探索者って明らかに超人だよね? (九十九猫221)
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登場キャラクター(随時更新)

 

設定

主人公

氏名 九十九 響 (つくも ひびき)

職業 私立探偵(ルルブ2015基準)

年齢 24 性別 女

STR12 DEX15 INT12 アイデア:60

CON13 APP16 POW14 幸運:70

SIZ10 SAN値99/62 EDU15 知識:75

HP:12/10 MP:14 DB:1D4(鋼の筋力)

 

職場技能(300)

言いくるめ:52 鍵開け:51(+1) 心理学:50 追跡:50

目星:63(+3) 聞き耳:62(+2) 図書館:59(+9) 法律:30

特記 隠れるに+10

 

個人技能(120+30)

日本刀:78(+18) 回避:62(+12) 忍び歩き41(+1)

居合:46 隠れる40

 

成長技能

コンピューター9(+8) 運転(自転車)24(+4)

拳銃29(+9)

 

武器

警棒 1d6+DB 耐久15

木刀 1d4+DB 耐久8

防具

私服(装甲0)

 

遭遇神話生物:ミ=ゴ(仮)

 

 

リアル(メタ)知識55→20

有名な邪神、魔道書、シナリオの名前はわかるが細かいところまでは分からない

 

持ち物

スマホ、財布、ピッキングツール、カロリーメイト数箱、飲料水、簡易応急セット、携帯ゲーム機

 

特徴

鋼の筋力:DBを一段階向上する

寄せ餌:(D)人間以外に好かれやすい

 

 

プロフィール

自営で探偵事務所を経営しているドイツのクォーター(日本生まれの日本育ち)

黒髪の肩にかかるくらいのショートヘアーで碧眼であり、やや童顔で平均よりも低い身長からお酒を買う時に毎回年齢確認される

探偵業でたまにバイトなどを雇っているが基本的に一人で切り盛りしており、貧しくもなく繁盛しているわけでも無い

18歳の頃に大手企業に就職したがややブラック気味で21歳で退職し、自分の好きな時間欲しさに自立し、今に至る

小さい頃に虐められていたが負けず嫌いな為、口で言ってくるやつは言いくるめ、手を出してくるやつには、剣道(古流)でボコボコにしていた

その為友人は少ないが基本一人でいるのが苦にならない。だが孤独はダメである

仕事と剣道以外で体を動かすのか嫌なインドア派

基本面倒くさがりだが、やるべきことはしっかりとこなし、一度自分の中でやると決意したことは何が何でもやり遂げようとする

最近はアプリゲームにハマっており、無(理のない)課金である

 

 

 

氏名 氷室 月島(ひむろ つきしま)

職業 闇医者(ルルブ2015基準)

年齢 27 性別 男

STR16 DEX12 INT15 アイデア:75

CON16 APP14 POW13 幸運:65

SIZ15 SAN値99/67 EDU18 知識:90

HP:16 MP:13 DB:なし

 

職場技能(360)

医学65(+5) 応急手当68(+8) 経理45

説得50 法律15 薬学55

他の言語(英語)70 精神分析70

 

個人技能(150)

運転(二輪自動車)55 回避64

隠す45 目星43(+3) 機械修理40

 

初期値成長

こぶし58(+8) 拳銃64(+14)

 

武器

(没収)レミントン・デリンジャー ダメージ1d8 射程15m 故障99 攻撃回数2 装弾数2 耐久6

残弾数6発(装填数も含む)

防具

白衣(装甲なし)

 

遭遇神話生物:ミ=ゴ(仮)

 

持ち物

応急キット、各種サプリメント、バイクの鍵、財布、スマホ、手帳、ペン

タバコ、ライター

 

リアル(メタ)知識40

有名どころから少しマニアックなものまで分かる

 

特徴

銃火器の達人

拳銃、サブマシンガン、ショットガン、マシンガン、ライフルの基本成功率が50になる

 

プロフィール

海外で医療活動に勤しむ医者(免許無し)

少し長めの茶髪で爽やか系なイケメン。

幼い頃に病気で死にかけたが、医者に命を救われて以来、自分も誰かを助けれる人になろうと決心した

お金がないせいで大学には行けなかったが、独学で知識を身につけ、海外の紛争地域で経験を積み上げたお陰でプロ並みの腕前を持つ

海外での移動はもっぱら自前の愛車(二輪バイク)である

自分が救いたいと思った人しか治療しないと言っているが、結果的に目の前に怪我人がいるとほっとけないが、自分の身内(友人等)に危害を及ぼす者には容赦しない

普段は不真面目な言動でやる気を感じさせないが、根は真面目かつやや小心者(ヘタレ)であり、世話焼きなところがある

 

 

 

 

 

 

氏名 山下健吾(やました けんご)

職業 作家(ルルブ2010基準)

年齢 35 性別 男

STR9 DEX10 INT15 アイデア:75

CON11 APP12 POW12 幸運:60

SIZ14 SAN値99/61 EDU16 +1 知識:80

HP: 13 MP:12 DB:なし

 

職場技能(320+20)

オカルト49(+4) 芸術(絵画)65 心理学60

説得65 図書館75 他の言語(ドイツ語)56(+10)

歴史61(+1)

 

個人技能(150)

目星67(+2)聞き耳68(+3)

写真術40 回避40

博物学36(+6)

 

成長技能

投てき35(+8) 精神分析11(+10) クトゥルフ神話5

武器

無し

防具

私服(装甲無し)

 

遭遇神話生物:ミ=ゴ(仮)

 

魔術書:無名祭祀書(ドイツ語)

 

持ち物

財布、スマホ、手帳、ペン各種、スケッチブック、オカルト本、ボイスレコーダー

一眼レフ、タバコ、ライター、水筒(青汁)

 

リアル(メタ)知識5

ほとんど知らない

 

プロフィール

売れない三文作家

黒髪の天然パーマで若干猫背が特徴の男

小説より合間に書いている絵画の方が売れており、複雑な心境になっている

図書館等の静かな空間で読書するのが趣味で、オカルト本と歴史書には目がない

知は力なりを信条としており、争い事は好まない

何かに一生懸命な人が好きで、ついつい応援に夢中になるあまり、自分のことがおろそかになる

小説にネタ探しに人間観察をよくしており、若い男女の恋愛模様にほっこりしている

なお、既婚者である

 

 

 

 

 

名前:フィア・ブラッドボーン 性別:女性 年齢:27

職業:ディレッタント

STR:7  DEX:10  INT:15  アイデア:75

CON:9  APP:16  POW:15  幸 運:75

SIZ:16  SAN:69/99  EDU:19  知 識:95

H P:14  M P:15  db:なし

――――――――――――――――――――――――――――――

[技能](職業技能点:380 個人技能点:150)

・特記 信用に+10%

    様々なところにコネがある

[職業技能]

運転(自動車)50% 芸術(音楽)35% 信用60%

図書館63%(+3) 法律60% ほかの言語(英語)61% 

[職業選択技能]

写真術70% 武道(合気道)78%(⁺2)

[個人技能]

変装69%(+8) 組付き78%(+2) 制作(衣服)58%(+4)

隠す54%(+5)

 

機械修理30% 電気修理20% 回避50%

――――――――――――――――――――――――――――――

[装備]

【武器】

【防具】

 

・遭遇神話生物

ツァトゥグア

無形の落とし子

【所持品】

一眼レフカメラ、財布、スマホ、裁縫セット、メイクセット、簡易変装セット(自作)

 

リアル(メタ)知識30

有名な邪神、魔道書、ルールブックに載っているシナリオは分かる

 

・特徴

手先が器用 任意の制作の基本成功率が50%になり、機械修理、電気修理に+10%

敏捷    回避の基本成功率がDEX*5になる

 

――――――――――――――――――――――――――――――

[プロフィール]

資産家ブラッドボーン家の一人娘。幼いころから体が弱かったので引きこもりがちだったが一念発起して力をあまり使わない合気道を習い始める。それからは様々な事に取り組み始めるが、ある程度習得すると飽きてしまい長続きしない時期が続くが、ある時一人の写真家(変態)と出会う。その写真家に少女の素晴らしさをせんの・・・教え込まれ、少女を見つけては写真を撮ることが生き甲斐となった。最近ではただ撮るだけではなくメイクなどを使って更に可愛く仕立て自作した服を着せるのがブーム。本人曰く「少女のためなら世界を敵に回して見せる」とのこと。

 

金髪碧眼の美女で普段は大人しく知的だが、少女の前になると変態へと変貌する淑女

少女が本気で嫌がった場合無理強いしないがそのほかの場合は淑女(あらゆる手段)的に解決する。名前と見た目で勘違いされがちだが、親が海外から日本に移住した生粋の日本生まれの日本育ち。

 

 

 

 

 



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職をなくしたら女になった

久しぶりにルルブ読んだら無性にクトゥルフ系を描きたくなった
むしゃくしゃしてやった、今は清々しい


職を失った。いや、正確に言えばやめて来たのだ。

大手企業に就職したのはいいが、残業続きでろくに時間が作れず休日?。なにそれおいしいの状態だった。このままでは立派な社畜戦士になってしまう前にやめて来た。引き継ぎやらなんやらで手間取ったかこれで晴れて自由の身。お金はこれまでろくに使ってこれなかったせいでソコソコの額があるからしばらくは働かなくて済む。

 

溜まったアニメやゲームを消化していると気がつけば一月が過ぎて現在、職を探しつつネットサーフィンをしていると一つのサイトに目が止まった。それはクトゥルフ神話TRPGの参加者募集だ。昔はのめり込むほどやっていたが、仕事の都合でご無沙汰だったが、久し振りに参加しようと内容を確認すると。

 

・開催時間 約一年

・使用探索者 自身若しくは理想の自分(ただし新規に限る)

・シナリオ 様々

・参加条件 深淵を覗き込み生還するもの

・最後に 人間の可能性を見せてくれ

だけであった。

 

「いやいや、なんだこれ?一年?入力ミスか?それに自身若しくは理想の自分と来たか。シナリオの内容もほとんどないし」

 

愚痴りつつも昔のTRPG魂に火がつきこの不思議なシナリオに参加すべく、探索者を作成しようとしたが。

 

「あっ、やっべぇ、これ募集期限今日までじゃん」

 

今の時間を確認すると午後11時50分で締め切りが今日の11時59分即ち時間がない。

 

「あー、作ってる時間ないな。……そういえば昔お蔵入りした奴あったし、そいつにするか」

 

手慣れた手つきでパソコンを操作してファイルを開くと過去の相棒(探索者)達が眠っており、一番下のデータを開いて中身を確認する。

 

 

 

「これはひどい」

 

その一言だ。

別にステータスや技能が悪いわけではない。むしろ、ステータスは高水準で技能も探索、戦闘両方いける探索者の鏡なのだが、問題はプロフィールのほうだ。性別や生まれ、仕事を辞めた後のこと以外ほぼ自分の写しだった。

 

「そういえば酔った勢いでこんな奴作ったな」

 

参加要件に自分自身やらに合っているが流石にこれはない。誰が好んで自分のTSしたキャラを演じなければならないのか。いや、まぁ一部の人は好んでやりそうだが俺はそんな特殊な趣味はない。俺は基本的にゲームでは男性を選択してプレイする自己投影型のプレイヤーなのだ。だが、そうこうしているうちに時間は迫り既存探索者は全て試練(シナリオ)を乗り越えたものばかりで新規はこの探索者のみだった。

 

「仕方ない、今回はこいつで行くか」

 

時間ギリギリで応募すると同時に締め切られ安堵したのもつかの間、パソコンが急に不可解な音を立てて稼働し始めた。

 

「おいおい、まさか悪質なウイルスでも仕込んでたんじゃねーだろーな」

 

焦る気持ちを抑えつつ、急に画面が暗くなると、聞いているだけで吐き気がする歌のような声が聞こえて来た。この歌?を聞いていると次第に意識が薄れていき、俺が最後にみたのは暗くなった画面の奥に黒色のスーツを着た男が

 

「ようこそ、狂気の楽園へ。私は君を歓迎するよ」

 

 

 

 

「…知らない天井だ」

 

生涯で言ってみたいことベスト10に入る名?台詞が言えたことに若干の感動を覚えつつ辺りを見渡すと、四方がコンクリートでできた広間に寝かされていた。しかも布団もないそのままでだ。灯らしいものはないが不思議と暗くなく、むしろ昼間のように鮮明に見える。部屋には正確な数はわからないが多くの人がおり、まだ寝ているものや既に目が覚めて辺りを見渡している者など様々だ。このまま何もしないわけにはいかないので、壁まで近寄りそのままで壁沿いに歩いてみたが出口どころか窓一つもない。回る際にすでに起きていた奴らが集団を作っていたので話を聞くと

 

俺と同じであの募集に参加して気がつけばここにいたとの事

俺が知った通りどこにも出入口がない

ここにいる全員はあのシナリオの参加者

ちくわ大明神

と役にやつ情報をまとめるとこれくらいだった。いや、最後のはなんだ。不特定多数を一度にこれだけ集めれるとなるとかなり組織力がある奴ら・・・いや、例え政府が介入したとしても不可能じゃないか?どの道、出口が無ければどう仕様もないので壁にもたれかかり、全員が起きるのを待つことにした。

 

 

かれこれ一時間、ようやく全員が起きたが当然パニックに陥るものや怒鳴り散らす者が出てくる。それを収めようとするものとの間で口論が起こり、やがて一発触発のところでそいつは現れた。突然部屋の中央が人一人が立ってられるくらい盛り上がり、5m位の高さになると止まり。その台の上に最後にみたあの男が立っていた。真っ黒のスーツにピエロのお面を被っていた男は

 

「ようこそ、探索者の皆様方。お集まり頂き誠にありがとうございます。私は今回のシナリオでKPを務めさせてもらう者でございます。以後お見知り置きを」

 

なんておかしなことを言い出した。突然の事で唖然としていたが我にかえると、一斉に帰せと騒ぎ立てる。男はその罵詈雑言を無視して話を進める。

 

「それではこ「死ねー」のシナリオについて説明させて頂きます今回の「帰せー」オでは

あなた方は「ここから出せー」になって「警察に突き出してやる」となっていますが、やれやれ、一度黙らせないといけませんね」

 

男の所々が文句で聞こえなかったが最後の言葉だけはしっかりと聞き取れた。男はただ一言

 

「黙れ下等生物ども」

 

まるで心臓をわし摑めにされたような感覚になり、体が動かず、冷や汗が止まらなかった。殆どの人が立っていられず座り込みガタガタと震えていた。俺はなんとか歯を食いしばって立っていられたが、今にも崩れ落ちそうになる。

 

「はい、では静かになったところで説明を続けます」

 

男は何事もなかったかのようにいつもの口調で聞いてくる。もはや誰も野次を飛ばすことはない。静かに顔を縦に振るしかできなかった

 

 

「よろしい、では説明を続けますが、今からあなた方はそれぞれ作成して来た探索者そのものになってもらい、私が作った別世界に行ってもらいます。別世界といっても現代と変わりません。いわゆるソードでアートなオンラインと同じです。意識だけ飛ばされて仮想体に入り込むというわけです。これからあなた方はその別世界で約一年を通して7つのシナリオに挑んでいただきます。シナリオスタイルは探索メインや戦闘メインなど様々で、シナリオが始まると鐘の音でお知らせします。シナリオが始まるまでの間は技能を鍛えるなり、日常を謳歌するなりしてください。ただし、法を犯すと普通に逮捕されますのでご注意を」

 

「クリア条件は7つのシナリオ全ての謎に挑み、生き残ること。謎から逃げ出しもいいですが、あまりお勧めしません。次に失格条件ですが、HPが一定時間0以下になる、SAN値が0になる、シナリオに参加できる状態でないになります。失格した者は現実世界に戻れますが、その際にペナルティとして、命の直接関わる部位以外で体の一部を奪わせてもらいます。今回のゲームは今まで貴方がプレイしてきたのとかなり違ってくるでしょうから、2回目までのシナリオはお試しとシステム把握する期間として簡単なものにしますが、それでも命の保証はいたしません。3回目のシナリオから本番とし、3回目をクリアされた方に完全クリア報酬と全員失格した際のお話しをいたします。簡単な話、実際に探索者としていつも通りにロールプレイして下さい。最低限の説明としてはこれまでとして、まぁ細かいところは実際に行ってみて下さい。随一システムが説明致します。……おっと、言い忘れるとこでした。技能を使用したいときは《ロール》といった後に使用したい技能の名前を言って下さい。長々となりましたがこれより早速あなた方を送らせてもらいます」

「それでは恐怖に呑まれ、狂気に陥り、足掻き苦しみながら絶望する姿を見せて下さい。だけど、それと同時に人間の可能性を私は信じているよ。それでは良き探索者ライフをお送りください」

 

 

一通り話し終えると男は幻のように姿を消した。それと同時に次々と部屋にいた人達も消えていく。だが待ってほしい。あいつの話を簡単に纏めると「リアル探索者になって用意したシナリオクリアしてね。」という事だ。ああ、だから使用探索者が自分自身なのか。それならロールプレイもしやすいだろう。だが待ってほしい(2回目)ここで俺が応募した探索者を思い返してみよう。確か女性キャラで応募した。重要な事なのでもう一回言おう。女性キャラだ。いや、まさかね?ありえないと思うが、俺もしかしてこれから女性キャラでロールプレイするの?馬鹿なの?死ぬの?そうこうしているうちに俺の番がきたらしく視界が真っ暗に染まる。

 

 

気がつくとまた知らない天井だった。今度はベットの上でしっかりと布団も被せられている。

 

「まさかこの短時間で二度知らない天井を見る羽目になるなんてな」

 

上半身を起こし、辺りを見渡すと漫画やアニメのDVDが並べられた本棚にパソコンが置かれた机、各種ゲーム機が揃えられたテレビ台と大型テレビと見慣れた俺の部屋だった。一瞬あれはただの夢かと錯覚しかけたが、そうは問屋がおろさない。スポーツ刈りで短く切りそろえられたはずの髪が肩にかかるくらいまで伸びており、顔を下に向けるとほどよく育ったふくらみが見える。

 

「まだだ、まだ諦めるんじゃない、まだワンチャンある」

 

自分にそう言い聞かせるがその声は男性特有の低い声ではなく、可愛らしい声に変わっていた。ベットから降りて、近くにあった手鏡を手に取り自分の姿を移す。そこには美少女がいた。髪は肩にかかるくらいの黒髪で瞳は透き通った青色、童顔らしく幼い感じがするがそこがまた魅力的である。手鏡を戻し、今度は体をチェックする。身長は測定器がないのでなんとも言えないが、元の身長が170cmだから体感的に150cm前半位だろうか?剣道で鍛えた筋肉はプニプニと柔らかなものになっていたが、その内側はしっかりと筋肉が付いている。

胸は・・・大きさで言えば俺の掌に収まりきらないくらいだから大きい方だと思う(カップ数なんて知らんし)

そして1番の問題点を確認し、絶望する。そう、俺の息子が消失していた。

 

「息子よーーー!!!」

 

しばらく意気消沈していたが、現実はどう足掻いても変わらない。一旦この現実から背を背け、現状確認が優先事項だ。この部屋をザッとだが調べてみると現実の俺の部屋と変わらなかった。そこでこの部屋唯一のドアに目を向ける。これが現実ならトイレと風呂場に続く廊下があり、外へ出る玄関があるはずだ。意を決してドアを開けると、そこにはいつも通りの廊下が広がっているが、ひとつだけ違う部分がある。それは玄関口が無くなっており、俺の知らない部屋へと続くドアがあった。慎重にドアを開けると、そこは事務所だった。多少こじんまりとしているが、応接机とソファーに沢山の資料が並べられた棚、作業机の上にノートパソコンがある一般的な事務室だった。

 

「なるほどな、俺のキャラの職業は私立探偵。ここはその作業場というわけか」

 

各々が選択した職業に合わせて部屋が作られるのだろう。匠もビックリのリフォームだぜ。壁に掛けられているカレンダーを見てみると、四月四日に赤丸印がされており、[残存数100]と書かれている。既にこの馬鹿げたシナリオが進んでいる事に、言い表わせない不安が募るが、いつまでもこのままでは気がもたない。ここは冷静になる時だ。あの男は確か探索者としていつも通りにすればいいと言った。なら、ここは探索者らしく情報収集し、1%ても生き残るべく行動すべきだ。姿形は違っても俺は俺だ。知らない誰かを演じる必要はない。

 

 

そうと決まればまず試して見たい事はズバリ、技能の使用だ。探索者にとって生き残る為に無くてはならないものだ。今まではただダイスを振ってそれとない描写をしていたが、ここは仮想とはいえ現実に限りなく近い。ならばどのような仕様になっているのか確かめなければ、生き残るのは難しいだろう。KP(とこれから言うようにしよう)の話によれば確か《ロール》と言えばよかったはずだ

 

「《ロール》目星」

 

探索者の三大技能の一つである目星を使ってみると、何処からかサイコロが転がる音が聞こえてくる。そして、

 

《目星46 成功 特にこれといったものは見当たらない》

 

と機械的な声が頭に響く。

 

「なるほど、こんな感じになっているのか。」

 

この場に不審なものがないので目星しようが意味がない。成否の結果と内容は直接教えてくれるのか。俺の目星は確か60だから46が出たから成功したと・・・それにしても自分のステータスとか全部覚えてないぞ?ただでさえ、時間がなくてよく見ていない。よくあるゲームならステータスウィンドとかあるはずなんだが試してみるか?

 

「ステータスオープン」

 

すると、何もない空間にいきなり文字が現れた。驚きつつもよく見てみると、俺が作った探索者のキャラクターシートだった。

 

「ハハッ、マジかよ」

 

改めてここが現実ではない事を知らされた気分だが、それと同時に心は昂ぶっていた。漫画やアニメみたいな非日常的な出来事を俺は体験している。俺が女なんかになっていなければますます良かったんだがな。

 

 

だが、俺はこの時、致命的な過ちを犯していた。限りなく現実なこの世界をどこかしらゲームだから大丈夫だと思っていた。だが、ここはアニメや漫画みたいな希望に満ち溢れたものではなく、狂気と絶望に満ち溢れたものだった。

 

 

 

 

 

この世界に来てから早1週間過ぎた。俺がいた家はビルの3階をワンフロア借りていたもので、自宅兼事務所といったところだ。この世界は現実をそのままトレースしたものだったが、都道府県が全てカタカナになっており、市町村は全く知らないものばかりだ。俺がいる町はオオサカ夜野市というらしい。幸い俺が元々住んでいたところと地理は変わっておらず、どこぞの別TRPGのオオサカとは違い治安も良い。職業が私立探偵と言うわけで、この1週間に1件ほど依頼が来たのだが、いかんせん探偵なんてバラエティ番組でたまに見かける位しか知らない。イメージとしては浮気調査や猫探しとかだ。依頼は彼氏が浮気していないか調査してほしいとのことでこの1週間はその彼氏さんの後をひたすら追いかける日々だったが、ようやくそれも終わった。大変地味な仕事だったが、真面目にこなしてきた。間違っても行き先で人が死ぬ小さな死神みないなことは起きなかった。

 

 

あれから一通りの技能を試したが、それぞれ特徴があったので、大まかに技能を分けてみた。

 

・戦闘系(こぶしなどの戦闘に用いる技能)

・技術系(鍵開けや変装などの技術技能)

・交渉(言いくるめや説得など対人技能)

・知識系(考古学などの知識を用いる技能)

・感覚系(目星などの五感を使った技能)

の5種類だ。

 

まず、戦闘系だがこれは使わなくても普通に攻撃はできる。TRPGでは戦闘する際は必ず技能を振らなければならなかったが、ここでは殴ろうとすれば普通に殴れる。現実通りである。技能を使った場合だが、これはヤバイ。通っている剣道教室で試しに使ってみた結果だが、最初のロールが失敗し、普段なら外すはずがない剣筋が急に距離感が狂い全く当たらない。しかも、使用して数十秒間は使用不可ときた。逆に技能に成功した時は、まるで吸い寄せられるというか、どう打てば当たるのがわかるようになり、今回胴に打ち込んだのだが

打ち込んだ瞬間システムが現れて

《ダメージ1d6+1d4 6+2 計8 装甲3の為ダメージは5 対象の耐久が一度の半分以上減りましたのでショックロール 判定失敗》

と出て来た。普通なら防具で守られており、多少の衝撃が来る程度なのだが、打ち込んだ瞬間バンッ!!とあり得ない大きさの音が聞こえると、相手が吐血しながら崩れ落ちた。慌てて防具を外して駆け寄ると相手は口から血が出て白目を抜いて気絶しており、お腹は紫色に変色していた。すぐに救急車を呼びことなきを得たが、しばらくは道場に行かないほうがいいだろう。結果として、通常通りに戦闘はできるがそれは現実を基準としており、ロールを使用した場合はそのダメージ値相当の威力が出るということだ。

 

次に技術系だが自宅の玄関ドアで試してみたが。鍵開けなんて現実をおれでは到底出来ない芸当だが、技能に成功した瞬間体が勝手に動き、事務所に置かれていた解錠道具を使い、見事に解錠してみせた。何度か試してみると、技術系は現実で知らない技術をその期間だけ習得できるようだ。失敗した時は時間が消費され、作業中は無防備になる。ちなみに一度依頼人の彼氏さんを見失った際に追跡を使ってみると、簡単に居場所が分かった。

 

交渉系はある程度自分で考えてどう交渉するか考えた上でないとロールができない。いきなり相手に向かってロールしようとしても《ロール不可》と言われてできなかった。そしてあまりにも苦しい交渉はマイナス補正が付き、失敗するとその相手にそれ以上交渉ができなくなる。

 

知識系は法律しかなく、成功率も低いので成功するのに苦労したが、知りたい知識が頭に入ってくる感じだ。

別に辞書やネットで調べれば分かることもあるが。こちらはすぐに分かり、ネットなどに載っていないことも知れる。クローズドなどのネットに繋げない場合にかなり便利な技能だ。

 

最後に感覚系は五感を使ったもので、目星なら人混みから特定の人を探したり、無くした物を探し当てたり、聞き耳は普段ではよく聞こえない小さな音を鮮明に聞き取れたりと、言うなれば五感を強化してくる技能だ。ただ失敗するとどれだけ探しても見つからなくなったり、難聴になったりと五感が鈍くなる。

 

どの技能も成功すれば破格の性能を発揮するが、反面、失敗すればそれなりのデメリットも存在する。

現実にこんな奴らいたらこえーわ。あきらかに超人です。本当にありがとうございます。

 

 

今の生活も最初はどうなるもんかと不安だったが、この調子でいけばなんとかなりそうだ。貯金の方も少なくはないが多くもない程度あったし、今回の依頼で少し潤った。とういことで、現在は俺は自室に引きこもりゲーム三昧している。依頼人が来れば事務所が隣だからすぐ分かるし、メールも逐一チェックしている。

 

「さてと、石の貯蔵は十分、回せ!回転数こそ正義!」

 

そう、今俺は某人理を救うマスターとして奮闘しているところだ。

誰かが言った。その先は地獄だぞと、だが俺は引かなければならない。

地獄に踏み出そうとした瞬間、メールが届いた。ちなみに俺のメールアドレス帳と連絡先は真っ白だ。

べ、別に悔しくなんかねーし、昔はいっぱいあったし(辞めた職場の人だけだがな)

 

「はぁ、スパムか広告あたりか?」

 

若干鬱になりそうになりながらメールの内容を確認してみると、

 

《第一回目のシナリオを開催します。つきましては以下の指定された日時場所に準備を整えて向かってください。なお、この通知は今回限りです。次回からは通知なしで始まりますのでお気をつけください》

 

読み終えた後に突如鐘の音が鳴り響く。

どうやら記念すべき1回目のシナリオが始まったらしい。

 

行き先はグンマーにある石核研究所というものはそれ以外は集合日時と場所しか載っていなかった。

 

「何故に群馬はグンマではなくグンマーなんだ?流石試される大地だぜ。まあいいや、この世界に来て初のシナリオだ。気合い入れていかないとな」

 

こうして、第一回目の悪夢が幕を上げたのであった。

 

 

 

 

 

《シナリオ名:腕に刻まれる死?》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はダイスを振っていませんが、シナリオ中は全て実際にダイスを振っていきます
その方が絶対何か起きるし!

キャラクターシートは後日掲載します


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既存シナリオなんて怖くねー!かかってこい(腕死1日目)

さぁ、始まりました第一回目のシナリオ!!
果たして無事に生還できるのでしょうか!(ゲス顔


「まさか、一発目に腕死かー。え?難易度高くね?」

 

そう、うろ覚えな情報を思い返すにこれはルルブ2010に記載されているはずだ。確かゴ=ミじゃなくてミ=ゴが黒幕?で研究所内でなんとかウイルスが蔓延して職員達が石にされてたはずだ。

流石に6年以上前の記憶なのでおぼろげにしか内容を覚えていない。

 

「最初はクローズド系か。そうなると持ち込める物に限りが出てくるな」

 

指定された時間までまだ余裕があるので、必要な道具をかき集める。

持って行く物は

スマホ、財布、解錠道具、カロリーメイト数箱、飲料水、簡易応急セット、竹刀一本だ。

流石に木刀は職質が怖いので持っていかない。

 

服装は、半袖シャツの上に薄手の長袖パーカー、長ズボンと、いつも外に出かけるスタイルで行く。

ちなみに俺が持っていた服の一部が女性ものに変わっていた。一度スカートを履いてみたが、下の違和感が半端なかったので厳重にタンスの奥に封印した。女性物の下着なんかもあったが、普通に男物のトランクスを履いている。(ブラジャー?知らない子ですね)

あまり多くても動きづらくなるので、肩掛けカバンに荷物を詰め込み自宅を出る。

 

 

指定された場所にたどり着くと、一台の黒い乗用車が停まっていた。これに乗り込めということだと思うが、間違っていたら黒歴史間違いなしなので運転手に確認しようと近くと勝手に後部座のドアが開いた。

 

「間違いはなさそうだな。さて逝きますか」

 

車に乗り込み中を確認するが、前の席との間が塞がれている以外は異常はない。

完全に乗り込むとドアが閉まり、移動が始まった。

 

キングリムゾン!

 

ハッ?!なぜか道中の記憶がない。気がつけば荷物を持って知らない所に立っていた。そして手にはいつのまにか招待状と書かれた一枚のカードを持っていた。ナニカサレタヨウダ

 

周りは見渡す限り畑が広がり、正面に少し大きめの白い建物があるだけだ。見たところ廃墟ではなくきちんと人が管理している感じの綺麗なものであった。

 

「ここがあの研究所か。中にいる職員には申し訳ないけど、ウイルスの流出は防ぎようがないから諦めてもらうか」

 

いきなり来た一般人にこの先のことを言われても頭のおかしい人と思われるのがオチだからな。

 

建物の入り口はすぐに見つかった。中に入ると広々としたカウンターがあり、その奥で数人が事務作業をしていた。

カウンターの奥で受付していた職員に招待状を見せると、すぐに手続きを始めた。

 

なんでも機密保持のために、スマホなどの電子機器類はここで預けてなければならないらしい。

「(早速応援を呼ぶ手段を封じて来たな。クローズドなら当たり前か)」

指示に従いスマホを預けると、代わりにプラスチック製の腕輪が渡された。簡単な作りで着け外しはは可能なようで、中にICチップが内蔵されており、研究所内の扉を開ける鍵代わりらしい。腕輪にはクラス1と進度1〜7と書かれておりクラスはその数字に対応した数字の扉を開けることができ、進度については健康状態を確認するためについてるらしい。

 

 

一通りの説明を受けた後、職員の一人がこちらに来て後についてくるよう言われ、受付の奥にある扉を通り研究所内を案内しようとした瞬間、大音量のアラームが所内に鳴り響く。

「(え!?なんだなんだ?研究所に入ったばかりなんだけど)」

内心パニックになっていると、職員が所内でトラブルが発生したので会議室で待ってほしいと一方的に説明し、強引に会議室に連れて来られた。

 

会議室は10人以上が楽に入れるくらい広く、長机、椅子、給湯器、内線電話、壁には大きめのテレビとかなり豪華な感じだった。

会議室には誰もおらず、連れて来た職員も俺を押し入れるとともに何処かに行ってしまった。

 

「あっれ〜?まさか俺一人?詰んでね?ま、まっさかねー」

 

冷や汗を流しながらも、一人で特にやることもないので椅子に座り、置いてある給湯器でお茶を作って待つことにした。

 

「あ〜お茶がうまい」

 

決して現実逃避しているわけではない

 

 

 

一人のんびりしていると会議室のドアが開き、職員と見知らぬ男性2名が入ってきた。職員はまたドアの向こうに消えたが、残された二人がこちらと目があった。ああ、よかった。このまま一人で攻略しろとか無理ゲーさせられるかと思ったよ。この二人が今回の仲間(探索者)なんだろう。とりあえずまずは

 

「お茶でも飲む?」

 

 

椅子に座らせて、お茶を二人分作るとそれぞれ配り、自己紹介を始める。

 

「えっと、はじめまして。俺は九十九 響(つくも ひびき、職業は私立探偵している。先に言っておくけど、二人は探索者であってるよな?」

「ええ、間違いないですよ。僕は山下 健吾(やました けんご)。職業は作家をしている。作品は売れてない三文作家ですがね」

「俺は氷室 月島(ひむろ つきしま)職業は闇医者だから怪我したら任せな。ただしお代はしっかり頂くけどな」

 

山下さんは天パな髪に若干猫背で平均的な顔つきだが、大人の余裕を感じる人だ。なんというか親戚のおじさん的な雰囲気を感じる。作家なだけに身体つきはあまり良くない。おそらく探索メインの技能なのだろう。

氷室さんは茶髪が似合う爽やかなイケメンだ。医者のくせにガッシリして細マッチョというのか、こっちは戦闘もできそうだ。だが、自己紹介している最中に俺の胸を凝視しているのを俺は見逃さなかったぞ。

その後、お互いにキャラクターシート(プロフィールを除く)を見せ合い、何ができるのか確認しあう。

話を聞くに山下さんは素人でメタ知識はほとんどない。逆に氷室さんは月一でTRPGに参加しており、メタ知識は有名どころなら問題ない。

 

ある程度共有したところ、山下さんがやはり違和感を感じたらしく質問して来た

 

「ちょっと気になったのですが、自分のことを俺って言ってますが……そうなのですか?」

「あ〜、やっぱりそうなるよな。別に隠そうとはしてないけど、この際話しておくか。…俺って現実では男なんだけど、これに参加する際、締め切り時間ギリギリでな。適当に選んだキャラクターシートがこれって訳だ。だから男として扱ってくれると助かる。」

 

これから一緒に探索するのだからあまり隠し事や敬語はしたくない。それに女として扱って欲しくないので後で言おうとしたことなので問題ない。

 

「なんといいますか、やはりそうゆう方もいるのですね。事情は分かりました。こちらは問題ないです」

「いやいや、山下さん飲み込み早すぎませんか?こんな美少女の中身が男で、これから男と接しろなんて無理無理」

「はっはっ、僕くらい年取ればどうってことないさ。それにいい小説のネタになりそうだしね」

「それはそれでひどくねーですかね?」

「印税の10%は貰おうか」

「お前はお前で逞しいな!?」

 

どうやら氷室さんはツッコミ属性があるらしい。よろしい、ならば俺はボケ担当に回るか

 

 

ある程度打ち解けたところで今後のことについて話し合う事にした。

 

「あー、僕全然今後の展開わからないけど、どうなるのか分かるかい?」

「俺は黒幕の神話生物と職員が石になるまでは覚えてるんだが、他はサッパリだな。氷室は?」

「一応俺が年上なんだがな……まあこの際いいとして、今後については九十九が言う通り、Gウイルスの影響で職員が石にされる………はずだ。」

「なんで最後に言い澱んだ?」

「それなんだがな、本来であればこの会議室にユーリって言う女のNPCが居るはずなんだ。俺は最初あんたがそうなのかと思ったんだが違った。この時点で通常のシナリオから外れてる。だからこのままメタ知識通りに行くかわかんねーんだよ」

「なるほど。もしかするとあなたが知っているものではない可能性があると?」

「ああ、その通りだ。だからなにが起きても驚くんじゃねーぞ。」

 

氷室がそう言い終えた時だった。どこかでボンッと音がなると同時に小さな振動が伝わってくる。この音が合図かのように外から怒声や悲鳴、ドタドタと慌ただしく足音が聞こえてくる。俺たちは会議室入り口から距離を取り、ただただ音が聞こえなくなるのをじっと待って居るしかなかなかった。

 

 

 

 

どれくらい時間がたったのだろうか。足音や悲鳴が聞こえなくなり不気味な静けさだけが会議室を支配していた。だが、氷室がその静寂を破った。

 

「いいか、通常通りであればこの後ドアが開いて石になりかけの職員が入ってくる。その職員は倒れ込んだ瞬間に首からポッキリ折れて死ぬ。その前になんとか受け止めて助けるぞ」

「意外と真面目なんだな。モブNPCだから死んでもいいっていうプレイヤーかと思ってた」

「んなわけねーだろ。助けれるもんは助ける。まぁ、SANチェック回避の為でもあるけどな」

 

最後の一言がなければかっこよかったんだけどな。

 

氷室に呆れていると、不意に会議室のドアが開き、ドアから一人の男性が現れた。氷室の助言通り、倒れる前に救出すべく3人で職員に向かって駆け出そうとしたが、動けなかった。その職員の全身いたるところに赤い液体を付着して、手には同じく真っ赤な液体が付着した鉄パイプが握られていたら誰だって驚くだろう。しかも、顔は下を向いてよく見えない。

 

「氷室、これも通常通りなのか?流石に俺もこんなのなかったと思うぞ」

「んなことは百も承知だっつーの。二人とも気を抜くなよ」

「悪いが、僕は全く戦闘できないから期待しないでくれ」

 

技能を見た限り山下さんは論外として、氷室も銃火器がメインで今は持っておらず、俺も今は竹刀だけだ。幸いドアの前で動かないので構えることはできたが、あれって血……だよな?

