宇宙の帝王と召喚少女の奴隷魔術 (マスター亜細亜)
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異世界帝王召喚
「さすが私、召喚に成功したわ」
「いいえ、召喚に成功したのは私です」
(ハッ、ここはいったい、私はフリーザ軍の幹部を集めて、作戦会議をしていたはず)
意識を取り戻したフリーザの目の前には、金髪のエルフの美少女と豹人族の美少女がなにやら言い争っていた。
(スーパーサイヤ人のような髪色の女と獣人の女か…ここは、地球か…いや、孫悟空やベジータ、地球人どもの気を感じない)
フリーザは悟空やベジータ、ピッコロ、クリリン達地球の強者達の気を索敵するが一人の気も感知することができなかった。悟空達が自分たちの気を消すことができることを知っていたが、
(地球の環境に似た星ですが、ここが地球なら孫悟空が瞬間移動で、すぐにでもやってきそうなものですが)
ナメック星以来の宿敵である孫悟空の性格を熟知しているフリーザ。悟空やその仲間たちがやってこないことでここが第七宇宙の地球ではないと確信する。
(さて、ここがどこなのかこの二人から聞き出しますか)
目の前でどちらが召喚したと言い争っている二人に意識を向ける。
「お黙りなさい、このフリーザの前で騒々しい。殺されたいのですか」
フリーザの言葉と共に、圧倒的な闘気と覇気が込められたものが二人を包むが、
「「召喚獣がしゃべったあああ」」
召喚獣が言葉を話したこと事実がそれをまさった。
(やれやれ、私の闘気を浴びて震え上がらないとは…相当な実力者かそれとも、どこぞのサルみたいなおバカさんか……ここで、この二人を殺すのは簡単ですが、この場所がいったいどこなのかわからないいじょう、しばらく生かしておき様子見ですね)
二人は自分達が召喚した召喚獣がしゃべったことに驚く中、フリーザは冷静に今後の方針を練っていく。
「ここがどこなのか知っていることを全てこの私に話してもらいましょうか」
召喚獣が言葉を話したことに呆然としている二人。そして、その時、二人の首の周りが光り光が消えたと同時に二人の首に隷従の首輪が出現した。
「「ええええええ」」
「ほう、これはいったい」
星降の塔頂上で再び美少女二人の絶叫が響き渡る。
「隷従の首輪をつけるのは召喚獣のほうなのに」
「隷従の儀式は成功したはずなのに」
発動した隷従の首輪を外そうと二人は試みるが、外れる気配はない。
「この私を獣扱いとは」
自分の事を下等生物扱いすることに怒りを超えて呆れるフリーザ。彼の強さや恐ろしさをを知る第七宇宙の宇宙人たちが知れば命知らずな発言だと思うだろう。
(隷従の首輪?、パラガスがあのスーパーサイヤ人の力をコントロールするために使っていたもののようなものか)
数か月前、戦った新たなサイヤ人のことを思い出す。身勝手の極意を極めた孫悟空に匹敵する力を持ったサイヤ人を。
「あなたたちが異世界から私を召喚した召喚術とやらはたいしたものですが、如隷従の首輪とやらは私を支配するには力不足だったようですね。それに、隷従の首輪は私の気で反射されあなた達二人に効力が発動したのでしょう」
「そんなの反則だよー」
「同格や格下の相手ならともかくこの私にそんなものが通用するわけありません」
シェラが無駄に胸を揺らしながら嘆く。一方、レムはシェラの無駄肉に少し嫉妬しつつ、首輪の解除方法や今後の事について思考する。
(それにしても、私も甘くなったものです。以前の私なら、こんな無礼な連中は即始末していたはずですが。これもあの孫悟空の影響か、ベジータや破壊神ビルスだけでなく、この私までもが、あのサイヤ人の不思議な力にやられましたか)
「とにかく、ひとまずファルトラに戻りましょう。詳しい話はそこで」
星降の塔の頂上から降りた三人は、現状確認と隷従の首輪の解除の方法を行うため、ファルトラへと向かうことにした。
(ここが、どこの宇宙のどこの星なのかもわからない以上、この女達からこの世界の事を知ることが得策でしょう)
「まだ自己紹介してなかったね。私はシェラエル・グリーンウッド。冒険者を目指しているんだ。よろしくね」
