっても大事な人なんだね。早く助けないとね。」

八戒「ああ。」

中島「今、弓子さん達が向かっているから君は安静にしないと…。」

八戒「三蔵と悟空はおれを逃がすために体を張ってくれた。だから、おれが助けに行かないといけない。」

中島「…分かったんだな。でも、無理はしないって約束して欲しいんだな。」

八戒「分かった。」

 

 

 

 

 

中島達が千種公園に向かっている途中…

 

八戒「急ごう…。」

中島「僕の肩につかまるんだな。」

八戒「すまない…。」

ティンク「待って!向こうから何か飛んでくる!危ない!」

 

中島と八戒は飛んでくる何かに衝突して吹き飛び倒れた。

 

中島「うう…。」

ティンク「中島、大丈夫?」

中島「ぼ、僕は大丈夫なんだな…。」

八戒「うう…。何が飛んで来たんだ?」

???「うう…。クソっ…。さんぞうの奴…。体が動かねぇ。」

八戒「ご、悟空!」

悟空「は、八戒か…。おまえ…。ぶじ…だったか…。おれさまは…もうあかん…。おまえ…が…ふたりに…見えて…きた…。」

中島「ティンク、大変なんだな。彼を。」

ティンク「すごい火傷だ…。今、回復してあげるよ。『ディアラマ!』」

悟空「すまん。でも、俺様はもうあかん。まだ八戒が二人に見える…。」

中島「ぼ、僕は中島 朱美なんだな…。」

悟空「なんやねん!お前、ややこしいからあっち行ってろや!」

中島「酷い…。」

八戒「ご、悟空!無事か!三蔵は!」

悟空「八戒か。すまん。三蔵の奴…俺様を庇うために魔法で吹き飛ばしおって…。」

八戒「くっ…。おまえ…。命張って三蔵を助けろよ!」

悟空「俺様だってそのつもりやったけど、アイツ…。」

ティンク「今は言い争ってないで早く行かないと!」

八戒「そうだった…。」

悟空「急がないと!」

中島「君は安静にしないと…。まだ火傷が酷いんだな。」

悟空「やかましい!俺様達はお前らの所の薄っぺらい笑顔の兄ちゃんにやられたやぞ!それを!」

中島「えっ?」

ティンク「ウソ…。何で?」

悟空「ウソやない。あの兄ちゃん、俺様達が名古屋ドームから出てくるのをずっと待ち伏せしとったんや。」

中島「もし、お兄さんだったら直ぐに止めないといけないんだな。」

ティンク「早く行こう!」

 

中島達は不安に思いながらも千種公園に向かうのであった。

 

悟空「所でちっこいの、お前は何で俺様達に肩入れしてくれるんや?」

ティンク「それは…。」

悟空「…。まぁええわ、火傷、治してくれておおきにな。」

ティンク「うん。」

 

 

 

一方その頃千種公園では…

 

大輔「それだけボロボロになってもまだスサノオの居場所を教えてくれるつもりはないのだね。」

三蔵「当たり前や!うちの仲魔を傷物にしよってからに、お前こそただで済むと思うなよ!」

大輔「悪魔を退治するのは僕達の仕事でもあるからね。彼等は後で見つけて倒させてもらうよ。」

三蔵「そんなこと、うちが許す訳ないやろ!返り討ちにしてやる。かかって来いや!」

大輔「やれやれ…。中島君といい、君といい…悪魔は全て倒すべき存在だって事が全然分かっていないようだね。」

三蔵「アイツらは…悪魔である前にうちの大事な友達や!分かってないんはあんたの方や、薄っぺらい笑顔の兄ちゃん。あんた、友達一人も居らんやろ。」

大輔「…。もういい…。『アギダイン!』」

 

大輔の放った大炎が三蔵を包み込む。

炎の中で三蔵は倒れた…。

 

大輔「さて、終わったようだね。一緒にいた悪魔を見つけてスサノオの居場所を聞きださないといけないね…。」

 

大輔が立ち去ろうとしたが倒れていた三蔵が這いつくばりながら大輔を足首を掴む。

 

三蔵「待たんかい…。うちはまだ負けてへんで…。アイツらの所には…絶対行かせへん…。喰らえや『テンタラフー!』」

 

三蔵の魔法が大輔の精神を蝕む。

 

大輔「うっ…。なんだ?頭の中が…。」

三蔵「よっしゃ…。もう一度や、『テンタラフー!』」

大輔「や、止めろ!」

三蔵「無駄や無駄や。この魔法はあんたの心を蝕むんや。」

大輔「止めろっ!みんなで僕を馬鹿にするなっ!」

三蔵「フフン、バッチリ効いとるな。もう1つオマケや喰らえ!『テンタラフー!』」

 

心の中のトラウマが大輔を襲う。

 

大輔「あああああああ!」

三蔵「効きすぎやな。やり過ぎてしもうたわ…。」

大輔「くそう…。みんな僕を馬鹿にして!みんな…。死んでしまえっ!『マハラギダイン!』『マハラギダイン!』『マハザンダイン!』『マハラギダイン!』」

 

大輔は暴走してところ構わず魔法を放つ。公園はあっという間に火の海になった。

 

三蔵「しもうた。逃げられへん…。」

大輔「…。見つけた…。やっと見つけた。スサノオ…。」

三蔵「えっ?」

 

意識が朦朧している大輔が三蔵の首を絞める。

 

三蔵「がっ…。うちは、スサノオとちゃう…。苦しい…。」

大輔「黙れ、スサノオ…。お前は…僕の手で…殺す…。」

 

大輔は両手に力を込める!

 

三蔵「くっ…。あかん…。『ジオンガ!』」ガク!

 

意識の失った三蔵が放った雷は大輔の直ぐそばに落ちた。

 

大輔「何処を狙っているんだい?フフフ…。止めを刺して…」

「なんだ今の雷は!こっちだ!」

 

大輔「ちっ!新手か?」

 

大輔は一目散に逃げ去った…。

 

 

 

 

弓子「なんだこれ…。公園が火の海じゃねぇか…。」

ジャック「ヒーホー…。オイラ、火は苦手だぞ…。」

弓子「お前はここで中島が来るのを待ってろ。ユキムラ、中に入るぞ。」

ユキムラ「弓子、正気かい?マスターが来るのを待とうよ。」

弓子「中島を待っていたら間に合わねえ…。ついてこい。」

 

その時、雷が公園の中に落ちた!

 

弓子「なんだ、今の雷は!こっちだ!」

ユキムラ「弓子!待って!炎を払いのけるよ。『ザンマ!』」

 

弓子はユキムラを連れて火の海になった千種公園に入って行った。ユキムラの風の魔法で炎を払いながら進んでいく。

誰が呼んだか分からないが消防車にパトカーもやって来た。人だかりも増えてきた。

 

ジャック「ヒーホー…。」

「君!危ないから下がって!」

ジャック「オッチャン、弓子とユキムラが中に入って行ったんだぞ。」

「火を消すから下がって!」

 

ジャックは消防士さんに言われ渋々後ろに下がった。

遅れて中島達が千種公園に到着した。

 

中島「ジャック!」

ジャック「中島!大変なんだぞ!」

悟空「おいこら!どないなってるねん!公園が火の海やんけ!」

ジャック「オイラも分からないぞ!オイラ達が来たときにはこうなっていたんだぞ!」

ティンク「ジャック!弓子は?」

ジャック「ユキムラと火の海の中に…。」

悟空「俺様達も行くぞ、八戒!」

八戒「分かった。」

中島「君達!駄目なんだな!危ないんだな!」

悟空「やかましい!中には三蔵がおるんや!」

八戒「頼む、行かせてくれや。」

中島「でも…。君達は大怪我をしているから…。」

八戒「俺たち、大丈夫。」

悟空「行くぞ、八戒。」

 

悟空と八戒が火の海に入ろうとした時、何者かが火の海から出てきた。

 

弓子「その必要はねぇ…。」

ユキムラ「君達のプリンセスはこのイケメンである僕が救出したからね。」

 

弓子とユキムラが火の海の公園から三蔵を連れて出てきた。

 

弓子「このままじゃ不味い。」

ティンク「分かったよ。『ディアラマ!』」

三蔵「うう…。」

 

ティンクの魔法で三蔵が意識を取り戻した。

 

悟空「三蔵!」

三蔵「ごくう…はっかい…おまえら…。ぶじで…。よかったわ…。」

悟空「何言ってんねん!俺らの心配なんかええねん!」

三蔵「うちは…おまえらの…さまなーや…。」

八戒「三蔵…。」

ティンク「まだ喋らないで!『ディアラマ!』」

 

三蔵の火傷の傷が少し回復した。

 

三蔵「すまんな…。ちっこいの。しらわし ゆみこ、おまえら…スサノオとは何があったんや…。あのにぃちゃん、しょうきやなかった…。」

弓子「あたしらの親はスサノオに殺された…。」

 

公園の火は消されて救急車が到着した。

 

「君達!退いて!」

 

三蔵は直ぐに救急車に運ばれて行った。

 

弓子「お前ら、兄貴がすまなかった。」

悟空「ゴメンで済んだら警察は要らんのや!」

弓子「本当にすまない。」

 

弓子は悟空と八戒に頭を下げた。

 

悟空「お前らのせいでな!三蔵が!」

八戒「悟空、止めや。俺達が助かったはコイツらのお陰でもある…。」

悟空「せやけど…。」

八戒「病院に行くんが先や。」

 

悟空と八戒は三蔵が連れて行かれた病院に向かって行った。

 

中島「弓子さん…。」

弓子「中島、お前ら…。すまない。話は明日、事務所で話す…。」

ユキムラ「ハハハ!このイケメンである僕がいるからスサノオなんて相手にならないさ!マスターも弓子も安心するといいさ!」

弓子「…。帰るぞ…。」

白鷲兄妹をスサノオとの因縁とは…。中島達は不安に思いながら事務所に帰ることにした。

 

 



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鬼神 スサノオ

翌日…。

弓子は中島達を事務所に集めた。

大輔はまだ帰って来ていない…。

 

弓子「えっと、どこから話したらいいかな。とりあえず簡単に説明するよ。あたしらの親はスサノオに殺されたんだ。以上だ。」

 

説明が簡単すぎる。

 

ティンク「いやいや、それは昨日聞いたよ。ちゃんと説明してよ!」

弓子「いや、あたしもあまりものこごろがついていない頃の話だからな…。兄貴の方が詳しいんだ。」

ユキムラ「弓子もスサノオを倒したいのかい?」

弓子「いや、あたしは親に対してはあまりよく思ってなかったからな。殺してくれて感謝しているぐらいだ。悪魔退治とか言ってほとんど家に居ない癖に帰って来たら魔法の訓練とか言ってあたしらに八つ当たりするキチガイだからな。」

ティンク「…。ねぇ、中島。人間って両親は大事な人じゃないの?」

中島「…。うん。普通はそうだけど…。」

弓子「まぁ、親戚の人から聞いた話だと神社とか立ち入り禁止の所を不法侵入して悪魔退治だもんな。本当に死んでくれて清々するよ。」

 

親に対して酷い言い様である。

 

ユキムラ「で、弓子はどうするんだい?」

弓子「そうだな。まずは兄貴より先にスサノオを見つける事だな。昨日みたいに見境なしに暴れられたらシャレにならないからな。巻き込まれて死人が出なかっただけラッキーだったよ。」

ジャック「ヒーホー…。でもオイラ達じゃスサノオの居場所が分からないぞ。」

弓子「そこでだ、中島。お前は昨日の奴が運ばれて行った病院に行ってスサノオの居場所聞き出せ。」

中島「分かったんだな。」

ティンク「中島、あたしも行くよ!」

ジャック「オイラも行くぞ!ユキのお見舞いもあるしな!」

 

バタン!中島達は事務所を出て病院に向かった。

 

弓子「あっ!しまった!あたし、ユキムラと二人かよ!」

ユキムラ「ハハハ!弓子、このイケメンである僕と二人きりで光栄に思いたまえ!ハハハ!」

弓子「ウゼェ…。」

 

 

 

 

中島達が出ていって少し時間が過ぎた。

コンコン、事務所のドアを叩く音が聞こえる。

 

???「おじゃまするわね。」

弓子「おばはん、兄貴は居ねえから今度にしてくれ。」

マダム「相変わらず失礼ね。知ってるからここに来たのよ。」

弓子「バカ犬も連れて来たのかよ。エサの中島も居ないぞ。残念だったな。」

 

相変わらずの物の言い様である。

 

ユキムラ「弓子、この美しい女性はいったい誰だい?」

マダム「あら?初めて見る顔ね。」

ユキムラ「ハハハ!僕はイケメン武将の真田ユキムラさ!」

弓子「中島の仲魔だ。」

マダム「あら、そうなの?」

ユキムラ「美しきレディ、お近づきにこのイケメンである僕のサインをあげるよ。」

 

マダムはユキムラのサインを手にいれた。

 

パスカル「バウ!バウ!(ゴミを渡すな!)」

 

パスカルはユキムラのサインを食いちぎった。

 

ユキムラ「あああああああ!僕のサインに何てことを!」

弓子「ユキムラ!ゴミを散らかすんじゃねえよ!」

マダム「で、いいかしら?」

弓子「何だよ。あたしらは兄貴より先にスサノオの所を探さないといけないんだよ。」

マダム「その事で話があるのよ。」

弓子「…。」

マダム「昨日の夜、白鷲さんとお会いしてその封印が解かれたスサノオの居場所を聞かれたの。」

弓子「おばはん、知ってるのか!兄貴に教えたのか!」

マダム「ええ、白鷲さんには嘘の居場所を言ったからしばらくは大丈夫よ。」

ユキムラ「嘘の居場所?」

マダム「そうよ。昨日の白鷲さん、精神が異常だったわ。」

弓子「兄貴が友達がいないサイコパスなのはいつもの事じゃないか!」

マダム「そうだけど…ってそう言うことじゃなくて、何か神経に魔法を喰らったような感じだったわ。」

弓子「で、兄貴は何処まで行ったんだ?」

マダム「島根県よ。私が新幹線のチケットを渡したからそれに乗って行ったわよ。」

弓子「兄貴の事だからその新幹線のチケットを払い戻しして安い青春18キップを買って金を浮かすはずだから三日ぐらいは帰って来ないな。」

ユキムラ「弓子、いくらケチなお兄さんでもそれは…。」

マダム「ユキムラ君…白鷲さんならそれくらい事は普通にやるわよ。私はそれをふまえて新幹線のチケットを渡したのだから…。」

 

さすがに酷い言い様である。

 

マダム「まあ、白鷲さん一人だと返り討ちにあって殺されるのは目に見えているから…。弓子ちゃん、行くの?スサノオの所に。」

弓子「ああ、場所は?」

マダム「津島神社よ。行くのなら中島君と一緒に行くのよ。」

弓子「中島?ああ、そう言うことか。それで上手くいったら兄貴も諦めるしかないよな。おばはん、頭いいな!」

マダム「あっ!パスカルちゃんを連れて行って貰えるかしら?」

弓子「何でそのバカ犬連れて行かないといけないんだよ。」

マダム「私ね、しばらく田舎に帰るから預かって欲しいのよ。ほら、パスカルちゃん、中島君になついているし。きっと貴女達の力になるわよ。」

弓子「分かったよ。前から気になってたけどおばはん、何者なんだよ。」

マダム「それは内緒よ。それより弓子ちゃん、顔色悪いけど大丈夫なの?」

弓子「おばはんの化粧を塗りたくった顔色より全然いいよ。ユキムラ、中島と合流するぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

その頃中島達は病院にたどり着いていた。

 

ティンク「また、この病院だね。」

ジャック「中島、オイラは先にユキのお見舞いに行ってくるぞ!」

中島「分かったんだな。」

 

中島はナースステーションで昨日の女の子の病室を聞きだした。

 

中島「ここなんだな…。」

ティンク「個室だね…。」

 

コンコン。中島はドアをノックした。

 

「入ってるでー!」

中島「おじゃまするんだな。」

 

ガチャ。中島はドアを開けた。

 

三蔵「邪魔するんなら帰ってやー。」

ティンク「ちょっと!お見舞いに来たのにそんな言い方ないじゃない!」

三蔵「うちのボケを殺すなや!八戒!ちょっとお前、見本みせたれ!」

八戒「ぼ、僕は中島 朱美なんだな。」

三蔵「そのモノマネ止めろや!本物が居るのにややこしなるやろ!そんなんいいからさっさとやれや。」

八戒「分かった。」

 

八戒は病室を出た。

 

八戒「邪魔するでー!」ガチャ

三蔵「邪魔するんなら帰ってやー。」

八戒「ほんじゃあ帰ろかー、ってなんでやねん!」

三蔵「こうや!ホンマに名古屋のもんは基本がなっとれへん!」

ティンク「えー…。」

 

浪花のノリにいまいちのれない中島達であった。

 

中島「これ、お見舞いの品なんだな。」

三蔵「おー!フルーツの詰め合わせやんけ!八戒もどき、気いきくやんけ!」

ティンク「八戒もどき…。」

悟空「千枝ちゃん!これ、メロンもあるやんけ!高っいやつやで!」

三蔵「うちに持ってきたのを勝手に漁るなや!まぁええわ。せっかくやし早速いただくわ。とりあえずリンゴ取ってくれや。」

八戒「分かった。」

 

八戒は棒を取り出した。

 

三蔵「そうそう!これをこうやってリズムに乗ってくぐってな、って、そりゃリンボーやんけ!うちは怪我人や!何やらすねん!もうええ!悟空、ミカンにするわ。ミカン取ってくれや。」

悟空「そらよ。」

三蔵「そうそう!これに水入れてな、火つけてな、ピーってなったらお湯が沸くんや、ってヤカンやろこれ!ブドウにするわ、ブドウ取ってくれや!」

中島「分かったんだな。」

 

中島はブドウ一房を三蔵に渡した。

 

三蔵「ボケろや!」

ティンク「えー…。」

 

いまいち浪花のノリについていけない中島達であった。

 

三蔵「それであんたら、うちらに聞きたい事があって来たんやろ?」

中島「実は…。」

三蔵「言わんでいい!分かっとる!スサノオの事やろ?」

ティンク「うん…。」

中島「それもあるのだけど、僕は先に君達とお兄さんの間に何があったのか教えて欲しいんだな…。」

悟空「そんなん、思い出したくもないわ!俺らはともかく、千枝ちゃんは死にかけてんやぞ!」

三蔵「悟空!黙っとれ!あんたらがうちらを助けてくれたんも事実やしな…。分かった、話したるわ。でも、校長先生の話より長なるけどええか?」

中島「分かったんだな。」

 

三蔵は昨日の出来事を語りだした。

 

三蔵「あれは、中日戦が終わった後の出来事やったけど、うちがバイトしてやっと阪神のナイターチケットを買って見に行った日に限ってな、あのゲレーロの奴がここぞとばかりに好調やってな。気いついたら13対2で阪神のぼろ負けや!あー!思い出しただけでも腹立ってきたわ!メッセンジャーの奴、うちが応援に行った時に限ってポカポカ打たれよってからに。」

悟空「千枝ちゃん、メッセンジャーはようやっとるで。」

三蔵「分かっとるわ、そんなん!」

八戒「昨日は打線もいまいちパッとせえへんかったもんなぁ…。」

悟空「まぁ、今シーズンは始まったばっかりや。」

三蔵「せやな。ヨッシャ!景気付けに六甲おろし歌うか!」

中島「あの…。僕達は…。」

三蔵「あんたらも歌うで!」

ティンク「えー…。」

 

病室内で六甲おろしを熱唱しだした。ガチャ!ドアが突然開いて看護師が入ってきた。

 

「病室内では静かにしてください!隣の病室から苦情が来ています!」バタン!

 

看護師に怒られてしまった。

 

三蔵「なんやねん!腹立つわー、居心地悪い病院やで。」

ティンク「騒ぐからだよ…。」

三蔵「話の続きやったな。それでな、メッセンジャーがノックアウトされて次の中継ぎもあかんかったんや。」

ティンク「野球の話はいいよ…。」

三蔵「ああ、すまん、すまん。それで、ナイターが終わってうちらがドームから出た時にあの兄ちゃんに声かけられたんや。」

 

野球の話が終わってやっと本題が始まった…。

三蔵「ほんでな、あの兄ちゃんがスサノオの居場所を教えてくれって言ってきよったんや。悟空、お前あの兄ちゃんの役やれや。」

悟空「なんでやねん!俺、標準語なんか話せるかいな。」

三蔵「ノリで何とかせいや。」

悟空「しゃあないなぁ…。」

三蔵「ヨッシャ、話の続きや。」

悟空「やぁ、君達。待っていたよ。」

三蔵「なんやねん!全然似てへんやんけ。ちゃんとやれや。」

悟空「お前がやらせたんやんけ。」

三蔵「もうええわ。ほんじゃあ回想シーン入るで。ほわんほわんほわんほわんほほわわわわーん。」

八戒「千枝ちゃん、自分で効果音つけたらあかんで。」

 

ティンク「中島…。全然話が進まないね…。」

中島「うん…。」

 

やはり浪花のノリにはついていけない中島達だった。

 

 

 

 

 

 

大輔「やぁ、君達。少しいいかな?」

悟空「なんや?昼間の兄ちゃんやんけ。」

大輔「昼間、君達が言ってたスサノオについて聞きたい事があるんだ。」

三蔵「…。ここで話すんはあれやから昼間の公園に行こか。」

 

三蔵達は大輔を連れて千種公園に向かった。

 

三蔵「で、先ずは兄ちゃん聞いてくれや。せっかくうちらが球場に足を運んだ時に限ってな。ボコボコに負けよってからに…。」

八戒「せっかく必死でバイトしてチケット買ったのになぁ…。」

悟空「ホンマやで…。俺様なんかバイト2つ掛け持ちしてんぞ、どういう事やねん兄ちゃん!」

大輔「いや、僕が聞きたいのは…。」

三蔵「なんや、兄ちゃんもしかして…中日ファンか?」

大輔「いや、そうじゃなくて…。」

悟空「おっ?って事は阪神ファンか!」

三蔵「なんや、そうやったんか!それならそうとはよ言ってえな。」

大輔「野球の事じゃなくて君達が昼間言ってたスサノオについて教えて欲しいんだけど…。」

八戒「スサノオ…。」

悟空「スサノオか…。兄ちゃん、これは取って置きの奴やで。見てみい!これはなぁ、千枝ちゃんが産まれた時にオカンと繋がっていたスサノオや。」

三蔵「それはヘソの緒やろ!ほんでこれ、入ってる箱に吉田 孝則って書いてるやんけ!誰やねん!」

悟空「そんなん、その辺の家からパクって来たから知らんわ。」

三蔵「吉田 孝則に返して来いや!」

八戒「スサノオか…。兄ちゃん、これは極レアのスサノオのシールや、見てみい!」

三蔵「スサノオのシールってなんやねん。見せてみい、ってこれ、ハリマ王やんけ、ほんでよう見たらビックリマンとかドキドキ学園とか混じってるやろ!オしか合ってへんやろ、ちゃんとやれや!」

悟空「見せてみい。お前、『十字架天使』ダブってるやんけ、1個くれや!」

三蔵「そんなんいいからお前はそれ吉田 孝則に返して来いや!」

大輔「あの…。」

三蔵「兄ちゃん、焦ったあかん。うちが取って置きのスサノオを出したるわ、これや!マスターグレードの100分の1サイズのスサノオや!」

悟空「これ、ズサやろ!モビルスーツやったらちゃんとスサノオあったやろ。」

三蔵「うちが行ったときは売り切れで無かったんや。」

八戒「千枝ちゃん、何で寄りによってこれを買ってん。ガンダムとかザクとかにせな。」

 

 

 

 

三蔵「って感じでうちらの軽快なトークが40分ぐらい続いたんや。」

中島「40分も…。」

ティンク「弓子だったら40秒でキレてるよ…。」

悟空「そんときな、あの兄ちゃんがいきなり『いい加減にしないか!君達!』ってキレて俺様達に攻撃してきたんや。」

八戒「名古屋のもんは短気であかん。」

ティンク「40分も我慢したお兄さんが逆に偉いよ…。」

中島「うん…。」

三蔵「うちが買ったズサもあの兄ちゃんに焼かれてしもうた…。ウケると思って3000円も出して買うたのに…。」

悟空「てか、ようズサなんか売ってたなぁ。」

三蔵「何言ってんねん!でんでんタウンの裏通りのガンダムショップ行ったら何でもあるわ!」

ティンク「ねぇ、スサノオの居場所、知ってるの?」

三蔵「ああ、知ってるで。うちらはあんたらと戦ってみていい勝負できそうやったらスサノオの所に行くつもりやったんや。まぁ、あかんかったけどな。」

中島「…。」

 

その時、病室の外からドアをノックする音が聞こえてきた。

 

三蔵「入ってるでー!」

八戒「千枝ちゃん、便所とちゃうねんで。」

「失礼しますわ。」

 

ブレザーを着た女の子が入ってきた。

 

「武井さん!ああ!ご無事なお顔が見れてわたくしホッと致しましたわ。」

八戒「誰や?」

三蔵「うちのクラスの委員長や…。」

悟空「なんや、千枝ちゃんの友達かいな。」

「あら?いやですわ。わたくしとした事が…。あなた方は武井さんのご友人の方々ですわね、ごきげんよう。」

悟空「ごきげんようって姉ちゃん小堺一機かいな。」

八戒「ワイがライオンちゃんやなくて残念やったなぁ。」

「やはり、武井さんのご友人ですね…。」

三蔵「何しに来たんや。」

八戒「千枝ちゃん、せっかく友達が見舞いに来てくれているのにそんな言い方ないやろ。」

三蔵「どうせ、内申点稼ぎに来たに決まってるわ。」

「わたくしは、同じセイントマルガレタ学園のクラスメートとして…。」

中島「セイントマルガレタ学園…。凄いお嬢様学校なんだな…。」

ティンク「えっ?じゃあ三蔵さんもお嬢様?全然そうは見えないよ?」

三蔵「うちのオカンが見栄はってうちをこの学校に入れよったんや…。なっ、見てみい。クラスメートの代表として見舞いに来たらさぞ先生達からはえらい誉められるやろなあ!」

「そんな…。わたくしは…。」

中島「そんな…。そんな言い方…。絶対ダメなんだな!!」

ティンク「な、中島?」

 

中島が珍しく大声をあげた。

 

三蔵「な、なんやねん。」

中島「セイントマルガレタ学園はとても校則が厳しい学校だって有名なんだな。それなのに…この子は学校を休んでまで君の為にお見舞いに来てくれているんだな。」

三蔵「委員長、そうなんか?」

「え、ええ。わたくし、学校を無断で早退して抜け出したのは初めてですわ。」

三蔵「そうか…。」

「でも、わたくしがしたくてした事ですから武井さんが気にする事はなくってですよ。」

中島「僕達はもうお邪魔だからそろそろ失礼するんだな。」

ティンク「中島、スサノオの居場所聞かなくて良いの?弓子に蹴られちゃうよ?」

中島「うん…。いいんだな。」

 

中島達が病室を出ようとしたとき、三蔵に呼び止められた。

 

三蔵「中島 朱美、ちょっと待たんかい!」

中島「えっ?」

三蔵「津島神社や。スサノオは津島神社におる、気いつけろよ。」

中島「ありがとうなんだな!」

ティンク「教えてくれてありがとう!」

三蔵「ちっこいの、うちらを助けてくれておおきにな。ほんでええサマナーに出会えたな。」

ティンク「うん!」

 

中島達は病室を後にした。

 

 

 

病院から出ると弓子とユキムラが外で待っていた。

 

弓子「中島、遅かったな。行くぞ。」

中島「弓子さん、津島神社なんだな。」

弓子「ああ、お前もちゃんと聞き出せたんだな。」

ユキムラ「マスター、僕達も丁度美しきマダムがイケメンであるこの僕に教えてくれた所なのさ!」

パスカル「バウ!(イクゾ!)」

ティンク「あっ!パスカルだ!」

中島「弓子さん、パスカルも連れて行くの?危険なんだな。」

パスカル「バウ!バウ!(オレサマ、オマエヨリ、ツヨイ!)」ガブ!

 

パスカルは中島の足を思いっきり噛んだ。

 

中島「ああああ!パスカル!僕を噛んだらダメなんだな!」

弓子「中島、お前よりそのバカ犬の方が強いってさ。ハハハ!」

 

しばらくするとジャックフロストがヨモツシコメの婆さんと一緒に出てきた。

 

ジャック「ヒーホー!みんな、遅くなってごめんだぞ!」

弓子「クソダルマ!遊んでるんじゃねえよ!」

「おやおや、これはみんなお揃いで。」

弓子「おっ?ババア!まだ生きていたのか。」

「白鷲 弓子かい。相変わらず失礼な小娘だね。もっと、年寄りは労らないといけないよ。」

弓子「年寄りって言うより悪魔じゃねえか。まあ、元気そうで良かったよ。あたしとの再戦もあるしな。」

「別にあたしゃ、あんたと戦う理由は無いんでね。あんたの勝ちでいいよ。あっ、そうそう。あんた達、たまにはそこの小僧だけじゃなくてあんた達もあの子の見舞いに来てやってくれるかい?」

弓子「何だよ。そんな事かよ、スサノオの奴をぶっ飛ばしたら行ってやるよ。」

中島「あの…お婆さん。」

「おや、太っちょのサマナー。なんだい?」

中島「さっき、僕達がお見舞いに行った部屋の子なんだけど…。個室だから…。怪我が酷いんじゃないかって、心配なんだな。」

「ああ、あの子。あの子はね、始めは一般の所に入れたけど、五月蝿くてね。他の患者に迷惑だから個室にぶちこんだんだよ。後、2、3日で退院だよ。」

中島「良かった…。良かったんだな…。」

弓子「中島、足は用意している。行くぞ。」

「お待ち、白鷲 弓子。顔色が悪いよ?大丈夫なのかい?」

弓子「ババアのしわくちゃの顔より全然いいよ。中島、行くぞ!」

 

弓子は中島達を連れて外に止まっている軽トラに向かった。

 

「探偵さん達!お久しぶりッス!」

弓子「よう、したっぱ!いきなりですまねえな!」

 

この男は前回、道路公団からの依頼で知り合った作業員のしたっぱである。

 

弓子「中島、お前達は荷台に乗れ。あたしが助手席だ。」

中島「分かったんだな。」

 

こうして一同はスサノオがいる津島神社に向かって行った。

 



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鬼神 スサノオ 後編

津島神社にたどり着いた。昼過ぎだが辺りは人が一人も居ない…。空気がぴりぴりする。

 

弓子「良し着いたな…。したっぱ、もう帰って良いぞ。」

「探偵さん、帰りはどうするんすか?」

弓子「いや、帰りは電車で帰るから良いよ。それより巻き添えくらう前に早く帰れ。今回はマジでヤバイからな。」

「探偵さん、顔色が良くないけど大丈夫っすか?」

弓子「ああ…。もう行け。」

「分かったッス…。また何かあったらいつでも呼んで欲しいッス!」

弓子「すまんな…。中島、行くぞ。」

中島「ゆ、弓子さん、待って欲しいんだな。」

 

弓子は先に津島神社に入って行った。中島達は遅れて津島神社に入った。

津島神社の奥から強い殺気を感じる。

 

「またか…。いつの時も人間というものは私の居場所に土足で入り込む。」

弓子「よぅ!お前がスサノオだな!」

「女、今去れば命は助けてあげましょう直ちに失せよ!」

 

鬼神 スサノオが現れた!

 

中島「ゆ、ゆ、弓子さん、ああ言っているし今帰れば許してもらえるんだな。」

弓子「なーかーじーまー!今帰ったらここにきた意味ないだろうが!それにな、この白鷲 弓子様の辞書には撤退の文字はないんだよ!」

「白鷲?聞いた事があるな。昔に私を封印した人間二人も確か白鷲と言っていたな。」

ティンク「じゃあ、やっぱりあんたが弓子のお父さんとお母さんを殺したんだ。」

「あの時は私も油断して彼らの命と引き換えに封印されたのですがね。」

弓子「ふーん。」

ユキムラ「じゃあ、このイケメンであるこの僕達が弓子の両親の敵討ちをさせてもらうよ!」

「ほう?あなた達がこの私を倒すと?」

弓子「ちょっとまて!お前らは何を勘違いしてるんだ?」

ジャック「敵討ちだぞ!」

弓子「いや、それがおかしい。いいか?よく聞け。あたしの親が死んだのは弱いからだ。スサノオは悪くない。」

ティンク「は?」

ジャック「え?」

ユキムラ「弓子?」

中島「え?」

 

この発言には皆、耳を疑った。

 

スサノオ「いや、私が言うのはなんだけど…。その発想はおかしいような…。」

中島「じゃあ、何でここに…。」

弓子「スサノオ!まずはあたしの頭のおかしい両親を殺してくれてありがとうな!」

スサノオ「な、なんて返事をしたらいいか分からない…。」

 

流石にこの発言にはスサノオも困惑している。

 

弓子「で、ここからが本題だ。スサノオ!お前、そこにいる中島の仲魔になれよ!」

ティンク「はぁ?弓子、何を言い出すのよ!」

弓子「いいか?こいつが中島の仲魔になったら流石に兄貴も諦めるしかないだろ?」

ティンク「いや、そうだけど…。」

スサノオ「フフフ。この私に仲魔になれと?ハハハ!面白い!私の前で臆せずそんな事を言う人間は初めてだ。」

弓子「良し、中島!スサノオと契約しろ!」

スサノオ「仲魔になるとは言ってない。それに、私は強い者としか契約はしない。あなた達が私より強いとは思えないが。」

弓子「やっぱりそうきたか。じゃあ、あたしとサシで戦え。あたしが勝ったら中島の仲魔になれ!」

スサノオ「この私とサシで戦うだと?ハハハ!ますます面白い!女、名を名乗りなさい。」

弓子「白鷲 弓子だ。」

スサノオ「白鷲 弓子、あなたのような者は初めてです。では、勝負といきましょう。」

弓子「そうこないとあたしがわざわざ来た意味ないよな!いいかお前ら!これはあたしとスサノオのサシの闘いだ!何があっても絶対邪魔するなよ!」

スサノオ「白鷲 弓子、ますます気に入りました!」

 

弓子とスサノオの闘いが始まった!

 

弓子「今までの悪魔とは全然違うな、気迫が違う。」

スサノオ「来ないのですか?」

弓子「このあたしを挑発するのか?面白い、じゃあお望みどうりこっちからいくぜ!」

 

弓子がスサノオに対して突進する。

 

スサノオ「この私相手に臆せず向かってくる者はいつぐらいぶりだろうか。しかし、一撃で終わらせてもらおう。」

 

スサノオの攻撃!

向かってくる弓子に対して強烈な拳を繰り出す!

 

弓子「そんなスローな攻撃が当たる訳ないだろ!このあたしもなめられたものだな。まずはこいつをくらいな!」

 

弓子は攻撃をかわした!

そして、カウンターのティオティチャギがスサノオにヒットする!更にすかさずトリョチャギをヒットさせる!

スサノオはバックステップで弓子との距離をとる。

 

スサノオ「蹴りに特化した変わった武術だ。初めて見る。」

弓子「テコンドーだ。あたしのテコンドーを喰らって全然堪えてねぇとはな。こんな相手は初めてだぜ。」

スサノオ「私もこんな相手は初めてです。白鷲 弓子、かかってくるがいい!」

弓子「おもしれえ、いくぜ!」

 

弓子が先に攻撃を仕掛けた!

弓子が渾身のアプチャギを繰り出す!

 

スサノオ「甘いですね。」

 

スサノオが弓子の攻撃を受け止め両手で蹴り足を掴んだ!

 

弓子「そういった状況に対してあたしが対策をとってないと思ったか?甘いのはテメエの方だ!喰らいな!」

 

弓子がサマーソルトキック放つ!

 

スサノオ「くっ!」

 

スサノオは弓子の蹴りをアゴにまともに喰らった!たまらず、スサノオは掴んだ足を外してしまう。

すかさず弓子が体勢を立て直してティッチャギを放つ!

スサノオ「ぐっ!やりますね。」

弓子「全然効いてねぇ…。」

スサノオ「フフフ、こんな楽しい闘いは初めてです。」

弓子「あたしもだよ。本気で闘える相手は初めてだよ。」

スサノオ「私も全力でいかせてもらう。いざ!尋常に、勝負!」

 

 

今まで以上の気迫でスサノオが襲いかかる!

 

スサノオ「今度はこちらからいきますよ。」

 

スサノオが弓子に襲いかかる!

スサノオの攻撃!

スサノオは弓子の喉元めがけて地獄突きを放つ!

 

弓子「ここだ!喰らいな!」

 

弓子はスサノオの攻撃に合わせてカウンターのパンダルチャギを放つ!

 

スサノオ「やはりな、その攻撃は読んでいる。今度はあなたが攻撃を喰らう番です。」

 

スサノオは弓子が攻撃した足を掴み力任せに投げ飛ばす!

弓子は数メートル先の壁に叩きつけられた!

 

中島「ゆ、弓子さん!」

弓子「ぐわっ!ててて…。なんて力だよ。クソッ…。」

スサノオ「これで終わりじゃあないですよね?」

弓子「当たり前だ!この白鷲 弓子様を舐めるなよ!」

スサノオ「フフフ。そうでなくては面白くありません。いきますよ。」

 

スサノオが弓子をめがけて突っ込んでくる!

 

ジャック「弓子が危ないぞ!今オイラが助けてやるぞ!『ブフ!』」

 

ジャックフロストが弓子に突っ込んでくるスサノオに氷の玉を放つ。

 

弓子「チッ!」

 

しかし、ジャックフロストの放った氷はスサノオの前に出てきた弓子に命中した!

 

ティンク「ジャック!何してるのよ!ちゃんとスサノオを狙わないとダメじゃない!」

ジャック「違うぞ!弓子が急にスサノオの前に出てきたんだぞ!」

 

それを見たスサノオは攻撃の手を止めた。

 

弓子「クソダルマ!テメエ!」

ジャック「弓子ごめんよ。オイラ、弓子を助けようと思って…。」

弓子「あたしの闘いの邪魔をするな!」

ティンク「ジャックは弓子を助けようしたのに…そんな言い方ないよ。」

弓子「お前ら!これはあたしとスサノオのサシの真剣勝負だ!仮にあたしが殺されても絶対に手を出すな!次、手を出したらお前らからぶっ殺すからな!分かったか!」

スサノオ「…私を庇ってわざと氷の魔法を受けましたね?どうしてです?」

弓子「サシの闘いだって言っただろ?」

スサノオ「フフフ、ハハハハハ!素晴らしい!ますます気に入った!」

弓子「仕切り直しだ。かかってこいよ。」

 

弓子がスサノオを挑発する。

 

スサノオ「では、いかせてもらいます。こんなのはどうですかな?」

 

スサノオは弓子のお株を奪うネリチャギを繰り出した。

しかし、弓子はスサノオの懐に入り込んでスサノオの顔面めがけてカウンターの正拳突きを放った。

スサノオはダウンした。

 

弓子「見よう見まねでするんじゃねえよ。立てよ!」

スサノオ「今のは効きましたね。」

弓子「そりゃそうだ。テコンドーは足技だけじゃねぇぞ!」

 

弓子とスサノオの死闘が続く…。

 

弓子「くっ…こんなときに…」フラッ

スサノオ「いきますよ。」

 

スサノオの攻撃!

スサノオの強烈な拳が弓子の頬をとらえる!

スサノオの攻撃!

スサノオの拳が弓子のボディをとらえる!

弓子はダウンした。

 

弓子「がはっ!」

スサノオ「どうです?降参しますか?」

 

気力を振り絞り弓子が立ち上がる。

 

弓子「くっ…。寝言言ってるんじゃねえよ!まだだ!」

スサノオ「フフフ。そうでなくては。」

 

弓子とスサノオが同時に仕掛ける!

お互いの拳が頬をとらえる!

 

弓子「ぐわっ!」

 

弓子は力負けして吹き飛ばされた!

 

スサノオ「どうしました?お仕舞いですか?」

 

弓子が再度立ち上がる。

 

弓子「ま…まだだ…。」

 

弓子の足元がふらついている…。

 

弓子「あたしのテコンドーは誰にも負けねえ…。」

 

弓子が気力を振り絞り蹴り技を繰り出す!

しかし、スサノオは弓子の攻撃を全て受け流す。

 

弓子「クソッ!」フラッ

 

弓子は急に体勢を崩す。

スサノオはその隙を見過ごす訳もなく弓子に攻撃をする。

弓子は吹き飛ばされ壁に激突した。

 

弓子「ぐわっ!」

 

弓子は倒れた…。

 

中島「そ、そんな…。」

ティンク「弓子が負けるなんて…。」

 

中島達が弓子に駆け寄ろうとする。

 

弓子「くるな…。」

 

弓子が立ち上がる。

 

ユキムラ「弓子、駄目だよ!後はこのイケメンである僕に任せてもう寝てるんだよ!」

弓子「お前ら…。くるな…。あたしのたたかいだ…。」

スサノオ「素晴らしい…。なんて人間だ…。」

 

スサノオが弓子に止めを刺すために近づいてきた。

弓子はフラフラの状態で両手を広げて仁王立ちした。

 

弓子「スサノオ…。あたしの…負けだ…。」

スサノオ「あなたの体調が万全でしたら結果は違っていたかも知れませんね。」

弓子「真剣勝負に言い訳はしたくねえ…。それにな…この…白鷲 弓子様に…撤退の文字はねぇ…。殺れ…。」

スサノオ「本当に素晴らしい方だ…。弓子、あなたの心意気に応じて私の最大の技で倒させてもらいます!」

 

スサノオが技を繰り出す為に構える!

 

中島「だ、駄目なんだな!」

 

スサノオはデスバインドを放った!

しかし、スサノオのデスバインドは弓子の前に出てきた中島に当たった!

 

中島「うわっ!」

 

中島は吹き飛んだ!

 

弓子「なかじま…。てめえ…。」

中島「うう…。」

 

中島は立ち上がった。

 

弓子「じゃまするな…。なかじま…。」

中島「でも…。」

スサノオ「あなたは、この素晴らしき闘いに水を差すつもりですか!」

弓子「なかじま…。スサノオのいうとおりだ…。ひっこめ…。」

中島「そんなこと…。出来ないんだな!」

ティンク「そうだよ!弓子、今回復してあげるよ!」

 

ティンクは弓子に近づくが弓子に掴まれ投げ飛ばされた!

 

ティンク「きゃ!」

弓子「余計なことをするな…。」

中島「ティンク!弓子さん、どうして…。」

弓子「なかじま…。どけ…。」

 

弓子は最後の力を振り絞り中島を蹴り飛ばした。

 

弓子「スサノオ…。すまんな…。じゃまがはいった…。殺れ…。」

スサノオ「あなたとは、違う形で会いたかった…。終わりにしましょう。」

 

中島が攻撃を構えたスサノオに割ってはいる!

 

スサノオ「またですか…。仕方ない、あなたから死んでもらいます!」

 

スサノオの地獄突きが中島の腹をめがけて放たれた!

 

ユキムラ「HEY!スサノオ!このイケメンである僕をお忘れのようだね!このイケメンである僕がいる限りマスターも弓子も殺らせはしないよ…」

 

ユキムラが中島の前に出てスサノオの攻撃を受け止めた!スサノオの地獄突きがユキムラの腹を突き破った!

 

ユキムラ「ぐふっ!」

中島「ユキムラ!どうして、僕なんかのために…。」

ユキムラ「ハハハ…。そんなの…こたえは…かんたんさ…このぼくが…イケメンだからさ…。」

 

ユキムラは自分の腹を突き破ったスサノオの手を掴んだ。

 

ユキムラ「ハハハ…。スサノオ…。これでぼくたちのだいしょうりさ…。ぐふっ…。」

スサノオ「くっ、抜けない!」

ジャック「ヒーホー!今度こそオイラの魔法をお前に当ててやるぞ!『ブフーラ!』」

 

ジャックの放った氷の刃がスサノオに命中した!

 

スサノオ「その程度の攻撃で私を倒せるとも?クーフーリン、あなたは無駄死にでしたね。」

 

スサノオはユキムラの腹から手を引き抜いた。

ユキムラは倒れた!

 

ジャック「お前!許さないぞ!オイラのとっておきだぞ!喰らえ!『アイスブレス!』」

 

ジャックフロストの攻撃!

冷気のブレスがスサノオを襲う!

 

スサノオ「あなたこそ、闘いの邪魔した罪を償ってもらいます!」

 

スサノオの攻撃!

スサノオの強烈な拳がジャックフロストに命中した!

ジャックフロストは吹き飛び倒れた!

 

中島「ジャック!」

スサノオ「後は、あなただけですね。退きなさい、退かないと死んでもらいます!」

中島「いやなんだな!弓子さんは殺させないんだな!」

スサノオ「あなたに何が出来るというのです?」

 

「デキルコトハ アル!ナカジマ オレサマト ケイヤク!」

 

何者かの声が聞こえる!

 

中島「えっ?」

「シタダ!ナカジマ。」

 

中島は下を見るとパスカルがいた!

 

パスカル「アクマショウカンプログラムヲヒラケ!」

中島「わ、分かったんだな!」

 

中島は悪魔召喚プログラムを起動させた!

 

パスカル「ケイヤクノトコロデ エンターキーダ!」

 

中島は言われるままに悪魔召喚プログラムを操作した。

 

パスカル「ケイヤクカンリョウ!」

 

パスカルの体が大きく変化し、巨大な犬になった。

 

中島「パスカル?君は、いったい…。」

パスカル「オレサマハ 魔獣ケルベロス コンゴトモヨロシク!」

 

ケルベロスのパスカルが仲魔に加わった!

 

パスカル「オマエノアイテハ オレサマダ。」

スサノオ「クーフーリンにケルベロス…何故その情けない弱き者に力を貸す?」

パスカル「オレサマ オマエ マルカジリ!ダカラオマエ イッショウワカラナイ。」

 

パスカルがスサノオに襲いかかる!

パスカルの攻撃!

パスカルがスサノオの太ももを食いちぎる!

 

スサノオ「ぐっ!放せ!」

パスカル「ナカジマ オレサマ コイツヲ スコシ クイトメル!」

中島「パスカル…。」

パスカル「ナカジマ ナカマ タスケル!」

中島「そうだ、弓子さん、ユキムラ、ジャック!」

ティンク「中島!みんなを近くに集めて!」

中島「ティンク、分かったんだな!」

 

中島は倒れたみんなを近くに集めた。

 

ティンク「みんな!死なないで!『メディラマ!』」

 

ティンクの魔法で仲魔達の傷が回復した。

 

ユキムラ「うう…。」

弓子「…。」

ジャック「…ヒ、ヒーホー…。」

 

ユキムラとジャックは意識を取り戻したが弓子は倒れたままだ。

その時、中島の後ろで声がした。

 

スサノオ「後は、あなただけですよ?覚悟はいいですか?」

中島「えっ?」

 

中島は後ろを振り返った。

 

スサノオ「せっかくケルベロスが時間を稼いだというのに…。逃げなかったとは…。」

中島「パスカルは?」

スサノオ「そこに転がっていますよ。噛みついてきましたので、少々躾をしましたが。」

 

見るとパスカルがぐったりと倒れている。

 

中島「パスカル!」

スサノオ「おっと、行かせませんよ。」

 

スサノオは右手で中島の喉を掴んだ。

 

中島「うう…。」

スサノオ「これで終わりです。」

ティンク「ダメー!『ジオンガ!』」

 

ティンクの雷の魔法がスサノオに命中した。

 

スサノオ「…。そういえばいましたね。このような情けない男など見捨て逃げればよいものを…。」

中島「てぃ、てぃんく…。にげるんだな…。」

ティンク「イヤだよ!もう一度!」

スサノオ「この私がもう一度喰らうとお思いですか?」

 

スサノオはティンクの体を左手で掴んだ。

 

ティンク「うう…。くるしい…。」

スサノオ「直ぐに楽になりますよ。」

中島「うう…。てぃんく…。」

 

スサノオは両手に力を込める。

 

スサノオ「死になさい!」

中島「てぃんくを…はなせ…。」

スサノオ「まだ、息があるのですね。しかし、あなたが弱いからいけないのですよ?」

中島「ティンクを…。はなせ…。」

スサノオ「またそれですか?あなたが弱いからこの妖精も死ぬのです。」

ティンク「うう…。なか…じ…ま…。」

中島「ティンクを…放すんだな!」

 

中島は掴まれた喉を払いのけた!

 

スサノオ「なに?」

中島「ティンクを放すんだな!」

 

中島の攻撃!

中島はスサノオに全身全霊のタックルを仕掛けた!

スサノオはとっさの事で尻餅をついた!

その隙にティンクはスサノオの手から抜け出した!

 

ティンク「ごほっ!」

中島「ティ、ティンク!良かったんだな!」ポロポロ

 

中島は安心して涙を流した。

 

ティンク「な、中島?」

中島「本当に無事で良かったんだな!」

ティンク「うん、ぼろぼろだけどね。」

中島「ティンク、パスカルに回復魔法をかけてほしいんだな。」

ティンク「うん。任せてよ!」

スサノオ「させませんよ。」

中島「君の相手は僕がするんだな!」

スサノオ「退きなさい!」

中島「退かないんだな!!」

スサノオ「何も出来ないあなたが言うセリフではありませんね。死になさい!」

 

スサノオの攻撃!

スサノオのデスバインドが中島を襲う!

中島はマトモに喰らい大ダメージを受けた!

 

スサノオ「やはり、口だけでしたか。それでは他の者も止めを刺すとしますか。」

中島「うう…。まだなんだな…。僕はまだ生きているんだな…。」

 

中島が力を振り絞り立ち上がる。

 

ティンク「中島!」

中島「てぃ、ティンク…。ぼ、僕は平気なんだな…。みんなに回復魔法を…。」

スサノオ「くっ…。これでとどめです!」

 

スサノオの攻撃!

スサノオの地獄突きが中島の腹を突き破った!

 

スサノオ「終わりですね…。」

 

スサノオは中島の腹を突き破った手を引き抜いた。

しかし、中島が力を振り絞り再度立ち上がる!

 

中島「ま…まだ、僕は死ねないんだな!」

スサノオ「何?何故立ち上がれる!」

ティンク「中島!直ぐに回復するよ!『ディアラマ!』」

 

中島の腹の傷がふさがった。

 

中島「てぃんく…。僕よりみんなを…。」

スサノオ「分からない…。何なんだ、この男は?何故、そこまで…。」

ティンク「『メディラマ!』」

 

仲魔達が回復した。

 

パスカル「オレサマ ゲンキ コンドコソ オマエ マルカジリ!」

 

パスカルが立ち上がった!

 

中島「パスカル!良かった…。無事で良かったんだな。」

スサノオ「何なんだ…この男は…。」

中島「パスカル、みんなを安全な所へ連れて行ってほしいんだな。」

スサノオ「この私がそんなことをさせるとお思いですか?」

中島「き、君の相手は僕なんだな!」

 

中島の攻撃!

中島のパンチがスサノオに当たった。

ペチ!スサノオには全然効いていない。

 

スサノオ「…。」

 

スサノオは中島を払いのけた。

 

中島「うわっ!でもまだなんだな!」

パスカル「ナカジマ オレサマ タタカウ!」

中島「パスカル、お願いなんだな!君はみんなを安全な所へ!」

ティンク「中島!あたしも戦うよ!」

中島「ティンク、パスカルと一緒に行くんだな。」

ティンク「中島…。なんで…。」

中島「パスカル、ティンクもお願いなんだな。」

パスカル「ワカッタ!マカセロ!」

 

パスカルは弓子とジャックとユキムラを背中に乗せて逃げ出した!

 

スサノオ「くっ!逃げられたか…。」

中島「ティンク、君も早く行くんだな。」

ティンク「中島を置いて行くなんてイヤだよ。」

中島「ティンク…弓子さんもジャックもユキムラもまだ危険な状態なんだな。」

ティンク「でも…中島が…」

中島「僕は大丈夫なんだな。」

ティンク「分かったよ…。中島…死なないでね。」

 

ティンクはパスカルの後を追って飛んで行った。

 

スサノオ「理解できません。何故です?あなたはサマナーですよね?」

中島「うん、そうなんだな。」

スサノオ「だったら、何故使い魔を助ける?あなたは使い魔を盾にして逃げる事ができた筈です。」

中島「君は何を言っているだな?」

スサノオ「私が今まで殺してきたサマナー達は皆、劣勢になるとそうしてきた。何故、使い魔を庇う?」

中島「使い魔?」

スサノオ「あの妖精やクーフーリン達の事です。」

中島「ティンクもユキムラもジャックもパスカルもみんな僕の大切な友達なんだな!そんな言い方してほしくないんだな!」

スサノオ「友?」

中島「そうなんだな。だから、誰も君には殺させはしないんだな。」

スサノオ「理解できませんね…。あなたの存在が不愉快です。何も出来ない男が…。」

 

スサノオの攻撃!

スサノオの強烈な拳が中島の頬をとらえる!

スサノオの攻撃!

スサノオの拳が中島の腹をとらえる。

スサノオの攻撃!

スサノオの蹴りが中島の頭に直撃する!

中島はダウンした。

 

スサノオ「死にましたか…。口だけのつまらない男です。どれ、この男の仲魔も殺すとしますか。まだ遠くには行ってないはずだ。」

中島「ま…まつんだな…。」

 

中島はよろめきながら立ち上がる!

 

中島「みんなのところへは…いかせないんだな…。」

スサノオ「しつこいですね…。」

中島「僕が…あいてなんだな…。」

 

中島の攻撃!

ペチ!ペチ!中島のパンチがスサノオに当たるがスサノオには全然効いていない。

 

スサノオ「退きなさい。」

 

スサノオの攻撃!

スサノオは中島を投げ飛ばした!

 

スサノオ「さて、行きますか。」

中島「ま…まつんだな…。」

スサノオ「どうせ、あまり動けないでしょうから先にあなたの仲魔を殺してきます。そこに居てなさい、最後に殺してあげますよ。」

中島「いかせないんだな!僕がみんなを守るんだな!」

 

中島は懸命にスサノオにしがみつく!

 

スサノオ「しつこい!」

中島「あああああああああ!!」

スサノオ「何をするつもりだ!この男!」

 

中島は自分の魔力を暴走させた!

 

スサノオ「何?この力は!まずい!」

 

中島の無意識で放ったメギドがスサノオと辺り一帯に放たれた!

 

スサノオ「この男はいったい!」

 

中島は魔力を使い果たして倒れた…。

 

 

 

 

その頃逃げ出したティンク達は…

 

「あれは?おーい!こっちッス!」

 

行きに送ってくれた作業員のしたっぱが軽トラで待っていた。

 

ティンク「あれ?まだ居たの?」

「探偵さんの顔色が良くなかったから心配で近くで待っていたッス!」

ティンク「弓子が全然目を覚まさないんだよ。回復魔法が効かないの…。」

「探偵さん?」

 

作業員のしたっぱが弓子の体を揺さぶった。

 

「!!スゴい熱ッス!いつからッスか?それより病院にいかないとダメッス!」

ティンク「えっ?」

「急いで行くッス!ワンちゃんはみんなを荷台に乗せるッス!」

パスカル「ワカッタ!」

ジャック「にぃちゃん…。ばぁちゃんのいるびょういんに…オイラ…顔パスだから…すぐに見てもらえるぞ…。」

「昼間の病院ッスね!みんな、飛ばすからしっかり掴まっているッス!」

パスカル「マカセロ!」

 

作業員のしたっぱの計らいで急いで病院に向かった。

 

ティンク「みんな、しっかり『メディラマ!』」

ジャック「ティンク、ありがとう。楽になったぞ!」

ユキムラ「ティンク、マスターは?」

パスカル「ナカジマ スサノオ クイトメテル」

ジャック「だ、誰だお前!」

ユキムラ「うわー!助けて!」

ティンク「落ち着いてよ、二人とも。パスカルだよ…。」

ジャック「えっ?パスカル?」

ユキムラ「本当に?」

パスカル「オレサマ コレガ シンノスガタ!」

ユキムラ「そうか、分かったよ!さてはパスカル、成長期なんだね!それで大きくなったんだ!」

パスカル「オマエ ウザイ!オレサマ オマエ マルカジリ!」

 

パスカルはウザいユキムラに噛みついた。

 

ユキムラ「ああああ!イケメンの僕を噛みつかないでくれたまえ!ああああ!」

ティンク「…。」

 

ユキムラは回復させなきゃ良かったと思うティンクであった…。

 

 

少しして一同は病院にたどり着いた。

 

「みんな、着いたッス!急いで探偵さんを運ぶッスよ!」

 

みんなで弓子を運んだ。

 

「なんだい?騒々しい。」

ジャック「あっ!ばぁちゃん、弓子が大変なんだ!助けてくれよ!」

「ちょっと見せておくれ。肺炎になりかかっているじゃないか!お前達、直ぐに病室に運ぶよ!手伝っておくれ。」

ユキムラ「ハハハ!このイケメンである僕に任せてよ!」

 

ユキムラが弓子をおんぶして病室まで運んだ。

 

「ほら、あんたらは病室から出な!」

 

一同は弓子を病室に入れて部屋を出た。

 

「自分は一度帰るッス。また後日にお見舞いに行くッス。」

ティンク「助けてくれてありがとう!」

ジャック「にぃちゃんのおかげで助かったぞ!」

ユキムラ「お礼にこのイケメンである僕のサインをあげるよ。」

「それはいらないッス。妖精さん達、バイバイッス!」

 

作業員のしたっぱは帰っていった。

 

ユキムラ「ティンク、ジャック、君達は弓子をお願いするよ。僕はマスターを助けに行く。」

ティンク「ユキムラ、あたしも行くよ。」

ジャック「オイラも行くぞ!」

パスカル「オレサマ ナカジマ タスケル!」

???「あなた達、その必要はありませんよ。」

ジャック「誰だ!」

 

皆は声がした後ろを振り返った。

 

スサノオ「この状態で自動車を追いかけるのは一苦労しましたよ。」

ティンク「ス、スサノオ!なんでここに?」

ユキムラ「君がここにきたって事は…まさか!」

スサノオ「勘違いしないでください。あなた方のサマナーはここに居ますよ。お返しします。」

ジャック「中島は無事なのか?中島に何かあったらオイラが許さないぞ!」

スサノオ「力を使い果たして私の背中で眠っているだけです。全く…いつまで寝てるのですか…。いい加減起きなさい。」

 

スサノオは中島を床に叩きつけた。

中島が目を覚ました。

 

中島「痛っ!あれ?ここは?」

ジャック「中島!」

ユキムラ「マスター!良く無事で!」

パスカル「ナカジマ ブシ オレサマ ウレシイ!」

ティンク「中島~!あたし、心配したんだよ!良かったよ~!」

 

ティンクが中島に飛びついた!

 

中島「ティンク、心配させてごめんなんだな。みんなも無事で本当に良かったんだな!」

ユキムラ「マスター、このイケメンである僕がいながら危険な思いをさせてごめんよ!」

中島「ユキムラ、僕なんかの為に無茶はしないでほしいんだな。友達の君に何かあったら僕は…僕は…。」ポロポロ

 

中島はみんなが無事で嬉しくて涙した。

 

スサノオ「全く…情けない男だ…。何故、私はこんな男に…。」

中島「あっ!君はスサノオ!どうして?」

スサノオ「今ごろ気づいたのですか…。」

中島「まさか?君はみんなに酷いことを?」

スサノオ「しませんよ。私があなたをここに連れて来たのに…。」

中島「そうだったんだな…。スサノオ、ありがとうなんだな。」

スサノオ「敵である私に礼を言うのか…この男は…。意味が分からない…。」

 

ガチャ!病室のドアが開いた!

 

「あんたら、病院内では静かにしな!後、白鷲 弓子が目を覚めたから入ってきな!」

 

中島達は病室に入った。

 

弓子「ここは?」

「みんながあんたを命懸けで連れて来たんだよ。」

弓子「あっ、ババア。って事はここは病院か。」

「流石の白鷲 弓子も肺炎には勝てなかったようだね。1週間は入院だから大人しくしていな。」

 

ヨモツシコメの婆さんは病室を後にした。

 

中島「ゆ、弓子さん、目が覚めて良かった…。本当に良かったんだな…。」ポロポロ

弓子「中島、テメエ。あたしの闘いの邪魔しやがって、泣いてるんじゃねえ。」

中島「うう…。良かったんだな…。」ポロポロ

弓子「良くねえ!クソッ、この点滴がなかったら蹴り倒してるのに…。」

ティンク「弓子、病人なんだから大人しくしていなよ…。」

弓子「テメエらもだ。あたしが退院したら覚えておけ、特にクソダルマ!」

ジャック「な、中島、助けて。」

ユキムラ「ハハハ!ジャックが弓子に魔法を当てるからじゃないか!」

弓子「ユキムラ、テメエも蹴り倒される運命なんだよ。」

スサノオ「あなた達、退いて下さい。弓子、よろしいですか?」

弓子「あっ!スサノオ!」

スサノオ「弓子、私はあなたの事が大変気に入りました。そこで1つ提案があります。」

弓子「…何だよ。」

スサノオ「あなたが退院してから1ヶ月後、お互いに万全の状態で再戦してもらえますか?」

弓子「何で1ヶ月後なんだ?あたしが退院してから直ぐで良いじゃないか。」

スサノオ「私が万全ではありません。これを見てください。」

 

スサノオはおもむろにテレビの電源を入れた。

テレビから臨時ニュースが流れてきた。

 

「本日、午後2時過ぎに津島神社で原因不明の爆発事故がおきました!幸い怪我人はなく…」プチ

 

スサノオはテレビの電源を消した。

 

弓子「なんだ今のは!」

スサノオ「そこの男が放ったメギドによるものです。私もまともに喰らいました。左腕は取れかけ、腹はえぐれて生きてるのが不思議なくらいです。」

弓子「まじかよ…。良く生きてるな…。」

 

弓子とスサノオは中島の方に目をやった。中島はまだ泣いている。

 

中島「うう…。」ポロポロ

弓子「あれを中島が?」

スサノオ「ええ…。」

弓子「お前、これからどうするんだ?」

スサノオ「どこか、住む場所を捜す所からですね。」

弓子「ああ、それなら心配するな。中島!」

中島「うう…。」ポロポロ

弓子「いつまでも泣くな!」

中島「ゆ、弓子さん…。」ポロポロ

弓子「中島!スサノオを事務所に連れて行け。」

ティンク「弓子、何を言い出すのよ!」

弓子「いいか中島!お前が神社を破壊するからスサノオの住む場所が無くなったんだよ。責任取れ!」

中島「えっ?僕が神社を破壊?」

スサノオ「弓子、彼は無意識でした事です。自覚はありません。」

弓子「自覚がある無いは関係ねえよ。チビ、スサノオを回復させろ!ユキムラ、テメエはスサノオと部屋をシェアしろ。」

ユキムラ「ちょっと弓子!何を言い出すのだい。このイケメンの僕が部屋をシェアしたら女の子を連れ込めないじゃないか!」

ティンク「弓子!何でスサノオを回復させなきゃいけないのよ!」

パスカル「オンナ ビョウニン。イウコト キカナクテイイ。オレサマ マルカジリ。」

 

パスカルが弓子に襲いかかるが弓子のカウンターの正拳突きを喰らいダウンした。

 

弓子「バカ犬、残念だったなぁ。てめえがこの白鷲 弓子様に勝つなんて100年早いんだよ!」

パスカル「オレサマ コウサン。オレサマ オマエ フクジュウ。」

 

パスカルは青天の体制になり弓子に服従した。

 

弓子「バカ犬、この白鷲 弓子様に逆らったら次はこれぐらいじゃすまねえぞ!お前ら!この世で一番偉いのは誰だ!」

一同「白鷲 弓子様です…。」

弓子「良く分かっているじゃねえか。そう言うことだ。お前ら、さっさと取りかかれ!」

ティンク「『ディアラマ!』」

 

スサノオの傷は回復した。

 

弓子「おー、チビ。物分かりいいな!しっかりスサノオを回復させろよ。」

ティンク「弓子が無理やりやらせてる癖に…。」

弓子「何か言ったか、チビ。」

ティンク「何も言ってないよ…。『ディアラマ!』」

スサノオ「何かすみません…。」

弓子「あたしは2日後には治すからな。クソダルマ、退院したらぶっ飛ばしてやるからちゃんと遺書を書いとけよ。400字の原稿用紙3枚以上だからな。」

ジャック「なんでオイラだけ…。」

中島「ゆ、弓子さん、おばぁさんも1週間は安静って言ってたんだな。無理をしたら駄目なんだな。」

弓子「なーかーじーまー。いいか?この白鷲 弓子様の辞書に撤退の文字はねえ。相手がウイルスだろうが逆らう奴はぶっ殺してやるんだよ。分かったら行け!」

 

バタン。中島達はスサノオを連れて事務所に帰っていった。

 

 

 

 

弓子「この白鷲 弓子様があいつらに助けられる事になるとはな。」

 

 



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コンピューターウイルス 前編

スサノオとの戦いから2日後の事だった。弓子が宣言どうりに病院から退院してきた。

 

弓子「お前ら、大変だ!兄貴が帰ってくる!」

ジャック「ヒーホー!大輔の兄ちゃんお土産買ってきてくれるかな?」

弓子「バカ野郎!ケチな兄貴が土産なんか買うわけねえだろ!」

ティンク「弓子?お兄さん何処に行ってたの?」

弓子「ああ、スサノオを探しに島根県までだ。」

スサノオ「弓子のお兄さんですか?帰って来たらちゃんと挨拶しないといけませんね。」

弓子「何を呑気な事を言ってるんだ!お前がいるから問題なんだよ!」

ユキムラ「ハハハ!問題なんてなんにもないさ。みんなスサノオって名乗らなければいいだけじゃないか!」

弓子「はぁ?」

ユキムラ「彼は昨日からこの僕と同じイケメンおもてなし武将隊に加わったんだよ!そう!これからの名前はスサノオではなく、本多 タダカツさ!」

中島「本多 タダカツ…。徳川最強の男なんだな。」

弓子「徳川最強の男、本多 タダカツか。お前にピッタリの名じゃねぇか!ってそんな事で兄貴が誤魔化せられるか!」

ジャック「みんなでタダカツって呼んでいたらきっと大丈夫だぞ!」

弓子「まぁ、いいか。タダカツ!お前、兄貴が帰って来ても絶対に自分がスサノオだって名乗るなよ。」

タダカツ「わ、分かりました。それより弓子、この後、お昼が過ぎましたら少し町を探索したいのですがご一緒していただけますか?」

弓子「なんだよ、何処か行きたい所でもあるのかよ。」

タダカツ「ええ、この町は興味深い物が沢山有ります。特にこの八丁味噌!私は大変気に入りました。昨日もユキムラと共にいくつか八丁味噌を購入致しましたがまだまだ購入しきれていませんので見に行きたいのですよ。」

弓子「まぁ、いいや。一緒に行ってやるよ。その代わり帰りにトレーニングに付き合えよ。」

タダカツ「ええ、分かりました。ああ!今からが楽しみです!」

ティンク「とりあえずそろそろお昼だしご飯にするよ。」

弓子「チビ、今日の飯はなんだ?」

ティンク「野菜たっぷりのポトフだよ。みんなの分を注いでくるよ。」

 

みんなで談笑していると大輔が帰って来た。もちろん手ぶらで…。手土産の1つも買ってこない、本当にケチな男である。

 

大輔「みんな、ただいま…。」

弓子「お、おう、兄貴、帰って来たんだな。」

大輔「弓子、何か変わった事はなかったかい?」

弓子「2、3日でそうそう変わった事があってたまるかよ。何もねえよ。」

大輔「ふーん…。所でニュースで見たのだけど…津島神社で何か凄い事故があったみたいだけど。」

ジャック「大輔の兄ちゃん、物知りだな!」

大輔「津島神社はスサノオ所縁の地なんだ。僕が島根県まで行って直ぐの出来事なんだよ。何か知ってるよね。」

弓子「はぁ?知らねえよ。」

大輔「所でソイツは何者だい?」

 

大輔はスサノオを指差した。

 

ユキムラ「ハハハ!彼の名は本多 タダカツ、僕と同じイケメンおもてなし武将だよ。」

大輔「本多 タダカツ…。君…スサノオだよな。」

タダカツ「は、はい。そうです…。」

弓子「タダカツ!お前、素直に答えてるんじゃねえよ!」

タダカツ「いや、聞かれたので…。」

大輔「何でスサノオがここに居るんだよ!どういう事なんだよ!」

 

簡単にバレてしまった。

 

弓子「小さい事をガタガタ言うなよ。そんな事だから兄貴は友達が一人も居ないんだよ。」

大輔「小さい事じゃないだろ!スサノオは僕達の親の仇じゃないか!何を考えているんだ!」

 

珍しく大輔が大声をあげる。

 

弓子「しょうがないだろ。中島の奴が神社を魔法で滅茶苦茶にしたからこいつが住むとこ無くなったんだよ。だから連れて来たんだよ。文句があるなら中島に言えよ。」

大輔「中島君が?」

タダカツ「ええ、お兄さん。彼の放ったメキドで私も死にかけました。」

大輔「お前がお兄さんって言うなよ!お前が僕達の両親を殺したんだろうが!」

弓子「そうだぞ兄貴、タダカツがあたし達の頭がおかしいキチガイの両親を殺してくれたんだからちゃんと「ありがとうございました」ってお礼を言えよ。」

大輔「何でだよ!親が殺されてお礼を言う奴が何処に居るんだよ!」

弓子「あー、何を怒ってるんだよ。帰って来てそうそう兄貴はうるせえな。」

タダカツ「なにか弓子がすみません…。」

大輔「お前のせいだよ!」

タダカツ「すみません…。お兄さん。」

大輔「だからお前がお兄さんって言うなよ!」

中島「あ、あの、そろそろお昼ご飯だからお兄さんも気持ちを静めて欲しいんだな。」

大輔「もういいよ!」

 

大輔は諦めたのか事務所のソファに座った。

 

「いやー!」

中島「ティンクの声なんだな。」

 

中島達はティンクの叫び声が聞こえたので急いで台所に向かった。

 

弓子「どうしたチビ、ゴキブリでも出たのか?」

ティンク「せっかく作ったポトフが…。なんで…。」

タダカツ「ああ、それですか。最後の味付けがまだのようでしたので私が仕上げに八丁味噌を入れておきました。」

ティンク「何してくれるのよ!」

タダカツ「いや、味付けがまだのようでしたので…。」

ティンク「こういうお料理なの!煮込んだお野菜とお野菜のお出汁を楽しむお料理なの!」

タダカツ「しかし、八丁味噌はとても素晴らしい食材です。使わない手はありません。」

ティンク「これじゃただのお味噌汁じゃない!どうしてくれるのよ!」

タダカツ「まぁ、できたみたいですのでいただきましょう弓子。」

弓子「あ、ああ…。」

 

タダカツは八丁味噌の入ったポトフを自分と弓子の分だけ注いだ。

 

タダカツ「では、いただきましょう。」

ティンク「ちょっと!何で自分と弓子の分だけなのよ!」

タダカツ「私がここで敬愛しているのは弓子だけです。それに私は弓子と出かける約束があるので時間が無いのです。」

ティンク「あんた!ちょっと協調性が無さすぎよ!」

中島「まあまあティンク、抑えるんだな。僕達もせっかくだから食べるんだな。」

ティンク「うん、そうだね…。せっかく一生懸命作ったのに…。」

弓子「おうチビ、これ結構いけるぞ。」

ティンク「なんでもおいしいって言う弓子に褒められても嬉しくないよ。」

 

中島達はそれぞれ席に着いて食事を始めた。

 

大輔「そうだ弓子、この後直ぐに依頼人に会いに行って欲しいんだ。」

弓子「はぁ?今言うなよ。たまには兄貴が行けよ。どうせ毎日兄貴は暇だろうが。」

大輔「僕はこれから別の依頼主にここで会う約束なんだよ。で、行く場所はここのオフィス街だから気をつけるんだよ。」

弓子「ちっ、しょうがねえな。タダカツ、買い物はまた今度だ。」

タダカツ「弓子、私もご一緒します。」

中島「弓子さん、気をつけてなんだな。」

弓子「なーかーじーまー!テメエも来るんだよ!」バキ!

 

弓子の蹴りが中島にヒットした。

 

中島「い、痛い…。」

弓子「行くぞ、早くしろ中島!」

中島「あっ、弓子さん、待って欲しいんだな。」

ティンク「中島!あたしも行くよ!」

 

こうして中島と弓子は新たな依頼に向かった。

 

大輔「所で、君達は行かないのかい?」

ユキムラ「僕は今日、イケメンおもてなし武将隊のショーの日なんだよ。今日はタダカツがいるからマスター達は心配ないよ。」

ジャック「オイラはパスカルの散歩をしないといけないぞ。それじゃあオイラ行ってくるぞ。」

ユキムラ「僕もファンのみんなが待っているから行ってくるよ。」

 

事務所は大輔を残してみんな出ていった。

 

 

 

 

 

中島達はビジネス街にやって来た。

 

弓子「このビルだな…。行くぞ。」

中島「あっ…。ここ…。」

ティンク「中島?どうしたの?」

中島「ここの会社、僕が前に勤めていてクビになった所なんだな。」

弓子「中島、お前が愚図だからクビになったんだよ。どうせ会社の連中はお前なんか覚えていねぇよ。」

ティンク「弓子!そんな言い方はないじゃない!ねぇ、中島?何でクビになっちゃったの?」

中島「僕は退社時間になったから節電のためにパソコンのコンセントを全部引き抜いて帰ったんだな。それで次の日、出勤したらパソコンのプログラムが全て故障したとか言われていきなりクビになったんだな…。」

 

それだけの一大事を起こしてクビだけですんでむしろラッキーである。

 

ティンク「…。ま、まあ過ぎた事を気にしてもしょうがないじゃない。」

弓子「まあ、あたしが知ったことじゃないからいいか。行くぞ。」

タダカツ「分かりました。」

弓子「中島!早くしろ!」

中島「あっ!待って欲しいんだな!」

 

一同はビルの中に入った。奥に進むといきなり警備員に呼び止められた。

 

「君達、ちゃんと来客名簿を書いて…。」

弓子「どけ!」バキ!

 

弓子がこめかみを蹴りあげ警備員を気絶させた。

 

弓子「よし、行くぞ!」

ティンク「行くぞ、じゃないよ!何で毎回警備員の人を蹴るのよ!」

弓子「いちいち説明するの面倒だろうが。これが1番手っ取り早いんだよ。」

タダカツ「そうですね、行きましょう。」

 

こうして依頼人の居る会社に入っていった。

 

エレベーターに乗り依頼主の居る会社に入った。

 

弓子「依頼主の社長は居るか?」

「なんだね君達は?」

弓子「依頼を受けて来た探偵だ。社長に用事があるんだよ。」

「探偵?そんな胡散臭い者達を社長に会わす訳にはいかないな、帰りたまえ!」

弓子「なんだテメェ、あたしはここの社長に呼ばれて来たんだよ!したっぱのお前がでしゃばってるんじゃねえよ!」

「課長の私に向かってなんて口の聞き方だ。そんな者を社長に会わす訳にはいかん!帰れ!」

弓子「お前が課長だぁ?どう見ても無能のバーコードハゲにしか見えないけどなぁ。」

 

弓子の発言でオフィスの所々でクスクスと笑い声が聞こえる。

 

「それにお前!モニターで見てたが警備員を蹴り倒して来ただろ!」

弓子「いいから社長を呼べよハゲ!」

「まだ完全にハゲてはない!見ろ!このフサフサの髪を!」

 

フサフサではない。ハゲである。課長の発言で社員達は笑いをこらえる事が出来ずに仕事どころでは無くなっている。

 

弓子「タダカツ!なんか腹立つからこいつの髪の毛を全部むしれ!」

タダカツ「御意。」

 

タダカツが会社の課長の髪の毛をむしろうとした時、奥のドアが開いた。

 

「何事ですか!騒々しい!」

「しゃ、社長!」

弓子「お前が社長かぁ!依頼で来た探偵だ。」

「探偵さん?いきなり入って来ては駄目じゃないか。警備員の人にちゃんとアポをとらないと。」

弓子「まあ、過ぎた事をガタガタ言ってもしょうがないだろ。で、依頼ってなんだよ。」

「ここじゃなんだから奥の社長室で話をしましょう。」

 

弓子達は社長室に案内された。

 

弓子「なんか社長室のわりに質素な部屋だな。」

「会社のお金で無駄遣いは出来ませんからね。どうぞお掛けください。」

 

弓子達はソファに腰掛けた。

 

「早速ですが、話をさせてもらってもよろしいですか?」

弓子「ああ。」

「ちょっと前からですが、前日作成した会社のパソコンのプログラムが明くる日急に消えたりする異常がありまして…。」

弓子「パソコンのプログラム?あたしらには専門外だよ。」

「パソコンの修理を出したのですが異常がなくて…。それにその消されたプログラムがその次の日に修復されていたりとか、とにかく不思議な事が色々と起きるのです。」

弓子「他に変わった事はないのか?」

「そうですね…。昨日、楽しみにとっておいたチョコレートがなくなっていた事がありました。」

弓子「他には?」

「う~ん、電気代がここ最近少し高くなってる位ですかね…。」

弓子「誰かのイタズラにしか思えないな…。」

「今の所は会社の業務に支障はあまりないのですが気味が悪くて…。探偵さんに調査をお願いしたいのです。」

弓子「警備員にでも任せたらいいじゃねえか、わざわざあたしらに頼まなくても…。」

「警備員からは毎日異常がないと報告を受けていまして、もしかしたら…。」

弓子「お化け、悪魔の仕業かも知れないって事か?」

「はい、お願いできますでしょうか?」

弓子「う~ん、分かった。引き受けてやるよ。でも、今の話を聞いただけではな、期待に応える事が出来ないかも知れないぞ。」

「そうですか…。」

弓子「お化けも悪魔も関係無いかも知れないからな。ちなみに会社は何時までだ?」

「6時までです。基本的に社員には残業はさせないので7時までには全員帰りますね。」

弓子「そうか。じゃあ、7時から朝まであたし達が会社を見張っといてやるよ。」

「お願いします。」

 

夜になった。今日は天気が良いので空には大きくて綺麗な満月が見える。18年に一度のスーパームーンである。

 

弓子「よし、行くぞ。」

中島「よ、夜になったらビルの中が薄気味悪くて怖いんだな。」

ティンク「悪魔なんか出てきてもあたしがボコボコにしてあげるよ!」

タダカツ「早く行きましょう。悪魔がいるなら私がボコボコにしてあげましょう。」

中島「ふ、二人ともどうしたんだな?」

タダカツ「今宵は満月です。気持ちが高ぶるのは当然の事です。」

ティンク「そうだよ!今日は綺麗な満月だよ!早く行こうよ!」

弓子「なんだよ…。いつになくやる気だなチビ。」

ティンク「弓子!何をちんたらしてるのさ!ぶっ飛ばすよ!」

タダカツ「そうです!」

弓子「分かったよ、うるせえな。」

 

珍しく弓子が圧倒されながら再びオフィスに向かう。見回りの警備員が悲鳴を上げながらこちらに向かってくる。

 

「でででででたー!!!!」

弓子「おい、どうした!」

「あ、あんたは?」

弓子「ここの社長に呼ばれて来た探偵だ!何があった?」

「た、探偵さん?オ、オフィスのパソコンが!勝手に動いて!ひぃぃぃ!」

ティンク「びくびく怯えてる人間なんてボコボコだよ!エーイ!」ペチ!ペチ!

 

ティンクが警備員の顔をペチペチキックをしている。

 

「痛!ちょっと!痛!何をするんだ!」

ティンク「ボコボコだよー!」

「ちょっと!何だ?妖精?」

弓子「中島!そのチビを捕まえてろ!」

中島「わ、分かったんだな。ティ、ティンク、駄目なんだな。大人しくするんだな。」

 

中島はティンクを捕まえて胸ポケットに入れた。

 

中島「警備員さん、ごめんなさいなんだな。」

「あ、ああ。お陰で少し落ち着いたよ、ありがとう。」

弓子「チビがすまなかったな。で、オフィスで何があった?」

「あっ、そうだった。オフィスのパソコンが全部ついていたので気になって覗いてみたら緑色をした子供位の大きさの生き物がたくさんいてパソコンをいじっていたのです。」

弓子「低俗の悪魔だな…。」

タダカツ「低俗の悪魔ごときに怖れて職務放棄するような警備員はこの世に必用ありません。ボコボコにしましょう。」

「へ?何を?」

 

タダカツが警備員めがけてパンチを繰り出す。

 

弓子「タダカツ!止めろ!お前、さっきからちょっとおかしいぞ!」

タダカツ「逆らう者は全てボコボコにします。お月様!ピカピカー!」

 

タダカツが弓子に襲いかかる!

 

弓子「あー…。駄目だこりゃ。中島!お前はその警備員を連れて悪魔がいるオフィスに行け!あたしはタダカツをぶっ飛ばしてから行く!」

中島「タダカツを?」

弓子「今のあたしは絶好調だ。冷静じゃないこいつなんかあたしの相手にならねえよ。だから行け!」

中島「わ、分かったんだな!」

「行きましょう!」

ティンク「お月様ピカピカー!」

中島「ティ、ティンク!暴れたら駄目なんだな、大人しくするんだな!」

ティンク「ピカピカー!」

 

中島は警備員と共にオフィスに向かった。

 

タダカツ「お月様!ピカピカー!」

弓子「なんだよこれ…。違う意味でヤベエな。元に戻るのかよ…。」

タダカツ「ピカピカー!」

弓子「遂に言葉を喋れなくなったぞ…。」

 

 

 

 

中島は警備員に案内されてオフィスの中に入った。中は子供位の背丈で全身緑色をした悪魔が6匹パソコンを起動させている。

 

「オラ、絶好調だべー!お月様!ピカピカー!」

「ピカピカー!」

中島「い、いっぱいいるんだな…。怖いんだな…。」

「それでは探偵さん、よろしくお願いします。」

 

警備員が中島を残して戻っていった。

 

中島「えっ?ちょっと、ぼ、僕を一人にしないでほしいんだな。」

「誰だべ?」

 

中島は悪魔達に見つかってしまった!

 

「あっ!おめえは!」

中島「ぼ、ぼぼ、僕は中島 朱美なんだな。」

「ちょっと前にパソコンのプログラムを壊した奴だべ!」

「あっ!オラも思い出したべ!」

「おめえ!またプログラムを壊しに来ただな!あの時オラ達が徹夜でプログラムさ直したんだべ!」

中島「ぼ、ぼ、僕は…。」

「おめえみたいな奴、オラ達がボコボコにしてやるだ!」

「お月様!ピカピカー!」

「ピカピカー!」

 

グレムリンが6匹現れた!

グレムリンはいきなり中島に襲いかかった!

 

「お月様!ピカピカー!」

「ピカピカー!」

 

グレムリンの攻撃!

爪で中島を引っ掻いた!

グレムリンの攻撃!

鋭い牙で中島を噛みついた!

グレムリンの攻撃!

爪で中島を引っ掻いた!

 

中島「ううぅ…。き、君達、落ち着いて欲しいんだな。」

「おめえなんてボコボコにしてやるだー!ピカピカー!『ジオ!』」

 

グレムリンの攻撃!

グレムリンの放った雷が中島を襲う!

グレムリンの攻撃!

鋭い牙で中島を噛みついた!

 

中島「ぼ、僕は戦いに来たんじゃないんだな…。僕の話を聞いて欲しいんだな。」

「会社のプログラムを壊しに来た人間はボコボコにしてやるだ!」

ティンク「ボコボコにされるのはお前達だよ!いくよ!お月様!ピカピカー!」

 

テンションがおかしくなったティンクがグレムリン達に突っ込んで行く!

 

「おめえなんて返り討ちにしてやるだ!お月様!ピカピカー!」

「ピカピカー!」

 

グレムリンの攻撃!

鋭い爪がティンクに襲いかかる!

 

中島「だ、駄目なんだな!」

 

中島はティンクを庇い傷を負った!

 

中島「ううぅ…。」

「おめえ!邪魔するでねえだ!」

中島「ティンクは僕の大事な友達なんだな。痛い思いをするのは僕だけで良いんだな。」

「だったらその妖精ごとおめえをやっつけてやるだ!全員でかかるべ!」

 

グレムリンが一斉に中島に襲いかかる!

絶体絶命のピンチである!

 

「なーかーじーまー!てめえ、ちょっとは反撃しろよ!」

「ぐわっ!」

「ぐえっ!」

 

弓子の蹴りでグレムリン達を蹴散らした!

 

弓子「今だ!窓のカーテンを閉めて月が見えないようにしろ!」

「は、はい!」

 

弓子の一声で先程の警備員が急いでカーテンを閉めていく。

 

ティンク「あ、あれ?あたし、何をしていたんだっけ?」

中島「ティンク?元に戻ったんだな!でも…何でなんだな?」

弓子「ああ、あの満月が原因だ。」

 

弓子に蹴り飛ばされたグレムリン達が起き上がってきた。

 

「あれ?オラ達、何をしていただ?」

「思い出せねえだ。」

弓子「よう!お前達がここでパソコンのプログラムを消していた張本人だな。」

中島「ゆ、弓子さん。待って欲しいんだな!」

弓子「どけ、中島!」

中島「彼等の言うことを聞いてあげて欲しいんだな。」

弓子「じゃあ、お前が話を聞けよ!あたしは気絶させたタダカツを連れてくるからそれまでに聞いとけ。」

 

弓子はオフィスを出ていった。

 

中島「僕達はここのパソコンの入力したプログラムが消える原因を調べに来たんだな。君達はここで何をしていたのか教えて欲しいんだな。」

「おら達はプログラムを消したりしてねえだ。」

ティンク「じゃあ何をしていたのよ。」

「おら達は今日も消されていたここの会社の兄ちゃん達が毎日一生懸命作成したプログラムを修復していただ。」

「だって、毎日必死で作ったプログラムが消されるなんて可哀想だべ。だからおら達が直していただ。」

中島「そうだったんだな。」

「そうだおめえ、二度とパソコンのコンセントを引き抜いたらダメだからな!」

中島「わ、分かったんだな。」

 

中島達が話し込んでいると弓子がタダカツを連れて入って来た。

 

弓子「中島、話は終わったか?」

タダカツ「弓子、お手を煩わせてすみません。」

中島「あっ、弓子さん。タダカツも。」

弓子「ああ、タダカツもやっと正気にもどったよ。所で話は終わったか?」

タダカツ「話?そこの悪魔達の仕業なのでしょう。力で叩きのめせばいいだけの事です。」

 

タダカツがグレムリン達に殴りかかる。

 

中島「だ、ダメなんだ…ブヘッ!」

 

中島はタダカツの放ったパンチをまともに喰らった!

 

タダカツ「何をしているのですか、何故その悪魔を庇うのです。」

中島「彼等は悪くないんだな。」

弓子「中島、ちゃんと説明しろ。」

タダカツ「弓子、その悪魔達を倒せばすむ話ではないですか。」

弓子「タダカツ、話を聞いてからでも遅くはないだろ。」

タダカツ「弓子がそう言うなら…。」

 

中島は弓子達にグレムリン達の事を説明した。

 

弓子「要するに、プログラムを消した奴は他にいるって事か。」

中島「そうなんだな。」

タダカツ「それであなたはその悪魔達の言うことを簡単に信用したと言うことですか?」

「おら達はウソをついてはいねえだ!」

タダカツ「ウソをつく者がウソをついていますと言うのですか?」

ティンク「ちょっと!何を言い出すのよあんた!」

中島「彼らを信じてあげて欲しいんだな!お願いなんだな!」

タダカツ「何を甘いことを言ってるのですか貴方は。退いてください。」

 

タダカツが再度グレムリン達を殴りかかる。

 

弓子「タダカツ!止めろ!」

タダカツ「弓子、私は…。」

弓子「お前の言うことは間違ってはいないがここは中島の言う通りにしろ。まあコイツらがあたしらを騙していたとしたらぶっ飛ばしたらいいだけだしな。」

タダカツ「………分かりました。」

中島「タダカツ、ありがとうなんだな!」

タダカツ「…。」

ティンク「ちょっと!中島がお礼を言ってるのに何を無視してるのよ!」

弓子「チビ、止めろ。そっとしてやれってくれ。あたしは社長に連絡するからお前らは少し待っててくれ。」

中島「分かったんだな。」

「おら達はどうなるだ?」

中島「ちゃんと社長さんに説明したら分かってくれるんだな。」

「そうだべか?」

「おめえ、優しい奴だな!」

「おら達、おめえ気に入ったぞ!」

中島「ありがとうなんだな。」

 

中島はグレムリン達と仲良く話をしだした。少し離れてタダカツは様子を見ている。

 

タダカツ「分からない…。何故あの男は敵かもしれない者を信じる事ができる?」

弓子「それが中島だ。そういう奴だ。」

タダカツ「ゆ、弓子!いつの間に戻って来たのですか?」

弓子「今だよ。社長がすぐに来るってよ。」

タダカツ「そうですか。しかし弓子。私にはあの男が分かりません。あの男は弱いのに何故皆が慕うのかが…。あの男と契約している悪魔達は皆あの男より遥かに強いのに…どうして…あのグレムリン達まであの男を慕いだしている…。」

弓子「タダカツ、心の中では分かっているはずだ。ただ、認めたくないだけだろ。」

タダカツ「私が認める者は強い者だけです。」

弓子「まあいい、そのうち分かるさ。」

 

 

 

少しして依頼主の社長が到着した。

 

「探偵さん!なにか分かったのですか?」

弓子「ああ社長さんか。早かったな。」

「ええ。」

 

弓子は依頼主に今までの経緯を説明した。

 

「そうですか。彼らがプログラムを直してくれていたのですね。」

 

社長さんはグレムリン達に近づいた。

 

「君達のおかげで私の会社は今まで大事に至らなかった。ありがとう!」

「おら達はただ…。パソコンってのが気に入っていじくっていただけだべ。」

「おら達こそここにあったチョコレートとキャンディーを勝手に食べてしまってごめんだべ。」

「私のチョコレートを食べたのは君達かい?」

「ごめんなさい。」

「あれ、凄く美味しかっただろ?私のお気に入りなんだよ。また食べさせてあげるよ。」

 

依頼主の社長さんはすっかりグレムリン達を気に入ったようである。

 

ティンク「でも、そのプログラムってのを消した犯人って誰なんだろう?」

タダカツ「内部の人間…。の可能性があるかもしれませんね。」

弓子「内部の人間にプログラムを消すメリットがないだろ。」

「特定の社員を陥れる為にやるって可能性がありますね。その辺は課長に相談して内部の人間を探っていきましょう。」

弓子「課長?あのバーコードハゲか?役にたつとは思えねえけどな。」

「課長はプログラムの作成とかは出来ないけどあれで社員の人望はあるのですよ。」

弓子「パソコン使えない奴がいてもただの給料泥棒だろ。」

「給料泥棒かどうかは明日、見てもらえば分かるよ。」

弓子「まあ、真犯人を見つけないといけないしな。明日1日ここにいるよ。」

「それにしても今日はとても綺麗な満月なのにカーテンを締め切って勿体無い。」

 

社長さんはカーテンを全て開けた。

 

「お月さま、ピカピカー!」

タダカツ「ピカピカー!」

ティンク「ピカピカー!」

 

悪魔達が一斉に暴れ出した。

 

「うわっ!みんな暴れ出した。なんだこれは?」

弓子「余計な事するなよ!中島!急いでカーテンを閉めろ!」

中島「わ、分かったんだな。」

 

弓子が悪魔達をぶっ飛ばしている間に中島が急いでカーテンを締め切った。

 



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コンピューターウイルス 後編

次の日…。

 

 

中島達は朝から依頼主のオフィスの社長室に来ている。オフィスのプログラムを消した真犯人を見つける為だ。

 

「皆さん、朝から来ていただきありがとうございます。」

弓子「ああ、それよりなにか対策があるのか?」

「ええ、それは課長が来てからお話します。」

 

コンコン、ドアがノックされた。

 

「社長、失礼します。」

「課長、朝早くから呼び出してすまないね。」

弓子「よう、バーコードハゲ!」

「あっ!お前らは昨日の探偵!何をしに来た!」

「私が呼んだのです。取り合えず座ってください。」

弓子「早くしろよ、役立たずの窓際族。お前待ちだったんだよ。」

 

相変わらずの物の言い様である。

 

「で、皆さん揃った所でよろしいでしょうか?」

弓子「ああ。」

「昨日の夜、探偵さん達に調査していただいた結果、今まで消されたプログラムを修復してくれていたこちらのグレムリン君達に遭遇しました。」

「グレムリン?」

弓子「簡単に言うと悪魔だよ、ハゲ。」

「ハゲは余計だ、それより悪魔だと?」

中島「でも課長さん、彼等は悪い悪魔ではないんだな。」

ティンク「そうだよ。毎晩プログラムを直してくれていたんだよ。」

「そうなのか…。それより毎晩?そんな夜遅くまで起きているから君達は肌が緑色をしているのではないのか?ダメだよ、私の様に規則正しい生活をしないと。食事はちゃんとしているのかね。」

「おら達、キャンディーとかチョコレートとか食べているだべ。」

「お菓子ばかりじゃないか。よし、今日のお昼は私が行きつけの定食屋に連れて行ってあげよう。」

弓子「ハゲ、話を脱線させるなよ。」

「話を続けてもいいかな?」

「社長、すみません。」

 

社長さんの話が再開された。

 

「で、私は外部の仕業ではないとしたら内部、社員の仕業ではないかと思うんだ。」

「しゃ、社長!お言葉ですが社員達はみんな毎日必死で頑張っています。我々がみんなを信じてあげないとどうするのですか!」

弓子「だから話を脱線させるなよハゲ。黙って最後まで聞けよ。」

「何だと!社員のみんなは優秀な者ばかりだ!外部のお前に何が分かるんだ!」

弓子「ハゲ、この白鷲 弓子様に楯突くとはいい度胸だな。真犯人の前にお前からぶっ飛ばしてやろうか?ええ?」

「課長も探偵さんも落ち着いてください。課長の言い分も分かります。しかし、グレムリン君達が居なかったら会社は存続の危機でした。なので内部の人間を洗い出す為にグレムリン君達に1つのプログラムを作ってもらいました。」

中島「プログラム?」

「はい、このプログラムはほかのプログラムを消去しようとするとシステムエラーが出てパソコンから激しい光が出てきます。このように。」

 

社長さんは自分のノートパソコンを開いてプログラムを作動させた。

 

タダカツ「おお!これなら犯人が一発で分かりますね。」

「はい。これを会社のパソコン全てにプログラムされています。」

弓子「で、あたし達はそのプログラムを起動させた奴をぶっ飛ばしたらいいんだな。よし、任せておけ。」

「手荒な事は余り控え目にお願いします。課長はいつも通り振る舞って皆に怪しまれない様に探りを入れて下さい。」

「分かりました。そろそろみんな出勤してくる時間ですので失礼します。」

 

課長は社長室から出ていった。

 

タダカツ「あの方は大丈夫でしょうか…。」

弓子「ああ。少なくとも悪い奴では無さそうだな。まあ、あたし達は犯人が出てくるまで気長に待つか。」

社員達が次々と出勤してきた。

 

「課長、おはようございます!」

「やあ、おはよう。」

「おはようございます。」

「おはよう、なんだ?眠そうじゃないか。」

「すみません、昨日寝付けなくて…。」

「そんな時はブラックのコーヒーでも飲んでスッキリしたまえ。どれ、私が入れてこよう。」

「課長、いつもすみません。」

「ハハハ!気にしなくていいんだよ。」

「おはようございます課長!」

「おはよう!」

 

そろそろ朝礼の時間にさしかかった。

 

「おはようございます…。」

「おはよう!どうしたんだ?ギリギリじゃないか。」

「すみません…。電車を1本乗り過ごしてしまって…。」

「なんだなんだ、朝食はちゃんととったのかね?」

「それが…。コンビニでサンドイッチを買ったのですが…。まだでして…。」

「サンドイッチには紅茶だな…。どれ、この前買ったアールグレイがあるので是非とも飲んでくれたまえ。」

「課長…。わざわざそんな…。」

「いやー、うちの会社のみんなはコーヒー派が多くてね。紅茶はなかなか減らないのだよ。気にせず飲みたまえ。」

 

課長の様子を社長室にあるモニターで中島達が見ている。

 

ティンク「課長さん、いい人だね。」

中島「うん。」

「課長はいつも社員一人一人に気をかけているんだ。」

タダカツ「ただ周りに媚びているだけではないですか…。」

「じゃあ、君は課長と同じように年下の者に振る舞えるかい?」

弓子「あたしは無理だな。」

タダカツ「出来ませんね。」

「そう、普通は出来ない。ましては部下だからね。ただパソコンのプログラムを作成する人はいくらでも代わりは居るけど彼の代わりは誰にも出来ない。だから課長なのさ。社員のみんなもそれを分かっている。どれ、そろそろ朝礼の時間だからみんなに顔を出してくるよ。」

 

社長さんは朝礼の為に社長室から出ていった。

 

タダカツ「彼、課長さん。格闘技のたしなみがありますね。下の社員など力で言うことを聞かせた方が早いのでは…。」

弓子「それをあえてしないから課長になれたんだろうな。あたしは探偵で良かったよ。会社勤めなんか絶対出来ねえ。」

ティンク「弓子だったら上司を蹴り飛ばしてそうだもんね。」

弓子「ああ、就職活動の時に何人の面接官をボコボコにしたことか…。」

中島「弓子さん、就職活動してた時があったんだな…。」

弓子「ああ、兄貴が面接だけ社会勉強の為に何度か経験しろってうるさかったからな。それよりお前ら、ちゃんとモニターを見とけよ。」

タダカツ「人間社会ってのは色々と複雑なのですね。心底人間で無くて良かったと思います。」

そろそろお昼休みの時間になった。社員達はオフィスから出ていった。

 

弓子「もう昼か、早いな。」

タダカツ「何も起きませんね。内部の犯行ではないのでしょうか。」

弓子「気を抜くなよ。」

 

コンコン、ガチャ。中島達が待機している社長室のドアが開かれた。

 

「探偵、差し入れを買ってきた。一息いれるがいい。」

 

課長が差し入れにおにぎりと飲み物を買ってきてくれた。

 

中島「課長さん、ありがとうなんだな。弓子さん、少し休憩するんだな。」

弓子「なーかーじーまー。気を抜くなって言ったばかりだろうが!」

ティンク「今はオフィスに誰もいないから大丈夫だよ。」

「所で探偵、犯人は見つかったのかね?」

弓子「まだだ。」

「それはそうだろう。うちの社員が犯人な訳ないからな。それより例のグレムリン君達はどうしたんだ?」

タダカツ「彼等は社長さんが何処かに連れて行きました。」

「そうか…。せっかく定食屋に連れて行こうと思っていたのに残念だ。」

タダカツ「課長さん、1つお聞きしてもよろしいですか?」

「君はそこの女探偵と違って礼儀正しいね。なんだね?」

タダカツ「課長さん、あなたは何か武術の心得がありますね?」

「ああ、空手をしているが。一応は黒帯だ。それがなにか?」

タダカツ「ええ、それだけの力があるのにどうして使わないのですか?モニターで見ていましたが部下の者に媚びないであなたの空手で言うことを聞かせた方が早いと思うのですが…。」

「私が部下に媚びている?君は何を言っているのかね?媚びているではない。私は恥ずかしながらパソコンはちんぷんかんぷんでね。だからせめて皆が気持ちよく働ける様にと動いている。だから私は当たり前の事をしているだけだ。それに力では誰も従わない。」

ティンク「課長さん、優しいね。」

中島「課長さん、偉い人なのにとても良い人なんだな。」

「私は何も偉くない。偉いのは社員のみんなだよ。」

弓子「誰か戻って来た。パソコンをいじっている。」

 

弓子の一言でみんなオフィスが映っているモニターを凝視する。

 

弓子「課長、こいつは誰か分かるか?」

「ああ、私の息子の忠志だよ。私が社長に頼みこんで入社させたのだよ。」

中島「課長さんの息子さん…。」

「モニターを拡大してくれるか?」

弓子「ああ、どうしたんだ?何か気になる事があるのか?」

「忠志のデスクじゃない。まさか…。」

 

オフィスのパソコンのプログラムが作動した。

 

弓子「よし、捕まえるぞ。」

 

皆、急いでオフィスに向かう。

 

「なんだこれは!くそっ!」

 

パソコンのディスプレイが眩しく光っている。

 

「忠志ー!貴様ー!」

 

先にオフィスに着いた課長がパソコンのプログラムを消去しようとした犯人の上に乗りタコ殴りにしている。

後から来た弓子達が急いで課長を止めに入る。

 

弓子「ハゲ!お前が殴ってるんじゃねえよ!」

タダカツ「課長さん、落ち着いてください!」

「探偵!止めるな!」

 

課長はタダカツに取り押さえられた。

 

「ちくしょう!」

弓子「おっと、逃げるなよ。お前はあたしにぶっ飛ばされる運命だ。」

タダカツ「課長さん、落ち着いてください。あなたが本気で殴ったらその人は死んでしまいますよ。」

「こんなみんなの足を引っ張るような穀潰しは死んだらいい!」

「クソー!それが親の言う台詞か!ちくしょう!」

 

弓子に取り押さえられている犯人が暴れようとする。

 

弓子「てめえ、暴れようとするな。それにな、お前の親父のバーコードハゲはここでは上司になんだから口の聞き方に気を付けろ。」

 

弓子よ、お前も少しは口を慎め。

 

「お前にもっと地位があれば俺はなんの苦労はしねえのに!くそが!どいつもこいつも俺を見下しやがって!ちくしょう!」

 

犯人は自分勝手な主張を繰り返す。

 

「忠志ー!貴様と言う奴はー!その腐った根性を叩き直してやる!」

 

課長が再び犯人を殴りにかかる。

 

中島「課長さん、待って欲しいんだな。君は何でこんな事をするんだな?」

「何でだと?何もかも全てが気に入らねえからだ!この席の奴も俺を見下して!その前の席の女はこの俺の誘いを断りやがり!そして!てめえはそんな奴等にヘコヘコしやがって!挙げ句の果てにはここの社長は少しは親父を見習えとか抜かしやがる!」

ティンク「あんた!勝手過ぎるよ!」

「このチビ!てめえも俺をバカにするのか!もういい!会社もてめえらも町も全て無くなってしまえ!」

 

犯人の体がみるみるうちに形を変えていく。とっさに弓子は危険を感じて取り押さえた犯人を離す。

犯人は体を炎に包み込まれた姿に変身した!

 

弓子「ちっ!悪魔の仕業だったか。」

タダカツ「なかなか強い悪霊ですね。」

「忠志が悪魔?」

弓子「バーコードハゲ、ここからはあたし達の仕事だ。下がっていな。」

「オオオオオオ!憎い!全てがあああああ!みんな死ねええええええ!」

「そんな…。忠志が…。」

 

悪霊 インフェルノが現れた!

 

「オオオオオオ!憎いいいいい!」

 

インフェルノはアギラオを唱えた!

大きな火の玉が課長に襲いかかる!

 

中島「あ、危ないんだな!」

 

中島はとっさに課長の前に立ち火の玉をまともに喰らいダメージを被った。

 

「君!大丈夫かね!何故私を庇ってくれた?」

ティンク「中島、大丈夫?」

中島「ぼ、僕は痛いのは慣れっこだから大丈夫なんだな。課長さん、今のうちに避難するんだな。」

「すまない。」

 

ガチャ。その時、間が悪く外出先から社長さんとグレムリン達が帰ってきた。

 

「課長、今戻って来た…って、な、な、な、なんだ、あ、あれは!」

弓子「アイツが真犯人だ。このタイミングで戻って来るなよ。」

「あああああ!オオオオオオ!」

 

インフェルノのパニックボイス!

 

「うわー!な、なんだ!」

「なんて声だ…頭が痛い。」

「やかましい声だべ。頭が痛いべ…。」

タダカツ「もう理性がありませんね。」

ティンク「みんな、しっかり!『メパトラ!』」

「頭が痛いのが収まった…。」

弓子「チビ、よくやった。社長、ハゲ!今のうちに避難しろ!」

???「おやおや、逃がしはしませんよ。」

 

突然、空間に出来た歪みから悪魔が1体出てきた。

 

弓子「何者だテメエは?」

メルコム「ホホホ、私は堕天使メルコムと申します。以後お見知りおきを。」

 

メルコムと名乗る悪魔は弓子に軽く会釈した。

 

中島「あ、あ、あ、悪魔がまた出てきたんだな。こ、怖いんだな。」

メルコム「ホホホ、私自身は戦いに来たのではないので怖がらなくてもよろしいですよ。今日は白鷲 弓子、貴女にお礼をかねて来たのですよ。」

弓子「お礼だぁ?」

メルコム「ええ、貴女方がドリアードを倒してくれたので封印が解けましてね。お陰で地上に出ることが出来ました。大変感謝しています。で、ここに来たもう1つの理由は、社長さん。貴方が社長に就任して直ぐに幹部の人間を何人か解雇しましたね?」

「ええ、父さんから会社を受け継いだ時にいた幹部の人達は皆、部下に対するパワハラやモラハラを働く者達だったのでね。当然、直ぐに解雇しましたよ。今からでも当時の社員達が訴えたら実刑判決が出ると思いますよ。証拠は押さえていますので。」

メルコム「ほう、それはそれは。しかし、私はその解雇された方々から貴方の抹殺を依頼されましてね。」

「社長を抹殺だと!」

「社長さんは良い人だべ!」

メルコム「良い人か悪い人かなんて私には関係ありません。私は依頼を受けお金を頂いたから抹殺するだけです。社長さん、貴方を抹殺する悪魔をお呼びいたしましょう。『サバトマ!』」

 

メルコムが悪魔を召喚した。

 

「オオオオオオ!」

叫び声をあげながら悪霊 レギオンが現れた!

 

中島「ま、また出てきたんだな。いっぱい顔があるんだな。」

メルコム「ホホホ、どうですか?私が作成した合成悪魔は、素晴らしいとは思いませんか?」

弓子「合成悪魔だぁ?なんだそれは?」

メルコム「ホホホ、この合成悪魔レギオンは社長さん、貴方に恨みをもつ者達の生き霊、魂、それらを一纏めにしたものです。」

タダカツ「生き霊?と言いましたね?では、この霊魂の肉体は生きていると言うことですか?」

メルコム「ええ、まあこれだけ魂が重なりあうと元の肉体も自我を保っていないでしょうが。」

ティンク「酷い…。」

メルコム「私が酷い?バカを言ってはいけません!手段は選ばないから恨みを晴らしてくれと私にお願いしてきたのは彼等です。それに人間の世界では人を呪えば穴二つと言うではないですか。彼等の自業自得ってやつですよ。」

弓子「ごたくはいい。お前の言う通りその逆恨み野郎共はただの自業自得だしな。メルコムって言ったな。まとめて相手をしてやるからかかってこいよ。」

メルコム「白鷲 弓子、貴女と戦ってもお金にはなりませんからね。私は退散させていただきます。ご縁があればまたお会いしましょう。」

 

メルコムは空間に歪みを開けてその中に入り消えていった。

 

弓子「ちっ、逃げやがった。」

タダカツ「弓子、構えてください。来ます!」

弓子「緑のクソガキ共!」

「おっかねえねぇちゃん、なんだべ?」

弓子「お前らはハゲと社長を避難させろ!急げ!」

「分かっただ。」

 

「オオオオオオ、お前らあああああ、みなごろしいいいいい!」

 

インフェルノが社長達に襲いかかる!

 

弓子「おい、火だるま糞野郎!お前の相手はこの白鷲 弓子様だ!先ずは挨拶がわりだ、こいつを喰らいな!」

 

弓子の攻撃!

弓子のパンダルチャギがインフェルノのこめかみにヒットした!

インフェルノはふらつきダウンした!

 

弓子「熱っ!、ただ攻撃しても火傷してしまうな…。」

ティンク「弓子!無茶だよ!ジャックやユキムラを呼んでくるよ!」

弓子「そんな暇はねえよ!…。そうか、チビお前が居たな。作戦を言うから耳を貸せ。」

 

弓子はティンクに自分の考えた作戦を耳打ちした。

 

ティンク「はぁ?弓子…。バカなの?」

弓子「作戦開始だ!行くぜ、火だるま糞野郎!」

 

弓子がインフェルノに向かって突進する!

 

ティンク「ほんとにするの?無茶苦茶だよ…。」

 

弓子がインフェルノと戦う背後からレギオンが近づいて来た。

 

「オオオオオオ!ぜぜぜぜんいんんん!しねええええ!」

タダカツ「おっと、弓子の戦いの邪魔はさせませんよ?」

 

タダカツがレギオンと戦うために構えをとる。

 

中島「待って欲しいんだな!ぼ、僕に考えがあるんだな!」

 

中島が悪魔召喚プログラムを起動させた。

 

タダカツ「何をなさるつもりですか?」

中島「元々は人間だから話ができるかもしれないんだな。」

タダカツ「何を甘い事を、立ち塞がる敵は倒せば良いのです。」

中島「でも、もしかしたら戦わなくても良いかもしれないんだな。『こんにちわ、僕は中島 朱美なんだな。君達の事を教えて欲しいんだな。』」

「オオオオオオ!オオ?オオオ。」

 

中島の悪魔召喚プログラムの声にレギオンが反応した。

 

中島『僕は君達に酷い事はしないんだな。だから怖がらなくても大丈夫なんだな。』

「オオ?オオオ?」

 

中島の悪魔召喚プログラムの声に反応してレギオンに殺意が無くなっていった。

その後ろでタダカツは呆然と中島を見ている。

 

タダカツ「私にはこの男が理解できない…。何故、敵に心を開くのだ?」

 

中島がレギオンの相手をしている頃、弓子は懸命に戦っている。

 

弓子の攻撃!

弓子のトリョチャギがインフェルノの胴にヒットした!

 

ティンク「『ディア!』」

 

弓子の攻撃!

弓子のティッチャギがレギオンの腹にヒットした!

 

ティンク「『ディア!』」

 

弓子の攻撃!

弓子のティットラチャギがインフェルノの顔面にヒットした!

インフェルノは弓子の連続攻撃にたまらずダウンした!

 

ティンク「『ディアラマ!』」

 

ティンクが弓子の火傷した体を瞬時に回復させる!

 

「オオオオオオ!ガアアアア!」

 

インフェルノがふらつきながらなんとか立ち上がってくる。

 

弓子「火だるま糞野郎、次でトドメだ!行くぜ!」

 

弓子の攻撃!

弓子のアッチャオルギが炸裂する!

インフェルノは蹴り上げられて宙に舞う!

弓子の攻撃!

弓子のティオティッチャギが宙を舞った

インフェルノの顔面に炸裂する!

弓子の攻撃!

散々攻撃を喰らい尻餅ついたインフェルノに対してトドメのネリチャギを放つ!

インフェルノの頭はかち割れた!

インフェルノは断末魔をあげ消滅した!

 

弓子「よし、見たか!この白鷲 弓子様に逆らう奴はみんなこうなるんだよ!」

タダカツ「弓子!美しき連続技のキレ!素晴らしい勝利です!」

ティンク「…『ディアラマ!』」

弓子「チビ、あたしの靴が火だるま糞野郎の炎で焦げているじゃないか!ちゃんとしろよ!」

ティンク「そこまでは知らないよ!」

 

弓子はインフェルノを倒した!

 

弓子「タダカツ、中島はどうした?」

タダカツ「ええ、彼はあの合成悪魔を説得するつもりです。」

弓子「あれは流石に無理だろ?」

 

弓子達は後ろを振り返った。

 

「オオオオオオ!アアアアアア!イイイイイイ!」

中島「『大丈夫なんだな。落ち着くんだな。』」

「ワワワワカゾウウウウ!オオオオオオレニイイイイイ!エラソウニイイイイイイ!」

中島「『お、落ち着くんだな。僕は、君達の話を聞きたいだけなんだな。』」

「オオオオオオハナシイイイイ!ナカマアアアアアア!」

 

レギオンの様子がおかしい…。

 

ティンク「中島…。」

タダカツ「弓子、私はいつでも破魔魔法をかけれる準備をします。よろしいですか?」

弓子「ああ、なんか様子がおかしい…。」

 

「ナナナナナナナナカマアアアアアア!オオオオオオオマエエエエエエ!」

中島「『どうしたんだな?』」

 

レギオンが近づき中島を取り込みだした。

 

中島「『ううう…。君達…。こんなことになって辛かったんだな…。』」

「オオオオオオ!ナカマアアアアアア!フエルウウウウウ!」

 

中島はレギオンの置かれている状況に同情して涙した。

 

「アアアアアア!ナカマアアアアア!」

弓子「中島!コイツらに話は通じねえ!そこから抜け出せ!」

ティンク「中島ー!弓子!中島が!」

弓子「分かってるよ!チビ、あのゲロシャブ野郎を殺った時と同じ要領でいく。いいな?」

ティンク「わ、分かった。」

 

弓子がレギオンに突進していく!

 

タダカツ「弓子!いけません!今近づいたら!」

 

弓子の攻撃!

弓子は勢いをつけてティオヨプチャギをレギオンに取り込まれた中島に向けて放つ!

しかし、弓子の攻撃はレギオンの体をすり抜けた!

 

「オオオオオオ!アアアアアア!」

弓子「何!?中島は霊体じゃないだろ?何故すり抜けた!」

ティンク「そんな…。中島…。」

タダカツ「弓子!下がってください!私が殺ります!喰らいなさい!『マハンマオン!』」

 

タダカツの放った破魔魔法がレギオンを消滅させていく!

