Spirit-Another stories- (藺草影志(OVERBLOOD))
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本編
「花火大会 "前夜"」


――――――

 

――――

 

――

 

 

――甘兎庵――

 

 

 

リゼ「花火大会?」

 

 

千夜「良かったら今年もみんなでどうかしら?」

 

 

リゼ(去年はチノが誘ってくれたんだっけ……あれからもう、1年か)

 

 

千夜「リゼちゃん?」

 

 

リゼ「あっ……ああ、もちろんわたしは賛成だ」

 

 

千夜「良かった、ここあちゃんにとって初めてのお祭りだから喜んでくれると思って」ニコッ

 

 

リゼ「みんなにはもう話したのか?」

 

 

千夜「快くオッケーしてくれたわ。あとはここあちゃんだけ」

 

 

リゼ「ここあの答えなんて聞くまでも無いだろう」

 

 

千夜「今夜、いちおう電話貰ってもいい?」

 

 

リゼ「ここあの喜ぶ反応が知りたいだけじゃないのか?」

 

 

千夜「あら、ばれちゃった?」クスッ

 

 

リゼ「わかった、夜に聞いてみるよ」

 

 

千夜「ありがとう、朗報待ってるわ」

 

 

リゼ(みんなで花火大会……か)

 

 

 

リゼ(今年も、楽しいことがいっぱいだな♪)

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

――ラビットハウス――

 

 

 

リゼ「ふぅ」ガチャッ

 

 

ここあ「りぜちゃん、おかえりなさい♪」タタタ

 

 

リゼ「ただいま、待たせたな」ナデナデ

 

 

チノ「あの、リゼさん」

 

 

リゼ「千夜から聞いたよ。後はわたしに任せろ」

 

 

チノ「……!はい、お願いします//」

 

 

リゼ「さてここあ、そろそろ帰ろうか」

 

 

ここあ「うん!ちのちゃん、またね」ブンブン

 

 

チノ「ここあさん、また明日」フリフリ

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

――

 

――――

 

――――――

 

 

 

――PM8:40 客室――

 

 

 

ここあ「うーん……」トランプ

 

 

使用人「どれになさいます?」

 

 

ここあ「……これ!」スッ

 

 

リゼ父「俺はトランプよりテレビゲームの方がいいんだが」

 

 

リゼ「親父がここあをいじめるからダメだ」

 

 

リゼ父「あれはかわいい子ほどいじめたくなるという男特有のだな」

 

 

リゼ「小学生か!」

 

 

リゼ父「おっ、あがりだ」

 

 

ここあ「おとうさん、とらんぷもつよいんだね……!」

 

 

リゼ父「ふっ」ドヤッ

 

 

使用人(トランプでドヤ顔……)

 

 

リゼ「さぁ、次はお前だ」

 

 

使用人「では……」スッ

 

 

使用人「おっ、あがりのようです」

 

 

ここあ「りぜちゃんとしょうぶだね!」

 

 

リゼ「手加減しないぞ」

 

 

リゼ(とはいっても運勝負だが)

 

 

リゼ「――これか」スッ

 

 

リゼ「ジョーカー……やるな、ここあ」

 

 

ここあ「つぎはわたしだね」

 

 

リゼ「さぁ、どっちにする?」

 

 

ここあ「……これ!」スッ

 

 

ここあ「ぁ……やったぁ!」

 

 

リゼ「負けたか、ここあは強いな」ナデナデ

 

 

ここあ「でも3ばんだよ?」

 

 

リゼ「親父は反則でもしたんだ、ここあは2番だぞ」

 

 

リゼ父「リゼ!?」

 

 

使用人「次はどうします?大富豪でも?」

 

 

リゼ「……」チラッ

 

 

リゼ(そろそろ8時か……)

 

 

リゼ父「……な、なぁ、お前たち?」

 

 

使用人「?」

 

 

ここあ「ふぉぇ?」

 

 

リゼ父「あのな……来週の花火たいか――」

 

 

リゼ「ここあ、ちょっといいか?」

 

 

ここあ「?」

 

 

リゼ「来週――みんなで、お祭りに行かないか?」

 

 

リゼ父「!?」

 

 

ここあ「おまつり?」

 

 

リゼ「ああ、金魚すくいしたり輪投げをしたり、わたがしを食べたり林檎飴を食べたりして屋台を回るんだ」

 

 

ここあ「!」

 

 

リゼ「みんなで一緒に、浴衣を着てな」

 

 

ここあ「わたがし……ふわふわのやつ?」

 

 

リゼ「ああ、チノがここあと一緒に食べたいって言ってたぞ」

 

 

ここあ「……!」

 

 

リゼ「最後はみんなで打ち上げ花火を見よう」

 

 

ここあ「ぁ……!」パアァ

 

 

リゼ「どうだ?お祭り、一緒に行くか?」

 

 

ここあ「いきたいっ!!つれていって!!」ギュッ

 

 

リゼ「よし、来週はみんなでお祭りにいこう」ヒョイ

 

 

ここあ「わーい!」キャッキャッ

 

 

リゼ「ふふっ//」ニコッ

 

 

 

リゼ父「そんな……俺の計画が……」ガクッ

 

 

使用人「お嬢たちと行かれるつもりだったんですか……」

 

 

リゼ父「まだ諦めん……!タカヒロに相談だ!」ダダッ

 

 

使用人「!?お待ちを……!」

 

 

ガチャッ バタン!

 

 

使用人「」

 

 

リゼ「んっ、親父はどこに行ったんだ?」

 

 

使用人「えっと……なにやら急用ができたそうです」

 

 

リゼ「仕事か?まったく、みんなで遊んでる最中なのに」

 

 

ここあ「ゆうしゃさんもいっしょにおまつりいこう!」

 

 

使用人「ありがとうございます。ですが今回は遠慮しておきますね」

 

 

ここあ「いかない?」

 

 

使用人「当日、あっしは用事がありますので」

 

 

ここあ「そっか……」

 

 

使用人「お友達だけで、楽しんできてください」ナデナデ

 

 

ここあ「んっ……♪」

 

 

リゼ「いいのか?」

 

 

使用人「ええ、用事があるのは事実なので」

 

 

リゼ「そうか、お土産だけでも買ってくるよ」

 

 

使用人「お気遣いなく。では、あっしもこの辺で」

 

 

ここあ「おやすみなさい!」

 

 

使用人「良い夜を」ペコリ

 

 

 

ガチャッ バタン

 

 

 

リゼ「さて……」

 

 

――ベッド ポスッ

 

 

ここあ「りぜちゃん?」

 

 

リゼ「お祭りのこと、二人で相談しようか」

 

 

リゼ「ここあ――おいで」

 

 

ここあ「!――うん//」

 

 

――ギュッ

 

 

リゼ「おっと……」

 

 

ここあ「りぜちゃん、えへへ//」

 

 

リゼ「膝に座るんじゃないのか?」

 

 

ここあ「ううん、だっこがいい//」

 

 

リゼ「この体勢だと話しにくいぞ」

 

 

ここあ「いいの~//」スリスリ

 

 

リゼ「しょうがないやつめ」ナデナデ

 

 

ここあ「おまつり……たのしみだね//」

 

 

リゼ「ここあは初めてだもんな」

 

 

ここあ「げーむでみたみたいに、たくさんおみせがあるの?」

 

 

リゼ「ああ、色んな食べ物が売ってあるぞ」

 

 

ここあ「わなげとか、しゃてきとかも?」

 

 

リゼ「遊ぶものもいっぱいある。ここあのしたいこと、好きなだけやろうな」

 

 

ここあ「うん!//」

 

 

リゼ「よし、あと3日間の辛抱だぞ」

 

 

ここあ「はやくみんなでいきたいね//」

 

 

リゼ(まだこんな時間か……寝かしつけるにしても少し早いな)

 

 

Prrrrrrrrrrr――

 

 

リゼ「んっ?」

 

 

ここあ「でんわ?」ヒョイ

 

 

リゼ「チノからだ」

 

 

ここあ「ちのちゃん!かして、かして!」

 

 

リゼ「ほら」ピッ

 

 

チノ「もしもし、リゼさん。夜遅くにすいません」

 

 

ここあ「ちのちゃん、わたしだよ!」

 

 

チノ「ここあさん?」

 

 

ここあ「りぜちゃんからきいたの。おまつり、いっしょにいこうね!」

 

 

チノ「……!」

 

 

チノ「――はい……よかった//」ニコッ

 

 

ここあ「ふぉぇ?」

 

 

チノ「何でもないです。ここあさんはお祭りで何がしたいですか?」

 

 

ここあ「きんぎょすくい!しゃてきも!あとね――」

 

 

リゼ「…………」フッ

 

 

リゼ「……」スッ ガチャッ

 

 

――バタン

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

Prrrrrrrrrrrr――

 

 

リゼ「もしもし、千夜」Tell

 

 

千夜「リゼちゃん?おうちの電話からかけてるの?」

 

 

リゼ「いまわたしの携帯でここあがチノと話しててな」

 

 

千夜「チノちゃんから電話?……そう」

 

 

千夜「きっと心配だったのね」クスッ

 

 

リゼ「そうだろうな、チノらしい」

 

 

千夜「それで――……どう?」

 

 

リゼ「ああ、千夜のお望み通りだ」

 

 

千夜「それじゃあ……!」

 

 

リゼ「来週みんなと一緒に行くって、もうはしゃいでるよ」

 

 

千夜「ふふっ、可愛いわ。良かったわねシャロちゃん、ここあちゃん一緒に行くって」

 

 

シャロ「わ、わたしに振らなくていいから……!」

 

 

リゼ「シャロもいるのか?」

 

 

千夜「ええ、リゼちゃんからの報告にずっとそわそわして――」

 

 

シャロ「いちいち話すなぁっ!//」

 

 

リゼ「そうか、遅くなってすまないな」

 

 

シャロ「いえ、リゼ先輩のせいじゃありませんから……!」

 

 

リゼ「あと三日か、待ち遠しいな」

 

 

千夜「用意するものとかない?着物はウチで貸してあげられるけど」

 

 

リゼ「ここあの分はいいよ、用意してある」

 

 

シャロ(そういえばドレスルームのタンスに……)

 

 

千夜「リゼちゃん?」

 

 

リゼ「ん?」

 

 

千夜「――みんなで、いい思い出にしてあげましょうね」

 

 

リゼ「……ああ、もちろんだ」

 

 

千夜「クスッ、なんだか去年を思い出すわ」

 

 

シャロ「ココアがギリギリ間に合ったんだっけ」

 

 

リゼ「……………………」

 

 

千夜「リゼちゃん?」

 

 

リゼ「あっ……ああ……」

 

 

リゼ「…………なぁ、千夜、シャロ?」

 

 

千夜「?」

 

 

シャロ「どうしたんです?」

 

 

リゼ「……このしあわせ……いつまで続くのかな……」

 

 

シャロ「リゼ先輩……?」

 

 

リゼ「ココアのためにも……本当は永遠なんて望んじゃいけないんだけど……」

 

 

千夜「………………」

 

 

千夜「……大丈夫、リゼちゃん」

 

 

リゼ「え……?」

 

 

千夜「続くわ。ずっと、ずっと」

 

 

リゼ「千夜……」

 

 

千夜「そう信じて、まずは今を大切にしましょう。ねっ?」

 

 

リゼ「……そうだな」

 

 

リゼ「今は、今しかないよな」

 

 

シャロ「元気出してください、ここあが心配しますよ」

 

 

リゼ「ありがとう、千夜、シャロ」

 

 

リゼ「また明日、ラビットハウスが終わったら寄るよ」

 

 

 

リゼ「――みんなで花火か、それもいいな」

 

 

 

――

 

――――

 

――――――

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

リゼ(すっかり話し込んでしまった……)

 

 

リゼ(ここあのやつ、もう寝てしまったかな?)ガチャ

 

 

ここあ「……ゅぅ…………」コクリ

 

 

リゼ「ここあ?」

 

 

ここあ「ふぉぇ……?」

 

 

ここあ「あっ!…ん……」クシクシ

 

 

ここあ「りぜちゃん、おかえりなさい♪」

 

 

リゼ「待っててくれたのか」

 

 

ここあ「いっしょにねたかったから」

 

 

リゼ「ありがとう、優しいなお前は」ナデナデ

 

 

ここあ「んっ……//」

 

 

リゼ「部屋、片づけてくれたのか」

 

 

ここあ「うん、でもあの『えほん』だけとどかなくて……」

 

 

リゼ「上の本棚だもんな」スッ

 

 

リゼ「よっと……」

 

 

ここあ「きれいになったね」ニコッ

 

 

リゼ「無理に仕舞おうとしなかったんだな、偉いぞ」

 

 

ここあ「このまえりぜちゃんにいわれたから」

 

 

リゼ「怪我したら大変だから、ここあにできないことはわたしがするから大丈夫だ」

 

 

リゼ「その代わり、わたしにできないことはここあがしてくれ」

 

 

ここあ「まかせなさーい!」

 

 

リゼ「よし――歯磨きして、寝ようか」

 

 

ここあ「……」スッ

 

 

リゼ「?」

 

 

ここあ「だっこ、して?//」

 

 

リゼ「まったく……あまえんぼうめ」クスッ

 

 

ヒョイ――ギュッ

 

 

ここあ「えへへ……//」

 

 

リゼ「お祭り、楽しもうな」

 

 

ここあ「うん……//」

 

 

ここあ「りぜちゃんやみんなと、たくさんたのしいことするの//」

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

――夜 ラビットハウス――

 

 

 

リゼ父「タカヒロ、大変だ!」ガチャッ

 

 

タカヒロ「なんだ?騒々しい」

 

 

リゼ父「俺の娘たちとの花火大会計画が……!」

 

 

タカヒロ「今年もみんなで行くらしいな、チノから聞いたよ」

 

 

リゼ父「納得している場合か。このままだと、去年の二の舞になる……!」

 

 

タカヒロ「今年も手伝ってくれるのか?」

 

 

リゼ父「お断りだ!去年はお前に騙されたが、今年はそうはいかん」

 

 

タカヒロ「かといって、俺たちが娘たちの輪に入るわけにもいくまい」

 

 

リゼ父「ぐっ……それは、そうだが……」

 

 

タカヒロ「今年も、俺たちは大人しくしていよう」

 

 

リゼ父「……はぁ。また、思い出も無しか」

 

 

タカヒロ「………………」

 

 

タカヒロ「ほら」ドンッ

 

 

リゼ父「んっ……なんだこの段ボールは?」

 

 

タカヒロ「開けてみろ」

 

 

リゼ父「…………?」ガサッ

 

 

リゼ父「!――花火か?」

 

 

タカヒロ「お昼に、問屋で買ってきた」

 

 

リゼ父「どういうことだ?」

 

 

タカヒロ「たくさんあるから、大勢でやらないと無くならない」

 

 

リゼ父「……――!」

 

 

タカヒロ「あとは広い庭さえあれば、お祭りの後にみんなで楽しめるだろう」

 

 

リゼ父「タカヒロ……お前……」ウルウル

 

 

タカヒロ「みんなには言っておく、準備のほうは任せる」キラン

 

 

リゼ父「待ってる間、二人きりでこっそりお祭り行くか?」

 

 

タカヒロ「全力で拒否しよう」フッ

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next...



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「花火大会 "当日"」

ーー

 

ーーーー

 

ーーーーーー

 

 

 

――天々座家 PM6:00 ドレスルーム――

 

 

 

リゼ「千夜?まだか?」トントン

 

 

千夜「もう少しよ」

 

 

千夜「ここあちゃん、きつくない?」キュッ

 

 

ここあ「うん、だいじょーぶ」

 

 

千夜「最後にここを結んで――はい、オッケーよ」

 

 

ここあ「わぁ……!ありがとうちやちゃん!」

 

 

千夜「すごく似合ってるわ、ここあちゃん素敵よ」

 

 

 

ここあ「これね、りぜちゃんにかってもらったの」

 

 

千夜「可愛いわ、リゼちゃん良いセンスね」

 

 

使用人『お嬢、お止めください……!』

 

 

ここあ「?」

 

 

千夜「あら……?」

 

 

リゼ『離せ!もう限界だ!』

 

 

リゼ「はぁっ!」ガチャッ!

 

 

ここあ「!」

 

 

千夜「リゼちゃん、ちょうど今終わったところよ」

 

 

リゼ「ここあ……――!」

 

 

ここあ「りぜちゃん、みて」ニコッ

 

 

リゼ「」

 

 

千夜「りぜちゃん?」

 

 

リゼ「」

 

 

使用人「あの、お嬢?」

 

 

リゼ「」

 

 

ここあ「……?」

 

 

リゼ「……か……か」ブルブル

 

 

ここあ「ふぉぇ?」

 

 

リゼ「かわいいぞここあぁ!!」ギュッ

 

 

ここあ「きゃっ……!」

 

 

リゼ「やっぱりわたしのここあは世界一だぁ!可愛い、可愛いな!//」スリスリ

 

 

ここあ「うにぅ……くるしいよ//」

 

 

千夜「着崩れしちゃうわ。リゼちゃん、どうどう」

 

 

リゼ「ここあは何を着ても似合うなぁ、ふへへ//」ニヘラ

 

 

使用人「帯が崩れてしまいますから」アセアセ

 

 

リゼ「おっと、すまないつい」ジュル

 

 

シャロ「これでみんな着終わったわね」

 

 

チノ「ここあさん、上手く着れましたか?」

 

 

ここあ「うん!ちやちゃんにかみかざりもらったよ~」

 

 

チノ「可愛いです、似合ってますよ」ナデナデ

 

 

千夜「マヤちゃんとメグちゃんは?」

 

 

リゼ「さっきトイレに行くって――んっ?」prrrrr

 

 

リゼ「マヤからだ」ピッ

 

 

リゼ「もしもし?」

 

 

マヤ「リゼ、迷子になったよ助けて~」

 

 

メグ「変なところに迷い込んじゃったぁ」

 

 

リゼ「迷子?いまどこだ」

 

 

マヤ「武器がたくさん置いてあるよ」

 

 

メグ「これ、バズーカかな?」

 

 

リゼ「武器庫か。反対側じゃないか、いま迎えに行くからそこで待っていろ」ピッ

 

 

チノ「家の中で迷子ですか……」

 

 

シャロ「無理もないわ、この広さだもの」

 

 

千夜「使用人さんも浴衣どうですか?」

 

 

使用人「いえ、本日は留守番ですので……」

 

 

ここあ「みんなでおまつり……たのしみだね//」

 

 

チノ「ここあさん……――たくさん楽しみましょうね」スッ

 

 

ここあ「うん//」テ ギュッ

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

――

 

――――

 

――――――

 

 

 

――花火大会 会場――

 

 

 

ここあ「わぁ……!」キラキラ

 

 

リゼ「今年も賑わってるな」

 

 

千夜「去年よりもかなり人が多いわね」

 

 

シャロ「はぐれないように注意しないと……」

 

 

チノ「これがお祭りですよ。ここあさん、どうですか?」

 

 

ここあ「すごい……すごい!」

 

 

ここあ「おみせがいっぱい!いいにおい!」ピョンピョン

 

 

マヤ「そっかぁ、小さくなってからは初めてだっけ」

 

 

メグ「3日前からずっとたのしみにしてたみたい」ニコッ

 

 

ここあ「リゼちゃん、はやくいこう!」

 

 

リゼ「はぐれないように、みんなでゆっくりな」

 

 

千夜「ここあちゃんの行きたいところ、ついていくわ」

 

 

シャロ「なにが食べたい?それとも先に遊ぶ?」ナデナデ

 

 

チノ「まずは一通り見て回りますか?」

 

 

マヤ「ええ~そんなのじれったいって!ここあ、行こう!」グイッ

 

 

ここあ「うん!」

 

 

マヤ「チノもメグも!目指すは金魚すくいだ~!」タタタ

 

 

メグ「マヤちゃん待って~」タタタ

 

 

チノ「ここあさんが転んでしまいます……!」タタタ

 

 

リゼ「あんまり遠くに行くなよ~」

 

 

シャロ「大丈夫かしら?」

 

 

千夜「水を差さないでおきましょう」クスッ

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

――金魚すくい――

 

 

 

ここあ「さかながいっぱいいるね!」

 

 

チノ「これは金魚ですよ。こっちの黒いのがデメキンです」

 

 

マヤ「ほらここあ、これ持って」

 

 

ここあ「これ、なに?」

 

 

メグ「この網でお魚をすくうんだよ~」

 

 

チノ「網がなるべく濡れないようにすくうのがコツです」

 

 

マヤ「やってみればわかるって。誰が一番多くすくえるか競争だ!」

 

 

メグ「でもマヤちゃん、それだと初めてのここあちゃんが不利だよ」

 

 

チノ「なら、みんなで協力しませんか?4人でどれだけすくえるか」

 

 

マヤ「ちぇ~しょうがないなぁ、ここは共同戦線といこう」

 

 

ここあ「これで、おさかなをすくう……」

 

 

チノ「大丈夫ですここあさん、一緒にやりましょう」

 

 

チノ「こうして、網がなるべく濡れないように、ゆっくり……」スッ

 

 

――チャポッ

 

 

ここあ「!」

 

 

チノ「できますか?」

 

 

ここあ「うん……!やってみる!」

 

 

ここあ「こうして……」

 

 

チノ「もう少し、この辺です」

 

 

ここあ「こう……!」

 

 

チノ「そのままお椀へ」

 

 

ここあ「……!」

 

 

――ポチャッ

 

 

ここあ「ぁ……!ちのちゃん、できたよ!」

 

 

チノ「上手ですよ」

 

 

ここあ「きんぎょすくい、たのしいね」ニコッ

 

 

マヤ「よーし!ここあ、その調子で全部取りつくそう!」

 

 

メグ「そんなにお椀に入るかな?」

 

 

チノ「ここあさん、時間はありませんからゆっくり楽しんでくださいね。頼りにしてます」

 

 

ここあ「わたしにまかせなさーい♪」

 

 

 

 

マヤ「これで7匹目!」

 

 

メグ「逃げていくよ~待って~」

 

 

チノ(これで4匹……)チャポッ

 

 

ここあ「――あっ……!」

 

 

チノ「!」

 

 

ここあ「やぶれちゃった……」

 

 

チノ「デメキンを狙ったんですか、さすがに難しかったですね」

 

 

ここあ「ごめんねちのちゃん、3ひきしかとれなかった」

 

 

チノ「いいんですよ、よく頑張りましたね」ナデナデ

 

 

ここあ「んっ……」

 

 

チノ「ここあさん――はい」スッ

 

 

ここあ「ふぉぇ?」

 

 

チノ「もう一度、デメキンにチャレンジしましょう」

 

 

ここあ「でも……これ、ちのちゃんのだよ?」

 

 

チノ「わたしの代わりに、ここあさんにデメキンを取って欲しいんです。お願いできますか?」

 

 

ここあ「……!」

 

 

チノ「リゼさんもきっと驚いてくれますよ、二人で頑張りましょう」

 

 

ここあ「うん!わたしにまかせて!」

 

 

 

チノ「さっきのデメキンは――あれですね」

 

 

ここあ「かべによせて、ゆっくり……」

 

 

チノ「もう少しです……!」

 

 

 

――ビリッ

 

 

 

ここチノ「あっ……」

 

 

チノ(破れてしまいました……)

 

 

ここあ「……うぅ」

 

 

チノ(まずいです……余計にここあさんが責任を感じて……)オロオロ

 

 

メグ「――はい」スッ

 

 

ここあ「!」

 

 

メグ「ここあちゃん、わたしのも使って」ニコッ

 

 

チノ「メグさん……」

 

 

メグ「取れなくてもいいから、できる限り頑張ろう」

 

 

ここあ「めぐちゃん……でも」

 

 

マヤ「まだわたしの分もあるよ!」スッ

 

 

チノ「!」

 

 

マヤ「ここあ、諦めたらそこでおしまいだ!」

 

 

ここあ「まやちゃん……」

 

 

マヤ「デメキンに、チマメコ隊の底力をみせてやれー!」

 

 

ここあ「……!」

 

 

ここあ「うん……がんばるっ!」

 

 

メグ「それでこそここあちゃんだよ♪」

 

 

チノ「……マヤさん、メグさん」

 

 

マヤ「ここあに良い思い出、作らせてあげないとさ」ニシッ

 

 

メグ「わたしたちも、チノちゃんと同じ気持ちだよ」

 

 

チノ「――!」

 

 

チノ「……ありがとうございます//」

 

 

 

ここあ「ちのちゃん、まやちゃん、めぐちゃん!」

 

 

チノ「ここあさん……!」

 

 

マヤ「ここあ、もう少しだ!」

 

 

メグ「そのままゆっくり引きあげて……!」

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

リゼ「ほら、かき氷だ。好きな味を選んでいいぞ」

 

 

マヤ「コーラ!」

 

 

メグ「これレモンかな?」

 

 

シャロ「千夜って抹茶好きよね」

 

 

千夜「シャロちゃんはメロン?コーヒーだと去年みたいになるものね」

 

 

チノ「では、わたしはコーヒーを」

 

 

リゼ「ここあはマンゴーとイチゴ、どっちがいい?」

 

 

ここあ「いちご!」

 

 

リゼ「イチゴ味か。ほら、こぼさないように気を付けてな」

 

 

ここあ「わぁ♪いただきます」

 

 

ここあ「んっ……冷たいね」

 

 

リゼ「氷だからな」

 

 

ここあ「りぜちゃん」スッ

 

 

リゼ「んっ?」

 

 

ここあ「はい、あーん」

 

 

リゼ「……あーん//」ニヘラ

 

 

ここあ「どう、おいしい?」

 

 

リゼ「ああ、おいしいぞ」

 

 

リゼ「ほら、おかえしだ」

 

 

ここあ「あーん……//」

 

 

リゼ「どうだ?」

 

 

ここあ「おいしいよ、えへへ//」

 

 

リゼ「そうか~もう一口食べるか?あーん//」

 

 

ここあ「あーん//」

 

 

ツギハ リゼチャンノバンダヨ  マタカ? ショウガナイナァ//

 

 

シャロ「リゼ先輩……」

 

 

千夜(ほほえま~)ニコニコ

 

 

チノ(コーヒー味、甘くておいしいです)モグモグ

 

 

マヤ「あいたたたっ!」

 

 

メグ「マヤちゃん、急いで食べ過ぎだよぉ」

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

――ヨーヨー釣り――

 

 

 

千夜「ピンク色が釣れたわ」

 

 

ここあ「ちやちゃんみて、むらさき!」

 

 

千夜「ふふっ、ここあちゃんとりぜちゃんね」

 

 

ここあ「わたしとりぜちゃん?」

 

 

千夜「なんでもないわ。次はあの水色を狙いましょう」

 

 

ここあ「これだね」

 

 

千夜「わたしはこの黄色を……」

 

 

ここあ「やった!」

 

 

千夜「わたしも釣れたわ」

 

 

ここあ「つぎはあかいろ!」

 

 

千夜「わたしは青色を……」

 

 

ここあ「――とれたよ!」

 

 

千夜「わたしもなんとか取れたわ、けど破れちゃったわね」

 

 

千夜「ここあちゃんの紐も次で限界かしら」

 

 

ここあ「これでさいご?」

 

 

千夜「ええ、好きな色のものを取りましょう」

 

 

ここあ「ううん、みどりいろがいい」

 

 

千夜「えっ?」

 

 

ここあ「ちやちゃんが、まだだもん」

 

 

千夜「……!」

 

 

ここあ「ちやちゃんだけいないの、だめ」

 

 

千夜「ここあちゃん……」

 

 

ここあ「まっててね――っ……!」クイッ

 

 

ここあ「もうすこし……」

 

 

千夜「糸が破れちゃうわ……無理しなくて――」アセアセ

 

 

ここあ「ん!」

 

 

千夜「!」

 

 

ここあ「やった……!やぶれちゃったけどとれたよ!みて!」

 

 

千夜「ここあちゃん……ありがとう、嬉しいわ」ナデナデ

 

 

ここあ「これでみんないっしょだね」

 

 

千夜「ここあちゃんは、やっぱり天使ね//」ギュッ

 

 

ここあ「ふぉぇ?」

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

 

――吹き矢――

 

 

 

シャロ「意外と大きい的ね、これならパーフェクトを目指せるわ」

 

 

ここあ「しゃろちゃん、しょうぶだよ!」

 

 

シャロ「手加減は抜きよ、合計点の高い方が勝ち」

 

 

ここあ「このふきづつ、ちょっとみじかいね」

 

 

シャロ「そうね、これだと照準がブレちゃうわ」

 

 

店主(プロ……?)

 

 

シャロ「まぁ、やれるだけやってみましょう」

 

 

ここあ「いくよ~――フッ!」

 

 

シャロ「フッ!」

 

 

ここあ「70てん!」

 

 

シャロ「90点よ」

 

 

ここあ「まけないよ、まだまだ!」

 

 

シャロ「あと4発、一緒に450点以上を目指すわよ」

 

 

ここあ「いえっさー!」

 

 

シャロ「フッ!」

 

 

ここあ「スゥ……フッ!」

 

 

シャロ「80点か」

 

 

ここあ「まんなかにあたったよ!」

 

 

シャロ「すごいわここあ、その調子」

 

 

 

 

シャロ「結局お互い3等になっちゃったわね」

 

 

ここあ「ゆらちゃんからもらった『ふきづつ』なら450てんこえられたのに」

 

 

シャロ「お祭りのはわざと当てにくいようにしてあるから」

 

 

リゼ「おっ、戻ってきたか」

 

 

千夜「あら、その袋賞品?」

 

 

マヤ「すげぇ、大勝利じゃん!」

 

 

シャロ「本当は3等の賞品をもらえたんだけど……」

 

 

ここあ「ちのちゃんみて!」

 

 

チノ「可愛いお面ですね、ここあさんにぴったりです」ナデナデ

 

 

ここあ「ちのちゃんのぶんもあるよ、しゃろちゃんがくれたの!」

 

 

メグ「これ、4等の賞品?」

 

 

シャロ「ここあがお面が欲しいって言うから、これにしたわ」

 

 

千夜「ここあちゃんらしいわね」クスッ

 

 

リゼ「すまないなシャロ、ありがとう」

 

 

ここあ「ちのちゃんとおそろい//」

 

 

チノ「はい、ここあさんといっしょです//」ニコッ

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

チノ「卵せんべいって、黄身のところが難しくないですか?」

 

 

メグ「わかるよ~、噛んだらすぐにこぼれてくるもんね」

 

 

マヤ「ここあ、よーく見てなよ!」ハムッ

 

 

ここあ「わぁ!」

 

 

マヤ「こうして一気に噛めば、こぼれる前に食べられるんだ」モグモグ

 

 

ここあ「まやちゃんすごい!」ピョン

 

 

ここあ「わたしも……!」

 

 

――パクッ

 

 

ここあ「っ!?」

 

 

ここあ「あ……」

 

 

シャロ「ここあ……!」

 

 

千夜「あらあら、黄身がこぼれちゃったのね」

 

 

リゼ「拭いてやるからジッとしてろよ」フキフキ

 

 

ここあ「んっ……ごめんね」

 

 

リゼ「いいんだぞ、ここあにはまだ食べにくいよな」

 

 

リゼ「ほら、口にソースが付いてるぞ」

 

 

ここあ「ふぉぇ……」

 

 

リゼ「ゆっくり食べろよ、こぼしても怒ったりしないから」ポンッ

 

 

ここあ「りぜちゃん、ありがとう//」

 

 

リゼ「次は何が食べたい?」クスッ

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

――射的――

 

 

 

リゼ「ふむ……このタイプか」

 

 

ここあ「りぜちゃん、あれとって!」

 

 

リゼ「あのヘンテコなぬいぐるみか?」

 

 

ここあ「うってもゆれるだけでたおれないの」

 

 

リゼ「わたしにまかせろ」

 

 

リゼ「……ふっ!」

 

 

――グラグラ

 

 

リゼ「もう少し上の方か」

 

 

リゼ「よっと」

 

 

――バタッ!

