BLEACH 2 (桂ヒナギク)
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第1話:訪問客
人々が寝静まった深夜。
彼女の名は、
「ふ!」
苺花はクロサキ医院に向かって、一直線に飛び立つ。
コトン、とクロサキ医院の前に着地する苺花。
苺花はチャイムを鳴らした。
「急患か?」
「苺花じゃねえか。一人で何しに来た? ていうか大きくなったな。こっちでは高校生くらいか」
「一勇に会いに来て」
「一勇ならもう寝てるぞ。明日にしろよ」
「じゃあ一晩お願い」
「はあ!?」
「だって旅館、お金かかるじゃん? それに私、現世のお金持ってないし?」
「しょうがねえな。ほら、入れよ」
苺花は一護に促されて家に上がる。
「ソファで悪いな。使ってくれ」
苺花はソファに横たわった。
直ぐに眠りに就く苺花。
そして、翌朝になり、苺花は目を覚ます。
「起きたか」
「一護さん、寝てないの?」
「少し寝たよ。一勇を起こしてくる」
一護は二階へと上がり、一勇の部屋に入った。
「起きろ、一勇!」
一護は、オレンジ短髪の少年、一勇の体を揺さぶる。
「なに、お父さん?」
「苺花が来てる」
「苺花が?」
一勇はベッドから出ると、用を足して苺花の元へ。
久しぶりに苺花を見た一勇は、その美貌に見とれてしまった。
一勇の胸の鼓動が速くなった。
「ひ、久しぶりだね!」
「久しぶりね、一勇。もう十年になるのかな」
「こっちにはどうして?」
「うん? ああ、現世への滞在許可が出たから来ちゃった」
「そうなんだ」
「しばらく厄介になるから、よろしくね」
「え、うちで暮らすの?」
「ダメ?」
「お父さんがなんていうか……」
「うーん……、私から言ってみるよ」
「ちょっと待てえ!」
一護がやって来た。
「面倒見るなんてできねえぞ」
「でも行くあてないし」
「下駄帽子のとこ行けばいいだろ」
「下駄帽子?……ああ、浦原のおじさんね」
「ダメなのか?」
「一回、行ったんだけど、金取ろうとしたから」
強欲商人め、と内心突っ込む一護である。
「わかったよ。置いてやるよ」
「ありがとう、一護さん」
嬉しそうな顔をする苺花。
一方の一勇は。
(苺花が一つ屋根の下で一緒にだなんて。恋の始まりか?)
などと妄想をしていた。
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