グレーの冒険 〈PIPE DREAM〉 (DOFO)
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第一話「夢」

書き方は童話風です。なので長ったらしい文章です。


 あるところに、雪のように真っ白でふわふわな髪をもつ可愛らしい少女がいました。服は白と黒のゴスロリ服で名前はグレー。グレーは少し内気な性格でした。それにグレーの家族は皆、髪が灰色でグレーだけが違います。同年代の子は白の魔女と揶揄い、あまり友達はいません。白の魔女とは、この地に伝わる破滅を呼ぶとされる魔女です。なのでほぼぼっちです。

 

「わたしの髪はなんで真っ白なんだろ」

 

 そんなことを考えながら毎日を過ごしていたある日の事、グレーは夢を見ました。すぐそこが見えないほどの霧に包まれた場所。そこには髪が真っ黒でワインレッドのゴスロリ服を着た、グレーにそっくりな少女がいました。グレーは鳩が豆鉄砲食ったように驚いて目を丸くします。

 

「どうしたの。そんなに驚いて」

 

 グレーはその少女に名前を訊きました。

 

「あたし?あたしはあなたよ。あなたはあたし」

 

 グレーは頭を傾げました。わたしはここにいるのにわたしが前にいるのはおかしいと。少女はクスクスと笑いました。

 

「そうね、ならこんな名前はどう?アナザーってのは…」

 

 そう少女は答えました。グレーはアナザーに尋ねました。ここは何処っと。

 

「何を言ってるの。ここは森でしょ」

 

 すると霧がすっと晴れ、周りを見渡してみると木々に囲まれていました。木漏れ日が揺れ、鳥のさえずりが聞こえます。そんな世界を眺めてみると、痛っ!とグレーは頭を抑えました。上を見ると栗鼠がどんぐりをグレーの頭に落して笑っています。失礼な栗鼠さん、とグレーは思いました。

 

「もう時間だわ、次はもう少し長くお話しましょう」

 

 アナザーがそう言って微笑むと、周りがまた霧に包まれ隠れてしまいました。まって!っとグレーはアナザーを追いかけましたがもうそこにはアナザーはいません。そしてグレーは目が覚めます。

 

 

 

 いつもの天井、窓からの木漏れ日、規則正しい時計の音、ふかふかのベッド、そこはグレーの部屋でした。グレーは寝起きでまだ頭がぼーっとしてます。しばらく布団の温もりを感じながらぼーっとしていると部屋の外からグレー、ご飯よーっと女性の声が聞こえます。それはグレーのお母さんの声でした。グレーはベッドから起き上がり、洋服に着替え、下の階へ降りました。

 

 ダイニングにはお父さん、お母さん、姉のセルイ、三毛猫のマロン、マンチカンのベイスがいます。グレーはベイスの足を持ち、おはようと挨拶をしました。食卓の下にいるマロンにも挨拶をしようとしましたがマロンがそっぽを向いて、グレーはムッとしました。

 

「グレー、早く食べなさい」

 

 お母さんはグレーにそう言って焼きたてのフレンチトーストをグレーに出しました。とても甘い匂いがします。一口食べると口の中がまろやかになる甘さです。しかし、いつもは「甘ぇ…」と言うグレーですが夢で見たことが気にかかり、まだぼーっとしてます。

 

「じゃあ、父さん仕事へ行ってくるよ。グレー、今日は天気がいいんだ。外へ遊びに行きなさい。」

 

 お父さんは食べ終わるとお母さんとキスをして車で仕事へ行きました。お母さんも今日は用事でお出掛けです。グレーは春休み中でまだお休み。グレーはほぼぼっちなので退屈しのぎにテレビをつけました。しかし、あまり面白い番組はやっていません。つまんないっと思い、グレーはお母さんが作ってくれたお昼ご飯をお弁当箱に詰め、ショルダーバッグに入れて外へと出掛けて行きました。

 

 

 

 グレーは少し離れた草原でお昼ご飯を食べながら寝転がりました。昨日の夢がとても気になって仕方がありません。そんな時になにか声が聞こえてきました。耳を傾けるとグレーを呼ぶ声が聞こえます。グレーは声がする方へと歩み始めました。

 