 

 

リゼ「よし」

 

 

ここあ「ぁ……!」パアァ

 

 

ここあ「りぜちゃん、かっこいい!」

 

 

リゼ「次はどれがいい?」

 

 

ここあ「あれ!たおして!」

 

 

リゼ「おっ、あれか」

 

 

リゼ「ここあは小さい景品を頼むぞ」

 

 

ここあ「いえっさー!」

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

千夜「ずいぶん大量ね」

 

 

リゼ「すまない、調子に乗って取り過ぎてしまった……」

 

 

シャロ(さすがはリゼ先輩……)

 

 

チノ「ここあさんもたくさん取れたんですね」

 

 

ここあ「しゃげきならとくいだよ」エッヘン

 

 

メグ「リゼさん直伝だもんね」

 

 

マヤ「でもお菓子ばっかり~」

 

 

リゼ「…………」チラッ

 

 

リゼ「もう8時か……そろそろだな」

 

 

千夜「あと30分ね、今年も大きくあがるわ」

 

 

シャロ「去年のあの場所、行きますか?」

 

 

チノ「そうですね、人も多くなってきましたし……」

 

 

ここあ「?」

 

 

メグ「大きい花火があがるんだよ、どっかーんって」

 

 

マヤ「きっとおどろくよ、花火大会の目玉だから」

 

 

ここあ「おっきなはなび……」

 

 

リゼ「ああ、ここあにこれを見せたかったんだ。みんなで一緒に見よう」

 

 

ここあ「うん!」

 

 

千夜「確かあっちのほうだったわね」

 

 

シャロ「すごい人混み……ここを抜けないとダメね」

 

 

リゼ「よし!みんな、いくぞ!」

 

 

チノ「ここあさん、はぐれないように手を繋ぎましょう」ギュッ

 

 

ここあ「んっ」ギュッ

 

 

マヤ「メグ、わたしたちはチノとここあのボディガードだ」

 

 

メグ「らじゃー♪」

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

ザワザワ ザワザワ

 

 

リゼ「くっ……!」

 

 

千夜「この混み具合、去年の何倍かしら……!」

 

 

シャロ「く、苦しい……!」

 

 

チノ「んっ……!」ギュウウ

 

 

ここあ「わわっ……」ドンッ

 

 

マヤ「ここあぁ……チノぉ……!」

 

 

メグ「マヤちゃん、こっちだよ!」

 

 

――ドンッ!

 

 

ここあ「きゃっ……!」

 

 

チノ「あっ!ここあさん!」

 

 

リゼ「なんだ!?ここあに何かあったのか!」

 

 

千夜「リゼちゃん、立ち止まったらこけちゃうわ!」

 

 

シャロ「チノちゃんここあ!マヤちゃんメグちゃん!大丈夫!?」

 

 

マヤ「いるよ!」

 

 

メグ「わたしも!」

 

 

チノ「マヤさんメグさん、ここあさんは!?」

 

 

マヤ「ここあ……? ――っ!いないよ!?」

 

 

メグ「ここあちゃん、どこ~!?」

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

ここあ「…………」オロオロ

 

 

ここあ(どうしよう……はぐれちゃった……)

 

 

ここあ(たぶんあっち……でも、とおれない……)

 

 

ここあ(えっと……まいごになったら、もとのばしょにもどって……)

 

 

ここあ(…………)キョロキョロ

 

 

ここあ(もとのばしょ、どっちだっけ……?)

 

 

ここあ(こっち……?)

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

シャロ「ここあ……!」

 

 

チノ「ごめんなさい……わたしが」グスッ

 

 

メグ「チノちゃんのせいじゃないよ!」

 

 

マヤ「そうだよ!わたしたちも!」

 

 

リゼ「違う……お前たちのせいじゃない」

 

 

リゼ「わたしがここあを抱っこしておけば良かったんだ……浮かれて、つい」ギリッ

 

 

千夜「リゼちゃんもみんなも、落ち着いて」

 

 

千夜「まずはここあちゃんを探しましょう、手分けして探せばすぐに見つかるわ」

 

 

リゼ「千夜……ああ、そうだな」

 

 

千夜「ここあちゃんが見つかったらメールで報告、集合場所はここね」

 

 

リゼ「みんな、着信音だけ最大にしておいてくれ」

 

 

リゼ「わたしは東、千夜は西、チノは南側を、シャロは北側を頼む!」

 

 

シャロ「わ、わかりました!」

 

 

チノ「ここあさん、待ってて下さい……!」タタタ

 

 

マヤ「リゼ!わたしたちは?」

 

 

リゼ「マヤとメグはここで待っていてくれ。もしかしたらここあが遅れて来るかもしれない」

 

 

マヤ「わかった!」

 

 

メグ「ここあちゃん、早く帰ってきて」オロオロ

 

 

千夜「リゼちゃん、取り乱しちゃダメよ」

 

 

リゼ「わかってる……っ!」

 

 

リゼ(くっ……ここあ……!)タタタ

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

ここあ「……………」キョロキョロ

 

 

ここあ「ここ……どこ……?」

 

 

ここあ「…………」

 

 

ここあ「」グスッ

 

 

ここあ「っ……ぐすっ……りぜちゃん……」ジワッ

 

 

ここあ「ちのちゃん…ちやちゃん……ひっく…しゃろちゃん……」

 

 

ここあ「どこ……」ポロポロ

 

 

ここあ「…………っ」トボトボ

 

 

 

――

 

――――

 

――――――

----------------

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「Dear my sister」 ※チノルート

ここあ「……?」

 

 

ここあ「ここ……きんぎょすくいのばしょ……?」

 

 

ここあ「………………」

 

 

ここあ「」グスッ

 

 

ここあ「ちのちゃん……」ジワッ

 

 

 

チノ「――ここあさんっ!」

 

 

 

ここあ「!」

 

 

チノ「ここあさん……!」ハァハァ

 

 

ここあ「ちのちゃん……――ちのちゃんっ!!」

 

 

ギュッ

 

 

ここあ「ぅぐ……ちのちゃんっ……!」ポロポロ

 

 

 

チノ「ここあさん、ごめんなさい……遅くなりましたね」

 

 

ここあ「ぢの゛ちゃん……ううっうぇぇ……!」ポロポロ

 

 

チノ「もう大丈夫ですよ……わたしが――お姉ちゃんが付いてます」

 

 

チノ「ここあさんのこと、もう離したりしませんから」ナデナデ

 

 

ここあ「……っ!」ギュッ

 

 

チノ「また守ってあげられませんでしたね……ごめんなさい」

 

 

ここあ「ううん……」グスッ

 

 

チノ「喉かわきませんか?あっちにラムネが売ってありました、一緒に飲みましょう」

 

 

ここあ「…………」ギュッ

 

 

チノ「ここあさん?」

 

 

ここあ「てをつなぐだけじゃ、やだ……」

 

 

チノ「……そうですね」

 

 

チノ「なら――こうしてくっついて歩きましょう」ピトッ

 

 

ここあ「んっ……♪」

 

 

チノ「ここあさん、よく頑張りましたね」ナデナデ

 

 

チノ(報告のメールだけ、入れておかないと)ピッ

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

ここあ「ちのちゃん、みんなのところまにあうかな?」

 

 

チノ「27分……あと3分ですから、恐らくもう……」

 

 

ここあ「そっか……ごめんね……」

 

 

チノ「いいんですよ。おかげでこうして――」

 

 

チノ「ここあさんと二人きりで、花火を見られるんですから」スッ

 

 

ここあ「ぁ……//」

 

 

チノ「ここに座りましょう」

 

 

チノ「ここあさん、隣に」

 

 

ここあ「うん//」

 

 

チノ「……もう少しです」

 

 

ここあ「…………」ドキドキ

 

 

チノ「――あ……!」

 

 

ここあ「!」

 

 

 

 

 

チノ「あがりました……!」

 

 

ここあ「…………!」

 

 

チノ「今年も綺麗です」

 

 

ここあ「ぁ…………!」キラキラ

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

タカヒロ「今年も、打ちあがったな」

 

 

ティッピー「チノも今頃、ここあたちと見ている頃じゃろうか」

 

 

タカヒロ「ああ、きっとな」

 

 

ティッピー「ふむ」ピョン

 

 

タカヒロ「チノたちが帰ってきたら、今度はリゼくんの家で花火だ」

 

 

ティッピー「あそこのスランプ真っただ中も連れて行ってやるといいじゃろう」

 

 

青山「はっ……!マスターの声!?」

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

シーン……

 

 

チノ「終わりましたね……」

 

 

チノ「ここあさん、どうでしたか?」

 

 

ここあ「すごくきれいだったよ、ちのちゃんといっしょにみられてよかった//」

 

 

チノ「わたしもです」

 

 

ここあ「……ちのちゃん//」スリスリ

 

 

チノ「ここあさん……来年も一緒に――いえ」

 

 

チノ「また来年も、再来年もずっと……ずっと二人で見ましょうね」

 

 

チノ「約束です」

 

 

ここあ「うん!やくそく//」スッ

 

 

チノ「ゆびきりよりも、もっと……」

 

 

ここあ「ふぉぇ?」

 

 

チノ「ここあさん……」

 

 

 

――ホッペ チュッ

 

 

 

ここあ「……!//」

 

 

チノ「んっ……//」ギュッ

 

 

ここあ「ちの、ちゃん……?//」

 

 

チノ「……わたがし、買いに行きましょうか」

 

 

チノ「遊ぶのに夢中ですっかり忘れていました」

 

 

ここあ「ふたりでたべるっていってたもんね//」

 

 

チノ「いきましょう」スッ

 

 

ここあ「うん//」

 

 

 

ここあ「……ちのちゃん」

 

 

チノ「?」

 

 

ここあ「いつもわたしのわががままきいてくれて……ささえてくれて……」

 

 

ここあ「なんだか、ほんとうのおねえちゃんみたい//」ニコッ

 

 

チノ「!」

 

 

ここあ「ちのおねえちゃんだね//」

 

 

チノ「…………」

 

 

チノ「ずっと、わたしの姉妹でいてくださいね」

 

 

チノ「ここあさん……わたしの大切な――――」

 

 

ここあ「ちのちゃん……――」

 

 

 

ここあ「――だいすき//」ニコッ

----------------

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「ココロの居場所」 ※千夜ルート

ここあ「……?」

 

 

ここあ「ここ……よーよーつりのばしょ……?」

 

 

ここあ「………………」

 

 

ここあ「」グスッ

 

 

ここあ「ちやちゃん……」ジワッ

 

 

 

千夜「――ここあちゃん!」

 

 

 

ここあ「!」

 

 

 

――ギュッ

 

 

 

千夜「よしよし……遅くなってごめんなさいね……」ハァハァ

 

 

ここあ「ちや…ちゃん?」ジワッ

 

 

千夜「怖かったでしょう、もう大丈夫……」

 

 

ここあ「ぁ……!」

 

 

ここあ「ちやちゃん……ひっく…ぇぐ……!」ポロポロ

 

 

 

千夜「ここあちゃん……よく一人で頑張ったわね、偉いわ」ギュッ

 

 

千夜「大丈夫よ……もう、心配ないから」

 

 

千夜「たくさん泣いたら、また笑いましょう」

 

 

ここあ「ちやちゃんっ……ちやちゃん…!」ポロポロ

 

 

千夜「よしよし、ここあちゃんの怖い気持ち、早く飛んでいきますように」ナデナデ

 

 

ここあ「んっ……」グスッ

 

 

千夜「たくさん歩いて疲れたでしょう……ここあちゃん、おいで」スッ

 

 

ここあ「ふぉぇ?」

 

 

千夜「抱っこは長い間は無理だけど、おんぶなら大丈夫だから」

 

 

ここあ「でも……」

 

 

千夜「今は二人きりだから、思う存分甘えていいのよ」

 

 

ここあ「……!」

 

 

千夜「リゼちゃん以外にも――わたしにも、ね」ニコッ

 

 

ここあ「――うん//」

 

 

ここあ「ちやちゃん……//」ピタッ

 

 

千夜(報告メールだけ、済ましておきましょうか)ピッ

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

――甘兎庵――

 

 

 

お婆「…………」チラッ

 

 

お婆(あと5分かい……)

 

 

アンコ「…………」ジーッ

 

 

お婆「分かってるよ、今年も見るんだろ」

 

 

アンコ「」コクコク

 

 

お婆「そろそろ外に行くよ。まったく、こんなむし暑い日に」

 

 

アンコ「」ピョコピョコ

 

 

お婆「んっ……?」

 

 

アンコ「…………」ジーッ

 

 

お婆「抱っこかい?」

 

 

アンコ「」コクコク

 

 

お婆「……今日だけだよ」ヒョイ

 

 

アンコ「」フンス

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

千夜「♪~♪♪」

 

 

ここあ「すぅ……すぅ……」Zzz

 

 

千夜(たくさん遊んで、泣いて、疲れちゃったのね……)クスッ

 

 

千夜(……もうすぐかしら)

 

 

千夜「ここあちゃん、起きて?」

 

 

ここあ「ふぇ……?」

 

 

千夜「もうすぐ、花火があがるわ」

 

 

ここあ「んっ……ほんと?」ゴシゴシ

 

 

千夜「――!」

 

 

ここあ「!」

 

 

 

 

 

千夜「あがったわね……今年も」

 

 

千夜「……綺麗」

 

 

ここあ「……!」

 

 

千夜「ここあちゃん、どう?」

 

 

ここあ「あかるい……こんなにきれいなんだ……」

 

 

千夜「お気に召したかしら?」

 

 

ここあ「うん……すき//」

 

 

千夜「そう、良かったわ」クスッ

 

 

ここあ「はなびも……――みんなも、ちやちゃんも……//」

 

 

千夜「え……」

 

 

ここあ「ちやちゃんのせなか、あったかい……」

 

 

千夜「ここあちゃん……?」

 

 

ここあ「すごくあんしんできるの……//」

 

 

ここあ「いつもわたしのこと、みまもってくれて……」

 

 

ここあ「ちやちゃんがいるから、わたし……いろんなことしたいっておもえるよ」

 

 

ここあ「だって……ちやちゃんはぜったい、わたしのことおうえんしてくれるから……」

 

 

ここあ「わたしの、こころのいばしょ……//」スリスリ

 

 

千夜「…………」

 

 

ここあ「ちやちゃん……――すき……」

 

 

千夜「ここあちゃん……」

 

 

ここあ「………………」Zzz

 

 

千夜(寝ちゃったわ……)

 

 

千夜「………………」

 

 

千夜「ここあちゃん……わたし、ここあちゃんにとって心の拠り所になれてるのかしら」

 

 

千夜「もしそうだと、嬉しいな」

 

 

千夜「わたしも、好きよ」

 

 

千夜「小さくなっても……変わらず優しくて、いつもみんなを笑顔にしてくれるここあちゃんが」

 

 

千夜「あっ……また花火ね」

 

 

千夜「……明るいわ」

 

 

千夜「…………//」ポロポロ

 

 

千夜(ずっと……このまま……//)グスッ

 

 

 

千夜(幸せな毎日が、続きますように……//」

-----------------

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「正義のヒーロー・怪盗ラパン」 ※シャロルート

ここあ「……?」

 

 

ここあ「ここ……ふきやのおみせ……?」

 

 

ここあ「………………」

 

 

ここあ「」グスッ

 

 

ここあ「しゃろちゃん……」ジワッ

 

 

 

シャロ「――ここあ!」

 

 

 

ここあ「!」

 

 

シャロ「やっといたわ……!」ハァハァ

 

 

ここあ「……!しゃろちゃん……」

 

 

シャロ「大丈夫よ、怒ってないから……無事で良かった」グスッ

 

 

ここあ「しゃろちゃん……っ!」ギュッ

 

 

シャロ「よしよし、もう怖くないからね」

 

 

 

ここあ「ぐすっ……ごめんなさい……っ!」ポロポロ

 

 

シャロ「どうしてここあが謝るの……悪いのはわたしたちの方よ」ナデナデ

 

 

シャロ「一人ぼっちにして、ごめんね……」

 

 

ここあ「しゃろちゃん……!ぐすっ、ひっく……!」ポロポロ

 

 

シャロ「ほら、もう泣かないの。わたしまで泣いちゃうでしょ」グスッ

 

 

シャロ「ここあが無事ならそれでいいの、安心したわ……」ギュッ

 

 

ここあ「んっ……」グスッ

 

 

シャロ「待ってね、みんなに無事だったって知らせるから」ピッ

 

 

シャロ(花火、間に合うかしら……)

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

マヤ「んっ?」prrrrrr

 

 

メグ「シャロさんから!ここあちゃん見つかったって」

 

 

マヤ「ほんと!良かったぁ……!」

 

 

メグ「ヨーヨー釣りの場所にいたんだって」

 

 

マヤ「結構遠いな、こりゃ間に合わないかも」

 

 

メグ「みんなも戻ってこれるかな?」

 

 

マヤ「誰も来なかったらメグと二人きりだね」

 

 

メグ「マヤちゃんと二人かぁ、プライベートだとなんだか懐かしい気がするね」

 

 

マヤ「チノと出会ってからはずっと3人だったもんなぁ」

 

 

メグ「来年もまた、みんなで来られるといいね」

 

 

マヤ「うん!今度こそはここあも入れて4人で競争だ!」

 

 

メグ(マヤちゃん、なんだかんだいって手加減しちゃうんだろうな)ニコニコ

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

 

シャロ「ここあ、チョコバナナ食べられる?」

 

 

ここあ「わぁ……!ありがとう、しゃろちゃん//」

 

 

シャロ「本当にこんなベンチからでいいの?もう少し高いところからなら……」

 

 

ここあ「ここからでもみえるからへいきだよ」

 

 

シャロ「そう?ここあがいいなら」ストン

 

 

ここあ「んっ……♪」モグモグ

 

 

シャロ「結局、二人だけになっちゃったわね」

 

 

ここあ「ふぉぇ?」

 

 

シャロ「本当はリゼ先輩と見たかったでしょ、もう少し早く見つけてあげてれば」

 

 

ここあ「ううん、そんなことないよ」

 

 

ここあ「りぜちゃんやみんなとみたかったけど、でも、しゃろちゃんとふたりきりもうれしいから」ニコッ

 

 

シャロ「……//」

 

 

ここあ「あのね……しゃろちゃん?」

 

 

シャロ「んっ?」

 

 

ここあ「ふたりきりだから、へんなこといってもいい?」

 

 

シャロ「へんなこと……?いいわよ、聞かせて」

 

 

ここあ「……しゃろちゃんはね――わたしにとっての、『ひーろー』なんだよ」ニコッ

 

 

シャロ「ひーろー……?」

 

 

ここあ「まえに、りぜちゃんが『がっしゅく』にいって、ちやちゃんのおうちにおとまりしたとき、おぼえてる?」

 

 

ここあ「しゃろちゃん、さみしくてげんきがなかったわたしのこと、きにかけてくれて……」

 

 

ここあ「おいしいごはんつくってくれて、ぎゅってしてくれて……いっしょにねてくれて」

 

 

ここあ「りぜちゃんにおべんとうをとどけられなかったときも、たすけてくれて……」

 

 

ここあ「このまえのゆらちゃんとのしょうぶのときも、おそくまでふきやおしえてくれて……」

 

 

シャロ「ここあ……」

 

 

ここあ「しゃろちゃんはね、いつもわたしがぴんちになったらたすけてくれるの」

 

 

ここあ「このてをさしのべてくれて……わたしはそのてをつかんで」

 

 

ここあ「しゃろちゃんがいなかったら、きっと……まいにちがこんなにたのしくならなかった」

 

 

シャロ「…………」

 

 

ここあ「だからね――しゃろちゃんはわたしのひーろー//」

 

 

ここあ「たいせつなしんゆうで、わたしのあこがれ//」

 

 

シャロ「………………」

 

 

ここあ「しゃろちゃん?」

 

 

 

 

 

 

 

シャロ「!」

 

 

ここあ「わぁ……!」

 

 

ここあ「きれい……」キラキラ

 

 

シャロ「……ここあ」

 

 

 

――ギュッ

 

 

 

ここあ「ふぉぇ?」

 

 

シャロ「花火、楽しんでて……」

 

 

シャロ「こっち……見なくていいから……」グスッ

 

 

ここあ「……?」

 

 

シャロ「ここあ……ありがとう」ポロポロ

 

 

ここあ「しゃろちゃん……うん//」

 

 

シャロ「…………っ」ゴシゴシ

 

 

シャロ「――さて」

 

 

スッ

 

 

シャロ「花火も終わったし、みんなのもとに帰るわよ!」

 

 

ここあ「――!それ、『かいとうらぱん』のめがねっ!」

 

 

シャロ「お面屋で売ってたから千夜と一緒に買ってみたの」

 

 

ここあ「しゃろちゃん、ほんもののらぱんみたい……!」

 

 

シャロ「怪盗――もとい、正義のヒーローラパン。おりこうさんなここあを迎えに来たわ」ビシッ

 

 

ここあ「せいぎのひーろーらぱん!」ビシッ

 

 

シャロ「ほら、手を繋ぎましょう」

 

 

シャロ「これからもここあが躓いたときは、わたしが必ず助けるから」

 

 

シャロ「だから安心してなさい」ニコッ

 

 

ここあ「うん//」

 

 

ここあ「しゃろちゃん……//」

 

 

 

ここあ「わたしの、あこがれのひーろー//」ニヘラ

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「セカイでイチバン」 ※リゼルート

ここあ「……?」

 

 

ここあ「ここ……しゃてきのおみせ……?」

 

 

ここあ「………………」

 

 

ここあ「」グスッ

 

 

ここあ「りぜちゃん……」ジワッ

 

 

 

リゼ「――ここあ!」

 

 

 

ここあ「!」

 

 

リゼ「迎えに来たぞ……!」ハァハァ

 

 

ここあ「りぜ…ちゃん……!」

 

 

――ギュッ

 

 

リゼ「ここあ……」

 

 

ここあ「うぇえっええぇんっ!!」ポロポロ

 

 

リゼ「ごめんな……」ナデナデ

 

 

 

リゼ「わたしがいながら、また……」

 

 

ここあ「りぜちゃん……っ!」ポロポロ

 

 

リゼ「好きなだけ泣いていいぞ、怖かったな」

 

 

ここあ「ぅぐ……ひっぐ……!」ポロポロ

 

 

リゼ「ここあが泣き止むまで、ずっとこうしてるから」

 

 

ここあ「ぐすっ、り゛ぜちゃん……」スリスリ

 

 

リゼ「抱っこの方がいいか?」

 

 

ここあ「うん……」

 

 

リゼ「わかった……――っと」

 

 

ここあ「んっ……」

 

 

リゼ「浴衣、着崩れしちゃうな」

 

 

ここあ「ううん、いいの……」グスッ

 

 

ここあ「りぜちゃん……」ギュッ

 

 

リゼ「ここあ……よしよし、わたしが付いてるぞ」ナデナデ

 

 

リゼ「みんなに、連絡だけしておこうな」ピッ

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

――天々座家――

 

 

 

リゼ父「………………」

 

 

使用人「あと少しで、大きな花火があがりますね」

 

 

リゼ父「本当は俺も、娘たちと一緒に見る予定だったんだが」

 

 

使用人「水を差すわけにはいきませんから……」

 

 

リゼ父「その代わり、締めにみんなで花火だ」

 

 

使用人「スイカでも用意しておきましょうか」

 

 

リゼ父「頼めるか?特大のがキッチンにゴロゴロしてるはずだ」

 

 

使用人(いくつ買われたんだろう……)

 

 

リゼ父「タカヒロのやつ、まだかな」

 

 

使用人「……あの」

 

 

リゼ父「なんだ?」

 

 

使用人「お伺いしたかったんですが……もし、予定通りお嬢たちと花火大会に行かれていたら、その――」

 

 

リゼ父「もちろん、お前も一緒だ」

 

 

使用人「!」

 

 

リゼ父「娘たちが、喜ぶからな」

 

 

使用人「………………」

 

 

リゼ父「締めの花火はお前の分もある……今夜も残れ」

 

 

使用人「……はい」ペコリ

 

 

リゼ父「いつも、世話をかけるな」

 

 

使用人「いえ……こちらこそ」

 

 

リゼ父「……………………」

 

 

使用人「あと、2分ですね……」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

ここあ「りぜちゃん、みんなのところいかないの?」

 

 

リゼ「ああ、今から行っても間に合わない。……それに」

 

 

リゼ「まだこうして、ここあを膝にのっけていたい……」ギュッ

 

 

ここあ「ん……//」

 

 

リゼ「ここあ……」スリスリ

 

 

ここあ「りぜちゃんとふたりきり……えへへ//」

 

 

リゼ「ああ、誰もいない……」

 

 

リゼ「ここあとわたし、セカイで二人きりだ」

 

 

ここあ「……………………」

 

 

ここあ「……りぜちゃん」

 

 

リゼ「んっ……?」

 

 

ここあ「……わたし、まだりぜちゃんのそばにいていいの……?」

 

 

リゼ「……?」

 

 

ここあ「だって……わたしは、ほんとうは……」

 

 

リゼ「…………」

 

 

ここあ「だから、いつかは――」

 

 

リゼ「一緒だ」

 

 

ここあ「え……」

 

 

リゼ「ずっと一緒だよ……心配するな……」

 

 

ここあ「……でも」

 

 

リゼ「そんなの関係ない……」ギュッ

 

 

リゼ「わたしがこの世で一番好きなお前は、お前しかいないんだ……」

 

 

リゼ「友人だったココアの代わりがいないように、お前の代わりも、どこにもいない……」

 

 

リゼ「ここあはちゃんと存在している。触れられるし、暖かい……わたしの大好きなここあだ」

 

 

リゼ「例えこの世の全てがお前を否定したとしても、わたしはお前を守る……守ってやる」

 

 

リゼ「ここあのためなら、世界中が敵になっても恐くない……」

 

 

ここあ「りぜちゃん……」

 

 

リゼ「だから、一緒にいてくれ……ずっと、ずっと……」

 

 

 

リゼ「ここあ――愛してるぞ」

 

 

 

 

 

 

 

リゼ「!」

 

 

リゼ「花火か……明るいな……――!」

 

 

ここあ「…………」ポロポロ

 

 

リゼ「ここあ……」

 

 

ここあ「ほんと……?りぜちゃん、さっきのことば……」

 

 

リゼ「ああ、ほんとうだ」

 

 

ここあ「……そっか//」ポロポロ

 

 

ここあ「ならもう、だいじょうぶ……」

 

 

――ギュッ

 

 

ここあ「りぜちゃんはぜったい、うそつかないもん……//」スリスリ

 

 

ここあ「ずっと、いっしょだよ……//」ポロポロ

 

 

 

ここあ「わたしもりぜちゃんのこと――あいしてるから//」ニコッ

 

 

 

………………。

 

 

…………。

 

 

……。

 

 

 

……すまない。ココア……みんな。

 

 

わたしはもう。

 

 

元の日常に戻ることを、願えそうにない……。

 

 

この幸せが。今が。

 

 

永遠に続くことを。

 

 

 

 

リゼ「…………」ヒョイ

 

 

リゼ「さて……皆のところに戻るか」

 

 

リゼ「この後は親父や使用人も入れて、みんなで花火大会だ」

 

 

ここあ「ぁ……!」パアァ

 

 

リゼ「ここあ……いっしょに帰ろう」

 

 

 

リゼ「わたしたちの家に//」

 

 

 

ここあ「――うん//」

---------------

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「シークレット」

ここあ「……?」

 

 

ここあ「ここ……しらないばしょ……?」

 

 

ここあ「………………」

 

 

ここあ「」グスッ

 

 

ここあ「りぜちゃん……」ジワッ

 

 

 

ユラ「あれ~……?」

 

 

ここあ「!」

 

 

ユラ「ここあちゃん?」

 

 

ここあ「ゆらちゃん……!」グスッ

 

 

ユラ「リゼは~?もしかしてはぐれちゃった?」

 

 

ここあ「うん……」コクリ

 

 

ここあ「りぜちゃんとみんなといっしょにきたのに、わたしだけまいごになっちゃって……」

 

 

ユラ「そっか~……」

 

 

 

ここあ「もうすこしで『はなび』がはじまっちゃう……いっしょにみるってやくそくしたのに……」ポロポロ

 

 

ユラ「…………」

 

 

――スッ

 

 

ここあ「ふぉぇ?」

 

 

ユラ「リンゴアメだよ~食べてないからここあちゃんにあげる」

 

 

ユラ「だからまずは泣き止もう~ユラお姉ちゃんが何とかしてあげるから~」

 

 

ここあ「ゆらちゃんが……?」

 

 

ユラ「わたしこの子をリゼに送り届けてくるから、みんなでまわってて~」

 

 

ユラ「――大事な友達なんだよ。リゼの親戚の子」

 

 

ユラ「うん、あとで連絡入れるから迎えにきてよ~」

 

 

ユラ「それじゃあ一旦かいさーん」フリフリ

 

 

ここあ「ゆらちゃん……」

 

 

ユラ「大丈夫、大船に乗ったつもりでいてよ~」

 

 

ユラ「ゆらお姉ちゃんはリゼのことならなんだってわかるんだよ~」

 

 

ユラ(携帯電話ポチッと)

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

リゼ「!」prrrr

 

 

リゼ「電話……」

 

 

リゼ「もしもし」

 

 

ユラ「あっ、リゼ~?」

 

 

リゼ「悪いけど後にしてくれないか?今電話で話してるどころじゃないんだ」

 

