男なのに… (ハエ缶)
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プロローグ


群雲 燕
適性検査の際に叢雲の適性が出てしまう。その結果強制的に横須賀の鎮守府に連れてこられた。
中性的な顔立ちをしてるせいか女子とも間違われることが良くある。


群雲(むらくも)(つばめ)

誕生日は8月1日。A型。─────────」

 

たんたんと俺の個人情報が、知らないおっさんにより読み上げられていく。

読み上げはまだ続いているようなので、内装を眺めてはいるが、何の説明も無しに学校(元いた場所)から連れてこられたこともあり脳内での処理が追い付いていない。

 

幼少期から妖精という存在を見ることが出来ていた為に、自分は将来海軍の司令官になるんだと思っていた。

蓋を開けてみれば艦娘になるらしい。

男なのに。男なのに(大切なので二度言いました。)。

 

「───と言うことで、君には“特型駆逐艦、5番艦の叢雲”の適性が認められ、これより当基地に籍を置いて貰う。」

 

ああ、本当に適性がでたのか…男なのに。

 

言うことを言いました。と言わんばかりに先ほどのおっさんは退出していき、それと入れ違いで眼鏡をかけた黒髪ロングヘアの女性から制服に着替え、司令室に来るよう言われ制服を渡すとそそくさと退出していった。

 

室内には俺と明らかに女性用の制服と思われる服だけが残されたままだった

 

 

このワンピース風の制服の着方は分かる。下着やタイツも分かりたく無いが姉や妹の影響で分かる。

が、この頭にセットするであろう装備はわからない!

な、なんだこれは…カチューシャでもなくヘッドギアでも無い。

取り敢えず、服だけでも着替えることにした

 

 

なぜサイズが丁度良いのかについては深く考えることはやめた。

着替えが終われば、司令室に来るよう言われたが如何せん初めて来た施設だ。何処に何があるのかすら分からない状況なのに、一人で司令室に来いと言うのは些か無理があるだろう…

 

 

着替えも終わったので、まずはこの部屋から出ようと思い、ドアを開け部屋から出る。

でた先に広がる景色は廊下。窓の奥には何処までも広がる青い海があった。

 

「綺麗…」

 

「ああ、そうだな」

 

俺の独り言に反応したのは軍服を纏い、軍帽を深くかぶり目元から鼻先までを隠し、とても重いプレッシャーを放つ一人の男性だった。

 

「誰だ、あんた」

 

「ほう。口が悪いなお前は…

上官に対する、態度や言葉遣いがなっていない。

全く……興奮するじゃないか!やはり君を初期艦に選んでよかったよ!叢雲!」

 

あ、この男性(変態)が俺の指揮官であり上司ということか…

 

「そういえば、まだ名乗っていなかったな。

私の名前は季藤(きどう)浩司(こうじ)だ。

これからは気軽に、幼馴染みで家が隣同士で、普段はツンっ気が強く殴られ蹴られは日常茶飯事。しかし幽霊が苦手で本怖を見た日には一人でお風呂に入ることも寝ることも出来ずに最終的に俺を頼ってくるという可愛さを持ち合わせたような家庭的で優しく子供好きという面を持ち合わせた活発的な幼馴染みポジションで話しかけてきてくれて構わないぞ!」

 

 

「もう長すぎて“そういえば”のところしか聞いていませんでした。」

 

 



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デイリー任務 その1

日本海軍っていうのにちょこちょこっと出てくる横文字にグローバル化を感じる毎日。


「それでは叢雲くん、君一人じゃ心細かろうし工廠にて新たな娘を建造しようじゃないか!」

 

「本音は?」

 

「これでもか!ってほどのハーレムを築くのが私の夢なのだよ」

 

「クズ!この提督クズ過ぎる!」

 

 

───────────────

 

from 工廠

 

「ここに大将殿に戴いた資材が各300ありまーす」

 

「見れば判りますし、誰に説明しているんですか」

 

工廠の中には良く分からない液体の詰まったガラスの水槽が2ケースあり、サイズは丁度人が一人分不自由ないサイズ。

 

『今回の提督さんも任務を請けずに来てるみたい!』

『残念な人だねー!』

『勿体ない人だねー!』

 

「!?」

 

「どうかしたのか?叢雲くん」

 

「さっきから任務がどうとか声が聞こえたのですが…」

 

「声…かい?」

 

「いえ、気のせいかと…」

 

提督はそう、とだけ返し資材量をウキウキしながら考え出した。

 

先ほどの声は提督には聞こえていないのか、それとも幻聴か

 

『幻聴じゃないですー!』

『叢雲の癖に聞こえてるのですかー!』

『生意気ですー!』

 

「…!」

 

今度はハッキリ聞こえた、幼少期に聞いた声だ

まさか妖精?

