硝煙が立ち込める世界で戦う指揮官 (カーター)
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長い自己紹介

日本語版がようやく来たので記念に書きました。取り敢えず2日に一回くらいのペースで更新します。


「今日は俺にとって新しい一日になるな」

 

そう一人呟く男がいた。

新品の制服をキッチリと着こなし、無精髭も綺麗に添ったおっさんがもう何度目かもわからないくらい鏡の前でポーズを取っていた。

 

「おお…男前じゃん俺」

 

発言からして台無しであった。しかしこの男、いやこのおっさんはグリフィンの戦術前線指揮官用の制服を着ていた。人は見た目によらないようである。

 

「いやぁ、にしてもよく俺受かったな。なんか志望した士官と名前が違う気もするけど」

 

ま、大丈夫だろ。そう彼は思い、支給された拳銃(名前は分からん)をホルスターに入れ、軍刀を腰に差して士官帽を被った。立派な前線指揮官の出で立ちである。どう見ても司令所で戦場マップを見ながらコーヒーを嗜む青年には見えなかった。

 

「うーん…ザ・士官だな!」

 

特に気にしていないようだ。

 

「さ、じゃあ向かおうか」

 

そう言って彼は部屋を出た。その時、一枚の辞令が落ちた。それにはこう書かれていた。

 

『ユウヤ・カラバヤシ曹長殿

貴官を本日付で戦術前線指揮官に任ずる。貴官の健闘を祈る』

と。

 

ーーー

 

家から出た唐林は一路、グリフィンS09地区担当の支部へと向かっていた。

 

(おお、これが士官待遇なのか。すごいな)

 

そう彼は思いながら左右と正面に座る幼女達と少女達に目を配った。全員何かしらの拳銃をホルスターに入れており、隙の無い表情(若干名は笑っている)でこちらを見ていた。

 

(うーん?何やら俺に視線が集中してるな…はっ!?もしやこの俺様のルックスに惚れたか!?…いや、それはねえか。もう30過ぎたおっさんだし)

 

自分で舞い上がって自分で叩き落とす綺麗なセルフ自虐を心の中でかました唐林であった。

 

少し落ち込んで気分転換に荒野が広がった風景を眺めていると、それにしても、と唐林はふと考えていた。

 

(ここにいるこの子達ってやっぱり人形なのかね?確かに以前の数百倍にも技術は進歩してるってのは知ってるけども。どうみても普通の女の子にしか見えねぇなぁ…)

 

チラッと右にいた、随分ここでは暑そうな服を着ていた幼女を見た。足の付け根からゆっくり見ていっても、やはり足に継ぎ目らしきものは見えないし、肌は人間的に見えるし、腕にも継ぎ目が無いし、何よりも目に感情がある。果たしてこれをロボットと呼べるのか?鉄血の連中は明らかにロボ感があるがこっちは全くもってさっぱりである。結局、結論など出る訳も無く、考える事を辞めた唐林であった。

 

暫くして、ようやく支部に着いた。護送車から降り、彼女達が基地の中にも関わらず警戒して支部の司令室まで送られて、司令室の前まで来てようやく彼女達と別れた。因みに一言も喋らなかった。

 

(なんか、お母さんに連れられてここに来た感が強い)

 

こんな歳になってここまで少女達に守られながらとか、と自分の矮小な自尊心が強かに傷つけられた唐林であった。

 

気を取り直して、唐林は司令室に入った。中では一人の高校生風巨乳美少女が忙しなく書類を片付けていた。

 

「あれー?これはどこに…あ、あった!ああ〜、早くしないと!新しい指揮官様が来ちゃう!!」

 

何やら忙しそうである。唐林に気付いた様子もなく、大変そうなので彼は出直そうと踵を返した。しかしちょうどその時、彼女はこちらを見てきた。

 

「…って、ああ!!来ちゃってる!?すいません今すぐ片付けますので待って下さい!!」

 

「あ、はい」

 

有無を言わさない謎の気迫を感じ取り、唐林はそこに突っ立って待った。それを確認する間も無くその美少女は直ぐ様目の前にそびえ立つ書類を書いて読んで押して処理していた。中々の速さである。ただ、直ぐには終わらなさそうであった。

 

「あー…手伝おうか?」

 

何と無く、大変そうなので声を掛けた。すると彼女はガバッとこちらに顔を上げて目を爛々にして言った。

 

「是非お願いします!!!」

 

あ、これ半分くらいやらされる奴だ。と、唐林はこの時悟ったのであった。

 

ーーー

 

あれから時間にして約5時間。ようやくあの山の様になっていた書類は姿を消し、代わりに山の様に処理済みの書類が重なっていた。まだ来たばかりだというのに、唐林は机の上に突っ伏してダラけていた。精根尽き果てた様である。例え目の前で桃源郷の如き楽園が現れようともピクリともしないだろう。

 

「疲れましたぁ〜…ありがとうございます、指揮官様」

 

少女もどうやら疲れた様で胸を机の上に乗せながらはふーと溜め息をついていた。

 

(あ…)

 

桃源郷を超えた天国を見てしまった唐林はピクリどころかビクンビクンと反応した。元気になった様である。そんなおっさんのくっだらない現状を知ってか知らずか、目の前にいた少女はふと思い出したかの様に姿勢を正して話した。

 

「あ、そうだ指揮官様。自己紹介をしていませんでした。私、カリーナって言います。これから指揮官様の後方幕僚を務めさせて頂きます」

 

流石に相手がキチンと姿勢を正して話しているので、唐林も折り曲げていた背中を正し、話した。

 

「ああ、これはご丁寧に。俺は…いや私は、唐林裕也…えーっと…戦術前線指揮官だったかな?です。階級は少佐…です」

 

唐林のヘッタクソな敬語をカリーナは少しクスクスと面白そうに笑いながら話した。

 

「無理して敬語を使わなくて良いですよ、唐林指揮官様」

 

「あ、そう?すまんね。じゃあこれからよろしく頼むよ、カリーナちゃん」

 