 

ユラ「ここあちゃんのことより大事な用があるの?」

 

 

リゼ「っ!?ここあ!?」

 

 

ユラ「いまわたし、ここあちゃんと一緒にいるんだよ~すごいでしょ」

 

 

リゼ「どこにいるんだ!?さっきここあとはぐれてしまって……!」

 

 

ユラ「ここあちゃんから聞いたよ~」

 

 

ユラ「とりあえずすぐに連れて行くから、探しているみんなに連絡入れてあげてよ~」

 

 

リゼ「いや、わたしが迎えに!」

 

 

ユラ「それで入れ違いになったら……花火間に合わないよ?」

 

 

リゼ「っ……!」

 

 

ユラ「リゼ、スピードミッションだからお互い効率的に動こう~」

 

 

ユラ「場所だけ教えて。大丈夫、幼馴染を信じなよ~」

 

 

リゼ「……わかった」

 

 

リゼ「ここあのこと、頼む」

 

 

ユラ「任せて~」

 

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

ユラ「さてここあちゃん、いこっか~」

 

 

ここあ「りぜちゃん、どこにいるの?」

 

 

ユラ「こっちだよ~ユラお姉ちゃんが案内するね」スッ

 

 

――テ ギュッ

 

 

ここあ「ぁ……//」

 

 

ユラ「はぐれないように手繋ごう~、友達だからいい?」

 

 

ここあ「うん……!」

 

 

ユラ「それじゃあリゼの元に駆け足~♪」

 

 

 

――

 

――――

 

――――――

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

千夜「ここあちゃん、見つかったの?」タタタ

 

 

リゼ「ああ、さっきそう電話がかかってきた」

 

 

シャロ「まさか吹き矢部部長が見つけてくれるなんて……」

 

 

チノ「あと2分……間に合うでしょうか」

 

 

マヤ「ここって場所が分かってても暗いから……」

 

 

メグ「――あっ!あれ……!」

 

 

 

 

 

ここあ「りぜちゃん!ちのちゃん!みんな!」タタタ

 

 

千夜シャロ「!」

 

 

チノ「ここあさん……!」

 

 

リゼ「ここあ……!」

 

 

――ギュッ

 

 

ここあ「りぜちゃん――ただいま//」

 

 

リゼ「ここあ……ここあぁ!」

 

 

リゼ「心配したぞぉ!独りぼっちにしてごめんなぁ!」スリスリ

 

 

ここあ「ううん……はぐれちゃってごめんなさい」

 

 

シャロ「何もなかった!?怪我とかしてない!?」

 

 

ここあ「だいじょうぶだよ」ニコッ

 

 

千夜「良かった……本当に」ギュッ

 

 

ここあ「りぜちゃん、みて~」

 

 

リゼ「これ……りんごあめ?」

 

 

ここあ「ゆらちゃんにもらったの♪」

 

 

リゼ「――!そういえば、あいつは?」

 

 

チノ「どこにもいません……」キョロキョロ

 

 

メグ「帰っちゃったのかな……?」

 

 

マヤ「もしかして、おばけだったんじゃね?」

 

 

シャロ「ひっ……」ブルッ

 

 

ここあ「ううん、ゆらちゃんはね――」

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

 

ユラ「あっ……いたいた、あれだね~」

 

 

ここあ「りぜちゃんたち……!」

 

 

ユラ「とうちゃくっと。よく頑張ったね~」ナデナデ

 

 

ここあ「ありがとう、ゆらちゃん//」

 

 

ユラ「みんなのところに行っておいで~ユラお姉ちゃんはこれで失礼するね」

 

 

ここあ「どうして?ゆらちゃんもいっしょにいこう?」

 

 

ユラ「ありがとう~。でも、今回は遠慮しておこうかな」

 

 

ユラ「あれはここあちゃんたちの居場所……ユラお姉ちゃんは、もう少し仲良くなってからかな~」

 

 

ここあ「ふぉぇ?」

 

 

ユラ「またね~」フリフリ

 

 

ここあ「ぁ……」

 

 

ここあ「ゆらちゃん、こんどはいっしょにおまつりいこうね!やくそくだよ!」

 

 

ユラ「♪」ニコッ

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

リゼ「そうだったのか……あいつ……」

 

 

シャロ「吹き矢部部長、変に気遣いするところありますから」

 

 

千夜「今度、みんなでお礼を言いにいきましょうか」

 

 

リゼ「そうだな、ここあの大事な友達だしな」ナデナデ

 

 

ここあ「んっ……♪」

 

 

メグ「ほら、チノちゃん」

 

 

マヤ「チノ」グイッ

 

 

チノ「あっ……」

 

 

ここあ「ちのちゃん……!」

 

 

チノ「ここあさん……」

 

 

 

チノ「――おかえりなさい//」

 

 

 

ここあ「――!」

 

 

ここあ「うん――ただいま!//」

 

 

 

――ギュッ

---------------

end.



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未発表作品集:unpublished flims
unpublished flim 1「変」


目次

unpublished 1.「イメチェン」


unpublished 1.「イメチェン」

 

――甘兎庵――

 

 

千夜「これ……ブレスレット?」

 

 

千夜(腕にはめるアクセサリーね……そういえば、クラスメイトの子達も何人かしていたわ)

 

 

千夜(おばあちゃん、誕生日プレゼントにどうしてこんなもの……)

 

 

千夜(またテレビの流行に踊らされちゃったのかしら)

 

 

婆『千夜も年頃なんだから、もう少し若者らしくしな』

 

 

千夜「……………………」スッ

 

 

――カガミノマエ

 

 

千夜「……やっぱり似合わないわ」

 

 

 

千夜(うーん、黒髪だからかしら、それともヘアアクセが和風過ぎるから?)

 

 

千夜「……いっそのこと金髪にして」

 

 

千夜(――って、それはダメ!甘兎庵のイメージが崩れるわ)

 

 

千夜(…でも、せっかくおばあちゃんからもらったものだし………)

 

 

千夜「………………」

 

 

千夜「……そうね、せめてヘアアクセだけでも変えれば――」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 

――翌日――

 

 

千夜「…………」スッ

 

 

千夜「……」ゴクリ

 

 

――カガミノマエ

 

 

千夜「!」

 

 

千夜(思っていたより………これなら自然にイメージチェンジできたんじゃないかしら)

 

 

千夜(ヘアアクセを変えてブレスレットをつけただけでもこんなに変わるのね、なんだか嬉しいわ♪)

 

 

千夜(――みんなは、どう思うかな)

 

 

千夜(さすがに髪型変えるのは露骨よね、せめて服はいつもより少し明るめのものを)ガサゴソ

 

 

千夜(気付いてくれるといいんだけど)

 

 

――

 

――――

 

――――――

 

 

――翌日 ラビットハウス――

 

 

千夜「………………」

 

 

千夜「よし、いざ」フンス

 

 

ガチャッ

 

 

千夜「こんにちは」

 

 

リゼ「おっ、千夜じゃないか、いらっしゃい」

 

 

千夜「あら、リゼちゃんだけ?」

 

 

リゼ「チノは倉庫に行ってる、ココアは……たぶん寝坊だろう」

 

 

千夜「ちょっと早く来すぎたかしら」

 

 

千夜(まずはリゼちゃんね、気付いてくれるかな……)

 

 

千夜「それじゃあ、カフェラテくださいな」

 

 

リゼ「了解、ちょっと待っててくれ」

 

 

千夜「……………………」ウズウズ

 

 

リゼ「♪~♪♪」

 

 

千夜「……………………」ワクワク

 

 

リゼ「」シャッシャッ

 

 

千夜「……………………」

 

 

リゼ「ほら、完成だ」

 

 

千夜「………………」

 

 

リゼ「千夜?」

 

 

千夜「はっ…!あ、ありがとう……」

 

 

リゼ「……あれ?千夜、それ……」

 

 

千夜(きた!)

 

 

リゼ「混ぜずに飲むのか?カフェラテは混ぜて飲んだほうがおいしいぞ」

 

 

千夜「…………」

 

 

リゼ「絵を壊すのがもったいないからそのまま飲む人が多いけど……――?おい、千夜?」

 

 

千夜「っ……そ、そうね……そうよね…………」

 

 

千夜「…………」シュン

 

 

リゼ「?」

 

 

千夜(リゼちゃんには気付いてもらえなかった……)

 

 

 

チノ「お待たせしました――――千夜さん?」

 

 

千夜「チノちゃん、おはよう」

 

 

チノ「おはようございます、今日は甘兎庵はお休みなんですね」

 

 

千夜(チノちゃんなら気付いてくれるかも)

 

 

千夜「そうなの、だからラビットハウスに遊びに来ちゃった」

 

 

チノ「ゆっくりしていってください、恐らくお昼まで誰も来ないので」

 

 

リゼ「チノ、それ言ってて悲しくならないか……?」

 

 

千夜「……………………」ウズウズ

 

 

チノ「ココアさんはまだですか?」

 

 

リゼ「さっき2階がドタバタしてたし、そろそろ来ると思うぞ」

 

 

千夜「……………………」ワクワク

 

 

チノ「まったく、しょうがないココアさんです」

 

 

リゼ(寝坊させてやるチノも甘いけどな)

 

 

千夜「……………………」

 

 

チノ「!…千夜さん、あの――」

 

 

千夜(きた!)

 

 

チノ「その――コーヒーが零れてますよ?」

 

 

千夜「え………あっ、ほ、ほんとだわ」

 

 

チノ「待ってください、タオル持ってきますので」

 

 

リゼ「どうしたんだ千夜、今日は珍しくボーっとして」

 

 

千夜「あはは……なんだかまだ寝ぼけてるみたい、ごめんなさい」

 

 

チノ「千夜さん、シミになるといけないのでこれで早く」アセアセ

 

 

リゼ「チノ、それティッピーだ!」

 

 

千夜(チノちゃんにも気付いてもらえなかった……)シュン

 

 

 

ココア「ごめーん、遅くなっちゃった~!」ダダッ

 

 

チノ「おはようございます、今日は40分の遅刻です」

 

 

リゼ「また夜更かししてたんだろう」

 

 

ココア「昨日読んでた小説が面白くてつい」エヘヘ

 

 

千夜(いつも学校で一緒にいるココアちゃんなら……)

 

 

千夜「ココアちゃん、おはよう」

 

 

ココア「あっ、千夜ちゃんだ、おはよー!」

 

 

ココア「あれ、今日はシャロちゃんは?」

 

 

千夜「朝からアルバイトにいったわ、今日は夕方までみっちり詰まってるみたい」

 

 

ココア「そっかぁ、大変だね」

 

 

千夜「……………………」ウズウズ

 

 

ココア「この前の文化祭、楽しかったね」

 

 

千夜「ええ」ワクワク

 

 

ココア「今度はリゼちゃんところの学校に行きたいな」

 

 

リゼ「ウチは文化祭なんて無かったような気が……」

 

 

ココア「ええっ!?」

 

 

チノ「さすがはお嬢様学校です」

 

 

キャッキャッ ワイワイ

 

 

千夜「……………………」

 

 

千夜「」シュン

 

 

ココア「……?千夜ちゃん、なんだか元気ないね?」

 

 

千夜「っ!ううん、そんなことないわ……大丈夫よ……」

 

 

リゼ「風邪の予兆なんじゃないか?気だるいなら家で安静にしてたほうが――」

 

 

千夜「いいえ………――リゼちゃん」

 

 

千夜「ブラックコーヒー、5杯くださいな」ニコッ

 

 

リゼ「5杯……!?」

 

 

チノ「千夜さん、そんなに飲んだら身体が……」

 

 

ココア「そうだよ千夜ちゃん、せめてミルクだけでも……!」

 

 

千夜「大丈夫よ……」

 

 

千夜(今日はやけコーヒーで自嘲しましょう……)

 

 

千夜「…………」シュン

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 

――夕方――

 

 

千夜「…………」トボトボ

 

 

千夜(結局誰も気付いてくれなかった……)

 

 

千夜(やっぱりわたしには、こんなブレスレットもヘアアクセも似合わないわよね……付けても変わらないし)

 

 

千夜「…………はぁ」ションボリ

 

 

シャロ「――千夜?」

 

 

千夜「?………シャロちゃん、おかえりなさい」

 

 

シャロ「どうしたのよ、そんな暗い顔して」

 

 

千夜「ううん、なんでもないわ……ただ、自意識過剰だった自分を嘲笑ってるの」

 

 

シャロ「なによそれ………」

 

 

千夜「…………」ウツムキ

 

 

シャロ「……?」

 

 

シャロ「ところで千夜、今日はどうしてそんな格好なの?」

 

 

千夜「……え」

 

 

シャロ「そのヘアアクセ、いつものやつじゃないわよね?服装もなんだかココアみたいだし……」

 

 

千夜「……!」

 

 

シャロ「あっ、そのブレスレットこの前テレビで紹介してたやつじゃない、ウチの学校でもつけてる子がいたわ」

 

 

千夜「……!!」

 

 

シャロ「なんだかいつもの千夜じゃないみたい、今風っていうか……もしかしてイメチェン?」

 

 

千夜「………………」

 

 

シャロ「……?千夜……?」

 

 

千夜「…………」ボソッ

 

 

シャロ「?」

 

 

千夜「シャロちゃんっ!」ダキッ

 

 

シャロ「ひゃあっ!?」ビクッ

 

 

千夜「シャロちゃんありがとう!だーいすき♪」ギュッ

 

 

千夜「シャロちゃんなら気付いてくれると思ってたわ」ニコッ

 

 

シャロ「ちょっと落ち着きなさい、一体何がどうなってるのよ!」

 

 

千夜「ふふ、シャロちゃん、シャロちゃん♪」モフモフ

 

 

シャロ「いまは汗臭いからモフモフしないで!」

 

 

千夜「そんなの気にしなくていいわ、シャロちゃん……!」スリスリ

 

 

シャロ「わたしが気にするのよー!」

 

 

――

 

――――

 

――――――

 

 

 

――浴室――

 

 

シャロ「おばあちゃんからのプレゼントだったんだ」

 

 

千夜「そうなの、おばあちゃんたら高いお金出してあんなもの」

 

 

シャロ「なるほどね、どうせ千夜のことだから、付けないのも申し訳ないと思って……」

 

 

千夜「うん……ヘアアクセも服装も、なるべくブレスレットに似合うように合わせてみたんだけど……」

 

 

シャロ「結局誰にも気付いてもらえず、あんな暗い顔してたってわけね」

 

 

千夜「恥ずかしいわ……自己満足で似合うと思ってはしゃいで……」

 

 

千夜「ほんと、バカみたいよね……」ニコッ

 

 

シャロ「…………」

 

 

千夜「でもいいの、シャロちゃんだけは気付いてくれたから♪」

 

 

千夜「それで十分満足よ」クスッ

 

 

シャロ「………………」

 

 

シャロ「……ねぇ?」

 

 

千夜「んっ……?」

 

 

シャロ「……これから言うこと、独り言だから気にしないでいいわよ」

 

 

千夜「……?」

 

 

シャロ「…………」スゥ

 

 

シャロ「みんなが鈍感過ぎるのよ、まったく」

 

 

シャロ「あれだけ雰囲気が変わってるのに気付かないなんて、わたしなんて遠目から見て一瞬誰だか分からなかったのに」

 

 

千夜「……シャロちゃん」

 

 

シャロ「千夜も千夜よ、自分に似合わないなんて勝手に決め付けて」

 

 

シャロ「だいたい、オシャレなんてものは所詮ただの自己満足じゃない、自分が満足すればそれでいいの」

 

 

シャロ「わたしから見れば今日の千夜の服装……その、すごく似合ってたし……//」

 

 

千夜「……ふふ、ありがとう」

 

 

シャロ「っ………で、でも!//」

 

 

シャロ「わたしは、いつもの千夜のおっとりとした雰囲気が好き!」

 

 

千夜「……!」

 

 

シャロ「……独り言、おしまい//」

 

 

千夜「………………」

 

 

シャロ(うぅ、言うんじゃなかった……恥ずかしい……//)ブクブク

 

 

千夜「…………シャロちゃん」

 

 

――ギュッ

 

 

シャロ「!」

 

 

千夜「ごめんね、ありがとう……」

 

 

千夜「わたしもシャロちゃんのこと好き……大好き……♪」

 

 

シャロ「…『も』ってなによ、さっきのは独り言だし……//」プイッ

 

 

千夜「ええ、そうね……だからわたしも、これは独り言」

 

 

千夜「……やっぱり、いつも通りの服装が落ち着くわ」

 

 

千夜「大切な幼馴染に、好きって言われた服装が」ニコッ

 

 

シャロ「……そう」

 

 

シャロ「……ほんと、一人で勝手に悩んで落ち込んで……千夜のバカ」

 

 

千夜「ごめんなさい、でももう大丈夫よ」

 

 

千夜シャロ「…………♪」ニコッ

 

 

――

 

――――

 

――――――

 

 

――数日後――

 

 

千夜「こんにちは」ガチャッ

 

 

シャロ「どうも……」

 

 

リゼ「千夜とシャロか、いらっしゃい――――あれ?」

 

 

リゼ「千夜、なんだかこの前と雰囲気違わないか?」

 

 

千夜「え?」

 

 

チノ「本当です、もしかしてイメチェンですか?」

 

 

千夜「えっ、えっ……?」

 

 

ココア「本当だ!千夜ちゃんが前よりもっとおしとやかになってるよ!」

 

 

千夜「えっと……いつもと同じに戻っただけなんだけど……」

 

 

リゼ「……え」

 

 

千夜「この前は少し冒険してみたけど……これはデフォルトよ?」

 

 

チノ「………………」

 

 

千夜「いつもブレスレットなんて付けてなかったでしょ?」

 

 

ココア「ええっ、そうだったの!?」ガーン

 

 

千夜「2年間も一緒なのにいまさら!?」

 

 

シャロ(みんなデフォルトを覚えてなかっただけだったのね……)ホッ

----------------

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unpublished flim 2「嫉」

目次

unpublished 2.「ストライキ」

unpublished 3.「自転車の練習」


unpublished 2.「ストライキ」

 

リゼ「♪~♪♪」テクテク

 

 

リゼ(一昨日は楽しかった……ココア、また泊りに来てくれるかな)

 

 

リゼ「さて、今日も一日頑張るか」

 

 

リゼ「おはよう、遅くなってすまな――――」ガチャッ

 

 

リゼ「……い…?」

 

 

シーン……

 

 

 

リゼ「あれ……ココア、チノ……?」

 

 

リゼ(今日って定休日じゃないよな?)キョロキョロ

 

 

ココア「リゼちゃ~ん!」ヴエェ

 

 

リゼ「ココア!どうしたんだ!?」

 

 

ココア「ひぐっ……チノちゃんが……チノちゃんが……」

 

 

ココア「もうラビットハウスで働かないって言うんだよ~!」

 

 

リゼ「へっ?」

 

 

 

――チノの部屋前――

 

 

リゼ「……………………」

 

 

リゼ(以前もこんなことがあった気がする)

 

 

リゼ「おいチノ?わたしだ」トントン

 

 

シーン…………

 

 

リゼ「…………はぁ」

 

 

リゼ「とりあえずここを開けてくれよ、なっ?」ガチャッ

 

 

リゼ(んっ……開いてる?)

 

 

リゼ「…………?」スッ

 

 

リゼ「いつっ!」

 

 

リゼ「……これ……足つぼマット……」

 

 

チノ「……出て行ってください」フテネ

 

 

リゼ「」

 

 

チノ「……………………」モゾモゾ

 

 

リゼ(……これは重症だな)

 

 

リゼ「チノ、いったいどうしたんだ?」

 

 

チノ「……………………」

 

 

リゼ「なにか怒ってるのか?」

 

 

チノ「……ご自分の胸に手を当てて考えてください」

 

 

リゼ「えっ、わたしなのか?」

 

 

リゼ「……………………」

 

 

リゼ「すまん、まったく思い当たる節が無いんだが」

 

 

チノ「………………」

 

 

チノ「」ゴロン

 

 

リゼ「わ、悪かった!謝るからせめて理由だけでも教えてくれ」

 

 

チノ「……一昨日です」

 

 

リゼ「一昨日……マヤとメグが泊まりに来た日か」

 

 

チノ「違います、リゼさんがココアさんを誘拐した日です」

 

 

リゼ「語弊のある言い方をするな!ココアがわたしの家に泊まりに来ただけだろ」

 

 

チノ「どうせリゼさんがココアさんをそそのかしたに違いありません」

 

 

リゼ「言いがかりだ!チノたちが三人で遊びやすいようにココアが気を遣ったんだよ」

 

 

チノ「そんなの嘘です」ダン!

 

 

リゼ「わっ!」

 

 

チノ「あのココアさんが人に気を遣うなんてこと、絶対にありえません!」

 

 

チノ「こともあろうか妹好きのココアさんが……そんなこと、天地がひっくり返っても無いです」

 

 

リゼ「何気に酷いこと言ってるぞ、チノ……」

 

 

チノ「とにかく、誘惑したリゼさんもリゼさんですが、それにまんまと乗ったココアさんもココアさんです」

 

 

リゼ「いや、だから勘違いだって」

 

 

チノ「それなら早くわたしに証明してください」

 

 

リゼ「証明って言っても……どうすればいいんだ」

 

 

チノ「……お泊り会」

 

 

リゼ「え?」

 

 

チノ「今度は三人一緒にリゼさんの家でお泊り会をすれば解決です」

 

 

リゼ(一体何が解決するんだ?)

 

 

リゼ「……チノがココアとお泊りしたいだけじゃないのか?」

 

 

チノ「違います、ラビットハウス三姉妹の絆を確認するためです」

 

 

リゼ「それもう公式なのか!?」

 

 

チノ「リゼさんがこの条件をのんでくださるならストライキは中止します。でも、もし断るのであれば――――」

 

 

チノ「」バサッ モゾモゾ

 

 

リゼ「わかったわかった!のむから布団に潜るな!」

 

 

チノ「ほんとうですか」ヒョコ

 

 

リゼ「ああ、来週の定休日にでも一緒に来い」

 

 

チノ「ありがとうございます、誤解を解くためにもぜひお願いします」

 

 

リゼ「誤解ってわかってるんじゃないか……」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

――6日後 深夜――

 

 

ココア「昨日のお泊り会楽しかったね」

 

 

リゼ「ああ、チノも満足してくれたようだ」

 

 

ココア「チノちゃん?」キョトン

 

 

リゼ「いや、気にするな。こっちの話だ」

 

 

ココア「ねぇリゼちゃん、今度は千夜ちゃんとシャロちゃんも誘っていい?」

 

 

リゼ「ああ、いいぞ。みんなで来てくれ」

 

 

リゼ(むしろ毎日でも)

 

 

ココア「えへへ~リゼちゃんありがと」ギュッ

 

 

ココア「でも、またリゼちゃんと二人きりでもお泊りしたいな」

 

 

リゼ「お前さえ良ければいつでも来い」ナデナデ

 

 

ココア「んっ……」

 

 

リゼ(ココアと夜中に会うようになってから、これで2週間か)

 

 

リゼ(前以上にココアと仲良くなれた気がする……♪)

 

 

 

??「……………………」

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

――翌日――

 

 

リゼ「……………………」

 

 

ガラーン

 

 

リゼ「定休日……じゃないよな……」

 

 

ココア「リゼちゃーん!チノちゃんが~」ヴエェ

 

 

リゼ「」

 

 

 

――チノの部屋前――

 

 

リゼ「……………………」

 

 

リゼ(あっ、また開いてる)ガチャッ

 

 

リゼ(今度は足元に注意して……と)

 

 

ツボオシ マット

 

 

リゼ「危ない危ない……」

 

 

チノ「…………」フテネ

 

 

リゼ「チノ……今度はどうしたんだ?」

 

 

チノ「………………」モゾモゾ

 

 

リゼ「この前の件ならもう誤解は解けたはずだぞ」

 

 

チノ「……原因はリゼさんが一番分かっているはずです」

 

 

リゼ「へ?」

 

 

チノ「昨日の夜のことです」ヒョコ

 

 

リゼ「昨日の夜……もしかしてココアとのことか?」

 

 

チノ「そうです、ココアさんと逢瀬を重ねていましたね」

 

 

リゼ「変な言い方するな!//普通に話してただけだろ」

 

 

チノ「それならどうしてわざわざ夜に会うんですか、それも深夜に」

 

 

リゼ「2週間くらい前かな、夜の散歩でココアと偶然会って以来時々だけどああやって話してるんだ」

 

 

チノ「リゼさんたちだけずるいです!」ダン!

 

 

リゼ「のわっ!」

 

 

チノ「どうして二人きりで秘密を共有するんですか!」

 

 

リゼ「秘密って、そんなに大仰なことじゃあ……」

 

 

チノ「ラビットハウス三姉妹は嘘だったんですね」

 

 

リゼ「またそれか!」

 

 

チノ「とにかく、ココアさんとリゼさんがわたしを仲間はずれにする限り、ストライキを辞めるつもりはありませんので」バサッ

 

 

リゼ「ココアがチノはまだ夜更かしはダメだって気を遣ってくれたんだよ……傷つけたんなら謝る、すまない」

 

 

チノ「……謝るだけですか」

 

 

リゼ「他に何かしてほしいのか?」

 

 

チノ「……深夜徘徊」

 

 

リゼ「え?」

 

 

チノ「今度わたしも深夜徘徊に連れて行ってください」

 

 

リゼ「わかった、チノの親父さんが許してくれたらな」

 

 

チノ「父が許してくれないときはリゼさんの家に家出しますので」

 

 

リゼ(そんなくだらないことで家出するなよ……)

 

 

――――――――――――――――――

 

 

――翌日 深夜――

 

 

ココア「チノちゃんと夜のお散歩♪」ルンルン

 

 

チノ「転んだら危ないので手を離さないでください」

 

 

ココア「わかってるよぉ、いざとなったらわたしがチノちゃんを守るからね」

 

 

チノ「ココアさん…………」

 

 

ココア「チノちゃんもふもふ~」ギュッ

 

 

チノ「く、くすぐったいです……//」

 

 

リゼ(すっごい居づらい……)

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

――ラビットハウス――

 

 

ティッピー「おい息子や、チノとココアの姿が見えんが」

 

 

タカヒロ「ああ、さっき二人で散歩に出かけてくるとさ」フキフキ

 

 

 

ティッピー「なにっ!?お前はこんな夜更けに出かけるのを許可したのか!」ピョンピョン

 

 

タカヒロ「別に大丈夫だろ、リゼくんも付いてるしな」

 

 

ティッピー「そういう問題じゃないわい!まだ年端も行かぬ女の子ばかりが――――」ガミガミ

 

 

タカヒロ「……まぁ、あいつのことだ。護衛くらいはつけてるだろう」

 

 

 

ココアサン チノチャンモフモフ~ カエリタイ……

 

 

使用人A「……………………」

 

 

使用人B(お譲、ファイトです)グッ

----------------------

 

unpublished 3.「自転車の練習」

 

――早朝 ラビットハウス――

 

 

リゼ「ラテアートを教えて欲しい?」

 

 

チノ「はい、お願いします」

 

 

リゼ「それはいいが……突然どうしたんだ?」

 

 

チノ「以前からずっと悩んでいたんです」

 

 

チノ「リゼさんの描いたカフェラテは皆さん笑顔で飲んでくれますよね」

 

 

リゼ「そうか?まぁ無難なウサギとか花の絵だからな」

 

 

チノ「わたしの描いたカフェラテはいつも苦笑いされてしまいます」

 

 

リゼ(チノには悪いがそりゃそうだろうな……)

 

 

 

チノ「ですので、ラテアートの上手な描き方をぜひ」

 

 

リゼ「絵はそんなに得意じゃないんだが……まぁいい、開店時間まで一緒に練習してみるか」

 

 

チノ「ありがとうございます。よろしくお願いします」

 

 

リゼ「まずはそうだな、試しにチューリップでも描いてみるか」

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

リゼ「……………………」

 

 

チノ「どうですか?」

 

 

リゼ「……うん………………」

 

 

リゼ(ラテアートなのに切り絵みたいだ……これはこれですごいが)

 

 

リゼ「い、良いと思うぞ、個性的で……」

 

 

チノ「……………………」

 

 

チノ「嘘です、やっぱり下手なんですね」

 

 

リゼ「いや、そんなこと無いぞ!チノの絵は下手というか、むしろ上手過ぎるというか……」

 

 

チノ「ラテアートもろくに作れないバリスタなんて失格です……もう夢も将来も途絶えました」ガクッ

 

 

リゼ「メンタル脆すぎるだろ!そんなラテアートくらいで……」

 

 

チノ「リゼさん、後のラビットハウスはお任せします。わたしに代わって立派なバリスタになってください」

 

 

リゼ「諦め早っ!?というか、そもそもわたしはバリスタになるつもりは――」

 

 

チノ「ではこの店はお父さんの代でおしまいです」

 

 

リゼ「他に選択肢あるだろ!?」

 

 

リゼ「どんなことでも最初から上手くなんかいかないさ。ほら、もう一度練習しよう」

 

 

チノ「……しょうがないですね」

 

 

リゼ(なんでわたしが頼んだみたいになってるんだ?)

 

 

チノ「次は何を描きましょう?」

 

 

リゼ(うーん……何ならチノが上手に描けるだろうか)

 

 

リゼ(人物画はピ○ソになるのが目に見えてるし……)

 

 

リゼ「チノが一番描きやすい絵はなんだ?」

 

 

チノ「ココアさんです」

 

 

リゼ「……へっ?」

 

 

チノ「ですから、ココアさんです」

 

 

リゼ「……ココアって、あのココアか」

 

 

チノ「はい、あのココアさんです」

 

 

リゼ「そうか……」

 

 

チノ「はい」

 

 

リゼ「……描いてもらっていいか?」

 

 

チノ「いいですよ、30秒もかかりません」

 

 

シュシュシュシュ!

