ソードマスター小次郎VS TUBAME (ルルー)
しおりを挟む

Fate/Grand Order ソードマスター小次郎VS TUBAME

「ねえ、小次郎ってどうやってあんな剣を身に着けたの?」

 

 人がにぎわうカルデアの食堂。

 そこでそばを食べる剣士、佐々木小次郎と、小次郎に疑問を投げかけている少女、人類最後のマスター、藤丸立香。

 

 この話のきっかけは、特異点の調査を行った際に、小次郎の剣技を立香が見て、興味を持った事にあった。

 

 「別に特別なことなどしておらんのだがなぁ、しいて言うならば、空を舞う燕を切ろうと、刀を振るっていたにすぎんよ」

 

 小次郎はなんてことはないといった風に答えを返す。

 

「うっそだー! それだけであんなすっごいことになるわけないでしょう!」

 

 だがマスターは小次郎の返答に納得がいかなかったようだ。

 

「嘘だといわれてもなあ、それが拙者にとっての真実なのだが‥‥」

 

 納得のいってないマスターの様子に小次郎は困っていた。

 

 だがマスターの言い分もわからなくはないだろう、佐々木小次郎の剣は、カルデアに召喚された数々のサーヴァント達と比べても引けを取ることはない。

 

 彼の『秘剣・燕返し』は、五つある魔法の一つ、第二魔法まがいのことをしでかしている。

 

 一般人から見れば何言ってんだこいつとなること必至であった。

 

「あんなトンデモ技を身に着けるまで切れなかった燕って一体‥‥」

 

 立香が疑問のスパイラルに落ちていると‥‥

 

「藤丸ちゃーん、召喚の準備ができたから召喚室に来てくれるかーい」

 

 と、ダヴィンチの放送が食堂に響く。

 

「あ、呼ばれたみたいだから行ってくるね、 また聞きにくるから!」

 

 立香は食堂を出て召喚室へと向かって行った。

 

「やれやれ、何度聞かれようとも、答えは同じだというのに‥‥」

 

 召喚室に向かう立香の姿を飲みながら小次郎は残りのそばを食べ始めた‥‥が

 

「む?」

 

 パキっと乾いた音を立てて小次郎の使っていた箸が縦に裂けた。

 

「ふむ、なにやら起こるやもしれんな」

 

 残ったそばを食べるため、小次郎はカウンターに箸を交換しに行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やあ、来たかい藤丸ちゃん」

 

「お疲れ様です、先輩」

 

 大きな召喚陣が引かれた部屋で二人の女性が立香を待っていた。

 

 立香を先輩と呼ぶ眼鏡をかけた少女、マシュ・キリエライト。

 実際にはカルデアのでの先輩は彼女であるのだが、まあここで話すことではないだろう。

 

 もう一人は、カルデアの技術顧問、レオナルド・ダ・ヴィンチ。

 いわずと知れた芸術家であり、万能の人。

 召喚される際に自身の性別を変える変t‥‥天才である。

 

「ささ、さっそく召喚陣の前へ、召喚の呪文はちゃんと覚えているかい?」

 

「だっ大丈夫、覚えてる覚えてる」

 

「なんだかちょっと不安だけど、ま、いっか」

 

「召喚されるサーヴァントは先輩の運次第です、頑張ってください!」

 

「なんだかギャンブルをやっている気分になってくるよ‥‥」

 

 そんなことを言いながら立香は召喚人の前に立ち詠唱を始める。

 詠唱を続えながらも、立香の頭の中では、まだ先ほどのことが残っていた。

 

 (一体どんな燕だったんだろう‥‥)

 

 佐々木小次郎の奥義を生み出すきっかけとなった一匹の燕。

 ドラゴンやキメラなどの幻想種を軽々と切り伏せる男が生涯をかけて切り伏せた存在。

 いったいどれほどの力を持っていたのか、果たしてそれは本当に燕だったのかそんなことを考えながら、詠唱は最後の一節となった。

 

「抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

 

 召喚陣に膨大な魔力が集まり視界が埋まるほどの光を放つ。

 光が晴れるとそこには‥‥

 

「鳥‥‥?」

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ、午後はどうするか」

 

 昼食を終えた小次郎は午後の予定を考えながら廊下を歩いていた。

 

「マルタ殿をからかいに行くのもいいが‥‥ん、何事か?」

 

 突如として廊下にアラームが鳴り響く。

 そして焦った様子のダヴィンチの声が響く。

 

「緊急事態だ! 動けるサーヴァントは至急、召喚室まで来てくれ!」

 

 カルデアにある重要な施設の一つ、召喚室でのトラブルはただ事ではない。

 基本的にカルデア非協力的なサーヴァントは召喚されないはずなのだが‥‥

 

「ふむ、急げば間に合うか‥‥」

 

 そんな説明を思い出しながら、小次郎は召喚室へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「戦闘になっているようだな‥‥」

 

 小次郎が召喚室へと向かっていると召喚室の方角から戦闘音が聞こえてきた。

 何かがとてつもないスピードでぶつかっているような音だ。

 だが、小次郎はそんなことよりも別のことを考えていた。

 

「この奇妙な感覚は何だ?」

 

 小次郎は召喚室に近づくにつれ不思議な感覚に陥っていた。

 

「何やら懐かしいような‥‥拙者に近い者でも呼ばれたのか‥‥そんなはずはないか」

 

 佐々木小次郎と呼ばれるこのサーヴァントは正確に言えば佐々木小次郎本人ではない。

 佐々木小次郎の秘剣、()()()()使()()()というだけのただの亡霊である。

 

 本来の佐々木小次郎であったならば、巌流島にて死闘を繰り広げた宮本武蔵などが呼び出されるかもしれないが、彼本人は佐々木小次郎を名乗るだけの存在、宮本武蔵などの英霊は呼び出されないだろう。

 だが、もし、何者かが召喚されるとするならば‥‥

 

「そんなこともあり得るのかもしれんな」

 

 そう考えながら、召喚室にたど着いた小次郎は、破壊された入り口で身をひそめながら中の様子をうかがっていた二人を見つけた。

 

「無事かマスター」

 

 小次郎は刀を抜き、戦闘態勢の状態で立香に声をかけた。

 

「小次郎君が来てくれたか! ちょうどいい、今はマシュが耐えてくれているが、時間の問題だろうさっそく加勢してくれるかい」

 

「心得た」

 

 小次郎が召喚室の足を踏み入れると同時に、濃厚な殺意が小次郎を襲う。

 だが小次郎はこの敵意に()()()()()()

 

「きゃあ」

 

「マシュ殿!」

 

 サーヴァントの攻撃でマシュが召喚室の外まで吹き飛ばされた。

 それにより戦っていた存在の姿が小次郎の目に映る。

 

「お主は!」

 

 何事にも動じることのない小次郎には珍しく驚きの色が現れる。

 なぜなら相手は()()()()()()()()()()因縁の相手。

 

「ふふ、なるほど、ダヴィンチ殿がちょうどいいとはそういうことか‥‥これもまた縁というやつかな」

 

 驚きの色を戦いの色へと変えて、小次郎は刀を構える。

 彼が構えるということは、そこから繰り出される技は一つしかありえない。

 

 構えた小次郎をサーヴァントは、空中にとどまりつづけ、小次郎をにらみつける。

 

「お主とまたこうなることになるとはな‥‥なあ()よ」

 

 小次郎が名前を呼んだ瞬間それを合図にと燕が動いた。

 

「お主が相手ならば、我が秘剣でなければなるまいよ――『秘剣・燕返し』」

 

「キーーーーーーーー」

 

 在りし日の思い出を再現するように、一人の剣士は空を舞うものへと戦いを挑んだ。




TUBAME‥‥いったいどんな存在なんだ‥‥


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。