遊撃部隊ストーム、鎮守府に着任す (あわちゃ)
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第一話

時は2025年。戦争は始まった。

それは、国家間などという生易しいものではなく、「地球対侵略者」という、まるでSFのような戦いだ。

8年前、俺がガキだったころにも、戦争があった。しかし「英雄」が敵の母船を撃墜。地球機構防衛軍、EDFは見事勝利する。

だが・・・やつらは前回の十倍の戦力を従えて、戻ってきたのだ。この地球に。

精鋭遊撃部隊ストームに選ばれた俺は、いや、俺だけでなく、皆は必死で戦った。

そして、その戦いももう終わろうとしている。絶望的な戦力を前に、最後の矢を放つ。それが俺の任務だ。

 

 

ストーム1「こちらストーム1、攻撃衛星ノートゥングのからの攻撃を要請する!」

 

オペ子「攻撃衛星ノートゥング、再発射シークエンスに入ります!再発射準備完了まで、およそ1分!」

 

1分だと!?クソッ・・・俺だけじゃ、持ちこたえられ・・・

 

ペイルチーム隊長「作戦エリアに到着。我々が行きます。ストームチーム、死なせはしない!」

 

ペイルチーム・・?確か、飛行型にやられたはずだが・・・生きていたのか。

 

田中司令「ペイルチーム無事だったか!頼むぞ!」

 

オメガ隊長「こちらオメガチーム。作戦エリアに到着。ストームチームを援護する!」

 

田中司令「オメガ!?生きていたか!」

 

オメガ隊長「ストームチーム、再び戦える時を、待っていた。八年前の、あの時のように!」

 

オメガもか・・・よし!これなら!

 

ストーム1「頼むぞ皆!攻撃衛星ノートゥングに攻撃要請した!再発射までの時間は1分!1分だけでいい・・・時間稼ぎを頼む!」

 

ペイル・オメガチーム「「「「「「了解!」」」」」

 

俺はライフベンダーを設置する。これがあれば、多少は・・・

 

オメガ隊長「ライフベンダーとは気が利くな。」

 

ストーム1「ラスト1個だ、切れるまでに邪魔になりそうなやつは仕留めといてくれよ。」

 

オメガ隊員「もちろんです!俺たちに任せてください!」

 

ペイル隊長「私達も負けてはいられないぞ。前方の飛行ビークル群を殲滅する!狩りの時間だ、行くぞ!」

 

ペイル隊員達「「「「おおおおぉぉー!」」」」

 

オメガ隊員「EDFッ!EDFッ」

 

よし・・・これなら!

 

そう思った時、背筋がゾクッとする。後ろを振り向くと、

 

オメガ隊員「ぐあああああああっ!」

 

ドラゴンの牙が、アーマーを容赦なく貫き、肉に食い込む。

 

今まで幾度となく見た光景だが・・・

 

オメガ隊長「くそっ!」

 

レーザーにより、ドラゴンが真っ二つに焼き切られる。

 

ストーム1「大丈夫か!」

 

オメガ隊員「ゴホっ・・・ストーム1・・・いや、英雄・・・俺の代わりに、地球を・・・頼んだぜ・・・」

 

俺のために・・・コイツは・・・クソッ!

 

ストーム1「喋るな!傷に障るぞ!」

 

オメガ隊員「俺たちの・・・地球を・・・守って・・・く・・れ・・・」

 

ストーム1「もういい!喋るな、黙ってろ!俺が今」

 

オメガ隊長「行け」

 

ストーム1「なっ・・・そしたらこいつが!」

 

オメガ隊長「そいつは俺が運ぶ!さっさと行けっ!そいつはお前の命の恩人なんだぞ!」

 

ストーム1「なら・・・」

 

オメガ隊長「俺の部下の命、無駄にすることは俺が許さん!こいつの願い・・・叶えられるのは、お前しかいないんだ!」

 

ストーム1「くっ・・・ああ、わかったよ!」

 

言うが早いか、俺は射線が通りそうな場所に目星をつけ、走り出す。

 

駆け抜けていく足元にあるのは、瓦礫、砕け散ったアーマー、人間だったモノ。

 

そうだ・・・俺が、この戦いを終わらせる!死んでいった仲間のためにも・・・!

 

オペ子「攻撃衛星ノートゥング、発射準備完了!いつでもいけます!」

 

ストーム1「よし・・・」

 

一度深呼吸をし、震える手を鎮める。そして、ゆっくりと・・・ブレインの上部へ照準をあわせる。

 

ストーム1「スプライトフォール、行けぇぇ!」

 

オペ子「座標確認、スプライトフォール、発射!」

 

刹那、ノートゥングから発射されたレーザーがブレインを貫く。

 

少佐「ブレイン、大破!」

 

か、勝った・・・のか・・・?

 

力が抜け、ガクッと膝をつく。

 

田中司令「退避しろ!ブレインが落下する!退避しろ!」

 

本部の声も耳に届かない。まるで、夢でも見ているような感じだった。

 

そんな俺を我に返らせてくれたのは、

 

オメガ隊員「ストーム1!退避してください!」

 

ストーム1「・・・っ!ああ、すまない・・」

 

オメガ隊員「謝っている暇はありません!早く逃げましょう!」

 

ストーム1「ああ!行こう!」

 

しかし、時既に遅し。俺たちは・・・

 

オメガ隊員「ダメだっ、逃げられない!う、うわあああああ!」

 

ストーム1「ぐっ・・・があああああ!」

 

吹き飛ばされ、業火に飲み込まれて行く俺の目に最後に映ったのは。

 

爆発炎上し、燃えゆくブレインだった。

 

そうか・・・俺たちは・・・・勝ったんだな・・・

 

そして、俺の思考は、プッツリと途切れた。




転生は次回にて、お楽しみに。


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第二話

オメガ隊長「先にいかせてもらうぜ。」

 

ま、待て・・・・

 

ペイル隊長「私も・・・お先にいかせてもらうわね。」

 

待ってくれ・・・・

 

スカウト8隊長「私は先にいきます。どうか、お達者で・・・」

 

待ってくれよ・・・・

 

スカウト4隊長「私もいかせてもらいます。最後に英雄と戦えて・・・光栄でした。」

 

なんで俺を置いていくんだよ!俺はまだ・・・・

 

オメガ隊長「待て。こっちはお前がくる所じゃない。お前にはまだ・・・やるべきことがあるだろ?見守ってるぜ、お前の勇姿を。それはここにいる俺たちだけじゃない。他のやつらも一緒さ。」

 

見守るなんてそんな・・・死んだみたいなこと・・・・

 

俺は・・・俺は・・・皆に何も・・・っ!

 

ストーム1「はぁっ!はぁ、はぁ・・・・」

 

???「あら・・・お目覚めですか?」

 

ストーム1「うっ・・く・・ここは?」

 

頭がズキズキする。意識が朦朧として、クラクラする。

 

そして何より、ここはどこだ?

 

ストーム1「俺は・・・確か・・・爆発に巻き込まれて・・・ぐっ!」

 

思い出そうとした瞬間、頭に鋭い痛みが走る。まるで、針でも刺されたかのような・・・

 

ストーム1「ぐっ・・・かっ・・はっ・・」

 

???「ま、まだ安静にしていてください!3日間も眠っていたんですから・・」

 

3日間だと?そんな・・・長い間・・・

 

ストーム1「ブレインは・・・?あいつらは・・?」

 

???「・・・少し意識が朦朧とされているようですね。今は、ゆっくりしていてくださいね。」

 

そう言って、出ていこうとする女性に、

 

ストーム1「待て・・・ここは・・どこだ?」

 

問いかけた。

 

すると少し考えるようなそぶりを見せ、

 

???「わかりました。あなたの今の状況、ここがどこか、そして私が誰か・・・お教えしましょう。」

 

説明を聞くうちに、色々なことがわかった。まず、俺は海で浮かんでいたところを救助されたということ、そしてここは「鎮守府」という軍事施設だということ、そして・・俺の世話を焼いてくれていた女性は、鳳翔という名前だということ。

 

ストーム1「その・・・艦娘ってのはなんだ?」

 

あれから数日。まだ聞きたいことは多々有り、日々三食、体に優しいものを持ってきてくれる鳳翔を質問攻めにしていた。

 

鳳翔「そうですね。簡単にいえば、人間の体に「艦」の魂が乗り移った、とでも言えばいいのでしょうか。」

 

ストーム1「「艦」・・・だと?」

 

鳳翔「ええ。その昔、戦争で使われていた軍艦の魂・・・それが肉体に宿ったものが、私達なんです。」

 

ストーム1「なるほど。」

 

俺の知る限り、鳳翔などという軍艦は存在していない。やっぱり、軍艦といえば馴染み深いのはデスピナだが・・・薄々感づいてはいたが、俺の住んでいた世界とは別の世界らしい。

 

鳳翔「あ、そういえば・・・提督からの言伝です。「あなたが衰弱しきっていたことは重々承知している。だが、こちらとしても身元の確認はせねばならない。容態が良くなってからでよいので、執務室に来てもらえないか・・・」とのことです。」

 

思い出した、という顔で鳳翔が言う。

 

提督・・・艦娘を束ねる司令官らしい。確かに、どこの馬の骨ともわからないやつをいつまでも置いておくわけにはいかないだろう。

 

ストーム1「よし・・・じゃあ、今から行くか。」

 

鳳翔「えぇ!?今からですか?」

 

ストーム1「ん?何か、不都合があるならまた別の時間にでも・・・」

 

鳳翔「いえ、そうではなく・・・お体のほうは、大丈夫なのでしょうか?」

 

ストーム1「ああ。これでも戦争に出ていた、歩兵だからな。体はそこそこ丈夫さ。」

 

鳳翔「そ、そうですか・・・なら、ご案内します。」

 

 

 

鳳翔「提督のいらっしゃる執務室は、こちらになります。」

 

ストーム1「わかった。ありがとう、鳳翔。」

 

鳳翔「いえ、お礼だなんて・・」

 

と、言いつつ、鳳翔はドアをコンコンとノックする。

 

鳳翔「鳳翔です。先日救助した方が、提督と面会したい、と・・・」

 

???「・・・わかった。入ってくれ。」

 

ガチャ・・・とドアが開いた先には。

 

白い軍服、そして軍帽を被った男が、こちらを見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 




さて、艦これの世界に飛んでしまったストーム1・・・これからどうなってしまうのか、乞うご期待!


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第三話

???「さて・・・話を聞かせてもらおうか。」

 

こいつが提督・・・まさに、歴戦といった雰囲気を醸し出している。

 

年は、俺とさほど変わらない。とすれば、才能があったか、相当の努力家か・・・

 

???「そんなに固くならなくていい。まずは名前を聞かせてくれ。」

 

おっと、まずは挨拶をしなきゃな。

 

ストーム1「私は、EDF遊撃部隊ストーム所属、ストーム1です。」

 

???「ストーム1・・・か。それはコードネームか何かなのか?」

 

ストーム1「いえ、部隊名です。もっとも、大戦末期は私一人になっていましたが・・・」

 

???「なるほど。では、君の本当の名前は?」

 

ストーム1「はい。私の名前は・・・」

 

ここで、言葉が途切れる。

 

あれ?俺の、名前・・・名前は・・・

 

???「どうした?」

 

ストーム1「すみません。なぜか、思い出せなくて・・・」

 

???「わかった。記憶喪失は、事故ではよくあることだ。気にしなくていい。それより、俺たちも自己紹介をしなくちゃな。」

 

???「俺は提督。名前は・・・訳あって開かせない。提督と呼んでくれ。それと、こっちにいるのが秘書艦の大淀。腕利きの秘書だ。」

 

大淀「軽巡洋艦、大淀です。よろしくお願いします。」

 

ストーム1「いえ、こちらこそよろしく。」

 

提督「あと、ストーム1・・・いや、ストームと呼ぼうか。もっと楽にしてくれ。俺も、こんなのは柄じゃない。」

 

ストーム1「いえ、ですが・・・」

 

提督「楽にしてくれ。それともタメ口で話せ・・・と命令したほうがいいか?」

 

ストーム1「いや・・・わかった。余計な気を使わせて、すまない。」

 

提督「このほうが俺も楽だからな。年も近いようだし。」

 

ストーム1「そうか。」

 

ふぅ・・・上官用の言葉遣いは、苦手だから助かったぜ。

 

提督「そして、まず話しておきたいのが、ストームのこれからの処遇だが・・・」

 

提督「普通なら、手厚く保護、回復したら家族の元に帰ってもらう・・・というのが普通だ。だが、君は自分の名前がわからないときている。そして身につけていた装備・・・明石に見せてみたが、どれも俺たちの技術じゃない。そこを説明してもらわないことには、ここに置く言い訳が上にできないんだ。納得のいく説明をしてくれないか?」

 

う~む、やはりそう来たか・・・ここは、正直に話したほうがよさそうだ。作り話なんてできんし。

 

ストーム1「ああ・・・俺は多分、こことは違う世界から来た。そこは、エイリアン対地球の戦争が繰り広げられていた。俺はエイリアンの「ブレイン」を落としたんだが・・爆風に巻き込まれ、気がついたらここにいた、ってわけだ。」

 

提督「なるほど。と、すると軍人というわけか?」

 

ストーム1「ああ、そうだ。主に空爆支援を行う「エアレイダー」という兵科だった。」

 

提督「異世界から来た兵士・・・か。上に話しても、与太話と一蹴されそうだなぁ・・」

 

ストーム1「すまん。これが事実なんだ・・。」

 

すると、提督がそうだ!という顔になる。

 

提督「兵士・・・っていうのなら、ここで戦力になるようなことはできるのか?それなら、上にも言い訳ができるんだが・・・」

 

ストーム1「う~む。やってみないとわからないなぁ・・・一応、装備はあるけど。」

 

デスピナとかカロンとかいないだろうしなぁ。

 

提督「ダメ元でやってみてくれ。それができたなら・・・なんとかなりそうだ。」

 

ストーム1「わかった。試してみるよ。」

 

提督「大淀、どんなものか、確認してきてくれ。俺はまだ仕事が山積みだ。」

 

大淀「わかりました。ストームさん、こちらです。」

 

先程まで、提督の横に控えていた、大淀と名乗る少女が、先導して行く。

 

着いたのは、浜辺だった。

 

大淀「こちらなら、問題ありません。多少ハデなことをなさっても大丈夫です。」

 

そうか・・・なら・・・

 

ストーム1「あそこの島、狙ってもいいか?」

 

大淀「もちろんです。」

 

よし。一発ハデにかましてやるとするか!

 

俺は投擲発煙筒を手に、通信ボタンを押してみる。すると・・・

 

「砲兵隊、現地に展開!砲撃準備よし!」

 

おお、いけそうだぞ!って、ヘルメットとは別のところから聞こえてくるような・・・

まるで、声の主が肩に座っているかのように・・・

 

???「いつでもいけます!」

 

ストーム1「おわぁ!?誰だお前!」

 

肩にちっこい人間・・・いや、二頭身の生き物が座っていた。

 

大淀「どうなさったんですか?おや、これは・・・妖精さんですね。」

 

ストーム1「よ、妖精さん?」

 

大淀「はい。私達の戦闘を補助してくれたり、装備を作ってくれたり・・・色々と不思議な存在なのです。」

 

そ、そうなのか・・・つまりあれか。これから俺は、妖精さんの不思議パワーで要請を行うわけか。妖精に要請・・・いやいや、余計なこと考えてる場合じゃないな。

 

ストーム1「いっくぞー!」

 

全力で、発煙筒を島に向かって投擲する。

 

砲兵隊妖精「目標確認!大型榴弾砲、発射!」

 

すると、

 

ヒュルルルル・・・ドゥン!ドガァン!ボガァン!

 

といった感じで、次々と島に砲弾が降り注ぐ。

 

大淀「わわわわわ!?す、ストームさん何したんですか!?」

 

ストーム1「何って・・・砲兵隊に要請して、撃ってもらってるだけだ。」

 

大淀「砲兵隊!?なんですかそれ!?」

 

ストーム1「まあまあ見ててくれって。お~、もう島の半分ぐらい消し飛んだな。」

 

結局、島は三分の一ほどを残して、無残な姿になった。

 

ストーム1「ちょっと残ったか・・・じゃあ次は」

 

大淀「もういいです!」

 

ストーム1「ん?」

 

大淀「も、もう十分です!あなたが強いのは十っ分わかりましたから!」

 

ストーム1「え~、もっと派手なのやろうと思ったんだけど・・・」

 

大淀「あれより・・・いえ、これ以上は色々と危ないので。提督には私から報告しておきます。なので、今日は部屋で休んでいてください。」

 

ストーム1「わかった。」

 

よし・・・これで、こっちでの生活はまず安泰だな。

 

そんなことを考えながら、俺は、これから俺が住むことになる鎮守府へと向かった。



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第四話

お気に入り登録者様5人、そしてなんと!☆9評価ありがとうございます!これからも頑張っていきますので、よろしくお願いします。


砲兵隊妖精「もぐもぐ」

 

ストーム1「お前お菓子食うのな・・・てか出れるんなら戻ったりしねぇの?」

 

砲兵隊妖精「もぐもぐ・・・ごっくん。もしゃもしゃ・・・」

 

ストーム1「食ってないでなんか言えよ!」

 

あの後、自室に戻った俺は、間宮という艦娘が差し入れに来てくれた羊羹を食おうとしていた。羊羹は好きだから、いそいそと切り分けていたわけだが・・・

 

こいつが物欲しそうな目でこっちを見てきていたんでね。断れなかった。

 

砲兵隊って言っても見た目はちっちゃい女の子だからなぁ。艦娘と一緒で皆性別が女の子なのか?

 

まあ、俺も食うとするか。

 

ストーム1「うん。美味いなこれ。」

 

すっきりとした甘みとスルッと喉を通り抜けていくなめらかな喉越し。これ結構高いんじゃないのか・・?

 

ストーム1「で、さっきから無言で食ってるけど。戻れるの?戻れねぇの?」

 

砲兵隊妖精「もぐもぐごっくん。これは失礼。あまりにも美味しかったもので。」

 

ストーム1「で、どうなんだ?」

 

砲兵隊妖精「あ、あの通信機の中に入ってるんです。戻れますよ。でもなかなか窮屈なもので・・・まあ、あなたが戻れというなら戻りますけど。」

 

なるほど・・・モン○ターボールみたいなもんか。まあ、あんまりそんなとこに入っててもらうのも、なんか可哀想だな・・・

 

ストーム1「まあ、その・・・そんな劣悪な環境に居てもらうわけにはいかないからな。こっちに出てきててもいいぜ。」

 

砲兵隊妖精「身に余る光栄です!ストーム1に敬礼!」ビシッ

 

ストーム1「お、おう。どういたしまして。」

 

と、そんなこんなとやっていると、

 

???「あら、いたのね。早くきなさいったら!もう準備は出来てるのよ!」

 

ストーム1「お、おう?」

 

灰色と言えばいいのか、そんな髪色をした少女と、

 

???「あら~霞ちゃん。男の人とは提督としか話したことがないから、照れてるのね~」

 

かなり長い茶髪をおろしている少女がドアをバタンと開け、入ってきた。

 

霞「そんなこと無いわよ!うるさいわね!」

 

霞と呼ばれた少女は、顔を赤くして噛み付く。

 

ストーム1「誰だ?」

 

???「あら、自己紹介まだでしたかー。私、荒潮です。」

 

荒潮「で、こっちのが霞ちゃん。」

 

霞「霞よ。準備は出来てるわ。ついてらっしゃい。」

 

砲兵隊妖精「荒潮さんに霞さんですね。よろしくお願いします。」

 

荒潮「あらあら、妖精さんですか~。よろしくね。」

 

砲兵隊妖精「はい!」

 

荒潮が砲兵隊妖精の頭を撫でたり、頬をつついたりしている。俺も今度してみようかな・・・。癒やされそうだ。

 

まあ、それはそれとして。

 

ストーム1「霞、準備ってなんだ?よく・・わからないんだが。」

 

霞「そんなこともわからないの?全く・・・あんたの歓迎会以外、何があるのよ。」

 

ストーム1「俺の歓迎会?本当か?」

 

霞「他はどうか知らないけど、ここじゃ新しいのが来たら、歓迎会をすることになってるのよ。ほら、早くついてきなさいな。」

 

ストーム1「そうか・・・それは嬉しいな。歓迎してくれてるってことだろ?」

 

霞「ふんっ。少なくとも私は、弱いやつは歓迎しないからね。」

 

そう言って、霞はぷいっとそっぽを向く。

 

俺、なんかまずいこと言ったか?

