STRIKEWITCHES 01 RELOADED (アレクサンデル・G・ゴリアス上級大将)
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第一章 STRIKEWITCHES SEED
現代公開可能な情報


1940年9月11日

扶桑皇国海軍、遣欧艦隊とは別に管轄区域を持たない遊撃艦隊兼第二次遣欧艦隊として第七艦隊を創設。初代司令長官にラウ・ル・クルーゼ大将着任。初代参謀長にはアンジェラ・サラス・ララサーバル少将が着任。

 

 

 

第七艦隊

 

 

旗艦:機動戦艦 相模

 

1938年当初のほぼドゴス・ギアだった設計を見直し、改修により外観がまんまゼネラル・レビル(両舷のミーティアユニットはそのまま)になり、自動化もなされている。艦長はクルーゼが司令長官職と兼務。副長は山口多聞少将であり、事実上の艦長である。

 

 

 

機動戦艦 安芸

 

アークエンジェル級をベースに多少の改修を加えられて完成した戦艦。現在就役している扶桑皇国海軍艦艇史上最速(正式に就役している艦の中で)の戦艦である。艦長はララサーバル参謀長が兼務する。AIが動かしているため、副長以下艦にクルーはいない。

 

 

 

桜型機動駆逐艦

 

まんまクラップ級巡洋艦である。無人操縦で動く。第七艦隊の主力である。16隻建造され全艦第七艦隊に配備されている。本型4隻と下記の薩摩型1隻で一個戦隊に編成される。

 

 

 

 

薩摩型機動戦艦

 

まんまラー・カイラム級である。相模や安芸に比べて突出した長所はないが、バランスの良さやコストの低さに反比例する高い攻撃力と防御力、そして艦載機運用能力を以て艦隊の戦隊旗艦を勤める。同型艦は4隻あり、一番艦薩摩のみ魔導核融合炉で動く。艦長は竹井醇子少佐。現在第504統合戦闘航空団所属。

 

 

 

 

機動戦艦 紀伊

 

まんまペガサス級のアルビオンである。安芸、そして間もなく就役する阿賀野型機動巡洋艦に次ぐスピードを誇る。坂本美緒中佐が艦長を務める。安芸と並ぶ自動化により、艦の運用自体に必要な人員は10名いれば十分である。副長は工藤俊作少佐。現在第501統合戦闘航空団所属。

 

 

阿賀野型機動巡洋艦

 

アーガマ(改)級の主砲をゴットフリートMk-71に、エンジンをクラップ級やラー・カイラム級と同一規格にしたような艦だと思えば良い。一番艦のみ魔導核融合炉で動くが、担い手兼艦長たるニュータイプがまだいないため、就役していない。。二番艦「能代」の艦長は新藤美枝少佐。現在第508統合戦闘航空団所属。その他の情報は不明。

 

 

 

特殊海兵師団

 

アデスの部下AI“トーレス”の中央コントロールの下で戦うロボット兵の部隊である。真正面からの戦闘から諜報活動まで何でもできる万能兵団である。機密保持の為、活動不能になった兵士は自爆する。機械的な見た目を隠す為、スター・ウ〇ーズのクローン・トルーパーの初期のアーマーそっくりな鎧を装備している。総兵力8000+予備(非稼働状態)の5000。

 

 

 

機動戦艦 信濃

 

まんまネェル・アーガマ(UC版)である。魔導核融炉が動力源であり、クルーゼ・エレクトロニクス佐世保分工場〈ロンデニオン〉の格納庫に眠っている。宮藤芳佳の座乗艦になるべく建造された。最強の火力、速力を併せ持つ正に最強のニュータイプの座乗艦に相応しい戦艦である。名前のみ陛下から賜っただけでまだ正式には就役していない。

 

 

 

 

 

隠密機動戦艦 影

 

まんまガーティ・ルー級特殊戦闘艦である。地上・宇宙を問わず活動可能。存在自体秘匿されている扶桑軍の超最高機密であり、天皇陛下とクルーゼ、そしてこの艦に属する者以外本艦の存在を知る者はいない。第七艦隊所属の者同様クルーゼの子飼いのウィッチが特殊戦闘員兼艦のクルーとして務めている。このウィッチ達の乗機はミラージュコロイドを展開できるRGM-89De エコーズ仕様のジェガンである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世界観(原作との相違)

 

 

各統合戦闘航空団の創設がクルーゼの尽力により2年早くなっている。1944年時点の原作と同じ戦線状態になるまでに各国が出した犠牲は軍・民問わず扶桑皇国海軍第七艦隊の援護により原作の40%程度に留めることができた。また主要登場人物達の大事な人達も救われている。尚、前作の最後で言及されたMS売買契約に1941年からオラーシャとガリア、ロマーニャ、ヴェネチアが新規加入している。一部の扶桑ウィッチはクルーゼのてこ入れで原作より昇進している。

 

 

 

 

 

 

 

 

クルーゼ・エレクトロニクス社が専用機指定を掛けたウィッチ一覧(詳細は前作 THEORIGINを読んで下さい。尚、マーク無しが核動力機、●のついた機体は通常動力機です。)

 

 

ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ(譲渡された機体→MSN-04 オレンジ塗装されたサザビー)

 

ゲルトルート・バルクホルン(譲渡された機体→MS-18E ケンプファー)

 

エーリカ・ハルトマン(譲渡された機体→MSZ-006 Zガンダム)

 

グンドュラ・ラル(譲渡された機体→PMX-003 ジ・O)

 

エイラ・イルマタル・ユーティライネン(譲渡された機体→RX-78GP01Fb ガンダムゼフィランサスフルバーニアン)

 

ヴァルトルート・クルピンスキー(譲渡された機体→RX-78GP03 ガンダムステイメン)

 

シャーロット・E・イェーガー(譲渡された機体→●GAT-X303 茶色塗装のイージスガンダム【PS装甲をVPS装甲に変更】)

 

リネット・ビショップ(譲渡された機体→●GAT-X103 バスターガンダム【イージス同様装甲を変更】)

 

ハインリーケ・プリンツェシン・ツー・ザイン・ウィトゲンシュタイン

(譲渡された機体→●GAT-X105E+AQM/E-X09S ストライクノワール)

 

ヘルミーナ・ヨハンナ・ジークリンデ・レント(譲渡された機体→●MSZ-006C4ゼータプラスC4型)

 

ハイデマリー・ヴァルプルガ・シュナウファー(譲渡された機体→●MSZ-010A1 ダブルゼータプラス)

 

グレーテ・M・ゴロプ(譲渡された機体→●AMX-004キュベレイ)

 

アレクサンドラ・I・ポクルイーシキン(譲渡された機体→XXXG-00W0 ウイングガンダムゼロ)

 

サーニャ・V・ リトヴャク、エディータ・ロスマン(譲渡された機体→●RGM-89SD スタークジェガン寒冷地仕様)

 

赤ズボン隊の例の3人衆(譲渡された機体→●RX-178 ガンダムMk-Ⅱ)

 

カーラ・J・ルクシック(譲渡された機体→●RGM-79SP ジム・スナイパーⅡ)

 

マリアン・E・カール(譲渡された機体→●GAT-X105E+AQM/E-X01エールストライクE)

 

 

 



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閑話 我が征くは星の大海

解説


バスターコール


扶桑皇国海軍第七艦隊司令長官のみが発動権を持つ絶対殲滅命令。発動地点から最寄りのネウロイの巣に対して担当官が各々の判断で破壊行動を行う。最も発動地点に近い担当官のみが目標を破壊する『リトル・バスターコール』と担当官全員が破壊する『スーパー・バスターコール』がある。担当官は一騎当千どころか戦略兵器並の強さがあり、かつフットワークが軽くなければならない。現在の担当官は西沢義子飛曹長と若本徹子大尉+ニュータイプ達。ニュータイプ以外の二人共気分のままに欧州をネウロイをボコリながら、バスターコールに呼ばれるのを待ちながら遊撃任務(と言う名の費用クルーゼ持ちの楽しい一人旅)についている。


U.C.???? 地球連邦軍総司令部 ジャブロー

 

 

「リネット・ビショップ少将、入ります。」

 

「いいぜ。」

 

「管野さん、宇宙軍関連の書類は終わりましたか?期限ちかいですけど・・・。」

 

「うるせえ!今必死んなってやってんだろうが!!」

 

「管野さん、いい加減その口の悪さを直しなさい!また正座させますよ?」

 

「大佐にもなってまた正座とか勘弁してくれよサーシャ・・・じゃねえポクルイーシキン統合参謀本部議長殿。」

 

「良いじゃないですかサーシャさん。ここは公の場ではないんですから。」

 

「リーネさんは甘すぎます。だから管野さんはいつも調子に乗るんです!!」

 

「リーネが甘いんじゃねえ。おめえがキツすぎんだよ!」

 

「管野さん?また休暇没収の上6時間正座の刑に処されたいんですか?」暗い笑み

 

「「ヒィ!」」管野のみならずリーネまで青ざめる

 

「相変わらず仲が良いみたいだね諸君?」

 

「「「クルーゼ宇宙軍総司令!」」」

 

「ポクルイーシキン議長、こちらの書類をお願いします。」

 

「わかりました。確かに受け取りました。」

 

「あぁ疲れた。そういえばクルーゼ総司令に聞きてぇ事があったんだが良いか?」

 

「何だね?」

 

「何でオレと孝美を連邦地上軍に残してひかりだけ宇宙〈そら〉に上げるんだ?理由が聞きてぇ。」

 

「残念ながら進化したウィッチであるオールドタイプにも宇宙に適応できる者とできない者がいる。君達二人は残念だがこの前の検査いわく適応できていなかった。適応できない者が無理矢理宇宙へ上がったら、数週間程度の短期間ならともかくそれ以上の長期間宇宙にいてしまったら原因は不明だが精神異常を引き起こす。管野君達には悪いがこれはどうしようもない。我が征くは星の大海。管野君達にも見て欲しかったのだが。」

 

「しょうがねえ。精神が吹っ飛んじまうんなら無理してまで行かねえよ。」

 

「そういえばビショップ君、艦艇打ち上げ用ロケットの準備は大丈夫かね?来月には連邦宇宙軍“始まりの艦隊”第一艦隊の出発式だが。」

 

「はい。芳佳ちゃんの為に頑張りました。抜かりはありません。」

 

「よろしい。」

 

「ですが宇宙艦隊の装備はともかく、人事については一部においてですが私はあまり肯定的にはなれませんよ総司令。」

 

「では具体的にどこがまずいと思いますか議長?」

 

「第一哨戒艦隊。」

 

「司令にハルトマン君、参謀にレンナルツ君を置いた部隊ですね。だが心配は無用。」

 

「あの二人は掲げる正義や性格はほぼ正反対ですが、プライベートでの仲は良好です。現に前回の休暇では家族ぐるみで我が扶桑の京都・奈良の名所を回る旅に出ている程ですから。」

 

「おいおいあいつら京都に行ってたのかよ?羨ましいぜ。なあ議長オレ疲れたから休暇くれよぅ~。一年近く働き詰めだから良いだろう~?」

 

「ならせめてそこに山積みになっている宇宙軍関連の書類を片付けて下さい!」

 

「うえ~。ざっと見て300はあるコイツらを?無理だぁ~あんまりだ~サーシャの鬼ぃ~悪魔~!」

 

 

 

 

 

 

 

「・・・というわけで管野君はまた素行不良を理由に減俸と正座・休暇没収の刑に処されたよひかりちゃん。」

 

「またですか?もしかしたら管野さんこのまま退役まで休暇なし・・・なんて事ないですよねラウさん?」

 

「可能性はあるね。」

 

「帰りました~。」

 

「あぁヨハンナちゃんお帰りなさい。」

 

「お疲れ様ですヨハンナさん。夜ご飯できてますから一緒に食べましょう。」

 

「ありがとうね~ひかりちゃん~。」

 

「では・・・。」

 

「「「いただきます。」」」

 

「あ~久しぶりの味噌汁が身に染みるぅ~。」

 

「久しぶりに帰ってきてみりゃヨハンナ叔母さんがババ臭い台詞吐いてやがるわ~。正直あんま見たくなかったぜ。」

 

「お帰りマリア。思ったより随分早かったね。」

 

「醇子叔母さんの配慮だ。お陰でお袋に書類全部押し付けて父ちゃんとこに予定より早く帰ってこれた。」

 

「母親に全て押し付るとは・・・アンジェラと私の間に生まれて何故このような粗暴娘ができあがるのやら・・・マリア、君は私の子供ではないのでは?と思う事が多々あるのだがね。」

 

「細けぇ事は気にすんな。それより父ちゃん。娘がせっかく久々に戻ってきたんだ。やることがあるだろ?」

 

「せめて食べ終わってからにしてくれ。マリアも一緒に食べよう。」

 

 

 

 

 

食後

 

「あ~落ち着く~。父ちゃんの膝枕。」

 

「こんなオッサンの固い膝枕に価値を見出だすマリアの気が知れないね私は。」

 

「オレは母ちゃん同様大好きだからよ~父ちゃんの爺臭い匂い。」

 

「アンジェラも君もそう言うけどねマリア。私は人並み以上に清潔を心掛けているのだよ?にもかかわらず臭いとはどういう事かね?」

 

「女にしかわからねえから父ちゃんは気にしなくて良いぜ別に。」

 

「あ そうなの。なら気にするだけ無駄か。」

 

多分精神年齢が関係してるんだろうなとは薄々感じているが。もう100年以上か・・・早いものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・で寝ようと思えばこれだ。誰だね犯人は?」

 

人をベッドに縛り付けやがって。

 

「う~ん。流石にやり過ぎじゃないかしら~ひかりちゃん。」

 

「やり過ぎじゃないですよヨハンナさん。いつもいつもはぐらかされて・・・挙句の果てにアンジェラさんと芳佳ちゃん、それに醇子さんにも先を越されてるんですよ私達。ヨハンナさん、一緒に食べましょう!(意味深)」

 

「そうね~。なら一緒に頂きましょうか(意味深)。」

 

んな無茶な。私に一晩に二人を相手しろと言うのか。ちょ やめ アーーーーッ

 




本話に登場したオリ人物のマリアさんは碧眼のF〇teのモードレッド(性格もちょっと似ている)を想像してみてください。


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閑話 上司に振り回される

RGM-96X ジェスタ

クルーゼ・エレクトロニクス製少数量産型MS。オリジナルとの相違は腕部ラックには両方ともビーム・サーベルが収納されている点である(ウィッチ用MSのビーム兵器はウィッチの魔法力をエネルギー源としているため、Eパック方式を採用したビーム兵器が存在しないので、オリジナルではEパックのラックになっていた右腕のラックがビーム・サーベルのラックになっている)。扶桑陸海軍ではジェガンD型と同じ『九七式重装戦闘脚』に分類されている。各国のエースウィッチや皇室を護衛する近衛魔女に主に与えられている。有名な乗り手はフランチェスカ・ルッキーニ、三隅美也など。




U.C.0003 太平洋上のどこか

 

地球連邦宇宙軍 第二哨戒艦隊 旗艦 『カヴール(ラー・カイラム級)』艦内

 

 

「はぁ・・・。」

 

何でこんな所に配属されたのかしら・・・栄光の第七艦隊への配属から始まり余多の戦場を潜り抜け武勲をあげ、軍の教育機関を全て卒業し、地球連邦軍に・・・しかも腕の立つ上級者しか入隊を許されないエリート部隊である地球連邦宇宙軍に私は栄転できた。やる事はちゃんとやって来たつもりだし指揮能力とて疑われた事は一度もない。上層部の受けも良いしエリートコースまっしぐらだと思えば・・・

 

「三隅~、この書類お願いね~。ニシシシ。」爽やかな笑顔のルッキーニ

 

「・・・。」黙って青筋をたてる三隅美也

 

何故こうなったかと言うと・・・

 

 

 

回想

 

 

 

「三隅美也大佐、着任しました。」敬礼

 

「ご苦労だったね三隅君。」答礼

 

「ひとまず座りたまえ。」ソファを指す

 

「はっ。」 座る

 

「まず事実確認だ。君は地球連邦宇宙軍移籍にあたり第三艦隊へ参謀系での配属を希望している・・・間違いは無いかね?」

 

「はい。間違いありません。“扶桑皇国最高戦力”の一人であり友人であるひかりさん・・・いえ、雁淵大将と共に働けたら幸せだなと思いまして。」

 

「私は記憶力は良い方だ。佐世保航空予備学校で君を見た日を忘れた事はない。ひかりちゃんと良きライバルであり友人である事は承知している。海軍兵学校へ推薦したのも他ならぬ私だからね。」

 

「・・・。」

 

「正直君の希望する人事は叶えてあげたい。だが既にポポワ君が着任してしまっているし他の参謀の席も満杯だ。かと言って君を一艦の艦長クラス、或いは司令部に留め置くのも才能の無駄遣いに他ならない。故に君には第二哨戒艦隊参謀兼旗艦艦長の席を用意した。第四宇宙艦隊用ドックにこのまま直行したまえ。そのまま着任してもらう。」

 

 

 

 

 

回想終了

 

 

 

クルーゼ宇宙軍総司令はこの人のサボりの後始末を私にさせる為に第二哨戒艦隊に参謀として配属したのね・・・着任して二週間。もう逃げたくなってきたわ。

 

「うじゅ?どうしたの三隅?元気なさそうだけど?」

 

あんたのせいでしょうが。

 

フランチェスカ・ルッキーニ・・・今の私の上司であり地球連邦宇宙軍第二哨戒艦隊司令を務めている地球連邦軍建軍最初期将官“44年マフィア”の一員。私より2歳下だがネウロイの巣“グリプス”破壊の功績を皮切りに武勲をあげ続け、たぐいまれな戦闘力・指揮能力を持つまごうことなき“天才”。故に若くして連邦軍准将の地位に就けている。だが書類仕事が致命的に遅いし嫌いだし私に全て押し付けるしで・・・駄目よもう限界。備蓄しておいた栄養剤はまだ残ってたかしら・・・胃が痛くなってきたから胃薬も飲まなくちゃ。

 

「・・・クルーゼ総司令にはひかりさんを通して文句の一つでも言っておこうかしら・・・。」

 

母さんから婿養子の話を聞いて喜んだそばからこの有り様。

 

「・・・はぁ。」深いため息

 

ちなみに今は深夜3時。ルッキーニ司令の後始末をやっています。誰か助けて。

 




本作のルッキーニは軍人としては成長しますが人間としてはちっとも1944年頃から成長しません。故に未来では三隅さんは地獄を見ます。


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現在公開可能な情報②+α

人物

 

 

 

 

ラウ・ル・クルーゼ(偽)

 

転生者。オリ主。1929年8月6日生まれ。扶桑皇国海軍大将。扶桑皇国海軍第七艦隊司令長官。使い魔は白鷺の“フラッシュ”とオスライオンの“ディライラ”。乗機はフリーダム→ストライクフリーダム。遺伝子操作によって生まれた今のところ世界唯一のウィッチ(=コーディネイター)。“人類統一政権(地球連邦)樹立”と“前世での大罪を前世(今もそうだが)からファンだったウィッチ達(本作に登場するニュータイプ)に断罪してもらう”為に日々奔走する。歌うのが大好きでよくラジオで戦争勃発直後に保護、ブリタニアに移住させたサーニャの両親協力の下、よくX JAPANやQueenの曲をはじめとする前世カラオケで歌っていた曲を原曲キーで歌っている。

 

 

 

 

 

ヨハンナ・ヴィーゼ

 

世界に5人いるクルーゼより強いウィッチ“ニュータイプ”の一人。ニュータイプの中での強さは第2位。乗機はRX-0-2 〔N〕 バンシィ・ノルン。階級は大尉であり、ザフト制服を基に製作された第七艦隊の制服(赤服)を着用している。固有魔法は『ピカピカ』。その名の通り黄猿海軍本部大将の能力である。黄猿大将・青雉大将の能力を使用可能だが体の実体を捨てる事が出来ない・『八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)』を使用できるが魔法力が分散して強力なネウロイを倒す事ができないクルーゼと違い、実体を捨て去る事も『八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)』で強力なネウロイを倒す事もできる。作者も驚く程のチート。倒す方法は体力を奪う以外に存在しない(覇気は本作には登場しないため)。現在第七艦隊からカールスラント空軍第52戦闘航空団に部下達と共に出向中。クルーゼの婚約者その四。

当初はクルーゼと同じ『相対的正義』を掲げていたが、親友であるハルトマンの『だらけきった正義』とバルクホルンの『規律第一の正義』を俯瞰して眺めて中立の『どっちつかずの正義』を掲げるようになった。“黒獣”の異名を持つ。

 

 

 

ナージャ・ポポワ

 

扶桑皇国海軍少尉。ヨハンナの僚機。制服はヨハンナと同じ。ヨハンナの窃盗団長時代からの第一の子分。乗機は専用塗装(空色)された 通常型魔導ジェネレータ装備のARX-014 シルヴァ・バレト(ガンダムヘッド)。

 

 

 

 

 

宮藤芳佳

 

言わずと知れた主人公。本作では『単独でラウ・ル・クルーゼに対抗できる唯一のニュータイプ(=最強のニュータイプ)』として登場する。現在の階級は飛曹長(通常と異なり第七艦隊のウィッチは飛曹長から昇進がスタートする。途中編入のウィッチは士官は無条件で一階級昇進、下士官は飛曹長まで跳ぶシステムになっている。)。乗機はRX-0 ユニコーンガンダム。固有魔法は治癒と???。使用する武装は通常のビーム・ライフルの20倍の威力を誇る専用ライフル『ミヤフジ・マグナム』とジェガンシリーズと同一規格のハイパー・バズーカ。クルーゼの婚約者その三。モットーは『護る正義』。

 

 

 

 

 

アンジェラ・サラス・ララサーバル

 

扶桑皇国海軍第七艦隊参謀長 兼 機動戦艦 安芸(アークエンジェル)艦長。階級は少将で数少ない第七艦隊の黒服の一人。プロヴィデンス(後にレジェンド)のカラーと圧倒的戦闘力から“灰王”の異名を持つ。5人の中で最初に覚醒した“始まりのニュータイプ”。その力を以てクルーゼを補佐する。乗機はプロヴィデンス→レジェンド。他人にも自分にも厳しいが、唯一寝る時だけはクルーゼに抱きついて甘える節がある。固有魔法は自分が言った約束に相手が同意したら相手は約束を破れなくなる『破れぬ誓い』と藤虎海軍本部大将の『重力操作』(後者は1942年頃に覚醒)。本作の第4話「最強」で酔って魔法力を展開し襲ってきたリーネにクルーゼが魔法力を展開して反撃できなかったのはアンジェラが以前に“戦闘時と訓練時以外の魔法力展開禁止”を約束させたため。本人は前者の固有魔法が自分にある事に気付いていない(というより気付いているのはクルーゼのみ)。モットーは『威厳ある正義』。

 

 

 

 

 

 

 

竹井醇子

 

扶桑皇国海軍第七艦隊第二戦隊司令官 兼 機動戦艦 薩摩(ラー・カイラム)艦長。階級は少佐。ニュータイプとしての強さはアンジェラと同率で3位。乗機はジャスティス→セイバー→∞ジャスティス。第504統合戦闘航空団副司令。固有魔法は直死の魔眼(両儀式版で1942年頃に覚醒した能力)。リヴァイ兵長が女型の巨人と交戦した時のように回転しながら高速でネウロイを削ぐ事から、機体色もあって“赤い彗星”の異名を持ち、一部の彼女をよく知る扶桑陸軍ウィッチは“切り裂き竹井”と呼んでいる。モットーは『清らかなる正義』。

 

 

 

 

 

ブライト・ノア

 

???

 

 

 

 

 

 

 

 

戦況

 

 

 

ノーブルウィッチーズ

 

第506統合戦闘航空団は原作と異なり現在ノルマンディーに司令部を置いており、人員は同じだが、A・B部隊に別れる事もなく全員心を一つにして攻勢を掛けている。しかしこの部隊を指揮下に置いている自由ガリア政府のガリア人の血をひきながら扶桑の軍人になっているクルーゼに対する妬み・憎しみ等の感情からくる妨害から第七艦隊から援軍を貰えず苦しい状況らしい。かといって見殺しにするわけにはいかないのでクルーゼも手を打ち、アンジェラと安芸(アークエンジェル)をノルマンディー沖に潜航待機させてあり、まずい時は自らの判断で援護せよとクルーゼから命じられている。その他の各統合戦闘航空団(及び各方面)の戦況は原作と同じと捉えて良い。

 

 

 

 

 

 

 

アフリカ方面

 

阿賀野型(アーガマ改級をいじった艦)機動巡洋艦の『矢矧』『酒匂』で構成された第七艦隊第二独立部隊(司令:ブライト・ノア中佐)の援護のお陰で戦況は同じであれど犠牲者は原作よりかなり少ない。1942年頃、ブライト中佐(当時 少佐)の独断でMSN-06S シナンジュ(砂漠色に塗装)とRX-93-ν-2 Hi-νガンダムをハンナ・ユスティーナ・マルセイユとライーサ・ペットゲンに譲渡した事により第31統合戦闘飛行隊は戦闘力が原作より遥かに上がっている。稲垣真美は九七式可変重装戦闘脚(リゼル)C型ディフェンサーbユニット装備で二個のメガビームランチャーで敵を薙ぎ払う援護役を担っている。加東圭子は原作と異なりオールドタイプ故に現役であり、九七式重装戦闘脚改 スタークジェガン(ビーム・ライフル二挺持ち)で今日も敵をブチのめす。

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

 

閑話 再会・・・友よ

 

 

 

 

 

 

1940年2月某日 皇都 海軍軍令部 一室

 

「誰かいないかな・・・。」 書類を放り投げる

 

「どうしたラウ?」

 

「K戦隊を一個艦隊・・・第七艦隊に増強するから幕僚に誰か適切な人材がいないか探しているんだよ。アンジェラ、君が少将昇進と同時に参謀長就任は既定の事だが、各部隊を指揮できる者と君が前線に出ている間の参謀がいないと困る。」

 

「第二航空戦隊の山口さん辺りはどうだろうか?」

 

「もう声はかけてあるし来てくださるのは時間の問題外だ。他はいないかね?」

 

「・・・。」

 

「困ったな。誰もいない。仕方ない。兵学校から直接引き抜くか。」 海軍兵学校へ電話する

 

「住山さん、お久しぶりです。」

 

「久しぶりですな総帥。何かありましたか?」

 

「私の下で新設される第七艦隊の参謀・部隊指揮官が現在不足しておりまして・・・住山さんの所(海軍兵学校)に使い物になる程の能力を持つ学生はいないのかと思いまして電話させていただきました。軍令部は今機構改革と遣欧艦隊編成で忙しくて私を助ける余裕がないようですので。」

 

 

「・・・一名だけですがいます。如何ですかな?資格には全く問題無い生徒ですが御心配なら総帥が直接面接なさりますか?その生徒を軍令部に行かせますが。」

 

 

 

 

 

数日後

 

「いや、何故私を面接に立ち会わせないんだ!いても良いだろう別に。」

 

「・・・頼むアンジェラ。これは特殊案件だ。」

 

「・・・わかった。従うが後で説明してもらうぞ。」

 

「わかっている。」

 

 

五分後

 

トントントン「ブライト・ノア学生であります!入室して宜しいでしょうか?」

 

「どうぞ。」

 

ガチャ 「失礼します。」

 

「かけたまえノア君。」ソファを指す

 

「ありがとうございます。」

 

「では面接を始めます。」

 

「その前に閣下一つ宜しいでしょうか?」

 

「何だね?」

 

「閣下が前世で就いていた役職での最高の地位は第XX代内閣総理大臣ですか?」

 

「!?」

なんだと?コイツ転生者か!?

 

「・・・そうだがそれがどうしたのかね?」

 

「思い出して下さい。前世の閣下の唯一の親友はガンダムキャラでブライト・ノアが一番好きでそれを知っていたのは貴方だけです。」

 

「!? ま まさか!?」

 

「久しぶりだな我が親友〇〇。君の右腕・・・いや君は左利きだから左腕か・・ブライト・ノア、いや△△△、着任しました!」 立ち上がり敬礼する

 

「△△△!!何故ここに!会いたかったぞ相棒!」 泣きながらブライトをハグする

 

「あぁ。俺もだ相棒。」 抱き締め返す

 

「何故ここに?どうやって来た?」

 

「君と同じだ。君が車に轢かれて死んだ後俺は君の遺志を□□(クルーゼの前世での養子)と共に継いでやり遂げ、老衰で92まで生きた後、神を名乗る男からの計らいでこの君がいるストパン世界に転生してきたんだ。また君を補助する為にね。」

 

「・・・済まないな。また世話になる。」

 

「いいってもんだ。親友だろ俺達は?」

 

「これからもよろしく頼むよブライト君。」 手を差し出す

 

「こちらこそよろしくお願いしますクルーゼ長官。」 クルーゼと握手する

 

「「ハハハハハッ!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところでこのストパン世界、男女比約1:30であるが故に貞操観念が逆転して大変なんだが・・・君が神に頼んだのか?ハーレム作りの為に。」

 

「あらぬ疑いを掛けているみたいだが僕はそんな事頼んでないよ。それより同期に誰か僕が知っている人はいたかい?」

 

「菅野直枝。」

 

マジか。

 

「彼女を含むたくさんの学生に言い寄られてて大変だよ毎日。よく君は耐えられるな。90年余の人生キャリアを以てしてもSAN値がガリガリ削られていく。風呂に一緒に入った時なんて大変だ。皆前隠さないんだから。欲こそ長生きしてるから抑えられるが目に毒だ。」

 

「大変みたいだね。」

 

「他人事みたいな言い方するんだから全く。」

 

「ともかく面接は合格だ。兵学校に帰って荷造りをして出立準備をしておいてくれ。詳細は書類で伝える。」

 

「・・・できれば俺はアーガマに乗りたいんだが。」

 

「安心したまえ。希望通りにするさ。何なら専用MSも用意するが?君は魔法力を持たないから通常サイズの物になるが。」

 

「そう言われたら俺が望む機体は一つしかない。」

 

「TMF/A-803 ラゴゥ。」

 

「操縦系統を単座式に設計し直しておいてくれ。神から貰ったチートのお陰で情報処理能力と反射神経を以前の俺より強化してもらってるからな。」

 

「わかった。手配しておこう。」

 

「それでは失礼するよ。」 敬礼

 

「あぁ。またな相棒。」 答礼

 




この話で言いたかった事。


ブライト・ノア(偽)が着任しました!


要はそういう事です。


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獣は空へ・・・

「現時点を以て、UC計画の第一段階の成功と終了を宣言する。本計画に使用されたデータの全てを削除、NC-Dを封印し、然るべき者に託す。」

 

パチパチパチパチパチ 拍手

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「芳佳、お前には母さんやおばあちゃんに負けない大きな力がある。その力で皆を守るような―立派な人になりなさい。」

 

「うん!約束する!」

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

1944年4月

 

「あの少女ですか?」

 

「ああ あれが宮藤芳佳だ。」

 

「どう見ても普通の女学生ですが・・・本当に有力候補なんでしょうか?」

 

「学業成績も運動も中の中。特技は料理か・・・。」

 

「どうなさいますか坂本中佐?」

 

「圭助、ここには私とお前しかいない。いつも通りに。」

 

「了解した美緒。」

 

「さてどうしたものか・・・む?」

 

ギャァァァー ザシャシャシャ

 

「わぁッ」

 

「きゃッ」

 

ドシャァァァ

 

「みっちゃん!」

 

「よしかちゃ・・・」

 

「しゃべっちゃダメ!(出血がひどい。家に連れていく前にせめて応急処置だけでも・・・)」

 

コオォォ

 

「・・・うぐッ。」

 

「あれは・・・!」

 

「治癒魔法、しかもかなり強力な・・だが制御仕切れていない。」

 

「力が・・・。」

 

「落ち着け宮藤。意識を乱さず肩の力を抜いて―魔法をコントロールするんだ。」

 

「(魔法をコントロール・・・)」 シュウゥ ふらっ ドサッ

 

「あっ!おいっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みっちゃん!!・・・あれ?」

 

「大丈夫よ。」

 

「お母さん。」

 

「傷も塞がったし、痕も残らないでしょう。」

 

「本当!?良かった・・・!」

 

「芳佳、お父上との約束に従って頑張るのは良いが、力は適切な運用方法を覚えないと自分の命を落とすことになる。気を付けたまえ。」

 

「はい・・・ってクルーゼさん!?」

 

「やぁ久しぶりだね芳佳。後私にいつものように飛び掛からない方が良い。この私は映像に過ぎないからね。」

 

「・・・。」 へこむ

 

「そう落ち込むな。」

 

「わぁ!!いつからそこに!?」

 

 

「うむ。目覚める前からずっといたぞ。ともあれお前の才能はずば抜けている。使い方さえ学べば立派なウィッチになれるはずだ!」

 

「ウィッチって・・・貴女どなたですか?」

 

「ああすまん!挨拶がまだだったな。 私は連合軍第501統合戦闘航空団『STRIKEWITCHES』所属、坂本美緒中佐だ。」

 

「坂本君は君を欧州へ招待する役として特命を与えたのだよ芳佳。どうだねここは一つお父上に会いにこちらへ来てみるというのは?」

 

「長官、海軍への勧誘はよろしいので?」

 

「やらなくて構わんよ坂本君。あ そうだ芳佳、君に言っておくことがある。」

 

「?」

 

「私は今ネウロイに脅かされている人々を救うべくUC計画第三段階を発動する。」

 

「UC計画だと!?」

 

「坂本君落ち着きたまえ。以前手紙で説明したように、君の力が私に・・・いや世界に必要になる。どうかその力を私に貸してほしい。我が儘を言っているのはわかっているし、君と君のお父上を離した罪は非常に重いと自覚している。だがそこをなんとか・・・頼めないだろうか?この通りだ。」 土下座

 

「!?・・・顔を上げて下さいクルーゼさん。戦争は嫌いですが、私、前からクルーゼさんのお手伝いがしたかったんです。そして・・・護りたいんです。父さんを、クルーゼさんを!私、欧州に行きます!坂本さん、私を連れて行って下さい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「長官、宮藤はUC計画について民間人であるにもかかわらず何か知っているような素振りを見せていましたが、長官が教えたのですか?」

 

「ああ。私が教えた。坂本君、UC計画とは何だね?概要を述べてみたまえ。」

 

「はっ。1938年に締結された各国とクルーゼ・エレクトロニクス社間のMS販売協定の参加国が1941年に更に増えたことによりガバガバになってきた各国へのMS輸出を一元化、強力な一部のウィッチに専用機又は量産機の改造型を計画的に贈与・投入する・・・でしたか?」

 

「表向きにはそれで合っているよ。だがこの計画には裏があってね。私の真の目的はむしろこちらだと言える。」

 

「?」

 

「UC計画で儲けたお金全額とMSのノウハウ全てを投入して2機の最強のMSを作る・・・というのが真の目的だ。コードネーム RX-0、通称ユニコーンガンダムという。」

 

「ユニコーンガンダム!?し しかし、それと宮藤が一体何の関係が?」

 

「RX-0は最強のMS故に最強のウィッチにのみ手を貸す。そしてそのウィッチとは他ならぬ芳佳だったということだ。芳佳の左手首にMSの待機状態の腕輪があったのを見逃したのかね?ニュータイプの中で芳佳は私を単独で殺すことができる唯一のニュータイプだ。そしてどうあろうと芳佳は戦争が嫌いでも軍に入るだろう。その際の訓練は君に任せるよ坂本君。そして光栄に思いたまえ。君は“世界最強のウィッチの師匠“を名乗れるのだから。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「芳佳ちゃーん、気を付けてねー!」

 

「ありがとうみっちゃーん!母さん、おばあちゃん、行ってきまーす!」

 

「体には気を付けてるんだよー!」

 

「芳佳・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、STRIKEWITCHES RELOADED 第2話「ユニコーンの日」

 




土方圭助

・原作との相違

坂本美緒の幼馴染。幼馴染を助ける為海軍に志願。同い年で現在上等兵曹。その実態は転生者で、美緒スキーのストパンファンである。クルーゼとはウィッチの魅力を肴に酒を一緒に飲む仲である。クルーゼのようなチートは回転の早い頭脳・高い体力だけでそれ以外には特に無い。







皆さんは前作の時点で気付いてたでしょうか?宮藤芳佳の乗機がユニコーンだと。後乗機がはっきりしていないのはヨハンナ・ヴィーゼだけですが、皆さんならわかるはずです。宮藤さんが“白獣”、なら“黒獣”とは一体何を示すのか・・・。


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ユニコーンの日

解説

ゲルトルート・バルクホルン

カールスラント空軍大尉。MS-18E ケンプファーの使い手。ラウ・ル・クルーゼとは1941年からの腐れ縁。素顔を見たことがないため、アンドリュー・バルトフェルドがオリジナルのクルーゼを信用していなかったのと同様クルーゼに対する一種の不信感を抱いているものの、ケンプファーを与えてくれた事、妹のクリスを直接救ってもらった事からそこまで拒絶している訳ではない。クルーゼが結成した“反マルセイユ同盟”の会員1号。ミーナの恋人クルト・フラッハフェルトを他のJG52主要メンバーと共に共有財産にしている。原作と異なりミーナ、ハルトマンとは同郷(幼馴染)の付き合いである。クルーゼから姉さんと呼ばれることを嫌がっているが、本気で嫌がっている訳ではないようだ(ハルトマン談)。扶桑の第七艦隊からJG52へ出向してきたヨハンナ・ヴィーゼとは親友。


「宮藤芳佳が間もなく501へ入隊する。これで我々は晴れて神話への道を歩み始めた訳だが・・・。」

 

「後は雁淵ひかりにインパルスを与えて今年中に502にねじ込めば正式に神話の前段階たる伝説が始まる。ニュータイプと呼ばれる新人類が世界を導く。旧世紀からの我等人類の業を全て総帥が背負い、そしてニュータイプに滅ぼされることにより、星の屑計画は成就し、我等の子孫は新たなる種へと進化するのだ。」

 

「そうだ。総帥は人類にあれほど絶望を見たにもかかわらず、それに勝る希望をせっかくすがるような気持ちでニュータイプ達に託したのだ。その思いと過去・現在・未来にめぐらした完璧なる軍略、無駄にしてはならぬ。」

 

「歯痒いな。」

 

「何がだ?」

 

「総帥は今この瞬間も苦しんでおられるのに我等は何もできず指をくわえて見ているだけなのだ。大人として、女として悔しくは無いのか?」

 

「悔しいとも。」

 

「同じく。」

 

「だが我等にできるのは総帥の選択を冷徹に受け止め、与えられた役目を果たすことだけだ。」

 

「それが我等ティターンズだ。考えることに気をとられていてはならぬ。」

 

「その通りだ。さて、時間だ。会議を終える。」

 

「「「人類の未来の為に!!」」」

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「ネウロイ、人類、ナチュラル、オールドタイプ、コーディネイター、そしてニュータイプ。我々には多くの因果が存在する。それらを考えて軍略というものは謀らなければならない。それはわかるね姉さん?。」

 

「当然だ大将“蒼翼”。そんな事は士官学校を出てなくともわかることだ。それと何度も言うが私はお前の姉ではない。勝手に弟になるな。」

 

「だが、同じニュータイプでも、他のニュータイプを単騎で圧倒する程の存在がもしいたら・・・軍略に意味はあると思うかね?」

 

「華麗にスルーするな!まぁそれはともかく本当にいるのかそんな化け物が?私はヨハンナだけでもう腹一杯だ。そんなヨハンナを凌駕する奴がいたら私はお役目御免だな。」

 

「そんな“猛獣”が間もなく我が501に入るのだがね姉さん。彼女は強いよ。覚醒すれば私の手にも負えなくなる程に。」

 

「また問題児を押し付けるようでしたら貴方をガーランド准将共々ジャンクにせざるを得ませんね~クルーゼ大将?(暗黒の笑み)」

 

「ある意味問題児だねヴィルケ君。まぁ安心したまえ。才能は本物、根は良い子だからね彼女は。それに坂本君の訓練が加わるのだ、君達501カールスラント組がチームになって挑んでもいずれ勝てなくなる。料理の腕も私を軽く凌駕する。そして姉さん、喜びたまえ。姉さんの嫌いなイェーガー君のリベリオン料理は501のご飯から絶滅するのだ。」

 

「そうか・・・もうスパムは食べなくて済むんだな。」 涙を流す

 

「トゥルーデ感動し過ぎwww。長い付き合いだけどまさか泣くとは・・・。」呆れ

 

「た た 大変です!」

 

「どうしたのクルト?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「敵襲!!総員戦闘配置!!」

 

「敵は?」

 

「北北東距離30000!大型4小型30。」

 

「501からの援軍到着まで30分。」

 

「対空戦闘用意!もたせろよ諸君!扶桑皇国海軍魂を見せるのだ!」

 

「「「オォーーッ!!!」」」

 

「全艦機関停止。一式光線攪乱弾展開!」

 

 

 

クルーゼは遣欧艦隊に対し、臨時措置として一式光線攪乱弾と称したビーム攪乱膜を装備させていた。この時代の力では大量生産は叶わないが、それでもクルーゼの尽力により各艦につき駆逐・軽及び重巡洋艦は6発、それ以上の排水量の艦は12発、その他の後方支援系艦艇にも8発搭載してある。ウィッチが来るまでの時間稼ぎに使用するのだ。もっとも、MSに乗るウィッチの装備しているビーム兵器まで無効化するわけにはいかないので、至近距離に展開するよう信管が設定されている為展開する艦は停止しなければならないが。尚、この兵器は各国が輸入を検討するも、高価につき頓挫している。

 

 

 

「よし、私が出るぞ!MS用カタパルトを準備せよ!」

 

「「「了解!」」」

 

「宮藤、お前はここに隠れていろ。絶対に出てくるなよ?」

 

「は はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「坂本美緒、デルタプラス、発進する!」 ヒューン ガチャン

 

「坂本中佐、30分もたせてくれ!キツいかもしれないが、頼む。」

 

「了解・・・さて、核は・・・小型には無し・・・大型は・・・尻尾の付け根か!」

 

バババババババババッ ドガーン

 

「何!実体弾だと!?攪乱弾対策か?雪風が!」

 

 

 

 

 

 

「雪風被弾!二番主砲使用不能とのこと。」

 

「実体弾攻撃とは・・・ええい!敵は光線攪乱弾の対処法を思い付いたのか?」

 

「そのようです司令官。」

 

「全艦機関始動!攪乱弾が効かない以上このままでは我々は只の的だ。坂本中佐を援護しつつ戦域離脱を図る。」

 

「了解!」

 

「艦隊第三戦速。ジグザグ航行。」

 

「了解。第三戦速、ジグザグ航行。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「三番高角砲被弾!」

 

「衛生兵ー!」

 

「(うぅ。ダメ!治癒魔法が怪我人の数に追い付けてない。)」

 

 

 

回想

 

「クルーゼさん、クルーゼさんは何故戦うんですか?」

 

「目的の為だよ。」

 

「目的?」

 

「芳佳、君も他のニュータイプ達同様見ただろう?私の過去を、罪を、私なりの償い方を、願いを。私は存在自体異質なウィッチだ。コーディネイターはこの世界にあってはならないのだよ。それにかつて私は大を助ける名目で小を・・・まぁそれでも沢山の人々を私は殺してきた。私はニュータイプの所有物だが、君達の愛を受け入れる事はできない。そうする資格が無いからね。君も嫌ではないのかね?こんな血まみれの男が。」

 

「私は嫌いです。クルーゼさんの素直じゃないところ。」

 

「!?」

 

「アンジェラさんやヨハンナさん、醇子さんがわかってるかは知りませんけど、クルーゼさん、泣いてるじゃないですか!苦しんでるじゃないですか!」

 

「・・・私は泣いてなどいないしましてや苦しんでもいないよ芳佳?」

 

「・・・。」 クルーゼの胸に手をあてる

 

「この私に言い訳は無しです。」 キリッ パッ

 

クルーゼさんに自分が見る未来と光を見せる。荒んだ心をこれで癒すしか大好きなクルーゼさんの心を救う方法はない。

 

「あぁ・・・熱・・・暖かな光・・・皆が笑っている未来・・・これがニュータイプの力・・・正直侮っていた。まさかこれ程とは・・・。」

 

「これでわかりましたか?私達に言い訳は効きませんよ。」

 

「あぁそうだね。この力は凄まじい。それに君は他の者達と違って初めからニュータイプとして覚醒している。だが私を救おうなどとは思わないことだ。罪は罪。例え功績をあげようとも、消える事は無い。それに私は君達ニュータイプに殺されてこそある意味救われると思っているからね。これが定めだ。君達は突き進む他無い。」

 

 

回想終了

 

 

 

「・・・。」 立ち上がる

 

「宮藤飛曹長、どこへ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「全高角砲被弾につき機能停止!もう機銃しか残っていません!」

 

「天津風大破!戦闘不能!」

 

ドガーン

 

「機関室に直撃!本艦の足、止まります!」

 

「もはやこれまで・・・総員退艦せよ。」

 

「艦長、司令官、501から・・・総帥から入電!」

 

「何!?読んでみよ。」

 

「はっ。読みます。『一番航空機用昇降機MSカタパルトを見てみろ。』以上です。」

 

「?・・・一番?」 艦橋から確認する

 

「あれは!MS!?」

 

「誰だパイロットは?」

 

「・・・宮藤芳佳です!」

 

「宮藤!?まさかあの宮藤博士の・・・。」

 

「(!・・・あれが・・・宮藤のガンダム!)」

 

「宮藤芳佳、行きます!」 ヒューン ガチャン

 

「坂本さん!」

 

「(飛行は初めてのはずなのにしっかり飛べている。これがニュータイプの力か・・・)宮藤!何故来た?隠れていろと言ったはずだぞ。」

 

「はい。ごめんなさい坂本さん。でも・・・助けたい・・・護りたいんです!皆を・・・困っている人達を・・・クルーゼさんを・・・お父さんを・・・坂本さんや他のニュータイプの人達を!」

 

「・・・わかった。一緒に行くぞ!まず沢山いる小さいのからやるぞ。」

 

「わかりました。坂本さん、下がってて下さい。」 専用ライフル《ミヤフジ・マグナム》を構える

 

「何をする気だ?」

 

「小さいネウロイを全部薙ぎ払います!」 カチッ フィーーン ズギューン

 

「一撃で壊滅だと!?(なんて威力だ!通常のビーム・ライフルの20倍はあるぞ)」

 

「もう一度言いますが坂本さん下がってて下さい。後は私がやります!ユニコーン!」

 

芳佳の目の前にブリタニア語が表示される

 

NC-D

 

「宮藤、機体が赤く光ってるが何だこれは?」

 

 

ガン ガン ガチャン

 

「艦長、見ろ!宮藤さんの機体が変形、いや変身した!あれはガンダムだ!」

 

「ガンダム・・・総帥や極一部の強いウィッチしか持てないMS・・・あれが・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

「赤城周辺に高エネルギー反応ですわ!」

 

「うじゅ?ネウロイじゃないし・・・でも中佐のデルタプラスがあんな攻撃出来るわけないし・・・なんだろうあれ?」

 

「こちらも確認した。司令部、こちらバルクホルン。大将“蒼翼”、お前はあれについて何か知ってるのか?」

 

「知っているとも姉さん。そもそもアレを作ったのは私だ。」

 

「何!?」

 

「あれが先程話した最強のニュータイプ、宮藤芳佳の攻撃だ。彼女に持たせたビーム・ライフルは彼女の凄まじい魔法力に合わせて作った専用の物だ。彼女と彼女のお父上である宮藤博士に敬意を表し“ミヤフジ・マグナム”と名付けた最強のビーム・ライフル。威力はハルトマン君や坂本君のビーム・ライフルの20倍。フレームの剛性と最新の冷却技術により一分につき20発撃てる。そして芳佳の魔法力は無尽蔵。弾切れはあり得ない。」

 

「本当に化け物のようだな。」

 

「うじゅ?クルーゼ大将、なんか赤いMSが暴れてるけど、あれが宮藤芳佳?」

 

「そうだよルッキーニ君。君に与えた機体、RGM-96X ジェスタは元々芳佳の援護の為に製作された機体なのだよ。量産機でありながらユニコーンガンダムに追従できる機体・・・芳佳が強大な敵と戦っている間、周辺にいるであろう雑魚を掃討する任務を帯びた機体・・・をコンセプトに製作したのが君の機体だ。」

 

 

 

 

 

そしてネウロイ達は全部芳佳のユニコーンガンダムに綺麗さっぱりお掃除されました。自分で作っておいてなんだが、NC-Dもミヤフジ・マグナムもマジでえげつねぇ。本人はそんな気など無かったようだが、私、アンジェラ、醇子さん、ヨハンナちゃんに続いて世界ウィッチ史上五人目の“一秒で達成されたエース” になってしまったために、世界中の新聞の一面に顔がデカデカと載ってしまい、恥ずかしさのあまりからかった私の脛をおもいっきり蹴ってきてしばらく足の痛みに悩まされた。感覚を遮断する固有魔法を使っても良かったが、アンジェラから固有魔法の原則使用禁止を言い渡されているため、やめた。一応説明しておくが、私の固有魔法“無銘”は固有魔法の発動の度に寿命を削るのであって、使えば使うほど削られるというわけではない。つまり、発動しっぱなしにしておけば問題はないが、神様から与えられた知識いわく6つ以上常時同時発動していると体が負荷に耐えきれなくなり体組織が崩壊するらしいので迂闊には常時発動できないのだ。ちなみに常時発動しているのは

 

・エイラみたいな未来予知による回避ができる+ランダムだが最大20年後までの未来を映像で予知夢として見れる『未来俯瞰』

 

・自分に幸運をもたらしまくる『ザ・ミラクル』

 

・時を1日三回限定だが何秒でも停められる『ザ・ワールド』←スタンドではないよ

 

・自分の半径500キロの状態を完全把握できる『パーフェクト・レーダー』

 

のみである(ザ・ワールドの存在はニュータイプや模擬戦でクルーゼを追い詰めて使用されて敗れた猛者以外公には知られていない)。

 

 

 

 

 

 

 

 

「芳佳、私が悪かったからそろそろ機嫌を直してくれ。」

 

「・・・。」 不貞腐れている

 

「今日私は君のお父上や各国の技術者達と外食する。その際一番高い料理を奢ってあげるから許してくれ。」

 

「・・・クルーゼさんの手作りちらし寿司の方が良いです。」

 

「明日作ってあげよう!」

 

「許します。」 クルーゼに抱きつく

 

芳佳は怒らせるとマジでヤバいからな。ちらし寿司で御機嫌取りができるなら安いものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紹介しよう。彼女が今日からヴィルケ大佐率いる第501統合戦闘航空団に配属される新人の・・・。」

 

「宮藤芳佳です!よろしくお願いいたします!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・で、何故ナチュラルに私の私室についてきてあまつさえ私の隣に寝ようとするんだね芳佳?」

 

「え?私ちらし寿司だけで許すなんて言ってませんよ?久しぶりに会ったんです。隣で寝かせて下さい。クルーゼさんは私の所有物なんですから拒否権はありませんよ。」

 

「・・・強かだねぇ。」

 

 

まぁ芳佳だから良いか。これが酔った醇子さんだったら間違いなく逆レされるが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、STRIKEWITCHES RELOADED 第3話「クルーゼ宣言」

 




解説

クルト・フラッハフェルト

ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ大佐の恋人。原作では戦死しているが、本作では撤退が上手くいき助かっている。バルクホルンやハルトマン、その他のJG52主要メンバーから共有財産宣告を受けている。だが本人いわくミーナ第一主義らしい。現在階級は曹長。ミーナの従兵。音楽に関する将来の夢は諦めていないようだ。








投稿の遅れを謝罪致します。すんませんでした。


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クルーゼ宣言

解説

ハイデマリー・ヴァルプルガ・シュナウファー

カールスラント空軍少佐。乗機はMSZ-010 ZZガンダムの余剰部品で組み上げられ、夜間用レーダーを追加搭載した機体MSZ-010A1ダブルゼータプラス。黒く塗装されているため夜間では視認しにくい。性格は原作通り。


「・・・親父、今回のギャングから金を巻き上げる任務は無事終わったぞ。次の任務は何だ?」

 

「うん、次の任務はリベリオン内部に巣食う反扶桑派や黄禍論思想を持つ政治家及び有力者の排除だ。奴らを排除しなければこの大戦の後我が扶桑をリベリオンが潰そうと謀ってくるだろう。それに奴らは地球連邦の設立の邪魔にしかならない。隠密に完全に事件性無く始末してくれたまえ。然る後影の政府へ接触を図り、私に使者を寄越すよう言うのだ。オラーシャの方はエージェント達がやってくれているから安心して任務に励むように。」

 

「了解した。任務を遂行する。」 敬礼 ブチッ

 

「こんな胸糞悪くなる謀略しかできない私を転生させても神様の娯楽には到底ならないと思うんだが・・・。神の思惑などまさしく神のみぞ知ると言ったところか。」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「総帥、全機器配置につきました。マイク、映像共に感度良好。」

 

「放送開始まで10秒・・・・・・・3、2、1、どうぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第504統合戦闘航空団旗艦 機動戦艦 薩摩 艦橋 テレビ前

 

「タケイ、いきなり皆を集めてどうしたの?」

 

「ドッリオ司令、事前に言っておいたじゃないですか!私が所属する扶桑皇国海軍第七艦隊から全世界に向けて放送があるって。」

 

「ドッリオ隊長早く!」

 

「マルチナ、あなたがプロパガンダの放送をちゃんと聞くなんてね・・・明日は槍でも降るのかしら?」

 

「確かに普通は聞かないよ眠くなるだけだし。でも第七艦隊には私も救われてるし。それにあの“英雄クルーゼ”の演説なら真面目に聞かないとタケイがヤバいから。」

 

「・・・マルチナさん、後でお話があります。イイデスネ?(暗黒の微笑み)」

 

「・・・ア ハイ。」青ざめる

 

「あ 放送が始まったぞ!」 クルーゼの顔が映る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全てのネウロイに怯える者達、ネウロイに立ち向かう勇気ある者達、そして人類の敵に告ぐ。我々は扶桑皇国海軍第七艦隊クルーゼ・フリート!」

 

「クルーゼ・・・フリート・・・。」

 

「第一次ネウロイ大戦と呼ばれる戦いから20年あまり。1936年のヒスパニア怪異事件。1937年の扶桑海事変。そして今次大戦。進化した敵は我々人類をかつてない程に追い詰めつつある。有史以来、敵がなんたるか、何故人類を攻撃するのか、それはわからない。だが、間違いなく確信できる事実がある。」

 

「確信できる事実?」

 

「ネウロイと言う名の恐怖からの解放を信じ、戦いの業火に焼かれていった我らが先輩達の熱き思いが故に我らは生きている事、そして今また先輩達に続き敢えて火中に飛び入らんとする若者達がいる事である。」

 

「熱き・・・思い。」

 

「我々人類の心からの希求である恐怖からの解放に対し、強大な軍事力を以てその思いを踏みにじる輩に対し、真の若人の熱き血潮を我が血として、我々クルーゼ・フリートは改めてネウロイ共に対し宣戦を布告するものであり、貴様らを1947年8月6日・・・私の18歳の誕生日までに殲滅することを宣言する。繰り返し心に聞こえてくる先輩達の名誉の為に。ジーク・ムート(勇気万歳!)!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「総帥、お疲れ様です。見事な演説でした!」

 

「それよりも戦力の配備状況を図面で出して下さい山口さん。」

 

「はっ。まず我が第七艦隊は4つの戦隊の内3つを各方面に分散展開し、第一戦隊を507に、第二戦隊を504に、第三戦隊を502への援軍として配置しております。第四戦隊は我が相模の副長と兼任で私が指揮しており、予備兵力扱いで現在ここ501基地で待機中です。新藤少佐の第一独立部隊は508に展開中。第二独立部隊の矢矧・酒匂はアフリカで各国のアフリカ方面軍に火力支援を行っております。」

 

「そして今回私は宣言した。『18歳の誕生日までにネウロイを殲滅する。』と。反攻作戦に備え、503と505支援の為に我が第七艦隊の新造艦を送り込む。」

 

「新造艦ですと!」

 

「UC計画第二段階の『B計画』に基づき建造されたコードネーム《アレキサンドリア級》、正式名称『秋月型機動駆逐艦』を二隻ずつ両統合戦闘航空団に送る。503に送る第四独立部隊の指揮は最近暇すぎて死にそうだとぼやいてた井上中将にやらせましょう。505に送る第三独立部隊の指揮は、昨年中型ネウロイ4体を駆逐隊一つで損害無しで仕留めた第六駆逐隊司令のガディ・キンゼー少佐に任せる。」

 

「あの二人なら問題無さそうですな。」

 

「(つーか505のゴロプ少佐、なんかジャマイカン少佐そっくりなんだよなぁ。原作がどうだったか忘れたけど。予知夢でそれを事前に知ることができたからアレキサンドリア級を作ろうなんて考えた訳だが。)これで全方面に我が第七艦隊の兵力を送って強化できた訳だが、山口さんは何か意見でもおありなのですか?顔に書いてありますよ。」

 

「あ 失礼しました。確かに戦力の増強は何とかなりました。ですが、物足りないなと思いまして。」

 

「物足りない?」

 

「はい。確かに総帥が各方面に配備した戦力ならいかなるネウロイも撃破が叶うでしょうが、ネウロイの巣を攻略できる程の圧倒的な火力があるかと言うとそうでもないなと愚考した次第です。それにノルマンディーへ橋頭堡を築こうと躍起になっている貴族部隊(第506統合戦闘航空団)の者共へ戦力を振り分けていない総帥の意図を私はまだ理解できておりませんので。」

 

「圧倒的火力については問題ないでしょう。501には前線指揮に出てきた私自身と芳佳がいます。502にはクルピンスキー君のガンダム3号機に追加装備(オーキス)持たせてダメ押しに最後のニュータイプをインパルスと共に送り込むから大丈夫です。503、505はそもそも防衛的動機から結成させた部隊です。さっき言った独立部隊だけでも十分やっていけるはずです。504は我が“扶桑皇国最高戦力”の一人である醇子さんがいます。念のため最近組上がった∞ジャスティスを送っておきます。506はそもそも自由ガリア政府から『祖国の裏切り者から支援は受けん!』と拒絶されてますから無視です。今の自由ガリア政府は王党派(右翼・中道右派)が強いらしいですし。ド=ゴールさんとは仲良くやってますが、他の要人と私は仲悪いですからね。最悪ヤバい事態になった時に備えてノルマンディー沖にアンジェラと機動戦艦安芸が潜航待機しています。私から命令あり次第救援する手はずになっています。それにプリン姫とカール大尉には以前最新鋭のストライクEを与えたのです。そしてヴィスコンティ君にはプロト・スタークジェガンを与えてあります。簡単には負けませんよ。507には地上の王者YMT-05ヒルドルブを二台とリゼル指揮官機(ディフェンサーbユニット)を集中配備して対応しています。地の利と相まってオラーシャのようにはならないでしょう。508は新型機RAS-96 アンクシャを配備しています。新藤君はデルタプラスに乗り換えましたので戦力的にはナチュラル・量産可変機部隊最強の編成になっていますので大丈夫でしょう。」

 

「ではロンド・ベルの戦力強化はどうなるのですか?」

 

 

―――――――――――――――――――――――――

ロンド・ベル

 

管轄区域を持たない第500特殊遊撃統合戦闘航空団の事である。機動戦艦 相模艦内に司令部を置く。司令は当然クルーゼである。この統合戦闘航空団はクルーゼが活躍し始めた初期からの付き合いである池田大佐率いる戦車第十一連隊(乗機:D-50C ロト)とヴェーラ・メルダース大佐率いるカールスラント空軍第51戦闘航空団の精鋭ウィッチ5名(乗機:RGZ-95C リゼル指揮官機、メルダースはMSN-001A1 デルタプラス)、トーマス・B・マクガイア少佐率いるリベリオン陸軍第8航空軍第358戦闘飛行群の精鋭ウィッチ5名(乗機:AMS-119S ギラ・ドーガ改)で構成される部隊である。501より早く創設され、欧州各国の撤退戦の殿の大半を引き受け、なおかつ犠牲0で成功させているヤバい奴らである。尚、マクガイア少佐は俺ガイルの雪ノ下陽乃そっくりで、何度振られてもクルーゼにアプローチをかけ続けている様である。そして同少佐はリベリオン軍史上最年少の10歳で少佐になっており、間もなく中佐に昇進するらしい。

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

「カールスラント空軍第2急降下爆撃航空団司令から手紙が来ましてね。」手紙を差し出す

 

「拝見します・・・あ~あの爆撃女王ですか?ロンド・ベルに志願するという申し出ですが、まさか承諾なさるおつもりですか?」

 

「もう既に彼女を我が相模に迎える為に乳牛・MSまで用意してあります。今更変更が利きませんよ。それにゲーリング国家元帥に頭下げられた身としては拒否し辛いですし。」

 

ルーデル大佐の為に私は既にFA-78 フルアーマーガンダム(サンダーボルト版)を宮藤博士に用意してもらっていた。副官のアーデルハイド少佐には護衛の為にジェスタをベースに腕の剛性・追従性を徹底的に上げ、その上で実体盾にもなるし魔法力が必要だが小型の陽電子リフレクターも展開可能な大型の盾を装備したRGM-96XA ジェスタ・アーデルハイドカスタムを与えるつもりだ。彼女の部下の人達には試験的に製造したRGM-89SX スタークジェガン爆装仕様(爆装仕様とは聞こえが良いが、スタークジェガンの脚部にグレネードをあらんかぎり詰め込んだだけのマイナーチェンジ版である)に乗せてみる事にしてある。

 

「一流の地上戦力・制空戦力・航空支援戦力全てがロンド・ベルに集います。これで全ての統合戦闘航空団の隙を無くしました。山口さん、他に憂える点はおありで?」

 

「いえ。私といたしましては総帥の軍政手腕にただ感服しております。もう申し上げる事はありません。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それにしても大胆な宣言だったわねタケイ?でも失敗したら扶桑の権威ガタ落ち間違い無しよこれは。」

 

「大丈夫です。私の夫は約束や宣言は守る男ですからドッリオ司令。」

 

「敵襲!」ウーーーッ

 

 

 

 

 

 

 

 

「総員戦闘配置!」

 

「シャッター閉じろ!」

 

「戦闘ブリッジへ移動!」

 

「主砲・対空砲配置良し!」

 

「ミサイル発射管、対空榴散弾装填!」

 

「MS発進用カタパルト、一番二番用意良し!」

 

「一番カタパルト、進路クリア。X23S セイバー、発進、どうぞ!」

 

「竹井醇子、セイバー、発進する!」ヒューン ガチャン

 

「二番カタパルト、進路クリア。ガンダムMk-Ⅱフェルナンディア機、発進、どうぞ!」

 

「フェルナンディア・マルヴェッツィ、ガンダムMk-Ⅱ、行くわ!」ヒューン ガチャン

 

「続いてルチアナ機、発進、どうぞ!」

 

「ルチアナ・マッツェイ、行きます!」 ヒューン ガチャン

 

「クレスピ機、発進、どうぞ!」

 

「マルチナ・クレスピ、ガンダム、行くよー!」ヒューン ガチャン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

501へ着任した日の夜、宮藤芳佳は夢を見ていた。

 

「ハハハハハ!もう止める術はない!ジェネシスは撃たれる。初めから私を裏切りし世界が、やっと!滅ぶ!私の悲願が間もなく達成される!それが嫌なら魔法力供給源たる私を討たねば話にならんよ、芳佳ァー!」

 

私のユニコーンとクルーゼさんのフリーダムっぽいガンダムが戦ってる!?なんで?しかもここどこ?なんでビーム・サーベルで本気で殺し合ってるの?