声に出さずにでも意思疏通が出来るということは心が読まれているということ?

 

『妖精“さん”ですー!』

『叢雲の癖にー!』

『“さん”が重要ですー!』

 

2番目の奴はそろそろ握り潰してもいいんじゃないかな?

 

『キャー!』

 

はあ、それより任務って何なの?

 

『任務屋さんから請けれるものでー!』

『達成すると報酬が貰えてー!』

『裏ボスポジションは任務屋さんだったー!?』

『きゃー!』

 

楽しそうで何よりだよ

さっき言ってた通りなら、提督は任務を請けてないのかも知れない

 

「提督、失礼ながら一つ質問が」

 

「許可する」

 

「建造に関する任務は請けておられますか?」

 

「…」

『…』

「…」

 

辺りが静寂に見舞われる

 

「忘れてたわ」

 

この提督は大丈夫なのか?

 

「ちょっと任務屋さんのとこに行ってくるから、叢雲はここで待機しておいてくれ」

 

「了解」

 

提督は俺に背を向け駆け足で出ていった

 

『提督行っちゃった!』

『資材バラバラ入れようとしてるよー!』

『こんなんじゃ資材に無駄に消費されちゃうー!』

 

資材って適当入れるものじゃないのか?

 

『違いますー!』

『これだから叢雲はー!』

『料理もちゃんとレシピ通りに作らないと美味しく無いのと同じですー!』

 

艦娘を料理で例えられてもだな…

 

『叢雲にはレシピを教えてあげますー!』

『全く叢雲ったらー!』

『特別ですよー!』

 

後で提督にも教えておきますか

怪しまれないように言わなきゃならないな

 

 



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デイリー任務 その2


作者は未だに任務を忘れて建造を繰り返してます


「待たせたな(イケボ)」

 

「そんなに待ってないですし、対してイケボじゃないです。

例えるなら発情期に入ったジャイアンです。」

 

「どういう声!?その例えで伝わる人がどれだけいるんだよ!?」

 

「建造に使用される資材の量は決まりましたか?」

 

「何事も無かったかのようにリスタート!?」

 

何時までも1つのボケに固執する程、暇じゃないってことだよ提督

 

「コホン」

 

「それって声に出さなきゃダメなんですか?」

 

「叢雲くん、ちょっと黙ってようか!?」

 

からかいがいがある人だな

 

「叢雲くんには建造の待ち時間を利用して、鎮守府の近海に出撃して貰いたいから最低限のAll 30で建造してみようと思うよ」

 

そんなの聞いてないぞ!単艦で出撃だと!?

練度は最低値、戦闘経験は皆無だぞ!辛うじて海面移動が出来るようになった位だというのに!

 

「ちょ!提督!?

って、もういないし!」

 

『提督は建造中だよー!』

『叢雲程度じゃ大ピンチー!』

『入渠の準備しなきゃー!』

 

2番目は今度どさくさ紛れで踏み潰そう。

 

「よし、無事建造も出来たしさっそく出撃して貰おうか!」

 

やるしかないな

 

場所が変わって出撃ハッチ

 

「詳しいことは戦場での叢雲の判断に任す!

私としての命令は1つ

絶対に帰ってこい!」

 

「了解…!出撃するわ!」

 

────────────────

 

とか、格好良く出撃決めたけど…ま。何とかなりますか

 

 

『むむむ!北東方向に艦影がみえます!』

 

!?

ここまで来て、なぜ妖精さんがいるのかについてはスルーしよう。

 

「敵の数は?」

 

『偵察艦のようでー全て駆逐艦ーイ級、ロ級、ハ級の3艦ですー!』

 

「俺の初陣としては悪くないわ。」

 

背中を冷たいものが伝うのを意識しないよう、虚勢ともとれる言葉を口にする。

 

「そのまま素通りさせる訳にいくかよ!」

 

急いで敵艦の進路上へ先回りする。

そこにいたのは報告通り、3艦の駆逐艦。

 

「ふぅー…、沈みなさい!」

 

俺の掛け声を合図に初陣となる戦闘が始まった。

 

囲まれる前に動くっ!12,7cm連装砲を牽制の為撃ちまくる!