「はい、指揮官様♪」

 

こうして、唐林はここに来てようやく自己紹介が終わったのであった。




読了感謝です。


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訓練

ちょっとキャラ崩壊してるかも知れない


自己紹介も恙無く終わり、早速という形で訓練となった。

 

「ということなので、先ずは唐林指揮官様には部隊の子達を紹介しますね。入って来てくださーい」

 

そうカリーナが言うと司令室のドアが開き、護衛をしてくれていたあの少女達が中へと入ってきた。どうやら、顔合わせも兼ねた護衛だったらしい。

 

「さ、指揮官様♪この子達が指揮官様の最初の人形(ドール)達となります。可愛がってあげてくださいね♪」

 

カリーナがそう言うとそれを合図にして右端にいた娘から自己紹介を始めた。

 

「初めまして指揮官様♪私、M1911です。よろしくお願いします♪」

 

「おぬしはこんな年寄りでも可愛がってくれるのかの?まあよい♪ワシはM1985、よろしくなのじゃ」

 

「P38です。初めまして指揮官、よろしくお願いします♪」

 

「うふふ、ワルサーPPKですわ。よろしく頼むわ指揮官」

 

「FNP-9拳銃です。指揮官、これからよろしくお願いしますね」

 

どの娘もやはり美人である。あの軍が正式に採用している純戦闘用とは訳が違う。彼方は正にザ・ロボットでカクカクの、メカメカしい見た目だが、こちらはスベスベの、ある部分フカフカ(らしい)の美少女然とした見た目である。ただ、性能は軍よりも…まぁそういうことだ。

性能より見た目派の唐林にとってはどうでも良い事であった。

 

「俺は唐林裕也だ。よろしく頼む」

 

そう言って彼は握手をM1911に求めてみた。すると彼女は一瞬目を見開いたが直ぐに花開いた顔になり、両手で包み込む様な感じで握手に応じてくれた。

 

「はい、指揮官様♪これから、末永く可愛がってください♪」

 

なんか発言がエロい、そう思った唐林であった。

 

ーーー

 

それぞれとの握手も終わり(手がスベスベでフニフニしていた)、唐林は早速訓練へと移行した。

 

「で、カリーナちゃん。俺は何をすれば良いんだ?」

 

「あ、指揮官様には部隊の同行をお願いします」

 

「おう、了解」

 

カリーナに言われるまま唐林はM1911達と共にヘリに乗り、訓練場(といっても廃墟の場所を間借りしてるだけ)に向かった。

 

訓練場に向かう途中、ヘリの中は静かであった。唐林は少し緊張していたが、慣れている事もあって軽口を叩けるくらいには余裕があった。

しかし、どうやら彼女達はこれが初の実戦(といっても実弾を使った実地訓練だが)らしい。表情からして緊張が極度に達しつつあるのが分かった。唐林はそれに気付くと少し顔をニヤけさせて取り敢えず隣にいたP38の頭を撫でた。すると当然、P38はビクゥッ!!となって「ふぇ?」と声を上げながら恐る恐るこちらを覗いてきた。まるで子犬である。

 

「あ、あの…指揮官様?」

 

「そんな緊張するなP38。これは訓練だ。誰も叱責なんかしないさ」

 

そう唐林は安心させる様に言ったが、P38は顔を少しうつむかせて赤くなっていた。

 

(はて?何か間違えたか?)

 

「どうした?P38」

 

「あ、いえ、その…」

 

唐林は疑問に思ってP38に聞いたが彼女はそのまま取り留めもなくあー、うー、と唸っていた。そんな遣り取りを見ていた他の娘達はクスクスと笑い、余計に分からなくなった唐林はもう一人反対にいたM1911に尋ねた。

 

「なあM1911。なんか俺間違ったこと言ったか?」

 

「いえ指揮官様、何も間違えてませんよ♪それに、私達の緊張をほぐしてくれてありがとうございます。彼女も、私達も、指揮官様のお役に立てるかどうかで緊張しちゃってましたから」

 

「は、ははは。そうか。そりゃ良かった」

 

思ってたのとは違う回答が返ってきた唐林は自らの早とちりに死にたくなった。しかし、表情には出さない事にした。

 

ーーー

 

そんなこんなで、訓練場という名の廃墟街に着いた唐林一行。ヘリが着陸し、地面に降り立った部隊…と唐林。同行という事で降りてしまった彼は「あっ」と振り返ってヘリを見たが、既にヘリは飛び立った後であった。

 

「あれ?指揮官様も来るのですか?」

 

P38は首を傾げて尋ねる。それに対し唐林は取り敢えず頷いておいた。

 

「へぇ…指揮官も…ねぇ…ウフフ」

 

「ヒェッ…」

 

ワルサーPPKが薄ら寒くなる様な笑みを返した事に戦々恐々としながらも、手に持っていたタブレットでカリーナに通信を通し、小声で聞いた。

 

「こちら唐林。HQ、応答せよ。ヘリが俺を置いて飛んで行っちまいやがったんだがなんかあったのか?」

 

『こちらHQ、カリーナです。何もありませんよ指揮官様?』

 

「そうなのか?なら何故俺は置いていかれたんだ?」

 

そう唐林が聞くと、少し遅れてカリーナは申し訳無さそうな口調で聞いてきた。

 

『…えっと、唐林指揮官?確か辞令には戦術前線指揮官の説明があった気がするのですが…』

 

「………マジ?」

 

『…まさかとは思いますが読んでないのですか?』

 

「………すいません。読んでませんでした」

 

正確にはその部分の説明は一応流し読みはしていたのだが内容はサッパリ頭の中に入ってなかった。しかしこれは言い訳なので言わない事にした。

 

『…了解しました。ちょっと待ってくださいね。資料が確かあった筈なので』

 

「ありがとうございます」

 

こうして、唐林は部隊についていきながらカリーナの説明を聞くのだった。

 




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開始と終了 そして遭遇

ステンちゃんって意外と大きいですよね(ゲス顔




『指揮官様、分かりましたか?』

 