 

ストーム1「悪い、霞。あいにく女性経験は無いに等しくて・・・気に障るようなことを言ったのなら謝る。」

 

霞「・・・・・」

 

俺・・・何したっけ・・・

 

と、俺が途方にくれていると、荒潮が助け舟を出してくれた

 

荒潮「ストームさん、気にしなくていいわよ~?霞ちゃんは照れてるだけだもの。」

 

霞「・・・ふんっ!」

 

そのままズンズンと廊下を歩き出す霞。図星だったようだ。

 

ストーム1「荒潮、ありがとな。」

 

荒潮「いえいえ、気にしなくていいわよ~。困ったことがあったら、なんでも言ってね~?」

 

ストーム1「ああ、そうさせてもらう。」

 

荒潮「うふふ、じゃあ行きましょうか~。」

 

そして、俺と荒潮(と荒潮の肩にいつの間にか乗っていた砲兵隊妖精)は、霞を追いかけて廊下を歩き出した。

 

さて・・・どんな挨拶をしたもんかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第五話

ストーム1「ここが会場か?」

 

霞「そうよ。もう皆集まってるみたいだから、早く行きなさいな。」

 

霞について荒潮と歩いていくと、障子戸で廊下と仕切られた、いかにも宴会場といった感じの場所に着いた。

 

すでに始まっているらしく、中からはワイワイガヤガヤと、喧騒が聞こえてくる。

 

荒潮「ストームさん~。少し待っててくださいね~。」

 

そう言って荒潮が、戸を少し開けて・・・多分提督に合図したのだろう。

 

提督「はい、全員静かに!今日うちに着任した、新しい仲間が到着した!・・・入ってくれ。」

 

霞「ほら、早く行きなさいな。」

 

ストーム1「うおっ!?」

 

どうしたもんかと、尻込みしていると、後ろから霞に突き飛ばされた。

 

ストーム1「っ・・とと・・」

 

艦娘s「「「「「「じぃっ・・・・」」」」」

 

おぉう・・これだけ人数が多いと、なかなか威圧感が・・・

 

提督「ほら、ストーム。自己紹介してくれ。」

 

提督からマイクを手渡される。緊張するな。

 

ストーム1「えーと・・・今日から、君たちの仲間になるストーム1だ。ストームと呼んでくれ。男だが、皆と仲良くしたいと思ってる。よろしく。」

 

「よろしくなのです!」「なかなかの威圧感だな・・・」「一緒に夜戦しよー!」

 

提督「ストーム、今日は君の歓迎会だからな。楽しんでくれ。」

 

ストーム1「もちろん。そうさせてもらうつもりだ。」

 

とは言ったものの、誰と話せばいいのか見当がつかないな。

 

キョロキョロと見渡していると、

 

???「よぉ~う!ストーム、よろしくなぁ~!」

 

うお、酒臭い・・・

 

ピンク色の、特徴的な髪型をした艦娘に抱きつかれる。

 

???「おぉっとぉ、私は隼鷹さ!よろしくねぇ~。」

 

ストーム1「隼鷹、歓迎してくれてるのはありがたいんだが、抱きつくのはやめてくれないか?」

 

その・・・当たってるから・・・あと酒くせぇ!

 

隼鷹「おやおやぁ?も・し・か・し・てぇ~・・・あたしに興奮しちゃったりしてるのかぁい?」

 

???「こら!隼鷹、ストームさんが困ってるでしょ!ごめんなさいね、うちの隼鷹が・・・」

 

そう言って、酔っぱらいを隼鷹と似た服装の艦娘が引っ剥がしてくれた。

 

???「私は出雲ま・・じゃなくて、飛鷹です。よろしくね。」

 

ストーム1「よろしく。あと、ありがとな。」

 

飛鷹「いえ・・・隼鷹、やめなさいよ!迷惑じゃないの!」

 

こうして酔っぱらいからは開放された・・・のだが、

 

夕立「ストームさん、あなた、強いっぽい?」

 

夕雲「皆に絡まれてご飯が食べれてないでしょぉ?私があーんして上げる。」

 

能代「ご馳走もいいですけど、ちゃんと運動しないと阿賀野姉ぇみたいになっちゃいますからね?必要なら、私がスケジュールを立ててあげますから。」

 

羽黒「あ、あのっ・・!よろしく、お願いしますっ・・・。はうぅ・・・。」

 

金剛「HEY、ストーム!私は高速戦艦の金剛デース!よろしくネー!ティータイムを楽しみマショ?」

 

俺が男だから珍しいのか、単純に歓迎してくれているのか・・・とにかく、絡まれまくった。

 

そうこうしているうちに、宴会も終わり、一部飲んべぇを残してお開きとなった。

 

ストーム1「あぁ・・・疲れた・・・」

 

歓迎してくれてるのはありがたいんだが・・・正直、抱きつかれたり、胸を当てられたり、無駄に露出の多い服だったり・・・色んな意味で疲れたぜ・・。

 

そうしてぐったりと自室で寝そべっていると、

 

鳳翔「夜遅くにすみません。入ってもよろしいですか?」

 

鳳翔が尋ねてきた。もう日付が変わるのも近いが・・・どうしたんだろ?

 

ストーム1「ああ、もちろんだ。」

 

鳳翔「失礼します。」

 

そう言って入ってきた鳳翔が手に持っていたのは、雑炊が入ったお椀を乗せたお盆。

 

ストーム1「鳳翔、これは?」

 

鳳翔「いえ、ストームさんは料理よりもお酒を飲んでいた気がしたので・・・お節介、でしたか?」

 

ストーム1「いや、ありがとう。いただくよ。今日は飲まされたからなぁ・・・」

 

空きっ腹が酒でいっぱいになるぐらい飲まされたからな。酒には強いし、ビールと日本酒を少し飲まされたぐらいなので、そこまで酔ってはいないが。

 

砲兵隊妖精も皆にいじくりまわされ疲れたようで、帰ってくるなりすぐに通信装置にもぐりこんで、眠ってしまった。

 

ストーム1「ご馳走様。美味かったよ、ありがとな鳳翔。」

 

こういう鳳翔の気遣い、助かるぜ。

 

鳳翔「お粗末様でした。」

 

鳳翔が帰った後俺はすぐに布団を敷き、寝た。

 

明日からはどうなるんだろうな・・・皆と一緒に、戦うんだろうな。

 

フォーリナーと戦った時は、多くの犠牲がでた。俺の前で、仲間が何人も死んだ。

 

もう・・・あんな思いはしたくないからな。次こそは、誰も死なせたくないもんだ。

 

そんなことを考えているうちに、俺の意識は、闇の中に沈んでいった。

 

 

 

 




なかなか難しいですね、こういうとこ書くの。もっと精進せねば・・・


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第六話

か、感想がここまで励みになるものだとは・・・これからも応援よろしくお願いします!


ストーム1「あ~おいうっみを守るため~」

 

砲兵隊妖精「我らが艦娘出撃だ~」

 

ストーム1「はためけ勝利の旭日旗~」

 

砲兵隊妖精「深海棲艦撃滅だ~」

 

ストーム1・砲兵隊妖精「「EDF!EDF!」」

 

皐月「・・・なんなのさ、そのダサい歌。」

 

ストーム1「何・・・ダサい・・・だと・・・」

 

砲兵隊妖精「ガーン」

 

・・・俺たちが勝利を信じて戦う時に歌っていた歌は、こっちではダサいという認識をされるようだ・・・。

 

皐月「まあ、いいけど。ちゃんと任務には集中してよね?」

 

ストーム1「お、おう。わかった。」

 

宴会から数日。提督が上に掛け合ってくれたこともあり、俺に出撃の許可が降りた。

 

提督が言うには、得体の知れないものだろうがなんだろうが、戦力になり命令に従うなら許可せざるを得ないレベルにこの世界の戦局は劣勢らしい。

 

まあ、味方を助けにいったら包囲されたり、本部の指示通りに地下を進むと敵がワラワラ湧いてきたりと、絶望的な状況は経験済みだ。ある程度の覚悟はある。

 

だがまずは戦闘に慣れるという意味も兼ねて、手始めに駆逐艦の睦月、如月、長月、皐月と共に鎮守府前海域の哨戒任務に従事しているワケだ。

 

長月「ところで、ストームが乗っているその・・・バイク・・なのか?結構な速度じゃないか。」

 

いつの間にか横にいた長月が、興味深そうに俺が乗っているバイクを撫でる。

 

ストーム1「おう、こいつはSDL2だ。地上ならもっとスピードが出るぞ。もっとも、スピードを出しすぎるとすぐに壊れるけどな。」

 

俺が乗っているのはSDL2という、ホバーバイクだ。大戦の時、エアレイダーの足にということで、SDL1というバイクを要請できたのだが・・・バッドカスタムだの、バーストターボだの、俺には合わないものが多かった。なんとかならないかと戦術士官にかけあってみると、8年前の大戦で使われたというコイツを引っ張り出してきた。

 

個人的にはこっちのほうが断然いいんだが・・・なぜ本部はSDL1にしたんだ?まあ、そんなこと考えても仕方ないけど。

 

長月「ほう・・・こいつはいいな。一度乗ってみたい。」

 

ストーム1「壊さないって約束してくれるんなら、帰ってから乗ってもいいぜ。」

 

 

長月「ほ、本当か!?武士に二言はないな?」

 

ストーム1「おう。EDFの誇りにかけて!」

 

長月「や、やった・・・コホン、さっさと敵艦隊を全滅させるぞ。」

 

クールぶっているが、喜びを隠し切れてないのが年相応というか・・・可愛いな。

 

そんなことを考えていると、

 

睦月「敵艦隊見ゆ!・・・・駆逐ロ級及びイ級2隻ずつの偵察艦隊と思われる!総員単縦陣!戦闘準備にゃしぃ!」

 

如月「皆~気を引き締めていきましょうね~。」

 

ストーム1・長月・皐月「「「了解!」」」

 

旗艦、睦月が敵艦隊を発見。如月が檄を飛ばすと、瞬く間に陣形が単縦陣に変わる。

 

見た目は幼いとはいえ、さすがは艦娘・・・か。

 

ストーム1「こいつの性能、試させて貰おうか・・!」

 

明石に手伝ってもらい、改良したコイツを手に取ると、

 

ホエール妖精「こちら攻撃機ホエール!ホエールは空飛ぶ要塞だ。105ミリ砲、ロケット弾、全てが揃っている。空に味方がいることを忘れないで欲しい。」

 

今度はホエールの妖精さんが肩によじ登ってきた。

 

・・・いつの間に出てきたんだ?

 

睦月「睦月、砲雷撃戦、始めるよ!」

 

そんな悠長なことを考えている暇もなく。

 

火薬の炸裂音と共に、敵艦隊を水柱が覆う。だが命中弾はなかったようで、こちらの周りにも水柱が上がる。

 

ストーム1「悪い、隊列から抜けるぞ!」

 

皐月「え、ちょ、ちょっと!」

 

皐月に一声かけ、SDL2のエンジンをフルスロットルまで上げ、艦隊を離れ敵艦隊の横に周りこむ。

 

・・・悲しいことに、俺にはレンジャーほどの射撃スキルはない。敵に攻撃を当てたければ、近づくしかないのだ。

 

ストーム1「うおっ!?あっぶねぇ!」

 

しかし見つかってしまったようで、俺の周りにも水柱が上がる。だが・・・

 

ストーム1「そんなもん、当たるかよっ!」

 

散々乗り回してきたんだ。多少砲撃されたところでっ・・・!

 

ジグザグ移動で砲撃を躱しつつ、敵艦隊に接近する。至近弾があったが、直撃はしていない。

 

被っているバイザーで射程圏内に入ったことを確認し、リムペットガン・・・いや、射出式の要請弾を装填した、射出装置を取り出す。

 

そいつを構えて、集中するとーーー時間が止まったような、そんな感覚になる。

 

しっかりと狙いをつけ・・・引き金を引いた。

 

緩やかな弧を描きながら飛んでいった、要請弾は駆逐ロ級にペタリと張り付く。

 

ホエール妖精「ホエール、目標を確認した。死の雨を降らせてやる!」

 

次の瞬間。

 

敵艦隊は、空から降る鉄の雨により、粉砕されたのだった。




戦闘シーンとは(哲学  


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第七話

お気に入り登録10人突破!有難うございます!有難うございます!


ーーーー大本営 会議室ーーーー

 

元帥「さて・・・提督君。納得のいく説明をしてもらおうじゃないか。」

 

提督「説明も何も・・・ただ、ストームが呼んでやらせただけじゃないですかね。それ以上は俺にもわかりません。」

 

俺は今、大本営に呼び出され会議という名の尋問を受けている。理由は・・・何を隠そう、ストームの件についてだ。

 

昨日の戦果報告で確認されたワケだが、敵偵察艦隊が撃破された位置と、対空レーダーにより無所属の違法航空機が確認された位置が一致したらしい。

 

そしてそれが、ウチに新たに入った新戦力に関係するということで、わざわざ会議を開いてくださったってわけだ。

 

大将「ふざけるな!一兵器に過ぎないやつが航空機による支援攻撃だと!?戯言にも程がある・・・。さっさと白状すれば、最前線に左遷で済むぞ。」

 

ん?

 

提督「大将・・・今、兵器と仰っしゃりましたか?」

 

大将「ああ。艦娘など、兵器に過ぎん。いくら心を持っていようと所詮は使い捨てだ。あんな役立たず共に何を遠慮する必要がある?」

 

ぐっ・・・・

 

俺は拳を固く握りしめ、今にも殴りかかろうとする自分を抑える。

 

あいつらが使い捨てだと?喜び、悲しみ、怒る。そんなやつらがただの兵器だと?

 

俺はそうは思わない。あいつらは人間だ。いくら深海棲艦と同じような力を持っていようが、女の子なんだ。

 

でもここで大将を殴れば・・・俺は左遷。あいつらは全員解体。そんなことがあってはならない。させない。

 

少将「た、大将。いくらなんでも言いすぎではないですか?」

 

すると大将は、下卑た笑みを浮かべ、椅子にもたれかかる。

大将「ふん。提督、お前が何をやろうが俺は知らん。だが何かあったときには・・・最悪、消えてもらうことになるかもしれん。その時は覚悟をしておくといい。」

 

提督「もちろんです。何があろうが、俺が責任を取ります。それで今は、手を打ってもらえませんか?」

 

ふぅ・・少将が助け舟を出してくれてよかったぜ。あのまま言わせておけば、殴りかかってたかもしれん。

 

元帥「わかった。何かあれば提督君が責任をとる・・・それで、いいんじゃな?」

 

俺がコクリとうなずくと、元帥は皆を解散させた。俺も部屋を出ていこうとすると、

 

元帥「君がそこまでして、ストームとやらを庇うのは・・・君の経歴と何か関係しているのかね?」

 

提督「すみません・・・ノーコメント、と言うしかありませんので。では、失礼いたします。」

 

俺は足早に、会議室を後にしたのだった。

 

 

 

明石「それでは~」

 

夕張「成功を祝しまして!」

 

明石・夕張・ストーム1「「「かんぱーい!」」」

 

ここは居酒屋鳳翔。夜中に鳳翔がやっているという。今回は工廠担当の明石や夕張と、「成功を祝して」飲みに来ているのだ。

 

俺は出撃するまでの数日間、無為に過ごしていたわけじゃない。明石と夕張、そして妖精さんと頭脳労働をしていたからだ。

 

というのも、俺が要請に使う発煙筒だの要請弾だのは、海上ではいかんせん使いにくい。そこで思いついたのが、いっそ全部リムペットガンみたいにすればいいんじゃね?ということだ。

 

ああいうふうにくっついてくれれば要請も格段にしやすいからな。

 

見ての通り妖精さんの不思議技術のおかげで大成功。これで俺も、海上でエアレイダーとして活躍できるってわけだ。

 

とまあ、酒盛りを始めてから1時間。まだまだ話題は変わらなかった。

 

明石「いや~ほんとよかったですね!あ、鳳翔さん、からあげくださ~い。」

 

夕張「ほんとよねぇ~・・・私ほぼ徹夜だったんだもの・・・あ、枝豆追加で~」

 

おっと、この二人も随分頑張ってくれてたんだった。まあその対価として、今度買い物を全部奢らさせることになったんだが。

 

ストーム1「ほんとありがとな。二人のおかげで、俺も活躍できる。」

 

明石「いやいや~、それが私達の仕事ですから!それに、見たこともない機械に触れて、心が踊りましたよ!」

 

夕張「あ~確かに。ストームが持ってるのって、私達が見たこと無いものばかりだったもんね~。」

 

ふんぞり返る明石を、ちょっとからかいたくなった。

 

ストーム1「仕事ってんなら、ボーナスはいらないな。今度のショッピングは無しで・・・」

 

明石「い、いや!でもあれは時間外労働もあったから!そんなこといわないでよぉ!」

 

ストーム1「冗談だ冗談。さすがにそんなことするほど鬼畜じゃないさ。」

 

夕張「それ、ほんとですかぁ~?」

 

ストーム1「ああ、EDFの誇りにかけて!」

 

夕張「その割には、私のタンクトップの胸元、チラチラ見てましたよね?」

 

んん?な、なんのことかなぁ?

 

ストーム1「ん~なんのことか俺にはわからないな。鳳翔、ビールもう一杯お願い。」

 

明石「ストームさんそんなことしてたんですか?やっぱり男の人は・・・」

 

ストーム1「仕方ないだろ男なんだから・・そもそもそんな格好でいるのが悪いと俺は思うぞ。」

 

夕張「またまたそんなこと言って・・見たいって言えば、見せてあげたかも知れないのに・・・」

 

ストーム1「冗談はやめろ。というか、酔ってるだろ夕張。」

 

夕張「そんなことありませんよぉ~」

 

とかなんとか言いながら、いつの間にか夕張の横にはお銚子が何本も転がっている。

 

明石「ああ・・・夕張ちゃん、たくさん飲んですぐに寝ちゃいますからね。私が運んでおきますよ。」

 

ストーム1「いや、さすがに明石に運ばせるってのはちょっと・・・」

 

明石「・・・変な噂が立っても知りませんよ?」

 

ストーム1「明石・・・頼む・・・。」

 

明石「最初からそう言えばいいんですよ。」

 

そこに、鳳翔が注文のものを持ってきてくれた。

 

鳳翔「からあげに、枝豆におビール・・・あら、夕張ちゃん寝ちゃったんですね。」

 

明石「あ、私が後で運びますから。お構いなく。」

 

鳳翔「はい、わかりました。ごゆっくり。」

 

ふぅ・・・まあ今は、このつまみで一杯やるとしますかね。

 

そう思い、俺はからあげを口に運んだ。

 

 

 

 




そろそろ先行き不安になってまいりました。(何も考えてない作者のせい)


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第八話

間宮「ありがとうございました~。」

 

いつもどおり、食堂で食事をした後、自室に戻り、クローゼットを漁る。

 

何度か駆逐艦達と哨戒任務をこなしたので、次から俺はある程度練度が高い艦娘が派遣される海域での任務に従事することになった。

 

提督「その前に、体はしっかり休めておいたほうがいい。」

 

と、いうわけで、俺は一週間ほどの休暇をもらえたというわけだ。

 

ストーム1「さて、何着ていくかな・・・」

 

なので、あの二人との約束を果たすことにしたのだ。

 

ストーム1「これとか、どうかな?」

 

砲兵隊妖精「いいとおもいますよ~♪」

 

ストーム1「そうか・・・ってか、なんか嬉しそうだな。」

 

砲兵隊妖精「もちろんです!私も連れて行ってくれますよね?」

 

ストーム1「あ、ああ・・・でも、人が多いところでは顔とか出すなよ。」

 

砲兵隊妖精「Sir,Yes Ser!」

 

・・・心配だ。

 

そんなこんなで準備をして門まで出ていくと、すでに二人はそこにいた。

 

明石「あ、ストームさん!今日はよろしくお願いしますね!」

 

ストーム1「よろしくってなんだよ・・・」

 

夕張「もちろん今日は奢ってもらいますからね~。そもそも、頑張ったのは私達ですから。」

 

明石「そうそう!」

 

いつもの制服とは違う、私服というのもなかなかいいもんだな。二人ともその辺は気を使ってるのか、センスいいし。

 

ストーム1「さて、行くとするか。ところで、どうやって行くんだ?」

 

明石「あ~・・・それなんですが・・・」スマホミセル

 

ストーム1「はぁ!?バス会社がストライキ・・・。どうりでこないはずだ・・・」

 

夕張「どうしましょうかね~・・・。」

 

本来なら、鎮守府前を通るバスに乗って行くつもりだったらしいんだが・・・仕方ない。

 

ストーム1「じゃあこれで行くか・・ほい。」

 

俺がカプセルをぽいと投げると、そこからSDL1が現れる。

 

明石「えぇ!?今のどうやったんですか・・」

 

ストーム1「こいつは地下作戦仕様なんだがな。俺にもよくわかんねぇ。」

 

なんとかボールのホイ○イカプセルみたいだが、どうなってるのか見当もつかない。装備を支給してくれる戦術士官に一度聞いてみたが、極秘ということらしい。俺にもできたら便利だったんだけどなぁ~・・・。

 

夕張「でもこれ、この前使えないって言ってませんでした?」

 

ストーム1「まあ、戦闘に使うんだったらな。移動手段として使うだけなら、大分使い勝手はいいぞ。」

 

夕張「なるほど。」

 

横に一人、後ろに一人乗せられるし、スピードも申し分ない。なんだかんだいって、移動手段としては優秀なんだよな。

 

ストーム1「よしいくぞ。ちゃんと掴まっとけよ!」

 