《SANチェック 0/1d3》

はい、やっぱりそうですよねー。知ってた

《九十九75失敗、氷室95失敗、山下46成功。九十九3、氷室1》

ファアアアアアア?!最大値ナンデ!?

 

システムメッセージが終わると同時に自分の大切ななにかがなくなる感じがした。こう自分が自分であるために必要な大切な物が抉られると言うべきか、とにかくにすごい不快感や不安感等が襲ってくる。冷や汗が止まらなく、手に持っている竹刀が細かく揺れ、足は生まれたての鹿のように震えている。たかが3減っただけなのに震えが止まらない。

 

「おい!しっかりしろ!情けないがあんたが動けなくなったらヤベーんだよ!」

氷室の声で現実に戻される。まだ少し震えているが、なんとかいけそうだ。

「わ、悪い。助かった」

「気にすんな、お前ほどじゃないけど俺も体験したから気持ちはわかる。だけど今は目の前に集中してくれ」

「今のが噂のSANチェックってやつだね。僕は減らなかったから問題ないけど、見る限りあまり良いものじゃないみたいだね」

 

職員は相変わらずドアの前で動かないので、俺を先頭に氷室、山下さんと重ならないようにゆっくりとだが近くと、ピクリと反応があった。職員は急に顔を上げてこちらを見つめてくる。その目に光はなく、まさしくハイライトオフ状態だった。

「(これがヤンデレの目ってやつか。アニメで見るぶんにはいいけど実際に見たらトラウマもんなんですけど)」

職員は数秒こちらを見つめていると

 

「ひ、ひと。ウゥッゴゴギいてえてている。ででで、でぐtちちちちち、あけろおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

大声をあげて手にした鉄パイプを振り上げて襲いかかって来た。

 

 




SANチェック時のファンブルはなしとします。
1回目でこれだよ。(真顔
次回からダイス振る回数が増えます





コメントしてくださった方々、ありがとうございます!!
エタらないように頑張って書いていこうと思います


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得物なんか捨ててかかってこい!ブッ殺してやらああ!!(腕死2日目)

はい、早速戦闘から始まります。
そして二人の持ち物を記載するのを忘れていたことに気がつく作者
後で追記しておくので許してください。主人公が何でもするので


発狂した職員は手にしていた鉄パイプを振り上げて襲いかかって来た。一番前にいたせいか、竹刀を持って危険と判断したのか分からないが俺に向かってだ。だが、職員が動き出した瞬間にメッセージが鳴り響く。

 

《戦闘を開始します。ロール宣言をしますか?》

 

メッセージが聞こえた瞬間、時間が止まったかのように体が動かなくなり、職員も鉄パイプを振り上げようとしたところで止まっていが、意識ははっきりしている。

 

「(あれ、おかしくないか?普通ならここでなにかしらの戦闘技能若しくは行動を宣言するはずなのに、メッセージはロール宣言をしますかと質問して来た。どの技能のロールを宣言しますかなら分かるが、これは一体なんだ?)」

 

意味不明なメッセージに混乱するが、いつまでもこのままでは埒があかないので、宣言することにした。

 

《ロール 日本刀40 成功 相手はロールを行いません ダメージ1d4 4+1ターンスタン》

 

宣言を終えると、元どおりに動けるようになり、DEX15という高水準のステータスお陰か、職員が鉄パイプをを振り上げ終わる前に隙だらけな胴体に竹刀を振り抜く。相変わらず竹刀が鳴ってはいけない音を鳴らし、職員は苦痛の声を上げる。

その隙に氷室が近づき、大きく右腕を振り抜き、職員の脇腹を殴りつけた。

 

《ダメージ1》

 

ん?メッセージからはダメージ値のみで、こぶしのロール結果が聞こえない。これはどうゆうことだ?

山下さんは戦闘に参加しないのか会議室の隅にいつの間にか移動しており、遠目に見ていると思ったら。

 

《目星13 成功》

 

「そいつ君達よりも全然弱いからそのまま気絶させてくれ。HPも残り5だ」

 

と、山下さんがどうやら相手に対して目星を行い、ステータスを見てくれたらしい。目星スゲえな。

 

職員はスタンしているせいか襲って来ず、鉄パイプを乱雑に振り回している。このままさっさと片付つけるべくロール宣言をする。

 

《ロール日本刀98 ファンブル》

 

「「「あ」」」

 

どこからともなくデデドンという音が聞こえた気がした。職員めがけて振り抜いた竹刀は見事振り回していた鉄パイプにぶつかり、へし折れた。

 

「ちょっ!?あんたいきなり何してんだ!?」

「うっさいわ!好きで折った訳じゃないし」

「ああもう、仕方ねーから俺も振るか」

 

「ロールこぶし41 成功 相手はロールを行いません ダメージ2》

 

氷室は乱雑に振り回される鉄パイプを掻い潜ると、右腕振り抜き、ボディブローを炸裂させた。先ほどと違い明らかに威力が上がっている。

 

「よし、これで残りHPは3。ワンパンで気絶するはずだ。九十九、ロール宣言せずに一発なぐれ」」

 

殴り終え、素早く鉄パイプの射程圏外に移動する。

 

「いや、今回は九十九君がスタンさせてないから攻撃が来るはずだ。気を付けてくれ」

 

山下さんが言い終えると、同時に職員が鉄パイプを振り上げて俺に振りかぶって来た。竹刀はポッキリ折れているので受け流せないと判断し、折れた竹刀を投げ捨てて回避を選択する。

 

《ロール回避22 成功》

 

振り下ろされた鉄パイプを横に身体をずらして躱すと同時に、隙だらけな顔面めがけてこぶしを叩きつける。

 

《ダメージ1 HPが2になったため自動気絶します 戦闘終了します》

 

職員はそのまま後ろに倒れ込み、動かなくなる。試しに投げ捨てた竹刀を回収して突いてみるが反応はない。

 

「し、死んでないよな?」

「心配ない、メッセージ通り気絶しているだけだ。それにしても九十九は運がないというかダイスに嫌われているのか、今後が心配になって来たぞ」

「まぁまぁ、ダイスはどう転ぶか分からないし仕方ないよ。それよりもこの人どうする?流石にこのまま放置しておくには可哀想だけど、また暴れられても困る」

「それもそうだな。俺が治療しておくから何か縛れるもの探しておいてくれ」

 

氷室が持っていた鞄からガーゼを取り出し、紫色に腫れ上がった腹に当てていた。

あれは俺のせいじゃないよ?多分氷室が殴ったせいだよ?見て見ぬ振りして給湯器から伸びたコードを引っこ抜き持っていき、そのまま腕を後ろに回して固く縛り付けた。

 

「そういえば氷室はロールせずにダメージ与えていたが、どういう仕組みなんだ?」

「ん?気付いてなかったのか。自分の行動ターンにロールするかしないか選択できるのは知ってると思うが、選択せずとも攻撃はできる。ただし、こぶしの場合は威力が固定で1なんだがロールしないから失敗しないメリットがある。まぁ、当たるかどうかも本人次第と慣れないことは普通にロールしたほうがいい。いわゆるロールによる補正を受けない中の人技能ってやつさ。だからキャラクターシートに載っていない技能でも、ロール補正を受けないが実行はできるってことだ。」

 

なるほど、今治療しているのも中の人技能ってやつか。下手に応急手当してHPが回復したら起きてしまうからな。

 

 

氷室の治療が終わり、その際に物色した職員が持っていたものを机の上に並べる。

血塗れの鉄パイプ、クラス2と書かれた腕輪、財布と少ないがこの腕輪は使えそうだ。

 

「とりあえずこの腕輪は俺が預かる。九十九は竹刀折れちまったし、代わりにその鉄パイプでも持って行ったらどうだ?」

「何か呪われてそうだな。どうせならエクスカリバールの方が良かった。後で血は拭いておかないと滑りそうで怖い」

「う〜ん、見た目は美少女ヤンキーにしか見えないね。中は男性だけど。腕輪は氷室君が持ってくれて構わないよ。扉を開けた瞬間襲われたら怖いしね」

「これから会議室を出るがまた襲われるかもしれない。その際は俺と九十九が前衛、山下さんは後方で相手のステータスの確認をお願いします。後は高度な柔軟性を維持しつつ臨機応援に対応してくれ」

「つまり各自で判断ってことだね」

「そうとも言う」

「いや、そうとしか言わないからな」

 

おのれ!ツッコミ役は氷室のはずなのについ、ツッコンでしまった。

 

 

作戦?が終わったところで会議室を出ることにした。鉄パイプの血は拭き取り、包帯で即席のグリップ代わりにして滑らないようにした。腕輪を電子パネルに近づけて扉を開け、慎重に外を覗く。

その光景は異様で、廊下のいたるところに、血の気を失い青白いというより灰色に皮膚が変色して、まるで石像のように固まっていた。石像になっている職員はその顔を苦痛と恐怖に染まっており、見ているだけで恐怖が伝わってくる。

 

《SANチェック 0/1d3 九十九55 成功 氷室26 成功 山下07 成功 減少なし》

 

今回全員成功して減少はないが、ずっと見続けて気持ちのようものではないので、顔を見ないように移動する。その際に腕輪を見てみるがどれもクラスは2であるが、進度だけは全員7になっていた。

 

 

現在はラウンジと食堂が併設された場所にいる。ラウンジには無料でコーヒーとお茶が飲める自販機と丸テーブルがあり、食堂は食事するだけのスペースでキッチンなどはないが、パンやお菓子が買える自販機が置かれており、暫くは食料に困ることはないだろう。幸いあの職員みたいに凶暴化したやつはいないようだ。

 

目星を試そうとしたが、氷室からここには特に何もないと言われたため断念した。ラウンジに研究所の簡単な見取り図があったので拝見する。残念ながら外すことができないので、持ち運べないので記憶しようとすると、山下さんがスケッチブックに見取り図を書き写してくれた。流石に時間もあるので技能を使わずとも描き写せた。

 

ラウンジからいける扉の奥には研究施設に通じており、行く前に俺たちのいた会議室の隣の部屋の警備室に行くことにした。警備室に向かう際に、事務室に続く扉を確認したが、機密性のあるシャッターで塞がれており、開けるためのクラスは8と書かれている。このシャッターは外に通じる窓や通気口全てに設置されており、厳重に外と遮断されている。

 

警備室の前に辿り着くと念のために聞き耳をたてる

 

《ロール聞き耳 九十九59 成功 氷室37 失敗 山下55 成功》

 

流石に氷室は聞き耳初期値なので成功しなかった。強化された聴力からは何も聞こえず、生き物の気配はしなかった。そのことを氷室に伝え、中に入る。

 

警備室の中はこぢんまりとしており、4つのモニターが一定時間に切り替わっている。おそらく研究所内に設置されている監視カメラの映像だろう。そのモニターを見つめたまま、石像と化した警備員がおり、調べてみると腕輪のクラスは2。ッチ、ゴミめ。だが、腰につけていた警棒と懐中電灯はありがたくいただいておく。使わなかった鉄パイプを代わりに置いておく。これは等価交換なので窃盗には当たらない。懐中電灯?ちょっと借りていくだけですよ(ゲス顔)

氷室の野郎が白い目で見てきたが知らないね。

 

警備室のモニターはどれも画像が粗く、固定カメラなのであまり情報は得られなかったが、時折黒い影が画面に映し出されるが、画像が粗すぎてよく分からない。また、所々に無残にも砕かれた職員が映し出されたり、真っ暗で何も見えない画像が映し出されたりとここで得られる情報はこれ以上なさそうだと警備室を出ようした時だった。

 

《シークレットロール》

 

急にメッセージが聞こえると何かダイスを振り始めた。

 

「これは一体何のダイスだい?」

「さぁ?今のところ体に異常は無いけど……氷室何か知ってるか?」

「俺の予想が正しければだが、それぞれ腕輪の進度を見てくれないか」

 

言われた通り腕輪を見てみると、進度がいつのまにか1に進んでいた。氷室も1になっていたがなぜか山下さんは0のままだった。

 

「この進度は察しの通り石像になるまでのタイムリミット……いや、そのままの意味で進行度だ。これが増えていくたびに身体が石に変わっていく。これは機械類に近づく、若しくは触れるなどすれば進行していくんだが、おそらくさっきのシークレットロールはその進行度が増えるかの対抗ロールだ。山下さんはどうやら対抗ロールに成功したみたいだけど。」

「流石にリアル知識があるとこういう時に便利だね。頼もしい限りだよ」

「いや、今のところ原作通りでは無い部分もあるから、断定できないから油断だけはしないでください」

「了解だ。九十九君も何かわかったことがあったら言ってほしい。ここでは僕は年長者かもしれないけど、TRPGでは初心者だからね。戦闘ができない分、こういうとこで頑張りたいんだ」

「山下さん……分かりました。でも、6年も前にやったっきりなので殆ど覚えてないですけど、何か気が付けば知らせますね」

 

この人ほんといい人ですわー。必ず生きてここから脱出させないと。

 

「あー、それと原作通りであれば、監視カメラに映っていた影は凶暴化した猿か発狂した職員だったはずなんで、対峙した時は作戦通りでお願いします」

「そんな大事なことは先に言えよ」

「はぁ?俺は推理小説で犯人の教えない派なんでね。全て終わった後か、その情報が出てきたなら教えるけどな。それに下手な先入観を持たせちまったらいけないしな。わかったか?」

「うわっメッチャムカついた。ファンブルした時は覚えてろ。絶対お前めがけて警棒がすっぽ抜けるようにしてやる」

「自分をディスりながら脅迫するとか斬新な言い方だな」

「二人とも喧嘩しない。時間もないことだし次の行動に移るよ。僕は研究施設に行こうと思うけどいいかい?」

「そうですね。この周辺で得られる物はなさそうなんでそれでいいと思います。ただ研究施設には先ほど言った奴らがいるので気をつけていきましょう」

 

 

警備室を後にして再びラウンジに戻り、研究施設に繋がる扉の前に辿り着く。扉はクラス2なので普通に開けることができた。ここは他とは違い自動ではなく、手動で開ける扉なのでゆっくりと数センチ開け、中を覗くが石像がある以外、問題はなかった。さて、ここから本格的に探索が始まるので気合い入れていかないとな。

 

 

 




本格的に主人公の運が不安になってきた
次回は研究施設の部分を探索していきます
腕死を改変していますが、そこまで大きく改変はしてないですよ(目をそらし


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どこで(情報)知ったんだ?説明書(ルルブ)を読んだのさ(腕死3日目)

今回は、探索回ですね。バンバン原作情報を使って探索して行きます。


危険がないことを確認し、扉を完全に開ける。前方と右側に廊下が伸びている。見取り図によれば前方の廊下には更衣室、図書館、所長室等に繋がっており、右側の廊下は測定室、研究執務室等に繋がっている。まぁ、廊下は全て繋がっているので、迷うことはない。

 

「さて、研究施設なだけあってかなり部屋に数があるけど、どこから攻める?」

「そうだな、今俺たちが持っている腕輪はクラス2だから探索できる場所に制限がある。俺も流石にどの部屋が何ランクかまでは覚えちゃいねーからな。そこでまずは高ランクの腕輪の入手が最優先だ」

「それなら所長室でしょうか?ここの最高責任者なら最高ランクの腕輪があると思いますが?」

「いや、所長室に所長はいないんですよ。理由は地下室に行けば分かります」

「そうなると、次に偉い副所長か?流石に全部の石像から探し出すのは骨が折れそうだ」

「探すやつは正解だが石像を調べる必要はない。原作通りならまだ石化はしていないはずだが、探すにしても原作だとKPの任意のタイミングだったからな。それに副所長は発狂してるから襲ってくる。手分けして探すわけにもいかねーから地道に待つのが一番さ」

「やっぱり経験者がいるだけで安心感が違いますね。ですが、待っている間はどうしますか?」

「とりあえず、最期に使う切り札の回収からですかね。このまま立ち話も何ですから最初にそこに向かいます」

 

確かに、石像が並んだ廊下で長話するのも変だし、前方の廊下を歩き出した氷室の後についていく。廊下の突き当たりまで行くと左右に道が分かれ、左は仮眠室が二つあるだけで行き止まり。右はコンピュータールームに通じており、そのまま進めば再び廊下は左右に分かれていた。

 

氷室は迷うことなく左に進み、仮眠室の前に立つ。氷室は一番手前の扉に片耳を当てて、中の音を聞き取ろうとするが、こちらに振り返り首を左右に振る。

 

「流石に研究施設なだけあってか、仮眠室にも防音設備がありやがる。悪いが聞き耳してくれないか?」

「任せろ」「任せてください」

 

《ロール聞き耳 九十九81 失敗 山下25 成功》

 

失敗した俺には氷室同様何も聞こえないが、山下さんは何かを聞き取ったらしい

 

「この部屋の隣の仮眠室から、テレビの音……ですかね?」

「了解、隣の部屋ですね」

 

氷室は隣の仮眠室に立つと、電子パネルに腕輪をかざす。クラスは2なので、電子扉に腕輪をかざすと共にピッと電子音が鳴ると扉が開いた。

 

中を覗くと、左に2段ベッドが置かれているがコンピュータ雑誌やうまい棒とフ○ンタのペットボトルが散乱しており、正面には机の上にパソコンと数種類のゲーム機が置かれている。どうやら音の発生源は、このコンピュータから流れ出したものらしい。そして、その机の前に椅子に座ったまま石像になっている、でb、ゲフンゲフン、ふくよかな体型の男性が座っていた。

 

「うわっ、こいつ既に石化してんのかよ。まぁ別にいても問題なからいいか。例の物だけあればいいさ」

「その口ぶりに原作だと石化していなかったんだね」

「その通りです。ですが、こいつから得られる情報は既に知ってますからね。それでも一応石化していなかったら原作と相違がないか確かめたかったんですが、残念です。この職員女性に弱いんで、九十九がチョロっと色仕掛けすれば話してくれたんですがね」

「オイコラ。サラッと人を差し出すんじゃねーぞ」

「別にいいだろ?減るもんじゃあるまいし」

「減るわ!主に俺の男の尊厳が!」

 

何が悲しくてこんな奴に媚び売らねばならんのだ!どうせなら可愛い女の子と仲良くなりたいわ!

俺の意見の軽くスルーして氷室はなにかを探し始めた。山下さんも氷室に探し物を聞き出し一緒に探しているが、やる気が出ないため、机の下にあった小型冷蔵庫からフ○ンタを取り出し、被害の少ない2段目のベッドでくつろぐことにした。

 

《シークレットロール》

 

再びメッセージが流れた。おそらく進行度のやつだろう腕輪を見るに進度が2になっている。まだまだ余裕はあるので気にせずフ○ンタを飲む。

 

そこまで広くないので、10分ほどすると目的の物を見つけたらしい。どうやらUSBメモリーで氷室がパソコンを使い調べると、ファイルには《ノストラダムス》と書かれていた。この歳になってまだ厨二病が治っていなかったのか。

 

「目的の物も手に入った。お次は魔道書の入手と洒落込みます?」

「へぇ、魔道書なんてあるのかい?それは是非一度拝見してみたいね」

「魔道書かぁ……出来ればあまり見たくはないな。というかそもそも俺自身もこのキャラも外国語はからっきしだし、見たいならお好きにどうぞ」

「それじゃ、この職員から腕輪頂いて……よし、ランクは3だな。つぎは図書室だ」

 

 

仮眠室から出ると来た道を戻り、図書室に入る。この扉はランク2ですんなり入れた。図書室は壁一面に本が並べられており、どれも外国語で書かれているので俺にはどんな中身なのかさっぱり分からない。中央には複数台の机と椅子が並べられている。

 

「おかしい、確か原作だと小型の金庫がおかれているはずだが、見当たらねー。ちょっと探しますね」

「それなら僕も探しますね。九十九君もお願いしていいかな?」

「分かりました。手伝いますね」

 

さて、こうゆう時は定番の目星かな?全員で怪しいところはないか一斉に調べてみる。

 

《ロール目星 九十九20 成功 氷室54 失敗 山下91 失敗》

 

危ない。危うく全滅しかけるとこだった。俺は強化された視覚で、部屋の端にある本棚の一番下の本が何度も移動されている後を見つけた。本をどかしてみると案の定壁に埋め込み式の小型金庫があった。幸い暗証番号ではなく、ランク3と書かれていたので氷室を呼び出し開けてもらった。中身はお目当ての魔道書ではなく、スパイ映画でよく見かける小さな拳銃だった。予備の弾丸も置かれており、数は6発。拳銃に弾はこめられてはいない。拳銃を手にした際にメッセージが流れてきた。

 

《レミントン・デリンジャー ダメージ1d8 射程15m 故障99 攻撃回数2 装弾数2 耐久6》

 

「おいおい、まさか拳銃があるなんて、こんなの知らねーぞ!?」

「あるもんは仕方ねーだろ。俺は拳銃からっきしだから、技能持ってる氷室が持ってれば?」

「ああ、サンキュー。これで俺も戦力になるが、ラスボス戦が不安になってきたぞ。気を引きしめろ……一筋縄ではいかないかもしれん」

「そうだね。拳銃を使わないと勝てない相手かもしれない……ん?ちょっと待ってくれ。まだ中に何かあるみたいだよ?」

 

山下さんが金庫に手を突っ込むと、中から一枚のメモ用紙が出てきた。拳銃に気を取られすぎて気がつかなかった。

 

《万が一のためにこの拳銃を置いておく。私以外の誰かが手にしたとしたら、アイツを殺すためにぜひ役立ててほしい》

 

一体誰が置いたのかは知らないが、こうなることを予期していた人物がいたらしい。

 

「……ここに魔道書がないとすれば所長室か?まさかユーリとかいうNPCがいない影響?考えたって仕方ない。とりあえず弾は込めておくか」

 

《シークレットロール》

 

ここでまたもやメッセージが流れる。腕輪を見ると進度が3になっていた。そろそろ半分になろうとしているので、少し急がなければ。

図書室から出る前に次の行き先を決めることにした。椅子に座り、見取り図を机に置くと、氷室から話し始める。

 

「さて、未だに二つしか探していないが、いかなくていい場所がいくつかある。場所は生体実験室、測定室、コンピュータルームだ。この三つは罠で、行けばSAN値やHPが減るやつばかりで、ろくな情報も手に入らない。だけど、改変もされてるともしかすると何かあるかもしれないが、後回しにしても問題はないはず」

「となりますと、残りは所長室、実験室、倉庫、サーバー室に地下ですか?」

「そうなりますね。ですが地下室に行くためには確かクラス4が必要なんです。所長室も通った際に確認しましたがこちらも同じで、行くためには副所長から奪わないといけません」

「そうなると、廊下をうろついて副所長にエンカウントするのを待つか?」

「それだと余りにも非効率だ。そこでまず実験室に行き、情報を入手してその後、倉庫へ行き役に立ちそうなものをぶっしょk……拝借する!」

「お巡りさんこの人です」

「既に前科(警棒盗み)持ちが何言ってんだ?」

「おう、そのポケットに入れてるもん(拳銃)見てから言ってみろ」

「まぁまぁ、二人とも喧嘩はそこまでにして。行き先が決まったのなら行動に移しましょう」

「「了解です」」

「(仲がいいのか悪いのか分かりませんね)」

 

図書室を出て実験室を目指す途中、丁度コンピュータルームの前の廊下を歩いている時、急にメッセージが流れた。

 

《聞き耳を使用しますか?》

 

俺は少し迷ったが、ここは素直に振ることにした。

 

《ロール聞き耳 九十九48 成功 氷室41 失敗 山下63成功》

 

強化された聴力からは、前方の廊下から鉄を引きずる音とともに、誰かの足音が聞こえる………と同時に、後方からもペタペタと何かが歩く音が聞こえる。引き返そうにも今いる場所は一本道の廊下で、進むも戻るも必ずどちらかに鉢合わせる。小声で失敗した氷室に情報を伝えると、苦虫を潰したかのような顔になる。そうしているうちに足音はどんどん大きくなり、ついにその姿を見せる。

 

前方からは、50歳くらいだろうか。頭部の一部が不毛地帯と化した冴えなさそうな老人が、鉄パイプを片手に丁度廊下の奥にいた石化した職員の頭部を殴りつけた。石化した職員の頭部は粉々に砕け散り、首からもげ落ちた。首の断面からは、大量の血液が噴水のように吹き出して辺りを血の海に変えていく。老人はブツブツと何かをつぶやいているが、強化が切れたのかよく聞き取れない。

 

目の前の惨劇に目を取られていると、後方からけたたましい叫び声が聞こえる。反射的に振り返るとそこには至る所が灰色に変色しているチンパンジーがいた。こちらは手に石化した人間の腕が握られており、こちらを見るなり「ウキキキ、ウキーーー!!!と興奮気味に騒ぎ、手にした腕を振り回している。

 

前門にジジイ、後門に猿と文字だけ見るなら意味不明だが、どちらも正気ではないことは一目瞭然だった。

 

「まさか一斉に来るなんてKPのやつ頭おかしんじゃねーのか?いや、アイツなら嬉々としてやりそうだな」

「そ、そそんなことよりどうするんだい!?挟まれてしまったよ」

「大丈夫ですよ山下さん。氷室、俺はあの波平野郎を片づけるからそっちの処理は頼んだぞ。ヘマしたら承知しねーからな」

「へいへい、了解だ。そっちこそヘマすんじゃねーぞ?ファンブって警棒が飛んで来るなんてしたら、代わりに鉛玉が返って来るからな」

「ハッ、上等だ。どっちが早く片づけるか競争するか?」

「OK、負けた方はここを脱出した後、飯奢りな」

「絶対高い店に行ってやる」

「それじゃ」「とりま」

「「ぶっ潰す!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(仲良いなぁ)」by山下

 

 

 

 

 

 

 

 

《SANチェック 1/1d3 九十九23 成功 氷室88 失敗 2 山下72 失敗2》

 




こ、今回は無難なダイスに終わりましたが、次回の戦闘が不安で仕方ない
果たしてKPの嫌がらせを無事にのりこえれるのか!?


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ただの案山子(ファンブル)ですな。(腕死4日目)

戦闘回2回目+探索回


九十九「行くぞダイスの女神!今回の戦闘こそ上手くいきますように!」
女神?「………」ニタァ
氷室「南無」
山下「頑張れ」




今回ロールの結果だけでなく、元の数値も入れて見ましたがいかがですかね?










前方にいる狂った職員は、こちらを見てブツブツと呟いたまま立っている。廊下は人が3人以上並んでも十分な広さがあり、俺と職員とまでは目測10m位だ。俺は肩掛けカバンの中の入れていた警棒を取り出し引き伸ばし、静かに構える。

 

《戦闘を開始します。ロール宣言しますか?》

 

聞き慣れたメッセージが聞こえると同時に時間が止まったのようになる。ロール無しでも勝てないことはないが、今はあいつのとの勝負もあるのでロール宣言を選択する。

 

《使用武器が技能と対応していない為、−10%の補正がかかります。宜しいですか?》

 

なん……だと!?い、いや、冷静に考えれば確かに警棒は杖とかそこらへんの技能で使用する武器だし、マイナス補正掛かってもおかしくはないな。だが、俺の日本刀は60%。補正がかかったとしても50%あるから十分成功する筈だ。

 

《ロール日本刀50→05 クリティカル 回避不可、威力2倍になります》

 

勝った!第1部完!フハハ!今回の勝負はどうやら俺の勝ちのようだな氷室よぉ〜。

 

判定が終わると同時に身体が動き出す。職員も近づいて来る俺に反応するが、もう遅い。10mもあった距離を一瞬で詰め寄り、警棒を振るう。職員の脇腹に警棒の先端が食い込み、メキッと骨が折れる音が聞こえる。そのまま警棒を振り切ると、職員は真横に飛んでいき地面に倒れこむ。

 

《ダメージ2b6+1d4 →10 HPが一度に半分以上減少したためショックロールを行います。判定43 成功》

 

ま、マジかこのおっさん!?俺なら強制気絶する攻撃を耐えやがったぞ。

 

職員は口から血を出しつつも立ち上がり、狂気じみた目でこちらを睨みつける。そのまま職員は雄叫びを上げながら鉄パイプを振りかざし迫って来る。

 

《ロール杖25→67 失敗》

 

職員は狂っているせいか、誰もいない場所に鉄パイプを振り下ろす。

 

こいつ会議室の職員と違ってロール使って来るのか!?だが、25%と初期値なので滅多なことがない限り当たることは…………ない筈だ。

 

《ロール目星65→68 失敗》

 

「あ、ゴメン。目星失敗したみたい」

 

どうやら山下さんはこちらの加勢に来てくれたみたいだ。まぁ、氷室は拳銃持っているし大丈夫だと判断したのだろう。

 

「いえ、助かります。おそらくあと一発当てれば倒れる筈なので、次で仕留めたら氷室の加勢に向かいます」

 

 

 

 

 

 

氷室サイド

 

さて、あんな啖呵を切ったのはいいが、俺の拳銃は50%と正直心許ない。銃火器による優先で最初の一発は撃てるが問題は外した後だ。このチンパンジーが棍棒以外で攻撃してきた場合、2回攻撃になるんだよなぁ。しかも30%と決して侮れない数値だ。これは少しダメージを覚悟しておかないとダメか。めんどくさいが仕方ない。腐っても医者だ。人が傷つくのは見たくないが、優先度はある。悪いがこのチンパンジーには仲間の為に死んでもらう。

 

《戦闘開始します。ロール宣言しますか?》

 

俺は迷わず宣言する。頼む!当たってくれ!

 

拳銃を構え、チンパンジーに狙いを合わせる。棍棒を振り回し一直線に走ってくる。

 

《DEXは相手が上ですが、銃火器を所有している為、1発目のみ優先されます。ロール拳銃50→25 成功》

《ロール回避40→69 失敗》

 

あ、あっぶねー。あのチンパンジー40も回避持ってやがったのか。チンパンジーは確か呪いのせいでHPが5と低い。この一撃で死んでくれればばんばいざいだが、このデリンジャー (拳銃)1d8と威力低いから結構博打なんだよ。

 

構えた拳銃の引き金を引くと同時に響き渡る発砲音に手に伝わる衝撃。放たれた弾丸は一直線に飛んでいき、チンパンジーに当たる。

 

《ダメージ1d8→5 HPが0になりましたので死亡判定します。戦闘終了です》

 

運良くチンパンジーの心臓部分に当たったのか、胸に小さな穴が空き、そこから大量の血液が流れ出る。チンパンジーは何が起きたか分からないのか、立ち止まり穴の空いた胸を凝視した後、そのまま後ろに倒れた。床に血溜まりが広がり、その中心でチンパンジーが濁った目を開けたままピクリとも動かない。

 

はぁああ。いい方の妖怪イチタリタに助けられた。こっちは危険と隣り合わせだが、うまく決まれば一撃で沈められる。あっちのおっさんはHPこそ高いが技能は高くないし、攻撃も一回で回避もあったとしても20%だ。長引きこそするがこちらよりかは安全だろう。いくら中身が男だからって言っても、女の子が怪我するのは気持ちいいものじゃないからな。

 

 

 

 

 

 

 

九十九サイド

自動気絶しなかったところ、残りHP3以上なのは確かだ。それならノックアウト攻撃で気絶させることが出来る。

 

《ロール日本刀ノックアウト宣言 80 失敗》

 

警棒を振りかざすも先ほどのようなキレはなく、簡単に避けられてしまった。職員も負けじと反撃をしてくる。

 

《ロール杖25→25 成功》

 

おのれ妖怪!!相手に出てくるんじゃねー。だが、舐めるなよ。たかが素人の攻撃、受け流してやるわ!

 

《ロール日本刀 受け流し50→85 失敗》

 

上段からの振り下ろしに対し警棒を斜めにして受け流そうとするが、予想以上の威力に受け流すことができず、鉄パイプが右肩に叩きつけられる。

 

《ダメージ1d6 2 九十九HP12→10》

 

「っう!?」

「九十九君!?l

 

肩が外れるかと思うほどの衝撃が体を襲う。画面の向こう側にいた頃は、たかが2ダメージと笑って入られたが、実際に受けてみるとその威力は桁違いだ。正直悲鳴をあげなかった自分を褒めたい。

 

「だ、大丈夫です。それよりも相手のステータスの確認をお願いします」

「っ、わ、分かった。無茶だけはしないでくれ」

 

駆け寄ろうとした山下さんを静止する。迂闊に近づかれたら山下さんに攻撃の対象にされかねない。

 

《ロール目星65→55 成功》

 

「そいつのHPは残り5。戦闘技能もなく、回避も初期値だ。SANは12と完全には発狂していないから気絶で頼む」

「了解です。この借りはきちんと返してやりますよ!」

 

《ロール日本刀ノックアウト宣言 20 成功》

 

警棒を突き出し鳩尾に叩き込む。

 

《1d8+1d4 ダメージ9 ノックアウトで 3分の1ダメージの為3となり、相手のHPが2以下になったので自動気絶、戦闘終了です》

 

職員は最後に「自由を……外へ……あの方の……ため……に」と言い残し、そのまま床に倒れ込み気絶した。

 

 

 

 

職員が倒れると同時に俺も床に座り込む。初めてまともにダメージを受けて命の危険を感じた。冷や汗が止まらなく、服も汗を吸って気持ち悪い。右肩がズキズキと痛み、動かすだけで激痛が走る。これって骨大丈夫か?折れてないよな?それにしても本当に恐ろしいな。警棒でたった2回殴っただけで人を殺せるなんて………2回目がノックアウトじゃなきゃ殺してたぞ。

 

「九十九君大丈夫かい!?」

「あ、山下さん、肩以外は大丈夫ですよ。ただちょっと気が緩んでしまっただけです」

「ゴメン。僕が戦闘に参加出来ればこんなことには………」

「気にしないでください。人間向き不向きがあるんです。山下さんは山下さんにしか出来ないことをすればいいんです」

「はいよ、いい感じのところ水差すようで悪いが、さっさと移動するぞ。治療するにもこんなところだとゆっくりできないからな。取り敢えず実験室に行くぞ」

 

いつのまにか来ていた氷室の言う通り、ここでまた敵が出て来たら流石にまずい。素直に氷室の指示に従い実験室に向かうが、その前に氷室は俺の気絶させた職員の腕輪を剥ぎ取っていた。

 

実験室に入ると様々な実験器具や薬品があり、壁際には書類棚が並べられており、これまでの研究内容がアルファベット順に整理されていた。なんだが学校の理科室を思い出す場所だ。手頃な椅子に座り傷の具合を確かめる。着ていたパーカーを脱ぎ、シャツをずらして右肩を見てみると紫に変色し、腫れ上がっていた。

 

「うわぁ、よく我慢できたな俺。氷室、悪いが治療頼むわ……ってなんで二人して目を背けてんだ?」

「当たり前だ!いきなり服を脱ぎ出したら誰でも驚くだろ!」

「九十九君、いくら元が男性だとしても今は女性の身体なんだよ。少し恥じらいを持った方がいい。そうでないといつか襲われそうで僕は将来が心配だよ」

「というかブラはどうしたブラは!」

「はぁ?……別に着けてないけど?」

「…………」「………」

 

どうしたのだろうか?急に二人とも固まったかと思うとコソコソと話し始めた。というか早く治療してほしんだが、今も傷がズキズキと痛んで辛いんですが。しばらくすると話し合いが終わり、氷室が包帯を差し出してきた。え?なに?自分でやれと?

 

「おい、医者が治療しなくてどうする。お前が一番技能高いだろうが!」

「そうじゃねーよ!これでサラシのように巻けってことだよ」

「それじゃ巻いてくれ。正直痛くてあまり腕動かしたくないんだ」

 

氷室は天を仰ぎ再び固まる。山下さんは氷室の肩に手を置き、やれやれと言った感じで首を左右に振っている。本当にさっきからなにがしたいのだろうか?