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

チノ「完成です」

 

 

リゼ「上手い!?ココアうまっ!」

 

 

チノ「描き慣れてますから」

 

 

リゼ「……なぁ、チノ?まさかと思うが、お客様にもこのラテアートを出しているんじゃ……」

 

 

チノ「当然です」フンス

 

 

リゼ「誰でも苦笑いするわ!」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

 

リゼ「自転車の乗り方を教えて欲しい?」

 

 

チノ「はい、お願いします」

 

 

リゼ「そういえば以前乗れないって言ってたな」

 

 

チノ「アニメではカットされてましたが」

 

 

リゼ「アニメ?」

 

 

チノ「いえ、なんでもありません」

 

 

リゼ「それじゃあ今週の土曜日にでも練習するか」

 

 

チノ「土曜日はココアさんがお休みなのでダメです」

 

 

リゼ「えっ?」

 

 

チノ「ココアさんの前でみっともない真似を見せられません」

 

 

リゼ「……それじゃあ平日の放課後か?」

 

 

チノ「恐らくココアさんが付いてきてしまうのでダメです」

 

 

リゼ「……………………」

 

 

チノ「どうしたんですか?」

 

 

リゼ「……でも、それじゃあいつ練習するんだ?」

 

 

チノ「明日の金曜日です」

 

 

リゼ「」

 

 

チノ「ココアさんは学校ですし、絶好の練習日和です」

 

 

リゼ「……………………」

 

 

チノ「リゼさん?」

 

 

リゼ「いや……わたしも普通に学校なんだが」

 

 

チノ「わたしもです」

 

 

リゼ「……じゃあ無理だろう」

 

 

チノ「いえ、欠席と言う手段があります」

 

 

リゼ「反抗期の中学生か!ダメだ、そんなことで学校は休めない!」

 

 

チノ「……どうしてもダメですか」

 

 

リゼ「ああ、どうしてもダメだ」

 

 

チノ「……分かりました、もうリゼさんには頼みません」

 

 

リゼ「どうするつもりだ?」

 

 

チノ「一人で練習します……転んで怪我して血だらけになって、足が折れてしまったらお見舞いくらいには来てください、では……」トボトボ

 

 

リゼ「ちょ、ちょっと待て!わかった、学校休んで付き合うよ!」

 

 

チノ「ほんとうですか?」クルリ

 

 

リゼ「その代わり、明日一度きりだぞ?明日一日で完全にマスターするんだ」

 

 

チノ「分かりました、ココアさんと二人きりでのサイクリングのためにも頑張ります」

 

 

リゼ「みんなのことをハブる気満々だな……」

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

リゼ「よし、まずは両足で蹴って進んでみろ」

 

 

チノ「後ろ、支えてくれないんですか?」

 

 

リゼ「人に頼るとバランス感覚が身につかない、私は極力手を貸さずアドバイスだ」

 

 

チノ「わたし、自転車練習で後ろを支えてもらうのが夢だったんです」

 

 

リゼ「お前もか!」

 

 

リゼ「まったく、しょうがない……ほら、これでいいか?」

 

 

チノ「いい感じです、このまま走り出せそうな気がします」

 

 

リゼ「倒れる前に片足をペダルに乗せて漕ぐのがポイントだ」

 

 

チノ「一度離してもらっていいですか?」

 

 

リゼ「離すのか?まだ始めたばかりだし、やめといたほうが……」

 

 

チノ「大丈夫です、もう完全にマスターしました」フンス

 

 

リゼ(その自信はどこから湧いて来るんだ?)

 

 

リゼ「…………」

 

 

スッ――ガシャン!

 

 

リゼ「チノっ!?」

 

 

チノ「……………………」

 

 

リゼ「ほら見ろ、言わんこっちゃ無い」

 

 

チノ「……………………」

 

 

リゼ「大丈夫か、ほら、立てるか?」

 

 

チノ「……リゼさんはわたしをいじめて楽しんでいますね」

 

 

リゼ「お前が離せって言ったんだろう!?」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

――2時間後――

 

 

チノ「」スイスイ

 

 

リゼ「おお、もう乗れるようになったじゃないか」

 

 

チノ「ボロボロの傷だらけになって、ようやくここまでこれました」

 

 

リゼ(すり傷ひとつでオーバーすぎる)

 

 

チノ「今ならどんなことでもできる気がします」

 

 

リゼ(ランナーズハイじゃあるまいし)

 

 

リゼ「……よし、これでもう大丈夫だな」

 

 

チノ「リゼさんありがとうございます、助かりました」

 

 

リゼ「なに、お礼なんていいよ」

 

 

チノ「今度うちのコーヒーでもごちそうします」

 

 

リゼ「いらん!せめてコーヒー以外にしてくれ!」

 

 

チノ「ではミルクココアで」

 

 

リゼ「ラビットハウスのメニューから離れろ!」

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

――サイクリング当日――

 

 

ザァーザァー

 

 

リゼ「……………………」

 

 

リゼ(まずい……まずいぞこれは)

 

 

 

――ラビットハウス――

 

 

リゼ「………………」

 

 

シーン

 

 

ココア「リゼちゃーん!」ドタドタ

 

 

リゼ「ココア!」

 

 

ココア「チノちゃんが……チノちゃんが引きこもりになったぁ~!」ヴエェ

 

 

リゼ「」

 

 

リゼ(……うん、しばらくそっとしておこう)

 

 

ココア「?」

----------------

next...



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unpublished flim 3「転」

目次

unpublished 4.「回転椅子」


unpublished 4.「回転椅子」

 

――甘兎庵――

 

 

千夜「♪~♪♪」

 

 

ガチャッ!

 

 

千夜「いらっしゃ~い」

 

 

シャロ「ちょっと千夜ぁ!」

 

 

千夜「あら、シャロちゃん」

 

 

シャロ「どうせあんたの仕業でしょ!どういうつもりよ、あんなもの送ってきて!」

 

 

千夜「あんなもの?」キョトン

 

 

シャロ「とぼけないで!わたしの家の住所知ってるのはあんただけなんだから!」

 

 

 

千夜「住所……ということは宅配便?」

 

 

シャロ「そう、わたしの家の大半を占領するくらい大きなダンボールよ!」

 

 

千夜「ダンボール……シャロちゃんの家にお届けもの……」

 

 

千夜「?」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

千夜「これね」

 

 

シャロ「ねぇ千夜、ほんとに身に覚えないの?」

 

 

千夜「ええ、だから開けて中身を確認してみないと」ビリビリ

 

 

シャロ「で、でも、変なものとか入ってたら……」オドオド

 

 

千夜「っ!これ…爆弾!?」

 

 

シャロ「きゃああぁっ!!」

 

 

千夜「…なーんちゃって♪」

 

 

シャロ「へっ……?」

 

 

千夜「ふふっ、わたしがシャロちゃんにするいたずらはこういうのだけよ。信じてくれた?」

 

 

シャロ「お、おばか!ほんとにびっくりしたじゃない!」

 

 

千夜「これは――イスかしら?」

 

 

シャロ「イス?なんでそんなものがウチに……」

 

 

千夜(このイス、どこかで見たことがあるわね……)

 

 

千夜「……………………」

 

 

千夜「!」ピコーン

 

 

千夜「思い出したわ。これ、懸賞で当たるやつね」ポン

 

 

シャロ「懸賞?」

 

 

千夜「この前ポイントシールが溜まったからおばあちゃんが出してたわ」

 

 

千夜「おばあちゃんたら、B賞とC賞を間違えて応募したのね」

 

 

シャロ「ちなみにこれは?」

 

 

千夜「100名さまにあたるB賞のフットレスト付き3Dチェアよ。ちなみにC賞は200名さまにあたる節電トースター」

 

 

シャロ「よりにもよってなんでB賞が当たるのよ……はぁ、せめて節電トースターなら助かったのに……」

 

 

千夜(だからおばあちゃんシャロちゃん宛てにしたのよねきっと)

 

 

千夜「でもせっかく届いたんだし、一度組み立ててみましょ」

 

 

シャロ「組み立ててどこにおくのよ」

 

 

千夜「シャロちゃんのお部屋にインテリアとして飾ったらどうかしら」

 

 

シャロ「どうしてイスなんて飾るのよ!」

 

 

千夜「いつかシャロちゃんの家にパソコンが来たときのためとか」

 

 

シャロ「何年後の話よ!それまでにはもう錆びて動かなくなってるわ!」

 

 

千夜「シャロちゃん、それ自分で言ってて悲しくならない?」

 

 

シャロ「ぐっ……とにかく、わたしこんなのいらないから持って帰ってよ」

 

 

千夜「そんな……せっかくおばあちゃんがシャロちゃんのために当ててくれたのに」

 

 

シャロ「思い切り応募賞品間違えてね」

 

 

千夜「せっかくこつこつ貯めたポイントシールで当てたものを、おばあちゃんからの気持ちをないがしろにするなんて……」

 

 

シャロ「……うっ…………」

 

 

千夜「悲しいわ、シャロちゃんがそんなこと言うなんて……おばあちゃんが聞いたらどんな顔するかしら……」メソメソ

 

 

シャロ「っ……ああもう!分かったわよ!ウチに置いとくわ!」

 

 

千夜「ありがとうシャロちゃん、嬉しいわ」ニコッ

 

 

千夜「おばあちゃんが聞いたら、『ウチもいらないから捨ててきな』って怒られると思うから」

 

 

シャロ「全然悲しんでないじゃない!もらったら邪魔になるだけでしょ!?」

 

 

千夜「いざとなったらバザーにでも出せばいいわ、さすがに捨てるのはもったいないでしょう?」

 

 

シャロ「……そうね、さすがに捨てるのはちょっと……ね」

 

 

カチャカチャッ

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 

シャロ「これで完成ね」

 

 

千夜「このイス回転するわ、脚にローラーまでついてるし」

 

 

シャロ「ちょっと座ってみるわね。よいしょ……」

 

 

千夜「どう?」

 

 

シャロ「案外悪くないわ、むしろいいかも……」

 

 

千夜「バイトで疲れたシャロちゃんが家に帰ってすぐにもたれ掛かる姿が目に浮かぶわ」

 

 

シャロ「残業終わりの会社員か!そりゃしちゃうかもしれないけど……」

 

 

千夜「とにかく、実用性があってよかったわね」

 

 

シャロ「うん……一応、おばあちゃんにありがとうって言っておいて」

 

 

千夜「ええ、もちろんよ。ところで――――わたし、一度そのイスでやってみたいことがあるの」

 

 

シャロ「やってみたいこと?」

 

 

千夜「ほら、テレビとかでよくやってるイスでクルクル回るの、あれがやりたいわ」

 

 

シャロ「なんであんなの……まぁいいわ、回してあげるから座りなさ――――」

 

 

千夜「えい♪」クルッ

 

 

シャロ「!?」

 

 

千夜「よいではないかよいではないか~♪」クルクル

 

 

シャロ「ちょっと…ストップストップ!止めてぇ~!」

 

 

千夜「あと10回転~そーれ♪」

 

 

シャロ「ひゃああぁあ!」

 

 

――

 

――――

 

――――――

 

 

シャロ「ほぇ~目が回るわ~」フラフラ

 

 

千夜「シャロちゃんしっかりして」

 

 

シャロ「うっ……世界が反転してる」

 

 

千夜「さすがに回しすぎたかしら」テヘッ

 

 

シャロ「てへっ、じゃないわよこの和菓子バカ!」

 

 

シャロ「ああ、あと10回転させられてたら危うく戻すところだったかも……」

 

 

千夜「次、次はわたしね、シャロちゃん早く早く」

 

 

シャロ「…………」ピキピキ

 

 

シャロ「ええ、分かったわ……そんなに回して欲しいなら――」

 

 

千夜「きゃっ……!」

 

 

シャロ「気の済むまで回してあげるわよ!」クルクル!

 

 

千夜「早過ぎてシャロちゃんが残像に見えるわ……」

 

 

――

 

――――

 

――――――

 

 

千夜「ほぇぁ~」フラフラ

 

 

シャロ「ぜぇ……ぜぇ…………」

 

 

千夜「景色がいつもと違って見えるわ……」フラフラ

 

 

シャロ「どう……満足でしょ?」

 

 

千夜「シャロちゃんの家がいつもより慎ましやかに見える……」ガクッ

 

 

シャロ「なんでよ!」

 

 

千夜「……ふぅ、やっと戻ったわ」

 

 

千夜「クルクルイスって思っていた以上にハードだったのね」

 

 

シャロ「…ねぇ千夜?言ってて悲しいんだけど、このイスわたしたちが持ってても宝のもち腐れじゃない?」

 

 

千夜「シャロちゃんもそう思う?このイスも当たった相手が悪かったわね」

 

 

シャロ「応募したのはあんたのおばあちゃんでしょうが!」

 

 

千夜「でもバザーは1ヶ月も先だし……困ったわ」

 

 

シャロ「回転……ローラー……イス…………」

 

 

シャロ「……!」ピコーン

 

 

シャロ「ねぇ千夜、ひとつだけ心当たりがあるわ」

 

 

シャロ「そこならこのイス、喜んで引き取ってくれるはずよ」

 

 

千夜「ほんと?それじゃあこのイスのこと、シャロちゃんにお願いするわね」

 

 

シャロ「任せなさい、とりあえず箱に仕舞っておくから解体するのだけ手伝って」

 

 

千夜「わかったわ。…………♪」クスッ

 

 

シャロ「?……なんか嬉しそうね」

 

 

千夜「ええ、嬉しいわ。今日はシャロちゃんとくだらないことで一日中ドタバタできたんだもの」

 

 

シャロ「なによそれ……バイトが休みの日とかはたまに遊んだりしてるじゃない」

 

 

千夜「うん、そうなんだけど……なんだか小さい頃に戻ったみたいで楽しかったの」

 

 

シャロ「……………………」

 

 

千夜「こんなこと、高校生になってからはあまり無かったから……お互い大人になっていくんだもの、当然よね」

 

 

シャロ「…………そうね」

 

 

シャロ「……でも、たまにはこういうのも悪くない……かも」ボソッ

 

 

千夜「……シャロちゃん」

 

 

シャロ「た、たまにはだけどね!わたしはもう子供じゃないし!」プイッ

 

 

千夜「……ふふ♪」

 

 

千夜「シャロちゃん――だーいすき♪」ギュッ

 

 

シャロ「きゃっ!……もう♪」クスッ

 

 

千夜シャロ「」ニコッ

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

――ラビットハウス――

 

 

ココア「リゼちゃん、もっともっと!」

 

 

リゼ「よし、さらに倍速だ!」グルグル

 

 

ココア「ひゃあ~♪」

 

 

チノ「シャロさんから頂いて以来、ココアさんもリゼさんもずっとあの調子です」

 

 

ティッピー「やれやれ、子供じゃのう」

 

 

チノ「まったくです」チラッチラッ

 

 

ティッピー「ん……?」

 

 

チノ「回転したりイスで走ったり……」チラチラ

 

 

ティッピー「………………」

 

 

チノ「…………」ジー

 

 

ティッピー「……お客が来るまで、チノも混ざってきていいぞ」

 

 

チノ「!……し、しょうがないですね、仲間はずれも嫌ですし……」

 

 

チノ「…………♪」タタッ

 

 

ティッピー「やれやれ……閑古鳥が鳴いとるわい」ガラーン

---------------

end.



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幻の作品集:Phantom flims
Phantom flim 1「尾」


目次

Phantom 1.「Miscarriage」


Phantom 1.「Miscarriage」

 

――休日 リゼの部屋――

 

 

リゼ「ふぅ…………」ゴロン

 

 

リゼ「……暇だな」

 

 

リゼ「なぁワイルドギース、わたしはどうすればいい?」ヒョイ

 

 

リゼ「……………………」

 

 

ワイルドギース

 

 

リゼ「……………………」

 

 

リゼ「よし、お前の新しい仲間でも編むか」

 

 

リゼ(ええと、裁縫セットは確かこの辺に……)ガサゴソ

 

 

 

ケイタイ Prrrrrrrrr

 

 

リゼ「おっ……電話か」

 

 

リゼ(ココアから遊びの誘いかな……?)ウキウキ

 

 

リゼ(チノから電話……?珍しいな)ポチッ

 

 

リゼ「はい、もしもし?」

 

 

チノ「リゼさん、早く来てください!」

 

 

リゼ「っ!?」

 

 

チノ「早くしないと間に合いません!急いでください!」

 

 

リゼ「な、なんのことか分からないが了解だ!」

 

 

プチッ ツーツー

 

 

リゼ(チノがあんなに慌てるなんて……まさか、強盗か!?)

 

 

リゼ「……よし」

 

 

リゼ(こんなときのために用意して置いたとっておきの武器を……)

 

 

リゼ(敵の数も分からないし、万全の準備をしていこう)

 

 

リゼ「ココア、チノ、待っていろ!」

 

 

――

 

――――

 

――――――

 

 

――20分後――

 

 

リゼ「はぁ……はぁ…………」

 

 

リゼ(着いた……)

 

 

リゼ(銃声も怒鳴り声も聞こえないし、過激派では無さそうだな)

 

 

リゼ(どこから入ろう……正面のドアは恐らく鍵が……)

 

 

リゼ「!……開いてる」

 

 

リゼ(罠の可能性もある……いや、それでも一気に奇襲をかければ……!)

 

 

リゼ(……行くぞ!)

 

 

リゼ「動くな!全員両手を頭の上に――!」

 

 

ガラーン

 

 

リゼ「……あれ?」

 

 

リゼ(敵はどこだ……まさか、誘拐……!?)

 

 

リゼ「っ……せめて手がかりになるものは――」

 

 

チノ「リゼさん、やっと来ましたね」

 

 

リゼ「っ!?チノ!無事だったのか!」

 

 

チノ「はい?」

 

 

リゼ「ココアとチノの親父さんはどこに!?」

 

 

チノ「父なら二階に、ココアさんはいましがた出かけていったところです」

 

 

リゼ「……へっ?」

 

 

チノ「そんなことよりリゼさん、早く支度してください。ココアさんを見失ってしまいます」

 

 

リゼ「……………………」

 

 

チノ「リゼさん?」

 

 

リゼ「……チノ、一応確認しておくぞ?」

 

 

リゼ「あの電話は、いったいどういう……」

 

 

チノ「?そのままの意味です、早く来てくださらないと間に合いませんから」

 

 

リゼ「間に合わないって……強盗とか誘拐とかじゃあ……」

 

 

チノ「違います、ココアさんを見失う前に尾行するためです」

 

 

チノ「さすがに一人では怪しいので、リゼさんに手伝っていただこうと」

 

 

リゼ「……………………」

 

 

チノ「これ、リゼさん用の帽子とマスクです、どうぞ」

 

 

リゼ「……………………」

 

 

リゼ「」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

ココア「♪~♪♪」

 

 

 

リゼ「なぁチノ?」

 

 

チノ「なんですか?」

 

 

リゼ「どうして私たちはココアのことをストーキングしてるんだ?」

 

 

チノ「ストーキングじゃありません、尾行です」

 

 

リゼ「どっちも同じじゃないか……」

 

 

チノ「違います、尾行にはちゃんとした理由があります」

 

 

チノ「そう、あれはつい1時間前のことです――」

 

 

リゼ「えっ、回想に入るのか?」

 

 

 

――

 

――――

 

――――――

 

 

――1時間前 ラビットハウス――

 

 

チノ「ふぅ…………」ゴロン

 

 

チノ(……暇ですね)

 

 

チノ「……………………」

 

 

チノ(仕方ない、作りかけのボトルシップを完成させましょう)

 

 

チノ(ええと、大き目のピンセットは確かこの辺に……)ガサゴソ

 

 

トントン

 

 

チノ「?」

 

 

ココア「チノちゃーん、入ってもいい?」

 

 

チノ(ココアさん……二人でお出かけの誘いでしょうか?)ウキウキ

 

 

チノ「どうぞ」

 

 

ココア「おじゃましまーす」ガチャッ

 

 

ココア「あのね、チノちゃん」

 

 

チノ「」ワクワク

 

 

ココア「わたし、ちょっとだけ出かけてくるね。たぶん夕方には戻ってくると思うから。隣の部屋が静かでも心配しなくていいから」

 

 

チノ「えっ……」

 

 

ココア「明日は日曜日だし、帰ってきたらたくさん遊ぼうね!いってきます!」

 

 

ガチャッ バタン

 

 

チノ「……………………」

 

 

シーン

 

 

チノ「……………………」

 

 

チノ「……これは、まさか」ガクガク

 

 

チノ「……リゼさんに連絡しないと!」ピッ

 

 

――――――

 

――――

 

――

 

 

 

チノ「――ということです」

 

 

リゼ(なんかデジャブが……)

 

 

リゼ「なるほど……つまり、構ってもらえず置き去りにされたから理由を知りたいわけか」

 

 

リゼ「チノも可愛いところあるじゃないか」ハハハ

 

 

チノ「……別にそういうわけではありません」

 

 

リゼ「えっ?」

 

 

チノ「ココアさんが行き場所も告げずに行ってしまったので、心配になっただけです」

 

 

リゼ「いや……だから気になるんだろ?」

 

 

チノ「違います、ココアさんがどこに行くつもりなのか確認したいだけです」

 

 

リゼ「それはつまりヤキモチなんじゃ……」

 

 

チノ「ヤキモチなんかじゃありません!」ダン!

 

 

リゼ「うわっ!?」

 

 

チノ「わたし、ココアさんのことなんてどうだっていいです!」

 

 

リゼ「そ、そうか、すまない」

 

 

チノ「ココアさんがどこに行ったのか、もしかして誰かと会っているのではなんて心配してません!」

 

 

リゼ(本音がだだ漏れだけど黙っておこう)

 

 

リゼ「おっ、ココアがどこかに入っていったぞ」

 

 

チノ「あそこは……喫茶店ですね」

 

 

チノ「はっ……まさか!」バッ

 

 

リゼ「望遠鏡!?」

 

 

チノ「……………………」

 

 

カラン コトッ……

 

 

リゼ「おいチノ、どうしたんだ!?」

 

 

チノ「………………」

 

 

リゼ「……?」スッ

 

 

 

リゼ(あれは……ココアのクラスメイトの子か?)

 

 

リゼ(なにか二人で楽しそうに話してるな)

 

 

リゼ「今日はあの子と二人で遊ぶ予定なのかな――んっ?」

 

 

チノ「………………」ウツムキ

 

 

リゼ「どうしたんだチノ……?」

 

 

チノ「……許せません」

 

 

チノ「ココアさんをたぶらかすなんて……リゼさん、SVDありますか?」

 

 

リゼ「持ってきたからあるけど……どうするつもりだ?」スッ

 

 

チノ「あの女の額に風穴開けてやります」ジャキ

 

 

リゼ「よせ!落ち着けチノ!」

 

 

チノ「うにゅぅ~ココアさんを取らないでください!取っちゃイヤです!」ジタバタ

 

 

リゼ「大丈夫だ!あの様子だとデートなんかじゃない」

 

 

チノ「……ほんとですか?」

 

 

リゼ「ああ、ただの友達だろう。喫茶店でおしゃべりしてるだけだし、すぐに戻ってくるさ」

 

 

チノ「……そうですね……わかりました」

 

 

リゼ「ほら、ラビットハウスに戻ろう」

 

 

チノ「はい……――!リゼさん、ココアさんがでてきました」

 

 

リゼ「ほんとだ……ずいぶん早いな」

 

 

チノ「今度はどこに行くつもりなんでしょう」

 

 

リゼ「……追うのか?」

 

 

チノ「もちろんです」

 

 

リゼ「……はぁ」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

 

チノ「今度は甘兎庵に入りましたね」

 

 

リゼ「クラスメイトの次は千夜か、忙しいな」

 

 

チノ「リゼさん、盗聴器かなにかありませんか?もしくはコンクリートマイクとか」

 

 

リゼ「チノ、お前はわたしを何だと思ってるんだ……」

 

 

チノ「はっ!そうです、これを使いましょう」パサッ

 

 

リゼ「ティッピー!?帽子の中に入ってたのか!?」

 

 

チノ「おじいちゃん、よろしくお願いします」ボソッ

 

 

ティッピー「よしきた」ピョン

 

 

チノ「これでココアさんたちの話は筒抜けです」

 

 

リゼ「ティッピーってスパイまでできるのか?万能だな……」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

チノ「遅いですね……まさか捕まったんじゃあ……」

 

 

リゼ「ココアに捕まったらおしまいだな、今頃モフモフされて……」

 

 

チノ「!……帰って来ました」

 

 

リゼ「ティッピーよくやった!それでこそスパイだ」

 

 

チノ「ティッピー、どうでしたか?」

 

 

チノ「ふむふむ…………――!」

 

 

チノ「………………」

 

 

リゼ「チノ、なんて言ってるんだ?」

 

 

チノ「………帰ります」スタスタ

 

 

リゼ「お、おい!いきなりどうしたんだ!?」

 

 

チノ「帰ってココアさんの部屋でスマキになって寝ます」

 

 

リゼ「いや、そこはせめて自分の部屋で寝ろよ」

 

 

チノ「………」

 

 

チノ「」スタスタ

 

 

リゼ「わかった!どこで寝てもいいからせめて理由だけでも教えてくれよ」

 

 

チノ「……白々しいです」

 

 

リゼ「へっ?」

 

 

チノ「まさかリゼさんまで内通者だったなんて」

 

 

リゼ「なんのことだ?」キョトン

 

 

チノ「ごまかさないでください、ティッピーが全て聞いてきました」

 

 

チノ「ココアさんはいまからリゼさんのところへ行くそうです」

 

 

リゼ「わたしの家に?ココアが?」

 

 

チノ「まだシラを切るんですね。もういいです、リゼさんを信じたわたしがバカでした」

 

 

リゼ「ちょっと待て、ほんとに身に覚えがないんだ」アセアセ

 

 

リゼ「他に情報は無いのか?例えばどんな理由で行くとか……」

 

 

チノ「いえ、ティッピーが潜入した頃には既にほとんど話が終わっていたそうです」

 

 

チノ「しかしどんな理由であれ、リゼさんの家にココアさんが行くことは間違いないです」

 

 

チノ「わたしは帰りますので、どうぞ二人で心行くまで逢瀬を重ねてください、では……」トボトボ

 

 

リゼ「語弊のある言い方するな!そんなに疑うならチノも来てみればいいだろ」

 

 

チノ「……」ウルッ

 

 

リゼ「!」

 

 

チノ「ココアさん……ココアさん……」グスッ

 

 

チノ「早く帰ってきてください…………」ジワッ

 

 

リゼ(まずいな……さすがにチノも限界だ)

 

 

リゼ(まったく……ココアのやつ、一体何をしてるんだ?)

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――

 

 

――リゼの部屋――

 

 

ココア「リゼちゃん大丈夫?なんだか疲れてるみたいだけど……」

 

 

リゼ「はぁ……はぁ……大丈夫だ、はは……」ゼェゼェ

 

 

リゼ(なんとかココアが来る前に間に合った……)

 

 

チノ「………………」タンス

 

 

リゼ「で、どうしたんだ急に?」

 

 

ココア「あのねリゼちゃん、わたしリゼちゃんにお願いしたいことがあるの」

 

 

リゼ「わたしに……?」

 

 

ココア「聞いて……くれる?」モジモジ

 

 

タンス ガタッゴトッ!

 

 

リゼ「!」

 

 

ココア「あれ、いまあのタンスから音しなかった?」

 

 

リゼ「いや気のせいだ、たぶん」

 

 

リゼ(頼むから地雷を踏むようなこと言わないでくれよ、ココア……)

 

 

リゼ「……とりあえず話してみろ」

 

 

ココア「うん、えっと……その……」

 

 

リゼ「……」ゴクリ

 

 

タンス ………………

 

 

ココア「――わたしに、ぬいぐるみの作り方を教えてください!」

 

 

リゼ「……え?」

 

 

リゼ「ぬいぐるみの……作り方?」

 

 

ココア「ほら、もうすこしでチノちゃんの誕生日だから、今年は去年よりももっと喜ぶものをプレゼントしたいと思って」

 

 

ココア「クラスメイトの友達に相談したら手作りが喜ばれるって教えてくれて、そのあと何が良いか千夜ちゃんに相談したらリゼちゃんが手作りのぬいぐるみを作れるって教えてくれて」

 

 

ココア「チノちゃんのお誕生日まであと2ヶ月……お願いリゼちゃん、お裁縫教えて!わたし、頑張って作るから!」

 

 

リゼ「ココア……」

 

 

リゼ(チノのために今日は右往左往していたのか……)

 

 

リゼ「……わかった、わたしでよければ教えてやる」

 

 

ココア「ほんと!」

 

 

リゼ「ただし、やるからにはビシバシ行くぞ!」

 

 

ココア「うん、ありがとうリゼちゃん!」

 

 

リゼ「よし、そうと決まれば明日から早速とりかかるぞ!」

 

 

ココア「いえっさー!」ビシッ

 

 

リゼ(ほっ……なんにせよ、チノの誤解が解けてよかった)

 

 

リゼ「……あ!」

 

 

リゼ「」チラッ

 

 

タンス ……………………

 

 

リゼ(……………………)

 

 

リゼ(……とりあえず、ココアを返して早く出してやるか)

 

 

 

――

 

――――

 

――――――

 

 

――深夜――

 

 

ココア「チノちゃん、今日は寂しい思いさせてごめんね」モフモフ

 

 

チノ「ココアさん、あんまりくっつかないでください//」

 

 

ココア「えへへ~チノちゃんモフモフ♪」ギュッ

 

 

チノ「…………//」ギュッ

 

 

チノ「……まったく」クスッ

 

 

チノ「ココアさんは、本当にしょうがないココアさんです♪//」ニヘラ

 

 

 

――リゼの部屋――

 

 

Prrrrrrrrrrrrrr――

 

 

リゼ「んっ……?」

 

 

リゼ(チノからメール……)ピッ

 

 

チノ『リゼさん、今日はありがとうございました。ラビットハウス三姉妹は永遠に不滅です』

 

 

リゼ「………………」

 

 

リゼ「……明日は、平和な一日になりそうだ」

 

 

リゼ「はぁ……疲れた……」

---------------------

next...