明石「掴まっとけって・・・うわぁああぁ!?速くないですかぁ!?」

 

呼び出したのは勿論バーストターボ。これなら、すぐに目的地に着きそうだ。

 

ーーーー十五分後ーーーー

 

明石「うぇぇ・・・吐きそうです・・・。」

 

夕張「私も・・・」

 

ストーム1「・・・すまん。」

 

十五分後、俺たちは新装開店したというデパートに着いた。のだが、バーストターボは流石に早すぎたな・・。

 

大人しく、初期型にでもしておけばよかった。

 

ストーム1「とりあえず、これでも飲んどいてくれ。」

 

俺が自販機で買ってきた水を飲むと、二人は少し落ち着いた。

 

明石「・・・もしかして、帰りもあれなんですか?」

 

ストーム1「帰りは初期型にしておく。」

 

やっちまったか・・・と思ったが、いざ店内に入ってみると、

 

夕張「明石、これなんてどうかしら?」

 

明石「いいんじゃない?夕張、私はこれなんかもいいと思うんだけど。」

 

夕張「いいわね~それも!」

 

特にそんなこともなく、俺そっちのけで服を見始めた。

 

まあ、鎮守府じゃあ制服や、無地のシャツなんかしか売ってないからな。こういう時でしか買えないんだろう。

 

砲兵隊妖精「私も服、ほしいですね~。」

 

ひょっこりと顔を出した砲兵隊妖精が、二人を見ながら言う。

 

ストーム1「う~むお前の服って言ってもなぁ・・・おもちゃ売り場でも見に行ってみるか?」

 

砲兵隊妖精「了解!」

 

服選びに夢中な二人はとりあえず放っといて、二階のおもちゃ売り場を目指す。

 

俺が思いついたのは、着せ替え人形の洋服だ。あれなら、いけるかと思うんだが。

 

ストーム1「ここのどれでも、一つ買ってやるぞ。てか、種類多いな・・・。」

 

砲兵隊妖精「わぁ~!いろいろありますね!」

 

こいつは時間がかかりそうだ・・・

 

ーーーー一時間後ーーーー

 

ストーム1「お前ら・・・買いすぎだろ・・・」

 

明石「お礼に奢るって言ったのはストームさんなんですから。いいじゃないですかぁ~。」

 

夕張「そうそう。」

 

こいつら・・・・。

 

砲兵隊妖精「買ってくれてありがとうございます。大事にします。」

 

あぁ~・・・癒やしだわこいつ・・・。

 

すっかり軽くなった財布との中身を見て落胆する俺を尻目に、二人はぺろぺろとアイスを食べていた。

 

明石「いや~しかし、ストームさんもすっかり丸くなりましたね~。」

 

夕張「ほんとよね。最初なんかすごかったもん。」

 

ストーム1「ん?どういうことだ?」

 

明石「え?気づいてなかったんですか?」

 

夕張「私達が身体検査した時、すごい目つきも鋭くて、常に周りを警戒してるって感じでしたもんね~。」

 

ストーム1「そ、そうなのか・・・」

 

明石「まあ今は、そんなことありませんけどね~。」

 

思えば、向こうでは一年ほど戦ってばかりだった。いつ何時、出撃命令がでるかわからない状況で、知らず知らずのうちにそうなっていたのかもしれないな。

 

夕張「これおいしいわね。」

 

明石「私もう一つ頼んじゃおうかな~。」

 

向こうじゃ、どうなんだろうな・・・ブレインも落としたし、フォーリナーも撤退してるだろう。もう復興は始まってるかもしれない。

 

なら、今度はこっちの平和を守るのが俺の役目だ。これからも・・・頑張ると、するかな。

 

俺はそう、決意を固めた。

 

そして帰路につくころには、俺の財布はカラになっていた。

 

 

 

 

 

 




さてデート回にしてみたかったんですが・・・だめですねこれは・・・


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第九話

投稿が遅れてしまい、申し訳ありません。


ストーム1「・・・演習?」

 

提督「ああ、そうだ・・。」

 

提督からの好意である休暇も終わり。

 

いよいよ現在攻略中の海域に投入されるということで、気分を新たに執務室を訪れたんだが。

 

そこにいたのは、苦い顔をした提督だった。

 

ストーム1「どういうことだ?俺は艦娘でも、ましてや深海棲艦でもない。俺と演習しても、練度の向上には繋がらないと思うんだが。」

 

提督「俺もそう思う。だがな、大将殿からの申し出だ。俺なんかじゃ、理由も聞けないさ、

ただ・・。」

 

ストーム1「ただ?」

 

提督「ストーム、これを見てくれ。大淀、頼む。」

 

大淀「どうぞ。」

 

大淀から手渡された書類には各鎮守府の勝利数、敗北数、戦果などが事細かに記されていた。

 

ストーム1「戦果表、か。これがどうしたんだ?」

 

提督「ああ、それなんだが。まず二番手が俺たちの鎮守府だ。そして戦果トップが大将殿の鎮守府なんだ。」

 

ストーム1「ほう。二番手とはすごいじゃないか。で、なんでこれが演習しなきゃならない理由になるんだ?」

 

提督「大将殿のところは、非人道的な・・・俗に言う、ブラック鎮守府として運営することによって、戦果を上げているんだ。」

 

ストーム1「ブラック鎮守府?」

 

提督「まるで艦娘をモノのように扱う鎮守府の総称だ。例えば駆逐艦娘を囮にする、とかな。」

 

何?

 

ストーム1「・・・それは聞き捨てならないな。だが、そんなことをしていれば、軍法会議にかけられて左遷なりなんなりさせられるんじゃないか?」

 

提督「それがだな・・・かなりの戦果を上げていることも事実。憲兵たちも見てみぬふりらしい。それどころか、艦娘たちと肉体関係がある者もいるとか・・・。」

 

そういうことか。読めてきたぞ。

 

ストーム1「つまり、うちのようなホワイトな鎮守府に戦果を抜かれるわけにはいかない。だが、俺が戦力化すれば、それが実現してしまう・・・だから、ここで潰そうって魂胆だな?」

 

提督「そういうことだ。だが・・・ストームに演習を受けるのを強制するつもりはない。元々、受けるだけ損な話だ。受けなくても、元帥からの許可は降りるだろう。」

 

言葉とは裏腹に、苦々しい表情でそんなことを言う提督。だが。

 

ストーム1「俺・・・いや、俺たちは劣勢の中、皆を守るために戦ってたからな。こんなのは屁でもないさ。しかもそこの艦娘たちを見捨てたとなれば、EDFの沽券に関わるからな。ぜひやらせてもらおうじゃないか。」

 

提督「そうか・・・ありがとう。礼を言わせてもらう。」

 

ストーム1「お礼を言われるようなことじゃないだろ?困ってる人を助ける。それが俺たちの仕事だ、提督。そうだろ?」

 

提督「・・・ああ、そうだな。演習は一週間後、ストームは艦娘でないことを考慮して、拠点防衛演習だ。頼んだぞ。」

 

ストーム1「おう。任せとけ。」

 

さて・・・準備を始めるとするかな。

 

ーーーー一週間後ーーーー

 

提督「ストーム、用意はできてるか?演習は三十分後だ、そろそろ準備してくれ。」

 

ストーム1「了解。」

 

そう言うと、俺は鎮守府の壁面にペタペタと電磁城壁を貼り付けていく。

 

明石と夕張にサンプルを渡し、量産してもらった。まあ、また色々と奢らされたが・・・・

 

ストーム1「ふぅ。まあこんなもんか。」

 

これならちょっとやそっとの攻撃じゃ、壊れないだろう。

 

次に・・・・今回はこんなものを用意した。

 

ストーム1「よし、隊列揃え!ぜんた~い前へ!」

 

レンジャー妖精1・2・3・4「「「「了解!」」」」

 

今回の敵は空母機動部隊だ。さすがの俺でも、一機のビークルで艦載機を抑えることはできない。そこで、こいつらだ。

 

普段は表にでない、裏方の工廠妖精を何人か引き抜き、妖精特製レンジャーアーマーを着せ、ビークルの扱い方を教えたのだ。

 

やはりそこはさすが妖精というか、ものの三日ほどで操作方法を完璧に覚えてしまった。

 

・・・・俺は一つ覚えるのに2週間かかったというのに。

 

気を取り直して、今回こいつらに乗ってもらう「BM03ベガルタ リボルバーカスタム」をポンポンと要請する。

 

こいつは、バトルマシン・ベガルタの対空強化カスタム。航空戦力に強く、遠くから迫るアリ共もまとめて挽肉にすることができる。戦時中は、ずいぶんお世話になったもんだ。

 

そして、俺は「ネグリング自走ロケット砲改三式試作型」に乗り込む。

 

ストーム1「よし・・・準備できたぞ!」

 

提督「わかった。先方も準備できているようだ。・・・大将殿、始めてもよろしいですか?」

 

大将「うむ。いつでもいいぞ。」

 

提督「了解しました。それでは、演習、はじめ!」

 

執務室にいるであろう、自信たっぷりな大将の声が聞こえてくる。

 

俺は通信を切り・・・・

 

ストーム1「よし!こっからだお前ら、行くぞ!EDFの誇りにかけて!」

 

レンジャー妖精1「勇敢に戦え!」

 

レンジャー妖精2「俺たちが勝つ!」

 

レンジャー妖精3「いいな!」

 

レンジャー妖精4「わかったか!」

 

ストーム1・レンジャー妖精s「「「「「EDF!EDF!」」」」」

 

やってやるぞ!

 

 



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第十話

UAが2000を突破致しました!皆さんこれからも応援よろしくお願いします。


提督「それでは、演習始め!」

 

その通信を聞いた後無線機を操作し、私達の提督のプライベート無線に切り替える。

 

赤城「提督・・・ご指示を。」

 

大将「どんな手を使ってでも勝て。そのために、わざわざ『流星』や『彗星十二型甲』、『烈風』を揃えてやったんだからな。」

 

赤城「了解しました。」

 

大将「チッ・・・金になる資材をこれだけ使ったのだからな。勝って当然だ。だが・・・特別に、勝てれば何か一つ報奨をやろう。・・・負ければ、わかっているな?」

 

赤城「もちろんです。必ず・・・勝って見せます。」

 

通信を切り、深く深呼吸をする。

 

赤城「一航戦の誇りは・・・必ず・・・」

 

そう呟いた時、肩にぽん、と手が置かれる。

 

加賀「そう気負わないで。・・・私達もいるから。赤城さんだけが責任を感じる必要はないわ。」

 

蒼龍「そうですよ~。私達一航戦、二航戦、五航戦が揃ってるんだから。どんな相手でも負けないわよっ!」

 

加賀「そうね。五航戦の子は少し頼りないけれど・・・。」

 

そう加賀さんが呟くと、先程まで疲れ果てた様子で俯いていた瑞鶴が、がばっと顔を上げる。

 

瑞鶴「加賀さん!どういうことですか!?」

 

加賀「言葉通りの意味よ。あなた達のように練度が低い空母だと、少し不安だわ。」

 

瑞鶴が悔しそうにギリギリと歯を食いしばっているが、加賀さんは嫌味で言ったわけではないと、あの子以外は分かっている。

 

五航戦の翔鶴、瑞鶴はまだ着任してから日が浅い。だから、練度を無理やり上げるため、ほぼ徹夜での訓練をさせられていた。

 

疲れで萎んでいる闘志を引き出すために、加賀さんは自分から憎まれ役を買って出たのだ。

 

飛龍「ん・・・そろそろね。」

 

気がつくと、飛龍の言う通り艦載機で攻撃可能な範囲に、鎮守府が入ろうとしていた。

 

私は弓をしっかりと構え、一度深呼吸をしてから、矢をつがえる。

 

そしてーーーー

 

赤城「第一次攻撃隊発艦!各艦も随時発艦させてください!」

 

空母s「「「「「了解!」」」」」

 

ーーーー鎮守府側ーーーー

 

ストーム1「おっと・・・レーダーに感あり。多分第一次攻撃隊が発艦したな。全員、いつでも射撃できるようにしといてくれ。」

 

俺の言葉に、操作盤をいじって安全装置を外す妖精たち。

 

まだまだ射程範囲外だが、相手が最新鋭機を装備しているとも限らない。こういう用心はしっかりしないとな。

 

ストーム1「俺もそろそろ・・・って、はええし多くないか!?」

 

先程までは遠くで三角の形だった赤の点が、既に丸い形になっている。

 

勿論、対航空戦力用にそういう距離の調整なんかはいじってあるから、丸くなったとしてもまだ遠い。だが、それでも恐るべき速さだ。

 

しかも点の数も多い。さながら巨大生物の群れみたいだ。

 

ストーム1「これは・・・まずいかもなぁ・・・。」

 

だが。

 

ストーム1「何にせよ、やれることをやるだけだ!」

 

ロックオン範囲内に入ると同時に引き金を引くと、ピン、ピン、ピン・・・と聞き慣れたロックオン音が聞こえてくる。

 

ストーム1「喰らえ!」

 

引き金から指を外すと、シュパシュパシュパァと噴射するガスの音と共に、ミサイルが飛んでいく。

 

見れば、妖精達も各々のベガルタに備え付けのミサイルを発射しているみたいだ。

 

そしてミサイルは前衛の艦戦まで飛来するとーーーー小さな花火のように、炸裂した。

 

ストーム1「よし!ぶっつけ本番だったけど、効果は抜群だな!」

 

この世界には三式弾、というものがある。

 

普通、戦艦の主砲が発射する砲弾では、艦載機は落とせない。

 

だがこの三式弾は違う。中に大量の弾子が詰まっていて、爆発した際にそれをばら撒き、艦載機を撃墜するのだ。

 

確かにネグリング自走ロケット砲は、対航空戦力の要だった。だが、それは動きも遅く図体のでかい飛行ドローンやビークルに対しての話だ。

 

下位機種では、レッドカラーですら追いつけない場合があった。

 

さらに艦載機のスピードはその比じゃない。だから三式弾の話を聞いて、工廠妖精の力も借り、どうにかこうにか今日に間に合わせたわけだが・・・大成功だったな。

 

さらにベガルタにも同じミサイルを積んである。

 

レンジャー妖精1「てーっ!てーっ!」

 

レンジャー妖精3「新兵器はすごい威力だぜ!」

 

よしよし、このまま全機撃墜・・・といきたいところだが・・・

 

ストーム1「レンジャー!撃ちまくれ!」

 

レンジャー妖精s「「「「了解!EDF!EDF!」」」」

 

流石にミサイルだけで全ては落とせない。

 

だが、お次はベガルタによる濃密な弾幕だ。こいつはどうだ?

 

リボルバーカノンを撃ちまくるをベガルタを、一応機関砲で支援する。

 

艦戦に続き突っ込んできた艦爆や艦攻も、コースを逸れたり、落とされたりで思うように爆撃が出来ていない。

 

しかし・・・・

 

ドゴォン!バゴォン!

 

全部防ぐのは無理があったか。派手に爆発してるが・・・まあそれは電磁城壁の耐久力を信じるしか無い。

 

ストーム1「なんとか第一次攻撃隊は防いだか・・・。」

 

赤い丸がレーダーから消え、三角になるのを見て俺がそう呟くとーーーーすぐさま、他の三角が赤い丸に変わる。

 

ストーム1「第二次攻撃隊か!?それにしても早すぎる・・・さてはこっちが防衛しか出来ないのをいいことに、6人とも空母なのかもなぁ・・。」

 

俺はほうっと息を吐き、再びネグリングに乗り込む。レンジャー妖精達もミサイルを再装填し、準備をしている。

 

ストーム1「ここからが正念場だ!やるぞ!」

 

そういうと、俺はネグリングの引き金を引いた。

 

 




演習で書きたいことが多すぎて、この話で終わらなくなってしまいました。次はなんとか終わらせますので、お許しを。


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第十一話

お気に入りも30人突破ァ!有難うございます!


ガガガガガ・・・・

 

ストーム1「うおっ!?」

 

銃撃をすんでのところで躱し、ベガルタの後ろに逃げ込む。

 

俺を撃った艦戦は追撃することなく、敵艦隊の方へ戻っていった。

 

ストーム1「ふぅ~・・・今ので何回目の空襲だよ・・・。」

 

正直、正規空母を甘く見ていた。四百は下らない、圧倒的な艦載機量に押し負けたのだ。

 

確かに、ネグリングは百発百中、撃てば撃つだけ落とすことができたんだが・・・ネグリングの欠点がでてしまったと言うべきか。

 

大戦中もこの問題に悩まされていた。設計上の問題で、ネグリングはミサイルを百発までしか搭載出来ない。

 

ネグリングでアウトレンジしても、敵は倒しきれない。かといって二台目を要請しても、くるまでには確実に囲まれている・・・そんな時が何回かあったもんだ。

 

今俺が隠れているベガルタも、酸どころかヘクトルの迫撃砲や粒子ガトリング砲にも負けない装甲のお陰で、壊されてはいないのだが・・・。

 

ストーム1「やっぱそっちはきついか・・・。」

 

度重なる攻撃で、電磁城壁はそろそろ限界だ。

 

レンジャー妖精2「落ちろぉ!落ちろぉぉ!」

 

レンジャー妖精4「俺たちは負けるわけにはいかない!撃って撃って撃ちまくれ!」

 

一応、ちょこまかと走り回るレンジャー妖精達が、MLRA-30で狙ってはいるが、射程距離の短さ故か、艦載機の速度故か、命中精度はお世辞にはいいとは言えない。

 

ストーム1「もうちょっと頑張ってくれ!そしたらこいつであいつらを撃破する!」

 

レンジャー妖精s「「「「了解!」」」」

 

そう、勝機がないわけではない。

 

俺が今回「念の為」持ってきた兵器・・・・こいつの誘導方法はいつも使ってるリムペット型じゃない。レーザー式だ。

 

つまり、射程距離は無限ーーー理論的には、俺はいつでも相手空母を狙うことができるわけだ。

 

だが、流石にそういうわけにはいかない。しっかり相手にレーザーを照射しなきゃいけないんだからな。普段の戦いなら、敵空母を直接こいつで攻撃するなんてことは出来ない。

 

だが・・・・今回は違う。

 

こっちに来てから、駆逐艦達を重巡が座学を学ばせるための授業に、ちょくちょく参加していた。

 

そこで習ったのが、「空母はいち早く艦載機を収容するため、攻撃した方向に進む」というものだ。

 

その授業通り、あいつらは近づいて来ている。

 

もう少し引きつけたかったんだが・・・・そろそろ電磁城壁も持たないし、俺を撃った艦戦が場所を報告しているころだろう。集中砲火を受ければ、ベガルタといえどタダでは済まない。

 

ストーム1「ふぅ~・・・よし。・・・やるしかないな。」

 

見つからないよう、地面に伏せ、匍匐前進でベガルタの影から出て、敵を見据える。

 

距離は・・・バイザーと誘導装置のズーム機能をあわせて使っても、米粒ほどにしか見えない程度には離れている。

 

ストーム1「すぅー・・・はぁー・・。」

 

震える手を止めるために深呼吸をしーーー米粒大の黒い点に照準を合わせる。

 

ピン・・・・ピン・・・・ピン・・・・

 

ロックオン時の音の感覚が・・・まるで、百倍に引き伸ばされたような感覚になる。

 

ピン・・・・ピン・・・・ピン・・・・ピン!

 

よし!

