ロックマンゼロ ~紅き英雄の帰還と再び動き出す因縁~ (M・M)
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~紅き英雄再来とロックマン達~
-集うロックマン達-


どうも、M・Mです。
今回はゼロさん主役という事でロックマンゼロの小説を書いていきます。
書く為にゼロコレクションとゼクスとゼクスアドベントをやってあらすじ確認しなきゃ(使命感)

オリジナル要素てんこ盛りと言いましたが、むしろストーリー自体は完全オリジナルです。

では、どうぞ。


※ロックマンゼロ4の最後の部分だけ抽出して少々変えております、ストーリーが知りたい方は調べるかプレイしてみて下さい。

 

 

 

~ラグナロク 中核~

 

バイル「貴様にワシが斬れるのか!?人間であるこのワシを!守るべき人間を!」

 

 

ゼロ「俺は正義の味方でも無ければ、自分を「英雄」と名乗った覚えも無い。俺はただ、自分が信じる者の為に戦って来た……。俺は、悩まない、目の前に敵が現れたなら……叩き斬るまでだ!!!」

 

ラグナロクと一体化したバイルにトドメのチャージ斬りを放った。

 

バイル「このワシが……人形如きに……滅べぇ!滅んでしまえぇェ……!!!」

バイルとともに崩れ落ちるラグナロク。

 

オペレーターのルージュが答えた。

 

ルージュ「……ラグナロク、沈黙……。崩壊を始めました」

 

シエル「……」

レジスタンスーベースで何も映らなくなったモニターを見る少女、シエル。

 

ルージュ「ラグナロクの残骸が大気圏への突入を開始しました……殆どの残骸は大気圏との摩擦熱で燃え尽きると思われます……ラグナロクの、エリア・ゼロへの落下阻止に……成功しました……ミッション、終了です……」

シエル「ゼロ……ゼロ!返事をして……!ゼロ、お願い……返事を……して……」

 

だがモニターからは虚しくノイズ音が鳴り響くだけだった。

 

ルージュ「……通信回線、応答無し……接続……不能です……」

シエル「……………ッ」

するとシエルはトレーラーを飛び出していった。

ルージュ「……シエルさん!」

 

 

外に出れば、満点の星空。空を見るとラグナロクの破片が摩擦熱で溶け、まるで流れ星の様に降り注いていた。

 

人間達のキャラバンでは、子供達がそれを見て喜んでいるのを見て、シエルはとても胸が傷んだ。

 

 

トルナード「いや、これは……ラグナロクの破片……オレ達は、助かったのか……?」

ネージュ「クラフト……ゼロ……」

そこにシエルが駆け寄って来た。

セルヴォ「ゼロと、連絡は……取れたのかい?」

シエル「…………」

 

セルヴォ「………ゼロ、何て事だ……」

コルボー「そんな、折角……皆が助かったっていうのに……!折角、人間とレプリロイドが歩み寄れたのに……!オレ達……これからどうすれば良いんだ……」

トルナード「……」

ネージュ「……」

 

ネージュも、レジスタンスの皆も人間達も、皆悲しい雰囲気となった。

 

だが、

 

シエル「……大丈夫。ゼロは、ゼロはきっと生きてる。私達の為に、きっと帰って来てくれる……!」

すると、シエルは何処かへと歩いていった。

ネージュ「シエルさん……」

 

 

歩いて、歩いて、とある丘の上でシエルは泣き崩れた。ボロボロと涙が止まる事は無く、草の上、大地に落ちた。

 

シエル「ゼロ……ゼロッ……」

 

 

いつも胸に溢れてる あなたへの想い

永遠はないから 今はそばにいてほしいの……

 

シエルは立ち上がった。

 

 

シエル「ゼロ、あなたは私を……私達を信じて戦ってくれた……だから、今度は私達がゼロに答えなくちゃいけない。見ていてゼロ……皆を、きっと幸せにしてみせるわ……人間とレプリロイドが手を取り合える様な……平和な世界を見せてあげる……だからゼロ、絶対帰って来て……私は貴方を……ゼロを信じてる……!」

 

 

 

 

 

これが後世に渡り伝えられる今より数百年も前にあった妖精戦争の終焉(ラグナロク)である。

 

そして時は過ぎ、英雄であるゼロやエックスはそれぞれモデルZとモデルXに、四天王もそれぞれモデルとなり「ロックマン」の手に渡りそこからヴァン・エール・グレイ・アッシュの物語へとなるのである。

だが、モデルとなったのは英雄達の力だけでは無く、因縁の相手オメガや、何とバイルまでもがモデル化をしており、止まらぬイレギュラーの被害。イレギュラーは世界全体の問題である。

 

世界的危機はゼロやロックマン達の手により去ったが、問題は山積みなのである。

 

 

※本編でいうとおかしな事になってしまいますがヴァン、エール、グレイ、アッシュの4人皆ロックマンでサブ主人公です。

 

 

 

プレリー「ふぅ、今日も今日とて戦いが多かったわね……」

ヴァン「……最近、増えてないか?」

プレリー「イレギュラーの被害、ね」

エール「でもさ、ガーディアンもかなり大掛かりな組織になって来たし」

プレリー「えぇ、それにこの事態を見てグレイ君とアッシュさんが一時的ではあるけども協力してくれる事になったの」

 

ヴァン「あの2人か、心強いな」

エール「そうだね、私達2人だとどうしても限界があるからね」

 

プレリー「……」

艦長室の自分の椅子のすぐ側に飾ってある私のぬいぐるみを見て、かつて姉と呼んでいた存在と、そしてかつて妖精戦争を終結させた紅き英雄を思い出した。

 

プレリー「お姉ちゃん……ゼロ……」

 

まぁゼロはともかく姉はもう生きていない。姉は人間なのだから。

 

 

 

後日。

ヴァン「久しぶりだな、2人とも」

アッシュ「そうだねぇ、あの戦い以来だから半年位だと思うよ?」

エール「グレイも元気にしてた?」

グレイ「あぁ、コイツに引っ張り回されてる」

アッシュ「あのさぁ、前から言ってるけどレディーに対してコイツは無いでしょ!?」

グレイ「うるさいなぁ、何回も危険に巻き込まれてる僕の身にもなって欲しい」

エール「ははは……仲良さそうで何より」

グレイ「何処が!」

 

ここでプレリーが4人の間に割って入る。

プレリー「はいはい、それ位にして」

ヴァン&エール「プレリー」

プレリー「ヴァンとエールから話を聞いたと思うけど、私がガーディアン2代目艦長のプレリーよ。2人とも手を貸してくれてありがとう」

アッシュ「まぁ、最近イレギュラーだらけでお宝探しもありゃしない」

グレイ「ロックマンとして、これは見過ごせないから」

アッシュ「ひゅー、カッコイイ」

グレイ「からかうなよ」

プレリー「元気があって何よりね。ヴァンもエールも2人を艦を案内してあげて」

エール「OK」

 

歩いていく4人の背中を見てプレリーは思った。

プレリー(ロックマンが4人も……これもまた何かの運命なのかも知れないわね)

 

 

 

と、いう事があったのが1週間前の話。

 

2人とも順応性が高く、すぐにガーディアンベースでの生活に慣れており、イレギュラー発生の事件に追われる日々を送っていた。

 

とある日の事。

 

グレイ「それで、今度はこの辺りに大きな反応があったらしくて」

アッシュ「私達の出番って事だね」

グレイ「ここって確か……ラグナロク決戦の破片が多くある場所だっけ」

アッシュ「あれって全部燃え尽きたんじゃ?」

グレイ「偶然残った物もあった。そして……僕達が戦ったモデルVもこの1部だったんだ」

アッシュ「なぁ~るほど……」

 

 

グレイ「この近くに遺跡が見つかったらしい。今までは砂に隠れて分からなかったみたいだけど月日が経って雨とかで砂が無くなって発見された、って艦長は言ってたな」

アッシュ「じゃ、さっさと行きましょ」

 

 

MISSION START!

 

 




はい、短めでしたが物語の導入としての1話でした。どうでしたか?
ゲームしてる人から見るとこの4人が居るのおかしいやろ!いい加減にしろ!って言われるでしょうがそこはオリジナルって事で許して許して……。

次回いよいよ主人公参上。

前は東方でオリ主という事でかなり自由に発言していましたが今作はちゃんと原作からの主人公なのでそこら辺もしっかり合わせて書いていきたいと思います。


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-目覚める紅き英雄 そして因縁の相手-

どうも、今更ながらゼロコレクション楽しんでるM・Mです。
ロックマンゼロって難易度高いゲームの部類に入ると思うんですよね、過去に滅茶苦茶やり込んだ腕と勘がまだ残っていたのか少しやっただけで動画で見る様な上級プレイは出来る様になったなと思います(隙自語)

自語は置いといて、いよいよ本編の主人公が登場。いざゼロさん参上!

初め辺りは文字数はそこそこ多め少なめ両方でいきます。

では、どうぞ。


ガーディアンでの仕事でとある遺跡を調査する事になったアッシュとグレイ。だが2人を待ち受けていたのは衝撃の展開だった。

 

しばらく砂漠を駆け巡り、イレギュラー達を葬りながら目的の遺跡を探す。

 

そして、

 

グレイ「あった、この遺跡で間違いない」

アッシュ「そんじゃ早速」

グレイ「待って、何があるか分からない」

アッシュ「分かってるって、流石に何もせずに突っ込んだりなんかしないわよ」

グレイ「どうだか……」

 

2人はガーディアンより配布された調査用の装備を出す。Xレイ・スコープといって特殊な光線を当てて罠や隠れている物を透視させるアイテムである。普通に懐中電灯としても使える。

 

グレイ「入り口付近は大丈夫か……」

アッシュ「便利よねぇこのXレイ・スコープってやつ。私これにもっと早く出会いたかったわ」

グレイ「はいはい……行こう」

 

 

警戒は怠らず遺跡の中に入る。

グレイ「……見た所何も無さそうだな」

アッシュ「敵も居なさそうね」

グレイ「とりあえずプレリーに連絡を……ってあれ、繋がらない」

アッシュ「私達が降りてきた階段結構長かったでしょ、ここだと電波が繋がらないのよ」

グレイ「なら1度外に出て……ってアッシュ、どうしたんだ?」

アッシュ「グレイ、扉がある」

グレイ「本当に?」

 

アッシュの居る元へ駆け寄ると、確かに奥へ続く扉があった。

グレイ「暗くて見えなかったな……」

アッシュ「これはお宝の予感!」

グレイ「あっ!待てって!」

 

アッシュを追ってグレイも奥に進む。

 

2人でスコープを使って部屋全体を照らすと、何やらカプセルらしき物が沢山転がっていた。

 

アッシュ「何だろうこのカプセル達」

グレイ「何かが入ってた事は間違いないけど……見た感じ不明だな」

 

しばらく部屋を探索していると、

 

アッシュ「グレイ!こっち来てよ!」

グレイ「何?」

 

アッシュの元へ行くと、アッシュが何か興奮した様にとあるカプセルをバンバン叩いていた。

 

アッシュ「ほら、これ!」

グレイ「……?」

 

暗くて良く見えたなかったが、照らしてみるとビックリ。

 

グレイ「うわっ!?」

アッシュ「ははは、腰抜かしてる」

グレイ「う、うるさいな……いきなり過ぎて驚いただけだから」

アッシュ「それよりも……大きいなぁ」

グレイ「あぁ、古代兵器の類いだろうか?」

 

その時だった。

 

ビー、ビーと警告音が鳴った。

アッシュ「えっ!?」

グレイ「コイツ動くぞ!アッシュがさっき叩いたからだ!」

アッシュ「あ、アタシのせいにしないでよ!」

 

慌てる2人の目の前でカプセルが開き、中から現れたのは……最悪最凶のレプリロイド、オメガ。

 

オメガといってもバイルが数機だけコピーを作っていた内の1機だ。第1形態だけであるが、装備等はオリジナルと殆ど同じである。

それでも最強の名は伊達では無かった。

 

2人を見るや否や攻撃を開始した。

 

アッシュ「くっ!」

グレイ「一旦散らばろう!」

 

部屋はあまり広くない。固まっていたらまとめてやられてしまうので散開した。

 

アッシュが隙を見てバスターを放つが、

アッシュ「嘘!?」

 

装甲に軽々と弾かれた。

グレイ「かなり硬い防御力してるな……チャージショットなら通るかもしれない」

アッシュ「ならアタシが囮になるからグレイはチャージショットをお願い!」

グレイ「分かった!」

 

アッシュ「機動力ならこっちね!トランスオン!」

アッシュがトランスしたのはモデルH、ヘリオス。

 

翼による移動でオメガのミサイル攻撃やパンチでの攻撃を軽々と回避していく。

 

そして隙を見て、

グレイ「そこだ……いけーッ!」

グレイのチャージバスターがオメガの装甲へと当たり、爆発した。

 

グレイ「どうだ……?」

まだまだオメガは動くが、装甲がかなり傷付いてはいた。ダメージを与えられてはいるらしい。

アッシュ「チャージバスター位の火力ならダメージ与えられるわね、なら各自で散りながらチャージバスター撃った方が良くない?」

グレイ「あぁ。攻撃を回避しながら撃とう」

 

 

そして2人はオメガの全方位に渡る攻撃を何とか防ぎながらも着実にダメージを与えていった。

 

アッシュ「いけるッ……はぁぁぁっっ!!!」

ここでアッシュのギガクラッシュがオメガにお見舞いされて、オメガは倒れた。

 

グレイ「やった……か」

アッシュ「はぁ……強かったわね」

 

だが。

グレイ「……アッシュ!避けて!」

アッシュ「えっ?きゃっ!?」

 

まだオメガは生きており、アッシュをその巨大な腕で殴り付けた。

アッシュ「ぐあっ……!」

アッシュは吹き飛ばされ遠くの方にあったカプセルに激突し、気絶した。

グレイ「アッシュ!」

 

余所見をしたグレイにすかさずオメガがビームを放つ。

グレイ「ぐっ!」

 

致命傷では無かったが、アッシュは起きる気配は無いしこれを1人で相手するとなるとかなり危険な状態だった。

 

グレイ(……)

チラリと後ろを見る。

 

今猛ダッシュして入り口に戻り、ヴァン達に連絡を取れば……。

グレイ(駄目だ!それだとアッシュが……!)

 

彼女1人を危険に晒す訳にはいかない。ここは戦うしかないだろう。

 

グレイ「やってやる……!」

 

 

相手もかなり消耗はしている様だったが、やはり1人で相手にするのは無理があった。

 

グレイ「クソッ……強いッ……!」

 

そして、疲れて反応が疎かになってしまい一瞬の隙を見られてパンチが入る。

 

グレイ「ガハッ……」

地面へ転がるグレイ。

 

そしてゆっくりと追って来るオメガ。

 

グレイ「ク……ソッ……こんな、所で……!」

 

動けないグレイにオメガが両腕を振り下ろそうとした、その時だった。

 

 

グレイ「ッ……」

思わず目を瞑ったグレイ。だがおかしな事に痛みは無かった。

 

グレイ「……?」

ゆっくり目を開けると、

 

???「…………」

自分の目の前には、全く知らない誰かが立っておりセイバーでオメガの一撃を防いでいた。

 

グレイ「!?」

???「そこのお前、動けるなら早く退け……」

グレイ「わ、分かった!」

 

グレイが素早く退くと、その謎の人物はオメガのパンチを返し飛び上がって一太刀を顔に浴びせた。

 

???「何故……お前が居る?」

そしてオメガと戦闘を始めた。

 

 

 

グレイ(凄い……何て動きだ……)

オメガの攻撃をまるで分っているかの様に避け、着実に持っているセイバーで斬っていた。

 

セイバー1つでオメガのミサイル等も断ち、凄まじい速さでオメガを斬り刻む。

 

そして、

???「何でお前が居るのかは知らんが……もう1度破壊する!」

トドメの空中からのチャージ斬りが炸裂し、今度こそオメガは破壊された。

 

 

 

 

???「……成程、コピーか」

破壊したオメガを見て謎の人物は呟いた。

 

翡翠色のセイバー。紅きアーマー。ん?何処かで聞いた事がある様な……。

 

グレイ「あ、あの……」

???「無事みたいだな」

グレイ「助けてくれてありがとう」

???「それより向こうで倒れている奴を何とかした方が良いんじゃないか」

グレイ「そうだ、アッシュ!」

 

その少年は、向こうで倒れているアッシュといった少女の元へ駆け寄っていった。

 

???「……何がどうなっているのか分からん。ここは何処だ?俺は……一体?」

 

 

そう。実は言うと先程アッシュが激突したカプセルに入っていたのが自分だった。衝撃により目が覚め、気が付いたら目の前で戦闘が行われていた、という事である。

 

 

 

グレイ「アッシュ!しっかりしろ!」

アッシュ「ん……グレイ?」

 

どうやら気絶していただけで大きな傷は見られなかった事が不幸中の幸いである。

 

グレイ「良かった……」

アッシュ「アイツは?」

グレイ「破壊した……いや、破壊して貰ったって言うのが合ってるか」

アッシュ「どういう事?」

グレイ「とりあえず立って。僕達を助けてくれた人が居るんだ」

 

 

戻ると、まだ彼は居た。

グレイ「あの、先程はありがとうございました」

アッシュ「私達を助けてくれたのね」

???「気にするな。それより……ここは何処だ?色々聞きたい事がある」

 

グレイとアッシュは顔を見合わせた。

グレイ「えっと……貴方は?」

 

 

ゼロ「俺か……俺の名は、ゼロだ」

 

アッシュ&グレイ「!!!」

 

その言葉に激しく驚き、

アッシュ(ねぇ、ゼロってあのゼロ!?)

グレイ(わ、分からない……けれど、伝説通りだ。紅きアーマーに光の剣)

ゼロ「……」

コソコソ話をしている2人を見て怪訝な顔をするゼロ。

 

グレイ「あ、すいません。うーん……とりあえず僕達と一緒に来てくれませんか?」

アッシュ「そっちの方が説明がしやすいから」

ゼロ「分かった、そうしよう」

 

 

入り口に出て、プレリーに連絡をする。

 

プレリー「2人とも大丈夫!?連絡が突然途絶えたから心配だったのよ!?」

アッシュ「まぁ……大丈夫じゃないと言えば大丈夫じゃないかも」

グレイ「自分は多少傷があってアッシュが強く頭をぶつけたみたいです」

アッシュ「別に意識ははっきりしてるわよ」

プレリー「それでも怪我しちゃってるんじゃない!すぐにそっちに向かうわ!」

グレイ「あ、それともう1つ」

プレリー「?」

グレイ「あの……遺跡内で謎の人物に助けて貰って、今その人と一緒に居るんです」

プレリー「謎の人物?その人が誰だか分かる?」

アッシュ「その、私達も今かなり動揺してるけど……ゼロって言ってる」

 

 

 

しばらく間が空いた。

アッシュ「もしもし?もしもーし?」

プレリー「う……そ」

グレイ「ちょっと、大丈夫ですか?」

 

プレリー「え、えぇ……取り乱してごめんなさい。間もなくそちらに着くわ」

 

少し向こうの空から巨大な艦がコチラに向かって来るのが見えた。

 

グレイ「あれが僕達の艦、ガーディアンベースです。えっと……ゼロさんも僕達と一緒にあれに乗って下さい」

ゼロ「……別にゼロで良い」

アッシュ「それに何で敬語?」

グレイ「な、何となくだよ」

 

 

 

~ガーディアンベース~

プレリー「グレイ達は?」

ヴァン「先に医務室で治療を受けてる」

プレリー「……その謎の人物は?」

エール「とりあえず医務室に居るよ」

プレリー「ヴァンもエールも一緒に来て」

ヴァン「分かった」

エール「どうしたの?」

プレリー「もしかしたら、もしかしたらだけど……世紀の大発見かも知れない」

ヴァン&エール「……?」

 

 

~医務室~

扉が開き、プレリー達が入って来た。

グレイ「あ、艦長」

プレリー「2人とも大丈夫?」

アッシュ「もう大丈夫!」

プレリー「良かった。心配したのよ」

ヴァン「もう1人は?」

アッシュ「今異常が無いか見て貰ってる。レプリロイドみたいね」

プレリー「ッ……!」

エール「……さっきからプレリー変だよ?何かあったの?」

プレリー「な、何でも無いの……何でも」

ゼロ「……」

グレイ&アッシュ「あ」

プレリー「?」

ヴァン&エール「プレリー、後ろ後ろ」

 

プレリー「え?」

ゼロ「……」

プレリー「嘘、こんな……こんな事って……!」

ゼロ「……?」

 

 

プレリー「ゼロッ!!!!!」

プレリーがゼロへと飛び付いた。

 

4人「!?!?」

ゼロ「……???」

ゼロはどうやら何が何だか分からない様だ。

 

プレリー「会いたかった……何処に居たの!?何処で眠っていたの!?」

プレリーの会いたかったという発言にも驚きを隠せない4人。それに対し、

 

ゼロ「……悪いが、俺はお前を知らない」

プレリー「あっ、そうか……この姿だと分からないわよね。ちょっと待ってて」

 

そう言ってダッシュで医務室を出ていった。

 

ゼロ「???」

ゼロも4人も理解が全く追い付いていなかった。

 

そしてすぐにプレリーは戻って来て、

プレリー「ゼロ……これなら覚えてる?」

いつも彼女の椅子の隣に置いてあるぬいぐるみをゼロに差し出す。

 

ゼロ「……!」

少し間を開けて、

ゼロ「アルエット……?」

その言葉にプレリーは喜びもう一度飛び付いた。

プレリー「ゼロ!やっぱりゼロなのね……!」

 

~休憩室~

 

皆が座って、ヴァン達がとりあえず自己紹介してから一旦落ち着いてプレリーは話し始める。

 

プレリー「コホン、先程は取り乱してごめんなさい。とりあえず皆訳分からないだろうから1つ1つ順を追って説明していくわね」

 

皆が真剣な表情になる中、

プレリー「まずグレイとアッシュは名前を聞いたみたいだけど、彼はゼロ」

それを聞いてヴァンとエールも驚く。

プレリー「そう。数百年も前にあったラグナロク決戦で全てを終わらせた伝説の英雄よ」

ゼロ「……待ってくれ、今何て言った?数百年前だと?」

プレリー「えぇ……あの戦いからもうそれだけ時が過ぎたのよ、ゼロ」

ゼロ「そんなに俺は眠っていたのか……」

プレリー「ゼロはどうして目が覚めたの?」

ゼロ「突然自分に強い衝撃が入って、目覚めてみれば何処か分からない場所だった。そして目の前でオメガと、グレイか。グレイが戦っていた」

アッシュ「多分私だ。私がオメガに吹き飛ばされ時にゼロさんが入っていたカプセルに当たってその衝撃で……」

 

ヴァン「でもゼロさんって、ラグナロクの破片と一緒に……」

プレリー「2人の調査結果からしてあの遺跡にもラグナロクの破片が同じくあったわ。そして2人が見たカプセルも、オメガのコピーもラグナロクの中にあった物で偶然燃え尽きずに残ったみたい」

エール「じゃあゼロもそのカプセルの中に偶然入っていたお陰で生きていたのかな」

ゼロ「聞いた話だとその可能性が高いな。アーマーやヘルメット等の機能が破損しているし武器もセイバー以外使用不可だった」

プレリー「そこら辺は私達に任せて。ちゃんとメンテナンスするから」

ゼロ「助かる」

 

続いて、プレリー達がゼロに今の世界情勢を伝えた。ヴァン達の様に英雄達の力を使う事が出来るモデル達、イレギュラー問題、そして自分達ガーディアンの事を。

 

ゼロ「ならお前達は……」

ヴァン「はい、ゼロさんの力も使えます」

ゼロ「……まぁ、俺もコピーであるからその力はオメガのコピーと言うべきか」

エール「どういう事ですか?」

プレリーはゼロの方を見ると、何かを察したのかゼロはコクリと頷いた。

プレリー「それに関しては私から話すわ。ゼロは確かにゼロだけどオリジナルボディは昔ゼロが戦ったオリジナルのオメガに使われていて、そのコピーがゼロのボディなの」

 

エール「じゃあ、ゼロさんは……」

プレリー「でも皆に分かって欲しいのは、彼のボディがコピーだとしても心は本物よ。かつて大昔に英雄エックスと共に戦った伝説の英雄ゼロそのものなのだから」

ゼロ「英雄なんて肩書きはいらん……俺はゼロだ。それ以上でもそれ以下でも無い」

 

4人(か、カッコイイ……)

 

 

 

プレリー「ゼロはこれからどうする?」

ゼロ「お前達に同行したい。聞いたは良いがやはり俺はまだ何も世界を知らないからな」

プレリー「えぇ。私達も大歓迎よ」

ゼロ「勿論同行させて貰う分仕事はする」

プレリー「そんな気張らなくても大丈夫よ。ヴァン、エール、ゼロを艦内を案内してあげて、部屋も既に開けてあるから」

ヴァン「了解」

エール「分かった」

 

 

 

 

ゼロが後ろでキョロキョロしながら着いて来ている。緊張する事これ以上無い。

 

ヴァン(い、今後ろに居るのは……伝説の英雄なんだよな……)

エール(ど、どうしよう……何か話したいけど緊張し過ぎて言葉が出ない)

 

ゼロ「……2人とも」

ヴァン「はい!」エール「ひゃい!」

 

緊張した感じでヴァンが答え、エールに至っては噛んでる。

 

 

ゼロ「そんなに緊張するな……さっきも言ったが肩書きに縛られたりするのは嫌いだ」

ヴァン「す、すいません」

ゼロ「普通にしてくれれば良い」

エール「はい……」

 

 

しばらく歩いて、

ヴァン「ここがゼロさんの部屋です。部屋の機能とかが分からなかったら遠慮なく聞いて下さい」

ゼロ「あぁ、助かる」

エール「それではまた後で」

 

 

部屋に1人残され、ふと考えた。

ゼロ(未だに数百年もの眠りから目覚めたと言われても実感が湧かないな……)

 

だが、偶然にも生かされた命。そして今目覚めた事は何かの運命なのかも知れない。

 

 

ゼロ(シエル……)

 

誰よりも守りたかった少女の名を心の中で呟く。

 

レプリロイド様に用意されたメディカルマシーン、これで睡眠を取る事が出来るらしい。寝ている間は何とエネルゲン水晶が精製されるという素晴らしい機械だ。

 

意識を保つ事も出来るし、予定の時間まで完全に眠る事も可能です。

 

今日は色々あり過ぎて疲れたのも事実。とっとと寝ようかと思ったその時。

 

コンコンと扉がノックされた。

ゼロ「……良いぞ」

 

プレリー「ゼロ、少し良い?」

ゼロ「あぁ」

 

そう言うとプレリーはお茶を持って椅子に座る。

プレリー「疲れたでしょ?」

ゼロ「まぁな」

プレリー「まさか貴方が生きてるなんて思わなかった。私達がどれだけ探しても見つからなかったもの」

ゼロ「あの地帯は俺が眠った頃にはただの大地だったみたいだな。ラグナロクの破片のせいで砂漠化して、その下に埋まっていたのだから無理も無いだろう」

プレリー「それでも……こうして貴方が生きているのなら、お姉ちゃんに会わせたかった」

ゼロ「シエルは……」

プレリー「私はね、2代目艦長なの。このガーディアンを設立したのもお姉ちゃんなのよ」

ゼロ「シエルが艦長、か」

プレリー「そして血眼になって貴方を探した。何ヶ月にも渡って皆探したの。だけど、貴方が見つかる事は無かった」

 

ゼロ「俺なんかの為に……」

プレリー「俺なんかの為に、なんて言わないで。皆にとっては、やはり貴方は英雄だったのよ。お姉ちゃんにとっても、私にとってもね」

ゼロ「…………」

プレリー「お姉ちゃんなのよ。ヴァン達が使っているモデル達を生み出したのは」

ゼロ「確かにシエルは天才だったからな」

プレリー「そして、バイルが落としたラグナロクの破片からモデルVという物を研究していたの」

ゼロ「モデルV……」

プレリー「でも、それからは分からないの」

ゼロ「どういう事だ?」

プレリー「行方不明なの。モデルVの研究の最中に行方不明になってそのまま……」

ゼロ「ッ……」

プレリー「何にせよ、お姉ちゃんは人間だからもう生きていないけど……事件の真相を追う事も私の重要な目的の1つよ」

ゼロ「……俺も手伝おう」

プレリー「ありがとう、ゼロ」

ゼロ「それと、お前はどう呼べば良い?」

プレリー「貴方が好きな方で良いわ」

ゼロ「……いや、アルエットはお前が子供の時の名だ。今はもう立派に艦長を務めているからその名で呼ぶのは失礼だな」

プレリー「ふふふ、気にしなくても良いのに」

 

これ以上話すと長くなりそうなので一旦ここで話を切り、ゼロもプレリーも休む事にした。

 

ゼロ(シエル……俺は、この世界で生きていく。俺が再びこの世界に呼ばれたのにはきっと何か意味がある筈だから)

 

新たなる仲間達とゼロの新たなる世界での戦いが、始まろうとしている。

 

 

 

 

 

ゼロの部屋を出たプレリーは、廊下でヴァンとエールに会った。

プレリー「あら、2人とも」

エール「ゼロさんと話してたの?」

プレリー「えぇ」

ヴァン「……本当にあの伝説の英雄なんだな。エックスとゼロと言えば知らない奴が居ないんじゃないかって位有名人だし」

プレリー「そうね。2人はゼロを見てどう思った?形は違えど貴方達もエックスと彼の力を受け継いでいるのよ」

ヴァン「実感湧かないな……」

エール「私も」

プレリー「ふふ、貴方達もこれからゼロと一緒に過ごす上で感じる事が沢山ある筈よ」

 

沢山学ばせて貰いなさい、とだけ付け加えてプレリーは去っていった。

 

 

ヴァン&エール「…………」

だがヴァンとエールはゼロについて説明のつかない不思議な感情を抱いていた。

それが何なのか分かるのはまだ先の事である。

 




いかがでしたか、早速オリジナルてんこ盛りの2話でした。
今読み直すとゲームと矛盾あり過ぎて草生えないレベルとなってしまいました( ˘•ω•˘ )
モデル達は残念ながら喋りません。
そしてアドベントの後ヴァン・エールのモデルZはちゃんと帰って来たという設定です。
その他補足は本編中にする予定です。

次回からどんどん物語が進んでいきます、また次回でお会いしましょう。


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-ゼロとロックマン達による初お手合わせ・初任務-

どうも、章分けや投稿予約等の便利な機能をようやく活用し出したまだまだ初心者M・Mです。

あれ~おかしいねゼロコレクションやゼクス・アドバイスをやってたら何故かエグゼをやっている、とても不思議。

ゼロ達の物語はどしどし進んでいきます。

では、どうぞ。


ゼロがガーディアンベースに乗り込んで数日が経った。ゼロもまた知らない機械に囲まれた艦での生活に少しづつ慣れ始めていた。

 

~艦長室~

ゼロ「………」

プレリー「ゼロ、する事が無いのは分かるけどずっと背後に立つのは止めてくれないかしら……?」

ゼロ「あぁ、すまん」

 

プレリー(ゼロにとって、暇な時間なんて物は新鮮なのね……)

 

ずっと、息づく暇も無く戦い続けた遠い日々。最後まで自分の信じるものの為に戦った遠い記憶。

 

今は色々問題があるとはいえ皆に休みがある位である。かつての自分の様に戦うしか無かった世界では無いのだ。

 

ゼロ「する事が無いとは、世界も変わったな」

プレ「でもねゼロ、この世界は貴方が守ったのよ。貴方が居なければこの世界は存在しないわ」

ゼロ「………」

プレリー「ヴァン達が貴方を尊敬している理由は、やはり自分達の生きている世界を何度も救った事だと思うわ」

ゼロ「あの4人も、救っただろう」

プレリー「それもそうだけど、貴方とはやはり規模が違い過ぎるから。彼等も英雄と呼ばれているけど、その英雄達の先輩として貴方は皆の中で定着しているみたい」

 

クス、とプレリーは笑った。

 

ゼロ「……全く、変な話だ」

ハァ、とため息をつくゼロ。

 

プレリー「暇なら、戦闘訓練室に行ってみると良いわ。4人とも居ると思う」

ゼロ「戦闘訓練室、か」

 

 

プレリーの言う通り少し迷いながらも目的地へと辿り着いたゼロさん。

 

 

ゼロ(ん、あれは……)

プレリーが言った通り4人が居た。ヴァンとエールがロックマンとしては後輩であるグレイとアッシュと模擬戦をしていた。

 

遠近両方での戦闘を訓練する為に4人ともモデルZX、俺の力も入っているモデルで中々にハイレベルな戦闘をしていた。

 

 

ヴァン「グレイ!前から言ってるがお前は懐に入られると下がり気味になるぞ!」

エール「アッシュ!貴方はもっと冷静に周りを良く見る!」

グレイ&アッシュ「ハイ!」

 

 

そこへふとやって来たゼロ。

ヴァン「ゼロさん」

ゼロ「別にゼロで良いと言っているだろう」

エール「いや、先輩ですから」

ゼロ「……そうか」

 

もう好きにしろ、といった感じに諦めた模様。

グレイ「ゼロさんはどうしてここに?」

ゼロ「ここに行けばお前達が居るだろうとプレリーから聞いたからな」

アッシュ「まぁ当たりだね」

ゼロ「訓練をしているのか」

ヴァン「自分達もまだまだですから」

ゼロ「……いい心掛けだな」

ヴァン「ありがとうございます」

 

ゼロ「気になっていたんだが、お前達はどうしてロックマンになったんだ?」

黙り込む4人。

 

グレイ「僕は、ならなきゃ死んでましたから」

アッシュ「アタシも」

ヴァン「俺達も似たような物です」

エール「モデルXが私達の勇気に応えてくれたって事でロックマンになりました」

ゼロ「……大変だったんだな、お前達も。人間としてはまだ若いだろう」

グレイ「僕は、レプリロイドです」

ゼロ「そうなのか?とてもそんな風には見えないが……普通に人間の生活をしているだろう」

グレイ「僕は、過去の自分を知りませんから」

ゼロ「……悪かった」

グレイ「大丈夫です。そんな過去に縛られず今を生きようと決めました」

 

ゼロはその言葉を聞き、頷くと、

 

ゼロ「その心、失うな。お前はお前だ」

グレイ「……はい!」

 

 

 

そんな話の後で、

ヴァン「ゼロさん、俺と戦ってくれませんか」

エール「ヴァン!?」

ヴァン「ゼロさんの力が見てみたいです」

ゼロ「……あぁ。お互いの実力を知っておく為にもそれは良い考えだ」

正直まだ寝起き感が否めないのでリハビリも含めて。

 

と、いう事で。

 

ヴァン「とりあえずZXだけで行きますね」

ゼロ「あぁ。まだお前達の力に関しては全く知らないからな」

ヴァン「じゃあ、やりましょう」

そう言ってセイバーを持つヴァン。

 

ゼロ「……容赦はしないからな」

自分もセイバーを持つ。

 

少しの間睨みあう2人。

 

ヴァン(……全く隙が無い)

ゼロはいつもの体勢、少し腰を落として自分を真っ直ぐと見据えている。

 

ヴァン(そして溢れ出る気迫……これが英雄の気迫という物か)

 

ゼロ(何やら凄い緊張しているみたいだがどうしたんだ……?)

「来ないのなら、俺から行くぞ!」

 

ヴァン(速いッ!)

高速のダッシュ斬りを防ぐ。

 

ゼロ「……」

無言で、お得意の三連斬を披露。

 

ヴァン「こっちだって!」

構えが違う三連斬。

ヴァン「でやぁっ!」

 

更にヴァンは斬り上げてパワーで押し切る。

 

ゼロ「くっ……」

1度飛び退く。

 

ヴァン「狙い撃つ!」

だがヴァンが追撃。強力なチャージバスターが放たれるがとりあえず回避。

 

ゼロ(バスター……!)

そして腰に何も無いのに手を掛けた。

ゼロ(そうか、今俺にはセイバーしか無いのか)

つい癖でバスターを取ろうとした。

 

ゼロ(流石に近接だけだと相手が悪いな……だが、そんな事は些細な問題だ)

 

戦闘能力なら、負けはしない。

遠距離からやられると今はどうしようも無いので距離を詰める。

 

ゼロ「はぁっ!」

ダッシュ突き。当然防がれるが、

ゼロ「もう1つだッ」

すかさず足元に蹴りを入れる。

 

ヴァン「なっ!?」

体勢を崩した所にすかさずジャンプ斬り、そして技を決める……。

ヴァン(ヤバいッ……!)

 

ゼロ(このまま攻めるッ……!)

 

技を撃とうとしたが、

ゼロ「……」

そのまま何もせず着地。

 

ヴァン「えっ……?」

ゼロ「……技を忘れた、良く考えたら自分の技が何も思い出せん」

4人「えぇぇぇ!?」

 

まさかの発言に4人ともズッコケる展開に。とりあえず勝負を終え、

 

ヴァン「まぁ、あれは自分の負けです。あの突然の蹴りは全く想定外でした」

ゼロ「何となくやってみただけだ。俺もあまり足で格闘はやった事は無かったからな」

ヴァン「でも流石です」

 

そこへプレリーがやって来た。

プレリー「ゼロもヴァンもどうだった?戦ってみて」

ゼロ「ロックマンとは面白い力だな」

ヴァン「ゼロさん、やっぱ強い」

プレリー「当然よ。ゼロなんだから」

エール「何でプレリーが誇らしげなの……?」

ゼロ「やはり眠り続けた影響はかなり大きいみたいだな、俺がかつて使っていた技等が何も思い出せん」

プレリー「それは大変ね……」

ゼロ「お前達の訓練、俺も参加させてくれないだろうか」

ヴァン「俺は勿論OKですよ」

エール「私も」

グレイ「ゼロさん、次は僕と戦って下さい」

アッシュ「あ、抜け駆け!」

グレイ「言ったもん勝ちだから」

 

ゼロ「順番にやるからそう喧嘩するな」

プレリー「ふふ、やるからにはここの4人をしっかり鍛えてあげてね」

 

ゼロ「いや、鍛えるとかじゃなくて……むしろ教えられるのは俺の方かも知れない。それにこの4人と戦っていれば忘れた事も忘れた技も思い出せるだろうしな」

プレリー「そう。頑張ってね、ゼロ」

ゼロ「という訳で遠慮はしない。だからお前達も全力でかかってこい」

 

その言葉に、元気良く4人がハイと答えた。

 

プレリー(振る舞いが何だかもう部隊長みたい)

そう思いクスリと笑った。

 

 

 

しばらく皆と戦い、ゼロも含め休憩室で皆グッタリとしていた。

 

ゼロ「お前達……どれだけ俺と戦いたいんだ」

アッシュ「だって、やはり英雄とまで呼ばれるんだもの。その力がどんなのか自分の身で確かめてみたくて」

グレイ「……自分もそうです」

エール「私も……」

ゼロ「……」

彼はハァ、とため息をついた。

 

ヴァン「でも、ゼロさんもセイバー1本に加えて特殊能力とかも全部無しだったし、自分達もモデルZX縛りだけでしたからまだまだ分かりませんね」

ゼロ「そうだな。もう少し慣れたらお前達の本当の力を見てみたいものだ」

 

ヴァン「それより、自分達と戦って何か思い出せた事はありますか?」

ゼロ「そんな一朝一夕には思い出せん。だが戦う事で必ず思い出せる筈だ」

エール「じゃあ、私達と一緒に頑張りましょう」

ゼロ「あぁ……それとお前達それぞれに言いたい事が色々ある」

 

4人は首を傾げているが、

ゼロ「まずヴァン、お前は射撃が荒すぎる。セイバーでの太刀筋は悪くないが」

ヴァン「あー……それは良く言われますね」

ゼロ「続いてエール、お前は射撃の腕は良いが近接が軽い。もっと深く斬らないと致命傷にはならないぞ」

エール「ヴァンに良く言われます……」

ゼロ「グレイもアッシュもヴァンとエールが言っていた事が殆どだが、グレイは懐に入り込まれると弱腰になる。アッシュは逆に瞬間の応用性はあるが冷静に周りを見れていない所が目立つな」

アッシュ&グレイ「ハイ……」

 

ゼロ「皆それぞれ自分の弱点は良く理解しているだろう。それを克服すればお前達は立派な戦士になる筈だ……上から言ってしまって悪かったな」

ヴァン「事実ですから、気にしないで下さい」

ゼロ「これから俺達は皆が皆パートナーだ、切磋琢磨していけば良い。俺もお前達と共に頑張るとしよう……これから宜しく頼む」

4人「ハイ!」

 

 

プレリー「ゼロ……」

自分の知っているゼロとは随分変わっている事に驚いている。いや、元々彼の性格はあぁなのかも知れない。

 

 

 

 

次の日。

プレリー「今回私達ガーディアンが行く場所はエリア・ゼロの奥にある大昔に墜落したコロニーの残骸よ」

ゼロ「……アレか」

ヴァン「ゼロさんは昔行った事があるんですね」

ゼロ「あぁ。確か人間達が住んでいた所にネオ・アルカディアの襲撃を受けた時に俺が行った。それで奥に変わった巨大レプリロイドと戦った事を覚えている」

 

エール「その場所にどうして行くの?」

プレリー「あの場所で危険なレプリロイドを製造・研究しているとの噂よ」

ゼロ「あの場所にそんな事が出来る機械があったか……?いや、後から持ち込まれたと考えるのが妥当か」

プレリー「えぇ。また変に騒動を起こされると大変だから未然に防ぐのよ」

 

5人ともコクリと頷いた。

 

プレリー「敵の戦力がどれだけか不明だから何があるか分からないわ、だとしたら5人ですぐに殲滅して欲しいの。オペレートは任せて」

4人「了解!」

ゼロ「了解だがプレリー、少し良いか」

プレリー「ゼロはまだ待機しとく?」

ゼロ「そうじゃない。せめてバスターとか遠距離武器が欲しい」

プレリー「あぁ、貴方のバスターなら修理は出来ているわ。ただ他の武器はまだ修理が出来ないの」

ゼロ「修理不可能なのか?」

プレリー「そうじゃないけど、あれは貴方用に作られた特殊な武器だから……今私が過去の貴方のデータを探しているから。それが見つかればきっと武器の修理方法も分かる筈よ」

ゼロ「俺のデータ……」

プレリー「初代艦長が残してくれた物よ」

ゼロ(シエル……)

 

そしてすぐに取ってきて、セイバーとバスターだけではあるがこれで十分だ。

 

ゼロ「そう言えば……セルヴォはどうしているのか知らないか?」

プレリー「……」

プレリーはとても悲しい顔をした。

 

ゼロ「……?」

プレ「セルヴォはね、セルパンだったの」

ゼロ「セルパン?何の話だ?」

ヴァン&エール「セルパン!?」

 

突然大声を上げる2人を見て思わず驚く。

ゼロ「誰なんだ?」

ヴァン「俺達の宿命の相手でした」

ゼロ「でした、という事は」

エール「……私達が倒しました」

プレリー「それについてはまた私達からちゃんと話すわ。まだ確実かどうかは分からないし、どうしてあんな事をしたのかも全く不明だけど……私達の調査からすると恐らく、貴方が知っているセルヴォはもう居ない」

ゼロ「……そうか」

 

グレイ「セルヴォってどんな方なんですか?」

ゼロ「バイル達との戦いの時の仲間だ。いつも俺とシエルを見守ってくれていた」

アッシュ「どうして今そのセルヴォって人の話が出たんですか?」

ゼロ「俺のバスターもそこまで軍の物と変わりはしないが特別製でな……俺のメンテナンス、他にも俺の武器や特殊武器等も沢山作ってくれた」

 

プレリー「気になる事は沢山あると思うけど、今からは任務に集中して。そろそろ着くわ」

 

 

そしてガーディアンベースはとある都市の近くに停車し、ゼロ達はそのまま森を通り直接コロニーの残骸へと移動する。

 

移動途中、

ゼロ「あの巨大な都市は何なんだ?」

プレリー「あの都市の名前はカンナ。エリア・ゼロに住んでいた人達がエリア・ゼロを広げて作った都市よ」

ゼロ「これが!?」

プレリー「貴方が守った人達が、レプリロイド達と協力して作り上げた巨大都市。今や世界有数の都市となっているわ」

ヴァン「とても平和な都市です」

エール「物流とかの中心とかにもなってますし」

アッシュ「アタシ達も仕事のついでに何日か滞在したけど良い都市だったわね」

グレイ「あぁ。緑も豊かで良い場所だ」

 

ゼロ「そうなのか……」

プレ「5人とも、そろそろ着くわよ」

 

~エリア・ゼロ コロニー残骸~

ゼロ「あの時と変わっていないな……」

プレリー「危険な物は都市の方で撤去されたらしいんだけど……くまなく調査してみて」

5人「了解」

 

 

敵が居る訳でも無く、動物達が沢山居た。

ゼロ「色んな生物が居るんだな、しかもちゃんと生きている」

エール「緑がある分、生物達にとっても住みやすい環境ではありますから」

 

そんな話をしながらもくまなく調査する事小一時間。何も無さそうと話をしていたその時だった。

 

アッシュ「きゃあー!?」

突然アッシュが声を上げたので駆け寄ってみると、アッシュが転んでいた。

エール「大丈夫!?」

アッシュ「いたた……大丈夫」

エールがアッシュに手を伸ばす。

ゼロ「何があった?」

アッシュ「えっと、地面を凝視しながら歩いてたら何かに(つまず)いちゃって」

グレイ「ん、良く見れば何かある……」

ヴァン「これは……蓋か?」

ゼロ「エールとアッシュ、下がっていろ。ヴァンとグレイ、持ち上げるぞ」

グレイ&ヴァン「はい」

 

ゼロ「行くぞ、せーのっ!」

3人が力を込めて持ち上げると、確かにそれは蓋であり中には階段があった。

アッシュ「ビンゴ、だね」

エール「本当にアッシュは強運だね」

アッシュ「伊達に冒険家してないよ♪」

 

そして警戒は怠らず中に入る。

 

ゼロ「広いな……もしもし、こちらゼロ。プレリー聞こえるか」

プレリー「えぇ。聞こえるわ」

ゼロ「読み通りだ。謎の階段があって中はかなり広い造りになっている」

プレリー「そのまま調査をお願い。くれぐれも気を付けてね……何があるか分からないから」

ゼロ「了解」

 

4人の方に振り向き、

ゼロ「俺が先頭を歩く。各自警戒は怠るな」

4人「了解!」

 

ゼロさんはやっぱり部隊長です。

 

 

 

先に進む事数十分。

今ゼロ達の前には巨大な扉がある。

ゼロ「感じからしてどうやら最深部みたいだな」

グレイ「特に何もありませんでしたね」

エール「あられても困るけどね」

アッシュ「とっとと入りましょ」

ゼロ「そう()くな。ん、この扉……かなり厳重なセキュリティがある。造りも頑丈で簡単に破れそうには無いな」

ヴァン「けどセキュリティコードだとか持ってませんし、やっぱり破壊するしか無いですよ」

グレイ「ここは僕達の出番だな」

アッシュ「そうね。ゼロさん、見ていてよ私達の力!トランスオン!」

 

2人が光に包まれたと思うと、

ゼロ「……!」

ロックマンでは無く、巨大な蜂へと変わっていた。そして2人(?)は飛び上がり、扉に向かって何やら液体を放った。

 

恐らく強力な酸だろう。扉がみるみる内に溶けていったのだった。

 

そして2人は元に戻る。

ゼロ「話には聞いたが……凄いな」

グレイ「まぁ、これが僕達の特殊能力です」

アッシュ「今までの戦った事のある者の力をコピーして変身が出来る!素晴らしい!」

ヴァン「2人の力が便利なのは分かった分かった。とりあえず先に進むぞ」

 

 

そして扉の奥には……。

ゼロ「研究室……か?」

1面機械で埋め尽くされており、カプセルも沢山配置してあった。

グレイ「これ、僕か入っていた機械に似てる……何も入っていないみたいだけど」

ヴァン「何かの生物でも研究していたのか?」

エール「とりあえず機械とかも詳しく調べてみよう、慎重にね」

 

 

 

皆で機械をポチポチ動かしたりコンピュータをカタカタ動かしてみるも、特にこれといって収穫は無かった。

 

ただ1つ、気になる事があった。

ヴァン「開かないなぁ……」

グレイ「も、もう無理……」

ゼロ「どうしたんだ?」

エール「この扉、どうやっても開かないんです」

アッシュ「アタシ達がトランスの力使っても無理だったのよ……」

ゼロ「とんでもない程頑丈に出来ているみたいだな……傍にあるのはカードリーダーか?」

ヴァン「こればっかりはカードキーが必要になるみたいですね……今は無理か」

 

 

とりあえず一通り調査は終えたので、

 

ゼロ「プレリー、聞こえるか」

プレリー「えぇ、どう?」

ゼロ「噂は間違ってるみたいだ、特にこれといって何かがある訳でも無い。ただ何かを製造していた様な痕が残ってはいる」

プレリー「もしかしたらその場所は既に放棄された場所なのかも知れないわね。分かったわ、とりあえず皆帰還して」

ゼロ「待ってくれ、ただ1つだけだがどうやっても開かない扉があった」

プレリー「扉?」

ゼロ「俺達が強行突破しようとしてもビクともしない。グレイ達がトランスを使っても無駄だったらしい」

プレリー「5人しても開けられない扉……鍵は?」

ゼロ「扉の傍に恐らくカードキーを差し込むのだろう機械がある」

プレリー「ふむ……そこまでしても開かない扉だとするととんでもない秘密が眠っているのかも知れないわ。ゼロ達が帰還したらガーディアンの方からも調査命令を出しておくから」

ゼロ「了解だ、帰還する」

 

4人の方へ振り向き、

ゼロ「帰還するぞ」

4人「了解」

 

 

 

 

~ガーディアンベース~

プレリー「皆調査お疲れ様。結果としては何も無かったけど、何者かが何かをしていた事は事実みたいね」

ヴァン「あの扉も気になるしな」

プレリー「危険な物を研究していて、人々に危害を加えようとするのなら我々ガーディアンはそれを防がないといけない」

エール「調査続行だね」

プレリー「えぇ。とりあえず皆もう休んでくれて良いわ……明日は多分5人とも休みになるだろうから都市に行っても良いわよ。明日1日艦はここに停めておくから」

エール「やった!」

アッシュ「久しぶりだねー」

ヴァン「折角だしな」

グレイ「のんびり出来るな……」

 

 

そしてこの後プレリー達からセルパン・カンパニー、そしてセルパンとの戦いの事を聞き、それがヴァンとエールの出生にも関わる話だという事も聞いた。

 

ゼロ「ヴァンもエールも、かなり辛い人生を送っているんだな……」

ヴァン「確かにセルパンからこの事実を聞かされた時は動揺を隠せませんでしたが、それを受け入れて生きると誓いましたから。ゼロさんが言っていた通り、俺は俺なんだと自分に言い聞かせて」

エール「私もです」

ゼロ「……グレイもアッシュも含めてお前達は強いな。運命に負けずに抗い、そして勝ち取った」

グレイ「僕達は、ただ必死だっただけです。生きる事の意義など考える余裕もありませんでした」

アッシュ「思えば波乱万丈な人生よねぇ、ここに居る全員」

プレリー「それでも、私達は今こうして生きている。その事が何よりの幸せよ」

ゼロ「そうだな……」

 

 

そして5人は各自の部屋に戻り休む事になった。休憩室にはプレリーが1人残された。

その後いつも通り艦長室の椅子に座り、

 

プレリー「……お姉ちゃん。私達、頑張ってるよ」

 

自分の大切な、とても大切なぬいぐるみを抱き締めながらそう呟いた。

 




はい、何とか書ける内に書いておこうという事で中々ハイペースでお送りしました。

いつもこの調子で投稿出来れば良いんですけどねぇ(届かぬ願い)

まだストーリーとしては訳分からないですが後々展開が広がっていきます。

次回はゼロ達の普段の生活をお送りします。また次回で会おう!


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-英雄達の休息 そして突如現れる謎の敵-

どうも、天気がまた色々大変ですが皆様元気にお過ごしでしょうか。

とりあえず自分は課題パパパっとやって(終わってはいない)、エアコンガンガン効いた部屋でロックマンゼクスとロックマンエグゼ3をしてました(隙自語)

そんな話は置いといてゼロ達の物語は本格的に動き出します。今回は皆のとある休息の日、ゼロさんの心に大きな変化が。そしてタイトル通り謎の敵が襲来!皆ファイト~。

では、どうぞ。


あの仕事の次の日。

艦長室にゼロがやって来た。

ゼロ「……ん、プレリーは居ないか」

クルー「艦長達なら休憩室に居ますよ」

ゼロ「そうか、ありがとう」

 

 

休憩室にはクルーの言った通りプレリーとヴァン達が居た。

 

プレリー「あらゼロ、どうしたの?」

ゼロ「何があるという訳では無いが、お前達が何をするのかが気になってな」

ヴァン「俺達は折角の休みなのでカンナに行こうと思ってます」

エール「買い物もしたいしね、プレリー」

プレリー「えぇ。あそこはトレンドが集まるから買い物が楽しいのよ」

グレイ「俺もとりあえず買いたい機材とかあるしな、グレイもそうだろ?」

グレイ「はい。丁度良い機会なのでまとめ買いしたいと思ってます」

ゼロ「皆ちゃんと仕事してる分金は貰っているのか、大人だな」

ヴァン「昔の仕事よりも格段にお金は貰ってますね、大変なのは確かですけど」

アッシュ「危険な仕事とか結構貰えますし」

そう言って指で¥マークを作るアッシュ。

 

ゼロ「成程……」

プレリー「ゼロも暇かしら?」

ゼロ「そうだな、やる事は無い」

エール「ならゼロさんも行きましょうよ」

ゼロ「……俺が行っても大丈夫なのか?俺を見て変に思う奴が居るだろう」

プレ「大丈夫よ、あそこはレプリロイドも沢山居るから。過去に色々あったレプリロイドもね」

ゼロ「……そうか」

ヴァン「でも、妖精戦争の事を知っている者が居るなら流石にゼロさんはヤバくないか?」

アッシュ「ゼロさんはグレイみたいにアーマー外したりは……?」

ゼロ「無理だ。これは俺と一体化しているからな、代わりに重さ等は感じないが」

グレイ「ヘルメットは?」

ゼロ「ヘルメットなら外せるが……外すと戦闘能力がガタ落ちする」

プレリー「何言ってるの、戦闘なんて必要無いわよ」

ゼロ「それもそうだな……」

 

そう言ってゼロは何かをした後ヘルメットを外した。そのヘルメットからも見えていた金髪から大体察する事が出来たが外すと美しいロングの金髪がサラリと落ちた。

 

エール「綺麗な髪ですね……」

 

凛とした顔立ちも相まって出来ないと言ったがアーマーを脱がして服さえ合わせれば女性と見てもおかしくない。

 

プレリー「本当に、同じ金髪なのに女の私よりもサラサラしてる……羨ましい」

ゼロ「……そんな事言われてもな」

 

プレリー(ゼロ、お手入れとかしてないわよね?もしやお手入れしなくてもここまで綺麗なのはヘルメットのお陰!?)

 

プレリーさん妙な事考えてます。

 

アーマーだけ着いてはいるがヘルメットを外し長い金髪をお下げにしていればそこら辺を歩いているレプリロイドと変わりは無い。

 

プレリー「これならOKね。じゃあ行きましょう」

 

 

 

 

 

~カンナ 都市中心部~

ゼロ「凄い人だな……レプリロイドも沢山居る」

プレリー「それがこの都市の特徴だから。人とレプリロイドが共に生きているの」

ゼロ「……」

ヴァン「そりゃ勿論問題が起こらないなんて事は無いんですが、それでもちゃんと解決して共生しているんです」

グレイ「だからこの都市は僕も好きなんです」

 

プレリー「お姉ちゃんが見れば……きっと凄く喜んだんだろうなぁ」

ゼロ「あぁ……シエルが何よりも目指した未来が、今になって俺が見ているなんてな」

 

アッシュ「……空気を読まない様ですいませんけど、そういう話は止めときましょうよ、今は楽しみましょ!」

ゼロ「……悪い。そうだな」

プレリー「えぇ」

 

 

しばらく6人で喋りながら歩く。確かに俺が居ても誰も怪しむ事は無かった。

 

 

ヴァン「そう言えばゼロさんって」

ゼロ「何だ?」

ヴァン「好きな物とかあるんですか?」

ゼロ「好きな物……俺はエネルゲン水晶しか取らないからな」

 

アッシュ「あぁー確かに昔はそれしか無かったからそればかりはしょうがない……」

プレリー「グレイみたいになれれば良いのだけどね」

ゼロ「グレイはどうなんだ?」

グレイ「勿論僕もエネルゲン水晶を取る事もしますが、普通の食事をエネルギーとして変える事も出来るんです」

ゼロ「それは凄いな……」

エール「もしかしたら今の技術力を活かせばゼロさんにも同じ事が出来るんじゃ?」

ゼロ「そんな事が出来るのか?」

ヴァン「……技術的には可能だと思います。ですがそれだとゼロさんが普段やっている事と変わりません」

ゼロ「どういう事だ?」

プレリー「食べ物をエネルギーに変える事は出来る。だけどそれはあくまでエネルギーに変えるだけ、美味しいだとか好きだとかの感情は存在しない」

グレイ「それだとエネルゲン水晶を取るのと何も変わらないですね……」

アッシュ「そういった物は人間だから存在するのよね……でも艦長は?」

プレリー「私は大人になると同時に味覚とかも感じられる様になったから」

エール「じゃあ不可能では無いのかも」

 

ゼロ「無理にしなくて良い……俺はお前達と違う事くらい自覚している」

ヴァン「そんな事言わないで下さいよ。ゼロさんは確かに戦闘に関しては凄いですが普通の生活はからっきしじゃないですか」

ゼロ「……残念だがそれは認める」

プレリー「まぁゼロにそんな好きな物を楽しむだなんて暇は存在しなかったから……」

ヴァン「あっ……すいません」

ゼロ「気にするな。俺はあくまで戦闘レプリロイドだからな」

 

その言葉に悲しい表情を浮かべる5人。

 

エール「けど、私達もゼロさんと一緒に楽しい事をしたり美味しい物を食べたいですよ、仕事で戦闘を行う為時の先輩後輩だけの存在だけでありたくは無いです」

 

プレリー「私も、折角こうして今の時代に目を覚ましてくれたのだから……ゼロも普通の人間の生活はとは言わないけどせめて自分の好きな物を楽しむ事位して欲しいわ」

グレイ「僕もゼロさんと同じレプリロイドで、自分の存在に沢山悩みましたが……それでも人間だとかレプリロイドだとか関係無しに自分らしく生きたいといつも思ってます」

ゼロ「自分らしく、か……」

アッシュ「アタシはアタシの物語を、ゼロさんはゼロさんの物語を生きてるんだから。そんな自分を戦闘の為だけに生きてるみたいな事言わない方が良いですよ」

 

ゼロ「あぁ……そうする。俺も、過去に縛られずに変わらないといけないな」

プレリー「お姉ちゃんもきっと、そう願ってるわ」

 

私にとっては、貴方はもうゼロなのよ

 

貴方の体が例え、コピーであったとしても……貴方の心が貴方である限り貴方は、ゼロ……。

ゼロ以外、何者でも無いわ

 

 

ふと彼女(シエル)にいつか言われた言葉が頭をよぎった。

 

ゼロ「ありがとう、皆」

 

5人「!!!」

ゼロ「……何だ?」

 

プレリー「ゼロ……今笑った」

ゼロ「笑った?」

ヴァン「普通に、笑ってました」

アッシュ「いつも変わらない表情だけだと思ってましたけど、笑えるじゃないですか」

グレイ「アッシュ、失礼だろ」

エール「変われますよ、ゼロさんなら」

ゼロ「あぁ」

 

プレリー(ゼロの本当の性格は……私達が全く知らない様な性格なのかもしれないわね)

そして彼は変わろうとしている、今を生きるヴァン達「ヒトビト」の1人として。

私達が前の伝説の英雄に出来る事は……彼を支える事だろう。

今の姿を見たら、きっと姉は喜んだに違いない。出来るのなら……見せてあげたかった。

 

 

彼に、新しい何かが目覚めようとしている。

 

 

 

その後、各自艦に何時までに戻るという事で別れたがゼロはやりたい事が無いのでプレリー達に着いて行く事にした。

 

プレリー「私達は服とか雑貨を見るだけよ?ヴァン達に着いて行った方が良かったんじゃないかしら」

ゼロ「別にどちらでも構わん……俺は知らない事が多過ぎるからな」

エール「まぁ良いじゃないの、ゼロさんの好きにさせてあげたら」

アッシュ「何も無いと思うけど、私達もレディーなんだからボディーガードって事で……」

エール「アッシュ、それは何か違う」

プレリー「フフフ、それもそうね」

 

トレンドの商品や新しい物を見てプレリーもエールも興奮するが、それよりもゼロの様子がまるでド田舎から都市へと出た時の者の顔。何もかもが新しい存在でキョロキョロしていた。

 

思わずプッと吹き出してしまうエールとプレリーとアッシュ。3人はゼロの反応を見て少々失礼だが楽しんでいた。

 

 

 

 

皆買い物を終え艦へ戻りそれぞれの部屋に戻ったが、その後で男勢はゼロの部屋に、女子勢はエールの部屋に集まっていた。

 

ゼロ「何故俺の部屋なんだ……?」

ヴァン「恥ずかしながら俺の部屋、少しばかり散らかってまして……」

グレイ「……僕もです」

ゼロ「まぁ、別に構わんが。それより2人は何をしていたんだ?」

ヴァン「主にジャンクショップ漁りで安い機材とかを沢山買って来ました」

グレイ「自分もです」

ゼロ「何か作るのか?」

ヴァン「技術室を借りて新たな武器だとか日用品を作るのが俺の趣味なんですよ」

グレイ「物作りの楽しさに気付いてしまって……自分は簡易的な物ではありますが機動兵器を作ってます。仕事に役だつと思って」

ゼロ「機動兵器……ライドチェイサーとライドアーマーみたいな物か」

ヴァン「ライドの2つを知ってるんですか!?」

ゼロ「知ってるも何も……イレギュラー戦争では世話になった事を覚えている」

グレイ「良いなぁ……最早あの2つも資料でしか残っていない伝説の乗り物なんですよ。製造方法も失われてしまったので」

ゼロ「だがこの世界にはゴーレムが存在するだろう。あれと似た様な物だ」

 

グレイ「まぁそうなんですけど、僕は自分で乗って動かしたくて」

ヴァン「バイクとかなら普段乗ってるんで」

ゼロ「確かにライドチェイサーの乗り心地は良い物だったが、乗りこなすには苦労したな」

ヴァン「へぇ~」

グレイ「もっと、ゼロさんの昔の機械とか教えて下さいよ。凄く興味あります」

ゼロ「俺もそんなに詳しくは覚えていないが……話せる事なら話そう」

 

 

エールの部屋では、プレリーとエールが今日買った物について楽しく話していた。

プレ「そう言えばアッシュは?」

エール「本当だ、何処行ったんだろ」

 

丁度その時に扉が開きアッシュが帰って来た。

アッシュ「ただいま~」

エール「何処行ってたの?」

アッシュ「あの3人の部屋での会話を盗み聞きしてたのよ、これがまた面白かった」

プレ「どんな話してた?」

アッシュ「昔の機械とか。ゼロさんが乗り心地がどうとか言ってたのよ、それを他の2人とも興味津々で聞いちゃってて」

プレリー「男の子らしくて良いじゃない」

エール「ゼロさんも機械とか好きなのかな?」

アッシュ「それはどうか知らないけど、話してる時の顔は楽しそうだったわね」

プレリー「そう……それは良かったわ」

 

自分の事かの様に凄く嬉しそうな顔をするプレリー。それを見てエールとアッシュ。

 

エール「プレリーって……」

アッシュ「もしかして……」

プレ「な、何?」

エール&アッシュ「ゼロさんの事好きなの?」

プレリー「なっ!?」

 

顔を赤くしてアタフタしているプレリー。

エール「図星か」

アッシュ「図星だ」

プレリー「ち、違うわ……好きだとか、そういう感情じゃないのよ」

エール「じゃあ何なの?」

プレリー「親愛というか……ずっと頼れるお兄ちゃんみたいな感じだったから」

アッシュ「へぇ~」

ニヤニヤしながら聞くアッシュ。

 

エール「そっか、プレリーの昔の時のゼロさんはそういう存在だったんだね」

プレリー「だから、ゼロがそうして楽しんでくれているのなら私も嬉しいのよ」

アッシュ「ま、今日のゼロさんの反応は中々に面白かったわよね」

エール「それは言えてる。失礼だけど」

プレリー「ゼロにとっては今の世界の何もかもが新しい物で知らない事だらけなのよ。大変そうだから私達でちゃんと支えてあげないと」

 

その言葉に2人とも頷いた。

 

 

 

その夜、眠っていたゼロに奇妙な現象が起きた。

 

夢だ。自分等見る筈の無い夢が。

 

 

ゼロ(ここは……?)

ふと気が付くと何も無い真っ白な世界。

???「ここは君の精神世界だよ、ゼロ」

ゼロ「その声は……エックス!」

エックス「本当に久しぶりだね。また君に会えて嬉しいよ、ゼロ」

ゼロ「お前は、もう俺の前に現れる事が出来なくなったのでは無かったのか?」

エックス「君の言う通り現実世界に現れる事は出来なくなったけど。君の睡眠と記憶を媒介にして再び姿を具現化させてこうして君の精神世界に現れる事が出来ただけさ」

 

つまり寝てないと見れない、やはり夢みたいだ。

ゼロ「俺の……」

エックス「まさかもう一度君に会えるなんて思いもしなかったよ。これが果たして偶然か、それとも運命なのか……」

ゼロ「俺は、何かの運命だと思っている」

エックス「前の大戦の伝説の英雄と現代を生きる英雄達(ロックマン)……この出逢いは何を示しているのか僕もまだ分からないよ」

ゼロ「皆俺を英雄と呼ぶ……だが俺はあまりその名で呼ばれたく無い」

エックス「あくまで君はゼロでありたいんだね」

ゼロ「あぁ。何者でも無いただのゼロで良い」

エックス「ゼロ、君は昔の事を覚えているかい?かつて僕と共に様々な者達と戦ったあの頃を」

ゼロ「……何となく、だが」

エックス「あの頃の君は何と言うか……暑苦しかった。今みたいにクールではあったけど、熱いハートを持っていて情に弱かったね」

ゼロ「そうだったか……?」

エックス「今の君は確かに変わっちゃったけど、本質的な所は変わってない。そして君は……今を生きる為にまた少し変わろうとしている」

ゼロ「アイツ達が居るからな」

そう言ってまた彼は笑った。

 

その笑みにエックスもかなり驚いていた。

エックス「ゼロ……君は存在自体が変わろうとしているのかも知れないね」

ゼロ「存在?」

エックス「人の心さ」

ゼロ「俺はレプリロイドだぞ?」

エックス「レプリロイドでも人の様に暮らす存在を君は知っているだろう?」

ゼロ「グレイか……」

エックス「君もこれから共に戦っていく彼等と笑い合ったり、好きな物事を共有したり……自分らしく生きたいだろう?」

ゼロ「……そうだな」

エックス「眠っている間に、君の中に誰かの人の心が入ったのかもね」

ゼロ「人の心、か」

エックス「そろそろ時間みたいだ。また夢なら君と会う事が出来るよ……また会おう」

ゼロ「あぁ……」

 

そしてそのまま意識は途絶えた。

 

 

同時刻、艦内データベース室にて

 

プレリー「……あった」

周りに散乱しているシークレットディスクや資料等。その中から連日に渡り探し続けた物が遂に見つかったのだ。

 

プレリー「お姉ちゃんが遺した、ゼロのデータ……これがあればゼロの装備が直せるわ」

 

危険な任務に行くのにセイバー1本とバスターだけでは辛いだろう(とは言っても何だかんだで彼なら大丈夫そうだが)。なのでいち早く彼の使っていた装備を修復してあげたい。

 

だが、流石に眠い。

プレリー(数日に渡り徹夜は体に堪えるわね……解析と修復は明日にしましょう)

 

散乱している物達を片付けて、ゼロのデータを大切に別の容器に保管して自分の部屋に持っていく。とりあえず本日はそれで眠る事にした。

 

 

 

 

次の日。

ゼロ達はいつも通り訓練をしている。

昨日の予定通り技術室総出で彼のデータを解析する事になった。

 

解析してみて分かった事は、やはりお姉ちゃんがとんでもない天才であったという事。技術室のメンバーが匙を投げたくなる程に難しい彼の装備の製造方法。

ガーディアンの技術力はかなり高いと思っていたが、それでも皆難しい顔をしていた。それをあの当時にセルヴォから教えて貰って後にデータ化したというのだから驚きである。

 

そして解析を進めれば進める程に驚きの事実が次々に明かされていった。

 

まず、ゼロ専用の新しい武器を考案していた事。今ならば作れるがあの当時だとかなり製造は難しい武器だっただろう。

とりあえず技術室の人員を半分程に分け、半分は一通り姉の残したレシピを見て彼の装備を、そしてアーマーやヘルメットの特殊能力の修復を早急に行わせる。

 

そしてもう半分は、とある()を作る様に命じた。そう、彼自身を変えるかもしれない程の物。

 

 

 

更に次の日、

プレリー「ゼロの装備の製造・修復は全部であとどれ位日数必要かしら?」

 

その言葉に技術室は最低でも3日は必要だと答えた。今の技術を以ってしてもそれだけ掛かるとなると、ゼロの使っていた武器達はどれだけの技術が込められていたのかが理解出来る。

 

 

 

そしてその様子が気になったゼロ達がふとプレリーの元を訪れた。

エール「プレリー、昨日から凄い忙しそうだけど何をしているの?」

ヴァン「凄い技術室が働いてるな……」

グレイ「何か作っているみたいだけど」

アッシュ「もしかしなくてもゼロさん関連?」

プレリー「アッシュ、正解よ。先日から探していたお姉ちゃんが遺したゼロのデータが見つかったの」

ゼロ「俺の……?」

 

プレリー「その中にはゼロの装備の修復方法や、更には貴方の新しい武器まで記されていたわ」

ゼロ「新しい武器か」

プレリー「分かっていた事ではあるけどお姉ちゃんは本当に天才だったのね……まぁそういう事でゼロの事で今とても忙しいわ」

ゼロ「……悪いな」

プレリー「良いのよ。貴方だってセイバーとバスターだけだとまだ全然本気を出せないでしょ」

ゼロ「まぁ、確かに辛い場面はある」

プレリー「それと、もう1つ装備とは関係無い話なんだけど……これもお姉ちゃんがゼロに遺した物よ」

ゼロ「何だ?」

プレリー「それはね……」

 

次の言葉を発しようとしたその時だった。

 

ズドンと艦が揺れたと思うとブー、ブーと激しく艦内に響き渡った。

ゼロ「警告音!?」

 

走り出すプレリー。そしてゼロ達もプレリーの後を追って艦長室へ。

 

プレリー「状況を報告して!」

クルー「突然砲撃を受けました!距離2000、方角は北西です!」

プレリー「砲撃ですって!?」

 

双眼鏡で観察していたアッシュが叫んだ。

アッシュ「居た!結構向こうの方に巨大な艦があるわよ……あっ!また砲撃が来る!」

プレリー「くっ、総員衝撃注意!前方バリアフィールド展開!弾幕を張って!」

 

艦長命令によりガーディアンベース全体に防御壁が張られ、次の瞬間また衝撃が来た。

 

エール「結構大きいよ……あの艦!」

ヴァン「ガーディアン以外にあそこまで大きな艦を所有している機関があるのか!?」

グレイ「違う……」

 

だがグレイそう答えた。どうやらグレイと、そしてゼロは相手が何者か分かっている様だった。

ゼロ「あの艦に乗っているのは……イレギュラーだ。暴走している」

 

良く見るとガーディアンベースだけで無く何も無い空の方向にも砲撃をしていた。暴走しているとはそういう事かとプレリーは納得した。

 

クルー「艦長!どうしますか!?」

そしてプレリーはゼロ達の方に振り向き、

プレリー「皆、お願い出来るかしら」

 

エール「勿論!」

ヴァン「それが手っ取り早そうだな」

アッシュ「突っ込むんだね!」

グレイ「暴走しているなら、止めないと……!」

ゼロ「行けるぞ、プレリー」

 

エール達の言葉にプレリーはコクリと頷き、

 

プレリー「エンジン全開で加速!バリアを前方に集中させて!敵艦へ一気に接近するわ、そしてゼロ達を敵艦へと侵入させるわよ!」

クルー「了解!」

プレリー「オペレーター、ハッチ展開!」

オペレーター「了解、ハッチ展開完了しました」

 

プレリー「皆、そろそろ敵艦へと接触するわ。皆はハッチから飛び移って。そして艦を止めるのよ!」

5人「了解!」

 

プレリー「ゼロ、ごめんなさい。結局またセイバーとバスターだけになってしまうけど」

ゼロ「構わん、バスターだけでも十分感謝している。ナビゲートは頼むぞ」

プレ「任せて。皆頑張ってね!」

 

今ゼロ達がハッチから見えるのは敵艦の甲板。そしていよいよ突入の時。

ゼロ「皆連携を取りながら消耗を抑え任務をとっとと終わらせるぞ」

ヴァン「大丈夫ですって、あれだけ皆で訓練したんですから」

アッシュ「私達のコンビネーション、見せてあげましょ!」

グレイ「そう言って突っ込むなよ」

アッシュ「そっちもね~?」

エール「まぁまぁ2人とも。ゼロさん!」

 

ゼロ「あぁ、行くぞッ!」

4人「了解!」

 

任務;謎の敵艦への侵入、そして敵勢力の鎮圧

 

MISSION START!




ハイ、展開がかなり早かった4話でした。次の話位で第1章が終わりになったりならなかったり。

ゼロ達の休息のほのぼのストーリーも書きたかったので書きました。楽しかったので日常編はそれなりに書こうと思ってます、何しろストーリーが中々に忙しいので(暗黒嘲笑)

この作品も自分が書いているもう1つの作品もこの休み中に書けるだけ書ける様に頑張りますので宜しくお願いします。


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-敵艦への侵入 大きなゼロの変化-

どうも。
エアコン付け忘れて家で熱中症になりかけたM・Mです。熱中症には気を付けよう!(唐突)

少し遅れ目&短めですみません。とりあえず新たなる存在の兆しとゼロの装備が戻ってきて、更に色々……。

では、どうぞ。


ミッションが始まり敵艦へと飛び移ったゼロ達であったが、甲板にて即座に大量のイレギュラー達に囲まれてしまう。

 

ゼロ「仕方無い……押し通る!」

ゼロのがセイバーを構えると、それに続く様に4人もZXになる。どうやら皆ZXが1番使いやすい様だ。

 

確かに凡庸性に関してはZXが1番だろう。

 

ヴァン達は、

ヴァン&エール「ダブルロックオン!」

グレイ&アッシュ「トランスオン!」

 

状況に応じて自分の能力を使いこなしている。

 

それに対し、

ゼロ「せいやッ!」

 

自分にも様々な能力はあるが、アーマーやヘルメットの機能が破損している以上ひたすらに撃って斬っていくしかない。

 

まぁ別に困る訳でも無いし問題無いが。

 

 

それから少し戦い続け、ようやくの事で甲板に居るイレギュラー達を掃討した。

 

ヴァン「とりあえずはここに居る奴等は何とかなったけど、ここからが始まりだな」

エール「艦の中に戻っていく奴も見えた。だからまだまだ潜んでいると見るのが普通かな」

グレイ「結構な数を倒したな……というかガーディアンベースから見た時思ったけど、本当に大きいねこの艦」

アッシュ「このレベルの大きさの艦は私でも中々見ないわよ、気になるわね」

ゼロ「俺達の任務はひとまずこの艦を止める事だ。早急に行くぞ」

 

グレイ「でも入口が沢山あるな……どれに入れば良いんだろう?」

ゼロ「……こちらゼロ。プレリー、とりあえずは甲板に居た連中は倒した。任務を始めるが何処から行けば良い?」

プレリー「そう言うと思ってちゃんと私達の方でマップデータをハッキングしたわ。今すぐにGATに送るから確認して」

 

ゼロ「GAT……?」

エール「ゼロさん、昨日貰って右腕に付けたやつですよ」

ゼロ「あぁ、これか……」

 

GAT(ガット)。今のガーディアンの最先端の技術を使って作られている小型端末の事で、Guardian Advanced Terminalの略称である。

 

ゼロ(基本的に俺達ガーディアンの任務のサポートを主に作られた物だが日常生活でも様々な場面で使える便利な道具だ。ヴァン達は普通に使いこなしているが俺はまだ良く分からんな)

 

通話とかメールとか目覚ましとかメモ帳にとか。

 

 

言われた通り地図を確認すると、改めて5人はこの艦の広さを理解した。

ゼロ「確かに広いな……」

プレリー「けど恐らく艦長室を制圧すれば止める事は出来る筈よ。だから艦長室へ向かって」

 

5人「了解」

 

グレイ「艦長室は……1番右下か」

ヴァン「面白い造りをしているな、この艦」

アッシュ「丁度私達が立っている場所の結構真下の方だね、だったらもう破壊して……」

エール「駄目。そんな事したらこの艦自体が落ちてしまうわよ」

グレイ「破壊じゃなくて止める事だってさっきゼロさんも言ってただろ」

アッシュ「わ、分かってるわよ……」

 

ゼロ「話すのはその辺にしておけ、プレリーとルートを今決めた。各自確認してみてくれ」

 

各自見てみると、マップに自分達が進むルートが表示された。

アッシュ「このルートだと私達の後ろにあるあの扉から入るのが良いね」

ヴァン「じゃあ、1つ潜入といきますか」

ゼロ「何があるか分からん。いつも通り警戒は怠らずに迅速に終わらせるぞ」

 

4人「了解!」

 

 

が、こういう時のお約束として……。

グレイ「開かない……」

エール「他の扉も全部閉まっちゃってる」

アッシュ「ま、お約束よねぇ」

ヴァン「破壊するしかないか」

ゼロ「予定通りこの扉から進む。この扉を破壊するのは俺に任せておけ」

 

 

そうして、

ゼロ「雷神撃!」

 

高速の雷を纏った突き。エレメントチップは1番最初に修復して貰った為に剣技は皆との訓練の中で思い出し使う事が出来る。

 

扉を制御する機械に何かしたのであろうか、少しして扉が開いた。

 

 

ゼロ「行くぞ」

ゼロに続き、4人も中に入っていく。

 

気を取り直して任務開始である。

 

 

 

静かに侵入するのがベストだったが甲板の方で既に戦闘を行ってしまった為に艦内でも中を駆け抜けながら激しい戦闘が繰り広げられていた。

 

ヴァン「エール!」

エール「任せて!」

2人同時にモデルFXとなり、

ヴァン&エール「ギガフレアボム!」

 

ヴァンとエールが各自放った炎球が合体し敵陣のド真ん中で大爆発した。

 

ゼロ(凄い火力だな……)

 

負けじと、

グレイ「アッシュ、僕等も!」

アッシュ「言われなくても!」

 

グレイ&アッシュ「トランスオン!」

 

グレイは巨大な恐竜の様な姿へと、アッシュは逆に小さな恐竜の様な姿とトランスした。

 

そしてグレイが凍え付く様な吹雪を吐き、即座にアッシュが電流を流す。体が凍えて動かないのに加え氷の上からという事で雷が良く通った為に喰らった者はひとたまりもない。

 

 

ゼロにはそんな1発で大量撃破が出来る手段はまだ無いのでイレギュラーの軍団に対してはヴァン達に任せている。

 

その代わり、

ゼロ「龍炎刃!円水斬!」

巨大なゴーレム達メカニロイドを次々と斬り裂いていく。体は大きいがセイバーで軽々と斬れるので、ゼロはメカニロイドを主に相手としていた。

 

 

5人で敵を蹴散らしながらも着実に艦長室へ近付いている。途中部屋に隠れて敵をやり過ごしたり、戦闘は最低限に抑えて進んでいった。

 

 

そして、

エール「そろそろ艦長室が見えてもおかしくはないけど……あっ」

ヴァン「言ってるそばから見つかったな」

グレイ「この先が艦長室か」

アッシュ「いざ、突っ込みますか!」

ゼロ「まぁ待て……こちらゼロ。ただ今より艦長室へ突入する」

プレリー「えぇ、気を付けて」

 

遂に突入の時は来て、ゼロが4人にアイコンタクトを取りまずはゼロが入る。

 

片手にセイバー、片手にバスターの状態で勢い良く中に入る。

 

が、

 

ゼロ「……」

思わずポカーンとしてしまった。

ヴァン「ゼロさん、中は大丈夫ですか?」

ゼロ「あぁ、大丈夫だ」

 

4人とも中に入るとゼロと同じ様な表情になった。

グレイ「と言うより敵が居ない……?」

エール「どうやら操縦はオートになってるみたい。だからガーディアンベースと遭遇したんだと思う」

アッシュ「繁殖したイレギュラー達が大量に乗ってる艦か……でも普通この大きさの艦を持つ事なんてあると思えないけど」

ゼロ「詮索は後だ。とりあえず止めないと……ヴァン、どうだ?」

ヴァン「問題無いです、オートを解除すれば……っと。まだ制動距離がありますが艦自体は止まったと思います」

ゼロ「そうか。プレリー、聞こえるか」

プレリー「えぇ、聞こえてるわ。皆ご苦労様」

 

 

少し経ってこの艦は止まり、プレリー達が一旦移って来た。ヴァン達が艦内の監視カメラやレーダーを見て残党が居ないか確認する。

 

ゼロは甲板へと上がっていた。

 

 

プレリー「ガーディアン以外にこれ程までの大きさの艦を所有している所があるとは……」

ゼロ「イレギュラー達はもう誰の手で動いているという訳では無いのだろう?」

プレリー「でも、群れを作りこれ程の艦を所有しているというイレギュラーは聞いた事が無いわ」

ゼロ「となると、また裏に誰か居る可能性が?」

プレ「えぇ。あるわね」

 

ゼロ「ヴァン、艦には何も残っていないか」

ヴァン「大丈夫です。どうやら動いていないゴーレムがカタパルトに大量に配備されてますが言った通り動いていないので問題無いです」

ゼロ「だそうだ。プレリー、ヴァン達と合流しにカタパルトに行くぞ」

プレリー「分かったわ」

 

 

カタパルトにて、

ゼロ「かなりの数だな……俺もこの型のゴーレムをかなり斬ったがまだまだ居たとはな」

ヴァン「何の目的でガーディアンベースを襲って来たのか不明だな」

グレイ「……目的なんて無かったのかな」

エール「ただ襲いたかったから襲ったのかも」

プレリー「イレギュラー達にそんな思考は無いと思うのだけど……」

アッシュ「それよりこの艦は結局何なのさ?」

 

プレリー「ヴァンから見せて貰ったデータによると……名前はガレオン。かつてイレギュラー戦争の時に製造された戦艦みたいね」

ゼロ「俺の時代か……そんな物が造られていたとはな。知らなかった」

プレ「無理もないわ。これは貴方の生きていた時代に造られたのは確かだけどすぐに行方不明になっちゃったみたいだから」

ゼロ「ふむ……」

 

ヴァン「問題はどうしてその行方不明の艦が今出てきてその中はイレギュラーだらけだったのかって所か。動いているのも不思議だし」

プレ「壊れてはいないの?」

ヴァン「今の所はまだ。出力も安定してるし昔に一体何があったのやら」

 

とりあえず他のガーディアンの隊員が一通り中を探索している間、

 

エール「これ、どうするの?」

ゼロ「この艦の事か?」

エール「はい」

プレリー「中を捜索が終わったらとりあえずガーディアンの名義で回収するわ。調べないといけない事も沢山あるし」

 

ヴァン「じゃあ、1度帰るか」

プレリー「えぇ。皆任務完了よ」

 

 

グレイ「……」

アッシュ「どうしたのよグレイ」

グレイ「何か、嫌な予感がする」

アッシュ「嫌な予感って?」

グレイ「まだ分からない。ただ、あのイレギュラー達は何かおかしかった」

アッシュ「まぁ言われてみれば」

グレイ「また何か大きな事が起きる。やっぱりゼロさんと僕達が出会ったのはきっと何かの運命なのかも知れない」

アッシュ「アタシは、アタシの物語を運命なんて物に縛られたくないね」

グレイ「それは僕も同じだ。けど今回は前の戦いと比べ物にならない大きな戦いになると思う」

アッシュ「だとしても、このアッシュ様に掛かればちょちょいのちょいだって!」

グレイ「……うん、分かってる」

アッシュ(そこ突っ込まないのか……グレイがこうだと何か調子狂うなぁ)「大丈夫だよ、強い先輩が2人居て更に滅茶苦茶強い先輩が私達には付いてるんだから」

 

グレイ「……そうだな。ごめんアッシュ」

アッシュ「良いって良いって」

 

 

 

 

 

その後、ゼロ達はプレリーに呼び出された。

プレリー「さて、今回皆が潜入したこの艦だけど。中にはかつてのイレギュラー戦争時の貴重な資料が沢山あったわ。昔に使われていた道具とかも状態が非常に良くて普通に使える位の物だったのよ」

 

ヴァン「艦のメモリーからこの艦が進んだルートを出す事が出来るんじゃないか?」

プレリー「もうやったわ。それでこれを見て欲しいのだけど……モニターを見て」

 

モニターにはとある都市が表示され、

ゼロ「……ここは、見た事がある」

プレリー「中の記録によるとここはレプリフォースっていう都市みたい。そしてこの艦はここで造られて、とある任務に赴いた」

 

 

そしてプレリーがモニターを操作して、

プレ「そして艦はレプリフォースを出発して、その任務に向かったのだけれど……その途中で行方が分からなくなってしまった」

ゼロ「……その任務とは?」

プレリー「ウェブ・スパイダスとやらの討伐。だけど行方不明になってその後にエックス、英雄エックスが討伐したとされているけど」

ゼロ「確か……あの場所はジャングルだったな。それで迷った挙句行方不明って所か」

ヴァン「その可能性が高いですね」

エール「乗っていた人は脱出したのかな?」

ゼロ「今となっては分からないな」

プレリー「そうね。遭難場所とされる所は今もジャングルのままだから詳細は不明、って所かしら」

 

 

グレイ「その当時は何かしらのトラブルで動かなくて艦員は脱出したけど、今となって誰かがそれを見つけて直し、イレギュラー達を乗せた」

プレリー「ず、随分直感的な推理ね……」

エール「けど、実際その線は濃厚だと思うよ」

ヴァン「イレギュラー達にそんな頭脳があるとは到底思えないからな」

アッシュ「となるとやっぱり裏に誰かいると見るのが当然ね」

ゼロ「不穏だな……」

 

プレリー「まぁ、色々あるとは思うけれど。今は深く考えてもしょうがないわ」

 

 

 

 

ひとまず任務は終了し皆各自部屋に戻ったが、ゼロだけはプレリーにそのまま呼び出された。

ゼロ「どうしたんだ?」

プレリー「唐突な敵の襲来で話が逸れてしまったけど、お姉ちゃんの遺したデータの話でゼロにはもう1つ言っておきたい事があって」

ゼロ「……?」

 

プレリー「ゼロの装備データは置いといて、もう1つお姉ちゃんが貴方に遺した物があったの」

ゼロ「また戦闘用のか」

プレ「いえ、違うわ」

ゼロ「じゃあ何だ?」

 

プレリー「もし貴方がちゃんと帰って来てくれた時の為に、貴方が普通の生活を送れる様のバッチを作っていたのよ」

ゼロ「バッチだと?」

 

プレリーはとあるディスクを取り出した。

 

プレリー「そのまんまだけど、ゼロバッチ」

ゼロ「……それは一体何なんだ?」

プレリー「感覚かしら。簡単に言えば」

ゼロ「感覚?」

プレリー「凄いのよ、五感が生まれるんだって」

ゼロ「五感……物を食べたりする時のアレか?」

プレリー「そう。そして私達が考えなくともお姉ちゃんは先に普通の食事をエネルゲンに変えるパーツを既に作っていたのよ」

ゼロ「……アイツが天才だとはずっと聞かされてきたし聴いてきたが」

プレリー「他にも色々あるけど、結局の所どうなるかはゼロ次第って記してあったわ」

ゼロ「……」

プレリー「お姉ちゃんはね、やっぱりゼロに普通の生活を送って欲しかったのだと思うの。自分の我儘でずっと戦わせて続けてたって後悔してたから」

ゼロ「俺はシエルの為に戦う事が自分の為でもあると思っていた。俺のこの力は決して破壊の為に生まれた物じゃないと教えてくれたアイツを……守りたかっただけだ」

プレリー(ゼロ、そんな事を思ってたのね)

 

ゼロ「……これからこの世界を生きていくのなら、ヴァン達と同じ様でありたい。そのバッチを入れさせてくれ」

プレリー「えぇ、勿論よ」

 

少しして、

プレリー「終わったわよ」

ゼロ「……もう終わったのか」

プレリー「どう?何か変わった感じはある?」

ゼロ「いや、特に無いな」

プレリー「そう。流石お姉ちゃん」

ゼロ「そう言えば俺の武器はどうなってる?」

プレリー「そうね……1度技術科の方に行ってみたらどうかしら?」

ゼロ「分かった」

 

そう言って彼は出ていった。

プレリー「さて、これがゼロにどんな影響を与えるのか……楽しみね。お姉ちゃん」

 

 

 

そして次の日。

ヴァン「おぉ……これ等がゼロさんが使っていた武器なんですか」

ゼロ「妖精戦争の時に使った武器だ。イレギュラー戦争時の方はまだ解析中らしい」

エール「それぞれ何て言うんですか?」

ゼロ「この棒がトリプルロッド。そこの鎖がチェーンロッド。そしてグレイとアッシュの前にあるのがリコイルロッドにシールドブーメラン。最後に今俺が付けているこれがゼロナックルだ」

 

グレイ「凄いなぁ……でもどうやって使うのか全然分からないや」

エール「ゼロさんこんなに武器使えるんですね……こんなにあったら混乱しそう」

ゼロ「慣れだな。そればかりは」

プレリー「アーマーとヘルメットの機能も大丈夫?」

ゼロ「あぁ。完全に直ってる」

プレリー「まだもっと昔のもあるし製作中の武器もあるからまだまだ強くなるわよ、ゼロは」

 

ゼロ「武器だけでは変わらん。使い続けて勘を取り戻さないとな」

アッシュ「じゃあまたアタシ達と特訓ね、先輩」

ゼロ「……だな」

 

 

ゼロ達の物語が動くと同時にまた世界も動き出していた。そしてゼロ達の前に現れる謎の存在。

 

ゼロ達をこれから何が待ち受けているのか、それは誰も知る事はない。

 

 




少々短めでしたがどうでしたか。

ゼロの使う技はあくまでロックマンX・ゼロに出て来る物ですが、使う技はオリジナルな物があります。ヴァン達の技もオリジナル、そして稀に他作品から出てくる事があるかも、原作だけだとヴァン達はいつも同じ技になっちゃうからね。

皆様のUAとコメントが励みです。お手数ですが何かあれば是非宜しくお願いします。

ではまた次のお話で(^_^)/~~


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~英雄達と世界を懸けた戦い~
-大都市の危機 懐かしき敵達-


どうも。天気がまたやべぇよ……やべぇよ……という状況ですが皆様お元気ですか。

これからの展開を書くのが中々難しく時間が掛かりあまり長めでも無いですが頑張って投稿していきたいです。お気に入りがかなり増えてて驚愕と共に非常に嬉しい限りです。ありがとうございます。

基本的にゼロ視点でお送りします。
では、どうぞ。


あの任務が終わり、ゼロ達はまたカンナ近くに少しの間滞在する事となった。

 

実はあれからというものの、各地でイレギュラーの集団が現れる様になった。

被害は我々ガーディアンや各地のハンター達の活躍により最小限に留められていたが、

 

休憩室にてプレリー達はとある会話をしていた。

 

エール「謎ですね……」

ゼロ「そのイレギュラー達は破壊するしかないしそうなると黒幕の正体も分かる事も無い、か」

ヴァン「上手く仕組まれてますね」

 

アッシュ「……」

グレイ「アッシュ……?」

アッシュ「臭うわね」

ヴァン「何が?」

アッシュ「もし黒幕が居たとしても、今ガーディアンにより秩序が守られている世界をわざわざ壊そうとする必要が無いから」

エール「……何処かしらにも、その平和を憎み嫌う者が居るという事よ」

ゼロ「昔よりかは遥かに平和になったが……それでもその平和を仮初の平和だとか言って武装蜂起する奴はいつの時代にもいるものだな」

プレリー「……ッ」

ヴァン「プレリー、大丈夫か?」

プレリー「……えぇ、大丈夫」

ゼロ「……ガーディアンは良くやってる。俺の生きてきた時代の中でこれ程までに平和な時は無かった。しかも人とレプリロイドが共に暮らす等考えられなかった」

プレリー「ありがとう、ゼロ」

 

その時、プレリーのGATが鳴った。

プレリー「はい……何ですって!?分かったわ!すぐに現場に向かうわ」

慌ただしく通話を切ったプレリー。

アッシュ「どうしたの?」

プレリー「大変なのよ!カンナのすぐ近くでイレギュラー達が大量発生したって!」

グレイ「それは大変だな、早く行かないと!」

ヴァン「あそこには頑丈な警備が敷かれているけど、イレギュラー達となると心配だ。急ごう」

 

 

~カンナ 入口~

グレイ「ッ……!」

壮絶な戦いの跡。大量の警備兵、そしてレプリロイドが倒れていた。

 

ヴァン「クソッ……遅かったか!?」

アッシュ「急いで中に……!」

エール「皆待って!この人まだ息がある!」

 

そこへプレリーとガーディアン達がやって来た。

 

皆駆け寄って話を聞くと、

 

警備レプリロイド「最初は普通のイレギュラーだけだったんだが……途中で弾が全く効かないゴーレムまで出て来て、でもそれよりもとんでもない奴が居たんだ」

ゼロ「とんでもない奴?」

警備レプリロイド「いきなり何か出て来たと思ったら風の様に早くて、一瞬でそいつが持っていたセイバーから出した風圧で前に出ていた奴等が吹き飛ばされていったんだ……そして何人かのレプリロイドが束で襲い掛かったが一瞬で全員真っ二つにされちまった」

 

ゼロ「……まさか」

グレイ「ゼロさん、何か心当たりでも?」

ゼロ「いや……そうなのかどうか分からんが、もしも当たっているならお前達も知っている筈だ」

ヴァン「俺達も……?」

ゼロ「実際に見てみれば分かる話だ、そんな事より中に急ぐぞ。早くしないと都市の被害が増え続けるだけだ」

 

4人とも頷き、走るゼロに続く。

プレリー(……皆、頑張って。私達も頑張るわ)

「1部はここ周辺の怪我人の収容。もう1部は中に入って生存者の保護、続いて救護作業に移るわよ!迅速にお願いね!」

ガーディアン隊員「はい!」

 

 

 

中に入ると、思ったよりかは被害は少ない方だった。都市の破壊が目的では無いのだろうか。

ゼロ「……手分けして行くぞ。他のガーディアンが生存者の救護作業を行っているらしいから生存者を見つけたら運び、都市内のイレギュラー達を殲滅する……各自出来る限り連絡を取り合おう」

4人「了解!」

ゼロ「皆気を付けろ。外でレプリロイドが言っていた奴は恐らくかなり危ない存在だ」

ヴァン「分かってますよ、ゼロさんも見つけたらちゃんと連絡お願いします」

ゼロさん「分かっている。さぁ、行くぞ!」

 

 

5人とも違う方向に散らばり、この広い都市での任務がたった今始まった。

 

 

ゼロは都市中心、マンションの住宅街に来ていた。ここに来る間にも何人かの生存者をガーディアンに任せ、この短い間にも沢山のイレギュラー達を斬っていた。

 

ゼロ(もっと壊滅的なものを想像していたが……普通に街はそこまで破壊されていないし、イレギュラー達も人とレプリロイドを殺す為に行動してる訳でも無さそうだ)

 

では何の為に?流石にそこまでは分からない。

そんな事を考えていたその時。

ゼロ「!!!」

何処かしらか微かだが叫び声が聞こえた。

 

すぐにその方向へと向かう。

 

 

ゼロ「この辺りだと思うが……何処だ!?」

すると今度は大きくはっきりと聞こえた。

 

「助けて」と。

ゼロ「上か!」

 

どうやら今自分の目の前にあるビルの屋上から聞こえてくるらしい。

 

 

ビルを壁キックで登っていき、すぐに屋上へと辿り着いた。そこには……

 

ゼロ「……お前は、アステファルコン!」

 

恐らく自分がシエルの手により目覚めさせられてから1番最初に戦ったミュートスレプリロイド(ロックマンゼロにおけるボス敵)だろう。

 

アステファルコン(以後アス)「まさか……もう一度貴様に会えるとは思わなかったな」

ゼロ「俺だってそうだ」

アス「ここを襲えば必ず貴様に出会えるとあの方から再び頂いた命……痛みに耐えて更なるこの身の改造を受けて良かったぞ、ゼロ!」

ゼロ「知るか……それよりあの方とは誰だ!?」

アス「私が言わなくとも貴様が1番良く分かってるだろう……」

ゼロ「ッ……!?」

 

アス「さぁ始めよう、と言っても今回も残念ながら貴様に時間はあまり残されてはいないがな」

ゼロ「どういう事だ?」

アス「この奥の建物にはそれなりの数が避難して来ている。だが時間が経てば水が入って来る」

ゼロ「お前……またか」

 

かつてもそうだった。あの時も時間制限がある中での戦いであり、楽な戦いでは無かった。

 

 

アス「来いッ、ゼロ!」

ゼロ「言われずとも……斬るまでだ!」

 

その前に。

ゼロ「こちらゼロ。説明は後でするが、かつて俺が戦った奴ともう一度遭遇した。これより戦闘に入る……ついでに外のレプリロイドが言っていた奴とは違うから安心しろ」

 

ヴァン「危険そうなら言って下さいね」

ゼロ「あぁ」

 

 

通信を切り、改めてセイバーを構えて相手を見る。奴が言った通りなら急がないといけない。

 

ゼロ(迅速に葬るしかないな)

 

自分はどちらかと言うと相手の行動を見てから動くカウンター型ではあるが今回ばかりは自分から先に仕掛けていく。

 

 

奴は落ち着いてバックステップしアローを数発放つ。あくまで時間切れを狙うつもりだろうか。

 

ゼロ「チッ……」

セイバーで叩き落とすがそうするとその場で止められる。距離を取られて遠距離から攻撃されると面倒だ、バスターで応戦するのも違うだろう。

 

ゼロ(だが今回は違う。かつての武器達が戻って来た今なら……どうにか出来る筈だ)

 

ここはシールドブーメランを持ち、再び駆け出して一気に距離を詰める。

 

相手は先程と同じく距離を取りアローを放つが、

ゼロ「サーキュラーシールド!」

 

シールドブーメランを自分の周りにクルクルと回しながらセイバーを出して突っ込む。

 

アス「何ッ!?」

撃ったアローはシールドブーメランにより叩き落とされゼロが突撃して来た。

ゼロ「はぁッ!」

アス「グッ……」

 

まずは一太刀、だがこれだけは終わらない。

ゼロ「まだだ……クロールシールド!」

クルクル回るシールドブーメランは続いて地面を這う様に進み、距離を取るアステファルコンを追尾していく。

 

アス「調子に乗るなッ!」

 

地面に電流を流し、シールドブーメランを止める。そしてその強力な電流も地面を這ってゼロに向っていく。

 

ゼロ「一筋縄にはいかんか……!」

ギリギリまで引き寄せて回避する。

そして再びシールドブーメランを持った時、

ゼロ(……ッ!?)

何かの異変を感じた。そしてそれを分かっていたかの様に、

 

アス「アレをモロに受けたならしばらくは使えまい……残念だったな」

 

故障では無いが確かに動かない。これはこの戦闘では使えないと見て良いだろう。

ゼロ「チッ……面倒な事を」

 

アス「さぁどうする?これで近付く事は難しくなっただろうな……しかも更に」

ゼロ「何だ?」

 

アス「新しく作った武器を使ってやろう……」

そして出したのは、ボウガンの様だが巨大で重砲の様にも見えた物だった。

 

ゼロ「……」

アス「一撃で沈んでくれるなよ……いけッ、リニアレールガン!!!」

 

ゼロ「ッ!!!」

 

まさに音速の如く雷がゼロの右腕を掠った。ギリギリ回避成功とは言え、反応が遅ければ致命傷は免れなかっただろう。

 

アス「避けたか……だが安心しろ、スタミナが無くなるまで撃ち続けてやる」

 

見た所自分の体から出した電流で充電を行っているので弾切れ等という事は無いのだろう。

だが当然ながら充電には時間が掛かる。その時間を逃す訳にはいかない。

 

アス「今の隙を狙えばと貴様は思っているのだろうが、残念だったな!」

 

何と背中から手が更に出て来てアローを絶え間無く放っていく。

ゼロ「チッ……マズいな、時間が!」

 

何とか回避は出来ている。リニアレールガンも下がって落ち着いて見れば回避は出来るしアローはセイバーで叩き落とせば良い。

 

だが、「タイムリミット」というものが存在する以上そんな呑気に避けている暇等無いのだ。

 

ゼロ(どうする……落ち着け、こんな時こそ周りを良く見る。ヴァン達に教えている事だ)

 

一旦落ち着いて今自分が居る場所、使える武器や周りの状況を1度見直す。

 

ここは屋上である。広くて周りには障害物等は存在しないのでチェーンロッドはあまり使えない。

奴は完全に位置固定となってあの場から動く事は無いだろう。弾幕にかき消されるのでバスターは駄目だ。残されているのはリコイルロッドとトリプルロッドだが……

 

ゼロ(……一か八か、やるしかない)

時間切れが狙いなのは確かだ。だったら予想外の方法で懸けてみるしかない。

 

 

アス「ハハハハ、手も足も出ないか!このままだとタイムオーバーだぞ!?」

ゼロ「……よし、やるか」

 

チェーンロッドとリコイルロッドを持ち、駆け出す。尚リコイルロッドをチャージしておく。

 

 

アス「ヤケになって特攻か!?面白い!」

更にアローも増え、リニアレールガンの方は今回ので第4波となる一撃を放った。

 

ゼロ(俺に照準を向けて撃ったな……アローも俺に向かってる。今だ!)