 

「・・・。」 ザシュッ クルーゼの右腕を切り落とす

 

「ほう?NC-Dで会話すらできんか?無理もない。元々NC-Dは君に私を機が熟したら討たせるべく組んだシステム。正式名称『Neuroi and Coordinator-Destroyer system』、ネウロイ及びコーディネイター・・・つまりこの私とネウロイを操縦者の意思にかかわらず探知・抹殺する為に作ったシステムだ!さぁ芳佳!この世界に混乱をもたらす異分子たる私を討つのだ!そして私は罪を清算する!」

 

「・・・。」グサッ クルーゼの胸にビーム・サーベルを突き刺す

 

「グハッ・・・見事・・・ありが・・・と・・・う・・・芳・・・佳。これで私は地獄に行ける・・・。」 バーン フリーダム?が爆発する

 

 

 

 

 

「よ・・・芳佳。芳佳、もう朝だ。起きたまえ。」

 

「ふぇ?」

 

「急ごう。皆が待ってる・・・どうしたんだね?涙が出てるが・・・悪い夢でも見たのかね?」

 

「うわーん!クルーゼさぁん生きてるよ~!良かった~!」泣きながらクルーゼに抱きつく

 

「どうしたんだね?私の死んだ夢でも見たのかね?」

 

「・・・。」頷く

 

「大丈夫だ相棒、僕は死なないから。」 芳佳を撫でる

 

 

 

 

どこぞの海賊王のセリフそっくりな言葉を吐いてしまったが、あながち間違いでもないだろう。前世においても、戦友と養子が僕の遺志を継いでくれたし、この第二の生でも、例え僕が死のうとも、今いるニュータイプ達の次のニュータイプ達が人類統一政権をもり立てていってくれる・・・僕の意志を継いでくれるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

だが、当時の私は気付けなかった。芳佳がニュータイプの力で予知夢まで視れるようになっていたなどと。それを基に私の計画の完全瓦解を目論見、あまつさえNC-Dを手懐けようとし始めるなんて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、STRIKEWITCHES RELOADED 第4話 「最強」

 

少女は、そして神話となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




解説

「正義」

クルーゼは、影響下にあるウィッチ達にネウロイや他国のウィッチと向き合うにあたってモットーを持つよう呼び掛けている。




モットーを持つウィッチ達には派閥がある。



エーリカ・ハルトマン→『だらけきった正義』
フランチェスカ・ルッキーニ→『遊んでお菓子食べて寝たい正義』
ヴァルトルート・クルピンスキー→『楽しむ正義』

とかの自由系派閥



ゲルトルート・バルクホルン→『規律第一の正義』
雁淵ひかり→『徹底的な正義』
アンジェラ・サラス・ララサーバル→『威厳ある正義』

とかのキツキツ系派閥


ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ、坂本美緒→『君臨する正義』
赤ズボン隊→『情熱的正義』
竹井醇子→『清らかなる正義』
ヨハンナ・ヴィーゼ→『どっちつかずの正義』


とかの中道・区別不能系にわかれている。ちなみにクルーゼの掲げる正義は『相対的正義』である。長年の経験から、絶対的正義など存在しないという考えからであろう。




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最強

解説


九九式大型拳銃

50AE弾仕様のデザートイーグル。ラウ・ル・クルーゼ大将が開発し、自らの私兵部隊たる第七艦隊に本所属するウィッチにのみ携帯を許している強力な銃。一部のウィッチは専用にカスタマイズしている。


固有魔法「ザ・ワールド」

全ての固有魔法の上位互換が使用可能なクルーゼの固有魔法「無銘」の一派。何の固有魔法の上位互換かは不明。一日三回が限界だが、時を停める事が可能。停められる時間は無制限だが時を停めれば停めるほど心臓に負担がかかり痛くなるため、事実上10秒が限界である。ニュータイプは停まらない。


男ウィッチ(ウィザード)

この男女比約1:30の貞操観念逆転世界において超ウルトラスーパーごく稀に現れる存在。ラウ・ル・クルーゼ(偽)もその一人。ラウ・ル・クルーゼを含め概して強大な力を持っているが、貴重な男性故に今までのこのストパン世界において前線に立った者は少ない(例え立とうとしても周りに止められる)。現在ラウ・ル・クルーゼ以外に扶桑皇国陸軍の戦車乗り以外公式には確認されていない。クルーゼいわく「私自身含め全員オールドタイプ」だそうだ。使い魔の尻尾や耳は現れない。



デメジエール・ソンネン

扶桑皇国陸軍戦車兵大佐。20歳。ラウ・ル・クルーゼとは扶桑海事変以来の付き合い。事変当時まだ試験段階で調整が完全ではなかったYMT-05 ヒルドルブを駆け地上型ネウロイを38体平らげ、功四級金鵄勲章受章。その後アフリカへ渡り、(事実上)フリーランスの戦車乗りとして頑張っている。現在のスコアは97。柏葉付騎士鉄十字章、ヴィクトリア十字章、士官サヴォイア軍事勲章受章。数少ないウィザードである。固有魔法は100km先までの偏差射撃ができ、使用兵器の有効射程距離を倍にする《天才的砲術》。危機を救った事から、アフリカ方面に展開しているブリタニア陸軍のウィッチ達から強い好意(+獲物を見る肉食獣の目)を向けられているが、戦闘狂故に気付いていない。英雄の戦死を恐れた上層部から陸軍大学校への進学及び将官への昇進を再三要請されているものの、「前線で戦う戦車兵という俺の誇りを奪う気か?それに俺ァ大佐で満足だ。」と拒否している。


YMT-05 ヒルドルブ

皆さん大好き説明不要のロマンの塊なモビルタンク。オリジナルとの相違点はマシンガンがビーム・マシンガンに置き換えられている点、全装甲に対ビームコーティングがされている点である。やっぱ「死守セヨ!」のBGMとの相性は最高です。コストがヤバイが、そんなヒルドルブを四台、そして大量の予備パーツを用意できるクルーゼの軍政手腕はゴップ大将並かそれ以上である事の証左であろう。言うまでもなくその内の一台はデメジエール・ソンネン大佐の相棒である。



本話には未成年の飲酒シーンがありますが、未成年の皆さんは絶対に真似しないで下さい。危険です。後内容が薄いですがそこはご容赦を。




はいどうもこんばんわクルーゼでございます。ゑ?今何してるのかだって?私を抱き枕にしていた芳佳から脱出して基地の滑走路で一人月と海を見ながら日本酒・・・じゃねえ扶桑酒をあおってます。できればニュータイプの誰かと一杯やりたいが、無理なんですねはい。今唯一近くにいる芳佳は寝ているから無理だし。まあ例え他のニュータイプがいても無理だけどね。アンジェラとヨハンナちゃんはすぐ寝ちゃうし、醇子さんに限っては逆レしようと私を押し倒す始末だし。最後のニュータイプであるひかりちゃんはどうなんだろうか?予知夢でも視れていないから興味深い疑問ではある。まあそれはおいといて・・・

 

 

「ビショップ君、そこにいるのはわかっている。出てきたまえ。」

 

発進口の陰から私を怯えた目で見ているリーネを何とかしなければ。

 

「・・・。」 素直に出てくる

 

「どうしたんだね?眠れないのかな?」

 

「その・・・クルーゼ大将にお聞きしたい事がありまして・・・。」

 

「・・・ふむ。何故弱い新兵である自分に専用機を与えたか・・・とでも聞きたいのかね?なら答えは一つだよビショップ君。」

 

「?」

 

「信じているからだ。君が世界を導く者の一人だと。他の501隊員に負けず劣らず強き者としての素質があると、私は信じている。訓練では上手くいってないと聞いている。だが、諦めず頑張ってくれたまえ。さすれば君は覚醒し大物になる。保証しよう。君は幸せ者だよビショップ君。」

 

「?」

 

「私は世界最強だ。“英雄クルーゼ”だとか“大将蒼翼”だとか“仮面の王”だとか数多くの称号を持ち、未来さえ視えるこの私が保証するだから間違いない。」

 

「は はい!ありがとうございます!リネット・ビショップ軍曹、微力を尽くします!」

 

「ではこれから覚醒するビショップ軍曹に敬意を表し、前祝いとしてこの扶桑酒一杯を君に授けよう。」

 

「え?でも私まだ15ですよ?。」

 

「問題ないよ一杯位。それに私の誕生日は1929年8月6日。君より2ヵ月程度とはいえ遅い私がもう飲んでいるのだから大丈夫だ。」

 

まぁコーディネイターは15歳で成人となる点も私の思考に影響を与えているというのもあるが。

 

「で では遠慮なく・・・ゴクッ・・・。」 バタン ぶっ倒れる

 

「たった一杯でぶっ倒れるかねぇ普通?・・・って起きたか。大丈夫かねビショップ君?。」

 

「・・・ふふふ。」酔って黒リーネ化

 

「お~いビショップく~ん?・・・ってマジか。」黒リーネに押し倒される

 

ヤバいヤバいヤバい。今黒リーネに馬乗りされてる。酔って男への欲望に流されてるようだ。リーネはオールドタイプだから万が一の事になっても魔法力が切れる事は無いし、リーネはキャラクター的にも嫌いではないが、ニュータイプ以外に責任を持つのは流石に人数・精神衛生的に無理なので退かすか・・・って動かねぇ!って魔法力展開してるし!こちらも姉さん(バルクホルン)の怪力魔法の上位互換を発動して対抗したいが、アンジェラが余計な事したせいで魔法力が展開できない。あぁヤバい!何がヤバいって?二つのたわわに実ったやつが私の顔に当たって息ができない。あぁ誰か助け・・・。

 

 

 

 

結果から話すと私はリーネに喰われてなかった。どうやら私が気絶してからすぐにリーネも寝てしまったようだ。助かったぜ。だがそんな我々二人を見つけた人間がまずかった。

そう・・・我等がお姉さんたるバルクホルン大尉である。あぁ朝からキツかった。6時~8時まで正座でリーネは酒飲んだ挙げ句私を襲った事、私は酒を飲ませた事と未成年なのに飲み過ぎであることを指摘されガミガミされた。つうか姉さんやり過ぎ。私を襲ったからってリーネを軍法会議に掛けようとしたから私の権限でやめさせた。

 

 

「・・・というわけで飲酒させた以上責任は全て私にあるからビショップ君を許してくれたまえ姉さん。」

 

「毎度毎度思うがお前は女に対する警戒心が無さすぎる!女は狼だ。それを忘れるな。いいか?私やハルトマン、ミーナはクルトがいるからお前を襲うことはないだろうが他は駄目だ。女を信用し過ぎるなよ。基本男のいない女に近づいたら喰われる事を肝に銘じておけ。」

 

「わかったよ姉さん。」 気怠げに返事する

 

「しかし流石だなバルクホルン。“英雄”クルーゼ長官にここまで直言できる骨のある人間はそういない。長官は扶桑の全権を事実上握っている大物だ。私のように普通に接する者さえ少なく、あまつさえ媚びる俗物の方が圧倒的多数だというのに。」

 

「むしろ君達が異常なのだよ。絶対的な存在が目の前にいたらまずは媚びるのが人間の性というものだ。」

 

前世でも何度媚びへつらう奴に会ったものか。前世で政治家やってた時と今を合わせて4桁いってるぞ間違いなく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「芳佳。」

 

「はい。」

 

「君にこれをあげるのを忘れていたからあげよう。」 デザートイーグルを渡す

 

「なんですかこの大きい銃?」

 

「これは私が直接設計した我が第七艦隊に本所属している者だけに与えている銃だよ。現にアンジェラ、醇子さん、ヨハンナちゃんはいつも腰に差してくれている。これは少し早い君の誕生日の贈り物・・・御守りだ。どうか受け取って欲しい。」

 

「・・・御守りならクルーゼさんがいつも私に見せていた方が良いです。」

 

「これかね?」

 

私の愛用拳銃、それは私の前世の存命時点でリボルバー最強と評されていたS&W M500の8.75インチモデルである。反動が強すぎて下手すると大怪我する拳銃だが、私はコーディネイター故に片手で射撃しても問題は無かった。だが芳佳にこれが扱えるのかとなると話は別なため、試してみることにした。

 

 

 

射撃訓練場

 

バーン

 

 

「すごいですねこの銃。まるで手の中で何かが爆発したみたいな感じです。」

 

「いや。むしろそんなデカい銃を新入りのまだロクに訓練もしてない奴が扱えてる事自体やべぇと思うゾ?」

 

「あ エイラさん!お疲れ様です。」

 

「ユーティライネン君、君が射撃訓練場にいるとは珍しい。何をしているんだね?」

 

「あ?お前忘れてんのかヨ?私のビーム・ライフルにお前が付けた新装備の調子を確かめてんだヨ!」

 

「あ そうだった。ヨハンナちゃんから余剰品を貰ったからリボルビング・ランチャーを新たに君の機体に装備させたのだったね。すっかり忘れていた。」

 

ユーティライネン君のガンダム1号機のビーム・ライフルに付属しているビーム・ジュッテは、ウラキ少尉がドラッツェ相手に上手く使っていたようにネウロイに使う事はできない。奴らがビーム・サーベルで斬りかかってくる訳ではないからだ。ならもっと攻撃オプションをつけてあげるべきだと判断してヨハンナちゃんのバンシィ・ノルンのリボルビング・ランチャーをユーティライネン君のビーム・ライフルに流用したのだ。

 

「正直、武器選択するときのタイムラグが怖い・・・でも威力はその欠点を補って余りある・・・ってところだナ。役に立ちそうな装備ありがとナクルーゼ大将。」

 

「有効に使ってくれたまえ。それより芳佳、本当にその銃で良いのかね?」

 

「はい。」

 

「ではこの銃は君の物だ。長年世話になった相棒だから大事にしてあげてほしい。私は食堂に行ってくる。今日の夕飯のメインは私も芳佳も大好きな〆鯖のお寿司だ。今からシャリを作らないと間に合わなくなる。」

 

「宮藤、ここにいたのか。」

 

「あ 坂本君。芳佳に訓練かね?」

 

「はい。長官、宮藤をお借りしても?」

 

「構わんよ。芳佳、頑張ってきたまえ。頑張った後の食事程美味しいものはない。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

描写めんどくさいから体力作りの訓練場面は割愛(←サボりたいだけ)

 

 

 

「MSの自動照準に頼るな!敵はどのような動きをしてくるかわからん!自分の目で判断しろ。」

 

「「了解!」」

 

 

 

「宮藤、訓練では私のビーム・ライフルを使え。お前のライフルは攻撃範囲が広すぎて射撃訓練にならん!」

 

「は はい!」

 

 

バーン ガンランチャーで狙撃

 

「命中!腕を上げたなリーネ。」

 

「はい。ありがとうございます。」

 

 

 

 

 

 

 

「二人共上達が速いね~。」

 

「大将“蒼翼”が直接指名してきた者達だ。だがその事実抜きにしても中々だ。我々もうかうかしてはいられないぞエーリカ?」

 

「ほ~い。」

 

「・・・芳佳とビショップ君を見ていたら久々に体を動かしたくなった。夕飯も作り終わったから新型機のテストも兼ねてちょっと行ってくるよ。」

 

「いってらっしゃ~い。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大将、訓練用標的風船、30機展開完了してます、いつでもどうぞ。」

 

「ありがとう。さて・・・CPG設定完了 ニューラルリンケージ・イオン濃度正常 メタ運動パラメータ更新 原子炉臨界 パワーフロー正常 全システムオールグリーン。ストライクフリーダム、システム起動。」 カタカタカタ

 

「進路クリア。発進、どうぞ!」

 

「ラウ・ル・クルーゼ、フリーダム、行きます!」

 

 

 

 

 

 

 

「お前達、一旦こっちへ降りて来い。クルーゼ長官の訓練だ。巻き込まれるぞ!」

 

「クルーゼ大将が!?」

 

「クルーゼさんが?」

 

 

ヒューーーン

 

「フリーダム?いやあれは新型だな。」

 

ほう。流石は坂本君。フリーダムでないことをすぐさま見破るとは。

 

 

「まずは一匹。」

 

ズキューン パン

 

「すごい。ほぼ狙いを定めてないのにあの距離から当てられるの?」

 

「♪~」

 

芳佳が嬉しそうにこちらを見ている。何故なのか後で聞いてみよう。

 

「ドラグーン!」パパバン パン

 

「当たりたまえ!」 チュイン チュイン パンパンパン

 

標的風船が瞬く間に三分の二にまで減る。そろそろハイマットフルバーストをやってみるか。

 

「ロックオン・・・当たりたまえ!ハイマットフルバースト!!」 ズガガガガガガガ

 

パンパンパンパンパンパンパン

 

「二分・・・僅か二分で30もの標的風船を・・・。」

 

「あれがフリーダムに代わる機体か。」

 

「ZGMF-X20A ストライクフリーダム。フリーダムの数倍の力を誇るRX-0系列以外の全MSの頂点に立つ最新鋭機なのだが・・・駄目だね。前線をしばらく離れて海軍次官と軍令部次長と遣欧艦隊の代理事務を第七艦隊を率いながら兼務していたから調子が良くない。そしてそのせいで六徹しているから眠くてたまらない。」 フリーダムを待機状態にする

 

「海軍省要員だったはずの長官が昨年から飾緒をしていたのも軍令部次長をやっていたからなのですね・・・って六徹ですと!」

 

「流石のコーディネイターの体をもってしても四徹が本来の限界だからね坂本君。小沢中将め、幾らビリヤードで私に勝ったからといって私に全ての遣欧艦隊関連の書類を押し付けるとは。他の書類も沢山あるというのに・・・今度会ったら挽き肉にして差し上げましょう。」

 

いくらティターンズのメンバーでも容赦も慈悲もない。ただブチのめすのみ。

 

「小沢長官・・・。」合掌

 

「軍の軍政・軍令機構の統一化と簡素化を迅速に行いたかったから海軍の要職を全て兼任して事に当たったのだが・・・これもまた不味かった。永野さんまで私に全てを押し付けて有給休暇を名目に逃げてしまった。だからこの有様なのだよ坂本君・・・というわけで芳佳。」

 

「はい。」

 

「膝を貸して欲しい。眠くてもう・・・限界・・・だ。」 バタン ぶっ倒れる

 

「・・・ハァ~。もう、本当に無理をするのが好きな人なんですから。」

 

 

 

 

 

 

 

「おぉ流石“最強”。やってくれるね~。」

 

「そうね。今回の私達501主導で行うガリア解放作戦“ゲイ・ボルグ”は念のためロンド・ベルが後方予備戦力として入るわ・・・多分クルーゼ大将が久しぶりに前線に出てくる。勝利は約束されてる。でも気を抜かないで。ネウロイは何をするかわからない。貴女達も備えてね。」

 

「ほいほ~い。」

 

「了解だミーナ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブリタニア連邦 ロンドン 休暇中の第500特殊遊撃統合戦闘航空団 ロンド・ベル

 

 

「母さん、もう休暇終わりですか?私達ロンド・ベルは3年以上休み無しで戦って来たのに?二週間しか休めてませんよもう!。」

 

「そう言わないの。今回のガリア解放作戦“ゲイ・ボルグ”が終わったら本格的に休暇が貰えるから安心なさい。クルーゼ大将は約束は守る人なのは貴女達が一番よく知ってるじゃない。」

 

「約束は守る・・・でも何度攻撃(告白)しても落ちない金髪の“英雄”。なんならもういっちょ夜這いしてみっかメルダース大佐?既成事実さえありゃこっちのもんだからな。」

 

「やめときなさいマクガイア少佐。前ウチのアドルフィーネがそれやったら彼の護衛に半殺しにされたから。」

 

「半殺し?具体的には?」

 

「全身ボコボコにされて縄で縛られて次の日には艦のカタパルトデッキの露天部分に吊られて宙ぶらりんになってたわ。」

 

「怖っ!?もうホラーじゃんそこまで来ると。」

 

「貴女もそうなりたいのマクガイア少佐?」

 

「嫌だわ~。オレまだ死にたくないし。でも“英雄”は欲しいなぁ・・・15歳で海軍大将、MSを作る会社の社長、ファラウェイランドや我がリベリオンをはじめとして全世界10ヵ所以上の別荘と莫大な資産、あんな優良物件な男どこ探してもいないぜこの世の中。メルダース大佐は要らないのかよ?」

 

「それは・・・欲しいに決まってるじゃない!でも彼は以前私に話してくれたの。『私を手にするのは私を倒せる強き者のみ。』って。貴女倒せるのマクガイア少佐?」

 

「・・・ムリダナ。」

 

「諦めましょうマクガイア隊長。」

 

「アァーーーー!!チクショウ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃 南リベリオン大陸

 

 

扶桑領アマゾナス アマゾナス川流域某所には扶桑皇国海軍第七艦隊の秘密基地があった。扶桑陸海軍上層部や皇室、一部の軍人以外には所在地はおろか存在自体を知らぬ者も多いこの場所に宮藤博士はいた。

 

 

「・・・では我がジャブローが建造した秋月型はこちらへ到着次第井上中将とキンゼー少佐にお任せするというわけでよろしいですか?・・・はい・・・はい。了解致しました。」電話を切る

 

「やっとこの子達の出番が来たようだ。」

 

 

彼が見上げる先には黒く無骨な形をした影があった。秋月型機動駆逐艦・・・平たく言えばティターンズの重巡洋艦アレキサンドリア級がそこにはあった。その牙は間もなくネウロイに突き立てられる・・・と宮藤博士は考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




解説

制服


扶桑皇国海軍第七艦隊は独自の制服を採用している。ザフトの制服を基本に肩のザフトマークと略綬もどきを廃し、襟のザフトマークを海軍の階級章に置き換えた物だと思えば良い。
下士官以下は緑服、兵曹長から大尉は赤服、佐官以上は黒服、クルーゼのみ上級の白服になっている。


黒服メンバーは主に

宮藤一郎博士(技術大佐)
坂本美緒(中佐)
竹井醇子(少佐)
新藤美枝(少佐)
山口多聞(少将)
アンジェラ・サラス・ララサーバル(少将)


赤服以下は今後少しずつ明らかになっていくだろう。宮藤芳佳も501入隊に伴いクルーゼから赤服を贈られている。


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蹂躙する下準備

解説

ジャブロー


扶桑皇国海軍第七艦隊の司令部であり、基地施設だけでなくMSや艦艇の工場、艦隊クラスが停泊できる程の数を誇るドック、そしてクルーゼが引っ張ってきた新進気鋭の参謀・技術者達が集う扶桑皇国(というよりクルーゼが持つ技術)の叡智の結晶である。尚、軍令部と海軍省はジャブローに鎮守府の名を与えようとしたが、機密保持の点からこれを取り止めている。そのため、第七艦隊の書類上の拠点は浦塩鎮守府になっている。アマゾナス(読者視点のブラジルに相当)は元々ヒスパニア王国の領土であったが、将来の資源獲得・環境保護とジャブローを作る為に扶桑皇国が1933年に買い取り、扶桑皇国の唯一のリベリオン大陸領となっている経緯がある。勿論裏でクルーゼが暗躍していた事は言うまでもない。





ファントムペイン


正式名称『扶桑皇国海軍第七艦隊第八十一独立機動軍』。隠密機動戦艦『影(ガーティ・ルー及びナナバルクを同一名称で代わる代わる運用)』を母艦として暗躍するエリートエージェント集団。クルーから戦闘員に至るまで(艦長以外)全員ウィッチで構成されている。情報収集やクルーゼの願いの障害を排除するのが設立された主目的だが、次いでマフィアや麻薬密売人等犯罪者をボコりその懐の汚れた金を強奪してクルーゼの懐に入れる為にも動く(尚、その金はクルーゼの私腹を肥やす為に使われてはいないことをここで明言しておく)。陸軍の影佐中将の下で諜報員教育を受けた(一部は兵学校で士官教育も受けた)ウィッチがクルーゼの為に日々暗躍する。始まりはクルーゼ家が代々経営してきた孤児院の、魔法力を発現した娘達がクルーゼに志願し、それを見た影佐中将が彼女らをエージェントにしてみては?とクルーゼに提案したのがきっかけ。尚、ファントムペインのメンバーはクルーゼの事を敬意を込めて「親父」と呼ぶ。ティターンズメンバーと違いクルーゼの魔眼の支配下には置かれていないものの、その忠誠心はティターンズメンバーと同じか上回る。一部の将兵には(当然本人の合意の上で)強化人間化処理がなされている。部隊指揮官兼艦長は草加拓海少佐(上記の孤児院出身ではない。男である上に魔法力は無いが高い指揮能力を持っていたため、『ジパング』の読者であったクルーゼに兵学校卒業後直ぐに引き込まれた)。



扶桑領アマゾナス 扶桑皇国海軍第七艦隊司令部 ジャブロー

 

 

「宮藤技術大佐、攻撃衛星並びにGPS衛星の発射準備完了しました。」

 

「では予定通り発射を。」

 

「はっ。」敬礼して退室する

 

「・・・しかし総帥の技術力は凄い。私の見立てでは一世紀は先の技術力だと思える位だ。こんなに心踊る職場を与えてくださった総帥には感謝しかない。」

 

 

「10、9、8、7、6、5、4、3、2、1 発射!」 ドドドドドドド

 

数えきれない程のロケットが大気圏を脱出せんと空へ昇っていく。願わくばこれらの衛星達が我が愛娘芳佳と総帥に平和をもたらしてくれる事を祈る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マロニー大将、例の兵器についてですが・・・進捗はありましたか?」

 

「はい。現在暴走するまでの時間をなるべく長くする為に安全装置を何重にも徹底して敷く段階にまで来ています。もう少しで実戦投入が可能になります。問題は投入する時期・・・ですが・・・。」

 

「それについては私から指示を出します。できれば7月までに仕上げて下さい。そうしないと投入する時期を逸する可能性がでてきますので。」

 

「わかりました。」

 

「毒には同じ毒を以て制するべきであり、未来ある若者を死地へ送るような真似を、大人としてしたくはない・・・というマロニー大将の考えは共感できます。ですが焦らずに開発を進めて下さい。焦って失敗して若者が死んだら意味がありません。」

 

「勿論です。しかしその点を申し上げるなら総帥も気を付けて下さい。総帥も私からすれば若者です。」

 

「・・・耳が痛いお言葉です(精神年齢は前世と合わせてもう87だけどな)。それではまた連絡致します。そちらの開発スタッフの皆さんに宜しくお伝え下さい。」

 

「了解しました。それでは。」ブチッ 電話が切れる

 

「おいクルーゼ大将、今の話の相手ってあのマロニーか?っていうか“例の兵器”って何なんだ?」

 

「イェーガー君、これについては後で説明するから口を挟むのはやめなさい。大人しく隣にいるルッキーニ君とお菓子でも食べていたまえ。扶桑茶かな?それともコーヒーが良いかね?」

 

「コーヒー。」

 

「オレンジジュース!」

 

「ルッキーニ君、話を聞いていたかね?オレンジジュースは無いよ。ジュースの在庫は君の大嫌いな100パーセントレモンジュースしかない。」

 

「え~。あんなのジュースとは言えないよクルーゼ大将?ただ酸っぱいだけじゃん。」

 

コンコンコン 扉を叩く音

 

「入りたまえ。」

 

「失礼します。」

 

「ヴィルケ君、今イェーガー君にコーヒーをいれているところだが、君も飲むかね?」

 

「よろしいのですかクルーゼ大将?」

 

「良いとも。そこに座っていたまえ・・・で要件は何だね?」

 

「“ゲイ・ボルグ”作戦について詳細を詰めたいと思いまして参りました。」

 

「14:00に大会議室に全員召集したまえ。その際説明して細かい所を討論する。」

 

「了解しました。」

 

「オレンジジュース~!!」

 

「ではこうしようルッキーニ君。今から始まる会議が終わったら一緒にオレンジジュースを買いに行くんだ。それまで我慢したまえ。できるね?」

 

「わかった~。我慢する。」

 

「良い子だ。」 頭を撫でる

 

「にしし~。久しぶりに褒めてもらえた~♪」

 

あー。ルッキーニ君は癒しだな。幼いというのもあるだろうが、この貞操観念逆転世界で私にグイグイ迫ってこない数少ない知り合いだからな。願わくばこのままでいて欲しいが・・・つうか最近知ったがイェーガー君彼氏いたんだ。っていうか都合が良すぎる。その彼氏ももしかしたら土方君みたいな転生者の可能性が否めない。前世で話を聞いてても、イェーガー君の母性とヤバい体つきに食い付く男は多かったからな。まぁめんどくさいから転生者かどうか等の調査などしないが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでは全員揃ったのでガリア解放作戦、コードネーム“ゲイ・ボルグ”について説明する。参加戦力はここにいる全員・・・ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ大佐指揮下の501部隊12名、私が直接指揮を取る500部隊の航空兵力10名・・・とカールスラントから“爆撃女王”ハンナ・ウルリーケ・ルーデル大佐率いる第2急降下爆撃航空団の精鋭5名が来週までに我が500に合流するため計15名になるが・・・それと私が出撃する。参加戦力は各国の精鋭ウィッチ28名と私の扶桑皇国海軍第七艦隊第四戦隊5隻と坂本君の機動戦艦 紀伊(アルビオン)と私の座乗艦 相模(ゼネラル・レビル)でネウロイの巣“グリプス”を破壊する。攻撃プランは2つある。まずはプランA。今言った戦力で単純にゴリ押しして破壊。プランB・・・これはブリタニア空軍の最重要軍事機密になるので諸君には守秘義務が課せられるからそのつもりでいたまえ。よろしいか?」

 

「「「「了解!」」」」

 

「ではプランBについて説明する。ブリタニア空軍ではマロニー大将の指揮の下でネウロイについて前々から研究を行っており、一定の成果をあげた。」

 

ウォーロック(計画段階時)の写真をモニターに出す。

 

「これは私の会社たるクルーゼ・エレクトロニクスとブリタニア空軍が協力しあって製作したネウロイの核を動力源とした兵器、コードネーム“ウォーロック”だ。」

 

「ネウロイの核ですと!?」

 

「危険過ぎます!」

 

「静かにしたまえ。まだ全てを説明し終えていないよ諸君?」

 

「・・・。」皆黙る

 

「説明を再開する。マロニー大将は独自の理念の下でこの研究を続けてきた。『ネウロイはネウロイを以て制するべきであり未来ある若者を死地へ送るような真似は大人としてしたくない。』としてブリタニア空軍最高幹部のキャリアもプライドもかなぐり捨てて私に頭を下げて技術支援を仰ぎ、ウォーロックを製作した。彼女を悪く思っていた者は作戦終了後本人に謝るように・・・機会があるかどうかわからないがね。そして本格的に説明に入るが・・・プランBは非常に単純だ。完成したウォーロックを巣“グリプス”に突入させ、“グリプス”をコントロールさせ、ネウロイの生産を停止させる。その上で我々がウォーロックを総力をあげて破壊、ついでに“グリプス”を内部から風穴を大量にあけて破壊する。マロニー大将は時間稼ぎの為にウォーロックに何重にも安全装置を掛けているが、腐ってもネウロイだ。いつかはこちらのコントロールを受け付けなくなる。そうなれば我々の出番だ。ウォーロックに集中砲火を浴びせて作戦終了・・・というわけだ。何か質問は?」

 

「いや・・・清清しい程にさっぱりした作戦だなプランB。聞く事なんてねぇよ。なあメルダース大佐?」

 

「そうねマクガイア少佐。」

 

「作戦発動は早くて2ヵ月後だ。プランAで作戦を遂行するかプランBでやるかはその際決定する。それまで練度と士気の向上に努めるように。以上、解散だ。後リトヴャク君、ユーティライネン君、芳佳は残ってくれたまえ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャブロー

 

 

「相模(ゼネラル・レビル)から入電!」

 

「何と言ってきたんだい?」

 

「『時は来た。例の機体を例の者へ。宮藤技術大佐はかの者とミネルバを率いて502基地へ赴くべし。』です。」

 

「ミネルバ・・・出雲の出番が来たか。」

 

宮藤博士の見る先には新鋭機動戦艦 出雲・・・平たく言えば惑星強襲揚陸艦 ミネルバがそこにあった。彼女が空へ羽ばたく日は近い。

 

 

 




解説



機動戦艦 出雲


ミネルバをベースに再設計されて建造された艦。オリジナルとの相違は、M10 イゾルデ副砲がクルーゼが設計した連装46センチリニアガン(直上に射撃可能)になり、潜水ができ、ノンオプションで大気圏離脱が可能(他の艦も同様だが)となり、デュートリオン・ビーム送電システムが外された点である。










次話は夜間哨戒の話になると思います。


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軍官僚の日常(名軍官僚と書いてゴップと読むのはガンダムの常識。皆ゴップ元帥を高評価してあげよう!)

解説

ニュータイプの固有魔法


過去・現在・未来の全ての固有魔法の上位互換を使用可能な固有魔法『無銘』を持つラウ・ル・クルーゼ(偽)ではあるが、例外が存在する。それがニュータイプ(ヒロイン5人)が持つ“力”である。クルーゼいわく、『私の起源は“虚無”。それに対してニュータイプ達の起源は全員揃いに揃って“希望”。最初から最後まで何も持たぬ私に対し、最初から人の心が持つべき物を全て持っている私程度の闇など簡単に呑み込む彗星の如く光り輝く存在がニュータイプ。私が持たない力を持つのも私を滅ぼすのも当然の事。』だそうだ。元々持っている固有魔法以外に、心から強く望むなら、状況に応じて固有魔法を創造できる“力”を持つのがニュータイプである。クルーゼは存在するか存在した固有魔法の上位互換しか使えないが、ニュータイプはそもそも存在できようはずもない固有魔法をも生み出せるという事である(それこそ自然系悪魔の実を超える破壊力を持つ固有魔法をも創造可能という事である)。クルーゼより強大な力を持つニュータイプだが、コーディネイターとして設計され、身体能力を限界まで上げられたクルーゼに比べて体力が無い。それ故にニュータイプが複数でかからねばコーディネイター(クルーゼ)は倒す事ができない。宮藤芳佳を除いて。





サイコフレーム

ウィッチは存在自体がニュータイプじみた超常的存在なため、例え一般的なウィッチたるナチュラルでも十全にとはいかずとも扱える。オールドタイプ以上のウィッチは十全に扱える。ラウ・ル・クルーゼ(偽)はサイコフレームを基に自らの愛するニュータイプ達の力をMSが受け止めきれるよう新素材ネオ・サイコフレームを開発、彼女らの乗機に使用している。



皇国元帥


扶桑皇国陸海軍の元帥を更に上回る階級。この地位に着く者は天皇(場合によっては摂政)によってその地位を剥奪されない(或いは任命された者が返上しない)限り終身で全軍の軍政・軍令上の指揮権を天皇の名代として(名目上)握る事になる。当然一人しか補されない。1940年に新設された階級。権限の強さ以外は元帥と同じ待遇である。今上陛下がクルーゼの為に作った階級だとのこと(アンジェラ談)。ラウ・ル・クルーゼ(偽)は現在大将だが、元帥昇進、そしてこのポストに着く事は確実だとの事(某扶桑皇国海軍幹部談)。階級章は元帥特有の×のモノグラムの上(或いは横)に海軍出身者は桜付きの錨のマーク、陸軍出身者は三八式歩兵銃のモノグラムを着けた物である。





扶桑皇国最高戦力

皇国陸海軍に属する者の中で“一人いるだけで戦況を大きく変えうる力を頭脳・戦闘力にかかわらず有する扶桑が誇る忠勇なる者”と天皇が認めた者に与えられる称号。金鵄勲章同様年金が付随するが、金額が1800円(すなわち金鵄勲章最高位たる功一級の倍額)と破格で、審査基準の厳しさがうかがえる。皇国陸海軍建軍以来存在する称号であるが、過去に認定されたのは“海軍の英雄”東郷八子海軍元帥(元ネタたる東郷平八郎元帥同様既に逝去)のみ。現在認定されているのはラウ・ル・クルーゼ海軍大将(武功・MS導入の功績により認定)、アンジェラ・サラス・ララサーバル海軍少将(武功により認定)、竹井醇子海軍少佐(武功)、ヨハンナ・ヴィーゼ海軍大尉(武功)、宮藤一郎海軍技術大佐(宮藤理論や各種兵器に導入した新技術等の功績によって認定)。認定された者は直接陛下からコートを下賜される。尚そのコートはまんまOne Pieceの海軍本部大将用のコートである(無論背中には「正義」の文字が入っている)。手首部分の色は

ラウ・ル・クルーゼ→青

アンジェラ・サラス・ララサーバル→紫

竹井醇子→ピンク

ヨハンナ・ヴィーゼ→黄色

宮藤博士→茶色

である。




呼び方

ラウ・ル・クルーゼ(偽)はニュータイプとその他ある程度以上心を開いてる者以外名前で誰かを呼んだりしないし君付けになり他人行儀になる。尚、クルーゼ自身はニュータイプ達から

宮藤芳佳、雁淵ひかり→クルーゼさん

アンジェラ・サラス・ララサーバル→ラウ

竹井醇子、ヨハンナ・ヴィーゼ→ラウさん

と呼ばれている。




エイラーニャ

どっちも扶桑語がペラペラです。(←本話を読むにあたって重要な要素です)





「久しぶりだね雁淵君。元気そうで何よりだ。・・・何故電話したのかだって?君に退院後の人事を前以て通達しておこうと思ってね。・・・雁淵孝美中尉、貴官を我が第七艦隊の一員に迎え、大尉に昇進、一度私と本国へ帰還し、新しいMSを受領してもらう。然る後、第502統合戦闘航空団へ着任、先行着任している貴官の従者・現地将兵と共闘すべし。従者の正体は追って知らせる。以上だ。」 ガチャン

 

「雁淵君は驚き、そして私を恨むだろうな。見てない間に妹を他ならぬ私によって変えられたのだからな。だがひかりちゃんが第二次ネウロイ大戦が終わらないうちに次世代へ“正義の道標”を示さねば私の計画は失敗する。最弱のニュータイプであれど、彼女こそ心も力も“正義の体現者”として後に続く者がある意味最も強く印象に残しうる唯一のニュータイプなのだ。」

 

「マグマグの実の能力を私のような制限も無く身体さえ変質し行使できる彼女の力は凄まじい。」

 

「まぁ、バンシィ・ノルンに乗りながら黄猿大将のごとくピカピカの実の能力を使えるヨハンナちゃんもチートが過ぎるが、強く印象に残すにはひかりちゃんの力が最適だ。」

 

「私の夢、私の望み、私の業。それに決着がつく。エルヴィン・スミスのごとき身勝手な目的でネウロイと戦ってきた私をニュータイプ達は許さないだろう。」

 

「だが、それで良い。私は罰せられなければならないのだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・というわけで、リトヴャク君とユーティライネン君には私の芳佳に夜間哨戒の手解きを今週一杯教えてあげてほしい。」

 

「めんどくさいナー。」

 

「エイラ、文句言っちゃ駄目よ。わかりましたクルーゼ大将。お任せ下さい。」

 

「頼む。」

 

 

 

 

 

 

 

「総帥、報告致します。天城が間もなく501基地に到着します。」

 

「よし。迎えに行ってきます。山口さん、後はお願いします。」

 

「いってらっしゃいませ。」

 

クルーゼは以前計画されていた雲竜型航空母艦16隻の建造計画を中止させ、3隻に絞る代わりに高性能艦にするよう海軍省に指示し、ジェラルド・R・フォード級原子力空母を基に再設計した雲竜・天城・葛城を建造させた。現在天城のみが第七艦隊に(半ば補給・輸送艦扱い)所属しており、護衛の二隻の睦月型防空駆逐艦(まんまあきづき型護衛艦)と共に第七艦隊各戦隊・独立部隊への補給役として頑張っている。他の雲竜型は遣欧艦隊に所属しており、508で活躍している。尚、雲竜型に所属する航空団の主力は現在F/A-18E スーパーホーネット(零式統合戦闘機としてストライカーユニット・通常戦闘機共に扶桑皇国陸海軍が採用)であり、通常戦闘機でも全ての武装には航空団所属のウィッチが事前に魔法力をこめておいた物を使用するため核持ちネウロイとも戦闘ができる。バイオセンサーを搭載した事により追従性もオリジナルより高い。そして天城は相模(ゼネラル・レビル)への補給物資、502へ送る物資とクルーゼの愛機(通常戦闘機)を運んできたのだ。外国もこれらのライセンス生産を願い出たが、純粋な技術力差、高コストにつき頓挫し、再設計・製造された輸出用低コストモデルを各国が順次購入する事になっている。再設計モデルとはスーパーホーネットと部品共有率75%の外見だけのユーロファイター タイフーンである。海軍に売ろうにも運用できる空母を持つ海軍(圧倒的国力を持つリベリオンだけはクルーゼ・エレクトロニクスから運用に耐える後のキティホーク級の設計図を売ってもらい現在頑張って建造中)がいないため、各国空軍がクルーゼ・エレクトロニクスの御得意様となっている。

尚、中型以上のネウロイは身体に何らかのレーダー妨害手段を装備している為ミサイルの類いは赤外線探知系以外有効ではないのでAIM-9L サイドワインダーと各種爆弾しか各戦闘機は装備しない。広域殲滅の為にクラスター爆弾の装備も検討されたが、不発弾が出たらたまらないので開発は中止されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

「進路クリア、カタパルト準備よし。メビウス1(クルーゼ)発進どうぞ!」

 

「行こう相棒・・・メビウス1、発進する!」 ヒューーーン

 

私の愛機(通常戦闘機)、それはロシアのSu-47 ベールクトをベースにより戦闘向きに改修した世界に一つしかない蒼の戦闘機『蒼鷲』である。推力偏向ノズル付きでスーパークルーズも可能であり、エンジンを強化した上各部品の剛性を上げた事により最高速はノーリスクでマッハ3を叩き出す。ミサイル類はAIM-9L サイドワインダーを8発搭載し、機関砲はビーム・ガトリングガン(勿論私の魔法力で動く)である。前世でやっていたゲーム『ガンシ〇プ・バトル』で何十年も強化しながら乗り続けてきたこの機体をリアルで操れる喜びは並大抵の喜びを凌駕する。

 

ヒューーーン グワーン

 

「素晴らしい・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「何だあの蒼い機体?初めて見たが・・・速いな。私も乗ってみたいな。」

 

「よせリベリアン。あれは大将“蒼翼”の専用機、音速の3倍の速さを誇る化け物だ。いくら魔法力を纏おうともGで内臓が潰れるぞ。後絶対に勝手に乗って飛んだりするなよ?大将“蒼翼”は自分の物を勝手に触られただけでもキレる。まして使ったら・・・お前の命はない。」

 

「ヒュ~。怖い怖い。大丈夫だ堅物。命は惜しいからそんなことしないって(んな簡単に諦められる訳ないでしょうが)。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう。楽しかったよ相棒。また飛ぼう・・・イェーガー君、そこに隠れているのと目的はわかっている。出てきたまえ。」

 

「うげぇ。バレたか。」

 

「君は速いのが好きであることはわかっている。そしてこの機体は現在世界唯一の音速の三倍を出せる機体だ。そして残念だがこの機体は私以外の乗り手を拒否するようにプログラムされている(生体データを登録してある)。わかってくれ。」

 

「マジかよ!?」

 

「というわけですまないが失礼させて貰うよ。ロンドンで仕事だからね。お詫びに良い事を教えてあげようイェーガー君。」

 

「?」

 

「今日の深夜2時になったらこのラジオチャンネルを聴いてみたまえ。尚、他の人にはまだバラさないように。」 紙切れを渡す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁ暗いよー。」

 

「なんだ宮藤、怖いのカ?」

 

「はい。飛ぶ事は何度もやってますが、夜は初めてなんですエイラさん。」

 

「大丈夫よ芳佳ちゃん、私と手を繋いでいれば迷子にはならないから。」芳佳の手を握る

 

「あ ありがとうサーニャちゃん。」

 

「リトヴャク機、スタークジェガン、行きます!」

「宮藤芳佳、ユニコーンガンダム、行きます!」 サーニャと同時に発進する

 

「ぐぬぬぬ 宮藤ばっかり羨ましい・・・ってちょっと!待ってくれヨ!エイラ・イルマタル・ユーティライネン、ガンダムフルバーニアン、行くゼ!」

 

「ごめんエイラ。芳佳ちゃんのフォローに気をとられてて忘れてた。」

 

「忘れないでくれヨ!ったくもう!」

 

「芳佳ちゃん、もう少し待っててね。あの雲を抜けたら・・・。」 雲を抜ける

 

綺麗・・・こんな世界があるなんて。

 

「凄い・・・サーニャちゃんとエイラさんはいつもこんな景色を見てるんだね・・・。」

 

「でも毎日見てると飽きちゃうよ芳佳ちゃん。そんな時はいつも秘密のラジオをエイラと聴きながら飛ぶの。」

 

「お おい 良いのかサーニャ?教えちまっテ?」

 

「大丈夫よエイラ。芳佳ちゃんには教えて良いって許可をもらってるから。」

 

「そのラジオってどういうものなの?」

 

「クルーゼ大将が私の親と協力してナイトウィッチや心が荒んだウィッチの為にたまに歌を歌ってくれるの。」

 

「え クルーゼさんそんな事してたの?知らなかった・・・。」

 

「・・・もう始まるから芳佳ちゃんもエイラと聴いてみて。」

 

 

 

 

 

 

「ではリトヴャクさんお願いします。」

 

「はい・・・3、2、1 どうぞ。」

 

「お久しぶりです皆様。ラウ・ル・クルーゼのX FUSO チャンネルです。今日のブリタニアは曇りで気分がどんよりしている方もいらっしゃると思います。ですが逆にナイトウィッチの皆様は美しい月夜の中で任務に邁進してらっしゃる事と思います。今日は人生初の夜間哨戒任務に現在就いている私の大好きな人の為に作曲した曲を歌います。『La Venus』です。」

 

♪~

 

See,see the roses of life~

 

 

 

 

 

 

 

 

「クルーゼさんがブリタニア語で歌ってるのはわかるけどなんて言ってるのサーニャちゃん?」

 

「この曲は私も初めて聴くわ。歌う前にクルーゼ大将は言ってた。『今人生初の夜間哨戒任務に就いてる大好きな人の為に歌う。』って。これ多分貴女の事よ芳佳ちゃん。」

 

「え?私?」

 

「あの人が好きな人で『今人生初の夜間哨戒』に就いてるのは貴女だけだし。多分そう。」

 

「良かったナ~宮藤。歌詞聴いててもわかるゼ~。アイツは要はお前に『私の愛で生きろ』って言ってんだからナ。お前相当愛されてるぞアイツに。」

 

「え あの人そんな事言ってるの!?・・・素直じゃないんだからもう・・・。」

 

「つうかいっつも仮面着けて素顔を晒さねえ奴が素直な訳ないじゃん宮藤。アイツは姉っつって慕ってるバルクホルン大尉にすら素顔見せた事ないんだぜまったく。」

 

「・・・ちょっとそれは感心できません。バルクホルンさんに素顔見せるようクルーゼさんに言っておかないと。」

 

「私達も見たいから皆に見せるよう言ってくれよ宮藤ィ~。」

 

「バルクホルンさんはかともかくエイラさんやサーニャちゃんには見せてくれるかどうか・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・で、私の素顔を501とロンド・ベルのメンバーに見せろと? 4年前に君に見せた時より大分老けてしまっているから皆を驚かせてしまうかもしれないが良いかね芳佳?」

 

「自分は公開すべきだと思います。間もなく“ゲイ・ボルグ”作戦が始まりますから素顔を見せる事でむしろ今までより強い信頼関係を持ち、士気を高めるには良いかと。」

 

「山口さんのその意見は間違いないでしょうが・・・私が懸念しているのは恐怖心を煽る事にならないかという事です。私の現在の肉体年齢は60代を超えています。顔もシワシワです。士気の為に晒して士気が下がったら目も当てられません。」

 

「大丈夫ですよクルーゼさん。4年以上一緒に戦ってきた仲間で上司であるクルーゼさんを今更あの人達は拒絶しないと思いますよ?」

 

「・・・わかった。君と山口さんの意見を信じよう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大会議室前

 

「『クルーゼ談話 講演会』開催の通達?メルダース大佐、こりゃなんだ?」

 

「朝聞いた話によるとクルーゼ大将が501と私達ロンド・ベルのメンバーからの質問に答える会・・・らしいんだけれど詳しい事はわからないわマクガイア少佐。参加してみない事には。」

 

「んじゃ行ってみるか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆様お集まりいただきありがとうございます。只今よりクルーゼ談話 講演会を開催致します。」

 

パチパチパチパチパチ まばらな拍手

 

「まずこの講演会が如何なるものかを説明致します。簡単に言えば皆様からの私に対する信頼度を上げる為、私と皆様との質疑応答の会が今回の講演会の目的になります。質問はありますか?原則何でもお答えします。」

 

「はい。」挙手

 

「ユーティライネン君、どうぞ。」

 

「お前の素顔が見たいんだけどダメカ?」

 

「・・・別に構わないよ。」カチッ 仮面を外す

 

「なっ・・・。」

 

そこにあったのは齢15歳の少年とはとても思えない老人の顔であった・・・と後に出版されたサーニャの回想録には書かれていた。その蒼い瞳には強い憎悪が宿っていたとも回想している。

 

「・・・。」挙手

 

「はいイェーガー君。」

 

「クルーゼ大将、あんた何でそんな年寄りみたいな顔なんだ?私より若いのに。」

 

「芳佳、私について説明してあげてくれ。」

 

「え 私が言うんですか?」

 

そして芳佳は丁寧に私が人工的に作り出されたウィッチ(コーディネイター)だという事、生まれた経緯、それ故に全ての固有魔法の上位互換が使える代わりにシールドも張れず(シールドの件はロンド・ベルのメンバーは当然知ってた)固有魔法発動の度に寿命を差し出さなければならない事、固有魔法の使いすぎによる急激な老化等を私の代わりに説明してくれた。

 

「そうだったのか・・・。」

 

「そういう事だ。どうかな諸君?特に姉さん。」

「私か?」

 

「姉さんが私を信用していなかったのは素顔を見た事が無いからでしょう?素顔を見せ誠意を示した以上そろそろ弟と認めて欲しいのだが。諸君も姉さん同様素顔を見せなかったから私を信用していなかった節があるでしょう?素顔を晒し誠意を示した以上そろそろ私を信じて欲しいのだけれども・・・?」

 

「そんな事しなくてもオレはアンタを信じてたぜ。」

 

「どういう事かなマクガイア君?」

 

「アンタはオレやオレの部下共の命をそれこそ命懸けで幾度となく救ってくれた。その事実だけで信用する理由には十分だ。」

 

「・・・というより私達ロンド・ベルのメンバーは皆そう思っていますよクルーゼ大将?」

 

「な そうだよなメルダース大佐?お前らもそうだよな?」

 

「「「はい!!」」」

 

あ 思いのほか杞憂だったのね

 

「そうか・・・うれしいよ。ありがとうロンド・ベルの諸君。501のメンバー諸君はどうかな?芳佳と坂本君はそもそも見てるから良いとして。」

 

「大丈夫ダ。私とサーニャはお前を元々信じてたからな。というよりお前から力を貰った奴・・・専用機をもらってる501メンバーは皆お前を信じてると思うゼ?」

 

「どうかね専用機持ちたる501の諸君?」

 

「「「同じです!」」」

 

なんだよ 501も杞憂じゃねえか

 

「では私を信用していなかったのは姉さんだけか・・・まあそれもそれで悲しいが。」

 

「ああもう!悪かった大将“蒼翼”!。意地張って済まなかった。」

 

「ではいい加減私をちゃんと名前で呼んで欲しいよ姉さん。」

 

「わかった我が弟ラウ・・・これで良いか?」

 

やった ついに・・・

 

「堅物に新たな家族ができたな。しかしクルーゼ大将も物好きだもんだ。何で堅物を姉と慕うのやら・・・。」

 

「そんな事よりシャーリー。」

 

「どうしたルッキーニ?」

 

「私のジェスタのビーム・ライフルがどっかいっちゃったから探すの手伝って。」

 

「またなくしたのか?書類を書くのは私なんだぞ・・・。」肩を落とす

 

 

 

その一方・・・

 

「・・・。」ぶるぶる震えてる

 

サーニャは恐怖していた。ラウ・ル・クルーゼの憎悪に満ちた瞳に気圧されていた。歴戦の勇士であるとはいえ、元は音楽家。ニュータイプ程ではないにしても繊細な感性が逆に仇となったようだ。

 

「お おい サーニャ、大丈夫カ?」

 

「・・・だ 大丈夫よ。心配しないでエイラ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「芳佳見たまえ。」 タブレット端末を渡す

 

「何ですかこれ?・・・クルーゼ燃料(株)?」

 

「私が最近正式に設立した我が国の大陸領にある石油資源その他各種資源を採掘・加工・販売し、尚且つ新燃料を研究する会社だよ。クルーゼ工業とクルーゼ・エレクトロニクス、クルーゼ乳業、クルーゼ酒造、クルーゼ観光、クルーゼ食品に次ぐクルーゼ・グループの一員となり、私に利益をもたらすと同時に各統合戦闘航空団・飛行隊等への絶えない補給を可能にする切り札だ。」

 

“英雄クルーゼ”、大将“蒼翼”、“仮面の男”、“蒼翼の妖精”等余多の二つ名を持つ私だが、私は基本的に軍官僚である。指揮を取っていたのは7年前の扶桑海事変だけで、現在私が司令長官を務めている第七艦隊の最低限の指揮はおろか行動戦略すら山口さんが私の代わりにやってくれているのだ。アンジェラが名義上艦隊の参謀長だが前線にずっと出ているせいで有名無実化し山口さんが全部やっている有り様である。私の軍人としての性格はロンメル元帥、クライスト元帥等とは対照的な、銀英伝の魔術師が提唱した“敵に対して六倍の兵力を揃え、補給と整備を完全に行い、司令官の意志を過たずに伝達する”必ず勝つ戦い方が基本なのである。まあもっとも、ネウロイの数はかなりのものだから単純に六倍の兵力を揃える事は不可能なため、質的な六倍という事になるが。モントゴメリー元帥に近い戦い方をモントゴメリー元帥より迅速に行えるのが私の将としての所以なのである。だが私の戦い方にも燃料という限界があった。そこで設立したのがクルーゼ燃料(株)である。扶桑皇国大陸領の石油資源を加工し欧州の私の息がかかっている506以外の各多国籍部隊へ供給、燃料不足を解消したのだ。燃料以外の各物資は宮藤博士が指揮するジャブローから供給可能なため、これで各部隊は満足して戦えるようになったのである。反撃の準備は整った。後は芳佳がガリアのネウロイの巣“グリプス” を破壊すればそれを契機に人類の反撃がはじまるのだ。準備は整った。“ゲイ・ボルグ”作戦は間もなく開始だ!

 

 

 

 

 

次回、STRIKEWITCHES RELOADED 『芳佳』

 

少女は そして神話となる

 




そろそろ物語は動き出します。尚、次の章のタイトルが決定しましたので発表しておきます。

『BRAVEWITCHES DEGENERATION』

です。DEGENERATIONとは『変性』を意味します。内容を想像しながら本章を引き続きお読みくださいますようお願いします。


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芳佳

解説



一式超大型対空砲

まんま対空掃討砲『ニーベルング』。扶桑皇国海軍第七艦隊司令部“ジャブロー”に配備されたジャブロー防空網の一角を担うレーザー砲。普段はオリジナルのニーベルング同様隠されている。




第七艦隊に所属するウィッチ

扶桑皇国陸海軍軍人にとって、第七艦隊に所属するということは憧れであり、参謀本部・陸軍省・軍令部・海軍省勤務以上のステータスと見なされている。ウィッチは所属する際に、士官は無条件で一階級昇進でき、下士官は一気に准士官まで上がれる。ウィッチでなくとも、頭が良いか何かしら特技があれば転属できるし、昇進もできる。危険を伴う任務ばかりではあるが、通常部隊勤務の者の倍の給料が支払われる上、福利厚生も手厚いので、他の部隊に比べてその点においても人気は高い(大怪我しようものなら司令長官たるクルーゼが直接治癒魔法をかけてくれるので、わざと大怪我しようとする者もいる始末である)。




工藤俊作

扶桑皇国海軍少佐。第七艦隊所属。機動戦艦 紀伊(アルビオン)副長。坂本美緒中佐を補佐する。元ネタの人同様、男で堂々の体格の持ち主。幼年組ウィッチ達からの人気が高い。以前救出したブリタニア海軍駆逐艦「エンカウンター」乗組だった士官達と付き合っているらしい。




第七艦隊の戦力

第七艦隊は桜型機動駆逐艦(クラップ級)4隻、薩摩型機動戦艦(ラー・カイラム級)1隻で構成された“戦隊”を4個、阿賀野型機動巡洋艦(アーガマ改級)の『能代』が単艦で動く第一独立部隊、『矢矧』と『酒匂』で構成された第二独立部隊、秋月型機動駆逐艦(アレキサンドリア級)2隻ずつで構成された第三、第四独立部隊の“独立部隊”4個、単独行動する機動戦艦『安芸(アークエンジェル)』と機動戦艦『紀伊(アルビオン)』、旗艦たる機動戦艦『相模(ゼネラル・レビル)』、そして補給艦扱いの空母『天城』と護衛の睦月型防空駆逐艦『睦月』、『如月』の計33隻で構成される。




第七艦隊の飛行隊

第七艦隊の飛行隊はエースウィッチのみで構成される。部隊は現在4つ存在しており、ラウ・ル・クルーゼが直接率いる第70飛行隊、アンジェラ・サラス・ララサーバル率いる第71飛行隊、竹井醇子率いる第72飛行隊、ヨハンナ・ヴィーゼ率いる第73飛行隊である。各方面で戦う第七艦隊所属のウィッチはこの飛行隊のいずれかに名目上属して戦っている。入隊審査は非常に厳しいが、中でも第70飛行隊は特に審査基準が厳しく、中々入れるものではない。




ラウ・ル・クルーゼの兵器製造能力

ラウ・ル・クルーゼ(偽)が転生する際に神に願った特典の一つは『自分が知ってるガンダム作品の全MS・艦艇のデータ』だったが、それプラスでラウ・ル・クルーゼ(偽)が生前知っていたあらゆる兵器の設計図(ただし、クルーゼが渾名と正式名称を両方言える兵器のみ)も神が独断で入れているため、様々な兵器がこの作品では登場する。






前世でも今世でもロクな親に恵まれなかったラウ・ル・クルーゼ(偽)は、その境遇からか本能的に(ニュータイプ達が正妻ポジを確保しているが)多くのウィッチに母性を見出だし、無意識下で恋慕の情を抱いていた。ヘルミーナ・レント、ヘルマ・レンナルツ、ライーサ・ペットゲン等がその対象である。




ミーナ・フレデリカ・ハルゼーJr.

リベリオン海軍第6艦隊(欧州派遣艦隊)司令官。大将。1942年の末から1943年の末まで休養のためにリベリオンの大使館駐在武官をやっていたクルーゼに興味(とあわよくば娘と結婚させたいという思惑もあり)を持ち、声をかけて以来、酒場で一緒に騒ぐ仲になった。





マンフレート・アルブレヒト・フライヘア・フォン・リヒトホーフェン

第一次ネウロイ大戦時におけるカールスラントの英雄。第一次大戦において前人未到の80機を撃墜した。プール・ル・メリット章受章。数少ない男ウィッチ(ウィザード)であり、1918年に戦死するまで多くの仲間や弟子と大空を駆け抜けた。共に空にあった者達が現在のカールスラント空軍首脳部である。ヘルミーナ・ゲーリング国家元帥、エルネスタ・ウーデット大将、ブルーナ・レールツァー大将、従妹のヴォルフラミーネ・フライヘア・フォン・リヒトホーフェン元帥が主だった面々である。特にリヒトホーフェン元帥はクルーゼと親交があり、502関連で強い協力関係を築いている。




男性の人権

この男女比約1:30の貞操観念逆転世界において1920年代前半まで男に人権は皆無(具体的には選挙・被選挙権が無く、戸主になれず、爵位も持てない。あげくの果てにお見合い結婚させられ逆レされる)であったが、扶桑では、クルーゼが台頭し始めた1930年以降人権が拡大していき、1944年現在、扶桑においては“ほぼ”女性と同等の権利を得ている。各国も扶桑に倣い人権の拡大を検討中である。尚、前記した“ほぼ”についてだが、具体的にはどの国にも共通している事だが、女性に結婚の義務は無いが、男性にはあるという点である(しかもどの国も5人以上と結婚という最低ラインを敷いている)。その点で言うならクルーゼは最低ラインをクリア(アンジェラ、醇子、ヨハンナ、芳佳、ひかり)しているが、ブライトは一人も抱えてないあたりどうなるか(貞操が)心配である。尚、逆レ(あくまでクルーゼのような転生者と読者視点からであって、このストパン世界では立派なレ〇プである)された場合、その男性に女性は責任を取って養ってあげるのが暗黙の了解である。扶桑皇国では“朕ガ国家ノ元勲ト認メシ者”と天皇に認められた者は重婚の義務は解消される。現状認められているのは“扶桑皇国最高戦力”の一人たる宮藤博士のみ(クルーゼも一応認められうる立場ではあるものの、ヒロインのニュータイプ達がいるため無意味と化している)。




第501統合戦闘航空団 司令執務室

 

「我々は永らく戦い続けてきた。私や醇子、そして長官やララサーバル参謀長は8年以上ネウロイと向き合ってきた。ミーナもバルクホルンもハルトマンもそれに準じて長く奴らと戦い続けている。ウィッチの使命を今更疑う気はないが・・・奴らは何者なんだ?戦い、仲間の死を見せつけられ、私は護りたいものを何度取りこぼしたにもかかわらず奴らの正体も、目的も・・・何もわからない。私はどうすれば良いミーナ?どうすれば死んでいった奴らに顔向けできる?」

 

「・・・残念だけど私では美緒の質問に答えられないわ。でも、答えを知ってそうな人は心当たりがあるわ。」

 

「?」

 

「クルーゼ大将よ。あの人なら、何か知ってるかもしれない。」

 

「・・・そうかもしれんなミーナ。長官は7年前の扶桑海事変の時に私達にこうおっしゃっていた。『私はこの愚かな世界の結果。故に多くの事を知っている。』と。聞いてみるかミーナ?あの人は間違いなく素直に答えてくれはしないだろうが。」

 

「宮藤さんを通じて聞いてみたらどう美緒?クルーゼ大将は宮藤さんを深く信頼しているみたいだから。」

 

「・・・まぁやらぬよりかはマシか。宮藤に頼んでみよう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

推奨BGM ガンダム サンダーボルトの メインテーマ

 

 

 

 

「良い!良いぞこの加速!強い武装!そしてこの扱いづらさ!ギラ・ドーガとは比べ物にならん!素晴らしいぞ!フルアーマーガンダム!アーデルハイド、そっちはどうだ?」

 

「概ね良好ですルーデル。」

 

「よし、帰投する。続け!」

 

「「「はっ!」」」

 

 

 

 

 

「どうだったかなルーデル大佐?私の力作『フルアーマーガンダム(サンダーボルト版)』は。」

 

「最高だ!これで私は後10年は戦える!」

 

「(うわぁ まさかここであの人のオデッサから去る際の名台詞を聞けるとは思わなかった。しかしすげえなルーデル大佐。ナチュラルのはずなのになぜここまで戦えるのやら・・・不思議でならんね。まあそれは良いとして・・・)で どうだね?新型機投入は来週の作戦に間に合うかねルーデル君?」

 

「問題ない。ウチの精鋭をなめない方が良いぞ?」

 

「了解した。次の作戦での活躍を期待してるよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヴィルケ君、この書類をレールツァー大将に。坂本君、これを小沢中将に送る箱にしまっておいてくれたまえ。」

 

「「はい。」」

 

「それはそうと何故萎びた状態でここにいるんだね芳佳?クロステルマン君やビショップ君の茶会には出なくて良いのかね?」

 

「紅茶が駄目でした・・・とてもじゃないですけど飲めません・・・。」生きた屍

 

「私もそうだ。」

 

私は前世からコーヒー党だ。そして絶対にエスプレッソ以外飲まない。イタリアで人生で初めて飲んだコーヒーとしてエスプレッソを飲んだ際感じた圧倒的な濃さに惚れ込んだのが理由だったはずだが・・・駄目だな。前世の記憶が以前より薄れているようだ。詳細が思い出せん。後でブライト・ノア(偽)になってる親友に聞いてみよう。アイツなら覚えてるかもしれん。っていうか以前気付いた神様の配慮に私は大いに感謝している。だってエスプレッソマシンの設計図のみならずバリスタになるために必要な知識まで転生特典の知識に入ってたのだから。1936年頃にマシンの設計図をティターンズの財閥組に横流しして売らせたところ、全自動な上その濃厚さがウケてめちゃくちゃ売れてる。特に三菱がめっちゃハッスルしてたわ。マシン関連の儲けはティターンズ財閥組に、コーヒー豆関連の儲けは我がクルーゼ食品が貰っている(アマゾナスのクルーゼ食品管轄下の土地・工場で現地人雇って豆を大量生産している)。

 

「芳佳には後でエスプレッソの良さをたっぷり教え込んであげるとして・・・坂本君、質問があるなら言いたまえ。素直に答えるよ私は?私は君が思っている程捻くれてはいない。」

 

「・・・お見通しでしたか。流石です。」

 

「では君の疑問に答えたい・・・のだがしばらく待っていてくれたまえ。今話したら『星の屑』計画が前提条件から瓦解してしまうからね。」

 

「『星の屑』?」

 

「・・・独り言だ。気にしなくて良い。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

芳佳は治癒魔法の他に固有魔法と呼べるかわからないが強大な力を持っている。というよりニュータイプ達は神の力を行使できるのだ。はっきり言って固有魔法はその力のオマケに過ぎない。今回のゲイ・ボルグ作戦で私は芳佳の前でわざと大怪我をするつもりだ。そうする事によって芳佳の中に眠る神を引きずり出し、芳佳にその力を自覚させるのである。話が変わるが、ネウロイとは、詳しくはわからないがその起源は黒海沿岸に住んでいた世界最初のオールドタイプだというのが私の“この世界の結果として生まれた者に授けられた知識”に備わっている情報だ。芳佳同様治癒の固有魔法と莫大な魔法力を持っていたオールドタイプの少女は、当初は村人達から神と崇められ、尊敬され、彼女もまた自らの力を人々に役立てている事を誇りに思っていた。しかし、その力を手に入れようとした各国家間で戦争が起き、彼女の力を以てしても到底救いきれない死者を出し、複数の国家が滅び又は民が不幸になった。その災いの原因となった自らも、人の欲望も強く憎悪したオールドタイプの少女は、抑止力に取引を持ち掛けた。『自分の莫大な魔法力で自分と同類の者以外の攻撃を原則弾く生物の軍隊を編み、人類にけしかける事で人同士が殺し合う事を抑止する手伝いをして欲しい。その代わり自分も抑止力を担う“守護者”となって協力する。』と。強者の守護者入りを抑止力は手放しで歓迎し、取引に応じた。その結果がネウロイの誕生であった。自らの魔法力で本来の抑止力とは独立した抑止力たる兵力(ネウロイ)を手に入れたは良いが、ネウロイを前にしても人同士の争いが尚も無くならない人類の現状に絶望したかのオールドタイプは、心を完全に殺してしまい一定の期間に一定のネウロイを生産する機械と化してしまった。そしていかにオールドタイプと言えど、いつかは魔法力が尽きる。そして斯く魔法力が尽きたオールドタイプの少女は、自らと酷似した境遇に置かれていたウィッチを、発生し次第自らの魂に取り込み、今この瞬間もネウロイを生み出し続けているのだ。ネウロイを根絶やしにするにはウィッチに人間に対する絶望の情を抱かせない事が重要なのだ。かのオールドタイプの少女は自らに似たウィッチ以外の魂を取り込む事はできない。ウィッチが(特にかのオールドタイプのような強大な力を持つウィッチ)自分も含む“人”に絶望しないようにするのがこの世唯一のコーディネイターたる私の使命なのだ。かのオールドタイプは抑止力の庇護下にあるが故に、手出しはできない。この大変手間のかかる方法以外に、ネウロイを根絶やしにする方法はない。ネウロイの巣にナチュラルが入ったら最後、精神は汚染され、人間の汚いところをまざまざと見せつけられ、人類にそのウィッチは絶望し、かのオールドタイプの少女に取り込まれ、新たなネウロイが生産されるだろう。オールドタイプにも精神に悪影響を与える。どこぞの報われぬ魔法少女達の話を思い浮かべずにはいられないシステムだ。まあ・・・こんな事実を馬鹿正直に坂本君にぶち撒ける程私も愚かではないから今は適当にお茶を濁しておこう。

 

 

「今回の戦いの主役は芳佳だ。芳佳が“グリプス”を破壊する。坂本君とヴィルケ君は“神話”の誕生の目撃者となる。光栄に思いたまえ。」

 

いつの間にか私の膝の上で猫のように丸くなって寝ている芳佳の頭を撫でながら私はそう言う。坂本君、そんながっかりしたような顔しないでくれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃

 

「宮藤芳佳・・・カ。中々高イ魔法力ノ持チ主ノヨウダナ。シカモ皮肉ナ事ニカツテノ私ト同ジ固有魔法ノ使イ手トキタ。コレ程ノ力、是非トモ取リ込ンデオキタイモノダ。」

 

“グリプス”内部でそんな独り言をしていたウィッチの姿形を似せた諸悪〈ネウロイ〉の根源。だが彼女は愚かにもまだ気付いていなかった。進化した種たるオールドタイプもニュータイプも、自分の力量では原則として取り込めない事も。その事実を利用してクルーゼが作戦を立てている事も。

 

 

 

 

 

次回 STRIKEWITCHES SEED 「不可能を可能に(前編)」

 

少女は そして神話となる




ヨハンナ「そう言えばナージャ。」

ナージャ「どうしたヨハンナ。」

ヨハンナ「今更気付いたんだけどォ~第一章って私達の出番全く無いのねェ~。」

ナージャ「仕方ねえだろ。こん時我々はノイエ・カールスラントで教官業務やってたんだからな。」

ヨハンナ「困ったわねぇ~。早くゥ~『速度は重さ・・・光の速度で蹴られたことはあるかい?』したいんだけどねェ~。」

ナージャ「メタいわ。」

ヨハンナ「まぁ、そんな事は、この際我々にとって、どうでも良い。」

ナージャ「?」

ヨハンナ「作者が(批評の場合キツくない言い方で)感想と高評価が欲しいって嘆いてるからねェ~。この欄を見てる人は協力お願いしますねェ~。」

ナージャ「お気に入り登録してる人にも感謝だぜ。ありがとよ。」

ヨハンナ「第二章での我々の活躍に期待しててねェ~。一話に一回光速キックを目標に頑張るからァ~。」

ナージャ「いやお前は自重しろ。お前が本気で暴れたら周りの被害がヤバくなるわ!!」

ヨハンナ「・・・」 しょぼん


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不可能を可能に(前編)

解説

エージェント・システム

ラウ・ル・クルーゼの固有魔法の一つ。本体に頼らず自ら考えて主(クルーゼ)の利益になる活動をする自立型固有魔法である。ウィッチ以外の一般人の魂を一時的に書き換え乗っ取って活動するため、固有魔法自体に実体は無く、万が一乗っ取り先が死んでも乗っ取り先が死ぬだけでエージェント達にもクルーゼ自身にも影響は無い。モデルはまんまマトリ〇クスのエージェント達(映画版の最初の3人)。リーダーはスミスであり、クルーゼから発せられる信号を受信次第、命令を実行する。主な任務は重要人物の護送やクルーゼの計画のあらゆる障害の排除である。一度発動すると前記した通り完全に自立行動し、魔法力の供給が停止しない限り働き続ける。エージェントがクルーゼから独立している訳ではなく、固有魔法自体が独立しているため、クルーゼが常に行使している固有魔法の頭数にはカウントされない。




宮藤芳佳が最強のニュータイプたる所以

他のニュータイプ達は、親がそもそもウィッチではない(=基礎がしっかりしていない)状態からいきなり力を得て生まれたため、無尽蔵な魔法力・勘の良さなどに身体がついていけてない。いわばスポーツカーのエンジンと軽自動車の車体・足周りのようなちぐはぐな組み合わせなのである。しかし、宮藤家のウィッチは、代々オールドタイプであった上に代を経るにつれ少しずつ進化していき、ついに宮藤芳佳で頂点に達したのである。故に宮藤芳佳は最強のニュータイプであり、ラウ・ル・クルーゼを単独で殺しうる力を持つ唯一のウィッチとされるのである。


『ウィッチの中でも特に進化した存在たるニュータイプは、世代を経る程進化し、また役割も変化します。私の周りにいる5人のニュータイプ達は主にある物を倒す使命を課された第一世代。彼女達の後を継ぐ者達はネウロイ共という抑止力が無くとも人同士が誤解無くわかり合えるよう、そして殺し合わぬよう導く使命を課された鋭く賢く、また心が広く優しい者達。彼女達は第二世代ニュータイプであり、人類全体を進化させる引き金となるのです。』

ラウ・ル・クルーゼ著「ニュータイプ論」

第2章「導き」より

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「君の正義を・・・彼女達に残虐に殺されたいという願いを、今更俺は悪く言うつもりはない。だが、そもそもよく考えてみろよ。罰と償いは本人が苦痛と思う事をやってなんぼだろう。その点君の願いは罪の意識から来ているが、もし愛する者・・・ニュータイプの誰かの腕の中で君が死んだら、君に殺された奴等は報われん。君の願いは全てが中途半端なんだよ。違うか?」

 

「多くは違わん。だが友よ。そもそも君は一つ勘違いしている。今の僕は自分の純粋な願いの為に生きている。まあ・・・罪の意識に影響を受けている事は否定できんがね。それに僕のもう一つの願いで遠くない未来に創立されるだろう地球連邦・・・人類統一政権の体制を磐石なものにする為にも、僕の死は必要だ。どうあれ死ぬのなら、その命、有効に使わなければ損だよ。だから、僕の願いはまちがっちゃいないんだ。止めてくれるな親友。」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

機動戦艦 紀伊(アルビオン)MSカタパルト

 

 

「発進を承認。カタパルト推力正常。進路クリア。Zガンダム、発進どうぞ。」

 

「エーリカ・ハルトマン、Zガンダム 行くよ~!」 ヒューン ガシャン

 

「続いてケンプファー、発進どうぞ。」

 

「バルクホルン、出るぞ!」 ヒューン ガシャン

 

「続いてサザビー、発進どうぞ。」

 

「ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ、サザビー 出ます!」 ヒューン ガシャン

 

「続いてRX-0、発進どうぞ。」

 

「宮藤芳佳、ユニコーンガンダム 行きます!」 ヒューン ガシャン

 

 

 

 

 

 

 

今日は私がいたが故に原作よりかは楽してるとはいえ最近ずっとデスクワークをしてて鈍ってきたヴィルケ君に勘を取り戻してもらい、ハルトマン君に新装備を試してもらう為に4人に飛び立ってもらった。芳佳は半ば訓練標的扱いだが、ニュータイプ最強の防御力の前には何の問題もない。ゑ?何で姉さんを飛ばしたのかだって?『妹と戦ってみたい』などとほざいたからである。お~い姉さん、クリスちゃんと私では足りないのかい?と言ってみたら『弟の婚約者なら宮藤は(義)妹だ。違うか?』と言ってきた。いや その発言自体は何の問題もない。ないが・・・その発言をしてた時の姉さんの目にハイライトが無かったのよ。怖いわ。何?妹ハーレムでも作る気かい姉さん。原作の流れを完全に破壊したのにシスコン拗らせるなや。なんならブレパンの漫画でも菅野君を妹とみなして服用意してたからな。なりふり構わずかこりゃぁ? 駄目やなこの姉ちゃん早くなんとかしないと・・・。

 

「クルーゼ大将、テスト始めるよ~・・・って聞いてる?」

 

「あぁ。すまなかったねハルトマン君。少々考え事をしていた。良いとも。ハイパー・メガ・ランチャーのテストを開始したまえ。」

 

 

そう、Zガンダムのハイパー・メガ・ランチャーのテストである。オリジナルを基に連射速度と取り回し(小型化により3メートル程度の長さに縮める事ができた)を第一に考えて製作した。魔法力で動くため百式のメガ・バズーカ・ランチャーを凌ぐ威力と連射力、インパルスの対艦刀並のリーチを誇るビーム・サーベルを出せるようになっている。シールド以上に整備性が低いのが難点だが、そこはフラッハフェルト君が「フラウの為、このクルト・フラッハフェルト、一肌脱がせていただきます!」と頑張ってくれるため問題は無い。既にフラッハフェルト君には整備マニュアルを渡してある。いや~ハルトマン君も良い男に恵まれたねえ。おじさん安心したよ・・・そういえばハルトマン君は姉さんの妹ハーレム計画(笑)に巻き込まれているのだろうか?後で聞いてみよう。ついでに明日の姉さんのシフトを私に変えて休暇をあげておく。クリスちゃんの所に行かせて妹成分を補充させて芳佳に牙を剥かないようにするのだ。

 

 

 

 

 

 

 

「良いね~ハイパー・メガ・ランチャー。今後も使わせてもらうけど良いよねクルーゼ大将?」

 

「良いともさ。というより使ってもらわねば意味が無い。戦争は勝って終わらねば意味が無いのと同じようにね。芳佳、今日は何を食べたいかね?」

 

「私は天ぷらそばが食いたいナ~クルーゼ大将。」

 

「ユーティライネン君、君の意見は聞いてないよ。」

 

「クルーゼさんちょっとエイラさんに辛辣過ぎません?」

 

「宮藤、これはしょうがない。エイラの自業自得だ。先日長官が大浴場で入浴なさっていた時に、入ってらっしゃるのを承知でこのアホは侵入しあまつさえ押し倒すところまでしたんだからな。普通なら軍法会議ものだが・・・長官の恩情に少しは感謝しろエイラ。」

 

「ん~ちゃんと感謝してるって。ありがとナ~クルーゼ大将。(棒読み)」

 

「長官もちゃんと叱って下さい!ちゃんと叱らないからエイラも調子に乗るんです!」

 

「心配無用だ坂本君。ユーティライネン君、これを見たまえ。」

 

私は広間の椅子から立ち上り、ソファに座るユーティライネン君の後ろからユーティライネン君に、ビショップ君から仕入れたリトヴャク君の秘蔵写真を見せる。ユーティライネン君を飼い慣らす為に最近ビショップ君を煽って手に入れた手段である。これで貞操を護れる。

 

「これが欲しいならまああんなことはやめて欲しいね。やめてくれされすれば今後も継続的にこの類いの物をユーティライネン君に差し上げよう。ビショップ君に言えば今後も継続的に供給させる事を約束するが・・・どうだね?」

 

「ブフゥッ!」 鼻血を撒き散らしながら倒れる

 

「ちょ 長官、エイラに一体何を?」

 

「君のような武人が見る物ではない。興味を持たん事を勧めるよ坂本君。」

 

 

 

 

 

 

 

 

ウーーーーッ 警報音が鳴り響く。私の“未来俯瞰”が正しければヤツが単独でこの501司令部に接近して来る。

 

「総員戦闘配置につきたまえ。芳佳を除く501とロンド・ベルの諸君は出撃待機。私が出撃する。芳佳、私についてきてくれるかね?」

 

「は はいクルーゼさん!」

 

「長官、一体何を?」

 

「偵察機からの映像、出ます。」

 

映像が出た。原作にも登場した人形ネウロイだ。原作と違いがあるとすれば、何故か手がノイエ・ジールっぽいところだろう。

 

「坂本君、私はこの戦争を早く終わらせたい。これは良い機会なのだよ。」

 

「?」

 

「わからんかね?映像のヤツは和平を求めて我々の下にやって来た。護衛も無しでね。私もヤツに精一杯の敬意を払いつつ対話したい。芳佳に経験を積ませたいという思惑もあるから私の護衛として芳佳を連れていく。私に何があろうとも君達はしばらく出撃しないでくれたまえ。芳佳の邪魔になるだけだからね。」

 

大嘘である。大方ヤツは芳佳か私を取り込む為に来たのだろう。だが私は最初からそれを知っていたし、芳佳がヤツを倒すのももはや確定事項である。

 

「・・・了解しました。」

 

「ヴィルケ君、万が一私に何かあって指揮をとれなくなったら私の執務机右の一番下の引き出しから紙を取り出してその紙の指示に従ってくれたまえ。」

 

「了解しました。」

 

「芳佳、行こう!」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

「進路クリア。ストライクフリーダム、RX-0 発進よろし・・・総帥、宮藤さん、ご武運を。」

 

「ご心配なく山口さん。私は不可能を可能にする男ですから。ラウ・ル・クルーゼだ フリーダム、出るぞ!」 ヒューン ガシャン

 

「では行ってきます山口さん。宮藤芳佳、 ユニコーンガンダム 行きます!」ヒューン ガシャン

 

さーてやってやろうじゃないの。人に絶望しかできぬ愚か者よ。芳佳の力を見るが良い。希望の力を知るが良い。貴様の絶望、我が相棒芳佳が砕いて見せようぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、STRIKEWITCHES SEED 「不可能を可能に(後編)」 少女は そして神話となる

 

 

 




そろそろ第一章が終わります。第三章も考えとかないと。そしてイラスト募集中です。私は絵が絶望的に下手だから誰か助けて・・・


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不可能を可能に(後編)

解説


扶桑皇国海軍 第七艦隊 幹部人事(1944年末時点)

司令長官:ラウ・ル・クルーゼ大将

参謀長:アンジェラ・サラス・ララサーバル少将

航空参謀:淵田美津子大佐

航海参謀:有賀幸子大佐

陸軍出向参謀:池田季美大佐



第一戦隊 司令官:トーマス・シュレーダー少佐

第二戦隊 司令官:竹井醇子少佐

第三戦隊 司令官:オットー・ペデルセン少佐

第四戦隊 司令官:山口多聞少将


第一独立部隊 司令:新藤美枝少佐

第二独立部隊 司令:ブライト・ノア中佐

第三独立部隊 司令:ガディ・キンゼー少佐

第四独立部隊 司令:井上成美中将



第七艦隊旗艦 機動戦艦 相模(ゼネラル・レビル) 艦長:ラウ・ル・クルーゼ大将

機動戦艦 安芸(アークエンジェル) 艦長:アンジェラ・サラス・ララサーバル少将

機動戦艦 紀伊(アルビオン) 艦長:坂本美緒中佐

機動戦艦 出雲(ミネルバ) 艦長:有賀幸子大佐





「戦うにあたりまず指揮官が為すべき事。それは部下の命を預かる事ではない。部下に命を預ける事だ。でなきゃあのわがままなマルセイユを従えるなど不可能だったさ。彼女は非常にプライドが高い。俺を下に見ているにもかかわらず俺に従っているのも命を預けているが故さ。」

ブライト・ノア 1945年某日の取材にて

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「・・・芳佳。」

 

「なんですかクルーゼさん?」

 

「君は気付いてるかね?さっき僕が坂本君に言ってた事が嘘だということに?」

 

「もちろんです。」 胸を張って言う

 

「流石だ。伊達に僕の相棒をやってる訳ではないね。」

 

「はい!」

 

「君だけを連れて来た訳を明かそう。正直に真実を話すと・・・君の中には龍が眠っている。この真実はアンジェラすら知らない。君に初めて僕は明かした。501とロンド・ベルの諸君を待機させたのは君の力の覚醒を促し、君の力に彼女らを巻き込まない為だ。龍の力・・・君本来の力はあまりに強力。僕や他のニュータイプ以外の者が近くにいても巻き添え食って死んでしまうだけだ。」

 

「でも私の使い魔の兼定はそんな事言ってませんでしたよ?」

 

「彼には僕が口止めしたんだ。下手な時に真実を明かして力を暴走されても困るからね。後芳佳、その力は絶対に他の者にバラさないように。」

 

「そうだったんですね。わかりました。」

 

「もう一つ真実を話そう。どたばたで明かしてすまないと思うが・・・君が力を覚醒させてあの敵を倒さねば・・・僕は死ぬよ。」

 

「!?」

 

「死ぬ・・・という言葉には語弊があるな。厳密には君が奴を倒さねば僕は奴に殺されるという事だよ。我々が対峙する敵は今までのネウロイとは比べ物にならん。君はニュータイプの力で未来をある程度予測できるが、これは予測できてなかったようだね。僕の固有魔法・・・ユーティライネン君の固有魔法の上位互換“未来俯瞰”は固有魔法として覚醒段階にある。つまるところ、“IF”を計算できる・・・今回の件では“君が奴を倒せなかった=僕の戦死”、“倒せた=僕の右腕が失われる程度のコストでネウロイの巣を破壊できる”・・・のように計算ができるという事だよ。もっとも、この計算も最近覚醒したものであり完璧にあらゆる事象を計算できる訳ではないし、結果しか知り得ず、過程が全くわからないのだがね。」

 

「え!?これで私がネウロイに勝ってもクルーゼさん腕がなくなっちゃうんですか!?」

 

「心配無用だよ芳佳。僕の利き腕は左だ。それにいざとなれば君や他のニュータイプ達が僕を養ってくれるだろう?」

 

俺ガイルの主人公が言いそうな台詞を冗談混じりに言ってみる。

 

「養ってあげます私達で。ですからもうできれば戦わないで欲しいです。もうクルーゼさんが傷つくのを私は見たくないんです!」

 

「・・・予想通りの回答だ。まあその件は一旦置くとして・・・見えた。芳佳、センサーは奴を捉えてるかね?」

 

「あ はい。見えました。」

 

「開幕速攻だ。芳佳、マグナムを撃ちたまえ。」

 

「はい!」カチッ フィーン ズギューン

 

様子見で芳佳にぶっ放してもらったが、どうか・・・

 

「何!?」

 

厄介な・・・iフィールドだと!?芳佳の攻撃を偏向しやがった!

