MONSTERS SAGA 序章 (神乃東呉)
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語らずの事実

『怪獣』

 公式記録では1966年にその存在は確認されそれから1998年を皮切りに33年間で出現した数は1200体以上世界各地で出現した。のちにこの33年間を『第一次大怪獣時代』として公式記録とされている。

 しかしこれは1966年に数度怪獣が出現しその半年後に怪獣と外宇宙からの巨人の出現と戦闘から1998年に至るまでのあくまでも公式の記録である。しかし現在に至るもこの記録はある謎を残して存在している。

 そもそもいつ『最初の怪獣』が存在したのか、現在記録されている初めて巨人と戦闘した怪獣である『ベムラー』でさえ決して初めての怪獣ではない、古い記録枠内の怪獣『ぺギラ』でさえ最初の怪獣と記録されていない。そしていつ人類は怪獣を知ったのか記録が曖昧である。しかし、私たち人間はいざ『怪獣』とはどのようなものかと聞かれたらみんな口をそろえて、『恐竜のような形でしっぽがあり牙があり爪があり背びれがあり黒で光線を吐く』言葉に出さなくても誰しもがこぞってこのイメージが浮かぶ、怪獣の平均的象徴なのか定かではないが明らかに私たちは記録している、遺伝子の奥深くにいそうでいるのか解らない存在を…

 

                   埼玉県 秩父市

 その日は、八月の太陽が秩父市内を照りつけ都会とは打って変わってビル等が無いこの街の団地の一室に女性が訪ねてきた。

インターホンを押すと中から高齢の男性がチェーンのかかった扉を間に挟み語った。

「新聞の勧誘ならお断りだよ」

 無理もない、スーツ姿の女性が用もなく高齢者宅には来る理由は無いが彼女は違った。

「違います。東都日報の淀川ヒロミです。」

 彼女は事の経緯を説明し男性は中に入るように告げた。

 

 

「わざわざユリコ君のお孫さんがこの老いぼれに何の用かね」

 そう言いながら冷えた粗茶を入れながら男性はヒロミに語り掛けた。

「いえいえ、光栄です。祖母から向井さんの事は何度か聞いていましたから、それにジャーナリストの大先輩にお話を聞けるなんて」

 ヒロミは書籍だらけの部屋を見回した。中には生物学書や怪獣の書籍などあった。

「どうぞ」と目の前に粗茶を出され「ありがとうございます」と礼を言った。

「で、この老いぼれに何を聞きたいんだい。」

 ヒロミはカバンから手帳を取り出した。

「では改めて向井ヒデオさん、私は今、怪獣について取材しているんです。今も世間を賑わせている『怪獣娘』、『御徴川決壊事件』を期に今でも世界各地で『怪獣娘』が発見されています。そこで是非貴方に怪獣について教えていただきたいんです、もちろん調べればわかることでしょうが、是非貴方の口からお聞きしたいんです。先ほども言いました通り祖母からあなたの事は聞いています。1966年の初期怪獣頻出期から怪獣、異星人、光の巨人、防衛軍、様々な視点から現場取材を渡り歩き幾多の死線をくぐり取材を続けたあなたの口から」

 ヒロミは向井氏に問い詰めるように語り掛けたが、向井氏の返答は…

「私の見たことを聞いても所詮は今の現代社会にありふれた情報だけだよ」

 細々と落胆するかのように拒んだ。

「私は初期怪獣頻出期の取材をしに来たんじゃないんです。もっと前、少なからず1954年に貴方は、いえあなた達はこの怪獣を知っていた」

 そう言うとヒロミはさらにカバンから一枚のモノクロ写真を取り出した。それは黒い輪郭に白く発光しているのが見て取れる写真だった。明らかに怪獣だが、この写真の裏に『1954年 Gを忘れるな語るな』と書かれていた。

「祖母に聞いても決して語らないのですが、祖母はあなたなら教えてくれると言ってました。教えてください!この怪獣は何なのですか!Gとは何者なんですか!」

 剣幕を張りながらもヒロミは向井氏に問いただす。すると向井氏の持つ粗茶の手が震えだした。さっきまで至って普通に茶飲みしていた手とは思えないほど異常に震えていた。

「語りたくても語りたくない、忘れたくても忘れられない、私らの代はみんなそう。だが私は違う!ようやくこの時が来たようだな」

 そう言うと本棚から一冊の厚い本を取り出した。

「世間では怪獣を今も恐れる者もいるが例の『怪獣娘』とやらの登場で見る形が変わってしまったのは私も大方予想はしていた、だが所詮奴らは本当の怪獣を知らん。私は思う、巨人と戦った怪獣なんぞこのGと奴らにして見れば赤子も同然、今でも思い出すだけで震えが止まらんよ」

 本を開くとそこにはGIRLSが公式に公開している怪獣の写真には無いというより見たことのない怪獣の写真があった。

「本当の怪獣の出現は1966年などではない、正確には1954年に奴を筆頭に出現している」

「教えてください!この怪獣は一体…」

「それを知ってどうする」

「私はジャーナリストとして真実が知りたいんです!」

 向井氏は顎に手を当て考え込みその重たく閉ざしていた口を開き語った。

「…1954年日本は敗戦からの復興に明け暮れ明日も見えぬあの時代に奴は現れた、私らの世代は奴を忘れず語らず暗黙の禁忌の存在として墓場まで持っていくつもりだった、私は今でも忘れられない。奴の名は『ゴジラ』」

 それはあまりにも衝撃的であった。怪獣の歴史は今や教科書に載るほどの項目にヒロミは隠された真実があったことに驚愕したのだ。だがそれは知るべき事実なのか、向井氏の虚構なのか、これが本当ならば世界が大きくひっくり返るのではないかとヒロミの心境は困惑と焦りでいっぱいであったがこれですべてがつながった気が彼女にはあった。