 

結局、山下さんが後ろから胸に包帯を巻き、その後に氷室が治療することになった。包帯で胸が圧迫されて息しづらくなったが、後で外せば問題ないだろう。

 

「今回ロール振るのか?」

「そうだな。振らなくても治療は出来るがHPは回復しない。だが、痛みは今よりも良くなるぞ。振れば完全に痛みは消えるが、失敗すればそのままだな」

「それなら振ってくれ。このままだとただでさえマイナス補正かかっている日本刀技能に更なるマイナス補正がかかりそうだし」

「はいよ。失敗しても恨むなよ」

 

《ロール医学、応急手当100 ファンブル 1d3ダメージ 1 九十九HP9》

 

何をトチ狂ったのか、氷室が肩に巻いた包帯をあらん限りの力で締め付けてきた。

 

「痛っっったあああああああああ!?!?!?!?」

「あ、すまん。ファンぶった」

「おま!本当ふざけんなよ!余計なダメージ食らったじゃないか!」

「俺は事前に恨むなよって言っただろ?」

「言ったけどよりにもよってなんでファンぶるんだよ!俺に何か恨みでもあるのか!」

「はいはい、九十九君落ち着いて。氷室君もやりたくてやったことじゃないんだ。ダイスの出目だけはどうしようもない」

「くっ、確かにそうだけど………絶対治療費払わねーからな。むしろ慰謝料をもらいたいくらいだ」

「あー、はいはい。俺もこんな治療で金もらおうとはおもわねーよ。だが、賭けは守ってもらうからな」

「はっ?何のことだよ」

「そりゃ、戦闘が始まる前に言っただろ?先に倒した方が勝ちで負けた方は飯奢るってな。いやー楽しみですね山下さん。何処にしましょうか」

「い、いや待て!なんで山下さんも含まれてるんだ」

「そりゃそうだろ。一緒に戦った仲間なんだからな。まさか仲間はずれなんてしないよな?」ニッコリ

 

殴りたいその笑顔

 

「あはは、そこまで高いところにはいかないよ。そうだね。全員でご飯食べに行くためにも絶対に生きてここから出ようね」

 

はぁ、山下さんがいれば氷室の野郎も高いところは行けないから逆に安全……かな?帰ったら銀行からお金おろさないと。

 

「さて、治療?も終わったところで次の目的地に行くとしよう。丁度目当ての物も手に入ったことだしな」

 

そういって見せてきたのはクラス4とかかれた腕輪だった。

 

「クラス4と言うことは次は所長室かい?」

「ええ、そうです。このまま実験室で薬品調べるなり、そこの資料棚を調べるもいいですが、所長室を調べる方が有益な情報が出てきそうなので。ですがもう敵と呼べる奴はでないと思いますので、調べたいところがあれば別行動でもいいですよ」

「俺は特にないからそのまま所長室でいい」「僕も同じだね。万が一ってこともあるし、それにクトゥルフで単独行動は死亡フラグって聞いたからね」

「それじゃ、向かいますかね」

 

 

 

道中特に問題なく所長室にたどり着く。挙げるとしたら気絶した職員と猿の死体を邪魔にならないように廊下の隅に移動させたくらいだ。クラス4の腕輪で電子扉を開けると中は所長室に相応しい豪華な作りだった。床は真っ赤なカーペットが敷かれて、奥には黒を基調とした執務机、手前には6人ほど座れる重厚なテーブルセット、壁際にはスライド式の大きな資料棚がある。早速定番の執務机を調べると、ノートパソコンと小型印刷機、写真立てがあるだけだった。写真はイケメンな男とこれまた美しい女性が並んで映っている。

 

リア充爆発しろと怨念を送りつつ、他に何かないか探すが特にめぼしいものはなかった。ノートパソコンはパスワードが掛けられて開くことができなかった。次に執務机の引き出しを探そうと引いてみるが鍵がかかっているようで開かない。おそらくこの中にシナリオで役に立つ情報が入っているはずだ。

 

「鍵がかかっているみたいだね。この部屋の中に鍵があればいいけど、なかったらこの広い研究施設から探さないといけないね」

「ふふふ、山下さんその心配はご無用です。何故なら俺は鍵開け技能持ちですから!」

「おお!それは頼もしいね」

「このドヤ顔の後に失敗したら爆笑ものだな」

「ふっ、まあ見てろ」

 

鞄から解錠道具を取り出し鍵穴に差し込む。

 

《ロール鍵開け50→38 成功》

 

数分後、カチリと音を立てて解錠に成功する。

 

「どんなもんよ。本気を出せばこの程度朝飯前さ」

「へー、大したもんだ。この調子で戦闘も頑張って欲しいね」

 

氷室の皮肉を流しつつ、引き出しを開ける。中は雑多な書類や書籍と小さな木製の小箱が置かれていた。3人で全て取り出しテーブルの上まで運び出すとそれぞれ調べ始まる。

 

10分後、それぞれ調べた内容をまとめると、小さな小箱にはガラス製の試験管が入っており、中には赤黒い組織片らしきものが入っている。試験管の表面には《1930,5,18 Dahomey》と書かれている。他にはここの所長が書いたと思われる日記に錬金術、ギリシヤ神話、銅鏡にかかわる本にアルバムがあったが1番の発見は魔道書があったことだ。魔道書は真っ黒な革で装丁されており、題名部分は外国語で書かれているので読めないが、この本に触った瞬間、不快感と背筋が凍るほどの不安を感じたから間違いない。本にはいくつかの付箋と走り書き程度のメモが日本語で書かれて挟まれていた。

 

「この魔道書、どうやらドイツ語で書かれているみたいだね。えっと題名は……無名祭祀書?」

「無名祭祀書か。書かれている魔術類は分からんが、クトゥルフだとまあまあ有名な魔道書だな。俺は英語しか持っていないからドイツ語を持っている山下さんが持っておきます?」

「そうだね。興味もあるし、僕が持っておくよ」

 

魔道書なんてSAN値ゴリゴリ削る物は持っておきたくない。シナリオ上使わないと解決できないならまだしもね。

 

その後も3人で手分けして詳しく調べて行く。リアル知識はもちろん技能を用いて調べた結果

 

錬金術の本→科学や魔術による物質の変成を記しているらしい。内容は英語で書かれているので氷室が所持。…真理の扉開いて持ってかれないようにするんだな。

 

ギリシア神話の本→普通にギリシア神話の内容が書かれた本。特にメデューサについて書かれたところは何度も読み返しているのか紙がすり減っている。……残念。某聖杯戦争のライダーが書かれていたらここの所長と仲良くなれたのに。

 

銅鏡の本→古代の銅鏡などの写真集。特に意味はない。ファッキュー。

 

所長のアルバム→写真立てに映っていた女性を中心に綴じられている。

《ロールアイデア 九十九65→29 成功 》最後の綴られている女性の写真だけ石像に精巧な化粧を施していることがわかった。

 

試験管の組織片→《ロールオカルト 山下45→56 失敗 ロール歴史 山下60→42 成功》ラベルに書かれたSabineという言葉から、佐比売党という日本の鋼鉄業界の互助会があり、この研究施設の大元の会社であるSEReグループの前身である瀬良鉄工も佐比売党と関わりがあるらしい。………ここの大元の会社でSEReグループって言うのか。

 

所長もとい瀬良正馬の日記→5年前から書かれており、長いので簡単にまとめると彼女が何か病気?にかかったのでそれを治す研究をしているけど、その研究が行き詰まっている上に研究費用をちょろまかしている事が会社に知られた!ほんじゃ、人間以外の知恵借りようか。と言うものだ。

 

魔道書→付箋やメモがある部分を重点的に調べた結果《トヨグの巻物》という呪文の一節とその呪文を発見出来た。一節によると、《ムー大陸の山にガタノソアという神様がいるけどその姿を見たら石にされて魂を永遠に囚われる。その対抗策として、とある大神官が巻物を作ったぞ。これを持っていたら石にされなくなるぞ。》と言うものだ。

 

調べ始めて約3時間が経過したところで切り上げた。氷室の指示で、トヨグの巻物が書かれた部分を小型印刷機でコピーでしてそれぞれ所持した。長い時間本とにらめっこしていたせいで疲れたので一度食堂まで戻り休憩をすることにした。自販機で飲み物とパンとお菓子を適当に買い、机に並べる。

 

「さて、これからについてだが、次はいよいよラストステージ。即ち地下室へ行く」

「………」むーしゃむーしゃ

「と言うことは、準備は整った……ということかな」

「………」ズズッーー

「ええ、地下室に行くために腕輪と黒幕に対する切り札が手に入った今、あとは解決するだけです」

「………」ポリポリ

「これが最後の作戦会議なら色々打ち合わせしていかないとね。氷室君、今回の黒幕と退治方法を教えてはくないかい」

「今回の黒幕はゴ=ミじゃなくて、ミ=ゴという神話生物で蟹のような昆虫?と言えばいいのか、まぁ見て貰えば早いですので省略します。人間よりも高い外科手術の腕を持っていて、知能は高いですが、ステータスは十分人間寄りの範疇なので頑張れば倒せる程度のやつです。今回はコンピューターと融合しているから動かないが、天井にはりついているから遠距離武器を用意するしかない。だが、コンピュータと同化しているからこそ弱点ができて、このUSBを差し込めばウイルスに感染して即死するって戦略です」

「………」パクパク

「なるほど。それなら僕たちはそのUSBを死守しつつ、相手の懐に飛び込んでUSBを差し込むことができれば勝利。問題は誰がその懐に行くかだね」

「……」ソッー

「それならもう決まってます。そこで会話に入らず、俺の食べ物を勝手に盗ろうとしている九十九になぁ」

「だが、ことわr」「拒否権ないから」「ことわ」「……」ニッコリ「ガンバリマース」

「DEXが一番高くて回避や受け流しも出来るお前が一番適任だ。俺は遠距離で援護できて、山下さんには目星してもらいつつ、臨機応変に対応してもらう。完璧な作戦だ」

「で、本音は?」

「神話生物に近づきたくない」

「鬼!悪魔!氷室!……おっと、氷室と同列されたら鬼と悪魔に失礼か」

「一人で数万する高い店に行こうかなー」ボソリ

「えへへ、旦那のためなら神話生物だろうが突っ込んできますよ」

「二人は見てて飽きないね」

 

おのれ氷室め!我が家に家計を攻めてくるとは卑劣な奴め!

 

 

 

 

 

その後メチャクチャやけ食いした。

 




いや、マジでダイス振ってるんです。スマホのアプリで振ってるんです。何故主人公ばかり被害が………
ハッ!?まさかFGOで電子の小悪魔があの邪神と融合した影響か!?






投稿遅れて申し訳ない。仕事が激化してしまったんだ。あと暫く修正に力入れるので次話はもう少し待ってください。


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ミ=ゴと言ったなあれは(半分)嘘だ(腕死5話)

長い間投稿できなくてすいませんでしたああああ(土下座
ちょっと色々あったんです。転職したり引っ越したり仕事したりFGOのイベント回ってたりエロゲしたり(
新しい職場の仕事が少し安定してきたので投稿を再開します


休憩兼作戦会議も終えて、現在は地下室に続く扉の前にいる。扉の前には何人ものの石像が並んでいるが、どれも壊されており、壊れた表面からは血が流れ続けたせいで軽く血の海になっていた。幸い今までに何度か見ていたおかげでSANチェックはされなかったが、見ていて気持ちの良いものではないので早々にクラス4の腕輪を使い、鋼鉄でできた扉を開ける。

 

扉を開けると短い廊下に正面と左右に1つずつ扉が見える。地図を見るに左が機械室、正面が冷凍保管室、右がメインコンピュータ室らしい。

 

「機械室はトラップというか、行っても何もない上に余計なことすると外の世界にまでこの石化が広まるから無視の方向で。目標は冷凍室を抜けた瀬良琴里の部屋だ。あそこにクラス5の腕輪がある」

「流石クトゥルフ、破滅エンド用意済みか」

「冷凍室か。閉じ込められて凍死なんて罠はないよね?」

「完全にないとは言い切れませんが、ここまで来てそんな小賢しいことはしないと思いますよ。俺がKPならもっと前にして注意を促したりしますから」

 

冷凍室の扉を開くと全体が冷凍庫とう言うわけではなく、大型冷蔵庫が所狭しと並んでいて、その中には冷凍血液や臓器、死んだ動物、薬品が保管されていた。いくつかの冷凍庫が開きっぱなしになって、中身の薬品やらが床に散乱していた。また、左手に赤色と青色の鉄製の扉がありどちらのも「所長の許可なく立ち入ることを禁ずる」と張り紙がある。

 

「凍死の可能性はなかったようだね……それにしてもここにいた人はよほど慌てたようだけど石化した職員は見当たらなかったし生存者でもいるのかな」

「いや、その可能性は低いと思いますよ。大抵の場合これは神話生物か狂信者の仕業でしょうね」

「さぁ?そこんところよく覚えてないんだ。さて、九十九にはクラス5の腕輪をとって来て欲しいんだが、いいか?」

「?、別に構わないけど氷室達は何するんだ?」

「俺はここで使える薬品がないか探す。そのために山下さんにも手伝ってもらおうと思っている」

「僕は構わないが一人で行動させてもいいのかい?」

「石化している瀬良琴里から腕輪を取ってくるだけですし難しいものではないですよ。それじゃ逝ってこい」

「どことなくニュアンスが気になるが……まぁいいや、さっさと取ってくるよ」

「おっと、言い忘れるとこだった。部屋に置いてある銅鏡は間違っても見るなよ。フリじゃないからな」

「ヘイヘイ、了解」

 

氷室達が薬品を集め始めるのを横目に赤色の鉄扉に向かう。赤扉はクラス5と示されているが扉の隙間にゴーグルが挟まっていた為、完全に閉じられておらず、隙間に手を入れこじ開ける。

 

部屋は12畳くらいの広さで床はタイルが敷き詰められていた。テレビ局で使われている大型のカメラが2台に大小様々なスピーカーが設置されており、そこからは大音量で何かが流されているが、生憎日本語ではない為意味は分からない。カメラの先には背もたれの長いアンティークの椅子が置かれて誰かが座っているが、入り口から逆向きな為よく見えない。まぁ、あれが瀬良琴里だろう。お目当ての人物がすぐに見つかり近づくと、瀬良琴里が座っている椅子の前に立派な杉の木の一枚板が立てられ、その板に1mほどの古びた銅鏡が飾られていた。その存在に気がついた瞬間メッセージが流れた。

 

《ロール幸運 70→26 成功 続いて ロールアイデア60→38 成功》

 

いきなりダイスが振られた後、銅鏡が限りなく深くそこが見えないような穴が空いているように感じられ、その穴の奥にナニカが獲物を今か今かと口を開けているように見えた。

 

《SANチェック 1/1d6 67→6 成功 現在66》

 

すぐさま銅鏡から目を背け出来る限り見ないようにする。これは確実にやばい代物だ。というか確実に即死トラップだろ。あの野郎なにが腕輪を取ってくるだけの簡単な仕事だ。帰ったらどうしてやろうか。というか魔術書のコピー紙がいつのまにかズタズタに引き裂かれてたんだが………

 

愉快犯(氷室)に対し報復案を考えつつ、銅鏡を見ないように瀬良琴里から腕輪を取る。瀬良琴里は予想通り石化しており、驚きはなかった。しかし、石化しているとはいえかなりの美人だな。こんな美人と結婚できるなんて羨ましい限りだ。所構わずイチャコラするカップルには呪怨を贈るが、瀬良正馬はこの人を元に戻す為に長年努力し続けた。例えそれが間違ったやり方だったとしても俺はその努力が報われないのはなんだか悲しい。

 

俺はハッピーエンドの方が好きだ。今までのセッションも出来る限りより良い結末になるよう頑張ってきた。まぁクトゥルフだし大抵は後味の悪いものになったが、それでも大円団で終わらなかったということはない。一つの行動で無限の物語と結末がある。だから俺はTRPGが好きなんだ。

 

 

 

 

 

 

 

でも確か瀬良正馬ってミ=ゴと合体(そのままの通り)してなかったっけ?(白目

ルルブにイラストが乗っていたせいかそこは覚えている。哀れやはりクトゥルフに救いはないんですね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無事?瀬良琴里の部屋から冷凍室に戻ると辺りに様々な薬品が並べられていた。薬品が入っているビンには英語やらで書かれたラベルが貼られているが、正直全然分からない。山下さんは手当たり次第冷凍庫から薬品を持ち運んでは氷室の前に置き、氷室はその薬品を一瞥すると右に置いたら左に置いたりと忙しない。多分使える物と使えない物とで分けているのだろう。

 

「お、もう戻ってきたのか。こっちはもう少し振り分けにもう少し時間かかりそうだからそこら辺で待っててくれ」

 

うんうん、サボってはいないようだな。そう思いつつ近くに置かれていたビン(中身不明)を手に取り大きく振りかぶり憎っくき愉快犯(氷室)に投球する。もちろんロールするのを忘れない。

 

「アー、テガスベッター」

 

ロール投擲25→38 失敗

 

投げられた薬品は的(氷室)から外れて冷凍庫に当たりガシャンと音を立てて砕け散る。チッ、運がいいやつめ。

 

「いきなり何してんだ!?」

「え?なに?いきなりどうしたんだ九十九君」

「ほほぉー、シラを切るつもりか?あんな即死トラップがあるなんて俺はきいてねーぞ!危うくSAN値直葬するとこだったわ!」

「あー、あれか。別に大丈夫だろう?それに俺は銅鏡を見るなと注意してたはずなんだが?」

「確かに言われたがSANチェックあったんですけど!しかも失敗すれば一時的狂気になるほどの奴!」

「え?まさか幸運とアイデア両方成功したのか……運がいいのか悪いのか。(あれ?あそこってそんなに高い数値だったか?)」

「ま、まぁまぁ、九十九君も落ち着いて。氷室君も悪気があってやったことじゃないんだから許してあげてほしい」

「む、山下さんが言うなら許してやらないこともない」

「はいはい、オレガワルカッタ」

 

全く感情のこもっていない謝罪を受けて今度は殴り掛かろうと思ったが、ボス戦前に盾のHPを削るのはまずいのでグッと振り上げた拳を抑え込む。振り分けが終わるまでもう少し時間がかかるらしく暇を持て余しているのでまだ行っていない青色の扉の部屋に入ることにした。大した情報はないと思うが暇なのだからしょうがない。瀬良琴里からうば…ゲフン…拝借した腕輪で扉を開ける。

 

部屋に入るとここも冷蔵室のようで大きさは畳12畳ほどで、中央にはステンレス製の棺桶のような物が置かれている。棺桶の蓋はすでに開かれており、近づいて中身を確認するが中に何も入っていない。引っかき傷などは見受けられるがそれ以上特筆するものはなかったが、一応目星っておくか。

 

ロール目星60→19 成功

この棺桶の中にいた生物は鋭いハサミのようなもので暴れていたのではないかと推測

 

まぁこんなものか。あらかじめミ=ゴだとわかっているから大して驚きはしない。もうここで調べられることもないし、そろそろ仕分けもおわったころだろうし、戻ることにした。

 

 

 

 

「おーい、もう終わったか」

「ん?お前どこいってたんだ?」

「暇つぶし。それよりも結果はどうだったんだ?」

「結果はまぁまぁだな。硫酸2本、毒物(pot10)1本、火炎瓶に使えそうな奴が2本ってところだな。技能なしだからこんなもんだ。薬学か幸運でも振れば違ったかも知れんが九十九みたいになりたくないから振らんかった」

 

慌てるな俺、盾のHPは大切にだ。

 

「火炎瓶なんて大丈夫なのかい?火災が起きたら僕たちも危ないんじゃ?」

「あくまで保険ですよ。正直このUSBがあれば事足ります」

「そんじゃ、準備も整ったことだしラスボス戦逝っちゃう?」

「逝くのはラスボスだがな。ほれ、USB渡しておくからしっかりやってこいよ」

 

そう言って俺にUSBを手渡してくる。今回の切り札。これを相手(ミ=ゴ)のゴール(差込口)にシューート!!すれば超☆エキサイティング(死)するのか。

 

「ふっ…今回のMVPは俺に決まりだな」ドヤァ

「といってもクトゥルフではなんの意味もないがな」

「僕も微力ながら応援するから頑張ってね。危ないと思ったらすぐに引き返すんだよ」

「ほんと山下さんはこのパーティの良心だよ」

「ほう?なら俺は一体どのポジションだ?」

「ヒーラー(笑)だろ?」

「そうか。ならボス戦で怪我したら任せろ。キッチリとどめを刺してやろう」

「このヤブ医者ぁ!!」

 

生きて戻ったら応急手当て練習しようと決意した。

 

 

 

 

 

そんなこんなで準備を整えて最後の扉の前にいる。火炎瓶は山下さんに残りは薬品に心得のある氷室が所持している。氷室は薬品をカバンにしまい拳銃を構え、俺は警棒を右手に左手にはUSBを持って構える。

 

「よし、作戦は上で話したのがプランaだ。プランBは、SANチェックで誰かがが動けなくなったら突撃せずに俺が精神分析、その後臨機応変に対応だ」

「作戦というのかなそれは?」

「細かく決めすぎて動けなくなるよりかマシですよ。九十九。今回はお前が勝利の鍵だ。しっかり援護してやるからビシッと決めてこい」

「おう!ミ=ゴをゴ=ミに変えてきてやるよ」

 

気合も十分。さっさとこんな薄気味悪い場所からおさらばしてやる。

 

 

 

腕輪をかざし最後の扉を開く。開かれた扉の奥には巨大なメインコンピュータが一台鎮座されており、そこから様々なケーブルやチューブが伸びている。その先を辿っていくと奴はいた。

 

ピンク色がかった甲殻類を思わせる殻に覆われた胴体、膜のような翼が広げられ、胴体の左右から3本の関節肢が伸びており、その先には大きな鋏が存在感を放っている。顔の部分には無数の短い触手のようなものが生えており、より気持ち悪さを際立たせる。

 

SANチェック 1/1d10

九十九67→28 成功

氷室62→89 失敗 3減少

山下63→6 成功

 

いつものSANチェックが入り氷室が失敗していたが一時的恐怖は免れた。だがそれ以上に俺たちは動揺していた。ミ=ゴが想像以上に気持ち悪かった?それもある。だがそこじゃない。問題は()()()()()()()()()=()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

胴体は殻にに覆われ、背中には膜のような翼が生え、脇腹から関節肢が伸び、顔から無数の短い触手が生えた人間を見た時………どんな顔すればいいのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え?笑えばいいと思うよ?笑ってみろよ(遠い目

 

 

 

 



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なんだこれは?知りたくなかったわ(腕死六日目)

話が進まぬぇ!茶番だからね。シカタナイネ

戦闘回だとおもった?残念茶番でした!
いやちゃうんですよ。俺も戦闘になるかなーと思ってたんだが予想以上に茶番が伸びてしまったんだ
すまない、引き伸ばしてすまない(某ドラゴンスレイヤー


初の神話生物との接触。心構えはしていた。ミ=ゴはクトゥルフでも割とポピュラーな神話生物でよくシナリオにも登場している。外科医療が得意で人の脳みそなどを特殊なカプセルに閉まっちゃう奴だ(あのハサミでどうやって精密な作業をしているのか不思議だが)。見てもSANに優しくバイオ装甲(8の装甲値を誇るヤベー代物)や電気銃(明らかにワン○ースのインパクトダイヤルです本当にry)でも装備していなければ戦闘探索者じゃなくても倒せる初心者にオススメの神話生物…………のはずなんだがなぁ。

 

 

 

 

軽い現実逃避をしつつ目線を左右にやる。山下さんは驚きで固まっているだけで大したことはなさそうだが、氷室は顔面蒼白で今にも口から虹を出しそうにしている。2人の状況を確認し、再びミ=ゴ?に目線をやる。顔から触手が生えているせいで見にくいがハイライトさんがストライキを起こしており、顔はこちらを向いているが自分たちを認識していないのか、特に行動を起こしたりせず、扉越しにお互い固まったままの状態が続くが、このままではたちがあかないので山下さんに身振り手振りで一旦引くように指示をする。山下さんはコクリと小さく頷きゆっくりと後ろに下がっていくところを確認し、リバース5秒前(仮)の氷室の手を引き俺も下がる。扉のセンサーが人がいないことを感知し、扉が閉まる。しばらく扉を監視するが追ってくる気配はせず、安全を確認したことで大きく息を吐く。

 

「俺の想像していたミ=ゴさんじゃない」

「話に聞いていたものと大きく違っていたね。っと氷室君大丈夫かい?SAN値が一気に3も減少していたけど噂の発狂とやらにはなっていないかい?」

「だ、大丈夫でず。一時的狂気は1時間以内にSANが5減らなければ発症しません。ですが、3も減ると相当精神に負担がかかりますね」

「あー、うん、わかるわぁ。俺も相当きつかったし、どうする?休んでからいくか?」

「いや、石化が進行している中で時間はなるべく消費したくない。あのミ=ゴもどき。原作と多少は違っていたがコンピュータと繋がっていたことはそのまんまだった。なら、作戦は変わらない。メインコンピュータまでたどり着きUSBを差し込む。プランa続行だ」

「僕としては氷室君に休んでほしいところだけど、君が大丈夫というのならその言葉を信じるよ。九十九君もそれでいいかい?」

「はい、問題ないです。速攻で片付けてやりますよ」

「よし!行くぞ」

 

再度腕輪をかざし扉を開ける。先ほどと変わらずただそこに立っているだけで動く気配はない。あれ?このまま静かに行けばバレないんじゃね?と考えた俺は忍び歩きを振ることにした。

 

《ロール忍び歩き40→24 成功》

 

よし。出目が良くなってきている。乗るしかないこのビックウェーブに!部屋の中に足を踏み入れるが技能の恩恵で俺だけ全く足音を出さずに歩ける。メインコンピュータまで目測20m。ミ=ゴもどきがほぼ部屋の中央にいるので俺たちとは10m程となる。全員が部屋の内部に入り、部屋の壁すれすれを歩くように迂回していこうとした瞬間だった。

 

《異常を検知。異常を検知。メインコンピュータルームに異常を検知しました。全扉をロックします。ロックします。ロックロックロックロックロックロックロックロックロックロックロロっっっっっククくぁwせdrftgyふじこlp」

 

バグってやがる。遅すぎたんだ。

急に電子的なアナウンスが流れたと思うとバグった放送が流れ始めた。慌てて扉に戻り腕輪をかざすがピクリとも動かない。他に扉はなく、完全に閉じ込められた。その間も意味不明なアナウンスが続く。閉じ込められた空間に言語として成り立たない無事気味な放送が響く。

 

《SANチェック 1/1d3》

九十九66→49 成功

氷室59→20 成功

山下62→53 成功

 

「おいおい、勘弁してくれ。俺は後2で発狂なんだぜ」

「拳銃持ちが殺人症にでもなったら目も当てられないな。お前が発狂したら精神分析(物理)で治してやるよ」

「僕の時はお手柔らかに頼むよ」

 

全員成功し、軽口を叩き合ってていると、今まで動かなかったミ=ゴもどきが顔をこちらに向けてきた。その瞳は先ほどとは違いひどく濁っており、死んだ魚のような目をして俺をじっと見つめる。深く暗い谷底を見ているような気持ちになり思わず目を伏せる。こちらを見つめていると、アナウンスがやがてテレビの砂嵐の音にかわったかと思うとしっかりとした言語が流れてきた。

 

「ああ、コトリ、そんなと、こにいいたのかかか。ぼぼくだよ。しょ、しょうまだ。あんしんして、くれ。いますぐたすける、よ。ももう、あんなびょうききになら、ないよ、うに、にくたいのおりから、かいほうするよ。だいじょうぶ、いたいのはいっしゅんだよ。こんぴゅーたのなかはかいてきで、なにふじゆうはない。いまはこのしせつのなかしかいけないが、すぐにせかいにつなげるから。おいでおいでおいでコトリコトリコトリコトリコトリコトリコトリコトリry」

 

ハハッ、コトリってあの石像だろ?嫌だなぁ。奥さんの顔を間違えるなんて…………だからその熱烈な視線を俺に向けるな。むけないでください!

 

「………よし!プランcだ!」

「あぁん?うなもんねんよ」

「何か思いついたのかい!?」

「あのミ=ゴもどきは瀬良正馬がどうゆう経緯でかしらんがミ=ゴと合体した存在。九十九を妻である瀬良琴里と勘違いしてやがる。おまけに脳缶にしてコンピュータ世界に逢い引きときた。流石SAN値0。ぶっ飛んでやがる。」

「知りたくない。聞きたくない。理解したくない」

「ならあとは簡単だ。瀬良正馬は九十九を確実に狙ってくる。その間に俺たちでメインコンピュータにたどり着き奴を本当の奥さんのところに連れて行ってやるのさ」

「な、なるほど。今の彼は九十九君にしか目が行っていない。………うん?それって攻撃が九十九君に集中しないかい?」

「これはコラテラルダメージ。必要経費ですよ」

「い、いやだーー!!、あんなクレイジーサイコ野郎の相手を一人でやれっていうのか?!」

「許せ九十九…また今度だ」

「ひむろーーー!!!こんな時にボケかましんじゃねー!このUSBは絶対にわた……あれ?ない?」

「行動すると考えた時点で既にその行動は終わらせておくもんだぜ?」

 

いつの間にか手に持っていたはずのUSBが氷室の手に握られていた。

 

「それじゃ頼んだぜ☆」

 

氷室はUSBを握り、颯爽と俺から離れて行く。………………アトデコロス。

 

「九十九君」

「や、山下さん。山下さんは見捨てないですよね?」

 

そうだ、我らがパーティの良心、山下さんなら見捨てるはずがない。やや涙目になりながら問いかける。

 

「……ッグ。すまない。すぐに済ませるから頑張ってくれ。本当にすまない」

 

そう言い残し氷室の後を追って行く。

 

「あれ?汗が止まらないな?こんなに暑かったかな?」

 

目から汗が止まらなく視界が滲んで見えるや。あははは。

仲間からの裏切りに動揺を隠せないでいるとクレイジーサイコ生物の声が段々と近づいてくる。

 

「コトリコトリコトリコトリコトリコトリコトリry」」

「…………だああああああああ!!!コトリコトリうっせーんだよ!顔とか体格が全然違うだろ!いい加減にしやがれこのサイコ野郎!」

 

俺の中の堪忍袋がついに切れてしまった。いいぜ。上等じゃねーか。たかがミ=ゴもどき一匹程度相手にしてやろーじゃねえか!

 

「小便は済ませたか? 邪神様にお祈りは? 部屋の隅でガタガタ震えて命乞いする心の準備はOK?」

 

迫り来るサイコ野郎に警棒を突きつけて宣戦布告をする。

 

《戦闘を開始します》

 

システムが戦闘開始のゴング(実際に鳴ってはいないが)を鳴らした。

 




次回はちゃんと戦闘するから!ホントホント、オレヲシンジテー


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余裕のダイスだ!音が違いますよ(白目)(腕死7日目)

果たして九十九はこの先生き残れるのか!?


九十九「クトゥルフって仲間と協力するやつなんだがなぁ?」
女神?「お前の特徴見てみろよ」っ寄せ餌





《戦闘を開始します。ロール宣言をしますか?》

 

もちろん技能は使っていく。武器が警棒だから−10%掛かるから50%まで落ちるが、確率的に2回に一回は成功する筈だ。素手でも倒せる相手なのだからワンチャン一撃でいけるだろう。

 

《1R目 ロール宣言をどうぞ》

 

先制攻撃と言いたいところだが、まずは相手の情報を抜き取ることから始めよう。本来なら山下さんに任せる予定だったが仕方ない。

 

《ロール目星60→40 成功》

 

目星を成功させると頭の中に情報が入ってくる。

 

Str13 con18 siz18 int18 pow15 dex11

耐久24 san0 ダメージボーナス1d4

武器 ハサミ 40% 1d6+1d4

装甲 貫通系の武器は最低値のダメージとなる

 

エェ〜なぁにこれぇ。いや、普通に強いんですが?想像の斜め上すぐるんですが?というか40%って高くね?俺の耐久残り9だからワンチャン即死なんですが?一撃で倒されるの俺なんですが?というか耐久24とかなにかのバグ?

 

目星から得られた情報に愕然とする。

 

「これ絶対一人で相手にするやつじゃねーだろ!」

 

いくら叫ぼうとも現実と時間は無慈悲に過ぎていき、相手が動き出す。

 

《ロールハサミ40→37 成功》

 

アイエエエエエエ!?成功!?ナンデ!?

脇腹から生えていた関節肢の先にある大きなハサミがまっすぐ伸びてくる。

 

「か、回避いいいいいい!!!!!」

 

《ロール回避50→16 成功》

 

反射に近い形で身を屈めると、頭上ではシャキンとハサミが閉じられた音がする。もし何もしていなければマミる自分を想像し血の気が引いていく。

 

いつもは画面の向こう側での出来事、それも空想上ともなれば「あ〜、ダメージ食らっちまった」などで済む話だが、ここでは痛みも恐怖も本物で自分はその当事者だ。剣道で多少の痛みは慣れている、だが、これは命のやり取りだ。殺すか殺されるか。シンプルな二択。つい1週間前まで平和な世界に生きていた俺にはとてもだが耐えられるものではない。

 

頭上のハサミから急いで距離を取り警棒を構え直す。先ほどと違い、呼吸が落ち着かなく、視界がブレて見える。冷や汗は止まらなく上に腕がブルブルと震えている。

 

いま頭の中にあるのは死にたくないという生物がもつ最も原始的な思考だが、この部屋からの脱出は無理、敵は俺を殺しに来るという八方塞がり。

 

ならば、どうすれば生きれる?この答えを何回も考える。

何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も…………そしてたどり着いた答えが死ぬ原因が無くなればいいというものだった。

 

死ぬ原因はなんだ?

目の前の生物だよ。

この生き物がいなくなるにはどうすればいい?

殺せばいいと思うよ。

どうすれば死ぬ?

その手に持っているもので殴り殺そう

殺せるのか?

殺さないと殺されるよ

あぁ、そうだな

えぇ、そうね

 

「……殺す」

 

この言葉を呟いたのは誰だろうか?殺意以外の一切の感情を削ぎ落とした言葉を誰かが呟く。だが、そんなことはどうでもいい。さっきまでの体の異常がなんだったか、今は体も思考もベストコンディションだ。

 

《2R目 ロール宣言をどうぞ》

 

俺は迷わず日本刀を選ぶ

 

《ロール日本刀50→14 成功》

《ロール回避22→73 失敗》

 

一気に距離を縮め、構えた警棒を相手の脳天めがけて鋭く振り下ろす。ミ=ゴもどきは避けようと足掻くが俺の振り下ろす方が早い。

 

《ダメージ1d6+1d4→5 耐久19》

 

動いたせいで脳天には当たらなかったが右肩に警棒が鈍い音を立てて当たる。甲殻にヒビが入り、そこから真っ赤な血が溢れ出して来る。

 

「なんだ、ミ=ゴの血は赤いのか。いや、人間がベースだからか?まぁどうでもいいか。血を流すなら殺せる。そのまま無様に死んでくれ」

「コトリ、やめるんだ。さぁ、いっしょになろう」

「喚くな、化け物。人間の言葉を喋るな」

「いっしょにいっしょにいっしょにいっしょに」

 

《ロールハサミ40→17 成功》

 

同じ言葉を繰り返しながらも再びハサミで命を刈り取りに来る。一撃でも食らえば後がない俺にとっては相手の技能成功は喜ばしくない。というか40%成功しすぎじゃないのか?

 

先ほどと同じ様に首を狙った攻撃をしゃがんで回避するが、学習したのか、もう一つのハサミでしゃがんでいるところを狙われた。

 

《ロール回避50→51 失敗》

《ダメージ1d6+1d4→6 耐久残り3》

 

俺のダイスの結果が出た。やぁ、妖怪《イチタリナイ》出てきて早々だが帰ってくれ。フ○ック!

ハサミの片刃部分が俺の脇腹に突き刺さる。おびただしい量の血が流れていき、それに比例するかの様な激痛に襲われる。

 

「あっ……がぁあああああああ!!!!!!」

人生で体験したことのない痛みに叫ばずにはいられなかった。

 

《ショックロール65→50 成功》

 

痛みで意識が飛びそうになるもさらなる痛みで目が醒める。化け物がもう片方の刃を閉じようと動かすところを見て反射的に俺を貫いている刃を掴み、無理やり引っこ抜く。痛みでおかしくなりそうになるが、なんとか胴体と泣き別れせずに済んだ。

 

《3R目 ロール宣言をどうぞ》

 

畜生が。少しは休ませてくれよ。残り耐久は3。ワンパンでも食らえば自動気絶&脳缶エンドまっしぐら。全くいろんな意味で泣けて来るぜ。だがここ初期値の応急手当しても焼け石に水。なら取るべき行動は……攻撃あるのみ!