 

ティンク「うそ…。消えちゃった…中島…。」

弓子「まさか…。中島ごと殺ったのか?」

タダカツ「ええ…。」

ティンク「なんて事を…。中島を返して!返してよ!」

タダカツ「彼の心があの悪魔の悪意に染まっていなければ大丈夫なはずです…。」

 

消えたレギオンの居た場所から倒れた中島の姿が現れた。

 

弓子「中島…。大丈夫なのか?」

 

ティンクが倒れた中島に近づいた。

 

ティンク「中島ー!大丈夫?しっかりして!」

中島「ううーん。あれ?ぼ、僕は?」

 

中島が目を醒ました。

 

ティンク「中島ー!良かったよう!あの悪魔を一緒に消えちゃったから心配したんだよ!」

 

中島が無事でティンクが中島に飛びついた。

 

中島「あの悪魔?消えた?どう言うことなんだな?」

タダカツ「ええ、あの合成悪魔は私が破魔魔法で倒しました。」

中島「え?そんな…彼等は利用されてあんな姿に…。」

タダカツ「…。」バチン!

 

タダカツが無言で中島の頬に平手打ちをした。

 

ティンク「ちょ、ちょっと!いきなり何を!」

タダカツ「貴女は黙っててください!!」

ティンク「何よ!」

弓子「ティンク、タダカツの言う通りにしろ。」

ティンク「だって!」

弓子「良いから今はタダカツに任せろ。」

中島「い、痛い…。」

タダカツ「痛いじゃありません!!貴方は!何をしているのですか!!」

中島「ぼ、僕は、彼等を…。」

タダカツ「自分の命を捨ててまですることですか!!」

中島「でも…僕は…。」ポロポロ

 

中島は泣き出した。

 

タダカツ「貴方が死んでは元も子もないでしょうが!!」

中島「でも…。」ポロポロ

タダカツ「何がでも…ですか?貴方が死んだら悲しむ者達がいるのです!!それが分からないのですか!!いいですか?今後は敵に対してはその様な八丁味噌かき氷シロップのような甘い考えは捨てる事です。分かりましたね?」

弓子「まあ、そう言うことだ中島。」

中島「僕は…。」

弓子「なーかーじーまー。いいか?あいつらは自業自得だ。そんな奴等の為にお前が命を捨てる事はねえ。これからはそこの所は割りきって行動することだ。」

中島「でも…。もしかしたら…。」

タダカツ「貴方と言う人は…。まだその様な八丁味噌かき氷シロップのような甘い事を言ってるのですか?」

弓子「なーかーじーまー!まだグダグダ言ってると蹴り倒すぞ!」

中島「でも、弓子さんは何もないときも僕を蹴ってくるんだな。」

弓子「口答えするな!」バキ!

中島「痛い…。」

 

結局弓子に蹴られる中島であった。

 

弓子「所でタダカツ。」

タダカツ「なんでしょう?」

弓子「さっきからその八丁味噌かき氷シロップって何だよ。例えならもっと何かあるだろ。」

ティンク「味噌のシロップって甘いのかしょっぱいのか分かりにくいよ。」

タダカツ「ああ、八丁味噌かき氷シロップですか。昨日、この会社に向かう途中で見つけて購入したのです。ほら、ジャックはかき氷が好物で今日の朝もかき氷を作って冷凍庫に保管していましたので今朝、私の八丁味噌かき氷シロップをかけておいたのです。きっと彼は今頃、私に感謝しながら喜んで食しているに違いありませんよ。」

弓子「…。」

ティンク「…。」

中島「…。」

タダカツ「皆さん?どうしましたか?」

中島「何でもないんだな…。」

弓子「と、取りあえずは依頼完了だな…。社長達に報告するか…。」

ティンク「そ、そうだね…。」

 

きっとジャックは今頃、タダカツを恨みながら八丁味噌かき氷を泣きながら食べているであろう。

 

 

 

 

弓子は一連の事をオフィスの外にいる社長さん達に説明した。

 

「そうでしたか…。私の行動が原因でその様な事になったとは…。」

弓子「まあ、アイツ等の自業自得だから気にするな。それより緑のガキ共はどうするんだ?」

「そうですね。彼等さえ良ければうちの会社に居て貰いたいのですが…。」

「おら達、ここに居てもいいだべか?」

「君達が居たから会社は大事に至らなかったんだよ。これからもよろしくお願いするよ。」

「やったべー!また、パソコンを使えるべ!」

弓子「大丈夫かよ…。コイツら仮にも悪魔だぞ…。」

中島「みんな、出ていく事がなくて良かったんだな…。」

「おめえ、中島って言ったな?」

中島「うん、そうなんだな。」

「おめえの持っているノートパソコンかしてけろ。」

中島「これ?」

 

中島は悪魔召喚プログラムをグレムリン達に渡した。

 

「おら達がバージョンアップしてやるだ。」

 

グレムリン達が悪魔召喚プログラムをいじりだす。

 

「よし、おめえのパソコンにオートマッピング機能をつけてやったべ。」

中島「オートマッピング?」

「これはインターネットの地図機能を改良しておめえの仲魔が今、何処にいるかが一発で分かる機能だべ。」

中島「凄い、あっ!ユキムラが今、名古屋城に居るんだな。」

ティンク「凄いね、これ!みんなが何処にいるか分かるよ!」

タダカツ「そろそろ我々はおいとましましょうか。」

弓子「そうだな。」

「探偵、待ってくれ!」

 

課長が弓子達を呼び止める。

 

「君達にはいくら感謝しても足りないくらいだ、ありがとう。」

弓子「気にするな。また何かあったらいつでも呼んでくれバーコードハゲ!」

「誰がハゲだ!」

弓子「ハハハ、暇な時にでも事務所に来たら茶ぐらいは出してやるよ。」

「口の悪い女だ。まあ近くに寄るときがあれば顔ぐらいだしてやろう。」

弓子「ああ、またな!お前ら帰るぞ!」

中島「あっ!弓子さん、待って欲しいんだな!」

 

中島達、一行は依頼を解決させ事務所に戻るのであった。

 

ティンク「でも、意外だね。弓子が『お茶を出してやるよ』だなんてさ。社長さんじゃなくてあの課長さんにだよ。」

タダカツ「余程あの課長さんの事が気に入ったのではないでしょうか。」

弓子「まあな。依頼じゃなかったらゆっくり話をしたかったな。」

中島「いい人だったんだな。」

弓子「ああ、あんなできた人間はめったにいないからな。アイツの髪の毛をむしりとって全部煎じてケチ臭い兄貴に飲ませてやりたいくらいだよ。」

タダカツ「弓子、そうすると課長さんは髪の毛が無くなり丸ハゲになってしまいます。」

弓子「例えだよ。例え。帰るぞ!」

タダカツ「そうですね。帰りましょう。」

 

 

 

 

 

事務所に戻ってきた。

 

中島「ただいまなんだな。」

ジャック「中島ー!聞いておくれよー!オイラが楽しみにしてたかき氷がー!」

中島「ああ…うん…。」

 

中島達が帰るなりジャックに泣きつかれた。

 

ティンク「やっぱり…。」

弓子「ああ…。」

ユキムラ「ハハハ、みんなお帰り!さては、このイケメンである僕が恋しくなって急いで帰って来たんだね!」

弓子「な訳ないだろ!所で兄貴は何処に居るんだ?」

ユキムラ「弓子達とは別の依頼主の所に行っているよ。」

弓子「別の依頼?何だよ大繁盛だな。」

タダカツ「弓子、食事の準備が出来ました。いただきましょう。」

ユキムラ「タダカツ、もしかして君が作ったのかい?」

ティンク「ユキムラ、どうせ弓子と自分の分しか作っていないよ。だってコイツ、弓子の事しか考えていないもん。」

タダカツ「それは貴女の偏見ですよ。今朝だって私はジャックの為に作りおきしていたかき氷に八丁味噌かき氷シロップをかけてあげておいたのです。」

ジャック「お前かー!オイラが楽しみにしてたかき氷をー!」

弓子「うるせえな、お前ら!とっと飯にするぞ!」

タダカツ「そうですね。早く食べましょう。皆さんも席について下さい。」

 

タダカツに言われるまま皆はテーブルについた。

 

ユキムラ「あっ!みんなの分があるよ!」

 

テーブルを見ると人数分のどんぶりが置かれている。

 

ジャック「あっ!ちゃんとオイラ達の分があるぞ!」

タダカツ「あ、当たり前ではないですか…。」

弓子「まあ、いいや。食べようぜ!」

パスカル「オレサマ オオキイ!リョウガスクナイ!」

 

見るとパスカルが巨大化している。

 

弓子「このバカ犬、飯の時だけでかくなるな!蹴り倒すぞ!」

パスカル「オレサマ ハラペコ。イッパイクウ!」

タダカツ「仕方ありませんね。1つ余った分があるのでこれを食べなさい。」

弓子「タダカツ、バカ犬を甘やかすなよ。」

タダカツ「では、次回からはぶん殴って黙らせることにします。ではいただきましょう。」

パスカル(アイツコワイ…。)

中島「ううっ…。」ポロポロ

 

中島が泣き出している。

 

ティンク「中島?どうしたの?」

中島「ううっ…。ぼ、僕は…タダカツにあまり好かれていないと思っていたから僕の分もご飯を作ってくれて…。嬉しくて…。」ポロポロ

弓子「はぁ…。なーかーじーまー。いつも言ってるだろ!嬉しい時は笑え!下らない事でいちいち泣くな!」

タダカツ「…。大の男がいちいちつまらない事で泣かないで下さい。」

中島「でも…。僕は…嬉しくて…」ポロポロ

タダカツ「泣かないで下さい。これでは私が貴方を虐めているみたいじゃないですか!ったく。」

ジャック「タダカツお前、中島を虐めているのか?」

タダカツ「虐めてません!ったく。貴方達と一緒だと調子が狂います。」

ユキムラ「みんな!タダカツがせっかく作ってくれたんだから早く食べようではないか!」

 

皆がどんぶりの蓋を開けた。

 

ユキムラ「何だいこれは?」

タダカツ「オムライスです。」

ティンク「ご飯の上の玉子にどて焼きがかかっている…。」

ジャック「オイラが知ってるオムライスじゃないぞ!」

タダカツ「そもそもオムライスと言うのはオムレツにライスをくるんだ物をいうのです。」

ティンク「それは知ってるよ。なんでどて焼きがかかっているのよ!」

タダカツ「八丁味噌は世界一の万能の食材です。使うのは当然のことです。」

ユキムラ「まあみんな、せっかくタダカツが作ってくれたんだから早く食べようではないか。」

 

皆がオムライス?おそるおそる口に入れる。

 

ユキムラ「結構いけるね…。」

ティンク「意外とあってる…。」

中島「美味しいんだな…とても美味しいんだな!」ポロポロ

弓子「なーかーじーまー!泣くのか食うのかどっちかにしろ!ってかいい加減泣き止め!」

中島「うん、でもとても美味しいんだな。」

タダカツ「ま、まぁ、気に入っていただけて何よりです。しかし、これは改良の余地がありますね。玉子に合う八丁味噌があるはずです。」

 

タダカツは満足げだ。

 

ジャック「美味しいけどオムライスではないぞ。」

タダカツ「オムライスです。誰がなんと言おうとこれはオムライスです。」

弓子「タダカツ、このどて焼き玉子丼うまいな!また作ってくれよ!」

タダカツ「分かりました。また弓子の為にこのどて焼き玉子丼お作りしますよ。」

ユキムラ「タダカツ、オムライス?じゃなかったのかい?」

タダカツ「ええ、違います。どて焼き玉子丼です。」

ジャック「さっきは絶対にオムライス?だって言ってたぞ。」

ティンク「ジャック、もう無駄だよ。アイツは弓子の言うことしか聞かないんだよ。」

 

タダカツが皆と少し打ち解けていって嬉しく思う中島であった。

 



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アスラ組 前編

オフィスの悪魔を退治して三日後の事だった。中島が留守の間に来客が来た。

 

三蔵「邪魔するでー。」

弓子「邪魔するなら帰れよ!」

悟空「ほんなら帰ろかー。」

三蔵 悟空 八戒「って、なんでやねん!」

三蔵「うちらは用事でここに来たんや!いきなり帰ってどうすんねん!」

弓子「何なんだよ面倒臭えな。」

悟空「って、スサノオがおるやんけ!」

八戒「そんな、こんなところにスサノオがおるわけって…ほんまや!」

タダカツ「何か?弓子、この方々はいったい?」

弓子「ああ、コイツら面倒臭いから相手にするな。」

三蔵「うちらは用事で来たって言ってるやろ!お客様やぞ、レーコーぐらい出さんかい!ん?あのスサノオ、まだ契約してへん。」

タダカツ「私は弓子の計らいでここでお世話になって居ますがそれが何か?」

三蔵「アイツ野良悪魔や!よし、契約させるで。悟空、八戒、いつものやつや準備せい!」

 

悟空は電話の受話器を取り出した。

 

悟空「よっしゃ!あーもしもし?ちょっとタモさんに代わりますわ。」

八戒「スサノオ、この受話器を耳にあてるんや。そして、三蔵の掛け声と共にいいともーって言うんや。分かったな?」

タダカツ「は、はい。」

 

タダカツは言われるままに受話器を耳にあてた。

 

三蔵「あーもしもし?スサノオ君?うちの仲魔になってくれるかなー?」

タダカツ「えっ、嫌です。」

三蔵 悟空 八戒「…。」

悟空「お前、何を普通に断ってんねん!お前タモさんの誘い断ったら放送事故やんけ!」

八戒「そこは嘘でも『いいともー!』って言わなあかん所やろ!」

 

そもそもタモさんでもいいともでもない。

 

タダカツ「私は私よりも強い者としか契約はしません。」

悟空「真面目か!」

三蔵「全然あかん!こんなノリの悪い奴今後一切頼まれても仲魔にするか!何やねん!」

弓子「お前らが何なんだよ…。」

三蔵「それはそうと中島 朱美がおらんやんけ。あと、ちっこいのんも。」

八戒「ぼ、僕はここに居るんだな。」

三蔵「ここでその物真似止めろや!」

タダカツ「似てますね…。」

ジャック「中島はティンクと買い物に出かけているぞ。」

悟空「おー、雪だるま。久しぶりやんけ、元気しとったか?」

ジャック「ヒーホー!オイラはいつも元気だぞ!姉ちゃん達も元気になってオイラ嬉しいぞ!」

三蔵「おー!雪だるま。久しぶりやなぁ。嬉しい事言ってくれて、特別に飴ちゃんやるわ。」

ジャック「ヒーホー!ありがとう。姉ちゃんは弓子と違って優しいな!姉ちゃん達は面白いからオイラ好きだぞ!」

弓子「だからお前らは何をしに来たんだよ。」

大輔「弓子?お客さんかい?」

 

奥の部屋から大輔が出てきた。

三蔵「おっ!現れおったな!薄っぺらい笑顔の兄ちゃん!この前の借りを返しに来たでえ!悟空、八戒、あの兄ちゃんを取り押さえろ!」

悟空「よっしゃ!薄っぺらい笑顔の兄ちゃん、この前の礼をさせて貰うで!」

八戒「大人しくしとけよ、兄ちゃん。」

 

大輔は悟空と八戒に取り押さえられた。

 

大輔「な、何をするんだ!」

三蔵「兄ちゃん、この前はよくもやってくれたなあ?」

大輔「あっ!君は!」

三蔵「あの時のお礼をたっぷりさせてもらうで。これを咥えるんや。」

 

三蔵はゴムパッチンの端を大輔に咥えさせてめいいっぱい引っ張った。

 

大輔「だいたい、君達がスサノオの居場所を教えてくれたらこんな事にはならなかったんだ!」

 

大輔が喋りだしたのでゴムパッチンは三蔵の方へ飛んでいった。

 

三蔵「痛!兄ちゃん!ちゃんと咥えとけや!もう一回や!」

 

三蔵はもう一度ゴムパッチンの端を大輔に咥えさせてめいいっぱい引っ張った。

 

大輔「それに君達!教えてくれるって言うから話を聞いていたのに30分以上も関係無い事ばかり話をして!」

 

大輔がまた喋りだしたのでゴムパッチンは三蔵の方へ飛んでいった。

 

三蔵「痛!顔面もろに喰らってしもうた…。だから放すなや!もう一回や!」

 

またまた三蔵はゴムパッチンの端を大輔に咥えさせてめいいっぱい引っ張った。

 

三蔵「…。」

 

三蔵は引っ張った手を放しゴムパッチンは大輔の方へ飛んでいった。

 

悟空「痛!ちゃんと狙えや!俺様に当たったやんけ!」

大輔「大丈夫かい?」

三蔵「兄ちゃん、全然反省してないみたいやな。うちは寛大やからゴムパッチンの刑で許したろうと思ったのに…。しゃないから奥の手を使わしてもらうわ。お前ら!その兄ちゃん捕まえとけ!」

八戒「兄ちゃん、今のはあかんわ。」

大輔「僕は何もしてないじゃないか!」

悟空「あそこはもう一回、ゴムパッチンを放さなあかんかった。繰り返しはギャグの基本やで。」

大輔「そんなこと知らないよ!」

 

浪花のノリが分からない大輔は三蔵を完全に怒らせてしまったようだ。

 

三蔵「召喚!出てこいや!ウンコたれぞう!」

弓子「まずい!アイツ悪魔を召喚した!」

ジャック「ヒーホー!あの姉ちゃん達、面白いな!」

タダカツ「ジャック、呑気な事言ってないで戦闘体勢に入りなさい!」

パスカル「ガルルルル!」

 

ケルピーが召喚された。

 

三蔵「よっしゃ、たれぞう!あの兄ちゃんをいてもうたれ!」

「ヒヒーン!」

 

ケルピーは大輔に近づき、お尻を大輔に向けた。

 

三蔵「白鷲 弓子、今からやる技はごっつ危険や。あの兄ちゃん以外は避難しとけよ。」

弓子「おい、何をする気だ!」

三蔵「まあ、死にはせえへん。」

「ヒヒーン!」

八戒「よし、ワイ等も撤退や!」

 

ケルピーは大輔の頭の上に大量の糞を垂れ流した。

 

大輔「う、うわ!何を!臭っ!ちょっと、僕の顔に!臭っ!」

 

ケルピーは大量の糞を出しきった。

 

三蔵「ハハハ!薄っぺらい笑顔の兄ちゃん!うちらの恐ろしさを見たか!悟空、八戒!帰るで!撤退や!」

 

三蔵達は好き勝手して帰って行った。

 

タダカツ「お兄さん…。悲惨ですね…。」

ジャック「うわぁ…。顔にかかっているぞ…。」

大輔「ちょっと!みんな!助けて!」

弓子「お前ら、臭いから外に行くぞ。」

タダカツ「分かりました。」

パスカル「オレサマ ソトデル サンポイク」

大輔「ちょっと!弓子!何処に行くんだい!助けて!」

弓子「元はと言えば兄貴が悪いんだろ!あたしらはしばらく外に出てるからちゃんと掃除しとけよ。」

大輔「ちょっと!弓子!僕を置いて行くのか!ジャ、ジャック君、ちょっと掃除を手伝ってよ!」

ジャック「オ、オイラ、今からパスカルと散歩の時間だぞ。」

 

皆、大輔を残して外に出ていった。

 

大輔「ちょっと!臭っ!今日は何て日だ…。」

 

 

 

その頃、中島はティンクと共に休日を楽しんでいた。

 

ティンク「探偵の依頼以外で中島と外に出るの初めてだね。」

中島「うん。」

ティンク「ん?中島?どうしたの?」

中島「うん。僕、今の探偵の仕事をするまでは友達もいなくてずっと一人で家に居てる事が多かったんだな。」

ティンク「そうだったんだ…。」

中島「だから、こうして休みの日にティンクとお出かけ出来て本当に嬉しいんだな。みんな、優しくしてくれて本当に感謝しているんだな。」

ティンク「弓子はもういいとしても、あのタダカツはあたし、好きになれないよ。だってこの前、中島の事をいきなりビンタしたんだよ。」

中島「うん。でも、あの時タダカツは真剣に僕を叱ってくれたんだな。それにタダカツもみんなと少しずつ打ち解けているんだな。僕とは余り話してくれないけど…。」

ティンク「そうかなぁ。」

 

二人は雑談しながら街中を歩いている。すると後ろから数人の男達が中島に近づき声をかけてきた。

 

「お前、中島だよな?」

中島「あっ…。君は…。」

「いやぁ、懐かしいな高校以来だなぁ。」

「なんだ?お前の知り合いか?」

中島「…。」

「ああ!中島には色々と世話になってなぁ。そうだ、せっかくの再会なんだからまた世話になるかな?中島!分かってるよな?有り金を全部出せよ!」

中島「いや…。僕は…。」

「兄ちゃん、俺達はな。アスラ組の組員なんだよ。アスラ組の!」

中島「アスラ組?」

「あれ~?お兄ちゃん知らないの~?アスラ組、簡単に言うとヤクザ。ヤ、ク、ザ。痛い目に遭いたく無いよね~?」

「中島、いいから有り金全部出せよ!」

 

中島の知り合いだと言う男は中島を思いっきり蹴り上げた。

 

中島「…。あまり痛くないんだな。」

「兄ちゃん、アスラ組をあんまり舐めるなよ?これ以上痛い目に遭いたくないだろ?」

「おい、人目につかない所に連れていけ。」

 

中島はアスラ組と名乗る男達に近くの建築現場の裏に連れていかれた。

 

 

中島は男達に殴る蹴るの暴行を受けている。

 

「中島!いい加減金出せよ!」

中島「痛い…。」

「兄ちゃん、強情だねえ。俺達も暇じゃないんだよ。良いから金出しなよ!」

中島「い、嫌なんだな。」

「テメエ!アスラ組を舐めるんじゃねえぞ!」

 

一人の男が近くに落ちている角材で中島の後頭部を殴りつけた。

中島は血を流しながら倒れた。

 

中島「うう…。」

「お、おい、やり過ぎじゃねえのか?」

「お前、これぐらいの事でビビってるんじゃねえぞ。」

ティンク「『ディアラマ!』中島、大丈夫?」

中島「ティンク、ありがとうなんだな。ぼ、僕は大丈夫なんだな。」

 

中島の傷が回復した。

 

「な、なんだ、今の?」

「アイツの傷が消えた…。」

「今、何か居たぞ!」

 

ティンクの存在が男達にバレてしまった。

 

「中島!何か隠しているな!見せろ!」

中島「ぼ、僕は何も隠してないんだな。お金だったら全部渡すからもう僕には関わらないで欲しいんだな。」

「兄ちゃんアスラ組を舐めるんじゃねえぞ。金は勿論いただくがそのお前がその隠しているものもいただくに決まってるだろうが!」

 

男達は全員角材で中島を叩きのめす。中島はうつむせに倒れこむ。

 

中島「な、なんで…。僕は…何もしてないのに…。」

「俺達アスラ組に対して舐めた態度をとるからだろ兄ちゃん、ええ?」

 

一人の男がうつむいて倒れてる中島の腹に蹴りを入れて仰向けにする。

 

中島「うう…。」

ティンク「中島!」

 

中島がボコボコにされる様子に耐えきれなくなってティンクは隠れている胸ポケットから飛び出した。

 

「何か出てきた!妖精?」

「よし、捕まえろ!こいつは高く売れるぞ!」

ティンク「きゃ!」

 

ティンクが一人の男の手に捕まってしまった!

 

中島「ああ!ティンクが!」

ティンク「中島ー!ちょっと、放してよ!」

「中島!こいつは俺達がいただいて行くぜ!やっぱり持つべきものは友達だよなぁ!ハハハハハ!」

中島「ティンクは…ぼ、僕の大切な友達なんだな…。返して欲しいんだな…。」

「兄ちゃん、俺達アスラ組が返してって言われて返す訳ないだろう?」

「そう言うことだ。諦めな兄ちゃん。」

 

中島はふらつきながらティンクを捕まえた男にしがみついた。

 

中島「ティ、ティンクは…、僕の…大切な友達なんだな…。」

「なんだこいつ、放せ!」

「お兄ちゃん、まだ痛い目に遭いたいの?しょうがないなぁ。」

 

一人の男が中島の後頭部に角材で殴りつけた。

しかし、中島は手を放さない!

 

中島「ティンクを…返すんだな…。」

「中島!しつこいぞ、放せ!」

中島「ティンクを…放せ…。」

「兄ちゃん、しつこいねえ。まだ殴られ足りないみたいだねえ。」

 

男達が中島を角材で何度も殴りつける。

中島はまだティンクを捕まえた男にしがみついている。

 

中島「ティンクを返せ…返すんだな。」

「なんだよこいつ、全然離れねえ。なんなんだよ!昔、俺の金づるだった中島の癖に!なんなんだよ!」

「殺してもいい!ソイツを引き剥がせ!何かまずい!」

「まずいって、何がだよ!」

「勘だよ!早くしろ!」

 

男達は今度は落ちている鉄パイプで中島を何度も殴りつける。

中島は気絶して倒れた…。

 

「終わったな、行くぞ。」

「中島…なあ、殺したのか?」

「さあ。俺達が殺らなきゃお前が死んでたかもな。その妖精、ちゃんと捕まえてろよ。絶対逃がすなよ。」

「あ、ああ。」

「よし、頭に報告しに行くぞ。」

???「おいコラお前ら!そのちっこいのん放さんかい!」

「誰だ?テメエら!」

 

馬(ケルピー)に乗った三蔵とその仲魔達が現れた。

 

ティンク「あっ!三蔵さん達だ。何で?」

八戒「ワイ等がたまたま近くに居てラッキーやったな。直ぐに助けてやるさかいな。」

「テメエら!俺達アスラ組に逆らうのか!ヤクザ舐めるなよ!」

悟空「なんや、お前らそんなしょうもない代紋に頼らな偉そうに出来へんのんか?ホンマにヤクザっ奴はダッサイ奴等やのう。」

「テメエら!アスラ組だぞ!」

三蔵「だからそれがなんやねん!」

ティンク「三蔵さん、中島が!」

三蔵「あれか…。えらいコテンパンにやられたなぁ。『ディア!』とりあえずこれで死ぬことはないやろ。」

 

中島の傷が少し回復した。しかし、中島はまだ目を覚まさない。

 

三蔵「たれぞう、中島 朱美を仲魔の所に連れていけ。」

 

三蔵はケルピーから降りて中島をケルピーの背中に乗せた。

 

「このガキ!勝手な事をするな!」

三蔵「黙っとれ!まだ傷だらけやな…。これを使うか。」

 

三蔵は宝玉を掲げて中島の傷を回復させた。

 

三蔵「たれぞう、行け。」

 

ケルピーは中島を乗せたまま走り去った。

 

「おい無視するな!アスラ組を舐めやがってこのガキ!」

 

一人の男が三蔵に鉄パイプで殴りかかる。

しかし、八戒が素手で鉄パイプを受け止める。

 

八戒「なんやねん、こんなもん振り回して。こんなもんはな、こうしてこうしてほら、プードルさんの完成や。」

 

八戒はまるでバルーンアートの様に鉄パイプを曲げていった。

 

三蔵「おー八戒、やるやんけ!」

「えっ?鉄をこんな簡単に曲げやがった…。」

「テメエ!ぶっ殺してやる!」

 

もう一人の男が鉄パイプで八戒に殴りかかる!

八戒が再度男が振りかざした鉄パイプを掴み取った。

 

八戒「なんや、リクエストかいな。こんなもん、こうしてこうしてこうしてこうや!見てみい!モンスターボールや!」

三蔵「ただ丸めただけやんけ!」

八戒「まだや、まだワイのターンや!よし!ピカチュウ、君に決めた!」

 

八戒は丸めた鉄パイプを下に投げた。

 

八戒「…。どうやらピカチュウは機嫌悪くて今日は出てこうへん見たいやな。命拾いしたな兄ちゃん達。」

三蔵「ただ丸めただけの鉄からピカチュウなんか出てくるか!」

 

どんなときでも浪花のノリを忘れない連中である。

 

「おい、コイツらなんかヤベエぞ。お前はソイツ連れて頭の所に行け!」

「わ、分かった。」

 

ティンクを捕まえている男が逃げ出した。

 

三蔵「あっ!しもうた!」

悟空「よっしゃ!俺様に任せろ捕まえたるわ!おーい!キントウンよーい!」

「行かせるか!」

 

しかし、何も来なかった。

 

悟空「しもうた、釈迦如来に今月のキントウンのレンタル料払うの忘れとったわ…。」

三蔵「お前ちゃんとせいや!ほんでキントウンってレンタルなんかい!」

悟空「月々二千円や。」

八戒「やっす!二千円って!」

悟空「なぁ、兄ちゃん達。キントウンのレンタル料払って来るから二千円借してくれや。」

三蔵「ヤクザに金借りようするな!」

「なんなんだよ、コイツら…。」

「怯むな!ぶっ殺してしまえ!」

 

アスラ組のチンピラの男達が三蔵達に襲いかかる。

 

三蔵「悟空、お前がちんたらしてるからちっこいのん捕まえている奴逃げてしもうたやろ!」

「女のガキは傷つけるなよ!」

三蔵「誰がガキや!うちは花も恥じらう女子校生や!うちらの恐ろしさ思い知らせたるわ!かかってこいや!」

「このガキ!」

 

チンピラの攻撃!

チンピラは三蔵めがけて角材を振りかざす!

 

三蔵「女子校生相手にそんな木の棒振り回して、ダッサイ奴やなぁ。『アギラオ!』」

 

三蔵の攻撃!

三蔵の放った炎の玉がチンピラの持つ角材を焼き尽くした!

 

八戒「兄ちゃん、覚悟せいよ?」

 

八戒の攻撃!

渾身のストレートがチンピラを殴り飛ばした!

 

「くそう!」

悟空「おいコラチンピラ!逃がすと思ってんか!」

「ちくしょう!」

 

チンピラの攻撃!

チンピラのパンチが斉天大聖の頬にヒットした。

しかし、斉天大聖は頬にパンチが当たった状態で相手の攻撃してきた手首を捕まえた。

 

「な、全然効いてねえ…。」

悟空「兄ちゃん、ヤクザかなんか知らんけどこの斉天大聖、孫 悟空様を舐めるなよ。」

 

斉天大聖の攻撃!

チンピラの頬をぶん殴った!

チンピラは吹き飛びダウンした!

 

三蔵「お前何一発喰らってんねん!」

八戒「ダッサイのう。」

悟空「うるさいわボケ!」

 

チンピラ達が、ふらつきながら立ち上がる。

 

「強え…。なんなんだよコイツら…。」

「俺達はアスラ組だぞ、何でこんな奴等に…。」

八戒「ワイ等、大阪の悪魔がお前らチンピラごときに相手が務まるか。」

悟空「覚悟せいよ、兄ちゃん達。」

「あ、悪魔だと?女!お前何者なんだよ!?」

三蔵「ウチか?ウチは32代目三蔵法師に襲名した花も恥じらう女子校生 武井 千枝子、デビルサマナーや。」

「くそっ!逃げるぞ!」

三蔵「逃がすと思ってんのか!全員いてもうたれ!」

三蔵達がチンピラ達をボコボコにしている。

ファンファンファンファン そこに数台のパトカーが近づいてきた。

 

三蔵「おっ!警察やな。お前ら捕まって一年ぐらい臭い飯くってろや!」

 

警察官達が三蔵達を取り囲む。

 

「通報があった三人組だな。不法侵入、器物破損、暴行の現行犯で逮捕する!」

八戒「そうそう、あのヤクザ共を捕まえてって捕まるのワイ等かい!」

悟空「何でやねん!捕まるのはあいつらやろ!」

「君達が一方的に彼等を痛めつけていただろ!逮捕だ!」

三蔵「何を言うとるねん!ふざけんなや!放せや!」

「逆らうのか?公務執行妨害の追加で懲役してもらおうか。」

悟空「くそっ!何でやねん!」

八戒「警官がヤクザの味方するんか!」

「証拠でもあるのか?」

三蔵「だったらソイツらに…って逃げられとる!」

「愛知県警まで同行してから話は聞きます。」

 

警官の一人が無線機をとり警察署に連絡を入れる。

 

「えー、午後1時46分、不法侵入、器物破損、暴行及び公務執行妨害の現行犯で3名逮捕します。」

 

三蔵達は警察に逮捕されて愛知県警に連れて行かれた。

 



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アスラ組 中編

午後の3時頃…

 

事務所の掃除も終わった頃に弓子達は戻ってきた。

 

弓子「おっ、事務所も片付いているな。」

大輔「片付いているな、じゃないよ!」

弓子「元は無茶苦茶暴れた兄貴が悪いんだろ!死人が出なかったからまだ良かったもののあのあと色々と大変だったんだぞ!」

ユキムラ「そんなことよりみんな、何処に行っていたんだい?このイケメンである僕に掃除を押し付けて。」

 

ユキムラはあの後、タイミング悪く帰ってきて掃除をさせられたみたいだ。

 

弓子「あー、兄貴の手伝いさせられたんだな。すまなかったな、今度取って置きの喫茶店に連れていってやるよ。」

ユキムラ「ハハハ!弓子が珍しいね。でも、僕はイケメンだから気遣いは要らないさ。」

弓子「まあ、そう言うなよ。クソダルマ、お前も行くだろ?」

ジャック「オイラは変な物は食べたくないから遠慮しとくぞ。」

ユキムラ「ジャックはバカだなあ。喫茶店に変な食べ物なんてある訳ないじゃないか。」

ジャック「オイラは忠告したぞ、後はユキムラの自己責任だぞ。」

弓子「クソダルマ、あたしの誘いを断るとはいい度胸だな?」

ジャック「だってこの前…。」

弓子「クソダルマ、余計な事を言うな。来るよな?」

ジャック「ヒーホー…。」

タダカツ「ジャック、人の好意を無下にしてはいけませんよ?」

ジャック「タダカツは何も知らないからそんなことが言えるのだぞ!」

タダカツ「では、私もご同行しましょう。」

弓子「おっ、タダカツお前も来るのか?」

タダカツ「ええ。」

ジャック「後で泣く事になっても知らないぞ。」

タダカツ「彼ではあるまいし、私が泣く事などあり得ませんね。」

ジャック「オイラは忠告したからな。」

 

皆が事務所で談笑していると外から馬の鳴き声が聞こえてきた。

外に出ると先程のケルピーがいた。背中に気絶している中島を乗せている。

 

ジャック「中島!」

タダカツ「あの馬は先程の…どうして彼を乗せているのでしょうか?」

弓子「分からねえ。とにかく中島を叩き起こせ。」

 

ケルピーは中島を降ろして走り去っていった。

 

中島「うう、こ、ここは?」

ジャック「中島が目が覚めたぞ」

中島「あれ?みんな?どうして?」

弓子「中島!何があった!」

中島「弓子さん?僕はどうしてここに?」

タダカツ「貴方は先程、気絶した状態で三蔵という者の使い魔に連れて来られました。今までの経緯を説明していただけますか?」

中島「えっと…。」

 

中島はみんなに今までの経緯を説明した。

 

ジャック「ティンクが連れて行かれた!?」

ユキムラ「大変だよ!直ぐに助けに行かないと!」

タダカツ「お待ちなさい!」

ジャック「タダカツ、何を言ってんだ?仲魔を助けに行くぞ!」

タダカツ「いけません!」

ユキムラ「どうして!こうしている間にもティンクは!」

タダカツ「矛盾している事があります。1つよろしいですか?」

中島「な、なんなんだな?」

タダカツ「貴方はアスラ組とか言うヤクザたる者達に抵抗をしたのですよね?そして、無様にコテンパンにやられてティンクを連れて行かれた、そうおっしゃいましたよね?」

中島「う、うん…。」

タダカツ「実は、貴方は自分の身を守る為にそのヤクザ達にティンクを差し出したのではないですか?」

弓子「タダカツ。冗談でも笑えねえぞ、今の発言は取り消せ。」

タダカツ「弓子。私は事実を言ったまでです。」

弓子「テメエ!言って良いことと悪い事が有るだろうが!」

ジャック「そうだぞ!」

ユキムラ「タダカツ、僕達のマスターを侮辱する様な発言は止めてくれ。」

パスカル「オマエ オレサマ ユルサナイ!」

タダカツ「では、皆さんにお聞きします。そのヤクザとやらに気絶させられるぐらい抵抗したと言うのにどうして彼は無傷なのですか!」

ユキムラ「そう言われたら…。」

ジャック「そうだぞ…。」

パスカル「ナカジマ ムキズ」

弓子「…。」

中島「でも、僕は…。」

タダカツ「口先だけならなんとでも言えます。」

ユキムラ「タダカツ!いい加減にしたまえ!」

弓子「ユキムラ、止めろ!」

ユキムラ「弓子!君はタダカツの言う事が正しいとでも言うのかい!」

弓子「大声を出すな。タダカツ、話を続けろ。」

タダカツ「もし私の推測が正しかったとしたら、今回はティンクが連れて行かれましたが、今後、彼が危険な目に遭うとユキムラ、ジャック、パスカル貴方達が身代わりにされるかも知れないのですよ?それでも彼を信じる事が出来るのですか?」

ユキムラ「…。」

ジャック「…。」

パスカル「…。」

中島「ぼ、僕はティンクを差し出したりなんかしないんだな!」

タダカツ「だったら貴方一人で彼女を助けに行きなさい!」

中島「でも、何処に行けば…。」

タダカツ「はぁ、貴方はサマナーでしょうが…。この前にグレムリン達に改造してもらった悪魔召喚プログラムを使いなさい。」

中島「これを?」

タダカツ「オートマッピンク機能です。」

 

中島はタダカツ言う通りに悪魔召喚プログラムを起動させた。

 

タダカツ「ここに彼女は捕まっていますね。」

中島「い、行ってくるんだな。」

 

中島は一人ティンクを助けに行くために走っていった。

 

ユキムラ「マスター!」

ジャック「中島!」

 

ユキムラとジャックは中島を追いかけようとする。

 

タダカツ「行ってはいけません!」

ユキムラ「タダカツ、いい加減にしろよ。いくら温厚な僕でも怒る時はあるのだぞ。」

タダカツ「今、貴方達がついて行くと彼の決意が無駄になります。」

ジャック「タダカツ!お前が行かせたのだろ!」

タダカツ「ええ、そうです。それに彼は貴方達の居場所が分かるので尾行しても直ぐにバレて彼はまた貴方達に頼りきる事になります。」

ユキムラ「構わないさ、僕はマスター為なら何だってするさ。いいから退けよ。」

タダカツ「ユキムラ、話は終わっていません。よく聞きなさい、貴方達が行くと彼にバレるので私が先回りしてティンクの居場所まで行きます。」

ユキムラ「は?」

ジャック「どう言うことだ?」

タダカツ「私なら貴方たちとオートマッピンク機能にひっかからないので彼に見つかる事はないですからね。」

弓子「で、カッコ良く中島を助けて美味しいところはお前が独り占めってか?」

ユキムラ「まさか?君はただヤクザと戦いたいだけでマスターをけしかけたのかい?」

タダカツ「そんな訳ないでしょう!」

弓子「たいした役者だなお前。」

タダカツ「弓子まで、私はそんな自分本意の者ではありません!」

ジャック「あれ?パスカルが居ないぞ?何処に行ったんだ?」

タダカツ「パスカルは真っ先に彼を追いかけて行きましたよ。パスカルに乗って行けば20分はかからないと思いますからね。」

ユキムラ「パスカルだけわざと行かせたのかい?」

タダカツ「ええ、彼の足では二時間以上はかかりそうですからね。」

弓子「二時間だったら中島にはいいダイエットになるんじゃねえのか?」

タダカツ「ええ、それは今度にすれば良いでしょう。今はティンクを助ける事が最優先事項ですからね。」

ジャック「ヒーホー!結局タダカツもティンクを助けたいのか。」

タダカツ「ジャック、私は助けないとは一言も言ってませんよ?時間がありませんので私は行きます。」

弓子「待て!あたしも行く。久々にヤクザをボコボコに出来るんだ、お前だけに独り占めさせる訳ないだろ。」

タダカツ「では、行ってきます。ユキムラ、ジャック、貴方達はここに居てください。私が目的地に着きましたら魔法で迎えに行きますので絶対にここに居てください。」

ユキムラ「そう言うことか。OK!分かったよ。」

 

弓子とタダカツはティンクが捕まっている飛島埠頭に急いで向かった。

 

弓子「タダカツ。お前、中島が必死でヤクザに抵抗していた事は分かっていただろ。」

タダカツ「ええ、表面上の傷は回復していましたが流れていたであろう血の量は魔法では誤魔化せません。意識がなかった彼を見て分かりましたよ。本当に無傷だと気絶なんて出来ませんからね。」

弓子「で、何で中島をけしかけた?」

タダカツ「…。」

弓子「だんまりか。そうやって禿げるまで悩み続けろ。答えは出てると思うがな、お前が認めようとしないだけで。」

タダカツ「…。今日はおしゃべりですね。急ぎましょう。」

弓子「まあいい。」

 

 

 

中島は一人でティンクを助ける為に走っている。

 

中島「ここからだったら二時間以上かかってしまうのだな。」

パスカル「ナカジマ オソイ。」

 

中島が走っているとパスカルが巨大化し先回りして待っていた。

 

中島「パスカル!どうして?」

パスカル「タダカツ ナカマチガウ!オレサマ イウコト キカナイ!」

中島「でも…。君まで危険な目に遭うことになったら…。」

パスカル「オレサマ ツヨイ!ノレ ナカジマ!」

中島「でも、僕、重いから…。」

パスカル「オマエ オソイ!オレサマニノレ!」

中島「パスカル、ありがとうなんだな!」

パスカル「イソグゾ!ナカジマ ナビタノム!」

中島「わ、分かったんだな。」

 

パスカルは中島を背中に乗せて猛スピートでかけていく。

 

中島「パスカル、どうして君はこんな弱い僕なんかの為に…。」

パスカル「ナカジマ オマエ ヨワクナイ!ミンナシッテル。オマエ シラナイダケ。」

中島「でも、僕、ケンカなんか出来ないし…。」

パスカル「タダカツ オマエノツヨサ シッテル。ダカライカセタ。オマエ ティンクタスケルコトダケカンガエル。」

中島「う、うん…。」

 

パスカルに乗り40分程で目的地にたどり着いた。

 

 

 

 

タダカツ「ここですね、行きましょう。」

弓子「全速力で走るやつがあるか!流石のあたしも疲れたぞ!」

 

弓子とタダカツは20分ほどで飛島埠頭にたどり着いた。

 

タダカツ「彼より先にたどり着いたみたいですね。」

弓子「タダカツ、本当にここであってるのか?」

タダカツ「ええ、彼のオートマッピンク機能で見た場所はここです。」

弓子「本当かよ?コンテナばっかりじゃねえか!しらみ潰しにコンテナを調べるのかよ?」

タダカツ「いえ、ティンクを救出するのは彼の役目です。」

弓子「おっ!場所はここで間違いない様だな。見ろあそこのコンテナ、見張りが居るぞ。」

タダカツ「二人居ますね。」

弓子「行くぞ。」

 

弓子は堂々と見張りの居るコンテナに歩きだした。

 

弓子「よぅ!お前らアスラ組とか言うチンピラだな?」

「なんだテメエ?」

弓子「死ね!」

 

弓子の攻撃!

弓子のヨプチャギがチンピラにヒットした!

 

「ぐわっ!いきなり何をしやがる!」

「なんだお前ら!」

弓子「アスラ組だよなぁ?ちょうどムシャクシャするからお前ら全員ボコボコにさせろよ。ここに居る仲間も呼んでこいよ。」

「女!アスラ組を舐めるなよ!」

タダカツ「弓子、あちらの広い所に行きましょう。もうすぐ彼が来ます。」

「テメエ!俺達を無視するな!」

 

アスラ組のチンピラがスサノオに殴りかかる!

しかし、スサノオはチンピラの殴りかかった手を取り関節技を決める!

 

「ギャアアアアア!」

タダカツ「我々を甘く見ないでいただけますか?ここに居る全員でかかってくる事をおすすめします。」

「くそっ!」

弓子「そう言うことだ。早く全員連れて来い!」

「テメエら、後悔させてやるからな!」

 

一人のチンピラがコンテナの中の仲間を呼んだ。

中からチンピラが五人出てきた。

 

弓子「たったの7人か、随分と舐められたものだな。」

「なんだと!」

タダカツ「ここは狭いのであちらの海沿いの広い所に行きましょう。」

「テメエら、アスラ組の恐ろしさを思い知らせてやる!」

 

弓子達はチンピラ達を引き連れて広い海沿いに向かった。

 

タダカツ「上手くいきましたね。これで後は彼がティンクを助け出すだけです。」

弓子「タダカツ、やけに中島のことを気にかけてるよな?ユキムラやジャックにはついて行くなとか言っといて。」

タダカツ「そうですね。どの時代の物語でもお姫様を助けるのは王子様の役割です。外野の彼等が助太刀したらいけませんよ。」

弓子「ハハハ!面白い例えだな、お前がそんなにロマンチストだとは思わなかったぜ。」

タダカツ「可笑しいですか?」

「俺達に囲まれておしゃべりとは余裕だな、ええ?」

タダカツ「彼がちゃんと王子様になれるようにうるさい外野には退場していただきましょうか。」

弓子「ああ、そうだな。テメエら!とっととかかってきやがれ!」

「テメエら!ぶっ殺してやる!」

 

アスラ組のチンピラ達が襲いかかってきた!

 

弓子「モタモタしてるんだったらこっちから行くぜ!」

 

弓子の攻撃!

弓子は突進してティミョヨプチャギを放つ!

チンピラはまともに受けてぶっ飛び海に落ちた!

 

「この女!」

 

チンピラが後ろから弓子に襲いかかる!

 

弓子「この白鷲 弓子様を舐めるなよ!喰らいな!」

 

弓子の攻撃!

弓子は振り向き様にティットラチャギを放つ!

チンピラは倒れた!

 

「この女!よくも!」

 

チンピラはゴルフクラブで弓子に殴りかかる!

 

タダカツ「素手の相手に武器を使うとは感心しませんね。」

 

スサノオの攻撃!

スサノオの手刀でチンピラの持つゴルフクラブを真っ二つに斬った。

 

「えっ?手刀でゴルフクラブが真っ二つに…。」

タダカツ「せっかくの海沿いですので海水浴でも楽しみなさい。」

 

スサノオの攻撃!

スサノオはショルダースルーでチンピラを投げ飛ばす!

チンピラは遥か遠くの海に落ちた!

 

「くそっ!」

 

残ったチンピラ達が拳銃を取り出した!

 

タダカツ「何か取り出しましたね。何でしょうか?」

弓子「拳銃だ。簡単に言うと離れた場所から人を殺す為の道具だ。あいつらの前に立つな、撃ち殺されるぞ。」

「アスラ組に喧嘩を売った事を後悔させてやる!死ね!」

弓子「このあたしがそんなハジキにビビると思っているのか?」

 

弓子の攻撃!

弓子は瞬時にチンピラの横に回り込みパンダルチャギを放つ!

チンピラは顔にまともにヒットして倒れた!

 

「女は後回しだ。デカブツを狙え!」

 

残ったチンピラ3人がスサノオに向けて発砲した!

 

タダカツ「避けるまでもないですね。跳ね返しましょう。『テトラカーン!』」

 

スサノオの出した物理反射シールドがチンピラ達の撃った弾を跳ね返す!

 

「ギャアアアアア!」

「何で!弾が俺達に当たった!」

「アスラ組の俺達に!よくも!」

 

チンピラ達は血を流しながら倒れた。

 

タダカツ「呆気ない…。5分もかからなったですね。」

弓子「お前、最後のはないだろ。技の練習で一人ずつやっつけてやろうと思ってたのによ!」

タダカツ「そう言う弓子も全て一撃で倒していたではありませんか。」

弓子「ああ、てんで弱っちかったな。」

タダカツ「弓子、悪魔の気配が近づいています。これはパスカルですね。」

弓子「中島が着いたのか?」

タダカツ「その様ですね。事務所に一度戻りましょう。」

弓子「はぁ?また走らせるのかよ!」

タダカツ「まさか?弓子、私に捕まってください。」

弓子「なんだ?こうか?」

タダカツ「はい。『トラポート!』」

 

 

 

 

その頃、事務所では…。

 

ユキムラとジャックは先程の出来事を大輔に説明していた。

 

大輔「アスラ組、初めて聞く名前だね。ここら一帯は山川組の島だからね。」

ユキムラ「山川組?」

大輔「ああ、ヤクザだよ。僕達も始めは少し揉めたりはしたのだけど今ではそれなりに友好的な関係を築いているよ。」

ユキムラ「ヤクザと友好的?」

大輔「綺麗事だけでこの仕事は出来ないからね。そう言う連中とも仲良くしないといけないのだよ。」

ジャック「大輔の兄ちゃん、ヤクザなんかの所に弓子が行ったんだぞ!心配じゃないのか?」

大輔「ああ、弓子とスサノオが行ったんだよね。弓子達がやり過ぎないか心配だね。弓子がヤクザごときにやられることはまずないよ。」

ユキムラ「そっちの心配なんだね…。」

大輔「山川組とのいざこざの時も弓子が山川組の若頭を病院送りにしたからね。まあ、それよりアスラ組?気になるね、弓子が帰って来たら山川組の若頭に聞きに行ってもらおうかな。」

ジャック「なんで兄ちゃんが聞きに行かないんだ?」

大輔「ああ、僕は前に山川組の親分の屋敷に魔法で火を着けたからね。山川組には嫌われているんだ。」

ユキムラ「屋敷に火を着けた…。」

大輔「そうだよ。初めに島を荒らすなとか因縁をつけてきたからね。黙らせる為にやったんだよ。それに魔法で家に火を着けようが人を殺そうが犯罪にならないからね。」

 

立派な犯罪である。

 

大輔「そんなことよりあのスサノオ、信用できるのかい?仲魔じゃないのだろ?」

ユキムラ「まあ、融通は余り利かないけど大丈夫だよ。」

ジャック「弓子とは仲が良いぞ。オイラも最近はよく話すぞ。」

ユキムラ「そうだね。みんなとも少しずつ話すようになっているね。」

大輔「中島君に冷たい様だけど?」

ユキムラ「あれでもマスターの事を気にかけてるのさ。いわゆる彼はツンデレなのさ!」

タダカツ「誰がツンデレですか!」

ユキムラ「うわ!」

タダカツ「私が居ない所で好き勝手言わないでいただきたいですね。」

ユキムラ「急に現れないでくれるかい?ビックリするじゃないか。いつ戻って来たんだい?」

弓子「たった今だよ。タダカツの魔法でな。」

タダカツ「それより、彼が到着しました。貴方達も行きますよ。私に捕まってください。」

ジャック「分かったぞ!」

ユキムラ「これで良いのかい?」

タダカツ「ええ、行きますよ?」

弓子「ちょっと待ってくれ。兄貴、山川組がどうなっているか調べてくれ。」

大輔「何かあったのかい?」

弓子「ああ、アスラ組のチンピラをあたしとタダカツでやっつけたんだよ。山川組の奴等があんなくそ弱え奴等に島を荒らされてるなんて考えられねえ。きっと山川組に何かあったに違いねえ。」

大輔「分かったよ。直ぐに調べてみるよ。みんなくれぐれも気をつけるんだよ。」

弓子「ああ、分かった。タダカツもういいぜ。」

タダカツ「分かりました。皆さん行きますよ。『トラポート!』」

 

タダカツの魔法で一同は飛島埠頭に向かった。



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アスラ組 後編

中島「ここなんだな。このコンテナの中にティンクがいるんだな。」

 

中島はティンクがいる飛島埠頭にたどり着いた。

 

中島「パスカル、ありがとうなんだな。」

パスカル「ナカジマ キヲツケロヨ!」

中島「うん。パスカル、これを預かって欲しいんだな。」

パスカル「ワカッタ。」

 

中島はパスカルに悪魔召喚プログラムを渡してコンテナの扉を開けた。

 

「なんだ?終わったの…って!中島?なんでテメエがここに居るんだ!」

中島「ティンクを返してもらいに来たんだな。」

「お前、どうやって来た!ここにはアスラ組の仲間がいるはずだ!」

中島「誰も居なかったんだな。」

「まさか…みんなやられたのか?お前、今一人か?」

中島「一人で来たんだな。ティンクを返してもらいに来たんだな!」

「お前一人?ハハハ!なんだ、またテメエをボコボコにしたら良いだけじゃないか!」

 

中島の知り合いの男は鉄パイプを手に取り中島に襲いかかる!

 

中島「弓子さんが言ってたんだな。強くならないと誰も救えないって。だから、僕は戦うんだな。」

「サンドバッグにしてやるぜ!」

 

チンピラの攻撃!

鉄パイプで中島に殴りかかる!

中島は直撃を避ける為に左腕で受け止める。

鈍い音がして中島の左腕の骨が折れた!

 

中島「ああああああ!痛いぃぃぃ!」

「ハハハ!骨が折れたか?お前は俺の為に永遠に金を貢いでいたら良いんだよ!これに懲りたらアスラ組の俺達に歯向かうんじゃねえぞ!」

中島「まだ、まだなんだな。痛いけど、僕が…ティンクを助け出すだな!」

 

中島は倒れない!

 

「テメエ!まだ逆らうのか!」

 

チンピラが鉄パイプを大きく振りかざす!

 

中島「退くんだな。」

「テメエ!中島の癖に俺に命令するなー!」

中島「退けー!」

 

中島の攻撃!

中島はチンピラの喉元を狙って地獄突きを放つ!

中島の放った地獄突きはチンピラの喉元に直撃した!

 

「がはっ!」

中島「まだなんだな!」

 

中島の攻撃!

中島の蹴りがチンピラの股間に直撃した!

 

「ああああああ!そこはダメだろ…。」

中島「あっ!弓子さんの様にカッコよくはいかなかったんだな…。」

 

チンピラはあまりの痛さに声が出ずにうずくまった。

 

中島は奥で鳥かごに入れられているティンクを見つけた。

 

中島「ティンク、助けに来たんだな。」

ティンク「中島!」

 

中島はティンクの入った鳥かごに手をかける。

手にかけた途端に中島に電流が走る。

 

中島「ぐぅぅ。」

ティンク「中島!この檻に結界がかかっているんだよ!触ったら!」

中島「ぼ、僕は痛いのは慣れっこだから大丈夫なんだな。だから、君は僕が絶対に助け出すんだな。」

 

中島は折れた左腕の痛みもこらえながら両手で鳥かごに手をかける。

手にかけた途端に電流が走る!

 

中島「き、君は、僕が絶対に、助け出すんだな!」

 

中島は折れた左腕の痛みと結界の電流に耐えながら鳥かごをこじ開けようと力を入れる。

 

ティンク「中島!」

中島「ああああああ!」

 

中島は痛みに耐えながら結界ごと鳥かごの檻をこじ開けた!

ティンクが鳥かごから出てきて中島に飛びついた。

 

ティンク「中島ー!」

中島「ティンク、ごめんね。僕が、弱いから君に辛い思いをさせてしまって…。」

ティンク「中島ー!」

中島「さあ帰るんだな。」

ティンク「うん!」

 

二人の背後から先程のチンピラが鉄パイプを中島めがけて大きく振りかざしている。

 

ティンク「中島!後ろ!」

「ちくしょう、中島の癖に…。よくも、俺に。」

 

チンピラは鉄パイプで中島の後頭部をめがけて攻撃しようとする。

 

タダカツ「せっかくハッピーエンドの結末で終わろうとしているのに無粋な方ですね。」

 

チンピラの後ろからタダカツがチンピラの振りかざした鉄パイプを手で掴む。

 

「なんだ、テメエ!」

タダカツ「邪魔な外野は退場していただきましょうか。」

「な、何をする!」

 

タダカツがチンピラをコンテナの入り口方向に投げ飛ばした。

 

弓子「タダカツ!こっちに投げるな!」

 

弓子の攻撃!

飛んできたチンピラをヨプチャギで蹴り飛ばした。

 

中島「えっ?タダカツ?弓子さんも。」

ユキムラ「マスター、このイケメンである僕を忘れちゃいけないね。」

ジャック「ヒーホー!」

中島「みんな!」

タダカツ「油断大敵ですよ、敵はちゃんと倒さないといけません。」

弓子「なに言ってんだタダカツ。テメエが1番中島を気にかけてた癖によ。」

タダカツ「そんな事はありません。」

中島「タダカツ、助けてくれてありがとうなんだな。」

タダカツ「次はちゃんと相手を倒さないといけませんよ。まあ、今回は妥協点という事でよしとしましょう。」

ティンク「何が妥協点よ!中島が怪我したのにさ!『ディアラマ!』中島、大丈夫?」

 

中島の折れた左腕の骨が回復した。

 

中島「ティンク、ありがとうなんだな。」

 

皆、一件落着だと思い談笑しているが外で倒されたチンピラが銃でタダカツを狙っている。

 

「このままだと頭に殺される…。せめて一人だけでも倒さないと。」

中島「!!」

「死ね!」

 

バン!!1発の銃弾が放たれた!

 

中島「タ、タダカツ、危ないんだな!」

 

中島はタダカツにタックルをした。

銃弾はタダカツにタックルをした中島の右胸を貫いた!

 

ジャック「ヒーホー、なんの音だ?」

弓子「拳銃だ!」

タダカツ「何故…。」

 

タダカツ以外、まだ中島が撃たれた事に気付いていない。

 

ユキムラ「みんな!気をつけて!」

タダカツ「何故、私を庇った?」

弓子「タダカツ!ボケッとするな!」

タダカツ「彼が…撃たれた…。」

 

タダカツの一言で皆が倒れてる中島に気付いた。

 

ユキムラ「えっ?マスター?」

ジャック「中島ー!しっかりしろ!」

ティンク「『ディアラマ!』中島、しっかり!」

タダカツ「何故…貴方は…私などを庇ったりしたのですか…。」

中島「ただかつ…。きみが…ぶじで…よかったんだな…。」

タダカツ「何故です!私などを庇って!」

中島「ぼくは…いたいのは…なれっこだから…」

 

中島は倒れた…。

 

ティンク「なか、じま?なんで?」

タダカツ「流れ出た血は魔法では回復できません…。私の責任だ…。こんなことになるなんて…。」

弓子「コイツら、さっきといい素人相手に簡単に銃を撃ってきた。」

ユキムラ「そんな、何処から…。」

 

見ると入り口は後から来たチンピラ達に防がれていた。

 

弓子「ちっ、新手が来たか。」

「テメエら!オセの頭が来たからにはさっきのようにはいかねえぞ!」

 

ぞろぞろとチンピラ達が中に入ってきた。後ろから頭と呼ばれた男と見覚えのある悪魔が出てきた。

 

弓子「あっ、テメエは!」

メルコム「おやおや、また貴女ですか白鷲 弓子。オセさん?珍しい妖精が手に入ったと聞いて前金までお渡しして来たのにこれはどういう事ですかな?この私を騙したのですか?」

オセ「ここの奴等を片付けたら問題はないだろ!」

弓子「やい!何で悪魔のテメエがここに居やがる!」

メルコム「アスラ組は私のビジネスパートナーでしてね。白鷲 弓子、私は貴女の相手をしている暇はないのですよ。オセさんこれでは話が違います。前金は返してもらいます。」

オセ「アイツ等を片付けたら問題は無いって言ってるだろうが!それとも、この俺が負けるとでも思っているのか!」

メルコム「ビジネスは信用が1番です。オセさん、貴方が勝つとか負けるとかじゃないのです。前金を渡したあげく商品は受け取れない。これではビジネスにはなりません。話になりません、前金は返してもらいます。」

オセ「テメエ!アスラ組を舐めやがって!」

 

アスラ組の頭とメルコムがお金の事で揉めている。

 

ティンク「『ディアラマ!』中島、起きてよ!」

タダカツ「彼には…血が…輸血が必要です…。無駄です…。」

ティンク「何よ!あんたのせいで中島が!中島が!」

タダカツ「私の…せいで…彼が…。何故…仲魔でもない私を庇ったのですか!」

弓子「中島はそういう奴なんだよ。契約はしてなくてもお前が傷つく所を見たくなかったんだよ。」

タダカツ「何故…。」

ユキムラ「マスターにとっては君を庇ったのは当たり前の事なのさ。タダカツ、自分を責めてはいけないね。」

パスカル「ソレ ナカジマノ ツヨサ!」

タダカツ「私は…。津島神社で何故彼に負けたのか分からなかった、しかしやっと理解した。彼の…強さ、優しさを!弓子、お願いがあります。」

弓子「なんだ?」

タダカツ「あの連中、かかってきたら少しの間、足止めをお願いします。」

弓子「その少しであたしが全員、ぶっ殺しているかも知れないぞ?」

タダカツ「それは困りますね。」

 

気づくとアスラ組のチンピラに囲まれている。

 

オセ「コイツらは全員殺せ!人間に化けていなくてもいい!殺せ!」

 

後から来たアスラ組のチンピラが本性が現れる!

ブッカブーが6匹現れた!

鬼が8匹現れた!

カワンチャが4匹現れた!

オセが現れた!

 

弓子「コイツら、全員悪魔だったのかよ。」

タダカツ「パスカル、彼の悪魔召喚プログラムをお借りします!」

 

パスカルが持つ中島の悪魔召喚プログラムを受けとり操作しだした。

 

ユキムラ「タダカツ?」

タダカツ「これで完了です。」

ジャック「何をしていたんだ?」

タダカツ「ユキムラ、パスカル、お願いがあります。彼を病院まで連れて行ってください。病院で輸血が必要です。」

ユキムラ「病院に行くだけならパスカルだけでも良いじゃないか。このイケメンである僕も戦うさ。」

タダカツ「病院で説明するのに貴方が居ないと門前払いになります。お願いします。彼は…私の主になる男です。こんな事で死なす訳にはいけません。ユキムラ、これを。」

 

タダカツは中島の悪魔召喚プログラムを渡した。

 

ユキムラ「分かったよ。」

タダカツ「ここで誓いを立てさせて貰います。我が名は鬼神 スサノオ!中島 朱美を主君とし!今ここに生涯の忠誠を誓う!」

ティンク「えっ?どういう事?中島の仲魔になってくれるの?」

タダカツ「ええ。ティンク、今までのご無礼お許しください。」

弓子「いいのか?お前、自分より強い奴としか契約しないのじゃなかったのか?」

タダカツ「弓子、意地が悪いですね。」

弓子「ハハハ!意地を張っていたのはお前のほうだろうが。」

タダカツ「フフ、そうかも知れませんね。皆さん、今後ともよろしくお願いいたします。」

 

鬼神 スサノオが仲魔に加わった。

 

「スサノオだと!?」

「ヤバい…。」

 

スサノオの名を聞いて悪魔達が恐れている。

 

メルコム「まさか、貴方が鬼神 スサノオだったとは…。オセさん、巻き沿いは御免です。私は失礼しますよ。」

オセ「テメエ!一人で逃げるのか!」

メルコム「ええ、お金はもう結構です。代わりに実験材料として外に転がっている人間をいただいて行きますので。白鷲 弓子、縁があればまたお会いしましょう。」

 

突如現れた空間にメルコムは消えて行った。

弓子「あの野郎、また逃げやがった!」

タダカツ「弓子、今は彼を病院に行かすのが先です。道を作ります。」

ユキムラ「それには及ばないさ。このイケメンである僕がいるのだからね。『ザンダイン!』」

 

ユキムラの強力な衝撃魔法でコンテナの壁をぶち破った!

 

ユキムラ「さあ、これで道は出来た。パスカル、マスターを病院に連れて行こうではないか!」

パスカル「マカセロ ユキムラ オレサマニツイテコイ!」

ティンク「待って!あたしも行くよ!」

タダカツ「お願いします。ティンク、我が主を頼みます。」

ティンク「分かったよ!その代わりそいつ等をみんなやっつけてよ!」

タダカツ「ええ、任せてください。」

 

パスカル達は逃げ出した。

 

オセ「逃げたぞ!追え!」

タダカツ「そうは行きません。貴殿方の相手は私です。我が主、中島 朱美に仇なす者達よ。覚悟しなさい。」

弓子「えっと、メスライオン?虎?何だか分からねえけど偉そうにしたっぱに命令していないでお前がかかってこいよ!」

 

説明は遅れたがオセは豹の悪魔である。

 

オセ「何だと?女!貴様から殺されたいのか!」

弓子「ほう?この白鷲 弓子様にまだそんな口を聞ける奴がいたとはな。いいからかかってこいよ、メスライオン!」

タダカツ「弓子、メスライオンではありません。豹の悪魔です。」

弓子「ひょう?なんだ、チーターの出来損ないか。まあ何でも良いからかかってこいよ!来ないならこっちから行くぜ!」

 

ちなみに豹とチーターは似てはいるが動物学的にチーター科と豹科に分類されている。けして出来損ないではない。

 

オセ「かかれ!数で攻めろ!」

 

弓子がオセに向かって行く!

しかし、前には鬼が4匹立ち塞がる!

 

弓子「どけ!」

 

弓子の攻撃!

弓子のティリョヨプチャギを放つ!

前に立ち塞がる鬼を吹き飛ばす!

 

「ぐわっ!」

弓子「どけ!」

 

弓子の攻撃!

弓子のティットラチャギが鬼にヒットした。

弓子の攻撃!

弓子のターンチャギが鬼に直撃した!

鬼を倒した!

 

「くそっ…。一人やられた。この女よくも!」

 

攻撃を喰らった鬼達が弓子に襲いかかる!

 

弓子「一撃で倒れなかっただけでも褒めてやるぜ。だがな、あたしのテコンドーはこんなもんじゃないぞ!覚悟しな!」

 

弓子は鬼3匹相手に奮闘する。

 

タダカツ「大将首は私がいただくとしますか。」

オセ「くそっ!今度はスサノオが来るか!ブッカブー!奴を足止めしろ!」

 

タダカツの前にブッカブーが6匹立ち塞がる!

 

ジャック「ヒーホー!お前たちの相手はこの偉大なるジャックフロスト様が相手だぞ!『マハブフーラ!』」

 

ジャックフロストの攻撃!

ブッカブーに氷の刃が襲いかかる!

しかし、ブッカブーには効かなかった!

しかし、ブッカブーには効かなかった!

しかし、ブッカブーには効かなかった!

しかし、ブッカブーには効かなかった!

 

ジャック「ヒホ?オイラの魔法が効かないぞ?」

タダカツ「ジャック?貴方はユキムラ達と一緒に行ったんじゃなかったのではないのですか?」

ジャック「オイラも戦うぞ!中島が酷い目に遭わせた奴等をやっつけるぞ!」

タダカツ「意気込みは良いですが、足手まといにはならないで下さいよ?」

「し、死ね!」

 

ブッカブーの攻撃!

鉄パイプでジャックフロストに殴りつけた!

ブッカブーの攻撃!

拳でジャックフロストに殴りつけた!

ブッカブーの攻撃!

ジャックフロストを蹴りあげる!

 

タダカツ「ジャック!」

ジャック「オイラはここだぞ!アイツ等が楽しそうに殴りつけてるのはオイラが作った幻だぞ!」

タダカツ「驚かさないで下さいよ。まあ、今のうちに彼等を倒しますか。ジャック、貴方は他の相手をしなさい。」

ジャック「だったらオイラがボスをやっつけてやるぞ!」

タダカツ「いけません!それは私の獲物です!」

ジャック「早い者勝ちだぞー!」

 

ジャックがオセに向かって行った。

 

タダカツ「先に彼等を始末しますか。この草薙の剣で。」

 

スサノオの攻撃!

草薙の剣でブッカブーの首をはねた!

スサノオの攻撃!

草薙の剣でブッカブーを真っ二つに切り捨てた!

スサノオの攻撃!

草薙の剣でブッカブーの首をはねた!

スサノオの攻撃!

草薙の剣でブッカブーの首をはねた!

 

「ん?居ない?」

「仲魔がやられてる!」

タダカツ「どうやら幻が消えたみたいですね。まあ、後は2匹です。」

「ス、スサノオ!」

「よくも!仲魔を!」

タダカツ「貴殿方に仲魔意識があったとは…。ですが我が主、中島 朱美に仇なす者は全て、死あるのみです!」

 

スサノオの攻撃!

草薙の剣でブッカブーを真っ二つに切り捨てた!

 

「ああああああ…くそう!」

 

ブッカブーの攻撃!

鉄パイプでスサノオを殴りつけようとする!

 

タダカツ「甘い!」

 

スサノオの攻撃!

ブッカブーの攻撃をかわして草薙の剣で心臓を貫いた!

ブッカブーを倒した!

 

 

 

その頃、弓子は懸命に戦っている!

 

「この女、強いぞ!」

弓子「たったの3匹じゃ物足りねえね!全員でかかってきてもいいんだぞ?」

 

鬼が2匹応援に来た!

 

「全員でかかれ!」

 

鬼達が弓子に襲いかかる!

 

ジャック「弓子が囲まれているぞ!オイラが助けてやるぞ!」

弓子「クソダルマ!あたしの戦いの邪魔したらどうなるか分かっているよな?」

ジャック「分かったぞ。ここは弓子に任せてオイラがボスをやっつけるぞ!」

弓子「あの出来損ないチーターはあたしの獲物なんだよ!手を出すな!」

ジャック「タダカツにも同じ事言われたぞ。でもオイラも戦うぞ。」

弓子「だったらそこのガイコツ共の相手をしてろよ!」

 

後ろからカワンチャ達がジャックに近づいて来ている。

 

ジャック「しょうがないぞ。お前達はオイラが相手をしてやるぞ。」

「ふざけるな!叩き斬ってやる!」

 

カワンチャ達が一斉に刀を抜いた。

 

ジャック「中島の仇だぞ!『マハブフーラ!』」

 

ジャックフロストの攻撃!

氷の刃がカワンチャを襲う!

氷の刃がカワンチャを襲う!

氷の刃がカワンチャを襲う!

氷の刃がカワンチャを襲う!

 

「うおっ!コイツ!」

「怯むな!殺れ!」

 

カワンチャの攻撃!

刀でジャックフロストを斬りつけた!

カワンチャの攻撃!

刀でジャックフロストを斬りつけた!

カワンチャの攻撃!

刀でジャックフロストを斬りつけた!

カワンチャの攻撃!

刀でジャックフロストを斬りつけた!

 

ジャック「ヒーホー!ハズレだぞー!ソイツはオイラが作った幻だぞー!今度はオイラの攻撃だぞ!」

 

ジャックフロストの攻撃!

必殺のアイスブレスがカワンチャ達を襲いかかる!

カワンチャは凍りついた!

カワンチャは凍りついた!

カワンチャは凍りついた!

カワンチャを3匹倒した!

 

ジャック「後はお前一人だぞ!」

「くそっ!」

ジャック「ヒーホー!本物はオイラが何処に居るか当ててみるんだぞ!」

 

ジャックフロストの雪分身!

雪で自分の分身を3匹作り上げた!

 

「またさっきの技か!」

 

カワンチャの攻撃!

ジャックフロストの分身を斬りつけた!

 

ジャック「残念ハズレだぞー!こいつでトドメだぞ!」

 

ジャックフロストの攻撃!

アイスブレスでカワンチャを凍りつかせた!

カワンチャを倒した!

 

ジャックフロスト「次はお前だぞ!中島の仇だぞ!」

オセ「この雑魚悪魔が!ぶっ殺してやる!アスラ組に逆らった事を地獄で後悔させてやる!」

 

仲魔の悪魔が倒されていきオセが両手に剣を持ち出てきた。

 

ジャック「オイラがやっつけてやるぞ!雪分身だぞ!」

オセ「そんなこけおどしの技が何度も通用すると思うな雑魚悪魔が!くらえ!『ベノンザッパー!』」

 

オセの攻撃!

二刀流で必殺の斬撃がジャックフロストに襲いかかる!

ジャックフロストの分身を倒した!

ジャックフロストの分身を倒した!

ジャックフロストの分身を倒した!

ジャックフロストの分身を倒した!

ジャックフロストは斬撃を喰らい吹き飛んだ!

 

ジャック「ヒ、ヒーホー…。オイラの技が破られたぞ。」

オセ「アスラ組に逆らう者は殺す!」

弓子「ほう?なかなかやるな、チーターの出来損ない。クソダルマ、テメエは下がっていろ。」

ジャック「ヒーホー…。弓子、ゴメンだぞ…。」

オセ「な、何?女、鬼に囲まれて居たのに?」

弓子「ああ、あいつ等はあたしのテコンドーで全員ぶっ倒したよ。後はお前だけだ。」

タダカツ「そう言うことです。残り2匹の鬼は私が退治しました。」

オセ「あれだけの数が一瞬で…。」

タダカツ「覚悟しなさい。貴方は私がお相手しましょう。」

弓子「待てタダカツ。ソイツはあたしの獲物だ。」

タダカツ「弓子は休んでいてください。相手は武器を持っています。」

弓子「あたしがそんななまくら刀にビビるとでも思っているのか?」

タダカツ「弓子、ここは公平にじゃんけんで決めましょう。」

弓子「ああ、最初はグーだぞ。」

タダカツ「良いでしょう。」

弓子「最初はグー!」パー

タダカツ「…私の勝ちですね。」チョキ

弓子「あっ!テメエ!最初はグーだろうが!」

 

弓子よ、騙そうとしてパーを出しといて何を言う。

 

弓子「待て!三回勝負だ!」

タダカツ「弓子、そう言って勝つまでやるつもりでしょう?」

弓子「あー!分かったよ!今回はお前に譲ってやるよ!」

オセ「テメエ等!俺を舐めるな!皆殺しだ!喰らえ『ベノンザッパー!』」

タダカツ「貴方こそ、先程と同じ技を使用するとは…。私を見くびり過ぎですね。」

 

オセの攻撃!

必殺のベノンザッパーを繰り出すがスサノオの草薙の剣で受け止められそのまま刀をへし折られた!

 

オセ「お、俺の刀が…2本とも…。」

タダカツ「どうしました?お仕舞いですか?」

オセ「くそっ!まだだ!アスラ組を舐めるな!」

 

オセの攻撃!

鋭い爪でスサノオに襲いかかる!

 

スサノオ「くだらない…。」

 

スサノオの攻撃!

草薙の剣で攻撃してきたオセの右腕を斬り落とした!

 

オセ「ギャャャァァァァ!」

タダカツ「次は頭を斬り落とします。これで終わりです。」

オセ「ヒ、ヒイィィィィ!た、助けてくれー!」

 

逃げる先には弓子が待ち構えていた。

 

弓子「何処に行くつもりだ?」

オセ「テメエ等、アスラ組に逆らったらどうなるか分かっているのか!」

弓子「逃げ出そうとしてまだそんなことを言うのかよ。幹部のテメエがその程度じゃボスもどうせ弱っちいんだろうな。がっかりだぜ。」

オセ「アスラ組の幹部の俺が…。くそー!」

 

オセはユキムラが壊した出口に逃げ出そうとするがそこにはタダカツが待ち構えている。

 

タダカツ「貴方の部下は最後まで戦ったのに情けない。死になさい。」

 

スサノオの攻撃!

スサノオの地獄突きがオセの心臓を貫いた!

オセは崩れ落ち力尽きた!

 

タダカツ「終わりましたね。」

弓子「ああ。」

ジャック「タダカツ、よくやったぞ!」

弓子「よくやったじゃねえよクソダルマ!お前、勝手に出来損ないチーター野郎に向かって行って斬られてるんじゃねえよ!」

タダカツ「ジャック、すぐにお調子に乗るのは悪い癖ですね。それより斬られたのに大丈夫ですか?」

ジャック「痛かったけどオイラは体は雪で出来てるから大丈夫だぞ!それより中島が心配だから病院に急ぐぞ!」

弓子「ああ。」

タダカツ「すみません。先に事務所に寄ってからにしてください。この返り血を洗いたいので…。」

弓子「まあ、それで病院に行ったら通報されるからな。良いぜ、兄貴にも報告しないといけないからな。」

タダカツ「では、私につかまって下さい。『トラポート!』」

 

タダカツの魔法で1度事務所に戻ってから一行は病院に向かった。

 

 

 

その頃、ユキムラ達はいつもの病院にたどり着いた。いつものヨモツシコメの婆さんが対応してくれた。

 

「あんたたち、何かあったのかい?」

ユキムラ「マスターが拳銃で撃たれたんだよ、それで病院の急いで来たのさ。」

ティンク「回復魔法をずっとかけているけど中島が目を覚まさないの…。」

「大変危険な状態だね…。すぐに治療室に運ぶよ。」

 

中島は治療室に運ばれた。

 

「見た目は魔法で回復しているけど出血が酷いね…。早く輸血をしないと助からないね…。」

ユキムラ「血が必要なんだね。このイケメンである僕が街のみんなから血をもらってくるよ!」

 

ユキムラは颯爽と街に繰り出した。

 

「あっ!行っちまったよ…。血液型も聞かずに…おチビちゃん、治療室で待ってくれるかい?」

ティンク「なんで!嫌だよ!中島はあたしが助けるんだよ!『ディアラマ!』」

「おチビちゃん、血液や病気は魔法では治せないんだよ…。だからお医者さんがいるんだよ。」

ティンク「人間なんて信用できないよ…。中島は何も悪い事をしてないのに、寄って集って叩いたり蹴ったり酷すぎるよ。なんで中島がそんな目に遭わないといけないのよ!」

「良い人間もいればどうしようもない悪党だっているんだよ…。その辺は悪魔も人間も同じだよ…。」

 

ガチャ。白衣を着た男性が治療室に入ってきた。

 

「ほら、おチビちゃん。後は先生に任せるんだよ。」

ティンク「嫌だ。人間なんか信用しないもん。中島に酷い事をする人間なんか信用しないもん。」

 

白衣を着た男性は中島を見てすぐに血相を変えて作業にかかる。

 

「夜茂津主任、彼の家族に急いで連絡を!これはまずい…。」

「分かったよ!血液はAB型だよ!」

「寄りによってAB型か…。院内の血液のストックが少ない…。」

ティンク「中島に何をするのよ!中島から離れてよ!」

「退いていなさい。」

ティンク「人間の言うことなんか聞かないよ!中島に酷い事をした人間達なんか!」

「私は医者だ。彼を助ける為にここにいる。直ぐに輸血を行う。」

 

医者が輸血の作業に取り掛かる。

 

「この彼に何があったかは分からないが私を信用して欲しい。」

ティンク「あたしを見ても驚かないんだね…。」

「夜茂津主任からは色々と聞いている。悪魔の存在も。」

ティンク「…。」

 

ヨモツシコメの婆さんが治療室に戻って来た。

 

「夜茂津主任、彼の家族には?」

「身分証などは持って無かったからね…。勤め先に連絡をしたよ。で、助かりそうかい?」

「正直、今の状態で死んでいないのが不思議なくらいです。輸血はしているがまだ血が足らない…。このままだと本当に死ぬかもしれない…。」

「そうかい…。」

ティンク「そんな…。」

 

 

その頃、ユキムラは街に繰り出して片っ端から人々に声をかけている。

 

ユキムラ「ヘイベイビー!このイケメンである僕に血を分けてくれるかい?」

「えっ?」

 

声をかけた女の人は逃げ出した。

 

ユキムラ「そこのカワイコちゃん達、このイケメンに君達の血を分けて欲しいんだ!」

「えっ?なにコイツ?」

「なんか危ない奴だよ。逃げよう。」

 

女の子達は一目散に逃げ出した。

 

ユキムラ「ねぇ、ちょっと良いかな美しきレディー。」

「えっ?何?私?」

ユキムラ「そう君さ!このイケメンである僕の為に君の血を分けて欲しいだ。いいだろ?」

「は?警察呼びますよ?」

ユキムラ「少しで良いんだ!お願いだよ!」

「い、いや!放して!」

 

女の人は逃げ出した!

 

ユキムラ「何で?そうだ!男の人にも声をかけるんだ!こうしている間にもマスターは危険な状態なんだ!」

 

ユキムラはなりふり構わず声をかける。

 

「あっち行け!」

「近づくな!」

ユキムラ「お願いだよ!誰でも良いんだ!血を分けてよ!」

 

誰かが警察に通報したのかお巡りさん達がユキムラに近づいてきた。

 

「通報が有ったこの辺りで騒いでいる不審者ってのは君だね。」

「ちょっと署の方に来てもらおうか?」

ユキムラ「あっ!お巡りさん達、お願いだよ!僕に血を分けて欲しいだよ!」

「詳しい事は署で聞くから来てもらおうか。」

 

お巡りさん達がユキムラを連れて行こうとした時、一人の青年がお巡りさんを止めに入った。

 

「えっと、お巡りさん?俺の連れが何かしましたか?」

「なんだい、君は?」

「あー、ソイツは俺の連れなんで何かしたなら俺の方から言っておきますから今回は穏便にしてくれますか?」

「だから、君は誰なんだい?」

「あれ?俺、地元じゃ有名になったと思っていたのだけどな。名古屋おもてなしイケメン武将隊のリーダーの織田 ノブナガですよ。」

「あー!って普段着だったら分かる訳ないじゃないか。毎日ご苦労だね。あの格好、大変だろう?」

「最初はね、でも俺達を見に来てくれる人達が居るって思うと頑張ろうってなりますよ。で、コイツ連れて行って良いですね?」

「あ、ああ。これからも頑張ってね。」

 

織田 ノブナガと名乗る青年のお陰でお巡りさん達は去って行った。

 

「ユキムラ!お前、いったい何をやってるんだ!」

ユキムラ「ノ、ノブナガさん。実は…。」

 

ユキムラは経緯を話した。

 

「いきなり血を分けてくれって言って分けてもらえる訳ないだろ!それじゃただの変質者だろうが!」

ユキムラ「でも、血が無いとマスターは死んでしまうから…。」

「で、ソイツの血液型は?」

ユキムラ「血液型?そんなのあるのかい?」

「血液型が違っていたら輸血は無理なんだよ!もういい!その病院まで連れて行け!」

ユキムラ「えっ?助けてくれるかい?」

「血液型が分からないと話にならないだろうが!行くぞ!」

ユキムラ「ノブナガさん…。ありがとう!」

 

ユキムラはノブナガを連れて病院に戻った。

 

 

 

 

ユキムラ達は急いで病院に戻って来た。入口の前には数人の青年が待っていた。

 

「おう!ヒデヨシにケイジ、いきなりの呼び出しですまないな。」

「ノブナガさん、何かあったのですか?」

「ユキムラのダチが危篤状態だ。輸血がいる。他の奴等は?」

「直ぐにくると思う…。」

「血液型は?」

「ああ、ユキムラのバカが血液型を聞かずに飛び出したみたいでな。病院で聞いていたら間に合わないかも知れないからとりあえずみんな呼んだんだよ。」

ユキムラ「ヒデヨシさん、ケイジさん、ありがとう…。」

「血液型を聞くのが先だよ。ユキムラ、案内してくれ。」

ユキムラ「わ、分かったよ。」

「それにしてもあんなに必死なユキムラは初めて見たぜ。お前達にも見せたかったな。」

「ユキムラ、女か?」

ユキムラ「違うよ。僕の大切な…友達さ。」

 

ユキムラ達は治療室に向かうとアスラ組と戦っていた弓子達が部屋の外にいた。

 

弓子「ユキムラ!テメエ、何処で油を売っていた!」

ユキムラ「ハハハ!弓子はバカだなあ!このイケメンである僕が輸血提供者を連れて来たんじゃないか!」

タダカツ「あっ、ノブナガさん。どうしてここに?」

「よう!タダカツも居たのか。ユキムラのバカが街で血を分けてくれって喚いていて警察に連れて行かれそうになった所に出くわしてな。話を聞いて仲間を集めて来たんだよ。で、血液型は?」

弓子「AB型だ。あたしの兄貴とたまたま事務所に来ていた新田が中島に輸血をしている最中だ。」

「ケイジ、血液型は?」

「Bだ。」

「ヒデヨシは?」

「O型です…。」

「俺だけか、中だな?行ってくる。」

弓子「わざわざ来てもらってすまないな。二人居るから無駄足だったかも知れないぞ。」

タダカツ「ノブナガさん、わざわざすみません。」

「気にするな。」

 

ノブナガが一人治療室に入っていった。

 

「こら!あんた、勝手に入ってきたらいけないよ!」

「ユキムラの奴に緊急だって聞いていてすまないな。輸血提供者だ。多目に見てくれよ婆さん。」

「そうかい、直ぐに準備をするから待ってくれるかい?」

「ああ。」

 

ノブナガは奥に案内された。

 

「先生!新たな輸血提供者が来てくれたよ!」

「そうか!直ぐに連れて来てくれ!君、もういいよ。ありがとう。」

新田「まだまだ我が輩はいけますぞ!限界を超えるまで倍プッシュですぞぉ!」

「倍プッシュじゃねえよ。限界を超えたらお前が死んでしまうだろうが、退けよ。」

新田「お主はいったい?」

「輸血提供者だよ。ユキムラのバカに泣きつかれてな。」

 

先に輸血を提供していた新田に変わりノブナガが中島の輸血を始めた。

 

「君、わざわざすまないね。」

「それよりソイツ助かるのか?」

「ああ。君のお陰でね。」

 

中島の輸血は終わりノブナガは治療室を出ていった。

 

「さぁ、後は病院の仕事だからあんた等も出ていきな。」

新田「中島氏の事をお願いいたしますぞ!」

 

新田は治療室を出ていった。

 

大輔「…。悪運が強いね、中島君…。」

 

人に聞こえない位の小さい声で呟き大輔も治療室から出ていった。

 

新田「中島氏は一命をとりとめたですぞぉ!」

 

新田は出てきて治療室の外のみんなに報告した。

 

弓子「新田!ありがとうな!」

新田「輸血提供者が我が輩だけでピンチでしたが見知らぬ人の協力のお陰で中島氏は助かったのですぞ!お礼ならその人に言うべきですぞぉ。」

弓子「ん?お前だけ?」

ジャック「そう言えばあの兄ちゃん何処に行ったんだ?」

ユキムラ「ノブナガさん達は先に帰ったよ。マスターが目覚めたらよろしくって言ってたよ。」

弓子「そのノブナガって奴等も実は悪魔じゃないのか?」

タダカツ「彼等は人間ですよ。ノブナガさんは男気のある良い男です。」

大輔「みんな、ここで話していたら病院の人達に迷惑だから事務所に戻ろう。」

弓子「お前ら先に事務所に戻ってくれ。あたしは兄貴と話があるから後で戻る。新田も事務所で待っていてくれ、礼がしたい。」

新田「おやおや?白鷲女氏が我が輩にお礼とは。これは真夏なのに雪が降るかも知れませんな。」

弓子「新田、テメエはユキムラと同じようにボコボコにされたいみたいだな?」

新田「冗談ですぞ。我が輩達は先に事務所で待っておりますぞ。」

弓子「最初から素直にしてれば良いんだよ。あたしが帰ってきてからユキムラをボコボコにした後に喫茶店に連れて行ってやるよ。」

ユキムラ「えっ?なんで僕がボコボコにされないといけないんだい!」

弓子「お前が街で迷惑をかけたからだろうが!帰ったらちゃんと遺書を書いとけよ!」

ユキムラ「そ、そんな…。」

 

弓子と大輔を残して皆は事務所に帰るのであった。



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アスラ組 その後

弓子と大輔は病院を出てとある喫茶店に入った。

 

「いらっしゃいませ!お二人様ですね。」

弓子「奥の席に通してくれ。」

「かしこまりました。こちらへどうぞ。」

弓子「アイスコーヒー2つだ。」

 

弓子は席につく前に注文を頼んだ。

 

弓子「兄貴、どういうつもりだ。」

 

席について早々にどすの利いた声で大輔に尋ねた。

 

大輔「なんだい、いきなり。」

弓子「兄貴、AB型だったよな。」

大輔「そうだね。それがどうしたんだい?」

弓子「中島を見殺しにするつもりだったのか!」

大輔「弓子達と入れ違いに事務所来てた新田君が輸血を提供してくれたからね。必要ないと思っただけだよ。それに僕はお金にならない事には興味はないから。弓子も知っているだろう?」

弓子「中島が死のうが関係無いとでも言いたいのか!!」

 

弓子が大声をあげる。

 

大輔「弓子、お店の中で大声をあげないでくれ。それに他の輸血提供者が現れて助かったんだから良いじゃないか。」

弓子「ユキムラが連れて来なかったら中島は死んでいたかも知れないのだぞ。」

大輔「でも助かったのだから良いじゃないか。それより弓子、最近受けた依頼だけど結構悪魔を見逃しているね。」

弓子「倒す敵は倒している。」

大輔「倒す敵はじゃなくて全て倒さないと話にならない。前回もグレムリンを見逃しただろ。」

弓子「倒す必要ないからな。依頼主達がアイツ等を気に入ったからな。仕事も手伝ってくれて大助かりだそうだ。」

大輔「悪魔だぞ。全て倒せよ!」

弓子「大声を出すなよ。兄貴、何が気に入らない。依頼主から感謝されて金も手に入って。」

 

二人の間に沈黙の時間が流れる。

 

「アイスコーヒーお待たせしました。」

 

沈黙の時間を遮るようにウエイトレスがアイスコーヒーを持ってきた。

 

弓子「すまねえな。」

「ごゆっくりどうぞ。」

 

ウエイトレスが離れて少しして大輔が口を開いた。

 

大輔「僕達の両親は悪魔に殺されたんだぞ。」

弓子「だからって関係無い奴等も全員倒す必要ないだろ。」

大輔「弓子、あの中島君が事務所に来てからだ。悪魔を見逃したりし出したのは。」

弓子「悪魔にも良いやつも居れば悪い奴も居る。」

大輔「中島君が弓子をそうさせたのかい?」

弓子「あたしは何も変わっちゃいねえ。気に入らない奴はぶっ飛ばすしな。兄貴こそ、中島に嫉妬しているだけだろ。」

大輔「何を言い出すんだ、そんな訳ないだろ!」

弓子「兄貴が使えなかった悪魔召喚プログラムを使い、仲魔を作り楽しそうにしている中島が気に入らないだけだろ!それに兄貴には到底勝てないユキムラやタダカツが側に居る。だから輸血をしないで見殺しにしようとした、違うか!!」

大輔「ユキムラにタダカツ…か。弓子、クーフーリンにスサノオだ。それにスサノオは親の仇だ。」

弓子「まだそんな事を言ってるのか。」

大輔「そんな事ってなんだよ!僕達の両親が殺されたせいで…。どれだけ惨めな思いをしてきたと思っているんだ。」

弓子「それはあたしらの親が親戚中に疎まれていたからだろ。そんなのは最初だけであたしの方はそこそこ仲良くしていたけどな。それを兄貴が僻んで親戚みんな魔法で焼き殺して…。」

大輔「僕が一方的に悪いような言い方だな。アイツらは僕らの両親を侮辱して僕も陰湿な嫌がらせを受けてきた。そんな奴等は死んで当然だ。」

弓子「あたしらの親とそっくりだな。常に自分が正しいと思い込んでいる辺りがな。」

大輔「僕は…間違っていない。スサノオもいずれ倒す。」

弓子「タダカツも中島の仲魔になった。諦める事だな。」

大輔「なんでだ…。中島君にそんな力はないはずだ!なんで、スサノオが中島君の下についたりするんだ!」

弓子「中島だから仲魔になったんだよ。前にも言っただろ。下じゃねえ。」

大輔「中島君に従うって事だから同じじゃないか。」

弓子「まず、その考え方が違うんだよ。今の兄貴には分からねえと思うがな。」

大輔「僕には小さい時から特訓して得た魔力ある。その力を使えば、中島君の悪魔召喚プログラムだって僕の物に出来るんだ!」

弓子「無理だな。兄貴じゃ中島には勝てない。返り討ちになるだけだ。それに兄貴に従う奴など誰もいない。」

大輔「僕の魔力があれば…。悪魔の一匹や二匹ぐらい…。」

弓子「これ以上言っても無駄の様だな。そう言えばあの昼間来た奴等にも不意打ちをした挙げ句に痛い目に遭ったんだよな。」

大輔「あの子は、僕の知らない魔法を使ってきた。」

弓子「手加減されていたから兄貴は死なずに済んだんだよ。アイツらは真面目に戦ったら兄貴より強いぞ。」

大輔「僕が弱いような言い方だな…。」

弓子「ああ。大事な物が何もない兄貴は弱いよ、誰よりもな。まあ、色々言ったが仕事は今まで通りしてやるよ。明日、タダカツを連れて山川組の若頭に会いに行く。アスラ組も気になるしな。」

大輔「駄目だ弓子、まだアスラ組には手を出すな。」

弓子「はぁ?舐められたまま引き下がれって言うのか!」

大輔「違う。あの後、アスラ組を調べたのだけど…愛知県警のキャリアの幹部と繋がっている。闇雲に手を出してはいけない。」

弓子「兄貴、愛知県警が悪魔と手を組んでいるとでも言いたいのか?」

大輔「悪魔?まさか…。」

弓子「ああ、全てじゃないがアスラ組の連中、人間に化けた悪魔だった。」

大輔「何?」

弓子「あたしとタダカツで襲ってきた連中はみんな倒したがな。幹部の男は確か…オセだったかな。そんな名前だった。」

大輔「オセ…。そんな悪魔が…。」

弓子「口先だけでクソ弱かったがな。最後も『アスラ組に逆らったらどうなるか分かっているのか!』とか抜かしていただけだからな。」

大輔「弓子、不味いぞ…。」

弓子「何が不味いんだよ。あたしとタダカツで全員ぶっ飛ばしたらいいだけじゃないか。」

大輔「警察がバックについてるんだよ。敵の強さだけじゃない。」

弓子「だからと言ってこのまま引き下がれないな。兄貴、歯向かう悪魔は全て倒すべき敵だよな?」

大輔「いや今回は…。」

弓子「敵だよなぁ?兄貴、さっき言ってたよなぁ?警察がなんだ、すでにタダカツの奴がアスラ組の幹部のオセの心臓を貫いて殺している。もう後には退けないんだよ。」

大輔「分かったよ。僕は市長さんに話をしておくよ。警察の動きを止めれるかも知れないからね。タダ働きになるけど今回は仕方がないか。」

弓子「兄貴、こんな状況でも金の事しか頭に無いんだな。」

大輔「当たり前じゃないか。お金より大事な物なんてこの世には無いからね。僕の両親も一億ぐらいの生命保険に入っていたら子供の時に苦労もせずにスサノオを恨んで生きていなかったのにな。」

弓子「…。」

大輔「なんだい?急に黙って?」

弓子「兄貴…。1つ聞いていいか?」

大輔「ん?」

弓子「もしかして、親戚みんな魔法で焼き殺したのって…。」

大輔「嫌がらせを受けてきた恨みもあるけど、みんな一斉に殺したら保険金に火災保険などのお金は全部僕の物になるからね。そのお陰でこの事務所を建てて僕達は大学まで出れたんじゃないか。」

弓子「…。聞くんじゃなかった…。」

大輔「自社ビルを建てれたんだよ。そこだけはあの親戚連中には感謝しないとね。」

弓子「兄貴、親戚みんなに化けて出てこられても知らないぞ?」

大輔「ああ、みんな昔に怨霊となって出てきたよ。まあ、みんな魔法で消滅させたけどね。悪魔は全て倒すべき敵だからね。」

 

自分勝手なサイコパスである。

 

弓子「あたしはこんなのと血が繋がっているのか…。」

 

喋る気力を失った弓子は会計をした。

 

弓子「釣りは要らねえ…。」

「あっ、あの!」

大輔「弓子がお釣りを要らないなら僕が代わりにもらっておくよ。」

 

何処までも金の事しか頭に無いサイコパスであった。

 

 

 

皆が病院から帰ったころ…

中島は意識の無い状態が続いている。その傍らには中島が倒れてからずっと回復魔法をかけていたティンクが疲れ果てて中島に寄り添う様に眠っている。

 

ティンク「なかじま…。」

 

眠りながらもティンクは中島を心配している。

 

 

 

 

中島は夢を見た。

何もない世界…。中島は一人何処かも分からず歩いている。

 

 

 

 

「朱美、朱美…。」

 

中島は誰かに呼ばれた声の方に歩いている。

 

「朱美…。朱美…。」

 

声がする方へ歩いていると大きな川にたどり着いた。

 

「朱美…。こっちだよ…。」

中島「あっ、お爺ちゃん。」

 

生前、中島を可愛がってくれた祖父がいた。

 

「朱美…。久しぶりだね…。こんなに早くお前が来るとはね…。因果なものだよ。」

中島「お爺ちゃん、ここは何処なんだな?」

「死後の世界…。三途の川だよ…。」

中島「三途の川?もしかして…。僕は死んでしまったの?」

「この川を渡ると死んでしまう事になるよ。」

中島「そんな…。」

「朱美…。こっちでお爺ちゃんと一緒に暮らそう。戻っても良いことなんて1つも無いよ。」

中島「でも…。」

「朱美の様子は見ていたよ…。探偵なんてしていても良いこと無いよ。」

中島「…。」ダメ…。

 

何処からかかすれた声が聞こえてくる。

 

「戻ってもあの女探偵にいじめられるだけだよ。お爺ちゃんと一緒にこっちで暮らそう。」ダメダヨ…。

 

またかすれた小さい声が聞こえてくる。

 

「朱美…。こっちにおいで…。」

中島「ぼ、僕は…。」ナカジマ、ダメ…。

 

小さい声が少しずつ大きくなる。

 

「朱美…。こっちに来たらもう辛い思いはしなくていいんだよ。」

「中島、行っちゃダメだよ。」

中島「今の声は?」

 

中島の耳に何者かの声が聞こえた。

 

「声なんて聞こえないよ…。お爺ちゃんの所へおいで…。一緒に暮らそう…。」

「中島!行っちゃダメ!行かないで!」

中島「ティンクの声なんだな!」

「声なんて何も聞こえやしないよ。朱美、いったいどうしたんだい?」

「中島、お願い帰って来て!」

中島「やっぱりティンクの声なんだな…。お爺ちゃん、僕は…まだ死ねないんだな。ティンクが僕を呼んでいるんだな。」

「朱美…。あれは悪魔だよ。戻っても良いことなんて無いよ。」

中島「お爺ちゃん、ティンクは僕の大事な友達なんだな。僕はまだティンクやジャックにパスカル、ユキムラにタダカツに弓子さん達と一緒に居たいんだな。だから、ごめん…。まだ、そっちには行けないんだな。」

「朱美…。」

中島「お爺ちゃん、僕はみんなの所へ戻るんだな。」

「朱美…。分かったよ…。お爺ちゃんの負けだよ…。本当は朱美を天国に連れて来いと言われていたけど、かわいい孫の頼みだ。ここの帰り方を教えてあげるよ…。」

中島「帰り方?」

「なんだい、知らないで戻るって言ってたのかい?いいかい?このまま今来た道を振り返らずにずっと真っ直ぐ行くんだよ…。絶対に何があっても振り返ったら行けないよ…。」

中島「振り返らずに?」

「そう…。振り返ったら最後、地獄に無理矢理連れて行かれる事になるからね…。」

中島「じ、地獄に…。無理矢理…。こ、怖いんだな…。」

「朱美は昔から変わらず怖がりだね…。みんなの所へ帰るのだろ?」

中島「う、うん。ティンクが待っているんだな。」

「だったら、戻らないと。お爺ちゃんも着いて行ってあげるから…。」

中島「うん。分かったんだな。」

 

中島はもと来た道を歩きだした。

 

 

 

 

 

中島はひたすらもと来た道を歩いている。

 

???「ヒーホー!中島、こっちだぞ!反対だぞ!」

「朱美、真っ直ぐだよ…。惑わされては行けないよ。」

中島「でも…。ジャックが…。」

「振り向いては行けないよ。ああやって朱美を惑わして来るからね。絶対に振り返ったらダメだよ。」

 

中島はひたすら歩き続ける。

 

???「HEY!マスター!こっちだよ!このイケメンである僕がいるこっちへ振り向くんだよ。」

中島「今度はユキムラの声なんだな。」

 

中島はひたすら歩き続ける。

 

???「なーかーじーまー!このあたしを無視するとはいい度胸だな!こっちを向け!」

中島「ひっ!弓子さんなんだな!」

???「中島!テメエ!あたしに蹴り飛ばされたいのか!」

中島「…。本当の弓子さんだったらすでに蹴り飛ばされているんだな。だから、君は偽物なんだな。」

???「…。」

「朱美…。その弓子って人に酷い目にあっているのだね…。戻ったらお爺ちゃんがその人にきつく言ってあげるよ…。」

 

中島はまだ歩いて行く。

ヒタヒタ、ヒタヒタ、後ろから何者かの足音が聞こえてくる…。

 

中島「誰かが着いてきているんだな…。」

「朱美…。絶対に振り返ったらダメだよ。地獄に連れて行かれるからね。」

 

中島はさらに歩いて行く。

しばらく歩くと明るい光が差し込んで来た。この先が出口かも知れない。

 

中島「明るくなって来たんだな。」

???「ヒーホー!そっちじゃないぞ!」

???「ナカジマ コッチムク!」

???「なーかーじーまー!この白鷲 弓子様を無視するんじゃねえぞ!こっちを向けよ!」

 

中島は仲間に似せたあらゆる声を無視して先を進む。

 

???「中島、もう出口だから振り返っても大丈夫だよ。」

中島「ティンクの声なんだな!」

「朱美、ダメだ!振り返ったら!」

 

中島は思わず振り返ってしまった!

 

「ハハハハハハ!やっとこさ振り返ったぜ!」

「さあ!楽しい楽しい地獄にご案内だぜ!」

 

中島は瞬時に悪魔達に取り囲まれた!

 

餓鬼が8匹現れた!

モウリョウが5匹現れた!

ヨモツイクサが6匹現れた!

スペクターが7匹現れた!

グールが8匹現れた!

 

中島「い、いっぱいいるんだな…。」

 

悪魔達は中島を取り囲み一斉に襲いかかって来た!

 

「オオオオマエ!ジゴクイキィー!」

 

スペクターは口から火の玉を放った!

スペクターは口から火の玉を放った!

スペクターは口から火の玉を放った!

スペクターは口から火の玉を放った!

スペクターは口から火の玉を放った!

スペクターは口から火の玉を放った!

 

スペクター達の放った火の玉が一斉に中島に襲いかかる!

 

中島「あああああ!熱いー!」

「オマエエエエエ!ミミミミチズレエエエー!」

 

間髪いれずモウリョウ達が襲いかかる!

モウリョウの攻撃!

モウリョウのデスタッチが中島の体力を奪う!

モウリョウの攻撃!

モウリョウのデスタッチが中島の体力を奪う!

モウリョウの攻撃!

モウリョウのデスタッチが中島の体力を奪う!

モウリョウはムドを唱えた!

死の呪いが中島に降りかかる!

モウリョウの攻撃!

モウリョウのデスタッチが中島の体力を奪う!

 

中島「ううう…。苦しい…。」

「お前、旨そう!いただきマンモス!」

 

更に餓鬼達が中島に襲いかかる!

 

餓鬼の攻撃!

餓鬼は中島に噛みついた!

餓鬼の攻撃!

餓鬼は中島に噛みついた!

餓鬼の攻撃!

餓鬼は中島に噛みついた!

 

中島「ああああ!痛い!僕は食べても美味しく無いんだな!」

「血の味ジューシー!いただきマンモス!」

 

餓鬼の攻撃!

餓鬼は中島に噛みついた!

餓鬼の攻撃!

餓鬼は中島に噛みついた!

餓鬼の攻撃!

餓鬼は中島に噛みついた!

 

中島「や、止めるんだな!僕はみんなの所へ帰りたいだけなんだな!放して欲しいんだな!」

「死人は地獄に行くのが決まりなんだよ!無理矢理でも連れて行ってやるよ!」

 

ヨモツイクサ達が中島に襲いかかる!

 

「朱美、こうなったら戦うのだよ。」

中島「そ、そんな…。」

「朱美、お爺ちゃんの言うことをよく聞きなさい。」

中島「う、うん…。」

「ここは魂だけの世界…。ここだと、朱美の魔力を解放しやすい。」

中島「ぼ、僕に魔力?」

「朱美。今までもピンチの時に朱美は魔力を解放してきているよ。思い当たる事が有るだろ?」

中島「…。」

「お爺ちゃんの言う通りにするんだよ。まず、心を強く持つんだ。」

中島「心を…強く…。」

 

ヨモツイクサ達が中島の目の前まで攻撃しに来ている!

 

「そして、その強く持った心を爆発させるイメージで、こう叫ぶんだ。『メギドラオン!』ってね。やってごらん?朱美なら出来るよ。」

中島「わ、分かったんだな!心を強く気持ちを爆発させて…。」

「地獄にご案内だー!」

 

ヨモツイクサが持っている棒で中島に殴りかかる!

 

中島「『メギドラオン!!』」

「何!」

 

魔力を解放し中島が放ったメキドラオンの核の炎が悪魔達に襲いかかる!

 

ヨモツイクサは爆発した!

ヨモツイクサは爆発した!

ヨモツイクサは爆発した!

ヨモツイクサは爆発した!

ヨモツイクサは爆発した!

餓鬼は爆発した!

餓鬼は爆発した!

餓鬼は爆発した!

餓鬼は爆発した!

餓鬼は爆発した!

餓鬼は爆発した!

餓鬼は爆発した!

餓鬼は爆発した!

スペクターは爆発した!

スペクターは爆発した!

スペクターは爆発した!

スペクターは爆発した!

スペクターは爆発した!

スペクターは爆発した!

スペクターは爆発した!

モウリョウは爆発した!

モウリョウは爆発した!

モウリョウは爆発した!

モウリョウは爆発した!

モウリョウは爆発した!

グールは爆発した!

グールは爆発した!

グールは爆発した!

グールは爆発した!

グールは爆発した!

グールは爆発した!

グールは爆発した!

グールは爆発した!

 

「あれだけいた数が一撃で…ひ、ヒィィィィー!」

 

一匹残ったヨモツイクサは一目散に逃げ出した。

 

「朱美、今の感覚を忘れたらダメだよ。朱美だけが持つ魔法だからね。」

中島「い、今のを、ぼ、僕が…。」

 

中島は自分の放った力に恐怖した。

 

「朱美は本当に優しい子だね。でもね、朱美の仲間達が本当にピンチの時はその力を使わないといけないよ。」

中島「お爺ちゃん…。僕は…。」

「朱美…さあ今のうちに先に進もう。もう少しだからね。」

中島「分かったんだな…。」

 

中島は再び光が差し込んでいる方に歩き始めた。

どれだけ歩いただろうか。知らない内に中島の意識はなくなった。

 

 

 

 

中島は夢から目を覚ました。

すっかり夜が明けて気持ちのいい日本晴れだ。

 

「おや?太っちょのサマナー、どうやら峠は越えたみたいだね。」

中島「あっ、お婆さん。僕は…拳銃で撃たれて…。」

「そうかい、あんたは出血多量で死にかけていたんだよ。」

中島「お婆さん、助けてくれてありがとうなんだな。」

「あたしじゃなくあんたの横で眠っている妖精のおチビちゃんに言いな。あんたが倒れてからずっと回復魔法をかけ続けていたんだよ。疲れきって倒れるまでね。」

中島「僕、三途の川でティンクの声を聞いたんだな。それで戻らないとって思って。」

「そうかい?だったら尚更感謝しないといけないよ。」

中島「うん。」

 

中島がヨモツシコメの婆さんと話をしているとティンクが目を覚ました。

 

ティンク「うーん。あたし、いつの間に寝ちゃっていたんだろう?あっ!中島!良かったよ…。無事で本当に良かったよ…。」

中島「ティンク…。また君に助けてもらったんだな。また君と一緒に居れるのが嬉しいんだな。」

ティンク「なかじまー!心配したんだよ!あたし!あたし!」

 

ティンクは中島に飛びつきわんわん泣き出した。

 

「さあ!元気になったんだからとっとと出ていきな。病院は元気な奴が居る所じゃないからね!」

中島「うん!お婆さん、ありがとうなんだな!」

ティンク「お婆さん!ありがとう!」

「ほら!とっとと帰りな!」

 

中島達はヨモツシコメの婆さんにお礼を言って病室を出た。

病室を出ると直ぐに主治医の先生に出くわした。

 

「おや?すっかり良くなったのだね。」

ティンク「先生…。あの…。あたし…先生に酷い事を言って…。」

「ハハハ!気にしなくて良いよ。君、中島君って言ったかな?」

中島「は、はい。」

「デビルサマナーなんだね?」

中島「デビルサマナー…。」

「警戒しなくて良いよ。私のご先祖もデビルサマナーだったから知っているだけさ。」

中島「ご先祖様が?」

「大塩平八郎…名前ぐらいは聞いた事はあると思うよ。」

中島「大塩平八郎?知らないんだな…。」

 

大塩平八郎、江戸時代の儒教家である。大阪では日本史の授業で必ず習う。しかし、有名な大塩平八郎の乱の具体的な内容は皆あまり知らない。

 

「大阪の人しか知らないのかな…。その時のデビルサマナー、大塩平八郎の仲魔の一人が夜茂津主任だったって話みたいなんだけど…。」

ティンク「お婆さん、サマナーに仕えていたんだ…。」

中島「他の仲魔は?」

「みんな大塩平八郎の乱で殺されたそうだよ…。夜茂津主任だけが大塩平八郎の家族を先に逃がす為に別行動だったから助かったみたいだけど…。詳しい事は聞かされていない。夜茂津主任、よっぽど無念だったのだろうな。今でも言ってるよ「あたしのサマナーは大塩平八郎だけだ」ってね。」

中島「そんな事が…。」

「まあ、そう言うことだから君達の事情は知っている。君の仲魔がもし何かあったら診察位は出来るから何時でも頼って欲しい。出来る限り協力するよ。診察料はいただくけどね。」

中島「ありがとうなんだな。」

ティンク「ありがとう、先生。」

「良いよ。お礼なら夜茂津主任に言いなよ。あれでも君達の事を気にしているからね。」

中島「本当にありがとうなんだな。」

 

中島達は主治医の先生にお礼を言い病院を出ていった。

 

 

 

中島とティンクは事務所に帰ってきた。

 

ジャック「中島が帰ってきたぞ!」

ユキムラ「マスター、もう大丈夫なのかい?」

中島「みんな、心配かけてごめんなんだな。」

新田「中島氏!無事で戻ってきて良かったですぞ!」

中島「新田君、僕の為に輸血してくれてありがとうなんだな。」

新田「我が輩が中島氏のお役に立てて嬉しい限りですぞ!」

中島「ティンクから色々と教えてもらったんだな。新田君とユキムラが連れて来てくれた人が僕の為に輸血をしてくれたって。」

ユキムラ「ハハハ、このイケメンである僕の力にかかれば輸血提供者の一人や二人は直ぐに見つかるさ!」

中島「ユキムラ、ありがとうなんだな。」

ユキムラ「お礼なんて水くさいよマスター。」

タダカツ「よくそんな事が言えますね。通報されて警察に連れて行かれそうになっていたのに。」

弓子「そうだぞユキムラ、迷惑をかけた詫びとして死ね。遺書はちゃんと書いたのだろうな?原稿用紙3枚以上だぞ!」

ユキムラ「ハハハ!弓子はバカだなあ。このイケメンである僕が死んでしまったらファンのみんなが悲しむじゃないか。そんな当たり前の事が分からないのかい?」

弓子「ほう?この白鷲 弓子様に逆らうのだな?だったらファンのみんなが悲しむかどうか今からテメエを殺して確認してやるよ!」

 

ティンク「ユキムラって本当にバカだよね…。」

タダカツ「ええ。ノブナガさんも手を焼いています。」

 

弓子がユキムラを蹴り飛ばそうと狭い事務所で暴れだした。

 

ユキムラ「マ、マスター、助けて!」

弓子「死ね!」

中島「ぶへぇ!」

 

ユキムラを狙った弓子の蹴りが近くにいた中島にヒットして中島が吹き飛んだ!

 

中島「うう…。」ポロポロ

 

中島は泣き出した。

 

ユキムラ「あっ…マスター…ごめんよ。僕が避けたばっかりに…。」

ティンク「弓子!何するのよ!中島が泣いちゃったじゃない!」

パスカル「ナクナ ナカジマ。」

中島「うう…。僕は…嬉しいんだな…。」ポロポロ

弓子「はぁ?ついにおかしくなっちまったか?」

中島「また…こうして…みんなと一緒に居れて…僕は本当に嬉しいんだな。」ポロポロ

ユキムラ「マスター…。」

ティンク「中島…。」

パスカル「ナカジマ…。」

弓子「はぁ…。なーかーじーまー。いつも言ってるだろうが!嬉しい時は笑え!いちいち泣くな!」

タダカツ「そうですね。中島殿、泣いている場合ではありません。貴方にはしてもらう事があります。」

中島「えっ?何を?」

タダカツ「今回、私の為に怪我をされた事は大変申し訳ありません。しかし!本来、貴方がしっかりしていたらあんなヤクザ程度にティンクが拐われピンチに陥る事は無かったのです!」

ティンク「何よ!その言い方!中島に助けてもらったくせに!」

タダカツ「貴女は黙ってください!」

ティンク「何よ!」

弓子「チビ、最後まで聞け。」

タダカツ「そこで中島殿。」

中島「は、はい!」

タダカツ「貴方には強くなってもらいます。まずはこれを差し上げます。」

 

タダカツは中島に一本の剣を渡した。

 

中島「お、重いんだな…。」

タダカツ「それは練気の剣という代物です。使いこなす事が出来れば貴方にとって最高の武器となるでしょう。まずは毎日、朝と晩100回素振りをしてもらいます。」

中島「こんな重い物を100回も…。」

弓子「なんだ?ちょっと貸せ。何だよこれ?何キロあるんだよ!」

 

弓子が練気の剣を手に取ると鉛の様に重くなり全然持ち上がらく床に落としてしまった。

 

新田「白鷲女氏、落としたら危ないですぞ。何なのですぞぉ!この剣は!」

 

新田が拾おうとするが剣はとてつもなく重くて持ち上がらない。

 

中島「重たいけど、二人とも大げさなんだな。」

 

中島が剣を拾う。重いが中島は手に取る事が出来た。

 

タダカツ「さあ、今からそれを使いこなす様に素振りです!」

中島「わ、分かったんだな…。でも、こんなのを持って町を歩いていたら銃刀法違反で捕まってしまうんだな…。」

タダカツ「屁理屈が多いですね。それは貴方の悪魔召喚プログラムの中にしまう事ができます。必要な時に召喚できます。」

新田「中島氏、こんな物を素振りなんて正気ではありませんぞ!腕が折れてしまいますぞ!」

中島「僕は…いつもみんなに助けて貰ってばっかりだから少しでもタダカツや弓子さんの様に強くなってみんなの力になりたいんだな。だから頑張るんだな。」

新田「中島氏…。」

タダカツ「さあ、今から始めて下さい!」

中島「わ、分かったんだな。」ブン!ブン!