 

「・・・喰らえ!ライオニック20だぁぁ!」

 

 

~~~~海上~~~~

 

赤城「ふぅ。これなら勝てそうね。」

 

第六次攻撃隊を収容し、補給の間に加賀さんにそう声をかける。

 

加賀「そうね。これで・・・あの子達も救われる・・・。」

 

加賀さんが感慨深そうに頷くが、それもそうだ。

 

今回私達が勝てば、駆逐艦の子達の待遇改善を報酬として提督にお願いするつもりでいる。

 

駆逐艦は使い捨てだと、提督が昔言っていたのを聞いたことがある。

 

事実、新しく着任した駆逐艦の一部はサーモン海に出撃させられ・・・二度と戻っては来なかった。

 

睦月「赤城さん、私、出撃が決まったにゃしぃ!まだ練度は低いけど、頑張ってくるね!」

 

そう言って帰ってこなかった睦月の笑顔は、今でも忘れられない。

 

でもそれもーーー今日で終わりだ。

 

そう言おうと加賀さんを見ると・・・一点を凝視して固まっていた。

 

視線の先には私。そしてそこには、スナイパーのレーザーのような赤い点。

 

加賀「赤城さんっ!避けッ・・・・」

 

加賀が何かを叫ぶのと、私が意識を刈り取られたのは、ほとんど同時だった。

 

 

~~~~鎮守府~~~~

 

提督「ストーム、よくやってくれた。これで大将の鎮守府にも査察が入るだろう。そっちの妖精さんたちも、ありがとう。」

 

ストーム1「ほんとだぜ提督・・・あの時は負けるかと思った・・・。」

 

俺たちは労いの品として、執務室で『間宮の羊羹 特選』と、高そうな緑茶を食べていたのだが、大将を見送った提督が帰ってきた。

 

レンジャー妖精1「あのぐらいは余裕だ。」

 

レンジャー妖精4「光栄です、提督殿。」

 

と、口では言いながらも、もぐもぐと羊羹を食べる手を休めない妖精を見ながら、提督は安心したような表情を浮かべていた。

 

ストーム1「まあ、これで尊い命が救えるんだもんな。そう思えば、苦労したかいがあるってもんだ。」

 

 

提督「ああ。あ、後少し頼みたいことがあるんだが・・・」

 

ストーム1「・・・あれっ・・はぁ・・・何だ?」

 

いつの間にかなくなっていた俺の分の羊羹は諦め、提督に向き直った。

 

 

~~~~大将の鎮守府~~~~

 

瑞鶴「やめてください!失敗したのは私達です!罰は私達が受けるべきなんです!」

 

大将「黙れ。お前らに対する罰は、これが一番効果的だからな・・・。」

 

そういうと大将は、檻に閉じ込められた私達から、吊るされた駆逐艦の暁、朝潮、卯月に向き直り、残忍な笑みを浮かべる。

 

私も瑞鶴のように抵抗したいが・・・体が動かない。

 

というか、動けるのは瑞鶴だけだ。私を含む、他の5人は一時的に艦娘を無力化する薬を打たれている。

 

提督は、瑞鶴だけに「わざと」薬を打っていない。・・・性格をよく知っているからこそ、できることだ。

 

暁「ひっ・・・やめてくださ」

 

大将「オラァ!」

 

暁「ぎゃああああああッ!あ・・ッ・・・ッ・・・!」

 

大将「まだ一本じゃないか。気絶するなよ?レディーだろう?」

 

くっ・・・こいつ・・・・

 

駆逐艦の暁が、まるで獣のような悲鳴を上げるが、無理もない。足の指をハンマーで潰されたのだ。

 

加賀「かっ・・・はっ・・・」

 

加賀が怒りの形相で何かを言おうとしているが、喉からはそんな声が絞り出されるだけで、言葉にならない。

 

そしてそんな顔をしているのは、私も同じだろう。

 

瑞鶴「こんのおっ・・・・壊れろッ!壊れろおッ!」

 

大将「それをいくら殴りつけても無駄だってわかってるんだろう?無駄なことはやめるんだな。」

 

瑞鶴が人を殺しそうな目で睨むが、それを提督は鼻で笑い、次は朝潮に向き直る。

 

大将「さて、朝潮。お前はどこがいい?小指か?人差し指か?」

 

朝潮は返事をすることもなく、ガクガク震え、絶望に満ちた目で提督を見つめるだけだ。

 

大将「なんだ、選べないのか?なら両方・・・なんだ?」

 

憲兵「提督殿。あなたに急用がございまして・・・。」

 

大将「今は忙しい。後にしろ。」

 

憲兵が入ってきた・・が、この鎮守府は憲兵ですらも腐っている。

 

が、私は違和感を感じた。こんな喋り方をする堅苦しい憲兵は、もういないはずだ。

 

憲兵「そう言われましても・・・元帥からの電文ですので。」

 

大将「はぁ・・・わかった。見せてみろ。」

 

憲兵「こちらです。」

 

大将「ふむふむ・・・なっ!?貴様、まさか・・・!?」

 

と、電文を読み進めた大将の顔が青くなり、憲兵と電文を見比べている。

 

憲兵「そうだ。私たちは元帥直属の憲兵団。大将殿、あなたを捕縛させてもらおう。」

 

大将「待て!そ、そうだ金ならやろう!だから・・・」

 

最後まで言い終えないうちに、提督がスタンガンで気絶させられる。

 

憲兵「よし、運べ!それからここにいる艦娘達を急ぎドック入りさせろ!」

 

瑞鶴「え・・・?え・・・?」

 

先程まで猛り狂っていた瑞鶴ですら、困惑していた。

 

だが、一つだけわかったことがある。

 

私達は救われたーーーーー。

 




今回はちょっと長めです。あと、暁ちゃんをひどい目に合わせてしまいました。推している提督方、申し訳ありません。


後、出して欲しい艦娘なんかを募集中です。感想送っていただければ、登場する・・・かも。


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第十二話

お気に入り40人・・・だと・・?
ありがとうございます。


俺は、隣に座る少女の顔をチラチラと見ていた。

 

その整った端正な顔立ちは、どこか委員長的な雰囲気を匂わせる。

 

カリカリと仕事をする彼女には、俺の挙動不審な行動も目に映ってないようだ。

 

それだけ集中しているということなのだろう。そんな彼女に、俺は意を決して話しかけた。

 

ストーム1「お茶でも入れようか?」

 

大淀「そうですね、濃いめのをお願いします。お茶菓子出しますね。」

 

・・・俺はそそくさと茶を入れに行った。

 

 

 

ここは執務室。そして俺が座っていたのは、まごうことなき提督の椅子だ。

 

本来ならここに入ってこれるのは、出撃メンバーや遠征の結果報告をする艦隊の旗艦、あとは提督にお菓子をねだりにくる駆逐艦や海防艦、提督を晩酌に誘う軽空母や重巡、よくここで本を読んでいる雷巡・・・うん、ここが重要なとこっていう感じが全然ないな。

 

それでも、提督の椅子に座れるのは提督のみだ。

 

そんなところになぜ俺が座っているのかというとーーーー

 

~~~3日前~~~

 

提督「話っていうのはだな・・・簡単に言うと、ストームに提督代理をしてもらいたいんだ。」

 

ストーム1「は?俺が?」

 

なんで?

 

提督「ああ。恐らく俺は明日から大本営に出張することになるだろう。だからその間、ここを頼んだ。」

 

あ~なるほどそういうこと・・・・ってえぇ!?

 

ストーム1「ち、ちょっと待ってくれ。なんで俺なんだ?おかしくないか?」

 

提督「・・・おかしくなんかないさ。俺はストームを信頼してる。少なくとも提督代理を頼めるぐらいにはな。」

 

ストーム1「いや、提督がいいとしても、だ。艦娘達や上の人たちが黙ってないんじゃないか?」

 

それこそ大将の艦隊を倒した俺がいきなり提督代理なんて、上の人になんか疑いをかけられそうだ。艦娘達も、どこからきたかわからんやつなんて代理としても提督にはなってもらいたくないだろう。

 

提督「それについては心配ない。艦娘達はストームのことを頼れる味方として、気軽に話せる仲間として、珍しい男の人として・・・個々に違いはあれど、皆仲間として認めてる。」

 

ストーム1「お~・・・そうなのか。」

 

皆が認めてくれてるってのは、素直に嬉しいな。男だから、正直距離を置かれたりするんじゃないかと思ってたが。

 

まあ、よく考えれば夕立なんかがちょくちょく俺の部屋に遊びにくるからなぁ・・・慕われてるのか。

 

提督「それに、元帥殿や他の将校には、ストームが代理をしているほうがいいだろう。」

 

ストーム1「・・?なんでだよ?」

 

俺「で」いいならともかく、俺「が」?

 

提督「大将の鎮守府の行いがバレたせいで、鎮守府全体に対する疑惑が高まってるんだ。そんな時に、たとえ俺が任命したと言えど、艦娘が提督代理になるのをよく思わないやつもいるだろう。」

 

ちょっとした疑いの心が、後々落とし穴になったりするからなぁ、と提督はつぶやき、俺を見つめる。

 

これは受けるしかなさそうだ。

 

ストーム1「ふぅ~・・・。わかった。提督代理をさせてもらう。」

 

それを聞くと、提督は安堵の表情を浮かべる。

 

提督「それを聞いて安心した。執務は大淀がやってくれるから、ストームは検印を押してくれるだけでいい。ってわけで、よろしくな。」

 

そういうと提督は、さっさと執務室から出ていった。

 

ストーム1「は!?ちょ、待てよ!」

 

俺を執務室に残して。

 

 

 

と、言うわけで、執務を大淀にしてもらってたわけなんだが、やることがなさすぎていたたまれなくなったので、お茶を入れにいったわけだ。

 

しっかりと濃い目のお茶を入れて執務室に戻ると、大淀がお煎餅を用意して座っていた。

 

それを二人でポリポリと食べていると、大淀が思い出したように、

 

大淀「あ。そういえば、明日新しい艦娘がここにくると、提督から連絡がありました。ストームさんは提督代理なので、ここに一度挨拶にくるはずです。しっかり対応してくださいね。」

 

新しい艦娘、か。隼鷹みたいなのはやめてほしいなぁ・・・。

 

~~~大本営 執務室~~~

 

提督「失礼します、元帥殿。何か俺にお話でも?」

 

元帥「ああ。ま、そこにかけてくれ。」

 

大将の処分に対する会議のあと、俺は元帥に呼び出された。

 

どんな話になるか大体予想できるのだが、とりあえず元帥に向き合うところにある椅子に座ると、元帥がこう切り出した。

 

元帥「・・・提督君はストーム1の戦力について、どう思うかね?」

 

やはりストームに関することか・・・。元帥があいつを警戒する対象としての質問なのか、心強い味方としての質問なのかは、元帥の表情からは読み取れない。

 

提督「そうですね・・・あいつは、控えめに言って普通の艦娘の連合艦隊レベルの戦力になると思います。それから、あいつには素質があるみたいで・・・。」

 

元帥「先ほど言っていた、妖精と共闘、というやつだな?確かに普通の人間には妖精は見えない。それを彼は訓練し、一端の陸軍兵士にした、と・・・。」

 

提督「はい。あいつは今のところ、俺たちに危害を加えるような素振りは見せていません。だからーーーそう、国のお偉い方に報告してもらえませんかね?」

 

俺がそう言うと、元帥が少しだけ目を見開く。

 

元帥「・・・なるほど。提督君にはお見通しのようじゃな。」

 

提督「伊達に提督やってるわけじゃないですから。」

 

今回の話、恐らくストームの情報を掴んだ国からの命令だったのだろう。なんせ、俺達提督は元帥に嘘をつくようなことは許されない。もしそれが国の危機に直結するものなら、尚更だ。

 

元帥「提督君の鎮守府に着任した、ストーム1は極めて友好的で、戦力としても申し分ない。よって現在は拘束し尋問する必要なし・・・といった趣旨で報告書を書いておこう。ワシとしても、彼を失うのは痛いからな。」

 

提督「よろしくお願いしますよ、元帥。彼のお陰で、大将を逮捕できたんですから。」

 

元帥「うむ・・・ワシがよろしく言っていたと、彼に伝えてくれ。」

 

提督「了解しました。では。」

 

椅子から立ち上がり、敬礼した後、俺は静かに執務室から出て行った。

 

元帥「・・・どう大臣を納得させようかのう・・・・」

 

元帥の声を背中に受けながら。

 

 

 



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第十三話

年末年始、皆様はいかがでしたか?僕はゲームやイベをしていたらいつの間にか過ぎていました。


青葉「ども、恐縮です、青葉ですぅ!一言お願いします!」

 

ストーム1「う、うん・・・まあ、あれだ、頑張ってくれ。ここがお前・・・いや、青葉の新しい居場所になるわけだからな。」

 

青葉「青葉、了解です!おーよどさん、重巡寮まで案内お願いしますね!」

 

大淀「はい。こちらです。」

 

ガチャン。

 

ストーム1「・・・・ふぅーーー・・・・。」

 

大淀と青葉が出ていってから、聞かれないように間を置き、大きなため息をつく。

 

ストーム1「これはまた疲れそうだなぁ・・・。」

 

先程の艦娘は、昨日大淀が言っていた「新しく着任する艦娘」だ。

 

隼鷹のようなタイプは苦手なので、できるだけ大人しい子やおしとやかな女性がよかったな~とは思っていたが、隼鷹とはまた別の方面で大変だった。

 

まず護送車から降ろされると、俺の装備が珍しいのか、挨拶もそこそこに体をペタペタと触られた。

 

そして執務室に着くまでも質問攻め。

 

やっと正式に着任時の挨拶も済ませ、大淀に連れて行って貰ったわけだが・・・疲れた。

 

俺は妹や姉、仲のいい幼馴染、ましてや彼女なんていたこともない。

 

つまり、女子の扱いに慣れていないのだ。

 

昔、ウイングダイバーの部隊に一人だけ編入されたは、2つの危険と恐怖に注意しなければいけなかった。

 

まあ、やる気は随分とありそうだが・・・提督が帰ってくるまで、青葉の練度向上と近代化改修をしなきゃならないなぁ。

 

 

夕立「ぽいぽいっ!遠征終わったよ!」

 

ストーム1「うぉっ!?びっくりしたなぁ・・・。遠征お疲れ様。机の上にお菓子があるから、持ってっていいぞ。」

 

夕立「ん~・・・夕立、お菓子よりももっといいご褒美があるっぽい!ストームさん、撫でて撫でて~。」

 

ストーム1「いつも言ってるが、本当にこんなのいいのか?」

 

夕立「もちろんっぽい!」

 

まあ、なんとかなるか・・・。

 

いつの間にか入ってきた夕立を撫でながらこんなことを考えていた俺は甘かった、と後々思い知らされることになったのだった。

 

 

 

それからというもの、

 

ストーム1「今日は金曜日・・・カレーか。間宮さん、カレー一つ。」

 

青葉「ストームさんはカレーがお好きなんですかぁ?」

 

ストーム1「おぉう・・・後ろから急に声かけないでくれよ・・・。」

 

青葉「ふむふむ、カレーが好き、と・・・。」

 

ストーム1「せめて聞けよ。」

 

飯の時も。

 

 

白雪「ストームには負け・・ない・・・。」

 

ストーム1「盾構えたまま走ってくるとか嫌らしいやつ使うな・・・。だが!喰らえニトロセル!」

 

白雪「・・・とう。」

 

ストーム1「何・・?腰撃ちでニトロを破壊だと・・?」

 

白雪「また・・・私の勝ち・・・。」

 

ストーム1「くそ~・・・。」

 

青葉「ほうほう。ストームさんはこの手のゲームがお好みと・・・。」

 

ストーム1「なんで当たり前かのように入ってきてるんだ?てか鍵は?」

 

青葉「青葉にかかれば、ちょちょいのちょいです!」

 

ストーム1「・・・それ犯罪だろ?」

 

青葉「・・・青葉、用事を思い出しました!それではこのへんで・・。」

 

ゲームを楽しんでいる時も。

 

 

ストーム1「今日は書類が多いな。大淀、俺に手伝えることがあるならやるぞ?」

 

大淀「そうですね。では、明石から栄養ドリンクでも貰ってきてもらいましょうか。」

 

ストーム1「それぐらいならお安い御用だ。行ってくる。」

 

青葉「ほう・・・。栄養ドリンクで精力増強・・・。」

 

ストーム1「何を考えてるんだお前は。てかしつこい!寮に帰ってくれよ・・。」

 

青葉「目的は果たしたので帰ります!ワレアオバ!」

 

ストーム1「そんなVサインしながら逃げられてもなぁ・・・。」

 

執務をしている時も。

 

青葉の取材(もといストーキング)は続いた。

 

 

~~~3日後~~~

 

提督「ただいま。ストーム、お疲れさん。」

 

ストーム1「ああ・・・提督業ってのは、本当に疲れるんだな・・・。」

 

提督が会議を終え、帰ってきた。それまでの数日間がとても長く感じたのは、気の所為ではないだろう。

 

提督「だろ?執務がなくても、艦娘たちとの接し方には気を使うもんだ。」

 

ストーム1「そうだな・・。しかし、なかなかキツかった。特に青葉が着任してからはな・・。」

 

提督「ん?先日、元帥殿から会議中にこっちに艦娘を着任させるって連絡が来たんだが。その子か?」

 

ストーム1「そうだ。まああいつも悪気があってやってるわけじゃないんだろうがなぁ・・・。」

 

提督「ん?どういうことだ?」

 

ストーム1「実はな・・・。」

 

俺は、青葉の困った行動を、提督に打ち明けてみることにした。なんとかしてもらわないと、流石にやってられない。

 

ストーム1「・・・ってわけなんだよ。」

 

俺が話終えると、提督は考える素振りを見せ、

 

提督「・・・わかった。青葉には、俺から話しておくよ。今夜は居酒屋「鳳翔」に行って、美味しいものでも食べてきてくれ。」

 

そう言って、俺に一枚のチケットを渡してきた。

 

ストーム1「なんだこれ?」

 

提督「そいつは「鳳翔」での食べ放題券だよ。間宮券なんかとは比べ物にならない、激レア品だぞ。」

 

ストーム1「おお・・・。それは有り難いな。今日は鳳翔の所で英気を養ってくるとするよ。」

 

提督「そうしてくれ。」

 

こんなもん貰っていいのか?いやまあ大変だったからこれぐらい貰ってもいい気がするな・・・。

 

こんなことを考えつつ、夜になるのを心待ちにしていた。

 

 

~~~夜~~~

 

ストーム1「こんばんわ~。」

 

鳳翔「あら、ストームさん。提督から話は聞いていますから、今日はたくさんお料理を食べていってくださいね。」

 

ストーム1「ああ、そうさせてもらおうかな。」

 

鳳翔の料理がどれもこれも美味しいのは、看病されていた頃から知ってる。

 

食べ放題かぁ。ブリの照り焼き、筑前煮、お刺身や唐揚げってのもいいな・・。

 

少し頭の中で考え、注文する品が決まったところで、カウンターに座っている客がいることに気づく。

 

こいつは・・。

 

ストーム1「青葉じゃないか。奇遇だな。」

 

青葉「ふぇっ!?す、ストームさん。奇遇ですねぇ。」

 

一瞬またかと思ったが、この驚き方を見ると、本当に偶然みたいだな。

 

ストーム1「どっこらせっと。隣、いいか?」

 

青葉「もちろんですよ。」

 

青葉の隣に座り、注文を済ませる。鳳翔が奥に引っ込んだところで、青葉に話かけようと隣を見ると、

 

青葉「・・・・。」

 

いつも元気な青葉からは、想像できないような、沈んだ表情をしていた。

 

ストーム1「お、おい。どうしたんだよ急にそんな顔して・・・。」

 

青葉「・・・ごめんなさい。」

 

え?

 

ストーム1「いや、そんな謝られるようなことは・・。」

 

まあプライバシーの侵害はちょっとばかりされたが、馴染めずにいるよりはいい。というか部屋に襲撃にくる駆逐艦連中がいるし、今更感もある。

 

青葉「提督に言われたんです。今日、ストームさんがここにくるから謝るべきことがあるのなら、謝っておけと。そして、話さなければならないことを話せと。」

 

ストーム1「話さなければならないこと?」

 

俺がそう言うと、青葉は表情を一層強張らせるが、無理やりといった感じで口を開く。

 

青葉「はい・・・。私は、ストームさんのことを・・・観察していたんです・・。」

 

なんだそんなことか。

 

ストーム1「そりゃ知ってるさ。目の前でメモ書きまで取られてたからな。あれで気づかないほうがおかし」

 

青葉「違うんです!」

 

食い気味に、そして悲痛な声で否定する青葉に、俺は黙るしかなくなる。

 

青葉「私は・・・。私は、元帥殿の命令で、ストームさんの情報を大本営に送っていたんです。」

 

ストーム1「・・・・。」

 

なるほど・・・確かにそれは簡単に話せるようなことじゃないな。提督はお見通しだったようだが。

 

青葉「私・・・船だった時から要領が悪くて・・・そのせいで加古も・・・古鷹も・・・。」

 

目に涙を溜め、青葉は話続ける。

 

青葉「元帥殿に、あの提督から助けて貰って・・・恩に報いなきゃって・・・。」

 

あの提督、ってのは大将のことだろう。まさかこの鎮守府に着任するとはなぁ。

 

青葉「でも・・・やっぱり私じゃ駄目でした。あはは・・・・こんな艦娘、兵器失格ですね・・・。」

 

そう言って、青葉が静かに立ち上がった。その剣呑な雰囲気に、俺は思わず声をかけた。

 

ストーム1「・・・待て。どこに行くつもりなんだ?」

 

青葉「・・・決まってるじゃないですか。執務室ですよ。私みたいな艦娘は、さっさと解体してもらわないといけませんから。」

 

ストーム1「待てよ。」

 

青葉「引き止めないでくださいよ。もう覚悟は決めたんですから。」

 

ストーム1「・・・そうか。なら、なんで。」

 

そんな悲しそうな顔をして。

 

ストーム1「泣いてるんだ?」

 

青葉「えっ?あれっ・・おかしいな、私・・・。」

 

おかしい、か。そんな言葉が出てくるのは、あんなところで艦娘をやってたからかもしれない。

 

ストーム1「おかしくなんかないさ。それは・・・青葉がまだ、生きたいって思ってる証拠だろ?」

 

青葉「でもっ・・・でもっ、私は!助けてくれたストームさんに対して迷惑をかけて・・」

 

ストーム1「迷惑なんかじゃないさ。それに、俺が青葉から受けたことよりも、あの大将から青葉が受けたことのほうが何倍も辛かっただろ?」

 

青葉「でもっ・・でもぉ・・・。」

 

ストーム1「青葉の居場所は、あんなところじゃない。この鎮守府だ。だから、な?解体されに行くなんて・・・そんなことはやめてくれ。」

 

俺がそう言うと、青葉は泣きながら俺にもたれかかってくる。

 

青葉「うぐっ・・ひっく・・なんでそんなに優しいんですかぁ・・・。」

 

そんな青葉を抱きしめ、ポンポンと背中を叩いていると、青葉も落ち着いてきた。

 

ストーム1「ほら、もう落ち着いたか?」

 

青葉「はい・・・。」

 

ストーム1「じゃあ飯食おうぜ。鳳翔の料理は美味いからな・・・元気がでるさ。」

 

俺がそう言うと、図ったかのように鳳翔が奥からでてくる。

 

鳳翔「仲直りは済みましたか?なら、お腹いっぱい、食べていってくださいね。」

 

・・・どうやら全部見られてたようだ。

 

ストーム1「ふぅ・・・そうだな。有難う鳳翔。」

 

鳳翔「いえいえ。青葉ちゃんもどうぞ。ちゃんと二人分作ってありますから。」

 

青葉「あっ・・・はい。いただきますね。」

 

さて二人で美味しい夕食を・・・と、鳳翔が小鉢に唐揚げとブリの照焼を載せて俺の隣の席に置く。

 

ストーム1「?これは?」

 

鳳翔「それはあの子の分ですよ。あら?ストームさんが連れてきたわけではないんですか?」

 

そういう鳳翔の視線の先には、いつの間にきたのか、カメラを持ってこちらをニヤニヤと見つめる砲兵隊妖精が・・・

 

ストーム1「待てコラァ!そいつを寄越せぇええ!」

 

あれをバラ撒かれると、あらぬ噂が立ってしまう!

 

・・・・英気を養いに来たはずなのに、部屋に帰るころには、ヘトヘトになっていたのだった。

 



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第十四話

さて苦しくも楽しいイベも終わりましたね。皆さんは掘り艦は出ましたか?僕はジョンストンだけが何度やっても出ませんでした(泣)


提督「・・・・・・。」

 

ストーム1「・・・どんな顔してるんだよ提督・・。」

 

突然執務室に呼び出された俺は、提督を見てそう言わずにはいられなかった。

 

今まで見たこともないような・・・例えるなら、レタリウスとアリの混成部隊に絡まれた俺のような顔をしていた。

 

その顔は無言で俺に伝えてきた。「めんどくせぇことに巻き込まれた」と。

 

提督「こうなるのもしかたないさ、ふぅ~・・・まあまずはこれを見てくれ。」

 

ストーム1「んん?どれどれ。」

 

ストーム1「ふむふむ。『陸軍斥候部隊が明日未明より深海棲艦上陸部隊迎撃任務に従事する予定。ついては海軍所在中のストーム殿を部隊に編入させたし。快い返事を期待する。』・・・・は?」

 

なんだよこれ。

 

提督「陸軍にもストームの情報が漏れたみたいでなぁ・・・。多分、お前に関する映像資料でも見たんだろう。あちこちから引っ張りだこなんだよ。」

 

ストーム1「じゃあ依頼っていうか要請はこれだけじゃないんだろ?他のは?」

 

提督「断った。」

 

じゃあ、これも・・・と言おうとしたのを察したように、提督は頭を振る。

 

提督「悪い、それだけは無理なんだ・・・。というのも、その方は元帥殿の親戚筋なんだよ。元帥殿にはここに入る時に力添えをしてもらった借りがあるんだ。」

 

ストーム1「だからこいつだけは無碍にできない、ってわけか。」

 

提督「すまんストーム。これは俺の我儘だが、一つ聞いてくれないか?」

 

ふーむ。陸軍か。

 

てかそんなのがあるのも知らなかったな。

 

まぁ、提督にはここに置いてもらった借りがある。しかも迎撃任務だけだろうし、問題ないだろう。

 

ストーム1「わかった、行かせてもらうよ。元々俺は陸軍所属だ。泥で汚れたり、草を掻き分けて進むのは慣れてるさ。」

 

提督「ありがとうストーム。恩に着るよ。」

 

ストーム1「いやいや、提督にはでかい借りがあるからな。ここでちょっと返しとくだけさ。」

 

さて、そうと決めたらさっさと準備しないとな。

 

何を持っていこうか、汚れ対策はどうするか、どんなビークルが効果的か・・・そんなことを考えながら、自室へと向かった。

 

 