 



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Phantom flim 2「吸」

目次

Phantom 2.「vampire」

Phantom 3.「Blood」


Phantom 2.「vampire」

――ラビットハウス――

 

 

ココア「チノちゃん、お菓子ちょうだい♪」

 

 

チノ「ココアさん、その衣装は……」

 

 

ココア「倉庫の手品グッズの中にあったんだ、なんだかドラキュラみたいでしょ?」

 

 

チノ「それ、ほんとはマジシャンの衣装なんですが……」

 

 

ココア「そっくりだから大丈夫だよ。それよりチノちゃん、早くお菓子くれないといたずらするよ」

 

 

チノ「はぁ……どうして今更ハロウィンなんですか、もうお正月も終わって冬ですよ」

 

 

ココア「この衣装を着たらやってみたくなっちゃって、トリックオアトリート♪」

 

 

チノ「持ってません」

 

 

ココア「即答!?」ガーン

 

 

チノ「近所に恥ずかしいので早く着替えてください」スタスタ

 

 

ココア「むー……えいっ!」ギュッ

 

 

チノ「っ!」

 

 

ココア「お菓子をくれない子には~いたずらだよ」

 

 

ココア「かぷっ♪」

 

 

チノ「ひゃっ!こ、ココアさん……!//」

 

 

ココア(チノちゃんの耳たぶ柔らかい)

 

 

ココア「はむはむ」

 

 

 

チノ「くすぐったいです、やめてください……//」

 

 

ココア「いたずらだもん、だからもう少し」ギュッ

 

 

ココア「ふふっ、チノちゃんは冬なのにぽかぽかだね」スリスリ

 

 

チノ「ココアさんが冷えすぎなんです」

 

 

ココア「この衣装だとさすがに少し寒くて……くしゅん!」

 

 

ココア「あはは、ごめんね」フキフキ

 

 

チノ「……………………」

 

 

チノ「ココアさん、まさかこの後みんなのところを回るんですか?」

 

 

ココア「うん、もちろんだよ。お菓子をもらえるまで頑張ってくるね」フンス

 

 

チノ「……ちょっと待っててください」

 

 

ココア「あ……」

 

 

 

チノ「お菓子ではないですが、これを」

 

 

ココア「これ、貼り付けるタイプのカイロ?」

 

 

チノ「はい、たくさん貼れば少しはマシだと思います」

 

 

チノ「風邪を引いたら大変ですので……」

 

 

ココア「チノちゃん……!」

 

 

チノ「あの、あまり迷惑がかからないように――」

 

 

ココア「チノちゃん!」ダキッ

 

 

チノ「っ!?」

 

 

ココア「ありがとう、帰りはたくさんお菓子もらってくるからね!」モフモフ

 

 

チノ「もごご……!」

 

 

ココア「えへへ、チノちゃんもふもふ♪」

 

 

チノ(ぐ、苦しい……!)

 

 

ココア「カイロくれたからいたずら終了だよ♪」スッ

 

 

チノ「」バタン

 

 

ココア「あれ……チノちゃん!?」

 

 

チノ「」ピクピク

 

 

ココア「ヴぇあああぁああ!チノちゃんがぁ!!」

 

 

チノ「」チーン

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

――甘兎庵――

 

 

ココア「こんにちは♪」

 

 

千夜「あらココアちゃん、いらっしゃい」

 

 

千夜「まぁ、その衣装なにかのキャンペーン?」

 

 

ココア「ううん違うよ、トリックオアトリートだよ」

 

 

千夜「ふぇ?」

 

 

ココア「千夜ちゃん、お菓子くれなきゃいたずらするよ」ガオッ

 

 

千夜「それってハロウィン……」

 

 

千夜(いまはもう2月、とっくに終わったはずなのに……――はっ!)

 

 

千夜「ココアちゃん、これってもしかしてフリかしら?」

 

 

ココア「フリ?」

 

 

千夜「わたしとしたことが……ごめんなさい!もう一度言ってもらえるかしら?」

 

 

ココア「えっ、う、うん。えっと、トリックオアトリート!」

 

 

千夜「なんでやねん!」ベシッ

 

 

ココア「あうっ」

 

 

千夜「ふぅ~なんとか乗り切れたわ」

 

 

ココア「どうも失礼しました~――って、漫才でもギャグでもないよ!?」

 

 

千夜「えっ!」

 

 

ココア「あのね、ラビットハウスの倉庫でこの衣装を見つけて――」

 

 

カクカクシカジカ

 

 

千夜「そうだったの、てっきりココアちゃんからの唐突なフリかと思ったわ」

 

 

ココア「わたしは芸人さんじゃないよ、もう」プクー

 

 

千夜(ふくれっ面ココアちゃんかわいい……♪)

 

 

千夜「ごめんなさいね。お詫びにはい、この和菓子あげるわ」

 

 

ココア「わぁありがとう――ってこれ、この前のロシアン大福だよね!?」

 

 

千夜「それは新作なの、ハズレは以前の3倍強の威力よ」

 

 

ココア「それってもはや『食べるな危険』だよ!?」

 

 

千夜「ふふっ、冗談よ、千夜月でいいかしら」

 

 

ココア「栗ようかん!千夜ちゃんありがとう」

 

 

千夜「ココアちゃん、写真撮ってもいいかしら?」

 

 

ココア「いいよ~ピース」キメッ

 

 

千夜(ドラキュラココアちゃんなんてSRね)パシャパシャ

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

 

――フルール・ド・ラパン――

 

 

ココア「シャロちゃん、遊びに来たよー」

 

 

シャロ「ココア――って、なによその恰好」

 

 

ココア「ふふん、ドラキュラだよ。この付け八重歯は千夜ちゃんに借りたんだ」

 

 

シャロ「はぁ……チノちゃんからの警告メールは本当だったみたいね」

 

 

ココア「ふぉぇ?チノちゃんから?」

 

 

シャロ「ええ、変な格好をしたココアが襲い掛かってくるから注意してって」

 

 

ココア「色々と語弊があるよ!それだとまるっきり変質者だよね!?」

 

 

シャロ「それで、いったい何の用なのよ?まさかトリックオアトリートとか?」

 

 

ココア「正解。さすがはシャロちゃんだよ、ということでお菓子ちょうだい♪」

 

 

シャロ「えっ……」

 

 

シャロ(冗談のつもりだったんだけど!?)

 

 

シャロ「え、えっと……いま2月よね?」

 

 

ココア「このくだり千夜ちゃんともうやったよ~省略しよう」

 

 

シャロ「わたしは知らないんだけど!?」

 

 

ココア「いいからいいから、シャロちゃんはわたしにお菓子をくれればいいんだよ、嫌ならいたずらしちゃうよ」

 

 

シャロ「……………………」

 

 

シャロ「……色々言いたいことはあるんだけど」

 

 

ココア「」コクコク

 

 

シャロ「そんなにお菓子が欲しいのならいいわ、ハーブティーと一緒にクッキーをごちそうしてあげる」

 

 

ココア「ほんと?やったぁ!」

 

 

シャロ「ふふふ………」

 

 

シャロ「――これでも飲んでなさい!」

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

――帰り道――

 

 

ココア(うぅ、ギムネマティーを飲まされた後にクッキー食べさせられた)

 

 

ココア(帰りにリゼちゃんのところにも寄ろうと思ったけど、しばらく甘いもの食べられないしやめとこう)トボトボ

 

 

リゼ「おーい、ココア」

 

 

ココア「ふぇ?あっ、リゼちゃん……」

 

 

リゼ「なんだその恰好は――このくだり何度目だ?」

 

 

ココア「2度目だよ、リゼちゃんを含めたら3度目かな」

 

 

リゼ「そっか、なら省いてもいいな」

 

 

リゼ「メールでチノに聞いたぞ、トリックオアトリートしてまわってるんだって?」

 

 

ココア「どうしてリゼちゃんにだけまともなメール内容が!?」

 

 

リゼ「ハロウィンでもないし、こんなに寒いのによくやるな」

 

 

ココア「リゼちゃんはどこに行ってたの?お買い物?」

 

 

リゼ「ああ、お前が来るって言うからお菓子を買ってきたんだよ」

 

 

リゼ「ほら、わたしからはこれだ」ガサッ

 

 

ココア「うっ……ごめんねリゼちゃん、いまはいいかも」

 

 

リゼ「どうした、遠慮なんてお前らしくないぞ?」

 

 

ココア「ううん、実は――」カクカクシカジカ

 

 

リゼ「はは、お菓子はもらえたんだし文句は言えないな」

 

 

ココア「これがトリックオアトリートへの対処法なんだね、身に染みてわかったよ」

 

 

リゼ(いや、それは違うと思うが)

 

 

リゼ「うーん、しかし、わたし一人だけなにもあげないというのも気が引けるな」

 

 

リゼ「……そうだ、良かったらウチで晩御飯食べていくか?」

 

 

ココア「そういえば、一日中動き回ってお腹すいたかも……」グー

 

 

リゼ「決まりだな、心配かけないようにチノにだけメールしておけよ」

 

 

ココア「それじゃあお言葉に甘えるね、リゼちゃんからのお菓子は晩御飯ってことで」

 

 

リゼ「おいおい、なんだそれ」クスッ

 

 

ココア「いたずらされなくてよかったね、リゼちゃん命拾いしたよ」フンス

 

 

リゼ「いたずらか……ドラキュラだから首筋でも嚙むのか?」

 

 

ココア「そうだよ、リゼちゃんの首筋をカブって♪ついでに耳たぶもはむはむするよ」

 

 

リゼ「………………//」

 

 

ココア「んっ、リゼちゃんどうしたの?」

 

 

リゼ「いや……なんでもない」

 

 

リゼ(一瞬されてみたいと思ってしまった……いかん、わたしは変〇じゃないぞ!)

 

 

ココア「そうだ!リゼちゃん、さっきのお菓子やっぱりもらってもいい?」

 

 

リゼ「ん?いいぞ、ほら」ガサッ

 

 

ココア「ありがとう。これ、帰ったらチノちゃんにあげてもいいかな?」

 

 

リゼ「なるほど……ああ、もちろんだ」

 

 

ココア「結局リゼちゃんから二つも貰っちゃったね」

 

 

リゼ「別にいいさ、わたしもココキュラが見れたしな」ナデナデ

 

 

ココア「ココキュラかぁ……えへへ、なんだかいいね!今度ラビットハウスで、三人でマント羽織って仮装しようよ」

 

 

リゼ「マントか、悪くないな」

 

 

ココア「チノキュラとココキュラとリゼキュラ、ドラキュラ三姉妹喫茶で売り出せば!」

 

 

リゼ「……誰も寄り付かんな、おそらく」

 

 

ココア「あはは、やっぱり?」

 

 

リゼ「店名もラビットハウスだしな」

 

 

ココア「それならウサミミだね♪」

 

 

キャッキャッ ワイワイ

 

 

 

――

 

――――

 

――――――

 

 

――おまけ――

 

 

ココア「ただいま!」

 

 

タカヒロ「ココアくん、おかえり――――その衣装は……」

 

 

 

ココア「あっ、ごめんなさい!お母さんのもの勝手に持ち出しちゃって……」

 

 

タカヒロ「それはかまわないよ。………ふっ、ドラキュラかい?」

 

 

ココア「はい……あっ、お菓子をくれなきゃいたずらします!」ガオッ

 

 

タカヒロ「トリックオアトリートか……あいにく、今は持ち合わせていないな」

 

 

ココア「分かっていましたけど一応やってみました。それじゃあわたしはチノちゃんにお菓子を――」

 

 

タカヒロ「そうだ。……ココアくん、少しじっとしてなさい」

 

 

ココア「えっ?は、はい」

 

 

タカヒロ「はちみつと着色料を混ぜて……これでケチャップよりもリアルに見える」ペタペタ

 

 

ココア「……?」

 

 

タカヒロ「……よし、完成だ」

 

 

タカヒロ「鏡を見てごらん?」

 

 

ココア「へっ、鏡――――ヴぇあああぁああ!?」

 

 

ココア「血、血がぁ!?」

 

 

タカヒロ「血のりだよ、お風呂に入ればすぐに落ちるさ」

 

 

ココア「すごい……本物のドラキュラみたい!」キラキラ

 

 

タカヒロ「さぁココア君、チノにお菓子を渡しておいで」キラッ

 

 

ココア「…………!」ピコーン

 

 

ココア「ふふっ、タカヒロさん、ありがとうございます」

 

 

ココア「さぁてと、チーノちゃーん♪」ルンルン

 

 

ティッピー「……なぁ息子や……チノがショック死せんかの?」

 

 

タカヒロ「大丈夫だろう、俺の娘だしな」

 

 

ティッピー「やれやれ……あとでチノに怒られても知らんぞぃ」

 

 

タカヒロ「まぁ、たまにはこんないたずらも悪くないさ」フッ

 

 

その夜、チノちゃんの断末魔がラビットハウスに響き渡り、タカヒロとココアがしばらく口を聞いてもらえなくなるのはまた別の話……。

--------------------------

 

Phantom 3.「Blood」

 

――ラビットハウス――

 

 

リゼ「…………」フキフキ

 

 

リゼ「……ふぅ」

 

 

リゼ「お客さん来ないな……」

 

 

チノ「もうお昼も過ぎましたから」カキカキ

 

 

リゼ「なんだ、学校の宿題か?」

 

 

チノ「はい、今のうちに終わらせておきます」

 

 

リゼ「合理的だな……わたしはどうしよう」

 

 

チノ「そうですね、でしたら包丁を研いでいただけませんか?」

 

 

リゼ「おっ、刃物磨きか。普段から手入れしておかないといざという時大変だもんな」

 

 

チノ「どんな時かわかりませんがお願いします」

 

 

リゼ「任せろ。♪~♪♪」

 

 

ガチャッ バタン

 

 

チノ「………………」カキカキ

 

 

チノ「あっ、違う……」ゴシゴシ

 

 

チノ「………………」カキカキ

 

 

チノ「………あれ?」

 

 

チノ「そういえばココアさんは……?」キョロキョロ

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

リゼ(よし、まな板が切れるくらい鋭くしてやるか)

 

 

リゼ「あれ……――ココア?」

 

 

ココア「んっ……あっ、リゼちゃん」

 

 

リゼ「姿が見えないと思ったら厨房にいたのか」

 

 

ココア「うん……」

 

 

リゼ「またつまみ食いでもしてたのか?まったくお前は……――――っ!?」

 

 

リゼ「おいココア、その指……!」

 

 

ココア「あ………これは……」ポタポタ

 

 

リゼ「ケガしたのか!?ええっと、ティッシュ……くっ、ハンカチしかないか」

 

 

リゼ「ほら、指を見せろ」

 

 

ココア「でも、リゼちゃんのハンカチが汚れちゃう……」

 

 

リゼ「そんなの気にするな、いいから手を出せ」グイッ

 

 

ココア「あっ……」

 

 

――キュッ

 

 

リゼ「これでよし……血が止まるまで取ったらダメだぞ」

 

 

ココア「ありがとう……ごめんね」

 

 

リゼ「……どうしてこんなことしたんだ?」

 

 

ココア「えっ……」

 

 

リゼ「その指、自分で切ったんだろう?台所にそれらしいものも見当たらないしな」

 

 

ココア「……………………」

 

 

リゼ「……血か?」

 

 

ココア「……うん」

 

 

ココア「自分のを舐めたら、スッキリするかなって……」

 

 

ココア「でも、やっぱり駄目だった……」シュン

 

 

リゼ「………………」

 

 

ココア「リゼちゃんのじゃないとわたし、もう……」キュッ

 

 

リゼ「………………」

 

 

ココア「ごめんなさい……これ以上、リゼちゃんに嫌われたくなくて……」

 

 

ココア「どうにかしようと思って……その……」

 

 

リゼ「………………」

 

 

ココア「ごめんなさい……ごめんなさい……」ブルブル

 

 

リゼ「…………」

 

 

リゼ「…………はぁ」

 

 

ココア「!」ビクッ

 

 

リゼ「……これからは絶対こんなことしちゃダメだぞ、いいな?」

 

 

ココア「……うん」

 

 

リゼ「約束だぞ。もし破ったらお前のこと、少し嫌いになる」

 

 

ココア「……絶対守る」ギュッ

 

 

リゼ「そうか、偉いな」ナデナデ

 

 

リゼ「なら、もう一つ約束だ」

 

 

リゼ「……これなら、大丈夫か」スッ ホウチョウ

 

 

ココア「……?」

 

 

リゼ「……っ」ピッ

 

 

ココア「っ!?リゼちゃん……!?」

 

 

リゼ「……ふぅ」ポタポタ

 

 

リゼ「もし血が欲しくなったときは、今度からは正直に言え」

 

 

リゼ「これでお前が傷つかないなら、お安い御用だ」

 

 

ココア「リゼちゃん……」

 

 

リゼ「それに、こんなことでお前を嫌いになったりしないよ」

 

 

リゼ「ほら……わたしの血なんかでよければ、いくらでも吸っていいぞ」ニコッ

 

 

ココア「……あ」

 

 

リゼ「遠慮しなくていい……ココアが満足するまで、好きなだけ」ポタポタ

 

 

ココア「……リゼちゃんの、血//」ゴクリ

 

 

ココア「……はぁ……はぁ……//」ハァハァ

 

 

リゼ「大丈夫か?」

 

 

ココア「うん……//」

 

 

ココア「リゼちゃん、ごめんね……ありがとう……//」

 

 

ココア「……それじゃあ、いただきます//」

 

 

リゼ「……ああ」

 

 

ココア「んっ……」カプッ

 

 

リゼ「っ……」

 

 

チュパ……レロ……チュッ

 

 

リゼ「……くすぐったいな」

 

 

ココア「えへへ……リゼちゃんの血、おいしい……//」ニコッ

 

 

リゼ「……変な気分だ」

 

 

ココア「もっと……もっと……//」チュー

 

 

リゼ「……どんな味なんだ?」

 

 

ココア「分からない……でも、不思議な味……んっ……//」ペロペロ

 

 

リゼ「……まるでドラキュラだな」

 

 

ココア「ココキュラだよ……えへへ//」ニコッ

 

 

リゼ(かわいい……♪)

 

 

ココア「リゼちゃん……リゼちゃん……//」ペロッ

 

 

リゼ(……ココアがこんな風になってしまったのも、やはり1か月前のあれが原因か)

 

 

リゼ(まさかこんなことになるとは――――)

 

 

 

――

 

――――

 

――――――

 

 

――1か月前――

 

 

ココア「リゼちゃん、卵サンド2人分お願い」

 

 

リゼ「了解した」

 

 

ココア「チノちゃん、コーヒーのほうは?」

 

 

チノ「こっちは大丈夫ですので、厨房に回ってください」

 

 

ココア「わかったよ、パンなら任せて」フンス

 

 

 

リゼ「よし、こんなものか」

 

 

ココア「リゼちゃん、わたしも手伝うよ」

 

 

リゼ「カウンターのほうはいいのか?」

 

 

ココア「うん、お客さんも二人だけだから」

 

 

リゼ「そうか、ならゆで卵の殻を剥いてくれ」

 

 

ココア「はーい、これだね」

 

 

リゼ「…………」ザクッザクッ

 

 

リゼ(……パンならココアに任せたほうが良かっただろうか、ならわたしがゆで卵を剥いたほうが――)

 

 

リゼ「……――いつっ!?」ピッ

 

 

ココア「リゼちゃん!大丈夫!?」

 

 

リゼ「ああ、問題ない……わたしとしたことが、刃物で指を切るとは」ポタポタ

 

 

ココア「止血しないと!絆創膏か消毒液、ええっと、救急箱は……!」アタフタ

 

 

リゼ「心配するな、それよりパンのほうを――」

 

 

ココア「そうだ!リゼちゃん指かして?」

 

 

リゼ「いや、だからそんなに深くは……」スッ

 

 

ココア「――んっ」パクッ

 

 

リゼ「っ!?」

 

 

ココア「ん……れろっ……ちゅっ」

 

 

リゼ「こ、ココア……おい……!?//」

 

 

ココア「ちゅ……――ぷはぁ!」

 

 

ココア「こうすれば緊急時の消毒になるってお姉ちゃんが言ってたんだ」ニコッ

 

 

リゼ「そ、そうなのか……?//」

 

 

――ポタポタ

 

 

ココア「あっ……まだ出てるね」

 

 

ココア「ん……」チュッ

 

 

リゼ「こ、ココア、もういい……!」

 

 

ココア「ダメだよ、ちゃんと綺麗にしないと」ペロッ

 

 

リゼ「わたしの血なんて汚いぞ、病気にでもなったら……」アセアセ

 

 

ココア「リゼちゃんの血だもん、汚いはずないよ」

 

 

ココア「……むしろ、おいしいかも」ボソッ

 

 

リゼ「……えっ」

 

 

ココア「……リゼちゃんの血、癖になる味…」チュー

 

 

リゼ「ココア……?」

 

 

ココア「……リゼちゃんが、わたしの中に入っていってるような…」

 

 

ココア「はぁ……はぁ……リゼちゃん……」

 

 

リゼ「ココア……?おい、しっかりしろ!」

 

 

ココア「……リゼちゃん」

 

 

リゼ「……?」

 

 

ココア「もっと血……舐めさせて?」

 

 

リゼ「……!」

 

 

ココア「リゼちゃんの血……もっと、もっと……」

 

 

リゼ「ココア……」

 

 

ココア「はぁ……はぁ……」

 

 

チノ「ココアさんリゼさん、サンドイッチのほうは――」ガチャッ

 

 

リゼ「!チノ……」

 

 

ココア「…!」ハッ

 

 

ココア「……チノちゃん…リゼちゃん?……あれ、わたし……」

 

 

チノ「……?ココアさん?」

 

 

リゼ「ココア……ほら、早くサンドイッチを作ってくれ」

 

 

ココア「う、うん……」

 

 

ココア「……リゼちゃん、その……」

 

 

リゼ「話しは後だ。怒ってないから大丈夫だぞ」

 

 

ココア「……ごめんね」

 

 

チノ「……?」

 

 

 

リゼ(その日以来、ココアは時折り内緒でわたしの血を求めてくるようになった……)

 

 

 

ココア「リゼちゃん、どこか怪我してない?」

 

 

ココア「指なおったの?……そっか」シュン

 

 

ココア「リゼちゃんお願い……ほんとに、これで最後だから」

 

 

ココア「リゼちゃん……リゼちゃんの血、舐めたい……//」

 

 

――――――

 

――――

 

――

 

 

 

リゼ(1ヶ月経った今でも、ずっとこの調子……か)

 

 

リゼ(これも、ココアに変なことを覚えさせてしまったわたしの責任だな……)

 

 

ココア「んっ……」チュパ

 

 

ココア「リゼちゃんありがとう……もう大丈夫だよ」

 

 

リゼ「……お前の症状が治るまで、支えてあげるつもりだったんだけどな」

 

 

ココア「えっ……?」

 

 

リゼ「でもすまない、どうやらわたしも限界みたいだ……」スッ シュル

 

 

ココア「リゼちゃん……?」

 

 

ココア(指のハンカチが……)

 

 

ポタ……ポタ……

 

 

リゼ「もう……これ以上」

 

 

リゼ「目の前の誘惑に、抗えそうもない」

 

 

リゼ「んっ……」チュッ

 

 

ココア「!」

 

 

リゼ「ココアの血……おいしい」ペロッ

 

 

リゼ「ココア……ココア……」レロッ

 

 

ココア「………リゼちゃん」

 

 

ココア「そっか……リゼちゃんも、血の魅力に取りつかれちゃったんだね」

 

 

リゼ「お前のが、うつったのかもな」

 

 

ココア「えへへ、感染するんだね」

 

 

リゼ「ああ……恐らくな」

 

 

ココア「…………」

 

 

ココア(……わたしがリゼちゃんの血を求めていたのは、このためだったのかな)

 

 

ココア(友情や血縁、信頼なんかよりも、ずっとずっと確実な繋がり……)

 

 

ココア(わたしがリゼちゃんを求めて、リゼちゃんもわたしのことを求めてくれる)

 

 

ココア(互いに互いを必要とする――離れられない関係)

 

 

ココア「ふふっ……わたしとリゼちゃんは、これでずっと――」

 

 

 

ココア「共依存のままで、いられるね//」ペロッ

-----------------

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Phantom flim 3「面」

目次 

Phantom 4.「ホーム画面」


Phantom 4.「ホーム画面」

 

――ココアの部屋――

 

 

ココア「リゼちゃんまたね~!」フリフリ

 

 

リゼ「夏休みとはいえ夜更かしするなよ」

 

 

ココア「うん!」

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

ガチャッ バタン

 

 

ココア「ふぅ~楽しかった♪」

 

 

ココア(あっというまに6時前……チノちゃん早く帰ってこないかな)

 

 

ココア「それまでお掃除でもして――あれ?」

 

 

ココア「これ……リゼちゃんのスマホ?」

 

 

ココア(時間確認してそのまま忘れちゃったのかな)

 

 

ココア(携帯が無いと色々不便だろうし、あとで届けてあげなきゃ)

 

 

ココア「…………」

 

 

ココア「これがスマホかぁ……」

 

 

ココア(カバーのデザイン可愛い、画面もおおきい……)

 

 

ココア(わたしもそろそろスマホに機種変しようかな)

 

 

ココア「あっ、でもアイフォンとかもあるんだっけ、スマホとどう違うのかな?」

 

 

ココア(今度お姉ちゃんに聞いてみよっと)

 

 

 

Prrrrrrrrr!

 

 

ココア「わわっ、電話!?」

 

 

Prrrrrrrrr――!

 

 

ココア(リゼちゃんのおうちからだ……出たほうがいいよね?)

 

 

ココア「えっと、確かこうして――」スッ

 

 

ココア「もしもし」キリッ←(声真似)

 

 

使用人『もしもしお嬢、お楽しみのところ申し訳ありません』

 

 

ココア「いえいえそんな」

 

 

使用人『ところで、今夜はどうなりましたか?』

 

 

ココア「へっ、今夜……?」

 

 

使用人『へい、例の件です』

 

 

ココア(例の件ってなんだろう?)

 

 

使用人「おともだち、上手く誘えましたか?」

 

 

ココア(誘う?わたしを?なにに?)

 

 

ココア「えっと……」アセアセ

 

 

使用人「その様子ですとダメでしたか……まぁ、気を落とさないでくださいお嬢、また次があり――」

 

 

ココア「い、いや、そんなことないぞ!」

 

 

使用人「!」

 

 

ココア「誘えたぞ、バッチリだ!」

 

 

使用人「そうですか!そいつはめでたい」

 

 

ココア「あはは……」

 

 

使用人「では用意して待っていますんで、気を付けておかえりください」ガチャッ

 

 

ココア「あ……」ツーツー

 

 

ココア(どうしよう、勢いでつい言っちゃったけど……リゼちゃん、何かにわたしを誘う気だったのかな?)

 

 

ココア(朝のジョギング?ミリタリー愛好会?それとも天体観測?なんでも誘ってくれれば一緒にやるけど)

 

 

ココア「携帯届けるついでに聞いてみよう――って、えっ!?」

 

 

 

 

ココア(これ……待ち受け画像だよね?)

 

 

ココア(始業式帰りに千夜ちゃんが撮ってくれたリゼちゃんとわたしのツーショット……)

 

 

ココア(リゼちゃんも送ってもらってたんだ……しかも待ち受けにしてくれてるなんて)

 

 

ココア「……えへへ//」ニヘラ

 

 

ココア(わたしも自分の携帯の待ち受けにしとこっと)ピッピッ

 

 

ココア(パスワードかけておかないとスマホもこんな風に見られちゃうんだね)

 

 

ココア「………………」

 

 

ココア(ということは、画像フォルダも……)

 

 

ココア「…………」ゴクリ

 

 

ココア(さ、さすがにそれはダメだよ!)ブンブン

 

 

ココア「………………」

 

 

ココア(でも、こんなチャンスもう……)

 

 

ココア「………………」

 

 

ココア(ちょっとだけ……ちょっとだけなら……)

 

 

ココア「リゼちゃん、ごめんね……」

 

 

ココア「ギャラリー……これかな?」

 

 

ココア「わ、写真がいっぱい……!」

 

 

ココア(うさぎとか猫の写真だらけ……リゼちゃん動物好きだもんね)

 

 

ココア「!」

 

 

ココア(フェイバリットって書かれたフォルダ……これなんだろう?)

 

 

ココア(もしかして、リゼちゃんの秘密のフォルダとか?)

 

 

ココア「…………」グッ

 

 

ココア(ダメ……これ以上はほんとに……)

 

 

ココア「これ以上やったらわたし……」

 

 

ココア(……なのに)

 

 

ココア(手が……止められない……)

 

 

ココア「リゼちゃんの秘密……知りたいよ……」

 

 

――スッ

 

 

リゼ「すまないココア」ガチャッ

 

 

ココア「ヴェアアアァアア!!」ビクッ

 

 

リゼ「ココア……ど、どうしたんだ?」

 

 

ココア「ごめんなさいリゼちゃん!何でもするから許してぇ!」

 

 

リゼ「なんのことだ?それより、わたしの携帯知らないか?」

 

 

リゼ「たぶんここに忘れたと思うんだが……んっ、それ……」

 

 

ココア「ひっ!?」ビクッ

 

 

ココア「えっと……これは……!」アセアセ

 

 

リゼ「なんだ、やっぱりここにあったのか」ホッ

 

 

リゼ「ありがとう、助かったよ」スッ

 

 

ココア「ふぇ……?」

 

 

リゼ「大切な写真がたくさん入ってるから、さすがになくしたりしたらちょっとな」

 

 

リゼ「ココアの部屋にあって良かった」

 

 

ココア「リゼちゃん……」

 

 

リゼ「それに、実はわたし携帯にパスワードとかかけてなくてな」

 

 

リゼ「他人に拾われたりしたらその、なんだ……データが見られてしまうかもとか心配になって」

 

 

リゼ「その点ココアなら勝手にひとの携帯電話をみたりしないだろうし、ははっ」

 

 

ココア「!」

 

 

リゼ「とにかく、色んな意味で安心したよ」

 

 

リゼ「すまないな、ノックもせずにいきなり開けてしまって」

 

 

ココア「…………」ウルウル

 

 

リゼ「っ!?お、おいココア、どうしたんだ!?」

 

 

ココア「ぐすっ……ううっうえぇえ……」ポロポロ

 

 

リゼ「あわわ……ごめん、デリカシーが無かったな。今度からは気を付けるから」

 

 

ココア「リゼちゃんごめ゛んなさ゛い~!」ビェー

 

 

リゼ「えっ?」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

リゼ「そうか……待ち受け画面を」

 

 

ココア「ぐすっ、ごめんね……わたし最低だよ……」

 

 

リゼ「いいって気にするな、元はと言えば私の不注意なんだし」

 

 

リゼ「ほら、泣き止めよ」ナデナデ

 

 

ココア「んっ……」グスッ

 

 

リゼ「……ココア、ひとつだけ聞いておきたいんだが?」

 

 

ココア「?」

 

 

リゼ「その……フェイバリットって書かれた画像フォルダは、覗いてないよな?」

 

 

ココア「見てないよ、もう少しで見ちゃいそうだったけど……」

 

 

リゼ「そ、そうか!ならいい」

 

 

リゼ「」ホッ

 

 

ココア「リゼちゃんごめんね……お詫びになんでも言うこと聞くから」

 

 

リゼ「いいよ、ほんとに気にしなくていいって」

 

 

ココア「そうだ、リゼちゃんのお誘い!」

 

 

リゼ「!?」

 

 

ココア「今夜わたしを何かに誘おうとしてたんでしょ?さっき電話で使用人さんから聞いたの」

 

 

リゼ「あいつら……」

 

 

ココア「お詫びにどんな誘いでも受けるから!少しトラウマになるくらいのことなら全部受け入れるから!」

 

 

リゼ「………………」

 

 

ココア「リゼちゃん早く言って。でないとわたしの気が収まらないよ」

 

 

リゼ「……ほんとに、聞いてくれるか?」

 

 

ココア「もちろん!なんでもいいよ!」

 

 

リゼ「そうか、なら……」

 

 

リゼ「――今夜、わたしの家に泊まりに来ないか?」

 

 

ココア「えっ?」

 

 

 

――

 

――――

 

――――――

 

 

――IN ベッド――

 

 

ココア「こんなことなら普通に誘ってくれればいいのに」

 

 

リゼ「断られたらとか考えるとなかなか言い出せなくてな」

 

 

ココア「お泊り会ならいつでも大歓迎だよ」

 

 

ココア「でもいいの?ほんとにこれで許してもらって」

 

 

リゼ「ああ、お前とこうして枕を並べて眠れるんだし、満足だよ」

 

 

ココア「でもこれだけじゃ……」

 

 

リゼ「そうか。なら、またこうして一緒に寝てもらってもいいか?」

 

 

ココア「もちろんだよ、また誘ってね」

 

 

リゼ「ありがとう……ほら、もう寝るぞ」

 

 

ココア「えへへ~リゼちゃんぎゅー」ギュッ

 

 

リゼ「お、おい、当たってる……//」

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

ココア「すぅ……すぅ…………」Zzz

 

 

リゼ(携帯を無くしたり見られたり、いろいろあったが……まぁ結果オーライか)

 

 

リゼ(ホーム画面……ひかれてないようだし、このままでいいか)

 

 

リゼ(ともあれ、あの画像フォルダを見られなくて良かった……)ホッ

 

 

リゼ「……ん?」

 

 

リゼ(ココアの携帯……)

 

 

リゼ(おかえしだ、待ち受け画像だけ見てやれ)スッ

 

 

リゼ「どれ……」パカッ

 

 

リゼ「えっ……//」

--------------------

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Phantom flim 4「再開」

目次

Phantom 5.「ココリゼ再開」


Phantom 5.「ココリゼ再開」

 

……………………。

 

………………。

 

…………。

 

 

??「――ねぇ、リゼ?」

 

 

??「リゼは、人生をやり直したいくらいの後悔ってしたことある?」

 

 

人生をやり直したいくらいの後悔……か。

 

――あるさ、そりゃ。

 

 

??「へぇ、なんだか意外」

 

 

そうか?