 

敵が散り始めたら狙いを定めて肉薄する

 

「邪魔だっ!」

 

ドンっ!

 

激しい爆発音と衝撃で倒れそうになるが堪える。

よし、先ずは1匹!

 

ボンッ!

被弾したのは俺だ

左肩が無くなったかと思うほどの衝撃を受け、海面を2,3回跳ねた

 

「きゃあ!」

油断した…左肩から下を動かすことも出来ない上に、挟撃の形をとられた

なにより悲鳴が女子そのものじゃないか!

 

『油断し過ぎですー!』

 

知ってる。自覚したよ

 

『丁度いいのでチュートリアルの為にも叢雲は負けるがいいですー!』

 

…は?丁度いい?チュートリアルのため?

ふざけるなふざけるな、ふざけるな!

 

「ここからが、“私”の本番なのよ!」

 

身体の中に何かが入ってくる感覚がした───

 

「私の前を遮る愚か者め。沈めっ!」

 

 



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デイリー任務 その3

お盆前と言うことで仕事が一気に忙しくなり
お盆に入っても忙しかったと言うことで更新が遅くなっております
申し訳ありません
このお盆休みで描き溜めが出来ればと考えながら頑張っていきたいと思いますので、まだまだこれからもよろしくお願いしませう



 

「確かに、命令は守りはしたけど結果が完全大破って…

いったい全体、何をどうすればそうなるんだ?」

 

 

あれからのことと言えば、残りの2隻を沈めることには成功し完全勝利をもぎ取ることが出来た。

それでも代償は大きく、完全大破で満身創痍の状態で帰港することが出来た。

 

「提督のデイリー任務消化にも一役買えたでしょ?

それに、先の戦闘での収集品もあるから後で確認しといてね」

 

「…はぁ

軽口を叩けるなら、良しとするよ

建造の方もそろそろ終わるらしいから、叢雲くんの入渠が終わり次第、工廠に誰が建造されたか見に行こうか

その時に収集品の確認もするとしようか」

 

「了解しました。

では、先に入渠の方を済ましてきます」

 

本来、入渠には傷の深さに応じて時間が変わる。さらに練度が高ければ高い程時間が掛かるらしい

俺の場合は練度が全然上がっていないこともあってか、短い時間で良いらしい。それでも数十分はかかるとの事だが

 

入渠中は先程の提督に関して思い出していた

すこし悲しそうな、何処と無く寂しそうな表情()をしながらも(それ)を隠すかのように軍帽を深く被り直す提督を思い出しながら

無断 で バケツ を 被った。

 

入渠を済ませたその足で、提督の待つ工廠へ向かった

 

「お待たせしました」

 

「ん、意外と早かったね

練度が低かった分、入渠時間も短かったのかな」

 

いいえ、バケツを被ったからです。

 

「それより、建造に関しては何も聞いていなかったのですが、どうだったのでしょうか?」

 

「おぉ、そうだったそうだった!

建造時間は何と 1時間!軽巡がほぼ確定なのだ!」

 

軽巡か~軽巡が建造できたってことは、これからの出撃は大分楽になるんだろうな…ん?

そういえば、提督はどうして時間や建造できた艦種まで判ったんだ?

 

「どうして判るんですか?」

 

「…ギクッ」

 

その効果音を自分の口から言う人は初めて見たよ

 

「そ、それより早く迎えに行こうじゃないか!」

 

何かはぐらかされたような気もするけど、今は提督のように新しい艦娘の方が気になるから深くは追求しないでことにしよう

 

 

「さーて!

Open the Sesami !!」

 

無駄に英語の発音が良いのも癪に障るが、ここはスルーしようか

 

 

「長良型軽巡四番艦の「由良」です。

どうぞ、よろしくお願いいたしますっ!」

 

そこに居たのは、本当に軽巡。それも長良型の四番艦 由良だった

 

「私は、吹雪型 5番艦 駆逐艦の叢雲よ

せいぜい頑張りなさい」

 

「さ、お互い自己紹介も済んだようだし続いては収集品の方に行きますか!