~~~次の日~~~

 

大尉「これからブリーフィングを始める!」

 

一つ、俺がいた陸軍と違うと思ったところがある。

 

大尉「今回の任務は、事前に航空機によって発見した深海棲艦の上陸部隊の阻止だ!」

 

それは、俺は単独行動ができ、それでこそ真価が発揮できていたということだ。

 

大尉「奴らの攻撃は苛烈なものになるだろう・・・。だが!我々がここで食い止めねば、多くの市民達が危険に晒される!わかったか!」

 

陸軍兵士s「「「「サーイエッサー!」」」」

 

しかしここではそうではない。そう・・・

 

大尉「おい新入り!聞いているのか!返事をしろぉ!」

 

ストーム1「申し訳ありません大尉!」

 

・・・・ここでの俺は、完全に新入り扱いだということだ。

 

 

ブリーフィングが終わり、装備の点検と休憩のため、各小隊のテントへと移動する。

 

陸軍兵士A「よぉ新入り。海軍上がりみたいだが、ここは陸だぜ。せいぜい、俺達の邪魔にならないようにしてくれよ?」

 

陸軍兵士B「はっはっは!違いねぇな!」

 

だが、とても居心地が悪い。

 

陸軍兵士C「・・・・お前のアーマーはそれか・・?・・・死ぬぞ。」

 

自分の装備を丁寧に磨いていたやつが、俺にチラッと目を走らせてから呟き、また作業に戻った。

 

まぁそう思うのも仕方がない。なんせ、こっちの陸軍では、全員がパワードスケルトンのプロトタイプみたいなやつを着るらしい。

 

まあそうでなくては深海棲艦に傷一つつけることはできなさそうなので、妥当といえばそうだろう。

 

陸軍兵士A「おっと、そういえばお前の名前を聞いてなかったな。俺はジョニーだ。そんでこっちがマーク。あの機械オタクがサイトーだ。」

 

サイトー・・・斉藤、だろうか。

 

まあ兎に角、名乗ってくれたのなら俺も名乗らないとな。

 

ストーム1「俺はストーム。よろしく頼む。」

 

ジョニー「ストーム、か。俺たちとおんなじ、傭兵か?」

 

ストーム1「いや、俺は日本人だよ。と、いうかなんでお前は日本人じゃないんだ?」

 

日本を守るのなら、日本人の兵士たちだろうと思っていたんだが、7:3ぐらいで外国人がいる。しかも人種もバラバラだ。

 

斉藤「ああ・・・。日本人兵士たちは、もっと重要な所の防備にあたってる・・・。だから、ここにいるのは俺みたいな落ちこぼれや・・・」

 

マーク「ま、あとは俺たちみたいな傭兵や、ここが故郷だっていう日本人の連中だな。

・・・ったく、仕事があるからって来てみたら、とんだ貧乏くじ引いちまったぜ。」

 

・・・・大丈夫なのか?というか俺の扱い酷くないか?

 

自慢とかそういうわけじゃないが、元帥の知り合いのとこから派遣されたんだから、もうちょっと良い待遇されてもいいと思うんだが・・・。

 

どうやら他の奴らには、海軍から飛ばされてきた落ちこぼれとしか思われてないようだ。

 

外を見れば、次々と不思議な形の主砲を持った戦車が所定の位置に移動していく。

 

深海棲艦に対応できる兵器があるというのは良いことだが、あんなのを所狭しと並べられたら俺がビークルを要請できなくなる。

 

陸軍兵士「レーダーに感ありー!全員配置につけー!」

 

ジョニー「っしゃあ!やってやろうぜ!」

 

マーク・斉藤・ストーム1「おー!」「・・・おー。」「おぉ・・・」

 

返事を返しながらも、俺の中では「勝てるんだろうか・・・」という、大きな不安が渦巻いていた。




・・・なんだか、ストームが主力になるという話が遠ざかっていっている気がしますがご心配なく!この後、主力化するところまで考えていますので!(その後を考えているとは言ってない)


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第十五話

さてさて、テストという魔の手により、投稿が遅れてしまいました。申し訳ない。


ジョニー「さーってと、どうしたもんかね~・・。」

 

斉藤「・・・ぼやくな。・・・敵はいつ来るかわからないぞ。」

 

ジョニーがぼやき、斉藤が注意する。

 

マーク「・・・俺たちはいつまで待てばいいんだろうか?なぁストーム。」

 

ストーム1「ああ・・・。流石に疲れたというかなんというか。」

 

そしてマークが俺に愚痴をこぼし、それに俺が同意する。

 

何度このやり取りを繰り返しただろうか・・・。

 

約2時間ほど前、敵襲の警報が鳴らされたが、肝心の俺たちの出番というわけではなかった。

 

陸軍も軍艦は所有しているらしく、先にそちらとの戦闘になったということらしい。

 

さらに俺たち一兵卒には戦況がわからないため、武器を構えて待つしかないのだ。

 

斉藤「・・・この霧さえなければ・・せめて船が沈んでないかどうかはわかるんだが・・・。」

 

斉藤が言う通り、山が近いこの海岸では、霧が上から降りてきていた。海岸が見渡せないというほどではないが、砲撃の音でしか船が確認できないほどではある。

 

ストーム1「どうしたもんかな。砲兵隊はなんかいい案ある?」

 

砲兵隊妖精「ないですねぇ~・・・。一応、軍艦からの連絡があれば通信をキャッチできるよう、通信装置はいじってみましたが。」

 

ストーム1「お、そうか。ありがとな。」

 

砲兵隊「いえいえ、このぐらいは朝飯前ですよ。」

 

砲兵隊妖精は少なくとも俺よりは手立てを考えていたみたいだ。

 

正直言うと、海岸にあがられてしまえば俺の仕事は激減する。EDFの装備なら、多少砲撃でふっとばされても生きていられたが、こちらの歩兵の装備では一発でも喰らえばアウト。文字通りペチャンコだ。

 

そんなことにならないよう、できればライオニックで仕留めたかったんだが・・・まあ、軍艦の奮戦に期待するしかない、か。

 

と、そんなことを考えていると、

 

砲兵隊妖精「艦からの通信が入りましたよ!」

 

早速ぴょこりと顔を出す妖精。

 

ストーム1「随分と早いな。設定し終えたのはついさっきだろ?」

 

砲兵隊妖精「はい。と、いうか先程からずっと通信は送られてきていたようなのですが、こちらでは誰も受信していなかったようですね。」

 

やっぱりそんな通信なんかは直接、士官なんかのところにしか届かないもんなのかな?

 

砲兵隊妖精「それじゃ、流しますよ?」

 

ストーム1「おう。」

 

陸軍通信兵『クソっ!おい誰か聞こえていたら返事をしてくれ!彼奴等は強すぎる・・!既に何隻も食われた!早く、早く救援を!・・・おい、ウソだろ・・うああああああああッ!』

 

砲兵隊妖精「・・・・。」

 

ストーム1「・・・・。」

 

俺達が二人で顔を見合わせた瞬間。

 

ドグォォォオン!

 

という爆発音が鳴り響き・・・

 

斉藤「・・・まずいな。向こうの防衛戦は突破されたみたいだ・・・。」

 

やっぱこうなるのかよぉ!

 

ジョニー「おいなんだよ今のは!?」

 

マーク「敵だろ、おいそいつを撃ちまくれ!」

 

ジョニー「そんなこと言われたってよ、敵が見えねぇからさ・・。」

 

斉藤「・・・・10時の方向。・・上陸されたな。撃つ。」

 

こんな時でも冷静な斉藤が、対物ライフルと思われる銃で狙撃を始める。

 

ジョニー「場所さえわかれば!うおおおお!」

 

そしてその声で我に返ったジョニーが機銃を撃ちまくり、

 

マーク「ストーム!俺たちも戦うぞ!」

 

ストーム1「了解!」

 

マークはマークスマンライフルで、俺はリムペット・スナイプガンで攻撃を始めた。

 

だが。

 

ジョニー「畜生・・奴ら、ものともしてやがらねぇ!」

 

揚陸船から上がってくるのは・・・リ級か?

 

艦娘にとっては、強敵とは呼べないリ級でも、人間には有り余るほどの危険性を持つということを、俺は改めて思い知った。

 

歩兵と戦車の十字砲火を食らっているにも関わらず、さほど効いている様子がない。俺のリムペットも少しは効いているようだが、大したダメージではないようだ。

 

リ級が腕を振るう度に幾人もの兵士がちぎれ飛び、砲撃の度に戦車が爆発する。

 

殺戮。そう呼ぶのに相応しい光景だった。

 

斉藤「・・・命中。・・・効果なしッ・・!」

 

斉藤がギリッと歯を食いしばるが、俺たちではどうにもできない。

 

かといって、あそこに迷いなく支援を要請できるほどの非道さは持ち合わせていない。

 

ストーム1「くっそぉ・・・どうすれば・・・。」

 

考えろ、考えろ!反省するのは後からだ!

 

打開策を考えながら、チラリと小隊のメンバーを見る。

 

そこにいるのは、必死に火器で攻撃を試みる三人。

 

そして下の砂浜には、上陸したリ級を攻撃するために移動した戦車のおかげでガラ空き。

 

ストーム1「・・・そうか・・。あれがあった!」

 

急いで俺は、装備欄のUIを開き、下にスクロールする。

 

呼ぶのは、一人で行動することが多かった俺は殆ど使ったことのないビークル。

 

そう、『歩く要塞』と呼ばれるあの兵器。

 

『プロテウス』を使えば、戦況はひっくり返るはずだ。

 

俺が妖精をチラッと見ると、「わかってます」と言わんばかりにバックパックの調整を超スピードで行い始めた。

 

俺は発煙筒を投げながら、

 

ストーム1「俺たちの小隊で・・・この戦い!勝ってみせる!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




中途半端なとこまでしか書けなくてすいません。次のテストが終わったら陸戦を終わらせます・・・。


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第十六話

( ゚д゚) ・・・

お気に入り50人・・・?

(つд⊂)ゴシゴシ

平均評価:8.60・・・?

(;゚д゚) ・・・

(つд⊂)ゴシゴシゴシ

(;゚Д゚) …!?

皆さん、ありがとうございます。これからも誠心誠意、頑張って参ります。(学年末テストでしばらくサボってたのは内緒)




ストーム1「こっちだ!早く!」

 

ジョニー「ほんとに秘密兵器なんてもんあるのかよ!?」

 

発煙筒を投げた後、三人を促し・・・というか、半ば無理やりジョニーやマーク、斉藤を配置の場所から引っ剥がし、投下予定地点へとひた走る。

 

半信半疑ながら、ちゃんとついてきてくれていることに有り難みを感じつつ、全力でダッシュだ。

 

ストーム1「よし、ここだ!ちょっと待っててくれれば、すぐに来る!」

 

マーク「来る・・・って、どういうことだよ。もしかして、気が狂ったわけじゃないよな?」

 

ストーム1「違う違う。ほら、アレを見てくれよ。」

 

マーク「秘密兵器なんて、来るわけが・・・。」

 

ない、と続けようとしたのだろうが、口をあんぐりと開けたままで固まる。

 

そしてその方向には、俺も幾度助けられたのかわからないーーーポーターズ専用の輸送ヘリ、ヒドラの姿があった。

 

斉藤「・・・あれ、か・・。」

 

斉藤がボソリと呟いた以外は、皆無言で、そして祈るような感じで、ヒドラを見つめていた。

 

そして。

 

ポーターズ妖精「投下座標確認。これより投下します。」

 

ガゴン!という音と共に降ってきたコンテナの中から。

 

ポーターズ妖精「任務完了。どれほど危険な場所でも、我々はやって来ます。」

 

コンテナよりも大きな兵器。『BMX10プロテウス』が、姿を現した。

 

斉藤「・・・これが・・。」

 

ジョニー「マジかよストーム!これがお前の言ってた秘密兵器か!?」

 

ストーム1「ああ、そうだ。早く乗り込んでくれ。左右の砲台、そして下部のミサイルを三人に任せる。操縦は俺がやる!」

 

マーク「OKだ。任せてくれ。」

 

マークの言葉を皮切りに、ジョニーと斉藤がバスターカノン、マークがミサイルを担当する席に乗り込む。

 

・・・だが、すぐさま攻撃開始、というわけにはいかなかった。

 

というのも、

 

ジョニー「おいストーム、俺たちは良いんだけどよ・・・あいつらを巻き込む訳には・・・。」

 

戸惑うようなジョニーの声。

 

それは明らかに、未だ持ちこたえている歩兵部隊を心配していた。

 

ストーム1「勿論だ。・・・あとちょっと待ってくれれば、あいつが何とかしてくれるはず・・。」

 

斉藤「・・・あいつ、とは・・・?」

 

斉藤がそういった直後、・・・なんだかんだでこっちに来てから、一番付き合いの長い。俺の「相棒」の声がスピーカーから、大音量で響いた。

 

砲兵隊妖精「歩兵部隊は撤退!最終防衛ラインまで後退し、体制を立て直せ!繰り返す、歩兵部隊はてったーい!」

 

・・・明らかに少女の声だが、そんなことを気にする余裕もないのか、歩兵達が雪崩を打つように引いていく。

 

そして、なおも追撃するリ級達の周りには人っ子一人いなくなり・・・

 

ストーム1「・・・よし!心配するモンもなくなった。・・・撃ちまくれ!彼奴等を必ず倒すぞ!」

 

ジョニー・マーク・斉藤「「おうっ!」」「・・・おう。」

 

それからは、まさに逆転劇とも言える展開だった。俺が攻撃しやすい位置に移動すると同時に、二門のバスターカノンが唸りを上げ、リ級を粉砕した。

 

そして立ち上る砂煙の中、形勢不利と見て撤退しようとする手負いのリ級を、レーダーの目がロックオンしたミサイルが撃ち抜く。

 

そして三十分も立った頃にはーーー砂浜には、深海棲艦の残骸と、いくつものクレーターだけが残されていたのだった。

 

 

~~~数時間後~~~

 

ストーム1・ジョニー・マーク・斉藤「「「かんぱーい!」」」「・・・乾杯。」

 

俺たちは、たった一小隊だけで、深海棲艦揚陸部隊に勝利した。

 

・・・だけでなく、嬉しいおまけも付いてきた。

 

というのも、戦勝報告の時に大尉が、とある情報を司令部から知らされたらしい。

 

俺が「海軍落ちの兵卒」ではなく、「戦果一位の鎮守府に所属し、元帥からも一目置かれるエリート」であるということを。

 

・・・まあ自分でエリートって名乗るわけでもないが、言われて悪い気はしない。

 

まあそういうわけで、俺たちが帰ってくると大尉は平謝り。戦闘を勝利に導いた事も相まって、ジョニー、マーク、斉藤共々、士官用のテントで焼き肉の真っ最中というわけだ。

 

そしてそれとは別に、もう一つあるお願いを、大尉にしておいた。

 

ジョニー「・・・ふぅ。やっぱ、運動した後に飲むビールは格別だな!」

 

マーク「しかもその功績で正式に軍に取り立てられるとあっちゃ、最高の味だぜ!」

 

斉藤「・・・ありがとうストーム。・・・礼を言う。」

 

そう、この三人を雇われて戦う傭兵でなく、装備も最新、給料もしっかりでる正式な兵士として登録してもらえるよう、頼んだのだ。

 

勿論断られるはずもなく、その場で三人とも陸軍入りが決定した。

 

ストーム1「いやいや、三人がいなけりゃあれも扱えないからな。助かったのはこっちだよ。」

 

そんなやり取りをしていると、マークがふと思い出したように言った。

 

マーク「・・・それにしても、女の士官なんてここにいたか?しかも、声からして大分若い感じだったが。・・・そういえばストーム、あの時『あいつがなんとかしてくれる』って言ってたよな?」

 

その疑問のセリフに、俺はドキリとせざると得ない。

 

・・・まさか、妖精が俺の通信機いじって、スピーカーに繋いで放送しましたー、なんて言うわけにもいかないし・・・。

 

どうしたもんかと思案していると、斉藤が助け舟を出してくれた。

 

斉藤「・・・ストームにも、まだ色々と秘密があるんだろう・・・。・・あまり詮索してやるな・・・・。」

 

マーク「そ、そうか。確かに、あんまり秘密なんて聞くもんじゃねぇよな。すまねぇストーム。」

 

ストーム1「ああ・・・。悪いが、あいつについては話せないんだ。すまない。」

 

すると、見た目と違って酒に弱いのか、すでにベロベロに酔ったジョニーが、

 

ジョニー「そんなことどうでもいいじゃねぇかぁ・・!今日は飲むぞぉ!」

 

そう言ってマークに絡みだす。

 

その隙に、焼けた肉とタレの入った小皿をバックパックに押し込む。

 

・・・これで納得してくれるといいんだが。

 

ストーム1「・・・よし、飲むか。」

 

俺はそう呟き、ビールを一気に呷った。

 

そしてその宴は、空が白むまで終わることはなかった。

 

 

~~~執務室~~~

 

カリカリと、書類に走るペンの音も響くような静けさの中、執務をこなす。

 

俺と大淀以外に誰もいない執務室。その静寂は、一本の電話によって破られた。

 

 

提督「もしもし。・・・総帥殿ですか。どういったご用件で?」

 

陸軍総帥「どういったも何も、ストームとやらの話しかないだろう。それとも、なにか後ろめたいことでもあるのかね?」

 

提督「いえ、そういったわけでは。ストームの参加した作戦で、なにか問題でも?」

 

陸軍総帥「ふむ・・・報告によると、機甲部隊は壊滅状態、歩兵部隊は半壊以上の被害を受けているらしい。」

 

提督「・・・作戦が失敗したんですか?」

 

まさか。ストームに限って、そんなことは無いと思うんだが・・・。

 

陸軍総帥「フ、フッフッ・・・」

 

提督「・・はい?」

 

そしてその動揺は、思っていたより声に出ていたらしい。

 

陸軍総帥「ハッハッハ!そう心配するな!失敗どころか、大成功だ。ストームとやら、たった一小隊で戦況をひっくり返したらしいぞ。」

 

提督「ふぅ・・・。それなら、よかったです。・・・それで、ご用件は本当にそれだけですか?」

 

陸軍総帥「そんなわけなかろう。・・・ストームに、会ってみたくなった。今度、提督君、元帥、私、そしてストームで、食事会でも開かんか?」

 

・・・安心した矢先、とんでもない爆弾が投下された。

 

提督「いえ、それは・・・。」

 

陸軍総帥「聞けば、ストームの戦力化の話し合いもしなければならんと言うじゃないか。その話も、そこでしてみてはどうだ?」

 

提督「は・・い・・・そうですね・・。・・・わかりました、ストームにもこのことを伝えておきます。」

 

陸軍総帥「うむ、楽しみだな。よろしく頼むぞ。」

 

そう言い残し、電話はガチャリと切られた。

 

提督「はぁー・・・。・・・大淀、お茶を入れてくれ・・。濃いやつで頼む。」

 

大淀「はい。・・・その、お疲れさまです・・。」

 

取り敢えず、大淀の入れてくれたお茶を飲んで疲れた心を癒そう。

 

話はそれからだ・・・。




さてさて、次回は陸軍・海軍のトップとの食事会。ストーム1の運命や如何に!?