「レム・ガレウです。私は冒険者として強さを示し続ける必要があるのです」
「私は宇宙の帝王フリーザですよ」
フリーザの自己紹介に凄い人物を召喚したとシェラが狂喜する。なお、宇宙という概念はあまりわかっていないもよう。
(孫悟空とベジータの二人と似た凸凹コンビといったところですか)
「自己紹介も終わったところで、シェラさん、レムさん、さあいきますよ」
フリーザは二人の先頭に出てファルトラへと向かい歩く。
「待って、フリーザ。街の方角知らないでしょ」
レムはフリーザがファルトラの場所を知らないことを指摘する。
「あちらの方向に千人以上の数の人間の気を感じます。おそらく、そこがあなたたちのいうファルトラでしょう」
フリーザは振り向かず前を向き進みながら街の方向の気配を探りだし右手で指さした。ゴールデンへの進化のための修行や地獄での精神修行によってフリーザは悟空達と同じ気に関する能力を習得した。今では、気の上限下限のコントロールや気の探知技術等悟空達にも引けを取らないレベルに極めていた。
(街の中に数人と街の近くに百人以上の強い気を感じますが、まあ、私の敵ではありませんね)
「そんなことまでわかるなんてますます反則だよー」
今日何度目かのシェラの嘆き声が上った。
一方、その頃 第七宇宙 破壊神の星
フリーザが突如第七宇宙から消失した事を知っているのは現時点でフリーザ軍の幹部達と破壊神の付き人である天使のウイスだけであった。
「あらあら、フリーザさんどこに行ったのかと思えば、なにやら楽しそうですね」
フリーザが異世界の美少女二人を連れて歩く姿を杖越しにウイスは観察していた。
「何か面白い神チューブの番組でもあったか」
お昼寝を終えてウイスのところにやってきたビルスがウイスに言った。
「ええ、ビルス様これをご覧ください」
「フリーザが映っているが、いったいどこにいるんだ」
ウイスの杖を覗き込みながらビルスは尋ねた。
「第十八宇宙の地球です」
力の大会でMVPとなった17号のスーパードラゴンボールの願いにより力の大会で消滅した七つの宇宙は復活した。そして、かつて、全王様によって消滅させた第十三から第十八までの六つの宇宙も同時に復活を遂げていた。
「どうやってフリーザが別の宇宙にいるんだ。いくらあいつでも他の宇宙に行くのはまだ独力で無理だろう」
本来、宇宙間の移動を行うためには今回のような例外を除き、天使や界王神のサポート、神が持つ神具の移動手段がなければ不可能である。
「どうやら、いくつもの偶然が重なって第十八宇宙の地球に召喚されたようです。本来なら復活した第十八宇宙の界王神や破壊神が他の宇宙同士の接触を防ぐための調整を行っているはずですが、宇宙復活から一年も経ってもませんからいろいろ忙しいのでしょう」
「全王様にもう一度消されないように必死だと聞いたな」
復活後、第十八宇宙の神達と連絡を取って話をした界王神シンからの話を思い出したビルス。
「とにかく、フリーザが別の宇宙で何かしでかす前に迎えにいくとするか。」
他の宇宙へ出向くことはビルスにとって面倒なことであったが、性格が以前より多少マシになったとはいえどフリーザほどの実力者を他の宇宙で放置する危険性を鑑み、ビルスは重い腰を上げることにした。
「わかりました。フリーザさんのこともありますが、ビルス様その前に顔を洗うのと身だしなみはしっかりしてください。復活した宇宙の神々と会うことにもなるのですから」
緊張感と危機感のないウイスの指示にわかったわかったと渋々応えるビルスであった。
※この作品はドラゴンボール超劇場版後のお話です。
※フリーザ様の形態は第一形態です。
※今後の劇場版やドラゴン超二期(仮)、ゲームなどによって設定が変わることがあります。
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第二話 戦闘力53万
「お話を聞かせてもらっていいかしら」