 

 

 

 

 

 

 

 

《ロール日本刀50→97 ファンブル》

 

デデドン!という音が聞こえた。

 

化け物に振りかざした警棒が部屋の彼方へフライアウェイしていった。…………言い訳させてもらうと血を失い過ぎたせいで力が入らなかったのと持ち手部分が血で濡れて滑ったのだ。取りに行こうもその隙に背中をブサリと殺られてしまうだろうし、こぶしなどで殺そうにもかなり厳しいだろう。あぁ、クソ。ここまでか。

 

「さあ、いっしょになろう」

 

迫り来るハサミをぼんやりと見ながらそう思っていると

 

「きちんと行動順は守ろうな?」

 

化け物の背後に諸悪の根源(氷室)が火炎瓶に火をつけた状態で立っていた。

 

「流石にこの距離なら投擲技能使わなくても当てられるぜ」

 

手にした火炎瓶を化け物の背中に叩きつけるかの様に投げる。パリンという音と共に中のアルコールがこぼれ落ち、瞬く間に炎が燃え広がる。

 

《燃焼ダメージ1d4→3 耐久16》

 

化け物は堪らず暴れまわるが、一度火のついた早々に消えない。

 

「じゃま、を、するなああああああ!」

 

《ロールハサミ40→75 失敗》

 

氷室目掛けてハサミを振るうが全て空振りに終わる。おい、さっきまで俺に当てていたハサミ裁きはどうした!

 

「やばそうな声が聞こえたんで急いで戻ってみてみれば………大丈夫か?」

「(ヤブ)医者なら見てわかるだろう?正直立ってるのが奇跡みたいなもんだよ。それよりもまだあいつの耐久値残ってるぞ。油断するなよ」

「それなら大丈夫だ。あいつに次のRは来ない」

 

それはどうゆうことだと聞く前に異変は起きた。炎に焼かれ、暴れ回っていた化け物が急に動きを止めたかと思うと、痙攣し始めた。さらに全身から血が溢れ出しその場に倒れこんだ。

 

「メインコンピュータと一体化していたこいつにウイルスはよく効くだろ」

 

そういえばそうゆう手筈だったな。すっかり忘れてた。未だに痙攣しつつ、背中が燃えている化け物を見ていると山下さんも戻ってきた。

 

「よ、良かった。あのウイルスがうまくいったんだね!……って九十九君大丈夫かい!?」」

「なんとか生きてはいますけど正直しんどいです」

「早く氷室君に診てもらうといいよ。っと、これって九十九君の警棒だよね?いきなり飛んできてびっくりしたけど」

「あっ、すみません、ありがとうございます」

 

警棒を受け取り、怪我を診てもらおうとした時

 

「ああ、コト……リ。そこに…いる…のか?」

「呆れた生命力だな。こんな姿になってまで奥さんを想ってるなんてまさに愛は偉大なり、だな」

「僕も妻がいる身だからね。この人の気持ちがすごく分かるよ」

「え?山下さん既に勝ち組!?」

「ふふん、君達よりは長生きしてるからね。というか35歳で居なかったらもう孤独死まっしぐらだからね」

「もうすぐ30代の俺には耳が痛いですよ……っと、九十九、何か答えてやれよ。危険はない」

「ん?ああ、そうだな」

 

火もだいぶ弱まり近づいても問題は無さそうなのでゆっくりと近づいていく。

 

「コトリ…いるん…だろう?めが…みえないんだ。てを…にぎって…くれな…いか?」

 

ゆっくりとだが人間の右手を差し出して来る。化け物に落ちようと、今にも死にかけようと奥さんのことを大切にしている事は尊敬するよ。このまま差し出された手を握り、安堵しながら逝くんだろう。後ろの二人もそんな展開を想像しているだろうし、殺されかけた俺も一時期は憎かったが今はこの瀬良正馬という人物に最後くらい、いい夢を見させてあげようと手を差し出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「化け物風情が最後はいい夢見て終われると思ったの?」

 

グシャリと肉が潰れる音がした。それは差し出したと思っていた手が警棒を脳天目掛けて振り下ろした音だった。伸ばされた右手はビクンと一度跳ねるとそのまま地面に落ち、動かなくなった。

 

「「え?」」

 

後ろから驚きのことが聞こえる。自分でも目の前の出来事が信じられなく、唖然としているが、自分がとどめを刺した感触がまだ手に残っている。それに振り下ろす直前に言った言葉つい最近何処かで聞いたことあるような………

 

と、考えていると急に瞼が重くなり、体も立っていられなくなるほどの疲労感に襲われる。地面に打ち付けられた感触と遠くで誰かが叫ぶ声が聞こえているが眠気に勝てずそのまま意識を手放した。

 

 

 

 




強い言葉を並べてもダイスが良くなるとは限らない(戒め)
おのれダイス神!貴様のせいでシリアル感が出てきたぞ!
通常のやつなら覚醒→勝つ方程式が取れるがダイスが絡むととんでもない方向に言ってしまう(プロット?奴は邪神に殺されたよ)
さて、ラスボスも倒したし、後は全探索者のお楽しみ結末&報酬の時間ダァあああ!!


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これで(シナリオは)終了だOK?(ズドン)(腕死最終夜)

かなり短めですがどうぞ。
次は後日談とか次のシナリオまでの幕間とかやっていきます。まぁ、所詮幕間成長タイムと茶番の時間ですw

ネタは拾っていく所存!


「誰が敗北者だああああぁぁぁ!!」

 

誰かにダイスロールの敗北者じゃけぇ!と言われる夢を見た。な、なんて恐ろしい夢なんだ。手にしたシーツを握りしめ震えて……ん?シーツ?辺りを見渡してみると、窓のない一面真っ白な壁にピッピッとなり続ける機械(後で知ったが心電計と言うらしい)。服はいつの間にか病人が来ているワンピースみたいなものに変わって、腕には点滴が刺されており、ベットに寝かされていたことから察するにここはどこかの病院の一室か?

 

「(いつの間に運び込まれたんだ?最後の記憶は確か………)」

 

記憶を辿っていくと思い出したのは俺が瀬良正馬にとどめを刺した瞬間だった。肉を潰し、頭蓋骨を砕いた感触。溢れ出る血液が生命から物へと変わっていく様を実感させていく中、血の海に写った俺の顔は、なんの感情も宿さない無機質なものだった。

 

「うぇっ……」

 

胃の中の物が出てきそうになるが咄嗟に口を抑え中に戻す。深呼吸を繰り返し、気分を落ち着かせる。

 

しばらくしてやっと気分が落ち着いた。もうあの事は思い出すのはやめておこう。それよりも他の二人はどこに言ったんだ?別の病室?いきなり知らない場所にいたせいで不安感が増しているのと、外の空気が吸いたくなったのでここから出ることにした。

 

「いったぁああ!!??」

 

ベッドから降りようとしたところで脇腹に激痛が走る。昔、生焼け肉を食って腹痛を起こした数倍の痛みだ。前屈みになりつつ痛みがある場所を手で押さえる。痛みが引いてきた頃を見計らい、服をめくり確認してみると、包帯でぐるぐる巻かれてそこから少し血が滲んでいた。

 

「そういえば思っ切り刺されてたな」

 

というか今までよく気がつかなかったな俺。点滴以外の繋がれているチューブ?みたいなやつを全て外し、今度は慎重にベットから降りると、点滴スタンドを掴みゆっくりと部屋唯一のドアまでたどり着く。

 

ガチャ ………開かない?

ガチャガチャガチャガチャ………開かない。

うっそおおお!?閉じ込められた!?え?もう次のシナリオ始まったのか?おいおい、死んだわ、俺。HPを確認すると3から5なっているが色々と詰んでいる。え?鍵開けがあるだろって?道具がない以前に鍵穴がないです。

 

どうやって脱出するのか考えていると、ドアの向こう側からドタドタと足音が聞こえてきた。音から察するに複数人いることから俺の冒険はここまでのようですね、と考えているとうんともすんともいわなかったドアがガチャリと開き、現れたのは全身防護服に包まれた男性3名だった。その内の一人が前に出てきた。顔しか見えないが40、50歳くらいだろうか?

 

「目を覚ましたんだね!良かった。だが、あまり無茶をするもんじゃないよ。傷は塞いでいるけどまた開いたらどうするんだ」

「あ、はい、すいません。じゃなくてここ何処ですか!?」

「説明は後ほどする。ひとまずベッドに戻ってからだ。本来絶対安静で動くなんて持ってのほか……というか普通は痛みでうごけないはずなんだが」

 

そこまで言うほどか?痛みは確かに凄いが別に動けないほどってわけじゃないんだが?そうこうしていると後ろに控えていた2人が近づいて俺をベットまで運んでくれた。

 

ベッドで横になると外したチューブもどきを再び付けられ、中年男性から色々と説明をされた。正直言って話が長すぎたので要点だけ纏めると

・ここは研究所があった近くの総合病院で俺はその隔離施設にいるらしい

・俺がいた研究所でバイオハザードが発生したので救助に来て、生き残っていた俺たちを回収、二人も別の部屋いるとのこと

・しばらくの間は検査の為に入院

・二人は今週中に異常がなければ退院できるが俺は全治1、2ヶ月とのこと

とまぁこんな感じで、後は研究所で何があったとか、知った内容は他言無用と釘を刺されたりした。

 

説明が終わると3人は部屋から出て行き、静寂が戻ってくる。二人が無事な事とここが安全だってことが分かったせいか、眠気に誘われたのでこのまま眠ることにした。ウトウトしつつ意識が落ちる直前いつものアナウンスが流れてきた。

 

《シナリオ:腕に刻まれた死 ?ノーマルクリア。クリア報酬SAN+1d10、成功した技能の数+1(なお、この成長は70までです)、クリティカル+1d10、ファンブル+1d6、初期値成功+1d10、獲得アーティファクト:無名祭祀書(ドイツ語)(山下所持)、遭遇神話生物:ミ=ゴ(仮)》

《お疲れ様でした。次回のシナリオまでごゆるりと日常を謳歌してください。それでまた》

《ロール医学70→55 成功 2d3→5 1週間後のHPは10となります》

 

 

色々と突っ込みたいが今は眠気に逆らえないので後回しにしよう。おやすみなさい。……スヤァ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《狂気???を発症。システム外で発症したため記載せず》

 

 

 

 

 

 

 




成長した技能は主要探索者一覧の方に随時更新していきます。
え?成長奮発し過ぎだったて?クトゥルフでは技能高くても死ぬんやで(キチスマイル)




FGOのイベントとコール・オブ・クトゥルフが同時に来るなんて……なんてことをしてくれたんだ(歓喜)
みんなも買うよね?(買わなかった人にはもれなくニャル様が這い寄ります)


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幕間

投稿が遅れて申し訳ない。だが聞いてほしいこれには海よりも深く山よりも高い理由があるんだ。ちょっと一家が火事で死んだからその原因を調べに孤島に捜査しに行って・・・・仕事したり、宇宙から侵略に来た宇宙人どもを根絶やしにするために防衛軍に入隊して・・・仕事したり、ゾンビはびこる世界をバイクで爆走しつつ奥さんを探し回って・・・仕事したり、記憶なくしたと思ったら樹海の地図作成させられて・・・仕事したり・・・仕事したり仕事したりしていました・・・(白目


さて、あれから1週間が過ぎた。検査、事情聴取、口止め(と言う名の脅迫)と正直心休まる時間もなく、さらに病室にはテレビも無い、スマホも無い、本も無いので暇つぶしもできない。おら東京○行ぐだの歌詞が無限ループして頭から離れなくなってしまった。だが、それも今日で終わり!今日からマイハウス(借家&ビルの一室)に帰れるのだ!腹の傷などこの1週間でほぼ完治済み。医者に「あなた人間ですか?」と真顔で聞かれた時顔面に1発入れたかったが、俺も腹に隙間作った奴が1週間で治ったら誰だってそう言う。俺だってそう言うね・・・・・俺、人間だよね?(震え声)

 

そんなこんなでようやく軟禁生活から脱出し、我が家に帰ってきた。交通費は全額相手側に支払ってもらったので懐は痛く無い。帰宅した後は部屋の掃除、空っぽの冷蔵庫の補充、洗濯やらで日がすっかり落ちた頃にようやく一息がつけた。夕食はお手軽!簡単のミートソーススパゲティにコンビニの野菜の詰め合わせ、そして缶チューハイ(カルピス味)だ。うへへ、ようやく酒が飲める。

 

夕食を台に乗せてテレビをつける。バラエティ番組は鳴りを潜め、ニュース番組しかなかったので適当に聞き流しながら夕食にありつく。

 

「1週間前にストーラフトン山の一部が山火事で焼失した事件で放火したと思われる容疑者が今朝、逮捕されました。容疑者は青山葵(あおやまあおい)25歳女性、自称正義の忍者と名乗っておりです。青山容疑者は逮捕時に「みんなでちょうちょを探しに行きました。そしたら燃えました」などと意味不明な供述を繰り返しており、現在病院で精神鑑定を受けているとのことです」

「続きましては全国各地で起きた変死事件の続報です。被害者は蛇に絞殺されたかのような跡や拳銃のようなもので撃たれた穴があったりと不可思議な変死が全国各地で報告されており、被害者同士に接点はなく凶器も不明で警察の捜査が難航していましたが、ある被害者の胃の中にメモ紙が発見されたとのことです。警察の発表によりますと内容は【毒・・スー・・・・・・・少女・・・気を・・・】とのことでした」

 

変なニュースばかりだな・・・・・。戸締りしっかりしとこ

 

夕食を食べ終え風呂から上がったところで眠気に襲われたのでベットにダイブする。

 

「あ~、メールの確認明日でいいや。どうせ大した仕事はこないだろうし」

 

三大欲求には勝てずにそのまま意識を手放す

 

 

 

 

あ、連続ログインボーナス切れちまった。

 

 

 

 

 

 

【残存数91】

 

 

 

 

 

 

 

翌日、社畜根性がまだ取れ切れていないのか目覚ましなしで6時に起床。とりあえず洗面台に向かい冷たい水で完全に覚醒させ、寝癖を櫛で簡単に流して整える。次に台所に向かい食パンをトースターに入れ、フライパンでベーコンを焼きつつ卵を投入。食パンが焼き終えるころに火を消して卵ベーコンを食パンに乗せ皿に乗せる。小型冷蔵庫からオレンジジュースを取り出してコップに移し、朝食の出来上がり。え?そこはコーヒーだって?苦いのは苦手なんだ。

 

テレビをつけて時計型のマスコットが特徴の朝のニュース番組を見つつ、朝食を食べ終え、事務所のパソコンを起動してメールのチェックをする。一週間以上放置していたので広告が大量に届いていたがまとめてゴミ箱にシューーーート!。残ったメールは1件で送り主は氷室からだった。内容はこのメールを見たら連絡をよこせとのことで電話番号が乗ってあった。

 

いやいやちょっと待て・・・・・。確かに名前と職業は喋ったがどこに住んでいるとかは喋ってないぞ。調べるにしても早すぎないか?それにこのメールが来たの昨日だし・・・。いやその前に依頼が一軒も来ていないってどうゆうことだ!

 

これがシナリオ中だったら軽いSANチェックが入りそうだ。軽く深呼吸をしてスマホを取り出し書かれていた番号を入力する。しばらくコール音が続くが出る気配がない・・・仕事中か?と思った時、ようやくでやがった

 

「・・・・はい、もしもし」

「九十九だがもしかして仕事中だったか?それなら後で掛けなおすが・・・」

「あー、いや・・・・普通に寝てたわ。というか今何時だ・・・ってまだ7時じゃねぇか!」

「正確には7時25分だ。そしてOK、これではっきりした。お前は俺の敵だ」

「ふぁ~~・・朝っぱらから元気な奴だな。で?何の用だ?」

「お前からのメールを見たから連絡を入れたんだよ!というかなんで俺の事務所のメールアドレス知ってんだよ」

「いや、そりゃお前、ホームページ見たからに決まってんじゃん?」

「え?マジで?そんなのあったのか」

「自分の仕事くらい把握しておけよ」

 

呆れられた声が癇に障るがまぁ、正論だけに言い返せない。俺は作った覚えがないが(そもそも作り方がわからん)元々作ってあったんだろう。それなら納得だ。

 

「それにしてもよく俺が帰ってきた日にちが分かったな。病院の人にでも聞いたのか?」

「あ~、それに関してはだな・・・・話すより見たほうが早いな。ちょっと事務所の窓見てみろ」

 

どうゆうことだよと思いつつ座っていた椅子を回転させて窓側を向く。そこから見える景色は3階だけあって景色がいい・・・といわけではなく、脇道が走っており、その向かい側にうちのビルより高いマンションが建っている。おかげで日当たりはよくないがその分,家賃も安く済んでいる。脇道にはちらほら歩行者や車が通っている。そこに特段変わったものはなくここにきてからよく見てきた光景だ。

 

「窓見てみたが特になにもないぞ?」

「いや、下のほうじゃなくて上のほうだ」

「なんで俺の見てる方向が・・・・・・・」

 

分かるんだ?と続けようとしたが自分が見た光景が信じられなかった。向かい側にあるマンション。その5階のベランダから現在通話中の相手が眠そうな顔を覗かせていた。

 

 

 

 

 

「ありえない・・・これは夢・・夢、悪夢・・・そう悪夢・・・悪夢に違いない。・・そうじゃないとおかしい、こんなことありえない。ありえないありえないありえないありえないありえないありえない(ry」

「ところがどっこい!これが・・・これが現実だ!」

 

時間は少し進み、場所は俺の事務所内。さっきまでと違うところはがいちゅ・・・げふん、そだいご・・・でもなくて悪魔(氷室)がいることだ。あの後、しばらく思考がフリーズしている際にいつの間にか身支度を整えた悪魔(氷室)が事務所の扉から入ってきていた。(昨夜閉め忘れていたようだ)今は何食わぬ顔で事務所のソファーに座りテーブルのお茶菓子を食っている。俺?俺はというと現実逃避中だ。まさかよりにもよってあいつが向かい側のマンションに住んでいるとはこのリハクの目をもってしても見抜けぬわ!これなら俺がいつ帰ってきたかなんて夜中に明かりを見てれば丸わかりだ。はぁ~~~・・・事務所側の窓にもカーテン買わなきゃ。

 

「それにしても驚いたもんだ。まさか向かい側にあるビルに住んでるなんてな。ビルについてあった看板を見たときはまさかとは思ったが、そのまさかときたもんだ。世の中狭いもんだな」

「うるさい、だまれ、しゃべるな」

「お、やっと復活したか。あと言っておくが山下さんはここから2駅離れた住宅街の一軒家に住んでた。もしかすると近場の探索者を集めたのかもしれんな。っと、すまんがお茶くれ。寝起きな上にこのお菓子で口の中がパッサパサなんだ」

「・・・・・」

 

いきなり上がり込んできて勝手にお茶菓子(うまい棒ポタージュ味)食ってるくせにお茶まで要求してくるとは・・・このゴミどうしてくれようか?

 

「おっと、その邪魔な粗大ごみをどう処分しようかと考えてそうな目をやめてくれ。ちゃんと手土産は持ってきている」

「っ!?そ、それは!?」

 

今まで気が付かなかったがテーブルの上に小さな白い箱が置かれていた。その箱には【グレート・オール堂】と書かれている。

 

「ま、まさかそれは・・!?」

「そう、そのまさかだ!月に5日しか店を開かず、その開店日もバラバラで開店すれば常に長蛇の列が出来てしまい、入手困難とされている【グレート・オール堂】のケーキさ」

「お茶は麦茶と緑茶どっちにいたしましょうか?」

「眠気覚ましも兼ねてコーヒーのブラックで」

「へい、少々お待ちくだせい!」

「ちょっとは返事に統一性持たせろよ」

 

俺は箱を台所まで運び、ハイテンションでコーヒーを入れる準備に取り掛かる。とはいってもコーヒーメーカーがあるわけでもないのでインスタントだがな。電気ポットに水を入れスイッチを押す。あ、ついでにあいつの朝食でも作っといてやるか。流石にうまい棒では腹は膨れないからな。だがその前に箱の中身を確認する。やはり王道のイチゴのショートケーキだろうか?箱を開き中身をのぞいてみると

 

《ロールシークレットダイス??→87 失敗》

 

中身は中央に大きな栗が乗っているモンブランだった。・・・・・なんか勝手にダイスが振られたが、まぁ今は日常パートだし問題ないだろう。箱を閉じて冷蔵庫に入れる。さて、パパっと作るか。

 

 

「ほれ、出来たぞ」

 

コーヒーと今朝、俺が食べたメニューをテーブルに運ぶ。するとどうだろうか。鳩が豆鉄砲食らったかのような顔の氷室がいるではありませんか。・・・・きもい

 

「台所で何かしていると思ったが・・・・これは何だ?」

「何ってコーヒーと焼いた食パンの上にベーコンと卵を乗せたものだけど?」

「・・・・・・・・毒とか下剤とか入ってないよな?」

「うちにそんなものはない」

「・・・・・・・・なら髪の毛とか血とかは?」

「なんでお前にヤンデレみたいなことをしなければならない」

「・・・・・・・・実は賞味期限切れてたり」

「してない」

「・・・・・・・・」

「・・・・・・・・」

「いったい何を仕込んだ!!言え!!」

「何も仕込んでねーよ!!さっきから何の問答してんだよ!」

「お前にラスボスを押し付けた上に勝手に上がり込んで来た俺に対して食べ物に何か仕込まれてないか不安にもなるだろ!」

「自覚あるならもう少し自重してくれないか!?」

「スイーツ一つでこれか・・・・・・お前知らない人について行ったり、怪しいツボとか絶対に買うなよ?」

「今時小学生でもそんなのに引っかからないからな?というか馬鹿にしすぎだろ!別にこれくらいならコーヒー作る片手間で作れるもんだから作っただけだ。お前、起きて何も食べてないんだろ?それだと昼までもたないから親切心で作ってやっただけだ。食べないのなら俺が食うからよこせ」

「いやいや、誰も食べないなんて言ってないだろ。疑ってすまんかった」

「それ食ったらさっさと要件言って帰れ」

 

その後だが黙々と朝食を食べていた氷室だがなぜか気まずそうな顔をしていた。はて?苦手なものでもあったのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 




ほかの探索者達もしっかりシナリオを楽死んでいますね(誤字にあらず

補足情報
・グレート・オール堂のケーキ
【まるで神が心を込めて作ったかのような天にも昇るスイーツ。一度食べれば病みつき間違いなしの一品であり、大半の購入者はあまりのおいしさに頭がおかしくなるとのこと】

強制アイデアロール。成功者はこれが冒涜的な食べ物だということを理解してしまい、食べてしまった場合SANが10減るが邪神の加護が付く(一度だけダイスを振りなおせる)
だが、失敗してしまったあh・・・頭の柔らかい探索者はおいしそうなケーキとしか思わない。食べてしまった場合SANは減らないが女神の加護が付く(一度だけぞろ目が出た場合ファンブルする)


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幕間(2本目)

ちょこっとずつ書いていくんだぜ
ちょこっとずつでも何日も書いていけば「本文」はどんどんたまっていくからな
おもいっきり書き続けちゃだめだ・・・・・・・・
文字が正確じゃあなくなるし誤字が多くなるからな・・・(誤字が無くなるとは言っていない)
ある程度まで書きたまったのなら・・・・・・・・・・!投稿する!!!

というわけで幕間2本目です。今回会話などが中心になっていますがご了承ください。
茶番大事。古事記にもそう書いてある。


「で?要件は何だ?」

 

朝食を食べ終え、事務所のソファーで向かい合う。まさかタダ飯くらいに来たわけではないはずだ。もしそうだった場合、氷室の脳天に竹刀が叩き込まれるだろう。

 

「要件?・・・・・あー、うん、要件ね」

 

竹刀(予備)どこにしまったかなー?

 

「落ち着け、ただの冗談だから獲物を探しに行くな」

「ッチ、さっさと要件いって帰れ」

「舌打ちってお前・・・・まぁ、要件は大まかに2つだ。一つ目は連絡先の交換だ。これから俺たちは残り6つのシナリオを乗り越えていかなければならない。その為にも探索者同士の協力は必要不可欠だ。いつでも情報を共有できるよう連絡先を交換しておこうってことだ。電話番号にメールアドレス・・・あとはラインとかだな」

「ここだとリアル神話知識や既存シナリオ知識が使える分、対策を立てやすいからな。お互いに知らない知識を教えあうことができれば生存率も上がりやすいってことか」

「そうゆうことだ。だが、あくまで参考程度にしといてくれ。一回目のやつで分かったと思うが、シナリオやステータスの改変といったことがこれから起こってくると思う。お試しなのに殺意の波動を感じたな」

「実際に俺死にかけたからな・・・そういえば9人程落ちてたけどほかでも結構事件起きてるんだな」

「軽くニュースを見た程度だとストラフトン山の火や毒入りスープがあったな。まぁ、大方ふざけたり改変に気づかなかったり、女神に愛されたんだろう。俺たちもそうならないようにしないとな。次のシナリオがいつ来るかわからない今、幕間の成長で何を伸ばすかしっかり考えて行動しておけよ。それと巻き込まれたと思ったら俺か山下さんに連絡してくれ。ほかのシナリオに巻き込まれていなければ参入できるかもしれん」

「そっか。別に人数制限とか参加者は決められていないもんな・・・それなら仲間集めて数の暴力でクリアしていくか?」

「やめておけよ?あのGMがそんなことさせてくれるはずないだろ?シナリオの難易度が跳ね上がるか、向こうも数で攻めてくるとかだろう。人数は最高でも通常の6人までだろう」

「りょーかい。一つ目の要件はこれとして二つ目は何だ?」

「そりゃお前決まってるだろ?賭けの取り立てだ」

「え?なんですか?」

「いや、だからシナリオ中にどっちが早く倒せるかで賭けてただろ?」

「え?なんですか?」

「いや、だから」

「え?なんですか?」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「大人げないぞ九十九!約束を守るのは人間としての常識だぞ!」

「口約束はうちのシマじゃノーカンだから!ノーカン!ノーカン!ノーカン!」

「屋上行こうぜ・・・久しぶりに・・・切れちまったぜ・・・・と言いたいが流石に戦闘はやばいからスマ〇ラで白黒はっきりつけてやろう。当然持っているだろうな?」

「ほほう、ゲーマーの俺にゲームで勝負を挑むなんてよほど命知らずのようだな。ついてこい!格の違いを見せてやる!」

 

事務所から私室に移動し、ゲームを起動させる。ぼこぼこにしてやるぜ!

 

 

 

 

~10分後~

 

 

 

「なん・・・・・だと・・・!?」

 

残機5の制限時間なしで勝負した結果、氷室が残機2つも残しているにも対して俺は残機1である。ま、まだ慌てるような時間じゃない。これから奇跡の逆転劇をだな・・・・

 

「ぼーっとしているすまんがこれでフィニッシュだ」

「あ!?スマッ〇ュボールが!?」

 

あえなく俺のキャラは氷室のキャラが放つ必殺技をもろに食らってしまい場外へ飛ばされゲームセット。呆然と固まる俺の肩に手を置き、渾身のどや顔をかましてくる氷室。殴りたい、この笑顔

 

「これ三本勝負だから。まだ一回目だから勝負はまだ終わってねーし!」

「うわっ!?小中学生みたいなこと言い始めやがった・・・いや、見た目はその通りだが」

「いいからさっさと次のキャラ決めろ!」

「へいへい、わかったよ」

 

 

 

 

 

・・・・・・・・この後5回10回と勝負を挑んだが、なんの!成果もあげられませんでした!!!!!(意訳:一勝も出来ずにボコられました)

 

 

 

 

「・・・真っ白に・・・燃え尽きたぜ・・・」

「流石にこれだけやると疲れたな・・・・というかもうそろそろ着いていいころなんだが?」

 

真っ白に燃え尽きていると玄関のチャイムが鳴り響く。これは好機!依頼が入れば奢りの件を有耶無耶にできると俺のINTが囁いてくる。

 

「あっれ~?依頼人かな~?これは仕事で忙しくなりそうだな~?しばらく誰とも外食する暇なんてないなー?あー辛いわー!約束守れないなんて辛いわー!でも仕事なら仕方ないね!うんうん!」

 

言うが否や猛ダッシュで玄関まで駆けていき救世主(依頼人)を迎えに行く。

 

「いらっしゃいませー!九十九探偵事務所へようこそ!本日はどのようなご依頼ですか?」

 

今までにないほどの笑顔と声で出迎える・・・・・相手を見るまでは・・・・・

 

「えっと・・・九十九君元気そうで何よりだよ。はいこれ。妻が持たせてくれた退院祝いのケーキ(グレートオール堂印)だからよかったら食べてね」

「・・・・・・・・・・・・・・・アリガトウゴザイマス」

「あ、山下さんようやく来たんですね。遅いもんですから道に迷ったかと心配してたんですよ」

「あはは、こっちにはあまり足を運ばないから少しね」

「・・・・・コレハイッタイ?」

「ああ、俺が呼んだんだよ。言ったろ?連絡先交換するって。俺が山下さんのを教えてもよかったけど、これからお前の驕りで昼飯食べに行くんだから別にいいと思ってな」

「氷室君から九十九君が退院祝いにパーッと食べたいからみんなもよかったら一緒にって話を聞いたんだけど大丈夫かい?普通なら僕たちがなにか奢るもんだけど」

「あ・・・えっと・・」

「大丈夫ですよ山下さん、遠慮せずに行きましょう。記念すべき一回目のシナリオをクリアしたんですし、パーッと行きましょう。・・・・な?九十九」

 

有無を言わさせない圧力を感じる。というか氷室の笑顔が「は?この期に及んで逃げるとか言わないよな?」と語りかけてくる。ああ、魔王からは逃げられないというのはこうゆうことを言うのか。俺が取れる選択肢は一つだけ・・・そう・・

 

「近くにおいしい中華料理屋があるのでそこで勘弁してください」

 

せめて行く場所は俺が決めてやる!!

 

「回らない寿司屋とか高級焼き肉店にしてやろうと思ったが勘弁してやるか」

「流石にそれは・・・。僕はどこでもいいからね?楽しく食べられればどこでだっていいよ」

「わ、割り勘というのは・・・・」

「他人の金で食う飯は格別だとはおもわないか?」

「ごめんね。僕、お小遣い制で今月すっからかんなんだ」

「こ、今月の課金代がああああ!!」

 

 

 

 

場所は変わってここは自宅から徒歩15分程度離れたところにある中華料理屋【泰山】の個室にいる。氷室が店の看板を見た瞬間「正気か?お前」みたいな顔で見てきたが安心しろ。ここに例の麻婆豆腐はないから。メニュー表を開き、各々が好きな料理を2品ずつ頼み小皿に分けて食べることにした。チャーハン・餃子・エビチリ・酢豚・天津飯・ちくわ大明神・五目春雨と順次に運ばれてくる。うん、どれもおいしそ・・・なんか今変なの混じっていなかったか?目をよく凝らすがテーブルの上には6品しかない。疲れていたのかな?

 

その後、氷室との激しい料理の奪い合いがあったがここでは割愛させていただく。

 

「はぁ~ごちそうさん。最初はどうなるかと思ったが中々美味しかったな」

「ご馳走様。そうだね。今度嫁と来るのも悪くないかもね」

「おいしいものを食べ終えた至福の後に会計という悪夢・・・・ここまでくれば突っ切るしかない!すいません。この杏仁豆腐ください」

「九十九君まだたべるのかい?僕はもう何も入らないよ」

「俺と同じ量食べてた癖にそのちっこい体のどこに入るんだよ・・・・」

「うへへ、もっと食べたい」

 

その言葉を言ったときに店員さんが心配そうに声をかけてくれた。理由を聞いてみると1週間前に4人ほど来客されてそのうちの一人がいつの間にかいなくなっていたそうだ。残った3人の内の一人に聞いてみたところ「もっと食べたいが始まった」とだけ言うと立ち去ったそうだ。うん、流石にこれは俺も知ってるぞ。まさかこんな身近なところでシナリオが展開されていたとはな。まぁ、それはそれ、これはこれ。親切な店員さんにお礼を言い、杏仁豆腐を注文する。なぜか氷室が2度目の「お前、正気か?」みたいな顔で見てきたがここもスルーする。

 

デザートを待つ間、気になっていたことを聞くことにした。

 

「そういえばあの研究施設から持ち出した奴どうなったんだ?」

 

そう、あそこで入手した魔術書の行方だ。やはり没収されたのだろうか。

 

「俺の拳銃や薬品とかは残念ながら見つかっちまって没収された。だが魔術書に関しては俺の隠す技能で難を逃れた。まぁ、シナリオ終わった後だから成長はしなかったがな。今は山下さんが管理しているはずだ。まぁ、読めるのが山下さんしかいないからな」

「うん、あれから少しずつだけど解読を進めてるよ。読み進めていくにつれて頭痛や吐き気、悪寒等々がするけどね」

「それって大分やばくないですか?」

「うん、正直きついけど僕にはリアル知識や戦闘であまり役に立てないからね。こうゆうところでなにか役に立っておきたいんだ」

「魔術書にはルールブックに載っていた魔術を習得できるから覚えていて損はないはずですが、あまり無理はしないでくださいね。主にSAN値的な意味で」

「そこは十分に配慮しているさ。それにあの本どうやら未完成というか欠損していてね。本物よりかは減少は少ないと思うけどその分得られる情報も少ないみたい。何かわかればすぐ連絡入れるよ」

「山下さんは今後、魔術書の解読に専念となると俺は武器の調達だな。初回であれくらい来るのなら対抗手段は持っておきたい」

「氷室の技能は重火器系だから難しいんじゃないか?」

「実銃は難しいだろうが、狩猟や競技に使われる空気銃やフレアガンなんかを用意又は作成するつもりだ。まぁ、どちらも免許がないといけないが偉い人は言った【ばれなきゃ犯罪じゃない】とな。それに探索者はいずれ住居侵入やらをしなくちゃならんから法を犯すのが後か先かの違いさ」

「お巡りさんこの人ですと言いたいが戦力アップのためなら仕方ないな」

「それで、九十九はどうするんだ?何かやっておきたいことは決めたか?」

「う~ん、特にやることないし探偵の仕事をしつつ今ある技能を成長させておく。贅沢言えば刀がほしいけど逮捕エンドが怖いからしばらくは警棒か木刀で頑張ってみるさ」

「うん、装備の調達もいいけど技能の成長も大切だからそれでいいと思うよ。またいつ来るかわからないけどその時までお互いに頑張ろうね」

 

その後軽く雑談を交わし、店を出た。店を出る際に神父服を着た男性が真っ赤な麻婆豆腐をおいしそうに食べていたけど寂しくなった財布の中身同様、見なかったことにした。さぁ、帰ってグレートオール堂のケーキ食べよう。山下さんが持ってきてくれたイチゴのショートケーキにするかモンブランにするか悩むまぁ~。

 

 




バイプッシュだ!(ケーキ2つ目)。なお、山下に悪意はなく純粋にお土産としてもってきました。やったね九十九!ファンブルが増えるよ!(ぞろ目が出た場合2回目までファンブルとする)


さて、次回は各自の幕間成長の結果発表及び2つ目のシナリオ導入の2本立てでお送りします


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第二章

予告通り今回は幕間の成長と2つ目のシナリオの導入となります。
さてさて、2回目のシナリオはみんなが大好きなあれですよー

幕間の成長については結果を主要探索者設定に乗せますがダイスの過程は今回の後書きに乗せておきます。(成長は5回出来ることとしています)




あれから一ヵ月強が経過して現在は5月の下旬。夏にはまだ遠いが数日間真夏のような暑さが続いたこともあったが、今は大分落ち着いている。この一か月強で様々なことが起こった。

 

例えば、三人で花見に行ったり(酒を飲み始めてから記憶がない)氷室に誘われサバゲーに参加したり(回避にモノを言わせてBB弾から避けてキルしたらドン引きされた)新作のゲームしたり(マホロバ製のソフトは世界一ィィィィィ。)と本当に色々なことがあった。だが聡明な人ならわかるだろう。あれ?なんか忘れてね?と。それはいったい何だと思う?正解は・・・・・

 

 

 

 

 

「依頼が来ない!!!!!!」

 

 

 

 

この一ヵ月強の間、一件も依頼(仕事)が来ないのである。5月の中旬頃から流石にやばいと感じ、ビラを作って配りに回ったり、いつの間にかあったホームページを専門書を買って改善したりと努力はしたが、ご覧のありさまである。このままでは貯金が底をつくのも時間の問題だ。お金を借りるか?いいや、借金はダメ。絶対。そうなると残るは副業としてアルバイトをするしかない。

 

そうと決まればバイトの神様おすすめのタウ〇ワークで探す為、事務所のパソコンを立ち上げているとインターホンの音が鳴る。はて?密林に何か頼んでいたっけ?新聞やセールスならさっさと断ろうと立ち上がり玄関に赴き扉を開けるとそこにはスーツを着た初老の男が立っていた。

 

「こんにちは、ここは九十九探偵事務所であっているかな?」

「えっ・・あっはい。そうですが」

「すまないがここの責任者はいるか?依頼があってきたのだが」

「責任者はおr・・・私ですが」

「おっと・・・これは失礼。あまりにも若く見えたものでな」

「いえ、慣れてますから。とりあえず奥へどうぞ。依頼の内容もそこでお聞きしますので」

 

依頼人を事務所のソファーに座らせてお茶の用意をする。平静を装っているが内心狂喜乱舞中だ。いかにもお金持ってますというオーラを漂わせている。神は俺をまだ見捨てていなかったようだ。お茶をパパっと用意して向かい側のソファーに座り話を聞くことにした。

 

「初めまして。九十九探偵事務所責任者の九十九響です」

「岩井寛治(いわい かんじ)だ。」

「それで今回のご依頼はどのようなものでしょうか」

「端的に言うと人探しをしてもらいたい」

「人探しですか。詳しくお聞きしてもよろしいですか?」

「探してほしいのは私の娘でな。4日前に家に帰って来なくなった。最初は帰りが遅いと心配したので携帯に連絡入れたが繋がらず、何かあったのではとすぐに警察に相談して行方不明届を出したのだが、未だに音沙汰なし。おそらく家出かなんかだと思ってろくな捜査していないに違いない!・・・おっと失礼。それでらちが明かないと思い、知人に相談したところ、ここを紹介されたと言う訳だ」

 

グッジョブ!その知人さん!