 

「クルーゼさん、無効化されましたけどどうすれば・・・。」オロオロしてる

 

「ええい!」 クスィフィアスⅡレール砲を射つ。

 

物理攻撃は・・・やはり効かんか。

 

「PS装甲か?なら接近して仕留めるしかないな。芳佳、突撃する。援護射撃を頼む。」

 

ビーム・サーベルを構えて突る

 

「わかりました。」ズガガガガガ

 

ユニコーンガンダムのシールド裏には連装ビーム・ガトリングガンが装備されている。芳佳に弾幕を張らせてその隙に敵に私が接近する。

 

「私の本気の剣・・・受けてみるが良い!」

 

 

 

 

 

機動戦艦 紀伊(アルビオン)艦橋

 

 

 

「暇だね~トゥルーデ?」

 

「アイツと宮藤は大丈夫だろうか・・・。」

 

「大丈夫ですわバルクホルン大尉。高々一匹風情にやられてしまっては扶桑の面目丸潰れですもの。あの方はそれを重々御承知のはずです。」

 

「・・・だと良いんだがな。」

 

「坂本艦長、長官機から入電!」

 

「何と言ってきた?」

 

「『我指揮・管制不可能。ヴィルケ大佐の指示を仰げ』以上です。」

 

「まさか長官が撃墜されたのか・・・ミーナ、長官が残された命令書の出番だ!」

 

「わかったわ。」 命令書を開く

 

「・・・。」

 

「 何て書いてあったんだミーナ?」

 

「『黄金の光を観測してから5分後に全機出撃。目に入るネウロイを巣諸共全て撃破せよ。艦隊含む全体指揮は山口少将に、現場の細かい指示はヴィルケ大佐が取るべし。』」

 

「黄金の光?・・・まあそれは良いとして・・・総員戦闘配置!」ピピピッピピピッピピピッピピピッ

 

「主砲・副砲配置良し!」

 

「カタパルト射出準備態勢へ!」

 

「対空砲配置良し!」

 

「噴進弾発射管、全門対空榴散弾装填!」

 

「総員戦闘配備完了!」

 

「ありがとう副長。山口少将に繋げ。」

 

「はっ。接続します。」 ピッ

 

「どうしたんだ坂本中佐?」

 

「はっ。長官の非常事態につきの指示により、巣“グリプス”の方向から黄金の光を観測次第我々501は“グリプス”に攻撃を仕掛けます。少将には長官の命令書に基づき艦隊の指揮をお願いします。」

 

「了解した。この山口多聞が航空戦指揮のみならず、艦隊指揮も南雲さんには及ばずとも一流であることを教えてあげよう坂本艦長。貴様の艦も指揮下に入れて良いのかな?」

 

「はい。小官も出撃しますので。」

 

「わかった。一時的に預かろう。」

 

 

 

 

 

 

 

「はぁーーーっ!」

 

シュペール・ラケルタ ビーム・サーベルをアンビデクストラス・ハルバードにして人型に振り下ろすが、敵もノイエ・ジールよろしくビーム・サーベルを展開して応戦してくる。

 

「この距離・・・果たして生き延びられるかな?」カリドゥス複相ビーム砲をゼロ距離射

 

ええい!効かんのか。奴はゼロ距離にもiフィールドを張っている。やはりビーム・サーベルで斬る他無いようだ。

 

「ならこのオールレンジ攻撃を試してみよう。踊ってもらおうか。機体が朽ちる程に!」

 

パパパンパン ドラグーンを射出する。

 

このストライクフリーダムはオリジナルと異なりドラグーンにビーム刃形成能力を付けている。そしてレジェンドと違い全てのドラグーンがビーム刃を形成できるので8方向からビーム・サーベルが飛んでくるのと同じである。これ程の一斉攻撃、躱せるかな?

 

「・・・」 ヒラリヒラリと躱す

 

「ええい!これでも決定打足りえぬのか!?しかし、奴の右腕はどこにいった?」

 

いつの間にかノイエ・ジールよろしく射出していた奴の右腕がどこにいるのかわからない。しかも有線誘導ではないからケーブルをたどって見つける事ができない。センサーにもヴィルケ君の固有魔法の上位互換“パーフェクト・レーダー”にも反応がない。どこだ?

 

ガシッ ベコン ズシャッ

 

「ん?」

 

変な音がしたので右を見てみると、奴の右腕ビーム・サーベルに私の右腕が切り落とされていた。

 

「くうぅ!」

 

激痛が走る。何故だ。何故奴の右腕は私のパーフェクト・レーダーに映らない?

 

「・・・」スッ 人型が目の前に迫る。

 

「しまった!」

 

やられる

 

そう思った次の瞬間、私の視界は黄金に染まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「黄金の光を観測。艦長!」

 

「ミーナ!」

 

「501全機出撃スタンバイ!急いで!!」

 

「「「了解!」」」

 

 

 

 

 

 

 

黄金の光が視界から消えると、そこには言い伝えにある中央を司る神・・・黄龍がそこにいた。デカい。リアルサイズのMSでさえ比較にならん位デカい。威厳に満ちている。だがその瞳は芳佳独特の優しい眼である。人型も呆気にとられたのか棒立ちになっている。今だ!

 

「このッ!!」 人型を全力で芳佳(黄龍)の方へ蹴り飛ばす

 

「やれぇ!芳佳ァー!!」

 

グオォォォーーーーッ!!

 

雄叫びをあげながら芳佳は口から思いっ切り金色のブレスを吐き、人型を呆気なく跡形もなく消滅させる。神の力は単なるビームに非ず。iフィールドでは防げない。ざまあ見ろ。

 

「終わったな。」 ストフリが落ちる

 

血が抜けて力が入らん。後は頼むわ芳佳。丸投げしてすまない。後で何か奢ってあげるから。

 

 

 

 

 

 

 

 

一週間後 A.M.6:00 第501統合戦闘航空団司令部 医務室

 

「ん?」 知らない天井だな・・・いや茶番は良いからさっさと起きろ私の身体!

 

「・・・」Zzzzz

 

何か私にしがみついてるなと思ったらやっぱり芳佳だった。そして今更ながら己が身体を確認してみたが、やはり右腕は全て消えていた。

 

「必要な犠牲だ。この際構うまい。奴は抑止力そのもの。抑止力に斬られたのだ。私が持つカタヤイネン君の自己治癒の上位互換も治癒魔法も我が右腕には効かん。治癒をかけてくれた芳佳には悪いがね。芳佳、起きたまえ。」芳佳を揺する

 

「ん?・・・あ クルーゼさんが起きた!おかえりなさいクルーゼさん!」 飛び掛かる

 

「あぁ、ただいま芳佳。心配かけたね。すまなかった。」芳佳の頭を撫でる

 

まあなんだかんだ色々あったがやっと“グリプス”は破壊できた。やっとだよ。長かったなあ。

ゑ?坂本君、何だねこの書類の量は?私は一週間眠っていた?その間に小沢中将と永野さんが溜め込んだコイツらの処理をお願いしたいだと?・・・ふ ふ フザケルナァッ!!!

 

 

 

次回 STRIKEWITCHES SEED 「次のステージへ」 少女は そして神話となる

 

 




多分次回で第一章は終わりです。第三章(ストライクウィッチーズ2)がそろそろ始まりますので皆さんお楽しみに!

後ペリーヌスキーの皆さん、第一章での出番は今回のほんの少しの登場程度で終わりです。申し訳ありません。多分ペリーヌの本格的登場は現在半凍結状態の「~Universal Century~」あたりからになります(多分であって保障できない。)。本当にすみません・・・作者にそんな文才はなかったんや・・・


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閑話 母親と“官僚元帥”

1944年 10月某日深夜 ダンケルク上空

 

「♪~」

 

カールスラント空軍第3夜間戦闘航空団司令ヘルミーナ・ヨハンナ・ジークリンデ・レント大佐は書類仕事から解放されて久しぶりに夜間哨戒任務に就いていた。

 

「こちらヘルミーナ・レント。誰か聞こえるかしら?」

 

「・・・おぉ。繋がった。お久しぶりです。“母さん”。」

 

「!?・・・久しぶりね。元気にしてた?」

 

「そうですね・・・腕一本無くしましたが、僕は元気にやってますよ。ひとまず母さんは昇進おめでとうございます。」

 

「ありがとう。そちらもガリア解放に成功したようで良かったわ。おめでとう。で、あなたなんで今日連絡してきたの?私の昇進に対する祝辞のためだけじゃないのでしょ?合理主義の“官僚元帥”さん?」

 

「他の面子・・・モーデル元帥やルントシュテット元帥等に言われたなら無視するにしても、母親に言われるのはちょっと複雑な気分になるからできればやめてほしいですね。」

 

「ごめんなさい。ちょっとからかいすぎたわ。で用件は?」

 

「はい。我が第500特殊遊撃統合戦闘航空団“ロンド・ベル”の人員が異動します。リベリオンから来ているマクガイア少佐は妹さんと交代、カールスラント出向組はメルダース大佐の将官入りにより総入れ替えになります。それに伴い交代要員をゲーリング国家元帥に相談したところ、母さんを推薦してきましたのでご報告をと思いまして。」

 

「私にロンド・ベルに来いと?」

 

「駄目でしょうか?僕としても母の内の一人に来ていただければモチベーションが上がりますし、何より夜間戦闘のプロが来てくれるなら手放しで大歓迎しますよ。僕以外だれもロンド・ベルの面々は夜間戦闘が得意ではありませんからね。その他にも母さんが使用している専用機より強力な母さんの為の機体の製造も視野に入れていますので本人に来て頂けるとデータ採集の手間が省けて僕的には嬉しいです。」

 

「・・・皆と相談してから決めるわ。少し待ってて頂戴。」

 

「わかりました。是とお答え頂けるのでしたらカムフーバー中将ではなくリヒトホーフェン元帥に直接異動願を出しておいて下さい。良き返事をお待ちしております。それでは。」 ブチッ

 

 

 

 

 

 

「・・・という話だけど、受けようかしら?」

 

「受けましょう!!」

 

「地獄の最前線とはいえ、通常の倍の給料、強力なMS、潤沢な補給、男性の・・・しかもあの“英雄クルーゼ”の手料理が毎日食べられるなら受ける以外ありませんよ司令!」

 

「皆賛成のようね。なら受けるわ。でも連れていけるのは私を含めて6人だけだから残り5人は私の選んだ強い子になるから選ばなかった子にはここで謝っておくわ。ごめんなさい。」

 

「大丈夫ですよ司令。それに501並に名を轟かせているあの“ロンド・ベル”に人員を送り込むのです。下手な奴を送る訳にはいかない事は重々承知しております。ご心配なく。」

 

「うん、ありがとう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

扶桑皇国海軍第七艦隊司令部 ジャブロー

 

 

 

 

「・・・という訳で宮藤博士には例の機体を製作の上第502統合戦闘航空団司令部に送って頂きたいのですがよろしいでしょうか?」

 

「わかりました。ただちに取り掛かりましょう。」

 

「ありがとうございます。よろしくお願いいたします。それでは。」 ブチッ

 

「・・・」 パサッ

 

宮藤博士は一枚の機体の設計図を広げた。その図の端にはMSのコードが書かれていた。

『PMX-000E MESSALA E』と。

 

 

 

 





解説

PMX-000E メッサーラE

PMX-000 メッサーラをあらゆる戦場に対応できるよう設計段階から見直した機体。小型化に成功したミノフスキー・クラフトを艦艇以外で初めて搭載できた機体でもある。加速時にパイロットにかかるGが殺人レベルだが、ウィッチなら何とか耐えられるレベルである。夜間戦闘に備えステルスを発揮する塗料で塗装してあるためカラーリングが真っ黒クロスケである。 やっぱりデカい。


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次のステージへ

解説

宮藤芳佳のパーソナルマーク

原作と大幅に異なり、まんまビスト財団のマークである。ただし、ユニコーンの首に書いてある『THE VIST FOUNDATION(ビスト財団の意)』の言葉が『Ich bin mit der Hoffnung(カールスラント語で「我は希望と共に」の意)』に置き換えられている。もちろんデザインしたのはクルーゼ。その下には白いリボンが型どられ、その中に『MOBIUS-5』と書かれている。




コールサイン

1945年1月1日以降に扶桑皇国陸海軍の航空ウィッチ、パイロットに与えられたTACネーム。一部エースのコールサインはガンダムを始め様々な作品から名前をクルーゼは出している。詳細は不明だが、第七艦隊所属のウィッチのコールサインは一部が判明している。下記がその例。


ラウ・ル・クルーゼ→メビウス1

アンジェラ・サラス・ララサーバル→メビウス2

竹井醇子→メビウス3

ヨハンナ・ヴィーゼ→メビウス4

宮藤芳佳→メビウス5

雁淵ひかり→メビウス6

若本徹子→デルタ2

坂本美緒→デルタ3

新藤美枝→ロメオ1

雁淵孝美→ロメオ4

西沢義子→ラーズグリーズ1





セレナ・C・キンケイド

リベリオン合衆国海軍中将。リベリオン遣欧艦隊副司令官兼第6艦隊司令官。クルーゼとは知己の間柄。





ロンドン ブリタニア国防省

 

「ではこれよりラウ・ル・クルーゼ海軍大将とトレイシー・マロニー空軍大将によります会見を始めさせていただきます。」 パシャパシャパシャパシャ

 

あーカメラのフラッシュが眩しい。まあ前世でもずっと浴びてたから慣れてるけどね。私は今、ロンドンのブリタニア国防省の一室をお借りし情報発信の為の記者会見を催している。一緒に501を指揮したマロニーさんとも一緒だ。

 

「ではクルーゼ大将、発表をお願いします。」

 

「はい。去る8月24日、第500特殊遊撃統合戦闘航空団と第501統合戦闘航空団はガリア解放の為にゲイ・ボルグ作戦を発動。私と宮藤芳佳准尉がガリアのネウロイの巣“グリプス”に突入、内部に潜伏していた巣の首魁とおぼしき人型ネウロイと交戦し、これを撃破。然る後、ヴィルケ大佐率いる500と501の連合統合戦闘航空団の後続部隊が突入、ネウロイの抵抗少なく巣を破壊する事に成功、ガリアが解放されました。」 パシャパシャパシャパシャ

 

というシナリオがメディア向けの内容だ。真実を馬鹿正直にぶち撒ける訳にはいかない

からね。

 

「では質問をどうぞ。」 記者達が一斉に手をあげる

 

「では私から見て左から順次に。」

 

「はい。ニューヨーク・タイムズの者です。クルーゼ大将、よろしいでしょうか?」

 

「どうぞ。」

 

「恐らくここに居る全員が思っている事ですが・・・閣下、右腕が無いですが、それは例の作戦での戦傷でしょうか?」

 

「はい。見事なまでに綺麗に斬られました。本来なら失血死してもおかしくはなかった。ですが、共に戦った宮藤准尉が私を助けてくれましたから、私はここにいます。」

 

「では次の方。」

 

「カールスラント日報の者です。クルーゼ大将、今回の戦闘では、閣下の会社からまた新兵器が投入され、それにより作戦が成功したという噂が流れておりますが、事実でしょうか?」

 

「いいえ。残念ながら事実ではありません。ですが新人員を投入したのは事実です。」

 

「その仰りようから察するにその新人員によって今回の奇跡が起きたと我々は解釈してよろしいのでしょうか?」

 

「その通りです。先程申し上げた宮藤准尉がそれに当たります。彼女がいたからガリアは解放された。彼女は私が倒せずあまつさえ腕も斬ってのけた敵の人型ネウロイをいとも簡単に葬り去った。ガリア解放の功労者は彼女と言っても過言ではない。」

 

「彼女の実力は・・・私を軽く凌駕する。」

 

パシャパシャパシャパシャ ザワザワザワ

 

記者共が騒ぎだした。まあ無理もない。撃墜数は2000を超え、欧州において扶桑のウィッチ(ウィザード)と言えば誰もが第一に私が浮かぶ今の欧州の状況。そんな中当の本人が自分を超える者ありと言えば騒ぐのも当然だ。

 

「では次の方。」

 

「ワシントン・ポストの者です。クルーゼ大将、ではその宮藤准尉は閣下が以前発売された著書『ニュータイプ論』で登場した“新人類”にあたる存在なのでしょうか?」

 

「はい。私と宮藤博士を除く“扶桑皇国最高戦力”にあたる“灰王”、“紅星”、“黒獣”に続く第四のニュータイプであり、最強のニュータイプ・・・それが宮藤准尉です。」

 

灰王はアンジェラ、紅星は醇子さん、黒獣はヨハンナちゃんである。

 

 

 

 

会見は2時間に及んだ。あらゆる事を根掘り葉掘り聞かれた。疲れたよ。

ちなみに芳佳の龍の力の事はバラさなかった。扶桑皇国の成り立ちに対する挑戦になる可能性があったからだ。この世界の扶桑皇国の皇室が皇室足りうるのは、初代様・・・扶桑の初代天皇たる神武天皇が契約して以降その血を引く者が代々全員で一体の使い魔・・・龍を宿す事が根拠であったからだ。芳佳の力は擬似的な龍の力に過ぎず、さっき言った皇室の人間たる根拠がもはや形骸化しているとはいえ、扶桑神話に喧嘩を売るような事態を回避、無用な混乱を扶桑に招く事を確実に防ぐ為にも、情報は秘匿し、芳佳にももう使わないように指示したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご苦労だった500、501の諸君。ではガリア解放を記念し・・・乾杯!」

 

「「「乾杯!」」」

 

 

 

 

 

「山口さん、私が寝ていた間の司令長官代理の任をやってくださりありがとうございました。」

 

「いえいえ。それに業務は井上さんにも手伝って頂きました。井上さんにも後でお礼を言っておいた方がよろしいでしょう。」

 

「わかりました。」 ラムを呷る

 

 

 

ガリア解放記念パーティーで山口さんと事務的会話をし

 

 

 

「芳佳、君は一旦本国に戻り、学校を卒業してきたまえ。お父上の休暇が重なるから親子の時間を過ごしてきなさい。後の指示は追って出す。」

 

 

 

芳佳を扶桑に送り返し(本人は私から離れたくないとぶーたれていたが)

 

 

 

「・・・」 書類整理中

 

 

 

小沢さんと永野さんに押し付けられた書類を片付けたりした。そして今、テレビ電話でブライト・ノアの皮を被った親友と連絡をとっていた。

 

 

 

「久しぶりだね相棒。」

 

「あぁ。どうした?君から連絡とは珍しい。」

 

「今後の作戦展開をあらかじめ言っておこうと思ってね。」

 

「・・・。」

 

「原作『STRIKE WITCHES 2』ではロマーニャが舞台だったがね、私はこれを少しいじる。」

 

「いじる?」

 

「この世界での『STRIKE WITCHES 2』の舞台は・・・????だ。」

 

「!?・・・じゃあ、この世界で初めて俺と君が一緒に戦う舞台は砂漠か。大丈夫なのか?俺はもう慣れたが君は慣れてないだろうに。それに501の面々が大丈夫とも思えん。」

 

「僕も彼女達も柔ではないから安心したまえ。」

 

「わかった。君の言葉の信じよう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宮藤芳佳が欧州に戻り、再召集される501。500+αと共に降り立った新戦場。

 

 

「暑いわねェ~。」

 

「言うなヨハンナ。皆そう思っている。」

 

 

 

 

 

 

「よう堅物。」凄みのある笑顔

 

「久しぶりだな尻軽。」こっちも凄みのある笑顔

 

 

 

 

 

 

「マルセイユ君、そのような戯言は寝て言うか私に模擬戦で勝ってから言いたまえ。」

 

「なら今から勝負だ“官僚元帥”!」

 

 

 

 

 

「ご退場願おうか、扶桑の金髪の小僧。ガリア、我が喜び。」

 

 

 

 

「血迷ったか。まさか暗殺者チームを出してまで私を直接排除しようとするとはな・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女達は無事に新戦場で生き残る事ができるのか?

 

 

第三章 「STRIKEWITCHES SEED DESTINY」開幕!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




第一章がやっと終わりました。第三章の舞台のヒント(答えも同然)が既に書いてありますが何故クルーゼがそうしたのかというと、原作のような新しいネウロイの巣は発生しない(ご都合主義)事を未来視からわかっており、ヒロインの一人たる竹井醇子が原作よりも遥かに強いからです。パッとしない終わり方で申し訳ない。ですがそれでも読んでくださる皆さんの為、頑張りますのでこのゴリー少将をどうぞよろしくお願いします!


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第二章 BRAVEWITCHES DEGENERATION
叙勲


見切り発車で第一章と同時並行でこちらもぼちぼちやっていきます。


「いきなり夢に押し掛けて済まない。だが近い将来君の力が世界に必要になる。取引をしよう。私は君の力を覚醒させ、その使い方や勉学を教える。そして君が望むものを私が用意できるなら何でも用意しよう。その代わり、“悪”に容赦のない苛烈・獰猛なウィッチになって欲しい。君の持つ力で人が行える限り徹底的で冷徹無慈悲な“正義”を掲げて戦場を駆けて欲しい。その生き様で以て次の世代に“正義の道標”を示して欲しい。君にしかできない事だ。応じてくれるかい?」

 

―――――――――――――――――――――――――

 

「俺ではあの男を救えない。かつても、ブライト・ノアとなった今もだ。アイツの計画を助けるのが精一杯。俺の力量じゃアイツの闇を祓い、飢えを満たす愛を与える事は不可能だ。だからアイツが前世からファンだった彼女達に賭ける。俺が賭けられるもの全てを賭して今回の人生を使ってアイツに救いを与える。我が友〇〇、いや、ラウ・ル・クルーゼに救済あらんことを。」

 

―――――――――――――――――――――――――

 

私は今皇居の明治宮殿正殿の閉じられた入口前に雁淵孝美大尉と共に立っている。しかも珍しく海軍の通常礼装でだ。ちなみに明治宮殿とは、皇居内の明治天皇以降の皇室の中心的施設である。私の前世日本で行われていた大日本帝国憲法発布式もここで行われた。今世でもここで扶桑皇国憲法が発布されている。そのような偉大な場所一体で何が行われるのか?時間軸は1ヵ月前、扶桑本国に帰還した直後ににさかのぼる。

 

 

 

「皇国元帥への昇進にございますか?」

 

「そうじゃ。」

 

「失礼ながら、陛下は私の現在の階級と年齢をお忘れでございますか?」

 

「忘れるはずがなかろう。」

 

では何故・・・

 

「今年で妾が即位してもう5年・・・欧州で戦が始まってもう6年じゃ。自身も多忙を極め、あまつさえ戦で右の腕を失おうとも妾の為民の為にあらゆる手を使って尽くしてくれたお主に対しての褒美じゃ。それに軍規では指を3本失えば退役せねばならぬはずじゃ。増してお主は腕一本を失っておる。本来なら退役は免れぬ。じゃが元帥になれば・・・。」

 

なるほど。元帥は終身現役。退役しなくて済む・・・とおっしゃりたい訳ですな。

 

「お主は今は亡き東郷以来初の扶桑の“最高戦力”になりおおせた者じゃ。それに今退役させると欧州が黙っていまい。その上永野や畑、寺内ら元帥達からの強い推薦もある。妾も功も能力も文句無しにお主は皇国元帥に相応しいと考えておる。」

 

推薦があったのか。しかし・・・

 

「永野さんの場合自分に来る書類を私に回して楽したいだけなのでは?」

 

「・・・永野じゃからの。否定できぬな。」

 

何気に陛下からの評価が低い永野さん。考えてみればよく元帥になれたよなあの人。

 

「史上最年少の元帥の誕生じゃ。昇進式は一ヶ月後に明治宮殿正殿で行う。ついでに欧州で圧倒的武勲をあげて帰還したお主が以前言っておった雁淵には、妾が褒美に直接アカツキを与えるからの。異論は認めぬぞ。良いな?」

 

「・・・はっ。承知致しました。陛下の御心のままに。」

 

 

 

 

 

 

明治宮殿正殿の扉が開く

 

「海軍大将、クルーゼ伯殿。海軍大尉、雁淵殿。」

 

「「はっ!」」

 

いやすげーな。皇室の皆様、軍政財界トップ達、華族の豪華な顔ぶれの視線が私と雁淵君に突き刺さる。そして玉座にお座りになっている陛下の御前に雁淵君と一緒に跪く。

 

「クルーゼ伯、此度の遠征における武勲、誠に見事であった。」

 

「はっ。ありがとうございます。これもひとえに、陛下の御威光の賜物にございます。」

 

「うむ。」 侍従から書状と元帥杖を受け取る

 

「此度の欧州大戦における怪異討伐の功績により、汝海軍大将クルーゼ伯を皇国元帥に任じ、また皇国全軍の指揮権を朕の名代として振るう事を命じ、重ねて、侯爵に叙するものである。昭和5年10月15日、裕仁。」

 

立ち上がり、書状と元帥杖を賜る

 

「海軍大尉、雁淵孝美。」

 

「はっ。」

 

「此度の欧州大戦、リバウにおける怪異討伐の功績により、汝に金鵄勲章功三級を授け、重ねて、朕の重装戦闘脚『アカツキ』を与えるものである。昭和5年10月15日、裕仁。」

 

「・・・。」 金鵄勲章と待機状態のアカツキを下賜される

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご苦労だったね雁淵君。」

 

「はっ。」

 

「君が陛下から下賜されたMS『ORB-01 アカツキ』は特殊なMSだ。第502統合戦闘航空団に参加する前に我がクルーゼ・エレクトロニクス佐世保分工場〈ロンデニオン〉に向かい、調整と運用方法を学んでくれたまえ。明日を含め一週間の学習期間を設けるから頭に詰め込んで欲しい。その次の一週間を休暇とする。ご家族に会ってきたまえ。その後、佐世保鎮守府脇のクルーゼ・エレクトロニクス所有の飛行場に待機させてある機体でペテルブルグの502基地に直行するように。よろしいかね?」

 

「了解しました。」

 

「後一つ言っておく。」

 

「?」

 

「佐世保にもう君の妹さんはいない。私が特殊任務に就かせた。だが落胆しないで欲しい。直ぐに会える。」

 

「??・・・了解しました。直ちに佐世保に飛びます。失礼します。」ガチャン 扉が閉まる

 

「・・・さて、ひかりちゃんをマグマを出す海軍元帥のごとく苛烈な別人にしてしまった私を雁淵君はどう思うかな。」

 

「恨むか、或いは憎むか・・・はたまたそれらの感情を通り越して私を殺すか。」

 

「人の感情を完全に予測する事はできない。90年近く生きててもそうだ。いやぁ 人間って、理不尽で・・・とても面白いね。そうは思わんかね親友?」

 

私はそんな独り言を今アフリカ方面で戦っているブライト・ノアの皮を被った親友に向かって呟いた。

 

 

 

 

次回 BRAVEWITCHES DEGENERATION 『炎の勇者』

 

少女は そして伝説となる

 

 

 



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炎の勇者

解説

三隅美也

扶桑皇国海軍佐世保航空予備学校飛行学生(→第七艦隊所属の飛曹長)。固有魔法は『炎』。ポートガス・D・エースやサボの『メラメラの実』の能力。身体の実体を捨てる事もできる。現在できる最大の技はまだ“火拳”だが、“炎帝”ができるようになるのも時間の問題である。原作では雁淵ひかりを見下していたが、今作では、クルーゼのてこ入れで頭脳・飛行技術共に化物と化した雁淵ひかりに追いすがろうとする謙虚かつ力に貪欲な魔女として登場する。


佐世保航空予備学校 校長室

 

「お久しぶりです北郷大佐・・・いや校長。」

 

「お久しぶりです総帥。」 コーヒーを出す

 

「それで今日いらした理由を教えていただきたいのですが?」

 

「雁淵ひかりちゃんに次いでもう一人引き抜かせていただきたい。」

 

「・・・了解しました。先日いらした宮藤博士から募集をかけるよう指示がありましたので現在我が学生達に欧州派遣の二次募集をかけており、間もなく締め切ります。ですが・・・。」

 

「ですが・・・どうしたんです?」

 

「激戦地に行く躊躇いからか現状一名しか応募しておらず・・・。」

 

「一人いれば十分です。でその勇者の名は?」

 

「三隅美也。火を自在に操る固有魔法の持ち主であり、雁淵ひかりに並ぶ頭脳・技術を持つ者です。」

 

「ここに呼んでいただけますか?」

 

「了解しました。」

 

 

 

 

 

 

 

「お初にお目にかかりますラウ・ル・クルーゼ第七艦隊司令長官閣下。自分は三隅美也飛行学生です。」 敬礼

 

「はじめまして三隅君。ラウ・ル・クルーゼです。」 答礼

 

「早速だが本題に入らせていただく。座りたまえ。」

 

「はっ。」

 

「第二次欧州派遣に君は志願したようだが、理由を教えて貰いたい。」

 

「自分の有り余る力を人々の為に行使したい・・・ただそれだけです。」

 

「承知した。面接を終了する。」

 

「!?・・・失礼ながら長官。」

 

「何だね?」

 

「一分足らずの面接など、自分は聞いたことがありません。それに自分が欧州派遣させていだけるか否かもこれではわかりません。結果を教えていただきたいのですが。」

 

「面接は合格。二次試験・・・実技試験を明日行う。内容は・・・。」

 

「・・・。」 ゴクリ

 

「私と戦って貰う。」

 

「!?」

 

「条件は君も私も同じ訓練用九七式重装戦闘脚(ジェガン)の標準装備でビーム・ライフルとハイパー・バズーカをどちらか一挺のみ。被弾の有無を問わず先に体力が尽きた方の負け・・・という内容だ。君の固有魔法の本質を考慮しての内容だ。そして君は固有魔法を本気で私に使うように。君の奮戦次第で派遣を検討する。」

 

「しかし、自分の固有魔法は強すぎます!下手したら長官を炭にしてしまう可能性も・・・。」

 

「問題ない。伊達に“扶桑皇国最高戦力”だと陛下から認められてはいないのだから。命令である。存分に使うように。」

 

「・・・了解しました。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すごい観客だね。私はただ三隅君と模擬戦するだけなのにね。」

 

「“英雄”の戦いを直接観戦できるのです。来ない方がおかしいです。」

 

「まあ良い。始めよう。位置についてくれ三隅君。」

 

「はっ。」

 

 

 

 

 

 

「・・・では模擬戦、開始!」

 

「・・・。」 ビーム・ライフルを腰にマウントする

 

「(どうやら本気でやってくれるみたいだね三隅君。)」同様に腰にマウントする

 

「本気で行きます長官。」手を炎に変える

 

「火銃〈ヒガン〉!」ピュンピュンピュンピュンピュンピュンピュン

 

「・・・。」 回避する

 

「蛍火・・・火達磨!」 ボワン

 

「怖いね~。」 周りを氷にして防ぐ

 

「“英雄”にそうおっしゃっていただけるとは・・・応募した甲斐がありました!」火銃で牽制する

 

「そうかね・・・では私もやろうか!」氷で訓練用ジェガンの右腕を凍らせる

 

「!」

 

「アイス塊〈ブロック〉! 暴雉嘴〈フェザントベック〉!」

 

「!?・・・鏡火炎!」

 

バーン 暴雉嘴と鏡火炎が衝突する

 

「相殺するか・・・中々すごいよ三隅君。」両棘矛〈パルチザン〉で牽制する

 

「ありがとうございます。」火銃で迎撃する

 

「ではこれではどうかな?」氷を解除し手をクロスさせる

 

「?」

 

「八尺瓊勾玉〈やさかにのまがたま〉。」

 

「あれは!?“黒獣”の固有魔法!何故長官が?」回避する

 

「言ったでしょう三隅君?伊達に“扶桑皇国最高戦力”をやってないと。」

 

「流石です長官。でも!!」回避をやめる

 

「?」

 

「私の身体に実体はありません。攻撃は効きません。」八尺瓊勾玉がすり抜ける

 

「(ほう。本当に自然系〈ロギア〉らしいね。ひかりちゃんもそうだったが。しかもこの世界には覇気がないから体力を削る以外に勝利する方法がない。しかも私は三隅君の固有魔法の上位互換を使えても何故か身体の実体を捨てられないし・・・困ったねこれは。しかし・・・。)そのようだね三隅君。しかし、君にはもう体力が残ってないでしょう?体力なくば実体は捨てられない。そこは長い間鍛えてきた私にアドバンテージがある。」白ひげの独特な構えをとる

 

「?」

 

「ふん!」三隅の前に超加速で近づき白ひげの能力を纏った左手で三隅ジェガンの腹部を殴る

 

「カハッ。」吹っ飛ばされる

 

「すごいね。これを受けて尚も意識を保つのか。流石はひかりちゃんがライバルと讃えただけのことはある。」

 

「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・あの子が私をライバルと認めてるとは・・・思わなかった・・・長官、私の最強の技を撃ちます。お覚悟を。」

 

「いつでもきたまえ。」

 

「火拳!」

 

「雷神の鉄鎚〈トール・ハンマー〉!」

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫かな三隅君?というより済まなかった。君のあまりの強さについつい熱くなってしまった。少し加減を間違えば君を殺してしまうところだったよ。現に骨を何本か折ってしまったのだ。」

 

「大丈夫です。問題ありません。それより長官、私は合格ですか?」

 

「文句無しで合格だ。私を熱くした時点でもう十分だ。三隅美也飛行学生。」

 

「はっ。」

 

「貴官を我が第七艦隊の一員に迎え、飛曹長として第72飛行隊へ配属する。よろしいか?」

 

「はっ。拝命、慎んでお受け致します。」

 

「まあ婿入り先がもう5人いる身の上だから私を与える事は流石に無理だが、まあそれ以外のあらゆる私が用意できるものはできる限り世話しよう。第七艦隊所属の肩書き=激戦地への投入に他ならないからね。その見返りだ。」

 

「ありがとうございます。」

 

「ケガが完治したら直ちに我がクルーゼ・エレクトロニクス所有の佐世保飛行場から飛ぶ機体で第507統合戦闘航空団に向かいたまえ。君には九七式重装戦闘脚三型“ジェスタ”を支給する。スオムスで存分に暴れてくれたまえ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

次回 BRAVEWITCHES DEGENERATION 『蒼翼、502へ着任す』

 

少女は そして神話となる

 




雷神の鉄鎚〈トール・ハンマー〉

ペリーヌ・クロステルマンの固有魔法『トネール』の上位互換を応用したプラズマ砲。見た目は真っ青な極太レーザー。高い破壊力を持つ。


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蒼翼、502に着任す

解説

雁淵孝美
扶桑皇国海軍第七艦隊第70飛行隊所属の大尉。制服は言わずもがな赤服である。乗機はRGZ-95C リゼル指揮官機→ ORB-01 アカツキ。固有魔法は原作と同じ(漫画版←これ重要)。最初はラウ・ル・クルーゼに強い憧れ(と貞操観念逆転世界の女性特有の劣情入り交じる視線)の目を向けていたが、502に着任した後、冷酷・苛烈の権化になってしまった妹に驚き、その原因がクルーゼと知って以降、怒りと恨みの視線を向けるようになる。


キャプテン・レックス
特殊海兵師団所属のロボット兵。ヨハンナの従兵を務めている。


ペテルブルグ
オラーシャ帝国の首都。現在は第502統合戦闘航空団司令部が置かれているだけで、廃墟と化している。原作と異なり、ネウロイによってめちゃくちゃにされている。



フィジカル・ハッキング

ラウ・ル・クルーゼが使用する固有魔法の一つ。魂が強く、乗っ取る事が不可能な存在であるウィッチ以外の常人の精神を乗っ取り傀儡にする事ができる魔法。汎用性が高く、他人の夢に侵入して対象と会話をしたり、他人の脳から知識・情報を吸収する事ができる。射程はほぼ無制限。




北極上空 第七艦隊旗艦 相模 艦内

 

「宮藤博士、今回の雁淵ひかりちゃんと出雲(ミネルバ)の502への輸送任務、お疲れ様でした。」

 

「はい。ありがとうございます。」

 

「博士はこのまま機動駆逐艦『葵』(クラップ級)で横須賀に帰還し、貯まった有給休暇を使ってきて下さい。後芳佳の中学校卒業式に私の代わりに出て下さい。」

 

「無論です。仕事にかまけて何もしてあげられなかった私のせめての娘孝行に出席するつもりです。」

 

「後芳佳にこれを。」 立体映像を出せる特殊スマートフォンを差し出す

 

「しばらく芳佳とは会えませんし、拗ねられても困りますからね。」

 

「了解しました。芳佳も喜ぶでしょう。」懐にしまう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん~嫌になっちゃうわねェ~。」

 

「愚痴を吐くなヨハンナ。私だってあったかいノイエ・カールスラントからいきなり極寒のペテルブルグに転属なんて聞いた時は流石にクルーゼ長官にキレたぜ。だがまあ良いだろう。久しぶりに旦那の胸に飛び込めんだからな。文句をたれるのは止めろ。」

 

「ヴィーゼ少佐、ポポワ中尉。『花(クラップ級)』の航海経路を北極経由での迂回路に変更しました。よろしいでしょうか?」

 

「大丈夫よォ~レックスゥ~。ありがとうねェ~。」

 

「はっ。」

 

「ん~しっかしラウさんも今回本気みたいねェ~。」

 

「本気?どういう意味だヨハンナ?」

 

「だって考えてもごらんよォ~ナージャ。今回の502への召集はヤバいわよォ~。私とォ~アンジェラさんとォ~ラウさん本人も出てくるからねェ~。」

 

「“扶桑皇国最高戦力”を3人も・・・大げさ過ぎるな・・・クルーゼ長官は一体何を考えている・・・それほど502が対峙してる敵が強いって事なのか・・・?。」

 

「その上バスターコールも使うかもって話だからねェ~。502での戦いはカオスになるわねェ~ナージャ。」

 

「バスターコール!?マジか!」

 

「(今回の戦い、何か嫌な予感がするのよねェ~。こんな予感当たらないと良いのだけれどォ~。)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後 ペテルブルグ 第502統合戦闘航空団司令部 会議室

 

 

 

「今日は“英雄”が15:00に我が502に着任する日だ。その際は全員集合し整列、粗相のないように出迎えをする。良いな諸君?」

 

「「「はい!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ・・・うぅ・・・うぅさみい。くっそ。クルーゼ長官はなんでこんな最悪なタイミングに来んだよ!ったく。」

 

現在1944年12月中旬。ペテルブルグは極寒地獄である。そんな中外でクルーゼを歓迎するために待たされている菅野達はたまったものではない。クルーゼも極寒地獄なのは承知していたため、502司令のグンドュラ・ラルに、着任した際502メンバーは無論のこと儀杖隊も省略して構わないと通達していたが、『祖国の恩人かつ外人唯一の柏葉・剣・ダイヤモンド付騎士鉄十字章受賞者であり、扶桑の元帥たる方にそのような無礼はできない。』と拒否した結果が先程の菅野の悪態である。

 

ゴォーーー

 

「・・・来たか。」

 

「大きいですね。我がオラーシャの戦艦が霞んで見えてしまいます。」

 

「そうだろうなサーシャ。戦艦相模(ゼネラル・レビル)は全長が軽く600メートルを超えてる化け物戦艦だ。そして扶桑の力の象徴であり、“英雄”の座乗艦でもある。」

 

ん?相模(ゼネラル・レビル)から何かが飛び出してきたな。あの蒼い翼・・・まさか!?

 

ヒューーーン ガシャン ストフリが502+儀杖隊の前に着陸する

 

「久しぶりだねラル君。ジ=Oを直接引き渡して以来だから・・・4年ぶりかな?」ストフリを待機状態にする

 

「えぇ、お久しぶりです元帥閣下。」敬礼して手を差し出す

 

「以後502はしばらくの間私の指揮下で戦ってもらう。良いかね?」答礼して 握手する

 

「了解しました。」

 

「それはそうと出迎えは良いと言ったじゃないかラル君?菅野君の恨みがこもった視線がこちらにむいている。」

 

「はい。しかし、上に礼を怠ったと言われたくはありませんし、閣下には恩がありますので。」

 

「(こんな寒い中壮麗な出迎えをしてくれたからには相応の態度で応えねばな)・・・諸君、出迎えありがとう!お礼と言ってはなんだが、我が座乗艦相模(ゼネラル・レビル)の食堂に招待しよう。豪勢な料理も用意した!存分に食べてくれたまえ。」

 

「「「オォーーッ!!」」」

 

「雁淵姉妹は夕食が終わったら私の所に来てくれたまえ。」

 

「「はい!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

「一週間ぶりだね雁淵君。元気だったかね?」

 

「・・・はい。お陰様で。」

 

「開口一番皮肉を浴びせられるとは思わなかった。率直に答えたまえ。私が憎いか雁淵君?」

 

「・・・はばからず申し上げるなら、憎いです。」

 

「まあ無理もない。だがね雁淵君、力を求めたのは他ならぬひかりちゃんだ。君をも越える英傑になりたいとひかりちゃんは願った。私はその求めに応じただけのこと。ひかりちゃんを別人にしてしまったのも事実だが、私の協力によって君を遥かに越えるが高い制御技術が求められる力を使いこなせるようになったが故に、ひかりちゃんは戦場において無敵となったのも事実。今後の戦闘で、君は実績を確認することとなるだろう。楽しみに待っていたまえ。では雁淵君は退室してくれ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・実際に会うのは今回が初めてだね。はじめましてひかりちゃん。」

 

「はい。クルーゼさん、これから宜しくお願いします!!」

 

原作通り元気な返事だが、声がいささか低く、目がマグマのような禍禍しい赤色に染まっている。

 

「明日、ペテルブルグに向けて航空型ネウロイの大軍・・・大体一個航空団程度が大挙して攻めてくる。君の初任務はそれを一撃で撃滅する事だ。その“正義の力”を、世界に強く示すのだ。」

 

「わかりました。任せて下さい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウーーーー サイレンの音

 

「502の諸君は全機出撃したまえ。航空管制・指揮は私が取る。」

 

「「「了解!」」」

 

 

 

 

 

 

「インパルス、発進スタンバイ。モジュールはフォースを選択、シルエットハンガー一号を開放。シルエットフライヤー、射出スタンバイ。プラットホームセット完了、中央カタパルト、オンライン。気密シャッターを閉鎖します。発進区画、非常要員は待機して下さい。中央カタパルト、発進位置にリフトアップします。コアスプレンダー、全システムオンライン、発進シークエンスを開始します。ハッチ開放、射出システムのエンゲージを確認。カタパルト推力正常、進路クリア。コアスプレンダー、発進、どうぞ!」

 

エンジンを起動させる。今日が初陣の日。この時を待ち続けてた。

 

CLEAR

CLEAR

CLEAR

 

LAUNCH

 

 

「雁淵ひかり コアスプレンダー、行きます!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、BRAVEWITCHES DEGENERATION 『煮えたぎった正義』

 

少女は そして神話となる

 




大空を羽ばたく“正義の体現者”。今後の活躍に期待です。尚、次回でラル、クルピン、サーシャ、ロスマン先生以外の502メンバーの乗機も明らかになります。特に本話にちょっとだけ登場した菅野さんは一体何に乗っているのでしょうか?お楽しみに!


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煮えたぎった正義

今回から主人公(オリ主)の政治家(リアリストであり俗物も兼ねる)としての一面(クズっぷり)が本格的に前面に出てきます。注意して下さい。





解説

菅野直枝

扶桑皇国海軍第七艦隊第71飛行隊所属の中尉。乗機はGAT-X1022 ブルデュエル。現在、第502統合戦闘航空団に出向中。兵学校同期のブライト・ノアとは友人関係(ブライトがそう思ってるだけで菅野自身は劣情入り交じる熱い視線を送っている)にある。尚、クルーゼもブライトも人生キャリアが長い(ブライトに至っては前世を含めれば100歳を越えている)ので人の思惑などすぐに視線を含むあらゆるわずかな仕草でわかるが、この貞操観念逆転ストパン世界の女性は隠すのが上手いのでアデスから詳しい説明を受けたクルーゼはともかく、ブライトは周りから貞操を狙われている事に薄々勘付いてはいるものの、危機感はあまりない。



GAT-X1022 ブルデュエル

菅野直枝中尉の専用機。オリジナルのブルデュエルとの相違点は、整備性向上のためビーム・サーベルとシールドがジェガン(D型)系と同一になっている点である(雰囲気を出す為に蒼に塗装されている)。インファイターであるのと機体色も相まって菅野直枝は“青い巨星”の二つ名を持つ。




下原定子

扶桑皇国海軍第七艦隊 第72飛行隊所属の少尉。乗機は夜間用魔導レーダーを搭載し、宇宙・地上問わず無調整で使用可能なMSZ-006C1 ゼータプラス。




ゼータプラス

エーリカ・ハルトマンの為に製作された機体であるMSZ-006 Zガンダムの量産化・夜間戦闘特化をコンセプトに製作された量産機シリーズ。扶桑海事変前後でのA1型の試験運用データを使用して量産された一般的なC1型と、コスト・整備性度外視で製造されたほぼZガンダムたる世界に一機しかないC4型がある。尚、本シリーズはORX-005 ギャプランと夜間戦闘用MSとして競合関係にあったが、扱いやすさに難がある・魔法力とGがかかりすぎると指摘されていたギャプランに比べて扱いやすく魔法力消費・かかるGが少ないのと相まって本シリーズが勝利したという経緯がある。尚、競争に敗れたギャプランだが、扶桑本国を防空する樫田勇美大尉率いる陸軍ベテラン夜間・高高度戦闘部隊にのみ少数配備してある。



第七艦隊通達

扶桑皇国海軍第七艦隊に所属する者には情報端末(イメージとしてはHT-03A←ドコモの最初期のスマートフォン)が貸与されている。あらゆる情報・通達・命令がこれを通して所属将兵に流れる仕組みである。将兵一人ひとりに所持端末専用に暗証番号と指紋認証システムがついており、これを解除しないと端末は開けない。ニュータイプ達には3Dホログラム同士でクルーゼや他のニュータイプと通話できる特別な端末が支給されている(イメージはi Phone 8 Plus)。




ジョーゼット・ルマール

自由ガリア空軍少尉。乗機はPS装甲がVPS装甲に変更され、ビーム・ライフル、ビーム・サーベル、シールドがジェガン(D型)系と共通化されたGAT-X105ストライク。シールドは赤く塗装されている。ISの量子変換により武器・弾薬・食料等を各MSは大量に収納できるが、ストライクはその容量が非常に多い。エール、ランチャー、ソード、パーフェクトの各ストライカーを収納する為である。ジョゼ自身は身軽なエールを多用している。彼女自身は格闘戦を好まない(やれないとは言ってない)のでジョゼがクルーゼから1942年の502に参加した際にストライクが与えられて以来ソードは今までで一度しか使用していない。量子変換の技術により、呼び出しさえすればストライカーパックの交換は1秒あればすぐ終わる。クルーゼのことは当初男な上仮面で素顔を隠している事から『恐くて得体の知れない人』と思っていたが、繰り返される餌付けと扶桑の高級掃除用具を贈呈された事、ストライクを与えられた事によりクルーゼに対する好感度は初期に比べてかなり高くなっている。クルーゼが“母”と慕うウィッチ達(一部のオールドタイプ)、ニュータイプ達、そして“姉”(バルクホルン)以外で気に掛けている唯一のウィッチ。尚、クルーゼが気に掛けている理由は『餌(料理)を見せると犬のようにすぐ寄ってくる様が癒される』から。作者としても似たようなシステムを搭載した機体に乗る者同士のよしみでひかりちゃんと絡ませたいと考えている。クルーゼはジョゼを犬としてしか見ていないが、ジョゼ本人は料理(餌)をいつもくれるクルーゼのことも美味しくいただきたい(意味深)と考えている。




「アンジェラ、もう情報が届いてるとは思うが、芳佳がガリアにあった巣“グリプス”を破壊した。506の後詰めの任務を中止し、ペテルブルグの502基地に向かってくれ。そこで合流しよう。」

 

「了解した。しかし良いのか?506の戦力では不安しか残らんのだが。」

 

葉巻をくわえながらアンジェラは私に聞く。レビル将軍よろしくハバナ産の物らしい。銘柄は確か希少で有名なパルタガスとか言ったかな?しかも贋作も多いこの銘柄の中でこの前の休暇で本社から直接買い付けた本物らしい。前世も今世も非喫煙者である私には詳しくわからん。最近吸い始めたようだが・・・やはり原因はストレスか・・・。

 

「構わない。彼女達もそこまで柔なウィッチではないし、最悪見捨てても問題ない。そもそも506・・・特に黒田中尉以外の貴族出身者のウィッチにせよガリア王党派にせよ私の欧州圏全体への権勢拡大の邪魔にしかならない存在だ。だが506の方は消すにしても物理的にもプロパガンダ的にも無理だ。放っておいて全滅してくれればありがたい・・・といったところか。例え本当に全滅したとしても、508を上陸させてカバーさせる。戦力的にも何ら問題は無い・・・が私の我が儘で私が母と慕う人物の一人を死地に追い込んでいるあたり、最近は特に私のクズっぷりにも磨きがかかってきたようだ。」

 

「驚いたな。私はてっきり506の存在が不都合になり次第ソーラ・システムⅡでネウロイ諸共焼き殺すとでも言い出すかと思ったのだがな。後506所属でお前が母と慕う奴となると・・・デ・ブランクとかいう奴だったな。まあそれは良いとして、いくらお前の支援があってもリベリオン海軍がお前の言うことをそう易々と聞くのか?」

 

「大丈夫だよ。リベリオン遣欧艦隊のハルゼー大将にせよ海軍トップのキング元帥にせよ前リベリオン遣欧艦隊司令官であり今はリベリオン本国でデスクワークをしているスプルーアンス大将にせよ私がリベリオンの大使館駐在武官だった時に知り合って以来飲み競争する間柄だからね。頭一回下げれば折れてくれる。それに彼女らも既に私の魔眼の支配下にある。それとアンジェラ、今まで聞くに聞けなかったが、葉巻を吸ってる原因を知りたいんだが。教えてくれるかね?」

 

「お前に会えなかった事こそ原因だ。イライラしてたまらない。だが始めてみたら案外美味い。502で合流してもしばらく吸ってるだろうな。」 灰皿に灰を落とす

 

「・・・だろうなと思って君にプレゼントを用意した。楽しみにしていたまえ。」

 

「後今更だがまた言っておくよアンジェラ。マキャベリズムに基づく大を救い少を切り捨てるこの行動は軍官僚であり政治家である私の罪だから、君が気に病む必要は無い。」

 

「お前は我々ニュータイプの所有物。お前の物は私の物。背負うと言っている。かつてのようにまた全て背負うつもりか?」

 

「こればかりは譲れないよいくら君でも。だけど・・・前もそうだったが僕の強がりにも限界がある。その時は・・・まあ君が慰めてくれると嬉しいよ。」

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

「私は・・・3年待ったのだ。」

 

―――――――――――――――――――――――――

 

「出撃したは良いけどよ、良いのかよ隊長?ルーキー一匹、前線に出してよ?いくら孝美の妹でクルーゼ長官の推薦で来た奴とはいえ。」

 

「それがクルーゼ元帥の命令だ。それと追加の命令で『焼け死にたくなければ300以上離れろ。』との事だ。下原、見えたか?」

 

「はい。捕捉しました。敵は小型40から50程度、距離3000、こちらに真っ直ぐ向かってきます。」

 

「見えたようだね下原君。ではひかりちゃん以外の502の諸君はひかりちゃんから後100程離れたまえ。無いとは思うが、万が一ひかりちゃんがミスると巻き込まれるからね。」

 

「「「了解。」」」

 

「ではひかりちゃん、君の“正義”を世界に示したまえ。」

 

「わかりました。」 ジュー ポコポコポコ 右腕をマグマに変える

 

「この世に生きる者はァ・・・正しくなきゃァ生きる価値なし・・・お前らネウロイに、生き場所は要らない!!」 マグマの容積が増える

 

「大噴火ァーーーッ!!!」

 

爽快だ。私の圧倒的な力の前に“悪”が次々と蹂躙されていく。やはり、“悪”は私の“徹底的な正義”の名の下に根絶やしにしなければならない。最初はこそこの苛烈さに対して躊躇いがあったけど、もう迷わない。ネウロイという名の“悪” も、『少なくとも善ではない輩』という名の“悪”も、ことごとく根絶やしにしなければならない。それが私のニュータイプとしての使命であり、“正義”なのだ。

 

「てやぁーーーーーッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

502の面々は驚愕し、戦慄した。雁淵ひかりというルーキーの圧倒的な強さと苛烈な思想に。

 

「あの赤い物体は何なんだい隊長?」

 

「・・・あれはマグマだクルピンスキー。」

 

「マグマ!?山から出るあの赤くて熱いアレなのかい?怖い固有魔法だねえ。掲げる正義もトゥルーデとは別ベクトルで恐いし、能力もヤバいし、凄い子がウチに入ったね~隊長。」

 

「あぁ。」

 

とんでもない奴が入ってきたものだ。とても私より4歳も下の新人とは思えない。“正義”に対する妄執とも言えるこだわり。圧倒的な強さ。

 

「これは・・・世界が、荒れるな。」

 

叶わぬ願いと知りながらも、世界が雁淵妹によって荒れる事が無いよう私は祈らずにはいられなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おめでとうひかりちゃん。これで君は私、アンジェラ、醇子さん、ヨハンナちゃん、芳佳に続く6人目の“一秒で達成されたエース”の仲間入りだ。君の門出を、私は祝福するよ。」

 

「ありがとうございます!絶対的正義の名の下に、もっと頑張ります!」

 

「あぁ。頑張ってくれ。この戦争と混迷の時代において、世界が欲するのは“希望”すなわち君の名前たる“光”だ。君が道を作り、正義と力を示す事で、世界は“悪”に立ち向かう勇気を持ち、前に進むのだ。これからも存分に“徹底的な正義”を貫きたまえ。」

 

「はい!!」

 

「後はこれに君が署名すれば契約は完了だ、君は正式に私のパートナーの一人になる。」結婚届を渡す。

 

「まあ、君のお姉さんが認めてくれるか微妙な所だが。」

 

「ありがとうございます。お姉ちゃんは私が何とか説得してみますからそこは心配しなくて大丈夫ですクルーゼさん。」

 

「ああ 頼むよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

このやり取りから数日後、一隻のクラップ級がペテルブルグに到着した。降りてくる二人のウィッチ。一人はサングラスをかけ、ザフト黒服を真似た第七艦隊の制服を着ており、もう一人は赤服を着ている。黒服の方は白いコートを羽織っており、その背中には『正義』の文字。

 

 

 

 

「ん~寒いわねェ~。」

 

「当然だヨハンナ。オラーシャというだけで寒い。あったかいもんが食いたい。が、鍋はヨハンナのでもう飽きたしなぁ・・・クルーゼ長官にシチューでも作らせるか?」

 

「ん~それも良いわねェ~。芳佳ちゃんとアンジェラさんばっかりズルいと私も思ってたからねェ~。作らないなら光速キックするって脅せば済む話だしィ~。」

 

「長官だからわかるが、くれぐれも他の奴に光速キックを浴びせてくれるなよ?お前案外短気だからな。補佐する私の身にもなれ。」

 

「ん~こればっかりはしょうがないわよォ~私の生まれつきの問題だからァ~。」

 

「このクソ遅い口調で光速で動ける“扶桑皇国最高戦力”なんだから皮肉だわ全く。」

 

「ん~お出迎えみたいよォ~。」

 

ヨハンナの言葉と視線に反応して振り返ってみると、そこには長官がいた。しかし、最後に会った時に比べて少し痩せ細っているように見えた。

 

「久しぶりだな長官。しっかし・・・痩せたな。」

 

「ポポワ君、再会して開口一番に言う台詞ではないよそれは。」

 

「事実だろ?ちゃんと飯食ってんのかおめえ?それとも過労か?」

 

それともその両方か・・・

 

「どっちもだね。」

 

「こいつァ~駄目ねェ~なんとかしないとォ~。」

 

「コーディネイターの体は伊達ではないよヨハンナちゃん。心配は無用だ・・・なんだねポポワ君、『おめえ正気か?』と顔に書いてあるが。」

 

「誰だってそう思うわアホが!心配したヨハンナがどんだけ悶々とした日々を過ごしてたと思ってんだ?そのとばっちりを食らうのは私だぞ。」

 

「すまなかったね。今回の戦いが終わったら有給休暇と皇都の高い寿司を奢ってあげるから勘弁してくれたまえポポワ君。」

 

「・・・わかった。勘弁してやる。」

 

「ありがとうポポワ君。」

 

「ん~なんだかんだ言ってやっぱりナージャは食べ物に弱いわねェ~。」

 

「やかましい。」

 

「ん~しっかしラウさん。一体どういうつもりなのォ~?」

 

「何がだね?」

 

「“扶桑皇国最高戦力”を醇子ちゃんと宮藤博士以外全員集結させて・・・国でも滅ぼすのォ~?」

 

「まあヨハンナだけでも十分国を滅ぼせるがな。」

 

「ん~それは言っちゃイケないお約束よォ~。」

 

「出来る限りの戦力を集めて被害を減らしたかったのだよ。それ以外に他意は無い。今回の戦闘ではその点に留意して欲しい。二人共よろしく頼むよ。」

 

「ん~了解ですよォ~。」

 

「微力を尽くす。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「進路クリア。夜間哨戒部隊、発進 どうぞ!」

 

「了解。下原定子、ゼータプラス、出ます!」 ヒューン ガシャン

 

「ジョゼ、ストライク、行きます!」 ヒューン ガシャン

 

 

 

 

 

「定ちゃん。」

 

「どうしたのジョゼ?」

 

「今週は凄かったね。」

 

「確かにそうね。クルーゼ長官がいらっしゃる事は『第七艦隊司令部通達』から聞いていたから知ってたけど・・・他の“最高戦力”が来るなんて聞いてなかったから驚いたわ。新人のひかりさんもある意味凄まじいし・・・。」

 

「ひかりちゃんって私以上に綺麗好きみたい。『やるなら全てを徹底的に。』って言ってた。色々お話してると私とひかりちゃんって結構似てるんだなって思っちゃった。。」

 

「そうねジョゼ。掃除を邪魔された時やソードストライカー使ってる時のジョゼって今のジョゼからは想像もできないし。」

 

「『徹底的な正義』。」

 

「?」

 

「ひかりちゃんが掲げてる正義がそれみたい。悪を許さず、妥協せず、容赦なく滅ぼす・・・って言ってた。」

 

「苛烈ね。固有魔法も考えるとネウロイがかわいそうになってくるわ。」

 

「でも私はひかりちゃんのこと好きになれそう。」

 

「どうして?」

 

「私達より年下で実戦もこの前が初めてのはずなのに私以上にMSの扱いに慣れてるし、強いし、掲げてる正義も私なんかよりよっぽどしっかりしてるから。」

 

「正義は相対的な物よ。人の立場や価値観でその形を変える。だからジョゼの『平和な正義』・・・故郷を取り戻して宿の経営をご両親と再開したいという願いも間違いじゃないわ。自分で言うのもどうかと思うけど、私の『君臨する正義』も、間違いじゃない。まあ・・・私の正義は坂本先生の請け売りだから偉そうな事は言えないけれど・・・。」

 

「定ちゃんも今度ひかりちゃんと深くお話してみると良いよ。ただ苛烈で冷酷なクルーゼ元帥の子飼いじゃない事がわかるから。」

 

 

 

夜間哨戒部隊の二人は任務中こんな話をしていたそうな。

 

 

 

 

 

次回 BRAVEWITCHES DEGENERATION 「ヴィープリへ行こう」 少女は そして神話となる

 

 

 

 

 

 




今までの自分の作品を振り返ってみて気付きました。『日常話や茶番が他の作品に比べて絶望的に少ないから面白くない。』と。次の話「ヴィープリへ行こう」は茶番系で頑張って書きたいと思っています。応援よろしくお願いします。


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ヴィープリへ行こう

解説



扶桑皇国海軍 人事及び命令

1944年10月16日 ラウ・ル・クルーゼ皇国元帥兼海軍次官兼軍令部次長兼第七艦隊司令長官(以後“クルーゼ元帥”と略す)、前軍令部総長永野修身元帥の引退に伴い、軍令部総長に就任。

同年10月17日 新軍令部総長クルーゼ元帥、大海令第一号を発令。山本聯合艦隊司令長官及び小沢遣欧艦隊司令長官に命令。

「一つ、聯合艦隊司令長官は扶桑海方面艦隊を強化、怪異の侵入を許さぬ防空のための艦隊を編成すべし。」

「二つ、遣欧艦隊司令長官はアフリカ方面の怪異の巣に対し攻勢をかける所要の作戦準備を実施すべし。」





精神世界ネットワーク

アンジェラ・サラス・ララサーバル主導でニュータイプ達の間で建てられたニュータイプ同士精神世界で交信できるネットワーク。クルーゼの預かり知らぬネットワークである。このネットワークの議題は「クルーゼの悲惨な思想をどう変え、我々がクルーゼを救うにはどうすべきか」である。


有賀幸子

扶桑皇国海軍中佐(→第七艦隊所属の大佐)。元ネタの人は戦艦『大和』の最後の艦長。新造機動戦艦「出雲(ミネルバ)」の艦長に任じられた。502(と502と関係を持つカールスラント・スオムス・オラーシャ軍)の指揮を取るクルーゼに艦長キャリアの先輩として、横須賀に一旦戻っている山口多聞少将に代わり助言・補助している。第七艦隊の航海参謀も兼務。




カーリン・ツァイツラー

カールスラント陸軍大将。カールスラント陸軍参謀総長。同じ兵站で苦労する者としてシンパシーを感じた彼女自身がクルーゼを誘って一緒に飲んで以来、深い交友関係を持つようになった。他の各国将帥達同様、現在東部戦線で戦っている娘に対し、クルーゼに婿入りしてもらおうとあれこれ画策しているが上手くいってない。




エーリカ・フォン・マンシュタイン

カールスラント陸軍元帥。502と連携しているカールスラント陸軍とスオムス陸軍の混成特殊軍集団“ペテルブルグ軍集団”の司令官を勤め、副司令官のマンネルヘイム元帥と共にオラーシャの解放に努めている。



ヴァルトルート・クルピンスキー

カールスラント空軍大尉。乗機はRX-78GP03 ガンダム試作3号機。原作では中尉であったが、本作ではクルーゼと取引をし、福島産扶桑酒を月一本と軍退役後のクルーゼ酒造幹部への就職斡旋と引き換えに真面目に仕事をさせられるようになり必然的にラル、サーシャに続く502のNo.3に就任している。だが結局原作程ではないにしてもサボってサーシャに書類の半分は押し付けている。地球連邦軍創設後、利子付きでしっぺ返しが来るとは知らずに・・・




ZGMF-X88S ガイアガンダム

アウロラ・E・ユーティライネン専用機。各種スラスターが強化してある。オリジナルと異なり空中・水中でもある程度の機動が可能。カラーリングは雪国での迷彩も兼ねた運用を想定し真っ白である。



その他

ラウ・ル・クルーゼの異名にカールスラントの“前進元帥”ブリュッヒャーにちなみ“官僚元帥”の名が増えた。クルーゼ自身が『魔女の世界』紙の記者エルネスタ・ニールマンに対し「私は酒場を探せばどこにでもいる『前線の一雄』か海軍省に籠る『官僚』のどちらかでしかない。私にロンメル元帥のごとき将としての華やかさを求めないでくれ。」と発言した事による。事実、前線にいる将官らしい事を一切やっていない事から、一部ではやはり皮肉られている。“防御職人”モーデル元帥や“おばあちゃん”ルントシュテット元帥等の古いタイプの軍人達からも『男が前線に来るな。これは女の仕事だ。』などと批判されている。だが彼の軍政手腕はその点を補ってあまりあるとして、好意的にこの渾名でクルーゼを呼ぶ者も少なからず存在する。





この場を借りて一つひかりちゃんについて誤解なきよう一言解説しときます。ひかりちゃんは『ニュータイプ最弱』ですが火力・飛行技術・頭脳は他のニュータイプに勝らずとも劣りません(というよりマグマのどこが火力が低いと言えるのか)。ジオン・ズム・ダイクンの「誤解なくわかり合える人」から他のニュータイプに比べて最も遠いだけです。つまり他のニュータイプ達に比べて他人と心を通わせたり戦闘時に使えるニュータイプ能力が低いだけです。もっとも、常人・ナチュラル・オールドタイプ(クルーゼも含む)よりかは高いですが。故にニュータイプ達が独自で作った精神世界ネットワークに唯一入ってないニュータイプとなっています。



「今ノ皇国ノ体制ハ、謂ワバ明治維新ノ三傑以下志アル者達ニヨッテ為サレタ異国ニ負ケヌ富国強兵ノ為・・・即チ革新ノ為ノ一時的策ナリ。繰リ返ス。アクマデ一時的ナリ。皇国ヲ、世界ヲ巡ル時代ハ、状況ハ、最早当時ノ状況ト今デハ言フマデモナク同ジニ非ズ。現体制ガ時代ニソグワヌ事コレ明ラカナリ。我ラハ、変化セネバナラヌ。先人達ヲ否定スル訳デハナイ。変エル必要ノナイ物マデ無理ニハ変エヌ。ソシテ先人達モ我ラニ理解ヲ示シテクダサルダロウト私ハ確信シテイル。何故ナラ、コノ“昭和維新”モマタ、“明治維新”ト同ジ革新ノ為ダカラデアル。諸君、新時代ト新体制ヲ歓喜ト希望ヲ以テ迎エヨウ。我ラト後ニ続ク者達ニ祝福アラン事ヲ。」

 

戦後 扶桑皇国議会 衆議院及び貴族院での「新体制創立の詔」に関するラウ・ル・クルーゼ内閣総理大臣の補足演説

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

 

ヴィープリ・・・ブレパンの漫画で出ていたオラーシャとスオムスの国境地帯にあるスオムスのヴィープリ州州都である。人口は4万いるか否か。世界遺産級の建物が多く建ち並ぶ古い町である。漫画曰くカジノと物産がそこそこあるらしい・・・がいかんせん情報が足りない。アデスから情報を貰うという手があるが、今は無理である。全演算を宇宙開発と衛星軌道上に展開しているソーラ・システムⅡの管理に回しているからだ。仕方ないからロスマン教官とラル君から情報を集めよう。

 

 

 

 

トントントン 扉を叩く

 

「入れ・・・あぁ、これは。」 執務机から立って一礼する

 

「良いよラル君。そのままサボっていたまえ。」

 

「はっ。ありがとうございます。」

 

「ラル君、ロスマン教官。今度ひかりちゃんを連れてヴィープリに行こうと思っているのだが・・・どこか良い所は無いかね?」

「そうですね・・・市庁舎の近くに大規模な市場が・・・あっ!」

 

「ロスマン教官?」

 

「クルーゼ元帥、サトゥルヌス祭の為の各種物資が現在我が基地が備蓄している量では到底足りませんので、市場でついでに買い出ししてきていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」

 

「だが先生。不足分を買ってきてもらうにしてもトラック一台や二台分の不足ではない。いくらなんでも無謀だ。」

 

「問題ないよラル君。トラックで駄目なら戦艦を使えば良い。」

 

「!?・・・しかし、買い出しなどに使用してよろしいのですか?元帥が扶桑のカイザー(天皇)に叱責されても私は責任を負いきれませんが?」

 

「扶桑皇国陸海軍全軍の総帥だよ私は?君の国のゲーリング国家元帥のようなポストに私はいる。多少の融通は利くし、余程の失態をしでかさない限り、陛下が私に何か言ってくる事は無いから安心したまえラル君。」

 

「了解しました。先生、買い出し物のリストを作って元帥にお渡ししてくれ。」

 

「わかったわ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

機動戦艦 相模(ゼネラル・レビル)艦橋

 

ひかりちゃんとヴィープリに行こうとしたら、菅野君もついてきた。なんでもブライトに誕生日プレゼントを贈りたいそうで、品物の調達をヴィープリでやりたかったみたいなので乗艦を許可した。

 

「ではポポワ君、何もないとは思うが上空警戒は任せたよ。」

 

「了解した。ナージャ・ポポワ、シルヴァ・バレト 出る!」 ヒューン ガシャン

 

「では姉ユーティライネン君も地上での相模(ゼネラル・レビル)警備任務に就いてくれ。」

 

「任された。アウロラ機、ガイアガンダム 出るぞ!」 ヒューン ガシャン

 

「いやあ・・・でけえし、暖かいし、飯も美味い。最高だな。流石は我が第七艦隊の旗艦だぜ。」

 

「どうだね菅野君?相模(ゼネラル・レビル)副長の椅子の座り心地は?」

 

いつもならそこには山口さん(か滅多にないがたまにアンジェラ)が座ってるが、第七艦隊第四戦隊が整備の為に横須賀に一旦戻っているため、戦隊司令官たる山口さんも一緒に戻った。なので久々に私が艦長らしいことを今してるのである。いやぁ出雲(ミネルバ)の艦長に有賀さんを引っ張ってきて正解だった。嫌な顔一つせず私を補助してくれる。感謝しかない。

 

「いや案外悪くねえな。武勲立てて早く出世して自分の艦が欲しいぜ。そうすりゃブライトもオレを認めてくれるだろうしな。」

 

「・・・まるでブライトの奴が君を認めてないような言い草だね。」

 

「?・・・長官ブライトとそんなに親しいのか?あんたいっつも相手を呼ぶ時ほぼ君付けだけどよ。だが親しい奴は呼び捨てにしてる。」

 

「奴と私は親友だよ。」

 

「なら教えてくれ!アイツが好きそうなモンをよぉ。」グイグイ迫る

 

「わかった!わかったから菅野君、離れてくれ。ひかりちゃんがどす黒いオーラ出してるから!」

 

ヤバい。ひかりちゃんの瞳からハイライトが失せてるぜ。このままひかりちゃん重ヤンデレ√突入なんてまっぴら御免だ。アンジェラに殺される。

 

「あぁ、すまねえ・・・でブライトが好きなモンって結局なんなんだ?」

 

「基本何でも贈られれば喜ぶ単純な男だ。だが奴は以前私にこう言っていた。『素直な菅野を見てみたい。』とね。それを見せてあげれば喜ぶのではないかなブライトも?」

 

「・・・あの野郎今のオレの性格が偽物だと見破ってやがったか。中々鋭いな。流石はオレが見込んだだけのことはある。」

 

「・・・。」

 

災難だな我が親友。菅野君に惚れ込まれるとは・・・。まあ良いか。愛が重そうな原作キャラに自分以外が絡まれるのを見ている様はなんだか面白そうだから煽っておくか。これも愉悦。正に他人の不幸は蜜の味!ブライト、頑張れよ(笑顔で合掌)

 

「菅野君。ブライトは鮭と梅酒が特に好きだから覚えておくと良い。贈られたなら絶対喜ぶよ。」

 

「おぉ!ありがとな長官。でもよぉ、ヴィープリに梅酒なんて売ってねぇぜ?それに鮭なんて例え売っててもあっちに届くまでに腐っちまう・・・。」

 

「ならひとまず鮭を入手してきたまえ。対策を講じよう。」

 

「?・・・あぁ。わかった。ひとまず買ってくるわ。」

 

菅野君には鮭とばを作ってもらおう。あれなら保存がきく。ブライトの分のついでに私とひかりちゃんの酒のつまみ用に。パシる為の小遣い位は出してあげよう。

 

「菅野君、君の鮭代は第七艦隊の経費で出すから安心したまえ。」金を渡す

 

ひとまず50000スオムス・マルッカで良いかな?