 

しかし、手がスッポ抜けて剣は事務所の壁に突き刺さった。

 

ジャック「ヒィィィィ!オイラの真横に刺さったぞ!」

弓子「中島!危ないだろ!外でやれ!」

中島「ご…ごめんなんだな…。」

 

いつも助けてくれる仲魔達の為に今度は自分が仲魔を助ける事が出来る様にと強くなろうと決心する中島であった。

 

タダカツ「はぁ…。前途多難ですね…。」

 



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多発!誘拐事件! 前編

今回の話は戦闘シーンはありません…。


中島が退院して2日後、弓子達はアスラ組の動向を探っていた。

 

弓子「タダカツ、山川組の若頭の所に行く。一緒に来い。」

タダカツ「御意。」

ユキムラ「マスター!弓子達が出かけている間、僕達は水族館に遊びに行かないかい?」

弓子「ユキムラ。てめえ、今の状況を分かっているのか。」

ユキムラ「ハハハ!弓子は馬鹿だなあ。これを見てくれたまえ!」

 

ユキムラは弓子達に1枚のチラシを見せた。

 

タダカツ「魅惑のマーメイド?」

ユキムラ「そうさ!今、この水族館では美しいマーメイドがお出迎えしてくれるのさ!どうだい?このイケメンである僕が行くにふさわしいイベントだとは思わないかい?」

弓子「くだらねえ事を言っているんじゃねえよ。今は一刻も早くアスラ組のクソ悪魔共をぶっ飛ばさないといけないんだよ。遊びに行ってる暇は無いんだよ!」

大輔「いや、せっかくだから行ってきたら良いと思うよ。」

弓子「兄貴!」

大輔「弓子、確かに今はいつアスラ組が僕達に襲って来てもおかしくない状況だ。でも、そんな時だからこそ気晴らしも必要だよ。」

ユキムラ「そう言うことさ。さあ、みんな!美しいマーメイドに会いに行こうではないか!」

ティンク「ねぇ中島、せっかくだから行こうよ。」

中島「水族館、楽しみなんだな!」

タダカツ「お待ちなさい。中島殿、今朝の鍛練は終わったのですか?」

中島「う、ま、まだなんだな…。」

タダカツ「水族館は鍛練が終わってからです。」

ジャック「タダカツ、細かい事を気にしたら駄目だぞ!オイラ、早く水族館に行きたいぞ!」

ユキムラ「そうだよ。1日くらいはしなくても大丈夫さ!」

タダカツ「いけません。」

ティンク「なにさ!1日くらいサボったても良いじゃない!」

中島「か、帰って来てからちゃんとやるから、み、みんなを待たせたくはないんだな。」

タダカツ「ダメです!!そう言う心構えでどうするのですか!貴方の為の鍛練なのですよ!」

中島「わ、分かったんだな。」

 

中島は悪魔召喚プログラムを起動させて錬気の剣を召喚した。

 

中島「お、重いんだな…。」

タダカツ「さぁ!朝の鍛練素振り100回です!」

中島「わ、分かったんだな…。」

 

中島は事務所の外に出て素振りを始めた。

 

タダカツ「それでは弓子、我々はその山川組の所に行きましょうか。」

弓子「あ、ああ。そうだったな。兄貴、ちょっと行ってくるよ。」

大輔「分かったよ。僕もこのあと依頼主に品物を届けに行くから帰りは外で食べて来るよ。」

弓子「ケチな兄貴が何が『外で食べて来るよ』だよ。どうせ、デパートの地下の試食コーナーで腹を膨らませるだけだろうが…。」

ユキムラ「弓子…。いくらケチなお兄さんでもさすがにそれは失礼だよ…。」

ティンク「そうだよ!そんなの常識のある人間のすることじゃないよ!」

大輔「弓子…。ちゃんと外で食べるよ。それに最近じゃデパートやスーパーマーケットでは僕の顔が割れていてね。試食コーナーに行くとみんなすぐに片付けられてしまうんだ。」

ユキムラ「…。」

ティンク「…。」

ジャック「…。」

タダカツ「…。」

 

この発言にはさすがにドン引きである。

 

弓子「なんでこんなのと血が繋がっているんだあたしは…。その辺の残飯を漁っているバカ犬と同じレベルじゃないか…。」

パスカル「オレサマ コンナノト オナジチガウ」

弓子「まあ、取りあえず行ってくるよ。お前等、もしアスラ組のクソ共に遭遇したら問答無用でぶっ飛ばせよ。タダカツ、行くぞ。」

タダカツ「御意。」

 

弓子とタダカツは出ていった。

それを見送ったユキムラは直ぐ様外にいる中島の元に近づいた。

ユキムラ「さぁマスター。一緒に水族館に行こう!」

中島「で、でも、僕は朝の鍛練がまだ終わっていないから…。」

ユキムラ「マスター。タダカツは出かけて行ったからサボってもばれやしないよ!」

ティンク「そうだよね。1日くらいなら大丈夫だよ。」

ジャック「ヒーホー!オイラも早く水族館に行きたいぞ。」

中島「う、うん…。みんなが言うなら…。」

 

中島が錬気の剣を仕舞おうとした時!

 

タダカツ「何をサボろうとしているのですか!!」

 

タダカツが『トラポート』の魔法で戻ってきた。

 

ユキムラ「うわぁ!」

ジャック「急に出てくるなよ!」

タダカツ「中島殿?まだ終わっていませんよね?」

中島「う、うん…。まだなんだな…。」

タダカツ「では、後150回素振りです。」

中島「ふ、増えているんだな…。」

タダカツ「サボろうとした罰です。」

ジャック「酷いぞ!」

ティンク「そうだよ!パワハラだよ!」

タダカツ「黙りなさい!!元はと言えば貴方達が中島殿をサボらそうとしたのが原因です!貴方達も罰としてスクワットを200回してもらいます!」

ユキムラ「ハハハ!このイケメンである僕にそんな筋トレなんて相応しくないからパスさせてもらうよ。」

タダカツ「何?」

 

タダカツは今までみたこと無い殺意でユキムラを睨みつける。

 

パスカル「アイツ ジョウダン ツウジナイ ヤレ…」

ユキムラ「わ、分かったよ…。」

タダカツ「はい!それでは始めてください!」

ジャック「なんでオイラがこんな目に…。」

 

皆、一斉にスクワットを始める。

 

タダカツ「それでは、私は行きますのでちゃんとしといてくださいね?」

ティンク「早く行きなよ…。弓子が待ってるよ…。」

タダカツ「そうですね。」

弓子「タダカツ!何している!早くしろ!」

 

弓子が戻ってきた。

 

タダカツ「弓子、彼等が鍛練をサボろうしたので叱っていた所です。」

弓子「ああ、アイツ等は後であたしに蹴り飛ばされる運命だから放っておいて行くぞ。」

タダカツ「わ、分かりました。」

 

弓子とタダカツは再度、山川組の事務所に向かった。

 

ユキムラ「このイケメンである僕に筋トレなんて似合わないよ…。」

ジャック「オイラ、もう飽きたぞ…。」

パスカル「オレサマ カンケイナイノニヤラサレル…」

 

みんな、文句を垂れながらスクワットをしている。

大輔が外出するのか外に出てきた。

 

大輔「あれ?みんな水族館には行かないのかい?」

ジャック「タダカツに筋トレをやらされてるんだぞ…。サボると魔法で直ぐに戻ってくるんだぞ…。」

大輔「そうなんだ。行かないのなら事務所の留守番をしていてよ。来客が現れるかも知れないからお願いするよ。」

ジャック「大輔の兄ちゃんは何処に行くんだ?」

大輔「僕は依頼主に会いに行くんだよ。これを届けにね。」

中島「その箱は?」

大輔「ああ、中身はヘソの緒だよ。依頼主の吉田 孝則さんに頼まれてね。」

ユキムラ「お兄さん…それ、なにか呪術が仕込まれているよ。」

大輔「ああ、そうだね。無知な者が適当に施しているからね。呪術をかけた吉田 孝則さんに跳ね返るね。」

中島「そんな…大変な事なんだな…。」

大輔「まあ、僕はお金さえ貰えれば後はどうなろうと知ったことではないからね。じゃあ、留守番ヨロシクね。」

ティンク「…。」

 

大輔はそう言って出かけて行った。

 

中島達が事務所の外で鍛練を再開しだすと一人の来客が現れた。頭からは血が出ていて歩くのもやっとの状態である。

その青年はふらつきながら中島の前に倒れこんだ。

 

「た、たすけて…くれ…」

中島「た、大変なんだな!ティンク!」

ティンク「うん!『ディアラマ!』」

 

青年の傷が回復した。

 

中島「あっ!君は!」

「君は…あの…白鷲 弓子の…仲間だね…。アリス達が…拐われて…。」

 

この青年はシャチホコエビフリャーズのDJバフォメ、そう!バフォメットが人間界での変装した姿である。

 

ユキムラ「取りあえずみんな、彼を事務所の中に入れよう。」

中島「わ、分かったんだな。」

 

中島達はバフォメットを事務所の中に入れて事情を聞くことにした。

 

中島「何があったか教えて欲しいんだな。」

「俺達がシャチホコエビフリャーズ野外ミニライブの準備をしている時だったんだけど…。いきなりアスラ組って名乗る連中が現れて…」

中島「アスラ組…」

「アスラ組の連中が自分達の島で何かするならみかじめ料を払えって言ってきて…抵抗するにも人間相手に魔法を使う事も出来なくて…。リリーが捕まったのを始めにアリスもセイレンも連れて行かれて…ライブに使う機材も全部盗られて…。」

ティンク「酷い…。」

「最後まで抵抗したけど、この様だ。あんた達にこんな事を頼める筋合いではないけど…。お願いだ!みんなを助けてくれ!」

中島「分かったんだな。」

ジャック「中島?いいのか?勝手に依頼を受けても?」

中島「いいんだな。ジャック、大切な人を自分勝手に連れ去ったりするアスラ組を僕は許せないんだな…。僕に何かできるかは分からないけど…。」

ティンク「中島…。」

「引き受けてくれるのか?」

ユキムラ「所でそのアリスって子達は女の子だろ?」

「ああ、そうだけど…。」

ユキムラ「だったらこのイケメンである僕に任せておきたまえ!」

ジャック「なんでユキムラに任せるんだ?よく分からないぞ?」

ユキムラ「ジャック…。ああ!君はなんておバカなんだい。女の子達を華麗に救出して笑顔にするのはこのイケメンである僕に与えられた使命だからに決まっているじゃないか!」

ジャック「どうでもいいけどオイラ、ユキムラだけにはバカだなんて言われたくないぞ。」

中島「うん…。取りあえず弓子さん達にも相談して調べてみるんだな。」

「ありがとう…。ありがとう…。」

ユキムラ「では、早速そのアリスって子達を救出しに行こうではないか!さぁみんな!このイケメンである僕に付いて来たまえ!」

 

ユキムラは一人、颯爽と事務所を飛び出して行った。

 

「…。あの人、何処に向かったんだろうか?」

パスカル「アイツ バカ アイテスルナ。」

ティンク「…。ユキムラって本当にバカだよね…。」



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多発!誘拐事件! 中編

弓子「ここだ。入るぞ。」

???「ちょっと、君達!勝手に入ったら駄目だよ!」

 

弓子はタダカツを連れて山川組の事務所のビルに入ろうとしたら一人の男に止められた。

 

弓子「なんだてめえは?」

???「見たら分かるでしょ!立ち入り禁止!この黄色いテープが貼っているのが見えないの?」

弓子「あたしは山川組の若頭に用があるんだよ!テメエ、邪魔するならあたしのテコンドーでぶっ飛ばすぞ!」

???「テコンドー?あれ?もしかして…白鷲さん?」

弓子「なんだテメエ?」

???「ほら!中学で同じクラスだった!」

弓子「あー!お前!もしかして…デスメルか?」

デスメル「あ!やっぱり白鷲さんかぁ!いやあ、懐かしいなあ!中学校以来だから10年ぶり位かぁ!」

タダカツ「弓子?彼はいったい?」

弓子「ああ!あたしの中学の時のダチだよ!デスメル!お前、こんな所で何をしているんだ?」

デスメル「白鷲さんこそ、ここは山川組の事務所だよ。普通の人が来ていい所ではないよ。」

弓子「ああ、あたし等は山川組の若頭に用があってきたんだよ。」

デスメル「山川組の若頭…。今はたぶん会えないよ。1週間前にアスラ組の襲撃があってね。僕はここの現場聴取をしている所なんだよ。」

弓子「現場聴取だぁ?まるで刑事みたいな言い方だな?」

デスメル「ああ、そうなんだ。僕は今、愛知県警特殊捜査6科の刑事なんだ。」

弓子「デスメル、アスラ組の事を何か知っているのか?」

デスメル「…。ここでその話はまずいので場所を変えましょう。」

弓子「ああ、そう言えば兄貴も言っていたな。愛知県警がアスラ組と繋がっているって。」

デスメル「白鷲さん、他の警官も居るので今はその話はしないで。」

弓子「ああ、すまない。山川組の若頭は何処に居る?」

デスメル「名古屋中央病院です。行っても会えないと思いますよ。」

弓子「ああ、あたしは山川組の若頭とは仲がいいんだ大丈夫だよ。デスメル、ここで話すのは不味いのなら後で時間取れるか?」

デスメル「ええ。今が朝の10時なのでお昼の1時過ぎですと大丈夫です。」

弓子「昼の1時だな。デスメル、お互いの用事が終わり次第何処か近くの喫茶店で落ち合おう。」

 

弓子は刑事と携帯番号を交換した。

 

弓子「それよりまた、あのババアが居る病院か。つくづくあのババアと縁があるな。行くぞタダカツ。」

タダカツ「分かりました。」

デスメル「白鷲さん、また後で。」

弓子「ああ。」

 

 

 

 

弓子達は直ぐに病院に向かった。ナースステーションで聞き込みをして病室に入った。

 

弓子「若頭、こっぴどくやられたみたいだな。」

「白鷲 弓子か…。何をしに来た。」

弓子「おいおい、白鷲 弓子様が久しぶりに顔を出しに来てやったのにそんな言い方はないだろう。」

「お前が来るとろくなことがないからな。で、用事はなんだ?」

弓子「話が早くて助かるよ。アスラ組についてだ。何があった?」

「アスラ組か…。少し前から俺達山川組に因縁をつけてきてな。始めは軽くあしらっていたのだがな…。一週間ぐらい前か、事務所にアスラ組の連中が化け物を引き連れて襲撃してきた。」

弓子「末端の人間では手に負えないから悪魔を引き連れて来たって所か…。」

タダカツ「アスラ組…。人間相手に見境がないですね…。」

弓子「若頭、他の組員はどうした?」

「化け物相手に拳銃を使ってな。化け物は追い払ったが待ち構えた様に警官が来て銃刀法違反でしょっぴかれた。」

弓子「やはりアスラ組、警察と繋がっていたんだな。」

「どういう事だ?」

弓子「兄貴が仕入れた情報だ。愛知県警のキャリアがアスラ組と繋がっている。アスラ組に逆らったらもれなく警察にしょっぴかれるって事だ。だから若頭はしばらく大人しくしていてくれ。」

「大人しくも何も組員がほぼみんな警察に捕まって組どころじゃないからな。実質的に解散だ。」

弓子「天下の山川組がそんな情けない事を言うなよ。山川組が居なくなったら今度は外国人マフィアに名古屋の街が荒らされてしまうだろうが。頼むからあたしらがアスラ組をぶっ飛ばすまでに山川組を再建させてくれよ。」

「お前、アスラ組と戦う気なのか?止めとけ、素人が関わるべきじゃない。」

弓子「アスラ組の幹部は全員が悪魔が化けている。ヤクザや警察よりあたしらの領域だ、それにこのタダカツがアスラ組の幹部を既に一人殺している。もう後戻り出来ねえ。」

「タダカツ?気になっていたが何者だそいつは?」

タダカツ「私ですか?私は本多 タダカツ、イケメンおもてなし武将隊の一人です。」

「武将隊?あの名古屋城のか?」

弓子「まあ、それは仮の名だ。正式には鬼神スサノオ、日本の神様だ。このあたしとサシで戦える数少ない奴だ。」

「マジでか…。」

弓子「ああ、強さじゃあたしと互角だ。」

「いやいや、神様と戦うなよ!あーもう!何処から突っ込んでいいか分からねえ。お前と関わると本当にろくなことがない…。」

タダカツ「なんだか分かりませんがややこしくさせたみたいですみません。」

弓子「まあ、それはいいとしてだ。アスラ組のアジトを教えてくれ。警察があたしらの所に来るまえに倒したい。」

「ああ、それがだな…。俺達も2日前にパクらなかった手下達に奴等のアジトを全て洗い出さしたのだが…。全て藻抜けの空だった…。」

弓子「どういう事だ?」

タダカツ「我々がアスラ組の連中を退治した次の日ですね…。」

「幹部の一人を殺ったから名古屋から撤退するつもりなのかもな。」

弓子「ちっ…。」pipipipipi

 

弓子が軽く舌打ちをした時、ちょうど携帯が鳴った。

 

弓子「すまねえ。「もしもし?」」

『もしもし?白鷲さん?』

弓子「ああ、デスメルか。そうか、分かった。ここからだとすぐ近くにコメダがあったよな。そこで話そう。」

 

弓子は携帯を切った。

 

「病院で携帯を使うな。」

弓子「社会のルールもろくに守れねえヤクザが偉そうに言うなよ。」

「で、誰からだ?」

弓子「あたしのダチの刑事だよ。アスラ組の事で何か分かったみたいだ。」

「そうか、白鷲 弓子。気を付けろよ。」

弓子「ああ、任せておけ!」

 

弓子は病室を後にした。

 

タダカツ「それでは失礼します。」

「待て!」

 

若頭がタダカツを呼び止める。

 

タダカツ「何か?」

「白鷲 弓子の事を頼む。」

タダカツ「どういう事でしょう?」

「アイツは直ぐに他人の為に無茶をするからな。アイツを守ってやってくれ。」

タダカツ「何故私に言うのです?」

「俺じゃ出来ないからだ。」

タダカツ「何故ですか?」

「あー簡単に言うとだな…。フラれたんだよ、言わせるな!もう行け!」

タダカツ「分かりました。それでは失礼します。」

「この事絶対に言うなよ?」

タダカツ「承知してます。」

 

タダカツも病室を後にした。

 

 

 

弓子達が病室を出てロビーに向かうと見慣れた人物が居る。ちょうど中島達がバフォメットを大塩先生に見せる為に来ていた帰りである。

 

中島「それでは失礼するんだな。」

「お大事に。」

 

弓子が中島に気付くと直ぐに中島に近づいて話しかける。

 

弓子「中島、何をしているんだ?」

中島「あっ!弓子さん!どうしてここにいるんだな?」

弓子「こっちが聞いているんだよ!」バキ!

 

弓子は久々に中島を蹴りあげる。

 

中島「い、痛い…。」

ティンク「ちょっと弓子!中島を苛めないで!」

ジャック「弓子、酷いぞ!タダカツ、お前も何か言うんだぞ!」

タダカツ「今のは質問に質問で答えた中島殿がいけません。」

ティンク「ジャック、アイツに何を言っても無駄だよ。弓子の言うことしか聞かないもん。」

タダカツ「そんな事はありません。私は常に事実を言っているだけです。所で中島殿達はどうしてここにいらっしゃるのですか?」

中島「じ、実は…。」

 

中島は今までの経緯を説明した。

 

弓子「またアスラ組か…。中島、引き受けたのか?」

中島「う、うん。」

弓子「そうか、報酬の話はしたのか?」

中島「そ、それはまだなんだな。」

弓子「なーかーじーまー!あたしらはボランティア活動じゃねえんだぞ!」

中島「で、でも…。」

弓子「でもじゃねえんだよ!こう言うことは先に決めておかないと後で揉める事になるんだよ!あのクソDJだったな。何処に居る、話をつけてくる。」

 

弓子はズカズカと診察室に入って行った。

 

中島「あっ、弓子さん。待って欲しいんだな。」

タダカツ「お待ちなさい、ここは弓子に任せて置きましょう。」

ティンク「いや、他の人達に迷惑だから止めようよ。」

 

奥の診察室から大声が聞こえてくる。

 

「なんだ君は!」

弓子「どけ!やい!この山羊頭のクソDJ!この白鷲 弓子様を差し置いて勝手に依頼を出すとは良い度胸だな!ええ!」

「いや、居なかったから…。」

「誰か!この女を追い出してくれ!」

 

弓子は数人の警備員に取り押さえられて診察室から叩き出された。

 

ティンク「ほらやっぱり…。」

弓子「お前ら、話はつけてきた。行くぞ。」

中島「弓子さん、行くって何処に行くんだな?」

弓子「近くのコメダだ。そこでデスメル、あたしのダチの刑事と落ち合う約束をしている。」

タダカツ「所で弓子、デスメルって変わった名前ですね。」

弓子「ああ、アダ名だよ。アイツ、中学からのダチでな。アイツの両親がアイツを残して蒸発してな。アイツ、ずっと公園で寝泊まりしていたんだ。だから死ぬほど臭くてな。死ぬほど臭え、英語で略してデスメルだ。」

ティンク「酷い…。」

中島「酷すぎるんだな…。」

タダカツ「流石にそれは…。」

 

訴えても良いほどの酷いアダ名である。

 

弓子「…。なんだよ、言いたい事があったら言えよ。他のみんなもそう呼んでいたんだよ。デスメルが待っているから行くぞ。」

 



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多発!誘拐事件!後編

弓子は中島達を連れて刑事が待っているコメダ珈琲館に入る。

 

「いらっしゃっいませ。」

弓子「連れが待っているんだ。」

「ああ、こちらです。どうぞ。」

 

弓子達は奥の喫煙席に案内された。

 

デスメル「白鷲さん、こっちです。」

弓子「なんだよ、喫煙席か。デスメル、お前一丁前にタバコなんて吸うようになったんだな。」

デスメル「ち、違うよ。今はお昼時なんで喫煙席しか貸し切れなかったんだよ。」

弓子「貸し切りか…。そんなに警戒しないといけないのか?」

デスメル「ええ…。これでも甘いぐらいです。僕の上司にあたる人もこちらに向かっていますので細かい事はそれから話をしましょう。皆さん、お昼はまだでしょう。好きなものを頼んで下さい。」

ジャック「兄ちゃんがお金払ってくれるのか?」

デスメル「ええ。まあ…。」

中島「そんな…。悪いんだな。」

弓子「なーかーじーまー!デスメルが良いって言っているんだから良いんだよ!」

中島「でも…。」

弓子「いいか!相手の好意を無下にしたら逆に失礼になるんだよ!デスメルに謝れ中島!」

タダカツ「弓子、言いたい事は分かりますがそのデスメルっていうアダ名が1番失礼なのでは…。」

ティンク「そうだよ!弓子が1番失礼だよ謝りなよ。」

デスメル「良いんだよ。実はここの代金は経費で落とすから気にしないで。」

弓子「なんだよ。最初からそう言えよ。」

中島「ありがとうなんだな。えっと…。」

デスメル「デスメルで良いよ。」

ティンク「えっ?なんで?それ、悪口だよね?」

デスメル「うん。中学の時代に影で言われていたアダ名だよ。でも、白鷲さんだけは面と向かってその名で呼んで来てくれて僕を他の人と同じ様に接してくれたんだ。だから白鷲さんのようにそう呼んでくれる方が僕は嬉しいかな。」

ティンク「いや…きっとその当時弓子が何も考えていなかっただけだよ。」

タダカツ「ティンク、貴女は弓子の人を差別などしない崇高な心が理解できないのですね。」

中島「多分、違うような気がするんだな。」

弓子「中島、なにか言ったか?」

ティンク「きっと弓子の寛容な心に中島も感動していたんだよ。」

弓子「そうか?まあ良いや。とりあえずなんか注文しようぜ。」

 

弓子達は店員さんを呼びそれぞれ好きなものを注文した。

 

弓子「それにしてもデスメルが警察になったとはなぁ。しかも刑事だもんな!」

デスメル「警察学校に入って必死だったよ。所で白鷲さんはなんであんな所にいたんだい?」

弓子「ああ、あたしは兄貴と一緒に探偵事務所を立ち上げてな。こっちにいる中島はあたしの助手で雇ってやっているんだよ。」

中島「中島 朱美なんだな。」

デスメル「よろしく。」

 

デスメル刑事は中島と軽く握手をした。

 

弓子「デスメル、頑張ったんだな…。そう言えばお前、特殊捜査6課って言っていたな?デカは4課までだったよな。」

デスメル「ああ、それはですね…。あっ!僕の上司が来ましたね。」

 

貸し切りの喫煙席に一人の刑事と見慣れた面々が入ってきた。そう、前回警察に連れて行かれた三蔵達である。

 

???「邪魔するで~。」

デスメル「佐野警部、お疲れさまです!」

佐野警部「おう。で、どうだった?山川組の事務所は。」

デスメル「いえ、特にめぼしい物は…。」

佐野警部「そうか…。で、一緒にいるのは白鷲 弓子と中島 朱美やな。」

中島「なんで僕の事を?」

弓子「!?何者だ、テメエ!」

佐野警部「そう突っかかるな。ワシは愛知県警特殊捜査6課の佐野や。」

三蔵「佐野のおっさんは仕事中に競馬してるのがバレて大阪府警から愛知県警に左官されたんや。」

佐野警部「あんとき大穴の8ー6ー12の三連単が来てたらなぁ、ってアホ!ワシはスカウトされて愛知県警に来たんや。」

悟空「窓際族のおっさんがスカウトされる訳ないやんけ。ホンマ佐野のおっさんのボケはおもろないわ。」

佐野警部「何を言うてんねん!ちゃんとワシは悪魔捜査のスペシャリストとしてやなぁ。」

八戒「おっさん、何が悪魔捜査のスペシャリストやねん。大阪で活躍したワイらの手柄横取りしとっただけやんけ。」

弓子「…。何でテメエらも居るんだよ。邪魔だから帰れよ。」

三蔵「そうかじゃあ帰ろか、佐野のおっさんも帰るでえ。」

佐野警部「よっしゃ、帰ろか!」

三蔵 悟空 八戒 佐野警部「って、なんでやねん!」

弓子「面倒くせえ…。所で特殊捜査6課って何だよ。」

佐野警部「ああ、まだこいつから聞いてなかったんか。捜査6課ってのはな、オバケや人間以外の犯罪、オカルト関係、お前らに分かりやすく言うと悪魔が起こす犯罪の捜査や。せやからお前らの事もよう知っとる。中島 朱美がワシが連れてきた武井とおんなじデビルサマナーやって事もな。」

弓子「なっ!何でそれを知っているんだ!」

佐野警部「せやから警戒すんなや。まあ、事情通ってやつや。武井からも色々聞いとる。」

三蔵「白鷲 弓子、久し振りやなぁ。」

弓子「久し振りじゃねえよ。3日前に会ってるだろ。」

デスメル「佐野警部、彼女達は?」

佐野警部「ああ、一応紹介しとくわ。こいつは武井 千枝子、大阪のデビルサマナーや。今は何でか知らんけど名古屋の女子高に通っとる。そんでそこの2匹は武井の使い魔や。ワシが大阪に居たときからの付き合いでな。」

悟空「俺様は斉天大聖、孫悟空様や。」

八戒「ワイはカマアププ、八戒でええで。その方が分かりやすいやろ。」

三蔵「ほんでウチが32代目三蔵法師に襲名した武井 千枝子や。男前の兄ちゃん、こんな役立たずの佐野のおっさんが上司になって災難やなあ。」

佐野警部「誰が役立たずやねん!ワシがおらんかったらお前ら今頃は刑務所で臭い飯食わされてる所やってんぞ!」

弓子「そう言えば、お前らが中島を助けてくれたんだったな。すまねえな、愚図の中島のせいで面倒かけてしまって。」

三蔵「そんなんええねん。それより警察はどないなっとるねん!」

弓子「警察のキャリアの人間がアスラ組と繋がっていて末端のお巡りまで手が回っているって所だな。」

デスメル「それでは、何の罪もない人を警察は逮捕しているって事ですか!?」

佐野警部「そうや。残念な事にな。」

「お待たせしました。」

 

先程弓子達が注文した品が運ばれてきた。

 

悟空「ちょう待てや、何でお前らだけなんか頼んでんねん!」

八戒「ホンマや。美味そうやんけ。」

弓子「だったらお前らも頼んだら良いだろ。」

 

店員さんがすかさず後から来た四人に注文を聞く。

 

「お連れの方、ご注文はお決まりでしょうか?」

佐野警部「そうやなあ。とりあえずレーコーにするわ。」

三蔵「お前ら、どうすんねん?」

悟空「食いもんは後で決めるわ。とりあえずレーコーや。」

三蔵「姉ちゃん、とりあえずレーコー4つや。」

「はい?」

三蔵「だから、レーコーや。」

「レー?コー?」

 

レーコーとはアイスコーヒー、冷たいコーヒーの略である。今時、こんな時代遅れの言葉を使うのは大阪新世界の昔ながらの喫茶店ぐらいである。

 

「えっと…。あの…。」

佐野警部「姉ちゃん、とりあえずレーコー持ってきてくれや。」

「レーコー?って言われましても…。」

八戒「姉ちゃん、アイスコーヒーや。ナウいヤングは冷たいコーヒーを略して冷コーって言うんや。こんなんは一般常識やで。さては姉ちゃん新人やな?」

「は、はぁ…。(バイト2年目だけど初めて聞いた…。)」

悟空「とりあえず姉ちゃん、レーコー持ってきてくれや。その間に食うもん決めとくさかい。」

「は、はい。」

 

困惑した顔で店員さんは厨房に向かって行った。その間に四人はメニューを凝視している。

 

弓子「デスメル、やっと五月蝿い奴等が黙った所で情報を整理しようか。」

デスメル「は、はい。アスラ組の事ですね。」

弓子「ああ、まずは奴等のアジトは分かるか?」

デスメル「それは…山川組が独自で調べていたって情報を聞いていたので山川組の事務所をあたったのですが…。」

弓子「ああ、それで事務所にいたんだな。実はな、山川組が調べたアスラ組のアジトだが全てもぬけの殻だったそうだよ。警察の方が人手不足のヤクザより2手も3手も遅れているのかよ。」

佐野警部「警察の内部はアスラ組の連中の手が回っとる。マトモに動けるんは外部から来たワシと新人のコイツ位や。」

タダカツ「市民を守る警察官が悪魔と手を組んでいるとは…嘆かわしい…。」

佐野警部「そうやな、兄ちゃんの言う通りや…。情けないわ…。」

デスメル「それより、悪魔と警察が?」

弓子「ああ、アスラ組の幹部連中はみんな悪魔だ。あたしらは幹部の一人を倒したから確かな事だ。」

デスメル「悪魔を倒した?白鷲さんが?」

弓子「ああ、あたしらはオカルト関係、主に悪魔がらみ専門の探偵だ。」

佐野警部「そうか、でもここから先は警察の仕事や。実は武井達が警察に捕まった後、武井の通ってる学校のクラスメートがみんな何者かに拐われとる。誘拐事件になっとるからな。後はワシらに任せとけばええ。」

弓子「おっさん、あたしらに引き下がれってか?舐めるんじゃねえぞ。」

佐野警部「なんや白鷲 弓子、警察に喧嘩売る気なんか、今ここで公務執行妨害でお前を逮捕してもええねんぞ。」

弓子「先にアスラ組から喧嘩を売られたのはこっちなんだよ、公務執行妨害だと?やれるもんならやってみろよ!」

 

一触即発の雰囲気の中、店員さんがアイスコーヒーを運んできた。

 

「アイスコーヒー、お待たせしました。」

 

アイスコーヒーが4人に配られた。

 

悟空「ちょう待てや姉ちゃん、何やこれ?」

三蔵「ちょう、姉ちゃん!ウチ等こんなん頼んでへんで、何やこの豆は!」

「サービスの豆菓子です。」

八戒「サービス?そんな上手いこと言うてワイ等を騙そうとしてもそうはいかんで。」

佐野警部「八戒、伝票かせ!こう言うのはお通しって言うてなあ、サービス料でキッチリと値段が割り増しされてるんや。」

 

佐野警部が伝票を凝視する。

 

弓子「やい、おっさん!あたしを無視するな!」

佐野警部「白鷲 弓子、ちょっと黙っとれ。それどころやない。」

「あの…それ…ドリンクにつくサービスなので…御代はいただいてません…。」

悟空「そんなおいしい話がこの世にあるかい。」

八戒「そんな訳ないわ、この世にタダの物なんて存在せえへん。他のもんは騙せてもワイ等は騙されへんで。」

「いや…タダです…。サービスなので…。」

三蔵「またまたー、冗談上手いわー姉ちゃん。まあ、どうせ金を払うんは佐野のおっさんやからウチ等はええんやけどな。」

佐野警部「お前ら…。この姉ちゃんの言っとることホンマや…。伝票にお通し代が入ってへん…。」

三蔵「佐野のおっさんのボケはホンマおもろないわぁ。そんな訳ないやろ、伝票見せてみい。…ホンマや!サービス料って項目があれへん。」

「だから、サービスなので…。」

悟空「じゃあ姉ちゃん。この豆、食うてもええんか?」

「え、ええ。」

三蔵「おっ、美味いなこの豆。ホンマにタダなんか?めっちゃ美味いやんこれ。レーコーに合うわ。」

佐野警部「あっ!お前!何を勝手に食うてんねん!姉ちゃん、後でサービス料とか言うてもワシは絶対に払えへんからな。」

「だからサービスです。タダです。」

悟空「この豆美味いなぁ。」

八戒「そうや、食うもん頼むの忘れてたわ。姉ちゃん、ワイはこの網焼きチキンサンドと唐揚げにするわ。」

佐野警部「お前!2つも頼むなや!」

三蔵「ウチはこのグラタンとホットドックにするわ。」

悟空「じゃあ、俺様は…。このビーフシチューとこのハンバーガーや」

「こちらですと量が大変多くなりますが大丈夫でしょうか?」

悟空「姉ちゃん、この俺様はなあ、マクドが昔ハンバーガー1個60円のセールの時になぁ、1食で5つも平らげたんやぞ!」

「かしこまりました。追加のご注文は以上でよろしいでしょうか?」

佐野警部「姉ちゃん待ってくれ、ワシはこのヒレカツのプレートにするわ。」

「以上でよろしいでしょうか?」

三蔵「とりあえず以上や。また後で注文するわ。」

「ご注文繰り返します。」

悟空「姉ちゃん繰り返さんでええさかい、はよ持ってきてくれや。」

「失礼します。」

 

店員さんはオーダーを通しに厨房の奥に入って行った。

 

佐野警部「えっと、白鷲 弓子。なんの話をしとったっけ?」

弓子「なんなんだよこのおっさん…。面倒くせえのが4人に増えただけじゃねえか…。」

佐野警部「面倒くさいってなんやねん。武井達と一緒にするなや。」

弓子「デスメル、あいつ等は無視して話を戻すぞ。」

デスメル「え、ええ…アスラ組の居場所ですね…。」

弓子「ああ、こんだけ大胆に人を拐ったりしているんだ。何か手がかりがある筈なんだ。」

佐野警部「お前らはもうお役ごめんや。捜査1課がお前をマークしとる。大人しくしとけ。」

中島「でも、僕達はアスラ組から拐われた人を助けて欲しいって依頼を受けているんだな。」

弓子「おっ?中島お前、愚図の癖に言うようになったな。そう言うことだおっさん、あたしらはこの件に関して引くつもりはねえ。」

佐野警部「どうしても引く気はないんか、白鷲 弓子に中島 朱美。」

中島「ぼ、僕は大切な人を拐ったり何もしていない人に暴力を奮うアスラ組は許せないんだな。放ってはおけないんだな。」

弓子「だ、そうだ。おっさん、どうする?あたしらを逮捕するか?」

デスメル「ちょっと、白鷲さん、佐野警部も冷静になってください。」

佐野警部「ワシは冷静や。白鷲 弓子、ワシを挑発するな。お前らの言い分は分かった。じゃあこうしようか。」

悟空「そうやな。それが1番や。」

佐野警部「まだなんも言うてへんわ!」

八戒「決まりやな。」

佐野警部「だからまだなんも言うてへん!」

三蔵「まあ、今の現状じゃそれしか手はないからな。それでいこか。」

佐野警部「だからまだなんも言うてへんわ!ええ加減にせいよ!」

 

いちいち話の腰を折る連中である。

 

佐野警部「白鷲 弓子、ええか?コイツにお前達を監視させる。ほんでワシは武井達の監視をする。」

弓子「どう言うことだ。」

佐野警部「話は最後まで聞けや、せっかちやなあ。お前らと武井達は警察にマークされとる。だから、ワシ等がついていたら警察も簡単には逮捕する事は出来へんからな。」

三蔵「佐野のおっさん、何でウチ等が警察にマークされとるんや。ウチ等がいったい何をしたんや!」

佐野警部「武井、お前等はお前のクラスメートと担任の教師の誘拐の容疑や。」

悟空「なんでやねん!そんなんおかしいやろ!」

八戒「ワイ等は千枝ちゃんのクラスメート達が行方不明になった時は警察におった。辻褄があえへんやんけ。」

佐野警部「証拠があるないは関係無いんや。アスラ組にとってお前等が厄介やからでっち上げで警察に逮捕させようって魂胆や。」

弓子「兄貴がアスラ組には手を出すなって言っていたことはこう言うことだったのか。」

 

pipipipipipipipipipi

突如、弓子の携帯電話の着信音が鳴り響く。

 

佐野警部「とりあえず出ろや。」

弓子「ああ、話の腰を折ってすまねえな。」

 

弓子は電話にでた。

 

弓子「もしもし?」

 

弓子「兄貴か?どうした?」

大輔『弓子、市長さんから依頼が来た!依頼内容はアスラ組の壊滅、及び拐われた人達の救出、手段は選ばなくていい。』

弓子「何!?」

大輔『アスラ組は今、船で名古屋から出ていくつもりだ。』

弓子「場所は!」

大輔『名古屋港、飛島埠頭の大型フェリーだ。市長さんの使いの者が詳しい事を話してくれるみたいだ。』

弓子「使いの者?」

大輔『今、弓子達のもとに向かっているみたいだよ。』

弓子「分かった!兄貴は?」

大輔『僕も別ルートで現場に向かう。』

弓子「ああ、分かった。また後でな。」ピッ

 

弓子は携帯を切った。

 

三蔵「どうしてん?」

弓子「アスラ組の居場所が分かった。」

佐野警部「何やて!?」

タダカツ「本当ですか?」

???「私が説明いたしましょう。」

 

何処からともなく空間から歪みが現れ1体の悪魔が出てきた。

 

弓子「テメエは!」

ティンク「アスラ組のメルコム!」

八戒「何や?えらい弱そうな奴やな。」

メルコム「ホホホ。白鷲 弓子、またお会いしましたね。」

弓子「何しに来やがった!アスラ組の使いのテメエがよ!」

メルコム「ホホホ。相も変わらず好戦的な方ですね。」

悟空「何やお前は?」

メルコム「おやおや、初めての方もいらっしゃいますね。改めて自己紹介を、私は堕天使メルコムと申します。以後お見知り置きを。」

 

メルコムは軽く会釈をして空いている席に座った。

 

三蔵「何を勝手に座っとんねん。」

メルコム「おや?ここは喫茶店ですよ。席に着いてドリンクと共にくつろぎの空間を提供する店ですよ。」

デスメル「これが悪魔…。」

メルコム「私は貴方達と戦いに来たのではありませんよ?このボタンですね。」

 

ピンポーン。メルコムは席にあるボタンを押して店員さんを呼んだ。

 

「ご注文お伺いします。」

メルコム「元祖ジェリコとたっぷり玉子のピザトーストをいただきます。それから食後にシロノワールをいただきます。」

「はい、かしこまりました。ご注文繰り返します。元祖ジェリコにたっぷり玉子のピザトースト、食後にシロノワールでお間違いありませんね?」

メルコム「ええ、御代はそこの刑事さんに付けておいて下さい。」

「かしこまりました。失礼します。」

三蔵「ちょう待てや、姉ちゃん!」

「なにか?(また絡まれる…。嫌だな…。)」

三蔵「何でアイツだけ3つも頼んでんねん。ウチも食後にチーズケーキ追加や!」

悟空「俺様はコーヒーゼリーや。」

八戒「ワイはアイツが頼んだシロノワールって洒落乙なんくれや。」

「かしこまりました。失礼します。」

佐野警部「所でワシ等が注文したんがまだ来てへんけどまだか?」

「すみません…何だか大事なお話をされているみたいでしたので…。直ぐにお持ちします。」

 

店員さんは直ぐ様厨房に向かった。

 

弓子「メルコムって言ったな?何をしに来た。」

メルコム「アスラ組に対する情報提供ですよ。」

タダカツ「どういう風の吹き回しでしょうか?」

メルコム「アスラ組の連中、私に対する等価を払わない処か取り立てに向かったら私を殺そうとしてきましてね。それでアスラ組と対立している貴方達と手を組んでお金をいただくと言うことです。」

弓子「お前、そのままアスラ組に殺されたら良かったのにな。」

メルコム「おやおや?昨日の敵は今日の友、って言うではありませんか。」

中島「じゃあ君は僕達に協力してくれるの?敵では無くて?」

メルコム「ホホホ。私は何時でも貴方達と敵対したことはありませんよ?」

ティンク「中島、こんな奴信用したら駄目だよ。」

メルコム「ホホホ。私達は共通の敵と対峙する言わば仲間です。ここは協力し合うのが吉ですよ。」

弓子「とりあえずアスラ組の情報を教えろよ。」

メルコム「そうですね。でも、その前に食事にしましょう。」

 

メルコムがそう言うと同時に店員さんが注文の品を運んできた。

 

「大変長らくお待たせしました。」

三蔵「おお!やっと来たわぁ。」

 

それぞれに注文の品が目の前に置かれる。

 

悟空「ちょう、姉ちゃん。」

「は、はい。」

悟空「このハンバーガー、何やねん。めっちゃデカイやんけ。」

「先程も申し上げましたが…。量が多くなると…。」

悟空「量はええねん。俺様が言いたいのはな、マクドのテリヤキバーガーなんかこれの4分の1の大きさで320円もするんや。これこのデカさでたったの420円って、安すぎるやんけ。見てみいこのバンズ!フッワフッワやぞ。こんなんやったら俺様はしょっちゅう通うぞ!サービス良すぎやんけ。」

「はぁ。」

八戒「確かに食いもんのクオリティが高いよな。サービスもええ。ワイも気に入ったで姉ちゃん。」

「はぁ、ありがとうございます。それではごゆっくりどうぞ。」

 

店員さんはもう絡まれたくないのかイソイソと厨房に戻って行った。

 

メルコム「それでは、アスラ組の情報についてお話しいたしましょう。」

三蔵「このグラタン美味いなぁ。」

八戒「ワイが頼んだチキンもええ味やで。」

メルコム「あの…。」

弓子「あいつ等は無視しろ。話が進まなくなる。」

メルコム「分かりました。まずアスラ組の連中は明日の晩に日本から撤退します。」

弓子「明日の晩だと?」

メルコム「ええ、原因は白鷲 弓子、貴女達がオセさん、アスラ組の幹部を一人倒したのが理由です。」

タダカツ「アスラ組、勝手な連中ですね。」

メルコム「全くです。貴女達とやり合ったら被害が大きいと判断したのでしょう。撤退してからの資金を得るために昨日と今日で多くの女性を誘拐しています。」

弓子「女ばかりか。」

メルコム「大陸に売るためです。」

ティンク「酷い…。」

中島「そんなの酷すぎるんだな。どうしてそんな酷い事を…。」

メルコム「酷くはありませんよ。彼らにとって人間なんて物に過ぎません。」

弓子「反吐がでる。それに加担していたテメエもだがな。」

メルコム「私は人間でも悪魔でもビシネスパートナーとして接しています。勘違いしないでいただきたいですね。」

弓子「よく言えるな。人間を悪魔の材料にする奴がよ。」

メルコム「ホホホ。」

三蔵「何を笑とんねん。」

デスメル「人を実験材料に…。そんな事、許される訳ないだろ。」

メルコム「しかし、私が持っているアスラ組の情報が無いとどうにもならないのではないですか?言わばこれは司法取引と言うやつです。」

佐野警部「まあ、ええわ。そう言うことにしといたるわ。」

デスメル「佐野警部!」

佐野警部「気持ちは分かるけど黙っとれ。ええからアスラ組の情報を言えや。」

メルコム「話が早くて助かります警部さん。まず、アスラ組の連中は名古屋港、飛島埠頭にいます。そこに停まっている豪華客船、劉玄丸で明日の晩に名古屋から撤退します。」

弓子「出港する前にアスラ組を叩かないといけないのか…。」

メルコム「いえ、それだと幹部の連中はしたっぱを切り離して逃げられます。叩くのは出港してからです。」

佐野警部「先に船の中に潜入しなあかんのやな。武井、お前一人わざと捕まって船の中に入れ。」

デスメル「ちょっと!佐野警部!相手はヤクザなのですよ!女の子が一人で捕まったりしたら何をされるか…。」

三蔵「男前の兄ちゃん、心配はあれへん。佐野のおっさんの割にはなかなか良い手やな。それで行こか。」

メルコム「あの…。進入でしたら…。」

三蔵「お前は信用出来へん。ウチ等はウチ等のやり方で行く。」

悟空「ちょう!勝手な決めるなや!俺様達はどうしたらええねん!」

三蔵「アホか、ウチが船の中に入ってから召喚したらええだけやろ!」

佐野警部「そう言うことや。ワシはそのまま船に入る。」

デスメル「そのまま入るって?」

八戒「佐野のおっさんは見た目がヤクザみたいやからそのままで行けるやろ。」

佐野警部「誰がヤクザやねん!ちゃんと変装するわ!」

弓子「大丈夫かよ…。それよりメルコム!幹部は全部で何人居るんだ。」

メルコム「私が知っている限りでは白鷲 弓子、貴女達が倒したオセさんにミノタウルスさん、ティターンさん、バロールさん、そして、首領格のカンセイテイクンさん。後、お会いした事はありませんが女性の幹部の方が居ますね。」

三蔵「その女性の幹部って奴、ウチが殺らせて貰うわ。心当たりがあんねん。」

タダカツ「三下には興味はないので構いませんよ。所でその首領のカンセイテイクンって言う悪魔はどういう者でしょうか?」

メルコム「中国、三國志の英雄関羽雲長。皆さんも名前くらいは聞いたことがあるでしょう?」

弓子「中国の大豪傑か、あたしの獲物だな。」

メルコム「はい?貴女一人でかなう相手ではありません!そこの鬼神スサノオでもかなう相手ではありません!」

タダカツ「聞き捨てなりませんね。私がヤクザごときに遅れをとるとでも?」

弓子「タダカツ、あたしの獲物だ。横取りしようとするな。」

タダカツ「弓子、早い者勝ちですよ。」

佐野警部「白鷲 弓子、お前ら進入ルートはどうするねん?」

弓子「ああ、あたしもあてがある。」

メルコム「おやおや?進入でしたら私の力で…。」

弓子「お前は信用出来ねえ。」

メルコム「ホホホ。」

三蔵「だからお前は何笑とんねん。」

メルコム「せっかく私の空間移動の力でアスラ組の所に案内して差し上げようと思っていたのに貴女達は…。」

中島「だったら僕が君にお願いするんだな。」

三蔵「何やねん、中島 朱美。お前も行くんか?」

中島「うん…。僕に何が出来るか分からないけど…。」

弓子「…。良いだろう。ジャック、ティンク、お前等はここに居ないパスカルとユキムラを連れて中島と行動しろ。」

中島「弓子さんはどうするんだな?」

弓子「あたしとタダカツは別ルートだ。デスメル、お前も一緒だ。あたしを立場上逮捕するためにマークするって設定だろ?」

デスメル「白鷲さん、別ルートってのは?」

弓子「それは当日のお楽しみだ。」

佐野警部「所で、さっきから気になってたけどそのデスメルって何やねん?」

弓子「ああ、それはだな…。」

 

弓子はアダ名の経緯を説明した。

 

三蔵「白鷲 弓子!お前!アダ名と悪口は全然ちゃうねんぞ!」

佐野警部「お前!侮辱罪でしょっぴいたろか!何やねんそれ!」

八戒「兄ちゃん、今からでも遅ない。裁判で白鷲 弓子を訴えよう。」

悟空「もう死刑でええやんけ!佐野のおっさん、拳銃で白鷲 弓子の心臓を撃ちぬいてやれ!」

メルコム「撃つのは裁判で有罪判決にしてお金を全てむしり取ってからにしましょう。」

弓子「何なんだよ…。お前等は…。」

デスメル「皆さん、落ち着いて!佐野警部も拳銃を仕舞って下さい。」

佐野警部「何でやねん!お前はそれでええんか!」

デスメル「僕はこのアダ名を気に入っているんで良いです!皆さんもデスメルって呼んでもらって構いませんから!」

佐野警部「お前がええって言うんやったら…。でも、アダ名の由来が分からんかったらそのデスメルってのなんかカッコええな。ワシもお前の事をそう呼ばせて貰うわ。」

弓子「何なんだよ…面倒くせえ奴等だな…。」

三蔵「面倒くさいって何やねん!お前のせいやんけ!」

弓子「ああ、分かった分かった。話を戻すぞ。」

メルコム「そうですね。今の流れですと、武井 千枝子さん達と白鷲 弓子、そして私達と3つに別れる事になります。それぞれの役割を決めておきましょう。」

弓子「ああ、船が動き出したらあたしらはアスラ組のカンセイテイクン、1番強い奴を倒しに行く。」

三蔵「ウチはわざと捕まってから船が動き出したら中からアスラ組の幹部を叩く。メルコムが言ってた女の幹部って奴は多分ウチが知ってる相手や。ソイツを倒したら白鷲 弓子、お前等に合流する。」

弓子「中島、お前等は捕まっている奴等を助け出せ。」

中島「わ、分かったんだな。」

メルコム「では、こうしましょう。武井さん達が敵と戦い出した隙を見て我々は空間移動の力で船に進入します。我々が進入した後で白鷲 弓子、貴女達は出てきて下さい。」

弓子「何お前が仕切っているんだよ。」

メルコム「ホホホ。」

三蔵「だから何を笑っとんねん。腹立つわぁ。」

メルコム「ですが白鷲 弓子、貴女はカンセイテイクンと戦うおつもりでしょう?でしたら、貴女はしんがりを努めて極力万全の状態で戦いに挑むべきですが…。それに私も見たこともないボスもいます。」

弓子「分かったよ。お前のような糞野郎に従うみたいで癪に触るがそれが1番良い手だしな。」

メルコム「所で、武井 千枝子さん?この作戦は貴女にかかっています。大丈夫ですか?」

三蔵「お前、誰に物言うとんねん。まあ、さんふらわに乗った気でおってくれたらええ。ウチに任せとき。」

弓子「決まりだな。あたし等は準備があるからそろそろ行くよ。中島、行くぞ。」

中島「あっ!弓子さん、待って欲しいんだな!」

 

弓子達は先に店を出ていった。

 

佐野警部「デスメル、お前も行かんかい。作戦はもう始まってるんや。お前が側に居らんかったら白鷲 弓子が警察にパクられるやろ。」

デスメル「は、はい。」

 

デスメルは先に会計を済ませて店を出た。

 

佐野警部「武井。お前、アスラ組の幹部に一人心当たりがあるって言ってたよな?ホンマか?」

三蔵「ウチのクラスの担任の小原や。ウチ等が警察にパクられたのと同時に誘拐するなんて話が出来すぎとる。それに前々からウチを目の敵にしとったからなぁ。」

佐野警部「お前の素行の悪さで目の敵にされとっただけちゃうんか?」

三蔵「何でやねん!アイツが人間に化けてるんは最初から分かってたんや。害が無いから相手にしてなかったけどな。」

佐野警部「そうか、そろそろワシ等も行くぞ。」

三蔵「まだや、デザートがまだ来てへん。」

 

 

 

 

 

弓子「…。」

 

弓子は喫茶店を出てから黙々と歩いている。

 

中島「弓子さん?」

弓子「…。」

ティンク「弓子?どうしたの?」

弓子「中島。」

中島「弓子さん?」

弓子「中島、分かっているのか。」

中島「何がなんだな?」

弓子「今までとは違う。敵は必ず倒さないといけない。相手はお前を殺すつもりで襲ってくる。お前に敵を倒す覚悟があるのか?って聞いているんだ。」

中島「…。」

弓子「無いなら今回はついて来るな。」

中島「それは…。嫌なんだな…。アスラ組の人達は放っておいては駄目んだな。僕にはこれがあるんだな。」

 

中島が悪魔召喚プログラムから錬気の剣を召喚した。

 

弓子「その糞重たい剣か。マトモに振れなかったら意味がないだろ。」

中島「それが、今日素振りをしていたら何でか分からないけど急に重たく無くなったんだな。」

弓子「はぁ?」

タダカツ「重たく無くなった?本当ですか中島殿?」

中島「うん。片手で簡単に持ち上がるんだな。」

タダカツ「それはそれは、では事務所に着いたらこの剣の本当の使い方をお教えしましょう。」

ジャック「ただの剣じゃないのか?」

タダカツ「ええ。この剣の本当の力、それは皆さんの協力が必要です。」

ジャック「どういう事だ?オイラ分からないぞ?」

タダカツ「それは事務所に戻ってからです。」

ティンク「何さ、勿体ぶっちゃって。」

弓子「まあいい。それなりに覚悟があるって事にしといてやる。中島、気合い入れろよ!」

中島「わ、分かったんだな。」

 

アスラ組の壊滅、錬気の剣の使い方、拐われた人々の救出、それぞれに思いを寄せながら事務所に帰る一行であった。

 

 



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潜入!劉玄丸 前編

事務所に戻ると大輔が戻ってきていた。

 

弓子「兄貴、帰ってたのか?」

大輔「急いで戻ってきたんだよ!銀行に300万振り込まれていた!」

弓子「こんなときでも金の事しか頭に無いんだな。」

大輔「あのケチな市長さんがだよ!」

弓子「あー…。兄貴、依頼主は多分市長じゃねえ。メルコムの奴に担がれたな。」

大輔「まあ何でもいいや。300万だもんね。別に誰だっていいよ。弓子、所でその人は?」

弓子「兄貴、デスメルだよ。」

大輔「弓子の友達のデスメル君?」

デスメル「お兄さん、お久し振りです。」

大輔「いやぁ。久し振りだねデスメル君!」

弓子「兄貴、デスメルの奴なんとな、デカになったんだよ!」

大輔「えっ?本当かい?デスメル君、頑張ったんだね。」

 

大輔は久し振りに会う来客に心を弾ませる。

 

大輔「所で弓子、アスラ組についてだけど…。」

弓子「ああ。」

 

弓子は大輔に今までの経緯を説明した。

 

大輔「山川組が…。ほぼ壊滅。」

弓子「若頭が警察に捕まっていないから山川組は大丈夫だよ。」

デスメル「白鷲さん、その進入ルートってのは?」

弓子「ああ、飛島埠頭のコンテナの中に入る。奴等の荷物に紛れて進入する。」

大輔「そんな都合よく行くかな。」

弓子「コンテナの積み込みはあたしの知り合いがしてくれる。」

デスメル「知り合い?」

弓子「ああ、前に依頼を受けた時に知り合った土木工事の親方だよ。なんか、昨日に急な仕事が入ったんで妙だなって思ったみたいであたしに一報が入ってきたんだよ。」

デスメル「色々な知り合いがいるんだね…。」

弓子「ああ、こういう仕事だからな。色んな奴と仲良くなるんだよ。そう言うことだから兄貴も明日一緒に来てくれ。」

大輔「分かったよ。所で、中島君達はどうしたんだい?」

弓子「ああ、外にいる。ちょっとした特訓ってやつらしい。」

大輔「特訓?」

弓子「ああ。とりあえず、あたしはデスメルを連れて親方の所に顔を出しに行ってくるよ。」

大輔「分かったよ。」

 

弓子はそう言うとデスメルを連れて出ていった。

外に出ると中島達が集まって何かしている。

 

弓子「お前等、何をしているんだ?」

中島「あっ、弓子さん。」

タダカツ「中島殿、集中してください。弓子、今は錬気の剣の特訓中です。」

弓子「特訓だぁ?その糞重たい剣のか?」

タダカツ「まあ見ていて下さい。さあジャック、貴方の魔力を中島殿の剣に送るのです。」

ジャック「分かったぞ!ヒーホー!」

 

ジャックが両手を錬気の剣の方に向けて魔力を送る。すると錬気の剣はみるみるうちに青白い氷の剣に変わっていった。

 

タダカツ「中島殿、魔力を込めて剣を振って下さい。」

中島「わ、分かったんだな。」

 

中島が剣を振ると剣から吹雪が出てきて辺りは銀世界に早変わりした。

 

中島「す、すごいんだな…。」

デスメル「な、な、何が起きたんだ!」

ジャック「ヒーホー!デスメルの兄ちゃん、オイラの力はすごいだろ?」

タダカツ「ジャック、貴方の力ではありません。直ぐに調子に乗るのは貴方の悪い癖です。中島殿、ジャック、今の感覚を忘れないで下さい。」

中島「わ、分かったんだな…。」

弓子「なーかーじーまー!テメエ!何をしてくれるんだ!あたしは寒いのは大嫌いなんだよ!これから夏になろうとしているのにどうしてくれるんだよこの銀世界をよお!」

中島「ぼ、僕は剣を軽く振っただけなんだな…。」

タダカツ「私もここまでなるとは思っていなくて…。」

弓子「中島の魔力か…。」

タダカツ「え、ええ…。」

デスメル「それよりどうするんですかこれ?」

弓子「まあ、今日は結構暑いから直ぐに溶けてもとに戻るだろ、タダカツ。行くところがある。ついてこい。」

タダカツ「わ、分かりました。」

弓子「中島、ちゃんと特訓しとけよ。サボったら蹴り倒すからな!」

中島「でも弓子さんは何もなくても僕を蹴るんだな。」

弓子「口答えするな!オラ!」

中島「い、痛い…。」

 

弓子は中島を蹴りあげるとそのまま出かけていった。しかし、その表情はどこか嬉しそうであった。

 

タダカツ「私は弓子と共に行ってきます。中島殿、今日はもう素振りだけにして明日に備えて鋭気を養って下さい。」

中島「分かったんだな。タダカツ、ありがとうなんだな。」

タダカツ「いえ、それよりユキムラは何処に行っているのですか?」

ティンク「あっ…。忘れてた…。」

中島「アスラ組に拐われた女の子を助けに行くって言って出ていったきりなんだな。」

タダカツ「はぁ…。」

中島「ユキムラを探して来るんだな。」

タダカツ「お願いします。では、私は弓子に同行しますのでこれで失礼します。」

 

タダカツは急いで弓子を追って走って行った。

 

ジャック「ユキムラは何処に行ったんだ?」

中島「これを使うんだな。」

 

中島は悪魔召喚プログラムのオートマッピング機能を起動させた。

 

ティンク「名古屋城だね。」

中島「うん。でも、いつもは緑の点で示されるのに今は赤い点なんだな。」

ジャック「なんか、嫌な予感がするぞ。」

パスカル「ノレ ナカジマ!ユキムラ ピンチ!」

 

パスカルがいち早く巨大化している。

 

中島「わ、分かったんだな!パスカル、お願いなんだな!」

パスカル「マカセロ!」

ジャック「オイラも行くぞ!」

ティンク「あたしも行くよ!」

パスカル「ノレ!」

 

中島達はパスカルの上に乗りユキムラがいる名古屋城に急いで向かった。

 

 



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潜入!劉玄丸 中編

名古屋城にたどり着いた。いつもは観光客で一杯なのだが様子が違う。パトカーが数台止まっていて名古屋城の入り口が塞がれている。

 

中島「中にユキムラがいるんだな。パスカル、ありがとうなんだな。」

 

パスカルは元の豆シバの姿に戻った。中島達は名古屋城の入り口に向かうが警官に止められた。

 

「立入禁止だ。入るな!」

中島「中に僕の友達がいるんだな。」

ジャック「そうだぞ!中にユキムラがいるんだぞ!」

「立入禁止だ!帰れ!」

 

警官が拳銃を向けて中島達を威嚇する。

 

ジャック「兄ちゃん、そんなの突きつけたら危ないぞ!」

中島「お願いなんだな。中に入れて欲しいんだな!」

「公務執行妨害で逮捕するぞ!」

 

警官が中島の足元に威嚇射撃をした。

 

ジャック「ヒーホー、撃ってきたぞ。」

「逮捕だ、逮捕だ、逮捕だ。」

 

警官の様子がおかしい。

 

中島「様子がおかしいんだな。」

「逮捕だ、死ねー!」バン!

 

警官が撃ってきた銃が中島の頬をかすめた。銃声を聞きつけ中から警官が数人飛び出してきた。皆、様子がおかしい。

 

「逮捕だ、逮捕だ、逮捕だ、逮捕だ。」

「公務執行妨害だ。」

中島「うう…。いっぱい出てきたんだな…。」

 

いつの間にか中島達は警官達に囲まれている。

 

ジャック「中島、囲まれたぞ…。」

中島「なんで…。僕達は何もしていないのに…。」

パスカル「ナカジマ コイツラ アヤツラレテイル」

 

警官が一斉に中島達に襲いかかる!

 

ティンク「今だ!『ドルミナー!』」

 

襲いかかってきた警官達はティンクの魔法で眠りだした。

 

ティンク「中島、今のうちに!」

中島「わ、分かったんだな。」

「待て!逮捕だ!」

ティンク「『ドルミナー!』」

「ま、待て…。zzz…。」

 

警官を眠らせ中島達は名古屋城の正門の奥に入っていく。

 

ジャック「あっ!ユキムラがいたぞ!」

 

名古屋城の正門を抜けて、二ノ丸広場に入る。ユキムラはイケメンおもてなし武将隊に押さえつけられている。身動きのとれないユキムラはスーツ姿の男に傷みつけられていた。周りにはまだ数人の警官がいる。

 

ユキムラ「何をするんだ!みんな、放してくれたまえよ。」

「ククク、我等の事を嗅ぎ回る悪魔クーフーリン。止めを刺させてもらおう。」

ユキムラ「君は?まさか!」

「ユキムラ!お前等!何してるんだ!ユキムラを放せ!」

 

中島達が近づく前に戦国武将の格好をした一人の青年がユキムラを助けに入る。そう、武将隊のリーダー、ノブナガだ。

 

「俺の魔眼に操られていない人間がまだいたとはな。警察に逆らう者は公務執行妨害で逮捕だ。取り押さえろ!」

 

助けに来たノブナガが周りにいた警官に取り押さえられた。

 

「クソッ…。何しやがる!放せ!」

ユキムラ「ノブナガさん!君の狙いはこの僕だけだろ!ノブナガさんを放してくれ!」

「クーフーリン、バカな男だ。そいつ等など見捨てたら良いものを。」

ユキムラ「武将隊のみんなは僕の大切な人達だ。そんな事は出来ないね。」

「そうか、何処までもバカな奴だ。死ね!」

 

スーツ姿の男がユキムラに拳銃を突きつける。

 

中島「ああ!ユキムラが!」

パスカル「ナカジマ オレサマ マカセル!」

 

パスカルがいち早くスーツ姿の男に近づき拳銃を持つ手を噛みつく!

不意を突かれた男は拳銃を落としてしまった。

 

「グッ…。なんだこの犬は!」

 

パスカルは男の手を放さず噛みついている。少し遅れて中島達もユキムラの元にたどり着いた。

 

ティンク「みんな、少しの間眠っていてね。『ドルミナー!』」

 

ティンクの魔法でユキムラを押さえていた武将隊のみんなを眠らせた。

 

中島「ユキムラ、助けに来たんだな。しっかりするんだな。」

ユキムラ「マスター、みんな、僕よりノブナガさんを。」

ティンク「分かったよ、任せて。『ドルミナー!』」

 

ティンクの魔法でノブナガを押さえつけていた警官達を眠らせた。

 

ティンク「大丈夫?」

「なんだ?妖精?」

ユキムラ「ノブナガさん、僕のせいで…。」

「ユキムラ、どうなっている?なんで警察が…。」

ジャック「ヒーホー!兄ちゃん、ここはオイラ達に任せて逃げるんだぞ。」

「逃がすと思っているのか?」

 

スーツ姿の男が立ち塞がる。

 

中島「君の相手は僕なんだな。」

「アスラ組に逆らうデヒルサマナーか。白鷲 弓子とスサノオが居ないお前達など恐れるに足りん。良いだろう、相手をしてやる。」

 

男の姿がみるみるうちに変わっていく。額に大きな目が出てきてスーツがはち切れそうな位の筋肉で体がおおわれ、裂ける位の大きな口から牙が生えている。

 

魔眼のバロールが現れた!

 

バロール「この姿になったら最早手加減は出来んぞ!デビルサマナー!」

中島「れ、錬気の剣!」

 

中島はすかさず悪魔召喚プログラムから錬気の剣を召喚する。

 

中島「う、重い…。なんで…。さっきは簡単に持てたのに…。」

バロール「そんなへっぴり腰でよく俺の前に現れたな!」

 

バロールの攻撃!

バロールは中島の頬に思いっきりパンチを繰り出す!

中島はまともに喰らい吹き飛びダウンした!

 

中島「痛いけど…まだ…まだなんだな。」

 

中島はよろめきながら立ち上がる。

 

ティンク「中島!」

中島「ティンク、僕よりユキムラの傷を回復させて欲しいんだな。」

パスカル「ナカジマ ドケ オマエノアイテハ オレサマダ」

 

パスカルが巨大化して戦闘体勢に入っている。

 

バロール「さっきの犬か!貴様、デビルサマナーの使い魔だったのか!焼け死ね!『アギラオ!』」

 

バロールはアギラオを唱えた!

大きな火の玉がケルベロスに襲いかかる!

しかし、ケルベロスは火の玉を大きな口で飲み込んだ!

 

パスカル「オレサマ オマエ マルカジリ!」

 

ケルベロスの攻撃!

ケルベロスがバロールの右肩を食いちぎる!

 

バロール「グッ…。この犬っころがー!」

パスカル「オレサマ ツヨイ!オレサマ ムテキ!オレサマ オマエ マルカジリ!」

 

パスカルの攻撃!

今度はバロールの左の太ももに食らいつく!

 

バロール「クソッ!コイツ!離れろ!」

 

パスカルがいち早くバロールが攻撃してくるのに気付き距離をとる!

 

バロール「速い!コイツは後だ!他の奴を先に倒す!喰らえ!『マハラギオン!』」

 

バロールはマハラギオンを唱えた!

大きな炎が中島達に襲いかかる!

 

パスカル「ムダダ!」

 

ケルベロスは口からファイアブレスを放ちバロールのマハラギオンを相殺する!

 

ジャック「ヒーホー!パスカルだけじゃなくオイラもいるぞ!これでお前もおしまいだぞ!喰らえ!『ブフーラ!』」

 

ジャックフロストはブフーラを唱えた!

氷の刃がバロールに襲いかかる!

 

バロール「そんな攻撃が効くか!」

 

バロールの額の魔眼が怪しく光り氷の刃を弾き飛ばした!

魔眼が放つ光がバロールを包み込みケルベロスにつけられた傷が塞がっていく。

 

パスカル「ムダダ!」

 

ケルベロスの攻撃!

バロールに猛スピードで突進する!

しかし、バロールの魔眼が怪しく光りケルベロスは弾き飛ばされた!

 

中島「ああ…パスカルが!」

バロール「デビルサマナー次はお前の番だ!」

ジャック「中島は殺らせないぞ!今度はオイラが相手だぞ!」

 

ジャックフロストの雪分身!

雪でできた自分の等身大の分身を作り出した!

 

ジャック「ヒーホー!お前にクイズだぞ!本物のオイラは何処に居るか当ててみるんだぞ!」

バロール「下らん…。所詮は雑魚悪魔だ。『マハラギオン!』」

 

バロールはマハラギオンを唱えた!

燃え盛る火炎がジャックフロストの雪分身を次々と溶かしていった。

 

ジャック「あああ!熱いぞぅ!ああ!」

 

ジャックフロストにも火がつき悶え苦しんでいる!

 

バロール「まずは一匹。死ねー!」

 

バロールの攻撃!

鋭く伸びた爪がジャックフロストに斬りかかる!

しかし、中島がジャックフロストの前に出て錬気の剣でバロールの攻撃を受け止める!

 

バロール「おのれ!デビルサマナー!」

中島「君は僕が相手をするんだな!」

ユキムラ「マスター!しゃがんで!『ザンマ!』」

 

中島がとっさにしゃがんだ瞬間にクーフーリンが放つ風の衝撃魔法が中島の上を通過した。

バロールは対応出来ずにまともに喰らい吹き飛んだ!

しかし、バロールにはあまり効いていなかったのか直ぐに立ち上がる。

 

ユキムラ「マスター、みんな、ごめんよ。HEY!女の子達を連れ去ったアスラ組の悪魔の君、今度はこのイケメンである僕が華麗に相手させてもらうよ。」

バロール「クーフーリン、我等アスラ組の仲間になる気はないか?富も女も全て思いのままだぞ?」

ユキムラ「ハン!冗談は止してくれたまえよ。僕が従うマスターはこの世界では中島 朱美ただ一人だけだよ!君達の仲間なんて死んでもお断りさ。」

バロール「何故だ!何故そんな弱い奴に従う!」

ユキムラ「そんなの答えは簡単さ。それはこの僕がイケメンだからさ!イケメン同士は引かれあう運命だからね!」

バロール「その男がイケメン?笑わせるな!」

ユキムラ「はぁ…。イケメンでない君には分からないんだね、情けない。僕のマスターの心は史上最高のイケメンなのさ!そんな簡単な事が分からないから君達はダメダメなのだよ!」

バロール「どいつもこいつも舐めやがって!魔眼の力を思いしれ!」

 

バロールの額の魔眼が怪しく光り輝く!

 

ユキムラ「それが何だって言うんだい?このイケメンである僕には…。」

バロール「フフフ、ハハハハハ!この魔眼を直接見たな、クーフーリンよ!これでお前もアスラ組の一員だ!ハハハハハ!」

ユキムラ「…。バロール様、ご指示を。」

中島「ユキムラ?どうしたんだな?」

バロール「クーフーリンよ!そのデビルサマナーを殺せ!」

ユキムラ「バロール様の仰せのままに。」

 

クーフーリンはバロールに操られて中島に向けて突進してくる!

 

ジャック「ユキムラ、しっかりするんだぞ!」

バロール「雑魚悪魔がまだ生きていたのか。お前も魔眼の力で我が僕にしてやろう。有りがたく思うがよい。」

 

バロールの額の魔眼が怪しく光り輝く!

 

ジャック「ヒーホー!オイラもバロール様に忠誠を誓うぞ!中島ー!死ねー!」

 

ジャックフロストもバロールに操られて中島に向けて襲いかかる!

 

中島「そんな…。ジャックまで…。」

 

バロール「ハハハハハ!デビルサマナー!これまでだな!魔眼の力を思いしるがよい!」

 

中島「そんな…。ジャック、ユキムラ、正気に戻って欲しいんだな!」

ティンク「中島ー!」

中島「ティンク!武将隊の人達は?」

ティンク「みんな大丈夫だよ!ノブナガさんが眠らせたみんなを安全な所に運んでくれたよ。」

中島「良かった…。良かったんだな…。」

ティンク「中島、人の心配より自分の心配だよ!『メパトラ!』」

 

ハイピクシーの癒しの魔法がクーフーリンとジャックフロストを包み込む。

 

バロール「無駄だ!俺の魔眼の力がそんな魔法で解除出来るか!」

ユキムラ「マスターに逆らう愚か者、イケメンであるこの僕の手で死ぬがよい!」

 

クーフーリンが中島に掴みかかりバロールに聞こえない様に中島に話かける。

 

ユキムラ「マスター、落ち着いて聞いて…。マスターの剣で僕を斬るんだ。」

中島「そ、そんな事出来ないんだな…。」

ユキムラ「マスター、聞いて…。あのバロールを油断させる為のお芝居さ。このように…グッ…」

 

クーフーリンは中島が剣を持つ手をとり剣を自分の腹に突き刺した。

クーフーリンは静かにたおれた…。

 

バロール「ハハハハハ!自分の身を守る為にクーフーリンを刺し殺したか!」

中島「ユキムラ…。」

バロール「デビルサマナー!お前がクーフーリンを殺したのだ!」

パスカル「ダマレ!」

 

吹き飛ばされたケルベロスが戻って来た。

 

バロール「ケルベロスか。貴様もまだアスラ組に逆らうのか?そのデビルサマナーについていてもどうせ自分の保身のために殺されるだけだぞ?そこに転がっているクーフーリンの様にな!」

 

ケルベロスは倒れているクーフーリンの方を一目見てバロールの方を向き直した。

 

パスカル「オレサマ オマエ マルカジリ!」

 

ケルベロスがバロールに突進する!

 

バロール「ジャックフロスト!ケルベロスを足止めしろ!」

ジャック「ううう…。頭が痛いぞ…。」

 

ハイピクシーの魔法が効いていたのかジャックフロストの洗脳が解けかけている。

 

バロール「魔眼の洗脳が?ならばもう一度魔眼の力を受けるがよい!」

 

バロールの額の魔眼が怪しく光り輝く!

 

ジャック「あああ!オイラ、嫌だぞ!あああ!中島達はオイラのオイラのああああああ!」

中島「ジャック!」

ティンク「『パトラ!』ジャック!しっかりして!」

ジャック「ああああああ!」

 

ジャックフロストは頭を抱えて苦しんでいる!

 

バロール「このチビ、俺の魔眼の力を抑えているのか?ならば、貴様から殺してやる!」

パスカル「シヌノハ オマエ!」

バロール「無駄だ!退け!」

 

バロールの魔眼の力でパスカルは再度吹き飛ばされる!

 

中島「パスカル!」

バロール「これで邪魔者は居ない、まずはそこの妖精からだ!死ね!『アギラオ!』」

 

バロールはアギラオを唱えた!

大きな火の玉がハイピクシーに襲いかかる!

しかし、中島が錬気の剣で火の玉を斬り捨てた!

 

ティンク「中島?」

バロール「何?デビルサマナー!何だその剣は?何故、魔法を斬れる?」

中島「許さない…。町の人達を操って…そして僕の大切な友達を…。ぼ、僕は君だけは許さないんだな…。」

バロール「何だ、何か不味い!魔力を全て魔眼の力に使って洗脳してやる!」

 

バロールの額の魔眼が今まで以上の怪しく光り輝く!

中島は錬気の剣を両手に持ちバロールに近づいていく。

 

ティンク「中島!」

中島「ティンク、僕に力を貸して欲しいんだな。」

ティンク「あっ!そうか、分かったよ!」

 

ハイピクシーは両手を錬気の剣に向けて魔力を送り込む!

 

バロール「何をする気だデビルサマナー!」

中島「僕は君を許さない、許さないんだな!」

 

中島の攻撃!

錬気の剣を振り上げバロールに斬りかかる!

バロールは額の魔眼に力を込めてバリアを作り攻撃を受け止めようとする!

 

バロール「ぐっ!何なんだ、この力!俺の魔眼の力を押しきって…。グワッ!」

 

中島の攻撃が魔眼の力を押しきりバリアを破壊してバロールを吹き飛ばした!

バロールはふらつきながら拳銃を持ち立ち上がる。

 

バロール「デビルサマナー…。魔力は強くても拳銃は受け止めれまい…。死ね!」

 

バロールは中島に拳銃を向け狙いを定める。

 

ユキムラ「いいや、残念だけど死ぬのは君さ!このイケメンである僕の必殺魔法を喰らいたまえ!『ブリューナク!』」

 

クーフーリンの攻撃!

風の魔法で作りあげた手槍ブリューナクをバロールの魔眼にめがけて投げつける!

投げた槍は光の速さでバロールの額の魔眼を貫いた!

 

バロール「く、クーフーリン…。何故…。お前は…俺の魔眼で…。操って…いた…。」

ユキムラ「このイケメンである僕にそんな卑怯者の力が聞くと思っていたのかい?全てはこのイケメンである僕のエンターテイメントだったのだよ!」

バロール「くそ…。」

 

バロールを倒した!

 

ユキムラ「イケメンである僕達の華麗なる大勝利だね、マスター。」

中島「ユキムラ、ぼ、僕は…君を刺してしまって…。」ポロポロ

 

中島は泣き出した。

 

ユキムラ「マスター、僕なら大丈夫さ!だから泣かないで。これもエンターテイメントの一環さ!」

ティンク「何がエンターテイメントよ、痩せ我慢してさ!ほら、お腹の傷を回復させるよ。『ディアラマ!』」

 

ティンクの回復魔法でユキムラの刺し傷を回復させた。

 

ジャック「ううう…。お、オイラ…。」

ティンク「ジャック、待ってて!『パトラ!』」

ジャック「おおお?頭が痛いのが治ったぞ!」

パスカル「ナカジマ ヨクヤッタ!」

中島「パスカル!良かった…。無事で。」ポロポロ

ユキムラ「マスター、泣き止んでよ。勝者はカッコ良く華麗に振る舞わないと駄目だよ。そう、このイケメンである僕の様にね。」

中島「う、うん…。」

ティンク「事務所に戻ろうよ。あたし、ちょっと疲れちゃったよ。」

中島「うん。」

「待てよ!」

 

中島達は帰ろうとしたとき何者かに呼び止められた。おもてなしイケメン武将隊の面々である。

 

ユキムラ「ノブナガさん…。」

ノブナガ「ユキムラ、ちゃんと説明しろよ。」

中島「あっ…。」

ユキムラ「マスター、いいんだ。いつかこういう日が来ると思っていたから。」

 

ユキムラは自分達の事、そして今、街を脅かしているアスラ組の事を洗いざらい話した。

 

「………。」

ユキムラ「…。」

 

ユキムラの説明を聞いて武将隊の面々は黙っている。

 

中島「ゆ、ユキムラは、いつもおもてなしイケメン武将隊のお仕事を一生懸命に…。」

ユキムラ「マスター…。いいんだ…。」

ノブナガ「悪魔か…。その倒した奴にそこのデカイ犬や妖精を見たら信じざるを得ないか。前々から思うことがあったんだよな…。」

「ノブナガさん、どうします?」

ノブナガ「ユキムラ、お前が連れてきたタダカツもその…悪魔なんだな?」

ユキムラ「う…。うん。スサノオさ。」

ノブナガ「スサノオ!?日本神話の神様じゃねえか!」

「信じられん…。1番はユキムラがケルト神話の英雄クーフーリンだって所だけど…。」

「そこなんだよな。1番胡散臭い所はユキムラが英雄って所なんだよな。」

ユキムラ「え?いやいや、ちょっとみんな!」

ノブナガ「ハハハハハ!日本神話の神様にケルト神話の英雄が俺達の仲間ってか?ハハハハハ!」

ユキムラ「ノブナガさん、みんな、そう言う事なんだ。僕はそのアスラ組と戦いに行くんだ。みんなに迷惑がかかるからこれ以上は…。」

 

ユキムラが最後まで言うのを静止してノブナガがユキムラに言い放つ。

 

ノブナガ「ユキムラ!」

ユキムラ「は、はい!」

ノブナガ「来週は月に1回の武将隊全員集合の日だ!タダカツの奴も連れて必ずアスラ組ってのを倒して戻ってこい!」

ユキムラ「ノブナガさん?だって僕は悪魔で…。」

ノブナガ「ユキムラ、分かってるよな。全員集合の日は集まる人が多いんだ。絶対に来いよ?いいな?」

ユキムラ「えっ?僕達は悪魔で…。」

「ユキムラ、ノブナガさんが戻ってこいって言ってるんだ。必ずそのアスラ組って奴等を倒してこいよ!」

「拐われた女の子達をちゃんと助け出してしっかり女の子達に振られて来いよ!」

ユキムラ「ちょっと!」

「ユキムラはナンパして振られるまでがお家芸だからな!」

「ハハハハハ!」

ユキムラ「ちょっと!みんな!笑わないでよ!」

「ハハハハハ!」

中島「あ、あの…。」

ノブナガ「おっ?お前、あの時の奴だな?」

中島「あ、僕に輸血をしてくれて…。」

ノブナガ「ああ、気にするな!それより、ユキムラとタダカツがいつもすまないな。」

中島「ぼ、僕の方が二人には助けてもらってばっかりで…。」

ノブナガ「何か困った事があればいつでも手を貸してやる。これからもアイツ等の事を頼む。」

中島「うん。ノブナガさん…。ありがとうなんだな。」

ノブナガ「ああ、それよりも…これをどうするかだ。」

 

ノブナガは倒れたバロールを指さした。

突如、空間に歪みが現れ一人の悪魔が出てきた。

 

中島「あっ、メルコム。」

ティンク「何しに来たのよ!」

メルコム「ホホホ。何しに来たとはいきなりですね。」

「何者だ!」

メルコム「おやおや?初めてお会いする方々も居ますね。イケメン武将隊の皆さん、私は堕天使メルコムと申します。以後お見知りを。」

 

メルコムは武将隊の面々に軽く会釈をした。

 

「何だこいつは。」

ノブナガ「まさか?こいつの仲間か?」

メルコム「ホホホ。武将隊の皆さん、警戒しなくても大丈夫ですよ。」

ユキムラ「みんな、気をつけて!こいつはアスラ組の仲間だよ!」

メルコム「おや?貴方、そこの中島 朱美から聞いていないのですか?私達は共にアスラ組を倒すパートナーになったのです。」

ユキムラ「え?マスター、本当かい?」

中島「う、うん。」

ノブナガ「胡散臭い奴だな。何をしに来た!」

メルコム「そこに転がっているバロールさん、置いといていては警察への対応とか色々と面倒でしょう。ですので私が回収しようと思いましてね。」

バロール「うう…。め、メルコム…。お、俺を…たすけ…ろ…。」

メルコム「おや?魔眼が潰されていますね。」

バロール「はやく…な…かまの…とこ…ろへ…連れて…。」

 

メルコムは落ちている拳銃を拾いそのままバロールの心臓をめがけて数発撃った!

 

バロール「がはっ!き、きさま…。」

メルコム「魔眼のない貴方に価値はありません。」

 

メルコムは更に数発バロールを撃ち抜いた。

バロールはそのまま息絶えた。

 

ノブナガ「お、おい!」

メルコム「私達の周りには結界を張っていますので拳銃の音は私達以外には聞こえない様にしています。心配は要りませんよ。」

「こ、殺しやがった…。」

メルコム「仕方がないのでこの死体は私の作った合成悪魔の餌にでもしますか。出来たら魔眼が綺麗な形で倒して頂きたかったですね。」

中島「魔眼…。」

メルコム「ええ、このバロールさんの魔眼を綺麗にくり貫いてオカルトマニアに高く売りつけようと思っていたのです。オセさんの時もそうでした。スサノオが体を突き破って殺すから毛皮に出来なかったのです。良いですか貴方達、アスラ組の幹部を倒す時は出来るだけ綺麗な形で倒して下さい。良いですね?」

 

必死で戦ったのにそんな事を言われても困る中島達である。

 

ジャック「お前、なんか大輔の兄ちゃんみたいだぞ…。」

メルコム「ホホホ。あんなのと一緒にしないで下さい。」

ティンク「一緒じゃない。お金の事しか興味がない所がさ。」

メルコム「私がお金に執着が高いのは認めます。しかし、デパ地下やスーパーの試食コーナーで腹を満たそうとしたりファーストフード店で有りもしない因縁をつけて購入した物をタダにしようとする乞食と一緒にしないでいただきたい!余りにも失礼です!」

ユキムラ「いや…。いくらケチなお兄さんでも流石に店に因縁をつけてタダにしようとは…。」

メルコム「あれ、目の前で見たら私でも引きますよ…。」

中島「…。」

ジャック「…。」

パスカル「…。」

ユキムラ「…。」

ティンク「…。」

 

何も言い返せない中島達であった。

 

メルコム「それよりこれを片づけましょう。」

 

メルコムは空間に歪みを出しバロールの遺体を投げ込んだ。

 

メルコム「さて、もう必要ないので結界を解きましょう。私は1度失礼します。イケメン武将隊の皆さん、ご縁があればまたお会いしましょう。」

 

メルコムは軽く会釈をして自分も空間の歪みに入り消えていった。

 

ノブナガ「何だったんだアイツは。ユキムラ、後は俺達が片づけておくからお前達は帰れ。」

ユキムラ「ノブナガさん…。」

ノブナガ「いいから早く帰って体を休めておけ!」

中島「ノブナガさん、みんな、ありがとうなんだな。」

 

中島達は礼を言ってイケメン武将隊の面々と別れて事務所に戻った。

 

 

 

事務所に戻ると何やら玄関に出前の人が中島達を待っていた。

 

「中島 朱美さんですね?」

中島「う、うん。そうなんだな。」

「特上ひつまぶしを五人前お持ちしました。サインをお願いします。」

ユキムラ「え?うなぎ?」

ジャック「ヒーホー!特上だぞ!」

中島「え?いや、ぼ、僕は頼んでいないんだな?」

「えっと、別の方からお代は少し前にお店で頂いてこちらに届ける様に言われて来たのですが…。受け取っていただかないと…。とりあえずサインをお願いします。」

中島「わ、分かったんだな。」

 

中島は訳も分からずサインをしてひつまぶしを受け取った。

 

「後、これをお代を頂いた方から渡すように預かっています。」

 

中島は手紙を受け取った。

 

ティンク「中島、それ何?」

中島「手紙みたいなんだな。」

「食べ終わったお櫃は洗って玄関に置いておいて下さい。明日の昼過ぎに回収しますので。それではありがとうございました。」

 

配達の人は帰っていった。

 

ユキムラ「とりあえず中に入ろうよ。」

中島「うん…。」

 

中島は事務所の鍵を開けて中に入り手紙を読んだ。

 

ユキムラ「マスター、誰からだい?」

中島「うん、読むんだな。」

 

「親愛なるデビルサマナー中島 朱美殿

 

先程は魔眼のバロールさんとの死闘お疲れ様でした。細やかではございますがこのひつまぶしを食して英気を養って下さい。以前この私が封印される前の江戸の世から、疲れた時にはうなぎで決まりです。明日、私の空間魔法で貴方達を迎いに行きますので悪しからず。

堕天使メルコムより。

P.S 私はケチではありません。」

 

中島「…。」

ティンク「げっ!メルコムから?」

ユキムラ「毒でも入っているかも知れないよ。」

中島「みんな、せっかくメルコムが持ってきてくれたんだから食べるんだな。」

ジャック「中島?いいのか?」

中島「うん。なんか僕にはメルコムはそんなに悪い悪魔だとは思えないんだな。」

パスカル「オマエタチ イラナイナラ オレサマモラウ!」

ジャック「だ、誰も食べないとは言っていないぞ!」

ユキムラ「そうだよ!うなぎなんて滅多に食べれないんだから食べるよ!」

ティンク「あたし、お茶いれてくるね。」

中島「ティンク、ありがとうなんだな。」

 

中島達はメルコムに感謝しながらひつまぶしを食べる事にした。

 

ティンク「でもさあ、この手紙の最後の『私はケチではありません!』って可笑しいよね。」

ユキムラ「ケチって言われた事を気にしてひつまぶしを送って来たのかなぁ。」

ティンク「なんかメルコムってちょっと人間臭い所あるよね。」

ジャック「アイツも一緒に食べたら良かったのにな。」

中島「うん、ジャック。僕はメルコムとも色々な話をしてみたいんだな。」

パスカル「ナカジマ ヤメトケ。ドウセカネノハナシシカシナイ。」

 

みんなでメルコムの話題で盛り上がっていると突如、空間に歪みが現れメルコムが出てきた。

 

メルコム「貴方達、私が居ないからって好き勝手言わないで頂きたいですね。」

ユキムラ「うわ!」

ティンク「ちょっと!いきなり現れないでよ!ビックリするじゃない!」

メルコム「それは失礼しました。それより緊急事態です。アスラ組の劉玄丸が今晩出航します!」

中島「えっ?今晩?確か明日って。」

メルコム「ええ。貴方達が先程のバロールさんを倒した事により警察への洗脳が解かれたのです。今、愛知県警の捜査4課がアスラ組の組員を捕まえる為に躍起になっています。残った幹部はしたっぱの構成員を切り離して逃げるつもりです。」

ユキムラ「急な展開だね…。」

メルコム「ええ。白鷲 弓子も武井さん達もすでに劉玄丸に潜入しています。後は貴方達だけです。」

中島「そんな、まだ食べ終わってないのに…。」

メルコム「…。食べ終わるまでの時間はあるので早くしてください。」

中島「わ、分かったんだな。」

 

中島達は急いでひつまぶしを食べ終えた。

 

メルコム「皆さん、食後のドリンクです。一気に飲んで下さい。」

中島「分かったんだな。」

 

メルコムは中島達にチャクラポットを手渡し飲ませた。

 

ジャック「ゴホッ!何だこれ!」

ティンク「苦い!何よこれ!」

中島「ゴホッ!」

メルコム「魔力が回復する薬です。苦いのは良薬の証拠です。さあ、皆さん行きますよ!」

 

メルコムは中島達を自らが出した空間の歪みに押し込み劉玄丸に向かった。

 

中島「メルコム、ひつまぶし美味しかったんだな。」

メルコム「いえいえ、喜んでいただけて光栄です。」

中島「あの、みんなにはナイショでお願いがあるんだな。」

メルコム「何か?」

 

中島はメルコムに耳打ちをした。

 

メルコム「…。正気ですか?」

中島「うん。」

メルコム「良いでしょう。」

 



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潜入!劉玄丸 後編

一方その頃…

 

弓子達は劉玄丸に潜入する為に前回の依頼で知り合った作業員の親方達と打ち合わせに名古屋港近くの喫茶店に来ていた。

 

「わざわざ来てくれてすみません探偵さん。実は、例のアスラ組からのコンテナの積み込み作業の依頼なのですが急遽今日してくれと言われまして…。」

弓子「急遽今日だと?」

タダカツ「また急ですね…。」

「もちろんヤクザの手助けなんてまっぴらなのですが…。」

弓子「あたし等の為に親方の信念を曲げる事になってしまってすまないな。」

「うちの従業員に探偵さんがアスラ組との事を言ってくれていたから作業依頼を保留にしていたのですよ。」

弓子「ああ、悪いな。でもあのアスラ組の奴等の事だ。作業の代金なんて払わないと思うけど良いのか?」

???「ホホホ。その辺はご安心をしてください。私がキッチリお金を回収致しますので。」

 

突如、空間に歪みが現れメルコムが出てきた。

 

「いきなり何だ!何処から出てきたんだ!?」

弓子「やいメルコム!毎度毎度いきなり現れるな!蹴り殺すぞ!」

メルコム「ホホホ。新たな情報が手に入ったので報告に来たのですよ。相変わらず血の気盛んな方ですね。」

「探偵さん、何者なのですか?」

メルコム「ホホホ。貴方は初めてお会いしますね。私は堕天使メルコムと申します。以後お見知りを。」

 

メルコムは作業員の親方に軽く会釈をした。

 

弓子「毎回腹立つよなコイツ。デスメル、拳銃で撃ち殺せ。」

デスメル「白鷲さん、気持ちは分かるけど落ち着いて。」

メルコム「ホホホホホ。」

タダカツ「所で、新たな情報と言うのは何でしょうか?」

メルコム「ええ、実はアスラ組の幹部、警察を操っていた魔眼のバロールさんが死にました。」

弓子「何?いったい誰が?」

タダカツ「まさか?」

メルコム「デビルサマナー、中島 朱美です。止めはクーフーリンが刺したのですが。」

デスメル「え?彼が?まさか?」

弓子「中島が?」

タダカツ「フフッ。そうですか。」

メルコム「そのバロールさんが倒された事により警察への洗脳が解かれました。その事により…。」

 

pipipipipi携帯電話の音が鳴り響く。

 

デスメル「すみません。」ピッ

 

デスメル刑事が電話に出る。

 

デスメル「もしもし?」

佐野警部『おう、デスメルか?』

デスメル「佐野警部?どうしました?」

佐野警部『どうしましたか?やあらへん。捜査4課が動き出した、アスラ組のしたっぱが次々としょっぴかれとる。急いでお前等も劉玄丸に潜入せい!ええな?』ピッ

 

デスメルが返事をする前に電話は切れた。

 

弓子「どうした、何があった!」

デスメル「警察がアスラ組の逮捕に踏み出しました。」

タダカツ「洗脳が解かれたのですね。って事は我々も警察から逃げ隠れしなくてもいいのですね。」

メルコム「そう言うことです。ですのでアスラ組も急いで撤退する気です。」

弓子「急がないと不味いな。逃げられてしまう。」

「直ぐに現場に居る職人に作業をさせましょう。探偵さん達は怪しまれない様にこれを着てくれ。」

 

作業員の親方は弓子達に人数分の上の作業着とヘルメットを渡した。

 

弓子「このくそ暑いのに長袖かよ…。」

「作業現場では長袖の決まりなので我慢してください。」

タダカツ「小さいですね…。」

「ではこっちの3Lを着てください。」

タダカツ「これでも、少し小さいですね…。」

デスメル「作業着を着るのはアルバイトしていた時以来だな…。」

弓子「なんだ?デスメル、お前バイトなんてしていたのか?」

デスメル「うん、警察学校に通っていた時にナイショでね。セメントを運んだり引っ越しのお手伝いとか、力仕事が多かったな。」

弓子「へぇ、あんなにヒョロかったお前がねぇ。」

デスメル「強くなりかったから進んで力仕事のアルバイトをしていたよ。」

弓子「わざわざ警官なんかになるためにご立派な事だな。」

デスメル「警察官になるって事もあったけど…。」

 

デスメルはチラリとタダカツと弓子を見た。

 

タダカツ「何か?」

デスメル「いや、何でもない…。ぼ、僕の事は良いじゃないか!それより早く現場に行かないと!」

弓子「ああ、そうだな。デスメル、しっかり頼むぜ!」

デスメル「う、うん。」

タダカツ「…。」

「外に車を待たせてあります。行きましょう。」

 

弓子達は作業着を着て喫茶店に停めてあるハイエースに乗り込んだ。

 

「ヒャッハー!女探偵!久し振りだぜー!」

弓子「はぁ?何でテメエが車なんか運転しているんだよ!」

「免許だって持っているぜー!」

弓子「どういう事だよ!」

「ああ、探偵さん。会社で取りに行かせたんだよ。」

弓子「はぁ?コイツ悪魔じゃねえか!免許なんて取れる訳ねえだろ!」

「市長さんの計らいも有ってうまく取れたんだ。コボル。出してくれ。」

弓子「コボル?」

「俺の名前だぜー!コボル トウドウだぜー!ヒャッハー!マッハで行くぜー!」

 

そう言うと制限速度ギリギリで車を運転しだした。

 

弓子「…。」

タダカツ「弓子?どうしました?」

弓子「な、何でもねえ…。」

 

飛島埠頭に到着して皆、車から降りた。

 

「到着したぜー!」

弓子「…。」

タダカツ「弓子?」

弓子「は、はなし…かけ…。オエー!オエー!」ビチャビチャビチャビチャ

 

たったあれだけの距離で車酔いをしたらしい…。

 

メルコム「ホホホ。白鷲 弓子にこんな弱点があったとは驚きですね。」

弓子「う、うるせぇ…」

メルコム「この酔い止め薬をお飲みください。」

弓子「先に渡せよ…。オエッ!」

メルコム「ホホホ。この薬は後からでも効き目はありますのでご安心を。水なしでも飲めますよ。ラムネの感覚で大丈夫です。」

 

メルコムは酔い止め薬を弓子の口の中に放り込んだ。

 

弓子「ああ…。気分が良くなってきた。大分楽になったぜ。」

デスメル「えっ?そんなに直ぐに効くなんて…。まさか怪しい薬なのでは?」

メルコム「ホホホ。市販の酔い止めですよ。子供でも直ぐに飲める様に開発されたすばらしい物です。人間の技術は日々進化しているのですよ。」

タダカツ「弓子、大丈夫ですか?」

弓子「ああ、もう大丈夫だ。親方、早速案内してくれ。」

「こっちです。」

 

親方に案内されて劉玄丸の近くまでやって来た。様々な盗品が積まれたコンテナが大型クレーン車が次々と劉玄丸に運ばれていく。

 

「テメエら!ちんたらするな!さっさとコンテナを乗せていけ!」

 

アスラ組の組員が偉そうにしている。

 

「順番にやってるッス!」

「テメエ!アスラ組を舐めているのか!」

 

アスラ組の組員が突っかかって来た。

 

「お前こそ舐めた口を…。」

「ゴブリ、止めるッス!申し訳ないッス。後少しで積み終わるからもう少し待って欲しいッス。」

「だったらさっさとしろ!」

「分かったからあっちで待ってて欲しいッス。あんたがここに居たら早く終わるものも終わらないッス。」

「フン。」

 

作業員に突っかかって来たアスラ組の組員はその場を離れていった。

 

「あの野郎…。」

「ゴブリ!ダメッス!作業を続けるッス!」

「は、はい。」

「おう。どうだ?」

 

親方が作業員達に近づき声をかける。

 

「あっ、親方!もう少しで終わるッス!」

「そうか。例のコンテナは?」

「この次積む予定ッス!」

「探偵さん達、このコンテナの中に入ってくれ。横をスライド式にして開けれる様になっている。」

弓子「ああ、分かった。無理を言ってすまねえな親方。」

「良いって事よ。」

「探偵さん、気を付けて欲しいッス!」

弓子「ああ、したっぱ。お前が先に連絡をくれていたお陰だ。ありがとよ。」

 

弓子達はコンテナの中に入っていった。

 

メルコム「白鷲 弓子、これをお持ちください。」

タダカツ「なんですか?」

メルコム「ホホホ。簡単な差し入れですよ。お昼から何も口にしていないでしょう?」

デスメル「怪しい…。もしかして毒でも…。」

弓子「いや、それはねえなデスメル。メルコム、ありがたくいただくぜ!」

デスメル「白鷲さん!」

弓子「いいかデスメル、まずメルコムの目的はアスラ組から金を徴収する事だ。その目的の為にあたし等と組んだ。それにビジネスマンは約束事を反古にはしない。そうだろ?」

メルコム「ホホホホホホ。白鷲 弓子、面白い方だ。グッドですよ。」

弓子「何がグッドだ。」

メルコム「ホホホ。私は1度デビルサマナー中島 朱美の元に向かいます。差し入れの中に酔い止めがありますので船が動き出したら必ずしも飲むことをお薦めします。それでは白鷲 弓子、勝利の栄光を貴女に。」

 

そう言うとメルコムは弓子達に軽く会釈をして自らが出した空間の歪みの中に消えていった。

 

「なんだったんだアイツは。探偵さん、扉を閉めてくれ。内側から鍵がかけれるから。」

弓子「ああ、分かった。」

 

弓子が改造したコンテナの扉を閉めるとクレーン車で劉玄丸に積み込まれた。

 

弓子「どうやら無事に潜入出来たみたいだな。タダカツ、取りあえず腹ごしらえでメルコムからの差し入れでも食おうぜ。」

タダカツ「わ、分かりました。」

 

タダカツはメルコムから貰ったビニール袋からおにぎりを配った。

 

弓子「悪魔のおにぎり…。だじゃれのつもりか?」

デスメル「確かに人気商品だけど、よくこれを選んだよなぁ。なんか悪魔だのに拍子抜けだよね。」

弓子「まあ、悪魔だって色んな奴が居るって事だ。人間と一緒でな。」

タダカツ「メルコムが特殊なだけの気はしますが…。」

弓子「ああ、アイツと話していると兄貴を相手しているみたいで腹立つんだよな。金の事しか頭にないもんな。」

タダカツ「弓子、前から気になっていましたが最近お兄さんと何かありましたか?貴女方の両親を殺害した私が言うのもなんですけど…。」

弓子「あ、ああ。兄貴か。そうだな。ただ心の底から生きる価値のない糞野郎だって事を思い知らされただけだ。タダカツ。あたしの親の事は気にするな。お前は中島の仲魔になり、あたしもお前を気に入っている。」

タダカツ「御意。」

弓子「それにあたしのテコンドーの特訓相手を出来る奴なんてお前ぐらいしか居ないしな!」

タダカツ「…。そうですね。」

デスメル「…。」

 

船が動き出した。

 

デスメル「動きましたね…。」

タダカツ「ええ…。」

弓子「…。」

デスメル「白鷲さん?」

弓子「…。酔い止めをくれ…。」

 

また弓子は乗り物酔いをしたようだ。船が動き出してから小一時間がたった。

 

弓子「それにしてもこれ効き目がいいよな!」

タダカツ「私もいただきます。」

デスメル「船は揺れるから僕も飲んでおくよ。」

タダカツ「!!弓子!デスメルさん!伏せてください!」

 

タダカツに言われて咄嗟に地面に伏せた。

 

『メギドラオン!』

 

微かに聞こえた声と共にコンテナが吹き飛ぶ位の大きな衝撃が弓子達を襲った!

 

弓子「なんだ!」

タダカツ「この力は!弓子、デスメルさん、急いで出ましょう!」

デスメル「いったい何が?」

タダカツ「中島殿の魔法です。敵と戦い出したようです。」

弓子「中島が?何をした!」

タダカツ「メギドの力です。行きましょう!」

弓子「ああ。」

 

弓子達はコンテナの鍵を開けて船上に出てきた。すると、中島が放った魔法でアスラ組の悪魔達が無惨な姿で倒されていた。

中島が一人船上に立っている。

 

弓子「これを中島一人で…。」

 

中島の後ろに牛の頭の獣人ミノタウロスがボロボロの状態で立ち上がり中島を大きな斧で攻撃しようとしている!

 

弓子「中島!」

タダカツ「不味い…。」

 

弓子達の後ろから銃声がなり銃弾がミノタウロスの眉間を貫いた!

 

「く、くそ…。」

 

ミノタウロスは頭をさらに数発撃たれて力尽き倒れた。

 

デスメル「危なかった…。」

弓子「デスメル、やるならやるって言えよ!銃弾の音がデケエから耳が痛いじゃねえか!」

デスメル「ご、ごめん。」

タダカツ「よくこの距離で銃弾を全て命中させる事が出来ましたね…。」

デスメル「相手が固そうだったから5発とも眉間の同じ所を狙ったけど1発だけ2センチほどそれた所に当たってしまったよ。」

弓子「全て同じ所を狙っただと?」

タダカツ「恐ろしい程の腕前ですね…。」

デスメル「中島君は無事みたいだね。行こう。」

弓子「ああ。」

 

弓子達は中島と合流した。騒ぎを聞き付けたアスラ組の悪魔達が船内から次々と出てくる!

戦いの幕は開けられた!

 



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船上の戦い

メルコム「皆さん、劉玄丸が出航しました。1時間後には乗り込みますよ。」

 

中島達はメルコムが出した空間の歪みの中にいる。

 

ユキムラ「メルコム、僕達は今、どのあたりに居るんだい?」

メルコム「どのあたり?ホホホ。劉玄丸の船上ですよ。この空間の中ではどこにでも現れる事が可能です。」

ジャック「ヒーホー!それじゃあイングランドにも行けるのか?」

メルコム「ええ。行けますよ。」

中島「イングランド?」

ジャック「ヒーホー!イングランドはオイラの生まれた所だぞ。オイラの兄弟が居るぞ。」

中島「ジャックの兄弟?」

ティンク「へぇ。お兄ちゃん?それとも弟?」

ジャック「人間みたいな奴じゃないぞ。魂で誓いを立てた兄弟だぞ。」

パスカル「ギキョウダイカ」

ユキムラ「義兄弟、イケメンである僕を差し置いてめちゃくちゃカッコいい奴じゃないか!」

中島「要はジャックの大切な友達って事?」

ジャック「そうだぞ。会えば中島達もきっと友達になれるぞ。」

メルコム「そろそろ時間ですね。」

中島「メルコム、お願いなんだな。」

メルコム「分かりました。」

 

メルコムは空間の歪みを開けて中島だけを外に出した。

 

ユキムラ「えっ?マスター?」

ジャック「中島?」

ユキムラ「メルコム!君は僕達のマスターを何処にやったんだ!」

メルコム「ホホホ。見張りの悪魔が多くいる劉玄丸の船上ですよ。」

ジャック「ヒーホー!お前!オイラ達を騙したのか!?」

メルコム「騙す?とんでもございません。私は彼の希望に答えただけです。」

パスカル「ウソヲツクナ!」

ユキムラ「いいから空間を開けろよ。僕はマスターを助けに行く。」

メルコム「クーフーリン、彼は自ら囮の役を買って出たのです。空間は開けますが様子を見ましょう。何か策があるみたいですよ。」

ユキムラ「そんな訳ないだろ。」

 

メルコムは空間の歪みを出して劉玄丸の様子が見える様にした。

 

メルコム「かなりの数が居ますね…。囲まれています。」

ジャック「大変だぞ!早く助けに行かないと!」

メルコム「彼は貴方達が危険な目に会わない様にあえて一人で出たのです。」

ユキムラ「良いから僕達を出せよ。」

メルコム「お待ちください。何かするつもりです!魔力を暴走させるつもりです!皆さん!伏せてください!1度空間の歪みを閉じます!」

『メギドラオン!!』

メルコム「ま、まさか?何故?彼がその魔法を…。」

 

歪みを閉じた空間の中でも中島の魔法の衝撃を感じる。

 

ジャック「ヒィィィ!揺れているぞ!」

ユキムラ「うわあ!」

パスカル「オレサマ トバサレル!」

メルコム「皆さん!伏せてください!」

 

 

 

中島「メルコム、ありがとうなんだな…。」

 

中島は一人で劉玄丸の船上に出てきた。急に中島が出てきたのでアスラ組の組員が瞬時に中島を取り囲む。

 

「なんだテメエは?」

中島「ぼ、僕は中島 朱美なんだな。」

「ああ?テメエ!アスラ組を舐めてるのか!ええ!」

中島「ぼ、僕はアスラ組の君達に様があって来たんだな。」

「ケンカ売ってるのかテメエ!」

中島「ひぃ!君達のリーダーに会いたいんだな!」

「舐めた口を聞いてるんじゃねえぞ!」

 

アスラ組の組員達が中島に襲いかかる!

 

ティンク「危ない!『マハジオ!』」

 

中島の胸ポケットに隠れていたティンクが電撃を放つ!アスラ組の組員達が少し怯んだ!

 

「うお!このチビ!何処から出てきた!」

中島「ティンク!どうして!」

ティンク「メルコムが何かするつもりだったから隠れていたのよ。中島、大丈夫?」

中島「ティンク、僕の胸ポケットに隠れているんだな!」

「テメエ等!まとめてぶっ殺してやる!」

中島「ぼ、僕は君達が悪魔だって事は知っているんだな!」

「ほう?」

 

周りにいるアスラ組の組員の奥から一人の大男が出てきた。

 

「中島 朱美。白鷲 弓子の腰巾着だと思って気にしていなかったがお前がバロールを殺ったデビルサマナーだったのか。しかし、そんな妖精一匹しか連れていないお前など殺して魚の餌にしてやる!お前等!もう陸からは離れている!変装する必要はねえ!殺ってしまえ!」

 

アスラ組の組員がみるみるうちに悪魔の姿に変わっていく!

そしてリーダーであろう大男はさらに大きくなり牛頭の悪魔に変身した!

ストリゴイイが5匹現れた!

ガーゴイルが4匹現れた!

モスマンが2匹現れた!

魔王ミノタウロスが現れた!

 

ミノタウロス「デビルサマナー、一人で来た事を後悔するがよい!かかれ!」

 

ミノタウロスの号令で部下の悪魔達が中島に襲いかかる!

 

ガーゴイルの攻撃!

鋭い爪で中島を切りかかった!

ガーゴイルの攻撃!

ガーゴイルは空を飛び上から中島に向けて突進してきた!

 

中島「うわっ!」

 

ガーゴイル達の素早い攻撃に中島はおもわず尻餅をついた。

 

ティンク「中島!」

中島「ティンク、僕は平気なんだな。危ないから僕の胸ポケットに隠れているんだな。」

ティンク「でも…。」

中島「僕は大丈夫なんだな。周りに命令するだけの悪魔なんかに僕は負けないんだな。」

ミノタウロス「何!?今、なんて言った!」

中島「ぼ、ぼ、僕は、お、思った事を言っただけなんだな!」

ミノタウロス「何!?き、貴様ー!殺れ!八つ裂きにしろ!必ず殺せ!」

 

ミノタウロスが激怒して悪魔達に命令をする。

 

「ヒャヒャヒャヒャ!死ね!デビルサマナー!」

 

ストリゴイイが一斉に中島に襲いかかる!

ストリゴイイはムドを唱えた!

ストリゴイイはムドを唱えた!

死の呪いが中島に襲いかかる!

しかし、中島には効かなかった!

ストリゴイイの攻撃!

毒を帯びた爪で中島に切りかかる!

しかし、中島はストリゴイイの攻撃を受け止めてそのまま突き飛ばした!

 

中島「君達は何で戦うんだな?暴力は良くないんだな。」

「くぁwせdrfgyふじこlp」

「くぁwせdrfgyふじこlp」

 

モスマン達が何かを訴えている。

中島は悪魔召喚プログラムを起動させた。

 

中島『君達の事を教えて欲しいのだな。』

『ミノタウロス サカラエナイ』

『コドモ ツカマッテイル』

中島『僕が君達の子供は助けてあげるんだな。』

『ホントウカ』

中島『だから少し離れていて欲しいのだな。』

「くぁwせdrfgyふじこlp」

「くぁwせdrfgyふじこlp」

 

モスマン達は船から離れて空に飛んで行った。

 

ミノタウロス「貴様等!逃げるな!」

中島「君の相手は僕なんだな。子供を捕まえて彼等に無理矢理戦わせようするなんて酷すぎるんだな。」

ミノタウロス「ガーゴイル!アイツ等を捕まえろ!」

 

ガーゴイルがモスマンを追いかけようと翼を広げる!

 

ティンク「させないよ!『マハジオ!』」

 

ティンクはマハジオを唱えた!

翼を広げて飛び立とうとしたガーゴイル達に電撃が襲いかかる!

 

中島「ティンク、ありがとうなんだな。後は僕に任せて隠れているんだな。」

ティンク「中島?」

中島「僕は大丈夫なんだな。僕はこんな卑怯者なんかに負けないんだな。君達の相手は僕なんだな!かかってくるんだな!」

ミノタウロス「貴様ー!アスラ組を舐めるな!」

中島「うるさい!アスラ組、アスラ組って!僕はみんなの大切な人達を傷つける君達を絶対に許さないんだな!」

ミノタウロス「配下の悪魔を一匹も殺せないお前が偉そうに…。お前等!モスマン共は放っておいていい!デビルサマナーを殺せ!」

中島「君がかかってこい卑怯者!それとも僕が怖いのか!」

 

中島が珍しく大声を上げてミノタウロスを精一杯挑発する。

 

ミノタウロス「貴様、どこまで俺を怒らせる気だ。朝にボコボコにしてやったDJと同じ目に会わせてやる。」

中島「君がシャチホコエビフリャーズのみんなを…。許せない。君だけは絶対に許せないんだな。」

ミノタウロス「アスラ組に逆らう奴は全員痛い目に会わせてやる!この様にな!」

 

ミノタウロスの攻撃!

ミノタウロスは中島の頬を思いっきりぶん殴った!

中島は吹き飛びダウンした!

しかし、ふらつきながらも中島は立ち上がる!

 

中島「痛くなんか無いんだな。」

ティンク「中島!」

中島「ぼ、僕は平気なんだな。」

ミノタウロス「痩せ我慢しやがって!死ね!」

 

ミノタウロスの攻撃!

ミノタウロスのパンチのラッシュが中島に襲いかかる!

中島はまともに喰らってダウンした!

 

ミノタウロス「口だけか…。」

中島「ま、まだ、まだ僕は負けてはいないんだな。」

 

中島がふらつきながら立ち上がった。

 

ミノタウロス「まだ殴られ足りないか!お前等!殺れ!」

 

配下の悪魔達も中島に対して殴る蹴るの暴行を加える!

 

中島「集中して…。こ、心を強く…。」

 

ミノタウロスが大きな斧を召喚して振り上げる!

 

中島「強くもった心を…爆発させるイメージで…。」

 

中島は自分の内なる魔力を高めている。

 

ミノタウロス「念仏は唱え終わったかデビルサマナー!これで終わりだ!」

 

ミノタウロスが中島めがけて斧を振りかぶった!

 

中島「君は許さないんだな!『メギドラオン!』」

ミノタウロス「何!?」

 

中島はメギドラオンを唱えた!

核の炎が悪魔達に襲いかかる!

 

「ギャー!」

「ギェー!」

 

ストリゴイイは爆発した!

ストリゴイイは爆発した!

ストリゴイイは爆発した!

ストリゴイイは爆発した!

ストリゴイイは爆発した!

ガーゴイルは爆発した!

ガーゴイルは爆発した!

ガーゴイルは爆発した!

ガーゴイルは爆発した!

ミノタウロスの体が爆発して右腕が焼失した!

ミノタウロスの体が爆発して右胸が焼失した!

ミノタウロスは倒れた!