 しばらく歩くと、大きな森につきました。その森は家族からは子供一人では入っては行けないと言われた迷いの森でした。しかしその森からはグレーを呼ぶ声が聞こえます。グレーは好奇心に負け、森の中へと入っていきました。グレーは声が聞こえる方へ、深い深い森を進みます。すると森の出口が見えてきました。出口へ進むとそこにはなんと森に囲まれた、大きなお花畑がありました。綺麗っと思いグレーはお花で冠やネックレスを作りました。

 グレーが夢中になっているとあっという間に夕方になってしまいました。大変、早く帰らなきゃとグレーは冠やネックレスを置いて森へ走りました。その途中グレーの頭になにかが落ちました。痛っ!とグレーは頭に落ちたものを拾いました。それはどんぐりでした。上を見上げると栗鼠がどんぐりを落として大慌てしていました。

 

 

 

 その日の夜、グレーはまた夢を見ました。昨日とは少し違って周りがお花畑でした。

 

「どう?あたしのサプライズは?あとこれ、あたしのために作ってくれたの?ありがとう♪」

 

 グレーの目の前には昨日作った花の冠と花のネックレスを付けたアナザーがいました。

 

「ねぇ、遊びましょう」

 

 アナザーがそう言うと周りにボールや人形などか現れました。グレーはえっ?と理解できてない様子です。アナザーはボールを手に取りグレーに向けて投げ、グレーはボールをキャッチしました。

 

「ほら、投げ返して」

 

 そうアナザーが微笑みました。グレーも最初は戸惑っていましたが少しづつ楽しくなっていきました。誰かと遊ぶことがなかったグレーにとって新鮮味を感じました。二人がしばらく遊んでいるとグレーがロケット型のおもちゃを森の方へ飛ばしてしまいました。グレーはアナザーに取りに行ってくると言い、森の方へ走って行きました。グレーはロケットを拾い、アナザーの元へ戻ろうとした時。

 

「やぁ、こんにちわ」

 

 ヘンテコな顔のジェントルマンスーツを着た男が目の前に現れました。グレーは驚きすぎて声が出ず、慌てて木の後ろに隠れました。

 

「おっと、そんなに怯えないでくれたまえ。私はクロドリ。色んな夢を旅している紳士さ。ここには不思議な匂いがしたから寄ってみたんだ。ちなみにこの杖は世界樹の木を特殊な方法で加工して作ってもらった特注品で世界にふたつもない品なんだ。この葉巻も世界樹の葉で作ったんだ。他にもこの頭ねぇ・・・」

 

 男は聞いてもいないことをペラペラ喋ってきました。しばらく独り言を喋った男は落ちていたロケットに気づきグレーに差し出しました。

 

「これは君のかな?」

 

 グレーは警戒しながらロケットを取りました。

 

「ここは随分賑やかな世界だね、色んなところから話し声が聞こえるよ」

 

 クロドリはそう言いましたがグレーには何も聞こえません。グレーは薬物でもやっているのかなと思いました。

 

「よーく耳を澄ませてごらん、ほーら聞こえるだろ」

 

 半信半疑で耳を澄ますと何処からか声が聞こえてきました。

 

「……(歌)」

 

 よく聞くとその声は周りの花や動物達の歌い声でした。グレーは驚いて尻餅をついてしまいました。

 

「ここは君の世界だろ、そんなに驚くことかい?」

 

 グレーはクロドリに手を貸してもらい、立ち上がると遠くからグレーを呼ぶ声がしました。

 

「さて、私もそろそろ行くとするかな。また会おう、goodbye!」

 

 そう言うとクロドリは霧のようになって消えてしましました。そしてグレーも目が覚めました。




不定期で更新します。


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第二話「来客者」

書き方は童話風です。なので長ったらしい文章です。


 目が覚めたグレー。カーテンから日が差し、時計を見るともう10時でした。リビングに降りると家族は皆出掛けています。グレーはお腹が空いていていたのでダイニングに行きました。テーブルの上にはお母さんが作ってくれた朝食がありました。フレンチトーストとベーコンエッグです。グレーは朝食を食べる前に顔を洗いに行きました。

 顔を洗い終わり早速朝食を食べようとダイニングに戻ると、なんと三毛猫のマロンがベーコンを食べているではありませんか。

 

「あっ、こらっ!」

 

