赤い戦士と帝王(天)と欲望の王と。 (proto)
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第1話 欲望の王の世界へ神様転生

神様転生、なんて話はネット小説なんかでよく聞くものだ。

実際には起こりえないもの。希望的な非現実的な現象に過ぎない。

そう考えて居た。この光景を目にするまでは。

 

 

重たい瞼をあげる。目に映るそれは、白と黒が混ざり合う混沌としたものだった。周りを見渡すが、辺り一面そんな感じだった。

「稲生 拓海さん。で、よろしいですか?」

突如声をかけられた俺は、少々反応に困った。だが、

「あぁ、俺は稲生 拓海だ。間違いない。」

素直に答えることにした。

「では、あなたは自身が死んだ事を自覚してますか?」

「は?俺が……死んだ?ありえねぇ、まだCSMオーズドライバーも届いてないのに。俺は死んだのか。」

「えぇ、あなたはバイクから転倒して死にました。」

それを聞いた瞬間、記憶がフラッシュバックする。

「あぁ、俺……女の子を轢きそうになって。強引に進行方向変えたんだっけ。」

「思い出したようですね。さて、まだ生きたいですか?」

「そりゃ、まだ生きたかったけど。」

「よろしい!ならば、生きなさい!貴方を別の世界に送ります。さぁ、この箱の中に手を突っ込んで、転生先を掴み取りなさい。」

言われるがままに手を入れ一枚紙を取る。

「世界はオーズ!では、次に特典ですが……箱を厳選できます。」

そう言われて見たのは2つの箱。箱には【特撮】と【アニメ】の2つの箱がある。

特撮の箱を選ぶと、更に別れた。【MARVEL】と【仮面ライダー】と【スーパー戦隊】と【ウルトラマン】の4つに別れた。オーズ世界なのだから、仮面ライダーを選ぶと【昭和】と【平成】の2つの箱が出てきた。平成を選択し、手を突っ込む。こっからは箱の中身のようだ。

静かに紙を抜き出す。すると、手には2枚の紙があった。

「ありえない、この箱は特典を2つは渡さないのに!」

「えっと、ファイズセットとサイガギアだな。ありがたくいただくぜ。」

「まぁいいでしょう。少々イレギュラーですが。さぁ、行きなさい。」

「あぁ、戦うさ。ファイズとしてな。」

こうして、俺は仮面ライダーオーズの世界へ足を踏み入れた。

 

 

目を開く。と、そこは授業中の教室だった。

もちろん、見慣れた光景であってそうではない。周りを見渡すが誰一人として知っている者は居ない……否、前言撤回だ。居たのだ、たった一人だけ。この世界の……この物語の主人公『火野 映司』がそこに居たのだ。

 

状況を整理する。先生にバレぬよう持ち物からある程度の情報を得る。

まず財布の中にある生徒証明書には間違いなく俺の名前と写真がある。

つまり、俺はこの『私立菊池学園』の生徒のようだ。

年齢は16歳……オーズの火野映司は本編開始時の年齢が確か……21だったはずだ。そして、俺と同じ教室にいることから、同い年……本編開始5年前ってことになる。

それから、財布にはバイクの免許証も入っている。まぁ、前の世界でも取ってたから、問題はないか。

生徒手帳を斜め読みする。バイク通学が許可されているようだ。と、言うことはオートバジンもこの学校の駐輪場かどこかに止まっているはずだ。

更に手帳があった。そこにはクラスメイトの名前と俺との交友関係が書かれていたが、どうやら俺は昨日の午後に転校手続きを終えたばかりのようだ。

最後に、手元にある携帯……『ファイズフォン』。ファイズに変身するためのアイテム

であり、護身武器……なんて比じゃない威力を誇る銃になる。

(サイガギアはバジンの中かな?)

そう考えていると、チャイムが鳴るのだった。

 




っと、リクエストでいただいた案から
書き始めた作品です。依頼主の力で、
世界の事象が変わったりするかも……。

ですが、基本的な流れなんかは決まってますので、
大幅な作品のずれは起きないと思います!
ので!本作もよろしくお願いします!

あと、不定期投稿です。


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第2話 友情と夢とギアテストと。

時間かかるわりには短いですが、お許しを。


授業が終わると、一直線に火野 映司の元へ行く。

「初めまして、稲生 拓海です。」

「はじめまして。俺は、渡部(わたなべ) 映司。よろしく。」

(渡部?あぁ、そういえば有名政治家の息子だったな。確執が出来てから火野を名乗るんだったっけ?)