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第十七話

お気に入り登録が58(ゴーヤ)人達成!
おまけにUAが5000も達成!
前の話だしてから、一気に10人も増えるとはたまげたなぁ・・・



ストーム1「ふぃ~。疲れたぜ~・・・。」

 

ここは鎮守府で俺にあてがわれた一室。言わば、この世界での俺の城だ。

 

俺はそこで、敷いた布団にゴロリと横になり、羽を伸ばしていた。

 

砲兵隊妖精「ふふ、私も疲れましたからね~。しばらくはゆっくりしたいですね。」

 

俺の枕を半分ほど占領し、コロコロと転がる砲兵隊。

 

・・・癒やしだ。

 

まあ俺が昼間からゴロゴロしているのも、別に理由がないわけではない。

 

昨日の明け方まで肉を食べて酒を飲み、その後レンジャー妖精の運転するグレイプに乗って鎮守府に帰ってきたわけだが・・・疲れがドッとでてきた。

 

思えばEDFにいた頃のように走り回ることが最近はなかったからな。戦闘中は気持ちが高ぶっていたから大丈夫だったが、そのツケが回ってきたらしい。

 

報告めんどくせ~・・なんて考えつつ、重い足取りで執務室に向かう途中、幸いにも霞が通りがかり、代わりに報告をしてくれることになったので、とっとと自室に引っ込んだというわけだ。

 

・・・まあ、心配してただの愚図だの散々叱られたが。

 

とまあそんな感じで、昼間にも関わらずニートの如く休息をとる俺の所に。

 

ガラガラッ!

 

提督「お、ストーム。いたのか。」

 

ストーム1「ああ、霞に報告を任せてしまったけどな。昨日は疲れたから、今日は一日ゆっくりしようと・・。」

 

提督「あぁ~・・・それなんだが・・。」

 

とてもげっそりした顔の提督がやってきた。

 

ストーム1「・・・?スーツなんか着て、どこに行くんだ?」

 

提督「あぁ、その・・ええと・・。」

 

頬をポリポリと掻きながら、ブツブツと何かを呟いている。

 

ストーム1「俺に用があるんならはっきり言ってくれ、提督。」

 

提督「・・・ストームがそう言うのなら。・・・実はだな、その、陸軍総帥殿と元帥殿に食事会に誘われてしまってなぁ・・。」

 

んん?良くわからないが、陸軍が絡んでいるんなら、俺が参加した作戦に関しての話だろうか。

 

なんとなく嫌そうなのは、海軍陸軍ツートップという、所作にすら気をつけなければならないレベルの人たちと一緒に、ということだからだろうな。

 

俺のところに来たのも、大方帰ってくるのが遅くなるからトラブルがあったら頼む、ということだろう。

 

ストーム1「わかった。トラブルがあったら俺がなんとかするから、頑張ってきてくれ。」

 

提督「・・・いや、そういうわけじゃないんだ。」

 

ストーム1「じゃあどういうわけだ?」

 

提督「・・・ストームも、誘われているんだ・・・・。」

 

・・・・はい?

 

 

~~~数時間後~~~

 

レンジャー隊長妖精「分厚いステーキが食いたいぜ!」

 

砲兵隊妖精「・・・暴れたりしないでくださいよ。」

 

レンジャー隊長妖精「sir,yes sir!」

 

ストーム1「マジでやめてくれよ?俺の首が飛ぶかもしれないからな?」

 

物理的な意味で。

 

あの後無理やりスーツに着替えされられ、陸軍総帥と元帥の意向ということで砲兵隊妖精、そして大将との演習で一番戦果の高かったレンジャー妖精を急遽隊長に任命し、提督と共に二人と二匹でリムジンに乗った。

 

そしてついたのは、高級店など無縁だった俺にもわかる、超一流と言える風格を持ったホテルだった。

 

提督「・・・お二人は個室で俺たちを待ってるらしい。早く行くぞ。」

 

ストーム1「・・・オーケイ・・・。」

 

気が重いぜ・・・。

 

エレベーターに乗り込むと、エレベーターガールが最上階のボタンを押す。

 

・・・エレベーターガールのいるエレベーターなんて初めて乗ったな。

 

そして最上階にあったのは、一部屋のみ。

 

提督「・・・行くぞ?」

 

そして提督がコンコンとドアをノックし、

 

???「どうぞ。」

 

ドアを開けるとそこには・・!

 

元帥「・・・遅いぞ、提督君。遅れるなと言ったじゃろうが。」

 

提督「申し訳ありません、元帥。渋滞に嵌ってしまいまして。」

 

陸軍総帥「まあまあ、細かいことはいいじゃあないか!座ってくれ!」

 

元帥「・・・こいつに酒が回る前に、話は済ませておきたかったんじゃがのぅ・・」

 

酔っ払ったお爺ちゃんと、それを見てため息をつくお爺ちゃんがいた。

 

元帥「で、そこのがストーム君じゃな。話は聞いているよ。」

 

酔っていないほうのお爺ちゃんの言葉で、一気に現実に引き戻される。

 

ストーム1「・・・はっ。わ、私は、提督のしょ、所属する海軍で仮入隊をさせて頂いております、す、ストーム1と申します!」

 

そう言って、頭が地面につかんばかりのお辞儀をする。

 

一拍おいて、冷や汗がドッと吹き出てくる。

 

・・・いくら見た目がただのお爺ちゃんにしか見えなくても、どちらかが海軍のトップ、そしてどちらかが陸軍のトップなのだ。

 

日本語がおかしくなったのは仕方あるまい。

 

元帥「ま、そう固くならんでも良い。兎に角、座りたまえ。」

 

提督「・・では。」

 

ストーム1「・・・了解しました。」

 

俺たちが席に座ると、

 

女性「そちらの方々は、こちらへ。」

 

ストーム1「・・・え?」

 

部屋の片隅にいた女性が、まるで人形遊び用かと見紛う小ささのテーブルセットの椅子を引く。

 

このサイズに見合うのは、俺のツレしかいない。

 

砲兵隊妖精「・・・!わっ、私たちですか!?」

 

女性「ええ。こちらでは、妖精様専用のお料理も出させて頂いておりますので。」

 

戸惑いつつも、椅子に座る二人、いや二匹。

 

俺が不思議そうにしているのを見て、酔っていない方・・・提督に、元帥と呼ばれていた方のお爺ちゃんが楽しそうに微笑む。

 

元帥「こんなご時世じゃからの。こういう店のVIPルームには、妖精が見えるスタッフを用意する所もあるんじゃ。」

 

ストーム1「な、なるほど・・。」

 

陸軍総帥「ほう・・・君がストーム君か。良い目をしてるじゃあないか。」

 

すると酔っ払っている方ーーーつまりはこちらが陸軍総帥だろうーーーが、胡乱な目でこちらを見ながら、そんなことを言ってくる。

 

陸軍総帥「ふむ。まあ、ワシの用事は元帥のやつと話が終わってからだな。先に済ませてくれ。」

 

・・・そう言ってまたワインを楽しみだす。

 

元帥はもう一度大きなため息をつき、こちらを見つめる。

 

元帥「さて・・・ストーム君。いくつか聞きたいことがあるんじゃが、いいかね?」

 

そこにいたのは先程までの好々爺ではなく・・・俺が初めて提督と会った時。

 

あの提督と同じ、鋭い目をした。

 

歴戦の、老兵だった。

 




さて、ツートップとの食事会。ストーム1は正式に戦力となることができるのか!乞うご期待!

なお、(作者のネタ切れ防止のため)作品にだして欲しい艦娘は常時募集しております。
感想で言って頂ければ、そのうち出る・・・かも?


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第十八話

EDF:IR発売おめでとうございます!
今までのEDFとは違う、リアリティを全面に押し出したという今作。楽しみですね。
ま、僕はPCなんでIRどころか5すらプレイできてないんですけどね!
・・・悲しいなぁ・・・。


レンジャー隊長妖精「むむ・・・切れない・・。」

 

砲兵隊妖精「ほら、貸してください。・・・こういう風に切れば簡単ですよ?」

 

レンジャー隊長妖精「おぉ!助かった、地獄に仏だ!」

 

砲兵隊妖精「そんな大袈裟な。まぁ、感謝というのなら受け取っておきますね。」

 

ステーキを切るのに四苦八苦するレンジャーを見兼ねて、砲兵隊が代わりに切ってあげると、レンジャーは素直に喜んでいる。

 

なんというか、小動物的な愛くるしさを感じるな。

 

無邪気なレンジャー、そして照れを隠しきれていない砲兵隊・・・実に良いものだ。

 

元帥「ふふ・・。可愛いもんじゃな。ワシの息子も今は立派な大人じゃが、昔はあんな風に不器用な子じゃったよ。」

 

思わず元帥も笑みをこぼしている。

 

元帥「ま、それはさておき。ストーム君、君にいくつかの質問をさせてもらおう。」

 

ストーム1「は、はい!」

 

・・・いつまでも現実逃避はさせてくれないようだ。

 

元帥「まず、一つ。君の本当の名前を教えては貰えんかね?」

 

まぁ、普通はこの質問だよな。

 

本名もわからないやつを指揮下においておくわけにはいかないだろう。

 

ストーム1「本当の名前・・・本当の名前は・・・。」

 

やはり、思い出せない。

 

だが、これで良い。なぜなら、俺の名前は既にあるのだから。

 

ストーム1「俺の名前は・・・ストーム1。ストーム1です。」

 

提督「・・・ふむ。」

 

砲兵隊妖精「・・・えぇっ!?」

 

俺のこの答えに砲兵隊はギョッとし、提督はそう来たか、という顔で俺を見る。

 

元帥「ふむ。ワシは、本当の名前を言えと言ったはずじゃがな。よもや、ワシをからかっているわけではあるまいな?」

 

ストーム1「いえ、俺は本気です。確かに、俺の名前は別にあるはずです。ですが・・・俺は、ストーム1なんです。フォーリナーと戦い、そして何かの理由でこの世界に来た遊撃部隊長。俺は・・・それ以上でも、それ以下でもありません。」

 

今は亡き俺の両親が付けてくれたであろう、俺の本名。確かにそれは大事なものかもしれない。

 

だが俺が兵士である限り、戦い続ける限り、俺はストーム1なのだ。

 

俺が本名で再び人生を歩めるのはーーー俺の任務が無くなった時。

 

それまではこの名前で生きていこうと、この世界に来てから決めた。

 

と、いう覚悟を込めて元帥に伝えたのだが・・・伝わったのだろうか?

 

すると、しばらく黙っていた元帥が口を開く。

 

元帥「なるほどのぅ。いやはや、騙すような真似をしてすまなかった。・・・実は提督君から記憶喪失のことは聞いていてな。どう答えるか試したんじゃ。」

 

ストーム1「えぇ!?」

 

俺が驚いて隣を見ると、ニコリと微笑む提督。

 

・・・どうやら一杯食わされたようだ・・。

 

と、俺が複雑な気分になっていると、再び元帥が俺に、

 

元帥「よし、君の覚悟はわかった。・・・もう少し質問をしようと思ったんじゃが、今ので色々なことがわかったわい。」

 

ストーム1「ほ、本当ですか!?・・・では、これで俺は・・。」

 

正式に、と言おうとする俺を遮り再び元帥が口を開く。

 

元帥「じゃが。あと一つだけ聞いておきたいことがある。・・・いいかね?」

 

ストーム1「は、はい。」

 

元帥「・・・では。もし、君が艦隊の旗艦を任されたとしよう。そして、一隻の駆逐艦娘が大破してしまい、航行不可能な状態に陥ってしまった。そこに、深海棲艦の水上打撃部隊が攻撃を仕掛けてきた。・・・君ならどうする?」

 

・・・なるほど。要は、大破した仲間を置いて逃げるか戦うか、か。

 

俺の脳裏に、これまで見捨てて来た仲間、助けられなかった仲間の顔が浮かぶ。

 

恐らく初めて戦うであろう巨大生物に、臆することなく突撃して行ったレンジャー1。

 

俺が苦手とする地下での戦闘をカバーするために、身も顧みず敵を引きつけてくれたスカウト8。

 

制空権を握られているのにも関わらず、俺たちを救ってくれたホエール、カロン、アルテミス。

 

ドラゴンやドローンに囲まれながらも、俺の支援要請を受け付けてくれたデスピナ。

 

そして・・・俺に一矢報いるチャンスをくれた、オメガチームにペイルチーム。

 

戦力が枯渇気味なこちらでも、恐らく駆逐艦娘を見捨てて撤退し、戦力を温存することが答えなのだろう。

 

だが。俺は、もう目の前の命を見捨てたりはしない。したくない。

 

ダメかどうかは、最後まで戦ってみなけりゃわからない。

 

俺は・・・それを、証明したんだからな。だから、

 

ストーム「俺は、残って戦います。そして、皆で帰るんです。帰るべき場所に。誰も見捨てたりはしません。・・・それが俺たちの、願いでしたから。」

 

終わった・・・。

 

まぁ、海軍を追われても体力にはそれなりに自信がある。

 

不幸中の幸いというか、こっちの世界は復興作業を各地で行っているため、食いっぱぐれることはないだろう。

 

と、これからのことに考えを巡らす俺に、いつの間にやら満面の笑みを浮かべた元帥が話しかける。

 

元帥「・・・その答えを待っておったよ。もしここでストーム君が、戦力温存だの被害軽減だのほざいて仲間を見捨てるようなら、ここから叩き出していたところじゃ。」

 

ストーム1「・・・ふへ?」

 

思わず変な声を出す俺に構わず、元帥は続ける。

 

元帥「確かに、戦力を残すということは大事じゃ。じゃが、ワシらは人の心を失ってはいけない。それがワシらを、人たらしめる理由なんじゃからの。」

 

提督「と、いうことは、ストームはうちで預かっていていいということですね?」

 

元帥「うむ。・・・では改めて。入隊おめでとう、ストーム君。この世界の為、頑張ってくれたまえ。」

 

ストーム1「・・・・はっ!あ、ありがとうございます、ありがとうございます!」

 

放心状態になっていた俺は、元帥のその言葉で引き戻される。

 

・・・どうやら俺の選択は、間違ってはいなかったようだ。

 

砲兵隊のほうを見ると、

 

砲兵隊妖精「・・・うっ・・ひっく・・・。」

 

ストーム1「お、おいどうして泣いてるんだ!?俺なんかしたか!?」

 

砲兵隊妖精「いえ・・・ストームさんが無事に入隊できたのが・・・嬉しくて・・・。」

 

妖精というのは、大人びているように見えても純粋だな。

 

ストーム1「・・・心配かけたな。お詫びに明日、間宮羊羹買って来るよ。」

 

砲兵隊妖精「・・・2本お願いします。」

 

・・・そして割と、したたかなようだ。

 

まあ、無事に入隊できたことだし、これからも頑張りますかね!

 

そう心に決め、もう冷めてしまった料理を頂いたのだった。




今回はストーム1の心情多めです。
ブルートフォース作戦や、星食らいでの無線が凄く胸熱だったので、その辺を重点的に書いてみたんですが・・・不安ですね。
まぁそれはともかく、ようやく正式に入隊を果たしたストーム1。
より激しい戦いに身を投じるストーム1、そして艦娘たちを今後共宜しくお願いします。
次回は総帥の「用事」。乞うご期待!


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第十九話

楽しいGW!
GW中にイベをやるぞと意気込んでいたんですが、GW中は3次元を充実させろという運営様の
お達しで、日々資材集めとFortniteを頑張っております・・・ってやってること変わんねぇな。
というか下手にどっか出かけるより、PCで遊んでるほうが楽しいって思っちゃうんですよねぇ~・・・。


ストーム1「・・・・。」

 

気がつくと俺は、布団の中で眠っていた。

 

何故だろうか、ひどく気分が悪い。

 

それでもゆっくりと体を起こすと、俺の隣ですう・・・すう・・・という寝息が聞こえることに気がついた。

 

そちらをゆっくり向くと、何かと俺の世話を焼いてくれる鳳翔や霞・・・ではなく。

 

青葉が安らかな顔で眠っている。

 

ストーム1「・・・・?」

 

ってか、昨日の記憶がねぇ。

 

ストーム1「えーっと・・・確か、俺は正式採用はされた・・・んだよな?」

 

元帥に、いくつかの質問をされ、俺の答えが認められたところまでは覚えている。

 

それで・・・確か・・・

 

と、そこまで考えて思い出した。

 

ストーム1「えっと、陸軍の総帥がいたっけな。」

 

そうだ、そうだった。

 

そして、総帥はこうも言っていたはず。

 

ストーム1「俺の用事は元帥の話が終わった後だ。・・・なんだったっけなぁ・・?」

 

そう、何かあったとすればここだ。

 

俺の記憶は不思議なことに、元帥に認められ、ホッとしたところでプッツリと途切れている。

 

それからしばらく俺の身に何が起こったのか、ああでもないこうでもないとブツブツ呟きながら考察していると、俺の横で眠っていた青葉が突然ムクリと身を起こした。

 

青葉「んぅ・・・。ストーム、さん?・・・あっ、私寝ちゃってました!?」

 

ストーム1「ああ。そりゃもうグッスリ寝てたぞ。」

 

青葉「うう~・・・。私、変な寝言言ってませんでした?」

 

ストーム1「いや、何も言ってなかったな。というか俺も今目を覚ましたばかりだし。」

 

青葉「それなら良いんですが・・あ、私お水持ってきますね。」

 

そのまま照れ隠しのように部屋を出ていく青葉を見送り、ふと砲兵隊の寝床を見てみると、

 

砲兵隊妖精「う~ん・・・う~ん・・・。」

 

こちらも気分が悪そうに、うなされていた。

 

眠ってはいるようだが、顔をしかめ何度も寝返りをうつ。

 

ストーム1「・・・ほんとに何があったんだ?」

 

もしかすると、俺は毒を盛られたりしたのかもしれない。

 

総帥はああ見えて、俺が海軍に所属するのが気に入らなかったとか?

 

だから、あとからこっそり俺に毒を盛り、始末しようとしたが量が足りなかったとかいや流石にそれは考え過ぎかでもああいう人に限ってそういう

 

青葉「はい、お水です!・・・というかですね、ストームさん飲み過ぎですよ。帰ってくるなり急に倒れ込まれた身にもなってくださいよ。」

 

・・・え?

 