 マロンは、グレーに気付くと食べかけのベーコンを咥え、逃げて行きました。まったくもう、とグレーは呆れてしまい、残ったフレンチトーストとベーコンなしベーコンエッグを食べました。「甘ぇ…」と呟きながら。

 

 

 

 朝食を食べ終わったグレーですがベーコンを取られたことが気に障り、少し不機嫌です。それに退屈で仕方ありません。そんな時、インターホンが家に響き渡りました。グレーは誰かな?とドアホンから覗くと、なんと数少ない友達のフィオレンティーナです。普段は長いのでフィオと読んでいます。何故ここに居るのか尋ねました。

 

『ふふっ、グレーは暇かなって思ってね』

 

 フィオは、この辺では有名なお金持ちです。フィオは他の子とは違い、白の魔女と恐がりはしません。グレーは、フィオがどうせまた貴族の社交?をサボったのでしょと言いました。

 

『だって退屈で仕方ないんだもの。それに今の時代、貴族なんて言い方しないわ。華族よ』

 

「・・・」

 

 華族は今の時代に存在しないと思いながらフィオを家に上がらせました。リビングに着くとマンチカンのベイスが挨拶をしにやって来ました。

 

「あら、ベイス♪挨拶だなんてお利口だわ」

 

 フィオは、ベイスを持ち上げ、ソファーで一緒に座りました。グレーはフィオとベイスが遊んでいる間にお茶菓子の用意をしに行きました。

 

「あら?この飲み物…」

 

 緑茶です。グレーのお父さんの友達が日本人でお土産として貰ってきたものです。他の飲み物がなく、家にはこれしかありませんでした。グレーもあまり好みではありませんが大人になった気分になれるので時々飲んだりしています。

 

「oh!ジャパニーズティーってやつね!」

 

 フィオは一飲みすると、苦い!と舌を出してしまいました。

 

 グレーは、そういえば奥様?最近面白い事ありました?とフィオに尋ねました。

 

「そうそう!うちの弟ったらもう7歳にもなるのにおねしょをしたのよ!それも、と・く・だ・い・の!」

 

 グレーは答える様に、あらあら、大変だわ。うちも今朝からマロンが私の朝食を盗み食いしたのよ。それで今朝からお腹ペコペコ。いやになっちゃうわ、と返しました。

 

「まったく、皆さん仕方ありませんわよね」

 

『おーっ、ほっほっほー!』

 

 最近二人は大人びた会話に、はまっています。少し大人に背伸びをしたい年頃なのでしょう。そんな会話を苦いお茶と甘いお菓子を食べながらしばらく話していました。

 

 

 

 話題が尽きた頃、グレーは夢の話しを持ち掛けました。不思議で変な夢を。

 

「夢?どんな夢?」

 

 夢の詳細について語りました。知らない子が出てきて、一緒に遊ぶ夢。花が喋り、ヘンテコな頭の紳士が現れる。その他に夢で栗鼠にどんぐりを当てられ、起きても栗鼠にどんぐりを当てられた。など、寝ても起きても疲れていると話しました。身近にいる“人の友達”はフィオしかいませんでしたので、今日訪ねてきたのはちょうどよかったと思いました。

 

「ふふっ、面白いわね。私は昨日、お姫様になって王子様と結婚する夢を見たのよ」

 

 グレーは、羨ましがりました。自分は変な夢を見ている間にフィオが呑気に素敵な夢を見ている事が。今夜も変な夢を見るんだろうなと口から漏れました。

 

「夢ってのは、未来の予言や前世の記憶を見たりするものだって本で見たことがあるわ。もしかしたらグレーの夢もそうなのかもしれませんよ」

 

 前世、そんなことがあったのか考えましたが直ぐに諦める事にしました。何故なら前世ですから覚えている筈がありませんもの。

 

「そうだ!私の家に来ませんか?夢に纏わる本や安眠の本があるかもしれませんよ」

 

 フィオの提案にグレーは少し悩みました。今日は、夢のせいで疲れていて、家から出たくないという気持ちがありましたが、しかし安眠のためには背に腹はかえられないという気持ちで、グレーはフィオの家に行くことにしました。

 

 

 

 歩いて15分ほど、フィオの家が見えてきました。外見はとても大きく、周りは塀で覆われていて、豪邸と言ったところでしょうか。グレーは昨日の夢とここまで歩いてきたことで疲れてへとへとです。もう歩きたくないと駄々をこねています。