 

「お話は分かりました。娘さんの写真か何かがあれば見せていただいても。後、名前などを教えてもらえますか」

「娘の名前は岩井久美(いわい くみ)、歳は14歳で私立穂群原女学院の中等部に通っている。これが写真だ」

 

その女学院大丈夫?全学生が集団昏睡とかなってない?と思いつつ、差し出された写真をみると、ロングヘアーの黒髪で美少女と言って過言ではない女の子がこちらに向かって笑顔で佇んでいる姿が映っていた。確かにこんだけ可愛ければ心配になるのもわかるな。ハイエースされても不思議ではない。

 

「行先に心当たりはありますか?娘さんがよく行く場所や最近気になる言動をしていたりは?」

「それがさっぱり分らんのだ。最後に見たのは学校へ行く姿で学校が終わってからは友達と遊んで帰る日もあれば何もせず帰ってくることもある。遊び先も特にこれと言って決まっておらんかった。ただ最近怪談話やオカルト関係に興味を持ち始めてたな。まぁ思春期特有のやつなんで関係ないと思うが」

「手がかりがこれだけ少ないと捜索は中々厳しそうですね」

「そこをなんとか頼む!他の探偵は情報が少なすぎるだの忙しいだのと断られた。後はここしかないんだ。久美は私の人生のすべてと言っていい!久美に何かあっとなれば死んだ女房に合わせる顔がない」

 

ソファーから立ち上がり頭を下げ必死に懇願する姿は父親そのものだった。なら俺が取るべき選択は一つしかない

 

「・・・・・・・・分かりました。この依頼引き受けましょう。ただし、100%見つけられるかどうかは分かりません。いえ、むしろ見つからない可能性のほうが高いかもしれません。ですが、最善を尽くすことを約束しますので頭を上げてください」

「っ・・ありがとう。恩に着る」

 

 

その後、久美ちゃんの詳細な情報と行動範囲、いなくなったその日の出来事等、可能な限り情報を聞き出した。最後に依頼料の話になるが岩井さんが前金として100万をPON☆と出してきやがった。やはりブルジョワだったか。流石に前金でこんなに貰うわけにはいかなかったので30万だけ頂いた。見つけた場合、さらに倍出すといって岩井さんは事務所を後にした。

 

「はぁ~~。金額が重ければ責任を重い」

 

事務机に突っ伏しながら固まった体をほぐしていく。時計を見ると午後6時頃だ。そろそろ夕飯の買い出しに行かないとなーと考えていたところでスマホの着信音が鳴り響く。スマホの画面を見ると【氷室】と表示されいた。あの日からちょくちょく俺の家に上がり込んでは飯をたかってくるので今回もまた来るのかと思い電話にでる。

 

「これ以上飯をたかりに来るなら食費を出してもらうぞ」

「開幕一番にそれ言うことか?というか食費出せば作ってくれるのかよ。っと、それどころじゃない。非常に緊急かつ大事な要件があるんだ」

「どうした?作ってた銃が警察に見つかったか?それともファンブって患者死なせたとか?」

「恐ろしいこと言うな。今、山下さんと飲みに行った帰りなんだがな」

「おい待て。そんな話聞いてないぞ!二人でおいしいもの食べに行ったのか!なぜ誘ってくれない」

「いや、お前、あまり酒に強くないし、酔ったら・・・・いや、話を脱線させんな」

「え?俺、酔ったらどうなるんだよ。すげー気になるんだけど」

「その話は後だ。今から夜野中央交差点前にあるジョイフルに集合な」

「えー、今日は肉の特売だからから揚げにしようと思ってたんだけど」

「俺が奢ってやる」

「10分くらいで行くわ」

 

すぐに電話を切るとスマホをしまい、事務所を出る。ビルの一階に小さいが駐輪場が備え付けられており、そこから自分の自転車を取り出す。(元々無かったが移動費がもったいなかったので購入した)自転車を走らせ15分ほどでジョイフルに到着。夕飯時もあって席は埋まっていたが氷室達はすでに席を確保していた。

 

「すまん、またせたな」

「ごめんで急に呼び出しちゃって」

「いや、こっちも急に呼び出して悪かった。俺たちはもう食べてきたか九十九だけ頼んでいいぞ」

 

差し出されたメニュー表を受け取る。さてどれにしようか?定食もいいがハンバーグも捨てがたい。少し悩みミックスグリルにした。

 

「さて、注文した物が来る前に話しておくぞ」

「それで非常に緊急かつ大事な要件ってなんだ」

「ああ、それはだな・・・・・・」

 

 

 

氷室サイド

 

 

 

今日は山下さんから新しい飲み屋ができたから行かないかとお誘いがあったため、3駅離れた飲み屋街まで足を運んだ。今はその帰る途中で地下鉄構内にいる。しばらくすると電車が来たので乗り込むが帰宅時間と重なっているのかすぐに満員となりすし詰め状態となる。

 

「いやぁ、間の悪い時間帯に乗ってしまいましたね」

「仕方ないさ、それにそこまで遠くないからこの程度問題ないよ」

 

そこから先ほどまで飲んでいた店ののことで話していると電車は発車し、3分ほどたった頃だろうか。いきなり「車両点検のため緊急停止します」と車内アナウンスが流れるとそれを合図に電車が停車した。当然車内は騒然となり俺も何事かとあたりを見渡してみると進行方向右側の窓に奇妙なものを見つけた。

 

それは一瞬、人間のように見えたがよく見てみると明らかに違った。猫背で手足がひょろひょろと長く、赤く爛々と光る眼を持ち、土気色の肌を持つ獣じみた姿だった。

 

その姿を隣にいた山下さんも目撃しており、驚愕の表情をしていた。

 

《SANチェック 0/1d3 氷室67→54 成功 山下66→82 失敗1》

《ロール目星 氷室25→88 失敗 山下67→38 成功》

《ロール知識 山下88→77 成功》

 

俺たちのほかにも何人か見てしまった者がいた為、更に慌ただしくなると同時に列車後方からタタタッと乾いた音が聞こえる。普通の人にはわからないと思うがこれは銃声だ。山下さんも気が付いたようで小声で「奥のほうで銃の発射炎が見えたよ」と情報を教えてくれた。化け物はその音と同時に闇の中へ消え去っていた。

 

それから2,3分後にアナウンスで「点検完了。発車いたします」と流れると電車は緩やかに動き出した。俺と山下さんはこの出来事ですっかり酔いは醒めて目的の駅に到着するまで無言だった。だが俺たちは確信していた。これが2回目のシナリオの導入であることを。駅に到着するとすぐさま九十九に連絡を入れ、これから起こる出来事にどうしたものかと頭を悩める。

 

 

 

九十九サイド

 

 

 

「・・・と言うことだ」

 

氷室の話が終わり今度はこちらの依頼されたことを話す。

 

「このタイミングだから十中八九今回のシナリオにかかわっているだろうな」

「その生物ってさ・・・・やっぱりあれだよな?」

「ああ、食人鬼《グール》だろう。そして喜べ。ニコ〇コ動画にて伝説となったあのシナリオだ」

「うん、僕も知ってるよ。その動画」

「俺が受けた依頼って・・・・最悪久美ちゃんかなりやばいんじゃ」

「まぁ、それはこれからの俺たちのがんばり次第だろ。さてと・・・・飯食い終わったら少し早いが廃駅に肝試しと洒落こもうぜ」

 

 

 

 

 

《シナリオ名:■■な共闘》

 

 




九十九
回避52→87 成功 +10
コンピューター1→26 成功 +8
運転(自転車)20→80 成功 +4
図書館50→61 成功 +9
拳銃20→39 成功 +9

氷室
医学65→20 失敗 
応急手当65→92 成功 +3
拳銃58→73 成功 +6
図書館25→3 失敗
目星40→59 成功 +3

山下
ほかの言語(ドイツ語)46→48 成功 +10
投てき25→36 成功 +8
博物学30→59 成功 +6
オカルト45→85 成功 +4
精神分析1→21 成功 +10

嘘みたいだろ?これマジで振ってんだぜ?(震え声


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第二章 ■■な共闘 

グダグダファイナル!!(終わるとは言ってない)が近いので今のうちに投下を・・・
今回は新たな仲間をお出迎え!新メンバーのお披露目会となっていますので短めです。


頼んだミックスグリルを食べ終え、全員でどれくらい成長できたかステータスを見せ合っているところですが、ただいま現在、俺は氷室にアイアンクローを受けています。

 

「この成長はどうゆうことだ?」

「いだだだだだだっ!?」

 

やめろぉおおお!STR16で握られたらやばいくらい痛いんだぞ!

 

「俺は技能は成長させろとは言った・・・だが、この拳銃とコンピューターと運転(自転車)ってなんだ?明らかにお前には必要ないものだよな?」

「氷室だけ2回も失敗してる上に上昇率低すぎ。その内拳銃技能、俺に追い越されるんじゃねーの?ぷぎゃーー」

「遺言はそれだけか?」

「・・・・はなせばわかる」(二重の意味で)

「問答無用」

 

のうみそがとびでるかとおもいました。

 

閑話休題

 

あれから各自家へと戻り必要な装備を整えて午後11時に再度集合することとなった。自宅へ戻り身支度しながら今回のシナリオについてわかる範囲で思い出してみる。

 

今回は食人鬼(以下グール)VS蛇人間&洗脳された人間の縄張り争い?に巻き込まれるシティシナリオで探索者側はグール側に立ち蛇人間の野望を打ち砕くというものだっけ?本来なら敵、恐怖の対象となる神話生物と共闘するところから奇妙な共闘と題され、中々に胸が熱くなる展開が繰り広げられる。・・・まぁ、あの伝説のせいでインスマスキックとドキ☆神話生物のニコ〇コ生放送等の印象が強い。確かあの地下鉄では特殊自衛隊と戦うんだっけ?勝てる気がしない。こんなことなら武術習っておけばよかった。

 

今回は竹刀を持っていかず木刀を装備、さらに伸縮製の警棒をカバンに忍び込ませる。木刀はいざとなれば稽古帰りとでもいえば大丈夫だろう。流石に時間が余ってしまったので旧初台駅と奇妙な姿をした化け物についての噂などを事務所のパソコンで調べてみることにした。

 

《ロール図書館59→88・・・・・・女神の加護によりファンブル》

 

「なじぇ!?」

 

パソコンが奇妙な音を立て始める。そして画面が真っ暗になり、暗闇の画面の向こうに馬鹿でかいヒキガエルのような顔をし、目は気怠そうに半分開いているナニかがこちらをみて薄気味悪い笑みをニタリと浮かべていた。反射的に顔をそらし再び画面を見てみるがそこには何も映っていなかった。

 

《SANチェック 1/1d4 68→62 成功 1減少》

 

見間違いかと思ったがこの気持ち悪い感じ・・・・そうでもないようだ。パソコンはその後うんともすんともしなくなり、完全に壊れてしまった。バックアップ取っててよかった。というか女神の加護とは一体?明らかに呪いとかの類と思われるのだが・・・まぁ、考えたって仕方ない、後で二人に着てみるかと思い軽く仮眠をとることにした・・・・・・のがまずかったのか。完全に寝坊した。約束の時間を30分過ぎたころに目を覚まし、愛車で急いで集合場所に向かう。

 

集合場所は氷室達がグールを目撃した場所の次の駅である新初台駅内である。駅構内に入ると終電も近く、社畜(昔の俺)が数人いる程度で、すぐに見つけることができた。だが、氷室と山下さんが見知らぬ金髪の女性と話し込んでおり、俺が来たことに気が付いた山下さんが駆け寄ってきた。

 

「九十九君来たんだね。遅いから何かあったんじゃないかと心配したよ」

「すいません、仮眠取っていたら寝坊しました・・・ところであの女性は?」

「そうだね。フィアさんを紹介するついてに九十九君が来るまでに集めた情報を共有しようか」

 

そう言うと話し込んでいた二人に声をかける。氷室は呆れた顔をしており、金髪の女性はこちらをみると笑みを浮かべて近寄ってくる。改めて金髪女性を見ると、キリっと整った顔立ちで目は俺と同じ碧眼、身長も女性にしては高く、スタイルも抜群で服の上からでもわかる膨らみに思わず目が釘付けにされる。そして何より腰まで伸びた金髪。駅の天井に設置されている蛍光灯の光を反射して煌びやかに輝いているその姿は一瞬女神にも見えた。

 

十人中十人が目を奪われるであろう美女に何故か俺は身の危険を感じた。これ程の美女に会っていたなら忘れるはずがないのでお互いに初対面のはずだ。それなのに俺の第六感が囁いてくる。「あ~あ、出会っちまったか」と。俺の第六感はいつの間に中二の星になったんだ?だが、俺の第六感も捨てたものじゃなかった。なぜかって?それは美女はごく自然に手を差し出してきたので握手かな?とこちらも手を差し出そうとした瞬間だった。目にも止まらぬ速さで俺に抱き着き、体を弄り始めた。それはもう頭の先から足の先の隅々までだ。あまりにも唐突且つ慣れた手つきで行われた犯行であった為に何もできずに立ち尽くすのみで、反応を起こそうとした時には最初の抱き着かれた姿勢になっていた。そして、俺に対して言った言葉がこちらだ。

 

「ねぇねぇ、お嬢ちゃん?一万円あげるから写真撮ってもいいかな?大丈夫怖くないよ。ちょっと写真撮るだけだから。ね?だけどその服装だとお嬢ちゃんの魅力が100%出しきれてないのが惜しい。私の家に来てくれれば可愛いお洋服が沢山あるし、綺麗にお化粧もしてあげられて今より絶対可愛くなれるよ。うん、是非、私の家にきてほしいな。家には私が作った洋服が沢山あるから好きなもの選んでいいよ。メイド服、チャイナ服、セーラー服

女医、スチュワーデス、婦警さん、魔女っ娘、看護婦さん、ブルマ、巫女服、チアガール、バニー、ゴスロリ、他にもいっぱいあるし、なければ私が作るからね?お嬢ちゃん今のままでも可愛いし、着替えたらもっと可愛くなれるよ。恥ずかしがらずに挑戦してみよう。どんなことも初めてはあるもんだよ。いつ始めるか?今でしょ!さぁ、一 緒 に い き ま しょ う ?」

 

 

もうやだぁ・・・おうちかえる~(幼児退行)

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、俺と同じで呆けていた二人に救出され、駅のホームに設置されていたベンチに座っている。右隣に氷室、山下さん、変態の順で座り、襲ってきた場合は即座に対処できるようにしている。

 

「ごめんなさい。私、可愛い女の子見ると押さえられなくて・・・・」

「きれいなバラには棘があっているが、あー、ご愁傷さん?」

「うっさい、だまれ、しゃべるな。なにしれっと頭撫でてんだ」

「あぁ~涙目の顔もいい」

「僕たちの前では普通だったんだけどなぁ・・・あはは」

「流石に時間も無くなってきたから話を進めるぞ。このへんt・・・女性はフィア・ブラッドボーン。俺たちと同じ探索者だ。山下さんと構内で情報を集めていると出くわしてな。事情を聴いてみると友人がここでいなくなったので探してるそうだ。同じシナリオに巻き込まれた同士仲良く・・・・は無理だとしても争わないようにな」

「ご紹介にあずかりました。フィア・ブラッドボーンです。氷室さんのおっしゃられた通り、友人がこの駅で消息不明になったので探していました。今回のシナリオで私一人だけかと思っていたので仲間が見つかって大変心強いです。これからよろしくお願いいたします・・・・・・・九十九ちゃん・・・ううん、響ちゃんって呼んでもいいかな?このシナリオが終わった後にでも私の家に・・・」

「け、結構です」

 

再び第六感が囁いてくる。「逃げるなら・・・いや、もう遅いか」諦めんなよ第六感!どうして諦めるんだ!と言うかなんで俺の名前を!?。チラッと氷室を見ると露骨に目をそらされた。下手人は貴様か!

 

地下鉄の閉鎖時間が近くなってきたので感情を押し殺し、お互いのステータスを確認し合い、今後の作戦を練ることにした。はぁ、この先どうなるのやら・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 




流石主人公!俺には出来ないこと(一発目からぞろ目を出す)やってのける!!そこに痺れる、憧れるぅぅぅぅ!!!

はい、ということで新メンバーはいかがでしたでしょうか?あれは誰だ?美女か?ローマか?・・・・モチロン、変態だよ!!!やったね!九十九!苦労が増えるよ!



もしかしたらありえたかもしれない展開
蛇人間「我々の悲願であるツァトゥグア様を召喚することは誰にも邪魔はさせん!!」
フィア「ツァトゥグア?それならもう会ったけど?」もっと食べたい参加者
九十九「ツァトゥグア?あのヒキガエルみたいなやつだっけ?それなら俺も一瞬だけど会ったな」
蛇人間「・・・・・・・・・」


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第二章 ■■な共闘 2話 「知らないのか?魔王からは逃げられない」

イベント明日なのかよ・・・・・と言う訳で怒りの投下!

今回、どこが改変されたのかが判明します。


作戦を練るとは言ったものの、先の氷室達が入手した情報を聞くことにした。情報の内容は大雑把に以下の通りで

・最近、夜野市内の地下鉄であちらこちらに怪物らしき者を見たという目撃情報がある。

・同様に夜野霊園でも怪物の目撃情報あり。

・線路沿いにある側溝に入るために駅員に交渉系技能を使おうとしたが-補正がかかるため断念

といったところだ。

 

シナリオ的に絶対に行かなくてはいけないところではないが、改変されている可能性がある以上、情報は多いことに越したことはない。(後、地下線路とか歩いてみたいし)どのような方法で行くか話し合った結果、ホームにいる駅員を適当な場所に呼び出していなくなっている間に侵入することに落ち着いた。呼び出し担当は俺とフィアだ。(呼び捨てでいいと迫ってきたのでそう呼んでいる)基本はフィアの信用で成功すればいいが、失敗した時の予備として俺が言いくるめる2段構えで失敗の無いようにするためだ。タイミングは最終電車が発車した後で行う。側溝を歩いているときに電車が来たら危ないし、目撃者を出さないようにする。

 

数分後、最終電車が発車したのを見届けて作戦を開始する。現在ホームにいるのは30前半位の男性一人のみ。フィアと二人で対象に近づく。正直、初対面のインパクトのせいで恐怖心が残っているがうだうだ言ってられない。それに俺はあくまで予備なので失敗した時にフォロー入れる程度でいい。

 

「あの、すみません」

「ん?どうかされましたか?」

「いえ、実は妹がこの駅のどこかで定期券入れを落としたみたいなんです。それで落とし物として届いていないか確認してもらえないでしょうか?」

 

っ!?!?

 

「一緒に駅長室まで行きたいのですが妹がもう一歩も歩きたくないと駄々こねてしまって・・・・本当に困った妹です。財布の中に私と妹が一緒に写っている写真が入っているのですぐにわかると思いますので、どうかよろしくい願いします。ほら、イリーナもお願いして」

 

妹!?イリーナって誰だよ!?突然のことで混乱していると、フィアが駅員から見えないようにして俺の方に顔を向けると小声で「ほら、早くしないと怪しまれるわよ」と言ってくる。ええい!どうにでもな~れ。

 

「お兄さん・・・・お願いします」

「・・・・・・分かりました。ちょっと見てきますのでここでお待ちください」

駅員はそのまま階段を上っていき、駅長室に向かっていった。2~3分程度は帰って来ないだろうがその前に言いたいことがある。

 

「・・・・フィア。今のは何だ?」

「フフッ上手くいってよかった。響きちゃんが私と同じ碧眼だったから姉妹といえば信じてくれると思いまして、試してみたところ大成功でした。技能を使わずに邪魔者を排除できちゃいましたね。さて、時間もあまりありませんし、急ぎましょう」

 

言いたいことだけ言って足早に氷室達のところへ戻っていった。まぁ、うまくいったといえばそうなんだが・・・・こう、何と言うか、姉を名乗る不審者に出くわした気分だ。だが、時間がないのは確かなので俺もその後に続く。すでに防犯カメラが映らない場所は把握済みなのでさっさと線路に降り、側溝にある従業員通路を使い、目的地である旧初台駅跡に向けて歩き出す。懐中電灯は持ってきたが、点けずに進むことにした。この先に特殊自衛隊が待ち構えているともなればできる限りバレないようにするためだ。だが、進む電車で5分の道のりも歩くとなれば大分時間もかかる。しばらくの間、黙々と足を動かし続ける。

 

特に問題もなく旧初台駅跡にたどり着くことができた。人の気配がないことを確認し、懐中電灯を点けて駅のホームを見渡してみると、長い間使われていないせいか、ベンチや駅名板に埃が積り、壁のコンクリートは所々剥がれており、地上への階段は同じくコンクリートで塞がれている。昔はここで多くの人が利用してにぎわっていたとは考えられず、どことなく寂しい感じがした。

 

「さて、目的の場所にたどり着いたがどうするか」

「困った時は目星、私はそうしてました」

「僕は念のために聞き耳使って誰もいないか調べてみるね」

「痕跡か・・・・それなら」

 

《ロール目星 氷室43→38 成功  フィア25→5 クリティカル》

《ロール聞き耳(静寂なため+10補正) 山下78→88 失敗》

《ロール追跡 九十九50→30 成功》

 

全員バラバラに行動し始めるが、すぐに駆け付けることができる距離で捜索を始める。5分後に再び集まり成果を告げていく。

 

「ごめん。何も聞こえなかったよ。・・・やっぱり誰もいないのかな」

「俺はこの5.56mm弾を発見できた。確か各国の軍隊が正式採用しているような自動小銃からでしか発射できない奴だ。それに壁に弾痕や血をふき取った後が発見できたからここで戦闘があったことは間違いない」

「私は銃についてはそこまで詳しくないのでわかりませんが、こんなものを見てください。ホームの壁付近のがれきの下にこんなものが」

 

フィアが差し出してきたのは、埃でやや汚れてはいるものの、まぎれもなく拳銃だった。氷室が手に取って簡単な動作確認を行い、問題なく使えることが分かり、弾丸も少し使われているが11発残っているそうだ。

 

「確かこれは・・・H&K-USP?特自のやつらが落としたものか?」

「それは分かりませんが、私、拳銃は使いませんのでよかったら使ってください」

「まさかこんなに簡単に手に入るとはな。自宅で作っていた改造エアガンがもったいないが有り難く使わせてもらう」

「どういたしまして」

「お宝入手したところ悪いがちょっと来てくれ」

 

俺は全員についてきてもらいホームの一部の床を懐中電灯で指し示す。

 

「あそこに足跡があるの見えるか?」

「んん~?ごめん。わかんないや」

「言われて初めて足跡があることに気が付いたぜ。九十九、良くわかったな。入り乱れすぎて俺には全然わからん」

「私もです」

「氷室の言う通り戦闘があったことは間違いない。だけど2つおかしなことがあるんだ。一つ目はこの足跡だ。足跡は全部で三種類あって固い靴で歩いた足跡。これは特殊自衛隊のやつだろう。次に人間に近いが奇妙な形をした足跡。これは多分グールだな。そして、これなんだが、前に3本後ろに1本伸びてる足跡で何か細い物をぶら下げて引きずった跡があるんだ。

「グールと特殊自衛隊以外にも他の神話生物がいたってことか?」

「2つ目は戦闘したにしても死体がない。まぁ、氷室達が目撃した時間から数時間経っているから特殊自衛隊が回収してもおかしくはないんだが、これだけの足跡だ。かなりいたのに回収作業が早すぎないか?」

「ちょっと待て・・・・一つ嫌な予想が浮かんだんだが」

「奇遇ですね。私もです」

「あはは・・・・ま、まさかねぇ・・・」

「・・・・多分みんなが思っていることをあえて言葉にするぞ?ここで戦っていた特殊自衛隊がグール+他の神話生物連合に負けて食べられた、若しくは連れ去らわれたと」

「おいおい、NPCとはいえ自動小銃を持って訓練を受けた奴らがそう簡単に負けるはずがないだろ・・・」

「月島さん・・・声が震えてますよ」

「でも、氷室君そう考えれば辻褄が合うんだよね・・・残念なことに」

「・・・・・・・・」

「・・・・・・・・」

「・・・・・・・・」

「・・・・・・・・」

 

全員が一斉に黙る。心なしか気温も下がって気がして肌寒い。廃駅のホームが巨大な怪物の胃の中にいるような錯覚さえする。この時全員の心が一致していた。「早くこの場から逃げ出さなくては」と。俺の第六感も「つくづく無能ね、あなた」と囁く。だが、ここで無事逃げ出せたとは問屋が卸してくれない。

 

自分たちが来た通路の反対側の通路からガタッと物音がする。全員が体をビクッと震わせ、恐る恐る懐中電灯の光を向ける。そこ先にヘルメットに暗視ゴーグル、都市迷彩の軍服を着て、手には氷室と同じ拳銃を握り、頬に大きな古傷が目立つ男がいた。だが、ヘルメットは鋭い何かで引き裂かれたような跡があり、暗視ゴーグルのレンズは割れて、軍服は至る所が破れてそこから血が染み出している。男はこちらの明かりをまぶしそうにし目を細めるがすぐさま手に持っていた拳銃を向けてくる。

 

「ちょ、ちょっと待て!俺たちは一般人だ!撃つな!」

 

慌てて静止するよう呼びかける。

 

「人間・・・だと・・・?どうしてこんな場所に・・・っう!?」

 

男は銃を下すと傷が痛むのか蹲る。

 

「氷室!」

「ああ、任せろ」

 

氷室は俺の呼びかけに応じ、男に駆け寄る。頼むからファンぶらないでくれよ?

 

《ロール医学&応急手当 氷室65、68→19 成功 回復2d3→4 HP?→9》

 

見事な手際で傷口を手当てしていく。

 

「これで一先ず大丈夫だ。さて、あんた名前は?」

「先に手当てしてくれたことに感謝する。俺は古鷹源太(ふるたか げんた)だ」

「古鷹さん、ここで一体何があったんだい?教えてはくれないかな?」

「すまないがそれは極秘事項だ。ましてや一般人に教えるわけにはいかない」

「こっちは撃たれかけた上に(氷室が)命を救ってやったんだ。少しは教えてくれてもいいんじゃないか?」

 

《ロール言いくるめ 九十九52→54 失敗》

 

「嬢ちゃん、銃口を向けたのは謝るし、命を救ってくれたことも感謝している・・・だが、世の中知らないほうがいいこともある」

「お願いします。私たち以外には口外しないことを約束いたしますので教えてください」

 

《ロール信用 フィア60→36 成功》

 

「・・・・美女の頼みとなれば断れねぇな。だが、後悔しても知らねぇからな」

「俺は見ての通り自衛隊に所属していてな。その中でも対テロ任務を受けおう【シールド】っていう部隊があるのさ。俺はその【シールド】小隊長を務めていた。2週間ほど前、上官の命令で地下鉄で不審な奴らが徘徊している。奴らの正体を暴いてほしいと言われてな。あっちこっち嗅ぎまわってようやくこの周辺に根城があることが分かったんで部下と共に突入したのさ。まぁ、結果は見ての通りさ。部下は全滅。俺も瀕死の傷を負って命からがら逃げ出せたって訳さ」

「それで、その相手はどんな奴だったんです?」

「俺も・・・未だに信じられない・・・・多分、今から俺は・・・・・頭のおかしい話をするがすべて真実だ。そいつらは肌が死人のように土気色で手足はひょろひょろと長く、目は赤色に光ってやがる。しかも・・・・・・・殺した俺の部下をその場で食い始めたんだ!!ははっ・・・まるでゾンビ映画の中に入り込んだようだったぜ」

 

古鷹は冗談っぽく話しているが体は震えている。まぁ、グールの大軍を目撃した上に部下が食われているところを見たんだ。発狂していていてもおかしくない。

 

「そのクソッタレ野郎どもも大概だったがあいつらの中にもっと薄気味悪い奴がいた。頭が蛇なんだが手足もあって人間の姿をしていた。さしずめ蛇人間ってか?土気色の化け物だけなら何とかなったんだ。だが蛇人間が妙な言葉をつぶやいたかと思うと真っ黒なスライムみたいなのが出てきてな。そいつの先端には大きな口が付いていた。そこから形勢逆転さ。銃で撃っても殴っても蹴ってもまるで効かなねぇ。その内どんどん押されていって・・・ああくそ!思い出しただけでも震えが止まらねぇ」

 

それ以上は流石に聞くことはできずそっとしておくことにした。それにしても、グールが蛇人間側についてやがる。さーて困ったぞ?ここから先のメタ知識が崩壊した。

 

「なぁ、今回グールと探索者が共闘するシナリオだったよな。俺の記憶違いか?」

「いや、合ってるぞ。ただ今回のシナリオはグール&蛇人間VS探索者の構図だろうな」

「私の記憶ですと【シールド】は残虐で非人道的な集まりのはずでしたが、この人を見る限りそうとは思えません」

「と言うことは、神話生物VS人間ってことでいいのかな?【シールド】の目的が神話生物の殲滅なら協力し合えると思うんだ」

「多分、それであってると思います。なんにしてもいつまでもこの場所にいるわけにはいきませんし、一度地上に戻りません?」

「それについては賛成だ。さっさとこんなところからおさらばしよう」

 

俺たちはこの時忘れていた。ホラーのお約束は一度油断させてから本命が来るということと、知能の高い蛇人間が逃げ出した奴を見逃すはずがないということに・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 




と言う訳で今回の構図は人間VS神話生物という、いつも通りの構成でお送りいたします。
今回初クリの名誉はフィアさんが獲得しました。商品としてグレートオール堂のケーキを進呈しましょう(あげるとは言っていない)


原作だと人殺し大好きのサディストな古鷹ですがここでは市民を守る優しいおじさんです
(グールの大群+蛇人間(変装なし)+無形の落とし子見ても発狂しないこの人のメンタル強すぎぃ!!)裏でダイス振った感想






ありえたかもしれない展開
フィア「お前も家族だ!」武道+組付き
九十九「ひぃぃぃぃ!?!?」


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第二章 ■■な共闘 3話 「これが一番早いと思います!」

地下鉄・・・武道・・・キック・・・うっ頭が・・・・

と言う訳で戦闘+a回です。今回はあれが多すぎて処理に困りましたが何とかなりました。



本来協力関係となるはずのグールが敵に回っている。この情報は俺の知っている奇妙な共闘とは大きくかけ離れてしまったことを意味する。これでメタ知識はあまり頼りにならなくなった。だが、悪いことだけではなかった。代わり国家権力が仲間となるならまだ希望はある。古鷹を無事に本部?まで返すことができるならそこで上司に報告してもらい、自衛隊から増援してもらえれば勝ったも同然だ。俺たちは蚊帳の外で優雅に待っていれば無事事件は解決!いやー、今回のシナリオは楽勝でしたね!勝った!第二部完!

 

そうと決まればこんな気味の悪い地下に用はない。さっさと地上に帰ろうか。そう思った時だった。

 

《シークレットダイス》

 

《ロール聞き耳》

九十九62→25 成功 

氷室25→99 ファンブル 

山下68→97 ファンブル 

フィア25→84 失敗

古鷹70→91 失敗

 

強制ロールが発生する。ていうかお前らぁ!?

 

強化された聴覚が異変を感じ取る。懐中電灯の光の範囲外から何者かがゆっくりとこちらに近づく足音と呼吸音。

 

「誰だ!?」

 

慌ててその方角へ懐中電灯を向ける。俺の声に反応してほかの皆もそちらに顔を向ける。

 

最初に飛び込んだのは赤く光る瞳だ。土気色のぶよぶよした肌には毛の代わりにカビが生えており、足はひづめ上に割れ、手にはカギ爪、犬のような顔。まさしく化け物と呼ぶにふさわしい風貌だった。

 

《SANチェック 0/1d6》

九十九67→91 失敗 5 

氷室67→48 成功 0

山下66→98 ファンブル 1d6+1→5

フィア72→87 失敗 3

古鷹58→49 成功 0

 

《一度に5以上の正気度が減少したため発狂チャンス、アイデア》

九十九60→61 失敗

山下75→15 成功

 

《山下、一時的狂気発症、初発狂のため神話技能+5》

1d10→3 肉体的なヒステリー或いは感情の噴出

発狂時間(R) 1d10+4→10

 

一切光さすことのない地下の世界。人間は暗闇を嫌い光を求めるからこそ様々な方法で暗闇を消してきた。だが、奴等は違う。光を嫌い闇に潜む者。腐肉を喰らい、人の安寧を妨げる者。グールがそこにはいた。俺はあまりにも唐突な事に現実味がなくまるでテレビの向こう側の出来事のように思えてしまった。

 

「あ、あはははははははっはははははっははははっはははっはははっはははっは」

 

突如、山下さんが大きな笑い声をあげる。一時的狂気に陥ってしまったのだから仕方ない。俺もアイデアに成功していればこうなっていたのか。グールはそんな山下さんに一切目もくれず、俺たちに襲い掛かってきた。

 

《戦闘開始。奇襲により九十九以外はDEX半分となります。1R 九十九》

 

やばいな。奇襲攻撃で俺以外はDEX半分になっちまった。ならここで俺が一撃で気絶若しくは殺すしかない。幸いグールの装甲は遠距離攻撃にしか意味をなさない。ここで決めてやる!と、そう思った時に全員の懐中電灯の明かりが点滅する。徐々に点滅が早くなり、やがて明かりが消え、暗黒の世界が広がる。

 

「え?ちょ!?どゆこと!?」

「多分、俺たちのファンブルがここで来た感じだな。すまん」

「これじゃ何も見えませんよ!気を付けてください!」

「あははははははははははっははは」

「俺もだめだ!暗視ゴーグルも壊れてやがる!」

 

《暗闇により、視覚を用いる技能値が半分となります》

 

嘘だどんどこどーん!?ここにきてこれかよ。やはりフラグを立てたのがいけなかったのか。だが、このまま嬲られるだけだ。一か八かに賭けるしかない。

 

《ロール日本刀 39→33 成功

グール回避26→13 成功》

 

暗闇の中、相手の気配だけを頼りに木刀を振るう。だが、グールの領域である暗闇では分が悪く、やすやすと避けられてしまった。

 

《グール 噛みつき30→40 失敗 続いてかぎ爪30→94失敗》

 

グールも急に明かりに照らされた為か目測を誤り何もないところで噛みつき、腕を振る。

 

《古鷹 武術+キック→45、45→41 成功 2d6+1d4→10 HP13→3 派生ラッシュを選択 R最終にもう一度攻撃できます》

 

「この程度のことでシールドの小隊長は務められるか!!部下の敵だ!喰らえ!」

 

何も見えない暗黒の中、古鷹が見えているのではないかと思うほど的確にグールに回し蹴りを喰らわせる。暗闇にグシャリと肉がつぶれる音と骨が砕ける音が木霊する。だが、腐っても神話生物だ。瀕死の重体だがまだ意識は残っており、その殺意はさらに膨れ上がる。だが、これだけは言わせてほしい・・・・・もう全部あいつだけでいいんじゃないか?