 

中島「黄泉の世界と同じ様に出来たんだな…。」

ティンク「中島、大丈夫?『ディアラマ!』」

中島「ティンク、ありがとうなんだな。」

 

倒したと思っているミノタウロスがゆっくりと立ち上がり背後から中島をめがけて斧を振り上げる。

が、遠くから銃声が鳴り響きミノタウロスの眉間に命中した。

 

「くそっ…。こんなことで…。」

 

ミノタウロスは斧を振り落とすことなく倒れて死に絶えた。

 

中島「鉄砲の音?」

デスメル「中島君!大丈夫かい?」

 

コンテナの中に隠れていた弓子達が出てきた。

 

弓子「なーかーじーまー!テメエ!あたし等コンテナの中に隠れていたのだぞ!それをなんだあの魔法は!あたしを殺す気か!」

 

言いがかりである。

 

中島「ごめんなんだな。」

弓子「それより中島、他の奴等は何処にいる。」

中島「実はメルコムにお願いして先に僕だけ出てきたんだな。」

 

突如、空間に歪みが現れてメルコム達が出てきた。

 

メルコム「ホホホ。まさかミノタウロスさんまで倒すとは。」

ジャック「中島!心配したぞ!」

ユキムラ「マスター、無事で良かったよ!」

中島「みんな!」

メルコム「デビルサマナー、そんな切り札を持っていたのなら始めに言っておいて欲しかったですね。おかげさまで私は彼等に悪者扱いですよ?」

ティンク「何さ、普通に悪者じゃない。」

ユキムラ「確かに悪者だね。イケメンじゃないし。」

メルコム「何ですと?貴方達は私に対して敬意が足りなすぎます!こんなことなら夕飯のひつまぶしの代金は返していただきたい!」

パスカル「オレサマ ソレムリ。」

中島「ティンクもユキムラも、メルコムのおかげで船の潜入できたのだから。」

メルコム「そうです!デビルサマナーの彼の言う通りです!」

弓子「おい、メルコム。ひつまぶしってのはどう言うことだ?」

メルコム「ひつまぶし…。そ、そんな事より早く内に入りましょう。敵の悪魔達にまた囲まれてしまいますよ。」

弓子「誤魔化すな!中島!どう言うことだ!蹴り倒されなかったら答えろ!」

中島「メルコムが出前をしてくれたんだな。」

ジャック「特上だったぞ!」

弓子「メルコム、どう言うことだ!愚図のアイツ等がひつまぶしであたし等がコンビニのおにぎりだけだってのはよ!」

メルコム「いや、その、彼等はアスラ組の幹部を倒したので…。」

タダカツ「私も先日にアスラ組の幹部を倒しましたが?」

メルコム「いや、あの…。」

 

メルコムは弓子達に問い詰められてしどろもどろになっている。

 

弓子「メルコム!テメエ!ふざけるんじゃねえぞ!」

メルコム「白鷲 弓子、それより早く船内に行かないと…。」

弓子「いいかメルコム!この世で1番偉いのはな、この白鷲 弓子様なんだよ!これは日本の法律で決まっている事なんだよ!だから貢ぎ物は1番最初にあたしに差し出せ!分かったか!」

 

無茶苦茶な言い分である。

 

メルコム「いや…。」

弓子「返事しろメルコム!」

ティンク「メルコム、ああなったら弓子は面倒だからとりあえず返事しといてよ。あたし達、巻き沿い喰らいたくないからさ。」

 

ティンクがメルコムに小声で耳打ちする。

 

メルコム「わ、分かりました…。」

 

メルコムは渋々返事をした。

 

「くぁwせdrfgyふじこlp」

「くぁwせdrfgyふじこlp」

 

モスマン達が空から中島に飛んで近づいて来た。

 

中島「あ、君達!」

「くぁwせdrfgyふじこlp」

「くぁwせdrfgyふじこlp」

 

中島は悪魔召喚プログラムを起動させた。

 

『コドモ コンテナ』

『ミノタウロス カギモッテル』

中島「コンテナの中に?」

メルコム「ホホホ。それでは私がコンテナを片っ端から開けていきましょう。」

中島「ぼ、僕も手伝うんだな。」

弓子「なーかーじーまー!今はそんな事をしている暇はねえ!」

中島「で、でも…。」

タダカツ「中島殿、貴方はまたそんな甘口小倉パスタのような甘い事を言っているのですか。その悪魔は敵なのですよ?人質を救出したら隙を見て襲いかかるかも知れないのですよ?」

中島「でも…僕は子供を救出するって彼等に約束したんだな。」

タダカツ「しかし!」

弓子「あーもういいタダカツ!」

タダカツ「弓子!貴女まで!」

弓子「中島!お前はそのクソデカイ蛾共のガキを助けてやれ!とりあえずバカ犬だけ置いていくから後の奴等はあたしと船内に行くぞ!」

タダカツ「弓子!」

弓子「タダカツ、心配なのは分かるけどああなったら中島は絶対に折れねえ。ああ見えてけっこうアイツ聞き分けねえんだよ。中島!時間は余りないからな。急げよ!」

中島「弓子さん、ありがとうなんだな。」

「くぁwせdrfgyふじこlp」

「くぁwせdrfgyふじこlp」

 

モスマン達は喜んで中島と弓子にまとわりつく。

 

弓子「何だコイツ等!まとわりつくな、離れろ!あたしの服にお前等の鱗粉が付くだろうが!」

中島「ハハハ、彼等は弓子さんにお礼を言っているんだな。」

「くぁwせdrfgyふじこlp」

 

デスメルは中島の様子を見ている。

 

タダカツ「デスメルさん、どうしましたか?」

デスメル「中島君…。不思議な人だね。あんなとんでもない魔法を使うのに、今はあの悪魔になつかれている…。」

タダカツ「まあ、少々甘い所はありますが…。」

ユキムラ「それが僕達のマスターの良いところなのさ。」

タダカツ「フッ…。そうですね。」

弓子「お前等!何をしている!とっとと行くぞ!」

ユキムラ「そうだね。」

ジャック「アスラ組の幹部なんてオイラがやっつけてやるぞ!」

タダカツ「直ぐに調子に乗るのはジャック、貴方の悪い癖ですよ。まあ、期待していますよ?」

デスメル「…。」

弓子「デスメル!ぼーっとするな!行くぞ!」

デスメル「あっ!直ぐに行くよ!」

弓子「デスメル、さっきは見事だったぜ!次も頼むぜ、期待しているからな!」

デスメル「任せてよ!」

弓子「その前に、チビ!ちょっと来い。」

ティンク「何よ。」

 

弓子は船内に入る前にティンクを呼び寄せた。

 

弓子「お前は何があっても中島から離れるな、いいな?」

ティンク「いきなり何よ。」

弓子「大事な事だ。あたし等が仮に殺されても中島から離れるなよ。」

ティンク「ちょっと…。」

弓子「まあ、この白鷲 弓子様とまともにやりあえる奴はタダカツぐらいだから殺られやしないが、念のためだ。中島から離れるな、いいな?」

ティンク「わ、分かったよ…。」

弓子「頼むぞ。」

 

そう言うと弓子は仲魔達を連れて船内に入って行った。

 

 

メルコム「それではデビルサマナー、我々は急いで作業に取りかかりましょう。」

 

そう言うとメルコムは、ミノタウロスの死体を調べて1つのカギを取り出した。

 

メルコム「ありました。これですね、カギのかかっているコンテナは…。けっこうありますね。デビルサマナー、私がカギを開けていきますので貴方はコンテナの扉を開けていってください。」

中島「わ、分かったんだな。」

 

中島はメルコムがカギを開けていったコンテナを1つ1つ開けていく。

 

ティンク「あっ!中島、中に誰か居るよ!妖精だ!鳥籠に閉じ込められている!」

中島「あっ!」

 

中島はコンテナの中に入っていくと沢山の鳥籠に妖精達が閉じ込められていた。

 

中島「君達、今直ぐに助けてあげるんだな。」

 

中島は鳥籠に手をかける。が、鳥籠に手をかけた途端に手に電流が走る!

 

中島「ぐっ!ああ!」

ティンク「中島!ダメ!結界が張られているよ!」

中島「そうだ!これなら!」

 

中島は悪魔召喚プログラムを起動させて錬気の剣を取り出した。

 

中島「君達、今この剣で鳥籠を切るからしゃがんでいて欲しいのだな。」

 

中島は錬気の剣で鳥籠の上部を次々と切る!結界をものともせず中の妖精達を助け出した。

 

「ピィピィ!」

「ピィピィ!」

中島「君達、もう大丈夫なんだな。」

「ピィピィピィ!」

 

妖精達は喜んで中島に抱きついている。

 

ティンク「ちょ!ちょっとあんた達!中島から離れなさいよ!」

「ピィ!」

 

ティンクは妖精達に蹴り飛ばされた!

 

ティンク「痛!ちょっと!何をするのよ!」

メルコム「おや?全てカギを開けましたよ、何をしているのですか?」

 

中島達がコンテナの中から出てこないので気になりメルコムがやって来た。

 

ティンク「あっメルコム!コイツ等が中島にまとわりついて離れなくて困っているのよ!アイツ等また結界に閉じ込めてよ!」

メルコム「おや?彼女達はカハクですね。普段は人の居ない森の奥深くに住む妖精です。デビルサマナー、その妖精達も連れて他のコンテナも調べて行きましょう。」

中島「分かったんだな。歩きにくいから少し離れて欲しいのだな。」

「ピィピィピィピィ!」

 

カハクはよほど中島が気に入ったのか離れようとしない。

 

ティンク「あんた達、中島から離れなさいよ!中島が困っているじゃない!」

「ピィ!」

 

ティンクはまたカハク達に蹴られてしまった。

 

メルコム「もうそのままで良いので急ぎましょう。」

中島「分かったんだな。」

中島はコンテナの扉を次々と開けていく。中には盗品と思われる絵画、貴金属、宝石と高価な物が沢山あった。

 

パスカル「ナカジマ コッチダ!」

 

パスカルが呼ぶ方のコンテナの扉を開ける。

中にはモスマンの子供と思われる小さい蛾の悪魔が3匹鳥籠に入れられている。

 

ティンク「こんな小さい子を…。酷い。」

中島「今、僕が出してあげるんだな。」

 

中島は錬気の剣で鳥籠を切った。

 

メルコム「錬気の剣ですか。結界を一太刀でとは…。お見事です。」

中島「この剣の事を知っているの?」

メルコム「使用者の魔力に比例して力が増す剣です。普通の人間だと持ち上げる事も不可能です。」

中島「えっ?」

メルコム「はい。この剣は貴方の魔力を吸いとり威力を発揮しています。必要ない時は仕舞って置くことをお勧めします。」

中島「…。わ、分かったんだな。」

 

中島は悪魔召喚プログラムに錬気の剣を仕舞った。

 

「くぁwせdrfgyふじこlp」

「くぁwせdrfgyふじこlp」

「くぁwせdrfgyふじこlp」

 

モスマン達は子供達が無事に助け出せて喜びあっている。

 

中島「良かった…。無事で本当に良かったんだな…。」

「くぁwせdrfgyふじこlpナカジマ!」

中島「もう君達はアスラ組の言うことを聞く必要なんて無いんだな。」

「ナカジマくぁwせdrfgyふじこlp!」

「くぁwせdrfgyふじこlpナカジマ!」

 

中島は助け出した悪魔達にもみくちゃにされている。

 

「ピィピィピィ!」

「くぁwせdrfgyふじこlpナカジマ!」

中島「フフフ。僕も君達の力になれて嬉しいんだな。」

ティンク「中島?悪魔召喚プログラムを起動してないのに言葉が分かるの?」

中島「うん。なんとなくだけど。」

 

メルコムが中島の様子を遠目で見ている。

 

メルコム「デビルサマナー、中島 朱美…。あのソロモン王しか使えない魔法、メキドラオンを使い、あれだけの悪魔に慕われている。興味深い方だ…。」

 

 

メルコム「!!」

パスカル「ナカジマ!テキダ!」

 

パスカルの声で中島は周りを見渡す。見るとアスラ組の組員に囲まれていた。

 

「テメエ等!何してやがる!」

メルコム「不味いですね…。囲まれています。」

ティンク「いつの間に?」

「アスラ組の物を盗むとはいい度胸だな、ええ!」

中島「君達こそ、元々他人の物を盗っているんだな。」

「ピィピィ!」

「くぁwせdrfgyふじこlp」

「あっコイツ!閉じこめた妖精を出していやがる!」

ティンク「中島…。数が多いよ…。」

「よし、コイツ等をやっちまうぞ!」

 

アスラ組の組員が一斉に中島達に襲いかかる!

 

「ヒャッハー!殺られるのはお前達だぜー!」

「オレタチ、ニンゲンナドテキデハナイ。」

「お前達の相手は俺達だ。」

「太っちょの探偵さん!助太刀するッス!」

中島「あれ?君達は。」

ティンク「あれ?何でいるの?」

「妖精さん、久し振りッス!探偵さん達の隠れるコンテナの積み込み作業の時に紛れ込んできたッス!」

ティンク「ああ、弓子に無理矢理手伝わされたんだ…。」

「何だテメエ等!」

「コイツ等、コンテナの作業員だぞ!」

「ああ、俺達にヘコヘコしてたへなちょこ野郎じゃねえか。お前等、こんなへなちょこの上司で災難だな。ハハハハハハ!」

 

アスラ組の組員達が作業員のしたっぱをバカにして笑い出す。

 

「太っちょ、お前達は女探偵の後を追って船内に行け。」

「アイツラハマカセロ!」

中島「えっ?君達は?」

「先輩、探偵にまとわりついている妖精達をお願いします。」

「ゴブリ、オガ?」

ティンク「あんた達、あの人の所に保護してもらってよ。」

「妖精さん達ここから逃げるッスよ!」

中島「あの人はいい人だから大丈夫なんだな。」

「ピィピィ!」

「くぁwせdrfgyふじこlp」

 

カハク達とモスマンの親子は作業員のしたっぱの元に行った。

 

「ここは俺達に任せて先輩は先にそいつ等を連れて救命ボートで脱出してください。」

「しかし、お前達はどうするッスか!」

「オレタチ、アトカラダッシュツスル!」

「分かったッス!オガ、ゴブリ、コボル、無茶したらダメッスよ。妖精さん達とチョウチョさん達は自分を一緒に来るッス!」

「ピィ!」

「くぁwせdrfgyふじこlp」

 

カハク達とモスマン親子を連れて作業員のしたっぱは救命ボートに乗り脱出した。

 

「ダハハハハ!あんな救命ボートで逃げれる訳ねえだろ!ダサい奴だぜ!」

「言いたい事はそれだけか!!」

 

ゴブリンがアスラ組の組員に怒りを露にする。

 

「アスラ組に逆らう…ぶふぇ!」

 

オーガがしゃべっている途中の組員を思いっきりぶん殴った!

 

「オマエタチハ、コロス!」

「太っちょの探偵、コイツ等は俺達が倒すから行け。」

中島「でも…。」

「ヒャッハー!デブチンは邪魔だから行くと良いぜえ!」

「探偵、コイツ等は俺達の先輩を侮辱した。だから許さない。俺達はお前達の為に戦う訳じゃない。だから気にせずに行け。」

「ヒャッハー!そう言うことだぜー!」

メルコム「デビルサマナー、彼等に任せて行きましょう。」

パスカル「カケヌケル ノレナカジマ!」

中島「君達、ありがとうなんだな!」

「ヒャッハー!お礼なら先輩に言うと良いぜえ!」

 

中島達は巨大化したパスカルに乗り船内に入って行った。

 

ティンク「アイツ等、悪魔なのにあの人の事が大好きなんだね。」

中島「うん、彼等の為にも早く弓子さん達と合流するんだな。」

 

助けてくれる者達の為にもより一層、覚悟を決める中島であった。



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侵入!劉玄丸 武井 千枝子編

話は少しさかのぼる。

 

三蔵「けっこう美味かったな。そろそろ行こか。」

佐野警部「侵入は明日や。1回帰るか、お前等ワシのランボルギーニで送ったるわ。」

八戒「何がランボルギーニやねん。中古のミラやんけ!しょうもない見栄はるなや。」

三蔵「佐野のおっさん、今日も明日も変わらん。今から侵入するから現場に連れて行ってくれ。八戒、悟空、お前等は後で召喚するから家に帰っとけ。」

悟空「おう、今のうちに釈迦如来にきんとうんのレンタル料払ってくるわ。船から脱出するのにいるからな。」

三蔵「まだ払ってなかったんかい、2000円ぐらいさっと払えや!店の前にたれぞう待たせてるから連れて帰ってくれや。」

八戒「あいよ。ほんじゃあ行こか。千枝ちゃん気いつけや。」

 

三蔵達は店を出た。

 

悟空「千枝ちゃん、無茶すんなよ。」

三蔵「分かっとるわ。佐野のおっさん、行くで。」

佐野警部「おう、はよ乗れや。」

三蔵「それにしても相変わらずきったない車やなぁ。」

佐野警部「やかましいわ。」

 

三蔵と佐野警部は年代物のDAIHATSUミラで飛島埠頭に向かう。

 

佐野警部「あの船やな…。さんふらわ~よりデカイんとちゃうか?」

三蔵「おっさん、さんふらわ~なんか乗ったことないやろ。」

佐野警部「あるわけ無いやろ。阪九フェリーの倍ぐらい値段するからな。」

三蔵「倍の値段って!うち、1度で良いからさんふらわ~乗ってみたいわぁ。」

 

二人が話しているとアスラ組の組員達が近づいて来た。

 

「何見てるんだ!ええ!」

佐野警部「おお、すまんすまん。ワシは今日からこっちに配属されたんや。お前等こそ、捕まえたガキを逃がしてたらアカンやろ。」

 

そう言うと佐野警部は三蔵の腕を押さえて見せた。

 

三蔵「ちょ、おっさん。」

佐野警部「武井、話あわせろ。」

 

佐野警部はボソッと三蔵に呟く。

 

三蔵「あー!せっかく船から逃げ出せたのにまたヤクザに捕まってしもたー!飛田新地に売り飛ばされるー!」

「おいガキ!大声だすな!」

三蔵「いやー!殺されるー!」

佐野警部「静かにせんかい!」

 

佐野警部が押さえている腕に力を入れる。

 

三蔵「痛い!痛い!痛い!痛い!」

佐野警部「おいお前等!コイツ等閉じこめた所に案内せい!」

「は、はい!」

 

佐野警部のアドリブで上手く船内に入る事が出来た。

 

「こっちだ。」

佐野警部「もう逃げられへんぞ、来い!」

三蔵「いやー!助けてー!」

 

アスラ組の組員の一人に案内されて船内の2等の雑魚寝の部屋の前まで来た。

 

「小原さんからカギを借りてくるからちょっと待っていろ。」

 

アスラ組の組員は何処かに行き三蔵と佐野警部は二人ドアの前で取り残された。

 

三蔵「あっさり入れたなあ。」

佐野警部「ワシのアカデミー賞並の演技力のお陰やで。」

三蔵「何言ってんねん。おっさんの見た目がヤクザに見えるからやろ。」

佐野警部「誰がヤクザやねん。こんな男前つかまえて。」

三蔵「そんなダブルのスーツ着てる奴は今どきおっさんかヤクザぐらいしかおれへんわ。」

佐野警部「何でやねん!カッコええやろうが!」

三蔵「あっ、おっさん。ヤクザのしたっぱ来たわ。また演技せなあかん。」

 

向かうの方からアスラ組の組員が近づいて来る。

 

三蔵「いやー!助けてー!飛田新地に売り飛ばされるー!」

佐野警部「飛田に飛ばされたなかったら大人しくせんかい!」

三蔵「いーやー!殺されるー!」

「静かにしろ!」

 

アスラ組の組員は目の前のドアのカギを開けた。

 

佐野警部「大人しく入っとれ!」

 

佐野警部は三蔵を部屋に押し込みドアのカギをかけた。

 

「おい、カギを返せ。」

佐野警部「ワシがお前の代わりに返しとくさかい、お前は外の見張りを頼むわ。」

「ま、待て。」

佐野警部「あー、兄ちゃん。その前に便所何処や?」

「カギを返せ!俺が小原さんに殺される!」

佐野警部「それよりウンコ漏れそうやねん!はよ便所何処か教えてくれや!」

「カギを返せ!」

佐野警部「何やー!ワシは今朝から下痢気味なんや!ウンコ漏らして船内ウンコまみれにするぞ!ええんかー!」

「分かった!便所はそこの角を曲がって直ぐだ!その前にカギを返せ!」

佐野警部「あー!分かった!分かった!ホラよ!あー!漏れる漏れる!」

 

佐野警部はアスラ組の組員にカギを返して一目散に便所に駆け込んだ。

 

佐野警部「あわよくばカギをパクったろうって思ったけどそこまで上手くはいかんわな。」

 

佐野警部は便所の個室に入り携帯をチェックする。チェックが終わると一件の電話をかける。

 

『もしもし?』

佐野警部「おう、デスメルか?」

デスメル『佐野警部?どうしました?』

佐野警部「どうしましたか?やあらへん。捜査4課が動き出した、アスラ組のしたっぱが次々としょっぴかれとる。急いでお前等も劉玄丸に潜入せい!ええな?」ピッ

 

佐野警部は用件だけを言って直ぐに電話を切った。

 

佐野警部「後は船が出るんを待つだけや…。武井、無茶はするなよ…。」

 

 

三蔵「痛っ!」

 

ドアは閉められカギをかけられた。

 

三蔵「佐野のおっさん、思いっきりうちを突飛ばしてからに…。」

「た、武井さん?どうして?」

三蔵「おお、委員長やんけ。久し振りやなあ。」

 

中には三蔵が通っている女子高のクラスメイト達が捕まっていた。

 

委員長「久し振りじゃありませんわ。武井さん、学校をお休みしていましたのでわたくしは心配していましたのよ。」

三蔵「ああ、ヤクザボコボコにしばいとったら警察に捕まっとったんや。」

委員長「警察に!」

三蔵「そうやねん。アイツ等、ウチ等に難癖つけてきやがってな、留置場で2日も監禁やで。その間に委員長等はヤクザ共にここに連れて来られたんやな。」

委員長「え?ヤクザ…。暴力団の方々が…。どうしてそんなことを?」

 

三蔵がクラスの委員長の話をしていると他の女子生徒達も話に加わってきた。

 

「今のお話、本当なの?」

「どうして、私達が…。」

三蔵「まあ、拐って来るんは誰でも良かったんやろうな。」

「そんな…。貴女がヤクザなんかともめ事を起こした為に…。」

三蔵「まあ、ウチが警察に捕まって直ぐにみんな拐われたみたいやから間接的にウチのせいかも知れんなぁ。」

「私達は何処に連れて行かれるのかな?」

三蔵「まあ、このままやったら中国大陸の何処かやな。」

「貴女のせいなのになんて呑気な事を!」

三蔵「黙れや!」

「なっ!」

三蔵「別にウチはあんた等を助けてやる義理は無いんや。」

 

クラスメイトの女子生徒達は黙ってしまう中、委員長が声をあげる。

 

委員長「あ、あの、武井さん。」

三蔵「なんや。」

委員長「武井さんはどうやってここに来られたのですの?」

三蔵「まあ、船が出るまでとりあえずゆっくりしようや。委員長、飴ちゃんいるか?」

委員長「いや、あの…。」

 

三蔵の余裕な態度に委員長も理解出来ない様子だ。

 

三蔵「そうや委員長、1つ教えてくれや。」

委員長「何か?」

三蔵「みんなが拐われる前、何処に居たんや?」

委員長「拐われる前ですか?教室に居ましたわ。授業が終わりホームルームのお時間で小原先生がお話を始める時にいきなり白い煙が教室の中に充満しまして…。気がついたらここに皆さんと一緒でしたの。」

三蔵「そうか…。分かった。それで小原の奴は何処におるんや?」

委員長「た、武井さん。先生に対して呼び捨ては…。」

三蔵「そんなんはええねん。小原は何処に行ってん。」

「小原先生は少し前に来た男の方々に連れて行かれて…。」

 

一人の女子生徒が答える。

 

三蔵「やっぱりな。」

委員長「やっぱり?どういう事ですの?」

三蔵「まあ、その辺は船が出航してからのお楽しみや。」

委員長「しかし…。」

三蔵「委員長、飴ちゃんやるからちょっとは落ち着き。」

委員長「…。いただきますわ。」

「…。」

三蔵「あんた等も飴ちゃんやるわ。」

「あ、ありがとう…。」

 

 

 

日が暮れて出航した。

三蔵の携帯電話が鳴り響く。直ぐ様、電話をとる。

 

三蔵「ただ今、おかけになった電話は電波の届かない所に居られるか…」

佐野警部『何でやねん!電話取っとるやんけ!』

三蔵「佐野のおっさん、船が出航しよったで。出航は明日とちゃうんか!」

佐野警部『それはやな。警察の連中に対する洗脳が解かれてな、捜査4課が動き出したからや。警察の内部におったアスラ組の幹部が倒されたんやろうな。』

三蔵「そうか、それで直ぐ様逃げようって魂胆やな。」

佐野警部『そう言うことや。今、お前の所にアスラ組の組員が向かっとる。スーツ着た女も一緒や。武井、ワシが来るまで無茶すんなよ。ええな?』

三蔵「おう、おっさんも気いつけなアカンで。」

佐野警部『うるさいわ。』

三蔵「また後でな。」ガチャ

 

三蔵は電話を切った。

 

委員長「武井さん?今のお電話のお相手はいったい?」

三蔵「ああ、ウチがこの船に一緒に乗り込んだデカや。」

委員長「刑事さん?武井さん?貴女はいったい?」

三蔵「まあ、それは役者が揃ってからのお楽しみや。来たな…。」

 

ガチャ。唐突に閉じこめられた扉が開き一人の女性とアスラ組の組員達が入ってきた。

 

三蔵「よう小原、久し振りやなあ。」

委員長「武井さん、先生に対して呼び捨てはいけませんわ。」

小原「なっ!何故いる!」

 

小原と呼ばれた女は三蔵の顔を見ると驚いた顔をする。

 

三蔵「なんや?ウチが居ったら都合悪いんか?」

小原「い、いえ、先日学校をお休みしていましたのでここにいらっしゃるとは思っていなくて驚いただけですわ。」

「ガキ!黙っていろ!痛い目にあいたいのか!ええ!」

三蔵「ウチは今お前等の頭と話しとんねや。三下のお前等には用は無いんや。すっこんどれ!」

「このガキ!」

三蔵「なんや?やんのか!」

小原「武井さん、あの…。我が校の生徒としてその様な言葉使いは…。」

三蔵「お前こそ悪魔の癖にようそんな言葉使い出来るよなぁ。」

小原「武井さん!わたくしに対して無礼な発言は取り消しなさい!」

「そうよ!先生に対して失礼よ!」

「誰のせいで私達がこんな目にあってると思っているのよ!」

 

小原に続いて他の女子生徒達も三蔵の発言を批難する。

 

三蔵「他の強いもんが味方におらな何も物言われへん奴等は黙っとれや!!」

「ひぃ!」

 

三蔵の凄んだ声に女子生徒達は怖れて何も言えなくなる。

 

「このガキ!さっきから!」

 

アスラ組の組員達が三蔵に襲いかかる!

 

委員長「た、武井さん!」

三蔵「お前等三下はすっこんどれ!『マハザンマ!』」

「ぐわっ!」

 

三蔵の衝撃魔法でアスラ組の組員達を吹き飛ばし壁に激突させた。

 

三蔵「これ以上痛い目にあいたなかったら大人しくしとれ!」

委員長「武井さん、いったい何を?」

「えっ?今の何?」

三蔵「ああ、魔法や。」

委員長「ま、魔法!」

 

女子生徒達は何が起こったか理解出来ない様子だ。

 

委員長「武井さん?」

三蔵「委員長、驚いたか?」

委員長「え、ええ…。」

三蔵「まあ、普通はいきなり目の前で魔法なんか見たら驚くよなあ。でも小原、なんでお前は普通にしていられるんやろうなあ。」

小原「さっきから先生に対して呼び捨てとはなんですか!いい加減にしなさい!怒りますよ!」

三蔵「お前、ウチが言った事理解出来て無いみたいやな。」

小原「何?」

委員長「えっ?先生?武井さん?」

 

委員長は三蔵と小原の二人を交互に見てあわてふためいている。

 

小原「み、皆さん!この武井 千枝子が皆さんを誘拐してこの劉玄丸に閉じこめた犯人です!」

「えっ?武井さんが?」

三蔵「はぁ…。苦し紛れに言うた言葉がそれなんか…。」

「えっ?先生?本当ですか?」

小原「皆さん!先生の言うことが信じられませんか?」

三蔵「なあ、小原。」

小原「先程の魔法といい、魔女の言うことを聞くつもりはありません!」

三蔵「あー魔女でもなんでもええわ。小原、この船の名前なんて言うん?」

小原「先程も言いました通り劉玄丸です!」

三蔵「委員長、知ってたか?この船の名前?」

委員長「いえ、始めて知りましたわ。」

三蔵「そうか。小原、みんなと一緒に拐われたお前がなんで船の名前知ってるねん。」

「えっ?そう言えば…。」

小原「いえ、あの…。そうです!わたくしが男の方々に連れて行かれた時に聞きました!」

三蔵「ふーん。ヤクザに連れて行かれたのにえらい平然としてたみたいやけど?この部屋に入ってきた時も普通に並んで入ってきたよなあ。」

小原「この魔女め!さっきから減らず口ばかり!皆さんを解放しなさい!」

委員長「あの…。先生?武井さんが誘拐の犯人と言うのは辻褄が合いませんわ。わたくし達が誘拐された日、武井さんは警察の留置場に居られたとの事でして…。」

小原「私の言うことが聞けないのか!」

委員長「キャ!」

 

小原は自分に意見を言った委員長を平手打ちをしようとした。が、三蔵が小原の振り上げた手を受け止める。

 

三蔵「小原、お前ええ加減にせいよ。」

小原「き、貴様、邪魔をするな!」

委員長「た、武井さん!」

「小原さん!今直ぐ助けます!」

 

壁に激突して気絶していたアスラ組の組員達が目を覚まし小原を助けに入る。

 

三蔵「あれれー?ヤクザの三下共が小原さんって言ったよなあ?なんでかなぁ?」

小原「貴様等!」

三蔵「とりあえずお前等鬱陶しいからもう一発喰らっとけや。『マハザンマ!』」

「ぐわっ!」

小原「ぐっ…。」

 

三蔵の衝撃魔法が小原とアスラ組の組員達を吹き飛ばす!

 

三蔵「もう言い逃れ出来へんで。」

小原「クソッ!武井 千枝子!もっと早くに始末していたらこんな事にはならなかったのに。」

三蔵「お前の力じゃそれが出来へんからコソコソとウチのクラスの子等に有ること無いこと言うてウチを学校から排除しようとしてたんやろ。」

「えっ?先生が?」

「そう言えば…。」

小原「こうなったら直接息の根を止めるまで!お前等!もう芝居はいい!ここにいる奴等は全員殺せ!!お前は応援を呼んでこい!」

「分かりました!」

 

アスラ組の組員達は変装を解いてみるみるうちに悪魔の姿に変わっていく。

 

小原「いでよ!カシマレイコ!『サバトマ!』」

 

小原はサバトマを唱えた!

悪霊 カシマレイコが現れた!

 

委員長「小原先生、いったい何を?」

小原「カシマレイコ!殺れ!コイツ等を皆殺しにしろ!」

三蔵「あれは…。カシマさんやんけ!」

カシマさん「あっ千枝ちゃん!何してるの?」

委員長「えっ?た、武井さん?知っている方ですの?」

三蔵「ああ、カシマさんや。ウチの事を気に入らん奴がカシマさん使って呪い殺そうとしてきたんやけど、おんなじ阪神ファンって事でカシマさんと意気投合してな。今ではすっかり友達やねん。ちょいちょい遊んだりしてるで。」

カシマさん「ここ何処?」

三蔵「劉玄丸っていう船の中や。小原のボケがみんなを誘拐して中国大陸のマフィアに売り飛ばしに行こうとしてる所やねん。」

カシマさん「ふーん。」

 

カシマレイコが言うことを聞かないので小原は苛立っている。

 

小原「カシマレイコ!何をしている!」

三蔵「ああカシマさん、アイツは無視しといたらええで。」

カシマさん「分かったー。」

委員長「あ、あの…。武井さん…。他の暴力団の方々が!」

三蔵「あっ!アイツ等、他の女の子襲っとるな。」

委員長「武井さん、そんな呑気な事を言ってないで…。」

三蔵「まあ、ウチが助けてやる義理は無いんやけどな。そうも言うてられへんやろ。召喚!悟空!八戒!たれぞう!出番や!出てこいやー!」

 

三蔵は自分の仲魔を全員召喚した!

 

八戒「やっとワイ等の出番かいな。待ちくたびれたで。」

委員長「貴方達は、確か…。」

悟空「おっ?千枝ちゃんが通っとる学校の友達の子やな。」

委員長「ご、ごきげんよう。」

八戒「姉ちゃん、ごきげんようって。ワイ等、今はサイコロトークしてる場合とちゃうで。」

三蔵「八戒、助けてやる義理は無いけどあの子等を助けてやってくれ。」

八戒「あいよ。」

三蔵「悟空、お前キントウンは使えるんか?」

悟空「おう。バッチリレンタル料払ってきたからいつでも行けるで。」

三蔵「そうか。『ザンダイン!』」

 

三蔵は強力な衝撃魔法で外側の壁を破壊した。

 

三蔵「悟空、たれぞう!お前等はここからみんなを逃がしてくれ。」

「ヒヒーン!」

三蔵「たれぞう、頼むで。」

悟空「ちょう待てや!なんでやねん!俺様にも戦わせろや!」

三蔵「周りの雑魚どもは八戒だけで充分や。それに幹部の小原はウチの獲物や。手出すな。」

悟空「しかしやな…。」

三蔵「お前がちゃっちゃとせな後の奴等も白鷲 弓子に倒されてお前の出番は無しやで。戦いたかったらここの邪魔な奴等の救出せいや。」

悟空「しゃあないなぁ。分かったわ。」

委員長「あの…。武井さん?貴女はいったい?それにいきなり現れたこの方々は…。」

三蔵「コイツ等はウチが召喚した仲魔や。」

委員長「召喚?」

三蔵「ああ。そうやな、改めて自己紹介するわ。ウチは32代目三蔵法師に選ばれた、武井 千枝子。通称デビルサマナーって奴や。八戒と悟空とたれぞうはウチが契約した悪魔や。」

委員長「デビルサマナー…。悪魔…。」

三蔵「委員長、巻き込んでしまってすまんな。ウチ等が絶対に助けたるさかいなそれまで辛抱してや。無事に助け出したらそれでウチ等とはサヨナラや。今ではウチに気いつかってくれておおきにな。」

委員長「武井さん?」

三蔵「小原!お前はとっとと変装を解けや!お前の相手はウチがしてやらあ!何処からでもかかって来いや!!」



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劉玄丸船内戦 武井 千枝子編

小原「いい気になるな!カシマレイコ!何をしている!武井 千枝子を殺れ!殺せ!」

カシマさん「えっ?やだ。私、野球の続き見たいから帰りたい。」

小原「何を言っている!」

三蔵「ウチはお前がかかってこいって言ってるんや!偉そうにカシマさん命令すんなボケ!」

小原「この女!何処までもアスラ組に逆らう気か!」

三蔵「逆らうも何もアスラ組なんてしょうもない連中は今日で壊滅や。」

八戒「ここで倒れてる奴等の様にな。」

小原「なっ!」

 

女子生徒を襲おうとした悪魔達は八戒一人に叩きのめされていた。

 

三蔵「後はお前だけや。悟空!たれぞう!今のうちにみんなを助け出せ!」

悟空「よっしゃ!おーい!キントウンよーい!」

 

黄色く大きな雲が外からやって来た!

 

悟空「よっしゃ!姉ちゃん達!順番に脱出するで。」

「ええっと、助けてくれるの?」

悟空「おう、俺様に任せとけ!しっかり捕まっとれよ。」

「えっ?キャ!」

 

悟空は両脇に女子生徒を抱えてキントウンに乗り破壊させた壁から飛び去った。

 

三蔵「たれぞう、委員長を乗せて行ってくれ。」

委員長「わたくしより他の方を先にお願い致しますわ。」

三蔵「何を言ってるねん委員長。逃げれる時に逃げとかんと。」

委員長「わたくしは最後で構いませんわ。それに脱出まで武井さんと八戒さんがわたくし達をお守りしていただけるのでしょう?」

三蔵「せやけど…。」

八戒「よっしゃ、ワイが姉ちゃん達を守ってやるさかいな任せとけ。」

三蔵「八戒!お前!」

八戒「千枝ちゃん、友達を先に助けたいんは分かるけどな。次々、脱出させたらなあかん。じゃあ、そこの姉ちゃん。たれぞうに乗ってしっかり掴まるんやで。」

「えっ、私?」

八戒「たれぞうはメッチャ速いからな。振り落とされへん様にしっかり掴まるんやで。」

「えっと、こう?」

八戒「行け、たれぞう!」

「ヒヒーン!」

 

ケルピーは女子生徒を一人乗せて海上を沈むことなく駆け抜けて行った。

 

八戒「まあ、陸と船との往復で10分もかからんやろ。」

小原「武井 千枝子!貴様がバロールを殺ったデビルサマナーか!」

三蔵「バロール?そんな奴知らんわ。ウチは最初にお前をボコボコにするって決めてるんや、他の幹部はその後や。」

 

船上で大きな爆破音と大きな衝撃で船が大きく揺れる!中島が放ったメギドラオンである。

 

小原「な、何が起こった!?」

三蔵「上でも始まったみたいやなあ。」

委員長「た、武井さん?いったい何が?」

三蔵「ああ、コイツ等を叩きのめすんはウチ等だけやないって事や。」

 

突如、部屋のドアが勢いよく開かれた!

 

佐野警部「小原 順子!女子高生誘拐の実行犯で逮捕や!!」

「ヤ、ヤクザ!!助けて!!」

 

突如入ってきた佐野警部を見て女子生徒達がヤクザと勘違いして悲鳴をあげる!

 

佐野警部「ヤクザ?何処や?何処に居る?」

「イヤー!助けてー!」

佐野警部「姉ちゃん達、ワシが保護してやるさかいな。もう少し辛抱せいよ。」

「イヤー!近寄らないでー!」

委員長「わたくし達は暴力団の方には屈しません!」

 

佐野警部はヤクザと勘違いされている。

 

小原「貴様、何処の組の者だ?」

三蔵「佐野のおっさん、あんた、ヤクザと間違えられとるで。」

委員長「武井さん?暴力団の方にも知り合いがいらっしゃったのですの?」

三蔵「委員長、ああ見えて佐野のおっさんは刑事や。ヤクザとちゃうねん。」

委員長「えっ?」

八戒「まあ、見た目がヤクザやからしゃあないか。」

佐野警部「待てや!こんな男前捕まえて誰がヤクザやねん!」

三蔵「そんなしょうもないダブルのスーツ着てるからやろ。」

委員長「確かに…。」

佐野警部「しょうもないことあるかい!そこの品のある姉ちゃん、見てみい!アルマーニのスーツやで!」

委員長「はぁ。(絶対に違いますわ…。)」

三蔵「何がアルマーニやねん!どうせはるやまで買った安もんやろ。」

佐野警部「ふふふ。甘いな武井。紳士服のAOKIや。」

八戒「しょうもな!」

佐野警部「しょうもないことあるかい!これな、セールの品を更に店頭で10%負けさせてんぞ!」

三蔵「それでよくアルマーニとか言えたな、それでなんぼで買ってん?」

佐野警部「298や。」

八戒「29800円か。おっさん、ようそんな金持ってたな。」

佐野警部「八戒、桁が違う。2980円や。凄いやろ?」

 

そんな安物は処分品セールのスーツである。

 

小原「…。おい。」

三蔵「なんや小原。そういや居ったなあ。佐野のおっさんのしょうもないトークで忘れてたわ。すまんすまん。」

小原「貴様等、アスラ組を舐めているのか!!もういい!この私自らお前達を皆殺しにしてやる!」

 

そう言うと小原は人間の変装を解きみるみるうちに姿が変わっていく。

髪の毛は全て蛇に変わり皮膚は硬い鱗に覆われて瞳は赤く輝いている。

 

委員長「小原先生のお姿が…。」

三蔵「やっと本性現しおったな。」

小原「お前等!アスラ組に喧嘩を売った事を地獄で後悔させてやる!」

 

魔王メデューサが現れた!

 

三蔵「八戒、佐野のおっさん、みんなの事を頼むで。おいコラ小原!大将同士タイマンでけりつけたるわ。かかってこいや!!」

メデューサ「フフフ。私が相手をするまでもない。行け、カシマレイコ。」

 

メデューサの瞳が妖しく光る!

 

カシマさん「えっ?」

 

カシマレイコはメデューサの瞳を直視してしまった。

 

メデューサ「フフフ。これでコイツは私の言いなりだ。」

三蔵「マインドコントロールか。『パトラ!』」

 

三蔵の魔法でカシマレイコにかかったマインドコントロールを解き放つ。

 

カシマ「あ、あれ?」

メデューサ「何!?」

三蔵「無駄や、お前とウチとじゃ魔力の桁が違う。」

メデューサ「カシマレイコ!こっちを見ろ!」

カシマさん「えっ?ああああああ。」

 

メデューサは再びカシマレイコにマインドコントロールをかける!

 

カシマさん「ああああああ!頭の中に何か入ってくる!」

メデューサ「カシマレイコ!アイツ等を殺せ!」

三蔵「ちっ、脳みそから直接マインドコントロールかけてやがる。『アギラオ!』」

 

三蔵はアギラオを唱えた!

炎の玉がメデューサを襲う!

しかし、マインドコントロールをかけたカシマレイコを盾にした。

カシマレイコは大きく火傷をして倒れた。

 

カシマさん「ああ!」

三蔵「カシマさん、大丈夫か?」

カシマさん「熱い!焼ける!」

三蔵「洗脳は解けてるな。『ディアラマ!』」

カシマさん「火傷がひいていく…。」

三蔵「カシマさん、荒治療で悪いな。」

 

三蔵が倒れたカシマレイコを抱き抱える。

その隙をメデューサが見逃す訳もなく襲いかかる。

 

佐野警部「小原!下がれ!」

メデューサ「ちっ!」

 

佐野警部がメデューサに威嚇射撃をしてメデューサの動きを止める。

 

三蔵「佐野のおっさんにしては気が利くなあ。カシマさん、次アイツに操られたらもう助ける事は出来へん。2度と意識が戻らん様になるからな。」

カシマさん「あたし、せっかく千枝ちゃんのお陰で人を呪ったりしなくて良くなったのに。」

三蔵「でも、1つだけアイツのマインドコントロールを打ち破る方法がある。」

カシマさん「1つだけ?」

三蔵「それは…。ウチと契約して仲魔になる事や。アイツより魔力の強いウチの仲魔になったらあのマインドコントロールは効かんようになる。」

カシマさん「分かった。仲魔になる!」

三蔵「カシマさん、すまんな。こんな形で仲魔にする事になって…。」

カシマさん「いいよ、千枝ちゃんとなら楽しそうだし。」

三蔵「分かった。八戒!いつものやつや!準備せい!」

八戒「もうできてるわ!カシマさん、やったな。ええか?千枝ちゃんの後に続いてな、この電話越しに向かって『いいともー!』って言うんや。分かったな?」

カシマさん「うん、分かった!」

 

三蔵は自分の携帯電話を取り出した。

 

三蔵「あっ、モシモシ?カシマさん?ウチの仲魔になってくれるかな?」

カシマさん「いいともー!」

三蔵「よっしゃ!契約や!カシマさん、こんな緊急の形になってしもうてすまんな。」

カシマさん「ううん、いいよ。今後ともヨロシクね!」

 

カシマレイコが三蔵の仲魔に加わった。

 

メデューサ「カシマレイコ!裏切る気か!」

三蔵「無理矢理言うこと聞かそうとしといて何が裏切るや。アホかお前。」

カシマさん「べー!」

メデューサ「貴様等ー!」

 

メデューサの攻撃!

鋭い爪で三蔵に切りかかる!

 

三蔵「そんな攻撃喰らうか!『ザンダイン!』」

 

三蔵はザンダインを唱えた!

強力な衝撃魔法で近づいてきたメデューサを吹き飛ばし壁に激突させた!

 

メデューサ「ぐわっ!」

三蔵「立てや。そこまで効いてへんやろ。」

メデューサ「おのれー!」

 

バン!扉が勢いよく開かれアスラ組の組員達が入ってきた!

 

「小原さん!ミノタウロスが殺られました!このままでは全滅です!」

メデューサ「ミノタウロスが…。」

「小原さん、ご指示を。」

メデューサ「船内はティターンにでも任せとけおけ!それよりここの連中を始末する。手をかせ!」

「捕まえた女共もですか?」

メデューサ「好きにしていい。敵はデビルサマナーだ!手加減はするな!」

「小原さん、流石だぜ!コイツ等を殺ったら女は好きにヤラせて貰うぜ!」

メデューサ「構わんが壊さない程度にしろよ。」

 

アスラ組の組員達が次々と悪魔に変身していく!

 

ナイトストーカーが現れた!

カクエンが現れた!

ナーガが現れた!

イッポンダタラが現れた!

 

「まずは豚野郎!覚悟しな!」

八戒「佐野のおっさん、ご指名やで。」

佐野警部「どう見てもお前やろ!」

「どこ見ていやがる!死にな!」

 

イッポンダタラの攻撃!

イッポンダタラがカマプアアに殴りかかる!

しかし、カマプアアは素早く避けて透かさずカウンターのパンチを顔面にいれる!

 

「ぐわっ!」

 

イッポンダタラはたまらずダウンする!

 

「テメエ!」

 

ナーガの攻撃!

持っている槍でカマプアアを突きにかかる!

 

八戒「なんやこんなん女の子が居んのに振り回したら危ないやろ!」

 

カマプアアはナーガの持つ槍を奪い取り

バルーンアートの様に器用に曲げていく。

 

八戒「こんなもんはこうしてこうして、こうや!一輪に咲く薔薇の花や。」

「凄い!」

 

女子生徒達の拍手喝采を受ける。

 

八戒「ワイからの愛の証や。」

 

カマプアアは1番近くに居た女子生徒に鉄を曲げた薔薇の花を渡す。

 

「み、見た目以上に重たい…。」

 

外からケルピーと斉天大聖が戻ってきた。中島に助け出されたモスマンの親達がついて来ている。

 

「新手が来たか。」

八戒「悟空、えらい戻ってくるの早いやんけ。」

悟空「おう、近くになんか戦国武将の格好をした兄ちゃん達が遊覧船で迎えに来とってな。姉ちゃん達は預けて戻って来たわ。せやさかい姉ちゃん達、どんどん脱出するで。」

「は、はい。」

「テメエ!行かすと思っているのか!」

 

ナーガが斉天大聖に向かってくる!

 

悟空「姉ちゃん、その変な棒きれ借りるで。」

「は、はい。」

悟空「死にさらせー!」

 

斉天大聖の攻撃!

カマプアアが作った鉄の薔薇をナーガに投げつけ心臓に突き刺した!

 

「ギャァァァァー!」

 

ナーガを倒した!

 

八戒「あっ!お前、ワイの力作に何をするねん!」

悟空「血抜きや。ああやって薔薇の花を突き刺して肉の鮮度を保つんや。」

 

ちなみにこのお話は約束のネバーランドではない。

 

佐野警部「ジャンプのやつやな。」

八戒「佐野のおっさん未だにジャンプ読んでるんか。」

佐野警部「何を言ってるねん!ワシは今も昔もジャンプ一筋や!」

 

ナーガが倒されアスラ組の悪魔達はたじろいでいる。

 

悟空「今の内やたれぞう、お前はその子乗せて行け!」

「ヒヒーン!」

 

ケルピーは女子生徒を一人乗せて外に出ていった。

 

「くぁwせdrfgyふじこlpナカジマ!」

「くぁwせdrfgyふじこlpナカジマ!」

八戒「なんやコイツ等?ワイにまとわりつくなや!悟空なんやねんコイツ等?」

悟空「知らん!なんかついてきた。」

「くぁwせdrfgyふじこlpナカジマ!」

 

どうやらカマプアアを中島と勘違いしているらしい。

 

メデューサ「お前達!何をしている!さっさとそいつ等を倒してしまえ!」

三蔵「小原、したっぱの心配より自分の心配せいや。これでも喰らえや『テンタラフー!』」

メデューサ「がぁぁぁぁ!頭が割れそうだ!何をしたぁぁぁ!」

 

テンタラフーの魔法がメデューサの精神を蝕む!

 

三蔵「お前等、何を遊んでんねん!悟空!お前はさっさと邪魔なその子等連れて行かんかい!」

八戒「千枝ちゃん!コイツ等ワイにまとわりつきおんねん!何とかしてくれや!」

「くぁwせdrfgyふじこlpナカジマ!」

「くぁwせdrfgyふじこlpナカジマ!」

三蔵「おう、おう、そうかそうか。」

委員長「武井さん?この蝶々さん達の言葉がお分かりになりますの?」

三蔵「ん?分からん!」

八戒「分からんのかい!」

三蔵「冗談や。八戒お前、そいつ等に中島 朱美と間違えられとるな。」

八戒「ぼ、僕は中島 朱美ではないんだな。」

「くぁwせdrfgyふじこlpナカジマ!」

「くぁwせdrfgyふじこlpナカジマ!」

 

カマプアアが物まねしたせいでモスマン達が更にカマプアアにまとわりつく。

 

三蔵「ややこしなるから物まねすんなや。そいつ等、どうやら脱出するの手伝ってくれるみたいやな。」

「くぁwせdrfgyふじこlp」

「くぁwせdrfgyふじこlp」

八戒「そうか。姉ちゃん達その蝶々の背中に乗って脱出するんや。」

「蝶々さん、乗っていいの?」

「くぁwせdrfgyふじこlp」

 

モスマン達は女子生徒を背中に乗せて飛び立って行った。

 

悟空「よっしゃ、次はそこの二人や!俺様のキントウンは新幹線より速いからな。しっかり捕まるんやで!5分せんうちに戻ってくるから他の子等ももう少しの辛抱やで。」

「は、はい。」

 

斉天大聖は女子生徒を二人抱えて飛び立って行った。残されている女子生徒達も助かる事をしり少し安心している。

 

「女が次々と連れて行かれる!こうなったら先に女からヤるぜ!」

 

カクエンが女子生徒達に襲いかかる!

 

佐野警部「おいコラ猿悪魔!婦女暴行の現行犯で死刑や!死にさらせ!」

 

佐野警部の攻撃!

カクエンに向かい拳銃を乱射する!

乱射した銃弾はカクエンの体を次々と撃ちぬく!

 

「ギャァァ!テメエ!警察が簡単に銃を撃ちやがった!」

「キャァァァ!ヤクザが拳銃を撃ち出しましたわ!イヤー!」

佐野警部「誰がヤクザやねん!」

「このまま女をヤれずに死ねるかッ!」

 

カクエンが傷まみれの中、力を振り絞り女子生徒達に近づく。

 

佐野警部「このボケ、まだ女の子襲うつもりか。地獄に堕ちろやー!」

 

佐野警部の攻撃!

佐野警部の拳銃がカクエンの頭を数発撃ち抜いた!

 

「童貞のまま死ぬなんて…。ちくしょう…。」

 

カクエンを倒した!

 

佐野警部「また、ワシの背中に黒い翼が生えてしまったな…。」

 

お前はブラックエンジェルスのつもりなのか!

 

八戒「まあ、後2匹やな。覚悟せいよ?」

「何なんだよコイツ等…。」

「コイツ等を倒さないと俺達がアスラ組の幹部達に殺される。」

カシマさん「ねぇ?」

「なんだテメエ?」

カシマさん「なんで足が1本だけしかないの?」

「…。元からなんだよ!」

カシマさん「ふーん。じゃあさぁ、もう1本足いる?」

「要らねえよ!何なんだよテメエ!」

カシマさん「要らないんだ。要らないんならその足貰うね。」

 

カシマレイコの攻撃!

イッポンダタラの足を掴みとり力任せに引きちぎった!

 

「ギャァァァァ!足が!俺の足がぁ!」

カシマさん「えー。要らないって言ったじゃん。」

 

イッポンダタラは足を千切られ地べたを這いつくばって苦しんでいる。

 

「何だよコイツ等…。」

八戒「後はお前だけやな。アスラ組かなんか知らんけどワイ等大阪の悪魔に喧嘩を売った事を後悔するんやな。」

 

ナイトストーカーは怖れて足がすくみあがっている。

 

「大阪の悪魔…。もしかしたら…。バン!バン!バン!」

 

ナイトストーカーの攻撃!

苦し紛れに指を銃の形にして、口で銃声を放っている。

 

八戒「がっ!や、やられたー!」バタ

佐野警部「グハッ!くそっ!こんなことで…。」バタ

カシマさん「えっ?えっ?」

三蔵「カシマさん、相手のボケは乗ってあげなあかんで。」

「た、倒れた?よし、もう一度だ!バンバン!バン!」

 

ナイトストーカーの攻撃!

もう一度同じ様に口で銃声を放っている。

 

三蔵「がっ!や、やられてしもうたわー!」バタ

カシマ「えっと…。やられたー!」バタ

 

戦いの中でも笑いを忘れない連中である。

 

「た、倒した!俺がデビルサマナーを倒したって事は次の幹部は俺だ!」

メデューサ「うう…。頭の痛みが引いていく。」

「小原さん!殺りました!俺がデビルサマナーを殺りましたよ!」

八戒「そんな訳あるかい!」

 

カマプアアの攻撃!

ナイトストーカーの背後に回り込み首をへし折った!

ナイトストーカーは静かに倒れた!

 

三蔵「さて、後はお前だけやな。」

佐野警部「観念しろや。」

メデューサ「私の部下が一瞬で…。」

三蔵「タイマンや、かかってこい!」

メデューサ「デビルサマナー!死ねー!」

 

メデューサのタスラムショット!

指から魔力を込めた弾丸が三蔵を襲いかかる!

 

三蔵「危な!」

 

しかし、間一髪で攻撃をかわした!

 

メデューサ「かわしたか、これならどうだ!」

 

メデューサは連続でタスラムショットを放つ!

 

三蔵「軌道が分かれば避けるまでもないわ。『マハザン!』」

 

衝撃魔法でタスラムショットを相殺する!

 

メデューサ「フフフ、これならどうだ?」

三蔵「!!」

 

メデューサはタスラムショットを委員長に向かって放つ!

三蔵は委員長を庇いダメージを負った!

 

委員長「武井さん!」

メデューサ「フフフ!ハハハハハ!」

三蔵「小原~!!」

メデューサ「その耳障りな口を聞けないようにしてやる!」

 

メデューサの麻痺噛みつき!

勢いよく突進してきて噛みついてきた!

 

三蔵「ちっ…。(今避けたら委員長に攻撃が喰らってしまう…。)」

 

三蔵は避ける事なくまともに攻撃を喰らう!

メデューサは三蔵の左肩に噛みついて離れない!

 

三蔵「ぐっあああああ!」

メデューサ「死ね!」

佐野警部「武井!動くなよ!ワシがそいつを撃ち抜いたる!」

メデューサ「邪魔をするな!」

 

メデューサの石化睨み!

 

佐野警部「な!なんや!ワシの体が!」

 

佐野警部の体がみるみるうちに石像に変わっていった。

 

三蔵「佐野のおっさん…。くそっ!」

メデューサ「コレクションにもならない汚い像だ。あとで海に捨てておくか。」

三蔵「海に捨てられるんはお前の方や!喰らえや『テンタラフー!』」

メデューサ「がぁぁぁぁ!また頭が割れそうだ!あああああ!」

 

メデューサはテンタラフーを喰らい頭を抱えて苦しんでいる!

その隙に三蔵はメデューサの牙から逃れる。噛まれた左肩からは大量の血が流れている。

 

三蔵「カシマさん、みんなを頼む。八戒!佐野のおっさんを攻撃が当たらん様にしといてくれ。」

カシマさん「分かったー。」

八戒「任せとけ!おっさん、元に戻るんかこれ?」

三蔵「小原を倒したら元に戻るやろ。」

 

外から斉天大聖達が戻ってきた。

 

悟空「よっしゃ!戻ってきたで!」

三蔵「遅いねん!さっさとみんなを脱出させろや!」

悟空「なんでやねん、めっちゃ飛ばして来てんぞ!なんでそんな言われかたしなあかんねん!」

三蔵「このままやったらみんなが巻き沿い喰らうんや!はよせい!」

悟空「姉ちゃん達、行くで。俺様に3人掴まれ。」

「で、でも…。武井さんが大怪我を…。」

悟空「大丈夫や。行くで!たれぞう!お前は二人乗せて行け!」

「ヒヒーン!」

 

再び斉天大聖達は女子生徒達を連れて外に出ていった。

 

三蔵「これで、みんな行ったな…。」

委員長「武井さん…。すごい傷…。」

三蔵「委員長、まだ居たんか!はよ行けや!」

委員長「でも…。武井さん達はわたくし達の為に戦いになられているのに…。」

メデューサ「余所見をするとは余裕だな、デビルサマナー。」

 

メデューサの攻撃!

体勢を整え直しスクラムショットを放つ!

スクラムショットは三蔵の右足を貫いた!

 

三蔵「あああああ!」

 

三蔵は右足を撃ち抜かれ転がる様に倒れた!

しかし、よろけながら無理矢理立ち上がる!

 

メデューサ「まだ立ち上がるか。」

三蔵「ウチを舐めるなよ。雑魚のお前にはええハンディやろ。」

メデューサ「まだ減らず口を叩くか!」

 

メデューサの攻撃!

メデューサの放つタスラムショットが三蔵の心臓をめがけて飛んでくる!

 

三蔵「ちょっと言われただけで直ぐに頭に血がのぼるからお前は雑魚なんや。ほんで攻撃の軌道もワンパターンや。そのままお前の攻撃跳ね返したるわ『ザンマ!』」

 

三蔵はザンマを唱えた!

強い衝撃魔法がメデューサのタスラムショットを跳ね返す!

跳ね返したタスラムショットがメデューサの右目を貫いた!

 

メデューサ「おのれー!私の目が!目がー!」

三蔵「今の内に止血しとこか。『ディア!』」

 

三蔵は回復魔法で体の傷を治していく。

斉天大聖達も戻ってきた。

 

悟空「戻ってきたでえ。」

三蔵「早かったなあ。こっちももう終わる所や。」

メデューサ「このアスラ組の幹部の私が!こんな小娘にー!」

三蔵「お前はもう仕舞いや。ウチ専用の武器で止めや。召喚!」

三蔵は背丈ほどの巨大なハリセンを召喚した!

 

カシマさん「何あれ?」

委員長「へ?ハリセン?ですわね…。」

三蔵「32代目三蔵法師の名において、小原 順子、汝の穢れた魂を極楽浄土へと誘(いざな)う!『苦集滅道』」

 

三蔵の持つハリセンが眩い光を放つ。

メデューサの頭を思いっきり1発叩くとメデューサは静かに倒れ変身前の元の女性の姿に戻っていった。

 

三蔵「悪魔の力はこれでもうなくなった。潰れた右目はもう治らんけど学校の先生は続けられるやろ。」

 

メデューサを倒したので石化した佐野警部の体が元に戻っていった。

 

佐野警部「おっ!ワシの体が!」

悟空「なんや、きったない石像があるなあと思ったら佐野のおっさんかいな。」

佐野警部「誰が汚いねん!」

八戒「まあ、無事で元に戻って良かったで。」

佐野警部「それより小原 順子は?殺ったんか?」

三蔵「命なんか取るかい。悪魔の力はないからもう悪さは出来へんやろ。」

佐野警部「そうか。で、何処におんねん。」

三蔵「だから、そこに倒れて…。あっ!居らん!」

 

先程倒れていた場所に小原が居ない。

 

小原「お前達、よくもこの私をこんな目にあわせてくれたな!」

三蔵「!!」

小原「おっと、動くなよ?小娘、動いたらこの女はあの世行きだぞ?」

 

小原は委員長を盾にして部屋から出ようしている。

 

八戒「あいつ!人質をとってるで。」

小原「動くな!」

 

小原は委員長の首にナイフを突きつけている。

 

三蔵「小原!何をする気や!」

小原「口の聞き方に気を付けろ!!この女を刺し殺すぞ!」

佐野警部「小原 順子!その子はお前の生徒やろ!止めんか!」

小原「私はお前達に捕まる気はない!私の言う通りにしたら悪魔達から助けてやる。一緒に来い。」

委員長「お断りします!」

小原「何だと?あの小娘は魔女であいつ等は悪魔だ。」

委員長「武井さんは魔女なんかではございません!武井さんは悪魔の姿の先生もお助けしようとしていました。八戒さんも悟空さんも武井さんのお馬さんも暴力団の方もわたくし達をずっと守って下さいました!」

佐野警部「ワシはデカや。」

悟空「おっさん、どうみてもヤクザにしか見えんから諦めろや。」

小原「悪魔は人の心に蝕み付け入る存在だ。私も悪魔の心を奪われていたから分かる。私と共にこの船から逃げるんだ、いいから来い。」

委員長「嫌です!!人の心を蝕む悪魔は先生の方です!!」

悟空「姉ちゃん、よう言うた!名古屋の人間も捨てたもんとちゃうな。」

小原「貴様!!そんなに先に死にたいのか!!この私に意見を言うな!」

 

小原が委員長を刺そうとナイフを振り上げる!

 

小原「お前から死ねー!!」

八戒「女の子相手にそんなもん振り上げるな!危ないやろ!」

 

小原の振り上げたナイフをカマプアアが取り上げる!

 

小原「な!いつの間に!」

三蔵「小原、さっきもウチが言うたやろ。お前は直ぐに頭に血がのぼって周りが見えてないんや。もう少し痛い目に会わんとあかんみたいやな。カシマさん、出番や。」

カシマさん「足、1本貰うね。」

 

カシマレイコの攻撃!

小原の左足を力任せに引きちぎった!

 

小原「ぎゃあああ!足が!足がー!」

 

小原は倒れてもがき苦しんでいる。

 

三蔵「小原、これで分かったやろ。次は無いからな、ええな?」

小原「足がー!私の足がー!」

三蔵「委員長、怖い思いさせてしもうてすまんな。」

委員長「武井さん…。あああああぁぁぁ!わたくし!わたくし!」

 

緊張の糸が解けたのか委員長は三蔵に抱きついてワンワン泣いている。

 

委員長「でも武井さんが…。わたくし達の為に…。大怪我をなされて…。あぁぁぁ!わたくし達のせいで…。あぁぁぁ!」

悟空「まあ、死ぬ事以外はかすり傷や。ツバつけとけばそのうち治るさかい気にする事はあらへん。」

三蔵「なんでお前が答えとんねん!まあそう言うことやから委員長も泣き止めや。」

委員長「でも…。でも…。」

 

委員長は全然泣き止まない。

その隙に小原は這いながらナーガの死体に刺さっている鉄の薔薇を引き抜いている。

 

三蔵「…。」

佐野警部「武井、白鷲 弓子達も動き出してる。ワシ等も動かんとあかんで。」

 

小原はばれないように少しずつ這いながら近づいている。

 

三蔵「…。そうやな。佐野のおっさん、悟空と八戒を連れて先に行ってくれ。カシマさんも一緒に行ってくれるか?」

カシマさん「分かったー!アスラ組の悪魔の足を引きちぎってもいい?」

八戒「おう、ガンガン行ったれ!ついでに腕も千切ってええからな。」

カシマさん「腕はいらなーい。」

悟空「よっしゃ!これで俺様も暴れる事が出来るわ!」

佐野警部「お前ら、行くで!」

八戒「なんでおっさんが仕切ってんねん!」

 

佐野警部達がドアを開けて船内の奥に入って行った。

小原が這いながら三蔵の直ぐ後ろまで近づいている。

 

三蔵「委員長、たれぞうに乗って行くんや。」

委員長「でも…。武井さんは…。」

三蔵「大丈夫や!ウチ等はこの後直ぐに脱出するから!」

委員長「でも…。もし、武井さん達に何かあったら…。わたくしは…。」

三蔵「だから、直ぐに脱出する大丈夫や。たれぞうにしっかり掴まるやで。」

委員長「ええ…。お馬さん、お願いしますわ…。」

「ヒヒーン!」

 

ケルピーは委員長を乗せて外に出ていった。

 

小原「…。(今だ!)」

三蔵「さてと、みんなが行った所でっと!」

 

三蔵は急に後ろを振り返った。

三蔵をめがけて鉄の薔薇を突き刺そうとしている小原と目があった!

 

小原「何!?」

三蔵「小原…。ウチはさっきも言ったよなぁ?次は無いって、言ったよなぁ?」

小原「小娘がー!死ねー!」

三蔵「残念や…。ほんまに残念や…。『ザンダイン!』」

小原「!!」

 

三蔵はザンダインと唱えた!

強力な衝撃魔法が小原を吹き飛ばす!

 

三蔵「『ザンダイン!』」

 

三蔵はザンダインを唱えた!

強力な衝撃魔法が小原を窓ごと外に吹き飛ばした!

 

三蔵「小原、地獄に堕ちる前のデモンストレーションや。『トリスアギオン!』」

小原「おのれー!おのれー!ギャアアアアー…。」

 

三蔵はトリスアギオンを唱えた!

地獄の業火が小原を包み込み海に落ちる前に体は完全に燃え尽きた。

 

三蔵「せっかくの命を無駄にしよってからに、アホンダラが…。」

委員長「武井さん…。」

三蔵「委員長…。なんで戻って来てんねん…。」

委員長「わたくしがお馬さんに乗って海の上を走っていたら上から大きな火が落ちて来まして…。それで…。」

三蔵「見たんやな…。ウチが小原を…。あんた等の先生を殺した所を…。」

委員長「…。違いますわ!あれは悪魔です!先生なんかではありません!」

三蔵「たれぞう…。連れて行ってくれ。」

委員長「武井さん…。必ず無事に戻って来て下さい…。わたくしは待っていますわ。」

三蔵「たれぞう…。行け…。行け!」

「ヒヒーン!」

 

ケルピーは委員長を乗せて海の上を走り去って行った。

 

三蔵「ウチも行くか…。名古屋の町ともお別れやし、派手に行くか。」

 



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劉玄丸船内戦 前編

「ノブナガさん!こんな遊覧船じゃあの大型フェリーに追い付ける訳ないじゃないですか!」

ノブナガ「それぐらいは分かってるよ!いいから全速だ!少しでも近づいていたら人命救助が出来るだろ!」

 

イケメンおもてなし武将隊の面々が名古屋港の遊覧船を使って劉玄丸を追っている。

 

「ノブナガさん、何か見えます!救命ボートです!」

ノブナガ「よし、思った通りだ!助け出すぞ!」

 

救命ボートには一人の男性が乗っている。そう、中島が助け出したカハクやモスマン達を連れて脱出した作業員のしたっぱである。ノブナガ達を警戒している。

 

「大丈夫か!今助け出すからな!」

「…。自分は大丈夫ッス。」

ノブナガ「なんで一人なんだ?何か隠しているな?」

「何も隠していないッス。」

「ピィ!ピィ!」

「あっ!出てきたら駄目ッス!」

「妖精!?」

ノブナガ「お前!そいつ等をどうする気だ!」

「お前達こそ、そんな格好で怪しいッス!さてはアスラ組の悪魔達ッスね!」

「お前こそ!そいつ等を拐った悪魔だろ!」

 

お互いがアスラ組の悪魔だと思い込み言い争っている。

 

「みんな!自分が食い止めているうちにアスラ組の悪魔達から逃げるッス!」

「ピィ!ピィ!」

 

カハクは作業員のしたっぱにくっついて逃げようとしない。

 

「アスラ組の悪魔!俺達、イケメンおもてなし武将隊が成敗してくれる!」

「自分を先に行かしてくれたゴブリやコボル達の為にも太っちょの探偵さんが助け出した妖精さん達は自分が死んでも守るッス!」

「何を!?お前一人で何が出来る!」

ノブナガ「太っちょの探偵?まさか?」

「ノブナガさん!こいつをやっつけて妖精達を取り返しましょう!こいつ等デブの探偵の妖精のダチかも知れません。」

「デブの探偵の妖精?探偵さん達を知っているって事は…。やっぱりアスラ組の悪魔ッスね!」

 

お互いが勘違いしている中、ノブナガが止めに入る。

 

ノブナガ「待て!」

「ノブナガさん?」

ノブナガ「おいお前、太っちょの探偵って言ったな?」

「…。」

ノブナガ「警戒するなよ、そのお前が言う太っちょの探偵ってノートパソコンを持っている奴だろ?妖精が隣にいる。」

「なんでそこまで知っているッスか。」

ノブナガ「俺達もちょっと前にアスラ組の幹部からあいつ等に助けてもらってな。アイツの仲魔のユキムラとタダカツが俺達のダチだ。」

「なんでこんな所に居るッスか?」

ノブナガ「あいつ等を手伝いにだ。あの大型フェリーから脱出するのに足がいるだろ?」

「そうッスか。」

「ノブナガさんは1度決めたら行動が早いからな。ついていくのが大変なんだよ。で、お前は何でいるんだ?」

 

おもてなし武将隊の一人が作業員のしたっぱに問い詰める。

 

「自分達は探偵さん達が船に侵入できる様に手伝いをしてそのまま中に残って探偵さん達を手助けをしていたッス。そして、太っちょの探偵さんが助け出した妖精さん達を逃がす為に救命ボートで先に脱出したッス。」

ノブナガ「乗れよ。」

「ノブナガさん、良いのですか?悪魔かも知れない奴を。」

ノブナガ「大丈夫だ。人を拐ったりするアスラ組の連中だったら妖精達がそいつになつかないだろ。」

「ピィ!ピィ!」

ノブナガ「なっ?そいつ等もそう言っている。」

「ノブナガさん?妖精が何を言っているか分かるのですか?」

ノブナガ「何となくだよ。」

「そ、そうですよね…。」

ノブナガ「なんだ?ヒデヨシ、お前まで俺が悪魔だとか言い出すのか?」

「ま、まさか!」

ノブナガ「まあ、なんだ。何があっても不思議じゃねえ。みんな!気を抜くなよ!トシイエ、全速力で頼む!」

「もうすでに全速ですよ!」

 

作業員のしたっぱを乗せて遊覧船を全速で走っている。

モスマンの親子が安心したのか遊覧船の中に入ってくる。

 

「くぁwせdrfgyふじこlp」

「な、何だこいつ等は!」

「大丈夫ッス、太っちょの探偵さんが助け出した蝶々さんッス!」

「これが蝶々?人間の大人よりデケエ。背中に乗れるんじゃねえのか?」

「くぁwせdrfgyふじこlp」

 

モスマン達が害がないと判断してそのまま遊覧船を全速で走っていく。

すると、前方から近づいてくる影が見える。

 

「ノブナガさん!何か来ます!」

「海の上を走っている…馬!?」

「空からも来ます!」

「アスラ組の悪魔かも知れない!気を抜くなよ!」

 

影が近づいて来た。

 

悟空「おっ?兄ちゃん達いったい何してんねん?」

「女の子を抱えている!」

「何者だ!?」

悟空「なんや?男前の兄ちゃん達、俺様に興味津々って訳やな?」

「コイツ!悪魔ッスよ!女の子達を放すッス!」

悟空「なんやいきなり、俺様はこの女の子達を陸まで連れて行ってアスラ組の連中をボコボコにしなあかんねん。兄ちゃん達とケンカする暇は無いんや。」

ノブナガ「アスラ組って言ったな?何者なんだ!どうして女の子達を抱えている!」

悟空「おう、そうやねん。男前の兄ちゃん、話は長くなるけど聞いてくれや。俺様達は大阪の新世界から名古屋に引っ越して来たんやけどな、まず、スーパーとか行ってもソースが全然種類がないねん!ウスターソースも全然種類が無い!いったい俺様はどうやってカレー食ったらええねん!」

「普通カレーにソースなんかかけねえよ。」

「ソースなんかかけたらオリエンタルカレーの味が変わってしまうじゃねえか。」

悟空「なんでやねん!カレーにはウスターソースやろ!それからなんやねん!オリエンタルカレーって!ボンカレーやったらあかんのか!」

ノブナガ「別にボンカレーでもいいけど…。って、そう言うことじゃなくてだな…。」

悟空「まあ兄ちゃん、まだ俺様のトークは始まったばっかりや。それから、この前なぁ千枝ちゃんと八戒の奴とトンカツ食いに行ったんや。そんで行ったらソース置いてなかったんや!」

「トンカツには八丁味噌ッス!」

悟空「なんでやねん!!トンカツソースやろ!!普通はなあ!スーパー行ったらたこ焼きソース、お好みソース、トンカツソース、それぞれソースがあんねん!それを名古屋のもんはなんやねん!」

ノブナガ「いや、ソースの話はいいから…。お前がなんで女の子を抱えてこっちに向かって来たのかをだな…。」

悟空「武将の格好した兄ちゃん、まだや、まだ俺様のトークは終わってへん。」

「あの…。早く行かないと他の子達が危険な目に…。」

 

悟空に抱えられている女子学生が話を妨げる。

 

悟空「ああ、そうやったな。話は途中やけど兄ちゃん達!この子等ちょっと預かってくれや。」

ノブナガ「は?」

悟空「兄ちゃん達、暇やろ?まだあのフェリーに捕まっている子がようさん居るねん。姉ちゃん達、この男前に保護してもらえ。」

「えっ?は、はい!」

ノブナガ「いや、俺達は暇で来たんじゃないんだが…。」

悟空「細かい事気にするなや、たれぞう!お前もその後ろに乗せてる子を降ろしてまた行くで!」

「ヒヒーン!」

「この馬、海面の上に立ってる。」

悟空「まだまだ連れて来るから兄ちゃん達そこに居ってくれよ!たれぞう!行くで!」

「ヒヒーン!」

 

悟空とたれぞうは高速で劉玄丸に戻って行った。

 

「くぁwせdrfgyふじこlp」

 

親のモスマン達も悟空達の後を追って飛んで行った。

 

「なんだったんだ…。喋るだけ喋って行ってしまった…。ソースの事しか話していないし…。」

「ノブナガさん、あのフェリーもうすぐ100海里を越えます!」

ノブナガ「トシイエ、それがどうしたんだよ。」

「船舶免許持っているが俺だけなんで俺達は100海里以上は行けないのですよ!」

ノブナガ「ああ、デブの探偵にメールで船を止めてくれって言っているからそのうちに止まるから大丈夫だよ。」

「メールですか?いつ聞いたのですか?」

ノブナガ「あいつ等がアスラ組の幹部と戦っていた時にノートパソコンをちょちょっとな、拝借したんだよ。」

「ノブナガさん、犯罪ですよ…。」

 

 

 

その頃、中島は弓子達と合流するために船内に乗り込んでいた。

 

パスカル「ナカジマ シタダ!」

 

船内の階段を降りて中央のエントランスに向かうと弓子達と合流した。

 

中島「弓子さん、みんな!」

弓子「おう中島か、愚図の割りには早かったな。あたし等も群がる雑魚共を倒した所だ。」

 

辺りを見るとアスラ組の悪魔達がみんな倒されている。

ユウガットメール!突如中島の持つ悪魔召喚プログラムが鳴り響く。

 

中島「メールなんだな。」

弓子「どうせお前に来るメールは迷惑メールくらいだ。後にしろ。」

 

中島はメールを開いた。

 

『お前達の脱出用に遊覧船でそっちに向かっている。追い付けなくなるから船を止めてくれ。

 

 

イケメンおもてなし武将隊 織田 ノブナガ』

 

メールの相手はおもてなし武将隊のノブナガからだった。

 

中島「どうして?僕はメールアドレス交換していないのに…。」

ティンク「あっ、そういえばノブナガさん、中島があのバロールと戦っている時に悪魔召喚プログラムをいじっていたよ。」

弓子「なんだ?説明しろ中島。」

中島「ノブナガさん達が僕達を助けに来てくれているんだな。」

ユキムラ「ノブナガさんが?」

タダカツ「彼等はアスラ組とは無関係だったはずです。それにユキムラはともかく中島殿達は交流がなかったはずですが。それがどうして…。」

中島「それは…。」

 

中島は昼間名古屋城での出来事を洗いざらい説明した。

 

タダカツ「なんと…。アスラ組が…。」

中島「うん…。」

タダカツ「で、ユキムラは我々の正体を話したと?」

ユキムラ「そうさ…。言い逃れは出来なかったからね。」

タダカツ「そうですか…。彼等との時間は結構気に入っていたのですが…。残念ですね…。」

中島「タダカツ…。」

タダカツ「中島殿が気にやむ事ではありませんよ。いずれはこうなる事は分かっていましたので。」

中島「でも、ノブナガさんは…。」

 

pipipipipipi今度は弓子の携帯が鳴り響く!

 

弓子「今度はなんだよ。」

 

弓子は電話をとる。

 

弓子「もしもし?」

『探偵さん!無事ッスか?』

弓子「おう!したっぱか!この白鷲 弓子様がアスラ組の悪魔共に遅れをとる訳ないだろ!」

『無事でよかったッス!みんな一緒ッスか?』

弓子「ああ!みんな一緒だぜ!」

『タダカツって人もいるッスか?』

弓子「?ああ、居るけど。」

『ちょっと今、自分と一緒に居るノブナガって人が話があるから代わって欲しいッス。』

弓子「ああ、ちょっと待ってろ。」

弓子「タダカツ、出ろ。さっき言ってたノブナガからだ。」

タダカツ「え、ええ。これはどうしたら?」

弓子「こうやって耳をあてて話すんだよ。」

タダカツ「わ、分かりました。もしもし?」

ノブナガ『タダカツ、デブの探偵へメールを送ったのは届いているな?』

タダカツ「デブの探偵…。中島殿の事ですね。はい。」

ノブナガ『ユキムラからお前の事も聞いた。スサノオだってな。』

タダカツ「は、はい。しかし、それを知って何故?」

ノブナガ『お前は俺達の仲間だ。助けに行くのは当たり前だろ。』

タダカツ「しかし、私達は悪魔であって…。貴方達を騙していた事になるのですよ!それなのに!」

ノブナガ『お前がそう言うことを気にするだろうと思って電話しているんだ。いいか?俺達が迎えにいくから必ずアスラ組を倒してこい!来週はイケメンおもてなし武将隊が全員集合の日だ。分かったな?必ずだぞ?』

タダカツ「分かりました。」

ノブナガ『よし、女探偵と代わってくれ。』

タダカツ「はい。弓子、ノブナガさんです。代わってくれと。」

 

タダカツは弓子に携帯を返す。

 

弓子「もしもし?なんだ?」

ノブナガ『探偵、本来ならちゃんと挨拶をしないといけないが緊急でこんな形になってすまないな。』

弓子「ああ、こっちこそバカのユキムラが迷惑かけているから何処かでちゃんと挨拶しないとって思っていた所だったんだけどな。こんな事情だからこっちから行く事も出来なくてな。」

ノブナガ『そりゃそうだな。うちの悪魔がお世話になっております。なんて言えねえわな。』

弓子「まあな。色々迷惑かけてすまねえな。」

ノブナガ『お互い様だ。今、海を走る馬と雲に乗った猿の悪魔が他の人質を回収しているから1度は戻る事になると思う。だからお前達の脱出は最後になるがいいか?』

弓子「ああ、構わない。」

ノブナガ『最後にタダカツを頼む。アイツは真面目過ぎて思い悩む所がある。』

弓子「よく分かっているな。また後でな。」

ノブナガ『ああ、これが終わったら軽く飲みにでも行くか?』

弓子「一丁前にこの白鷲 弓子様を口説こうとはいい度胸だな?考えといてやる。」

ノブナガ『ハハハ!また後でな。』

 

弓子は電話を切った。

 

弓子「操縦室と客室とが方向が正反対だな。」

パスカル「シタニツヨイアクマイル!」

弓子「そうか、そいつがカンセイテイクンだな。よし、タダカツ。お前とクソダルマで操縦室に行って船を止めろ。」

タダカツ「私がですか?」

弓子「ああ。中島、お前はユキムラとメルコムを連れて船室を片っ端から調べて人質の救出だ。デスメル、中島に付いてやってくれ。」

中島「分かったんだな…。」

デスメル「白鷲さんは?」

弓子「あたしは下に降りて悪魔共をぶっ飛ばすだけだ。バカ犬、案内しろ。」

パスカル「オレサマ マカセル!ノレ!」

タダカツ「弓子、美味しい所を一人占めするつもりですか?」

弓子「なんだよ、さっさと船を止めて来たら大将首は譲ってやるよ。それで文句無いだろ。」

タダカツ「分かりました。ジャック、急ぎましょう。」

ジャック「ヒーホー!この偉大なるジャックフロスト様に任せると良いぞ!」

タダカツ「ジャック、直ぐにお調子に乗るのは貴方の悪い癖ですよ。急ぎましょう。」

 

ジャックとタダカツは急いで操縦室に向かっていった。

 

弓子「よし、バカ犬!行くぞ!」

パスカル「シッカリツカマレ!」

 

弓子は巨大化したパスカルに乗り階段を降りて行った。

 

デスメル「白鷲さん…。」

中島「さぁ、僕達も急ぐんだな。」

ユキムラ「そうだね。」

デスメル「やっぱり無茶だ。白鷲さんを助けに行かないと。」

中島「今行ったら駄目なんだな。」

デスメル「中島君!君達は白鷲さんがどうなってもいいって言うのかい!?」

ティンク「違うよ。」

デスメル「だったら!」

中島「僕達のする事は人質の救出する事なんだな。」

デスメル「中島君!」

ティンク「弓子は人質のみんなを助け出す為に敢えて敵の所に行ったんだよ。」

ユキムラ「弓子を助けに行くには先に人質の救出しないといけないのさ。」

デスメル「それは…。」

中島「弓子さんは…。僕達を信頼してくれているんだな。だから弓子さんの期待に応える為にも僕達は出来る事をしないといけないんだな。」

ティンク「それに今、弓子の手助けなんか行ったら怒られちゃうよ?お前ら愚図がこの白鷲 弓子様を助けようなんて随分偉くなったなぁ、ええ!って感じにね。」

ユキムラ「たしかに言えるね。」

メルコム「前方から来ます!」

 

話し込んでいた中島達にアスラ組の組員達が襲いかかってくる。

が、デスメル刑事が素早くアスラ組の組員の足を撃ち抜き動きを止める。

 

「ぐああああ!いきなり撃ち抜きやがった!」

「くそがああああ!」

デスメル「行こう。人質を助けに!」

中島「凄いんだな…。一瞬で銃で撃ち抜いたんだな…。」

ティンク「凄い…。」

メルコム「デビルサマナー、人質の救出に急ぎましょう。」

ユキムラ「君が言うと一気に胡散臭くなるね…。さあ!このイケメンである僕にみんなついてきたまえ!」

 

ユキムラを先頭に中島達は客室へ向かって走り出す。中島達は客室を一つ一つ開けて中に誰も居ないか確認していく。

 

中島「ツーリストの部屋には誰も居ないんだな…。」

ユキムラ「こっちも誰も居ないよ。」

デスメル「ツーリストの部屋が居ないとなると雑魚寝の2等席だよ。1つ下の階だ、急ごう。」

 

中島達は階段を1つ降りる。

階段を降りるとアスラ組と思われる一人の男と遭遇した。

 

「何者!?」

ユキムラ「ハハハ!僕はイケメンおもてなし武将隊の真田 ユキムラさ!」

「お前達が我が主に仇なすデビルサマナーと言う輩であるな?」

ユキムラ「何者だい?今までのアスラ組の連中とは少し違うね?」

「お前達、悪党に語る名など無い!」

 

男は持っている槍をユキムラに突きつける。が、ユキムラは何なりとかわす。

 

ユキムラ「僕達が悪党だって?ハハハ!バカを言ってはいけないね。僕達は君達が拐った女の子達を助けに来た言わばヒーローなのさ!」

「何!?」

ユキムラ「マスター、ここは僕が食い止める。先に人質を助けに行ってくれるかい?」

中島「ユキムラ?」

デスメル「ユキムラ君?」

「この趙雲紫龍が、易々と敵を逃すと思うのか?」

ユキムラ「だから、このイケメンである僕が相手をするのさ。」

ティンク「中島、行こう。」

中島「でも…。」

メルコム「ここに我々が留まっていたらクーフーリンの戦いの妨げになります。」

中島「わ、分かったんだな…。人質を救出したら必ず戻って来るんだな。」

「行かすと思っているのか!」

 

男が槍を中島に突きつけようとする!

 

ユキムラ「『ブリューナク!』」

 

ユキムラが魔法で槍を造り男の槍を受け止める!その隙に中島達は人質を救出に走り去った。

 

「くっ!我が槍を受け止めるとは。」

ユキムラ「ハハハ!大いなる意志の無い君の攻撃なんてこのイケメンである僕には効かないね!」

「貴様、名を名乗れ。」

ユキムラ「なんだい?初めに聞いていなかったのかい?」

「貴様等など瞬殺できると思っていたからな。仕切り直しだ。」

ユキムラ「そうかい、では改めて。それがしは!イケメンおもてなし武将隊の真田 ユキムラ!この真田の六文銭を怖れぬならばかかって来るがよい!」

「真田 ユキムラ…。我こそは趙雲紫龍!我が主、劉備玄徳に仇なす者!この趙雲紫龍の槍さばき、とくと味わうがよい!」

 

英傑 趙雲紫龍が現れた!

 

ユキムラ「趙雲紫龍…。まさかカンセイテイクン以外にまだ三國志の英雄がアスラ組の中にいたんだね。」

趙雲「趙雲紫龍!参る!」

 

クーフーリンと趙雲紫龍の壮絶な戦いが幕を開けた!



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劉玄丸船内戦 中編

その頃、ジャックとタダカツは操縦室にたどり着いた。そのまま扉を開ける。

 

「なんだ?おめえだち、勝手に入ってきたらダメだぞ!」

 

1匹の2m近くの大男の悪魔が船を操縦している。

 

ジャック「なんだ?お前が運転しているのか?」

「そうだぞ。おでがティターン様に任されて運転しているだぞ!」

タダカツ「って言う事はアスラ組の悪魔ですね?」

「アスラ組?なんだそれ?おめえだちはだれだぁ?」

ジャック「ヒーホー!オイラは偉大なる悪魔、ジャックフロスト様だぞ!」

「そーかー、おではジャイアントって言うだぁ!よろしくなぁ!」

タダカツ「ジャイアント、貴方を倒して船を止めさせていただきます!」

「なんだぁ?こんな所で船を止めたらダメだぞ!」

タダカツ「問答無用、参る!」

ジャック「タダカツ、ちょっと待つんだぞ!」

 

ジャックはジャイアントに攻撃をしようとするタダカツを止めにはいる。

 

タダカツ「何を?」

ジャック「ここはオイラに任せるんだぞ。お前、船の操縦上手いのか?」

「おで、船の操縦得意だぞぉ!」

ジャック「じゃあ1度、岸に戻ってくれよ!」

「何でだぁ?さてはおめぇ、何か忘れ物をしたのかぁ?」

ジャック「え?ええっと、そう!オイラ、かき氷をつくる機械を忘れたから取りに戻らないとダメなんだぞ!」

「そうかぁ、わかっだ!1回Uターンして岸に戻るぞぉ!おめぇ、今回だけ特別だぞぉ!」

ジャック「ヒーホー!助かったぞ!」

 

ジャイアントは船をUターンさせて岸に向けて船を発進させた。

 

タダカツ「なっ!こんな簡単に!?」

ジャック「上手くいったぞ。」

「おめぇ、かき氷ってなんだぁ?」

ジャック「かき氷はオイラの大好物なんだぞ。」

「食い物か?おでも食ってみたいぞ!」

ジャック「今度、オイラが作ってやるから一緒に食べるぞ。」

「そうがぁ。おめぇ良い奴だな。おで、おめぇの事、気に入ったぞぉ。」

ジャック「ヒーホー!オイラもお前とは仲良くできそうだぞ。」

 

ジャックはジャイアントと意気投合して楽しく話をしている。

 

タダカツ「ジャック、少しこちらに…。」

ジャック「なんだ?」

 

二人の様子を遠目で見ていたタダカツはジャックを自分の近くに呼び寄せる。

 

タダカツ「あの者はアスラ組の悪魔なのですよ?」

ジャック「ん?なんか悪い奴じゃなさそうだぞ。」

タダカツ「敵は直ぐに倒すべきです。」

ジャック「だったら友達になったら敵じゃなくなるから倒さなくて良いぞ。」

タダカツ「いやいや、そんな事が…。」

 

タダカツがジャックと話し込んでいるとジャイアントが呼び掛ける。

 

「おめぇ、なにしでるだ?」

ジャック「ヒーホー!直ぐにそっちに行くぞ!」

タダカツ「ジャック!」

ジャック「この偉大なるジャックフロスト様に任せると良いぞ。」

タダカツ「はぁ。」

 

ジャックはジャイアントの所に戻り再び話を始めた。

 

ジャック「なぁ、お前は何でアスラ組にいるんだ?」

「おで、ティターン様に従って船を操縦しでいる。それ以外は知らないだ。」

ジャック「じゃあ、アスラ組が何をしているか知らないのか?」

「ティターン様、何も教えでくれないだ。」

ジャック「アスラ組は町の人達を誘拐しているんだぞ。」

「誘拐?」

タダカツ「ええ、そのほかに恐喝、窃盗、そして誘拐した女性を売り飛ばす為にこの船は中国大陸に向かっています。」

「おめぇ、話が難しい。おで、分からない。それになんかおめぇ顔が怖い!」

ジャック「タダカツ、オイラが喋るからあっちに行ってろ!」

 

話に割って入ったタダカツはジャックに端に追いやられてしまった。

 

タダカツ「理不尽だ、何故私がこんな目に…。」

 

ジャイアントはジャックに質問する。

 

「なぁ、誘拐ってなんだぁ?」

ジャック「誘拐ってのはな…。その人が大事に思っている人を連れて行く事だぞ。」

「???」

ジャック「お前も友達とか兄弟とかが勝手に連れて行かれたら嫌だろ?」

「???」

 

ジャイアントは理解できていない。

 

ジャック「簡単に言うと悪い事だぞ。」

「悪い事、それ分かる。悪い事したらダメ。」

ジャック「アスラ組はその悪い事をしているんだぞ。」

「おで、その誘拐ってやつやってない。ティターン様、国造る為に女いるって言ってた。」

ジャック「お前、そのティターンって奴に騙されているぞ。勝手に人を連れて行ったら駄目なんだぞ。」

「そうがぁ。おめぇ物知りだな!」

ジャック「なぁ、そのティターンって奴の言うことなんて止めてオイラ達に協力してくれよ。」

「わがった。いいぞ。あの後ろにいる奴もおめぇの仲間か?」

ジャック「そうだぞ。」

「なんか、あいつは怖いからおで嫌だな。」

ジャック「ヒーホー!あいつはオイラの後輩にあたるから大丈夫だぞ!」

 

後ろで聞いていたタダカツが急に声をかける。

 

タダカツ「ジャック、いつ私が貴方の後輩になりましたか?」

ジャック「何を言ってるんだ?最初からだぞ。お前、1番最後に中島の仲魔になったじゃないか。」

タダカツ「いや、確かにそうですが…。」

ジャック「中島の仲魔になったのはオイラが1番最初だぞ。」

タダカツ「え?ティンクではないのですか?」

ジャック「オイラだぞ!」

タダカツ「初めて知った…。意外です。」

「おめぇ達、後20分ぐらいで着くがらな。」

ジャック「ヒーホー!ありがとうな、ジャイアン!」

「ジャイアン?おではジャイアントだぞぉ!」

ジャック「ヒーホー!ジャイアントは長いから省略してジャイアンだぞ!」

「ぞうがぁ!ジャイアンかぁ!おで気に入ったぞぉ!」

タダカツ「戦わずに事が進むなんて…。」

ジャック「ヒーホー!タダカツは戦う事しか考えないのは悪い癖だぞ!オイラのように柔軟で偉大にならないと駄目だぞ!」

タダカツ「納得がいかない…。」

 

 

 

その頃、弓子は更に下の階に降りて船内駐車場までたどり着いた。

 

弓子「高そうな車が結構あるな。フェラーリにポルシェになんだ良くわからねえけどスポーツカーか?」

???「ランボルギーニだ。勝手に触るなよ?」

弓子「誰だ!」

ティターン「我はアスラ組の大幹部ティターン。女、ここまでたどり着いたことは褒めてやる。」

弓子「ちっ、外れか。」

ティターン「何?」

弓子「あたしはカンテイセイクンに用がある。三下の雑魚は引っ込んでいな!」

ティターン「雑魚だと!我を愚弄するとは良い度胸だな、ええ!」

パスカル「ユミコ コノオクニイル!」

弓子「ああ、分かってるよ。ここまで来たらあたしでも気配で分かる。」

パスカル「オレサマ マカセル!イケ!」

弓子「バカ野郎、あたし達はまずコイツ等を上に行かせない事だ。カンテイセイクンはその後でいい。おい!車の影に隠れている雑魚共!全員出てこい!」

ティターン「気づかれていたのか。」

弓子「テメエの様な三下の雑魚の考える事なんてお見通しなんだよ。良いから出てこい!この白鷲 弓子様がまとめて相手をしてやるよ!」

 

車の影に隠れていたアスラ組の組員達が次々と出てきた。そして、ティターンの居る後方から強い殺気を放ちながら何者かが出てきた!

 

???「白鷲 弓子とか言ったな?拙者に何用だ。」

ティターン「カ、カンテイセイクン様!何故こちらまで!」

カンテイセイクン「いちいち貴様に説明をする理由があるのか?」

ティターン「い、いえ…。」

 

弓子は有無を言わさず突進していきカンテイセイクンめがけてティオヨプチャギを放つ!

 

カンテイセイクン「ぬぅ!」

 

カンテイセイクンは弓子の放つ攻撃を受け止める!

弓子は透かさず体勢を立て直しバックステップで距離をとる!

 

ティターン「カンテイセイクン様!女!貴様!」

カンテイセイクン「白鷲 弓子、拙者に不意打ちが効くほど隙があると思ったか?しかし、中々の蹴り技だ。褒めて使わそう。」

弓子「まあ、手加減してやったからな。カンテイセイクンあたしと勝負しろ!」

カンテイセイクン「フフフ、ハハハハハ!勝負しろとな。」

弓子「何が可笑しい!」

カンテイセイクン「フフフ、いやいや失敬。拙者に一騎討ちを申し込む者がまだいたことが嬉しくてな。昔に顔良を一騎討ちで切り捨てた時ぐらいからか、誰も一騎討ちを挑んでは来なくなったのでな。」

弓子「ガタガタ言ってないでかかってきな!」

カンテイセイクン「面白い!」

 

カンテイセイクンも戦う気になったのか

武器を手に取り構える。

 

カンテイセイクン「!!」

ティターン「!!」

弓子「!!」

パスカル「!!」

 

そのとき船が大きく揺れた!

 

ティターン「なんだ!」

弓子「お、おえっ…。」

カンテイセイクン「ティターン、ここは任せる。船が引き返している。」

ティターン「自分の部下に船を操縦させているので自分が見に行きます。」

カンテイセイクン「拙者はここを任せると言った。」

ティターン「しかし!」

カンテイセイクン「1番重要な事は蜀に行く事だ。貴様ごときが意見を言うな。」

弓子「おおっと、カンテイセイクン。この白鷲 弓子様がおめおめと逃がすと思っているのか?」

カンテイセイクン「お前の相手をする暇はなくなったのでな。」

弓子「テメエの事情は知らねえな。来ねえならこっちから行くまでだ!」

 

弓子はカンテイセイクンめがけて突進していく!

 

カンテイセイクン「青龍円月刀!死ね!」

 

カンテイセイクンが青龍円月刀で突進してくる弓子を斬りかかる!

 

パスカル「!!ユミコ!」

 

パスカルが弓子を庇い致命傷を被った!

 

弓子「おい!バカ犬!何してるんだ!」

パスカル「ユミコ…。ブジカ…。」

弓子「バカ野郎!!」

パスカル「オレサマ…。スコシヤスム」

 

パスカルは静かに倒れた。

 

カンテイセイクン「後は、白鷲 弓子ただ一人だ。全員でかかれ。」

 

カンテイセイクンはそう言うと上の階段を上って行った。

 

弓子「待ちやがれ!」

カンテイセイクン「仮にそいつ等を倒せたら後で相手になってやる。お前達!かかれ!」

ティターン「よ、よし、全力でかかれ!」

 

周りに居るアスラ組の組員が悪魔の姿に変わっていく!

 

モムノフが3匹現れた!

マカーブルが2匹現れた!

ウェンディゴが5匹現れた!

魔神ティターンが現れた!

 

モムノフが一斉に弓子に襲いかかる!

 

弓子「どきやがれ!!」

 

弓子の攻撃!

向かって来るモムノフに胴にヨプチャギをヒットさせる!続けて渾身のパンダルチャギをこめかみにあてる!

思いっきり吹き飛ばしモムノフを倒した!

モムノフの攻撃!

手に持つ鋼鉄の棒で弓子に突きにかかる!

しかし、弓子は棒を始点に体を回転させて渾身のティッチャギを腹にめがけて放つ!

モムノフはマトモに喰らい腹をおさえて踞る。

弓子の攻撃!

踞ったモムノフめがけてネリチャギをおみまいする!

モムノフを倒した!

残った1匹のモムノフは弓子に恐れて戸惑っている。

 

弓子「なんだ?来ねえならこっちから行くぜ!」

「なんなんだこの女は!」

 

弓子の攻撃!

全速力で突進してモムノフにターンチャギを放つ!

 

「ぐわっ!」

弓子「まだだ!コイツを喰らいな!」

 

弓子の攻撃!

連続の蹴り技がモムノフに炸裂する!

モムノフを倒した!

その隙にマカーブルが手に持つ死神の鎌でパスカルの首を当てて叫ぶ。

 

「女!貴様の犬の首を切り落とされたくなかったら大人しく…。って何処だ!」

弓子「こっちだ死神野郎、死ね!」

 

弓子はマカーブルの真横に回り込んでいる。

弓子の攻撃!

パスカルの首に当てている鎌を蹴り上げそのまま鎌を取り上げる!

 

弓子「アスラ組か。本当にくだらねえ奴等だな。」

 

弓子の攻撃!

パンダルチャギでマカーブルの頬を蹴りあげる!ふらつくマカーブルに追撃のミルギで蹴り倒した!

 

弓子「次はテメエだ。」

 

弓子の攻撃!

マカーブルに突進してティオヨプチャギを喰らわせる。

 

「ぐわっ!おのれ~!」

 

マカーブルは鎌を構える!

 

弓子「そんな使いにくい武器が役にたつか!『アギ!』」

 

弓子はアギを唱えた!

マカーブルの鎌の持ち手に火の玉が襲う!

マカーブルは思わず鎌を落としてしまう!マカーブルが慌てて鎌を拾おうとしゃがむ所に弓子は待ち構えていた!

 

弓子「とどめだ。」

 

弓子の攻撃!

渾身のネリチャギがマカーブルの頭をかちわった!

マカーブルを倒した!

ティターン「たった一人に何をしている!殺れ!」

弓子「偉そうに命令していないでテメエがかかってこいよ木偶の坊が。」

 

ウェンディゴが1匹弓子に近づき掴みかかる!

 

弓子「おおっと、掴まれたらヤバイな。『アギ!』」

 

弓子はアギを唱えた!

近づいてきたウェンディゴに火の玉が襲いかかる!

ウェンディゴは思わず怯んで距離をとる!

弓子の攻撃!

怯んだウェンディゴにアプチャギ、ヨプチャギ、延髄蹴りと連続技を決めていく!

ウェンディゴを倒した!

 

「『ブフーラ!』」

「『ブフーラ!』」

「『ブフーラ!』」

 

ウェンディゴはブフーラを唱えた!

ウェンディゴはブフーラを唱えた!

ウェンディゴはブフーラを唱えた!

複数の氷の刃が弓子に襲いかかる!

しかし、間一髪で弓子は氷の刃をかわした!

 

ティターン「犬の方を狙え!」

「『ブフーラ!』」

 

ウェンディゴはブフーラを唱えた!

氷の刃がケルベロスに襲いかかる!

 

弓子「しまった!」

パスカル「ムダダ」

 

ケルベロスはファイアブレスを吐いた!

襲いかかる氷の刃を溶かしてそのままウェンディゴを焼き尽くした!

 

弓子「バカ犬!お前…。」

パスカル「オレサマ タベタラゲンキ!」

 

ケルベロスの周りを見ると倒したマカーブルが無惨に食い散らかされていた。

 

弓子「バカ犬、テーブルマナーがなっていねえな。今度この白鷲 弓子様が直々に叩き込んでやるよ。」

パスカル「オレサマ ソレ イラナイ」

ティターン「犬が復活した!?」

パスカル「オレサマ ムテキ!」

 

上の階から見慣れた連中が降りてきた。

 

悟空「おっ?白鷲 弓子やんけ。」

弓子「なんだお前等かよ…。まあ良いや、形勢逆転だな木偶の坊。」

ティターン「なんだ貴様等は!」

佐野警部「ゴレンジャーや。」

 

四人しかいない。

 

八戒「白鷲 弓子、こっちもアスラ組の幹部を倒して来たから援護に来たで。」

佐野警部「ワシ等にかかれば大したこと無かったけどな。」

カシマさん「えー、おっちゃんだけ石にされてたじゃん。」

悟空「汚い石像にされてたからもう少しで海に投げ捨てる所やったもんなぁ。」

佐野警部「誰が汚いねん!」

弓子「お前等、遊びに来たんなら帰れよ。」

八戒「よっしゃ、帰るでえって…。」

八戒 悟空 佐野警部 カシマさん「なんでやねん!」

弓子「面倒臭え…。また何か増えてるし…。」

ティターン「石像にされてた?まさか?お前達、メデューサを倒したって言うのか?」

八戒「そうや、まあ殺ったんは千枝ちゃんやけどな。」

カシマさん「これ、引きちぎった証拠の足!」

ティターン「そんな…。まさか…。」

悟空「お前も腹をくくれや。」

ティターン「ウェンディゴ!かかれ!」

 

ティターンの号令で生き残っているウェンディゴ達が一斉に襲いかかる!

 

「ガアアアアア!」

カシマさん「ねえ?足いる?」

「ガア?」

カシマさん「要らないのならその足もらうね?」

 

カシマレイコの攻撃!

ウェンディゴの足を掴み力任せに引きちぎった!

 

「ガアアアアア!」

八戒「ワイ等大阪の悪魔を舐めるんやないでぇ!」

 

カマアププの攻撃!

繰り出す拳のラッシュがウェンディゴの次々とヒットさせる!

カマアププの攻撃!

ラッシュをもろに喰らいふらつくウェンディゴの背後に回り込みスリーパーホールドで締め上げた!

ウェンディゴを倒した!

 

悟空「かかって来いや。」

「ガ、ガアアアアア!」

 

ウェンディゴの攻撃!

ウェンディゴはショルダータックルで斉天大聖に襲いかかる!

 

悟空「うお!コイツ!」

 

斉天大聖はショルダータックルを喰らいダウンした!

 

悟空「中々やるやんけ!今度は俺様の番や!死にさらせや!いでよ!如意棒!」

 

斉天大聖の攻撃!

取り出した如意棒でウェンディゴを滅多うちにした!

ウェンディゴを倒した!

 

「ガアアアアア…。」

 

足を引きちぎられたウェンディゴが必死に立ち上がろうとする。

 

佐野警部「もうお前は助からん。大人しく死んどけや。」

 

佐野警部は立ち上がろうとするウェンディゴの眉間を拳銃で撃ち抜いた!

ウェンディゴは倒れた!

 

ティターン「まさか…。一瞬で…。」

弓子「覚悟しな木偶の坊!」

ティターン「ちくしょうー!」

 

ティターンは逃げ出した!

ティターンは・・・・・・

 

 

 

 

 

転けた!

 

弓子「おいおいおいおい、手下に戦わすだけ戦わせてテメエだけ逃げようだなんてちょっと虫が良すぎじゃねえのか?ええ!」

ティターン「戦える奴は全員出てこい!王の元にコイツ等を行かせるな!」

 

奥から悪魔の軍勢が出てきた!

 

ラクシャータが7匹現れた!

オニが6匹現れた!

モムノフが5匹現れた!

 

弓子「またかよ。」

ティターン「我は王をお守りする!お前達はそいつ等を食い止めろ!」

佐野警部「白鷲 弓子!行け!そいつを逃がすな!」

八戒「白鷲 弓子、雑魚はワイ等に任せとけ!」

弓子「…。」

パスカル「オレサマ ヘイキ!ユミコ イケ!」

八戒「お前は休んどけ。そのケルベロスのことはワイ等に任せとけばええ!」

弓子「すまねえ!」

 

弓子はケルベロスを佐野警部達に任せて逃げるティターンを追いかける!

 

ティターン「クソッ!追ってきやがる!『サバトマ!』行け!ツチグモ!」

 

ツチグモが現れた!

 

ティターン「ツチグモ!あの女を食い止めろ!」

カシマさん「足が8本もある!引きちぎり放題だぁ!」

 

カシマレイコがツチグモに襲いかかる!

 

弓子「なんなんだよあの女は…。まあ良いや。任せて追いかけるか。」

 

弓子は逃げるティターンを追い詰めた!

 

弓子「もう鬼ごっこはお仕舞いだ。テメエも幹部だったら最期くらい覚悟を決めてかかってきな!」

ティターン「ちくしょう!せっかく劉備玄徳にすり寄って美味しい思いができると思っていた矢先にこんな事に巻き込まれるなんて…。」

弓子「呆れて物も言えねえ。やっぱり1番のハズレくじを引いてしまったな。しかたない瞬殺させて、奥の親玉でもぶっ飛ばすか。」

ティターン「そ、そうだ!特別に奥に行かせてやるから我だけでも見逃して…。」

弓子「もう何も語るな、死ね。」

 

弓子の攻撃!

ヨプチャギ、パンダルチャギ、ティチャギ、ヨプチャギ、アプチャギ、ミルギ、ネリチャギ、アッチャオルギ、次々と蹴り技を決めていく!

弓子の攻撃!

ダウンしたティターンを無理矢理立たせて再度蹴り技を決めていく!

 

ティターン「…。」

 

ティターンは静かにダウンした。

 

弓子「ちっ、お仕舞いか。」

 

弓子は奥に進もうと歩き出すとティターンがふらつきながら静かに立ち上がり不意打ちを仕掛けようしている。

 

弓子「どこまでもくだらねえ奴だ。」

 

弓子の攻撃!

振り向き様にティターンにティットラチャギが炸裂する!

ティターンを倒した!

 

弓子「行くか。」

カシマさん「ねえ、そいつまた死んだふりしているかも知れないよ?」

弓子「蹴りの入り方から起き上がる事はねえ。この白鷲 弓子様がそんなへまをするか。」

カシマさん「ふーん。じゃあ足を引きちぎって確かめてみようっと。」

 

カシマレイコの攻撃!

死んでいるティターンの足を引きちぎった!

ティターンは微動だにしない…。

 

カシマさん「本当だ。死んでいるね。」

弓子「お前、戦っていた蜘蛛の悪魔はどうしたんだ。」

カシマさん「全部足を引きちぎったよ。」

 

見るとツチグモが頭と胴体だけになりもがき苦しんでいた。

 

弓子「マジかよ…。まあ良いや。あたしは親玉を倒しに行くからな。」

 

弓子は一人で奥に進んでいく。

 

 



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劉玄丸船内戦 後編

カンテイセイクンが近づいているとは知らずにジャックはジャイアントと仲良く話をしている。

突如操縦室の扉が開きカンテイセイクンが中に入ってきた!

 

カンテイセイクン「何をしている。」

「なんだあ?おめえ、勝手に入ってきだらダメだぞお。」

カンテイセイクン「何故引き返してる!」

ジャック「お前何者だ?」

カンテイセイクン「どけ。」

 

カンテイセイクンは前に出てきたジャックを蹴り飛ばす!

 

ジャック「ヒーホー…。」

「おめえ、いぎなりなにするんだ!」

カンテイセイクン「貴様、ティターンの部下だな。船を蜀の国に戻せ。」

「おで、もうティターン様の言うこと聞かないだ!ティターン様だぢ悪いやつ、おで、悪いやつの言うこと聞かない!」

タダカツ「!!まずい!」

カンテイセイクン「主である劉備玄徳に従わぬ者は死あるのみ!」

 

カンテイセイクンがジャイアントを青龍円月刀で切り捨てた!

 

タダカツ「な!太刀筋が見えなかった!まさか…。貴方は…。」

「…。」

 

ジャイアントは静かに倒れた!

 

ジャック「ジャイアン?ジャイアン?しっかりするんだぞ!」

「…。」

カンテイセイクン「船が大分戻されているな…。」

 

カンテイセイクンは操舵に結界をかけて船の進路を戻して魔力を込める。

 

カンテイセイクン「これで蜀の国まで自動でたどり着く。それでは戻るか。」

タダカツ「ま、待ちなさい!」

カンテイセイクン「拙者はお主の相手をしている暇はない。」

ジャック「ヒーーーーーーホーーーーーー!!よくも!ジャイアンを!お前!絶対に許さないぞーー!!」

 

ジャックはカンテイセイクンの不意をつき顔面を思いっきり殴り付ける!

 

カンテイセイクン「この雑魚があああ!拙者に喧嘩を売るとは死にたいようだなあ!」

 

鬼神カンテイセイクンが現れた!

 

タダカツ「ジャック!いけません!その者はカンテイセイクンです!貴方の勝てる相手じゃありません!」

ジャック「ヒーーホーー!!関係無いぞお!『ブフーラ!』」

 

ジャックフロストはブフーラを唱えた!

氷の刃がカンテイセイクンを襲う!

 

カンテイセイクン「ふん、下らん!」

 

カンテイセイクンは青龍円月刀で氷の刃を弾き飛ばす!

 

ジャック「『ブフーラ!』」

カンテイセイクン「何!?」

 

ジャックフロストはカンテイセイクンの真横でブフーラを唱えた!

氷の刃がカンテイセイクンの横腹に突き刺さった!

 

カンテイセイクン「ぐっ!」

ジャック「『ブフーラ!』」

 

今度はカンテイセイクンの真後ろからブフーラを唱えた!

氷の刃がカンテイセイクンの背中に突き刺さった!

 

ジャック「『ブフーラ!』」

ジャック「『ブフーラ!』」

ジャック「『ブフーラ!』」

ジャック「『ブフーラ!』」

ジャック「『ブフーラ!』」

 

ジャックフロストはブフーラを唱えた!

四方八方から氷の刃がカンテイセイクンに襲いかかる!

 

カンテイセイクン「こ、こいつ!」

 

カンテイセイクンはダメージを喰らいながらも氷の刃を弾き飛ばしていく!

 

タダカツ「こ、これは…。」

ジャック「タダカツ、今の内に船を止めるんだぞ。」

タダカツ「ジャック!?カンテイセイクンと戦っているのは?」

ジャック「オイラの雪分身だぞ。」

タダカツ「しかし、そんな子供騙しがカンテイセイクンにいつまでも聞くとは…。」

ジャック「だから今の内にお前が船を止めるんだぞ。」

カンテイセイクン「そこか!」

 

カンテイセイクンの攻撃!

スサノオの隣で話しているジャックフロストを青龍円月刀で真っ二つに切り捨てた!

 

ジャック「残念ハズレだぞ!『マハブフ!』」

ジャック「『マハブフ!』」

ジャック「『マハブフ!』」

ジャック「『マハブフ!』」

 

ジャックフロストはマハブフを唱えた!

氷の礫が四方八方からカンテイセイクンに襲いかかる!

 

カンテイセイクン「何!?手応えはあったはずだ!クソッ!」

 

カンテイセイクンは防御はするが氷の礫を受けきれずダメージを喰らう!

 

ジャック「ヒーホー!これじゃどっちが雑魚なのか分からないぞ!」

カンテイセイクン「拙者を愚弄するな!」

 

カンテイセイクンの攻撃!

青龍円月刀でジャックフロスト達を全て切り払う!

 

ジャック「残念またハズレだぞ!バーカバーカ!」

カンテイセイクン「き、貴様ー!」

 

カンテイセイクンの攻撃!

目に見えるジャックフロスト達を片っ端から切り捨てていく!

 

タダカツ「ジャック!」

ジャック「タダカツ、オイラ達は船を止める事を弓子に任されているんだぞ。」

タダカツ「そ、そうですね…。カンテイセイクンはお任せします。」

 

ジャックフロストは雪分身をカンテイセイクンの周りに作り出す。

 

カンテイセイクン「またか。」

ジャック「ヒーホー!お前はオイラに無様に倒される運命だぞ喰らえ!『ブフーラ!』」

ジャック「『ブフ!』」

ジャック「『ブフ!』」

ジャック「『ブフ!』」

ジャック「『ブフ!』」

 

カンテイセイクンに無数の氷の魔法が襲いかかる!

 

タダカツ「今の内に…。この結界を解いて…。この操舵を動かして…。あっ…。」バキ!

 

力任せに操舵を動かそうとしてへし折ってしまった。

 

ジャック「まだまだいくぞ!『ブフーラ!』」

ジャック「『ブフーラ!』」

ジャック「『ブフーラ!』」

ジャック「『ブフーラ!』」

カンテイセイクン「ふん、下らん!」

 

カンテイセイクンの攻撃!

青龍円月刀でジャックフロストの分身をなぎ倒す!

 

ジャック「またハズレだぞ!」

カンテイセイクン「ほざいていろ。」

ジャック「喰らえ!」

カンテイセイクン「そこか!」

 

カンテイセイクンは頭上に青龍円月刀を突きつける!

 

ジャック「ま、不味いぞ。」

タダカツ「選手交替です。喰らいなさい!」

 

スサノオの攻撃!

スサノオのパンチがカンテイセイクンの頬を捉えて吹き飛ばす!