 

「ちょっと歩いただけじゃない」

 

 二人は正門へ着くとフィオがインターホンを押しました。しばらくすると門が開きました。門の中は広く、庭を覆い尽くすほどの綺麗な芝生が生い茂っています。中央には噴水までありました。眺めていると邸の方から若い男の執事がやって来ました。

 

「お嬢様…今まで何処へ行ってたんですか?家中探したんですよ」

 

 呆れた様子でフィオに尋ねました。この執事の名前はフォルテッツァ、フィオの家の中では一番新しい執事です。グレーは何度か来ていますが初めて見る執事でした。

 

「友達の家に遊びに行ってました。いいでしょ?このくらい」

 

「まったく、せめて置き手紙くらいしたらどうですか?主様も主様で甘いんですよ。子供は元気が一番とかぬかして、もしお嬢様の身になにか起きたら…」

 

 グレーは、軽いお辞儀をしながら挨拶をしました。

 

「グレー、彼のことはフォルって呼んでね」

 

「聞いていますか、お嬢様?」

 

 

 

 グレーは、フォルと軽い挨拶をし、邸の中に入り、書斎まで案内されました。書斎の中は沢山の本が並び、二階が吹き抜けていて、階段まで付いていました。こんなに沢山の本を見たのは図書館くらいだと。ちょうどメイド達が本の整理しています。

 

「本を探して欲しい時があったらメイド達に聞いてね。私はちょっと用事を済ませてくるから」

 

 そう言って書斎から出て行きました。

 

「まったく、お嬢様ときたら…。グレー様、大変お見苦しい所をお見せ致しました」

 

 キリッとしたお辞儀をするフォル。グレーは畏まられる態度に少し動揺して、先程の様な対応でいいと返しました。するとフォルの気が緩み

 

「あはっ、そうですよね。少し畏まり過ぎました」

 

 と笑顔で返してきました。

 

「グレー様、そういえば何かお探しになっていると言ってましたが」

 

 グレーでいい、と返しました。

 

「いえいえ、お嬢様のお友達と言えどその呼び方ではあまり宜しくないので」

 

 グレーは、あまり畏まった雰囲気は少し苦手と説明しました。

 

「ではグレーさん、でよろしいですか?」

 

 グレーは、その呼び方で妥協することにしました。フォルに夢について書かれている本が欲しいと尋ねるとそこまで案内してくれることになりました。

 

「この書斎の本の半数ほどが、主様が読んで集めた本なんですよ。と言っても漫画が多いんですけどね」

 

 この家の主がそんなに本を読んでいることに驚きました。しかし、もう半分は読んでいないのかと気になり、尋ねました。

 

「もう半分は辞書や地図帳、歴史の本などが置いてあります。富豪層は威厳を出すためにこういった家の内装や装飾品で見栄を張るんです」

 

 お金持ちの世界は大変だなと思いました。私だとお菓子を沢山用意する事くらいしか思いつかないと。

 

「この世界は気を使うことが多いので私達の様な使用人は考える事が多いんですよ。ところで何故夢に関しての本が欲しいのですか?宿題にでもお使いになるんです?」

 

 グレーは、事情を話すことにしました。夢の中であった事、それが現実で起きた事。なるほど、とフォルは本棚から二つの本を取りました。一つは夢占いの本、もう一つは夢の物語の本です。グレーは夢の物語の本を借りる事にしました。本を受け取るとフォルは、お探しの本がありましたらまたお声掛けください。メイド達もいますので、と言って書斎から立ち去りました。これで夢の秘密が分かるわ!っと、さっそく受け取った夢の物語の本を一階にある机で読む事にしました。




不定期で更新します。


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第三話「夢物語」

書き方は童話風です。なので長ったらしい文章です。


 昔々、あるところに少女が住んでいました。名前はカルミーシア、周りからはキャルと呼ばれていました。村人からは元気で素直な少女、お手伝いをよくしてくれる子、と評判がよかったです。

 村も平穏でのんびりと過ごしてたある日、村の子供達が何やら集会をしていました。何事かと、キャルも集会に向かいました。話しの内容は近くの森に肝試しに行こうと言う話しでした。森の奥からは呻き声が聞こえ、森に迷った人を食べる悪魔が住むと噂になっているそうです。その真意を確かめようと大人の人には秘密にして行くそうです。キャルは面白そう!と思いお手伝いを終わらせて森へ向かいました。