 ヒロミは焦りながらもカバンから紙素材のファイルを開き、中から戦場写真らしきものだったが明らかに異様な存在がそこには映っていた。

「話が変わりますがこれは1か月前にうちの海外部署の友人が撮った写真です。こっちはアフガニスタンの紛争地域、こっちはパレスチナ、ソマリア、南スーダン、世界各地の紛争地に怪獣娘とは明らかに違う異形の存在が確認されています。どこまでが真実か私にもわかりませんが少なからず彼らがこの紛争地に点在し彼らは何かと戦っています」

 最後に見せた写真には彼女の言葉通り黒い影が緑色の異形生物と交戦しているような写真だった。被写体の物体が速く動いているのかぼやけているがはっきりとその存在が確認できる。

 すると向井氏の表情がさっきより硬くなり、ふと思い出したかのように口に出した。

「ああっいや、関係あるかは存じ上げないが定年退職に至るまである噂を何度か耳にしたことがある。まぁいわゆる都市伝説の類だと今まで思ってきたが『怪獣は人に化けて今も生きている』なんてよく耳にしてた。私自身も半信半疑だったがしかしこの噂は怪獣娘が発見される前からささやかれていたが…」

 その言葉を聞いてヒロミはあることを頭によぎらせた。もし『怪獣娘』以外のというより女性以外すなわち男性にも『カイジューソウル』を持つ人物が居るのではとヒロミは考え込んだ。そうとしかあまりにも考えられなかった。この写真に映る異形の存在があまりにも体格が大きく女性とは考えにくかった。

「ああっ思い出した確か『怪獣人間』なんて呼んでたな、確か」

 向井氏は思い出した事を口に出した。『怪獣人間』おそらく『怪獣娘』も含まれるかは定かではないが少なからずこの写真の被写体の中にいる存在の正体に近づいた気が彼女にはあった。ならばその『怪獣人間』は何の目的があり、なぜいまだ世界の表に素顔を見せないのか、何よりこの『怪獣人間』と向井氏に見せていただいた写真の怪獣とどう関係するのか、何より極めつけは最後の写真の黒い存在とモノクロ写真の『ゴジラ』があまりにも酷似しているためこの二つの写真の被写体の存在は何か共通点があり関係しているのか、ヒロミの頭の中はすでにそのことばかりであった。

 

 

 

 

 

 

                 某国 某市内 紛争地域

「デルタ3応答しろ!デルタ3応答してくれ!」

 瓦礫の中、身を潜めて民兵が隠れていた。

「とうとう3もだめだ…くそっ聞いてねぇぞ!反政府軍の奴らが例の最新生物兵器を導入しているなんて、どうやってあんな化け物と戦いながら増援を待てって言うんだよ!ケビンのダグラスもみんなあのバケモンに食われたのかな、チクショー!チクショー!」

 極限状況の中、民兵は錯乱しながら愚痴をこぼしていた。

するとひたひたと何かが近づいてきた、民兵はすぐさま悟り身を細めた。

ヒタヒタヒタヒタヒタヒタッやがて音が遠のき確認したその時、民兵の肩に生暖かいスライム状の液体が垂れてきた。見上げた瞬間、デカく真っ赤な目にイグアナのような深緑色の皮膚と鋭い爪で天井に張り付いていた。

民兵は悲鳴をあげ一目散にその場を逃げ出した。同時に巨大な二足歩行のイグアナ生物が天井から降り近くの岩場に立ち独特な遠吠えをした後、民兵を追いかけた。

わき目も降らず逃げまどいながら追いかけるイグアナ生物に威嚇射撃をしながら逃げるもアサルトライフルから射出した銃弾は標的が速すぎて避けられ、次第に左右から2匹やってきて民兵を追いかけまわす。

必死すぎて前が見えなかったのか民兵は前方の着弾穴に転げ落ちた。

ライフルを構えるも落ちた時に故障したのか引き金が引けなかった。ハンドガンで構えるも三対一、化け物対人間、絶体絶命の状況に変わりなかった。銃を自分に向け喰われるより自害を覚悟した。

「ごめん、ティファニー、愛してるよデービット…パパは先に行くよ…」

 その瞬間、上空から黒い何かが目の前に迫ってきてたイグアナ生物を頭から両足で踏みつけ、イグアナ生物の頭部は見るも無残に潰され黄緑色の血液らしき物と組織らしき物がぶちまけられていた。

空から降ってきたそいつは体表が真っ黒で白々と背びれがあり自分より遥かに大きな体格の人型の怪獣(?)なのかよくわからないがとにかく民兵には救いの神がまだ自分を見捨てずしかも自らおいでになったとしか彼の精神状態がそう判断した。

 仲間を潰されキレたのか襲い掛かるも首を掴まれそのままイグアナ生物の首を潰した、もう一匹は怯え逃げるも黒い神様は5mはある着弾穴から軽く飛び越え民兵が落ちた地点に立つと背びれが青白く光り口から光線を吐いた。イグアナ生物がどうなったかわからないが民兵はほっと息を落ち着かせた。

 すると自分の救いの神様がこっちを見た。黒々とした体表に太いしっぽ、そして引き込まれるかのような鋭くもイエローダイヤのような瞳と目が合いやがて何も言わず10mほど高く飛び去っていった。

 民兵はその場で10分ほどとどまりやがて増援がやってきた。

 

 

 

 

 

 

 

「反政府軍の所持していたチュパカブラ種のMONS15体殲滅完了…えっSE型のチュパカブラ種三体が日本に?…了解………」

「3年ぶりか…元気してっかなーアキのやつ」




この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。また本作は原作を尊重し個人のオリジナルの設定に仕上げています。


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