「おう、バッチリだ」

 

部隊に同行しつつ、カリーナに戦術前線指揮官とはなんなのかについて詳しく教えてもらった。

 

「つまりアレだろ?前線で第一部隊に同行しつつ全部隊の戦術指揮をして、尚且つ敵に突撃かます号令役だろ?」

 

『かなりアバウトですね…指揮官様。でもその認識で大丈夫です。では、改めて彼女達の事よろしくお願いしますね、指揮官様』

 

「ああ、任せとけ。交信終了」

 

通信を切り、辺りを見渡してみると部隊は既に標的の前で止まっていた。どうやら着いたみたいである。彼女達は遮蔽物に隠れながらその標的に銃口を向け、止まっていた。

 

「ん?どうした?撃たないのか?」

 

「指揮官を待ってましたの」

 

「あらま、そりゃすまん。今銃向けるよ」

 

そう唐林は言って銃…SAAコルト、またの名をピースメーカーを標的に向けた。随分と使い古しているのか銃身が剥げていたり細かい傷がいくつも付いていたりと支給品のくせにボロボロだった。誰かが使っていたのかもしれない。

 

「よし、準備完了だ。撃て」

 

「よーい、撃て!」

 

唐林の号令の下、標的への射撃が開始された。標的からの反撃機能は無いので撃ち放題である。ただし、跳弾には気をつけなければならない。何かの拍子に跳弾してこちらに当たってしまうと大惨事だからだ。その為、唐林も遮蔽物に身を隠しつつ射撃していた。

 

6発を瞬く間に撃ち尽くし、交換をしつつ彼はボヤいた。

 

「にしても随分硬ってえな、あの標的。ロングコルト弾は弾としてはそこまで強力じゃねえがあんな薄型のロボットくらい貫通しそうなんだが」

 

「しきかーん!!アレは資料収集で使われるモデルと同じ同型機ですよー!!」

 

「んなこと言われても分からん!!」

 

「ボヤいてる暇があるのでしたら撃ったらどうなのですか?」

 

「今撃つからそんな怖い笑いしないでくれ!!」

 

「まだまだじゃのう指揮官」

 

二人に窘められつつも、撃ち続けて約30秒。ようやく標的は煙を上げ、爆散した。完璧にぶっ壊したようだ。

 

「ふう、まさか2つも使うとは思わなかったな」

 

「私は1つで済みましたよ、指揮官」

 

「私も私もー♪」

 

「当然、私もですわ」

 

「その、あの、すいません。私も1つです」

 

「ワシももちろん1つのみじゃ」

 

「なん…だと…!?オートマチック拳銃は元々弾持ちが良いから別に気にしてないがM1985…お前俺と同じマグナムじゃ…」

 

そう唐林が愕然としているとM1985はフンスッと誇らしげにしつつ種明かしをした。

 

「ワシはな、指揮官。よーく狙って、弾を無駄使いせずに1発1発丁寧に撃ち込んでおったのじゃ」

 

「それただ単にゆっくり撃ってるだけじゃねえか!」

 

「てへっ♪」

 

「可愛いなちくしょう!」

 

幼女の微笑みは全てを凌駕する。それがハッキリした瞬間であった。そんな、唐林の心の中が幼女の微笑みに駆逐されつつある中、その幼女であるM1985はふと疑問に思ったのか聞いてきた。

 

「それよりもじゃ、お主。そろそろ司令所に向かわないのかの?」

 

「あっ…そういやそうだったな」

 

しまったしまったと頭を掻いていたらワルサーが薄ら寒い声で話しかけて来た。

 

「しっかりしてくれないと…撃っちゃいますよ?」

 

「分かってるからその怖い笑顔で脅さないで!?」

 

ワルサーに脅され瞬く間にタブレットを開き、唐林は部隊に指示を出した。指示自体は音声でも判断してくれるがタブレットの方がより正確だ。人形の頭に直接情報が送り込まれるのだから、交戦中でも無い限りは可能な限り使っていきたいところである。

 

そうして、指示を出し終えた唐林は指示した道を進む彼女達について行ったのであった。

 

ーーー

 

司令所についた。本当であればここには大量の物資と人員、車両などが置いてあるが、訓練場だからなのか。今は何もなく、ヘリ一機だけが唐林達の帰りを待っていたかの様に待機しているだけであった。

 

「よし、撤収準備だな。総員各装備のチェック後、搭乗せよ。俺は最後に確認してから乗る」

 

「「「了解!!」」」

 

彼女達の良い返事を聞きつつ、唐林は少し周りを散策することにした。先ずは司令所付近。ただ司令所といっても所詮は訓練場のゴール地点。大した設備は無く、ヘリパッドと簡易な建物があるのみであった。次に森。そう、司令所の背後は鬱蒼と茂る森なのである。確かそこは戦闘地域と隣接していると地図に載っていた。

 

「まぁ、だからといってこんなジャングルと言わんばかりの森を彷徨うのは俺が敵であっても御免被りたい所だがな」

 

そう言いつつ、周りをサラッと見渡して確認し、何もないと納得して踵を返した。その時、近くの茂みから音がなった。武器特有の音だった。

 

「!?誰だ!!」

 

唐林は素早く身を翻し拳銃を抜いて茂みに向かって誰何した。

 

「そこにいるのは分かってる!出てこい!!」

 

『指揮官様!?何かあったのですか!?』

 

「分からん、お前達はそのまま搭乗のまま待機だ」

 

『指揮官様!?』

 

「う、撃たないで下さい…」

 

部隊に待機を命じていると茂みの中から声が聞こえ、ゆっくりと銃を上に掲げつつ少女が出てきた。

 

「む、人形?」

 

一瞬判別を付けられなかったが今のご時世、武器を持っているのは人形か傭兵である。そして、傭兵の女は少ない。ましてや、少女の傭兵など有り得ないレベルである。なので人形と判別した。しかし、それが敵か味方かはまた別問題である。だから、唐林は銃口を下げなかった。

 