「いやいやそんな要らねえから。いくら長官だからって男に金出させたら面子が立たねえよ。つうか明らかに私的なもんに第七艦隊から金出して大丈夫なのかよ?」

 

「安心したまえ。前にも言ったが第七艦隊は全て私のお金で動くいわば私の私兵部隊・・・無論陛下から御許しを頂いての活動だがね。陛下が何か仰らない限りは私が法なのだから心配は無用だよ。重ねて命じるよ菅野君。そのお金を受領したまえ。」

 

「うわあすげぇ暴論・・・だが財布が痛まねぇのはありがたい。じゃ遠慮なく。」スオムス・マルッカを懐に仕舞う

 

「ひかりちゃん。」

 

「はい!何でしょうか?」

 

「市場に行くから車の用意を。」

 

「わかりました。」 艦橋から走って出ていく

 

「・・・」コンソールをいじり備蓄物資の種類・量を確認する

 

「・・・ワインは貯蔵がまだあるか・・・ラムが足りない。買っておかないとね。樽2つあれば足りるだろう・・・菅野君、今晩の夕飯とサトゥルヌス祭では何を食べたいかね?」

 

「サルミアッキ以外なら何でも良いぜ長官?」

 

「・・・何でも良いが一番困る。」

 

「そうだな・・・納豆を使ったやつが食いたい。ニパのアホのせいで502の飯で納豆が出禁になっちまったからよ。」

 

「わかった。検討しよう。」

 

よ~し。今日の夕飯は菅野君専用に納豆とカレー粉をぶち込んだお好み焼を用意しよう。前世、大学生時代やってみたがクソ不味かった記憶がある。いくら混ぜてもカレー粉は偏るし納豆は匂いと微妙な食感がして食う気をなくす。これを食べたら菅野君、一体どんな顔をするかな?

クククッ・・・喜べ菅野君。君の望みはようやく叶う(麻婆大好き外道神父風に)。

 

「菅野君、念のため鮭は二匹買ってきてくれ。明日のロンド・ベルと502の朝食に一匹使う。」

 

「わかった。任せろ。」

 

そして来週のサトゥルヌスでは菅野君ら扶桑組には納豆卵かけご飯でも出してあげよう。無論ただの納豆卵かけご飯ではない。最高級卵『輝』と最高級納豆『鶴の子』の組み合わせである。こいつらだけでも一個と一パックで合計三十銭(1000円近い)と凶悪である。これを聞いた扶桑組の人達は、どんな顔をするかな? 更に米もいつもと違う二円(6000円近い)/kgの新潟の代物である。完全に金にもの言わせた飯だが、私の懐は全く痛くない。これらは全て財閥組からの贈り物だからである。ひかりちゃん喜んでくれるかな・・・

 

 

 

 

 

 

ヴィープリ 市庁舎前の市場

 

「ではひかりちゃん、行こうか?」

 

「はい♪」

 

ひかりちゃんが私の唯一の腕(左腕)に抱き付く。バランスが崩れそうだがまあ良い。むしろウェルカムだ。ひかりちゃんの芳佳と同世代とはとても思えない雁淵君と大差ないであろう胸が我が腕に・・・ゲフンゲフン。これ以上は言っちゃアカン。バレようものなら(胸の事でキレた)芳佳と(ストレスが溜まった)アンジェラにミンチよりひでぇやされる。

 

「ひかりちゃん、君は“正義の体現者”。そのイメージを崩さない為にも人前ではこのような行動は控えてくれたまえ。」

 

「あ すみません。気をつけます。」離れる

 

「というより正直驚いたよ。私は外面だけで良いと言ったのに君のお姉さんのあの様子だとご家族にも君は“徹底的な正義”を貫いているようだが・・・それを続けると人生息苦しくなるから私はあまりお薦めしないよ?現にアンジェラも自分に辟易としてる節がある。」

 

「大丈夫です!というよりこれ位で根を上げちゃったらクルーゼさんとの“取引”に違反しちゃいますし、私の根性はそんな柔じゃないですから!!」 少しむくれる

 

「・・・。」むくれたひかりちゃんかわいい。ヤバい。結婚したい。あ もう結婚してるも同然か。

 

「?・・・クルーゼさんどうしたんですか?」

 

「いや。なんでもない。ひかりちゃん、ロスマン教官からもらった買い物リストを出してくれ。」

 

「はい。」

 

肉類ばっかじゃん。さてはラル君とポクルイーシキン君、高い物ばかり私(第七艦隊の予算)に押し付けたな・・・

 

「私は生肉を買ってこよう。ひかりちゃんは加工食品とその他の類いを頼む。」

 

「わかりました。任せて下さい!」駆け出して行く

 

さて、後でポクルイーシキン君とラル君には書類仕事で地獄を見てもらうとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第502統合戦闘航空団司令部 団司令私室

 

502の幹部達(ラル、サーシャ、ロスマン、クルピン)とヨハンナがコーヒーを楽しんでいた。

 

 

 

「・・・考えてみると、お前のコーヒーを飲むのも随分久しぶりだな。」

 

「ん~そうねェ~。数えてみれば、グュンディー(ラルの渾名)、ロスマン先生、ヴァルトにコーヒー淹れるの2年ぶりなのよねェ~これが。」

 

「そういえばいつも隣にいた奴はどこに行ったんだ?」

 

「ナージャの事ォ~?あの子ならラウさんの護衛よォ~。」

 

「そうか。」

 

「それでェ~、サーシャちゃ~ん。私のコーヒーはどうかしらァ~?」

 

「美味しいです。香りも私好みで・・・光栄です。かの“扶桑皇国最高戦力 黒獣”直々に淹れて頂けるなんて。」

 

「ん~気に入ってくれて嬉しいわ~。」

 

「かつてはこれをJG52メンバーは毎日飲めたんだよ?凄くないサーシャ君?」

 

「そうですね。とても羨ましいですクルピンスキーさん。」

 

「そういえばヨハンナ?」

 

「どうしたのォ~ヴァルト?」

 

「クルーゼ元帥から聞いてると思うけど、そろそろ“例の品”を・・・。」

 

「これねェ~。」 扶桑酒を出す

 

「何ですこれ?」

 

「扶桑酒だよ~。ありがとうヨハンナ!」 早速開け始める

 

「伯爵、何昼間から飲もうとしてるの!やめなさい!」

 

「まあ今日は問題ないだろうから止めなくて良いぞ先生。」

 

「「乾杯!」」 ヨハンナも一緒になって飲み始める

 

「ハァ。」 ヨハンナとクルピンに呆れる

 

トントントン

 

「入れ。」

 

「オッス。」

 

「ペデルセン少佐。」

 

「酒の匂いがしたから来てみれば・・・真っ昼間から酒盛りかよ?ラル司令、止めなくて良いのか?」

 

「問題ないだろう。大規模空襲はこの前撃破したばかりだし、何かあれば哨戒中のニパが報せてくれる。」

 

「君が撃破したみたいな言い方だが、やったのは俺の艦隊だってこと忘れないでくれよ?」

 

「無論だ。」

 

「ヨハンナ。俺にもコーヒーくれ。」

 

「ん~良いわよォ~。」

 

「こんなほのぼのとした日がずっと続くと良いんですけどね・・・。」

 

「「「全くだ(ねェ~)(ね)」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ヨハンナちゃんがクルピンスキー君に酒を渡したか。今夜は酒盛りだな。」

 

勘でわかった。そしてこちらは物資の調達が終わった。後はひかりちゃんと菅野君が帰ってくるのを待つだけだ。しかしラムの樽重かったな。コーディネイターの身体が無ければどうなっていたか・・・

 

「クルーゼさーん!」

 

お ひかりちゃんが帰ってきた。

 

「長官、うっす。帰ったぜ。」

 

「ひかりちゃん、菅野君。今買ってきた物を相模(ゼネラル・レビル)の冷蔵庫に入れてきたまえ。その後はちょっと私の博打に付き合ってくれ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブレパンの漫画で菅野君、クルピンスキー君、カタヤイネン君のトリオが負けて無一文にされた描写があったカジノに来た。あ 案の定菅野君苦い顔をしている。だが菅野君、安心したまえ仇は取るよ。

 

 

「菅野君、ひかりちゃん。4000スオムス・マルッカずつ私に貸してくれ。」

 

「は?長官、ここまで来て博打かよ!?嫌だぜオレは。どうせ負ける。」

 

「安心したまえ。例え負けても私が後で補償する。ひとまず私にお金を貸したという事実が必要なのだ。頼む。」

 

「・・・わかったよ。だがオレが貸すんだ。負けんじゃねえぞ!」

 

「ひかりちゃんも。」

 

「わかりました。」

 

「勝利の栄光を君達に。」 敬礼

 

 

さて、カジノ側に目をつけられないようにしつつ稼ぐ・・・スロットマシンしかないよなそりゃ。要はスーパーコーディネイターの反射速度で777を連発すれば良い話だ。さて・・・

 

 

 

3時間後

 

「これだけあれば大丈夫だろう。」

 

最終的には全てのスロットマシンから、運営に目をつけられないよう少しずつ搾り取った。七千万スオムス・マルッカ稼いだ。さあ、菅野君とひかりちゃんに分配だ。

 

「ね?菅野君、勝っただろう?」

 

「・・・たった一万スオムス・マルッカが700倍に・・・。」

 

「すごいですクルーゼさん!」

 

「では分配の時間だ。」

 

資本金一万スオムス・マルッカの内、菅野君とひかりちゃんが4000ずつ、私が2000出したので、稼いだお金は2:2:1で分配される。つまり、菅野君とひかりちゃんには2800万スオムス・マルッカ、私には1400万スオムス・マルッカが分配される。

 

「・・・長官。」

 

「何だね菅野君?」

 

「確かにオレとひかりは長官に投資したけどよ、長官が稼いだのに報酬がそれだけじゃどうも納得できねえ。オレ達から人件費と称して少し徴収してくんねえか?」

 

「そういう訳にはいかない。出資者たる君達にはそれ相応の配当を受け取る権利がある。それに君達には私が博打をしていた事を外部に漏洩しないようにお願いする意味もある。」

 

「バレちゃいけねえのかよ?」

 

「うん。バレようものなら参謀長(アンジェラ)に何されるかわかったものではないのだよ。」

 

アンジェラ博打大嫌いだからな。バレたら何されるか・・・以前我が国のリベリオン大使館で駐在武官やってた時にベガスのカジノで一儲けしてアンジェラに言ってみたら「博打は害悪、今度やったら・・・わかってるな?」とめっちゃ凄みのある笑顔で言ってきたからな。怖いわ。ヤンデレ拗らせて監禁でもされるんじゃないかとチビりそうになったわ。

 

「まあそういう訳だから頼むよ二人とも。」

 

「了解だ(です)。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ロンド・ベルと502の諸君、夕食の時間だよ。」

 

「ご飯!ご飯!」

 

「お?この匂い・・・お好み焼か?」

 

「長官、本当によろしかったので?」

 

「下原君、私は料理が大好きだからね。軍令部総長も兼任し始めてただでさえ楽しみの無い私から料理を奪わないでくれたまえ。」

 

「わかりました。」

 

「美味そうな匂いがしてきたぜ。」

 

「ペデルセン君、君の部下も呼んできてくれ。作りすぎたから君の部下達にも食べてもらおう。」

 

「了解です。」 部下を呼びに行く

 

「これが扶桑の『お好み焼』ですか・・・。」

 

「そうだよラル君。食べ方は下原君からレクチャーを受けてくれ。私は菅野君専用のお好み焼を焼かねばならないからね。」

 

「え?オレ専用?」

 

「菅野君の為に納豆を使った試作のお好み焼だ。しばらく待っていたまえ。」

 

 

 

 

「「「いただきます。」」」

 

「おぉ~美味え。」

 

「おお!?明太子が効いてて良いねこれ。」

 

「チーズ味も美味しいよニパ君。一口どうだい?」

 

「ありがとう伯爵。」

 

「ウゲー不味ッ!!何だこりゃ!?」

 

「どうした菅野?」

 

「・・・。」黙ってペデルセンの口にブチ込む

 

「・・・ウッ。」 バタン ぶっ倒れる

 

「「「ペデルセン少佐が死んだ!?」」」

 

「この人でなし!」

 

誰だ今Fateのネタ口走った奴は。

 

「あ~気持ち悪い。」

 

「やはり駄目だったか。」

 

「長官、不味いぞこれ!」

 

「菅野君、私は君が納豆を食べたいと言うからお好み焼に納豆を混ぜてついでにカレー粉も投入して出してみたのだよ・・・菅野君、君の望みはようやく叶った。喜びたまえ。」

 

「馬鹿野郎、不味けりゃ意味ねえよ!」

 

「カンノ、文句は駄目だよ?元帥がせっかく作ってくれたんだから全部ちゃんと食べないと。」

 

「・・・マジかよぉ・・・死ぬ・・・死んじまう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では諸君、先に休ませてもらうよ。後菅野君の処理も任せたよ。」

 

「「「お疲れ様です。」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひかりちゃん、どうだったかな今日は?楽しかったかね?」

 

「はい!外国で初めての買い出しでしたから色々なものを見て楽しめました。」

 

「なら良かった。連れてきた甲斐があったよ。」

 

 

 

 

 

 

休みは終わった。さて。本格的に作戦の準備を開始しなければな。ひかりちゃんの力とクルピンスキー君のガンダム試作3号機に期待させてもらおうか。私の肉体的限界も近いからあの覚醒魔法も使う事になるだろう・・・そんな事を考えながら私はひかりちゃんに抱き枕にされつつ意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回 BRAVEWITCHES DEGENERATION 「限界」 少女は そして神話となる




かなり時間かけたくせに茶番になりませんでしたね。読者の皆さん本当にごめんなさい!


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限界

「・・・そうですかリヒトホーフェン元帥。NJG3のレント大佐から異動届が・・・では承認の上で直ちにペテルブルグに向かうよう通達をお願いします。MSですか?いつも通り私の自費で用意しますのでご安心を。はい。では失礼します。」 ガチャン 電話を切る

 

トントントン

 

「入りたまえ。」

 

「失礼します。」ガチャン

 

「セイラ・B・マクガイア少佐、只今着任しました。」 敬礼

 

「ご苦労。」答礼

 

来ましたよマクガイア君の妹さんが。マクガイア君が俺ガイルの雪ノ下陽乃そっくりな時点で妹さんが雪ノ下雪乃そっくりであろうとは予想はしていたが・・・本当にそっくりだな!なんなら胸m

 

「閣下、今何か余計な事をお考えになっていませんでしたか?」

 

怖っ!ニュータイプじゃないのになんで私の思考を読めるのかな・・・

 

「姉をある程度以上知った後に私を知った人の思考は大体同じですので。」

 

「・・・すまなかった。本当に申し訳ない。」

 

「いえ。もう慣れましたので。」

 

ここまでの会話、妹マクガイア君は顔の表情が一切変わってない。無表情過ぎて草。

 

「ではマクガイア君、ノイエ・カールスラントに栄転したメルダース大佐に代わり君を臨時で第500特殊遊撃統合戦闘航空団“ロンド・ベル”戦闘隊長に任命する。頑張ってくれたまえ。」

 

「はっ。お任せ下さい。」

 

序列上、本来ならルーデル君に臨時戦闘隊長を任せるべきだっただろう。だが、先日の戦闘で右腕が折れてしまったため、しょうがなく妹マクガイア君に任せたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んじゃ、早速お前の新技見せてもらうぜ。」

 

「わかりました菅野さん。」

 

菅野さんに言われ、両腕をマグマに変える

 

ジュー ポコポコポコ

 

「流星火山・・・てやっ。」 チュンチュンチュンチュンチュンチュン

 

502基地周辺の池を標的に広域殲滅技“流星火山”を菅野さんに披露している。私の固有魔法は行使するにしても攻撃を受け流すにしても体力を著しく消費する。だがこの技を使えば、“大噴火”より低い体力消費で広域殲滅が可能なのだ。単純な打撃力もさることながら・・・

 

「おうおうスゲえな。どんどん氷が溶けてくぜ。」

 

そう。凍った川や海で“流星火山”を使えば、その上にいる奴らを一掃できる。奴らは水が嫌いだ。叩き落としてしまえば、放っておいても撃滅できる。しかもマグマで熱せられ沸騰した水だ。ネウロイ共はおろかほとんどの生物が生き延びられまい。

 

「相変わらずスゲえ固有魔法だな。」

 

「ですけど“扶桑皇国最高戦力”の皆さんと比べるとスピードが劣ります。それを補う為の私のMS・・・それが新鋭機インパルスです。」

 

「へえ。道理で模擬戦の時お前のMSにオレの機体が追い付けなかった訳だ。」

 

「そういえば菅野さん。」

 

「どうした?」

 

「1400からロスマン先生とクルーゼさんの模擬戦が始まるらしいですよ。今日の朝礼で言ってました。菅野さんが丁度居眠りしてた時に。」

 

「そうなのか?」

 

「その時私クルーゼさんから、菅野さんに伝言を預かってます。」

 

「伝言?命令じゃなくてか?」

 

「『私の飛び方を一言で評して欲しい。』だそうです。以前お姉ちゃんの飛び方を『優雅』と評した時と同じような感じで評価してあげて下さい。」

 

「孝美の時みたいに・・・ねえ。まあ長官の飛び方は参考になるだろうから見学してみるか。長官の伝説は知ってても長官が飛んでる姿をオレは見たことないからな。」

 

「じゃあ行きましょう菅野さん。」

 

「おう。」

 

 

 

 

 

 

 

「ではこれよりラウ・ル・クルーゼ元帥とエディータ・ロスマン曹長の模擬戦を始める。地上審判は私がやる。航空審判は下原とクルピンスキーだ。下原、クルピンスキー、配置に就いたか?」

 

「こちら下原、配置に就きました。」

 

「ボクもOK!」

 

「よし。ルールは簡単。ペイント弾か演習出力ビームを相手に先に当てた方の勝ちとする。」

 

「了解です。」

 

「了解した。」

 

「では双方向かい合って・・・すれ違ったら模擬戦開始だ・・・始め!」

 

 

 

 

 

 

 

ロスマン教官がまず様子見とばかりにバズーカを射ってくる。恐らく中身は散弾だろう。散布角から退避、こちらも。MA-M21KF ビーム・ライフルで反撃する。だがまあそこはカールスラントのあまたのエースMSパイロットを育てた“教官”。私の正確な射撃を体を捻らせて回避、更にスラスターを吹かして距離400まで接近してくる。そこで肩部3連装ミサイル・ポッドから6発全弾発射される。中央2発のみビーム・ライフルで起爆前に破壊し、散弾の雨に切れ目を入れてそこに突入、散弾を全弾回避、すかさず私はドラグーンを射出、ロスマン教官を攻撃させる。ロスマン教官はオールレンジ攻撃を避けながら量子変換で呼び出したビーム・ライフルを私に乱射しつつ接近してくる。なるほど、ドラグーンの操作に集中させないようにしつつ接近しビーム・サーベルで仕留めようって魂胆か。良いだろう。乗ってあげようロスマン教官!私もシュペール・ラケルタ ビーム・サーベルを抜いて対処する。無論アンビデクストラス・ハルバードにしての本気である。相手はナチュラル最強の一人。慢心はありえない。

 

「はぁっ!」 ビーム・サーベルを振り下ろす

 

「・・・」 アンビデクストラス・ハルバードで受け止める

 

そこですかさずゼロ距離からカリドゥス複相ビーム砲を発射するが教官はシールドで防御、そのまま私にタックルしてくる。だが私もそれはわかっている。アンビデクストラス・ハルバードをシュペール・ラケルタに戻して袈裟斬りにし、ロスマン教官のスタークジェガン寒冷地仕様の首に突き付ける。

 

「お見事。」

 

「流石ですロスマン教官。ナチュラルでここまでやれる猛者は、そういない。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・なんつうか圧倒的だったな。」

 

「そうですね。私はクルーゼさんの肝いりでここに来た第一世代ニュータイプですけど、結局固有魔法に頼りっぱなしなところがありますから、あそこまでまだ強くはありません。私達ニュータイプが目指すべきはあの人を超える事です。いずれは至って見せますが・・・で菅野さん、評価の方は・・・。」

 

「圧倒的だった。先生ですらあのザマじゃあオレなんか足元にも及ばねえだろうな。だが・・・孝美の飛び方みたいに憧れは抱けねえ。失礼極まりねえ事を承知の上で言わせてもらうなら、無駄を一切省いた面白みの無い飛び方・・・一言で言うなら『合理的』だな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァハァハァハァッ。」

 

不味いな。やはり体の限界が近い。この程度の空戦機動で体中が悲鳴をあげている。口からわずかだが血も出てる。内臓がやられたな。無理もない。私の肉体年齢は流石に魂の年齢(87)を超えてはいないが、某超有名空戦ゲーム7の爺エース以上に老化しているのは明らかだ。

 

「長官!」

 

下原君が駆け付けて来てくれた。

 

「下原君、そこの酸素吸入器を私に・・・。」

 

「どうぞ!」

 

ああ。生き返る・・・助かった。

 

「下原君、すまないが雁淵君を呼んできてくれないかね?」

 

「はい。」

 

 

 

 

 

「御用でしょうか?」敬礼

 

「ああ。雁淵君に今の私の苦しんでいる姿で溜飲を下げてもらおうと思ってね。」

 

「?」

 

「君も知ってるとは思うが、最近引退された永野さんに代わり私は軍令部総長も兼務し始めた。本来なら宮藤博士以外の他の“扶桑皇国最高戦力”に任せて後方勤務をしなければならん。戦力的にも問題は無い。最近になって新最高戦力に“白獣”が加わったからね。それに坂本君や“紅星”醇子さんから聞いているだろうが、私は固有魔法を新規で発動すればするほど老化する。現に今の肉体年齢は70代だ。そんな体で空戦機動をやるとどうなるか・・・わからん君でもあるまい。」

 

「・・・。」

 

「だがそれでも私は前線に立ち続けなければならん。君への償いの為に。」

 

「!?」

 

「君が私に憎悪の感情を向けるのは無理からぬ事だ。純粋無垢でひたむきで優しかった自らが愛する妹が目の前の自分より年下のキザな金髪によって冷酷・苛烈の権化にされてしまったのだから。」

 

「・・・。」

 

「皇国の為だの世界の為だの言い訳はいくらでも立つが、結局は全て私の為だ。私の身勝手なのだよ。ウィッチは人類を護る為に戦う、それが使命である・・・という常識が各々ウィッチの中には無意識下に存在するのは事実だ。しかし、私だけは違う。私は人類の為になど戦ってはいない。自らの大それた野望実現の為に戦っている。現にその過程として扶桑皇国全軍総帥に今就いている。扶桑政財界への強力な影響力もその一部だし、我が第七艦隊とて、陛下から密かに認可を受けているとはいえ、つまるところは私の私兵部隊だよ。」

 

「・・・。」

 

「何かを得るにはそれ相応の対価が必要だ。そして私は君からの激しい憎悪を対価に諸刃の剣だが強力な固有魔法を扱えるひかりちゃんという強大な戦力を手に入れた。そして私は君に償う為に私の持てるポテンシャル全てを以て間もなく発動する“フレイヤー”作戦に臨む。私の固有魔法は知っているね雁淵君?」

 

「はい。坂本中佐からお聞きしています。」

 

「私が持つ力の中には、当然君の覚醒魔法の上位互換も存在する。パワーも持続時間も君の倍以上。ニュータイプ以外にこれを止められる者はいまい。だが当然そこまで強力なら反動も君がリバウ戦の直後受けた反動よりひどい目にあう事は明白だ。それを以て君への償いとしたい。これが私がやれる限界だ。どうかそれで我慢してもらいたい。」

 

「ですが、私はリバウ戦の後、長期間戦線から離脱せざるを得ない状況になりました!もし長官が受けた反動が長官の想定・身体的限界を超えていたら・・・長官は死んでしまう可能性も・・・。そんな事になったら扶桑は貴重な“最高戦力”を失う事に・・・。」

 

「構わんよ。」

 

「!?」

 

「私の命程安い物はない。国家機密につき詳しくは言えないが、そもそも私は人として生まれてきた存在ではないのだから。それに最悪私が死んでも私の野望は達成されるし、他の“扶桑皇国最高戦力”が私の代わりに上手くやってくれるさ。手はずは全て整っているよ。後顧の憂いは全く無い。安心したまえ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局のところ、私はひかりちゃんという強大な戦力を育て、此方側に取り込む以上、どうしても雁淵君とは対立せざるを得なかった。だから最初は下手に出て様子を見、今回の“フレイヤー”作戦で雁淵君の覚醒魔法の上位互換を使いミンチになる事で雁淵君に

『自分のせいでこうなった』

と罪悪感を持たせ、それにつけこんで主導権を握り、心身共に此方側に取り込む・・・というのが私のシナリオだ。勿論これだけの為にわざわざミンチになるのではない。神様から与えられた知識いわく

『雁淵君の覚醒魔法の反動のメカニズムは、莫大な魔法力の運用と暴走に体組織が耐えきれなくなり、細胞単位で崩壊を引き起こし、新しい細胞をゼロから再生成しだすからあんな悲惨な事態になる』

らしいので私の体を若返らせる事に使えると判断したのだ。確実ではないから少々賭けの要素があるが。今の肉体では私の力はヒスパニア怪異事件の時(全盛期)の30%程度しか発揮できない。爺だから無理からぬ事だが。ちなみに言い訳になるが、芳佳とネウロイの巣“グリプス”を攻略した時にあんなにあっさり負けかけたのも原因が老化によるキレの喪失があったりする。

 

 

 

 

 

 

 

扶桑皇国海軍 第七艦隊 旗艦 相模(ゼネラル・レビル)艦長室 ベッド

 

 

 

 

「ひかりちゃん。」

 

「なんですかクルーゼさん?」

 

「今回の“フレイヤー”作戦は君が要だ。上手くやってくれよ。」

 

「はい。頑張ります!」

 

「そしてもう一つ頼む。」

 

「?」

 

「私を導いてくれ。」

 

そう私が言うと、ひかりちゃんは私を抱き締めとびきりの笑顔でこう言う。

 

「任せて下さい!」

 

 

 

 

あぁ。今日は久しぶりに良く眠れそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

次回 BRAVEWITCHES DEGENERATION 『ストーンヘンジ』 少女は そして神話となる




解説

新扶桑皇国最高戦力 “白獣”

宮藤芳佳が帰国と同時に昇進、功四級金鵄勲章と“扶桑皇国最高戦力”の称号を陛下から得ました。イメージはザフト制服を改造した第七艦隊の制服(赤服)で襟に少尉階級章、One Piece の海軍本部大将用コート(手首は無地) 腰に銃のホルスター(中身はS&W M500 8.75インチモデル)を想像してみて下さい。






次回、ついにあの兵器が登場します。作者もエスコン7でお世話になりました(4はやってない)。さあ、オリ主は一体これで何をするつもりなのでしょうか?(すっとぼけ)


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ストーンヘンジ

解説

扶桑皇国海軍第八艦隊

1944年に新設された艦隊。他の艦隊と異なり、今後の艦隊の運用思想・新たな艦艇設計思想を模索する為の臨時で試験的に編成された艦隊である。雲竜型(ベースはジェラルド・R・フォード級)4番艦『伊吹』を旗艦とし、最上型防空巡洋艦(ほぼあたご型護衛艦)の「最上」、「三隈」、「鈴谷」、「熊野」と睦月型防空駆逐艦(ほぼあきづき型護衛艦)の「弥生」、「卯月」で構成される。艦載戦闘機はF-35Cベースの新型二式統合戦闘機である。司令長官はウィリアム・メラン中佐。




ウィリアム・メラン

扶桑皇国海軍中佐。第八艦隊司令長官。見た目は完全に逆シャア、UCのメラン中佐。転生者であり、医者(内科も外科も対処可能)。前世ではクルーゼの恩人でありかかりつけ医である。このストパン世界でも海軍兵学校で軍医資格を取得しているため合法的に医療行為を行う事ができる。ブライト・ノア(偽)とも交友がある。菅野、ブライトと兵学校同期である。





ヒスパニア十字章

帝政カールスラントの勲章。モデルはスペイン十字章。ヒスパニア怪異事件解決に貢献したカールスラント国防軍将兵に与えられた。ラウ・ル・クルーゼは唯一外国人として便宜的に最高階級のダイヤモンド付ヒスパニア十字章金章を与えられている。




ビーム・サーベルの色

ビーム・サーベルの色は、使用するMSパイロットの心の純粋さによって変化する。大抵の者はピンク、百戦錬磨でかつまだ心が純粋な猛者は緑色、ニュータイプは美しい蒼色、邪悪な心を持つ者は赤である。緑・蒼・赤はスター・ウォーズのライトセイバーの色を参考にしてもらいたい。

色の例

ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ、坂本美緒、西沢義子→緑

ニュータイプ達→蒼

ラウ・ル・クルーゼ→赤




エイラ・イルマタル・ユーティライネン

スオムス空軍中尉。乗機はRX-78GP01Fb ガンダム試作1号機 フルバーニアン。掲げる正義は『サーニャと大きいこそ正義』。 大きいとは一体何を示しているのか・・・というより性癖を正義と混ぜるなよ・・・



第七艦隊の制服制度改定について

1945年1月1日以降、第七艦隊所属の佐官以上の者はコート(『正義』の文字の代わりに扶桑皇国海軍のシンボルマークたる桜紋付錨マークがついたOne Pieceの海軍本部一般将校用コートをモデルにしたもの)を着用するよう第七艦隊全軍に通達された。ある程度のカスタマイズも許される。

 



今更ですがこの我が第二作《RELOADED》の副題を発表しておきます。

『神話のはじまり』

です。



「ではブリーフィングを始める。ラル君、地図を表示してくれ。」

 

「はっ。」地図をスクリーンに出す

 

「今回新たに発生が確認された巣“グリゴーリ”により、第502統合戦闘航空団は“アンナ”、“ヴァシリー”に対処しつつ三正面作戦を強いられる状況に我々は直面している。 この現状を打破するためカールスラント国防軍最高司令部と扶桑皇国海軍軍令部は合議の上で、 新兵器およびクルピンスキー君とひかりちゃんのための新装備をペテルブルグへ輸送、これを以て抗することを決定した。」

 

「ムルマン港に現在我が第七艦隊総司令部及びノイエ・カールスラントから輸送されてきた新装備及び新兵器を満載した輸送船団・護衛の我が第八艦隊が待機している。」

 

「安全航路を通るとはいえリスクはゼロとは限らない。そこで我々は第502統合戦闘航空団の人員から長距離戦略打撃群(LRSSG)を臨時で編成しその群長にクルピンスキー君を任命、その上で菅野君、カタヤイネン君、ひかりちゃんでこれらを護衛してもらいたい。護衛任務に就いている間は我が第八艦隊司令長官の指揮に従うように。」

 

「はい質問。」

 

「なんだねクルピンスキー君。」

 

「僕のための装備って何?僕はそんな話聞いてないよ。」

 

「これを見たまえ。」

 

「これが君用の新装備、アームドベース“オーキス”。 いわばオールドタイプのウィッチでも私や醇子さんのような活躍が出来る装備であるという風に理解してくれれば良い。」

 

「 私や醇子さんがカールスラントの撤退戦で使用した強襲用ユニット“ミーティア”はいわばビーム兵器で敵を薙ぎ払う広域殲滅装備であったが、ビームということはすなわちウィッチの魔法力をダイレクトに消費するものであるためニュータイプ以外では扱うことはできない。 だがこの装備ならある程度以上の力量を持つモビルスーツパイロットならば扱うことができる。 装備のほぼ全てが実弾だからね。 もっとも、その分製造費・弾薬費は高くつくし、クルピンスキー君のガンダム試作3号機以外のMSでは扱えないが。 今回の“フレイヤー”作戦における主戦力の一つが君のそのオーキスになる。」

 

「そしてこれがもう一つの新装備だ。」

 

私はそこで新しい写真を502及びロンド・ベルの諸君に見せる。

 

「 ひかりちゃんのための新型MS、ZGMF-X42S デスティニーガンダム。 製造コストこそ私が501の宮藤少尉に与えたユニコーンガンダムほど高くはないが、私が持てるあらゆる技術を持って製造した究極のモビルスーツだ。 インパルスではもはやひかりちゃんの力を十全に引き出すことはできないからね。 雁淵君、君もうかうかしていられないよ。 君のアカツキに対し防御力以外の全スペックにおいて デスティニー の方が圧倒的に上回っているからね。まあもっとも、“フレイヤー”作戦では君が前に出る事はないが。」

 

「 無論“フレイヤー”作戦遂行中における“アンナ”、“ヴァシリー”からの妨害を想定し、我が第七艦隊司令部からこちらに向かってきている最新鋭全自動防空迎撃システム“アーセナルバード”を投入、奴らの意図を挫く。」

 

「「「アーセナルバード?」」」

 

「これを見たまえ。」

 

そう。 エースコンバット7で登場した巨鳥アーセナルバードをほぼそのままパクったものである。2機投入する。

 

「 アーセナルバードは無人機であり、独立して行動しその電力も私が最近発表した太陽光による発電によって動くものであり、太陽ある限り稼働し続ける。その上で無人の艦載機160機を以て敵の意図を挫く。 防御も当然ながらPS装甲そしてゲシュマイディッヒ・パンツァーにより鉄壁の防御力も誇るためそうそう撃墜されることはありえない。 そして有限ながらも魔法力を貯めた電池を搭載しているためそれを使ったビーム砲により、大型以上のネウロイにもある程度対抗することは可能だ。 そして搭載されている無人機にも我が扶桑海軍が誇る北郷章香大佐の空戦データをインプットしてあるため落とすことはほぼ不可能に近い。 だが現状コストなどの問題もありアーセナルバードをこれ以上量産することはできない。つまりこれらが撃墜された場合我々は三正面作戦に逆戻りすることになる。それまでに何としても“グリゴーリ”を撃滅する。」

 

「 今言った装備だけでも十分“グリゴーリ”を攻略できるとは思う。しかし何らかの不都合によりそれらが潰される可能性もゼロではない。それを想定しさらにダメ押しとしてもう一つ新兵器を投入する。」

 

「120cm対地対空両用磁気火薬複合加速方式半自動固定砲、コードネーム“ストーンヘンジ”を設置・投入する。このペテルブルグから雁淵君に“グリゴーリ”を攻撃してもらう。これが君の魔眼を後方から安全にかつ有効に利用する最善の手段だ。 有効射程は1200 km 、最新鋭の射撃システムの補助もあるから君が外すことはありえない。それで安心してコアを撃ち抜いてくれたまえ。討ち漏らした敵が他の戦線に影響を与えないよう、ペテルブルグ軍集団が我々の後方に布陣し待機している。何か質問は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「総帥、第八艦隊から映像付通信です。」

 

「繋いでくれ。」

 

「はっ。」

 

「お久しぶりです元帥閣下。」 敬礼

 

「元気そうで何よりだよメラン中佐。後いつも通りで大丈夫だよ。」答礼

 

「わかった。」

 

「元気にやってたか?」

 

「いいや。むしろ兵学校卒業と同時に野戦任官の形で中佐にねじ込み山本聯合艦隊司令長官から艦隊を預けられるとは思ってなかったから胃薬を常用してるまである。誰の差し金だろう?」

 

「さあ。僕には検討もつかん。」

 

「まったく。はぐらかしてくれるね。」

 

「まあつもる話はこの戦争が終わってからにしよう。ひとまず軍務の話に戻そう。」

 

「ああ。」

 

「輸送船団・第八艦隊直衛部隊としてクルピンスキー君指揮の長距離戦略打撃群を派遣した。丁重に出迎え、また上手く使ってやってくれ。」

 

「了解した。君が3年かけ手塩にかけて育てた雁淵ひかりの力、拝見といこうか。」

 

「武装色の覇気(或いは類似する力)こそ無いが、ニュータイプの力で見聞色の覇気の代わりになるし、マグマグの実の能力をサカズキ元帥並に扱えるその力、とくと味わいたまえ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヘルミーナ・レント大佐以下カールスラント空軍第3夜間戦闘航空団6名、第500特殊遊撃統合戦闘航空団に着任しました。」 敬礼

 

「お疲れ様です。歓迎致します。」 答礼

 

「さあどうぞどうぞNJG3の皆さん、コーヒーとお菓子を用意しました。長旅の疲れを癒して下さい。私の手製です。」

 

そしてナチュラルに、愛でる為にヘルミーナ母さんを私の太腿にのせる。この貞操観念逆転ストパン世界のヘルミーナ母さんの身長はオリジナルより小さい162cmであり、私の場合はオリジナルより少し大きい(185cm)なので丁度良く愛でる事ができるのだ。

 

「私を弄るのは別に止めないけど・・・フリードリヒ4世陛下とゲーリング国家元帥からあなたに贈り物があるから確認をお願いして良いかしら?」

 

そう言って母さんは部下の人に段ボール箱を持ってこさせた。

 

「これは?」

 

「開けて確認して。」

 

そう言われ確認すると

 

「『ラウ・ル・クルーゼ侯殿、貴殿の著しい功績を讃えカールスラント空軍元帥号を名誉的に授与する。尚、そちらの天皇陛下からの了承も非公式かつ密かにだが得ている。辞退は絶対にしないように。』・・・。」

 

陛下と鈴木さんは一体裏で何を・・・

 

「元帥の階級章付きの空軍制服と制帽、元帥杖も入ってるから一回着てみたらどう?似合うわよきっと。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「長官、腹減った~ってうお!?。」

 

「おお。すまんね菅野君。びっくりさせてしまったかな?」

 

そりゃびっくりするわな。自分の上司がカールスラント空軍の制服(トゥーフロック)着てエプロンしながら料理を持ってくれば。

 

「長官、いきなりどうした?」

 

「いやね。なんかいきなりフリードリヒ4世陛下から空軍元帥号を授与されたから一緒に贈られてきた制服も着てみたのだがね・・・似合ってるだろうか?」

 

「なんかしれっととんでもない事を聞いた気がするが・・・まあ良いや。似合ってるぜ長官。」

 

「ありがとう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんな無茶言わないでくださいよブラッドレーさん。私の手持ちの戦力でそちらに回せる分は・・・はいそれは承知しております。パットンさんとモントゴメリーさんとロンメルさんの説得をどうかお願いします。3ヶ月以内にそちらへは強力な戦力を送り込みますのでどうかそれまで持ちこたえてください。」 ガチャン

 

 

 

 

「マリア殿下、お久しぶりです私です。はい・・・はい。3ヶ月以内にアフリカに強力な戦力を送り混まなければなりませんのでどうかそちらの504をお借りできませんでしょうか。 無論無条件でとは言いません。504が現在対峙している巣“バルカス” が撃滅されたらで構いませんのでどうかご検討のほどを・・・はいもちろんです自信がなくてこのようなことは言えません。我が第七艦隊の竹井醇子なら、彼女ならやってくれます。はい。お願いします。それでは。」 ガチャン

 

 

根回しが大変だ。アンジェラは少なからず経験しているから良いが・・・そろそろ他のニュータイプ達にも政治経験を積ませないとな・・・

 

 

 

 

「“フレイヤー”作戦は近い。頼りにしてるよ西沢君。」

 

バスターコール発令用スイッチを弄りながら、私はそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

次回、 BRAVEWITCHES DEGENERATION

『チェック』

少女は そして神話になる

 

 

 



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チェック

解説


リバウ上空

通称“円卓”。エースコンバットZEROの“円卓”と異なり、戦略的価値が非常に高かった訳ではないが、そこに居座る巣“グレイス”から新型ネウロイが次々と現れ、またそれとほぼ同時にそれらを墜とすエース(MS)パイロットが多数現れた事、故に並のウィッチでは生き残れない事から人々はネウロイに対する恐怖とエースパイロット達に対して敬意を表しその空を“円卓”と呼んだ。そのエースパイロットの中には、その圧倒的な強さから、“円卓の鬼神”と呼ばれ、またマイナーな二つ名だが“ラーズグリーズの悪魔”とも畏れられたMSパイロットがいた・・・





固有魔法:魔法力供与

自分以外のウィッチに魔法力を分け与え、戦闘力を回復させる固有魔法。対象に接触すれば発動する。ラウ・ル・クルーゼ(偽)が使うのは当然これの上位互換。ナチュラルなら1分、強力なオールドタイプでも2分あれば全回復させる事ができる。





QCX-00 アーセナルバード

エースコンバット7で登場する巨鳥『アーセナルバード』に酷似した全自動防空迎撃システム。母艦も子機もミサイルを搭載しておらず、子機はレーザー機関砲のみ、母艦は魔導電池駆動のビーム砲×7+レーザーCIWS×6で武装しており、オリジナルより手数は少ないが実体兵装が無い分継戦能力は高い。太陽光発電で稼働し、母艦はPS装甲とゲシュマイディッヒ・パンツァーで防護されているため、ネウロイがこれを撃墜するのは容易ではない。更に子機には“軍神”北郷章香大佐が零式統合戦闘脚(F/A-18E スーパーホーネット ベースのストライカーユニット)に搭乗した際の空戦データ(中・遠距離戦のみ。近距離を入れたら刀を使いだすから参考にならないので入れてない)をインプットしてあるため、撃墜するのは至難の業である。




佐々木原正子(オリジナル設定ウィッチ)

元ネタは旧日本海軍エース、佐々木原正夫少尉。雁淵孝美の兵学校同期。佐世保航空予備学校教官の中尉(→第七艦隊第70飛行隊所属の大尉)。最近着任したクルーゼの副官。今の今まで副官を招かずにいたが、軍令部総長を兼務し皇国元帥(扶桑皇国全軍総帥)もやり始めたため事務を一人ではやりきれなくなったクルーゼがとうとう音を上げ、米内海相に

・自分が“母”として信頼しているオールドタイプ

・事務作業の達人

・自分の警護を任せられる者

・ある程度は料理ができる

・どの距離でも戦える高スペック

を要求したところ、要求が北郷章香大佐に経由し、彼女がやって来た。ベルリンで共に戦って以来の仲だったため、クルーゼも彼女の着任を手放しで歓迎した。誰なのかピンとこない人もいると思う(というよりピンとこない人の方が多いだろう)ので説明しておくが、原作(アニメ)『ブレイブウィッチーズ』最初期に登場したかの声優 中村桜 氏が演じていた教官ウィッチである。現在の撃墜数は43。クルーゼからは呼びづらいので略して『マーサママ』と呼ばれている。決してクルーゼは彼女をマーサ・ビスト・カーバインみたいなんて思ったからそう呼んでいる訳ではない。ないったらない。怒らせたら怖いらしい。乗機はRGZ-95C リゼル指揮官機→ZGMF-X10R フリーダムガンダム ササキバラ・カスタム。コールサインはスカイ1。





ZGMF-X10R フリーダムガンダム ササキバラ・カスタム

以前ラウ・ル・クルーゼが使用していたフリーダムを佐々木原大尉用に改修・貸与した機体。翼がかなり薄い水色になり、クスィフィアス レール砲はストライクフリーダムと同じクスィフィアスⅡに、M100 バラエーナプラズマ収束ビーム砲が魔法力変換効率が改善された改良型に、スラスターもまたストライクフリーダムと同型のものに換装されている。デスティニーと同型の新型核魔導ジェネレータを搭載したため、製造から10年経った今も尚現行機と遜色無い性能を持つ。




世界規模の超国家軍構想


・国際平和・安全の維持

・諸国間の友好関係の発展

・経済的・社会的・文化的・人道的な国際問題の解決のため、および人権・基本的自由の助長のための国際協力

の為の国際機関創設(国際連合)をラウ・ル・クルーゼは提唱しており、その上でその機関の監督指揮の下、ネウロイと戦う一元的な軍の創設(国連平和維持軍=PKF)も併せて提唱している。各国も賛同の意を示しており、今次大戦の後、細かい調整の上設立される見込みである。クルーゼの野望の一つこそ、その機関をベースに地球連邦政府を樹立、更にPKFを地球連邦軍に昇華する事である。



「・・・。」

 

現在、第502統合戦闘航空団司令部ぺテロ・パウロ要塞は6時を迎えたばかりである。今私は皆用の朝食を仕込んでいる。シンプルに焼き鮭とご飯、味噌汁(ワカメ)、人参と胡瓜の糠漬け(半年漬けた超酸っぱいやつ)である。後どうでも良い事だが、昨日夜に当局から連絡が来て、郵送した私とひかりちゃんの婚姻届を我が故郷の舞鶴市役所が受理してくれた。これからは雁淵君をしっかり『孝美お義姉ちゃん』と呼ばないと・・・

 

「おはようございます長官。」

 

お。最初に来たのはお義姉ちゃん。早い。扶桑軍人の鑑だわ。流石は・・・

 

「おはよう孝美お義姉ちゃん。」

 

「!?」

 

おお驚いてる驚いてる。めっちゃ目白黒させてる。というよりひかりちゃん雁淵君に真実を言ってないのか?

 

「お義姉ちゃん?」

 

「・・・。」 バタン ぶっ倒れる

 

お義姉ちゃんが倒れた。しかも恍惚とした表情で鼻血を出しながら。

 

「おいおいおい。私を憎んでいたんじゃないのかなお義姉ちゃん。憎んでいるのならこんな表情しながら気絶しないでほしいよ。」

 

「菅野君。」

 

丁度良いタイミングで来た菅野君に押し付けるか

 

「どうしたよ長官?」

 

「コレを医務室に頼む。何故かいきなり鼻血出して倒れたからね。」

 

「おう・・・って孝美!?おいどうしたんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マーサママ、これをラル君に持ってって。」 書類を渡す

 

「わかりました。」

 

ふぅ~。やっと今週分の書類が片付いた。朝食抜きで頑張った甲斐があったよ。エスプレッソマシンを起動させ、マーサママと私の分のコーヒーを淹れる。

 

「戻りました。」

 

「お帰りママ。一区切りついたからひとまずコーヒーでも飲もう。」

 

うん。美味い。しかも前世の晩年のように一人寂しくではなく目の前で私が淹れたコーヒーを美味しそうに飲んでくれるマーサママがいるから尚の事美味い。

 

「しかし、ママが来てくれて助かったよ。米内さんから『誰が来るのか楽しみにしててね。』って言われていざ蓋を開けてみれば・・・。」

 

「私が来た。そういう事かしら?」

 

「うん。最近僕は自業自得とはいえずっと一人だったから。ママが来てくれたのは救いだった。孝美お義姉ちゃんからママは何か聞いてないの?同期なんでしょ?」

 

「・・・そもそもなんであなた、孝美を姉呼ばわりしてるの?」

 

「彼女の妹と結婚したからね。式こそまだ挙げてはいないが。」

 

「ふ~ん。」

 

そう言いながら私に擦り寄ってくるマーサママ。原作では見れない妖艶な笑みを浮かべながら。あぁ、嫉妬してるのか。単純だなぁマーサママは。しかもナチュラルに私の肩に手を掛け、太ももをなでなでしだしてきた。男女逆転して男を大切にしなければならないこのストパン世界で本来こんな事しようものならセクハラである。だが私は何も言わない。ママやその他“母さん”達、そしてニュータイプ達限定でではあるが。一応姉さん(バルクホルン)にも許してはいるが、性格上、あの人はそんな事絶対しない。非常に残念である。

 

「ひかりちゃんは今長距離戦略打撃群での任務で出払っちゃってるし、ヨハンナちゃんも自分の寝室で寝ちゃうし・・・ママ、一緒に寝てくれるかい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやね、ママ。僕のさっきの『寝る』はそう言う意味じゃないんだけど。」

 

今(22:00)、ベッドでマーサママに押し倒されている。ママは生まれた時のまんま状態だ。ほのかに石鹸の香りがする。そしてそれに混ざる酒のにおい。顔めっちゃ赤い。さっき一緒に飲んでたけど、一人で焼酎一升瓶潰しやがった。というかママ着痩せするタイプだったんだね。意外にデカ・・・ゲフンゲフン。さっさと止めさせたいんだけど・・・でも身体が動かない。というよりあまつさえママの身体から目を離せない。身体中が熱くてたまらん。つうかちょっと待て。まさかママ・・・

 

「その表情からして、私が何をしたか察したみたいね。考えてごらんなさい。なんで私が珍しく料理を作るなんて言い出したのか。」

 

酒のつまみ(ブリ大根)に一服盛る為か・・・

 

「だとしてもおかしいねママ。僕の身体は並大抵の薬物では効かないはずだが。」

 

「あなたがコーディネイターなのはわかっていたから、それを想定してそれなりの量を入れた。それだけよ。」

 

いくら入れたんだよ。コーディネイターをダウンさせるには相当量必要だぞ。

 

「あなたが自分の料理を自分で作るのは毒殺、そして自らの貞操を狙う者への警戒故に・・・でも落とし穴があったわね。」

 

そうだな。僕はニュータイプやマーサママをはじめ“お母さん”方の料理なら食べる。それを逆手に取られた。

 

「観念なさい。」

 

「いや観念するのは別に良いよ僕はママが好きだし。それにママはオールドタイプだから例えヤっちゃっても魔法力は失わないし。でも籍は入れられないからそこはよろしく。ひかりちゃんやヨハンナちゃんとの契約に違反しちゃうし。」

 

「もちろんそんな贅沢は望まない。それどころか今この時点で女としては・・・しかも出会いがまず無いウィッチなら最高の贅沢よ。」

 

そしてママは僕の仮面をはがし、キスしようとする。

 

「あぁママ、悪いけど口にはやらないでね。これはニュータイプ達に対するけじめだから。」

 

そしてママは僕の頭を抱き寄せて頬にキスした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アァーーーーッ!!やっちゃったー!」

 

「・・・いや。ママのせいではないよ。流されるまま相手した僕にも責任はある。安心してくれママ。隠蔽工作は抜かりなく行っておく。そもそも一升飲ませた僕にしか非は無い。」

 

「事実はそうでも・・・倫理的問題が・・・。」

 

枕を顔に押し付けながらそう言うママ。そしてベッドの上にはいくつものお楽しみでしたねの跡が。

 

「まあでも僕とて子供だよ。ママより年下だしね。」

 

魂の年齢はそうでもないが。

 

「いろいろたまっていたのも事実だから、ママは気にしなくて良いよ本当に。」

 

「でもなにかしらけじめはつけないと・・・。」

 

「なら今日の哨戒任務を代わってくれないかな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

第502統合戦闘航空団司令部 管制室

 

「敵は1-9-0から接近。距離30000。中型爆撃機2、護衛戦闘機20。スカイ1(佐々木原)迎撃せよ。」

 

「了解、メビウス1(クルーゼ)。」

 

「スカイ1、今日は何が食べたいかね?」

 

「そうね・・・鮭のホイル焼きかしら?」

 

「わかった。」

 

「ん~マーサちゃ~ん、勝手にウチの人抱いたみたいだねェ~。まあそれについては文句は言わないけどォ~そ~れならちゃんと愛を注いであげてねェ~。ウチの人は案外脆いからねェ~。愛を注いであげれば、応えてくれる・・・まあもっとも、真なる愛じゃなきゃァ~意味無いけどねェ~・・・ウチの人は親からの愛が無かったからァ~、文字通り母になったつもりで接してあげてねェ~。」

 

「了解メビウス4(ヨハンナ)。」

 

 

 

 

 

しかし、普段は真面目で規則正しいマーサママがいざ蓋を開けてみるとあんなに乱れるとは思わなかった。そしていくら魂が、身体が老化していようとも、私の肉体年齢は15歳。多感な時期である。そんな中目の前に生まれた時のまんまのママがいれば、貞操観念逆転ストパン世界だからというのもあるが、食べちゃう(意味深)よそりゃ。だがこのままだと変に拗らせた参謀長(アンジェラ)がママを殺しかねないので、なんとか手元に置いて護らないと。

 

「総帥。」

 

「どうされました有賀さん。」

 

「出雲(ミネルバ)の電探が新たな敵を捕捉しました。まっすぐスカイ1に向かっています。方位2-2-0。数200以上、距離50000。」

 

「総帥、いくらスカイ1でもこれだけの数は・・・。」

 

「・・・」

 

私は管制室を出ようとする。

 

「どこに行くのォ~。」

 

「ヨハンナちゃん、管制を引き継いでくれ。ちょっと天使とダンスしてくる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私、佐々木原正子ことスカイ1は追い詰められていた。いかに私が優れていようと、いかにMSが優れていようと、所詮はオールドタイプ。限界がくる。ハイマットフルバーストをあの人のように連射できる技量がある訳でもないし、そもそも魔法力が足りない。ビーム・サーベルでのこのこ寄ってきた一機を斬り捨てる。

 

「スカイ1、後ろよォ~。」

 

メビウス4(ヨハンナ)が敵の位置を教えてくれる。でも身体が限界。もう動かない。でも私は死を覚悟する必要は無い。何故なら・・・

 

ズキューン パァン

 

「よおママ。まだ生きてるかい?」

男性に助けられるのは女として・・・増してウィッチとしては本来あってはならない事。でも相手は“扶桑皇国最高戦力”、そして私の“息子”。私など比較にならないほどに強い。そんな彼のストライクフリーダムが私のフリーダムの背中についてフォローしてくれる。

 

「ママ、手を貸してくれるかな?魔法力を分けたい。」

 

「わかったわ。」

 

「・・・供与完了。いけるかいママ?」

 

「もちろん。」

 

「では久々のダンスといこうかママ?」

 

「あいにくだが、その必要は無い。ローエングリン、撃てぇーっ!」

 

久しぶりに凛々しい声が私とママの通信に割り込んできたかと思うと、極太プラズマ収束ビームがネウロイめがけて突進していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おかえりメビウス2(アンジェラ)。基地まで誘導するよ。ラル君、聞こえているかね?」

 

「はっ。聞こえております。」

 

「栄えある我が第七艦隊参謀長の着任だ。出迎えの用意を頼めるかね。いきなりで申し訳ないが。」

 

「わかりました。サーシャとクルピンスキー、ニパと手空きの整備兵10名足らずでの歓迎になりますが、大丈夫でしょうか?」

 

「ウチの参謀長は派手を好まん。そのくらいが丁度良い。ありがとうラル君。」

 

「はっ。」

 

思ったより早いアンジェラの着任。だが、それで良い。これでもう“チェック”ではない。“チェックメイト”だ。東部戦線が動くぞ。そしてその英雄はひかりちゃんだ。期待しているよ。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・でお前は佐々木原と昨日の夜何をしていた?」

 

「・・・。」

 

「安心しろ。その件を怒る気は無い。だが・・・」

 

アンジェラは私を押し倒す。

 

「私にも同じ事をしろ。」

 

 

 

またかよ。2日連続は嫌だ!せめて明日に・・・

 

 

「駄目だ。」

 

 

え ちょ 待っt アァーーーッ!

 

 

 

 

 

 

次回 BRAVEWITCHES DEGENERATION 「“円卓の鬼神”と“紅翼”(前編)」 少女は そして神話となる。

 

 




一応、現在ペテルブルグに駐留している戦力をここに書いておきます。



・原作502メンバー(雁淵孝美も)

・ラー・カイラム級機動戦艦×1

・クラップ級巡洋艦×4

・ゼネラル・レビル(オリジナルと多少の差異あり)

・アークエンジェル(オリジナルと多少の差異あり)

・ミネルバ(オリジナルと多少の差異あり)

・MS(汎用・制空)×12

・MS(爆撃)×6

・MS(地上)×64



我ながら思いますね。チートが過ぎると。


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“円卓の鬼神”と“紅翼”(前編)

解説

コールサイン

下原定子→ゼータ5

菅野直枝→オメガ11


陸軍戦車第十一連隊(士魂部隊)→ソード

連隊長 兼 第七艦隊陸軍出向参謀たる池田季美大佐がソード1である。




ゼータプラスC1臨時改型

昼間戦闘もできる“夜間戦闘用MS”として設計、各国に配備されたゼータプラスだが、一部エースパイロット達から火力不足を指摘されていたため、元来の機動性、コストパフォーマンスを損なわないようにしつつ、どうすれば火力を上げられるか、研究の為にヘルミーナ・レント大佐の部隊のゼータプラス一機一機が異なる装備を取り付けられており、クルーゼは今回の“フレイヤー”作戦で実戦データを回収する腹積もりである。





統合幕僚本部

自衛隊の統合幕僚監部に相当。1945年1月を以て設置。扶桑皇国陸海軍全軍を統括する。今までの扶桑皇国全軍は皇国憲法の規定により天皇の統帥権の下で動いたが、政治的統制・陸海軍の統合的用兵をしっかりとらせる為、改憲し天皇の信任を得た内閣総理大臣の指揮・監督の下で動くという方式に変換されたのである。それに伴い、海軍省・陸軍省は統合軍政省に統一。初代軍政相には米内光子海相が元帥昇任と同時に就任した。初代統合幕僚本部のトップ(自衛隊と同じ『統合幕僚長』)には寺内寿子陸軍元帥が就任した。統合幕僚本部の下に海軍軍令部、陸軍参謀本部が引き続き存在し、統合幕僚本部の指揮・監督を受ける。海軍軍令部総長は引き続きラウ・ル・クルーゼが皇国元帥(扶桑皇国全軍総帥)と兼務、陸軍参謀総長も引き続き杉山元陸軍元帥が務める。当初はこの画期的な軍政・軍令システム構築の功労者(クルーゼ)が初代統合幕僚長に就任する予定だったが、軍官僚としては一人前でも軍人としてまだまだだとして本人が固辞したため、寺内元帥が就任した経緯がある。




ジャミトフ・ハイマン(偽)

転生者。ラウ・ル・クルーゼ(偽)の前世での実弟。本物のジャミトフ・ハイマン並の地球愛に満ちた性格である。前世でも環境大臣を内閣総理大臣の兄の下で10年以上務め、日本の環境改善を行いまた環境関係の国際会議でも数多の功績をあげた。大学卒業当初、商社マンとして大手に勤めていたが、仕事で見た大量のゴミを見て『こりゃ 商売どころじゃねえ。』と考え、当時官房長官だった兄を頼り政界入り。環境省関係の仕事をこなし手腕を認められトントン拍子に出世。乳酸ポリの全国規模での普及、花粉症被害軽減も兼ねた植林活動も行った。大臣就任後は国際会議での中東諸国との折衝、バイオ燃料車の世界規模普及に努めた。兄の死後、兄の派閥の人達に推され内閣総理大臣に就任。2080年に引退。2093年逝去、このストパン世界に転生してきた。ウィザードである。固有魔法は『硬化』。One Piece の武装色の覇気(武装硬化)を想像してもらいたい。その気になればヴェルゴ中将のように全身ガードできる。このモードになればあらゆる攻撃を防げるが、1日3分の展開が限界である。腕部のみ、脚部のみの限定的展開なら1日30分以上使用可能。海軍兵学校一号生(服部静夏の同期)。間もなく特進卒業、第七艦隊に野戦任官の形で少佐に昇進・所属となり、安芸型(アークエンジェル級)二番艦『橋立(外見はまんまドミニオン)』艦長就任が予定されている。専用MSはまだ無い。Zや0083の時のオリジナルジャミトフと異なりもう少し髪の毛があり、またまだ黒毛である。だが顔が歳に似合わずオリジナルジャミトフと同じ老け顔で怖いし、また切れ者だったので“カミソリジャミトフ”の異名を持つ。



1943年 某日

「総帥、兵学校生のジャミトフ・ハイマンなる者からお手紙が。」

 

「わかりました。こちらに持ってきて下さい山口さん。」

 

 

 

 

そして私は手紙の中身を確認する。一枚に、一文だけ言葉があった。

 

 

『よう 兄弟 まだ生きてるか? 俺だ、にぃちゃん。』

 

お前も転生してきたのか 兄弟。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「コールサイン“メビウス”の名を冠した者に与えられるのは、ウィッチとしての最高の栄誉。その資格を得うるのは圧倒的な強さを持つ者のみ。」

 

ラウ・ル・クルーゼ 1945年末の雑誌「タイム」の記者からの質問に対する回答

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

2072年 某日 〇〇(ラウ・ル・クルーゼの前世での名前) 告別式 会場

 

 

□□(ブライト・ノアの前世での名前)視点

 

 

「先輩。」

 

「どうした?」

 

「にぃちゃんは・・・兄は幸せだったんでしょうか?俺は兄と60年共にありましたが、何を考えていたのかわからないところが多々ありました。でもあなたは違う。兄の考えをことごとく読む事ができた。兄は満足して死んで逝けたのか心残りで・・・。」

 

薄ら泣きながら俺に問う相棒の弟。考えは理解できる。

 

「あいつから皆宛の遺言映像を預かっている。後で一緒に見よう。」

 

弟が驚き、そして頷いた。

 

 

 

 

「今から遺言を通達する。」

 

あいつの映像が流れる。

 

「我が恩人達よ、今まで本当にありがとう。遺留分を除く財産等の処分は弁護士と相棒に任せてあるからそれに従うように。そして・・・よう 兄弟 まだ生きてるか? ありがとう戦友 さらばだ。」

 

弟は泣いていた。『さよなら』と告げた時のあいつの顔が、相棒の俺でも片手で数えられる程しか見れなかったすっきりした爽やかな笑顔だったからだ。これで弟も察しただろう。あいつは・・・俺の相棒は満足して逝けたと・・・

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

今私はヘルミーナ母さんの部下の人達のゼータプラスC1臨時改型の試験飛行を行っていた。

 

 

「ではマイクロ統合ミサイルの試験を開始してくれ。」

 

マイクロ統合ミサイル・・・『対地対空どちらにも対処可能』をコンセプトにZガンダムやリゼル等に搭載されている腕部グレネード・ランチャーを総合的に発展させた物である。小さくてかさばらないので搭載したところでゼータプラスは今まで通りWR形態にもMS形態にもなれるし、片方の翼に6発合計12発搭載できるため、手数の多さを以て制する事が可能であるという利点がある。さて、上手くいくだろうか・・・

 

「了解。」

 

オラーシャ陸軍から貰った廃戦車と哨戒機に曳航させたバルーンを標的に実験する。

 

「Missile Away .」

 

「5、4、3、2、1・・・Mark intercept !」

 

「こちら確認チーム、対地目標には複数発打ち込んで尚破壊力不十分と認む。」

 

「了解。では統合ミサイルの試験を開始してくれ。」

 

統合ミサイル・・・完全にエスコンの標準ミサイルのパクr・・・インスパイアした物である。弾頭はシミュレーション上でではあるが、M4シャーマン程度なら一撃で行動不能に追い込める貫通力を持つ反面、本来のエスコン同様航空目標(高機動目標)に対しては後ろについてから発射orヘッドオンで発射しないと命中は期待できない。しかもそこそこ大きいのでかさばりその結果マイクロ統合ミサイルの半分(6発)しか搭載できず、一度搭載してしまうと、全弾射ち終えるまでMS形態に戻れない。さてこれはどうかな・・・

 

「Missile Away .」

 

「5、4、3、2、1・・・Mark intercept !」

 

「レント隊長、これ航空目標に当たり辛いですぅ~。」

 

「・・・って感想が来てるけど。」

 

「まあそもそも航空目標も装甲目標も撃破できる汎用性が持ち味だから、文句はやめて欲しいね・・・はぁ。」 近くの椅子に座る

 

「・・・疲れてるのね。」

 

「私とて生身の人間さ。戦場から戦場へ・・・ずっとそんな暮らしだ。戦士なのだから、と言われたら・・・それまでだが。我らとて、何も初めから戦士だった訳ではない。早く終わらせたいと思うのだがね、こんな事は。母さんもそう思うだろう?」

 

「・・・。」

 

「その為の鍵は手にしたが、私の手元にあるのでは、最後の扉は開かれん。早く開けてやりたいものだがね・・・。」

 

最後の扉を開くのは姉さん(バルクホルン)こそ相応しい。私は鍵を与えるだけだ。今度のアフリカでの戦いで、製造した鍵を宮藤博士が直接持ってきてくださるのでそれで姉さんに扉を開いて貰う。楽しみだな。“悪”にはとことん苛烈なひかりちゃんはいざ知らず、優しい芳佳は鍵を好まんだろうな・・・鍵は・・・あまりに強力過ぎる・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では最終ブリーフィングを行う。諸君、着席してくれたまえ。」

 

全員の着席を確認し、説明を始める。

 

「“グリゴーリ”の南東50km地点に有賀さんが指揮する統合管制用の前線司令部(HQ)を置き、その防衛拠点“メンヒル”も前面に設置する。ロンド・ベル“士魂部隊”の諸君はここにて司令部を脅かすあらゆる脅威を排除せよ。」

 

「はっ。」敬礼

 

池田君が元気良く返事する。

 

「次に、雁淵大尉は第502統合戦闘航空団司令部で“ストーンヘンジ”での火力支援をお願いする。直掩はレント大佐指揮でロンド・ベル全航空隊であたるように。ペデルセン君の艦隊も502司令部の直掩を頼む。アンジェラは502司令部で彼女らの現場指揮を後衛兼務でやる事になるからよろしく・・・そしてアンジェラ。」

 

「なんだ?」

 

「“扶桑皇国最高戦力”の力を存分に示したまえ。」

 

「はっ。」

 

孝美お義姉ちゃん、ロンド・ベル全隊+凶悪な笑みを浮かべたアンジェラが敬礼する

 

「そして“グリゴーリ”直接攻撃は502にお願いする。前衛がひかりちゃん、クルピンスキー君。中衛はラル君以外のメンバー全員だ。ラル君は現場指揮を後衛兼務でお願いしたい。」

 

「ん~?」

 

「どうしたねヨハンナちゃん?」

 

「戦力配置図をよ~く見たら気付いたんだけどォ~、私とナージャとラウさんが書いてないけどォ~どうしたのォ~?」

 

「予備戦力だ。」

 

「ん~?」

 

「イレギュラーが発生したら我々3人で対処する。良いかなヨハンナちゃん?」

 

「ん~納得ですよォ~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

 

 

「全軍、進攻を開始しました。」

 

「では有賀さん、後は彼女を呼ぶだけですね。」

 

「はい。では総帥、バスターコール発令を。」

 

「・・・。」 カチッ

 

バスターコール発令ボタンを押す。ボタンから音声が発せられる。

 

[ブーブーブーブーブーッ リトルバスターコールを発令します。繰り返します。リトルバスターコールを発令します。敵拠点“グリゴーリ”に対し絶対殲滅命令をラーズグリーズ隊に下命。ラーズグリーズ1 直ちに攻撃を開始せよ! 繰り返す ラーズグリーズ1 直ちに攻撃を開始せよ!]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピピピ ピピピ ピピピ 端末を開ける

 

「ん?仕事?[グリゴーリをヤれ]・・・か。気は進まないけどな~。まあ雇われてる以上給料分の仕事はしないとね。」立ち上がる

 

 

 

「ひとつ人の世の生き血を啜り・・・ふたつ不埒な悪行三昧・・・みっつ醜い浮き世のネウロイ退治してくれよう!」 MSを展開する

 

 

「西沢義子 ZZ 行くよ !」

 

 

 

 

 

 

 

 

次回 BRAVEWITCHES DEGENERATION 「“円卓の鬼神”と“紅翼”(中編)」 少女は そして神話となる

 




長いこと秘匿してきたZZの持ち主を何気なくここでバラしていくスタイル。


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“円卓の鬼神”と“紅翼”(中編)

解説

黒田那佳

扶桑皇国陸軍中尉。乗機はRGZ-95C リゼル指揮官機。紅海方面で活躍し、右翼をもがれながらも戦いそして国籍問わず僚機を亡くした事無しと称えられたエースパイロット。通称“片羽の妖精“。乗機のリゼルは右翼が赤く塗装されている。性格含めその他は原作通り。現在第506統合戦闘航空団に出向中。



ハインリーケ・“ノゾミ”・トレットナー(23)

カールスラント国防軍空軍降下猟兵少将。シチリア島に駐留する第4降下猟兵師団の団長。航空ウィッチでもあり乗機はRGZ-95Ct リゼル指揮官機トレットナー・カスタム(部隊指揮用に通信機能が並大抵のMSでは敵わない程に強化、武装も対地攻撃用に各種爆弾・ミサイルを搭載できる特務仕様。メガ・ビームランチャーを対地攻撃用の実体弾のガトリングガンに変更する事も可能)。クルーゼが“母”と慕う者の一人。クルーゼの軍官僚としての流儀の師でもある(本編では描写していないが、彼女が扶桑本国にあるカールスラント大使館駐在武官【当時:大尉】だった時から交流がある。尚、本来“ノゾミ”と言う名は無かったがクルーゼから希ママ希ママと連呼されていたので後に役所で正式に登録している。)。外見はまんま『ラブライブ!』の東條希。『軍人にはとても見えないマイペース』と皆から言われているが、握力150kgとそれに相応しい筋肉(細マッチョ)、将官に相応しい頭脳を持っているのでナメて喧嘩を売ったらどうなるかは想像に難くない。元ネタは第3代ドイツ連邦軍総監。柏葉付騎士鉄十字章受章者。



桜型機動駆逐艦(クラップ級) 17番艦 『花』

第七艦隊の人員、重要物資を運ぶ半ば輸送艦・連絡艦と化している駆逐艦。初出は『蒼翼、502に着任す』。他の姉妹艦と異なり戦隊に属さず単独行動の特権が与えられている。艦長は園田海未少佐。


園田海未(17)

扶桑皇国海軍少佐。舞鶴に居を構える軍人一家の当主。あらゆる武道に精通する生まれつきの戦士でもある。クルーゼの武道の師であり“母”でもある。兵学校どころか大学校も既に卒業している秀才。外見はまんま『ラブライブ!』の園田海未。撃墜数は38。搭乗機は スタークジェガン→インパルスガンダム(第3章から)。コールサインはパールブルー(蒼)1。掲げるモットーは『厳格なる正義』。文字通り自分にも他人にも妥協・怠慢を許さない。


コールサイン

ナージャ・ポポワ→チェイサー1




いつからだっただろう。僕が彼女達に憧れたのは・・・そう、孤児院にあった中学生以上用の娯楽物の中に漫画と小説があって何気なく取って読んで、その純粋さに、心の強さに惹かれ、憧れたのだ。

 

いつからだっただろう。僕が彼女達に惚れたのは・・・そう、自立し、自分で買ったテレビで生の彼女達を見てその美しさに惹かれ、惚れたのだ。

 

だからだろう。政治家として最高の地位にまで就いたから、僕は疲れてしまったんだ。もう悲願であったあの法案を強行採決させ、引退した。強行採決の落し前をつけたのだ。

 

できるなら・・・彼女達のように生きてみたかった。だがこんな血塗れで仲間達から“扇動者”と呼ばれてた奴がそんな生き方などできるはずもない。だから・・・だから彼女達の為に戦いたいと思ったんだろう。彼女達に殺して欲しいなどと思ったんだろう・・・今までの罪に対する落し前も兼ねて・・・僕の選択は間違ってない・・・よね?