 

リコイルロッドのチャージ突きを地面に放つ。するとゼロは高く飛び上がった。ギリギリで避けて空中にて完全フリーの状態になり、

ゼロ「喰らえッ!」

 

そこにリニアレールガンに向けてトリプルロッドで急降下突き。そしてそれリニアレールガンを踏み台にして再び高く飛び上がる。

アス「馬鹿なッ!?」

リニアレールガンを破壊したのを確認してセイバーへと持ち替えて、

 

ゼロ「裂鋼刃!」

また急降下斬り、そしていつもの3連撃。アステファルコンが怯んだのを見て技をそのまま続ける。

ゼロ「終わりだッ、重波斬!」

その場で溜めてフルスイング。

 

アス「な、何故だッ……ぐわぁぁっ!!!」

 

倒れた事を確認するとゼロはすぐに部屋の方に向かって行った。時間は間に合っているのか……。

 

部屋に入ると、確かにそれなりの数の人間とレプリロイドが居た。どうやら間に合ったらしい。

 

ゼロ「この部屋は危ない!今ガーディアンの方にここに来る様に頼んだからここから離れろ!」

 

部屋の皆を外に出させたら、続いて下に穴を開けて水道管を見に行く。すると案の定時限爆弾が仕掛けられており、後3分を切っていた為に即座に解除した。とりあえずは一安心である。

 

 

ここでゼロは4人に対して通信回線を開く。

ゼロ「こちらゼロ、言っていた奴はとりあえずは撃破した。皆の方はどうなっている?」

 

ヴァン「今俺はアッシュと一緒に都市1番の大きさのショッピングモールに居るんですが、そこで変なニワトリと遭遇しまして」

ゼロ「ニワトリ?」

妙に嫌な予感。

アッシュ「ニワトリって言ったら「ふざけんなー!トサカに来るぜ!」って言って突然襲って来たんですよね。でも弱かったしアタシ達2人だったしすぐに一刀両断しちゃった」

ゼロ「……アイツか」

 

はぁ、と嫌な奴を思い出してしまった。

 

エール「えっと、私はグレイと都市の北部の住宅街に居ます。ここで私達も巨大なレプリロイドと戦闘になったんです」

グレイ「倒した後見てみたらD-1000という番号が刻まれてましたね」

ゼロ「ふむ、名前だけ言われても分からんな。また後でガーディアンベースで確認する」

 

その時プレリーから連絡が。

プレ「かなりの数の生存者を救助したわ。これだけ助かったのは皆のお陰よ、ありがとう」

ゼロ「まだ助けを求めている奴が居るだろう。俺達はこのまま救護作業を続ける」

プレ「えぇ、気を付けて」

 

 

ゼロ「そういう事だ。皆大丈夫だろうがイレギュラーに気を付けて作業を続けてくれ……まだあのレプリロイドが言っていた奴が出現していない。くれぐれも気を付けろ」

4人「了解!」

 

 

ゼロ「俺も行くか……」

先程まで居たビルから隣のビルに飛び移り、そのまま連続で飛んで移動していく。

 

だがこれも何かの運命なのか。ゼロの元へとやって来るとある強敵にゼロが気付く事は無い。

 

 

???「見つけたぞ……ゼロ!」




最近遅れ目で申し訳ないです……。
懐かしき敵さん達が登場しました。これからもロックマンX、ゼロ、ゼクス・アドベント基本にロックマンシリーズからゲスト出演として出て貰うボスさん達が居ます。そのままでは無く強化してゼロ達の前に立ちはだかりますが果たして……。

次回、遂にゼロの前に強敵が現れる。ゼロはどう戦うのか……お楽しみに!


時間はなるべく午前・午後6時に合わせているのですが忘れている時がぼちぼちあります、忘れていたらすみません。


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-都市での騒動後 遂に動き出す黒幕-

どうも。まだまだ暑いですが夏が段々終わりに近付いてますね……いや、そんな事はありませんね。干からびる暑さです。

日常談話はともかく、今回はちょっと長めでありこの物語の本格的な始まりの話となります。

四天王(ネタバレする屑)の性格崩壊注意。そして黒幕は皆様察している方が殆どだと思いますが奴です。奴がやって来るんです。

では、どうぞ。


あれからも他のガーディアンと協力して被災者を救助していくゼロ達。

 

そして先程ヴァン達4人が合流したと連絡が入って、1度自分もヴァン達に合流しようと思い動き出したその時だった。

 

 

ゼロ「ッ!」

突如感じた嫌な気配。

ゼロ「誰だ!?」

???「ほぅ、流石は伝説の英雄。完全に気配を消せていたと思っていたが」

ゼロ「お、お前は……!」

 

 

黄緑と白のアーマー、そしてピンクのセイバー。

またの名を翠緑(すいりょく)の斬撃と呼ばれるこのレプリロイドは……。

 

ゼロ「ハルピュイア!」

ハルピュイア(以後ハル)「こうしてお前と会うのは何年ぶりだろうか」

ゼロ「どうして、お前が……」

ハル「私はあの方により生まれ変わった」

ゼロ「アステファルコンも言っていたな……あの方というのは、まさか」

ハル「……それは私が言わなくても分かっているだろう?紅き英雄、ゼロ」

ゼロ「……お前達なのか?今回の騒動を引き起こしたのは」

ハル「そうだ」

ゼロ「何の為に!」

ハル「人とレプリロイドが暮らすこの都市はこれからの世界に相応しくない。だからあの方の命により破壊を行うだけだ」

 

 

ゼロ「……お前は、誰だ?」

ハル「私はハルピュイアだ。何を言っている?」

ゼロ「違う。ハルピュイアは……今のお前(・・・・)みたいな非道な行いを躊躇無くやる奴では無かった!」

ハル「成程……あくまで過去の私の肩を持つという事か。下らんな」

ゼロ「何だと……やはりお前は」

ハル「過去の記憶等捨てた!過去の私がどうだろうと関係無く私を復活させてくれたあの方の命に従うまでだ!」

ゼロ「……何も言わなかったが俺も、シエルもいつも思っていた。お前なら、本当の正義が何なのか分かってくれると」

ハル「正義だと?そんな物は戯れ言だ。生き抜く為に必要なのは力と絶対的な指導者だ」

ゼロ「プライドさえも捨てて全て変わってしまったか、ハルピュイア!」

ハル「貴様こそ随分変わったな!そんなに喋る奴だとは思わなかったぞ」

 

ある時には助け、ある時には助けて貰った。こいつが正義について悩んでいる姿は……かつての親友みたいだった。だが、もうそれも全て無くなってしまったのか。

 

ハル「さぁ行くぞゼロ……あの方の邪魔をする者は、斬る!」

ゼロ「クソッ……!」

 

 

戦闘をしながら、ヴァン達に手短に連絡する。

ゼロ「こちらゼロ、例の奴と遭遇して今戦闘中だ。場所は中心部より南」

ヴァン「すぐ行きます!」

エール「無理しないで下さいよ!」

 

ハル「仲間を呼ぶか……臆病者め」

ゼロ「別に臆病になった訳じゃない。これがあいつ等との約束だからな」

ハル「……」

ゼロ「お前が居るという事はまさか、他の四天王までもが……」

ハル「勿論蘇らせるだろうな。まだ復活したのは私だけだが」

ゼロ(そうなると凄く面倒な事になるな……一体何を考えている、今回の黒幕もお前なんだろう?

 

Dr.バイル!)

 

ハル「考え事をしている暇があるのか?」

ゼロ「ッ!」

気が付いたら背後から迫って来ていた。

ハル「はぁッ!」

ゼロ「チッ……」

ソニックセイバーと呼ばれる片手剣二刀流での速い斬撃を主として、

 

ハル「断空剣!」

ゼロ「!!!」

受け止めようかと思ったが咄嗟に避けた。

ハル「ほぅ、流石だな」

ゼロ(受け止めていれば危なかったな……)

ハル「少しは楽しませてくれよ?サイクロン!」

 

二刀流を強く振りかざすと強力な風圧が1つの斬撃に収縮され、ゼロに襲い掛かる。

 

ゼロ「でやぁッ!」

チャージ斬りで相殺する。

 

筈だった。

ゼロ「なッ……ぐあッ!」

 

一瞬かき消せたと思ったが、相殺出来ていなかった。ゼロの攻撃の中でも力強いチャージ斬りでも相殺出来なかったのだ。

ゼロは大きく吹き飛び、そこら辺の建物の壁に激突する。

ゼロ「クッ……何て力だ」

ハル「力の差が分かったか?あの方により強大な力を得た私はもう昔とは違う。貴様の様なオールドロボットとは違うのだ」

ゼロ「オールドロボット……」

 

ハル「お前が英雄エックスと同じ伝説の英雄だとしても、それは古い伝説でしかない」

 

ゼロ(もう「様」も付けなくなったか……)

 

ハル「どうした?まだ立ち上がれんか?」

ゼロ「ふざけるな……」

 

ゆっくりではあったがまだゼロは立ち上がる。

 

ゼロ(一撃が強過ぎる……悔しいが今の俺では相殺する事は不可能と見て良いだろう)

ならば避けるしかない。

 

ゼロ(確かにコイツは強くなった。パワーも、スピードも過去のハルピュイアとは桁違いだ)

 

 

だが1つ、変わらない物もあるだろう。

 

ゼロ「……」

ボディにアイスチップを付与、そして武器はセイバーとリコイルロッド。

 

ハル「……?」

セイバーとリコイルロッドを構えたまま動かないのでもう一度こちらから仕掛けようと思う。

 

ハル「お手上げか?ソニックウェーブ!」

 

そして剣での衝撃波を飛ばすが、それを見てアステファルコンで使った戦法をもう一度。

 

壁を背にしたと思うと、ゼロは突然壁に向かってチャージリコイルロッドを放ち、前方向に爆発的な加速をする。

 

ハル「何だとッ!?」

唐突に目の前に来たゼロに反応出来ず、

ゼロ「サウザントスラッシュ!氷龍昇!」

 

リコイルロッドでの連続突き、そしてアッパーからの回転斬り。

 

ハル「なっ、何だ……動きが、鈍る!?」

ゼロ「お前が誰にどう改造されようと知らないが……幾ら強くなっても弱点は変わらないッ!」

 

氷が弱点なのはどうやら変わらない様だ。この事はかつて戦った自分だから知っている事である。

 

 

ハル「クッ……調子に、乗るなよッ!」

羽を広げ、高く飛び上がった。

 

ゼロ「!」

ハル「この飛翔する為の羽も強化され、一定時間であれば飛行も可能だ」

 

元々空中戦を得意とするハルピュイアにとって飛行可能となると鬼に金棒レベルで危険だ。

 

ゼロは飛ぶ手段等存在せず、こうなってしまうと地上から迎え撃つしか無い。

 

 

 

折角大きな一撃を与える事が出来たがまたもや一転して劣勢に追い込まれていた。

 

空中からソニックウェーブを放って来るが、これまた障害物を軽々斬り裂いていくので隠れようがない。それを避けても次々と剣から放たれる技を避けるので精一杯な為に反撃が難しい。

 

このままでは自分のスタミナが切れるのが先か。

 

ハル「飛べないお前にはどうしようも無いな!そのまま逃げ回っていつしか終わりが来るのを楽しみに見ておくとするか!」

ゼロ「チッ……!」

マズイな、と思ったその時。

ゼロ「!?」

 

飛んでいるハルピュイアの更に上から何かが降って来るのが見えた。

 

ゼロ「お、おいハルピュイア!上!」

※そして何故か忠告してあげるゼロ

 

ハル「そんな物に騙されると……ぐあっ!?」

 

アッシュとグレイが上から踏み付けて来た。地面に叩き付けられるハルピュイア。

グレイ「ゼロさん、大丈夫ですか!」

アッシュ「アッシュ様見参!」

 

ゼロ「あ、あぁ……」

ヴァン「2人とも突然過ぎるって……」

エール「まさか上から踏み付けるとは思わなかったね……流石あの2人(?)」

 

後からヴァンとエールがやって来た。

 

ハル「お前等何をしてくれ……なッ!?」

モデルHXになっているグレイとアッシュを見て思わず驚くハルピュイア。

 

ハル「私が居る……何者だお前達は!?」

アッシュ「教えてやる義理は無いわね!」

ゼロ(お前はさっき自分で名乗っただろ……)

 

グレイ「お前こそ何者だ!」

ハル「知りたいなら教えてやろう、私の名は四天王の賢将ハルピュイアだ!」

ゼロ(名乗るのか……律儀だな)

 

ハル「チッ……流石に4人は分が悪い。命拾いしたな!次こそお前をこの手で倒してやる」

 

そう言って高速飛行で何処かに行ってしまった。

アッシュ「捨て台詞ね」

グレイ「捨て台詞だな」

エール「捨て台詞だね」

ヴァン「典型的な捨て台詞だ」

 

ゼロ「……」

だが実際グレイ達が来てくれなかったら危なかっただろう。勝負としては負けたのだ。

 

ゼロ(まさか、あれ程までに強くなっているとは思わなかったな……)

グレイ「ゼロさん?大丈夫ですか?」

ゼロ「あぁ……すまない。助かった」

ヴァン「アイツ四天王って言ってましたね……しかもあの姿、完全にモデルHだ」

ゼロ「当然だ。アイツがモデルHの元となった人物だからな」

グレイ「でも昔に死んだんじゃ……?」

ゼロ「あぁ……俺が斬った。だが再び蘇ってる」

エール「四天王って言っていたけど……後はモデルF、モデルL、モデルPの元となった人物も復活してるのかな」

ゼロ「そこら辺も含めて俺が話す。一旦ガーディアンベースに戻ろう」

4人も頷いた。

 

ゼロ「こちらゼロ。一旦ガーディアンベースに帰還するつもりだが大丈夫か?」

プレリー「えぇ、作業は他の隊員に任せて帰って来て。色々と話したい事があるわ」

 

そう言うプレリーの声は暗めだった。

 

緊急ミッションは、ひとまず終わりである。

 

 

 

~ガーディアンベース 休憩室~

ゼロ達はプレリーに今日あった事を話した。

プレリー「そう……そんな事があったのね」

 

それで最後にゼロと戦ったハルピュイアの話もした、そして四天王の事も。

ゼロ「まだハルピュイアしか復活はしていないらしいが、後に残り3人も復活するだろうな」

ヴァン「あの方って何度も聞いたけど……一体誰なんだろう?」

 

ゼロ「……Dr.バイル」

プレリー「ッ……ゼロ、それは本当なの!?」

ゼロ「本当かどうかは分からない。だが俺が誰だと聞けば皆お前が1番知っていると答えた」

グレイ「Dr.バイル……ゼロさんがラグナロクで打ち倒した相手では無かったんですか?」

ゼロ「確かに葬った筈だったが……俺が生きてる以上奴も生きていたのかもしれない」

プレリー「黒幕がバイルだとすれば大変な事になるわ。ガーディアン全てを以って止めないと」

 

そう言えば、とグレイが言った。

 

グレイ「ゼロさんと、四天王は知り合いなんですか?向こうは知ってるみたいでしたが」

ゼロ「奴も他の四天王とも妖精戦争で色々あったからな……もうかつての四天王では無いだろうが」

 

そういうゼロは、何だか悲しそうだった。

 

プレリー「随分と滅茶苦茶な展開になって来たわね……これからとんでもない戦争が起きていくのかもしれないわ」

 

ヴァン「また世界の危機か……俺達が頑張らないとな。幸いこちらにもロックマンが4人、そしてゼロさんも居る」

ゼロ「……あまり当てにしないでくれ」

ヴァン「ゼロさん?」

ゼロ「俺は負けた。グレイ達が来なければ間違いなくハルピュイアに負けていただろう」

グレイ「い、いやそんな事は……」

ゼロ「フォローしなくて良い……空中からの攻撃に手も足も出なかったし、そうでなくとも今のアイツにはパワーもスピードも正直勝てない」

 

プレ「ゼロ……」

見るからにして落ち込んでいる。

 

 

これ以上話しても彼が落ち込むだけなので話題は今回のミッションの話に戻った。

プレリー「今回だけでもかなりの被害が出たわね。民間人をも巻き込むなんて……許せないわ」

エール「破壊活動なんて……どうしてそんな事をするのか分からないよ」

ゼロ「……」

確かにハルピュイアも都市が相応しくないと破壊活動を行っている様に見えたが。

ゼロ「勿論被害が出たし不謹慎な発言だが……ただの破壊活動にしては、控えめだと思うな」

ヴァン「……確かに。ただ破壊をするなら片っ端から壊していけば良いのだろうけど、一部は全然被害を受けていない場所もあったし」

アッシュ「裏の目的があったのかもね……実は何か探していたとか」

グレイ「あの都市に何か隠されていたりとか、まぁ考えられない事じゃないけど」

プレリー「今も他の隊員が救助・復旧作業と共に色々と調査中よ。今はどうしようも無いわね」

 

 

話はそれで終わり、皆解散する事となった。

ゼロも自分の部屋に戻ろうとしたが、プレリーに呼び止められた。

 

ゼロ「……何だ?」

プレリー「ゼロ、貴方が大変なのは私達も分かっているつもりよ。けど1人で悩まないで……貴方は決して1人じゃないわ」

ゼロ「……あぁ。ありがとう」

 

 

 

 

 

次の日、ゼロ達はカンナでのガーディアンの作業を手伝う事となった。

ゼロ「この辺りはそれほど被害を受けていない様だな。しかしこの建物、大きいな」

 

今ゼロの前にあるのはそこら辺の建物と比べても飛び抜けて大きく、広いビル。建物の前には何やら銅像が立っていた。

 

ゼロ「……ん?」

ゼロはその銅像を凝視している。

ヴァン「その銅像は初代社長のネージュさんの銅像ですよ、この銅像も会社は被害は受けなかったみたいですね」

ゼロ「ネージュだと!?」

エール「ど、どうしたんですかゼロさん?」

グレイ「ネージュさんなら僕達でも知ってる有名人ですよ、今生きている人間とレプリロイドの中で新聞でネージュの名を知らない奴は居ないと思いますね。ネージュ新聞は世界シェアですから」

ヴァン「ネージュ・カンパニーは世界でも有数の巨大な会社だもんな」

ゼロ「そうか……アイツはこんな大きな会社を作ったのか」

アッシュ「ゼロさんは初代社長を知ってるの?」

ゼロ「あぁ。ネージュともバイルとの戦いの時に色々あった……本当に色々とな」

 

何やら銅像の前で思い出に浸っていた。

ゼロ「悪い。またそれについても話そう。懐かしい事を思い出せて良かった」

 

彼は柔らかい笑顔を見せた。

 

ゼロ「それより俺達は仕事をしないとな」

グレイ「もう少し向こうの方に行きましょう」

アッシュ「いや、ちょっと待って」

ゼロ「どうした?」

アッシュ「……臭うな」

ゼロ「何か変な臭いでもするのか?」

エール「そんな臭いしないけど?」

アッシュ「2人ともナイス天然ボケをありがとうございます。でも怪しい方の臭い」

エール「ネージュ・カンパニーが?」

アッシュ「うーん……ここら辺は被害を受けていないとはいえ流石に受け無さ過ぎじゃない?」

グレイ「偶然だろ」

アッシュ「……そうかねぇ」

 

ゼロ「……」

 

言われてみればそうだが、何か理由があって攻撃されていないのかどうか。

何にせよ今じゃ何も分からない。

 

 

移動する事数分。ゼロ達は民間人が避難しているシェルターにやって来た。

 

ゼロ「地下にこれ程までの大きなシェルターが造られていたとはな」

毎度毎度現代の技術力には驚かされる。

 

ヴァン「こんなに沢山の人達が避難して来てたのか……もっと俺達が早く何とかしていれば」

エール「ヴァン……」

グレイ「ここまで大都市となると被害も相当な物になってますね」

アッシュ「……悔やんでもしょうがないですって。私達は私達で必死に頑張ったんですから」

ゼロ「アッシュの言う通りだ。お前の気持ちも分かるが、過ぎた事を悔やむのはよせ」

ヴァン「そうですね……」

プレ「そうよ。皆のお陰で沢山の人達が救われたんだから、貴方達が居なければかなりの数の人とレプリロイドが死んでいたわ」

エール「プレリー、どうしてここに?」

プレリー「ここのシェルターには今回被害を受けた者達の殆どが避難して来たと聞いているから。被害状況を確認しに来たの」

 

ヴァン「俺達は当初の目的通り復旧作業を手伝いに行きましょう。プレリー、何処か手伝った方が良い場所は?」

プレ「そうね……ゼロが居た都市の中心部がやはり被害が大きいわ。あの辺りは建物が崩壊したり水道管が破裂したりと色々大変な事になってるから貴方達が来ればきっと助かる筈よ」

グレイ「じゃあ、行きますか」

 

 

シェルターを出る時、皆は呼び止められた。

シェルターの人達が口々にお礼を言ったのだ。

 

更にゼロにはとある家族が寄って来た。

男の子「赤いお兄ちゃん、ありがとう」

女の子「ありがとうございます」

ゼロ「……お前達はあの建物に居たのか。間に合って良かった」

母親「私達はあの時あの建物が安全だと思ってましたがまさかあの様な状態だとは思いませんでした。かなりの人数が居た事ですから貴方が居なければ大惨事になっていました」

ゼロ「気にするな。それよりかなり遅れ気味になって悪かった」

母親「いえ、そちらこそお気にならさないで下さい。命が助かっただけでも感謝しています」

ゼロ「……そうか」

 

 

 

ヴァン「良かったですね、ゼロさん」

ゼロ「あぁ……そうだな」

 

都市の中心部にやって来たゼロ達。

アッシュ「じゃあ、あの屋上でそのアステなんちゃらと戦ったんですね」

グレイ「アステファルコン」

アッシュ「気にしない気にしない」

 

ヴァン「人質を取るなんて卑怯な手を使いますね……そいつといい四天王といい、かなり面倒な相手が出て来た訳だだ」

ゼロ「俺が目覚めたのはきっと偶然では無いだろうな……これも何かの因縁か」

アッシュ「アタシ達にとっても少なからず関係はありそう……昔の時代の英雄達の力を受け継いでる、というか使える訳だし」

グレイ「Dr.バイル……モデルVの元となった人物、そして妖精戦争の元凶」

ゼロ「……」

グレイ「す、すいませんゼロさん」

ゼロ「いや、良い。どうせいつかは奴とも会う事になるだろうからな……」

 

 

壊れて通行の邪魔となっている巨大な建物等を動かしたりセイバーで斬ったりする。

だが崩すだけでは先に進めず内側からどうにかしないといけない場合もある。

エール「うわっ……この先進みたいけど狭い」

アッシュ「こんな時こそ!」

こういう時は特にグレイとアッシュのトランスが役に立った。

グレイ「ここは、任せて下さい」

 

2人とも前の戦いの時に見せた小さな可愛い恐竜の様なレプリロイドに変身すると、丸まって奥の隙間に走って行った。

 

ゼロ「ふむ、見れば見る程2人の能力は面白いな」

ヴァン「便利ですよね、アレ」

エール「羨ましいなー」

ゼロ「アレはアレで大変だと2人が言っていたが」

 

すると、塞がっていた道が開通して2人が戻って来た。後は他の隊員に任せてゼロ達は別の場所へ。

 

ヴァン「そう言えば、ゼロさんはガーディアンの初代艦長と知り合いなんですよね」

ゼロ「知り合いというか……最後まで妖精戦争を戦い抜いた1番の仲間だった」

エール「仲間か……プレリーから何度かは聞きましたがどんな女性(ひと)だったんですか?」

ゼロ「優しい奴だった。お節介と言われても迫害される人やレプリロイドを最後まで守り続け最後まで誰かの為に戦い続けた。俺とは違う形でな」

グレイ「天才だったんですよね」

ゼロ「コピーエックスを作ったのもシエルだからな……だがアイツはそれをずっと後悔していた」

アッシュ「シエルさんがコピーエックスを作った時はまだ小さい時だったって艦長が言ってたよね。シエルさんはネオ・アルカディアに上手い事利用されたって気づいた時にはもう遅かった……って事かな」

 

ゼロ「だろうな……俺も後悔している。出来る事なら俺はアイツの傍で最後まで居たかった。アイツを最後まで支えていたかった」

 

沈黙が5人の中で渦巻いた。

 

ゼロ「悪いな、変な空気にさせて」

ヴァン「いえ……俺達もシエルさんの行方を探すの、手伝いますよ」

エール「プレリーにそう言ったもんね」

グレイ「艦長にいつまでも引きずっていて欲しく無いですからね……」

アッシュ「簡単には見つからないだろうけど……アタシ達ならきっと見つけられるって!」

 

ゼロ「……ありがとう、4人とも」

 

 

俺は良い仲間を持ったな、と思うゼロであった。

 

 

 

その後もゼロ達は作業を続け、プレリーから連絡があるまで働いた。

 

~ガーディアンベース~

プレリー「皆、お疲れ様」

グレイ「つ、疲れた……」

アッシュ「トランスしまくったもんね~」

ヴァン「俺達も随分O.I.Sを使ったもんな」

エール「うん……戦うより大変かもしれない」

ゼロ「まさか俺の武器もあそこまで役に立つとは思わなかったな」

プレリー「皆のお陰で作業はかなり捗ったみたいよ。後は駐留するガーディアンの方に任せて明日に私達は飛び立つわよ」

ゼロ「行く場所でもあるのか?」

プレリー「今は無いけど、恐らく明日には始まると思うわ……新たな戦争が」

 

ヴァン「新たな戦争……」

エール「カンナを襲ったあのレプリロイド達……既に組織として動き出している訳だよね」

グレイ「また人とレプリロイドを巡る戦いが始まっていくのか……」

アッシュ「相手はDr.バイル、そしてバイルが蘇らせた昔のイレギュラー達や四天王。これは今までとは比べ物にならない程の激戦になりそうだね」

 

ゼロ「辛い戦いになるのは間違いないな。だがやる事は変わらん……今の世界を壊させはしない」

 

決して平和とは言わないが、俺が、そしてシエルが、プレリーが紡ぎ出して来た世界を守る。

それが、きっと俺がこの世界を生きる意味だと思うから。

 

ゼロ(シエル、前は俺に戦って欲しく無いのだろうが……悪いな、俺は戦う。お前が守り続けた世界を今度は俺が、俺達が守る)

 

 

 

そう決意したその次の日。プレリーの言っていた事は現実となった。

 

プレリーに呼び出されたゼロ達は艦長室に集まっていた。そしてガーディアン全員がモニターに釘付けとなっていた。

 

ゼロ「……ッ!!!」

忘れもしない。声も変わり果てようと姿がどれだけ(おぞ)ましい物となろうとも。

 

ヴァン「どう見てもヤバい見た目だな……」

エール「しかもこの声、完全に機械音だね」

グレイ「何なんだコイツは……!?」

アッシュ「そんなの1人しか居ないでしょ……ですよね、ゼロさん」

 

ゼロ「あぁ……」

プレリー「やっぱり、またそうなのね」

ゼロ「またコイツだ。しぶとい奴め……

 

Dr.バイル!!!」

 

もうかつての見た目は崩れさり、上半身は頭、首、肩、腕、手がありはまだ辛うじて人の見た目が所々見られたが下半身は4脚となり全体的に肥大化していた。

 

バイル「全世界の諸君、久しぶりだ。私の事を覚えている者も居るだろう?」

ゼロ「プレリー、これは一体!?」

プレリー「世界の全通信がジャックされてるわ。いきなり通信が入って来たの」

 

バイル「私は何百年もの前にあったラグナロク作戦において……とある英雄に敗れラグナロクと共に散った。今ではモデルVと呼ばれた物となって世界中に散ったそれ等をイレギュラーを操り長い時間を掛けて集め、そして蘇った」

ヴァン「まさか……モデルVは俺達が確かに破壊した筈なのに」

エール「全部破壊したと思っていたけど、実は既にイレギュラーに回収されていたのね」

 

バイル「憎むべきこの世界を、この世界を生きる諸君を再び恐怖のドン底へ導く為に私は蘇ったのだ……どうだ?今諸君がどんな顔をしているか是非とも見てみたいものだよ」

グレイ「コイツ……何て奴だ!」

バイル「だが一筋縄ではいかないらしい。ガーディアンと呼ばれる組織を潰さない限りは流石に無理そうだ……だからガーディアンもろとも世界を潰す為にたった今より私が蘇らせたかつてのイレギュラー達を全世界に放ち武装蜂起を始める」

アッシュ「やっぱりそれが目的ね……」

バイル「ガーディアンが全てを裁き切るか、イレギュラー達に全てを滅ぼされるか、戦争の種を再びこの世界に撒き散らしててやろう!さぁ戦え!そして戦慄せよ!

今、ここにラグナロク作戦改め……世界崩壊(ブレイク・ザ・ワールド)を始める!」

 

 

そして通信は切れた。黙り込むガーディアン達。

 

最初に呟いたのはゼロだった。

ゼロ「バイル……そう簡単にやらせると思うな!お前が蘇る限り、俺は死なずにお前と戦う!」

 

プレリー「そうよ。バイルの野望は数百年前からずっとずっと終わる事無く続いて来た……そしてその度にゼロ達がそ!を止めて来た。ゼロも居るけど昔と違って私達も戦える!ガーディアンの誇りに懸けて、戦う事を宣言するわ!」

 

オォォォォォと奮起するガーディアン達。

 

ヴァン「俺達も、この世界に生きるものとして」

エール「そしてロックマンとして、ね」

グレイ「絶対に世界を壊させたりなんてしない」

アッシュ「アタシは、アタシの物語を勝手に変えようとする者は許さないわ」

 

4人も意気込みは十分。

 

プレリー「ゼロ、私達と共に戦いましょう」

ゼロ「あぁ。相手が誰であろうとこの刃に懸けて……自分の守りたいものは守ってみせる」

 

 

 

ゼロ達の戦いは、始まったばかりである。




はい、少しだけ壮大(草)となる話でした。途中ネタ展開+ゼロさん突っ込み役に回ってました(草)
黒幕はい つ も の奴ですが、実は……おっと後の展開をお楽しみに。

この後の展開はまぁいつも通りで各地に現れるバイルの手により蘇ったメンバー達との戦いに奮闘するゼロ達をお送りします。どう書けば良いか迷っていますが、ステージをダイジェストでお送りするなんて読みにくい書き方は止めます。あくまでさらっと、戦闘をなるべく濃く書いていくつもりです。

またややこしい話になりそうですが、読んで頂けると感謝感激雨あられ(激寒)です。
では、次の話でお会いしましょう(^o^)/


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-VSバイル軍 ゼロ&グレイ編-

どうも。もう8月が終わりですね、まだまだ暑いので体調にお気を付け下さい。

遂に始まった世界崩壊。そしてゼロ達ガーディアンの戦いも始まります。

懐かしい敵達、四天王との戦いを制する事が出来るのか。今回はタイトル通りゼロ&グレイ編(でもグレイの出番はまた今度)。
では、どうぞ。


前回までのあらすじ!

驚くべきしぶとさで生きていたバイルは再び世界を破壊する世界破壊(ブレイク・ザ・ワールド)を始める事を宣言したのだった。ゼロ達ガーディアンはこれを迎え撃つ。

 

 

 

早速バイルの宣言通り、各地にてイレギュラーの大量発生が確認された。

ゼロ「早速始まったか……!」

ヴァン「俺達がバイル達を倒すか、俺達がバイル達に負けるか……世界破壊なんて下らない戦いはさっさと終わらせてやる」

エール「うん……私達の世界は、私達で守ろう」

ゼロ「奴の思い通りにはさせん」

グレイ「でも相手の数は圧倒的だな……」

アッシュ「弱気にならないの。今までだってそうだったんだから」

ゼロ「何体居ようと関係ない……敵であるならば、全員叩きのめすまでだ」

 

4人(カッコイイ……)

 

 

~艦長室~

プレリーに呼び出されたゼロ達。

プレリー「モニターを見て欲しいの」

 

モニターに映っているのは世界地図、そして全世界の被害状況。

プレリー「もう既にかなりの都市が侵攻され、軍事施設等も向こう側にかなり占拠されてしまったわ」

 

ゼロ「この短時間でここまでやるか……」

プレ「今回からは基本一人一人にミッションをして貰おうと思ってるわ」

グレイ「まぁ、それもそうか」

アッシュ「時間も無いし」

 

プレリー「世界に散らばってるガーディアンの基地と連携して遠い所まで簡単に転送出来る様にした。ここからは各自好きな様にミッションを選んで各自任務を遂行して貰って構わないわ。オペレートは私達の方で行うから」

ヴァン「敵は全部で何体居るんた?」

エール「分からないね……バイルの方が何体手下に付けているのか不明だよ」

プレリー「それは私達の方も調査中。何か分かればまた伝えるわ」

5人「了解」

 

 

 

 

ゼロ「さて、どうするか」

艦長室にて皆どのミッションを選ぶか吟味している。今対象となってるいるのは9体。だが更に倍位は敵が居ると見て間違いなさそうだ。

 

四天王が何処に潜んでいるのかが問題だが、それよりもまずは各地の暴動を鎮圧しない事には始まらない。アッシュの言う通りあまり時間は残されていないのだから。

 

ゼロ「……」

また懐かしい、というかヴァン達が知っているのを除けば俺がかつて戦った相手ばかりだ。

 

驚くべき事はイレギュラー戦争時代の敵までもが復活している事だ。果たしてバイルはどうやって蘇らせたのだろう?

 

ゼロ(気にしていてもしょうがないか……)

 

まず最初に選んだのはアグニス火山と呼ばれる活火山。麓には世界で1番大きい火力発電所がある。

 

火力エネルギーを利用されると大変な事となる。

 

それ繋がりでヴァンは世界の中心の太陽島。沢山もの都市がこの島に太陽パネルを設置しており、電力を届けているので占拠され続けると資源的にも放ってはおけない。

 

エールはカンナから少し離れた場所にあるダムへ赴く。ここが占拠されていると民間の暮らしに影響を及ぶので急ピッチで奪還する。

 

アッシュはとある場所にて人工太陽とやらを作っているとの情報を得た為にガーディアン側から占拠しに行く。どうやらヴァンの行く太陽島と連携してソーラーシステムでも作るつもりか。

 

皆早速ミッションを決めてそれぞれオペレーターに導かれ転送していった。グレイはまだ決めていないのか1人悩んでいたが、

 

グレイ「何だ!?」

突如鳴り響く警報に驚く。

 

プレリー「グレイ大変よ!ガーディアンベースに四天王を名乗るレプリロイドが1名接近中なの!」

グレイ「分かった!僕がそれを迎え撃つ!」

 

グレイはガーディアンベースの屋上に駆け出す。

 

 

 

ゼロside

アグニス火山へやって来たゼロは早くも火山頂上、火力発電所に到達しようとしていた。

 

途中にもかなりの数のイレギュラーが居たがお構い無しに斬り刻んで進んで来た。

 

そしてすぐに頂上へ着くと、

ゼロ「……」

少しだけ懐かしむ。かつてここは自分がトカゲみたいな奴と戦った場所だ。随分変わってしまったがこの場所は変わっていない。

 

ゼロ(部屋の広さは変わっていないが……煙突が出来たからか上にとても広くなっているな)

そう上を見上げていると、

 

ゼロ「!?」

何かが上から降って来るのが見えた。それも自分の位置に落ちて来ていると言うのがが正解か。

 

咄嗟にその場から離れた。間一髪、謎のレプリロイドのキックを避ける事が出来た。

 

ゼロ「お前は……?」

???「……」

 

すると今度は高速のパンチを放って来た。

ゼロ「甘いッ!」

これを難なくセイバーで受け止める。

 

フレイム・スタッガー(以後フレ)「流石はあの英雄の親友と言った所か。俺の名はフレイム・スタッガーだ」

ゼロ(コイツ……俺を知っている?)

 

覚えていないのかも知れないが、そうでないのに知っていないと言う事はかつて俺が破壊された時にエックスが戦った相手と見るのが正解か。

 

フレ「ここにやって来たという事は俺の拳を避けられる自信があるという事だな!」

ゼロ「……知るか」

 

フレ「俺を……熱くさせろォ!」

 

そんな戦闘狂みたいな事を言って再び突撃して来るフレイム・スタッガー。突っ込んで来る拳を避けて、蹴りをセイバーで受け止める。

 

ゼロ(完全な近接型か……)

フレ「ふっ!」

ゼロ「……おっと」

そう思ったが奴は手から火炎を出して来る。どうやら完全な脳筋とかでは無いらしい。

 

 

これを回避する為に後ろに飛び退くが、どうやら追尾して来るらしい。

 

ゼロ「チッ……」

 

壁蹴りで高い壁を登っていく。壁に触れると火炎は追尾しなくなったのでこの戦闘は空中で壁蹴りを主として戦った方が良いのだろうか。

 

フレ「自ら俺の得意な舞台にやって来てくれるとはな!ラッシングバーナー!」

 

ゼロ「!」

 

咄嗟にアーマーにフレイムを付加して防御する。

ダメージはそこまでであったが、ここからが面倒だった。ハルピュイア戦でもそうだったが自分はあまり空中が得意という訳では無いので空中で繰り出されるパンチやキックを避けるのが難しく、何とかセイバーで防いではいたものの反撃が出来ずにいた。

 

 

一旦地上に降り、奴が上から急降下キックして来るのをまた避けて場面は振り出しに戻る。

 

ゼロ(空中で戦うのは止めた方が良いな……)

 

だが決して地上が弱い訳でも無く、地上は地上でバーナーによる遠距離攻撃を多用して来るので少々面倒だ。

 

ゼロ「調子に乗るなよ……!」

だが俺にはシールドブーメランがある。アイスチップを付加したブーメランを投げて攻撃する。

 

フレ「シャッ!」

飛び退いて壁に張り付く奴であるが、ゼロは当然その行動は読んでいた。

 

ゼロ「アイスジャベリン!」

アイスチップを付加して竜型のバスターを何も無い壁に放つ。するとその壁に奴が張り付き、

 

フレ「何ッ!?」

足が氷に張り付き動かなかった。

 

ゼロ「でやッ!」

勿論その隙は逃さず上からチャージ斬り。

 

フレ「ぐはッ……」

地面に叩き付け、更にそこからトリプルロッドに持ち替え下に急降下突き。

 

フレ「チィッ!」

流石にこれは転がって避けられた。

 

ゼロ「避けたか……素早い奴め」

フレ「もう少し楽しんでいたかったが、どうやらそんな余裕は流石に無いらしい……ハァッ!!!」

 

ゼロ「!」

奴の炎が緑に変わった。

 

フレ「昔は青しか出せなかったがバイル様に改造して貰った事により出せる様になった炎だ」

ゼロ「……」

 

何をして来るのかは知らないが、警戒しないといけない……とゼロがそう思った時には視界から消えていた。

 

ゼロ「消えた!?」

と思うとすぐ背後に嫌な気配。

ゼロ(間に合ってくれ!)

フレ「ラッシングバーナー……バースト!」

 

突然後ろに現れ炎を全身に纏い突撃。

だがこれを咄嗟に回避は難しいと見たゼロはいつものリコイルチャージを地面に放ち高く飛ぶ。

 

フレ「!」

まさか避けられるとは思っていなかったのか、上から見る奴の顔は驚いていた。

 

ゼロ(あれが奴の奥の手か……?回避は出来たが結局消えた理由が分からん)

 

すると再び奴は高速で移動するが、今度は消えずに向かって来る。

 

ゼロ「わざわざ空中ではやらん……」

 

奴のアッパーを避けて地面に着地。そして上を見上げてると、今度はまた消えていた。

 

ゼロ(どういう事だ……?)

 

目を瞑り、感覚を研ぎ澄ます。

見えた、右から殴りかかって来るのが。

 

ゼロ(……来るッ!)

フレ「フレイムフック!」

ゼロ「でやぁッ!」

 

少ししゃがんでチャージゼロナックル。俗に言う腹パンという形で当たった。

 

フレ「ぐふぉあッ!?何……だと?」

ゼロ「姿は消せても気配は消えん」

 

今はダウン中だから姿を消せないのかどうか分からないが、早い所姿を消す謎を解かないと……いや、解かなくても案外何とかなりそうだが。

 

ふと上を見上げる。

ゼロ(雲か……)

 

この辺りは天候がコロコロ変わりやすいとは出撃前にプレリーから聞いた話ではあるが。

 

奴に視線を移すとまた消えていた。今度は空を見上げると、太陽が出ていた。

 

ゼロ(なるほど、恐らくは……)

両手にバスター、アイスチップ付与。

 

ゼロ「コールドブレイズ!」

相手にでは無く天井に放つ。

両手のバスターから氷の弾が発射され、天井に張り付いたと思うと氷の膜が作られた。

 

フレ「!」

意図に気付いたのか動揺している模様。

 

氷の膜が陽の光を遮断し、奴が姿を現した。

ゼロ「やはりな……その緑の炎は太陽の日を浴びれば姿を消す事が出来る特殊能力という訳だ」

フレ「チッ……だが気が付かれた所で俺のフットワークを見極め」

言葉を遮る様に、

ゼロ「残念だが、お前の動きは見切ってる」

フレ「なッ……!」

ゼロ「今からそれを証明してやる……行くぞ!」

 

リコイルロッドとゼロナックルで突っ込むが、あえてリコイルロッドを先出しする。

 

当然相手はこれを避け、一瞬で視界から消える。

 

そして、

フレ「ガハッ……!?」

ゼロの死角から現れたつもりがまるでゼロが自分の行動を読んでいたかの様に首根っこを掴まれた。相手は何が起こったの分かっていない様だ。

 

ゼロ「お前の俊敏さは認めるが、何かある度に背後に回って来る癖がある」

まさかそんな癖を読まれていたとは。

 

ゼロ「もう1つ言うならば、お前より速い奴は幾らでも知っている。お前の敗因は……慢心だ」

 

せめてもの情け、相手が何かを言う前に、苦しまない様にチャージリコイルで一撃の元に貫いた。

 

ゼロ「終わったか……しかし、面倒な相手だったな」

 

プレリーに連絡を取る。

ゼロ「こちらゼロ。アグニス火山奪還完了だ」

プレリー「ありがとうゼロ。出来れば早く帰って来て……グレイが今四天王の1人と戦闘中なの」

ゼロ「……分かった。すぐ帰る」

 

 

ガーディアンベースに帰って来たら帰って来たで慌ただしくゼロは外に出て行った。

 

~夕闇の砂漠~

グレイ「ハァッ……ハァッ……」

ファーブニル(以後ファ)「面白ェな、俺にそっくりな姿で殆ど俺と同じ技を使いやがる……だが!紛い物が本物に勝てると思ってんのか!」

グレイ「うわッ!」

 

ゼロが離れた場所から見えたのは今グレイが遠く吹き飛ばされた所であった。

 

グレイ「クソッ……何て火力だ」

ファ「もう少し楽しみたかったが所詮それだけか……やはり俺を楽しませられるのはアイツしかいない。終わりだ」

 

だがその時。

ファ「……チッ!」

 

ファーブニルが何かに気付き、飛び跳ねる様にバックステップをした。

するとその場にバスターが飛んで来た。

 

グレイ「!?」

ファ「誰だ!」

 

ゼロ「久しぶりだな、ファーブニル」

ファ「ッ……ゼロォ!!!」

 

グレイを無視して遠くに居るゼロに突撃して行った。あまりの事に呆然とするグレイだが、

グレイ「ゼロさん!」

ファーブニルを追い掛ける。

 

 

 

すぐに突っ込んで来たファーブニルの弾丸を避けて、少しつづファーブニルに接近して行く。

 

ファーブニルはあまり近接オラオラ系では無いので近付けば多少たりとは隙が出来る筈だ。

 

ファ「チッ、ちょこまかと……」

ゼロ「グレイ!」

グレイ「はい!」

ファ「!?」

グレイ「お返しだッ!」

 

グレイの一太刀がファーブニルの肩に入った。

 

ファ「グッ!?こいついつの間に……!」

随分遠い方に吹き飛ばしたと思ったが。

 

グレイ「モデルHXの機動力を舐めるな!」

ファ「またその力か……面倒くさい!」

 

ゼロ「どうする?その体で俺とグレイを相手するか?闘将、ファーブニル」

ファ「チッ……覚えてろ!」

 

ファーブニルは自分の近くで巨大な爆発を引き起こし、爆発が消えた時には既に居なかった。

 

ゼロ「逃げたか……」

グレイ「ゼロさん、いきなり巻き込んでしまってすいません……」

ゼロ「気にするな。奴は四天王の中でも1番俺に執着しているからな」

グレイ「でも、強かったです……」

ゼロ「四天王の名は流石に伊達じゃないからな」

グレイ「僕じゃ、まだ敵わないのか……」

ゼロ「……お前は戦ったんだろ?アイツの、モデルFの適合者とも」

グレイ「戦いましたが、普通に勝てましたから。やっぱりオリジナルの強さは桁違いでした」

ゼロ「ふむ……確かに今回は負けたが、次勝てば良い。たが次は俺は居ないかも知れないからな」

グレイ「……はい」

ゼロ「強くなれ、アイツとお前の違いは経験だ。いつかアイツを見返してやれば良い」

グレイ「分かりました。やってみせます」

ゼロ「……ガーディアンベースに帰るぞ」

グレイ「はい」

 

 

 




はい、少し短めでしたが世界崩壊編の初戦等となりました。ハルピュイアもそうでしたが、かつての敵をそのまま出してもつまらないのでバイルに改造された名目で新しい特徴を付けています。

勿論ゼロ達もそのままでは無く、倒した敵からどうこうといったロックマン定番の奴もやっていくつもりです。

次回はエール&アッシュ編。
では、また次回お会いしましょう(^v^)/


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-VSバイル軍 エール&アッシュ編-

どうも。また時間設定を忘れて中途半端な時間に投稿しているM・Mです。ごめんなさい。

今までの話を見直してみればまぁ間違いだらけ。かなり大きな間違いもあったんで……ちゃんと読んでるつもりなんですけどねぇ、自分の視力のポンコツさを恨む。

今回は戦闘、アッシュ&エール編。
では、どうぞ。


ゼロ達の戦いのその一方でエールとアッシュも敵陣を駆け抜けていた。

 

sideエール

エール「さて、ダムの1番上に上がって来たけど……何も居ないな」

 

細い道がずっと丸型に続いている特に変哲も無いダムであるが、規模が大きく世界有数の大都市であるカンナの近くにある為に民間人の日常に大きな影響が出ている。

 

 

エール「ここに来たのは初めでだけど大きいなぁ……あのカンナの水はここから来てるんだ」

 

???「そうだ。そしてここを一瞬の内に凍らせてしまうとどうなる?」

エール「ッ、誰!?」

 

辺りを見渡すが、誰も居ない。

 

???「何処を見ている……水だ」

エール「水……?」

 

水面を見ると、確かに居た。水の上にピタリと止まっている何かが。

エール(水の上に浮いてる……)

 

ブリザード・ヴォルファング(以後ブリ)「ここにやって来たという事は、我々を止めに来たという事で間違いなさそうだな」

エール「貴方がここを占拠している奴かしら?」

ブリ「そうだ」

エール「……潔いのは良いわ。けれど、敵ならば私は貴方を討たなければならない」

ブリ「出来るものなら!かかって来い!」

 

エール(良く見たら水面は全部氷になってる……このまま全部凍らせる訳にはいかない!)

 

氷上での戦闘は、両者駆け出した事により始まった。フロートシューズを付けているので滑る事は無いが、相手の方が動きが速い。

 

エール(でも相手はまるで滑ってるみたいだ)

スケートをしているみたいな美しい走りを見せる。だがその速い動きに翻弄されない様に走る。

 

 

バスターは軽々避けられるのでセイバーで近接を仕掛けるが、相手の獰猛(どうもう)な牙と爪がそれを阻止する。速過ぎる動きに思わず目が回りそうになる。

 

エール(落ち着いて……落ち着くのよ私)

とりあえずモデルHX、機動性重視で行く。

 

相手は狼みたいな体をしており、壁を一瞬で昇り壁から壁をひょいひょいと飛び移る。

 

エール「巻き起これ旋風、エアブラスト!」

ブリ「そんな物……」

エール「避けるなら物量で勝負!!」

風を斬り無数に斬撃を作り出す。

 

ブリ「効かぬわ!」

高く吠えると、口から巨大な氷塊を出して叩き割る。分散した氷刃は自分の斬撃と相殺された。

 

エール「……面倒だな」

攻守共に中々の物。何とかして相手の行動を制限出来れば良いが……。

 

エール(……)

少し考えて、何か閃いた様にうんうんと頷いた。

 

ブリ「……?」

するとエールは再び氷上へと降り立ち、

エール「見ていなさい……」

 

モデルFXへとダブルロックオン。そして、

エール「てやぁッ!」

地面にナックルバスターを突き立て、

エール「フレアバースト!」

 

氷の中に炎の弾丸を撃ち込む。

ブリ「何をした?」

エール「今に分かるよ……それっ!」

 

エールが再び飛んだ瞬間、氷が全て崩れ去った。

ブリ「うぉぉッ!」

思わず水の中に落ちるヴォルファング。その隙を逃さずに追撃する。

 

エール「せやぁッ!」

水面から顔を出している所にチャージ斬りを叩き込む。見事に直撃し、ヴォルファングは更に奥深くへと沈んでいった。

 

エール「……ふぅ」

分かっていた。あれ位ではまだ死んでいない。

 

モデルLXにダブルロックオンし、水中に潜る。

すると……

 

エール「ッ!」

すぐに水中から上がり、モデルFXになりダムの上にまで避難する。

 

次の瞬間にヴォルファングが勢い良く飛び出して、そして飛び出すと同時に水面は凍ってしまった。先程よりも深く凍り付いているので簡単に破壊するのは難しそうだ。

 

ブリ「そろそろ本気を出すとしよう!」

何と背中から翼が生えた。

エール「嘘!?」

 

勢い良く飛びついて来る奴を避けて、セイバーを構える。ダムの道は狭く、戦いにくい。

 

エール(でもそれは相手も同じ筈!)

セイバーと爪が鍔迫り合い、その後もしばらくの間熾烈な近接戦闘が繰り広げられた。

 

 

だがエールは一向に攻撃が出来なかった。なぜなら相手の翼が高性能過ぎるからだ。

エール(あの翼で一気に機動力が増してる。ひょいひょい飛んで避けるし空中から氷塊をドンドン撃って来るし……どうしよう)

 

モデルHXで空中戦をしているが、相手の弾幕が濃くて中々近付けない。

エール(一撃粉砕するならやっぱりFXが1番なんだろうけど……飛んでるから当たらないし)

 

何か閃けば良いのだが閃かないし第1そんな事を考えている余裕は無い。

 

ブリ「アイスバースト!アイスフラグメント!」

エール「ソニックウェーブ!」

 

弾幕自体は簡単に斬れるのだが……

エール(ゼロさんのシールドブーメランみたいに、何かを盾にしながら突っ込めば良いのかも)

 

1度地面に降り立ち、敵の攻撃を待つ。

 

ブリ「アイシクルレイン!」

氷刃が束になって降り注ぐが、エールはこれを見てモデルFXになり、

エール「メテオレイン!」

モデルFXの奥義の1つ、メテオレインを放った。アイシクルレインを貫いて相手に向かっていく。

 

ブリ「足りぬか……!」

 

空中から1度地面に戻させて、今度はHXになり自分が勢い良く飛ぶ。

 

ブリ「貴様の風は効かん!」

エール「誰が風を撃つって言った!」

空中でまたモデルFXに戻る。

ブリ「戻っただと?」

 

エール「ブースト!」

背中のランチャーから炎を発射し、その勢いで空を飛んで一気に距離を詰める。

 

ブリ「何ッ!?」

エール「このランチャーには……こういう使い方もあるんだぁッ!」

 

急降下してヴォルファングにナックルバスターを叩き付ける。見事にクリーンヒットし、エールがヴォルファングに馬乗りするという状態に。

 

ブリ「クッ……まさかあの体型では飛べないと油断していたが、あんな突撃をしてくるとは」

エール「私の策略勝ちだね。貴方は見た所そんなに悪い感じはしないけど、どうしてバイル軍なんかに……?」

ブリ「例え主がどれだけ悪だとしても、私を蘇らせてくれたのが主なら、主に忠誠を誓うだけだ。殺せ……お前の勝ちだ」

エール「……ごめんなさい」

 

苦しまない様にと、1発で頭を吹き飛ばす。

 

エール「何だか、胸が痛いよ……」

イレギュラーや心を失い狂気に満ちた奴等なら躊躇無く破壊出来るがやはり心のあるレプリロイドを破壊するのは少し抵抗がある。

 

だがそんな事を言っている暇は無い。

エール「こちらエール。戦闘で少しだけ壊れちゃったけどダムの奪還に成功したよ」

プレリー「少し位ならすぐに修復出来るわ、だから気にせずに帰還して」

エール「分かった」

 

 

sideアッシュ

丁度エールと同時刻程で、アッシュも人工太陽が造られているとされる場所に着いた。

アッシュ「こちらアッシュ。現場に到着したわ」

プレリー「どう?何か造られている感じはある?」

アッシュ「確かにそれらしき物を建造しているわね……間違いないと思う」

プレリー「その辺りは凄く気温が高くなっているから長時間の日差しはアッシュの健康を害するわ」

アッシュ「影を通っていけば良いのね」

プレリー「えぇ。破壊はしなくて良いからそこに居るイレギュラー達を撃破して」

アッシュ「了解!」

 

 

sideガーディアンベース

 

アッシュをオペレートしているプレリーを見てゼロ達がやって来た。

ゼロ「人工太陽か……俺が昔に行った物とは別だが大体は同じ様だな」

プレ「用途は恐らく軍事目的で建造されているから、放っておけば必ず脅威になるわ」

 

すると、

アッシュ「プレリー!」

プレ「どうしたの?」

アッシュ「この先道が崩れてて飛んで行くしか無いんだけど、影が全く無いの!」

プレリー「うーん……」

ゼロ「アッシュ、天井を破壊は出来そうに無いか?遠回りでも良いからなるべく建物の中を通っていけ。じゃないと体力が持たんぞ」

アッシュ「なるほど、天井を破壊か……」

 

少し考えて、

アッシュ「トランスオン!」

ディアバーンへとトランスオンすると、チャージして天井に向かって頭突き。

見事に天井を突き破り、そのまま勢いに乗り先に進んで行く。

 

プレリー「ありがとう、ゼロ」

ゼロ「気にするな。しかし……アッシュとグレイのトランスはいかなる状況にも対応出来そうだ」

グレイ「まぁ、僕等も完璧に使いこなせてはいないんですけどね」

 

 

場面はアッシュに戻り、

調子に乗って天井ばかり突き破らずモデルAに戻り着実に進んで行く。

 

アッシュ「随分進んだけど……そろそろ制御室にでも着かないかしら?」

 

そう言うと丁度それらしき大きな建物があった。

アッシュ「おっ、流石アタシ」

 

日差しの下をダッシュで駆け抜けて急いでその建物の中へ入る。

 

アッシュ「はふぅ……暑いったらありゃしない」

???「まさかこんな所に来客とは……殊勝な事であります」

アッシュ「誰!?」

ヒート・ゲンブレム(以後ゲン)「私の名はヒート・ゲンブレム!バイル様に仕える者の1人!」

アッシュ「あーはいはい、わざわざ自己紹介ありがとうね」

ゲン「ここにやって来た目的は分かっている。邪魔をするなら死んで貰うであります!」

アッシュ「悪いけどね、アタシ達は負けられないのよ!とっとと終わらせてやるわ!」

 

 

先行は相手。頭から激しい炎を噴出し、波打ちながらアッシュに向かう。

アッシュ「遅いわよ!」

 

サラリと避けて距離を詰めてバスターを撃つが、

ゲン「効かぬ!」

アッシュ(このカメみたいな装甲が思った通り硬いわね……簡単な攻撃じゃ通らないわ)

 

強力な攻撃をするか、それとも別の部分を攻撃するか。アッシュは後者を選択した。

アッシュ(一気に攻めても良いけど……後々の事を考えるとまだ止めた方が良いわね)

 

狙うなら、首元か攻撃中の隙か。

アッシュ「トランスオン!」

ゲン「!」

モデルP、ファントムにトランスオン。敵の至る所に向かってクナイを投げる。

 

ゲン「えぇい鬱陶しい……突貫!」

アッシュ「わっ!?」

丸まって体から炎を出しながら体当たり。

 

速い動きではあったが、モデルPの瞬発力が勝ち無事回避。モデルPは瞬発力ならロックマンの中で1番である。

 

アッシュ「てやっ!」

回転攻撃を避けてからのクナイ連打。だがやはり装甲に弾かれる。

 

アッシュ(あの状態だと装甲が流石が硬過ぎてどうしようもないわ……)

 

相手が丸まりから元に戻った瞬間、

アッシュ「今だッ、円月輪!」

首元にクナイを集めて輪となった物を投げる。

 

ゲン「むっ!」

だが火炎放射で相殺される。

アッシュ(狙うなら今!)「行って!」

顔面にリフレクトビームを当てた。初めからそれが目的であり、先程の円月輪はわざとである。

 

ゲン「ぐあっ!」

今度はちゃんとダメージを与えられた。

 

アッシュ「トランスオン!」

モデルLにトランスして距離を詰め、槍で斬る。

ゲン「調子に乗るでないぞ!チェストー!」

アッシュ「!!!」

 

突然の強烈な火炎放射。その衝撃はまるでパンチされた様な勢いだった。

 

アッシュ「くっ……」

吹き飛ばされるが、何とか着地。

アッシュ(あんな強烈な攻撃もあるのね)

休む暇も無くゲンブレムは火炎放射をドンドン撃ち込んでくる。

 

アッシュ「アイスエイジ!」

目の前に巨大な氷塊を出して叩き割り、それ等が刃となり火炎放射と相殺し合う。

 

アッシュ(弱点とか無いのかしら?)

弱点が分かれば楽なのだが、分からないので結局いつものモデルZXにトランス。

 

アッシュ「私のセイバーを受けてみなさいッ!」

セイバー片手に突っ込む。

 

ゲン「掃射!」

負けじと炎を放つゲンブレム。だが無数の炎の中に自分から入り、華麗に避けていく。

 

ゲン「避けただと!?」

アッシュ「甘い甘い!この程度!」

 

いつもの3連撃、ジャンプしてチャージ斬り。

 

ゲン「むぐぐッ……!」

アッシュ「ほら、掛かって来なさいよ!」

ゲン「ならば私が授かった新武器を試すまで!」

アッシュ「新武器!?」

ゲン「ミサイル一斉射撃!」

 

背中から、頭から、足や手からもミサイルが大量に出てアッシュに襲い掛かる。

だがアッシュは冷静にモデルAのホーミングショットでこれを全て破壊。

 

ゲン「まだまだ!」

無尽蔵に出てくるミサイルを見て、

アッシュ(面倒ね……こうなったら!)

モデルHにトランスして、

アッシュ「プラズマサイクロン!!!」

 

剣から巨大な竜巻を発し、ゲンブレムまるごと飲み込んだ。

 

ゲン「どわっ!?」

アッシュ「……?」

今やけに反応が大きかった様な。

 

ゲン「ま、まだまだ!アトミックファイアー!」

広範囲に爆発する炎弾を複数出す。

アッシュ「当たらないわよ!」

ホバーで避けて、更に敵の上空へとやって来た。

ゲン「チェストー!」

 

先程自分が吹き飛ばされた技だ。だが距離があったのでギリギリで避けて、

アッシュ「こっちこそ、チェストォーッ!」

顔面に一太刀。

 

ゲン「むわッ……おのれ、私は負けんぞ!」

すると相手はアッシュの上空で丸まり、

ゲン「奥の手だ!撃ち方……始めぇ!」

アッシュ「ちょ、それは無しでしょ!?」

 

巨大なレーザーを放つ。しかも相手は回っているので360°逃げ場が無い。

 

アッシュ(でも……良く見たらこれって隙だらけ。あの発射口とか脆そうね)

ビームをギリギリまで誘導して、当たる寸前に壁を蹴ってゲンブレムの裏側へと大ジャンプ。

 

アッシュ(それと、もう1つ……コイツの弱点ってもしかして)「トランスオン!」

 

テスラット・ザ・ヘッジロイド。前にもトランスしたが小さい恐竜の様なレプリロイドの名前である。※ついでにネズミ型のレプリロイドです

内部で超高圧電流を作り出す事が出来て、それを駆使して様々な事が出来る。

 

アッシュ「スパークボール!」

ゲン「むあぁぁッ!」

 

動きが止まり、発射口が剥き出しになったまま痺れている。勿論、ここを逃す手は無い。

 

アッシュ「手間掛けさせるわね……終わりよ!」

モデルAに戻り、

 

アッシュ「はぁぁぁッ!!!」

発射口に向けてギガクラッシュ。

ゲン「この私がーッ!?」

 

蜂の巣状態となったヒート・ゲンブレムは為す術も無く破壊された。

 

アッシュ「よし!何とか撃破したわね」

倒したとなると長居は無用。

アッシュ「こちらアッシュ、人工太陽の占拠に成功したわ」

プレリー「お疲れ様、帰還して」

アッシュ「了解!早く帰りたいわよ」

 

こんな暑い場所とっととおさらばしたい。

 

 

~ガーディアンベース~

アッシュとエールが帰って来ると、ゼロとグレイが艦長室でヴァンを見守っていた。

エール「まだヴァンは戦ってるんだ」

プレリー「この島自体が厄介な作りをしていて、奥に辿り着くまでに随分時間が掛かったみたい」

アッシュ「この戦ってる奴は……?」

ゼロ「ボルト・クラーケンだ」

アッシュ「クラーケン……確かにイカだ」

エール「アッシュ、そこは関係無いでしょ」

ゼロ「戦い始めたのはついさっきだ。さて、ヴァンがどう戦うかだな……」

エール「ヴァン、頑張って……」

 

 




ヴァンとグレイ、エールとアッシュのモデル達(P、L、H、F)は同じですが出来る事が違い使う技も勿論違います。じゃないとグレイとアッシュがヴァンとエールの上位互換になっちゃうからね!(それを含めても2人のトランスは凄い能力だと思いますが)
それぞれ出来る事が違うので戦い方も勿論違ってきます。皆バイル軍との戦いを頭脳と自分の能力を駆使して戦っていく事となります。

次回はヴァン編と、1周目を終えてのゼロ達のお話。ただバイル軍との戦いだらけじゃつまらないので、戦いは勿論起きますが形は変えて。
では、次の話で(^A^)ノシ


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-VSバイル軍 ヴァン編 再び降り注ぐ戦火-

どうも。(気が付いたら9月が)もう始まってる!
これからは学校があるのでまた投稿ペースが落ちしまうと思いますがちゃんと書き続けますので待って頂けると幸いです。

今回はタイトル通りヴァン編、そして一旦皆で集まってお話。

では、どうぞ。


Sideヴァン

MISSION;人工島のダッカン

 

大体皆と同じタイミングで任務開始(ミッションスタート)したヴァンであったが、かなり島の構造が複雑であり途中何度もイレギュラー達との戦闘を重ねながらもようやく島の中心部に辿り着いた所である。

 

ヴァン「随分時間が掛かってしまったな……」

これから恐らく強敵が待ち受けているだろうに違いないが、随分O.I.S(オーバードライブ・インヴォーク・システム)を使ってしまったので長期戦となると少々キツイかもしれない。

 

M・M「O.I.Sとは、単なるエネルギーと考えて貰えば良いのではないでしょうか。細かく言うならばエネルギーを使って潜在能力を発揮させるというのが正解みたいですけど」

 

そんな事を考えていたその時。

ヴァン(……来るッ!)

 

咄嗟にその場から離れるとついさっき自分が居た場所に光線が当たり焼けた。

ヴァン「な、何だ今のは……!?」

 

???「ちょっと、避けるとかマジで面倒なんですけどー。とっとと当たってくれない?」

ヴァン「お前か、ここの占拠主は」

声がした方向を振り向くと、巨大な蝶が飛んでいた。如何にも派手な装飾が目立つ。

 

ソル・ティターニャン(以後ソル)「一応自己紹介だけしといてあげる。私はソル・ティターニャンよ、まぁ自己紹介した所でアンタはここで死ぬんだけどね」

ヴァン「……」(今の光線、当たったらタダじゃ済まないな)

 

 

戦闘が始まり、早速空中からドンドン光線を撃ち込んでくるティターニャンであるが、

ヴァン(光線自体の速度はそこまで速くない……避ける事自体はそんなに苦じゃないけど、さっき地面が焼けていた事からして威力は高そうだ)

 

すると、通信が入った。避けながら聞き流す。

先輩のゼロだった。

ゼロ「面倒な奴と戦ってるな……お前も察しているだろうがあの光線は威力が高い。俺達のアーマーでもかなりのダメージが入るだろう。だがそこら辺にあるコンテナに隠れる等は止めておけ、普通に貫通して来る筈だ」

ヴァン「はい」

 

ゼロの言う通り自分の近くにあったコンテナが軽々と貫通してそこら中が燃えていた。

ヴァン(相手が撃って来てから後隙を取るだけじゃ遅い……ここは相手が光線を撃つ瞬間を逆に狙うんだ)

ここは自分の勘を信じて好機を伺う。

 

当然相手も自分が動き回っている以上適当に撃っておけば当たるとは思っていないだろう。

 

 

ヴァン(どうけ焼けてしまうけど……このコンテナ達を利用すれば)

モデルPXにダブルロックオン。お得意の高速移動で気配を完全に消す。

 

ソル「ちょっと隠れないでくれる?そこら辺焼け野原にしちゃうわよ?」

素早い動きでヴァンを見失ってしまった様だ。

 

ソル(……どうせ一気に近付いて攻撃する気だろうけど、甘いわね)

気配が消えても、この自分の触覚は少しの動きや衝撃にも反応出来る。

ソル(右下!バレバレなのよ!)

その反応は正しく、隙を伺って出て来たヴァンが居た。即座にそこに光線を撃ち込むと、しっかりと当たった。

 

だが、

ソル(何かしら、何か違和感。当たったけど何か違う様な……ッ!?)

すると当たったヴァン、だった何か(・・・・・)は消えた。

ソル「ちょっ!?」

更に、自分の真下からモデルHXとなり空中ジャンプしたヴァンが背後に迫って来ていた。

 

ヴァン「悪いな、分身だッ!」

特に難しい事はしていない。あの時裏で分身を作り配置させておき自分はティターニャンの真下辺りに静かに動いていた。

 

ヴァン「その鬱陶しい羽、貰うぞッ!」

ヴァンのソニックスライスにより両羽を斬り裂いた。羽に剣を突き立てながら共に落下する。

 

地面に落下した所で、ティターニャンは羽を捨てて地面の上に立った。

ソル「分身とかマジ訳分かんないんですけど。そういうの超ウザイ!」

ヴァン「強がりをッ!」

当然ここを追撃するが、

 

ソル「フレイムファン!」

赤と緑のブーメランを放ち、それぞれ軌道が違う。仕方なくこれを避けて距離を取る。

 

ソル「避けてばっかりウザイんですけどー?」

ブーメランは帰って来てまた自分に向かって来る。更にそこにティターニャン自身が放つ火炎放射が加わり、中々弾幕が濃くなって来た。

ヴァン(ここは……素直にモデルZXで)

 

無難にモデルZXにダブルロックオン。セイバーでブーメランを叩き落とし、チャージバスターで炎をかき消す。

 

ソル「おぉ全部消されるとかマジで?やるじゃん……でも時間稼ぎは成功したから結局ドンマイだね」

ヴァン「時間稼ぎ……?」

 

ソル「アタシの新兵器、見せてあげるわ!」

すると、太陽から何かを集めていたのであろう背中の機会が輝き出し、斬った筈の羽が生えた。

ヴァン「は、羽が……生えた!?」

ソル「ここの技術を応用して製造したソーラーシステムよ。この羽は実体では無くて自分で溜めた光エネルギーを様々な物に具現化させただけ。先程までの行動は全てただの時間稼ぎよ?まさかチャンスとでも思ってた?だとしたら超ウケるんですけど?」

ヴァン(……ずっと思ってたけど、この口調ウザイな。それよりまた上空を取られるのは面倒だ)

 

案の定飛んだが、思ったよりかは高度が低い。これならZX状態でも届きそうだ。

 

だが、今までより更に攻撃手段が増えて火力は上がり結果的に戦いづらくなった。

ソル「行くよ?燃えちゃえ!」

ヴァン「なっ!?」

 

頭上で元気玉巨大な炎球を作り出し、ヴァンに投げ付ける。

ヴァン「暑ッ!」

これを避けるが、思ったより爆発範囲が大きく着弾後の分裂した炎に被弾する。

 

更に例の光線も再び撃って来て、ブーメラン、火炎放射とひたすら回避に精一杯になっていた。

 

ヴァン(マズい……このままだと押し切られる)

自分もかなり体力もO.I.Sを消費してしまっているので戦い続けると負ける。

ヴァン(それに対し奴はエネルギー源を太陽から得られるから、あの羽も太陽がある限り出し続けられるし……ん?太陽がある限り、か)

 

ここは世界中から太陽パネルが送り込まれていて電力を発電している。つまり天気等が崩れると世界全体に影響が出る筈だ。

ヴァン(そうなると困るから……もしかしたら天気を変える装置があるかもしれない)

 

モデルHXになりジャンプして辺り一帯を見渡す。

すると遠くの方であるがそれらしき建物が見つかった。レーダーやら色々複雑そうな機械が沢山あるから間違いないだろう。

 

ヴァン(……一瞬の時間稼ぎだけで良い)「斬り裂け、エアブレイド!」

ソル「そんな物!フレイムタング!」

ヴァン(引っ掛かった!)「とんずらッ!」

自分の出した弾幕を相手が炎でかき消したのを見て残り少ないO.I.Sを使って追い風を起こし目的地まで一気に飛ぶ。

ソル「あっ!?ちょっとアンタ待ちなさいよ!」

 

 

相手も勿論追い掛けてくるが、飛行速度なら自分の方が上だ。

例の建物に辿り着いたら、早速機械を動かす。幸い簡単な機械であった為に天候が晴れに設定になっていたのをすぐに曇り設定にした。

 

ソル「ア、アンタ!もしかして……!」

外に出た所でようやくティターニャンが追い付いて来た。だがもう既に遅い。

 

自分の狙い通りすぐに太陽に雲が差し出し、陽の光を遮断した。

ソル「マズいッ!」

咄嗟に地面に逃げる。当然だ、羽が無くなるだろうから落下するだろう。

 

 

落下ダメージは計り知れないので命が助かるにはそれしか無かったが、残念ながらそれさえも命取りとなってしまった。

ソル「……!!!!!」

地面に何とか着地したティターニャンであったが、まだ命の危機を感じ辺りを見渡すが、もう遅い。既に、ヴァンが迫って来ていたのだから。

 

ヴァン「終わりだ!でやぁッ!」

着地硬直を狙い上空からモデルZXのチャージ斬り。チャージ斬りで背中の機械を壊して、

ヴァン「ライジングファング!」

自分お得意の斬り上げで後ろから真っ二つにした。まさかこうなるとは思ってはいなかったティターニャンは、

 

ソル「有り得ない……何でなのよーッ!」

そう言って破壊された。

 

 

ヴァン「ふぅ……結構危なかったな」

天気を変える装置の事に気が付かなければあの危険な状態で戦わなければならなかったのだから。

 

ヴァン「こちらヴァン、奪還にとりあえず成功したけど……ごめん。結構破壊してしまった」

プレリー「主要な機械が破壊されてなければ大丈夫よ。多少は目を瞑るわ」

ヴァン「分かった。帰還する」

 

 

 

~ガーディアンベース~

艦長室にて、ヴァンが帰って来た。

ヴァン「俺が1番最後だったか」

エール「随分苦戦してたね」

ヴァン「アレは仕方ないだろ」

グレイ「とにかく勝てたから良かったじゃないですか。でもまさか天候ごと変えるとは思いませんでした」

ヴァン「咄嗟に頭に回った考えだったけど、相手にとって致命傷となったみたいで助かった」

アッシュ「流石先輩♪まぁアタシは最初からそうするのが1番だと思ってたけどね」

ヴァン「……本当か?」

グレイ「まぁ、確かにそうは言ってましたけど」

 

プレリー「皆色々話したい事はあるだろうけど、一旦休んだらどう?」

ゼロ「夜に集まれば良いだろう」

ヴァン「そうですね。俺も疲れましたからしばらく寝ときます」

 

全員自分の部屋に戻り休む事となった。

 

プレリー「皆が倒した敵のデータから新しい何かが生み出せるかもしれないわね……それとゼロの装備、何か出来ていないかしら」

 

 

 

数時間後。

夕方位になって休憩室に再び6人が集まっていた。1番遅かったのはやはり1番疲れたであろうヴァンだった(勿論1番はゼロ)。

 

プレリー「さて、とりあえず一周は終わったわ。無事ゼロ、エール、アッシュ、ヴァンが主要な所を抑えてくれたお陰でかなりガーディアンとしても動きやすくなったわね」

アッシュ「ん?グレイは?」

グレイ「僕はガーディアンベースを襲撃して来た四天王の1人と戦ってた」

ヴァン「俺達が居ない間に四天王が来てたのか」

エール「誰だったの?」

ゼロ「四天王の内の闘将、ファーブニルだ」

アッシュ「何だ、そっちもそっちで大変だったみたいね」

グレイ「でも、結局ゼロさんに助けて貰ったし……皆と比べると今回僕が仕事してないよ」

プレリー「この艦自体を守ったのは事実よ。ゼロが帰って来るまで貴方1人で抑えてくれたじゃない」

ゼロ「そうだ。お前もお前で重要な役割を果たしたのだから気にするな」

グレイ「……はい」

 

プレリー「皆が倒した敵のデータから色々な事が出来るわ。例えば武器を作ったり、ゼロで言ったらヘルメットに、ヴァン達で言うならモデル達に組み込めんで新しい技を生み出したりと色々ね」

ゼロ「成程、それは凄いな」

エール「流石プレリー。そして流石ガーディアンの技術力」

 

プレリー「さて、皆が眠っている間に大きな動きがあったわ。モニターを見て」

 

モニターに映し出されたのは、例の黒幕。

ゼロ「バイル……!」

 

バイル「えー世界の諸君、毎日どんな気分で生きているのか是非教えて頂きたいものだ。それはさておき、残念ながらガーディアンが無駄な足掻きをしている為に我々の悩みの種となっている」

ヴァン「無駄な足掻きだと……!」

バイル「日々我々の手札、バイルナンバーズは増え続けている。幾らガーディアンが頑張ろうと無駄なのだよ」

 

エール「あんなのが日々増え続けてるって……」

アッシュ「ちょっと冗談キツイわね」

グレイ「一斉攻撃とかされたら?」

プレリー「負けるわね。戦力的に」

グレイ「冷静に分析してる場合じゃ!?」

ゼロ「奴がいつも大量に戦力を配備してるのはいつもの事だ。だから俺はいつも真正面から挑んじゃいない」

ヴァン「ゼロさんはラグナロク決戦の時も本拠地に突っ込んで終わらせたんですよね」

ゼロ「あぁ、まともに戦うとなると無理がある。だからとっとと本拠地を炙り出して終わらした方が良いだろう……というより俺達にはそれ位しか無いだろうしな」

 

グレイ「確かに。戦争が泥沼化したら僕達が負けるのは目に見えてる」

プレリー「一刻も速く見つけ出さなければならない……でも今は戦うしかないわ」

エール「それに、四天王も居るし……」

 

ゼロ「……まだ何かあるみたいだぞ」

バイル「我々に歯向かうガーディアンに宣戦布告と行こうじゃないか。明日の正午から再び大都市カンナを襲撃する」

アッシュ「何ですって……!?」

 

バイル「恐怖に怯えて待っているが良い……では諸君、また会おう」

 

そこで通信は切れた。

プレリー「と、いう事なのよ」

グレイ「何でまた……?」

エール「あの場所がやはり大都市だからかな……あの場所が占拠されたら確かにかなりマズい状態になるのは間違いないだろうけど」

アッシュ「……それが表で、実は何か特別な目的があるのかも」

ゼロ「特別な目的?」

アッシュ「前行った時も思ったんだけど、何か怪しいんだよね」

グレイ「何が?」

アッシュ「カンナには、ゼロさんみたいな世紀の大発見になる様な事が眠ってる。そしてバイルはそれを知っていて狙ってる」

ヴァン「根拠は?」

アッシュ「冒険家の勘!」

ヴァン「えぇ……」

グレイ「すぐこれだよ……」

ゼロ「……俺はアッシュを信じよう」

アッシュ「おっ、ゼロさん」

エール「ゼロさんもそう思うんですか?」

ゼロ「俺も根拠は無いが……何かを感じる。アッシュの言う通り世紀の大発見とは良く分からんが、俺達にとっても重要な事である事は確かだ」

 

プレリー「ゼロがそこまで言うのなら……調べてみる価値はありそうね」

ヴァン「それよりもまずは、カンナを俺たちの手で守らないとな」

グレイ「そこからですね」

プレリー「今日は皆もう休んでくれて良いわ。明日の戦いは凄まじい激しさが予想される。だからしっかりと休んで頂戴」

5人「了解」

 

 

 

ゼロ達を乗せたガーディアンベースはカンナに再び航路を向け、進んでいく。

 

 

 

皆が休んでいる中、場面は寝ているゼロの精神世界に。

 

ゼロ「……エックスか」

エックス「大変な事になっちゃったね」

ゼロ「あぁ。だが俺が復活した以上、奴もしぶとく生きているだろうとは心の中で思ってはいた」

エックス「どうしてあそこまで、バイルは世界を壊したいんだろうね。理由は知ってるけど……バイルはもうそれこそが自分の生きる意味と化してる気がするんだ」

ゼロ「確かにな。アイツの執念は毎度ながら反吐が出る程だ、その執念を別に向けてくればきっと……世界は変わったのかもしれない」

エックス「僕もそう思うよ……ゲイトといいバイルといい、どうして天才科学者っていうのは(ことごと)く悪の科学者と化してしまうのだろうね」

ゼロ「ゲイトか……懐かしい名前が出たな」

エックス「ゼロ、君はもう分かってると思うけど……明日は四天王が集合するよ」

ゼロ「あぁ」

エックス「でもゼロ、君達なら大丈夫」

ゼロ「言われなくとも……俺達は勝つ」

エックス「きっと次の戦いの後、君に良い事がある筈だ。だから諦めずに頑張って欲しい」

ゼロ「だから言っただろ、言われなくとも……敵であるなら倒すまでだ」

 

 

 

 

次の日。

プレリー「そろそろ着くわね」

グレイ「……居るだろうな、四天王」

ヴァン「絶対居るな」

エール「私達で勝てるのかな……」

アッシュ「弱気発言はナシナシ!どーんと構えないと舐められるよ」

ゼロ「……大丈夫だ。俺達なら勝てる」

 

ゼロの言葉に4人とも驚く。

ゼロ「……何だ?」

アッシュ「ゼロさん嬉しい事言ってくれるじゃないですかー、このこの」

ゼロ「俺は事実を言ったまでだ……自分達を信じろ。それだけだ」

4人とも頷いた。

 

プレリー「皆、見えて来たわよ」

 

前と同じ惨劇を起こさない為にも。第2次となる今度は防衛戦が始まろうとしていた。




ソル・ティターニャンはゼロ4の中でも1番印象に残ったキャラでした。初見の時あの口調は驚きましたね。
それはともかく再び新たな戦火が迫ろうとしている中でのエックスとの会話。

次回、カンナでの防衛戦。戦いがどう運ばれていくのかはゼロ達次第。
では、また次回で(^q^)/


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-第二次カンナ防衛戦 四天王との激闘-

どうも。何か早く書けました。あぁぁぁぁ学校イヤだー(唐突)
自語は無視して、今回はガーディアンとバイル軍の本格的な戦争が繰り広げられます。

四天王とのバトルはあまり多くはありませんので一気に4人ともお送りします。

では、どうぞ。


バイルの手により再びカンナに惨劇を起こさない為にも

 

各自が準備をしている中、

プレ「ゼロ、ちょっと来て」

ゼロ「どうした?」

プレ「また少しだけだけど、貴方の武器が復元出来たわ。受け取って」

ゼロ「これは……DグレイブにVハンガーか」

プレ「えぇ。それともう1つ」

ゼロ「まだあるのか」

プレ「これを。ゼロナックルで拳と来たら、足も要るでしょ?」

ゼロ「シューズか?」

プレ「どちらかと言うとレガースかしら。貴方のブーツの上から付けて欲しいの」

 

ゼロのアーマーとお揃いの赤色。

プレ「どう?違和感あったりしたら言って」

ゼロ「大丈夫だ。重さも特に感じない」

プレ「そう。なら良かったわ……それがあれば出来る事がかなり増える筈よ」

ゼロ「あぁ、感謝する……これ、どうやって作ったんだ?」

プレ「貴方が倒したフレイム・スタッガーのデータを元に作ったの」

ゼロ「成程……」

プレ「後これをグレイとアッシュに」

ゼロ「これは……?」

プレ「アッシュが倒したヒート・ゲンブレムのDNAデータよ」

ゼロ「あの2人は倒した敵のDNAデータを基にトランスをしていたのか」

プレ「そういう事よ。ヴァンとエールにはこれ」

ゼロ「これもデータか」

プレ「あの2人のモデルに組み込むの。新しい何かが2人の中で生まれると思うわ」

ゼロ「分かった」

プレ「ゼロ、あの4人を上手くまとめてくれているみたいね」

ゼロ「俺が居なくともあの4人なら上手くやれる。まだ少し冷静さが足りんが」

プレ「その冷静さはゼロが持ってるでしょ」

ゼロ「……まぁ、アイツ等なら大丈夫だ」

プレ「負けないでね。私達も頑張るから」

ゼロ「当たり前だ。こんな所でくたばる気はさらさら無い」

 

そう言って自分に背を向けたゼロは、ヴァン達の元へ走っていった。

 

 

 

~大都市カンナ 外部~

プレリーから通信が入った。

プレ「まもなく正午になるわ」

 

そして、遠くを観察していたガーディアンの隊員達が叫んだ。

「来たぞー!!!」「バイル軍だー!」

 

ヴァン「お出ましか!」

プレ「都市には絶対に入れさせないで!」

ゼロ「分かってる!皆行くぞッ!」

4人「ハイッ!」

 

 

ゼロを追って共に走り出すヴァン達。

 

まずイレギュラー達の群れに先手を打ったのはヴァンだった。

ヴァン「ソーラービームだ……いっけぇっ!」

ソル・ティターニャンからのデータで作ったソーラーシステムを応用してチャージバスターに転換し、一気に放出する。

 

威力はかなりの物で、一撃で群れを蹴散らした。

 

ゼロ「ナイスだヴァン!氷月刃!」

氷の衝撃波でゴーレムを何体か凍らせると、

エール「ゼロさんそれ頂きます!」

即座にチャージバスターが入り破壊された。

 

アッシュ「折角だし新しいの試そっか!」

グレイ「いきなり?」

アッシュ「トランスオン!」

グレイ「あぁもう……トランスオン!」

 

後ろから激しい炎のツインウェーブが飛んで来て敵陣で大爆発。

ゼロ「ふむ、中々良い威力をしている……邪魔だ、一気に薙ぎ払う!」

 

Dグレイブは攻撃範囲が大きく一度に複数の敵を攻撃出来るので集団相手にも強気に行ける。

 

ゼロ「スピニングエッジ!」

遠心力を掛けて高速回転。敵に突っ込むだけでドンドン敵が破壊されていく、あぁ便利。

 

その時、

ヴァン「チャージ完了!」

エール「ゼロさんカムバック!」

ゼロ「分かっている!ぶっ放せ!」

ゼロが後ろに高くジャンプすると、チャージを構えていたヴァンが再びソーラービームを放ち、エールは巨大な炎球を敵陣へ撃ち込む。

 

ソーラービームは次々敵を貫通し、炎球は敵上空で爆散して敵を一網打尽にしていった。

 

カンナの外壁で全体指揮をしているプレリーは、

プレ(流石ね……新しい装備を早速使いこなしているわ。今の所かなり押せてる)

 

ゼロ達の猛攻によりバイル軍は襲撃する筈が逆に退き気味になっていた。

 

バイル「チィ、ロックマンどもめ……四天王!」

ハル「分かっている」

ファ「全部破壊すりゃ良いんだろ?」

レヴィアタン(以後レヴィ)「と言うか何でこっち側が押されてるの?」

バイル「うるさい……無駄に抵抗が激しいだけだ。都市に入ったら何をどう破壊しようと構わんが絶対にネージュ・カンパニー本社は攻撃するな。絶対にだ」

ファントム(以後ファン)「……前もそうだったがあの会社に何故こだわる?」

 

バイル「あの会社には眠らせてあるのだよ……あの憎き英雄と共に戦った科学者を目覚めさせる重要なブツが。絶対にガーディアンだけには入手させてはならん」

ハル「……まぁ良い。お前達、行くぞ」

 

ハルピュイアに続き、四天王が遂に出撃前した。

 

そして地上に現れた事を一早く察知したプレリーがすぐに連絡を入れる。

プレ「皆、来たわ!四天王よ!」

 

イレギュラー達がせっせと退避していくのが分かる。居られると邪魔だからだろうか。

 

ヴァン「現れやがったな……!」

エール「この4人が……四天王!」

 

ハル「久しぶりだな。ゼロ、ロックマン達」

ファ「よぅ小僧、そしてゼロ!」

レヴィ「私は初めましてね」

ファン「……」

 

アッシュ「四天王まるごとお出ましなんて随分豪華じゃない。そこまでしてこのカンナが欲しいのかしら?」

ハル「そんな事は知らん。俺達はお前達を倒す為に新たに生まれ変わったのだから」

ファ「御託は良い……始めようぜ!」

レヴィ「あら、相手はゼロも居るのよ?突っ込んでやられても知らないからね?」

ファ「じゃあお前も手伝いやがれぇッ!」

ファ「任務……ゼロ及びロックマン達の破壊」

 

ゼロ「来るぞッ!俺はお前達全体をサポートする。お前達は目の前の敵に集中しろ!」

4人「ハイッ!」

 

 

フィールドは高低差のある丘、周りには破壊されたゴーレムや機材等のガラクタが散乱している。

 

早速戦いが始まり、

ヴァンVSハルピュイア、エールVSレヴィアタン、グレイVSファーブニル、アッシュVSファントムの流れとなった。

 

ゼロは先程言った通り全体を駆け回る。

 

sideヴァン

空中から攻めてくる相手。ならば自分も空中に行くまでだ。

ヴァン(いや……モデルHXになったら空中戦になる。そして空中戦をするとオリジナルの方が勝つだろう)

 

ここはあえて空中を譲り自分はモデルFXに。

ヴァン「フレイムシュート!」

ハル「当たると思っているのか?はぁっ!」

 

避けられてついでに衝撃波が飛んで来る。

ヴァン「ヒートバーナー!」

だが怯む事無く攻撃を続ける。

 

ハル「チッ……火力で押し切るつもりか」

そんな脳筋には速さで翻弄してやる。

 

ハル「アクセラレイト!」

ヴァン「ッ!速い!?」

一気に加速したハルピュイア。目にも止まらぬ勢いで飛び、気が付けば背後に。

ハル「遅いッ!」

ソニックスライサーでの3連撃。

 

ヴァン「ぐっ!」

後ろにナックルバスターを撃つも、ハルピュイアは既にその場から消えていた。

 

ハル「何処を見ている?」

ヴァン「上!?」

ハル「ストームトルネード!」

ヴァン(間に合わないッ!)

上からの巨大な竜巻が下ろされ様とした瞬間、

ゼロ「避けないと頭を叩き割るぞ?」

 

ハル「ッ!?」

即座にその場から離れる。

ゼロのDグレイブが振り下ろされていた。

 

ハル「ゼロ……邪魔をするな!」

ゼロ「残念だがこれはチーム戦だ。グダグダ言うならお前達こそ連携を取ったらどうだ?」

ハル「……ゼロォッ!」

一直線にゼロに向かうハルピュイア。

 

するとゼロがこっちを向いてアイコンタクトを取った。それに頷き構えておく。

ゼロ「わざわざ地上に降りて来るとはな!地上なら近接戦闘は俺の方が上だ!」

 

セイバーとリコイルロッドでハルピュイアと戦闘中。その間にヴァンは密かにソーラーシステムを充電しておく。

 

流石にそれに気付いたハルピュイアが止めに入ろうとするが、

ゼロ「余所見するとは、余裕だな」

チャージリコイルが入り、吹き飛ぶ。

ハル「ぐあっ!」

 

危険だと思いすぐに空中に逃げる。だが何と、ゼロがチャージリコイルで飛び自分と同じ高度に居て、更にすぐ様チェーンロッドで自分を掴みゼロはそのまま下に叩き付ける。

ハル「くぅッ……!」

地面に叩き付けられたダメージもあるが、何とか絡まったチェーンロッドを解いた。だが、すぐ目の前には……

ゼロ「ヴァン!」

ヴァン「いっけぇっ!」

ソーラービームを放っていたヴァンが居た。

 

 

ヴァン(……やった手応えが無かった)

それもその筈、何とXに構えた剣から出した渾身の技でかき消したからだ。

 

ハル「今のを当たっていれば流石に危なかったぞ……面白い。流石俺達の力を使うだけある」

ゼロ「ヴァン、後はやれるな」

ヴァン「はい」

 

ハル「容赦はしないッ!」

 

 

 

sideエール

モデルZXになっているエールは、レヴィアタンの槍と激しい格闘戦を繰り広げていた。

 

レヴィ「へぇ、貴女華奢な体の割には良いパワー持ってるじゃない」

エール「貴女に褒められても嬉しくは無いわね」

レヴィ「……でも、可愛く無いわね」

エール「そっちこそ」

 

一旦謎の間が空いて、

 

レヴィ「…………」

エール「…………」

 

再び格闘戦を始める。

レヴィ「フリーズランサー!」

エール「フレアランス!」

複数の氷刃を撃って来たのに対し、モデルFXになりチャージバスターを放つ。太い1つのバスターはフリーズランサーを貫通してそのまま進む。

 

レヴィ「鬱陶しいわね……アイシクル!」

これを巨大な氷塊で押し潰す。

 

エール「まだまだ!ヘルズバーナー!」

レヴィ「当たらないわ!氷月閃!」

華麗にジャンプして避け、上から槍を振りかざす。リーチの長い相手の槍はかなり強い。

エール「ヘルズ……ストライク!」

炎のパワーを込めてナックルバスターで殴る。

槍とバスターの殴りがぶつかり合い、レヴィアタンはまた華麗なジャンプで元の位置に戻った。

 

レヴィ「はぁ。やっぱり地上じゃ力が出せないわ……だからちょっと位良いわよね?」

エール「……?」

レヴィ「出よ地下水脈!」

エール「きゃっ!?」

突然地面から水が吹き出した。

 

レヴィ「やっぱりこうじゃないと。行きなさい、ハイドロポンプ!」

エール「うわっと!?」

咄嗟に避けたが、危なかった。

 

レヴィ「アハハハ……手も足も出せないわね」

連続で絶え間なく撃って来るハイドロポンプに悔しいが逃げるしか無かった。

 

エール(どうしよう……)

 

するとその時、

ゼロ「逆に考えろ!相手が水の近くにいるのなら効果的な方法があるだろ!」

ゼロが現れ、ハイドロポンプをチャージバスターでかき消した。

ゼロ「エール、落ち着いて考えるんだ!」

エール「相手が水の近く……そうか!」

モデルPXにダブルロックオン。

 

レヴィ「何?」

エール「そこッ、雷遁!」

レヴィ「えっ?きゃぁぁぁ!!!」

 

的確な雷撃がレヴィアタンの近くの水に当たり、中に居たレヴィアタンを感電させた。

 

そして動けなくなった所に、

エール「行くわよ……フレアドライブ!!!」

すぐにモデルFXにダブルロックオン、強烈なチャージバスターを放つ。

 

相手位置で大爆発を起こした。

 

 

エール(やってないね……結構大きいの撃ったつもりなんだけど)

 

レヴィ「今のは危なかったわ。やるじゃない」

レヴィアタンの辺りが凍結しているのが分かる。何か強力な技でかき消したのだろう。

レヴィ「私にこの技を使わせたのは貴方が初めてよ。まぁ改造されてからこんな戦いしたのが初めてだから当然ね」

 

ゼロ「エール、無理はするな」

エール「はい、大丈夫です」

 

レヴィ「本当の寒さを思い知らせてあげるわ」

 

 

sideグレイ

自分のバスターと相手のナックルバスターの激しい撃ち合いになっているグレイ。

 

グレイ(やっぱり火力じゃ相手の方が上……だったらここは!)

ダッシュで相手に近付く。

 

ファ「へっ、やられに来たか!」

ナックルバスターを撃つが、その瞬間に、

グレイ「トランスオン!」

 

バイフロスト・ザ・クロコロイド。トランス出来るフォルスロイドの中でも1番体が大きい。

ファ「!!!」

いきなりで驚いているファーブニルに噛み付きをする。当然ながら、

ファ「チッ!」

 

すぐに距離を取るファーブニル。だが、

グレイ「凍り付け!フリージングバレット!」

口内から生み出された氷の高速弾がファーブニルに突き刺さる。

ファ「ッ!こんのッ!」

すぐに炎で消し去るが、ダメージは入った。

ファ「やるじゃねえか。前みたいな弱腰だったらどうしようかと思ったが」

グレイ「僕だってロックマンだ!」

ファ「その威勢、すぐに無くさせてやる!」

 

モデルLにトランスオン。槍で氷刃を生んでこれを盾に距離を詰める。

ファ「チッ、厄介な手を使いやがる」

ならば高火力で焼き尽くすのみ。

ファ「喰らいな!フレアトルネード!」

 

かき消す所かグレイに一直線に向かって来る。

グレイ「アイストルネード!」

だが冷静に相殺する。

 

ファ(このままじゃ埒が開かねェ。こうなったら使ってやろうじゃねえか)

「アームドフェノメノン!」

 

グレイ「何だ!?」

突然人型から変化し、何と戦車と一体化した。

そして四門の砲台から絶え間なく火炎砲が放たれてグレイに降り注ぐ。

グレイ「ッツ、量が多い……!」

 

モデルZXにトランスオン。機動性を活かして何とか回避していく。

グレイ(やられてばかりじゃダメだ!)

バスターを数発放つが、当然ながら動くし相手の火炎砲にかき消される。

 

グレイ「今は逃げるしか無いか……!?」

だが、そこで隣にゼロが現れた。

ゼロ「逃げるな!その攻撃している時こそコチラが攻撃するチャンスだ!」

グレイ「で、でもどうすれば!?」

 

ゼロ「無理にファーブニルを狙わなくても良い。逆に考えてこの砲火さえ無くせば良いのだから」

グレイ「そうか、砲台を破壊すれば!」

ゼロ「その通りだ。今から俺が突っ込むからお前はしっかりと狙え」

グレイ「ハイ!」

 

バスターをしっかりチャージし、構える。

流石はゼロ、砲火を軽々と回避してすぐにファーブニルの前に現れた。

ゼロ「ファーブニル!」

ファ「ゼロッ!」

人型に戻り、ゼロのセイバーをナックルで受け止める。すると、ゼロがコチラを向いた。

 

ゼロの考えをしっかり読み取って、狙いを背中の砲台に定める。そして、

グレイ「いけぇーっ!」

 

チャージバスターがしっかりと背中に直撃し、砲台が破壊された。

ファ「何ッ!?」

 

そしてすぐにゼロが戻って来た。

ゼロ「落ち着いていけ。言っては失礼だがアイツはアホだ」

グレイ「ハ、ハイ……」

 

ファ「怒ったぜ……やってやろうじゃねぇか!」

 

 

sideアッシュ

クナイや手裏剣等多彩な遠距離攻撃を対処しながら近接に持ち込むアッシュ。

 

アッシュ「遠くからチクチク鬱陶しいのよ!」

ファン「……」

更に忍術も使って来る。

 

アッシュ「分身した!?」

ファン「見極められまい……」

 

複数に渡り違った動きをするファントム。

だが、不幸にも。

 

アッシュ「……残念でした!そこッ!」

ここで大活躍ホーミングショット。目の前に居る全員をマークして撃つ。

ファン「……!」

まさか当たると思わなかっただろう。技の途中はかなり無防備になるのか、硬直してしまった。

 

当然ここを狙う。

アッシュ「はっ!ほっ!せいッ!てやぁッ!」

3連撃、からの斬り払い。

 

ファン「……面倒でござる」

アッシュ「忍術よりも現代兵器よ」

ファン「闇十字!」

 

すると相手は巨大な手裏剣を出してそれに乗り、空中から更に手裏剣を投げて来た。

 

アッシュ「ちょ、ちょっとその乗り物無しでしょ!?せこいって!」

ファン「火遁!」

アッシュ「ッ!」

咄嗟にセイバーで斬り払う。

 

ファン「……良い反応だ」

アッシュ「どうも。褒められても嬉しくないわ」

 

ファン「水遁!雷遁!」

アッシュ(狙いがバレバレよ。普通に避けたら雷遁で全体を感電させるつもりなんでしょうけど)

 

モデルHにトランスオンして空中へ逃げる。

ファン「ほぅ……拙者の考えは読まれていたか」

アッシュ「そういう事!真空破!」

風の刃を起こしファントムに向かわせる。

ファン「むぅ、螺旋手裏剣!」

大量の小さな手裏剣とぶつかり合い消えた。

 

それから空中戦が続いた。ホバーで相手に近付いてソニックセイバーで斬る。

相手のクナイと何度も鍔迫り合い、しばらくしてからお互い着地した。

 

 

アッシュ(あぁ~もうこういう奴相手するの苦手なのよね……)

アッシュは特に劣勢な訳でも無いが中々攻勢に出れずにいた。

 

ファン(……自由度の高い発言の割に、随分繊細な攻めをしてくる。拙者の急な攻撃を的確に対処している事ならしても、面倒な相手だ)

 

多少たりとはファントムも警戒している模様。

 

アッシュ(相手のペースに持っていかれるのだけは勘弁だね……やっぱり攻めよっか!)

「トランスオン!」

 

アッシュがトランスしたのは、

ファン「……!」

モデルP。そう、自分と同じ。

 

アッシュ「正確には適合者達のモデルの方にトランスするのであって元となったアンタとは違うけどね。油断してたら……こうさ!」

 

自分の周りに手裏剣がまるで某機体のファン〇ルみたいな感じに浮かんでいる。

アッシュ「行くよ……(まだら)手裏剣!」

 

アッシュの攻撃に合わせ追撃をする。更に敵の攻撃からアッシュを守る盾としても使える。

アッシュ「忍法、影分身!」

ここで一気に流れを作ろうとするが、

 

ファン「そんな紛い物は拙者には通用せん!」

何と相手は的確に分身では無く自分にクナイを放って来た。これには思わず驚く。

アッシュ「何で分かるの!?」

 

少し前の自分と相手とは逆の状況。

ファン「貰った!五月雨!」

蹴りやクナイでの乱舞攻撃。

 

アッシュ「きゃあっ!!!」

トランスが解け、モデルAに戻った。

 

ファン「そんな小賢しい技が拙者に通用すると思ったか?自分の技の対処法が分からぬ訳が無かろう。モデルか何だかは知らんが、オリジナルに勝てると思ってか?」

 

アッシュ「で、ですよね~」

何とか立ち上がる。

 

ファン「本当の忍術という物を見せてやろう」

そう言って突っ込んで来る。

アッシュ(速いッ!)

 

今までとは桁違いの速さの攻撃だったが、モデルZXで何とか迎撃する。

 

だが速さに苦しめられるだけで無く、

アッシュ「えぇい速いって!って居ない!?」

気が付いたら居なくて、そして背後に嫌な気配。

アッシュ「そこかっ!」

 

確かに斬った筈だったが、斬った物は煙を出して消えた。身代わり(・・・・)だ。

 

そして次はサイドから蹴りが入る。

アッシュ「くっ……!」

 

そしてすぐに体勢を立て直そうとするが、

ファン「飯綱落とし!」

アッシュ(マズいッ……!)

 

既に先手を打たれており上空へ打ち上げからの叩き落としのコンボが入った。

 

アッシュ「カハッ!ッ……」

 

ファン「甘いな。まだまだ」

アッシュ(強い……!)