「あ…あの!…グリフィンの部隊ですか…?」

 

「む?確かにそうだが、それがどうおぐっ!?」

 

『指揮官!?』

 

唐林が律儀にも返答しようとしたが、その途中で少女に抱きつかれてしまった。その時の唐林の呻き声にP38が動揺した声をあげた。一瞬の隙をついて刺されたと唐林は思い痛みに耐えようと目を瞑ったが、一向に痛みはやってこない。代わりに、抱きついてきた少女が肩を震わせて泣いているのが胸元から聞こえた。

 

「ふぐ…えっぐ…ひっく…怖かったぁ…怖かったですぅ…」

 

「…あー…こちら唐林。カリーナ、これは一体どういう状況になってるんだ?どうして俺は抱きつかれて泣かれてるんだ?」

 

『こちらカリーナ。多分その子ははぐれ人形ですね。可哀想に…指揮官に見つけてもらって幸いですね、その娘は。えっとですね、指揮官様。最近、鉄血の襲撃が急に激しくなったんです。それで、グリフィンの基地がいくつも陥落して多くの人形がはぐれたり捨てられたりしたんです。だから、その娘も…』

 

随分と重く暗い話を聞いてしまった。

 

「あー…となるとこの娘は…はぐれたのか…」

 

そう言って唐林は少女を見た。よく見てみると服は所々破れており、銃もよく見れば銃身がイカれていた。隣の戦闘地域からこちらまで、あの森の中を彷徨いつつも逃げてきたのがよく分かってしまった。だからなのか、唐林はゆっくりと後頭部を片手で撫でつつ、抱き締めた。

 

「まぁ…その…なんだ…うん、よく頑張った」

 

「…ぅ…うぅぅ…うわああぁん」

 

その少女は、そこからしばらく泣いていたのだった。

 

 

 

 

 




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帰投と着任

因みに、登場する人形は私が持ってる子を順に出していく予定です。(ただ416ちゃんとか45ちゃんとかはストーリークリアして内容把握してから出そうかと考えてます)


唐林が未だ名前を知らない少女を少しの間慰めていたら、その少女はようやく泣き止んだのかまだ目元が赤いものの唐林から離れた。

 

「あ、あの!…ありがとうございます、指揮官」

 

「おう、気にするな。本当に頑張ったんだ。まだ抱き着いてても良かったんだぞ?」

 

ほれほれと両手を広げて促してみたが、少女は顔を赤らめて「いえ、その、大丈夫です」と遠慮して壊れた銃を抱き締めた。その拍子に彼女の胸に谷間が深く出来ていたが、丁度唐林は視線を森に逸らしていてその光景を見逃していた。

 

「ん、そっか。じゃ、帰ろうか」

 

「あ、はい!指揮官。これから、よろしくお願いします!!」

 

彼女はそう言って頭を下げた。その頭を優しく撫でながら、唐林はそういえばと尋ねた。

 

「そういや、君の名前を聞いてなかったな」

 

「あ、すいません!えっと、私はステンMK- IIです」

 

「そっか。じゃ、ステン。帰ろう」

 

「はい!!」

 

そう言って唐林は彼女を連れてヘリパッドに向かった。

 

ステンMK- IIを連れてヘリに乗ると、P38とM1911が待ってましたと言わんばかりに言ってきた。

 

「ねえねえ指揮官、その娘は誰です?攫ってきたのですか?」

 

「指揮官様〜、女の子をその辺で攫っちゃうのは駄目だと思いまーす」

 

二人のそんな発言に「ぶっ!?」と咳き込みつつも弁明した。

 

「ばか!昔じゃねえんだから!!つーか、お前ら通信開いたままなんだから知ってんだろうが!!」

 

「あらあら、私たちが折角貴方達の暗ーい雰囲気を消し飛ばしてあげようと頑張ったのに、つれない人ね」

 

ワルサーPPKがニヤリと黒い笑みを浮かべて言ったが、唐林にしてみればからかわれているようにしか思えなかった。

 

M1985とFNP9もクスクスと笑いつつも労った。

 

「おぬしも大変じゃの、指揮官♪」

 

「指揮官、頑張って下さい♪」

 

「何を頑張るってんだよ、おい…」

 

そう、唐林は項垂れつつもヘリに搭乗するのだった。ステンの手を引きながら。その時のステンの表情はリンゴのように赤かったとか無かったとか。

 

ーーー

 

基地に帰投した。さっきまでいた司令所とは違い、こちらはとても賑やかであった。多くの自律人形が廊下を往き交い、時たま人間が通る。物資も人も車輌でさえここには全て揃っていた。やはり、これこそが基地であろう。例え、その中に人間が殆どいないとしても。

 

「ふう、帰って来たな」

 

「まだ行ってそんなに経ってませんけどね」

 

「こういうのは雰囲気だよ、雰囲気」

 

ヘリから降りた唐林一行は取り敢えず、武器の点検・装備の点検・身体チェックを行った。PMCと言えど、これらはやはり必須であった。

 

程なくしてそれら全てが終わった。

 

「あ、そういやステンはどこに行ったんだ?」

 

「彼女は今入隊申請を書いてるところですよ」

 

唐林の疑問に答えてくれたのは後方幕僚カリーナであった。珍しく眼鏡を掛けた状態で何かの目録を眺めていた。

 

「へー、そこら辺はやっぱりちゃんとしてるんだな」

 

「そりゃそうですよ指揮官様。物資・人形・車輌・ヘリ。これらはちゃんと管理しないといつ緊急事態で、防衛戦をするにせよ何にせよ足りないやらないやらなんて大騒ぎになってしまいますからね」

 

「そだねー」

 

「指揮官様?棒読みでございますわよ?」

 

「HAHAHAHAHA」

 

「もう…」

 

途中から興味を失って上の空で返事をした唐林であったが、難なくカリーナに見破られて怒られた。

 

そんな唐林に呆れつつもカリーナはそう言えばと目録を確認した。

 

「そういえば指揮官様。新しく2名が入隊申請を提出しておりましたわ」

 