「こちらこそ、よろしく。」

「で、どうしたの?」

「あ、いや。クラスに友人が居ないのは辛いからな。君は話しかけやすそうな雰囲気だったから。」

「あぁ、なるほどね。あ、俺の方は映司でいいよ。」

「なら、俺も拓海でいい。」

ここに赤い戦士と後の欲望の王の友情が芽生えた。

 

 

 

拓海は栄司に聞いておきたかったことを聞いた。

「なぁ、映司は夢とかあるのか?」

「あぁ、あるよ。俺、世界中の難民の子達を救ったり、そんな世界を変えたいって思ってる。」

「良い夢だな。叶うと良いな。」

「そう言う拓海は、何か夢とか無いの?」

「俺か?俺に夢はない、今はな。でも、誰かの夢を守ることはできる。そう考えてる。」

「そっか。見つかると良いな、お前の夢。」

「あぁ、そうだな。」

「じゃあ、また明日。」

「あぁ、また。」

こうして、学園生活初日は幕を閉じた。

 

 

 

 

学校が終わりバイクを走らせ、人気のないところへ向かう。最終的に森の奥地に収まった。

「さてさてさーて、いざ使ってみますか。」

オートバジンの後ろから、ギアボックスを取り出す。

「ほー、CSMに勝るとも劣らないクオリティですな。それじゃあ…。」

【5 5 5 enter】

『standing by…』

「変身!」

『complete!』

ファイズドライバーのバックルのサイドから赤い光『フォトンブラッド』が伸び、光が拓海を包む。

「おぉ、スッゲェ。マジでファイズになれんじゃん。それじゃあ……。」

ファイズは落ちている木の枝を纏めて、丸太ほどの太さに縛った。それを、遠い所に置く。

そしてファイズフォンのディスプレイ部分を左に倒し、フォンブラスターへ。

【1 0 3 enter】

『Single mode!』

単発の光線銃にする。が……。

「うっへぇ。俺って射撃下手だなぁ。」

5発撃って2発しか当たらなかったのである。

「それじゃあ…。」

【1 0 6 enter】

『Burst Mode!』

連射モードにしてもそれは変わらなかった。

「そういえば、本編未登場のモードがあったな。」

ファイズポインターをアタッチメントを付け、フォンブラスターに接続する。すると、ポインターから弾道線が出るので、命中率が格段に上がった、

「うっし、まともに当たるようになった。後は……。」

この後、ファイズショットとファイズエッジを試して、テストを終えた。



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第3話 卒業と起業

あれから月日は流れ、高校3年。

映司はちょくちょく学校を休むようになった。きっと、世界を回って子供たちを助けているのだろう。が、もうそろ卒業式が近い。

「そろそろ来ないと、ヤベーイことになるよ〜。」

と、独り言を呟きながら俺は、教室から外の景色を眺めていた。まだ冷え込む日が続いてはいるが、桜の花が咲きそうな感じだ。

「アイツ、風邪とか引いてないだろうな?」

「元気にしてるよ。」

「そうか。なら、良かった!?」

当たり前のように返事をしたが、「なら」の辺りで違和感に気づき、「良かった」と言いながら、全力で振り返る。

「やぁ、久しぶり。拓海こそ、元気してたか?」

「ったく、心配かけさせやがって。」

「ごめんごめん。」

(こうも気のいいやつが、あんな目にあうのか。止めたい、友人として……結末を知っているものとして。だが、それをやると世界が壊れる。)

「そういえば、拓海は卒業後どうするつもりなんだ?大学受験とか?」

「え?しないよ。だって俺、王様になるから。」

「は?」

「え?冗談だよ、冗談。まぁ、会社を設立するんだけどね。」

「へぇ〜、何の会社?」

「うーん、まぁいろんな事業に手を出せるような会社だな。」

「まだ具体案は決まってないんだね。」

「それにまだ下準備が済んでないからな。」

「え?」

「あぁ、なんでもない。」

俺が少し話をはぐらかしたところで、この話題はおわった。

 

 

更に月日は流れ、卒業の日。

映司は卒業式には出ず、国外へと旅立った………俺が渡した大量の派手目のパンツと共に。

俺は卒業証書を受け取り、式の終わりを待つ。

 