 

ノロノロと立ち上がるアッシュ。絶好のチャンスである筈なのにファントムは追撃をして来ない。

アッシュ「……?」

 

ファン「そこに居るのは分かっている。出て来い……ゼロ!」

 

するとアッシュの後ろからゼロが現れた。

アッシュ「ゼロさん……」

ゼロ「アッシュ、下がっていろ」

アッシュ「……ハイ」

 

アッシュは悔しそうな表情を浮かべ下がった。

ゼロ「一応後輩を傷付けた借りは返させて貰う」

ファン「……出来るなら!」

 

ファントムの二刀クナイでの格闘戦に対し、ゼロは新武器であるVハンガーで同じ様な素早い近接戦に持ち込む。

 

アッシュ(速い……)

両者目にも止まらぬ速さで激しい格闘戦を繰り広げる。更にゼロはもう1つのオリジナル武器、ゼロレガースを多用し足技も見せた。

 

蹴りをファントムが避けたのを見て、

 

ゼロ「そこだッ!」

ゼロは地面を蹴り瞬時に距離を詰めて二刀短剣で素早く斬り付ける。これにはファントムも反応出来ずに当たった。

 

ファン「グッ!?」

ゼロ「乱れ打ちだッ!」

ファントムの放った五月雨の様に蹴りと短剣での高速乱舞。華麗に斬り付けて、そして締めは豪快に蹴る。

 

ファン「グゥッ……ゼロ、お主の戦闘スタイルはそんな物では無かった筈だ」

ゼロ「あの時はな。だが俺はどうやら生身での格闘も出来る様になっているらしい」

ファン「……またしても、拙者はお主に苦汁を舐めさせられるというのか」

ゼロ「お前は俺を巻き込んで自爆するみたいだったが、あの時は残念だったな」

 

ファン「過去は何だって良い……とんだ悪人だろうが何だろうと蘇らせてくれた以上、今の拙者の主はあのバイルという奴だ。ロックマン達を、憎き英雄ゼロを抹殺する事!それが我々四天王に与えられし命令だ」

 

ゼロ「……だが、その命令は遂行出来ていない様だな。アッシュには勝ったみたいだが、他はどうだろうな?」

ファン「何ッ……?」

 

 

すると、ファントムの元に他の3人がやって来た。

ファン「お主等……どういう事だ!?」

ハル「撤退命令だ……バイルからの」

レヴィ「悔しいけど……私負けちゃった」

ファ「……」

ハル「俺はまだ戦えるが……レヴィアタンも負け、ファーブニルはアームド状態で完全破壊されて人型に戻ったは良いが反応が無い。動く事は出来るみたいだがな」

 

 

今度はゼロとアッシュの元にヴァン、エール、グレイが戻って来た。

ゼロ「……どうする?まだやるか?」

 

ファン「……ゼロ、お主だけは必ずこの手で葬ってみせる」

四天王は何も言わず消えて行こうとしたが、

 

ゼロ「待て……今回といい前の時といい何故カンナを狙う?何が目的だ?」

ハル「そんな事を教えると思っているのか?」

ゼロ「……この都市の物流を切る為か?」

ハル「だからそんな事を言う」レヴィ「そんなの表向きに決まってるじゃない……あっ」

ハル「この馬鹿!何を言っている!?」

レヴィ「別に教えようが分かる訳無いんだから大丈夫よ。何も知らないんだから」

ハル「そういう問題じゃない!」

 

突然の大暴露、そして謎の会話に流石のゼロも怪訝な顔をしており、他4人はポカーンとしている。

 

ゼロ「……そうか」

ハル「チッ……」

 

そして四天王は去って行った。

 

 

ゼロ「……アッシュ、大丈夫か?」

グレイ「酷い怪我じゃないか」

アッシュ「……大丈夫」

エール「すぐに帰って治療しなきゃダメだよ」

ヴァン「ゼロさん、プレリーに連絡しましょう」

ゼロ「あぁ」

 

プレリーに連絡を入れると、

プレ「ゼロ?丁度私からも連絡を入れようと思ってた所なの」

ゼロ「そちらはどうだ?」

プレ「相手の全軍撤退を確認したわ。防衛成功、私達の勝ちよ」

ゼロ「そうか、コチラも四天王をとりあえずだが撃退した。今から帰還する」

プレ「了解」

 

エール「アッシュ、立てる?」

アッシュ「えぇ……ゴメン、私だけ完全に負けちゃった。最後辺り手も足も出せなかった」

ゼロ「……ファントムは四天王の中でも異色だ。他の四天王に勝ったからお前が勝てないとおかしいなんて事は決して無い」

アッシュ「それでも……少しいけるかと思って調子に乗った挙句こうなったんだ。やっぱりアタシが弱かったんだ」

 

グレイ「アッシュ……」

 

ゼロ「なら強くなれ」

アッシュ「え?」

ゼロ「自分が弱いと分かっているなら強くなれば良い。それがお前には出来る筈だ」

アッシュ「ゼロさん……」

ゼロ「前にグレイにも言ったが、お前達に足りないのは経験だ。いつか四天王にやり返してやれば良い……だから強くなれ」

アッシュ「分かった。アタシ強くなるよ……必ず四天王に倍返ししてやるんだから!」

ヴァン「ば、倍返し……」

エール「ウジウジする位ならこれ位ポジティブシンキングな方が良いよ。頑張ろ、アッシュ」

グレイ「そうそう。アッシュにしおらしさ等必要無いし似合わないし」

アッシュ「なーにーおー?それは流石に聞き捨てならないわね」

グレイ「事実を言ったまでさ」

アッシュ「全くアンタは……うっ!」

グレイ「アッシュ!?大丈夫か!?」

 

ヴァン「ちょ、やっぱり早く帰らないと!」

エール「ぜ、ゼロさん!」

ゼロ「……演技だろう」

ヴァン&エール「え?」

他2人もオロオロしていたが、どうやらゼロは違ったらしい。

 

アッシュ「ゼロさんにはバレてたか……なんてね!中々迫真の演技じゃなかった?」

グレイ「なっ……アッシュ!騙したな!」

アッシュ「騙される方が悪いわよ……心配してくれてありがと」

グレイ「……とっとと帰って治療して貰えよ。傷が残ったら大変だろ」

アッシュ「えぇ、そうする」

 

 

 

 

 

 

ガーディアンベースに戻って来たゼロ達。

アッシュの治療も終わり、いつもの休憩室に全員が集まっていた。

プレ「まずは……ありがとう。皆のお陰で無事カンナを守る事が出来たわ」

エール「プレリーこそイレギュラー達とずっと戦ってたでしょ」

プレ「皆に比べたら全然よ」

ゼロ「とりあえずは、何とかなったな」

ヴァン「四天王……予想以上だった」

グレイ「モデル達の元となったのも分かる……あそこまでの力があったからモデルとなったんだ」

アッシュ「アレとこれから何度も戦う事となるのね……バイル軍はあんな者達を目覚めさせてまで世界破壊がしたいと言うの?」

 

ゼロ「アイツの思想を無理に汲み取ろうとしなくても良い。頭が痛くなるだけだ」

 

プレ「でも……今回の戦いはガーディアンを結成してから体感した事の無い激戦だったわ」

ヴァン「結局どうしてカンナを狙ったんだろ?」

エール「結局そこになるよね。あっ、でも……」

アッシュ「言ってたわよね、物流を切るのが目的じゃないって。だったらやっぱり私の言う事正しいんじゃない!?」

ゼロ「カンナに何か重要な物が眠っているのかも知れないな」

プレ「……明日調べてみましょうか。とりあえず今日はもう休んで、疲れたでしょう」

 

ヴァン達はそれに頷き部屋に戻って行った。

ゼロ「……」

プレ「ゼロもちゃんと休むのよ」

ゼロ「……分かっている」

プレ「皆のまとめ役、そして自分自身も戦って……貴方はいつも大変な事を押し付けてごめんなさい」

ゼロ「気にするな。別に大変でも無いし……自分を過大評価するつもりは無いが、アイツ等にはまだ俺が必要な筈だからな」

 

プレ「えぇ。皆は貴方の事を強く信頼しているし尊敬しているわ」

ゼロ「ならばアイツ等を時に支え、時に厳しく教える事も……そして守る事が俺のなすべき事だ」

プレ「ゼロ……貴方が居てくれて本当にいつも助かってるわ、ありがとう」

ゼロ「……お前には迷惑を掛けているからな」

プレ「そんな事無いわ」

ゼロ「なら、素直にその気持ちを受け取っておくとする」

プレ「えぇ」

 

ゼロ「お前が渡してくれた装備は早速かなり役に立った。本当に感謝している」

プレ「それは良かった……でも、ゼロ」

ゼロ「どうした?」

プレ「私じゃ……私達じゃ今渡せる物位が限界かも知れない」

ゼロ「そんなに解析が難しいか……」

プレ「ごめんなさい……まだ貴方用に用意されているデータは沢山あるのだけど、解析がとんでもなく難航してるの。貴方が最前線に戦うに向けて頑張って解析を進めてはいるのだけど」

 

ゼロ「これだけ用意してくれただけでも十分だと思っている。無理はしないでくれ」

プレ「……えぇ」

 

それだけ言ってゼロは部屋に戻って行った。

 

その後艦長室に戻り、姉でもあり初代艦長でもある人の写真を取る。

 

プレ「やっぱり、私には限界があるよ……お姉ちゃん。もしもの時悪用されない様にここまで難しくしたんだろうけど、こうなるとお姉ちゃんしか解けないよ」

 

そんな虚しい呟きが、誰も居ない艦長室に小さく響いていた。

 




はい、文字数が多くなって何かごめんなさい。
四天王は改造されたと言っていましたが全然です、これからゼロ達が強くなるにつれ彼等も強かなっていき何度も立ちはだかる事となります。

そして、バイルさんも言ってたし話の内容から大体察している方もおられると思いますが、次回遂にあの人が登場!まさかの登場でこの戦争にも大きく影響する事となります。お楽しみに。

では、また次回でお会いしましょうヾ(・ω・`)

小説情報を見てみたらかなりのUAと大量のお気に入りにビックリしました。本当にありがとうございます!これからも宜しく御願いします。


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-激闘の後の捜索 謎の女性との遭遇-

どうも。また天気が荒れてますね……本当に最近異常気象多過ぎ。日本列島こわれる(切実)

今回は少し戦いとは離れて(ありますが)ちょっと日常を。前回言っていた通りとある人が登場します。誰か位分かるから言わんでいい?あっそっかぁ……

今回は警察だ!ならぬガーディアンだ!ちょっとお家調べさせて貰うね、っていうお話(意味不)
では、どうぞ。


何処かは分からない、バイルの本拠地にて

バイル「負けて来た上にガーディアンに情報を漏らしただと!?」

ハル「……申し訳ございません」

レヴィ「漏らしたって言っても表向きがどうとしか言ってないわよ。ガーディアンはこの事事態知らないんだから言った所で関係無いでしょ」

バイル「……まぁ良い、確かにその通りだ。ガーディアンに察しられて無ければどうでも良い」

 

ファ「しかしよォ、カンナとかいう都市が昨日の事もあって滅茶苦茶守りが固くなっちまった」

バイル「本当にあの場所が必要となったらナンバーズやお前達で集中攻撃をすれば瞬時に落とせる。今はまぁ待て」

 

ファン「……拙者は勝手にやらせて貰う」

バイル「構わない。ロックマン達や憎きゼロを始末してくれるなら万歳だ」

 

 

 

だが、バイル達の思惑とは裏腹に色々と察してしまっているゼロ達。

 

~カンナ 中心部~

とある喫茶店にて休憩していたゼロ達は、通信にてプレリーも混ざり会話をしていた。

 

ゼロ「しかし、探すと言ってもな」

ヴァン「こう広いと何からすれば良いのやら」

エール「アッシュはどう考えてるの?」

アッシュ「……やっぱり初見で臭ったネージュ・カンパニーが怪しいと思う」

プレ「あの会社が?」

グレイ「あそこまでの大きさの会社なら秘密の一つや二つあってもおかしくは無いけど」

ゼロ「他の手掛かりが無い以上、探してみる価値はありそうだ」

アッシュ「じゃあ、早速行こ行こ」

 

 

~ネージュ・カンパニー~

入口にてプレリーと合流したゼロ達は、早速ガーディアンの権限を使い中に入った。

 

そして早速捜査を開始するのだが、前々から皆が言っていた通り、

ゼロ「広いな……」

ヴァン「本当にそうですよね……」

エール「こんな所探してたら何日あっても足りないよ……アッシュ、何か無いの?」

アッシュ「そんな事アタシに言われても……とりあえず皆で普段使われている場所を探してみるのが良いんじゃない?プレリーは管理者の方に変な点とかを聞いてみて」

プレ「分かったわ」

 

 

アッシュの言う通り社内の主に使われている場所をとりあえず見回して来たゼロ達であったが……

 

ヴァン「何も無いな……」

グレイ「と言うか広過ぎる……」

エール「アッシュ~」

アッシュ「何でそこでアタシに振るのよ!?」

ゼロ「……」

ゼロは何かを考えている様だが。

 

とても広い社員食堂に居るゼロ達の元にプレリーが戻って来た。

プレ「お手上げって感じね」

エール「実際そうでしょ」

ヴァン「どうだった?」

プレ「特にこれといって変わった所は無いって言ってたわ」

アッシュ「そうなると完全にお手上げよ~」

ゼロ「……」

グレイ「ゼロさん?どうしたんですか?」

ゼロ「プレリー、この会社の地図はあるか?」

プレ「えぇ、さっき貰って来たわ」

 

プレリーから貰った地図をテーブルの上に広げ、更に何かを考えている模様。

 

ゼロ「……成程」

プレ「何か分かったの?」

ゼロ「この会社は全部で30階、そして俺達が今居るのは2階の社員食堂。アッシュの言った通りに俺達は30階までの主に使われている場所を見て回って来た……ここまでは良いな?」

 

5人が頷いたのを見て、

ゼロ「大体見終わったと思ったが、この地図にも載っているが調べていない大きな場所がある」

ヴァン「そんな場所あります?」

アッシュ「……あっ!」

ゼロ「アッシュ、気付いたか」

エール「え?何処?何処?」

グレイ「勿体ぶらないで教えてくれ、アッシュ」

 

アッシュ「物資運搬口だよね、ゼロさん」

ゼロ「あぁ」

 

 

早速移動。

社員用の巨大な駐車場を更に横切って進み到着。名前通り紙等の物資が運ばれて来る所だが、普段は使われない。

プレ「聞いた話では、数ヶ月に1回しか使われないんですって」

ゼロ「俺達は全部のエレベーターに乗ったつもりだったが、中央にあるこのエレベーターを忘れていたな」

アッシュ「掃除はされてるみたいだけど、やっぱり使われてない感があるね」

エール「確かに、何かありそう」

ヴァン「探そう」

 

周辺を探したが、特に何も無かった。

アッシュ「んー、ここに何かありそうだったんだけどな~」

グレイ「変な場所とかも無かったな」

エール「やっぱりこの会社じゃ無いのかな」

プレ「また1から探し直しね」

ヴァン「はぁ……」

 

プレリーがふと気付く。

プレ「あれ?ゼロは?」

ヴァン「本当だ、居ない」

アッシュ「ゼロさーん?」

 

すると、ピーンと音がしてエレベーターの扉が開いて中からゼロが出て来た。

エール「エレベーター乗ってたんですか」

ゼロ「ビンゴだ」

5人「え?」

 

首を傾げる5人に対しゼロはエレベーターの中に手招きする。誘われるままに中に入るヴァン達。

 

ヴァン「流石に広いな」

エール「物資運搬口なんだから広いでしょ」

グレイ「ゼロさん、何がビンゴなんですか?」

ゼロ「階のボタンを見てみろ」

 

アッシュ「普通に30階まであるけど……ん?B1F?地下があるの!?」

ゼロ「そういう事みたいだな。行くぞ」

 

ゼロがボタンを押し、エレベーターは下に動く。

 

地下にやって来たゼロ達。

エール「う、薄暗いね……」

ヴァン「何の為にあるんだろ?」

ゼロ「プレリー、この会社の成り立ちは?」

プレ「えっと、1から作ったのでは無くて都合良く先にあった建物を増築して作ったのがこの会社だと言っていたわね」

 

ゼロ「となるとこの地下は何かの目的で作られているのでは無く前からあった物という事だ」

グレイ「……進んでみる価値、ありますね」

アッシュ「面白くなって来たじゃない……!」

ゼロ「プレリーは戻っておけ。ここからは恐らく危険な場所もあるだろう」

プレ「分かったわ。皆無事に帰って来てね」

 

 

 

 

5人で進んで分かった事は、どうやらここは過去に使われていた地下水路らしい。今は使われていないみたいで水が引いていたが。

 

とある部分にて、ゼロがヴァン達を静止させた。

ヴァン「どうしたんですか?」

グレイ「目の前にあるの、池……かな?」

アッシュ「にしては何か色がおかしい様な……」

 

ゼロはそこら辺に転がっていたガラクタをポイと池の中に投げた。

 

すると、

エール「と、溶けた!?」

跡形も無く一瞬で溶けたのだった。

ゼロ「強力な酸だ。入れば体が無くなるぞ」

アッシュ「こ、怖ッ!」

 

ここからは本格的にヤバいのでヴァン達はロックオンして皆助走をつけて飛び越える。

 

先に進めば進む程更に危険な場所が出て来て、皆ドキドキしながら何とか進んで行く。

 

 

そして、

ゼロ「……成程、これは面白い」

アッシュ「やっぱりアタシの鼻は間違って無かったね。さっすがアタシ」

ヴァン「でも、まさかこんな物があるなんてな」

 

更に奥には扉があり、入ったら何とびっくり研究所らしき建物が中にはあった。

 

グレイ「ここも随分前に機能は停止したみたいだけど……何を研究していたんだろう?」

アッシュ「カプセルとか沢山あるけどまぁ何も無いわよね」

するとヴァンが言った。

ヴァン「下に続く梯子があるぞ!」

 

良くあるパイプ製の梯子を下り、奥に進む。

 

ゼロ(何だ……この緊張感は)

そしてその奥にはあからさまに怪しい巨大な扉。

 

ゼロは4人の方を振り返った。

そして4人が頷いたのを見て、巨大な扉をゆっくりと開けた。ロック等は掛かっていなかった。

 

奥にあったのは1つのカプセル。そして中に入っていたのは、

ゼロ「カードだな」

ヴァン「カードですね」

エール「特に変哲も無い」

グレイ「まさしくカード」

アッシュ「それだけ?」

 

だがその時、扉がバタンと閉まった。

5人「!!!」

 

即座に周囲を警戒しながら構える。

そして、

ゼロ「全員散開しろ!上だ!」

 

バッと散開した後、上から巨大なレプリロイドが落ちて来た。

ヴァン「コイツは!?」

ゼロ「また懐かしい奴が出て来たな……」

グレイ「知ってるんですか!?」

ゼロ「スパイ・ラリューFだったか、そんな名前の奴だった。尻尾での攻撃、レーザー、吐いてくる炎弾等攻撃が多彩だ。各自攻撃を避けつつ散開したまま火力を集中させろ!」

 

4人「了解ッ!」

 

最前線でゼロとヴァンが尻尾での払い攻撃や掴みかかりを対処しつつセイバーで攻撃。

中距離からグレイとアッシュがトランスを駆使して攻撃し、遠くの方からモデルXのエールが強力なチャージバスターで攻撃していく。

 

ゼロの言った通り攻撃の種類が中々多く多少たりとは苦戦を強いられたがナイスチームワークで火力を集中させて、トドメはエールのバスターが決めた。

 

エール「やった!」

ゼロ「ナイスだエール。それに皆もな」

グレイ「ゼロさんとヴァン先輩が前線張ってくれたお陰でコチラはかなり楽でした」

アッシュ「流石近接バkゲフンゲフン近接強いだけあるわね」

ヴァン「今バカって言おうとしたな?」

アッシュ「アハハハ、まっさかー(棒)」

ゼロ「……全く」

 

何とか突然の襲撃者を撃破したゼロ達は、帰りも気を抜かずにプレリーの元に帰って来た。

 

とりあえず事情を説明。

プレ「そう……そんな事があったのね。それで見つかったカードとやらは?」

ゼロ「これだ」

プレ「うーん……見た事無いわね」

アッシュ「逆にアタシ何か見覚えあるんだよね……何でだろ?」

グレイ「奇遇だな。僕もだ」

ヴァン「言われてみれば」

エール「確かに。ゼロさんは?」

ゼロ「俺もだ。プレリーが知らずに俺達が知ってるという事は今までで俺達5人が任務で行った場所にそのカードが使える場所があるという事だ」

アッシュ「あっ、思い出した!それってあそこだよ、アタシ達5人の初任務行ったあの場所!」

プレ「えっと、エリア・ゼロの奥のコロニーの残骸だったわね」

エール「そう言えばあったね!奥の方に開かなかった扉が」

ヴァン「あったあった。俺等が滅茶苦茶頑張っても開けられなかったやつだ」

グレイ「確かあそこにカードリーダーあったよな……もしかすると!?」

アッシュ「これキタんじゃない?」

 

プレ「テンション上がるのは良いけど……」

アッシュ「そこまで遠くないし、行こッ!」

それに乗ってゼロを除く3人もそれに乗ってダッシュ。それを見てゼロさんため息。

 

プレ「ゼロ……悪いけど」

ゼロ「分かっている。行くさ」

 

 

 

 

前に来たコロニーの残骸。既にヴァン達が中に入ったのであろう、中に続く蓋が開けられていた。

ゼロ(アイツ等、勇んで進むのは良いが……カードを持っているのは俺だぞ?)

 

案の定中でワーワー言っていた。

ヴァン「ゼロさん!遅いですよ!」

エール「遅いです!」

グレイ「カードキーを!早く!」

ゼロ(何故俺が怒られるんだ……?)

 

アッシュ「まぁまぁ。とりあえずゼロさん」

ゼロ「……あぁ。開けるぞ」

 

持って来たカードはバッチリとカードリーダーに合い、扉が開いた。

 

 

奥は真っ暗で、部屋に入った後全員で手探りで明かりのスイッチを探す。

 

グレイ「ありました、多分これだと思います。今付けますね」

 

明かりが灯ると、全員の目に入ったのが部屋の中央にある巨体なカプセル。

 

エール「何か入ってるのかな?」

グレイ「……うん、入ってる」

ヴァン「この機械……コールドスリープだ。いつから冷凍保存されてるんだ?」

 

ヴァンがカタカタと機械を動かしている。

ヴァン「凄いぞ……保存開始は数百年前、丁度ゼロさんが行方不明になって少し後位だ」

ゼロ「……!」

ドキリと胸が高鳴った。とても興奮しているのが自分でも分かった。

 

ゼロ「ヴァン、コールドスリープを解けるか?」

ヴァン「やってみます。でも大丈夫かな?」

 

エール「コールドスリープされてるって事は……人間?だとしてもどうして?」

アッシュ「開けてみてからのお楽しみって事よ」

グレイ「……」

グレイは黙って見守っていた。

 

 

そして、

ヴァン「解除っ、と」

コールドスリープが解けて、カプセルが開いた。

 

ヴァン達男側では無く、エールとアッシュの女子側の方の蓋が開いた。

 

エール「わっ、わわわ///」

ゼロ「どうした?」

アッシュ「お、男来ちゃダメ!」

グレイ「な、何で!?」

アッシュ「何でも!とにかくこっち来ないで!」

 

男陣は怪訝な顔をしながらも女性陣の言う事に従っておく。エールが何やら電話をしているらしい、まぁ相手はプレリーだろうが。

 

アッシュとエールがアタフタしてる中、ドタドタとプレリーが入って来た。何故か服を持っている様だが、一体何があったというのか。

 

だが、プレリーはその人物を見るや否や持っていた服を落として叫んだ。

プレ「お姉ちゃんッ!!!」

 

5人「お姉ちゃん!?」

ん?待てよ。プレリー、つまりアルエットのお姉ちゃん。という事は……

 

ゼロ「ッ!!!」

バッとゼロが飛び出した。

エール「あっ、ゼロさん///」

アッシュ「ダメだって言ったのに!」

我に返ったプレリーが持っていた服ですぐに謎の人物の体を包む。

ゼロ「おい……どういう事だ!?」

プレ「分からない……けど、このスラリとした金髪、間違い無いわ!忘れる訳無いもの……」

 

 

ゼロ「……まさか、こんな形で再会する事になるとはな。お前なんだよな?

 

シエル」

 

ヴァン「えっ、シエルって確か……」

エール「初代艦長で、プレリーのお姉さん?」

アッシュ「それで妖精戦争ではコピーエックスを作ったりして、バイルに対しゼロさんと一緒に戦った人だっけ?」

グレイ「天才科学者なんだよね」

 

プレ「と、とりあえず運びましょう……」

ゼロ「あぁ」

自然とまだ誰かは分からないがその女性をゼロがひょいとお姫様抱っこして運ぶ。

 

 

 

そしてガーディアンベースにて、すぐに医務室に運ばれて後は医療班に任せている。

ゼロ「……」

プレ「……」

休憩室にて、先程からプレリーとゼロは難しい顔をして落ち着かずにウロウロウロウロしている。

 

その様子を珍しいなと4人が見ていた。

 

結局運ばれた人物はその日中に目覚める事は無く、ゼロとプレリーは落ち着きの無いまま次の日を迎えた。

 

 

そして本日からは再び一人一人がミッションを選んでバイル軍をとりあえず撃破しに行くのが始まったが、4人はともかくゼロとプレリーが未だに落ち着きが無くヴァン達に注意される程だった。

 

何とかいつもの調子に戻り、プレリーはオペレートを、ゼロもヴァン達と共に転送されて行った。

 

ゼロ達が転送されて行ってから数刻経って……プレリーの元に例の人物が目を覚ましたとの連絡が入った。てっきり数日間は眠り続けるだろうと思っていたので驚きながらも医療室に走る。

 

医療班からその人物は記憶が散乱しており精神的に少し不安定な為に面会は少しだけだと言われた。まぁ仕方ないだろう、数百年の時を経て目覚めたのだから無理も無い。

 

美しく長い金髪を下ろし、プレリーが持って来た服に身を包んでいるその見るからにして女性は、ぼんやりと窓から外を見ていた。

 

プレリーは、その姿に思わず立ち尽くしていた。

 

そしてその女性がプレリーに気付き、

???「貴女は……?」

プレ「えっ、あっ、私はこのガーディアンベースの艦長のプレリーです。貴女が目が覚めたと聞いて駆け付けて来ました」

???「…………」

プレ「あ、あの……?」

呆然として自分を見ているその女性に思わずタジタジしてしまう。

???「ガーディアン、ベース……」

プレ「そうですよ」

???「何か、何かを思い出せそうなのに……記憶がごちゃごちゃになる」

プレ「焦らないで。ゆっくりと思い出していけば良いから……今はゆっくりと休んで下さい」

???「……はい」

 

 

彼女との面会を終えて艦長室に戻ると、何とビックリ皆帰って来ていた。

プレ「皆、もう帰ってたの?」

ゼロ「ハズレだ」

プレ「ハズレ?」

ヴァン「前は建物の奪還が主でそこの占拠主と戦っただろ?今回は主に指定された場所に行ってイレギュラーを確かめてくるのが任務だった」

プレ「そうね。それで?」

エール「確かにイレギュラーは居たけど、大ボスみたいな奴は居なかったよ」

グレイ「だからとっとと片付けて帰って来たんだ。だから今回は凄く楽だったよ」

プレ「そう……偽情報を掴まされた訳では無いけど特に収穫は無し、か」

アッシュ「そういう事。それより運ばれた女の人はどうなったの?」

ゼロ「無事なのか!?」

プレ「大丈夫よ。だからゼロもそんな険しい顔しないで」

ゼロ「……そうか」

ヴァン「結局、その人は2人の言ってるシエルという人なのか?」

プレ「分からない。目覚めたばかりだから記憶が錯乱していて少し精神的に不安定だから深く詮索する訳にもいかないわ」

ゼロ「……会う事は出来るか?」

プレ「軽く面会くらいなら出来ると思うわ」

ゼロ「皆悪いな、会いに行って来る」

 

そう言ってゼロは早足で歩いて行った。

グレイ「シエルさんはゼロさんにとって、あそこまで取り乱す位大事な人なんだな」

プレ「えぇ。誰よりも、ね」

 

ヴァンとグレイも部屋に戻って行った後、

 

エール「ゼロさん、シエルさんが好きなの?」

こっそりとエールがプレリーに聞いた。

アッシュ「やっぱりそういう話?」

反対側からまたこっそりとアッシュも聞いた。

プレ「わ、私に聞かれても分からないわ……本人に聞いてみないと」

 

1人医務室にやって来たゼロ。プレリー同じく手短に、とだけ言われてそれに頷きの部屋に入る。

 

プレリーの時と同じく彼女は外を見ていた。

ゼロ「……」

まだ分からない、とプレリーは言っていたがゼロは一目見て確信した。

 

この女性は、あの時自分が誰よりも大事に思っていた少女、シエルだという事が。

 

理屈がどうこうとかでは無い。アッシュが良く使うフィーリングというやつだ。

 

その女性はゼロに気付き、コチラを向いた。

???「……あの?」

ゼロ「あぁ、悪い。お前をここに運んだ内の1人だ……とりあえず大丈夫みたいだな」

???「ありがとう。まだ色々と混乱してるけど、今はお言葉に甘えて休む事にするわ」

 

ゼロ「……あぁ。そうすると良い」

???「貴方、名前は何て言うの?」

ゼロ「俺か……俺は、ゼロだ」

???「……ゼロ」

ゼロ「また、来ても良いか?」

???「勿論よ。私の名は、まだ思い出せないけど……それでも良いのなら」

ゼロ「……構わない」

 

 

 

医務室から出ると、皆が居た。

ヴァン「どうでした?」

ゼロ「お前達……」

アッシュ「盗み聞きとかしてませんって♪」

グレイ「随分嬉しそうですね」

ゼロ「そうか?」

エール「柔らかな笑顔、してますよ」

プレ「ゼロ、彼女は……」

ゼロ「間違い無い。シエルだ」

アッシュ「分かるの?」

ゼロ「さぁな」

グレイ「えっ?」

アッシュ「おっ?」

全員コケそうになった。

ゼロ「アッシュも良く使うだろ、勘というやつだ。何となく……そう思う」

プレ「……えぇ。私も貴方の勘を信じるわ」

 

謎の女性の登場に戸惑うガーディアン。そして何かを感じたゼロとプレリー。

 

そしてこの女性がこの戦争の後の展開にとてつもない影響を及ぼす事になるのだが、それはまだゼロ達も、そしてこの女性さえも知らない。




はい、いきなりの謎展開でした。あまり話すと間違い無くネタバレになるので彼女についてはこの辺で。次回でちゃんと分かるのでお待ちを……え?だから分かる?デスヨネー

では、また次回お会いしましょうヾ(・ω・`)


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-熾烈な艦防衛戦 そして運命の再開-

どうも。不規則な生活をしていた為に何度も学校を遅刻しそうになっているM・Mです。

自語とかしなくて良いから(良心)
今回は遂に、遂に例の人復活!まさかの展開にご注目下さい。

では、どうぞ。


何故だかは分からないがバイルはあのカンナでの防衛戦以降ちょくちょくイレギュラーを発生させたりするもののナンバーズや四天王を出したりして来る事は無かった。あの気持ち悪い機械、一体何を企んでいるのやら……(byアッシュ)

 

プレ「皆分かると思うけど、最近バイルが妙に仕掛けて来ない。静か過ぎるわ」

ヴァン「アレか、嵐の前の静けさってやつか……だとしたらまた何か大きな事をしようとしてるのかも知れない」

エール「放ってはおけないけど……相手が仕掛けて来ない以上どうしようも無いわよね」

グレイ「くそッ、僕等を挑発しているのか?」

アッシュ「まぁまぁ落ち着きなって」

ゼロ「アッシュの言う通りだ。焦った所で何かが変わる訳でも無い」

グレイ「……そうですね」

プレ「けれど流石にここまで来るとやっぱり何かを企んでいると見て間違い無さそうね」

ヴァン「でも、どうする?」

エール「何か悔しいね、相手の出を待たないといけないなんて」

アッシュ「こればっかりは……仕方無いわね」

 

仕事の話は一旦止めて、

エール「そう言えば、あの人もう記憶戻ったの?プレリーとゼロさんと親しげに話していたけど」

 

プレ「いや、まだよ……今までの事が一切思い出せないみたい。記憶が消えてる訳じゃ無いんだけど、まだはっきりと思い出せないらしいの」

ヴァン「大変だなぁ、記憶喪失に似た様な物だろ?でもそういうのってちょっとした事で記憶が元に戻ったり……とかそんな話聞くけど」

アッシュ「良くある話っちゃあ良くある話だね。でもそう簡単にはいかないでしょ……」

プレ「ゼロは、どうなの?貴方が1番彼女と交流が多いでしょ?」

グレイ「ゼロさん、暇があればあの人と話してますよね。僕もあの人とは普通に話しますけど」

ゼロ「……何かを思い出しそうな兆しはあると言っていた。少しずつではあるが頭のごちゃごちゃは無くなってきてはいるらしい」

プレ「もうすぐ、記憶が戻って来てくれるかも知れないわね」

ゼロ「だと良いがな」

 

いつでも色んな所に転送出来る様になってからは基本カンナ近くにガーディアンベースを停める事が多くなった。と言ってもまた狙われる可能性が大だからである。

 

 

と、そんな話をしている時だった。

ゼロ「ん……?」

ヴァン「ゼロさん、どうしたんですか?」

ゼロ「GATが、何かおかしくないか?」

プレ「GAT?」

皆自分のGATを確認する。すると……

グレイ「あれ、本当だ……何か変だな、ノイズが入ってる?」

アッシュ「故障でもしたのかしら?」

エール「皆同時にいきなり謎の故障なんて考えられないけど?」

プレ「違う……これは、ジャミングよ!」

ヴァン「電波妨害(ジャミング)?」

エール「妨害って、誰から……」

 

そして次の瞬間、全員が凍り付いた。

「ガーディアンの諸君、今を大切に生きているかね?」

6人「バイル!」

 

即座に艦長室に移動。案の定あの時みたいに全ての通信がバイルの手によって支配されていた。

 

ゼロ「しばらく大人しくしていると思ったら……また全世界放送とはな。何を企んでいる?」

バイル「今この瞬間より、カンナ上空を飛んでいるガーディアンベースを襲撃しようと思う」

ヴァン「なっ……!?」

グレイ「襲撃!?」

バイル「尚これはあくまで牽制だ。ナンバーズは送り込むが四天王は送り込まない。ついでに1つ間違いだ、紅き英雄……ゼロ」

ゼロ「……ッ!」

バイル「今はここガーディアンベースにのみ通信を全て支配させて貰っている。先程も言ったが抵抗を続ける君達への牽制だ」

 

プレ「バイル……!」

バイル「君達が居なくなれば世界は変わるぞ?必ずや革新を遂げよう」

ゼロ「その革新が良い方向に変わるとは思わない。思い上がるな、バイル」

グレイ「お前の思う世界になれば、間違い無くこの世界は破滅する!」

アッシュ「勝手に私達の、今を生きるヒトビトの物語を書き換えようとするんじゃないわよ!」

 

バイル「威勢の良い事だ。だがその威勢もいつまで持つのかが楽しみだよ……」

エール「……何処までも人を見下して、貴方は何様のつもりよ!」

バイル「神だ」

エール「!?」

バイル「世界の全てを支配出来ればそれは神に等しいという事だ。だから私はなるのだよ!神に!そして世界を作り直す!」

プレ「作り直すなんて……!」

 

バイル「1つ良い事を教えてやろう。そんな所でぼんやりしていて良いのかな?私は言っただろう……今この瞬間より始めると」

ゼロ「ッ!まさか!?」

 

その時。艦が大きく揺れた。

プレ「な、何ッ!?」

ゼロ「プレリー、敵はもう来てる!すぐに戦闘配備を!俺達は出るぞ!」

ヴァン達の返事を待たずに走るゼロ。そしてそれを追うヴァン達。

プレ「総員に告ぐ!ただちに第一戦闘配備!艦全体にバリアフィールド展開!」

 

突然の襲撃に混乱しながらも、即座に戦闘が始まる。そして外に出たゼロ達は絶句していた。

ヴァン「お、多い……」

エール「これと、戦えっていうの……?」

空一面に広がるイレギュラー達の群れ。

グレイ「今まで活動が大人しかったのはこれをする為だったのか?」

アッシュ「いや、違う……バイルが言ってたでしょ、これは牽制だって。だからこれでも全然本気じゃ無いんだよ」

 

ゼロ「確かに数はアレだが……逃げる訳にはいかない。アイツに屈するだけは絶対に勘弁だ」

それでもゼロは泣き言1つ言わずに前に出た。

 

ゼロ「何とか出来る出来ないの問題じゃない。生きるか死ぬか、どちからだ」

4人「……」

 

セイバーを持つゼロの隣にロックオンした4人が立つ。皆静かにも、闘志を燃やしていた。

 

ゼロ「覚悟は、出来ているみたいだな。なら大丈夫だ……特に言う事は無い。死ぬな」

4人「ハイッ!」

 

甲板でゼロ達が無数のイレギュラー達を相手しているを艦長室から不安そうに見ているプレリー。

 

斬っても斬っても終わる事無く出て来るイレギュラー達にゼロは舌打ちをした。

ゼロ(バイルはナンバーズも送り込むと言っていた……大量のイレギュラーで俺達の体力を削ってから潰すつもりか)

だとすればこのままだと奴の思うつぼである。

 

ヴァン達も分かっているだろう。だから彼等もなるべく効率良く敵を倒していってるみたいだが、

 

ゼロ(いつかは必ず疲れが出て来る……そこを突くのがバイルの狙いか)

ガーディアンが沈黙すれば同時にこの世界は終わる。死に物狂いでも、諦める訳にはいかない。

 

皆それ一心で戦っていた。

 

 

そんな中、

指揮を続けるプレリーの元に、突然例の女性がやって来た。

プレ「ちょ、ちょっと貴女!ここは危ないわ!」

外でゼロ達が戦ってくれているとは言え、ここも砲火に晒される訳ではあるし。

 

???「うっ……あ……」

プレ「大丈夫!?」

頭を抱えてその場に座り込む彼女。

 

???「バイ、ル……」

彼女にも先程のバイルの声が聞こえていたのか。

プレ「……」

 

 

そして。

???「ガーディアンは、負けないわ……」

プレ「!?」

思わず驚くプレリー。

シエル「貴女は、この艦の艦長だったわよね。いきなりこんな事言っても信じて貰えないかも知れないけど……私はシエル。ガーディアンベースの初代艦長なの」

 

プレ「お、お姉ちゃん……記憶が」

そしてついお姉ちゃんと呼んでしまった。

シエル「お姉ちゃん……?貴女は?」

プレ「……話は後。今とっても大変な事になってるの!バイル軍がガーディアンベースを襲撃して来てるの、外でゼロ達が戦ってくれてるけど」

シエル「えっ……」

プレ「?」

シエル「今、ゼロって……ゼロって言った!?」

プレ(あっ、そっか……)「……えぇ。お姉ちゃんがずっと探していたゼロよ」

彼女に甲板の映像を見せる。

 

一騎当千。1番前に出て鬼神の如くセイバーを振りかざすそのレプリロイドを見て、

シエル「ゼロ……!」

一目見ただけで彼女も彼がゼロだと分かったらしい。そして彼女は立ち上がった。

 

シエル「確か私がゼロの為に残したデータがある筈なの!何処にあるか知らない!?」

プレ「あ、あるわ!場所も分かる」

 

前にゼロに言った私達では解析出来ないと言っていたデータ。

シエル「貸して!解析出来る機械は何処!?」

プレ「案内するわ!」

その気迫に少し押されがらも彼女を技術班に連れていく。どうでも良いが、彼女ダッシュが速い。

 

そして彼女に例のデータを渡した瞬間、彼女の中の天才が惜しみなく発揮された。

プレ(す、凄い……!)

 

考えてみればまぁそうだろう。これ等のデータにプロテクトを掛けたのも彼女なのだから。

 

そしてとんでもないスピードでデータの解析を終えた様だ。どうやらこのデータは武器らしい。

 

シエル「解析完了よ……この部屋は使える?すぐに取り掛かりましょう!」

プレ「と、取り掛かるって……」

シエル「お願い!この武器があればきっとこの戦いに勝てるの!」

プレ「すぐに出来るの?」

シエル「人さえ居れば!」

プレ「分かった。技術班を呼び出すわ」

 

別室に避難している彼等を申し訳ないが呼び出した。そして早速作業に取り掛かる。

 

 

その一方、遂に甲板にはナンバーズが数体現れていた。この時点で体力を随分削られてしまっていたゼロ達は疲れた体に鞭を打ち、対峙する。

 

ゼロ(全員俺が見た事のある顔ぶれだな……)

マグマード・ドラグーン、ブレイズ・ヒートニックス、バーン・ディノレックス。

 

ゼロ(どれだけ燃やしたいんだ……)

そんなツッコミはともかく、コチラは5人いるとはいえエネルギーも大分消耗している。正直かなりキツイ。

 

ゼロ「攻撃は俺が何とか引き付ける……だから一撃一撃を的確に当てていけ」

ヴァン「ゼロさん、俺とグレイも前に出ます。エールは後ろから頼む」

エール「分かった!」

グレイ「アッシュ」

アッシュ「分かってる。死ぬんじゃないわよ!」

 

前に居るのは丁度3対3。後ろの2人を守り切れば勝機はある。ヴァンとグレイはモデルZX。エールはO.I.Sを使わないが超強力なチャージバスターが撃てるモデルX。アッシュはモデルLにトランスして弱点特攻を狙う。

 

ゼロ(正直ヴァン達は……いや、俺もあまり長く戦うだけの体力は残っていない)

なら即行で終わらせるしかない。

 

炎。炎。甲板がひたすら炎に包まれる。業火とも呼べるその中で激しい格闘戦が続いていた。

 

アーマーがあるので周りの炎自体は大丈夫だが、コイツ等自身が放つブレス等の属性攻撃は流石に直撃するとダメージがかなり高い。

 

それはそうと、戦っているゼロは何か妙な違和感を感じていた。

ゼロ(コイツ等……何か様子が変だな)

 

ナンバーズという事でバイルに改造されたとは言え今まで戦った奴等がそうだった様に元々の人格は変わらない筈だった(四天王は別として)。

 

だがコイツ等は何も喋らないし目も何だか虚ろだし……いかにも命令のまま動く操り人形と言うべきか。

 

その時。相手3体が何やら不穏な動きを見せた。

ゼロ「ッ!全員、飛べ!」

 

間一髪、3体のトリプルファイアブレスが炸裂し甲板を更に燃やし尽くすが、ゼロの指示通りジャンプした4人も何とか回避した。

 

ゼロ「エール!アッシュ!」

エール「狙うなら……顔面!」

アッシュ「当たり前よ!貫け、氷龍(アイスドラゴン)!」

 

その隙を狙い空中からエールがそれぞれの顔面に的確なチャージバスター。更にアッシュが作り出した氷龍が全体を荒らし回り攻撃する。

 

ヴァン「グレイ!」

グレイ「はい!トランスオン!」

 

アッシュと同じモデルLにトランスオンして、

グレイ「ヴァン先輩、行きます!」

自分のO.I.Sを使って、強大な氷の力をヴァンの剣に付加する。

 

ヴァン「はぁぁぁッ!ブラスティング・ゼロ!」

剣に巨大な氷の光を纏い、横に一閃。

 

ゼロ「フリーズバレット!」

そこをゼロがすかさず追撃した。

 

5人が着地するまでに無慈悲なカウンターを行った為に敵はかなり混乱しているらしいが、やっぱり何か様子が変だ。

 

ゼロ(さっきから何だ?この変な感じは……俺は、これを知っている?)

何故か自分はこの謎の感覚を知っている。

 

すると、あれだけの攻撃を受けながらも3体は尚凶暴化したのだった。

エール「あれだけダメージ与えたのに!?」

アッシュ「ちょっとこれ反則でしょ!」

ヴァン「何だ……何かおかしいぞ!?」

グレイ「普通じゃない何かが宿ってるみたいだ」

 

ゼロ「……まさか、ダークエルフ!?」

いや、アレの呪いは確かに俺が解いた筈。アレ以外存在するとは思えない。

 

でもこの挙動は俺が知っている物だった。かつてシエルはダークエルフについて戦闘に特化する様にパワーアップする物……戦闘に特化した様に自分を洗脳する物だと言っていた。

 

何にせよ危険な事に変わりない。

 

ゼロ「少しマズいかもな……」

 

いかにもヤバそうな3体が詰め寄ってくる。そして羽ばたきながら炎を巻き起こし、他もブレスや尻尾攻撃等して来たが、先程とは桁違いの威力があった。やはり凄まじいパワーアップをしている。

 

グレイ「ゼロさん!」

ゼロ「!」

ふとした瞬間に突如突撃して来たヒートニックスを避ける事が出来ずにゼロは吹き飛ぶ。

 

ゼロ「ガハッ……」

エール「ゼロさん!?大丈夫ですか!」

ヴァン「エール!後ろだ!」

エール「ッ!」

突進して来たディノレックスを紙一重で避ける。

 

前衛後衛と分かれていたが、今度は4人集まってそれぞれ背中合わせになる。

 

アッシュ「ちょっと……ヤバくない?」

ヴァン「……ちょっとじゃないな」

グレイ「ゼロさん、まさか気絶してる?」

エール「多分そうだと思う」

 

ヴァン「俺達だけでやるしかない……来るぞッ!それぞれ全方向に気を付けながら散開だ!」

3人「了解!」

 

 

 

ゼロ「クッ……」

気絶はしなかったが、体が鉛の様に重く起き上がれない。直撃を貰ったのは流石にキツかったか。

 

激しく戦闘音が聞こえる。あの3体とどうやらヴァン達が戦っている様だ。

 

ゼロ「クソッ……動け、動いてくれ……」

何とか体を起き上がらせようとするも、先程受けた傷の痛みが体に響く。

 

ゼロ(ヴァン達でも流石に……アイツ等を相手するのは無理だ)

万全のコンディションだったなら別だが。

 

疲れにより少しずつ意識が遠ざかっていく。こんな所で、倒れる訳にはいかないのだが……。

 

 

その時だった。

シエル「ゼロ!」

聞こえた。彼女の声が。

ゼロ「シエ……ル」

 

彼女の声が何とか通さがる意識を引き戻してくれた様だ。彼女の手を借りて何とか起き上がる。

シエル「ゼロ!しっかりして!」

ゼロ「シエル……お前、記憶が……」

シエル「えぇ。バイルの声を聞いた時に、今までの記憶が全て戻って来たの」

ゼロ「……」

それは良いが、今こんな場所に彼女が居るのは危な過ぎる。

ゼロ「シエル、それより今すぐここを離れろ」

シエル「ゼロは!?」

ゼロ「俺はまだ戦える……ヴァン達を援護する」

 

シエル「……ゼロ、これを使って」

そう言って彼女はポケットから出したのは剣の柄。ゼットセイバーと酷似している。

ゼロ「これは……?」

シエル「貴方の為に私が残した武器データの1つよ。名前は……Ω(オメガ)ブレード」

ゼロ「オメガ……」

 

因縁の相手の名を冠したその剣は、初めて持つ筈なのに自分の手に簡単に馴染んだ。

 

ゼロ「……」

シエル「その剣は、貴方にしか使いこなせない特殊な物。エネルギーと引き換えに強大な力を発揮出来るの。けど……」

 

ゼロ「……これで、ヴァン達を守れるのなら」

 

Ωブレードを持って、少し体がよろけながらもゼロは再び駆け出していった。

シエル「ゼロ……」

 

彼の言う通り、ここから離れる事にした。

 

 

 

ヴァン達の方に走りながら、

ゼロ(この艦を……皆を、守る為に……力を貸せ!Ωブレード!)

ゼットセイバーの翡翠色では無く、赤紫色の長剣が具現化された。

 

そして、湧き上がる力。気が付けば走るスピードもドンドン加速していった。

 

ヴァン(ッ!何か、何かが、来る……!?)

次の瞬間、ヴァンが戦っていたディノレックスが目の前で一瞬の内に真っ二つにされていた。

ヴァン「!?」

 

ゼロ「……」

次にゼロが鋭い目付きで見つめたのはマクバード・ドラグーン。

その気迫にドラグーンは少し下がり足になっている様に見えた。

 

ゼロ「行くぞ……」

剣を水平に構え、一閃の構えを取る。

 

グレイ「えっ?」

驚いた、というより今何が起こったのか良く分からなかった。

さっき向こうの方に居た筈の彼が今自分の目の前に居る。そして自分と向かい合わせに居たドラグーンがディノレックスと同じで横一閃されていた。僅か一瞬で色んな事が起き過ぎて皆の頭が今の状況を理解し切れていなかった。

 

そして最後に、先程自分に突撃して来たヒートニックス。奴は他2体みたいになる訳にはいかないと、先程みたく炎を巻き起こしながら猛突進を仕掛けて来た。

 

エール「ゼロさん!」

ゼロ「分かっている……!」

 

そしてゼロとヒートニックスが重なり、お互いが突き抜けた後……ヒートニックスは結局他2体と同じ真っ二つの末路を辿る事となった。

 

 

残るイレギュラー達も皆殲滅され、随分被害を受けたものの何とか勝利したのだった。

 

甲板に出て来たシエルとプレリーはその惨状に思わず言葉を失った。

 

プレ「酷くやられたわね……」

シエル「艦自体もかなりダメージを受けたから、1度何処かで修理しないと」

 

そして皆の元に駆け寄って来た。

プレ「皆、大丈夫!?」

ヴァン「まぁ、何とか」

エール「はぁ……」

グレイ「さ、流石にヤバかったな……」

アッシュ「そうね……ここまでの戦いになるとは思わなかったわ」

ゼロ「……」

プレ「ゼロ?」

ゼロ「ッ……!」

 

ゼロが崩れ落ちそうになったのをヴァンとグレイが支える。

プレ「ゼロ!?」

ゼロ「流石に……無理があったか」

シエル「やっぱり……!」

エール「とりあえず医務室に運ぼう!」

 

 

体にかなりの負担が掛かっておりギリギリの状態でゼロは戦っていた模様。何とか命に別状は無いみたいだが、後少し負担が大きければ剣が握れなくなっていてもおかしくなかったらしい。

 

ヴァン達も治療を受け、かなりダメージを受けたガーディアンベースもメンテナンスをする為に1度カンナ外部で落ち着かせる事になった。

 

 

~次の日 医務室~

休んでいた皆の元にシエルとプレリーがお見舞い品を持ってやって来た。

プレ「どう?皆体の方は」

ゼロ「俺達皆1日安静だと言われた」

グレイ「確かに、まだ疲れが取れない……」

ヴァン「人間の俺達は傷が治るまではロックオン禁止だって言われたよ」

エール「それだけ私達の体も無茶をしていたって事だよね」

アッシュ「まぁ、じっくり休んどくわよ」

 

 

そして皆の視線は自然とシエルの方へ。

シエル「あっ、ごめんなさい。皆の団欒を邪魔する気は無かったのだけど」

ヴァン「えっと、シエルさん……なんですか?」

シエル「えぇ。私がシエルよ」

エール「記憶は、どうしたんですか?」

シエル「バイルの声を聞いて記憶がフラッシュバックして、蘇って来たの」

グレイ(この人がシエル……)

アッシュ(私達のモデルを作って、妖精戦争ではゼロさんと共に戦った天才科学者)

 

プレ「皆にも言った通り、お姉ちゃんはこのガーディアンの創始者でもあり初代艦長でもあるの」

シエル「えっと……私の方から色々確認させて欲しいのだけど」

プレ「どうしたの?」

シエル「貴女は、アルエット……なの?」

プレ「……うん。お姉ちゃん」

予め持って来ていたぬいぐるみを彼女に手渡した。それを見てシエルは凄く喜んでいる。

 

シエル「まさかこんなにも大きくなって……ガーディアンの2代目艦長をしているなんて。立派になったわね、アルエット」

プレ「そんな……そんな事無いよ、お姉ちゃん」

プレリーも凄く嬉しそうだ。

 

5人はこの2人を微笑ましく見ていた。

 

シエル「それと……」

ゼロの方を振り向く。

 

ゼロ「……」

シエル「ゼロ、なのよね」

ゼロ「……あぁ」

しっかりと頷いたゼロを見て、彼女に瞳に涙を浮かべてからゼロに抱き着いた。

 

ゼロはすんなりと受け入れて、優しく抱きしめ返した。他の皆はドキドキしながらその場面に釘付けになっていた。

 

シエル「~~~///!?」

まさか抱きしめ返して来るとは思わなかったシエルは顔を真っ赤にして激しく困惑した。

 

シエル「ゼ、ゼロ……?」

ゼロ「どうした?」

 

優しく微笑む彼に何も言えなくなって、

シエル「な、何でも無いわ……」

 

この甘ったるい空気はとりあえず終わって、感動の再会となった。

 

ゼロ「シエル、お前はこれからどうするんだ?」

シエル「私も皆と一緒に戦わせて。相手がバイルなら尚更この世界を守る為にも」

プレ「艦長の座はお姉ちゃんに返すわ」

シエル「いや、艦長はこのまま貴女がするのよ。今のこのガーディアンは貴女にしか務まらない」

 

プレ「うん。分かった」

シエル「私ならゼロだけで無く他の皆の装備も作る事が出来るわ。だから皆も遠慮無く言ってね」

 

ヴァン達は頷いた。

シエル「えっと、ヴァン君にグレイ君、エールさんにアッシュさんよね」

ヴァン「シエルさんの方が年上なんですから呼び捨てで良いですよ」

シエル「ありがとう」

グレイ「僕達の名前はどうして……?」

シエル「記憶をまだ失ってた時に皆私に話し掛けてくれて自己紹介をしてくれたじゃない」

グレイ「そ、そっか」

アッシュ(まさに知的美人って感じ。これはゼロさんとの関係が楽しみね)

 

ゼロ「シエル、お前にとって嫌な質問になるが……答えてくれるか?」

シエル「……どうしたの?」

ゼロ「昔のお前に何があった?」

 

プレ(そうよね……昔の行方不明となった時何があったのか真相はお姉ちゃんしか知らないわ)

 

シエル「……あの時、私はとある場所で発見されたモデルVを調査していた。調査には複数人で来ていたのだけれど、ある時私1人でモデルVを見た時に意識が無くなった」

ゼロ「……まさか、バイルが」

シエル「バイルはとあるモデルVから蘇った。そしてそのとあるモデルVとは、きっとアレの事だったのね……そして私はいつかバイルが復活した時に駒として使う為にコールドスリープを受けた」

 

ヴァン「じゃああのコロニーの残骸の地下にあった施設もネージュ・カンパニーの元々の建物も……恐らくバイルの研究所だったのだろうか?」

シエル「その可能性が限り無く高いわね」

 

エール「そしてコールドスリープをしたバイルだからこそバイルの声が記憶を蘇らせた鍵となったのかも知れない」

 

シエル「えぇ。私もそう思ってる」

プレ「ごめんね……もっと私達が頑張って探せばお姉ちゃんをもっと早く見つけられてたのかも知れないのに」

シエル「良いのよ。気にしないで」

 

そんな所でシエルの話は終わった。

シエル「ともかく私も皆と一緒に戦うわ。バイルを倒す為に私も頑張るから、皆よろしくね」

 

その言葉に皆頷いた。

 

 

 

~その夜 ゼロ私室~

ゼロとグレイはそれぞれ自室に戻っていた。

 

ゼロ(まさかシエルと再会出来るとはな)

彼女の記憶が元に戻って、とりあえず元気そうで本当に良かった。

心の底から、そう思う。

 

 

そこへ、

プレ「ゼロ、起きてる?」

ゼロ「あぁ」

プレリーとシエルがやって来た。

シエル「へぇ、ここがゼロの私室なのね」

ゼロ「……悪いが、何も無いぞ」

 

初期の状態から色々物を置いたりはしたが、まだ殺風景である事に変わりはない。

 

お茶を持ってプレリーとシエルが椅子に座る。

プレ「これで昔の3人が揃ったわね」

ゼロ「……そうだな」

シエル「えぇ」

 

3人、思い積もる話も沢山あった。

シエル「そう言えば……」

プレ「どうしたの?」

シエル「えっと……貴女はプレリーかアルエット、どっちで呼べば良いのかしら?」

 

突拍子も無い質問に思わず吹き出すプレリー。

プレ「ぷっ……お姉ちゃん、ゼロと全く同じ事言ってるわ」

シエル「そうなの?」

ゼロ「確かに俺もそう質問したが」

プレ「別にどっちでも良いけど、出来ればプレリーでお願いしたいわ」

シエル「分かったわ、プレリー」

 

プレ「さて、そろそろ寝ましょうか」

シエル「そうね。時間も遅いし」

プレ「お休みなさい、ゼロ」

ゼロ「あぁ」

 

プレリーが出て行った後、シエルも出て行こうとしたが出て行かなかった。

ゼロ「……?」

シエル「ゼロ、貴方は……凄く変わったわね」

ゼロ「……そうかも知れないな」

シエル「凄く良い方向に、変わったわ」

ゼロ「だが、俺が変わったとしたら……それはお前のお陰だ」

シエル「私?」

ゼロ「お前は……俺に大切な事を沢山教えてくれた。そしてプレリーも、ヴァン達からも沢山」

シエル「……」

ゼロ「俺がどんな存在であろうと、お前は受け入れてくれた。俺という存在を教えてくれた」

シエル「私は言いたかった事を言っただけよ。それ等を最終的に決めたのはゼロ自身なのだから」

ゼロ「それでも……お前にはあの時から、そして今も助けられている。だから礼を言わせてくれ……ありがとう、シエル」

シエル「ふふふ、どういたしまして」

 

彼女が笑えば、凄く心が暖かくなる。彼女には、笑っていて欲しいと思う。

 

シエル「ゼロ、また来て良い?」

ゼロ「俺が会話出来る状態ならいつでも構わん」

シエル「分かったわ」

 

今度こそ彼女も寝る事に。

シエル「お休みなさい、ゼロ」

ゼロ「あぁ」

シエル「……そこは、返すのよ」

ゼロ「?」

シエル「同じ言葉で」

ゼロ「……お休み?」

シエル「そうよ。別に強制はしないけど……返すと相手も嬉しくなるわ」

ゼロ「……覚えておこう」

シエル「えぇ」

 

彼女はとても嬉しそうに部屋を出て行った。

 

 

 




特に気掛けた訳でもありませんが文字数が1万ちょっとになってて驚きました。そんなに書いたっけ?ってなります。

まぁシエルさんを登場させる事は最初から決めていたのですが(その為のオリジナル、後その為の恋愛タグ)
少し糖度付いちゃいましたね。でも申し訳ないがゼロシエがとっても好きなのでこの2人のお話を沢山書いていくつもりです(迫真)!

感動の再開、でも激しさを増す戦争。次回はメインストーリーお休みします。

中々良いペースで書けているのでこの調子が続く事を祈って。
また次回お会いしましょうヾ(ω` )/


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-激化する戦況 ゼロ編-

どうも。
中途半端な投稿になってしまい申し訳ないです。話の内容を少々(かなりかも)変えています。

体調を少々崩してしまい投稿ミスも続き遅れてすみません。ではでは再びバイル軍とゼロ達の戦いをお送りします。

では、どうぞ。


あの襲撃から数日が経った。すっかり傷も治ったゼロ達はプレリーに集められていた。

 

プレ「皆も知っているだろうけど、あの襲撃でガーディアンベースもかなりダメージを受けたわ」

ヴァン「飛べないんだよな……」

プレ「えぇ。だから1度カンナに留まってメンテナンスを受けるわ」

エール「でも私達が呼ばれたのは別件でしょ?」

プレ「バイルがまた世界各地にナンバーズを送り込んだみたいだから皆にはそれを対処して欲しいの。転送装置は無事だから」

グレイ「成程、じゃあしばらくお別れか」

アッシュ「とっとと全員倒して帰って来ましょ」

ゼロ「あぁ。皆健闘を祈る」

 

皆それぞれ違う転送装置により転送されて行った。それをシエルとプレリーは見つめていた。

シエル「私達も頑張らないとね」

プレ「うん」

 

 

 

一方こちらバイル側。

バイル(中々のダメージを与えられたのは良かったがまだロックマン達は各地に飛んだみたいだな……だが良い。私の今の狙いはロックマン達をガーディアンベースから離れされる事だ)

 

今はとにかく()を見つけ出さなければならない、ガーディアン側に悟られる前に。

 

バイル「レヴィアタン!ファントム!」

レヴィ「何?」

ファン「……何だ?」

バイル「お前達に重要な任務を与える。やっている事はあるだろうが一旦戻って来い」

レヴィ「分かったわ」

ファン「……承知した」

 

 

 

 

~sideゼロ~

ゼロはとあるハンターベース、と言ってもここは以前グレイとアッシュが属していたハンターベースである。そこに今回やって来た。

 

ゼロ(ここがグレイとアッシュが前居た所か……良い場所だな)

 

着くと、早速ハンター達からキャプテンの元へと案内された。

 

 

案内された場所で少し待っていると、

???「すみません。お待たせしました」

ゼロ「いや、大丈夫だ」

ニコル「私の名はニコル。とりあえずここのハンターベースでキャプテンを務めています」

ゼロ「話は聞いているだろうが、ゼロだ」

ニコル「はい、よろしくお願いします」

ゼロ「……出来るのなら普通に話して欲しい」

ニコル「……じゃあ、お言葉に甘えて。あまりこういうなは得意じゃなくてね」

ゼロ「あぁ」

ニコル「コチラからも情報は送っただろうけど、ここにもイレギュラー反応があった。今確認出来ているのは3体だ」

ゼロ「3体もか……」

 

まさかそこまで送り込んで来ていたとは思わなかった。随分真剣に攻めて来ている。

 

ニコル「まだ2体は場所が特定出来ていないのだが、1体だけ確認出来ている奴が居る」

ゼロ「教えてくれ。早速行こう」

ニコル「分かった、転送室まで案内するよ」

ゼロ「助かる」

 

 

移動中、

ニコル「えっと、ゼロさん?」

ゼロ「……別にさんは要らない」

ニコル「そっか、じゃあゼロ……グレイとアッシュは上手くやっているか?」

ゼロ「立派にガーディアンの一員となっていると思う。まぁ俺はそんな事言える立場じゃ無いが」

ニコル「いや、ゼロという名は俺達にとっても伝説の話だったから……今こうして目の前で会えただけでも他のハンターベースの奴等に自慢出来る。更に会話までしてるからな!」

 

嬉しそうに語るニコルにゼロは苦笑いをした。

 

そして、転送室に着いた。

ニコル「これが転送装置だ。ガーディアンベースのとそこまで仕様は変わらない筈だから」

ゼロ「分かった。じゃあ早速任務に移る」

ニコル「あっ、待ってくれ」

ゼロ「何だ?」

 

ニコル「丁度今君宛てに届け物だ」

ゼロ「俺宛て?」

ニコル「まぁ、確認してみてくれ」

ゼロ「了解だ……改めて任務に移る」

 

ゼロは転送されて行った。

ニコル「頑張ってな……」

 

 

~浮遊遺跡~

 

今回の任務。ここ浮遊遺跡と呼ばれる場所にコンドロック・ザ・バルチャロイドと呼ばれるフォルスロイドが居るらしい。

 

ゼロ「フォルスロイド……グレイとアッシュが戦った奴等か」

 

ギターを持った鷲。それが情報としてあった。

ゼロ「……おかしな話だ」

普通に考えてギターが何故出て来るのだとか色々ツッコミたい所はあるが、

 

ゼロ「早い所終わらせるか」

 

 

相手が居るであろう奥へと進んで行く。

 

 

浮遊遺跡。その名の通り至る所に古代の建造物等が浮いており落ちたりしたらティウンティウン

とても大変な事になる。

 

所々で竜巻が巻き起こっていたり雷が鳴ってたりと天候が非常に荒い。

 

その中で襲い掛かる敵を対処しながら奥へ進んでいく。そこでふと思い出した事があった。

 

 

ゼロ(そう言えば……)

 

自分宛てに届いていたデータを確認するのを忘れていた。一旦止まって確認する。

ゼロ「データか……」

シエルからだった。メッセージ付きのデータを開くと、どうやら自分のアーマーのデータだった。

 

シエル「ヴァン達から話は聞いたけどゼロは空中だと少々戦い辛い所があるみたいね。だからその話を聞いて真っ先に作ったのよ、早速アーマーに組み込んでみて」

 

ゼロ「組み込んで、起動は……セットアップ」

記述されている通りに組み込むと、アーマーが変化した。どうやらエレメントチップみたいな付加型では無くアーマー自体を変化させる者の様だ。

 

ゼロ「これは……」

赤のアーマーでは無く、青と白を基調とした色となった。そして何より気になるのが背中のユニット。重さは感じないが何の装置だろうか。

 

続いて説明を読む。

シエル「このフォームは背中にあるミノフスキードライブで空気中にある粒子を取り込んで噴出する事によって短時間であるけども飛ぶ事が出来るの。速度もかなりの物となるわ」

 

ゼロ「それは凄いな」

まさか自分も皆の様に飛ぶ事が出来る様になるとは思っていなかった。

 

シエル「それとそれ以外に、ゼロのエネルギーを使う事になるけどミノフスキードライブにエネルギーを込めると航空距離が伸びたり更に加速出来たり色々出来るの。頑張って使いこなしてね」

 

ゼロ「面白い装置だ」

 

何から何までシエルには世話になりっぱなしだ。彼女には感謝してもし切れない。

 

ゼロ(シエルの期待に応える為にも……頑張って慣らさないとな)

 

最後に、

シエル「名前はゼロが自由に決めてくれて良いけど、一応開発コードはイカロス。イカロスフォームと呼んでいるわ」

 

ゼロ「イカロスか……良い名前だ」

名前も気に入った所で、再び足を進める。

 

使えば楽になるだろうが、別に使わなくとも問題は無い。とっとと進んでしまおう。

 

 

何度か危険な場面に逢いながらも何とか最奥部に辿り浮いたゼロ。

 

ゼロ「敵が居るなら……ここだと思うが」

辺りを見渡すも何も居ない。

 

 

だがその時。

ゼロ(……後ろ!)

さっと横に避けると、一直線に岩石が飛んで来てそのまま近くの浮遊物に当たり砕けた。

 

ゼロ「……お前か」

???「へっへっへ……まさかこんな所にやって来る物好きが居るとはな。さてはお前、俺のファンだな!?」

ゼロ「……」

ハァ、とゼロはため息をついた。

???「困ったモンだぜぇ」

ゼロ「勘違いするな。俺はお前を倒しに来た……コンドロック・ザ・バルチャロイド」

 

コンドロック・ザ・バルチャロイド(以後コン)「何だよ……冷めてる奴だな」

ゼロ「……」

 

 

そして、ゼロが走り出した所で戦闘が始まった。

 

とりあえず斬り掛かるが、ギターで防がれる。

コン「乗ってくぜェ!シビれるなよ!?」

そしてギターを響かせる。これがまた非常にうるさくて、周りを破壊するレベルの音量だった。

 

ゼロ(うるさい……!)

 

更にそのまま飛んで突撃して来るものだから避けるしか無い。

何とか音は我慢出来るが、奴の周りに音波による壁が出来ており迂闊に近寄れない。

 

ゼロ(セイバーじゃ届かんか……だったら!)

リコイルロッドに持ち替える。バスターやシールドブーメランも弾かれるが、間接攻撃ならば。

 

ゼロ「ハァッ!」

射程の長いチャージリコイルを放つ。だが相手も中々の反射神経をしておりこれを避けられる。

 

コン「あ、危ねェじゃねぇか……」

ゼロ「外したか……だが悠長に音波を鳴り響かせていても無駄だ!」

コン「俺がそれだけだと思うなよ!」

 

単純な音波攻撃や、最初にして来た音波で周りの物を操って飛ばして来たり、持っているギターで殴り付けたりと中々多彩な攻撃方法があった。

 

だが、

ゼロ「で、やぁッ!」

1度強く踏み込んで強斬り。ギターに受け止められたが地味にギターにヒビが入ったのが見えた。

 

コン「お、俺のギターが!貴様ァ!」

ムキになって突撃して来るが、これを避け背中に蹴りを入れて更に攻撃を続ける。

ゼロ「飛水翔!」

 

雷を纏いながらダッシュ突撃。

 

コン「グハァッ!」(ッ、強ぇな……あのバイルとかいうジジイ、ここまで強いなんて聞いてねぇぞ!こうなったら!)

 

かなり上手い事ゼロのペースで進められていたので勝負は着きそうだった。

このまま押し切れるか、と思った時にそこで奴の構えが変わった。

 

コン「調子に乗るんじゃねェぞ!見せてやる!」

ゼロ(来たか……!)

いつもの奥の手。この状況を一変させる様な物で無ければ良いのだが……流石にそう都合良くはいかなかった。奴は大きく息を吸うと、

 

コン「一気に行くぜェ!着いてこいよォ!!!」

ゼロ「ッ!」

 

良く見ると奴のギターはバズーカの様な形状になっており、それが今の音を出したのだろう。

 

音波攻撃の時と比べ物にならない程の騒音が辺り一帯に響き渡った。

コン「どうだァ、俺の新武器のサウンドバズーカはよォ!シビれるだろォ!?」

ゼロ(うるさ過ぎる……!)

耳を両手で抑えていなければ間違いなく耳がおかしくなる所だった。

 

 

非常にうるさい攻撃であるが、どうやら狙いはそこでは無いらしい。

 

コン「さァラストスパートと行こうぜェ!」

ゼロ「何だ!?」

 

突如地面が崩れ出したのだった。慌てて崩れ去る地面を飛び移っていく。奴は飛びながら攻撃を仕掛けて来るので、それを避けながらとかなりハードな状況であった。

 

何とか避け続けていたが、遂に恐れていた事が起きてしまった。

ゼロ「っと!」

 

もう飛び移れる場所が無かった。そして背後からは奴が近付いて来る。

 

コン「終わりだな、ケケケ……」

ゼロ「ッ……」

 

とりあえずピンチではある。こうなればやれる事は1つしかない。

ゼロ(やるしかないか……)「イカロス、セットアップ!」

コン「!!!」

 

イカロスフォームとなったゼロは、ミノフスキー粒子を噴出する事により飛んだ。

 

コン「と、飛んだだとォ!?」

ゼロ「ッ!制御が……!」

初めての飛行。なのに辺りは障害物だらけに加え風が滅茶苦茶強いので全く制御が出来ない。

 

コン「おっ?何だよ、全然飛べてねェな!」

 

コンドロックはケラケラと見ていたが、ゼロは何度もぶつかりそうになり、天候等により悪戦苦闘しながらも持ち前の順応性で飛行をモノにした。

 

ゼロ「良し……これなら!」

コン「ゲゲッ!?」

 

ゼロ「覚悟しろ……今までの借りは返す!」

一気に超加速して相手の背後に回るとまず一太刀。そしてそれを初めとして連続で斬り裂いていく。止まる事なく、音をも超える速さで。

 

そして最後はいつも通り真っ二つ。

 

コン「こんなの、聞いてねェよ……」

 

最後は静かに死んでいった。

 

 

ゼロ「終わったか、とにかくうるさい奴だったな……帰ろう」

 

イカロスフォームのまま高速飛行で基地まで戻った。帰りはとても楽でした。

 

 

~ハンターベース~

ゼロが帰って来たのを見てハンターがニコルに知らせに行った。

そしてすぐにニコルがやって来た。

ニコル「もう帰って来たんだな」

ゼロ「上手くいっただけだ」

ニコル「でも今日はもう休んでくれ。俺達の方でも他の奴等の行方は追っておくから」

ゼロ「「了解だ。とりあえず待機しておく」

ニコル「あぁ、そうす……何だッ!?」

突如地震が起きてハンターベースに警報が鳴り響く。困惑するハンター達であるが、

 

 

ゼロ「……俺が見に行こう」

ニコル「き、気を付けろよ」

ゼロ「あぁ」

 

 

ハンターベースの外部にて、犯人は今にもハンターベースに入り込もうとしていた。

ゼロ「犯人はお前か……久しいものだな」

???「……」

ゼロ(……コイツも自我が無いな)

 

堅牢な鎧を持つ右目が無い巨大な熊、クレッセント・グリズリーがそこには居た。

 

かつて自分がイレギュラー戦争時に戦った相手だ。それより前にも戦った事がある。

右目の傷はその時に負わせた物である。

 

クレッセント・グリズリー(以後クレ)「ゼ、ロ……ゼロォ!」

完全に正気を失っている。爪での突撃をさらりと避けてカウンター蹴りをする。

 

そして自分も突っ込んで行く。ハンターベースが後ろにあるが故に退き気味になってしまうのは良くないからだ。

 

 

ハンターベースからは沢山のハンター達がゼロの戦いを心配そうに見守っていた。

ニコル(ゼロ……何も出来ない俺達ですまない。頑張ってくれ!)

 

 

基本は以前戦った時と変わっていない。一撃は大きいが隙も大きいクロー攻撃と、三日月型の弾幕を幾らか放って来るが対処は楽だ。

 

ゼロ(……正気を失っているのなら)

 

今コイツはパワーアップしているものの冷静さを完全に失っている。なので……

 

ゼロ「来いッ!」

わざと懐に潜り込みクロー攻撃を誘発させる。

 

しっかりと見て避け、すぐにジャンプし顔面に一太刀を入れた。その後蹴り飛ばす。

 

クレ「グゥオオォ……ゼロ、ゼロォ!!!」

明らかな憎悪を感じる、そこまで俺を恨んでいたとは。だがコイツはもう……。

 

だからこそ俺に出来る事は、

ゼロ「早い所、楽にしてやる……」

 

 

だが流石にそう簡単にはいかず、痺れを切らした相手は新武器を取り出す。

ゼロ「それがお前の新武器か……」

 

奴が力を溜めると、右手が巨大な三日月刀、シミターへと変わった。

 

かなりの大きさで、薙ぎ払いによる広範囲攻撃が中々脅威だ。更に相手は地面に潜り突然出て来てまたシミターを振り回す。

 

当たるとかなり危ないので避けるが、そうすると地面にまた潜られる。

 

それがしばらく続き、ゼロも少し疲れて来た。

ゼロ(チッ……面倒だ)

 

流石に何か手を打たないといけない。

ゼロ(……地上に出ている時は中々攻撃が激しいが、無防備な時が必ずある筈だ)

 

そう考えて観察すればその時はすぐに見つかった。地面に潜って自分の位置に出て来る瞬間だ。

 

ゼロ(また誘発させれば……)

武器はリコイルロッドとトリプルロッド。

 

相手が潜ったのを見て、リコイルロッドをチャージする。そして相手が自分の位置に出て来る1秒前位に地面方向に放ちいつもの大ジャンプ。

 

そして案の定出て来た無防備なグリズリーに対し、トリプルロッドを下に構え急降下突き。

 

まさかそう来るとは思わなかったグリズリーの頭にトリプルロッドがズサリと刺さって、行動不能になった所をすかさずセイバーに持ち替え斬る。

一刀両断、真っ二つにした。

 

ゼロ「終わった、か」

ハンターベースからも歓声が湧いていた。

 

 

 

ニコル「いや、凄かったよ。俺達はあんなデカい奴とは戦えないよ」

ゼロ「別に凄くは無い……失礼だがアイツはまだ弱い方で助かったと思っている」

ニコル「そ、そうか……」

ゼロ「地面にかなり穴を開けてしまってすまない。また片付けよう」

ニコル「いや、気にしなくて良いよ。俺達の基地自体は傷付いてないしそれ位は俺達でやるから」

ゼロ「……なら普通に手伝おう」

ニコル「そっか、じゃあまた後で」

 

 

その後はハンター達と地面を元通りにして、今日はもう休む事にした。

 

与えられた私室にて、皆と本日の報告。

ゼロ「通話が出来るのは知っていたが、こんな風にビデオ通話まで出来るとはな」

ヴァン「GATって便利ですよねー」

エール「知ってました?私達のGATは知らない内にシエルさんカスタムになってるらしいですよ」

グレイ「そうなのか!?」

アッシュ「特に代わり映えは……あっ、成程」

ゼロ「何が変わったんだ?」

アッシュ「ケースが変わって全体的な補強、そして何よりこのビデオ機能。今までこんなの無かったし、多分今みたいな状況になる事を見越してシエルさんが付けたんだろうね」

 

ヴァン「流石シエルさん」

エール「良く分かってるね……凄いな」

 

GATの話は一旦置いといて、皆の戦況報告。

グレイ「ゼロさん2体も倒したんですか」

ゼロ「1体は向こうからやって来たからな」

ヴァン「俺達は皆1体ずつか」

アッシュ「それだけでも疲れたわよ~」

エール「皆慣れない地で頑張ってるもんね」

ゼロ「何だかんだで大丈夫そうだな」

ヴァン「そうですね。明日も頑張らないとな」

 

ゼロ(かなり戦局は凄まじい事になっているな……だが俺達は負けんぞ、バイル!)




ゼロの新フォームはダンボール戦機のイカロスフォースをモチーフにしています。後々様々なフォームも出て来るのでご期待下さい。

今度はそれぞれ世界各地に散らばったゼロ達。ガーディアンベースにはすぐ戻れるのでご安心を……と思いきや?バイルも少々不穏な事を言っていましたがその話はまた今度として。
次回はヴァン編です。

ではまた次回お会いしましょう(_・ω・)/バイバイ


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-激化する戦況 ヴァン編-

どうも、M・Mです。
大変遅れて申し訳ございません、小説を書く暇が無かった訳では無いのですがしばらく学校が休みだったのでサボってました……すいません許して下さい何でもしますから!(テンプレ)

気を取り直して書き直しますのでよろしくお願いします。今回は前回に引き続きヴァン編。

では、どうぞ。


※ゼロ達は目的地の到着時間と任務の開始時刻等が多少違います

 

~sideヴァン~

ヴァンが転送されたのはシロツメと呼ばれるエリア・ゼロにあったコロニーの残骸よりも巨大な残骸の近くにある都市。そのコロニーはかつてイレギュラー戦争で破壊されたコロニーらしい。という事はゼロさんも知っているのかも?

 

話を聞けばここの人達はその破壊されたコロニーの子孫らしく、破壊された後はこの場に都市を作り力強く生きているらしい。

 

ヴァン(ここでもかなり昔の戦争が及ぼした被害が未だに今を生きるヒトビトを苦しめてる……バイルは全くそれを分かっていない!)

 

今を力強く生きる世界のヒトビトの為にも、やはり俺達が頑張らないと。

 

ここシロツメには政府があり、そこからガーディアンの方に依頼があったとの事。

 

プレリーから着いたらまずは政府の方に顔を出す様にと言われていたので早速行ってみる事に。

 

 

~シロツメ 中心部~

軍の本部や国会議事堂等の政治の中心となる建物がある中心部へとやって来たヴァン。

 

ヴァン「カンナ程の大きさは無いけど……国としてはちゃんと出来上がってるな」

軍の本部へと足を運ぶ。

 

ガーディアンの証ともなるGATを見せると軍の総司令官が居るという部屋に案内された。

ヴァン(き、緊張する……)

 

ノックをし、「入ってくれ」の言葉に従い中に入る。そこで待っていたのは、

???「わざわざ遠い所からすまないな」

ヴァン「い、いえ……」

ブルー「私が現総司令官のブルーだ。知っての通り今回ガーディアンに依頼を出した」

ヴァン「はい」

ブルー「私達の国にはちゃんとした軍が居るのだが、やはり各地でナンバーズに遭遇しては敗走を続けているのが現状だ」

ヴァン(やっぱり普通の軍やレプリロイドじゃナンバーズには打つ手無しか……)

ブルー「このままだといずれ軍は壊滅し、国としての維持が難しくなるだろう。だがそんな事は絶対に許されない」

ヴァン「ですね」

ブルー「先代の総司令官から受け継いだこの座を私の代だけで終わらせたくは無い。だから君達の協力を借りたい……お願い出来ないだろうか」

 

ヴァン「勿論、謹んでお受け致します」

ブルー「ありがとう。では早速ナンバーズ等の詳細を話そう」

 

 

 

 

ブルーの話によると、この国の土地の何処かにナンバーズが2体存在しており度々軍を襲っているとの事。先程話した通りナンバーズに適う筈も無く各地敗走を重ねておりかなり危険な状態だ。

 

ヴァン「急いだ方が良いですね」

ブルー「あぁ、だが無理はして欲しくない……どの様にするかは君の判断に委ねる」

ヴァン「了解です」

 

 

その後案内されたホテルに着いた頃には既に夕方。茜色の空が広がっていた。

 

ヴァン(このまま今日は休んでも良いけど……どうしようか)

ブルーから郡から発行されたカードを受け取っている。これを使えば公共交通機関は基本タダになる上に普通の飲食店や売店でも割引きが受けられる。

 

ヴァン「折角だし国内を散策してみるか」

 

 

商業に関してカンナ程の賑わいは無いが、産業等様々な分野で随分発展している。軍も見て来たがしっかりしているとは言えバリバリの軍事国家という訳でも無く程々の良い感じ。国としての出来上がりは素晴らしい物でブルーや大臣達がちゃんと仕事をしている事が分かる。

 

ヴァン(こういうのって上の方がちゃんとしてないと国全体が駄目になるよな……)

 

表裏向きはともかく住み心地も良さそうだ。

 

 

まだ夕飯には妙に早い。そこ等辺で買った地元品を少し貪りながら色々調べ物をする。

 

ヴァン(先代総司令官の名前は……シグナス。かの英雄エックス、そしてかつてのゼロさんと共にイレギュラー戦争やナイトメア事件等を戦い抜いた非常に優秀な司令官だった、か)

ゼロさんに今度聞いてみようか。

 

 

国内をしばらく散策し、夜ご飯を何処で食べようかとあちらこちら歩いていた時の事。

 

ヴァン(……ん?)

ふと階段の上からボールがバウンドしながら転がって来た。

 

それをキャッチして何だろうと思っていると階段の上から声が聞こえた。

???「すいませーん!」

ヴァン「これは君のかな?」

???「そうです!」

ヴァン「持って行くよ」

 

階段を登り少女にボールを渡す。

???「ありがとう、お兄ちゃん」

ヴァン「どういたしまして」

 

すると少女は自分をまじまじと見始めた。

???「お兄ちゃん、この国の人じゃない?」

ヴァン「分かるのか?」

???「何となく」

ヴァン(流石に言える筈が無いよな……)「仕事の都合でね、数日だけ」

???「そうなんだー」

 

……あながち嘘は言っていないだろう。

 

リン「私の名前はリンっていうの」

ヴァン「俺はヴァンだ。よろしくな」

リン「うん。ところでヴァンお兄ちゃん、夜ご飯はもう食べた?」

ヴァン「いや、まだ」

リン「ふふふ、ウチに寄っていかない?」

ヴァン「な、何だよ……」

リン「着いてきて」

 

連れて来られたのはあまり大きくは無いがそこそこ繁盛している店だった。

ヴァン「へぇ、定食屋か」

リン「どう?」

ヴァン「決めた。ここにしよう」

リン「そうと決まれば入って入ってー」

ヴァン「お、押すなって」

 

リン母「いらっしゃい!あら、リン?」

リン「私が連れて来たのよ!」

リン母「それはまた……すみませんウチの子が」

ヴァン「いや良いんですよ。晩ご飯何処で食べようかと迷ってた所ですから」

 

 

カウンター席に案内された後も続々と客が入って来る。思った通りかなり繁盛している様だ。

 

何かと歩いて腹は空いていたので豚のしょうが焼き定食。しかもご飯を二杯おかわりもした。

それ程までに美味しかった。ここに来て良かったなと思える位に。

 

 

 

ヴァン「ふー、ご馳走様でした」

すると、リンが隣の席に座って来た。

リン「お兄ちゃん、急いで帰らなきゃダメ?」

ヴァン「いや、そんな事は無いけど」

リン「じゃあお話聞かせて!他の国の!」

ヴァン「他の国か……」

リン母「こらリン、ダメでしょう」

ヴァン「良いですよ、どうせ帰っても寝るだけだと思うんで暇ですし」

 

リン「お兄ちゃんはこの国に仕事でやって来たんだよね?前は何処に居たの?」

ヴァン「前は……カンナだな」

リン「カンナってあのすっごく大きい国!?良いなー……私他の国に行った事が無いの」

リン母「仕方ないでしょう……今は世界が大変な事になっているのだから」

ヴァン「……」

リン「だからお兄ちゃんみたいな人はとっても珍しいんだよ」

 

そりゃそうだ。今旅行なんて呑気な事をしに外に出てしまえば命が幾つあっても足りない。

 

 

 

それからもしばらくの間彼女に質問に答えながら世界の様々な場所を話した。

 

するとリンがポツリと呟いた。

 

リン「あの変なおじちゃんみたいなのが居なければ良いのに……どうしてまた、戦争なんて起きちゃうの?」

ヴァン「……ッ」

 

するとヴァンを見たリンの母が、

リン母「リン、もう部屋に戻りなさい」

リン「えー、後ちょっとだけ」

リン母「ダメよ。お客さんにいつまでも駄々をこねないの」

ヴァン「……また来るよ。明日も」

リン「本当に!?約束だよ」

ヴァン「あぁ」

 

そう言うとリンは元気良く部屋に戻って行った。ふと周りを見渡すと客はもう自分しか居なかった。それだけ長い時間話していたのだろう。

 

リン母「……すみません。少しだけ、話を聞いて貰えますか?」

ヴァン「えっ?あ、はい」

唐突なリンの母の言葉に驚いたが話を聞く事に。

 

リン母「あの子の父親は、私の夫は……6年前にイレギュラーの事件に巻き込まれて死にました」

ヴァン「ッ!」

リン母「あの子はまだ小さかったからそこまで覚えていなかったので父親の話になっても塞ぎ込む様な事にはなりません」

ヴァン「……」

リン母「でも私は当時自殺を図ろうとした程精神が病んでいました。でも夫と長く続けて来たこの店と客の皆さんの存在があったから立ち直る事が出来ました。そして私はあのバイルという何かが果てしなく憎いです。どうして幸せな日常をあんな下らない理由で壊そうとするのか、と」

ヴァン「……はい。俺もそう思います」

リン母「リンの反応を見て分かると思いますが、あの子はカンナに行くのが夢だそうなんです」

ヴァン「夢、か……」

リン母「今この様な世界情勢じゃ無ければ……連れて行ってあげたいのですが」

ヴァン「……ですね」

 

店の外で、

リン母「話を聞いて下さってありがとうございました。お仕事、頑張って下さい」

ヴァン「ありがとうございます」

 

 

 

帰り道、ヴァンは酷く胸が傷んだ。

ヴァン(あんな子供の夢までも……お前は壊すというのか、バイル)

 

より一層、この戦争を終わらせないといけない。明日からのナンバーズ討伐を早く終わらせて早くバイルの居場所を掴んでやる。

ヴァン「……よし」

静かに、闘志を燃やした。

 

 

 

 

~次の日~

ヴァンは朝早くから軍の本部に居た。

ブルー「今全軍に厳戒態勢で様々な場所を進んで貰っている。転送装置も完璧だ」

ヴァン「見つかったら即行俺が行くんですね」

ブルー「そうだ……危険な頼みだと思うが」

ヴァン「大丈夫です。やってみせますよ、ガーディアンとして」

 

ブルー「感謝する」

 

 

 

そしてすぐに、連絡が入った。

「こちら第3隊!例の奴一体と遭遇、交戦中!」

 

ブルー「ヴァン君」

ヴァン「了解です、すぐに行きます!」

 

 

 

 

最寄りの転送装置に転送され、すぐにロックオンして目的地へと急ぐ。どうやら目的地は山々が連なる荒野の様だ。

 

そしてすぐに目的地へと着いたヴァンは激しい戦闘音を聞いて駆け付ける。

 

???「ちょこまか逃げるなァァァ!!!」

ヴァン「あれか!」

 

逃げる軍に対し小さなオプションみたいな武装でビームをを乱射する者を発見。

 

そして颯爽と奴の前に立ちはだかる。

ヴァン「待てッ!」

 

???「何だ……お前は?」

ヴァン「後は任せて!早く後退を」

 

軍の方は頷きすぐに撤退していった。

???「邪魔を……するなァッ!」

 

またオプションがビームを乱射して来るが、落ち着いて避ける。

 

ヴァン(ブルー総司令官から見せて貰ったデータ通りだな。コマンダー・ヤンマーク……元は森林保護を目的として作られたトンボ型レプリロイド。どうやら前のナンバーズみたいに凶暴化してるな)

 

先程見た通り複数のオプションを出して編隊攻撃をして来る。オプション自体様々な武装が積まれており、数の多さも含め弾幕が激しい。

 

ヴァン(セイバーで懐に入り込めればかなり有利になれそうだけど、弾幕が濃い!)

 

相手は動きも速く一瞬でも判断を間違えたらオプション達の編隊攻撃にやられる。

 

ヴァン(このオプション達も動きが速いんだよな……でもコイツ等を破壊出来たら)

 

 

ここでこそ新武器の出番。

 

 

 

自分とエールはシエルから新たな武器を何個か受け取っていた。エールと共に前のディノレックス達の武器を受け取り、更に自分とエールに合わせて新たに彼女が作った武器を受け取った。

 

自分とエールが共通して受け取ったのはマグマブラスター。これ1つであの炎組3体の放って来た1部の技が放てるらしい。

 

そして格闘戦向きのヴァンにはライジングフィスト。更にはマグマブレードを。

射撃戦向きのエールにはフレア・ランチャーと呼ばれる長い砲身を持つ武器が与えられた。

 

 

ヴァン「マグマブレードで……行けッ!」

チャージして放つと、剣から無数の大型火炎弾が放たれてヤンマークを襲う。

 

コマンダー・ヤンマーク(以後コマ)「クッ、オプション!」

 

するとオプション達がヤンマークの前で合体し1つの盾となった。

ヴァン「なっ!」

 

強力なシールドがマグマブレードを全て防いだ。流石にオプション自体は壊れた様だが、ヤンマークは無傷だ。

 

コマ「残念だったな……これが私の新たな力、インテグレィテッドオプションだ!」

ヴァン「インテグレィテッド……?」

 

integrated、総合した等の意味がある。

 

コマ「その身に分からせてやる……行けッ!」

ヴァン「ッ!?」

 

先程までビームを放って来たオプション達が急に向かって来たのだ。

ヴァン「これは……刃!?」

ビーム兵器では無く鋭い刃を持った格闘武器へと変わっていた。

 

M・M「イメージとしてはAGE-FXのCファンネルみたいな物ですかね」

 

ヴァン(クッ……速い!)

ひたすら避け続ける。

 

コマ「手も足も出ないみたいだな」

ヴァン「……」

 

確かに速い。避け続けるのが精一杯だったであろう……昔の自分なら。

 

ヴァン「甘いぞッ!」

剣でオプションを叩き落とした。

 

コマ「何ッ!?」

ゼロに鍛えられた先読みのコツや反射神経がまさかここまで役に立つとは。

 

ヴァン(分かる……落ち着いて見れば軌道が読める。どうやらアイツが動かしているのだろうけど、このオプション達は常に俺の死角を取る様に動いているんだ)

 

そうと分かれば対処は簡単だ。

 

コマ「も、戻れッ!」

流石にオプションの破壊数を見兼ねてヤンマークはオプション達を戻す。

 

だが当然その隙は逃さない。破壊したオプションを戻す時、そしてすぐに修理出来るとはいえそれ相応の隙は生じる。

ヴァン「待ってたぜ!」

コマ「マズッ……!」

 

ヴァン「喰らえッ!」

ライジングフィストに持ち替えて思いっ切りぶん殴る。かなりの高威力だった様で、大きく吹き飛んだ。

 

コマ「カ、ハッ……」

 

だがまだ流石に倒れない。

ヴァン(まだ致命傷とはならなかったか)

 

立ち上がり、ヴァンを睨むヤンマーク。

 

すると今度はビーム、ソードの両方のオプションを出して来た。

コマ「行くぞ……フォーメーション、デルタ!」

 

ビームを避けてもソードが襲う。全く隙を生じない二段構えにヴァンは前に進めない。

 

厄介な事に何とか攻撃してもヤンマークの周りを飛ぶオプションが盾になる。

 

ソード、ビーム、シールドの怒涛の三段構えにより完全に防戦となっていた。

 

ヴァン(このままでは流石にヤバい。どうする!?何とかこのオプション達を破壊出来れば良いんだろうけど……)

 

そんな簡単に破壊出来る程の鈍さでは無い。

 

ヴァン(何より厄介なのが自律型で無くてアイツが動かしている事だよな)

危ないと思ったらオプション達を下がらせる。お陰で範囲攻撃をしても無駄な訳だ。

 

だが、奴が考えて動かしているという事は。

ヴァン(でも逆に……突拍子も無い攻撃や行動には反応出来ないのかも知れない)

 

例えば。

ヴァン「ここは……ロックオン!」

モデルPXにダブルロックオン。

 

コマ「何だ……?」

ヴァン「……」

目を閉じて集中する。周りに飛んでいるオプション1つ1つの存在を確認していく。

 

 

そして、次の瞬間。

ヴァン「見えた……!」

ヴァンが何かを自分の周りに飛ばした様に見えたが、何を飛ばしたのかは不明だった。

 

コマ「ハッタリを!」

ヴァン「ハッタリかどうかはお前のその目で見てみろ……影縫い!」

 

ヴァンの周りに飛んでいた筈のオプション達が全て破壊されたのだった。

 

コマ「なっ……何だと!?」

すぐに自分の周りにシールドを展開するヤンマーク。だが最早そんな物は関係無かった。

 

ヴァン「オプションの無いお前等、敵じゃない!」

セイバーで瞬時にシールドを破壊し、

 

何とかオプションを少しだけ生成してすぐフォーメーション指示を出すヤンマークであったが、

ヴァン「終わりだッ!」

 

コマ「フォーメーションウワァーッ!!!」

 

ヤンマーク自身がヴァンのセイバーにより破壊。勝負は着いた。

 

ヴァン「ふぅ……終わった」

 

 

シロツメのブルーの元に帰って来たヴァン。

ブルー「ご苦労だった。早速1人撃破するとは……流石だな」

もう既にブルーの耳にはヴァンがナンバーズを1人撃破した話が入っていた。

 

ヴァン「何とか倒せて良かったです」

ブルー「何とか、か。その割には随分楽だったという雰囲気を出しているが?」

ヴァン「そんな事は無いですよ」

ブルー「まぁ良い。今日はもう休んでくれ」

ヴァン「はい」

 

 

宿舎までの道で考える。流石に余裕とはいかなかったが、確かに自分の成長は感じた。

ヴァン「ゼロさんから教えて貰った事、皆との訓練が実を結び始めてるのかもな……」

 

自分だけで無く他の皆も確かに強くなっているのだろう。だがそれでもまだ届かない存在がきっとある。まだまだ慢心はいけない。

 

 

 

ホテルに戻ると丁度夜ご飯時だった。昨日約束した通り今日も彼女の定食屋に行くとしよう。

 

リン母「いらっしゃい……あら」

ヴァン「どうも」

 

リンの母が呼んだのだろうか、すぐに自分の元にリンがやって来た。

 

リン「お兄ちゃん、来たんだ」

ヴァン「約束したろ」

 

本日はさば味噌定食。うん、凄く美味しい。

ヴァン「ここまで美味しい定食は久しぶり……いや、食べた事無いかも」

リン「おおげさだなー」

 

ガーディアンの食事も別に悪くは無いがあくまで良くある物だったので少し飽きる所がある。

 

今日もヴァンは残ってリンに色んな話を聞かせていた。彼女は話1つ1つに興味津々で聞いて来るので自分も話していて楽しかった。

 

とことん彼女が外に憧れているという夢も良く分かる。それも今じゃ儚い夢なのだとしても。

 

するとリンが突然、

リン「軍の人達は何をしてるの?ここの近くにも変なのが来てるんだよね?」

 

変なの、とはナンバーズの事だろう。

 

リン母「こらリン……軍も頑張ってるのよ」

リンの母の言う通りである。負けて逃げ続けているとはいえ、国を守ろうと彼等も必死に戦っているのだから。

 

ヴァン「皆頑張ってるんだ。バイルに負けない様に……強く」

リン「早く外に出られたら良いな~」

ヴァン「ちゃんと出られる時が来るさ」

リン「本当?」

ヴァン「あぁ」

リン「だったらお兄ちゃん 」

ヴァン「何だ?」

リン「リンを外に連れてって!」

ヴァン「……流石に今は難しいな」

リン母「リン!お、お客さんごめんなさいね」

リン「えー……」

ヴァン「いや、大丈夫です。じゃあ、この国内で何処かに行こう。俺の仕事が一段落着いたらまた会いにいく」

リン「約束だよ?」

ヴァン「あぁ。約束」

 

 

 

リンとリンの母と別れ、帰路にてまた考える。

ヴァン(一般人は流石に転送装置は使えないだろう……せめて外に出ても安全といえる様な世界を作りたい)

 

その為にも明日でここ周辺のナンバーズ後1体を必ず片付ける。

そしてもう1つ、少女との小さな……けれどきっと彼女にとっては大きな約束を思い出す。

ヴァン(約束、守らないとな)

 

より一層、決意を固めるヴァンであった。




自分が小説書かない間に色々ありましたね……皆様お元気ですか。大分暑さも控えめになり落ち着きましたがまだまだ日中は暑いです。

ヴァン「作者、日常なんて書かなくて良いから(良心)」

はい。今回はヴァン編という事でしたがオリキャラが出て来ましたね、彼女がヴァンにどういった影響を及ぼすのかご期待下さい。
シグナスさん等原作ネタもきちんと入れていきます(設定はオリジナルになりますが)。

戦闘も頑張りますが、ストーリーも濃く描いていきたいです。ゼロ達の心の成長の話も書くつもりです(尚シリアスの予定)

またスピード上げて話を書いていきますのでよろしくお願いします(2回目)
では、次回でお会いしましょう(´ω` )/


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-激化する戦況 エール&アッシュ編-

はい、とってもお久しぶりですM・Mです。
本当にとにかく色々忙しかったり怪我をして寝込んでたりと書けない日が続いてまして……申し訳ないです。これからペースが結構落ちてしまうのが続くと思いますが、書く時に書くので許して許して……

今回はアッシュ&エール編。次のグレイ編が終われば第とりあえず2章はお終いです。


エールとアッシュはカンナ、シロツメに続く大きさであるローレルと呼ばれる都市に転送された。

 

他2つ程の大きさがある訳では無いが、この辺りにはナンバーズが4体も確認されているらしい。

 

アッシュ「何でそんなに数多いの?カンナとかみたいに何かある訳でも無いしそこまで戦力を置く必要は無いと思うけど」

エール「ここの国にもこの国独自の物があるの。カンナは商業と流通、ヴァンが行ってるシロツメは軍事だとか」

アッシュ「何があるの?」

エール「確かプレリーから貰った情報によると……化学だね。最先端の医療だとかがここで研究されてるんだって」

アッシュ「なるほど。それを奪えば世界全体に及ぼす影響は計り知れない、か」

エール「ここに戦力を多く送り込むのも分かるね。だから尚更そんな事させる訳にはいかない」

アッシュ「皆頑張ってるしなぁ、私達も頑張らないといけないわね~」

エール「そういう事」

アッシュ「で、着いたのは良いけど……これからどうするの?」

そう聞くとエールは北の方を指差した。

エール「ほら、向こうの方に大きい建物が見えるでしょ。あの場所に本庁があるんだって」

アッシュ「そこに行けって事ね」

 

 

本庁にやって来た2人。

 

ここの1番トップ、都知事であるクリスという女性は今は別の国で仕事中らしく置き手紙でアッシュとエールに概要を伝えた。

 

エール「こんな形で伝える事になってしまってしまってごめんなさい、詳しい概要はオペレーター室に居る皆から聞いて欲しい……だって」

アッシュ「こんな時に他の国に行くなんて良くやるね、流石と言うべきか」

エール「こんな時だからこそだよ。それよりオペレーター室に行こう」

 

 

 

オペレーター室では沢山の局員が忙しく走り回っていた。こんな時だから仕方ない事ではあるが。

 

エール「これは……待っていた方が良いかな」

アッシュ「何か言える雰囲気では無いわよね」

 

だが、1人の局員が近付いてきて、

「エールさんとアッシュさんですね。お話は伺っています」

 

レプリロイドのオペレーターが早速転送室に案内してくれた。

「知っていてるかと思いますがこの周辺には4体のナンバーズが確認されています。今の所様子見として直接襲って来たりはしていませんがこの国はあまり守りが強い訳では無いので……」

 

アッシュ「ここが直接襲われたら大変な事になるわね。被害は計り知れないわ」

エール「1人2体ずつだね。お互い頑張ろ」

アッシュ「ちゃっちゃと終わらせましょ」

 

「早速討伐任務を遂行しますか?」

 

エール&アッシュ「勿論!」

 

「不甲斐ないもので申し訳ございませんが、相手のデータが分かっておりませんので何者かは不明です。お気を付けて」

 

エール「初見での戦いか」

アッシュ「まっ、何とかなるでしょ」

エール「そうだと良いけど……」

 

sideエール

 

エールがやって来たのは海。ここから今回の目的地である占拠されている油田の方に向かうのだが、今回の任務は少し特殊だ。

 

エール(油田周辺に張られているセンサーのせいで船で近付いたらバレる)

 

ここはモデルLXを使って海中から侵入するしかないだろう。

 

エール「天然資源を抑える為に占拠状態が続いているみたいね……早く何とかしないと」

 

 

海中からのミッションスタートとなった。

 

 

~海中~

想定内であったが海中にもかなりの敵やトラップが配置されていた。いつもなら破壊すれば良いだけの話だが今回は違う。

 

エール(あくまで隠密に……難しいな)

トラップは落ち着いて解除、敵を静かに始末したりやり過ごしたりと隠密行動とはここまで大変なものだなと思う。

 

それでも何とか油田の方に潜入出来たエール。だがあくまで今までのはウォーミングアップでしかない。本番はここからなのだから……。

 

油田の方も警備は厳しく、監視カメラ、敵も沢山居る為に不用意な行動が出来ない。

 

エール(このまま行くのは流石に厳しいな……やっぱり隠密に動くならこっちだね)

モデルPXにダブルロックオン。この状態だと敵の位置や敵が今何処を向いているのだとかが良く分かるのでこういうミッションでは非常に有効だ。

 

エール(ここの丁度1番中心、メインコンピュータ室に行ってこの油田の全機能を一時的に止める様に操作すれば海中とこの油田に沢山居る敵の動きはひとまず止められる)

 

そしてここの主を倒せばOKだ。

 

 

あっという間にメインコンピュータ室に辿り着いたエール。今度はいつものモデルZXになり、計画通り一時的にではあるが監視システム等の全機能を停止させた。

 

エール「後は、向こうから顔を出してくる筈ね」

突然全機能が停止したら驚くだろう。当然この部屋にやって来る筈だし、そこを狙わせてもらう。

 

 

しばらくして、エールのシナリオ通り慌てて何者かがやって来た。そして部屋の前で止まっている事からして中に自分が居るかも知れないと警戒しているのだろう。

 

だがその一方エールとはいうと、

エール(残念でした。バッチリ狙ってるよ)

 

シエルから受け取った特殊武器、フレア・ランチャーのスナイパーモードで相手を狙っていた。

 

エール(狙いは定めた……決める!!!)