「うん?二人?拾ったステン以外に誰か入隊するのか?」

 

「はい。確か一人は試作型で実戦配備されたばかりの子の筈です。もう一人は精鋭ですね。服装が少し…アレですが、指揮官様にしてみれば眼福といった所かと」

 

カリーナが少し顔を赤らめ、尚且つ言いづらそうにしているのはまだ来て浅いが初めてなので、少しふしだらな想像をさせつつも唐林は聞いた。

 

「なんだその服装が少しアレとか…そんなにヤバいのか」

 

「ま、まあ…それは指揮官様がご自身で確認なさって下さい」

 

「ええー…」

 

「さあさあ、彼女達は今司令室に居る筈なので」

 

カリーナに背中を押され体良く追い出された唐林は、司令室に待っているらしい二人の所へと向かった。

 

「うーん、それにしても服装が少しアレって…一体どんな格好なんだよその娘は。おじさんの妄想が際限無く広がりそうなんだけど」

 

パンツ丸見えとかおっ○い丸見えとかか?などと唐林は下らない戯言を吐きつつ、司令室に入った。すると、見るからに美少女な二人が姿勢良く立っていた。

 

「お、君達かな?新しく来るってのは」

 

そう唐林が二人を見て言うと、女子高生感あるセーラー服を着た少女が先に答えてくれた。

 

「正式名、一〇〇式短機関銃です!指揮官、よろしくお願いします!!」

 

「ほほう、日本の子か。よろしく一〇〇式、俺は唐林裕也だ。適当に呼んでくれて構わない」

 

一〇〇式は、日本の桜をイメージしたのかタイツに桜の花が明示されており、スカートも桜の花びらをモチーフにしているのがよくわかる。そして何よりも声が可愛い。はっきり言って唐林にとって彼女は好みのタイプと言える部類である。ただ、彼の場合大抵どの子も射程範囲内且つ好みのタイプだったりするので全く信用ならないが。

 

さて、そんな唐林の要らない内情をどこかに追いやって、もう一人の見るからにビッチ感ある少女が話しかけてきた。

 

「さて、そちらの自己紹介も終わったようだし、私も名乗らせて貰うわ。私はFAL。で、貴方が私の指揮官。まあ、せいぜい私を失望させないよう、しっかりやって下さいね」

 

「おう、よろしくFAL。にしても、確かに服装が少しアレだな…うん」

 

FALの服装はとても胸元が開いており、激しい運動をしようものなら直ぐにポロリをしてしまうんじゃないかという危うさとエロさがあった。後なぜか知らないが白いオコジョが肩に乗っていた。これは確かにヤバい。

 

そんな、唐林の視線にFALはジトーッとした目で見た。

 

「あまりジロジロ見ると弾丸が飛びますよ」

 

「恥ずかしいならそんな服装にするんじゃねえ!!」

 

「ふふふ、指揮官がしっかりやってくれれば見せないこともないかも知れませんよ…ね」

 

そう言ってFALは妖艶な笑みで返したのだった。

 

 

 

 




読了感謝
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追記 帰省中の為、一週間ほど更新休みます


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訓練中止と騒動

はい、お盆でお婆ちゃんの家に行ってました。なので更新がガガガ…
また2日毎に書こうかなと考えてます。よろしくね!!


百式とFAL、そしてステンの三人を加えて早数日。唐林は本部が出した計画に基づいて2回目の作戦訓練を実施しようとしていた。しかし、

 

「あの…指揮官様」

 

カリーナが申し訳なさそうな表情で止めてきた。

 

「ん?どうした、カリーナ」

 

「すいません。本当は作戦訓練の続きをする筈だったんですが、その…状況が変わりまして…それで、本部の方で急に人手が必要になって…それで…」

 

随分と彼女にしては歯切れの悪い物言いだったので、唐林は(なんか起きたのか?)と思いつつ聞こうとした。しかし、

 

『…その先は私が説明しよう』

 

綺麗なしかし真面目そうな声がモニターから聞こえて、聞こうにも聞けない空気になってしまった。

 

「わわ!…じゃあ、えっと、お願いします。ヘリアンさん」

 

そう言ってカリーナは少し慌てた様子でモニターにビデオ通話を通した。するとそこには厳粛な制服を着た、鋭利で利発そうな女性が佇んでいた。唐林は(随分とキツそうな雰囲気がある人だなぁ)と思いつつも背筋を伸ばした。

 

『…ふむ。君が新しく来た者か。初めまして、唐林指揮官。私はグリフィンの上級代行官、ヘリアントスだ』

 

「は!お初にお目にかかり光栄です、代行官殿」

 

唐林が綺麗なフォームで敬礼をし、ハキハキと答えた。何時もはここまでなんてしないが、相手は『上級』代行官殿。もしも心象を悪くしたら今後の給料に響いてくる。当然の帰結であった。しかし、ヘリアントス代行官はそれがお気に召されなかったらしい。少し眉をひそめつつ言った。

 

『堅苦しい挨拶は抜きにしよう。効率の観点からも、私の事はヘリアンと呼んでくれて結構だ』

 

「は!代行官殿」

 

『………』

 

少しの間が空いた。しかし直ぐにヘリアン代行官殿は立ち直って説明し始めた。

 

『…まあいいだろう。さて、最近鉄血の連中は何の予告もなくS09地区に襲撃を仕掛けている事は知っているな』

 

「は、勿論です」

 

初めて聞いたその新情報に内心驚きつつも取り敢えず知った風に振る舞った。

 

『これには、グリフィンの評判にも関わる事なので上層部も気に掛けているようなのだ。そこで、本部は鉄血を迎え撃つと同時に襲撃の原因を調査するよう、私をここに派遣した』

 

「成る程、それで何故私が呼ばれているのでしょうか?」

 

『それだよ。上層部の指示により、貴官には私の仕事全般を手伝ってもらう事になった』

 

(はっ?)