 

《氷室 拳銃32→78 失敗》

 

「流石にこの暗闇で当てるのは無茶すぎねぇか?」

「この暗闇を作った張本人が言うことか!?」

「ダイスの目はどうにもならねえからな・・・・・」

「まぁ、それに関しては同感です。それよりもまずは・・・・やるべき事をいたしましょうか」

 

《山下 発狂のため行動不可、フィア 武道+組付き39,39→38 成功 派生サルトを選択 1d6+1d4→6 HP3→-3》

 

瀕死のグールが無事な腕でフィアに攻撃するが逆にその力を利用して背負い投げの要領で投げ飛ばされる。そのまま線路の壁に顔から激突し、再びグシャリと音を立てて地面に崩れ落ちる。小刻みに痙攣した後、動かなくなった。

 

《戦闘終了です・・・・・・・ッチ》

 

何か舌打ちが聞こえた気がしたんだが・・・・。だが、これでひと段落だ。一時はどうなるかと思ったが何とかなったな。

 

「やはりグールには武道が一番だな。っとそれよりも山下さんに精神分析かけてやらねぇと」

「ええ、お願いします。戦闘中ずっと笑い声が響いて不気味でしたので」

 

《ロール精神分析70→41 成功》

 

「あははははははは・・・・・あれ?僕は一体なにを?」

「山下さん落ち着きましたか?」

「う、うん、ごめんね。足を引っ張っちゃったみたいだね」

「大丈夫ですよ。こればっかりはどうしようもないですし」

「すまないが話は後にしてもらっていいか?追手が来ていた以上ここに長居するのはまずい。一体だけとは限らないからな」

「おっしゃる通りですわね。さぁ、皆さん帰りましょうか」

 

俺の第六感も「このままいるとやばいわよ」と言っている。新たな増援が来る前にさっさとおさらばしよう。

帰りはスマホのライトを使い帰ることにした。シールドが使っていた道を利用させてもらい事になり、無事に地上に戻ることができた。やっぱり人間は地上が一番だな。

 

「さて、君たちには悪いが俺に付いてきてもらう。安心しろ。悪いようにはしない」

「そのセリフだと悲惨な目にあう気がするんだが・・・まぁ、大人しくついていきますよ」

「ええ、古鷹さんだけの証言だけではもしかすると信じられないかもしれませんから」

「流石にここで一人になるのはやばいので僕も行きます」

「早く帰って寝たい」

「すまない、すぐ近くに車を止めているからまずはそこへ行こう。詳しい話は車の中でな」

 

5分ほど歩いたところに自衛隊が乗っている大型トラックがあり、後ろの荷台に俺たちが乗り込み、古鷹が運転をする。荷台と運転席の間には小窓があるのでそこで話を聞くことにした。今から向かう所はシールドの基地で表向きには存在しない部隊のため、詳しい場所は言えないらしい。基地にいる上官に事の顛末を報告し、増援をもとめるらしい。俺たちはその上官に報告する際の補足や証言をしてもらい、念のため検査とこの事を口外しないよう書類にサインすれば帰っていいそうだ。(また、検査と口止めですかそうですか)

 

荷台の窓が締め切られ、ドナドナされること30分、運転席の窓が急に開き、降りていいことを言われる。言われるがまま、荷台を降りるとそこはトンネルの中・・・だろうか?半円状の天井に照明が取り付けられあたりを照らしている。俺たちが下りてきたトラックとは別にもう一台と高機動車が3台並んでいた。流石に戦車はなかった。

 

「こっちだ。着いて来い」

 

トンネルの壁に扉があり、、そこを抜けると10mほど廊下が続き、その先にエレベーターが設置されていた。パスワードとカードキーをかざすとエレベーターが動き出し、体感3階ほど降りた時に停止した。エレベーターの扉が開き、コンクリート造りの廊下伸びている。左右に扉が2つずつ、奥に1つ設置されている。古鷹はそのまま一番奥の扉の前に立ち止まる。一番奥にある扉だけ指紋認証が取り付けられており、古鷹が指をかざし、扉を開ける。部屋の内部は長方形の長い机が中央に置かれ、その上には大量の資料が乱雑に置かれている。壁には資料保管用の棚が所狭しと並べられ、部屋の隅にはコーヒーメーカーや電子ポットが置いてある。一見誰もいないように見えるが机に突っ伏して資料の山に埋もれている男性がいた。古鷹はその男に近寄りゆすり起こす。

 

「敬一郎さん、戻りましたよ。起きてください」

「すまん・・・あと五分・・・この歳になると徹夜はしんどいんだ・・・・」

「火急速やかに報告したいことがあるんです」

「・・・・・ああ、分かったからそんなに揺さぶるな・・・ってこの人たちは誰だ?」

「その事も含めて今から話します」

 

起き上がった男性は40歳位の黒縁の眼鏡にスーツが似合う初老の男性で、どことなく知的に感じる(やはり眼鏡か?今度着けてみようかな?)体つきを見るに現場より後方支援担当の人か。

 

「寝起きで申し訳ないですが、報告したいことが2つあります。一つは部隊が私以外全滅。二つ目は敵が人間ではなかったということです」

「・・・あぁ~っ、ちょっと待て。寝起きで頭が回らん。すまんがコーヒーを入れてくれ」

「了解です」

 

古鷹が保温していたコーヒーを差し出し、男性が受け取ると一気に飲み干す。

 

「お前が冗談を言うとは思えん。事の顛末を一から報告してくれ。もちろん、そちらにいる一般人についてもだ。君たちは適当な椅子にでも座って待っててくれ」

「はい、まずは・・・・・」

 

 

 

   かくかくしかしか  いあいあクトゥルフ(説明中)

 

 

「話は分かった。にわかに信じられないがお前の言うことだ、すべて本当のことなのだろう。・・・・すまなかった。今回の件は私の情報不足が責任だ」

「いえ、敵が化け物だなんて誰も予想できないことです。責任を感じることはありません。むしろ部下を守れなかった私の実力不足です」

「お前は本当律儀な奴だな・・・・・おっと、長い間待たせてすまないね。私はこのシールドの創設者兼指揮官の増山敬一郎(ますやま けいいちろう)だ。まずは源太を救助、感謝する」

「改めて私からも礼を言う。ありがとう」

「どういたしまして、俺は九十九響だ」

「どうしてお前が偉そうなんだ・・・俺は氷室月島だ」

「僕は山下健吾です」

「私はフィア・ブラッドボーン。これでも日本生まれの日本育ちですので」

「それであのグールは自衛隊がどうにかしてくれるんですよね?」

「グール?それはあの化け物のことを言っているのか?」

「(あ、やべ!?普通の人はグールなんて知らないよな)化け物だと曖昧だし、名前つけておいたほうがいいんじゃないかなぁ~と・・・・」

「確かにな・・・よし、なら話に聞いたそいつは今後、グールと呼称しよう」

「それでグール共は自衛隊が片付けてくれんだよな?後、俺たちの処遇なんだがどうなるんだ?」

「うむ、その件については一旦時間をくれ。一朝一夕で決められるものではない。それにもう深夜の3時頃だ。疲れもたまっているだろうから今夜はここに泊っていくといい。その間、源太と俺で今後について話し合っておく。仮眠室はここを出て右側の一番目の部屋だ・・・・・また徹夜か・・・」

「分かりました。正直僕、限界だったんだよね・・・主に精神的に」

「寝る前にシャワーを浴びたいのですが・・・・グールに触ってしまいましたので」

「ああ、それなら仮眠室の反対側の部屋にシャワー室がある。好きに使ってくれて構わないが、男しかいない所でね。女性ものの着替え置いていない。洗濯機と乾燥機も一緒に置いてあるが時間もかかるでしょう。替えのシャツやズボンならあるがフィアさんはともかく九十九さんはサイズがあわないでしょうがどうしますか?」

「私は洗濯が終わるまで替えの服で構いません。響ちゃんの服は私がぱぱっとサイズ調整しますので大丈夫でしょう」

「いや、俺はそもそもシャワー浴びるとは言って・・・」

「さ!行きますよ」

 

フィアは笑みを浮かべながら俺の手を取りずるずると引きずられていく。おかしい。STR7しかないはずなのに逆らえない。

 

「・・・・俺たちは先に仮眠室にでも行ってましょうか」

「そうだね」

 

《ロール制作(衣装)58→44 成功》

 

なんということでしょう。替えの服が技能でワンピース(フリル付き)にされたではありませんか。これは匠もびっくりの技です(死んだ目)その後フィアとシャワーを浴びる羽目となったのだが、あんまり喜べなかった。え?金髪美女と一緒にシャワーなんてご褒美だろって?お前肉食獣(フィア)と一緒に檻(シャワー室)に入れられてみたことないだろ。

 

 

その夜俺の悲鳴が地下基地内に響いたという。

 

 

 




ルルブ持っている方ならわかるのですが古鷹さん技能強くない?強すぎない?並の探索者なら瞬殺できるよぉ!そして増山さんがなぜか苦労人と化した・・・どうしてこうなった。


なお、ここではSANチェック時のファンブルは+1することにしています。


次回!【NPCがシナリオ解決させる分けねぇだろ?常識に敵に考えて】こうご期待ください


追記:すみません。戦闘で九十九がぞろ目出していましたがファンブル処理するのを忘れていました。申し訳ないですが書き直しはせずこのままにします(たとえ神(KP)でも処理してしまった結果は戻せませんので)・・・そう考えるとこの1話でフィア以外全員ファンブってないか?(ボブは訝しんだ


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第二章 ■■な共闘 4話 「探索者にとって常識的行動」

久しぶりに日付が変わる前に投稿できました。これから三連休なのでもう一本いけると思います。

2章も大分後半に差し掛かってきました!出来れば今月までには終わらせたいところですが仕事が・・・・・・・(言い訳




あの惨劇が明けて現在仮眠室にフィアと二人でいる(あれ?もしかしてまだ続くの?)仮眠室は2段ベッドが縦に左右二つ並んで置いてあり、その間に丸テーブルと椅子に二脚、隅には小さなテレビと冷蔵庫と簡素な部屋だった。ちなみに交代で氷室と山下さんはシャワーを浴びに行っている。

 

俺とフィアは冷蔵庫にあったミネラルウォーターを拝借して丸テーブルを挟んで座っているのだが・・・・・フィアは荒い息を吐きながら自前のカメラを連写している。フィアは備え置きのTシャツと半ズボンを着ているのだが、俺はフィアが謎の技術(技能)で作成したフリル付きワンピース(白)を着ている。おそらく備え置きのTシャツを加工して作ったのだろうが作るの早すぎない?無駄にフリルまで付いてるし。サイズもぴったしで着心地もいい。変態に技術を与えた結果がこれだよ!!それと下着は洗濯中で付けてない。まぁ、俺の場合、下はトランクスで上は家にあった包帯巻いていただけなのだが、それを見たフィアがいつか見た氷室と同じ「お前正気か?」みたいな顔をしていた。そういえばフィアに俺が男だってことを伝え忘れていたな。ちょうどいい機会だし伝えておくか。

 

「なぁ、ちょっといいか?」

「そのちびちび飲む姿も可愛い・・・はぁはぁ」

「おーい、聞いてるかー?」

「髪の毛乾いたら色々いじくってもいいなぁ・・・はぁはぁ」

 

だめだ。完全にトリップしてやがる。だが埒があかないのでこのまま進める。

 

「言ってなかったことがあるんだが、俺は男なんだ。参加する際に女のキャラクターシートしかなかったからであって、肉体は女だが、精神は男なんだ」

「はい?知ってますが?・・・・はぁはぁ」

「・・・ホワイ?」

「駅で合流した際に月島さんから「まだ来ていない奴・・・九十九響って名前なんだが、そいつリアルの方では男だけど参加するときに女のキャラシで応募しちまってな。女の体になってから色々とあるだろうから、面倒みてやってくれ。中身が男だが肉体は女だから俺たちじゃフォローできない所があるだろうし・・・・」とおっしゃってましたので」

「その無駄に再現率高い声真似しなくていいから・・・それにしてもあいつがねぇ~?」

「あら?いいご友人じゃないですか」

「いい友人ねぇ・・・」

 

ボス戦で置いていくし、夕飯ちょくちょくたかりに来るし、対戦ゲームで容赦ないし・・・良くて悪友?みたいなかんじだな。俺の周りにいなかったタイプだから新鮮に感じるけどな。

 

「健吾さんは息子?いえ、娘として接しているところがありますが、月島さんは響ちゃんを男性として接してはいますが完全に男性と見ておらずといったところですかね?その証拠に響ちゃんをシャワーに誘わず、むしろ私に任せてきましたから。」

「俺としてはどちらでもよかったんだがな。いやむしろ肉食獣(変態)と一緒に入るよりあっちの方がマシだな」

「あら?それは失礼。私は以前は男だったと言われても男性の時だった姿を見たわけではないのでいまいちピンときませんので普通なら響ちゃんを女性としか思いませんよ?ただ女性として扱われる事が不快に思われるのでしたらその時は言ってください。・・・・・・自重したしますので」

「絶対にしない・・と言わないあたりが怖いんだが?まぁ、女の体になったと言ってもたった一年だけだ。ぶっちゃけそこまで気にしてない。誰かが言った言葉で「そうゆう事ならそうゆう事でいいんだ」ってな。ここで俺はどう喚いても暴れても起きてしまったことを無かったことにできない。それならむしろ貴重な体験出来てラッキー程度に思っておくさ」

「それでしたら是非我が家に!今でしか出来ない事(着せ替え)をいたしましょう!」

「あ、それは結構です」(真顔)

 

その後、何度も迫って来るが跳ね除けることはできたが、せめて下着はきちんとつけないとやばい事を説明されたので今度からつけることにした。なぜかフィアが自称新世界の神の顔芸をしていたがなぜだろうか?その後もフィアの写真撮影会(無許可)は続き、氷室達が戻ってくる頃には髪までいじくりまわされていた。

 

 

 

 

翌朝、習慣で7時頃に起きた俺はまだ眠っている3人を起こさないように仮眠室を出る。3時間程度しか寝てないが社畜時代の名残で短い睡眠でも平気な体になってしまった・・・いや、これが何日も続くと支障をきたすが一日程度、どうってことない。特にやることがないのでこの基地を散策することにした。行ってない部屋はエレベーター側から見て手前の左右二部屋。まずは左の部屋から見ていく。

 

この扉に鍵はかかっておらず、中に入るとそこは一言で表すなら食堂だった。長机と長椅子が並べられ、奥のほうにカウンターがあり、その向こう側がキッチンとなっている。ただ、キッチンを見るにしばらくの間使われた形跡がない。唯一大型冷蔵庫だけが稼働しており、中にはコンビニなどで見かけるレンジで温めれば出来上がる惣菜類や飲み物だらけであった。申し訳程度に食材もあるが傷んでいたり賞味期限が切れた物もある。食堂をある程度見て回り、次は食堂の向かい側の部屋に向かう。

 

 

こちらの扉には鍵がかかっておりドアノブを押しても引いても開かなかった。幸い一番奥の部屋と違い指紋認証ではなく一般的な鍵で開閉できるみたいなのでこの子(ピッキングツール)の出番だ。

 

《ロール鍵開け51→98 ファンブル》

 

鍵開けを始めて10分ごろにダイスが振られたかと思うとまさかのファンブル・・・やばいと思い鍵穴からピッキングツールを引き抜こうした時、何かに引っかかりポッキリと折れてしまった。更に折れてしまった部分が鍵穴内部に取り残されてしまい引っこ抜けない。

 

・・・・・・・・俺は何もしてない。偶然鍵穴に金属の棒が刺さっていたのを見つけただけ・・・・そうしよう。

 

これで入れる部屋はすべて見てしまい、やることが無くなった俺は再び食堂へ向かい冷蔵庫の整理と若干埃の積もったキッチンを掃除することにした。こう・・・やることがないと部屋の模様替えや掃除したくならない?

 

 

掃除を始めて2時間後、キッチンだけではなく食堂の机や床などにも手を付けてしまった。(部屋の隅に掃除用ロッカーがあったので拝借した)お腹もすいてきたので今は残された僅かな材料で朝食を作っている。足りないものは惣菜やレトルト物で補う。ちなみに献立は白飯(米だけは無駄にあった)焼き魚(惣菜を焼いただけ)だし巻き卵(俺はめんつゆ派ではなく砂糖派です)味噌汁(賞味期限ぎりぎりの豆腐と乾燥わかめ)である。・・・・碌なもんがねぇな(結論)

 

朝食を作っていると匂いにつられてきたのか食堂にフィア、山下さん、氷室と続いて目にクマが出来上がっている古鷹さんに増山さんが集まってきた。作っている最中に俺の第六感が「多めに作っときなさい」と忠告を聞いていて良かった。出来上がった料理?を食器に盛り、お盆で運んでいく。全員寝不足なのか半分夢の中にいるみたいで長椅子に座ったまま動こうとしないからすべて俺が運ぶ羽目となった。古鷹さんや増山さんはいいとして残りの三人は少しは手伝ってほしいですねぇ?

 

全員に朝食がいきわたったころに全員の意識が覚醒し、きょとんとしていたので俺がさっさと食べろと声をかけると一斉に食べ始めた。食べ始めると古鷹さんと増山さんが「うめぇ、うめぇ」と泣きながら食べる姿にドン引きし、フィアの上品に食べてる姿にそういえばこいつお嬢様だったなと思い返し、山下さんは嫁に連絡するの忘れていたと頭を抱えて、氷室に至ってはだし巻き卵はめんつゆ派なんだよなぁとほざいてきやがったので軽く言い争いがおこったが割愛しよう。

 

全員が完食して、食器を洗い場に貯めてあった水に漬けておくように指示し、一息終えたところで本題に入ることにした。

 

「結局話し合いの結果はどうなったんだ?」

「その件なんだが・・・結果から言うと、何もできない」

「それはこのまま野放しにするということですか?」

「私たちも昨晩上層部とコンタクトを取ったのだが上はこの件は無かったことにすると突っぱねられたんだ。理由を聞こうとしてものらりくらりと躱されて話にならない。考えたくないがこの一件に上も噛んでいると考えたほうがよさそうだ。そのおかげで人員補充もままならない」

 

その言葉を聞いてこのシナリオを知っている俺たちは思った。明らかに蛇人間の支配下に置かれてますね、本当にありがとうございますと。

 

「この基地には他の隊員はいないんですか!?流石にこれだけってことは・・・・」

「残念ながらこれだけだ。残りは情報収集・処理がメインの非戦闘員だけなんだ。戦えるのは俺と一応ここの司令官の敬一郎だけだ」

 

山下さんが一縷の希望に賭けてみるが返答は芳しくなかった。

 

「現状を確認するに、こちらは支援を受けられず戦力はここにいる俺たちだけであちら側はグールの大群に蛇みたいな人間と攻撃の利かない液状の化け物、おまけにバックには国の上層部がいるって訳だ・・・・泣けてくるな」

「聞けば聞くほど不利な状況ですが、どうにかしませんと被害は増えていく一方ですわよ?」

「俺もこのまま泣き寝入りする気など毛頭ない!死んでいった部下たちの為にも一矢報いるつもりだ!」

「私も源太と同意見です。それでどうにかならないかと情報を探ってみたんです。それで見つけたのがこれです」

 

増山さんはそう言って束になった書類を長机の上に広げる。

 

「上層部の動きを探ってみた結果、毎週木曜日にある場所に必ず通っていることが分かった。その場所はここだ。通常【白蛇の家】と呼ばれている新道系の新興宗教団体だ。政財界から大物芸能人まで通っているらしく普通に考えたら新参者の宗教団体ではありえない。教主は【いきがみさま】と呼ばれる女性で圧倒的な知識と経験、そして類稀な奇跡の力をもっているらしい。ここに通っている人たちは人が変わったのように【いきがみさま】を信仰するようになって多額の寄付金、援助を行い始める。それに夜中に不審なトラックが出入りする情報も入っていて、最近巷で事件になっている失踪者の件も一枚かんでいる気がする。」

「つまりここが敵の本拠地であり黒幕がいるって事だ」

 

机に並べられた書類を見るに間違いはないだろうがよくここまでの情報を一晩でやってのけたものだ。流石は特殊部隊の司令官ってとこか。

 

「本来なら正規の手段も用いて捜査するとこなんだが、さっき言った通り上層部が敵に回っている以上それは無理だ。それなら独断で潜入し、証拠等を回収する必要が出てくる・・・・・そこで君たちに相談がある」

「大体の予想が付くが一応聞いておこうか」

「奇遇ですね。私も予想できましたわ」

「僕もだね」

「俺たち(探索者)にとっては常套手段のあれだな」

「察しの通り、シールドで現在潜入を行えるのが源太だけだ。だが、一人では正直不可能だろう。そこで君達も同行、補佐してほしい。かなり危険な頼みな上に本来なら関係のない君達を巻き込むのは自衛官として失格だがあえてお願いする。どうか我々を助けてはくれないだろうか」

 

椅子から立ち上がり深くお辞儀する増山さんと古鷹さん。俺達はお互いに顔を見合わせて確認を取る。ここで逃げ出してしまったらこの町は悲惨な目にあうだろう。ここは俺達がいた世界ではないが、この世界にいる人たちは意思のないNPCではなくそれぞれしっかり意思を持って生きている。この世界に来てしまった者としてなりより探索者として逃げると言う選択肢はない。それなら返事は決まったものだ。

 

「潜入は探偵(探索者)の本業。大船に乗ったつもりで任せろー・・バリバリ」

「その大船、泥とマジックテープで出来てね?俺としては異存はないが報酬はきっちり貰うからな」

「財政界にまで手を伸ばしてるのでしたら私も他人事ではありませんね。それに私の友人の行方の手がかりもそこにありそうですし、お任せください」

「僕が付いて行って何か出来るか分かりませんが、嫁の安全の為にも頑張ります」

 

失踪者・・・依頼・・・ハッ!?久美ちゃん探さないと!?・・・多分白蛇の家にハイエースされていると思うが無事でいるといいなぁ・・・・

 

全員承諾すると二人は顔を上げて感謝の言葉を送ってきた。侵入するとしたらやはり夜がいいので今夜までに侵入ルートを探しておくのでそれまでゆっくりしていてほしいと言うと増山さんは奥の部屋へ向かい、山下さんはその手伝いとして着いて行った。氷室は古鷹さんに銃の扱いに慣れていると言われ、装備を準備するためにここより地下にある武器庫に向かうべくエレベーターに乗って消えていった。残された食堂に残されたのはフィアと俺・・・デジャヴ?猛獣に捕まる前ににげなければ!

 

「それじゃ、俺は洗い物があるからこれで・・・・」

「髪型を変えて撮りたかったのですが・・・いえ、逆に考えるのです、その間に新しい服を作ればいいじゃないか・・と。早速生地を取りに行かないと」

 

速足でシャワー室に向かうフィア・・・やめたげて!これ以上据え置きを使っちゃうと無くなるから!それともう着替えはいらないから!洗った服はもう乾燥しているから!と俺の思いも虚しくフィアは食堂から出ていく。変態を止めるすべを持たない俺は一人食堂で洗い物を片付けて昼飯の準備を始めるのだった・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼飯に余った食材でチャーハン作ったら増山さんにここで働かないかと打診された・・・・いや、あんたら簡単な料理くらい自分で作れよ。

 




君たちはファンブルを出さないと落ち着かないのかな?KP(作者)困っちゃうな?(激おこ



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第二章 ■■な共闘 5話 「どうしてこうなった」

読者の皆!!受け取ってくれ!!!!これが連休最後の投稿だぜええええ!!!

はい、と言う訳で久しぶりに8千文字を超えました。切りのいいところまで書こうとしたらこんなになって・・・・・。半分くらい主人公が不在ですがそこはダイスのクソビッチのせいということでお許しください。女神さまは九十九になにか恨みでもあるんですかね?(ボブは訝しんだ)


今夜の侵入に向けて準備を進める中、俺は現在今夜の晩飯の買い出しに出かけている。昼飯の時に食材が切れたのでレトルトと惣菜でいいなと言ったところ、山下さんを除く大きな子供達が文句を言いだしたのである。・・・・お前ら全員俺よりも年上だろうが!

 

料理を作ろうにも食材がないので作れないと突っぱねると増山さんが地図とお金の入った封筒を渡してきて「ここにいつも使っているスーパーがあるので買ってきてください。おつりは受け取っていただいて結構です」といい笑顔で言ってきた。お金の入った封筒を見ると福沢さんが5人いたので二つ返事で了解した。買い出しには早い時間なのでその他の部屋の掃除と洗濯を済ませて基地を出た。基地の情報は秘密なのだが、協力してもらえるならと許可を得た。

 

車で15分の場所にあるスーパーなのだが、高機動車は目立つ上にMTだったので諦めて代わりにトンネル倉庫の隅に放置されていた籠付き自転車を発見した。チェーンは錆びついていたが潤滑油を吹きかけてたら使えるようになったので出発したのだが、基地が夜野市の外れにある山の中腹にあるとは知らず、坂道を下りながら帰りの地獄に頭を悩ませながら向かっている。

 

スーパーに到着して買い物を終えたころには19時を回っていたので、急がないと日が落ちて暗闇の山道を登らないといけなくなる。籠に食材を乗せて急いで帰る。ちなみに今日はカレーだ。人数が多い時はこの手に限る。上り坂に差し掛かったので成長した技能を使ってみることにした。うまくいけば楽に登れるはずだが・・・・

 

《ロール運転(自転車)24→68 失敗》

 

「うぉおおおおお!?!?食材の重さでペダルが鉛のように重いいいい!!!!」

 

神は言っている・・・ここで楽にはさせないと・・・。三大技能の初期値はあったはずなんだがダメか。漕いでいくのは無理があったので歩いていくことにした。日もすっかり落ちてしまい街灯がまばらにあるだけでそれだけが頼りだ。基地まで5分の所でスマホに連絡が来る。画面を見るとフィアからだ。夕飯の催促電話か?

 

「もしもし、夕飯ならもうすぐ着くから待っ」

「夕飯の催促ではありません!それよりも今はどちらにいますか?」

「え?そうなの?今は基地から歩いて10分程度の所だけどどうかしたのか?それとなんかエンジン音がするんだが?」

「おい、九十九。俺だが緊急事態が起きたから今そっちに向かっている。その程度の距離ならすぐに合流できるから大人しく待ってろ」

「そう言う事ですので、そこを動かないでください」

「九十九君!無暗に動かないでね!」

「緊急事態?何があったんだ?」

「説明は合流した後にでも・・・とにかく通話はこのままで、周囲に警戒してください」

「おいバカやめろ、変なフラグ立てんじゃ・・・」

 

《シークレットダイス》

《ロール聞き耳62→95 ファンブル》

 

・・・・一級フラグ建築士と呼んでくれたまえ。(震え声)

 

急に強烈な横風が吹いてきて、食材と自転車の重みにスマホを使っていたので片手で自転車を支えていた俺は耐えられず転倒してしまった。その勢いでスマホを落としてしまい、坂道を5m程滑るように下っていき停止した。画面が上向きになっていたので明かりでどこにあるのか分かるのだが・・・・・ちょうど止まった場所につい昨晩、地下鉄で見た奴がいた。スマホの明かりでより不気味に見える奴はグール・・・それも一体だけではなく3体いて、その背後にはフード付きの外套を纏った何者かがいた。そいつはゆっくりとフードを取り、素顔を現した

 

まだら色の鱗がびっしりと生えており、前方に伸びた顔はまさに蛇の頭。その口からは長い舌がシューシューと音を立てて出し入れしている。手足は前に3本、後ろに1本と前哺乳類的で外套の下からは長いしっぽがゆらゆらと揺れている。まさに蛇と人間が合体したかのような冒涜的な姿をしていた。蛇人間は俺のスマホを踏みつけてベキッとへし折る。お、俺のスマホが!?

 

「・・・・・見逃して?」転倒+武器なし

「シューシュー」威嚇

「グルルルル」威嚇

「ですよねー!?」

 

《SANチェック グール 0/1(最大6の内5減少している為)62→1 クリティカル 最大減少値を1減らします  

蛇人間 0/1d6 62→88 女神の加護によりファンブル 1d6+1→4  SAN62→58》

 

女神のクソビッチ!どうなってやがるんだ!

 

《戦闘開始、転倒によりDEX*5で成功で消費なし、失敗で1R消費です》

《九十九 DEX*5 75→97 ファンブル このR中は転倒は継続し、運動系技能-20となります》

 

「なじぇ!?」

 

慌てて起き上がろうとしたが、転んだ際にぶち撒かれた食材の人参に手をかけてしまい、滑ってうまく立ち上がれなかった。こんなコントみたいな経験をするハメになるなんて・・・

 

《グールA、B、Cの攻撃》

A 組付き30→59 失敗

B 組付き30→13 成功

九十九 回避42→35 成功

C 組付き30→21 成功

対抗ロール グールSTR16VS九十九STR12 30→85 失敗 押し倒すを選択

 

一回目は目測を誤り自転車に突っ込んで行き、2回目は横に転がることにより回避、3回目は転がった先に回り込まれ捕まった。この技は噂のジェットスクリームアタックだとぉ!?というかグールの力強すぎない?ビクともしないんですが?

 

《蛇人間 組付き 自動成功》

《対抗ロールが自動失敗の為戦闘を終了します》

 

俺は一切身動きが取れない状態となり、腕と足をロープか何かで縛られ、布で目隠しと口を塞がれた後、どこかへ運ばれて(ドナドナ)いった。

 

 

 

 

 

 

 

サイド氷室

 

古鷹さんと武器庫で装備の確認をしているのだが、流石自衛隊だけあって武器、防具の品ぞろえは豊富だった。拳銃、ライフル、マシンガン、ショットガンに手榴弾等の爆発物系、近接武器、防弾ベストもレベル1~3まで揃えられている。まさに至れる尽くせりだ。問題はこれらの武器が必要なほどに敵が強化、増殖されていないことを祈るのみだ。

 

昼飯の時間になりチャーハンを食べ終えた頃に九十九が「昼飯の時に食材が切れたのでレトルトと惣菜でいいな」と言ってきたので山下さんを除く俺達が異議を申し立てた。最後の晩餐になるかもしれないのにレトルトで済ます気は毛頭ない!増山さんが何やら地図と封筒を渡したら、手のひら返しで承諾していたので相変わらずチョロい。午後は武器庫の横に併設された射撃場で馴染む武器を選ぶ作業と俺以外の奴等の武器や防具を見繕っていた。

 

武器の選定が終わり上層へ戻ると心なしか綺麗になっていた。フィアさんに聞いてみると九十九が買い出しまで時間がるから掃除したのだとか。

 

「あいつ職業メイド/執事と間違えてないか?」

「そうですね。それでしたら是非私の家でメイドさんとして働いてほしいですわ。勿論メイド服着用で」

「・・・・あいつの探偵業上手く行ってないないらしいからな。俺が何日か前に行方不明の娘を探してるおっさんがいたから斡旋したが・・・・・まぁ、その時は俺から進めてみるさ」

「是非、お願いしますね」

「話が変わるがこれ、下層の武器庫で見繕った武器と防具だ。山下さんと九十九に届けてくれないか?」

 

そう言って手渡したのが防弾ベストレベル1が2着にレベル2が1着。投げナイフ5本、日本刀(真剣)である。

なんでもこの施設は戦時中に建てた基地らしくそれを増山さんが改修して使っているそうだ。それで偶然武器庫の隅で埃かぶっていた日本刀を発見した。

 

「日本刀とレベル1は九十九に、レベル2と投げナイフは山下さん、フィアさんはレベル1で頼む。フィアさんの場合組みつき系の武道だから特に必要ないでしょう」

「ええ、分かりました。健吾さんは奥で敬一郎さんと作業中ですが、響ちゃんは先ほど夕ご飯の買い出しに行かれたので帰ってきてから渡しますね」

「大丈夫か?クトゥルフにおいて単独行動は死亡フラグだぞ?何もなければいいが」

「心配しすぎですよ。見た目は中高生に見えますが、しっかりと大人なんですから」

 

それもそうかと思い直し、シャワー室の床にシートを引いて武器の最終チェックを行う。ちなみに俺の武器は89式小銃(マシンガン)にサブとしてベレッタM92FS(拳銃)だ。手榴弾も良かったが技能に投てき取っていないからあきらめた。(誤爆も怖いし)弾丸を入念にチェックし、弾倉に入れていく。その作業に没頭していると急にアラームが基地内に鳴り、天井に設置されたスピーカーから「侵入者あり、侵入者あり。至急指令室に集まってください!」と増山さんの声がした。何事かと思い、武器を手に廊下にいた古鷹さんとフィアさんに合流して指令室に入った。

 

「増山さん、これは一体!?」

「これは基地内に何者かが不正に侵入した際になるアラームだ。今、防犯カメラの映像を出す」

 

増山さんがパソコンを弄ると壁側の天井からモニターが下りてきて映像が映し出された。映像には地上のエレベーターに続く廊下が映し出され、廊下にはグールの群れがひしめき合っていた。廊下だけではなくトンネルの車庫にも何体か徘徊している。

 

《SANチェック 0/1d6》

氷室67→96 ファンブル 1d6+1→4 SAN67→63

山下61→6 成功

フィア66→70 失敗 1d3→1 SAN66→65

増山80→43 成功

古鷹 耐性により無効

 

《ロール目星》

氷室43→28 成功

山下67→23 成功

フィア25→10 成功

 

あの時は一体だけだったがこうしてみると気持ち悪すぎる。胃から逆流する物をなんとか押し戻し、モニターを見つめる。数はざっと見るに10体以上、その中に軍服を着こんで日本刀を腰に差している妙なグールを見つける。明らかにこいつが指揮官なのは間違いないだろう。だが、疑問に思うことは・・・・

 

「なぜこの場所がばれたんだ?」

「た、確かに・・・僕達はあの日からここを出ていないし・・・・もしかして九十九君が捕まって!?」

「いえ、それはないでしょう。捕まって情報を吐くにしても早すぎます。考えるに上層部がここをリークしたのでしょう。今朝、敬一郎さんが連絡を取っていましたからね」

「確かにあり得ますね。向こうと繋がっている上層部が邪魔に思い、グール共をけしかけたのでしょう・・・申し訳ありません。私がうかつな行動をしたばかりに・・・・」

「今はそれどころじゃない。この状況をどうするかだ。他に出入り口はないのか?普通緊急用の脱出口があるのがお約束だろ?」

「もちろんだ。この指令室から地上に出られる脱出口があるのだが、出る場所がトンネルの車庫なんだ。カメラを見るに何体か徘徊しているから戦闘は避けられない。素早く片を付けて車で脱出するのが一番だろう」

「しょうがない。その手で行くか。白蛇の家の侵入ルートはどうなりました?」

「そこは大丈夫。増山君と協力してどうにか割り出したから」

「ええ、健吾さんが優秀で私も助かりました。この基地を放棄するのは悔しいですがこの借りは倍にして返しますとも!」

「それは頼もしいですわね。エレベーターの扉もそろそろ持ちませんし、急ぎましょうか」

「九十九は多分ここに戻る途中だろうし、帰りつく前に俺達で回収するぞ」

 

増山さんはパソコンを持ち出し、資料棚に隠されたボタンを押すと横にスライドして鉄扉が現れる。扉を開けると階段が続き、古鷹さんを先頭に上り始める。階段の終着点に再び鉄扉があり、横にはパスワードを入力するパネルが付いていた。

 

「今から開けるが俺が先行して車を確保する。合図を出したら一斉に確保した車まで走ってくれ。できる限り援護はするが乗り遅れたら命はない。死ぬ気で走れ。俺からは以上だ」

 

全員が黙って頷く。今は数人しか徘徊していないがバレれば廊下にいたグールの大群が押し寄せてくるだろう。そう考えると震えが止まらなくなってきた。こんな時にあいつが馬鹿な発言の一つや二つしてくれると助かるんだがな・・・・

 

「よし、では行ってくる」

 

パスワードを入力して静かにドアノブを回す。隙間からみるに徘徊しているのは2~3体。車までの距離は30mくらいか?