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「相棒、この愚かな世界の結果として生まれた者として一つアドバイスをあげよう。君はニュータイプだ。だからこそ君が持つその治癒魔法は他の者が使う治癒魔法とは根本的に異なるのだ。他の者が使う治癒魔法はただ単に対象の治癒力を強制的に上げるだけの代物であるのに対して、君のものは時そのものを操るのだ。 その力を自在に制御することができるようになればそれは攻撃方法に転換することもできる。イメージするんだ君が治癒魔法を使う際に手から出ているその虹色の光、それを自在に操るというイメージを。具体的に言うならそんな感じだ。イメージしてみたまえ。常にイメージするのは最強の自分だ。」

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「メビウス4(ヨハンナ)、チェイサー1(ナージャ)、スカイ1(佐々木原)聞こえているかね?」

 

「感度良好。問題無い。」

 

「大丈夫よォ~。」

 

「大丈夫です。」

 

「これより任務を伝える。先日言ったように我々の任務はイレギュラーに対する対処だ。そしてやはりイレギュラーは発生した。衛星から送信されてきたデータを送る。確認してくれ。」

 

「うわ・・・なんじゃこりゃ。」

 

「化け物ねェ~。」

 

「GFAS-X1 デストロイ。私が設計図だけは書いたが結局のところコストが高すぎるので製造しなかった兵器を敵はそのまんまパクってきた。性能はおそらく私が作ったものと同じだと考えられる。一撃で都市を滅ぼせる主砲。陽電子リフレクター、TPS装甲による鉄壁の防御がある。私がペテルブルグ軍集団を前に出さなかったのはコイツが出てくる事がわかっていたからだ。もしペテルブルグ軍集団を前面に出そうものならこいつらによって文字通り骨すら残らない惨状になっただろう。どうやら“グリゴーリ“に対して増援として“アンナ”から発進したものらしい。」

 

「アーセナルバードは昼寝でもしてたのか?何やってんだ。」

 

「アーセナルバードは防御的機構だし何より制空権確保が目的だ。あのようなMAなど想定してないよ。」

 

「どうやら20機ずつ二隊にわかれて一方がメンヒルに、もう一隊がペテルブルグに・・・ってところねェ~。」

 

「メビウス4とチェイサー1、スカイ1はメンヒルに向かう方を頼む。私はペテルブルグに向かう方を叩く。敵の懐に入って戦いたまえ。私の設計通りの性能なら中・遠距離は強いが近接戦闘は並以下のはずだからね。」

 

「了解ですよォ~。」

 

「了解。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヨハンナ。」

 

「どうしたのォ~?」

 

「良かったのか?長官を単独で行かせて。」

 

「大丈夫。あの人の執念は私達ニュータイプを呆れさせる程のもの。ネウロイなんかじゃ止められないわァ~。」

 

「なら良いんだがな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オラオラオラオラオラオラオラァッ!」

 

「・・・すっかり忘れてたぜ。ジョゼの野郎がソードストライカー使い始めたら性格変わること。」

 

「ジョゼさん・・・。」

 

もうジョゼさん単騎で20機は墜としてる。中々ね。

 

「我々も負けてられません。いきますよ皆さん。」

 

「「「了解!」」」

 

「よし。当初の計画通りひかりとクルピンスキーは突入せよ。我々は援護だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぬぉーーッ。」

 

私はデストロイを翻弄するため空戦機動をとっているがかなりきつい。無理からぬことだ。もう私の肉体は60をとっくの昔に過ぎているのだから 逆に言うならパイロットとしての賞味期限を超えているにもかかわらずここまで空戦機動ができるのは奇跡と言ってもいいだろう。

 

キラキラキラ バシュン

 

久しぶりに私の頭の中で種のようなものが弾ける。視界がクリアになり体もさっきよりかは少しだけだが軽く感じるようになる。だがこれでは足りない。『絶対魔眼』を発動させ、

マーサママに連絡する。

 

「スカイ1、聞こえるかね?」

 

「大丈夫?そもそも生きてるの?」

 

「折れた肋骨が肺に刺さってるが問題無い。それより新たに任務を伝える。『メビウス4、チェイサー1、スカイ1は現在交戦中の敵を殲滅後、直ちに第502統合戦闘航空団司令部に向かい、医療班を準備せよ。』以上。」 ブチッ 通信を切る

 

流石にデストロイ20機を単騎でってのはキツすぎる。だが・・・!

 

ズシャッ デストロイの腰を一刀両断する。コアはコックピットだからこうすれば必殺だ。

 

パパパン パン

 

ドラグーンを射出、 ビームブレードを展開させ撃破したデストロイの隣のデストロイを蜂の巣にし撃破する。

 

「保ってくれよ私の身体・・・てやっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「現在交戦中の502に告ぐ。こちらラーズグリーズ1。助太刀致す!ハイ・メガ・キャノン!」

 

ズガガガガガガガ

 

「うおっ!?何だ今のビーム!?」緊急回避

 

「ラーズグリーズ1・・・西沢さん!」

 

「下原さん、今のは?」

 

「ラーズグリーズ1・・・ロスマン先生もご存知のはずです。我が第七艦隊が誇る“円卓の鬼神”が応援に来てくれたみたいです。」

 

「“円卓の鬼神”!?今のが?」

 

WR形態のMSらしき機体が通り過ぎていく。

 

「よっしゃー久々の仕事、汚物は消毒だーヒャッハー!!」

 

オープン回線からそんな過激な発言が聞こえてきた。

 

「相変わらずみたいですね西沢さん・・・。」

 

下原さんがそう言う。おそらく引きつった笑顔で言ってる事が容易にわかる声だったわね・・・

 

「この機を逃すな!502全機、突入せよ!」

 

「「「了解!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んじゃま~小手調べにィ~・・・八尺瓊勾玉ァ~。」チュンチュンチュンチュンチュンチュン

 

「・・・無駄みたいだな。陽電子リフレクターに全て防がれている。ヨハンナ、センサーの熱反応では腹のコックピットっぽいところにコアがあるようだ。懐に飛び込んで光速キックを叩き込んでやれば勝てるだろう。」

 

「ありがとうナージャァ~。んじゃ行ってくるわねェ~。」

 

そう言いヨハンナはバンシィ・ノルンのリミッターを解除し突入した。

 

「スカイ1、迂闊に前に出るなよ?今ヨハンナはフラストレーションがたまってるからな。巻き込まれかねん。」

 

「わかったわチェイサー1。」

 

そんな会話をしてる間にもうヨハンナは敵の懐に飛び込んでいた。そしてお約束の台詞。

 

「知ってるか~い?速度は重さ。光の速度で蹴られた事はあるかい?」

 

ベコッ と嫌な音がしたかと思えば、次の瞬間、その敵機のコアは吹っ飛ばされ、吹っ飛ばされたコアの破片が隣の敵機のコックピットを直撃、2機同時撃破を達成する。

 

「うわー。」

 

スカイ1が若干引いてる。まあ無理からぬ事だがな。

 

「スカイ1、我々は外れの敵機を叩くぞ。外れならヨハンナの攻撃に巻き込まれる事も無いだろう。」

 

「了解チェイサー1。」

 

さて。私も仕事だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はいもういっちょハイ・メガ・キャノン!」グリゴーリの雲に穴を開ける

 

「よし、クルピンスキーとひかりは直ちに突入せよ!」

 

「「了解!」」

 

「ひかりちゃん。」

 

「はい。」

 

「僕の後ろについてね。まず僕が残りのマイクロミサイルとフォールディング・バズーカを乱れ撃ちサービスで敵をできる限り掃除する。合図したら突入、頑張って!」

 

「わかりましたクルピンスキーさん。」

 

「んじゃ・・・行くよ!」

 

ドドドドドドドドドドドドドドド バゴンバゴンバゴンバゴンバゴンバゴン

 

「行って!ひかりちゃん!!」

 

「はい!」 ヴォワチュールリュミエールとミラージュコロイドを発動させる

 

「邪魔だァーッ!」 ズシャ 触手をアロンダイト ビームソードで斬り捨てる

 

「これで終わりだァーッ!」 M2000GXビーム砲をゼロ距離でコアを撃つ

 

 

キィーーーッ パリパリパリ パァン

 

 

「終わった・・・。」

 

「いやー以外とあっさり勝てたねー。」

 

「それができたのもクルーゼ元帥の軍政手腕のおかげだ。“官僚元帥”の名は伊達ではないと言う事だな、先生?」

 

「そうね。」

 

「いや~上手く行って良かった。」 ZZが接近してくる

 

「西沢さん、お久しぶりです。」

 

「???・・・誰?」

 

「下原定子です!リバウ・・・“円卓”でご一緒させていただいてます!何度か直接お話もしたじゃないですか!」

 

「・・・駄目だちっとも思い出せない・・・。」

 

「うぅ・・・そう言う人でしたね・・・。」

 

「へ~この人があの“円卓の鬼神”?何でオラーシャに?」

 

「仕事だよ仕事。」

 

「仕事?」

 

「第七艦隊司令長官に旅費肩代わりしてもらう代わりに命令あればネウロイの巣に突るって言う簡単な仕事。確か『バスターコール担当官』とか言う仕事だったかな?」

 

「バスターコール担当官?」

 

「はい。クルーゼ長官が出す絶対殲滅命令でこれを遂行するのがバスターコール担当官です。担当官には危険極まりない任務ばかり与えられる代わりに毎年400円賞与が降り、また戦略兵器級の人しか任命されないものです。現状西沢さんや第七艦隊各飛行隊長、若本さんがその任を負っています。」

 

「へ~。とにかく凄い人だってのはわかった。」

 

「HQ(司令部)から502へ告ぐ。」

 

「「「!!」」」

 

「現在士魂部隊が敵地上軍残存勢力から攻撃を受けている。502はこれを排除せよ。繰り返す。502は任務更新(ミッションアップデート)、士魂部隊を航空支援せよ。」

 

「502了解。」

 

「話は後だ。行くぞお前ら。西沢飛曹長もついてきてくれ。」

 

「あいよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・以外と早く終わったな。」

 

「ん~そうねェ~。」

 

「では502司令部に帰還、医療班を用意しましょう。長官の命令ですから。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回 BRAVEWITCHES DEGENERATION 「“円卓の鬼神”と“紅翼”(後編)」

 

少女は そして神話となる

 

 



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“円卓の鬼神”と“紅翼”(後編)

解説



高坂穂乃果(17)

扶桑皇国海軍大尉。機動駆逐艦『花』副長 兼 航海長。園田海未艦長の幼馴染でアーノルド・ノイマン並の卓越した操艦技術の持ち主。まんま『ラブライブ!』の高坂穂乃果。ONの時は非常に優秀だがOFFの時はめちゃくちゃだらける。パンが大好き。モットーは『ゆったりした正義』。乗機はRGZ-95C リゼル指揮官機。オレンジで塗装されている。撃破数は40。コールサインはソル1。クルーゼとも面識がある。


南ことり(17)

扶桑皇国海軍大尉。機動駆逐艦『花』航空隊隊長(とは言っても所属しているのは彼女と高坂雪穂のみ)。園田艦長、高坂副長の幼馴染。まんま『ラブライブ!』の南ことり。優秀だがたまにやらかす。モットーは『4人で正義』。乗機はスタークジェガン(基本ハイパー・バズーカではなくビーム・ライフルとシールド装備。)。撃破数は70。コールサインはガルーダ1。クルーゼとも面識があるがクルーゼからの覚えは悪い。初対面でクルーゼをいきなり襲っておやつ(意味深)にしようとするから・・・。


高坂雪穂(13)

扶桑皇国海軍中尉。機動駆逐艦『花』航空隊所属。大抵の者は戦果をあげてからでないと召集されない第七艦隊の人事だが、兵学校を短期教育で卒業、直ちに第七艦隊人員に選出された程の秀才。まんま『ラブライブ!』の高坂雪穂。姉の高坂穂乃果はじめ幼い時から良く知る上司3人をとても尊敬しているが、姉にそれを態度に出すと調子に乗るため姉にはおくびにも出さない。コールサインはソル2。乗機は腕部、肩部がオレンジに塗装されたジェガンD型。撃破数は26。





西木野真姫(17)

扶桑皇国海軍軍医大尉。芳佳の姉弟子。舞鶴最大の私立病院の次期医院長。7歳で芳佳の母であり治癒魔法の名手である宮藤清佳予備役軍医中佐(当時軍医少佐)に師事、その後兵学校で将校教育、医療教育を受けた。まんま『ラブライブ!』の西木野真姫。最近 相模(ゼネラル・レビル)勤務の辞令が下った。ウィッチでありオールドタイプ最高峰の治癒魔法の使い手だが、同時に軍功無しでここまで登り詰めた秀才である。一応乗機としてMS-07X グフX(THE ORIGIN編から登場しているオリジナルMS)が与えられている。クルーゼとも面識があり、「マッキー先生」と呼ばれている。



ジーン・コリニー (偽)

扶桑皇国海軍中佐。ブライトと同期。山口多聞の中将昇進・異動(第七艦隊 第四戦隊司令官専任になる)に伴い間もなく第七艦隊旗艦 相模(ゼネラル・レビル)副長に就任する。転生者でクルーゼの前世での恩人の一人であり、クルーゼを薬(違法薬物ではない)、精神面で支えた。薬剤師のスキルを持つ。現職に就く前はクルーゼに頼まれ扶桑海でイージス艦の防空迎撃試験を行っていた。軽度の熟女スキー。淫夢ネタもたまに出す変態。クルーゼと会うと必ず毎回最初の発言が「ぶっ飛ばすゾ!」であるという癖がある。




児島俊平

扶桑皇国海軍中佐。ブライト、コリニー、メランと同期。メランの前世での双子の兄。まんま『第08MS小隊』のコジマ中佐。転生者でありクルーゼの前世での恩人の一人。クルーゼが前世で死亡した後、クルーゼの遺産相続を任された弁護士は彼である。転生してきてから間もなく司法試験に挑戦し、あっさり合格している。クルーゼの恩人達の中で最も頭の回転が速かったのでもっぱらクルーゼの参謀であった。何故か彼とクルーゼが人狼ゲームで共に人狼サイドで戦うとほぼ間違いなく勝利する。現在 統合軍政省 法務部 勤務。前線に立つタイプの軍人ではないが、少しは皆と戦いたいと思っている。ツンデレである(←男のツンデレなんぞ誰得ww)。最近『超大型怪異との近距離戦闘における艦隊の脆弱性について』と言う論文を発表、全世界の海軍関係者から注目を集めている。前世においてクルーゼから“ネズミ”と呼ばれていた。今も呼ばれている。



エイパー・シナプス(偽)

扶桑皇国海軍中佐。第七艦隊 第二独立部隊 機動巡洋艦『酒匂(アーガマ級)』艦長。ブライト・ノア(偽)の同期で彼の部下である。転生者でありクルーゼの前世での恩人の一人。クルーゼのボケに対するツッコミ能力と外国語に優れる。前世では低身長かつ体型がガリガリで覇気が無かったというコンプレックスがあったが、シナプスの高身長と大塚周夫ボイスを手に入れた事により払拭された。若いので顔はそのままだがオリジナルのシナプス大佐と異なりまだ髪の毛が黒い姿を想像してもらいたい。




第502統合戦闘航空団司令部 近辺

 

「参謀長、もう敵地上軍は艦隊の有効射程圏内に入っています。攻撃許可を。」

 

「待てペデルセン司令官。私を信じろ。」

 

「しかし・・・」

 

「敵地上軍、ペテルブルグに侵入しました。」

 

「よし。全軍、私より後ろに後退しろ。」

 

「?・・・まさか!?全艦直ちに緊急後退!参謀長のレジェンドからなるべく離れろ!」

 

良し、では始めようか。

 

「ペデルセン司令官、一体何を?」

 

「参謀長はペテルブルグの瓦礫を自分の固有魔法『重力操作』で持ち上げ、敵地上軍にぶつける気だ。急げ、小回りが利くし的が小さいウィッチ達はいざ知らず我々は下手すると巻き込まれるぞ!」

 

「り 了解!緊急回避!取舵一杯、下げ舵一杯!」

 

ペデルセンの艦隊が下がった。よし、まずはペテルブルグの瓦礫を全部持ち上げる。

 

「・・・。」 カタガタガタ 瓦礫が宙に浮く

 

「・・・沈めぇ!!」 ドンガラガッシャーン

 

「うひょー。」

 

「流石は“扶桑皇国最高戦力”・・・。」

 

「一個軍団はいた敵地上軍が一瞬で・・・。」

 

「・・・HQ(司令部)、ペテルブルグは仕事を完了した。そちらはどうか?」

 

「・・・こちらも任務完了(ミッションコンプリート)。RTB(基地へ帰還する)。」

 

「了解。」 通信を切る

 

「そういや・・・。」

 

「どうしたペデルセン司令官?」

 

「我々は何かを忘れてませんかね参謀長?」

 

「そうねェ~。私達皆が勝利に喜んでる間、ラウさんは一体どこで何をしてるんだろうねェ~?」

 

「「「あっ!!」」」

 

こんの馬鹿共長官のこと忘れてやがった。後で長官にチクってやろう。

 

「電探員、メビウス1(クルーゼ)の位置は?」

 

「ペテルブルグの南南西10km、現在帰投中。既に戦闘を終えたと思われます。ですが通信に反応しません。飛行も不安定です。」

 

「・・・ヨハンナ、待機させている医療班を滑走路に出しておけ。」

 

「ん~了解ですよォ~。」

 

「私はラウの迎えに行く。ひかりはついてこい。他は一旦待機だ。」

 

「「「了解!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ラウ!」

 

「あぁ・・・アンジェラ・・・ひかりちゃん・・・すまないが僕を502司令部まで運んでくれんかね?」

 

「ひかり、右肩を支えてやれ。私は左を支える。」

 

「わかりました。」

 

あぁ、大分楽になった。もうストライクフリーダムのスラスターは切って大丈夫だろう。

 

「大分無茶したようだな。」

 

「あぁ・・・その気になれば光速になれるヨハンナちゃんが倒すまでそこそこ時間を要した敵だ。強化系固有魔法をありったけ使ったさ・・・そうでもしないと勝てんしね・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「到着だ。ラウ、聞こえてるか?」

 

「あぁ、なんとかね。アンジェラ、医療班は滑走路に待機してるかね?僕の目はもう霞んでいて見えるものも見えん・・・。」

 

意識が混濁してきた。そろそろ限界だぞ・・・

 

「着いたぞ。」

 

「・・・ありがとう二人とも。では僕から少し離れたまえ。僕の血なんぞで君達を汚したくない。」 ストライクフリーダムを解除する

 

ズシャッ バタン 体組織が崩壊、滑走路が血だらけになる

 

「医療班、至急無菌室に担ぎ込め!急げ!」

 

「り 了解!」

 

「参謀長・・・。」

 

「怯むな下原少尉。こうなる事は司令長官閣下も私も織り込み済みだ。」

 

「・・・。」

 

「「「・・・。」」」

 

戦勝ムードから一変、誰も何も喋らなくなった。まあ如何に古強者揃いの連中でもあんなグロテスクなものを見りゃそりゃそうなるよな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3日後 機動戦艦 『相模(ゼネラル・レビル)』 無菌室

 

「・・・ん。良く寝た。」

 

3日ぶりに復活したは良いが、近くに設置されていた鏡を見て私は肩を落とさざるを得なかった。

 

「これじゃFateの子ギルと何も変わらんではないか。」

 

そこには碧眼の子ギルが映っていたのだ。身長もこの分だと130cmもあるまい。声も遠藤綾さんの子ギルボイスになっちゃってるし。

 

「下原君に見つかったら何されるかわからんなこれは。」

 

ひとまず端末でアンジェラを呼び出す。

 

「戻ってきたか・・・随分早かったな。」

 

「うん。でもこれじゃいつも付けてる仮面がファッション的に似合わないからしばらくはサングラスにするよ。アンジェラ、502司令部の食堂まで運んでくれる?身体がふらついて安定しないんだ。」

 

「わかった。ほら。」

 

そう言いアンジェラは私の前に両手を広げる。なんでそこでお姫様抱っこの構えを取る?

 

「ちょっと待ってアンジェラ。何その構え?」

 

「お前を抱える為だ。丁度良い訓練になるからな。」

 

「訓練?」

 

「遅かれ早かれ一年以内に生まれるお前の子供を抱く時の為の訓練だ。」

 

ん?今アンジェラなんか聞き捨てならない爆弾発言をしなかったか?

 

「僕の子?何今の発言?」

 

「この前私とした・・・というよりさせただろう?恐らくその時に当たったようだ。次のお前の誕生日には生まれるな。」

 

マジかよ。一回しかしてないにもかかわらず当たるのかよ・・・

 

「ごめんアンジェラ。」

 

「?・・・何がだ?」

 

「西沢君程ではないにしても戦いを好み、またニュータイプの中でも屈指の上昇志向を持つ君を一時的にとはいえ戦線を離脱させる事になるからね・・・申し訳ない。」

 

「いいや。これは無理やりさせた私の自己責任だ。それに・・・。」

 

「それに?」

 

「愛する人との愛の結晶を手にした喜びは私の戦闘欲と上昇志向を遥かに凌ぐものだ。ありがとうラウ。」

 

そう言いアンジェラはいつもの強面を解き、18歳に相応しい屈託ない笑顔を僕に浮かべる。は 反則だよその笑顔!

 

「・・・うん。前々から思ってはいたけど・・・僕なんかを愛してくれてありがとねアンジェラ。」

 

「ふん、何を今更。」

 

とは言いながらも笑ってくれたアンジェラ。いや、本当にありがとう。

 

「では食堂に行くか。久しぶりにお前の夕食が食べられる。今日の献立は?」クルーゼを抱き抱える

 

「そうだな・・・アンジェラの大好きなカツオのたたき、刻んだ薬味ネギとポン酢付きにしよう。後で菅野君に相模の水槽から3匹獲ってくるように言ってくれないか?」

 

「わかった。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

久しぶりにアンジェラの胸に顔を埋めたが・・・最高でした。気高さのある香りなんだけれども癒されるというかなんというか、まあそんな感じ。醇子さんのような誘ってくる香りではなく、また芳佳のような純粋な優しい香りでもない、そんな感じ。かなり痛かったが、身体は若返り、ショタになったからアンジェラに抱き抱えられるしで。502での仕事は我が第二の生涯最高の日々の一つになるだろう。ありがとうアンジェラ《バディ》。

 

 

 

 

 

 

次回 BRAVEWITCHES DEGENERATION 『天界の王』

少女は そして神話となる




補則解説

機動戦艦 相模(ゼネラル・レビル)には、オリジナルのゼネラル・レビルと異なり生鮮食品を生産、保存する施設が非常に充実している。野菜生産工場は勿論のこと、魚類の為の水槽まで完備されている。冷蔵庫・冷凍庫の備えも完璧である。


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天界の王

解説

“聯合”

ラウ・ル・クルーゼ(偽)が前世において政治家になってから組織した自分の参謀組織。彼同様にこのストパン世界に転生してきたクルーゼに深く関わっている者達(本作に登場するブライト、メラン、コリニー、シナプス、児島、ジャミトフ)が所属していた。彼らの絆は生半可なものではなく、また悪友であり、また家族ぐるみで様々な所に団体旅行に行っていたようだ。ブライトが参謀総長を務めメランが参謀次長に就いていた。クルーゼ亡き後は、弟であったジャミトフを補佐する形で存続、全員が死ぬまで終止解散する事はなかった。当然、この貞操観念逆転ストパン世界において再結成された。




EML

エスコン7(VRモードで作者も世話になった)お馴染みのアレである。コスト・整備性・単純な電力不足の都合上流石に航空機には積めなかったが、艦砲にはできたようである。正式名称『一式両用電磁砲』。有効射程は1000km。外見は「トランスフォーマー リベンジ」で登場したアメリカ海軍のレールガン。第八艦隊に所属する空母以外の艦6隻の標準装備(主砲)。




小泉花陽(16)

扶桑皇国海軍中尉。クルーゼが“母”と慕う者の一人。佐々木原大尉と並んでクルーゼの副官有力候補の一人であったが、本人が固辞したため、選考から外されている。いわく「自分にまだ自信がないから」だそうだ。撃破数は100。まんま『ラブライブ!』の小泉花陽。同様の理由からクルーゼからの第七艦隊への勧誘にも応じていない。コールサインはストライダー1。現在兵学校の飛行教官を務めている。乗機は右ショルダーアーマーに白い三本線が塗装されたスタークジェガン。




RX-78NT1R アレックスR

RX-78NT1 アレックスの皮を被った化け物MS。防御性能一切無視・超高機動・圧倒的追従性にのみ重点を置いて設計された。現在ラウ・ル・クルーゼ(偽)自身が稼働試験をやっている真っ最中である。


機動駆逐艦 葵

桜型機動駆逐艦(クラップ級)18番艦。初出は「蒼翼、502に着任す」。「花」同様単独行動特権を与えられている。艦長は絢瀬絵里少佐。


絢瀬絵里(18)

扶桑皇国海軍少佐。機動駆逐艦「葵」艦長。クルーゼが“母”と慕う者の一人。まんま『ラブライブ』の絢瀬絵里。オラーシャ人の血を引いているが、扶桑生まれの扶桑育ちである。固有魔法は『煙幕』。まんまOne Pi〇ceのスモやん中将の悪魔の実の能力。撃破数は57。コールサインはペガサス1。乗機は肩部アーマーが黄色く塗装されたスタークジェガン。


星空凛(17)

扶桑皇国海軍大尉。機動駆逐艦「葵」副長。まんま『ラブライブ!』の星空凛。撃破数は53。コールサインはヘイロー2。乗機はスタークジェガン。


絢瀬亜里沙(13)

扶桑皇国海軍中尉。絢瀬艦長の妹。機動駆逐艦「葵」所属航空隊隊長(と言っても所属しているのは彼女のみ)。まんま『ラブライブ!』の絢瀬亜里沙。高坂雪穂中尉と同期。乗機はジェガンD型。コールサインはペガサス2。撃破数は28。



九九式警戒機

ほぼグラマンE-2D アドバンスドホークアイ。扶桑皇国軍主力警戒機。オリジナルと異なり省スペース化・高性能化されているため強力なAWACSとして使える。第七艦隊にも配備されており桜型(クラップ級)・秋月型(アレキサンドリア級)機動駆逐艦以外の各艦一隻につき最低2機、多ければ4機艦載している。



『1945年初頭、私は第502統合戦闘航空団の副司令、少佐として従軍していた。502に参加していた当時まだ一介の尉官であった雁淵孝美海軍中将、菅野直枝海軍少将、“紅翼”雁淵ひかり宇宙軍大将の上官であった“蒼翼”ラウ・ル・クルーゼ元帥が固有魔法を駆使し“フレイヤー”作戦後本調子を取り戻した直後の模擬戦を拝見する機会があった。「第七艦隊はクルーゼ元帥が私財を投じて作った艦隊」「世界中の孤児を引き取り養育している」「彼の会社口座はいざ知らず彼個人の口座には5万円も入っていない。」等眉唾物の彼関連の噂を当時の私は聞いていた。扶桑のお抱え大企業の主にして扶桑皇国全軍総帥、爵位、議員の席まで持っている圧倒的な程の社会的強者が何故泥・血・汗にまみれる女所帯である戦場で戦うのか・・・私は理解に苦しんでいた。だが先程言及した模擬戦直前のウォーミングアップを見て私は理解した。元帥は、離陸すると同時に急激に機動した。私が今まで見てきたあらゆる戦士達よりも、明らかに違う、私などでは間違いなくできない鋭さ。元帥は高G機動を繰り返し、遥かな空の高みへと上昇していった。私は理解した。明らかに扶桑の覇者を名乗れる権力・権威、お金を持ちながら、何故そのような事をせず、お金に執着する事もなく聖人のごとき散財をし、女所帯の戦場、空に身を投じたのか・・・それは、大空こそが彼の王国だったからだ。』

 

U.C.0060 南オラーシャ書店(株)出版

アレクサンドラ・I・ポクルイーシキン地球連邦軍元帥

 

「回想録」 第8章“天界の王”より抜粋

 

 

 

 

 

 

『我らが汝に信を与えたなら汝は我らに忠を誓った。我らは“聯合”。その盟約は不変にして強固なり。』

 

ジーン・コリニー(偽)

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「ハァハァハァ・・・参謀長、獲ってきたぜ。」 カツオを渡す

 

「ご苦労。今日の夕食はこれを使った新鮮なたたきだ。」

 

「おぉやったぜ!・・・って参謀長。」

 

「どうした菅野中尉?」

 

「参謀長の背中にしがみついてるガキはなんだ?」

 

「私だよ菅野君。」

 

「わからんかね?君にこの前鮭を買ってこさせた君の上司だ。」

 

「え?嘘だろ~今日はエイプリルフールじゃねえぞ参謀長。」

 

「仕方ないな・・・では君がこの前廊下でブライトが写ってる写真を見て気持ち悪いニヤニヤをしていたとブライト自身にチクっておかないとな。」

 

「うっ・・・どうしてそれを・・・。」

 

「今のでわかってくれたかな菅野君?」

 

「え マジで長官なのか?」

 

「そうだとも。」

 

「その・・・なんだ・・・長官、ガキ扱いして悪かった。」

 

「うん。猛々しく戦うのは良い事だが、ブライトを手に入れたいなら今のように素直になる事を勧めるよ菅野君。後今の私の正体はまだ伏せといてくれたまえ。頼む。」

 

「了解だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では昼食の最中だがミーティングを行う。」

 

「参謀長。」

 

「どうした雁淵大尉?」

 

「参謀長の背中にしがみついてる子供は何者です?」

 

「それについても後程詳細を話す。ロスマン曹長、地図を。」

 

「わかりました。」 電子地図を出す

 

「今回我々500、502の連合統合戦闘航空団は、無事敵拠点“グリゴーリ”の撃破に成功した。そして次に502の諸君が為すべき義務、それは敵拠点“アンナ”の単独撃破である。500は訳あってアフリカに転戦せねばならんからな。」

 

「え!?」

 

「どうしたカタヤイネン曹長?」

 

「502単独でって事は・・・まさかたった10人でやれって事ですか少将?」

 

「そうだ。貴官の懸念は理解している。まあ黙って最後まで聞け。良いな?」

 

「わかりました。」

 

「今回の“フレイヤー”作戦において、“アンナ”は“グリゴーリ”に対する増援として我が第七艦隊司令長官閣下御自ら設計されたは良いが、コスト等の諸事情によりペーパープラン化していた超大型MSを参考にしたと思われる超大型ネウロイをくり出してきた。司令長官閣下とヴィーゼ少佐の“扶桑皇国最高戦力”二人がかりで撃滅できたが、この機を逃すべきではないと我々は判断したのだ。この超大型MS・・・デストロイは製造しようものなら戦艦一隻並の予算・資材が必要になる。如何に我らに対し物量で勝る奴らといえども、そのような高コスト機を40機も出したなら、懐が無傷では済まん事は明らかだ。それに“アンナ”の巣としての規模は“グリゴーリ”の3分の1。502単独で攻め落とせぬ道理があろうか?」

 

「一統合戦闘航空団司令としても私は参謀長のご意見に賛成している。“時は金なり”とはこの時の為にあったのだとも思っている。奴の懐が寂しいうちに・・・回復する前に討ち取る。」

 

「質問はあるか?」

 

「「「・・・。」」」

 

「無い・・・ようだな。この作戦、“紫”作戦の草案はラル司令に預けておく。必要に応じて改訂、遂行せよ。これでヌーンミーティングを終える。菅野中尉、雁淵大尉。」

 

「「?」」

 

「朝食の後1400に滑走路に集合、私の後ろにしがみついている奴と模擬戦をやってもらう。」

 

「「!?」」

 

「本気でやれよ?でなければ貴様らは5年前の訓練場模擬戦での惨敗の二の舞になるぞ?(←詳しくはTHE ORIGIN編の新年記念エピソードを参照)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フル・フロンタルです。では菅野さん、雁淵さん、どうぞよろしくお願いいたします。」ペコリ

 

「え えぇ。」

 

「おう(なんでこんなタイミングで長官と戦わねえといけねえんだ・・・)。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フル・フロンタル、アレックス 行きます!」 ヒューン ガシャン

 

「凄い高G機動・・・私じゃ無理だよ・・・サーシャさんはできますかあれ?」

 

「ニパさん、私に振らないで下さい・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ロメオ4(孝美) 発進します!」 ヒューン ガシャン

 

「オメガ11(菅野) 出るぞ!」 ヒューン ガシャン

 

「こちら有賀・・・じゃないAWACSロングキャスター。ロメオ4、オメガ11、今回の模擬戦のルールは簡単だ。敵は反撃してこないので、二人がかりで30分以内に君達の目の前を飛んでいるMSに演習出力ビームなり演習出力ビーム・サーベルを当てられたら君達の勝利、できなかったら敗北だ。頑張れよ。」

 

「「了解!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわ・・・くそ・・・なんて機動だ・・・追い付けない・・・。」

 

「身体中が悲鳴を・・・。」

 

「ハハハハハ!これぞまさに『メビウスターン』よ!ついてこれますかお二人さん?」

 

(ヒスパニア怪異事件以来の本調子で)孝美お義姉ちゃんと菅野君を色々と弄ぶ図。文面で見るとなんとも犯罪的である。ジャミトフの皮を被った我が愛しの弟がここにいたら『舐めプじゃねえか』と間違いなくツッコんでくるであろう事案を私は体験していた。ちなみに私の『メビウスターン』はオリジナルメビウスターンと異なりただ単に西沢君の常に敵の至近距離を飛行、死角を取る戦法を西沢君より速くやっているだけである。今乗っているアレックスR だからこそできる機動なのだ。ストライクフリーダムではこんな細かすぎる機動はできん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

30分後

 

「「ハァハァハァハァ・・・。」」

 

「まあそうなるのも道理だな・・・。」

 

滑走路で死んでる(笑)二人。でもまあこれで菅野君がメビウスターンの原理を理解してくれれば菅野君の空戦スキルは劇的に向上するだろう。お義姉ちゃんはそもそもアカツキガンダムの装甲を利用した戦い方ができれば良い話だからまあ今回の模擬戦で学ぶ事は少なかっただろうけど。

 

 

 

 

 

「ラル君、後お願い。」

 

「わかりました。」

 

死体(笑)をラル君に任せた。私はさっさとロンド・ベルの出発準備をさせないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

機動戦艦 相模(ゼネラル・レビル) 艦長室

 

「・・・。」

 

「マーサママ、今から聞く質問に正直に答えてね?」

 

「・・・」 頷く

 

「ママ、妊娠してる?」

 

「・・・。」

 

「ママとヤった次の日に参謀長とヤったけどね、参謀長とは一回しかしてない。でも参謀長は妊娠した。なら身体の個人差はあるだろうけれども10連戦したママはどうなんだろう・・・って思ったんだ。」

 

「う・・・。」

 

「大丈夫。僕は咎めるどころか祝福するし参謀長にもママをブチ殺したりしないようにもう既に頼んであるから心配はいらないよ。」

  

「・・・妊娠してます。」

 

「わかった。でもねママ、祝福はするけど申し訳ないが認知はできない。その子はあくまで“ママの子“。“僕の子”にしてしまうと長く辛い運命にその子を引きずり込む事になる。そこは許してね。せめて養育費は全部出すから。」

 

 

男女逆転で男がいくら女性を孕ませても問題ないこの世界。だが私はそこは前世の価値観に則り責任を最低限取る。というよりそうしないと聯合の奴らの私を見る目が冷めたものになってしまうのは明らかだったからだ。例え世界を敵にまわしたとしてもあいつらにそんな目で見られるのだけは絶対いやだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヒガシ君、久しぶりだね。以前送っておいた計画書通りそろそろ私が直接出向くからマルセイユ君をきっちり教育しておいてくれたまえ。よろしく。」

 

 

 

「・・・で宮藤博士、例のものは・・・はい、ありがとうございます。では機動駆逐艦『花』を率いてアフリカへの出動をお願いします。ゑ?そろそろ義父と呼んで欲しい?わかりましたお義父様。それでは失礼します・・・はい。」

 

 

 

「寺内さん、御無沙汰しております・・・ゑ?私を統合幕僚副長に?確かに陸海軍の人事バランス上必要な処置ではありますが・・・では軍令部の方は・・・わかりました。及川さんに託します。寺内さんのお陰で永野さんの呪い(笑)から解放されました。ありがとうございます。はい。アフリカでの作戦は扶桑皇国の威光を世界に示す良い機会になります。見守っていて下さい。はい、それでは失礼します。」 ピッ 端末を切る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ征こう諸君。全艦発進!目的地、アフリカ!」

 

「「「はっ!」」」

 




次回から第3章に入ります。お楽しみに!


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第三章 STRIKEWITCHES SEED DESTINY
観艦式


ローマに到着、駐留している現時点でのショタ化・・・もとい碧眼子ギル化したラウ・ル・クルーゼ(偽)が指揮する戦力(501、504の戦力を含む)


相模(ゼネラル・レビル)

安芸(アークエンジェル)

橋立(ドミニオン)

出雲(ミネルバ)

紀伊(アルビオン)

薩摩、土佐(ラー・カイラム級)

桜型(クラップ級)×10

MS(汎用・制空)×30+α

MS(爆撃)×6

MS(地上)×64

ニュータイプ達
宮藤芳佳(ユニコーンガンダム)
アンジェラ・サラス・ララサーバル(レジェンドガンダム)
ヨハンナ・ヴィーゼ(バンシィ・ノルン)
竹井醇子(∞ジャスティスガンダム)



アフリカに到着した場合、ブライト・ノア中佐率いる第七艦隊第二独立部隊(アーガマ級×2)及び第26統合戦闘飛行隊が直接の指揮下に加わる。


尚、最近ロマーニャ・ヴェネツィアを脅かしていた巣“バルカス”が504によって破壊され、司令たるフェデリカ・N・ドッリオ空軍中佐、勇退。それに伴い竹井醇子少佐が中佐に昇任の上第504統合戦闘航空団司令に就任、フェルナンディア・マルヴェッツィ中尉が大尉に昇進、戦闘隊長に就任、ジェーン・T・ゴッドフリー大尉が少佐に昇進の上副司令に就任した。現在上記の艦隊を拠点に500、501、504の三個連合統合戦闘航空団が発足、活動を開始した。





統合幕僚本部の一部人事

ラウ・ル・クルーゼ皇国元帥 兼 軍令部総長 兼 第七艦隊司令長官 の推薦で寺内陸軍元帥の下で初代統合幕僚本部(統幕)が発足、機能を開始したものの、初代統合幕僚副長の席が空席のままだった。統合軍政省・統合幕僚本部共にトップは人事異動の度陸海軍交互に出す事、大臣・副大臣、そして統合幕僚長・統合幕僚副長は同じ軍の者であってはならないという人事バランスをとる為の新軍法が予め定めてあったので統合幕僚副長の海軍部内の人事は大いに揉めた。皆先を争ってこの椅子に就こうとした訳ではなく、逆に未知のポストに誰もが尻込みしたからである。これに頭を痛めた寺内統幕長は米内統合軍政相と相談、キャリアを積ませるという意義も込めクルーゼを推薦、陛下も了承したのでクルーゼ自身に連絡、クルーゼも前任が残した呪い(笑)から解放されると快諾、統合幕僚副長人事が内定した。後任の軍令部総長には及川大将が着任する。2/1付を以てラウ・ル・クルーゼの肩書きは皇国元帥 兼 統合幕僚副長 兼 第七艦隊司令長官 になる。





通信将校教育過程

士官不足解消の為統合軍政省が発足と同時に開始。戦時の緊急措置として、世界各地に散らばる将校たりうる力量ありと判断された准・下士官級の者に海軍兵学校や陸軍士官学校に直接通わずとも将校になれるよう端末・送付した資料併用で該当者に学習させる通信教育システムである。これを受講するには佐官級3名或いは将官級1名の推薦が必要である。横須賀に戻った宮藤芳佳もクルーゼから依頼され家の手伝いをしながらこれを寝る間も惜しんで頑張っており、めきめきと成長している。ローマに着いてからも努力を怠らず、竹井醇子にわからないところを順次聞いて解決したり、クルーゼの著書『ニュータイプ論』が教科書になっている『新人類学』シリーズについてはクルーゼから直接講義を受けて学習する。




九九式榴弾砲

まんまFH-70榴弾砲。扶桑皇国陸軍の装備。アフリカに駐留する扶桑皇国陸軍特務軍団にも配備されており高い戦果を誇る。


零式戦車

まんま10式戦車。コストが高すぎるので本国の部隊への供給が追い付いていない。特務軍団には4個連隊が配置されている。


九九式小銃

まんま自衛隊の89式小銃。特務軍団に優先的に配備されているが直に全軍において三八式歩兵銃をこれに置き換える予定。


九八式戦闘爆撃機

まんまF-16V戦闘機。陸軍用の戦闘爆撃機である。特務軍団には2個飛行戦隊72機(その内12機がストライカーユニット)が配備されている。因みにクルーゼは空自のF-2を作ろうとしたが対地攻撃のデータがたっぷり蓄積されていたのと単純に低コストで作れた事からF-16が採用された経緯がある。


特務軍団

アフリカに駐留。ネウロイの戦火に巻き込まれている各地域に存在する扶桑皇国陸軍唯一にして最大最強の師団単位以上の部隊。軍団長は石原莞子中将。歩兵隊砲兵隊航空隊戦車隊あげくのはてにはAWACSも装備している精鋭部隊である。。




石原莞子

扶桑皇国陸軍中将。特務軍団団長。思想家でもあり対リベリオン戦略でクルーゼの方針と一致したため、元ネタの人のように予備役に追いやられる事もなくアフリカで最新装備の実戦検証(バトルプルーフ)、新戦術の試行錯誤に明け暮れている。同僚上官の多くを嫌っているがクルーゼと阿南大将の言う事だけは素直に聞く。



「戦友。」

 

「何だい?」

 

「僕が砂漠をこの世界での『STRIKE WITCHES 2』の舞台にした理由は前に言ったものともう一つあったんだよ。」

 

「どういう理由だい?」

 

「魔法力を込められた核兵器が本当に放射線を撒き散らさないかどうかを実験を通して知るのがもう一つの目的なんだ。神様が僕に与えてくれた知識の中には『魔法力を込めた核爆発は爆発エネルギーと熱線エネルギー以外は発生しない』とあった。放射線その他各種被害が出ないのはありがたい。そして神様が与えてくれた知識に今まで間違いは一つもなかった。だが核兵器は流石に直接確認する必要がある。危険だからね。砂漠なら他の場所での爆発に比して最悪の事態は避けられる。」

 

「・・・何をする気だ?」

 

「アフリカの巣“リッパー”に対し姉さんに核攻撃させる。新しく受領させるガンダム2号機・・・核弾頭装備型で。上手くいけば一撃でアフリカの全てを終わらせる事ができる。」

 

「バルクホルン大尉・・・いやもう少佐だったな。彼女にやらせるのか?」

 

「既に話は通してある。唯一核兵器の被害を受け、非核三原則を守り通し、核廃絶に尽くしてきた国の内閣総理大臣にまでなった者の所業ではないが・・・僕の夢に必要な犠牲はもう十分出た。後は敵を効率良く一掃するまでだ。」

 

「・・・わかった。もう何も言わん。だが失敗はするなよ?」

 

「無論だ戦友。」

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「総帥、お時間です。」

 

「ありがとうございます有賀さん。では行きましょう。」

 

 

 

 

 

無線機を取る。

 

「今日、この日、諸君等の努力のおかげでこの一大ページェントを開催することができたことを私はとても誇らしく思う。 我が精強なる扶桑皇国海軍第七艦隊の諸君、遣欧艦隊の諸君、そしてロマーニャ公国海軍、ヴェネツィア公国海軍の諸官におかれましても 尊敬と感謝の念を捧げたい。 かの百年戦争以来、各国海軍が開催してきた観艦式は、 国家間の相互威嚇行為の域を出ていなかったと言わざるを得ない。 だが今回の観艦式は、それを大きく逸脱し、また超越するものである。 国家間の垣根を越え、人種の壁を越え、言葉の壁を越え、人類全てが手を取り合いしかるべき敵を協力し撃滅するということに対する事前かつ一種のデモンストレーションである。 そしてこの観艦式の上空を直掩するのは私の指揮下にある500こと“ロンド・ベル”、501こと“ストライク”、そして504の“アルダー”による 空前絶後の三個連合統合戦闘航空団によるものである。 これらの戦力の強さは諸君もよく知っているだろう。そしてまた“扶桑皇国最高戦力”の大半をここに集結させたことの意味が分からない諸君でもないだろう。“最高戦力”は正義の執行者であり代弁者である。また前進以外の行動を許されることは絶対にない。 故に、 ここにいる全軍の勇者たちに私は確約しよう。我々と共にある限り、 軍人としての最高の栄誉に浸れるだろう。 ここに扶桑皇国海軍ヨーロッパ派遣艦隊受閲艦隊及びロマーニャ・ヴェネツィア両公国海軍受閲艦隊合同による観艦式の挙行を宣言する。」

 

 

 

 

 

 

 

正直このようなタイミングで観艦式を行うことは私の本意ではあまりなかった。しかしこれからアフリカで私が行う作戦はロマーニャ公国およびヴェネツィア公国による作戦支援がかなり重要な要素を占めているため両国の顔を立てる必要があった そして何より我が第七艦隊の主力が集結することもありマリア殿下から直々に観艦式をやらないかという誘いを受けたのである。さすがにこのような申し出を断るわけにもいかない。 原作ではどうだったがもうすっかり忘れてしまったがこのストパン世界でのロマーニャ公国およびヴェネツィア公国の両軍は大した戦果を挙げられておらず上層部はかなり焦っていることが見受けられる。バドリオさんがめちゃくちゃ焦っているのを見て正直笑うのをこらえていた位である。だが将来地球連邦軍を創設する際に一軍でも権威にせよ実力にせよどちらかでも欠けてしまったなら、それは人類全てを守る“地球連邦軍”となることは理念上不可能になってしまうため今回の作戦及び観艦式を通して両国の顔を立てることにしたのだ。現にこの観艦式には目立った海軍戦力を持つリベリオン、ブリタニア、カールスラントをはじめとした各国の海軍艦艇は1隻たりとも参加してはいない。というより私が許さなかった。何度も言うがロマーニャ、ヴェネツィア両公国の顔を立てるためである。 戦後に備えルッキーニ君や赤ズボン隊の諸君以外の者達も功績をあげられるよう配慮することで点数を稼がせるのである。

 

 

 

「そしてこれを機に全軍の諸君に紹介しよう。我が第七艦隊に新戦力が加わったことを。新造戦艦『橋立(ドミニオン)』、そしてその艦長として新たにわが国で見つかったウィザード、ジャミトフ・ハイマン少佐をである。」

 

 

 

この観艦式のもう一つの目的は、全世界に我が相模(ゼネラルレビル)から全世界に向けて放送されているこの放送を以てZのジャミトフ・ハイマン大将の皮をかぶって転生してきた我が愛しの弟を全世界に喧伝する為である。

 

 

「ジャミトフ・ハイマンです。欧州の平和と安定の為、奮励努力する所存です。若輩者ですがどうぞよろしくお願いします。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

観艦式終了後 機動戦艦 相模(ゼネラル・レビル) 食堂

 

私はジャミトフの皮をかぶった弟と共に夕食をとっていた。

 

「いや~久しぶりだわ~。相変わらず美味いぜにぃの料理。」

 

「とは言っても今日は金曜日の上私も時間が無かったから手抜きのカレーだが。」

 

「手抜きカレーでも俺は嬉しいぜ。前世も今までも含めればおおよそ40年ぶりのにぃの料理だ。」

 

「・・・そうか。ありがとう兄弟。」

 

「いいってもんよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「にぃ、おかわり。」

 

「早いぞ兄弟。ちゃんと味わって食べろ戯け。」

 

「いやカレーは飲み物だから。」

 

「前世では食が細かったお前からその台詞を聞く日が来るとは思ってなかったわ!!っていうかその名台詞はブライトの特権だ馬鹿者が!」

 

ブライトは前世でも今でもカレーばっかり食べてるからな。あのアホ・・・長い付き合いだが、ジャワカレーの辛口を標準とぬかしよるアイツの舌が理解できんよ。

 

「お邪魔しま~す。」

 

「ご飯~。」

 

「おぉイェーガー君、ルッキーニ君。夕食かね。」

 

「あぁ。私とルッキーニの分を頼むよクルーゼ元帥・・・ってジャミー?ジャミーじゃん!元気にしてたか?相変わらずの老け顔だな!」 背中をバシバシ叩く

 

「おぉシャーリー!元気そうで何よりだ。」

 

ん?二人は前から面識があったのか?親しげに話してるが・・・

 

「二人は以前から面識があったのかね?」

 

「あぁ。元帥に前言ったでしょ?私が彼氏持ちだって。それがジャミーなんだ。」

 

マジか。まさか兄弟、よりによってお前がシャーリーの彼氏なの?以外だわ~

 

「いつ知り合ったのかな?」

 

「小さい時に世界一周旅行してたらローラースケートで爆走してきたシャーリーがぶつかってきて、それから知り合った。」

 

なんだその偶然は・・・というより兄弟、お前前世ではストパンにあんまり興味持ってなかった癖にいざシャーリーにくっつかれると鼻の下伸ばしてるじゃねえか。やっぱりシャーリーのそのかなり大きい(かなり穏当な表現)母性の象徴に釣られたのか?ん?

 

「そうなのか。」

 

「ついでに言うなら506のマリアンも俺の彼女だ。」

 

ほう。将来のリベリオン軍、もとい地球連邦軍の将官二人を彼女にしたか。この世での将来は安泰だな兄弟。聯合メンバーの中で私の次に前世と割り切ってプレイボーイしてるだけある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“フレイヤー”作戦後の現在のショタ状態だろうが以前だろうが私の朝は早い。基本的に4時半には起床する。アンジェラのおっぱい枕から抜け出し(ショタ化以降、小さく軽くなったのもあってかアンジェラは私を抱き枕にする時にはいつもあお向けになって私を自分の上に置いて寝るようになった。その結果がアンジェラのおっぱい枕状態である)、ザフト白服を弄った第七艦隊制服とエプロンを着て目覚ましに麦茶を一杯。そして前夜に仕込んでおいたものを使って500、501、504の皆の為の朝食を作る。今日のメニューは鯖の塩焼き、わかめ・大根味噌汁、白米、お漬物(10ヵ月漬けた胡瓜と人参の糠漬け)である。手抜きも良いところなメニューだが、500メンバーからは概ね好評である・・・とまぁ作ってたらさっそく一人来たようだ。

 

「おはようございま~す♪」

 

こ この声は・・・まさか!?

 

「来やがったなこの犯罪鳥・・・。」

 

『ラブライブ!』の南ことりに限りなく近い彼女がやって来た。だが原作と異なり淫乱で私を見るとすぐに襲おうとする悪癖がある。この悪癖さえ直せば第七艦隊の上位を誇る程に仕事ぶりは優秀なのに。いつもは海未お母様がこの犯罪鳥を制止するが、今お母様はいない。詰んだかこりゃ?

 

「おぉーこんなところに美味しそうなおやつ(意味深)が!いただきまS あばばばば。」 気絶する

 

何だ?犯罪鳥がいきなり気絶した。あ よく見ると犯罪鳥の背中にヒートロッド(グフ・カスタム型)が。って言う事は・・・

 

「マッキー先生、助かった。ありがとう。」

 

「芳佳に感謝しなさい。あの子が今日の朝無防備な状況で誰かに襲われるから守ってあげて欲しいって連絡してこなければ、あんた今頃ことりのおやつ(意味深)になってたわよ。」 グフXを待機状態にする

 

「芳佳が・・・いや~助かった。後でお礼を言っておくよ。先生も私を助ける為にこんな朝早くに来てくれてありがとう。」

 

「別に・・・私は妹弟子が悲しむのを見たくなかったからこうしただけだし。」 髪をいじりだす

 

「ツンデレ乙。」

 

「・・・フン!」 ゴリッ

 

「アァッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「良いですかことり?何度も言ってますが本来このような蛮行をしたら軍法会議は免れないのですよ!元帥閣下は私の面子を守る為と言ってあなたを許してますが、本来はこのような特赦はありえないのですよ!」ガミガミ

 

犯罪鳥が海未お母様にガミガミされてる。いい加減懲りて欲しいものだが・・・

 

「総帥。」

 

有賀さんが私に話しかけてくる。

 

「どうしました有賀さん?」

 

「絢瀬艦長から入電。『花ビラ戻ル。』以上です。」

 

おぉ。花陽ママが欧州に帰ってくるか・・・まあ当然だわな。花陽ママをそうさせるだけの事をこっちもしたからな。絵里ママに花陽ママを持ってくるよう命じたのだ。

 

「有賀さん、返信『我ニ合流セヨ』。」

 

「はっ。」

 

有賀さんが退室した。

 

「今の電文は?」

 

マーサママが聞いてくる。

 

「ママは“凶鳥フッケバイン”の伝説を知っているかい?」

 

「えぇ。リバウ・・・“円卓”で“円卓の鬼神”西沢さんと並ぶ円卓の支配者であるという事位は知ってるわ。」

 

「彼女が今度着任する。ママに続く僕の次席副官としてね。」

 

「え!?」

 

「小泉花陽中尉・・・第七艦隊への参加につき大尉に昇進しての着任になるが。自分に自信を持てないからと頑なに僕の求めに応じずずっと兵学校で飛行教官を務めていた彼女だが、僕が切り札を切ったから僕の下に来ざるを得なくなった。」

 

「切り札?」

 

「ママにはこの前僕が土下座してた写真を一枚撮らせたでしょう?それを送ったんだ。扶桑皇国全軍総帥が一尉官に土下座した・・・その意味がわからない彼女ではない。」

 

「・・・エグい手を使ったわね。この前の土下座はそういう事だったのね。」 若干引いている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「宮藤一郎技術大佐、着任しました。」 敬礼

 

「お疲れ様ですお義父様。」 答礼

 

宮藤博士が戻ってきた。これはガンダム試作2号機と核弾頭が私の手元に来た事を意味する。

 

「ではお義父様、早速ですがのちほどバルクホルン少佐に試作2号機についてレクチャーをお願いします。」

 

「わかりました。お任せ下さい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・Welcome back Mobius5 . 」

 

「ただいま戻りましたクルーゼさん!」 敬礼

 

 

 

さて、必要なものは揃ったからそろそろ始めようか。待ってろアフリカ!

 

 

 

 

次回 STRIKEWITCHES SEED DESTINY 「燃える砂塵」

 

少女は そして神話となる

 




補則解説

ラウ・ル・クルーゼ(偽)はブライト・ノア(偽)しか『戦友』と呼ばない。ニュータイプ達や聯合メンバーを『相棒』と呼ぶ事はあっても『戦友』とは絶対に呼ばない。クルーゼ自身が小学校以来前世今世合わせて70年以上の長い付き合いである彼への思い入れと長きにわたり自分についてきてくれた彼に対して敬意を表して彼だけを『戦友』と呼ぶ。


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燃える砂塵

解説


カールスラントのクルーゼ関連事情

クルーゼから多くのエース達にMSを与えて貰った上に、ネウロイに祖国こそ奪われたものの国民の人的被害がクルーゼ自身のおかげで多くなかった事から各種勲章のみならず元帥号の授与を考えた皇帝陛下が国防軍最高司令部、三軍の最高幹部達を集め相談した。海軍は自軍の元帥号の政治利用に難色を示し、陸軍元帥号は流石に話が違う。ゲーリング国家元帥が乗り気だったのもあって空軍元帥号を授与する事で一致した。




機動駆逐艦「花(クラップ級)」メンバーへのクルーゼの呼び方

園田海未→海未お母様(←“母”と慕ってるから)

高坂穂乃果→パンさん(←いつもパンばっか食べてるから)

南ことり→犯罪鳥(←ことあるごとに襲ってくるから)

高坂雪穂→雪ちゃん(←“母”でもなければニュータイプでもないが素直・実直・良い子だから半分名前で呼んでる)




RX-78GP02 ガンダム試作2号機 サイサリス

オリジナルと異なり第2世代MSの条件を満たし、またフレームはVPS装甲を使い核攻撃の後腕が稼働しなくなる等のアクシデントが無いように再設計されて製造された。パイロットはゲルトルート・バルクホルン少佐。





12.7ミリ特殊拳銃

S&W M500に代わる新型拳銃。クルーゼ専用の人類には扱えない拳銃である。12.7×99mm NATO弾(徹甲弾)、対ウィッチ特殊弾を任意で切り替え発射できる。MS同様にインフィニット・ストラトスの拡張領域を装備しているため、弾ある限りリロードなしに撃ちまくる事ができる。対人戦闘では魔法力を使えないクルーゼが宮藤博士に頼んで護身用として製作してもらっていた。見た目は『HELLSING』に登場する対化物戦闘用13mm拳銃「ジャッカル」。生体データが登録されており、クルーゼ以外の者が引き金を引いても発砲しない。反動が馬鹿にならないのでいかにクルーゼといえども両手持ちで撃たないと反動を制御できない。





クルーゼ専用車

トヨタ自動車株式会社がクルーゼからの注文でクルーゼから与えられた技術と自らが培ってきた技術をコスト度外視で全て注ぎ込んだ車。外見はトヨタ AE86。カラーリングは『イニシャルD』のAE 86と同じ。ドア部には黒で『扶桑皇国海軍 第七艦隊』と塗装されている。バイオ燃料で動く。最高速度210km。普段は相模(ゼネラル・レビル)の倉庫で眠っている。






扶桑皇国海軍第六艦隊

旧日本海軍の第六艦隊と同じ潜水艦隊。旧式潜水艦が一掃され伊四◯◯型(シーウルフ級原潜)10隻、伊五◯◯型(ヴァージニア級原潜)30隻を運用。今次大戦では偵察やトマホークによる対地攻撃任務についている。司令長官は矢澤にこ中将。





矢澤にこ(37)

扶桑皇国海軍中将。第六艦隊司令長官 兼 伊四◯一艦長。まんま『ラブライブ!』の矢澤にこ。第一次ネウロイ大戦にて遣欧艦隊のウィッチ部隊を率いて戦った事で有名。オールドタイプ故に物理的にはまだ飛べるが、第一次大戦にて仲間や部下をたくさん失った事に心を痛め、空にはもう帰るつもりはないようだ。当然ティターンズのメンバーであり、『怪異の進化ハ海ノ中ニマデ及ブノモ時間ノ問題。』とクルーゼに進言、クルーゼもネウロイが潜水艦を作っても対抗できるよう予算を大量に投入、上記の潜水艦を建造、第六艦隊の装備を一新した。






クルーゼの愛玩物

ローマを散歩していたら野良猫なのに人間を警戒せず水が大好きで尻尾が真っ直ぐな黒猫を見つけたので拾って傍に置いている。トーマスと名付けた。元ネタは某超有名な猫とネズミの喧嘩アニメより。近々この愛玩物シリーズに小泉花陽が加わる予定である。






雪の輝き〈スノー・ハレーション〉

青い海軍本部大将の能力に似た固有魔法を運用するクルーゼの技の一つ。自分の半径100kmに雪を降らせる技。その雪も青い海軍本部大将の作る氷程頑丈ではないにしても、数日は融けない上一週間降り続ける。






補則解説

園田礼子

扶桑皇国海軍少将。園田海未少佐の母親。ティターンズのメンバーだった。艦政本部の幹部(駆逐艦担当)を務めていたが、第四艦隊事件が発生。多数の死傷者を出した事に責任を感じクルーゼの必死の説得も空しく自害した。第四艦隊事件を知っていながら止められなかった事(1935年当時のクルーゼの扶桑に対する影響力は今程高くはなかった)、ティターンズ初(かつ今のところ唯一の)の自殺者を出してしまった事に心を痛めたクルーゼはせめて園田少将の御魂に後顧の憂いなきようにと園田家新当主であり少将の忘れ形見である園田海未に出来る限りの待遇・情を以て接している。第七艦隊への大学校卒業と同時での召集が良い例である。
























「『正義』とは、人が不変と信じて疑わないものの中で最も変化するただの価値観に過ぎん。それを弁えてたからこそ私は政治家として長らく生き残れたのだよ。」
ラウ・ル・クルーゼ(偽)











「死ぬまでに、地球に対して必須の事をやって見せなくてはならんのだ!」
  ジャミトフ・ハイマン(偽)



「私の勤務方針は、質実剛健・正義の徹底的遂行です。私の掲げる正義は“徹底的な正義”。しかし、この正義を皆さんに押し付けるつもりはありません。ですが、ネウロイ共とテロリスト共に対する正義の遂行を最低限以上はやってもらいたい。そして諸君が宇宙世紀の戦争についてこれる強さ・柔軟性を持っている事を期待し、挨拶とする。 以上。」

雁淵ひかり大将 地球連邦宇宙軍第3艦隊 着任挨拶



「有賀大佐、有賀大佐!」引き留める

 

「どうしましたトレットナー少将?」

 

「土産です。これをウチの“息子”に。」 木箱の中身を見せる

 

「コアントローですか。途中喉が渇いたら私が飲むかも。」 受け取る

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「それはそうと閣下、例の物が仕上がっております。」

 

「ほう。見せて下さい。」

 

「今お渡ししようと思っておりましたが・・・」ケースを置き、中を開けて見せる

 

「12.7ミリ特殊拳銃。今までの.500マグナム弾ではなく 初のM2重機関銃弾使用拳銃です。全長39cm、重量16kg。もはや人類では扱えない代物です。」

 

「特殊弾 対ウィッチ炸裂徹甲弾。」

 

「弾殻は?」

 

「純銀製 マケドニウム加工弾殻。」

 

「装薬は?」

 

「マーベルス化学薬筒 NNA9。」

「弾頭は? 炸薬式か? 水銀か?」

 

「“フレイヤー”作戦で回収された閣下の肋骨の粉末を練り込みました。水銀弾頭でございます。」

 

「パーフェクトだお義父様。」

 

「感謝の極み。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

推奨BGM エースコンバット04 より Blockade(エースコンバット7 リミックス版)

 

 

 

「AWACSサンダーヘッド(コリニー)よりメビウス1、状況を教えてくれ。」

 

「状況か・・・そうだな少し心が踊るよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今何してるかだって?機動駆逐艦『花』のメンバーである4人と模擬戦の真っ最中。体重が増えたのが海未お母様にバレたので減量を兼ねてである。因みに私が今使っているのはストライクフリーダムではなく再設計したメッサーラに乗り換えたヘルミーナ母さんから返して貰ったゼータプラスC4型である。

 

 

「ふん!」 ビーム・サーベルで斬りかかってくる

 

「流石です海未お母様。だが!」

 

ゼータプラスのパワーで押し切ろうとする。しかし・・・

 

「「「私達もいるんですよ!」」」 3方向から同時にビーム・ライフルで攻撃

 

海未お母様への追撃を諦め回避し変形して高速離脱。中々の連携。素晴らしいな。特に雪ちゃん、ソル2の動きはまるで熟練のパイロットだ。13の今でここまでなのだ。佐官になる頃にはマルセイユ君やハルトマン君と互角以上に戦えるようになるだろう。 まあそうなる前に戦争を終わらせるつもりだが。まずパンさんを潰す。さっきまでおやつで揚げパン5本食べてたからか動きが鈍いからな。

 

「Mobius 1 Fox2!」 バシュ

 

統合ミサイルをパンさんの左右に2発、右に1発、下から1発で攻撃する。

 

プチューン プチューン プチューン

 

何!?連携して全部墜としただと。

 

「「「「覚悟!」」」」

 

犯罪鳥が左から、雪ちゃんが右から、海未お母様が後ろから、パンさんが前からビーム・サーベル(演習出力)で私を突き刺そうとする。スーパーコーディネイターの反応速度でももうどうしようもない。間にあわない・・・本来なら。

 

「マヌケが。知るが良い。何故私の固有魔法『ザ・ワールド』が、ニュータイプ以外に絶対不敗を言って憚らないのかという事を。」

 

「「「「!?」」」」

 

「ザ・ワールド!」 ブーーン チッチッチッチッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

機動駆逐艦『花』(クラップ級) 艦橋

 

 

危ねえ危ねえ。危うく負けるところだった。

 

「いやあ皆見てない間に強くなってて驚きました。」

 

「そう仰って頂けると私も3人を扱いた甲斐があったというものです元帥閣下。」

 

今私は海未お母様の太ももの上に座っている。いやあショタもショタで不便なところも多いがメリットもある。小さいのを良い事にお母様に好き勝手甘えられるからね。海未お母様のおっぱいクッションも中々に良い。参謀長と同ベクトルの誇り高い爽やかさが香る。まあもっとも、これを醇子さんか参謀長が見たらまず間違いなく海未お母様を殺しにかかるだろうが。

 

「海未ちゃんちょっとソレ貸して?」

 

犯罪鳥がぬかす。

 

「来るな犯罪鳥。君の思惑は見え透いてるわ。」

 

ローマの洋服屋で小さい子用の服を爆買いしていたのを私は事前に知っていた。こいつ私を着せ替え人形にして弄ぶつもりだ。お人形さんはごめん被る。なし崩し的に押し倒されおやつ(意味深)にされるのが目に見えている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アフリカに到着した。

 

 

「暑い・・・。」

 

「流石に暑いですね。陸軍部隊の方々はどうやってコレを凌いでいるのでしょうか?」

 

「長官、冷やしてくれません?」

 

「わかった。任せてパンさん。」 氷で右腕を作る

 

「「「「?」」」」

 

「雪の輝き〈スノー・ハレーション〉!」

 

「おぉ涼しくなりましたね!」

 

「うん!」

 

喜んでくれて何より。

 

「・・・なんだこんなところにいたのか。」

 

後ろから参謀長の凛々しい声が聞こえてきたので振り替えると笑顔で参謀長、醇子さん、芳佳、ヨハンナちゃんが立っていた。が目が笑ってない。

 

「『現場の視察に出るから探さないで』って書いた紙を置いといたんだから勘弁してよ。そんな怖い顔しないでリラックス。リラ~ックス。」宥める

 

「「「・・・。」」」

 

いつまで黙ってるの。怖いよ。

 

「いやあなんですかこの修羅場は・・・私は来なかった方がよろしかったですかな?」

 

「ロンメル元帥、お久しぶりです。」

 

丁度良いタイミングでロンメルさんが来てくれた。

 

「浮気か?」

 

ロンメルさんに同行してきたらしいエイパー・シナプス大佐の皮を被った我が友が言う。

 

「あれブライトはどうした?」

 

戦友がいない。シナプスが来てブライトが来ないというのは一体どういう事だ?

 

「ブライトなら命令違反したマルセイユ大尉を正座説教してるぜ。」

 

マルセイユ君・・・南無三。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マルセイユ大尉。俺はあの時『一旦引け』と言ったはずだが。T-pexミサイルを発射して敵を一掃するつもりだったんだが?ひとまず正座。」 マルセイユを正座させる

 

「ブライト中佐、あの程度のネウロイは私の敵じゃなかった。T-pexは高いミサイルなんだろう?私のスコアも稼げて弾薬節約にもなる。一石二鳥じゃないか。なんで撤退させようとしたんだ?」

 

「確かに貴官の言も一理あるし貴官にはそうできるだけの腕前がある。だが、それは“確実”ではない。俺は指揮官として目的に対して確実な手段を取りたい。それにあの時貴官は疲労困憊の状態だった。確実にいつも通りの戦果をあげられていたかも怪しい。故に撤退を命じたんだ。にもかかわらず・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人知れず後ろから久々に戦友のキレる姿を見た。があんなのまだ生温いぞマルセイユ君。我が戦友はマジでキレると無表情で胸倉掴んで事務口調で1時間説教然る後3時間正座だからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「艦長。」

 

「どしたのコリニー?」

 

ジーン・コリニー大将の皮を被った我が友が私に話しかけてくる。

 

「トレットナー少将との会議を終えた有賀大佐からテレビ電話が来てるぞ。艦長席小型テレビにつないである。」

 

「ありがとう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「有賀さんお疲れ様です。どうでした会議の方は?」

 

「はい、全て問題なく。しばらくしたら総帥の指揮下に入るそうです。総帥のところに来る事でシュトゥデント大将の小言をもう聞かなくて済むと少将はかなり喜んでおられました。」艦長室からかけている

 

「そして私はシュトゥデント大将からトレットナー少将のところに来る書類を押し付けられる・・・という訳ですか。」

 

希ママ(トレットナー少将)まで私に書類を押し付ける気か・・・今抱えてる事務だけで手一杯なのに・・・

 

「・・・御愁傷様です総帥。」

 

「副官二人だけでは足りそうにありません。もう一人だれか補佐官扱いで呼ぶしかありませんね。」

 

私は前世でも今でもイエスマンである。例え強引に押し付けられたものだとしても小心者故に誰かにたらい回すという選択肢ははじめから私の中には存在しないのだ。だがこの量はヤバい。もう一人呼ばないと過労死する。

 

「ですがトレットナー少将から総帥にお土産のコアントローを預かっており、冷蔵中です。アフリカに到着次第お渡しします。」

 

「・・・ではせめてそれを慰めにしましょう。楽しみにしつつお待ちしています。」

 

「はい。では総s」 バゴーン ブーッ

 

爆発音と同時に電話が途切れた。

 

「なんだ!?何が起きた?有賀さん?有賀さん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回 STRIKEWITCHES SEED DESTINY 『疑惑』 少女は そして神話となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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本話冒頭の有賀大佐とトレットナー少将の会話の元ネタをどこから持ってきたかわかった人は私と同じかそれ以上の軍オタである事がわかります。わかった人は是非感想欄まで!!!!!