ファルトラにある二人が宿泊している宿屋に到着して間もない頃三人の前に訪問者が現れた。その訪問者は、このファルトラの魔術師協会の長セレスティーヌボードレールであった。
セレスは立ち話もなんですからとフリーザ達は宿屋の一階にある食堂に移動し、そこで、フリーザ達とセレスは話し合うことになった。
「ごはん-♪ごはんー♪まともなごはんー♪」
飯屋のウエイトレスがフリーザ達が座っているテーブルに、食事を置く否やシェラは一番最初に食事に手を出し、そのおいしそうな食事を前にして歓喜の声を上げた。
(やはり、髪の色といい、頭の中身といい、この食べっぷりはあのサイヤ人にそっくりだ)
シェラの豪快な食べっぷりを間近で見て、第七宇宙にいる宿敵達のことを思い出すとともにシェラを見て冷や汗を浮かべるのであった。
食事に夢中なシェラを尻目にセレスはフリーザの事や二人の隷従の首輪について尋ねてきた。
フリーザとレムはセレスの問いに丁寧に答えていった。
「別宇宙の住民、隷従の魔術の反射、大変なことになったわね」
前代未聞の事態にセレスは深く考え込む。
「フリーザさんの力で二人に着いている隷従の首輪を外すことはできないのかしら」
隷従の儀式の魔術を跳ね返す程の力を持つフリーザなら隷従の首輪を解除することができるのではないかとセレスは期待するが。
「私の力で隷従の首輪を破壊できても、無理やり隷従の儀式を解除したことで、何らかの悪影響が発生するかもしれません。あなたこそ魔術師協会の長なら隷従の儀式を解除することくらいできないのですか」
「ごめんなさいね、隷従の儀式を解除する方法は、主が死ぬか奴隷である者が死ぬしか現状ありません」
セレスはレムやシェラに対して、隷従の首輪を解除できないことを謝罪する。
「魔術師協会の長といっても限界があるようですね」
あからさまに失望のジェスチャーを取りつつ、フリーザは言った。
「貴様先ほどからボードレール卿に対してその尊大な態度無礼だぞ」
セレスティーヌの護衛の一人として、ついてきていたガラクはフリーザの不遜で尊大な態度に苛立ち声を上げた。フリーザのセレスに対しての態度や質問への受け答え等一見丁寧なものであったが、フリーザがガラクと同じヒューマンでなかったことと、フリーザから溢れ出る絶対的な自信や余裕がガラクの怒りの琴線に触れた。
「セレスさん、部下の躾がうまくなってないようですね。ですが、セレスさんも無能な部下には苦労しているようで同情しますよ」
「なんだと、貴様」
フリーザの言葉に激高するガラク
「ガラクさん、私は気にしていませんからお下がりなさい」
セレスはガラクを窘める。セレスの発言にガラクは渋々引き下がり、口を閉じた。その表情には、フリーザへの警戒心とプライドを傷つけられたことへの殺意を隠そうとていなかった。
その後、フリーザはセレスはいくつか現状確認とフリーザからの質問に答え、会談は一旦後日改めて行うこととなった。
食事を終えたフリーザは一旦シェラとレム達と離れ、一人街の中を散策していた。そして、亜人が住む区域に広場にたどり着いた。昼の間はここに露店等が並び活気ある場所であるが、真夜中の今は閑静な佇まいであった。
フリーザは広場にある井戸の腰を下ろすと左目に装着するスカウターを通信機能を起動し、惑星フリーザに超光速通信を試みる。
(やはり、繋がりませんか)
しかし、何度か繰り返し、フリーザ軍に通信を試みるが一向に繋がる様子はなかった。スカウターの機能をOFFにしフリーザはそのまま考えこむ。
(この地で帰る方法が見つからない以上、あの天使が迎えに来るか、部下がドラゴンボールを使って第七宇宙に私を呼び戻すことに期待するしかありませんね。まあ、第七宇宙の神々も私の存在を放置する訳にはいかないでしょうし、気長に待つとしましょうか)
現状に楽観的とはまでいかないが、自身の存在を脅かすほどの相手がこの世界から感じないフリーザは気長に待つという選択肢を選んだ。
「それにしても、そこにいるのはわかっていますよ。出てきなさい」
宿屋を出た時から、自分を付け回していた存在にいい加減うっとうしさを感じたフリーザはその追跡者達に向かって言った。