~~~青葉説明中~~~

 

青葉「思い出しました?」

 

ストーム1「・・・思い出した。」

 

そういえばそうだった。

 

俺はあの後、総帥と色んな店をはしごさせられたんだった。

 

昨日の夜、なぜか総帥に気に入られた俺は、二人と一匹で繁華街を飲み歩いていた。

 

最初こそ俺と砲兵隊は縮こまっていたが、酒が回るに連れさらにフランクになっていく

総帥に釣られ、段々とタメ口になっていき、もう一軒もう一軒と深夜遅くまでフラフラしていた・・・はずだ。

 

先程まで毒を盛られただのなんだのと考えてしまっていた自分が恥ずかしい。

 

ストーム1「その・・・ありがとな・・。」

 

そして青葉は、ベロベロに酔っ払って帰ってきた俺を介抱してくれていたのだ。

 

青葉「いえいえ、私が好きでやったことですから。まぁどーしてもお礼したいって言うんでしたら、今度間宮に連れてってくださいね~。」

 

ストーム1「OKだ。まあこれで俺にも給料が入るだろうしな。」

 

なんだかんだ今までは『小遣い』という形で提督から金を貰っていたが、正式に採用されたんだから給料が出るだろう。

 

初任給で青葉や鳳翔、霞なんかに何かプレゼントするというのも悪くない。

 

青葉「あ、そういえば。ストームさんが目を覚ましたら、執務室に呼んでくれって司令官が言ってましたよ。」

 

ストーム1「そうか。じゃあとりあえず行ってくるよ。」

 

青葉「はーい!」

 

まあそれもこれもちゃんと働いてからの話、だな。

 

~~~執務室~~~

 

提督「その・・・なんだ。昨日は災難だったな。」

 

執務室に入ると、苦笑いを浮かべた提督が俺を迎えた。

 

ストーム1「まぁ二日酔いになっただけさ。問題ない。」

 

提督「そうか。・・・ストームも知っての通り、君はこの鎮守府に「艦娘」として着任することになった。そこで与えられた君の名前がこれだ。」

 

そう言って提督が俺に一枚の書類を差し出す。そこには、

 

ストーム1「嵐型特殊任務艦一番艦『ストーム1』。・・・なるほど・・。」

 

結構カッコいいじゃないか。

 

提督「そういうわけで、慣れてもらうために現在攻略をを進めている海域の哨戒任務をやってもらおうと思ってたんだが・・・その様子じゃ無理そうだな・・。」

 

ストーム1「・・・そんなに具合悪そうか?」

 

提督「ああ。ずばり言わせてもらうと、アル中の顔になっているぞ。」

 

マジか、俺は今そんなに酷い顔をしてるのか。

 

まあ頭はガンガンと痛むし、今海に出れば間違いなく吐くだろう。

 

ストーム1「・・・すまない。初日からこんな・・。」

 

そう言って謝ろうとする俺の言葉を、提督が遮る。

 

提督「いや、あれは俺に責任があった。・・・総帥の酒豪っぷりは両軍内でも有名でなぁ。俺が止めていればこんなことにはならなかったんだが・・・。」

 

提督が心底すまなさそうに言うが、それも仕方のないことだろう。

 

昨日のやり取りを見て、提督がちょうど中間管理職のような立場にあることがわかった。

 

その地位は、決して盤石なものではないだろう。

 

そんな提督に、社長クラスの命令を止めろと言うのは酷というものだ。

 

ストーム1「・・・まあ仕方ないさ。だけど今日は休ませてもらうよ。だけど、このまま部屋でじっとしているというのも落ち着かない。鎮守府内で俺にできることがあれば、手伝うんだが。」

 

俺がそういうと、提督がそういえば、という顔になる。

 

提督「・・・そうか。だったら、工廠に向かってくれ。明石や夕張が、ストームの世界の技術をいじりたいとうずうずしていたからな。ストームも、主戦力化と共に戦力の増強を図る必要があるだろう?」

 

なるほど、工廠か。確かにこの前、大将と演習する時に開発してもらった「ネグリング自走ロケット砲改三式試作型」と「妖精用レンジャーアーマー」、「妖精用MLRA-30」。どれもかなり役に立った。

 

ここでもう一つ、対深海棲艦用にビークルを改造してもらうというのも悪くないかもしれないな。

 

ストーム1「そう・・だな。わかった。これから工廠に向かうとするよ。」

 

やはりベガルタか、それともSDL2・・・大穴でバラムという手もあるな。

 

そんなことを考えながら工廠へと向かう足取りは、次第に軽くなっていった。

 




酒の席で思わぬコネができたストーム1。
次回は、ビークルを魔改造するお話です。乞うご期待!


なお、(作者のネタ切れ防止のため)作品にだして欲しい艦娘など常時募集しております。
感想で言って頂ければ、そのうち出る・・・かも?


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第二十話

楽しいGWも終わり、さぁテストだと思っていたんですが・・・イベの準備に新作ゲーム「MORDHAU」。勉強する時間がねぇ!


明石「ふんふんふ~ん♪修理修理~♪今日も~はっくちで~♪」

 

・・・なんだかご機嫌だな。

 

しばらく待ってるんだが、一向に俺に気付く気配がない。

 

仕方ない。声をかけるしかないか。

 

ストーム1「おい、明石。ちょっといいか?」

 

明石「ふわっ!?ス、ストームさん驚かせないでくださいよ~・・・。」

 

ストーム1「悪い悪い。さっきからまったく気づいてくれなかったもんでな。」

 

明石「・・・さっきから?」

 

ストーム1「ああ。大体十五分ぐらい前からいたんだが。」

 

明石「・・・私が歌ってた歌、聞いちゃいました?」

 

ストーム1「まあ、フルで二回ぐらい聞こえたなぁ・・。」

 

明石「あああっ!忘れてください!」

 

ストーム1「わ、わかったから落ち着け!」

 

明石「うぅ・・・恥ずかしいぃ・・・。」

 

明石が赤い顔をしているが、声が良いから聞いていて心地よかった。

 

まぁそれはさておき、本題に入らせてもらうことにしよう。

 

ストーム1「その、なんだ。ちょっと明石や夕張に用があってな。此処に来たわけなんだが・・。」

 

明石「私や夕張ちゃんに用事?・・・ああ、また改造とかそういうことですか?」

 

ストーム1「話が早くて助かるよ。俺ってさ、今海上で運用できるビークルがSDL2しかないだろ?まあ、支援で敵を倒すことはできるんだが。主力化に向けて俺自身の身も守らなきゃいけないと思ってな。」

 

明石「だから他のビークルを改造、しかも海上で使用できるようにしてくれ、と・・・。」

 

ストーム1「まあそういうことだな。」

 

正直、俺があの戦場で生き残れたのは、勿論男気溢れるホエールやカロンにアルテミス、ポーターズなんかのおかげでもある。

 

だが、身を護るということに関しては、ビークルによるところが大きい。

 

ベガルタやバラム、ギガンテスやグレイプ。

 

その装甲と火力に頼らない時なんて、なかったと言ってもいいほどだ。

 

しかし、EDFのビークルには一つの大きな欠点がある。

 

ほぼ全てのビークルに、耐水性がないということ。

 

うっかり海に飛び込んで、地上で運用していたデプスなんかを使い潰したこともあった。

 

・・・まあその辺も含めて、明石や夕張、妖精ならなんとかしてくれるだろうと期待して来たわけなんだが・・。

 

明石「うーん、とりあえず実物を見せてもらわないとわかりませんね。・・・棟梁も一緒に来て下さ~い!」

 

ん?棟梁?

 

ここでは人間も働いているのか?

 

と、考えていたのだが、呼ばれてそこにきたのは。

 

棟梁妖精「てやんでぃ!どうしたってんでぃ、明石ィ!」

 

明石「あ~それがですね、こちらのストームさんが新しくビークルを改造して欲しいと。それで、実物を一緒に見てもらいたいんです。」

 

髭面で、如何にも職人と言った風貌の妖精だった。

 

今までの妖精とは程遠い、侠気溢れるその姿に、俺が固まっていると、

 

棟梁妖精「おぉ、アンタがストームの兄ちゃんか!よろしくな!」

 

ストーム1「あ・・・あぁ、俺がストームだが・・・。」

 

棟梁妖精「いやぁ、あんたにゃあ感謝してもしきれねぇよ!」

 

突然ニッカリと笑いながら俺に頭を下げた。

 

ストーム1「え?何がだ?」

 

棟梁妖精「ま、うちの奴らを使ってくれたことだな。俺らの仕事は、言われてみりゃあ裏方よ。長年ここでやってりゃ、艦娘と共に戦ってる奴らと同じぐらい俺らの仕事は大事だってわかるんだがよ・・・。若いやつらにゃ、きりりとした顔で戦ってる連中が眩しく見えちまうんだな。」

 

ストーム1「なるほど。」

 

棟梁妖精「そうやってるとこによ、アンタが戦うための人手がいるってんで、うちの若い連中を連れてったじゃねぇか。おまけにすげぇ鎧にすげぇ武器や乗りもんまで使わせて貰ってよ・・・。奴らが帰って来た時、キラキラした目で同僚に自慢話をしていやがったよ。」

 

ああ、大将との演習の時にレンジャー妖精として戦ってくれた妖精達か。

 

確かにあの時、皆難しいことを楽しそうに覚えていったな・・。

 

やる気があるっていうのはいいなぁ、なんて思ってたが、そういう理由があったとは。

 

棟梁妖精「おまけによぉ、うちの一人は隊長なんかにしてもらってよぉ・・・。一生裏方の俺らに、夢を見せてくれた。感謝してもしきれねぇってのは、こういうわけよ。」

 

そこで俺も、棟梁にあわせてニヤリと笑って返す。

 

ストーム1「そういうことだったのか。・・・だがな、そいつらをこき使うかもしれねぇぜ?」

 

棟梁妖精「それこそ望むところだぃ。ドンドンこき使ってやってくれても構わねぇ。奴らも本望だろうぜ。」

 

よしよし、晴れて正式に人手を確保できたってわけだ。

 

まあそれはそれとして、本題にはいらせてもらうことにする。

 

ストーム1「ま、それはいいんだが、俺のビークルを改造するって話。やってくれるか?」

 

棟梁妖精「あたぼうよ!ここで断ったりすりゃあ男の名がすたるってもんだ!」

 

ストーム1「ああ!これからよろしくな!」

 

そして俺と棟梁妖精は、固い握手を交わす。

 

まあ握手と言っても、俺は棟梁妖精の手を軽くつまんだだけだが。

 

明石「仲が良いですね・・・。」

 

・・・しまった、明石がいるんだった。

 

明石「まあいいです、とりあえず外に行きましょうか。」

 

ストーム1「・・・外にも施設が?」

 

明石「ええ、工廠の裏には艦載機を試運転するための大きな空き地があります。そこで出してもらいましょうか。」

 

ストーム1「わかった。」

 

一応、どのビークルを改造するかは決めている。

 

だが、妖精の技術を持ってすれば、他の兵科の武器を大きくして載せたりできるのだろうかーーーと、そんな期待を膨らませながら、まだ日の高い外に出た。

 

肩には、棟梁妖精・・・いや、『棟梁』を乗せて。

 




もうちょっと書きたかったんですが・・・テストもあるし、これ以上投稿を遅らせるのもよくないと思いましたので、この様な中途半端な形になってしまいました。
申し訳ありません。
テストが終わり次第、続きを投稿しようと思っているので、ご容赦ください。


(作者のネタ切れ防止のため)出して欲しい艦娘を常時募集しております。感想でお伝えいただければ出る・・・かも?


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第二十一話

あ~、イベがテスト期間中に始まったお陰で徹夜続きでした・・・

ま、テストは終わったんで、あとはイベに集中するだけです!皆さんはもう完走しましたか?それとも、沼っていますか?

因みに僕は、E-3で友軍艦隊の到着を待っています。

・・・フレッチャー掘り、大変そうだなぁ・・・でもアメリ艦欲しいなぁ・・・


明石「まあ、ここなら大丈夫でしょう。戦車でも巨大ロボットでもなんでも、出しちゃってください!」

 

案内されたのは、裏庭というには広すぎるほどのデカイ空き地だった。

 

空き地なのに、ちゃんとコンクリートで舗装されている。

 

ストーム1「了解。・・・ほんとになんでも良いんだな?」

 

明石「もっちろんです!どんなのが出てくるか、ワクワクしますねぇ~♪」

 

明石がウキウキした様子で俺を見てくるが、そこはやはり、開発者としての性というやつなのかもしれない。

 

まあ新兵器が見られると聞けば、俺だってワクワクせざるをえなくなる。

 

新米のころ、戦闘が終わった後にスカウト達がフォーリナーの残骸を回収していくのを見て不思議に思い、戦術士官に聞いてみたところ、「新しい兵器の開発」の為だと聞き、居ても立ってもいられなくなった。

 

その時に無理を言い、「自分で研究素材を回収してくるから、それで作った物はまず俺に支給してくれ」なんて頼んだものだ。

 

無理だと思ったんだが、なんでも俺が優秀だということで、特別に認められた。

 

だから大戦中は戦闘が終わった後も、アリの甲殻やらクモの糸やらヘクトルの部品やら、色々なものを集めてまわったもんだ。

 

・・・まあ、「新兵器の支給」と言いながら、モルモットと考えられているんじゃないかと言いたくなるような装備もあったが。

 

流石にスピードスターを持って行って使ってみた時は、本部を空爆してやろうかと本気で思ったぐらいだ。

 

まあちゃんと説明を読まなかった俺も悪いんだがな。

 

棟梁「・・で?ストームの兄ちゃん、どうするんでい?」

 

耳元で聞こえた野太い声で、昔を思い出すことを打ち切る。

 

ストーム1「う~ん。まあなんでも良いってのなら、試しにこいつを・・。」

 

どれを送ってもらうかという信号を発煙筒にインプットし、ポイッと放り投げる。

 

ちなみにこの発煙筒、実は割とハイテクで、起動した時信号を発信し何を要請したのかを伝えることができる。

 

わざわざ使い分けたり、何を持って行くのか申請したりしなくていいワケだ。

 

そして運ばれて来たのはーーー

 

明石「・・・ストームさん、これって・・。」

 

棟梁妖精「・・・こいつぁ・・・おでれぇたなぁ・・・。」

 

ヒドラ数機に牽引された、巨大兵器『歩行要塞バラム』だ。

 

超巨大生物「エルギヌス」に対抗することができる、唯一無二の兵器。

 

その巨体は、普段ビークルを乗り回している俺ですら圧巻、といったところだ。

 

ヒドラから切り離され着地するだけで、ズシンと地面が揺れる。

 

明石「・・・・・。」

 

棟梁妖精「・・・・・。」

 

明石達がポカンとしてしまうのも無理はないだろう。

 

ストーム1「まあ、これなんだが。どうだ?」

 

明石「いやその、どうだと言われましても・・。」

 

棟梁妖精「・・・すまんがストームの兄ちゃん、こいつぁ無理な話だな。デカすぎるぞ・・。」

 

まあそう言われるのは想定内だ。ダメ元だったしな。

 

ストーム1「・・・流石に厳しいよな。ま、安心してくれ。こいつはダメ元で呼んでみただけだ。本命はもっと小さいやつだから。」

 

その俺の言葉に、二人は胸をなでおろす。

 

・・・ちょっぴり期待してたってところはある。

 

バラムで深海棲艦共を蹴散らすなんて、正に男のロマンだからな。

 

まあ怪獣と殴り合いしてたことも十分アレなんだが。

 

ストーム1「さてと、本命を呼びますかね。」

 

そしてもう一つ、発煙筒をポイッと投げ、コンテナで運ばれてきたのは、『BM03ベガルタA1』。

 

明石「ほほう、如何にもと言った感じのロボットですね。これなら全然いけそうです!」

 

棟梁妖精「こりゃまたゴツいもんだな。まぁこんぐれぇならでぇじょうぶだ。・・・ところで、この前使ってもらった連中がロボットに乗ったと自慢してたってぇわけなんだが。もしかしてこいつかい?」

 

あ~、リボルバーカスタムのことか。

 

ベガルタと言えばそうなんだが・・・どう言えばいいもんか。

 

ストーム1「ああ、確かに『ベガルタ』シリーズではあるんだが・・・この前使ったのは、対空専用のカスタマイズをした機体なんだよ。対して、こいつは汎用型。対空も対地も、程よく戦えるカスタムなんだ。」

 

棟梁妖精「なるほどなぁ。」

 

明石「と、いうことはそれだけ改造がしやすいってことですよね!良いですね~夢が広がります!」

 

ストーム1「ああ、まあそういうことだ。それで、いくつかの改造案も俺なりに考えてみた。よかったらなんだが、参考までに使ってくれ。」

 

明石「わっかりました!それでは、こちらのほうに。」

 

明石が持っていたノーパソにいくつかのデータを移す。

 

俺なりに、実戦での使い勝手を考慮したカスタムを考えてみたんだが・・・どうだろうな。

 

色々と厳しいところはあるだろうが、ここの工廠ならきっとやってくれるだろう。

 

棟梁妖精「ストームの兄ちゃん、俺達に任せてくれよ!何日かはかかるかもしれねぇが、必ず納得のいくモン、作って見せるからよ!」

 

そう言って、ドンと胸を叩く棟梁はとても頼もしい。

 

ストーム1「ああ。いい出来、期待してるぜ?」

 

そう言い残し、帰ろうとする俺を明石が呼び止める。

 

明石「あの~ちょっといいですかね?」

 

ストーム1「ん?どうした?」

 

明石「あの巨大ロボのデータなんですが、一応ここに移しといてもらっていいですか?・・・時間をかければ、なんとかなるかもしれないので。」

 

それは別にいいんだが・・・明石の目が、心なしかキラキラしているように見える。

 

・・・もしかして、ロマンとかそういうことじゃないだろうな?

 

ストーム1「・・・わかった。・・・念のために聞いておくが、個人的な理由で欲しい、ってわけじゃないよな?」

 

俺がそう言うと、明石がビクッと震える。

 

明石「いいいや、そんなことあるわけがないじゃないですか~、あは、あははは・・。」

 

ストーム1「・・・クフッ。まあいいよ。ほい、データ。」

 

明石「あ!今なんで笑ったんですか!」

 

ストーム1「なんでもない。じゃあ俺、帰るから後は頼んだぞ。」

 

・・・まったく、わかりやすい奴だな。

 

でも、明石には大きな恩がある。バラムのデータぐらいなら、お安いご用だ。

 

他の連中ならともかく、この二人プラス今はいない夕張も加わるはず。

 

その三人で失敗するなんてことはないだろう。大丈夫だ。

 

明石「はい、任せてください!・・・さてと、改造改造!楽しみですねぇ~♪」

 

棟梁妖精「・・・遊びじゃねぇぞ、明石・・。」

 

明石「わかってますよ~!」

 

・・・本当に大丈夫、だよな?

 




当初はバラムを改造しようと思ってたんですが、結局安心と安全のベガルタに。

ベガルタ使っとけば間違いないレベルだからね、仕方ないね。

読者の皆様方も是非よければ、どんな改造が施されるのか、感想で予想をお聞かせください!

もし僕が考えてるのより良いのが出てきたらどうしよう・・w。


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第二十二話

ARKにハマっている今日このごろ。

熱中しやすく飽きっぽいってのはあまり良いことではないんですけどね・・・

この小説は完走できるように頑張りたいと思います!


ストーム1「う~ん・・・あと此処だけなんだがなぁ・・・。」

 

砲兵隊妖精「どうしたんですかストームさん、さっきから随分と悩んでますよね?」

 

ストーム1「お、砲兵隊か。いや、実はな?ここをどうすれば良いのかわかんなくてさぁ。」

 

砲兵隊妖精「・・・何を作ろうとしてるんですかこれ?」

 

ストーム1「これはな、俺の秘密兵器・・・と言っても、お遊びの域を出ないんだが。まあ作っといて損はないと思うし。」

 

ここは、工廠にくっつくように作られた掘っ建て小屋。

 

なんでも明石や夕張が、「研究する時に集中するため」に勝手に建てたものらしい。

 

まあ、提督も黙認しているようなんだが・・・。

 

それはそれとして、なぜ俺がここにいるのかというと。

 

ストーム1「・・・それにしても遅いよなぁ。呼び出し食らってから3時間は経ってるんだけど。」

 

砲兵隊妖精「最終調整でもしてるんでしょうかねぇ。そういうのほど、時間がかかるのは私が身をもって知ってますからね・・。まあ、気長に待ちましょうか。」

 

ストーム1「そう・・だな。もうしばらく待ってみるか。」

 

俺のために念には念を、とやってくれてるのなら有り難いしな。

 

まあもうしばらくーーー

 

~~~5時間後~~~

 

ストーム1「お、おせぇ・・・。流石に遅すぎるだろ・・・。」

 

砲兵隊妖精「・・・様子を見に行きましょうか。」

 

呼び出されてからおよそ8時間、日はもう鮮やかなオレンジ色になっている。

 

昼飯は一応持ってきていた物で済ましたが、もうすぐ晩飯時だ。

 

流石にこれ以上缶詰はキツい。

 

しびれを切らした俺たちが、工廠の、開発スペースに赴くと・・・。

 

明石「ふんふん、こういうわけですか。回路系統は割と単純ですね・・・。」

 

ストーム1「おい、何してんだ?」

 

もう完成品と思われるベガルタの改良型と、PCを前にブツブツと独り言を呟く明石がいた。

 

明石「わっ!?・・・ストームさんじゃないですか。驚かせないでくださいよ~・・。」

 

ストーム1「驚かせないでじゃねーよ!・・・もうこれ完成してるんじゃないのか?」

 

明石「勿論です!カンペキに仕上げましたよ!」

 

ストーム1「ほう。じゃあさっきまで何をしてたんだ?」

 

明石「いや~、あの巨大ロボットのことが気になりまして。ストームさんにもらったデータをちょっとばかり拝見・・・。」

 

ストーム1「ほうほう。じゃあ、今は何時だ?」

 

明石「今ですか?・・・えぇっ!?もうこんな時間!?・・・テヘペロ・・。」

 

ストーム1「こっちがどんだけ待たされたと思ってんだよおおおお!」

 

明石「いひゃいいひゃい!すいまへんれしらぁー!」

 

 

 

明石「うぅ・・・か弱い乙女に何をするんですかぁ・・・。」

 

ストーム1「ロボットに見とれて時間を忘れる乙女がどこにいるんだよ・・・。」

 

明石の頬をしばらく抓った後、改めて新型の説明をしてもらうことになった。

 

明石「ええと、まずはですね。一番の改良点として、この『スカート』が挙げられます。」

 

スカート、ねぇ。どうなってるんだろうか?