その瞬間、エールのフレア・ランチャーが火を噴いた。一直線に相手に向かっていく。

 

 

エールの狙いは完璧だった。頭を確実に狙い撃っていた、筈だった(・・・・)

 

???「甘いな!」

何と狙い撃った筈の頭が消えた。弾はすり抜けて壁を破壊した様だった。

 

エール「なっ……!?」

 

そして相手がエールの前に現れる。

???「何処に居たかは知らなかったが、狙い撃たれている事位分かっていた!」

エール「分かっていて私の居場所を特定する為にわざと演技していたのね」

???「まんまと引っ掛かってくれたな」

エール(さっきのは何だったの……?分身?いや、それとは違う何かなの?)

???「ウーゴイル!」

奴がそう言うと、突如背後に気配。

???「……」

エール「!?」

 

自分の後ろには誰も居なかった筈だが、まさか呼び出したのだろうか。

 

アーゴイル「我が名はアーゴイル・ザ・シーサロイド!そして!」

ウーゴイル「ウーゴイル・ザ・シーサロイド!」

 

アーゴイル「いざ、覚悟!」

 

 

 

 

戦闘が始まってからというものの、エールは早速苦戦を強いられていた。

エール(この2体、息ピッタリというか、阿吽の呼吸というか……とにかく隙が無い!)

常に前と後ろを囲まれており、お互いをお互いが完璧にサポートしながらの見事な連携でエールに突撃して来たり爆弾を投げて来たり……とにかく2体とも動きが特殊過ぎて対処し切れない。

 

アーゴイル「何処を見ている!」

エール「ッ!」

突如飛んで来た雷を纏った爆弾を咄嗟のバスターで破壊する。

 

だが安心は出来ず、突撃して来るウーゴイルを冷静に回避する。

 

 

するとまたアーゴイルが爆弾を投げて来た。

エール「そんな見え見えの攻撃!」

普通にこれを避けるが、アーゴイルの不敵な笑み、そして嫌な予感がした為に背後を確認する。

 

案の定嫌な予感は的中し、ウーゴイルが全力キックで爆弾を蹴り返して来た。

 

エール「!!!」

反射的に放ったセイバーにより破壊は出来たが距離が近く爆風に巻き込まれた。

 

エール(結構痛いッ……)

これでも爆風を避けた方ではあった。爆風に直接巻き込まれた時の威力は想像したくない。

 

 

さて、まだまともなダメージを与えられていないのにも関わらずコチラは被弾。

エール(面倒な状況になっちゃったな……)

まだ突破口は見つかっていない。だが、ここでアッシュの言葉を思い出す。

エール(何とか、なる。何とかしてみせる……私は、ガーディアンなんだ)

 

こんな所では負けられない。

 

アーゴイル「行くぞ!」

突撃して来るアーゴイルとウーゴイル。そしてアーゴイルが爆弾を投げ、ウーゴイルが蹴り返して自分に当てる。

 

エール(どうやらアーゴイルの方があの爆弾を投げて、ウーゴイルがそれを蹴って私に当てる算段みたい。2人共阿吽の呼吸って言えるレベルの連携だけど……逆を言えばどちらかを潰せば!)

 

ここで武器チェンジ、シエルに作って貰ったマグマブラスターを使う。

 

エール(部分部分を組み合わせる事によって様々な武器になる……凄いなシエルさん)

こんな便利な武器をあの短期間で作るなんて、と彼女の技術に敬意を表す。

 

アーゴイルとウーゴイルは警戒はしている模様。

エール「まずは……グランドファイア!」

チャージしたグランドファイアを前と後ろに向けて放つ。

 

突然の攻撃に驚きながらも2体はジャンプして避ける。エールは続いてドラグーンの武器に換装して放つ。

 

エール「降り注げ!」

火炎弾を空に放ち、それが拡散して広範囲攻撃となり2体に降り注ぐ。

 

これを見事なシンクロで避け、一方は爆弾で破壊したり、もう一方は蹴りで対処したりと全く攻撃が通らない。

 

だがエールは不敵な笑みを浮かべていた。そう、何かを確信した顔だった。

 

背中でにフレア・ランチャーを担ぎ、両腕でマグマブラスターを使う。

 

エール(私の予想が正しければ、きっと……)

2体に向かって火炎放射を放ち、すぐにフレア・ランチャーを構えておく。

 

そしてアーゴイルがジャンプして避けるのを確認して、即座に火炎弾を何も無い場所に撃ち込む。

 

ウーゴイル「!!!」

すると何も無い場所に撃ち込んだ筈の火炎弾にウーゴイルが自ら当たりに来たのだった。

 

エール「やっぱり。私の読み通りだね」

撃墜されたウーゴイルはそのまま落下し、地面に叩きつけられた後動かなくなった。

 

アーゴイル「な、何故……我々の動きは完璧なシンクロだった筈!」

エール「うん。攻撃に関しては無類の強さを発揮出来るのは私が身をもって理解させられた。でも回避までにシンクロさせたのは間違いだったね」

アーゴイル「何……!?」

エール「貴方が回避したのと左右対称にもう一方も回避してるみたいだから貴方の座標に合わせて線対称になる様に撃てば当たる訳」

アーゴイル「うぐぐ……まさかこんな事が」

エール「行くよ、今までのお返し!」

 

ZXのエールに為す術も無く一転攻勢が始まる。元々2人でシンクロする為に造られたのがアーゴイルとウーゴイルだった為にエールの読み通り一体だけだと戦力が激減するのだった。

 

そして、

エール「せいやぁッ!」

ウーゴイル「が……ウガァァァァッ!!!」

 

渾身の一太刀を浴びせ、アーゴイルは破壊された。もう動かない2体を見てふぅ、と一息。

 

 

エール「そう言えば……」

いつもナンバーズは何かしらの改造を施されているとは分かっていた。だがこの2体からはそんな感じはしなかった。

 

エール「まぁ、良いか」

 

目的を果たしたのならこんな所とっととおさらばしたい。アッシュの方も気になるし。

 

エール「アッシュ、大丈夫かな……変に無茶な事してなければ良いんだけど」

 

 

 

 

sideアッシュ

 

エールが心配したくなるのも分かるがアッシュはしっかりしており慎重に進んでいた。

 

アッシュは過去に廃棄された化学工場に来ていた。取り壊しが予定されていたが先に占拠されてしまったらしい。

 

アッシュ(なるべく隠密行動が基本……こういう時モデルPが凄く役に立つわ)

 

とは言っても敵はそんなにおらず、監視カメラ等も動いている様子も無くあくまで誰かが占拠しているというだけだった。

 

結局何も無く奥まで着いたアッシュ。

アッシュ「……隠密行動なんてアホらしいわね」

モデルAになり恐らく占拠主が居るであろう部屋に入る。まずは警戒するが、何も現れない。

 

アッシュ「面倒ね……居るなら出て来なさい!」

 

???「言われなくても出て来てあげるよ」

アッシュ「!」

 

そう言うと目の前にいきなり植物が生えた。

アッシュ「バラ……?」

 

巨大なバラが生え、その中から現れたのは……

 

???「まさかボクを倒しに来る奴が居たとは」

アッシュ「アンタがここの主ね」

スパイク・ローズレッド(以後スパ)「そうだ。しかしようやく誰かがボクを倒しに来たと思ったらレディーじゃないか」

アッシュ「……」

スパ「ボクと戦うつもりかい?」

アッシュ「女だからって舐めないで貰える?」

スパ「冗談だ、折角生き返ったのに死ぬのはゴメンだからな」

アッシュ(キザなのか普通の口調なのかどっちかにしなさいよ……)

 

それはともかく、相手も構えたのでコチラも臨戦態勢になる。まずはバスターで様子見だ。

 

スパ「行けッ!」

アッシュ「きゃっ!?」

 

いきなり部屋中の至る所からツタが現れアッシュを襲う。数が異常なまでに多く、動きも速いので避けるのにも一苦労。

 

チャージバスターで撃つと一瞬穴が開くがすぐに元通りになる。数が多い為にホーミングレーザーに期待したがチャージバスターが効かない事からして放っても無駄だろう。

アッシュ(やっぱり植物には……炎!)

「トランスオン!」

 

ディアバーンへとトランスオンした後はとにかく炎の矢を撃ちまくる。それでも近付いて来たツタはトマホークや頭突きを使って対処。

 

アッシュ「いい加減しつこい!」

絶え間なく出て来るツタに対しアッシュがキレる。モデルFになり、

 

アッシュ「クラッシュバント!」

 

ツタをどうにかした後は再びディアバーンにトランス。地面を蹴り高く飛翔して、このフォルスロイドお得意の技を見せる。

 

アッシュ「メテオ……キーーック!!!」

 

群がるツタを蹴散らしながらローズレッドに突撃する。流石に危ないと思ったのか天井にツタを伸ばしフックショットの要領で回避する。

 

スパ「今のは危なかったな」

アッシュ「そこは当たりなさいよ」

 

スパ「それは無理な相談だ……スパイクロープ!」

アッシュ「!?」

 

突如ローズレッドの周りから茨の塊、ボールの様な物が複数現れた。

スパ「さぁ、逃げ惑え!」

 

アッシュ「クッ……」

幸い今居るこの部屋は広いので逃げ場が無いなんて事は無いが向こうの塊の数が多く、何よりもこの塊の耐久力が高くホーミングレーザー位じゃビクともしなかった。

 

アッシュ(チャージバスターなら何とかなるかも知れないけど……高速で動く塊を避けながら的確に当てるなんて流石に無理があり過ぎるわ)

 

 

だがいつまでも避けられる訳でも無く、

アッシュ(ッ!)

避ける方向を完全に間違えてしまった。

アッシュ「いっ……ッ」

自分の背中に茨の塊が突き刺さる。アーマーがあっても痛いと確かに感じた。逆に言えばただの人間の上体でこれに当たると即死だろう。

 

だが痛みでその場にしゃがみ込む暇等無い。茨の塊は次々とやって来るのだから。

アッシュ(マズイわね……)

状況が悪過ぎる。自分が一方的にやられているだけのこの状況を何とかしないと、

 

アッシュ(……やりたくは無いけど、仕方無いか)「もういい加減に……」

バスターを最大チャージし、

 

アッシュ「いい加減にしなさいよッ!」

モデルAの切り札、ギガクラッシュを御見舞した。それは茨の塊を全破壊し、部屋中に生えていたツタも、そしてローズレッド自身にも当たった。

 

スパ「グッ!?何だこの威力は……!」

 

 

アッシュ「ハァッ……ハァッ……」

だがこれは1戦闘につき1回が限界だ。しかも出した後の疲労感が凄まじい。

 

スパ「まさかそんな切り札があったとは……唐突過ぎて対処出来なかったよ」

アッシュ「ッ……」

 

分かっていた。非常に威力の高いギガクラッシュであるが今回は茨の塊達を破壊する為に使用しただけであって流石にローズレッドを行動不能に出来るだけのものでは無かったのだと。

 

スパ「でもどうやら諸刃の剣だったみたいだな、動けない所からして」

 

ローズレッドが自分の腕からツタを伸ばし、アッシュを縛り付ける。

アッシュ「ッ……趣味が、悪いわね」

スパ「まだ減らず口を言える元気はあるらしい」

 

ツタを強く締め付けた。

アッシュ「くっ、あっ……!」

 

スパ「どんな気持ちだ?」

アッシュ「この……変態が」

 

絶望的な状況だが、アッシュは待っていた。

アッシュ(まだなの……?早く来なさいよ!)

早くしてくれないと流石にそろそろヤバい。

 

スパ「ジワジワ苦しめてやる……その息が止まるまで、ずっと」

アッシュ「……」

かなりマズイわね、と思ったその時だった。

 

ミシッと天井が音を立てた。

 

スパ「何だ!?」

アッシュ「来た!」

 

即座にテスラットにトランスオン。小さい体でローズレッドの腕から抜け出した。

 

スパ「なっ……!?」

そして天井が崩れた。

 

だが大量のツタが崩れて来た天井を支え、ローズレッドには当たらなかった。

スパ「ハハハ……そんな物は僕には効かない!」

アッシュ「天井を崩れさせたのはアンタに当てるつもりなんかじゃ無いわよ」

スパ「何だと?」

 

アッシュ「ここが何処か、ちゃんと分かってる?化学工場よ?廃棄されたとは言えども残っている物は残ってるのよ」

スパ「……だからどうした?」

 

アッシュ「この上、何があったか教えてあげるわ……廃棄された危険物のタンクよ!」

スパ「……まさか!!!」

 

気が付いて上を見たが、既に遅かった。大量の液体が落ちてきてローズレッドに降りかかる。

スパ「ぐあっ!!!」

 

どうやら運悪く目に入ったらしい。

 

アッシュ「ギガクラッシュの時に天井を少し多めに狙ったのは正解だったわね」

スパ「ま、まさかこれをする為に……」

 

アッシュ「そうよ。アンタのツタなんて最初から抜け出そうと思えば抜け出せたもの」

スパ「ク、クソッ……!」

アッシュ「さてと。アンタにはかなりやられたから精一杯お返ししないとね。レディーを傷付けた罪は重いのよ!」

 

ここで新DNA、ブレイズ・ヒートニックスにトランスオン。正しく燃え上がる様に力が湧いてくる。

 

 

そして、

アッシュ「燃やし尽くす……アンタなんか炭になりなさい!マグマバード!!!」

 

火柱を上げながら高速で突っ込み、ローズレッドごと貫く。危険物の中には当然引火性の物もあり、凄まじい爆発を引き起こした。

 

スパ「そ、そんなバカな……うわぁぁぁ!!!」

 

 

アッシュ「……ふぅ、何とかなったわね」

 

 

アッシュとグレイにシエルから与えられた新DNAは、両方にディノレックスを、アッシュにブレイズ・ヒートニックス、グレイにマグマード・ドラグーンのDNAが与えられた。

 

正直一か八かではあったので危なかったと言えば危なかった。初めから新しいDNAを使ってトランスをしていれば全然展開は違ったのだろうけど。

 

アッシュ「まぁ良いわ。スッキリしたし」

 

とりあえず帰還する事にした。

 

 

アッシュがローレルに帰って来ると、既にエールが居て待っていた。

エール「お帰り。大丈夫だった?」

アッシュ「ちょっと面倒だったけど、まぁ何とかなったわ」

エール「って、随分擦り傷とかあるじゃない……ほら、こっち来て」

アッシュ「だ、大丈夫だって」

エール「ダーメ。アッシュも女の子なんだから」

 

 

 

そして、今日の任務が終わった後与えられた宿舎にて休むアッシュとエール。

アッシュ「はぁ~疲れた」

エール「本当にね」

 

するとエールが、

エール「ん、そろそろだよ」

アッシュ「あっ、そうか。あれ?GATは何処にいったかしら」

エール「さっきお風呂に入った時に外したから脱衣場に忘れたのかもよ」

アッシュ「ちょ、ちょっと取ってくる!」

 

バタバタと出て行くアッシュを見て、

エール「もう、アッシュったら」

そこで連絡が入る。

 

そう、現在時刻は午後9時。この時間にゼロ達と連絡を取り合い報告するという事になっていた。

 

ゼロ「全員大丈夫か?」

ヴァン「俺はOKですよ」

グレイ「僕もです」

エール「私も」

ゼロ「……アッシュはどうした?」

エール「えっーと、アッシュは今……あっ来た」

 

アッシュ「ごめんごめん。ちょっと事情があって遅れました~」

ゼロ「……まぁ良い。全員報告を」

 

 

そして、報告が終わり他愛もない話をしてアッシュとエールの第1日目は終わったのだった。

 

 

 




はい、とってものんびり書いてしまってごめんなさい。
話自体はパッと思い付くのですが、やはりボスとかゼロ達の能力やらと色々考え込んでしまってやたらと時間が掛かるのが殆どです。まぁ今回は色々と(ry

何か書いていてアッシュやたらと敵にやられたり残念な目に遭う事が多い気がする。いや、多い。
別に狙って書いている訳では無いのですが……でもまぁそれを持ち前の順応性と強運で何とかするアッシュが好きなのです。

では、次いつになるかは不安ですが次回でまたお会いしましょうヾ(ω` )/


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-激化する戦況 グレイ編 新たなる動き-

どうも、M・Mです。
少し寒くなって来ましたが皆様体調にはお気を付けて……。

前回言った通り今回で第2章は終わりです。
バイル達の新たなる動き、ゼロ達のこれからはどうなるのか。

では、どうぞ。


sideグレイ

 

グレイは他の皆と同じ様に新しい場所に転送された……のでな無くガーディアンベースに戻っていた。と言うのも、ちゃんと理由あっての事だ。

 

グレイ(僕達がガーディアンベースを離れていて、尚且つガーディアンベースは飛行不可能。確かに襲撃するならこれ以上狙いやすい状態は無い。ナンバーズだけで無くもしかしたら四天王まで来るかも知れない)

 

という事でシエルとプレリーはグレイだけに帰還を命じ、もしかしたらに備えていた。

 

~ガーディアンベース~

 

グレイ「ただ今戻りました」

プレリー「えぇ。早速だけど私達は今から物資調達の為にカンナに行くの」

シエル「私とグレイはお留守番よ」

グレイ「1人で大丈夫なのですか?」

プレリー「大丈夫よ。今のカンナはガーディアンも滞在していて守りは強い筈だから」

グレイ「そっか」

プレリー「けどガーディアンベースは分からないわ。いきなり襲撃を受けたりしたらかなりまずい状況になると思う」

シエル「しかも今のガーディアンの状態をバイル側も知ってる筈。だから襲撃に来る可能性は結構高いわ、その為に貴方を呼び戻したのよ」

 

ガーディアンベースはカンナから少し離れた高地に留まっており、降りるのは少々苦労する。

 

プレリーが出掛けてから、

グレイ「結局僕は何処に行く予定だったんですか?結局帰って来ましたけど」

シエル「貴方にはゼロと一緒に行って貰うつもりだったよ。ゼロの所だけ敵が多いから」

グレイ「なるほど」

シエル「でもそれをゼロに相談したら大丈夫って言われて、むしろガーディアンベースの警備に回した方が良いと言われたの」

グレイ「ゼロさんの案だったんだ」

シエル「グレイ、貴方は他の皆と違ってまだ戦ってはいないけど、もしかしたらここには四天王もやって来るかも知れないの」

 

グレイ「……分かっています」

シエル「でもゼロは言っていたわ。グレイなら大丈夫だって」

グレイ「!」

素直に嬉しかった。

 

グレイ「……任されたからには、必ず皆が帰って来るまで守り通してみせます」

シエル「私も頑張るわ」

 

 

 

グレイがガーディアンベースに帰って来てからしばらく経って。

 

その時(・・・)は突然やって来た。

 

警報システムが故障している為にオペレーターが口で直接伝えに来た。

 

「大変です!東の方角より大量のイレギュラー反応が!コチラに向かっています!」

 

シエル「やっぱり来たわね……」

グレイ「すぐ行きます!」

 

ロックオンしてすぐ様に駆け抜けて行く。

グレイ(皆戦ってる中、ガーディアンベースを守る為に僕だけ戻って来たんだ……仕事はする!)

 

 

ガーディアンベースより少し東。緑豊かな平原で森林があり、その中でグレイはイレギュラー達を掃討していた。

 

だが戦っていてグレイは何か嫌な予感がしていた。と言うのも、

 

グレイ(……違う。コイツ等も確かにガーディアンベースを襲撃しに来たのだろうけど、変だ)

何が変だと聞かれると答えにくいが、自分の中で1つとある考えが生まれた。

 

グレイ(もしかして……囮か!)

 

今群がるイレギュラー達を吹き飛ばし、すぐに戻る。嫌な予感が先程より増しているが、とにかく今は急いでガーディアンベースの元へ急ぐ。

 

 

 

~ガーディアンベース~

シエルはガーディアンベースの修復作業をしながら先程飛び出して行ったグレイを心配していた。

 

シエル「大丈夫かしら……」

 

だが、その外では……

???「まんまと引っ掛かったよ、ケへへ」

何も無い場所から突如何者かが現れた。

スティング・カメリーオ(以後ステ)「このカメリーオ様に掛かればこの程度朝飯前さ!」

 

何とこのカメリーオは擬態能力、そしてどんな場所にも適応可能な保護色能力を持つのだった。

 

ステ「何でバイル様は早くこうしなかったのかね。とっととガーディアンを潰すのが1番早いというのに……あんな四天王なんかに任せるよりも余っ程俺の方が有能って事を示してやる」

 

そしてガーディアンベースに向けて複数方向に渡り攻撃するビームを撃つカメレオンスティングを放とうとした。

 

だが、

グレイ「やめろォォォ!!!」

後ろからのバスターに気付き、即座に避ける。

 

ステ「何ッ!?」

先程森の方に向かった筈のグレイが居た。

 

ステ「お、お前は確かに森のイレギュラー達の方に行った筈……」

グレイ「あぁそうさ。だが何となくおかしいと思って帰って来たらお前が居た訳だ」

ステ「クッ……何故だ、何故気づいた!?」

グレイ「襲撃にしては数が少なかった。しかもあの程度の装備しか持たせてない奴等ならガーディアンの隊員達だけでも倒せる。どう考えても襲撃用の奴等じゃないって思った」

 

ステ(ッ……この作戦を考えたのは俺だ。ガーディアンベースが随分悪い状態にあると知っていたしこのグレイとかいうロックマンも帰って来ていると理解していたが、侮り過ぎたか)

グレイ「向こうの方に誘導するつもりだったんだろうけど、残念なったな」

ステ(これがバイル様にバレたら間違いなく捨てられる……もうこれ以上あんな目(・・・・)に遭うなんてゴメンだ!何としてもこの作戦は完遂させる!)

「バレようと問題ない……ここでお前を倒しガーディアンベースを破壊すれば良いだけだ!」

 

グレイ「そうはさせるかッ!」

 

 

 

戦闘が始まり、すぐにグレイはシエルに外で戦闘をしていると連絡を入れる。

シエル「分かったわ、今外には誰も居ないからこのまま出ない様に指示をする。それとプレリーにも伝えておくから、頑張って!」

グレイ「了解!」

 

 

連絡も済んだ所で、

ステ「喰らえッ!」

高く飛び上がり、回転しながらカメレオンスティングを放って来る。

グレイ(数は多いけど……大丈夫、落ち着いて見れば避けられる!)

 

一つ一つ落ち着いて回避し、まずは着実に一撃チャージバスターを当てた。

 

ステ「グハッ!?」

すると簡単に当たり落ちた。

グレイ「!?」

 

まさかこんな簡単に当たるとは思わなかった

 

ステ「クッ……その程度!」

飛び上がり、次々と高地を飛び移りスティングを放つがグレイはこれを華麗に避けて反撃していった。特にトランスオンをする必要も無くモデルAはモデルZXとはまた別にシンプルで使いやすい。

 

グレイ(落ち着いて……こういう弾幕系の奴は発射動作を見切れってゼロさんが言ってたな)

 

どうやらあのビームは奴の尻尾から放たれているらしい。だったら……

 

グレイ(発射する時は尻尾を上げる……それと僕を通り越して飛ぶ時に撃ってる)

と言ってる傍から尻尾を上げだした。

 

グレイ(来た!)

すぐにモデルFにトランスオン。電撃を纏ったソニックウェーブを放つ。

ウェーブはスティングを貫いてカメリーオに直撃。落ちた所を即座に追撃しようと思ったが、

 

ステ「や、やらせるか!」

グレイ「!?」

尻尾を犠牲に飛翔して追撃を回避した。

グレイ(カメレオンだもんな……)

 

また再生するのかどうかは知らないが、今は鬱陶しいスティングは撃てない筈。

グレイ(今の内に詰める!)

 

モデルZXにトランスオン。一気に距離を詰めて近接で攻勢に入る。

 

グレイの読み通りスティングは撃てない模様。

持ち前の身軽さのお陰で何とか避けて続けていたが、流石に厳しくなってくる。

ステ(クッ……こうなったら!)

 

いきなり目の前に居た筈の奴が消えた。

グレイ「最初の消えてたやつか!」

 

全く敵の場所が分からない。ここまで擬態能力が凄まじいとは流石に思わなかった。

 

グレイ(……完全に気配が消えてる。視認で探すのは無理があり過ぎる)

色々考えていると、

 

ステ「隙ありィ!」

硬化した舌での突き。

 

グレイ「いつッ!?」

結構痛い、まるで棍棒の様だ。

 

ステ「ホラァ!甘いぞ!」

反撃しようと振り返ると居なくてまた別の所から殴られた。

 

グレイ(これはダメだ……一旦離れよう)

 

その場から1度離脱して距離を取る。

今奴はゆっくりと、それとも高速で自分に近づいて来ているのだろうか。

 

グレイ(どうする……?)

何か有効な手段は……

 

グレイ「とりあえず……トランスオン!」

こういう時はひとまずモデルPになっておく。

 

すると、

グレイ(聴こえる……ゆっくり、背後に来てる)

モデルP超有能。

 

後ろから近づいて来て舌で攻撃しようとしているのだろうが、グレイは既に奴がどんな断末魔を上げるのかだとかを考えていた。

 

そして、

グレイ「甘いッ!」

 

不意打ちでモデルPの武器であるクナイ連打。突然の反撃に面食らったカメリーオは空中で擬態が解け落ちた。

 

ステ「ク、ソ……俺は……俺はバイル様から選ばれた奴なんだぞ……四天王の奴等なんかに……負けて、たまるか……」

グレイ「……選ばれた、か。にしては特に改造された痕跡とかも見当たらないけど」

ステ「そ、それは……」

グレイ「選ばれたとかそんなのは知らないが、その傲慢さが負けを招いたって事を後悔するんだな……いい加減、さよならだ」

 

モデルAに戻り、チャージバスターがカメリーオの体を貫いた。

 

ステ「…………」

断末魔を上げる事も無く破壊された。

 

 

グレイ「……何だか、可哀想な奴だったな。向こう側にも色々と事情があるみたいだ」

ともかく倒したは倒した。ガーディアンベースに連絡を入れて帰るとしよう。

 

 

 

〜ガーディアンベース~

シエル「そう……撃破したのね」

プレリー「ありがとう、グレイ。貴方が気付かなければ危なかったわ」

グレイ「いや、間に合って良かった」

 

 

シエル「でも、やはりガーディアンベースの守りが手薄になるのは良くないわね」

プレリー「皆を呼び戻した方が良いのかしら」

グレイ「でも皆まだ任務中だし……」

 

すると、

 

シエル「着信音?」

グレイ「僕だ」

そういう話をしていた途中に、グレイのGATが鳴ったのだった。

グレイ「ん……ゼロさんからだ」

シエル「ゼロ?」

 

グレイ「はい」

ゼロ「今入った情報なんだが……俺の居るエリアからナンバーズが消えたみたいだ」

グレイ「消えた?」

ゼロ「あぁ。しかもヴァンとエールとアッシュに連絡したがアイツ等もそうみたいだ」

グレイ「えぇ?」

ゼロ「ひとまずガーディアンベースに皆戻るとシエル達に言っておいてくれ」

グレイ「は、はい」

 

 

プレリー「何だったの?」

グレイ「その、皆が居るエリアのナンバーズが消えたらしいんです」

シエル「消えた?撤退したの?」

グレイ「分かりません。とりあえずゼロさん達は帰って来るそうです」

プレリー「そう……皆に話を聞かない以上何も分からないわ。今は帰って来るのを待ちましょう」

シエル「そうね……」

グレイ「はい」

 

 

 

しばらくして、ゼロ達が帰って来た。

ゼロ「昨日は反応があったんだが、今日の朝には消えていた。少なくとも国内に潜んでいたり周辺に居たりする事は無いらしい」

ヴァン「俺の所やエールとアッシュの所も同じ感じだ。忽然と消えたっていうのが正しいかも」

 

エール「撤退した、とは思えないけど」

アッシュ「あくまで1度様子を見る為に全員呼び出したのかもしれないわね」

ゼロ「俺もそう思う。だとすればまた何か企んでいる可能性が高いな……」

ヴァン「そうですね……ただでさえ向こう側の戦力は圧倒的に多いんだから滅茶苦茶な事をされると俺達も対処に困るし」

アッシュ「あぁもう、相手の居場所さえ分かれば突撃……しても返り討ちか」

プレリー「うーん……待つしか無いのかしら」

シエル「とりあえず皆今日は休んだ方が良いわ。それと倒した敵のデータを後で私に頂戴ね」

5人「了解」

 

 

 

~???~

色々と悩むガーディアンのその一方、

レヴィ「帰ったわよ~」

レヴィアタンがそう言うと機械生命体であるバイルがのそりと振り向いた。

バイル「して、結果は」

ファン「Dr.バイル、貴殿の予想通りだ」

 

バイル「……やはり、居なくなっていたか。まぁ十中八九ガーディアン側が回収したと見て間違いなさそうだ。面倒な事を」

レヴィ「それで?取り返しに行くの?」

バイル「あのまま放っておくと我々にとっては脅威に成りかねないが……だからと言って無理に攻め込むのもリスクが高い」

レヴィ「あら、いつになく弱腰じゃない」

ファン「……我々の戦力ならあっという間に制圧出来る筈だが?」

バイル「そうではない……Dr.シエルをガーディアンが救出したとなると無闇な攻撃は彼女をも傷つけかねない。彼女が我々の物となれば世界を破滅させる事など他愛もない事になるだろうからな」

 

レヴィ「おぉこわいこわい……」

ファン「冷静に行け、という事か」

バイル「そういう事だ」

レヴィ「そんなにシエルって子は凄いの?」

バイル「お前だって知っているだろう……コピーエックスを作ったのは彼女だ。彼女は正しく数百年級の天才と言えるだろう」

レヴィ「へぇ……」

ファン「真正面から面倒ならば隠密に奴だけ奪えば良いだろう」

バイル「……忘れるな。向こうには最早オンボロのオールドロボットとは言えども伝説の英雄が居るからな」

ファン「怖いのか?」

バイル「怖い?まさか!むしろ歓喜に埋もれたい位だ。あの時の恨み、一時たりとも忘れた事はあらん……あの英雄だけは我が手で葬る!」

 

ファン(正しく狂気の科学者……)

レヴィ(マッドサイエンティストね……)

 

 

そして、その後四天王とナンバーズを集めたバイルはこう言った。

バイル「今まで世界各地で襲撃を行ってたが、次の作戦は大掛かりな物となる」

 

ハル「大掛かり……?ならば我々がやっていた襲撃は何の為だ?」

バイル「落ち着け。今までのは軽い挑発に過ぎん……ガーディアン側は我々が何をするのかが分からずにそれなりに混乱しているだろうからな」

 

ファ「そんで?何をするつもりだ?」

バイル「今我々が居る海底基地の位置をガーディアン側にわざと知らせる」

レヴィ「という事はアレ(・・)が完成したのね?」

バイル「そうだ。我々は宇宙(そら)に上がる」

 

ハル「この場所を知らせてどうする?」

バイル「勿論ナンバーズを捨て駒として幾らか配置させるんだよ……」

四天王「ッ!?」

今の言葉は小声で言った為に四天王にしか聞こえなかったが、中々に衝撃を受けた。

 

バイル「1番奥に辿りつければガーディアン側には最高のプレゼントを送ろうじゃないか」

ファン「……自爆装置か」

ファ「お決まりだよな、何というか」

 

バイル「今までのはプロローグだ……本当の恐怖と絶望を感じるのはこれからとなる!」

そう高らかに宣言したバイルであった。

 

 

 

~ガーディアンベース~

皆が帰って来てから3日が経った。未だにバイル軍の動きは無い様だが、逆に怖いものだ。

 

いつもの休憩室に集まっていたゼロ達。

 

ゼロ「……」

ゼロは何やら考え込んでいる様だ。

ヴァン「ゼロさん、どうしたんですか?」

ゼロ「いや、俺達は大まかではあるが世界各地に飛んだ。それでも奴等の本拠地らしき物すら見付からなかった」

アッシュ「そう言えばそうよね」

ゼロ「となるとバイルは地上には居ない可能性が高いと俺は思っている」

エール「地上じゃ無いって事は……宇宙とか、地中とか海中とか」

ゼロ「まぁ、そんな所だろうな」

ヴァン「でもそう考えるのが妥当ですよね。地上にあるとは思えないし」

グレイ「宇宙とかにあられても困るけど」

ゼロ(宇宙、か……)

 

ふとラグナロクでの出来事を思い出した。

もしまたバイルが宇宙に上がっているのだとすれば、また同じ様に自分達も宇宙に行くのだろう……皮肉にもあの時と変わらない目的で。

 

 

そしてゼロ達の元へプレリーが息を切らせてやって来た。相当焦っている様だが……

エール「プレリー、どうしたの?」

プレリー「皆、落ち着いて聞いて。恐らくだけどバイル達の本拠地らしき場所が見つかったの」

5人「!!!」

プレリー「場所はここから遥か南西、ヴァンが行ったあの人工島の丁度南辺りの海中に反応があったわ……規模からしても基地と見て間違いないと思う。何しろ今まで全く見付からなかったのだから尚更怪しいわ」

 

興奮気味のプレリー。ヴァン達も勇んで向かう気満々であったが、

ゼロ「一旦落ち着け。ヴァン達もプレリーもだ」

 

皆落ち着いた所で、シエルも加わりゼロが言う。

ゼロ「冷静に考えてみろ。今まで見付からなかったのにわざわざ居場所を敵側に晒すか?」

プレリー「あ……」

ゼロ「恐らくその海中の基地にバイル達が居た事は事実かも知れない。どういう意図で居場所を晒したのかは知らんが、どう考えても罠だろう」

シエル「ゼロ達をおびき寄せて一網打尽にする為に位置を晒したんじゃないかしら」

ゼロ「バイル達は既に別の、前々から用意していた新しい場所に移っているだろう」

ヴァン「じゃあ行かない方が良いのか」

プレリー「それはそれでまた相手側の行動を待つ羽目になるわね……」

アッシュ「……危険だけど、行ってみる価値はあるんじゃない?可能性は低いけどバイル達が何処に行ったのかについて手掛かりが見つかるかも知れないわよ」

グレイ「まぁ、待っているよりかは僕も何かしたい。完全に後手に回ってばっかりだから」

ゼロ「……確かにアッシュの言う事にも一理ある。だが、罠だとすればかなり危険だぞ」

ヴァン「危険も何も、俺達は今までだって命懸けで戦って来たじゃないですか」

エール「これ位で怖がってたら戦えませんよ」

ゼロ「……プレリー、シエル」

プレリー「えぇ。止めたって行くのでしょう」

シエル「海底だからオペレートが届くかどうか分からないけど、私達も全力でサポートするわ」

 

ゼロ「ありがとう。それで十分だ」

 

そして、ゼロ達は罠だと分かっていながらも手掛かりを探す為に海底基地に向かう事にした。

 




思ったより速く書けた方でした(爆)
最近はたしょうたりと規則的な生活をしているみたいなので朝に電車で小説を書けてます(不規則だと電車内で寝てる)
投稿ペースは速くありませんが、コメントでも言った通り失踪は絶対にしませんので何卒宜しくお願いします(切実)
ちょっとカメリーオさんの性格とグレイの性格がおかしくなった気がしなくもない……公式設定でやってる所もあればオリジナル設定で書いてる所もあるから変になるかも知れないけどそこはご愛嬌って事で……(汗)

では、次回またお会いしましょう(・ω・)ノシ


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-番外編 ゼロとシエル-

どうも、M・Mです。

前々からゼロとシエルのお話を書きたいと言っていましたが、とりあえず番外編という事で書きました。と言ってもただほのぼのしていて、ほんのり甘めの2人です。

2章と3章の幕間という事で後1話書くかも知れないですが、それはともかく先にこれまでの設定集を書く予定です、強引に進み過ぎた為か説明不足な所があると思うので。

では、どうぞ。


皆が揃ってから次の日の朝、ゼロはシエルの部屋に呼び出されていた。

 

シエル「新しいフォームはどうだった?」

ゼロ「イカロスフォームの事か。俺にとっては全く経験の無い戦闘スタイルになったが……使いやすかったぞ」

シエル「ごめんなさい。本番で初めて使うなんて事になってしまったのは私のせいだわ」

ゼロ「気にするな。時間が十分に無い状態で無理を言っている事は俺も分かっている……作ってくれただけでも凄く感謝している。実際アレがあったお陰で勝つ事が出来たからな」

シエル「でも、もしも不備があってゼロが危険な目に遭ったりしたら……」

ゼロ「その時は俺が何とかしてみせるさ」

シエル「もう……答えになってないわ」

ゼロ「……お前の作る物にそんな事は無いと俺は信じている。もっと自分に自信を持て、シエル」

シエル「!」

ドクン、と心が跳ね上がったのはまた別のお話。

 

シエル「……分かったわ」

ゼロ「それで、俺に何か用があったんだろう?」

シエル「えぇ。早速だけど、新しいフォームをもう1つ既に開発済みよ」

 

ゼロ「……速いな」

ゼロは驚いていた。

 

シエル「恐らくだけど……次にゼロ達が行く海底基地はまた激戦になる可能性が高いわ」

ゼロ「あぁ。俺もそう思っている」

シエル「だから少しでも楽をさせられる様に皆の装備を開発してるの」

ゼロ「無理してないか?」

シエル「大丈夫よ。それに私達よりもゼロ達の方が余っ程大変な思いをしているじゃない」

ゼロ「それが俺達の任務……いや、使命だ」

シエル「使命?」

ゼロ「ヴァン達は世界を守る為に戦っている。勿論俺もその思いは同じだ……だが俺は、俺がこの世界に再び生き返った理由はきっとバイルを止める為だと思っている」

シエル「ゼロ……」

ゼロ「それが、俺の宿命……この世界での因縁という事だろう」

シエル「抱えん込んじゃダメよ、貴方は1人じゃないんだから」

ゼロ「あぁ。皆を頼りにしている」

 

シエル(ゼロ……良い感じに丸くなったわね。クールな所は変わってないけど、皆を信頼している想いが伝わってくるわ)

いや、昔の彼もクールの中で彼なりの優しさを出していた。元々は優しい性格なのだ。

 

そして先程自分を信じていると言った時や皆を頼りにしていると言った時に出した微笑み。

 

シエル(普段がクールなだけに、ドキドキしちゃうのよね///)

ゼロ「ん?シエル……顔が赤いぞ?」

シエル「な、何でもないわ///」

 

そしてコホンと咳払いして、

シエル「話が逸れたわね。長々と説明するのもアレだから簡単に説明するわ」

 

そして彼女は1つのデータメモリを取り出した。

シエル「この赤いメモリがタイタスフォーム。近接戦特化なのは変わりないけど、セイバーメインじゃ無くてゼロナックルとゼロレガースでの格闘戦がメインとなるわ」

 

ゼロ「殴りと蹴りが基本か……」

シエル「アーマーがそれなりに重くなっていて回避性能はあまり良くないの。だから貴方にとっては少し使いにくいフォームになるけど……その代わり防御力はかなり高くて、エネルギーを使う事で特殊な防御壁を張る事も出来るの」

ゼロ「なるほど」

シエル「勿論セイバーも使えるわ。ただ通常状態の様な片手剣じゃなくて、大型のセイバーになっているけど、攻撃力は中々よ」

ゼロ「あくまで付属品だな」

シエル「えぇ。基本は大型になるナックルとレガースでの戦闘が基本となるから」

ゼロ「使う場面があるかは分からんが……防御面に関しては使う時があるだろうと思う」

シエル「それなら良かった。まぁ細かい事は実際に使ってみると良いわ」

ゼロ「あぁ。そうさせて貰う」

 

そう言ってゼロが部屋を出ようとすると、

シエル「あ、ゼロ」

ゼロ「ん?」

シエル「これからすぐに訓練に行くの?」

ゼロ「何も無ければそうしようと思っているが」

シエル「そ、そう……頑張って」

ゼロ「……お前こそ、早速開発に勤しむのか?」

シエル「まぁ、そうなると思うけど」

ゼロ「………シエル、時間が無いのは分かっている。だが、今日位は休んでみないか」

シエル「え?」

ゼロ「カンナに行こう」

シエル「え……?」

ゼロ「お前も忙しいし俺も色々と考えたい事があるが、時には気晴らしも大事だろう」

 

まさかの。失礼だが昔の彼なら絶対こんな事は言わないであろう外へのお誘い。

 

決して浮いた話等では無いが、彼がこんな事を言ってくれた事に関してシエルはまだ理解が追いついていなかった。

 

シエル(ゼロが?私を?)

 

ゼロ「……無理なら、無理だと言ってくれ」

呆然としている私を心配に思ったのかゼロが少し不安げにそう言った。

 

 

シエル「い、いや……」

ゼロ「嫌か」

シエル「その嫌じゃ無くて……その、良いの?」

ゼロ「あぁ。お前の都合が良いのなら」

シエル「分かったわ。行きましょう」

ゼロ「すまん。誘ったのは良いが何をするか等は一切決めてない」

シエルは思わず吹き出してしまった。

シエル「じゃあ、今が9時だから……1時間後に出発しましょうか」

ゼロ「了解だ」

 

そう言って彼とは別れ、艦内を歩いていると廊下でエールとアッシュに会った。

 

エール「ん?シエルさんどうしたんですか?」

シエル「え?」

アッシュ「凄く嬉しそうだけど」

シエル「嬉しそう?私が?」

アッシュ「女の顔してる」

シエル「お、女って///」

エール「でも、実際嬉しそうと言うか、凄くニヤニヤしてますよ?」

シエル「ニヤニヤなんて……」

ここでエールが手鏡を見せた。

シエル「……してるわね」

 

どう見てもニヤニヤしていた。

 

アッシュ「白状したらどう?」

エール「アッシュ……」

 

休憩室にて、プレリーも混ぜて続き。

3人「ゼロ(さん)からお誘い~!?!?」

シエル「声が大きい!///」

 

プレリー「お姉ちゃんデートだよ!」

シエル「そ、そんなんじゃ無いわ///」

アッシュ「ゼロさんってそういう事には全く興味ないねって感じだけど……」

エール「意外と抜け目ないね」

シエル「単に出掛けるだけだから……色々と買いたい物もあったし」

アッシュ(やっぱりゼロさんってシエルさんに気があるわよね)

エール(やっぱりずっと昔から相思相愛だったんだね……何だかロマンチック)

 

何だか妙な勘違いをしている2人はともかく、

プレリー(良いなぁ)

羨ましがるのも居たり。

シエル(大体話の流れからして次に来るのは!)

アッシュ「シエルさんってゼロさんの事が」

シエル「もう約束の時間だから行くわね!」

 

まだ予定の10時より15分位早いが誤魔化して行く事に。このままだと自分にとって少々危険(笑)な展開になりかねない。

 

アッシュ「あ~あ、逃げられちゃった」

エール「また今度話を聞いた時には逃がさない様に部屋の施錠とかしてれば良いんだよ」

プレリー「え、エール……そんな真顔で凄い事言っちゃダメよ」

アッシュ(何だかんだでこの中で1番ヤバいのはエールなのかも知れない……)

 

ガーディアンベースの入口で待ち合わせだったが、アッシュ達に捕まったせいで結局準備をしていなかったので5分遅れてしまった。

 

入口で待っているゼロを見付けて、

シエル「ご、ごめんなさい……」

ゼロ「構わない。それより随分息を切らせているが何かあったのか?」

シエル「ちょ、ちょっとね……」

ゼロ「まぁ、そういう所は詮索しない方が良いな。アッシュが良く言うデリカシーと言う物か」

 

シエル(あ、アッシュ……)

ゼロが知らない内に色んな事を吹き込まれている。デリカシーについては正しいが、変な事は吹き込まないで欲しいものだ。

 

シエル「とりあえず、行きましょうか」

ゼロ「あぁ」

 

 

買い物があるのも事実ではあるが、思えばこんな風に普通に出掛けるのは久し振りだ。

 

シエル(よりによって相手はゼロ、しかも2人きり。これがまだ女同士とかだったら良いんだけど……うぅ、緊張する///)

 

ゼロ(……俺と2人ならまだ楽に話せると思ったんだが、シエルはまだ硬いな)

逆効果な事を全く知らないゼロ。

 

着いたらまずはシエルの買い物に付き合う。どうやら沢山買う物があるみたいだ。

 

ゼロ「工具だとか、ジャンクパーツだとか……沢山あるんだな」

シエル「えぇ。装備を作るとなるとやっぱり膨大な数の資材が必要となるから」

 

ゼロだからこんな買い物が出来る。ヴァンとグレイに頼むと喜んで付き合ってくれそうだが何か悪いし、エールとアッシュからは絶対に「女性がこんな物買ってたらダメでしょ!」って言われそうだし。彼はまぁ固定概念という物が存在してないから付き合ってくれるだけなのだろうけど……それでも嬉しかった。

 

ゼロ「……そう言えば」

ジャンクパーツを手に取って見ていた時にふと彼がそう言った。

シエル「どうしたの?」

ゼロ「シエル、今日は見た事の無い服装だな」

シエル「え?私?」

ゼロ「俺が知っているのは昔のピンクの服装と今の普段ガーディアンの制服だとか白衣位しか知らないからな」

シエル「ま、まぁ……」

何だかんだでデートという言葉を意識してしまったのもあり、桃色の長袖ロングのカジュアルワンピースという服装である。

 

シエル「変、かしら?」

ゼロ「悪い、ヴァン達なら良いコメントが出て来そうだが俺は良く分からん。ただ……」

シエル「ただ?」

ゼロ「お前には、昔の服装もそうだったがピンクが似合っていると思う」

シエル「!!!」

心拍数が急速に上がり、顔が紅潮するのを感じた。本当に彼の言葉は良い意味で心臓に悪い。

 

シエル「ありがとう///」

 

まぁこんなやり取りをジャンクパーツ店でやっていてもロマンチックの欠片すら無いが。

 

 

ひとまず目的の買い物は済んだ。これで後はフリーになるが……

ゼロ「先に食事にしたらどうだ」

シエル「もう昼ね。そうするわ」

 

どうやらシエルは何処に行くのかは決めていたらしく、ゼロの前をスイスイと歩いて行く。

 

歩く事数分後、気が付くとかなり高い所におり随分歩いたなと実感した。

高台にある喫茶店に入ると、シエルはテラスの方に出た。都市を一望出来るとても見晴らしの良い場所で、シエルはこれが目当てだったらしい。

 

シエル「良い場所でしょう?」

ゼロ「なるほど……確かに良い景色だ」

 

都市の中心部よりかは離れているがどうやらこの景色目当てに沢山の客が訪れていた。

 

ここカンナの良い所はこんな公共の場にゼロみたいなレプリロイドが普通に居ても何もおかしく無くてゼロにとっても居心地が良い。

 

シエルも食事を楽しんでいる様で、彼女のとびっきりの笑顔を拝む事が出来た。

 

ふとゼロを見ると自分を見て微笑んでいるのが分かった。何というか……

シエル(反則///)

 

 

ゼロが昔と随分変わったと言えば変わったけど、本質的な所は変わっていないし前々から思うのは……昔みたいにただ戦うしかなかったあの時よりも、どちらかと言うと今の彼が「彼自身」を出している感じがする。

 

クールだけど熱いハートを持っていて、不器用でもとても優しくて、今回外に誘ってくれたのも彼なりの優しさだったのかも知れない。

 

何よりとても仲間思いであり、それは普段のヴァン達とのやり取りで分かる。

 

 

シエル「ごちそうさまでした」

ふとゼロをまた見ると、都市の方を見つめていた。何やら考え込んでいる模様。

 

シエル「ゼロ……?」

ゼロ「ん?どうした?」

シエル「……何、考えてたの?」

ゼロ「……カンナも、俺が行ったハンターベースでもそうだったが、ヒトビトはそれぞれ悩み事も大変な事も抱えながらも今を生きている」

シエル「えぇ。誰もが皆普通に生きているわ」

 

ゼロ「普通か。普通、という言葉がどういう事を指すのかは分からない。ただその普通の中にある当たり前の幸せという物を守りたい」

シエル「当たり前の様に今を生きているけど、それが無くなった時にその当たり前がどれだけ幸せだったかって気付くのよね」

ゼロ「その普通を壊そうとするバイルは許せん」

シエル「私も、同じ気持ちよ」

 

強く、彼女はそう言った。

 

ゼロ「戦うしか無い俺がこんな事を言うのも変だと思うが……」

シエル「そんな事無いわ。その気持ちがあるなら貴方は戦うだけの存在なんかじゃ無い」

ゼロ「シエル……」

シエル「その力を、破壊じゃ無くて何かを守る事に使いましょう」

ゼロ「……あぁ」

 

彼の心境にも変化が現れていた。彼が今の世界を見て何を思っているのかは分からない。けれど、彼なら……私達なら、世界をきっと変えられると信じているから。

 

 

 

~ガーディアンベース 休憩室 ~

アッシュ「で?その後は?」

シエル「また知らない場所を巡ったりしたわ。随分色んな物を買っちゃったからゼロの荷物を随分重たくしてしまったのよ……」

 

当の本人は「構わない」と沢山の荷物を持ってくれていたが、罪悪感を抱いてしまう。

 

エール「良いなぁ、私もまだまだカンナには行きたい所があるんだ」

アッシュ「私も~」

プレリー「またいつか、楽しく皆で行ける日が来れば良いわね……ゼロ達には悪いけど女子だけで行ってみたいわ」

 

シエル「そうね……」

アッシュ「流石にムフフな展開は無かったか」

 

シエルが飲んでいたお茶を吹き出しそうになってそれを抑えた為に咳き込んでいる。

 

シエル「アッシュ、そういう事を言わないの///」

アッシュ「でもゼロさんも中々やるねぇ」

エール「何というか、天然キラーだよね」

プレリー「お姉ちゃんだけじゃなくてアレが自然に出てるのも中々にタチ悪いわ」

 

シエル(ゼロ……)

色々と複雑だったシエルであった。

 

 

一方ゼロの私室。

ヴァン「カンナに行ったんですよね。良いなぁ、俺も無理してでも外に出ておけば良かった」

ゼロ「ヴァン達は何をしていたんだ?」

ヴァン「少し訓練したら、全員何か眠気が襲ってきて数時間位寝てしまったんです」

ゼロ「お前達は人間なんだからちゃんと睡眠を取らないと駄目だ。取れる時に取っておかないと大変な事になるぞ」

ヴァン「はい……」

 

ここでグレイが言った。

グレイ「ついでに僕もカンナに行ってましたよ」

ゼロ「そうなのか?」

グレイ「はい。僕も適当に色んな所行っていただけですけどね」

それでも楽しかったです、とグレイは続けた。

 

ゼロ「1つ、思った事があった」

グレイ「どうしたんですか?」

ゼロ「俺達は、世界中に居る無数のヒトビトの願いを背負っているのだと」

ヴァン「無数の願い……」

ゼロ「残念ながら、ナンバーズや四天王ともなると戦闘レプリロイドでも手も足も出ないだろう」

グレイ「……そうですね」

 

ゼロ「シエルにも話したんだが、俺はそういうヒトビトの当たり前を守りたい」

ヴァン「当たり前、か」

ヴァンはとある少女の事を思い出していた。

グレイ「頑張らないといけないですね、他のガーディアンの皆も必死に戦っているのだから」

ゼロ「……お前達は良く頑張っているさ。戦いから逃げずに、現実をちゃんと見ている」

ヴァン「この力を持っている事以上、俺にも世界を守る責任がありますから。と言っても、責任があるから戦っている訳じゃありません」

ゼロ「自分の守りたい物の為に、か」

ヴァン「はい」

グレイ(2人とも凄いなぁ、それに対して僕は……僕にとって守りたい物、戦う意味は……)

 

 

 

それぞれ色々と思う中、世界が破滅するカウントダウンは刻々と進んでいた……。




もう気が付けば10月の後半、自分の誕生日がもうすぐで妙に嬉しいなっと。
アッシュ「自語はしなくて良いから」
M・M「……酷いや」
グレイ「容赦無いな……」

アッシュとグレイをゲストに迎えて少なめですが後書きを。
アッシュ「今回は少なめだったわよね」
M・M「確かに6000ちょいだから少なめか」
グレイ「まぁ番外編だから……」
M・M「そうだよ(便乗)」

アッシュ「ゼロさんとシエルさんの関係がもどかしいなぁ~」
グレイ「シエルさんには幸せになって欲しいよね、随分ハードな人生送ってるみたいだし」
M・M(グレイもそうじゃないか……良い子な彼の後の展開にもご期待下さい)

アッシュ「第3章はどんな感じ?」
グレイ「直球だな……」
M・M「今まで何とか頑張って来たけど、ここから結構暗い展開になっていく予定」
アッシュ「……聞かなきゃ良かった」
グレイ「やれやれ……」

M・M「まぁ次の予定は上述した通りにやりますので宜しくお願いします。それでは皆様次のお話でお会いしましょう(*・‐・*)/」

コメント・アドバイス是非ともお願いします。


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-番外編 ゼロ達の新しい力 突如出現巨大な敵-

どうも、最近凄まじい忙しさで凄まじい程毎日が眠たいM・Mです。

タイトル通り、皆の新装備が追加。と言ってもゼロを除く皆は毎回新能力が加わりますけどね。

今回は長めです。

では、どうぞ。


ゼロ達は前に倒した相手から新しく得たデータからシエルが作った新装備を確認する為に訓練室に集まっていた。

 

ヴァンの要望により、とりあえずタイタスフォームよりも先にイカロスフォームを見せる事に。

 

すると、ゼロは少し不敵な笑みを浮かべながら

ゼロ「じゃあヴァン、相手になってくれ」

ヴァン「え?」

突然のゼロの台詞に驚きを隠せないヴァン。

ヴァン「い、いや俺は……」

エール「言い出しっぺはヴァンでしょ」

ヴァン「そ、そりゃそうだけど……」

アッシュとグレイの方を向くと、頑張れ!とサムズアップを頂きました。

 

ヴァン「分かりましたよ!やります!」

 

 

と、言う訳で。

ヴァン「ロックオン!」

ヴァンはモデルZX。

 

ゼロ「早速始めるぞ……セットアップ、イカロスフォーム!」

 

ヴァン「!」

エール「おぉ……」

ゼロの真っ赤なアーマーは青と白を基調とした落ち着いた色合いになった。

グレイ「これがイカロスフォームか……」

アッシュ「話で聞いた所によると、背中のアレがミノスフキードライブって訳ね」

 

ヴァン(空気中にあるミノスフキー粒子を取り込み噴出する事により空を飛ぶ事も可能、超高機動型でゼロさんには良く似合っているな)

 

ゼロ「容赦はしないぞ」

ヴァン「はい!」

そして、お互い構え……

 

次の瞬間にヴァンが吹き飛んだ。

 

3人「!?!?」

観戦側はどうやら何が起こったのか全く分からなかった様だ。

 

エール(え!?今一体何が……私からはいきなりヴァンが吹き飛んだ様にしか見えなかったけど)

 

ヴァン「いつつ……本当に遠慮無しですねゼロさん。衝撃がヤバかったですよ」

ゼロ「殺傷機能はoffにしても衝撃は抑えられん。そこは我慢するか、避けろ」

ヴァン「無茶言わないで下さいよ……全く見えなかったですって」

 

ふと観戦側を見ると3人も首を傾げていた。

ゼロ「そんなに速いのか?」

ヴァン「自覚無し!?」

 

すると、

エール「ヴァンー何されたのー?」

遠くからエールが聞いて来た。

 

ヴァン「えっと、多分高速でダッシュして近付いてゼロナックルで腹パンされたって所かな?」

ゼロ「正しくはもう少し上の所だが」

 

3人ともなるほど、と頷いていた。

 

ヴァン「初見でこれ回避しろって言うのは本気で無理だと思いますよ……」

ゼロ「じゃあお前はもう初見じゃないから次から避けられるな?」

ヴァン「ゼロさん!?何言ってるんですか!?」

ゼロ「ほら、続きだ」

ヴァン「あぁもう……ならこっちも!」

 

ヴァンはモデルHXにダブルロックオン。高機動には高機動で相手をする様だ。

ゼロ「面白い……行くぞ!」

再び加速したゼロはセイバーを片手にダッシュしてくる。さっきと同じ様な攻撃だが、今度はちゃんと見えた。存外にもゼロの言った事も正しいのかも知れない。

 

ヴァン「はぁッ!」

ゼロのセイバーとヴァンのセイバーが重なり、激しく火花を散らした。

 

そしてお互い離れ、

ゼロ「言っただろう?」

ヴァン「まぁ、確かにそうでしたね」

 

そんな会話を交えて再びぶつかり合う。

 

 

それから数分間戦いは続いた。

ヴァンは持ち前の格闘で善戦したものも、

ゼロ(狙うは一閃……外さない!)

光の翼を羽ばたかせ、推進力を利用して超加速して斬撃。正しくマッハの勢いの速さにヴァンは流石に反応出来ずに倒れる。

 

ヴァン「こ、降参……」

ゼロ「まぁ、こんな物か」

 

エール「お疲れ、ヴァン」

ヴァン「ゼロさん、強過ぎ……」

ゼロ「出力はアレでも抑えてある方だぞ?」

グレイ「アレで抑えてるんですか!?」

アッシュ「アレだけでも滅茶苦茶速いのに……」

 

ゼロ「まぁ高機動がウリだからな。その代わり装甲は通常よりも弱い」

エール「回避が前提って事ですね」

ゼロ「あぁ。そして……タイタスフォームはそれとは真逆の存在となる」

アッシュ「高機動の反対……重装甲?」

ゼロ「まぁそういう事だ」

グレイ「重装甲って事は遅いんですよね、ゼロさんにはあまり相性良くないんじゃ……?」

ゼロ「それはそうかも知れないが……とにかく使ってみない事には何とも言えん。だから早速だが使ってみようと思う」

ヴァン「おぉ、楽しみだ」

 

 

そして、

ゼロ「セットアップ、タイタスフォーム!」

 

ゼロが光に包まれ、次現れた時には……

 

肩、膝が特に分厚くなっており、全身に赤黒い追加装甲を纏ったゼロがそこには居た。

 

グレイ「いかにも重装甲って感じだ」

ヴァン「どんな感じですか?」

ゼロ「……重いな」

エール「それは、そうでしょうね……」

 

アッシュ「重装甲って感じは確かにあるね。凄く堅そうで普通の攻撃位じゃビクともしなさそう」

ゼロ「動きは……ターボが付いているのか。遅くもなく、大型のマルチスラスターを入れている為に水中でも活動が出来るみたいだな」

ヴァン「マルチスラスターか……シエルさん流石上手く考えてるな。ブーストはどうですか?」

そう聞くとゼロが飛んだ。そこそこ速い速度で、尚且つそこそこの滞空時間を持つかなり優秀なブースターの様だ。

 

ゼロ「悪くない」

降りて来たゼロがそう言った。

 

グレイ「確かメインの武装はパンチとキックなんでしたっけ?」

ゼロ「あぁ」

 

ゼロは新たなる素材で出来たゼロナックルとレガースを見せた。

エール「うわぁ、普通に攻撃するだけでも相当威力凄そうですね」

ゼロ「誰か試してみるか?」

 

またここで出るゼロの不敵な笑み。

4人「……」

そして皆ヴァンを見る。

ヴァン「言っとくけど、絶対嫌だからな!」

ゼロ「冗談だ」

エール「ゼロさん、テンション高いですね……」

ゼロ「まぁ威力はお墨付きという事で良いだろう。後は……」

 

シエルの言っていた防御壁とやらか。

 

ゼロが集中すると彼の周りに青緑色のフィールドが出現した。

アッシュ「ほー……これがバリア的なやつ?」

ヴァン&グレイ「Iフィールドだ」

2人がシンクロして答えたので皆少し笑った。

ゼロ「Iフィールド?」

 

ヴァン「ゼロさんがイカロスフォームの時に使うミノスフキードライブ、アレは何を噴出するか覚えていますか?」

ゼロ「ミノスフキー粒子だな」

ヴァン「そうです。ミノスフキー粒子というのは粒子同士が反発しあう性質を持っています」

ゼロ「ふむ」

ヴァン「そしてミノフスキー粒子はある一定濃度以上に散布すると、立方格子状に整列する性質も持っています」

ゼロ「粒子の集まりか」

ヴァン「そうです。そしてミノスフキー粒子が……」

続きを言おうとした所でゼロが1度静止を掛けた。

ゼロ「……ヴァン、まぁ待て」

ヴァン「はい?」

ゼロ「詳しい話はまた俺だけに教えてくれれば良い。悪いがここではもっと分かりやすく伝えてくれないか」

ヴァン「あっ……」

 

グレイは知っているので何も言わないが、エールとアッシュが首を傾げていた。

ヴァン「……えっーと。ミノスフキー粒子を沢山撒くと1つの集まりになるのは説明しましたね」

ゼロ「あぁ」

ヴァン「ビーム兵器というのも同じ粒子の集まりです。Iフィールドにビーム兵器を当てるというのは、言い換えればビームの粒子とミノスフキー粒子がぶつかり合うって事なんです」

 

アッシュ「なるほど、分かりやすい」

ヴァン「それは良かった。そして、ぶつかり合う訳だけど、ビームの粒子はミノスフキー粒子と違って集まったりせずに小さいままです」

エール「分かった!つまり集まって大きいミノスフキー粒子をビーム兵器の粒子は通り越せないから無効化出来るって事だね」

ヴァン「まぁ、そういう事だな」

 

ゼロ「ふむ、良く分かった。ありがとうヴァン」

ヴァン「いえ……勿論無敵って訳では無いですしエネルギーが無くなれば消えちゃいますが」

ゼロ「このフォームは大型のジェネレーターが入っているから重たくなる代わりにエネルギーはかなりあるそうだが」

ヴァン「なら大丈夫だと思いますよ」

ゼロ「……あまり重い動きは好きじゃないが、防御も大事だからな」

 

そうしてゼロは通常状態に戻った。

 

 

エール「ゼロさんは私達の様にダブルロックオンだとかグレイとアッシュの様にトランスだとかはしないけどそんな風にアーマーが変わったりして凄いですね」

ゼロ「それでも俺はお前達の能力が面白いと思っているが。モデルというのは非常に興味深い」

グレイ「それ言ったらモデルを作った人がこのガーディアンベースに居るんだよね……」

アッシュ「ゼロさんのアーマーも装備も、私達のDNAデータも解析してくれてるし、シエルさんって本当に凄いのね」

ヴァン「俺達の装備もだな」

ゼロ「まぁ、シエルだからな」

4人「惚気けてる……」

 

ゼロの惚気はともかく、シエル様々である。

 

 

その頃艦長室にて。

シエル「くしゅん!」

プレリー「お姉ちゃん大丈夫?」

シエル「えぇ、大丈夫よ」

プレリー「お姉ちゃんは人間だし、最近寒くなって来てるから体調に気を付けてね」

シエル「ありがとう、プレリー」

 

美しい姉妹愛。

 

 

訓練室では、続いてヴァン達の新装備の確認。

ヴァン「これがヤンマーオプションか」

ヴァンが手に入れたヤンマーオプション、ヤンマークが使っていたのは命令式だったが、シエルが自律型の兵器にカスタマイズしたのだ。

 

敵に向かってビーム弾を発射し、状況を自分達で判断して回避等も行なう。

 

エール「どうしても荒っぽく攻めちゃうヴァンには丁度良いんじゃない?」

ヴァン「失礼だな……まぁ、正論だけど」

 

エール「私のも中々特徴的で面白いよ」

そう言うとエールは集中すると、何と虹色のエール分身が現れた。

 

4人「!?」

エールを除くゼロ達はかなり驚いていた。

エール「凄いでしょ、これ私のポーズにシンクロするんだ」

ゼロ「その分身も攻撃するのか?」

エール「この分身自体が光刃みたいな物で、触れれば攻撃してる感じです。でもわ私が射撃してもモーションをとるだけなので実質近接用ですね」

アッシュ「相手の裏をかく時には使えそうだね。少なくともビビらせる事位は出来そう」

エール「使い所練習しなきゃね……」

グレイ「アッシュは何のDNAだったっけ?」

 

アッシュ「スパイク・ローズレッドっていう滅茶苦茶キザなヤツ」

ゼロ「……何か、聞いた事がある様な」

 

アッシュ「トランスオン!」

ゼロにとっては何処かで見た事のある様な無い様な。アッシュは植物を自在に操るスパイク・ローズレッドになった。

 

ゼロ「グレイは何なんだ?」

グレイ「僕は確か、スティング・カメリーオっていう奴でしたね……トランスオン!」

 

その名の通りカメレオンだった。

長い舌をクルクル曲げたり硬化したり。

アッシュ「うわ、何か気持ち悪い……」

グレイ「気持ち悪いって……酷いだろ」

ヴァン「カメレオンなんだからアレか、擬態能力とかそんな感じ?」

グレイ「まぁ、そうですね」

 

そう言うとグレイが突如消えた。

4人「!?」

グレイ以外が周りを見渡すが全く見付からない。

 

グレイ「ここですよ、ここ」

 

この部屋の右側の壁に張り付いていた。

エール「全然分からなかったね……しかも壁にあんな風に自由に張り付いたり、便利そう」

ゼロ「擬態能力がどれ程通用するかは分からないが、確かに役には立つだろうな」

 

 

 

とりあえず全員の新装備の確認が終わった所で、

ゼロ「いつも通り訓練を開始するぞ」

4人「はい!」

 

だが訓練を始めてすぐに慌てた様子でプレリーが駆けつけて来た。

 

プレリー「み、皆大変なの!」

ゼロ「落ち着け。何があった」

プレリー「クリスから……ローレルの方から要請があったわ。イレギュラーよ」

ヴァン「ローレルって、確かエールとアッシュが行っていた所か」

エール「クリスって人はプレリーの友達なんだよね。イレギュラー要請があったって事は、私が行った油田かアッシュが行った廃棄工場か」

グレイ「とりあえず、行ってみましょうよ」

ゼロ「そうだな。行くぞ」

プレリー「お願い」

 

 

前にエールとアッシュが使った転送装置からゼロ達も転送された。

 

そこでプレリーから連絡が入る。

プレリー「情報が入ったわ。場所は油田よ」

エール「私が行った所だね」

プレリー「どうやら、凄く巨大なレプリロイドが暴れまわっているらしいの。早くしないと油田が破壊される恐れがあるから急いで!」

5人「了解!」

 

エール「私が先導して案内します!」

 

前は船が出せ無かったので海中を進んだが、今回も海中ルートにする事に。

 

エール「もう海中に敵は居ません。船は動くらしいですが私達で海中を進んだ方が速いです」

 

そう言ってヴァン達はモデルL、モデルLXに。

ゼロ「俺はイカロスフォームで飛ぶとしよう」

 

ゼロはイカロスフォームに。

 

ゼロ「後で合流しよう。急いで行くぞ」

4人「了解!」

 

そう言ってゼロは加速して空に羽ばたいて行く。

グレイ「速いなぁ……」

ヴァン「俺達も行こう」

 

海に飛び込むヴァン達。

 

 

~油田~

 

数分後、ヴァン達が油田に着いた時には……

アッシュ「皆、上!」

空を見上げるとゼロと大量の飛んでいる何かが戦闘を行っていた。

 

エール「普通にイレギュラー達も居るみたいだね。皆行くよ!」

モデルHX、モデルHになりゼロの元に急ぐ。

 

 

空中では、大量に群がるイレギュラー達をゼロが青い閃光の如く速さで斬り刻んでいた。

 

だが、流石に数が多い。

ゼロ(目的の巨大レプリロイドの方に向かえないな……とはいえコイツ等を放っておくと油田が破壊されてしまう)

 

そしてすぐに敵が四方八方を囲む。

ゼロ「チッ……」

 

面倒だ、と思ったその瞬間、

ゼロの周りに居たイレギュラー達が何処からか飛んで来た斬撃により瞬時に真っ二つにされた。

グレイ「ゼロさん!」

アッシュ「助太刀助太刀!」

 

そして更に、

ヴァン&エール「テンペスト!!!」

 

また何処からか凄まじい竜巻が襲来しイレギュラー達を的確に落としていった。

 

すぐにヴァンとエールもやって来る。

ゼロ「皆、助かった」

ヴァン「遅れてすみません」

ゼロ「大丈夫だ。それより……」

ゼロは周りを見渡す。かなりの数を落としたが、まだまだ沢山居るらしい。

 

ゼロ「一斉に攻撃してコイツ等を殲滅するぞ。なるべく急いでだ」

アッシュ「ドンと来い!」

グレイ「ヘマするなよ」

アッシュ「それはこっちのセリフだけど?」

エール「こんな時に喧嘩しないの」

ヴァン「2人はこれがいつも通りだな」

妙にマイペースな4人をまとめるのはゼロの仕事。

ゼロ「お喋りはそこまでだ。行くぞ!」

4人「了解!」

 

 

数は確かに多かったが、この5人に掛かればあっという間だった。

ゼロ「流石だな」

ゼロが皆に向けてそう言った。

ヴァン「ゼロさんこそもうイカロスフォームを使いこなしてますね。と言うかゼロさんが1番撃墜してるじゃないですか」

ゼロ「このフォームは本当に使いやすいからな」

エール「紅い閃光……いや、青い閃光かな」

アッシュ「確かに、イメージとしてもゼロさんに良く合ってるし」

グレイ「イメージって……」

 

ゼロ「……話はそれまでにしておけ。それより例の巨大レプリロイドは何処に居るんだ?」

グレイ「そう言えば居ませんね」

エール「プレリーに聞いてみよっか」

そう言うとエールが連絡を取る。

エール「プレリー、私達今油田に居るけどその巨大レプリロイドって何処に居るの?」

 

プレリー「居ないの?おかしいわね……確かにここの職員が脱出する時に見たって言っていたのだけど。気のせいだったのかしら」

ゼロ「いや、巨大だったんだろう?なら見間違う事はあまり無い筈だ……もしかしたら反応を消して隠れているだけかも知れん」

プレリー「流石にそれはあまり無いと思うけど……一応警戒して調査して」

5人「了解」

 

 

5人とも半信半疑ではあったが、調査を始める。

 

 

数十分経って、全員で通話した。

ゼロ「どうだ?」

ヴァン「何も無いですね……」

エール「私もです」

グレイ「僕の所も」

アッシュ「アタシの所も」

ゼロ「ふむ……気のせい、だったのか?」

 

考え込む5人。

ゼロ「とりあえず合流しよう。全員中心にある管制塔に来てくれ」

4人「了解」

 

 

1分後には中心に全員集まっていた。

ゼロ「全員何も無かったんだな?」

4人とも頷いたのに対して、

ゼロ「……なら疑うのは、空か、海か」

グレイ「そうか。地上に居なくてもそのどちらかに居る可能性はまだある」

ヴァン「でも隠れる必要性あります?俺達が1人になっていた時とかに十分襲うチャンスはあったと思うんですけど」

 

とりあえず、と言ってエールがモデルPXになって索敵を行ったが、首を横に振っている事からして見付からなかったらしい。

 

アッシュ「反応消せるならエネミーサーチも役に立たないか」

ゼロ「……」

ゼロは何か考え込んでいる模様。

皆の中ではこの考え込むのはきっと良い案を出してくれるかもしれないとの事で皆も黙っておく。

 

そして、

ゼロ「グレイ、アッシュ」

グレイ「はい」

アッシュ「何か良い案が?」

ゼロ「違うかも知れないが、もし奴が海中に居るのならお前達のトランスを使えばおびき寄せる事は出来るかも知れない」

グレイ&アッシュ「???」

 

ゼロ「簡単だ。2人ともコンドロック・ザ・バルチャロイドにトランスしてくれ」

 

言われた通りトランスする2人。

ゼロ「海中に入って、思いっ切り超音波を出してみてくれ」

 

ここで全員そういう事か、と理解した。

 

 

 

ゼロ「ヴァン、エール、うるさい事には変わりないが耳を塞いでいた方が良いぞ」

ヴァン&エール「へ?」

良く分からずに耳を塞ぐ2人。

そして海中の2人が演奏しているギターから凄まじい超音波が鳴り響いた。

 

ヴァン「うわっ!?」

エール「み、耳を塞いでてもこれなの……?」

ゼロもいつものクールな顔では無く少し険しい表情だった。

 

 

 

すると、

ゼロ「……ビンゴだ」

すぐにモデルAに戻ったグレイとアッシュが帰って来て慌てて言った。

アッシュ「な、何か来る!こっち来てる!」

グレイ「多分僕達を狙ってるんだと思うけど……とにかく来ます」

ゼロ「全員構えておけ……来るぞ!」

 

そして現れたレプリロイドは……大きかった。とにかく巨大であり横に伸ばしたら20mはあるんじゃないかって程のスケールだった。

 

4人「で……デカいッ!!!」

ゼロ「ここまで大きいとはな……」

見事にシンクロする4人と、流石に驚きを隠せないゼロ。海竜の様なそのレプリロイドは5人をしっかりと睨みつけていた。

 

ゼロ「怖気付くな!やるぞッ!」

4人「お、オォーッ!」

何故か良く分からない返事になっている4人をよそに、ゼロは駆け出していった。

 

 

 

 

プレリー「海竜の様なレプリロイド……?」

エール「そうなの!今皆で戦ってるけど結構苦戦してるみたい」

ゼロからの要望でエールはひとまず離れてプレリーに連絡していた。

 

プレリー「……やっぱり、何となくそんな気はしていたのだけど」

エール「どういう事?」

プレリー「そのレプリロイドの名前はリヴァイアサン。貴女の表した通り海竜をモチーフにした巨大レプリロイドよ」

エール「それで、そのリヴァイアサンってのはどういう奴なの?」

プレリー「1年前、ガーディアンとレプリフォースの技術者を集めて作らせた戦闘用の操作も自立で動くのも両方出来るレプリロイドなの。元々は海中に現れたイレギュラーを排除する為に作られたのだけど……完成してレプリフォースで待機していたのを何者かに盗まれたの」

 

エール「盗まれた!?」

プレリー「今考えたらバイルが世界崩壊(ブレイク・ザ・ワールド)の先準備として盗んだのかも知れないわね……」

エール「それは分かったけど……どうやって倒せば良いの?」

プレリー「確か……リヴァイアサンを横に伸ばしたとして、真ん中位の場所に中心核(コア)がある筈よ」

エール「それを破壊すれば?」

プレリー「えぇ。動きは止まる筈」

エール「分かった!ありがとうプレリー!」

 

慌ただしく通信が切られた。

プレリー「頑張って……皆」

 

 

戻って来たエールはゼロを除くヴァン達の所へ。

エール「皆!大丈夫!?」

ヴァン「俺とアッシュは大丈夫だが……グレイが不意の打撃を受けて気絶してる」

エール「打撃!?あの体で?」

アッシュ「空中で戦っていたんだけど、いきなり頭を振り回して私達を殴り付けて来たのよ。それでグレイが1番近かったから当たって……」

ヴァン「落ちた所を何とか俺達がキャッチして、そしたらゼロさんが囮になるから安全な場所に避難させろって」

アッシュ「それで今に至る」

エール「なるほど……」

ヴァン「それで、そっちはどうだった?何か分かったか?」

エール「うん。あのレプリロイドはリヴァイアサンって名前の戦闘用レプリロイドなんだけど……丁度上から見て半分位の所に中心核があるんだってプレリーが言ってた」

話を聞いたヴァンはGATを取り、

ヴァン「ゼロさん!エールからの情報によると上から見て半分の所に中心核があるそうです!」

ゼロ「半分の所か……多分海中だな」

 

リヴァイアサンの撃つ激しい弾幕を回避しながらゼロはそう言った。

 

ヴァン「どうします?」

ゼロ「ヴァンとアッシュは俺に協力してくれ。エールはグレイを頼む、もしかしたら飛び火するかも知れないからな」

エール「了解です」

ヴァン「それで、俺達は?」

ゼロ「ヴァンとアッシュは海中に潜れ。アッシュ、お前は確か動きを遅くする事の出来るトランスがあっただろう」

アッシュ「クロノフォスの事?」

ゼロ「そうだ。まず先にお前が海中でそれを使って攻撃を遅くさせて欲しい」

ヴァン「それで俺に中心核を?」

ゼロ「そうだが、それでも海中への攻撃は激しいだろう。だから俺が動きが遅くなっている内に何とかコイツの動きをとりあえず止める」

エール「何とかって……結構キツくないですか?バスターは全く効かなかったですよ」

ヴァン「セイバーはそもそも1発も当てられてないし、当たっても動きを止められるかは微妙な所だと思います」

 

アッシュ「ゼロさん、まさか」

ゼロ「アッシュは分かっているか。俺には強力なフォームがあるだろう」

ヴァン&エール「タイタスフォーム!」

ゼロ「タイタスフォームで殴ればきっと動きを止める位は出来る筈だ」

ヴァン「分かりました。それで動きが止まった所で俺が中心核を破壊するんですね」

ゼロ「あぁ。アッシュも頼んだぞ」

アッシュ「了解!」

 

ゼロ「アッシュ、俺が合図したら海中に入って例のを頼む」

アッシュ「もう待機してますって」

ゼロ「なら良い。少し待っていろ」

 

アッシュ(と言うか長々話してくれたけど今の間もずっとあの弾幕避けてたのよね……)

相変わらずとんでもない人だ、と思う。

 

 

一方ゼロはタイミングを見計らっていた。

ゼロ(弾幕が濃い……)

だが、自分とイカロスフォームの力を信じて。

 

ゼロ(見えた!)

一瞬見えた激しい弾幕の隙間。そこに加速させて突っ込んでいく。一瞬でもズレれば被弾するだろう、イカロスフォームは装甲が普通の状態よりも薄く、当たればタダでは済まない。

 

ヴァン&エール&アッシュ「!!!」

まさかそこに突っ込む!?と驚く3人。まさしく神業と呼べるその回避に鳥肌が立った。

 

そして見事に弾幕を(くぐ)り抜け、リヴァイアサンの頭上に着いたゼロ。

 

ゼロ「狙えるものなら狙ってみろ!」

リヴァイアサンはその挑発に乗り、上を向き大量の弾幕を再び放つ。

ゼロは落ち着いて避けながら、GATに叫ぶ。

ゼロ「行け、アッシュッ!」

アッシュ「りょーかいっ!」

 

すぐに海に飛び込み、

アッシュ「トランスオン!」

 

クロノフォス・ザ・トリデンロイドになり、

アッシュ「タイムボム!!!」

 

例のアレ、タイムボムを放つとリヴァイアサンの動きが固くなり、ゆっくりになる。

 

必然的に攻撃頻度と速度も遅くなる為にゼロにとっては非常にありがたい。

 

アッシュ「ゼロさん!頼みます!」

陸に出てアッシュがGATからゼロに言う。

 

ゼロ「任せておけ。タイタス、セットアップ!」

 

空中でタイタスフォームに変わり、ホバーを使う事無く急速に落下していく。

 

ゼロ(ホバーは必要無い……速度を付けて一気に殴り付ける!)

 

弾幕はビーム兵器と火薬系の両方あるが、ビーム兵器はIフィールドで防いで火薬系は腕をクロスにして防御する。装甲が厚いからこそ出来る荒業。

 

すぐにリヴァイアサンの顔が見えた。

あまりに速い動きにリヴァイアサンは焦っているのだろうか、弾幕を粗めに張る。

ゼロ「効かんな……」

 

そして、

ゼロ「覚悟しろ……はぁぁぁッ!!!」

ズドン、と大きな音を立てて顔面に強力なストレートを浴びせた。

 

ヴァン「き、決まったー!!!」

エール「凄い痛そう……」

アッシュ「痛いじゃ済まないと思うわよ?」

 

するとGATから今度はヴァンに、

ゼロ「ヴァン!今なら行ける筈だ!」

ヴァン「了解!」

 

ヴァンがモデルLXになり海中に飛び込む。

ゼロの言った通り、動きが止まっている。

ヴァン「何処だ……?」

 

巨大な蛇の様に螺旋状に体が巻かれているので中々見付けられない。

ヴァン(急がないと、コイツが目覚める前に!)

 

少し時間は掛かったものの、何とか中心核がありそうな部位を発見。

槍で攻撃し中を見ると、赤い宝石の様な物があった。間違いなくこれが中心核だろう。

 

ヴァン「これで……終わりだッ!」

中心核を一突きし破壊すると、

ヴァン「おわっと!?」

突然上半身が海中に沈み動かなくなった。どうやら完全に停止したらしい。

 

ヴァンが皆の所に戻ると、ゼロも既に帰って来ていた。更にグレイも目が覚めたらしい。

 

ゼロ「やったな」

ヴァン「はい」

エール「大勝利だね」

アッシュ「疲れた~……」

グレイ「1番疲れたのはゼロさんだろ」

アッシュ「おねんねしてたアンタには言われたくないわよ~?」

グレイ「ぐっ……」

エール「グレイも好きで気絶したんじゃないんだから変に喧嘩しないの」

グレイ「はい……」

アッシュ「はーい」

ゼロ(エールは良いまとめ役だな)

そこでゼロのGATが鳴る。

ゼロ「こちらゼロ」

プレリー「エールから話は聞いたわ。ありがとう、良くやってくれたわね」

ゼロ「……俺達なら、造作もない事だ」

4人(か、カッコイイ!)

プレリー「ふふ、貴方らしいわね。1度ローレルに向かって欲しいの。クリスが待っているわ」

ゼロ「了解だ」

 

ヴァン「何か言ってました?」

ゼロ「1度ローレルに帰るぞ。そこで都知事が待ってくれているらしい」

4人「了解」

 

 

ひとまずローレルに帰って来たゼロ達。

前にエールとアッシュがやって来た本庁にてクリスが待っていた。

クリス「初めまして。話は聞いていると思うけど私がクリスよ」

 

軽く自己紹介をした後で、

クリス「今回は本当にありがとう。そしてエールさんとアッシュさんは前に仕事をしてくれたのを自分で礼を言えなくてごめんなさいね」

エール「大丈夫ですよ」

アッシュ「お気になさらず」

クリス「あの油田はこのローレルからして命の次に大事な場所なの。だから貴方達はこの都市を救ってくれた事になるわ」

ゼロは変わらずクールだったが、4人とも照れを隠せない模様。

 

クリス「礼はまたいつか必ずするわ。だから……頑張って、英雄さん達」

 

そう言われ彼女とは別れ、ガーディアンベースに戻って来たゼロ達。

 

いつもの休憩室にて、

ヴァン「英雄、か」

エール「頑張らないとね……私達は世界中の命を背負ってるんだから」

グレイ「責任重大だよな……命の重みって、計り知れない物だから」

アッシュ「勿論その覚悟も大事だと思うけど、そんなに気負い過ぎると体に毒よ」

ゼロ「中々良い事を言うな、アッシュ」

アッシュ「それ程でも~あります」

エール「調子が良いんだから」

 

そこにシエルとプレリーが入って来る。

プレリー「皆、お疲れ様」

シエル「私もずっとモニターでリヴァイアサンを見たけど、凄い大きさだったわね」

ゼロ「確かに、俺もあそこまで大きい奴は初めてかも知れない」

アッシュ「とか言ってゼロさんってもっと大きいのと出会ってたりして」

ゼロ「かも知れん」

アッシュ「冗談で言ったつもりなんだけど……」

 

プレリー「勿論皆頑張ったと思うけど、ゼロがやっぱり本当に凄かったわね」

グレイ「勇姿を見れなかった……」

ゼロ「茶化すな。別に大した事は無い……褒めるならシエルが作ったフォームを褒めてやってくれ。あの2つが無ければ今回の作戦は無理だった」

シエル「でもゼロ、それを使いこなす貴方はやっぱり凄いのよ」

ゼロ「……」

何か納得いかない、と難しい顔をするゼロ。

 

シエル「タイタスフォーム、早速役に立ったみたいで良かったわ」

プレリー「あの最後のパンチ、迫力満点だったわね。あの巨体を気絶させた位だから余っ程よね」

ゼロ「タイタスフォームでの破壊力は凄まじい物だ。これからも使える場面が沢山あるだろう」

シエル「ゼロのフォームも、ヴァンの装備も、少しでも皆が楽出来るよ様に私達も頑張るから」

プレリー「皆も、負けないでね」

 

4人「当然!」ゼロ「当然だ」

 

最後は綺麗にシンクロしたゼロ達であった。

 




忙しいのに何か早く書けました(爆)
最近は普通に電車内で書いてるからですかね。家に帰ると忙しいのでやっぱり書く時間が……って感じなので。このペースで書ければ良いのですが(届かぬ想い)

今回、書いてて気が付けば何か凄く多めになってました。番外編って量じゃ無いよこれ……。

2章の番外編もこれで終わりで、次はとりあえずの設定集でお送りします。

では、次回またお会いしましょうヾ(^ω^)/


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設定集 その1

どうも。
また色々あったと言えばあったんですが結果的に大変遅れてしまい申し訳ございません。

お詫び(?)と言っては何ですがこの設定集と、第3章の1話目をお送りします。(足らねぇだろ!)
設定集と言っても、軽いあらすじと世界情勢やゼロ達の情報ですね。

追記 2章の名前を変更しました。
とりあえずの設定なのでまだまだ訳分からない場所等があると思いますのであれば御手数ですが是非とも指摘をお願いします。

では、どうぞ。


※公式設定、本編にも書いてあるのと同じ説明をするのが大半だと思うので、そんなの(いら)ないですという方は飛ばして下さい。

 

 

※この作品におけるゼロはロックマンX6のとあるEDで眠りにつき、そして時を経てシエルの手により蘇った設定になっています。X6以降の武器等は公式の設定を借りてロクゼロ時代にシエルが作った事にしております。

 

 

 

主要人物紹介

 

ゼロ

 

言わずと知れた伝説の紅き英雄。その正体はかつて何度も世界征服しようとしたDr.ワイリーの最後に作ったDWN(ワイリーナンバーズ)と呼ばれるレプリロイド。

後にエックス達とイレギュラー戦争から妖精戦争においてシグマ等の沢山の敵達と戦い世界を守ってきた存在。

とある戦いの後に眠りにつき、そしてシエル達により目覚めさせられて物語はロックマンゼロへと続いていく。

 

 

シグマが引き起こした妖精戦争の最後、ラグナロクによる最終決戦の後ラグナロクの破片と共に大気圏で燃え尽きたかと思われたが、幸運にも生還しており、グレイとアッシュがとある遺跡でオメガと戦闘になった時に戦闘の衝撃により目が覚める。

 

そして今に至り、再び世界を破壊しようとする宿敵バイル達との戦いにガーディアンの一員として身を投じていく事になる……。

 

 

後に知る事になるが、彼はオリジナルのゼロでは無くそのコピーである。その事について考える事もあったのかも知れないが、レジスタンスの皆やシエルに支えられてオリジナルボディを使っていたオメガを自分の手で葬った。

 

彼の信念は自分の信じる者の為に戦う事である。例え自分が伝説の英雄の模造品(コピー)なのだとしても、彼はゼロとして戦う。

 

 

性格

 

基本的にクールであり、どんな時も冷静な構えが特徴。昔は感情等を全く感じさせなかったが、シエル達との交流を経てずっと昔の自分の様な熱い部分を見せる様になっていった。

ロクゼロ4よりも更に丸く優しくなっており、ヴァン達の頼れる先輩として引っ張っていく存在となる。何だかんだで断れない人になっているのも特徴で、随分変わったとも言われるがシエル曰くはこれが本来の彼なのかも知れない、との事。

あまり感情を出さないのは昔から変わらないが、シエルには特に、ヴァン達にも柔らかな微笑みをしたり、自分の過去を懐かしむ等自分の親友であり同じく英雄であるエックスの様なヒトに近い感情が芽生えている。

 

※ロクゼロの設定では昔の記憶は全て忘れている事になっているが、ラグナロクで落ちた時の衝撃かどうか不明だがふとした時に過去の記憶が蘇る所がある。

 

本人は無自覚なのだろうが、シエルをとても大切に思っており時には溺愛レベルだったりする。

 

 

シエルが彼に入れた「ゼロバッチ」という物が彼にどういう影響を及ぼすのか、まだ完全には不明。食事が出来る様になったらしいが未だにエネルゲン水晶を摂取している為に食べられるかどうかは分からないらしい。

 

 

戦闘面・戦闘スタイル

 

近接のエキスパートであり、彼の象徴とも言えるゼットセイバーと敵からラーニングした沢山の剣技を手にどんな物であろうとも真っ二つにする正しく英雄の名に相応しい戦闘能力を持つ。

バスターの腕もかなりの物で、シールドブーメラン等の遠距離武器も使い、シエル達が作り出した様々な武器を使いこなして敵と戦っていく。

 

沢山のアーマーを持つエックスの様にシエルが生み出した「フォーム」を使い分けて戦うのも特徴である。

 

 

インファイターであり、ヒット&アウェイが得意。その機動性は誰よりも優れており回避しまくって戦う。万能な強さを持ち、戦闘面でもヴァン達を常に引っ張っていく。

 

 

使用武器

 

ゼットセイバー;ゼロのメイン武器。とにかくこれで斬っていく。片手剣であり、基本的にこれともう1つの武器を分けて戦う。

 

存在するのは彼の1本のみ。伝説の武器として、彼の象徴としていつも彼のそばにある。(作中の二刀流の時に使用するのはこれのコピー)

 

バスターショット;遠距離でのメイン武器。特殊な物では無く一般的に使われている物と同じである(無論ゼロ様にカスタマイズはされている)が、シンプルで使いやすいのと単に使い慣れている為に変える必要が無いとの事。

 

このバスターはかつてシエルを庇い亡くなったミランというレジスタンスの形見。その想いを受け継いで彼はこれを使っているのかも知れない。

 

 

トリプルロッド;そこそこリーチの長い槍状の武器。チャージする事により柄を伸ばす事が出来、下に敵がいる状態で下に攻撃するとホッピングの要領で飛んだりする事が出来る。

 

 

チェーンロッド;柄が伸縮するビーム状の鎖で構成された武器で、敵や地形、障害物に突き刺さる性質を持ち、それを利用して敵や障害物を自分側に引き寄せたり、天井にぶら下がるといった事が可能。

 

 

リコイルロッド;トンファーの様な武器。ゼットセイバーよりも軽い為に非常に速い攻撃が可能。チャージすると爆発的なパワーを出し様々な事が可能。良くゼロはこのチャージリコイル戦法を多用する。※作者の勝手な設定です

 

 

シールドブーメラン;その名の通り盾にもブーメランにもなる変わった武器。あまり防御力は高く無いが軽い攻撃なら防ぐ事が出来、簡易的な防御に本来の使い方であるブーメランとしての使い勝手は中々良いとの事。

 

 

ゼロナックル;握力を高め物を掴んだり敵を殴ったりと用途は多い。敵の武器をぶんどる事も可能であり、威力も中々高い。

 

 

ゼロレガース;オリジナル武器(と言ってもこのレガースは常に装備している)。ゼロナックルと同様に脚力を高め、過去のゼロよりも随分高く跳躍が出来る様になっている。

 

※作者は格闘戦が中々好きな為に蹴りを良く披露する。ナックルとレガースでの格闘もある為ゼロのイメージを破壊してしまったらごめんなさい。

 

 

Vハンガー;二刀流を基本としたビームナイフ。リコイルロッドもりも素早い立ち回りが可能。

 

 

Dグレイブ;リーチの長い鎌。一度に広範囲の攻撃が可能であり殲滅には使いやすい。

 

 

※色々悩んだ結果、被ったりする物もありこれ以上の公式武器は登場させない事にしました。尚Ωブレードは公式の物とは違います。

 

 

Ωブレード;かつての宿敵オメガが自分のオリジナルボディを身に戦ってきた時に奴が装備していた武器をシエルが復元した物。

 

エネルギーの消費が大きい代わりに破壊力、リーチ共にゼットセイバーを上回る。だがそれだけでは無く、何よりもこの武器の特徴はゼロの勇気、闘志等が刃となる事である。つまりはゼロが戦意喪失していればナイフの様な大きさの脆い刃になり、逆にゼロが強い闘志を燃やしていれば大剣の様な大きさ、そして破壊力も凄まじい物となる。

 

ゼロの想いを示す武器と言える。

 

 

フォーム(現段階)

 

 

イカロスフォーム;機動性を重視した、空中戦向きのフォーム。軽い動きの反面装甲が薄いがそこはゼロの戦闘能力がしっかりカバーしておりゼロにとっても使いやすいフォームとなっている。

 

※説明が不足していましたが、X8に出てくるイカロスアーマーとは別物です。

 

 

タイタスフォーム;重装甲で、地上戦向きのフォーム。かなり重武装であり、メイン武装は強化されたゼロナックルとゼロレガースであり破壊力はかなりの物。機動性は通常ゼロよりも劣ってしまうが、このフォーム時の装甲は多少の攻撃ではビクともしない強靭さを持つ。

 

 

 

※ここからゼクス組の紹介。結構オリジナル設定が含まれている為に注意!

 

 

ヴァン

 

ヒトであり、ライブメタルの適合者のロックマンであり、現在はガーディアンとしてプレリーとエールと世界中を飛び回っていた。かつて世界をロックマンによる支配の世界に変えようとしたセルパンを倒し、エールと共に一度世界を救った英雄でもある。そして数年後、大人になった彼等はグレイ達と共闘し最後はグレイ達に任せた形ではあるがもう一度世界を救っている。

 

 

性格

 

真面目で、優しい熱血漢と主人公らしい性格。2度の大戦を終えて人間としても随分成長しており、グレイ達の先輩として頑張っている。だがかつて沢山失った自分を悔やんだり悩む事も多い。

 

機械面に強く、今まで何度も活躍してきた。かなり頭は良い模様。

 

男らしくお肉が、そして機械がとっても好き。

 

 

 

戦闘面・戦闘スタイル

 

近接が得意で、少し荒削りだがゼロにも認められている。だが遠距離は少し苦手な模様。

 

ゼロとはまた違いかなりのバリエーションのある武器を使いこなし戦う。エールとは違いコチラも近接系が多いのが特徴である。

 

 

※エールのも含めて説明

W(ダブル)ロックオン

 

2つのライブメタルを同時にロックオンする事により2つの力を同時に発動出来るヴァンとエールが使える能力であり、これを使う事により異なるモデルの組み合わせが可能。ゲームの方で出ているモデルZX、モデルHX、モデルFX、モデルLX、モデルPXという形に出来る。

ゲームでは登場しないが、今作ではオリジナル要素としてヴァンはHZ、FZ、LZ、PZとセイバー向けの方も使う。

 

モデルZとモデルXと他のライブメタルが基本だが、4属性のライブメタル同士でロックオンする事も可能。ヴァンのZ系統と共に後に登場予定。

 

尚ロックマンゼクスアドベントのラストでエールとグレイを逃がしたモデルZは生存して帰ってきています。

 

 

 

 

エール

 

 

性格

 

ヒト。ヴァンと同じくガーディアンの一員でライブメタルの適合者の1人。

 

ヴァンを熱血漢だとか何だとか言っているが彼女もお人好しの正義感の強い女性である。

 

2度の戦いの中で精神的にも成熟してきたが、ヴァンに同じく未だに過去の事件を引きずっている。

 

基本的には常人であるがやや天然気味な所があり、皆にツッコまれる事も度々ある。

 

甘い物と小動物が好き。

 

一応アッシュ同じく男勝りな性格をしており一人称はアタシであるが、ゼロが居る前ではちゃんと私になり敬語になる(と言うか基本そう。本作においてもまだ一人称で言った事は無い)

プレリー曰く昔はもっと元気があったというが、色々あったのに加え大人になった事により口調も立ち振る舞いも落ち着いた感じになっている。

 

 

戦闘面・戦闘スタイル

ヴァンとは逆に遠距離が得意で、射撃の腕はゼロも感心する程である。

ただゼロ曰く近接面では勢いが足りないとの事。

 

武器もヴァンとは対局的に遠距離系が多く、ガーディアンの艦防衛戦の後にシエルから受け取ったフレア・ランチャーがお気に入り。

 

 

※ここからはゼクスアドベント組。本作の展開に合わせる為にヴァンとエールよりもかなりオリジナル設定が含まれています、注意!

 

 

グレイ

 

とある研究所で作られたレプリロイド。マインドコントロール中のコールドスリープ状態だったが、とある事故でマインドコントロールが済む前に目覚めてしまいそこから彼の物語が始まる。

 

その後はハンターベースに拾われ、アッシュと同じくモデルAの配達の仕事中に敵に襲われるが、生きたいという想いがモデルAを覚醒させてライブメタルの適合者となった。

 

その後はロックマン達による争いを戦い抜き、元凶であるマスター・アルバートを倒して全てを終わらせた。

 

マスター・アルバートとの戦いが終わった後はアッシュと共にハンター稼業に勤しんでいたが、イレギュラー達による事件が頻繁に起こり更なる被害を危惧したプレリー達ガーディアンに依頼されて一時的に協力する事になった。

 

 

性格

 

レプリロイドとして生まれ、更には生まれた直後から狙われ続けてきた為に警戒心がかなり強く、誰かと仲良くする事が難しい性格だったが様々な出会い、そして戦いの中で成長していった。今でも昔の名残か警戒心が強い所は残っているが丸くなっており本来の優しい一面が出て来ている。

 

ロックマンに選ばれた当初はあまり戦う事に乗り気では無く、かつて自分が何なのかと悩んだ事もあったが、自分は自分だと迷いを捨て、自分の為にも、そして自分の居場所を与えてくれた人達の為にも戦う事を決めた。

 

昔の自分を戒めて、まずは疑う事では無く信じる事から始めようと頑張っている模様。

 

ヒトとレプリロイドを差別する奴が嫌いで、ヴァン達4人の中ではバイルの言動に対し1番怒っている。同じレプリロイドでありながら英雄であり、更にヒトとレプリロイド両方の為に戦うゼロをとても尊敬している。

 

 

マスター・アルバートとの戦いを終え、精神面も成長したが、本作において3章の始まりにて彼の心はズタボロになってしまう……。どうなるかは後の展開にご期待下さい。

 

 

ヴァンに教えられたのか、機械が好き。それと以外にも辛い食べ物が好きらしい。

 

 

戦闘面・戦闘スタイル

ヴァンとエールみたく遠近が得意だとかには分かれておらず両方そつなくこなす。

 

全対面を見ての冷静な判断が得意だが、逆に咄嗟の判断は少し苦手な模様。

 

※更に詳しい情報やトランスはアッシュの説明の後に載っています。

 

 

 

アッシュ

 

ヒト。小さい時からハンターとして活動しておりかなり凄腕のハンターと有名になっている程。

 

とあるハンター仕事の後にグレイを発見し、後に共にレギオンズと呼ばれる世界を治める組織にモデルAの運搬仕事を頼まれたが、途中で襲撃を受けてグレイと共に死にたくない想いからモデルAが覚醒しロックマンとなる。

 

 

後に判明したが、アッシュはマスター・アルバートがまだ三賢人になる前に生み出した彼のコピーであり、その事実により困惑したがグレイみたくアタシはアタシだと自分の意志を貫き、全てを終わらせる為に戦う事を決意。

 

グレイと共にロックマン達との闘争を戦い抜き、自分にとって因縁のある相手であるマスター・アルバートを打ち倒した。

 

 

性格

 

 

サバサバと気さくな性格で、明るい事もあり知り合いは多い。本人にその気は無いみたいだが、曲がった事は嫌いで行動力共に正義感が強い。

長いハンター生活が影響しているのお金にはがめつい所があり、仕事を選ぶ事もあるみたいだが何だかんだで頼み事を断れない所があるらしくお人好しな性格とも言える。

 

 

ハンターベースに来る前の過去の記憶が無く、家族やその頃の友人はイレギュラーの襲撃で全て失った事を知ったが全く覚えていない事もありヴァンとエール程の失った痛みを持っていない模様。

 

他人に何かを勝手に決められるのが1番嫌いな事で、自分の人生を物語だと言う。その為運命という言葉を振りかざす奴は許せないとの事。

 

 

戦闘面・戦闘スタイル

グレイと基本的に同じで遠近両方ともこなす。グレイと違い全対面を見て戦うのは少し苦手だが咄嗟の状況での閃きはかなりの物。

 

 

 

 

トランス

 

グレイとアッシュの特殊能力。今まで戦った相手のDNAデータを読み込む事によってその対象に変身出来る。本来自分が出来ない事、やりにくい事(飛行、泳ぎ、過酷な環境下においての活動)等が出来る様になる非常に優秀な能力。

 

原作に出てくるボス達のトランスはアッシュとグレイ共に同じだが本作においてはシエルから貰っているDNAデータが違う為に、当たり前だがトランスする相手が違う。

 

尚、共通しているアッシュとグレイのトランスは同じ能力では無く技等に違いがある。

 

 

 

 

 

プレリー

 

レプリロイドであり、ガーディアン2代目艦長。ヴァンとエールと共に世界を回ってイレギュラーの事件を解決している。

 

艦長として厳しい命令を下さなければならない事もあるが、彼女の性格上とても辛い模様。

 

彼女が居る艦長室には姉の写真、そして懐かしみのあるぬいぐるみが置いてあり、ゼロはそのぬいぐるみで思い出したが彼女はかつてシエルの妹分だったアルエットである。

 

失踪したシエルに代わり艦長を務めていたが、彼女が戻ってきた本編でも続いて艦長を務める。

 

艦長を離れれば普通の女性らしくファッション等が好きらしい。尚今でもシエルをお姉ちゃんと、ゼロの事を兄貴分として慕っている。

 

 

 

シエル

 

ヒト。何と9歳の時にコピーエックスを作り、後にライブメタルも作る事になる天才科学者。

 

とても優しい性格であり、イレギュラーとされて処分されていくレプリロイド達を助けたい一心でレジスタンスを設立してコピーエックス率いるネオ・アルカディアと戦っていたが、圧倒的な戦力差に追い詰められて、最後の希望として伝説の紅き英雄の元を訪れる。

 

ここからロックマンゼロの物語は始まる。

 

 

ゼロの協力もあり、コピーエックスを打ち倒した後も同じレジスタンスであるエルピスという男が再び世界を破滅に導く事になりかけたがこの野望もゼロが阻止。

そこからはゼロ達とネオ・アルカディアの総統になったバイルとの戦いになっていく……。

 

 

ラグナロク決戦の後、ガーディアンを設立し初代艦長として活動。ゼロの行方を追いながらもラグナロクの破片、バイルが宿ったモデルVの研究をして現在ヴァン達が使うモデルX達を作り出した。だがその研究中に行方不明になり代わりにプレリーが艦長となっていた。

 

まだ機械生命体となり生きていたバイルによりとある場所に捕えられてコールドスリープ状態にあったがゼロ達により救出。目が覚めた当初は記憶を失っていたがゼロを、バイルを見て全てを思い出した。それからはガーディアンに協力し、ゼロ達の装備を作り出したりと天才に名に相応しい活躍を見せている。

 

 

他が余裕で気付く位あからさまにゼロに好意を抱いているがゼロは果たして……?