 

ジャック「タダカツ!助かったぞ!船を止めたんだな?」

タダカツ「いえ…。それが…。」

 

タダカツは折れた操舵を手にとって見せた。

 

ジャック「折ってしまっているぞ。」

タダカツ「すみません…。力を入れたら折れてしまって…。もう船の向きを変える事は不可能です…。」

ジャック「お、お前何をしてるんだよ!この役立たず!」

カンテイセイクン「フフフ、残念だったな。どうやら拙者が細工したからくりに引っ掛かったようだな。」

 

カンテイセイクンは直ぐ様立ち上がる。

 

タダカツ「我々の作戦は見抜かれていたのですか…。」

カンテイセイクン「そう言う事だ。それにこの程度の攻撃では拙者を倒す事は不可能だぞ?」

タダカツ「そうでしょうね。こんな手加減した攻撃で倒れられるとこちらも拍子抜けですからね。」

カンテイセイクン「先程の女といい、貴公達といい、この関羽相手に臆することなく挑んで来るとは天晴れだ、褒めて使わす。」

ジャック「お前はこの偉大なる悪魔ジャックフロスト様に倒される運命なのだぞ!」

タダカツ「ジャック、お待ちなさい。」

ジャック「なんだ?」

タダカツ「こうなったら貴方の氷の魔法で船を止めるしかありません。」

ジャック「は?流石にオイラでも無理だぞ。バカだろお前。」

タダカツ「さっきから何故そこまで言われる…。良いですか?中島殿と合流して練気の剣の力を使うのです。貴方と中島殿の魔力を合わせたら可能です。」

ジャック「…。分かったぞ。本当はオイラがジャイアンの仇を取りたいけどお前は戦い以外役に立たないから今回だけは譲ってやるぞ。」

カンテイセイクン「この拙者を散々侮辱しておいて貴様、行かすと思っているのか?」

タダカツ「カンテイセイクン!貴方の相手はこの私が致します!」

カンテイセイクン「どけ!」

 

カンテイセイクンの攻撃!

青龍円月刀でスサノオに切りつける!

 

タダカツ「貴方の太刀筋は見えています。いでよ草薙の剣!」

 

スサノオは草薙の剣を召喚して青龍円月刀の太刀筋を受け止める!

 

カンテイセイクン「ほう、拙者の太刀筋を受け止めるとは…。しかし我が主、劉備玄徳に逆らう者は死あるのみ!あの女と同じ地獄に落としてやろう。」

タダカツ「何!?まさか弓子が…。」

カンテイセイクン「今頃はティターンとその配下に殺されているだろうな。」

タダカツ「貴方が倒したという訳ではないのですね。それなら安心です。」

カンテイセイクン「何?」

タダカツ「三下の雑魚が束になっても弓子が負ける訳はないからです。今頃そのティターンとやらは弓子に倒されている頃でしょう。そして私の主、中島 朱美に仇なす貴方も倒される運命です。この私の手によって。」

カンテイセイクン「フフフフフ、ハハハハハ!面白い!この関羽雲長を倒すだと?貴様、名を名乗れ!」

タダカツ「我が名はスサノオ、カンテイセイクン!その命もらい受ける!」

 

スサノオとカンテイセイクンの壮絶な戦いが幕を開けた!

 

ジャック「よし、今の内だぞ!」

 

ジャックフロストはこの隙に操縦室から出ていった!

 

カンテイセイクン「待て!」

タダカツ「余所見は禁物ですよ?」

 

スサノオの攻撃!

草薙の剣でカンテイセイクンを切りつける!

カンテイセイクンは避けきれず右肩に傷を被った!

カンテイセイクン「クッ…。」

タダカツ「やはりアスラ組の連中は大した事はありませんね。」

カンテイセイクン「あの小僧の魔法を喰らい過ぎたせいか体の動きが悪い…。」

タダカツ「貴方の負けです。降伏しなさい。」

カンテイセイクン「この関羽雲長を舐めるなー!!」

 

カンテイセイクンは宝玉を使った。

カンテイセイクンの受けた傷は全て回復した!

 

カンテイセイクン「拙者の力を甘く見るなよ。」

 

カンテイセイクンの攻撃!

青龍円月刀を力任せにスサノオの頭上に叩きつける!

しかし、スサノオは間一杯それを避ける!

 

カンテイセイクン「それは読んでいる。今度は貴公が傷を受ける番だ。」

 

カンテイセイクンの攻撃!

叩きつけた青龍円月刀をそのまま横になぎ払う!

スサノオは今度は避けきれず脇腹を切りつけられた!

 

タダカツ「やりますね。」

カンテイセイクン「誰が負けると?降伏するのは貴公の方ではないのでは?」

タダカツ「いいえ、負けるのは貴方達ですよ。」

カンテイセイクン「貴公達は減らず口が多いな。」

タダカツ「理由は多々ありますが強いて言えば3つです。1つ目はアスラ組の貴方達が心優しき我が主、中島 朱美を怒らせた事、2つ目は私が敬愛する弓子が既に貴方達の総大将を倒しに向かっている事、最後に1番の理由はこの私に貴方は倒されるという運命を背負っている事です。」

カンテイセイクン「あの女が我が主を…。まさか…。」

タダカツ「他人の心配よりご自分の心配をするべきですよ?」

 

スサノオの攻撃!

草薙の剣でカンテイセイクンを切りつける!

しかし、青龍円月刀で難なく受け止める!

 

カンテイセイクン「太刀筋が止まって見えるな。」

タダカツ「剣術は得意ではありませんのでね。やはり素手で戦う方がいい。」

 

スサノオの攻撃!

カンテイセイクンの青龍円月刀の持ち手を狙って殴り付ける!

カンテイセイクンの指にヒットさせて青龍円月刀を叩き落とした!

 

カンテイセイクン「グッ…。」

 

スサノオの攻撃!

カンテイセイクンに拳のラッシュをお見舞いする!

カンテイセイクンは捌ききれずに腹に1発、顔面を2発、頬を殴られ吹き飛ばされた!

カンテイセイクンはダウンした!

 

カンテイセイクン「貴公とはもっと戦いを楽しみたいが事情が変わった。あの女を先に倒しに戻ろう。」

タダカツ「この私が貴方をここで取り逃がすとも?」

カンテイセイクン「失礼!」

 

カンテイセイクンは地面の床を叩き割り下の階に落ちていった。

 

タダカツ「しまった!」

「…。」

タダカツ「ジャイアントでしたか。あの攻撃を喰らってまだ息がある…。もしかしたら助かるかも知れないですね。私も1度中島殿と合流しますか。しかし、取り逃がしたとなったらジャックに何を言われるか…。」

 



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蘇りし蜀の英雄達 前編

中島達は2等室のフロアを片っ端から開いていく。

 

中島「誰も居ないんだな…。」

デスメル「中島君、調べていないのは後3部屋だ。急ごう。」

メルコム「まずはこの部屋から開けますよ?」

 

メルコムが雑魚寝の2等室の扉を開ける。中には数十人の女の人達が捕まっていた。見張りのアスラ組の組員達が大声をあげる。

 

「誰だ!!」

デスメル「愛知県警だ!誘拐の現行犯で逮捕する!大人しくしろ!」

「愛知県警だと!?若造!大人しくするのはお前の方だ!」

 

アスラ組の組員達が刃物を取りだそうとする。

 

「こっちには人質がいるん…。」バン!

 

アスラ組の組員達が刃物を女に向けようとした瞬間、デスメルの放った銃弾が刃物を持つ手を撃ち抜いていった。

 

デスメル「恐喝、銃刀法違反も追加だ。」

「ギャアアアア!手がー!テメエ!こんなことをしてただですむと…。」

デスメル「言い訳なら県警本部で聞いてやる。午後8時43分、恐喝、銃刀法違反、誘拐の現行犯、アスラ組の組員2名を逮捕。」

 

デスメルがアスラ組の組員二人に動けないように手錠をかける。

 

デスメル「皆さん、安心して下さい警察です!」

「け、警察?」

「助かるの?」

メルコム「数が多いですね…。彼女達は私の空間転移魔法で港までお送りしましょう。」

 

メルコムは空間に歪みを出した。

 

「今度は何?」

 

人質の女の人達は突然の事で怯えている。

 

メルコム「皆さん、時間がありません。急いでこの空間の中へお入り下さい。」

デスメル「待て、僕も中に入る。」

メルコム「おやおや、貴方は私がまだ信用出来ないとでも?」

デスメル「それもあるけどここの人達の安全のためだ。それにこの二人を捜査4課に引き渡さないといけない。」

メルコム「ホホホ。他人に手柄を譲るのですか?私には理解が出来ませんね。」

デスメル「僕にとっては県警で出世する事なんてどうでも良いことだよ。こんなことをしている間にも白鷲さんは危険な目にあってるかも知れない。」

メルコム「私にはますます理解が出来ません。」

デスメル「皆さん!彼等は警察の協力者です!さぁ!早くこの空間の中へ!私も一緒に同行します!急いで下さい!」

 

デスメルの声で次々と人質の女達は空間の中へ入っていく。

 

デスメル「中島君、僕はこの人達を安全な所に避難させるから1度失礼する。」

中島「あの、メルコムはそんなに悪い悪魔では…。」

デスメル「そう言う事じゃないよ中島君。警察は市民の安全を守る為にいるんだ。だから港までついていく。」

中島「うん。」

デスメル「直ぐに戻って来るから。白鷲さんが心配だしね。」

ティンク「ちょっと待って。『メディア!』」

 

ティンクの回復魔法で手錠のかかったアスラ組の組員の手を回復させた。

 

ティンク「こうしておかないとお兄さん、後で面倒な事になるよ。」

デスメル「あっ、そうだね。ありがとう、行ってくるよ。」

メルコム「後は貴方だけですよ、早くしてください。」

デスメル「分かっている。中島君達も気をつけてね。」

 

デスメルはアスラ組の組員達を引きずって空間の中へ入っていった。

中島とティンクは二人取り残された。

 

中島「さあ、僕達も行くんだな。」

ティンク「うん。」

 

二人はまだ調べていない部屋に向かう。

 

中島「開けるんだな。」

ティンク「中島、気をつけてね。」

 

中島は扉を開けた。中にはアスラ組の見張りが3人と結界の檻にアリス達が入れられている。

 

「誰だテメエは!」

中島「ぼ、僕は中島 朱美なんだな。」

「ああ?」

中島「ぼ、ぼ、僕はそこの3人をた、助けに来たんだな。」

「テメエ、どうやってここまで来た!」

「そんなのはどうでもいい!ぶっ殺してやる!」

中島「き、君達は同じ悪魔の彼女達にどうしてそんな酷い事をするんだな。」

「俺達が悪魔だって事も知っているのか。尚更生かして置けねえな。」

 

アスラ組の見張りの組員達は変装を解いて本性を露にする。

 

ラームジェルグが現れた!

フォーモリアが現れた!

ジャック・リパーが現れた!

 

「死ねー!」

 

悪魔達が突然襲いかかってきた!

 

フォーモリアの攻撃!

フォーモリアが中島に殴り付ける!

中島は不意をつかれてまともに喰らった!

 

中島「うう…。」

 

中島は少しよろけるが直ぐ様体勢を整える。

 

「死にな!」

 

ラームジェルグの攻撃!

ラームジェルグは持っている剣で中島に斬りかかる!

 

中島「れ、練気の剣!」

 

中島は練気の剣を召喚してラームジェルグの攻撃を受け止める。

 

「ヒャハハハハハ!後ろががら空きだぜー!」

 

ジャック・リパーの攻撃!

ジャック・リパーは中島の背後に回り込み持っているナイフで中島の背中を切りつけた!

 

中島「ああああ!」

 

中島は切られた痛みで倒れこんだ!

しかし、気力を振り絞って立ち上がる!

その様子を結界の檻の中でアリス達が見ている。

 

「あれは…。中島 朱美…。どうして?」

「てか、あいつ全然ダメじゃない!あんな雑魚にやられてさ。」

「この結界がなかったら…。」

「あんな雑魚、私の魔法で一瞬で倒せるのに。」

アリス「元はと言えば、あんたが最初に捕まるからこうなったんじゃない。てか、あんたは攻撃魔法使えないじゃない。」

「なんで私のせいなのよ!だいたい、バフォメットが私達をちゃんと守らないから…。」

「違う…。貴女が1番最初にヤクザに突っかかっていった…。」

アリス「それよりあいつ、なんで本気で戦わないのよ。」

「はぁ?あいつはたんなる白鷲 弓子の腰巾着じゃない!」

アリス「違う。あいつの魔力は桁違いに凄いのよ。前にあたしが本気で放った即死魔法が全く効かなかった。」

「ただ耐性があるだけなのじゃ…。」

アリス「人間に即死魔法の耐性はない。だから全く効かないってなるとあたしの魔力の10倍はあると思うのよ。」

「あんたが弱っちいだけじゃないの?」

アリス「あんた、1回死んでくれる?」

「ご、ごめんなさい…。調子に乗りすぎました…。プロ野球チップスあげるから許して。」

アリス「要らないわよ。あんたそれ、いつも部屋にお菓子だけ大量に余っているやつでしょ!」

「あっ…。中島 朱美が危ない…。」

 

中島がゆっくり立ち上がるとラームジェルグが剣を振り上げ中島を攻撃しようとしている!

 

ティンク「やらせないよ!『ジオンガ!』」

 

ハイピクシーはジオンガを唱えた!

ラームジェルグの振り上げた剣が避雷針となり雷が直撃する!

 

「ギャアアアア!」

 

ラームジェルグはまともに喰らいダウンした!

 

「このチビがー!」

 

フォーモリアの攻撃!

右手でハイピクシーを捕まえて握り絞める!

 

ティンク「放せ!放してよ!うう…。」

中島「ああ!ティンク!」

「このまま握り潰してやる!」

 

フォーモリアの攻撃!

右手に力を入れてハイピクシーを握り潰そうとする!

 

ティンク「うう…。」

中島「ティンクを、放せーー!」

 

中島の攻撃!

練気の剣でフォーモリアの右腕を力任せに斬り落とした!

 

「ギャアアアア!右腕がー!俺の右腕がー!」

ティンク「ご、ごほっ…。」

中島「ティ、ティンク!ごめんよ、僕のせいで…。」

ティンク「中島、ありがとう。助かったよ。」

中島「でも、もし君に何かあったら…。僕は…。」

ティンク「『メディラマ!』これで大丈夫だよ。」

 

中島達の傷が回復した。

 

「や、ややややるのか!俺はロンドンの街を騒がせたジャック・リパー様だぞ!おおお恐れをなして逃げるなら、い、い、今の内だぞ!」

 

ジャック・リパーは傷ついた2匹を見て恐れながら声をあげる。

 

中島「退くんだな。」

「ち、ち、近づくな!お、俺はロンドンを騒がせた悪魔…。」

中島「もう退くんだな。君達が何もしなければ僕は危害を加えないんだな。」

「は、はい…。」

 

ジャック・リパーは降参して道をあけた。

 

中島「君達、助けに来たんだな。」

アリス「なんで、あたし達を…。」

中島「君達の友達から依頼を受けたんだな。傷だらけの身体を引きずって僕達にお願いしに来たんだな。」

「バフォメットが…。」

中島「うん…。」

「てか、この結界があるから私達は外に出られないのよ!見て分からないの!」

中島「君達、危ないから離れているんだな。」

 

中島は練気の剣で結界を一撃で切り裂いた。

 

「凄い…。結界が…。」

 

中島は無事にアリス達を救出した。

 

中島「さあ、今のうちに脱出するんだな。」

「まあ、白鷲 弓子の腰巾着のわりには良くやったわ。プロ野球チップス分けてあげても良いわよ。」

アリス「リリー…。あんたはいったい何様なのよ。」

「食べきれないお菓子を押し付けようとしている…。」

ティンク「まあ、とりあえずみんな無事でよかったよ。」

 

アリス達を救出して話込んでいると先程の悪魔達が立ち上がろうとしている。

 

「くそっ…。よくも…。」

「こいつら、絶対に殺してやる…。」

アリス「ちょっと失礼。」

 

アリスが立ち上がろうとする悪魔達に気づいて前に立ち塞がる。

 

アリス「貴方達?死んでくれる?『マハムドオン!』」

 

アリスはマハムドオンを唱えた!

死の呪いが悪魔達に襲いかかる!

ラームジェルグは息絶えた!

フォーモリアは息絶えた!

 

「俺は降参したのに…。」

 

ジャック・リパーは息絶えた!

 

アリス「助けてくれてありがとう。でも、敵は確実に倒さないとダメよ。」

ティンク「ありがとう、早く船から脱出しないと。」

「心配要らないわ。アリスだけは泳ぎになるけど私とセイレンは飛んで脱出するからね。」

アリス「なんでよ!」

「アリス…。がんばって…。」

アリス「ちょっと、セイレンまで!」

「冗談。とりあえず、中島 朱美…。脱出する場所を見つけるまで貴方達と行動する。」

中島「わ、分かったんだな。」

 

中島達はアリス達を連れて最後の調べていない部屋を開ける。

そして、最後に残った部屋を確認する為に扉を開ける。

 

三蔵「おっ?中島 朱美やんけ!なにしてんねん?」

 

扉を開けると三蔵が一人いた。肩からは悪魔に噛みつかれた傷跡が痛々しく残っている。

 

中島「あれ?どうして?」

三蔵「ああ、そうか。あんたらは人質の救出やったなあ。」

ティンク「それより、三蔵さん…。その傷…。」

三蔵「ああ、これか?そこの段差で転んでついたんや。かすり傷や。」

ティンク「『ディアラマ!』これで大丈夫だよ。」

三蔵「おお、すまんなあ。」

ティンク「所で…。この部屋…。」

三蔵「ああ、この転がってる悪魔は八戒達が倒した連中や。ここに居った人質はみんな脱出させたから心配いらん。」

中島「よかった…。よかったんだな…。」

三蔵「まあ、ええわ。で、その悪魔の女達は?」

アリス「!!」

 

三蔵の一言でアリス達は警戒体勢をとる。

 

中島「あの…。彼女達はアスラ組に捕まって…。それで…。脱出する場所を探していて…。」

三蔵「それやったらうちが破壊したそこの壁から外に出れるわ。」

ティンク「外って、海だよ。」

三蔵「心配いらん。そろそろたれぞうが戻って来る頃や。」

 

外から馬の泣き声が聞こえて来る。

泣き声と共にケルピーとモスマン達が外から入って来た。ケルピーの背中に誰か乗っている。

 

中島「ノブナガさん!?」

ノブナガ「デブの探偵、状況はどうなっている。」

ティンク「ノブナガさん?どうして?」

ノブナガ「ユキムラやタダカツが中で戦っているんだ。イケメン武将隊のリーダーの俺が黙って見ている訳にはいかねえだろ。それに俺達が先に回収した作業員のアイツも仲間を助けに戻って来ている。」

ティンク「あの人、戻って来たんだ。」

三蔵「中島 朱美、誰やこの兄ちゃんは?ちゃんと説明せいや。」

中島「えっと…。」

 

中島は経緯を説明した。

 

三蔵「そうか、この男前の兄ちゃんがうちのクラスメイト達を回収してくれたんやな。お陰で邪魔な奴等を直ぐに脱出させる事が出来たわ。」

ノブナガ「お前があの雲に乗った猿悪魔の…。」

三蔵「そうや。兄ちゃんもある程度は事情は知ってるんやな。」

ノブナガ「まだ知らない事の方が多いけどな。」

三蔵「まあ、ええわ。たれぞう、とりあえずそこの姉ちゃん達を脱出させるから背中に乗せろ。一緒に来た蝶々達も一人ずつ乗せたってくれ。」

「ヒヒーン!」

「くぁwせdrfgyふじこlp!」

 

モスマン達とケルピーは三蔵の声に応える。

 

「私達は大丈夫だから、アリスだけ乗せてもらったら…。」

三蔵「姉ちゃん、あんたらも乗るんや。港にはなんも知らん一般人もおる。余計な力は使わん方が今後のあんたらの為やで。」

「分かった…。感謝する…。」

アリス「ありがとう。」

三蔵「たれぞう、行ってくれ。」

「ヒヒーン!」

 

ケルピー達はアリス達を連れて外に飛び出して行った。

 

三蔵「さてと、うちらも行こうか。」

ノブナガ「おい、それより船を止めてくれ。あまり遠くに行かれると脱出出来なくなる。」

中島「それは、タダカツとジャックが向かっているんだな。それより、ユキムラが僕達を行かす為に強い悪魔と戦っているから助けに行かないと。」

三蔵「うちの仲魔も苦戦してるみたいやから下に行くのにも船を止める為の操縦室に行くのにも中央ロビーを通らなあかん。中島 朱美、あんたの仲魔を先に助けに行こうか。」

中島「あ、ありがとうなんだな。」

三蔵「それより、その強い悪魔って何もんや?うちが倒した幹部もたいしたことない奴やった。アスラ組の中にそんな強い奴がいるとは思われへんけどな。」

ティンク「確か…。趙雲紫龍とか言ってたよ。」

ノブナガ「趙雲!?三國志の英雄だぞ!」

三蔵「どうせバッタもんに決まっとるわ。そこの織田信長もバッタもんやしな。」

ノブナガ「俺のは芸名だよ。」

 

インターテイナーがそれを言ってはいけない。

中島達は中央ロビーに急いで戻る。

 

ユキムラ「くっ…。何故だ、何故僕の攻撃が当たらないんだ…。」

「勝負あったな。終わりにしようか。」

 

中島達がロビーまで戻ると傷だらけのクーフーリンを趙雲紫龍が止めを刺そうと槍を構える。

 

中島「ああ、そんな…。ユキムラが…。」

三蔵「あれが趙雲紫龍か…。ふーん。そうかあれがな。」

 

趙雲紫龍が渾身の力で槍でクーフーリンを突きにかかる!

 

中島「れ、練気の剣!」

 

中島が練気の剣で趙雲紫龍の突きを受け止めるがそのまま吹き飛ばされる!

 

ユキムラ「マ、マスター!どうして!?」

中島「うう…。」

 

中島はすかさず立ち上がる。

 

「ちっ…。邪魔が入ったか。」

ユキムラ「『ブリューナク!』」

 

クーフーリンが魔法の槍で趙雲紫龍を突きにかかるが槍は趙雲紫龍の身体をすり抜ける!

 

「無駄だ。」

 

趙雲紫龍が槍を構える!

 

ティンク「ユキムラ、危ない!喰らえ!『ジオンガ!』」

 

ハイピクシーはジオンガを唱えた!

しかし、雷は趙雲紫龍の身体をすり抜ける!

 

「何人来ようと同じだ。」

三蔵「あー、やっぱりな。」

ノブナガ「お前、さっきから何を言っているんだ?」

三蔵「ああ、あの趙雲紫龍の事や。アイツの身体にはちょっとしたカラクリがあんねん。あいつの動きを止めれたらうちが一撃で倒したるわ。」

ティンク「えっ?どういう事?」

三蔵「まあ見とけや。召喚!」

 

三蔵は背丈程のハリセンを召喚した!

 

「何!?女、この趙雲紫龍を倒すだと!?」

ノブナガ「お、おい。なんだよそのハリセンは!ふざけてるのか!」

中島「な、何をするつもりなんだな?」

三蔵「まあ黙って見てたらええ。」

 

三蔵は召喚したハリセンに魔力を込める!

 

「女!この趙雲紫龍を愚弄した罪、地獄で報いるがいい!」

 

趙雲紫龍の槍が三蔵めがけて突きにかかる!

 

ユキムラ「おおっと、女の子にそんな物を突きつけるなんてイケメンのする事じゃないね。」

 

クーフーリンが三蔵の前に立ち趙雲紫龍の腹を貫いた!

 

ノブナガ「ユ、ユキムラー!」

「真田 ユキムラ、所詮はこの趙雲紫龍の敵では無かったな。我が主、劉備玄徳に仕えたらこんな無駄死にはしなかったのにな。」

ユキムラ「じょ…。冗談は…。止してくれたまえ…。僕は…。最高の…。殿、ノブナガさんに…。そして…。中島…。朱美に…。仕えて…。いるんだ…。アスラ組の仲間なんて…。死んでもお断りさ…。」

 

クーフーリンが腹を貫いた槍を掴む!

 

「は、放せ!」

 

趙雲紫龍が槍を抜こうとするがクーフーリンが力を振り絞り掴んでいるので動かす事が出来ない。

 

ユキムラ「さあ…。これで…。君は動けない…。」

三蔵「ようやった男前の兄ちゃん、何が趙雲紫龍や。これでお前のトリックはお仕舞いや。32代目三蔵法師の名において趙雲紫龍、汝の穢れた魂を極楽浄土へと誘(いざな)う!『苦集滅道』」

 

魔力のこもったハリセンが趙雲紫龍の頭を思いっきり叩く!

 

「な、何だ!体が!消えて!この趙雲紫龍に何をしたあああ!」

三蔵「あんたは趙雲紫龍やない。何者かにそれっぽい人格を作られた幻や。いわゆる造魔ってやつや。」

「か、体が…。ああああああ…。」

 

趙雲紫龍の体は見る見るうちに消えていき、ドロドロの緑色のスライム状の姿に変わっていった。

 

三蔵「あれが三國志の英雄の正体や。男前の兄ちゃん、何者でもない幻相手にしてやられてもうたな。」

ユキムラ「そ、そんな…。でも…。マスターが無事で…。よかったよ…。」

 

ユキムラは気が抜けて静かに倒れた。

 

ノブナガ「ユキムラ!」

ティンク「ユキムラしっかり!『ディアラマ!』」

 

ユキムラの傷は回復したがユキムラは目を覚まさない。

 

ティンク「傷は回復したのにどうして…。そんな…。」

中島「ユキムラ…。そんな…。」

三蔵「大丈夫や。魔力を使い果たして眠ってるだけや。多分あの魔力の槍が相当力を使うんやろう。その兄ちゃんはここでリタイアやな。」

中島「ユキムラ…。そんな…。僕達の為に…。」

 

中島が泣きながらユキムラを抱えようとするとノブナガが止めに入る。

 

ノブナガ「ユキムラは俺が連れて戻る。探偵、泣いている場合か!お前はまだやる事があるだろ!」

中島「でも…。ユキムラはいつも僕達の為に無茶をして…。それなのに僕は…。いつも何も出来なくて…。」

ノブナガ「だったら探偵、ユキムラを思うならお前がアスラ組のボスを倒せ。今ここで俺と約束しろ。」

中島「わ、分かったんだな…。」

 

 

ジャック「中島~!」

 

奥からジャックが中島を呼びながら走って近づいてきた。

 

中島「ジャック!どうしたんだな?」

ジャック「な、中島、探したぞ!船を止めるのにオイラに力を貸して欲しいぞ!」

ティンク「ジャック、落ち着いて話してよ。」

 

ジャックは操縦室での出来事を説明した。

 

中島「カンテイセイクンが…。」

ティンク「ジャック、よく無事だったね。」

ジャック「カンテイセイクン、アイツは強かったぞ。タダカツが今戦っているけど…。」

三蔵「今度はカンテイセイクンか…。ほんで親玉が劉備玄徳。雪だるま、そのカンテイセイクンにはちゃんと攻撃は当たったんか?」

ジャック「オイラの攻撃やタダカツのパンチはちゃんと効いていたぞ。でもオイラじゃアイツを倒す強力な一撃がないから倒せなかったぞ。」

三蔵「そうか…。やったら劉備玄徳の方が怪しいな。分かった、うちは先に下に降りる。中島 朱美、あんたはその雪だるまと一緒に船を止めてから下に来てくれ。」

ティンク「えっ?三蔵さん、一緒に来てくれないの?」

三蔵「すまんなあちっこいの、八戒達が今、下で戦っていて苦戦しとる。早く助けに行かんとこのままやったら殺られてしまう。せやから一緒には行けん。」

中島「わ、分かったんだな。ユキムラを助けてくれてありがとうなんだな。」

三蔵「そんなんええねん。中島 朱美、まだデッキには悪魔の気配が結構するから気を付けや。」

 

三蔵は階段で下に降りて行った。

 

ジャック「中島、タダカツがカンテイセイクンを止めている間に急ぐぞ。」

中島「分かったんだな。」

ノブナガ「海を凍りつかせて船を止めるってか。発想が滅茶苦茶だな。探偵、上に行くなら一緒にユキムラを運ぶの手伝え。」

中島「わ、分かったんだな。ノブナガさん、ありがとうなんだな。」

ノブナガ「あの女がまだ上に悪魔がいるって言っていた。あの作業員が上に行っているから心配だ。急ぐぞ。」

 

中島達は上のデッキを目指して階段を上って行く。

 

 



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甦りし蜀の英雄達 後編

デッキの上ではコンテナの積み荷の作業員の悪魔、コボルト、ゴブリン、オーガの三人が傷だらけになりながらも懸命に戦っている。

 

「テメエ等たった3匹で俺達アスラ組に勝てる訳ねえだろうが!ああ!」

「コイツラ、アクマガヘンソウシテイタカ…。」

「先輩に先に行ってもらって良かったな。」

「何をブツブツ言ってやがる!さては、死ぬ覚悟を決めて念仏でも唱えていたのか?」

「ヒャッハー!死ぬ覚悟を決めるのはお前達の方だぜー!」

 

コボルトがアスラ組の連中に攻撃を仕掛ける!

 

「テメエが1番大した事ないんだよ!」

「ぐぇ…。」

 

コボルトは思わずダウンする。

 

「先ずは1匹、死ねー!」

 

アスラ組の連中が一斉にコボルトに止めを刺そうと襲いかかる。

 

「コボル!」

 

しかし、アスラ組の連中の攻撃は突如現れた何者かの鉄パイプによって受け止められた。

 

「コボル、大丈夫ッスか?」

「せ、先輩!」

「どうして…。戻って来たのですか!?」

「人質の女の子達はみんな脱出したッス、次はお前達の番ッス。」

「センパイ…。」

「テメエは…。あのヘコヘコしていた作業員か!」

「逃げていれば良かったのに、わざわざ戻って来て俺達に殺される事になるとはな。ハハハハハ!」

「言いたい事はそれだけッスか?」

「何!?」

「だから言いたい事はそれだけッスか?じゃあもういいッスね?」

 

作業員のしたっぱはそう言うとアスラ組の連中を鉄パイプで次々と殴り倒していく。

 

「な!貴様!いきなり…。ぐぇ!」

「俺達アスラ組に逆らって…。ぐわ!」

 

作業員のしたっぱは遠慮なしに鉄パイプでアスラ組の連中を殴り倒していく。

 

「これで最後ッスね。」

「お、お前!こんな事をしてただですむと思っているのか!」

「あんた達こそ、自分の後輩達を傷だらけにしておいてただですむと思っているッスか?」

「ぐぇ…。」

 

アスラ組の連中は全て叩き倒された。

 

「コボル、ゴブリ、オガ、大丈夫ッスか?」

「センパイ、スマン…。」

「ヒャッハー!俺達は平気だぜー!」

「先輩、俺達が不甲斐ないせいで面倒をかけました。」

「さあみんな、そこの救命ボートで脱出するッスよ。」

「先輩、どうやってここまで戻って来たのですか?」

「それは、太っちょの探偵さんが助けた蝶々さん達が自分達をここまで運んでくれたッス。」

「アイツラガ…。」

 

作業員のしたっぱが救命ボートを出す準備をしていると丁度中島達がデッキに出てきた。

 

ノブナガ「おっ?お前、無事だったのか。」

「ノブナガさん、こっちは片付いたから自分達は脱出する所ッス!」

「ピィ!」

 

作業員のしたっぱの胸ポケットからカハクが出てきた。どうやら隠れてついてきたみたいである。

 

「あっ、ついて来ちゃったんスか?」

中島「みんな、傷だらけなんだな。」

「ヒャッハー!デブチン、何しに戻って来たんだ?コイツらなんて俺達の敵ではなかったぜぇ!」

中島「僕達は船を止める為に戻って来たんだな。」

ジャック「オイラ達の魔法の力で止めるんだぞ。」

「船を止める?どうやって止めるッスか?」

ノブナガ「何か考えがあるみたいだぜ。」

 

中島はデッキの先端に向かい練気の剣を召喚した。

 

中島「ジャック、僕に力を貸して欲しいんだな。」

ジャック「ヒーホー!オイラの残り魔力を全て中島に預けるぞ!」

 

ジャックは魔力の全てを練気の剣に送り込む。練気の剣はみるみるうちに青白く光輝く。

 

中島「す、凄い…。剣が冷たい…。上手くいくか分からないけど、やってみるんだな。たーー!」

 

中島は自分の魔力を剣に込めて練気の剣を思いっきり振りかざした。前方の海と船の先端は全て凍りつき船は動きを止めた。

 

ティンク「う、海が凍っている…。」

中島「こ、これを僕が…。」

ノブナガ「あのデブ…。本当に船を止めやがった…。」

「アリエナイ…。」

「なんなんだ、あいつはただの白鷲 弓子の腰巾着じゃ無かったのか…。」

「ヒャッハー!クレイジーなデブチンだぜぇ!」

 

中島の放った力に皆が唖然としている…。

 

ジャック「ヒーホー、これが偉大なる悪魔のジャックフロスト様の力だぞ。」バタ

 

ジャックは力を使い果たして倒れてしまった。

 

中島「ジャ、ジャック?」

ジャック「あ、あれ?立てないぞ?オイラの体はどうなってしまったんだ?」

ノブナガ「あれだけの力を使ったんだ、お前もリタイアだ。」

ジャック「オイラはまだ…。敵の幹部を倒していないぞ…。だから…。」

「後は探偵さん達に任せて君もボートで脱出するッス。」

中島「ジャック、君の力で船を止める事が出来たんだな。だから後は僕に任せて欲しいんだな。」

ジャック「中島、オイラは…。」

ノブナガ「ユキムラとコイツは俺達が先に連れて帰る。探偵、後は任せたぞ。」

「センパイ、ジュンビガデキタ。」

「探偵さん、気をつけるッスよ。」

中島「みんな、ありがとうなんだな。」

ティンク「中島、行こう。」

中島「うん。」

 

中島達は再び船内に戻って行った。

 

ノブナガ「デビルサマナーか。不思議な奴だな。」

「ノブナガさんも早くボートに乗るッス!」

ノブナガ「ああ、って!どう見ても定員オーバーだろ!」

「ヒャッハー!嫌なら船に残ると良いぜえ!」

ノブナガ「乗るよ!大丈夫かよ?」

「蝶々さん達が戻って来るまでの辛抱ッス!」

「ピィ!」

 

 

 

その頃、タダカツはジャイアントをおぶりながら中島達を探していた。

 

タダカツ「ジャイアント、もう少しの辛抱です。中島殿とティンクに合流できたら貴方の傷も直ぐに治りますよ。」

「…。」

タダカツ「ジャイアント、眠ってしまってはいけませんよ?そうですね、私が1つ貴方が皆さんと直ぐに打ち解けられる様に私が敬愛する仲間達のお話をしてあげましょう。眠らず聞いて下さい。」

「…。」

 

タダカツはジャイアントに話しかけながら1つ上の階に上がって行く。

 

タダカツ「先ずはそうですね、私が1番敬愛する弓子の話をしましょうか。弓子はですね、テコンドーという武術の使い手でしてね。その美しく素早い技の数々で敵をなぎ倒すそれはそれは美しい方です。それに彼女は裏表の無い心の持ち主できっと貴方も彼女の美しさに心を奪われる事でしょう。」

「…。」

 

タダカツは返事のしないジャイアントに話しかけ続ける。

 

タダカツ「ジャックは貴方もご存じですので次はユキムラですね。まあ、彼は女性好きで少々頭が悪いのですが…。彼が私をイケメンおもてなし武将隊のメンバーにとノブナガさんに推薦してくださいまして、おかげで毎日が刺激のある日々に変わってしまいました。彼は自分では気づいてはいませんがいつも皆を気遣い楽しませようとしてくれています。私もそんな彼にはいつも感謝をしています。私が皆と馴染む事が出来たのは彼のおかげなのです。まあ、彼の前ではそんな事は口にはできませんが…。」

「…。」

タダカツ「何故ですかって?そうですね、そんな事を口にしますときっと彼はこう言うからです。『そんなの答えは簡単さぁ!それは、この僕がイケメンだからさ!』ってね。」

「…。」

 

ジャイアントは返事をしない。タダカツはそのままジャイアントに話を続ける。

中央ロビーにたどり着いた。

 

タダカツ「次はうーん、そうですね。我が主、中島殿はお会いすれば直ぐにどういう人物かお分かり頂けると思いますので先にティンクのお話をいたしましょう。」

「…。」

タダカツ「彼女はそうですね…。一言で言いますと中島殿のプリンセスになりますね。常に中島殿と一緒にいます。まあ彼女の作る料理はいつも最後の仕上げが出来ていないので毎回私が仕上げをする事になるのですが…。」

「…。」

 

タダカツはジャイアントに話しかけるに夢中になっていてロビーにたどり着いた中島達に気づいていなかった。

 

タダカツ「彼女は八丁味噌という調味料の素晴らしさが全く理解出来ていないのです。本当に嘆かわしい事です。」

ティンク「ねえ。」

タダカツ「きっと彼女の味覚は少しおかしいのだと思います。」

ティンク「ねえ!」

タダカツ「それに彼女は私が1番敬愛する弓子に対しても物の言い方がなっていません。ああ、彼女は今までどういう生き方をしてきてああなったのでしょうか…。嘆かわしい限りです。」

ティンク「嘆かわしくて悪かったわね!」

中島「タダカツ?何をしているんだな?」

タダカツ「おや?中島殿、いつからそこに?」

 

タダカツは中島達にようやく気づいたようだ。

 

ティンク「あたしの悪口を言っていた所からずっといたよ!それに毎回何にでも八丁味噌を入れるあんたなんかに味覚がおかしいなんて言われる筋合いはないよ!」

タダカツ「弓子はいつも私の料理を絶賛いたしますが。」

ティンク「何を食べても美味しいって言う弓子なんかの舌はあてにならないよ!みんな毎回毎回味噌の味ばっかりでうんざりなの!毎回あたしの作る料理に勝手に八丁味噌を入れないでよ!」

タダカツ「なんと嘆かわしい、八丁味噌は万能の調味料です。中島殿、貴方もそう思いますよね?」

中島「いや、あの…。」

ティンク「あたしはみんなの健康、栄養バランスを考えてお料理をしているの!中島、アスラ組の前にコイツをメキドラオンでやっつけてよ!」

中島「ティンク、落ち着くんだな…。それよりタダカツ、そのおんぶをしている人は?」

タダカツ「あ、そうでした。実は、彼はジャイアントと言いましてアスラ組の連中に騙されていたのですがジャックと息が統合いたしまして、我々に協力してくれていたのですがカンテイセイクンに見つかり痛手を負ってしまったのです。ティンク、彼に回復魔法をかけていただけますか?」

ティンク「…。」

中島「タダカツ…。あの…。」

タダカツ「二人ともどうしましたか?」

ティンク「…。」

タダカツ「ティンク、先程の発言は訂正します。彼に回復魔法を…。」

ティンク「タダカツ…。ごめん…。無理だよ…。」

タダカツ「彼はジャックの友なのです!お願いします!」

ティンク「違う…。そうじゃない…。」

タダカツ「ティンク!彼を!早くしないと!」

ティンク「ソイツ…。もう死んでる…。」

タダカツ「何を…。そんなはずは…。」

中島「タダカツ…。僕達が遅かったから…。こんな事に…。」

タダカツ「中島殿?何を?」

ティンク「タダカツ…。ごめん…。」

タダカツ「まさか?そんなはずはありません…。確かに操縦室を出るときは彼の息がありました。」

ティンク「タダカツ…。傷は治っても生き返らない…。『ディアラマ!』」

 

ティンクは回復魔法でタダカツの傷を回復させた。

 

タダカツ「ティンク!私より彼を!」

ティンク「タダカツ…。あんたのその傷…。だいぶ深く斬られていた…。まともに意識が無くなる位に血を流れている。気づいていなかったの?」

タダカツ「ああ、これですね。カンテイセイクンに斬られた傷ですね。ここまで血が流れていたとは気づきませんでした。」

ティンク「あたし達が目の前にいたのに全然気づいていなかったもんね。もう少しでタダカツ、あんたが死んでいたんだよ。」

タダカツ「彼を助ける事に必死で気づきませんでした…。ティンク、彼に回復魔法をかけてあげて下さい。」

ティンク「だから、死んでるから意味が無いのよ…。」

タダカツ「彼は悪い悪魔に騙されてカンテイセイクンに斬られ何も悪くないのに無惨に殺されて…。生き返らないにしてもせめて綺麗な形にしてあげたい。お願いします。」

中島「ティンク…。僕からもお願いするんだな…。こんなの…。彼が可哀想過ぎるんだな…。」

 

中島は泣きながらティンクに頼み込む。

 

ティンク「分かったよ…。『ディアラマ!』」

 

目覚める事の無いジャイアントの傷は回復した。

 

タダカツ「すみません…。」

ティンク「ううん…。」

中島「うう…。」

 

悲しみにくれる中島達の前に突如、空間に歪みが表れてメルコムが現れた。

 

メルコム「おやおや?貴方達は何をしているのですか?」

タダカツ「何か?用がなければ消えていただけますか?私の心は今、怒りに満ち溢れている。」

メルコム「ホホホ。いきなりですね。」

タダカツ「失せよ。次は殺す。」

中島「タダカツ、待って欲しいんだな。メルコム、実は…。」

 

中島はメルコムに先程の経緯を話した。

 

メルコム「彼がジャイアントですね。彼の肉体はこの空間の中にお預かりします。」

タダカツ「貴様、何を!」

メルコム「彼の肉体を安全な所に避難させるためですよ。それともスサノオさん、貴方は彼をこのまま置いておくつもりだったのですか?いつも冷静な貴方らしくありませんね。」

タダカツ「ぐっ…。」

メルコム「ホホホ、私の仕事は貴方達のサポートです。スサノオさん、貴方の仕事は何ですか?」

タダカツ「…。」

メルコム「勝利の栄光は目の前です。行きましょう。」

タダカツ「分かりました…。行きましょう、弓子が待っています。」

ティンク「タダカツ、大丈夫なの?」

タダカツ「ええ、行きましょう。カンテイセイクン、必ず倒す。」

メルコム「ホホホ、次は目的を見失わない様にお願いしますよ?」

 

中島達は下の階へと進んで行く。

下の階に降りるとただっ広い駐車場になっていて至るところ高級車が並んでいる。奥から強い殺気を感じる。

 

タダカツ「居ます、カンテイセイクン…。中島殿、ティンク、気をつけて下さい。他にも強い悪魔の気配が多数します。」

 

中島達は奥に進む。奥ではカンテイセイクン率いるアスラ組の悪魔達が三蔵達と戦っていた。

 

カンテイセイクン「お前達、そんな連中にいつまで手こずっている。拙者が奥に行った白鷲 弓子を殺すまでに片付けておけ!」

三蔵「悟空!アイツを行かすな!食い止めろ!」

悟空「せやかて千枝ちゃん、コイツ等が俺様の行くてを阻むんや。」

三蔵「泣き言なんか聞きたない、八戒!悟空のサポートせい!」

八戒「あいよ!悟空、ワイが雑魚の相手をまとめてしてやるさかいカンテイセイクンの奴をいてもうたれ!」

悟空「ヨッシャ!」

 

斉天大聖が周りの悪魔を振り払いカンテイセイクンに近づいて行く。

 

カンテイセイクン「貴公達では拙者の相手にはならぬ。死ぬがよい。」

悟空「かかったなカンテイセイクン、死ぬんはお前の方や。カシマさん、いてもうたれ!」

カシマさん「足、1本貰うね。」

 

カシマレイコの攻撃!

カンテイセイクンの隙をつき右足にしがみついて足を引きちぎりにかかる!

 

カンテイセイクン「貴公達では拙者の相手にはならぬと言ったはずだ。先ずは女からだ。死ぬがよい!」

 

カンテイセイクンの攻撃!

しがみついているカシマレイコを引き剥がす!

カンテイセイクンはカシマレイコの頭を片手で掴み持ち上げる!

 

カシマさん「は、放して!」

カンテイセイクン「女、拙者の足を1本頂くと言っていたな?ならば拙者は貴公の足を両方いただこう。いでよ!青龍円月刀!」

 

カンテイセイクンが青龍円月刀を取り出した!

 

悟空「カシマさん、俺様が今直ぐに助けてやる!カンテイセイクン!俺様の如意棒をくらいやがれ!」

 

斉天大聖の攻撃!

如意棒でカンテイセイクンを殴りかかる!

しかしカンテイセイクンの青龍円月刀で軽くあしらわれる!

 

カンテイセイクン「先ずは女からだ。」

 

カンテイセイクンの攻撃!

青龍円月刀でカシマレイコの両足を切断した!

 

カンテイセイクン「次は貴公だ。」

 

カンテイセイクンの攻撃!

青龍円月刀で斉天大聖を切り捨てた!

 

カシマさん「ああああ!!あたしの足ー!足がー!」

悟空「ガハッ!まだや…。俺様がお前なんかに負けてたまるかボケが!俺様は斉天大聖、孫悟空様やぞ!」

カンテイセイクン「拙者の青龍円月刀を喰らって一撃で死ななかっただけ褒めてやろう。しかし、これで終わりだ。」

三蔵「させるかボケ!『トリスアギオン!』」

 

三蔵はトリスアギオンを唱えた!

地獄の業火がカンテイセイクンを包み込む!

 

カンテイセイクン「ぐっ!この女!」

悟空「今や!俺様の如意棒の威力とくと味わえや!」

 

斉天大聖の攻撃!

如意棒でカンテイセイクンを滅多うちにしていく。

 

カンテイセイクン「貴公の如意棒とやらはその程度か。もう良いだろう。死ぬがよい!」

 

カンテイセイクンの攻撃!

青龍円月刀で斉天大聖を切り裂いた!

斉天大聖は倒れた!

 

カンテイセイクン「死んだか…。戦は指揮官を倒すのが定石。拙者に魔法を喰らわせた女、覚悟するがいい。」

八戒「させるか!千枝ちゃんには指1本たりとも触れさせるか!お前はワイが相手をしてやる。カンテイセイクン、ワイ等大阪の悪魔を舐めるなよ。」

カンテイセイクン「貴公も拙者の青龍円月刀の餌食になりたい様だな。」

八戒「そんな糞デカイ武器なんか喰らうかい!お前の懐に入ったらしまいや。覚悟せい、単純な力比べやったらワイは負けへんでえ。」

 

カマプアアはカンテイセイクンの両手を掴み力比べをする。

 

カンテイセイクン「愚かな、この関羽雲長に力で勝てると思ったのか。」

 

カンテイセイクンは掴みに来たカマプアアの両手をへし折りカマプアアを持ち上げ地面に叩きつける。

 

八戒「ぐわっ、バ、バケモンか…。」

カンテイセイクン「死ぬがよい。」

 

カンテイセイクンは青龍円月刀を構えてカマプアアに止めを刺そうとする。

 

三蔵「!!『テンタラフー!』」

カンテイセイクン「ぐっ!頭が!」

八戒「今や!」

 

カマプアアは一瞬の隙をつき青龍円月刀を力任せに曲げにかかる!

 

カンテイセイクン「貴様、拙者の青龍円月刀を!」

八戒「ワイの力を甘くみたな。これでその武器は使いもんにならん。」

 

青龍円月刀は持ち手から90度に曲げられている。

 

カンテイセイクン「貴様、ただで死ねると思うなよ。」

 

カンテイセイクンの攻撃!

カンテイセイクンは曲げられた武器を力任せに元に戻してカマプアアを滅多切りにした。

カマプアアは倒れた。

 

三蔵「八戒!」

カンテイセイクン「貴公を守る使い魔はもういない。我が主、劉備玄徳に逆らうデビルサマナーよ死ぬがよい。」

佐野警部「武井!ぼさっとすんな!」

 

カンテイセイクンの攻撃!

青龍円月刀で三蔵を斬りかかる!

しかし、佐野警部が三蔵を庇い前に出てきて斬られた。

佐野警部は倒れた!

 

三蔵「佐野のおっさん!おい!起きろや!なにしてんねん!」

カンテイセイクン「人間風情が大人しくしていたら死なずに済んだものを…。」

三蔵「ウチの仲魔を…。よくも佐野のおっさんを…。よくも…。お前だけは許さへん…。ウチは無駄な殺生は好きやないけどお前だけは絶対殺したる!地獄に堕ちて佐野のおっさんに詫びろボケ!先ずはこれでも喰らえや!『ザンダイン!』」

 

三蔵はザンダインを唱えた!

強力な衝撃魔法がカンテイセイクンを吹き飛ばす!

しかし、あまり効いていないのかカンテイセイクンは直ぐに体制を立て直す。

 

カンテイセイクン「やはりな。残っている者共!一斉にこの女にかかれ!この女は全体魔法は使えない!全員でかかれ!」

三蔵「カンテイセイクン、タイマンやったらウチに負けるからってしたっぱに命令してんとちゃうぞ!お前がかかってこいやボケが!」

カンテイセイクン「見え透いた虚勢を張るとは…。やはり図星の様だな。一斉にかかれ!」

 

カンテイセイクンの号令と共に生き残っている悪魔達が一斉にに三蔵に襲いかかる!

 

カンテイセイクン「女、拙者を相手に中々の立ち降るまい見事であったぞ。」

八戒「くそ…。体が動かへん…。」

悟空「千枝ちゃん…。」

カシマさん「足がくっついたら…。助けに行けるのに…。」

カンテイセイクン「なっ!拙者の攻撃を喰らってまだコイツ等生きている!」

 

三蔵の仲魔達は動けない体で這いながら三蔵を助ける為にもがいている…。

しかし、悪魔達がお構いなしに三蔵の目の前まで近づいて来ている!

中島が三蔵の前に走って出てきた!

 

中島「君達は僕が相手なんだな!」

三蔵「中島 朱美!いきなりなんや!何をする気や!」

中島「伏せていて欲しいんだな!『メキドラオン!』」

 

中島はメキドラオンを唱えた!

核の炎が襲ってきた悪魔達を全て一掃した!

 

カンテイセイクン「我が悪魔の精鋭が一撃で…。このいきなり現れた男は危険だ、今直ぐに倒さなくては…。」

タダカツ「おっと、カンテイセイクン貴方のお相手は私ですよ。今度は逃がしません。覚悟しなさい!」

カンテイセイクン「貴公、拙者の太刀を喰らい生きていたとは…。傷の痛みが分からない様に致命傷の出血させたのに。」

タダカツ「蜀の英雄が随分とセコイ技を使うのですね。」

中島「ティンク、今のうちにみんなを!」

ティンク「任せて!『メディラマ!』」

 

ハイピクシーはメディラマを唱えた!

倒れている斉天大聖、カマプアア、カシマレイコ、佐野警部の傷が回復した。

 

八戒「ちっこいの、助かったで…。マジで死ぬかと思ったわ…。」

悟空「傷は回復したけどあかん、幻覚が見える。八戒が二人に見える…。」

中島「ぼ、僕は中島 朱美なんだな。」

悟空「なんやねんややこしい!どっか行けや!」

中島「助けに来たのに酷い…。」

佐野警部「ガハッ!」

三蔵「佐野のおっさん!死んでなかったんか!?」

佐野警部「当たり前や…。ワシは悪魔捜査のスペシャリストやで…。しかし…。今回は防弾チョッキ着てても死にかけたで…。あかん…。まだ立たれへんわ…。」

三蔵「おっさん、何が悪魔捜査のスペシャリストや。やられたら意味無いやんけ。そこで寝とる中島 朱美の犬っころと一緒に寝とけばええ。後は任せとけ。」

カシマさん「八戒ー!私の千切れた足を取ってー!」

八戒「カシマさん、足千切れたのにタフやな。これやな。」

 

カマプアアはカシマレイコの千切れた足を渡す。

カシマレイコは足を受けとり自分の体に縫い付けて引っ付ける。

 

カシマさん「よし、治ったー!」

悟空「カシマさん、足が反対やで。」

カンテイセイクン「まさか…。立ち上がって来るとは…。」

メルコム「ホホホ。カンテイセイクンさん、形勢逆転ですね。」

 

メルコムが遅れてやって来た。

 

カンテイセイクン「貴様は!裏切ったのか!」

メルコム「ホホホ。裏切るも何も私は貴方達の仲間ではございません。ビジネスパートナーです。それに元はと言えば貴方達が私に対する等価を払わないからいけないのです。貴方達が集めた盗難品、お金、その他もろもろは私が回収いたしました。どうぞ中国大陸までは手ぶらでお帰り下さい。生きて帰れればのお話ですが。」

カンテイセイクン「き、貴様~!この関羽雲長が負けるとでも思っているのかー!」

メルコム「ええ、貴方はお一人でこちらはまだ無傷の白鷲 弓子、負傷はしていますが鬼神 スサノオ、大阪からお越しの武井 千枝子さん、そしてデビルサマナー中島 朱美が居ます。貴方の敗北は目に見えておりますが?」

カンテイセイクン「面白い、まとめて相手をしてやる!かかって来い!」

タダカツ「まとめて?貴方のお相手は私一人ですよ。」

三蔵「待たんかいスサノオ!ソイツはウチがやる!」

タダカツ「いえ、貴女は中島殿と共に弓子の救援をお願いします。」

八戒「いいやスサノオお前が白鷲 弓子の救援に行けや。」

 

カマプアア達がスサノオを止めてカンテイセイクンの前に出る。

 

八戒「後は、お前だけやカンテイセイクン。ワイ等大阪の悪魔の底力を見せたるわ。」

カシマさん「私の出身は秋田だけどカンテイセイクン、次は足を1本貰うね。」

悟空「斉天大聖、孫悟空様の本気の力を見せてやるわ!カンテイセイクン、覚悟せいよ。ってな訳やからスサノオ、お前の出番は無い。その辺で寝とけや。」

カンテイセイクン「何人来ようと同じこと、また倒すのみ。」

三蔵「確か…。メルコムって言ったな?」

メルコム「はい、何か?」

三蔵「お前、空間転移の魔法が使えたな。」

メルコム「ええ、それがなにか?」

三蔵「ウチの仲魔のアイツ等と佐野のおっさん、それと中島 朱美の犬っころをここから脱出させてくれ。頼む…。」

悟空「おいコラ三蔵!何を勝手に言っとんねん!」

八戒「千枝ちゃん、カンテイセイクンは一人で倒せる相手や無い。」

三蔵「スサノオ、アイツを止める事が出来るんやな?」

タダカツ「ええ。」

悟空「待てや!仲魔の俺様よりスサノオの方があてになるって言うんか!」

八戒「千枝ちゃん!ワイ等が信用ならんのか!」

カシマさん「私もまだ戦えるよ!」

三蔵「無理や。お前等、傷は回復してても連戦で疲れはてて立ってるんもやっとやろ。」

悟空「立ってるだけでもカンテイセイクンの攻撃を受け止める事位は出来るわ。お前も立ってるのがやっとやろ!」

八戒「せや、今こそワイ等大阪の悪魔の根性見せる時やろが!」

三蔵「あのカンテイセイクンは根性で何とかなる相手や無い。それにお前等じゃ無駄死にするだけや。メルコム、やってくれ。」

メルコム「分かりました。」

 

メルコムは空間に歪みを開けて三蔵の仲魔達とパスカルと佐野警部を歪みの中に吸い込んだ。

 

中島「パスカル…。」

三蔵「中島 朱美、あの犬っころは疲れ果てて寝てるだけや。怪我もウチが治してるから心配いらん。」

中島「パスカル…。」

メルコム「彼等は私が責任を持ってお送りしますがこれで私の魔力も尽きてしまいました。空間転移魔法は打ち止めですので後は自力で脱出してください。」

三蔵「おう、すまんな。助かったわ。」

メルコム「いえいえ、私は自分の仕事をしたまでです。後は宜しくお願いします。」

 

メルコムは盗難車をすべて空間の歪みの中に吸い込ませ自身も歪みの中に入り消えた。

 

タダカツ「あの、よろしかったのですか?」

三蔵「なんや、やっぱり一人じゃカンテイセイクンに勝たれへんのか?」

タダカツ「いえ、大丈夫です。中島殿、私がカンテイセイクンの相手をします。貴方達は奥にいる弓子の元へ急いで下さい。」

中島「でも、タダカツ…。そうすると君が…。」

タダカツ「中島殿、私の異名は徳川最強の男。1番強いから最強なのです。誰にも負ける訳はありません。」

ティンク「中島、行こう!」

中島「でも…。」

三蔵「中島 朱美、行くで走れ!ついてこい!」

 

カンテイセイクンの横を三蔵が通りすぎようとする!

 

カンテイセイクン「行かすか!」

タダカツ「言ったでしょう?貴方のお相手はこの私だと。」

 

スサノオがカンテイセイクンの行く手を阻む。

 

タダカツ「中島殿!早く奥へ!」

中島「…。わ、分かったんだな!弓子さんと合流して必ずアスラ組のボスを倒して戻って来るんだな!」

タダカツ「ええ、期待しています。」

 

中島達は奥へ向かう。アスラ組のボス、まだ見ぬ劉備玄徳の元へ!

 



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合成悪魔 アスラ

弓子は一人で奥へと進んでいた。

 

弓子「殆ど戦う事なくボス戦かよ。なんか拍子抜けだな。」

 

奥に進んでいくと一人小柄な男が豪華な椅子に座っている。

 

「誰だ!」

弓子「アスラ組のボスに用がある。したっぱのお前には用はねえ。とっととボスの所に案内しろ。」

「女!我が誰か知っての振る舞いか無礼者!我は漢王朝の末裔、劉備玄徳であるぞ!」

弓子「劉備玄徳だぁ?」

「女、どうやってここまで来た!この前は雲長の配下に我が幹部ティターンがいた筈だ!」

弓子「その幹部のティターンをあたしがぶっ飛ばして来たんだよ。その配下の悪魔共も他の連中が相手をしているから後はテメエだけだ。」

「ティターンを倒しただと?」

弓子「そうだ。この白鷲 弓子様と戦うんだったらもっと強い奴を用意するんだったな。」

 

劉備玄徳は静かに目を瞑り、少しして目を開いた。

 

「メデューサにミノタウロス、趙雲までもが殺られている…。白鷲 弓子と言ったな?私の配下にならないか?」

弓子「誰が弱っちいテメエの下に付くか、舐めた事を言ってるんじゃねえぞ!」

「そうか、仕方ない。では、死んでもらうしかないな。『ネクロマ!』」

 

劉備玄徳はネクロマを唱えた!

オセの亡霊が現れた!

バロールの亡霊が現れた!

ミノタウロスの亡霊が現れた!

メデューサの亡霊が現れた!

ティターンの亡霊が現れた!

造魔の核が現れた!

 

弓子「あたし達が倒した連中か。知らねえ奴も居るが雑魚が集まってもあたしには勝てねえぞ。」

「白鷲 弓子、アスラ組の本当の恐ろしさを見せてやる。悪魔合体だ。造魔の核よ!そいつ等を吸収しろ!」

 

劉備玄徳の号令で造魔の核はアスラ組の幹部の亡霊達を吸収していく。そして、劉備玄徳自ら造魔の核と合体して、巨大な1体の悪魔に変身した!

 

弓子「合体しやがった…。なんなんだこいつは…。」

アスラ「白鷲 弓子!これがアスラ組の集大成、オセの剣術、バロールの魔眼の力、ミノタウロスの怪力、メデューサの魔力、ティターンのタフさ、そして!この劉備玄徳の頭脳が加わった合成悪魔アスラだ!覚悟するがいい!」

 

腕が6本、背丈は2メートル半はあり、体は硬い鱗に覆われて額には大きな魔眼が埋め込まれている。

合成悪魔アスラが現れた!

 

「先ずはこれでも喰らえ!『ベノンザッパー!』」

 

アスラの攻撃!

手持ちの2本の刀で弓子に斬りかかる!

 

弓子「一度見た技が通用すると思っているのか?」

 

弓子はアスラのベノンザッパーを難なくかわす。

 

弓子「今度はこっちから行くぜ!」

 

弓子の攻撃!

アスラに突進してお得意のティオヨプチャギを放つ!

 

アスラ「魔眼!」

 

アスラの魔眼が妖しく光り弓子の攻撃を弾き飛ばす!

 

弓子「なんだ今のバリアみたいなのは…。」

アスラ「魔眼の力の前ではお前の攻撃は当たらない!死ね!」

 

アスラは6本の腕を前に出し全ての指先に魔力を込めてタスラムショットを放った!

 

弓子「ちっ…。」

 

弓子は無数のタスラムショットを懸命に避けていくが避けきれずに1発右足に喰らってしまった!

 

弓子「ぐっ…。よりによって右足を喰らったか…。」

アスラ「フフフ、ハハハハハ!これでお前の蹴り技の威力は半減だな!」

弓子「ちっ…。『アギ!』」

 

弓子はアギを唱えた!

アスラに向かって火の玉が襲いかかる!

 

アスラ「魔眼の力の前ではそんなちんけな魔法は効かぬわ!」

 

額の魔眼が妖しく光り弓子の魔法は弾き飛ばされる!

 

弓子「これでも喰らいな!」

 

弓子の攻撃!

魔眼の力で魔法を弾き飛ばす隙を見てアスラの懐に入りティチャギを放つ!

しかし、アスラは6本の腕で弓子の攻撃してきた足を掴み力任せに投げ飛ばし壁に激突させる!

 

弓子「ぐわっ!」

 

弓子はダウンした。

 

アスラ「残念だったなあ白鷲 弓子!この劉備玄徳に逆らう者は全て死ぬがよい!」

弓子「やはりな、今のでお前の倒し方が分かったぜ。せいぜい今のうちに調子に乗っていろ。」

 

弓子はすかさず立ち上がる。

 

アスラ「何?この最強の力を前にしてまだ減らず口を叩くか!」

 

その時、大きな衝撃が走り船の動きが止まった!船の先端から船内の温度が冷えてきている。

 

アスラ「何だ?何が起きた!?」

弓子「どうやったか知らねえが船は無事に止まったみたいだな。」

アスラ「何だと!?」

弓子「これでお前達は逃げ道は無くなった訳だ。この船がテメエの墓場になるから中国行きは諦めな。」

アスラ「この最強の力でお前を倒し、船を再び動かせば済む話だ。」

弓子「何が最強の力だ、元々は他人の力だろうが。そんだけ最強の力を誇示するならテメエからかかって来いよ!」

アスラ「アスラ組の力の集大成、思いしるがいい!死ね!」

 

アスラの攻撃!

弓子の挑発に乗り今度は6本の腕で巨大な斧を持ち弓子にめがけて振りかざす!

 

弓子「今だ、喰らいな!」

 

弓子の攻撃!

アスラの攻撃をかわすと同時にカウンターのフリョチャギを顔面に喰らわせる!

弓子の攻撃!

アプチャギ、トリョチャギ、バンダルチャギと連続の蹴り技をアスラに御見舞いする!

 

弓子「思った通りだな、これで終わりだ!」

 

弓子の攻撃!

連続技を喰らったアスラに渾身のターンチャギを放つ!

 

アスラ「ま、魔眼!」

 

アスラは魔眼の力で弓子の攻撃を何とか弾き飛ばす!

弓子は吹き飛ばされるが直ぐ様体勢を整える。

 

 

 

戦いの最中、弓子の携帯電話が鳴り響く!

 

弓子「ちっ…。こんなときに誰だよ。」ピィ

 

弓子は戦いながら電話を取る。

 

大輔『弓子かい?』

弓子「今は忙しいんだ、後にしろよ糞兄貴。」

大輔『用件だけ言うよ。僕も今船に到着した。』

弓子「そうか、あたしがもうすぐアスラ組のボスを倒す所だ。今頃ノコノコと来て何だよ。」

大輔『それは僕を置いて弓子達が勝手に先に乗り込んだんじゃないか!』

弓子「うるせえな、それより用件を言えよ。」

大輔『分かったよ、今から僕はボイラー室に向かい船を爆破させる。弓子も直ぐに脱出するんだ。』

弓子「ぐっ…。」

 

電話の最中にアスラが放った無数のタスラムショットを1発喰らってしまった。

 

大輔『弓子!どうしたんだ!』

弓子「あ、ああ。大丈夫だ。それより船を爆破させるだと?ふざけるんじゃねえぞ!今、アスラ組のボスを倒す所だから邪魔するなよ!」

大輔『弓子、そんな連中船ごと爆破させて倒した方が早い。後、10分位でボイラー室に着くからそれまでに脱出するんだ。いいね?』

 

電話は一方的に切られてしまった。

 

弓子「あの糞兄貴、何を考えていやがる。」

アスラ「白鷲 弓子よ、その余裕な態度を恐怖の顔に変えてやる!」

弓子「余裕なんてあるか!後、10分で船が爆破されるから急いでテメエを倒さないといけなくなったんだよ!」

アスラ「何!?船を爆破だと!」

弓子「そう言うことだ。だからゆっくりテメエを倒す暇は無くなったんだよ!」

アスラ「この最強の力を得た劉備玄徳にまだ一人で勝てると思っているのか!」

弓子「いいや、あたし一人じゃねえな。中島!随分遅かったな!」

 

中島達が弓子の元に到着した。

 

三蔵「白鷲 弓子、えらい苦戦してるみたいやなあ。」

弓子「何だよ、テメエも居たのかよ。」

中島「ゆ、弓子さん…。あれは…。」

弓子「アイツがアスラ組のボスだ。今まであたし等が倒した幹部連中の力を吸収した糞野郎だ。」

中島「アスラ組のボス…。」

アスラ「援軍か…。まとめて死ね!」

 

アスラは6本の腕を前に出し指先からタスラムショットを中島達に放つ!

 

三蔵「小原が使ってた技やな。『マハザン!』」

 

三蔵はマハザンを唱えた!

衝撃魔法でアスラのタスラムショットを弾き飛ばす!

 

三蔵「白鷲 弓子お前、こんな奴に苦戦してんか。こんな奴ウチが瞬殺してやるわ。『ザンダイン!』」

 

三蔵はザンダインを唱えた!

強力な衝撃魔法がアスラに襲いかかる!

 

アスラ「魔眼の力の前では全ての魔法は無駄だ。」

 

アスラは魔眼が妖しく光り衝撃魔法は吸収された。

 

三蔵「なんやねんあれ!あんなんあかんやろ!反則やんけ!」

弓子「あの力が無かったら楽勝なんだけどな。」

中島「あの力は、僕達が名古屋城で戦った…。」

ティンク「魔眼のバロールだよ!なんでよ、アイツは中島とユキムラが倒した筈だよ!」

弓子「あたし等が倒した幹部の技を全て使ってくるから厄介なんだよ。それより中島、他の奴等はどうしたんだ。」

中島「それは…。みんなが僕を助けてくれて…。」

三蔵「それで力を使い果たしてリタイヤや。ウチの仲魔はカンテイセイクンにやられてしもうて戦線離脱や。」

弓子「タダカツもやられたのか。」

中島「タダカツはカンテイセイクンを食い止める為に一人で…。」

 

中島達の背後からコツコツと足音が聞こえてくる。

 

弓子「誰か来る!?」

タダカツ「カンテイセイクンは私が気絶させましたのでご安心を。」

弓子「タダカツか、ボロボロだな。お前がそこまでなるとはな。」

タダカツ「武器を破壊したらそこまで圧倒的な強さではなかったのですが…。」

ティンク「あんた、1回出血多量で死にかけているだから無理しちゃダメだよ。『ディアラマ!』」

 

スサノオの傷は回復した。

 

ティンク「ほら、弓子もだよ。『ディアラマ!』」

 

弓子の足の傷は回復した。

 

アスラ「カンテイセイクンまで殺られたのか!?不味いぞ…。」

弓子「ちなみにこの船に残っているのはあたし達だけだな。」

中島「うん、みんなは脱出したんだな。」

弓子「よし、時間がないからよく聞け。この船は爆発する。今から5分後だ。だから今から総攻撃でアイツを倒す!」

タダカツ「船が爆発?」

弓子「その説明は省く。先ずは中島!お前、あの目ん玉の奴を倒したんだな?」

中島「いや、あの…。ぼ、僕はバリアを破壊しただけで…。」

弓子「そうか中島、だったらもう1回破壊しろ!」

三蔵「バリアが無かったらウチの魔法でアイツの本体に直接魔法を喰らわせれる。見た限り、アイツは趙雲のバッタもんと同じタイプの悪魔や。ウチの魔法を喰らったら分裂して体を繋ぎ止める核みたいなんが出てくる筈や。」

弓子「それをあたしが破壊してtheENDって事か。タダカツ、お前はサポートに回れ。チャンスは1回だ。ミスしたらあたし等は船と一緒にお陀仏だ。」

中島「そ、そんな…。」

弓子「中島!お前にかかっているんだ!びびってるんじゃねえ!蹴り倒すぞ!」

中島「で、でも…。弓子さん…。」

ティンク「中島、大丈夫だよ。あたしも力を貸すから、それにノブナカさんとも約束したじゃない!」

中島「う、うん…。」

 

中島の瞳に闘志が宿る。

 

中島「あの時は無我夢中だったから上手くいったけど…。」

アスラ「何をする気かは分からんがアスラ組に逆らう者は全て死ね!『3連撃ベノンザッパー!』」

 

アスラの攻撃!

6本の腕全てに刀を持ち必殺のベノンザッパーを中島に放つ!

しかし、中島の前にスサノオが立ち草薙の剣でベノンザッパーを受け流す!

3撃目の攻撃は受け流せずスサノオはダメージを負った!

 

スサノオ「ぐっ…。一撃喰らいましたか…。」

中島「タダカツ!なんで僕なんかの為にどうして…。」

スサノオ「中島殿…。今です。」

ティンク「中島!」

中島「れ、錬気の剣!」

 

中島は悪魔召喚プログラムから錬気の剣を召喚した!

 

中島「お、重い…。」

ティンク「中島!魔力を剣に込めて!」

 

中島は両手に力を込めて剣を握りしめる!

 

中島「これなら…。剣を振れるんだな…。たー!」

 

中島の攻撃!

錬気の剣でアスラに斬りかかる!

 

アスラ「無駄だ!魔眼の力の前では貴様等の攻撃は効かん!」

 

アスラの魔眼の瞳が妖しく光り輝く!

中島の剣の前にバリアが現れた!

 

中島「グウウ!」

ティンク「中島!」

 

ハイピクシーが両手を錬気の剣に向けて魔力を送り込む!

 

アスラ「な、何だこの男は!?魔眼の力が押されて…。」

中島「ぼ、僕は…。負けないんだな…。」

 

中島とアスラの力が反発して同時に吹き飛ばされる!

 

アスラ「魔眼の力が押し負けるとは…。」

中島「うう…。まだ…。」

 

アスラと中島は同時に立ち上がる。

 

タダカツ「中島殿!メギドの力です!奴の至近距離で放つのです!」

中島「わ、分かったんだな…。」

 

中島はアスラの近づいてゆく。

 

アスラ「来るな!『タスラムショット!』」

 

アスラの攻撃!

アスラの全ての指先から魔力の弾丸が中島を襲う!

中島はアスラの攻撃を全て喰らってしまうが倒れずアスラに歩み寄る!

 

アスラ「な、何だコイツは!」

中島「こ、これが…僕の…最後の力なんだな…『メギドラオン!』」

アスラ「魔眼!」

 

中島はアスラの至近距離でメギドラオンを唱えた!

アスラは魔眼の力でバリアを張るがメギドラオンの威力の前に打ち破られる!

メギドラオンの核の炎がアスラに襲いかかる!

アスラの魔眼は破壊された!

アスラの6本の腕は爆発した!

アスラの鱗で覆われた皮膚は捲れ上がった!

中島は力を使い果たして静かに倒れた。

 

アスラ「グワァァァ!!!この最強の体がぁぁぁ!!」

三蔵「白鷲 弓子、一気に決めるで。」

弓子「あ、ああ。」

三蔵「なんや、びびってんのか?」

弓子「い、いや、あたし、中島のアレ、間近で見たの初めてなんだよ…。バリアを破壊した上にあれだけの力だなんて…。」

三蔵「アイツ、放って置いても死にそうな位のダメージ受けてるけどそうはいかんやろ。」

弓子「ああ、頼む。」

三蔵「よっしゃ、何が劉備玄徳や!ウチが化けの皮剥いだるわ、喰らえや!『テンタラフー!』」

 

三蔵はテンタラフーを唱えた!

本体の劉備玄徳の精神の中に直接攻撃する!

 

アスラ「ああああぁぁぁ!!!!」

 

アスラの体が分裂して緑色をした造魔の核が姿を見せる!

しかし、核の周りにはアスラ組の幹部の亡霊達が核を守っている!

 

タダカツ「相手が亡霊なら浄化させるのみです!『マハンマオン!』」

 

スサノオはマハンマオンを唱えた!

破魔魔法の浄化の光りが亡霊達に襲いかかる!

ティターンの亡霊は浄化した!

メデューサの亡霊は浄化した!

バロールの亡霊は浄化した!

ミノタウロスの亡霊は浄化した!

オセの亡霊は浄化した!

 

弓子「よし、よくやった!コイツでtheENDだ。喰らいな!」

 

弓子の攻撃!

走り込んで造魔の核に渾身のターンチャギが炸裂する!

造魔の核は飛び散り、アスラの体は劉備玄徳の体を残して跡形も無く消え去った!

合成悪魔アスラを倒した!



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脱出

中島「うう…。」

 

中島がふらつきながら立ち上がる。

 

ティンク「中島、大丈夫?『ディアラマ!』」

 

中島の傷が回復した。

 

中島「あっ、アスラ組のボスを…。」

弓子「アスラは倒した。」

タダカツ「中島殿、お見事でした。」

ティンク「タダカツ、安静にしてなよ。『ディアラマ!』」

タダカツ「すみません、助かりました。」

三蔵「後はそこの劉備玄徳だけやな。そろそろ正体現せや。『テンタラフー!』」

 

三蔵はテンタラフーを唱えた!

三蔵の魔法が劉備玄徳の精神を蝕む!

 

「ヒィィ!頭がー!頭がー!」

 

ボンっと大きな音と煙をあげ劉備玄徳の体がみるみるうちに1匹の人間の子供位の大きさの狸に変わっていった。

妖獣マメダヌキが現れた!

 

タダカツ「こ、これが劉備玄徳の正体…。こんな奴の為に我々は…。」

弓子「くだらねえ…。こんなのがアスラ組のボスだったのかよ…。」

三蔵「狐に化かされたって所か。まあ、狸やけどな。」

「た、助けてくれ!な、な、助けてくれよう!ほんの出来心だったんだよ!」

 

マメダヌキは謝りながら隙を見て逃げようと試みている。

 

中島「君が劉備玄徳の正体…。」

「だ、旦那ぁ、許してくれよう。ほ、ほら、男はさ、誰だって強さに憧れる者じゃないか?な?な?」

中島「君は自分のしたことが分からないのか。」

 

中島は静かにマメダヌキに対して敵意を向ける。

 

「ほ、ほらぁ、旦那だってその悪魔召喚プログラムがあるから強くなった訳でして、俺だって劉備玄徳のふりをしてカンテイセイクンを味方につけて強くなったんだからやってる事は大まかには同じって事で…。な?な?見逃してくれよう。」

タダカツ「貴方と中島殿を一緒にしていただきたくありませんね。」

弓子「ああ、中島は少なくとも他人の力で偉そうにはしねえ。」

タダカツ「ええ、中島殿は毎日、強くなる為に努力をしています。」

「な、なんだよぅ。俺だってよぅ!大金持ちになってハーレムを築きたかったんたよぅ!な?旦那だって男だからそう思うだろ?な?な?だから見逃してくれよう!」

中島「き、君は、そんな勝手な理由で町の人々や僕の大切な友達を傷つけて…。ジャックが…ユキムラが…パスカルが…タダカツが…ティンクが…君の勝手な理由で痛い思いをしたなんて…許さない…。君だけは…。誰が許しても僕は絶対に許さない!許さないんだな!」

「ゆ、ゆ、ゆ、許してくれよう!な?たのむよう!」

弓子「駄目だな、中島は聞き分けがねえんだ諦めな。」

三蔵「まあ、自業自得やな。地獄に行ったら小原によろしく言っといてくれや。」

 

中島の攻撃!

最後の力を振り絞り錬気の剣でマメダヌキを斬りかかる!

マメダヌキの首は切り落とされてそのまま力尽きた。

マメダヌキを倒した。

 

弓子「中島、よくやった。行くぞ。」

中島「あっ…。力が…。」

 

中島は力使い果たして倒れこむがタダカツが中島の肩を組み歩き出す。

 

タダカツ「中島殿、帰りましょう。皆が待っています。」

 

ドーン!と大きな爆発音がして辺りが火の海に包まれていく。

 

弓子「ちっ…。あの糞兄貴、マジでボイラー室に火をつけやがった…。」

タダカツ「お兄さんが?」

中島「そんな…。どうして…。」

ティンク「あの人だったらやりかねないよ。」

三蔵「!!前から誰か来るで!」

 

前方から何者かが近づいてくる。

 

タダカツ「貴方は…。カンテイセイクン!」

カンテイセイクン「貴公達を逃がす訳には行かぬ。」

弓子「どけ、もうテメエの相手をしている暇はねえ。」

中島「き、君は劉備玄徳に化けた悪魔に騙されただけなんだな。だから、僕達が戦う理由はもうないんだな。」

カンテイセイクン「何?」

三蔵「これが劉備玄徳の正体や。受け取れや!」

 

三蔵がカンテイセイクンにマメダヌキの首を投げつける!

カンテイセイクンはマメダヌキを首を手で弾き飛ばす!

 

三蔵「おー!偉い遠くに飛んで行ったなあ。サヨナラ逆転ホームランやな。」

カンテイセイクン「フン、下らぬ。」

三蔵「ウチのボケの何がしょうもないんや!佐野のおっさんと一緒にすんな!」

弓子「カンテイセイクン、お前も一緒に脱出するぞ。」

カンテイセイクン「武人として拙者は最後まで戦い抜くのみ、貴公達の情けは要らぬ!来い!来ぬなら拙者から行くぞ!」

タダカツ「…。良いでしょう。この鬼神スサノオが貴方の最後のお相手をいたしましょう。」

 

タダカツは組んだ中島の肩を下ろし戦う体勢をとる。

 

弓子「タダカツ、あたしも加勢する。時間がないから一瞬で片付けるぞ。」

タダカツ「いえ、ここは私に任せて先に脱出して下さい。」

中島「そ、そんな…。タダカツだけ置いて行けないんだな。」

タダカツ「中島殿、私にはトラポートの魔法があります。だから、心配せずともかならず脱出します。」

弓子「タダカツ…先に港で待っている…。中島!行くぞ!」

 

弓子はそう言うと先に上の階段をかけ上がって行った!

 

中島「そんな…。弓子さん…。」

三蔵「中島 朱美!スサノオの心意気を無駄にするな!」

中島「でも…。」

三蔵「どうやらウチ等の迎えも来たようやな。」

「ヒヒーーン!!」

 

ケルピーが背中にパスカルを乗せてやって来た!

 

三蔵「たれぞう、よう来てくれた。」

「ヒヒーン!」

パスカル「ナカジマ タスケニキタ!」

中島「パスカル!どうして…。」

三蔵「犬っころ!中島 朱美を無理矢理連れて行け!脱出や!」

 

パスカルは巨大化して中島を背中に乗せて階段をかけ上がる!

 

中島「パスカル!タダカツが!」

パスカル「ナカジマ トクガワサイキョウノオトコハゼッタイカツ!ナカマシンジル!」

ティンク「中島、大丈夫だよ。」

中島「うん…。」

 

船内はカンテイセイクンとタダカツの二人だけとなった。

 

カンテイセイクン「先ずは貴公から倒させてもらう。その次に拙者に傷をつけたデビルサマナーの女と雪ダルマの悪魔を倒しに行く。」

タダカツ「残念ですがそれは出来ない相談ですね。この船が私と貴方の墓標となるのですから。」

カンテイセイクン「貴公、拙者と心中するつもりなのか!」

タダカツ「貴方を止める為です。それに後悔はありません。中島殿に弓子、それに私を受け入れてくれた仲魔達、彼等の為に死ねるのです。武人としてこれ以上の誉れはありません。」

カンテイセイクン「貴公とは違う形で会いたかった。」

タダカツ「お喋りは終わりにしましょうか。後は拳で語るのみ、鬼神スサノオ、参る!」

 

崩れていく船の中、スサノオとカンテイセイクンの戦いが始まった。

 

 

 

 

 

そのころ弓子は先に船のデッキの上に出てきた。

 

弓子「ちっ…。船の上も火の海か…。海に飛び込むしかないのかよ…。」

「白鷲ー!」

 

上空から弓子を呼ぶ声がする。

 

弓子「なんだ?ヘリコプター?」

「白鷲ー!掴まれー!」

 

上空のヘリコプターからはしごが降りてきた。

弓子は直ぐ様はしごに掴まった!

 

弓子「山川組の若頭か!助かったぜ!」

「よし、行け!脱出だ!」

弓子「ま、待て!まだあたしの連れが…。」

 

弓子が言いかけて下を見るとケルピーが三蔵を乗せて、巨大化したパスカルが中島を乗せて海を駆け抜けていた。

 

弓子「なんでもねえ。行ってくれ!」

「白鷲、しっかり掴まっていろよ!」

 

ヘリコプターはそのままはしごを降ろしたまま陸へと向かって行った。

 

弓子「なんだよ、これじゃあ怪盗二十面相じゃねえか。あたしは探偵だぞ、なんの冗談だよ…。」

 

 

 

 

 

名古屋港では救出されたアスラ組に捕まった人達はすでに警察に保護されていて、残っているのはイケメン武将隊のメンバーと中島の仲魔達だけであった。

 

ユキムラ「ううーん…。」

「ユキムラ!気がついたか、ノブナガさん!ユキムラが目を覚ましました!」

ユキムラ「こ、ここは…。」

ノブナガ「名古屋港だ。」

ユキムラ「ノブナガさん?みんな?どうして…。」

ノブナガ「ぶっ倒れたお前とそこのやつを回収して先に戻って来たんだ。」

ジャック「ヒ、ヒーホー…。ユキムラ、中島達を助けに戻るぞ…。」

 

ジャックはふらつきながら立ち上がりユキムラに声をかける。

 

「おい、じっとしていろ。」

ジャック「オイラは偉大なる悪魔、ジャックフロスト様だぞ…。偉大なるオイラが中島を助けに行かないと…。」

ノブナガ「いや、行かなくていい。」

ユキムラ「ノブナガさん、僕達が行かないと…。」

ノブナガ「だからもうすぐ戻って来るから行かなくていい。今、こっちに向かって来ている。」

 

双眼鏡を見ながらノブナガが答える。

 

ノブナガ「デブの探偵とあの女が戻って来ている。海の上を走っている。」

ユキムラ「よ、良かった…。」

ジャック「弓子は?」

ノブナガ「海の上には居ない。ん?あれは?ヘリコプターか?はしごにぶら下がって誰かいる…。」

ユキムラ「ノブナガさん、貸して。」

 

ユキムラはノブナガに双眼鏡を受け取り覗く。

 

ユキムラ「弓子だ…。みんな、無事だったんだ…。」

ジャック「よ、良かったぞ…。みんな無事で…。」

 

皆が安心していると中島達が港にたどり着いた。

 

ジャック「中島!」

中島「ジャック!」

三蔵「よっしゃ、無事到着や。」

ノブナガ「デブの探偵、約束は果たしたのか?」

ティンク「バッチリだよ!中島がアスラ組のボスをバッサリと一刀両断だよ!」

ノブナガ「そうか。まさか、本当にやるとはな。」

 

中島の帰還を皆が喜んでいるとヘリコプターが間近に来ている。

 

弓子「退けお前等!白鷲 弓子様のご帰還だ!場所を空けろ!」

 

そう言うと弓子ははしごから飛び降りて帰還した。

 

弓子「若頭!助かったぜ!ありがとうよ!」

 

ヘリコプターは答える事なく飛び去って行った。

 

「あれが噂の女探偵…。」

「ヘリコプターで登場とはスタイリッシュだな。」

弓子「よう、お前等が名古屋城の武将隊だな。いつもユキムラのバカが迷惑をかけてるみたいですまねえな。」

 

弓子は武将隊の面々に軽く挨拶をする。

 

ノブナガ「女探偵、白鷲 弓子か…。なかなか面白い奴だな。本来ならもっと早くに挨拶をするべきだったが…。織田 ノブナガだ。いつもユキムラのバカが迷惑をかけてるみたいで申し訳ない。」

 

ノブナガは弓子に手をさしだして軽く握手をした。

 

ユキムラ「ちょ、ちょっと!このイケメンである僕がみんなに迷惑をかける訳がないじゃないか!」

ティンク「ユキムラ、そう言う所がダメなんだよ…。」

ノブナガ「それより…。」

弓子「ああ…。すまない…。タダカツの奴が…。あたし達を逃がすために…。」

ノブナガ「タダカツが…。」

中島「弓子さん、タダカツは魔法で戻って来るって言っていたんだな!」

弓子「中島…。あの時、アイツにそんな力は残って無かった…。」

中島「そんな…。だったらあの時、僕等も残ってカンテイセイクンと戦っていたら…。」

三蔵「中島 朱美、スサノオはウチ等を脱出させる為にあえてウソ吐いたんや。」

中島「そんな…。そんなの…。みんな、知っていてタダカツを置いてきぼりにするなんて…。」

弓子「中島、黙れ…。」

中島「嫌だ!そうだ!今からでも遅くは無いんだな!タダカツを助けに行かないと!」

ノブナガ「探偵、もういい。気持ちは充分だ…。」

中島「良くないんだな!僕は助けに行くんだな!」

ティンク「中島…。」

ユキムラ「タダカツ…。君は…。僕以上の大馬鹿者だよ…。マスターを悲しませて…。」

ジャック「タダカツ…。せっかくオイラ仲良くなれて来たのにそんなの嫌だぞ…。」

中島「みんな、タダカツを助けに行くんだな。」

弓子「中島!!いい加減にしろ!!」

中島「な、なんで…。みんなどうしてそんなに冷たいんだな!」

弓子「お前だけが辛いんじゃねえんだよ!タダカツの気持ちを分かってやれ!!アイツは…お前を助けたいから一人でカンテイセイクンを食い止めたんだよ!」

中島「だから、今度は僕がタダカツを助けに行くんだな!」

弓子「今のテメエに何が出来る!!」

中島「そこの船があるんだな。その船で…。」

「燃料が足りない…。出航は出来ない…。」

中島「だったら…。」

三蔵「たれぞうは貸されへんで…。こいつは今日1日走りっぱなしで疲れ果てとる。あんたのわがままでたれぞうを殺さす訳にはいかん。そこの犬っころもあかんで。無理して最後の力を振り絞ってあんたを助けに来たんや。」

中島「そんな…。だったら…。」

 

中島は海に飛び込もうとする所を弓子に蹴り飛ばされる。

 

弓子「いい加減にしろ!!まだ分からねえのか!!」

中島「そんなの…。分からないんだな!タダカツを見殺しにする人の言うことなんか分からないんだな!」

弓子「テメエ!口で言っても分からねえみたいだな!」

 

弓子は中島を容赦なく蹴り倒す!

 

ノブナガ「おい、止めろ!お前等!探偵を押さえつけろ!」

「は、はい!」

 

弓子は武将隊の面々に取り押さえられるが中島を蹴るのを止めようとしない。

 

中島「弓子さんの蹴りなんか…。ちっとも痛く無いんだな…。僕は泳いででもタダカツを助けに行くんだな…。」

 

中島は足元がふらつきながらも海に飛び込もうする。

 

「お前もいい加減にしろ!落ち着け!」

 

中島も残りの武将隊の面々に取り押さえられる。

 

弓子「中島!テメエ!今度は手加減無しでやってやる!!放せ!」

ノブナガ「止めろ!」

中島「僕はタダカツを助けに行くんだな!放して欲しいんだな!」

「無理だ!泳いでいける訳無いだろ!」

 

中島と弓子が言い争いをしていると、突如空間に歪みが現れ1匹の悪魔が出てきた!

 

メルコム「ホホホ!これはこれは、お二方。いったいこの騒ぎは何があったのですか?」

弓子「なんの用だ、失せろ。今のあたしには冗談は通用しねえぞ。」

メルコム「ホホホ!相も変わらず好戦的な方ですね。全く貴女といい、先程回収しましたスサノオさんといい、似た者同士気が合うと言う事でしょうか。」

ティンク「えっ?」

中島「メルコム、タダカツは仲魔を見殺しにする弓子さんなんかとは全然違うのだな!」

「止めろ!あの女探偵を挑発するな!」

弓子「中島!!もういい!!勝手に海に飛び込んで溺れ死ね!命をかけてタダカツに助けてもらった命を無駄に散らせ!!お前等!もう放せ!」

メルコム「デビルサマナーの彼があそこまでなるなんて珍しいですね。」

弓子「あの野郎、あそこまで聞き分けねえとは思わなかった。もうアイツはクビにしてやる。」

メルコム「スサノオさんも聞き分けがなくて船から救出した時も今カンテイセイクンを倒さないと駄目だと言って空間の中で暴れようとしたので先程魔法で動きを封じたのですが…。デビルサマナーと白鷲 弓子の悪い所だけを影響を受けてるようですね。」

ユキムラ「えっ?今、なんて?」

メルコム「ですから、デビルサマナーと白鷲 弓子の悪い所だけを…。」

ティンク「そこじゃなくて!タダカツ、助け出したの?」

メルコム「え、ええ…。」

ティンク「なんでもっと早くに言わないのよ!中島!弓子!喧嘩している場合じゃないよ!タダカツは生きてるよ!メルコムが助け出してる!」

 

ティンクの声を聞き皆がいっせいにメルコムの方を向く。

 

ノブナガ「何?」

「本当か?」

中島「メルコム?」

弓子「メルコム、テメエ!もっと早くに言え!蹴り倒れてえのか!」

メルコム「ホホホ、いきなりですね。スサノオさんはお返しします。」

 

空間の歪みの中からタダカツが出てきた。しかし、起き上がれないのか横たわった状態のままである。

 

中島「タダカツ…。良かった…。良かったんだな…。」

 

中島は嬉しさのあまり泣き出した。

 

弓子「タダカツ、しっかりしろ!」

タダカツ「ゆ、弓子ですか…。すみません…。メルコムの魔法で体が痺れている状態で…。」

ユキムラ「船で何があったんだい?」

タダカツ「細かい事は省きます。私が崩れ落ちる船の中でカンテイセイクンと戦いの最中にそこのメルコムに邪魔をされました。」

メルコム「ホホホ!邪魔とはあんまりですね。私の仕事は貴方達のサポートですよ。」

ティンク「タダカツ、取り合えず体の痺れをとるけど暴れちゃ駄目だよ。『パトラ!』」

 

タダカツの体の痺れがとれた。

 

タダカツ「すみません…。」

ティンク「無事で良かったよ。」

タダカツ「良くなどありません。カンテイセイクンを取り逃がしました…。メルコム、貴方のせいです。」

メルコム「ホホホ!私の仕事は貴方達のサポートです。スサノオさん、改めてお聞きしますが貴方の最後の仕事は何ですか?」

タダカツ「私の使命はカンテイセイクンを倒す事、貴方の邪魔が入った為にカンテイセイクンを取り逃がし、また今度は何時襲って来るか分からない状況になってしまいました。だから私があの場でカンテイセイクンを道連れにしなければいけなかったのです!それを貴方が!」

 

タダカツの話を割ってメルコムが即答する。

 

メルコム「ホホホ!スサノオさん、やっぱり貴方は目的を履き違えていましたね?」

タダカツ「何?」

メルコム「良いですか?貴方の最後の仕事は生きて仲魔の元に帰る事、別にカンテイセイクンなど放って置いて良いのです。そうですよね?デビルサマナーに白鷲 弓子?」

弓子「ああメルコム、お前にしては気が利いたな。感謝する。」

中島「タダカツ…。無事で…本当に…良かったんだな…。メルコム…。タダカツを助けてくれて…ありがとうなんだな…。」

 

中島は泣きながら答える。

 

弓子「なーかーじーまー!いちいち泣くな!」

中島「でも…僕は…嬉しくて…。」ポロポロ

弓子「何時も言ってるだろうが!嬉しい時は笑え!いい加減に泣き止まないと蹴り倒すぞ!」

中島「でも…さっきも僕は弓子さんに滅茶苦茶蹴られたんだな。」

弓子「口答えするな!」

 

弓子は中島を蹴りあげる!

 

中島「い、痛い…。」ポロポロ

弓子「なーかーじーまー!さっきはあたしの蹴りなんて痛く無いとか舐めた事を言っていたよなぁ?ええ?」

中島「あ、あれは、痩せ我慢していただけで…。」

弓子「中島、安心しろ。これからは今までの倍の力で蹴り倒す事にするから思う存分苦しませてやる。覚悟しろよ?」

 

弓子は中島を思いっきり蹴りにかかる。

 

中島「い、痛いー!だ、誰か、助けて欲しいんだな!」ポロポロ

ノブナガ「おい!みんなで女探偵を止めろ!」

「は、はい!」

 

武将隊の面々が一斉に弓子を止めに入る。

 

弓子「放せ!ふざけるんじゃねえぞ!」

「なんでこの女だけこんなに元気なんだよ…。」

弓子「中島!このあたしにハズレくじばかり引かせやがって!いいか!あたしがぶっ飛ばした幹部の奴なんか一瞬で死んじまいやがったんだ!中島!お前が落とし前をとってボコボコされろ!」

「無理だ…。俺達じゃ止められない。」

中島「た、助けて!誰か!」ポロポロ

 

弓子の言いがかりで蹴り倒される中島であった。

 

 

タダカツ「私は敵を倒せずに不本意とは言えノコノコと戻って来て…。」

ノブナガ「タダカツ。」

 

タダカツが一人思い悩んでいるとノブナガが思いっきりタダカツを殴りつける!

 

ティンク「ちょ、ちょっと!ノブナガさん、タダカツは絶対安静なんだから!」

ノブナガ「日本の神様が俺のパンチぐらいじゃ全然効かねえだろ。多目に見てくれ。タダカツ!お前、俺と約束したよなあ!絶対に戻って来るって!」

タダカツ「ノブナガさん、それは…。」

ノブナガ「約束したよなあ!」

ユキムラ「ノブナガさん?」

タダカツ「ですが…。あのカンテイセイクンを取り逃がしたら今度は皆に襲いかかって来るかも知れないので…。」

ノブナガ「この大バカ野郎!周りを見ろ!お前は一人なのか!仲間が居るだろ!探偵達が、それに俺達が居るだろ!一人で抱え込むな!仲間を頼れ!何かあったら相談しろ!それが仲間だろうが!ええ!」

タダカツ「…。」

ジャック「タダカツ、ノブナガの兄ちゃんの言う通りだぞ。まあ、カンテイセイクンなんて来てもオイラがやっつけてやるから安心したら良いぞ。」

ユキムラ「ジャック、君がかい?」

ティンク「ジャックは直ぐに調子に乗るんだから…。」

タダカツ「いえ、ジャックの言う通りですね…。ノブナガさん、私が間違っていました。すみませんでした。」

ノブナガ「だから…。お前は頭が硬いんだよ。まあ、ユキムラみたいになってもそれはそれで困るけどな。」

タダカツ「そうですね…。精進します。」

ノブナガ「もうすぐ12時になるから明後日か。明後日は名古屋城で全員集合の日だからな、タダカツ、ユキムラ、それまでに体調を整えておけよ。俺達は先に帰るからな。みんな、俺達は帰るぞ!」

「タダカツ、お前が無事で良かったぜ。また明後日な!」

タダカツ「ノブナガさん、皆さん、ありがとうございました!」

 

タダカツは立ち上がり去っていく武将隊の面々にお辞儀をした。

 

ティンク「あたしが公園で暮らしていた時は毎日うるさいなって思っていたけどみんな、いい人達だね。」

タダカツ「ええ…。素晴らしい方々です。所で中島殿と弓子が凄い言い争いをしていましたが…。」

ユキムラ「ああ、それは…。」

 

ユキムラはタダカツが戻る前の出来事を説明した。

 

タダカツ「そうでしたか…。中島殿が私のために…。」

ティンク「弓子も本当は自分が助けに行きたかったはずなのに中島を無茶させない為に必死だった…。だから、あたしは二人を止めれなかったよ。」

ユキムラ「うん。」

タダカツ「中島殿…。あっ、まだ弓子に蹴られている…。今は弓子を止めましょう。あのまま中島殿が蹴られ続けたら本当に死んでしまいます。」

 

見ると中島は弓子にまだ蹴られ続けている。皆で弓子を止めに入る。

 

タダカツ「弓子、もう止めて下さい!中島殿が死んでしまいます!」

弓子「タダカツ、動ける様になったか。流石にタフだな。」

タダカツ「かろうじて動ける程度です。」

中島「うう…。」ポロポロ

 

中島はまだ泣いている。

 

ティンク「中島、大丈夫?」

中島「うう…。良かった…。タダカツも…。ユキムラも…。ジャックも…。無事で良かった…。良かったんだな…。みんなにもしもの事があったら僕は…。」ポロポロ

弓子「だから、いちいち泣くな!嬉しい時は笑え!まだ蹴られ足りないのか!」

ティンク「弓子!いい加減にしなよ!」

中島「みんなが傷ついていたのに僕は…。いつも何も出来なくて…。」ポロポロ

タダカツ「中島殿、そんな事はありませんよ。貴方は立派です。現にアスラ組の大将首を捕ったではありませんか。さあ帰りましょう。」

弓子「帰るか。」

 

中島達が帰る為に港から出ると一台のワゴン車にクラクションを鳴らされる。

 

「探偵さん達、送って行くッス!」

 

弓子達が劉玄丸に乗り込む時に協力してくれた作業員のしたっぱである。

 

弓子「おう、何から何まですまねえな。助かるぜ。」

「みんな乗るッス!」

中島「あの…。一緒にいた…。」

「ゴブリやコボル達ッスね?先に山ちゃんに飲みに行ってるから心配ないッスよ。」

弓子「したっぱ、今回は助かった。愚図の中島まで助けてもらったみたいで。」

「自分がしたくてしたことなんで気にしないで欲しいッス。」

弓子「そうか。今度改めて礼をするよ。中島、お前等は後ろだ。助手席はあたしだ。」

三蔵「白鷲 弓子、残念やったなあ。助手席はウチが先にいただいたからお前は後ろや。」

弓子「なんだよ。何時の間に居たんだよ。」

三蔵「兄ちゃん、先に病院に寄ってくれや。佐野のおっさんが病院に運ばれたから行かなあかんねん。八戒達が先に行ってるから急いでくれや。」

「分かったッス!」

メルコム「皆さん、詰めて下さい。私もご一緒します。急ぎの患者を預かって居ますので。」

タダカツ「急ぎの患者を?まさか?」

メルコム「ええ、一命をとりとめました。デビルサマナー、お願いがあります。ヨモツシコメさんの所に彼をお願い出来ますか?私は過去に少し因縁がありますので貴方達から彼を運んで欲しいのです。」

中島「分かったんだな。」

「それじゃあみんな、先に病院に行くッスよ。」

 

中島達を乗せたワゴン車はいつもの病院に向かって走って行く。



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アスラ組壊滅 その後

いつもの病院にたどり着いた。

 

メルコム「それでは、彼をお出ししますので後はお願いします。」

空間に歪みが現れてジャイアントが出てきた。眠っているのか横になったまま動かない。

 

弓子「なんだそいつは?」

タダカツ「我々に協力してくれた者です。カンテイセイクンに切り捨てられてしまって…。」

ティンク「息をしている…。タダカツが連れて来た時は確かに死んでいたのに…。」

メルコム「取って置きのアイテム、反魂香を使いました。全く、貴方達のお陰で大赤字ですよ。」

ジャック「ジャイアン、生きてるのか?」

メルコム「ええ、心配入りませんよ。ただしばらくは安静にはしないといけませんが。」

「なんだい、病院の外で騒ぐんじゃないよ!」

 

外で話をしていたのでヨモツシコメの婆さんが飛び出してきた。

 

メルコム「不味いですね…。名残惜しいですが皆さん、ご縁があればまたお会いしましょう。」

中島「メルコム、ありがとうなんだな。」

メルコム「デビルサマナー、またお会いしましょう。」

 

メルコムは軽く会釈をしてからいそいそと空間の歪みの中に入り消えて行った。

 

「なんだい、またあんた達かい!病院は元気な奴が来るところじゃないんだよ!とっとと帰りな!」

ジャック「ばあちゃん、オイラのともだちを見てやって欲しいんだぞ。」

「なんだい、そこのデカブツかい?ベットで安静にしたら直ぐに良くなるよ。そこの図体デカイあんた、ベットまで運んでおくれ!」

タダカツ「わ、私一人でですか?」

「他に誰がいるんだい!早くしな!」

タダカツ「わ、分かりました…。」

 

タダカツはジャイアントとおんぶして病院の中に入っていった。

 

三蔵「ばあちゃんばあちゃん、この病院に佐野のおっさん運ばれてるやろ?」

「佐野?ああ、あの品のない刑事だね。三階の病室だよ。騒がしい悪魔の連中も一緒に居るから直ぐに分かるよ。」

三蔵「そうか。」

「で、あんた達。今度は何をやらかしたんだい?」

弓子「ああ、アスラ組の連中をぶっ飛ばしに行っただけだ。たいした事はしてねえよ。」

「全く、ヤクザ相手に無茶するよ。」

 

タダカツが戻って来た。

 

タダカツ「ジャイアントは二、三日したら良くなるようです。そろそろ我々は帰りましょうか。」

三蔵「元気でな。」

弓子「元気でな、じゃねえよ。どうせ直ぐに会うことになるじゃねえか。」

三蔵「いや、ウチ等は大阪に帰る事になるからこれでサヨナラや。」

ティンク「えっ?どうして?」

三蔵「ウチが殺したアスラ組の幹部な、ウチの学校の担任の教師やってな。ウチのクラスの子に殺した所を見られてしもうたんや。だから、学校にはもう居られへんから大阪に帰るんや。」

中島「そんな…。相手は悪魔なのに…。」

三蔵「まあ、もう過ぎた事やから気にすんなや。それはそうと中島 朱美、優しいだけじゃこれから先はやっていかれへんぞ。」

中島「あの…。」

三蔵「仲魔が大事やったらお前が強くならなあかんのや。分かったな?」

中島「わ、分かったんだな。」

三蔵「じゃあな。」

タダカツ「お待ちください。カンテイセイクンは貴女の命も狙っていました。いつ襲われてもおかしくない状況です。」

三蔵「お前が取り逃がしたんからやんけ。」

タダカツ「それを言われると、あれなのですが…。」

三蔵「心配いらん!ウチ等はチームで戦うからな。アイツの力はだいたい分かったから今度来ても返り討ちや。」

弓子「カンテイセイクンか、お前の所に来る前にあたしがやっつけてるかも知れないがな。」

三蔵「ウチは仏教徒やから無駄な殺生はしたないからあんた等が倒してくれたら助かるわ。ウチは佐野のおっさん所に行くからこれで失礼するわ。」

弓子「ああ。」

 

三蔵は病院の中に入っていった。

 

ティンク「三蔵さん、もう会えなくなるのかな…。」

弓子「さあな。悪魔の相手をしていたらそのうち会えるかもな。あたしらもそろそろ帰るか。」

ユキムラ「そうだね。」

ジャック「ばあちゃん、また来るぞ!」

「遅いからとっとと帰りな!」

 

一同は再びワゴン車に乗り事務所に帰って行った。

 

 

 

 

 

次の日の夕方、中島達が事務所で昨日の疲れを癒していると客が来た。

 

デスメル「白鷲さん、みんな、居るかな?」

弓子「おう、デスメルか。兄貴以外はみんな居るぜ。」

デスメル「昨日の事の報告が色々としたくてね。」

中島「昨日の事?」

デスメル「まずはテレビのニュースや新聞でも紹介されているから知っていると思うけど白鷲さん達に協力してくれたイケメンおもてなし武将隊のみんなに警察協力賞が送られたんだ。」

ジャック「何でノブナガの兄ちゃん達だけなんだ?ユキムラとタダカツはもらっていないぞ?」

ユキムラ「ジャック、僕達はそんなのは貰わなくても良いんだよ。」

弓子「目立ちたがりやのバカのユキムラが辞退するなんて珍しいな。」

タダカツ「我々は悪魔ですからね。それにノブナガさん達とは別行動でしたからその場に居なかった事にしてもらいました。」

ユキムラ「ハハハ、そう言うことさ。僕はイケメンだからそんな賞を貰わなくても女の子にモテモテなのさ。さぁ!みんなもイケメンであるこの僕を見習うといいさ!」

デスメル「…。ま、まあ、そう言うことだから明日の名古屋城は人でごった返す事になると思うよ。」

ティンク「デスメルさん、こんにちは。もう夕方になるのにお仕事大変なんだね。」

デスメル「ああ、ティンクちゃん。こんにちは。実は佐野警部のお陰で時間がかかってこの時間になったんだよ。」

弓子「ああ、あの大阪から来た面倒臭いおっさんか。病院にいるんじゃねえのか?」

デスメル「それが…。病室であの武井 千枝子ちゃん達と騒いでいて晩に看護士のお婆さんに追い出されたんだ…。」

弓子「いったい何をやってるんだよあいつ等は…。」

ティンク「何処でも騒ぐんだね…。」

中島「でも、学校を退学して大阪に帰ってしまったからもう会えないと思うと少し寂しいんだな。」

デスメル「いや、学校は退学していないよ。彼女はそのつもりだったみたいだけど、彼女のクラスのみんなに止められて退学は取り消しになったんだ。」

中島「良かったんだな…。」

デスメル「中島君、良くは無いよ。今日1日凄く大変だったんだから。」

ティンク「えっ?どういう事?」

デスメル「まずは、彼女のクラスの子が学校の校長先生に直談判をしに行ったのを始めに先生達と揉め合いになる生徒に暴れだす子に座り込みを始めて授業が出来なくなる始末になってそこに彼女が佐野警部の車で学校に来たものだから、武井 千枝子がヤクザを連れて報復に来たって警察に通報があって騒ぎを止めるのに今の今までかかったんだよ。」

弓子「どんだけ人騒がせな連中なんだよあいつ等は…。デスメル、お前大変な奴とコンビになったんだな…。聞き分けのねえ中島の方がまだ可愛く思えるよ…。」

 

本当に人騒がせな連中である。

 

デスメル「うん…。」

ティンク「そうだ、もう夕飯時だからデスメルさんも食べて行ってよ。」

デスメル「そんな…。急に来たのに…。」

弓子「そうだな、デスメル遠慮せずに食って行けよ。ナイター見ながら飯にしようぜ。チビ、今日の飯はなんだ?」

ティンク「クリームシチューだよ。」

タダカツ「いつもの様に最後の味付けの八丁味噌は私が入れときましたのでご安心を。」

中島「…。」

ユキムラ「…。」

ティンク「何してくれるのよ!!」

タダカツ「ですから味の仕上げの八丁味噌を入れたのです。」

ティンク「ふざけないで!!」

タダカツ「これは私が独自にブレンドしたシチュー用の八丁味噌です。」

ティンク「何がシチュー用の八丁味噌よ!!全て同じ味にされたら堪ったもんじゃないわよ!!」

タダカツ「ああ、嘆かわしい。どうして貴女には全ての料理に合うこの八丁味噌の素晴らしさが理解できないのでしょうか…。」

ティンク「あんたなんか一人で船に取り残されたら良かったんだよ!!」

中島「ティ、ティンク、落ち着くんだな…。」

ティンク「中島、練気の剣貸してよ!アスラ組のボスを殺ったみたいに首をちょんぎってやるんだから!」

パスカル「オレサマ ハラペコ ハヤクメシスル!」

 

こうしていつもの日常に戻っていった白鷲探偵事務所であった。

 




この世には悪魔と呼ばれる存在が実在し、時には人々を脅かす。
もしも、君にそんな時が訪れたとしたらこの白鷲探偵事務所を訪れると良いだろう。
心強き女探偵、白鷲 弓子と心優しきデビルサマナー中島 朱美と彼を助ける仲魔達がきっと力になってくれるであろう。

「中島、依頼がきた。行くぞ。」
「あっ、弓子さん。待って欲しいんだな。」
「中島、あたしも行くよ!」



to be continue


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魅惑のマーメイド 前編

アスラ組との戦いから1週間ほどたったある日、みんなが事務所でくつろいでいるとユキムラが1枚のチラシを持って中島達に提案をする。

 

ユキムラ「HEYみんな!しばらく依頼もないみたいだから名古屋港水族館に行かないかい?」

中島「名古屋港水族館、昔にお爺ちゃんに1回だけ連れて行ってもらった事があるんだな。」

ティンク「そう言えば前にも水族館がどうのって言ってたよね。」

ユキムラ「そう、今行くと美しいマーメイドが僕達をお出迎えしてくれるのさ。」

ジャック「水族館ってどんな所なんだ?」

ユキムラ「だから美しくキュートなマーメイドがお出迎えしてくれるのさ。このイケメンである僕の為にね。」

ジャック「それはさっき聞いたぞ。他には何があるんだ?」

大輔「名古屋港水族館か、水族館だから色々なお魚がいるね。見所は迫力のあるイワシトルネードに光に反応して色が変わるクラゲ達、更にシャチのショーもあるね。これは名古屋港水族館にしかない催しなんだ。是非とも見ないといけないよ。」

ティンク(勝手に話に入ってきた…。)

ジャック「面白そうだな。オイラも行きたいぞ。」

ユキムラ「じゃあ、明日の土曜日にみんなで行こうではないか。」

弓子「すまんがあたしとタダカツはパスだ。」

ユキムラ「えっ?マーメイドが居るんだよ?」

タダカツ「すみません、その日はテコンドーの道場を貸切にしていまして弓子と久々に思いっきり鍛練をする事になっています。」

弓子「そう言うことだ、せっかくの誘いだのにすまねえな。中島達とだけで楽しんで来てくれ。」

ユキムラ「しょうがないね。僕達だけで行ってくるよ。」

中島「楽しみなんだな。」

ティンク「そうだね。」

ジャック「オイラも楽しみだぞ。」

パスカル「オレサマ ソノヒ ユミコト コウドウスル。」

弓子「はぁ?バカ犬、どういう風の吹き回しだ?」

パスカル「オレサマ タンレン!カラダキタエル!」

弓子「ほう?なかなか良い心がけだな。まあ良いや、この白鷲 弓子様が鍛えてやるからありがたく思え。」

ティンク「パスカル、弓子とタダカツが相手だから無茶したら駄目だよ?」

弓子「チビ、あたしに口答えするとは良い度胸だな?」

ティンク「何言ってるのさ!毎回、二人共死にかけの状態で帰って来て毎回あたしが回復魔法をかけてるんだよ!」

タダカツ「毎回、全力でやるから鍛練の意味があるのです。それは仕方のない事です。さぁ、食事にしましょうか。」

ユキムラ「そう言えば今日はタダカツが食事当番だったね。ちなみに今日のメニューはなんだい?」

タダカツ「今日は本田 タダカツ流甘口小倉パスタです。」

中島「え…。」

ジャック「…。」

ティンク「なんで…。」

ユキムラ「そんな…。」

 

中島達に例の喫茶店での悪夢が蘇る…。

 

弓子「おい、タダカツ。あたしもそれを食わす気か?」

タダカツ「はい、ちゃんと皆さんの分を用意してます。それではいただきましょう。」

 

大輔「パスタというよりデザートだね。へえ、渋めの抹茶のパスタにシロップかな?それですすりやすいパスタに仕上がっているね。美味しいじゃないか。あれ?みんな食べないのかい?」

タダカツ「今日は気温が高いので冷製パスタにしてあります。」

中島「た、食べてみるんだな…。」

 

中島は恐る恐るパスタを口に入れる。

 

中島「あっ、美味しいんだな。」

ティンク「えっ?中島、無理して美味しいなんて言う必要ないんだよ。」

中島「本当に美味しいんだな。」

 

中島の感想を聞いて他の面々もパスタを口に入れる。

 

ティンク「あっ、本当だ。油で炒めていないから美味しい。」

ユキムラ「これは確かに美味しいけど、前に弓子に連れて行ってもらったやっぱり喫茶店の悪夢を思い出すよ。あの時は小倉トーストを頼んだのにフランスパン丸々1つに大量の生クリームと小倉あんが乗ったのが出てきたからね。」

弓子「確かにあれが出てきた時は流石のあたしも引いたな。後、糞ダルマが頼んだかき氷の大盛り。」

タダカツ「ああ、マッターホルンの様なかき氷でしたね、私もビックリしました。まだまだ私の知らない興味深い物がたくさんあって良い刺激になります。」

ジャック「オイラ、またあのかき氷食べに行きたいぞ。」

 

タダカツが作った冷製甘口小倉パスタは意外にも好評でみんな綺麗に平らげた。

 

弓子「タダカツ、甘口のパスタは2度と作るなよ。まだ口の中が甘ったるじゃねえか。」

大輔「あれ?弓子は確か甘い物好きだったよね。よくういろうを食べてるじゃないか。」

弓子「甘さにも限度があるだろ。青柳ういろうの程よい甘さがいいだよ。」

タダカツ「すみません、精進します。」

大輔「僕的には美味しかったけどね。それより明日だよね、水族館。」

ユキムラ「そうさ。だからお兄さん、もしも明日に依頼があっても僕達は行けないからよろしく頼むよ。」

弓子「あたし達も道場に行くからな。兄貴は留守番しといてくれ。」

大輔「いや…。水族館へ…。」

ジャック「ヒーホー!水族館は留守番してくれる大輔の兄ちゃんの分もオイラ達が楽しんでくるぞ。」

大輔「あの…。だから…。」

ティンク「決まりだね、パスカル、鍛練っていっても弓子とタダカツが相手だから無茶したら駄目だよ。」

パスカル「マカセロ!オレサマ ツヨイ!フタリトモ ボコボコ!」

弓子「ほう?バカ犬、言うようになったな?」

タダカツ「まあ、皆さん。明日は早いので今日はこれぐらいで寝ましょうか。」

中島「僕も夜の素振りをしたら寝るんだな。」

弓子「中島、その糞重たい剣をよく毎日素振り出来るよな。」

中島「うん、毎日やってるから習慣になってるんだな。」

タダカツ「中島殿、今日は程々にして休んでください。」

中島「うん、ありがとうなんだな。」

タダカツ「それでは我々は部屋に戻りましょう。」

 