 

《ロール 隠れる+忍び歩き70、70→66 成功》

 

古鷹さんには見えていないだろうが、技能はしっかり成功して相手の見えない位置を的確に移動していく。5分ほどで目的の車まで到着し運転席に潜り込んだ。車の窓から手を振るのが見えたので今度は俺たちの番だ。九十九なら同じようにできた可能性があったが俺達はどちらも初期値だ。振るよりも最初からなりふり構わず走ったほうが生存率は上がる。俺はセーフティーロックを外し、弾丸を装填する。いつでも行ける。

 

「それでは私が扉を開けますので皆さんは一斉に走ってください。勿論お互いにフォローするのを忘れずに・・・・・・・それでは行きますよ!」

 

扉を思いっきり開けると同時に俺達は走り出す。同時に古鷹さんは車にエンジンを掛ける。徘徊していたグールが俺達を見ると奇声を上げて仲間に知らせる。

 

《DEX*5成功で無事に車まで到着します。失敗した者は辿り着けず、次のRで再度DEX*5で振ってください。3Rの始めにグールの大群が押し寄せます》

《ロールDEX*5》

 氷室 12*5 60→58 成功

 増山 11*5 55→45 成功

 山下 10*5 50→54 失敗

 フィア10*5 50→82 失敗

 

俺と増山さんは無事辿り着くことができたが、DEXの(誤差の範囲だが)低い二人が出遅れた。だが、まだチャンスはある。助手席に座り窓を開けて銃を構える。

 

《ロールDEX*5》

山下  10*5 50→9 成功

フィア 10*5 50→79 失敗

 

山下さんは必死の形相で車に滑り込んだが、フィアさんはグールに追われ辿り着くことができなかった。するとエレベーターに通じる扉から大量のグールが飛び出してくる。先に映像で見ていなければSANチェックものだがそれどころではない。フィアさんに近づこうとするグールを窓から狙い撃つ。

 

《グールの大群とのDEX対抗ロールを行います。対抗値は13。援護射撃に成功した数だけ対抗値が-1されます》

《援護射撃》

氷室 マシンガン50→11 成功

山下 投てき  35→10 成功

古鷹 マシンガン80→16 成功

増山 拳銃   60→85 失敗

 

車の窓、あるいは身を乗り出して一斉に援護射撃(投てき)を行う。知ってたか?投てきは投げられるように設計された物なら1SIZにつき6m飛ばせれるんだ。山下さん場合STR9だから54m先に当てられるんだぜ?(震え声)

 

《援護射撃により対抗値が10になりました》

《対抗ロール グールの大群DEX10VSフィアDEX10 50→15 成功》

 

「た、助かりましたわ・・・・・」

 

車に滑り込み安堵を浮かべるがまだ危機は脱していない。

 

「古鷹さん!」

「おう!任せとけ!」

 

《ロール運転(自動車)60→71 失敗》

 

高機動車を走り出させるがあの妙なグールが他のグールに指示を出し、平グールが前方に壁となって勢いを殺しに来た。その隙に指揮官グールがこちらに向かって走り出してきた。

 

《??? 跳躍70→20 成功》

 

指揮官グールは平グールの壁を軽々と飛び越えて車の天井に着地した。うっそだけお前!ふざけるも大概にしろ(ブーメラン)

 

「やはり脱出路があったのか。車まで乗りこむまでは見事だったがそれもここまでだ。諦めて車から降りて武器を渡して投降するんだ。そうすれば命までは取らない。さぁ?どうする?」

「ほ・・・本当に投降・・・投降すれば・・・お、俺達の・・・「命」は・・・・助けてくれるのか?」

「ああ、本当だ。さぁ早く出て来い」

「ちょ、ちょっと氷室君!あんな奴らの言葉を信じるのかい!?」

「惑わされるな月島!出たら最後喰われておしまいだぞ!」

「・・・・・・・」

「ですが、このままではどうしようも・・・・万事休ですか」

 

ふむ、どうやら分かっているのはフィアさんだけか。ここに九十九がいれば嬉々として次に俺が言う言葉を言ってくれただろう。悪いが人生で一度は言いたい言葉を言わせてもらうか。

 

「・・・・・・だが、断る!この氷室月島が最も好きな事のひとつは、自分が有利と思ってるやつに「NO」と断ってやる事だ!!」

「言うと思いましたわ・・・・」

「・・・・・・・本当に残念だ・・・・では死ね」

 

天井から刀身が突き破ってきた。まるで豆腐でも切り裂くかのようにどんどん天井を切り裂いていく。幸い誰にも当たらなかったが次はそうとも限らない。

 

「古鷹さん!運転変わってください!」

「っ!?わ、分かった!」

 

素早く席を交代してハンドルを握る。ギアを切り替えバックする。後方にはまだ壁を作られていない事を先ほど確認した。素早くバックして再度ギアを入れ替え急発進させる。

 

《ロール運転(自動車)50→33 成功》

 

グールの壁は血しぶきを巻き上げながらあえなく瓦解し、天井にいた指揮官グールもぶつかった衝撃で天井から跳ね飛ばされて落ちていった。そのまま出口に向かい脱出に成功した。

 

「月島!やるじゃねぇか!見直したぞ!」

「い、一時はどうなるかと思ったよぉおお!」

「久しぶりに冷や汗をかきました・・・・やはり現場は私には向いていませんね」

「それよりも響ちゃんに連絡とりますね。今、どのあたりにいるか確認しませんと」

「ああ、俺は運転しているから頼む」

 

フィアさんが連絡を入れるとすぐにあいつは出た。スピーカーにして全員が聞こえるようにして貰い、注意を促す。どうやら無事みたいで安心した。だが通話の途中でがガシャンと音がするといくら呼びかけても応答しなくなりついには通話が切れてしまった。

 

「月島さん!可能な限り飛ばしてください!響ちゃんに何かあったのかもしれません!」

「っ!?まったくあいつは一級フラグ建築士かよ!フラグ回収が早すぎるぜ!」

 

 

坂道を可能な限り飛ばして進んでいくと道端に異物を発見した。急停止して確認するとそこには倒れた自転車と散乱した食材、壊れたスマホが落ちていたが九十九の姿はどこにも見当たらない。

 

「あ、あわわわ!?ま、まさか九十九君はもう・・・・・」

「いや・・・辺りに血痕が見当たらないからおそらく捕まって例の本拠地に運ばれたんだろ。あいつはこんな所で死ぬ奴じゃない。必ず生きている」

「確かに響ちゃんならなんやかんやで生きてそうね。でも早く助けにいかないと危ないのも確かですわ」

「ああ、今から殴り込みに行くぞ!山下さん!侵入はどうすればいいんですか」

「う、うん!調べた結果白蛇の家の地下には昔、川が流れていたみたいで、今は排水路として使われているんだ。その排水路と白蛇の家は繋がっていて、そこを通ればバレずに侵入できるはずだよ!」

「色々とやられたが今度はこっちから出向いてやろうじゃねぇか。やられたらやり返す。倍返しだ!ってね」

「それでしたら先にこれをお渡しておきます。幸い無線の器機は車両に積まれていましたので、地下の案内と建物内の一部の見取り図は手に入れましたので少しは案内できるはずです。私は近くに車を止めてそこで待機しておきます」

 

渡されたものは無線機でイヤホンが伸びており、これなら周りに音が漏れないから安心できる。さて・・・・・・・・火炎瓶の用意しなくちゃ(使命感)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

九十九サイド

 

俺はあの後、おそらくトラックに乗せられどこかに連れていかれた。そしてどこかに到着すると腕以外の縄が解れるとそこには赤レンガ模様の4階建ての建物だった。だが、4階部分には窓が一切ない奇妙なつくりだ。そこから建物内に入り地下に続く階段前のセキュリティーロックを通り、廊下を進むと大きな部屋に入れられた。部屋は鉄で出来た檻が何個もあり、檻の中には人間が数人づつ入れられている。入れられている人間の数人は髪が抜け落ちてたり意味不明な言葉を淡々とつぶやいたりと逝っちゃった奴等もいた。俺は比較的大人しい奴らのいる檻に入れられ腕の縄を解かれる。連れてきた蛇人間は素早く檻の扉を閉めて鍵をかける。鍵は元々この部屋にいた違う蛇人間に手渡され、もう一人は部屋を出ていく。ここにいた蛇人間はやる気がないのか欠伸をして寝てしまったが、鍵が届く範囲ではなく檻の扉もビクともしない。・・・・・・・・これからどうしよ?(震え声)

 

 




女神のせいでプランB(個別ルート)が発生しました。3Rの始めに応援が到着する予定だったのにまさかのこんなことになるんなんて・・・・orz

寄せ餌にダイスの出目が悪くなる効果でもついてたっけ?頑張れ!九十九!負けるな九十九!実験体にされそうだがきっと大丈夫だー(目をそらし



追記:95の出目がファンブルになってしまい申し訳ないです。<m(__)m>
夜中に書いてせいで頭があれであれになっていました。次回からは気を付けますので生温かい目で許してください!!埋め合わせに九十九が次回6を出した時にはクリティカルにするので許してください!


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第二章 ■■な共闘 6話 「これより潜入ミッションを始める!」

連休最後の投稿と言ったな?騙して悪いが・・・・・・あれは嘘だ!

最近ミスしてばかりで本当に申し訳ない。これからミスがあっても生暖かい目で見守っててください<m(__)m>


《SANチェック 0/1d3 58→61 失敗 1d3→2 SAN58→56》

 

ふへへ、もう蛇人間見ても1しか減らねえぜ。現在、怪しげな建物の地下牢に収監されて、周りに人間はSAN値直葬された奴らばかりですが俺は今日も元気です。っと、現実逃避はここまでにして、真面目に考えるにここは例の宗教団体の本拠地って所だろう。確か名前は白蛇の家・・・だっけ?労せず敵の本拠地に潜り込めて、依頼の久美ちゃんを探すチャンスだ。久美ちゃん発狂していなければいいけどなぁ・・・・。檻の中から久美ちゃんがいないか探して見ることにした。

 

《ロール目星62→44 成功》

 

ぞろ目が出たのでファンブルするかと思ったがならなかった・・・あれはいったい何だったんだろうか?部屋にいる人達を隈なく見ていくと発見した。と言うか、同じ檻の中にいた。黒のセーラー服を着た少女が檻の隅で体育座りをしてガタガタと震えていた。ここがタンスの中なら完ぺきだったのに・・・・。とりあえず近づいて肩をたたく。

 

「ヒっ!?」

「えっと・・驚かせてごめん。岩井久美ちゃんで合ってるかな?」

「・・・え?なんで私の名前を?ごめんなさい、どこかでお会いしたことが?」

「俺は九十九響。君のお父さんから依頼を受けて君を探していたんだ。見たところ周りの奴らみたいにおかしな所はないようだな」

「お父さんが!?で、でもこんな子供に頼むなんて何考えて・・・」

「うん、今は免許証がないから見せられないけど、立派な成人だからね?君より年上、OK?」

「あ、はい・・・すみませんでした」

 

笑顔で接しているのに怖がらせてしまった。ナゼダロウカ?

 

「そ、それよりもこれからどうしますか?檻は頑丈でビクともしませんし、鍵はあのへんな生き物が持っていますし、何か脱出できる手段を持ってきてるんですよね?」

「大丈夫。こんな時の為に隠し持っているピッキングツールが・・・・」

 

壊れていましたね。

 

「ど、どうかしたんですか?」

「え!?い、いや、何でもないぞ・・・うん、勿論脱出の手段はあるから・・」

「後半に連れてどんどん声が小さくなっていますけど・・・」

「大丈夫!大人を信じろ!」

 

さて、見栄を張ったのはいいが流石に道具がないと技能は使えないよな。手持ちは没収されて何もない。何か使えそうなものは落ちていないか探していると、久美ちゃんがヘアピンを付けていることに気が付いた。それを拝借して形を整えて鍵穴に差し込む。

 

《ロール鍵開け 51-10=41→36 成功》

 

少し時間がかかったが、カチャリと音が鳴ると扉はゆっくりと開いた。周りにバレないように鍵は開けたまま扉を閉めると久美ちゃんに小声で相談する。

 

「鍵はうまく開いたけどここにいる全員を連れ出すのは無理だから、久美ちゃんだけ連れ出す。他は事が終わり次第助けるしか方法はない。それでいいかな?」

「わ、わかりました。それにしても本当にヘアピンで出来るものなんですね。すごいです」

 

美少女に褒められるのは気持ちがいいものだ。物分りがよくてほんといい子で、寛治さんが溺愛するのも分かる気がする。

 

蛇人間が寝ていることを確認して周りの発狂者にバレないようゆっくりと二人で檻から出る。部屋には薬品を投与して現れる効果や症状などが記された書類が乱雑に置かれ、椅子に座りながら蛇人間が寝息を立てている。さて、何か武器になるものはないかとあたりを見渡す。

 

《幸運70→10 成功》

 

運よく檻を作る際に余ったのか、鉄の棒が置かれていた。一つ拝借し、蛇人間が起きないように近づく。

 

「え?何をするつもりなんですか?」

「敵が寝ていたらやることは一つ・・・アサシンだ。ちょっとグロいから見ないようにね」

 

久美ちゃんにいいというまで目をふさぐように指示する。寝ているので技能を使わず近づくことが出来、手にした鉄の棒を力の限り頭に振り下ろす

 

《ロール自動成功 部位:頭狙い1d6+1d4+1d6→11 装甲1により10

HP10→0》

 

固い鱗が装甲の役割を果たすが容赦なく鱗を突き破り脳みそに到達する。蛇人間は血しぶきを巻き上げながら椅子から滑り落ちていく。こいつは死ぬほど疲れてるんだ、起こさないでやってくれ。近くにあったシーツで蛇人間を覆い隠す。

 

「よし、もういいぞ」

「・・は、はい。うひゃぁ!?」

「どうかしたか?」

「い、いえ、血が沢山ついてますよ・・・」

 

ああ、返り血か・・・余っていたシーツで軽くふき取り身なりを整える。いかん、荒事に慣れすぎて気が付かなかった。気を付けなければ。

 

死体を漁ると鍵とカードキーがあった。おそらくここに来る時にあったセキュリティロックを開けるための物だろう。檻の鍵を手にし、俺達が出てきた檻の扉を閉める。これでほかの奴等が出てくることはない。意識を保っていた人たちがここから出してくれと抗議してくるが、生憎全員を連れ出すことは無可能で逃げ出したのがばれたらもっとひどい目に合うから助けを呼んでくるまでここで待っていてくれと頼んだ。

 

《言いくるめ52→69 失敗》

 

が!ダメ!檻を揺らしながら猛抗議!仕方がないので無視して久美ちゃんと部屋を出ると、左右に伸びた廊下、右側は部屋が2つにエレベーターがあるがセキュリティロックで入れない(カードキーをかざすが弾かれた)左側は部屋が2つに階段に続く廊下、こちらもセキュリティロックがあったが内側からなら開けれるようになっているので進むことが出来る。出来れば安全地帯を確保して久美ちゃんを待機させたいがどの部屋がいいだろうか?部屋の前にプレートで名前書いてくれたら助かったんだがそんな都合のいいいものはない。手あたり次第となるだろうちなみに各部屋はある程度防音が施されているので、技能を使われない限り音は聞こえないだろう。

 

「とりあえず端から確かめていくから離れないようしてくれ。安全と分かればそこで待ってくれればいい」

「九十九さんはどうやってここを出るつもりなんですか?」

「そこはまぁ・・・・何とかするよ。仮に捕まっても俺の仲間が(多分)来るからそいつ等に助けを求めればいい」

「え、えっとどんな方なんですか?」

「そうだな。性格の悪いヤブ医者、美人の変態、絵の方が売れる作家の三人かな?」

「それってどんな人なんですか・・・・・」

「まぁ、この中で一番久美ちゃんが気を付けないといけないのが美人の変態だ。出会った瞬間すぐに逃げるんだぞ」

「あ、はい」

 

雑談もそこそこに、まずは右端の部屋からだ。扉に耳を当てて中の様子を探る。

 

《ロール聞き耳62→11成功》

 

中からはボコボコと液体が沸騰する音と共に蛇人間独特の足音がする。音を聞くに2体いるな。

 

「ここはあいつ等がいるから駄目だ。次に行こう」

 

探索者御用達の部屋に聞き耳作戦はうまくいっている。これなら敵にバレることなく安全地帯を探すことが出来る。この部屋は扉が二つあるので一つ跨いで次の扉だ。

 

《ロール聞き耳62→61 成功》

 

ここからは何の異音も聞こえず人の気配もない。扉を開けて中に入る。部屋は壁一面に本が敷き詰められ、カビ臭い。題名を見るが英語以外にも様々な外国語で書かれているので全く読めない。他の言語担当は山下さん達なので魔術書があると思うが探すのを断念。

 

「図書室・・・っぽいけど、もしかするとあいつ等が来るかもしれないから別の場所にしようか」

「はい、なんだがここ気味が悪くて落ち着きません」

 

図書室を出て更に左側に部屋に行く。

 

《ロール聞き耳62→39 成功》

 

こちらも同様に何も音がしない。しかし、ここに来て俺のダイス運が向上している・・・乗るしかない!このビックウェーブに!部屋に入ると奇妙なフラスコや気味の悪い色をした薬品、材料が所狭しと並べられている。さしずめここは薬品保管庫か?

 

「ここもあれだな・・・・やめておこう」

「お願いします」

 

誰も長時間、気味の悪い部屋に居たくはないだろう。そうなると次が最後の部屋となる。頼むからマシな部屋であってくれ。

 

《ロール聞き耳62→26 成功》

 

コロンビア!もう誰にも俺を止めることはできない!中からは機械音が際限なく鳴り響くが人の気配はしない。いつも通り中に入ると沢山のパイプに測量機が並んでいた。地下に沢山のパイプとなればここはボイラー室だろう。他と違いここは薄気味悪さはなくどこにでもある一般的なボイラー室だろう(一般的なボイラーとは一体?)

 

「ここなら滅多に人が来ることもないし、薄気味悪さもないだろう・・・多少熱いかもしれないけど我慢してくれ俺はこれから地下だけでも安全を確保するためにちょっと行ってくる」

「・・・本当に一人で大丈夫ですか?あの時は不意打ちで倒していましたけど、化け物相手に一人でなんて・・・」

「こう見えても結構腕っぷしには自信があるだぜ。一体や二体、どうってことない」

 

波が来てるから今ならクリティカルが出そうな気がする。氷室達がどうやって侵入するかわからないがここに来るのにそう時間はかからないはずだ。この地下くらい占領しておかないと馬鹿にされそうだ。

 

「それじゃ行ってくるけど、何かあれば大声で叫ぶんだぞ。すぐに助けに行くから」

「はい!お気をつけて!」

 

久美ちゃんと別れて目指す場所は一番最初に聞き耳した部屋。あそこには2体の蛇人間がいる。その2体を倒せばこの地下は制圧したも当然だ。そこから応援も待つのも探索するのもありだ。目的の部屋の扉の前で手にした鉄の棒を握り直し、気合を入れる。音を立てないようにゆっくりとドアノブを回し、扉を少し開ける。中は中央に作業台が並べられ、その上に中世を思わせる香炉やフラスコ、奇妙な薬品を調合している蛇人間2体がいた。幸い調合に夢中でこちらには気が付いていない。

 

《SANチェック56→22成功  以後慣れで蛇人間に対してSANチェックは発生しません》

《ロール忍び歩き41→92 失敗》

 

奇襲をかけようとしたが、足元がお留守で落ちていたガラス瓶を蹴ってしまい音を立てる。それに気が付いた2体が俺を発見すると驚き慌てるがすぐに我に返り襲ってきた。

 

《戦闘を開始します。九十九のロール宣言どうぞ》

 

俺がやるべきことはただ一つ、タコ殴りじゃああああ!まずは蛇人間A(仮)お前からだ!

 

《ロール日本刀78-10=68→40 成功

 A 回避26→88 失敗 1d6+1d4→5 装甲により4 HP10→6》

 

袈裟切りで右肩を切りつけるように殴打する。鱗が飛び散りその下の肉をえぐり取る。

 

《蛇人間A、Bの攻撃》

A 噛みつき35→55 失敗

B 噛みつき35→2 クリティカル 威力二倍を選択》

《九十九回避62→30 成功》

 

2本の鋭き牙から怪しげな液体をまき散らしながら噛みついてくるが、バックステップで躱す。このBが!久しぶりにクリティカル出るところみたらお前かよ!気が変わった、まずは貴様から殺す(殺意の波動)

 

《日本刀78-10=68→27 成功

 B 回避26→90 失敗 1d6+1d4-1→8 HP10→2 自動気絶》

 

鳩尾に殺意の波動を乗せた突きを叩き込む。Bは酸素を求めるように口をパクパクさせ、前のめりに倒れこむ。その姿を見たAは作業台に置いていたフード付きの外套を着こむと、外套が蛇人間を覆うように伸びていき、見る見るうちに人間の姿に変わっていった。擬態したAは背を向けてこの部屋から逃げようとする。

 

なにその秘密道具!?ちょっと貸して!俺が死んだ頃に返すから!(血の付いた鉄の棒を持って追いかけ)

 

 

《対抗ロール 蛇人間DEX13VS九十九DEX15 40→47 失敗》

 

知らないのか?探索者からは逃げられない。逃げるAに追いつき、その無防備な背中にとどめの一撃を入れる

 

《ロール日本刀78-10+20=88→16 成功 1d6+1d4-1→4 HP6→2 自動気絶》

 

うなじ目掛けて鉄の棒を振る。心地よい音を立ててAは泡を吹きながらその場に倒れこみ、元の蛇人間の姿に戻る。峰打ちだ・・・安心しろ(峰しかないけど)

 

気絶した2体の蛇人間は起きたら面倒なので頭をかち割って殺しておいた。勝者の特権である持ち物漁り(追いはぎ)をしたら、カードキーが出てきて、これにはエレベーター可と書かれていた。他にめぼしいのは無かったので、部屋の隅に運んで適当なもので隠す。外套を羽織ってみたが殴った際に壊れてしまったらしく使い物にならなかった。まさかこんな簡単に壊れるなんて・・・・欲しかったな。名残惜しいがこれで地下は制圧完了。前回と違い無傷で勝利した。やはり波が来ている。というか今までの出目がおかしかったんだ。これが普通なんだ。

 

それにしても止めを刺した時の返り血で服と顔がすごいことになっていた。せめて顔だけでも拭こうとした時だった。部屋の扉が勢いよく開かれて何者かが入ってきた。慌てて鉄の棒を構えて迎撃態勢を取る。

 

「動くな!妙な真似をしたら撃つぞ!」

「そこのあなた!響ちゃんをどこにやりましたの!」

「き、君は完全に包囲されている!大人しくその武器を下すんだ」

 

現れたのは氷室、フィア、山下さんだ。そこは良かったのだが、なぜ氷室は銃を向けて、フィアは何時でも攻撃でき態勢で、山下さんはナイフをこちらに投げようとしている?疑問に思ったことは薬品棚に映った自分の姿を見て解決した。敵の本拠地にフードで顔が隠れて手に血の付いた鉄の棒を持っていたら誰だって警戒する。俺だって警戒する。・・・・それにしても全員防弾チョッキ着てるし、

氷室に至ってはマシンガン装備。俺は落ちてた鉄の棒だっていうのに・・・・・どこで差が付いたのか?まぁいい、こんなに早く助けに来てくれたんだ感謝しておこう。・・・・・・・・もちろん俺の装備も持ってきてくれてるよね?

 

「ま、待て!俺だから撃つなよ!?」

 

ゆっくりとフードを脱ぎ捨てて顔を見せる。感動の再会のはずなのだがなぜか悲鳴を上げられた・・・・・・解せぬ

 

 

 

 

 

氷室サイド

 

白蛇の家はここから30分ほどの場所にあった。赤いレンガ模様の4階建ての建物で周りは2mの塀で囲まれており、ご丁寧に鉄条網も引いてある。入り口は正面に一つ。情報では、そこには常に3人の守衛が交代で見張り、塀の内側にはドーベルマンが放し飼いになっているらしい。ちょっとした要塞だな。俺達は近くの路上に車を止めて増山さんと別れた。そのまま路地裏に入り、手ごろなマンホールを開けて排水路に入る。そこからは増山さんの指示に従い目的の場所を目指す。しばらくすると梯子が見えゆっくりと登り蓋を少し開けて中をのぞく。部屋はパイプと計測器が沢山あり、熱を帯びていることからボイラー室だろう。人影がないことを確認し、蓋を完全に開けて中に入る。

 

「あ、あの~、もしかして九十九さんの言っていた仲間の方で・・・ひゃぁ!?撃たないで!」

 

急に話しかけられ慌てて銃を向ける。そこには黒のセーラー服を着た少女がいた。どうしてこんなところにと思考を巡らせる前にあいつの名前が出てきたことに気が付いた。

 

「急に話しかけられたものでびっくりしてしまった。申し訳ない。ところで九十九を知っているのか?」

「あ、やっぱりお仲間さんなんですね!助かりました!・・・・えっと、それで九十九さんなんですがこの地下の安全を確保すると言ってこの扉を出て左側の一番奥の部屋に行ったのだと思います」

「そうか、情報感謝する。ああ、それと少し隠れていたほうがいい。もうじき変態が来るから」

「九十九さんも言ってましたがどんな人なんですか?」

 

それから山下さん達が梯子を上って全員中に入ったのを確認して情報を共有した。案の定フィアさんが暴走したので古鷹さんには悪いが来た道を戻って増山さんに保護してもらうことにした。その間俺達は九十九と合流すればいい。フィアは血涙を流しながら承諾し、見送った(こわキモイ)

 

早速、情報も部屋の前にいるのだが念のために聞き耳を立てる

 

《ロール聞き耳》

氷室25→86 失敗

山下68→41 成功

フィア25→69 失敗

 

「なにか中からずるずると引きずる音が聞こえるけど足音は一つだけだよ」

 

俺とフィアには何も聞こえなかったが引きずる音?蛇人間が尻尾でも引きずっているのだろうか・・・まさか九十九がやられて運ばれている最中か!?

 

「よし、俺が合図したら山下さんは扉を思いっきり開けてください。俺とフィアが先に入って制圧します」

「分かったよ、何がいるのかわからないから気を付けてね」

 

そして勢いよく中に入るとフード付きの外套を纏って手には血の付いた鉄の棒を握りしめた奴がいた。顔はフードで見えないが明らかにやばい奴だろう。あっちもこちらに気づいて鉄の棒を構え始めた。

 

「動くな!妙な真似をしたら撃つぞ!」

「そこのあなた!響ちゃんをどこにやりましたの!」

「き、君は完全に包囲されている!大人しくその武器を下すんだ」

 

後から入ってきた二人も怪しい奴を見て警戒する。ざっと中を見るに九十九の姿はいない。まさかもうすでにやられてしまったのかと最悪の事態を想定していると

 

「ま、待て!俺だから撃つなよ!?」

 

ん?この声はまさか・・・・九十九か?フードをゆっくりとおろすと見慣れた顔が・・・・・・血塗れで満面の笑顔でいた。

 

俺を含む全員で悲鳴を上げたが俺達は決して悪くない!

 

 

 

 

 

 

 

九十九、無事?合流

 




誰だお前は!?!?!?!?多少の失敗はあるがほとんど技能を成功している。ファンブルもない・・・・なんて素晴らしいのだろうか(満面の笑顔)この調子で最後まで走り抜けてくれ!



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第二章 ■■な共闘 第7話 「良い子はマネしちゃだめだぞ!」

12月・・・・・前回投稿・・・・うっ頭が

それはそうと12月ですね。クリスマスですね!サンタですね!プレゼントですね!カップルどもですね!                                                                                  爆発しねぇかなぁ(´・ω・)          


無事?に合流できたのは良かったのだが、人の顔見て悲鳴上げるのはいかがなものなのか?まぁ、その後に自分のホラー映画の殺人者みたいな姿を指摘されて納得はした。すぐに外套を脱ぎそれで顔についた血を拭う。服に着いたものはどうしようもないので放置だ。

 

お互いに落ち着いたところでお互いの情報を共有した。基地が襲撃された件や久美ちゃんを無事保護できた事等々だ。

 

「まさか久美ちゃんを隠していた場所から侵入してくるなんて・・・・、これも日頃の行いが良いからだな」

「っと、神話生物に拉致られた被害者(笑)が意味不明な供述しております」

「け、計算通りだから・・・決してジェットスクリームアタックに負けたわけじゃないから」

「お前は何を言ってるんだ?まぁ、まさか助けに来たと思ってたら既に地下を制圧してるとは思わなかった、余り無茶するんじゃねーぞ」

「何と言うか・・・予想斜め上の状況で困惑してるけど九十九君が無事でよかったよ」

「本当に良かった・・・・拉致されたときはウ=ス異本的な展開になって、私の大事な響ちゃんが穢されていたかも思うと私は・・・・」

「クトゥルフだとR18Gになるのですがそれは一体・・・・・」

 

血塗れの俺に躊躇なく抱き着いてくるフィア。一瞬、心配かけて申し訳ない気持ちとこの短い間でここまで心配してくれるなんてとうれしさがこみ上げるが、徐々に鼻息が荒くなり始めたところですべて吹き飛んだ。離れようにも謎の力で離れることが出来ない。ちょっとお前のSTR詐欺じゃないか?本当は17とかそこらへんじゃね?

 

 

「さ、再会の喜びもそこそこにしておいて、古鷹さんが戻ってくるまでに僕たちも何かしておかないかな?」

「それもそうですね、響ちゃんの話によれば他にも捕まっている人達がいる部屋に私の友人もいるかもしれませんので見てきますね」

「長居していたら地上にいるお仲間さんが来る可能性があるから手早くな」

「あ、机に蛇人間の死体があるから見ないようにな。一応隠してはあるから大丈夫だと思うけど」

「・・・・ええ、わかりました」

 

ようやく解放されて、部屋から若干引きつった顔でフィアは出ていく。

 

「氷室君、僕は九十九君が言っていた図書室って所に行ってみたいんだけど着いてきてもらえないかな?万が一、敵がいたら僕じゃどうにもできないからさ」

「その程度でしたらいいですよ。(また新しい魔導書が見つかるんだろうなぁ~)っと、おい、九十九。こいつ渡しておくから装備しておけ。武器は装備しないと効果が発揮しないぞ」

「あれってたまに忘れるんだよなぁ~。って日本刀!?やったぜ!」

「装備し終わったらフィアさんの所に向かってくれ。敵の本拠地で単独行動はどこかの誰かさんみたいに危ないからな」

「これが終わったら夜道には気を付けるんだな、刀を持った通り魔が襲い掛かってくるぞ」

「ブーメランって知ってるか?」

 

言いたいことだけ言って山下さんと部屋を出ていく氷室に中指を立てて少しはうっ憤を晴らし、受け取った日本刀と防弾チョッキを着こんでいく。合流したと思ったらすぐに別行動。なんてまとまりがないんだ!ここは俺がしっかりしないといけないな。服の上から防弾チョッキを着こみ、日本刀を左手に持つ。流石にベルトとかないから手に持つしかない。初めて持った日本刀は想像していたよりも軽かった。特徴の恩恵かな?念のためステータスを開いて装備できているか確認してみる。

 

《武器 変体刀【錮(ながわずらい)】ダメージ1d10⁺1+db 耐久30 MP1につき耐久1回復(折れた場合不可)》

 

え?何これ怖い。ダメージは普通の日本刀とほぼ同じだが耐久がかなりある。その前に変体刀ってなんだよ!?あの天才鍛冶師この世界にいるの?武道:虚刀流とかあるの?何それ怖い。

 

とりあえず刀を抜いてみるが特に変わったところはなく見た目はごく普通の物だ。これのほかにも変体刀はあるのかな?完成系変体刀とか出てきたらやばい気が・・・・・・・・深く考えるのはやめよう(遠い目)

 

装備はできたから言われた通り、一人で行動しているフィアから様子を見てみるか。部屋から出て俺が監禁されていた部屋へと向かう。牢屋の鉄格子の前で中にいる人(一部発狂)を一人づつ見ているフィアがいた。

 

「おっす、友人みつかった?」

「あ、響ちゃん。寂しくなって私の所へ見たのですか。そうですか、仕方ありませんね。さぁ、私の胸に飛び込んできてください!」

「・・・・・・・その様子だといなかったみたいだな」

「いけずですね。はい、確かに見た限りここにはいないみたいです。もっと別の所かもしくはもう既に・・・・」

「その可能性もあるが、まだ見ていないところもあるんだ。諦めずに探していこうぜ。俺も手伝うからさ」

「そうですね、彼が夢半ばで死ぬわけありませんものね」

「ほほう?探し相手は男性。これか?これか?」

 

小指を立ててニマニマと笑いながら聞いてみる。

 

「安心してください。彼とは仕事・・・いえ、共通の趣味で知り合ったただの友達ですよ」

「なにを安心していいのか分からないけど、探すのを手伝うから名前と写真とかある?」

「写真はこれしかないですが、名前は富田 敬(とみた けい)。フリーのカメラマンで少女愛好会のメンバーの一桁会員です」

 

フィアはスマホを取り出して写真を見せて来た。20台前後半位のタンクトップを着た筋肉もりもりのマッチョマンが映し出されていた。名前・・・・職業・・・筋肉・・・・これはもう。

 

「お悔やみを申し上げます」

「気持ちは分からなくもありませんが、手のひら返しが早すぎません?」

「炭酸を飲んだらげっぷが出るくらいのフラグが立ってるから!後、少女愛好会って何だ!?」

「私がこちらに来てから立ち上げた会です。ようやく会員は5千人を超えました!!。その中でも彼は古株で会員NO7なのです!彼が撮ってきた写真はどれも素晴らしく会員からは魔術師と呼ばれていました。あ、もちろん無理やりだとかそんなことはなく、彼は紳士なのできちんと承諾を得て撮ってます」

「あ、ちょうちょ」

「ちなみに響ちゃんの写真は会のホームページに投稿済みです!見てくださいこの反響!あ、心配はご無用です!この画像は会員にしか見れないようにしてありますので」

 

そう言ってスマホを見せ(つけ)られると画面には例の愛好会のホームページが映し出されており、新規投稿に俺が映し出されていた。画像を見るに基地でシャワーを浴び終わった時に撮られていたものだった。閲覧数は優に5千を超えて今もちょこちょこと増加している。俺は静かにスマホをとりだ・・・・拉致られたときになくしたんだったあああああ!!!・・・・・・・・・こうなれば

 

「遺言を聞こう」にっこり

「待ってください。笑いながら手にした日本刀を構えないで」

「なるほど、それが遺言か」

「(目が笑っていない!?このままだと私がフィ/アになってしまいます。何か手を打ちませんと。響ちゃんの性格をからすれば・・・・)」

 

無断投稿死すべし!慈悲はない!刀を抜こうと手に力を入れた時だった。

 

「響ちゃん!これには深いわけがあるの!まずは相手の言い分を聞いてからでも遅くはないじゃないかしら?」

「ほう?納得のできる理由があると。聞こうじゃないか」

「(かかりました!)まず、これは盗撮ではない事です。この時響ちゃんは私に撮られても嫌がらず、画像も消去してほしいなどとは言われませんでした。よってこれは双方に合意があったという事になりません。今の時代、SNS等では写真を掲載することは珍しくもありません。おいしそうな料理、綺麗な景色、珍しい物等自分一人で楽しまず全員で共有する!素晴らしい事ではありませんか。私もただ響ちゃんの可愛さを私一人ではなくいろんな人に共感してほしい!それはいけないことですか!いいえ!断じてそんなことはありません!私は一人でも多くの人にこの気持ちを共感してほしい。ただそれだけなんです!響ちゃんも自分の好きなものをほかの人にも知ってほしいと思いとなるでしょう!!」

「あ、はい」

「わかってもらえてうれしいです!さぁ、ここにはもう何もありませんし、月島さん達と合流しましょう」

 

怒涛の勢いで話をされて呆けていると空いている手を握られてしまい、そのまま部屋を出てしまった。

 

「(あれ?何の話をしてたっけ?たしか死亡フラグの男と・・・・・・・・・しゃしn)」

「健吾さん達が行かれて部屋はどこでしたけっけ?響ちゃん申し訳ありませんが案内してくれます?」

「しょうがないなぁ、こっちだ」

「お手数をかけてすみません(次からは投稿したことは話さないでおきましょう」

 

今は敵の本拠地内だから気を引き締めないとな!・・・・・・・何か忘れている気がするけど、忘れるってことはそこまで気にすることはないってことだろ。

 

 

 

 

 

 

 

俺はこの時思い出すべきだった。思い出していればあんなことにはならなかっただろう。そう、この後もフィアが次々と写真を撮っては投稿し続けて会員数が数倍に膨れ上がることをこの時の俺は知らない。・・・・・・知らないのだ(レイプ目)

 

 



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第二章 ■■な共闘 8話 「さくせん:命を大事に?」

大変遅れて申し訳ない。
クリスマスキャロルを旧支配者のキャロルにすり替えたり、交通事故で死んだと思ったら生き返って何故か喫茶店を開かねばならなかったり、チョコをミ=ゴ製にすり替えたり、田舎に帰ったら伝説の刀を抜いて、穢れを祓ったりしていたらいつの間にかこんなに時間が過ぎていました。不思議だね?






氷室サイド

 

遡るほど15分前

 

ここが九十九が言っていた図書室?なんだろうが、壁一面に本が敷き詰められており、かなりかび臭い。ちゃんと換気はしているのだろうか?いやその前に地下に図書室作るならそれなりの設備を設置しておけよ。流し目で本のタイトルを見るが全然わかんねぇ・・・・英語で書かれていないことは分かるがそれ以外はさっぱりだ。

 

「山下さん、何か読めそうな本ありました?パット見た感じ英語で書かれているのはないみたいですけど」

「う~ん、・・・・・僕もだめだね。ドイツ語で書かれているのもないね。文字に見覚えがある奴はあるんだけど流石に読めないね」

「クトゥルフで図書室は日記、手記、メモの断片、魔導書と情報の宝庫ですから何もないってことはないはずなのでここはお決まりの手で行きましょう・・・・初期値ですけど」

「僕は戦闘ではあまり役に立てない分ここで活躍しておかないとね」

 

《ロール 図書館》

氷室 25→26 妖怪イチタリナイ「呼んだ?」

山下 75→16 成功

 

呼んでねーよ、帰れ!これだからダイスは信じられねえ!

 

「なんとなくあっちの本棚に何かありそうな気がしてきたから探してくるね」

「どうぞどうぞ、俺は適当に物色しておくんでお気になさらずに・・・・」

「う、うん・・・氷室君の分まで頑張って成果上げてくるからそんなに不貞腐らないでいいよ」

 

俺も九十九の方について行ってればよかったか?いや、山下さんを一人にするのも危ないし、しょうがないから適当な本引っこ抜いて暇潰すか。

 

 

 

 

 

 

 

九十九サイド

 

一人の尊い犠牲(仮)が発覚したところで場所は変わって図書室?になる。やはりかび臭い。地下に図書室作るとか何考えてるのだろうか?せめて除湿器置いてけ!