 

「え…ちょっと待ってくださいヘリアンさん。唐林指揮官は入社したばかりで訓練も一度のみです。まだ経験が浅いというか素人同然では…」

 

唐林指揮官の育ちの悪さが顔を出す前にカリーナが困惑気味に反論してくれた。しかしヘリアンは少し呆れたように溜息を吐きつつ言った。

 

『はぁ…無理は承知だが時間も人手も足りないのだ。四の五の言ってられる時ではない。だが心配は無用だろう。唐林指揮官の以前の成績を見させて貰ったが、この任務に就いても問題ないとこちらで判断した。経験不足だと言うのなら実戦で補え』

 

「はっ!」

 

中々無茶を言ってくる上司に、唐林はしかしちゃんと敬礼して応えた。それを見たヘリアンは頷きつつ作戦の概要を説明した。

 

『うむ、良い返事だ。では、作戦に移ろう。戦場マップを送る』

 

システム音が鳴ると同時に液晶にマップが映った。

 

「ここは…?」

 

『ここはS09地区、その一部だ。鉄血部隊につい先日完全制圧された場所でもある。さて、ここでの任務は敵の司令所の破壊だ。情報漏洩を防ぐ為付近にいる鉄血部隊諸共潰せ。貴官の健闘を祈る』

 

「はっ!粉骨砕身のつもりでやり遂げます」

 

『あぁ、期待している…ああ忘れていた。今回の任務を遂行する為に人形を数体送った。有効に使え、以上だ』

 

「はっ!!感謝します」

 

通信が切れ、司令室に静寂が訪れた。しかし、直ぐに破られた。

 

「なぁカリーナちゃん。ここっていつからブラック企業になったんすかね?」

 

「あ、あはは…すいません」

 

「まあ、良いけどさ。さ、準備するか」

 

「はい」

 

「「…はぁ」」

 

唐林がぼやき気味に言い、カリーナが申し訳なさそうな顔で答え、最終的に二人して溜息をついたのだった。

 

ーーー

 

「MP40、ただいま入隊しました。指揮官さま、私、精一杯頑張ります」

 

「やー、ガリルや。よろしくなぁ、マイ指揮官」

 

唐林が迎えに行ったらドイツ娘とラフな姉ちゃんに開幕挨拶を食らった。

 

「お、おう…よろしく」

 

「むむ、あんま驚かへんかったな」

 

「え?驚かすつもりでやってたんですか?」

 

「その方がおもろいやん」

 

にししとガリルが笑っているのをポカーンと見ているMP40。性格が正反対というのが分かった唐林であった。と、ここでようやく唐林は気付いた。

 

「あ、お前らか。新しく送られた子達ってのは」

 

「そうやで。マイ指揮官に可愛がられる為に送られたんやー」

 

「か、かわ!?破廉恥です、ガリルさん!!」

 

「きゃー」

 

何やら楽しそうなメンバーが増えた気がした唐林であった。

 




読了感謝。今回はちょっと短めです。変なとこもあったりします。
ツイッターもやってるので良かったらそちらでもどうぞ
@ssssak_ssssak2
載せてるのはドルフロぐらいしかありませんけども。



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実戦

普通に忘れてました


新たな人形達を部隊に加えつつ、唐林は現地へと向かっていた。

 

そしてヘリが丁度着陸態勢に入る辺りで彼は指示した。

 

「全員、マイクチェック」

 

『『チェック』』

 

彼が促すと一拍遅れて返事が返ってきた。どうやら全員無線は問題無いようである。そこから少し遅れてカリーナが無線を返した。

 

『システム異常なし、ノイズ無し、全てオールグリーン。いつでもどうぞ』

 

「ありがとう、カリーナ。よし、諸君。今回の任務はちゃんと頭にインストールされてるな」

 

『『サー』』

 

「結構。では作戦を開始しよう」

 

『『イエッサー』』

 

その掛け声と共にヘリの後部ハッチが開き、部隊は現地に降り立った。

 

ーーー

 

ヘリから降り立った唐林は、先ずヘッドセットにあるイヤーマイクを押し当てた。

 

「こちら唐林。カリーナ、我々の現在地をマップに写してくれ」

 

『了解です。えーっと…現在地はここ、我々の前線指揮所ですね。鉄血の偵察部隊が付近を徘徊しています。本部からは全て破壊せよだそうです』

 

「つまり生きて返すなって事だな」

 

『まぁ、そういう事ですね』

 

「了解だ。通信終了」

 

通信を切り、腰にぶら下げていたタブレットを持って唐林は早速詳細なマップ情報を確認した。戦場マップには青い点が7つ、赤い点がチラホラと点滅しているのが確認出来た。

 

「成る程…北西に三隊、西に一隊か。今回は定点偵察みたいだな。一切動きもしないじゃないか」

 

『指揮官、どうしますか?』

 

「殲滅だ。先ずは北西の群れてる鉄血を潰す」

 

『了解です!』

 

一〇〇式の可愛らしい返事を聞きつつ、タブレットを腰にぶら下げてピースメーカーを取り出した唐林は歩きだした。そんな彼の横を守るようにP38とM1911が侍り、後方をFALが一人詰めていた。前方は一〇〇式とステンが銃を構えつつクリアリングをしている。

 

そのまま300ヤード程進んだ辺りで、唐林は新たに指示を出した。

 

「全員、そのまま物陰まで移動。そろそろ敵の索敵範囲内に入る。あまり音を出すなよ」

 

『『了解』』

 

指示の元、隊は即座に近くにある物陰に隠れて次の指示まで前方に銃口を向けたまま待機した。それを確認した唐林は即座に次の指示を出した。

 

「よし、誰か爆薬持ってるか?」

 

『は、はい!手榴弾なら持ってます!』

 

「でかした。じゃああの目の前にある廃屋に投げ込め」

 

『はい!』

 

彼に指示された通り、ステンは疑問も挟まず手榴弾を投げ込んだ。数秒後、破裂音と共に崩れ落ちる廃屋。そしてまた数秒後、車輪の回転する音が複数聞こえ始め、鉄血のノーマル戦闘機械が五体程寄ってきた。狙い通りである。