と言っても、さっき任務屋さんに聞いたら収集品の大部分は艤装らしく、まだ配属されていない娘の分だった場合は建造の要領でいけば艦娘が建造されるらしいな。

この場合は資材を使用しないらしい」

 

ほー、ということは由良の他にもう1人増えるかもしれないってわけね

 

「楽しみだね、ね?」

 

「そうね、戦力が増えるってことは良いことなんだし」

 

『叢雲じゃ戦力的にも足りないからねー!』

 

超絶久し振りに出てきたけど、こいつの存在は無駄でしかない気がする

 

「それじゃ、いっきまーす!」

 

「長月だ、駆逐艦とて侮りゅなよ。」

 

一同「…」

 

『あなどりゅなよー!』

『りゅりゅりゅー!』

『あーなーどーりゅーなよー!』

 

妖精さんたちはお願いだから黙るんだ。

 

「わ、忘れてくれないか?」

 

「多分無理ね」

 

「ごめんね、ね?」

 

「そういうサービスは行っておりません。

またのご来場心待ちにしております。」

 

「酸素魚雷の力、思いしれぇぇぇええええええ!!!!」



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再戦

友人とSkypeしながらポケ○ンバトルをやってる時の話

友「サーナイト(♀)にドレインキッスをさせて好きでもない相手とキスしてる姿に興奮するよな
なんか、こう……NTRれているような感覚?」

こ、こいつに何があったのだろうか

私「急にどうしたんだ」

友「私の嫁は…マタドガスにNTRれているのか…」

私←爆発厨

私の友人は色々と手遅れのようです



 

「長月だ。駆逐艦と侮るなよ。役に立つはずだ。」

 

「おぉ、やっと言えたわね」

「よかったね、ねー♪」

「よーし!偉いぞー長月!僅か3回で言えたぞー!」

 

提督はペット撫でるかのような手付きで、長月を撫で回した。

 

「くっそぉ、止めるんだ提督!」

 

ガシッ

 

「提督さん、嫌がってるよね、ね?」

 

「ウィッス」

 

目にも止まらぬ速さで長月を撫でていた手を握られた提督。

多分、提督には何が起きたか分かっていないだろうね

あの速さ…俺じゃなきゃ見逃してるね

 

「そ、それでは人数も増えた事だしリベンジマッチと行こうじゃないか!

旗艦は引き続き叢雲くん」

 

「了解」

 

「作戦は1つ、生きて帰ってこい!」

 

───────────────────────

「皆、準備はいいな!」

「さあ、由良のいいとこ、見せちゃおうかな?」

「ふふっ。いよいよ戦場ね。」

 

前回のようになってたまるか!

全部まとめて沈めてやる!

 

「第一艦隊、出撃するわ!」

 

───────────────────────

 

「8時の方向、敵影を確認した。

確認した感じで言うなら偵察艦隊だと思われる。」

 

「了解、敵に気づかれる前に奇襲を仕掛けるわよ」

 

「「了解」」

 

───────────────────────

 

「敵艦、視認。

駆逐イ級、ロ級、ハ級の3隻」

 

「それじゃ…砲雷撃戦、始めます!」

 

「沈みなさい!」

 

「長月、突撃する!」

 

駆逐イ級 大破

駆逐ロ級 中破

駆逐ハ級 小破

 

「流石に即死は無理ね…

さーて!敵も此方に気付いたし、仕切り直しよ!

陣形は単縦陣!敵が撃ってくる前に沈めてやるわ!」

 

「りょー…かいっ!」

「長月、了解した」

 

単縦陣:基本の陣形、砲雷撃戦に適している。

砲撃戦火力が最も高く雷撃命中にも優れてる陣形。

 

───────────────────────

叢雲 小破

由良

長月 小破

 

駆逐イ級 撃沈

駆逐ロ級 撃沈

駆逐ハ級 撃沈

 

 

「戦闘終了…長月、周囲に敵影は?」

 

「あぁ、大丈夫だ。周囲には反応はない。」

 

「なら、少し休憩の後に鎮守府の周囲を巡回して帰投しましょう」

 

 

───────────────────────

「第一艦隊帰投しました」

 

「ん、ご苦労だった。

それにしても流石は軽巡洋艦。被弾こそはしても、小破にすらならないとはな

聞けば長月も初戦闘で、小破したとは言え無事帰投し敵艦をも沈めてくるとは流石だな。駆逐艦と侮“りゅ”ものじゃないな」

 

「司令官、司令官とて私を小バカにするのは許さんぞ。

3回目は無いからな。」

 

何故この提督は、素直に褒めることが出来ないのだろうか…

それにしても長月のあの目は本気だったな

 

「では、各自入渠を済ませたら自由にしてくれて良い。

叢雲くんだけ少し残ってくれ」

 

「了解しました」

 

俺だけ司令室に残され、他の2人はそそくさと退室していった。

2人の足音が聞こえなくなると提督が(おもむろ)に口を開いた。

 

「どうして、どうして…君は……男なんだ?」

 

時が止まる感覚と背中に冷たいものが流れた感じがした…

 



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核心

「な、何を仰られてるのか判りません、提督」

 

この人は気付いているのか?