 森へ行くと村の子供達が既に集まっています。出遅れた!と思ったキャルは直様、森の中へ入っていきました。森の中は日の光が射し込み、鳥の囀りが聞こえます。

 しばらく歩くと鳥の囀りとは違う音が聞こえました。よーく耳を耳を澄ますと叫び声のように聞こえます。すると前から村の子供達が必死になって走って来るではないですか。キャルには目をくれず森の外側へと。キャルは一人を捕まえ事情を聞きました。話しによれば、森の奥へと行くとおどろおどろしい声が聞こえたと言うことです。キャルはその子を解放し、森の奥へと進んでいきました。

 奥へ、奥へと進むにつれ、昼とは思えない暗さへと変わっていきました。すると何かが聞こえてきました。呻き声のような音で、子供達が言っていた声でしょうか。声のする方へと進むと森が開け、森の中にあるとは思えない程の大きなお花畑がありました。沢山の花々が咲き誇り、まるでおとぎ話に出てきそうな場所です。すると声はお花畑の中央にある大きな木にから聞えてきました。木まで行くと急に風が止み、なんと木から禍々しいオーラのようなものが見えているではないですか。少しづつオーラのようなものが固まり、まるで影で出来た人間の様になっていきました。

 

「我を眠りから覚ますのはだれだ!」

 

 キャルは危険と判断し直様、お腹にグーパンチを食らわせました。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 …グーパンチ。

 グレーは急にぶっ飛んだ内容になった、と思っているとフィオがやって来ました。

 

「どう?なにか見つかった?」

 

 少し興味がある本があったと伝えました。

 

「よかったわ。あとね、これから用事がちょっと用事が出来たの」

 

 グレーはお邪魔になるかと思い、本を借りてお家へ帰ることにしました。

 

「そう、じゃあ外まで見送るわ」

 

 フィオに見送られ、邸を離れたグレー。家に帰る前に一度、森の方へ寄ることにしました。

 

 

 

 道中、グレーはグレーの姉、セルイに会いました。身長は160cm程でホットパンツにTシャツという春先には少し寒そうな格好です。あっ、セルイっと声を掛けましたが

 

「……」

 

 じっと見つめるばかりでセルイは一言も発しません。いつもは一言余計なことを言いながら喋る筈なのにどうしたのでしょうか。グレーも、なんだか話しづらい空気です。しばらく二人が見つめあっているとセルイがポケットから指輪にチェーンを通したネックレスを取り出しました。

 

「これ、あげるわ。あと、友達と旅行へ行くからしばらくは家に居ないから」

 

 セルイはネックレスを渡し、何処かへと去って行きました。グレーは急にネックレスを渡されポカーンとしています。とりあえずネックレスをポケットに入れ、お花畑のある森へと向かいました。

 

 

 

 お花畑へ着いたグレー。夢について何かがわかると思い辺りを調べる事にしました。すると石で出来た塚があったのです。かなり古いもので、字が書かれていましたが霞んでいてよく読めません。他に手掛かりがないか調べましたが特に目新しい物はありませんでした。疲れたグレーはお家に帰って本の続きを読む事にしました。

 

 

 

 お家に着くとちょうど三時です。三時と言えばおやつの時間。グレーはお茶菓子を用意することにしました。今日のおやつはドーナツです。このドーナツはとても甘く、評判が良いドーナツで味はプレーンとチョコ、グレーの好物です。グレーはリビングでソファーに寝転がりながら、ドーナツを食べ、本の続きを読みました。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 しばらく気絶していた影が起き上がりました。

 

「いきなり殴るのはダメでしょ!」

 

 キャルに向かって文句を言う影。キャルはそんな言い分を無視し、何故こんな所に居るのか尋ねました。影の言い分では昔、ライバル、白の魔女と勝負をし、三日三晩戦い続け、両者致命傷を受けたそうです。その時に封印され、この場所に留まっているということでした。

 

「白の魔女はどうしたかって?そりゃ力を使い切ってしまってぽっくりいったわ。だからこの勝負は我の勝ちなのだ!」

 