 




現在、六部作方式の本編以外にこのストライクウィッチーズの外伝作品を作ろうかななんて考えています。感想欄に『こんな話を作って』だとか『誰々と誰々の出会った経緯を見てみたい』だとか要望を書いて下さい。私の時間・力量でやれる限りは頑張りますのでご要望をどうぞよろしくお願いします。



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疑惑

解説

クルーゼの呼び方

ハインリーケ・“ノゾミ”・トレットナー少将→ボウ(坊主を略したもの)

絢瀬絵里少佐→K(クルーゼのイニシャルから)

園田海未少佐→元帥閣下







ママさん会議

クルーゼが“母”と慕っている人物達が集まったお互いに連絡を取り合うL〇NEのようなネットワーク。





扶桑皇国海軍 第七艦隊 第71飛行隊 第2小隊 “ヘイロー隊”

星空凜大尉(コールサイン:ヘイロー2)が指揮する部隊。ゲルトルート・バルクホルン少佐を名誉隊長に仰ぐ部隊でもある。今後バルクホルン少佐が501にいる間に彼女が参加する戦闘では彼女のコールサインはヘイロー1となるので注意されたい。



「こちら自由ガリア空軍8492飛行隊。カールスラント空軍第4降下猟兵師団基地、応答されたし。」

 

「こちら第4降下猟兵師団基地航空管制塔。8492飛行隊、何用か?」

 

「任務完了に付き帰投しようとしたが、被撃墜はなけれども負傷者多数につき補給と手当てが至急必要だ。着陸許可を求める。」

 

「・・・了解した。こちらの管制に従い順次着陸せよ。」

 

「了解。受け入れ感謝する・・・・・・ご退場願おうか、扶桑の金髪の小僧。ガリア、我が喜び。」

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「・・・総帥、報告がまとまりましたので意識不明の有賀艦長に代わり副長たる私が報告させていただきます。」

 

「・・・聞こうか。」

 

「はっ。艦長の部屋を捜索しましたところ、爆発の痕跡からしてベッド横の冷蔵庫が爆発元と思われます。第七艦隊の士官には総帥から無条件で個室が与えられ風呂・冷蔵庫も付いている事は周知の事実です。ですが有賀艦長は真面目な方です。冷蔵庫に私物は一切入れていない事は我が出雲(ミネルバ)乗組員にとって周知の事であったのもまた事実です。故に爆発物が、有賀艦長に総帥にとトレットナー少将が託したコアントローであったと断定するまでさほど時間はかかりませんでした。」

 

「では副長はトレットナー少将が私を殺そうとした・・・そう考えるかね?」

 

「いえ。トレットナー少将と総帥の仲の良さは皇国軍人なら周知の事。それに小官が少将なら、このようなお粗末な方法で総帥を暗殺しようなどとは・・・。」

 

「その通り。誰かが私を殺しあまつさえトレットナー少将に全責任を押し付けようとした輩がいる。問題は其奴の背後にいる組織・・・。」

 

「総帥の支配下になくかつ総帥の排除を企図しそうな輩となりますと・・・リベリオンの“影の政府”、或いはガリア王党派でしょうな。」

 

「然り。だが私はガリア王党派が怪しいと考えているよ副長。」

 

「何故です?」

 

「影の政府は現在戦後権益の折衝のため私の手の者が交渉中だからだ。交渉中の自分たちの脅威にもなりうるが利益をもたらしそうでもある相手を、見極める前に殺そうとするかね?」

 

「・・・確かに。」

 

「有賀さんには迷惑をかけるが、この案件私が預かる。出雲(ミネルバ)乗組員諸君に箝口令を敷いてくれたまえ副長。後は私が捜査する。」

 

「了解しました。」

 

「出雲乗組員諸君には迷惑をかける。出雲は今日から有賀さんが意識を取り戻してから3日経つまでの期間を休暇とする。細かい裁量は副長に一任する。」

 

「はっ。御高配感謝します。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「第4降下猟兵師団基地かね?私だ。師団長に取り次いでくれ。」テレビ電話をつける

 

 

 

 

 

 

 

「久しぶりやね~。元気にしとった~?」

 

「ママもお変わりないようで何より。」

 

「ウチはともかく、ボウは大丈夫?書類仕事で過労になってるなんて無い?ウチ心配で・・・。」

 

「僕は大丈夫ですよ希ママ。それより一つ確認したい事が。」

 

「?」

 

「希ママは僕が死んだら幸せになれますか?」

 

そう言い私は左こめかみに銃を突き付ける。

 

「!?・・・質問の意味がわからないんやけど。というかそんな物騒なもの早く仕舞いなさいな。」

 

「ひとまず質問に答えてくれ希ママ。そしてママが『是』と答えたなら、僕は喜んで引き金を弾くよ。」

 

「ボウが死んでもうたらもうウチ生きていけへんよ!だからはよう銃を仕舞って。な?良い子やから。」

 

慌てるママ。まあママがやってない事は明らかだったから99.9%の確信を100%にする為にカマをかけた訳だが、普段はマイペースで自分の流れを崩さないママが慌てた様子を見れただけでも良しとしよう。これ以上余計な事をするとストレスでママ(の胃)が死んでしまうからね。

 

「ひとまず僕の命の件は置こう。本題に入らせてもらうよママ。ママがうちの有賀大佐に託したコアントローが爆発して今有賀さんが意識不明の重体になってしまっているんだ。でもママは僕に殺意を抱いてない。なら何者かによってコアントローがすり替えられたと考えるのが自然だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして希ママとの会話を私は終えた。ママにはひとまず事態を黙視していてもらいたいとも伝え、ママから“自由ガリア空軍 8492飛行隊”なる連中が怪しいとの情報も貰った。後はファントムペインに任せよう。つうか8492って何よ。エスコン5を彷彿とさせる番号だなおい。

 

「はあ 疲れた。」 テレビ電話の電源を切る

 

「誰だね?」

 

さっきから希ママとの会話を盗み聞きしてる馬鹿たれは。

 

「・・・長官。」

 

なんだ雪ちゃんかよ。

 

「雪ちゃん、今の会話、どの程度聞いてたかね?」

 

「トレットナー少将の『元気にしとった~?』からです。」

 

希ママとの会話ほぼ全部聞いてたんじゃねえか。

 

「雪ちゃん、これは高度に政治的な案件だ。首を突っ込まないように。口外する事も禁ずる。良いかね?」

 

「はっ。」

 

「良い子だ。」

 

そう言い私は雪ちゃんの頭を撫でる。雪ちゃんを見てると我が戦友の娘さんがまだ小さかった頃を思い出す。あの子は父親に似ずに役人気質だったが故に私との相性も良かったから、一時秘書を任せていた時期があった。今になって甦る懐かしい記憶。

 

「・・・長官、いつまでニヤけた表情で小官の頭を撫でてるおつもりで?」

 

「いやあ昔を思い出してね・・・。」

 

「長官は小官と3歳も変わらないでしょうに・・・。」

 

「まあ細かい事は気にしなさんな。それより雪ちゃんに提案があるんだが。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え~マーサママと花陽ママに紹介します。統合幕僚副長付補佐官として着任しました高坂雪穂中尉です。仲良くして下さいな。」

 

「「よろしく~。」」

 

ゆるい挨拶やな~。マーサママは私と一緒にいると、花陽ママは基本戦闘以外は意外とゆるい性格なのだ。

 

「元帥閣下、小官を補佐官に抜擢して下さった事は感謝します。しかし駆逐艦『花』の戦力低下は免れませんが大丈夫でしょうか?」

 

「代わりは用意してある。何も心配はない。」

 

「はっ。」

 

 

 

さて。んじゃちゃっちゃと目の前の統幕関連の書類を処理して花陽ママを愛玩するとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、STRIKEWITCHES SEED DESTINY 「ヘイロー1」 少女は そして神話となる

 




そろそろお姉ちゃん(バルクホルン)がガトー少佐になるかもよ♪

楽しみにしててね☆


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ヘイロー1

解説



軍機構改革

統合幕僚本部の下に置かれた陸軍参謀本部が陸上幕僚本部、海軍軍令部が海上幕僚本部に名称を変え、いささか権限の縮小が行われ、統合幕僚本部の権限が大幅に強化された。統合軍政省は統合軍政庁に縮小され統合幕僚本部と統合軍政庁を合体させた『防衛省』が設立された。防衛大臣には事実上退官している元帥・退官した中将以上かつ議席を有する者から内閣総理大臣が推薦、天皇の任命を以て充てられる。初代防衛大臣には東久邇宮稔彦王が就任した。





防衛省最高評議会 構成委員


防衛大臣→東久邇宮稔彦王 (予備役 陸軍大将)

統合幕僚長→寺内寿子 陸軍元帥

統合幕僚副長→ラウ・ル・クルーゼ 皇国元帥

陸上幕僚長→杉山元 元帥

海上幕僚長→及川祐子 大将

統合軍政庁長官→米内光子 海軍元帥




第七艦隊所属将校の飾緒

司令長官たるクルーゼ自身が軍令部次長時代から統合幕僚副長たる今に至るまでずっと金の参謀飾緒をつけている。その他にも彼の副官たる佐々木原正子・小泉花陽 両大尉が銀色の飾緒を常につけている。高坂雪穂中尉は、第七艦隊の所属でありながら統合幕僚本部の統合幕僚副長付補佐官職も兼務しているため飾緒は海軍の参謀飾緒で金色である。



機動戦艦 磐城

ミノフスキー・クラフト装備、なるべく主砲・エンジンのラー・カイラム級やクラップ級との共通化を行い大気圏突入離脱どちらも可、潜水艦にもなれる点以外まんま戦艦レウルーラである。ジャブロー艦艇工廠にて現在建造中。竹井醇子中佐の為の新型戦艦。




制式水練着禁止令

第七艦隊の将兵は水練着(スク水)の着用が原則禁止されている。合理的な命令・規則しか出さないクルーゼの命令にしては特に合理性がある訳ではないものなので第七艦隊の将兵達は首をかしげているが、逆らう不合理性が特にある訳でもないので皆粛々と従っている。これが発令された背景には、扶桑海事変で自分の部隊の将兵達(海軍)のスク水を見すぎてうんざりしたクルーゼが自分の目の保養にと思い発令した経緯がある。クルーゼの思惑をわかっているニュータイプ達や第七艦隊に直接所属している“お母さん”達、準“お母さん”達はクルーゼの好みにあった下着や水着を着けてクルーゼを喜ばせようと日々邁進している。ジャミトフ・ハイマン(偽)は思わず『調子に乗って欲望が出てきたな。』ともらしている。




海軍男性将校用夏服

扶桑皇国海軍で採用されている制服。階級章以外まんま海上自衛隊の旧幹部常装第一種夏服。あのグレーのカッコいいやつ。今まで基本ザフト白服を弄った制服しか着てなかったクルーゼだが、アフリカ到着以降、背丈が元に戻るまでこれを着てるつもりのようだ。ニュータイプ達をはじめ、多くの人々から高評価を得ている。アフリカで任務に就いているブライトとシナプスはこれをほとんど常時着用している。尚、アフリカ到着以降コリニーだけは制服を基本着ず武井壮の格好になっている。





皇国元帥の冬服の袖階級章

通常、海軍元帥は金の太線一本に金の中線四本だがラウ・ル・クルーゼの階級たる皇国元帥の場合、金の太線一本に金の中線五本になる。皇国元帥が単なる元帥の延長線上のものではなく、また天皇の名代(扶桑皇国全軍総帥)たらしめる権威を付ける為である。






四倉海岸

福島県磐城市(いわき市)にある海水浴場。クルーゼ侯爵家のプライベートビーチ。普段は一般市民に解放されているが、第七艦隊将兵、あるいはクルーゼ自身が使う時だけは一般人立ち入り禁止、貸し切りのような扱いになる。何故舞鶴に住むクルーゼが福島にプライベートビーチを持っているのか疑問に思う者も多い。イベントの際はクルーゼから委託された地元民達が出店を開くが、第七艦隊将兵はクルーゼの奢りで全店を無料で利用できる。





第七艦隊の紋章

他の扶桑皇国海軍の艦隊はこれといったマークを持っていないのに対して、第七艦隊だけは専用の紋章を持っている。まんま『進撃の巨人』に登場する調査兵団の紋章“自由の翼”である。




第七艦隊最高幕僚会議

月一で行われる戦況報告、予算割り振り等を行う第七艦隊の会議。各戦隊・独立部隊の指揮官、単独行動艦の艦長が参加資格を持つ会議。当然司令長官(クルーゼ)を議長とするが、それ以外は全員平等に権限を有しまた円卓方式で会議を行う。『スター・ウォーズ』で登場するジェダイ評議会のような形式の会議である。






第七艦隊第70飛行隊 第8小隊 “ズィルバー隊”

間もなく欧州に派遣される部隊。クルーゼが大戦初期に拾ったカールスラント系孤児かつウィッチによってのみ編成される5機編隊。使用機は全身ゼブラカラーのスタークジェガン。隊長はディートリンデ・ケラーマン少尉。練度は非常に高いが年が年なのでロリっ子揃いである。間もなく正式に新設される第七艦隊第五戦隊の航空隊になる予定。



第七艦隊 第五戦隊

間もなく欧州に送られる部隊。現在ジャブロー上空にて訓練に出ている。司令官はアントン・フェルナー中佐。今まで物資・人員輸送を引き受けてきた機動駆逐艦『花』『葵』(クラップ級)に代わり物質・人員輸送の任に就く。編成は他の戦隊同様 薩摩型(ラー・カイラム級)1隻 桜型(クラップ級)4隻。





親衛艦隊

竹井醇子中佐が現在の座乗艦である薩摩(ラー・カイラム級)から上記新造艦 磐城(レウルーラ)に乗り換え次第編成される第七艦隊の分艦隊。クルーゼの座乗艦 相模(ゼネラル・レビル)直衛の任に就く。薩摩を旗艦とし竹井中佐の後任の薩摩艦長 兼 司令長官には園田海未 少佐が就任する。これに伴い園田少佐が艦長を務めた機動駆逐艦『花』(クラップ級)の後任の艦長には高坂穂乃果大尉が少佐昇任の上で就く。艦隊は『薩摩』を旗艦とし、高坂少佐指揮の『花』、絢瀬絵里少佐指揮の『葵』の3隻で編成される。本来は名前が『親衛戦隊』になる予定だったが、計画書をご覧になった陛下が「あやつ(クルーゼのこと)の護衛部隊ならば、名を『親衛艦隊』とすべき。」とおっしゃられ、名が『親衛艦隊』になった経緯がある。



アントン・フェルナー(偽)

扶桑皇国海軍中佐。15歳。第七艦隊 第五戦隊司令官。外見はまんま『銀河英雄伝説』のアントン・フェルナー。転生者でクルーゼの前世での大学同期であり、元ビジネスマン。色々ブッ飛んでいたクルーゼを止めるストッパーの役割を果たしていた常識人。オリジナルフェルナー程子悪党ではないが、強かな男でもある。




新扶桑皇国最高戦力 “紅翼”

雁淵ひかり飛行兵曹長が“グリゴーリ“破壊及び”アンナ“単独破壊の功績が認められ、少尉に任官。既に逝去された東郷元帥を含め史上7人目の“扶桑皇国最高戦力”に列せられた。それに伴いアンジェラ・サラス・ララサーバル少将の推薦で以前言及した通信将校教育過程の受講が始まった。陛下から下賜された最高戦力のコートの袖色は、サカズキ元帥よろしく赤である。





ゲルトルート・バルクホルン

最近クルーゼからクルーゼ自身と宮藤芳佳のリアルグレードの20分の1プラモを貰ってシスコン・ブラコンスイッチが入り自室で狂喜していた。ケンプファーからガンダム試作2号機に乗り換えた。



 

「我が友は、俺や弟のジャミトフを筆頭に“家族“と見なした奴に対しては非常に甘い。がアイツが敬意を払うに能わぬと見なした敵や、裏切り者に対してはその分苛烈だ。気を付けることだ。」

ブライト・ノア(偽) リベリオン “影の政府“工作員にかけた言葉

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「私は! 私をよく知る者達が私を『アイツは俺の仲間だ!』と胸張って言ってくれるような!そんな生き様を貫きたいのだよ!」

ラウ・ル・クルーゼ(偽)

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「ファントムペインに命令

 

 

 

 

 

 

有機化学者 ルーナ・フレデリカ・フィーザーを然るべく処置せよ。マンハッタン計画に関わる者共も然るべく同様に。」

 

※ 然るべく=事件性を持たせぬよう、かつ隠密に

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「鈴木、お主に相談がある。」

 

「はい陛下。この老骨でよろしければ何なりと。」

 

「クルーゼの奴の件じゃ。あやつに王の称を与える際の名じゃが・・・。」

 

「何とされるおつもりで?」

 

「“忠武”じゃ。かつて大陸におったと伝えられる名宰相の諡から取った。古典学者達から出させた名はどれも妾を納得させるに足らんものじゃったから大陸領の歴史書を漁っておったら見つけたのじゃ。武だけがあやつの取り柄ではないが、良き響きの名じゃろう?」

 

「はっ。陛下の御心のままに。」

 

「頼んだぞ鈴木。」

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

1943年某日 第501統合戦闘航空団基地 食堂

 

 

 

「クルーゼ大将。」

 

「なんだねユーティライネン君?」

 

「暇だからさ~お前の未来をちょっと占ってみても良いカ?」

 

「・・・別に構わんが何度やっても出るカードは変わらんよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・こんなの初めてダ。何度占っても死神の正位置・・・。」

 

「私の命は私のものではないが私の運命は私だけのものだ。他の何者にも介入も予測も許さない。だが、最後だけははっきりしているからそれは君にも認識できるのだよ。」

 

「最後?」

 

「破滅だよ。私は倒す定めにある者に倒されて終わる。私の命は後25年も無い。それが定めだ。これ以上知りたいなら、自分の目で見届けてくれたまえ。良いのか悪いのかわからんが君にはそれを見届ける資格がある。私の死を以て、新世界が幕をあげる。」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

『誇り高きかな! 我が弟は常に味方に背中を向け、敵に胸をさらしたもう。

「己に武人の力量なし」と言いながらここまで戦ってきたかの我が家族は、最後の最後まで誇り高き武人であった。』

 

U.C.0050 「魔女の世界」社出版 地球連邦宇宙軍 ゲルトルート・バルクホルン大将 著

『我が生涯』 より

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

機動戦艦 相模(ゼネラル・レビル) 休憩室

 

やあ諸君。ラウ・ル・クルーゼ(偽)だ。統幕関連の書類が終わったから花陽ママを愛玩しようとしたんだが・・・

 

 

「♪~」

 

花陽ママに逆に玩具にされていた。以前ならこんな事にはならなかっただろうが、今の私はショタだ。考えてみれば逆に捕まりこうなるのは自明の理であった。だが役得もある。

 

ぽよん

 

むっふ。なんて素晴らしい髙反発枕(意味深)なんだ!花陽ママのたわわに実った髙反発枕(意味深)は全てを優しく包み込む圧倒的包容力がある。

 

「統幕関連の書類は終わったがまだ遣欧艦隊関連の書類がまだいくらか残ってる。しかし大した量ではない。花陽ママとマーサママ、雪ちゃんは今日は定時退室で大丈夫だから花陽ママは後でその通達をマーサママと雪ちゃんに。」

 

「わかりました。」

 

単なる『わかりました。』だけで私の脳味噌を溶かすあまあまな美声。萌えるわ~。流石花陽ママ。

 

ウィーン

 

休憩室の自動ドアが開く。誰だ?

 

「艦長。」

 

コリニーか。何しに来たんだ?

 

「ジャミトフが鍋の仕込みが終わったからお前を呼んでこいって言われてな。」

 

あぁ。今日は兄弟が海鮮鍋を作るって話をすっかり忘れてた。つうか今日は兄弟の新歓の日なのに主役に海鮮鍋作らせて良かったのかちと疑問が残るが・・・まあ深くは考えまい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

機動戦艦 相模(ゼネラル・レビル) 食堂

 

 

「では諸君、新人の着任を歓迎して、乾杯。」

 

「「「乾杯!」」」

 

 

 

 

こういう時に備え、私の鍋は囲める人数を増やす(コミュニケーションをとる)為に他の鍋の三倍の容量を持つ。単純計算12人前入る。ちなみに今一緒に食べてるのは芳佳、ヨハンナちゃん、アンジェラ、醇子さん、姉さん(バルクホルン)、ライーサママ、ヒガシ君、マイルズ君、ソンネン大佐である。

 

「へっへっへ。久々の酒盛りだ~。ほ~ら飲め飲めマイルズ少佐、ケイ。」

 

「ちょ 待って下さいソンネン大佐!」

 

「酒臭いわねもう。」

 

「ん~やっぱり鍋には扶桑酒ねェ~。ナージャも飲むゥ~?」

 

「私の年齢を考えろヨハンナ。」

 

「よしペットゲン中尉、皿を寄越せ。よそってやろう。 ヒック。」

 

「バルクホルン少佐、そんな無理しなくて良いですから!」

 

「醇子、酒はやめろよ?」

 

「・・・。」潰れてる

 

「・・・遅かったか。」

 

カオスだわ~。コミュニケーションどころじゃねえわ。

 

「芳佳。」

 

「何ですか?」

 

「しばらくしたら抜けよう。後始末はコリニーとヒガシ君に任せれば良い。」

 

「わかりました。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う~ 飲み過ぎた。お腹痛い。」 トイレから出てくる

 

調子乗って飲酒すると毎回こうだ。前世も今も。酔いはしないが単純に飲み過ぎて腹を壊す。

 

「クルーゼさん、整腸剤です。」

 

「ありがとう芳佳。」

 

これでしばらくは大丈夫だろう。

 

「すまんね芳佳。二人きりの時間をとってあげられなくて。“お母さん“方や他のニュータイプの面々ならいざ知らず、君に『忙しかった』なんて言い訳はしたくない。」

 

「大丈夫です。それに忙しかったのは私も同じでしたから。」

 

「そう言ってくれるとありがたい。それとこれを。」

 

そう言い私は芳佳の制服の本来のザフト制服ならFAITHの徽章をつけるところに半分にカットした白い菊と赤い菊を合体させラミネート加工したものを装着させた。

 

「白い菊と赤い菊には特別な花言葉があると聞く。5年分まとめてで申し訳ないが誕生日プレゼントだ。本来なら車の一つや二つでもなんて考えていたが、お義父様に止められてね・・・。」

 

「流石に車は・・・。」

 

「まあその件は置くとして、最近はとにかくうるさかった。パンさんと雪ちゃんが姉妹喧嘩おっぱじめたり僕を馬鹿にしたことにキレたアンジェラがマルセイユ君を重力で圧殺しようとしたのを止めたり、統幕関連の書類がドバッと来たり、コリニーの馬鹿が兄弟に下ネタ連呼してるのを止めたり、海未お母様が体調崩したから看病したり・・・大変だったよ。」

 

「お疲れ様ですクルーゼさん。」

 

芳佳はそう言い私を抱き寄せる。ああ・・・良い匂い・・・

 

「ごめん芳佳、このまましばらk・・・。」 寝落ち

 

「寝ちゃいましたか・・・(いつもは見せない緩い顔も可愛いな)・・・おやすみなさいクルーゼさん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「諸君、静粛に。ではブリーフィングを始める。作戦はシンプルだ。敵主力を艦隊で誘引し手薄になったところを姉さん(バルクホルン)が単独突入、敵を文字通り焼き尽くす。各国アフリカ方面地上軍はお休みだ。4年間ほぼぶっ通しで戦ってきたのだ。最低限の警戒部隊を除いて休業にする。航空ウィッチの諸君には一働きしてもらうが。目標は当然カイロを占領しているアフリカの安全を脅かす元凶たる巣“バルカスⅡ“だ。艦隊は一旦メルサマトルー港に集結、戦隊ごとに基本的に輪形陣で8km間隔で並んで堂々とアレクサンドリアを経由しダマヌール周辺を遊弋することで敵の攻撃隊発進を誘発する。同時に姉さんは単独で超低空飛行でナイル川を降りギザで待機、敵攻撃隊の発進と敵警戒網が手薄になった瞬間を見計らい突入、”バルカスⅡ“を撃滅せよ。何か質問は?」

 

「・・・。」手をあげる

 

「マルセイユ君、何だね?」

 

「堅物に単独突入させると言っていたが、堅物の技量に不安しか感じない。私にやらせろ官僚元帥。」

 

「私は姉さんの技量を非常に高く評価している。それに“バルカスⅡ“の攻撃に使用する特殊兵装は姉さん以外の機体では使用できない。その上この前もめったにキレないブライトをキレさせたような者に任せることなどできん。それにスタンドプレーによる武功をこれ以上許したくないという官僚的思考もある。コルテンさんがこの前も君のやりたい放題にブチ切れていたが、いざ指揮下に入れてみれば・・・なるほど、これはイライラするのも無理からぬ事だ。とにかく君には艦隊防空の一翼を担ってもらう。文句は受け付けない。ケッセルリンクさんとロンメルさんの許可済み故、君は諦めて私の言うことをちゃんと聞くように。聞かなかった場合は半殺しにするからね。これは脅しではない。・・・ああそうだ忘れてた。芳佳、ヨハンナちゃん。」

 

「「?」」

 

「姉さんが使う特殊兵装は強すぎるからもしかしたら艦隊に余波が来るかもしれない。その際は独自の判断でサイコフィールドを展開して艦隊を護ってくれ。」

 

「わかりました。」

 

「ん~任せてェ~。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回 STRIKEWITCHES SEEDDESTINY 「間隙への一撃」 少女は そして神話となる



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間隙への一撃

会社組織再編

クルーゼが起業した各企業+クルーゼ工業が総合企業化(≒財閥化)され横の繋がりが強化、統一拠点が秋葉原に設置された。近々クルーゼ主導で幼小中高大大学院全て揃った一貫教育機関が設置されるという噂もある。






皇国元帥の給料

クルーゼの軍人としての給料は年俸14400(現代の7200万円に相当)円。月棒1200(600万円に相当)円である。これにクルーゼが起業した各種企業からの給料を併せると大体年俸95000(現代の4億7500万円に相当)円位である。しかも男性優遇措置を受けているので所得税が皆無なためほぼそのままの金額がクルーゼの所得である。もっとも、拾った孤児の育成やその他慈善事業(とファントムペイン含む第七艦隊以外の私軍の運用)にその殆どを回しているのでクルーゼ個人の口座には大した金額は入ってないが(それでも念のための貯蓄として常時10万は入っている)。しかし彼の財布は事実上アンジェラの管理下でしか使えない。彼自身少々放蕩癖があるからである。妻にお金を管理される夫の苦しさをクルーゼは思い知った。 クルーゼ工業とクルーゼ燃料、クルーゼ・エレクトロニクスからの莫大な収益とクルーゼ自身の給料は第七艦隊の各種費用(財閥が支援してくれている各種消耗品以外)に充てられている。





徴兵制の廃止 志願制導入

ラウ・ル・クルーゼ 皇国元帥 兼 第七艦隊司令長官 兼 統合幕僚副長と統合幕僚長 寺内寿子 陸軍元帥の連名で今次大戦が終結次第、国民三大義務から兵役を無くし軍人は全員志願制に移行する旨 陛下及び各省庁に報告、布告された。



宮藤芳佳のスタイル

クルーゼの計画の下、家族の皆さんのご協力(特に栄養面)により芳佳のスタイルは原作よりも遥かに成長、身長159cm 体重 50kg B74/W54/H80という素晴らしいスタイルになっている。クルーゼは芳佳(を自分好みのスタイルに強化する為)の為に世界中から栄養価の高い食材と適切な調理法を1936年中頃から宮藤家に定期的かつ大量に送り付け芳佳に小さい頃から食べさせていた。小さい内から現代並の高カロリー・高栄養価の食事を与えられていたのだからこうなるのも必然であった。なのでショタ化(碧眼子ギル化)状態である現在のクルーゼより背は高い。



コールサイン

ブライト・ノア(偽)はクルーゼから航空管制官としてコールサイン“スカイアイ“が与えられている。唯一無二の戦友に対し、ブライトに本当のメビウス1の相棒のコールサインを与えられるのは当然であった。



ゲルトルート・バルクホルン
ハルトマンとアフリカ旅行をしたことがあるのでカイロとは因縁がある。



天皇陛下とクルーゼ

1934年に陛下がまだ皇太子だった時に初めて直接接触して以来、現在退位なされて療養中の陛下の母君たる上皇様の治癒に尽力したのと扶桑海事変での活躍もあって強固な信頼関係を築いているが、陛下は皇太子時代から婿がいたのでクルーゼにそういう類いの感情は向けていない。クルーゼは前世も今も中道右派を自称しているので、戦後一般日本人よりも遥かに皇室に対する忠誠心が強い。転生して尚、陛下と一対一で会話する時には左膝を床につけて膝まずいて会話する程に。



「仁将 知将 猛将の域を超えて部下に必勝神話を唱えさせる程の将 これを名将と呼ぶ。私の親友にして“最強のニュータイプ“が愛した彼は間違いなく名将であった!」

 

U.C.0048 ブリタニア マレー出版 地球連邦宇宙軍 リネット・ビショップ中将 『勇者達と我が生涯』より

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一度“家族“と見なした者に対し僕は最後まで忠しまたかの者の行動に責任を負う。その結果裏切られようとも、心の臓に刃を突き立てられようとも後悔も恨みもしない。家族に裏切られるのは大いに結構だが、裏切るのは御免被る。」

ラウ・ル・クルーゼ(偽)

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

裏設定

 

座乗艦が与えられているニュータイプ達、クルーゼ、ジャミトフ以外が艦長を勤める第七艦隊の艦は通常の核融合炉が使用されているので主砲は本来なら大型以上のネウロイには効かない。なので場合によっては主砲砲座にウィッチが座ってトリガーを引くことで大型以上のネウロイにも打撃を与えられるようにしている。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「よし。」 無線機を取る

 

「では諸君、作戦を開始する。『バンカーショット』作戦開始。総員、戦闘配置!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦闘配置の完了を確認し姉さんのガンダム試作2号機に個人連絡を入れる。

 

「姉さん、大丈夫かい?」

 

「任せろ!お姉ちゃん頑張るからな。見てろよ。」

 

「発進後は無線封止だ。こちらからは発信するが姉さんからの発信はやめてね?」

 

「了解した。」カタパルトに乗る

 

 

 

「バルクホルン機、発進 どうぞ。」

 

「ヘイロー1(バルクホルン)、サイサリス 出る!」 ヒューン ガシャン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

機動戦艦 相模(ゼネラル・レビル) 艦橋

 

「おい。」

 

「どうしたコリニー。」

 

「本当に制空戦闘ルーデル大佐に全部任せるのか?」

 

「骨折してフラストレーションが溜まってた最近の彼女はいわば僕という短い鎖に繋がれイライラしていたブルドッグだ。たまには鎖から解放して餌をやらねば。」

 

「なるほど。」

 

「AWACS スカイアイ、発進!」

 

ブライトが出たか。

 

「スカイアイに連絡を回してくれ。」

 

「了解。」

 

 

「こちらスカイアイ。」

 

「戦友頼むぞ。ヘイロー1とルーデル君の動きに気を配ってくれ。ルーデル君のコールサインは臨時措置で“バーサーカー1“とする。アーデルハイド君はバーサーカー2だ。」

 

「了解。任せろ。」 ブチッ 通信が切れる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

推奨BGM 『サンダーボルト』のメイン・テーマ

 

「行くぞアーデルハイド。カバー任せる。」

 

「了解。お行きなさいルーデル。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし行けェー!」増加装甲内ミサイルを斉射

 

「良い!良いぞフルアーマーガンダム(サンダーボルト版)!血が滾ってくる!」2連ビーム・ライフルで薙ぎ払い後ろの敵をビーム・サーベルで切り裂く

 

 

 

 

 

「ルーデル、敵制空戦力の全滅を確認。帰投しましょう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こちらバーサーカー2、ルーデルが制空権を掌握。帰投します。」

 

「了解。」

 

「通信士、山口さんに電文を。『突撃セヨ』。」

 

「了解。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「閣下、総帥から電文受信。『突撃セヨ』。」

 

「ルーデル大佐が上手くやったようだ。行くぞ!」

 

「「「オォーーッ!!」」」

 

 

 

 

推奨BGM マーラー 交響曲第1番 巨人 第4楽章

 

 

 

 

 

 

「第四戦隊、突撃します!」

 

「敵軍、既に先頭集団が壊滅。」

 

 

「ふん。無能者め。反応が遅い。行くぞコリニー。」

 

「了解。全艦、相模(ゼネラル・レビル)を先鋒に艦隊を紡錘陣形に再編。」

 

 

「艦隊、紡錘陣形に 再編完了。」

 

「全艦、突入。山口中将にばかり手柄を立てさせるな!」

 

「「「オォーーッ!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいコリニー。」

 

「どうした?」

 

「突出してる艦がいるが誰のだ?」

 

左翼の2隻の桜型機動駆逐艦もといクラップ級が突出してる。敵に袋叩きにされかねんのではないか?

 

「絢瀬少佐の『葵』と園田少佐の『花』だな。」

 

ちょっと待て。絵里ママと海未お母様は何してるん?各個撃破の的になりやしないか?

 

「あの二人の攻撃の際の精悍さと連携は中々だ。多少突出しても問題あるまい。」

 

「ネウロイに知性なき今の内は・・・だがな。」

 

だがスゲぇな。 絵里ママと海未お母様だけで多分20隻は沈めてるぜ。

 

「あの二人には今までのロジスティクス(補給)の功績分も兼ねて叙勲と昇進を以て報いてやれ。でなきゃ皆が皆スタンドプレーに走り組織が破綻しかねん。」

 

「わかっている。っていうか今更だが海未お母様は熱大丈夫なのか?」

 

「俺特製の解熱剤飲ませたからしばらくは大丈夫だ。というよりあんな般若面して作れと言われれば嫌でも作らざるを得ん。効果は保証するが逆に効果が切れたらぶり返すから後で面倒をみてやれ。」

 

「流石だな薬剤師。わかった。ありがとう。」

 

「おう。」

 

「敵艦隊、既に半数が壊滅!されど突入してきます。」

 

「よし。一旦後退し縦深陣を敷いて注意を引け。その隙に他の戦隊、独立部隊に各個の判断で横から攻撃させろ。半包囲殲滅する。」

 

「はっ。」

 

「こちらペガサス2(絢瀬亜里沙)、相模(ゼネラル・レビル)直掩に回ります。」

 

咄嗟に艦長席電話を取る。

 

「亜里沙ちゃんお疲れさん。直掩任務一旦中断して僕の艦長室に来て。交付したい資料がある。制空権は完全に掌握してるから心配は要らないよ。」

 

作戦に気を取られててすっかり忘れてた。米内さんからの通達で雪ちゃんは統合幕僚副長付補佐官に相応しい能力をつけさせる為、亜里沙ちゃんは親衛艦隊幹部に相応しい能力を身につける為に研修受けさせないといけないんだった。無論研修後には苦労に報いる為にどちらも大尉に上げるつもりだ。今の内にUSBに課題データ入れて渡さないと。海未お母様が生きてるかも確認しないと。

 

「コリニー。雪ちゃんに艦長室机にある白いUSBを回収するよう言っといて。」

 

「了解した。」

 

「・・・。」艦橋を出ていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・コリニー副長。」

 

「どうした?」

 

「長官に言わなくてよろしかったので?園田少佐に処方した薬に遅効性の媚薬を間違って入れたこと。」

 

「最近のアイツはおいたが過ぎる。深く信頼している園田少佐に襲われたなら、少しは控えるであろうて。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こちらスカイアイ。ヘイロー1(バルクホルン)、攻撃を開始してくれ。」

 

よし行くか。

 

「待ちに待った時が来たのだ。多くの英霊が無駄死にでなかったことの・・・証の為に。」ラジエーター・シールドからアトミックバズーカを取り出し突入する

 

私のガンダム試作2号機に気付いた巣の直掩が撃ってくるが、散発的だ。話にならん。

 

「このようなピケットなど・・・。」突破する

 

よし。この辺で良いだろう。アトミックバズーカ照準。目標、敵拠点“バルカスⅡ“中央部!

 

 

 

 

 

「再びカールスラントの理想を掲げる為に。『バンカーショット』成就の為に!カイロよ!私は帰ってきた!!」

 

そして私は引き金を引いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回 STRIKEWITCHES SEEDDESTINY 「開かれた扉」

少女は そして神話となる

 




クルーゼ(偽)が艦隊指揮をほぼ全く執ってないことに疑問を抱いた方もいると思います。彼は政治家であり軍官僚です。咄嗟の判断ができません。不測の事態にも弱いです。なので艦隊指揮は基本ジーン・コリニー(偽)に丸投げしています。


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開かれた扉

解説

ZGMF-X23S セイバーガンダム

竹井醇子中佐が、現在搭乗している∞ジャスティスガンダムの前に搭乗していた機体。VPS装甲を調整し、水色(イメージはエースコンバット7のF/A-18F スーパーホーネット エルジアスキン)にされジャミトフ・ハイマン少佐に譲渡された。これに伴いジャミトフ少佐のコールサインはメイジ1に決定された。



栄養剤入り特殊飲料粉末

薬剤師たるジーン・コリニー(偽)、医者のメラン(偽)主導で1942年末から扶桑皇国陸海軍に導入された特殊飲料の粉。まんま粉末ポカリスエ〇ト。特に湿度の高い地域において著しい効果をあげている。第七艦隊軍法には各艦に最低2トンは貯蓄するよう定めてある。




扶桑皇国海軍 制服

1944年中期から、扶桑皇国海軍の新制服導入が開始された。第一種夏制服はそのままに海上自衛隊の冬制服、第三種夏制服、作業服を新制服として導入した。第七艦隊、本国勤務の者から次第に全体が旧制服から取り換えられる方針である。制帽も海上自衛隊式のものに改められた。



「我が友を見極めるのはとても簡単だ。アイツが貴官自身を含め他人を“家族“と見なしているか否か簡単に見分ける方法がある。握手を求めてみろ。利き手(左手)を出してきたなら、アイツは対象を”家族“と見なしている。アイツは心から信頼する者以外に利き手を預けることは絶対にない。」

ブライト・ノア(偽) 園田海未少佐にかけた言葉

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

うわ 眩し。姉さんに持たせたアトミックバズーカはオリジナルの三十分の一の威力。爆風がこちらに来ることはなさそうだが、目が眩む。各艦・各MSに対閃光処理しといたのは この際正解だったな。

 

「コリニー。」

 

「なんだ?」

 

「兄弟(ジャミトフ)に繋いでくれ。」

 

「了解した。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こちら橋立(ドミニオン)。」

 

「兄弟、“最後の扉“が開いたぞ。」

 

「・・・そのようだ。見てて涙が出てきたわ。数少ない救いは放射線被害皆無・人が焼かれた訳ではないところだな。」

 

「確かに。」

 

「兄弟、私が被る皮(オリジナルのラウ・ル・クルーゼ)が言っていた扉は開かれた。が、まぁ主導権はこちらにある。奴らはMSを模倣できても核は奴らの存在意義の都合上模倣できん。」

 

「・・・だな。奴らは我ら人類の同士討ちを防ぎたいのであって我らを殲滅したい訳ではないからな。核は模倣できまい。で、何故このタイミングで連絡してきた?」

 

「姉さん(バルクホルン)が敵の巣の守備隊残党に包囲される未来が見えた。お迎えも兼ねて援護に向かってくれ。我々は立場上迂闊に動けん。ローエングリンで掃除してやれ。」

 

「了解した。全力を尽くす。」 ブチッ 通信が切れる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「敵艦隊、全滅を確認。」

 

「よし。コリニー、帰投指示を出せ。後は任せる。僕は海未お母様が生きてるか見てくるよ。ニュータイプ達には僕のいるところは適当にお茶を濁しといてくれ。」

 

「わかった。やっておこう。」

 

「・・・。」艦橋から出る

 

 

 

クルーゼが出ていくのを確認しコリニーは独り言を言う。

 

「ふん。精々搾られて(意味深)くるが良い。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

機動駆逐艦 花(クラップ級) 戦闘ブリッジ

 

 

「艦長、相模(ゼネラル・レビル)から帰投命令、我々の勝利です!」

 

「戦闘配置解除、戦闘ブリッジを艦橋に戻して下さい。」

 

「やったね海未ちゃん!またパンとお手当が貰えるよ!」

 

「あなたの場合普段から元帥閣下のお手製パンを強奪しているのにまだ求めるのですか穂乃果?」

 

「え~良いじゃん海未ちゃん。長官のパンは美味しいんだから。それより海未ちゃん、身体大丈夫?」

 

「はい。コリニー中佐いわく後1時間は大丈夫です。」

 

「じゃあそろそろ休みなよ海未ちゃん。代わりは穂乃果とことりちゃんで頑張るから。」

 

「ですが・・・。」

 

「長官から入電!『園田艦長は直ちに休息をとれ。また私が直接確認に出向く。』です。」

 

「・・・ほら海未ちゃん、早く休む!」 艦橋から追い出す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「花(クラップ級)」 艦長室執務机 園田海未視点

 

 

コリニー中佐特製解熱剤の効果はおおよそ後1時間で切れます。切れないうちにできるだけ電子書類を片付けて元帥閣下や穂乃果、ことりの負担をなるべく減らさなければなりません。

 

「洗剤の申請は・・・これ位で・・・噴進弾が切れましたから、新規で40発申請・・・。」

 

あ 少し視界が歪んできました。まずいです。せめて次の穂乃果とことりの叙勲申請だけでも・・・

 

シューン 艦長室扉が開く

 

「?」

 

誰でしょうか?我が艦の乗組員に私の許可無しに艦長室に入ってくる大馬鹿はいません。つまり・・・

 

「・・・死にかけて尚ここまで真面目とは・・・先が思いやられますな海未お母様。」

 

閣下・・・。

 

「ほら早くベッドに。今の僕の筋力ではお母様を運べないんですから。」

 

閣下に手を引かれ、素直に布団に入ります。閣下の手が暖かくて年甲斐もなくときめいてしまったのは内緒です。

 

「お母様は真面目な上背負い過ぎる。たまには周りに頼ることを覚えた方が良い。というよりまあ頼ると言う言い方ではお母様は納得してくださらないでしょうから、こう言い換えましょう。『階級に相応しいタスクを課し見守ることで部下の成長を促す。』 そう考えるべきです。」

 

なるほど。

 

「上司の在り方講義はまた後にしましょう。ひとまず氷枕を。」

 

あ 少し楽になってきました。

 

「閣下、またご迷惑をおかけし申し訳ありません。」

 

「構いません。家族を助けるのは当たり前ですから。」粉末を溶かしポカリを作る

 

閣下御自らそんなことを言ってくださる・・・私は幸せ者です・・・!

 

「どうしましたお母様?顔が赤くなってますが。」

 

身体が熱く・・・あぁ!どうすれば・・・この感情は・・・いけません!・・・閣下に劣情を抱くなど・・・

 

「あぁその顔は・・・コリニーめ、要らぬ薬を混ぜたな。だがまあ良い機会だ。ガス抜き兼ねていつも世話になってる家族にはサービスを・・・。」脱いでシャツとパンツだけになる

 

「閣下・・・何故ここで・・・半裸に?」

 

「今お母様が僕に劣情を抱いてるのはわかってます。コリニーの馬鹿がそうなるよう解熱剤に薬を混ぜたのでしょうよ。ですがそれ抜きにしてもストレスが溜まりに溜まってるでしょ?主にパンさんと犯罪鳥が原因で。たまには発散しないとお母様が壊れてしまう。お母様もたまには自分(の欲求)に素直になった方が良い。僕も素直になるので。ちょうど僕も溜まってたんですよ。汗かいてすっきりしましょうお母様。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クルーゼ視点に戻る

 

 

 

「♪~」 肌つやつや

 

「・・・。」 干からびてミイラ化

 

くそ。溜まってたからもっともらしいこと言って海未お母様を美味しくいただくつもりが最初以外は逆に美味しくいただかれた。お母様はマーサママほど淫乱ではなかった。コリニーめ。大方私のミイラを見て楽しむ為にこのようなことをしたのだろう。というよりテンプレな展開だがお母様から風邪うつされた。

 

 

「コリニーめ 」

 

自分の業を棚に上げてほざく私だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

芳佳の時を操る波動に治してもらい風邪はともかくひとまず生気は何とか取り戻した私は、作戦の後始末にかかる。

 

「フラッハフェルト君、これをヴィルケ君に持ってって。」

 

「了解しました。」

 

「雪ちゃん、それは雪ちゃんの補佐官権限で決裁して良いよ。責任は僕が持つから。」

 

「はい。」

 

「マーサママ、これをウーデットさんにデータで送って。」

 

「わかったわ。」

 

「花陽ママ、これを第八艦隊に打電して。たまにはメランに働き場所を与えなければ。」

 

「は~い。」

 

 

 

 

あ そうだあれを忘れてた。

 

「雪ちゃん。」

 

「何でしょうか?」

 

「海未お母様の誕生日がもうそろそろだ。誕生日プレゼントをあげたいが何か良い案はないだろうか?」

 

「・・・長官も御存知の通り自分の家の饅頭が園田少佐の大好物です。それと最近気付きましたがコーラが大嫌いですので御配慮をお願いします。」

 

「わかった。ありがとう雪ちゃん。なら・・・雪ちゃん、仕送りでご実家から来た饅頭があるでしょう?何個か食堂の冷凍庫に入れといてくれる?海未お母様へのプレゼントに一つ面白い饅頭を作るから。」

 

「では5つ程でよろしいでしょうか?」

 

「いや、念のため8個頼む。それと機動駆逐艦 花 及び 葵(クラップ級)幹部達に15日の1800以降は予定を開けておくよう通達して。“食事会“を開くから。」

 

 

 

 

 

 

次回 STRIKEWITCHES SEEDDESTINY 「開店! 居酒屋“クルーゼ”」 少女は そして神話となる

 



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開店! 居酒屋“クルーゼ”

解説

居酒屋 クルーゼ

第七艦隊 旗艦 相模(ゼネラル・レビル)のどこかで不定期に開催されている超小規模宴会場。クルーゼが功労者を手ずから労う為に始めた試み。居酒屋故に基本揚げ物と刺身、焼鳥しかクルーゼは出さない(参考:村さ〇のメニュー)。酒はクルーゼが世界中から集めた逸品が揃っている。この宴会に頻繁に呼ばれる圧倒的な功労者は(料理もだが酒は本数制限があるが基本無料で)ボトルキープ特権が認められている。圧倒的な功労者は主に各戦隊司令官・独立部隊司令・単独行動が認められている艦の艦長ら艦隊の幹部達だが、その他にも少数存在する。艦隊の幹部ではあるが、坂本美緒・竹井醇子中佐の両名はボトルキープ特権が認められていない。酒飲んだらどうなるかわかりきっているからである。


皇国元帥の将旗

白地に上に元帥たるを示す×のモノグラムを模したマーク、その下に各「エースコンバット」シリーズで登場する絶対的エース『メビウス1』のエンブレム(下部リボンの中にはオリジナルのMOBIUS-118ではなくシンプルにMOBIUS-1と刻印されており、また裏に書かれているユージア大陸は扶桑列島に置き換えられている)が書かれている将旗がクルーゼの将旗である。


第七艦隊教育総監

園田海未少佐は、機動駆逐艦 花(クラップ級)艦長職以外にも、第七艦隊将兵の体重・健康管理を担う教育総監職を拝命している。体重が少しでも増えると当該将兵には端末を通じてスパルタダイエットメニューが課せられ、司令長官(クルーゼ)を含め何者にも拒否権は認められず、1ヵ月の生き地獄をオートで味わう羽目になる。



NZ-666 クシャトリヤ

広域殲滅用重MS。最近空間認識能力に目覚めたナージャ・ポポワ中尉に貸与された。オリジナルとの相違はジェガン系の武装が多数装備されている点、ファンネルとスラスターが大幅に強化され、重力下でも宇宙並の高機動で戦える点である。カラーリングはナージャのパーソナルカラーである水色に変更されている。



牟田英玲奈 陸軍中佐・河野つばさ 海軍中佐

両名とも使用機はショルダーアーマーを赤く塗装したスタークジェガン。統合幕僚長付補佐官を勤めている。牟田の元ネタは自衛隊第4代統合幕僚会議議長、河野の元ネタは自衛隊第5代統合幕僚長 河野克俊 元海将の父である河野克次 元海将補。見た目はまんま『ラブライブ!』の統堂英玲奈と綺羅ツバサ。



性格診断検査

第七艦隊所属将兵のコミュニケーションタイプを大まかに把握する為にクルーゼが東京皇国大学 理学部にいる某教授の力を借りて導入している検査。プロモーター同士・コントローラー同士・プロモーターとコントローラーを同じ部署に入れないように、サポーターとアナライザーばかりの部署を作らないようにして組織に活力を与える試みをしている。目立った成果は出ていないが、組織に目立った崩壊・ギクシャクなどが無いのも事実なので、一応成果はあげているようである。ちなみにクルーゼはプロモーターの資質を一部持つコントローラーなので自分の部署には相性が最悪な存在であるプロモーターは原則入れないようにしている。現にいつも彼の近くにいる彼女らは

アンジェラ・サラス・ララサーバル 少将→コントローラーだがクルーゼに基本口出ししない

宮藤芳佳 少尉→サポーター

小泉花陽 大尉→アナライザー

佐々木原正子 大尉→アナライザー

高坂雪穂 中尉→サポーター



である。
相性が良すぎる一例をあげると、ジャミトフ・ハイマン(偽)少佐とシャーロット・E・イェーガー大尉のカップルは特に相性が良い。サポーターの資質があるアナライザーのジャミトフをプロモーターが服を着て歩いてるような存在であるシャーリーが引っ張っていくスタイルだからである。



「この世界に共産主義中国(=中華人民共和国)と韓国北朝鮮がなくて良かったな兄ちゃん。奴等や日本国内の共産党含む共産主義者共によって俺達はどれだけ面倒な目にあわされたことか・・・だがこれであんたのストレスの半分は消える。後は地球連邦政府樹立に邁進するだけだ。」

 

ジャミトフ・ハイマン(偽) クルーゼにかけた言葉

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「第二次ネウロイ大戦、別称“大陸戦争”は英雄達が終わりなき自由、無限の空を求めて戦った戦争。それを私は地球連邦政府樹立の為に政治利用した。英雄英霊に対する背信行為と言われても仕方無い。」

 

U.C.0071出版 講談社歴史部編集 ラウ・ル・クルーゼ元帥 60回忌 記念企画 『西暦と宇宙世紀の狭間にあった偉人達の言葉』 より

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第七艦隊 旗艦 相模(ゼネラル・レビル) 艦橋 キャプテンシート

 

「なっ!?寺内さんが自転車で転んで大怪我ですと!?」

 

私は朝になって早々に何の前触れもなくいきなり陛下から衝撃の電話が来たので驚かされていた。

 

「そうじゃ。意識はあるが全身骨折と打撲だらけじゃ。寺内がしばらく職務復帰できんことは間違いない。寺内に代わり統合幕僚長職の代行をお主に任せる。大きな作戦が終わったばかりで疲れているところすまぬが・・・。」

 

「・・・陛下直々に慰労のお言葉を私はいただきました。、私はそれで十分戦えます。」

 

「統合幕僚長付補佐官を送った。明後日には着くと言っておったから準備しておくが良い。」

 

「御意。補佐官人事を私は承知しておりませんが、誰が来ますか?」

 

「牟田じゃ。お主の今の任地におる加東の同期のあやつじゃ。」

 

「牟田さんですか。疲れてる身としてはありがたいですな。あの人の処理能力は醇子さんをしのぎますから。」

 

「ん?どうした鈴木?・・・牟田だけではないだと?わかった・・・クルーゼよ。どうやら送った補佐官は牟田だけではないようじゃ。」

 

「誰です?」

 

「妾は良く知らぬが河野とか言う者も送ったようじゃ。」

 

「送り返してよろしいでしょうか?」

 

即答である。彼女うるさいんだもん。プロモーターもそうだがうるさいコントローラーとも私と相性が非常に悪い。ストレスがたまる。

 

「そう言うでない。お主を働きすぎで死なす訳にはいかん。ここは耐えるのじゃ。」

 

「・・・御意。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第七艦隊 旗艦 相模(ゼネラル・レビル) 健康相談室(≒保健室)

 

「はぁ~。」

 

「随分お疲れのようね。」 お茶を出す

 

「あぁ、ありがとうマッキー先生。」

 

「で?なんでよりによって私のところに来たのかしら?何があったの?」

 

「寺内さんが自転車事故で怪我したから統合幕僚長の職務を代行しないといけない。」

 

「は?じゃ今あなた仕事4つ兼務してるの?」

 

「そうなる。皇国元帥、第七艦隊司令長官、統合幕僚副長、統合幕僚長代行。これ全部やってることになる。皇国元帥の職務は皆が思ってるよりハードでね。今僕は戦場にいるから陛下の園遊会とかのイベントに随行できない。だからイベントの度に欠席のお詫びとか書かないといけないし、軍関係の陛下が絡む案件も全部僕がやらないといけないからこれだけでもかなり忙しい。第七艦隊関連の書類は大したことはない。装備は全部僕のお金で宮藤博士が作ってるからね。各部隊指揮官が大まかなものを各々の裁量で出してくれれば良い。横領する愚か者は我が第七艦隊にはいない。統合幕僚副長関連書類はそもそも統合幕僚長の裁量次第だけど寺内さんは真面目だから僕に仕事を押し付けることはないから噂ほどではないよ。だがここにきて寺内さんが倒れたからその仕事が全部こっちに来る・・・。」

 

「・・・で長官は私に何を望むのかしら?」

 

「バレていたか。やはりマッキー先生には敵わん。単刀直入に言おう。マッキー先生、深夜の書類仕事を少し手伝ってくれ。芳佳達には内緒で。無論芳佳達に心配はかけないから・・・頼むよ。」顔の前に手を合わせて言う

 

「・・・はぁ、しょうがないわね。今回だけよ?」

 

相変わらず優しいがツンデレなマッキー先生。可愛い。

 

「ありがとう先生。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1945年 3月15日 02:30

 

ふぅ~。やっと終わった。長かった。マッキー先生には01:00位まで手伝ってもらいなんとか今週分はやりきった。今日は木曜日だから海未お母様の誕生日祝い以外なにも考える必要がないし、三連休だ。やったぜ。三連休は休めるから今日は寝ないでロンド・ベル、ストライクウィッチーズ、アルダーウィッチーズの皆の朝食と旧補給部隊の皆を労う居酒屋のつまみを仕込んでしまおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

06:00

 

「おはよう兄弟。」

 

朝食作りを手伝いにきた兄弟(ジャミトフ)に声をかける。

 

「おはよう兄ちゃん。今日は何を作る?」

 

「豚バラ入り野菜炒めと納豆とご飯、味噌汁。野菜炒め以外はもうできてるからそこにある野菜を全部切って調理釜に放り込んでくれ。後の調理は私がやる。」

 

「了解した。」

 

兄弟の調理スピード・精度は私を遥かに上回る。本来なら調理全般を任せたいが橋立(ドミニオン)艦長も勤めているので多くを任せられないし可愛い兄弟に兄として多くは任せたくないのだ。

 

「兄弟、調理の前にカウンター席に使用禁止札を立てといてくれ。今日は功労者を労わねばならん。」

 

「わかった。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

18:00

 

あ~やっと終業だ~。夕食も作り終わってるから後始末はコリニーと兄弟に任せよう。こっちはこっちで功労者達を労う宴会を開かなければならん。今回呼んだのは

 

 

機動駆逐艦 花 幹部達

 

艦長 園田海未少佐

 

副長 高坂穂乃果大尉

 

航空隊隊長 南ことり大尉

 

 

 

 

機動駆逐艦 葵 幹部達

 

艦長 絢瀬絵里少佐

 

副長 星空凜大尉

 

航空隊隊長 絢瀬亜里沙中尉

 

 

 

 

統合幕僚副長付補佐官

 

高坂雪穂中尉

 

 

まんま『ラブライブ!』のμ’sメンバーが集まってるわ。矢澤さんは第六艦隊司令長官だから居るわけないし、希ママはカールスラント国防軍の将官だから欠員だが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

22:00

 

「ちょうか~ん。」

 

駄目だこりゃ。犯罪鳥が私に内緒で雪ちゃんに酒飲ませやがったせいで雪ちゃんがめっちゃ絡んでくる。ゆっくりエビ天をつまむ事もできない。他の人達は悪酔いした雪ちゃんを察してすたこらさっさと退散しやがったからここには私と雪ちゃんしかいない。第七艦隊の天使亜里沙ちゃんまで私を見捨てやがったからな。覚えてろよ。

 

「あんまりくっつかないで雪ちゃん暑苦しい。」

 

「ん~。」

 

普段があんなに真面目で柔らかい表情を見せない雪ちゃんがだら~んとしてる姿を見てるとなんかギャップで萌えるわ~。しかし私も雪ちゃんにつられたのか眠くなってきな。

 

「雪ちゃんごめんよ。今の僕の筋力では雪ちゃんを雪ちゃんの部屋まで運べないから僕の部屋で勘弁してね。」

 

「ん~。」

 

駄目だこりゃ。今の雪ちゃんには意思表示をする力も残ってないようだ。

 

「うんしょ。」 雪穂中尉を背負う

 

「片手で人を背負って運ぶなんて経験は初めてだ。」

 

芳佳との初めての共同戦線で右腕を切り落とされて以来、ずっと隻腕で頑張ってきた。この状態で人を背負うのは新鮮な経験ではあるが同時に片腕がないことの不便さが浮き彫りになってきた。義手を付けようにも私の右腕はいわば世界の抑止力そのものに斬られたようなもの。どう固定してもくっつかずに落ちてしまうのだ。本当に腕が必要になったら最悪ワンピの青雉海軍本部大将の能力で氷の腕を作れば良いが、集中力が要るのであまりやりたくないし滅茶苦茶冷たいから皆からもあまり使わないように頼まれているのだ。なんか良い方法はないものか・・・あと雪ちゃん、君を運ぶためにお尻触っちゃってるけどセクハラで訴えないでね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

機動戦艦 相模(ゼネラル・レビル) 艦長室 ベッド

 

 

さて。雪ちゃんをちゃんと寝かしたし、私も寝るとしよう。私の部屋のベッドは小さくて雪ちゃんしか寝れないから私は執務机の椅子を倒して寝ることにする。

 

「ふぁ~あ。おやすみ雪ちゃん。」

 

こうして私は久しぶりに5時間以上の仮眠を取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

次回 STRIKEWITCHES SEED DESTINY 「リベリアン・スナイパー」 少女は そして神話となる

 

 

 



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リベリアン・スナイパー

解説

GAT-X303 イージスガンダムの改修

頭部にジェガン(エコーズ仕様)と同じ超高精度センサーを搭載。拡張領域にビーム・スナイパーライフルを装備した。バリバリの前衛型だったイージスガンダムだが、これにより超遠距離狙撃ができるようになった。パイロットのシャーロット・E・イェーガー大尉が狙撃で戦果を拡大する戦友 兼 ライバルのマリアン・E・カール大尉とカーラ・ルクシック中尉に彼氏のジャミトフが流れていくことを危惧し宮藤一郎技術大佐にお願いした結果、この改修が実施されたようである。現在絶賛狙撃訓練中。どうやらスピード以外の趣味に目覚めたようだ。




クルーゼ・ジャミトフ兄弟の共通点

前世を含め70年以上の長い付き合いであるこの兄弟だが、相違点が多い。クルーゼは歴史が大好きで理系科目が大嫌いだが、ジャミトフは歴史が大嫌いで理系科目が大好きである 擦ったとろろ芋はクルーゼが大嫌いだがジャミトフは大好きである 何らかのゲームで戦う時もジャミトフは地上で戦うのが好きだがクルーゼは空が好き 等の顕著な相違が見られる。だが共通点も少ないながら見受けられる。しっかり者で生き生きとした女性が好みの一つである点だ。『ラブライブ!』シリーズのアイドル達でもμ’sなら園田海未、Aqoursなら渡辺曜が好みな点は共通している。




扶桑皇国陸軍の新制服

陸上自衛隊が平成30年3月から運用を改修した紫紺の制服を参考にそれから襟の兵科章を無くしたものを採用した。元帥の階級章はシンプルに×のモノグラムになっている。



連合統合戦闘航空団最高幹部の業務

今までは各統合戦闘航空団司令が管区にネウロイが入り次第、或いは連合軍総指令部から作戦命令が届き次第フォースユーザー(事態対処責任者)として戦闘を指揮し、フォースプロバイダー(練度管理責任者)としても業務も管轄していたが、連合統合戦闘航空団が発足。実質的な指揮は全てクルーゼがやるようになったため、クルーゼを除く各統合戦闘航空団司令はほぼフォースプロバイダー(練度管理責任者≒折衝・物資融通なども全てクルーゼがやっている上訓練等のフォースプロバイダーの仕事は坂本中佐やゴッドフリー少佐が全部やってしまうので実質お飾り)と化している。だが悪いことばかりでもない。彼女らの書類負担が壊滅的に減ったので、ニュータイプであり体力お化けの竹井中佐はあまり変わってないが、ヴィルケ大佐は余裕のある笑顔が露骨に増えたようだ。彼氏たるクルト曹長も喜んでいた。





アイリーン・カナーバ(偽)

扶桑皇国海軍技術中将相当官。転生者。御年35歳。固有魔法は猫化。普段は青・緑のオッドアイの白猫になっている。扶桑のソフトウェア面をたった近年8年で2020年代に引き上げた天才。最近はマインク〇フトとプレイステーションシリーズの製作に精を出している。クルーゼとフェルナーの大学時代のパソコンスキルの恩師。現在東京皇国大学理学部所属の教授。エースコンバット5、ZERO、6のBGMが大好き。



内田あんじゅ(18)

扶桑皇国海軍中佐。第七艦隊補給艦隊司令長官 兼 空母 天城艦長。元ネタは海上自衛隊第8代海上幕僚長。まんま『ラブライブ!』の優木あんじゅ。扶桑海事変・補給物資輸送任務中における襲撃の撃退でスコアをあげている。撃墜数は91。乗機はプロト・スタークジェガン。ウィッチではあるが、たまに気分で自分の艦に載せられている九八式特務防空艦上戦闘機(まんまエースコンバット7版F-14D スーパートムキャット 特殊兵装:8AAM)で出撃している。



御召艦

今まで数多の艦が歴代天皇・皇室の方々の御召艦を務めたが、最近になって陛下・皇室の行幸専用艦がクルーゼから献上された。宮藤芳佳専用に建造した機動戦艦『信濃(ネェル・アーガマ)』の余剰部品を使い、ネェル・アーガマ級の二番艦(全部真っ白なネェル・アーガマ)が就役した。艦長は猪口敏平 少将。艦名は 『大和』 。大陸戦争で疲弊している各国を慰安訪問の為、近々出撃する予定。


「汚いおかめ納豆野郎がふざけたことをぬかしてるようだが と考えている。知識も乏しく、視野の狭い輩であることを発言で自ら露呈させたあのマヌケの頭には腹と同量の脂肪が詰まってるようだな。生きてるのが不思議でならん。第一、我が国の象徴たるお方を平気な面して侮辱しよった。奴自身が土下座謝罪するまで、いかなる事情があっても、あのデブを我が国に入れてはならん。これは国家間の儀礼の問題である。」

 

〇〇(ラウ・ル・クルーゼの前世での名前) 大学生時代 ムン・ヒサン韓国国会議長の天皇陛下(当時)謝罪要求をどう考えているかと聯合メンバー達に問われた際の回答。

 

 

 

 

 

 

「これ以上の韓国の横暴を許すな!我らが奴らに与える最後の温情は二つの選択肢を与えること。国家間の約束を守るか、それとも破って自ら現代民主主義国家の誇り・良識を棄てるか。それ以外にない。ハルモニだとか徴用工を自称する詐欺師共にも我が国を甘くみた代償を払ってもらう。」

 

ジャミトフ・ハイマン(偽) 前世 官房副長官時代 当時の内閣総理大臣だった兄に対しての発言

 

 

 

 

 

 

 

「兄弟・・・私が・・・ウッ・・・間違っていたよう・・・だ。結婚もせず・・・増して子 もなく、頼れる存在がいなかった私に・・・相応しい末路だな・・・人は一人では生きていけないことをよく知っていた分際でこの道を進んだ罰か・・・はは・・・そうか・・・わかったぞ兄弟・・・私の魂が何を欲していたのか・・・今わかった・・・私は・・・愛を・・・欲していた・・・愉悦も、理想も、大義も・・・私の本望ではなかったということか・・・だが、悟れたことには変わりない。もし来世があるなら・・・恋愛して・・・愛し愛されて・・・結婚して・・・子供をつくり・・・人の当然の営みをしながら生きよう・・・苦労をかけたお前や戦友に対して償いになると信じてな・・・まあもっとも、私なんぞを愛してくれる物好きなど・・・いないだろうがな・・・。」

 

〇〇(ラウ・ル・クルーゼの前世での名前) トラックに轢かれて死亡する直前の独り言

 

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「親父、リベリオン国防総省を漁ってたらとんでもないもんが出てきたわ。」

 

「何が出てきたの?」

 

「この大陸戦争終結後に実施される対扶桑戦争計画“オレンジ・プラン”。影の政府の奴ら我が国に戦争を吹っ掛けるつもりだぞ。」

 

「・・・だろうね。そんなことだろうと思った。」

 

「知ってたのか?」

 

「いや。勘づいてただけだ。ルーズベルトならやりかねん。黄色人種を人として見てない奴がやりそうなことだ。それにリベリオンがアジアで利益をあげようとするにあたって最大にしてほぼ唯一の障害が我が扶桑皇国だ。それに軍産複合体の奴らがルーズベルトに戦後に儲ける捌け口を求めたのだろうな。これが民主主義の偽らざる姿だ。」

 

民主主義はただの入れ物だ。中に入る“人の裁量”でそれは著しく変化する。だからこそ前世日本で私のような愚か者が内閣総理大臣になれたわけだが。

 

「どうする?」

 

「ルーズベルトを消せ。奴はマンハッタン計画を推進する第一人者だからな。形はどうあれ扶桑に害なすようならトルーマンも消して構わない。影の政府とは手を切る。こちらは端からそのつもりだった。奴らも最初からそのつもりだっただろうからね。おあいこだよ。」

 

 

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アフリカ カイロ 扶桑皇国海軍 第七艦隊 臨時駐屯地

 

今回の作戦『バンカーショット』の成功により、アフリカはその大部分が解放された。姉さん(バルクホルン)のガンダム試作2号機のMk-82レーザー核弾頭の攻撃でネウロイの巣諸共全部文字通り消滅したカイロだが、芳佳に頼んで虹色の波動で時を巻き戻してもらい消滅した家屋をちゃんと復活させておいた。後はロンメルさん、モントゴメリーさん、パットンさん、石原さんの連合軍が掃除してくれるから、第七艦隊はしばらく暇をもらえる。後私を狙った爆発物に巻き込まれた有賀さんが復活、出雲(ミネルバ)が戦列に戻ってきた。

 

「しばらくは暇だからイェーガー君と兄弟(ジャミトフ)のカップルに喧嘩売りに行くか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第七艦隊 旗艦 相模(ゼネラル・レビル) 射撃訓練場

 

プチューン パフッ

「命中。上手くなったなシャーリー。」

 

「お前の指導のお陰だよジャミー。」

 

「俺はマリアンとカーラが狙撃で成果をあげてると煽っただけだ。後強いて言うなら息を吐く時に魂を込めて射てって言った位だろう?」

 

「女って単純なんだ。その言葉だけでも十分力になるよ。」

 

「君ようなトップガンにそう言ってもらえるとは・・・光栄だな。」

 

「・・・訓練中済まないが、良いかな?」

 

「兄ちゃん。」

 

「よっ クルーゼ元帥。」

 

「暇だから喧嘩を売りに来たよ。」

 

「喧嘩を売りに来たのは大いに結構だが、自室に連れ込んだ補佐官はどうした?」

 

「なんでお前がそれ知ってんの?」

 

「星空大尉が教えてくれた。」

 

「ニャーさん(星空凜のこと)は相変わらず口が軽いな。後で絵里ママに〆るよう言っておくか。」

 

「そうだな。機密情報をバラされでもしたら目も当てられん。」

 

「で、イェーガー君。」

 

「なんだ?」

 

「いきなりすまないが狙撃任務を託す。明後日の夜、君が紀伊(アルビオン)の屋外狙撃訓練場で訓練中に不審な複数のギラ・ドーガが我が相模(ゼネラル・レビル)から飛び立つ。君は何らの疑問も私に持たずそれらのバックパックを狙撃、飛行不能にして欲しい。黙秘料も兼ね前金が5000ドル。本報酬として2万ドルと休暇をあげよう。兄弟(ジャミトフ)にも同時に中期休暇をやるから一緒にどこかに出かけると良い。」

 

「・・・要は黙って狙撃しろって話だな。わかったよ。」

 

「ありがとうイェーガー君。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

狙撃訓練に夢中なイェーガー君を置いて私と兄弟(ジャミトフ)、コリニーは廊下で下らない話に花を咲かせていた。

 

「おい!指輪買った。」

 

「ここでか?」

 

「そうさ。ここならめちゃくちゃ安い。」

 

「野蛮人から買ったのか?紛争ダイヤかもしれないぞ?」

 

「イェーガー君達にはどこで買ったのか言ったのか?」

 

「まさか。ゼールスで買ったって言うさ。」

 

「「「ハッハッハッハッハ。」」」

 

「イェーガー君達がゼールスで指輪の値段を確かめるの心配じゃないか?」

 

「いや、心配じゃないが・・・ちょっと心配になった。」

 

「遅すぎだよ。」

 

「あいつらがダイヤの出所を突き止められるか?」

 

「そうは思わんが・・・。」

 

ピーピーピー

 

近くの据付電話が鳴る

 

「コリニー、確認を。」

 

「あぁ。」 ガチャ

 

「こちらコリニー。艦橋、どうした?」

 

「はい。自由ガリア空軍8492飛行隊なる者達が補給・休息の場を設けて欲しいと言ってきましたので報告をと。」

 

「・・・どうする?」

 

私に聞くな。答えは一つだろうに。

 

「副長の御意のままに。」

 

「・・・許可しろ。我が艦の一番着艦カタパルトから着艦せよと通達するのだ。」

 

「了解。」

 

エースコンバットを少しでも知ってる奴ならまず疑うわ。なんだよ8492飛行隊って。胡散臭さしかしねえわ。まあ良い。希ママと有賀さんの仇、取らせて貰う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「自分がこの自由ガリア空軍8492飛行隊の指揮をとっておりますクリス・キーラ少佐であります。この度は補給・休息の場をお与え下さりありがとうございましたラウ・ル・クルーゼ元帥閣下。」 敬礼

 

「ご苦労様。」答礼

 

いやなんでここでクリス・キーラ?原作では506と絡んでたろあんた。なんでアフリカに?

 

「ところでキーラ少佐、一つお伺いしたい。」

 

「なんでしょうか?」

 

「君達の8492飛行隊はMSを扱える程の力量のウィッチのみで構成された部隊だ。それなら私の耳に一度や二度位なら入ったことがあるはず。だが一度も聞いたことが無い。どういうことかね?」

 

「はい。我々は自由ガリア空軍総司令部直属の強行偵察飛行隊です。あくまで偵察が任務ですので我々がもたらした情報が閣下のお耳に入ることはあっても我々自身の情報が閣下のお耳に入らぬのも無理からぬことかと。」

 

「なるほど。」

 

怪しまれないように適当に相槌を打っておく。

 

「扶桑には『一宿一飯の義理』なる諺があると聞きます。閣下、ここは一ついかがでしょうか?」

 

そう言い彼女はガリアワイン(白)を出してくる。

 

「貰って良いのかね?」

 

「はい。我々は無名な上危険な任務に就いている都合上お金は腐るほどありますが使い道があまり無いという事情もありこのようなものばかり懐に貯まる一方でして。生活環境の質を向上させる“通貨”はいくらあっても困ることはありません。そのワイン然り。」

 

「・・・では遠慮なくいただこう。」

 

そして私は早速飲んでみる。うわ、これなんの毒だ?私を消したい以上致死性のある毒でなければならんが・・・花っぽい匂い・・・原作と同じジギタリスか!?