もし、気付いているとするならばだ、この人はハーレムを築く為に提督になったと言っていた筈だ。

 

…!

提督(こいつ)は男もイケる口と言うことか!?

落ち着くんだ燕。そういう問題じゃないだろ

 

まだ、気付いたと決まっている訳じゃないんだ。

 

 

「ふむ、では叢雲くん改め 群雲 燕くんと呼んだ方が良いかな?」

 

気付いてる。この提督(男色趣味)は気付いてる。

 

「…気付いてるのですね、何時からですか?」

 

「最初から?

ずっとムラクモ“くん”って呼んでたろ?」

 

…そういえば、俺にだけ最初から“くん”付けだったな

ということは、やっぱり提督はホモだったのか…

 

「それで、どうなさるのですか?」

 

「別に?

今まで通りでも良いし、2人きりの時は口調も戻して群雲くんの時みたいに話してくれて構わない

それに、一緒に何かを成すのはこれが初めてじゃないからね」

 

初めてじゃない?

それは、前に一緒に行動してた時があると言う訳か。

 

 

「それより、1つ聞きたいことがあるんだ」

 

「何でもどうぞ」

 

「提督はホモなのか?」

 

「ブフッ!もっと他になかったのかい!?

初めてじゃないのはどういうことかとか!僕の名前とか!まだ名乗ってなかったでしょ?!」

 

勢いよく噎せた後だと言うのに、良くそんなに突っ込みを入れる事が出来るもんだ

 

「俺が男だと判ってる状態で俺を雇い、その上ハーレムを築くために軍に入ったと言ってたじゃねぇか」

 

「勘違いしないでくださいよ!?

先輩を雇ったのは行く宛のなかった先輩を思ってのことであって、男色に目覚めたと言うわけじゃありません!」

 

「先輩…?」

と言うことは、軍の学校かそれ以前の後輩ということか?

口調も変わってると言うことはこっちが素か

 

 

提督はしまったという顔を作り、軽く咳払いをした後元の顔に戻った

 

「話は終わりです。

叢雲も入渠し、その後休憩に入りなさい。」

 

「了解しました。

そういえば、秘書艦は誰が務めるのでしょうか?」

 

「……入渠の後戻ってきて貰えませんか?」

 

「ふふっ、美味しい緑茶とお茶請けを用意しておくなら、考えるよ」

 

状態は小破。入渠自体にはそんなに時間はかからないだろうし、ついでに補給と収集品の方も済ませよう。

 

収集品の方は妖精さんに頼めば良いし、妖精さんも嫌々ながらもしっかりこなしてくれるしね

 

『呼びましたかー!』

『叢雲の癖に呼びつけるとは良い度胸ですー!』

 

「はい、これ。収集品だから私が入渠から戻るまでに、建造しておいてね。よろしく~」

 

まだ後ろの方では、妖精さん達がブツブツ言ってるようだが最後まで構っていたら入渠が終わるのが遅くなってしまう、ここ数回からは最後まで構わないことにしている

 

「んじゃま、せいぜい頑張ってね」

 

 



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提督業務 その1

台風が大量発生したせいか、頭痛がするなーって思ってたら夏風邪でした
皆様もお気をつけくださいまし


長くなりそうだった為、ここも分けます


『むーらーくーもー!』

『どーこーだー!』

 

妖精さんが呼んでるな…

 

「残り入渠時間は…っと、終わってたわ…」

 

どれだけ傷を負っても、入渠さえすれば完治するんだから便利な身体になったもんだわ

入渠施設が凄いのか、艤装のおかげなのか

不思議な身体になったもんだわ

 

『むーらーくーもー!!』

『返事くらいしたらどーだー!!』

 

妖精さんの呼び掛けがキツくなってきたし、反応を返すべきか?