フリーザの言葉に数人の男たちが物陰から現れた。その中心にいた人物は昼間セレスの護衛としていたガラクであった。
「確か、あなたは魔術師協会のガラクさんでしたね。私に何か御用ですか」
「貴様のような亜人には用などないが、昼間おまえを一目見た時からお前のような亜人は気に入らなかったのだ」
酒気を帯びているガラクは普段よりも高揚しており、今にもフリーザに魔術を使って攻撃しそうな勢いであった。
「やれやれ、また、亜人や魔獣呼ばわりですか。この私を下等生物扱いとはいい加減怒りますよ。シェラさんやレムさん達ならともかくあなたのような小者に言われると尚更です」
フリーザは尻尾を地面に叩きつけ、ガラクを煽った。フリーザの態度や行動はとうとうガラクの怒りの沸点を超えた。
「くっ、無礼な態度はここまでだ」
ガラクはベルトケースから召喚獣を召喚するためのクリスタルを取り出し、地面に投げつけた。
地面にぶつかり割れた水晶、それと同時に水晶の落下点に召喚術の魔法陣が現れ光と突風が発生した。
光と風が収まるとともに現れる巨体。ガラクの召喚獣、レベル30のサラマンダー。
「見たか、これが私の最強の召喚獣サラマンダーだ」
「ほう、驚きました。この世界の人間は召喚術に長けているのですね」
フリーザがガラクの召喚術に関心を持つ一方で、ガラクはフリーザがサラマンダーの姿を見て、恐れおののき自分に対して許しをこうを事を期待していたが予想外の反応に困惑していた。
「やれ、サラマンダーやつを黒焦げにしろ」
ガラクの命令でサラマンダーはフリーザに向かって火炎のブレスを放った。
放たれた火炎のブレスはフリーザに向かって寸分違わずに着弾する。
「ところで、私がいた世界ではレベルではなく、戦闘力というものがありましてね。例えば、あなたは戦闘力はそうですね…たったの5といったところですかね」
煙が収まりガラクの目に映ったのは無傷の姿のフリーザであった。フリーザどころかスカウターや戦闘服にさえ傷一つつけることができなかった最強の召喚獣(笑)
火炎ブレスなど何事がなにもなかったのようにフリーザは、ガラクの反応を無視して話を続けている。
「それがどうした」
フリーザの言葉に対して、虚勢を張るガラク。
「まあまあ、あなたの召喚獣を片付ける前に参考として、あなたがたてついたこの私の戦闘力数をお教えしておきましょうか」
そして、一瞬の間を置いて淡々と事実を言った。
「私の戦闘力は53万です。むろんこの数値がフルパワーという訳ではありません。それに、手加減して差し上げますよ」
「53万、そんなのはったりだ、やっ、やれサラマンダー」
ガラクの命令でサラマンダーはフリーザに向かって強力な必殺の火炎のブレスを放つ。
「無能な主に仕えたことをあの世で後悔しなさい。サラマンダーさん」
ポーヒー
火炎ブレスがフリーザに到達する前にフリーザ右腕を前に突き出し人差し指から、小さなエネルギー弾を放った。放たれたエネルギー弾はサラマンダーの火炎とぶつかり、火炎を消滅させながら、サラマンダーの体に達し、体内へと消えた。そして、突如サラマンダーに動きに異変が生じた。
「サラマンダーどうしたあいつを叩きのめせ」
ガラクは再度サラマンダーに対して命令を出すが、フリーザのサイコキネシスによりサラマンダーは一ミリも動くことが出来ずにいた。
「さあ、楽にしてあげますよサラマンダーさん。死になさい」
フリーザは指差した手を一度開き、すぐに拳を強く握った。
すると、サラマンダー苦悶の表情を一瞬見せたと思いきや、フリーザのサイコキネシスによって爆殺された。爆殺されたサラマンダーの焦げた肉塊や死臭や煙がガラク達に降り注ぐ。
「ひぃぃ、お前一体は何者なんだ」
フリーザによって自慢の最強の召喚獣が簡単に倒されたことにガラクはその場にへたり込む。彼と付き添っていた魔術師協会の仲間たちもフリーザの力を目のあたりにして、一目散に逃げるかガラク同様その場で放心するしかなかった。
ギュピギュピギュピギュピ
爆発が収まり、フリーザはゆっくりとガラクへたり込んでいるところまで近づく。
「私とセレスさんとの話を聞いていなかったのですか」