 

 

??「でもそういうことに限って、いくら忘れようとしても忘れられないんだよね」

 

 

……そうだな。

 

まぁ……でも、わたしの場合は。

 

忘れたくないからこそ、ずっと後悔し続けてるんだけどな。

 

 

??「……そっか」

 

 

??「ねぇリゼ……?」

 

 

??「もしその頃に戻れるなら、戻りたい?」

 

 

 

ああ、もちろん。

 

もしあの頃に戻れるのなら……そうだな、あの時以上に、一日一日を大切にしたい。

 

毎日が幸せで、楽しくて、優しかった、あの日常を。

 

 

そしてなにより――――傷つけてしまったあの子に、ちゃんと謝罪の言葉を。

 

 

 

――

 

――――

 

――――――

 

 

ココア『リゼちゃん……わたしやっぱり、リゼちゃんと同じ大学に行く!』

 

 

リゼ『……ダメだ』

 

 

ココア『!……どうして…』

 

 

リゼ『ココアは弁護士になるんだろ、なら、わたしなんかに付いてきちゃいけない』

 

 

リゼ『それに――お前には、モカさんやチノ、みんながいる』

 

 

ココア『………………』

 

 

リゼ(これ以上言わせないでくれ……でないと――)

 

 

リゼ(わたしがお前から、離れられなくなる)

 

 

リゼ『……一度実家に戻るんだ、ココア』

 

 

リゼ『ちゃんと自分の道は、自分で決めるんだ』

 

 

ココア『…………』

 

 

リゼ『…………』

 

 

ココア『…………いや』ブルブル

 

 

リゼ『!』

 

 

ココア『いや……いやだよ……わたし、みんなと……リゼちゃんと、離れたくない……』ポロポロ

 

 

リゼ『……ココア』

 

 

ココア『ずっと一緒にいたい……だから、帰らない!リゼちゃんと同じ大学にいく!ラビットハウスに残る!』

 

 

リゼ『っ……』

 

 

ココア『弁護士になんてなれなくてもいい!わたしはリゼちゃんやチノちゃん、みんながいてくれればそれで――!』

 

 

リゼ『いい加減にしろっ!!』

 

 

ココア『っ!』ビクッ

 

 

リゼ『…………っ』

 

 

ココア『リゼ、ちゃん……?』

 

 

リゼ『……来るな』

 

 

ココア『え……』

 

 

リゼ『付いてくるなと言ってるんだ!』

 

 

ココア『!』

 

 

リゼ『ラビットハウスに残るも実家に戻るも勝手にしろ……だがわたしの所へは来るな!』

 

 

リゼ『これ以上お前に付きまとわれるのはごめんだ……はっきり言って迷惑だ!』

 

 

ココア『……!』

 

 

リゼ『……嘘つきは嫌いだ』

 

 

リゼ『……ちゃんと夢を叶えるんだ、ココア』ポンッ

 

 

ココア『…ぅぇ……ぇぁ……』ポロポロ

 

 

リゼ『っ…………』ナデナデ

 

 

リゼ『……じゃあな』

 

 

ココア『リゼちゃん待って゛……ううっうえぇぇ゛……』ポロポロ

 

 

ココア『見捨てないで……一人にしないで……』ポロポロ

 

 

リゼ(……お前に、わたしは必要ない)

 

 

リゼ(チノやモカさん……わたし以上にお前を大切に想ってくれてる人たちがいる)

 

 

リゼ(自分の弱さをお前のせいにした卑怯な人間に、お前のそばにいる資格は無い)

 

 

リゼ(ココア……ごめんな)

 

 

リゼ(こんなわたしで、本当にごめん……)

 

 

 

――

 

――――

 

――――――

 

 

リゼ「ふぅ…………」

 

 

リゼ(この街に帰ってくるのも半年ぶりか)

 

 

リゼ(みんな、元気にしてるかな)

 

 

リゼ(実家に荷物を置いたら……そうだな、とりあえず甘兎庵にいくか)

 

 

リゼ(千夜のやつ、今度会うときまでには甘兎庵をひと回り大きくするとか言ってたが)

 

 

リゼ(帰りにシャロの家にも寄るか……家にいてくくればいいが)

 

 

リゼ(最後にラビットハウスにも寄らないとな)

 

 

リゼ(……………………)

 

 

リゼ「……ココア」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

 

――甘兎庵――

 

 

千夜「はい、ご注文の千夜月よ」

 

 

リゼ「お店、もう閉めてよかったのか?」

 

 

千夜「ええ、せっかく久しぶりに会えたんだもの、ゆっくりお話ししたいわ」

 

 

リゼ「そうか……ありがとう」

 

 

千夜「それにしても、ツインテールじゃないリゼちゃんなんて新鮮ね」

 

 

リゼ「はは……そういえば半年前まで、ずっとあの髪型だったっけ」

 

 

千夜「今年からはイメチェン?」

 

 

リゼ「まぁ、そんなところだ。最初は自分でも違和感があったが、今ではすっかり慣れたよ」

 

 

千夜「そう……なんだか寂しいわ」

 

 

リゼ「……………………」

 

 

千夜「……ねぇ、リゼちゃん?」

 

 

 

千夜「ココアちゃんが実家に帰って地元の大学に通ってること……知ってる?」

 

 

 

リゼ「………………」

 

 

リゼ「知ってるよ、メールで聞いたから」

 

 

千夜「………………」

 

 

千夜「コーヒーの勉強もしているそうよ、休みの日はおうちのパン屋さんも手伝ってるみたい」

 

 

リゼ「……あいつ、頑張ってるんだな」

 

 

千夜「ええ、すごく一生懸命ね」ニコッ

 

 

千夜「リゼちゃんに突き放されたことが、よっぽど堪えたんじゃないかしら」

 

 

リゼ「……すまない」

 

 

リゼ「わたしが卑怯なばかりに……こんなことに」

 

 

 

千夜「ううん、リゼちゃんの選択は間違ってなかったと思う……むしろわたしは、リゼちゃんに感謝してるわ」

 

 

リゼ「…………」

 

 

千夜「あっ、皮肉とかじゃなく、これは本心よ?」

 

 

リゼ「わかってるよ」

 

 

千夜「わたしね、半年前にリゼちゃんがこの街から去って寮暮らしになるって聞いたとき、すごく悲しかったわ」

 

 

千夜「連なるようにココアちゃんまで実家に帰って……もう、心が折れそうだった」

 

 

千夜(シャロちゃんに至っては三日三晩泣いてたっけ)

 

 

リゼ「………………」

 

 

千夜「でもみんなとの幸せが『日常』で無くなったからかしら、自分の将来や未来のこと……自分を見直す時間ができたの」

 

 

千夜「大学にいくか甘兎庵を継ぐか……ずっとないがしろにしていた人生の選択と、ちゃんと向き合う時間」

 

 

リゼ「……千夜は、どうするつもりだった?」

 

 

千夜「ふふ、想像の通りよ。……リゼちゃんがこの街を離れなければ……ココアちゃんがこの街に残っていてくれたのなら……きっと、二人のどちらかと同じ大学に通っていたと思うわ」

 

 

リゼ「………………」

 

 

千夜「永遠に、幸せにしがみついていたかったのね……今にして思えば、ほんとに浅はかだったわ」

 

 

千夜「でも、一人になってずっと悩んで……出した答えは、これ」

 

 

リゼ「……そうか」

 

 

千夜「おばあちゃんも快く承諾してくれたわ」

 

 

千夜「わたしの夢は、甘兎庵の全国進出……今のところ、まだまだ遠い夢だけど」クスッ

 

 

リゼ「そんなことないさ……」

 

 

リゼ「……なぁ千夜?」

 

 

リゼ「チノやシャロに、はっきり言ってくれていいんだぞ」

 

 

リゼ「ココアがここを離れたのは、わたしのせいだってこと」

 

 

千夜「言ったでしょう、リゼちゃんのせいじゃないわ」

 

 

千夜「あれはココアちゃんが自分と向き合って決めた道……リゼちゃんはその機会を与えただけ」

 

 

千夜「……でも」

 

 

千夜「せめて離れる前に、ちゃんと仲直りはしてほしかったわ」ナデナデ

 

 

リゼ「……ごめん」

 

 

千夜「今でもココアちゃん、電話をかけてくるたびにリゼちゃんのことを聞いてくるのよ」

 

 

千夜「嫉妬しちゃうくらい、心配そうにね」

 

 

リゼ「………………」

 

 

千夜「……せめて、メールだけでも返してあげて?」

 

 

リゼ「でも、わたしは――」

 

 

ガチャッ

 

 

??「失礼します」

 

 

千夜「あらチノちゃん、こんばんは」

 

 

チノ「こんばんは」

 

 

リゼ「チノ……」

 

 

チノ「リゼさん、お久しぶりです」ペコリ

 

 

リゼ「ああ、元気だったか?」

 

 

チノ「はい、おかげさまで」

 

 

リゼ「ラビットハウスにもあとで寄るつもりだったんだが……一応タカヒロさんやティッピーにも挨拶しておきたいしな」

 

 

チノ「リゼさん、申し訳ないんですがあとでと言わず今すぐラビットハウスに来てください」

 

 

リゼ「なにかあったのか?」

 

 

チノ「実はリゼさんが帰ってくるとうかがったので、ココアさんにも連絡を入れておいたんです」

 

 

リゼ「!!」

 

 

チノ「偶然予定が空いていて、お昼頃にこちらに来たんですが……ついさっき、父のバーでなぜか酔いつぶれてしまって……」

 

 

千夜「まだ未成年なのに……ココアちゃん、どうしちゃったのかしら」

 

 

リゼ「………………」

 

 

チノ「リゼさんに会いたいとわがままを言い出したので、とりあえずわたしがリゼさんを迎えに……」

 

 

チノ「偶然ここにいてくださって助かりました」

 

 

千夜(ココアちゃん、リゼちゃんと会うために……)

 

 

リゼ「っ…………」

 

 

チノ「リゼさん、ココアさんのことお願いできますか?」

 

 

リゼ「ココアが、わたしのことを……」

 

 

リゼ「……どうして」

 

 

千夜「リゼちゃん……今度は、リゼちゃんが自分と向き合う番よ」

 

 

リゼ「千夜……」

 

 

千夜「ココアちゃんは他の誰でもない、リゼちゃんのことを呼んでるの」

 

 

リゼ「……ココア」

 

 

千夜「酔っぱらったココアちゃんのこと、お願いするわ」ニコッ

 

 

リゼ「…………」

 

 

チノ「ではリゼさん、早くラビットハウスに……――っ!?」ガシッ

 

 

千夜「チノちゃんはもう少しわたしとお話してましょう」

 

 

チノ「もごご……!」ジタバタ

 

 

千夜「リゼちゃん、いってらっしゃい」

 

 

リゼ「…………」スクッ

 

 

ガチャッ バタン

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

 

――ラビットハウス――

 

 

リゼ「こんばんは」ガチャッ

 

 

タカヒロ「いらっしゃい。リゼくん、久しぶりだね」

 

 

リゼ「どうも」ペコリ

 

 

タカヒロ「なにか飲むかい?ホットミルクで良ければサービスするよ」キラッ

 

 

リゼ「いえ……今日は――」

 

 

ココア「あはっ、リゼちゃんだ~//」ニコニコ

 

 

リゼ「この酔っぱらいを回収しにきただけですので」

 

 

ココア「ふぉぇ…………//」フラフラ

 

 

タカヒロ「カクテル1杯だけなのに……どうやらココアくんはお酒はダメなようだね」

 

 

リゼ「そもそも飲ませないでください……ほら、立てるか?」

 

 

ココア「んぅ~むりかも……//」フラフラ

 

 

リゼ「……乗れ」スッ

 

 

ココア「わーい//」ギュッ

 

 

リゼ「うちに泊めておきますのでご心配なく……では」

 

 

ガチャッ バタン

 

 

ティッピー「……チノが帰って来んのぉ…」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

リゼ「……………………」

 

 

ココア「ん…………//」

 

 

ココア「リゼちゃんの背中、久しぶりだなぁ……//」

 

 

リゼ「少ししない間に、ちょっと重くなったか」

 

 

ココア「なってないよ、むしろ痩せたもん//」

 

 

リゼ「そうか……」

 

 

ココア「……リゼちゃんの匂い、懐かしい//」

 

 

ココア「安心する……//」スリスリ

 

 

リゼ「こら……くすぐったいだろ」

 

 

ココア「ふふっ、なんだか楽しいね//」

 

 

リゼ「……きっと酔ってるせいだ」

 

 

リゼ「家に着いたら先にベッドで横になってろ」

 

 

ココア「リゼちゃんは?//」

 

 

リゼ「お風呂だ……お前はもう入っただろ」

 

 

ココア「えへへ、いい匂いでしょ……//」スリスリ

 

 

リゼ「ああ……ココアの匂いだ」

 

 

ココア「ん……今日の入浴剤、ラベンダーだったよ?//」

 

 

リゼ「……そうじゃない」

 

 

ココア「……?//」

 

 

 

――

 

――――

 

――――――

 

 

リゼ「…………」ガチャッ

 

 

ココア「おかえりなさい」ニコッ

 

 

リゼ「もう酔いはさめたのか?」

 

 

ココア「うん。ごめんね、迷惑かけちゃって」

 

 

リゼ「飲めない酒なんて飲むもんじゃない、悪酔いするだけだ」

 

 

ココア「こうしないと、リゼちゃんが来てくれないと思ったから」

 

 

リゼ「………………」

 

 

リゼ「……となり、いいか?」

 

 

ココア「どうぞ」ススッ

 

 

ポスッ

 

 

リゼ「…………」

 

 

リゼ「……チノには、言ってないのか?」

 

 

ココア「んっ……?」

 

 

リゼ「半年前のこと……」

 

 

ココア「うん、知ってるのは千夜ちゃんだけ」

 

 

リゼ「そうか……」

 

 

リゼ「………………」

 

 

ココア「………………」

 

 

リゼ「……すまなかった」

 

 

リゼ「メールを無視したり……嫌な思いばかりさせたな」

 

 

ココア「………………」

 

 

リゼ「正直言って、あの日以来お前のことを避けていた」

 

 

リゼ「……お前から離れて自立する、いい機会だと思った」

 

 

ココア「……………それだけ?」

 

 

リゼ「えっ」

 

 

ココア「ほんとに、それだけなの?」

 

 

リゼ「……ああ、口下手ですまない」

 

 

ココア「わたしのこと、嫌いになったとかじゃない?」

 

 

リゼ「そんなはずあるか……なんのために、お前を避けていたと思ってるんだ」

 

 

ココア「?」

 

 

――チュッ

 

 

ココア「!……んっ……あ……」

 

 

リゼ「っ……れろっ……ん……」

 

 

ココア「――ぷはぁ……はぁ……はぁ……//」

 

 

リゼ「お前といると、わたしはダメになってしまう……お前のことを、ダメにしてしまう……」

 

 

リゼ「お前にとって、わたしはマイナスにしかならない……」

 

 

ココア「………………」

 

 

ココア「……リゼちゃん?」

 

 

ココア「わたしのこと、ギュッてして?」

 

 

リゼ「え……」

 

 

ココア「抱きしめて……わたしのファーストキスを奪った罰だよ」

 

 

リゼ「…………」

 

 

――ギュッ

 

 

ココア「ん……やっぱり安心するな…」

 

 

リゼ「…………っ」

 

 

ココア「わたしも、抱きしめていい?」

 

 

リゼ「ああ」

 

 

ココア「えへへ……リゼちゃん、もふもふ♪」ギュッ

 

 

リゼ「ココアは、相変わらずあったかいな」

 

 

ココア「……やっとわたしの名前、呼んでくれたね」

 

 

リゼ「さっきも呼んだだろう、お前の匂いがするってな」

 

 

ココア「あんなのカウントの内に入らないもん、ノーカウント」

 

 

ココア「もう一回、呼んで?」

 

 

リゼ「……ココア」

 

 

ココア「うん……」

 

 

リゼ「…ココア」

 

 

ココア「リゼちゃん……」

 

 

リゼ「ココア……」ギュッ

 

 

ココア「……えへへ」

 

 

リゼ「……髪、伸びたな」サラサラ

 

 

ココア「うん……あの日以来まだ一回も切ってないから」

 

 

リゼ「なんだか別人みたいだよ」

 

 

ココア「リゼちゃんこそ、ツインテールは?」

 

 

リゼ「あの日以来、やめた」

 

 

ココア「……そっか」

 

 

ココア「お互い、髪型以外全然変わってないね」クスッ

 

 

リゼ「性格なんてそんな簡単に変えられもんじゃない」

 

 

ココア「ダメだね、わたしたち」

 

 

ココア「あの時から、なにひとつ成長してないかも……」

 

 

リゼ「………………」

 

 

ココア「それとも、二人でいると元に戻っちゃうのかな」

 

 

リゼ「ああ、だからこそ……お前に、わたしは必要ない」

 

 

ココア「でもリゼちゃんは迎えに来てくれたよ?」

 

 

リゼ「……最低人間だからな」

 

 

ココア「じゃあリゼちゃんを陥れたわたしはもっと最低だね」

 

 

リゼ「……………………」

 

 

ココア「あの頃みたいに、なでなでしてくれないの?」

 

 

リゼ「…………」

 

 

ココア「わたし、いっぱい頑張ってるよ?苦手な国語もコーヒーの勉強も、ちゃんとしてるよ?」

 

 

リゼ「…………」

 

 

ココア「リゼちゃん……ご褒美のなでなで、ちょうだい?」

 

 

リゼ「……ダメだ」

 

 

ココア「……え」

 

 

リゼ「これ以上やると、またお前から離れられなくなる……」

 

 

リゼ「……だから、できない」

 

 

ココア「……そっか……うん、そうだね……」

 

 

リゼ「そろそろ、もういいか」スッ

 

 

ココア「あっ…………」

 

 

ココア「……………………」

 

 

ココア「…………」グッ

 

 

ココア「」キョロキョロ

 

 

ココア「あっ、あった……」ハサミ

 

 

リゼ「……?」

 

 

ココア「リゼちゃん……あのね……」

 

 

チョキチョキ……ファサッ

 

 

リゼ「……!」

 

 

リゼ(ココアの髪の毛が…………)

 

 

ココア「せめて今日だけ……今夜だけ……」

 

 

ココア「明日からはまた、いつものわたしに戻るから……リゼちゃんに、甘えたりしないから……」ウルウル

 

 

ココア「だからお願い……今夜だけ……リゼちゃんに、甘えさせてください……」ジワッ

 

 

ココア「お願い……お願い、します……」ポロポロ

 

 

リゼ「………………」

 

 

リゼ「…………」スッ

 

 

リゼ「ヘアゴム……あった」

 

 

ギュッ ギュッ……ファサ……

 

 

ココア「リゼちゃん……それ、ツインテール……」

 

 

リゼ(……神様)

 

 

リゼ(もしあなたに少しでも慈悲がお有りなら……今夜だけは、見逃してください……)

 

 

リゼ(こんな最低人間にでも……せめて一番大切な子の涙を拭う権利だけは……)

 

 

リゼ「ココア……おいで」

 

 

ココア「あ…ぁ…………♪」ポロポロ

 

 

ココア「リゼちゃん……リゼちゃん!」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――

 

 

ココア「………………」ギュッ

 

 

リゼ「……どうした?」ナデナデ

 

 

ココア「ううん……このまま時間が止まらないかなって……」

 

 

リゼ「……そうだな」

 

 

ココリゼ「ん……」

 

 

――チュッ

 

 

 

――

 

――――

 

――――――

 

 

――翌日――

 

 

チノ「ココアさん、リゼさんもお元気で」

 

 

千夜「また会いに来てね、待ってるわ」

 

 

シャロ「ココアぁ……リゼしぇんぱい……」ポロポロ

 

 

リゼ「みんなありがとう、またな」

 

 

ココア「チノちゃんまたねー!千夜ちゃんバイバイ!シャロちゃん、また会いに来るからー!」

 

 

ココア「今日は楽しかったね!」

 

 

リゼ「ああ、みんなほんと変わってないよな」

 

 

ココア「うぅ、明日からまたひとりぼっちか………」シュン

 

 

リゼ「おいおい、大学に友達くらいいるだろ」クスッ

 

 

ココア「みんなは特別だもん」プクー

 

 

リゼ「はは……おっと」

 

 

リゼ「……わたしはこっちの駅だから、ここでお別れだな」

 

 

ココア「……リゼちゃん、二日間ありがとう、すごく楽しかったよ」ニコッ

 

 

リゼ「わたしもだ……また一緒に遊ぼうな」

 

 

ココア「これからはちゃんとメールも返してね?」

 

 

リゼ「もちろん、必ず返すよ」

 

 

ココア「リゼちゃん……ツインテールには、しないの?」

 

 

リゼ「んっ……ああ、向こうにいる間はな」

 

 

ココア「!……それじゃあ――」

 

 

リゼ「……ココア」

 

 

リゼ「……今度来るときは、ちゃんとこの街で待ってる」

 

 

ココア「……!」

 

 

リゼ「寮住まいはもうやめだ……親父も心配してるようだし」

 

 

ココア「……リゼちゃん!」ギュッ

 

 

リゼ「おっと……こらこら、急に抱き着いたらあぶないだろ」クスッ

 

 

ココア「……また、会えるの?」

 

 

リゼ「もちろん……お互い義務を怠らずにいれば、な」

 

 

リゼ「また、たくさんなでなでしてやる」ポンポン

 

 

ココア「…………!」

 

 

リゼ「……ココア」ギュッ

 

 

ココア「えへへ……リゼちゃん」ギュッ

 

 

リゼ(あの時言えなかった言葉……心にずっと引っかかっていたのは、謝罪なんかじゃなかった……)

 

 

リゼ(わたしがココアに伝えたかったのは――ただ一言だけ)

 

 

リゼ「ココア……大好きだぞ」

------------------

next...



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Phantom flim 5「虫歯」

目次

Phantom 6.「I have become a tooth decay...」


Phantom 6.「I have become a tooth decay...」

 

――ラビットハウス――

 

 

リゼ「いらっしゃいませ~……」

 

 

チノ「………………」

 

 

ココア「………………」

 

 

リゼ「あ……ありがとうございました」

 

 

チノ「………………」

 

 

ココア「………………」

 

 

リゼ「……っ」サスサス

 

 

チノ「……ココアさん」

 

 

ココア「うん……最近のリゼちゃん、明らかに様子がおかしいよね」

 

 

チノ「はい、時折りああやって左頬をさすっています」

 

 

ココア「あんまり元気もなさそうだし」

 

 

ココチノ「………………」

 

 

チノ「これは……恐らく、というか十中八九」

 

 

ココア「そうだね、ちょっと調べてくる」テクテク

 

 

 

ココア「リーゼちゃん」

 

 

リゼ「ココア……どうした?」

 

 

ココア「ちょっとあーんして?」

 

 

 

リゼ「!」ギクッ

 

 

リゼ「…………」プイッ

 

 

ココア「やっぱり!リゼちゃんダメだよ!」

 

 

リゼ「なんのことだ……」

 

 

ココア「えいっ」ホッペ ツンッ

 

 

リゼ「い゛ぅっ!!?」

 

 

リゼ「うぅ……」ヒリヒリ

 

 

ココア「あっ、ごめんね!大丈夫!?」

 

 

チノ「やはり虫歯でしたか」

 

 

リゼ「いひゃい……」グスッ

 

 

ココア「そんなにひどいなんて……早く歯医者さんに行かないと」

 

 

リゼ「!」

 

 

チノ「今日はお客さんも少ないので、今からココアさんと一緒に行ってきてはどうですか?」

 

 

リゼ「!!」

 

 

ココア「それじゃあまずはリゼちゃんのおうちまで保険証を取りに――」

 

 

リゼ「い、いや、今日はよそう!夕方から忙しくなるかもしれないし!」

 

 

リゼ「あっ、なんだか痛みがマシになってきた!もう大丈夫だ!」

 

 

リゼ「心配かけて悪かったな、あはは……!」

 

 

ココチノ「……………………」ジー

 

 

リゼ「な、なんだその目は……」

 

 

ココア「はいリゼちゃん、おせんべい」

 

 

リゼ「うっ……」

 

 

チノ「オレンジジュースの炭酸もあります」

 

 

リゼ「……ごめん、嘘だ」

 

 

ココチノ(やっぱり)

 

 

ココア「明日から休日だし、今日行っておかないと2日後になっちゃうよ?」

 

 

チノ「その間に痛みももっとひどくなるでしょうし、夜に眠れなくなってからでは手遅れです」

 

 

リゼ「ううっ…………」

 

 

ココア「治療が遅れたせいで最悪抜かなきゃいけなくなるかもしれないし」

 

 

チノ「歯茎の神経までバイ菌が入ってしまうかもしれません」

 

 

リゼ「で、でも、歯医者は怖いんだ!」

 

 

リゼ「ドリルでチュイーンってされるんだぞ!?あの音を聞くだけでもう……!」

 

 

ココア「1年前に行ったときはそんなに痛くなかったでしょ?」(原作参照)

 

 

リゼ「それとこれとは別だ!あの後1週間、何度悪夢を見たことか……」

 

 

チノ「怖いというよりは一種のトラウマになっているようですね」

 

 

ココア「でも結局最後は行かなきゃダメだから……」

 

 

リゼ「そんなことは分かってる……うぅ」グスッ

 

 

ココア「わたしも付き添うから一緒に歯医者さん行こう、ねっ?」

 

 

チノ「治療するのでしたらなるべく早い方が良いと思います」

 

 

リゼ「チノ……ココア……」

 

 

リゼ「……そうだな、うん……そうだよな」

 

 

リゼ「わかった、行ってくるよ」

 

 

チノ「」ホッ

 

 

リゼ「その代わり……ココア、付いてきてくれ。一人だとどうしても……」ブルブル

 

 

ココア「もちろん!お姉ちゃんにまかせなさーい!」ドンッ

 

 

チノ「おじいちゃん、この辺に良い歯医者さんを知りませんか?」

 

 

ティッピー「ふむ、即効治療ならば商店街辺りの――」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 

――歯医者前――

 

 

ココア「ここがチノちゃんイチオシの歯医者さんかぁ」

 

 

リゼ「…………」ジリジリ

 

 

ココア「あっ、リゼちゃんどこ行くの?逃げちゃダメ!」ガシッ

 

 

リゼ「見逃してくれぇ!やっぱりダメだ!」

 

 

ココア「そんなこと言ってたらいつまでたっても治らないよ、ほら早く」

 

 

リゼ「ココアの鬼、悪魔ぁ~!」

 

 

ココア(あれ、デジャブが……)

 

 

ガチャッ バタン

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

受付「順番までしばらくお待ちください」

 

 

ココア「はーい」

 

 

ココア「リゼちゃん、3番目だってさ」

 

 

リゼ「…………」ズーン

 

 

ココア「もう~ここまで来たら潔く覚悟決めようよ」

 

 

リゼ「とうとう来てしまった、もう後戻りできない……」

 

 

ココア「だからちゃんと直してチノちゃんを安心させてあげよ?」

 

 

リゼ「そうだな……」

 

 

リゼ「……はぁ」

 

 

ココア「この前といいリゼちゃんってよく虫歯になるよね。ちゃんと歯磨きしてる?」

 

 

リゼ「当たり前だろ、朝食を食べる前と夕食後にちゃんと磨いてるよ」

 

 

ココア「うーん、磨き方が悪いのかな」

 

 

リゼ「良い機会だし教わってくるよ、さすがにこの年で差し歯は遠慮したい」

 

 

ココア「うんうん、やっとリゼちゃんも腹をくくったね」

 

 

リゼ「お前相手にこれ以上ぐずっても意味無いだろうしな」

 

 

ココア「その通りだよ」エッヘン

 

 

リゼ「こういう時のココアって意外と強引だよな」

 

 

ココア「当然だよ、だってわたしの大切な人が苦しんでるんだもん」

 

 

ココア「嫌われても恨まれても絶対に助けないと」

 

 

リゼ「ココア……」

 

 

ココア「わたし一人が嫌われ者になって済むなら安いもんだよ」

 

 

リゼ「……やっぱりお前はすごいな」

 

 

ココア「見直した?」フフン

 

 

リゼ「ああ」

 

 

ココア「リゼちゃんが褒めてくれるなんて珍しいね」

 

 

リゼ「……………………」

 

 

ココア「♪~♪♪」

 

 

リゼ「……なぁ、ココア?」

 

 

ココア「んー?」

 

 

リゼ「やっぱり変か?」

 

 

ココア「?」

 

 

リゼ「その……わたしが歯医者怖いとか……イメージと違うんじゃないかなって」

 

 

ココア「……ううん、そんなことないと思う」

 

 

ココア「誰だって怖いものはあるよ、チノちゃんでもわたしでも、千夜ちゃんでもシャロちゃんでも」

 

 

ココア「もちろん、リゼちゃんにだって」

 

 

リゼ「……!」

 

 

ココア「確かに最初は意外だったけど、リゼちゃんが何もかも完璧じゃないんだって分かってホッとしたかも」

 

 

ココア「あと、リゼちゃんのこともっと深く知ることができて嬉しかったかな」ニコッ

 

 

リゼ「っ……はぐらかされた気がするが……まぁいい//」プイッ

 

 

ココア「?」

 

 

リゼ「気にするな」ポンポン

 

 

ココア「むぅ~一生懸命答えたのに」

 

 

リゼ「そうだ、今日のお礼に歯が治ったらなにかごちそうするよ。なにがいい?」

 

 

ココア「ほんと!じゃあ1週間後に開店するドーナツ屋さんに行きたい!」

 

 

リゼ「わかった、好きなだけ食べさせてやる」

 

 

ココア「やったぁ!早く虫歯治してね、リゼちゃん」

 

 

リゼ「来週までにはきっと――」

 

 

受付「3番でお待ちの天々座さん、お入りください」

 

 

ココア「リゼちゃん呼ばれたよ」

 

 

リゼ「とうとうきたか……」ダラダラ

 

 

リゼ「……よし!行ってくる!」ビシッ

 

 

ココア「頑張ってね!」フンス

 

 

ガチャッ バタン

 

 

シーン……

 

 

ココア(……リゼちゃん、大丈夫かな)

 

 

キュイーン…… ヒァヤァァァァ!!!!