入渠位ゆっくりしたいものだ

 

「にゅーきょちゅー!!」

 

『まだ入ってたとはよっぽど回避が下手のようですねー!』

『軍学校からやり直すべきですー!』

 

余計なお世話なのだよ

それに提督過程だったから、艦娘(そういうこと)に関しては卒業前の1月程度しかカリキュラムに組み込まれて無かったんだよ

 

「はいはい、それで収集品はどうだった?」

 

『知りたくば出てくるべきですー!』

 

「今いきますよっと」

 

ガララ

 

開けようとしていた扉が開き、

 

「ん、叢雲じゃないか

さっきから大声で話していたのは、君だったのか

誰かと話している様に聞こえていたのだが…見たところ1人のようだな、誰と話していたんだ?」

 

「あ、あー」

 

やばい。妖精さんと話していたとか言ったら、確実に変な人扱いされてしまう!

本来艦娘は、妖精さんを見ることが出来ても意志疎通は出来ないらしい。提督ですら声を聞くことは出来ない人がほとんどらしい、現にうちの提督も、見れるが会話は出来ないレベルだ。

 

「なんだ?別に言えない事なら詳しくは聞かないさ。見たところ提督や由良にも言えない事のようだ、心配するな

この長月、秘密と約束は守る。話せるようになったら話してくれたらいい。

では、失礼する。先ほどの指揮は良かった、お疲れさま」

 

そう言い長月は扉を閉めて出ていった。

 

「あいつは、あの状況にも関わらず良く普通に出来てたな…」

 

俺←全裸

 

け、決して息子(トム)が小さくて気付かれなかったとか、そんなんじゃないんだからね!

 

────────────────────

 

『遅い!』

 

妖精さんの喋り口調から“ー”が消える位に、待たせていたらしく妖精さんの目にはハイライト

 

「ごめんごめん、提督の夕飯のオカズ1品あげるから勘弁してくれ」

 

提督非公認だけどな

軍学校時代の後輩なら別に構わんでしょう、多分。

 

『それなら、勘弁しますー!』

 

ちょろいな

 

「それで、収集品の方はどうだったの?」

 

『あーそれならー!』

 

「川内、参上。夜戦なら任せておいて!」

 

『ここにいるですー!』

 

川内型軽巡洋艦の一番艦(ネームシップ)川内ね…

軍学校でも必ず問題()として紹介される…睡眠妨害艦(アンチスリーピーモンスター)。はい、そこ~そのままじゃんとか言わなーい

 

「叢雲よ、これから提督のとこに行くから、貴女も一緒に来なさい。挨拶もまだでしょ?」

 

「そうだねぇ、ついでに夜戦のお願いでもしようかな!」

 

夜戦(それ)はまた今度にしなさい」

 

提督のことだ、仕事も終わりきって無いだろう。

その状態で夜戦などしていたら、仕事が追い付かなくなってしまう。

 

「ま、夜はまだ長いからね。」

 

意味は判らないが、まだ諦めていないんだろう…

 

「取り敢えず、提督のところに行きましょうか。

……?」

 

「了解。どうかしたの?」

 

「いや…大丈夫よ」

 

妖精さんどこに行ったんだろう…また、服とかに入ってなきゃ良いけど

 

─────────────────────

コンコンコン

 

「なんだ」

 

「提督。叢雲、入ります。」

 

「あぁ…?1人じゃないのかね」

 

書類から顔をあげこちらを見てくる。見た感じ書類が減っておらず、今さっき始めたと言われても納得できそうだ。

 

「えぇ、先ほどの出撃で収集し、建造に成功した…」

 

ここまでい言い、後は川内に喋らせる。

 

「川内型軽巡洋艦、一番艦の川内、参上!

これより提督の指揮下に入ります!夜戦するときは絶対呼んでね?」

 

「川内か、夜戦の時は声をかけるからその時まで静かに、静かに英気を養っていてくれ。

この鎮守府の案内を長月に頼むから、これを持って長月の所まで行ってくれ」

 

2回言ったな、2回。

提督は地図と封筒を川内に持たせ、川内は退室した。

 

「思ったより提督してるんだな」

 

「思ったよりは余計です。」

 

「それで、俺は何をやれば良いんだ?」

 

提督は軽口を返したあとは黙々と書類を片しているし、特にやることは無いんじゃないのかと思ってくる。

 

「先輩は本部への連絡と、任務の整理をお願いします。」

 

了解(ほーかい)

 

俺にと用意されていたであろう、麦茶を飲みながら羊羹を食べつつ返事をする

麦茶が麦酒(ビール)だった場合だったら、ただの嫌がらせでしかないな

 

俺の記憶じゃ無いにしろ、こうフラッシュバックするんなら艦娘になったことで何らかの影響があったって訳かね…

 

 

 