 

山下さんは奥の本棚に嚙り付いてなにやら忙しそうだが、氷室はあっちこっちにうろうろとしているだけでやることないから暇をつぶしている感がある。はは~ん。さてはあいつ技能に失敗したな。

 

「やぁやぁ、技能に失敗してやることがない氷室君、調子はいかがかな?」

「おう、全部わかっててその質問してくるなんて喧嘩売ってんのか」

「いやいや、まっさか~。探索三大技能の目星しか割り振っていない人が探索すればどうなるかなんて炭酸を飲んだらげっぷが出るくらい分かり切ってますし~」

「ほう、なら三大技能に割り振っているお前なら成功すると?」

「余裕の成功さ、割り振りが違いますね」

「よかろう、ではやってみたまえ」

「月島さん、なぜ急に偉そうに?あと響ちゃん、それはふらg」

 

《ロール 図書館》

九十九59→53 成功

 

「コ ロ ン ビ ア 」

「「なん・・・・・だと・・・!?」」

「氷室君、君は廊下に出て古鷹さんが戻ってくるのを待ってるんだな」

「魔導書見つけて発狂してろ!」

「ここはお二人に任せてもよさそうですし、私も一緒に待ちますね」

「はぁ、それじゃここは任せたぞ。俺は俺でちょっと思いつた事があるからそっちに精をだしてくる」

 

二人は大人しく部屋から出ていったところで俺も本棚を物色していく。さてさて、何が出てくるのかな~?

 

 

 

 

~30分後~

 

 

 

「お~い、古鷹さん戻ってきたが何か見つかったか?」

「一冊だけ英語で書かれた魔導書を見つけたけど内容は専門外だからわからなかったよ。辛うじてタイトルが分かる程度だね」

「俺は何かの実験資料だな。日本語で書かれているけど専門用語が多くてよくわからん」

「山下さんのは後回しにするとして、九十九、ちょっと見してみろ」

「ほれ、これだ」

 

氷室に資料を渡して古鷹さんとこれまでの出来事を伝えておいた。なお、久美ちゃんは無事保護されて念のために病院に増山さんが送ったそうだ。これで俺の依頼は完遂できたことだし心置きなくこの建物の攻略に専念できるな。

 

《SANチェック1/1d3》

氷室 67→97 ファンブル 1d3+1→4 残63

 

ヒ、ヒムロダイーン!?いきなりSANチェックが入ったかと思えばゴリゴリSAN値が削れた。そのせいで手が震えて資料を落とし、足取りもおぼつかない感じになっていた。俺は慌てて駆け寄り氷室を支える。

 

「いきなりどうしたんだ!?SANチェックトラップか!?俺に発狂しろなんて言うから天罰が下ったんだな。戒めて、どうぞ」

「・・・心配するなら最後までしてくれ。資料の内容を大まかに理解したら急にきやがった・・・・・すっげー気持ち悪い」

「そ、それでいったいどんな内容だったんだい?」

「ざっくりと説明するなら、これは人体実験のレポートで、さらってきた人達を使って人間をグールにする実験を行っているらしい。成果としてはいまいちらしいが、それでもいくつか成功例があるらしい・・・・・その倍以上失敗しているらしい」

「なんて惨いことを・・・」

「本当なのでしたら許しがたい行為です」

「俺は人間をやめるぞー工場だったのか・・・・南無南無」

「馬鹿なこと言ってねーでどうにかしないといずれグールの軍隊が出来ちまうぞ」

 

それはやばいな・・・・殺すのに手間がかかりそうだ。

 

「まぁ、恐らく蛇人間が主導で行ってるはずだから親玉を殺せば何とかなるでしょ。実際この地下には蛇人間しかいなかったし」

「・・・言われてみればそうだな」

「ここで破壊工作しても逃げられればどこかで同じことが繰り返されるし、サクっと殺って安全確保してから考えればいいんじゃない?」

「確かに九十九君の言う通りだね。まずは当初の目的を達成しないといけないね」

「響ちゃんが的確なことを!?」

「狂人の考察をいつの間に!?」

「山下さ~ん、二人がいじめてくる~」

「いつも君たちはこんな感じなのかね」

 

古鷹さんが呆れた顔で見ているが気にしない。なぜ当たり前のことを言っただけでこうも非難されるのか。これじゃ日頃から頭のおかしい奴みたいじゃないか!訴訟も辞さない覚悟である。具体的に言えばワザップジョルノをだすぞコノヤロー。

 

 

 

その後、魔導書は一旦保留でお持ち帰りすることが決まり、図書室にテーブルがあったのでそこで作戦会議を開くことになった。古鷹さんが増山さんに連絡して、建物の見取り図を送ってくれたので見てみると、1階から3階までしかのっておらず、4階については手に入れることが出来なかったらしい。1階は特にこれと言って特に何かあるわけではないのでパスし、2階は修練場が大部分を占めており、恐らくここで信者に何かを盛って操っているのではないだろうかとのこと。だが教祖は出てこず、下っ端が仕切ってるらしいのでここもパス。3階は来客が来た時に寝泊まりする部屋があるだけなので、必然的に教祖は4階にいることは確定だそうだ。エレベーターがあるのでそれに乗れれば一気に3階まで行けるそうなので、後は4階に続く階段を見つければ教祖の部屋まで一直線だ。しいて上げるならエレベーター前にはセキュリティーロックがあるのでなんとかキーを入手しなければならない事なのだが、お眠り(永遠)になった蛇人間からそれらしきキーが見つかったので問題ない。なみにこれらすべて増山さんが調べた結果である。ぐう有能。俺達より探索者してない?

 

「さて、ターゲットの所在は分かり、未だ私たちが侵入したことを知られていない。このチャンスを逃すわけにはいかない。いかに早く駆け上がり制圧するかがこの作戦の肝となる。出来る限り守るがそれでも命の危険が付きまとう。本来民間人である君たちに強制する権利など持ち合わせていないが、私一人では到底太刀打ちできない。どうか協力してくれないだろうか」

「僕はあまり戦闘が得意じゃないからお役に立てるかどうか分からないけど、足だけは引っ張らないよう頑張ります。それにここまで来て逃げるなんてかっこ悪い事できませんよ」

「私も知人の安否が確認できてませんので・・・・・もし、実験の犠牲となっていたら仇だけでも取りませんとね」

「山下さんと同じくここで逃げたらかっこ悪いのと、このままほっといて街がグールまみれになって、蛇人間の支配下に置かれるなんて想像しただけでもゾッとする展開は勘弁願いたいので協力しますよ」

「グール、蛇人間、イカレ信者等々に溢れかえってようが、優秀な狩人ならこう言うね。素晴らしいじゃないか!存分に狩り、楽しみたまえ!とね。このゲールマンの狩りを見せてやろう!」(意訳:獣狩りの時間だ)

「すみません、大事な場面なんですけど、ちょっと啓蒙が高すぎたヤーナム人がいるので治療(物理)しておきますね」

「ちょ、ちょっとしたヤーナムジョークで場を和ませようとしただけだから、アイアンクローはかんb、ああああああああああああああ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




長い間投稿せず、短めで申し訳ない。
次回はちょっと逃げた王様達の首を狩って薪になるだけの簡単な用事が終わり次第投稿しますのですぐにできると思います!


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第二章 ■■な共闘 9話 「こんにちは!ニンジャです!」

ようやくここまで行けた・・・・長らくお待たせして申し訳ない。
GW?何それ美味しいの?状態でお仕事が忙しかったのとFGOの新章をやっていました(言い訳

感想をくださった方々本当にありがとうございます!!大変励みになっています!!更新速度は亀のように遅いですが、これからもよろしくお願いします。


うごごご、氷室め、手加減というものを知らないのだろうか?未だに頭を握られてる感じがする。ダメージは・・・・・ないみたいだな。痛む頭をさすりながら現在はエレベーターで3階に移動中だ。途中セキュリティーロックがあったが、キーを入手出来ていたので難なく通過できた。セコムにしないからこうなるんだよ。

 

ポーンと電子音が鳴り、ドアが開くと同時に古鷹さんを先頭にフィア、俺、山下さん、氷室の順番でドラクエの移動時みたいに縦に並んで進んでいく。廊下の曲がり角をチラ見したが誰もおらず、左右に一定間隔でドアがあり、廊下の奥にはテレビ、雑誌棚、マッサージチェアー等が置かれた娯楽空間となっている。地図で見た通りこの階は宿泊部屋で間違いない。

 

「深夜ってこともあるが不気味なほど静かだな」

「流石にこの時間帯なら神話生物も寝てるもんじゃないの?」

「いえ、むしろ活発になってそうなイメージがありますわね」

「寝ていてくれれば奇襲判定で楽できそうなんだがなぁ」

 

一応、周りに警戒はしているが、敵の本拠地という割には警備がざると言うか拍子抜けするな。そのせいか、緊張でエレベーター内は無言だった反動で雑談を交わしながら廊下を進んでいく。娯楽空間にたどり着くと左手に下に降りる階段と関係者以外立ち入り禁止と書かれて扉が設置されてセキュリティーロックがかかっていた。キーをかざしてみると電子音が鳴りガチャリと鍵が解除された。

 

「うわっ!?この建物ガバガバじゃねーか!前回の研究施設を見習ったら?アルソック呼ぶ?」

「楽できるならそれでいいじゃねーか。ほら、サッサと行くぞ」

 

それもそうかとドアノブをひねり、扉を開けると上に続く階段があり、丁度、軍服のコスプレをしたグールが下りてきている真っ最中だった。・・・・・・もう一度言おう、グールが下りてきている最中だった。

 

いきなりのことでグールも含めた全員が硬直したまま互いに見つめ合い・・・・・・・・・

 

「あ、失礼しました」

 

俺はそっと扉を閉めるのであった。

 

 

 

 

 

その後、俺達は何を言うまでもなく互いに顔を見合わせて今起きた出来事が現実なのか言葉ではなく目で確認しあい、再び扉を開ける。そこには変わらずコスプレグールがいたので、残念なことに夢や幻、ましてやスタンド攻撃でもなかった。と言うか氷室達から聞いたグールのリーダー的な奴じゃないか?特徴も一致してるし。

 

「■■■■■ァァァァァッァ!!!!!!!」

 

人には決して出せぬであろうけたたましい叫び声と言うか獣声をあげたかと思ったら一目散に階段を駆け上がり消えていった。

 

「え?叫ぶだけ叫んで逃げた?何それ怖い」

「バッカ!あれだけでかい声を上げられたら仲間がきづくだr・・・・」

 

氷室がすべて言い終える前に廊下から扉の開く音が次々と聞こえて、下の階からも獣の唸り声が聞こえ始める。古鷹さんはセキュリティーロックを銃で破壊すると俺達はすかさず上に上がる階段に駆け込み扉を閉め、鍵をかける。扉の向こう側から獣の唸り声、蛇の威嚇する音が何重にも重なり合い不快な音を奏でていた。

 

「作戦変更だ!君たちはこのまま階段を上がり教祖を倒してきてくれ。私はここで奴らを食い止めて時間を稼ぐ!」

「そんな無茶な!?いくらなんでもあの数を一人で相手できるはずがないですよ!」

「健吾さんのおっしゃる通りです!音を聞く限り少なくとも十体以上はいるはずです」

「・・・・・・・・・」

「了解!パパっと殺ってくるからそれまでよろしく」

「九十九君!?」

「山下さん、ここは古鷹さんの言う通りにしましょう。このままいずれ扉が破られてグール共がなだれ込んでくる。仮にこの場で迎え撃っても運良くて負傷者多数、最悪全滅です。俺達の勝利条件は今この場で教祖を倒すこと。今倒さなければ警備が強化され侵入できなくなる可能性もあります」

「氷室の言う通り。なら残った戦力でボスに一気に畳みかけて殺したら後は逃げるだけ。殲滅力が一番高い古鷹さんがここに残るのが一番生存確率が高いんじゃないか?それにこの階段あまり広くないから戦おうとしたら2匹までだと思うし、古鷹さんも一人の方が戦いやすいと思う」

「後はこの建物、4階には窓なんかが一切ないから逃げるにしてもこの階段を通らなければならない。その為に脱出路の確保しておかないといけないわけだ」

「君たち二人は本当に一般人なのか?この一瞬でそこまで理解できるとは驚きだ。さぁ、時間はあまりない。・・・・・・なに心配するな。別にすべて倒そうとは思っていない。君達が教祖を倒すまでに時間を稼ぐだけだ」

「・・・・分かりました。出来る限り早く終わらせますのでそれまで何が何でも生き延びてくださいね」

「ああ、これでもシールドの隊長だ。そう簡単にやられやしないさ」

「それじゃ、時間もないことだし今度こそ行ってくるからお土産、期待してていいぞ」

「お土産(神話生物)とか誰得だよ」

 

扉からドンドンやら金属をひっかく物騒な音が聞こえ始めたので駆け足で階段を上っていき、教祖がいるであろう扉の前にたどり着く。時間もないのでさっさと扉を開けて中に入ると、畳敷きの広々とした空間なのだが調度品と言ったものは一切なく、明かりも中央に一つ蛍光灯があるだけで薄暗い感じだ。だが、この部屋には誰もおらず奥と右側に扉が見えるのでそのどちらかにいるはずだ。

 

「どっちから行く?」

「扉があり、中に誰かいるのか探る為に探索者が行う様式美があるだろ」

「あっ、なるほど。それじゃ俺はフィアと奥の扉を聞き耳してくるから氷室は山下さんと右側頼む」

「月島さんと私は初期値ですのでその組み合わせが妥当ですわね」

「25%もあれば・・・・ワンチャン!」

「僕が失敗した時はフィア(クリティカル)氷室君が頑張ってくれるから安心したよ」

「責任感が増すのでやめてください」

 

山下さんはなんだかんだで成功率が高いから多分大丈夫だろ・・・・問題はこっちなんだよなぁ・・・まぁ、失敗してもどちらか一人でも成功すれば居場所は分かるし大丈夫だろ。片方から音がすればそこに教祖がいるし、音がしなければもう片方にいるってことだからな。

 

《ロール 聞き耳》

九十九62→89 失敗

フィア25→2  クリティカル

氷室25→54  失敗

山下68→59  成功

 

うん、何も分らん。何か聞こえるような聞こえないような・・・・さっぱりだな。そして初期値クリ出している猛者がいるのでそちらに任せて一旦中央に集合して成果を聞いてみる。

 

「まずは山下さん(成功者)からどうぞ」

「うん、こっちの部屋から何かが燃えている音と誰かが話している声が聞こえたけど、流石に内容までは分からなかったよ」

「次はフィア(クリティカル)、山下さんが言ったこと以外に何か情報ある?」

「ええ、勿論です。その前に私たちが聞き耳をしたほうは誰もいないみたいでしたのでハズレでしたわ。そして健吾さんの情報を詳しくしますと、まず燃えている音はかがり火で部屋を明るくするためだと思います。もしかするとそれ以外の用途もあるかもしれませんが・・・・・・・。後は部屋の中にいるのは2人だけということくらいですわ」

「流石クリ、格が違った」

「違う場所に聞き耳したのに僕以上の情報!すごいじゃないかフィアさん」

「あー・・・・・残る俺達(敗者)はだな・・・・・・・・」

 

歯切れ悪そうに言いながら氷室がちらりと俺を見てくる。ああ、そうだな。言いたいことは分かるぞ。同じ初期値なのにクリを出したり、同じ位割り振っているのに成功しなかった俺達だもんな。だからこそ声高らかに・・・・は流石にまずいので普通の音量で言おうじゃないか!!

こくりとうなずき準備は何時でもできていることを送り返す。そして二人同時に結果を報告する。

 

「「何の成果も!!得られませんでした!!!」」(並声)

「馬鹿なことしていないで早く行きますわよ」(にっこり

「「あ、すいません。すぐいきます」」

 

笑顔とは本来攻撃的な意味合いがある・・・・・現にフィアは笑顔なのに背後にゴゴゴゴゴゴって効果音が聞こえてきそうな圧を感じる!!このまま続ければフィアの背後にスタンドが出てきて殴りかかってくるレベルだ・・・・・・・一瞬背後に何か見えた気がするけど目の錯覚だよな?

 

 

 

 

そんなこんなで教祖(多分)がいる部屋に突入すべくドアノブに手をかけたのだが、ある作戦を唐突に閃いたので試してみることにした。まぁ、成功するかどうかわからんけど。

「あ、氷室達から先に行ってくれ」

「別にいいが?」

 

そうして俺は最後尾から部屋に入る・・・・・・・・・・と同時に!!!KP()にダイスロールを要求!出来れば仲間にも内密にする感じで

 

《Sロール 隠れる》

九十九 40→22 成功

 

や っ た ぜ !

 

俺は氷室達の陰に隠れる感じで中に入る。

 

部屋は外から見た通り窓一つなく、1辺が約30m程の広い空間だった。床は板張りで中央に大きな暖炉裏のような窪みがあり、そこに木を組み合わせてキャンプファイヤーよろしく燃えて、ぼんやりとあたりを照らしている。

 

中に入ると同時になんとなくここならバレない思う場所が分かり、そこへ身をひそめる。そこは篝火?の明かりが届かない部屋の隅っこで見えずらく、何らかの儀式に使うのだと思う道具が乱雑に積まれていたのでこれ幸いにと隠れた。その後、顔を少しだけ出して様子をうかがう事にした。

 

篝火の前には30歳前後で巫女服を着た長髪の女性と軍服グールが佇んでいた。女性の方が恐らく教祖だろう。軍服グールは氷室を一瞥すると大きなため息をこぼした。

 

「大人しくあのまま負け犬のように逃げていればいいものを・・・・・・自ら死地に飛び込んでくるとは、馬鹿な奴等だな」

「生憎、あの時と違ってこの場にお仲間さん達はいないぞ。逃げ場のないこの部屋でたった二人だ。俺達で十分おつりがくるくらいだ」

「リベンチマッチといかせていただきますわ。あの時の借りはその身でたっぷりと返させてもらいます」

「古鷹さんのがんばりを無駄にしないためにもここで決着を着けさせて貰うよ」

「はっ・・・・人間風情が優しくすればすぐつけあがる。私が指揮するしか能がないように見えるか?貴様ら程度、私一人で十分だ」

「・・・・キミタケ。流石に一人では荷が重いわ。私の落とし子も加勢させますので、早急にこの侵入者たちを始末なさい。我らが神の降臨を邪魔する者には一切の手加減は無用です」

「了解。早急に始末して我らが神をお出迎えする儀式に専念しよう」

 

 

教祖が手を上げて振り下ろすと、天井から黒曜石のような光沢を持った黒い液体がどろりと垂れ落ちてきた。それは離れている俺でも匂ってくるほどの強烈な悪臭。まるで腐った沼にいる気分だ。その液体は床に流れ落ちきると一つの塊となり、下腹部には複数の短い脚が生え、胴体から上すべてがは蛇のように長く伸びて、その先端には木の杭のような歯を生やした大きな口、さらに体のあちらこちらにぎらぎらと発光する目が氷室達を見据えていた。

 

《SANチェック 1/1D10 フィアのみ成功した場合0/1D6》

九十九62→95 失敗 1D10→1 残61

氷室63→39  成功 残62

山下61→32  成功 残60

フィア69→59 成功 残69

 

失敗したけど最小値だから実質成功と変わらない・・・・つまり俺は成功した!いいね?

皆もそこまでショックを受けておらず問題ないみたいだ。さて、そろそろ行動に移しますか。

 

「っ!?気をつけてください!落とし子は物理ダメージを一切受け付けませんわ!」

「ええっ~!?ならどうすればいいのさ!?」

「私の時は変な置物を壊しましたら消えましたので、この場合は呼び出した術者、つまり教祖を倒せば消える・・・・・と思いますわ」

「ほう・・・・・我が落とし子を見ても正気を失わないとは中々肝が据わっているではないか。それにそこの女は今回が初見と言う訳でもないとはな。確かに私が倒されれば消えるが・・・・・・やすやすと近づけるとは思わない事だ」

「っチ、落とし子とグールのを掻い潜って教祖を倒すには少し骨が折れそうだな」

「さて、私に斬り殺されるか、落とし子に呑まれるか、好きに方を選ぶといい。ちなみに私ならあまり痛みを感じる前に殺してやれるが?」

「やれるもんならやってみろ。探索者の底力。見せてやるよ!」

 

 

 

 

 

 

いや、~盛り上がってきましたね。今にも戦闘開始の声が聞こえてきそうなほどの局面の中、俺は部屋の隅を匍匐前進で移動していた。丁度、教祖達の反対側までぐるりと回り込み、挟み撃ちの形になるよう移動していました。さて、やるべきことはたった一つ。ここまで来たんだから成功してくれよ?信じてるからな?(純粋な目

 

《ロール 忍び歩き》

九十九41→38 成功》

 

ふっ・・・・・・・勝ったな。風呂入ってくる。

うつ伏せから立ち上がりゆっくりと教祖に近づいていく。技能のおかげで一切音が出ることはなく、相手は気が付く気配さえ見えない。駆けだせば気づいて振り向く間もなく攻撃できる位置に着いたのはいいが・・・・・あっつい。教祖がキャンプファイヤーを背後に立っているせいで嫌でも熱気が襲い掛かってくる。おかげで氷室達からも見えずらくなってるけど・・・・まぁいいか。それじゃ・・・・・・

 

「|なぁ、神話生物だろおまえ。首置いてけ!!なぁ!!《こんにちは!!ニンジャです!!》」

 

《奇襲 成功 

部位 頭狙い

技能 日本刀自動成功 回避不可》

《ダメージ 1D10+1D4+1D6+1→14 装甲1により13ダメージ》

《HP12→-1》

 

挨拶は大事。古事記にも書いてある。

教祖が気が付き振り向いた時にはもう遅い。俺の手にした刀が教祖の首を触れる。鱗のような固い感触がしたかと思うと次に肉のぶよぶよとした感触、背骨で一瞬刃が止まりかけたが力技で振りぬき・・・・・・・・首が宙を舞った。切断した首の断面から噴き出る血飛沫と床に転がる教祖の顔、なんだが先ほどと違い人間の姿ではなく蛇人間の姿になっていた。それはどうでもいいとして血飛沫をもろに浴びてしまい再び血塗れに・・・・・・この服はもうだめだな。

 

俺を除く全員が一連の動作についていけず呆気にとられていた。と言うか全員が俺を見つめてくる。軍服グール・・・・えっとキミタケだっけ?に至っては目の前の光景が信じられないようで放心状態だ。

 

えっと‥・・・うん・・・・なんというべきか・・・・・その・・・・・・あのー・・・・・強敵と戦う前の掛け合いをしていざ勝負!!しようとしたら既に終わってしまい、非常にやるせない感じで非常に空気が重いです。なんか仲間たちから「え?お前何やってんの?」みたいな目で見られてます。楽に素早くラスボス倒せて万々歳のはずなんだが、解せぬ。

 

 

 

 

 

 

 

「えっと・・・・・・俺、何かやっちゃったかな?」

 

 

 

 

 

 




古鷹「時間稼ぎするのはいいが・・・・・・・・・・・・・別に倒してしまっても構わんのだろう?」
氏名 古鷹 源太 (ふるたか げんた)
職業 シールド指揮官
年齢 32 性別 男
STR15 DEX16 INT13 アイデア:65
CON14 APP8 POW13 幸運:65
SIZ14 SAN値99/ EDU11 知識:55
HP:14 MP:13 DB:1D4

戦闘技能
こぶし90 キック90 組付き70
ナイフ80 武道(軍隊式格闘術)90
マシンガン80 拳銃80

一般技能
運転60 応急手当70 回避80
隠れる70 聞き耳70 忍び歩き70
重機械操作60 跳躍70 投てき80
ナビゲート80 目星80

武器
89式5.56mm小銃    ダメージ2D8 1R射撃1/3/連射(指定した弾数) 装弾数30
H&K-USP(9m自動拳銃) ダメージ1D10 1R射撃3回 装弾数15
コンバットナイフ   ダメージ1D4+DB
手榴弾        ダメージ4D6
防具
格闘用特殊防具    白兵戦におけるダメージを半減

(´゚д゚`)・・・・・なんだこいつ
はい、これが古鷹さんの公式(←ここ重要)ステータスです。いつ見ても頭おかしい水準していますね。もう全部こいつだけでいいんじゃね?と思いますが戦争は数だよ!兄貴!という名言があるように数の暴力には勝てないんだよなぁ・・・・・(白目





いや・・・まぁ、まさか成功するなんてこの作者の目をもってしても見抜けなんだ(遠い目


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第二章 ■■な共闘 10話 「これはひどい」

早く2章を終わらせろとにゃる様からの啓示をうけたので頑張りました(お目目ぐるぐる

次に君達は「これはひどい!」と言う!

そして、無残な姿となったプロットを見て静かに泣いた


おかしい。何か空気が重いので、どうかしたのかと問いかけたのだが誰も返事をくれない。ただ、広々とした空間にパチパチと木が爆ぜるBGMが流れるだけで、床には首なし死体(ラスボス)が横たわり、首から噴出した血が大きな血だまりを作っている。端から見ればただの殺人現場だが、相手は人ではないのでセーフ!よって俺は無罪放免!お咎めないし!勝訴!コロンビア!法律が30もある俺が言うんだから間違いない。

 

まぁ、とりあえずこれで敵の野望はついえたはずだ。頭が無くなってしまえば下の奴等もただの烏合の衆だろ。・・・・・・べつに教祖の状態を掛けて言ったわけじゃないぞ?あ、ちなみに落とし子は教祖が死んだ途端、形が崩れて跡形もなく消滅した。何しに来たんだこいつ?

 

何がともあれ、古鷹さんと合流してさっさと脱出しよう。グール共のせいで夕食を食べてないからお腹すいたんだ。深夜のカップ麺としゃれこもう(なぜあんなにおいしいのか?

あ、でも下の連中は教祖が死んだことを知らないよな?証拠となるものが必よ・・・・うん、あったな。手軽でこれ以上ない証拠(生首)が。

 

未だに全員が固まっているが無視して、斬り飛ばした教祖の首を拾い上げるが、意外と重たい。だが、あくまで予想よりかというだけで持てないわけじゃない。そのまま生首を片手に氷室達と合流する。

 

「おまたせ。さぁ、早く古鷹さんと合流しようぜ」

「・・・・・・・・」

「・・・・・・・・」

「・・・・・・・・」

「?、どうした?」

「・・・・すまん。ちょっと頭の整理が追い付かんから少しだけ待ってくれ」

「いや、早く古鷹さんのところいかないとやばくないか?」

「それは分かっている・・・・・だが、その前に一ついいか?お前何やった?」

「何って、ただ、隠れると忍び歩きを使って背後に回り込んで、忍殺しただけだな」

「響ちゃんが会話に入ってこないと思ってましたら裏でそんなことを・・・・」

「えっと、それでその生首はなんで持ってきたんだい?」

「下の連中に教祖が死んだことを手っ取り早く教えるのにこれが早いと思って」

 

質問が終わると、3人はお互いに顔を見合して盛大な溜息をこぼしたのだが、どうしたのだろうか?

 

「言いたいことは山ほどあるが、今はいい。結果だけを見れば大金星だからな」

「どこからどう見ても今回のMVPは俺だろ!もっと褒めろ!労われ!」

「とりあえず帰りましたらシャワー浴びて血を落としましょう。また洗ってあげますわ」

「ノーセンキュー。フィアと入ると無駄に長いから断る」

「きちんと汚れは落とさないといけないよ、九十九君」

 

完全に終わった雰囲気だが、この場に一人だけそうではない奴がいた。

 

「貴様・・・・・・」

 

そうキミタケだ。その目は殺意に満ち溢れており、今にも殺しに来そうなほどだ。お?殺るか?生首邪魔だからおいとこ。

 

「悪いがキミタケ。俺達はもう戦う気はないぜ。教祖さえいなくなればこの団体も自然消滅していくだろうから、ここで戦っても無駄死にするだけだぞ」

「確かにこの団体はもうだめだろう。退化した蛇人間では支配血清は作れない。直に操っていた人間たちも正気に戻るだろう・・・・・・・・だがな。長年にわたって計画していたものが破壊されて、その下手人がこの場にいる。ならばやるべきことは一つではないか!」

「ああ、そりゃそうだな。なら、今度こそリベンジマッチと行かせてもらうぜ」

「できればこのまま終わってほしかったんだけど、それなら仕方ないね」

「(お腹すいたなぁ・・・・・シーフードにしようかな?いや、しょうゆもいいなー)」

「響ちゃん、真面目なところですからシャキッとしましょう」

「俺は特に因縁とかないからなー。まぁ、殺しにかかってくるなら、誰であろうと容赦しないからな!」

「(((殺しに来なくても容赦ないような?)))」

 

《戦闘開始 1R》

《火器による先制により氷室からになります》

「卑怯だと思わないでくれよ?」

《連射 20発 1発につき+5%、命中率上昇》

《ダイスロール マシンガン》 

氷室 100→73 成功

命中弾数 1D20→14

《キミタケの回避》

キミタケ 30→82 失敗

《ダメージ》

28D6→99 装甲により半減(切り上げ)→50 HP13→-37

《戦闘終了》

 

戦闘が始まると同時に氷室の89式小銃から放たれる弾丸の嵐。静寂な空気から一変して火薬の破裂する音、打ち出されたから薬莢があたりに響く。だが、数秒程度でその音は止み、残るは全身のいたる所に小さな穴が開き、そこから血を噴き出しているキミタケの姿だった。

 

た、たった今起きたことを話すぜ。戦闘が始まったと思ったら既に終わっていた。な、なにを言っているかわからねーと思うが俺にもわからねぇ。ただ、氷室が装備していた89式小銃を全弾ぶち込んだら終わっていた。最初はゴムのような皮膚で弾を弾いていたが、すぐに1発2発と体内に撃ち込まれ、すべて撃ち終える頃にはミンチよりひでー状態のキミタケだ。

 

後ろから首ちょんぱした俺が言うのもなんだが・・・・・こっちのほうがひどい(確信)。配信されてたら見せられないよの人が出てくるレベルだ。

 

「キミタケ。お前の敗因はただ一つだ。たった一つのシンプルな答えだ。それは、物理無効の落とし子がいなくなった。ただそれだけだ」

「つまり俺のおかげってことだな」

「まあな。落とし子がいたらかばうを使って今みたいなことは出来なかったが、いないなら遠慮なしにブッパできるからな」

「まったくもってその通りだな」

「「あっははははは」」

「あれ?キミタケがいなくなった?どこ行ったんだろう?う~ん、不思議だなぁ」

「健吾さん?現実逃避していないで下さい!私一人ではあの二人は止めきれません!!」

「よーし!これで今度こそ脱出だ!生首持って合流するぞー!」

「うん、そうだね。早く合流しようか」お目目ぐるぐる

「それにしてもそこまで時間かからなかったな。古鷹さんの援護に回ればよかったか?」

「はぁ・・・・キミタケと教祖が気の毒に感じてきましたわ」

 

入った時は神聖な感じがした部屋も、今では血生臭い香りと火薬の臭いで充満した死の部屋へと変わり果ててしまった。俺はこんなところにいられるか!自宅に帰らせてもらうぞ!ということでさっさと首持って古鷹さんがいるであろう階段へと急いだ。山下さんは心あらずで、フィアは呆れて顔をしていたが無視だ!

 

 

急いで古鷹さんがいるであろう階段に向かうと、血と硝煙の臭いが充満していた。階段の下層部には数体のグールと蛇人間の死体が転がっている。肝心の古鷹さんはと言うと、弾丸を打ち尽くしたのか小銃を投げ捨てて、現在、グール達が一気に来れないのをいい事に、順番に蹴り、殴打、投げの無双状態に入っていた。

 

「ははははははっ!!どうした!俺はまだまだいけるぞ!かかってこい!!!」

 

えぇ~なにこれぇ。なぜか古鷹さんが最高にハイッ!担っているんだが?しかし、よく見てみると、所々に引っかき傷や噛み傷があるので流石に無傷ではないようだ。

 

「古鷹さん!教祖ぶっ殺してきましたよ!」

「ん?随分と早かったじゃないか!」

「ええ・・・・色々とありましたから・・・・」

「そうだね。悲しい事件だったね・・・・」

「そっちで何があったのかは後で聞くとして・・・・九十九さんはなぜ生首を持っているんだね?」

「あっ、これですか?例のお土産ですよ」

 

俺は古鷹さんが戦っていた場所まで行くと手にした生首を掲げてグールと蛇人間に高らかに声を上げる。

 

「敵将!打ち取ったりいいいいい!!!!!!」

 

突如現れた俺にグールと蛇人間は目が釘付けになり、掲げた生首を見て絶句していた。それもそうだろう。自分たちのボスの生首をいきなり見せつけられれば誰だってそうなる。

 

「お前たちのボスは既に死んだ!ついでにトミタケもな!これで何を企んでいたか知らんけど、お前たちの野望も教団もこれまでだ!!」

 

ふっ、完璧だな。これでこいつらは戦意喪失するだろう。後は案山子となったこいつらを全員抹殺すれば・・・・・・・・ん?何故だろう?戦意喪失するどころか、逆に「こいつだけは殺す!」と完全に覚悟完了を決めた目をしてるのだが?

 

「あれ?なんでこいつらこんなにもやる気満々なんだ?」

「それはそうだろう。自分たちが信奉している人物を殺した奴が目の前にいるのだからな。両親の前であなたの子供を殺したのは私です!と言っているようなものだ。しかも、その子供の首を持ちながらな」

「・・・・・・・もうだめだぁ、これでおしまいだぁみたいにならないの?」

「ならないなぁ~」

「どうしても?」

「どうしてもだな~」

「そっか~」(´・ω・`)

「氷室君達もこうなるとは思いつかなかったのかね?」

「「「すみません、色んなことが立て続けに起こって気が付きませんでした」」」

「はぁ~」

 

そんな・・・・俺の完璧な作戦がこうも簡単に崩れ去るなんて!っと思っている間にグール・蛇人間達がガンギマリした目でゆっくりと階段を上ってくる。ひえ!?野獣の眼光だ!

 

「こうなった以上仕方ない。氷室君!プランBだ!」

「了解。出来れば使いたくなかったが四の五の言ってる場合じゃないですね」

「え?この状況を打開できる案があるのかい?あるのかい?流石だね!」

「私はなぜかとても嫌な予感がしてきましたわ」

「そんなことはどうでもいいから早くしてくれ!このままだとあいつらの今夜の晩餐にされちまう!」

「「「「それは自業自得だろ(です、だね)」」」」

 

四面楚歌ってこんな時に使うのかー。

 

氷室はおもむろに手のひらサイズの機械を取り出すと、その機械に取り付けられていたボタンを押す。すると下の方から大きな爆発音と共に建物が揺れる。こいつ、何をしたんだ?

 

「古鷹さんが戻った際に増山さんからC4爆弾を受け取っていてな。ちょっとボイラー室に仕掛けておいたんだよ。本当は手持ちの手榴弾でやるつもりだったが、C4爆弾のほうがいいと思ってな。ボイラー室を爆破すれば結構いい感じになるかなーと思ったんだが・・・・・・・想像以上だった。すまん」

 

氷室の言う通り、爆発音がするたびに建物の揺れが大きくなっていき、今にも倒壊しそうな感じがする。それよりもこのままだとヤバくないか?煙が下から少しづつ登ってきてるけど火着いちゃってる?

 

「もうじきこの建物は倒壊する!!死にたくなかったらさっさと避難するんだな!それともなんだ?このまま倒壊に巻き込まれてみじめに死ぬか?」

 

獣としての本能がやばいと感じたのか殺意の波動は収まり、今はどうする?と互いに顔を見合わせていると、一匹のグールが逃げ出した。そうなれば後は伝染したかのように次々と逃げ出していき、この場にはグール1匹と蛇人間2匹しかいなくなった。ふっ、所詮は獣。恩や情よりも本能で動いてしまう奴等だ。

 

この場には本能に負けず、踏みとどまった3匹の雑魚がいるだけだ。対してこっちは5人もいる。ぱぱっと片付ければ脱出は難しくないだろう。さーて殺りますかねー

 

 

 

 




おかしい、こんなに簡単に殺される予定では・・・・
落とし子がかばい、キミタケが攻撃する完璧な布陣はなかったんだ。
氷室「卑怯と思うか?それが君の敗因だ」小銃フルブッパ、爆弾ポチー

それはそうとフルオートでの攻撃はこれでよかったのかな?今まで何回もオンラインセッションしてきたけど一度も使っている人見なかったからなぁ(KPが持たせたくない気持ちがよく分かった)
ようやく次回で第二章も終わる・・・・・・はず。(後日談は含まれない




残ったグール、蛇人間はダイスで決めました(1D3でな)

ありえたかもしれない出来事
キミタケ「応急手当!」1D3→3 HP-1→2
教祖「死ぬかと思った」 首をホッチキスで接合
九十九達「ええ~」
まぁ、応急手当させる前に九十九が妨害するんですがね(DEX順的に
※なお、探索者も可能


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