 

 

ゼロはともかく彼女は人間であり、本来ならば寿命により生きていないのであるがコールドスリープ状態だった為肉体年齢的には20代だが実年齢は数百歳を超えている。

 

本人には全く自覚が無いがプレリーも含みかなりの美女である。中々良い体付きをしている為にエールやアッシュから羨ましがられているらしい。

 

えっ、ロリバb……グギゴガガガガ……アカルイミライヲー

 

 

 

エックス

 

かつてゼロと共に戦ったモデルXのモチーフにもなっている伝説の英雄。

ロックマンゼロ3のEDでサイバーエルフの体が持たない事をゼロ達に告白した後、ゼロ達とハルピュイア達に世界を任せて、ファントムと共に消えていった。

 

 

本作ではゼロの夢の中に度々現れて彼の悩みを聞いたりアドバイスを送る存在として現れる。

 

 

四天王

 

賢将ハルピュイア、妖将レヴィアタン、闘将ファーブニル、隠将ファントムの事を指し、オリジナルのエックスのデータを基盤として誕生した4人の戦士である。かつてネオ・アルカディアに属してエックスを守護していたが後にエックスがゼロに打ち倒された為にネオ・アルカディアからは離別して動いていた。

 

レプリロイドとしての役目を終えた後はボディをとある場所に封印されていたがバイルにより復活されられて、その時に記憶を消されている。

 

本作ではバイルに洗脳されてゼロ達を排除する対象にした為に何度もゼロ達の前に立ちはだかる。

 

ファントム以外はオリジナルのボディであるがファントムはゼロと同じく模造品(コピー)の模様。本物のファントムは今でもサイバー空間と呼ばれる場所でエックスを守護している様だが……?

 

 

バイル

 

ネオ・アルカディア所属の狂気の科学者。とある事故の責任を負わされて半分人間半分レプリロイドと永遠に死なない体にされた。

その為に人間もレプリロイドも全てが彼の憎悪の対象となっており、世界を破滅させようとする。

 

相変わらずのしぶとさを見せて復活し世界破壊(ブレイク・ザ・ワールド)を企んで、四天王や大量の部下であるバイルナンバーズを作り出しガーディアンと戦う。

 

 

彼が今回の黒幕であり、世界を操ろうとしている事は間違いないが、どうやらバイルもまた……?

 

 

 

その他軽い用語説明

 

イレギュラー

 

ロックマンXでのイレギュラーとは電子頭脳に支障を来たし、人間や他のレプリロイドに危害を加えるようになったレプリロイド、メカニロイド類の総称の事を指す。そしてそれを排除するのがエックスやゼロ達イレギュラーハンターであった。

 

ただロックマンゼロからは定義が変わり、ネオ・アルカディアはイレギュラーになった者だけで無くイレギュラーの疑いがある者を片っ端から処刑していった為にもう昔の定義はすっかり無くなっている。そしてシエルはイレギュラーの汚名を着せられたレプリロイド達とレジスタンスを結成。

 

レジスタンス

 

上述の通りだが、ゼロが活躍し段々と大きな組織へとなっていく。最終的にはガーディアンに成長しシエルが初代艦長として就任する。

 

 

ライブメタル

 

シエルが作り出した自らの意思を持っている謎の物質。選ばれた者がロックオンをする事によりそのライブメタルに宿る英雄の力を使う事が出来る。その力を発動出来た者は正義の為に使うか、支配の為に使うかの2極になるとされている。

 

 




とりあえずの設定。解説も込めて本編では語られなかった話等も入れました。

あくまで2章終了時の物なのでまた追加の設定の話があると思いますので、その時は今回と同じ様な感じと思って貰えればと思います。

では、次話から3章が始まります。
次の話でお会いしましょうヾ(^へ^)/


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~世界崩壊編~
-決死の海底基地戦-


どうも。前の設定集での前書きでもありましたがまぁ色々ありまして、でも約3週間ぶりと非常に更新が遅れて本当に申し訳ございません。体調崩したり学校の話であったり……。

まぁ自語は置いといて、今回から3章。そしてここからが本編の始まりとなります。

では、どうぞ。


~艦長室~

ゼロ達はプレリーに呼び出されていた。

 

プレリー「皆分かってると思うけど、いよいよ今をもって例の海底基地に突入を命じます」

ゼロ達はコクリと頷いた。

 

プレリー「危険だと思うけど、貴方達なら大丈夫だって私は信じてるから」

シエル「くれぐれも無茶だけはしないでね」

 

 

近場まで転送して貰った後は自分達の足で目的地まで向かう。

陸を進み、海に着いたゼロ達。

 

ヴァン達はモデルLXとL、ゼロはタイタスフォームで進んでいく。

 

ゼロ「あれか」

しばらく進むと、例の基地が見えて来た。

グレイ「結構大きいですね」

ヴァン「バイル達が居たとなれば納得だな」

エール「ところで……やっぱりこれ罠だよね?」

アッシュ「まぁ敵にわざわざ自分達の居場所を教えるなんて事しないだろうから罠で確定だと思うわよ。私達が来た所を一斉に狩る、みたいな?」

ゼロ「だが、俺達は先に進むしかない。例え罠であったとしても」

 

ゼロが言った事は皆も同じ気持ちだった。

 

 

 

MISSION カイテイキチへのシンニュウ

 

MISSION START!

 

~海底基地~

ゼロ「海中に入口があるとはな」

常に警戒しながらも、恐らく玄関であろう場所を探索するゼロ達。

 

 

ヴァン「分かりきっていた事ですけど、誰も居ないですね。罠って事で確定だ」

ゼロ「罠は罠だろうが、誰も居ないと決まった訳じゃない……恐らくナンバーズは無数に居る。捨て駒として配備されている可能性は十分にある」

エール「捨て駒……」

 

ゼロ「行くぞ。なるべく止まらずにな」

 

ゼロを先頭に奥に進んでいく。途中何度も大量のイレギュラー達が待ち受けていたが、雑魚ばかりだったのですぐに蹴散らしながら進んだ。

 

 

 

 

エール「ここって何処なんだろう……」

しばらくしてからエールが言った。

ヴァン「ずっと進んで来たのは良いけど、あまり景色が変わらないな」

アッシュ「ひ、広過ぎでしょ……」

グレイ「この基地の全貌を先に見ておくべきだったな……そしたら大まかな位置が分かったかも」

ゼロ「だがまだ行き止まりという感じにもなっていない。それに戻ればまたイレギュラーどもと戯れる事になるぞ」

4人「それはそれで嫌だ……」

 

良くシンクロする4人。

 

ゼロ「そうだ」

ふとゼロがGATを手に取った。

ゼロ「……駄目か」

どうやらプレリーに連絡を取ろうとしたのだろうか、だがすぐに諦めたらしい。

ヴァン「繋がらないとなると、ここは結構深い場所って事になりますね」

ゼロ「そういう事だな」

 

ここが何処なのか分からないが、それでもゼロ達は止まらずに先に進む。

 

更に進む事数十分、ゼロ達の前には扉がある。

ゼロ「どうやら前に進むのはここだけらしい」

ヴァン「行くしかないか……」

 

だが、強固なロックが掛かっている様で開かない。だがロックを解いている時間は無いので……

 

ゼロ&ヴァン「はぁぁッ!」

2人のチャージ斬りが扉に炸裂し、壊れる。

 

アッシュ「2人共気が早い事で」

グレイ「しょうがないだろ」

ゼロ「行くぞ」

 

皆が入った後、エールはすぐ近くに貼ってあったのだろうが落ちてしまっていた貼り紙を見付ける。拾って見てみると……

 

エール「絶対入るな!ミジニオン……何これ?」

 

 

 

 

ゼロが扉を開くと、大きく開けた場所に出た。とても広く、タンクらしき物が縦横に並んでおりパイプ同士の間にはとても広い間があった。

 

そしてお決まり、さっき開けた扉が閉じた。

ゼロ「構えろ、来るぞ!」

 

 

咄嗟にゼロが警告したので皆構えるが……

 

ヴァン「……来ませんね」

エール「来ないね」

 

ゼロ「……確かに来ないな」

グレイ「まぁ、扉が閉じると何か来るっていう気持ち分かりますけどね」

アッシュ「お決まりのパターンだけど、今回は違うみたいね」

 

ゼロ「こんな所で時間を食われる訳にはいかん。とっとと抜け出す方法を探すぞ」

 

???「その必要は無い!」

5人「!?」

 

突然の声に5人は慌てて構え直す。1番前に居たゼロの少し遠い前の方に何かが居た。

 

ゼロ「……お前は誰だ」

???「全く……ワシの研究所に勝手に入るなと書いてあっただろう!」

ゼロ「質問に答えろ」

インフィニティー・ミジニオン(以後ミジ)「ふん!ワシの名前はミジニオン……科学者だ!」

ゼロ「科学者がこんな所で何をしてる?」

 

ゼロの言葉にミジニオンは興奮して、

 

ミジ「科学者が研究所で研究以外にやる事があると思うか?あのバイルとかいう男から生き返らせて貰ったのは良いがワシの作ったレプリロイドは(ことごと)く認められんかった。だからこうしてあの男が満足する様なレプリロイドを作ってやっているのだ!仕方なくな!」

 

ゼロ「……」

ミジ「何やら外がうるさかった感じはあるが、皆がどうしようとワシには関係無い。研究はワシにとって生き甲斐の様な物だからな!」

 

ここでゼロさん1つ思う。

 

ゼロ(コイツ……もしかすると)

4人(置いて行かれたんじゃ……?)

 

どうやらヴァン達も同じ事を考えていたらしい。

 

ミジ「ワシの研究所に土足で踏み込んだからには容赦はせん、覚悟!」

 

ここでゼロが呆れた様に言う。

 

ゼロ「……勇んで戦うのは良いが戦力差という物を考えたらどうだ?」

ミジ「考えてないと思ったか?後ろの4人にはワシのイルミナが相手だ!」

 

ゼロ「イルミナ……?」

ミジ「()でよ、イルミナ!」

 

 

ミジニオンがそう叫ぶと、何とミジニオンの後ろから巨大なロボットが現れた。

ヴァン「お、大きいな……」

エール「前に戦ったリヴァイアサンに比べたらマシな方だね」

 

ゼロ「4人とも、やれるな?」

グレイ「こっちは僕等に任せて下さい!」

アッシュ「そっちもそのミジンコに負けないで下さいよー?」

ゼロ「当然だ」

 

ゼロはミジニオンと、少し遠くの方でヴァン達と巨大レプリロイドのイルミナが戦闘開始。

 

side4人

 

ヴァン「まずは様子見か……」

エール「第一波、来るよ!」

イルミナが手を前に出すと、そこから無数の光線が射出された。

 

グレイ「これ位……って今度は何だ!?」

 

イルミナの腕が開くと、そこから大量の飛行型レプリロイドが出現した。そのレプリロイド達も弾幕を貼るが、数が数だけにかなり濃い弾幕となっていた。勿論イルミナも攻撃をして来る。

 

ヴァン「これは何かの避けゲーか!?」

エール「弾幕が、濃いッ!」

グレイ「雑魚敵を排除しながらアイツの攻撃も避けて、大忙しだな」

アッシュ「あのイルミナとかいう奴を攻撃する間が全く無いんだけど!?」

 

エール「そもそもバスターが効かない!」

アッシュ「どういう事!?」

エール「何かのバリア的な奴がある」

 

それを聞いてヴァンは周りを見渡す。

ヴァン「アレだ、イルミナの近くにある4本の管……アレが恐らくエネルギー供給源だと思う」

グレイ「先にアレを破壊しないといけないのか……タダでさえ攻撃が激しいっていうのに」

 

エール「少し距離があるけど私なら簡単に破壊出来ると思う。時間稼ぎお願い出来ないかな!?」

グレイ「時間稼ぎか……だったら!」

アッシュ「暴れるわよ!」

ヴァン(こういう多数の敵の時に2人のモデルA、ホーミングは役に立つな)

 

エール「今の内に……ファイア!」

グレイ達が場を荒らしている間にエールのライフルが確実に管を破壊した。

 

エール「やった!」

すると辺りの防御壁が消えた。

ヴァン「ナイスだエール!後は本体を叩くまでだな。問題はこの雑魚達をどうするかだ……」

 

 

sideゼロ

 

ミジニオンが無限に出して来る泡を破壊しながら、尚且つミジニオン自体が出すビームも避けたりとコチラも結構忙しいゼロ。

 

ミジニオンは自分が出した泡に隠れてゼロに攻撃をするのだろうか、一向に出てこない。

 

ゼロ(向こうも向こうで大変そうだな……)

チラリとヴァン達の方を確認する。

 

ミジ「余所見とは余裕だな!?」

ゼロの周りを漂う泡を盾に動き回っていたミジニオンがビームを放つ。

完全に不意打ちという形になったものの、ゼロの優秀な反応速度がこれを許さなかった。

 

ゼロ「そこか!」

すかさずシールドブーメランを構え、これを防いだ後ミジニオンの方に投げ付ける。

 

ミジ「チイッ!」

ミジニオンも軽い動きでこれを避ける。

 

ゼロ(体が小さい分素早いな……この泡も無駄なまでに耐久力があるし当たるとダメージもある)

 

正攻法ではどうにもならなそうだ。

ゼロ(何にせよこの泡が邪魔過ぎるな、イカロスフォームが使えん)

タイタスフォームなら装甲を活かした突撃で何とかなるかも知れないが攻撃が当たるのとはまた別だ。足が遅いと奴の身軽さには勝てない。

 

ここは通常状態で戦うのが無難だろう。

 

 

 

side4人

ヴァン(ゼロさんもやってるな……)

遠くの方で例のミジンコと戦っているゼロ。

 

エール「どうするヴァン!?このままじゃ埒が明かないよ!」

ヴァン「アッシュ、グレイ!今ここに居る雑魚を蹴散らす手段は?」

グレイ「幾らでも!」

アッシュ「お易い御用!」

 

ヴァン「良し、なら雑魚を……出来るならイルミナの攻撃阻害も出来るのなら頼む!」

エール「私達でイルミナを止めるんだね?」

ヴァン「あぁ」

 

自分達はこんな所で足止めを食らっている隙は無い。エネルギーも温存したいし、とっとと終わらせた方が後の為でもある。

 

アッシュ「グレイ、分かってるわよね?」

グレイ「当たり前だろ。やるぞ!」

2人の中では既に作戦がまとまっていたらしい。

 

グレイ&アッシュ「トランスオン!」

 

2人がなったのはコンドロック。

ヴァン「……うん?」

エール「あの2体って……」

前のリヴァイアサン戦で見せたデュオ。

 

やったのは……簡単に言って超うるさいやつ。

2人がやる事が分かったヴァンは咄嗟に叫ぶ。

ヴァン「ゼロさーーん!!!耳塞いでー!!!」

 

 

sideゼロ

ゼロ「は?」

突如聞こえたヴァンの警告に思わず妙な返事をしてしまった。

そして見えたのはコンドロックにトランスしているグレイおアッシュ。

 

ゼロ(アイツ等……まさか!)

一旦ミジニオンから離れて耳を塞ぐ。

 

ミジ「ん?何だ?」

 

次の瞬間、

グレイ&アッシュ「ウルトラデスボーイス!」

 

2人のギターから奏でられる超音波がこの広い部屋全体に鳴り響く。

ヴァン「相変わらず……凄いな……!」

エール「分かっていても……うるさい!」

 

一方、

ミジ「ぬおぉぉぉぉぉ!?」

ゼロ「くっ……うるさいのもあるが、ネーミングセンスはどうにかならんのか」

 

変な所を気にするゼロさん。

 

 

その超音波の効果は絶大で、大量に居た雑魚敵は機能を停止し、イルミナも動きが止まった。

 

グレイ&アッシュ「トランスオン!」

今度は2人共モデルHに。機能停止になっているのはほんの少しだけなので後は自分達で葬る。

 

ヴァンとエールも駆け出していく中、ゼロとミジニオンも再び戦闘開始。

 

 

モデルHでひたすら斬り刻むグレイとアッシュは、

 

グレイ「これで全部か!?」

アッシュ「終わったわよ!」

 

すぐに雑魚敵の殲滅が終了。

 

グレイ「後は……」

 

 

エール「ヴァン!」

ヴァン「まずその腕、貰ったぁ!」

 

それぞれ片腕ずつたたっ斬る。

ヴァン「内面を剥き出しにすれば!」

 

胸からお腹の部分にかけて斬り、中を開ける。

 

そこでグレイとアッシュが戻って来た。

ヴァン「ありがとう、2人のおかげで何とかなった。後は、とどめを刺すだけだ」

グレイ「楽でしたけどね」

アッシュ「そんな訳でとどめは私が貰うッ!」

エール「どんな訳よ……」

 

ヴァン「全員でやりゃ良いだろう、全員で」

 

という事(?)で4人のチャージバスターが決まり、イルミナは確実に破壊された。

 

 

 

sideゼロ

ゼロ(アイツ等、やったみたいだな)

ミジニオンと戦いながら破壊音からそう思った。後は自分がやるだけだ。

 

ミジ「おのれ……ワシの可愛いイルミナをやってくれたな……!?」

ゼロ「……あんな破壊するだけのレプリロイドを可愛いとはな」

ミジ「許さんぞ……こうなったら貴様等全員ワシの実験台にしてやる!」

ゼロ「それは勘弁だな」

 

奮い立って様々な攻撃を仕掛けて来るが、ゼロにはもう読まれていた。

 

ミジニオンが泡を出した瞬間に、

ゼロ「氷月刃!」

氷を纏った真空の刃がセイバーから出て、泡に当たると泡の全てが凍り付いた。

 

ミジ「!?」

ゼロ「バーニングショット!」

即座に炎の弾を放ち溶かす。

 

ミジ「は?」

突然の謎行動にミジニオンは訳分からずに呆然とするしか無かった。

 

ゼロ「泡を出し過ぎたのが仇となったな……エレメントチップ、サンダー!クロールシールド!」

雷を纏ったシールドブーメランが地を這いながらミジニオンに向かう。

 

ミジ「そんな物当たらんわ!」

ゼロ「当たらなくて良い」

ミジ「何ッ……あがががががッ!?」

ゼロ「終わりだ」

 

ダッシュ斬りで真っ二つにしてお終い。

 

 

振り返ると、ヴァン達が走って来るのが見えた。

ヴァン「ゼロさん、終わったんですね」

ゼロ「あぁ」

エール「見てましたよ、お見事でした」

ゼロ「お前達もな。良いチームワークだったぞ」

 

グレイ「最後ゼロさん何してたんですか?何か凍らせたり燃やしたり……」

アッシュ「グレイはまだまだね」

グレイ「何だよ、アッシュは分かってるのか?」

アッシュ「勿論。泡を凍らせて即座に燃やしたのはミジニオンの近くに水分を作る為で、その後雷技を放つ事で感電させる事が目的だった訳ですよね?ゼロさん」

ゼロ「正解だ。安全にやる為にクロールシールドを選択した訳だ」

グレイ「なるほど」

アッシュ「どやぁ」

グレイ「……ハイハイ」

アッシュ「何その反応!?」

 

ゼロ「茶番は後にしておけ。先に進むぞ」

ヴァン「そうですね」

グレイ&アッシュ(茶番……)

エール「あはは……」

 

 

ミジニオンの研究所内にあったエレベーターを使い下に降りる。

 

グレイ「とりあえず下には降りられましたね」

ヴァン「にしてもこのエレベーター、随分使われてないな。緊急用か?」

エール「ちゃんと下に降りる手段はあったのかもね……私達結構迷ってた感あったし」

アッシュ「随分遠回りした気もしなくも無いわね。まぁ結果オーライって事にしましょ」

ヴァン「そうだな。しかしこのエレベーター、何処に向かうんだろうか」

ゼロ「分からん。このまま最下層まで行って流れで最奥部まで行ければ良いんだが」

エール「そう都合良く行きますかね……」

 

グレイ「ん、そろそろ着くみたいだ」

 

 

扉が開いたは良いが敵が待ち構えている可能性も低くない。皆エレベーター内に隠れ外の様子をチラチラ覗く。

 

 

ゼロ「……大丈夫みたいだな。出るぞ」

 

ヴァン「怪しい位に静かだ」

エール「うん。てっきり扉が開いたら大量のイレギュラー達の銃撃が来てエレベーター内で戦うのかなって思ってた」

アッシュ「ぷっ、何その映画みたいな展開」

ゼロ「まぁその線も実際考えてはいた。だが何も居ないのなら好都合だ」

グレイ「……罠、ですかね」

ゼロ「罠だとしても、突破するまでだ」

 

4人(ワイルドだなぁ……)

 

 

だが、すぐに大きな部屋にて大量のイレギュラー達との戦闘が始まった。

 

ヴァンとエールはダブルロックオン、沢山の武器を状況に応じて使い分ける。

グレイとアッシュはトランスで暴れ回っている。

 

ゼロはたった今高く飛び上がり巨大な鳥型レプリロイドの首をたたっ斬った所であるが、

 

ゼロ(雑魚達の殲滅はヴァン達に任せっきりだからな……大丈夫だろうとは思うが)

 

ゼロは主に大型を相手する。大型を相手するのも楽じゃないが、雑魚達も面倒な事には変わりない。この基地に入って数時間、かなりの戦闘を行ってるので皆疲れが出始める頃だろう。

 

 

少しでも楽を、と思いバスターやブーメランでちょこちょこ群がるイレギュラー達を倒していき、勿論大型を次々と葬っていく。

 

 

ゼロ「今だ!全員進め!」

 

全員相手になんてしていたらエネルギーが幾らあっても足りないだろう。だから突破口を開いたらとっとと進むべきだろう。

 

 

 

ゼロ「皆大丈夫か?」

ひとまず追っ手を撒いたゼロ達。

 

ヴァン「大丈夫ですよ」

エール「この程度、まだまだ」

アッシュ「アタシ達そんなすぐ倒れる程弱くないわよ、ゼロさんは心配性よね」

グレイ「僕達も、ロックマンですから」

 

ゼロ「……そうか」

そう言っても皆の顔には確かに疲れが見えていた。ゼロはそれに気付いていたが何も言わなかった。自分一人の力では限界があるし、どうにしても彼等の力が必要だ。

 

ゼロ「無理は、しないでくれ」

4人にそう言った。

 

 

更に進むゼロ達。もう随分進んできたし、そろそろ一番奥に着いてもおかしくない。

 

ゼロ(問題は最後に何が待ち受けているか、だ)

 

先にあったのはメインコンピュータ室。ここがどうやら一番奥と考えて良いだろう。

 

ヴァン「うわぁ……何だこの数」

エール「凄い数のコンピュータがあるね……」

グレイ「この中から情報収集という事か」

アッシュ「時間掛かりそうね~……面倒」

 

ゼロ「お前達の言う事も分かるが、あくまで今回の任務は情報収集だ。とっとと終わらせるぞ」

4人「了解」

 

 

5人がかりで情報収集を行う。予想はしていたがかなり時間が掛かっている様子。

 

グレイ「……ん?」

何やら発見したグレイに隣のヴァンが気付く。

ヴァン「どうした?」

グレイ「これって……」

ヴァン「ッ!あった!」

 

ヴァンの声に全員集まって来る。

ゼロ「見付けたか」

ヴァン「これ、見て下さい」

エール「廃棄されたコロニーの写真だね」

ヴァン「あぁ。数ヶ月前のな」

アッシュ「今は違うの?」

 

ヴァン「……コロニーレーザー」

4人「ッ!?」

ヴァン「恐らくバイル達が廃棄状態のコロニーを改造して作ったんだと思う」

ゼロ「となると、今バイルが居るのは……宇宙」

ヴァン「そういう事になりますね」

 

アッシュ「ま、まさか……この世界にコロニーレーザーを放って全て破壊するつもり!?」

エール「同じだ……ラグナロクの時と」

ゼロ「……」

グレイ「ゼロさん……」

ゼロ「懲りずにまた、世界を破壊しようというか。それ程までに人間を憎んでいるのか……?」

4人「……」

 

ゼロ「折角……また新しく始まりだした時代を破壊しようとするのか」

 

彼の手がわなわなと震えているのが分かった。

ゼロ「そんな事はさせない……まだ発射まで時間がある筈だ!急いで破壊すれば!」

 

 

その時だった。

???「ククク……その必要は無い」

その部屋にある全てのコンピュータに奴の顔が映ったのだった。

 

ゼロ「……バイル!」

バイル「かなりの戦力を割いたつもりであったが……流石はロックマン達だ。だが君達の行動は全て無駄だったのだよ」

グレイ「どういう事だ!?」

 

バイル「今回の事で君達に私達の居場所がバレてしまったが、安心したまえ……勿論ながら罠だ」

エール「罠……?」

バイル「ガーディアン側に今君達の居る基地の居場所を教えたのも勿論同上だ。そして今君達のしている事全てがそうなのだよ」

ヴァン「それでも、お前達の居場所が宇宙だと分かった以上すぐに分かる筈だ」

 

バイル「確かにそうだ。だが、もう遅い」

アッシュ「何がよ!」

バイル「お前達は早い内にコロニーレーザーを破壊すれば何とかなると思っているのだろう?」

ゼロ「……何が言いたい?」

バイル「ゼロ、貴様のせいでラグナロクは失敗したが今度はどうかな?」

ゼロ「……」

 

バイル「君達にとっても良い事を教えてやろう。既に私達が新たに作ったコロニーレーザー、「シヴァ」の発射準備(・・・・)は整っている」

 

ゼロ「発射準備だと!?」

バイル「そのコンピュータには面白い仕掛けを施していてね。私達のファイルは開いたら情報が得られる代わりにとある機械を動かす為の電気信号を送る様になっているのだよ」

 

グレイ「ま、まさか……」

バイル「そうだよグレイ君。君が発射準備を完了させてしまったと言えるな」

グレイ「嘘だ……僕が?僕が、そんな……」

ゼロ「グレイ、落ち着け!」

バイル「今から世界全体の様子を映してあげよう……君達の艦はどうなるやら」

ヴァン「ッ……連絡しないと!」

バイル「諦めたまえ、こんな海底から繋がると思っているのか?」

ヴァン「クソッ……」

 

バイル「前の様に一撃の元に破壊しても良いのだが……今回は趣向を変えてみたのだよ」

アッシュ「趣向……?」

バイル「有毒ガスや温室効果ガスを放つのも考えたが……今回のレーザーは特殊な物でね。名付けてアブソリュート・ゼロ」

エール「絶対零度……」

バイル「直接破壊等はしないが、これが当たった物は全て凍り付く。何であろうともな」

ヴァン「この世界を……凍結させるつもりか!」

 

バイル「そう。ジワジワと、ゆっくり……命が消えて行くのを遥か空の上から見ているとしよう」

 

グレイ「や、止めろ……」

バイル「さぁ始めようか……今までのはプロローグに過ぎん。ここからが世界崩壊(ブレイク・ザ・ワールド)の始まりだ!」

 

グレイ「止めろぉぉぉぉ!!!」

 

 

 

グレイの叫び虚しく、映像が変わりシヴァであろうコロニーレーザーが映し出された。

 

そして、音も無く発射された。

 

 

 

 

グレイ「…………」

グレイは言葉が出ずにその場に崩れ落ちた。

 

バイル「ガーディアンが、世界がどうなったかは自分達の目で確認しに行くと良い。まぁ、もっとも出られたらの話だが……ククク」

ゼロ「何だと……?」

 

するとその時だった。

アッシュ「ちょっと待って!何この音!?」

エール「皆、コンピュータ!!!」

ゼロ「5分……時限爆弾か!」

 

ヴァン「逃げないと……グレイ!」

グレイ「………」

ヴァン「ッ、グレイは俺が背負って行きます!」

ゼロ「速く行くぞ!」

 

 

逃げる最中、当たり前だがイレギュラー達も邪魔してくる。グレイ1人が戦意喪失していて、それを背負っているヴァンも戦えないのでエールが援護を、ゼロとアッシュが前に出て戦っていく。

 

ゼロ「遠回りかも知れないが来た道を戻るぞ」

エール「どうしてですか?」

ゼロ「あの道はどちらかと言うと緊急用の別の道と見た。だがあの道にはミジニオン達以外は何も無かっただろう……正規の道には恐らく罠が大量に仕掛けられている可能性が高い」

 

ヴァン「あのコンピュータもそうだったし、確かにそうですね」

アッシュ「なるほど、罠に引っ掛かるより遠回りでも安全な方を通った方が結果的に速いわね」

ゼロ「今の俺達は大量の敵を相手に出来るだけの余裕は無い。急ぐぞ」

3人「了解!」

 

 

 

走り、走り、迫り来る敵の攻撃を避け、襲い掛かる敵は斬り伏せて、とにかく出口へと走った。

 

ゼロ「そろそろ出口の筈だ、皆くたばるなよ!」

 

そして……自分達が海中より入って来た入口が見えた。躊躇う事無く飛び込むゼロ達であったが、少し泳いでいてゼロも、3人も同じ違和感を感じていた。

 

ゼロ(水が……冷たい)

アーマーがあるから特にどうとは思わないが、行きとは全く違う海の温度に驚いていた。

 

ゼロ(まるで氷海の様だ)

 

 

 

 

泳ぎ、泳いで、何とか陸に辿り着いた一行はまたしても驚く事になる。

 

エール「さ、寒いね……」

ヴァン「あぁ……アーマー無しに長く居れば凍死してしまいそうだな」

アッシュ「海の温度も異常なまでに冷たかったわよね。これも……あのアブソリュート・ゼロっていうのが全部引き起こしているのかしら」

ゼロ「そうだろうな……世界がどうなっているのか分からん以上、早い所ガーディアンベースに戻ってシエル達の無事も確認しないといけない」

エール「ガーディアンベース、大丈夫かな……」

アッシュ「吹き飛んだりする様な規模の艦じゃないし、大丈夫よ」

ヴァン「とにかく、急いで帰ろう」

ゼロ「ヴァン、グレイを背負うの代わるぞ」

ヴァン「大丈夫ですよ」

ゼロ「……そうか、なら頼む」

 

 

 

こうしてゼロ達は、ガーディアンの皆と世界がどうなったのか確認する為にガーディアンベースに急ぎで帰還する事にした。

 

……そこから待ち受ける残酷な運命を感じさせるかの様に、冷たい風が吹き荒れていた。




3章始まりから何ともな展開でお送りしましたが、これからどうなるのか。ゼロ達ガーディアンは、そしてグレイは……。

今まではまだライトな展開でしたが、ここからは世界崩壊という事で結構暗めなストーリーで進めていきたいと思っております。

感想是非ともお待ちしております。では、また次の話でお会いしましょう(・ω・)ノシ


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-冷えていく世界の中で-

どうも、最近遅れ気味なM・Mです。
また大変遅れてしまっていてごめんなさい(>_<)
もうすぐ長期休暇があるのでその時にまた頑張ります……

今回からが3章本編でしょうか、息をつく間もない戦いがゼロ達を待ち受ける……。

では、どうぞ。


あれから何とかガーディアンベースに辿り着いたゼロ達。ガーディアンベースは外面こそかなり傷が入っていたものの内面は特に問題は無かった。

 

グレイを医務室に運び、ゼロ達も治療を受けた。その後、艦長室にて今回の出来事を話した。するとプレリー達から衝撃の事実を知る事になる。

 

 

ゼロ「世界全体の気温が下がっている……?」

プレリー「えぇ。温暖な所は寒冷地に、寒い所は更に過酷な寒さとなっているみたいよ」

シエル「まだゆっくりな変化だけど……このままだといつか世界全体が氷河期になってしまうわ」

 

ヴァン「止める方法は!?」

 

 

シエル「今の所……まだ私の知る限りでは、解決出来そうな方法は無いわ」

エール「そんな……」

アッシュ「シエルさんでも知らないとなると私達じゃお手上げね……」

 

シエル「ごめんなさい……」

ゼロ「別にお前が謝る必要は無いだろう。それに……まだ(・・)知らないだけだろう」

 

ヴァン「まだ、探せば何か方法があるかも知れないな。俺達ガーディアンが諦めちゃ……世界は本当に終わってしまう」

シエル「そうね、私とした事がつい弱気になっていたわ。冷やした物があるなら温める物もきっとある筈……と言うか私が作れば良いんだわ」

アッシュ「おぉ心強い」

 

ゼロ「……何とか目標が決まったのは良いが、俺達ガーディアン側は今までよりもっと辛い戦いを強いられる事になるだろうな」

 

ゼロの言葉に黙り込む全員。

プレリー「相手は宇宙から……私達はまだ宇宙の方に行く手段も無いし、上からやって来るナンバーズから世界をまた守らないといけないのね」

 

ゼロ「それだけじゃない。前まではまだ迎撃や俺達が各地に居たナンバーズを倒すだけで良かったが……今回はタイムリミットがある」

エール「ナンバーズを倒すんじゃなくて……まずはこの冷や冷やな状態を何とかしないとね」

 

アッシュ「となると……バイルが撃ったアレを破壊しなきゃいけないのね」

シエル「いや……もしかしたらアレをもう一度改造すれば逆の事も出来るかもしれないわ」

プレリー「逆に温めるの?」

シエル「恐らくだけどバイルが撃ったアブソリュート・ゼロの正体は電磁波に似たような物だと思うの。どんな物であろうとも段々と凍らせていく、という事は凍らされたら溶かせば良いのよ」

ヴァン「単純な原理だけど、そういう事だな」

 

ゼロ「何としてでも、宇宙に上がらないといけないな……昔の俺みたいに転送が出来れば良かったのだが流石にそう簡単にはいかないだろう」

プレリー「昔……ラグナロクの時ね」

ゼロ「あぁ」

 

アッシュ「でも宇宙船(スペースシップ)なんて私達じゃどうしようも無いわよ」

シエル「全世界に協力を求めましょう。もうなりふり構っている場合じゃ無いわ」

プレリー「うん。まだ生きてる主要都市の所に通達を送ってみる」

シエル「お願いね。私も色々とやりたい事が出来たから研究室の方に戻るわね」

 

プレリーもシエルも忙しそうに動き始めた。

 

残された4人。

 

ゼロ「さて、俺達だが……」

ヴァン「どうしましょうかね、まだ……グレイは目を覚ましそうに無いし」

エール「心配だね……グレイ」

アッシュ「ウチのグレイはあんなのでやられる男じゃ無いわよ、すぐ目を覚ますわ」

ゼロ「だと、良いがな……でも問題はそこじゃない。目覚めたその後だ」

ヴァン「後?」

ゼロ「バイルが言っていただろう……アブソリュート・ゼロの引き金を引いてしまったのはお前だと。決してアイツを責任じゃないが、グレイはバイルの言葉を意のままに受け取ってしまっているのでは無いかと思ってな」

 

アッシュ「責任……」

ヴァン「ともかく、グレイが目覚めない限りはどうしようもありませんね……」

 

 

指示があるまで待機、との事。

ゼロ「別に何処に行こうが構わないが、今日中には必ず帰ってくるように」

3人「了解」

 

エールとアッシュはカンナの状況を観察しに行き、ヴァンはどうやら前に行ったシロツメに行くらしい。俺は艦に残った。

 

 

 

sideゼロ

 

 

ゼロ「……」

艦橋で1人、考え事。

 

ゼロ(バイル……)

もうこれで奴が世界を破滅させようとしたのは3度目。奴が世界を恨む理由は前に散々聞かされたが、それを正当化するのはどうだろう。

 

ゼロ「貴様の勝手な我儘で世界を滅ぼされてたまるか……今度こそ、何も残る事無くこの手で斬るしかないだろうな」

 

シエル「どうして、天才はいつもそういう道に走っていってしまうのかしら」

 

ゼロ「シエル……」

 

気が付けば隣に彼女が居た。

シエル「私に気が付かないなんて、随分考え込んでいたのね」

ゼロ「……まぁな」

シエル「グレイの様子を見に行ったのだけど、まだ目が覚めないみたい」

ゼロ「そうか……その事も心配だが、目が覚めた後の方がもっと心配だ」

シエル「精神的なストレスにやられる心配ね?」

ゼロ「あぁ」

シエル「決してグレイが悪い訳じゃないわ……でも、彼は世界崩壊の原因を自分が作ってしまったと思うのも無理ないわね」

ゼロ「全てはグレイ次第だ……出来るなら、勿論の事支えてやりたいとは思うが」

シエル「ゼロだけじゃないわ、私も皆もそう思ってる。グレイの事を皆大切に思ってるもの」

 

ゼロは静かに頷いた。

 

シエル「本当に、これからどうなるのかしら。世界中の皆が不安で押し潰されそうな気持ちだと思うの……明日がどうなるかも分からないままに」

 

ゼロ「俺達は、俺達に出来る事をやるだけだ。例えどれだけ絶望しようとも……諦めたくない」

シエル「そうね。私達が諦めたらお終いだもの」

ゼロ「負けないさ……俺が居る限り、奴の好きにはさせない」

 

恐らく遥か上に居るのであろう宿敵を見つめるかの様にゼロは空を見上げた。

 

 

 

 

 

sideエール&アッシュ

 

とりあえず最大の商業都市でもあるカンナを見に来たエールとアッシュ。

 

アッシュ「見た所は大丈夫そうね」

エール「まぁ直接破壊をした訳じゃ無いみたいだからね。でも今はゆっくりでもいつか必ず……内側から全てを凍り尽くすよ」

アッシュ「ここは世界一の商業都市だから、ここが機能停止したら世界全体が大変な事になるわ」

エール「そういう事。だから早く私達が何とかしないとね」

アッシュ「そうね……」

エール「もう少し中を見に行こっか」

アッシュ「えぇ」

 

 

 

 

sideヴァン

 

シロツメにやって来たヴァン。ここもシヴァの被害は大きいらしい。

 

ヴァン「……まずはブルー長官に会いに行こう」

 

政府を訪れたヴァンは、早速ブルーの仕事室に迎えられた。

ブルー「そうか……シヴァ、それに宇宙。今までより更に規模の大きい話になってきたな」

ヴァン「はい。バイルはここからが本番だと言っていました」

ブルー「今までは本番を始める為のプロローグでしか無かったという事か」

ヴァン「恐らくは」

 

ブルー「バイルめ……」

ヴァン「まだ被害は少ないとはいえ、このまま時間が経てば世界全体の人間が飢え死に、抵抗するレプリロイドは処刑されるだけです」

ブルー「うむ……世界の問題もあるが、何よりも奴等の居場所が宇宙にあるのも問題だ。ガーディアンでも流石にどうしようもないだろう?」

 

ヴァン「……そうですね」

ブルー「……すぐにガーディアンと、世界中の都市や国家の代表者が集まって話し合う必要性があるな。早急にこれからを相談し合わねばならん」

ヴァン「艦長に伝えておきます」

ブルー「頼む」

 

 

政府の建物から出たヴァンは、少し考え事をしながら真っ先にあの場所(・・・・)へと向かった。

 

 

ヴァン「……ん?」

 

現在時刻は夕方。いつもなら行列が出来ていてもおかしくは無いが、人1人居なかった。

 

ヴァン(やっぱりか……)

あの定食屋を訪れたヴァンであったが、どうやら閉まっているらしい。

 

諦めてその場を立ち去ろうとしたが、

リン「お兄ちゃん!」

ヴァン「!」

少し懐かしいその声に思わず振り向く。

 

ヴァン「リン……」

 

ひとまず客人として招かれ、リンと母親から話を聞く事が出来た。

 

ヴァン「食糧不足……」

リン母「まだ、しばらくは大丈夫ですが……」

リン「お店も出来なくなっちゃった」

ヴァン(皆自分の事で精一杯か。それもそうだよな……そして、いつかもし本当に食糧不足が起これば人々の暴動が次々起きてしまう)

 

そうなれば間違いなく国はお終いだ。

 

リン「これから、どうなるの……?」

リン母「きっと、ガーディアンが何とかしてくれるわ。ブルー長官も動いてくれている筈だから」

 

ヴァン「ッツ……」

決して他意は無いのであろう、だがその言葉はヴァンの心を(えぐ)る事になった。

 

ヴァン(確かに皆諦めちゃいない。けどその何とかする筈のガーディアンまでも、今はかなりヤバい状況にあるなんて……言える訳が無いだろう)

リン「お兄ちゃん?顔色悪いよ?」

リン母「どうかしました?」

ヴァン「い、いや……その、お忙しい中お話ありがとうございました」

リン「もう行っちゃうの?」

ヴァン「……ごめんな。俺も、やらなきゃいけない事があるから」

リン「うん……頑張ってね」

リン母「お互い諦めずに頑張りましょう」

ヴァン「……はい」

 

やり切れない思いに(さいな)まれ、店を出た。自分達だって頑張っている。決して半端な気持ちで戦っている訳では無い。でも……やはり胸が痛む。

ヴァン「……帰ろう、ガーディアンベースに」

 

 

 

 

 

 

日が落ちる頃に再びグレイを除く皆が艦長室に集まっていた。

プレリー「さて、皆揃ったわね」

ヴァン「グレイはまだ目を覚まさないか……」

シエル「いつ起きるのかは全く分からないわ。早く目が覚めて欲しいけど……」

ゼロ「グレイも心配だが……プレリー、これからどうするつもりだ?」

プレリー「明日、このガーディアンベースに各国の代表者が来て1度話し合う事になったわ」

エール「問題は山積みだもんね」

プレリー「早急に世界全体が連携してこの問題に取り組まないと……冗談抜きで世界は滅びるわ」

 

世界が滅びるという言葉に皆顔が険しくなる。

 

プレリー「話はとりあえずこれだけ。皆もう今日は休んで良いわよ」

 

 

皆それぞれ自分の部屋に戻る中、ゼロはグレイが眠っている医務室に行った。

 

だが先客が居た様だ。

ゼロ「アッシュ」

アッシュ「あ、ゼロさん」

ゼロ「自分の部屋に戻ったのでは無かったのか……いや、何でもない」

そう言ってゼロは眠っているグレイを見た。

 

アッシュ「……ゼロさん、今から凄い事言いますけどツッコまずに聞いて欲しい」

ゼロ「……あぁ」

何を言ってるんだお前はとツッコミたくなったがアッシュの顔がふざけた物では無かったので素直に彼女の言う事を聞く事にした。

 

 

アッシュ「グレイ、目覚めない方が良いと思うのよね。この戦いが終わるまで」

ゼロ「……グレイが自分のした事を知って苦しんで欲しく無いからか?」

 

アッシュは少しだけ考えて、

 

アッシュ「やっぱり、それが一番ね。グレイのやつ、無駄なまでにそういう所気にするし」

ゼロ「優しいんだな、お前は」

アッシュ「優しさ、とは違うと思うけど……グレイが何だか悩みで潰れてしまいそうでさ」

 

確かに、知らないというのもまた1つの「幸せ」なのかも知れない……。

 

ゼロ「それでも、俺達にはグレイが必要だ」

アッシュ「必要……」

ゼロ「決して戦うだけとしての必要じゃ無い。大切な仲間としてだ」

アッシュ「……」

 

ゼロ「お前も程々にして休んだ方が良いぞ」

彼はそう言って部屋を出ていった。

 

アッシュ「きっと今のセリフ、アンタが聞いたら喜ぶに違いないわね」

随分滅茶苦茶な事を言った気がするが、彼は本当に何もツッコむ事も無く聞いてくれた。

 

これは昔からだそうだが、何だかんだで面倒みの良い一面があるらしい。クールな雰囲気の一方で彼はやはり優しい。

 

アッシュ「グレイ、私はさっきあぁ言ったけど皆アンタの事を待ってるしアンタを責める気なんて更々無いんだからとっとと目覚ましなよ」

 

そっとアッシュも部屋を後にした。

 

 

 

次の日。

プレリーとシエルは昨日言っていた様にガーディアンベースで会議中である。

ゼロ達はガーディアンベースの外に居た。

 

ヴァン「何を話しているのか気になるな」

エール「後でちゃんと話してくれるよ」

 

ヴァンもだが、それとは別にどうやら珍しくゼロが落ち着きが無い。

アッシュ「ゼロさん?」

ゼロ「……心配だ」

ヴァン「話し合いの事ですか?」

ゼロ「それもまぁあるかも知れないが、そうじゃない。今のこの状況だ」

エール「……今敵が来たら、って事ですか?」

ゼロ「察しが良くて助かる」

アッシュ「そっか、今このガーディアンベースに世界の首脳が集まってる訳だ」

ヴァン「勿論バイル達もこれを知っている筈……狙ってきてもおかしくは無いな」

ゼロ「グレイも居る以上ガーディアンベースは何としてでも死守しなければならない」

エール「折角自分達の国も大変な中集まってくれたんだもんね……」

アッシュ「でも流石にそんな都合良く敵が来るとは思えないけど」

ヴァン「アッシュ、そういう事は言わない方が良いぞ……言霊っていうのもあるからな」

ゼロ「……もう遅い」

 

ヴァン&アッシュ「へ?」

アッシュ「今艦長室から通達。イレギュラー反応だね、しかもかなり多いよ」

アッシュ「あらら……」

ヴァン「やっぱりガーディアンベースが目的か」

エール「行こう!」

 

ゼロ(宇宙から直接イレギュラーを送り込んで来たのか?だとしたら流石に観測されると思うが……それが無かったとすればもしかすると、何処かに転送装置があるのかも知れんな)

 

ヴァン「ゼロさん!」

ゼロ「今行く!」

 

 

当然ゼロ達が戦闘に入った事は会議中の皆の耳にも入っていた。

プレリー「恐らく敵側も私達の事を知って来たのだと思われます。ですがきっと私達の部下がこれを止めてくれる……我々はこの会議を最後までやり遂げましょう」

 

皆もその言葉に頷いた。

 

 

 

山が連なる荒野での激しい戦闘が行われていた。

 

ゼロとヴァンが斬り込み、アッシュとエールも遠近使い分けて戦う。

 

ゼロ(数が多いな……しかし)

「セットアップ、イカロス!」

 

イカロスフォームの彼のスピードにイレギュラーの雑魚達が付いてこれる筈も無く、あっという間に敵がスクラップになっていった。

 

ヴァン(相変わらず凄いな……俺も負けてられない!)「マグマブレード!」

 

炎を纏った剣を振りかざす度に炎が翼の様に敵へ飛んでいき、容赦無く燃やし尽くす。

 

エール(まだまだ負けられない……私達が諦める訳にはいかない!)

モデルXのチャージバスターをひたすら撃つだけであるが、火力が非常に高い為に殲滅力も中々。

 

アッシュ(世界を、アタシの生きる世界を壊させたりなんてしない……)

先日手に入れたスパイク・ローズレッドにトランス。何も無い荒野から巨大なツタが生えてイレギュラー達を叩き潰したり、

アッシュ「スパイクロープ、行きなさい!」

エネルギーで投影させた、茨の塊が戦場を駆け回る。非常に速く威力も高くと中々凶悪な性能。

 

アッシュのトランスもやはり強い。

 

 

 

知らない内にイレギュラー達を全滅させていたゼロ達。かなり数は多かったがゼロ達も強くなっている。雑魚が幾ら集まろうと敵では無かった。

 

ゼロ「……」

ヴァン「ゼロさん?」

ゼロ「確かに数はそこそこ多かったが、雑魚どもを束ねても無駄だという事は向こうも分かっている筈だ。となると……」

エール「こいつ等は囮!?」

アッシュ「艦が危ないって訳!?」

ゼロ「かも知れん……急ぐぞ」

彼も少し焦っている様に見えた。

 

全員で戻るつもりであったが、

ヴァン「ッ、またイレギュラー反応!」

エール「またここを通って来るね……」

アッシュ「でも向こうも心配だし……」

 

ゼロ「……エール、アッシュ、2人でここを頼めるか?ヴァンと俺は1度艦に戻る」

エール「了解です」

アッシュ「任せといて!」

 

ゼロ「行くぞ、ヴァン」

ヴァン「はい!」

 

 

 

~ガーディアンベース近辺~

 

???「まさかこうもあっさり上手くいくとは」

???「ガーディアン側も焦っている証拠よね、ロックマン全員向かわせたら私達にどうぞ破壊して下さいって言ってる様な物よねぇ」

???「だが奴等が戻って来るのも時間の問題だ。早い所済ませるぞ」

???「はいはーい」

 

一方は馬、もう一方は巨大な蜂型のレプリロイド。2体がガーディアンベースに近付いていた。

 

???「連中もアレが囮だと気付くだろうがすぐに終わらせれば問題ない」

???「とっとと終わらせちゃいましょう?じゃないとこの前のカメレオンみたいになるわよ」

???「そうだな……始めるぞ」

???「準備はもう既に出来てるわよ?」

 

???「チャージ!はぁぁぁっ!」

???「私の熱い攻撃で終わらせてあげる……」

 

そして、

???「サンダーセプター!」

???「ファイアショット!」

 

それぞれ技をガーディアンベースに向かって遠距離から放つ。だが……

 

 

ゼロ「斬鋭弾(ざんえいだん)!」

ヴァン「ライジングファング!」

 

ここでゼロとヴァンの技がこれを相殺する。

 

???「何ッ!?」

???「止められたですって!?」

 

ゼロ「間に合ったか……!」

ヴァン「かなり危なかったですね……」

 

???「まさか……そこまで気付くのが早いとは思わなかったな」

???「確かに誤算だったわね」

 

ゼロ「……ペガソルタ・エクレール」

ヴァン「知ってるんですか?」

ゼロ「昔戦った奴の1人だ」

ヴァン「……もう一方は逆に俺が知ってる奴です。確か、カイゼミーネ・ザ・ワスプロイドという名前だったか」

ゼロ「前とは違うかも知れないが、知ってるのならあの蜂は頼む」

ヴァン「分かりました。ゼロさんも気を付けて」

ゼロ「あぁ」

 

 

ペガソルタ(以後ペガ)「さて、何をしてくるのかが楽しみだ」

カイゼミーネ(以後カイ)「ふふ、焦らすのは良くないわよん……」

 

ゼロ「行くぞ!」

ヴァン「了解!」

 

それぞれのターゲットにバスターを撃つ。

ペガ「おっと」

カイ「当たらないわよ?」

 

2体が左右に避けた所を一気に距離を詰めて、更に追撃を加えて離しタイマンに持ち込む。

 

sideゼロ

 

ペガ「成程……急に何をするかと思えば1対1(サシ)に持ち込んだか」

ゼロ「固まれていると面倒だからな」

ペガ「その姿、その口調、そしてその雰囲気……間違いない!ゼロ!貴様をこの手で倒す事をどれ程待ちわびたか!」

ゼロ「……」

 

ペガ「Dr.バイルには生き返させられて貰った事には感謝しているが奴の計画はどうでも良い……1度私に触れた者は生かしてはおけん!」

ゼロ「……うるさい奴だ」

ペガ「貴様は何としてでもこの手で葬る……行くぞゼロ、覚悟!」

ゼロ「……」

ゼロはそっとゼットセイバーを構えた。

 

 

 

sideヴァン

カイ「私は坊やの事を知らないけど坊やは私の事を知っている様ね?」

ヴァン「……前にお前を倒した俺の後輩がお前のデータを見せてくれた」

カイ「私を倒した後輩?あぁ、あの白髪のお嬢ちゃんの事ね?」

ヴァン(坊やにお嬢ちゃんって……口調も貫禄も正しく女王蜂の様だ)

カイ「誰かに従うのは嫌だけど、生き返らせて貰った以上はあの変な科学者に協力しないといけないわね……悪いけど貴方には絶望という名の蜜を味あわせてあげる!」

ヴァン「来いッ!」

ヴァンもそっとZXセイバーを構えた。

 

 

ゼロとヴァンのガーディアンベースを守る戦いが始まろうとしている。




いかんいかん……いつもの不規則過ぎる生活のせいで小説書く暇を作れていない(ただのアホ)

こんなスローペースな投稿者ですが生暖かい目で見守って頂ければこれ以上ない幸せです。

ゼロさん達の戦闘描写も頑張らないと……ともかくまたゆっくり目ですがお願いします。


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-二組の激闘-

どうも、まずは生存確認をば……殆ど1ヶ月ぶりになりますM・Mです。

もう失踪と言っても良い程投稿していませんでした、本当に申し訳ないです。2週間ほど病気をしていた事もありますがそれでもサボり過ぎていました。
反省して体調戻しつつ書いていきます。

失踪だけは必ずしないと約束して頑張っていきます。

では、どうぞ。


固まっていた2体を離してそれぞれタイマンに持ち込んだゼロとヴァン。

 

 

sideゼロ

 

ゼロ(確か前戦った時は天候も不安定、尚且つ足場も狭いと面倒な状況だったな……そう考えるならまだ楽な方か?)

 

ペガ「前戦った時より今の状況の方が楽……とでも考えているのだろう?」

ゼロ「!」

ペガ「確かにここは高低差があるというだけの荒野だ。以前の様な悪天候でも無い」

ゼロ「……」

ペガ「だがそれがどうした!まるで私よりも戦いの場の方が面倒だったかの様な感じではないか!そんな物私は認めないぞ!」

 

ゼロ「うるさい奴だ……そんな事は知らん」

ペガ「貴様のそういう所が気に入らん……まるで全く興味の無い様な態度が!」

ゼロ「実際お前の事情など興味無いな」

ペガ「許さん……何としてでも私の力を見せつけてやる、覚悟しろ!」

ゼロ「……敵であるならば容赦はしない」

 

 

両者高速で駆け出し早々に剣と槍がぶつかり合う。何度も、何度も激しく止まる事の無いゼットセイバーと雷槍の衝突。

 

リーチで言うならば向こうに利があるが、小回りはこちらの方が上だ。距離を保たれると少々戦い辛いのでなるべく近付き距離を詰めながら戦う。

 

ペガ(クッ……)

前回は何度も言っている通りの環境の事もありゼロは苦戦を強いられたが、そもそも中距離を保ちながら戦う自分にとって常にくっつくかの様な近さで斬撃を放つゼロとは相性が悪い。

 

ペガ(前回は奴に強制的にジャンプ等をさせながら悪天候なのを良い事に飛び回りながら戦ったが今回はそんな事は出来ない……)

良く考えてみれば自分らしく無い事をした。わざわざ自分にとって部の悪い賭けに出たのだ。

いや、賭けとは言わないだろう……認めたく無いが、無謀な攻めだ。

 

ペガ(やはり……強い)

 

元々の相性という物もあるだろうが、それを含めなくてもこの英雄はやはり強かった。

 

ペガ「それでも、我がプライドにかけて……この戦いは負けられん!チャージ!」

 

ゼロ(来るか……)

 

 

ペガ「受けてみろ……サンダーブラスト!」

電撃を纏い恐ろしい勢いで突撃して来る。

 

ゼロ「チッ……」

1度避けても相手はすぐにUターンして再び突撃。1回1回避けるのに苦労するというのにこれは非常に面倒だ。当たればかなりのダメージになる以上被弾は許されない。

 

ゼロ(電撃のせいで近寄れん……)

ペガ「どうしたどうしたァ!」

 

何と更に強い電撃を自分に当てて格闘戦に持ち込んで来た。電力の影響もあってペガソルタ自体の行動速度が凄まじい事になっており、尚且つ格闘戦になっているとはいえ奴のパンチやキックを受け止めても雷のダメージがある為にゼロは避けるしかない。

 

ゼロ(何て奴だ……ここまでの電撃をこんな長時間も身に纏っていて平気な筈が無い)

 

ここでペガソルタは1度下がり、ゼロの思考を読んだかの様に言った。

 

ペガ「驚いているのも無理は無いだろう……私の体は過去より数百万ボルトも耐えられる様にバイル様から改造を施されている」

ゼロ「……そうか」

 

またバイルか、と言うかの様にゼロはため息をついた。逆にペガソルタはゼロに対して、

 

ペガ「地獄だった。貴様を倒す為に先程言った通りの体にする為にバイル様からの処置を施されたが……何度か死んでいる」

ゼロ「……」

ペガ「だがそれでも私は耐えた。そう……全ては貴様をこの手で葬り去る為だ!」

 

そして再び強烈な電撃をその身に纏った。

 

ゼロ(そこまでして俺を倒したいか……)

何にせよ、コイツのこの電撃を何とかしない限りは自分に勝ち目は無さそうだ。

 

ゼロ(確か……前コイツには氷属性が有効だったな。1つ試してみるか)

装備をゼットセイバーとバスターショットに変更、ついでにアイスチップを付与。

 

まずはバスターで様子を見る。

 

猪の如く突撃して来るペガソルタを何とか避けて、Uターンするその瞬間にバスターを撃ち込む。

 

ゼロ「アイスジャベリン!」

竜の形をしたチャージバスターがUターンを丁度終えたペガソルタの腰に当たる。

 

ペガ「ガハッ……このッ!」

弱点は変わっていないらしいが電撃が剥がれたのは僅かな時間のみ。流石にあそこを追撃するのは無理があるが、そもそも正面から攻撃を当てても電撃に弾かれる可能性がある。

 

ゼロ(さっきバスターが当たったのは偶然だろうな……強力な攻撃じゃないとあの電撃は剥がせそうに無い。だったら、やるしかないか)

 

リスクを背負ってでも近接で挑む。一瞬の隙が出来さえすれば良いのだ、それこそ一瞬で勝負を決めるしかないだろう。

 

 

ペガ(……)

また突撃して来るのを待っていたがペガソルタは先程の様な攻撃を警戒しているのか少し上空から雷撃を数発放って来た。

ゼロ(どうやらただの脳筋では無いらしいな)

まぁ煽ったりすればまた突撃して来そうだ、とゼロは思っていたが。

 

ペガ「天罰だ!喰らえッ!」

ゼロ「当たるかッ!」

 

ゼロはしばらく雷撃を避け続けていたが、そろそろ鬱陶しくなったみたいで、

 

ゼロ「そっちがその気なら……イカロス、セットアップ!」

 

ペガ「!?」

突然のフォームチェンジに驚きを隠せないペガソルタ。そしてそんな奴を見てゼロは、

 

ゼロ「今まで良くやってくれたな……行くぞ!」

 

電撃を纏ったペガソルタよりも速い動きで突撃。加速して勢い良く斬り掛かるが、何とかこれをペガソルタは受け止める。

 

ペガ「グッ……!」

ゼロ(受け止めたか……だが!)

 

両手をリコイルロッドに装備変更。

ゼロ「レイニースティンガー!」

ペガ「ウオォォッ!」

 

凄まじい速さでリコイルロッドで突く。二刀流での怒涛の高速攻撃。

 

驚きはしたが冷静に防御するペガソルタ。

ゼロ「まだ終わると思うな……!」

1度下がって再び構え直すゼロ。

ペガ(次はどう来る……!?)

 

こちらも警戒している模様。

 

 

次の瞬間、ゼロは大きく踏み込んだと思うと、一気に加速してペガソルタに向かう。そして、

 

ゼロ「ふんッ!」

ペガ「ふべらッ!?」

 

右手ストレートで殴り付けた。

 

ゼロ「せいッ!」

ペガ「ガッ!」

 

もう1発、今度は左。

 

ゼロ「オマケだ……貰っておけ!」

クルリと身を翻してドロップキック。

 

ペガ「ぐあッ……!?」

 

ゼットセイバーでは無く、まさかの格闘戦に対応出来ずに吹き飛ぶ。単純な殴り蹴りであるが一撃一撃が重く、尚且つとても速かった。

 

ゼロ「俺が剣だけだと思うなよ!」

更に追撃で今度は剣で斬り掛かるが、これは何とか体勢を立て直し槍で受け止める。

 

ペガ「調子に……乗るなッ!」

速さならともかく、真正面からの力ならコチラに利がある。ゼットセイバーを押し返し、

 

ペガ「サンダーボルト!」

槍先から雷を出す。勿論これをゼロは易々と避けるが、相手の次の構えを、そしてペガソルタの笑みを見てゼロはしまったと後悔した。

 

ゼロ「しまッ……!」

ペガ「遅いッ!雷光……一閃!!!」

 

先程のサンダーボルトは囮だった。これをゼロが避けると読んで次の手は勢い良く飛び出す一閃にしたのだ。まんまとゼロはそれに引っ掛かってしまった訳だが。

 

槍先が、確実にゼロの右肩を貫いた。

 

ゼロ「グッ……!」

 

ギリギリでイカロスフォームを解いたのが幸いだった。イカロスフォームの装甲で直撃を受けていたら行動不能になっていたかも知れない。

 

すぐにペガソルタを追い払うが、奴が槍を引き抜いた瞬間にも雷の様な痛みが身体中を走る。

 

ペガ「フッ……回避力の高さは認めるが回避を重点に置く行動、それが仇となったな」

ゼロ「……それを読んだのは見事だとは言っておく。だが」

痛む右肩を我慢し、再びゼットセイバーを構えるゼロ。二刀流になっている事からしてもう早期決戦で決めるつもりなのだろう。

 

ペガ「望む所……行くぞッ!」

 

もう一度ゼットセイバーと雷槍が火花を散らす。何度もゼロは剣を振るうが巨大な槍で防がれる。防御はかなり硬く、真正面からでは無理そうだ。

 

ゼロ(守りが硬いな。だったら……一か八か、やってやる価値はあるか)

その間ゼロは何やら考え付いた様子。

 

 

そして、ゼロが片手に剣を持ち駆け出す。

ペガ(剣で、速さで打ち勝つつもりか?甘いぞ……我が守りはそれでは打ち破れん!)

 

だがペガソルタは同時に妙に思った。

ペガ(斬り掛かるにしては妙な動作だな……しかも二刀流を止めている。何よりもこの構え……)

 

-投剣-

 

その言葉が頭に浮かび、すぐに回避行動に移る。

 

案の定ゼロはゼットセイバーを自分に勢い良く投げた。だが予め回避の体勢をしていたペガソルタはその剣を避ける事が出来た。

 

が、

ゼロ「甘いな」

ペガ「何ッ!?」

 

ペガソルタがサイドステップをするのを読んで、ゼロはもう片手、チャージしていたゼロナックルで思い切りペガソルタの槍を(・・・・・・・・)掴んだ。

 

ペガ「なッ……!まさか!」

ゼロ「(フェイク)だ。俺の狙いは……この槍!」

 

強力な力で奴の腕から槍を奪い取り、その槍の矛先をペガソルタの顔面に打ち付け、怯んだ所をゼットセイバーで斬る。

 

確信に、真っ二つに斬り裂いた。

 

ペガ「まさか……私がやった戦法と同じやり方で決められるとはな……」

ゼロ「お前の防御重視の行動が仇となった、ただそれだけの事だ」

 

ペガ「クッ、この私が2度までも……無念!ウォォォォォ!!!」

 

 

 

ゼロ「……やった、か」

そこそこ危なかった。相手も楽に勝たせてくれる様な相手では無くなっている。

今も痛む右肩を抑えながらヨロリと動き出した。

 

ゼロ(ヴァンは、大丈夫だろうか……)

 

 

 

 

 

 

sideヴァン

 

セレブな女王蜂ことカイゼミーネ・ザ・ワスプロイドと対峙するヴァン。

常に武器コンテナとドッキングしており様々な武装を1つのコンテナから行える。

 

ヴァン(コイツと戦ったのはアッシュだったな……グレイから貰ったデータがある分有利か?いや、どんな改造を施されているのかも知れない、油断はせずにやろう)

 

ZXセイバーを携え、もう片手にはバスター。いつものセットで構える。

 

 

相手はずっと空を飛んでいる。無論対空戦闘が出来ない訳ではなくモデルHになればいい訳だが……

 

カイ「私の事を知っているのは面倒だけど、私を前のままと思っていたら大間違いよ?」

 

ヴァン「……」

見れば分かる。アッシュが見せてくれたデータに載っていたこいつの写真、何となく前の面影はあるものの今の姿はかなり違う。

 

一言で言うならば、重武装化していた。

 

カイ「当たり前だけど動きは重くなったわ、飛ぶ速度も前よりガタ落ちよ……でもね、それがどうでも良くなる程にこの体には沢山の武器が積まれてるのよ。どう?美しいでしょ?」

ヴァン(美しい……?)

 

その感性は良く理解出来ない、と言わんばかりの顔をしたヴァンを見たカイゼミーネは怒った。

 

カイ「貴方には分からない様ね……まぁ分かった所でどうでも良いわ。お喋りはこの辺にしましょう、私の力を見せてあげるわ!」

 

そう言ってまずは初手。カイゼミーネは自分の肩からミサイルを複数発射する。

 

ヴァン(いきなり初手から知らない武装か……)

 

回避するまでも無くバスターを持ち替えて発射、散らばったビームがミサイルを破壊していく。

ヴァン(こういう複数の何かを破壊する時の為にグレイとアッシュのホーミングレーザーを真似た物をシエルさんに作って貰っておいて良かったな……)

 

カイ「まぁ、何とも面倒なビームね」

ヴァン「新しい武装っていうのはそんな物か?」

カイ「まさか。まだまだ序の口よ」

ヴァン「だったら、全部まとめて斬るまでだ!」

 

ZXセイバー片手に走り出すヴァン。

 

カイ「あら、もう少し遊びましょう?」

そう言ってコンテナから複数の鉢形のミサイル、そして誘導ミサイルがコンテナから発射。

 

ヴァン(またか……いや、違う!)

コンテナを良く見ると何やらチャージしている模様。このミサイルは囮の可能性が高い。

 

案の定コンテナからレーザーが発射された。

ヴァン「やっぱりか!」

 

事前に回避の体勢を取っていたので連続に放たれるレーザーを避けられた。

 

避けたのは良いが、レーザーの線が通った場所が爆発し地面が焼け爛れていた事からしてかなりの高威力だ。当たればひとたまりも無かっただろう。

 

ヴァン(危なかったな……)

カイ「良い読みをしているわね」

ヴァン「そりゃどうも」

カイ「ならこれはどうかしら?」

 

そう言うと再び子分バチを出したカイゼミーネ。だが子分の方もミサイルでは無い様だ。

 

ヴァン(……?)

カイ「正しく……蜂の巣にしてあげる」

カイゼミーネの頭、肩、胸の部分から突然バルカンが放たれた。更に子分バチもバルカンを撃ち出し、咄嗟に避けたものの避け切れず何発か当たってしまった。

 

ヴァン「クソッ……何て弾幕だ!」

カイゼミーネの言った通りこれではまるで蜂の巣だ。たまらずモデルHになり空に逃げる。

 

カイ「逃さないわ!」

更にバルカンを撃ち込んで来るが、

ヴァン「当てられるものなら当ててみろ!」

 

流石は高機動のモデルH、空を飛び回り大量のバルカンを軽々と避けていく。

カイ(速いわね……)

これ以上撃っても無駄だと思ったのか弾幕が止まった。ヴァンも空中で一時停止する。

 

ヴァン(良い加減攻めないとな……やられっぱなしというのも(しゃく)だ)

 

だが攻撃する為だとはいえ、あの弾幕に突っ込んでいくのは流石に無理がある。避けながら進めれば1番良いのだがそんな簡単にはいかないだろう。

 

ヴァン(……そうか、目には目をとも言うな。だったら弾幕には弾幕だ)

「プラズマサイクロン!」

 

……それが同じ様な弾幕とは限らないが。

 

カイ「!」

対抗してバルカンやミサイルを撃つが、全てかき消されていく。

そして、加速していくその竜巻(プラズマサイクロン)のその後ろからヴァンがブーストで飛んで来る。

 

カイ(マズいッ……!)

1度弾幕を止めて避けようとするが、

ヴァン「遅いッ!」

竜巻を追い越して現れたヴァンが斬り掛かる。

 

カイ「そう簡単に、当たらないわよ!」

お腹から何と熱線を発射した。

ヴァン「うわっ!?」

間一髪反射的に回避。熱線はプラズマサイクロンを貫通して少し遠くの方の山に当たり大爆発。

 

ヴァン(おいおい……面倒だな)

 

カイ「重武装化したって言ったでしょう?コンテナだけならず私の内蔵武器も強くなっているわ」

ヴァン「……」

 

困った。あの熱線がそんな何度も撃てるとは思わないがこれだと近付いても攻撃が当てられない。

まぁ近付く事はそこそこ容易に出来た。となると近付いた後の事を考えるべきか。

 

ヴァン(どうする?相手は火力で押し通す、攻撃こそ最大の防御と言わんばかりの手段だな……。

直接相手にダメージを与えられなくても、あのコンテナさえ破壊出来れば結果的にカイゼミーネ自身に攻撃出来るチャンスが来るかもしれない)

 

そもそもグレイから貰ったデータにも下のコンテナをまずは破壊して無防備になった所を狙った、とあった。今回は内蔵武器も増えている為に無防備までとはいかないが相手の攻撃、防御手段を消す目的としては十分だろう。

 

ヴァン(まず狙うはあのコンテナだな)

 

1度地上に降り、モデルFにチェンジ。

カイ「あら……空中で戦うのは止めたのかしら?折角面白くなってきたと思っていたのに」

ヴァン「お生憎様だけどな」

カイ「言っておくけど対地上戦の武装の方が多いわよ?自分から蜂の巣にされたいのね?」

ヴァン「そうかどうかは自分で確かめてみろ!その余裕も今の内だ……グランドファイア!」

カイ「おっと」

 

単発の火炎放射を撃つが、易々と避けられる。

ヴァン(やっぱり単発の攻撃じゃ当たらないか……だったらこうだ)

「マグマブレード!」

炎の剣を数発素振りすれば炎の翼が放たれる。

ヴァン(数で勝負すれば)

 

また同じ様に炎の後ろに隠れながら飛ぶ。

カイ(器用な事をするわね……)

避ける事を強制させてその隙を狙う作戦か。私の今までの行動を良く見て考えている様だ。

 

カイ「おバカさんでは無い様ね。でもそれじゃ甘いわよ?」

するとまたコンテナが少しチャージし始めた。

 

ヴァン「ッ、またか!」

バスターを構え様としたがもう遅かった。諦めてダッシュで逃げる。

 

カイ「派手に行きましょう?」

先程の高火力ビーム、では無く何と胸から腹までが開き巨大なキャノン砲が現れた。

その砲台から前のビームとは桁違いの大きさのビーム放たれ、自分の出した弾を全てかき消した。

自分は予め避けていたので大丈夫だったが、これではまた1からやり直しだ。

 

「じょ、冗談じゃないぞ……何だ今の!?」

 

と、ヴァンは言いたかったが言葉が出なかった。あまりの火力に腰を抜かしそうになる位だった。

 

カイ「良く避けたわね。褒めてあげるわ、まぁ当たってたら何一つ残らないだろうけど」

 

ヴァン「……」

 

相手の火力もかなり驚異だが、それ以上にヴァンが危惧しているのは戦闘の泥沼化である。

ヴァン(クソッ……これじゃ長期戦になってしまう。そうなるとキツイな)

 

何かこの状況をひっくり返せる何かが自分にあれば良いのだが。

 

ヴァン(冷静になろう、グレイとアッシュみたいにトランスが出来る訳でも無い。ゼロさんみたいに圧倒的な戦闘能力がある訳でも無い。だったら俺は……俺にはあるじゃないか)

沢山ある武器達が。

 

カイ「お手上げかしら?」

黙り込んでしまったヴァンを見てそう言った。

 

ヴァン「……」

カイ「命乞いでもしてみなさいよ」

ヴァン「……そうか、これなら」

 

相手の挑発に乗らずに落ち着いて考える。どうやら何か思い付いた様子。

 

カイ「……そういう態度、好きじゃないわ!」

そう言って今度は最初に撃ったコンテナからのビームを再び放つ。

 

ヴァン「いけっ、ソーラービーム!」

色々考えときながらさり気なく溜めておいたソーラービームを放つ。

 

ビーム同士がぶつかり合うが、ヴァンのソーラービームの方が強かった。そのままカイゼミーネ、では無くコンテナに当たり見事破壊した。

 

カイ「何ですって!?」

ヴァン「こちらから撃っても中々当てられない、となると撃ち合いに勝つ位しか当てる方法は無いだろうなって思ってさ。危なかったよ、もしお前が撃ったのがさっきの超火力ビームの方だったら今俺は生きてない」

 

カイ「クッ……わざと煽ったのね!?」

ヴァン「いや、別にそんなつもりは……」

カイ「許さないわ!」

ヴァン(面倒だな……ともかくコンテナは破壊出来たけど何だろうか、どう見てもヤバそうな針が見えるんだけど)

 

カイ「フフフ……コンテナを破壊したら私を無力化出来ると思っていたら大間違いよ?」

ヴァン「……」

 

キラリと怪しく光る針は確かに何をして来るのか分からない。本当にそのまま突き刺して来るのか妙なビームでも撃って来るのか。

 

カイ「はぁっ!」

するとカイゼミーネは力んで、自分に向けて数発液体を出した。

 

ヴァン「おっと」

落ち着いて連続に避けるが、何と先程自分が居た場所が溶けて穴が出来ていた。

ヴァン(……酸か!)

 

地面を易々と溶かしている事からしてかなり強力な酸だ。当たればどうなるか容易に想像出来る。

 

カイ「とっておき、行くわよ!!!」

そう言ってカイゼミーネは更に高度を上げて飛翔し、針から巨大な炎弾を撃った。

 

ヴァン「……!」

ヴァンを直接狙った物では無かったが、地面に着弾すると同時に激しい炎が巻き上がった。

 

ヴァン(周りが……炎に包まれてく!)

 

 

そしてその上で先程の酸やレーザーを撃って来た。負けじとこちらも攻撃するが、コンテナを破壊された事により機敏となったカイゼミーネには当たらなかった。

 

逃げ場が限られている中で何とか避けるが、

ヴァン「熱ッ……!」

焦りによる一瞬の判断ミス、避ける方向を間違えて炎の壁に左腕が当たった。

 

カイ「オーホッホッホ……そのまま焼け死ぬか酸で溶けるか、どちらになるのか楽しみよ!」

 

ヴァン(ヤバ、い……)

流石に本気でマズい状況。先程の怪我がまだ痛む為に左腕が良く動かない。

 

このままだと間違いなくやられる。

 

高笑いしているカイゼミーネに対して炎の中で逃げ回る自分がそこには居て。

 

ヴァン(こんな、こんな奴にしてやられるなんて……何処でしくじったんだ?そもそもコンテナはやはり破壊しない方が良かったのか?コイツが炎属性の技を多用する事は前々から分かっていた事だしその対策を取るべきだったのか?)

 

前者はともかく、後者についてはシエルに頼んだりと何か出来たのかも知れない。

 

ヴァン(……俺って、こんなに弱かったのか?)

その時抱いた感情。久しぶり、いや違う。感じない様に自分に言い聞かせていた物が出て来てしまったのかも知れない。それは……

 

死への恐怖。

 

精神的にも、向上したと思っていた。だけどそれは気の所為だったのか。

 

正直言って侮っていた感じはあった。改造を施されているとは言えあくまで前の戦いでロックマンに敗れた相手なのだから負ける事は無いだろう、と。だけど実際今追い詰められているのはロックマンである自分。

 

少し平和ボケをし過ぎたのかも知れない、もしかしたら我武者羅に戦っていたあの頃の方が強かったのかも、とまで思ってしまう。

 

 

ヴァン(ごめん……皆……)

燃え(たぎ)る炎の中で、疲れ、酸欠等が影響してヴァンは頭が朦朧としていた。

 

 

カイ「そろそろ良い具合に毒が回ってきた様ね、絶望という名の毒が」

ヴァン「……」

沈黙では無く、答える気力が無い。

 

カイ「伝説とされるロックマン、意外と大した事は無かったわね」

そう言って胸から腹が開き、例のキャノンを撃つつもりなのかチャージをする。

 

 

ヴァン「ゼロさん……すいません……」

霞む様な小さな声で、そう呟いた。

 

 

 

 

ゼロ「その言葉は、諦めと取って良いんだな?」

ヴァン「!?」

 

カイ「ッ、貴方は!」

ゼロ「ヴァン。お前は自分をどう思ってるのかは俺には分からないが、少なくとも……

 

 

こんな所で終わる様な男じゃ無いだろう?」

 

 

ヴァン「!!!」

そう言った次の瞬間、タイタスフォー厶のゼロがバリア状態のまま突っ込んで来て自分を抱え、そしてそのまま炎の壁を突っ切った。

 

カイ「何ですって!?私のギガンティックファイアを突き破ったなんておかしいわ!」

 

ゼロ「生憎だがこのフォームなら可能だ」

カイ「クッ……」

 

肩を貸して立っていたヴァンが呟く。

ヴァン「ゼロさん……」

ゼロ「悪いな。遅れた」

ヴァン「……すいません」

ゼロ「……話は後だ。下がっておけ」

ヴァン「……はい」

 

 

ヴァンを下がらせて、カイゼミーネを睨む。

 

カイ「貴方が来たという事はあの馬、やられちゃったみたいね」

ゼロ「強かったがな」

カイ「貴方も中々大きい怪我をしているのね」

ゼロ「……」

カイ(相手は両方手負いだし実質1人と言っても良いわ。ここはこの男も始末してしまえば……バイル様に褒美を強請(せが)む事が出来る!私はあの雑魚のニワトリとは違うのよ!)

 

カイ「良いわ。貴方も相手してあげる」

ゼロ「確かに俺は怪我を負っているが……今逃げなかった事を後悔する事になるぞ?」

カイ「その台詞、そっくりそのままお返しするわ。さぁ始め……なッ!?」

 

気が付いたら自分の視界にはヴァンしか居なかった。慌てて周りを見ると、剣を片手に猛接近して来るゼロが見えた。

 

カイ(速いッ!?)

辛うじて反射的に回避した為に大丈夫だった。

 

ゼロ「避けたか、だが!」

そのまま勢いを殺さずにUターン。回避行動に移る前にその体に2つの刃をカイゼミーネの両腰に突き刺し、引き抜いた。

 

カイ「あぁぁっ!!」

ゼロ「俺の刃は、そこまで甘くないぞ?」

致命傷だった。妖艶な声を上げながら苦しむカイゼミーネに対し、

 

ゼロ「だから言っただろう、後悔すると」

カイ「ふ、ふふふ……坊やが伝説の英雄、ね」

ゼロ「……」

カイ「確かに強いけど……貴方1人が強いだけじゃ私達には勝てないわ」

ゼロ「ッ……」

 

痛い所を突かれたと言えば突かれた。

 

カイ「貴方達がどう足掻こうともう遅いわ……せいぜい現実という名の悪夢(ナイトメア)を楽しみなさい」

 

 

そう言ってカイゼミーネは爆発した。

 

 

ゼロ「現実という名の悪夢(ナイトメア)、か」

 

ヴァンの元に帰ったゼロ。

ゼロ「大丈夫か」

ヴァン「はい」

ヴァンの方も少し落ち着いた様だ。

 

ゼロ「……」

ヴァン「……その」

ゼロ「今は良い……とにかく帰って休むぞ。俺も中々重いのを貰ってしまったからな」

ヴァン「はい……」

ゼロ「少し待っていろ」

 

するとゼロはGATに、

ゼロ「こちらゼロ。エール、聞こえるか?」

エール「はい、聞こえます。そちらは大丈夫でしたか?随分前の通信から時間が経っていたのでアッシュと心配していた所ですよ」

ゼロ「……俺もヴァンもそこそこダメージを受けた。出来れば来て欲しい」

エール「ッ、はい!すぐ行きます!」

ゼロ「位置情報を送る、頼むぞ」

 

 

ヴァン「何か、すみません……」

ゼロ「いや、俺もお前に肩を貸して帰れるかと言われれば少し難しい所だ。だから気にするな」

ヴァン「……」

 

すぐにエールとアッシュがやって来て2人をガーディアンベースに連れて行った。

 

帰ってきた時には何とか話し合いは終わっていて、まだ話し合う必要はあるらしいがとりあえずはミッションコンプリートである。

 

 

~医務室~

 

医務室ではゼロ達4人が話し合っていた。ゼロとヴァンも治療を受けて何とか落ち着いた所だ。

ゼロ「そちらはそちらで大変だっだみたいだな」

アッシュ「まぁ、倒したイレギュラーの数は本当に山が出来る程の量だったわね」

エール「けど、ゼロさん達の援護に行けなかったのが本当に申し訳ないです」

ゼロ「構わない。結果的にガーディアンベースは守られたからな」

エール「プレリー達が話し合った結果はまた明日だって。とにかく今日は休みなさいってさ」

アッシュ「何というか、本格的にガチで攻めてきたよね。今までとは規模が違ったし」

ゼロ「やはりガーディアンは向こうにとっては出来るなら最優先で潰したい組織ではあるだろう」

エール「世界中で今日の様な襲撃があったら……ガーディアンの戦力にも限界があるし」

ゼロ「まごまごしていれば確実に、今ある国家も消えていくだろうな」

アッシュ「それこそ本当に世界崩壊よね……」

ヴァン「……」

エール「ヴァン?さっきから何も喋らないけどまだ体痛むの?」

ヴァン「いや、そういう訳じゃ無いけど……」

ゼロ「……2人とも、そろそろ部屋に戻ったらどうだ?時間も時間だ」

アッシュ「本当だ」

エール「じゃあ私達も休みます、お休みなさい」

アッシュ「お休み~」

ゼロ「あぁ」

ヴァン「お休み」

 

部屋で、男2人。まぁ今は艦長室に行っているだけですぐに医師が帰って来るが。

 

ゼロ「ヴァン、まだ思い詰めているのか」

ヴァン「……足でまといでしたよね」

ゼロ「……ヴァン?」

ヴァン「実質的にゼロさんが2体とも倒した様なものでしたし、俺はゼロさんが助けてくれなければきっと死んでました」

ゼロ「ヴァン、確かにあの時俺が助けなければ危なかったかも知れないが俺1人で倒したなんて事は決して無い。あそこまで相手を削ってくれていたからすぐに勝負を決められた」

ヴァン「……例えそうだとしても、戦闘中に諦めかけた時点でもう俺は」

ゼロ「それ以上は言うな」

そこでゼロが言葉を遮った。

 

ゼロ「ヒトである以上、戦うのが怖くなったり悩むのは当たり前だ。死ぬのが怖くて何も考えられなくなったのも決しておかしな話じゃ無い」

ヴァン「俺は、俺はロックマンなんですよ。そんな甘い事を言える様な立場じゃ無いんだ……!」

 

興奮してヴァンはそう言った。今興奮状態にあるのは少しマズいと思ったゼロは落ち着け、とひとまずヴァンを宥めた。

 

ゼロ「ヴァン、お前の中でロックマンとは何だ」

ヴァン「……えっ?」

ゼロ「ロックマンは、特別な存在だとは聞いた。その力を支配の為に使うか平和の為に使うかのどちらかになるとも言っていたな」

ヴァン「そう、ですね」

ゼロ「そしてお前達は平和の方を選んだ。世界の為に戦う事を……それは凄く立派な事だと思うし、俺からすればお前達もまだまだ若いのに戦う道を進むのか、とも思う」

ヴァン「ゼロさんだって、ずっと戦い続けているじゃないですか」

ゼロ「そうだな。だが、今のお前は何というか……焦燥感に駆られ過ぎている」

ヴァン「焦燥感……?」

ゼロ「今の事態を早く何とかしないといけないと焦り、どうすれば良いのか悩んでいるだろう?」

ヴァン「……やっぱり、全部お見通しですか」

ゼロ「剣を見ていれば分かる。使い手の迷いや不安は、剣にしっかりと乗っていく」

ヴァン「迷いや不安……」

ゼロ「一人で悩み過ぎるのも体に毒だ。俺でも相談相手位にはなれる」

ヴァン「ゼロさん……」

ゼロ「とりあえず今は休め。それからだ」

ヴァン「……はい」

 

 

しばらく経つと隣には寝息を立てるヴァンが居て、それを見てからゼロは自分の部屋に戻った。

ゼロ(ヴァンだけじゃない……エールやアッシュ、プレリーにシエル、沢山のヒトビトが先の見えない不安に駆られている)

そう……それは自分もだ。

 

 

流石に疲れたのか、メディカルマシーンに横たわればゼロは自然と眠りについた。

 

 

気が付けばまたいつしかの世界。

ゼロ(そういえばこの世界はサイバー空間に似た様な場所なのだろうか)

 

 

エックス「随分辛い事になってきたね」

ゼロ「エックス」

エックス「君もまた悩んでいるのかい?」

ゼロ「否定はしない」

エックス「でも僕は答えはあげられないよ」

ゼロ「……分かっている」

エックス「それに、君一人じゃどうしようも出来ない」

ゼロ「ヴァン達が必要なのも理解している」

エックス「しかし今の君は本当に優しくなったよね。昔の君なら足手まといになるなら戦うな、とか言っちゃいそう」

ゼロ「お前は俺を何だと思っている……」

エックス「ごめんごめん。けれどゼロ、君のその強さ、優しさがあればきっと彼らの心の支えになってあげられる筈さ」

ゼロ「心の支え、か」

エックス「頑張ってねゼロ。君達ならきっと変えられる……運命さえも」

 

そこで俺の意識は途絶えた。

 




やはり1度書くのを怠ると本当に書く気が失せちゃうんですよね。だから毎日数文字でも良いから書く事を意識しようと思います。また遅くはなりますが暖かく見守って下さると凄く嬉しいです。

ストーリー展開に少し悩んでいる所ですね。どういう感じに広げていこうかな……

次回でお会いしましょう(^o^)


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-破壊者(デストロイヤー)-

どうも、すっかり亀更新になってしまい申し訳なさげなM・Mです。

この時期に体調悪くなると本当にキツイので皆様体調にはお気を付けを……。

段々とガーディアン内の空気がピリピリと悪くなっていきます。果たしてゼロは……。

では、どうぞ。


次の日。

艦長室にはゼロとエールとアッシュが居た。

 

エール「そっか……ヴァンもまだ動いちゃダメなんだね。という事は」

エールがゼロとアッシュを見る。

 

アッシュ「今戦えるのは私達3人って事ね」

ゼロ「そういう事になるな」

エール「大丈夫かな……」

ゼロ「やるしかなければやるだけだ」

エール「そうですね」

アッシュ「実際不安はあるけど」

ゼロ「お前達は無理しなくて良い。男勢が動けない以上俺が多少たりとは何とかしよう」

プレリー「ダメよ」

 

そこで会話を聞いていたプレリーが言う。

エール「そうですよ。ゼロさんは私達にとって1番の切り札なんですから」

プレリー「そうじゃないわエール。私はもうこれ以上誰かが怪我をしている所を見たくないの」

エール「あ……」

プレリー「無理そうならこの場所から撤退も考える。だから体を張ってこの艦を守ろうとはしないで欲しいの……」

ゼロ「……プレリー」

アッシュ「実際昨日みたいな戦力で攻めて来られたら私達だけじゃどうしようも無いわね」

プレリー「ヴァンもグレイも動けない以上無理はダメ。これは艦長命令よ」

 

艦長命令とやらを初めて使われた気がする。

 

3人「……了解」

 

 

 

甲板に上がった3人。

ゼロ「あのプレリーが艦長命令とはな」

エール「初めてじゃないけど、プレリーは艦長命令なんて滅多に使わないよ」

アッシュ「優しい艦長だもんね」

ゼロ「それ程までに俺達の事を心配しているのだろう……その優しさを裏切る様な事はしたくは無いが、現実はそう優しくは無いだろうな」

エール「……やっぱりゼロさんは攻めて来ると思いますか?」

ゼロ「向こうがグレイとヴァンが動けない事を知っているとは思わないが戦力的に見てもガーディアンは辛い状況にある。普通攻めるなら今だな」

 

アッシュ「昨日みたくイレギュラーを大量に送り込んで来る位なら何とかなるかもだけど、もしナンバーズを何人も投入して来たら……」

ゼロ「……間違いなく壊滅だな」

 

エール「……うーん」

アッシュ「どうしたの?」

エール「私達としては何とか助かってるけど、どうしてバイルは一気にナンバーズを送り込んで来たりはしないんだろう?向こうの方が戦力的にも圧倒してると思うんだけど」

ゼロ「何か理由があるのかも知れんが……恐らくは奴なら今はまだその時では無い、とでも言うのだろうな」

アッシュ「その時、ねぇ……」

ゼロ「マッドサイエンティストと表現するのが正しい奴だが馬鹿ではない。今まで何度と世界を支配しようと企んだ奴だ、攻め時位は考えているだろう……頭は良い分面倒な奴だ」

 

エール「本当に、これからどうなっちゃうんだろう……逃げ回る形になるのかな」

ゼロ「プレリーはそうするつもりだろうな。だがそれだとより被害が広がるだけだ」

アッシュ「けど私達にも戦えるだけの戦力はあまり残っていない……八方塞がりね」

エール「ヴァンはともかく、早くグレイが目を覚ましてくれれば良いんだけど……」

 

アッシュ(…………)

ゼロ(アッシュ……)

 

その時だった。

3人「!!!」

全員のGATが鳴り響いた。

 

プレリー「今すぐ艦長室に戻って来て!」

 

すぐに艦長室に集まったゼロ達。

プレリー「皆、落ち着いて聞いて欲しいの」

ゼロ「緊急の様だな」

プレリー「現在シロツメにて巨大機動兵器が暴れ回っているとの情報を得たわ」

ゼロ「巨大機動兵器だと……!?」

プレリー「シロツメ政府から救援要請が来てるわ、3人で急行して欲しいの」

 

エール「急ごう……これ以上被害を増やさない為にも私達が何とかしないと」

アッシュ「ゼロさん!」

ゼロ「あぁ」

転送される前にプレリーが呟いた。

プレリー「絶対に生きて帰ってきて。お願い」

 

ゼロ(いざとなればこの2人は俺が守る)

 

 

 

転送された後、何故かガーディアンベースでは騒ぎが起きていた。

プレリー「何事!?」

艦長室に戻ると、そこには……

 

ヴァン「俺も、行かせてくれ……!」

プレリー「ダメよ!貴方はまだ怪我が治り切っていないじゃない!危険過ぎるわ!」

ヴァン「頼む……あそこには、俺の大切な場所が、大切な人が居るんだ!」

プレリー「ヴァン……」

 

彼の必死さに押されそうになったが、それでもプレリーは止めない訳にはいかなかった。

 

プレリー「ダメ。きっとゼロ達が何とかしてくれるから貴方はちゃんと寝ていて」

ヴァン「……クソッ!」

オペレーター「艦長、シロツメと中継繋げました。映像出ます!」

 

プレリー「ッ……!」

ヴァン「な、な……」

映像に映し出されているのは恐らく都市の中心部なのだろうか。一面炎に包まれており、破壊しつくされている。そしてその画面一杯に移されているのが今回の元凶、巨大機動兵器である。

 

 

以前戦ったリヴァイアサン程では無いがかなり大きい。破壊だけを目的に整造されているのだろう、武装が盛りだくさんだった。

 

プレリー「お、大きいわね……ゼロ達、大丈夫なのかしら……」

ヴァン(リンは、リン達は……)

 

ヴァンは気が気がじゃない状態でただモニターを眺めるしか無かった。

 

 

 

一方ゼロ達は、炎が渦巻くシロツメの中心部に着いたばかりだった。

ゼロ「……何て有様だ」

エール「早く止めなきゃ……!」

アッシュ「でもどうするのよ……真正面から挑むのは流石に無理があるわよ」

ゼロ「あの装甲、見るからにして堅牢だな……確かに普通の攻撃が通るとは思わん」

エール「どうします?」

ゼロ「だが堅い鎧にも必ず穴はある筈だ。そこを探す事から始めよう……これ以上暴れさせる訳にはいかない。迅速に破壊するぞ」

2人「了解!」

 

 

 

ガーディアンベースからヴァン、シエル、プレリー達が見守る中、炎巻き上がるシロツメ市内ではゼロ達の戦いが続いていた。

 

しばらく戦い続けて分かった事が幾つかある。

まずは皆予想していた通り装甲の硬さは凄まじくエールのフレア・ランチャーでさえ傷一つ付けられなかった。勿論ゼロのセイバーも無駄で、まだΩセイバーは試していないがどちらにせよ期待は出来ない。

 

ゼロ(アッシュのトランス能力は温存しておきたい……あの装甲だ、正攻法で破壊するのは不可能だろう)

 

ここでゼロは2人に集合する様に呼びかける。

 

2人がゼロの元に集まると、何と相手までも寄ってきた。このロボット気を引く事が出来たらしい。どうやら破壊より先に自分達の排除を目的にしたみたく、自分達を追ってくる。

 

ゼロ「よし……市内から遠ざけるぞ」

 

どれだけ強くてもやはり兵器。どういう風にプログラムされているかどうかは分からないが行動は単純そのものだった。

 

 

 

アッシュ「で、何とか平地に誘き寄せたけど」

エール「こうなるともう逃げ場は無いね」

アッシュ「元々破壊する事が任務だしこれで良いでしょ。これ以上シロツメを破壊させる訳にはいかないし」

ゼロ「2人とも、来るぞッ!」

 

相手にとっても障害物が無くなって動きやすくはなった模様。ただそれはゼロ達も一緒。

手から出したビームが地面を削りながらゼロ達を襲う。だが難なくこれを避け、散開する。

 

ゼロ「さて……」

アッシュ「問題はどうやって破壊するかよね」

エール「どんな奴にも弱点はある、って前ゼロさんは教えてくれたし……必ず穴はある筈」

 

皆それぞれGATに語り掛ける。全員攻撃を避けながら作戦会議。

 

ゼロ「完璧な物は無い……こういう風に装甲が分厚いと動きは遅い筈だ」

エール「え、でもこのロボットやたらと機敏ですよ?装甲厚くて動きも速いってセコい……」

ゼロ「そう思うかも知れないが、あの重武装、巨大な機体にあそこまでの動きをさせるにはジェネレーターをかなり大量に内蔵する必要がある。装甲に隠れてはいるが何処かにそれがある筈だ」

 

アッシュ「なるほど、ジェネレーターにダメージを与えれば動きが変になるわよね」

ゼロ「直接ダメージは与えられなくても動きが鈍くなるかも知れん。そうすれば多少たりと倒しやすくはなるだろう」

エール「と言っても……パッと見じゃ何処にあるか分からないよ」

アッシュ「ゼロさんは分かってるの?」

ゼロ「いや、分からん」

 

即答のゼロに思わずコケそうになるアッシュとエール。

 

ゼロ「そこは戦って何とかするしか無いな。しっかりと観察していけ」

2人「了解!」

 

 

しばらくして、少しばかり溜め動作に入った相手。だがそこを追撃する間もなく体全体から全方位に渡るレーザーを放った。

 

3人「!!!」

 

咄嗟に回避するが、まだまだ放たれるレーザーに対しエールとアッシュは、

 

アッシュ(避け切れない!)

エール「こういう時は防御!ゼロさん、アッシュ、ビームシールドだよ!」

アッシュ「シールドシールド……これだ!」

 

 

シエル特製のビームシールド。この戦いの前にとりあえず3人に渡された物である。

 

シエル「皆はどちらかと言うと防御より回避を優先すると思うけど時には防御だって大事よ」

 

との事らしい。

 

 

流石はシエル、レーザーはかなりの威力だったがシールドがしっかり自分達を守ってくれた。

 

アッシュ「ゼロさんは?」

エール「そう言えば……あっ!」

 

エールが見た先にはシールド等構えずに駆け抜けて行くゼロが居た。

 

アッシュ「ちょ、ゼロさん!?」

 

ゼロ「お前達はそのまま防御しておけ!」

僅かなレーザーの隙間を潜り抜けて神がかり的な回避をするゼロ。

そして高く飛び上がり空中からバスターを放ちながらセイバーを構える。

 

バスターは効いていない。やはり真正面からの攻撃は意味が無いのか……。

 

ゼロ「ならば……落鋼刃!」

 

突然の急降下突きに反応出来ず相手の肩にセイバーが突き刺さる。だが、

 

ゼロ「ッ、これも効かないか!」

 

効果が無いのか、すぐに腕がゼロを掴みに掛かる。剣を引き抜き何とか回避。そして身を翻しながら衝撃波を幾つか放つ。

 

ゼロ(……?)

地面に戻った時にふと思った違和感。衝撃波は全部効果が無いかと思ったが最後に放った物だけ妙な反応を示したのだった。

 

ゼロ(最後に当たった部分は……右膝?)

 

相手はロボットであり、そしてロボットの膝といえば部分部分の連結部分。

 

ゼロ(………もしかすると)

 

 

エール「ゼロさん!上!上!」

アッシュ「危なーい!」

 

ゼロ「おっと」

振り下ろされた両腕を間一髪で避け、エール達の元に戻った。

 

ゼロ「すまない、助かった」

アッシュ「危な過ぎますって……」

エール「大丈夫ですか?」

 

ゼロ「問題無い。それより……もしかしたら攻略法が見つかったかも知れん」

アッシュ「本当に!?」

ゼロ「……まだ推測の域を出ないな。確実な物にする為にも協力してくれ」

エール「何をすれば?」

 

ゼロ「俺とアッシュが攻撃を引き寄せ奴の気を引く。エールはフレア・ランチャーを頼む」

エール「え、でも私がやった時は効かなかったんですけど……」

ゼロ「安心しろ。何も直接ダメージを与えるつもりは無い」

エール「なるほど。了解です」

 

ゼロ「攻撃来るぞ、俺が合図するまでエールは離れておけ。行くぞアッシュ!」

アッシュ「りょ、了解~」

 

 

またしばらく戦闘は続き、

 

 

ゼロ「せいッ!」

アッシュ「そこだッ!」

 

ゼロの斬撃とアッシュのバスターが当たるも、やはり全く効いていない。

 

すると背中、更には肩や胸からも砲台が現れた。

アッシュ「今度は何!?」

ゼロ「……アッシュ、逃げろ」

アッシュ「え?」

ゼロ「とんでもないのが来る。どう見ても俺とアッシュを照準に捉えている」

 

アッシュ「ゼロさんは!?」

ゼロ「俺の事なら心配するな。何とかする」

アッシュ「何とかするって……」

ゼロ「アッシュ、俺を信じろ」

 

アッシュ「……分かりましたよ。そう言うからにはちゃんと無事でいて下さいよね」

ゼロ「分かっている」

 

そう言うとモデルHになり素早くこの場を去るアッシュ。そして相手はどうやら完全にターゲットを自分1人に絞ったらしい。

 

ゼロ「好都合だ……来いッ!」

 

そして放たれる視界を埋め尽くす程のビームやミサイル。すぐ様イカロスフォームになったゼロは超加速で避ける。だが弾幕は自分を逃がしてはくれない。

 

アッシュ(空が……空が弾幕で染まってる)

エール(ゼロさん……)

 

手や腕、頭からも攻撃が加わり相手も本気で自分を落としに掛かっている。

ゼロ(良いぞ……完全に俺の方に気が行っている。エールとアッシュに頼むなら今だな)

 

超高速で動きながらも2人に叫ぶ。

 

ゼロ「アッシュ、エール!聞こえるか!」

 

エール「聞こえます!」

アッシュ「ゼロさん大丈夫!?」

ゼロ「俺なら大丈夫だ!それより……チャンスは今しかない」

エール「チャンス?」

 

ゼロ「奴の下半身の関節部を狙うんだ……アッシュも同じ場所を頼む」

エール「……なるほど、確かにやるなら今しか無いね。アッシュ、やろう!」

アッシュ「分かった。こうなったらやってみるしか無いわね!」

 

アッシュはモデルFに、エールはフレア・ランチャーをチャージして構える。

 

 

 

一方ゼロはド近距離で放たれる攻撃を全て紙一重で回避していた。流石はゼロ、そしてイカロスフォームの機動力は素晴らしいものである。

 

そしてゼロは再び限界まで近付き飛翔する。それを逃さまいと両腕が何と分離しゼロを掴みに掛かる。

 

エール&アッシュ「ゼロさん!!」

ゼロ「ッ!」

 

俗に言うオールレンジ攻撃。更には本体からの攻撃も加わり攻撃量は熾烈を極めていた。

 

 

ゼロ(俺もここは素直に防御に移るか……!)