 

「よし。ノコノコと鉄血の屑どもが寄ってきたぞ。射撃準備」

 

そう言って唐林は手を挙げた。

 

『ターゲット確認しました』

 

『いつでも撃てます』

 

『ふふ、哀れね』

 

『いつでも行けます』

 

『オッケーです』

 

全員の返答を確認し、唐林は無言で手を下ろした。直後、五つの重なった銃声が鳴った。機械が壊れる音が複数鳴り、鉄血のノーマル戦闘機械は鉄屑になった。それを確認しつつ唐林は指示した。

 

「…状況確認」

 

『…クリア』

 

『クリア』

 

『クリアです』

 

『クリアね』

 

『オッケーです』

 

壊れた鉄血の機械を踏みつつ生死を確認した五人はそう報告した。その行いにはさして触れず、唐林はまたタブレットを取り出した。マップには倒す前と違い、ちゃんと敵が減っている事が確認出来た。

 

「よし、では次に行こうか」

 

『『了解です』』

 

そうして、唐林は一つ一つ鉄血の偵察部隊を誘き寄せて殲滅した。

 

鉄血の偵察部隊を全て潰し、司令所に爆薬をセットし爆破した一行は一路、基地へと帰還した。

 

「ふう…緊張した」

 

『あ、普段の指揮官様になりました』

 

「?そんなに変だったか?」

 

P38に指摘された唐林は首を傾げつつ聞いた。それに対しP38はクスリと笑いつつ答えてくれた。

 

『真面目に指揮官してたのです』

 

「おい」

 

『ふふふ、確かにそうですね〜♪』

 

「M1911もか…真面目で悪いのか?」

 

『いえいえ、適度に真面目にするのは良いことですよー。ただ真面目にし過ぎるとただのロボットになっちゃいますから』

 

「あー…そうだな。もう少しダラけるよ」

 

そう唐林が宣言していると隣にいたFALが妖艶な笑みで会話に入って来た。

 

『あらあら、指揮官。あまりダラけられちゃうと間違って榴弾を打ち込んでしまうわよ?』

 

「それは既に故意なのでは?」

 

『フフフ…』

 

「意味深に笑うな!!』

 

そんな、世間話をしつつも彼等は無事帰還したのだった。

 

ーーー

 

グリフィン本部の何処か

 

「…やはり、彼は優秀だな。鉄血の機械相手に冷静に対処出来ている。これならば今後も問題無いだろう。期待しているよ、唐林君」

 

 




短いです。
読了感謝。
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哨戒所

短くなりました(棒読み)



無事に昨日帰ってこれた唐林は、ヘリアン代行官に呼び出しを受けていた。キッチリと制服を着込んだ彼は少し急ぎ足で司令室に向かっている。すると、前から一体の人形(ドール)がやって来た。M1911である。彼女は指揮官を見つけるとニッコリと笑顔に挨拶をした。

 

「あ、指揮官様!おはようございます!!」

 

「おはよう、M1911ちゃん。今日も可愛いぞ」

 

「うふふ、ありがとうございます」

 

指揮官に褒められてM1911は嬉しそうに笑顔で去っていく。それを見届ける間も無く彼が歩き出すと今度は一〇〇式が前から走って来ていた。

 

「あ、おはようございます!指揮かっ!?」

 

「おおっと!?」

 

一〇〇式は何を思ったのか彼に挨拶する為に足を急に止めた。が、人間・人形に限らず急には足は止められないものである。案の定、彼女はコケた。いや、コケかけたいうべきだろうか?何故なら…

 

「能力解放!桜逆像!!」

 

彼女専用の能力、桜逆像を使ったからだ。周りは一瞬にして桜が舞い散る事になり、彼女の周囲は桜吹雪で出来たシールドが構成された。そのシールドのお陰で、彼女はクルンと回ってコケる事を回避した。

 

「ふう…危なかったです」

 

「てい」

 

「あいた!?」

 

能力を勝手に使った一〇〇式に指揮官は軽いチョップをかました。頭を抑え少し涙目になりながらこちらを恨めしそうに見る一〇〇式。しかしこれは、自業自得なのであった。

 

「お馬鹿、そんな簡単に能力を使うな」

 

「ぅぅぅ…」

 

「唸ってもダメだ。この後すぐ作戦なんだぞ?お前のその能力だってリチャージするのに時間が掛かるのは知ってるだろ?まだ今はそこまで逼迫してないから良いが、今度からは気を付けろ。いいな」

 

「…はい」

 

「よし」

 

そう言って彼はさっき軽く叩いた頭を優しく撫でてやった。それに対し一〇〇式は目を細め、なすがままにされるのであった。

 

ーーー

 

途中、人形達と挨拶を交わしながらも、唐林はようやく司令室に着いた。中に早速入るとヘリアン代行官がホログラム越しにこちらを見ていた。

 

『ふむ、身嗜みはちゃんとしているようだ』

 

「は、当然の嗜みであります』

 

『結構、では指揮官も来た事だ。次の任務を説明する…と、その前にだ。昨日の作戦は見事だ。正直なところ、我々の予想よりも遥かに上回る結果だ。今後もその調子で頑張ってくれ』

 

「はっ!!」

 

『よし、では任務を説明する。カリーナ、戦術マップを開いてくれ』

 

「はい!」

 

カリーナが液晶にポチッとタップすると同時に今回のマップが映された。それを確認したヘリアン代行官は、そのマップに指を指した。

 

『今回はここにある鉄血の哨戒所を潰して欲しい。普段であれば捨て置く場所なのだが、今回は急を要する。早急に排除してくれ』

 

「は!して、その急を要するとは一体?」

 

『実は先日、我々は前線で負傷した人形を数体回収した。直ぐにでも後方の基地に後送し、修復しなければならん』

 

そう言ってヘリアン代行官は数枚の写真を写した。1枚目は、負傷した人形の姿。2枚目は敵。3枚目は敵の詰所だった。それを表示させつつ代行官は説明を続けた。

 