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提督業務 その2


提「今は何処の鎮守府も、艦娘や施設のVer UPで機能していないらしい。が、どうしてうちは動いているんだ?」

叢「はぁ…
例え話、提督が軍の上層部の人間だったとしよう。
艦娘や施設のVer UPには莫大な金と時間がかかっている、それをわざわざ、新任の鎮守府にも適応すると思うのかい?
それに、深海生物達もこれをチャンスだと言わんばかりに動いてくる可能性も捨てれない。
だったら、新任にこれを掃討させ、その間に艦娘や施設のVer UPをする。新任にも経験を積ませることができ、Ver UPも邪魔されることなく出来る。まさにwinーwinな関係ということだ。」

提「ということは、それを言い訳にこの小説は遅れを取り戻し、本家のメンテ後にも何事も無かったように参加するつもり何だな」

叢「発言を自重したまえよ…」



 

「んで、そこにある箱には何が入ってるんだ?」

 

見た感じじゃ人、1人が簡単に入りそうなサイズの箱が2つ。

このホモは、かの仏国の元帥のように拐ってきてるとかだったら洒落になってないぞ…

 

「先輩が思ってるようなことはしてませんからね!

これは、作戦本部からの任務達成報酬です!」

 

提督(こいつ)はすぐにムキになるから、からかい甲斐が無いというかだなー

 

「ふーん。なら、何で開けないんだ?」

 

「先輩が来たときに開けようかと思いまして、私はただの人間ですし何か罠だった場合は事じゃないですか」

 

笑いながら言ってるけど、それは俺を盾か武器かだとでも思ってんのかね?

 

「大体、提督過程の奴だったら一通りの護身術、戦闘術位は修得してるだろ」

 

「先輩ほど長けてませんでしたし、何より先輩と比べたら蟻と象ですよ」

 

「蟻と象じゃ比較にならんだろう、比較してるにはサイズかよ」

 

俺としちゃ、蟻が軍隊蟻や爆弾蟻じゃ無いことを祈るよ

 

「それじゃ、先輩も待ってるようですし“対面”といきますか!」

 

こいつのノリが分からんな…あとで妖精さんに頼んで嫌がらせでもして貰おう。

褒美は提督のオカズ1品でいいだろ

 

箱の蓋を開け提督が手を箱に入れて、起き上がらせる

 

「吹雪型 2番艦の白雪です。よろしくお願いします。」

 

「んで、こっちが~」

 

もう片方の箱にも、提督が同じようにして起こす

 

「同じく、吹雪型 4番艦の深雪だよ。よろしくな!」

 

「どちらも吹雪型ということは…」

 

「そうね、提督。私の姉になると言うことよ」

 

「と言うことは、また姉妹で揃って戦場に行けるってことか?」

 

姉妹といえど俺は男だから、姉弟になると思うんだけどな

それに…

 

「いえ、そうじゃないんです 司令官。

元々、吹雪ちゃんと私と深雪ちゃん、初雪ちゃんとで第十一駆逐隊。」

 

「それで、私はまだ艦娘としてに建造された事例の無い、東雲・薄雲・白雲とで第十二駆逐隊だったわ」

 

「それでも結局は色々あって叢雲ちゃんが第十一駆逐隊に来てくれたからそれからは一緒だったよね」

 

「私もまだまだ知らないことが多いって訳か、聞けば白雪のカレーが凄く美味しいと聞く。」

 

「ありがとうございます、司令官。

ここの鎮守府は、間宮さんや伊良湖さんも着任されていないと聞きます。宜しければ、私がカレーをご馳走しましょうか?」

 

「それは良い!楽しみにしておこう

材料費は支給するし、今日は出撃も無いので深雪と共に買い出しついでにゆっくりしてきたら良い」

 

「お心遣いありがとうございます

それでは、お言葉に甘えますね。深雪ちゃん行こっか」

 

提督から財布を受け取り、白雪姉さんと、深雪姉さんは退室した。

 

「提督、お茶。」

 

「普通お茶つぎ(こういうの)って秘書艦の仕事じゃないの?」

 

「今時その発言はセクハラやパワハラになるんだってよ」

 

「先輩は男なんだから、セクハラは違うでしょ…」

 

なんだかんだ言いながらもお茶を注いではくれる。

良い後輩を持ちました。

 

相変わらず麦茶だったけども

 

──────────────────────

それからは、2人とも黙々と書類を片していき日が暮れる前には終わらせることができた。

 

「先輩、今うちにいる艦娘ってどれくらいですか?」

 

「あ?え…と

駆逐艦が4隻、軽巡洋艦が2隻だな」

 