みんなそれぞれ部屋に戻って行ったので事務所は大輔一人取り残された。

 

大輔「なんだよ、僕一人に留守番をさせるなんて。やっぱり悪魔は倒すべき敵だ、今に見ていろ…。」

 

次の日、中島達は朝の開園前から水族館に来ている。

 

中島「ユキムラ、今日は誘ってくれてありがとうなんだな。」

ユキムラ「ハハハ、気にする事なんてないさ。当然の事ながらそれはこの僕がイケメンだからみんなを誘う事なんて当たり前の事なのさ。」

ジャック「みんなを誘うのにイケメンは関係ないと思うぞ。」

ティンク「ユキムラはいちいち自分がイケメンだって主張するから女の子にモテないんだよ。」

ユキムラ「ちょっと、君はなんて事を言うんだい!」

ティンク「だって、タダカツはユキムラと違ってこの前女の子にファンレターをもらっていたよ。」

ユキムラ「えっ?なんで!」

ティンク「そう言うところが駄目なんだよ。」

 

中島達が話し込んでいると開園時間になり次々と人々が中に入って行く。

 

ユキムラ「さあみんな、マーメイドは北館さ。早速行こうではないか!」

中島「北館はシャチやイルカも居るんだな。行ってみるんだな。」

 

中島達は北館に入って行く。入り口の水槽の端にはマーメイドが怯えた様子でいる。

 

中島「あれがマーメイド…。」

ティンク「なんか怯えているね…。」

ユキムラ「…。」

ジャック「中島、あっちにイルカがいるぞ!」

中島「あっ、本当なんだな。」

ティンク「シャチも居るよ!」

 

中島達はシャチやイルカを見て大はしゃぎである。

 

ユキムラ「僕が見たかったのこんなのじゃない…。」

 

中島達はそのまま水族館の中を見て回っている。

 

中島「もうすぐイルカショーが始まるんだな。」

ティンク「楽しみだね。」

ジャック「ん?ユキムラ?さっきから元気無いぞ?」

ユキムラ「…。大丈夫さ、心配ないよ!」

 

中島達はお昼過ぎまで水族館にいた。

 

中島「そろそろお腹が空いたんだな。」

ティンク「そうだね。お昼にしようか…。」

ジャック「さっき通ったレストランに行くぞ。」

ユキムラ「あ、ああ。みんな、すまないが僕はちょっとこれで失礼するよ。」

中島「ユキムラ?」

ユキムラ「やっぱりちょっと体調があまり良くなくてね。せっかく僕が誘ったのにゴメンね。」

 

ユキムラは一人先に帰って行った。

 

ジャック「ユキムラ、どうしたんだ?」

ティンク「あのマーメイドを見てからだよね…。」

中島「心配なんだな…。」

ティンク「まあ、とりあえずお昼にしようよ。」

中島「うん…。」

 

中島はユキムラを心配しつつもレストランでお昼をとることにした。

 

 

しばらく時間が経ち中島達は夕方前に事務所に戻ってきた。

 

大輔「中島君、お帰り。僕一人に留守番をさせて行ってきた水族館は楽しかったかい?」

中島「えっ…。いや…。あの…。」

 

なんとも器の小さい男である。

 

ジャック「大輔の兄ちゃん、水族館楽しかったぞ!」

大輔「そ、そうかい…。」

中島「そ、そうだ、ユキムラは?」

大輔「ユキムラ君?まだ帰って来てないよ。」

ティンク「え?うそ?まだ帰って来てないの?」

大輔「知らないよ、僕に留守番をさせた奴の事なんて。」

ティンク「何よその言い方。」

大輔「君こそなんだい、ここは僕の事務所だぞ!僕が気に入らないなら出ていけよ!」

ティンク「あたしは中島の仲魔よ!あんたの様な人間に指図される言われは無いわよ!」

大輔「僕をバカにするな!悪魔め!」

ティンク「あんたこそ!前回、あたし達を船で…。」

中島「ティンク駄目なんだな!もう止めるんだな!」

ティンク「中島!だって!」

中島「お兄さん、僕達はユキムラを探してくるんだな!さあティンク、行くんだな!」

大輔「何処にでも行けばいいさ。」

 

中島はティンクを連れてユキムラを探しに外に出ていった。

 

中島「ティンク、船での件は黙っているって弓子さんと約束している事なんだな。」

ティンク「でも中島。あの人は中島を殺そうとした人だよ。あの人は弓子と違って信用はできない。」

中島「お兄さんのお陰で僕は探偵の仕事が出来てみんなと仲良くなれたんだな。」

ティンク「うん。それは分かるよ。」

中島「もうその話は止めにするんだな。ユキムラを探しに行かないと。」

ティンク「ユキムラ、あのマーメイドを見てから様子がおかしかったよね。」

中島「うん…。」

ティンク「あのマーメイド、人間達に捕まってあの水族館に居るのかな…。」

中島「あの子、とても悲しそうにしていたんだな。」

ティンク「もしかして、ユキムラはあのマーメイドの所に行ってるのかな?」

中島「そうだ、悪魔召喚プログラムを使うんだな。」

 

中島は悪魔召喚プログラムのオートマッピンク機能を作動させる。

 

中島「あれ?こっちに近づいて来ているんだな?3つの内、1つは赤い点滅になってる…。」

 

すると前方から中島を呼ぶ声が聞こえる。

 

ユキムラ「マスター!良いところに来てくれたよ。手伝って、弓子達がボロボロで死にかけの状態なんだよ!」

 

見るとユキムラがボロボロで気絶している弓子とタダカツを抱え、気絶して豆芝の状態でいるパスカルを頭に乗せている。

 

ティンク「もー!だから行ったじゃない。『メディアマ!』」

 

ティンクの回復魔法で弓子達の傷を回復させる。

 

弓子「おうチビ、出迎えご苦労だな…。」

パスカル「オレサマ ウゴケナイ」

中島「タダカツがまだ目を覚まさないんだな…。」

弓子「ああ、アイツはトレーニング中にふざけやがったからな。殺す気でバカ犬と徹底的に叩きのめしてやったんだ。」

ティンク「タダカツがふざける?」

中島「真面目なタダカツがふざけるなんて考えられないんだな。」

ユキムラ「とりあえず事務所に戻ろうよ。」

弓子「たまたま、ユキムラが道場の近くを通ってくれて助かったよ。」

 

中島はボロボロの弓子達を運んで事務所に戻った。



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魅惑のマーメイド 後編

水族館に行ってから何日か後の夜、みんなが事務所でくつろいでいる時だった。

 

ユキムラ「ちょっと出掛けてくるよ。帰りは朝になるからみんなは寝ていてくれて構わないさ。」

ジャック「ヒーホー!ユキムラ、何処に行くんだ?」

ユキムラ「ジャック、野暮な事は聞かないでくれたまえ。それではみんな、行って来るよ。」

 

ユキムラは一人で外に出ていった。

 

タダカツ「今日もですか…。」

中島「気になるんだな…。」

弓子「どうせ懲りずにナンパでもしに行っているんだろ。アイツはバカだからな。」

タダカツ「そうでしょうか。ユキムラは武将隊のお仕事の時も心ここに有らずの状態でしたので気になりますね。」

パスカル「メスニミトレテルダケ!」

弓子「ああ、多分バカ犬の言う通りだと思うぜ。タダカツ、あまり考え込むと頭が禿げるぞ。それより兄貴、なんか依頼は来てないのかよ。」

大輔「有るには有るけど、たいした依頼じゃないよ。」

弓子「何だよ、有るなら有るってちゃんと言えよ。」

大輔「何を言ってるんだよ!中島君達が僕を一人で留守番させて水族館に行った日に弓子達が大怪我をして帰って来たから保留にしていたんじゃないか!」

ティンク「まだ言ってる…。」

 

まだ水族館に行けなかった事を根に持っているしょうもない男である。

 

弓子「なんだよ、あたし等が悪い言い方しているじゃねえよ。それにまだ水族館の事を言ってるのかよ。」

大輔「なんだよ!僕も行きたかったんだよ!」

弓子「行きたきゃ一人でも行ったら良いだろうが。過ぎた事をぐちぐち言ってるんじゃねえぞ!そんなだから友達が一人も居ねえんだよ。」

大輔「もういいよ!」

 

大輔は怒って一人事務所を出て自分の部屋に戻って行った。

 

弓子「なんなんだよ兄貴の奴、何を怒ってるんだよ。」

タダカツ「まあ、依頼があるのなら明日にでも話があると思いますよ。」

中島「そうなんだな。僕も夜の鍛練があるから少し失礼するんだな。」

ティンク「あたしも行くよ。」

 

中島とティンクも外に出て行った。

 

ティンク「中島、ユキムラを探しにやっぱり行くの?」

中島「う、うん。でも、僕は誰にも話していないのにどうして?」

ティンク「分かるよ。だって中島だったらそうするだろうなって思ったから。私も手伝うよ。」

中島「ティンク、ありがとうなんだな。」

 

中島は悪魔召喚プログラムのオートマッピンク機能を作動させた。

すると中島達に近づいて来ている仲魔の反応が2つある。

 

ジャック「ヒーホー!中島!オイラを置いてきぼりにするなんて酷いぞ!」

パスカル「ナカジマ イクゾ!」

中島「ジャックにパスカル?」

ジャック「弓子達にはパスカルの散歩に行くって言ってきたから大丈夫だぞ。」

パスカル「ナカジマ ノレ!」

 

パスカルは巨大化して魔獣の姿に変わっている。

 

中島「パスカル、ユキムラは名古屋港水族館なんだな。」

パスカル「ワカッタ!イクゾ!」

 

パスカルは中島達を背中に乗せて猛スピードで駆け抜けて行く。

 

名古屋港水族館にたどり着いたが夜なので水族館は閉館していて中には入れない。

 

パスカル「ナカジマ ノリコエルゾ シッカリツカマレ!」

 

パスカルは高くジャンプして、壁をかけ上がる。かけ上がった先からイルカショーの水槽が見える。水槽の前にユキムラがマーメイドの前で何かしている。

 

ジャック「ヒホ?ユキムラは何をしているんだぞ?」

ティンク「しっ!ユキムラに気付かれちゃうよ。」

中島「もう少し近づいてみるんだな。」

 

中島達は気付かれ無いように近づいていく。

 

ユキムラ「HEY!君に会いにまた来たよ。」

「あの…。」

ユキムラ「今日は君に少しでも元気になってもらう為にこのイケメンである僕の歌謡ショーをご披露させてもらうよ。」

「もう帰って…。」

ユキムラ「それでは、まずはこのイケメンソングからいってみようか!」

 

ユキムラがあらかじめ用意していたラジカセを大音量で曲を流す。

 

ユキムラ「欲望も~♪レベル上げれば~♪」

「…。」

 

中島達はユキムラの様子を見ている。

 

ジャック「なんか歌を歌いだしたぞ。」

ティンク「あのマーメイドを励ますつもりなのかな?」

中島「みんな…。今日はもう引き返すんだな…。」

ティンク「中島?なんで?」

中島「明日、また来るんだな…。パスカル、お願いなんだな。」

パスカル「?ワカッタ」

 

中島達は水族館を後にした。そのすぐ後に大音量を聞き付けた警備員が駆けつけてきた。

 

ユキムラ「おおっと邪魔が入ったからまた明日来るよ。」

「もう来ないで…。」

 

ユキムラは風のように去っていった。

 

 

 

次の日、ユキムラはまた夜に出掛けて行った。それを追うように中島達も外に出ていった。

 

ティンク「ねえ中島?昨日はどうしてすぐに帰っちゃったの?」

中島「うん。ユキムラは、本当のエンターテイメントが分かっていないんだな。あの子を元気づけようとするのは分かるけど。」

ティンク「どういうこと?」

中島「うん、昨日のユキムラじゃ、楽しいのはユキムラだけであの子は楽しくはなれないんだな。」

ティンク「ユキムラの悪い所だよね…。」

ジャック「ユキムラは楽しい奴だぞ?」

中島「うん、でも初対面の人には分からない事なんだな。」

ティンク「多分、ユキムラは今日も同じ事をすると思うよ。」

中島「それは大丈夫なんだな。今日は僕もユキムラに協力するから。」

ティンク「協力?」

ジャック「何をするんだ?」

中島「それは行ってからのお楽しみなんだな。パスカル、今日もお願いするんだな。」

パスカル「ナカジマ ノレ」

 

中島達は今日も魔獣化したパスカルの背中に乗り名古屋港水族館に向かう。

昨日と同じ様に水族館に潜入するとユキムラはすでにマーメイドの元に着いていた。中島達はユキムラに気付かれないように近づいていく。

 

ユキムラ「昨日はとんだ邪魔が入ってしまったからね。今日こそはこのイケメンである僕の歌謡ショーを楽しんでもらうよ。」

「なんでまた来たの…。」

ユキムラ「ハハハ、なんでとはいきなりだね。君に楽しんでもらう為さ。ここから逃げ出す前にまずは君に笑顔になってもらいたいのさ。」

「…。」

ユキムラ「君はこんな所に居たくないのだろ?大丈夫、このイケメンである僕に任せたまえ。」

「そんな…。迷惑じゃ…。」

ユキムラ「ハハハ、ここから逃げ出す前にこのイケメンである僕の歌謡ショーを始めようか。君だけの為にスペシャルライヴステージを開催するよ。それでは、少し音量を下げて…。ミュージックスタートさ!」

 

ユキムラはラジカセの電源を入れて音楽と共にリズムを取り出す。

 

ユキムラ「Yo Say 夏が~♪胸を刺激する~♪生足魅惑のマーメイド~♪フフフフフーフフ♪フフフフフーフフ♪君と僕とはイッツオーライ!」

 

せめて歌謡ぐらい覚えて来てからやれ。グダグダの歌謡ショーに見かねて中島が動き出す。

 

中島「少し行ってくるからみんなはここで待っていて欲しいんだな。」

ティンク「え?中島?」

 

中島はユキムラの横に立ちリズムに合わせて華麗なタンバリン芸を披露する。

 

ユキムラ「えっ?マスター?どうしてここに?」

中島「…。」シャンシャンシャンシャン

 

中島はイントロに合わせて無言でタンバリン芸を続けている。

 

ユキムラ「ごまかしき~かない♪フフフフフーフフ~♪フフフフフーフフ~♪確信犯の♪しなや~かな style!」

中島「…。」シャン

「…。フフ…。」

 

中島は体全体を使ってタンバリン芸を繰り広げている。中島の動きを見てマーメイドは少しだけ笑った。

 

ジャック「パスカル、オイラをあのマーメイドの所に連れて行って欲しいぞ。」

ティンク「ジャック?何をするの?」

ジャック「あの姉ちゃんとお話してくるぞ。」

パスカル「マカセロ」

 

ジャックは魔獣化したパスカルの背中に乗り大きくジャンプしてマーメイドの横に着地する。

 

「えっ?何?」

ジャック「ヒーホー!」

「君は?」

ジャック「オイラは偉大なる悪魔、ジャックフロスト様だぞ!さあみんな、オイラ達と一緒に音楽を楽しむぞ。」

「みんな?君、一人だよね…。」

ジャック「違うぞ。水槽の中にいイルカ達がいるぞ。ヒーホー!みんな中島と一緒に踊るぞ。」

「中島?」

ジャック「あのユキムラの隣でタンバリンで踊ってる奴だぞ。」

「あの人?フフフ、動きが凄いね。面白い。」

ジャック「さあ、オイラと一緒に音楽に合わせて体を動かすぞ。」

 

ジャックの声を聞いて水槽の底からイルカ達が顔を出してリズムに合わせて動き出す。

 

ジャック「みんな、その調子だぞ。姉ちゃんも一緒にオイラと踊るぞ。」

「えっ?」

ジャック「中島達が姉ちゃんを喜ばせる為に頑張っているから姉ちゃんもそれに答えてあげないとダメだぞ。」

「う、うん。」

 

マーメイドもジャックの呼びかけに答えて踊り始める。

 

 

 

その頃、弓子とタダカツも依頼で名古屋港水族館に来ていた。最近夜に不法侵入者が現れると言うことで警備の依頼である。水族館の館長さんに挨拶に中に入る。中に入ると直ぐに奥の客間に通され館長さんに依頼内容を確認する。

 

「探偵さん、わざわざ来ていただいてありがとうございます。」

弓子「警備の仕事だったら警備員を雇ったら良いじゃねえか。」

「ええ、それはそうなのですが…。」

タダカツ「我々に依頼される理由があるのですね?」

「ここからは他言無用でお願い出来ますか?」

弓子「…。悪魔がらみか。」

「マーメイド、をご存じでしょうか?」

弓子「ああ、話だけは聞いている。そいつを狙っている奴が悪魔かも知れないから退治してくれって事か?」

「大まかにはそう言うことです。」

タダカツ「大まかには?」

弓子「どういうことだ?」

「いや、それは…。」

弓子「そのマーメイド、何か訳ありのようだな。」

「ええっと…。」

弓子「悪いがちゃんと話せねえなら依頼は断るしかないな。帰るぞタダカツ。」

タダカツ「良いのですか?」

弓子「ああ、これじゃあ話にならねえからな。」

「わ、分かりました!ちゃんと話します!」

弓子「だったら洗いざらい話せよ。」

「実はそのマーメイドなのですがとある悪魔から水族館の目玉商品として買い取ったのですが、3ヶ月は水族館に置いておくという契約でして…。」

タダカツ「人身売買ですか…。それは表沙汰には出来ないですね。」

「しかし、そのマーメイドを3ヶ月置いて置かないと法外な違反金を払わせられるのです。本来ならあんな辛気くさいマーメイドはとっとと海にでも帰したいし別に拐って行くなら拐って行くで構わないのですが…。」

タダカツ「様はその法外な違約金の為にマーメイドを置いているのですか。」

弓子「因みに違約金っていくらだ?」

「1000万円です。」

弓子「それだったら少し高いがあたしらに警備の依頼をした方が安くつくって事だな。」

「はい。」

弓子「とりあえずマーメイドを見せてくれ。護衛対象を確認する。」

「分かりました、こちらです。」

 

館長さんに案内されてイルカショーのステージの水槽に向かう。

 

 

 

 

 

 

館長さんにマーメイドの居場所に案内され中の状況を見て弓子達は大きなため息を吐いた。

 

タダカツ「はぁ…。まさか犯人が我々の身内とは…。」

弓子「館長、ユキムラの馬鹿が迷惑をかけた。ちょっとアイツ等を蹴り倒して来る。」

「それは曲が終わってからにしてもらえますか?」

弓子「どういうことだよ。」

「まあまあ、それよりあそこの方達はみんな探偵の身内でしょうか?」

タダカツ「え、ええ、そうですが…。」

「そうですか、それはそれは。」

 

笑顔でそう答える館長さんに不思議に思いながら弓子はユキムラに気付かれない様に近づいて行く。

ユキムラの歌は終わりのサビにに近づいている。中島は衰える事なくタンバリン芸を披露している。水槽のイルカ達もジャックの掛け声と共に体を動かし踊っている。

 

ユキムラ「都会のビルの海じゃ~♪感じなくなってる君を~♪」

中島「…。」シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン

ユキムラ「冷えたワインの口づけで~♪酔わせて~♪とろかして~♪差し上げましょう♪」

中島「…。」シャン

ユキムラ「妖精達が~♪夏を刺激する、ナマ足ヘソ出しマーメイド~♪」

中島「…。」シャンシャン

ユキムラ「貴女の為なら♪何をやっても~♪ユキムラ的にはオールオッケー♪」

 

オッケーなものか、立派な不法侵入で犯罪である。

 

中島「…。」シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン

ユキムラ「Yo Say夏を~♪フフフフフーフフ♪一人寝の夜に♪You Can Say Good by♪」

中島「…。」シャン

ユキムラ「奥の方まで♪渇く間無いほど~♪宝物の恋をしませんか~♪」

中島「…。」シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン

 

曲が終わると同時に弓子が走ってきて強烈な跳び蹴りをユキムラに喰らわせる。

 

弓子「人様に迷惑をかけるな!!この馬鹿が!!」

ユキムラ「ぶへ!」ボチャーン!

 

ユキムラは弓子の跳び蹴りで吹き飛ばされて水槽の中に豪快に落ちた。

 

「フフ、ハハハ!凄いね!豪快に落ちた!ハハハ!」

 

マーメイドはユキムラを見て大笑いしている。

 

ユキムラ「ちょ、ちょっと!笑ってないで助けて!僕はカナヅチで泳げないんだよ!」

弓子「うるせえ!迷惑かけた詫びとしてそのまま溺れて死ね!」

 

ユキムラが溺れて水槽に沈んでいく。

 

「ハハハ!沈んでる!ハハハハハハ!面白いねジャック君。」

ジャック「姉ちゃん、何はともあれ元気に笑ってくれて良かったぞ。オイラ達も嬉しいぞ。」

 

ジャックはマーメイドとすっかり仲良くなっている。

 

弓子「クソダルマ、テメエもこの後ユキムラの後を追って水槽に沈めてやるから覚悟しておけ。」

「何を怒っているんだろう、あの人恐いね…。」

ジャック「姉ちゃん、弓子はおっかないから気を付けた方がいいぞ。」

「悪魔みたいだね…。」

弓子「悪魔はテメエ等だろうが!あたしを舐めてるのかクソ人魚にクソダルマが!」

パスカル「ユミコ カルシウムタリナイ!サカナクエ!」

 

パスカルが水槽の中からイワシを大量に咥えて上がって来た。

 

弓子「バカ犬、テメエもこの白鷲 弓子様にケンカ売ってるのか!」

パスカル「オレサマ イッパイクッタ!ユミコ クエ」

 

パスカルが咥えているイワシを見て館長さんが慌てて近づいてくる。

 

「ちょっと!そのイワシ食べたら駄目だろ!イワシトルネードはうちの目玉の1つなんだよ!何をしてくれるんだ!」

弓子「バカ犬が!ふざけるんじゃねえぞ!オラ!」

 

弓子のアプチャギがパスカルの顔面を蹴り倒す。パスカルはそのまま気絶して水槽に沈んでいく。

 

弓子「後は、クソダルマの前に…。なーかーじーまー!」

 

弓子は中島のいる方向に向く。

 

弓子「なーかーじーまー!テメエまで何をやってるんだ!ええ!」

中島「…。」シャン

 

中島はタンバリンで返事をする。

 

弓子「あたしにケンカ売ってるのかテメエ!」

 

中島の態度にイラついた弓子は中島を徹底的に蹴り倒す。それを少し離れてティンクとタダカツが見ている。

 

ティンク「…。」

タダカツ「いつもの様に止めに入らないのですか?」

ティンク「今のは弓子にボコボコにされてもしょうがないよ。あれは私でもされたら腹立つもん。」

タダカツ「…。」

 

 

中島「い、痛い…。一生懸命頑張ったのに…。酷すぎるんだな…。」ポロポロ

 

弓子に蹴られ続けた中島は泣き出した。

 

ティンク「中島…。大丈夫?」

中島「うん…。弓子さんはいつもいきなりで酷いんだな…。」ポロポロ

弓子「うるせえ!お前等が不法侵入したからだろうが!あたしが悪いような言い方してるんじゃねえぞ!まだ蹴られ足りないのか!」

タダカツ「弓子、それよりそろそろ本題に入りませんと。」

 

タダカツが見かねて弓子を止めに入る。

 

弓子「ああ、そうだな。マーメイドを狙う不法侵入者がユキムラだったからもう依頼は無いようなものだがな。館長、すまなかったな。今日はコイツ等を連れて帰るよ。」

ユキムラ「ちょっとみんな!待ってくれたまえ!」

 

ユキムラが中のイルカに助けられて水槽から這い上がって来た。

 

ユキムラ「彼女はここに無理矢理連れて来られたんだ!だからここから逃がしてあげないと駄目だよ!」

「君、変な言いがかりは止めて貰おうか。私は君を不法侵入で警察につきだしても良いのだぞ。」

弓子「館長、ここは穏便に済ませたい。警察に観入されたらお互い困るんじゃないのか?」

「しかし、こちらは不法侵入された上にその犬にイワシを食べられて被害が出ている。」

中島「でも、嫌がっているマーメイドの子に無理矢理客寄せにここに閉じ込めるのは間違っているんだな。」

「そうだそうだー!間違ってるぞー!労働はんたーい!」

「お前がここに来てからいったいなんの労働をしたんだこの穀潰しが!お前の食費にも金がかかっているんだぞ!あのメルコムとか言う悪魔のせいでこんな奴を置いておくはめになるなんて…。」

「何さ!こっちだってフォルネウスから安全に隠れる事が出来る場所に連れて行ってくれるって言われたからメルコムにたくさんお金払ったのに何で客寄せなんかしないといけないのよ!私は自由にだらだらしたいんだよ!」

 

マーメイドと館長さんがお互い勝手な主張をしている。

 

弓子「ん?ちょっと待て。館長、今メルコムって言ったな?」

「えっ、はい。」

ティンク「えっ?ちょっと待って1度話を整理しようよ。」

 

中島達は館長とマーメイドの話を聞き整理した。

 

ジャック「姉ちゃんはそのフォルネウスって奴から逃げるためにメルコムにお金を払ったのか?」

「うん、海でのんびり暮らしていたのにいきなりフォルネウスが来て俺の妻になれって言ってきて嫌だから逃げている時にメルコムに話を持ちかけられたんだよ。」

弓子「要するに館長もそのクソ人魚もメルコムに良いように騙された訳だな。」

「ねえジャック君、何であたしあの凶暴な悪魔みたいな人にクソとか言われてるの?」

ジャック「ヒーホー!弓子に逆らって言い返したら悪魔の様に蹴られるから逆らわない方が良いぞ。」

「ふーん、怖い人だね。」

弓子「おい聞こえてるぞクソ人魚。あんまり舐めた事言ってると三枚下ろしにして焼き殺すぞ。」

ユキムラ「弓子、こんなキュートなマーメイドに対して何て事を言うんだい!」

タダカツ「弓子、とりあえず三枚下ろしは後にして落ち着いて下さい。今はメルコムの事が先です。」

弓子「そうだな。館長、メルコムの奴を呼び出せるか?」

「え、ええ。それは大丈夫ですが…。」

???「ホホホ、白鷲 弓子それにはおよびませんよ。」

 

空間に歪みが現れ中からメルコムが出てきた。

 

メルコム「ホホホ、これはこれは皆さんお揃いで。」

弓子「やいメルコム!テメエ、詐欺師みたいな事をしやがって!」

メルコム「ホホホ、この私を詐欺師扱いとは侵害ですね。館長さんは新しい目玉商品が欲しい、そちらのマーメイドさんは海の魔王フォルネウスさんから逃げ切り安全に暮らしたい、これはお互いの利害が一致した言わばウィンウィンの関係だと思われますが違いますか?」

「何がウィンウィンだ。こんな奴を3ヶ月面倒見ないと1000万円の違約金だなんて法外だ。」

メルコム「契約は契約です。館長さん、貴方がサインした契約ですよ?」

「こんな契約書の裏に小さい文字で書かれているのが分かる訳ないだろ!こんな契約無効だ!」

メルコム「おやおや?見ていなかったから契約は無効だなんてとんだ筋違いな事をおっしゃいますね?契約書はちゃんと確認してからサインをする、これは世界の常識ですよ?」

「くそ…なんて悪魔だ。」

弓子「筋が通っているだけに尚更腹立つよなアイツ。」

メルコム「それに館長さん、後2ヶ月そのマーメイドさんのお世話をするだけじゃないですか。邪魔なら2ヶ月経ったらそのマーメイドさんを放り出せば良いのです。」

「ちょ、ちょっと!何であたし放り出される事になっているのよ!あたしはあんたにいっぱいお金を払ったのに!」

メルコム「ホホホ、マーメイドさん?私は貴女をフォルネウスさんから匿う為のお金は3ヶ月分しか頂いていないですからね。そこから先は私の知ったことではありません。」

ジャック「メルコム、お前ちょっと酷いぞ。人魚の姉ちゃんが可哀想だぞ。」

「そうだそうだー!酷いぞー!」

メルコム「おやおや、この私が酷い?私は貴女の要望通りにちゃんと安全な場所を提供していますよ。」

「こんな意地悪な人間の為に客寄せをさせられるなんて聞いていないよ!毎日の食事もショボいしさ!食事は毎日鰻がいい!ひつまぶしの特上がいい!」

 

マーメイドはここぞとばかりに館長を指差して不平不満を言い出す。

 

「何がひつまぶしの特上だ!何もしない奴が要求だけを求めるな!メルコム、1000万円払うからもうこの穀潰しを放り出してくれ!」

メルコム「館長さん、よろしいのですか?」

中島「メルコム、ちょっとそれだと余りにもマーメイドと館長さんが可哀想なんだな。」

メルコム「おや?デビルサマナー、貴方も私の商売に意見するつもりですか?」

タダカツ「中島殿、この様な者とはもう話し合いなど不要です。」

ユキムラ「メルコム、悪いけど君を退治したらこの依頼は完了さ。館長さんの違約金も払わなくて良くなるしね。」

メルコム「ホホホ、貴方達がそういう行動に出る事ぐらい私が想定していないと思っていたのですか?」

弓子「タダカツ、ユキムラ、止めとけ。メルコム、クソ弱いテメエが丸腰で来るわけ無いよな。で?何をしに来た?」

メルコム「ホホホ、流石は探偵って所ですか。所でデビルサマナー、本気でマーメイドと館長さんを助けたいですか?」

中島「うん。メルコム、お願いなんだな。」

メルコム「そうですか、仕方ありませんね。館長さんの違約金をチャラにする代わりに私から皆さんがウィンウィンの関係になれる依頼を1つ受けて頂けますか?」

中島「依頼を?」

メルコム「嫌なら構いませんよ?私も契約を反故にするのは不本意ですから。」

弓子「何がウィンウィンだメルコム。どうせあたし等にその依頼を受けさせる為に館長やクソ人魚に不都合な契約をしたのだろうが。で?依頼内容は?」

メルコム「ホホホ。白鷲 弓子、話が早くてグッドですよ。」

弓子「何がグッドだ、舐めてるか。依頼内容を早く言え。」

メルコム「分かりました。私からの依頼は海の魔王フォルネウスの退治です。」

ユキムラ「ハハハ、麗しきマーメイドさんを苦しませる悪魔の退治か。なら、このイケメンである僕に任せてくれたまえ。僕一人で華麗に片付けてあげるよ。」

メルコム「ホホホ。貴方お一人で、ですか?皆さんで戦う方が効率的だとは思いますが。話は決まりですね。それでは外にフォルネウスさんをお呼びしますので20分程したら出てきて下さい。」

 

メルコムは空間に歪みを出してその中に消えていった。

 

「探偵さん、何かややこしい事になってしまって…。」

弓子「館長、乗り掛かった船だ。気にするな。」

タダカツ「しかし、まんまとメルコムにしてやられましたね。」

 

マーメイドが怯えながら呟く。

 

「フォルネウスがここに来るの?」

ユキムラ「マーメイドさん、このイケメンである僕がフォルネウスなんてバッチリ倒して見せるから大丈夫さ。」

「でも…。海の魔王フォルネウスだよ。」

ユキムラ「海の魔王かなんだか知らないけど女の子の笑顔を曇らせる奴は僕の敵さ。このイケメンである僕が華麗に片付けて見せるから心配しないで。」

 

そう言って外に出て行こうとするユキムラをタダカツが止める。

 

タダカツ「ユキムラ、お待ちなさい。」

ユキムラ「なんだい?」

タダカツ「えらいやる気ですね。ユキムラ。貴方、あのマーメイドに惚れたのですね?」

ユキムラ「いや、あの…。」

タダカツ「良いですか?1度しか言いませんからよくお聞きなさい。」

ユキムラ「なんだい…。」

タダカツ「どうせ惚れても振られるだけだって言うのがどうして分からないのですか貴方はー!」

ユキムラ「ちょ!ちょっと!」

タダカツ「それが現実です!」

ユキムラ「酷すぎる…。どうしてそんな事を言うんだよ…。」

弓子「ああそうだな、今のはタダカツが悪いな。」

タダカツ「弓子、私は事実を言ったまでです。」

弓子「いいか?よく聞けタダカツ。人間の世界ではな、心に思っていても口に出して言ってはいけない事だってあるんだよ。例えそれが事実で正しくてもな。」

ジャック「そうだぞ。」

中島「うん…。」

ティンク「そうだね…。タダカツ、あんたが悪いよ。」

タダカツ「何故だ、何故私が責められるんだ…。」

 

納得のいかないタダカツであった。

 



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海の魔王フォルネウス

一同は水族館の外に出て来た。いつもの夜と空気が違う。

 

弓子「居るな…。」

中島「うう…。空気がピリピリする…怖いんだな…。」

「探偵さん達…。あのメルコムは魔王と言っていましたが本気で悪魔と戦うつもりなのですか?」

弓子「なんだよ何で付いて来てるんだよ館長、危ねえから中に入っていろよ。」

「しかし、私の違約金をチャラにする為に戦われるのですから…。」

弓子「あたし等は悪魔がらみ専門の探偵だ。悪魔退治もお手の物だから大船に乗った気でいてくれていいよ。」

「悪魔退治専門ねえ…。」

 

館長さんはヒビっている中島をチラリと見る。

 

弓子「館長、分かってない様だから言っておくがその中島が1番ヤベエぞ。キレさせたらこんな水族館なんか一撃で簡単に吹き飛ばす魔力があるからな。」

「まさか…。ご冗談を…。」

弓子「あたしが冗談を言うと思うか?まあいい、来るぞ。たぶんあれがフォルネウスだ。」

 

弓子が指差す海の方向から大きな水しぶきが上がり中島達の前に巨大なエイの姿をした悪魔が宙に浮いている。

魔王フォルネウスが現れた。

 

「フォフォフォ!メルコムの言っていた通りなかなか美しい人間の女だな。メルコムに紹介料として高い金を払って来たかいがあったわい!マーメイドをワシの嫁にした後にワシの目かけにしてやろう!フォフォフォ!女、光栄に思え!」

弓子「この白鷲 弓子様に舐めた口を利くとはいい度胸だなデカブツエイが、乾燥させてフカヒレにしてやるから覚悟しな。」

 

フカヒレは鮫のヒレを乾燥させた物である。ちなみにエイのヒレを乾燥させた物は人工フカヒレと言う。

 

「フォフォフォ!なかなか威勢の良い女だ。気に入ったぞい。」

ユキムラ「残念だけど、君はこのイケメンである僕が華麗に退治させてもらうよ。みんなはそこで見ていてくれたまえ。」

「フォフォフォ!お前の様な者にワシの相手が務まるか!いでよ!我がしもべ達よ!」

 

海から無数の水しぶきが上がり悪魔達が飛び出して来た!

 

アズミが6体現れた!

ヴォジャノーイが5体現れた!

 

タダカツ「仲間を呼びましたか。」

弓子「あたし等相手にたったのこれだけとは舐められたものだな。」

中島「いっぱい居るんだな。」

「フォルネウス様!コイツら全員食っても良いですか?」

「フォフォフォ!女以外は八つ裂きにしてしまえ!」

「ヒャヒャヒャヒャ!速いもの勝ちだ。テメエ等!俺が食いちぎってやるぜ!」

 

アズミの1体が中島達に襲いかかる!

 

弓子「オラ!」

 

弓子の攻撃!

先攻して向かってくるアズミをお得意のティットラチャギで吹き飛ばす!

 

「なんだこの女!」

「クソ、今のは油断しただけだ!」

弓子「ほう?三下の雑魚が口だけは一丁前だな。テメエが油断したのじゃない事を証明してやるぜ!」

 

今度は弓子が先攻して悪魔の群れに突っ込んでいく!

 

タダカツ「それでは私も戦いますか。中島殿、館長さんをお願いします。」

中島「わ、分かったんだな。」

 

スサノオは弓子の加勢に向かう。

 

フォルネウス「フォフォフォ!あの女とスサノオは厄介じゃの。ワシのブレスで凍らせるとするかのう。」

ユキムラ「さっきも言ったけど君の相手はこのイケメンである僕さ。油断大敵、余所見は禁物さ。喰らいたまえ『ザンマ!』」

 

クーフーリンはザンマを唱えた!

風の衝撃魔法でフォルネウスを怯ませる!

 

フォルネウス「フォフォフォ!どうやら貴様が1番最初に死にたいようじゃな。」

ユキムラ「流石にこの大きさじゃ吹き飛ばす事は出来ないようだね。」

 

フォルネウスとクーフーリンが対峙している中ヴォジャノーイ達の中の1体が館長さんを襲いかかろうとしている。

 

「ヒャヒャヒャ!俺は弱そうな人間からいただくぜ!」

中島「館長さん!危ないんだな!」

 

ヴォジャノーイ達の前に中島が割って入る!

 

「なんだテメエ!」

中島「君の相手は僕がするんだな。」

 

中島は錬気の剣を召喚して戦闘態勢に入る。

 

「丸々太っていてお前の方が旨そうだな!」

中島「今のうちに館長さんは中に入って避難するんだな。」

「す、すまない。」

 

館長は水族館の中に逃げて行った。

 

「人間が1匹逃げたぞ!追え!」

中島「君達は行かせないんだな!」

 

中島はヴォジャノーイ達を食い止める為に奮闘する!

 

「デブのお前が俺達を止めるってか?ヒャヒャヒャヒャ!」

中島「き、君達を水族館の中には行かせないだな。」

「ヒャヒャヒャ、お前一人で俺達を止められ訳ないだろうが!」

 

ヴォジャノーイ達が水族館の中に入ろうと走って行く!

 

ティンク「中には行かせないよ『マハジオ!』」

 

ハイピクシーはマハジオを唱えた!

無数の電撃がヴォジャノーイ達に襲いかかる!

 

「ギギ、仲魔が隠れて居やがった!」

「怯むな2手に分かれるぞ、お前達は奥に行け!」

「ヒャヒャヒャヒャ!奥に逃げた人間は俺達がおいしくいただくぜ!」

中島「君達を先には行かせないんだな。」

「お前は俺達が相手をしてやるぜ!」

 

ヴォジャノーイ3体が中島に襲いかかる!

ヴォジャノーイの攻撃!

ヴォジャノーイは鋭い牙で中島の右肩に噛みついた!

ヴォジャノーイの攻撃!

ヴォジャノーイは鋭い牙で中島の左肩に噛みついた!

ヴォジャノーイの攻撃!

ヴォジャノーイは鋭い牙で中島の右足に噛みついた!

 

その隙にヴォジャノーイの残り2体は水族館の中に入って行った。

 

中島「あああああ!」

 

中島は噛みつかれているヴィジャノーイ達を引きずりながら海の方に歩いて行く。

 

ティンク「中島!」

中島「ぼ、僕は大丈夫なんだな…。それより中に入った悪魔が…。」

ジャック「ヒーホー!中島!水族館の入ろうとした悪魔達はオイラ達がやっつけたぞ!」

パスカル「オレサマ アイツラ マルカジリ!」

中島「よ、よかったんだな…。後は僕が…。」

 

中島はヴォジャノーイ達を離さずに海の方に向かって行く。

 

「なんだ、何をする気だ!」

「なんだコイツ、何かヤバイぞ!」

中島「ここまで来たら大丈夫なんだな…。『メギドラオン!』」

 

中島はメギドラオンを唱えた!

核の炎がヴォジャノーイ達に襲いかかる!

 

「ギャー!」

「グボアー!」

 

断末魔をあげヴォジャノーイ達は核の炎に燃やされ消えていった。

 

ジャック「ヒーホー!中島、凄いぞ!」

ティンク「中島、大丈夫?『ディアラマ!』」

 

ハイピクシーの回復魔法で中島の傷は治っていった。

 

中島「ティンク、ありがとうなんだな。」

弓子「なーかーじーまー!やるならやるって言え!あたし等が巻き添え喰らったらどうする気だ!ええ!」

タダカツ「昔まともに喰らった事のある私としても巻き添えはイヤですね。あれは洒落になりませんから…。」

中島「ご、ごめんなんだな…。」

弓子「なーかーじーまー!ごめんで済んだら警察は要らねえんだよ!今からデスメルを呼び出して刑務所にぶちこんでやろうか?ああ!!」

タダカツ「弓子、デスメルさんは今日は非番の筈ですが…。」

弓子「知らねえよ、中島に言え。コイツのせいで毎回あたし等まで死にかけてたら洒落にならねえだろうが!」

 

ただの言いがかりである。

 

弓子「まっ、冗談はこれぐらいにしてデカブツエイ、これで仕舞いか?」

フォルネウス「フォフォフォ、口の悪い女じゃな。せっかくの美人が勿体無い。どれ、口が開けぬ様に氷の像にしてやろうかのう。そこの男の様に。」

 

見るとユキムラは凍りついて氷像にされている。

 

中島「ああ、そんなユキムラが…。」

弓子「なにポーズ決めてるんだこのばかは…。」

フォルネウス「フォフォフォ!お前達も凍りつくがよい!」

 

フォルネウスの攻撃!

フォルネウスの氷結ブレスが中島達に襲いかかる!

 

ジャック「ヒーホー!中島!オイラが盾になってやるぞ!」

 

ジャックフロストは中島の前に立ち魔法で氷結ブレスを防いでいる。

 

弓子「ちっ…。」

 

弓子とスサノオは氷結ブレスをまともに喰らい体が凍りついた。

 

パスカル「オレサマ サムイ ヒデアタタメル」

 

ケルベロスはファイアブレスで氷結ブレスを防いでいる。

 

フォルネウス「フォフォフォ、後はお前達だけじゃな。」

中島「ああ、そんな…。弓子さんにタダカツまで…。」

フォルネウス「お前の力はここからでは届くまい。ワシのブレスをどこまで耐えられるか楽しみじゃのう。」

ティンク「そんな…。こんなのどうしようもないよ…。」

 

中島達の様子が気になりマーメイドが水族館から出てきた。

 

「あっ…。みんなやられている…。あの悪魔みたいな人まで…。」

フォルネウス「フォフォフォ!こんな所に我が花嫁マーメイドが居たとはな。」

「フォ、フォルネウス!」

ジャック「人魚の姉ちゃん!出てきたらダメだぞ!」

「ジャック君…。みんなフォルネウスにやられたの?」

フォルネウス「フォフォフォ、それではお前達を殺して花嫁を連れて海に帰るとするかのう。」

中島「どうしたら…。」

パスカル「ナカジマ ケンヲカカゲロ!」

ティンク「そうか!錬気の剣なら!」

中島「わ、分かったんだな、パスカル、僕に力を貸して欲しいんだな!」

パスカル「マカセロ!」

 

中島は錬気の剣を空高く掲げた!

パスカルはファイアブレスを錬気の剣に放つ!

錬気の剣は中島の魔力とファイアブレスが反応して紅く輝いていく!

 

フォルネウス「フォフォフォ!何をする気つもりかは分からぬがワシのブレスで凍りつくがよい!」

ジャック「中島が危ないぞ!」

中島「ジャック、君はマーメイドを守って欲しいんだな!フォルネウスの攻撃はこの剣で防ぐんだな!」

ジャック「ヒーホー!中島、オイラは火が苦手だから手加減しておくれよ。」

中島「分かったんだな。」

フォルネウス「凍りつけ!」

 

フォルネウスの攻撃!

フォルネウスの氷結ブレスが中島に襲いかかる!

 

中島「僕は負けない!負ける訳には行かないんだな!たー!」

 

中島は錬気の剣を振りかざした!

振りかざした剣先から炎が吹き荒れフォルネウスの氷結ブレスを打ち消しフォルネウスの体が火だるまになる!

 

フォルネウス「ぐわわわああ!ワシの体がー!」

ティンク「やった!」

中島「そうだ、弓子さん達が!」

 

中島は凍りついた弓子達に近づいて行く。

 

弓子「『マハラギ!』」

 

弓子はマハラギを唱えた!

弓子は自分の体に火をつけて凍りついた体を溶かした。

 

弓子「なーかーじーまー!お前があたしの心配をしようだなんて100年早いんだよ!」

中島「100年も経ったら僕はお爺ちゃんになってしまうんだな。」

弓子「口答えするな!」

 

弓子は中島を蹴りあげた。

 

中島「い、痛い…。」

タダカツ「中島殿、お見事です。ふん!」

 

スサノオは体を纏った氷を気合いで吹き飛ばす。

 

フォルネウス「何!ワシのブレスを溶かしたじゃと!?」

タダカツ「このような子供騙しの技では我々の足留めにもなりませんがね。」

弓子「そう言うことだ。ユキムラ!テメエ、いつまでそうして遊んでいるつもりだ!」

ユキムラ「ハハハ、凍りついたこの僕もイケメンだろ?『マハザン!』」

 

クーフーリンはマハザンを唱えた!

風の衝撃魔法がクーフーリンを纏った氷を吹き飛ばす!

 

フォルネウス「な、何故じゃ!?ワシのブレスを!」

ユキムラ「ピンチを演出するのもこのイケメンである僕のエンターテイメントなのさ。」

フォルネウス「おのれ!こうなれば数で攻めるのみ、いでよ!ワシのしもべ達よ!」

 

しかし、誰も出てこなかった…。

 

フォルネウス「出てこい!ワシのしもべ達よ!何をしておる!」

タダカツ「倒されると分かっていて出てくる愚か者はいませんよ。」

弓子「残念だったなあ、したっぱ共に見捨てられてよう!」

フォルネウス「ぐっ、おのれ…。こうなれば降参じゃ、見逃してくれ…。」

 

フォルネウスは観念したのか中島達に降参した。

 

ユキムラ「いいや、君を許す訳にはいかないね。例えここで許しても君は他の所で女の子を泣かせるのだろ?」

フォルネウス「ワシは女が好きなのじゃ!ハーレムを夢見て何が悪い!好きな女を無理矢理ものにして何が悪い!」

ユキムラ「はぁ…。君はあのアスラ組の連中と変わらないね。仕方がないこのイケメンである僕の奥義で止めを刺すしかないようだね。『ブリューナク!』」

 

クーフーリンは魔力を込めて光輝く風の魔槍ブリューナクを作り出した。

 

フォルネウス「おのれおのれおのれー!せめてお前だけでも倒してやる!」

 

フォルネウスがクーフーリンを倒そうと向かって来る。

 

ユキムラ「僕の取って置きの奥義を喰らってあの世に行きたまえ。名付けて『韋華面(イケメン)乱舞!』」

 

クーフーリンの攻撃!

向かって来るフォルネウスに無駄にポーズを決めながら高速で連続の突きを喰らわせていく!

また無駄にポーズを決めて槍でフォルネウスを空高く払い上げる!

そのままクーフーリンはハイジャンプでフォルネウスを追う!

 

ユキムラ「さあ、これでフィニッシュさ!冥土の土産にこのイケメンである僕のサインをプレゼントするよ。」

 

クーフーリンはフォルネウスの体に自分のサインを押し当ててその上にブリューナクで貫いた!

フォルネウスは魔力が尽きて消えていくブリューナクと共に消滅した!

それと同時にクーフーリンはポーズを決めて着地する。

 

ユキムラ「この僕に敗北はあり得ない、だって勝利の女神は常にこの僕に微笑んでくれるからさ。何故かって?そんなの答えは簡単さ、それはこの僕がイケメンだからさ。」

 

フォルネウスを倒した…。

 

弓子「何が韋華面乱舞だよ。真面目に戦え。」

「フォルネウス…。倒したの?」

ユキムラ「そうさ、君を脅かすフォルネウスはもう居ないよ。」

ジャック「ヒーホー!良かったな姉ちゃん。」

「うん、これでこんな所からもおさらばだよ。」

ジャック「そっか。でもオイラ、もう姉ちゃんと会えなくなると思うと少し寂しいぞ。」

「うん、せっかくジャック君と仲良しなれたのにね…。」

ユキムラ「あれ?ぼ、僕は?」

 

フォルネウスを倒したユキムラは相手にされずにマーメイドはジャックとの別れを惜しんでいる。

 

ユキムラ「あの…。フォルネウスをたおしたのは…。」

タダカツ「だから言ったではありませんか。惚れるだけ無駄だと。」

弓子「それにしてもあのクソダルマ、誰とでも仲良くなるよな。」

タダカツ「ええ。」

弓子「あっ、そうだった。中島、館長を呼んでこい。」

中島「わ、分かったんだな。」

「それには及びませんよ探偵さん、先程から遠くで様子を見ていたから大丈夫ですよ。まさか、本当にあんな悪魔を退治するとは思いませんでした。」

 

空間に歪みが現れてメルコムが出てきた。

 

メルコム「ホホホ、流石ですね貴女達は。館長さん、彼等が無事にフォルネウスさんを倒したので約束通り違約金はなしとさせてもらいます。」

 

メルコムは手に持つ契約書を破り捨てた。

 

弓子「これで依頼は完了だな。館長、またメルコムの奴が何かふっかけて来たら契約する前にあたし等に先に言えよ。」

メルコム「ホホホ、これはとんだ言いがかりですね。」

タダカツ「そう言えば、フォルネウスも貴方の名をおっしゃっていましたね。」

メルコム「そ、そうでした。私は別のクライアントとお会いする約束があったのでした。名残惜しいですが皆さん、ご縁があればまたお会いしましょう。」

 

そういってメルコムはいそいそと空間の歪みに消えていった。

 

タダカツ「逃げましたね…。」

弓子「放っておけ、どうせまた会うことになるだろうからな。」

「探偵さん方、色々とありがとうございました。」

弓子「こっちこそ、バカ犬が勝手に魚食ったりして悪かったな。」

「そうだ!」

 

館長さんはジャックの方に近づいて話を持ちかける。

 

「君!ちょっと言いかい?」

ジャック「オ、オイラか?」

「そう、さっきイルカやシャチと一緒に踊っていたね?」

ジャック「そうだぞ、オイラがお願いしたら一緒に踊ってくれたぞ。」

「どうだい?うちの水族館で働いてくれないかい?イルカやシャチのダンス、これは新しい目玉になる。」

中島「あ、あの…。」

「ああ、君のタンバリンもなかなか良かったけどね、あれは二番煎じだから残念だけど君は毎週はいいよ。」

弓子「おい館長、何を勝手に話を進めているんだよ。」

「じゃあ、不法侵入とイワシの件を公にするけど、いいのかな?契約書はもうないですしね。」

弓子「ぐっ…。このおっさん…。痛いところを突きやがって…。」

「働いてもらうのだからお金はちゃんと出しますよ。それに毎日じゃなくていいんですよ。そうですね。毎週土曜日曜とで…これくらい出そうと思いますが。探偵さん、いかがですか?」

 

館長は紙にざっくりとジャックに対するギャラを書いて弓子に差し渡す。

 

弓子「館長!これ、マジでか!良し!クソダルマ!今日からここで働け!」

タダカツ「えっ?弓子、少し失礼…。」

 

タダカツは弓子が受け取った紙を覗き見する。

 

タダカツ「な!武将隊のギャラより高い…。たったの週2回で…。」

中島「えっ?」

 

今度は中島が弓子が受け取った紙を覗き見する。

 

中島「えっ?そんな…。僕のお給料の倍近くあるんだな…。」

弓子「はぁ?中島、いくら何でもそれはねえだろ?」

 

中島は自分の給料状況を弓子に説明した。

 

弓子「はぁ?マジでか?兄貴にだいぶちょろまかされてるじゃねえか。良し、明日の朝に兄貴を取っ捕まえて言ってやるよ。」

 

どうやら中島の給料はかなりピンパネされていたらしい。

 

ジャック「なぁおっちゃん。オイラ、働くって言われても何をしたらいいんだ?よく分からないぞ。」

弓子「クソダルマ、何も考えずに蟻のようにキビキビ働けばいいんだよ!」

中島「でも弓子さん、蟻の2割は何もしないでサボっているんだな。」

弓子「なーかーじーまー!いちいち口答えするな!」

 

弓子は中島を蹴りあげる。

 

中島「い、痛い…。」

「ジャック君、あの人間は意地悪だからこんな所で働かない方が良いよ。」

「誰が意地悪だ。ジャック君、君には主にうちのイルカやシャチ達と仲良くしてもらうだけで良いんだ。」

ジャック「えっ?それだけか?」

「ええ、それで簡単なショーをしてもらうだけさ。」

ジャック「それだけ?ヒーホー!オイラおっちゃんの所で働くぞ!」

「そうか、良かったよ。」

弓子「館長、また何かあったら連絡してくれ。」

「探偵さん、ありがとうございました。ぜひ水族館にも遊びに来て下さい。」

弓子「ああ、そうさせてもらうよ。そのクソダルマがこれから世話になるからな。」

ジャック「おっちゃん、また来るぞ!」

「ジャック君、これからよろしく頼むよ。」

ジャック「ヒーホー!この偉大なる悪魔、ジャックフロスト様におまかせだぞ!」

 

中島達は依頼を無事に終えて事務所に帰る事にした。

 

ユキムラ「このイケメンである僕がフォルネウスを倒したのに…。」

ティンク「そう言うところがダメなんだよ…。」

弓子「ユキムラ、残念だったなあ。クソダルマに全部持っていかれて。」

ユキムラ「あの館長さんも酷いよ…。この僕の歌は要らないだなんて…。」

 

それは当然である。

 

タダカツ「それにしても中島殿にあのような特技があるとは思わなかったですね。普段とは別人の様な機敏な動きでした。」

ユキムラ「それはこの僕の歌声に反応しての動きなのさ。」

中島「うん、それは違うんだな。」

ユキムラ「そんな…。」

 

歌詞すら覚えない奴が何を言っているか。当然である。

 

ジャック「中島、違う歌でも出来るのか?」

中島「うん、曲が違っていても大丈夫なんだな。振り付けは少し変わるけど。」

弓子「まあ、どんな愚図でもなにかしら特技の1つはあるものだよ。中島、しばらくはそのクソダルマを水族館に送り向かえをしろよ。」

中島「分かったんだな。」

 

一同は事務所につくなり直ぐに眠りについた。

 

 

 

 

後日、弓子達はジャックが働き出した水族館に遊びに来ている。

 

弓子「ここの水族館、ちゃんと入るの久し振りだな。昔に1度兄貴と行ったっきりだからな。」

ユキムラ「前回はちゃんと楽しめなかったから今日は色々見て回って楽しむとするよ。」

タダカツ「そうですね、せっかくジャックが我々の為にチケットを用意してくれたのですから今日は楽しみましょう。」

新田「1枚チケットが余ったとはいえ我輩も誘っていただき嬉しい限りですぞ。」

弓子「そうだぞ新田、ちゃんとクソダルマに感謝しろよ。」

ティンク「あれ?1枚、あまった?」

 

今日は日曜日なので開園前だが人がごった返している。すると人混みの中から弓子を呼ぶ声が聞こえる。

 

「あっ、テコンドーのお姉さんだ!」

弓子「ん?おう、病院の時のチビスケか。元気そうだな。」

「おやおや、あんた達も来ていたのかい。」

 

ヨモツシコメのばあさんがジャイアントと前に助け出した女の子を連れて来ていた。

 

ユキムラ「病院のお婆さんじゃないか、病院以外で会うなんて珍しいね。」

「この子のお守りさ、だいぶ体調も良くなったけどまだ退院は出来るほど体力はないからね。リハビリがわりに連れて来たのさ。あの小僧からチケットももらったしね。おや?今日は太っちょのサマナーは居ないのだね。」

ティンク「中島はジャックと一緒に水族館のお仕事のお手伝いだって。」

「あっ、妖精さん!あの時はありがとう!」

ティンク「ユキちゃん、元気になって良かったね。」

「うん、みんなのお陰だよ。」

タダカツ「ジャイアント、貴方も無事で何よりです。」

「あっ、おめえ。おでをだすげてぐれたってジャックから聞いただ。おめえ、顔怖えけど良いやづだっただな。」

ティンク「プッ、顔が怖いって。」

タダカツ「ティンク、何か?」

 

弓子達が話込んでいると開園時間になり順番にみんな中に入っていく。

 

「ジャイアン、肩車して。」

「いいぞぅ、これでおめえも大きいぞぅ!」

弓子「ババア、良いのか?あのチビスケをデカブツに任せても。」

「ああ、アイツは大丈夫さ。あの図体で力があるからね。今じゃ病院の雑用係をやってるよ。」

ユキムラ「アスラ組の悪魔だったんだよね、彼は。」

タダカツ「彼もジャックと仲良くなってあの時我々に協力してくれたですよ。」

弓子「本当に誰とでも仲良くなるよなあのクソダルマは。」

「おめえだぢ、何しでいるだ?」

弓子「うるせえな、直ぐに行くよ。」

 

弓子達は水族館のゲートをくぐる。

 

弓子「先ずは北館からか。」

「あっ!人魚さんだ!」

ユキムラ「えっ?」

 

見ると前に依頼で助け出したマーメイドが水槽の中で手を振って泳いでいた。

 

「あっ!みんな!ヤッホー!」

ティンク「えっ?何で居るの?」

「あれからここの意地悪な館長と話をして正式に雇ってもらったんだよ。」

ユキムラ「ちょ!ちょっと!」

弓子「はぁ?舐めてるのかクソ人魚!」

 

弓子達が驚きを隠せずに居るとジャックが奥のフロアから近づいて来た。

 

ジャック「ヒーホー!みんな、来てくれて嬉しいぞ!」

「ジャック!」

ジャック「ユキにジャイアン、バァチャンも来てくれて嬉しいぞ!」

弓子「おい、クソダルマ!なんであのクソ人魚が居るんだよ!海に帰ったんじゃねえのかよ!」

ジャック「人魚の姉ちゃんはオイラと一緒に働く事になったんだぞ。」

ユキムラ「それじゃあ僕の活躍はなんだったんだい!納得いかないよ!」

ジャック「そんなのオイラに言われても知らないぞ。それにユキムラが女の子に振られるのはいつものことだぞ。」

ティンク「それもそうだね。ジャック、それより中島は?」

ジャック「中島はオイラと人魚の姉ちゃんと一緒にこの後10時半からダンスショーをやるからその準備中だぞ!」

「あの太っちょがダンスショー…。どんくさそうにしか見えないけどね。」

タダカツ「あのタンバリンが見れるのですね。楽しみです。」

新田「中島氏がダンス?タンバリン?」

ジャック「そうだぞ、あれ?新田の兄ちゃん、久し振りだぞ。オイラ、兄ちゃんの居る所知らなかったからチケット渡せなかったけど来てくれたんだな。」

新田「我輩、チケットが余ったので白鷲女氏から連絡を受けて参上したのですぞ。」

ジャック「あれ?オイラ、みんなの分をちゃんとチケット渡したぞ?」

ティンク「あっ…。もしかして…。」

タダカツ「その余ったチケットって…。」

ジャック「あれ?大輔の兄ちゃんは?来てないのか?」

ティンク「やっぱり…。」

 

 

 

 

 

 

その頃、事務所では…。

 

大輔「また僕一人を留守番させて何処かに行くなんて…。悪魔共め…。いつか見てろよ…。」

 

 



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悪霊ディブク

中島「お兄さん、手紙が届いているんだな。」

 

中島は事務所のデスクに座っている大輔に1枚の手紙を手渡す。

 

大輔「ありがとう中島君、えっと…。中島君、持ってきてもらって悪いけどこれ捨てて置いてくれるかい?」

 

大輔は手紙に目を通して中島に捨てるようにそのまま返す。

 

中島「えっ?これ…。」

大輔「良いんだよ、メシア教団からの寄付しろとの通達だからね。」

ティンク「メシア教団?」

大輔「そうだね、メシア教団に巻き込まれないように君達にも簡単に説明するよ。」

中島「巻き込まれないように?どう言う事なんだな?」

ジャック「メシア教団?何だそれ?」

大輔「中島君はかなりのお人好しだから特に聞いた方が良いよ。」

ティンク「メシアって救世主って意味だよね?どう言う事?」

大輔「うーん…。何処から話をしたらいいのかな。メシア教団ってのは言わば新興宗教だね。簡単に言ったら教団の信者になってあり金を根こそぎ貢いていたらいつかメシア様が救済してくれるって宗教さ。」

中島「メシア様…。」

大輔「そう、存在もしないメシア様の為にお金を巻き上げようとする詐欺師の集団だよ。ちなみに僕達の両親もメシア教団の熱心な信者だったんだ。」

ティンク「存在もしない?」

大輔「僕達の両親がスサノオに殺された話は知っているよね?」

ジャック「弓子から聞いたぞ。」

大輔「僕も最近になって知った事だけどスサノオの所に僕達の両親をけしかけたのがメシア教団なんだ。スサノオを倒したらメシア教団の大幹部にするって言ってね。だから僕がスサノオを恨んでいたこと自体筋違いだったんだよ。」

ティンク「でも、それをどうやって知ったの?」

大輔「最近僕が事務所を空けて出ていただろ?その時に東京にあるメシア教団の本部に信者として潜りこんでね。その時にだよ。」

中島「メシア教団がどうしてタダカツを…。」

大輔「まずは自分達の信じる神様以外を排除する為さ。スサノオだけじゃない、日本の神様、アマテラスやイザナミ、ギリシャ神話のオーディンやゼウスなども排除の対象なんだよ。」

ティンク「そんな勝手な理由で…。」

大輔「理由はそれだけじゃないんだ。悪魔召喚プログラム…。」

中島「えっ?これ?」

大輔「メシア教団の大幹部はみんな持っている。世界中の神様を倒して自分達の配下にして世界を支配するのが彼等の最終目的なんだ。世界中の神様を自分の手下の様に扱って見せたら末端の信者はまるでメシア様の様に見えるって訳だよ。いずれ教団の人間が中島君達に近づいて来るかも知れないから気を付けた方が良いね。ジャック君もお菓子をあげるからって言ってメシア教団が近づいて来たとしても簡単に着いて行ったら駄目だよ?」

ジャック「オイラ、そこまでバカじゃないぞ。」

大輔「とにかく、メシア教団については僕の方でももう少し調べてみるとして、中島君。」

中島「は、はい。」

大輔「1つ依頼が来ているから今日は僕と一緒に来てくれるかな?」

中島「わ、分かったんだな。」

ティンク「私も行くよ。」

ジャック「オイラも中島と一緒に行くぞ!」

大輔「君達も来るのかい?パスカルと留守番をして欲しかったんだけど…。パスカルを一人にして置けないし…。」

ジャック「パスカルも連れて行ったら大丈夫だぞ。」

大輔「やれやれ、しょうがないね。事務所は鍵をかけて行くとするか。」

 

中島達は次の依頼に向かう。

 

ティンク「所で依頼の内容って…。」

大輔「前にちょくちょく依頼を受けていた吉田 孝則さんの妹さんから連絡を受けてね。吉田 孝則さんの事で相談があるって事なんだ。」

中島「う、うん…。」

大輔「ん?どうしたんだい中島君?」

中島「いや…。あの…。」

ジャック「大輔の兄ちゃん、なんで何も買っていないのに自動販売機のお釣りの所に毎回手を入れるんだ?」

 

聞きにくい事も無邪気に聞けるのはジャックの凄い所である。

 

大輔「ああ、たまにお釣りの取り忘れとかあるから毎回チェックするんだよ。ほら、10円残っていた。」

ティンク「うわぁ…。」

中島「毎回…。」

 

良い年をした大人の行動ではない。

 

大輔「ん?みんなどうしたんだい?」

 

お前の行動でドン引きしているのである。

 

大輔「着いたよ、ここが吉田 孝則さんの家だよ。」

中島「大きい家なんだな。」

ティンク「豪邸だね。」

大輔「吉田 孝則さんは事務所1の金づるだからみんな失礼の無いようにね。」

 

お前が1番失礼である。大輔はドン引きしている中島達を気にせずインターフォンを押す。

 

「どちら様でしょうか?」

大輔「白鷲探偵事務所の者ですが…。」

「あっ、探偵さんですね。どうぞお入り下さい。」

大輔「さあ行くよみんな。」

中島「わ、分かったんだな。ティンクは僕の胸ポケットに。」

ティンク「うん。」

 

中島達は吉田 孝則さんの豪邸の中に入る。

 

「探偵さん、お待ちしていました。中へどうぞ。」

 

出てきた女の人の案内で中島達は家の中に入る。

 

中島「お邪魔するんだな。」

ジャック「オイラもお邪魔するぞ。」

パスカル「グルルル…。」

 

パスカルの様子がおかしい…。

 

パスカル「メス オレサマ ムラムラ シソンハンエイ…。」

 

パスカルは魔獣の姿に変身した。

 

中島「パスカル?いきなりどうしたんだな。」

パスカル「オレサマ ギンギンムラムラ メス タネヅケ」

「きゃ!な、なに!?」

大輔「中島君!悪魔召喚プログラムを!」

中島「えっ?」

大輔「中島君!パスカルは発情期に入っている!とりあえず悪魔召喚プログラムの中に戻すんだ!早く!」

中島「わ、分かったんだな。」

パスカル「オレサマ シンボウタマラン!」

 

パスカルが女の人に襲いかかろうとしたとき!

 

ティンク「『ドルミナー!』」

パスカル「zzz…。」

 

ティンクの魔法でパスカルは眠りについた。

 

「凄い…。」

大輔「驚かしてしまってすみません。」

「あっ、いえ、それにしても凄い大きい…。」

 

女の人は眠っているパスカルの陰茎を擦り出す。パスカルは眠りながら射精して女の人の顔に大量にかかった。

 

「凄い…。こんなに出たのにまだ立ってる…。こんなので突かれたら凄い事になりそう。」

大輔「な、中島君…。と、とりあえず悪魔召喚プログラムでパスカルを…。」

中島「わ、分かったんだな…。」

 

中島はノートパソコンを開きパスカルを悪魔召喚プログラムの中に戻した。

 

「臭いも味も濃い…。凄い…。最高…。」

ティンク「うわぁ…。あれ舐めてる…。」

中島「う、うん…。」

大輔「な、中島君…。か、金持ちには変態が多いんだよ…。だから平常心、あんまり引いてはダメだよ…。」

 

流石の大輔も引いてはいるが話題を変える為に依頼内容を聞く事にする。

 

大輔「あ、あの、所で…。お兄さんの吉田 孝則さんの事で依頼があるとお聞きしたのですが…。」

「あ、はい!そうでした。実は、この間兄が何か海外の仏壇の様な物を購入してからなのですがどうも様子がおかしくて何かにとり憑かれたようでして…。」

大輔「仏壇の様な物?」

「はい。夜中に変なうめき声を出されて暴れたりするので私の飼っているワンちゃん達がすっかり脅えてしまって全然私に交尾をしてくれなくなって困っているのです…。」

中島「えっ?」

大輔「中島君、聞き流して…。」

「探偵さん、兄を殺しても構わないので兄を何とかしてください!お願いします!」

ジャック「オイラ、この姉ちゃんが何を言ってるのか分からないぞ…。」

ティンク「ジャック…。世の中には分からなくても良い事だってあるんだよ…。今日は留守番していたら良かったよ…。」

 

中島達はここに来た事を心底後悔している。

 

大輔「と、とりあえず吉田 孝則さんの所に案内してもらえますか?」

「分かりました。こちらです。」

 

パスカルの精液で顔がベタベタになっている吉田 孝則さんの妹に案内されて吉田 孝則さんの部屋に向かう。

 

「ちょっとお嬢様!そのお顔!廊下がえらく汚れていて…。まさかまた…。」

大輔「あの、この方は?」

「家政婦の方です。廊下の精液は勿体無いので私がちゃんと舐めて片付けるのでそのままにしておいて下さい。」

「お嬢様、いい加減犬を相手になさるのは止めて下さい!毎日毎日カピカピで獣臭いシーツを洗うこちらの身にもなってください!」

ジャック「おばちゃん、なんか分からないけど大変そうだな…。」

「そうなのよ、それより君可愛いね。」

ジャック「そ、そうか?」

「そうよ、そんな大変なおばちゃんの為に向こうの寝室で私の相手をしてくれるかな?」

大輔「な、中島君、悪魔召喚プログラムを使ってジャック君を中に戻すんだ。早く!」

中島「分かったんだな。」

 

中島は急いでジャックを悪魔召喚プログラムの中に戻した。

 

「あっ!消えちゃった…。そんな…。可愛い子が…。」

「あの家政婦さんは小さい男の子に発情する変態なので気にしないで下さい。この部屋です。それでは私はあれを片付けていますので後はよろしくお願いします。」

 

中島達は四つん這いになって廊下に飛び散ったパスカルの精液を舐めている吉田 孝則さんの妹を尻目に部屋に向かう。ティンクは誤って振り返ってしまってその姿を見てしまった。

 

ティンク「うわぁ…。舐めてる…。もうヤダこの家…。」

 

大輔は部屋をノックして扉を開ける。

 

大輔「吉田 孝則さん、僕です。入ります。」

「フヒ、フヒヒヒヒヒ。」

 

中に入ると一人の男が木でできた祭壇の様な物を見つめながら笑っている。

 

大輔「吉田 孝則さん、僕です。白鷲 大輔です。分かりますか?」

 

大輔が吉田 孝則さんの正面に立ち体を揺さぶるが反応がない。

 

大輔「この箱…。まさか…。ディブクの箱?」

中島「えっ?」

大輔「吉田 孝則さんは悪霊ディブクに体を乗っ取られている…。これでは本当に殺さないと駄目かもしれない…。」

ティンク「そ、そんな…。」

大輔「僕にはお祓いなんて出来ないからね。どうにもならない…。」

中島「ぼ、僕に考えがあるんだな…。」

 

中島は悪魔召喚プログラムを起動させる。

 

中島『僕は中島 朱美なんだな。君は誰なんだな?』

 

中島の悪魔召喚プログラムに反応して吉田 孝則が中島の方に振り返る。

 

『フヒヒヒヒヒ!俺はディブク!こいつの体を奪ってしたいようにするだけだ!フヒヒヒヒヒ!』

大輔「やはり悪魔に乗っ取られている。仕方ない、悪いけど退治させてもらうよ。」

『俺を退治するだと?こいつの肉体がどうなっても良いのか?ああ?』

大輔「人質を取っているつもりでいる所申し訳ないけど依頼主からは人質ごと殺しても構わないのでって事だからね。僕には彼が死のうが関係無い事だよ。」

『ま、まて!人間が人間を殺しても良いわけないだろ!お前が殺人罪になっても良いのか!』

大輔「悪魔の癖にやけに詳しいね。」

『いつもこの後のワイドショーを毎日見ているからな!当然だ!』

大輔「そうなんだ。でもね、僕は魔法で殺すから証拠は残らないので殺人罪にはならないのだよ。今までだってそうしてきたからね。」

『そんな理屈が通用すると思っているのか!ハッタリに決まっている!』

大輔「そう思いたければそう思うが良いよ。」

 

大輔は魔力を高めて魔法を唱えようとする。

 

中島「お兄さん、待って欲しいんだな。」

大輔「中島君、悪魔を退治するから退いているんだ。」

中島「もう少し、僕に…。」

『お、お前!何なんだ!俺と会話ができるようにするなんて!何者なんだ!』

中島『僕はデビルサマナー、中島 朱美なんだな。』

『デ、デビルサマナーだと!?お、お前も俺を退治するつもりか!』

中島『君は、その人の体を使ってどうするつもりなんだな?』

『いいか!よく聞けデビルサマナー!せっかく金持ちの家の奴に取り憑いたんだ!飽きるまで贅沢三昧するんだよ!』

ティンク「何を言ってるのよこいつ。」

『うるせえ!せっかくチャンスを無駄に出来るか!俺は贅沢をするんだ!』

中島『えっと、君は具体的にどうしたいんだな?』

『デビルサマナー、よく聞いてくれた!その前にどうして俺が贅沢したいか教えてやろう!よく聞け!』

 

吉田 孝則さんの体を乗っ取ったディブクは中島に自分の生前の時の事を話し出した。

 

『俺は元々はアムステルダムの出身でな。第一次世界大戦の少し後、1925年に生まれたんだ。そして、第二次世界大戦が始まった時は俺は14才だった。それまでは貧乏ながらひっそりと暮らしていたのに…。お前も知っているだろデビルサマナー、ナチスが俺達ユダヤ人にしたことを!』

中島「ナチス…。」

『ああ、アムステルダムは占領されて俺達家族は収容所に入れられて殺された。1番下の妹なんかはまだ6才だった。』

中島「そんな…。6才の子も…。」

『金があればナチスに捕まらなかったんだ!ソ連やアメリカに逃げれた!それに悪霊になっても復讐するナチスはもういない。だからせめて幼くて死んだ妹の分も贅沢して成仏したい!』

中島「うう…。」

 

中島はディブクの話を聞いて泣いている…。

 

大輔「話は終わりだね。じゃあ、消えてもらおうか。」

『なんなんだよこいつは!話の流れを読めよ!』

大輔「いや、僕には関係無いし。」

ティンク「流石に空気読もうよ…。」

中島「うう…。酷いんだな…。」

『デビルサマナー、泣いているのか…。』

大輔「さて、退治するか。」

 

空気の読めない大輔はディブクを退治する為に魔力を高める。

 

中島「うう…。お兄さん、待って欲しいんだな。彼に少しだけ贅沢する時間をあげて欲しいんだな。」

 

中島は大輔にディブクを退治するのを泣きながら頼み込む。

 

大輔「中島君、悪魔に同情する必要はない。」

ティンク「話だけでも聞いてからでも遅くはないよ。で、贅沢って何がしたいの?」

『そ、そうだな…。とりあえずまずは気兼ねなく外に出たいな。』

ティンク「へ?それだけ?」

『それだけとはなんだ!俺はナチスのせいで外に出ることなんて出来なかったんだ!人に見つからない様に家族で生活していたんだ!』

ティンク「ご、ごめんね…。まあ、少し外に出るくらいなら…。」

大輔「駄目だ。外に出て悪魔に逃げられたらどう責任をとるつもりだ。」

『逃げるか!金持ちのこいつに取り憑いたから外に出る価値があるんだ!金ならこいつのサイフにたんまりあるんだ!デビルサマナー、お前もついてこい!なんか高そうな物をたらふく食わしてやるぞ!』

中島「分かったんだな。」

大輔「やれやれ仕方ないね、分かったよそう言うことなら外に出ようか。外に出たらジャック君を出してあげよう。仲間外れは可哀想だからね。」

中島「お兄さん、ありがとうなんだな。」

大輔「中島君、僕がお金を出すわけじゃないから気にしないで良いよ。それに他人のお金で贅沢できるなんて最高じゃないか。」

ティンク「やっぱりそこなんだ。」

 

中島達はディブクの願いを聞くために外に出る事にした。

 

『フヒヒヒヒヒ!外だ!太陽が出てる!電気が無くても明るい!』

大輔「その体は吉田 孝則さんの物だから、あまり騒いだら後で迷惑になるから静かにしないと。」

『うるせえ!お前は信用できないから着いてくるな!話しかけるな!』

 

空気の読めない大輔はディブクに嫌われたようである。

 

大輔「君、僕を嫌うのは構わないけど贅沢する為のお金の使い方を知っているのかい?」

『…。デ、デビルサマナー、贅沢って具体的に何をするんだ?』

大輔「ほらやっぱり、君のサイフは僕が預かってあげるからとりあえずお昼にしようか。」

 

大輔はディブクからサイフを受け取り高そうなデパート内の中華レストランにみんなで入る。

 

『お?おおお?何だここは?』

大輔「静かにしないか。すみません、4名ですが…。」

ジャック「ヒーホー。凄い高そうな所だな、お金大丈夫か?」

大輔「ジャック君、今日はどれを頼んでも大丈夫だよ。」

ジャック「ヒホ?大輔の兄ちゃん、いつもは少しでも安いやつを頼ませようとするのに今日は太っ腹だな。」

『吉田 孝則の金だからなあ!気にすることはないぜ!このテーブルすげえ!クルクル回るぞ!まずはここで贅沢するぜ!』

ティンク「なんかご機嫌だね。」

中島「うん。僕、こんな高そうな所初めてなんだな。緊張するんだな。」

『おおお、俺も緊張してきた!』

大輔「中島君、堂々とするんだよ。緊張すると味が分からなくなるからね。じゃあ料理を注文しようか。」

 

大輔は店員さんを呼び注文をする。

 

大輔「良いですか?フカヒレの姿煮を五人前、干し鮑の姿煮XOジャン炒め。それから…。北京ダック。中島君達も好きなのを頼んで良いよ。」

 

まずお前の金ではない。

 

中島「せっかくターンテーブルがあるからみんなで取り分けられるお料理が良いんだな。」

「それでしたらこちらの点心や季節の野菜炒めなどはいかがでしょうか?」

『おおお、なんかもう何を食ったら良いのか分からねえ…。』

「うーん、そうですね。それでしたら、こちらのコースに今おっしゃられたフカヒレや鮑に北京ダックを加えるようにしましょうか?」

大輔「中島君、良いのかい?」

中島「なんか分からなくなって来たんだな。」

大輔「まあ、初めてだったら無理もないか。それじゃあ、僕が残りの前菜なども全て決めても良いかい?」

中島「う、うん。」

大輔「店員さん、前菜はみんなで取り分けられるようにこれとこれとこれで湯は海燕のスープに主菜は北京ダックに後、伊勢海老のこれと、このお魚はすぐに分けれるように予め切り分ける事は出来ますか?」

「あっ、はい。大丈夫です。」

大輔「じゃあお願いします。点心はこれとこれで、別で食後に杏仁豆腐を五人前お願いします。中島君はお酒は大丈夫かな?」

中島「少しだけなら…。」

大輔「じゃあ、食前酒を3つ以上でお願いします。」

「かしこまりました。それでは失礼します。」

 

注文を終えて店員さんは戻っていった。

 

ジャック「大輔の兄ちゃんすげえな。オイラ、チンプンカンプンだったぞ。」

中島「僕もどうしたら良いか分からなかったんだな。」

大輔「まあ、慣れだよ。僕達身内だけの食事だからマナーなんかは気にしないで良いよ。」

『おお?俺は身内じゃねえぞ?』

大輔「君、マナーやどうのってなったら味が分からなくなるだろ?だから好きに食べたら良いよ。」

『おお?お前、よくこういうの食うのか?』

大輔「クライアントとたまに食事をするときにね。」

ジャック「大輔の兄ちゃん、一人でか?」

大輔「そうだよ。お客さんと仕事の話をするときにね。ほとんど仕事だからあまり食べた気にはならないのだけどね。だから今日は気を使わずに食べれるから楽しみなんだ。」

ティンク「私、お兄さんの事、初めて凄い人だと思ったよ。」

 

少ししてターンテーブルに収まりきれない位の料理が次々と運ばれてくる。

 

『すげえ!食い物がテーブル一杯にあるぜ!まさに贅沢だな!』

 

ディブクは大喜びだ。

 

大輔「どうやら気に入ったようだね。」

 

中島達は料理を楽しんでいると男女二人組の客が入ってきた。

 

「二人だ、奥の個室に案内してくれ。」

「は、はい。どうぞ。」

 

二人組は奥の個室に入っていく。

 

大輔「中島君、どうやら僕にお客さんが来たみたいだからディブクの件は君に任せるけど良いかな?」

ティンク「えっ?悪魔は絶対倒す存在だとか言うお兄さんが?」

大輔「そうだね。招かねざる客って奴でね。そんな事を言ってられる状態じゃ無くなったんだ。だから夜にまた吉田 孝則さんの家の前で合流しよう。先にお会計を済ませてくる。」

 

大輔は先にレジでお会計を済ませて戻ってきた。

 

大輔「中島君、君達は先に店を出て行ってくれるかい?」

ジャック「兄ちゃん、まだ杏仁豆腐が来ていないぞ?」

大輔「手荒な事になるかも知れないから先に店を出て行って欲しいんだ。」

中島「ジャック、お兄さんの言う通りにするんだな。」

大輔「中島君、吉田 孝則さんのサイフは君に渡しておくよ。」

 

大輔は吉田 孝則さんのサイフの中から五万円抜き取り奥の個室に乗り込んで行く。

 

中島「さあ、店を出るんだな。」

『おおお?いいのか?』

ジャック「杏仁豆腐…。」

 

中島達は店を出ようとしたら店員さんに呼び止められて手土産を渡される。

 

「お客様、お時間が無かったとの事なのでこちらの杏仁豆腐、テイクアウトにしましたのでどうぞお持ちください。」

 

食事を終えた中島達は名古屋城公園に向かった。

 

『おおお?何だあれ?』

中島「あれは日本のお城、名古屋城なんだな。」

『城!デ、デビルサマナー!城!入れるのか?おおお?』

中島「うん、せっかくだから入ってみるんだな。」

ジャック「オイラ、お城入るの初めてだぞ!」

『城!贅沢の極みだ!デ、デビルサマナー!早く行こうぜ!』

 

中島達は入場料を払い城に向かう!

 

『おおお?な、なにか居るぞ!武器を持っているぞ!侍だ!』

中島「あれはイケメンおもてなし武将隊の人なんだな。」

『おおお?侍じゃないのか?』

ティンク「うん、名古屋に来る観光客を楽しませる為に戦国武将の格好をしているんだよ。」

「おっ?デブの探偵達じゃないか!名古屋城に遊びに来たのか?」

 

槍を持った武将隊の一人、前田 ケイジが中島達に声をかける。

 

中島「あっ、うん。名古屋城に入りに来たんだな。」

ジャック「兄ちゃん、ユキムラは居ないのか?」

「ユキムラは金町横丁の方に居るぞ、まあゆっくり楽しんで行けよ!」

中島「うん、ありがとうなんだな。」

『おお?デビルサマナー、お前、武将と仲良いのか?』

ティンク「アスラ組の事件の時に武将隊のみんなが助けてくれたんだよ。みんないい人達だよ。」

『おおお?そうか、デビルサマナー、城の中を見ながらで良いからお前達の事を教えてくれよ。』

中島「分かったんだな。」

 

中島達は名古屋城の中に入りながら自分達の今までの事をディブクに話していった。

 

『そうか、お前達なんか色々とすげえんだな。日本のお城ってすげえな!よく昔の人はこんなのを作ったよな!』

中島「うん。」

ティンク「ねえ、次は何がしたいの?」

『おおお?そ、そ、そうだな…。』

中島「そうだ、この先何をするかは公園でさっきの店の杏仁豆腐を食べながら考えるんだな。」

ジャック「賛成だぞ!」

 

中島達は城を出た所の二ノ丸庭園でひと休みしてから町をぶらつく事にした。

 

「あれ?太っちょの探偵さんじゃないッスか。」

中島「あっ、君達は。」

 

中島達が町を歩いていると顔馴染みの連中に出くわした。例の弓子に協力してくれる作業員のしたっぱと彼を慕う悪魔達である。

 

「ヒャッハー!デブチン、久し振りだぜー!」

ティンク「みんなで揃って何処かに行くの?」

「あっ、妖精さんも元気で良かったッス、自分達は仕事の帰りにみんなで一杯飲みに行く所ッス。良かったら探偵さん達も一緒にどうッスか?」

中島「そんな、いつも僕達が君達にお世話になっているのに…。迷惑になるんじゃ…。」

「探偵、先輩はお前や白鷲 弓子を気に入っている。遠慮しないでいい。」

ジャック「ヒーホー!中島、せっかくだから一緒に行きたいぞ!」

『おおお?その男もデビルサマナーか?悪魔を引き連れているぞ。おお?』

「なっ!コノオトコ、ナニモノ!」

 

ディブクの一言でゴブリン、オーガ、コボルトの3人は警戒体勢にはいる。

 

「みんな止めるッス。探偵さん、彼は何者ッスか?」

『俺は吉田 孝則に取り憑いた悪魔ディブクだ。お、お前、その飲みに行くってやつは贅沢なのか?おおお?』

「うーん、贅沢と言ったら贅沢になるッスねえ。」

『よし、デ、デビルサマナー!俺も行くぞ!贅沢するんだ!』

中島「うん、じゃ、じゃあ僕達も君達にお邪魔させてもらうんだな。」

「分かったッス。じゃあ今日は居酒屋に行くッス。」

 

中島達は近くにある居酒屋に足を運ぶ。

 

「ギャハハハハ!お前、なかなか面白い奴だな!」

『フヒヒヒヒヒ。なんかいい気分だ。』

 

居酒屋で飲み交わしみんなすっかり出来上がっている。

 

「所で妖精さん、1つ教えて欲しい事があるんッスけどいいッスか?」

ティンク「うん、何?」

「あの、この前探偵さん達が助けてくれたカハクちゃんなんスけど…。」

ティンク「ああ、モスマンの親子とみんな一緒に何処かの森の奥に帰って行ったんだよね。」

「それなんスが…。」

「ピィ!」

 

作業員のしたっぱの胸ポケットからカハクが1匹飛び出して来た。

 

「ヒャッハー!ここはチビスケの来る所じゃないぜぇ!さっさと家に帰ってミルクでも飲んでると良いぜぇ!」

「ピィ!」

 

カハクはコボルトに手羽先の骨を投げつける。

 

「いて、何をしやがるチビスケ!」

「ピィ!ピィ!」

「二人とも止めるッス!他のお客さんに迷惑ッス!」

ティンク「で、何で居るの?」

「あの後、この子だけすぐに戻って来てしまってとりあえず一人にはさせられないので自分が保護する事にしたッス。」

中島「君と一緒に居たいから戻って来たんだと思うんだな。」

ジャック「兄ちゃんはいい奴だもんな。直ぐに怒って蹴ってくる弓子にだって優しいもんな。」

???「クソダルマ、てめえはどうやら痛い目をみたいようだな?」

 

中島達は殺気を感じて振り返るとそこには弓子が後ろにいた。

 

ジャック「あああああ…。」

中島「ゆ、弓子さん…。どうしてここに?」

弓子「なーかーじーまー!てめえ、兄貴に依頼を押し付けて何を酒なんか飲んでいやがる!いい身分になったなぁ!ええ!」

中島「お兄さんは別のお客さんの所に行って僕達は依頼の最中なんだな。」

弓子「別の客だぁ?まあいい、で?それがてめえが酒なんか飲んでる理由にはならねえよな?よし、あたしがぼこぼこにしてやるから表出ろ!」

ティンク「ちょっと弓子、今説明するから落ち着いてよ。お店に迷惑だよ。」

弓子「だから表に出て中島の体に聞いてみるんだよ。」

『おおお?なんだ?デビルサマナー、この女、マフィアなのか?おお?』

弓子「なんだてめえ、あたしがマフィアだと?舐めた事を…。ん?デビルサマナーって言ったな?何者だテメエ。」

 

弓子はデビルサマナーって言葉を聞いて警戒体勢に入る。

 

『お、俺は吉田 孝則の体に取り憑いた悪霊ディブクだ!俺は成仏する前に贅沢する為にデビルサマナーと行動しているんだ!』

弓子「悪霊だあ?どう言うことだよ?」

 

ティンクが弓子に経緯を説明した。

 

弓子「兄貴がよくそれを許したな…。」

ティンク「うん…。まあ…。」

『お、お前、あのキチガイの、い、妹なのか?おおお?』

弓子「キチガイの屑で間違いはねえが他人に取り憑いてる悪霊が言ってるんじゃねえよ。まあいい、中島。その依頼はお前のしたいようにしたらいい。」

中島「分かったんだな。」

ティンク「ん?珍しいね、弓子が任せるなんて。」

弓子「ああ、そいつについてはあたしや兄貴より中島の方が適任だからだ。」

ジャック「それより弓子は何をしに来たんだ?」

弓子「ああ、あたしの影口を言ってたクソダルマ、てめえをぶっ飛ばしに来たんだよ!覚悟はいいか?」

ジャック「い、いや、オ、オ、オイラは違うぞ。あの兄ちゃんは褒める為に弓子を例にあげただけだぞ!」

弓子「まあ、後でぼこぼこにしてやるから覚悟しておけ。本当はしたっぱに相談があるからって呼ばれていたんだよ。」

中島「したっぱって…。いつも助けてくれる人達に対して失礼なんだな…。」

弓子「失礼なのはてめえのそのブクブク太った腹の方なんだよ!少しは痩せろ!油ものばっかり食ってるんじゃねえぞ!」

 

弓子は言いがかりのような発言をしながら中島の腹を引きちぎれる勢いでつねり上げる。

 

中島「い、痛い痛い痛い!酷い…。僕は何もしてないのに…。」ポロポロ

『おお、デビルサマナー、大丈夫か?お、お前、女ってのは俺の幼馴染みのマルゴーちゃんやその妹のアンネちゃんの様におしとやかじゃないと駄目だぞ、おおお?』

弓子「おいこらくそ悪霊、あたしに舐めた口を利いてるんじゃねえぞ。今からあたしのテコンドーでボコボコにして物理的に成仏させてやってもいいんだぞ?ああ!?どうなんだ?」

ティンク「弓子、止めなよ。」

『おおお?悪魔みたいな女だ…。』

弓子「悪魔はテメエの方だろうが!どいつもこいつもふざけるんじゃねえよ!」

 

周りのみんなになだめられて弓子は本題に入る。

 

弓子「所でしたっぱ、あたしに相談ってなんだよ?コイツらが迷惑かけてるならまたボコボコしてやるだけだけど。」

「相変わらずのキチガイぶりだぜー!」

「コボル、止めろ!キチガイを挑発するな。」

「アノオンナ、キチガイ。」

弓子「ああ!?」

「女探偵、ビールでも飲んで落ち着くと良いぜぇ!」

弓子「酒か、好きではないがありがたくいただいてやる、感謝しろ。で、相談ってなんだよ?」

「実はカハクちゃんの事で…。」

弓子「なんだ?ソイツ、何処で拾って来たんだよ。落ちてる者を拾い歩くなんてうちの兄貴みたいな事をするなよ。」

「そうじゃなくて、カハクちゃんって何を食べさせて上げたらいいッスか?勝手に何でも食べさせて具合が悪くなったりしたら大変なので困っているッス…。」

弓子「なんだよ、そんなもん腹がへったらうちのバカ犬と一緒でその辺のごみ箱とか勝手に漁って何か食うだろ。放っておいたらいいんだよ。」

ティンク「弓子、女の子に対して失礼だよ。まあ、何でもバランスよく食べたら大丈夫だよ。ちゃんと食べないと生体マグネタイトを減らしていくからね。」

「生体マグネタイト?なんスか、それ?」

ティンク「人間で言ったら寿命みたいなもんかな。」

「えっ?そうなんッスか?大変ッス!カハクちゃん、何か食べたい物はあるッスか?」

「ピィ、ピィ!」

 

カハクはメニューのヤサイスティックを指差す。

 

「カハクちゃん、お野菜好きなんスね。」

「ピィ!」

ティンク「森の妖精だからかな?」

『お、お前、ベジタリアンか?おおお?幼馴染みのマルゴーちゃんも野菜好きだったな。』

「また出たな、幼馴染みのマルゴー。」

 

ゴブリンがディブクを軽く茶化す。

 

『お、おおおう、俺の家はマルゴーちゃん一家と家族ぐるみの付き合いだったんだ。マルゴーちゃんの妹のアンネちゃんがよく俺の1番下の妹の面倒みてくれてな。いつも本を読んでくれていたんだ。アンネちゃんは色んな本を読んでいてな、ついには自分で物語を作り出したんだ。それがめちゃくちゃ面白くて…。』

「あの、気になってたんスけど、もしかしてッスけど…。そのアンネちゃんってあのアンネ・フランクの事ッスか?」

『おおお、お前、何でアンネちゃんのフルネーム知ってるんだ?おおお?お前、アンネちゃんのストーカーって奴なのか?おおお?』

「違うッス、アンネの日記の作者ッス。有名人ッスよ。世界中の人が知ってるッス!」

弓子「マジかよ…。マジでアンネ・フランクの事を言ってたのか?」

中島「凄いんだな…。僕も映画を見たことあるんだな。」

『おおお?デビルサマナーも知ってるのか?アンネちゃんは元気なのか?』

弓子「いいや、ナチスに殺された。」

中島「ゆ、弓子さん…。そんな…。」

弓子「中島、インターネットとかで直ぐに分かるから嘘をつくだけ無駄だ。」

『み、みんな、殺されたのか?』

弓子「これが証拠だ。」

 

弓子は携帯電話を開きインターネットに接続してディブクに見せる。

 

『おおお、ア、アンネちゃんだ…。マルゴーちゃんも死んだのか…。あの戦争で…。他にもたくさんのユダヤ人がナチスに…。ううう…。』

弓子「泣くな悪霊。」

「探偵さん?」

「おい探偵、少しはそっとしてやれ。」

中島「そうなんだな。今はそっとしてあげて欲しいんだな。」

弓子「いいか、よく聞け悪霊。中島、お前らもだ。アンネの日記、これはあの第二次世界大戦時の一人のユダヤ人の記録だ。悪霊。もしお前が成仏して天国でアンネやマルゴーに会う事が出来たら教えてやれ。お前達の死が無駄ではない、アンネの日記が戦争の悲惨さ伝えて今の時代にも生き続けている事をな。」

『ううう…。分かった…。』

弓子「中島、お前ら、今を生きるあたし達に出来る事は戦争なんて下らねえ事をしたら泣くのは関係無い弱者だって事を知ることだ。」

中島「うん…。」

ティンク「そうだね…。」

「女探偵。お前、脳筋のキチガイじゃなかったんだな…。」

「ゴブリ、ヤメロ…。キチガイガキレルゾ…。」

弓子「誰がキチガイだ、テメエら。」

「女探偵、お前も戦争のない時代に生まれて感謝すると良いぜぇ!」

弓子「ハッ!何を言ってやがる、あたしに逆らう奴は例えナチスだろうとボコボコにしてやるだけだよ。まあ、あたしが仮にその時代に居たならアンネやマルゴーも死なずに済んだかもな。ナチスごときはあたしの敵じゃねえだろうからな。ハハハハハ!」

 

そんな事になったら世界vs弓子で歴史は無茶苦茶になっていただろう。

 

「探偵さんらしいッス。」

『デビルサマナー、楽しかった。戻ろう…。』

中島「う、うん…。」

弓子「あたしも行くよ。したっぱ、またな。」

「分かったッス。今日はありがとうッス!」

 

中島達は居酒屋を出てタクシーを拾う。

 

『吉田 孝則の変態屋敷まで行ってくれ!』

弓子「ちゃんと場所を言えよ!」

「吉田さんの変態屋敷までですね。」

 

タクシーは中島達を乗せて発進した。

 

『デビルサマナー…。』

中島「ん?」

『最後の居酒屋、本当に楽しかった。気の会う仲間と時間を忘れて飲む酒、最高の贅沢だった…。』

ジャック「オイラも楽しかったぞ。」

『い、い、今まで、色んな奴が俺を成仏させようと問答無用で襲ってきた…。で、でもデビルサマナー…。俺の話を聞いてくれたのはお前だけだった。』

中島「君のお役に立てて僕も嬉しいんだな。」

『だ、だからそんなお前の手で俺を成仏させてくれ。』

中島「えっ?そ、そんな…。」

弓子「中島、やってやれ。それがソイツの最期の贅沢だ…。」

中島「う、うん…。わ、分かったんだな…。」

『そうか…。すまない…。』

「お客さん、着きましたよ。」

 

吉田 孝則の豪邸に着くと大輔が待ち構えていた。

 

大輔「中島君、遅かったね。」

弓子「兄貴が依頼の途中で抜けるなんて珍しいな。なんかあったのか?」

大輔「あれ?弓子も居たのかい?それは事務所に戻ってから話すよ。で、中島君、その悪霊を何時になったら退治するつもりなんだい?」

 

大輔は待たされてイライラしているのか中島に問いただす。

 

『う、う、う、うるせえ!お、お、お前は嫌いだから話しかけるな!今から成仏するんだ!』

大輔「あのね、この際だから僕の魔法で君を退治してもいいんだけどね。」

『お、お前ごときに退治される訳がないだろ!お、お前は今までも俺を除霊しに来たドルイドやメシア教徒の奴等を全て返り討ちにしてきたんだ!舐めるんじゃねえぞ!』

 

ディブクは魔力を高めて大輔を威圧する。

 

大輔「くっ、なんだこの魔力は!?」

弓子「兄貴、退け。」

大輔「弓子、あんな凶暴な悪霊、直ぐに退治しないと!」

弓子「だから兄貴は邪魔だから引っ込んでろって言ってるんだよ。中島に任せておけ!」

大輔「中島君に?弓子!何を言い出すんだ!」

 

中島は静かにディブクの前に立つ。

 

中島「ぼ、僕は今日1日君と一緒に行動出来て楽しかったんだな…。」

『デ、デビルサマナー、お、俺も楽しかった…。』

 

中島が話しかけるとディブクは魔力を消して穏やかな表情に変わっていく。

 

『デ、デビルサマナー、さ、最期に、お、俺の願いを聞いてくれるか?』

弓子「まだ何かあるのかよ?」

ティンク「弓子、黙っていなよ。」

弓子「わ、分かってるよ。中島、手短にしろ!」

中島「う、うん…。お願いって?」

『おおお、き、聞いてくれるか?も、も、も、もし、り、輪廻転生って奴があったらの話だが、何百年、何千年後か、わ、分からないけど…。また、あ、会えたら、お、お、俺と、と、友達に、な、なってくれるか?』

中島「う、うん…。分かったんだな…。」

『そ、そうか…。あ、ありがとう…。も、もう、未練はない…。殺ってくれ…。』

中島「ううう…。」

 

中島はディブクの別れを惜しみ涙が溢れている。

 

弓子「中島!殺れ!アイツの望みの最期の贅沢だ!叶えてやるんだ!」

ティンク「中島…。」

ジャック「アイツと会えなくなるのは寂しいけど…。中島、やるんだぞ…。」

中島「ううう…。わ、分かっているんだな…。召喚、錬気の剣…。」

 

中島は泣きながら悪魔召喚プログラムを起動させて錬気の剣を出す。

 

中島「ううう…。」

『そ、そうだ…。そ、そのまま殺ってくれ…。』

大輔「悪霊が…。契約をしていない悪魔が…。どうして…。中島君の為に…。」

弓子「兄貴、あれが中島の力だ。よく見ておけ。」

中島「ううう…ティンク…。ジャック…。少しだけ君達の力を貸して欲しいんだな。君達の思いも彼に届く様に…。お願いなんだな…。」

ティンク「中島…。分かったよ…。今日1日楽しかったよ…。天国で幼馴染みの子と会えたら良いね…。」

ジャック「ヒーホー!兄ちゃん、いつかまた会えたら中島だけじゃなくてオイラとも友達になってくれよな!」

 

二人は両手を広げて中島の持つ錬気の剣に魔力を送る。

 

弓子「中島!殺れ!」

中島「うううう…。あああああああ!」

 

中島の攻撃!

中島は泣きながら魔力のこもった剣でディブクを斬りかかる!

 

『デ、デビル…サマ…ナー…。ありか…とぅ…。』

 

ディブクは成仏した。切りつけた中島は剣を落として号泣している。

 

大輔「あの悪霊を一撃で…。」

中島「あああああああ!ごめん!ごめんよ~!あああああああ!ぼ、僕は…。僕は~!」

 

「ちょっと!家の前で騒がないで下さい!」

 

中島が号泣していたので吉田 孝則の妹が苦情を言いに飛び出して来た。下半身は丸出しで股から汁が垂れている…。

 

大輔「あっ、どうも…。お兄さんの孝則さんに取り憑いていた悪霊は退治しましたので報告に来ました。」

「そうですか、それよりあの泣いている男の人、うるさいので何処かに行かせてもらえますか?せっかく久し振りの交尾の最中だったのにあの人のせいで私のワンちゃんが怯えてしまったのですのよ!どうしてくれるのですか!」

ジャック「なあ、あの姉ちゃん、なんでズボン履いて無いんだ?風邪引いちゃうぞ?」

大輔「ジャック君、頼むから黙っていてくれ…。」

 

誰も聞けない事を普通に聞くのがジャックの凄い所である。

 

大輔「弓子、僕は依頼の報告をするから先に中島君達と事務所に戻っていてくれるか?所であの二人は事務所に居るのかな?」

弓子「あの二人?タダカツとユキムラか?アイツ等は今日は武将隊のみんなと飲み会だから今日は遅くなるって言ってたな。」

大輔「なんで普通に飲みに行ってるんだよ!悪魔だろアイツ等!」

弓子「あたしに文句言うなよ。兄貴がこの世の全ての人に嫌われてるからいけないんだろうが。」

大輔「じゃあ、明日大事な話があるからみんな時間を空けて欲しいんだ。明日は事務所も閉めるから。」

弓子「事務所を閉めるって、いったい何があったんだよ。」

大輔「明日話をする。」

 

大輔はそう言って意識が朦朧としている吉田 孝則を運び屋敷に入っていった。

 

弓子「中島、いつまで泣いているつもりだ。帰るぞ!」

中島「ううう…。僕は…。」

弓子「タクシーに乗れ!ここで泣かれては近所迷惑だろ。」

中島「ううう…。」

 

弓子は中島達を先程乗ってきたタクシーに乗せた。

 

弓子「白鷲探偵事務所、中区のこの辺りだ。行ってくれ。」

「分かりました。」

 

弓子もタクシーに乗り発進する。

 

「あの…。先程のは…。」

弓子「黙って運転してくれ。」

「いや…。黙ってと言われましても…。あんなものを見てしまっては…。御代はただにしますので教えてもらってもよろしいですか?」

弓子「まあ、事務所の宣伝にもなるし、良いだろう簡単に教えてやる。あの男に取り憑いていた悪魔を退治したんだよ。あたし達は悪魔退治専門の探偵だ。」

「普通ならまたまたご冗談を、って言いたい所ですがあの男の人から人形の黒い煙の様な物が急に現れたのを見たら信じるしかありませんよね。で、どういう悪魔だったのですか?」

弓子「おい、お喋りも良いけどちゃんと前を見て運転しろよ!今、赤信号だったじゃねえか!」

「お客さん、赤信号は気を付けて進めですよ?」

 

赤信号は止まれだ!そうこうしている内に事務所にたどり着いた。

 

弓子「着いたな。って、ドア開けろよ!何やってるんだよ!」

「いや~お客さん、だってさっきの続き聞きたいじゃないですか~。ここで降ろしてしまったら話が聞けないじゃないですか~。教えて下さいよ~。」

弓子「おっさん、物好きだな。ここでぶん殴って無理矢理降りてもあたし等が犯罪者になるし、分かったよ。事務所に上がるか?」

「えっ?良いのですか~。いや~。すみませんねえ~。私、こういうオカルト的な話が大好きでして~。」

 

タクシーの運転手を事務所に上げて先程の出来事を話す事にした。

 

「で、どういう悪魔だったのですか?」

弓子「ユダヤ人の幽霊だ。」

「あっ、もしかしてディブクの箱をあの人、開けたのですね?」

ティンク「あっ、お兄さんも確かに言ってたよ。それ。」

「悪霊ディブクですか!」

弓子「ああ、よく知ってるな。」

「その悪霊、よく退治出来ましたよね?そのお兄さん。錬気の剣でスパっと一撃で!」

弓子「おうおう、よく知ってるなぁ。」

「それにしても凄い魔力でしたよねえ~。お兄さん。悪霊を一撃ですもの~。」

中島「彼は…。悪霊なんかじゃない…。」

「何を言ってるのですか~。デビルサマナーのお兄さん~。」

中島「出てけ!彼は…。僕の友達だ!彼を悪く言うな!」

弓子「なーかーじーまー!違うだろ、こいつは帰したら駄目なんだよ!ジャック!事務所の鍵をかけろ!」

ジャック「ヒーホー!もうとっくに終わってるぞ!」

ティンク「えっ?どういう事?」

弓子「中島、お前キレるのが早すぎるんだよ。もう少し話を聞き出してからと思っていたのによう。で、テメエは何者だ?」

「ちっ!悪魔は雑魚2匹にデビルサマナーと女が一人か…。」

弓子「おら!」

 

弓子はアプチャギを喰らわせ男を仰向けに倒す。

 

ティンク「とりあえず眠らせて、『ドルミナー!』」

 

ティンクの魔法で男を眠らせた。

 

弓子「中島、こいつを動けない様に縛り付けろ。」

中島「わ、分かったんだな。でも弓子さん、どうしてこの人が怪しいって思ったんだな?」

弓子「ああ!?初めからだよ。タクシーのナンバープレートが同じなのに運転手が違う奴ってあり得ないだろ。それにお前の事をデビルサマナーって言っただろうが。」

 

弓子は携帯を出して電話をする。

 

弓子「おう、デスメルか。ちょっと不審者を捕まえたから事務所に来てくれ。殺しもあるかも知れないからな。」

 

弓子は携帯を切った。

 

弓子「ジャック、後5分でデスメルが来るから鍵を開けろ。」

ジャック「分かったぞ。」

弓子「ちっ、何が起きているんだよ…。」

 

中島達に近づいて来た男は?大輔が事務所を休みにする程の話とは?アスラ組の時とは違う不安が中島達を襲うのであった。

 



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メシア教団 前編

翌日、大輔に言われた通りみんな事務所に集まっている。

 

大輔「みんな、集まっているね。」

弓子「ああ、話ってなんだよ。勿体振らずに早く言えよ。」

大輔「昨日、東京からメシア教団の幹部が僕の所に来た。」

中島「メシア教団…。」

大輔「中島君達には話をしたけど僕達の両親にスサノオを倒す様にけしかけた連中だ。」

タダカツ「どういう事でしょうか?」

大輔「今、そこは問題じゃないから省かせてもらうよ。メシア教団の目的は自分達の神、Y・H・V・Hに反する神、ギリシャ神話のゼウスやオーディン、日本の神様、アマテラスにイザナミ、それらを倒して自分達の配下にする事、もちろんスサノオ、君も対象に入っている。」

弓子「メシア教団だぁ?あたしは初めて聞くぞ?兄貴、なんだよそれ?どういう事だよ。」

大輔「メシア教団については弓子には一切話をしなかったからね。」

弓子「はぁ?」

大輔「だって弓子に今の話をしたらスサノオと一緒に喧嘩売りに行くだろう。」

弓子「よく分かっているじゃねえか。」

ユキムラ「そのメシア教団は神様を倒して何がしたいんだい?」

大輔「悪魔召喚プログラムを使って世界各地の神々を配下にして世界を自分達の意のままにする事さ。まずはスサノオ、君は今日から事務所から出ないでくれ。ユキムラ君もだ。」

タダカツ「しかし、明日はイケメン武将隊のお仕事があるので…。」

大輔「話を聞いていたか?お前が1番最初に狙われるから事務所を出るなって言ってるのだよ。」

タダカツ「しかし…。」

 

pipipipipi、弓子の携帯が鳴り響く。

弓子「兄貴、悪い。デスメルからだ。」

ティンク「昨日の不審者についてなにか分かったじゃないかな?」

 

弓子は携帯に出る。

 

弓子「もしもし?」

デスメル『白鷲さん?』

弓子「ああそうだよ、あたしの携帯から知らねえ奴が出たら事件だろ。で、昨日の奴について何か分かったのか?」

デスメル『昨日逮捕した男、メシア教団の人間だと言っていた。』

弓子「メシア教団!?」

デスメル『幸い、タクシーの盗難と運転手の傷害だけで殺しは無かった。』

弓子「そうか。」

デスメル『ただ…。』

弓子「なんだ?」

デスメル『東京の警視庁から犯人の引き渡し要請がかかってしまって…。』

弓子「はぁ?で、引き渡したのかよ。」

デスメル『それは佐野警部がキッパリ断ったから今の所は大丈夫だよ。捜査3課での取り調べが終わったらまた連絡するよ。白鷲さん、無茶はしないでね。』

弓子「ああ、デスメル。メシア教団の中にはデビルサマナーも居るお前も気を付けろよ。」

デスメル『デビルサマナー!?分かった!佐野警部にも伝えておくよ。じゃあ、また何かあったら連絡するよ。』

 

弓子は携帯を切った。

 

弓子「兄貴、昨日デスメルに連行させた男、メシア教団だったそうだ。」

大輔「昨日の男?僕が戻って来る前に何があったんだ?」

弓子「ああ、昨日の帰りのタクシーの運転手、なんか怪しかったから事務所に入れて兄貴が帰ってくるまでに探りを入れながら時間稼ぎをしてたんだが中島の愚図がソイツにキレて騒ぎになりかけたからぶっ倒してデスメルに連行させたんだよ。」

大輔「で、愛知県警は警視庁に釈放するように圧力をかけられている訳か。」

弓子「まだあたしはそこまで言っていないぞ。なんで分かったんだよ。」

大輔「警視庁のお偉いさんもメシア教団の人間が結構居るからね。」

タダカツ「アスラ組の時と手口が同じですね…。」

大輔「規模が違うよ。それにアスラ組の場合は悪魔が県警を操っていたからその悪魔1匹を倒したら良かっただけだけど今回は違う。悪魔じゃなくて普通の人が相手だからね。こっちから乗り込む訳にもいかないのだよ。」

ユキムラ「で、なんでそのメシア教団がいきなり名古屋に来たんだい?」

大輔「いきなりじゃない…。実は前々からメシア教団から僕の所に寄付の要請があったんだよ。僕が他人の為にお金を渡す訳がないから無視して来たんだけど、あまりにしつこく催促してきたから東京まで行って東海地区の集金担当を魔法で焼き殺したら、幹部が乗り込んで来たんだよ。」

弓子「全部兄貴が悪いんじゃねえか!ふざけんじゃねえぞ!」

 

全くもってその通りである。

 

大輔「弓子、デスメル君にメシア教団とは深く関わらないように伝えてくれるか?」

弓子「はぁ?デスメルも仕事だから犯罪者を放置する訳にはいかないだろ。」

大輔「相手はメシア教団だ。魔法も使うし幹部はデビルサマナーだ。人間社会の常識は通用しない。下手したら殺されてしまう。」

中島「そんな…。メシアを信じる人達がどうして他人を…。」

大輔「中島君、君はスサノオと同じくらいメシア教団に狙われている。昨日の様な悪魔に対して見せた甘い考えは捨てることだ。」

中島「彼は…。悪魔なんかじゃないんだな…。いつか生まれ変わったら僕と友達になってくれるって約束してくれたんだな。」

大輔「中島君、昨日はたまたま旨くいっただけだ。甘い考えは捨てるんだ。」

中島「でも…。ちゃんと話を聞いてみないと本当に悪いのかどうかは…。」

大輔「悪魔だ!同情なんかするな!」

弓子「兄貴、落ち着けよ。」

中島「悪魔だとしてもみんながみんな悪い訳ではないんだな。」

大輔「中島君!悪魔は全て人間の敵だ!」

中島「違うんだな!アスラ組の船での時も武井さんの仲魔達もモスマンの親子もアリスちゃん達も作業員の人達も僕達を助けてくれたんだな!それにイケメン武将隊の人達もユキムラ達が悪魔だって知っても助けに来てくれたんだな!だからちゃんと話をしないと分からない事なんだな!」

大輔「まだ言うのか!僕が弓子の様に普段怒らないからっていい気になるな!」

 

大輔は魔力を高めて魔法を使う構えをとる。

 

弓子「兄貴!いい加減にしろ!」

大輔「弓子!君は中島君の肩を持つのか!」

中島「ぼ、僕は間違った事は言っていないをだな!」

 

弓子「中島!テメエもだ!黙れ!」

 

珍しく熱くなった中島と大輔を弓子が止めに入る。

 

ティンク「中島、もうやめて。分からない人には分からないんだよ…。だから、いつもの優しい中島に戻って…。」

ジャック「ケンカなんて中島らしくないぞ!」

中島「うん…。二人ともゴメンなんだな…。」

大輔「悪魔に謝らないで僕に謝れよ。」

 

中島は大輔を睨み付け事務所を出ていった。

 

ティンク「中島!」

 

ティンクも中島を追って事務所を出ていった。

 

弓子「クソダルマ!テメエも中島を追え!」

ジャック「ヒホ?」

弓子「チビよりテメエが適任なんだよ!さっさと行け!」

ジャック「わ、分かったぞ!」

 

ジャックも中島を追って出ていった。

 

大輔「何処にでも行けばいい!!」

 

弓子は無言で携帯で電話をかける。

 

弓子「おう、ノブナガか?」

ノブナガ『女探偵か、何かあったのか?』

弓子「ああ、ちょっとなトラブルがあってな。ユキムラのバカをしばらく休ませる。」

ノブナガ『ユキムラだけか?』

弓子「ああ、タダカツはお前達の護衛をかねて普通に仕事をさせる。」

ノブナガ『悪魔か?』

弓子「いや、人間…。東京のデビルサマナーだ。メシア教団って団体だ。」

ノブナガ『メシア教団?宗教関係が相手か…。相手が人間だったらタダカツも居ない方が良いな。まあ、こっちは旨く誤魔化すから気にするな。』

弓子「仕事の方は良いのか?二人抜けるんだぞ?」

ノブナガ『武将隊全員集合の日は来月だから構わんさ。それよりそのメシア教団って奴をやっつけてくれ。』

弓子「ああ、いつも迷惑かけてすまんな。」

ノブナガ『構わんさ、仕事中だから切るよ。』

弓子「ああ。」ピッ!