「タイタス!セットアップ!」

 

回避出来る自信が無かった訳では無いがそれでも被弾を考え防御に出た。

 

そしてゼロが弾幕の中に消えると同時に、エールとアッシュも攻撃を開始した。

 

エール「行くよアッシュ!」

アッシュ「ブラストボム!いっけぇ!」

 

ゼロに言われた通り2人の攻撃は的確に、エールは左、アッシュは右足の膝の関節部分に当てた。

 

 

するとやはりゼロの推測は正しく、相手は次第に下半身の動作がおかしくなり遂には……

 

アッシュ「あっ、姿勢が崩れてく……」

エール「それよりゼロさんは!?」

ゼロ「ここに居る」

 

アッシュ「わっ!ビックリした」

エール「無事だったんですね」

ゼロ「何とかな。ただIフィールドが無ければ危なかったかも知れん」

 

そう言う彼の装甲はかなり傷が付いていた。

 

ゼロ「今までこれ程までにこのタイタスフォームの装甲を傷付けた奴は初めてだな」

アッシュ「とにかく無事で何より」

エール「何とか、なりましたね……」

 

ゼロ「まだやる事はある。倒れ込んでいて何も出来ないがまだ動作停止(ブレイクダウン)をした訳じゃない。確実に破壊するぞ」

 

そしてゼロはまだ必死に起き上がろうと(うごめ)く相手の体の上に乗り、

 

ゼロ「……終わりだ、轟雷(ゴウライ)!」

 

ズシン、と雷を纏った拳が轟音を立てて相手の体を1発殴り付けた。

 

そしてその一撃で体全体に電撃が回ったのか、しばらくして動かなくなった。

 

エール「お疲れ様です」

アッシュ「凄かったですね、最後の」

ゼロ「パンチにエレメントチップを付与しただけだがな。一撃で何とかなって良かった」

 

そしてプレリーから連絡が入る。

プレリー「皆、無事?」

エール「大丈夫だよ」

アッシュ「私も」

ゼロ「俺も特に問題無い」

 

プレリー「良かった……どうやら何とか撃破出来たみたいね」

 

ゼロ「あぁ、だが……」

焼け野原になっている周り。破壊し尽くされたシロツメ。それを見て3人は悲しくなった。

 

アッシュ「被害も、甚大よね……」

エール「これだけでも相当な物だけど、もし私達が来るのがもう少しでも遅かったら……」

 

ゼロ「……今は考えない方が良い。とりあえず1度ガーディアンベースに戻るぞ」

2人「……了解」

 

 

任務は完了した。だが、それは多大な被害を出してしまった上での勝利だった。

 

 

 

 

 

~ガーディアンベース~

艦長室にて。

 

プレリー「皆、良くやってくれたわね」

アッシュ「流石に、疲れた……」

エール「そうだね……」

 

ゼロ「まさかバイルはあそこまでの兵器を開発していたとはな……」

プレリー「突如空から降って来たそうよ。バイルが送り込んで来たと見て間違いないわね」

 

エール「……被害はどれ程なの?」

プレリー「……全体的に見て、広く浅く破壊が行われたのが不幸中の幸いと言った所かしら、集中的な破壊状態には至らなかったわ。それでも都市の4分の1が壊滅。死傷者は現在調査中よ」

 

アッシュ「……ッ」

エール「聞いたら聞いたで、酷いね……」

プレリー「でも皆が行かなければもっと酷い事になっていたわ」

 

その言葉にエールが反応する。

エール「違うよ……」

プレリー「え?」

 

エール「もっと酷い事にならなくて良かった、じゃないよ……沢山のヒトビトが死んだんだよ!?結局、私達は……救えなかった命がいっぱいあるんだよ……」

プレリー「エール……」

 

ゼロ「……エール、お前の言いたい事も分かる。だが俺達には感傷的になっている余裕は無いんだ。綺麗事を並べているだけでは、何も救えない」

 

エール「分かってます……分かってますけど……どうしても、私は……」

 

ゼロ「そこで簡単に割り切れるのはおかしい事だ。プレリーだって艦長としての言葉ではああ言ったが個人で言うなら辛いに決まっているだろう」

 

プレリー「……」

エール「ごめん、プレリー……」

プレリー「良いのよ。誰だって同じ事を思っている筈だから」

アッシュ「……エール、今日はもう休もう」

エール「うん……」

 

 

そう言ってアッシュとエールは艦長室を後にした。残るゼロとプレリーは静かだった。

 

 

ゼロ「……プレリー。お前も無理に艦長を演じる必要は無いぞ」

プレリー「えぇ……私も、皆にこんな戦いをして欲しくないもの」

ゼロ「ヒトとは強くて……脆いものだ」

 

プレリー「ゼロ、私はどうすれば良いの……」

 

ゼロ「……少し、4人には休みを与えてやって欲しい。その間は俺が任務を引き受けよう」

プレリー「ダメよゼロ、そんな事をしたら……」

ゼロ「頼む。アイツ等が戦いに疲れ果てて病む姿なんて俺は見たくない」

 

プレリー「……分かったわ」

 

ゼロはそう言うと静かに艦長室を出て行った。

 

 

~甲板~

そっと甲板に出たゼロは、もうすっかり夜の闇に埋め尽くされている空を見上げた。

 

元々の季節が冬だが、シヴァの影響もあり人間にはそこそこ応える気温となっている。いつしかレプリロイドにも影響が出る程になってしまうのだろうか。

 

ゼロ「シエルは大丈夫だろうか……」

シエルは自分達に新装備を渡した後所用でローレルにむかったのだったが、やはり心配である。

 

 

ゼロもガーディアン全体がギクシャクしつつある事を察していた。このまま段々とバラバラになって行くのだろうか、もしそうなったらそれこそ世界の終わりと言っても過言では無いだろう。

 

 

ゼロ(……そろそろ、本気で腹を括る時がやって来るかも知れないな)

 

1人甲板の上に佇むゼロであった。




また遅くなってごめんなさい、亀更新にの割に文字数が少ないッ!って言われたらもうスライディング土下座するしかないのですが。

1人、また1人とロックマン達が倒れていく中ゼロがどうするか、そしてヴァン達はどうなるのか、そこら辺にご注目下さい。
次回はゼロさんがすっごく頑張る回。

また次回でお会いしましょうo(`ω´ )o


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-紅き英雄と懐かしき軍人-

どうも、またお久しぶりです(;´Д`)
最近超亀更新になってて申し訳ないです。

現状等をここに長々書いてもアレなので詳細は後書きの方で。

タイトル通り今回は懐かしいあの人が登場します。タイトルで察する方もおられるのではないでしょうか。

では、どうぞ。

※追記 設定集のエールの内容を追記。現状の性格や口調に移った成り行き等(原作のエールはもっと明るく口調も違うので)を追記。

追加 ゼロのトリプルロッドとチェーンロッドの説明を加え忘れていたので追加。


あの巨大兵器の事件から2日。ガーディアンベースはそのままシロツメに駐在し復旧作業を行っていた。ヴァンとグレイは艦の中に、エールとアッシュはプレリーと共外に出ていた。

ゼロは1人艦長室に残っており、どうするか悩んでいた。

 

 

ゼロ「……さて、どうしたものか」

プレリー達が何処に行ったかは聞いていないが、自分1人だけのんびりしておくのも気が引けた。それに……

 

ゼロ「とりあえず外に出るか……」

 

 

 

先日の騒動による被害はゼロ達の活躍により壊滅的な物にはならなかったものの酷い事には変わりなかった。

 

ゼロ(あの巨大兵器……名前はイプシロン、だったか。前のリヴァイアサンといいデカければ良いと思ってるだろ)

 

この件をシエルに連絡した所、何とシエルはこのイプシロンの開発に関わっていたらしい。

 

~昨日の夜~

 

ゼロ「イプシロン?」

シエル「元々の案は災害等の時の救助用マシンだったのだけど……それがまさかああなるなんて」

ゼロ「当初のイメージ通りなのか?」

シエル「写真見せて貰ったけど……原型も無いわ」

ゼロ「じゃあ何で分かったんだ?」

シエル「送られてきたデータの中にそれぞれのパーツのデータがあったの。そのパーツの型式番号がかつての制作図と一致してるのよ」

ゼロ「なるほど」

シエル「前のリヴァイアサンもそうだった……バイルの手で凶悪な機械へと変わってしまう」

 

声越しで分かる程、彼女は悲しそうだった。

ゼロ「……あぁ」

 

シエル「向こう側にイプシロンがあったとなると、技術をそのまま別の事に使っている可能性が高いわね」

ゼロ「まさかあんな風の機械がまた出て来るのか?」

シエル「複製も……考えられない訳じゃないわ」

ゼロ「……勘弁願いたいものだな」

シエル「えぇ……ガーディアンの皆も、かなり疲れてきているもの」

ゼロ「お前の方は大丈夫なのか?」

シエル「大丈夫。まだ辛うじてローレルは一番被害を受けていないし安全よ……今は、まだ」

ゼロ「いつ奴等の魔の手が来てもおかしくないからな……」

シエル「それよりゼロ達こそ大丈夫なの?」

ゼロ「大丈夫……とは言い難いな」

シエル「皆かなり……戦意が失われつつあるわね」

ゼロ「アイツ等には休めと言っておいた。無茶はしないとは思うが」

シエル「ゼロも、無理しちゃダメよ」

ゼロ「善処はする……だが、可能性は低いだろうな」

シエル「ゼロ……」

ゼロ「安心しろ、何とかする」

 

 

 

という会話をしたのを思い出した。

 

ゼロ「さて……」

やって来たのは一番被害が酷かった中心部。見るも無残に破壊し尽くされており、先日の戦いの激しさを思い出させる。

 

ゼロは避難民用のシェルターを探していた。というのも、ヴァンに人探しを頼まれたからだった。

 

ゼロ「まずシェルターが見つからん……」

 

 

だが少し都市内を移動すれば見つかった。人だかりを見付けて行ってみれば辿り着く事が出来た。

 

シェルター内部はごった返しになっていたものの想像していた程悪い環境では無かった。

ゼロ(もっとこう……失礼だがスラムの様なイメージだったが普通みたいだな)

 

だが普通と言っても決して良いものでは無く、衛生環境等も良いとは言えず病気に掛かる者も現れている。

ゼロ(辛く、ずっしりとした空気がこのシェルター内を包み込んでいるかの様だ……)

 

受付をしていたのはガーディアンだった。

受付隊員「あっゼロさん」

ビシッと敬礼する隊員に対して「敬礼はいらん」と答えて、

ゼロ「少しここに居る者達のリストを見せてくれないか」

受付隊員「了解しました。少々お待ち下さい……」

 

少し待って、受付から渡されたデータを見る。名前順や所属等でソート出来て中々便利だ。

 

ゼロ(……リン、だったか)

ヴァンから頼まれた人探し。それと同時にこの都市で出会った少女リンとの話も聞いた。

 

ゼロ(ヴァンが万全の状態じゃなくともイプシロンとの戦いに行きたがったのはそういう理由からだったのか……)

 

そんな事を考えながらリストを閲覧していく。このシェルターに居る全員のリストであり、数が多過ぎるのでソートを使って名前順にしている。

 

ゼロ「リ、リ……ん、あった。3人も居るな」

ただリストにリンとだけ登録されているのが3人。この3人の内にヴァンが探すリンは居るのだろうか。それとも……

 

ゼロ(……ヴァン、酷な事だが最悪の場合(・・・・・)を考えておいた方が良いと思うぞ)

 

3人のデータの中の顔写真付きとヴァンの教えてくれた容貌と一致するか確かめる。

 

 

ゼロは実際最悪の場合というのを考えていたが、幸いな事に恐らくヴァンの言うリンであろうデータが見つかった。容貌も年齢も一致している。

 

 

早速会いにいく事にした。

 

 

~数分後~

 

ゼロ(……あの少女か)

ヴァンは母親の事も心配していたが、彼女は母親であろう女性と共に居た。

 

ゼロ「すまない、少し良いだろうか」

リン母「何でしょうか……?」

 

 

まずは自分がガーディアンである事を話して、ヴァンの事を伝えると2人が知っている事からして本人達である事が確認出来た。

 

あの戦いの時、彼女達の家はイプシロンによって完全に破壊された区域だったが、偶然にも2人して出掛けていた為に助かったらしい。

 

ゼロ「大変……だったんだな」

リン母「……ですが、この子も私も生きています。それだけでも幸運でした」

リン「赤いお兄ちゃんはヴァンお兄ちゃんのお友達なの?」

ゼロ「ん……友達、か」

 

友達。自分にとっての友達とは……

 

考え込む自分に、首を傾げるリン。ハッとして現実に戻る。

 

ゼロ「あぁ、そうだ」

 

きっと、そうでありたい。

 

ゼロ(……そうだ)

どうやら何か思い付いた模様のゼロさん。

 

まだ少し慣れない手つきでGATを操作する。するとゼロはGATをリンに手渡した。

 

リン「???」

ゼロ「電話と同じ感じにしてくれれば良い」

リン「電話?」

 

すると、

ヴァン「もしもし?ゼロさん?」

リン「ヴァンお兄ちゃん!」

ヴァン「へ?その声……リンか!?」

リン「そうだよ!」

ヴァン「えっ、でもゼロさんから掛かってきたのに何でリンが……?」

リン「赤いお兄ちゃんから代わってもらったの」

ヴァン「赤いお兄ちゃん……ゼロさん、探し出してくれたんだ」

 

 

それからリンとヴァンの楽しそうな会話を横目に微笑むゼロ。

リン母「わざわざありがとうございます」

ゼロ「気にする事はない」

 

 

しばらくして。

 

ゼロ(出来る事ならこのまま話させてあげたいが、他の場所も確認しておきたい)

「すまない、そろそろ良いだろうか」

 

リン「うん、ありがとう!」

リン母「本当にありがとうございます」

 

ゼロ「……また、ヴァンも会いに来るだろう」

 

そう言ってGATを返して貰い、

ゼロ「良かったな、ヴァン」

ヴァン「……はい。本当に、良かった」

ゼロ「怪我が治ったら会いに行ってやれ」

ヴァン「勿論です……ゼロさん、俺のわがままを聞いてくれてありがとうございます」

ゼロ「……問題ない」

 

そう少しぶっきらぼうに返す彼、だが言葉の端々には優しさを感じられた。

 

 

ヴァンとの通話を切り、再び破壊された都市部を歩く。歩きながら色々と考えさせられた。

 

ゼロ(あの場所で生活せざるを得なくなった彼等でさえ、希望を失わずに毎日に負けない様に生きている……俺達の責任だ、と罵られてもおかしくは無かったのだが)

 

実際それ位の覚悟は出来ていた。

 

ゼロ「強いな、今を生きるヒトビトは」

 

 

その時、

「ゼロさーーん!」

 

ゼロ「ん?」

確かに自分を呼ぶ声がした。声がした方向に振り向くと、少し前のビルの頂上からアッシュが両手を振っているのが見えた。

 

ゼロ「アッシュにエールか」

 

軽々と壁蹴りで上まで昇る。

 

ゼロ「2人とも、ここに居たか」

エール「何かあったんですか?」

ゼロ「いや、そういう訳じゃないが」

アッシュ「ゼロさんもジッとしてられないタイプなんですね~?」

ゼロ「……まぁ、否定はしない」

 

 

シェルターの事を話し、エールとアッシュ達からも別のシェルターの話を聞いた。

 

ゼロ「そうか、頑張っているんだな」

エール「……実は、シェルターに居た方々に自分達がガーディアンである事を明かしたんです」

ゼロ「……大丈夫だったのか?」

エール「正直、怖かったです」

アッシュ「アタシも、ヒヤヒヤしたよ」

 

エール「皆さん、多分心の中ではきっと色々言いたい事があったのだと思う。だけど、そこに居た皆さんは何も言わずに私達の方も大変だったねって労ってくれました」

 

ゼロ「俺も同じだ。流れ的にガーディアンである事を明かしたが、罵られる覚悟でいたからな」

 

アッシュ「……優しかったよね、凄く」

エール「……うん。嬉しかった、その心遣いが」

 

ゼロ「何だか2人ともスッキリした顔をしているな。特にエール」

エール「私、そんなに暗い感じでしたか?」

ゼロの言葉に思わず自分の顔を触って赤面するエール。そこにアッシュも「間違いない」と笑って付け加えた。

 

エール「……罪悪感、でしょうか」

ゼロ「罪悪感?」

エール「前に話したかと思いますが、私は今までに沢山の大切な人やモノを失ってきました。それによる罪悪感で戦っていたのかも知れません」

ゼロ「まるで戦う事が償いかの様だな」

エール「そう、心の何処かで思っていたのでしょうね」

アッシュ「けど、違ったんでしょ」

エール「えぇ。そんな罪滅ぼしの様な戦いをしていればいつか心を壊して、また大切な何かを失うって思う」

ゼロ「……ふむ」

エール「変わらなきゃいけないんです、私も、ヴァンも」

 

ゼロ「変われるさ、お前達なら」

エール「良いパワーを貰えましたね、ゼロさんの言う通り何だかスッキリ出来た気がします」

アッシュ「良い話してる所悪いけどさ、そろそろ帰らないと艦長(プレリー)に怒られるわよ」

 

エール「そうね、帰ろう」

ゼロ「あぁ」

 

だが、その刹那。

何かとは説明しにくい直感的なものを感じた。

 

ゼロ(何だ……この凄まじく嫌な感じは)

 

エール「ゼロさん?」

エールとアッシュが心配そうに見ている。

 

ゼロ「……すまん、先に帰っていてくれ。それとプレリーに野暮用が出来たから遅くなると伝えておいて欲しい」

 

アッシュ「野暮用って?」

 

アッシュの問いかけに答える事なくゼロは走り去って行った。

 

アッシュ「あっ……もう行っちゃった」

エール「何なんだろう……けどゼロさんの事だからすぐ帰ってくるでしょ」

アッシュ「しょうがない、私達は帰ろっか」

 

ゼロの言葉通りエールとアッシュは一足先にガーディアンベースに帰る事にした。

 

 

 

 

あれから走って、今日訪れたシェルターの近くまで戻ってきた。

 

先程のは何だったのかは分からない。ただ一つ分かる事は、先程の嫌な感じは気の所為だった……なんて事は無く逆に鋭く、ゼロの体に突き刺さるかの様に強まっていた。

 

 

ゼロ(……気の所為であって欲しかったんだが)

 

もし戦闘になるのならばかなり場が悪い。沢山のヒトビトが近くに居る状況でまともに戦えるとは思わない。

 

 

 

それでも、現実はそう優しくは無かった。

 

ゼロ「ッ!」

何処からともなく飛来してきた斬撃を回避する。

 

その斬撃は、何か分からない筈なのに何処か懐かしいものだった。

 

ゼロ「誰だ!」

???「……私だ」

 

ザッ、ザッ、と砂利の上を歩く音を立てながらゆらりと現れたその人物。

 

 

ゼロ「!!!」

 

黒く尖った軍帽、そして黒い軍服のアーマー。そして自分のセイバーとは違い棒状の長いセイバーを片手に携えた、いかにも軍人という表現が正しいであろう。

 

ゼロ「お、お前は……うっ!」

ズキリと頭が傷んだ。それと同時に失っていた自分の記憶が流れ込んだ。

 

 

ゼロ「カー……ネル」

カーネル「……覚えていたか、いや思い出したと言うべきか」

 

ゼロ「お前は確か、俺が倒した筈だ」

カーネル「そうだな」

ゼロ「なのに、何故今になって……」

カーネル「ただ一つ、世界を変える為だ」

ゼロ「世界を、変えるだと……?」

 

カーネル「貴様に敗れてこの命を散らした筈だったが、どうやら私は新たに生まれ変わったらしい……全てはこの世界を変えるべく」

 

ゼロ「まさかお前は、バイルに……」

 

カーネル「あの男が何の目的で私を蘇らせたのかは分からん。奴に従うつもりは無いしメリットは皆無だというのに私を強くした」

 

ゼロ「……そうか。なら聞こう、何の用だ」

 

 

 

カーネル「貴様を破壊する事だ、ゼロ」

 

その瞬間にカーネルは加速しその剣を振りかざす。不意打ちにも近いこの一撃を何とか受け止め、鍔迫り合いをしながら話し掛ける。

 

ゼロ「何故だ……お前と戦う理由は無い筈だ!」

カーネル「貴様には無くとも私にはある!」

 

1度飛び退き斬撃を無数に飛ばしてくる。

ゼロ「クッ……」

 

避けながらバスターを撃つ。だがバスターの弾は易々と弾かれた。

 

カーネル「今のレプリフォースは私の望んだ物では無い……変わってしまった」

ゼロ「だからそれをお前が変えると言うのか!」

カーネル「そうだ!そして、まずは世界を管理しているガーディアンを潰す事……何よりもそのガーディアンに入っている貴様を破壊する事!それが私の成すべき事だ!」

 

ゼロ「違う!お前は深く勘違いし過ぎだ!」

 

 

カーネル「そんな言葉が通じると思っているのか!貴様や貴様の友人もそうだった……私がずっと持ち続けてきたプライドを軽々とへし折っていった……それが、それが許せなかった!」

 

ゼロ「だからそれが思い違いだって事に気付け!お前はまた間違えるつもりか!」

 

カーネル「バイルとやらには感謝している。奴の思想等に全く興味は無いが……こうして自分の成すべき事を成す為の力を与えてくれた!」

 

ゼロ「……あの時よりも強く言ってやる、見損なったぞカーネル!」

カーネル「黙れ!貴様は……貴様だけはこの手で破壊する!」

 

もう話し合いは無駄だと諦め戦う。

 

全ては思い出せていない。だが先程の頭痛、その時に過去にあった事を幾分か思い出したのだった。自分や親友エックス、かつてのカーネル、そして……自分が破壊したカーネルの妹アイリス。

 

 

気が付けば自分はイカロスフォームになっており、激しい高速戦闘を繰り広げていた。

 

だが、相手は強かった。イカロスフォームの自分と同等のスピード、なのに凄まじいパワー。一撃でも被弾は許されないという状態でゼットセイバーとカーネルのビームソードが何度も交わった。

 

 

 

数分後。

 

カーネル「……弱くなったな。かつての貴様の面影も無い」

ゼロ「……」

 

どうだろうか。かつての自分と今の自分はどちらが強かったのかは分からない。

 

剣を地面に突き刺して肩で息をするゼロ。それに対し余裕そうなカーネル。数分の間の戦いの中で両者の力をぶつけ合った結果がこれだった。

 

カーネル「何とか言ったらどうだ」

ゼロ「……それで、満足か?」

カーネル「何だと?」

ゼロ「誰かに改造されて強くなった力で俺を倒して、それで満足か?」

カーネル「ッ……」

ゼロ「お前自身の力で倒したとは言えんな」

カーネル「……黙れ、例えいかなる方法だったとしても私は貴様を倒す為にもう一度この世に生き返ったのだと信じている」

 

ゼロ「……俺に対する復讐か」

カーネル「そうだ」

淡々と答えるカーネルに非常に腹が立った。

ゼロ「そんな事をして何になる!アイリスがそれで報われるとでも思っているのか!」

 

カーネル「……アイリス?何の事だ?」

 

 

ゼロ「ッ……!!!!!」

 

まさか忘れているとは思わなかった。まさか最愛の妹事さえも忘れていた……いや、これはバイルが抜き取ったのだろう。

冗談で言っている様にも見えない、恐らくこれは本気で忘れているのだろう。

 

ゼロ「…………」

思わず言葉を失ってしまった。項垂れる自分に対しカーネルは訳分からずという感じであった。

 

カーネル「貴様が何を言っているのかは分からんが、アイリス。その言葉は何故か私を非常に不愉快にする……」

 

 

こればかりはバイルが悪いが、この男に非がない訳では無い。

ゼロ「カーネル……」

少し哀れんだ様な目で見るゼロにカーネルは激昂(げっこう)した。

 

カーネル「貴様にその様な哀れみを受ける様な覚えは無い!」

ゼロ「もう、お前は昔とは何もかも違うんだな」

 

話し合いは無駄だと思っていたが心の何処かで信じたかったのかも知れない。もしかしたら操られているだけだとか、アイリスの事を言えば何か考えてくれるのかも知れない、と。

 

だが自らの意思でこの場所に居て、アイリスの事さえも忘れてしまっているカーネルに、ゼロの中でまた違った意味での「諦め」がついた。

 

せめて自分に出来る事は……負の感情に取り憑かれた復讐者(イレギュラー)を破壊する事だ。

 

 

とは言えど、状況が状況だけにゼロは……

 

ゼロ(……やってみるか)

何かを思い付いた様である。

ゼロはイカロスフォームから通常のフォームに戻り、ゼットセイバーを再び構えた。

 

カーネル「まだやるつもりか……」

ゼロ「行くぞカーネル……!」

 

先程の戦いでゼロはそこそこ疲労しており、ましてやイカロスフォームじゃないゼロのスピード等恐るに足らず、とでも思い余裕そうな笑みを浮かべるカーネル。

 

だが、違った。

 

気が付けばゼロが視界から居なかった。

カーネル「ッ!?」

 

呆けていた訳では無い。だが確かに一瞬の内にゼロが消えたのだった。

 

その時。

カーネル(右!)

確かに右から飛んできた攻撃を受け止めた、と思ったが。何と受け止めたそれがセイバーに巻き付いた。強い力で引っ張られ身動きが取れない。

 

ゼロ「囮だ」

カーネル「何だと!?」

 

そっと近くの瓦礫の山から姿を現したゼロがそう言った。そう、実際にこの巻き付いている何かを使っているのはゼロでは無く……

 

ゼロ「お前が非常に優秀なCPUを搭載している事は知っている。そしてそれもアップグレードしたとなると反射神経、状況判断能力は凄まじい数値になっているだろう」

 

だが、とゼロは続けた。

 

ゼロ「優秀過ぎるのが逆に仇となったな」

 

ゼロは自分の隣にある瓦礫の山を崩して種明かしをした。と言っても、とあるビルの取っ掛かりにチェーンロッドを巻き付けてそれをカーネルのセイバーに絡めただけであるが。

 

カーネルの高過ぎる反応速度は如何なる攻撃をも見切り対処が出来るが、カーネルは剣で受け止める事が多い事をゼロは知っていた。だからチェーンロッドを絡める方法を選んだのだ。

 

 

だがカーネルには腑に落ちない点があった。

カーネル「……確かに中々強力な力だが、この程度なら私が本気を出せば引き抜ける事を分かっているだろう?通用すると思ったか!」

 

ゼロ「分かっている。だがお前がそれを引き抜くとどうなるかは分かっているか?」

カーネル「何……?」

 

一瞬戸惑ったが、考えてみれば簡単な事。

カーネル「貴様の後ろにあるビルが崩壊するだろうな。逆に貴様が危ないというのに何故そんな事を聞く?」

 

ゼロ「……それと同時にこの地面にあるシェルターに避難しているレプリフォースの大量のヒトビトが死に至るだろうな」

 

カーネル「……!!!」

ゼロ「お前も数日前にここであった事件の事を知っているだろう?シェルターの存在も。何故ならここのシェルターはあの頃のまま変わっていないらしいからな」

 

カーネル「ッ……」

ゼロ「図星の様だな」

 

ゼロを破壊するという目的があれど元々レプリフォースの変革を求めるカーネルにとってレプリフォースのヒトビトは大事であろう。

 

ゼロ「民が居なければそもそも国というのは成り立たない……お前なら分かっているだろう?」

カーネル「クッ……」

 

ゼロが取った方法はある意味人質だ。良くない方法だとは良く理解しているが、

 

ゼロ「お前と決着を付けるのは別に構わん。だが時と場所という物があるだろう。ここは退け……すぐ近くに避難民が居る以上戦いたくは無い」

 

 

 

カーネルはしばし悩んだ後、

カーネル「分かった。ここは退く」

ゼロ「本当だな?」

カーネル「私とて軍人だ。二言は無い」

ゼロ「……」

 

ゼロは警戒しながらもそっとカーネルのセイバーに絡まったチェーンロッドを解いた。

 

するとカーネルはゼロに背を向けて歩き出した。だが一度立ちどまりこちらを振り向き、

 

カーネル「ここは退くが、ゼロ……貴様だけはこの私が必ず破壊する。覚えておけ」

ゼロ「…………」

 

カーネルは別に非人道的な行いがしたい訳では無いし、何よりもかなり過去とはいえレプリフォースの軍人である以上ヒトビトを無意味に死に至らしめる事はしたくなかったのであろう。

 

 

カーネルが視界から居なくなった後、ゼロはひとまず安堵の息をついた。

ゼロ「カーネル……まさかお前までもが」

 

アイリスに言われて悩んだ所もあったのだろうが、カーネルは最後まで兄ではなく軍人として誇りを貫き自分達と戦った。

勝負は自分が勝ち、アイリスの事を託された。

 

……結局兄弟共に自分が葬る事になってしまったが、あの時もう少し何とか出来なかったのかと深く後悔したのを思い出した。

 

ゼロ「……帰るか」

この場所にもう用は無い。何とか戦わずに済んだ、それだけでラッキーだと思うべきであろう。

 

ゼロ(……そのまま戦っていても、恐らくは)

 

いや、今は考えないでおこう。結果として自分は生きている。

 

 

色々と疲れた。ガーディアンベースに帰ろう、そう思った瞬間。

 

ゼロ「!!!」

巨大な轟音が聞こえた。

 

ゼロ(場所からして……アッシュとエールが行っていたもう1つのシェルターか!)

考えると同時に走り出した。

 

 

場所がそれ程離れていた訳では無かったのが幸いして、すぐ現場に駆け付ける事が出来た。

 

ゼロ「アレは!?」

犬の様な、狼の様な。巨大な四足歩行の、見た所無人兵器が彷徨いていた。

 

何かあると思ったらその場を両手で叩き付け破壊している。何かを探しているのだろうか……?

 

ゼロ(間違いないな……こっち側のシェルターを探している)

 

見た所手当り次第に破壊していっている。正確な場所は分かっていないみたいだがあの調子だと見つかるのも時間の問題だろう。

 

 

ゼロ(……やるしか、ない)

セイバーを片手に飛び出そうとしたが、一旦自分を抑えてGATを手に取る。

 

屈んで連絡をしたのはエールにだった。

エール「もしもし?ゼロさん、まだ帰ってないみたいですけど……?」

ゼロ「すまない、色々あってな……それよりも悪いが救援を頼む」

エール「どうかしたんですか!?」

ゼロ「俺は現在今日お前とアッシュが行ったシェルター付近に居るんだが、犬の様な四足歩行兵器が彷徨いている。狙いはほぼシェルターで間違いないだろう」

 

エール「ッ……」

ゼロ「俺は今から仕掛ける。このまま見とく訳にもいかんからな」

エール「分かりました、アッシュを連れてすぐ向かいます!無理だけはしないで下さいね!」

ゼロ「あぁ」

 

 

さて、といった感じでゼロは立ち上がってバスターを手に取り、目標に向けて撃った。

 

バスターは当たり、コチラをしっかりと察知した相手。狙いは自分に変わった様だ。

 

ゼロ「無理はするな、か」

正直言うと厳しいかも知れない。

 

ゼロ(善処はしよう、それが出来るのならだが)

 

 

 

相手は想像通り俊敏な機動型兵器。巨大なボディに似合わない素早い動きで翻弄し、そして鋭い爪が生えた両手で斬り刻む。

 

ゼロ(確かに速いが、この程度なら!)

相手の突進をギリギリで避けて腰部分に一太刀入れて、離脱しながらバスターで牽制。

 

あのまま攻めても良かったが、まずは相手をシェルターから離したかった。エールやアッシュの事もあるが彼女達なら自分の意図に気付くであろうと思っての行動だった。

 

狙い通り相手は自分を追いかけて来た。

ゼロ(よし……)

 

シェルターからそれなりに離れた場所で立ち止まり、セイバーを構える。

追いついて来た相手はコチラをジッと見据えている。学習能力はあるらしく、先程の単なる突進をゼロが避けた事から無闇に動く事は止めた様だ。

ゼロ(単純な脳筋なら良かったが、思ったより面倒な相手になりそうだな……)

 

それに、

ゼロ(思ったよりかカーネルからのダメージが響いてるな……動きが鈍いのが自分でも分かる)

 

まさかこんな事態になるとは流石に想像していなかった。

ゼロ「それでも……退けない理由がある!」

 

 

今度は自分から飛び出す。真正面から全速力で突撃し、懐に潜り込もうとする……が。

 

ゼロ「ッ!」

相手がブレスを吐く動作が見えたのですぐに中断して横に転がる。次の瞬間に自分が居た斜線上に激しい炎が突き抜けた。

 

ゼロ(近距離だけだったら良かったが、流石にそう甘くは無いか……)

 

今自分が戦っている場は周りに瓦礫の山や遮蔽物が沢山ある。それで先程のブレスが防げるとは思わないが少なくとも隠れる事位は出来るだろう。

相手の動きは速いが、小回りが利く自分の方が立ち回り的には有利だ。

 

ゼロ(だがそれもコイツが手当たり次第に破壊していくのなら別だ……早い内に何とかしないと)

 

相手が幾ら高機動といえ、ダメージを負っているとはいえ速さで遅れを取るつもりは無い。

 

 

ゼロ「そちらが来ないなら仕掛けるまでだ!」

瓦礫の山を次々飛び越えて細かい動きをしながら近付く。当然相手も動くが、

 

小回りではやはりゼロの方が上。周りを動き回っていたゼロが突然飛び込んで来た事に反応は出来ずにゼロが懐に入る。

ゼロ(狙うは……足!)

 

チャージバスターを顔面に撃ち込んだ後、近付いてセイバーを相手の前左足に突き刺す。

予めサンダーチップを付与しており、突き刺すと同時に相手の体内に激しい電流を流し込む。

 

咆哮を上げて暴れる相手。すぐにその場から飛び退きゼロは一息ついた。

 

だが当然まだこの程度では倒れず、何とか持ち直した相手は完全に怒りモードになったのか少し様子見だった先程までの体勢から1点、我を忘れ突撃してきた。

 

ゼロ(よし……まだコチラの方が対処しやすい)

 

猛突進してくる相手を避けては攻撃を入れる、の繰り返し。

 

 

丁度同時刻、最初にゼロが居た場所付近にてエールとアッシュが到着していた。

 

エール「ゼロさん、居ないわね……」

アッシュ「……」

エール「アッシュ?」

アッシュ「流石にここら辺で戦ったらシェルターの皆に被害が及ぶかも知れないってゼロさんは思ったんじゃない?」

エール「そうか、じゃあ相手をここから離す為に移動した可能性が高いね」

 

アッシュ「と言うかもうそうでしょ。見て、この跡……巨大な足型」

エール「これを辿って行けば……」

アッシュ「急ごう、ゼロさんなら大丈夫だと思うけど……あの人ついつい無理をしたがるから」

エール「言えてる」

 

そう言って2人は足跡を辿り駆け出した。

 

 

 

このまるで闘牛士の様な戦い方を始めて少し時間が経ったが、中々相手のタフさにゼロは苦しめられていた。

 

ゼロ(もっと早く倒れて欲しかったものだが……集中力が切れてきたな。一瞬のミスは死に繋がる、ここはもう一気にケリをつけるしかない)

 

とは言えそんな都合良くいくとは思えない。やはり多少の犠牲は覚悟しないと……そう思っていたが、そこでシエル達の言葉をふと思い出した。

 

「無理はしないで」

 

ゼロ(……やるだけは、やってみるさ)

 

 

相手が突進して来るのを見て、コチラも走り出した。何とゼロも真正面から挑んで行った。

 

ゼロ(悪い、やっぱりかなり無茶なやり方になってしまった)

心の中でシエル達に謝る。

 

ゼロ(だが勝算は……ある!)

 

真正面からのクローを、ギリギリで華麗なフットワークで回避。そして一か八か、

 

ゼロ「セットアップ、タイタス!」

 

懐に潜り込んだ所でタイタスフォームになり、

ゼロ「ここだ……ギガントフック!!!」

 

丁度相手の心臓部分を殴り付けた。今ある力を振り絞った一撃の破壊力は凄まじく、相手は1歩2歩下がったと思うと頭から地面に崩れ動かなくなった。見た感じ動力を停止させた様だ。

 

ゼロ「……割と危険な賭けだったが何とかなったか。まだ力が残っていて良かった」

 

 

疲れからか、その場に自分も崩れ落ちそうになるがセイバーで支える。

ゼロ「とは言え……やはり無理し過ぎたか」

 

そこへグッドタイミングでエールとアッシュがやって来た。

 

エール「ゼロさん!」

アッシュ「うわぁ、また何か大きいの居る……」

ゼロ「2人とも、わざわざ悪いな」

エール「それは良いですから、早くガーディアンベースに戻って治療しないと!アッシュ、そっちの肩支えて!」

アッシュ「はいはい、ちょっと待って」

 

 

 

数分後、エールとアッシュに連れられてガーディアンベースに戻って来たゼロ。かなりボロボロだったのでヴァンとプレリーの悲痛そうな顔が良く頭に残っている。

 

艦長室にて。

 

眠る前にゼロから聞いた話をプレリーに話すと、

プレリー「カーネル……四足歩行兵器……」

 

何やら考えている様だ。

 

プレリー「……ともかく2人ともお疲れ様。今日はもう休んで」

 

2人は頷くと艦長室を出て行った。

 

プレリー(過去に一体何があったのかしら)

 

それを知るのはゼロ本人のみ。例えそれが辛い事だとしてもやはり話して貰うしかないだろう。

 

 

シエルに先程連絡した所恐ろしい剣幕でゼロは大丈夫かと聞いてきた。とりあえずは大丈夫だと答えておいたが、彼女もすぐに帰ってくるらしい。

 

プレリー「ゼロが明日目覚めてくれれば良いけど。皆に重要な事を話さなければいけないわね」

 

そう、このまま何か手を打たないと世界が終わってしまう。なので幾度と話し合った結果、ガーディアンはとある手に出る事にしたのだった。

 

プレリー(成功すればきっと大きな1歩を踏み出せるけど、皆をまたとんでもない危険に晒してしまう……悲しいけど、私情を入れて良い訳が無い。私はガーディアンの艦長なのだから)

 

艦長室で、1人考えるプレリーであった。

 

 

 




また1ヶ月ちょい空いての遅過ぎる投稿になってしまって申し訳ないです_(。。)_
前から言っていた長期休暇という物にようやく入れたので、所々忙しい時もあるけど少しでも投稿ペースは速くする様に努力します。

今回はXシリーズの方から、4に出てきたカーネルさんが登場しました。先に言っておくと今の所アイリスさんは残念ながら登場予定は無いです。

ゼロさんが頑張った話でしたが、沢山戦闘を行った訳でも無いので色んな意味で頑張ったって感じですかね。
カーネルがこの先どう関わってゼロとの因縁がどんな結末を迎えるのかにも注目です。

今まで暗めな感じではありましたが次回からはほんの少し反撃ターン(上手くいくとは言っていない)になります。

では次の話でお会いしましょう(・ω・)ノ


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-新たなる道-

どうも、とぉぉぉってもお久しぶりですM・Mです。
もう失踪と言っても過言では無い事をしてごめんなさい。

まぁ前書きではこの辺にして、本編の方に。
今までやられっぱなしであったガーディアンは遂に新たな策に出る……?

では、どうぞ。


ゼロ「おい作者」

M・M「ハイ」

ゼロ「セイバーのチャージ攻撃とリコイルロッドの連続突きのどちらが良い?」

M・M「どっちも嫌です……」

ゼロ「分かった、タイタスで腹パンだな」

M・M「聞いてないし!しかもさっきそんな事言ってなかった!」

ゼロ「……気のせいだ」

M・M「嘘つけェ!ごめんなさい!遅れた事は本当に申し訳ないです!」

ゼロ「……」

M・M「亀更新なのはともかく遅れてる時はちゃんと活動報告書きますゥゥゥ……読んで下さっている皆様大変遅れて申し訳ありません」

ゼロ「ちゃんとしろよ?」

M・M「ウイッス……」

 

ゼロ「……よし。また改めて言うとしてとりあえず本編行くぞ」

M・M「それではまた後ほど……」

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

ゼロ「……ん」

 

目を覚ませばメディカルマシーンに横たわっていた自分。何が何だか少し混乱したが、頭に手を当てて落ち着いて思い出してみる。

 

ゼロ(確か俺は、カーネルとあの変な四足歩行のやつと戦って……エール達に連れ帰って貰ったのは疲れで良いが眠ってしまったのだったな)

 

ふと日付を見ればあの日から一日丸々経っていた。そこまでぐっすり寝ていたという事か。

 

ゼロ(確かに疲れたのはあるが、まさか一日寝ていたとはな)

 

とりあえず体の傷も治っていたしちゃんと動く。まずは皆に自分の姿を見せるとしよう。

 

 

 

丁度艦長室に集まっていたのか、艦長室に行けば皆が居た。

4人「ゼロさん!」

シエル&プレリー「ゼロ!」

ゼロ「心配を掛けたな」

 

プレリー「本当にもう……凄く心配したのよ!」

シエル「あれ程無理はしないでって言ったのに……ゼロはもっと自分を大事にして!」

ゼロ「……悪かった」

 

プレリー「けどエール達から聞いたわ。シェルターのヒトビトを守る為に無理をしたのよね」

ゼロ「無理をするつもりは無かったのだが、予想以上に辛い状況でな」

 

エール「その四足歩行の奴がそんなに強かったのですか?」

ゼロ「いや……まぁ弱くは無かったが、それよりもそいつの前に受けていたダメージが思ったよりか響いていてな」

ヴァン「その前にも誰かと戦闘を?」

 

ゼロ「……これは皆にも話しておいた方が良いか、いずれ会う事になるだろうからな」

 

ゼロは一呼吸おいて、話し始めた。

 

ゼロ「俺がまだエックス達と共に戦ったイレギュラー戦争時、カーネルという軍人が居てな」

アッシュ「カーネル、ねぇ」

ゼロ「性格的には堅物の、正しく軍人っていう表現がぴったりな奴だった。だが曲がった事が嫌いな正義感はある男だった……俺にとって旧友と呼べる数少ない存在ではあった」

 

そこまでは普通の口調だったゼロであるが、

 

ゼロ「まぁ様々な事情があったのだが、総合してイレギュラーの疑いを掛けられてしまい、本来ならば軍に出頭しなければいけない状況でそれを拒否した。そしてその時から奴は俺達の敵になってしまった」

 

プレリー「イレギュラー……」

ゼロ「そしてこの軍への出頭拒否はカーネルのイレギュラー化の疑いを更に強めてしまい、軍は俺達にカーネルを破壊する様に命令した」

 

ヴァン「ッ……」

ゼロ「そしてここからはお前達も聞いた事があるだろう、レプリフォース大戦と呼ばれる戦いに繋がっていった」

 

シエル「あの前に私達が発見した無人の艦の記録にも残っていたわね」

 

ゼロ「そして大戦の途中に俺は奴に呼び出された。思えば決闘という物だったのかも知れん……だが呼び出した当の本人は迷っていた。その要因は沢山あるだろうが、やはり妹の影響が大きかったのだろう」

 

エール「妹……?レプリロイドに兄妹ってあるんですか?」

 

ゼロ「優しさ、厳格さ。元々相反する二つの感情を備えた1体のレプリロイドとして開発されたのを、感情毎にCPUを分割させて別々のレプリロイドとした兄妹だった」

 

シエル「なるほど……そして話からして優しさの方が妹さんなのね」

ゼロ「あぁ。名前はアイリスと言って俺のサポートをしてくれていた」

 

アッシュ「名前からして優しそうよね」

ゼロ「戦争にも、そして兄であるカーネルの行動にも酷く心を痛めていた。アイリスの為にもカーネルを説得したかったが……もう遅かった。引くに引けない状況で、最後まで自分の信念を押し通し戦う道を選んだ」

 

その場に再び静寂が渦巻いた。

 

ゼロ「そして俺は奴を倒した。奴は俺にアイリスの事を頼み戦死した」

 

 

エール「戦争とは言え、悲しいですね……」

ゼロ「融通の利かない所はあったが、軍人と呼ぶには相応しい人物であった。そして軍人としての誇り……そして状況が奴を狂わせてしまった」

ヴァン「……ゼロさんは、俺達が思っていたよりもずっと辛い戦いをしてきたんですね」

 

ゼロ「辛い……か。どうだろうな、俺は沢山イレギュラーを排除したが、勿論その中には顔見知りも友人と呼べる人物も居た。イレギュラー化をしてしまえばもう元には戻れずに暴走するだけ、ならばせめてそうなる前に破壊するのが言わば俺達イレギュラーハンターの仕事だったからな」

 

淡々と喋っていたが、

 

ゼロ「仕事とは言えど仲間を抹消(デリート)しなければいけないのは、辛いものだな……今の俺には」

 

過去の自分なら、悲しみはあっただろうがここまで辛くなる事は無かっただろう。

 

ゼロ(弱くなったというカーネルの言葉はそういう事か……)

 

シエル「ゼロ……」

ゼロ「話を戻そう、そして奴との関係はもう終わったのだと思っていたが……先日、奴が俺の前に現れた」

 

 

何となく分かっていたが、皆怪訝な顔をしていた。まぁ戦死したと言った奴が再び現れた等言われても訳分からないだろう。

 

ゼロ「……何者かの手により復活させられてな」

ヴァン「まさか、その何者かって……」

ゼロ「バイルだ」

アッシュ「もう、何処にでも出て来るわね……」

 

ゼロ「洗脳でもされたんだろうな、ガーディアンが世界を管理……支配してるとでも考えている。そしてそれに属する俺も憎いと言っていた」

エール「滅茶苦茶じゃないですか……」

ゼロ「俺に対してはやはり特別何かの憎しみが感じられたな……記憶も消されていた。アイリスの事も忘れていたからな」

プレリー「……酷い」

 

ゼロ「……ただ気になる事は奴は別にバイル勢では無いという事だ。奴を直したのはバイルで間違いないだろうが、カーネルはカーネルで動いている。詳しい事は分からんが用心しておくに越したことはない」

 

ヴァン「また敵が増えちゃった訳ですか」

ゼロ「奴は恐らく俺が目当てだろう、お前達を巻き込む事はしない」

アッシュ「そんなお堅い事言わずに」

ゼロ「……頼む、これは俺の問題なんだ。俺の手で決着を付けたい」

アッシュ「……分かりましたよ」

エール「それでも、何か力になれる事があるなら言って下さいね」

ゼロ「その時は頼りにさせて貰う」

 

 

話が一旦まとまった所で、

プレリー「ゼロも起きた事だしこれからについて話しましょうか」

エール「これからって、何か目処が立ったの?」

プレリー「前に皆にこの世界を何とかするには宇宙に上がる必要があると言ったわよね?それについて沢山議会で話し合ったわ」

ヴァン「……それで、話し合った結果は」

プレリー「レプリフォースでこのガーディアンベースをアップグレードする事に決まったわ」

アッシュ「アップグレード……宇宙に上がれる様に改造するのね」

シエル「もうプランは出来上がっているわ、完成すれば必ず宇宙には上がれる」

 

感嘆の声を上げたエールとアッシュだったが、

ヴァン「でも、そんな簡単に上手く行ったらもっと早くからやっている筈だ」

ゼロ「問題だらけ……なのだろう?」

 

シエル「……えぇ。2人の言う通りよ」

エール「まぁ、そうだよね」

アッシュ「大丈夫、分かっているわよ」

 

ゼロ「なら良いが。それで問題点は幾つだ?」

プレリー「モニターを見て頂戴」

 

皆上に表示されたモニターを見た。映っていたのは我等が乗るガーディアンベース。

 

シエル「大きく分けて問題は2つよ。1つ、まずそもそもの問題であるけれど改修する為の資材が足りないわ」

 

アッシュ「向こうの襲撃で資材も大分失われちゃったから?」

シエル「それは勿論あるわ、でも足りないのは特殊な部品よ」

ヴァン「特殊、か……」

シエル「何が必要かはまた後で説明するわ。金属等の基本的な資材は何とかなるけどこればかりはゼロ達に任せるしかないの」

エール「その為の私達だからね」

 

シエル「そして2つ目。皆大体分かっていると思うけれどこのガーディアンベースが狙われる事」

ゼロ「どちらかと言うなら俺はそっちの方が心配だな、奴等が俺達の動きを察知していないとは思えん……」

 

ゼロの心配は全くもってその通りである、だがプレリーはまとめてこう言った。

 

プレリー「ゼロの言う通りでしょうね……けど、私達に選択肢は残されていないのよ」

 

ゼロ「……そうだな、すまない」

 

あの彼が少し弱気な言葉を発した事に少し驚く皆であるが、気持ちは誰もが同じであろう。

 

プレリー「特殊な部品を集めつつガーディアンベースが駐在しているレプリフォースの警備、それが貴方達にやって欲しい事よ。今まで以上の戦いが予想されるけど皆なら必ず大丈夫だと信じているわ」

 

了解、と力強く言った5人に対しプレリーはやはり胸が傷んだ。けれど迷っていては……何も救えないから。彼等と共に、自分も戦うのだ。

 

 

 

 

そしてプレリーとシエルは改めて詳しい内容を話し始めた。

 

 

※ここからはシエルの解説入りでお送りします

 

シエル「とりあえず現状の足りない特殊部品は全部で5つ。まず1つ目はスラスターモジュール。艦が宇宙でも空を飛ぶのと同じ感覚で飛べる様にする為のパーツよ」

ヴァン「と言うかこれが無いと宇宙では機動性が著しく低下してしまう」

プレリー「それは致命的ね」

 

 

シエル「2つ目。ミノフスキードライブ」

アッシュ「ん、確かそれはこの艦に付いてなかった?ミノフスキー粒子を使って浮遊出来る様になるんだっけ……詳しくは忘れたけど」

 

M・M「詳細は番外編 ゼロ達の新しい力~をご覧下さい」

 

シエル「そうなのだけど、度重なる戦闘もあったし……そもそもこの艦の物自体がかなり古いやつだったからガタが来ているの」

ヴァン「だから出来るなら新しいやつと交換したい訳だけど、見つかるだろうか」

シエル「それに関しては大丈夫、ある場所は調査済みよ。けど……」

ヴァン「けど?」

プレリー「少し問題があってね、これは後回しになるわ」

ヴァン「問題、か……」

 

 

 

シエル「次に3つ目、防御障壁(バリア・フィールド)。これもこの艦に付いている物だけど古いから交換目的ね」

エール「艦の防御は確かに大事ですね。これもある場所は分かっているんですか?」

シエル「無論よ」

 

 

 

ゼロ(ここまで聞いている物だけでも必要なものだらけだが、大変な任務になりそうだ)

 

シエル「続いて4つ目はレーダー。これも交換ね」

ゼロ「レーダー……探知機か」

シエル「今この艦の物は辛うじて動くのだけれどかなり不調ね、いつ動かなくなってもおかしくないわ」

プレリー「お姉ちゃん、原因はやっぱり……?」

シエル「戦闘だけれど、悪くなったのはあの巨大兵器との戦いからね」

ヴァン「レーダーが動かなくなるのもまた致命的だよな……」

 

うんうんと頷く全員。

 

 

シエル「最後の5つ目、これも交換……とは言ってもほぼ別物になるから交換とは言わないかしら」

ゼロ「何なんだ?」

 

シエル「もしかしたらゼロなら知っているかしら……エニグマ」

ゼロ「エニグマ!?」

 

エール「エニグマって何ですか?」

ヴァン「俺も聞いた事無いけど……」

ゼロ「エニグマは……かつてイレギュラー戦争時にシグマがコロニー落としを行った時に俺達が使った超威力のエネルギー砲台だ」

シエル「別に絶対エニグマが欲しい訳じゃないわ。でもこの艦の主砲も……」

 

先は言わなかったが、使えないという事は皆分かっていた。

 

ゼロ「それで、結局どうするんだ?」

シエル「砲台については後回しでお願い。どうするか決まったら言うわ」

ゼロ「あぁ」

 

 

 

 

プレリー「以上5点、殆ど交換がメインになる訳だけど……」

ヴァン「かなり大変だな」

プレリー「戦いの方も、激化していくと思うわ。私としては皆には無理はして欲しくない」

シエル「プレリー……」

 

プレリー「けど、お願い。世界の全てが懸かってるこの戦いに負ける訳にはいかないの」

 

艦長として、ゼロ達に言う。

 

プレリー「いつもながら、皆ならきっと大丈夫だと信じてるから」

 

4人「了解」

 

プレリー「それと5点と言ったけどその内ミノフスキードライブとエニグマ、この2つはまだ少し」

 

 

 

頑張ろうと意気込みをしたのは良いが、

 

ヴァン「まずはどうするか、だな」

エール「誰が何処に行くかは自由みたいだね。今行ける3つの内から選ぶ訳だけど」

アッシュ「まぁしんどいのは何処に行っても変わりなさそうね……」

 

ヴァン「ゼロさん、どうします?」

 

それまで黙って考えていたゼロが口を開く。

ゼロ「誰が何処に行けとは言わん、行きたい所に行ってくれて構わないが……覚悟はしておいた方が良い。楽な戦いは無いだろうからな」

 

ゼロの言葉を皆ずっしりと胸に刻み、頷いた。

 

ゼロ「……今回は俺がここに残ろう」

ゼロが警備の役に立候補した。

 

ヴァン「じゃあまずは俺だな」

ヴァンが選んだのはレーダーの回収。

 

プレリー「今最も高性能なレーダーがあるのはローレルから少し海側に行った所にある島ね。バイル軍に占拠されていて手が出せないみたい」

 

ヴァン「レーダーの回収は勿論の事、主な目的は奪還、だな」

プレリー「えぇ、危険だけど……」

ヴァン「それ位承知の上さ。頑張るよ」

 

 

エール「なら私はこれかな」

エールはスラスターモジュールの回収。

 

プレリー「あ、スラスターモジュールなのだけれど……」

エール「どうしたの?」

プレリー「これはシロツメに保管されている物があったって連絡が入ったわ。だからシロツメまで回収しに行って」

エール「えっ、それだけ……?」

ゼロ「回収が任務だからな。出来る事からさっさとやっておいた方が良いだろう」

プレリー「ゼロの言う通りよ。お願い」

エール「うん、分かった」

 

 

 

アッシュ「エール羨ましいなぁ、じゃあアタシはこれ……ていうか今行けるのはこれしかないし」

アッシュは残った防御障壁の回収。

 

プレリー「防御障壁ね、これなんだけれど前に皆が行った海底基地の事を覚えてる?」

アッシュ「滅茶苦茶大変だったやつだ……」

プレリー「アレのまぁ少し遠く位にある別の基地にあるのだけれど……」

アッシュ「何かあるの?」

 

プレリー「この場所には恐らくイレギュラーは居ないと思うの」

アッシュ「え、ラッキーじゃん!」

ゼロ「……その場合、居ないじゃなくて居られない、が正解じゃないのか?」

アッシュ「ん???」

プレリー「残念ながらゼロの言う通りよ」

アッシュ「えっ……イレギュラーが居られない環境って、まさかトラップだらけとか……」

プレリー「流石アッシュね、正解よ」

アッシュ「そこで流石って言われても嬉しくないんだけど……それはそれで嫌だなぁ」

 

ヴァン「そこに関してはトランスが使えるアッシュが1番適任だろ」

アッシュ「分かりましたよー頑張りますよー」

 

 

 

シエル「皆行く所は決まったみたいね」

ゼロ「時間は限られてる。迅速に……だが無理はするな」

プレリー「ゼロもね」

ゼロ「……分かっている」

 

 

ゼロを除く3人が転送台に立った所で、

プレリー「皆、頑張って。絶対帰って来るのよ」

3人「了解!」

オペレーター「転送!」

 

各自が光に包まれて消えていった後、静かに無事を祈るゼロ、そしてシエルとプレリーがそこに居た。

 

 

 

 

 

 

 




2月から何してたんだテメェ……と言われると非常に申し訳ないです、3月は完全にサボってました……4月に関してはまだ本当に忙しかった、と言っても書く暇は十分あった訳だし5月も含めずっとサボってましたね。

1度書くのを止めると内容を忘れちゃうから次の話を書くのに非常に時間が掛かるんですよね、反省です。

冒頭でもあった様にせめて書けない時はちゃんと活動報告を書くのと、やっぱりそもそもサボらない事を目標に再び頑張っていきます。
これと後もう1話は完全に、それと数話もちょこちょこ書いているのでとっとと完成させたいと思いますので、是非読んで頂けると幸いです。

失踪もどき様な事をしてはいけない(戒め)

本編の内容に戻りますが、ロックマンX5のストーリーを参考というか殆ど一緒な感じでバイルに対抗する為に各地にあるパーツを集めていくのが目的となりました。
それを勿論邪魔しようとするバイルsideや、その他の者達の陰謀も書いていきたい所。
ゼロさん達は今日も明日も頑張ります。

長くなりましたがこの辺で。では次の話でお会いしましょう(^q^)


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-新艦の製造をする為に ヴァン編-

どうも、小説を書いてると実際にそのゲームがしたくなる→進まない→バカじゃねぇの(嘲笑)な土日でしたM・Mです。

暑くなってきて割とマジで体調崩し気味になると思いますのでご容赦下さい(吐血)

今回はヴァン編。このパーツ集め編は短めの予定なので戦闘も少ない方だと思います

では、どうぞ。


ローレルでクリスに挨拶をした後、今のご時世船を出すのは危険なのでモデルLXとなり海を素早く移動して、ヴァンがやって来たのは目的地である島、クラウン島。

 

sideヴァン

 

海からそっと上陸し、モデルPXになり隠密に進んでいく。

プレリーからの情報通り工場が立ち並びいかにも工業地帯という感じの場所だった。

 

ヴァン(目的のレーダーがある工場がどれかは分からないしな……かと言って虱潰しに漁っていくのは労力も時間も掛かる)

 

これだけの大掛かりな工業地帯だ、管制塔や、製造品を管理するコンピュータ等が必ずある筈だ。

 

ヴァン(まずは管制塔だな。とりあえずこの島の全貌が知りたい)

思惑ば敵位置の情報メインコンピュータの場所等も把握出来たら良いのだが。

 

とにかく無駄な戦闘は避け、初めから見えていた恐らく管制塔であろう高台を目指していく。

 

 

こういった時にモデルPX、シャルナクは非常に便利だ。あまり広範囲では無いものの建物や地形を無視して敵の位置を把握する事が出来、壁に張り付いたり天井にぶら下がったりと忍者の様な事が可能。

気配や足音も消せるので正に隠密行動にうってつけの形態と言える。

 

主な武器はクナイ。仕方なく倒さなければならない敵は静かに、かつ迅速に葬っていく。

 

 

進む事しばらくして管制塔だと思われる場所に到着。ご丁寧にコントロールセンターと看板に表記されていた。

 

ヴァン(……まぁ、当たり前だけど敵だらけだ)

 

うじゃうじゃと敵が配置されている。正面突破するにはかなりエネルギーが必要だろう……。

 

ヴァン(……)

 

キョロキョロと辺りを見回す。

ヴァン(玄関から行くなんて事をする必要は無い……メインコンピュータとかそういった物は大抵最上階にあるだろうから)

 

ならばわざわざ内側(・・)から登る必要は無いだろう。

 

そっとイレギュラー達の警備を掻い潜り管制塔の外壁を壁蹴りで登っていく。

 

だがこれもそう簡単にいく訳でも無く、

ヴァン(っと……!)

当然中に居るイレギュラー達からも見つかってはいけない。時にはモデルHXになってホバーをしたり、モデルPXで突起物にぶら下がったりとテクニカルな行動で難を逃れながら登る。

 

ヴァン(下は見ない下は見ない……)

別に高所恐怖症という訳では無いが、登り始めて数分、もうかなりの高さとなっている以上変な恐怖心を抱くのも面倒だ。

 

 

そして、

ヴァン(頂上が見えた!)

しかも幸運な事に頂上の部屋にはメインコンピュータと思わしき機械がある。当然敵も居るが、それは何とかしよう。

 

そんなこんなでやってきた頂上近くに上がって来た訳であるが、問題はどうやって中に侵入するかである。窓がすぐそこにあるが、当然ながら破壊して入るなんて大胆な事は出来ない。

 

もう頂上の部屋に突撃しても良いんじゃないか、と一瞬思ったものの今後の事も考え、やはり慎重に行きたいが為に諦めた。

 

ヴァン(何処か入れそうな場所は無いだろうか……?)

 

 

少し塔の周りをくるりと移動してみると、

ヴァン「……ん?」

 

何かがコツンと足に当たった。どうやら足下に何かあるらしい。

 

ヴァン「よっ……と」

少し下に降りると鉄製の格子があった。配置からして恐らくこれは……

 

ヴァン(通気口、か……これなら)

幸運にも簡単に外す事が出来、格子を自分の足元に置いて颯爽と中に入った。

 

 

 

ヴァン(うっ……狭いな)

ギリギリ大人が通れるスペースがあるだけで窮屈であり、しかもゴミやホコリまみれで空気が悪い。かなり老朽化しているのが目で分かった。

 

だがこの機会(チャンス)を逃す訳にはいかない。意を決して中を進んでいく。

 

 

進む事一刻、少し気分が悪くなってきたが無事内部に入る事が出来たらしい。後は何処から降りて侵入するかだ。

ヴァン(何処からでも降りて良いって訳じゃない……落ち着こう)

 

降りられそうな場所を探す。既に何個か見つかっているが、全て敵の反応があった為に降りられなかった。

 

そして、

ヴァン(……いける、敵の反応が無い)

 

ゆっくり、細心の注意を払いながら通気口の蓋を開け、ゆっくりと降りる。

どうやら無事気付かれずに中に入る事が出来た様だ。

ヴァン(ここは……倉庫か?)

 

周りを見てみれば棚や箱が沢山あった。どうやら倉庫で間違いなさそうだが……。

 

ヴァン(さて、まずは第一関門はクリアと言った所だな)

だが任務はまだまだ始まったばかり、気を引き締めて改めて索敵を開始する。

 

ヴァン(……とりあえずは周りに反応は無し。よし)

 

幸いな事に扉にロックは掛かっておらず、外に出て先を目指す。

 

 

ただ単に破壊が目的ならば真正面から突撃するのだが、そうでは無い為にここまで慎重に任務を遂行する。

ヴァン(俺が奪還した後もここは使われる……なるべく戦闘は行わずにまずは目的の物の回収)

 

この島に居るイレギュラー達はまた後で排除すれば良いだろう。

 

 

ヴァン(問題は頂上の部屋にどうやって行くかだな……)

この塔の事が分からない以上あまり表立って動く訳にもいかない。

 

ヴァン(だけど動かない事には始まらない。行こう、ここからが頑張り所!)

 

少し進んだだけで警報が鳴り響いた。当然の如く監視カメラに見つかってしまうがこればかりは仕方ない、前に立ち塞がる敵だけを始末していき部屋を片っ端から開けて上に登る階段を探す。

 

そして、

ヴァン「あった、これか!」

内部から頂上の部屋に繋がるであろう階段を発見し、ロックが掛かっていたがここは強引にいく。

 

中に居た敵を排除し、すぐに機械を触る。どうやら自分の読み通りメインコンピュータで間違いない様だ。

 

ヴァン「まずは全警備用の装置の動作を停止……この島の詳細……メインマップ……製造品情報の詳細……これ位か」

 

まとめて情報をダウンロード、といったツールもあったが今はそんなに時間が無いので最低限の情報を得たらすぐに脱出する。

 

 

ヴァン(後少し……)

常に後ろを警戒しながらまだかまだかとダウンロードを待つ。

 

 

そして、

ヴァン「完了!」

丁度そこにイレギュラー達が入って来るが、

ヴァン「遅かったな、さよならだ!」

 

モデルHXになり窓を割って脱出した。

 

 

監視カメラの動作も全て停止させてあるので敵に直接見つからない限りは追われる事は無い。とある建物に逃げ込んで1度マップを確認する。

 

 

ヴァン「俺が今居る場所はここで……」

次に製造品情報を見て、目的の物を探す。

 

ヴァン(色々作ってるんだな、流石は軍需工場と言ったところか。気になる物は幾つかあるが今は……あった)

 

ハイパーレーダー。かなりそのままな感じはあるが間違いなくこれだろう。

 

ヴァン(これが保存されている場所……ん、俺が居る場所からすぐ近い)

ラッキーな事にすぐ近くの工場に置かれているらしい。ならば早々に回収を行おう。

 

 

 

敵に見つかる事も無くやって来た目的地。

ヴァン「そこそこ大変だった……あまりこういう任務は得意じゃないな」

 

 

ため息を零しながら中に入る…………その時。

 

ヴァン「!!!」

反射だった。飛んで来た手裏剣を咄嗟に斬り落とし、すぐに飛んで来た方向を見る。

 

そこには、かつて自分が戦った忍び……では無くその忍びが変身するロックマンのモデルとなった存在……のコピーである。

 

ややこしいが、自分が戦ったシャルナク、モデルPのモデルとなった四天王の1人であるファントムはゼロの時代に破壊され、今バイルの元に居るのはそのコピーである。

 

 

ヴァン「ッ……四天王!」

ファン「拙者の任務……ガーディアン達の妨害」

ヴァン「流石に戦わずに終われるとは思ってなかったけど、まさか四天王のが相手とはな!」

 

だが負けられない。そっとセイバーを取り出していざ対面する。

 

 

ヴァン(四天王とは何度か戦っているが……コイツとは戦った事が無いな)

 

基本的な攻略法はモデルPと同じ様に考えれば良いだろうが、完全に同じだとも限らない。

 

ファン「拙者が紛い物と一緒?……笑止!」

ヴァン「!?」

まるでコチラの考えを読まれたかの様な発言に驚いてしまった。

 

貴方もコピーなんですけどね、ファントムさん

 

 

それはともかく、やはり忍びらしく非常に速い動きですぐに視界から消えてしまう。

 

ヴァン「そっちがそう来るなら……!」

モデルPXにダブルロックオン。すると相手は動きが止まった、どうやら驚いてはいるらしい。

 

ファン「……」

ヴァン「この状態なら相手が幾ら視界から消えても索敵が出来るからな」

 

だが、その言葉に対しファントムは嘲笑う様に、

ファン「浅はかな……」

ヴァン「何……?」

 

するとファントムは高速に移動する事は止めて、両手に短刀を携え突撃して来た!

 

ヴァン「なッ!?」

突如の襲来に驚きながらも何とか相手の短刀をクナイで受け止める。

 

ファン「どうやら拙者と同じ力の様だな。興味深いが……所詮は紛い物と変わらず!」

ヴァン「クッ……!」

 

確かにヴァンの言う通り索敵が可能な為に高速で移動しようが無駄だろう。

 

ファン「本物に戦闘能力で勝てると思うな!」

ヴァン「クハッ!?」

 

ちょっとした隙を突かれ腹に一撃を入れられ体勢が崩れた所に飛び蹴りを喰らう。

 

ヴァン(……そうか、能力に頼らず純粋な力で対面するならやっぱり相手の方が上だ)

 

あくまでこちらは()()()でしか無いのだから。

 

おとなしくZXに戻る。

ファン「良き判断……」

 

だが相手は再び速さで翻弄してくる。

ヴァン(思い出せ……速い相手の対処)

 

ゼロから教わった事……

 

ヴァン「無心になって、音を聞く……」

 

 

―――――――――――――――――――――

とある時の訓練風景。

ヴァン「だぁー……負けた」

ゼロ「別に反射神経は悪くないが、やはり皆速過ぎる動きの対処が苦手の様だな」

アッシュ「だって本当にゼロさん速いんですもん、目で追えない」

ゼロ「目で追おうとするから分からなくなるんだ、今までだってそういう相手と戦った事位あるだろう?」

エール「弾幕で勝負してました」

ゼロ「……」

 

ふむ、と言った感じにゼロは考えた。

 

ゼロ「なら覚えておけ、そういった相手は目で追おうとするな。音を聞くんだ」

アッシュ「音?」

ゼロ「例えどれだけ動きが速くても飛んだり、コチラに攻撃してくる瞬間は必ず音を出す」

エール「ふむふむ」

ゼロ「目を瞑れ、どうせ目で追う事が不可能なら聴力の方に集中させて無心になる」

 

―――――――――――――――――――――

 

そうすれば何かが分かる筈だ、とゼロが言っていたのを思い出した。

 

ヴァン「……」

目を瞑り、言われた通り意識を聴力に集中させる。心を落ち着かせて……

 

 

微かな風の音。それは、相手が手裏剣を投げた音。そしてファントム自体は俊足で手裏剣を投げた速度よりも加速し自分の側面に動く。

 

ヴァン(分かる……相手の行動が。手裏剣を俺が叩き落とした所を側面から攻撃する)

 

そう分かったのならやるべき行動は……

 

ヴァン「こうだッ!」

飛んで来た手裏剣を紙一重で避けて、セイバーを前に押し出し相手に叩き付ける感じで踏み込む。

 

言わばシールドバッシュの剣版である。

 

 

ファン「何ッ!?」

自分の動きが読まれた上に突然の行動に驚愕し、ヴァンの叩き付けに当たってよろめく。

 

ヴァン「ここは……俺の間合いだッ!」

 

すぐに駆けて3段斬り、そして力を込めて勢い良く斬り上げる。自分の十八番技であるライジングファングを決めた所でファントムは吹き飛んだ。

 

 

ファン「……クッ、まさかあの速さの中で拙者の行動を見抜いたとは」

ヴァン「別に見抜いた訳じゃないさ。ちょっとした事を思い出しただけだ」

 

ファン「面白い……こうではなくてなッ!」

 

 

ここでファントムも十八番の武器である闇十字手裏剣を取り出した。

 

ヴァン(デカイな……)

 

ファン「ふんッ!」

これを力を込めて投げて来た。

 

まぁこれは流石に読めていたし落ち着いて避ける。そして帰って来てもう1度攻撃して来るのも読めている。

 

 

が。

ファン「行くぞッ!」

 

まさかその凄まじい勢いの手裏剣に乗って自分に突撃して来るとは思わなかったが。

 

ヴァン「えぇっ!?」

想定外の行動に混乱しつつも回避に集中する。

 

だがファントムからすれば回避は想定内。寧ろ回避するであろう事を見越してクナイやら爆弾やら色々投げて来る。それらに加えて巨大な闇十字手裏剣の突撃と中々バリエーションに富んだ攻撃でヴァンを苦しめる。

 

 

ファン「朧舞(おぼろまい)月無(つきなし)!」

ヴァン「……消えた!?」

 

闇十字手裏剣に乗っていた筈のファントムが消え、ただヴァンの周りをずっと手裏剣が回っているだけだ。

 

 

ファン「隙あり!」

ヴァン「ッ!」

何処から声がしたのかは分からないが何かが自分に向かって投げられたのは理解した。

 

 

再び無心になり音を聞けば、左右の闇の中からクナイが飛んで来ていた。ギリギリの所でそれら2本を斬り落とすも、

 

ヴァン「痛ッ……!?」

背中に来ていた1本を対処出来ずに突き刺さった。

 

ヴァン「やるな……反応出来なかった」

ファン「まだまだこんな物では無いぞ」

 

それからも火遁や雷遁、分身の術といった忍術の対応に苦しめられながらも、最後はお互いの剣と剣が鍔迫り合っていた。

 

 

正に幻影の如き速さ。もう効かないと思ったのか先程の様な高速行動はしなくなったものの、再び純粋な近接でのサシを挑んで来た。

 

何度も何度も短刀とセイバーが火花を散らす。

ヴァン「負ける……かっ!」

 

 

速さなら向こうの方が上だが、パワーなら負けていない。長く相手の剣を受け止めていれば自然と太刀筋が読めてくる。

 

ならばここは少し強引に力で押してみる。

ヴァン「だあァッ!」

相手の斬撃に合わせてチャージ斬りで押し通る。

 

ファン「ぐうっ!?」

再び上手く相手の体勢を崩したと思ったが、

 

ファン(致しかねあるまい……!)

するとファントムは煙と共に爆散し、残っていたのは丸太だった。

 

ヴァン「んなッ!?」

折角のチャンスをまさかの忍術で回避したファントム。辺りを見回せばこの工場の2階の柵の僅かな隙間に立っていた。

 

 

M・M「汚いなさすが忍者きたない」

 

 

ファン「見事だ。この術は緊急脱出の時に使う……だが1度しか使えん。拙者の攻撃を見抜いた上に反撃されていた以上、今回は拙者の負けだ」

ヴァン「四天王……」

ファン「少し貴様らを見くびっていた様だ」

ヴァン「お前達は自分達が何をやろうとしてるのか分かっているのか!?」

 

少し間を置いて、

 

ファン「……拙者は(あるじ)に絶対的な忠誠を誓い、主のの邪魔をする者は容赦なく消す。それが誰であろうとも、そして主が何をしようとも。拙者の主はDr.バイルだ」

 

ヴァン「……どいつもこいつも」

ファン「覚えていろ……貴様らが幾ら頑張ろうとこの世界の運命は変えられん」

ヴァン「……」

 

 

そう言って次の瞬間にファントムは消えていた。

 

 

ヴァン「四天王の1人の隠将ファントムだったか。確かに強かったけど……何だろうか」

勿論こちらを殺しに来ていたのは分かった。だが、殺意とかそういうのは感じなかった。

 

ヴァン「分からない……一体四天王がどういう信念の元で戦っているのか」

 

だが悩んでいてもしょうがない、今は任務の達成を優先しよう。

 

 

ヴァン「……あった、これだ」

ハイパーレーダー。戦いの衝撃で壊れていないか心配だったが問題無さそうだ。

 

ヴァン「後はこの島に全体的に点々と居るイレギュラー達の排除だな……」

 

かなり疲れてはいたが流石にイレギュラー達程度に負ける様な自分では無い。

 

 

数時間後、プレリーの元へ連絡を入れた。

プレリー「ヴァン?この回線に繋いだって事は」

ヴァン「あぁ。目的の物は回収したしイレギュラー達も排除した」

プレリー「ありがとう、お疲れ様」

ヴァン「もう少ししたら帰るよ」

 

回線は傍受される恐れがある為に基本的に使い捨ての1回。そしてプレリーが言ったこの回線とは任務完了時に使う回線の事であった。

 

 

 

~ガーディアンベース~

ゼロ「ヴァンは無事任務達成したみたいだな」

プレリー「良かった……」

アッシュ「ヴァンにエールもやっぱり目的が目的なだけに時間掛かったみたいだね」

 

そう言ってる所にヴァンが帰ってきた。

ヴァン「ただ今帰還っと」

ゼロ「良くやったな、ヴァン」

ヴァン「かなり慣れない感じではありましたけどね。何とかなりました」

アッシュ「お疲れ様ー」

ヴァン「アッシュはもう帰っていたのか」

アッシュ「私もまぁついさっきだけどね」

ヴァン「エールは?」

シエル「エールはまだ任務中みたい……」

ゼロ「戦っているのだろうな」

プレリー「エールならきっと大丈夫よ」

ゼロ「そう信じたい所だな」

 

 




シャルナクは四天王の内で唯一先走ってラグナロク決戦の時には居なかったのでバイルが記憶を書き換えたうえでのコピーとなっております、尚コピーである事は知らない模様。サイバー空間にてエックスの守護をしている本物のシャルナクの魂とのお話もまたいずれしますのでお待ち下さい。

パーツ集め、X5を思い出させる様な感じのお話になってきましたが話の繋ぎ方としてはちょっと変になり過ぎたかな?とは少し思っちゃってますが先の展開は考えてあるので後は書くだけだね!働くんだ俺の手。

それでは次の話でお会いしましょう( 'ω')/


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-祝!UA10000越え記念-

どうも、また投稿ペースが随分ゆっくり目になっちゃってますM・Mです。

これだけの文字数なのに何故ここまで時間が掛かるんだ……と思ったら朝別の人の小説とかも沢山読んでるしゲームもしてるからそりゃ書けないよねって話。大体が電車の中で書いてますので……オイ(謎セルフツッコミ)

タイトル通り今回は記念話として文字数も少なめ、何より完全な自語となっております。主に作者のロックマンとのお付き合いを語ってますね、どうでもええわって方はバックプリーズです。


M・M「ぱんぱかぱーん!」

ゼロ「……ん?どうした作者」

M・M「よくぞ聞いてくれたゼロくん」

ゼロ「帰らせろ」

M・M「ごめんなさい!帰らないで!」

ゼロ「はぁ……で、結局この場は何なんだ」

 

M・M「前回の話でこの作品のUAが1万を超えました!って事のお祝いの場となっております」

ゼロ「ふむ、それはめでたい事ではあるが」

 

M・M「まずはこの作品を読んでくれた皆様に感謝を。何度も亀更新失踪もどきの私ですがここまで頑張った甲斐がありました」

 

ゼロ「何か最終話描き終わった雰囲気出してるがまだ話的には中盤の前半って所なんだろう?」

 

M・M「実は言うとそうなのです……前の東方オリジナル話は沢山書いている人が居るから在り来りだったけどロクゼロの話は需要があるってはっきりわかんだね」

 

ゼロ「20数話で向こうの72話分のUAを追い越した訳だからな」

M・M「東方の方もこちらの方が落ち着いたらまた……と言ってもあちらはフリーダムにやってるから私の自己満足みたいな物ですね」

 

ゼロ「まぁ今は素直にこの作品に集中しろ」

M・M「ウイッス。また度々遅れが入っちゃったりしてしまいますが暖かい目で見守って頂けると幸いです」

 

ゼロ「もし面倒で無ければ話のここが良かった、勿論批判も。こうした方が良い等のアドバイスも含めていつでもコメント募集している。何しろまだまだ未熟者だからな」

 

M・M「むー。まぁ事実か、お願いします!」

 

ゼロ「さて作者、とりあえずこの場はこれで終了とするんだな?」

M・M「はい、もっと色々書こうかと思いましたが今回はこれで終わりにさs」

 

 

 

ゼロ「……落ちたな。何でこんな所に穴があるんだ?と言うより作者の下に現れたって言い方が正しいか、となると……」

 

アッシュ「大成功~♪」

グレイ「良くやるよ……」

エール「作者には悪いけどまぁ少し退場して貰っただけだからね」

ヴァン「ゼロさんはここに居たんですね」

 

ゼロ「やっぱりお前達か。この場に呼ばれたのは俺だけだった筈だが」

グレイ「シエルさんに頼んだら場所を特定してくれました」

ゼロ「シエル……」

 

ヴァン「しかしまた随分深い穴だけど作者は大丈夫なんだろうか?」

アッシュ「何か前の作品で作者は不老不死とか言ってたから好きやって良いかなぁって」

エール「このプライベート空間がどうなってるのか知らないけどまぁアッシュの情報通りなら気にしなくて良いかなって」

 

へへん、と胸を張る2人にヴァンは苦笑い、グレイはタジタジとした表情を浮かべていた。

 

ヴァン「まぁ、こんな感じで」

グレイ「……僕は一応止めました」

ゼロ「作者(アイツ)なら大丈夫だろう(諦め)。それよりどうしてお前達はここに?」

 

アッシュ「そりゃ勿論アタシ達の出番も無いままに記念の場を終わらせようとしてたからこれは何としてでも阻止しなきゃって使命感が」

ゼロ(使命感……?)

 

アッシュ「って何かアタシとエールだけが悪い感じになってるけどヴァンとグレイだって何だかんだで参加してるから同罪でしょ」

エール「そーだそーだ」

 

ヴァン「え、いや……まぁ、出たいと言えばそりゃ出たいけどさ。なぁグレイ」

グレイ「え!?まぁ……ハイ」

 

アッシュ「やっぱりね」

エール「まだまだね」

ゼロ(押されてるぞ男組……それで良いのか)

 

もうチーム内での敷居は女性の方が高いらしい。女性率の方が高いしエールとアッシュは強いしこればかりは仕方ないね。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

ゼロ「さて……こうして4人になった訳だが」

ヴァン「そうですね」

ゼロ「……どうするんだ?」

グレイ「……」

ヴァン「……」

ゼロ「……」

 

エール「……」

 

アッシュ「何故皆アタシを見るのっ!?て言うかエールさん?こういう時だけ裏切らないで?」

エール「てへっ」

 

ゼロ「作者が居ればまだ話のネタがあったかも知れんが……」

 

そう言ってゼロは向こうの方にある穴を見た。

 

ヴァン「落としちゃったからなぁ……」

グレイ「アッシュ……」

アッシュ「だからエールもでしょ!?」

 

ワーワー騒いでいる中、

ゼロ「……ん?」

エール「ゼロさん?」

ゼロ「……どうやら来るらしい」

エール「来る?」

 

 

「呼ばれて出て来てジャジャーンー!」

 

グレイ「うわっ!?」

アッシュ「お、落とした筈なのに!?」

 

M・M「意外と深い穴だったが問題ない!壁蹴りで頑張って上がってきた!」

ゼロ(コイツ何者だ……?)

 

 

エール「ま、まさか上がってくるなんて……」

M・M「フッフッフッ……」

 

ジリジリと下がり目なエールとアッシュ。

 

M・M「まぁ安心して下さいよ、落とされたのはビックリしたけど怒ってないし別に何もしませんって」

 

エール&アッシュ「は、はぁ……」

 

ゼロ「好都合だ。こちらはこちらで話のネタに困っていたからな」

M・M「オイオイ……」

 

ヴァン「えっと、何て呼べば?」

M・M「Mさんで」

 

4人(そのままだな……)

ヴァン「Mさんはいつにロックマンシリーズを知ったんですか?」

M・M「俺の初ロックマンは初代ロックマンでもエグゼでも無く、何と親が適当に買ってきたロックマンX2なのですよー」

 

エール「SFCの……しかもまた2なんだ」

M・M「それまではロックマンの初代は知っていた程度で他は全然知りませんでした」

グレイ「そこから入ったのか」

 

M・M「そしてロックマン面白い!ってなって、家にはまだ現役で動くFCがあったので近くのゲーム中古店でロックマンX1とX3(今もだけどそこそこ高かった)、初代ロックマンの1~5のセットになっていたのを購入して、それからアニメのロックマンエグゼを知って超ハマり、エグゼシリーズを全部やりました」

 

アッシュ「また中々にどっぷりとロックマンっていうゲームにハマったのね」

 

M・M「そうですね。持っていたソフトの問題もありましたがXシリーズもエグゼも順番にやった訳でも無くバラバラにやってましたね」

 

アッシュ「他のシリーズはどうなの?」

 

M・M「ロックマンに本当にハマりましたが他のゲームだって好きだしドンドン新しいシリーズとかも出ていたので少し間を明けましたね。確かロックマンエグゼの最終作である6を終わらした後に」

 

ゼロ「ふむ」

 

M・M「それから間を置いた後、とある中古ゲーム店で見つけたのが今でも僕の愛してやまないゲームとなるロックマンゼロに出会いました。ラッキーな事に1~4のセットがそこそこ安く売られてたので好奇心で買ってみたんですね。まぁその後にゼロコレクションというのがあると知ってズッコケましたけども」

 

ヴァン「そういうゲームあるあるだな……」

 

M・M「順当に1から始めましたけど、本当に純粋にアクションとして難易度が高いゲームだなと思いましたね。初見プレイだった当時の僕は何度ゲームオーバーのBGMを聞いたのでしょうか」

 

ゼロ(俺のティウンティウンを見た奴はどれ位……ん?俺は一体何を言っているんだ?)

グレイ(ゼロさん……?)

 

M・M「そしてその後にゼクス・ゼクスアドベントを知りましたね。後この頃になって再び過去の作品プレイに力を入れて、ロックマンDASHやゲームボーイのロックマンワールド等をやりました」

ゼロ「それが一旦終わりか?」

 

M・M「大まかな流れはそんな感じです。そして最近になってロックマン・ロックマンXのクラシックコレクション、ロックマン11をやりましたね」

 

ゼロ「大体はやっている様だな」

M・M「ロックマン愛は自分の中でテイルズ愛に匹敵する程の物だと思ってます。これからもよろしく願いたい……後ロックマンゼロ5とDASH3あくしろよ!?」

 

エール「折角良い感じに終われてたのに……」

ゼロ「やれやれだな」

 

 

ヴァン「興味本位で聞いてみたら作者にも凄い経歴があるんだな」

M・M「この年でここまでやってる奴はそこまで居ないと思いたい!自慢出来る位にはあります」

 

アッシュ「この年って……作者おいくつ?」

M・M「ひ・み・t……ふべらっ!?」

アッシュ「ごめんちょっとイラッときた」

ゼロ「よくやったアッシュ」

 

M・M「殴り飛ばす事は無いでしょ……まぁそれはともかく、ロックマンは僕が初めて知った当時も、そして現在も有名なゲームとして名を馳せていますが知れて良かったですね」

 

グレイ「折角綺麗に終われそうなんだからもう終わっといたら」

M・M「そうですね。完全な自語になってしまいましたがここらで終了としときます」

 

 

 

ゼロ達が帰ってから……

M・M「さて、まだまだ物語は中盤ほど……私の書くスピードが遅過ぎるのもあるのでやはり頑張らねば。この話を読んでくれた方々ありがとうございます。特別編という事で短めに終わります、次からもまたよろしくお願いします」

 

 




自分の中でロックマンというゲームは大変影響を与えたゲームで、こうして小説を書きたいなと思える程に好きになった訳でもありますね。

今年中に新しいロックマンシリーズが出されるという噂は聞きましたが、それよりもそこそこ前からではありますが非公式で、海外の方が作ってくれているロックマンゼロ5がずっと気になってます。いいぞもっとやれ。

まぁ気長に待つとして、小説の方の亀更新が本当に過ぎるので早く書きます……

それではこんな自語の話を読んで下さりありがとうございました、次のお話でお会いしましょう
~(^q^)~


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-新艦の製造をする為に エール編-

どうも、普通に気温が高くなってきた上に雨で蒸し暑く大分体調が優れないM・Mです。

自語はともかくまた少し遅れ目ですみません、早い所新章へ移りたいので頑張りたい所です。

今回はエール編、ヴァンもエールも次回の主役であるアッシュも今までの戦いで成長したなと思わせる様な場面が。

では、どうぞ。


※アッシュ、エールもヴァン達と大体並行して進んでいます

 

エールが転送されて来たのはシロツメ。新艦の製造と聞きここの総司令のブルーからの連絡を受け、必要な部品の1つであるスラスターモジュールを受け取りに来たのだ。

エール「確か私が1人でこの場所に来たのは初めてかな?」

 

そんな事を言いながら総司令部の方に足を進める。そんな中思う事は……

 

エール(……復興が速い)

 

ここは以前イプシロンの襲撃によりかなりの被害を受けた都市だ。1部は最早建物の見る影もなく焼け野原になってしまっていた所もあったが、

エール「本当に頑張ってるんだね。私達も……頑張らないと」

 

こんな絶望する様な時代でも、毎日を強く生きている。少しずつではあるが都市の方も復興が進んでおり、その絶望と戦おうとしている自分達を強く勇気づけてくれた。

 

 

エール「おっと、急がないと」

ついゆっくり目になっていた足を急がせる。

 

 

 

~総司令部~

エール「ガーディアンベースよりエール、ただ今到着致しました」

ブルー「良く来てくれた、エール君」

 

ビシッと敬礼をするエールに対しブルーも敬礼をした。立場的に言うなら自分の方が下ではあるが、前にそれについて聞いた所「戦う君達の方が余程偉い立場だよ」と言われたのを覚えている。

 

エール「いつも私達に協力してくれてありがとうございます」

ブルー「今はこの星全体が協力しないとけない時だ、気にする事はない……早速だが君達に例の部品を渡そう」

 

 

エールが連れて来られたのは総司令部の地下にある立ち入り禁止の倉庫。

 

ブルー「ここだ」

倉庫にも番号が連れられており、何があるのか気になるが流石にそんな事は聞けない。

 

 

アッシュが自分の仕事を羨ましいと言ったが、確かに回収するだけの本当に簡単なお仕事。自分としても当然楽に終われるなら楽な方が良いが、

 

エール(……頑張ってる他の皆に申し訳ないな)

 

 

そんな事を思っていたエール。だが……

 

ブルー「……」

エール「どうかしたんですか?」

扉を開けたブルーが硬直しているのを不審に思い彼に尋ねてみる。

 

ブルー「……無い」

エール「無い?」

ブルー「スラスターモジュールが、無い!」

エール「えっ……」

 

慌てて中に入り辺りを見回すブルー。見回して何かが見つかる事は無かったが。

 

エール「……本来ならこの場所に?」

ブルー「あぁ、きっちりと保管してあった筈だ」

 

 

エール(……まぁ、そんな事だろうとは思った)

元々こんな楽にいけるとは考えていなかったし、深く落ち込んでいる彼ほど落胆はしなかった。

 

 

はぁ、とため息をついたエールも注意深く部屋全体を見回してみた。

 

 

エール(誰かが盗んだ事は間違いないだろうけど、倉庫はかなり厳重な警備がある以上堂々と盗みに入ったら普通気付かれるだろうし)

 

そして警備も反応せず強引に入られた形跡が無い事からして……

 

エール「考えられるなら、地中か……」

ブルー「地中?」

 

エールの呟きにブルーが反応する。

はい、と返事をしてエールはモデルHXに変身する。そして部屋中をゆっくりと歩き始めた。

 

ブルーが静かに見守る中、足音だけを立てながら地面を調べていたエールが止まる。

 

エール「……ここだ」

ブルー「……私には他の場所と何一つ変わらない様に見えるが?」

エール「見た目だけなら確かに分からないと思います。ですが……」

 

剣を出したエールは1度止まり、

エール「壊して良いですか?」

ブルー「……確証は?」

エール「あります」

ブルー「ならば、やってみてくれ」

 

迷いなく答えたエールにブルーもそう答える。

 

エール「せいっ!」

地面に軽く穴を開けると……

 

ブルー「何と、こんな事が……どうして気付いたんだ?」

エール「ここだけ微かに風を感じるからですよ」

 

モデルHだからこそ出来る芸当だった。

 

エールが破壊した所には深い穴が開いていた。試しに小石を落としてみたら音がしたのが随分遅かった事からずっと奥に続いている事が分かった。

 

エール「恐らく何処からか穴を掘ってこの下まで辿り着き、隠密にスラスターモジュールを盗んだのだと思われます」

ブルー「迂闊だったか……地面の下からやって来るとは思わなかった」

エール「普通は考え付きませんし大丈夫ですよ、ただこれからは保管場所とかにも注意した方が良さそうですね」

ブルー「うむ。今度の会議で皆に伝えよう……それで、どうする?」

 

エール「いつに盗まれたのかは分かりませんが、まだそこまで時間は経っていない筈です。当然追い掛けます」

ブルー「すまない……頼む」

エール「任せて下さい!」

 

そう言って彼女はその穴に飛び込んでいった。

 

ブルーはその後ろ姿を見届けて、警備に簡単に事情を説明すると1度倉庫を後にした。

 

 

 

~シロツメ 地中~

 

エール(さっきも確かめたけど、実際降りてみたらかなり深いな……)

 

モデルHXのまま、ホバーを使いながらゆっくり下降していく。今の所穴は一直線に続いているが、先は真っ暗な為に一気に下降すると激突の恐れがあるので時間を掛けて降りている。

小石を幾つか手に持っておき、一定時間につき落としていく。そうすれば反響音から地面との距離が分かるのだ。

 

それから少しして、

恐らく4個目となる小石を落とすと、コツンと音が響いたので地面がすぐ近くにあると理解し、壁をずり落ちながらGATのライトを下に向ける。

 

 

エール「よいしょっと、到着」

地面に立って、周りにライトを当ててみる。

 

エール(そこそこ狭い……となると相手は大体この穴のサイズかな?それとも何かの道具で穴を開けてるのならまだ分からないけど)

 

 

 

正面にライトを当てると奥に続いている。

エール(とにかく、進もう)

 

モタモタしている暇は無い。足元に気を付けながら走っていく。

 

片手にライトだと咄嗟の時に不安なのでここはモデルPに変化。モデルPなら暗闇でもある程度の地形が分かるし、敵の位置も確かめられる。

 

 

 

進む事数分……

エール(まだかな……?)

 

そう思っていたところ、突如明かりが見えた。

エール「眩しっ……!」

 

ゆっくりと明かりの方に向かうと、どうやら出口の様だ。穴から出てみると……

 

 

エール「ここは……?」

何やら巨大な機械が立ち並んでおり今も音を立てて稼働している。

 

エール(感じからして……地熱発電所かな)

ブルーから地下にその様な施設があるとは聞いていた。軍事国家として栄えたのを支えてきたのがこの発電所との事だったが……

 

 

エール(まさかこんな場所と繋がっていたとは)

思えば暗い穴の中を進んで来たが何となく進行方向が下向きになっていた事は気付いていた。

 

随分下まで潜ってきたものであるが、果たして犯人は誰なのか。

 

エール「隠れてないで出て来なさい」

エールの声に反応したのかどうかは分からないが、地中から小型、中型とも言えなくもない程の大きさのレプリロイドが一体出て来た。

 

エール(予想通りね。穴はあまり大きく無かったからこれ位の大きさだと思ったわ)

 

モデルZXになり(バスター)を向ける。

 

敵意を感じたのか相手もエールを警戒し、何と大きな音を立てながら変形した。

 

エール「!?」

小さいから動きが素早い……等と考えていたので流石に驚いた。

 

あの縦長いドリル体型は何処へやら、メキメキと体は大きくなり戦車の様な体型になった。

 

大きくとなると言うより、折り畳まれていた物が元に戻ったと言う方が正しいか。

 

エール「本当に凄いトランスフォームだね」

 

相手の砲台とエールのバスターが共に撃ち合ったのを合図に、お互い動き始めた。

 

 

エール(大きい見た目の割に思ったよりか機敏だし良く動く……壁とかは流石に進めないみたいだけど、地面を動く速さは中々)

 

相手のキャタピラが優秀な性能をしているのだろう。自分達が戦っているグラウンドは整地されていない為に凹凸が激しい上に下はマグマが近い為に深い穴に落ちると運が悪いとマグマが噴出する恐れもある。

 

きっちりとその様な穴を避けつつ、自分のバスターもしっかり回避している。

 

当然相手も反撃してくる。腕から発射されたガトリングガンを地形を利用して岩を壁にしたりして防ぎ、隙を見て自分も攻撃する。

 

エール(主武装(メインウェポン)はあのガトリングガンと見て良さそう、でもまだまだ武装はある筈……それ等が分からない以上私から大きく出るのは控えたい)

 

 

あくまでもまだ様子見である。あまり時間は掛けたくないが、冷静に戦う。

 

 

岩に隠れていると、相手の胴体や肩や脚からミサイルが一斉発射された。流石にマズいと思いすぐに飛び出して避けようかと思ったが、

 

エール「……ダメッ!」

何かに気付いたかの様にミサイルの方に向かい、マグマブラスターを火炎放射器に組み立て放射、全弾爆散させた。

 

エール(さっきのは私が狙いじゃなかったんだ、ミサイルの軌道からして恐らく奥にある発電所の破壊が目的だった……気付けて良かった)

 

 

ここで改めて自分が戦っている戦場(バトルフィールド)を理解した。場所によってはマグマが吹き出す地点もあり、それに注意しながら戦っていたがそもそも相手が攻撃して来なかっただけで防衛対象が初めから存在していたのだ。

 

エール(状況は……かなり悪い)

ミサイルならまだ追撃すれば良いが、ガトリングガンを含めまだ他にある武装から巨大な発電所を守りながら戦うなど不可能に近い。

 

エール(だったら……)

 

以前ゼロに言われた事を思い出した。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

彼から近接の訓練を受けていた時の事だった。

 

訓練とはいえ容赦はしない、それが彼のスタイルであったのでヴァンはまだ頑張れていたものの訓練当初の私は手も足も出ないレベルであった。

 

ゼロ「エール、お前の常に慎重に戦うというスタイルは良いと思うし大事な事だ。だが慎重過ぎるというのも時に苦しめられる事もある」

エール「慎重過ぎる……」

 

ゼロ「……前にも言ったかも知れんが、ヴァンとエールは正反対までとは言わないが殆ど逆と言っても過言じゃない。ヴァンには逆にお前の慎重さを学んで欲しい場面が度々あるが」

 

エール「あはは……」

彼の境遇を考えて少し苦笑いをしてしまった。

 

ゼロ「だが逆にお前にはヴァンの様な……勢いが足りない所が多々見受けられる。特に近接戦闘にそれが顕著に出ているぞ」

 

エール「勢い、か……」

ゼロ「常に冷静に戦うのはとても大事な事であるが、時には自分の勘、流れの赴くままに戦ってみるという事も必要だ」

エール「……ハイ!」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

いつもの自分なら遠距離から牽制を続けるだろうが、今日は違った。

 

エール(だったら……やられるまえにやる!)

バスターを収め、セイバー片手に飛び出した。

 

 

突如の行動に少し動揺が見えたかの様な動きをした相手であるが、変わらずガトリングを放つ。

 

エール(このガトリングをギリギリまで引き付けて……今だッ!)

 

左右移動しながら近付いて、当たるギリギリの所で壁に向かって飛翔した。

 

相手もそれを追いガトリングの射軸を合わせるも、気が付けばエールはもうそこには居ない。

 

 

エール「ここだあぁぁぁぁ!!!」

丁度相手の空中、真上から剣を下に向けて落下。即座に壁を蹴りモデルHXになりエアダッシュ、相手の視界から消えたという訳である。

自分の近接技の中でもお得意のエナジーフィシャーという技である。

 

 

決まった、とそう思ったエールだが……

 

エール「キャッ!?」

突如の爆発に吹き飛ばされる。

 

自分の傷は軽傷であったが何があったかは分からない。起き上がって確認すると、相手側が壁に打ち付けられそこそこのダメージを受けていた。

 

 

エール(賢いわね……あの一撃を受けたら多分破壊されると思ったんだ、背中のバズーカ砲を至近距離の地面に打って距離を離した)

 

ダメージは免れなかったが、少なくともあの一撃で最後になるよりかは遥かにマシだろう。

 

 

 

とは言えかなりの損傷を受けた相手側はどうやら戦車体型がもう使えないと判断したのか、再び変形(トランスフォーム)の構えを取った。

 

エール「ごめんけど……させない!」

変形をさせまいとエールはすぐにバスターを撃ち込むが、相手は何と分離して空中でドッキングをしたのだった。

 

エール「くっ、今度は戦闘機!?」

 

かなりの速度で動き回る相手に少し平常心を乱されるも、すぐに考えを巡らせる。

 

エール(速いだけなら……)

 

フレア・ランチャーとマグマブラスターの両方を構え、常に相手を視界から外さない様にする。

 

だが流石に速いので当てずっぽうで当てられるものでも無く、数打ちゃ当たるとも言うが場所が場所だけにそれも出来ない。

 

エール(もし機械に当たってしまえばダメだし、あまり壁を壊し過ぎても多分後々に影響が出て来る。ここは出来るなら一撃で仕留めたい)

 

 

先程から妙な事に機銃を撃ってくる訳でも無く、ただ自分の周りをグルグルと旋回している。

何かを狙っているかの様にも見えるが……

 

エール(良く見たらそもそも武装が無い!?いや、そんな事は無いと思うけど……)

 

チラッと見えただけではあるが機銃らしき物はおろか、ミサイル等の武装も見当たらなかった。内部に含まれているというなら別だが、体が小さい戦闘機の内部にそんな一気に詰め込む事は実質不可能である。

 

エール(何が狙い……?)

 

そう考え込んでいると、

 

エール「!!!」

 

相手は猛スピードで急降下して来た。反射の勢いで回避に成功したものの、当たっていれば危なかっただろう。

そして一瞬だけだったが気が付いてしまった、相手の内部に大量の爆弾が仕込まれている事に。

 

エール(この戦闘機……特攻するつもりか!)

 

あの量の爆弾を乗せてもスピードがかなりの水準を保てているのは武装が無い為。どうやらこの形態は初めから最終手段として体当たりするつもりなのだろう。

 

エール(こうなれば相手はひたすら特攻を仕掛けてくるだろうな。こういう時アッシュ達のタイムボムみたいな武器があれば良いのだけど……)

 

少なくとも目測で当てるのは難しい。だからと言って降りてきた所を狙えば爆発に巻き込まれるだろう。となるとやはり空中で旋回している所を狙うしか無さそうだ。

 

 

 

だが少し考えてみると、

エール(そう言えばさっきの戦車形態の時もそうだったけど、多分相手側のAIが反応出来ないような行動をすれば……)

相手のAIが優秀なのは先程のわざとダメージを喰らった事からしても良く分かった。

だが機械だ。予測不可能な動きをすれば相手の中の行動パターンは崩れボロが出る筈。

 

 

エール「……」

ほんの少しだけ考えて、

 

エール「うん。やれる」

静かに、そう呟いた。

 

 

 

 

次相手が降りてきた所が勝負。

聞く、見る、感じる、全神経を集中させる。

 

 

……

………

…………

 

微かに変わる風の音。

 

エール(来たッ!)