『だが丁度その輸送ルートに鉄血の哨戒部隊が未だ残されてる事が判明した。今も奴らは命令された通りに自動で機能しているとのことだ。普段であれば大した存在でもないのだが、今回は負傷した人形達が重要でな。失敗は許されない』

 

そう言いながら代行官は輸送ルートを写した。確かに、そのルート上に哨戒所が存在していた。そしてその周囲にも鉄血がいるらしく赤くマークされていた。

 

『そこでだ、指揮官には速やかにその哨戒所周辺を制圧、及び破壊をしてもらいたい』

 

「はっ!必ずや成功させます!!」

 

『うむ、それでは健闘を祈る』

 

本部との通信が終わり、早速唐林は部隊の編成に取り掛かることになったのだった。

 




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生存者

戦地でドロップする娘は大体今話みたいな感じで出す予定です。


ヘリアン代行官との通信が終わってから二時間後。唐林は部隊編成を終え、先ず第2部隊を先行させてから第1部隊と共に現地に赴いていた。

「こちらコマンダー。グリフィン2、応答せよ。状況はどうなってる」

 

『こちらグリフィン2、橋頭堡を確保。繰り返します、橋頭堡を確保。敵影なし、拍子抜けでした』

 

「了解だ、グリフィン2。グリフィン1が直ぐに向かう。それまでくれぐれも油断せずその場所を死守せよ」

 

『了解です、指揮官様』

 

グリフィン2の隊長・MP40との通信を切り、唐林は後ろに控えていた者たちへと振り返った。

 

「よし、諸君。我が第2部隊であるグリフィン2が先行して橋頭堡を確保した。我々はそこへ着陸する。任務の概要はインストールされてるな。鉄血の屑共を鉄屑に変えに行くぞ」

 

『『サーイエッサー!!』』

 

激励から数分してヘリは着陸し、隊員は降りた。先ずSMGである一〇〇式とステンが先に降りて左右を警戒し、その次にFALとガリルが降りて正面を警戒し、最後に唐林とP38が降りた。グリフィン1が降りている間もその場にいたグリフィン2は守るように部隊を展開している。そしてそのまま数秒して周囲をスキャンし終わったのかカリーナが無線を通した。

 

『周囲に敵影なし。問題無しですわ、指揮官様』

 

「了解だ、カリーナ。よし、全員武器を下ろしていいぞ」

 

そう彼が指示すると彼女達はゆっくりと武器を下ろした。その途中で、一〇〇式が溜息をついた。

 

『…ふぅ。やっぱりこの瞬間だけは緊張しますね』

 

『ですよねぇ…私もこの瞬間だけは慣れないです』

 

『私は慣れたわよ?』

 

ステンが共感し、FALがそれは克服したという話を聞き流しつつ、唐林は端末を確認した。

 

「背後は平原。前は森。森の中で敵とは遭遇したく無いものだな…そしてその森を抜けると市街地か。で、そこに敵がいると。こりゃ真正面からの殴り合いかな」

 

そう判断しつつ彼は指示を出した。

 

「よし、グリフィン2。先行して森を探索しろ」

 

『了解です、指揮官様』

 

『全く、人使いが荒いのう…ま、良いがの♪』

 

『ふふふ、楽しみだわぁ』

 

『頑張っちゃいますよー』

 

『が、頑張ります』

 

MP40率いるグリフィン2は各々がそう言いつつ森へと入っていった。それを見送りつつ続けて唐林は指示を出した。

 

「よし、グリフィン1もグリフィン2をカバーする形で行くぞ。遅れるなよ?」

 

『遅れるなんてあり得ないわよ指揮官、ふふ』

 

『早く行こうや、マイ指揮官』

 

FALとガリルがニヤニヤとした笑顔で俺の横に侍った。そしてその先頭を一〇〇式とステンが務め、殿をP38が務めた。

 

森に入って一時間程歩いた時、無線がなった。

 

『こちらグリフィン2。コマンダー、応答して下さい』

 

グリフィン2の応答に唐林はすぐに答えた。

 

「こちらコマンダー、報告せよ」

 

『特に異常無しです。鉄血と我等グリフィンの人形の残骸はあれど、他は無しです』

 

「了解、生存者がいるかどうかも確認せよ」

 

『了解です、通信切ります』

 

定時連絡を受け取った唐林は直ぐに指示を出した。

 

「グリフィン1、生存者がいるかも知れない。一〇〇式とステンはグリフィンの人形を見かけたら教えてくれ。俺が確認する。他はその場で周囲警戒だ」

 

『了解です!』

 

代表として一〇〇式が返答し、それからまた数分経った。鉄血の鉄屑は腐る程転がっていたが不思議にもグリフィンの人形は転がっていなかった。それからまた数分経ち、もしやグリフィン2は見間違えたのか?と疑問を抱きかけたところで一〇〇式が少し遠くで一体の人形が木の根に寝そべるように横たわっていたのを発見した。

 

『!?指揮官!』

 

「っ!分かった、確認しに行くぞ。ステン、一〇〇式、付いてきてくれ。他は周囲警戒しろ」

 

『はい!』

 

『了解や』

 

ガリルとFALが周囲を警戒し、P38が指揮官の背中を守り、ステンと一〇〇式を左右に従えながら彼はその横たわっている人形に向かった。その人形は、特徴として胸が大きく髪は銀色に近かった。手には壊れたサブマシンガンと思しき銃を持っており、銃身に付いていたであろうサプレッサーは外れていた。身体もボロボロであり果敢に戦ったであろうことは見て取れた。

 

どう見ても死んでるようにしか見えなかったが、唐林にはそうは見えなかった。まだ、微かに生きていると彼は直感で感じていた。

 

『指揮官、彼女は…』

 

と一〇〇式が申し訳なさそうに目を伏し目がちで言うがそれに構わず、唐林は自らの直感を信じて首筋に手を当てた。

 

彼女は………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ぅぁ……指揮…官…?」

 

まだ生きていた。微かであるが生きていてくれたのだった。




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