 

弓子は携帯を切った。

 

弓子「ユキムラ、中島を追え。それで夕方になったら中島を連れて帰ってこい。」

ユキムラ「弓子、マスターはきっとまだ怒っているんじゃないのか?」

弓子「愚図の中島をなだめる為にクソダルマを先に行かせたんだ。」

タダカツ「弓子、何故ジャックなんですか?ティンクが中島殿と一緒に居るのに…。」

弓子「このクソ兄貴と今だに仲良く出来るのはジャックだけだ。ティンクじゃ中島の味方をするだけでなだめる事は無理だ。」

ユキムラ「分かったよ弓子、マスター達を連れ戻す役目はこのイケメンである僕に任せてくれたまえ。」

弓子「ユキムラ、メシア教団が近づいて来たら問答無用でぶっ飛ばせよ!」

 

ユキムラは事務所を出ていった。

 

大輔「弓子、僕の指示なしに勝手な事をするなよ。」

弓子「兄貴、テメエが中島を怒らせたから尻拭いをしているんじゃねえか!」

大輔「僕が悪い様な言い方だな。」

タダカツ「お兄さん、我々は中島殿の仲魔です。メシア教団の幹部がどれだけの力があるか分かりませんが貴方一人で戦えるなら別にこのままで構いませんが…。中島殿と和解していただけないなら我々は貴方には協力は出来ません。」

弓子「まあ、そうなるよな。兄貴、どうするんだ?中島と和解してメシア教団と戦うか今ここでタダカツに殺されるか好きな方を選べよ。」

大輔「弓子!どういう事だ!」

弓子「そのままの意味だ。あたしがいる手前、兄貴は殺されていないだけだ。あたしだってテメエと血が繋がっていなかったら殺してやる所だからな。それだけ自分の狭い考えだけで物を言ってるんだよ兄貴は。」

大輔「…。」

弓子「あたしらは少し出てくるからしばらく考えておけ。タダカツ、外に行く。少し付き合え。」

タダカツ「わ、分かりました。」

 

弓子達は大輔を残して出ていった。



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メシア教団 中編

弓子「タダカツ、すまねえな。脅しとは言え兄貴にお前をけしかける様な事をしてよ。」

タダカツ「いえ、弓子の判断が正しいと思います。で、これからどちらへ?」

弓子「ああ、山川組の所と愛知県警、後は病院だな。」

タダカツ「病院?何か具合が悪いのですか?」

弓子「あのクソ兄貴のせいで胸糞悪いがな、そうじゃねえ。あのババアとデカブツが居るだろ。」

タダカツ「ヨモツシコメとジャイアントですね。」

弓子「ああ、メシア教徒に見つかったら殺されるかも知れねえからな。出歩かない様に忠告しておくんだよ。」

タダカツ「それでしたら彼等にも…。」

弓子「ああ、あのしたっぱにはもうメールで知らせてある。」

タダカツ「準備が早いですね。」

弓子「何かあった後では遅いからな。あたしは中島と違って愚図じゃねえんだよ。」

 

弓子達は山川組の事務所にたどり着いた。弓子はドアを蹴り上げ無理矢理こじ開けた。

 

弓子「よう、山川組のチンピラ共。久し振りだな。」

「なんだテメエは!」

「白鷲、普通にドアを開けられないのか。」

 

事務所の奥から若頭が出てきた。

 

弓子「よう若頭、この前は助かったぜ。ありがとうよ。」

「で、なんの用だ。」

弓子「連れねえな、この白鷲 弓子様が来てやってるのにお茶菓子くらい出せよな。」

「このアマ!頭に対して舐めた口を…。」

「やめろ!お前達じゃ返り討ちに会うだけだ!」

弓子「あたしは良かったんだけどな。ウォーミングアップにもなるし。」

「組員を病院送りにされたらこっちが良くないんだよ!で、用件を言え!」

弓子「分かったよ。今、この街にメシア教団ってのが来ている。」

「なんだそりゃあ?俺達に何の関係があるんだよ。」

弓子「そいつ等がもしあたし等の事を尋ねて来ても知らないで通してくれ。」

「はぁ?だいたい何だよその…。」

タダカツ「メシア教団、幹部はデビルサマナーとの事です。」

「デビルサマナー?」

弓子「学の無いチンピラ共に分かりやすい言い方をしたら悪魔を従えた奴だ。」

「白鷲、お前の所に最近いる中島って奴みたいな者か。」

弓子「何あたし等の事を調べているんだよ。ストーカーかよ。」

「馬鹿言え、それよりなんで俺達がそんな連中にシッポを巻かないといけない。ヤクザが素人に舐められてたまるか。」

弓子「まあ、多分だけど相手はウチの兄貴みたいなキチガイだと思った方が良いな。仮に問答無用で襲って来たら拳銃で撃ち殺せ。」

 

実の兄に対して酷い言い様である。

 

「一般社会の常識は通用しないって事か。だったら関わらないようにした方が良いな。」

タダカツ「ヤクザにまで常識が無いとか言われるお兄さんって…。」

「確かお前、スサノオだったな。白鷲の兄貴の方はヤクザよりヤバイぞ。笑顔で人をなぶり殺す頭のネジがぶっ飛んでるキチガイだからな。この辺りの火災はだいたいアイツが気に入らない奴を魔法で焼き殺した後だからな。」

弓子「流石にそれは言い過ぎだろうが…。兄貴が殺ったのはあたしの親戚一同と学生時代の兄貴のクラスメイトとその学校の教師の大半位だよ。しかもあのクソ兄貴、過去に問い詰めたら『僕は未成年だから捕まったとしても大した罪にはならないのだよ、それに魔法で焼き殺してはいけないって法律は今の日本には無いからね。』とか平気で抜かしやがったからな。」

 

普通に殺しをしたら犯罪である。

 

「お前の方が酷い言い様じゃねえか!」

弓子「まあ、そう言う訳だからあまりメシア教団に関わるんじゃねえぞ。また何かあったら来るよ。」

「2度と来るな!お前達と関わるとろくな事がねえ。」

 

弓子達は山川組の事務所を後にした。

 

 

 

 

弓子「さて、次は愛知県警だ。」

 

弓子達は愛知県警のロビーで受付をする。

 

弓子「よう、デスメルの奴を呼んでくれ。」

「あの…。どちら様でしょうか?」

弓子「白鷲 弓子様だ。良いからデスメルを呼べよ。」

タダカツ「弓子、ちょっと…。」

 

タダカツは弓子をロビーの受付から引き離す。

 

タダカツ「弓子、ちゃんとデスメルさんの名字で言わないと受付の方には分かりませんよ。」

弓子「名字?あっ…。知らねえ…。」

 

弓子はデスメルに電話をかける。

 

弓子「よう、デスメルか?」

デスメル『白鷲さん、何かあったの?』

弓子「いや、お前を呼び出そうと愛知県警のロビーまで来ているだけどよ。お前の名字なんだよ。デスメルじゃ受付のクソ女共が理解出来てなくて困ってるんだよ。」

 

本当に失礼な話である。

 

デスメル『……。直ぐにそっちに行くから何もしないで待ってて。』

 

電話は切られてしまった。

 

タダカツ「弓子、分かりましたか?」

弓子「いや、デスメルの奴が直ぐに来るから待ってろってさ。」

 

少しするとデスメルがロビーの奥にあるエレベーターから出てきた。

 

デスメル「白鷲さん!」

弓子「ようデスメル!メシア教の事で…。」

デスメル「し、白鷲さん!こっちへ!」

 

弓子の話を止めてデスメルは弓子達をエレベーターの中に押し込んだ。

 

弓子「お、おい!何処に行くつもりだ!あたしはメシア教の事で…。」

デスメル「だから、安易にその話をしないで!」

 

エレベーターは4階まで上がって行く。

 

タダカツ「デスメルさん、何かあったのですか?」

デスメル「着いてから話をする。」

 

デスメルに案内されて奥の部屋に入る。中では一人の女性がパソコンをしている。

 

デスメル「座って。」

 

デスメルが二人にコーヒーを入れる。

 

弓子「すまんな。」

タダカツ「デスメルさん、お砂糖いただけますか?4つぐらい。」

デスメル「4つも!?まあ、適当に取ってくれて構わないよ。」

 

デスメルは角砂糖の入った入れ物を渡す。

 

タダカツ「すみません。」

弓子「あたしも1つもらうよ。」

デスメル「それでは本題に入ろうか。」

 

デスメルは扉を閉めて鍵をかけて隣の部屋に見られない様にブラインドを降ろす。

 

弓子「えらい厳重だな…。」

デスメル「上からはメシア教団に関わるなと命令が下ったからね。」

タダカツ「お兄さんが言っていた通り警察内部にメシア教団の人間が居たのですね。」

「正確には警視庁に八人、その内一人が愛知県警の1課に刑事部長に就任されて来ました。もう一人がその上の参事官として就任させて来て、今、愛知県警にはメシア教団の人間が二人います。」

 

パソコンをしている女性が答える。

 

弓子「デスメル、誰だあの女は。」

「申し遅れました。私は愛知県警特種捜査6課の愛澤と言います。親しみを込めて『あいみょん』で構いません。」

弓子「この女、まさか…。」

デスメル「うん、佐野警部と一緒に大阪府警から来たんだ…。」

弓子「あのおっさんの部下か…。」

タダカツ「その、佐野警部は今日は居ないようですが…。」

「佐野警部は今日は競輪に行っています。」

デスメル「愛澤さん、嘘を言わないで下さい。」

「あいみょんです。」

弓子「デスメルお前、大変だな…。」

 

全くである…。

 

弓子「デスメル、兄貴も警察と同じでメシア教団に深追いをするなって言っていた。相手はデビルサマナーだ。」

デスメル「デビルサマナー…。」

「白鷲 弓子さんのパートナー中島 朱美やちんちくりんの武井 千枝子の様に悪魔を従えて戦う者達の事です。」

 

パソコンをしながら愛澤が答える。

 

弓子「テメエ、何故それを知っている。事と場合では…。」

「私と戦うつもりですか?止めた方が良いですよ?」

弓子「ああ?」

「一瞬でボコボコにされて病院送りになりますよ?私がね。」

弓子「テメエがかよ!デスメルお前、毎日こんな面倒臭いの相手にしているのかよ…。大変だな…。」

デスメル「うん…。」

「まあ冗談はこれぐらいにして…。今、名古屋に来ているメシア教団の数は幹部のデビルサマナーの男が二人、そのそれぞれのデビルサマナーに付き添うサポートの幹部の女が居ます。男女のペアで近づいて来たらメシア教団と思って下さい。後、末端の信者は何人居るかは分かりませんが数百人は潜伏しています。」

弓子「やけに親切に教えてくれるんだな、どういうつもりだ?」

「我々は上からメシア教団の捜査を止められています。まあ、佐野警部はその命令を無視していますが…。」

デスメル「佐野警部は少し前に参事官に呼び出されていましたよね?」

「ですから無視してアホのちんちくりんの武井 千枝子と組んでメシア教団と戦うつもり様です。」

デスメル「いや、あの人、命令を無視って…。」

 

ガチャ、ちょうど鍵が開き佐野警部が捜査6課のオフィスに戻ってきた。

 

佐野警部「邪魔するでぇ。」

「佐野警部、邪魔するなら帰って下さい。」

佐野警部「ほんなら帰ろかって…なんでやねん!」

デスメル「佐野警部!参事官の命令をするって…。流石に不味いのでは…。」

佐野警部「無視はしてへん、ただこの出頭書漢字が多すぎて読まれへんから突き返しただけや。」

デスメル「ちょっと…。突き返したって…。」

佐野警部「読まれへんからしゃあないやんけ。」

「それはしょうがないですね。」

 

上の人間に対して舐めすぎである。

 

「佐野警部、今日のボートはどうでしたか?」

佐野警部「いやー、あそこで6番がまくってくれたら今頃はウハウハやったのにって…。アホ!行ってへんわ!」

弓子「デスメル、毎日毎日こんな奴等の相手をして本当に大変だな…。」

佐野警部「白鷲 弓子、来てたんか。」

タダカツ「お久しぶりです。」

佐野警部「スサノオ、お前、ちょっとええ感じに変わったな。」

タダカツ「そうですか?」

佐野警部「おう、どうやら仲魔と上手くやっとるみたいやな。」

タダカツ「ええ、皆のお陰です。」

佐野警部「そうか、白鷲 弓子。メシア教団の事で来たんやな?」

 

佐野警部の冗談は終り本題に入る。

 

佐野警部「まず昨日、お前等が捕まえた男、メシア教の末端の信者は釈放になった。」

弓子「はぁ?テメエ等、市民を守る警察が犯罪者を逃がすのかよ!」

佐野警部「そうや、アイツ等をまとめて捕まえる為にな。オペ子、釈放した奴は今は何処におる?」

「栄町のビルに入って居ますね。そこにアジトが有るかも知れません。」

 

愛澤が佐野警部の問いに答える。

 

デスメル「いつの間に発信器を…。」

佐野警部「とりあえず今は泳がせて何か仕掛けて来たら直ぐに一網打尽に捕まえるって戦法や。末端の信者の事はワシ等に任せとけ。」

弓子「ああ、おっさん。ただの役立たずじゃ無かったんだな…。」

佐野警部「誰が役立たずやねん!」

「佐野警部です。」

 

愛澤が直ぐに答える。

 

佐野警部「オペ子、白鷲 弓子にメシア教団の幹部の情報を全部教えたれ。」

デスメル「えっ?何処まで調べていたのですか?」

佐野警部「メシア教団は昔から影で胡散臭い事しとったからな。元々情報は持ってたんや。ガイア教徒が居らん名古屋に来るとは思って無かったけどな。」

デスメル「ガイア教徒…。それはいったい…。」

佐野警部「なんやデスメル、お前そんな事も知らんのか?まあ、今は関係ないから省くわ。で、今来ている幹部の情報を教えてやれ。」

「分かりました。昨日、白鷲 大輔と接触した幹部はアレフとヒロコ。彼等は高級中華料理屋で白鷲 大輔の不意打ちの魔法で痛手を被って逃げました。まさか、店内で奇襲を受けるとは思わなかったのでしょう。今は末端の信者達に匿われていると思います。」

弓子「まあ、ウチのクソ兄貴が他人に気遣う訳無いからな。」

「で、後の二人組、男の名はホーク、教団内でもメシアに近いとされている男です。その男のパートナーの女の名はベス、狂信的なメシア教徒でホークをメシアと信じて行動している女です。ホークをメシアにする為なら手段を選ばないと言われています。」

タダカツ「メシアにする為ならと言われましたが…。」

「メシア教の教えはいつかメシアが世界を救う、メシアになる、すなわち教団の1番上に立つと言うことです。」

 

愛澤が答えていく。

 

弓子「で?その情報を教えてあたし等に何をさせるつもりだ?」

「我々から先に手出し出来ないのでメシア教の幹部、ホークとベスがそちらに迫って来たらを倒して欲しいのです。」

 

タダカツ「警察が我々に依頼ですか…。」

佐野警部「依頼やない。どうせお前等がメシア教団と戦う事になるから先に情報を教えてやるだけや。」

弓子「依頼じゃないならあたし達も動きようがないな。」

佐野警部「それはワシ等も同じや、アイツ等が何か事件を起こすまでは動かれへんのや。」

「そう言うことですのでメシア教団の幹部、ホークがそちらに来たら対応して下さい。新しい情報は常にそちらに流しますので。」

デスメル「情報を流します…。って、そんな事をしたら…。」

「そうですね…。連絡係の貴方が罪に問われますね。」

佐野警部「そう言うことやデスメル。しっかり頼むぞ。」

デスメル「えっ?」

弓子「何から何まですまねえな。デスメル、また何かあったら連絡してくれ。」

デスメル「えっ?あ、うん…。」

 

弓子達は愛知県警を後にした。



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メシア教団 後編

その頃中島達は…。

 

ティンク「中島、何処に行くの…。」

中島「うん…。分からないんだな…。勢いよく飛び出したけど…。」

ティンク「そうだね…。どうしようか…。」

 

二人は宛もなく歩いているとジャックが追い付いて来た。

 

ジャック「ヒーホー!中島、追い付いたぞ!」

中島「ジャック、君まで…。」

ジャック「さっきのは中島も良くなかったぞ。」

ティンク「何でよ!中島は悪くない!悪いのはアイツだよ!」

ジャック「中島の気持ちは分かるぞ。でも大輔の兄ちゃんは中島が危険な事に巻き込まれない様に忠告してくれていたんだぞ。」

中島「うん、でも…。」

ティンク「あの人は、違うよ。」

ジャック「ティンク、一方的に決めつけるのは良くないぞ。大輔の兄ちゃんだって少しずつだけどみんなと仲良くしようとしているぞ。」

中島「そうだったんだな…。それなのに僕は…。」

ジャック「とりあえず中島、ちょっと気分転換して遊んで行くぞ。そうしたら気分も落ち着くぞ。」

ティンク「ジャック、何を呑気な事を言ってるのよ。」

ジャック「こんな時だからだぞ。」

中島「ジャックの言う通りなんだな。」

 

中島はジャックのお陰で気分を変えて町を散策することにした。とりあえず栄町のショッピングモールに入る。

 

ティンク「ねえジャック、せっかくショッピングモールに来たのだからそのいつも被っている麦わら帽子、新しいのに変えたら?」

ジャック「ん?オイラが中島の仲魔になった時に大輔の兄ちゃんがオイラの為に買ってくれたやつだから嫌だぞ。」

ティンク「えっ?あの人が?」

中島「そうだったんだな…。僕達が探偵事務所に来た時にお兄さん、僕達の歓迎会をしてくれたんだな。」

 

中島は昔の事を思い出した。

 

ティンク「えっ…。そうだったんだ…。」

ジャック「そうだぞ、オイラが麦わら帽子を買ってもらったその次の日に大きな台風が来て全然外に出られなかったんだぞ。」

ティンク「…。(似合わない事をしたからだ…。)」

 

ショッピングモールを歩いていると何かが女の子達に取り囲まれている。女の子達は取り囲んでいる何かに向けて写メを撮っている。

 

ティンク「何だろうあの人だかり?」

中島「うん、お店でもないのに…。」

 

中島達は気になり人だかりに近づいて行く。人だかりの中から声が聞こえて来る。

 

「ヒーホー!トリック オア トリートだホー!お前達、オイラにお菓子をくれないとイタズラしちゃうホー!」

ティンク「えっ?中島、もしかして悪魔が?」

ジャック「この声…。もしかして…。」

 

女の子達はキャーキャー言いながら楽しそうに写メを撮り続けている。

中島達は更に人だかりに近づいて行く。するとトンガリ帽子を被ったカボチャ頭の悪魔が中央にいた。

一人の女の子がカボチャ頭の悪魔に飴玉を渡す。

 

「じゃあ、飴玉あげるよ。」

「ヒーホー!お前には近いうちにきっと幸福が訪れるだホー!さあお前達!トリック オア トリートだホー!オイラにお菓子をくれない奴はみーんなイタズラしてやるだホー!」

ジャック「あっ、兄弟…。」

中島「えっ?ジャック?」

 

ジャックは人だかりを押し分けて中央にいる悪魔に近づいて声をかける。

 

ジャック「ヒーホー!兄弟、何をしているんだ?」

「ヒーホー!兄弟!オイラこんなところで会えるなんて思っていなかったから嬉しいホー!」

 

ジャックはカボチャ頭の悪魔と手を取り合って再会を喜びあっている。

 

中島「ご、ごめんなさい、ちょっと通して欲しいんだな!」

 

中島達も人だかり押し分けて中央に向かう。

 

「あれ?あの方?武井さんと一緒にいた…。八戒さん?」

 

中島達も悪魔の仲魔と思われて女の子達に写メを撮られていく。

 

中島「き、君はいったい誰なんだな?」

「オイラか?オイラは偉大なる悪魔ジャックランタン様だホー!」

ジャック「中島、この前言っていたオイラの兄弟だぞ!」

ティンク「そう言えば言ってたね。」

「ヒホ?お前達は誰だホ?」

中島「ぼ、僕は中島 朱美なんだな。ジャックの友達なんだな。」

「兄弟の友達なのか?」

中島「うん、よろしくなんだな。」

 

中島はカボチャ頭の悪魔、ジャックランタンと握手を交わす。

中島達はジャックランタンの仲魔と思われたのかみんなに写メを撮られながらお菓子を手渡されていく。

 

「少し早いけどハロウィーンの催しなんだよ。はい、お菓子あげるよ。」

「ヒーホー!お前にもきっと幸せが訪れるホ!」

「はい、妖精も。」

ティンク「あ、ありがとう…。」

「八戒さんも、どうぞ。」

中島「あ、あの…。」

「あのオークのコスプレの方良くできているわね。はいどうぞ。」

中島「いや…。ぼ、僕は…。」

 

中島はオークと間違えられている。横でジャック達は女の子達と一緒に写メを撮っている。

しばらくして人だかりの女の子達は満足したのか去っていった。

 

中島「なんか凄く疲れたんだな…。」

ジャック「オイラは楽しかったぞ!」

「ヒーホー!人間のお前が1番お菓子をもらっていたんだホー!」

ティンク「中島、また三蔵さん所の八戒に間違えられていたね。」

中島「うん…。それよりこの大量のお菓子をどうしたら…。」

 

中島は持ちきれない程のお菓子を抱えている。

 

ティンク「こんなにも食べきれないね…。」

ジャック「ヒーホー!中島、そんなの簡単だぞ!友達と一緒に食べたらいいんだぞ!」

「ヒーホー!兄弟、コイツ等以外に友達がいるのかホ?」

ジャック「ヒーホー!兄弟、オイラには中島以外にも友達がいっぱいいるぞ!兄弟にもオイラの友達を紹介するぞ!」

「ヒーホー!兄弟、本当か?オイラ、こっちに来たばかりだから嬉しいホー。」

 

ジャックランタンはジャックと手を取り合って喜んでいる。

 

ティンク「本当に仲の良い友達なんだね。」

中島「うん。所でジャック、友達の所って何処に行くつもりなんだな?」

ジャック「先ずはユキやジャイアンがいる病院と新田の兄ちゃんの所と後、事務所にも戻るぞ、弓子や大輔の兄ちゃんも居るしな。さあ兄弟、先ずは病院に行くぞ。」

 

中島達はジャックの言う通り病院に向かう事にした。

 

 

 

中島達は病院に向かう途中、1体の見慣れた悪魔が体から大量の血を流しながら近づいて来て倒れた。そう、その悪魔は堕天使メルコムである。

 

中島「あっ!あれは!」

ティンク「メルコム!」

 

中島達は急いで倒れたメルコムに近づいて抱き抱える。

 

中島「ティンク、メルコムを!」

ティンク「う、うん。『ディアラマ!』」

 

メルコムの体の傷は回復したが倒れたままである。

 

中島「そんな…。傷は回復したのに…。」

メルコム「ホホホ…。デ、デビルサマナーですか…。」

ティンク「メルコム、しっかり!」

メルコム「ホホホ…。血を流し過ぎました…。残念ながら…助からないでしょう…。」

ジャック「な、中島!病院に急ぐぞ!婆ちゃんに見てもらうぞ!」

メルコム「ホホホ…。無駄ですよ…。ヨモツシコメさん…彼女がわたしを…たすける事は…ありません…。わたしは…死ぬでしょう…。」

中島「メルコム…。僕は…。君にはたくさん助けてもらったんだな…。だから、今度は僕が君を助けるんだな。ティンク、ジャック、僕は、メルコムを病院に連れて行くんだな。」

ティンク「うん。分かったよ。」

ジャック「メルコム、オイラが婆ちゃんに頼んでやるから大丈夫だぞ!」

メルコム「ホホホ…。むだ…ですよ…。それより…。」

 

遠くで中島達の様子を見ていたユキムラが駆け寄ってきた。

 

ユキムラ「喋らないで、君は助かる事だけを考えたまえ。」

中島「ユキムラ?どうして?」

ユキムラ「マスター、それは後だよ。今はメルコムを病院に運ぼう。」

中島「ユキムラ、ありがとうなんだな。」

ユキムラ「急ごう。」

ティンク「『ディアラマ!』」

 

ティンクはメルコムに回復魔法をかけ続ける。

 

メルコム「かいふ…くまほ…うはむだ…ですよ…。」

ティンク「分かってるよ!でも、何もしないよりかはましだよ!『ディアラマ!』」

中島「メルコム、もう少しで病院なんだな。」

 

中島達は病院にたどり着いた。

 

ジャック「あれ?兄弟がいないぞ?」

ティンク「あっ、本当だ…。」

ユキムラ「ジャック、メルコムの事が先だよ!」

ジャック「わ、分かっているぞ。」

 

病院に行く途中でいつの間にかジャックランタンの姿は居なくなっていた。

中島達はメルコムを運んで病院の奥に進んでいくといつも以上の険しい顔でヨモツシコメの婆さんに呼び止められる。

 

「あんた達、ソイツをどうするつもりだい?」

ジャック「あっ、婆ちゃん!探したぞ!オイラ達の友達が大変なんだぞ!」

「ソイツはメルコムじゃないか!?まだ生きているのかい?」

ユキムラ「前にマスターが倒れた時の様に血が必要なんだよ!」

「そうかいそうかい。でもね、血なんてもう必要ないさ。」

ティンク「へ?どういう事?お婆ちゃん?どうしたの?顔が恐いよ?」

「そうかい?おチビちゃん。あんた達、メルコムを運んで来てくれてご苦労だったね。これであたしも昔の仲魔達の弔いが出来るってもんだよ。コイツの止めはあたしがちゃんと刺しておくから安心して帰りな。」

 

ヨモツシコメの婆さんはメスを右手に持ち出しメルコムを刺しにかかる。が、中島がメルコムを庇い中島の左腕にメスが突き刺さる。

 

中島「うう…。あああああ!」

ティンク「中島!」

「退きなあんた達、そのメルコムって悪魔は今すぐに殺しておかないといけないんだよ。」

 

ヨモツシコメの婆さんは再びメスを取り出した。

 

中島「お婆さん…メルコムは僕達の…友達なんだな…。だから、助けてあげて欲しいんだな…。」

ジャック「婆ちゃん、オイラからもお願いするぞ!メルコムを助けてやって欲しいぞ!」

 

中島達はヨモツシコメの婆さんにメルコムを助けてもらう様にお願いする。

 

「太っちょのサマナー、それは出来ない相談だね。昔、ソイツのせいであたしのサマナーだった男は殺されてしまったからね。ここで会ったが100年目ってやつさ。」

メルコム「ホホ…ホ…。正確には180年ですよ…。」

 

メルコムが意識を取り戻しかすれた声を出す。

 

「そうかい、年を取りすぎると10年も100年もそう変わらないからね。メルコム、今ここで殺して楽にしてあげるよ。」

メルコム「ホホホ…ヨモツ…シコメさん…おひさしぶり…です…。偽者のメシアに…殺されるより…あなたの…手にかかった…ほうが…わたしも…なっとく…できますね…。しかし…。」

「この期に及んで命乞いかい?」

メルコム「デ、デビルサマナーに…つたえることが…ありますので…。まだ…あなたの手に…かかるわけには…。」

 

メルコムは力を振り絞り中島に話をしようとする。

 

「…。あんた達、メルコムを病室に運ぶよ。輸血をしないといけないからね。」

中島「お婆さん…ありがとうなんだな。」

「それより怪我をさせちまってすまなかったね。」

中島「ううん、それよりメルコムを…。」

「分かってるよ、太っちょのサマナー。」

 

メルコムは病室に運ばれていく。

 

 

 

少ししてメルコムは輸血を受けて一命をとりとめた。意識も徐々に戻っていき話が出来るまで回復した。

 

メルコム「ホホホ。ヨモツシコメさん、すみませんね。」

「あたしゃ太っちょのサマナーに頼まれたからしただけさ。あんたに感謝される筋合いはないよ。」

メルコム「ホホホ。ヨモツシコメさん、相変わらずですね。」

「今すぐ止めを刺してやろうかい?」

メルコム「ホホホ、それは遠慮しときますよヨモツシコメさん。所でデビルサマナーは居ますか?」

中島「メルコム、君が助かって本当に良かったんだな。」

ティンク「それにしても誰がこんなことをしたの?」

メルコム「メシア教団の幹部、ホークと言う男です。自らをメシアと名乗る不届き者ですよ。」

中島「メシア教団のホーク…。」

メルコム「まさか、町中で斬りつけてくるとは思いませんでしたので油断しました。」

ユキムラ「君とメシア教団にいったい何があったんだい?」

メルコム「それはですね…。まあ、始まりはこの私が封印される前から遡るのですが…。」

 

メルコムが話をしようとした時、突如病室のドアが勢いよく開けられる。

 

弓子「ようババア!探したぜ。」

「なんだい白鷲 弓子、もっと静かにドアを開けられないのかい。」

弓子「堅いことを言うなよ。ちょっと用事があって来たんだよ。」

タダカツ「お邪魔します。」

中島「弓子さん?どうしてここに?」

弓子「メシア教団の事でババアとあのデカブツに用があって来たんだよ。中島、テメエと違って遊んではいねえんだ!」

中島「弓子さん…実は…。」

 

中島は先程の経緯を弓子達に話した。

 

弓子「メシア教団が…。まあ、メルコムみたいな詐欺師紛いの奴を殺したくなる気持ちは分からないでもないけど町中でやるとはな。」

「全くだね。こんなやつ死んじまったら良かったんだよ。」

メルコム「ホホホ、ずいぶんな言い方ですね。」

弓子「メシア教団のホークだったな。メルコム、テメエの昔話は今度で良いから何処でやられたか経緯だけ話せ。」

メルコム「ホークに遭遇したのは栄のオアシス21です。5日後の『シャチホコエビフリャーズ』の野外ライブの段取りの下見の為に来ていた時です。」

弓子「確か…あのアリスとか言う悪魔共だったな。」

中島「なんでメルコムが彼女達の事を?」

メルコム「あのアスラ組の事件の時に知り合いましてね。将来を見越してスポンサー契約をしたのですよ。あの事件のお陰で色々と人脈が増えましてね。」

タダカツ「抜け目が無いですね…。」

メルコム「ええ、で、そのホークがシャチホコエビフリャーズのライブチケットをただで渡せと言ってきてお断りした所、斬りつけられたのです。」

ジャック「そのホークって奴もアイドルって奴が好きなのか?」

弓子「んな訳がねえだろうがクソダルマ!」

メルコム「おそらく、魔人アリスの討伐が目的でしょう。」

中島「そんな…。彼女達は今は悪い事はしていないのに…。どうして…。」

メルコム「それはまだ私にも分かりません。そこで、デビルサマナーに白鷲 弓子、私から1つ依頼を受けて頂けないでしょうか?」

弓子「ああ、いいぜ。」

中島「分かったんだな。」

ユキムラ「ちょっと、良いのかい?何も聞かないのに依頼を受けても…。」

タダカツ「そうです、依頼内容を聞いてからでないと。」

弓子「構わねえ。メルコム、依頼内容はメシア教団のホーク一味をぶっ飛ばす、で良いんだな?」

メルコム「いえ、そうではありません。私からの依頼は魔人アリス達をメシア教団ホーク一味から守り抜く事です。」

弓子「はぁ?そのメシア教団のホークをぶっ飛ばしたらいいだけだろうが。」

メルコム「いえ、大事なのはアリス達の方です。彼女達は近い将来ビックになりますので倒される訳にはいかないのです。それにメシア教団のホークですが取るに足らない男です。油断してやられた私が言うのもなんですが。」

弓子「そうか、まあいい。その依頼受けてやる、ありがたく思え。」

メルコム「ホホホ、代金は直ぐに先払いして置きます。」

弓子「ああ、分かった。ババア、メシア教団の連中は悪魔を見たら町中で暴れるキチガイだ。しばらく出歩かない様にしとけよ。」

「白鷲 弓子、まさかあんた、そのためだけにわざわざ来たのかい?ご苦労な事だね。」

弓子「ああ、ババアには愚図の中島とクソダルマが世話になってるからな。あのデカブツにも言っておけよ。中島、帰るぞ!」

中島「えっ?あ、あの…。」

弓子「早くしろ!」

 

中島達は病院を出た。

 

中島「あの…。弓子さん、ぼ、僕、お兄さんに謝らないと…。」

弓子「謝る必要なんてねえ、テメエは正しいと思った事を言っただけだろうが。気にするな。所で中島、少しは気が晴れたか?」

中島「う、うん…。でも…やっぱりお兄さんに謝らないといけないんだな。僕の事を気にかけて言ってくれたのに…。」

弓子「なーかーじーまー!良いか、テメエは間違った事を言ったのか!?」

中島「いや…でも…。」

弓子「謝るってのはな、テメエが間違った事をしたからする行為だ。中島お前、言ったよなあ?悪魔が全て悪い奴では無いってよ!」

中島「うん…。」

弓子「だったら謝らなくていい。分かったか!」

 

pipipipipi弓子の携帯が鳴り響く。

 

弓子「もしもし?兄貴か?」

大輔『弓子、今何処にいるんだ?』

弓子「今から戻るところだ。」

大輔『中島君は何処に居るか分かるかい?』

弓子「一緒に戻る所だよ。」

大輔『そうか、良かった。では、直ぐに戻って来てくれ。メシア教団から依頼が来たんだ。』

弓子「…。分かった、直ぐに戻る。」

 

弓子は携帯を切った。

 

ユキムラ「弓子、誰からだい?」

弓子「兄貴だよ。中島、直ぐに戻るぞ!」

タダカツ「何かあったのですか?」

弓子「それは戻ってから話す。急いで戻るぞ!」

中島「あっ!弓子さん、待って欲しいんだな!」

 

中島達は直ぐに事務所に戻って行った。メシア教団、彼等の目的とは…。メシア教団の依頼とは…。中島の運命はいかに…。

 



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メシア教団からの依頼

中島達は事務所に戻って来た。

 

大輔「中島君、何事も無かったかい?」

中島「うん…。」

弓子「兄貴、何があったんだ?」

大輔「みんな、聞いて欲しい。メシア教団の幹部の女から僕達に依頼が来た。依頼内容は魔人アリスの討伐補助だ。」

タダカツ「討伐補助?ですか?」

大輔「そのアリスと言う悪魔は10年ほど昔にホークが六本木で取り逃がしたらしくてね。」

弓子「取り逃がした?それでなんで今更になって討伐するんだ?害が無ければ放って置いたら良いのによ。」

大輔「メシア候補の人間が悪魔を取り逃がしたって話になったら具合が悪いからじゃないかな?まあ、向かうの都合なんてどうでも良いよ。僕には関係無いからね。」

弓子「で?兄貴はその依頼を引き受けたのか?」

大輔「契約書にサインはさせたよ。」

弓子「契約書だぁ?」

中島「そんな…。僕達はさっきメルコムから彼女達をメシア教団から守る依頼を受けたのに…。」

大輔「ん?中島君?どう言うことだい?」

弓子「ああ、あたしから説明するよ。」

 

弓子は病院での経緯を大輔に説明した。

 

大輔「そうか。じゃあ、メシア教団からの依頼を細かく説明するよ。」

中島「えっ?僕達は…。」

弓子「中島、ちょっと黙って聞いていろ。」

 

弓子は大輔に意見を言おうとした中島を止める。

 

弓子「兄貴、話を続けてくれ。」

ユキムラ「ちょっと弓子、君は女の子達を倒すのかい?」

弓子「ユキムラ!黙って最後まで聞いてろ!」

大輔「弓子、ありがとう。君達の意見はちゃんと最後に聞くから話を続けさせてもらうよ。魔人アリスが現れるのは5日後、彼女達はテレビ塔で野外ライブをするらしい。そのライブにホークと共に進入する。これがそのチケット、ホークの分も合わせて5枚預かっている。」

弓子「ライブ会場で一般客も巻き込み殺るつもりか。」

大輔「アリスはホークに止めを刺すから他のメンバーを倒すのが主に僕達の仕事だ。」

中島「そんな事…。絶対に駄目なんだな。僕は…メルコムと約束したんだな。彼女達をメシア教団から守るって、約束したんだな。」

大輔「中島君、君はどうやってそのアリス達を守るつもりだい?」

中島「そ、それは…。」

弓子「ホークの野郎をぶっ飛ばす、そういう事だよな?中島。」

大輔「ふーん?所で中島君、ホークの顔や姿、格好は知っているのかい?」

中島「いや…。それは…。」

大輔「中島君、綺麗事だけなら誰にでも言える。何も出来もしないのなら最初から依頼は受けてはいけない。」

ティンク「ちょっと!そんな言い方…。」

弓子「チビ、兄貴の話はまだ終わっていない。最後まで聞いてろ。」

大輔「中島君、彼女達を守る策はあるのかい?敵はメシア教団、ホークだけじゃないんだよ?ホークが契約している悪魔達、ホークのパートナーの女幹部、それにそれに従う末端の信者もいる。それだけを全て1度に相手は出来ないだろ?」

ユキムラ「ハハハ!お兄さん、そんなのこのイケメンである僕がついているから大丈夫さ。」

中島「でも…。僕は…約束をしたんだな。」

大輔「これ以上は話をしても無駄みたいだね。アリス達は討伐する。」

中島「そんなの!絶対に駄目なんだな!僕は、彼女達を助けるんだな!」

大輔は何も言わずに紙を取り出して何かを書き始める。

 

 

その頃、栄のとあるビルでは…

 

???「べス、楽しそうだな。何を聴いているんだ?」

べス「フフ、名古屋のデビルサマナーの一味、仲間割れしているわ。ホークにも聴かせてあげる。」

ホーク「は?名古屋のデビルサマナー一味だぁ?」

べス「ええ、アレフが返り討ちに合った白鷲 大輔の小飼の男よ。」

ホーク「なんだ?アレフの奴、しくじったのか?悪魔召喚プログラムの回収。」

べス「そうみたいね。」

ホーク「ハハハ!アレフの奴、今ごろは大泣きしているな!じゃあ、俺がその悪魔召喚プログラムも回収してやるか。」

べス「そうね。白鷲 大輔の小飼のデビルサマナー、ちょうど追い出される所よ。聞く?」

 

べスは仕掛けた盗聴機の音声を上げてホークにも聴かせる。

 

弓子『中島!テメエ!兄貴の言うことが聞けねえのか!』

中島『ぼ、僕は間違った事には従えないんだな!』

弓子『中島!痛い目に遭いたいようだな!』

大輔『弓子!』

弓子『兄貴!止めるな!』

大輔『やるなら顔以外をやるんだ。』

ティンク『殺られるのはあんた達人間の方だよ!『マハジオ!』』

弓子『テメエ…大人しくしていたら許してやろうと思っていたけど舐めた真似しやがって!』

中島『僕はあなた達とはもうやってはいけないんだな!』

タダカツ『このような連中と関わってしまってとんだ時間を無駄に過ごしたみたいですね。失礼します。今後貴方達とはお会いする事は無いでしょう。』バタン

大輔『他にいる悪魔連中も嫌なら出ていって構わないんだぞ?』

ジャック「オイラもイングランドに帰るぞ、腰抜けの中島の仲魔になったのが間違いだったぞ。」バタン

 

べスとホークは中島達が揉め合いになっている様子を楽しく聴いている。

 

べス「フフフ、厄介であろうスサノオが仲魔から抜けたのはラッキーね。」

ホーク「じゃあ、デビルサマナーを先に殺るか?」

べス「順序が違うわ。貴方は取り逃がした魔人アリスを先に殺らないと駄目でしょ?人々を惑わす悪魔を退治するのがメシア様でしょ?」

ホーク「分かってるよ!昔、六本木でメビロスとべリアルを倒す時にあのガキが逃げやがったからこんな地方まで来ているんだからよ!」

べス「分かっていたら良いのよ。アリスの次は白鷲 大輔、最後に悪魔召喚プログラムを返して貰うのよ。」

ホーク「返して貰うだぁ?旧式とはいえ元々は俺達メシア教団から盗まれた物だろうが。そんな穏便に済ます訳無いだろうが!」

べス「ええ、手段は問わないわ。メシア教団に従わない異教徒はこの世界に必要なんて無いのですから。そのデビルサマナー、中島 朱実も追い出されたみたいね。」

ホーク「おい、居場所が分からなくなったらどうするつもりだ?」

べス「国外に出なければ問題ないわ。人探しのプロを使うだけよ。ありもしない逮捕状を作らせたらいいだけですから。」

ホーク「相変わらず抜け目がねえな…。お前がパートナーで本当に良かったぜ。」

べス「フフ、メシア様のお役に立てて光栄だわ。」

ホーク「フフフ、この仕事が終われば俺は教団のナンバー1メシア様になるわけだ。ハハハハハハ!」

べス「フフフ。(頭の悪いこいつをメシアにしたら私の地位も…。こいつを利用して今まで以上の権力が手に入る。やがて世界は私の物…。)フフフ。期待しているわよホーク。」

ホーク「べス、少し早いが今から身も心も俺のパートナーにしてやるよ。」

 

ホークはべスの隣に座り肩に手を回そうとするが軽くあしらわれる。

 

べス「あらホーク、それは名実共にメシア様になってからでしょ?」

ホーク「ちっ。分かったよ。」

 

ホークは残念そうに階段を降りていく。

 

べス「ホーク、何処に行くの?」

ホーク「ちょっと気晴らしに下に行くだけだよ。」

べス「下に?」

ホーク「外に出ないから別に良いだろ?」

べス「…。(末端の信者を犯すのね…。本当に分かりやすい屑ね…。まぁ、あえて利用しやすい屑をパートナーに選んだのだけど。)」

 

 

べス「さて、白鷲 大輔の方はどうなったかしら?」

 

べスは再び仕掛けた盗聴機で白鷲探偵事務所の様子を盗み聴きする。

 

大輔『みんな居なくなったね。』

弓子『ああ、この事務所で兄貴と二人っきりになるの久し振りだな。こんなに広かったんだな。』

大輔『久し振りに外食でも行かないかい?』

弓子『ああ…。』

 

べスは扉が閉まる音を聴き盗聴を終えた。

 

べス「さて、もう何も有力な情報は無いわね。白鷲 大輔、簡単な色仕掛けでこちらに協力するなんて、男は単純で扱いやすいわ。さてと、私も愛知県警の参事官に連絡をしないと。まあ、一週間で片付くわね。フフフ、それが終われば最高幹部、その次は世界を支配、忙しくなるわ。フフフフフ。」



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メシア ホーク

あれから5日後…。

 

ホーク「べス!あの男、現れないぞ!どうなっている!」

 

メシア教団幹部の男、ホークが名古屋テレビ塔の近くで携帯片手にわめき散らしている。

 

べス『ホーク、落ち着いて。まだ約束の5分前よ。』

ホーク「5分前行動が原則だろうが!あの白鷲 大輔とか言う男!メシア様を舐めるんじゃねえぞ!」

べス『私に八つ当たりしないで。』

ホーク「だったらテメエも5分前にここに来とけ!俺はメシア様だぞ!」

べス『私も直ぐにそっちに行くから大人しくしてて。』

ホーク「だったら直ぐに来いよ!」ピッ

 

ホークは時間通りに来ない大輔にイライラしている。

 

ホーク「くそが!どいつもこいつも舐めやがって!」

 

3分後、べスがホークの元にたどり着いた。

 

べス「ホーク、お待たせ。」

ホーク「お待たせじゃねえんだよ!まだ来ねえぞあの男!」

べス「携帯の番号は聞いているからかけてみるわ。」

ホーク「だったらさっさとしろよ!」

べス「ホーク、目立つから喚かないで。私達のこれからする事は暗殺なのだから大人しくして。」

 

べスは大輔に電話をかけるが出ない…。

再度かけてみるが今度は全くつながらない。

 

べス「着信拒否されたわ…。」

ホーク「どういう事だ。」

べス「ライブチケットも全部あの男に渡したのに…。このままじゃ中には入れないわ…。」

ホーク「奴等を探すぞ。」

べス「中に入れないのにどうやって…。」

ホーク「野外ライブだから上から探すだけだ。召喚!出てこい!モー・ジョホー!」

べス「ちょっとホーク、こんなところで召喚するなんて…。」

ホーク「うるせえ!テメエがあの男に出し抜かれたからだろうが!」

 

ホークは左手に付けているガントレット式の悪魔召喚プログラムを起動させる。鳥の羽が生えた少女の姿をした悪魔が出てきた。

 

「わー、お外だー!」

ホーク「おいモー・ジョホー!」

「ヒィ!」

べス「モー・ジョホー、この写真の人達を空から探してほしいの。」

「なんで?」

ホーク「すべこべ言わずに探せ!」

 

イラついてるホークはモー・ジョホーの胸ぐらを掴み脅しかける。

 

「ヒィ!い、虐めないで!」

べス「ホーク、駄目よ。モー・ジョホー、時間が無いの。私達はライブ会場の中に入れないから貴女が空から見つからない様に入ってこの人達を探してほしいのよ」

 

べスがホークを止めてモー・ジョホーに説明する。

 

べス「モー・ジョホー、出来ないのなら死んで貰うか悪魔合体の材料になるかのどちらかになるけど、良いのかな?」

「や、やるから殺さないで…。」

べス「分かれば良いのよ。お願いね?」

 

脅されたモー・ジョホーは渋々大輔達を探しにいった。

 

べス「ホーク、恫喝だけが悪魔の言うことを利かす手段じゃないの。目立つ行動は控えてちょうだい。」

ホーク「お前の方がよっぽど恐ろしいじゃねえか。他の空を飛べる奴等にも探させるか。召喚!ジャックランタン!グリフォン!」

「ヒーホー!ホーク、オイラの力が必要なのかホー。」

ホーク「何メシア様の俺に対して呼び捨てにしてんだテメエ!」

 

ホークはジャックランタンの顔にアイアンクローを仕掛ける。

 

「痛い!痛い!痛い!痛い!」

べス「ホーク、止めなさい。ジャックランタン、貴方にもこの人達を探してほしいの。」

 

ジャックランタンはべスから受け取った写真を見て驚愕する。

 

「こ、こいつは…。オイラの兄弟の友達だホ!」

ホーク「ガタガタ言わずに探せばいいんだよ!」

「さ、探してどうするんだホ?」

ホーク「コイツ等はこのメシア様に舐めた真似したから全員ぶっ殺すに決まっているだろうが。」

「そ、そんなの駄目だホ!そいつ、いい奴なんだホ!」

ホーク「俺の言うことが聞けねえのか!悪魔合体の材料にしてやろうか!ええ!雑魚悪魔が!」

「それは嫌だホ…。でも…。」

べス「この男、中島 朱実はね、私達メシア教団の悪魔召喚プログラムを盗み出して契約した悪魔を奴隷の様に扱う悪党なのよ。」

「でも…。兄弟はその中島と友達だって言っていたんだホ、兄弟、中島って男と楽しそうにしていたホ。」

べス「ジャックランタン、貴方は騙されているの。いい?デビルサマナーと契約した悪魔はみんな契約したサマナーの言うこと聞く事になるの。その兄弟って悪魔も中島 朱実の悪魔召喚プログラムで無理矢理言うことを聞かされているの。無理矢理友達だって嘘を言わされたのよ。その兄弟って悪魔を助ける為にも協力してくれる?」

「本当なのかホ?兄弟は無理矢理言うこと聞かされているのかホ?」

べス「そうよ、メシア教団の確かな情報よ。」

ホーク「グダグダ言ってるとその兄弟って奴もぶっ殺すぞ!」

「わ、分かったホ!探すから兄弟の事を助けて欲しいだホ!」

べス「ええ、だから早く探してちょうだい、お願いよ。」

「わ、分かったホ!行ってくるホ!」

 

ジャックランタンは空を浮遊しながらライブ会場の観客席に向かった。

 

ホーク「ちっ、雑魚悪魔がガタガタ抜かしやがって、グリフォン!テメエは頃合いを見て会場の観客を何人か襲え!食い殺してもかわまねえ。」

「ギャアオオォー!」

 

グリフォンは雄叫びを上げて空高く舞い上がった。

 

べス「ホーク、グリフォンを会場にけしかけるなんてどういうつもりかしら?アリスに逃げられるわよ?」

ホーク「アイツを殺す切り札の悪魔が居るんだ、召喚したらあのアリスはこっちに向かって来る。それよりあの白鷲 大輔とか抜かす舐めた野郎を先に殺さないと気がすまねえ。」

???「それは残念だったなぁ。うちの糞兄貴はしばらく来ねえぞ。」

べス「!!」

 

ホークとべスは背後からの声の方に振り向く。

 

弓子「デスメルからメールを貰った写真通りだな。よう!テメエ等がメシア教団のホークとべスだな?」

べス「お前は!白鷲 弓子!」

弓子「糞女、さっきから黙って聞いていたけど随分と嘘っぱちが得意みたいだな?」

ホーク「テメエ、一人でノコノコ現れるとはいい度胸だな?ええ!」

弓子「おいおいおいおい、テメエ等が来いって言うから来てやったのに舐めた口聞いてるんじゃねえぞ、メシア教団ってのはいったいどういう教育を受けているんだ?」

ホーク「テメエ、メシア様に舐めた態度をとった事を後悔させてやる!グリフォン!会場はいい!この女を食い殺せ!」

弓子「文句があるならテメエがかかってこいよ。」

 

グリフォンが翼を羽ばたき弓子に狙いを定めて襲いかかろうとしている。

が、暗黒の波動がグリフォンを貫きグリフォンは力尽き消滅した。

そして、何者かが弓子の背後に近づく。

 

???「弓子、無事ですか?」

弓子「タダカツ、あたしの獲物を横取りしているじゃねえぞ。」

タダカツ「あんなのに会場を襲われたらライブが中止になってしまいますからね。それは絶対に避けねばなりませんから。」

ホーク「テメエ、俺のグリフォンを!」

べス「スサノオ、何故貴方がここに居るのです!?」

 

モー・ジョホーがホーク達の元に戻って来た。

 

???「彼がメシア教団のホークだね?後はこのイケメンである僕に任せてくれたまえ。」

「分かった…。」

弓子「ユキムラ!テメエ、女相手だったらガキでも良いのかよ?依頼の途中でナンパしてるんじゃねえよ!」

ユキムラ「ハハハ!さては弓子、このイケメンである僕が女の子を連れてきたから嫉妬しているのかい?」

弓子「んな訳ねえだろ!」

べス「今度はクーフーリン!何故中島 朱実の仲魔が集まってくるのです!?」

弓子「そりゃそうだろ?中島も来ているからなぁ。」

 

ジャックランタンの案内で中島達も合流してきた。

 

中島「君達がメシア教団…。」

ホーク「ああ!?どういう事だ!テメエ等は仲間割れしたはずだろうが!?べス!どうなってやがるんだ!」

べス「確かに中島 朱実と白鷲 弓子は仲間割れしたはず…。」

 

弓子がべスに何かを投げつける。

 

べス「こ、これは!」

弓子「探偵相手にこんな簡単な盗聴機を仕掛けるとはな。やることがお粗末なんだよ。」

中島「君達はお兄さんの作戦に引っ掛かったんだな。」

べス「しかし、契約書は交わしました!貴方達は私達に協力すると!」

中島「それは僕には関係無い事なんだな。」

弓子「あたしと中島は先にアリス達をテメエ等メシア教団の糞共から守るって依頼を受けているからなあ。文句があるなら兄貴を探して直接言えよ。」

べス「なっ!そんな事が!貴方達は悪魔に味方すると言うことですか!」

ホーク「べス、もういい!テメエ等、全員ぶっ殺してやる!召喚!出てこい!べリアル!」

べリアル「グアアアア!」

ホーク「悪魔合体で作ったから自我が保たれて無いようだがまあいい。言うことを聞かせやすくて好都合だ。べリアル!ここに居る奴等を全員殺せ!」

「ホーク!約束が違うホ!オイラの兄弟は助けてくれるって約束だったホ!」

ホーク「テメエ、俺の言うことが聞けねえのか?ならば、無理矢理でも言うことを聞かせてやる!」

 

ホークは左腕の悪魔召喚プログラムを操作する。

 

ホーク「ジャックランタン、その雪ダルマの雑魚悪魔を見せしめに殺せ。」

ジャックランタン「『アギラオ!』」

ジャック「兄弟!どうしてオイラを!」

中島「ジャック!危ない!」

 

ジャックランタンはアギラオを唱えた!

ジャックフロストに火の玉が襲いかかる!中島はジャックフロストを庇い背中に火傷を被った。

 

中島「ううぅ…。」

ジャック「兄弟、どうして…。」

ティンク「中島!しっかり!『ディアラマ!』」

 

ハイピクシーはディアラマを唱えた!

中島の傷が回復した! 

 

ジャックランタン「お前、どうして…。」

ホーク「ハハハ、そんな雑魚悪魔を助けるとはな。」

中島「ジャックは僕の大切な友達なんだな。」

ホーク「友達だぁ?契約した悪魔ってのはなあ!サマナーの道具なんだよ!今からその道具の使い方を教えてやるぜ!悪魔合体だ。」

 

ホークは左腕の悪魔召喚プログラムを操作しだした。

 

ホーク「先ずはさっき殺されたグリフォンと…。」

ジャックランタン「!!や、やめてくれだホ!」

モー・ジョホー「!!やめて!良い子にするから!」

ホーク「安心しろ、お前らはまだ使わねえ。昨日、ウイルスを注入して病気にしたこの信者の男だ。」

べス「ホーク、まさか?合体事故を起こすつもり?」

ホーク「ああ、そのまさかだ。上手くいけばこのメシア様に相応しい英雄が出来上がる!」

 

ホークの悪魔召喚プログラムが大きなブザー音が鳴り響き大きな光が飛び出した。

 

ホーク「ハハハ!成功だ!来るぞ!」

タダカツ「この殺気…。まさか…。」

ホーク「ハハハ!こいつは先週横浜で死にかけていたのを止めを刺してやったカンテイセイクンか!」

カンテイセイクン「我の名はカンテイセイクン。メシア ホーク、貴公に生涯の忠誠を誓おう。」

タダカツ「こんな形で再び合間見えるとは…。」

中島「カンテイセイクン、なんで君がメシア教団に…。」

べス「フフフ、神や英雄をしもべにするのもメシア教団の活動のひとつよ。他の雑魚悪魔は彼等を作る為の材料に過ぎないわ。」

ティンク「ざ、材料に…。あんた達は仲魔をなんだと思っているのよ!」

べス「フフフ、神を作る道具よ。そこのジャックランタンもモー・ジョホーもその内に悪魔合体の材料になるわよ。中島 朱実、貴方もそこのスサノオやクーフーリンを悪魔合体で作ったのでしょ?」

タダカツ「中島殿を貴方達と一緒にしないでいただきたい。我々は自分達の意思で中島殿と共にいる。心卑しき醜い女、貴女の存在そのものが不愉快です。覚悟しなさい。」

 

スサノオは草薙の剣を取り出しべスに襲いかかる!が、カンテイセイクンが手持ちの青龍円月刀で受け止める。

 

カンテイセイクン「我が主達に仇なすもの!覚悟せよ!」

タダカツ「やはり私が貴方の相手をすることになりますか。中島殿、弓子、カンテイセイクンを始末して直ぐに戻ります。」

弓子「じゃあ、あたしはそのべリアルの相手をする。この中で1番強いだろうからな。」

ユキムラ「弓子、タダカツ、ここで殺り合うつもりかい?」

タダカツ「まさか、移動してから殺りますよ。私のトラポートの魔法で。」

ホーク「テメエ等、勝手な事を言ってるんじゃねえぞ!召喚!ヒノカグツチ!」

 

ホークは左腕の悪魔召喚プログラムを起動してヒノカグツチの剣を取り出した。

 

ホーク「テメエ等、俺を無視しやがって!俺が直接殺してやる!」

弓子「ああ、悪いな。あたしは弱い者イジメはしない主義なんだよ。だからお前の相手はしないんだ。残念だったな。」

ホーク「き、貴様ー!」

 

ホークがヒノカグツチの剣で弓子に斬りかかる!しかし、中島が練気の剣を召喚してホークの攻撃を受け止める!

 

中島「ぐっ…。」

ホーク「メシア様に逆らうとはいい度胸だな、この三下がー!」

中島「君と契約してくれた仲魔達に対して無理矢理言うことを聞かせるなんて、酷すぎるんだな!」

ホーク「テメエを殺したら残った使い魔共は俺が悪魔合体の材料に活用してやる。メシア様に逆らった罪をテメエの命で償わせてやる!」

 

ジャックランタン「アイツ、やっぱり兄弟の事を友達だって言ったホ…。」

べス「ジャックランタン、モー・ジョホー、貴方達も戦いなさい。」

ジャックランタン「オイラ、兄弟達とは戦いたくないホ。やっぱりあの中島って奴は良い奴だホ。」

モー・ジョホー「アタチもやだ。戦いたくない。教会に居たときアレフはアタチと遊んでくれたのにホークはアタチをいじめる…。アタチをいじめる人達の言うことなんて聞きたくない。」

ユキムラ「大丈夫さ、君達をいじめるホークはイケメンであるこの僕が華麗に倒して見せるさ。」

べス「ホーク!クーフーリンがそっちを狙っているわ!」

ホーク「うるせえ!モー・ジョホー!クーフーリンを倒せ!」

 

ホークは中島と距離をとり悪魔召喚プログラムを操作する。

 

モー・ジョホー「えっ…。やだ…。体が勝手に…。」

 

モー・ジョホーの攻撃!

モー・ジョホーは空を舞い猛スピードでクーフーリンめがけて鋭い爪で切り裂いていく。

クーフーリンは反撃する事なくモー・ジョホーの攻撃を受け続ける。

 

ジャック「ユキムラ!なんで反撃しないんだ!」

ユキムラ「イケメンは何があっても女の子を絶対に傷つけない!」

 

クーフーリンはそのまま両手を広げて仁王立ちしてモー・ジョホーの攻撃を受け続ける。

 

べス「クーフーリン、バカな男…。ホーク、もう1体女の悪魔を召喚して先にクーフーリンを殺しましょう。」

ジャック「そんな事、オイラがさせないぞ!」

 

ジャックフロストはホークに対して魔法を放つ体勢をとる。

 

ホーク「ジャックランタン、そいつはお前が殺せ。」

ジャックランタン「嫌だホ!兄弟とは戦いたくないホ!お前、兄弟だけは助けてくれるって約束したホ!」

ホーク「テメエ、メシア様に逆らうのか!」

べス「ホーク、いちいち悪魔の言うことを相手にしないの。無視して悪魔召喚プログラムで操作したらいいのよ。」

ジャックランタン「お前達、オイラと約束したホ!オイラが中島達を探すのを手伝ったら兄弟は助けてくれるって!」

べス「あら?私は貴方に彼等を探すお願いはしたけど貴方のお願いを聞くなんて一言も言ってないわ。」

ホーク「確かにそうだな。」

 

ホークは悪魔召喚プログラム操作する。が中島がホークを止める為に練気の剣で斬りかかる。

 

中島「そんな事はさせないんだな!彼はジャックの友達なのに、それを…無理矢理戦わせるなんて…。」

ホーク「メシア様に意見を言うほどテメエは偉いのか!何様のつもりだ!ああ!」

中島「う、うるさい!目の前の彼等を苦しめる君の何がメシア様だ!」

弓子「中島、よく言った!良いか中島!めしやだろうがすき家だろうがガタガタ抜かすカス野郎はぶっ飛ばせ!分かったか!」

 

めしやでは無いメシアである。

 

中島「弓子さん…分かったんだな。僕がホークを倒すんだな。」

弓子「よし、テメエ等!中島が戦えるようにそのカス野郎が操る悪魔共を食い止めろ!」

ユキムラ「弓子、待ってくれたまえ!」

弓子「食い止めろ、中島がホークを倒すまでだ。手段はお前等の好きにしたらいい。」

タダカツ「カンテイセイクン、その様な無法者に操られる事になるとは浮かばれないでしょう。私が武人としての最後をお送りしましょう。」

弓子「タダカツ、あたしとべリアルも連れて行け。」

タダカツ「分かりました。我々は自分達の仕事をします。それでは中島殿、御武運を。『トラポート!』」

 

スサノオと弓子、べリアルとカンテイセイクンはスサノオの魔法で別の場所にワープした。

 

ユキムラ「好きなように…か。OK、そう言うことなら好きにさせてもらうよ。HEY!ホーク!君の悪魔はそれだけなのかい?このイケメンである僕を止めるのに彼女一人じゃ荷が重いと思うよ?さあ!ありったけの悪魔を召喚したまえ!このおもてなしイケメン武将隊、真田 ユキムラが相手をしてあげよう!」

 

クーフーリンはホークを挑発する。

 

ホーク「どいつもこいつも舐めやがって!そんなに死にたいならお望み通り悪魔を出してやる!召喚!ヴィーヴル!ネコマタ!」

 

ホークが悪魔を召喚する!

 

ホーク「よし!お前達!あのクーフーリンを殺れ!絶対に殺せ!」

ジャックランタン「お前達、アイツ等は兄弟の友達なんだホ!」

ネコマタ「退きな!」

 

ネコマタはジャックランタンを突き飛ばしクーフーリンに攻撃を仕掛ける。

 

ホーク「ジャックランタン!テメエはあの雪ダルマを殺れ!殺すまで攻撃だ!」

 

ホークが悪魔召喚プログラムでジャックランタンに命令する!

 

ジャックランタン「嫌だホ…。兄弟と戦いたくないホ…。」

ジャック「雪分身だぞ!兄弟!オイラが兄弟の攻撃を全部受け止めてやるぞ!」

 

ジャックフロストの雪分身!

雪で作った自らの分身でジャックランタンを撹乱する!

 

ジャックランタン「ああああ、オイラ、兄弟に攻撃なんかしたくないのに…。体が勝手に…。『アギラオ!』」

 

ジャックランタンはアギラオを唱えた!

大きな火の玉がジャックフロストの体を溶かしていった!

 

ジャックランタン「ああああ…。兄弟の体が…。」

ジャック「ヒーホー!兄弟!それはオイラが作った幻だぞ!兄弟がオイラに魔法を当てるか先に魔力が尽きるか勝負だぞ!」

ジャックランタン「もし、兄弟に当たったら…。」

ジャック「ヒーホー!オイラは偉大なる悪魔ジャックフロスト様だから絶対に当たらないぞ!兄弟!遠慮しないで撃ってきていいぞ!」

中島「ジャック!そんな…。彼は君の大切な友達なのに!」

ジャック「中島、1番大切な兄弟だからオイラが相手をするんだぞ!だから、ホークを倒して兄弟達を助けて欲しいぞ!」

ユキムラ「ジャック、彼は君に任せるよ!残りは僕が相手をする。HEY!ベイビー達!君達の攻撃は全てこのイケメンである僕が華麗に受け止めてあげるよ!遠慮しないでかかってきたまえ!」

 

クーフーリンの挑発を受けてネコマタが真っ先に攻撃する!

 

ネコマタ「死ねー!」

 

ネコマタの攻撃!

鋭い爪でクーフーリンを切り裂いていく!クーフーリンは避ける事なくまともに攻撃を喰らう!

 

クーフーリン「ぐっ…。それで終わりかい?ベイビー。」

ホーク「何をしている!続けて攻撃しろ!」

モー・ジョホー「…。」

ヴィーヴル「よーし!攻撃だあ!」

モー・ジョホー「だめ、攻撃しちゃ…。」

ヴィーヴル「なんで?命令聞かないと合体の材料にされちゃうよ?」

べス「あら?よく分かっているじゃない?早く殺りなさい。」

ヴィーヴル「イケー!攻撃だあ!」

 

ヴィーヴルの攻撃!

ヴィーヴルは空に舞い上がり急降下してクーフーリンに体当たりをする!

クーフーリンはまた避ける事なく攻撃を喰らう!

 

中島「ユキムラ、なんで…。」

ユキムラ「僕なら平気さ。マスター、彼女達の攻撃は全て受け止める。」

中島「でも…。それじゃあ君が傷ついてしまう…。」

ユキムラ「大丈夫、僕は絶対に倒れないし彼女達も絶対に傷つけない。」

べス「クーフーリン、攻撃もしないでどうやって勝つつもりかしら?」

ユキムラ「分かりきった事を聞くんだね。そんなの答えは簡単さ、モチロンこの僕達がイケメンだからさ。」

べス「意味が分からないわ。バカなのかしら?」

???「それについては僕も同感だね。しかし、上手く敵を分散することができた。」

べス「白鷲 大輔…。貴方、いったいどういうつもり?」

 

大輔が遅れてやって来た。

 

大輔「君の質問は後で答えるよ。それよりユキムラ君、ジャック君、どうして反撃しないんだ。」

ジャック「オイラ、兄弟には攻撃出来ないぞ。」

ユキムラ「彼女達はホークの悪魔召喚プログラムで無理矢理戦わされているんだよ。」

大輔「で?そのホークとは誰が戦うんだい?」

中島「それは…。」

大輔「中島君、そこでどもらないではっきり言って欲しかったな。」

ティンク「ちょっと、中島だって…。」

大輔「うん、そうだね。それは分かるんだけど…。」

ティンク「うん…。」

中島「なんか、ごめんなんだな…。」

大輔「大体は分かったよ。で?ユキムラ君、ホークを倒した後も彼女達が攻撃を止めなかったらどうするつもりだい?」

ユキムラ「ハハハ!勝利の女神はイケメンである僕達に微笑んでくれるから大丈夫さ!」

 

クーフーリンは悪魔達の攻撃を受けながら答える。

 

大輔「まあいいさ。所で中島君、夕食は久し振りにみんな集まるから外食しようと思うけど、リクエストはあるかい?」

ティンク「えっ?まさか、この人メシア教団から送られた偽者かも…。」

大輔「ティンクちゃん、ちょいちょい失礼な事を言うよね…。」

 

ケチな癖に似合わない事を言うからである。

 

中島「僕は…。みんなと一緒なら…何処でも良いんだな。」

大輔「何処でもが1番困るんだけど、まあそうだね。考えておくよ。」

ホーク「テメエ等、俺に殺される事が分かっていないようだな!」

大輔「悪魔召喚プログラムとそのヒノカグツチの剣の力が凄いだけで君はただのチンピラ以下の存在だよ。彼女に担がれただけのね。」

ホーク「なんだとテメエ!?」

大輔「君の相手は中島君だ。中島君、ホークは任せるよ。必ず勝つんだ、君を信じて戦っている弓子と仲魔達の為に。僕は彼女に用がある。待たせたね、それでは場所を変えさせてもらうよ。」

 

大輔はべスの肩を掴む。

 

べス「な、何を!?」

大輔「聞こえていなかったのかい?場所を変えるんだよ。『トラポート!』」

 

大輔はトラポートを唱えた!

大輔とべスは魔法で別の場所にワープした。

 

中島「ホーク、君を倒してみんなを助けるんだな!」

ホーク「三下のデブ野郎が!殺れるもんなら殺ってみろ!」

 

中島とホークは再び剣を構えて戦いを再開する!

中島は戦う、弓子や仲魔達の期待に答える為に。

 



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決戦前の出来事 前編

大輔とべスはトラポートの魔法で事務所の屋上に出てきた。

 

べス「こ、ここは…。」

大輔「僕の事務所の屋上だよ。」

べス「だから、どうしてこんな所に…。それに、何故中島 朱美とその仲魔達が現れるのですか!?」

大輔「やれやれ、質問は1つずつにしてほしいな。」

べス「それに貴方は私と契約書をかわしたはずです!それを!」

大輔「僕の言っている事が分かっていないのかい?質問は1つずつにしてくれと言っているじゃないか。」

べス「貴方は私達メシア教団と対立するつもりですか!?」

大輔「君には日本語が通用しないのかい?また違う質問を出してくる。人とのコミュニケーションの取り方が全くなっていないね。」

 

どんな人間でもケチでサイコパスのお前にだけは言われたくないセリフである。

 

大輔「まあいいさ、時間はいくらでもあるんだ。君が事務所を訪れた後の話からしていこうか。」

べス「何を悠長な事を…。」

大輔「別に良いじゃないか。仮にホークが中島君に倒されたとしてもだ。どうせ君は他の人間をメシアに仕立て上げるつもりだろ?」

べス「な、何を言って…。」

大輔「君がどんな手を使っていたのかは知らないけどあんなチンピラ風情がメシア候補に選ばれる事がそもそもあり得ないんだよ。」

べス「私が何をしたと、何か根拠があって言っているのですか!?」

大輔「別にそこはどうでもいいよ。で、次のメシア候補は中島君かい?」

べス「ど、どうして…。」

大輔「残念だけど中島君はメシア教団には入らないよ。昨日の連中が先に中島君に接触されたら不味かったけどね。」

べス「アレフとヒロコ…。」

大輔「そう言えばあのアレフって男、メシア教団に何かされているね。脳をいじくられた感じだったかな?」

べス「な、何故それを!?」

大輔「あんなのに接触されたら中島君は彼等に同情してメシア教団に協力するとか言いかねないから魔法で不意打ちしてしばらくリタイヤしてもらったんだ。」

べス「貴方は始めから私達と敵対するつもりで!?」

大輔「そもそも先に仕掛けて来たのは君達メシア教団だろ?僕達の両親を見殺しにして更には僕達の仕事が起動に乗りだしたらメシア教団に寄付をしろとか言ってきて。」

べス「世界の為です!メシア教団に従えば世界は全て平和の楽園になります!今からでも遅くはありません!貴方もメシア教団の素晴らしい教えに従うのです!」

大輔「そうやって僕達の両親もメシア教団に洗脳されたんだね。でも、生憎僕は平和なんてお金にならない事には興味ないんでね。争いの方がお金になる。」

べス「なんて男…。お金の事しか頭に無いなんて…。」

大輔「何を言っているんだい。君達メシア教団が僕達の両親を洗脳したお陰で僕達はひもじい思いをしてきたんだよ。良かった事は魔法を使えるようになった事ぐらいだな。この力のお陰で気に入らない人間を証拠を残さず消すことができるんだ。」

べス「こんな自分の事しか考えられない人間がこの世に居るなんて…。」

大輔「他人を自分の駒ぐらいにしか思っていない君に言われたくないけどね。盗聴器を仕掛けてちゃんと自分達に従うか伺っていた癖に。」

べス「くっ…。」

大輔「何で中島君達と仲間割れしていたのに…。って所だったよね。まず君が聞きたいのは。そこから今に至るまで話をしていくよ。」

 

話は5日前に遡る。

 

弓子「兄貴、何があったんだ?」

大輔「みんな、聞いて欲しい。メシア教団の幹部の女から僕達に依頼が来た。依頼内容は魔人アリスの討伐補助だ。」

タダカツ「討伐補助?ですか?」

大輔「そのアリスと言う悪魔は10年ほど昔にホークが六本木で取り逃がしたらしくてね。」

弓子「取り逃がした?それでなんで今更になって討伐するんだ?害が無ければ放って置いたら良いのによ。」

大輔「メシア候補の人間が悪魔を取り逃がしたって話になったら具合が悪いからじゃないかな?まあ、向かうの都合なんてどうでも良いよ。僕には関係無いからね。」

弓子「で?兄貴はその依頼を引き受けたのか?」

大輔「契約書にサインはさせたよ。」

弓子「契約書だぁ?」

中島「そんな…。僕達はさっきメルコムから彼女達をメシア教団から守る依頼を受けたのに…。」

大輔「ん?中島君?どう言うことだい?」

弓子「ああ、あたしから説明するよ。」

 

弓子は病院での経緯を大輔に説明した。

 

大輔「そうか。じゃあ、メシア教団からの依頼を細かく説明するよ。」

中島「えっ?僕達は…。」

弓子「中島、ちょっと黙って聞いていろ。」

 

弓子は大輔に意見を言おうとした中島を止める。

 

弓子「兄貴、話を続けてくれ。」

ユキムラ「ちょっと弓子、君は女の子達を倒すのかい?」

弓子「ユキムラ!黙って最後まで聞いてろ!」

大輔「弓子、ありがとう。君達の意見はちゃんと最後に聞くから話を続けさせてもらうよ。魔人アリスが現れるのは5日後、彼女達はテレビ塔で野外ライブをするらしい。そのライブにホークと共に進入する。これがそのチケット、ホークの分も合わせて5枚預かっている。」

弓子「ライブ会場で一般客も巻き込み殺るつもりか。」

大輔「アリスはホークが止めを刺すから他のメンバーを倒すのが主に僕達の仕事だ。」

中島「そんな事…。絶対に駄目なんだな。僕は…メルコムと約束したんだな。彼女達をメシア教団から守るって、約束したんだな。」

大輔「中島君、君はどうやってそのアリス達を守るつもりだい?」

中島「そ、それは…。」

弓子「ホークの野郎をぶっ飛ばす、そういう事だよな?中島。」

大輔「ふーん?所で中島君、ホークの顔や姿、格好は知っているのかい?」

中島「いや…。それは…。」

大輔「中島君、綺麗事だけなら誰にでも言える。何も出来もしないのなら最初から依頼は受けてはいけない。」

ティンク「ちょっと!そんな言い方…。」

弓子「チビ、兄貴の話はまだ終わっていない。最後まで聞いてろ。」

大輔「中島君、彼女達を守る策はあるのかい?敵はメシア教団、ホークだけじゃないんだよ?ホークが契約している悪魔達、ホークのパートナーの女幹部、それにそれに従う末端の信者もいる。それだけを全て1度に相手は出来ないだろ?」

ユキムラ「ハハハ!お兄さん、そんなのこのイケメンである僕がついているから大丈夫さ。」

中島「でも…。僕は…約束をしたんだな。」

大輔「これ以上は話をしても無駄みたいだね。アリス達は討伐する。」

中島「そんなの!絶対に駄目なんだな!僕は、彼女達を助けるんだな!」

 

大輔は何も言わずに紙を取り出して何かを書き始める。

 

『今日来たメシア教団の女がこの部屋に盗聴器を仕掛けている。そのまま、言い争ってくれ。』

 

皆が一斉に頷く。

 

弓子「中島!テメエ!兄貴の言うことが聞けねえのか!」

中島「ぼ、僕は間違った事には従えないんだな!」

弓子「中島!痛い目に遭いたいようだな!」

大輔「弓子!」

弓子「兄貴!止めるな!」

大輔「やるなら顔以外をやるんだ。」

ティンク「殺られるのはあんた達人間の方だよ!『マハジオ!』」

 

ティンクは外に向けてマハジオを唱えた!

 

弓子「テメエ…大人しくしていたら許してやろうと思っていたけど舐めた真似しやがって!」

中島「僕はあなた達とはもうやってはいけないんだな!」

タダカツ「このような連中と関わってしまってとんだ時間を無駄に過ごしたみたいですね。失礼します。今後貴方達とはお会いする事は無いでしょう。」

 

タダカツは紙に何か書き出す。

 

『話の続きは事務所の地下室でしましょう』

 

大輔「は?」

 

弓子が直ぐに大輔の口を塞ぐ。

 

大輔「他にいる悪魔連中も嫌なら出ていって構わないんだぞ?」

ジャック「オイラもイングランドに帰るぞ、腰抜けの中島の仲魔になったのが間違いだったぞ。(地下室なんてオイラ知らないぞ?)」

 

タダカツとジャックは事務所を出た。

 

大輔「中島君、事務所の移行に従えないなら出ていってくれ。(地下室ってなんだよ!)」

中島「…。(地下室?)」

 

大輔はまた紙に何か書き出す。

 

『中島君、地下室ってどういう事だい?』

 

中島も続けて紙に書き始める。

 

『僕も始めて聞いたんだな。とりあえず事務所を出てみるんだな。』

 

弓子「中島!テメエはクビだ!今すぐに出ていけ!」

大輔「聞こえなかったのかい?従わないなら出ていけって言ったんだ。」

ティンク「中島、もう行こう?こんな人達と無理して居ることないよ。(地下室なんて始めて聞いたよ。そんなの有ったかな?)」

中島「うん、そうさせてもらうんだな。またお仕事を探さないと…。」

ユキムラ「君達、世話になったね。もう会うこともないだろうね。それではアディオス!(地下室か。完成したんだ…。)」

 

中島達は事務所を出ていった。

 

大輔「みんな居なくなったね。」

弓子「ああ、この事務所で兄貴と二人っきりになるの久し振りだな。こんなに広かったんだな。」

大輔「久し振りに外食でも行かないかい?」

弓子「ああ…。」

 

大輔と弓子も事務所を出た。事務所の階段を降りて一階に着くとフロアの真ん中に穴が空いていて地下に降りるハシゴがある。

 

弓子「あれか。」

大輔「何だよあれ!」

弓子「兄貴、静かにしろ。声が盗聴器で聞き取られるぞ。」

大輔「いや弓子、よく冷静でいられるよな。」

弓子「あたしだって驚いてるよ。いつの間にこんなの作ったんだよ。とりあえず降りるぞ。」

 

大輔と弓子は驚きを隠せないままハシゴで下に降りる。

 

弓子「先に進む道があるぞ…。」

大輔「どういう事だよ!」

弓子「大声出すなよ!響くじゃねえか!静かにしろよ!」

 

二人は先に進むと灯りが見えその先に扉がある。

 

弓子「この部屋か。」

大輔「何で電気を通してあるんだよ!」

弓子「ああ、そう言えばタダカツの奴、電気の配線の勉強してたな。」

大輔「はぁ?アイツは何をしてるんだよ!」

弓子「アイツ、何にでも興味を持つからな。だから下らない事は絶対に教えるなよ。開けるぞ。」

 

弓子は喚く大輔を横目に扉を開ける。

 

タダカツ「これでみんな揃いましたね。私は地上に続く入口を閉めますので弓子達も少しくつろいで居てください。」

大輔「ちょっと待てよ!」

タダカツ「なにか?」

大輔「何かじゃないよ!何を勝手にビルの地下に作っているんだよ!」

タダカツ「いや、仮に核戦争が起こった時にシェルターと言うのがあれば助かると言うのをテレビで聞きまして…。」

大輔「勝手に作ったら駄目なんだよ!」

タダカツ「しかしお兄さん、地下室は色々と便利です。私が独自にブレンドした八丁味噌の保存にも最適ですし…。それに仮にお兄さんが誰かを過って殺してしまった場合、死体を隠すのには地下室と相場は決まっています。」

大輔「ああ、そうか。って言うと思っているのか!何僕が人を殺す事を前提で話をしているんだ!」

タダカツ「いえ、山川組の若頭からお兄さんは気に入らない事があれば平気で人を殺すキチガイだって聞きましたので…。」

大輔「本人を目の前にして言うなよ!」

弓子「兄貴、ごちゃごちゃうるせえぞ。話が進まないだろうが。」

大輔「僕が悪いのか!絶対に違うだろ!」

中島「お兄さん、落ち着いて欲しいんだな。」

ティンク「とりあえずお茶でも飲んで落ち着こうよ。ユキムラ、事務所からお茶っ葉とか取りに行くから手伝ってよ。」

ユキムラ「分かったよ。」

弓子「ユキムラ、あたし一人で行くよ。メシア教団にはお前らがもう出ていった事にしているからな。ついでにビルの入口はシャッターを閉めておく。」

 

弓子は一人で地下室を出ていった。

 

中島「それにしても凄いんだな…。」

ジャック「涼しくてちょうどいいぞ。」

ユキムラ「壁もコンクリートでちゃんと作ってあるね。僕が手伝った時は穴を掘っただけだったのに。」

大輔「ユキムラ君、君は知っていたのか?」

ユキムラ「提案したのはこのイケメンである僕だからね。最初僕達は部屋をシェアしていたんだけどタダカツが作る八丁味噌が部屋を埋めつくしそうになってね。」

タダカツ「そうですね、ユキムラが私にクレームをつけてきたのでだったら新たに部屋を作ろうとなったのです。」

大輔「そんな事の為にビルを勝手に改装したのか!ふざけるんじゃないぞ!八丁味噌ぐらい事務所の冷蔵庫に入れとけばいいだろ!」

ティンク「いや、多分無理だよ…。」

大輔「調味料を入れるスペースぐらいはあるよ!それを、こんな大がかりな…。」

中島「うん、所でこの奥にある部屋って…。まさか…。」

タダカツ「ええ、その部屋に八丁味噌を保存しています。」

 

タダカツが奥の扉を開けると中には所狭しと八丁味噌の味噌ダルが並んでいた。

 

大輔「ちょ、この数!」

ティンク「うん…。やっぱり…。」

ユキムラ「味噌ダルの1つや2つで僕もクレームは言わないよ…。」

大輔「いやいやいやいや!こんな量を作ってどうする気だよ!」

タダカツ「この1つ1つにそれぞれの料理に合う八丁味噌なのです。」

大輔「どれも同じじゃないか!絶対に要らないだろこんなに!」

タダカツ「同じではありません。こちらは卵料理に合う八丁味噌、こちらはおでん用、って具合に全てにおいて用途は違うのです。」

ティンク「全部味噌味になるから一緒だよ。」

タダカツ「ああ、嘆かわしい…。この八丁味噌の素晴らしさがまだ貴女は理解できていないのですか。」

大輔「嘆かわしいのはこっちだよ!」

ティンク「そうだよ!毎回、味噌味になったら堪ったもんじゃないよ。」

 

弓子が戻ってきた。

 

弓子「うるせえぞ兄貴、外まで声が漏れてたじゃねえか。」

大輔「僕じゃなくてこいつに言えよ!」

ティンク「そうだよ!」

 

大輔はタダカツを指差して反論する。

 

弓子「なんだよ、過ぎた事をガタガタ言うなよ。それにこれ、なんか秘密基地見たいでカッコいいじゃねえか。ここなら盗聴もされないだろう。話を再開しようぜ。」

ティンク「とりあえずみんなのお茶を入れるよ。」

中島「僕も手伝うんだな。」

タダカツ「中島殿、コンセントはそこにあります。」

 

中島とティンクはみんなのお茶を用意する。

 

弓子「とりあえず本題に戻すぞ。」

大輔「…。」

弓子「兄貴!」

大輔「あ、ああ。メシア教団だったね。」

 

話は本題に戻る。

 

大輔「中島君、そのアリス達を守り抜く策はあるのかって話からだったね。」

中島「うん…。でも、僕は…。」

大輔「うん、策なんて無いんだよね。」

弓子「兄貴、勿体振らずに早く言えよ。」

大輔「分かったよ。弓子はいつもせっかちでいけない。中島君、これを先に渡しておく。」

 

大輔はライブのチケットを5枚全て渡す。

 

中島「このライブチケットは…。」

大輔「本来、ホークと一緒に入ってアリス達を倒す手配だったのだけどね。アリスを倒すにもメシア教団から守るにも中に入れないといけないだろ?どっちにするかその判断は中島君に任せる。」

中島「えっ、お兄さんは、アリスちゃん達と…。」

弓子「中島、兄貴はどっちにするかお前が決めろって言ってるんだよ。」

中島「ぼ、僕は…。メルコムをあんな目に合わせたメシア教団の人達に協力なんて出来ないんだな…。」

大輔「分かった。じゃあ、メシア教団と戦う作戦を言うよ。先ず、絶対に倒さないといけない相手、それはメシア教団の幹部の女のベスの方だ。」

弓子「はぁ?ホークの方だろ?」

大輔「それが違うんだよ、確かにホークはデビルサマナーだ。悪魔を召喚できるが彼の代わりはいくらでもいる。ホークという男も調べたけど、中身は大したことないチンピラだ。利用しやすい屑をベスがデビルサマナーまで仕立てあげたのだろう。」

弓子「確かメルコムの野郎もホークは大したことない奴って言ってたな。しかし、街中で戦いを仕掛けてくる奴だ。倒さないといけないだろ。」

大輔「ベスを倒さないとまた同じ様なデビルサマナーを仕立てあげてくる。今度は自分は表には出ずにね。そうなると僕達は永遠にメシア教団の相手をすることになる。警察にも手を回してある連中だ。それこそお手上げ状態になる。」

弓子「失敗は絶対に出来ない訳だな。」

大輔「ああ、そうだ。少し話が脱線してしまったけど作戦の続きを言うよ。」

中島「うん…。」

大輔「中島君、ホーク達とはお昼前の11時半にテレビ塔近くに待ち合わせしている。だから君は10時半までにそのチケットの人数だけ人を集めて中に入るんだ。」

中島「5人分の人を…。」

タダカツ「では、先ずは当日私が中島殿と共に行動します。」

ユキムラ「女の子達を守る依頼、このイケメンである僕にぴったりの依頼だね。OK!モチロン僕も同行させてもらうよ。」

ジャック「ヒーホー!オイラも中島と一緒に行くぞ!」

弓子「これで中島を入れて4人、後一人か。そうだな。うってつけの人物に話をしとくか。」

ユキムラ「うってつけ人物?誰だいそれは?」

弓子「まあ、今回お前達の寝床も世話してもらう手配しているからな。そいつだよ。」

ティンク「えっと…。誰だろう?」

弓子「新田だよ。もうじきこっちに着く頃だ。」

中島「えっ?新田君?そんな、彼を危険な目に合わせる訳には…。」

弓子「危険な目に合わせない為にもしっかりメシア教団を倒さないとな。」

大輔「そうだね。先に中島君達が会場に入っていたら時間通りに来たホーク達は中には入れない。野外ライブだから悪魔を召喚して空から襲ってくる。その悪魔達を君達が捕まえ合流してくれ。」

ユキムラ「OK!分かったよ。」

タダカツ「捕まえる?倒してしまえば良いのでは?」

大輔「倒せるなら倒しても構わないよ。あまり目立たない様にしてくれよ。」

タダカツ「分かりました。」

ジャック「まあ、オイラに任せておけば大丈夫だぞ。」

大輔「まあ、よろしく頼むよ。弓子はホークが悪魔を召喚した後、ホークの相手をしてくれ。ベスから引き離して欲しい。」

弓子「あたしにチンピラの相手をさせるのかよ。」

中島「あ、あの…。」

大輔「中島君?どうしたんだい?」

中島「そのホークって人は僕が…。」

大輔「中島君、君に人を倒す事が出きるのかい?」

弓子「いや兄貴、その方が良い。中島、ホークって糞野郎はお前が相手をしろ。あたしはホークが召喚する1番強い悪魔の相手をする。」

大輔「うん、切り札ぐらい持っているだろうからね。それでいこうか。みんな、ベスを一人にさせるために各自敵を分散させてくれ。くれぐれも無茶はしないでくれ。」

 

弓子「おっ?デスメルからメールが来ている、画像つきか。」

 

弓子は携帯を開いてメールをチェックする。

 

弓子「兄貴、デスメルからホークとベスの顔写真が来た。これだ。」

大輔「中島君、みんな、この顔写真を目に焼き付けておくんだ。」

中島「わ、分かったんだな。」

大輔「しかし、デスメル君も無茶をするね。上に知られたらただじゃすまないのに…。」

弓子「ああ、デスメルの上司のえっと、佐野とかいうおっさんが上の警視庁を無視して捜査しているんだよ。奴等の潜伏先も押さえてある。」

タダカツ「あの人、出頭書の漢字が読めないって言って上からの命令を完全に無視していましたしね。」

大輔「とんでもない人が上司になったんだねデスメル君…。」

弓子「ああ、兄貴もあのおっさんにマークされているから下らない事で人を殺したりするなよ。」

大輔「失礼だな。僕が人を殺す前提で話をしないでくれよ。」

弓子「何を言っているんだよ。そのベスも魔法で焼き殺すつもりだろうが。」

大輔「まさか。そうだ中島君、5日後にパスカルを召喚して貸して欲しいんだ。」

中島「えっ?パスカルを?」

 

パスカルは発情期で周りに迷惑がかかるので悪魔召喚プログラムのストックに入れている状態にしている。

 

大輔「ベスを倒す為の切り札になるからね。頼んだよ。」

中島「分かったんだな。」

弓子「中島、5日分の着替えを用意しておけ。新田が迎えに近くまで来ている。お前達は当日まで新田の家に泊めてもらえ。」

中島「えっ?そんな、迷惑じゃ…。」

弓子「話はもうついてるから心配するな。お前達もだ。」

タダカツ「我々もですか?」

弓子「ああ、あたしと兄貴以外は全員だ。」

ユキムラ「それより事務所に仕掛けられた盗聴器を外したら良いのではないのかい?」

大輔「あえて気付かないふりをして盗聴器はそのままにしておくんだよ。メシア教団のベスを欺く為にね。」

ティンク「ねえ、いつから盗聴器が仕掛けられてるって分かったの?」

大輔「強いていったら初めからだね。あの女、他人を信用していない目をしていたからね。」

弓子「まあ、屑同志考え方が手に取るように分かるんだよ。」

ティンク「そうなんだ。」

大輔「失礼だな…。それにしてもあの女、僕に対して色仕掛けで迫ってきてね。笑いを堪えて誘いに引っ掛かる振りをするのが大変だったよ。」

弓子「ハハハ、兄貴に対して色仕掛けとはな。バカな奴だぜ。」

大輔「まあそう言うなよ弓子、彼女もメシア教団でのしあがるために必死だったんじゃないかな。それも5日後には全て無駄になるんだけどね。」

弓子「小細工で兄貴に勝てるわけないのにな。作戦会議は以上だな。中島、着替えを用意しておけ。新田と合流する時間だ。」

中島「分かったんだな。」

大輔「中島君、最後に1つアドバイスさせてもらうよ。メシア教団のデビルサマナーは左腕にガントレット式の悪魔召喚プログラムをつけている。それを狙って破壊するんだ。そうすればホークが操る悪魔との契約は無くなる。」

中島「悪魔召喚プログラムを…。お兄さん、分かったんだな。」

 

中島達は各自の部屋で着替えを用意して事務所を出て行った。弓子は中島達を新田との待ち合わせ場所に案内する。

大輔は中島達の後ろ姿を見送る。

 

大輔「中島君か…。(やはり弓子の言う通り僕は中島君とその仲魔達に嫉妬をしている…。中島君のやり方を認めてしまうと僕の今までの生き方を全て否定する事になる…。僕はこれからどうしたら良い…。)」

 

 

 

 

 

大輔「って感じで君が仕掛けた盗聴器を逆手に取らせてもらった訳さ。」

ベス「…。」

 

大輔は耳に手をあてる。

 

大輔「どうやら中島君とホークが戦い出したみたいだね。」

ベス「私がこんな男に一杯食わされるなんて。」

大輔「まあ、時間はたっぷりあるからさっきの君の質問に答えてあげていくよ。」



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決戦前の出来事 後編

話はホーク達がテレビ塔に着く一時間前に遡る。

 

中島「新田君、何から何まで助けてくれてありがとうなんだな。」

新田「中島氏、何を仰いますやら、我が輩こそこのライブにお誘い頂き感謝の極みですぞ。」

ユキムラ「喜んでくれて光栄さ、実は僕もキュートな女の子達に会えるが楽しみなのさ。」

新田「デュフフ。ユキムラ氏は相変わらずでございますな。今回、我が輩としたことがこのライブチケットを取ること出来ずに途方にくれていたのでありますが中島氏のお陰で参戦することが出来たのでありますぞ。今や我が『シャチホコ エビフリャーズ』の人気は天にも届く勢いでございますからな。」

タダカツ「新田殿、有頂天な所申し訳ありませんが、我々はメシア教団との対決があります。皆さんも気を抜かないようにお願いします。」

ジャック「このオイラに任せておけば大丈夫だぞ。ライブが始まるまでに片付けてやるぞ。」

タダカツ「ジャック、お調子に乗るのは貴方の悪い癖ですよ。ライブは1時からですのでメシア教団と対決するのは12時として1時間で決着をつけないと駄目なのですよ?」

ジャック「お、おう、分かっているぞ。それよりお前こそ大丈夫なのか?」

タダカツ「何がですか?」

ジャック「ライブの合いの手だぞ。お前だけ出来て無かったじゃないか。」

タダカツ「フッ、初めは遅れを取りましたが独自の猛特訓の末、見事ロマンスの舞を修得しました。」

ユキムラ「タダカツ、君、直ぐにムキになる所があるよね。」

ティンク「うん、別にそんなの出来ても自慢にならないよ。それにあの動き、なんか気持ち悪いし…。」

新田「ティンク女氏、気持ち悪いとは心外ですな。やはり女氏には理解できないのでござろうか。」

タダカツ「何事も頭から否定するとは嘆かわしい限りです。」

ティンク「いや、嘆かわしいって…。あんたも初めは中島に同じ事を言ってたじゃない。そんな気持ちの悪い舞いを練習する暇があれば鍛練をするべきだってね。」

新田「確かに言っていましたぞ。」

タダカツ「そうですね、確かに言いましたが試してみたらこれはこれで上半身の鍛練にも繋がる動きです。おっと、話こんでいたらそろそろお昼前ですね。少し腹ごしらえをしましょうか。」

 

タダカツはそう言うと皆にラップに巻いた自作のおにぎりを手渡していく。

 

タダカツ「焼きおにぎりです。皆さんどうぞ。」

中島「ありがとうなんだな。」

新田「我が輩もありがたく頂きますぞ。おっ?これは味噌ベースになっておりますな…。これはたいへん美味ですぞ。タダカツ氏、このアイデアは商品化されるかも知れないですぞ。」

ティンク「新田さん、あんまり褒めたら毎日味噌味の何かにされちゃうから褒めたら駄目だよ。」

ユキムラ「うん…。毎日は勘弁だね…。」

タダカツ「貴女達にはまだ八丁味噌の素晴らしさが理解出来ていないのですね…。嘆かわしい限りです。!!皆さん、悪魔の気配がします。上です!」

 

見ると2匹の悪魔が空からライブ会場に入って来ている。

 

ジャック「あ、あれは…。兄弟…。何で兄弟が…。」

タダカツ「ジャック、メシア教団の使い魔です。戦闘準備をして下さい。」

中島「タダカツ、待ってほしいんだな。彼はジャックの大切な友達なんだな。」

タダカツ「中島殿、貴方はまたそのような八丁味噌かき氷シロップの様な甘い事を…。」

中島「でも…。ジャックの大切な友達を傷つける事なんて僕には出来ないんだな。」

ユキムラ「マスター、ジャック、彼の事は任せるよ。僕はあの子にメシア教団のデビルサマナーの居場所を案内してもらうよ。タダカツ、それでいいかい?」

タダカツ「仕方ありませんね、私は会場の人間を襲うつもりでいるあの獣を退治しますか。」

 

タダカツが指を指した方向に獣の悪魔、グリフォンが雄叫びをあげて会場に狙いを定めている。

 

ティンク「退治するって…。あんた、空も飛べないのにどうやって…。」

タダカツ「かめはめ波を使います。」

ユキムラ「は?」

ティンク「は?」

中島「え?」

新田「はい?」

ジャック「使える訳ないだろ?あれはアニメって奴だから出来る訳ないぞ、そんなのバカでも分かるぞ?」

 

真面目な顔をして言うタダカツに皆が聞き直す。

 

タダカツ「いいですかジャック、このかめはめ波という技は最弱の武道家ヤムチャという者でも使える技です。徳川最強の男の異名を持つ私に出来ない訳がありません。」

ユキムラ「いやいや、流石に君でも無理だよ…。」

中島「うん…。」

タダカツ「確かに、以前に弓子とパスカルと鍛練をした時はまだ使えませんでしたが、あれからの鍛練の末に遂に修得しました。では、見ていて下さい。」

ティンク「弓子が前にタダカツが鍛練の時にふざけたって言ってたのって…。」

ユキムラ「多分、弓子の目の前でやったんだろうね。弓子がキレるのも無理ないよ。」

ジャック「バカだろお前。」

タダカツ「ジャック、バカではありません。では、狙いを定めて…。」

 

タダカツは真面目な顔で例の構えをとる。

 

タダカツ「か~~め~~は~~め~~~…。」

ティンク「本当にするんだ…。」

タダカツ「波ーーーー!!!!」

 

暗黒の波動がグリフォンの体を貫き消滅させた!

 

ジャック「本当に出したぞ…。」

中島「す、凄いんだな…。」

新田「しかし、あのような大きな獣を一撃で倒すとは…。我が輩が喰らってしまうと冥界まで吹き飛ばされそうですな。」

ティンク「冥界までって…。流石にそれは言い過ぎなんじゃ…。」

ユキムラ「冥界…。冥界…。冥界波…。」

新田「おお、ユキムラ氏!ナイスネーミングセンスですぞ!一撃必殺の冥界波!とても良い響きですぞ!」

中島「冥界波、僕も良いと思うんだな。」

タダカツ「冥界波、ですか。」

ティンク「そうだね、版権とか色々あるから技の名前、冥界波にしなよ。」

タダカツ「分かりました。ではそうします。」

 

スサノオは冥界波を覚えた。

 

タダカツ「では、悪魔が出てきたって事はホークが現れたって事ですね。」

ユキムラ「タダカツ、君は先に行きたまえ。あの女の子の悪魔はこのイケメンが受け持つさ。」

中島「ジャック、僕達も行くんだな。」

ジャック「中島はオイラの兄弟と戦うつもりなのか!?」

中島「ジャック、彼は何か理由があるのかも知れないんだな。それを聞くにも君に一緒に来て欲しいんだな。」

ジャック「中島、分かったぞ。」

新田「中島氏、お主達は本当に悪魔と戦うつもりで?」

ユキムラ「戦うかどうかは話をしてからさ。まあ、このイケメンである僕がついているので問題ないさ。必ずライブまでには戻って来るよ。キュートな女の子達を見ないといけないしね。」

タダカツ「新田殿、我々は必ず戻って来ます。貴方のお宅にお邪魔していた時はあの珍妙な舞いを踊れなくて遅れを取りましたが私はロマンスの舞いをマスターしました。それを披露しないといけませんからね。」

中島「うん…。新田君、僕達は必ず戻って来るんだな。」

新田「中島氏…。分かりましたぞ。我が輩はお主達の力になれない事が心残りですがここで待っておりますぞ。」

 

中島達はそれぞれ動き出す。

 

「あの写真の人達は何処かな…。探さないとホークに殺されちゃう…。」

 

モー・ジョホーはホーク達に脅されて渋々中島達を捜している。

 

「教会の地下からお外に出られたと思ったのに…。」

 

浮かない顔のモー・ジョホーにユキムラが透かさず声をかける。

 

ユキムラ「HEYお嬢さん?浮かない顔してどうしたんだい?」

「ひぃ!な、何!?」

ユキムラ「ハハハ!怯えなくて良いよ。僕はおもてなしイケメン武将隊の真田 ユキムラさ。」

「あ、アタチをいじめに来たの…?」

ユキムラ「おや?君は誰かにいじめられているのかい?」

「あ、いや…。」

 

モー・ジョホーはユキムラを警戒して言葉を紡ぐ。

 

ユキムラ「ハハハ、心配はいらないよ。このイケメンである僕に全てを話したまえ、君の力になってあげるよ。」

「アタチの事をいじめない?」

ユキムラ「君の様なキュートな女の子をいじめるなんて、とてもじゃないけど僕には考えられないよ。」

「…。本当に?いじめない?」

ユキムラ「もちろんさ、君をいじめる相手はいったい誰なんだい?」

「…。ホーク…。ベス…。」

ユキムラ「その二人なんだね?」

「うん…。ホークは何もしていないアタチ達を叩いたり蹴ったりする…。ベスは、アタチに言うことを聞かないとホークに悪魔合体の材料にさせるって言って脅してくる…。アタチ、メシア教団に無理矢理連れて来られてデビルサマナーのホークと契約させられた。」

ユキムラ「許せない…。ホーク、彼は仲魔をなんだと思っているんだ…。」

 

ユキムラはモー・ジョホーの話を聞き静かに怒りに身を震わせる。

 

ユキムラ「君、そのホークって男の所に僕を案内してくれたまえ。」

「なんで?アタチ、中島って人と白鷲って人達を探さないとホーク達にまたいじめられる…。」

ユキムラ「もう君は…。そんな命令は聞かなくてもいい…。」

「なんで?」

ユキムラ「僕が…。いや、僕達がホーク達と話をつけるからさ。君を絶対にホーク達から助けてあげるよ。」

「本当に?アタチを助けてくれるの?さっきのグリフォンの様に殺したりしない?」

ユキムラ「もちろんさ、さぁ、ホークの所に案内してくれたまえ。」

「分かった…。こっち…。あの…。」

ユキムラ「なんだい?」

「アタチの友達もホークにいじめられている…。一緒に助けてくれる?」

ユキムラ「そんなの当然さ。そう、それはこの僕がイケメンだからさ。」

 

ユキムラはポーズを決める。

 

「なにそれ?」

 

モー・ジョホーはポーズを決めるユキムラを見て少し笑う。

 

ユキムラ「やっと笑ってくれたね。さあ、ホーク達の所に案内してくれたまえ。君がこれから先、ずっと笑顔でいられるために。」

 

モー・ジョホーの案内でユキムラはホークの元に向かう。

 

 

 

中島達は空からライブ会場に侵入してきたジャックランタンの前に立つ。

 

「ヒーホー!中島 朱美!見つけたホ!よくもオイラの兄弟を騙して使い魔にしたな!覚悟するだホ!」

ジャック「兄弟、お前、何を言っているだ?中島はオイラの友達だぞ。」

「兄弟!騙されたらいけないホ!中島 朱美!オイラは全部知っているんだホ!お前が兄弟や他の悪魔を合体の材料にしようとしている事を!」

中島「ジャックランタン君、君はいったい何を言っているんだな?ジャックは僕の友達なんだな。」

ティンク「合体の材料に?」

「そうだホ!デビルサマナーは強い悪魔を作る為に弱い悪魔を合体の材料にするんだホ!あのクーフーリンだって悪魔を合体させて作ったんだホ!」

ティンク「違うよ!」

中島「ジャックランタン君、君は誰に言われて…。」

「ベスがオイラに教えてくれたんだホ!だから兄弟、今すぐ中島 朱美の仲魔をやめるだホ!そうしたら、兄弟は助けてくれるってホークとベスが約束してくれたホ!」

ティンク「君は騙されているよ!中島はそんな酷い事はしないよ!」

「オイラは兄弟が悪い奴に連れて行かれたって聞いてホークとベスの仲魔になったんだホ!」

ジャック「確かにオイラ、昔に悪魔召喚プログラムの中に閉じ込められたけど、それを中島が出してくれたんだぞ。イングランドとは大部離れていて兄弟に連絡出来なかったけど…。」

「オイラはそんなの信じないホ!中島 朱美が兄弟にそう言わせているに違いないホ!中島 朱美は悪魔召喚プログラムをメシア教団から盗んで兄弟や他の悪魔を操る悪党だホ!」

中島「ジャックランタン君、僕は確かに悪魔召喚プログラムを持っているけど…。」

「やっぱりだホ!」

中島「でも…。何を言われてもジャック達は僕の大切な友達なんだな。」

「そんなの…。オイラは信用しないホ。」

中島「君は、なんでホークの言うことを聞いているんだな?」

「そ、それは…。兄弟を助ける為だホ。」

ティンク「ねえ、もしかして…。メシア教団に脅されているの?」

「そ、そんな事は…。」

ジャック「兄弟、そうなのか?」

中島「ジャックランタン君…。ホークは何処にいるんだな?」

「いや…。あの…。」

 

ジャックランタンは核心を突かれてしどろもどろになっている。

 

中島「ジャックランタン君、ホークは何処なんだな。答えて欲しいんだな。ホークは僕の友達を傷つけた、そしてジャックの友達の君に酷い事をしている。」

「お前、何をするつもりだホ?」

中島「そんなホークを僕は許せないんだな。だから、ホークの所に案内して欲しいんだな。」

「でも…。そんな事をしたら兄弟がホークに殺されてしまうホ…。」

ジャック「兄弟、仮にオイラ一人だけ助かっても嬉しくないぞ。みんなと一緒の方が嬉しいぞ。」

中島「ジャックランタン君、何があっても君は絶対に助けるんだな。だから、ホークの所に案内して欲しいんだな。お願いなんだな。」

「わ、分かったホ…。会場の外にホーク達はいるホ。」

 

ジャックランタンを説得して中島達はホークの所に向かう。

 

 

新田「中島氏…。」

 

中島達がホークの悪魔達の所に向かった後、新田は一人でライブの始まりを待っていた。そして、会場はざわつきだしライブ開始の時間になった。DJの声が会場に響きわたる。

 

「みんな今日は『シャチホコ エビフリャーズ』野外ライブ、名古屋テレビ塔公演に来てくれてサンキュー!」うぉー!

 

DJのトークが始まり会場は熱気に包まれる!

 

「今日もシャチホコ エビフリャーズと共に最後まで盛り上がって行こうぜ!」うぉー!

「さあ!早速、シャチホコ エビフリャーズの登場だ!アリス!リリー!セイレン!みんなが待ってるぜ!Come on!」

 

DJの呼び掛けでリリー、セイレンが出てくる。アリスの姿は見当たらない。

 

新田「アリスちゃんが居ないですぞ…。まさかメシア教団という輩に…。いや、それは中島氏達が戦っているはずだから…。我が輩は中島氏達を信じて待つのみですぞ。」

 

新田は中島達を信じてライブを見ながら待っている。

 

「みんなー!アリスは下痢で少し遅れるけど今日は盛り上がって行こうねー!」うぉー!

「リリー…。勝手な事を言ったらアリスに怒られる…。」

「ばれなかったら何を言っても許されるわ。とりあえずアリスが戻って来るまで場を繋げないといけないじゃない。」

「分かった…。」

「それじゃあ、今日はセイレンのソロから行くわよ!バフォメ、お願い!」

 

裏方からDJの声が響きわたる。

 

「OKリリー!アリスが戻って来た時のためにノリの良い曲は後になるけどみんな!今日は最後までよろしく頼むぜ!」

 

アリスが不在のままライブを始まってしまったが中島達はアリスを狙うメシア教団のホーク達を倒すことが出来るのか、信じて待つ新田であった。



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アリスと赤おじさん

弓子達はテレポートの魔法でオアシス21に出てきた。

 

弓子「近場に出てきたんだな。もう少し人が少ない所の方が良かったんじゃねえのか?」

タダカツ「いえ、早く片をつけて中島殿の援護をしないといけませんからね。」

「グァアアアア!!」

 

自我を保っていないベリアルが弓子達に襲いかかる!

 

弓子「そんな不意打ちがあたしに通用すると思っているのか?先ずはこいつを喰らいな!」

 

弓子の攻撃!

突進してくるベリアルにティットラチャギを喰らわせる!

 

「グァアアアア!!」

 

しかし、ベリアルは怯まない。

 

弓子「まだあたしの攻撃は終わっていないぜ!」

 

弓子の攻撃!

トリョチャギでベリアルの胴体を蹴りあげる!

しかし、ベリアルはそのまま弓子が蹴りを出した足を掴み取る!

弓子の攻撃!

掴まれた足を軸にして回転して延髄蹴りを喰らわせる!

ベリアルは弓子の足を離して膝をつく!

弓子の攻撃!

膝をついたベリアルめがけてネリチャギを放つ!

 

「ガアァァァァ!!」

 

ベリアルは自分の体に炎を纏い弓子の攻撃を退ける!

 

弓子「くっ!こいつ、自我はねえが戦闘のセンスはあるな。あたしの攻撃に対応してきやがった。」

タダカツ「弓子、素手ではあの状態のベリアルには攻撃は出来ません。代わりましょう。」

弓子「タダカツ、この白鷲 弓子様には撤退と言う文字は無いんだよ。それより余所見しているんじゃねえよ。カンテイセイクンが来てるぞ?」

「メシアに抗う者達よ、覚悟!」

 

カンテイセイクンの攻撃!

カンテイセイクンは青龍円月刀でスサノオに斬りかかる!

しかし、スサノオはなんなく避けて青龍円月刀の柄を掴みそのままカンテイセイクンごと持ち上げ投げ捨てる!

 

タダカツ「油断などはしていません。本来の半分も力が出せないカンテイセイクンなど敵ではありません。」

弓子「そうか、そっちは任せる。」

「ガアァァァァ!」

 

ベリアルは炎を身に纏ったまま弓子に襲いかかる!

 

弓子「前に戦った火だるま糞野郎と同じ技がいつまでも効くと思っているのか?『マハラギオン!』」

 

弓子は自分にマハラギオンを唱えた。

 

タダカツ「弓子!いったい何を!?」

弓子「あたしのとっておきだ。まあ見てな。」

 

弓子は自分の体に炎を纏う!

 

弓子「ベリアル!これでテメエと同じだ。かかってきな!」

「グァアアアア!」

 

ベリアルの攻撃!

ベリアルの鋭い爪が弓子を切りかかる!

 

弓子「そんなスローな動きであたしを倒せると思っているのか?」

 

弓子の攻撃!

ベリアルの攻撃をかわすと同時にバンダルチャギでベリアルのこめかみを蹴りあげる!

 

弓子「どうした、あたしのテコンドーに手も足も出ないか?」

「ガアァァァァ!に、人間がー!」

 

ベリアルの攻撃!

ベリアルは助走をつけて弓子めがけて跳び蹴りを放つ!

 

弓子「なんだ?あたしのテコンドーを真似たつもりか?跳び蹴りってのはこうやるんだよ!喰らいな!」

 

弓子の攻撃!

ベリアルの攻撃をかわしたと同時にターンチャギをベリアルの顔面にヒットさせる!ベリアルはたまらずダウンする。

 

弓子「おら、どうした!もう終わりか?立てよ!」

「ガアァァ!女!この魔王ベリアルに!よくもー!」

弓子「今度はこっちから行くぜ!」

 

弓子はベリアルに向かっていく!

 

タダカツ「まさか…。弓子!いけません!」

ベリアル「もう遅い!『ザンダイン!』」

 

ベリアルはザンダインを唱えた!

風の衝撃が弓子に襲いかかる!

弓子は吹き飛び体に纏った炎は消えてしまった!

 

弓子「ぐっ!いててて…。」

ベリアル「喰らえ!」

 

ベリアルはファイアブレスを放った!

炎のブレスが弓子に襲いかかる!

 

弓子「ぐわああぁ!」

タダカツ「弓子!」

カンテイセイクン「メシア、ホークに抗う者!貴様の相手は我だ!」

 

弓子を助けようとするスサノオにカンテイセイクンが立ち塞がる!

 

タダカツ「カンテイセイクン、あのような無能に従う貴方など私の敵ではありません。退きなさい。」

ベリアル「我がデビルサマナーに対して無能だと?女の前に貴様を始末してくれる!」

タダカツ「ベリアル、やはり貴方は理性の無い振りをしていたのですね。」

ベリアル「理性の無い振りをしていた訳ではない。私はそこの女との戦いの中、言語や振る舞い、戦いかたを学習したのだ!」

タダカツ「2体1ですか…。」

 

スサノオは構えを取る。

 

弓子「おいタダカツ、テメエあたしの獲物を横取りか?」

 

弓子が立ち上がり構えを取る。

 

タダカツ「ゆ、弓子!」

弓子「勝手にあたしが負けたと思っているんじゃねえよ!テメエの相手はカンテイセイクンだろうが。」

タダカツ「フッ、そうでしたね。」

弓子「ベリアル!第2ラウンドと行こうか、かかってきな!」

ベリアル「女、名を名乗れ。」

弓子「白鷲 弓子様だ、お前が倒される相手の名だ。生涯胸に刻んで覚えておけよ。」

ベリアル「ハハハ!私に勝つつもりでいるとは、ハハハハハハ!」

弓子「最初から負けるつもりで戦うバカが何処にいるんだ?」

ベリアル「ハハハ!確かにそうだな!私は魔王ベリアル!お前を倒す者の名だ!その心に深く刻んでおくがよい!」

弓子「あたしの台詞をパクっているんじゃねえよ。テメエ、さっきもあたしのテコンドーの技をパクっていたよな?あたしがボコボコして窃盗犯でデスメルの奴に逮捕させてブタ箱にぶちこんでやるよ!覚悟しな!」

ベリアル「こい、白鷲 弓子!」

弓子「久々にいい戦いが出来そうだ、行くぜベリアル!」

 

弓子とベリアルの戦いが再開される。

 

ベリアルはファイアブレスを放つ!

 

弓子「ちっ…。いきなりか。『アギ!』」

 

弓子はアギを唱えた!

 

ベリアル「フフフ、私のブレスがそんなちんけな魔法で防げるか!」

弓子「そいつはどうかな?」

 

弓子の攻撃!

ベリアルのブレスの中から弓子がティオヨプチャギが放たれる!

 

ベリアル「甘いな白鷲 弓子!貴様の攻撃は効かんぞ!」

 

ベリアルは体に炎を纏う!

 

弓子「甘いのはテメエだ!」

ベリアル「ぐわっ!」

 

弓子のティオヨプチャギがベリアルの腹にヒットする!

ベリアルはヨロヨロとふらつきながら膝をつく。

 

ベリアル「な、何故だ…。」

弓子「そんなちんけな技はあたしには効かねえって言ってるだろうが。」

ベリアル「右足だけ炎を纏ったのか。私のブレスはどうやって…。」

弓子「避けるまでもねえよ!そんな小細工はあたしに通用しないぞ!」

ベリアル「無理矢理ブレスの中を駆け抜けたのか。確かに小細工は通用しなさそうだな。」

弓子「今度はこっちから行くぜ!『マハラギ!』」

 

弓子はマハラギを唱えた!

無数の火の玉がベリアルを襲いかかる!

 

ベリアル「火の玉に紛れて攻撃するつもりだろうがそうはいかん。」

 

ベリアルの攻撃!

襲いかかる火の玉に紛れて向かってくる弓子をめがけて殴りかかる!

 

弓子「惜しかったな。」

 

弓子の攻撃!

ベリアルの攻撃にあわせてカウンターのティットラチャギを放つ!

 

弓子「一気に決めてやる!『マハラギオン!』」

 

弓子はマハラギオンを唱えた!

弓子の体に炎が纏った!

 

弓子「とどめだ。」

 

弓子の攻撃!

弓子の連続の蹴りがベリアルに次々にヒットする!

 

弓子「拍子抜けだったな。」

 

弓子の攻撃!

弓子のアッチャオルギでベリアルを蹴りあげ宙に浮かせる!

弓子の攻撃!

ターンチャギで宙に浮いたベリアルを蹴り飛ばす!

弓子はそのままベリアルに向かっていく!

 

「やめて!」

 

大きな叫び声を聞いて弓子は足を止める!

 

弓子「魔人アリス、下がっていろ。コイツらの狙いはお前だ。」

アリス「おじさんを殺さないで。」

 

アリスはベリアルの前に立ち弓子を止めに入る。その後ろでベリアルが立ち上がる。

 

アリス「おじさん、大丈夫?」

ベリアル「魔人アリス、メシアに言われた殺すべき敵…。」

アリス「え?おじさん?」

ベリアル「死ね!」

弓子「ちっ、まずい!」

 

ベリアルはファイアブレスを放った!

炎のブレスがアリスに襲いかかる!

しかし、弓子がアリスをタックルをして庇い弓子は炎の包まれた!