 

 

ココア「あっ……」

 

 

ザワザワ ガヤガヤ

 

 

ココア「あはは…………」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

――

 

――――

 

――――――

 

 

――公園――

 

 

ココア「リゼちゃんの歯、すっかり良くなったね」

 

 

リゼ「どうやらチノが紹介してくれたあの歯医者は、治療は痛いがすぐに治してくれる歯科で有名なところらしい」

 

 

ココア「それって名医なのかな、すごいけど」

 

 

リゼ「まぁ、治療は痛かったがこうして開店日に間に合ったんだから良しとするか」

 

 

ココア「甘いものがおいしく食べられるって幸せだよねぇ」モグモグ

 

 

リゼ「ああ、虫歯はもう二度とこりごりだ」

 

 

リゼ「!……そういえば忘れてた」

 

 

ココア「?」

 

 

リゼ「ココア、この前の歯医者、付き添ってくれてありがとう」ナデナデ

 

 

ココア「えへへ、どういたしまして♪」ニコッ

 

 

リゼ「ふふっ……いい天気だ、チノも遠慮せずに来れば良かったのに」

 

 

ココア「なんだか体調が悪いみたいだよ、あまり晩御飯も食べてなかったし」モグモグ

 

 

リゼ「……んっ?」

 

 

ココア「朝食のオレンジジュースも飲んでなかったし……あっ、またダイエットかな?」

 

 

リゼ「……………………」

 

 

リゼ「……ココア、それって」

 

 

ココア「んっ?…………あ」

 

 

ココリゼ「………………」

 

 

 

ティッピー「チノや、ひどくなる前に歯医者に行かんと……」

 

 

チノ「チュイーンってされるの怖いです!」スマキ

-------------------

end.




虫歯が二本て....、もう嫌。 by.GIGANT GIGS


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特別編:Desect film
Desect film 1.「Reload 1」


目次

I.

II.

III.


I.

 

チノ「駅前の公衆電話に落ちてたんです」

 

ココア「チノちゃん!こういうのは落ちてたんじゃなくてわざと置いてるんだよ!」

 

ココア「私のチノちゃんが汚れたよー」

 

ココア「うわーん うわーん うわーん」

 

チノ「ココアさんのじゃないです」

 

ココア「チノちゃんテレクラって何か知ってるの!?」

 

チノ「みんなでテレビを見る同好会です」

 

ココア「なら私と見よ!!」

 

チノ「私は全員集合が見たいんです」

 

ココア「ええ!?チノちゃんはアミダばばあが好きなんだと思ってたよ!」

 

チノ「私が好きなのはココアさんです」

 

ココア「チノちゃん!!」

 

チノ「ココアさん…」チュッ

 

カランカラン

 

リゼ「おーし今日も頑張るぞいっと」

 

リゼ「とおーーーー!?」

 

リゼ「お、お前ら…なにやって…」

 

リゼ「うわああああああ!!」

 

カランカラン

 

フルール・ド・ラパン

 

シャロ「フルール・ド・ラパンへようこそ!」

 

カランカラン

 

シャロ「せ、センパイ?!どうしたんですか?」

 

リゼ「シャロ!シャロ!」

 

シャロ「は、はい?」

 

リゼ「年の離れた姉妹の接吻はありなのかー?」

 

シャロ「」

 

 

 

II.

 

ゴォォォォォーーー

 

 

「先ほど、竜巻注意情報が発表されました。急な突風、竜巻に注意してください」

 

 

シャロ「竜巻注意情報だなんて…」

 

シャロ「ただでさえ、強風で壊れそうなくらいのボロ家なのに竜巻なんか来たら…」

 

 

ゴォォォォォーーー

 

 

シャロ「いやーーー」

 

 

 

シャロ「怖い…」ガタガタガタガタ

 

シャロ「風と竜巻が怖い…」

 

シャロ「もし、このボロ家が壊れたら、私、どこに住めばいいの…?」ブワッ

 

シャロ「もし、誰も差し伸べてくれなかったら私…」ポロポロ

 

 

ゴォォォォォーーー

 

 

シャロ「いやーーー」

 

 

シャロ「お願い、誰か来て…」

 

シャロ「千夜でもリゼ先輩でも誰でもいいから早く来て…」

 

シャロ「私を…」

 

 

コンコン

 

 

リゼ「シャロ、大丈夫か?」

 

シャロ「リゼ先輩!」ダキッ

 

リゼ「シャロ…」

 

シャロ「リゼ先輩… 怖かった… 怖かったよ…」ポロポロ

 

リゼ「そうか… もう私が来たから安心しろ!」

 

シャロ「(先輩の体、暖かくて気持ちいい…)」

 

 

 

シャロ「先輩はこんな天気の中、何で私の家に来たのですか?」

 

リゼ「最初はラビットハウスで風が落ち着くまで待っていたけど」

 

リゼ「風が強くなるにつれてシャロの事が心配になって様子を見に来たんだ」

 

シャロ「リゼ先輩…」 ウルッ

 

 

 

リゼ「この強風でシャロが不安になっていたら、風が落ち着くまでシャロのそばに居たいんだ」

 

リゼ「少しでもシャロの不安を私が取り除きたいんだ」

 

リゼ「だって、シャロは可愛い後輩であり、私の大切な友達だから」

 

リゼ「だからシャロを守りたいんだ!」

 

シャロ「リゼ先輩…」ポロポロ

 

 

ゴォォォォォーーーー

 

 

シャロ「いやーーーーー」ダキッ

 

 

 

リゼ「シャロ、大丈夫か?」

 

シャロ「私は大丈夫ですけど、もし、このボロ家が壊れたら…」ウルッ

 

リゼ「…」

 

リゼ「シャロ…」

 

 

 

 

 

「私の家に来ないか?」

 

 

 

 

シャロ「せ、せ、先輩の家に!!!」

 

リゼ「そう、私の家に来ないか?」

 

リゼ「シャロが怖がっていたのはこの強風で家が壊れたら、住む場所が無くなる事に不安になっていたんだろ」

 

シャロ「はい…」

 

リゼ「だったら私の家に来ればいい」

 

リゼ「親父もシャロの事をよく知っているから、すぐにOKが出ると思う」

 

シャロ「でも、このボロ家は…」

 

リゼ「うちで管理するよ」

 

リゼ「あと、千夜にも事情を話しておけば何かしてくれるだろ」

 

シャロ「千夜だから余計不安なんだけど…」

 

 

 

しばらく経って

 

 

リゼ「どうやら竜巻注意情報は消えたようだな」

 

リゼ「風も少し落ち着いて来たな」

 

リゼ「じゃあ、そろそろ私は…」

 

シャロ「…zzz」

 

リゼ「…」

 

リゼ「どうやら全ての不安が取り除かれたみたいだな」

 

リゼ「いい顔して眠っているな」

 

シャロ「…き…」

 

リゼ「んっ、今、何か言ったな」

 

シャロ「…好きです…」

 

 

 

 

 

「リゼ先輩、大好きです」

 

 

 

 

リゼ「夢の中で私に告白しているのか」

 

リゼ「じゃあ、私もシャロの耳元で…」

 

リゼ「シャロ…」

 

 

 

 

 

「私もシャロが大好きだぞ」チュッ

 

 

 

 

リゼ「告白と一緒にキスもしておいたぞ」

 

リゼ「これが夢の中にも伝わっていればいいな」

 

リゼ「じゃあ、シャロ、また明日な」

 

シャロ「…zzz」

 

シャロ「…zzz」

 

シャロ「…リゼ先輩…」

 

 

「いつまでも私の恋人でいてください」

 

 

「リゼ先輩、大好きです」

 

 

 

III.

 

ココア「公式サイト、今年はどうなるのかなあ」

 

リゼ「ああ、もうそんな時期なのか。『ご注文はうさぎですか?』は、毎年エイプリルフールの一日限定で公式サイトをがらっと変えるんだよな」

 

チノ「結構力入れてるんですよね。ある種風物詩となっている気がします」

 

ココア「『ご注文はうさぎですか?』に限らず、エイプリルフールに全力投球してる作品は結構あるんだけどね。タイプムーンさんとか、同じきらら作品だとNewGame! がそうだね」

 

ココア「――ときにチノちゃん。今までのごちうさのエイプリルフールのテーマってどんな感じだったっけ?」

 

チノ「去年はチマメクロニクル、その前は怪盗ラパン、またその前は魔法少女チノでしたね」

 

リゼ「チノ、シャロときて、去年はチマメ隊。エイプリルフールは人気キャラをメインに据えたキャラ配役にしているよな」

 

ココア「まあ、所詮傾向と言ったらそれまでなんだけど。でも、その傾向を基にすれば、ある程度今年のエイプリルフールのテーマは予測が建てられるんだよね」

 

チノ「というと?」

 

 

ココア「ずばり! 今年のエイプリルフールは、私がリゼちゃんが主役だと思います!」

 

 

チノ・リゼ「……はあ」

 

チノ「ちなみに、なんでココアさんかリゼさんなんですか?」

 

ココア「よくぞ聞いてくれました! 人気キャラっていうとチノちゃんシャロちゃんにチマメ隊だけど、今挙げた子達はもうメイン張っちゃってるんだよね」

 

リゼ「チノが二回登場している辺りに人気キャラの真髄を感じるな」

 

ココア「で、次点の人気キャラっていうと、自分で言うのもなんだけど私とリゼちゃんだからね」

 

ココア「時期的にも、怪盗ラパンは原作で出てきた直後だったし、チマメクロニクルは前年度にチマメ隊のラジオやアルバム、アンソロジーコミックが発売した直後だからね。で、今年何があったかって言ったら……」

 

チノ「Dear My Sisterですね。映画が公開されました」

 

リゼ「でも、言われてみればそれしかないよな」

 

ココア「そうなんだよね。だからキャラ人気の側面から考えてみても、メイン張るのは私かリゼちゃんか、もしかしたらラビットハウス三姉妹かも」

 

リゼ「勝手に三姉妹にするな」

 

チノ「……」

 

ココア「で、肝心の内容なんだけど、これが全く検討つかないんだよね。……でもまあ、魔法少女なんじゃないかな?」

 

リゼ「随分投げやりだな」

 

チノ「魔法少女って既に一度やりましたよね?」

 

ココア「そうなんだけどね。でもkoi先生が魔法少女好きらしいし、またあってもおかしくないんじゃないかな」

 

ココア「……って思うんだけど、二人はどう思う?」

 

リゼ・チノ「………………」

 

ココア「あれ、無反応?」

 

チノ「いや、だって……」

 

リゼ「なぁ?」

 

チノ「……ココアさんは人気キャラがメイン張る傾向を基に推論を建てましたが、実際メインキャラが人気キャラなのってたまたまだと思いますよ。それに、ごちうさだけに限れば確かに去年一番大きなニュースはごちうさDMSですが、まんがタイムきららに視野を広げてみると、大きなニュースは他にもあります」

 

リゼ「ああ、きららファンタジアか」

 

チノ「きららファンタジアはまんがタイムきららのキャラクターが大集合したお祭り的なソーシャルゲームですが、アニメ化している作品の中でもまだ参戦していない作品って結構あるんですよね」

 

ココア「えーと、けいおん! 先輩、GA先輩、あっちこっち先輩にかなめも先輩、ハナヤマタさんに幸腹グラフティさん、あんハピ♪さん……。それと、私たちだね」

 

チノ「はい。なので、エイプリルフールはごちうさきらファン参戦決定! という嘘予告の後に公式サイトを特設サイト風に改装するのではないかと」

 

チノ「……思うのですが、お二人はどう思いますか?」

 

ココア・リゼ「…………」

 

ココア「う~~ん。そう言われればそうかもしれないけど……」

 

リゼ「私は違うと思うぞ」

 

リゼ「一昨年の怪盗ラパンが原作に出てきたときって、まだ怪盗ラパンの話がコミックスに収録されてなかったんだよな」

 

チノ「怪盗ラパン初出のエピソードが収録されているのは原作5巻ですけど、当時の最新刊は四巻でしたからね」

 

ココア「そういうこともあってか、あんまり『もう見た』って感想は聞かなかったんだよね」

 

リゼ「だから、まだコミックスに収録されてない話の要素だったとしても、平然とエイプリルフールネタとして拾われる可能性があるってことなんだよ」

 

リゼ「そういうことを考えたとき、多分これやるんだろうなって予測が一個あるんだよ」

 

ココア「ほうほう、それは?」

 

リゼ「――大泥棒イナバ」

 

チノ「まんがタイムきららMAX十一月号の『ご注文はうさぎですか?』に登場した、怪盗ラパンのライバルですね。夜空になびく黒髪に和服が特徴の大泥棒です。……多分、モデルは千夜さんなんでしょうけど」

 

ココア「そういえばそんなのも居たねえ」

 

リゼ「ちょうどラパンから2年経つし、またラパンみたいな雰囲気で言っても文句は言われないと思うんだよな」

 

リゼ「……というわけで私は大泥棒イナバをやると思ったんだけど」

 

ココア「う~ん」

 

チノ「……」

 

ココア「なくはないんだけど、でもやっぱり、同じようなことをラパンでやっちゃったからなあ。二番煎じになっちゃいそうな気がするな」

 

チノ「去年は壁紙しか貰えませんでしたし、ラパンのときみたく謎解きゲームするんならそれはそれで楽しそうですけど」

 

リゼ「…………」

 

ココア「……結局色々案が出たけど、誰が正解なのかはエイプリルフール当日になってみないと分からないよね」

 

チノ「そうですね」

 

ココア「もしかしたら、今の予想は全部大外れの的外れで、全然違いましたってのもあるかもしれないね」

 

リゼ「否定はできないな」

 

ココア「読者の皆さんの予想はどんな感じかな? 私の予想に近いかもしれないし、チノちゃんのに近いかもしれないし、リゼちゃんのに近いかもしれないし、はたまた全然違ったりするかもしれないけど」

 

ココア「まあ、その予想がどうであれ…………」

 

ココア「…………エイプリルフールは、楽しまなくっちゃね!」

−−−−−−−−−−−−−−

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Desect film 2.「Reload 2」

目次

IV.

V.

VI.


IV.

 

ラビットハウス

 

チノ「そ、それは私の… 返してくださいココアさん!」

 

ココア「チノちゃんは未成年なんだからこんなビデオ見ちゃだめ!!」

 

チノ「ココアさんには関係ないです!!」

 

チノ「かーえしてくださーい!」

 

ココア「タイトルからしてなにコレ?ひゃくあうトリック?」

 

チノ「百合トリックです!返してください!」

 

ココア「チノちゃんはこういうのが好きなんだね!」グスン

 

チノ「何で泣き出すんですか やめてください!」

 

ココア「チノちゃんを満足させられないなんてお姉ちゃん失格だー!」ダッ!!

 

チノ「ココアさーん」

 

 

ラビットハウスの外

 

 

ココア「チノちゃんが別の雌狐に現抜かしてるよー」ワーン

 

千夜「あらまあ」

 

千夜「ならココアちゃんがチノちゃんの雌狐…いいえ!?猫になるのよー!」

 

ココア「えー」

 

 

ラビットハウス

 

 

チノ「ココアさんなんて知りません」

 

ガチャ

 

ココア「チノちゃんー!!」ダーッ

 

チノ「な、なんですかいきなり!」

 

ココア「私が猫だよー」

 

チノ「ならいいです!」

 

ココア「チノちゃんもふもふ」チュッ

 

ガチャ

 

リゼ「さあ、今日も頑張るぞー」

 

リゼ「お、お前ら何やってるんだ!!」

 

リゼ「ふ、不潔だろー!!」ダーッ

 

フルール・ド・ラパン

 

 

シャロ「いらっしゃいませー!」

 

カランコロン

 

リゼ「シャロ!!」

 

シャロ「せ、センパイ!どうしたんですか?」

 

リゼ「シャロ!女の子同士ってのは有りなのかー?!」

 

シャロ「えーーー!!」

 

甘兎庵

 

 

千夜「ふう 私の秘密のコレクション回収してきたわ」

 

千夜「それにしてもチノちゃんがβのデッキ持ってるなんてねー」

 

 

 

V.

 

ココア「チ~ノ~ちゃん!」

 

チノ「ぅあ!ココアさん、びっくりさせないでくださいよ…」

 

ココア「えへへ…ごめんね」

 

チノ「何か用ですか?洗い物ならもう済ませましたよ」

 

ココア「チノちゃん一緒に遊ぼ!」

 

チノ「今テレビをみてるんです。邪魔しないでください」

 

ココア「チノちゃんがテレビ見るって珍しいね…何見てるの?」

 

チノ「邪魔しないでください…今はcmですけど」

 

ココア「分かった!ラパン!?」

 

チノ「違います」

 

ココア「じゃあき○モザ?ス○ウスタート?」

 

チノ「違います」

 

チノ「おおっ」

 

テレビ「カキーン ワアアアアアア」

 

ココア「野球?」

 

チノ「はい。おじいちゃんが野球好きだったので、昔はよく一緒に見てました」

 

ココア「私もお兄ちゃんとお父さんが野球好きだからよく一緒にみたなあ」

 

テレビ「テレレレレーレレ テレーテレー ワアアアアアア」

 

ココア「広島対阪神かぁ」

 

チノ「場所はマツダです」

 

ココア「チノちゃんはどこかのファンなの?」

 

チノ「広島です」

 

ココア「!!」

 

チノ「ココアさんはどうなんですか?」

 

ココア「私は中日だよ!」

 

チノ「中日…」

 

ココア「私達…」

 

チノココア「敵同士だ(です)ね」

 

ココア「チノちゃんは誰が好きなの?」

 

チノ「広島の選手はみなさん好きですが…」

 

ココア「強いて言うなら?」

 

チノ「前田です」

 

ココア(前田…!)

 

チノ「孤高とも求道者とも言われたあの精神はバリスタにも通ずるところがありそうです」

 

ココア(もしや弱小時代から応援している広島ファンガチ勢!?)

 

テレビ「ワアアアアアア」

 

チノ「勝ちました!」

 

チノ「やっぱり勝つと気分がいいです」

 

ココア(中日負けたあ…)つケータイ

 

チノ「ココアさんは中日の選手で誰が好きですか?」

 

ココア「堂上だよ!」

 

チノ「弟ですか?」

 

ココア「そう!」

 

ココア「でも最近は京田が出てきて…」

 

チノ「そういえばみなさんで野球の話をしたことは無いですよね」

 

ココア「そうだね。みんな野球見るのかな?」

 

チノ「明日訊いてみましょう」

 

 

 

―――――――

 

 

 

リゼ「プロ野球?うちは横浜だな」

 

チノ「横浜!」

 

リゼ「私はあまり見ないんだけど、親父が好きでさ」

 

チノ「確かにうちの父と野球の話をしているのを聞いたことがあります」

 

ココア「横浜はあまり強くないよね~」

 

リゼ(こいつ…これも天然かっ…!?)

 

チノ「カープとどこで差がついたんでしょうか」

 

リゼ「調子に乗るな!」

 

リゼ「大体中日こそ最近奮ってないじゃないか」

 

ココア(うぐっ…!)

 

ココア「チノち゛ゃぁぁん、ルナか゛え゛し゛て゛ぇぇ」

 

チノ「もういませんよ」

 

 

カランカラーン

 

 

リゼ「いらっしゃいませー…っておお、シャロ!」

 

シャロ「リゼ先輩っ、学校に忘れ物してましたよ」

 

リゼ「そうか、ありがとうシャロ!」

 

シャロ「いえ、ユラさんから預かったのですが…」ガチャリ

 

ココア「銃…」

 

チノ「学校に忘れるものじゃないですよ…」

 

チノ「シャロさんはプロ野球見ますか?」

 

シャロ「うちはテレビ無いから…時々千夜の家で見せてもらうわ」

 

ココア「シャロちゃんはどこが好きなの?」

 

シャロ「阪神よ」

 

チノココア(阪…神…!)

 

ココア「でも最近阪神って…」

 

シャロ「あれはKN本のせいよ!これだから外様は…」

 

チノ(これは新井さんネタや赤松ネタは使えませんね…)

 

リゼ「確かにKN本監督って元々広島だったっけ?」

 

シャロ「アイツのせいで藤浪が…」バンバン

 

チノ(広島ファンって言いづらい…)

 

シャロ「昨日の試合も散々だったみたいだし…」

 

チノ(…)

 

シャロ「というか、ココア達は何処ファンなの?」

 

ココア「私は中日だよ」

 

リゼ「私は一応横浜」

 

チノ「ひ…広島です…」

 

シャロ「うぐ!?」

 

シャロ(ワタシモシカシテチノチャンニ…)

 

 

―――――――――

 

 

シャロ「いえーい!阪☆神☆優☆勝~!」

 

チノ「何か幻覚を見ていますよ…」

 

ココア「取り敢えずカフェインを摂取させたよ!」

 

チノ「やめてあげて下さい」

 

シャロ「だから~ぼ~く~たちみ~んな~」ホワワ

 

チノ(なんでNPBのテーマ曲を…)

 

リゼ「シャロ…」

 

カランカラーン

 

ココア「千夜ちゃん!」

 

千夜「ココアちゃんからメールがあって、シャロちゃんを迎えに来たんだけど…」

 

ココア「いろいろあってね」

 

シャロ「ふぇーー」

 

リゼ「プロ野球の話をしてたんだよ」

 

千夜「そうね、シャロちゃんは阪神ファンだったわね」

 

リゼ「千夜は何処ファンなんだ?」

 

千夜「ヤクルトよ」

 

ココア「七夕…」

 

千夜「や、やめて!」

 

チノ「ココアさんやめて下さい」

 

 

 

 

―――――――――

 

 

 

 

翌日

 

チノ「マヤさんとメグさんは野球見るんですか?」

 

マヤ「見る見る~」

 

メグ「ミルヨー」

 

マヤ「チノも見るの?」

 

チノ「時々見ます」

 

マヤ「そうなのか~」

 

チノ「マヤさんメグさんは何処のファンですか?」

 

マヤ「巨人!スター選手いっぱいでかっこいいよな!」

 

チノ「…マヤさんには選手育成の魅力は分からないのでしょうね」ゴゴゴ

 

マヤ「わ!チノから邪悪なオーラが!」

 

メグ「コワイネー」

 

マヤ「メグは何処のファンなんだ?」

 

メグ「ホークスダヨー」

 

チノマヤ(まさかのパ・リーグ……!)

 

 

 

VI.

 

チノ「シャロさんは花粉症で苦しんでいます…」

 

シャロ「...」

 

青山ブルーマウンテン先生「あの…コーヒーを注文したのですが…。出されたこれは一体…?」

 

ココア「.㌧.」

 

チノ「こちらはサービスです」

 

シャロ「えっ?な、何の飲み物なのかしら?」

 

チノ「..㌃」

 

シャロ「これがたったの500円!?この定食はなんていうの?」

 

リゼ「..㌢」

 

シャロ「あ、はい」

 

千夜「シャロちゃんが学校でお昼ご飯をお友達と食べているか心配だわ~」

 

シャロ「ちゃ、ちゃんと皆と食べているわよ!」

 

千夜「そうなの、リゼちゃん?」

 

リゼ「.....」

 

シャロ「うぅ…」

 

ココア「今日のおやつは何だろな~♪」

 

チノ「......」

 

シャロ「ココアが閉じこもって30分…。いい加減にしなさいよ!」

 

ココア『あと5分~』

 

チノ「シャロさん、トイレの前で何をしているんですか?」

 

シャロ「...」

 

ココア「チノちゃんと久しぶりに一緒にお風呂に入ったけど安心したよ」

 

チノ「何故ですか?」

 

ココア「それはチノちゃんのアソコが…」

 

チノ「わ、わーっ、何を言い出すんですかやめて下さい!」

 

マヤ「チノのアソコってどこだ?」

 

メグ「アソコがどうかしたのー?」

 

ココア「.㌃.㌃」

 

チノ「うぅ…何で言うんですか…」

−−−−−−−−−−−−−−

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Desect film 3.「Reload 3」

目次

VII.

VIII.

IX.


VII.

 

チノ「見てくださいココアさん。すごい綺麗な星空です」

 

ココア「ねえ見てリゼちゃん。チノちゃんってば妖精さんみたい」

 

リゼ「ああ」(苦笑

 

チノ「あのココアさん」

 

ココア「なにかな?妖精さん」

 

チノ「私……UFOが見たいです」

 

リゼ「おいおい。チノなにを言ってるんだ?UFOなんていr……いだだだ」

 

ココア「うーん。UFOはちょっと無理かなあ?」(リゼの小指を捻りながら)

 

チノ「………」

 

チノ「お姉ちゃん。お願い」(涙目+上目遣い)

 

ココア「OK」(鼻血)

 

リゼ「ぎゃっ」(ゴキン

 

 

~学校屋上~

 

ココア「それじゃこれからUFOさんを呼んじゃうよー」

 

一同「おー」

 

リゼ「なんか大量に集まったな……というかすでに宴会状態だな……」

 

シャロ「リゼせんぱ~い。助けてくださ~い」

 

あんこ「(ガジガジガジ)」

 

千夜「相変わらず仲良しさんね」

 

青山「うふふ」

 

リゼ「なんで青山さんまでいるんだ?」

 

青山「そんなの宇宙人さんを一番に捕獲して徹底観察して小説を書くために決まってるじゃないですか」

 

リゼ「………(酔ってる?)」(空のブランデーの瓶を見ながら)

 

リゼ「それでココア。どうやってUFOを呼ぶんだ?」

 

ココア「ふっふっふ。抜かりはないよ?」

 

ココア「あれを見て!!」

 

リゼ「な、なんだってー」

 

 ココアの指差した校庭にはでかでかと温泉マークが描かれていた。

 

ココア「ふふふ。宇宙人さんとコミュニケーションをとる準備は万全だよ」

 

チノ「流石です。ココアさん」

 

リゼ「………」

 

シャロ「どうしたんです?」

 

あんこ「(ガジガジ)」

 

リゼ「なあココア……」

 

ココア「ん?」

 

リゼ「宇宙人はアレの意味がわかるのか?」

 

一同「Σ( ̄口 ̄;」

 

ココア「えーでは次の方法を―――」

 

リゼ「(逃げたな)」

 

ココア「これを使って宇宙人さんとメッセージのやり取りをするよ」

 

千夜「まぁレトロなラジオね」

 

リゼ「いや、それって受信するだけじゃ……」

 

ココア「………」(無言でぶん投げ)

 

ココア「ふぅ……どうしようか?」

 

ココア「……ん」

 

あんこ「?」(シャロをガジガジ)

 

リゼ「生贄~~~!?」

 

ココア「そうだよ。古来より人類は生贄を捧げることで超自然とうんたらかんたら」

 

あんこ「~~~」(御柱に縛り付けられたあんこ。周囲では千夜と青山が謎の踊りを披露)

 

ココア「点火♪」(ポチ

 

あんこ「ピーーーーーーーーーーーーーーー」

 

リゼ「おいおい。こんな事してUFOが来るわけ」

 

UFO「(ふよんふよんふよん)」

 

リゼ「きたーーー」

 

UFO「(ガコン)」

 

 ゆっくりと開いた扉から出てきた宇宙人……その姿は……

 

宇宙人「シャロー」

 

 なんと出てきたのは頭にはあんこと同じ王冠を被り、その身には真紅のマントをはためかせた「あんこ」そっくりなウサギであった。

 

あんこ「(ピクピク)」(プスプス

 

宇宙人「!!」

 

 大慌てであんこへと駆け寄る宇宙人……そして……

 

宇宙人「Δе㊥φ√」(キシャー

 

一同「(ビシ)」(シャロを指差しながら)

 

シャロ「ちょっ…い、いやーたすたすけ……」

 

 ズルズルズル・・・ガコン・・・ふよんふよんふよん

 

一同「敬礼」

 

リゼ「シャロ……すまん」(敬礼

 

マヤ「見て見てメグ。流れ星だよ。何かお願いしなきゃ」

 

メグ「えーでもあれってお空へ昇っていくよー?」

 

 

 

VIII.