 

「うっ!!」 バタン

 

駄目だ。体が重い!

 

「では失礼。お休みなさい“ガリアの裏切り者”。」

 

キーラ少佐?がウインクしながら出ていく。ふん。このままくたばる私ではないぞ。コーディネイターをなめんなよ?

 

「・・・。」 据付電話を取る

 

「マッキー先生、ジギタリスの中毒だ。艦長室に来て僕に治療を頼む。後全艦隊に僕の名前で『ヤシマ作戦』開始を宣言してくれ。」

 

ひとしきり言い終えると、体力の限界が来たのか私は意識を強制的に落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

機動戦艦 紀伊(アルビオン)屋外射撃訓練場 シャーリー

 

ピピピ ピピピ ピピピ ピピピ

 

「なんだ?何のサイレンだ。」

 

まあ良いや。ひとまずクルーゼ元帥に頼まれた仕事をしよう・・・っと来た来た!

 

「マジかよ!?こんなにいるのかよ?」

 

7機もいるなんて聞いてないぞクルーゼ元帥!まあ良い。やれるだけやろう。まずは一機。

 

プチューン ドゥン

 

次!

 

プチューン バゴーン

 

2機同時!大当たりだよ!でもヤバい。もう少しで射程外に逃げられる・・・

 

「ん~こちらメビウス4(ヨハンナ)。シャーリーさ~ん、もう撃たなくて大丈夫よォ~。後は私にお任せなすってェ~。」

 

ヨハンナから通信が入る。だが本当に大丈夫か?

 

「八咫之鏡。」

 

うわ早っ!一瞬で不審なギラ・ドーガの前に回り込みやがった。“扶桑皇国最高戦力”やってる化け物は伊達じゃないな。

 

「よっと(^o^)」

 

良い笑顔で光速キックをブチかますな~あいつ。

 

「メビウス4から全軍に連絡よォ~。状況終了。敵は確保したわよォ~。芳佳ちゃんは墜ちて怪我した敵の治療よろしくゥ~。」

 

さーて、依頼は果たしたぜクルーゼ元帥。貰えるお金で何買おうかな・・・ジャミーとカリフォルニアディズニーリゾートにでも行ってくるか。連れて行けるならルッキーニも一緒にな。

 

 

 

 

 

 

 

 

次回 STRIKEWITCHES SEED DESTINY 「尋問」 少女は そして神話となる




また軍映画のネタを投入(わかる人はタイトルからわかる)。なんのネタかわかった人は是非感想欄まで!!!





感想を書いてくださると筆者の力になります。是非ご協力お願いします。でも筆者は豆腐メンタルだから言い方に気を付けて頂けるとうれしいです。


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尋問

いつもそうだけど今日も今日でタイトル詐欺。









解説



昇進辞令

今回のバンカーショット作戦の成功を名目に第七艦隊内昇進人事が発令された。宮藤芳佳少尉は通信将校教育課程を無事修了、中尉に昇格した。竹井醇子中佐は大佐に昇格、アンジェラ・サラス・ララサーバル少将は5年ぶりに昇進、中将となった。ヨハンナ・ヴィーゼ少佐も中佐に無事昇格した。尚、ララサーバル中将は現在妊娠しており激しい戦闘への参加禁止をクルーゼから厳命されている。間も無く第七艦隊から一時離脱し妊活と経験(キャリア)を更に積むため豊田副武の後を継ぎ、要職であり海上幕僚長直前ポスト最上位たる聯合艦隊司令長官に就任する見通しである。尚、当初聯合艦隊は大陸戦争勃発直後は聯合艦隊直属の部隊にしか指揮権を持っていなかったが第一次軍制改革の結果海上自衛隊の自衛艦隊に似て各鎮守府に直属する部隊以外の文字通り全部隊に対する指揮権を持つようになった(=海上自衛隊の自衛艦隊司令官と同じ海のフォースユーザー最高位)。この人事が正式に発令され次第、聯合艦隊の旗艦は長門からアンジェラ専用艦たる安芸(アークエンジェル)に移る。後任(事実上のアンジェラ不在の間の一時的なピンチヒッターである)の第七艦隊参謀長には伊藤整一中将が着任する予定。そしてオマケとばかりに園田海未・絢瀬絵里 両少佐、クルーゼと前世からの付き合いの連中も昇格した。



叙勲

クルーゼとアンジェラが最近オラーシャから勝利勲章(オラーシャ軍最高位軍事勲章)を授与された。雁淵ひかり少尉も第一等級ナヒーモフ勲章を授与された。その上クルーゼはブリタニアからも異例だがガーター勲章を授与、ブリタニア海軍名誉元帥・名誉国防参謀総長の称号を得た。



各種電子機器の普及

クルーゼ・エレクトロニクス社から各財閥に横流しされた設計図を元に各種電子機器が扶桑中に普及、扶桑皇国臣民の現在の生活水準はまだ関東・東海に限るが食生活・一部建築技術以外の全てが2020年代程度に進化している。カナーバ教授の尽力により最近PS4が三菱から売り出された。当然軍を含む各公共機関は例え地方でも電子機器は関東・東海に劣らない。



ドクターX

僅か3歳でハーバード大学生物学コースを主席卒業、6歳でハーバード大学医学大学院も主席卒業、幼いながらも数多の外科手術を切り抜け新療術を多数開発してきた鬼才“ドクターX”。これからの奇跡の活躍が期待されていたが、彼はハーバードを去りあろうことか扶桑皇国の海軍兵学校に入学。海軍士官への道を歩み始めた。ハーバードでの同僚達から再三帰還要請の手紙が来ているが、「友を助けたいんだ。」とだけ言って断っている。



零式統合戦闘機二二型

零式統合戦闘機(F/A-18F スーパーホーネットベースの扶桑皇国軍標準戦闘機)一一型のアビオニクスにSu-33 フランカーD の皮を被せた戦闘機。クルーゼの親友 メラン大佐の専用機。スキンはエースコンバット6のシュトリゴン隊。





「正義に固執し過ぎるな。道理に固執し過ぎるな。それらに固執したばかりに死んでいったやつを僕はよく知っている。それらに固執するやつを僕自身が食い物にしたことも数多ある。僕は君達に、皆に幸せに、強く生きていって欲しくって戦っているのだ。知っているかね諸君?世の中は何事も均衡・・・バランスで成り立っている。僕は十分に栄達し肥え太り、保身した。次は諸君が、世界が僕を食い物にする番だ。」


第七艦隊旗艦 相模(ゼネラル・レビル) 大会議室

 

重要な案件が審議されない限り使用されない相模の大会議室だが、司令長官暗殺未遂事件ともなると使用されない訳がなかった。アフリカに駐留するクルーゼから絶大な信頼を勝ち取っている第七艦隊の錚々たる面子が揃っている。

 

 

「西木野大尉、ラウの容態は?」

 

「現状はなんとも。ジギタリスが混入していたと思われるワインを確認したら常人ならまず死んでる量が検出されたわ。でも(彼は)生きてる。コーディネイターの肉体の強さに感謝ね。ジゴキシン特異的抗体フラグメントを投与、しばらくは様子見ね。下手に治癒魔法をかけると血管が収縮して死ぬかもしれないからひとまず放置、落ち着いてきたら活性炭等の控えめの薬を投与して回復を図るわ。」

 

「真姫お姉ちゃんありがとうございます。また助けられちゃいましたね。」

 

「礼は要らないわ芳佳これが仕事だから。それにあんたの婿を死なせちゃったら清佳さんに申し訳が立たないし。」

 

「長官がどうなろうが我々がまず為すべきことはただ一つ。だよなヨハンナ?」

 

「そうねェ~。ひとまず取っ捕まえた下手人の指ぃ詰めて耳削いで四肢に風穴空けながらァ~『尋問』ねェ~。」

 

「・・・まだ待て二人とも。確かに奴らの不法行為は裁かれて然るべきだ。奴らが名乗った通りの正規部隊ならば自由ガリア軍の軍法会議に連れていって法の裁きを受けさせる。だが恐らく奴らはラウを以前から狙っていたガリア王党派の刺客。正規部隊ではないだろう。奴らが“ゴースト”であったと正式に確認がとれるまで待て。その上で取引に応じなかった場合は・・・任せる。」

 

「ん~楽しみねェ~♪『尋問』が久しぶり過ぎて下手人が死なないと良いけどねェ~。」

 

「・・・だな。お前の『尋問』のエグさは私がよく知っている。」

 

「そういえばヨハンナさんとナージャちゃんは昔敏腕窃盗団を率いてたんですよね?クルーゼさんからちょっとだけ聞いたことがあります。『尋問』もその時代の名残ですか。」

 

「そうだ宮藤。なんだったら拷問だなあれは。」

 

「ダイレクトに言っちゃァ~駄目よォ~ナージャ。オブラートに『尋問』って言ってる意味が無いじゃないのォ~。」

 

「・・・。」

 

「コリニー大佐、何か意見でも?」

 

「いいや。ただあの馬鹿らしいなと思っただけだ。」

 

「「「?」」」

 

クルーゼさんらしいとは?

 

「お前らニュータイプはいざ知らず、ここにいるあの馬鹿から全幅の信頼を勝ち取っている他の奴らはアイツからアイツ自身の秘密は聞いてるか?」

 

「皆聞いてるわよォ~コリニー大佐ァ~。」

 

「実を言うと俺、シナプス、ブライト、ジャミトフ、メラン、後面識がないかもしれんがジャブロー防衛司令官のパプテマス・シロッコ大佐、我が第七艦隊第五戦隊司令官フェルナー大佐、北欧の空にたまに現れる“ハゲタカ”アーサー・トライン大佐、扶桑皇国防衛省統合軍政庁法務部に勤務している児島俊平大佐はアイツと前世からの付き合いであり、俺達とアイツは60年以上の付き合いなのだ。故にアイツの考えはニュータイプ並に読める。大方、暗殺者共のヘイトを自分に確実に集めてお前らや俺らに危険が及ばないようにしたのだろう。一応言っとくが、アイツに『自分を大事にしろ』と言っても無駄だぞ。俺達も何度も説得を試みたが矯正することは叶わなかったからな。だが同時に安心してほしい。アイツはお前らが自分の力が無くとも幸せに生きていけると確信するまでは命を放り出しはしないし、そのように『STARDUST project』を組んでいる。」

 

「STARDUST project?」

 

「詳しいことは俺も知らない。これに関しては俺達は言われたことをただやっているパシリに過ぎんし裏で何をしてるのかを話すことも俺達は許されていない。ただ一つ間違いないのは・・・。」

 

「「「?」」」

 

「STARDUST project最終段階の計画名は『人類補完計画』と呼ばれていること位だ・・・いやもう一つだけ知っている。この話は言うなと明確には言われてない。他の誰にもバラすなよ?俺がバラしたことも口外無用だ。良いか?」

 

「「「・・・。」」」 皆頷く

 

「人類補完計画の骨子となるもの・・・それはアイツ自身の不死だ。既に方法も用意されている。」

 

「不死!?一体どうやって!?」

 

「古代から伝わる闇の魔法・・・その一つに『分霊箱作成』なる術がある。人を殺すことにより自らの魂を意図的に引き裂き、何らかの器に裂いた魂を入れるという魔法だ。魂を分割し肉体から切り離すことにより例え肉体が滅びても擬似的ながら不死を実現できる。だが早々に作れる代物でもない。直接的にせよ間接的にせよ人を殺さないと作れないので、まだアイツは一つしか作れていない。」

 

「でも・・・既に一つ存在するするってことは、クルーゼさんは・・・。」

 

人を殺したことがある・・・

 

「いいや宮藤中尉。アイツはまだ直接は誰一人とて殺していない。救えたにもかかわらず“見殺し”にしただけだ。」

 

「見殺し・・・。」

 

「園田中佐、君の母君だ。宮藤中尉、第四艦隊事件は知ってるか?」

 

「はい。通信課程で習いました。」

 

「あの事件は駆逐艦に被害が多かった。俺達の前世でも似たような事件があったから、アイツも当初は止めようとした。だが当時の艦艇設計思想に疑問を生じさせ更なる扶桑の造艦技術向上の為、尚且つ分霊箱を作成する為に園田中佐の母君、当時の駆逐艦設計の責任者だった園田少将を見殺しにした。少将は園田中佐並に責任感の強い人物だったと聞く。あのような事件があったのだ。腹を切っても不思議ではない。アイツはそれをわかってて見殺しにした。まあ、当時のアイツは今程の権力は持ち合わせてなかったから、阻止しようとしたところで止められたか怪しいがな。園田中佐、アイツを恨みたいなら恨むが良い。殴りたいならやるが良い。俺が許可する。」

 

「・・・。」複雑な表情

 

「海未ちゃん・・・。」

 

「・・・といったところだ。ちなみに分霊箱は6つ以上は作れん。それだけあると魂が不安定になるから安定運用できる魔法力も必然的に下がる。アイツもそんなリスクは負うまい。今後誰かがアイツを殺す必要に迫られた時は・・・分霊箱を全て見つけ、破壊しろ。それ以外にアイツに対抗する方法はない。無敵を誇るニュータイプとて、その例外ではない。その上インチキなことに例え分霊箱を見つけたとしても破壊する方法がかなり限られている。神造兵装あるいはそれに準じる武器でなければ無理だ。ゲイ・ボルグ、ロンゴミニアド、エクスカリバー、村正・・・神代のルーン魔術でも代用が利くらしいが、魔法力の消費・制御を考慮した場合、ニュータイプか上級オールドタイプでなければ習得は難しいだろう。そして常人・ナチュラル・弱いオールドタイプが分霊箱に不用意に触れてみろ。そいつの魂はアイツに吸い取られ、操られるはめになる。アイツ自身は“家族からの愛”なくして生きられない脆い男だが、同時にここにいる誰よりも心に闇を抱え人を誑かし煽り騙す高い技術を持っていることも事実。気を付けることだ。60年近く観察してて思うよ。アイツは、心はともかく、才能は“政治家になる為に生まれてきた”と言っても過言ではない。現役時代のアイツの渾名が“敵対したら次の日行方不明”だからな。そしてアイツをよく見てきた数少ない人間として魔女諸君に警告する。」

 

「「「?」」」

 

「『何をしたいか?』と自らに問いながら生きるのは別に良い。だが『何をすべきか?』と問いながらその問いの答えに忠実に生きるのはやめた方が良い。そんな生き方ただの機械でもできる人間の皮を被った“事象”でしかない。アイツと同類だ。アイツは心底お前らが自分の二の舞にならないよう祈り、またその為に表裏問わず色々と動いているのだ。今は戦争の最中だから仕方ないにしても、平和が訪れたなら、幸せに生きて欲しい。あの馬鹿は素直じゃないから自分からこんなことは言わないだろうから俺が代わりに言った。まぁ、鋭いニュータイプ諸君ならとっくの昔からわかってただろうがな・・・だが皆、アイツをそこまで責めてくれるな。皆が居てくれたから、今のアイツは少しは人らしい生き方ができてるし、精一杯変わる努力をしている。」

 

「そう。自慢じゃないがただ一人“戦友”とアイツから呼ばれ絶大な影響力を持っていた俺よりも影響を与え、頑固なアイツを“人”に近付けることが出来た君達は、むしろ誇って良いと思うよ。」

 

ブライトさん・・・

 

「我が友を変えてくれたせめてもの礼として俺の予想を一つ教えよう。コリニーが今言っていた分霊箱だが・・・恐らくそれさえもただの人類補完計画の一つのオプションでしかない。君達に確実に葬ってもらう為にもう二つは切り札を用意しているはず。一つは教えられる。知っているからね。γ線レーザー砲、コードネームは[ネオ・ジェネシス]。宇宙に配備されるパラボラアンテナっぽい形をした巨大レーザー砲だ。一撃で地球上の全生物の80%が滅ぶ代物。アイツの心拍と連携させるらしい。アイツの心臓が止まらないと発射される・・・そしてγ線攻撃故にビーム兵器等と異なり一度食らうと生物は膨張して死ぬ・・・防御手段はない。『射たせない』それにつきる。サイコ・フィールドさえも無意味だ。つまり地球が滅びるのを防ぐにはアイツを葬るしかない。」

 

パラボラアンテナっぽいレーザー砲・・・もしかしたら前に見た夢に出てきた・・・

 

「ブライトさん。そのレーザー砲って先端に電波塔みたいな構造物がありますよね?」

 

「!?・・・どうしてそれを知っている?」

 

「夢で見たんです。私とクルーゼさんが・・・宇宙で・・・そのネオ・ジェネシスの近くで一騎討ちを・・・。」

 

「・・・一騎討ちの結果は?君がアイツを手ずから葬ったか?それとも・・・。」

 

「私が一人でクルーゼさんを・・・心臓をビーム・サーベルでひと突きにして・・・。」

 

「「「・・・。」」」

 

「・・・というわけだニュータイプの皆。君達ニュータイプは未来を見ることができる。アイツを望み通り葬ってやるにしろ救ってやるにしろ夢で見る情報は役に立つ。どう役立てるかは君達次第。俺達は温かい目で見守ってるよ。」ニヤッ

 

「・・・。」ニヤッ

 

コリニーさんもニヤッとしてますがちょっと怖いです。

 

「こんちわ~。やってるかい?」

 

メランさん!? 大西洋方面にいるはずじゃ・・・

 

「俺の艦(ゼネラル・レビル)は居酒屋じゃねえ。というかどうした?案外お早いお着きで。」

 

「キンケイド中将に追い出された。」

 

「何があった?」

 

「サッチ中佐の部下に襲われかけたから配慮してくれたんだ。」

 

「過保護だな。まあ良い、児島以外のメンバーが揃ったから企画立てとくか。」

 

「何やるの?」

 

「どうしよ・・・。」

 

「何するのォ~?」

 

「皆を慰安する為に俺達が馬鹿騒ぎする面白動画を作って世界中に配信するんだ。細かいことは殆ど決まってないんだがな。」

 

「規律を乱すような動画は無しだぞコリニー大佐。」

 

「安心しろララサーバル中将。そんな真似はせん。そもそもこの企画を立てた元凶はお前の婿だぞ?文句ならアイツに言ってくれ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第七艦隊 旗艦 相模(ゼネラル・レビル) 牢屋

 

 

「任務ご苦労クリス・キーラ少佐・・・いいや、クリス・キーラの名を語る何者か・・・と言った方が正確か。」

 

「ほう。流石です。既に私の身辺調査まで・・・やはりあなたの婿に手を出すべきではなかったですなララサーバル少将。」

 

「中将だ。先日付でペテルブルグに駐留している“紅翼”、浦塩鎮守府に戻られた宮藤博士、貴様らのせいで意識不明の重体の奴を除く“扶桑皇国最高戦力”は全員昇進した。貴様らが“ゴースト”であることは既にわかっている。我々としては貴様らが“ゴースト”であると判明した以上今すぐにでもミンチにしてやりたいところではあるが、司令長官閣下は誰であれ不要な死を遂げることを良しとされない方だ。チャンスをやろう少佐。」

 

「?」

 

「ガリア王党派を裏切り司令長官閣下につけ。」

 

「!?」

 

「丁度来月から司令長官閣下を護衛する“青鬼”園田海未中佐が指揮する『親衛艦隊』が設立される。艦艇は足りているが防空戦力が足りていなくてな。貴様ら8492飛行隊はMSも扱える程の力量がある。司令長官閣下の盾位にはなれるだろう。今の王党派に扱き使われるよりかは快適な生活を約束する。当然成果を挙げれば叙勲・手当の支給も思いのまま。このまま王党派の為に働き続けても貴様らの働きは一部のガリア人、最悪一部王党過激派にしか役立たない。が我々につけば世界中の人々の役に立ち報われるぞ?どうだ?司令長官閣下の指針は『人々の笑顔を仕事にする第七艦隊』だ。悪い話ではあるまい。どうだ?」

 

「中将殿は・・・我々が裏切るとはお考えにならないのですか?」

 

「裏切ったなら、粛清すれは良い。今まで司令長官閣下に逆らって命があった者はいない。それに貴様らを司令長官閣下は“敬意を表すべき敵”と見做していた。司令長官閣下が認めた敵には相応しい処遇を与えなければならないのが第七艦隊の掟だ。貴様らは如何に高い餌をまいても食い付かないが、『誰かの為』という餌なら如何に安くとも食い付くと司令長官閣下は以前から仰られていた。さあ どうする?」

 

「・・・わかりましたララサーバル中将。8492飛行隊は貴女の婿につきましょう。後暗い仕事ばかりだった我らに救済を与えていただけるなら、救済に忠義を以て応えましょうぞ。」

 

「・・・よかろう。取引成立だ。」握手を求める

 

「・・・。」アンジェラの手を握る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回予告

 

 

“凶鳥フッケバイン” “三本線の英雄”と讃えられながら 戦場に身を投じた回数は僅か2回、大学校を出てからも前線から引き兵学校で飛行教官を長らく勤めていた小泉花陽大尉。第二次ネウロイ大戦(大陸戦争)前半期において彼女の身に何があったのか。何故圧倒的な強さを誇りながら彼女は第七艦隊からの召集要請に『自信がない。』と断り続けたのか?

 

 

 

 

 

 

 

「結構墜としたはずだが減った気がしない。」

 

「撤退は許さん。5分位耐えられずに何がエース部隊か。」

 

「どうする隊長?」

 

「命令を無視したら軍人じゃなくなる!」

 

「なら軍人なんか辞めてやるぜ!」

 

「これが最善・・・わからんか三本線!・・・貴様も将校ならば、わかるはずだ!」

 

「必要なのだ!40の死が!」

 

 

 

 

 

 

大陸戦争の前半期、彼女と“蒼翼の妖精”ラウ・ル・クルーゼ元帥の間に何が起こっていたのか?エルネスタ・ニールマンの取材によって暴かれた真実が公になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、STRIKEWITCHES SEED DESTINY 『三本線』 見てみよう。英雄達の物語を。

 

 




次回は過去のかよちんに焦点をあてた外伝になります。番外編の『THE UNSUNG WAR』編には載せられない話です。エースコンバット7 新エピソード発売記念作品も兼ねています。お楽しみに。


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EXTRA EPISODE 統合幕僚副長 離着任人事

散々待たせた上での見苦しい時間稼ぎですがお付き合い願います。更新滞っていた理由がスクスタガチャ何回引いてもURが出なくて発狂してたからなんて言えない・・・










読者の皆様、良いお年を御迎え下さい。


「おいおいおい こういうやり方でいいのかよお前。」

 

「こういうやり方が一番なのだよシナプス。なんだかんだ言いながらも結局ニュータイプ達も他のパイロット達も僕についてきたのだよ。巣立たせる時だ。退任する際の僕の服装は海上自衛隊をそのままパクった扶桑皇国海軍の冬制服でそのまま退任、新しい時代を新しい空を自分の意志で羽ばたく彼女達は衣替えし航空自衛隊の制服をパクった扶桑皇国宇宙軍の制服で僕を見送る。お前ならわかるだろうが目に見える内外に示す一種のデモンストレーションだ。目に見える形でひとつの時代に区切りをつけ終わらせる。これからは彼女達の時代だよ。」

 

ラウ・ル・クルーゼ(偽) 退任直前 エイパー・シナプス(偽)との会話

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

1949年4月1日

 

一、 献花 靖国神社 拝殿

 

 

とうとう私が退任する日が来た。1935年春に海軍に技術少佐として入隊。以来 ヒスパニア怪異事件、扶桑海事変、大陸戦争と駆け抜けてきた。丁度入隊して舞鶴から船で発った日も当時まだ軍務局長だった井上さんと満開の桜が私を送り出してくれた。今日も靖国神社の桜は満開だ。皆と共に桜が軍を去る私を見送ってくれる。何と感慨深く、何と嬉しいことか。私は退任の挨拶を英霊達に、そしてその御霊が安らかにあれと祈りつつ、献花する。右には私の後任の統合幕僚副長になった杉山さんが、左には第七艦隊の宇宙軍格上げに伴い宇宙軍最高位たる航宙幕僚長に就任したアンジェラが共に献花してくれている。皆優秀な人材だ。安心して任せられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二、 離任挨拶

 

 

「大陸戦争終結から早2年。諸君が、より強く、より信頼され、より暖かい第七艦隊改め扶桑皇国宇宙軍を作っていってくれることを確信しています。今まで諸君と共に勤務できたことは私の栄誉です。ありがとう。武運長久を祈ります。以上。」

 

「気をつけ! 敬礼!」 敬礼

 

「・・・皆、ありがとう。」答礼

 

 

 

 

 

三、 新 統合幕僚副長 及び 初代 航宙幕僚長 栄誉礼 出迎え

 

 

「宇宙軍先任伍長 西澤義子。新統合幕僚副長、航宙幕僚長を航宙幕僚本部を代表しお迎え致します!」敬礼

 

「「・・・」」答礼

 

 

 

 

杉山さんとアンジェラが台に上る。

 

 

 

 

「捧げ 銃!」 ガン ガシャ 敬礼

 

「「・・・。」」答礼

 

栄誉礼冠譜♪ 巡閲の譜♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

四、 事務引継ぎ

 

「ありがとうございました。」

 

「「お疲れ様でした。」」

 

「副長、宙幕長、肩を組んで欲しい。記念に一枚撮りましょう。」

 

「「わかりました。」」

 

パシャ

 

何か久しぶりにアンジェラの笑顔を見た気がするよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

五、 前 統合幕僚副長 栄誉礼 見送り

 

 

 

台に上る。私の現役最後の栄誉礼だ。

 

 

 

 

 

 

「捧げ 銃!」 ガン ガシャ 敬礼

 

「・・・。」答礼

 

栄誉礼冠譜♪

 

 

 

 

 

 

 

 

行進曲 軍艦 ♪

 

 

 

 

 

皆が防衛省前で私を見送ってくれる。

 

 

東久邇宮様、矢澤さん、アンジェラ、絵里ママ、海未お母様、マッキー先生、ツバサさん、犯罪鳥、パンさん、花陽ママ、マーサママ、亜里沙ちゃん、醇子さん、坂本君、雪ちゃん、芳佳、ヨハンナちゃん、ひかりちゃん、ニャーさん、服部君、若本君。

 

 

 

ありがとう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「帽 振れェー!!」 帽振れ

 

 

私も制帽を振る。

 

「ありがとうございました!!」制帽を振る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花束贈呈 矢澤にこ統合幕僚長 より

 

 

「お疲れさん。ひとまずはしばらく休みなさい。」花束を渡す

 

「ありがとうございます矢澤さん。しばらく休業します。」受けとる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

公用車に乗り込む。これで退役だな。達成感と僅かな寂しさを胸に防衛省を出る。皆がまた制帽を振って見送ってくれている。ありがとう!もう軍に思い残すことは無い。皆頑張ってね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六、 初代 航宙幕僚長 訓示

 

「私の指導方針は、 精強即応、変化への適合。この二つである。これに加え職場のワーク・ライフ・バランスをしっかり整え働きやすい環境を整えていくことが私の責務であると宣言しこれを訓示とする。以上!」

 

「気をつけ! 敬礼!」敬礼

 

「・・・。」答礼



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三本線

解説









第七艦隊 第70飛行隊 第5小隊 “ゴルト”

MSN-001A1-2 防空特化デルタプラス8機で構成される中隊規模の飛行隊。まんま『エースコンバットZERO』のゴルト隊のスキンである。クルーゼが大陸戦争初期に拾った東欧系孤児の中からウィッチの力を持つ志願者に教育を施し編成された。隊長はアンナ・カプチェンコ中尉。“ゴルトの巣”と呼ばれる数を活かした半包囲飽和攻撃を基本戦術とする。管轄空域は北欧一帯。だが最近クルーゼから『葵(絢瀬絵里中佐指揮のクラップ級)』勤務辞令を下されたらしい。


MSN-001A1-2 防空特化デルタプラス

MSN-001A1デルタプラスをベースに開発、8機のみ生産された機体。1945年4月2日実施のソフトウェアアップデートによりゼータプラス同様高い対地攻撃能力を獲得したデルタプラスだが、本機はアップデートの適用外である。ウェイブライダー形態時に備えSu-47 ベールクトと同様の前進翼機構を備えたためにソフトウェアをアップデートしてもミサイル等を搭載する余裕が無い。F-22A ラプター同様誘導爆弾しか対地攻撃装備は使用できないしオリジナルデルタプラスを超える整備性の悪さを誇る。だが地上限定ではあるものの旋回性・運動性共に本来のデルタプラスを凌ぐ傑作機である。



コールサイン 及び TACネーム

この両者がIFF表示を含め正式にシステム化されたのは1945年1月1日からだが、TACネームは大陸戦争勃発当初から第七艦隊で使われていた。小泉花陽のTACネームはトリガーである。


扶桑皇国海軍〇〇〇飛行隊

扶桑皇国海軍には数多の飛行隊が存在する。〇〇〇に入るナンバーが三桁台なら、遣欧艦隊に所属する飛行隊である。




扶桑皇国海軍第124戦術戦闘飛行隊“ストライダー”

小泉花陽中尉(当時)率いる部隊。二機編隊。




PJ

扶桑皇国海軍少尉。トリガーの相棒。乗機はRGM-89D ジェガンD型。よくくっちゃべるお調子者。






アリコーン

扶桑皇国海軍に属する艦艇で唯一和名ではない艦名を与えられている原子力潜水艦。1942年進水。
モデルはエースコンバット7 DLCエピソードで登場する潜水航空巡洋艦 アリコーン。
単独行動特権を与えられており、聯合艦隊司令長官以外の命令を受け付ける義務を持たない。
艦長はマティアス・トーレス中佐。
第六艦隊(潜水艦隊)に属してはいないが建造には第六艦隊司令長官 矢澤にこ 中将が絡んでいる。
その矢澤中将をして『パワープロジェクション能力は一個機動艦隊に匹敵する』と言わしめる程。
ただし維持費がかさんでおり、建造計画から進水までの間に主計科将校を中隊単位で病院送りにした程の凶悪な金食い虫でもある。
武装はパルスレーザーCIWS×6、200ミリレールガン×2、600ミリレールガン×1、VLS×160、艦載機は零式統合戦闘機(F/A-18F)×22、各種UAV×30 を搭載。
魚雷は搭載していないが、レールガンをアークエンジェルのバリアントMk.8 のように運用することで代替攻撃手段とする。母港は佐世保。





マティアス・トーレス(偽)

扶桑皇国海軍中佐(→からバンカーショット作戦直後に大佐に昇進)。アリコーンの艦長。転生者でありクルーゼの大学時代の仲間の一人。故郷である奄美への愛に溢れている。頭の悪い大火力投射による派手な戦闘を好む。かなりの酒好き。最近のマイブームは海ブドウのポン酢漬けで焼酎を飲むこと。


遣欧艦隊司令長官より第124戦術戦闘飛行隊に命令

 

1942年5月1付を以てエリアB7R制空任務を解き、カールスラント避難民護衛任務に就け。次の異動命令まで避難民輸送船団の護衛艦隊旗艦『USS ガンビア・ベイ』に活動拠点を移すべし。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「諸君、新年おめでとう。ひとまずはこの私の顔を今見ている第七艦隊所属将兵の頭数が去年から増えこそすえ減っていないことに、とても安堵している。また今年もこの言葉を送ろう。『私より先に死ぬな。生きてこそ掴める栄光をその手に入れる努力を。』以上だ。」

 

ラウ・ル・クルーゼ(偽)1945年 元旦 第七艦隊所属将兵への新年ライブ放送にて

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

第七艦隊 三原則

 

一、 戦場に憎しみを持ち込まないこと

 

一、 自分のルールを作り守り通すこと

 

一、 生き残ること

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

1943年6月中旬 アフリカ ダカール

 

 

「本日付で当艦に異動して参りました扶桑皇国海軍第124戦術戦闘飛行隊です。着任の許可を。」敬礼

 

「許可します。ようこそ護衛空母ガンビア・ベイへ。艦長のヒューグです。」答礼

 

「隊長の小泉です。よろしくお願いします。」握手

 

「よろしく小泉隊長。」握手し返す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「隊長、どうやらガンビア・ベイには私ら以外に航空戦力がいないみたいだぜ。」

 

「そうみたいだね。」

 

「どこを見ても避難民ばっかだ。難民は増えても兵士は足りないってか。勘弁してくれよ。」

 

戦況は悪化するばかり。如何に“扶桑皇国最高戦力”が強くても広すぎる戦線を維持できる訳がない。それに第七艦隊司令長官は戦傷を受けてリベリオンの大使館駐在武官の体裁で後方に下げられてしまったみたいだし。私も“凶鳥フッケバイン”なんて渾名がつく程のエースパイロットではあるけれど、たかだか80機墜とした位では戦況好転に貢献できる筈もない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガンビア・ベイ CIC

 

「ネウロイ接近!方位0- 4-0。距離60000!数はおよそ200!」

 

「総員戦闘配置!」

 

「ニコラス、テイラー、本艦の前に出ます。」

 

「フレッチャー級の真価を発揮する機会がやっと来たな。」

 

「艦長、ストライダー隊が出ます!」

 

「彼女達に繋いで!」

 

「了解!」

 

「こちらガンビア・ベイ。ストライダー隊応答を。」

 

「こちらストライダー。」

 

「君達はカールスラント避難民船団の直掩についてくれ。ネウロイ共は我々で何とかする。」

 

「ですが!」

 

「心配は無用だ。君達の国からライセンス生産された新型レーダーと対空兵装で迎え撃つ。確実に避難民船団を逃がさねばならん。良いかね?」

 

「・・・了解。御武運を。」

 

「ありがとう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「艦長、上が騒がしいです。ネウロイの残骸が降ってきます。」

 

「死体・・・いや、デブリの雨が止んだら伝えろ。」

 

「リベリオンの艦隊を援護しなくてよろしいので?」

 

「本艦は現在空間制圧弾頭を装備していない。僅かに余った対地榴弾だけだ。艦載機も無い。役に立たん。我々の存在は大陸戦争終盤までは秘匿されなければならん。それに武人の花道を邪魔する趣味は俺にはない。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・隊長、ガンビア・ベイからの通信が途絶したぞ。」

 

「・・・。」ビーム・サーベルを取り出す

 

「何してんだ隊長?」

 

「・・・。」右肩に三本切り込みをいれる

 

「何が“凶鳥フッケバイン”・・・何がエースパイロットよ・・・何の為に私は凜ちゃんや真姫ちゃんと一緒にパイロットになったの・・・。」

 

「・・・“扶桑皇国最高戦力”ですら全てを護れた訳じゃねえ。ましてや他の部隊長にできる訳ねえよ。そんなに抱え込むなって。」

 

 

「こちらカールスラント国防軍 第3航空艦隊所属AWACS コールサイン“イーグルアイ”。扶桑皇国海軍第124飛行隊、応答せよ。」

 

「・・・こちら124戦術戦闘飛行隊。」

 

「ガンビア・ベイ轟沈に伴い、貴隊は本機の指揮下に入った。ガンビア・ベイを沈めたと思われるネウロイの親玉らしき巨大飛行物体を探知した。位置は11度22分サウス、19度46分ウェスト。最近の大西洋での通商破壊の元凶、コードネーム“グレイプニル”と推定される。貴隊にはこれの足止めを頼みたい。増援は300秒後。」

 

「そんな!? たった二機でやれってか。無茶言うな!撤退させてくれ。」

 

「撤退は許さん。5分位耐えられずに何がエース部隊か。」

 

「シュトゥムプフ大将?」

 

「一旦無線を貸せイーグルアイ・・・ストライダー、君達が頑張ってくれないとリベリオンの連中が命を賭して護ってくれた我が国の避難民に多数の犠牲者が出る可能性がある。頼む。持ち堪えてくれ。」

 

「・・・了解。」

 

「マジかよ。勘弁してくれよ隊長。」

 

「ごめんPJ。後でアイス奢るから勘弁を。」

 

「足りねえ。魚沼産こしひかり10キロだ。」

 

「うっ・・・。」

 

お財布が空になっちゃう・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワシントンD.C. 扶桑大使館

 

「・・・ん。これはいかん。大使、少し出掛けます。」

 

「わかりました総帥。18時にフォレスタル国防長官と会食ですからそれまでには。」

 

「無論です。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「出航。急いで山口さん!最大戦速。」

 

「了解!相模(ゼネラル・レビル)出航!最大戦速!ミーティア リフトオフ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「結構墜としたはずだが減った気がしない。」

 

PJの言う通り。このままじゃ5分も持たない・・・って

 

「PJ、戻ってきて!私から離れすぎ!」

 

「あ すまねえ隊長・・・ってグァッ!」バゴーン

 

「PJ!!」

 

PJがやられた!私一人じゃ何もできないよ・・・

 

 

「ストライダー隊聞こえるかね?こちらメビウス1。」

 

メビウス?

 

「10秒後に支援砲撃を行う。高度30m以下に退避してくれ・・・5、4、3、2、1、今!」

 

ズガガガガ

 

凄い・・・あんなにいたネウロイがもう半分以下に・・・

 

「ミーティア パージ! 山口さん回収お願いします。大丈夫ですか?」

 

フリーダム!?ということはメビウス1って・・・

 

「は はい大丈夫です・・・でも2番機が・・・それにクルーゼ長官はお怪我が治ってないはずじゃn『私の我慢すればどうとでもなる傷より救える命を私は優先したい。』!?」

 

「ひとまず撤退だ。私についてきてくれ。」

 

「 りょ 了解。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まずははじめましてと言わせて貰おう小泉花陽中尉。噂はかねがね。“凶鳥フッケバイン”にお目にかかれて光栄です。」握手を求める

 

「はい。ありがとうございます。」握手

 

「そして私は貴女に謝罪せねばならない。僚機のPJ・・・天野少尉を救ってあげられなかった。」頭を下げる

 

「・・・。」

 

「彼女の仇をとる。協力して貰いたい小泉中尉。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回 STRIKEWITCHES SEED DESTINY

「三本線 1000万人救済計画」

 

現代の神話がまた一ページ

 




過去編はもう一話あります。ご了承下さい。


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三本線 1000万人救済計画

解説

T-Pex

テルミットプラス・エクストラ。元ネタは『亡国のイージス』から。半径10キロを6000℃の業火で焼き尽くす特殊焼夷弾。爆破範囲は半径3㎞~から調整可能。TPと略す場合もある。一発6万円(現代の3億円)。トマホーク巡航ミサイルの弾頭・レールガンの弾頭にして運用する。







「アイツは俺やお前ら“家族”の為に戦い続ける。“家族”の為なら腕の一本や二本どころか命をも、捨てることに躊躇いは無い。誰もアイツは止められない。俺達にできることはアイツから捧げられた栄光を享受することだけだ。さて、宮藤達はアイツを止められるだろうか?」

ジーン・コリニー(偽) 酒の席にて園田海未にかけた言葉



「私はこの場をお借りしまずは国民の皆さんに宣誓する。皆さんの不利益には一切の慈悲を与えないことを。大統領が我が国を千年恨み続けるなどと公言して憚らぬ国に一切の慈悲を与えないことを。共産主義などという人類が生み出してしまった最大の過ちにして無駄の極みに一切の慈悲を与えないことを。我が国の主権を脅かす輩に一切の慈悲を与えないことを。裏切り者に一切の慈悲を与えないことを!」

〇〇(←クルーゼの前世での名前)首相就任演説の冒頭より




「彼を類稀なるエースパイロットとして讃えたり、優秀な政治家であったと称える者は多い。
だが司令官として讃える者は少ないと言える。
そういう意味では、本著は、彼を司令官として讃える数少ない著であるといえよう。
事実、彼が指揮した戦いは直接的間接的を問わず、戦術的にはともかく、戦略的に負けたことは一度もないのだ。
『私は勝算のない戦いはしない。』とは、彼の口癖であったがまさしく彼はその口癖に対し忠実であったといえる。
歴史家は彼を称えるべきである。単なるエースパイロット、単なる政治家としてではなく、指揮官として不敗であったことを。
ニュータイプの提督達を“常勝の英雄”とするならば、彼はまさしく“不敗の指揮官”であったと。
だが彼は若くして死んだ。私よりも若かった。宇宙軍の総意でもあるが私個人としても生きていてほしかった。たとえ連戦連敗でもいいから・・・」

U.C.0055 講談社 地球連邦宇宙軍 星空凜 中将 著
「大陸戦争―一匹の猫が見た戦争―」

より 第二章『クルーゼ元帥の戦略を振り返る』冒頭より抜粋


ワシントンD.C. 扶桑大使館

 

 

「大陸戦争が始まってから今の今まで僚機を持ってなかったが、それ故にとても新鮮な気持ちだ。しかもその相手が“凶鳥フッケバイン”ときた。光栄だ、小泉中尉。」

 

「私も光栄です。臨時とはいえ“最高戦力”の2番機に任命してもらえましたので。」

 

「小沢さんの説得は骨が折れたが、なんとかなった。では相模に行こう。作戦を説明する。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

機動戦艦 相模(ゼネラル・レビル) 大会議室

 

「これより作戦を説明する。衛星からの通報によると目標である“グレイプニル”は連合軍の物資中継集積所でもあるアセンション島近海で我々連合軍の輸送船団を手ぐすね引いて待ちわびているようだ。第一段階 敵にありったけのT-Pexを撃ち込む。第二段階 私と小泉中尉が弱った敵に攻撃を行う。実にシンプルだ。私は万全ではないが、小泉中尉がフォローしてくれるから問題はない。それに万が一第二段階が失敗しても“アリコーン”が処理してくれる。二段構えだ。作戦名は『1000万人救済計画』。万が一の事態に備えカールスラント海軍アセンション島駐留航空団の部隊が戦場の周辺で待機している。いざという時は山口さんが命令して下さい。」

 

「なるほど。相模(ゼネラル・レビル)はどう動きますか総帥?」

 

「T-Pexで掃除できると思いますが個艦防空に努めて下さい。支援砲撃は不要です。」

 

「了解しました。」

 

「山口少将。」

 

「どうした?」

 

「“アリコーン”って何です?」

 

「中尉、貴官にはそれを知る権限がない。第七艦隊に入り尚且つ佐官になるか或いは情報将校になるしかない。」

 

「わかりました。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪傾聴せよアリコーンクルー諸君≫

 

≪我が艦はこの醜怪な戦争をエレガントかつ最終的に終わらせる能力を持っている≫

 

≪我々が行うのは戦闘ではない 均衡の回復であり 裁きである≫

 

≪それは徹底して合理的に行われる≫

 

≪この先 我々が墜とすネウロイの数に奴等は驚愕するだろう≫

 

≪そして自ら武器を置くだろう≫

 

≪1000万人を殺すはずだった武器を≫

 

諸君、これが始まりである。 “1000万人救済計画”を開始せよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「T-Pexインパクト。全弾炸裂を確認。“グレイプニル”護衛機全滅。“グレイプニル”速度低下。副長。」

 

「よし。これ以上手出しは無用だ砲雷長。総帥とトーレス中佐の戦場が汚れる。」

 

「はっ。」

 

「・・・小泉中尉、総帥を頼むぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「艦長、メビウス1と三本線のスタークジェガンが“グレイプニル“を追い詰めつつあります。」潜望鏡で確認

 

「良かろう副長代理。浮上し救済せよ。」

 

「了解。浮上し、救済せよ。主砲発射準備。弾種、徹甲榴弾。よろしいですな?」

 

「よろしい。命令違反になりかねんが、アイツなら許してくれるだろう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「副長、アリコーンの浮上を確認!主砲動いてます!」

 

「馬鹿な!?命令違反だぞ!アリコーンに繋げ!」

 

 

 

 

「トーレス艦長、これはどういうことかね!」激おこ

 

「均衡の回復であり、裁きです。」碇ゲンドウスタイル

 

「命令を無視したら軍人じゃなくなる!」

 

「なら軍人なんか辞めてやるぜ!」 ブチッ 通信を切る

 

「・・・副長代理、やり過ぎだ。だがそれが良い。」

 

「久しぶりにスッキリしました。」

 

「・・・よかろう。では始めよう。」

 

「SACS隊発進準備整いました。」

 

「サックス1に繋げ。」

 

「はっ。」

 

「こちらサックス1。」

 

「矢岳大尉、貴官は遺書を書いてないと聞いたが?」

 

「唯一の家族だった妹は大陸戦争初期に西部戦線で戦死しました。」

 

「艦長、メビウス1がスタークジェガンを庇って墜落しました。」潜望鏡から確認

 

「丁度良いタイミングだな。いいぞ~貴官も救済の一部だ!死んでこい!発艦を許可する!メビウス1を援護しろ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ!クルーゼ大将!」

 

私を庇って・・・

 

「そこの三本線のスタークジェガン、聞こえるか?こちら扶桑皇国海軍特殊戦闘爆撃飛行隊“SACS”。貴機はメビウス1を回収して相模(ゼネラル・レビル)に帰投せよ。後は我々が引き受ける。急げ!時間は無いぞ!」

 

 

「ですが・・・。」

 

「これが最善・・・わからんか三本線!・・・貴様も将校ならば、わかるはずだ!」

 

「必要なのだ!40の死が!」

 

「!?・・・わかりました。ご武運を。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「トリガーから相模(ゼネラル・レビル)へ。メビウス1が負傷、衛生兵の手配をお願いします。」

 

「了解した。直ちに手配する。」

 

フリーダムの左足がほぼ全部無くなってる。フリーダムの僅かに残った太もも部分から目に見える程出血してる。いけない!

 

「・・・。」プシュー

 

MS標準装備の指から出せる冷却剤で被弾部を凍らせる。焼け石に水だけどやらないよりは全然良いはず。

 

「お願い間に合って!」フリーダムを抱えながら全速力で相模を目指す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪上官の命令に服従することをここに誓う≫

 

≪私は勇敢で誇り高く警戒を怠らない兵士であることをここに誓う≫

 

≪我が国と軍の栄誉を保つことをここに誓う≫

 

≪救済は・・・≫

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相模(ゼネラル・レビル) 手術室

 

「もっと輸血を増やせ!」

 

「はい!」

 

「ひとまずは止血を最優先しろ!止めれば後は何とかなる。」

 

 

 

 

 

 

 

手術室前 ソファー

 

「・・・隣良いかな小泉中尉。」

 

「・・・どうぞ山口少将。」

 

「確かに長官は君を庇って墜ちた。だが気に病む必要は無いよ。長官はゴキ〇リ並のしぶとさの持ち主だしそれを前提にしてあの方は貴官を庇ったのだ。不必要な犠牲を容認するほど我が軍にもあの方にも余裕は無い。だがそれでも尚申し訳ないと思うなら術後は長官についててあげてくれ。手でも握ってあげれば尚良い。息子を看病する母親になったつもりで看てやるが良い。長官の心は今とても荒んでいるからな。」

 

「・・・わかりました。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

寒い。小泉中尉を庇って被弾、気絶してからずっとこの暗くて何も無い空間を私一人だけが漂い続けている。ここに来てから、ずっと感じている感情がある。

 

 

寂しい

 

 

私は周囲の家族達どころか自分にさえ嘘をついていた。

家族愛・・・一般的な人いわくの友情以外の、愛を欲していた。

私は本当はとても寂しがりな人間だ。

あぁ、当然この本質にずっと前から気付いていたさ。だが、前世の私はそれを一蹴した。

なぜか。

簡単なことだ。 私の大義、私の理想の邪魔になる可能性があったからだ。

私の前世での世界史に登場したエリザベス1世みたいな大げさな話ではないが、私はガキの頃から日本のために生き日本の為に死ぬ覚悟を決めていた。

そう ちょうど中学を卒業する少し前ヨーロッパを少し旅行して帰ってきた頃だと記憶している。

全く時代錯誤にも程がある。21世紀にもなってなぜ日本から愛国者が生まれたのだろうか。しかもその決意を固めた歳が中3ときた。

そのガキの手には持つ力量に比して不相応にも守るべきものが多すぎた。

だからこそ、私は生涯独身で戦い続けたのだ。

自ら守るべきものを増やすという愚行を犯さない為に。

後悔はない。だが、反省はしている。兄弟や戦友そして多くの家族達に結果的に迷惑をかけてしまった。

『立つ鳥後を濁さず』とは言うが、私は立って(=死んで)早々に兄弟に迷惑をかけている。

社会良識上誰かが死に、その故人の葬式を執り行う際の喪主はその故人の長男長女あるいは配偶者というのが原則であるが、私にはそのいずれもいなかった。

いや養子はいたが奴は私が死んだ当時はまだギリギリ成人したてで右も左も分からない状態だったので結局兄弟が喪主をやる始末だった。猛省すべき点である。

あいつらに対する贖罪の意味もあるがそろそろ素直になろう。

誰かを愛し、誰かに愛され所帯を持とう。私の心の隙間を埋めてくれる母になってくれる人も同時に探そう

この世界に来て暫く経ってからからそう思ったのだ。アンジェラの彼氏になってしばらく経った頃だったと思う。

闇が晴れてくる・・・何故だか知らないが私が求める暖かさを感じる。そろそろ起きるとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・ゑ?何だ?何が起こっている?艦長室のベッドで寝ている私を小泉中尉が抱きしめている。いや男としては非常にありがたいシチュエーションだし、暖かいが・・・

 

「小泉中尉、何してるの?」困惑気味

 

「山口少将が子供の面倒をみるつもりで接して長官の荒んだ心を癒すようにって仰有ったのでそうしているんです。」

 

そう言いながら私を優しくなでなでしてくれる中尉。山口さん余計なこと仰有らないで下さいよ・・・だが彼女が与えてくれる温もりは正しく私が求めていたものだ。そう言う点においては山口さんには後で感謝しておくべきだろう。恋人をこれ以上増やすのはこの世界の法・倫理的に大丈夫にしてもニュータイプの皆に申し訳ないので彼女は“母”として家族に迎え入れよう。まあもっとも、彼女が承諾すればの話だが。

 

「ママ・・・」花陽に抱きつく

 

「!?」目を白黒させる

 

「小泉中尉、嫌なら断ってくれて構わない。私のお母さんになってくれるかな?私は母親がクズだった上に自我を得る前に事故死してしまってたから母親がいない状況でね。代わりに拠り所となる母を探してるんだ。お願いだ。」

 

無論人にものを頼んでいる立場である以上仮面を外して中尉の目を見ながら話している。

 

「私は、長官もPJも守れなかった愚か者です。長官のお母さんになる資格なんて・・・。」

 

「無理にとは言わない。今返事しろとも言わない。時間を差し上げる。だが君を求めてる人間が居るってことだけは忘れないでいてもらえるとありがたい。寂しがりの私には拠り所が必要なのだ。それに私の怪我は考えなくて良い。ほらこの通り。」

 

私は数多の固有魔法(の上位互換)を行使できる。502のカタヤイネン君の自己治癒の上位互換を使えば足の一本二本程度ならすぐに回復できる。前ヅダのフライトテストで爆発して四肢が失くなったが意識を取り戻してから30分で回復できた。後でアンジェラに説教されたが。

 

「山口さんが私の生命力を毎度毎度失礼にもゴキ〇リに例えているがあながち間違いでもない。だから心配は無用だよ。PJ・・・天野少尉の仇はアリコーンが取ってくれた。トーレス艦長が独断専行やらかしてくれたようだが。」

 

正直トーレス艦長の独断専行は計画の内だった。小泉中尉や山口さんに言わなかっただけで。

 

「私は実に情けない奴だ。こんな歳にもなって甘えられる“母親”を欲しているような弱い奴なのだ。失望しただろう中尉?」

 

「いえ。私の周りには完璧然としたエリートはいましたけど完璧な人間がそうそういるはずがないこともわかっています。」

 

まあそうだろうな。小泉中尉の同期一選抜のエリートは海未お母様と絵里ママだし。二選抜はパンさん(高坂穂乃果)と犯罪鳥(南ことり)という始末。人材不足も良いところだ。彼女達が無能という訳ではないが笑えん冗談である。

 

「長官は、わ 私のような不束者でよろしいのですか?私なんかよりも長官のお母さんになれる立派な人は海軍にも陸軍にもいるのに・・・。」

 

「中尉がどう思っているかではない。私がどう思っているかが重要だ。そしてそれよりもこんな大きい情けない“息子”を中尉が育ててくれるかどうかがもっと重要だ。はい か いいえ か。どっちにするかね?」

 

「・・・はい。できるかわかりませんが精一杯長官のお母さんになります!」

 

「・・・ありがとう。私は幸せだ。ありがとう。僕の“ママ”になってくれて。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・まあこんな感じで僕と花陽ママは出会いそして親子になったんだ。

ママの通り名は“凶鳥フッケバイン”だがマイナーな通り名には“三本線”がある。『1000万人救済計画』作戦の戦闘を遠巻きに見ていたカールスラント海軍航空団の魔女達がママのスタークジェガンの肩に三本の線が書かれてたのを見たから・・・という話だ。

確かにママの実力は高いしそして何よりパイロットとしては珍しく書類仕事も好きなとても優秀な魔女でもある。

本来であれば我が第七艦隊にすぐにでも迎え入れていたのだがな。

僕の言葉でママの罪悪感をある程度軽減することはできてはいたがやはり失態を犯したという意識はどうしても抜けなかったようだ。

僚機を失いそして僕を負傷させたということで彼女は責任を取り後方へ下がることにした。

その時行われた作戦『1000万人救済計画』は極秘のものであったがそれでも僕やトーレス大佐そして花陽ママも功績ありきと認められ異動先の指定権限が僕に移ってきた。

ママは兵学校で後進のパイロットを育てたいと申し出たので僕はその希望を叶えてあげることにしたんだ。

その時のママは自信を失っていた。

教官職であれば僚機を失うこともないし自分の失態で誰かを死なせることもないからしばらく療養させるのであればそれでいいかなという風にも判断していた。

今回の砂漠への異動を以て ママを呼び戻したのはこの際正解だったよ。

呼び戻すやり方が汚すぎた件については後でマッキー先生達ママの同期の面々に謝っておくが・・・本当に助かったよもう。

仕事が多すぎてそろそろ死ぬかなと思ってたもん。もうママの処理能力なしで僕は生きていけないね。

『組織というのは一人や二人欠けたところで回るのに全く問題ないようにしなければならない。例えそれが内閣総理大臣であっても。』 というのは僕が昔君に言った発言だけれども正直なところママに代わる人材を僕は知らないよメラン。」

 

「戦時中の軍組織において『欠ける』という事態になりうるとすればそれは戦死か軍務に耐えられない致命的負傷だ。 だが少なくとも宇宙軍関係においてお前が死ぬまではそれがないのは間違いない以上それについてあまり考える必要もなかろう。」

 

「まあね。おいビールがなくなりそうだジョッキ寄越せ。」瓶ビールを差し出す

 

「あぁ ありがとう。」注いで貰う

 

「そろそろ寝る時間だな。今度の数取団の撮影で多分兄弟(ジャミトフ)が5敗目になるだろうから『男の勲章』の写真どうすっかだけ決めとこか。」複数の写真を広げる

 

「・・・これ誰よ?」

 

「あぁ彼女は506の・・・いやこれ以上は言うまい。兄弟自身に吐かせるわ。」

 

「面白いことになりそうだなwんじゃこの写真にしようか。」

 

「わかったこれにしよう。んじゃおやすみ。良い夢見ろよ。」

 

「メランもな。おやすみ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回 STRIKEWITCHES SEEDDESTINY 「懺悔」

少女は そして神話となる




エースコンバット7 DLCエピソード発売記念も兼ねた外伝でしたがいかがだったでしょうか?
次は本編に戻ります。

















今回登場した『アリコーン』ですがこの物語のキーの一つになります。頭の隅に置いといて読み進めていただけると幸いです。


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懺悔

解説


南さち

扶桑皇国海軍大将。南ことり大尉の母。初代(現職) 情報本部長。まんまラブライバーの皆が大好き『ラブライブ!』の親鳥。情報系特化の将官かと言えばそういう訳でもない。海軍兵学校校長、地方隊(旧鎮守府)、中央(旧軍令部・旧海軍省)、各国の駐在武官(を隠れ蓑にした諜報活動)を歴任した非常に多くの方面で活躍したとても珍しい将官。娘が上司(クルーゼのこと)に何か不貞を働いてないか気にしている。





高坂雪穂の使い魔

バルクホルン同様ジャーマンポインターなのでめちゃめちゃ鼻が利く。




扶桑皇国軍 情報本部

自衛隊の情報本部と異なり情報収集と名のつくもの全てを統括するCIAにも負けない最強組織。クルーゼの私軍 第七艦隊 第68独立機動群 “ファントムペイン”とも繋がっている。自衛隊と異なり情報本部長は大将ポストである。



刑法73条2項

俗に言う『大逆罪』に当たるのが刑法73条だが、クルーゼがこのストパン世界に生まれる少し前に第2項が追加された。端的に言えば『不敬な行為を慎むべし』ということである。
扶桑皇国臣民の中にあった暗黙の了解である『皇族を上から見てはいけない』や『皇都・御所から半径50km圏内に皇居及び御所より高い建物を建ててはいけない』等のルールを成文化したもの。
クルーゼはこの条文の皇都(東京)においての有名無実化を企図、皇居の高層化を行った(イメージは銀河英雄伝説DNT版の新無憂宮)。
建物が西洋化し過ぎではないかとの指摘もあったが和式では超高層化が難しく、また維持費がヤバいのと陛下が模型をご覧になって大層気に入られたので洋風の皇居になった。



ベヒシュタイン クリスタルピアノ

クルーゼがベヒシュタイン社に7万円(現代の3億5千万円に相当)はたいて設計させて買ったピアノ。透明感のある音色を好む西木野真姫にたまに自分の前で弾いてくれることを条件に贈与。現在は相模(ゼネラル・レビル)の食堂に配備されている。西木野真姫の気分で催されるプチ演奏会がクルーゼの小さな日常的楽しみの一つ。




親衛艦隊 第一飛行群 第一小隊 “コクーン”

RGZ-95C リゼル指揮官機(スキンは『エースコンバット 3D』のコクーン隊)5機によって編成される部隊。大陸戦争初期にクルーゼが拾ったオラーシャ系孤児で尚且つMSを扱えるウィッチによって編成される。ガルーダ1(南ことり)の指揮下に入る。隊長はアナスタシア・アルメイダ少尉。後述するランサー隊と連携するのが基本戦術。





親衛艦隊 第一飛行群 第二小隊 “ランサー”

真っ白に塗装されたRGM-96X ジェスタ4機によって編成される部隊。コクーン隊同様オラーシャ系孤児に教育を施して編成された。隊長はアレクシア・アダモフ少尉。




三式試作特務防空艦上戦闘機一型

二式統合戦闘機(ほぼF-35Cをパクった戦闘機)のアビオニクスにF-22A ラプター 多用途戦術戦闘機の皮(F-35同様 DSI装備済)とエンジン(を改良したもの)を付けた戦闘機。F-35C同様主翼は畳めるしアレスティング・フックも装備している。隻腕になったクルーゼでも操縦できるよう操縦桿とペダル以外は基本的にヘルメットで全ての操作ができるよう設計されている。情報によるともう一機試作の防空艦上戦闘機が宮藤博士指揮の下製造中らしいが、詳細は不明。



元帥式敬礼

1944年中頃の“ゲイ・ボルグ”作戦にて負傷、右腕を失くし通常の敬礼ができなくなってしまったクルーゼだが、元帥杖が陛下から授けられて以降は元帥杖を顔の前に掲げる元帥式の敬礼を以て関係者達に向かって敬礼するようになった。しかし扶桑の元帥杖は重く片手での携帯に向いていないので基本的にカールスラントから授与された簡易型の方の元帥杖を携帯している。












読者の皆様お気づきになられたでしょうか?本作の続編である『02』で扶桑皇国宇宙軍の航宙幕僚本部(航空自衛隊の航空幕僚監部に相当)の人事に明らかにおかしい人物が明らかにおかしいポストに座っていることを。自衛隊を少しでも知っている方はご存知の“3防”(防衛部防衛課防衛班長、防衛部防衛課長、防衛部長)、拝命すれば次の異動でほほ昇進か栄転が約束されている(防衛部長なら次の異動で将補から将にほぼ間違いなく昇れる)歴代の陸海空幕長達が歩んできた王道の一つです。『02』時系列での防衛部長は、誰でしたっけ?(←正直筆者もこの人事に猛烈に後悔してます)


「私の使命は、一福島県民として立憲民主党を叩き潰し、共産主義が人々に幸せを与えられないことと限界を知る者としてコミー(共産主義者)共を日本から一匹残らず殲滅すること。」

 

ラウ・ル・クルーゼ(偽)前世における参議院議員初当選時の第一声

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

第七艦隊通達 第49号

 

式典その他必要性・儀式性を認めうる場を除き原則階級・役職・苗字呼びを禁止する。例え第七艦隊所属将兵が司令長官に対する際も例外にあらず。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

『精強・即応』 『愚直たれ』 『皆が輝ける艦隊』

 

ラウ・ル・クルーゼ(偽)第七艦隊司令長官としての指導方針

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

第七艦隊司令長官暗殺未遂事件から一週間 機動駆逐艦 花(クラップ級)艦長室

 

 

 

1800

 

「司令長官閣下がお目覚めになりました。現在西木野大尉が容態を確認中です。園田艦長に出頭を求めておいでです。」

 

「わかりました雪穂。報告ありがとうございます。」

 

「ではこちらへ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相模(ゼネラル・レビル) 健康相談室

 

「海未お母様、どうぞこちらの椅子に。マッキー先生はお茶を出したら雪ちゃんと一旦退室してくれ。」

 

「わかったわ。」

 

「・・・。」

 

「コリニーから報告は受けています。あの表情からして奴は知っている情報を洗いざらいお母様を含め全員に話したでしょう。その上で、これをお母様に託します。」サファイアのネックレスを渡す

 

「閣下、このネックレスは・・・。」

 

「僕の分霊箱です。礼子さんを・・・お母様の母君を見殺しにして作ったものです。お母様はこれを預かる資格があるし、破壊する資格がある・・・どうせなら芳佳なり他のニュータイプなりに倒して欲しいですが、“家族”に殺して貰えるなら・・・僕にとっては本望です。アイツら(前世からの付き合いの連中)にせよお母様にせよ、“家族”には僕に終局を与える権限がある。僕の命は“家族”のもの。 僕の昔の話に補足の話をしますお母様。聞く義務はないが、できれば聞いて欲しい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は生まれてこのかた、自分を価値のある人間だと思ったことはない。振り返ってみれば 兄弟や一度死して尚私についてきてくれる者たち。彼らがあまりに優秀過ぎ、そして私は彼らに対抗できるだけのスキルもなければ実績もなかった。あれほどの者たちだ、私のような凡人と比べてしまったらまあそうなってしまうのも無理からぬことだろう。

 

彼らは、お前は内閣総理大臣にまで登り詰め多くの功績を挙げただろうと主張するが、はっきり言おう。 私じゃなくても誰かがやった。誰かが成したであろうことを私が偶然成しただけだ。私の前世での最終学歴は法学部とはいえEラン私大だぞ。

 

彼らは、お前は優しい人間だ。だから俺たちはついてきた と主張するが、はっきり言おう。私は優しくない。歴史に名を載せた独裁者たちと私に共通する点がある。怠慢と裏切りには恐ろしい結果を与えたという点だ。酷い時は敬意に能わぬクズな野党議員を内調(内閣情報調査室)を使って叩き潰したりもした。特に立憲の奴らには容赦しなかった。私の小学生時代、東日本大震災があった。当時の政権は何もしなかった。その政権の流れを引き、国益を考えない立憲には福島県民として失望と怒りがあった。ブッ潰してやりたいと思った。私が政治家になった原因の一つである。優しい奴は、そんなことしないはずだ。

 

私はただの 当たり前のことを当たり前にやってきただけの クズ・怠け者・裏切り者を絶対に許さない非情な男だ。『価値がない』わけではないが『価値がある』わけでもない存在だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・。」

 

「お母様、今の話はニュータイプの面々には話したことがない、それどころか昔からの付き合いの連中にも言っていない真実です。他の皆と違ってお母様は身内を僕に殺されている。知る権利があります。」

 

「・・・。」

 

「客観的に見て『自分に価値なし』と見なして生きることはデメリットが多いように見えます。でも僕の主観からすればメリットが多い。自らに価値があると見なすことはすなわち自分に自信があることを示す。自信は傲慢に変わりやすい。そして傲慢は破滅に変わりやすい。歴史を学んだ者としてそれを僕は良く知っています。それに価値が無いと弁えているからこそ“家族”の為に命を躊躇いなく捨てられる。“家族”を何よりも大事にしている僕にとってこんな幸せなことは無い。だがお母様、勘違いしないで欲しい。僕は依存体質の人間です。“家族“という拠り所があったから生きてこられた。”家族“は僕に力をくれた。そして僕は拠り所・・・”家族“の為に戦う。僕の一方的な献身ではないのです。皆勘違いしているが、僕だって一方的な献身をするほど聖人ではありませんよ。」

 

「・・・。」立ち上がりクルーゼの胸倉を掴む

 

「閣下は・・・なんで貴方はいつだって、そうやって自分を犠牲にして・・・優秀じゃないとか、価値がないとか、勝手に自分を粗末にしないで下さい!!貴方を大切に思う人のことも考えて下さい!いい加減にして下さいッ!貴方を失えば、それを悲しむ人がいるって・・・どうしてそれに気付かないんですか!貴方を護ろうとしてる人はどうなるのですか!閣下!」

 

「・・・。」

 

私にはこの海未お母様の慟哭さえも届かない。かつて戦友や兄弟にも似たようなことを何度も言われたさ。だが変わらなかった。変えられなかった。今はこそ恋人達・母達に愛し愛され来年の今頃には長子が生まれる状況だが、前世と比べて妥協するのはこれが限界だった。前世では自分の身も愉悦も救済も、人間に限らずあらゆる生物に課せられた義務である相方を作り、子を産み、育てることさえも、大義の前に私はしなかったような男だ。これ以上の妥協は私の生き様そのものに反する。

 

「・・・申し訳ありませんお母様。でも僕は突っ走ります。それしか知らないのですから。」

 

人は所詮己のことしか知らぬ。オリジナルのラウ・ル・クルーゼ同様私はちゃんとそれを弁えて生きてきた。それ故に視野の狭さが原因の失敗は今まで無かったと自負している。

 

「閣下・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1930 相模(ゼネラル・レビル) 艦長室

 

普段は私とニュータイプの誰かの寝床としてしか基本使われない私の艦長室だが今日は特別に海未お母様自身と出張中のマーサママ、花陽ママを除くアフリカにいる第七艦隊所属の海未お母様の同期(μ’sの約半分:穂乃果・絵里・凜・ことり)の皆に集まって貰って復帰祝いと海未お母様を悲しませた罪悪感を紛らわせる為の小さな宴会をしている。さきイカと生ハム、デカいロマーニャ産トマトの輪切りが下に敷いてあるモッツァレラチーズ(オリーブ油かけ)を肴に乾杯する。当然、本来なら酒など論外も甚だしい(マッキー先生に止められる)が、マッキー先生にメランの攻略法を教えて懐柔した。ってあかん!

 

「ニャーさん(星空凜)飲み過ぎ!あと絡むな!酒くさい!」

 

「凜、K(←クルーゼのこと)に絡まないの。セクハラで軍法会議にかけるわよ?」

 

「うっぷ・・・絵里ちゃんそれだけは勘弁にゃ。」

 

とは言いながらも背中に抱き付いて来るニャーさん。暑苦しい。だが小柄故に大して邪魔にもならないのでどかさずに絵里ママのジョッキに瓶ビールを注ぐ。

 

「しかし絵里ママの好みがビールと焼酎だとは思わなかったよ。僕は基本甘くないのは飲まないから財閥から贈られてくる甘くない酒は貯まる一方だが誰も飲まないせいで全然消費されないから困ってたんだ。何ならビールと焼酎は全部絵里ママの葵(クラップ級)の冷蔵庫と冷暗所に全部持ってって良いよ。」

 

「ありがたくいただくわ。でそういえば正子と花陽は?」

 

「マーサママなら花陽ママと一緒に僕の代理としてロンメルさん主催のデブリーフィングに出張中。数日は帰ってこない。」

 

「・・・ならしばらくはあなたの隣を独占できるわね。」

 

「だね。ママにはもう暫く僕を独占してて欲しいからね。」

 

「あなたが素直なのも珍しいわね。どうしたのかしら?」

 

「いや単純に犯罪鳥が・・・。」ことりを指差す

 

海未お母様がいないのを良いことに私を襲おうとしてる犯罪鳥をパンさんが後ろから抱き抱えて何とか抑えてる図。

 

「ことりちゃん駄目ェ!海未ちゃんがいないからって長官襲っちゃダメだよォ!!」

 

「放して穂乃果ちゃん!海未ちゃんがいない今だからこそ長官を美味しくチュンチュン(意味深)するのぉ!」

 

絵里ママの保護下に入ることで絵里ママを犯罪鳥から身を守る有効な盾にするのだ。しかし絵里ママの顔がやけに赤いな。

 

「ママ大丈夫?」

 

「・・・ちょっと大丈夫じゃないかも。」

 

「自力で帰れないなら亜里沙ちゃん呼ぶ?」

 

「泊めてちょうだい。」

 

「別に良いけdうわっ!」

 

絵里ママに押し倒された!ヤバイ!

 

「流石絵里ちゃんわかってるぅ!」

 

犯罪鳥がジタバタもがく私の足を拘束する。ヤダって!このままじゃ集団レイプされる!襲うにも襲われるにも一対一が原則の私のポリシーが失われる!って犯罪鳥待ちやがれ!ベルトに手をかけるな!

 

「長官ごめんなさい!穂乃果も溜まってるから相手して!」

 

イヤーッ!パンさんまで敵に回ったァ!

 

「凜もにゃ!」

 

ニャーさんは便乗すんな!

 

「イヤー誰かタスケテーッ!!」

 

って私の艦長室は完全防音だから助けを求めても聞こえない。まずい。

 

「じゃあ長官の要らないズボンとベルトは外しましょうね~チュンチュン♪」

 

「・・・」

 

覚悟を決めるしかない・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日 0800

 

 

高坂雪穂 視点

 

いつも早起きの長官がまだ食堂にいらっしゃらない。おかしい。病み上がりなのを考慮しても遅い。副官のお二人が出張中である以上ここは統合幕僚副長付補佐官たる自分が起こしに行くのが筋だろう。

 

 

 

 

 

 

相模(ゼネラル・レビル)艦長室 扉

 

コンコン

 

「長官おはようございます。お目覚めになっておられますか?」

 

「うんちょっと待って雪ちゃん。今風呂から出たばっかりなんだ。」

 

起きてはおられるようだ。

 

シューン 扉が開く

 

「おはよう雪ちゃん。ごめんね寝坊しちゃって。」

 

「自分は構いませんが長官は軍における陛下の名代であらせられます。お気をつけ下さい。」

 

「うん。」

 

「それより長官の部屋ですが、何か汗臭くないでしょうか?」

 

なんで汗臭さの中にお姉ちゃんとことり先輩のにおいが混じっているのか・・・まさか!