 

弓子「ぐわああぁ!」

タダカツ「弓子!」

 

弓子は体に包まれた火を地面にある水溜まりに体を転がり回り火を消していく。

 

アリス「おじさん…。どうして…。私よ、アリスよ!」

ベリアル「魔人アリスはメシアから殺す様に言われた…。」

弓子「ベリアル!テメエ!」

 

弓子の攻撃!

素早く起き上がりトリョチャギを放つ!

弓子の蹴りはベリアルの横腹にヒットした!

弓子の攻撃!

トリョチャギの後に続きヨッチャギ、ティットラチャギと連続の蹴り技を決めていく。

ベリアルはたまらず距離をとる。

 

ベリアル「ぐっ…。白鷲 弓子!おのれぇ!」

アリス「白鷲 弓子!止めて!赤おじさんを殺さないで!」

弓子「止めるな!どけ!」

 

弓子はベリアルを殺させないとしがみついてくるアリスを払い除ける。

 

アリス「赤おじさんは私を可愛がってくれた人、そしてメシア教団から私を守ってくれた…。」

弓子「今はそのメシア教団の悪魔だ。どけ!」

アリス「嫌っ!赤おじさんは殺させない!」

 

アリスは再び弓子にしがみついてくる。

 

ベリアル「赤…おじ…さん…あ、アリ…ス?ぐっ…。ああああああ!」

 

ベリアルは頭を押さえて苦しみだした!

 

アリス「おじさん?おじさん?」

 

アリスはベリアルに近づこうとするが弓子が止める。

 

弓子「おいアリス、アイツに近づくな!殺されるぞ!」

アリス「嫌っ!赤おじさんは私を愛してくれたおじさんなの!」

ベリアル「アリス…。アリスは敵!アリスは…。ああああああ!」

 

ベリアルは更に苦しみだした!

 

弓子「しょうがねえな。アリス、あたしは悪魔専門の探偵だ。どうして欲しいか依頼しろ。」

 

弓子はアリスを捕まえている手を離して問いただす。

 

アリス「おじさんを助けて…。お願い…。」

弓子「分かった…。あたし流でアイツの目を覚まさせてやる。それとアイツを操っているメシア教団のデビルサマナーのカス野郎はグズの中島がぶっ倒すから安心しろ。後、勝手にライブを抜け出しているんじゃねえよ。ファンを待たすな。」

アリス「分かった…。おじさん、私、今、一緒に頑張っている友達がいるの…。私を待ってくれてるファンの人達がいるの…。もう、一人じゃないの…。だから…。行くね…。また会えて嬉しかった…。」

 

アリスは走ってライブ会場に戻って行った。

 

ベリアル「ぐわああぁぁぁ!ア…リス…倒すと命令された敵…。」

 

ベリアルは走り去るアリスにファイアブレスを放とうと構える!

 

弓子「ベリアル!!それがテメエの事を思っている奴に対する行動か!」

 

弓子の攻撃!

弓子は助走をつけてベリアルの頬にティオティットラチャギを喰らわせる!

ベリアルは体制を崩し倒れこむ!

 

弓子「タダカツ!カンテイセイクンをさっさと倒して中島を助けに行け!」

タダカツ「弓子、カンテイセイクンを瞬殺した後に二人でベリアルを倒した方が効率が良いかと…。」

弓子「新たな依頼だ、ベリアルの目を覚まさせる為に先にホークを倒す。」

タダカツ「分かりました。しかし、意外ですね。敵との戦いより…」

弓子「おしゃべりは後にしろ。あたしは今、機嫌が悪いんだ、お前でもぶっ飛ばすぞ。」

カンテイセイクン「貴様ら、我を瞬殺するだと?」

タダカツ「ええ、瞬殺する前にまともな戦いが出来る様に貴方の目を覚まさせてあげますよ?」

 

スサノオは例の構えを取る。



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武人として

タダカツ「カンテイセイクン、これを喰らって目を覚ますのです。め~い~か~~い~~…。」

弓子「何やってるだ、こんなときにふざける…」

タダカツ「波ーー!!」

 

スサノオは冥界波を放った!

暗黒の波動がカンテイセイクンに直撃して吹き飛ばす!

 

弓子「何だ今のは!?」

タダカツ「私の新たな技、冥界波です。」

弓子「…。まあいい、そっちは任せる。」

 

弓子は再びべリアルと戦いを再開する。

 

タダカツ「カンテイセイクン、立ちなさい。これで終わる貴方では無いでしょう。」

カンテイセイクン「ぐっ、ここは…。拙者は、何故ここに…。確か、横浜で傷を癒して…。」

タダカツ「カンテイセイクン、どうやら目を覚ました様ですね。」

カンテイセイクン「貴公は、確かスサノオだったな。」

タダカツ「ちゃんとメシア教団の洗脳が解けたみたいですね。」

カンテイセイクン「メシア教団…。拙者は…。メシア教団に倒され、悪魔召喚プログラムで作られ…。今は不甲斐ないがメシアのしもべ…。せめて武人として貴公を倒させてもらおう。」

タダカツ「洗脳されたままの貴方を倒しても何も自慢になりませんからね。良いでしょう、その前に…。これを使いなさい。」

カンテイセイクン「これは…。宝玉…。」

タダカツ「それを使い傷を回復させなさい。完全な形で貴方を倒してこそ意味があります。」

カンテイセイクン「かたじけない…。」

 

カンテイセイクンは宝玉を使い傷を回復した。スサノオとカンテイセイクン、力を認めた者同士、二人はお互いに敬意を

示していた。

 

カンテイセイクン「鬼神スサノオ、メシア教団の為では無く、武人として貴公に一騎討ちを申し込む。」

タダカツ「良いでしょう。劉玄丸での戦いの再開をしましょうか。」

カンテイセイクン「鬼神スサノオ、全身全霊を持ってお相手いたす!かかってくるがよい!」

タダカツ「鬼神スサノオですか…。ここは改めて名乗りを上げさせていただきます。私が支える二人の殿のために…。」

カンテイセイクン「二人?どう言う事だ。」

タダカツ「契約を交わしたデビルサマナー、中島 朱美と私とユキムラを悪魔と知っても仲間として受け入れてくれた大殿、イケメンおもてなし武将隊の織田 ノブナガ殿ですよ。」

カンテイセイクン「貴公より弱き人間に支えるとはな。拙者には考えられない事だな。」

タダカツ「あのようなくだらないタヌキに騙されいた貴方に言われたくはないですがね。まあ、過ぎた事は良いでしょう。それがしは徳川最強の男!本田 タダカツ!目の前に立ち塞がる敵は全て排除致す!いざ、参る!」

 

スサノオは草薙の剣を手に取りカンテイセイクンに向かって行く!

 

カンテイセイクン「この気迫!前回の貴公とは違う!しかし!」

 

カンテイセイクンの攻撃!

手に持つ青龍円月刀で向かって来るスサノオに対して縦に斬りかかる!しかし、スサノオはカンテイセイクンの攻撃を難なくかわす!更にカンテイセイクンは青龍円月刀を横に切り払う!

 

タダカツ「それも読んでいます。」

 

スサノオはカンテイセイクンの攻撃を草薙の剣で受け止める。

スサノオの攻撃!

弓子顔負けの強烈なヨプチャギでカンテイセイクンの腹を蹴りあげる!

 

カンテイセイクン「ぐはっ…。蹴り技とは…。」

タダカツ「まだまだ行きますよ?」

 

スサノオの攻撃!

地獄突きでカンテイセイクンの喉元を狙う!しかし、カンテイセイクンはスサノオの攻撃を受け止める!

スサノオの攻撃!

受け止められた手を支点にしてドロップキックを放つ!

カンテイセイクンはまともに喰らいダウンした!

 

カンテイセイクン「また、蹴り技か…。」

タダカツ「同じ蹴り技でも先程はテコンドー、今回はプロレスの技、技の種類が違います。」

カンテイセイクン「中華の大将軍関羽雲長が人間の技ごときに殺られるものか!」

タダカツ「人間ごときに?そんな貴方では今の私の相手にはなりません。終わりにしましょう。」

カンテイセイクン「殺す!」

 

スサノオとカンテイセイクンの戦いは更に加速していく。

 

タダカツ「先程、人間ごときに、って言いましたよね?」

カンテイセイクン「拙者は人の理を越えた鬼神、人間など遥か下の存在!」

タダカツ「人間は常に進化を遂げています。貴方が死んでから約二千年、その間に様々な技術が生み出されています。」

カンテイセイクン「いかに技術が進化をしようと所詮は人間。我ら神には近づけん!」

タダカツ「では、私が貴方に数多の人間が生み出した格闘技術を披露しましょう。先ずは、欧米人が編み出した格闘技術、ボクシング。」

 

スサノオの攻撃!

カンテイセイクンの顔面に次々と拳をヒットさせていく!

 

カンテイセイクン「グッ…。いつまでもその様な攻撃が聞くと!」

 

カンテイセイクンの攻撃!

苦し紛れにスサノオに殴りかかる!

 

タダカツ「その欧米人が編み出した格闘技術ボクシングを日本人が更に進化させた必殺ブロー、喰らいなさい。」

 

スサノオの攻撃!

カンテイセイクンの攻撃をしゃがんでかわして必殺のカエル跳びアッパーを喰らわせる!カンテイセイクンは再びダウンした!

 

カンテイセイクン「お、おのれ~!」

 

カンテイセイクンが透かさず立ち上がる!

 

タダカツ「まだまだ人間が編み出した技術はたくさんあります。それを披露しましょうか。」

カンテイセイクン「まだ人間の技を使うか!拙者を愚弄するなー!」

タダカツ「ほう、あれだけの打撃を受けてまだそれだけ叫べるとは…。では、こういう技はどうでしょうか。」

 

スサノオの攻撃!

草薙の剣で電光石火の突きを喰らわせる!しかし、カンテイセイクンは青龍円月刀で草薙の剣を払い退ける!

 

タダカツ「やはり付け刃のフェンシングでは駄目でしたか。」

カンテイセイクン「貴公、どこまで拙者を愚弄する。」

 

カンテイセイクンの攻撃!

青龍円月刀で力任せにスサノオを斬りかかる!スサノオは草薙の剣で受け止めるが力負けして吹き飛ばされる!

 

タダカツ「やりますね。次で終わりにしましょう。」

カンテイセイクン「次の一撃で終わらせる!鬼神スサノオ、いや本田 タダカツだったな。拙者の最後の戰相手としてその名を覚えておこう!いざ!尋常に!」

タダカツ「…。勝負!」

 

カンテイセイクンとスサノオは同時に攻撃を仕掛ける!

カンテイセイクンが先に青龍円月刀をスサノオめがけて叩き下ろす!

スサノオは相手の攻撃に合わせて加速してカンテイセイクンの懐に入り胴に狙いを定めて斬りつける!

 

カンテイセイクン「本田…タダカツ…。見事なり…。」

 

カンテイセイクンは腹から大量の血を流して膝をつく。

カンテイセイクンを倒した。

 

タダカツ「先程の胴切りは弓子の友人デスメルさんから教わった日本の伝統、剣道の技です。」

カンテイセイクン「またしても…人間の技などに…。」

タダカツ「私と貴方は単純な力ではほぼ互角です。私が貴方になんなく勝利できたのは自分の力に自惚れずに周りの方々に技術を教わり取り入れたからです。」

カンテイセイクン「拙者は…己に過信していたのか…。」

タダカツ「ええ、何も人間の技術は格闘技だけじゃありません。これを。」

カンテイセイクン「なんだ…。にぎりめし…?」

タダカツ「ええ、ここ名古屋の人々が生み出した世界最高の調味料、八丁味噌を使ったおにぎりです。日本の伝統料理です。」

 

そんな八丁味噌を塗ったおにぎりは日本の伝統料理では無い。

 

カンテイセイクン「貴公が…作ったのか?」

タダカツ「ええ、冥土に行く前に食べて見てください。」

 

カンテイセイクンは八丁味噌のおにぎりを一口で口に入れる。

 

カンテイセイクン「うまいな…。」

タダカツ「そうでしょう。人間の技術は素晴らしい物です。決して侮ったりしてはいけないのです。まあ、私も弓子や中島殿達に出会うまで分かりませんでしたが…。」

カンテイセイクン「そうか…。せっしゃの…あにじゃ…りゅうびどの、ぎてい…よくとくに…いいみやげばなしが…できた…。さきに…。めいどに…。そのときは…。」

 

カンテイセイクンは力尽きて消滅した…。

 

タダカツ「ええ…。今度は冥土で一騎討ちを致しましょう…。」

 

タダカツは戦っている弓子を見る。

 

タダカツ「助太刀するのは野暮ですね。中島殿の所に行きますか。」

 



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THE ヒーロー 前編

一方その頃…。

 

ホーク「ハハハハハハ!オラオラどうした!三下のデブ野郎!」

中島「ぐっ…。受け止めるだけで精一杯なんだな…。」

 

中島はホークがヒノカグツチの剣で斬りかかってくるのを受け止めるだけで反撃が出来ない状態である。

 

ティンク「中島!今助けるよ!『ジオンガ!』」

ホーク「ヴィーヴル!俺の盾になれ!」

 

ハイピクシーはジオンガを唱えた!

上空から落ちる雷撃がホークに襲いかかる!ホークは悪魔召喚プログラムを操作してヴィーヴルを盾にする!

 

ヴィーヴル「あああああ!」

 

ヴィーヴルは雷撃をまともに受けて瀕死のダメージを受ける!

 

ユキムラ「出ろ!ブリューナク!」

 

クーフーリンは風の魔槍ブリューナクを召喚する!

 

ユキムラ「ホークー!!」

 

クーフーリンは怒りに身を任せてホークに突っ込んで行く!

 

ホーク「モー・ジョホー!クーフーリンの攻撃を体をはって止めろ!」

 

ホークは悪魔召喚プログラムを操作してモー・ジョホーを盾にする!

 

モー・ジョホー「いや、あたちの体が勝手に…。」

ユキムラ「また女の子を盾に!ホーク!君は!それでも男かー!」

 

クーフーリンは寸前の所でブリューナクを仕舞って攻撃を止める!

 

ホーク「ハハハ!クーフーリン、馬鹿な男め!モー・ジョホー!そのままクーフーリンを殺すまで攻撃しろ!」

モー・ジョホー「いやだ…。」

 

ホークは悪魔召喚プログラムを操作してモー・ジョホーに命令する。

モー・ジョホーの攻撃!

爪でクーフーリンを引っ掻いていく。クーフーリンはまともに攻撃を受ける。

 

モー・ジョホー「あたち…戦いたくないのに…。ごめん…。」

ホーク「ハハハ!モー・ジョホー!そのままクーフーリンを殺してしまえ!」

 

中島は余所見をしたホークの隙をついて練気の剣に力を込める!

 

中島「ホークー!」

 

中島の攻撃!

中島は練気の剣で力任せにホークに斬りかかる!ホークは中島の攻撃をヒノカグツチの剣で受け止めるが力負けして吹き飛ばされダウンした!

 

中島「ティンク、その子に回復魔法をかけてあげて欲しいんだな。」

ティンク「中島?」

ユキムラ「ティンク、僕からもお願いするよ。」

ティンク「分かった…。『ディアラマ!』」

 

ハイピクシーはディアラマを唱えた!

ヴィーヴルの雷撃の火傷が回復した。

 

モー・ジョホー「だ、大丈夫?死んじゃやだよ。」

 

モー・ジョホーは泣きながら回復したヴィーヴルに駆け寄っていく。

 

ヴィーヴル「あたし、ちゃんと言う事を聞いていたのに…。ひどいよ…。」

 

ヴィーヴルはホークに身代わりにされて辛くて泣いている。

 

ティンク「ゴメンね、痛い思いをしたね。『ディアラマ!』」

 

ハイピクシーはディアラマを唱えた。

ヴィーヴルの火傷は完全に回復した。

 

中島「よ、良かったんだな。」

ヴィーヴル「あたしを助けてくれた?どうして?」

ユキムラ「そんなの答えは簡単さ!この僕がイケメンだからさ!」

ティンク「いや、回復魔法をかけたの私だから…。」

 

ヴィーヴルが助かった様子を見てジャックランタンは困惑している。

 

ジャックランタン「あいつ等…。ヴィーヴルを助けたホ…。敵なのに…何でだホ…。中島は悪い奴じゃないホ…。それなのにオイラ…。」

ジャック「ヒーホー兄弟!中島がホークを倒してくれるまでもう少しの辛抱だぞ!」

ジャックランタン「兄弟…。」

 

ホークが立ち上がってきた!

 

ホーク「三下のデブ野郎!このメシア様に対してよくもやってくれたなー!」

中島「何がメシアなんだな…。この子達は君のせいで泣いているんだな…。」

 

中島はホークに対して静かに怒りを込めている。

 

ホーク「ああ?俺の悪魔だ、どう使おうと俺の勝手だ。メシア様に逆らうテメエは何様のつもりだ!!」

中島「目の前のこの子達を泣かせてジャックの友達を無理矢理戦わせて、何もしていない悪魔を勝手な理由で殺そうとする。君の方こそ何様のつもりだ!!僕は君を認めない。君は決してメシアなんかじゃない!君のやっている事は絶対に間違っているんだな!」

ティンク「中島…。」

ユキムラ「こんなに怒っているマスターは初めて見る…。」

ジャック「ヒーホー!中島!ホークをやっつけるんだぞ!」

ホーク「テメエ…。舐めやがって…。」

ネコマタ「ホーク、そのデブ野郎はあたしに殺らせな!」

ホーク「ああ?俺に指図しているんじゃねえぞ!」

ネコマタ「無抵抗のクーフーリンを殺っても面白く無いんだよ!あたしに従わす為に悪魔召喚プログラムで命令する気かい?その前にあたしはあんたの喉元を引き裂いてやっても良いんだけどね?」

 

ネコマタはホークの喉元に鋭い爪を突きつけている。

 

ホーク「クーフーリンはヴィーヴルとモー・ジョホーに殺らせる。あのデブ野郎は俺の手で殺してえがお前と俺で二人ががりで殺る。今回はそれで良いだろ。」

ネコマタ「まあ、それで手を打ってやるよ。じゃあ、速いもの勝ちって事で。」

 

ネコマタが猛スピードで中島に襲いかかる!

 

ティンク「殺らせないよ!『ジオンガ!』」

 

ハイピクシーはジオンガを唱えた!

上空から雷撃がネコマタに襲いかかる!しかし、ネコマタは瞬時にバックステップをとり雷撃を避ける!

 

ティンク「は、早い…。」

ネコマタ「あれを喰らったら流石のあたしも危ないね。やってくれるじゃないおチビちゃん?覚悟は出来ているんだろうね?」

ティンク「そんなに戦いたいのなら私が相手だよ!」

中島「ティ、ティンク!」

ティンク「中島、あの悪魔は私が食い止めるからその間にホークを倒して。」

中島「そ、そんな…。ティンクが危険な目に…。」

ティンク「私は大丈夫。ホークを倒したらみんな戦わなくてすむから…。お願い中島、アイツの相手は私に。」

中島「わ、分かったんだな…。ティンク、無茶だけはしないで欲しいんだな。」

ティンク「分かってる…。」

ネコマタ「何をゴチャゴチャ話しているんだい!」

 

ネコマタの攻撃!

スピードに乗りその勢いでハイピクシーを爪で切り裂きにかかる!しかし、ハイピクシーは上に飛び間一髪で避ける!

 

ティンク「『マハジオ!』」

 

ハイピクシーはマハジオを唱えた!

無数の電撃がネコマタに襲いかかる!

 

ネコマタ「チッ…。手数で攻めてきたか。」

 

ネコマタは電撃を次々とかわしていく。

 

ティンク「速いけど…。それだけ…。」

ネコマタ「言ってくれるねえ、おチビちゃん?」

ティンク「あんたより弓子の方が何倍も強い、私は…。いつか弓子に勝たないといけない…。だから、あんたなんかに負けない!そんな平気で自分と契約した悪魔を道具に扱うデビルサマナーに従うあんたなんかには絶対に負けない!」

ネコマタ「おチビちゃん、あんたにあたしは倒せないよ。」

ティンク「『ジオ!』」

 

ハイピクシーはジオを唱えた!

頭上から電撃がネコマタに襲いかかる!

しかし、ネコマタは難なく電撃をかわす!

 

ネコマタ「当たらないね!これで終わりだよ!」

 

ネコマタの攻撃!

鋭い爪でハイピクシーを突き刺した!

 

ティンク「ごほっ!これで当てられる…。『ジオンガ…。』」

 

ハイピクシーはジオンガを唱えた!

上空から雷撃がネコマタに襲いかかる!

 

ネコマタ「ま、不味い!」

 

ネコマタはハイピクシーを突き刺した爪を素早く引き抜くが突き刺していた腕に雷撃を喰らってしまう!

 

ネコマタ「ぐあああ!コイツ!まさか捨て身で攻撃してくるとは…。」

ティンク「『ディアラマ…。』」

 

ハイピクシーはディアラマを唱えて自分の傷を回復させる!

 

ティンク「完全に当てられなかった…。せっかくのチャンスだったのに…。」

ネコマタ「残念だったねえ、もう同じ手は喰らわないよ。先ずはあんたから死んで貰おうかねぇ。」

 

ネコマタの攻撃!

ネコマタは四方八方ハイピクシーを翻弄して爪で切り裂いていく!

 

ティンク「ああああああ!」

ネコマタ「これでお仕舞いだよ!」

ティンク「…。『ジオンガ!』」

 

ハイピクシーはジオンガを唱えた!

 

ネコマタ「同じ手は喰らわないって言っただろ?」

 

ネコマタは瞬時に雷撃を避けてハイピクシーの横から爪で突き刺しにかかる!

 

中島「ティンク!ぐうぅぅ…。」

 

中島がハイピクシーをかばって前に出てネコマタの爪は中島の腹を突き刺した!

 

ネコマタ「デブ野郎!邪魔するんじゃないよ!離せ!」

中島「き、君は、どうしてホークに従っているんだな?」

ネコマタ「フフフ、従っている?こんなカスに従う訳無いだろ?コイツと居たら強い相手といくらでも戦えるからだよ。メシア教団は神を僕にするんだろ?神をぶち殺せるなんて最高じゃないか!」

中島「ホークはメシアなんかじゃ無いんだな…。」

ネコマタ「別にそこはどうでもいいんだよ!あたしには興味ないしね。ホーク!デブ野郎が背負っているリュックサックを狙いな!そこに悪魔召喚プログラムが入っている!」

ホーク「そうか、ネコマタ!良くやった!これでテメエはお仕舞いだデブ野郎!」

 

ホークの攻撃!

ヒノカグツチの剣で中島の背負っているリュックサックを斬りつける!

リュックサックの中に入っている悪魔召喚プログラムは壊れてしまった!

 

ホーク「ハハハ!手応えありだ!デブ野郎、これでお前の悪魔はもう命令には従わない!後はお前だけだ!全員でデブ野郎を攻撃だ!なぶり殺しにしろ!」

 

ホークは悪魔召喚プログラムを操作して自分の悪魔達に命令する!

 

モー・ジョホー「いやだ…。またあたちの体が勝手に…。」

ヴィーヴル「嫌だ…。もうホークの言うことなんか聞きたくない…。」

ホーク「ハハハ!行け!」

 

モー・ジョホーとヴィーヴルが中島に攻撃を仕掛ける!

 

中島「また、あの子達を…。」

ユキムラ「君達はもう戦わなくていい!僕が君達を戦わせない!」

 

クーフーリンがモー・ジョホーとヴィーヴルを抱き締めて攻撃を食い止める!

 

ホーク「クーフーリン、悪魔召喚プログラムはぶっ潰した!そんなデブ野郎に従う理由は無い筈だ!」

ユキムラ「黙れホーク、このイケメンである僕がいる限り、彼女達を2度とお前には傷つけさせない!」

ホーク「なら、お前を先に殺すだけだ!」

 

ホークは悪魔召喚プログラムを操作してモー・ジョホーとヴィーヴルにクーフーリンを攻撃させる!

 

ホーク「だったらジャックランタン!その雪ダルマは後だ!デブ野郎を焼き殺せ!」

 

ホークは悪魔召喚プログラムを操作してジャックランタンに命令する!

 

ジャックランタン「ホーク!止めるホ!オイラ、嫌だホ!『アギダイン!』」

 

ジャックランタンはアギダインを唱えた!

巨大な火の玉が中島を襲いかかる!

 

ジャック「中島!」

 

ジャックフロストは中島の盾になり火の玉が直撃する!

 

中島「ジャック!」

ジャックランタン「兄弟!なんでだホ!悪魔召喚プログラムは壊されているのに…。」

ジャック「ヒ、ヒーホー…。中島は…オイラの…友達だからだ…ぞ…。」

 

ジャックフロストの体が溶けていく。

 

ネコマタ「じゃあ、あたしがデブ野郎の止めを…」

ティンク「させない…。『ジオンガ!』」

 

ハイピクシーはジオンガを唱えた!

中島に攻撃を仕掛けるネコマタに雷撃が襲いかかる!

 

ネコマタ「何!?このチビ!」

ティンク「あんたの負けだよ…。」

 

ネコマタは雷撃をまともに喰らう!

 

ネコマタ「ぎゃあああ!」

 

全身に火傷を被って倒れこむ。

 

ティンク「中島は殺らせないよ…。」

 

ハイピクシーは魔力を使いきり倒れてしまった!

 

中島「みんなが…。」

ホーク「何故だ…。悪魔召喚プログラムを破壊したのに…。」

中島「ホーク…。僕の大切な友達を…。よくも…。」

ホーク「デブ野郎が!全員で攻撃しろ!」

 

ホークが悪魔召喚プログラムで中島を攻撃するように命令する!

 

中島「いい加減にするんだな!」

 

中島の攻撃!

錬気の剣でホークに斬りかかる!

 

ホーク「力任せの攻撃が2度も当たるか!舐めるなよデブ野郎が!」

 

ホークの攻撃!

中島の攻撃をかわしてヒノカグツチの剣で中島の胴を斬りつけた!

 

中島「ああああああ!」

ユキムラ「マスター!」

ティンク「なかじま…。」

ジャック「なか…じま…。」

ホーク「メシアの力を思い知ったか!行け!デブ野郎をなぶり殺しにしろ!」

 

ホークの命令で悪魔達が一斉に中島に襲いかかる!

 

ホーク「ハハハハハハ!死ねデブ野郎!メシアに逆らう奴は皆殺しだ!」

???「ホホホ!でしたら死ぬのは貴方の方ですね!」

 

襲いかかる悪魔達と中島の前に突如、空間に歪みが現れた!

 



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THE ヒーロー 後編

ホーク「だ、誰だ!?」

メルコム「ホホホ。またお会いしましたね。私は堕天使メルコムと申します。以後、お見知りおきを。」

 

空間の歪みの中からメルコムが現れホークとその悪魔達に軽く会釈した。

 

ホーク「構うな!そいつもろとも殺してしまえ!」

 

ホークは悪魔召喚プログラムで悪魔達に命令する!

 

メルコム「早速ですがホークに従わされている悪魔の皆さん、少し大人しくして頂きますよ。『マハシバブー!』」

 

メルコムはマハシバブーを唱えた!

強力な電磁波が悪魔達を襲いかかる!

ジャックランタンは金縛りにあった!

ヴィーヴルは金縛りにあった!

モー・ジョホーは金縛りにあった!

ネコマタは金縛りにあった!

 

モー・ジョホー「う、動けない…。」

メルコム「ホホホ、しばらく大人しくしていてください。次は、あなた達ですね。これまたこっぴどくやられましたね。取っておきだったのですがこれを使いましょうか。」

 

メルコムは宝玉輪を使った。

宝玉輪は暖かな光を放ち中島達を包み込む。

中島達の傷が回復した。

 

ジャック「ヒ、ヒーホー…。助かったぞ…。」

ユキムラ「傷が…。治っていく…。」

メルコム「おや、貴女にはこちらですね。今は在庫切れですのでこれで我慢してください。」

 

メルコムはチャクラドロップをハイピクシーに使った。

ハイピクシーの魔力が少し回復した。

 

ティンク「これで少しは動ける…。」

中島「メルコム、どうして…。」

メルコム「ホホホ。デビルサマナー、私はビジネスマンです。ビジネスマンは借りを作らないのですよ。」

中島「そんな…。僕は…。そんなつもりでは…。」

ホーク「テメエもこのメシアの俺に逆らうつもりか!」

メルコム「ホホホ、そのヒノカグツチの剣と悪魔召喚プログラムが無いと偉そうに出来ないチンピラ風情が生意気なのですよ。」

ホーク「何だと、テメエ!」

メルコム「メシア中島 朱美に対して頭が高いと言っているのですよ!」

中島「ぼ、僕はめしやよりご飯がおかわりできるやよい軒の方が好きなんだな。」

 

めしやではない、メシアである。

 

メルコム「…。」

ホーク「どいつもこいつも舐めやがって~!皆殺しだ!」

 

ホークの攻撃!

ヒノカグツチの剣でメルコムに斬りかかる!

 

ユキムラ「ホーク、もう誰も傷つけさせない。そう、このイケメンである僕がみんなを守るからさ。」

 

クーフーリンがブリューナクでホークのヒノカグツチの剣を受け止める!

 

ホーク「クーフーリン!貴様、何故まだソイツ等の味方をする!悪魔召喚プログラムは破壊した筈だ!」

ユキムラ「フ、君はそんな事も分からないのかい?それはこの僕がイケメンだからさ。」

 

答えになっていない。

 

メルコム「クーフーリンさん、そのままホークの足止めをお願いしますよ?」

ホーク「テメエ等!いつまでそうしている!奴等を殺せ!皆殺しにしろ!」

 

ホークが悪魔召喚プログラムを操作して

悪魔達に命令する。

 

ジャック「ヒーホー!雪分身だぞ!今度はオイラがお前達の足止めをしてやるぞ!何処からでも攻撃して来るんだぞ!」

中島「ジャック!」

ジャック「中島、オイラが少し食い止める間に頼むぞ。」

 

ジャックフロストは向かって来る悪魔の前に立ち憚る。

 

中島「ジャック、まだ立つのもやっとなのに…。」

ティンク「中島…。剣を…。」

中島「ティンク、まだ動いちゃ駄目なんだな。」

ティンク「大丈夫…。剣を…。掲げて…。魔力を送るから…。」

中島「ティンク…。駄目なんだな…。」

 

中島は倒れたハイピクシーを拾い上げて自分の胸ポケットにしまう。

 

ティンク「中島…。剣を掲げて…。」

中島「ティンク、どうして…。」

メルコム「ホホホ、デビルサマナー。彼女の言う通りにするのですよ。クーフーリンさん達が時間を稼いでいる今が好機です。」

中島「でも…。」

ティンク「メルコムの言う通りだよ。魔力を送るのは私じゃない…。」

中島「えっ?どう言うことなんだな?」

メルコム「ホホホ。錬気の剣を上に高く掲げるのです。」

 

中島は言われるままに剣を高く掲げる。

 

メルコム「ホホホ。グッドですよデビルサマナー。少し衝撃が来ますが我慢してくださいよ。」

中島「えっ?」

メルコム「まずはあのメシアと名乗る不届き者が持つヒノカグツチの剣をへし折ってやりましょう。スサノオさん!お待たせしました!貴方の出番ですよ!」

 

メルコムが大声を上げる。

 

タダカツ「フッ、我々がメルコムの助けを借りるとは…。我が主、中島 朱美。私の力をお貸し致します!め~い~か~い~、波ーー!!」

 

スサノオは冥界波を放った!

暗黒の波動が中島の持つ錬気の剣に直撃する!

 

中島「ぐっ、ううぅ…。この力は…。剣を持っているのが精一杯なんだな…。」

 

冥界波が錬気の剣に吸収されて剣は漆黒に染まっている。

 

メルコム「さあ、デビルサマナー。決着をつけるのです。」

中島「分かったんだな…。」

 

中島は自分の為に時間を稼いでいるクーフーリンの元に駆け寄る。

 

ユキムラ「ブリューナクが持たない…。」

ホーク「ハハハ!クーフーリン、どうだ!このヒノカグツチの剣の力は!手も足も出ないか!」

 

ホークはモー・ジョホーを盾にしながらヒノカグツチの剣でクーフーリンを攻撃している。

クーフーリンはブリューナクで受け止めるので精一杯で反撃に出れずにいた。

 

ユキムラ「くっ…。ホーク、君はどこまで卑怯な男なんだ…。その子を離して正々堂々と戦いたまえ!」

ホーク「勝手にほざいていろ、その槍はもう持たないのだろう。止めを刺してやるよ!死ねー!」

 

ホークが渾身の力を込めて剣を振りかざす!

 

中島「ホーク!君の相手は僕なんだな!」

ユキムラ「マ、マスター…。」

 

中島がホークの前に立ち塞がる!

 

ホーク「デブ野郎、何処までこのメシアに逆らうつもりだ!」

中島「黙れー!!」

 

中島は珍しく大声を上げる!

 

ホーク「テメエ…。殺す…。メシアの俺に逆らう奴は絶対に殺す!」

 

ホークの攻撃!

渾身の力を込めてヒノカグツチの剣で中島に斬りかかる!

 

中島「僕は君を許さない…。絶対に許さないんだな…。」

 

中島は錬気の剣でヒノカグツチの剣を受け止める!

 

ホーク「テメエの剣を叩き折ってやる!それで仕舞いだ!」

 

ホークはヒノカグツチの剣に力を込める。

 

中島「ぐうぅぅ…。」

ホーク「これがヒノカグツチの力だ。デブ野郎、そのナマクラ刀ごとテメエの心もへし折ってやる!」

中島「僕は…負けない…。」

 

中島も錬気の剣に力を込める。

 

ホーク「俺はメシア教団に選ばれたメシアだ…。舐めるんじゃねえぞデブ野郎。」

中島「何がメシアなんだな、君の何が…」

ホーク「これがメシアの力だー!!テメエじゃどうにもならない力の差だ!」

 

ホークは更にヒノカグツチの剣に力を込める。中島が圧されていく。

 

中島「ぐうぅぅ…。」

ティンク「中島…。残り少ないけど私の魔力も…。」

 

ハイピクシーは中島の胸ポケットから錬気の剣に魔力を送る。ハイピクシーは力を使い果たして気絶した。

 

中島「ティンク…。」

タダカツ「中島殿!錬気の剣に魔力を込めるのです!その剣には私の力も込もっています!」

中島「タダカツ…。」

 

スサノオが近くまで来て中島に檄を入れる。

 

ホーク「貴様は…スサノオ!まさか、カンテイセイクンを倒してきたのか!」

タダカツ「余所見をしている暇は無いと思いますよ?」

中島「ああぁぁ!」

 

中島は錬気の剣に魔力を込めてホークのヒノカグツチの剣を押し返す!

 

ホーク「この俺が押されているだと!?」

中島「はぁはぁ…。ホーク、覚悟するんだな。」

ホーク「テメエ一人じゃ何も出来ねえデブ野郎が…。頭に乗るなー!!」

 

ホークの攻撃!

怒りに任せてヒノカグツチの剣で中島に斬りかかる!

 

中島「僕は…。確かにみんなに助けてもらってばっかりで一人では何も出来ない…。でも…。」

 

中島はホークの攻撃を錬気の剣で受け止める。

 

メルコム「ホホホ。頭に乗っているのは貴方の方ですよ。ホークさん?」

タダカツ「そうですね、珍しく貴方と気が合いますね。」

ホーク「俺はメシアだぞ!どいつもこいつも俺を見下すなー!!」

ユキムラ「ここまで来ると哀れだね。」

中島「僕は…。みんなが居るから戦える。ホーク、君と違って一人ぼっちじゃないんだな。」

ホーク「俺が一人だと?悪魔召喚プログラムを使えば全ての悪魔は俺に従う。それに俺はメシアだ!教団の連中はみな俺に従う!ヒノカグツチの剣を持つメシアの俺が絶対なんだ!」

中島「だったら!君が!間違っている事を!僕が証明するんだな!」

 

中島は錬気の剣に魔力を込める!錬気の剣の黒い輝きが増していく!

 

ホーク「な、なんなんだ、その剣は!?何をするつもりだ!?」

タダカツ「あれはメギドの力…。」

メルコム「ホホホ、その時代のヒーローだけが使えるメギドラオンの力、錬気の剣に送り込みましたか。」

ホーク「メギドの力だと?」

 

中島の攻撃!

錬気の剣でホークに斬りかかる!

ホークはヒノカグツチの剣で受け止めるが剣は中島の力にへし折られる!

 

ホーク「ヒ、ヒノカグツチの剣が!」

 

ヒノカグツチの剣をへし折られたホークは尻餅をついて後退りする。

 

ホーク「メ、メシア教団に選ばれた俺が…。こんな奴に…。」

ユキムラ「ホーク、君はもうおしまいさ。男なら覚悟を決めたまえ。」

ホーク「そ、そうだ!クーフーリン、スサノオ!お前達、メシアの俺と契約しろ!お前達は特別の待遇をしてやる!」

スサノオ「無粋な男ですね、我々は自らの意思で中島殿と共にいる。悪魔召喚プログラムで契約したからではない!覚悟を決めろ!」

 

スサノオに恫喝されてホークは更に後退りする。

 

ホーク「あ、悪魔召喚プログラムだ!お前達!俺を守れ!盾になれ!」

 

ホークは悪魔召喚プログラムを操作して仲魔に命令しようとする。

 

メルコム「ホホホ、大条際が悪いチンピラですね。逃げれると思っているのですか?『シバブー!』」

 

メルコムはシバブーを唱えた!

魔力の電磁波がホークを襲う!

ホークは金縛りにあった!

 

メルコム「さあデビルサマナー、このメシアと名乗る不届き者の悪魔召喚プログラムを破壊するのです。」

中島「うん。メルコム、ありがとうなんだな。」

 

中島はホークに近づいていく。

 

ホーク「や、止めろ!俺はメシアだぞ!こんな事をしてただで済むと思っているのか!」

 

ホークは金縛りで動けずに喚き散らしている。

 

中島「君の悪魔召喚プログラムは破壊する。」

ホーク「や、止めろー!!」

 

中島の攻撃!

ホークの左腕を狙いを定めて錬気の剣で斬りつける!

 

ホーク「ぎゃああああ!腕が!俺の腕がー!!」

 

ホークの左腕を切断し悪魔召喚プログラムを破壊した!

 

ジャック「中島、やったのか?」

ジャックランタン「ヒホ?オイラの体が…。ヒーホー!オイラの体が自由に動くホー!」

ヴィーヴル「体の言うことがきく!」

ネコマタ「あのデブ野郎、ホークをやったのか?フフフ…。ハハハハハ!傑作だね!ハハハハハ!みんな!もう戦わなくても良いよ!」

 

悪魔召喚プログラムは破壊されてホークの仲魔達の命令は解かれた!

 

ホーク「ああぁぁぁぁ!俺の腕がー!!お前ら!何をしてやがる!おれを助けろー!」

モー・ジョホー「…。」

ヴィーヴル「…。」

ホーク「何を見ていやがる!早く助けろー!この雑魚共がー!!」

ネコマタ「ヒノカグツチの剣も無い、悪魔召喚プログラムも無いただのチンピラのあんたに誰が従うって言うんだい?」

ホーク「ネコマタ!貴様!メシアの俺を裏切るのか!」

ネコマタ「まだメシアとか言っているのかい?おめでたい男だねぇ。あの女に担がれただけのチンピラが。」

 

ネコマタの攻撃!

動けないホークの胸を鋭い爪で切り裂いていく!

 

ホーク「ぎゃああああ!テメエ!メシアの俺に!モー・ジョホー!ヴィーヴル!何を見ていやがる!助けろ!」

モー・ジョホー「…。」

ユキムラ「大丈夫、君達はもうホークの言うことは聞かなくていい。」

モー・ジョホー「本当?あたち達メシア教団の言うこと聞かなくていいの?」

ユキムラ「もし、またメシア教団が君達の所に来てもこのイケメンである僕が君達を守ってみせるさ。」

モー・ジョホー「あたち、ホークの言うことなんか聞かない!」

ヴィーヴル「あたしも聞かない!イケてないメンズ助けてくれてありがとう。」

ユキムラ「ちょっと!イケてないじゃないよ!イケてるメンズだよ!」

 

誰もホークには従わない。

 

ホーク「ジャックランタン!俺を助けろ!そして俺に逆らう奴等を全員焼き殺せ!」

ジャックランタン「ヒーホー!『アギラオ!』」

 

ジャックランタンはアギラオを唱えた!

ホークの傷口をめがけて火の玉が襲いかかる!

 

ホーク「ぎゃああああ!火がー!!ああぁぁぁぁ!」

ジャックランタン「ホーク。オイラはお前の傷口が痛そうだから火傷をさせて痛みを和らげようとしただけだホ。オイラに感謝するんだホ。」

ホーク「この雑魚悪魔が~。よくも、この俺に対してよくも~。」

 

金縛りが解けたホークが立ち上がろうとする。

 

ジャックランタン「ホーク、お前こそよくもオイラを騙して兄弟を傷つけたな。覚悟するホ!オイラはお前を許さないだホ!」

 

ジャックランタンはホークに対して敵意を向ける。

 

ジャック「兄弟…。」

ジャックランタン「オイラに兄弟を傷つけさせたホークは殺してやるだホー!」

???「それまでや!」

ジャックランタン「誰だホ!」

???「愛知県警特殊捜査6科の佐野や。悪魔と言えども殺人は見過ごされへんなぁ。こっからは警察の仕事や。引っ込んどれ。」

タダカツ「佐野警部…。タイミングが良いですね…。」

 

佐野警部と部下の愛澤が出てきた。何処かで様子を見ていたのだろう。

 

ホーク「け、警察か。メシア教団には警察のキャリアだっている。ベスが俺の援護に寄越したのだな。」

佐野警部「メシア教団のホーク、改め本名 西崎 権三郎、強姦、恐喝の被害届が出とる。」

ホーク「は?何を言って…。」

佐野警部「メシア教団の信者から被害届が出てるんや。逮捕状もある。」

ホーク「テメエ…。メシア教団に逆らう気か…。警察のキャリアがメシア教団にいるんだぞ、それを…。」

 

ホークの話を遮り愛澤が詰め寄る。

 

「この折れた剣、貴方の私物ですよね。あっ、答えなくても結構です。署で指紋も採って裏を取りますので。銃刀法違反に器物破損のオマケつきですね。」

ホーク「テメエ…。女だからって…。」

 

ホークが愛澤に近づこうとしたら愛澤は大袈裟に転んで痛がる。

 

「あー!痛い痛い痛い痛い!西崎 権三郎容疑者に突き飛ばされて痛いー!」

ホーク「おい…。俺は何もしてないだろ…。何を…。」

佐野警部「公務執行妨害もプラスやな。よし、逮捕や。」

ジャック「あのメガネの姉ちゃん、わざと転けたぞ…。」

ホーク「お前ら…。メシアの俺に…。」

佐野警部「めし屋か吉野家かなんか知らんけど逮捕や。」

「午後1時12分。強姦、恐喝の容疑、そして銃刀法違反、公務執行妨害の現行犯、後、存在がムカつく罪で西崎 権三郎、逮捕。」

ネコマタ「存在がムカつく罪って…。滅茶苦茶な警察だねぇ…。」

 

佐野警部がホークに手錠をかける。

 

佐野警部「中島 朱美、後の処理は警察に任せとけ。」

中島「あ、あの…。」

ジャックランタン「おい!オイラは…。」

「貴方が今、ここでこの男を殺したら今度は貴方を逮捕する事になりますが?我々は悪魔でも逮捕しますよ?」

ユキムラ「しょうがないね。後は警察に任せようではないか。」

ジャックランタン「分かったホ…。」

「この男は他にも余罪があると思うので死ぬ方がましだと思うぐらい罪を償うと思いますよ?」

ホーク「待て!このデブ野郎も剣を持っているだろうが!」

 

ホークはまだ往生際が悪く喚いている。しかし、中島の錬気の剣はすでにメルコムが空間の歪みに預かっていた。

 

佐野警部「はぁ?何処に剣なんかあんねん!嘘ついてんとちゃうぞボケが!」

「佐野警部、これは虚言告訴等罪になりますね。後、大声で喚き散らし騒音を出したので軽犯罪法違反の現行犯も加わります。後、先程のデブ野郎って言葉頂けませんね。言葉の暴力、すなわち暴行罪になります。」

ホーク「そんな事、通ると…。」

佐野警部「言いたい事は署でゆっくり聞いてやるわ。」

「それでは市民の皆さん、って言っても人間は中島 朱美さんしか居ませんでしたね。警察へのご協力、感謝します!」

 

佐野警部と部下の愛澤はホーク改め西崎 権三郎を連行していった。

 

ヴィーヴル「ホーク、連れて行かれちゃったね。」

モー・ジョホー「アタチ達をいじめたホーク達に仕返ししたかったよ…。」

ヴィーヴル「うん…。」

ネコマタ「あんた達、まだベスが残っているよ。仕返しするなら急いだ方が良いさね。」

ヴィーヴル「あっ、ベスだ!アイツに仕返ししよう!」

モー・ジョホー「よーし、仕返しだー!でも、ベスは何処に行ったの?」

ネコマタ「あっちに少し大きめの悪魔の気配があるね。きっとそこじゃないのかい?」

タダカツ「事務所の方角ですね。悪魔の気配はパスカルでしょう。」

ヴィーヴル「よし、行こう!」

モー・ジョホー「仕返しだー!」

ネコマタ「あたしも行ってみようかね。あの女はいけ好かないからね。あんた達、迷惑かけたね。傷を癒したら今度は正々堂々と真っ正面から戦いを挑ませてもらうよ。またね。」

 

ネコマタは傷ついた体で事務所の方に向かって行った。

 

ヴィーヴル「イケてないメンズ、ありがとう。」

モー・ジョホー「イケてないメンズ、助けてくれてありがとう。」

ユキムラ「君達!今度、名古屋城に遊びに来たまえ。このイケメンである僕が観光案内をしてあげるよ。」

ヴィーヴル「キャハハハ!バイバーイ。イケてないメンズ。」

モー・ジョホー「気が向いたらね、イケてないメンズ。バイバーイ。キャハハハ!」

 

モー・ジョホーとヴィーヴルは笑顔で事務所の方に飛び去って行った。

 

タダカツ「プッ、イケてないメンズですか。あれだけ必死に助けようとしたのに。」

ジャック「ヒーホー、ユキムラ。イケてないとか言われたのに嬉しそうだな。」

ユキムラ「やはり君達には僕の心が分からない様だね。彼女達が笑顔になれたんだ、イケメンである僕にとってこんなに嬉しい事はないのさ。君達も僕と同じぐらいのイケメンステージに上がって来る事をお薦めするよ。」

 

ユキムラは二人が飛んで行った方向を見ながら笑顔で言った。

 

ジャックランタン「兄弟…。オイラはイングランドに帰るホ。」

中島「ジャックランタン君、良かったら僕達と一緒に…。」

ジャックランタン「中島…。お前は本当に良いやつだホ…。だから兄弟の事、よろしく頼むだホ…。」

ジャック「兄弟!」

ジャックランタン「オイラ、人間の世界は懲り懲りだホ…。兄弟、達者で暮らすんだホ…。」

 

ジャックランタンはとぼとぼと去って行った。

 

ジャック「兄弟…。」

ユキムラ「彼なりのケジメなんだと思うよ。いつかほとぼりが覚めた時に今度は僕達が彼に会いに行こうではないか。」

中島「うん…。」

タダカツ「皆さん、干渉に浸るのは後にしましょう。我々のやる事はまだあります。時間がありません、行きましょう。」

ジャック「時間?」

タダカツ「ライブです。新田殿が待っています。」

中島「あっ、そうだったんだな。」

メルコム「その前にデビルサマナー、彼女は少しの間預かります。空間の歪みの中にチャクラポットが1つ残っていたと思いますので。」

中島「メルコム、ティンクをお願いなんだな。」

ジャック「良いのか?中島。メルコムだぞ?」

メルコム「ホホホ、信用が無いのですね。大丈夫ですよ、貴方達を騙すような事はしませんので。」

中島「うん、メルコム。ティンクを少しの間、お願いなんだな。」

メルコム「ホホホ、デビルサマナー。これで命を助けて頂いた事はちゃらと言うことで。では、またお会いしましょう。」

 

メルコムはティンクを預かり空間の歪みに消えて行った。

 

タダカツ「中島殿、急ぎましょう。ライブが終わってしまいます。」

ユキムラ「タダカツ…。結局君が1番アイドルにハマっているんだね。」

タダカツ「違います。私は徳川最強の男、舞いでも最強である事を貴方達に証明して見せるだけの話です。行きましょう。」

中島「フフ…。分かったんだな。」

 

中島達はボロボロの体で新田が待つライブ会場に戻って行った。

 



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ベスの悲劇

ベス「まんまとしてやられたって事ね…。しかし、ホークには勝てやしない。」

大輔「ヒノカグツチの剣かい?あんなチンピラ風情がまともに使いこなせるとは思えないけどね。」

ベス「あれはメシア教団の秘宝、あの力があれば…。あの男でもそう簡単には負けやしない。」

大輔「君達は中島君の力を知らないのだね。」

ベス「悪魔召喚プログラムもろくに使いこなせていない男など眼中には無いわ。」

大輔「そうかな?じゃあ聞くけど何故中島君にスサノオやクーフーリンが側にいると思う?」

ベス「それは…。そう、白鷲兄妹、貴方達が後ろに入るから…。」

大輔「妹が言うには中島君だから彼等は自ら仲魔になったそうだ。」

ベス「悪魔が自らデビルサマナーと契約するなんて…。そんなの、あり得ないわ!」

大輔「僕個人としては君の意見が正しいとは思うけど、残念ながら事実だ。」

ベス「仮にそれが事実だとしたら…。」

大輔「中島君の悪魔召喚プログラムを破壊したとしても中島君の仲魔達は彼を助けるだろう。君達が脅して仲魔にした連中と違ってね。」

ベス「くっ…。ホークに伝えなくては…。『トラポート!』」

 

ベスはトラポートを唱えた!

しかし、ベスの魔力は封じ込められている。

 

大輔「無駄だよ。魔力は封じてある。僕が君を連れて行く時にちょっとした魔法をかけといたからね。」

ベス「いつの間に…。」

大輔「騙しあいで僕と張り合おうなんて10年早いよ。何も考えないで僕がペラペラ内部事情を話していたと思っていたのかい?詰めが甘すぎるんだよ。」

ベス「しかし、ここで貴方を倒せばすむこと。」

 

ベスは腰に下げた剣を抜こうとする。

 

大輔「『ザンマ!』」

 

大輔はザンマを唱えた!

衝撃の魔法がベスの剣を弾き飛ばした!

 

ベス「クチナワの剣が!」

大輔「だから、詰めが甘いって言っているじゃないか。さて、中島君もホークを倒したみたいだし、こっちも終わらせようか。」

ベス「白鷲 大輔、それだけの力があればメシア教団の幹部にだってなれます。今からでも…。」

大輔「苦し紛れに出てきた言葉がそれかい?もう少し張り合いがあると思っていたけど、残念だよ。」

 

ベスは飛ばされた剣を拾おうとする。

 

大輔「だから、甘いんだよ。『ザンマ!』」

 

大輔はザンマを唱えた!

風の衝撃魔法がベスを吹き飛ばす!

 

ベス「キャア!」

大輔「ふーん、なかなか良い剣だね。」

 

大輔はクチナワの剣を拾い上げ呟きベスに近づいていく。

 

大輔「所で君のその服はメシア教団からの支給品だよね。高そう素材だ。」

ベス「な、何を…。」

 

大輔はベスの服だけを切り裂いていく。

 

ベス「いやー!」

大輔「別にメシア教団から支給されているんだろ?末端の信者からお金をむしりとってさあ!」

 

大輔は恨みを込めてベスの服を切り裂いていく。

 

ベス「ゲスな男…。よくもこんなことをして…。」

大輔「つまらない色仕掛けをしてきた女がよく言うよね。せっかくだしその色気で頑張ってもらおうかな?」

ベス「な、なんて男…。」

大輔「女と言う生き物は自分で原因を作っても都合が悪くなると喚き散らして他人のせいにしようとする。本当に不快な存在だ、ヘドが出る。」

ベス「し、白鷲 大輔!私がメシア教団の幹部に推薦します!それなら、信者から巻き上げた寄付金はある程度自由に使う事が出来ます!悪い話では無いでしょう?」

大輔「本当に君は自分の事しか考えていないんだね。今の話はボイスレコーダーで録音させてもらったよ。メシア教団に送りつける。それより、契約書はちゃんと見たのかい?」

ベス「契約書?何を…。そんなの貴方達が契約を破って私達に戦いを仕掛けて来たのでしょう!」

大輔「ちゃんと見ていなかった様だね。もし契約書の内容に偽りがあったら依頼は破棄、そして違約金を払ってもらうって書いてあっただろ?金額にして5500万、先に前金で200万もらっていたから特別に差し引きして5300万を今直ぐに払ってもらうよ。」

ベス「そんな事、何処にも…。契約書の書いてある内容の周りに模様が四角に囲ってあっただけで…。」

大輔「模様じゃないよ。れっきとしたヘブライ文字だ。」

 

そんなのは詐欺師のやる手段である。

 

ベス「私達は依頼内容に偽りは言ってません。」

大輔「町を脅かす魔人アリスの討伐補助だったよね?僕が中島君やその友達の新田君から聞いた話とは少し違っていてね。彼女達は名古屋の町を盛り上げる為に頑張っているご当地アイドルであって町を脅かす存在ではないって事さ。だから依頼には偽りがある。」

ベス「そんな事がまかり通ると…。」

大輔「契約書に書いてあるのだから通るのだよ。払えないなら君の体で払ってもらうしかないね。」

ベス「このゲス男…。どこまで性根が腐っているの…。」

大輔「そろそろ来る頃だね。」

 

一人の女性が数匹の犬を連れて屋上に上がって来た。

 

「探偵さん、どうもその節は…。」

大輔「吉田さん、ご無沙汰です。」

 

この女性は前回の依頼主、吉田 孝則さんの妹である。

 

大輔「相談と言うのはですね、あの女の人とパスカルに交尾をさせようと思うのだけど、使い終わったら山川組に売り飛ばすから傷をつけたくなくてね。それで手伝ってもらう為に来てもらったのだよ。」

「そうでしたか、それはそれは…。」

 

今の話を聞いてベスの顔が青ざめる。

 

ベス「な、何をするつもりで…。」

大輔「君とは会話のコミュニケーションが取れないからね、もう話す事はないよ。さぁパスカル!出番だよ!」

 

鎖に繋がれたパスカルが階段の入口の裏から出てきた。

 

パスカル「オレサマ メス タネヅケ」

 

発情期のパスカルが首にかかった鎖を引きちぎらんばかりにベスに迫ろうとしている。

 

ベス「ヒッ!」

大輔「パスカル、少し準備をするからもう少しの辛抱だよ。」

パスカル「オレサマ シンボウタマラン!メス タネヅケ!」

 

パスカルは興奮している!

 

「あら、スゴいわ…。」

 

吉田 孝則さんの妹はパスカルの陰茎を見て興奮気味で呟く。

 

「パスカルちゃん、これ以上待たせたら暴発しそうね。」

 

吉田 孝則さんの妹がベスに近づいて体に何かを塗っていく。

 

ベス「なっ、何を塗ったの!」

「ワンちゃん達が貴女に興奮するようにタップリと媚薬を塗ったの。特にここは念入りに塗らないと痛むから…。」

 

ベスの陰部に媚薬を念入りに塗っていく。

 

ベス「はぁはぁ…。こんな事が…。」

「この人はこれでよし、後は…。」

 

吉田 孝則さんの妹はパスカルの陰茎にタップリとローションを塗りたくす。

 

「パスカルちゃん、すこし我慢してね。これでよし。」

大輔「すみません、こう言う事は慣れていなくて…。」

 

大輔はたくさんのビデオカメラをセットしながら礼を言う。

 

「これで約束どうり私もパスカルちゃんと交尾させて下さいね。」

 

そう言うと吉田 孝則さんの妹は再びベスに近づく。

 

「さあ、力を抜きなさい。」

 

吉田 孝則さんの妹がベスを押さえつけ四つん這いにさせる。

 

ベス「いやー!放してー!そんな私の初めてが!犬の悪魔なんかに!」

 

ベスは必死に抵抗しようとするが媚薬の効果で力が入らない。

 

「貴女の為に順番を譲ってあげてるのに、黙りなさい!」

 

吉田 孝則さんの妹がベスの尻を腫れるまでひっぱたいて黙らせる。

 

大輔「さあパスカル、待たせたね。あの女を好きにするんだ。」

 

大輔はパスカルの鎖を外してベスにけしかける。

 

パスカル「オレサマ メス タネヅケ!オレサマ コジキニ カンシャ!」

大輔「誰が乞食だ。誰だよ、最近僕の事を悪く言いふらす奴は…。」

 

乞食とは、スーパーの試食コーナーを1日中ハシゴをして腹を含ませようとするお前の事を言うのである。

 

ベス「いや…。こ、来ないで…。」

「さあ、パスカルちゃん。ここにゆっくり入れるのよ。」

 

パスカルがベスに近づいていく。

 

パスカル「オレサマ タネヅケ!メス ハラマセル!」

ベス「いやあああああああぁぁぁぁ!」

 

パスカルははち切れんばかりに勃起させた陰茎をベスの陰部にに挿入した。パスカルの激しい突きがベスを襲う!吉田 孝則さんの妹がベスの耳元で呟く。

 

「welcome to わんわんパラタイス。」

 

パスカルの後ろに吉田 孝則さんの妹が連れて来た犬達が順番待ちで並んでいる。パラタイスではない、地獄絵図である。

 

大輔「よし、撮影もしっかり撮れているな。山川組に連絡を入れようか。」

 

大輔は携帯電話を取りだし電話をかける。

 

大輔「あっ、もしもし?山川組の若頭?」

『ああ!?誰だてめえは!』

大輔「白鷲 大輔です。」

『ああ、キチガイの乞食か。』

大輔「…。(誰だよ…。僕の風評被害を言い回している奴は…。)ちょっと相談があってね。」

『ああ!?』

大輔「実はメシア教団の女の幹部を捕まえてね。風俗店に売り飛ばすんだけど高く買い取ってくれる所を紹介して欲しいんだ。」

『メシア教団とは関わるなってテメエの妹に言われていてな。お断りだ。』

大輔「その女が稼いだ金のマージンの6割を山川組に渡すよ。悪い話では無いだろ?」

『キチガイと仲良くする気はないんでな。2度とかけてくるな。』

 

ツー、ツー、ツー…。電話は一方的に切られてしまった。再度かけ直すが着信拒否をされている。

その間にパスカルの激しい突きはラストスパートをかけている。

 

パスカル「オレサマ ゲンカイ!メス タネヅケ!」ビュルビュルビュルビュル!

ベス「いや…。中で…。あああああああぁぁぁぁ!いやぁぁぁぁー!」

 

パスカルはベスの中に精液を出していく。10分位出し続けてパスカルは陰茎を引き抜く。ベスの陰部から大量の精液が溢れ出ている。

 

パスカル「オレサマ スコシ キュウケイ!ジュンバン マツ!」

 

パスカルは犬達が並んでいる最後尾に並んで座る。

 

ベス「ああああ…。この私が…。」

「休んでいる暇は無いわよ、さあ、空いたわよ。いらっしゃい。」

 

次の犬がベスの陰部に陰茎を挿入する。

 

ベス「いやぁぁぁぁ!」

大輔「ハハハ!良い様だね!」

ベス「し、白鷲 大輔…。こんな事をして…。メシア教団が…。」

大輔「君の姿はリアルタイムでメシア教団に動画を送っているから。」

ベス「え…。」

 

大輔の話を聞いて青ざめるベスを気にせず犬の激しい突きがベスを襲う!

 

ベス「いやぁぁぁぁ!もう止めてー!」

大輔「何を言っているんだい、まだ一周もしていないじゃないか。みんながスッキリするまでしっかりヤりなよ。」

 

犬達がベスを犯して一周した頃に空からホークに悪魔召喚プログラムで無理矢理言うことを聞かされていた悪魔達が空からやって来た。

 

モー・ジョホー「あっ!ベスいたー!」

ヴィーヴル「ホントだー!いたー!」

 

モー・ジョホーとヴィーヴルが空からベスを見下ろしている。

 

ベス「あ、貴女達、たすけて…。」

ヴィーヴル「ベス、すっぽんぽんで何してるの?」

ベス「いいからたすけて…。あああああああぁぁぁぁ!また私の中に!犬がぁぁぁぁ!」

モー・ジョホー「たすけて…。だって。どうする?」

ヴィーヴル「えー。何でー?」

大輔「君達は、ホークの契約した悪魔だよね?何をしに来たのだい?」

モー・ジョホー「あたち達、ホークとベスにいじめられていたから仕返しに来たのー。」

ヴィーヴル「ホークが警察に連れて行かれたからベスに仕返しするのー。」

ベス「貴女達…。何を言って…。あああああああぁぁぁぁ!また犬が私の中にぃぃぃぃ!いやぁぁぁぁ!」

 

大輔が悪魔達と話をしている間にもベスは犬に代わる代わる犯されている。

 

大輔「そうかい?じゃあ、ベスに仕返しするのなら僕の手伝いをしてくれるかな。」

モー・ジョホー「分かったー。」

ヴィーヴル「ベスをボコボコだー!」

ベス「貴女達!メシア教団に逆らう…。いやぁぁぁぁ、動かないでー!」

 

ベスは悪魔達に威嚇しようとするが犬の激しい突きでまともに喋れないでいる。その様子を遅れて来たネコマタがベスを見下ろして高笑いする。

 

ネコマタ「ヒャハハハハ!これは無様だねぇ。」

ベス「ネ、ネコマタ、私を助けな…。いやぁぁぁぁ!また中に出されて…。」

ネコマタ「犬と交尾しなから凄んでも説得力が皆無なんだよ。」

 

ネコマタはベスの腹を蹴りあげる!

 

ベス「ひぐっ…。」

大輔「君、駄目じゃないか!アザが出来るような攻撃をしたら!」

ネコマタ「この女、ベスはあたしもぶちのめしたかったからねえ。良いじゃないのさ、アザの1つや2つくらい。」

大輔「駄目だよ、傷をつけたら売り物にならないじゃないか!」

ネコマタ「そんだけ犬と交わったら使い物にならないじゃないのかい?」

大輔「まあ、気長に買い手を探すしかないね。」

 

大輔の話を聞いて青ざめるベスは悪魔達にわめき散らしながら助けを求める。

 

ベス「貴女達!私を助けなさい!メシア教団に逆らうつもりですか!」

ヴィーヴル「メシア教団なんかに従わないよーだ!」

モー・ジョホー「あたちも従わない!」

ネコマタ「そう言う事だよ。ベス、あんたは負けたんだ。諦めな。」

ベス「メシア教団に逆らうなら貴女達を排除する…。あああああああ!また中にぃぃぃ…。」

パスカル「ツギ オレサマ タネヅケ!」

 

パスカルがベスに3回目の種付けを始める!

 

ベス「いやぁぁぁぁ!もう止めてええぇぇ!」

大輔「ほら、頑張りなよ。全世界に配信するんだから。君達、デジカメでベスを撮影してインターネットで拡散してくれるかな?僕一人では時間がかかってね。」

モー・ジョホー「何でー?ベスを殺さないの?」

大輔「そうだね、彼女は社会的に死んでもらうんだ。こんな姿を全世界に晒されたら死んだ方がましだろ?」

ネコマタ「ハハハ!確かにそうだねえ、こんな姿を全世界に晒されたらこの女もメシア教団には居られないだろうしねえ。」

ヴィーヴル「よーし、撮影だぁ!」

 

ヴィーヴルはデジカメを受け取りベスを撮影していく!

 

モー・ジョホー「キャハハハハハ!拡散希望、拡散希望、キャハハハハハ!」

 

モー・ジョホーは大輔にノートパソコンを借りてヴィーヴルが撮った写真を取り込み無茶苦茶に拡散させていく!

 

ベス「や、止めて…。」

ヴィーヴル「撮影だぁ!」

 

ヴィーヴルはベスの恥体をデジカメで撮影していく。

 

モー・ジョホー「拡散希望、拡散希望、次はメシア教団に拡散だぁ!」

大輔「君、アドレスとか分かるのかい?」

モー・ジョホー「あたち達は悪魔召喚プログラムの中に閉じ込められた事あるからインターネットの中を覗けるの、だから分かるー!」

大輔「そ、そうなんだ…。」

モー・ジョホー「次は、個人の携帯電話に拡散希望だぁ!」

ベス「この悪魔…。いい加減に…。」

 

ベスが力を振り絞り犬を払い除けて立ち上がる。

 

大輔「へえ、立ち上がるんだ。無駄なのにね。」

ベス「こんな屈辱を…。よくも…。悪魔共め…。メシア教団が何処までも貴女達を追い詰めてやるわよ…。」

ネコマタ「メシア教団ねえ、今度はメシア教団をぶちのめすってのもありだね。あたしは強い相手と戦えたら誰でも良いからね。」

ベス「くっ…。ヴィーヴル!モー・ジョホー!貴女達は死にたくないでしょ?今からでも遅くないわよ。メシア教団に従いなさい!」

ヴィーヴル「やだよー!」

ベス「メシア教団の恐ろしさがまだ分かっていないようね。」

モー・ジョホー「ベスの言うことなんか聞くもんか!べー!」

ヴィーヴル「聞くもんか!」

モー・ジョホー「メシア教団があたち達をいじめに来てもイケてないメンズが助けに来てくれるもんねー!」

ヴィーヴル「イケてないメンズが助けに来るもんねー!」

ベス「この悪魔がー!」

大輔「鬱陶しいな、大人しく犬に犯されていたら良かったものを…。『ザンマ!』」

 

大輔はザンマを唱えた!

風の衝撃魔法がベスを吹き飛ばし屋上のフェンスに激突させる!

 

ベス「グハッ…。こんな魔法で…。」

大輔「そうだ、ベスだったかな?君、ステーキは好きかい?」

ベス「へ?何を?」

大輔「質問には1回で答えろよ!!『マハジオ!』」

 

大輔はマハジオを唱えた!

ベスが激突しているフェンスに無数の電撃が襲いかかる!

 

ベス「ギャアァァァァ!」

大輔「鉄板焼き屋のステーキの様に綺麗な網目が出来たね。」

 

ベスの背中にフェンスの網目模様の火傷が出来上がった。

 

ベス「私の背中が…。ああああああ…。よくも…。白鷲 大輔!刺し違えても…。」

大輔「パスカル!犯せ!」

パスカル「オレサマ タネヅケ!」

 

パスカルがベスに覆い被さり襲いかかる!

 

ベス「ヒィ!この犬!まだ私に…。いや…。」

大輔「パスカル、その女を孕ませるまでヤれ!」

ベス「白鷲 大輔、そもそも人間が犬の子を産むことは…。」

大輔「バカかお前は、悪魔と人間が交われば子を授かるんだよ。それを知っているから僕はパスカルをお前にけしかけているんだ。」

ベス「えっ?まさか…。そんな事が…。」

大輔「前にパスカルで実証済みだ。既に1度、僕の同級生だった女にけしかけて孕ませている。」

パスカル「アノトキノメス ナキワメイテイタ!オレサマ ハラマセタ!」

大輔「パスカル、この女も遠慮なくあの時と同じ様にしてやれ!」

パスカル「マカセロ!オマエ ハナシワカル!」

 

パスカルが再びベスの陰部に陰茎を挿入する!今まで以上の激しい突きがベスを襲う!

 

ベス「いや…。また私の中に…。いやぁぁぁぁ!悪魔の子供なんか…。いやぁぁぁぁ!」

 

ベスの叫びがこだまする!

 

大輔「この女はもう良いとして。君達、協力してくれてありがとうね。でも、次会うときは僕達は敵同士かも知れないからこれでお別れだ。」

ヴィーヴル「ベスをやっつけてくれてありがとう、バイバーイ!」

モー・ジョホー「バイバーイ!」

 

ヴィーヴルとモー・ジョホーは空を飛んで去って行った。

 

ネコマタ「ここまで相手に容赦しない人間は初めて見るね。あたしも帰らせてもらうよ。」

大輔「そうかい。」

 

ネコマタも去って行った。

 

「あの…。パスカルちゃんと交尾したら子供が出来るって…。」

大輔「本当だよ。昔、僕に偉そうな態度を取っていた女に偶然出会ってね。昔の恨みを込めて後日パスカルをけしかけたらちゃんと妊娠したんだ。僕も驚いたけどね。だから、興味本位でしない事をお奨めするよ。」

「凄い…。パスカルちゃんの子供が出来たらその子供とも交尾できるのね。ぜひお願いするわ。また、連絡します。」

大輔「僕は責任は取れないからね…。」

 

そう言って吉田 孝則さんの妹は連れて来た犬達を連れて帰って行った。

 

パスカル「オレサマ スッキリ!」

大輔「終わったか…。」

パスカル「タネヅケ カンリョウ!オレサマ モウデナイ!」

ベス「ぁぁぁぁ…。」

 

ベスは声も出せない状態でいる。

 

大輔「さて、この女は名古屋駅にでも捨てて置くか。汚いな、あまり触りたくないけど。『トラポート!』」

 

大輔はトラポートを唱えた!

ベスと共に名古屋駅にワープして倒れて動けないベスだけ残して戻ってきた。

 

大輔「さて、屋上の掃除をしないとね。それにしても派手にヤったよな…。」

 

ベスを社会的に倒した。



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決着!その後 前編

べリアル「白鷲 弓子!この魔王べリアルにここまで戦えた事をとりあえずは褒めてやろう!」

弓子「何を勝った気でいやがる、寝言を言ってるんじゃねえよ!」

 

弓子は最初はべリアルを押していたが圧倒的な魔力の差で体には無数の火傷を被い立っているのもやっとの状態である。

 

べリアル「まだ減らず口を聞けるか。逃げれば許してやっても良いのだぞ?」

弓子「逃げればだと?良いか?よく聞け、この白鷲 弓子様の辞書に撤退するって文字はねえんだよ!」

 

弓子は気力を振り絞りべリアルに向かって行く!

 

べリアル「白鷲 弓子、この魔王べリアルの最後に相応しい戦い相手だ…。立派に成ったアリスに姿を見ることが出来、最高の好敵手に出会えた。メシア教団には感謝だな…。白鷲 弓子、止めを刺してやる!」

 

べリアルも弓子に向かって行く!

 

弓子「勝つのはあたしだ!」

 

弓子の攻撃!

向かって来るべリアルに渾身のストレートを放つ!

べリアルの攻撃!

仕掛けてきた弓子に対してクロスカウンターを放つ!

二人の攻撃はお互いの頬をとらえるが弓子はべリアルに力負けして吹っ飛ぶ!が、弓子は倒れずに力強く地面を蹴りべリアルに向かって行く!

 

弓子「油断したな、喰らいな!」

 

弓子の攻撃!

攻撃して無防備の状態のべリアルにティオヨプチャギを放つ!

べリアルはまともに喰らいダウンした!

ダウンしたべリアルの体が少しずつ消えかかっている。

 

べリアル「じ、時間切れか…。」

 

体が透けていくべリアルに気づき弓子は攻撃の手を止める。

 

弓子「おい、どういう事だよ!」

べリアル「恐らく、メシア教団の男の悪魔召喚プログラムが破壊されたのだろう…。」

 

空間の歪みが現れてメルコムが出てきた。

 

メルコム「ホホホ、中島 朱美がホークを倒したのですよ。貴女達の勝利です。」

弓子「おい、ふざけた事を言ってるんじゃねえぞ。まだ決着はついていねえ。」

べリアル「私は悪魔合体で作られた悪魔、悪魔召喚プログラムが破壊されたら消滅する定め…。白鷲 弓子、お前の勝ちだ。」

弓子「勝手に消えるな!根性で立ち上がれ!」

メルコム「白鷲 弓子、無茶を言いますね。」

弓子「メルコム、べリアルを何とかして立ち上がらせろ。」

べリアル「白鷲 弓子、お前はどうか知らないが私は納得している。」

弓子「お前、洗脳は解けているな。納得しているだと?見え透いた嘘をつくな!まだやることが残っているだろうが!違うか!」

べリアル「しかし、もうじき消える運命だ…。」

弓子「メルコム、べリアルが消滅する時間を遅らせる事は出来るか?」

メルコム「それは、可能ですが…。戦う事は出来ないと思いますよ?」

弓子「じゃあ、今すぐやれ!」

べリアル「何をするつもりだ…。」

 

べリアルの体が更に透けていく。

 

メルコム「反魂香を使います。白鷲 弓子、ですが…。1時間も持ちませんよ?」

弓子「十分だ、直ぐにしてくれ。」

メルコム「分かりました。」

 

メルコムは反魂香を使った。

べリアルの体がくっきりと浮かび出てきた。

 

弓子「メルコム、すまんな。すまない次いでにアリスと会える様に手配してくれ。最後の依頼が残っている。」

メルコム「ホホホ、そう言う事ですか、分かりました。それではこちらをお渡しします。」

 

メルコムは弓子に『シャチホコエビフリャーズ 握手券』を2枚渡した。

 

弓子「握手券だぁ?」

メルコム「ええ、30分後です。時間厳守ですので遅れないようにお願いしますよ。後、彼女は貴女に返しておきます。しばらくしたら目を覚ますでしょう。」

弓子「おい…。」

 

弓子はメルコムから気絶しているティンクを受け取った。

 

メルコム「彼女、ずいぶん無茶をしたようですね。では、後程。」

 

メルコムは空間の歪みに入り去った。

 

べリアル「あの悪魔は…。」

弓子「さあな、喰えねえペテン師野郎だ。最後にアリスに会わせてやる。」

べリアル「この悪魔の姿は不味いな。」

 

べリアルは体を発して上下赤色のジャケットを着た人間の姿に変える。

 

べリアル「これでよし。」

弓子「アリスが言ってた赤おじさんか、何処で売ってるんだよそのジャケット。オーダーメイドか?」

べリアル「六本木のブティックだ。」

弓子「やっぱり東京はオシャレだな。」

 

弓子は赤おじさんを連れてライブ会場に向かう。

 

 

 

 

 

一方ライブ会場では…。

 

「遠い夜空にこだまする~♪

 竜の叫びを耳にして~♪

 名古屋ドームにつめかけた~♪

 僕らをジーンと震わせる~♪

 いいぞ、頑張れ!ドラゴンズ~♪

 燃えよドラゴンズ~♪」

 

アリスが不在の中、場を繋げる為にリリーが燃えよドラゴンズを歌っている。その間、中島達がライブ会場にいる新田の所に戻ってきた。

 

中島「新田君!」

新田「おお!中島氏!」

タダカツ「ライブはまだ終わっていないようですね。」

新田「お主達が戻って来たって事は…。」

ユキムラ「そう、この僕達が華麗にメシア教団を撃退したって事なのさ。」

新田「そうでありましたか。しかし、お主達の傷…。」

ユキムラ「心配要らないさ、この傷1つ1つもこのイケメンである僕の勲章になるのさ。」

タダカツ「新田殿、イケてないメンズが何か言ってますが気にしないで下さい。アリス殿もじきに会場入りするでしょうからライブに集中しましょう。」

新田「そうですな。」

ユキムラ「ちょっと!何がイケてないメンズだよ!」

ジャック「イケてないメンズ、静かにするんだぞ。ライブに集中するんだぞ。」

 

新田は中島達の姿を見て一安心する。

 

「虎はアギラオ 火だるまに~♪

 鯉は池ごと ブフダイン~♪

 夜空に輝く浜の星~♪

 マハジオダインで打ち落とせ~♪

 いいぞ、頑張れ!ドラゴンズ~♪

 燃えよドラゴンズ~♪」

 

「そ~らを飛び交うツバメ共~♪

 マハザンダインで吹き飛ばせ~♪

 最後に出てきた大男~♪

 マハムドダインで暗殺だ~♪

 いいぞ、頑張れ!ドラゴンズ~♪

 燃えよドラゴンズ~♪」

 

地元だからかリリーが唄う燃えよドラゴンズは意外と受けている。

 

「き~たの戦士も犬鷲も~♪

.し~しに大海、鷹に牛~♪

 どんなに強敵出てきても~♪

.メギドの炎で焼き尽くせ~♪

 いいぞ、頑張れ!ドラゴンズ~♪

 燃えよドラゴンズ~♪」

 

曲の途中でアリスが登場して会場の観客は応援にヒートアップする。

 

アリス「ぼ~くもあなたも願ってる~♪」

アリス「い~のる気持ちで願ってる~♪」

セイレン「そ~れは一言優勝だ~♪」

リリー「みんなで監督胴上げだ~♪」

『いいぞ、頑張れ!ドラゴンズ~♪

 燃えよドラゴンズ~♪

 頑張れ!頑張れ!ドラゴンズ~♪

 燃えよドラゴンズ~♪』

 

燃えよドラゴンズの曲が終りアリスがMCに入る。

 

アリス「みんな、今日はせっかく来てくれたのに最後だけの参加になってしまってごめんなさい。このお詫びは近いうちにするから楽しみにしていてね。それじゃあ、最後の曲をお願い!」

「OK、アリス!それじゃあ、デビュー曲でもあるノリの良いこのナンバーでいこうか。みんな、最後まで応援よろしく頼むぜ!」

 

DJのトークの後に伴奏が流れだす。

 

タダカツ「前回は遅れをとりましたが私のロマンスの舞を披露する時が来ましたね。」

新田「それではお主達、サビの合いの手はサンスネからロマンスで行きますぞ。」

ユキムラ「OK、分かったよ。このイケメンである僕について来たまえ。」

タダカツ「サン…スネ?」

ジャック「ヒーホー、基本の流れだぞ。」

タダカツ「なん…だと?」

 

中島達は曲もサビに入る時に新田からサイリウムを受け取りオタ芸を披露する。

 

新田「タダカツ氏、動きが遅れておりますぞ?」

ユキムラ「遅れておりますぞ?」

タダカツ「おの~れ~!徳川最強の男の異名を持つこの私が~!」

 

弓子が赤おじさんを連れてライブ会場に入り中島達の後ろにまわる。

 

弓子「この曲が終わったくらいに握手会が始まる。体はもつか?」

「ああ、大丈夫だ…。アリス…。これだけの人が応援してくれて…。」

 

ライブが終り握手券を持つ者だけが列を並んでいる。列の最後尾に弓子と赤おじさんが並ぶ。

 

中島「あれ?弓子さんが並んでいるんだな。」

新田「ななななな、なんですと?」

ジャック「ヒーホー、行ってみるぞ。」

 

中島達は弓子に気づいて近づいていく。

 

タダカツ「弓子、何故ここに並んでいるのです?」

弓子「ああ、これを持っているからな。」

 

弓子は中島達に握手券を見せる。

 

ユキムラ「弓子がなんで握手券を持っているんだい?」

ジャック「ヒーホー!弓子はアイドルなんてくだらねえとか言っていたぞ!」

新田「そ、そうですぞ!だから、我が輩が白鷲女氏の代わりに握手をするでありますぞ!」

弓子「うるせえぞテメエ等!最後の依頼なんだよ!」

中島「依頼?それより弓子さん…。その火傷…。」

 

中島は弓子の火傷の痕に気づく。

 

弓子「なーかーじーまー!テメエがあんなすき家のカス野郎ごときにちんたら戦っていたからだろうが!ええ!」

 

すき家ではない、メシアである。

 

弓子「だいだい愚図のお前がこの白鷲 弓子様を心配しようだなんて50年早いんだよ!」

中島「50年も経ったら僕はお爺ちゃんになってしまうんだな。」

弓子「口答えするな!」

 

弓子は口答えする中島を蹴り倒す!

 

中島「い、痛い…。僕は、一生懸命頑張ったのに弓子さんは酷いんだな…。」

弓子「いちいち泣くな鬱陶しい!そうだ中島、あたしはもう少ししたら戻るからお前らは先に帰っていろ。」

タダカツ(弓子、皆に気を使わせない様にわざと元気なふりをしているのですね…。)

 

中島「少し位なら僕達は待っているんだな。」

タダカツ「中島殿、弓子の言う通り我々は先に帰りましょう。」

ユキムラ「えっ?」

タダカツ「祝勝会の準備があります。新田殿も是非参加して下さい。」

新田「我が輩も参加してもよろしいのですか?」

タダカツ「ええ、新田殿には色々と助けていただきました。おもてなしをするのは当然の事です。」

ユキムラ「そうだね、僕達は華麗に事務所に帰ろうじゃないか。」

中島「うん。弓子さん、僕達は先に帰っているんだな。」

弓子「祝勝会か。お前ら、あたしが帰って来るまでしっかり準備をしておけよ。」

新田「デュフフ、白鷲女氏は相変わらずでございますな。」

弓子「新田、お前こそ相変わらず気色悪い笑い方だな。まあ、今回は色々と助かった。ありがとうな。」

新田「我が輩こそ、お役に立てて何よりですぞ。」

 

中島達は先に事務所に帰ることにした。

 

「白鷲 弓子、良い仲魔だな。」

弓子「まあな。」

 

握手会の列は徐々に捌けていき最後の弓子の番になった。

 

リリー「げっ…。あの女…。」

セイレン「白鷲 弓子…。なんで…。」

弓子「なんだテメエ等、あたしに文句があるなら今ここでぶっ飛ばしても良いんだぞ、ええ!」

 

弓子は二人を黙らせてアリスの前に立つ。

 

弓子「アリス、無事に依頼は完了した。感謝するんだな。」

 

弓子はアリスに握手をして一言いった。次に赤おじさんがアリスの前に立つ。

 

リリー「うわっ…。センス悪っ…。」

アリス「おじさん…。」

「アリス…。立派になったな…。」

アリス「うん…。」

「最後にこうして会えて良かった…。」

アリス「えっ?最後って?」

「私の体はもうじき消える。白鷲 弓子が私の命を延命させてくれた。」

弓子「やったのはあたしじゃなくてメルコムのペテン師野郎だがな。では、あたしは帰るか。」

 

弓子は後ろで呟き帰っていった。

 

「皆さん、私のアリスの事をこれからもよろしくお願いします。」

アリス「いや!おじさん!逝かないで!」

 

赤おじさんは消えていった。

 

アリス「おじさん…。」

セイレン「消えた…。」

アリス「おじさん…。」

セイレン「大事な人?」

アリス「うん…。私の育ててくれた人…。」

リリー「それにしてもあの赤のジャケットはいただけないわね。アリス、親戚ならちゃんとセンスが悪いって言ってあげた方が良いわよ。私だったらあんなのと町を歩けないわ。」

 

空気の読めない発言である。

 

セイレン「アリス…。マハムドダインを使って…。流石に今のはだめ…。」

アリス「それには及ばないわ。リリー。あんた、1回マジで…。死んでくれる?」

 

アリスはリリーの首を締め付ける。

 

リリー「プロ野球チップス分けてあげるから許して…。苦しい…。」

アリス「死んでくれる?」

リリー「山本 昌のカードもつけるから…。セイレン、助けて…。」

セイレン「1度、痛い目に会えばいい…。」

 

何はともあれメシア教団の事件は無事に解決した。



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決着!その後 後編

弓子が事務所に戻る途中で魔力を使い果たして眠っていたティンクが目を覚ました。

 

ティンク「あ、あれ?私…。」

弓子「ようチビ、目を覚ましたか。」

ティンク「あれ?弓子?何で?」

弓子「メルコムからテメエを預かっていたんだよ。それより、そうとう無茶したんだな。」

ティンク「えっ…。メルコム?」

弓子「ああ、詐欺師まがいのペテン師野郎だがそこまで悪い奴じゃねえ。長い付き合いになるだろうからそう邪険にするな。帰るぞ、事務所で祝勝会だとよ。」

ティンク「祝勝会、事務所で?」

弓子「ああ、今頃タダカツが料理でも作っているんじゃないか?」

ティンク「えっ…。それはまずいね。早く帰ろう。」

弓子「早くって行ってもお前、力使い果たして飛べねえだろうが。あたしも疲れているんだよ。急かしているんじゃねえよ。」

ティンク「だってタダカツに料理任せたら絶対に味噌味の何かになるじゃない。『ディアラマ!』ほら弓子、走って帰るよ。」

弓子「別に美味かったら何でも良いじゃねえか。ったく、しゃあねえな。チビ、走るから振り落とされるなよ?」

 

弓子は渋々走って事務所に戻った。

 

弓子が事務所のビルに戻ると宅配ピザ屋の配達員に出くわす。

 

「えっと、白鷲探偵事務所の方?」

弓子「ああ、そうだが。」

「ピザの配達でお届けに来ました。」

弓子「5枚か、えらい量だな。いくらだ?」

「いえ、御代は少し前に来店された方に頂いていますのでサインだけお願いします。」

弓子「金は払っているだぁ?まあいいか。」

 

弓子は言われるままにサインをする。

 

「ありがとうございます、えっと、白鷲 弓子さん?」

弓子「ああ、そうだが。」

「来店された方からこちらを預かっておりますのでお渡しします。では、ありがとうございました。」

 

弓子はピザと手紙を受けとり事務所に入る。

 

弓子「今戻ったぞ。」

中島「あっ、弓子さん。お帰りなんだな。」

大輔「弓子、遅かったね。そのピザは?凄い量だね。」

弓子「知らねえよ。帰りに渡されたんだよ。代金はもらっているからってな。」

大輔「代金はもらっている?」

弓子「ああ。この手紙と一緒にな。」

中島「手紙?もしかして…。」

ティンク「うん、たぶんメルコムだよ…。」

大輔「まあ、タダで貰える物は病気以外大歓迎だよ。」

 

弓子は手紙を開けて読み始める。

 

 

 

 

親愛なる白鷲 弓子様及び仲魔の皆様へ

 

今回は私の急な依頼を受けて頂きありがとうございました。

さて、このあと祝勝会との事ですのでささやかながらこちらのピザをお贈りします。パーティにピザはかかせません。ピザのないパーティなど悪魔召喚プログラムのないメシア教団のデビルサマナーの様なもの、存在する価値の無いものです。では、今日はそのピザを食して鋭気を養ってお互い元気な姿でまたお会いしましょう。

 

堕天使メルコムより

 

P.S 私はペテン師でも詐欺師でもありません。ビジネスマンです!白鷲 弓子、覚えておいてください。

 

 

 

ティンク「やっぱり…。」

弓子「どういう事だよチビ。」

ティンク「うん、アスラ組のバロールを中島が倒した時に…。」

ユキムラ「ちょっと、バロールを倒したのはイケメンであるこの僕だよ!」

ティンク「うん、そこは今どうでもいい。それでバロールを倒した後に事務所に戻った時にひつまぶしを貰って…。」

弓子「ひつまぶしを…。あっ!思い出した!あの時か!」

中島「そうだった、あの時もメルコムは僕達を助けてくれて…。」

大輔「ふーん、どちらにしてもタダで貰える物は大歓迎だよ特にピザだしね。弓子、早くそのピザをテーブルに置いてくれるかい?冷めない内に食べようよ。」

 

弓子は言われるままにピザをテーブルに並べていく。

 

タダカツ「皆さん、料理が…。って、弓子?それは?」

弓子「ああ、メルコムの野郎から差し入れだ。タダカツ、何を作ったんだ?」

タダカツ「ええ、おにぎりに味噌おでんにそれから揚げ物を…。」

大輔「ピザに和食は合わないね、悪いけど揚げ物だけテーブルに置いてくれるかい?後は冷蔵庫に入れて明日にしようか。」

タダカツ「いや…。私が丹精込めて作ったので…。それにせっかくいい日本酒を購入出来たのでピザに日本酒は合わないかと…。」

大輔「お酒なら僕がこの前に懸賞で当てたビールを飲んで良いから早くピザを食べようよ。」

タダカツ「いや…。しかし…。」

大輔「僕は早くピザを食べたいんだよ!おでんは明日にしようって言ってるんだよ!」

弓子「キレるなよ兄貴。タダカツ、兄貴はピザが死ぬほど好きでな。すまんが今日作ったやつは明日にしてくれ。」

タダカツ「…。分かりました…。」

大輔「分かったら直ぐに席につけよ!ピザが冷めてしまうじゃないか!それでジャック君と新田君は何処に行ったんだよ!」

ユキムラ「ジャックは新田君と部屋で何かしていたよ。」

大輔「後にしろよ!!ピザが冷めてしまうじゃないか!!ユキムラ君!二人を今すぐ呼んで席につかせろよ!」

 

ユキムラは理不尽に大輔にキレられジャック達を呼びに行かされた。

 

中島「お、お兄さん、落ち着いて欲しいんだな…。」

大輔「中島君、君こそよく落ち着いて居られるな?ピザだぞ!しかも5枚だぞ!

早くみんなの飲み物でも用意しないか。」

中島「ご、ごめんなんだな。」

 

中島は言われるままに飲み物を用意する。

 

ティンク「いい加減にしなよ。そんなに早く食べたいなら一人で先に食べたら良いじゃない!」

大輔「何!?僕が悪いのか!!何が一人でだ!僕はみんなで揃って大好きなピザが食べたいんだ!!」

 

大輔の意外な言葉に皆が顔を見合わせ少し微笑む。

 

弓子「あー、兄貴。悪かったな。」

ティンク「私もごめん…。」

タダカツ「私が間違っていました…。おでんとおにぎりは明日にしましょう…。」

大輔「なんだい…。みんな急に態度を変えて…。」

 

ユキムラがタイミングよくジャック達を連れて事務所に戻って来た。

 

新田「中島氏、白鷲女氏、我が輩も参加させて頂き…」

弓子「新田、ごたくは良いからさっさと座れ。」

ユキムラ「弓子、お客様に対して失礼だよ。新田君、このイケメンである僕に免じて弓子の無礼を許してくれたまえ。」

タダカツ「イケてないメンズもごたくはよろしいので座って下さい。」

ユキムラ「なっ、ちょっと!みんなはこのイケメンである僕に対して敬意が足りなすぎる!僕はお兄さんに言われてジャック達を呼びに行ったんだよ!お兄さんもタダカツと弓子に何か言ってくれたまえ!このイケメンである僕に敬意を持つようにと!」

大輔「良いから早く座りなよ。」

ユキムラ「なっ!」

中島「ユキムラ、お兄さんは今日みんなで集まれる日を楽しみにしていたんだな。だから、席に座っていただきますをするんだな。」

大輔「な、中島君?僕はそんな事は一言も…。」

弓子「ハハハ!兄貴、みんなで大好きなピザを食べたいんだったよな?中島に1本取られたな。ハハハ!そう言うことだからユキムラ、早く座りな。」

ユキムラ「ハハハ、要するに主役の僕が居ないとパーティが始まらないって事だね。」

大輔「もうそれでいいから早く食べようよ。」

 

皆が席に座ってピザを食べ始めた。

 

弓子「メルコムの奴、ペテン師の癖に気が利くよな。」

ティンク「弓子、何処で聞いているか分からないから余りメルコムの悪口言わない方が良いよ。」

ジャック「メルコムは意外とそう言うの気にするからな。」

ユキムラ「前回も手紙で私はケチではありませんって書いてあったからね。」

弓子「確かに手紙には詐欺師ではありませんって書いてあったな。どう見てもペテン師野郎だのにな。」

新田「もしかしたら、そのメルコムとか言う悪魔、エゴサーチとかしているかもしれませんな。」

タダカツ「エゴサーチ?」

新田「エゴサーチとはインターネットなどで自分の悪口などが書かれていないのかを調べる事でありますな。」

タダカツ「そうですか、興味深いですね。弓子、1度イケメンおもてなし武将隊真田 ユキムラでエゴサーチをしてみてくれますか?」

ユキムラ「ちょ!ちょっと!何で僕で試すんだよ!自分の名前でしたらいいじゃないか!あれ、結構傷つくんだぞ。」

タダカツ「ええ、私は傷つきたくないのでユキムラで試すのですよ。」

弓子「って言うかユキムラ、したことあるのかよ、エゴサーチ。」

ユキムラ「あるよ!したらユキムラにはファンが居ないとか、名古屋には関係無いからどっかに行けとか、いっぱい書かれていたよ!それで僕はどれだけ傷ついたか…。」

ティンク「確かに名古屋には関係無い。真田は長野県だもんね。」

タダカツ「凄くピンポイントで悪口が書かれるのですね…。恐ろしいですね。」

ジャック「オイラ、タダカツがなに書かれているか気になるぞ。弓子、エゴサーチしてみて欲しいぞ。」

タダカツ「止めて下さい!私は傷つきたくありません!」

 

皆が楽しく談笑している。

 

大輔「久しぶりだな、この騒がしい感じ…。」

中島「うう…。」ポロポロ

大輔「中島君?どうしたんだい?いったい何を泣いているんだい?」

中島「うう…。良かった…。ぼ、僕が…弱いから…。ユキムラもジャックもティンクも傷ついてしまって…。でも…。また、みんなで一緒に居れて…。ぼ、僕は…。嬉しくて…。」ポロポロ

 

弓子は軽く溜め息を吐く。

 

弓子「なーかーじーまー、毎回毎回いちいち泣いているんじゃねえぞ!嬉しい時は笑え!」

中島「でも…。弓子さんも傷ついたのに…。」

弓子「ああ!?中島、この白鷲 弓子様を気遣うとは100年早いんだよ!いつからそんなに偉くなったんだテメエ!」

中島「でも、100年もたったら僕は死んじゃっているだな。」

弓子「口答えするな!」

 

弓子は中島を立たせてけつをおもいっきり蹴りあげる。

 

中島「い…痛い…。僕は何もしていないのに…。」

大輔「弓子、止めないか!」

弓子「ああ!?こいつがいつも口答えするからだろうが。」

大輔「確かに、中島君は屁理屈が多いけど…。暴力は駄目だよ。中島君、いつも弓子がごめん。」

中島「いつもの事なんだな…。でも、痛い…。」

 

しばらくして事務所のドアが開き客が来た。

 

三蔵「邪魔するでぇ。」

弓子「なんだよ。今は食事中だから今度にしろ、帰れよ。」

三蔵「じゃあ、帰ろかー。って、何でやねん!ウチ等は用事があって来たんや。いきなり帰ってどないすんねん!」

弓子「知らねえよ、面倒くせえな。」

デスメル「白鷲さん、いきなりでごめん。ちょっとメシア教団の事で来たんだ。」

タダカツ「デスメルさん、ちょうどメシア教団を倒したので祝勝会の最中だったのです。さあ、座って下さい。」

ティンク「デスメルさん、ゆっくりしていってね。」

大輔「ピザもまだたくさんあるから食べていきなよ。」

デスメル「あ、ありがとう。」

 

デスメルは皆に歓迎されて席に座る。

 

八戒「ちょう待てや!ワイ等と扱いが全然ちゃうやんけ!」

悟空「お前ら、俺様達を怒らせたらどうなるか分かってないようやな。三蔵!たれぞうを召喚して糞まみれにしてパーティ台無しにしてやれ!」

三蔵「お前は何をウチに命令しとんねん!それにしてもウチ等に雑魚の相手させて美味しい所を独り占めしやがって、白鷲 弓子!ウチ等が戦う予定やったメシア教団の幹部のアレフとヒロコは何処に隠したんや!」

弓子「知らねえよ、あたし等が倒したのはホークとか言うカス野郎だよ。」

デスメル「白鷲さん、アレフとヒロコには会っていないのかい?」

大輔「デスメル君、その事については後で説明するよ。」

デスメル「お兄さん?何か知っているのですか?」

大輔「うん、ちょっとね。余り表沙汰にしないで欲しいんだ、約束できるならちゃんと話す。」

三蔵「そんなんでウチ等が納得できると思ってんのか薄っぺらい笑顔の兄ちゃん。」

大輔「すまないがデビルサマナーの君に彼等の事を教える訳にはいかない。」

中島「お兄さん?アレフとヒロコって人は、もしかして…。」

大輔「中島君、今は君にも彼等の事を教える訳に

はいかない。分かってくれ。」

三蔵「教える気は無いんやな。しゃあないな。こいつに聞くか。召喚!かぼちゃ丸!出てこいやー!」

弓子「悪魔召喚だと!?お前ら!来るぞ!構えろ!」

 

三蔵は左手に持つ数珠を掲げて悪魔を召喚した!

 

???「ヒーホー!オイラは偉大なる悪魔…。」

三蔵「ついさっきウチが仲魔にしたかぼちゃ丸や。」

「ヒーホー!オイラはジャックランタンだホ!」

三蔵「お前の名前は今日からかぼちゃ丸や!さっき言うたやろ!」

ティンク「か、かぼちゃ丸…。」

 

ジャックランタンが現れた。

 

ジャック「兄弟?」

「ヒ、ヒーホー、兄弟。」

中島「ジャックランタン君?どうして君が?」

三蔵「ああ、かぼちゃ丸はな、メシア教団から抜けて野良悪魔になった所を捕まえてな、イングランドに帰るとかごちゃごちゃ抜かしてたけどウチが仲魔にしたんや。」

「オイラは嫌だと言ってるのに無理矢理…。」

八戒「かぼちゃ丸、お前ちゃんといいともーって言ったやろ。」

「言わされただけだホ…。オイラの人生騙されてばっかりだホ…。」

三蔵「かぼちゃ丸、とりあえずアレフは何処に居るねん。教えろや。」

「アレフなんて奴知らないホ。」

ユキムラ「アレフ、そう言えば…あの子達が言っていたな。」

三蔵「なんや男前、知ってるんか?」

ユキムラ「イケメンである僕の…」

大輔「ユキムラ君!駄目だ!悪いけど彼等については教えられない。これ以上詮索するなら君達と戦う事になるけど、いいのかな?」

三蔵「なんや、兄ちゃん。頭数が多いからからってウチ等に勝った気でおるみたいやけど、疲労困憊のお前等に負ける訳ないやろ。」

悟空「三蔵、殺ってまうか?俺様はいつでもいけるで。」

弓子「デスメル、コイツ等とはいつでも連絡は取れるのか?」

デスメル「佐野警部が連絡先を知っているから…。」

弓子「そうか、じゃあ後日コイツ等にアレフ達の情報を教えてやってくれ。お前等も今日の所はそれで手を引いてくれ。」

三蔵「白鷲 弓子、そんなんでウチ等が納得すると思ってんのか?」

弓子「頼む。」

 

弓子は席を立ち三蔵達に頭を下げる。

 

三蔵「頭下げられた位で…」

八戒「あの白鷲 弓子が頭下げてんやから今日は手を引いといたるわ。」

三蔵「八戒!お前、何を勝手に…。」

八戒「千枝ちゃん、かぼちゃ丸を仲魔にする時約束したやろ。かぼちゃ丸の兄弟とは戦えへんって。」

悟空「かぼちゃ丸の兄弟ってどいつや?」

ジャック「ヒーホー!」

悟空「雪だるま、お前かいな。姿形がちゃうやんけ!かぼちゃ丸!コイツがお前の兄弟か!」

「そ、そうだホ…。オイラ、兄弟や中島達にイングランドに帰るって言ったばかりだからばつが悪いホ…。」

 

 

中島「ジャックランタン君?君はどうして?」

「中島、オイラ、イングランドに帰る途中に…。」

三蔵「ウチ等が名古屋テレビ塔に着いた時にコイツに出くわしてな、仲魔にしたんや。そう言う事やから中島 朱美、これからも何かと付き合いがあるやろうからそんときはかぼちゃ丸共々またよろしく頼むわ。」

中島「あ、うん。」

三蔵「なんや、気のない返事やな。まあええわ。デスメルの兄ちゃん、なんか分かったら教えてな。」

悟空「おい、ええんか。俺様達のバイト代はどうなんねん。」

八戒「デスメルの兄ちゃん、ワイ等はもう帰るけどその件も佐野のおっさんの言っといてくれや。頼んだで。」

デスメル「あ、うん。」

弓子「すまねえな、無駄足させて。」

三蔵「ホンマやで、とりあえずウチ等は帰るわ。何してるねんかぼちゃ丸、帰るで。」

「ヒホ?オイラ、もう少しゆっくりしたいホ。」

三蔵「また、遊びに来たらええやんけ!」

「良いのかホ?」

ジャック「兄弟が武井の姉ちゃん達の仲魔になったんならオイラ、安心だぞ。」

ティンク「そうだね。三蔵さん達なら安心だね。」

中島「うん。良かったんだな。本当に、良かったんだな。」

「ヒホ?そうなのかホ?」

三蔵「かぼちゃ丸、帰るで!今日はお前の歓迎会なんや。」

「ヒーホー!オイラ、歓迎されるのか?」

八戒「何を言うとるねんかぼちゃ丸、ワイ等は仲魔や。当たり前やんけ。これからたこ焼きパーティーや。」

悟空「あんまりカシマさん待たしたら足を引き千切られるからな。急いで帰るで。」

 

三蔵達は帰って行った。

 

 

弓子「毎度毎度騒がしい奴らだぜ。」

大輔「弓子、勝手な約束をしないでくれ。アレフとヒロコとは戦わす訳にはいかないんだ。それなのに情報を教えるだなんて言って…。」

デスメル「戦わす訳にはいかない?どういう事ですか?」

大輔「それはだね…」

タダカツ「お兄さん、相手の居場所が分かるなら今度はこちらから奇襲をかけるべきです。」

大輔「だから、戦わないで良いんだよ。」

弓子「兄貴、どういう事だよ。」

大輔「もう良いじゃないか。」

ティンク「もしかして…。お兄さん、その二人からお金をもらったの?」

大輔「そ、そんな訳ないじゃないか。ほ、ほら、せっかくのピザが冷めるから早く食べないと。」

弓子「兄貴、まじでふざけるなよ。だいたいメシア教団が来たのも…。」

大輔「とにかく!アレフとヒロコとは戦わないていい!彼等はメシア教団を抜け出したんだ。詳しい事は後日話す。みんないいね!」

 

大輔は強引に話を終わらせた。

 

中島「ぼ、僕は戦わないで良いならそれに越したことはないからそれで良いんだな。」

新田「そうですな、平和が一番でありますぞ。」

タダカツ「中島殿、平和であっても鍛練は怠ってはいけません。錬気の剣を振れても技術がないと駄目ですね。これからは剣術を身に付けていきましょう。」

中島「え、また特訓?」

弓子「そうだな。中島、先ずはブクブク太った身体を引き締める為に地球を三週走ってこい。」

中島「でも弓子さん、地球には海があるから途中までしか走れないんだな。

弓子「口答え、するなー!」

 

弓子は中島のけつをおもいっきり蹴りあげる。

 

中島「い、痛い…。」

 

 

 

この世には悪魔と呼ばれる存在が実在し、時には人々を脅かす。

もしも、君にそんな時が訪れたとしたらこの白鷲探偵事務所を訪れると良い。

心強き女探偵、白鷲 弓子と心優しきデビルサマナー中島 朱美と彼を助ける仲魔達がきっと力になってくれるであろう。

 

「中島、依頼がきた。行くぞ。」

「ヒーホー!弓子、頑張れよ。」

「テメエも来るんだよクソダルマが!」弓子「毎度毎度騒がしい奴らだぜ。」

大輔「弓子、勝手な約束をしないでくれ。アレフとヒロコとは戦わす訳にはいかないんだ。それなのに情報を教えるだなんて言って…。」

デスメル「戦わす訳にはいかない?どういう事ですか?」

大輔「それはだね…」

タダカツ「お兄さん、相手の居場所が分かるなら今度はこちらから奇襲をかけるべきです。」

大輔「だから、戦わないで良いんだよ。」

弓子「兄貴、どういう事だよ。」

大輔「もう良いじゃないか。」

ティンク「もしかして…。お兄さん、その二人からお金をもらったの?」

大輔「そ、そんな訳ないじゃないか。ほ、ほら、せっかくのピザが冷めるから早く食べないと。」

弓子「兄貴、まじでふざけるなよ。だいたいメシア教団が来たのも…。」

大輔「とにかく!アレフとヒロコとは戦わないていい!彼等はメシア教団を抜け出したんだ。詳しい事は後日話す。みんないいね!」

 

大輔は強引に話を終わらせた。

 

中島「ぼ、僕は戦わないで良いならそれに越したことはないからそれで良いんだな。」

新田「そうですな、平和が一番でありますぞ。」

タダカツ「中島殿、平和であっても鍛練は怠ってはいけません。錬気の剣を振れても技術がないと駄目ですね。これからは剣術を身に付けていきましょう。」

中島「え、また特訓?」

弓子「そうだな。中島、先ずはブクブク太った身体を引き締める為に地球を三週走ってこい。」

中島「でも弓子さん、地球には海があるから途中までしか走れないんだな。

弓子「口答え、するなー!」

 

弓子は中島のけつをおもいっきり蹴りあげる。

 

中島「い、痛い…。」

 

 

 

 

 

 




この世には悪魔と呼ばれる存在が実在し、時には人々を脅かす。
もしも、君にそんな時が訪れたとしたらこの白鷲探偵事務所を訪れると良い。
心強き女探偵、白鷲 弓子と心優しきデビルサマナー中島 朱美と彼を助ける仲魔達がきっと力になってくれるであろう。

「中島、依頼がきた。行くぞ。」
「ヒーホー!弓子、頑張れよ。」
「テメエも来るんだよクソダルマが!」



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イケメンVSナンパ師 前編

メシア教団の騒動が落ち着き白鷲探偵事務所に来客が訪れた。

 

弓子「なんだ?テメエは確か…。」

ノブナガ「私服じゃ分からないか。イケメン武将隊の織田 ノブナガだ。」

弓子「珍しいな。ユキムラのバカがまた何かやらかしたのか?」

ユキムラ「ちょっと弓子、イケメンである僕に対してあんまりじゃないか!」

弓子「こうやってノブナガがわざわざ来たって事はテメエか何かやらかしたからだろうが!」

ノブナガ「いや、やらかしているのは何時もだからそうじゃねえ。」

ユキムラ「ちょっと、ノブナガさんまで…酷い…。」

 

ユキムラはこれを気に普段の行いを改めるべきである。ノブナガを応接間に通す。

 

ノブナガ「冗談はこれぐらいにして実は頼みがあってな。」

弓子「依頼か?」

大輔「弓子、お客様かい?」

 

大輔が応接間に入って来た。

 

大輔「初めまして。白鷲探偵事務所、白鷲 大輔です。」

ノブナガ「白鷲 大輔…。イケメン武将隊の織田 ノブナガです。」

 

ノブナガは大輔から名刺を受け取る。

 

弓子「あたしの兄貴だ。」

ノブナガ「兄妹なのに性格が全然違うのだな。」

弓子「おいおい、あたしをこんな守銭奴のクズと一緒にするなよ。」

ノブナガ「実の兄貴にクズって…。流石に言い過ぎだろうが…。」

大輔「弓子、色々な所で僕の事を悪く言うな。所で…。」

 

大輔が依頼内容について聞こうとした時に中島とティンクが外から帰って来た。

 

大輔「ちょうどうちの探偵、中島君も戻って来たから彼にも聞いてもらおう。中島君、帰って来て早々で悪いけどちょっと来てくれるかい?」

 

中島達は言われるままに応接間に入る。

 

ティンク「あれ?ノブナガさん?」

ノブナガ「よう、久しぶりだな。お二人さん。」

大輔「どうやら中島君達の事も知っているんだね。」

 

大輔はノブナガに対して警戒をするがノブナガは気にせず本題に入る。ティンクは奥の台所に向かった。

 

ノブナガ「実は調べて欲しいここにがあってな。」

大輔「ちょっと待て、ユキムラ君は同じ職場だから構わないが中島君とはどういう関係だ。」

ノブナガ「アスラ組の件でそっちのデブの探偵に助けてもらった。まあ、そちらの都合は分かっているつもりだ。」

大輔「まあいい、で?調べて欲しい事っていうのは?」

ノブナガ「ああ。最近、俺達武将隊の方に多数の女性達からナルシストの男からしつこくナンパされて困っているって苦情が相次いでいてな。」

大輔「…。ユキムラ君が迷惑をかけてしまって申し訳ない!ほら、弓子も中島君も頭を下げるんだ!早く!」

 

大輔はすかさず土下座をし謝った。

 

ユキムラ「ちょっと!お兄さん!どういう事だい!このイケメンである僕がナンパをしたら女の子達はみんな喜ぶに決まっているじゃないか!犯人は僕じゃないよ!」

弓子「ユキムラ!テメエ以外に誰がいるっていうんだ!」

ノブナガ「いや、俺達もユキムラが犯人だと思っていたのだが…。ユキムラが仕事の日にまでクレームが来てな。」

弓子「嫌がる女にしつこくナンパなんてするバカがユキムラ以外にもいるのかよ。」

ユキムラ「だから僕じゃないよ!」

ティンク「ユキムラの日頃の行いが悪いから疑われるのだよ。それより弓子、お客さんが来たらお茶を出さないと駄目じゃない。ノブナガさん、お茶が遅くなってごめんね。」

ノブナガ「おっ?緑茶か、悪いな。」

 

ティンクが飛んで来てノブナガにお茶を差し出す。

 

弓子「チビ、あたしの分を出さないとはどういうつもりだ?」

ティンク「私の身体じゃ1つしか持てないの!文句言うなら自分で入れなよ。」

弓子「テメエ、白鷲 弓子様に対してなんて口の聞き方だ。」

大輔「弓子、止めないか。ティンクちゃん、ありがとう。僕達の分は良いから大丈夫だよ。」

 

そう言われてティンクは中島の胸ポケットに入る。

 

大輔「話が脱線してしまったね。えっと、ノブナガ君。こちらの事情を知っているなら分かると思うけど…。」

ノブナガ「悪魔専門の探偵だったよな。」

大輔「だから、来てくれて悪いけどただの人探しなら他をあたってもらった方が…」

ノブナガ「俺達のスポンサーからもここで頼めって言われていてな。」

大輔「スポンサー?」

ノブナガ「依頼を受けない様なら名前を出したら良いからって。依頼の代金は振り込まれていると思うぜ。」

弓子「スポンサー?いったい誰だよ。」

ノブナガ「名前はルイ サイファーだ。何をしている人か知らないがな。」

弓子「げっ!よりによってあの市長かよ。あいつ苦手なんだよな。」

 

PiPiPiPiPiPi大輔の携帯電話が鳴り響く。

 

大輔「ちょっと失礼。もしもし?」

ルイ サイファー『もしもし?依頼の話は聞いてもらったかな?』

大輔「市長さん、ただの人探しなら警察にでも頼まれた方が…。」

ルイ サイファー『しばらく見ない間に君は何時から仕事を選べる程偉くなったのかね?教えてもらいたいね?』

大輔「いや、その…」

ルイ サイファー『わざわざ君の様なサイコパスに依頼している意味を理解してもらいたいね。』

大輔「悪魔が関わっていると…。」

ルイ サイファー『それを調べるのも探偵の仕事じゃないのかね?それではよろしく頼むよ?』ガチャ

 

電話は一方的に切られてしまった。

 

弓子「兄貴、なんて言っていた?」

大輔「直ぐに調査をしろと市長さんからだ…。」

ユキムラ「お兄さん、女の子を困らせている奴を捕まえたら良いのだね?この僕に任せてくれたまえ。」

ノブナガ「おいユキムラ、探偵の仕事の邪魔をするな。」

ユキムラ「ハハハ、ノブナガさん、女の子達を助けるのはこの僕の仕事に決まっているじゃないか!」

ティンク「ユキムラ、おとなしくしていなよ。」

ユキムラ「ハハハ、女の子達が困っているのにおとなしくなんてしていられないね。どうしてかって?そんなの答えは簡単さぁ。それはこの僕がイケメンだからさ。そう言うわけで行ってくるよ。アデュー!」

 

そう言ってユキムラは事務所を飛び出して行った。

 

弓子「中島!とっととユキムラのバカを追え!」

中島「えっ?僕が行くの?」

弓子「テメエ以外に誰が居るんだ!」

中島「弓子さんの方が足が速いから弓子さんが行った方が速いと思うんだな。」

ティンク「中島、行こう?ユキムラがトラブルを増やす前にさ。」

中島「わ、分かったんだな。」

大輔「中島君、ちょっと待って!」

 

中島が出ようした時、大輔に呼び止められる。

 

大輔「中島君にこれを渡しておくよ。」

中島「これ…。」

大輔「中島君の名刺だよ、中島君は運転免許を持って居ないからこれを身分証の代わりするといいよ。」

中島「うう…。名刺…初めてもらったんだな…。僕…今まで何処の会社で働いても直ぐにクビになっちゃうから…。僕の名前が書いてる…。」

 

中島は感動して泣き出した。

 

弓子「なーかーじーまー!いちいち下らない事で泣くな!」

 

弓子は中島の名刺を一枚奪い取り中島を恫喝する。

 

中島「でも…僕…嬉しくて…。」

弓子「良いから早くユキムラのバカを追え!あたしに蹴り飛ばされたいのか!」

中島「い、行ってくるんだな…。」

ティンク「中島、私も行くよ。」

 

中島達はユキムラを追いかける為に事務所を出た。

 

ノブナガ「ユキムラのバカが迷惑かけてすまない。」

弓子「いつもの事だ。」

大輔「それより…。」

ノブナガ「ああ、クレームを受けるのはだいたい名古屋駅の近くが多いな。」

大輔「僕は彼と一緒に情報を整理する。弓子はユキムラ君を捕まえた中島君達と合流してくれ。後で連絡する。これを持っていってくれ」

弓子「なんだよこれ。」

大輔「中島君に着けている発信器だ。中島君は未だに携帯電話を持っていないからね。」

弓子「分かったよ。兄貴、名刺より先に携帯を持たせた方が良かったんじゃねえのか?」

大輔「うん。僕もそう思ったんだけど…。中島君の家庭の事情が色々ややこしいみたいでね。中島君は連絡の取れる手段の物を持ちたくないみたいなんだ。」

弓子「このデジタル世界に携帯もないとはな。尚更こいつの修理が必要だな。」

 

弓子は、前回メシア教団のホークの壊された悪魔召喚プログラムを手に取った。

 

弓子「あたしはこれの修理を頼んでから中島と合流する。兄貴は何か分かったら連絡をくれ。」

大輔「分かったよ。」

 

弓子は悪魔召喚プログラムを持って事務所を出て行った。



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