 

明石「で、スカートの中には何十個もの小型バーニアを取り付けています。これで、水上をホバー移動できるようにしました!」

 

ストーム1「なるほどな。」

 

明石「さらに、足の裏型には『フェンサー』・・・でしたっけ?・・の盾に内蔵されているリフレクターの機能を応用したものを取り付けてます。これで、より一層機動力と安定感を強化しました。」

 

ストーム1「リフレクター、か。俺では思いつかなかったな。流石明石だ。」

 

こういう風に、いつも優秀だと助かるんだがなぁ・・・。

 

明石「それでは、武装の説明に入りますね。まず、両腕には爆雷投射機を装備。これは射出することもできるので、対水上艦にも使えますよ。それから肩には・・・。」

 

ストーム1「ああ。正直それが一番気になってた。正直レールガンとかを積むかと思ってたんだけど・・。」

 

そう、ベガルタの肩にマウントされているのはレールガンなどではなく、無骨でシンプルな「砲」・・・とでも言うべきものだった。

 

明石「・・・レールガン、積みたかったんですけどねぇ~・・・。消費電力が・・・。」

 

ストーム1「あぁ・・・そういえばあれは電気をバカ食いするんだったな・・。」

 

今思えば、イプシロン装甲レールガンの弾が、後期型になっても全然増えなかったのはそういうことが原因なのかもしれない。

 

明石「それで、ですね。色々と調べて見た結果、これまた『フェンサー』の『30ミリ ガリア重キャノン砲』。そのままでも優れた貫通力と威力で強そうだったんですが・・・なんと!さらなる大口径化に成功しました!」

 

ストーム1「おぉ・・・!」

 

そいつは強そうだ。なんせ、大戦時に使用されていた30ミリでもやすやすと旧型キャリアーを落とし、新型も着々と片付けていける装備だったらしいからな。

 

明石「その名も『120ミリ ガリア重キャノン砲』!これなら深海棲艦相手でも、かなりの効果が期待できます!」

 

ストーム1「おぉぉ・・・!」

 

なんと四倍のサイズにまで大型化するとは・・・工廠の技術、恐るべし。

 

明石「後は、背中のミサイルポッドですかね。ブースターのエネルギーをバーニアに回したので、背中が空いちゃって。ただ、30発しか入らないので、あくまで申し訳程度と言ったところです。」

 

ストーム1「それだけあれば十分だ。どうせ牽制程度しかできないだろうし。・・・対空装備がほぼ無いっていうのは、艦隊の一員として戦うことを想定してるからか?」

 

明石「はい、流石にこれ以上ものを乗っけるのは厳しいので・・・申し訳ありません。」

 

ストーム1「いやいや、これだけでも十分過ぎるよ。・・・ありがとな。今度また、お礼はするから。」

 

明石「やったぁ!何を買ってもらおうかな~・・・って、そういえば。その時は、夕張ちゃんに構ってあげてくださいね。」

 

夕張に?

 

明石「夕張ちゃん、「また明石に良いとこ持っていかれた・・・。」って拗ねてましたから・・。」

 

ストーム1「ああ・・・。わかったよ。」

 

と、言ったは良いんだけど・・・女の子に構えと言われてもなぁ・・・不安だ。

 

まあいいか、なんとかなる。

 

・・・というか、初任給がお礼やプレゼントで消し飛びそうなんだが・・・。

 

この時の俺は、こんな呑気なことを考えていた。

 

静かに近づく、新しい脅威の影には気づかずに。

 




まあ、今回はベガルタを改造した訳なんですが。

これからは工廠班に色んな換装用装備を作っていってもらう予定なんで、当分別のビークルの出番は無さそうです。

・・・さて、次回はストームの脅威に気づいた深海棲艦側が新たに生み出した、「新型」との戦いが始まります。

こいつに苦しめられた提督もいるのではないでしょうか。

個人的には下手な姫より嫌いです。

ストームと艦娘たちの活躍を・・・乞うご期待!



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第二十三話

え~、大分遅れました。・・・申し訳ありません。

テストがあったり、ARKやってたり、ARKやってたりと大変でしたんですよ、ええ。

・・・ARKやばいです。フレと4人でやってるんですが、ぶっ続けで12時間とかやりました。

皆さんもゲームは程々にしてくださいね!(おまいう




落ち着いた無表情な顔で、一点を見つめる少女。

 

その横顔は誰が見ても端正な顔立ちだと言うだろう。

 

そして、一つ深呼吸をした後、構えた弓を引き絞る。

 

一拍置いた後ーーー

 

スパン!という音と共に矢は、的の中心に突き刺さった。

 

瑞鶴「これで十連続!どうどう?凄いでしょ?」

 

ストーム1「おぉー・・・。流石、五航戦だな。いいエイムじゃないか。」

 

瑞鶴「まあこのまま訓練を続ければ、実戦でも活躍できるわよね!」

 

ストーム1「ああ、これなら主力空母間違いなしだ。」

 

そう相槌を打ちながら、グルリと、俺と瑞鶴がいる場所を見回してみる。

 

ここは、鎮守府敷地内にある、弓道場だ。

 

一度も来たことがなかったが吹き抜けになっているお陰で風通しが良く、夏場は結構涼しそうだな。

 

そして、なぜか俺は瑞鶴に、ここに呼びつけられた。

 

先日建造され、しばらく訓練に励んでいたと聞いてたんだが・・・成果を見せるなら、軽空母の誰かか、古参の二航戦コンビに見てもらったほうがいいと思う。

 

もっとも、いろはを教えていた二航戦コンビは既に見ているだろうけど・・・。

 

瑞鶴「まあ、わざわざ来てくれてありがとね。・・・ジュースでも、奢ろっか?」

 

ストーム1「いや・・・」

 

大丈夫だ、と言おうとしたところで、通信機がピーピーと音を立てる。

 

・・・こんなことをしてくるやつは、一人しかいない。

 

ストーム1「・・・なんだよ、明石。用事か?」

 

明石「いや~、急な呼び出しすみませんねぇ。実はですね・・・」

 

明石が言うには、新兵器のプロトタイプができたから見に来い、ということらしい。

 

そして言うだけ言った後、ガチャ切りしやがった・・。

 

ストーム1「はぁ~・・・。まったく、瑞鶴を見習って欲しいもんだぜ・・。」

 

瑞鶴「え?私?」

 

ストーム1「いや、なんでもない。」

 

きちんと俺に、空いてる時間を確認しに来た瑞鶴とはえらい違いだ。

 

ストーム1「悪い、ちょっと用事ができた。工廠の方に行ってくるよ。」

 

瑞鶴「・・・あ、うん。いってらっしゃい。」

 

そういうわけで、怪訝な表情を浮かべる瑞鶴と別れ、工廠へ行くことへなったのだった。

 

 

~~~工廠~~~

 

 

ストーム1「で?何ができたっていうんだ?」

 

俺が息せき切って工廠に到着したことを知ってか知らずか、

 

明石「まあまあ、焦らない焦らない。実はですねぇ~♪」

 

・・・いつもなら許せるんだが、とてもウザい。

 

ストーム1「・・・また頬を抓って欲しいわけか?」

 

明石「えぇ!?い、いやいやそんなことありませんよ!」

 

そんなに怒らないでくださいよ~と頬を膨らませ、渋々といった様子で『プロトタイプ』とやらを取りに行ったが、文字通り呼びつけた身で何を言ってるんだか。

 

まあ、怒っても仕方ない。ああいう性格だからな・・・。

 

大きなため息を吐いたあと、椅子に腰掛けて明石が帰ってくるのを待っていると、いつの間にか妖精さんが俺の周りでちょこちょこと走り回っていた。

 

特に何というわけでもないので好きにさせていると、俺のヘルメットやバックパックによじ登ったりとやりたい放題だ。

 

それでも我慢していると、やっと明石が奥から戻ってきた。

 

明石「じゃじゃーん!これがストームさんから貰ったデータで作った『アシッド・ガン』で・・・って・・・えぇ・・・」

 

飛び出して来たと思ったら、ドン引きな表情で俺を見てきた。

 

・・・できたらこの妖精たちを引き剥がしてほしいんだが・・。

 

明石「ストームさん・・・そんな趣味が・・・。」

 

ぶっ飛ばすぞ。

 

 

明石「ふぅ。・・・妖精さん、もうこんなことしたら駄目ですからね?次は棟梁に言いつけますから!」

 

見習い妖精A「もうしわけありませんでした。」

 

見習い妖精B「もうしません。」

 

殊勝な態度で、ぺこりと頭を下げる妖精。

 

やっぱり、愛くるしいというかなんというか・・・

 

明石「・・・ストームさん、許してあげてくれませんかね?悪気があった訳ではないですし、実はこの子たち、『アシッド・ガン』の開発を手伝ってくれたんですよね。」

 

ストーム1「まあ、俺は別にいいんだが・・・ってそいつらが?」

 

明石「そうなんですよ。何というか、天才肌?ってやつなんだと思います。」

 

ストーム1「なるほどな・・・。」

 

明石「ま!それはそれとしてですね。これは無補給でも扱えるようにタンク容量を増やしまして・・。」

 

 

~~~妖精視点~~~

 

見習い妖精A「わぁ~!ついについに、わたしたちのおてつだいしたものが!」

 

見習い妖精B「あのすとーむさんに・・・はわあぁぁ・・・。」

 

見習い妖精A「これで、とうりょうさんといっしょにおしごと、できるかもしれないね!」

 

見習い妖精B「そうだね!そしたら、ついにわたしたちも・・・。」

 

 

見習い妖精A「そこ!ちゃんとしごとしなさい!サボってちゃだめよ!」

 

見習い妖精B「うーんとね、ここはこうだね。あとね、ここは直したほうがいいとおもうよ。」

 

部下妖精's「「「ありがとうございます!」」」

 

 

見習い妖精A「かがやかしいみらいが・・・。」

 

見習い妖精B「わたしたちもえりーとさんのなかまいりだね!」

 

そう言って笑い合う二人。

 

ストームが見ていれば、微笑ましいという感想を漏らしていただろう。

 

・・・だが、二人の思考はあらぬ方向へと進んでいく・・・。

 

見習い妖精A「ハッ!」

 

見習い妖精B「どうしたの?」

 

見習い妖精A「とうりょうさんって、『言われる前に仕事をやれ!』っていつもいってたよね?」

 

見習い妖精B「うん」

 

見習い妖精A「あかしさんは『今日は性能テストです!楽しみですねぇ~♪』っていってたよね?」

 

見習い妖精B「うんうん」

 

見習い妖精A「だったら、わたしたちでせいのうてすとをやろうよ!」

 

見習い妖精B「・・・それはいいかんがえかも」

 

見習い妖精A「そーときまれば、いこういこう!」

 

見習い妖精B「わかった」

 

そう言うや否や、明石が置いたアシッド・ガンに手を伸ばしーーーひゅぱ、とでも擬音が鳴りそうな素早さで自らの手中に収める。

 

そして走り出した二匹と、始まった厄介事に明石とストーム1が気づくのは、もう少し後の事だった。

 




あ、先程(9月10日)書き終わったんですが、閲覧数が1万超えてました!

ありがとうございます!これからはもちっとマジメに投稿していこうと思います。

さてさて、アシッド・ガンを持ち出した妖精さん。

またストーム1が迷惑を被ることになりそうですが・・・まあ、そこは主人公なんで仕方ないですね!

次回に乞うご期待!


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第二十四話

テストなんて僕は嫌いです(当然の意思)

二日連続で寝ないとテンションがおかしくなるって学べました。

勉強はもっと前からしてないとだめですね!


夢を、見ていると気づいた。

 

こういうのを「明晰夢」・・・だったか?何かそんな話を第六駆の連中が話していたのを聞いた気がする。

 

そして、この夢は。

 

俺の記憶の中でも、一番印象深いものだ。

 

???「おい、大丈夫か?」

 

あれは昔、俺のことを助けてくれた人。

 

両親をアリ共に殺された時、泣くことしかできなかった俺をシェルターまで連れて行ってくれたんだったな。

 

???「・・・ほら、泣くな。助かりたかったら付いてこいよ?お前が付いてくるんなら、絶対にお前を守ってやる。そうじゃなきゃ知らん。俺だって、仲間が死んで余裕がないんだ。」

 

その人は、夢の中でもとてもカッコよくて。

 

思えば俺は、ずっとあの人に憧れてたのかもしれないーーーー

 

 

明石「・・・・さん・・・ストームさん・・・ストームさん!」

 

ストーム1「・・・んん?・・・ハッ!?俺は何を・・・。」

 

明石「まぁ~ったく、何で私が説明してるのに寝ちゃったんですか!バイザーしててわかりにくかったから、ずっと独り言言ってたみたいで恥ずかしいんですけど!」

 

むくれた顔の明石がプンスカ、という擬音がピッタリな感じで俺をなじってくる。

 

どうやら、寝てしまっていたらしい。

 

ストーム1「あ~・・・。ごめんごめん。俺が悪かった・・・」

 

よ、と言いかけて時計を見る。

 

ストーム1「お前ひょっとして、一時間も延々と喋ってたのか?」

 

明石「・・・別にいいじゃないですか。色々工夫したりしたんですからね。人の話聞かずに寝ちゃう誰かさんよりは大分マシだと思うんですけど!」

 

短い針が十二分の一、進んでいた。

 

気持ちはわかるんだけど・・・長すぎないか?まあ寝ちゃった俺のほうが悪いんだけども・・・。

 

ストーム1「いや、ほんとにごめん。今度は真面目に聞くから、続きを頼む。」

 

こういう時は、言い訳なんかせずにとっとと謝るに限る。

 

明石「しょうがないですねぇ~。ストームさんのた・め・に続きを話してあげますからね。ちゃんと聞いててくださいよ?」

 

嫌味たっぷり・・・だが俺は甘んじて耐えるしかないのだ。

 

明石「仕方ないので実物を使いましょうか。そっちのほうが早いですし、それにーーー」

 

そう言って後ろを振り向いたままの態勢で、固まる明石。

 

ストーム1「どうした?」

 

明石「ソノ・・・ナインデスケド・・・。」

 

青ざめた顔で振り返る。

 

・・・あれは心当たりがある顔だな。

 

ストーム1「心当たりがあるんだろ?・・・なんだ、まあそんな大したことじゃ」

 

明石「あの子たちが持って行っちゃったのかも・・・」

 

ストーム1「まてまてヤバいだろ!最悪誰かにぶっかけるかもしれないじゃねーか!」

 

明石「さ、探しましょう!」

 

畜生寝ちゃった俺にも責任がある!

 

こうして俺と明石は、ピンの外れたグレネードみたいなものを、誰にも気づかれずに探し出す羽目になったのだった。

 

 

~~~一方その頃~~~

 

見習い妖精A「いっくぞ~!」

 

見習い妖精B「・・・いくってどこに?」

 

見習い妖精A「う~ん・・・わかんない!でも、あかしさんにつかまっちゃわないようにとおくにいかなきゃ!」

 

見習い妖精B「わかった。」

 

人間の子供がそうであるように、子供の妖精も疲れ知らず。

 

自分の体よりも大きいアシッド・ガンを担いで走っているというのに、息切れする気配がない。

 

体が小さいので、長く走ってもそれほど距離が稼げていないのがせめてもの救いか・・・。

 

しかし、持ち出したは良いもののどうするかまでは決まっていない。

 

いや、決まっていなかった・・・と言うべきか。

 

瑞鶴「全くストームさんったら、何かも言わず行っちゃうんだから・・・。」

 

訓練を終え缶コーヒー片手に、工廠へ向かう瑞鶴の姿が。

 

見習い妖精A「・・・あっ!わたしおもいついちゃった!」

 

見習い妖精B「なにを?」

 

見習い妖精A「ずいかくさんって、とーってもがんじょうだって、とうりょうがいってたよね!」

 

見習い妖精B「・・・うん。そうこうくうぼだって、いってた。」

 

見習い妖精A「そのずいかくさんがそんしょうしたら、これがつよいってことだよね!」

 

見習い妖精B「あっ!たしかにそうだね!」

 

子供の考えることは時として残虐だ。

 

しかも悪気がない分質が悪い。

 

今回はその無邪気さが、瑞鶴を襲うことになる・・・。

 

見習い妖精A・B「「ずいかくさーん!」」

 

瑞鶴「あれ?妖精さん?なんでこんなところに・・・」

 

見習い妖精A「ずいかくさんって、とーってもがんじょうなんだよね!」

 

見習い妖精B「でねでね、さいしんえい、なんだよね?」

 

ここで「なぜこんなところに妖精がいるのか」という疑問を忘れなければ良かったのだが・・・

 

瑞鶴「まあね!私と翔鶴姉は装甲空母なんだから!」

 

小さい子にキラキラとした眼差しを向けられ、自慢にしているところを聞かれれば。

 

胸を張ってしまうのも無理はなかった。

 

見習い妖精A「じゃあ・・・じゃじゃーん!」

 

瑞鶴「随分大きな水鉄砲じゃない。明石さんに作って貰ったの?」

 

見習い妖精B「うん!」

 

見習い妖精A「ずいかくさん、これでうたれてもたえられる?」

 

瑞鶴「う~ん・・・。」

 

少し考えこむ瑞鶴。

 

瑞鶴(入ってるのは・・・色水?かけられたら色ついちゃうかな・・。でも、艤装を展開してれば最悪入渠すれば大丈夫だよね。)

 

季節は初秋、秋真っ盛りや冬なら流石に拒否していただろうが、色の問題も片付き、瑞鶴が小さな二人の挑戦を断る理由はなくなっていた。

 

瑞鶴「・・・うん、大丈夫よね!どっからでも撃ってみなさい。装甲空母の力、見せてあげる!」

 

そう言い、艤装を展開する瑞鶴。

 

見習い妖精A「それじゃあ、いっくよ~!」

 

見習い妖精B「発射!」

 

発射された酸は、瑞鶴めがけて一直線にーーーー

 

 

 

 

ストーム1「おい!今のって!」

 

明石「悲鳴・・・!あの子たち、ついに・・・」

 

ストーム1「まだなんかやったって決まったわけじゃねーだろ!行くぞ明石!」

 

明石「はっ、はい!」

 

明石にはああ言ったが、俺も心配でならない。

 

あのアリの酸を参考にして作られたアシッド・ガン・・・もしその威力を、工廠班が完全に再現していたとしたら・・・。

 

例え艦娘でさえ、艤装が無ければ耐えられないだろう。

 

明石「確か、この辺りで・・・。」

 

全力ダッシュで悲鳴がした場所に辿り着き、辺りを見回すとーーー

 

ストーム1「おい、あれ!」

 

誰かが倒れているようだ。

 

物陰に隠れていてよく見えないが、あれで間違いないだろう。

 

急いで二人で駆け寄る。

 

そこにいたのは・・・

 

瑞鶴「あ~、びっくりしたぁ・・・。・・・はぇっ!?」

 

ストーム1「ず、瑞鶴・・?」

 

しばし時が止まり、そして。

 

瑞鶴「・・・・。」

 

胸元を隠し、耳まで真っ赤にした瑞鶴がスックと立ち上がる。

 

瑞鶴「ストームさんの・・・」

 

ストーム1「いや、その・・・悪かっ」

 

瑞鶴「バカぁっっ!」

 

ストーム1「グハァッ!?」

 

中破レベルの損害を受けていたとはいえ、艦娘の遠慮なしの一撃・・・それは、俺の意識を刈り取るのに十分な威力だった。

 

気絶する前ーーー最後に頭に浮かんだのは、たった一つ。

 

ストーム1(・・・・なんで俺だけ・・・)

 

 

 

 

 

 

 




はいっ!と、いうわけでサンダーしたのは瑞鶴でした。

自分で書いてて思いましたが、ストームただの役得ですねこれ。

・・・あとまあ断っておきますが、僕瑞鶴持ってないんですよ・・・。

なので、セリフ回しがおかしいかもしれないんですけど勘弁してください。

そして次回は、ストーリーを進めたいと思います。

乞うご期待!


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