 

「長官ちょっと失礼します。」

 

長官を押し切って艦長室に入ってみると・・・長官のベッドに絵里先輩凜先輩ことり先輩と一緒にお姉ちゃんが寝ていた。ただ寝ていたならば別にそこまで問題にはならない・・・全員全裸で気持ち良さそうな顔で寝ておりシーツに4ヵ所血がついてなければ・・・

 

「長官、正直にお答えいただきたい。昨日の宴会で何があったのですか?」

 

「・・・レイプに遭いました。」苦笑い

 

私の中で何かがキレた。

 

雪穂 視点 Out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まあレイプ(しかも輪姦ならぬ輪漢)されたのは事実だけどさあ、絵里ママもさ、いつの間にか黒霧島4本とラーデベルガー(カールスラントのビール)10本平らげて理性が崩壊してる状態で私を襲ったのだし、普段の勤務態度と過去の功績を鑑みれば別に無罪にしても問題無いわけだよ。犯罪鳥もいつも通り海未お母様の為には無罪にしないといけないし。ニャーさんとパンさんもこれでスッキリして仕事に邁進してくれるなら私から言うことは無い。

 

 

 

 

「・・・というわけでまあね雪ちゃん。4人をずっと正座させる必要はないんだよ。それに僕が部下に結果を求めるにあたっての方針は『一度の敗北と一つの罪は一つの勝利によって償えば良い』だからね。今回の『バンカーショット』作戦における功績と相殺という形で勘弁してあげて。」

 

「・・・御意。では本来なら今日一日は正座させるところですが6時間に減らして懲罰とします。」

 

「・・・まあそれ位なら。」

 

「うわーん雪穂~ありがと~(´;ω;`)」

 

「うわ酒臭い!お姉ちゃんちゃんと正座して!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回 STRIKEWITCHES SEEDDESTINY 「有給に入りま~す♪」

少女は そして神話となる



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有給に入りま~す♪

解説

ガリアトースト

ストパン世界でのフレンチトーストのこと。クルーゼの傍で勤務する第七艦隊幹部達の日曜日の朝はクルーゼお手製ガリアトーストで始まる。



現在の扶桑皇国の省庁制度

一府十三省庁である。ほぼ日本と同じ省庁編成だが、警察庁が警察省になっており警視庁を含む全警察組織を指揮監督している。




皇都防衛司令官

最近まで存在した『皇都防衛隊』。近衛師団+あらゆる作戦に対応可能な連隊(≒陸上自衛隊の中央即応連隊)×2、海軍が運用する座間にあるイージス・アショアで構成された部隊を統合幕僚長の指揮監督の下運用する司令官(≒陸上自衛隊の中央即応集団司令官)である。
海軍とのパイプが太く、また海外事情に非常に通じている陸上幕僚長候補に名を連ねる陸軍中将を以て充てられていた。
しかしイージス・アショアは現状の扶桑皇国にとっては不要不急なシステムなので予算の都合上まだ未完成である。
初代 かつ最後の司令官は篠塚義子 中将。陸上総隊発足に伴い篠塚 中将は陸上総隊司令官に就任した。



陸上総隊司令官

陸軍全部隊を指揮する陸上総隊が1945年4月1日付で発足。
今まで海軍の聯合艦隊司令長官に匹敵する職がなかった扶桑皇国陸軍の部隊編成だったが、陸上自衛隊式の方面隊が編成され、北部・東北・東部・中部・西部に加え大陸領にも方面隊が設立された。
陸上総隊は旧 皇都防衛隊の戦力を直接指揮監督しつつ、統合幕僚長から命令を受けた場合各方面隊を指揮する。




海兵35期生

現在海軍の重役として激務を遂行している古強者達。
南さち 情報本部長、矢澤にこ 海上幕僚副長や第七艦隊に属するμ’sメンバー(絢瀬絵里を除く)の母親達の世代。佐官以下は既に退役している年代である。




小泉美波

扶桑皇国海軍中将。第6代大湊警備府司令長官 改め 初代大湊地方総監。小泉花陽 大尉の母。近々異動予定。娘同様能力はあるがどうにも頼りない。


高坂佳英

扶桑皇国海軍少将。初代(現職)海上幕僚本部 人事教育部長。高坂穂乃果 大尉・高坂雪穂 中尉の母。長女が上司(クルーゼのこと)をレイプしたことを次女から報告されキレた。和菓子屋『穂むら』店主も兼任。


人事異動

矢澤にこ 中将 第六艦隊司令長官の任を解く。重ねて海上幕僚副長に任ず。


小泉美波 中将 大湊地方総監の任を解く。重ねて第六艦隊司令長官に任ず。


アフリカに駐留する第七艦隊、500、501、504、アフリカのMSパイロット諸君!

本当にご苦労だった。

何となく察しているとは思うがこれから諸君の殆どはしばらく休暇となる。

諸君からのかなりの長きにわたる休暇の申請を心を鬼にして蹴り続けた甲斐があった。

今まで貯めた有給休暇分と今までの功績分と今回の『バンカーショット』作戦成功で上から掻っ攫ってきた分合わせて一年分の休暇を用意した。

今後一年は各戦線も小康状態を迎える。

来るべき決戦に備え戦力を強化しつつ休んで欲しい。

南北リベリオン大陸にある私の数多ある別荘から最高幹部間で協議の上諸君個人個人に適切であろう気候・立地にある別荘を割り当てた。基本その別荘と最寄りの軍港・基地を拠点とし休暇を楽しんで欲しい。

以上だ。

以後の指示は端末を通じて送る。

では解散。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「芳佳ちょっと来てくれ。」

 

「はい!」

 

「他の者に休暇を与えておきながら君に休暇を与えなくて本当に申し訳ないと思っている。

だが今後の為に必要な措置なので理解してほしい。

本日付をもって君は大尉に昇進し新たに編成される第七艦隊の第74飛行隊を率いて敵地深く隠密に侵攻、敵の後方拠点補給拠点を撃破してくれ。

まあもっとも、飛行隊と言っても君ともう一人新人のMSパイロットの二人のみだが。

君の圧倒的な力を加味してそのパイロットを選んだ。

具体的な理由としては 戦闘そのものは正直君一人で十分だし何よりそのパイロットはエースパイロットとしての資質も当然持ち合わせてはいるものの何より軍政や作戦立案などにおいてその辣腕を発揮してくれるだろうと期待しているからだ。

感覚派である君を幕僚として十分に補佐してくれるだろう。管轄区が違うとはいえひかりちゃんの率いる第75飛行隊とも同等の任務を課せられている以上共同作戦をとってもいい。

そこは君の権限と僕の責任の下全てを任せる。

いざとなったらひかりちゃんの部隊を指揮下に入れることも許可する。

これが命令書だ。君の作戦補助の為の機動戦艦を一隻用意した。ジャブローに向かい父君から受領してくれ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「小泉中将、お疲れ様です。矢澤さんを第二代統合幕僚長にするためにはそろそろ栄転させる必要がありましたので第六艦隊(潜水艦隊)から外しました。矢澤さんが呉の第六艦隊基地に帰投次第交代していただき、2週間で出撃、小泉中将には今後の作戦展開と我が第七艦隊第74飛行隊の要請に基づき黒海及びアドリア海を遊弋しつつ支援攻撃をお願いします。」

 

統合幕僚長代行の仕事量はエグい。寺内さん早く復帰して下さいよ・・・

 

「御意。それと総帥、私事にございますが質問よろしいでしょうか?」

 

「娘さんにはとても世話になっています。もはや彼女なしでは第七艦隊は動かせない。」

 

花陽ママのお母さん、小泉中将は花陽ママ同様能力はあるがなよっちいところが全く瓜二つだ。

だがそんな頼りない上司の為に裏から支える部下の人達の功と面子をちゃんと立てられる小泉中将も中々の人物だ。

私の前世大学生時代後半の時に海上幕僚長だった山村閣下の部下のマネージメント方法と似ている(山村閣下を頼りないなどと言うつもりはないが)。

矢澤さんが海上幕僚副長→海上幕僚長→統合幕僚長に昇らせたら海上幕僚長に任じても良いかもしれない。

我が皇軍は自衛隊と違い期別管理制度を採用していない。

第六艦隊司令長官(≒潜水艦隊司令官)の任期が切れたらアンジェラの後任で聯合艦隊司令長官(≒自衛艦隊司令官)にして泊をつけても良いかもしれない。

全く統合幕僚長代行なんて仕事はとんだ貧乏くじだ。杉山さん(陸上幕僚長)も及川さん(海上幕僚長)も私のイエスマンだからフォースユーザー(事態対処責任者)として考えないといけない問題は実質私が全部やるはめになる。それに何より海未お母様を悲しませた自分への情けなさからどうしても酒に向かってしまう。

飲まないとやってられない。

 

「では小泉中将、そのように。では失礼します。」 電話を切る

 

最近好んで飲んでいるのはブルーナン(カールスラントの世界最古のメーカー)の白ワインだ。基本なんにでも使える使い勝手の良いワインだ。食前食中食後いつでも飲める癖の無さが特徴である。因みに今は艦長室ではなく食堂で仕事をしている。狭い場所では何故か私は集中できないから。雪ちゃんやマーサママ、花陽ママには先に寝るよう言って進めている。私自身で目を通して私自身がやるしか無い書類ばかりだからね。それに雪ちゃんや副官の二人の前で酒飲みながら仕事しようものなら雪ちゃんに何されるかわかったもんじゃないし。

 

 

 

「閣下!」

 

海未お母様?第七艦隊の制服ではなく海自の作業服ってことは風呂上がりか。

 

「どうされましたお母様?」

 

「閣下がお酒に強いのは知ってますがそれを差し引いても飲み過ぎです!」

 

そう言う海未お母様の指差す方を見ると・・・なるほど。確かに。ジュース感覚でブルーナンを飲んでたからかいつの間にかブルーナンの空瓶が5本も転がっている。私の手元には6本目。それすらも半分以上が消えている。普段の私からすればあり得ない酒量だ。

 

「海未お母様を怒らせた上僕自身が処理しないといけない書類が寝てる間に貯まっていたのでね。素面で仕事できるほど僕のメンタルは強くない。ですからついつい酒に逃げてしまう。ですがお母様、安心して欲しい。コーディネイターは酔わない。せいぜい物理限界を通り越したらお腹を壊す程度ですし書類の記入をミスする訳もありませんから。」

 

「・・・閣下、言い過ぎたのは謝罪します。ですが無礼を承知で申し上げるなら、大義があったとはいえ周りを自分の都合で振り回し過ぎです。90年近く生きてこられた以上、そろそろ周りに合わせて生きませんと罰が当たります。」

 

「・・・耳が痛いご指摘だ。だがその通りでもある。海未お母様の仰ることは正論だ。だがそう生きたら、僕の存在価値が失われる・・・僕はどうすれば良いんだ?」

 

最初は某運命シリーズの初代正義の味方に魅せられて、次は中高時代の恩師の情熱に魅せられて、私は戦い続けてきた。正義の味方になる為に 閉塞した世界に風穴を開ける為に。それが私の起源〈ソース〉だ。それを失ったら、ボクはどうすれば良いんだ・・・

 

「・・・」

 

海未お母様が私を優しく抱き締める。

 

「私も閣下に指摘できるほど肩の力の抜き方の心得はありません。ですがそんな私から見ても閣下は不器用で肩の力が抜けているのを見た試しがありません。穂乃果程にとは言いませんが程々に楽に生きましょう。まずは私を含めてもっと“母”に甘えることから始めましょう。最初はそんなレベルで良いですから、少しずつやっていきましょう。閣下は、もう十分頑張りました。」

 

「・・・うん。」

 

海未お母様にはまだ気付かれてないが私は海未お母様の胸で泣いていた。なんだか肩が軽くなった気がする。同時にお母様の温もりをとても愛おしく感じている。冬の沼地に一筋の陽の光が差したかのような、そんな感じがする。私は変われるだろうか・・・否 変わって見せよう。成長した私をアイツら(前世からの付き合いの連中)や恋人達、お母様方に見てもらおう。もう皆に迷惑をかけ、振り回したりしない私の姿を・・・

 

「お母様。」

 

「はい。」

 

「変わる決意はできた。だが今夜は一人でいることに耐えられそうにない。一緒にいてくれますか?」海未を抱き締め返す

 

「わかりました。私で良ければ喜んで。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1ヶ月後 ワシントンD.C.郊外 クルーゼの別荘

 

ワシントンD.C.の別荘には第七艦隊、ロンド・ベルに属するお母さん方とその縁者、そして統合幕僚本部の補佐官2人を充てた。私の目の届くところに居て貰う為だ。最寄りのニューヨークの別荘には前世からの付き合いの連中とその縁者に充てた。今頃朝っぱらからビールを水代わりに楽しくやっていることだろう。尚、希ママも麾下の第4降下猟兵師団とセットでロンド・ベルに来たので部隊用の土地を借りて別荘の警備兵を貸して貰っている。よくよく考えてみると矢澤さんとマッキー先生を除くμ’sメンバー全員(+あんじゅを除くA-RISEメンバー)が私の近くにいる。端くれとはいえラブライバーとしては最高の栄誉である。

 

 

「しかしワシントンD.C.の中では中々夜景は楽しめんが、郊外なら話が違うらしい。でしょう希ママ?」

 

「そうやね。ウチもワシントンD.C.に駐在武官として大使館に勤務してた時があったけどこんなええところでゆっくりあんさんと星を見れるなんて思わんかったね~。」

 

「しかしブルーナンは良い。希ママの好みに合うかはわからんが。」

 

「大丈夫やから心配無用やで。ウチもすっきりしたワインは好きやから。」

 

「なら良かった。」

 

「でもここに異動した直後は驚いたね~。いつの間にかあんさんの近くで勤務してる子達の半数が身籠っとったんやからね。」

 

「・・・。」

 

はい いただきました希ママの爆弾発言。ワシントンD.C.にいる私の関係者の約半数は現在妊娠しており妊活中である。犯人は誰かって?言わせんな!まあ妊娠した時期は微妙にずれてる上にパンさん・ニャーさん・絵里ママ・犯罪鳥に至っては完全に僕を逆レイプしての結果である。

 

「・・・僕の子ではありませんよ。あくまで彼女達の子です。それは徹底させていただく。親として愛を注いではやれない。そもそも僕はそこまで長く生きられない。だがそれでも絆が生まれたなら友として愛するでしょう。アイツら(前世からの付き合いの連中)に対する時と同じで。」

 

「あんさんも不器用やね。」

 

「否定はしない。僕は希ママのように器用には生きられない。まあひとまず乾杯しよう希ママ。我が愛しき“家族”達に栄光を!」

 

「「Prosit !」」 カン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は希ママと一杯やって寝床についたはずだ。

 

なんだここは。中型の鳥居が何柱も刺さっており、それが道を作り出している。そしてその入口に私が立っている。こんなリアルな夢もあるもんなんだな。どうやら鳥居の道を進むしかなさそうだ。癪だが進むしかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お 鳥居が終わる。そろそろ出口か・・・ってマジかよ。鳥居から出た先は私にとってはとても見覚えがあるものだ。私の前世での故郷いわき市の いわき駅の裏の道だ。そう、政治家を引退した後、私はここでトラックに轢かれて死んだ。ってほら見ろ。こういう夢を見る時のテンプレがそこにある。

 

 

左腕を潰されて失い

 

左足もぺしゃんこになり

 

辺り一面を穢らわしい血でちいさな池を作っている

 

70過ぎの割にはふさふさとした黒髪とゴリラ顔

 

イキって生やした鼻の下の口髭

 

クロコダイルの緑シャツに趣味の悪い薄い金色ズボン

 

 

 

そう そこに倒れていたのは神様転生する直前の かつての私だった。どうせならもっとマシな夢を見たかったよ。そして何の前触れもなくいきなり空間がワープする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今度は墓地か。趣味の悪い夢だ。」

 

目の前の墓石にはこう書かれていた

 

×〇家之墓

 

私の墓か・・・

 

墓碑にはこう書かれていた。

 

『戦後歴代で最も悪辣で非道な内閣総理大臣』

 

そうだな。否定はしない。

 

『同時に共産主義を西側から殲滅した偉大なる内閣総理大臣』

 

偉大かどうかはともかく、戦後、西側諸国で唯一共産主義政党を容認していた我が国だが私の代で立法、厳格な司法活動により共産主義政党を非合法化、西側から共産主義を殲滅した首相となった。それは紛れもない事実だ。国から憎むべき悪弊〈共産主義〉を排したという点では私の尊敬する銀英伝のオーベルシュタイン元帥に似ているが、数少ない相違は“家族”に甘いこと、戦いが好きなことだ。まあ私は殺し合いが好きなだけで銀英伝の英傑達のような武人の誇りなぞついぞ持たなかったが。しかし・・・

 

「なんでこんな時にこんな夢を見るんだ・・・」

 

と思えば、またワープし、今度は前に何か薄い膜のようなものが張られた石のアーチがある。

 

「君に一度自分を見つめ直す機会を与えたかったからだよ。」

 

「神様・・・お久しぶりです。」

 

いつの間にか後ろに私を転生させてくれた神様がいた。

 

「大義の為に戦うことは否定しない。でもね、」

 

それは君の本来の目的だったのかい?

 

「!?」

 

神様もわかってらっしゃる。だが・・・

 

「私の本来の目的・・・もうそんなものさえ忘却の彼方に忘れてしまいましたよ。でも・・・」

 

私と 兄弟〈ジャミトフ〉と 戦友〈ブライト〉と メラン コリニー シナプス コジマ 我が家族 皆と過ごした日々・・・

 

「絆を私は終始大事にしていた・・・それだけは忘れません。」

 

「ならば今回の人生は、大義よりも絆を優先して生きなさい。私から言えることはそれだけだ。」

 

「・・・。」

 

変わることは困難なことだ。でもやると決意した。皆と自分の為に。

 

「君には2つの選択肢がある。そのアーチをくぐりヴァルハラへ行くか、 私の手を握り元の世界に戻るか。」

 

「戻ります!」

 

「・・・それで良い。2度目の人生で死んだら、改めて君をヴァルハラに招こう。君のような特殊な戦士はヴァルハラの主としては是非コレクションしたいからな。それまで存分に、誇らかに生きるが良い。」

 

「はい!」

 

ヴァルハラの主・・・この神様は大神 オーディンだったんだ。

 

「では手を握るのだ。」

 

「・・・ありがとうございます大神オーディン。がんばります!」手を握る

 

「それでこそ戦士!さあ行け!」ピカッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何があった?」

 

「心臓マッサージ 急げ!」

 

「AED来ました!」

 

「良し、ショックをかける!全員元帥から離れろ!」 ブシュ 電気ショック

 

「・・・うっ!ゲホッ ゲホッ。痛いなもう。」

 

「あ 起きた。」

 

「全く。君には冷や汗ばかりかけさせられる。」

 

牟田さん・・・

 

「いや申し訳ない牟田さん・・・いや 我が師よ。ヴァルハラに片足突っ込むところでした。大神オーディンと哲学をしていたもんで。」

 

「・・・不思議なことを言うものだ。トレットナー少将が珍しく血相変えてAED持ってこいと言うものだから何があったかと思えば君が心肺停止状態だとは・・・中々ヒヤヒヤさせてくれる弟子もいたものだ。」

 

「申し訳ありません。皆にも迷惑をかけた。すまなかった。」

 

「長官、コリニー大佐からお電話が。」電話を差し出す

 

「ん、どれどれ・・・どした?」

 

「『どした?』じゃねえよ!心配したんだぞ!いきなり雪穂君から心肺停止したって連絡来てよぉ・・・またお前の死に顔拝む羽目になるかもって思ったら・・・もう俺達はこりごりだぜぇ・・・冷たくなったダチを見るのはよぉ・・・。」啜り泣きながら

 

「すまぬ。だが悪いことばかりではなかったよコリニー。」

 

「?」

 

「もう大義のために戦うのはやめる。

僕が今まで戦ってこれた理由そしてこれから戦っていく理由。

戦う理由が信念だとか正義だとかっていう風なのはかえって信用ならないということはそれは僕が誰よりもよく知っていた。

そういう主義主張こそがそもそも戦争が起きてきた原因なのだからな。それはお前もよく知っているだろう。

だが人間は戦う生物だ。 戦うことを拒否することはできない。

どうせ戦うならば、もっとマシなそしてもっとまともな理由で戦うべきだ。

『家族のために戦う』。人間が戦う理由としては随分マシな意義だと思う。

大義に名を借りた身勝手でもうお前らや今僕の周りにいる彼女達に迷惑をかけないようにすることを約束しよう。

まったく我ながら度し難い。歴史を学んでおきながらその歴史を繰り返す愚かな役回りしかしてこなかった。」

 

「歴史は繰り返す・・・それこそお前がやらずとも誰かがやっていただろう。時代に生け贄にされたのがたまたまお前だったって話でしかない。だが、お前は一度生け贄になったんだ。今更だが、もう一回犠牲になる道理はないと俺達は思うぞ。」

 

「ありがとう。一度死にかける程度で起源〈ソース〉を思い出せたのだ。授業料としては安い方だったよ。皆にも僕は大丈夫だと言っといてくれ。」

 

「わかった、安静にしてろよ。それじゃな。」 電話を切る

 

「さて諸君、朝食にしよう。」

 

「もうお昼にゃ。」

 

「そうなのニャーさん?んじゃ昼食にしよう!」

 

さて、今日のお昼はガリアトーストとバナナ、キンキンに冷えた牛乳だ。新しい私の朝(もう昼だけど)に相応しいシンプルでさっぱりしたご飯だ。

 

 

 

「では諸君、いただくとしよう。」

 

「「「いただきます!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回 新章 スタート




主人公の転生後初めての長期休暇。主人公と周りの子達はどう過ごすのでしょうか?


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おおよそ一年 俺達のバカで そして ツッパって生きた 有給休暇の日々
あの頃の俺達は、ブーたれる凜ちゃんの膨れ顔をイジりながら、あくまで夏っぽく数を取り続けていた・・・


解説

 

第七艦隊 第71飛行隊 第6小隊 “アドバーサリー”

 

あらゆるネウロイの装備・戦術をできる限り再現し味方を教導する部隊。1946年3月発足予定。アグレッサー部隊故に予算がかなり充実しており、この部隊の為だけに薩摩型機動戦艦(ラー・カイラム級)一隻が与えられる程である。書類上の直属の上司はララサーバル中将だが、実質ブライト・ノア(偽)大佐が上司になりブライト大佐の独立部隊に配属される予定。

 

 

 

星空明(あかり)

 

扶桑皇国海軍中将。第44代 横須賀鎮守府司令長官 改め 初代 横須賀地方総監。星空凜少佐の母。娘同様めちゃくちゃ明るく考えるより身体を動かす派の猛将。

 

 

西木野美姫

 

扶桑皇国海軍中将。第5代 舞鶴鎮守府(第二次)司令長官 改め 初代 舞鶴地方総監。西木野真姫少佐の母であり優雅で無駄の無い戦い方を好む賢将。近々異動予定。

 

 

スターデストロイヤー

 

スターウォーズ EP3及びクローンウォーズに登場するヴェネター級スターデストロイヤーを参考にした4隻の超大型機動戦艦が秘密裏に月で建造中。あくまで試作に過ぎないのと建造コストが高すぎるという理由でこれ以上の建造は行われない予定。1935年から建造中だがまだ後10年かかる予定。ネームシップの『ヴェネター』を皮切りに『ネゴシエーター』『エンデュランス』『レゾリュート』と名付けられた。

 

 

 

 

 

 

「私は『彼』の主席副官だった。だからこそ多くのことを知っている。『彼』自身は半分ガリア人・四分の一ずつオストマルク・扶桑人だった。だが間違いなくそこら辺の純然たる扶桑人など比較にならないほど『彼』は扶桑を愛していた。それ故に扶桑の為に表立ったイメージとは裏腹に裏で色々コソコソやっていたのだ。本著が読者諸君の目に入っていることは即ち、私も、『彼』自身も既に亡く、『彼』の野望の一つであった人類統一政権が樹立されそれが安定してきつつあることを意味する。だからこそ私は内部告発できる。リベリオンのルーズベルト トルーマン 両大統領の死が病死でもなければ事故でもなく、『彼』の手の者によって『処理』されたことを。だがこの二人を敬愛していた者達にも一応弁解しておくが『彼』はただ政敵だからという理由で両 大統領を処理した訳ではない。後述する明確な反アジア的な、黄色人種差別主義的な大陸戦争終結後の戦後計画があったからだ。これ以上白人の横暴な論理に扶桑を含むアジア諸国が巻き込まれるのを見たくないという当時の天皇陛下の御意と『彼』自らの野望が合わさってできあがった産物が両 大統領の『処理』だったということだ。」

 

U.C.0100 講談社 出版 佐々木原正子 中将 著 「永遠の夜の中で」 第2章『謀略』 より抜粋

 

 

 

 

 

「死人に口無し。私が何を喋ろうと否定できる者はおらん。生き残った者の『勝ち』ということだな。」

 

U.C.0040 エイパー・シナプス 予備役少将

息を引き取る半年前に発した公式記録に残っている最後の発言

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「は~い長官良い子でちゅね~よしよし。」

 

「・・・。」

 

はいどうも皆さんこんにちは。

ショタ化して以降何度も(私の主観だが)逆レイプされて困ってるクルーゼ(偽)でございます。ゑ?今何をしてるのかだって?

 

「本当に長官は可愛いでちゅね~。」

 

パンさんこと高坂穂乃果 少佐に赤ちゃんプレイ(意味深ではない)を強要され現在進行形でぱふぱふされているんです。

ラブライバーの端くれとしては非常に名誉なことではあるが、流石に恋人でも“母”でもないパンさんにこうされる日が来るとは思わなかった。

拒否って逃げても良いが『軍務も子育ても両立できるよう今の内に訓練しておきたいの!』と言ってきた以上逆レイプの結果とはいえ孕ませた側としては逃げる訳にもいかん。・・・パンさんの胸は花陽ママに似た優しいにおいがする。なんか安心・・・するような・・Zzz・・・

 

「長官?あれ、寝ちゃった?もういつもの凛々しさからは想像できない位可愛いでちゅね~♪」

 

「穂乃果、何してるの?」

 

「正子ちゃんほら見て!長官をあやしてたら長官おねんねしちゃった!」

 

「ラウをあやすのを止める気は無いけど、一時間以内に起こしてね穂乃果。でないと私達物理的に夕食抜きになっちゃうから。もう1600だし。」

 

「わかった。それと正子ちゃん、この計画書読んどいて。長官正子ちゃんに読ませる気満々だったからさ。」計画書を渡す

 

「『第二次 第七艦隊司令部 新編計画』?」計画書をめくる

 

「どうしたの正子ちゃん?」

 

「・・・無茶な話をするわねラウも。穂乃果見て。」

 

 

 

第二次 第七艦隊 司令部編成

 

アンジェラ・サラス・ララサーバル中将が第七艦隊に帰還次第編成する。司令部編成は以下の通り。

 

 

新司令長官:アンジェラ・サラス・ララサーバル中将

 

副司令長官:竹井醇子大佐(→司令部新編で少将)

 

幕僚長:園田海未中佐(→大佐)

 

幕僚副長:絢瀬絵里中佐(→大佐)

 

軍医総監:西木野真姫少佐(→中佐)

 

総務部長:河野つばさ中佐(→大佐)

 

人事教育部長:小泉花陽少佐(→中佐)

 

防衛部長:高坂穂乃果少佐(→中佐)

 

指揮通信情報部長:佐々木原正子少佐(→中佐)

 

装備計画部長:南ことり少佐(→中佐)

 

首席監察官 兼 首席法務官:児島舜平大佐

 

次席監察官:絢瀬亜里沙大尉(→少佐)

 

会計監査官:高坂雪穂大尉(→少佐)

 

 

尚、この編成は1949年4月1日付で創設される扶桑皇国宇宙軍の幕僚本部にも概ね適用するものである。高坂防衛部長は他のポストへの異動は絶対に行わない。彼女の成長如何により宇宙軍の栄枯盛衰は大きく左右されるであろう。高坂防衛部長の成長と勤勉に期待するや切である。他の者は優秀にして柔軟な思考が可能な人材である。故に刺激せずとも成長してくれること疑う余地はない。だが私は高坂防衛部長には他の者にはない可能性を感じた。しかしこのままでは彼女は覚醒せず陰で叩かれている通り“非常勤パイロット”の名に恥じぬ怠惰っぷりを発揮するだけであろう。刺激して強制的に覚醒させる手段を取ることにした。階級とポストには人を育てる力がある。もしこの冒険人事が失敗した場合私は責任を取り元帥号も爵位も陛下に返上する覚悟である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・防衛部長?穂乃果が?ゑ?」

 

防衛部長って同期一選抜・・・同期幕僚長最有力候補しか座れないポストの筈なのに・・・

 

「それだけあなたに期待を寄せてるってこと。ラウがこんな重要な案件に非合理的なことは絶対しない。あなたがやれると判断したからこそ。ちゃんとやってのけるのよ。」

 

「・・・わかった。できるだけ頑張ってみる!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よーし皆集まって!」

 

召集かけて皆を呼び出し夕食の準備を始める。

 

「え~と今日は、『変な魚おばさん』ことそして犯罪鳥のお母さんたる南 情報本部長から私宛に福袋が届きましたのでそれでちょっとお魚料理を今日はみんなのために作ろうと思います。」

 

南 情報本部長って愛知の衣浦出身だから漁師の知り合いがめちゃくちゃ多い。だから何かにつけて魚が情報本部長に送られてくる。しかし情報本部長自身だけでは食べきれず、同期の桜や近所の人達に分けても尚余る始末だったらしいので私に遅い新年福袋として押し付けてきたのだ。押し付けてきたとはいえ魚は本当に鮮度の高い美味しいものだけ選りすぐって送ってくれたらしいので期待度は高い。何が入ってるのかな?

 

「でも情報本部長の『福袋』の字も魚のイラストも結構下手くそにゃ。」

 

「ニャーさんやめろ!そんな文句言ったと情報本部長にバレたらニャーさん問答無用で抹殺されるから!」

 

情報本部の恐ろしさは作った私自身骨身に染みてわかっている。リベリオンの反扶桑勢力はわが影“ファントムペイン”が、オラーシャ方面の反扶桑勢力は情報本部が容赦無く駆逐してるからな。

 

「・・・それは嫌にゃ。」

 

「わかったならよろしい。んじゃ開けていこう・・・まず一つ目・・・うわマジか、一つ目はハナシャコだわ。10匹も入ってるし生きてるしパンチ力強いから触りたくないんだけど・・・イサキか次は。美味しい魚ですわ。次は・・・サワラ・・・デカいしかも10匹ずつ・・・これは?モンコウイカ10匹・・・多いわ!次は、平貝!絶対入れてくると思ったわ!20枚も要らんわ!多すぎる!次は、アイブリだ。実物初めて見たわ・・・まこんな感じですね。」

 

そりゃ親鳥 情報本部長ももて余すわな。多いわ!まあでも情報本部長の知り合い漁師達も悪気があって送る訳がないから断り辛いわな。私に押し付けて正解だ。私の周りの現在妊活中の子達の栄養源として有効活用しよう!

 

「今日の献立は平貝の貝柱しゃぶしゃぶとサワラの塩焼き・刺身にする。まずは平貝を剥くか。」

 

平貝ということはアイツは中にいるのかな?

 

「平貝は他の一般的な貝類と比べて、見てくれればわかるが口ががら空きなのでそこから包丁を入れて貝柱を断ち切る。

次に開ける・・・ていう感じでまあこういう風に中身が見えるわけだ。

みんなちょっとここを見てくれるかな?」

 

「オレンジ色のザリガニがいるにゃ。」

 

「そう。隠れエビといって平貝に寄生する寄生虫なんだけれども。

寄生虫って言うとやっぱりみんな怖いイメージを持つと思うんだよね。

というより僕自身もそうだったし。

でもこの隠れエビはちょっと正面から見てくれるとわかるけど、ほら可愛いでしょ?ちょっとつぶらな瞳がねワンポイントって言うかねそんな感じ。

でこの隠れエビね意外なことに食べれるんだって。

情報本部長からの話だからまぁまず間違いはないと思うんだけど、僕もちょっと耳を疑ったわ。

こんなにちっちゃいエビだと調理するのが難しいからひとまず素揚げにして食べてみようと思う。

で隠れエビを取り除いたら一度きれいに洗う。犯罪鳥は皆に何で洗わないといけないか教えてあげて。」

 

「平貝って海底の砂に突き刺さって生息してて、獲る時は砂から引き抜いて獲る。だから砂が貝の中に詰まっててこのままじゃ駄目だから一回ちゃんと洗わないといけないの。」

 

「そういうこと。で洗ったら根本のヒモを掴んでビビビと引いてヒモを取り除いて貝柱がついてない方の外した貝殻で貝柱を取る。で完了。注意なんだけど、平貝の貝殻の先端はめちゃくちゃ鋭利だから触らないこと。手切っちゃうからね。で貝紐は内臓全部外して置いとく。食べれるし。」

 

平貝×20 下処理完了

 

「そしたら貝柱はよく見るとわかるけど薄い皮があるんだ。これも剥いちゃう。しゃぶしゃぶにした時に違和感が残らないようにね。で5ミリ位でスライスしていく。薄いと食感が無くなるからこの位で良い。亜里沙ちゃ~ん、しゃぶしゃぶ用出汁準備できた?」

 

「できてまーす!」

 

ストーブで昆布出汁作りしててくれた亜里沙ちゃんも準備ができたようだ。

 

「じゃあストーブの出力を下げて保温しといて。」

 

「はーい。」

 

純粋でとても良い子だ亜里沙ちゃんは。犯罪鳥にも是非見習って欲しいものである。

 

「よし、んじゃサワラの刺身作ってくよ。内臓はもう取り出してあるから最初に頭を落とす。で三枚におろす。そしたら身から血合い骨を切り取って、皮を引いて・・・切って盛り付けたら完成。」

 

言い忘れていたが、私の隣では雪ちゃんこと高坂雪穂大尉が私の為に平貝を押さえたりサワラの皮をひいてくれてます。流石に隻腕で料理というのもキツい話だからね。ありがたい。

 

「で血合い骨切り取って皮を引いた塩焼き用のサワラに細かく砕いた岩塩をふって、七輪でゆっくり焼いていく。他のサワラの処理しちゃうからこのサワラは絵里ママお願い。」

 

「任せて。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっしゃ完成!」

 

人数が人数だったから処理する魚介類の量も半端じゃない。しばらく平貝とサワラは見たくないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっし、んじゃ・・・いただきます。」

 

「「「いただきます。」」」

 

「うん。脂のってるのに全然しつこくない。サワラは美味しいね。どうヘルミーナ母さん?」

 

「美味しいわ。流石ね。」

 

「ありがとう。で花陽ママ、何としてでもニャーさんにサワラを食わせて!魚嫌い矯正しないと駄目だからね。ニャーさんのお母さん・・・星空 横須賀地方総監からもどんな手を使ってでも直すよう依頼されてるから。」

 

「わかりました。ほら凜ちゃん、ちゃんと食べて!」

 

「(´;ω;`)」

 

「雪ちゃんどうかね隠れエビのお味は?」

 

「・・・海老煎餅ですね。寄生虫とはとても思えません。」

 

だろうな。

 

「平貝の貝柱も美味しい!」

 

「で今更ですが長官質問良いですか?」

 

「なんだい亜里沙ちゃん?」

 

「最近の食事がいつもより栄養価が高く手間のかかるご飯ばかりですからなんでだろうって思いまして。」

 

 

「み ん な 揃 い に 揃 っ て 僕 を 襲 っ て 妊 娠 し て る か ら だ よ 」

 

 

そう、現在私の周囲にいる第七艦隊幹部達の食事の栄養価が高い理由は全てこれに尽きる。マーサママ、海未お母様、絵里ママ、ニャーさん、パンさん、犯罪鳥、ヘルミーナ母さん。彼女達のお腹には子供がいる。粗末な飯を出す訳にはいかない。そもそも妊娠した皆の内海未お母様以外全員私を半ば拘束して襲った結果である。私にMな性癖があるわけない以上怒りたくもなる。

 

「中身はいざ知らず外面から見れば良い大人が10歳程度の小さい男を襲ってるようにしか見えないよね。」

 

この男女逆転ストパン世界の成人年齢は16歳だからここにいるメンバーほぼ全員大人扱いだ。私はまだ16歳に成ってないからここにいる妊娠してる面々は未成年を襲ったことになる。絶望的な絵面だな。ニャーさんの無いも同然の胸と同じ位。

 

「だが襲われた結果とはいえ通常の交友ではあり得ない縁が生まれたのも事実だ。それ故に・・・ここにいる妊娠してる皆を改めて僕の“家族”に迎えよう。嫌ならそう言って欲しい。無理強いはしない。」

 

「貴方の過去を聞いて嫌と応える者はここにはいません閣下。」

 

「ありがとうございます海未お母様。今更だが、諸君の協力と信頼には深く感謝している。本当にありがとう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回 『コジマ中佐(偽) 襲来』 少女は そして神話となる

 




今回のエピソードの参考にさせていただいたyoutubeの“きまぐれクック”配信者かねこ氏に心から敬意を表します。



それと設定にちょろっとしか出ていなかった『08MS小隊』よりコジマ中佐(偽)がとうとう登場します。お楽しみに!


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コジマ中佐(偽)襲来

解説


アンブレラ・コーポレーション(株)

ニューヨークに拠点を構える1940年代から台頭してきた巨大製薬企業。ジーン・コリニー大佐が社長、ウィリアム・メラン大佐が副社長を務める。設立から5年足らずで世界各国に供給しているスポーツドリンク(粉末含む)や整腸剤・解熱剤・対インフルエンザ薬シェア世界一を誇る多国籍企業に躍り出た。クルーゼ・エレクトロニクス社が設立資金を全額出した上に、発行株式の95%を押さえており事実上クルーゼの傀儡企業。西アフリカ某所で発見された特殊なRNAウイルスが持つ宿主を変異→自らに都合良く強化する性質を利用して人為的・後天的にウィッチ(勿論MSパイロットレベルへの昇華を最終目標とする)を誕生させるウイルスの研究を裏で行っている。クルーゼもこれを黙認しているが主体的に支援している訳ではなく研究員達の独断専行である。主体的に支援するとニュータイプ達や若本徹子大尉との約束(一方的な約束だったので『約束』というよりは『宣言』に近い)を自ら破り世界に戦争の火種を蒔くことになりかねないからだ。
(『約束』の内容がわからない場合は本作『01』の前作『ZERO』のEP7『正義の在り拠』を参照して欲しい)




ツヴァイ・ノイシュヴァンシュタイン

バイエルン王国のノイシュヴァンシュタイン城を参考に東京都大田区の海沿いに建てられた皇都におけるクルーゼの拠点。クルーゼ伯爵家初代当主の偉大な遺産の一つ。大陸戦争が始まって以降は事実上陛下しか利用者がいない。公務にお疲れになった陛下が現実逃避の為に一時避難する避難所である。宮内庁関係者からは皇居・京都御所に続くという意味で『第三御所』と呼ばれている。




謎の疾患

クルーゼは前世、心臓あたりがたまに痛む謎の神経痛(?)らしいものにずっと悩まされていた。『肋間神経痛』と推測されたものの結局クルーゼも致命的ではないなら原因追求はしなくて良いと放置してきた疾患。何故かこの世界に転生してからも治っていない。





クルーゼの指揮能力問題

艦隊とは言うものの、艦やMS、AWACSの戦力としての価値はともかく単純な頭数では一個旅団(2000)程度しか在籍していない第七艦隊。故に扶桑皇国軍内外からクルーゼの軍政能力はともかく指揮能力に疑問を持つ声が少なからずあった。大将 或いは 元帥ともなれば大規模な手持ち部隊を指揮し外国軍との連携もちゃんとできてなければならないがクルーゼの業務の殆どが軍政で前線では専らMSパイロットとしての指揮が殆ど。大規模な戦術指揮経験の不足が指摘され始めており、防衛省は統合幕僚長付補佐官の片割れであり第三艦隊参謀長を勤めた経験のある河野つばさ中佐を大佐に昇任させ補助させると同時にカールスラント国防軍最高司令部に大将・元帥クラスで暇をもて余している人物にクルーゼの大規模戦術指揮の顧問を派遣するようお願いした。これを受けカールスラント国防軍は主席顧問としてパウラ・フォン・“パンツァー”・クライスト元帥、次席顧問にクルーゼと面識のあるヴィルヘルミーナ・フォン・トーマ中将を据えた顧問団派遣を以て応えた。


「フランクリン・デラノ・ルーズベルト大統領生誕180周年記念式典?私にそんなもんに出ろって?

冗談じゃない。あんたや大多数の合衆国国民からすれば確かに偉大な大統領だろうさ。

だが私からすれば?日本国民からすれば後任のトルーマン諸共日本人を差別し強制収容所に閉じ込め隔離し公然と迫害したゲス野郎だ。

我が国と貴国が既に仲直りしたことは間違いないしこれからも仲良くやってきたいと私は日本国民の大多数は間違いなくそう思ってはいるが線引きはきちっとすべきだ。」

 

〇〇(←クルーゼの前世での名前) 首相時代 2061年某日 アメリカ人の政治家友達から連絡を受けた際の回答

 

 

 

「兄が逝ってから5年。総理を引き継ぎ実直な政治を目指してきましたが、敵は増えるばかりで老いた古い友人達は次々と俺の下を去っていく。最早兄が最後まで信じた貴方がたしか残っていない。兄を見捨てなかったように俺のこともお見捨てなきようお願いします。」

 

ジャミトフ・ハイマン(偽) 前世 2070年代後半 内閣総理大臣時代 まだ生きていたブライト、メラン、コリニー、シナプス、コジマ 等 兄の“家族”達に対する発言

 

 

一応皆さんに概略的ながら説明しますが、このシリーズの主人公(ラウ・ル・クルーゼの皮被った転生者)の中身は

『ストライクウィッチーズファンであり、ガンダムファンであり、エースコンバットファンであり、バイオハザードファンであり、ラブライバーの端くれでもある改憲までした内閣総理大臣経験者(つまりはいい年した爺)の一度“家族”と見なした者にはとことん甘いミリオタ』

です。故に他の大抵の(前世含めた)年齢の若い異世界転生系の転生者と比較して総合的に優れています。その辺よろしくお願いします。

 

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皇国元帥 兼 統合幕僚副長 兼 第七艦隊司令長官 ラウ・ル・クルーゼ(偽)侯爵の朝は早い。それは休暇中の今も変わらない。

 

 

0530 今週のお守り係の佐々木原正子少佐のおっぱい枕から抜け出し、隻腕故に苦労しながらエプロンを着ける。冷蔵庫から麦茶を取り出し一杯飲んで喉を潤す。年寄り特有の早起きをここで発揮する爺ぶりである

 

0540 昨日仕込んだ鯖の切身を冷蔵庫から取り出して背の骨を切り落としピンセットで血合い骨を取り除く

 

0600 料理を手伝う為に副官・統合幕僚副長付補佐官、そして第七艦隊教育総監が起きてくる。シフトは決まっている。佐々木原正子少佐は主菜・副菜、小泉花陽少佐は主食(どこかのオレンジ色のパン好きバカの為に食パンも用意する)、高坂雪穂大尉は汁物、園田海未中佐はお皿・お椀・お箸等のセットである。

 

0630 朝食の匂いに連れて皆が起きてくる。おい ことり少佐、頭が爆発(笑)してるぞ。

 

0640 皆でいただきますをする

 

0720 朝食が終わり皆で軽い運動の時間を楽しむ。筋トレや剣で身体が鈍らないよう努めるのだ。

 

0830 情報本部から定時報告を受ける。これだけは誰の目にも触れさせない。高度に政治的な話ばかりで心が穢れるからだ。彼女達にはまだ見せられない。汚れ仕事の統括はまだ彼の仕事だ。

 

0900 皇国軍八長官会議(テレビ会議)を行う。統合幕僚長(現在療養中。クルーゼが代行)・統合幕僚副長・陸上幕僚長・海上幕僚長・陸上総隊司令官・聯合艦隊司令長官・教育訓練研究本部長(=陸軍教育総監)・情報本部長ら軍どころか国家レベルの要人の大会議である。情報共有→問題発見→軍の垣根を超えて合議→迅速に解決 の為にはリアルタイムでの会議が必須とクルーゼが提案したことにより防衛省で採用された会議である。当然この会議には副官・統合幕僚副長付補佐官・統合幕僚長付補佐官が彼の後ろで事務を執っている。

 

0935 八長官会議終了後、副官と補佐官を下がらせ聯合艦隊司令長官アンジェラ・サラス・ララサーバル中将と二人っきりでたわいない会話をする。前世で伴侶どころか彼女すらいなかったにもかかわらずちゃんとアンジェラを心配する様は正に身体がデリケートな妻を労る夫そのものである。

 

 

 

 

「アンジェラ、大丈夫か?」

 

「問題無い。お前が聯合艦隊の伝統を改めて陸(おか)勤務にしてくれたのがここで効いてきたな。」

 

彼は海軍の面々を説得し聯合艦隊司令部機能をアンジェラの安芸(アークエンジェル)から陸(おか)に一時的に上げたのだ。軍の福利厚生の質向上の為の政策の一環で海上自衛隊の自衛艦隊と同様横須賀の船越に司令部を移した。彼自身何もしてやれない分は本国の皆さんがフォローしてくれる。滋養面においても犯罪鳥のお母さん 南 情報本部長が直々に魚捌いて高栄養価且つヘルシーな魚料理を作ってくれるので安心である。

 

「アンジェラ、次の誕生日には正式に式を挙げよう。結婚指輪も用意した。僕が直接鍛えたガンダニウム合金でできた指輪だ。楽しみにしていてくれ。」

 

「わかった。」

 

 

 

 

 

1000 昼食の準備を始める。今日の献立はブリのムニエルの甘だれかけと松茸のお吸い物、ほうれん草のお浸しである。

 

1130 昼食

 

1230 高坂穂乃果・南ことり 両少佐に育児訓練と称し弄ばれる。

 

1400 今自分と一緒に住んでいる“家族”達と軽く会話を楽しむ

 

「昨日かなり興味深い予知夢を見ました。」

 

「どういう内容だったのだ?」

 

「つばささんの息子さんが今から20年後に宇宙艦隊で活躍してる夢。」

 

「つばさに息子だと!?つばさの男は誰なんだ?」

 

「さあ?そこまではわかりませんよマスター英玲奈。それよりパンさん。」

 

「な~に長官?」

 

「明日雪ちゃんを借りるよ。ニューヨークで会わせたい人物がいるんだ。」

 

「いいよ~。」

 

 

1500 おやつを作る 今日はホットケーキだ。

 

1700 夕食の準備 魚の取り扱いに長けた高坂雪穂大尉だけが手伝う

 

「長官、情報本部長から届きました今日の夕食分です。」クーラーボックスを差し出す

 

「中身は何だったの雪ちゃん?」

 

「黒くて大きかったです。」

 

雪ちゃんがわかんねえのか・・・

 

「はいオープン・・・うわーふざけんなよマジでこんなの捌きたくないよー!」

 

ツチホゼリとかやだよ・・・しかも10kgはある。美味しいけど捌きたくねえな・・・

 

「長官、代わりに私がやりますか?」

 

「いいや。僕にも意地がある。サボる訳にはいかない。だがすきびきだけは雪ちゃんがやってくれ。この魚はすきびきがとても気持ちいい。だがすきびきの途中でヒレが刺さりかねんからハサミで切り落とす。」

 

ヒレ固えんだよ畜生!だからツチホゼリは嫌なんだ・・・

 

「やっと切れた・・・んじゃ雪ちゃんすきびきやってみて。」

 

ソリソリソリ

 

「すっきりいきますね。何だったらブリよりやり易いかもしれません。」

 

ツチホゼリの良い所は養殖ブリよりすきびきがし易い点だ。

 

 

 

「んじゃすきびき終わったから頭を落とす。で内臓を取る。雪ちゃん頭落とす前に軍手を。クエ系統はエラあたりが鋭いからね。」

 

「はっ。」

 

そして一人鍋を人数分棚から出して昆布出汁+砕いた岩塩+扶桑酒のみのシンプルな汁を用意。切った長ネギと白菜を投入しストーブにかけ亜里沙ちゃんに見張って貰う。

 

 

 

 

「で捌いたら腹身を刺身用に薄く切っていく。これとは別に背は一人鍋用に少し分厚く切る。」

 

「長官、鍋の汁が完成しました。」

 

「亜里沙ちゃんありがとう。じゃあこっちの背の身を一杯5切れ入れて5分程弱火で煮込んで。」

 

「わかりました。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっしゃ食べていこう。いただきます。」

 

「「「いただきます!」」」

 

ツチホゼリはかなり久し振りだ。刺身はシンプルに生姜醤油でいただく。

 

「情報本部長も相変わらず凄い目利きですね・・・鯛並に脂がのってるのにくどくないです。」

 

「確かに。だが鍋も美味いよ雪ちゃん。身がとてもふわふわしている。流石情報本部長選りすぐりの魚だ。どうだねつばささん?」

 

「婿に来てお願い!」

 

「お気に召したようで何より。」

 

思いっきりスルーする。うるさい彼女のアクションに一々反応してたら身が持たん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「パンさんとマーサママにはもう知らせたけど、僕がいなくなったらアンジェラと醇子さんを中心に中央はここにいる第七艦隊の面々で、実戦部隊はニュータイプの面々+αが指揮する海軍から独立した宇宙軍が創設される。この中で一番偉くなるのは絵里ママだ。現在の陸海軍の陸上幕僚副長・海上幕僚副長に匹敵する航宙幕僚副長の地位が与えられる。事務方No.2だ。頑張って欲しい。アンジェラは航宙幕僚長、つまり宇宙軍最高位にして最先任士官、海兵66期・海大甲種36期となる。次の先任士官、海兵67期・海大甲種37期の醇子さんは宇宙艦隊司令長官・・・海軍の聯合艦隊司令長官に匹敵する地位に就く。次の先任士官はここにいる第七艦隊の面々とマッキー先生海兵68期・海大甲種38期となり必然的に68期一選抜たる絵里ママと海未お母様のどちらかにしか航宙幕僚副長を任せることはできないんだ。総合力が高くフォースユーザー(事態対処責任者)としての才能が高い絵里ママ以外の選択肢は僕には無い。海未お母様には幕僚副長に比べれば些か見劣りするポストではあるが、中将ポストであり将来の人類統一政権の宇宙軍創立に備え留学してきた外国の海・空軍軍人達を育成する責任者『宇宙軍参事官』に任ずることになるだろう。フォースユーザー(事態対処責任者)よりもフォースプロバイダー(練度管理責任者)向きである海未お母様お誂えの仕事だ。その他の人事詳細は配布した資料に書かれているから一読して欲しい。で今日からパンさんのことを『リーダー』って呼ぶんでよろしく。」

 

「何故です?」

 

「簡単だよ雪ちゃん。君のお姉さんは防衛部長、つまり全ての少将の最高位、防衛計画・部隊編成計画を一手に握る立場になる。そして宇宙軍の編成が変化或いは拡大した場合、新設される中将ポストに確実にパンさんが入る。偉大な“リーダー”になって貰う為に意識付けは大事だ。忘れっぽいパンさんでも皇軍の事実上の最高責任者たる僕に“リーダー”って呼ばれ続ければ嫌でもリーダー意識を身に付けるだろうしね。ここまでやってパンさんがリーダー意識に覚醒めなかったら雪ちゃん、物理的に〆て良いよ。海未お母様と絵里ママも雪ちゃんに協力してパンさんをブチのめすことを許可する。良いねパンさん?サボったり忘れたりしたら・・・わかっているな?」

 

「ヒィッ!・・・ハイ ガンバリマスぅ・・・」

 

「よろしい。」

 

 

 

 

こんな感じでクルーゼの1日は有意義且つ穏やかに過ぎていく。

 

2130 「ラウは先にベッドで休んでて。私は宮藤博士とレーザー通信についての打ち合わせが終わったら行くわ。」

 

「マーサママもう指揮通信情報部長の仕事してるの?止めはしないけど程々にね。」

 

「どっかの誰かさんみたいに4徹なんてしないから心配しないで。」

 

誰だよストライクフリーダムの最終調整+公務のせいで4徹して芳佳の膝枕の世話になった大馬鹿野郎は(棒読み)

 

 

 

 

 

 

 

「つばささん、何してるんです?」

 

寝室に入ろうとしたら扉の脇でつばささんが屯ってた。

 

「・・・入って良いかしら?」

 

「まあ良いけど・・・どうぞ。」

 

「ありがとう。」

 

「?」

 

何があったんだ?

 

「まあ流石に寝る前にコーヒーは駄目だから・・・ココアでも。はいつばささん。」

 

「ありがとう。」

 

「つばささん、一体どうしたんです?さっきまでのテンションはどこに?」

 

「お願いに来たの。」

 

何の?

 

「私も子供が欲しいの。」

 

「・・・僕は愛が無ければ原則相手しないようにしているんです。つばささんもご存知でしょ?でも僕も思惑がありますからその原則を曲げましょう。その代わりに3つ条件を守って下さい。一つ、生まれた者に父親が僕と絶対に教えないこと。二つ、性別問わず・・・男が生まれてその子が軍に入ると言っても絶対止めないこと。三つ、今これを打ち込み僕がバラさない限り生涯誰にもそのことをバラさないこと。これらを守ってくださるならお相手しましょう。」

 

そう言い私はベッド脇の隠し棚を開きそこから注射器と小さな瓶に入った蒼色の液体を取り出した。

 

「何の薬?」

 

「アンブレラ社が作り出した『常人をウィッチに変異させ元々ウィッチである者には更なる能力強化を行おうとして作り出されたが失敗作だった』“構造体”です。」

 

そう。バイオハザードを少しでも知っている者にとってはお馴染みT-ウイルスだ。数少ない救いは『ウィッチは間違いなく完全適合者』であることとエイズよろしく空気感染は絶対無いことだ。常人の適合率はゴミ以下、大抵はゾンビ化するとの報告も受けている。ウィッチ(第七艦隊に属する孤児上がりの私に従順な子達)に対する臨床実験を何度かやっているT-ウイルスだが、圧倒的な力を持つエースパイロットに投与したことは一度も無いため、彼女に実験体となって貰う。万が一の事態に備え今開いた隠し棚の下の隠し棚にはちゃんとワクチンが配備されているので大丈夫だろう。MSパイロット不足に悩んでいる私としては彼女の実験次第でMSパイロットの『質』の向上とウィッチの因子を次の命に繋ぐことで『質の血統的且つ継続的輩出』を目指したい。後は低コスト化だな。小瓶一本(一人前)3000$は高過ぎる。もっと安くなって貰わんと困る。

 

「わかったわ。危険は無いんでしょこの薬?」

 

「ウィッチならばまず間違いなく大丈夫です。」

 

厳密には薬どころかウイルスなんだが。

 

「それと一応説明しておきますが、その構造体を打つと従来のそう言う類いの固有魔法を持つウィッチなど比較にならないほどの高い耐久力と肉体再生能力を得ることができます。ただし、小型ネウロイによる攻撃ならばともかく大型以上のネウロイによるダメージの大きい攻撃となると過度なダメージを体に浴びることになりそれに対する再生は過度に働くことになります。その結果肉体が肥大化・暴走する事態になりかねないのでその際は注意してほしいのです。」

 

「大丈夫。私が被弾したなんて話、聞いたことある?」

 

「・・・。」

 

考えてみれば・・・無いな。

 

「じゃあ投与するわよ。」注射する

 

「・・・。」

 

流石つばささんだ。銀英伝で出てくる黒猪提督並の即断速攻である。

 

「・・・リベリオンの小説にありそうな注射したら『力が漲ってきたぁ!』なんて訳では無いのね。」

 

「そんないきなりは強化されませんよ。完全適合者の場合完全に行き渡るまで4時間から長くて1日はかかります。」

 

さて。ここでつばささんにT-ウイルスを投与した訳だが、彼女の子供にT-ウイルスの性質がちゃんと遺伝するか確認せねば。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日 0525

 

ヤバい。つばささんとヤった後仕事を終え戻ってきたマーサママとつばささんに挟まれて寝たのだが、本当にヤバい。結局眠れなかった。つばささんのささやかながら最低限主張してるそれとマーサママの着痩せしてるだけで実際はAqoursの小原理事長にも引けをとらないそれに顔を挟まれて夢に見たWおっぱいを体験した私だったが、代償が寝不足では話にならん。仕事に支障が出たら事だ。あ そうだ!雪ちゃんか海未お母様にビンタして貰おう!(←寝不足で頭がおかしくなった)

 

 

 

 

「あぁ眠い・・・」大あくび

 

「長官大丈夫ですか?」

 

「大丈夫。でも雪ちゃん今日はニューヨークに出張だから鉄道に乗ったら寝させて。」

 

「わかりました。」

 

雪ちゃんとこんな会話をしながら真鯛と血鯛の下処理を淡々としていく。某通風予備軍の魚と銀色のヤツを愛するyoutuberさんリスペクトは伊達じゃない。

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ皆留守を頼むよ。」

 

「「「行ってらっしゃい!」」」

 

「お気を付けて。」

 

「雪穂、長官を頼むね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

列車に乗りニューヨークを目指す。4時間程で着けるだろう。

 

「長官。」

 

「どうしたの雪ちゃん?」

 

「長官が全幅の信頼を置く者以外の前でお休みにならないことは海未先輩からよく聞いております。私の前でお休みになるおつもりで?」

 

「何か問題があるのかね?」

 

「いえ。私の実務能力を信頼してくださったから補佐官に任用いただけたと認識しておりました。為人は信頼されてないと思っておりましたので。」

 

「雪ちゃんは海未お母様絵里ママパンさん犯罪鳥ニャーさん亜里沙ちゃんと共に僕の無茶振りに期待以上の戦果を以て応えてくれた。今はともかく4年前は陸海軍問わず日陰部署扱いされていた補給部隊を見事に指揮して見せた。その上海未お母様は同期を特に幼馴染のパンさんと犯罪鳥と同期ではないがよく知っている君を家族と見なしている。海未お母様は僕の“家族”。“家族”の家族は立派な僕の家族だ。信頼しない理由がない。」

 

「光栄です。」

 

「という訳で寝させてくれ雪ちゃん。年寄りに睡眠は必要不可欠なんだ・・・。」

 

 

 

 

雪穂side

 

「・・・。」

 

長官は不思議な方だ。なんと言えば良いか・・・普通のカリスマとは違う輝きを持つ私の上官であり、皇軍の最高位だ。鮮烈な輝きではなく、夜道を照らしてくれる月光のようなカリスマの持ち主。大抵の皇軍の将官が持つカリスマは鮮烈な輝きを以て皆を率いるタイプが多い。小泉先輩の母君 小泉大湊地方総監のような例外もごく稀にいらっしゃるが。しかし・・・

 

Zzzz~

 

可愛い。長官は“家族”と見なした者の前では無防備になる。この分だと長官は本当に私を信頼してくださっているようだ。しかし海未先輩からの相談を何とかしないと・・・

 

「なんで長官はここまで自己評価が低いのでしょうか・・・。」

 

以前よりかはましになったが、何とかこの並大抵ではない自己否定を改めていただかなければ・・・

 

「失礼。」

 

「?」

 

「どこも席が空いてなくて・・・相席させていただいてもよろしいですかな?」

 

「どうぞ。」

 

「私はアーレイ・アルベルタ・バークといいます。扶桑の方で?」

 

「はい。高坂雪穂といいます。ニューヨークに用がありまして。」

 

「高坂雪穂・・・貴女が扶桑海軍のエースパイロット“扶桑の猛禽〈フソウ・ラプター〉”?思ってたより若い子なのね君って。」

 

この人軍の人間か?

 

「改めて自己紹介。リベリオン合衆国海軍第23駆逐戦隊司令官、アーレイ・バーク大佐。よろしく高坂大尉。」敬礼

 

「扶桑皇国軍 統合幕僚本部 統合幕僚副長付補佐官 高坂雪穂大尉です。はじめましてバーク大佐。」答礼

 

「へえ。最近活躍話を聞かないから何があったかと思ってたのだけれど・・・扶桑の統合参謀本部勤務だったのね。大層な出世じゃない。」

 

「ありがとうございます。」

 

「で こちらの寝ている彼女は?」

 

「統合幕僚本部 監察官 フル・フロンタル中佐です。」

 

咄嗟に長官が身分を隠して動く際の偽名で長官を紹介する。長官だとこんなところでバレては事だ。

 

「この線に乗ってるってことはニューヨークで何かお仕事?」

 

「はい。最近になってリベリオンでも放送が始まった『数取団』の収録打ち合わせです。」

 

「数取団?私毎回見てるわ!私も上官のミッチャー中将や仲間と真似してゲームしてるんだけどミッチャー中将が扶桑語上手すぎて後ろの私が毎回『ブッ込まれる』の!そのせいで財布がスカスカになっちゃって・・・。」

 

うわ・・・それは・・・

 

「お疲れ様です・・・。」

 

「高坂大尉は『数取団』の関係者なんでしょ?何かしらコツを教えてくれると嬉しいわ。」

 

「そうですね・・・口外しないことを条件としますがよろしいですかバーク大佐?」

 

「もちろん。」

 

「コツというよりもう答えですが・・・どうぞ。9月から発売予定の数取団下敷きです。裏にお題と単位の答えが書いてあります。」

 

「貰って良いの?」

 

「はい。もう3枚ありますから。」

 

「ありがとう雪穂大尉。大切にするわ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そろそろ降りないと。じゃあありがとう雪穂大尉。リベリオンを楽しんで!」

 

「ありがとうございますバーク大佐。大佐も大陸戦争が終わったら是非扶桑にいらして下さい。歓迎します。」

 

「ありがとう!じゃあね!」

 

「さようならバーク大佐!またお会いしましょう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「長官、起きて下さい。そろそろニューヨークです。」

 

「んぅ?もう着いたの?早いね。ありがとう雪ちゃん。で僕が寝てる間に誰か来ていたようだけど。」

 

寝る前より少しヤニ臭いからな。それに雪ちゃんはヤニカスじゃないしね。

 

「はい。リベリオン海軍のバーク大佐なる人物がいらっしゃいまして。」

 

「第23駆逐戦隊のアーレイ・バーク大佐?」

 

「はい。長官は彼女をご存知でしたか。」

 

「雪ちゃんと同じ後方支援のプロだよ。我が第七艦隊で言えば505に協力してるガディ・キンゼー少佐のようなポジションの人物だ。高速戦闘を得意とすることから『31ノット・バーク』なんて渾名がある位だよ。来ることがわかってたならサインをねだっていただろうね。彼女は将来リベリオン海軍作戦部長を本来の任期の1.5倍、6年務める、優秀な人材だ。どうだった雪ちゃん?彼女の為人は。」

 

「隙はありませんが気さくな人物のようでした。」

 

「そうか・・・。」

 

元ネタと違って真面目・実直な人物ではないようだな。それにルーズベルトのゲス野郎の反扶桑大衆操作は失敗してたようだな。ざまあ見やがれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやあ長旅だったね。腰が痛いよ。」

 

「・・・久しぶりだな。」

 

「ようコジマ。生きてたか。久しぶりだ。」手を差し出す

 

「・・・」握手

 

「雪ちゃん、紹介しよう。我が第七艦隊の主席法務官に就任する児島舜平大佐だ。」

 

 

 

To be continued・・・

 

 

 

 

 

 

 




補足解説

コジマ(偽)

『08MS小隊』から登場。和名:児島舜平。転生者。前世でのメラン(偽)の双子の兄であり早稲田大学法学部卒の弁護士であった。前世ではクルーゼのことを顧問弁護士として支えた。この世界に来てからは東京皇国大学(東京大学)法学部を5歳で尚且つ首席で卒業という快挙を遂げた。ついでとばかりに司法試験に合格、この男女逆転ストパン世界でも弁護士になった。海軍兵学校を70期で卒業、旧軍令部や旧海軍省で法務官としてのキャリアを積み、そして遂にクルーゼ率いる第七艦隊に主席法務官(大佐)として異動してきたのである。


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ニューヨークにて

解説


デュエイン・ハルバートン(偽)
扶桑皇国海軍大佐。ジャブローの艦艇製造工場最高責任者。転生者であり、クルーゼの前世での大学同期。一緒によくFPS、ゾンビゲーやバトオペ2をやっていた。ガリバルディαを乗機としている。洋画が大好きで『スーパーナチュラル』や『スターウォーズ』は彼の大好物。



西木野美姫
扶桑皇国海軍中将。第八艦隊が正式にナンバーズ・フリート入りし、舞鶴から第2代 第八艦隊司令官に異動してきた。先代司令官のメラン大佐と娘の西木野真姫少佐がとても仲が良いのを知っているが故に2人の間に遠からず生まれるであろう孫の誕生を心待ちにしている。




EMS-10 ヅダ

彼のツィマッド社が開発した名機(迷機?)を基に開発された機体。量産を前提に造られたが、その推進力はそこら辺のガンダムタイプなど遠く及ばない程のスペックを持つ。試験的に宮藤芳佳少佐の幕僚に支給された。尚、作った本人はヅダの扱いづらさからその幕僚に「これを十全に生かし戦うことができるようになれば君は新人中尉から卒業、芳佳の幕僚としても第七艦隊の一員としても自慢するに足る実力を持つに至れよう。」と語ったという。兵装はジェガン系+シュツルムファウスト+シールド付打撃用ピック。






X FUSO

クルーゼ率いる複合ユニットであり、芸能事務所の名前でもある。名前の由来は勿論 X JAPAN。以下のユニットが所属している。


クルーゼ、ジャミトフ、コリニー、メラン、ブライト、シナプス、コジマ、高坂雪穂(プロデューサー)で構成されるバンドユニット 『Queen』

クルーゼとリトヴャク夫妻で構成されるバラード専門ユニット 『X FUSO MOSCOW』

園田海未、絢瀬絵里、西木野真姫で(クルーゼの命令で強制的に)構成されるユニット 『Cool's(クールス)』









扶桑Kプロジェクト
通称“Kプロ”。クルーゼ・小泉花陽のレーシングチーム。AE86型スプレンタートレノ(頭文字Dカラー。小泉花陽専用)、マツダRX-7(パールホワイト。クルーゼ専用)を有している。





ロッテ戦術
メルダース大佐が考案した2機一組、相互支援の基本空戦術。当然各国の空軍も真似している。特に1944年10月以降の扶桑皇国陸海軍航空隊は航空自衛隊同様に徹底している。しかし、あまりに強く僚機が要らないメビウス中隊メンバー(クルーゼ、ララサーバル、醇子、ヨハンナ、芳佳、ひかり)だけは単独行動特権が与えられている。




「よし、皆ご苦労さん。今日から我々はカリスマロックバンド『Queen』として収録のみならずライブもやっていく。ライブの仕事は月一だが、リベリオンの歌謡番組やドームとかで歌って貰う。それは以前から言っといたことだ。問題は我々のスケジュールを調整したり仕事を取ってきて貰う“プロデューサー”がいなかったことだが・・・雪ちゃんに任せることにしたからよろ。」

 

「雪穂君が可哀想だ。こんなむさいおっさん集団に放り込まれてしばらく過ごすのか。」

 

「大丈夫ですコリニー大佐。マネージメント研修の一環で自分から長官に志願しましたので。」

 

「やりますねぇ(淫夢)。雪穂君ワーカホリックスギィ!」

 

「こんなところで淫夢を出すな汚い。」

 

「前世で野獣先輩のインタビューを500回以上再生して淫夢語録をマスターした奴の台詞じゃねえな。」

 

「蒸し返すな!」

 

「野獣先輩のチ〇コは何センチ?」

 

「13センチ。」

 

「出典元は?」

 

「変態面接官 SUPER S 17・・・ってやめろや!こちとらネタで淫夢を学んだだけなんだからな!ホモじゃねえ!」

 

「本当かぁ?(笑)」

 

「やかましいぞコリニー!我らに淫夢を広げた元凶が何を抜かすか!」

 

「おっ そうだな(適当)。」

 

「駄目だこりゃ。」

 

「ぬわああああん疲れたもおおおおおん!」

 

「コリニーさん、夜中腹減んないすか?」

 

「腹へったなぁ。」

 

「ですよねぇ?」

 

「う~ん。」

 

「この辺に美味いラーメン屋の屋台来てるらしいっすよ。」

 

「あっ そうか。」

 

「行きませんか?」

 

「行きてえなぁ。」

 

「行きましょうよ。」

 

「じゃけん夜行きましょうね~。」

 

「おっ、そうだな。」

 

「この世界にラーメンは無いぞ淫夢厨共。」

 

「そこは便乗しろよシナプス。」

 

「悪いが俺は淫夢厨ではないからな。それよりお前ジャミトフに渡すものがあったんじゃないのか?」

 

「あぁそうだった・・・兄弟、約束の品だ。」アタッシュケースを渡す

 

「ありがとう兄貴。」

 

私に礼を言いながら兄弟はアタッシュケースを開けた。アタッシュケースの中には兄弟から以前依頼されていたワルサーP38のシルバーメタリックモデルを入れてある。確かに兄弟は私同様魔法力を使うことができるので我が第七艦隊の制式拳銃である九九式ことデザートイーグルでも良かったのだが本人が嫌がった以上私としても強制はできなかったので 妥協的措置としてワルサーP38を充てがった。兄弟はルパン三世が大好きだった。しかもマニアックなことにシルバーメタリックモデルのワルサーP 38を希望したのでカールスラント軍から設計図を取り寄せルナ・チタニウム合金で製造したルパン三世仕様のシルバーを兄弟に与えることにしたのである。私も前世で「ルパン三世 ワルサーP38」はよく見ていたしな。

 

「ううん、しっくり来るな。やはりワルサーだ。」

 

「ちゃんとクリーニングしろよ。いざという時にジャムられたらかなわん。」

 

「わかっている。」アタッシュケースに仕舞う

 

「でだ兄弟、前言った通りワルサーの代金代わりに一緒に仕事をして貰う。」

 

「それは承知しているが、何をすりゃいいんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボストン 某所

 

「ってなんで相手が堅気じゃないとはいえ強盗の手伝いなんだよ?」

 

「アンジェラに預金管理されてるから自由に使える金が無いんだ!しょうがないだろう?」

 

「だからって盗むのかよ?」

 

「安心しろ、今回のターゲットはギャングだ。表沙汰にできん金だから足はつかんし警察には内紛として処理するよう命じた。」

 

「扶桑本国の警察のみならすリベリオンの警察も支配下に置いてたのか。手が早いな。」

 

「まあそれは一旦置いといてだ。今回はお前が狙撃で邪魔を排除しろ。私は潜入して金をいただく。」

 

前世での時価で考えれば十億もの年収が私個人に入ってくるのだが正直第七艦隊への支出とその口座自体がアンジェラに管理されているというのもあって私の一存で好きにできる金はそこまで多くはない。そこでこういう薄暗い仕事をして私の手元で動かせる金を増やす。その一環として今回の仕事があるのだ。

 

「前世での我々の二世代前の時代に活躍していた暴力団のような連中だったらまだ良かったんだが、今回の我々のターゲットはとんでもないクズだった。だからいくらブチ殺しても構わんだろうさ。まあ私としてはお前に殺しをして欲しくは無い。足なり腕なり撃って無力化すれば良い。奴等の被害者達にも補償をつけるようホワイトハウスに根回しもしておいたから、気兼ね無く暴れられるぞ。」

 

「了解した。銃は何を使えば良い?」

 

「このビーム・スプレーガンを最低出力で使え。これなら銃声が聞こえない上弾道も見えないから打ってつけだ。」ビーム・スプレーガンを渡す

 

「ビーム・スプレーガンとは名ばかり。実質スターウ〇ーズのDC-15Sブラスターライフルだなこりゃ。」受け取る

 

「ついでに追跡手段も破壊しろ。」

 

「了解した。事前にタイヤをパンクさせておこう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「逃げるぞ兄弟!」

 

「ったく弟使いが荒い!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高速道路で帰宅中

 

「「ハッハッハッ!」」

 

「ナンバー不揃いで50億あるぞ!札ビラのシャワーだ!それぇ!」

 

「うわー熱い熱い熱い!熱い!もっと埋めてちょうだいよ~!」

 

「「アッハッハッハッハ!」」

 

 

やってることはヤバいが、前世での“家族”みんなで馬鹿やってた頃のノリそのものだ。カラオケでコリニーのアイスにチューブニンニク混ぜたりドリンク全部混ぜしてコジマの舌をおかしくしたり、旅行先で枕投げしまくってシナプスの奥さんに怒られたり、メランとゲーセンのマリカーで大騒ぎしたり・・・あの頃に戻れた気分になれる。

 

 

「んじゃ兄弟、早速いただいたお金でステーキでも食って帰ろう。」

 

「朝っぱらからステーキかよ。」

 

「前世より胃が強化されてるんだ、大丈夫だろう?」

 

「まあな。」

 

「10ポンドステーキ頼んでワインでも飲みながら帰ろうや。」

 

「あぁ。」

 

 

たまにはこんな日があっても良いだろう。

僕には“家族“がいる。”仲間“がいる。信頼できる部下もいる。

僕は今彼ら彼女らと幸せに暮らしている。そうだったんだ。僕は皆の為に戦いたかった訳ではなかったんだ。皆と幸せに暮らしたかったんだ。いっぺん死んで気づくとは・・・些か遠回りだったが、これから一年、それを取り返していこう。



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