卒業式終了と同時に、俺はオートバジンでとある場所を目指す。

目的地は何をやってるかわからない企業『鴻上ファウンデーション』。

予めアポを取ってあるので、入るのは問題なかった。

会長室に入ると、いつも見ている絵面……鴻上光正がケーキを作っている。

「君が、稲生 拓海くんかね。」

「えぇ。お初にお目にかかります、鴻上会長。前座とかご機嫌取りなんかは苦手なんで、本題に入らせてもらうぜ。今から2、3年後、あんたも予測しているだろうが800年前に封印された怪人『グリード』が復活する。俺は、やつらによる被害を最低限にするために動くつもりだ。そのために、アンタの力を借りたい。」

「ほう、グリード復活を予見するか。」

鴻上会長は、俺がグリードについて知っている事に関しては何も聞いてこない。

「では、我々にメリットはあるのかね?」

「あぁ、出資してくれれば、ウチの会社の売り上げ……4割をそっちに譲渡しよう。それから、俺がヤミーを倒した時に発生したセルメダルも……全て渡そう。その代わり、もし出資してくれるのなら、ケチケチせずにドーーンと出資してくれ。俺は、企業がデカくなれば研究が進むから、戦いやすくなる。この世界を守るのは俺の仕事じゃない。俺は自分が戦いたいから戦う。アイツのサポートもしながらな。」

「………いいだろう!だが、4割ではなく……3割で構わない!」

そう言いながら、完成ケーキをこちらに差し出す。そこには、3割とデカデカと書いてある。最初から売り上げは狙っていたようだ。

「私たちの新たなる契約に、ハッピーバースデーッ!」

 

 

こうして鴻上ファウンデーションとこれから設立するスマートブレイン社が契約を結んだ。

 




約3ヶ月ぶりの更新となりました。
大変お待たせしております。


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第4話 スマートブレインとオルフェノクグリード

大変長らくお待たせいたしました。


スマートブレイン社設立から約1年。

既に社会に浸透した社名は、だいたいの人に聞けば「あぁ、あの会社でしょ!」となるレベルまで到達した。

壊れにくく、程よく高い性能が人々に好感を生んだのだろう。

初期の方に販売していたのは家電がメインだったが、現在は食品類の方向へ事業拡大しようと考えている。

そしてその裏で、拓海は戦闘訓練を積んでいた。やはり前世はただの一般人なので、訓練はしっかり積むべきだと考えている。

内容は高速移動する的の射撃、超硬質素材を蹴りで破壊、大量の的をファイズエッジで斬るタイムアタックなどだ。

そんな事をしているので、表側の社長を村上という青年に任せている。

現在は学校経営も視野に入れているという事だ。

食品分野と学校経営が同時に行えれば、給食などで使う食材も確保できたりするので、低コストで済むそうだ。

こうして会社経営もしっかりと進めてもらいつつ、こちらの戦闘サポートや新たな武器開発などを円滑に進めてくれていた。

 

 

 

そんなある日。

主要都市の監視カメラはスマートブレイン製へと切り替わり、突然の怪人・怪物出現に備えていた。もちろん、復活まであと1年はある。対策をして、アイツを……映司を戦いに巻き込まないようにしないといけない。

本題に入ろう。まだ復活しないはずのグリードが復活したようだ。

俺というイレギュラーが存在したせいなのか、一体復活したようだった。

俺はスマートブレイン社から緊急出動した。

 

 

 

 

オードバジンを走らせ、グリードの居る場所へと向かう。数十分程で目的地に着いた。

「お前……オルフェノクなのか?」

その怪人の体は灰色一色だった。

「いかにも。我はオルフェノクグリード、ガーラ。死者蘇生と進化への欲望により、死体から作られたコアメダルのグリード。」

「そんな情報、漏らしていいのか?」

「構わん。なぜなら、今ここでお前が死ぬからだ。」

「なるほど、冥土の土産にってか!そうはいくか!」

ファイズギアを装着し、ファイズフォンにコードを入力する。

 

〈 5 5 5 〉

『standing by…』

 

「変身!」

 

『complete!』

 

フォトンブラッドが拓海の体を包み込み、その体を仮面ライダーファイズへと変身させる。

オードバジンのハンドルを抜き取り、ファイズエッジを構える。ガーラと向き合う。

「ってか、今気づいたが……なんでオルフェノクがこの世界にいるんだよ。」

早々に片付けるため、ファイズエッジでオルフェノクグリードを斬り伏せようとする。

が、スレスレで避けて来る。余裕だと言わんばかりに。

「チッ、流石はグリードか…。」

グリードの厄介さを確認しつつ、ファイズフォンを銃モードに変えて、構えるのだった。



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