 

 

これもまたギリギリまで引き付けてから高く飛んで、自分の下を相手が通り過ぎたのを確認してからフレア・ランチャーを構える……後ろ(・・)に。

 

 

エール「でやぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

再び急降下を外して体勢を立て直そうとする相手側に向かって、フレア・ランチャーを後ろ向きに放ち爆発的な推進力を得たエールがセイバー片手に突撃。

 

 

為す術もなく反応出来ずに真っ二つにされ、大爆発を起こした。

 

 

エール「ッ……」

勢いを落とし着地する。自分も無傷という訳でも無いが、何とか無事撃破する事が出来た。

 

エール「かなりの荒業だったけど何とかなって良かった。それよりも……」

 

目的の物は何処だろうか。周りにはその様な物は無く、恐らく自分が戦った相手が隠したのか、あるいは……

 

エール(もし別の奴に持ち去られてしまったりしてたら大変……!)

 

あって欲しい、そう願いながらモデルLに変化する。そして不安に駆られながらもアイテムサーチングを開始すると……

 

 

丁度自分の居る辺りの地面の下に反応があった。それが何かまでは分からないが……。

 

エール(武器とか能力使って傷付けたりしたら大変だし……ここは少し大変だけど掘ろう)

 

 

幸いな事に土は柔らかく、手でもすぐに掘り当てる事が出来た。

 

エール「これだ!」

掘り当てた物は写真で見た物。今回の目的の物であるスラスターモジュールであった。

 

エール「傷とか入ってないかな……?とにかく早く持ち帰ろう」

 

 

 

 

~総司令部~

 

自分が入った場所に戻ってこればブルーを始め何人かの兵士が見張っていた。

ブルーは泥に傷だらけのエールを心配しながらもスラスターモジュールの安否を確認させる。

 

そして戻ってきたブルーに尋ねた。

エール「長官、スラスターモジュールは?」

ブルー「特に問題なく動く様だ。それよりもエール君、君の方こそ本当に大丈夫かね?」

エール「良かった!あ、私なら全然大丈夫ですよ。これ位大した事ありません」

ブルー「そ、そうか……」

 

エール「部品が無事で良かったです。そうじゃないと私が来た意味がありませんから」

ブルー「本当にご苦労だった。スラスターモジュールは既にガーディアンベースに送ってある、君も好きな時に帰ると良い」

エール「はい、ありがとうございます」

ブルー「礼を言うのはこちらだ。君達にはいつも辛い思いばかりさせているとプレリー艦長が言っていたが、私も正しくそう思う」

 

エール「……」

ブルー「我々も君達ガーディアンに最大限のサポートを惜しまい。頑張ってくれ、では無く共に頑張ろう」

エール「勿論です」

 

そう答え、握手を終えた後自分もガーディアンベースに帰還した。

 

 

 

 

ガーディアンベースに戻ると、既にヴァンとアッシュも帰還していた。

 

エール「私が1番最後か」

プレリー「お疲れ様。無事スラスターモジュールが回収出来たみたいね」

エール「色々大変だったけどね」

 

ヴァン「話は聞いたよ、盗まれてたみたいだな」

エール「えぇ、それを追って戦闘になって……とにかくスラスターモジュールが無事で良かった」

 

プレリー「私としては貴女が無事な事の方が余っ程重要よ」

心配そうに言うプレリーにエールは「プレリーは心配し過ぎだよ」と明るく返した。

 

エール「ヴァンとアッシュも回収出来たんだね」

ヴァン「とりあえずは」

アッシュ「アタシは大変だったわ……」

ヴァン「そっちは戦闘は無かったんだろ?俺なんか四天王が居たからな」

アッシュ「2人が戦って大変だったのは分かるけどアタシの所だって大変だったわよ。何と言うか、今までやってきた任務とは別次元の何かを感じたわ……」

 

エール「どんな感じだったか詳しく教えてよ」

アッシュ「勿論よ。本当に大変だったんだから」

 

 

ゼロ「次回に続く」

 

 

セリフが無いからどうにかしろと脅されたんで最後に一言だけメタ発言をして貰いました俺は悪くねぇ byM・M

 




今回エールが戦った相手の名前は次回に。戦車形態にドリル形態に戦闘機形態、書いててどっかのスーパーロボットみたいだなとか考えてました(ドリル形態は違うけどダイターンとかグルンガスト辺り?)

次回のアッシュ編はこの話の最後辺りでアッシュが言っていた通り大ボスは居ませんが、何やら別次元の苦労をするみたいですね。少し戦闘とは離れて書きたいと思います。

では、次の話でお会いしましょう(*^^*)/


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-新艦の製造をする為に アッシュ編-

どうも、本格的に暑くなってきた気候に早くもノックアウトされそうになっているM・Mです。

また投稿が少し遅れ目になってしまい申し訳ありませんー、話は思い浮かんでいるのだけれど書くのがまた……

学校の方はもうすぐ夏休みがありますが私は以前長期休暇に書く書く詐欺をやらかしたのでもう堅実に書きまーす、はい。

話はアッシュ編。前回書いた通り戦闘はございませんがそれを超える危険がアッシュを襲う!?

では、どうぞ。


ヴァンとエール達と同時刻……

 

アッシュ「ハァ……もう聞いただけでも行くのが嫌になってくるわね」

アッシュが現在居るのは以前自分達が行った海底基地より少し東にある工業施設を併合した基地。

 

アッシュ「そこそこ前に油田として発見され開発が進んでいたが、有害物質が検出された事により開発は中止。そしてこの基地も取り壊し予定だった、と……けどバイルの影響で取り壊し所じゃなくて放置されたままなのね」

 

 

有害物質は厳重に閉じ込められている為に施設が破壊されない限り外に漏れ出す心配は無さそうだが、今のご時世何があるか分からない。

 

アッシュ「それこそバイルに利用されたら困るのアタシ達だし……」

 

後に施設もちゃんと破壊したいから無理ない程度に中の安全を確保して欲しい、とプレリーに言われたアッシュであるが、

 

アッシュ「無理ない程度にって……」

 

良く分からないが、とにかくやって来た以上何とかするしかないだろう。

 

 

 

 

任務の前に貰ったこの基地の地図を見る。今自分が居るのは海中からの出入口であり、目的の防御障壁(バリア・フィールド)がある場所はご丁寧にこういう物お決まりの最奥部……という訳でも無く、

 

アッシュ「3階の保管室ね。場所が分からないんじゃないのかって思ってたけど分かってるならとっとと終わらせちゃいましょ」

 

 

 

と、ダッシュで走り出しそうになるも転送される前の会話を思い出し急停止。

 

アッシュ「そう言えば……」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

(前話参照)

 

プレリー「この場所には恐らくイレギュラーは居ないと思うの」

 

アッシュ「え、ラッキーじゃん!」

 

ゼロ「……その場合、居ないじゃなくて居られない、が正解じゃないのか?」

 

アッシュ「ん???」

 

プレリー「残念ながらゼロの言う通りよ」

 

アッシュ「えっ……イレギュラーが居られない環境って、まさかトラップだらけとか……」

 

プレリー「流石アッシュね、正解よ」

 

アッシュ「そこで流石って言われても嬉しくないんだけど……それはそれで嫌だなぁ」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

アッシュ「って言ってたなぁ……」

ふと試しにモデルPになりエネミーサーチをしてみると、今自分が確認出来ている範囲内ではあるものの敵は居なかった。

 

アッシュ(マジみたいね……)

 

これはこれで非常に大変な任務になりそうだが、トレジャーハンターとしての血が騒ぐ。

 

アッシュ「やってやろうじゃないの!」

 

そう言って静かに歩き出した。

 

 

 

~1階~

今自分が居るのは1階だ。まずは上に登る為の階段等を探さなければならない。

 

アッシュ(もしこの施設自体に問題が無ければ天井を破壊しても良いのだけれど)

例の有害物質の話もあるし、ここは慎重に進む他無いだろう。

 

 

だがまず進む前に大きな問題が。

アッシュ「地図が当てにならない……」

 

本来通る道が壊れてて進めなかったり、壁が壊れて逆に進める様になってたり……建物の中は殆ど原型を留めていない形状をしており地図は意味の無い物と化していた。

 

 

少し歩いてT字路。顔をひょっこりと出すと、

アッシュ「!!!」

 

そこにあったのはイレギュラー……の残骸。

 

アッシュ「腕や足が溶けてる……」

 

ドロドロに溶けてイレギュラーも機能を停止している。果たしてこれは何があったのか。

 

 

アッシュ「……」

より一層警戒しながら進む。

 

ゆっくりと進む間、アッシュは先程のイレギュラーの事を考えていた。

アッシュ(酸系統の物か、またもや……不自然な溶け方である事は間違いなさそう。幾らイレギュラーと言えど自分から死にに行く様な事はしない筈。だとするならやはり何かしらの事故があったと見るべきか)

 

深く考察をしながら歩いている内にもう数体のイレギュラー達の残骸を発見していた。

 

アッシュ(プレリーは恐らく何も居ないだろうって言ってたけどこのイレギュラー達は誰かにやられた……って可能性も否定出来ないわね、まぁだとすれば味方を倒してる事になるけど)

 

ロックオンしてずっと警戒してるもののまだ戦闘は無く、あちこちに散らばるイレギュラーの残骸。生き残りを含め何かが居るとは考えにくい。

 

 

アッシュ(うーん……一体何が起こったのかしらね。まだそれといった原因っぽいのも見つからないし、何故こんなにイレギュラー達の残骸が散らばっているのかも分からないままだし)

 

と、その時。

 

アッシュ(……うん、水の音?)

ピチョン、と雫が落ちる音がした。

 

1度階段探しを中断して音のした場所に行ってみれば、壁に出来た穴から何やら液体が染み出ており、雫となって少しずつ垂れていた。

 

 

説明し難い見るからにしてヤバそうな色をしており、アッシュは恐る恐る傍にあった鉄くずをその液体の水溜り投げ込んでみた。

 

アッシュ「!!!」

 

熱湯の中に氷を入れるかの如く、ジュッと音を立てて一瞬で溶けた。

 

アッシュ(も、もしかして今まで見てきた不自然な溶け方をしてたイレギュラー達って……)

その瞬間全身がゾワッと逆立った。

 

 

自分のこのアーマーは特殊な物でありそう簡単に溶けたりしない筈ではあるが、それでも自分もあのイレギュラー達の様になってしまうのかと想像してしまいそうになる。

 

 

アッシュ「だ、大丈夫!当たらなければどうという事はないって言うし!」

そう自分に言い聞かせ、先に進む事にした。

 

 

何だかんだで今までよりも警戒を強めて進んでしまっているアッシュであるが、

アッシュ「しっかし上に行く手段はおろか階段さえ見当たらないわね……」

 

 

すると、

アッシュ「おっ……」

角を曲がった所で見つけたのはエレベーター。階段を探していたらまさかエレベーターが見つかった事に驚くものの、

 

アッシュ「ラッキ~流石アタシ!」

元気良くボタンをポチッと。

 

 

………

…………

……………

 

アッシュ「知ってた。ですよねぇ」

どうやらもう動かなくなっているらしい。

 

まぁ流石にそう都合良く動いていたら苦労はしないだろう。それはともかく、

アッシュ(今は1階……そして目的の場所が3階。この基地は4階建てか)

 

エレベーターも4階までになっている。

 

 

ここでもう1度地図を見てみる。階段まで進む道が通れなくて意味の無い物ではあっても階段の位置位は分かるだろう。

 

アッシュ「エレベーターがここだから私も今ここ……ここからこう行って……ふむふむ」

 

所々現れるイレギュラー達の残骸に驚きながら、あの液体が流れていて遠回りをしながらも無事階段に辿り着き2階へ上がる。

 

そしてそのまま3階へ上が……

 

 

アッシュ「れないッ!」

 

どうやら上が崩れ落ちて岩が塞いでいる。壊したくても遠回りするしかない悔しさを感じながらも諦めて、2階で1度止まる。

 

 

アッシュ(エレベーターは使えない、更に階段で上がれないとなるともう天井を壊すしか方法が無い様な気がするけど)

 

だがプレリーに言われた有害物質の事もあるし、何よりももし壊した先からあの例の液体が落ちてきたら……そう考えると出来なかった。

 

アッシュ「どうすれば良いのよ……」

頭を抱えその場にしゃがみ込む。

 

 

もし。もしこの場にグレイが居てくれたら冷静な彼は何と言ってくれただろうか。

自分とて頭は別に悪くないし勘は鋭いが時に冷静さが足りない事は自覚している。

 

逆にグレイは慎重過ぎる所があるから自分の勘や押しの強い性格が役立つ所もある。

 

そう、自分とグレイのコンビは知らぬ内にお互いの足りない所を補い合っていたのだ。

何かしら言い合いは絶えないもののゼロやヴァン達からも良きコンビだと言われていた。あの時は何故だか分からなかったが、

 

アッシュ「やっぱり何だか調子狂うのよねぇ……こういう警戒とかの役目は主にグレイに任せちゃってた事が多かったし」

 

同時に彼をそれだけ信頼していたという事であり、アッシュはその相棒が居なくなった事の辛さをしみじみと感じていた。

 

 

アッシュ「……」

気が付けば立ち止まり物思いに(ふけ)っていたアッシュであったが、

アッシュ「ダメダメ、こんなのアタシらしく無いわ……今は自分に出来る事をやるだけね」

 

 

再び進み始めた。

 

 

 

 

 

~2階~

進むと言っても上の階に上がる手段が見当たらず、行き詰まっていた。

 

アッシュ「階段の場所を壊すのもダメ、壁も当然壊しちゃダメ、天井を壊すのはかなり危険が伴う……行き当たりばったりじゃない」

 

天井を壊すのは最終手段にしたい所だが……。

アッシュ(考えろ私……こういう時の為のトランスでしょ)

 

自分の使えるトランスを改めて確認して何か出来る事は無いか模索する。

 

アッシュ「……無理な気がする」

 

ちゃんと全部確認すれば何か出来る事はあるかも知れないが、単に面倒だったらしい。

 

アッシュ「アタシは滅茶苦茶頭使う様な事はしたくないのよ。あぁもうエレベーターさえ動いてくれれば……ん?」

 

動かないエレベーターを見て考える。

 

アッシュ「電気通したら動くとか?」

 

ローズパーク・ザ・フラワロイドにトランス。スパークワイヤーでエレベーター自体を叩く。

 

 

アッシュ「…………特に何も無いわね」

どうやらエレベーターは電力不足で動かない訳では無さそうだ。

アッシュ「となると直そうにも直せないしやっぱり何処か壊すしかないじゃない……あっ」

 

その時ピキーンと閃いた。

 

エレベーターは各階に繋がっている。つまりエレベーター自体が動かなくても……

 

アッシュ「エレベーターが移動する空間なら大丈夫でしょ……多分!」

 

天井を壊す危険性よりかは多少は安全かも知れないが、またとんでもない事を考え付くアッシュである。

 

とりあえずエレベーターの扉に手を掛けてみる。開かないので力を込めてもう1回。

 

アッシュ「……ダメね、簡単に開けられるモノじゃないわ」

分かってはいた事ではあるが。

 

アッシュ(なら……)

いつぞやにシエルに貰ったバーン・ディノレックスにトランス。

 

単に力が強そうという理由からである。他にも強そうなのはいるのであるが。

ついでにバイフロストの大きさは感覚で分かっており、今自分が居る場所に収まり切らないであろう事からディノレックスにした。

 

 

それでも体が非常に大きく頭が天井に当たりそうではあるので危なかった。

とりあえずトランスは出来たのでエレベーターの扉を尻尾で叩き付けてみた。

 

するとまぁ呆気なく扉が壊れたのでモデルAに戻り、中に入ってみる。

運搬用のエレベーターも兼ねていたのか中はそこそこ大きく、それでもディノレックスも入り切らないみたいなので今度はディアバーンにトランスし、お得意の頭突きで天井をぶち破る。

 

少し不安はあったものの何も無く、だが真っ暗で何も見えないのでライトを付ける。

ゆっくりと壁蹴りしながら登っていき、3階の表記がある所で1度止まる……事は出来ないのでモデルPになって壁に張り付く。

断続的に壁蹴りするのは疲れるのだ。

 

アッシュ(やっぱり閉まってるわね……)

もしかしたら開いてくれているかと淡い希望を寄せていたのものの現実はそう優しくなく、

 

アッシュ「ここじゃトランスも出来ないし……」

モデルFのブラストボムだと爆風の問題があるので使い辛く、他の物でも何かしらリスクが伴う。

 

アッシュ(……無理にやるのは危険ね)

そうだ、とアッシュは上を見る。

この基地は4階建ての様で、まだ上がある。

 

目的の物は3階にあるみたいだが、

アッシュ「下からダメなら上から……」

 

そのままモデルPのまま更に壁蹴りをして4階が見えた所でまた張り付いて扉を調べる。

 

今までみたく固く閉ざされている……かと思いきや、少し緩い。

 

アッシュ「これなら……トランスオン!」

モデルFにトランス。と言ってもブラストボムを使う訳では無く、

 

アッシュ「メガトンクラッシュ!」

勢い良く拳で殴り付けると轟音を立てて扉の右側が倒れた。

 

 

アッシュ「よし」

かなり強引なやり方ああるが4階に着いた。

アッシュ(後はここから3階に降りられたら良いんだけれど)

 

 

 

~4階~

1階より破損箇所が多い事以外は変わりは無いが、相変わらず例の触れてはいけない液体が至る所から染み出しており移動が怖い。

1階も2階もそうだったが部屋が多く、何かあるかと思いわざわざ1部屋ずつ調べているが全てもぬけの殻である。

 

アッシュ「階段はっと……」

 

進めない道のせいで遠回りをする事もあったものの階段の位置は他の階と変わらないのですぐに見つけられた。そして幸運な事に下に降りる階段には特に異常は無かった。

 

4階には特にこれと言った事も無く足早に降りた。

 

 

 

~3階~

アッシュ「やっと辿り着いたわね……」

ふぅ、と一息つく。

 

随分遠回りをしたので疲れてしまったが、ようやく目的の物がある3階に着いたのでもう1度気を引き締めて進んでいく。

 

 

しばらくして、

アッシュ「絶対ここね……」

他の扉とは明らかに違う厳重さがある扉。

 

アッシュ「関係者以外立ち入り禁止……ねぇ」

倉庫の様だが重要な物が中にはあるらしい。

 

モデルLになってみてアイテムサーチをしてみてもちゃんと中に何かがある事が確認出来た。

この階もそうだが他の階の部屋にあった物は持ち去られている事からしてもこの基地は1度誰かに荒らされたと見て良さそうである。

 

アッシュ(バイル軍か……それとも他の組織か何かの仕業でしょうね)

 

だがこの扉は開く事が出来なかったのであろう。周りの壁が破壊されており扉にも大分傷が付けられている事からして無理やり開けようとした痕があった。

 

アッシュ「どれだけの規模の攻撃を加えたのか知らないけど生半可な攻撃じゃ効かないみたいね」

実際扉は傷こそ付いているものの全く開きそうに無い。ついでにこの辺りの壁も他のとは違い強固なものとなっている。

 

 

では結局どう開ければ良いのか、改めて扉を調べてみる。

 

アッシュ「開ける方法はこの横にあるカードリーダーに専用のカードを通すしかなさそうね。でもカードキーなんか持ってないし……て言うかちょっと待ちなさいよ」

 

良く見たらそもそもカードリーダー自体が壊れていた。

 

アッシュ「じゃあ壊すしか無いじゃない……」

はぁ、とため息を零す。

 

アッシュ「とりあえず色々試してみましょ」

 

 

 

 

数分後……

 

アッシュ「な、何て固さなのよこの扉……」

凄まじい耐久性を見せつけられるが如く、アッシュの技は(ことごと)く効かないのであった。

アッシュ「困ったわね」

 

中に保管されているであろう防御障壁(バリア・フィールド)の事も考えて上から下への破壊は避けたい。そして真正面と横は未だ破壊出来ない。

 

 

アッシュ(何か使える物は無いかしら?)

 

少し考えるとすぐに頭に思い浮かんだのは。

アッシュ「あの液体よね……」

 

 

あの液体を扉にかけてみたらどうなるであろうか。

 

アッシュ「ここを荒らしていった奴が試してないとは思えないけどやってみる価値はありそうね」

 

 

と言ったものの。

アッシュ(どうやってあの液体をかければ良いのかしら……直接液体を回収するなんて危険な事はしたくないし)

 

当然トランスを使う訳であるが、

アッシュ「そうだ……」

 

 

またいつぞやに入手したDNA、ローズスパークにトランス。

4階の例の液体が染み出している場所に移動する。

 

アッシュ(やってみる以上触るしか無いわよね……)

恐る恐るちょびっと触れてみると、

 

アッシュ「…………平気、みたいね」

 

ローズスパークに酸系に対する耐性があったのかどうか知らなかった為にかなり危険を冒したが自分の運が勝ったらしい。

 

アッシュ「じゃあまずはここを目印にしてっと」

下の階にツタを貫通させて液体が染み出している場所をマークしておく。

 

 

3階に帰って来たら、ツタの場所を確認した後扉からツタまでまた新たなツタを伸ばして繋ぎ……少しすると

例の液体が垂れてきたのを確認。

 

アッシュ「後はこれで位置を調整すれば……」

 

見事扉に向かって液体をかける事に成功した……が如何せん効果が表れないので垂らす液体の量を増やす事にした。と言っても4階の染み出している場所にもう少し穴を開けるだけである。

 

3階に戻ってみれば良い感じに液体が扉にかかっているもののまだ変化は訪れない。

 

アッシュ「こればかりは待つしか無いわね」

モデルAに戻って見守る。

 

すると少しして、

アッシュ(……表面が少し溶けてきてる?)

 

最初は何となくであったがそれは後に確信へと変わった。

 

アッシュ「後少し……」

無理に扉を全部溶かす必要は無い。トランスをすれば小さい穴にも入る事は出来る。

 

そしてようやく今居る場所から部屋の奥の壁が見える位の穴が開いた所でツタを燃やして垂れ流しを防いだら、

 

アッシュ「よし、トランスオン!」

小さな電気ネズミことテスラットにトランス。ダッシュローリングジャンプで華麗に穴に飛び込み、上手く部屋に入る事が出来た。

 

 

 

アッシュ「やっと入れたわね」

ここまで来るのに随分疲れてしまった。

 

アッシュ「さてさて目的のお宝ちゃんは……」

部屋の中を見渡すも自分の周りはカプセルが並んでいるが中身は何も無い。

 

だが、

アッシュ「アレね」

奥の方に色も大きさも見るからに違う1つのカプセルが置いてある。

 

大抵こういうのには厳重なロック等が掛かっていてもおかしくはないが……

アッシュ「……開いたわね」

 

なら何かトラップが……と思い身構えていたが何も無かった。

 

アッシュ「部屋の扉はあんなに頑丈に作っていた割にここは何も無し、か。それ程あの扉の堅牢さに自信があったのね」

 

まぁ実際開けるまでかなり手間が掛かった訳であるが……

 

アッシュ「……これが防御障壁(バリア・フィールド)?」

 

想像していた物とかなり違った。バリバリの機械かと思っていたが実際そこにあった物は石の様な……と言うか石では無いのかこれは、と思うであろう何か。

 

形は楕円形、触り心地はスベスベと大理石の様。そして大きさはかなりの物で重い。

 

アッシュ(これ本当に目的の物で合ってるのかしら……不安になってきたわね)

だがここにあると言う情報通り見つかった訳であるからこれなのだろう。何にせよ自分には使用用途は分からない以上判別も付かない。

 

アッシュ「とりあえず持って帰りましょうか、艦長(プレリー)にメール送っとこ」

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

一方その頃ガーディアンベース。

プレリー「ん、アッシュから連絡よ」

ヴァン「終わったのか?」

プレリー「とりあえず目的の物は回収、基地内の安全確保を行った後に帰還……それと基地内全体的に損傷が激しく得体の知れぬ液体、恐らく酸系の物と思われる液体が至る所から染み出されており非常に危険」

 

シエル「プレリー、安全確保は後回しにしてアッシュには先に帰ってきて貰った方が良いんじゃないかしら?」

 

プレリー「そうね……」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

そしてアッシュside。

 

アッシュ「回収任務お疲れ様。最初に貴女には無理ない程度に中の安全を確保して欲しいと言ったけれど今は置いといて先に帰還してきて……処理は後回しにするのね、まぁそちらの方が私としても楽で良いけど」

 

今は指示通り帰還するとしよう。

 

 

 

 

 

……

………

…………

 

しばらくしてガーディアンベースにて。

 

エール「あ、アッシュ」

プレリー「お疲れ様」

アッシュ「ほんっっっとに疲れた~」

 

結果として戦闘は無かったものの違った意味で非常に疲れた。と言うか戦闘をするだけならばそちらの方がまだ良かったのかも知れない。

 

アッシュ「あぁいうのは私向けの任務じゃないって~まだ戦うだけの方が良い……」

ヴァン「そうか?俺は寧ろ勘が鋭いお前向けだと思うんだが」

アッシュ「えぇ~!?」

プレリー「まぁまぁ無事任務完了して帰ってきたんだから良いじゃない」

 

アッシュ「……そう言えば私が持って帰ってきたそれが防御障壁(バリア・フィールド)で合ってるの?」

プレリー「えぇ、そうよねお姉ちゃん」

 

するとカタカタとコンピュータを動かしていたシエルがコチラに振り向く。

 

シエル「えぇ。正確には防御障壁の中心核(コア)と言えば分かりやすいかしら」

アッシュ「あ、これが防御障壁自体になる訳じゃないのね、理解」

シエル「防御障壁を使うには膨大な出力が必要になるわ、これを入れる為の器はもう出来ていたけど特殊な素材で出来ているこの中心核があって初めて動くの」

アッシュ「それが出力装置かぁ、どうりで凄く重たいと思った」

シエル「ふふふ、お疲れ様ね」

 

 

 

 

 

 

 

1度全員落ち着いたところで、

プレリー「さて、皆回収任務等ご苦労様。無事帰ってきてくれた事が何よりよ」

エール「そう言えばゼロさんは大丈夫でした?」

 

ゼロ「特に問題は無い。お前達が全員任務に向かっている時に数百程度のイレギュラーが湧いて出てきた位だ」

 

ヴァン「え、数百って……」

エール「結構多いじゃないですか……」

ゼロ「大型とかもまぁ少しは居たが大半が小型の雑魚だった。本気で攻めて来るならまたしてもあの程度の戦力なら話にならん」

 

3人(さ、流石だァ……)

とても頼もしい先輩である。

ゼロ「プレリー、後は何が残っていた?まだ終わりじゃなかっただろう?」

プレリー「えぇ、後はミノフスキードライブにエニグマ……どちらも皆が帰ってくるまでに入手方法は何とか確立出来たけど大変よ」

 

 

ゼロ「……ここまで来て楽に手に入る物があるとは思っていない。ここに居る全員がそれ位の覚悟は出来ているだろう」

 

ゼロのその言葉に3人も頷いた。

 

プレリー「……そうね、でも今日はもう皆休んで。また明日に説明するわ」

 

 

了解、とそう言って4人は艦長室を後にした。




アッシュで1度こういう話を書いてみたかったので丁度良い感じの話の流れなので事で書いてみました。
でもまだデンジャラス感が足りないかな、そこはまだまだ経験が浅い。

この作品をお気に入り登録してくれた方、そしてコメントをしてくれた方々ありがとうございます!直結で私のモチベがとっても上がりました!早く続きも書けるように努力致します。

ゼロさんが少なめだ!書かなきゃ(使命感)という事で次回はゼロさんメインにしたいところ。

それでは次の話でお会いしましょう┌( ^ω^)┘


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-新艦の製造をする為に ゼロ編-

どうも。またちょっと遅かったんちゃう?(自虐)
ちょっとどころでは無いのですが。すいません(汗)

暑さが更に増し増しになってきておりますが皆様体調にはお気をつけ下さい。俺の様にはなるな……(熱中症)

ストーリーの方もいよいよ今の章の終わりが近付いてきております。皆頑張るZOE☆
今回も戦闘は無くお喋りがメインです。そして今回は例の人が。お喋りといっても……?

では、どうぞ。

後書きにて修正情報を。


次の日……。

 

4人は残るパーツの在り処を聞く為に艦長室に集まっていた。

 

プレリー「皆集まったわね。昨日の話の続きをしましょうか」

エール「残るパーツは後2つ……ミノフスキードライブとエニグマだったっけ」

ヴァン「両方とも在り処は分かったとは昨日聞いたけど」

プレリー「えぇ。詳しく説明するわね。お姉ちゃん、モニターに映像をお願い」

 

プレリーの言葉に対してシエルが頷き、モニターにとある機械が映し出された。

 

ゼロ「……これがミノフスキードライブか」

アッシュ「そう言えば気になってたんだけどゼロさんの何とかフォームにも付いてたよね?」

ヴァン「そういやそうでしたっけ」

ゼロ「イカロスフォームだ。アッシュの言う通りイカロスフォームの状態の背中に付いている」

 

シエル「原理はそれと同じと思って貰って構わないわ。ただゼロの様に1人を持ち上げる訳じゃ無いから、同じだけど別物……と言う感じなの」

 

プレリー「何しろ艦を浮上させる為に必要不可欠な物だもの」

 

 

ゼロ「それで、入手方法は何なんだ?」

 

ゼロの質問に対しプレリーは一呼吸置いて、

プレリー「……宇宙にある、国際宇宙ステーションにあるわ」

 

モニターには映し出されたのは宇宙。そしてそこそこ巨大な基地。

 

ヴァン「宇宙ステーション!?という事は宇宙(そら)に上がるのか!?」

エール「と言うかどうやって上がるの?」

 

プレリー「落ち着いて。貴方達を宇宙に上げる為のシャトルはもう完成しているの」

ゼロ「いつの間に……」

シエル「ついでに完成したのは丁度昨日よ」

アッシュ「えらくタイムリーな話ね」

 

プレリー「まず貴方達にはシャトルに乗り込んで宇宙ステーションに突入して貰うわ」

エール「と、突入って……」

ゼロ「……位置的にも国際宇宙ステーションは宇宙における重要な拠点となる。そんな場所をバイルが放置している筈が無い」

 

プレリー「……ゼロの言う通り、シヴァが撃たれてからその次の日には国際宇宙ステーションはバイル軍によって陥落したわ」

ヴァン「行動が早いな……」

 

プレリー「そしてこの国際宇宙ステーションは文字通り沢山の国々から技術が集められ、宇宙の研究は勿論の事いつも最先端の技術がすぐに届けられていたの」

ゼロ「なるほど。ミノフスキードライブもそこで製造されていると」

 

シエル「ミノフスキードライブ自体はこの艦にも付いている事は説明したわね?でもここのはまだ完成してすぐの物だったから、言わば旧式なの」

プレリー「度重なる戦闘で今はもう大分調子が悪くなっているけど……」

 

ヴァン「じゃあ新型が……?」

プレリー「えぇ。開発されているとの情報は得たわ、その国際宇宙ステーションに技術提供をしていた企業からね」

ゼロ「その新型を回収しに行くのが今回の任務(ミッション)という訳か」

 

プレリー「……まだあるわ」

ゼロ「……?」

 

プレリー「これも先程言った企業からの情報だけど、エニグマのデータ、もしくはエニグマじゃなくても主砲を作る為のデータか何かしらはあるそうよ」

 

ゼロ「1度に2つのミッションか……」

ヴァン「かなり大変な戦いになりますね」

 

プレリー「えぇ。また激しい戦闘が予想されるわ、だからここは先程言ったけど全員で行って貰うわ」

エール「えっ、ガーディアンの守りは大丈夫?少なくともそんなすぐ帰れるとは思ってないよ」

 

プレリー「……こうなる事を予想して世界各地に散らばっているガーディアンや各国の戦力を集めて連合軍を作っているの」

 

ゼロ「こうなれば総力戦だな」

プレリー「えぇ。戦力をかき集めたとはいえ本気で相手にするのには全く足りないわ、勿論正面対決なんて事はしない」

 

アッシュ「あくまで決戦用の兵力という訳ね」

プレリー「えぇ」

 

 

ゼロ(……)

 

そんな会話の中ゼロは考えていた。

ゼロ(おかしい……どう考えても順調に行き過ぎてる。バイルは何を企んでいるんだ?)

 

幾ら戦力や状況が圧倒的に向こうの方が強いのだとしても少しのんびりし過ぎでは無いか。自分達が行く先に敵を配置しているとはいえ全て倒してきた。こちらは少しずつ打倒バイルに向けての体勢が整いつつあるのにも関わらず相手側は何もしてこない。

 

ゼロ(別にアイツの肩を持つ訳では無いがバイルはそんなバカでは無い筈だ……)

ガーディアンの次に取る行動位なら読めるだろうとは思っていたが何もしてこない相手に対しゼロは不穏な気持ちを募らせていた。

 

 

 

~???~

宇宙に上がったのは確かな為に宇宙の何処かであるのは違いないがまだ何処かは分からないとある場所。そこでは地上の様子を衛星カメラで見るバイルが居た。

 

ファ「良いのか?随分ゆっくりしているが」

ファン「……ガーディアン達は刻刻と我等を追ってきている」

 

ファーブニルとファントムの言葉に対し、

バイル「ふふふ、それで良い……」

 

ファ「おいおい、流石に宇宙(こっち)まで上がって来られると面倒な事になるぞ」

バイル「構わん……どうせ大した事にはならん。ここに来るまでには(おびただ)しい戦力を配置してある」

ファ「へっ……大層自信のある事で」

 

レヴァ「しかししぶといわね。あの子みたいにてっきり絶望して戦意喪失してると思ったけど」

 

ファ「あの子?グレイっていう小僧の事か?」

レヴァ「えぇ」

 

ハル「……ガーディアンはともかく、奴が居る限り簡単にもいくまい」

ファン「奴……ゼロか」

 

レヴァ「じゃああのカーネル?だったかしら。アイツはどうなのよ」

バイル「奴は好きにさせてある。ガーディアンの味方になる事は確実に無いだろうから問題は無い……まぁ、最も敵対する様な事になったとしても制御はコチラにある以上何も出来ん」

 

レヴァ「用意周到なのは良いと思うけど飼い犬に手を噛まれても知らないわよ?」

 

バイル「世界の事や他のロックマンの事も気になると言えば気になるがガーディアンの連中はどうでも良い……全てはゼロだ。あのオールドロボットが苦しむ顔が、疲れ果て傷付き絶望する所を私は見たい!」

 

レヴィアタンの忠告を聞いているのか聞いていないのかどうかは分からないが、唐突に大声でバイルはそう言った。

憎しみに駆られ、最早自分が今まで憎んでいた者達はどうでも良くなりその深い憎しみはゼロへと向けられていた。

 

ハル「……狂っているな。いつも通りだが」

 

バイル「何とでも言え……世界全体にもまだまだ恐怖と絶望を叩き付けてやる事も勿論忘れてはおらん。ただどちらにせよガーディアンを、ゼロを叩き潰してからだ!」

 

復讐心を燃やすバイルを横目に、

 

ハル「……」

ファ「……」

レヴァ「……」

ファン「……」

 

4人将は静かにその後ろ姿を見つめていた。

 

 

 

 

 

場面はガーディアンに戻り、

 

プレリー「大体の内容は理解したわね?シャトルは完成しているから貴方達は明日に出撃して」

ゼロ「別に俺達は今日でも構わんが」

 

ゼロの言葉に頷く他3人。

 

プレリー「その意気込みは嬉しい限りだけど、まだ世界各地からの戦力が完全に集結し切っていないの。一時的にとはいえ貴方全員が抜ける以上戦力は整えておきたいのよ」

 

ゼロ「ふむ……」

ゼロもその言葉に納得した模様。

 

ヴァン「じゃあ、明日にいよいよ決行か」

アッシュ「ねぇ、シャトルの運転ってどうするの?オート?」

 

エール「……それは難しいと思う」

ゼロ「エールの言う通りだ。俺達は敵の要塞に突撃する訳だからな……相手側も攻撃をしてくるだろう、オートでやらせると多分堕とされるぞ」

 

ヴァン「お、堕とされる……」

 

ゼロ「……運転は俺がやろう。かなり荒い運転にはなるが無事に辿り着かせる自信はある」

エール「ゼロさん、シャトルの運転をした事があるんですか?」

 

ゼロ「あぁ、過去にな……またいずれ話そう」

 

 

 

もう今日は解散という事で皆各自の部屋に戻っていった。そんな中ゼロは、

 

ゼロ(……やはり物事の進み方が順調過ぎる。バイルの方が大人しいのにはどういう裏があるんだ?何やらとてつもなく嫌な予感がする)

 

艦の外で少し考え事をしていたゼロであったが、

ゼロ(少し、歩くか……)

 

今はレプリフォースの近くに艦を停めてある。ここから少し歩いてレプリフォースの街を少し歩こうと考えた。

 

 

 

が。

ゼロ「!!!」

 

レプリフォースの街並みに近付きつつあるまだ荒野の中、視線を感じたゼロは思わず立ち止まる。

 

そして、視線の先には……見た事のある黒いマントを棚引かせる大きめのレプリロイド。

 

ゼロ「カーネル……」

 

随分遠くの方に居るが、自分が絶対に気付くであろう自信があっての事だろうか。来いと言わんばかりに遠くの位置で立っていた。

 

ゼロ(……そこまでして俺と、決着をつけたいのか。わざわざレプリフォースから離れた場所に立っているのもそういう事なのだろう)

 

前の彼との戦いを思い出した。

 

 

 

このまま無視する事も出来る。もしこのままレプリフォースの街に入れば彼が来る事はあれど少なくとも戦闘になる事は無いだろう。

 

 

ゼロ(だが……)

 

これはガーディアンやバイルの事も関係しているが、俺個人としての問題の方が強い。いずれにせよ彼との因縁にも決着をつけなければいけない時が来る。

 

 

ゼロは立ち止まり、少しの間考えた後ゆっくりとカーネルの元へと歩き出した。

 

 

 

 

 

 

カーネル「あのまま市街に入っていくのだと思ったが違ったようだな」

ゼロ「……街の中でお前と出会ってしまった方が面倒だ。戦闘が出来ん」

カーネル「私とて無闇に破壊活動を行う等せん」

 

ゼロ「そうか」

 

カーネル「……」

ゼロ「……」

 

所詮、交わす言葉はそれだけだった。

 

カーネル「だが貴様は市街には行かずわざわざここに来た。それはつまりそういう事だと理解して構わないだろうな?」

ゼロ「あくまで俺は無為に刃をまじえるつもりは無い、今は「それ所では無いと?」……そうだ」

 

カーネル「確かにガーディアンにとって、そしてこの世界に生きる者達全てにとって次の貴様達の戦いは非常に大事な戦いになるだろう」

 

ゼロ「分かっているならここは退いてくれ……次の戦いが成功されなければ恐らくガーディアンはバイルに対抗出来なくなる。そうすればこの地上全てが滅びの道を辿る事になる」

 

カーネル「…………ッ」

 

ゼロの言ってる事は正しい。だからこそカーネルは苦しんだ。

 

ゼロ「……お前が俺との決着を望んでいるのは重々承知している。だがカーネル、過去の因縁に縛られていては未来は見えて来ないぞ」

 

カーネル「過去の因縁……」

 

ゼロ「カーネル、お前は本当に妹の事を覚えてはいないのか?お前のたった1人の妹を……

 

アイリスの事を!」

 

カーネル「うぅ……妹、私に妹など居ない……!だが何故だ……その言葉を聞く度に頭の中に激しく何かが響き渡る……」

 

ゼロ「……俺達はレプリロイド。メモリーが記憶の全てなのも間違ってはいない。だがカーネル、忘れてはいけない物がある」

カーネル「何……だ?」

 

ゼロ「心だ。信じていないだろうがお前は記憶を書き換えられて忘れてしまった事が沢山ある。だが今お前が苦しんでいる理由は覚えているからだ……心が。お前の心が忘れてはいけないと叫んでいる」

 

カーネル「くだらん……そんな心など、とうの昔に捨てられた!そんな物は信じんぞ……」

ゼロ「カーネル……」

カーネル「貴様こそそんな世迷言を言うとはな!今のお前にはかつてのお前から感じた冷血な強さの欠片さえも存在しない!」

 

ゼロ「……冷血な強さ、か」

 

確かに俺は任務という名目で沢山のレプリロイドを葬ってきた。その中にはまだイレギュラーになっていなかった心ある者も居た。

イレギュラー化が始まっており誰かを傷付ける前に処分をして欲しいと願う者もいた。

自分が果たせなかった願いを自分達に託し死んでいった者達を、戦友を、この手がしっかりと覚えている。

 

ゼロ「俺だって何も思わずにアイツ等を処分(デリート)した訳じゃない!」

カーネル「少なくとも昔のお前ならその様な事を言わずに剣を向けるだろう」

ゼロ「……確かにそうかも知れないが、昔の俺と今の俺を一緒にするな」

カーネル「何?」

ゼロ「俺は1度死んだ。そして再びこの世界に生きる上で過去に拘らずに今を生きていくと決めた」

 

 

カーネル「……過去も何も、貴様は本物の英雄で無いだろうに」

 

知っているんだな、と思ったが恐らくバイルから聞かされたのだろう。

 

 

確かにコイツの言う通り俺のボディはかつての本物の自分の体では無い。

ゼロ(本物(オメガ)は俺が破壊したからな)

 

だが、それでも俺の中には決まった答えがある。

 

 

ゼロ「俺は俺だ、例えレプリカであろうと心は本物だと教えてくれた者達が居る。だったら俺はその者達の為に『ゼロ』であり続ける」

 

 

しばらく間を置き、そう言った。カーネルはその言葉に対し黙り込んだ。

 

 

ゼロ「カーネル。もう一度はっきりと言うが、過去に縛られていては未来には進めない……第一俺を破壊してそれで終わりか?バイルの手で滅びていくこの世界をただ眺めているだけなのか?」

 

カーネル「ッ……」

ゼロ「確かにこの世界は俺達がかつて生きていた世界とは何もかも違う。お前の言うレプリフォースが変わってしまったのも事実だ……だが世界は変わる物だ。ヒトビトも、その心も」

 

カーネル「…………」

ゼロ「お前が心配しなくともレプリフォースはこれからも在り続けるだろう、会いに行ったがあそこの長官は良い奴だった」

 

カーネル「あの様なやり方では軍事国家として「そもそも何故そんなに軍事国家としての在り方にこだわる?」……!?」

 

言葉の途中でゼロが割り込んだ。

 

ゼロ「カーネル……かつて俺達の生きていた時代は、俺達よりも前の時代も戦争は終わらなかった。そして今だってこうして戦っている」

 

カーネル「そうだ。どの時代も争いが無くなる事等有り得ん……誰かが生きてる限り。それが人間であろうとレプリロイドであろうと」

 

カーネルは自分に初めて憂いの表情を見せた。

 

ゼロ「……心の何処かでは俺も、皆だってそう思っているのかも知れん」

 

今度はゼロが悲しそうな表情を見せた。

 

カーネル「だから平和など……お前達が掲げる平和など甘い理想でしか無い!」

 

 

ゼロ「甘い理想、か。確かにそうだな」

カーネル「!?」

 

まさかの肯定に驚いたカーネルだったが、

 

ゼロ「理想だろうが何だろうが、掲げないと始まらないだろう。出来ないと初めから諦めるよりかは何かの為に動く方が良い」

 

カーネル「……貴様らしくない言葉だな」

ゼロ「親友の……受け売りって訳でも無いが、きっとアイツ(エックス)もこう言うだろうと思っただけだ」

 

カーネル「ゼロ、やはりお前は……」

 

そっとセイバーを構えるカーネルに対し、

ゼロ(結局こうなるか……!)

 

同じくセイバーを構えるが、

 

カーネル「うっ……グ、頭が……!」

突如唸り出すカーネル。

 

ゼロ「……?」

カーネル「止めろ……私は……!」

 

何を苦しんでいるのかは不明だが、このチャンスを逃す訳にはいかない。

 

ゼロは駆け出してカーネルにとりあえず1発ゼロナックルを放った。唸っていても流石は戦士と言ったところかセイバーで防いだものの反応に遅れ吹き飛ぶカーネル。

 

起き上がろうとするカーネルに対して、

 

ゼロ「カーネル、退け。今のお前が俺に思う所は沢山あるだろうが……俺はお前とは戦うつもりはない」

 

カーネル「くっ、情けを「勘違いするな」……!?」

 

また言葉の途中でゼロが割り込み、

 

ゼロ「情けをかけたり等はしない。ただ俺にとって剣を振るわなければいけない相手はお前じゃない……臆病者とでも何とでも言うがいい。それでも俺はガーディアンとして成すべき事がある」

 

カーネル「…………ッ」

 

起き上がりしばらくゼロを睨んでいたカーネルだが、マントを翻して背を向けた。

 

ゼロ「カーネル……」

 

カーネル「いずれ……いずれお前との決着は必ずつける」

 

 

 

 

 

1人荒野の上で思う。きっとカーネルは分かってくれる筈だと。

記憶が失われても、きっとカーネルの心の中にまだアイリスは居る筈だと。

 

カーネルの言う通り、いずれは決着をつけなければいけない時は来るのだろう。

 

ゼロ(その時は……俺も覚悟を決めよう)

 

 

そう思いながらガーディアンベースに帰還するゼロであった。

 

 

 

 

 

~ガーディアンベース 艦長室~

 

プレリー「あ、ゼロ。お帰りなさい」

ゼロ「あぁ」

シエル「レプリフォースに行ってたの?」

ゼロ「いや……少し外を歩いていただけだ」

プレリー「そうだったの。だとしてもせめて一言くらい言って欲しかったわね」

シエル「ゼロなら大丈夫だとは思ったけど、少し心配したわ」

 

ゼロ「わ、悪かった……」(しまった、そういえば忘れていた……)

プレリーとシエルの剣幕にタジタジするゼロ。

 

 

プレリー「もう。それとゼロ、大切な事を言い忘れていたわ」

ゼロ「大切な事?」

プレリー「まだヴァン達にも話していないのだけど……と言うより話すべきか悩んでいるの」

 

ゼロ「……何があった?」

プレリー「……グレイが、目を覚ましたわ」

ゼロ「グレイが……良かったじゃないか」

プレリー「確かに聞くだけは喜ばしい事ではあるのだけれど、その……」

 

プレリーはチラッと(シエル)を見た。

シエルは首を横に振った。果たしてどういう意味なのだろうか。

 

プレリー「とりあえず意識は戻ったのだけれど、無気力状態と言うのが1番分かりやすいかしら」

ゼロ「返事はするのか?」

 

シエル「私達の呼び掛けにも応じなかったわ。食事等も取れる状態じゃなく今までと変わらずチューブによる栄養摂取ね」

ゼロ「……無理もない。あんな事があってはな」

 

プレリー「皆に、伝えるべきかしら」

シエル「私は止めておいた方が良いと思うわ。とりあえず一命は取り留めた事は喜ばしい事だけど……状態が状態なだけに、ね」

 

ゼロ「明日の作戦はこれからの戦いにおける重要なモノになるだろう。下手にグレイの事を伝えると皆の士気に関わる」

 

プレリー「……そうね。伝えるのは次の作戦が終わってからにしましょう」

シエル「グレイはこのまま安静にさせておきましょう。私達が居るから大丈夫よ」

 

ゼロ「あぁ。俺達は……俺達のやらなければならない事をやろう」

 

グレイを頼む、とだけ言って自室に戻ろうとするゼロを2人が呼び止めた。

 

 

シエル「ゼロ、明日……ちゃんと帰ってきてね」

プレリー「皆で一緒に、ね」

 

ゼロ「……当然だ」

 

 

そう強く言って、ゼロは艦長室を後にした。

 

 

ゼロ(アイツ等は……俺が何としてでも守る。これ以上誰かを傷付けさせたくはない)

 

そしてそう強く心に誓うゼロであった。

 

このガーディアンとバイル達との戦いの命運が懸かった1戦が、すぐ明日に迫っていた……。




何とここでグレイさん復活か!?と見せかけてのなんということでしょう……。
グレイの出番はもう少しお待ちを!ちゃんと復活するよ!?

今話でも見損なわれたカーネルくん。彼は彼なりに色々と悩む所はあるのです。いよいよ彼との決着も近いのかも知れませんね。

今回も戦闘はありませんでした、サボってないサボってない!次は戦うよ!
次かもしくは次の次位で今の章はお終いにしようかと思ってる所です。



※修正情報

設定集の妖精戦争の項目の説明が間違っていました。


コメント欄にて指摘を下さった方により確認した所大きな間違いをやらかしてしまっていたので修正致しました。(出来てるよね……?)
その他の話でも同時に間違っていた所を修正。多大な間違いを申し訳ございませんでした。

にわかであるつもりは無かったのですがにわかを晒してしまった……。情けない!勉強が足りんぞって事でストーリーをもっと見直します。

自分でも確認は勿論しますが、誠にお手数をお掛けしますが間違いがあれば是非ご指摘の程をよろしくお願いします!
コメント欄にて指摘してくれた方ありがとうございました!精進致します。

では次の話でお会いしましょうp(´∇`)q


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-宇宙へ-

どうも、M・Mです。
暑さやら雨やらで大変な事になっておりますが皆様体調の程はいかがでしょうか。

いやーキツいっス(熱中症)

いつもの自語はここまでとして、投稿1ヵ月ぶり位でしょうか。コチラもいつもながら遅くてすみません。
今回は分岐話という事で短め、また明日の午前6時に出来上がっているもう1話を投稿致します。

いよいよ物語も新展開……?
では、どうぞ。




例の作戦の開始数時間前……

 

いつもより少し早めに目が覚めたゼロ。まだ少し空は暗く、ヴァン達も起きていないだろう。

 

 

早足でガーディアンベースの格納庫へと向かい、例のシャトルを見付けた。

ゼロ(今日俺達が乗るのはこれか……)

 

中に入り、操縦席に座る。

そして操縦桿を握りながらふと物思いに耽る。

 

ゼロ(作戦でシャトルを動かすのはアレ(・・)以来か……今度も世界の未来が懸かった大事な作戦になる。俺個人の因縁にとっても大きな1歩を踏み出すのか、もしくは溝が更に深まるか)

 

 

そんな考え事をしていると、

シエル「誰か居るの?」

ゼロ「!」

 

突然の声で我に返る。

 

ゼロ「俺だ」

シエル「ゼロ?」

 

シャトルの中に入って来たシエルと目が合う。

 

シエル「音が聞こえたからビックリしたわ」

ゼロ「すまん。少し、な」

 

彼女は自分の隣の席に座った。

シエル「いよいよね」

ゼロ「あぁ」

 

 

少しの沈黙が続き、

シエル「ゼロは……」

ゼロ「ん?」

 

シエル「バイルの事をどう思っているの?」

 

ゼロ「……難しい質問だな」

 

いきなり過ぎて少し呆然としてしまった。

 

ゼロ「聞けばまぁ怒るだろうが、可哀想な奴だと思う」

シエル「可哀想?」

ゼロ「どの時代にもあぁいう奴は居る……天才と呼ばれていた人物を俺も数人知っている」

 

シエル「そうなの……」

ゼロ「皆それこそ世界に革命をもたらす様な天才だった。周りから称えられ、それまでの常識を軽々と変えていった」

 

シエル「……」

シエルは神妙な顔で自分の話を聞いている。

 

ゼロ「初めは自分が世界を変えるんだと意気込んで、技術の発展に尽力するだろう。だが幾ら頑張ろうと1人ではどうにも出来ない事がある」

 

シエル「天才だろうが関係無しに」

ゼロ「そうだ。そしていつしか魔が差す」

シエル「支配欲が湧いちゃうのね」

ゼロ「どうしてかそういう奴等に限って何故か世界を変える為の近道として破壊を選ぶ」

 

シエル「1度作り直すしか無いと……」

 

ゼロ「バイルはそういう訳では無かったが……アイツも何処かでそう思っているだろうな」

 

シエル「もう憎しみで何も見えなくなっているのね。そう言われれば確かに何だか……可哀想」

ゼロ「……残念だがアレはもう手遅れだ。手遅れだった物が更に酷くなってしまった」

 

シエル「そうね……」

ゼロ「斬るしかないだろう。奴の心の中にずっと在り続ける幻影と共に」

 

気が付けばもう朝、そろそろ皆起きる頃だろう。

 

ゼロ「今日の作戦は何としてでも成功させなければならないな」

シエル「だからと言って無理だけはしないでね」

 

ゼロ「……善処する」

シエル「ダメ。絶対」

ゼロ「分かった。分かったから落ち着け」

物凄い気迫で詰め寄ってくる彼女についタジタジしてしまった。

 

 

シエル「約束よ」

ゼロ「約束……」

 

そう言って彼女は指を差し出す。

ゼロ「……?」

シエル「指切り。約束を守りますよって意味合いを込めて指を交わすのよ」

ゼロ「指を……」

 

少し困惑している様なそうでも無い様な。いつもの表情かと思いきやそうでも無かったりと、変わった表情をしているゼロの手を取り、指を絡めた。

 

シエル「絶対帰って来てね。皆で」

 

ゼロ「……あぁ」

 

 

 

 

シエル「そろそろ行きましょうか」

ゼロ「……待て、シエル」

シエル「どうしたの?」

ゼロ「…………」

 

ゼロは足音を立てないようにゆっくりとドアに近付き、耳を澄ます。

 

 

???「何も聞こえなくなったけど」

???「話終わった……?」

???「2人ともそんな壁にベッタリ張り付かなくても……」

 

ゼロ「……」

 

心の中で溜め息をついた。何となく気配は感じていたがどうやら当たったらしい。

 

 

そしていきなりドアが開き、左右を見ればビックリした顔でコチラを見ている犯人達。

 

ゼロ「……何をしている」

 

エール「え、えっと……」

アッシュ「何話してるのかなーって……」

ヴァン「俺は止めました!」

エール「ヴァンだって結局着いてきてるでしょ!だから同罪!」

ヴァン「えぇ……(困惑)」

 

 

ゼロ「全く……」

シエル「朝から賑やかね」

ゼロ「あぁ、本当にな」

 

 

 

 

 

~艦長室~

プレリー「さて、いよいよ作戦実行の時が来た訳だけれども」

シエル「皆準備は良いわね?」

 

勿論、と言わんばかりに頷く4人。

 

プレリー「もう1度軽く今回の目的を説明するわね。まずは皆シャトルに乗り込み宇宙ステーションに侵入する」

ヴァン「最終的には奪還っていう方向性で良いんだよな?」

プレリー「えぇ。けれどまずはやるべき事をやってからね」

アッシュ(何だったっけ……)

エール「砲台のデータとミノフスキードライブの回収、だったよね」

プレリー「そう。それ等が手に入ってからよ」

 

ゼロ「まずは隠密行動で進む。ドンパチやるのはその後だ」

アッシュ「がってん!」

ヴァン(がってん……?)

 

そしてプレリーの元に連絡が入る。

プレリー「……シャトルの準備が出来たみたいよ。皆急いで行って」

 

それを聞くに4人ともシャトルの元へ急ぐ。

 

 

 

シャトルの前でとりあえずの宇宙服を貰う。尚ロックオンしていれば必要はありません。

 

ロックオンした後にシャトルに乗り込む。

 

 

ゼロ「各自きっちりとベルトをしておけ。ピンボール状態になるぞ」

ゼロに言われた通り固定具をしっかりとする。

 

そこへ艦長室から連絡が。

 

プレリー「準備は出来た?」

ゼロ「あぁ。全員OKだ」

 

プレリー「行くわよ……シャトル点火!」

 

プレリーの合図と共に勢い良く着火し、シャトルが動き出す。

 

 

プレリー「任務の成功を祈るわ!でもそれよりもちゃんと帰ってくる事!良いわね!」

 

4人「了解!」

 

 

そして天高く上っていくシャトルを見てプレリーとシエルは彼等の無事を願いながら次の行動を始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

大気圏を超え不要なパーツをパージし、ゼロの操縦により真っ直ぐ進んでいるシャトル。

 

かなりのスピードで進んではいるがまだ少し時間があった。

 

ヴァン「……そう言えばゼロさん」

ゼロ「どうした?」

 

ヴァン「前にシャトルを操縦した事があるって言ってましたけど」

アッシュ「あ、それ私も聞こうと思ってた」

 

ゼロ「……昔、まだ俺がイレギュラーハンターの頃の話だ。とある任務で宇宙に上がらなければならなくなった時にやった」

 

大部分の事はその時説明が面倒だったのか、それとも隠したかったのかどうか分からないが話さなかった。

 

エール「ゼロさんの時代にもバイルの様な奴は居たんですか?」

ゼロ「バイルと同じ様では無いが似た様な奴は居た。それにそういった奴とは別に俺には、俺達にはずっと戦い続ける因縁(・・)の存在が居る」

エール「ずっと……?」

 

ゼロ「この話もかなり長くなる、また話すから今は目の前の任務に集中しろ」

エール「はい」

 

ゼロの言葉にエールは頷いた。

 

その時は話すのが面倒だったのか、今話すべきでは無いと思ったのかそれ以上は言わなかった。

 

 

 

それからしばらく皆何一つ喋る事も無く、そして遂にその時はやって来た。

 

ゼロ「各自準備をしておけ、情報通りならまもなく向こうの射程領域に入る」

 

ゼロの言葉にシャトル内に緊張が走る。

 

そしてゼロの言った通り激しい弾幕が視界を埋め尽くした。

アッシュ「うわ……」

ヴァン「尋常じゃ無い数だな……」

ゼロ「……安心しろ、必ずやってみせる」

エール「私達はゼロさんを信じてますよ」

 

ゼロ(ここが腕の見せ所だな……)

 

相手の弾幕によりかき消されるだろうが機銃で少しは相手の砲台に攻撃しながら、的確な操縦で弾幕の微かな隙間をくぐり抜けていく。

 

ヴァン(凄い……本当にギリギリだけど避けてしっかり進んでる)

 

実は言うと機銃しか積んでいないのと機体を出来るだけ小さくオーダーしておいたのはゼロであった。ついでに防御障壁(バリア・フィールド)を少し搭載させて貰っている。全てはこうなる事を予測しての行動であり、ゼロの操縦技術も相まって今の結果がある。

 

そして後少しの所で、

ゼロ「ここで防御障壁(バリア・フィールド)とブーストで一気に突っ込む!全員しっかり掴まっていろ!」

 

ゼロに言われた通りにして息を呑むヴァン達。

 

次の瞬間爆速的に加速する機体。被弾はするもののしっかりと防御障壁が守り、無事敵の攻撃を抜けて基地に辿り着いた。

 

 

ゼロ「皆大丈夫か?」

アッシュ「せ、世界が回る……」

ヴァン「何とか大丈夫です」

エール「無事突入出来ましたね」

 

一方ガーディアンベースでも突入成功の瞬間がモニターに映っており歓喜に湧いていた。

 

だが、ここまではこの任務を初める為の所謂プロローグにしか過ぎない。

 

ゼロ「行くぞ。ボサっとしている暇は無い」

 

既に警報が鳴り響く基地内を突き進んでいく。

 

 

作戦の前から分かっていた事ではあるが通信は通じない。この基地内の地図も目的地も判明しているので迷う事は無いだろうが、状況が何も分からないプレリー達は心配である。

 

ゼロ「まず近いのが……」

ヴァン「ミノフスキードライブですね」

ゼロ「………」

エール「ゼロさん、二手に分かれませんか」

ゼロ「俺も同じ事を考えていた」

ヴァン「そうですね。俺達は出来る限り早くこの基地を攻略しないといけませんし」

アッシュ「それはアタシも賛成だけどだったら集合場所を決めておかないと」

ゼロ「そうだな……丁度真ん中にあるこの中央制御室にしよう」

 

頷く3人。

ゼロ「良し、俺とアッシュはミノフスキードライブ。ヴァンとエールは砲台の方を頼む」

 

3人「了解!」

 

ヴァン「エール、行こうか。ゼロさんとアッシュもどうか気を付けて!」

アッシュ「そっちこそヘマやらかさないでよ!」

エール「中央制御室でまた!」

 

そして、

アッシュ「それじゃアタシ達も行きますか!」

ゼロ「あぁ」

 

 

 

 

 




ミノフスキードライブと何度もありますが元ネタはガンダムです。ゼロさんの装備としても使用しているし、ガーディアンベースという艦があるので使うには丁度良いかなと。
シャトルの操縦、そしてエニグマはロックマンX5をやっている方ならお解りの筈。

展開はいよいよ新しい場面を迎え、次かその次で新章の予定。眠り姫になっているグレイくんが遂に目覚めたみたいですが果たして……?

それでは次の話でお会いしましょう(゚∀゚)


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-宇宙ステーション攻略 ゼロ&アッシュ編-

どうも、M・Mですを
まず初めに前の話で次の日の6時に投稿するとか間違いを書いてしまってごめんなさいm(_ _)m

この話から雑魚的のイレギュラー達が強化される模様、ゼロとアッシュは無事目的を達成出来るのか。

では、どうぞ。



ゼロとアッシュはミノフスキードライブの回収に向けて奔走していた。

 

しかしこれはヴァンとエール達も同じ頃感じているであろう事であるが、ガーディアンにとって想定外の事態が起こっていた。

 

ゼロ「アッシュ、後ろだ!」

アッシュ「ゼロさんこそ右!」

 

ゼロ(クッ……これは考えてなかった!)

 

お互い背中合わせに大量のイレギュラー達と戦っていた。まぁ敵戦力の多い事は想定済みであったが、問題はそこでは無かった。

 

アッシュ(コイツ等……強い!)

 

強いと言っても十分対処出来るレベルではあるものの、今までに簡単にスパスパ斬って撃って終わる奴等では無かった。

 

ゼロ(純粋に強化されているな……装甲、武器も簡単に破壊出来ない)

 

地上ではまだ確認されていないイレギュラー達が立ちはだかり、ゼロ達は思う様に進めなかった。

 

ゼロ(もしコイツ等が地上に降りれば……被害は計り知れないぞ)

少なくとも人間が扱える武器では太刀打ち出来るかどうか怪しい所である。

 

 

だが。

ゼロ「今は……!」

アッシュ「先に進むしかないのよ!」

 

ゼロはタイタスフォームに、アッシュは……

アッシュ「ゼロさんちょっと離れてて!耳が危ないから!」

ゼロ(耳……?)

 

一瞬疑問に思ったが、コンドロックにトランスしたのを見て理解して彼女から少し離れる。

 

 

一方ヴァンとエールの方で、

ヴァン「ん?」

エール達「どうしたの?」

 

ヴァンとエールも大量のイレギュラー達と戦っていたが見事な連携で倒している。

 

ヴァン「何か聞こえないか?」

エール「……あー、アレだ。アッシュのトランスの何だっけ、コンドロックだった様な」

ヴァン「あの凄くうるさい奴か。ゼロさんは大丈夫だろうか……」

 

割と離れているが聞こえているらしい。

 

アッシュ「アタシの歌を聴けぇー!!!」

M・M(アッシュさんそれ違うやつ……)

 

場面はゼロ達に戻って、

ゼロ(大丈夫、では無いな…………)

 

離れているので多少はマシではあるが可能ならば聴覚をシャットダウンしたい所である。

 

だがこの音攻撃は装甲を無視して相手の内部から機能を停止させる事が出来た為に、

ゼロ(強いな。破壊は出来なくとも動きが鈍くなってて簡単に破壊出来る)

 

ゼロも負けじと大型のイレギュラーを次々とスクラップにしていき、そしてアッシュの凄まじい戦果によりゼロ達は大きく前進した。

 

 

 

しばらくして、イレギュラー達からの攻撃も落ち着いた所で地図を見直す。

アッシュ「このエレベーターで下に降りればすぐか。ゼロさん行きましょ」

ゼロ「……いや、エレベーターは使わない方が良いだろう。階段か何か無いか?」

アッシュ「どうしてですか?と言うよりエレベーターしか無いんですよね。階段は全部封鎖されてるみたいで」

 

それを聞いてゼロはため息をついた。

ゼロ「そう、か……なら仕方ない。こういう時のエレベーターは危険だからあまり乗りたくは無いのだが」

 

そしてアッシュと共にエレベーターに乗り込むゼロ。そしてアッシュがボタンを押すとごく普通に下に降りだすエレベーター。

 

アッシュ「ゼロさんの考え過ぎですって」

ゼロ「……だと良いが」

 

アッシュ「まぁ確かにこういう時大体罠が仕掛けられてありs」ガコン

 

アッシュが言い終わる前にエレベーターが止まった。少しジト目でアッシュを見るゼロ。

 

アッシュ「と、止まっただけですって!」

ゼロ「止まっただけだとしてもここから脱出しないとな……」

 

エレベーター内を見渡すゼロ。

ゼロ「天井をぶち破るか」

アッシュ「それしか無さそうですね」

 

そしてゼロが天井にセイバーを入れようとしたその時。突如再びエレベーターが動き出した。

 

ゼロ「おっと……動いたか」

アッシュ「脱出する必要が無くて助かった」

 

安心するアッシュを余所(よそ)に不安感を拭い切れないゼロ。

 

ゼロ(いや……やっぱり嫌な予感がする)

 

今度こそ天井にセイバー入れる。

 

アッシュ「ちょ、何で天井破ってるんですか」

ゼロ「どうもまだ嫌な予感がしてな」

 

そして上から出るゼロと、着いて行かない訳にはいかないアッシュが続いて出て来た。

 

アッシュ「もう、ゼロさんは心配性だなー」

ゼロ「…………!」

 

からかうアッシュの隣でエレベーターの動きをじっと見ながらゆっくり降りていたゼロとアッシュであったが、突如エレベーターの動きに異変が。

 

アッシュ「!?」

ゼロ「超高速で下に降りているな」

 

 

そして……

遥か下の方に見えたのは何とマグマだった。そしてエレベーターはそれに溶けていく。

 

アッシュ「……………」

ゼロ「どうやら俺の予感が当たったらしいな」

アッシュ「ごめんなさい……」

ゼロ「別に何も言っていないだろう。そろそろ位置的にも目的地のある階層だろうか」

アッシュ「もう少し下に見えるあの扉こじ開けてみましょうよ」

ゼロ「そうしよう」

 

出来れば静かに進みたいが扉を破るしか無い。ゼロのセイバーが扉を斬り裂いた所で一気に勢いに任せて出る。警戒してはいるものの周りには何も居ないらしい。

 

アッシュ「ラッキー。どうやらここは地下6階、最下層より2つ上の所ですね」

ゼロ「あぁ。そして目的のミノフスキードライブがあるのもこの階だな」

 

ただどの部屋にあるのかは分からないのでここからは自分達で探すしか無いだろう。

 

ゼロ「分かれて探すか」

アッシュ「丁度アタシもそれ言おうと思ってた」

ゼロ「何かあれば必ず連絡を」

アッシュ「了解」

 

この宇宙ステーション自体がかなり大きい為に1階層の広さもかなりの物である。

 

 

 

アッシュと別れてから数分。

ミノフスキードライブの存在や、どうやら物資はそのまま残されており使えそうだ。

 

ゼロ(……何故残してあるんだ?普通データとかも全て持ち去られていてもおかしくない筈なのだが。バイルは何を考えている?)

 

まるで、自分達に餌を撒いているかの様だった。

 

ゼロ(お前までもがそこまでして俺達との……いや、俺との決着を望んでいるのか)

 

ずっと奴の思惑の上で踊らされているのかも知れない。それでもここまで来た以上後には引く事は許されないのだ。

 

 

 

しばらく様々や部屋を漁ったものの目的の物は見当たらなかった為ここで1度アッシュに連絡を取ってみる事にした。

 

ゼロ(……繋がらない?)

1つ1つの階層がかなり広い事は分かっているがこのフロアに居ないなんて事は無いと思いたい。

だとすれば連絡が取れないなんて事は無い筈。となると考えられる事は……

 

ゼロ「ッ……!」

 

1度ミノフスキードライブの事は置いておいてアッシュを探す。一応ヴァンとエールにも連絡は入れてあるが向こうは向こうで忙しいであろうから1人で探すしか無いだろう。

 

ゼロ「アッシュ!何処だ!」

 

プレリーに約束した。必ずヴァン達は俺が守ると……焦りが募る中必死に走り回る。

 

ゼロ(俺は右、アッシュは左を探索していた。俺の方は大体半分位は探し終わっていたから範囲は大分絞れる筈……)

 

と、ここで地面にある物が落ちていた。

ゼロ(これは……アッシュのGAT!)

 

ますます焦りが増している事をはっきりと感じている。壊れてはいないが落ちたのであろうアッシュのGATは近くに彼女が居ると同時に何かが居るという事を示していた。

 

 

全神経を集中させて警戒する。

ゼロ(アッシュだってそう簡単にやられる様な事は無いだろう……となると突然の不意打ちか?それとも罠か?何にせよ正面から堂々とやってくる様な相手では無さそうだな)

 

もし自分の推測が正しければ相手は天井やら床下からやって来る様な相手なのかも知れない。そうじゃ無くとも今この場所で戦うのはあまりにも自分にとって不利過ぎる。

 

ゼロ(移動するか……何処か開けた場所はあっただろうか)

止まって地図を開くのは危険である為に頭の中で思い起こす。

 

ゼロ(確か最下層に開けた場所があった筈……)

急いで、だが全ての方向において注意を怠らず階段から最下層へと下る。

 

そして無事自分の行きたかった場所に着いた。

大きく開けており所々に機械が見える、どうやら実験場か何かだろう。

 

ゼロ(良し……ここなら戦いやすい)

どっしりと構えて待つ。

 

すると……

 

ゼロ(来る!)「はっ!」

突然現れた謎の存在が繰り出す刃による突きと自分の技である電刃が衝突する。

 

何とか防いだ所で1度距離を取り相手を確認する。

 

ゼロ「お前は……」

自分が実際会った訳では無いが確か過去に資料で見た事がある。

 

???「まさか伝説の英雄と相見える事が出来るとは。先程の娘はつまらなかったがこれは退屈し無さそうだ」

 

ゼロ「確か名をマグネ・ヒャクレッガーと言ったか。先程の娘と言ったな、やったのはお前か」

 

マグネ・ヒャクレッガー(以後マグネ)「どうも私の領域(エリア)に入っていたものでね。安心するといい……命は奪っていない。命はな」

 

ゼロ「ッ……何をした!」

マグネ「少し能力(チカラ)を奪わせて貰った。さっきも言ったが命に関わる事では無い」

ゼロ「そういう問題で済まそうとするな……俺の仲間を傷付けた報いはきっちりと取って貰う」

 

マグネ「面白い!伝説の英雄よ、いざ勝負!」

 

 

そう言って消えた相手。

ゼロ(消えた……?)

気配も無い。辺り一面に全く違和感無しに溶け込んでおり、いつしかグレイから聞いたカメレオンの様だった。

 

ゼロ(面倒だな……)

 

こういう相手は誰しも面倒に思うであろう。

 

マグネ(良し……私が見えていない様だな。先程の娘と同じ様に何も出来ない様にしてやろう)

 

このマグネ・ヒャクレッガー、どうやら相手の能力を奪い使わせない様にする事が出来る。実際奪った能力を使える訳では無いが、奪われた相手からとっては致命傷になりかねない攻撃である。

 

ゼロ(アッシュがやられたという事は何かしらの厄介な行動を取るという事は分かっている。問題はそれが何なのか、だが……思い出せん)

 

昔に資料を読んだ事は記憶しているが詳細が思い出せず相手の弱点等は不明。何があるかは分からないが自分で確かめるしか無い。

 

 

マグネ「マグネットマイン!」

ゼロ「!」

何も無い場所からいきなり現れた物質が自分の周辺を不規則に回っている。斬り落とそうとするものの軽快に動き回っており中々当たらない。

 

ゼロ(何なんだ……?)

だがいつまでも回っているだけで何もしてこない謎の球体を怪訝に思っていると、

 

ゼロ「ッ!?」

突如それが自分の体に絡まり爆発した。

 

そして自分を嘲笑うかの様に現れる相手。

ゼロ「ッ……まさかそう来るとはな」

 

マグネ(当たったは良いがやはりそこまで威力は高くないか……)

 

そしてゼロがバスターを撃つと同時に相手も再び消えた。またすぐに先程の球体が現れる。

 

ゼロ「チッ……」

それだけならば良かったのであるが、

 

マグネ「まだあるぞ!」

何処からか現れた相手が手裏剣を投げて来た。自分の知ってる忍者っぽい四天王(ファントム)の攻撃と同じ類の物かと思ったが癖のある軌道が判断を鈍らせる。

 

そして忘れてはいけない自分の周りのマグネットマイン。走り回りながらその球体の動きを良く見る。そして爆発の為にくっつくその瞬間、

 

ゼロ(ここだ!)

いきなりブレーキを掛けダッシュでくぐり抜ける。

見事に回避出来たものの、甘かった。

 

ゼロ「ガッ……!」

背中に手裏剣が刺さり、更に上から奴が落ちてきた。その手裏剣にもどうやら麻痺か何かの効果があるのかその場で倒れ込み、

 

マグネ「貰った!」

奴に背中から馬乗りされ、尻尾が自分に突き刺さる。そして何かが体内に送り込まれたのが分かる。何とか奴を突き放し立ち上がるも……

 

ゼロ(……ッ、何だ?この違和感)

体に纏わり付く謎の感覚を妙に思いつつもここから反撃に転じようとする。だが……

 

ゼロ「なっ、セイバーが……出せん!?」

手は動くが何故かゼットセイバーが現れず、ただの柄だけが残る。

 

マグネ「ふははは……どうやら貴様のメイン武器が消えた様だな」

ゼロ(奪うとはそういう事か……)

 

マグネ「このまま体の自由を次々と奪われていく恐怖に(おのの)くがいい……」

ゼロ「……」

 

確かに自分のメインウェポンはゼットセイバーだ。それが無くなったと言っても戦えなくなる訳では無い。とは言え相手の発言からして次あの(・・)攻撃をされたら体の何処が動かなるかは分からない。何にせよもう喰らう訳にはいかない。

 

ゼロ(どう立ち回る……?セイバーが無くなった以上ここはリコイルロッドを持つか)

手が動かなくなった訳では無かったのが幸いか。武器を持ち変えるだけで特に問題は無い。

 

マグネ「フッ……先程までので私の攻撃手段が無くなったとでも思っているのか」

ゼロ「何?」

マグネ「かつては青き英雄にやられたが……今こうして強くなって復活させて貰った以上必ず貴様達をこの尻尾の餌食にしてみせる」

ゼロ(青き英雄……エックスの事か)

 

マグネ「マグネットボム!」

ゼロ「!」

突如投げ込まれたバスケットボール程の大きさの球体を咄嗟に避けるが、

 

ゼロ「なっ!」

バランスを崩しその場によろける。どうやら強力な磁力で引き寄せられているらしい。

 

マグネ「そこだ!」

そしてそこを再び狙おうとする相手に対し、

ゼロ「クッ、まだだ!」

マグネ「!?」

 

良く自分が使うテクニック、チャージリコイルロッドで高く飛び空中で体勢を整えバスターでマグネットボムを破壊する。

 

マグネ「この攻撃を避けるとは……流石紅き英雄と言ったところか」

ゼロ「そう甘く見て貰っては困るな」

 

マグネ「まだまだ……!」

そう言いながら再び消える相手。

 

ゼロ(まだ攻撃手段があるという事か……面倒だ。コチラはまだ1回も奴に触れられていない)

 

良く考えればここまで何も出来ずに防戦一方だったのは久しぶりかも知れない。

 

ゼロ(どうする……?)

何とか相手の行動の隙を突くしか無いが、自分にそんな余裕があるかどうかは不明な所。

 

マグネ「シャーッ!」

ゼロ「甘いッ!」

 

突如現れ手刀を繰り出すがこれは流石に受け止める。そしてここぞとばかりに連続突きを。

 

マグネ「うおぉぉっ!」

ゼロ「一対一(サシ)を挑んだのは間違いだったな!」

 

そして相手が必死にガードしている所を見て、いきなり足にリコイルロッドを突き刺す。痛がり体勢が崩れた所をゼロナックルに持ち替え思いっきり殴り蹴る。

このまま押し切れそうかと思ったが、ギリギリの所で何と殴っていた物が丸太に変わった。

 

 

ゼロ「!?」

周りを見ればかなり後ろの方で爆発と共に戻って来ていた。

 

マグネ(グッ……流石に甘く見過ぎていたか。近接戦闘においては完全に向こうの方が上)

 

改めて攻め方を確認した所で消えた。

 

ゼロ(さて……そろそろ相手も大きく出て来る頃だろうか)

 

マグネ「行くぞッ、私の奥の手で!」

まずマグネット・マインを出し、更にマグネットボムも投げた。

 

ゼロ(来るか!)

そして相手自身も先程の様に手刀で襲い掛かる。普通なら対処出来るが先程とは訳が違う。

 

ゼロ(ッ、バランスが上手く保てん……それにそろそろ回避に集中しないと爆発する!)

 

1度相手と距離を離したい所だがそこをマグネットボムが邪魔をする。

 

しばらく逃げ回っていたが、気が付けば壁際に追い詰められていた。そしてそこを一気に距離を詰めて飛び掛ってくる相手。

 

マグネ「貰ったァァァ!」

ゼロ「ッ、そう簡単に……やられるかッ!」

 

片腕のチャージリコイルロッドで壁を突き、一気に加速しもう片腕で相手を突き刺した。

 

 

 

 

倒した、そう思っていた。

マグネ「ここまでだッ!」

何と相手の上半身と下半身が分かれ上半身は壁に張り付き、下半身はゼロの後ろに。そして尻尾が再びゼロを突き刺した。

 

ゼロ「グアッ!?」

その場に倒れ込む。

 

 

そして相手は何と離れていた上半身と下半身がくっ付いて元に戻ったのだった。

 

マグネ「どうだ……これが私の奥の手だ。1度しか使えない代わりに効果は絶大だったな、さて何の能力が無くなったか楽しみだ」

 

何とかリコイルロッドを杖に立ち上がるも、

ゼロ(足、か……)

 

すぐに自分の中で何が使えなくなったのかが分かった。上手く立つ事が出来ずにダッシュが出来なくなっていた。

 

マグネ「ハハハ!もう貴様には機敏な動きは出来まい!」

 

ゼロ(マズいな……)

実際かなり危険な状況である。

ここでフォームチェンジ、特にタイタスになりたかったがここで使ってしまえば恐らく後に困る事になるかも知れない。

 

だが、

ゼロ(ここでやられてしまったら元も子もないか。仕方無い)「セットアップ、タイタス!」

 

マグネ「何だ!?」

 

重圧な鎧を身に付けたタイタスフォームに変化した。何とブーストで空を飛んでいた。

 

ゼロ「足とダッシュが使えなくてもこのフォームならブーストで!」

マグネ「クッ、それなら!」

 

何とマグネットボムを2つも出して来て、ありったけのマグネットマインが自分の周りを飛ぶ。

 

ゼロ(これが全力の様だな)

2つのマグネットボムによる強力な磁力により避ける事が出来ない。

 

 

そして、

マグネ「これで……終わりだッ!」

大量のマグネット・マインが爆発した。

 

 

 

マグネ「ハァ……ハァ……」

やった、と安心しようとした瞬間だった。

 

突如飛ばしていたマグネットボムが破壊された。

マグネ「何ッ!?」

 

ゼロ「このタイタスにその様な攻撃が通用すると思ったか」

マグネ「そ、そんな、バカな……」

 

ゼロ「終わりにさせて貰う……ブースト、最大出力!!!」

 

マグネ「ウォォォォォォッ!!!」

 

爆発的な加速で一瞬の内に相手に詰め寄り、

ゼロ「ギガインパクトッ!!!」

その拳でマグネ・ヒャクレッガーをぶん殴り、木っ端微塵にした。

 

 

 

 

 

ゼロ「何とか、なったか……かなりやられたな」

 

正直ここまで厄介な相手だとは思っていなかった。何とか勝つ事が出来たが割とダメージを負ってしまい、セイバーの能力は戻ったがまだ足が治らない。足が治るまではこの場に居るしか無い。

 

 

 

 

少ししてようやく足の感覚が戻った所ですぐにアッシュを探す。アッシュはすぐ近くの部屋に寝かされており気絶していた。

 

起きない彼女を抱えながら先に進む。目的地まではもう後少しだったのでこのまま進む事に。

 

2階上がり、元々自分達が行く筈だった階に戻る。しかしここで困った事が。

 

ゼロ「結局まだミノフスキードライブは見つかっていないんだったな……」

アッシュの方の成果が分からない以上まだ半分程部屋を探さなければならない。

 

ゼロ(……そうだ)

と、ここでアッシュのGATを覗かせて貰う。

お宝探しが得意な彼女の事だ。マッピング位はお手の物だろうと信じたいが……

 

ゼロ「良し。ちゃんと探している部屋を判別しているな。これなら俺が探して来た場所と合わせて……もう後数部屋だな。どうやらアッシュもまだ目的の物は見付けていなかったらしい」

 

彼女を抱えながら探していない数部屋を探し、遂にミノフスキードライブのデータを発見した。

ゼロ「やっとか」

 

一苦労あったものの何とか探し物は見つかった。後はヴァン達と合流するだけである。

 

ゼロ「戻るか……ヴァン達は上手くやっているだろうか。あの2人なら大丈夫だろうとは思うが」

 

そう言いながら集合場所にアッシュを連れて戻るゼロであった。

 




ロックマンX2の雑魚と名高いあの人を登場させてみました。尚凄く強く、バイルの手で復活させられた者達の中でも高い実力を持ちます。

ここからは更に戦闘が激しくなっていきゼロ達を苦しめる。ヴァンとエールも頑張ってくれる事を願いましょう。

それでは次の話でお会いしましょう( • ̀ω•́ )

追記 ゼロ&ゼクスコレクション発売おめでとぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!
既にプレミアムの方を予約しました。当たり前だよなぁ?


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-宇宙ステーション攻略 ヴァン&エール編-

どうも、M・Mです。
更新は1ヶ月ぶりですね。大変長らくお待たせして申し訳ないですm(_ _)m
夏が終わり、忙しかったのもありますが書く暇が無かった訳でも無いのでサボり癖が出ていました、素直に反省です。

暑かったと思えば急に涼しくなって、秋が訪れたとなったらまた暑く……体調を崩す人も結構おられるみたいなので皆様もご注意下さい。

自語はここまでとしてようやく宇宙ステーション編は次でおしまい、そしてこの章も多分次で終わりです。
次はまた展開を大きく動かすつもりで、遂にあの子が帰ってくる予定(盛大にネタバレをしていくスタイル)

コメントにも書いてくれた方が居ましたが、少しではありますが前から入れたかった話を入れております。内容はシリアスで暗め、オリジナル設定も加わっておりますがそれも加味して読んで頂けると幸いです。

前書きが長くなってすみません(>_< ;)
では、どうぞ。

追記:この話を書くにあたって2話の最後に複線ならぬ後付け設定を書きました


ヴァン&エールside

 

ゼロ達と分かれて進む事数分、またヴァン達もゼロ達と同じ様に強化されている雑魚敵に足止めを喰らっていた。

 

エール(簡単な掃射じゃ倒せなくなってる……)

ヴァン(セイバーで一撃で倒せるとはいえ前の様にはいかない、か……)

 

相手も新戦力を投入して来た事からしてもやはり自分達を本気で潰しに掛かっている事が分かる。

 

だが、

ヴァン(それでも……)

エール(こんな所で……)

 

ヴァン&エール「立ち止まる訳にはいかない!」

 

流石は長年の相棒、背中合わせに戦い、阿吽の呼吸でお互いの後ろを守りながら周りに群がる敵を蹴散らしていく。

背中は守る、守られている……絶対大丈夫という説明するのが難しい謎の安心感があった。

 

ヴァンはモデルFZ()、エールはモデルHXに。

エール「ヴァン、蹴散らすわよ!」

ヴァン「分かった!」

 

エールの剣から出された旋風にヴァンが出した炎が纏われ、敵陣に炎の竜巻となって襲い掛かる。

 

上手い事敵を壊滅させられたので残党をちゃちゃっと狩って先に進む。

 

 

ゼロとアッシュに同じくなるべく無駄な戦闘は避ける。消耗は出来る限り抑えないといけない。

 

エール「そう言えばヴァン」

ヴァン「何だ?」

エール「さっきのヴァンのフォーム……」

ヴァン「あぁ、Zタイプか。Xタイプよりもセイバーの出力が上げられてるフォームなんだ」

エール「へぇ、ヴァンにはピッタリね」

ヴァン「とりあえず俺だけ増やして貰ったけどエールもやって貰った方が良いぞ」

エール「確かにセイバーも必要な時はあるか、私も帰ったらお願いしよっと」

 

進む事数分。

ヴァン「そう言えばデータがある場所ってかなり下の方だったっけ?」

エール「そうね、目的地は確か……最下層の資料室。やっぱり機密事項だから厳重に管理されてるんじゃない?」

ヴァン「ならエレベーター使えば早いな」

エール「ちょっと待って、ちょっと危険じゃない?中に罠が仕掛けられてるかも」

ヴァン「流石に考え過ぎじゃ……ん?」

エール「ゼロさんからメールだ」

 

「ヴァン(エール)へ。エレベーターに罠が仕掛けられていた。恐らくそちらも仕掛けられていると見て良いと思う」

 

ヴァン「……ありがとう、エール。お陰で罠にハマらなくて済んだ」

エール「もう少しヴァンは慎重にいかないと」

 

 

という事で階段を駆け下りて最下層まであっという間に着いた。

 

だがここで2人とも異変に気付く。

ヴァン「……」

エール「……」

 

ヴァン&エール(見られてる……)

 

1フロアの大きさはかなりの物だが通路はそこまで広くは無い。自分達を視認出来る場所は限られているし周りにはパッと見何も居ない。

だが何故だか何処からか見られている感が否めない。まるでずっと遠くから壁越しに透視されているかの様だ。

 

ヴァン(どうする?)

エール(奥に実験の為に作られたのかどうか分からないけど開けた場所があるからそこに行こう)

ヴァン(OK)

 

 

ダッシュで目的地まで駆ける。エールの情報通り縦も奥行も広い部屋に入った。部屋全体何も無い、通気口に続いているであろう何かの板があるだけの閑散とした部屋だ。

 

ヴァン「エール、どうす……エール?」

隣に居て共に部屋に入って来た筈の彼女が居なかった。何処へ、と思った瞬間落ちて来たのは彼女のセイバー。恐る恐るゆっくりと上を向く。

 

そこに居たのは蝙蝠……いや、吸血鬼。エールはそいつに掴まれていた。

 

ヴァン(え……?)

あまりにも一瞬の出来事で頭が混乱する。が、何とか我を取り戻し叫ぶ。

 

ヴァン「エール!大丈夫か!?」

エールに呼び掛けるが彼女からの返事は無い。

 

するとその吸血鬼はニタリと笑うとエールを落とした。それを見て何かを考える前に体が動き、彼女が落下するであろう地点に向かって走る。

 

そして何とか彼女をキャッチする事に成功した。だがそれを見越していたのか、そこに急降下攻撃を仕掛ける相手。

 

ヴァン「!!!」

彼女を庇い背中に爪による一撃を貰うも何とか耐え、1度離れる。

 

これは先走ってまんまと相手の策に乗った自分が悪いが、まずはエールの無事が優先だ。

 

???「ほう、もう1人を守る為に躊躇無くその身で庇うとはな。」

ヴァン「ッ、大事な……パートナーだからな」

???「だが俺から貰った一撃はそう軽い物では無いだろ?」

ヴァン(見るからに巨大な爪、覚悟はしていたが予想以上に傷が深い……)

 

相手により深い傷を負わせられる様に鋭利に、殺傷度の進化した爪。そこから繰り出される一撃は軽いでは済まなかった。

 

ヴァン「この程度……まだまだッ!」

少し我慢した発言ではあったが、そんなすぐにキツくなる程柔くは無い。

 

ダーク・ネクロバット(以後ネク)「そう来なくちゃな。この俺ネクロバット様が斬り刻んでやるよォ!」

 

 

相手と本格的に戦う前にふとエールの状況を確認する。首辺りを爪により一突きされており、顔色も悪く気絶していた。

 

ヴァン(大丈夫……そうじゃないな。俺も人の心配が出来る程余裕がある訳じゃ無いが)

 

今は何よりも彼女の安全が優先だ。彼女だけでも部屋の外に出す事が出来れば良いのだが……。

 

ネク「余所見してる暇があるのかぁ!?」

蝙蝠の集団が襲い掛かって来た。

 

ヴァン「クッ、面倒だな……」

斬っても斬っても居なくならない蝙蝠。

 

ヴァン「たぁぁっ!」

チャージセイバーで1度薙ぎ払って体勢を建て直し、マグマブレードに持ち替える。

 

ヴァン「これなら!」

振るう度に炎の衝撃波が巻き起こり、蝙蝠を蹴散らしながら進んでいく。

 

ネク「ほぅ……」

ひょいと炎を軽々避けるネクロバット。

 

ヴァン「ならばこれで……行けッ!」

チャージして放てば剣先から無数の炎が現れる。

 

ネク「!!!」

咄嗟に回避するが後半は避け切れず複数の炎がネクロバットに当たる。

 

が、

ネク「油断したが見掛け倒しだな。威力は大した事は無いぜ」

 

ヴァン(……雑魚を一掃するには十分な威力だがやはり単発の威力は小さいか。流石は蝙蝠というか動きが速い。当たったとはいえ被弾する数も少なかったし次からは普通に避けられそうだ)

 

と考察した上で、

ヴァン(ならば単発火力と速度の増加を。となると……)

ここで少し前にエールに見せたモデルFZに。

 

ネク(変わった……?)

 

そしてもう1度チャージする。

 

ネク「ケッ、同じヤツならもう当たらねぇぜ」

そうケラケラ笑うネクロバットに対し、

ヴァン「ならばこれでも喰らえ……避けてみろ!ファイアーッ!!!」

 

剣先から放たれたのは巨大かつ超速度の炎の鳥(ファバード)

ネク「何ィッ!?」

 

相手が回避の構えを取る前にコチラの攻撃が激突し、大爆発を引き起こした。

 

ヴァン(Zタイプにした事によりセイバーの火力が大幅に上がってる……ここまで凄まじいとは)

自分でも驚いていた。対する相手は、

 

ネク「グッ、やるじゃねぇか……」

避けられないと瞬時に理解して羽を閉じて防御の体勢を取ったらしい。

 

ヴァン(口調からして脳筋バカとか考えていたがそんなイメージとは裏腹に賢明だな)

 

さり気なく辛辣なヴァンである。

 

ヴァン(そうだ、今の内に……!)

相手が爆風に包まれている間に倒れているエールを抱え扉まで走った。そして少し荒っぽかったが彼女を何とか部屋の外に放り出す事が出来た。

 

ヴァン(良し……)

 

と、安心したのも束の間。

ネク「今のお返しはタップリとしてやる……覚悟しろッ!」

そう言うと、ネクロバットは突如羽を羽ばたかせて超音波を放った。

 

ヴァン「!」

突然の攻撃ではあったがしっかりと距離を取っている上にまず遅い。

 

ヴァン(遅い……余裕で避けられるが本当にこれだけか?いや、何かあるな)

軽く避けた後に考える。

 

ヴァン(超音波……音波。そうか)

すぐチラリと後ろを確認する。すると超音波が自分の予想通り壁を跳ね返ってきていた。

 

それも避けると、

ネク「これの性質をちゃんと理解してるとはな。馬鹿では無いようだ」

ヴァン「お生憎様だけどな」

 

ネク「だが1つ惜しい事がある……」

ヴァン「?」

 

ネク「俺の音波は特別だからな!」

ヴァンが避けて帰ってきた超音波を羽で受け取った。そして何と先程の物の約2倍程の大きさ、速さを持つ超音波を放った。

 

ヴァン「なッ……!?」

驚きはしたが別に避けられない物では無かったので最初と往復分の2回とも避けたが、ここでしまったと思うヴァン。

 

ヴァン(また大きくなるのか?)

 

すると今度はネクロバットはその帰ってきた超音波を避け、また小さな超音波を放った。

 

ヴァン(これ以上大きくなるのかどうかは分からないがこの状況は非常にマズい)

このままいくと部屋全体が超音波まみれになって自分の移動範囲が限りなく狭められる。

 

ヴァン(それと分からないのは相手が幾つ超音波を出せるのか、そして1番に被弾した場合どれ程のダメージがあるか……)

流石に出したい放題という訳では無いだろう。

 

そう考えてる間に目の前に先程相手が放った超音波が来ていた。思わず避けてしまったが、避けてしまえば相手の思うツボである。

 

ヴァン(だからって捨て身をする訳にもいかないし、消すしかないか……)

この攻撃が実弾であればセイバーやバスターで破壊出来るのだが音波である為に干渉する事が出来ない。これが非常に厄介で、自分にこれを消す手段があるかどうかである。

 

ヴァン(屈折や拡散、様々な性質があるのは分かってるけど……)

 

そうこう考えてる内に2つ目の超音波が帰って来た。更に相手が最初に放った方も来ている。

 

ヴァン(クソッ……グレイとアッシュなら簡単に超音波位消せるんだろうけど俺の能力じゃ)

 

音波は消す事も出来る。仮に消せなくても何か遮蔽物を置ければ拡散させたり邪魔する事も可能だが、自分の能力でそれをやろうとすると手間が掛かる。そこまでやる余裕も無い。

 

そう思いながら避けると、前後から来ていた2つの音波が重なり……

 

ヴァン(大きくなった……そうか、干渉か)

重なりあった波動はお互い干渉しあい合成波を作り出した。

 

そしてニヤリと笑う相手は3個目の超音波を放つ。今自分達がいる部屋はそこそこ広いが流石に自分の身が狭くなってきた。

 

ヴァン「…………」

相手の出方を伺っていたつもりではあるが気が付けば逃げ回っている。

 

ヴァン(まだ分からない事は多いが少々臆病になり過ぎたかも知れない。一旦前で勝負に出ても良いな)

 

分の悪い賭けではあるがコチラが行動を起こさない以上ジリ貧だ。どうせ無傷で勝てるなんて思ってないし多少の無理は承知で行ってみよう(そもそも初撃はとっくの前に喰らっている)

 

再びマグマブレードを構え、相手に向かって一直線に駆けていく。

ネク「フッ、真正面からやってくるとは……そんな死にたがりにはこれだ!」

 

 

 

……

………

…………何が起こったのか分からなかった。

 

ネクロバットに対して走っていったのは良いが何故か突然奇妙な感覚と共に体が動かなくなり、気が付けば相手が背後へと回っており全身を使い自分を捕捉していた。

 

ヴァン「ぐぁッ……、やめろッ!」

すぐ様振り払うものの奴の捕捉から離れた瞬間に自分を襲う倦怠感。

生体エネルギーを吸われたというのが1番正しいか。どちらにせよ体が十分に動かないのは困る。

 

ヴァン(吸われた事よりも、さっきの捕われた時は何があったんだ?まるで時が止まったかの様だった……唐突過ぎて全く回避方法も分からなかった。一体どうなってるんだ?)

 

ネク「無駄よ無駄ァ!俺のダークホールドからは逃れられないぜ!」

ヴァン(クッ、どうする……?)

今のもそこそこ手痛い一撃を貰ってしまったしまだこれといった打開策も出ないまま、更にはこうしている内にもずっと飛び交う超音波、そして極め付きは先程のダークホールドとやら。

 

これ以上無いピンチに陥っていた。

 

焦りは勿論あったが、何より自分を追い詰めていたのは恐怖心。そう、いつぞやの戦いでも恐怖から体が動かなくなった時があった。あの時はゼロが助けてくれたが、今回はそうはいかない。

 

ヴァン(落ち着け……落ち着くんだ、俺……恐怖は捨てろ。辛い戦いをしているのは俺だけじゃないんだ。ゼロさん、アッシュ、ガーディアンの皆も戦ってるんだ)

そしてチラリと扉の方を見る。

 

あの向こうには気絶して無防備な彼女(エール)が居る。彼女を守る為にも今ここで自分が負ける訳にはいかないのだ。

 

そう考えたら不思議とバクバクとうるさかった心臓も、何も考えられない程混乱していた頭も落ち着きを取り戻していくのが分かった。

ヴァン(そうだ……大丈夫だ。俺は負けない)

 

そう言い聞かせ再び思考を巡らせる。

 

ヴァン(まず何とかしないといけないのはやはり超音波か……)

奴との戦闘を初めてもうそこそこ時間が経つ。気が付けば超音波は部屋の中に4つ、部屋全体を跳ね返りながら、時に重なり合いながら大きくなっていた。

 

今のそれ等に当たれば軽くは済みそうに無い。

 

ヴァン(思い出せ……超音波を完全には消せなくても多少効果がある物質があった筈だ)

ヴァンは頭が良く、その頭の良さはチームの中でもシエルに次ぐだろう。

 

思い出せる寸前まで来てはいるのだが思い出す為には後1つピースが足りない、そんな状況。

周りに何かヒントは、とダメ元で部屋全体を見渡してもあるのは通気口だけである。

 

ヴァン「……あの通気口の板」

パッと見て鉛だろうか。

 

鉛。

ヴァン「そうか、鉛か!」

 

すぐ様にモデルHXになったヴァンは通気口へとジャンプからのエアダッシュで飛んだ。

 

ネク「何だ!?」

突然の行動に相手も訳分からずであった。

 

ヴァン「借りるぞ!」

返すとは言っていないが、通気口の板を無理やり剥ぎ取る。手触りから鉛であると確信した。

 

そして降りてきたヴァンに対し、

ネク「何だァ?てっきり逃げるのかと思ったぜ」

ヴァン「逃げるかよ。お前はここで倒す」

ネク「言ってくれるじゃねぇか。そこそこ絶望的な状況っぽいけどなァ!?」

 

そう言って飛び掛ってくるネクロバット。どうやら俺に逃げ回らせてうっかり超音波に当てさせるつもりだろうか。

 

ならその策に乗ってやろう。

 

モデルZXに戻り咄嗟に後ろに飛び退く。自分が逃げるのに夢中で超音波を避けられないと思わせられたら勝ちだ。

 

ネク「そっちに逃げたのは間違いだったなァ!」

ヴァン(さぁ、来い!)

 

そして背中に超音波が当たった、フリ(・・)をした。実際には背中に隠し持っていた鉛板によってしっかり遮断されている。全身を覆える程の大きさでは無かったが防ぐには十分な大きさであった。

 

ただほんの少しだけ体の一部がピリッと痺れる様な感覚に陥った。それがこの超音波の何かしらの効果なのかも知れない。

 

頭が悪い奴では無かったがやはり目の前のチャンスには冷静な判断が出来なかったのだろう。ちゃんと見ていれば俺が演技をしている事位見抜けたと思うが。

 

 

ヴァン「間合いに入ったな!」

そしてセイバーでカウンター。相手は咄嗟の空中回避を試みたが避けられず羽を斬られた。

 

いや、空中回避を試みなかったら胴体をぶった斬られていたであろうから咄嗟とはいえ敵ながら良き判断であっただろう。

 

ネク「な、何だと……何故何とも無い!」

ヴァン「まぁ、化学の力だな」

ネク「ッ……」

 

ヴァン(これで機敏な動きは出来なくなった筈だ。超音波も防ぐ事も出来たし、後は……)

少し前にやられた謎の時間停止。

 

ヴァン(アレの原理……攻略方法が分からない)

そう何度も出来る物では無いだろうがどちらにせよ奴を倒す上では最後の壁と言える。

 

 

ダークホールドを警戒しているのかヴァンが全く前に出て来なくなった事をネクロバットは非常に焦っていた。

 

ネク(クッ、過去のダークホールドよりも使い勝手は良くなったとはいえコレを使うには条件がある……条件さえ満たしていれば最強とも言えるんだが。切り札は残しておくべきだったか)

 

だが恐らくヴァンはまだ発動する為の条件(・・)に気が付いていない。

ネク(何とかダークホールドをもう1度発動させる事が出来れば吸血を……2回目だからかなり相手の動きを低下させられる筈だ)

 

相手も何故か手を出してこない事を疑問に思ったヴァンも考えを巡らせる。

ヴァン(……もしかすると自分で発動させられないのか?)

 

カウンター技としてしか使う事が出来ないのなら大人しくしているのにも納得がいく。ダークホールドを自分から使えない、羽を斬られ超音波も効かないと分かれば……

 

ヴァン(これってもう向こうから手出しは出来ない状況だったりする?)