駆逐艦は俺と長月、白雪姉さんと深雪姉さん

軽巡洋艦は由良さんと川内。

 

「なら、明日からは第2艦隊に川内さんを旗艦で白雪、深雪

3艦で遠征任務に当たって貰い、残りのメンバーは今日のように海域攻略任務か、鎮守府近海の警備任をお願いしようかな」

 

「了解。作戦内容は明日の朝礼で皆に伝えてくれたら良いから、今日はもう終わりにしましょうか。

食堂には白雪姉さんがカレーを作ってくれてるでしょうし、初日くらい皆さんと食べるのも悪くないでしょうから食堂に行きましょうか」

 

「そうしようか、叢雲くん」

 

提督の返事を聞き、椅子から立ち天井に向かって声をかける

 

「そういうことだから、川内も今日は夜戦は無しにして食堂に行くわよ」

 

「ちぇー、叢雲ちゃんは鋭いな~」

 

観念したのか、何も無かったように天井から降りてきた。

 

「明日の事は聞いていた様だし、明日から忙しくなるわよ」

 

 



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緊急命令

メンテ後でもしばらくこのままです


この鎮守府に着任して、既に2週間が過ぎた

新たな仲間も加わったので以下ダイジェスト

 

「はじめまして、吹雪です。よろしくお願いいたします!」

 

「綾波型駆逐艦“漣”です、ご主人さま。

こう書いて“さざなみ”と読みます。」

 

「五月雨っていいます!

よろしくお願いします。護衛任務はお任せください!」

 

「あの……軽巡洋艦、神通です。

どうか、よろしくお願い致します……」

 

「特型駆逐艦“曙”よ。って、こっち見んな!

この糞提督!」

 

「霞よ。ガンガン行くわよ。ついてらっしゃい。」

 

「古鷹型重巡の2番艦、加古ってんだ。

よっろしくぅー!」

 

「ども、恐縮です、青葉ですぅ!

一言お願いします!」

 

以上、駆逐艦5隻、軽巡洋艦1隻、重巡洋艦2隻の合計8隻となった。

 

建造の方はといえど、提督の資材が勿体無いからという理由で初日以降1度も行っていない。

正直、南西諸島方面での任務に、水雷船隊ではキツくなってきた。早く戦艦か空母辺りを、建造してきて貰いたい…。

 

『ドミソソララソファミレド~♪』

 

鎮守府内のスピーカーから、司令室より呼び出し、作戦発表等が流れる合図だ。

これが流れるということは…非常事態、または緊急時だということ。

音のせいで緊張感も無くなってしまうものだな

 

『至急、叢雲は指令室へ来なさい。

他の者はすぐ出れるよう準備を整え、出撃ドックに集合待機せよ!』

 

この放送を聞き終えるより早く、俺は指令室へ駆け出した。

 

指令室を見つけ、ノックもせずに蹴破る勢いでドアを開け、中に入り敬礼する。

 

「叢雲、ここに。」

 

「ご苦労、時間が惜しい。まずは聞け」

 

提督の話はこうだった

先日奪還に成功した南西諸島近海に、深海悽艦たちが続々と集結しているらしい。

奴等の目的は恐らく南西諸島の奪還。さらには、敵団の中には空母ヲ級が確認されている。

この件で、作戦本部はこの鎮守府に南西諸島防衛任務を出したということらしい。

 

「1つ質問が」

 

「1つと言わずに、いくらでも答えてやろう」

 

「では、お言葉に甘えます。

他の鎮守府から援軍は期待できるのでしょうか」

 

援軍があるならそれだけで戦場が有利になる。また、援軍が無いのであれば…それはそれできついな

 

「ない。ここ命令は我らだけで行う。」

 

……マジカヨ。

 

「作戦開始日時は?」

 

「この話が終わり次第直ちにだ!」

 

「はぁ…りょーかい」

 

「叢雲、君はこれより他の艦娘たちに作戦概要を伝え、そのまま出撃してくれ。

私は私ですることが残ってるんでな」

 

「了解。

…補給用や入渠用の資材は残しときなよ?」

 

「もちろんだとも

では、先に失礼する。」

 

最低でも5日。最悪1週間以上は見とくべきだな…

腹を据えて覚悟を決めますか。

 

───────────────────

出撃ドックには既に全艦が揃っていた。

この鎮守府の全戦力、合計14隻。

 

「全員揃ってるわね

これより、作戦を発表するわ!」

 

 

 



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