 しかし影も致命傷で封印から力を戻すまで時間がかかったそうです。そのあと長い長い昔話を聞かされました。

 

「なんといってもこの封印、力を分散させる働きを持っていてな、なかなか力が元に戻らないのだ。このまま封印され、死ぬまで一生を過ごすのは退屈でたまらん」

 

 他に封印から解放される方法がないか尋ねました。

 

「あるにはある。我と他の者との契約で身を移すということが出来ればいいのだがな。……そうだお主!我と契約しないか?契約をすればお主の願いをなんでも叶えてやろう!」

 

 キャルはあまり欲深くありませんでしたので契約は断りました。

 

「そんなこと言わずにな〜。人助けだと思って、ここは契約してくれないか?」

 

 人ではありませんが困っている人を助けなさいと親によく言われていたキャルは仕方なく契約をすることにしました。そしてキャルが望んだ願いは暴れない事でした。

 

「なんだ、そんな願いでいいのか。変わった奴だな。まあいい、ほれ、手を出せ。」

 

 キャルが手を出すと影が手を重ねました。すると突然手が光出し、大きな風が吹きました。蹌踉けそうになりながらも不思議と手は離れません。しばらくして風が止み

 

「ほれ、これで契約は成立じゃ。これで我もこの封印から解かれる!やっほーい!」

 

 とても嬉しそうにしている影。これから何処か行くのかと尋ねると

 

「何を言っておる、この封印から解かれただけで、お主と契約した以上、お主が死ぬまで我はお主とずっと居るのだぞ」

 

 と衝撃の事実を言い渡されました。キャルはショックを受け、少し落ち込みました。

 

「そう言えばお主の名前はなんだ?」

 

 カルミーシアと名乗りました。影にも同じ質問を投げ返しました。

 

「実はな、封印されてから名前を思い出せなくてなー。よし、お前さんとずっと居るからもう一人の自分ってことでアナザーと呼ぶかよい!」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 グレーは何か引っ掛かりました。何処かで聞いた事のある名前でした。思い出そうにもなかなか思い出せなくて頭がスッキリしません。糖分を取って考えようとドーナツに手を寄せましたがドーナツがありませんでした。それどころかキャルの周りがお花畑になっているではありませんか。

 

「あら、やっと気付いたのね」

 

 目の前にはアナザーが居ました。その時、やっと思い出したのです。本に出てくる影と名前が一緒だったことに。尋ねました、アナザーに、本に出てくる影と同じ名前だと言うことを。

 

「偶然の一致じゃない?そんなことより今日は何して遊ぶ?」

 

 質問は直ぐに流され、今日は何で遊ぶかと聞かれました。グレーは偶然なのかな?と思いながらもあまり深く考えるのはやめようと思い、アナザーと遊ぶことにしました。今日はキャッチボールの気分です。

 

「キャッチボールね、分かったわ。」

 

 不思議と二人分のグローブとボールが現れました。まるでマジックでも見せられた気分です。

 

「私、キャッチボールするのは久しぶりだわ」

 

 誰かとキャッチボールをしたことがあるのかと聞きただすと

 

「何を言ってるの、あなたとやったじゃない。キャッチボール」

 

 あれ?そうだったかな?と思いながらも他愛のない会話をする二人。

 しばらくキャッチボールをしているとグレーはボールを取り損ねて森の方へとボールが転がって行きました。直ぐに取ってくると言い、ボールを追い掛け、森の中へと入るとそこにはクロドリが居ました。

 

「ん?あれ?君はひょっとして昨日のお嬢さんかい?」

 

 クロドリにペコりと挨拶をします。

 

「それにしても急にイメチェンしたからビックリだよ。髪も黒くて瞳も赤い、服装だって赤いし」

 

 グレーにはクロドリが何を言っているのかよく分かりません。

 

「ほら君の今の姿」

 

 クロドリは少し大きな鏡を出すとグレーに向けました。鏡を見てその姿にグレーは驚きました。そこに写っていたのは黒い髪、真っ赤な瞳、赤い服、まるでアナザーではありませんか。

 次の瞬間、光景が自分のリビングになりました。びっしょりとかいた汗、食べかけのドーナツ、飲みかけお茶、どうやらグレーは本を読んでいる最中に眠ってしまっていたようです。




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