 

モカ「今日は私の誕生日!」

 

モカ「思えば、去年の誕生日は…」スッ

 

『お姉ちゃん、この街にはシストって遊びがあるんだよ!この前チノちゃん達と一緒に(ry』

 

モカ「私もシストしてみたいな…」

 

『先輩の卒業式で泣いちゃった・・・。その後みんなで進級祝いにお茶しに(ry』

 

モカ「卒業式、懐かしいなぁ。おしゃれな喫茶店でお茶するのって良いよね」

 

『最後に、お誕生日おめでとう!プレゼントはもう見てくれたかな?お姉ちゃんが好きそうなのを一所懸命に考えたんだけど、喜んでくれると嬉しいな♪』

 

モカ「一所懸命を使う人初めてみたなぁ… それはともかく、すごく良かったよ。お姉ちゃん、感動して泣いちゃった。でも…」

 

モカ「この手紙とプレゼントを郵送して終わりなのは寂しいよぅ!あの頃は一年近く会ってなかったのに!!」

 

モカ「そして今年、ココアから送られてきたのは…」ピラッ

 

モカ「地図だけ!?」

 

モカ「…これってシストの地図なのかな?シストって書いてあるもんね」

 

モカ「一度してみたいと思ってはいたけど、まさか一人ぼっちでするなんて…」

 

モカ「でもこれは、かわいい妹からの挑戦状!」

 

『シストの地図には、謎解き要素があったりもするんだよ!』

 

モカ「って去年の手紙にも書いてあったし、謎解きも宝探しもすぐに終わらせちゃうからね!」

 

モカ「えっと、ここがこうで、あっちがそっちで…」

 

~数分後~

 

モカ「謎は全て解けた!後はお宝を取りに行くだけ!!まだお昼だから時間もたくさんあるし楽勝楽勝♪」

 

答:ラビットハウス

 

モカ(無理)

 

モカ「ここから向こうまで何時間かかると思ってるの!?今から行ったら明日になっちゃうでしょ!?」

 

モカ「…ううん、誕生日を過ぎても、この挑戦は受けなくちゃいけないよね!」

 

モカ「本当にラビットハウスまで行って、ココアをびっくりさせちゃおう!」

 

モカ「さらにサプライズも用意して、かわいい妹のもっと驚く顔を… うへへ」

 

 

モカ「次の電車は10分後… あれ、これなんだろう?」ピラッ

 

モカ「…私宛のシストの地図!?それにこれってココアの字?」

 

モカ「なるほど、私が電車を使うと見越して時刻表に地図を仕込んでいたんだね。ひょっとして夏にはもう?」

 

モカ「ラビットハウスへ行かなきゃいけないと焦らせておいて、実はそうじゃない… あの子もサプライズが上達してきたなぁ♪」

 

モカ(…でもこれ、ここの時刻表を見てなかったら気づけない)

 

モカ「この地図が示してるのはここかな?」

 

モカ「ここで、ココアと一緒にサンドイッチを食べたよね。あの時は確か…」

 

 

ココア『おねえちゃん き ら い 』

 

 

モカ「…仲直り、できたよね?送っていく時にウィリーしちゃったけど、多分あれも許してくれるよね」

 

モカ「ハッ!この場所に連れて来られたのはまさか…!」

 

 

ココア「お姉ちゃんなんて大っ嫌い!私にはチノちゃんさえいれば良いんだよ!あと私グレるから!」

 

 

モカ「と言うメッセージなのかも…!そんなぁ!!ど、どうしよう!?このままじゃココアがブラックココアに」

 

「ならないよ!?」

 

モカ「…ってあれ、こんなところに手紙? …またシストの地図!?」

 

モカ「次はここだね。ここは確か…」

 

モカ「三輪車で山を越えようとしていたココアを発見した場所」

 

モカ「…さっきから碌な事思い出さないなぁ。もっと楽しいことを…」

 

モカ「そうだ、ここにはココアと遊びに来たりもしたよね!懐かしいなぁ」

 

モカ「今ならわかる。あの何気ない日々が宝物だったということに」

 

モカ「…たまには童心に帰って、こういう所でココアと遊ぶのも良いかも。今度帰って来た時に誘ってみよう!」

 

モカ「かくれんぼなんてどうかな?『お姉ちゃんが見つからないよぉ!』なんて言うかわいいココアが見れそう!」ブプーッ

 

「…おねえちゃんきらい」

 

モカ「!? …げ、幻聴かな。きっとそうだよね!さぁて、宝箱はどこかな?…ん、これは?」ピラッ

 

モカ「…またまた地図が見つかった」

モカ「ここは… うちの店のお客さんの家だね」

 

モカ「昔は、この街でココアと一緒にパンを届けて回ったり、お店の旗を持って宣伝したりしたね。この家にもココアと一緒に何度も来たっけ」

 

モカ「でも、今日はパンを届けに来たわけじゃない。うーん、なんて言えばいいかな…」

 

お客さん「あらいらっしゃい!ちょっと待ってね、渡すものがあるから!」

 

モカ「え!?はい、わかりました! …渡すもの?」

 

お客さん「お待たせ、はい!」

 

モカ「これは… シストの地図!また!?」

 

お客さん「ふふ!さっきね、ココ…」

 

「言っちゃダメー!」

 

モカ「またココアの声が聞こえたような… 気のせいかな?」

 

モカ「ここは… 私の家!?」

 

モカ「うん、間違いなく地図はここを指してる」

 

モカ「…ひょっとして、ココアにからかわれただけ?」

 

モカ「いやいや、あの子がそんなことする訳… ま、まさか、本当にブラックココアになっちゃったの!?」

 

「なってないよ!?」

 

モカ「また幻聴が… これが噂のココアシック!」

 

モカ「って、いつまでも玄関の前で立っていても仕方ないか」ガチャ

 

 

パンッ

 

 

ココア「お誕生日おめでとう、お姉ちゃん!!」

 

モカ「ココア!?何でここに?」

 

ココア「私からのサプライズだよ!びっくりした?」

 

モカ「びっくりするに決まってるでしょ!」

 

ココア「やったぁ!サプライズ成功!でも、私のサプライズはここからだよ!!」

 

ココア「まずはこれ!誕生日プレゼント!!ど、どうかな?」

 

モカ「ありがとう…!お姉ちゃん、大感動だよ…!」

 

ココア「そんなに喜んでくれると照れちゃうな。さて次は…」

 

モカ「次?」

 

ココア「うん!だってお姉ちゃんは、私からの挑戦状、シストをクリアしたんだよ?」

 

モカ「あ、すっかり忘れてた!」

 

ココア「という訳で、宝箱を用意しましたー。好きなのを一つ選んでね!おもしろ写真からコーヒー豆まで色々あるよ!」

 

モカ「それを、私が持ってきた宝物と交換すれば良いんだね?」

 

ココア「本当はそうなんだけど… もうこの宝箱には、お姉ちゃんの宝物が入ってるよ!」

 

モカ「ええ!?でも、入れた覚えはないんだけど…」

 

ココア「ふっふっふっ、この宝箱に入ってる宝物。それは… 私たちの思い出!」

 

モカ「私たちの、思い出?」

 

ココア「今日、いろんな懐かしい場所へ行ったよね。いろんな場所には、色んな思い出があったでしょ?」

 

モカ「…私のこと、嫌いになっちゃった?」

 

ココア「そうじゃなくて、楽しい思い出が!」

 

モカ「…うん、色んな思い出が、いっぱいあったね」

 

ココア「だよね!それでね、今日のシストのことを思い出す時、きっと今日行った場所の思い出も浮かんでくると思うんだ」

 

ココア「お姉ちゃんもさっき言ってたよね、あの何気ない日々が宝物だって」

 

ココア「だったら、このシストの宝箱には、もうお姉ちゃんの宝物が入ってるんだよ!」

 

モカ「そっか… ココア、すごいよ。すっごいサプライズだよ!」

 

ココア「えへへー。そこまで言ってもらえると、頑張った甲斐があったなぁ」

 

モカ(聞かれてたってことは今日ずっと側にいたんだよね。じゃあ、あの地図も夏に仕込んだんじゃなくて今日…)

 

モカ(…この用意した宝物でサプライズしようと思ってたけど、またサプライズ負けしちゃった)

 

ココア「…ねえお姉ちゃん!今日はいっぱいお話しよう!思い出話もいっぱいしよう!」

 

ココア「やっぱり、思い出は最高の宝物だから!」

 

モカ「うん、たくさん話そう!…でも」ギュッ

 

ココア「お、お姉ちゃん!?」

 

 

モカ「私にとっての最高の宝物は… ココアだよ!」

 

 

 

IX.

 

チノ「お店の経営に充てたいです。お父さんも喜ぶでしょう」

 

シャロ「ににににに2000万!?………どどどどうしよう」

 

チノ「さぁがんばります」ソロリソロリ

 

黒服「どうしました?金髪のあなた?やらないのですか?」

 

シャロ「ちょちょちょちょっと待ちなさいよぉ」

 

黒服「はやくしろ。やらないなら早く帰れ」

 

シャロ「やるわよー!!あーもー!!」

 

シャロ「うぅ…怖い…でもやらなきゃ…」

 

シャロ「い…いくわよ…」ゴクリ

 

シャロ「…」ソロリソロリ

 

シャロ「(ぎぃやぁあああ怖い怖い怖い)」ソロリソロリ

 

シャロ「(……でもこれを渡りきれば2000万)」ソロリソロリ

 

シャロ「(何がなんでも渡りきってやるわ)」ソロソロ

 

シャロ「(お金お金お金お金お金お金)」スタスタ

 

シャロ「(もうパンツ売って生活するのは嫌なの)」スタスタ

 

シャロ「(あれ目の前に何か青いものが)」スタスタ

 

チノ「しんちょうに…しんちょうに…」ソロリソロリ

 

シャロ「(チノ?だいぶ前にスタートしたのに)」スタスタ

 

チノ「しんちょうに…しんちょうに」ソロリソロリ

 

シャロ「チノ!追いついちゃったわよ」スタスタ

 

チノ「シャロさんも来たんですか。一緒に頑張りましょう」ソロリソロリ

 

シャロ「え…ええ。一緒に渡りきりましょう」

 

チノ「……」ゴクリ…ソロリソロリ

 

シャロ「……」スタスタ

 

チノ「………ふぅ………」トマーリ…ソロリソロリ

 

シャロ「…………」

 

シャロ「………ねぇチノもう少し早く行けない?」

 

チノ「無理です。慎重にいかなければなりません」ソロリソロリ

 

シャロ「そうね。でも時間をかけすぎても疲労も溜まるし。突風でもふいたr」

 

 

ビュッ

 

 

チノ「キャッ」グラッ

 

シャロ「キャッ」グラッ

 

チノ「あ、あぶなかったです」

 

シャロ「こここ怖かった…」

 

シャロ「(危なかった…早く渡りきらないと危険だわ)」

 

チノ「ではしんちょうに」ソローリソローリ

 

シャロ「(お金が…お金が…)」スタスタ

 

シャロ「チノ…もっとはやく…」

 

チノ「………」ソローリソローリ

 

シャロ「もっとはやく」

 

チノ「…………」ソローリソローリ

 

シャロ「もっとはやくって言ってるでしょ!!」

 

チノ「……………」ソローリソローリ

 

 

ビュッ

 

 

チノ「キャッ」グラッ

 

シャロ「キャッ」グラッ

 

チノ「………ふぅ……」ソローリソローリ

 

シャロ「(このままじゃ絶対落ちるわ)」

 

シャロ「チノお願い早く歩いて…お願い」

 

チノ「…無理です」グスン

 

シャロ「泣いてないで早く歩きなさいよぉ!」

 

チノ「…うぅ…ぅえーん…ココアさぁん」グスグス

 

シャロ「ちょっと泣いたってしょうがないでしょはやくはやく」

 

チノ「うぇーん」グスグス

 

シャロ「(泣くなんてズルいこっちは生活かかってるのに)」

 

シャロ「…分かったわ…背中支えてあげるから進みましょ」

 

チノ「…………」コクン…グスグス

 

チノシャロ「…………」ソローリソローリ

 

チノシャロ「…………」ソローリソローリ

 

 

ビュッ

 

 

チノシャロ「キャッ」グラッ

 

シャロ「(これは…とても無理ね…)」

 

シャロ「(お金が…お金が必要なの…)」

 

シャロ「…………………」

 

 

 

シャロ「…………………」ドンッ

−−−−−−−−−−−−−

next.



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Desect film 4.「Reload 4」

目次

X.

XI.


X.

 

チノ「...........そういうココアさんもトマト食べてませんよ?」

 

ココア「じゃ、じゃあ一緒にせーので食べようね?」

 

チノ「本当にココアさん食べるんですか?」

 

ココア「食べるよ!いくよ?」

 

チノ「.............はい.....」

 

ココア「せーの!」

 

チノ「...................」

 

ココア「....................」

 

チノ「やっぱり食べなかったですね...ココアさん」

 

ココア「チ...チノちゃんが食べなかったからだよ!お姉ちゃんは妹のこと見守らないといけないからね!」

 

チノ「意味不明なこと言わないでください」

 

ココア「チノちゃん私のこと試したんでしょ?」

 

チノ「もちろんです」

 

ココア「ひどい!」

 

チノ「ココアさんは今まで何がなんでもトマトを食べませんでしたからね.....どうせ食べないと思ってました」

 

ココア「私そんなふうに思われてたの!?じゃあ食べるから見ててよ!」

 

チノ「どうぞ...ココアさんが食べたら私も人参食べます........お姉さんは妹の規範になるべきです」

 

ココア「チノちゃんが理屈っぽい.....しょうがない..............」

 

ココア「....................」パク

 

ココア「.....................」モグモグ

 

ココア「......................」

 

チノ「.....................」

 

ココア「..............タベタヨ...................」

 

チノ「ココアさんの顔が凄いことに........」

 

チノ「ここまでされたら仕方ありません.....」パク

 

チノ「..................あれ?..................意外に美味しいですね.......」モグモグ

 

チノ「味覚が変わったのでしょうか」

 

チノ「これからはちゃんと野菜食べるようにします...」

 

ココア「.......................偉いね..............チノちゃん..................」

 

 

 

XI.

 

シャロ「給料日まであと7日」

 

シャロ「」グゥー

 

シャロ「おなか減った……」

 

 

シャロ「お米はもうないし」

 

シャロ「小麦粉もない」

 

シャロ「調味料もすべて食べつくした」

 

シャロ「冷蔵庫が空っぽになってから3日」

 

シャロ「水で空腹を紛らわしてきたけど」

 

シャロ「そろそろ限界だわ」

 

シャロ「でも大丈夫」

 

シャロ「今日は待ちに待ったあの日」

 

シャロ「そう、パスタの特売日」

 

シャロ「最後の最後に残った148円」

 

シャロ「全額つぎ込めば」

 

シャロ「戦える、あと7日」

 

シャロ「スーパーへの道、ご近所の夕食の香りが鼻をつく」

 

シャロ「この家はカレー」

 

シャロ「あの家は肉じゃが」

 

シャロ「こっちの家は……ステーキ!?」

 

シャロ「いいなぁ、お肉なんて何日食べてないことか」

 

シャロ「うっすらと霜の降ったお肉、ナイフを入れると透明な汁が溢れて」

 

シャロ「大きく切った塊を一思いに」

 

シャロ「ガブッと」

 

 

ガブッ

 

 

シャロ「?」

 

あんこ「」ガジガジ

 

シャロ「」

 

シャロ「はぁ……はぁ……」

 

シャロ「なんとか撒いたみたいね」

 

シャロ「全力疾走して余計なカロリー消費しちゃった」

 

シャロ「さっさと買い物すませて夕食を……」

 

シャロ「……」

 

シャロ「財布がない」

 

シャロ「148円! 私の148円!」

 

シャロ「ダメだわ、どこにもない」

 

シャロ「ど、どうしよう」

 

ココア「シャロちゃん!」

 

チノ「どうしたんですか? 血相変えて」

 

シャロ「ココア! チノちゃん!」

 

シャロ「私の財布見なかった? さっき落としちゃって……」

 

ココア「財布失くしちゃったの?」

 

チノ「それらしいものは見ませんでしたが……」

 

シャロ「そっかぁ……」

 

ココア「どれくらい入ってたの?」

 

シャロ「そ、それは」

 

ココア「もしかして大金が入ってたとか……」

 

チノ(それはないと思いますが……シャロさんの財布ですし)

 

シャロ「ゴニョゴニョ……」

 

ココア「え?」

 

シャロ「ひゃくよんじゅうはちえん」

 

ココア「148万!?」

 

シャロ「148円!!」

 

ココア「なぁんだ、148円かぁ。 びっくりした」

 

チノ「まあ……不幸中の幸いと言ったところですか」

 

シャロ「良くないわよ! 命をつなぐ全財産よ!」

 

ココア「えっ」

 

チノ「全財産……?」

 

シャロ「あっ」

 

シャロ(言っちゃった……)

 

シャロ「そ、そうよ……悪い?」ウルウル

 

ココア「わっ悪くない! 悪くないよ!」

 

チノ「そ、そうですよ! 悪いのはココアさんです!」

 

ココア「私!?」

 

チノ(ちょっと何泣かせてるんですかココアさん)

 

ココア(わ、私のせい?)

 

チノ(もとはと言えばココアさんが財布の金額を聞いたりするから……)

 

ココア(うぅ……)

 

ココア「ごめんねシャロちゃん、その……」

 

シャロ「……」

 

シャロ「いいわよ、謝ることはないわ」

 

シャロ「こっちこそ、取り乱しちゃってごめんなさい」

 

ココア「シャロちゃん……」

 

シャロ「じゃあ、私はもう行くわ」

 

シャロ「交番にいったら届いてるかもしれないし」

 

シャロ(もう特売は逃しちゃったけど)

 

チノ「シャロさん……」

 

シャロ「また!」ダッ

 

ココア「あ、シャロちゃん!」

 

ココア「行っちゃった……」

 

シャロ(貧乏が何よ)

 

シャロ(7日くらい、無一文でもどうにかしてみせる)

 

シャロ(どうにか……)

 

うさぎ「」ピョコピョコ

 

シャロ「ひっ」

 

シャロ(野うさぎがいる……迂回しなきゃ)

 

シャロ(遠回りになっちゃうけど)グゥ

 

シャロ(おなか減った……早く家に帰ってごはん食べたい)

 

シャロ(あ……)

 

シャロ(そうだ、家に帰ってもごはんは無いんだ……)

 

シャロ(交番に行って、もし財布が見つかったとしても)

 

シャロ(それでも148円)

 

シャロ(特売も逃しちゃったし、これじゃもう……)

 

シャロ(なんでもいいわ、なんでもいいから食べものを手に入れないと……)

 

うさぎ「」ヒョコヒョコ

 

シャロ(……)

 

シャロ(……)

 

シャロ(……うさぎ)

 

シャロ「そうね、いつもだったらうさぎなんて怖くて近寄れないけど」

 

シャロ「今なら、いける気がする」

 

シャロ「食べなきゃ、死ぬんだ」

 

うさぎ「」ペロペロ

 

シャロ「ごめんね、うさぎさん」

 

シャロ(一思いに……)

 

ココア「シャロちゃん!!」

 

シャロ「!」

 

チノ「はぁ……はぁ……探しましたよ、シャロさん」

 

シャロ「2人とも……どうしたの?」

 

ココア「シャロちゃん、私の家に来てよ!」

 

シャロ「え?」

 

チノ「”私の”ってココアさんの家じゃないでしょ」

 

ココア「でももう私たちは家族みたいなものだしさ……」

 

チノ「だったらせめて”私たちの”とか言い方あるでしょう、もう」

 

ココア「細かいこと気にしてると大きくなれないよ?」

 

チノ「関係ないでしょそれは!」

 

シャロ「……」

 

チノ「シャロさん」

 

チノ「騒がしいのが嫌いじゃなければ、どうぞ泊まっていってください」

 

シャロ「でも、迷惑じゃ……」

 

チノ「何言ってるんですか」

 

チノ「大体、次にいつお金が入るのか知りませんが、残り198円でどうするつもりだったんですか?」

 

ココア「148円だよ、チノちゃん」

 

チノ「……ココアさんこそ細かいこと気にしないでください」

 

ココア「お金のことはきっちりしなきゃ」

 

チノ「っ」イラ

 

シャロ「……」

 

シャロ「じゃあ……お世話になっても、いいかな?」

 

チノ「ええ」

 

ココア「わぁい、うぇるかむかもーん!」

 

チノ「またカッコつけて変な言葉を……」

 

ココア「今日のごはんはシチューだよ!」

 

シャロ「……」グゥ

 

チノ「……行きましょう、シャロさん」

 

シャロ「……ありがとう」

 

ココア「それにしても、さっきは何してたの?」

 

チノ「すごい剣幕でしたが」

 

シャロ「え、いやぁ……」

 

シャロ「うさぎって美味しいのかなぁって……」

 

チノ「えっ」

 

ココア「食べちゃダメ~~~!!」

 

 

香風家

 

 

シャロ「お、おいしい……」ポロポロ

 

ココア「泣くほど!?」

 

シャロ「3日ぶりのごはんだからぁ……」

 

チノ「……失礼ですが、なんでそんなに今月はお金がないんですか?」

 

チノ「シャロさんがお金持ちじゃないというのは知っていますが、いくらなんでも食べるものに困るほどではなかったと思いますが」

 

シャロ「うん……実はね」

 

 

カランカラン

 

 

ココア「お客さんだ」

 

千夜「シャロちゃん!」

 

シャロ「千夜……どうしてここに」

 

千夜「どうしてはこっちの台詞よ!」

 

千夜「夜になっても全然家に帰ってくる様子がないから、あちこち探し回って……」

 

シャロ「あ……ごめん。何も言わずに……」

 

千夜「もう、心配したのよ?」ウルウル

 

千夜「ついにシャロちゃん、借金取りに連れて行かれちゃったかもって」ポロポロ

 

シャロ「借金はないわよ!!」

 

ココア「でも、なんで3日もごはん食べてなかったの?」

 

千夜「3日!? シャロちゃん3日も何も食べてないの!?」

 

シャロ「え、うん……まあ……」

 

千夜「だったら言ってくれればいくらでも……」

 

シャロ「いや、気を遣わせたくなくて」

 

千夜「そんな、私をシャロちゃんの仲でしょう!」

 

シャロ「というかさ」

 

シャロ「今月カツカツだったの、これをプレゼントしたかったからなんだよね」

 

シャロ「こんな形で渡すのもなんだけど」

 

千夜「これって……」

 

シャロ「欲しいって言ってた髪飾り」

 

先月末

 

 

千夜『あら、この髪飾りかわいいわね』

 

千夜『でもちょっとお高いわ……』

 

千夜『残念だけど今回はあきらめるしかないわね』

 

シャロ『……』

 

 

シャロ「先月の給料が出てからすぐ買いに行ったの」

 

シャロ「そしたら意外と生活費がカツカツになっちゃって」

 

シャロ「千夜には隠しとこうって思ったんだけど、結局心配かけちゃったわ」

 

千夜「シャロちゃん……」

 

千夜「ありがとう」ギュ

 

シャロ「……よかった、喜んでもらえて」

 

 

ココア「いい話だねー、よかったよかった!」ヒョイヒョイ

 

チノ「どさくさに紛れてサラダのトマトこっちに移さないでください」

 

千夜「そうだわ、私にもシャロちゃんにプレゼントがあるの!」

 

シャロ「え……?」

 

千夜「シャロちゃんにはお世話になってるから……ほら!」

 

シャロ「……! これって……!」

 

 

シャロ「『ご注文はうさぎですか??~Dear My Sister~』の前売り券!?」

 

 

千夜「みんなで観に行きましょう!」

 

シャロ「千夜……!」

 

千夜「はい、前売り券特典のクリアファイルよ」

 

シャロ「! わ、わたしとリゼ先輩がダブルショットでクリアファイルに……!」

 

 

ココア「えっ! 前売り券なんてあったの!? 私もチノちゃんのグッズほしい!」

 

チノ「全くしょうがないココアさんです……もう特典の種類によってはとっくに販売終了してる前売り券もありますよ?」

 

ココア「そんなぁ……」

 

チノ「とはいえまだ特典が残ってるものもあるでしょうから、欲しいなら事前に問い合わせたうえで早めに購入した方がいいでしょうね」

 

ココア「電話してくる!」ダッ

 

 

シャロ「ちょ、ちょっと千夜……ずいぶん前売り券が多いじゃないの」

 

千夜「欲しいグッズをそろえたかったのよ」

 

シャロ「こんなにたくさんどうするのよ?」

 

千夜「大丈夫よ♪ 来場者特典も豊富だもの!」

 

チノ「上映開始から1週目、2週目は各4種類のKoi先生書下ろし複製ミニ色紙、3週目からは生コマフィルムが劇場でもらえます」

 

シャロ「何度も観に行っても美味しいってことね!」

 

 

千夜「いよいよ来週ね」

 

シャロ「久々にリゼ先輩の声が聴ける……!」

 

チノ「ごちうさスペシャルエピソード 『ご注文はうさぎですか??~Dear My Sister~』」

 

ココア「2017年11月11日より全国の映画館で上映スタート!」

−−−−−−−−−−−−−−−

next.




あとがき

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Desect film 5.「Reload 5」

目次

XII.


XII.

 

リゼ「ど、どうした!?」

 

チノ「リゼお姉ちゃん」

 

ココア「」

 

リゼ「それしか言えないのか?」

 

チノ「リゼお姉ちゃん…」

 

ココア「ヴェアアアア」チーン

 

リゼ「コ、ココアが倒れた!」

 

チノ「別にココアさんが倒れてもどうってことはありません」

 

リゼ「チノ、ちょっとそれはひどくないか?」

 

チノ「ごめんなさい、リゼお姉ちゃん」ダキツキッ

 

リゼ「ち、チノ///」モフモフ

 

-甘兎庵-

 

ココア「チノちゃんが…チノちゃんが…ヴェアアアア!!」

 

シャロ「」

 

千夜「こ、ココアちゃん落ち着いて」

 

ココア「チノちゃん…どうしたんだろ」

 

千夜「リゼちゃんとチノちゃん…何かあったのかしら」

 

シャロ「」

 

千夜「あれ、シャロちゃん?」

 

シャロ「ヴェアアアアリゼ先輩とられるー!!」チーン

 

千夜「二人とも落ち着いて」

 

シャロ「これが落ち着いてられるかってんだい!」コーヒーグビグビ

 

千夜「シャロちゃん、口調が…」

 

ココア「チノちゃんが…チノちゃんが…」

 

シャロ(酔)「りじぇしぇんぱいが… りじぇしぇんぱいが…」

 

ココシャロ「ヴェアアアア」チーン

 

千夜「二人とも落ち着いてー!」

 

-ラビットハウス-

 

チノ「リゼお姉ちゃん」

 

リゼ「な、なんだよ」

 

チノ「リゼお姉ちゃん大好きです」モフモフ

 

リゼ「や、やめてくれ///」

 

チノ「リゼお姉ちゃんはいやなんですか?」モフモフ

 

リゼ「いや、別にいやというわけじゃなくてだな」

 

チノ「じゃあもっともふもふします」モフモフ

 

リゼ(か、可愛いな///)

 

チノ「…」パッ

 

リゼ「あ、あれ?」

 

チノ「リゼお姉ちゃん、またあとでしましょう」

 

リゼ「もう終わりか?」

 

チノ「もっとしたいんですか」

 

リゼ「あ、いや、その、チノはもうしたくないのかなーって」

 

チノ「もっとしたいのはリゼさんじゃないんですか」

 

リゼ「え?」(あれ呼び方も…)

 

チノ「リゼさんしたいんだったら言ってください、じゃないとわかりません」

 

リゼ「し、したい///」

 

チノ「ふふ、リゼお姉ちゃんっ」

 

リゼ「チノっ」ダキツキッ

 

チノ「リゼお姉ちゃん、苦しいです」モフモフ

 

リゼ「チノっ、チノっ」モフモフ

 

リゼ「可愛い、チノ可愛い!」

 

チノ「リゼさん興奮しすぎです」

 

リゼ「リゼお姉ちゃんって呼んでくれ!」

 

チノ「リゼさんがおかしくなってしまいました…」

 

リゼ「お姉ちゃんだろ?ほら」

 

チノ「ふふ、お姉ちゃん♪」

 

-甘兎庵-

 

千夜「お、お姉ちゃんっ」

 

ココア「千夜ちゃん、チノちゃんはそんな感じじゃないよ!」

 

千夜「そ、そういわれても」

 

シャロ(酔)「りやぁ、早くりじぇしぇんぱいのまねやっれよ~」コーヒーグビグビ

 

千夜「え、でも今チノちゃんの真似を」

 

ココア「ちゃんとやってよ!」

 

千夜「ほら」

 

シャロ(酔)「いいからはやく!」

 

千夜「えっと…シャr」

 

シャロ(酔)「りじぇしぇんぱいはそんなんじゃない!」

 

千夜「ええ!もうどうすれば」

 

ココア「今度はチノちゃんだよ!」

 

千夜「え、いや」

 

シャロ(酔)「まだりじぇしぇんぱいをちゃんとやってないでしょーが!

 

千夜「え、いや」

 

ココシャロ「はやく!はやく!」

 

千夜「ふたりとももうやめてー!!」

 

ココシャロ「」ビクッ

 

千夜「チノちゃんやリゼちゃんが、ココアちゃんのことやシャロちゃんのことを蔑ろにするような人なわけないじゃない」

 

ココシャロ「…」

 

千夜「ココアちゃんのこともシャロちゃんのことも、みんなのことが好きなのよきっと」

 

ココア「そうだよね!シャロちゃん」

 

シャロ「そうねココア!」

 

千夜(ふー、元に戻ってよかったわ)

 

シャロ「さっそくラビットハウスに戻るわよ!」

 

ココア「うん!」

 

千夜「ふふ、私も仲直りの様子を見てあげるわ」

 

-チノの部屋-

 

ココア「チノちゃーん」ガチャ

 

シャロ「リゼせんぱーい!」

 

リゼ「コ、ココア!?シャロも!?」

 

半裸チノ「え、ココアさん!?」

 

ココシャロ「」

 

リゼ「あ、あの、シャロ」

 

シャロ「リゼ先輩何してるんですか?」

 

リゼ「いや、その…」

 

ココア「チノちゃんも何してるの!」

 

半裸チノ「一旦どっか行っててもらってもいいですか」

 

ココア「え?チノちゃんどうして」

 

半裸チノ「シャロさんもです、どこかに行ってください」

 

シャロ「え、その」

 

半裸チノ「聞こえなかったんですか?」

 

シャロ「り、リゼ先輩!なんとか言ってください!」

 

リゼ「…そういうわけだシャロ、あとで話そう」

 

シャロ「」

 

ココア「千夜ちゃん!話が違うよ!」

 

シャロ「千夜!」

 

千夜「」ダッ

 

ココシャロ「千夜(ちゃん)!」

 

シャロ「逃げたわね…」

 

ココア「追いかけようシャロちゃん!」ダッ

 

シャロ「そうね、徹底的にやらせてもらうわ!」ダッ

 

千夜「やめて!助けてー!もういやー!」ダダダ

 

ココア「逃がさないよ!千夜ちゃん!」ダダダダダダ

 

シャロ「待ちなさい千夜!」ダダダダダダ

 

ココア「千夜ちゃん!」ガシ

 

千夜「速い!」

 

ココア「ふふ、さっきのチノちゃんみたいにしてあげるね」

 

千夜「ちょ、ここ外よ?」

 

シャロ「そんなの関係ないわ!」ヌガシッ

 

ココア「千夜ちゃん、いい体だね」

 

半裸千夜「もう二人ともホントにやめてーっ!!」

−−−−−−−−−−−−−

end.



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