 

この時思えばネクロバットの最大の不幸としては相手が悪かった事であろうか。先程も言った通りヴァンは頭が良いのだ。

 

ヴァン(もしそうだと仮定すれば……やってみる価値はあるな)

そしてここで使うのはいつぞやに手に入れた新武器、ヤンマーオプション。

 

ヴァン「頼んだ!」

複数個ネクロバットに向かって飛ばす。

 

ネク「!?」

 

自分は動かずに離れてバスターを構えておく。

 

 

このヤンマーオプションはシエル曰く非常に昔から存在している武器らしい。そのデータを見つけたシエルは自分なりに改良して自立型、勿論元々の様に使う人の命令に従い攻撃する事も出来る。

 

ヴァン(俺の脳波を機械に登録すれば俺の動かしたい様に動かす事も出来る。こう考えるとここまで改良したシエルさんって本当に凄いなぁ)

 

M・M「フィン・ファンネルまんまですがヴァン君の説明通り機械で登録さえすれば多少練習はいりますが誰でも使えるので滅茶苦茶凄いものではありません」

 

ネク「クッ、このッ!」

ヴァンの操るオプション達に苦しめられているネクロバット。

 

ヴァン(やはり俺の予想通りか。もし自分から発動させられれば今この時も時間を止めて破壊なり何なりすれば良いだろうし。今なら、いける!)

 

そして相手の注意が完全にオプション達に向いた所で一気に距離を詰める。

 

ネク「ッ、そう簡単に!」

 

そう思ったがギリギリでダークホールドが発動させられてしまった。そしてやっとの機会を逃すまいと近付いてくるネクロバット。

 

ネク「どれだけこの時を待ち望んだか……さぁ!これで、終わりだァ!」

 

ヴァンの背中をホールドし、そして時間停止を解く。これで気が付けばヴァンを捕捉出来るのだ。

この吸血でヴァンは倒れる。倒れなくても最早虫の息になる。

 

 

 

……その、筈だった。

 

ネク「グッ…………な、ぜだ」

時間停止を解いた瞬間に飛んできたオプション達の集中砲火を避ける事が出来ず、その場に倒れる。何が何だか分かっていないネクロバット。

 

ヴァン「自分から発動する事が出来ないのもあったけど、何より別の攻撃を取る為には1度時間停止を解かなきゃいけない。だからお前がこうするだろうなと予測して時間差攻撃を仕掛けておいた」

 

ネク「まさか……そこまで気付いていたとはな。完敗だぜ」

ヴァン「使い所さえ選べばとても厄介で強い能力ではあったよ」

ネク「ケッ……どうせ幾ら足掻こうが泣き喚こうが無駄だ。もう何もかも、終わりなのだから」

 

ヴァン「……眠れ」

そう言い終わった後ヴァンはネクロバットの胸にセイバーを突き刺した。

 

ヴァン「絶対に、諦めたりなんてしてやるものか……俺達は負けない」

 

 

 

長かった戦いが終わりを告げた。

 

ヴァン(間違いなく今までで1番手こずった相手だったな。これからはあんな強さの奴等と戦わないといけないのか)

 

戦う前から思わずため息が出る。

 

ヴァン(……それでも、俺は)

ロックマンとしての使命とかじゃない。大事な人達が居るこの世界をこの手で守り、この手で未来を決める。その想いがヴァンを支えていた。

 

 

小走りで部屋を出ると、まだ顔色は悪そうだがエールが目を覚ましていた。

ヴァン「エール!大丈夫なのか!?」

エール「うん、何とか……そっちは終わったみたいだね。音が聞こえなくなったからどちらかが勝ったのだろうとは思ったけど、ヴァンで良かった」

 

ヴァン「当たり前だ。ゼロさんにもプレリーにも必ず生きて帰ると約束しただろう」

エール「そうだね」

 

ヴァン「立てるか?」

エール「ご、めん……まだちょっと無理かも」

ヴァン「ゼロさんに連絡を入れるよ。ちょっとそこの部屋に入って休もう」

そう言って自分の腕を肩に回すヴァン。

エール「……ごめんね」

ヴァン「気にするなよ。ゼロさん達も分かってくれるだろうし、お前がそんな汐らしくするなんてらしくないぞ」

エール「レディーに対してそれは無いでしょ」

ヴァン「アッシュの真似か?」

エール「本心」

ヴァン「そうか」

 

そんな事を言いながら隣の部屋に入った。単なる研究室と言うか雑務をする部屋であろうか、机やら椅子やら棚等の物がある部屋だった。

 

ヴァン(奥にソファがあるな)

 

奥のソファにエールを寝かして、自分もすぐそこの椅子に座る。

エールはロックオンを解いたみたいだ。

 

そこでGATを開きゼロに連絡する。彼はGATを渡された当時は慣れていないのか文字を打つのが少し遅かったが、最近になって少しずつ速くなってきている気がする。

 

少ししてゼロから返信が来た。

ヴァン「ゼロさん達もどうやら負傷してるみたいだ。少し休むらしい」

エール「そっか。向こうもやっぱり大変ね」

ヴァン(敵もかなり強くなってきてる。一筋縄じゃ行かない事は分かってはいたけど)

 

そんな話をしてからはしばらく言葉も無く体を休めていたが、

 

エール「ねぇ、ヴァン」

ヴァン「……ん?」

エール「変な話をするけど笑わないでよ」

ヴァン「努力するよ」

エール「もう。それで、話なんだけど……と言うかこれはずっと思っていた事なんだけど」

ヴァン「どうしたんだ?」

エール「ヴァンはゼロさんの事、どう思う?」

ヴァン「どうって……カッコいいし、頼りになる先輩かな」

エール「うん」

ヴァン「……いきなり何なんだよ。あ、エールもしかしてゼロさんの事が?」

エール「ち、違うって……確かにカッコよくて頼りになる先輩なのは正しいと思うけど、私が言いたいのはそうじゃないの」

ヴァン「それじゃあ?」

 

そこでエールは一呼吸置いて、

 

エール「ゼロさんと喋ってるとね、凄く懐かしい気持ちになるの」

 

ヴァン「…………エール」

そのエールの一言でヴァンは全てを理解した。

エール「昔の暖かい思い出がそっと蘇ってくる。そして私も暖かい気持ちになれるんだけどね」

ヴァン「……うん」

エール「どうしても、どうしてもね……

 

ゼロさんの姿とどうしても重なっちゃう時があるんだ。ジルウェの面影が」

 

 

しばらく間が空いた。その時お互い何を考えていたのか分からなかったが。

 

ヴァン「……エール、お前」

エール「大丈夫。別に依存してるとかそんなんじゃないし、ちゃんと振り切れてる」

 

嘘だ。振り切れてるなら少なくともそんな事を思いはしない。

ヴァン(なんて、言える訳が無い)

 

 

エール「って思ったんだけどね。やっぱり、振り切れて無いのよね。だとしたらこんな思いを抱いたりしないから」

ヴァン「エール……」

 

思いの外本人は分かっていたらしい。

 

エール「ヴァンは、どうなの?」

数分前に同じ様な質問をされた気がするが、全然違うな、とかそんな事を考えていた。

 

ヴァン「……俺も、今までプレリーにもエールに言わなかったけど、ゼロさんにそんな思いを抱く事はあったよ」

嘘はついていない。ゼロからヴァン、と自分の名前を呼ばれる度にジルウェの面影が重なる時は今までに多々あった。

 

 

エール「……私達、結局何も変われてないね。アッシュやグレイの方が余っ程じゃないのかな」

ヴァン「…………」

 

エールの言葉が胸にこれ以上無いまでに突き刺さった。ただ生きる事に、自分達の世界を守る為に夢中でただ戦うしか無かったあの頃より強くなれたと思う。「ロックマン」としての使命を背負い世界を守り、数年後にはかつての自分達と同じ様な立場になったグレイとアッシュと共にまた世界を救った。

 

強くなれた、そう思っていた。そう思っていたかった。そうする事で沢山の何かを失った悲しみから逃れられたからだ。

 

エール「変わらなきゃいけないって、前に進まなきゃいけないんだって、心の中でずっと……分かっているんだけどね」

 

ヴァン「俺も同じだ。何だかんだで過去の出来事が暗い影を落としてずっと遠くから俺を見てる、そんな気がするんだ」

エール「ヴァンもなのね」

ヴァン「ゼロさんは何も悪くない……だけど、初めてゼロさんを見た時のあの感覚はこういう事だったんだなって思える」

 

ゼロからジルウェを思い出し、ジルウェから忘れていた……半ば閉じ込めていた記憶ヴァンとエールの中で蘇っていた。

 

エール「……言い出しっぺの私が言うのもなんだけど、この話はまた今度にしよ、これ以上話していても悲しくなるだけだし」

ヴァン「……あぁ、そうだな」

 

そうして再び休む事にした。

 

……拭い切れない胸のつっかえを感じたまま。

 

 

 

 

しばらくして、エールは自分のGATが鳴っている事に気付いた。電話である。

すぐに確認すると、ゼロからであった。

エール「はい」

ゼロ「ヴァンからそちらの状況は聞いている。調子はどうだ」

エール「万全とまではいかないけど、何とか」

ゼロ「そうか。俺達もまだ万全とは言えないが……とりあえず合流しよう。隣にヴァンは居るか?」

エール「居ないですね、何処行ったんだろ」

 

ヴァン「呼んだか?」

そう言ってヴァンが部屋に入ってきた。

エール「ヴァン、何処に行ってたの?」

ヴァン「砲台のデータの回収を忘れない内にやっておこうと思ってやってきた」

エール「あ、そっか。やってなかったね」

ヴァン「無事回収完了だ」

 

ここで電話に戻る。

エール「えーっと、ゼロさん」

ゼロ「聞こえていた。コチラも何とかデータの回収は達成した。だからここでもう1度合流しようと思って電話を入れた」

エール「了解です。ヴァンと一緒に合流ポイントに私達も向かいます」

ゼロ「分かった。また後で会おう」

 

 

通話を切り、ヴァンと共にすぐに部屋を出た。

ヴァン「とりあえず何とかなったな。ゼロさん達も達成出来たって言ってたし」

エール「後は合流して、この基地を奪還か」

ヴァン「あぁ、急ごう」

 

 

一方ゼロとアッシュも急いで動く。合流ポイントへと急ぐ4人であった。

 

 

 

 

 

 




戦闘部分はちょっと化学のお話になっちゃってましたね。かがくのちからってすげー!
今回のボスさんも原作では雑魚扱いされていたあの人。実際弱いと思いますが(辛辣)強くなって出て来て貰いました。

ジルウェの話は前かその前の話に入れるって言ってたんですが入れてませんでした、コメントで書いてくれた方申し訳ないです_(。。)_
少なめでしたが書けて良かった。ヴァンとエールがこれからどう変わっていけるのかも大事なポイントかなと思っております。
前書きにもありましたが次回はまた展開が大きく動きます。いつも通り亀更新になっちゃうかと思いますがなるべく頑張って書きますので気長に待って頂けると幸いです。

コメントや評価を本当にありがとうございます。1つ1つにワーワー騒ぎながら喜んでいますのでもっとして下さい(露骨)
調子に乗ってごめんなさい。
それでは次の話でお会いしましょう(^ω^)


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-宇宙ステーション攻略 決着と懐かしき再会-

どうも、毎日眠たいM・Mです。
もう最近の更新が1ヶ月ペースになっていてごめんなさい(汗)
自分の体調と学校等の都合によっては早くなる……かも知れません、まぁとにかく頑張って書いていきます。
物語もようやく中盤程になる頃でしょうか、この話で今の章はおしまいです。

そして遂に彼が帰って来る……
では、どうぞ。


ゼロ達4人が戦っている一方、ガーディアンベース。1部の人材が物資を伴って宇宙へ上がろうとしていた。

 

そして、その中には……

プレリー「もう迎撃は来ないと思うけど、本当に行くのね?」

シエル「まだ体調は万全じゃないでしょう?」

 

プレリーとシエルから心配されているのは宇宙に上がる前の戦いにおいてバイルの策略において酷く心を病んでしまったゼロと同じレプリロイドの少年、グレイであった。

 

 

グレイ「確かに本調子とまではいかないけど、皆だって厳しい状況下で戦ってるんだ。僕1人だけ見とくなんて出来ない」

自分だってロックマンなんだ、足手纏いにはならない……という意志があった。

 

シエル「分かったわ。まだ皆中で戦っているだろうから助けてあげて」

グレイ「勿論だよ」

プレリー「絶対無理しないで。皆でちゃんと帰って来るのよ」

グレイ「……了解!」

 

グレイはそう言うと小型シャトルのエンジンを点火し、勢い良く宇宙へと飛び出していった。

 

プレリー「皆、大丈夫かな……」

シエル「大丈夫よ……ゼロ達なら、きっと」

 

そう話しているとガーディアンの隊員から自分達を呼ぶ声がした。

 

プレリー「私達も行こう、お姉ちゃん」

シエル「えぇ」

 

シエル達も宇宙へ上がる準備が出来次第ゼロ達の元へと行くのである。

 

 

また一方この宇宙の何処か……

バイル「マグネ・ヒャクレッガーにダーク・ネクロバット、どちらも削除(デリート)されたか」

 

レヴィ「そんな呑気で良いの?あの子達にあそこを奪われたら面倒じゃない?」

バイル「奴等が初めからあそこを狙っているのは知っている。勿論渡すつもり等さらさらないが」

レヴィ「……今回も爆発オチって訳ね?」

バイル「そうとも限らんぞ?」

レヴィ「……?」

 

バイル「逃げられ無い様に大量にイレギュラー共を用意済みだ。最初に奴等が戦っていた戦力はあくまで一軍であったという事だよ。そろそろ基地の爆発が自動で始まる……奴等は逃げられまい。この手で直接奴等を始末出来ないのは残念だがな……ハッハッハッ!」

 

高笑い、の様な音を出すバイルの名を冠した機械を見て四天王は不穏な気持ちを抱いた。

何となくバイルの目論見に気付いて来たのだ。

 

ハル(……間違いないな。この男はやはり奴、ゼロとの直接対決を望んでいる。それなりに殺す気ではあるのだろうがやはり本気では無い)

レヴィ(あの子達を本気で始末するのであればやりようは幾らでもある筈だし、今回だって新型を送り込んだり罠だらけにしたのは良いけど)

ファン(殺すには至るか……否。奴等の肩を持つつもり等無いが、不十分だ)

ファ(最後に爆発するかどうか知らねぇが、どうせ失敗しそうな気がするぜ。いや……この野郎は恐らくどっかで奴等の脱出の成功を望んでいる)

 

あの脳筋(byハルピュイア)のファーブニルでさえ勘づく物がある事からしても大分怪しまれているが、果たしてバイルの真意とは一体何なのか。

 

 

 

場面はゼロ達に戻る。

何とか合流地点である中央制御室にやって来た4人であるが、

 

ゼロ「……さて、ここからだが」

ヴァン「第2の任務、奪還って訳ですけども」

エール「ごめん、私あまり余裕は無い」

アッシュも自分も、といった風に頷いた。

 

ゼロ(ヴァンはまたしても、負傷しているエールとアッシュの2人に戦う余裕は無さそうだ。もしイレギュラー共との戦闘になれば出来る限り2人には後方支援、もし状況が厳しければ撤退を優先した方が良さそうか)

 

時には逃げるのも大事である。

 

アッシュ「でも、奪還って具体的に何すれば?」

ゼロ「この基地の機能、防衛施設や警備システム等を落とす。シエル達が無事にコチラに来れる様にすれば良い」

エール「それってもしかするとこの中央制御室で出来るんじゃない?」

 

ゼロ「……ヴァン、出来そうか?」

ヴァン「やってみます」

 

ヴァンはゆっくりと機械を動かし始めた。

 

何も分からない、という訳では無いがゼロとエールとアッシュは機械にそこまで強くない。こういう時は1番ヴァンが頼りになる。

 

アッシュ(どうしても機械系となるとヴァンに任せきりになっちゃうわね。こういう時、アイツが居てくれたらな……)

 

そのアイツは今は昏睡状態。彼はそのままシエル達と共に宇宙へ上がるのだろうか?

 

ゼロ(アッシュ……)

こういった事に関する勘に鋭いゼロはアッシュが恐らくグレイの事を考えているであろう事を見抜いていた。

 

シエルから昏睡状態からは目覚めたとは聞いたが出撃前であった為に実際会えた訳では無く確認は出来ていない。あの時少し無理してでも会いに行くべきであったか、と思うゼロ。

 

 

 

と、ここでヴァンが手を止めた。

ヴァン「……すいません。防衛システムの方がかなり厳重なロックが掛けられているみたいです」

ゼロ「やはりか。気にするな、想定済みだ」

ヴァン「シエルさんなら何とか出来るんだろうけど……あぁ、でもとりあえず警備システムは大体外せました」

 

エール「それだけでもお手柄だって」

アッシュ「そうそう。アタシ達この手の物に関してはちんぷんかんぷんだもん」

 

ゼロ「よくやった。防衛システムに関しては……直接停止させるしかない。最悪破壊しよう」

その言葉に3人とも頷いた。

 

 

 

まだ基地内に敵は残っているがまずはシエル達の為に外の安全を確保する必要がある。

 

ゼロ(これも一筋縄ではいかないだろうが……)

防衛システムは良くある自動砲台である。ただ数が多い、それだけ。だがシンプルかつ非常に難易度の高い物となっておりそれが悩ましい。

 

ヴァン「せめて防衛システムが何処にあるかだけでも知れたらかなり楽だったんだろうけど……力不足ですいません」

ゼロ「だから自分を責めるな。警備システムを解いてくれただけでも俺達全員かなり楽になった。お前は良くやってくれた」

ヴァン「ゼロさん……」

 

負傷している2人の為にも戦闘はあまりしたく無かった。少なくとも何処を通っても雑魚が湧いてくるという事態は回避出来る。雑魚戦で消耗を抑えられるのと抑えられないのとでは全く違うのでそれだけでもとても助かるのだ。

 

ゼロ「今俺達が居るこの中央制御室は2階にある訳だが、恐らく防衛システムの殆どは1階から外に出た場所にあるだろう」

エール「確かに突入する時に滅茶苦茶集中砲火受けてましたけどその撃って来ていた砲台は私達のシャトルが入って来たカタパルトの周りにありましたね」

アッシュ「確か上下に渡って結構な数が付いてたわね。アレを止めなきゃいけないのかぁ……地図からして私達のカタパルトととは反対側にも同じ様にカタパルトがあるから防衛システムはこの基地の外側全体に渡ってあると見て良さそうね」

ヴァン「2人とも良く見てたな……俺慌て過ぎてて全然見てなかったよ」

 

ゼロ「別にシステム全てを止めなくてもシエル達が入って来る側のやつを止めれば良い。寧ろこれからここを拠点とする事を考えるなら出来る限り破壊する量も最低限に抑えたい所だ」

エール「確かに」

 

ゼロ「とりあえず1階に移動するぞ」

4人とも軽く移動。

 

始めの場所に戻ってきた4人。

ゼロ「さて、問題はここからだ」

 

いざ自動砲台をさっさと破壊しようと飛び出しても蜂の巣になるだけである。

ゼロ(シャトルで突入する時もそうだったがかなりの弾幕だった……特段あの砲台達が優秀という訳では無いが、とにかく数が多い)

 

少しでも止まっていれば集中砲火を喰らうだろう。常に止まらず動き回り破壊していかなければならない。

ヴァン「厳しいですね」

 

ヴァンがまるで自分の考えを読んだかの様にそう言った。

ゼロ「あぁ、かなりな」

 

複数人で出れば砲撃は分散するであろうがそうすると何がどうなっているのか分からない上に常に味方の位置も確認しながら動き、砲撃を避け、破壊しなければならない。出来ない訳では無いが正直そこまでの余裕があるだろうか。

 

 

ゼロ(ここは、俺がやるしかないな)

いつもならここはアッシュに頼んでいたかも知れない。彼女のトランスならそもそも防衛システムに見付からずに楽にやれる方法もあったであろう、だが彼女は今負傷しておりトランスも上手く扱えないし、無理をさせる訳にもいかない。

 

エールは同様の理由、自分とヴァンは負傷こそしているもののまだ動ける。

我が身を捨てる等という考えでは無く、自分がやる方が適任だろうと思ったからだ。

 

ゼロ「俺がやろう」

ヴァン「ゼロさん1人で!?」

アッシュ「て言うかやれるの……?」

ゼロ「俺とイカロスフォームであれば宇宙空間でも飛ぶ事は出来る。ただ長い時間は飛べないから短時間で終わらせなければならんが」

エール「で、でも流石に危険じゃ……」

ゼロ「エールとアッシュは流石に厳しいだろう」

ヴァン「2人はまだ分かるけど……せめて俺も出ます!2人ならまだ半分位に分ければ味方の位置で混乱する事も無い筈です」

 

賢い奴だ、とゼロは思った。味方の位置の話等していないのに……まるで俺が考えている事が読めているのでは無いかと疑う位だ。

ゼロ(いや、ヴァンなら気付くか……)

 

確かにヴァンの言う事は正論だし2人なら俺も楽になるだろうが、

ゼロ「……ヴァン、すまんがここは行かせてくれ。何も無茶するつもりは無い。捨て身で行く訳でも無いし、十分成功させる自信はある」

 

ヴァン「…………分かりました」

思う所はあったであろうが、何とか納得してくれた様だ。申し訳ない気分ではあるがここはこうした方がきっと良いだろう。

 

ゼロ「俺が行った後に誰かプレリー達に連絡して状況と現在地までの誘導を頼む」

ヴァン「それは俺がやります、任せて下さい」

 

ゼロ「助かる。さて、行くか……

セットアップ、イカロス」

 

いつものゼットセイバーと同じ色の美しい翡翠色のアーマーに身を包み翼を広げる。

 

ゼロ(最悪3人に援護を頼む事になってしまうかも知れないが……今は自分を信じよう。シエルがくれたこの力ならきっと、やれる)

 

そして3人が見守る中勢い良く羽ばたいていった。地上の、重力がある中での飛行とまた全然違う宇宙空間での動きに初めこそ苦しんだものの思ったよりか簡単に慣れる事が出来た。

 

ゼロの姿が見えるや否や集中砲火を始める自動砲台達。ゼロはここで急な空中旋回で翻弄しながらバスターに剣閃を飛ばして次々と破壊していく。

 

ヴァン「ゼロさん……凄い」

エール「元々ゼロさんって順応性高いとは思ってたけどまさかあそこまで出来るとは」

アッシュ「……ゼロさんの順応性が高いのも正解だと思うけどシステムにも助けられてると思う。と言うかイカロスフォームって確か元々宇宙空間での動きも前提に作られてるんじゃなかった?」

 

エール「そうだったっけ?」

ヴァン「ごめん、俺も覚えてない。けど大方アッシュの言う通りなんじゃないかな」

 

 

アッシュの時折見せる深い洞察力、もとい勘には度々驚かされる。

ゼロ(シエルは宇宙空間でのこの様な動きも行う事を予想して作ったというのか)

流石はシエル。天才だ、等と惚気けている場合では無い。そこそこ破壊したとは言えまだまだ砲撃は続く。先程も3人に言ったがあまり時間の猶予は無い。一気に加速して速く終わらさせて貰おう。

 

ヴァン「ッ、速い……」

エール「目で追えないわね」

 

凄まじい速さで宇宙を駆けるその姿は正しく蒼き閃光。必死に砲撃が撃たれるものの全く追いついておらず瞬く間に破壊されていく。

 

アッシュ「まるで流星みたいね……」

 

3人が感嘆の声を抑えられない程の芸当を、ゼロは僅か数秒で成し遂げた。

最低限よりほんの少し多めに破壊してしまったかも知れないがしっかり片面側の自動砲台は全て破壊しひとまずの安心は確保出来たのだ。

 

帰って来たゼロに駆け寄る3人。

 

ヴァン「大丈夫ですか?」

ゼロ「あぁ、問題無い。掠りもしなかったな」

アッシュ「そりゃあんだけ速けりゃ当てようにも当てられませんって」

エール「すみません、いつも危険な仕事はゼロさんばっかりに任せてしまって」

 

ゼロ「それは全員お相子だろう。別に俺1人に負担が集中している等とは思わん……それに別にお前達が怪我をしているからとかでは無い、いつであろうとこういう役目がこなせる様に俺が居るのだから。こういう仕事は任せておけ」

 

3人(カッコイイ……!!!)

 

 

 

ゼロ「それで、プレリー達は?」

ヴァン「それなりに近付いてきてるみたいです。また向こうから連絡を入れるって」

ゼロ「そうか」

エール「じゃあ、これで……」

アッシュ「ひとまず任務完了?」

 

ゼロ「……あぁ。とりあえずはな」

エール「やった!」

ヴァン「流石に疲れたな……」

アッシュ「アタシもよ……」

 

ゼロ(俺も皆も大分消耗は激しいが、無事生きてる。何とか、なったか……)

ふぅ、とゼロも安堵の息をついた。

 

 

 

……だが、残念ながら彼等に安堵の時間が訪れる事は無かった。

突如鳴り響く警報。

ヴァンが警備システムは何とかしてくれたし自分達には反応しない筈なので、これは別の存在がやって来たという事になる。

 

ゼロ「何だ!?」

ヴァン「ッ、ここから北側……丁度こっち側のカタパルトに向かって大量のイレギュラー反応があるってプレリーから連絡!」

ゼロ「チッ……やはり終わるにはまだ早いか」

 

アッシュ「どうすんの!?かなり量多いんじゃないの!?」

ヴァン「クッ、初めから仕組まれていたんだ……俺達が自動砲台を破壊した事によって向こうからもイレギュラーを送り込む事が出来るようにしてしまったんだ」

 

エール「思えば流石に上手く行き過ぎな気はしたけどまさかこんな事になるなんて……」

ゼロ「…………」

 

ヴァン「ゼロさん……?」

ゼロ(…………落ち着け。確かにかなり危険な状況だ、数がどれ位かは分からないが少なくはないだろう。そしてまたあの新型達を相手する事になると今の俺達の消耗具合では厳しい所がある)

 

ゼロの意見を聞きたかったが珍しく焦った表情をしているが何かを深く考え込んでいる事が分かったヴァンは黙っておく事にした。

 

ゼロ(最悪何とか耐えてガーディアンベースと合流すれば逃げる事は出来るだろう。だがそれではこの基地を諦めるという事だ。プレリーは自分達の無事を最優先にしろと言ったが、もしここで逃げ帰れば……)

 

今後の作戦は元々難しかったものが更に難しくなっていくだろう。何としてでも奪還任務を遂行したい気持ちはあったが、

 

ゼロ(……この隊を束ねる者としてそれは失格だ。奪還任務を遂行するという事はただでさえ疲労している3人に更に無理をさせる訳にはいかん)

 

ここは耐えよう。1人でも欠けずに帰るのが俺達の最大の任務だという事を忘れてはいけない……。

 

ゼロ「ヴァン、すぐにガーディアンに今の状況を説明しろ。ガーディアンと合流出来次第ここを脱出する」

ヴァン「え、脱出って……」

ゼロ「俺達全員かなり消耗している。ここにやって来る奴等を全員相手して殲滅出来る程の余裕があるか?」

エール&アッシュ「…………」

 

ヴァン「……そう、ですね。すぐに伝えます」

何かを言いかけたヴァンであるが、ゼロの複雑な表情とエールとアッシュを一目見るなりそう言った。どうやらゼロの考えている事を分かってくれたのだろう。

 

ゼロ「エール、アッシュ、戦えるか?」

アッシュ「近接はちょいしんどいけど遠距離なら。トランスもまだやれる」

ゼロ「それで構わない。エールも狙撃は出来るか?」

エール「……大分命中精度は落ちますがフレア・ランチャーはまだまだやれます」

ゼロ「的は大きいからお前なら問題無いだろう。ヴァンと俺もなるべく来させない様に牽制。エールとアッシュの取りこぼしの始末だ」

2人「了解!」

ヴァンは通話中だったがちゃんと聞いていた様で頷いていた。

 

 

ゼロ(タイタスフォームがあればもう少し作戦が立てやすかったんだが……)

使い切ってしまった物はしょうがない、と割り切る事した。今は自分に出来る事をやろう。

 

 

すると、

ヴァン「ゼロさん、艦長が代わってと」

そう言って自分のGATを差し出すヴァン。

ゼロ「分かった」

 

それを受け取り応答する。

ゼロ「通話を代わった。どうした」

プレリー「そちらの状況は理解したわ。全速力でそちらに向かってる」

ゼロ「了解だ。俺達は無理ない程度に時間を稼ぐ。何とかしてみせる」

プレリー「分かったわ。それと、多分……」

ゼロ「ん?」

プレリー「先行しているグレイがそろそろそちらに着く筈よ」

 

少し間が空いて、

 

ゼロ「分かった。3人には何とか俺が説明しよう……困惑してしまうかも知れないが」

プレリー「お願いね……」

 

そして通話を切りヴァンにGATを返す。

ゼロ「やる事はさっき言った通りだ。この状況、各自の消耗具合も厳しいだろうが何としてでも切り抜けるぞ……誰1人として欠ける事は許さん」

 

3人「……了解!」

ゼロ「それと、こんな時に言う事では無いのだが……皆に大事な話がある」

ヴァン「大事な……?」

ゼロ「実は……「ゼロさん!」どうした!?」

アッシュ「大事な話をする所申しわけないけどコチラに高速で向かってくる反応があるわよ!」

 

ゼロ「……来たか。説明する暇は無かったな」

エール「えっ?」

ゼロ「安心しろ、味方だ」

アッシュ「味方!?」

ゼロ「離れていた方が良いぞ」

 

皆が驚いている内にもその反応はすぐ近くに接近、そして自分達のすぐ目の前に現れた。

 

味方とは言われたものの警戒腰な3人。

 

 

そして、小型シャトルから現れたのは…………

 

 

 

???「何とか間に合ったか!」

ヴァン「えっ…………」

エール「嘘……」

 

アッシュ「グ、グレイ……?」

グレイ「皆、長い間ごめん」

ゼロ「……もう、大丈夫なのか?」

グレイ「はい。ご心配をお掛けしました」

ヴァン「ゼロさん、大事な話って……」

ゼロ「あぁ。グレイの事だ」

グレイ「その感じだとゼロさんにはボクの話は伝わっていたみたいですね」

 

ゼロ「すまん。この作戦前にお前達に話そうかと思ったんだが」

エール「……大丈夫ですよ、流石にグレイが来た事には驚きましたけど」

アッシュ「アンタ、いつ目覚めたのよ!何で何も言わなかったの!?」

グレイ「落ち着けって!ちゃんと話すから。それよりも今はこんな事してる場合じゃないだろ」

アッシュ「わ、分かったわよ……」

 

ゼロ「……グレイの言う通りだ。気になる事はあるだろうが今は目の前の状況を何とかするぞ」

 

4人「了解!」

状況が状況なだけにそんな余裕は無いのではあるが、4人揃った返事が懐かしく思え、何と言うか嬉しかった。ようやくか、と。

 

ゼロ「グレイ、何とかガーディアンベースが来るまでの時間を俺達で稼ぐ。そして向こうと合流した後脱出する、それが今の俺達の作戦だ」

グレイ「え、でもそれだとこの基地を諦めるって事ですか?」

 

ゼロ「悔しいが、俺達の消耗具合ではここに来る敵の対処は厳しいと判断した」

グレイ(あ、そうか……ゼロさん達皆沢山戦った後なんだもんな)

 

ゼロの言葉を聞いて考え込むグレイ。

グレイ「……ゼロさん、大丈夫です」

ゼロ「……?何が大丈夫なんだ?」

 

 

グレイ「要は敵がここに来る前に、輸送されている敵戦力を全部殲滅すれば良いんですよね?」

 

 

ゼロ「…………あ、あぁ」

彼らしくない発言にかなり動揺を隠せないゼロ、そして他3人もかなり驚いていた。

 

グレイ「任せて下さい。僕1人でやれます」

ゼロ「!」

 

そう言ってグレイは逆方向へと振り向いて、

 

グレイ「トランスオン!」

 

トランスが完了した時、ゼロは酷く既視感を覚えた。と言うのも、

 

青を基調としたずんぐりとしたアーマー。ヘッド、フット、アーム。

既視感とは言ったがそっくりという訳でも無く、違う所も多々あるのものの……

ゼロ(エックス……)

 

かつての戦友が使っていたアーマーの1つ、フォースアーマーに似ていた。

 

 

アッシュ「グレイ、そのトランスは?」

グレイ「僕の中ではトランスって扱いでやってるけど……トランスとは違うかな」

アッシュ「じゃあ何なのよ?」

グレイ「見てれば分かるって。分からなくても後で説明するから」

 

むぅ、といった顔をしたアッシュだが、今はそんな悠長に話している場合では無い事からそれ以上彼に話すのは諦めた。

 

ゼロ「グレイ、お前の実力を信じていない訳では無いが……本当にやれるのか?」

グレイ「実戦で使うのはこれで初めてですね」

ヴァン(初めてなのか……)

ゼロ「……頼むぞ」

グレイ「勿論です」

 

エール「敵戦力がすぐそこまで来てますね。もうそろそろ見えて来る筈」

 

皆が見守る中、

グレイ(大丈夫だ、ほんの数回しか行っていないけどテストでは上手くいった。やれる筈)

 

傷付いている皆の為、そして今までずっと自分が居なかった分の負担を掛けてしまった事への謝罪も込めて、ここは何としてでも成し遂げたい。

 

グレイ(流石に僕の一撃で葬れる程数は少なくない。後に散らばる事も考えて、まずは……!)

「メガエレキパルス!」

 

アームが大きく変化してバスターの状態から巨大なメガホンの様な形になり、肉眼で見れた物では無かったがそこから何かを放った様だ。

 

 

ヴァン「グレイ、今のは?」

グレイ「簡単に言えばとても強力な電磁波を拡散させました。それも機械が触れれば誤作動を引き起こす程の」

 

エール「わっ!」

フレア・ランチャーのスコープを覗いていたエールが驚いた声を上げた。

 

アッシュ「どうしたの?」

エール「輸送機と輸送機同士がぶつかって爆散してる。誤作動っていうのはそういう事なのね」

 

グレイ「とは言えこれで全滅させられる程数は少なくないので……次は直接攻撃を撃ち込みます」

 

そう言って、

グレイ「とっておきの兵器でやってやりますよ、見てて下さいねッ!」

 

今度はグレイが両腕を合わせると、何と両腕のアームパーツが合体し変形した。

これにはゼロも含め全員が驚きを隠せなかった。

 

グレイ「これで一気に決めてやる……喰らえッ!重力衝撃砲(グラビティ・インパクトキャノン)!!!」

 

両腕が合体した事により追加された重力制御装置で造り出した超高重力結界を着弾地点を中心に広げ、取り込まれた目標を押し潰すとても強力な武器だ。重力という事はゼロのタイタスフォームに使われている技術を応用したのであろう。

 

放たれた一撃は肉眼のゼロ達がはっきりと視認出来る程巨大な空間を作り出し、エールによると次々と吸い込まれていき為す術も無く破壊されていくとの事。

 

そして遂には、

エール「え……反応、無くなっちゃった」

ヴァン「本当だ、全部……倒したのか」

アッシュ「か、かなり規格外な強さね……」

ゼロ「…………」

 

3人は未だに動揺を隠し切れず、ゼロも今見ている物が現実かどうか疑いたくなる位に驚いていた。

 

 

 

 

 

一方、送り込んだ戦力が突如壊滅したバイルも流石に驚いた。

バイル「何だと!?」

レヴィ「な、何なの!?今のは……」

ハル「……その場にあったものが全て無くなった。あれは正にブラックホールだな」

ファ「冷静に分析してんじゃねェよ!あんなの見た事も無いぜ!?」

ファン「アレに取り込まれれば……何であろうと生存確率は限りなく低い」

 

バイル「まさか……あの小娘、ワシがどれだけ研究しても解析出来なかったLOTの技術を確立したというのか!?有り得ん!」

 

LOT、ロスト・オーバーテクノロジーの略。

今よりも昔の先人達が作り上げた、作り上げようとした過去の遺産である。しかし完成はせずに不良品、もしくは凄まじい事故等を引き起こして封印された物等がそれに該当する。

重力を操るという事はLOTの中でもトップクラスの禁忌だったらしい。この研究中に沢山の犠牲者が出たというデータが残っていた。

 

だがシエルはそれを完成させてゼロ達の戦いを楽にしてくれている。ゼロのタイタスフォームでも強さは分かったが、この場に居る全員が今目の前で見た重力という物の凄まじさが脳裏に焼き付けられたであろう。

 

 

バイル(……流石にこれは想定外だ。奴等をおびき寄せる為のエサをまんまと奪われただけで無く脅威になりうる戦力が現れるとは)

 

もう四天王にも殆どバレている様なものであるが、やはりバイルの今までの行動は全て直接ゼロをこの手で始末したいが為に彼等が死なない様に戦力を調節していた。正直ガーディアンを本気で潰そうと思えば特に問題無く潰す事が出来たのであろうが、無駄な拘りが今こうして裏目に出てしまったのである。

 

ハル「……どうするんだ?」

バイル「フン、あの場所位くれてやる……どうせ奴等は我々の位置を特定出来ていない上にこの場所に来るまでなはあの宇宙ステーションの規模の大きさの要塞が無数に点在している。例え宇宙に上がれたからと言えどガーディアンにそれ等をどうにか出来る戦力は無い」

 

レヴィ「とか言って、どうせ全部乗っ取られそうだけど」

バイル「何か言ったか?」

レヴィ「……何でも無いわ」

 

ファン「それより、何故ナンバーズを集結させない?まだ大量に控えているのだろう?」

バイル「奴等も各地に散らばっている。ロックマン共に負けるのならまたしてもただの雑魚兵達に基地を奪われる訳にはいかん」

ファン(……まぁそれは正しい判断ではあるが)

 

バイル「それに、最近のロックマン共の強化具合からしても普通のナンバーズでは歯が立たん。奴等を苦しめるにはより強力な改造を施す必要が有る……安心しろ、戦力が途切れる事は無い。そこ等の雑魚兵にならイレギュラー共で問題無し、ナンバーズもまだまだ居る」

 

ファ(その過信が今回みてェな失態に繋がらなきゃ良いけどな)

あのファーブニルに心配されているあたり、ファーブニルを含め四天王は大分バイルに対しての信用が欠けてきている様だ。

 

 

ハル(間違いないな。紅き英雄に復讐をする、ただそれだけの為に数多のチャンスを無駄にしてきた。戦局はかなり向こうに傾き掛けている……紅き英雄も、ガーディアンも敵だ。だがこのままこの男について行って良いのだろうか。

 

私達を復活させてくれた、という事でずっと何も言わずにこの男の言う事を聞いてきたが、このままこの男の方針に付き合うといつか取り返しのつかない状況を作り出すかも知れない)

 

どうやらハルピュイアはハルピュイアなりに思う所がある様だ。

 

 

果たしてバイルと四天王、彼等の行く末は……

戦いは、新たな状況を迎えようとしていた。

 

 




ずっとおねんねしていたグレイ君が遂に帰ってきてようやくロックマンチームが揃いましたね。
彼がどうなっているかについての詳しい説明は次の話の最初で行います、この話で分かるだけでもかなり変わっちゃってますが。

この話を書き上げるまでの1ヶ月で色んな事がありましたが、特に台風の影響を受けてしまった方々が心配ですね。一刻も早い復旧と皆様の無事を願います。

最後はリアルの話になっちゃいましたが後書きはこの辺で。
それでは次の話でお会いしましょう( ᵕᴗᵕ )


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-安堵の一時は訪れない-

どうも、M・Mです。
まず……ゼロ「2ヶ月ちょいも何処に行ってたんだァ!?」

ヒッフッハ!
ティウンティウン……

GAME OVER……

はい。ごめんなさい。
学校、休み、そして病気等患ってました。でもそれ等をした時は報告は入れると言う事を前に言ったのにも関わらず失踪していたのでこれは処刑案件です。申し訳ありません。すいません許してください何でも(テンプレ)


冗談はさておき、前書きはここまでにして後書きに続きを。
では、どうぞ。


グレイの活躍により宇宙ステーションを奪還する事に成功したガーディアン。そしてゼロ達の戦いが終わってからしばらくしてプレリー達の乗ったシャトルが到着した。

 

 

プレリー「皆、大丈夫!?」

すぐにゼロ達の元に駆け付けて開口一番にプレリーはそう言った。

 

ゼロ「……命の危機に瀕している、という程では無いが皆かなり消耗している。アッシュとエールを優先して治療してやってくれ」

 

プレリー「物資なら運んできたしメディカルマシーンもあるわ、ヴァンもゼロも皆まとめて治療出来るわ」

 

プレリーの指示により皆速急に治療を受けた。

 

 

 

ゼロ達は疲れからか治療を受けるとシャトルの一室で眠りについた。

 

外ではプレリーとシエルとグレイがおり、グレイから戦いの顛末(てんまつ)を聞いた。

 

グレイ「……という事があって、最後に敵が大量に来たけど何とかバスターフォームでまとめて撃退出来たよ」

プレリー「そうだったの……」

グレイ「ゼロさん達は消耗具合からして撤退を考えていたみたいだったし、ギリギリだったから」

 

プレリー「ゼロも、苦渋の決断だった筈よ。もし彼が1人だけなら無理してでも頑張ったかも知れないけど……けど味方の事を考える、隊長としては正しい判断だったと思うわ」

 

シエルもグレイもうんうんと頷いた。

 

シエル「重力衝撃砲、無事に作動したみたいね。まだほんの少しだけ出力に不安があったから」

 

グレイ「本当に凄い威力だったよ。ゼロさん達も皆驚いてたし」

シエル「本来であれば禁忌の技術だったのだけれど……」

プレリー「そうも言ってられない状況にあるんだから仕方ないわよ、お姉ちゃん」

シエル「……えぇ」

 

 

グレイ「何とか間に合ったのは良かったけど、皆大丈夫だろうか」

プレリー「かなり疲弊していたけどゼロの言ってた通り命に別状は無いわ。今はぐっすり休ませてあげましょう」

グレイ「分かった」

 

シエル「グレイ、貴方も大丈夫なの?」

グレイ「え?」

シエル「まだ記憶もはっきり戻ってないし、体調もあまり良くないんでしょう?そんな状況で少しテストしただけのフォームを使うなんて……心配でしょうがなかったわ」

 

グレイ「シエルさんが作ってくれたんだし、心配はしてなかったよ。まだ確かに記憶は曖昧だけど……やっぱり皆激しい戦いに身を置いているのに1人だけ休んでる訳にはいかないよ」

 

 

昏睡状態から回復したのは良いが、今までの記憶がはっきりとせず無理に思い出そうとすると激しい頭痛に襲われる……といった所か。

それでも無理を言って出撃、結果としてゼロ達の窮地を救った訳であるがシエルとプレリーからは深く心配されていた様だ。

 

グレイ(それでも……今まで寝てしまっていた分、僕のやらなきゃいけない事も含めてゼロさん達4人で頑張っていたんだ。これ以上迷惑は掛けられない)

 

 

 

プレリー「何はともあれ、目標であった宇宙に上がる事は達成出来たし拠点も手に入れたわ。これからどうするか地上に残っている皆と相談しないといけないわね」

シエル「まずはゼロ達が回復するのを待ちましょう、話はそれからよ」

プレリー「分かってるわ、それに今積んである物資を下ろしたらまた私は1度地上の方に帰るつもりよ。まだ地上でのやるべき事は残っているし」

 

まだまだ忙しくなりそうだ。

 

 

 

 

 

次の日……

 

ゼロ「……」

時刻でいえば昼頃。地球で言えばどれ位になるのだろうか、あまりそこら辺に詳しくない為に分からない。

 

やはり疲れと体の損傷具合が酷かったのか、治療にそこそこ時間が掛かってしまった。

 

ゼロ(シエル達に会いに行くか……)

 

恐らくそこに居るだろうという予想からシエル達が乗ってきたこのシャトルのブリッジに向かう。

 

予想通り彼女はそこに居た。

 

シエル「あっ、ゼロ!」

自分の姿を見るなり飛んで来た彼女。

 

ゼロ「シエル」

シエル「体は大丈夫?」

ゼロ「あぁ」

 

シエル「心配したのよ……私達が着いた時皆ボロボロだっだもの」

ゼロ「かなりの戦闘を行ったからな」

 

 

グレイから何となくの詳細は聞いてはいたが、シエルは改めて今回の作戦で何があったのかをゼロから聞いた。

 

 

シエル「そう……敵も今までより増して戦力を投入して来たのね」

ゼロ「……まぁ、それも確かな事ではあるが」

シエル「気になる事でもあるの?」

 

ゼロ「宇宙に上がった事、この場所を制圧出来た事、上手く行き過ぎだとは思わないか?確かに今回の勝利も皆の活躍あってこそだ。だが……どうも俺達はバイルにおびき寄せられている様にしか思えん」

 

シエル「考え過ぎ……と言いたい所だけどそうも言えないわね。確かに最近は静か過ぎるわ」

ゼロ「奴はいつだって俺達を本気で潰そうと思えばやれる筈だ」

シエル「嫌な予感がするわ。またシヴァの様な……それこそラグナロクをもう1度やろうとしているのかも知れないわね」

ゼロ「……あの大戦(ラグナロク)の時もそうだった。あの頃はまだガーディアンも無く、本気で奴等に戦えるのは俺位だったし奴がラグナロク作戦を無理やり決行せずに長丁場に渡る戦いになっていればどうなっていたか分からん」

 

ゼロの言葉にシエルは頷き、

シエル「今の大人しさが嵐の前の静けさじゃ無ければ良いけど……」

 

ゼロもまたシエルの言葉に頷いた。

 

 

と、そこへグレイがやって来た。

グレイ「ゼロさん、目が覚めたんですね」

ゼロ「あぁ。まだ俺以外目覚めていないみたいだが、時期に皆目覚めるだろう……そう言えばプレリーが見当たらないのだが、何処に居るんだ?」

 

シエル「あの子なら別の小型シャトルで再び地上に戻ったわよ。このシャトルで積んで来た資材は1部に過ぎないわ」

ゼロ「そうか……」

 

本格的に総力戦が始まろうとしている。

 

 

ゼロ「そう言えばグレイ」

グレイ「はい?」

ゼロ「お前が昨日の戦いで見せたフォーム、あれは何なんだ?」

グレイ「あぁ、バスターフォームですか」

シエル「皆が目覚めてから説明しようと思っていたけれど、先にゼロに説明しておいた方が良いわね。グレイ、お願い」

グレイ「はい……トランスオン!」

 

そう言ってグレイは昨日見たあのフォームになった。昨日も思ったが、とても既視感のある姿だ。

 

シエル「グレイは略してバスターフォームって呼んでいるけど正式名称はアサルトバスターフォーム。強襲、砲撃、様々な役割をこのフォーム1つで担う事が出来るわ」

 

ゼロ「ふむ……確かに昨日見たが、凄まじい火力を持ったり広範囲に効果が渡る武器を複数個所持しているみたいだな」

シエル「えぇ」

 

ゼロ「相手している側からしたら鬱陶しい事極まりないが、少し強襲型としては重くないか?砲撃ならまだ分かるが」

シエル「流石ゼロね。様々な役割を担えるとは言ったけどまとめたこの姿はどちらかと言うと後方支援向けではあるわ、でも大丈夫。このアサルトバスターフォームは1部の部分をパージする事によってそれこそ強襲、砲撃型になれる様に分かれる事が出来るのよ」

 

ゼロ「ふむ……?」

興味津々なゼロさん。

 

シエル「近接装備多めの軽装。強襲向けのアサルトフォーム、遠距離武器多めの重装のバスターフォーム」

グレイ「まぁ僕はまとめた姿もバスターフォームって呼んでますけど、言いやすいってだけなのでちゃんと分かってますよ」

 

ゼロ「凄いな。非常に心強い」

 

シエル「他の武装についてはまたグレイ、貴方の方から説明してあげて」

グレイ「そのつもりです」

 

 

ゼロ「しかしまた凄い物を作ったものだな」

グレイ「本来であればこれはゼロさんに渡される予定だったんですが……」

ゼロ「そうなのか?」

シエル「えぇ。だけど完成する前にゼロ達は宇宙に上がったしどうしようって所でグレイが目覚めて。グレイなら使いこなせるんじゃない?っていうプレリーの提案でグレイに託す事にしたの」

 

 

ゼロ「その方が良い。俺はあまり複雑過ぎると良くわからんからな……そのままグレイ、お前が使うと良い。お前から大丈夫だ」

何より自分はやはり身なりは軽い方が良い。

 

グレイ「はい、任せて下さい」

 

 

シエル「勿論ゼロにも、他の皆にもそれぞれ新しい力に武器を持って来ているわ」

 

 

 

ゼロ「……ありがとうシエル。いつもながら感謝している」

シエル「私には、これ位しか出来ないから」

 

グレイ(何だか僕はお邪魔かな……?)

 

 

 

 

するとその時だった。

ゼロ「何だ!?」

グレイ「警報!?」

シエル「すぐに確認するわ!」

 

突如鳴り響く警報に驚く3人。

 

 

シエル「ここより南西方面より未確認の戦艦が向かって来ているわ!かなり大きいわね……」

 

シエルが見ているディスプレイをゼロとグレイも覗き込んだ。

 

グレイ「狙いは当然ここか」

ゼロ「……だとしても変だな。幾らここの戦力が俺達だけだとしても戦艦で突っ込むのは無謀だと思わないか?」

シエル「えぇ。私もそう思うわ」

グレイ「という事は……特攻?」

 

ゼロ「……その可能性は大いにあるな」

 

あれ程大きい戦艦だ、ぶつけられたらひとたまりも無いだろう。

 

グレイ「早くどうにかしないと!」

シエル「動けるのは貴方達だけしか居ないわ、私も出来る限りのサポートはするけど……」

 

ゼロ(何だ?この嫌な予感は。特攻して来そうな感じではあるが、それだけでない気がする)

シエル「ゼロ?」

 

シエルの声で我に返る。

ゼロ「あぁ、すまない。アレを止めるにはやはり直接乗り込む他無いだろう」

 

シエル「すぐにでも転送可能よ」

グレイ「行きましょう、ゼロさん」

 

やる気満々といったグレイであるが、

 

ゼロ「……いや、これは俺1人で行く」

グレイ「えっ!?」

ゼロ「勘違いしないで欲しいが、別に戦力がどうのこうのの話ではない……単純に、嫌な予感がするんだ」

 

グレイ「嫌な予感がするなら尚更一緒に行った方が……」

ゼロ「もしお前も一緒に行って俺達両方に何かあったら誰がここを守る?今戦えるのは俺達だけと先程シエルも言っただろう。ここは任せておけ」

 

グレイ「……分かりました。でも何かあれば必ず助けに行きますからね」

ゼロ「あぁ。何も起きない事を願っていてくれ」

 

 

そして、

シエル「ゼロ、行くのね?」

ゼロ「あぁ。頼む」

シエル「……気を付けてね、転送!」

 

ゼロが転送された後、

 

シエル「ゼロ……」

グレイ「大丈夫ですよ。ゼロさんなら、きっと」

 

 

 

 

すぐに目的地である艦の内部へと侵入したゼロ。

ゼロ「……そこら中にイレギュラーの反応。無()ではあるが、敵だらけだな」

 

まだ地上に居た時も確かこんな事があったな、とふと思った。

M・M「そんなのあったっけ?って方は第5話をご参照下さい」

 

 

 

シエル「どうやら転送出来たみたいね」

ゼロ「あぁ」

シエル「とりあえずブリッジを目指して。そこに行けば止める手立てが分かる筈」

ゼロ「了解だ」

 

シエル「何があるか分からないわ、貴方なら大丈夫だとは思うけど気を付けて進んでね」

ゼロ「……あぁ。また連絡する」

 

通信を切り、周りを見渡す。

 

 

ゼロ「……」

この艦を見てからずっとしている嫌な予感は弱まる所か強まっていた。

 

シエルに言われた通りブリッジへと向かう。場所が何処かは分からないが、今居るのは恐らく艦尾辺りだろう。艦の基本的な作りからするならばブリッジは真反対だ。

 

ゼロ(のんびりはしていられないな……)

だが走り出せば大量の敵が群がって来た。

 

 

今までの敵と比べて動きがかなり鈍い事は妙に思ったが、敵である事には変わりない。

ゼロ「邪魔だ……押し通る!」

握り締めたセイバーで群がる敵を次々と斬り刻んでいき、基本的には無視して先に進んでいく。

 

 

と、ここでゼロは異変に気付く。

ゼロ「!?」

 

チラリと後ろを確認すると、先程斬り裂いた筈の敵が何と再生したのだった。

正確に言えば再生、というよりかは生き返ったという表現の方が正しいか。言われてみれば斬った時から違和感を感じていた。

 

ゼロ(キリが無い……ここの敵は一体何なんだ!?)

 

斬っても斬っても減らない敵にゼロは困惑したが、大人しくここは逃げる事にした。

 

ゼロ(生憎無意味な戦いはしないのでな)

 

 

あっという間にこの艦の真ん中に差し掛かった頃、ゼロは進んでいく内に大きな部屋に入った。巨大な柱が何本もあるだけの、見るからに怪しい場所であるが……

 

ゼロ「隠れていないで出て来い、隠れているのは分かっている」

 

ゼロが見ているのは一見何も無いように見えるとある柱。だが彼の言葉により、

 

???「気付いていたか」

ゼロ「お前は……」

???「久しいな。その姿、あの頃のままだ」

 

ゼロ「アヌビス……」(その後が分からん……)

 

アヌビステップ・ネクロマンセス三世(以後アヌ)「我が名を忘れたか!?我が名はアヌビステップ・ネクロマンセス三世!」

 

ゼロ「道中に居た妙なザコ共はお前の仕業か」

アヌ「そうだ。貴様達に正義の裁きを下す為に再び冥府より蘇った!」

 

ゼロ「そんな事はどうでも良い……俺の前に立ち塞がるなら、何度でも冥府に送ってやる!」

 

 

 

 

 

戦闘が始まるや否や、道中で何度も見た機能を停止した筈のレプリロイド達が地面から現れる。

 

ゼロ(あまり時間を掛ける訳にはいかない……)

幸い死体共は動きが鈍く、絡まれると鬱陶しいが避けていけばどうという事は無い。

 

ただ、何しろ数が多いので……

ゼロ「チッ……」

 

シールドブーメランを走らせて目の前の敵を葬り、駆け出す。

大量の敵が湧き出して来るが、

ゼロ「邪魔だ、サーキュラシールド!」

 

今度は自分の周りにブーメランを回らせて、自身は敵陣に突撃する。

数は多いが、各個の敏速、装甲といった性能はかなり低い。ゼロの周りを回るブーメランにより次々と斬り刻まれていった。

 

そして、

ゼロ「はぁッ!」

ジャンプし、更にトリプルロッドに持ち替えた後に真下の敵を突きホッピングした。

 

アヌビス「!?」

突如目の前に急接近してきたゼロに驚愕。

 

ゼロ「雑魚に構う理由は無い!」

振り下ろされるセイバーを何とか杖で受け止めたアヌビス。

アヌビス「クッ……流石、と言ったところか」

 

純粋なパワー、スピードではゼロに分があり、そんな事はアヌビス自身も分かっている。

 

何故なら元々彼は完全な戦闘用レプリロイド、という訳では無いからだ。

アヌビス「だが!」

 

アヌビスの後ろから1機、更にゼロの後ろからも1機飛行型のレプリロイドが体当たりして来た。

ゼロ「チッ……!」

 

アヌビス(ここは空中、そして奴は今セイバーを振り下ろした後!逃げ場は無い!)

 

だがそう簡単にやられるゼロでは無い。

ゼロ「甘いッ!」

 

何とアヌビスの杖を足場にもう1度ジャンプし、

ゼロ「円水斬!」

華麗な空中回転斬り。これにより前後両方から体当たりして来るレプリロイドを斬った。

 

ここで体勢を立て直す為に1度アヌビスから離れ地面に着地。

 

ゼロ(ただ格闘戦を行えるなら俺の方が圧倒的に強い。だがそうさせない為の死人共、か)

「地から這い出てくるだけの奴しか出せないと思っていたが、違った様だな」

 

アヌビス「……我はDr.バイルに私のナノマシンに更なる改良を施して頂いた。これによりロストしたレプリロイドの純粋に治療に掛かる時間も軽減し、より高度なレプリロイドも修復可能になったのだ」

 

ゼロの軽い挑発にも冷静に答えた。

 

アヌビス「無数のレプリロイドを潜り抜けて私の元に辿り着いたとしても貴様を待っているのはまた別の無数のレプリロイドだ」

 

そう言って杖を振ると、また地面から大量のレプリロイドが湧き出て来る。

ゼロ「何度やろうと同じだ!」

アヌビス「そうはさせん!」

 

駆け出して来るゼロに対し、杖を回転させるアヌビス。すると地面が崩落していき、代わりにこの部屋に初めからあったのと同じ柱が地面から現れた。(柱の出現位置に居たゾンビレプリロイド君達は儚く散りましたとさ)

 

ゼロ(底が見えんな……)「面倒な事を……!」

アヌビス「行けッ!」

 

そして至る場所から柱が一斉にゼロに向かって来る。押し潰すつもりだろう。(そしてに地面に居た大量のゾンビレプリロイド君達は儚く潰れましたとさ)

 

ゼロ「この程度で!」

いつものチャージリコイルロッドで地面を突き大ジャンプ。とある柱に乗った後は次々と柱を柱の間を軽快に移動し、アヌビスに向かっていく。

 

アヌビス「まだまだ!」

例の飛行型、更には狼型の動きの素早いレプリロイドがゼロと同じく柱をひょいひょいと移動しながらアヌビス側から向かって来ている。

 

ゼロ「邪魔を……するなッ!」

崩れゆく足場に注意しながら、斬る必要がある奴だけを的確に斬る。バスターで目の前の柱をわざと崩し、狼型のレプリロイドはそれにより落下して行く。

 

アヌビス「自ら足場を崩すだと!?」

ゼロ「足場が無ければ動けないと思うな!」

 

ダッシュジャンプで跳躍し、天井に向かってチェーンロッドを放つ。

アヌビス(次から次へと良くそんな手段を思い付くな……)

天井からぶら下がるが、そうすると今のゼロは片腕を使っている為にもう片腕しか無い。当然そこをチャンスだと狙うレプリロイド達が様々な角度から特攻を仕掛ける。

 

アヌビス(これならどうだ……ゼロ!)

 

ゼロ「いかなる状況であろうと……冷静であればどうとでもなる」

ここでゼロはまた新たな技を披露。

 

ゼロ(ここなら……こうだ!)

バスターをチャージし何も無い場所に向けて発射。そしてその反動により回転し、続いてバスターを機関銃型に換装(シフト)。回転しながらの乱射で次々と撃破していった。

 

俗に言うビームガトリングである。

 

しかしまだ全滅とまではいかない、天井を這ってやって来る蜘蛛型のレプリロイドが居た。

ゼロ「これでも喰らっておけ!」

そこにクロールシールドを投げる。地形に沿って動くので天井を這う相手をまとめて破壊した。

 

かなりの相手が居たが片腕の彼に全て破壊されてしまったのを見てアヌビスも驚きを隠せない。

 

アヌビス「何と……敵ながら見事なものだ」

ゼロ「敵を褒めている暇があるなら今から来る危機をどう対処するか考えておけ……行くぞッ!」

 

チェーンロッドを揺らし、ターザンの要領で勢い良く飛ぶ。崩れた地面を飛び越えて再びアヌビスに急接近。

 

アヌビス「見える物が全てとは思わん事だ!」

ゼロ「!?」

 

突如自分が立っていた足場が大きく揺れる。アヌビスの元まですぐそこであったが、危険を察知したゼロは諦めて別の柱に飛び移った。

 

そしてすぐに先程居た場所が崩れ、何と地面から超大型レプリロイドが現れたのだった。

 

ゼロ(こんな奴まで復元可能なのか……)

資料で見た事があったか、実際見た事があったのか。見た事がある様な無い様な存在。

 

M・M「今ゼロは思い出せていませんがこのレプリロイドの名前はCF-0、ロックマンX2の初めに出て来る大型のボスです。そのまま出すのはあまりにも雑魚過ぎるので(原作では初めに戦うボスという事もあり武器を持っていない)大幅に改造を加えています」

 

ゼロを標的と捉えるや否や、左腕が何とチェーンソー、右腕が先端に鉄球が付いた鎖に変形した。

 

ゼロ「……当たれば痛そうだ」

それ所で済むとは思わないが、部屋全体をチラ見して冷静に考える。

 

もう大分足場は崩れており(別に無くても何とかなると言えばなるが)、行動が制限されている以上下手に動けないのが現状。

 

ゼロ(まずはあのデカブツを何とかしないとな)

邪魔にも程がある。他は無視して大型レプリロイドを斬る事にした。

 

アヌビス(そうだ……それで良い。あのレプリロイドの本当の目的を知らないお前はこれまでだ)

 

 

ゼロは大型レプリロイドの目の前でわざと止まる。当然相手はそこにゼロを真っ二つにしようとチェーンソーを縦から振り下ろすが、そこを落ち着いて避ける。

 

寧ろゼロはこれを待っており、振り下ろされた腕に飛び移りそのまま駆け上がる。焦った相手は振りほどこうと武器を滅茶苦茶に振り回すが、ゼロはこの行動をものとせずジャンプや時には屈んで回避。

 

アヌビス(……分かってはいたが、やはりあの手の相手には動じもせぬか)

 

 

そしてゼロはある時敵の行動の後隙を見計らいチャージリコイルロッドで高く飛び、セイバーに雷のエレメントチップを付与。

 

 

ゼロ「終わりだッ!」

頭上にセイバーを突き刺し、雷が送り込まれる。それがメイン回路に触れたのが致命傷となり相手は機能停止した。

 

 

アヌビス「何ッ!?動かなくなっただと!?」

ゼロ「逆に聞くがこの程度の敵で俺を倒せると思っていたのか?」

アヌビス(まさか破壊では無く動作不能にさせられるとは……これでは私の計画が台無しだ)

 

ゼロ「……何を企んでいたのかは知らないが、あの手の相手は破壊されると何をしでかすか分からないからな。動作不能にするのが1番早くて楽だ」

アヌビス「クッ……」

 

破壊されたらゼロを掴んで爆発させるつもりだったのだが、まさかの彼の機転により不発に終わってしまった。

 

ゼロ「さて、次はお前だ」

セイバーをアヌビスに向ける。

 

アヌビス「ふん……」

そう言いながら杖を回せば際限無く現れるゾンビ兵が行く手を阻む。

 

ゼロ(イカロスを使えれば一瞬でカタが付きそうだが……ダメだ。ここで使うべきじゃない)

イカロスフォームは戦闘だけで無く様々な点において有用なのでなるべく温存しておきたい。

 

 

となると。

ゼロ(……やはり俺は引き気味な戦いは好きじゃない。攻めてこその俺だ)

セイバーとバスターを持ち一気に駆け出す。

 

 

アヌビス「何度やろうと同じ事だ」

ゼロ「何度も同じ手でやると思っているのか?」

 

氷のエレメントチップを付与。そしてバスターをチャージし、

ゼロ「道を開けろ!アイスジャベリン!」

 

ゼロのバスターから氷の竜が発射され、道中の敵を次々と貫いてゆく。そしてゼロはそれに続いて横から絡んで来る敵を斬りながら走っていく。

 

アヌビス「行けッ!」

対してアヌビスも休む事無くかなりの量の兵を送り込むが、

 

ゼロ(この局面(フェーズ)で終わらせる……!)「滅閃光!喰らえぇぇッ!」

 

力を込めて思いっきり地面を殴り、そこからエネルギー波が拡散していく。

アヌビス「何ッ!?」

 

そしてそれが部屋中に居た敵に降り注ぎ、掠っただけで瞬く間に爆散した。ゼロの周りもそのエネルギー波が降り注ぐもその中を恐れずに走る。

 

滅閃光はアヌビスにも届いておりゾンビ兵の召喚を中断せざるを得なかった。

その隙を突いてゼロが急接近し、

 

ゼロ「はぁッ!」

アヌビス「クッ、もうこんな所に……!」

セイバーを杖で受け止めたのは良いものの、やはり力比べでは彼の方が上だ。

 

ゼロ(邪魔をする者は居ない、ここで決める!)

何とか自分から離れようとするアヌビスだが、当然ゼロはそこを逃すまいと猛攻を仕掛ける。

 

自分のセイバーを必死に杖で受け止めるアヌビスを見て、ゼロは1度軽くバックステップしたと思うといきなりセイバーを投げた。

 

アヌビス「ッ!」

反射的に杖で投げられたセイバーを防いだのは良かったが、その時点でゼロは勝利を確信していた。そして何かをして来るのにアヌビスも気付いたが、

 

ゼロ「もう遅い」

ゼロナックルを装備してダッシュで一気に近寄ると手をぶん殴った。ダメージを負い思わず杖を離してしまい……

 

次の瞬間、セイバーで真っ二つにされた。

 

 

 

 

 

 

 

ゼロ「……今回も面倒な相手だったが、個人の戦闘能力が低かったのが幸いだったな」

 

そう言いながらも休む事無く先に進む。目指すはブリッジだ……と思っていたがすぐそこにあった。どうやら思ったよりか進んでいたらしい。

 

ブリッジの入口に立ち、シエルに連絡を取る。

 

ゼロ「シエル、聞こえるか?」

シエル「ゼロ!?大丈夫なの?しばらく連絡が無かったから心配したわ」

ゼロ「すまん。戦闘をしていた」

シエル「だと思ったわ。それで、どうしたの?」

ゼロ「ブリッジに到着した」

シエル「そうなの……ビデオ通話でそこの映像を映せるかしら?」

ゼロ「了解だ」

 

テキパキとGATを操作をしてビデオ通話を立ちあげる。前に初めてビデオ通話を行った時よりも格段にGATの扱いに慣れてきたのが実感出来る。

 

シエル「ありがとう。じゃあまず貴方の右側にあるコンピュータを見て。多分それがメインよ」

ゼロ「ふむ」

 

言われた通りに指定された機械を映す。

 

シエル「ゼロ、その機械に何かを差し込む場所は無い?アダプタみたいな」

 

ゼロ「アダプタか……あったぞ」

その機械の右端にそれらしき差し込み口があり、それを映像として映す。これでシエルはどうするつもりだろうか?

 

シエル「うん、使えるわね。そのままビデオ通話はもう大丈夫よ。GATをそのコンピュータにプラグインして欲しいの」

ゼロ「……プラグイン?」

 

聞いた事の無い言葉に困惑するゼロ。そこですかさず隣で見ていたのであろうグレイが、

 

グレイ「シエルさん、ゼロさんプラグインはやった事無いと思う」

シエル「あっ、そっか……ごめんなさいねゼロ。やり方を教えるわ」

ゼロ「あ、あぁ……」

 

シエル「GATの後ろに黄色いボタンがあるでしょ?それを押してみて」

ゼロ「これか」

 

言われた通りに押してみると、何とびっくり何やら線が出て来た。

 

ゼロ「こんな物があったのか……」

 

シエル「また詳しく教えるわ。今はそれを先程の機械の差し込み口に挿入(プラグイン)して」

ゼロ「分かった」

 

差し込む瞬間にプラグイン……何とかEXE、トランスミッションという言葉が頭を過ぎったが何だったのだろうか。

 

シエル「OKよ。これで貴方の端末を媒体に私の方からそのコンピュータを直接操作出来るわ」

ゼロ「凄いな……」

グレイ「凄い……」

 

ゼロとグレイの2人とも驚愕を隠せない。

 

そしてすぐに、

シエル「これで良し……とりあえずその艦はまもなく止まるわ」

ゼロ「……何とかなったか」

シエル「その艦の情報も入手したわ。ただごめんなさい、転送するには初めの場所じゃ無いと出来ないみたい」

ゼロ「構わない。これより戻る」

シエル「お願いね」

 

そう言って彼女との通話を切る。

 

ゼロ「任務完了(ミッションコンプリート)だな」

 

 

だが……任務完了の筈なのに何故かゼロは違和感が消えなかった。

ゼロ(ずっとしているこの妙な感じは何だ?まだ何かあるのか?)

 

その時だった。突如シエルから再び連絡が。

ゼロ「どうした?」

シエル「ゼロ!大変なの!」

ゼロ「落ち着け。何があった」

シエル「その艦の場所から更に南方向から凄まじいエネルギー反応があるわ!かなりの距離なのに私の場所から察知出来るって事は余程の規模って事なの!今すぐその場から脱出して!」

ゼロ「……分かった。切るぞ」

 

そう言って通話を切る。どうやらずっとしていた嫌な予感はこれだったらしい。

 

ゼロ「どうするか……考えるまでも無いな」

すぐ側の壁を破壊した後、

ゼロ(残しておいて正解だったな)「セットアップ、イカロス!」

 

イカロスフォームになり早々にその場を脱出する。宇宙空間に出てから僅か数秒後の事だった。

ゼロ「!!!」

 

今まで自分が居た艦が突如閃光に包まれたかと思うと、次の瞬間には存在が無くなっていた。

かなりの大きさの艦であったが、それを上回る大きさのレーザーが全てを破壊した……もし少しでも遅れていたら、と思うと流石に恐怖を感じた。

イカロスが無ければ脱出は出来てもここまで来るのに間に合わなかったかも知れない……。

 

 

あまりの眩しさにゼロは目をつぶっていたので何だったのかは不明だが、あれ程までの大きさの艦を一瞬で消し去る程の兵器となるとその規模は到底計り知れる物では無い。

 

ゼロ(今のは一体……)

気になる事はあるが、とりあえず帰還しよう。方向は分かっているので何とか帰れる筈だ。

 

 

しばらくして、

「……ロ、ゼ、ロ……」

ゼロ「……ノイズが酷いな、上手く聞こえん」

 

間違いなく先程の何か(・・)のせいだろうか、GATが不具合を起こしている。

 

初めの内は全く聞こえなかったが、更に時間が経つにつれて不具合も直り、

シエル「ゼロ?応答して!ゼロ!」

ゼロ「シエル。聞こえている」

 

よくやくクリーンに彼女の声が聞こえた。

シエル「ゼロ!良かった……」

ゼロ「何とかな。ただ今帰還中だ」

シエル「今どの辺りに居るの?」

ゼロ「丁度シエル達の居るステーションから数分と言った所だ。もうすぐ着く」

シエル「そう……」

ゼロ「まずは帰還する。切るぞ」

シエル「えぇ、気を付けて」

 

 

それから彼の言った通り数分後にはゼロが宇宙ステーションに戻ってきた。

 

帰って来るや否や、

シエル「ゼロ!」

自分の胸にシエルが飛び込んで来た。

 

ゼロ「シエル……」

シエル「…………」

ゼロ「すまない、心配を掛けたな」

シエル「うん……」

 

彼女の肩を優しく抱き締める。

 

少しして、

グレイ「……ゼロさん、シエルさん」

と、ここで離れた所から見守っていたグレイが一言。彼なりに空気を読んでいた様だ。

 

シエル「ご、ごめんなさい。ゼロもグレイも」

ゼロ「あぁ」

グレイ「大丈夫ですよ。僕もゼロさんの事心配でしたから」

 

顔を赤くしてゼロからそっと離れるシエル。

 

ゼロ「まずは俺からの報告だな……と言っても2人とも分かっている事だが。何とか艦は止めたが、シエルの警告によりすぐに脱出したら突如目がおかしくなる程の光に包まれた」

 

シエル「それについては私達の方からも見えたわ。映像としても残してる」

コンピュータを動かすシエル、そしてすぐに先程の物と思われる映像が映し出された。

 

ゼロが居た艦全体を包み隠す事の出来る程の大きさの光が通ったと思うと次の瞬間には残骸すら残っていない。

 

ゼロ「これは……」

シエル「光化学、単純に言ってビーム兵器ね」

グレイ「僕もそう思います」

 

どうやら2人は見ただけでアレが何か分かったらしい。続いてシエルが、

 

シエル「囮、だったのかしら」

ゼロ「囮?」

シエル「あの艦の事。表向きはあの艦を私達の居るこの宇宙ステーションに特攻させるつもりだったのだろうけど、本当の目的はそれを止める為に乗り込んだ者をあの兵器で狙い撃つ為の囮だった、という事よ」

 

ゼロ「回りくどいな。直接ここを狙い撃てば……いや、そんな事が出来ればわざわざ艦を特攻させる必要は無いか」

(つまりアイツ(アヌビス)も捨て駒だったという事か)

 

グレイ「恐らくは射程の問題でしょう。ここから特攻して来た艦の場所は結構離れていたし」

シエル「えぇ。そうでしょうね」

 

シエルもその意見に便乗している事からしてもそうなのだろう。

ゼロ「……だとすれば、それもまた囮か」

シエル「え?」

グレイ「その兵器もまた僕等を誘き寄せる囮だと言う事ですね」

ゼロ「あぁ。あんな危険な物を出されたら俺達はアレを止める為に動くしかない。そしてまたその場所には沢山の危険があると言う事だな」

 

グレイ「ゼロさんの言う通りだとしたらもう既にこの宙域の施設の殆どは掌握されているな……まぁ僕達が宇宙に上がるまで時間はそこそこ空いていたからそれ位しておくのは当然か」

 

シエル「そんな……危険を回避する為にまた危険に飛び込ませるのを何度も繰り返さなければならないと言う事なの?」

ゼロ「……初めからこうなる事は想定済みだ。現実の物になって欲しくは無かったが」

グレイ「とことん潰していくのは地上に居た頃から変わらなかったし」

 

悲しい顔をするシエル。

 

ゼロ「……大丈夫だ。今までも同じ様な命懸けの戦いをして来たんだ。傷を、悲しみを、後悔を背負っても皆諦めずに立ち上がって来た」

グレイ「1度退場していた僕が言える事じゃ無いけど……皆なら必ず大丈夫だって信じてますから」

 

シエル「……貴方達は本当に強いわね」

 

ゼロ&グレイ「守るべき何かがあるから」

見事にシンクロした。ゼロとグレイは顔を見合わせてグレイは笑い、ゼロもそっと微笑んだ。

 

シエル(貴方達は否定するけど……やっぱり私達からすれば皆は、英雄なのよ)

 

その光景を見たシエルもまた心の中で彼等への想いを(つづ)り、微笑むのであった。

 

 

 




前の話よりまさかここまで投稿日か離れているとは思いませんでした……完全に話の内容を忘れてかなり前の話まで遡って読んでいました。

本当に申し訳ないです(もうこれまで私の小説を読んで下さっている方々からすれば「またか……」って感じになってる方も居るかも知れませんが)

亀更新に不定期過ぎる投稿どうかお許しを……
_○/|_ 土下座


今回ほんの少しだけエグゼネタを入れました。ゼロさんのちょっとお茶目な部分も。
そしてグレイさんが超強化されて帰って来ましたが、彼もまたかなりの苦しみやら葛藤やら負の感情に耐えて帰って来たのですが……そこら辺の描写も次かその次にでも入れようかなと。
ついでにそのまんまですが、バスターフォームはV2アサルトバスターガンダムをモチーフにしています。


長々と失礼しました、ひとまずここで終わりにします。
では、次の話でお会いしましょう(´・ω・`)/
皆様良いお年を。


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-安堵の一時は訪れない2 巨大要塞攻略戦-

どうも、M・Mです。
皆様新年あけましておめでとうございます、今年も忙しい年になりそうですが、よろしくお願い致します。

珍しく(重要)早めな投稿が出来ました。そして今は凄まじく忙しいですがそれが終われば休みが取れそうです、詳しい事は後書きにて。

タイトル通り、ゼロには安堵の一息はつけそうにありませんね、今回からまた新たな場所で戦う事になります。

では、どうぞ。

追記
前話においてグレイのセリフでビーム兵器を質量兵器と表記しておりました。全く違うじゃないか(憤怒)

それとこの作品でプレリーの表記を今はプレリー「」としておりますが初めの方はプ「」となっており統一性が無い為に今の方にする様に修正中です。


ゼロが帰還したその日、嬉しい事にヴァンとエールとアッシュの3人とも回復した。まだ皆安静にしていなければならないが。

 

次の日、地球からまた物資を運んで来たプレリーの作業を手伝っていたゼロとグレイは先程までヴァン達と会話していたシエルとプレリーに聞く。

 

ゼロ「3人には昨日の事を話したのか?」

シエル「えぇ。ついでに言うとヴァンとエールはそれらしき存在を察知していたみたい」

 

グレイ「そうだったのか……」

プレリー「私は実際見た訳じゃないけど、多分それが何なのか分かる気がするわ」

 

ゼロ「……本当か?」

少し驚きが混ざった声でゼロが聞き返す。

 

プレリー「お姉ちゃんと3人には話したから丁度2人にも話しておこうと思っていたのよ」

グレイ「艦長はアレ(・・)が何なのか知ってるんですか?」

 

 

プレリーは1度息を整えてから、話し始める。

 

プレリー「あの兵器の名前は……ジエンド」

ゼロ「ジエンド……終焉、か」

グレイ「いかにもな名前だな……」

プレリー「ちゃんとした名前は確か無かったけど、仮として名付けられたのがそうだった筈よ」

 

ゼロ「……少し、気になった事がある」

プレリー「ラグナロクとの関係でしょう?」

ゼロ「!」

自分の考えていた事をまんまと見抜かれて驚くゼロ。少しその時の顔が滑稽だったものでプレリーは笑いそうになってしまったが、真剣な表情のまま話を続ける。

 

プレリー「ゼロ、貴方の考えている通りジエンドとラグナロクは大いに関係しているわ」

 

シエル「恐らくだけど、ジエンドという兵器はラグナロクのプロトタイプよ」

と、ここでシエルがすかさずに情報を加え入れる。相変わらず仕事が早い。

 

ゼロ&グレイ「プロトタイプ!?」

見事に声がシンクロしたが、目の前で明かされた事実に驚き過ぎて2人とも気付いていない。

 

シエル「ゼロが行方不明になってから、ゼロを探すついでにラグナロクの事も詳しく調べていたの。そうしたらジエンドの存在に辿り着いたわ」

プレリー「そして関係性を更に辿るとすれば、地球を凍り付かせようとしているシヴァもジエンドの技術が基となって作られているわ」

 

ゼロ「つまりはジエンドはそういった兵器(・・・・・・・)の起源という事か」

シエル「えぇ」

 

動揺が隠せないゼロとグレイだが、ここでグレイが改めて本質を聞く。

グレイ「それで、ジエンドというのはどういった兵器なんですか?」

シエル「グレイ、私達の予想通りビーム兵器よ」

グレイ「見た感じがもうビームだったしなぁ」

 

ゼロ「あれ程大きい規模となるとそれを撃ち出す為の砲台の大きさも凄まじいだろうな」

シエル「えぇ。あの時私達が見た砲撃の大きさから推測するに、恐らくは私でも今まで見てきた中で群を抜いて大きい物になるでしょうね」

プレリー「お姉ちゃんでもそうなるとすれば余程の物よね」

 

プレリーの言葉に頷いた後、シエルは改めて話を続ける。

シエル「ジエンドは……かつて軍により試験的に作られた決戦兵器よ。あまりの危険さに使用は禁じられ、技術は封印され、ジエンド自体も破壊されて存在を抹消されたと私は聞いたのだけれど」

 

ゼロ「実際は放置されたままだったのか、もしくは破壊はされたがバイルが……バイルじゃ無かったのだとしても密かに誰かが新しく作ったのか」

 

シエル「その問題も後々解き明かさないといけないけど、今は目の前の問題ね」

プレリー「今この場所はどうやら向こうの射程圏外という事みたいだから大丈夫だけど、これからこの周りの調査にあたって必ず何とかしないといけないわ」

グレイ「調査どころじゃないな」

 

ゼロ「だが、どうするんだ?ラグナロクの時みたく転送可能なのか?中に入り込めれば後は何とかするが」

シエル「……残念だけど向こうの転送装置は機能が停止していたわ」

プレリー「だからと言ってわざわざ向こうの砲撃の危険に晒されにいくのもね」

 

雲行きが怪しくなってきたな……と思うゼロ。

が、

 

シエル「大丈夫よ。ちゃんと向こうへと乗り込むまでの方法は考えてあるわ……私の方法でも危険な事には変わりないのだけれど」

プレリー「そうなの?お姉ちゃん」

 

皆驚いた顔でシエルを見る。

 

シエル「今までゼロ達が倒して来た敵に、プレリー達が運んで来てくれた物資があれば可能よ」

 

 

普段の表情で平然とそう言うシエル。

 

グレイ「……何と言うか、バイルがシエルさんを欲しがった理由が良く分かりますね」

ゼロ「……あぁ。そしてシエルが向こう側に居た場合の事は考えたく無い」

プレリー「まず宇宙に上がれてない気がするわ」

 

Dr.シエル、流石です。

 

シエル「前から考えてはいたの。宇宙に上がった後転送装置が使える可能性はあまり考えられなかったから、皆の移動手段をね」

プレリー「確かに……私達の艦(ガーディアンベース)はまだ修復中だものね」

 

ゼロ「ガーディアンベースはいつ頃完成する見立てなんだ?」

プレリー「皆が集めて来てくれたパーツを基に急ピッチで作業を進めているけど流石にもう少し掛かりそうね……」

 

ゼロ「そうか」

プレリー「ガーディアン、更に他の皆も総出で手伝ってくれているからきっとそんなには掛からない筈よ。待っていて」

ゼロ「あぁ」

 

 

そして話は戻って、

シエル「それで、ゼロ達の為の新たな移動手段なのだけれど」

ゼロ「ふむ」

 

カタカタとコンピュータを操作し、モニターに画像を映す。

シエル「これよ」

 

画面に映されたのは……

ゼロ「シエル、これは……」

シエル「ゼロはきっと懐かしいと思うかも知れないわね」

グレイ「これ……ライドチェイサー!?」

シエル「えぇ、そうよ」

プレリー「でもお姉ちゃん、ライドチェイサーにライドアーマー、2つの技術はもう幻になったんじゃなかったの?」

 

シエル「えぇ。2つの本当の製造方法は私も知らないわ」

グレイ「じゃあこの2つは……」

シエル「私がそれに似せて考えたオリジナルよ」

 

ゼロ「オリジナル……俺にはライドチェイサーそのままにしか見えないが」

これもまた、かつての戦いを思い出させる。

 

シエル「この案自体は地上に居た時からずっと考えていた事なのだけれど。物資の都合上不可能だったから諦めていたの」

プレリー「だけど今なら……?」

シエル「出来るわ。ゼロ達が取ってきてくれた物資も合わせて、必ず」

 

グレイ「何とか、なりそうですね」

シエル「何とか、じゃないわ。必ずよ」

 

グレイ(カッコイイ……!)

 

シエル「どうやら事態は事を急ぐみたいね。すぐ作業に取り掛かるわ」

ゼロ「シエル、無理はするな」

シエル「無理なんてしてないわ、大丈夫よ」

ゼロ「……なら、良いが」

 

彼女も少なからずは疲れているだろうが、彼女がやりたいというのなら自分が言う事は無い。

 

作業に取り掛かる彼女の邪魔をしてはいけないので、大人しくゼロ達は移動した。プレリーはまた別の要件で呼ばれたのでゼロとグレイは、

 

ゼロ「……ヴァン達に会いに行くか」

グレイ「ですね。僕達はまだ軽く顔を見ただけでしたし」

 

 

 

~医務室~

ヴァン「ん、誰か来る……」

エール「この足音は、2人しか居ないわね」

アッシュ「……」

どうやらアッシュは寝ている模様。

 

ゼロ「邪魔するぞ」

ヴァン「ゼロさん、グレイも」

グレイ「調子はどうですか?」

エール「まだ安静とは言われたけど、もう大丈夫。明日には復帰するわ」

グレイ「アッシュは……寝てるのか」

 

エール「アッシュももう心配無いわ」

グレイ「……そうですか、良かった」

普段見せない様な笑みを見せるグレイ。

エール(大切なのね、アッシュが)

 

ゼロ「昨日の事はシエル達から聞いたな?」

ヴァン「はい、一通りは……ゼロさん達に任せっきりですみません」

ゼロ「気にするな。あの場所には何にせよ俺1人で行くつもりだったからな……とにかく今はしっかり休め。その代わり、復帰したらまたしっかり共に働いて貰うぞ」

 

和やかな顔で言うゼロに対し、

ヴァン&エール「了解!」

2人も笑顔で答えた。

 

更に、

「了解~」

と少し気の抜けた声が聞こえた。

 

ゼロ「アッシュ、目が覚めたか」

アッシュ「と言うより最初から起きてましたよ」

グレイ「そ、そうだったのか」

 

アッシュ「グレイ君の心配そうな声もしっかり耳に入りましたよっと」

グレイ「なっ……!」

エール「グレイ、諦めなさい」

ヴァン「アッシュの方が一枚上手だったな」

 

このチームは相変わらずだな、とゼロは笑を零す。

が、

 

ゼロ(この様な時間も、いつか……消えてしまうのだろうか)

そんな不安を抱いてしまった。

 

 

ヴァン「ゼロさん、どうしたんですか?」

 

後ろでアッシュとグレイが、地味にエールがアッシュに加勢している様にも見えるが。

そんな騒がしい中ヴァンが聞く。

 

ゼロ「……いや、何でもない」

 

 

この時間を、皆を、守りたい気持ちがまた強まった。そして守りたいと思うと同時に守れなかった人物の事が頭を()ぎる。

 

ゼロ(あんな思いはもう二度としたくない……)

後悔の無い様に、剣を振るうまでだ。

 

 

 

その日は軽くプレリーの指示により物資の整理等を手伝い終わった。

 

 

そして次の日。回復したヴァン達と共にシエルの元へ行くと、そこにはもう既に……

 

ゼロ「シエル、出来たんだな」

シエル「えぇ。流石に疲れたわ」

ゼロ「まさか1日で作るとは思って無かったが……流石だと言っておく」

シエル「ありがとうゼロ。でも私なら大丈夫よ……技術班は皆倒れたけど」

ゼロ(……後で見舞いに行っておくか)

 

 

ヴァン「こ、これって……ライドチェイサー!?本物!?」

エール「ヴァン、落ち着いて」

シエル「私がライドチェイサーに似せて作っただけで本物のライドチェイサーでは無いわ」

ヴァン「だとしても凄いですよ!」

 

興奮気味に見るヴァンとそれを落ち着かせるエール。一方グレイも昨日聞いたとはいえ目を輝かせていた。

 

アッシュ「これがライドチェイサーか、アタシも名前を聞いた事しか無かったけど」

 

ゼロ「1人乗り……いや、2人は乗れるか」

シエル「元々2人乗りを想定して作ってるわ、技術班が倒れちゃったし私も1度休むけど最終的にはもう1台作るつもりよ」

 

ゼロ「そうか」

ヴァン「スラスターモジュールにバーニア……なるほど、これで宇宙空間でもかなりの速度で走れる訳だ。更にレーダーも俺達が取って来た奴になってる、これなら向こうからの砲撃を察知して避ける事はそう難しくない筈だ」

 

隣で色々言っているヴァンを横目に、

ゼロ「これがあれば……」

グレイ「ジエンドまで辿り着く事が出来る筈ですね、でも……」

エール「確か2人乗りって言ってましたっけ。どうします?この任務(ミッション)

 

ゼロ「……」

軽く皆の顔を見る。

ゼロ「……すまんが、昨日まで寝ていた3人を出すのは気が引ける。俺とグレイで行く」

 

3人「……了解」

ゼロの言葉に対し、3人とも一瞬何か言いたげな顔をしたが大人しく彼に従った。

 

ゼロ「あくまでこれは2人しか行けないという条件があるからだ。4人とも行けるなら働いて貰っていた、そこだけ分かって欲しい」

 

彼等が頷いたのを見て、

ゼロ「グレイ、行けるな?」

グレイ「勿論です」

 

ゼロ「シエル、早速だが」

シエル「そう言うと思ってセッティングも済ませてあるわ。すぐ出れるわよ」

ゼロ「助かる」

 

ヴァン「ゼロさん、気を付けて」

ゼロ「あぁ」

 

そう言ってゼロはライドチェイサーを連れて、シエルとグレイと共に部屋を出た。

 

 

部屋には残された3人が妙な空気を(かも)し出していた。

プレリー「ヴァン、エール、アッシュ、言いたい事があるのは分かるけど」

 

ヴァン「大丈夫。ゼロさんがしっかり俺達を気遣ってくれた事はしっかり分かってる」

エール「だけどその気遣いが今の私達にとって少し嫌だったという事も分かっていたから最後にあぁ言ったって事もね」

アッシュ「ゼロさんって前からずっと思っていたけど不器用よね」

 

アッシュの言葉にプッと笑ったプレリー。

プレリー「えぇ。ゼロはとても不器用よ……アレでも昔より柔らかくなったなって思うけど」

 

ヴァン「俺は凄く優しいって思うけど。昔はやっぱり違ったのか?」

プレリー「いや、基本的な印象というのは昔から何も変わっていないわ。でも昔の方がもっとクール、悪く言うなら無愛想な点もあったわね」

 

エール「へぇ……」

プレリー「だから今の貴方達との会話や他の人に対しての態度とかを見たら本当に丸くなったなって思うわよ……笑った顔を見た時はとてもビックリしたわ」

アッシュ「笑わなかったの?」

 

プレリー「少なくとも私がまだ小さかった時は見た事無かったわ。最初の方なんて全く喋らなかったってお姉ちゃんも言ってたし」

ヴァン「今のゼロさんからじゃ想像つかないな……ずっと昔の、イレギュラーハンターとして活躍していた時代のゼロさんもそんな感じだったのかな?」

 

プレリー「さぁ、そこまでは分からないわね……当時のゼロを知っているのはごく限られた存在だけだもの」

エール「英雄エックスとか」

アッシュ「あのゼロさんが話してたカーネルとかいう奴とか?」

プレリー「その辺りね」

 

 

場面は1度ゼロ達の方へ移り、

 

ライドチェイサーに跨るゼロ。

シエル「ゼロ、どう?」

ゼロ「……初めて乗る訳だが、何故だか初めての気がしないな」

シエル「これ(・・)に乗るのは初めてだけど、何となく体が覚えているのかも知れないわね」

 

グレイ「これって後部座席の僕は何を?」

シエル「操作は前の方が行うけど、緊急時には操作を前から代わる事も出来るわ」

グレイ「まぁ、そんな事態はあって欲しくは無いけど……」

ゼロ「この手の扱いには慣れている、安心しろ」

グレイ「ゼロさんなら大丈夫って信じてますよ」

 

シエル「私もゼロなら大丈夫だって思ってるけど、向こうは当然狙ってくる筈だから気を付けてね。グレイ、貴方がレーダーを常に確認してゼロに危険を察知したら教えてあげて」

グレイ「了解」

 

一通り注意事項を聞いた所で、

ゼロ「……よし、行くか」

グレイ「はい」

 

シエル「2人とも、気を付けて」

ゼロ「分かっている……心配するな」

グレイ「じゃあ、行ってきます」

 

 

エンジンをかけ、凄まじいスピードで飛び出すゼロ達を見送り、彼等の無事を願うシエル。

 

 

場面は再びプレリー達に戻る。

エール「今の音……」

プレリー「……ゼロ達が行ったみたいね」

ヴァン「ゼロさんとか最近戦いっぱなしだな……大丈夫だって言ってたけど」

アッシュ「グレイも一緒だし、そう心配する事無いって」

エール「えらくグレイの肩を持つわね?」

アッシュ「そ、そんな事は無いわよ?」

 

ニヤニヤしているエールとプレリーに対して抗議するアッシュ。そんな3人を横目にヴァンはシエルと同じくゼロとグレイの無事を祈っていた。

 

 

 

 

 

一方ゼロとグレイ。

グレイから送られる情報を頼りにデブリ等を回避しながらも進んでいた。

 

グレイ「……ゼロさん、もうすぐ向こうの射程圏内に入ります」

ゼロ「あぁ」

 

 

ここからが本番である。

少しの間は平穏に進んでいたが、当然何も起こらない筈も無く……

 

グレイ「正面第一波、来ます!」

ゼロ「チッ……来たか!」

 

咄嗟に右に回避。あの時見たのと同じ砲撃がさっき居た場所を通過して行った。

 

グレイ「ゼロさん、間もなくアステロイドベルトに入ります。僕が指示した通りに動いて下さい」

ゼロ「頼むぞ」

 

失敗は死を意味する。そのプレッシャーに押し潰されそうになるも1度深呼吸をし、グレイは改めてレーダーを凝視する。

 

上、下、左、右、斜めも加わる咄嗟の指示にしっかり着いていくのに苦労しながらもゼロは巧みな操縦を見せ、グレイもゼロに正確な指示を送っていた。2人の華麗なコンビネーションにより砲撃をくぐり抜け、

 

グレイ「そろそろ見えて来る筈……あった!」

ゼロ「あれか……」

 

目的地であるジエンドが見えて来た。正しく巨大砲台、今まで見て来た物を凌駕する大きさの砲台がある要塞であった。

 

ゼロ「グレイ、着ける場所はあるか?」

グレイ「右下と左下にカタパルトがあります。ただ……」

ゼロ「ただ?」

グレイ「……カタパルトには行きません。この要塞の頂上部に突っ込みましょう」

ゼロ「頂上にか!?」

 

まさかの提案に驚くゼロ。

グレイ「カタパルトにはどうせ大量の敵が控えています、もしこのライドチェイサーを破壊されると大変な事になりますし、ここはいっその事頂上部に突撃して内部を掌握してしまいましょう。ライドチェイサーなら行けます」

 

ゼロ「あ、あぁ……了解した」

 

まだ驚きを隠せないものの、彼の指示に従い突撃する。何と要塞の外壁を上り頂上まで駆け登る。

 

が、

ゼロ(壁が堅いな……突撃して破壊は無理か?)

グレイ「ゼロさん、衝撃に気を付けて下さい!」

ゼロ「何?」

グレイ「ブラストボム!」

ゼロ「ッ!」

 

気が付いたらモデルFになっていたグレイは外壁に対しブラストボムを発射し、壁に穴を開けた。

 

グレイ「ゼロさん、行けます!」

ゼロはその言葉に頷き、

ゼロ「突っ込むぞ……しっかり捕まっていろ!」

 

外壁を破壊して中に侵入した。自分達が入った場所は管制室だろうか。

流石に想定外過ぎたのか、自分達の真下に居る敵も慌てている様に見える。

 

 

勢い良く着地したゼロとグレイは間髪入れずに敵の掃討を始める。

ゼロ「こちらゼロ、ジエンド内部に侵入した。任務を遂行する」

バスターを撃ちながらも軽く任務開始(ミッションスタート)を伝えた。

 

ゼロはどちらかと言えばライドチェイサーの近くで寄って来る相手を斬り伏せ、グレイは部屋全体を駆け回り遠距離型等の面倒な敵を撃破していく。

 

 

しばらくして、敵は居なくなり増援も止まった様だ。1度グレイと一息つく。

ゼロ「……こんなものか」

グレイ「とりあえずはここら一帯は制圧出来ましたかね」

 

ゼロ「ライドチェイサーはどうするか、持っていく訳にもいかんしな」

グレイ「この近くに隠せそうな場所があると思いますよ、少しの間だけここに置いときましょう」

ゼロ「あぁ」

 

改めてこの要塞を攻略していく訳だが、

グレイ「……」

 

グレイが何やら機械を触ったりしている。

ゼロ「どうしたんだ?」

グレイ「いや、この部屋はやけに機械が多いなと思って。今僕達が居る場所は高い位置にあるし、 見た感じ管制室か何かかなと。だったら監視カメラの映像とか見れてもおかしくはない」

ゼロ「ふむ」

 

確かに、とゼロはグレイの言葉に頷いた。

 

が、

グレイ「流石に暴れ過ぎちゃいましたね、殆ど壊れちゃってます」

ゼロ「……すまん」

グレイ「いや僕も同じですし、戦わないといけなかったし仕方ないですよ」

 

ゼロ「となると」

グレイ「地道に行くしか無いですね」

ゼロ「そうだな」

 

まずはライドチェイサーを置いておける場所を探しにゼロとグレイは歩き出した。

 

 

先程居た場所が管制室だったのかどうかは分からずじまいだったが、警報システムや監視カメラが機能していない事からしてそうだったのかも知れない。当然俺はそんな事は知らなかったし単なる偶然だが、動きやすくなったから結果オーライとしておこう。

 

 

グレイと探索する事数分。

2人はとある部屋に入った所で衝撃の光景を目にする事となった。

 

グレイ「ッ、ここって……」

ゼロ「レプリロイド製造、とは名ばかりのイレギュラー製造所といった所だな」

沢山の動いていないレプリロイド、そして更にはあのゴーレムも大量に居た。

旧式であり、いつか見た新型の方では無かった事からするとまだ他に製造所があるという事だ。

 

ゼロ「やはりバイルは宇宙の至る所でコイツ等を作り、地上に送り込んでいたという訳だ」

グレイ「……という事はここにいる奴等も?」

ゼロ「その可能性は十分にあるな」

グレイ「なら……」

ゼロ「まぁ待て……お前の気持ちは分かるが、まだおっ始めるには早い。まだ待つんだ」

 

グレイ「……はい」

 

グレイは作られた、という事に強く反応する。自分自身と重ね合わせる所があるのだろうか。

 

かつてシエルに目覚めさせられた時、シエルから頼まれた初めての任務がレプリロイドの処理施設の破壊だった事をふと思い出した。

 

ゼロ(変わっていないな……ずっと、ずっと昔からレプリロイドの扱いというのは)

 

人間とレプリロイドの関係性はどうなのか、共存は出来るのか、という疑問について自分はそれ程どうなのかと考えた事は正直あまり無い。ただ俺の親友はずっとその事に悩んでいて、その答えが出たのかどうかも俺は知らない。

 

 

グレイ「ゼロさん?」

考え込んでいたが、グレイの声で我に返った。

 

ゼロ「すまん、どうした?」

グレイ「ここには何も無さそうです。今は置いといて先に進みましょう」

ゼロ「あぁ……待てグレイ」

グレイ「はい?」

 

ゼロ「またどうやらかなり大量に敵が湧いて出てきたみたいだな」

グレイ「本当だ……」

少しすれば複数の足音が聞こえたので自分も分かったが、何と言うか彼のこういった時の鋭さには度々驚かされる。

 

ゼロ「来るぞ」

そして扉が開く。敵が入って来るが扉の両側に待機していたゼロとグレイが一瞬の内に複数の敵を破壊した。

 

ゼロ「……良し、増援は無い。行くか」

グレイ「はい」

 

 

更に2人で同じ階を探索し、階段やエレベーターの位置をマッピングしておく。

そしてとある部屋に入り、

 

グレイ「ゼロさん、見て下さい」

ゼロ「あぁ、ここならライドチェイサーを置いていけそうだ」

 

2人が入った部屋はここより下の階にある物資搬入口から直結しているエレベーターがある部屋で、倉庫の役割をしていた。ちょっとした攻撃では破壊出来ない鍵付きのスペースもある為、そこにライドチェイサーを置いておける様だ。

 

すぐにゼロがライドチェイサーを持って来て置いておき、部屋を出る。

 

 

ゼロ「改めて任務に移るか」

グレイ「ゼロさん、今回の任務は今までとは違うんですよね」

ゼロ「あぁ。今まで俺達が行ってきた任務は奪還や機能を停止させるのが殆どだったが、今回の任務は破壊だ」

 

グレイ「こういう施設はまた誰かが使うかも知れない、って事ですか」

ゼロ「そうだろうな。ここの機能を奪えれば役に立つ事もあるだろうが……それがシエルやプレリーの願いだ」

 

グレイ「ですね」

(それにわざわざこれ(ジエンド)の射程圏内に奴等が本拠地を作る筈が無い。そうだとすればあまりにも滑稽過ぎる)

ここを奪った後狙い撃ちして下さいという様なものだ。そこまで考えられない程奴等は馬鹿では無いだろう。

 

 

ゼロ(しかし一言に破壊と言ってもどうすれば良い?ここ自体かなり巨大な要塞であるし、内部から一々破壊するのは手間がかかり過ぎるな……)

 

1人で考えても仕方が無い、ここは自分より頭の回るグレイに頼る事にした。

 

ゼロ「グレイ、1つ良いか」

グレイ「この基地の破壊についでですね?」

ゼロ「え?あ、あぁ……」

 

まさかの考えを読まれた事に驚く。先程のが言葉として出ていたのか?等と思ってしまった。

 

グレイ「この要塞自体面積もかなり広いし外部からの破壊も難しそうですね。内部からやるしか無いですけど、それでも時間が掛かる」

ゼロ「あぁ」

どうやら自分と同じ考えらしい。

 

グレイは少しの間考え込んだが、

グレイ「……良い方法があります。ただ、かなりリスクは大きいです」

ゼロ「構わない、教えてくれ」

 

グレイ「ジエンドを利用するんですよ」

ゼロ「……まさか、自爆でもさせるのか?」

グレイ「そんな所です。まだジエンドの内部構造がどうなっているのかは分からないので一概に出来るとは言えませんが」

 

ゼロ「ふむ……確かに危険ではあるがその方法なら破壊は出来そうだな」

グレイ「それで、これからなんですが」

ゼロ「このジエンドの中枢を目指すのだろう?」

 

今度はゼロがグレイの考えを読んだ。グレイはニコリと笑い、

グレイ「それが一番早いかと」

コクリとゼロは頷き、

 

ゼロ「目的地も決まったな、行くぞ」

 

 

再び2人は進み始めた。

 

 




今回は短めでした。
ゼロとグレイが潜り込んだジエンドはラグナロクのプロトタイプという事で、また一波乱ありそうです。

私事にりますが、2月からそこそこ長い期間で休みがあるのでまた亀更新になりそうです(爆)
もしかしたらちゃんと書くかも知れません。

次の話はゼロとグレイからは一旦離れて少し番外編、ヴァン達のお話になります。あの人がまた登場する……?

それでは今回はこの辺で。また次の話でお会いしましょう(´~`)
アドバイス、コメントどしどし待ってます!


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