フリーザの問いにガラクは恐怖のあまり答えることができなかった。
「私は宇宙の帝王フリーザです」
冷笑を浮かべた表情でフリーザはガラクに対して言った。
時系列は前後入れ替わり、レムさんへの拷問?パートは次回に繰り越しとなります。
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第三話 拷問
「どこへいっていたのかしら、フリーザ」
ガラクのサラマンダーを返り討ちにしたフリーザは、二人が泊まっている宿屋へと戻ってきた。時刻はすでに日付が変わりシェラはすでに部屋に一つだけのベッドで熟睡していた。
「ただの夜のお散歩ですよ。レムさん」
「先ほど何度か広場の方から大きな音が聞こえてきましたが何かありましたか」
「少し、セレスさんの付き人のガラクさんと遊んでいただけですよ」
フリーザがあっさりガラクと戦ったことを認めたことにレムは驚く。食事に夢中であったシェラはともかく、フリーザとガラクのひと悶着を見て、今後何か二人が問題を起こすとレムとセレスは感じていた。その日の夜にまたひと悶着起こすとはさすがのレムやセレスも想定外であったが。
「ところで、レムさん一つ聞いておきたいことがあるのですが」
ガラクの事などすでに眼中にないフリーザはレムに尋ねた。
「何ですか」
ガラクとの外での出来事を追及したかったレムであったが、フリーザの質問に答えることにするが
「あなたの体から感じるあなた自身の魔力とは別の禍々しいエネルギーの正体は何ですか」
レムと星降りの塔で出会った時から感じていたレムの体内から発せられる莫大な気の正体についてフリーザは気になっていた。これまではこの転移してきたこの世界についての把握を優先していたため、このタイミングとなった。
「……何の事ですか」
フリーザの問いにレムが表情は険しくなる。レムの様子の変化もおかまいなくフリーザは問いづづける。
「とぼけてはいけませんよ。昼間のあなたに対するセレスさんの態度とあなたとのやり取りを見て直観しました。あなたには特別な力を持っていると」
レムとセレスとの並々ならぬやりとりはフリーザにも看過することはできなかった。
「……」
フリーザから視線を逸らし、レムは黙り込む。
「私の質問に答えなさい、このフリーザに隠し事はできませんよ」
フリーザは威圧的にレムに言った。しかしレムはかたくなに何も語ろうとしなかった。
「……いいたくありません。語ればあなたも私からきっと離れてしまう」
「仕方ありません……それでは、話したくなるようになってもらうしかありませんね」
フリーザは拷問中抵抗できないようにレムに向かってサイコキネシスで動きを止めた。
「体が動かない、いったい何をしたの」
レムは必死に体を動かそうと抗うが、悟空やジレンの動きでさえ一時的に止めてしまうフリーザの強力なサイコキネシスの前で、レムは指一本動かすことが出来なかった。
「ご安心を、ただの超能力です」
レムの動きを完全に止めたフリーザは、レムへの拷問を考え始める。
(さて、どうレムさんの口を割らせますか。痛めつけて秘密を吐かせるのも芸がありませんし)
その時、フリーザの視界にレムの獣耳と尻尾が目に止まった。
(確か、獣人タイプの宇宙人は獣耳と尻尾が敏感と聞いた事がありますね)
帝王として数多くの星々、民族を支配したフリーザは、力だけでなく知識においても宇宙でも有数の博識であった。
フリーザは、レムの右耳をつかみやさしく弄りまわす。フリーザの行動にレムは我慢できず、喘ぎ声をあげぐっとフリーザが行う拷問に対して耐えていた。
(想像以上のもふもふ感これはくせになります)
「私の見立て通り、痛めつけるよりこのように責めたほうがあなたには効果的なようですね」
フリーザのいっこうに終わる気配のない責めにレムはか弱い声でやめるように懇願するが、フリーザはまだレムが口を割らないと判断し拷問を続ける。
(ドドリアさんと違ってチクチクごつごつしてなくていい…ドドリアさんの体触ったことないのですがね)
ナメック星で死んだかつての忠臣の事をなぜか思い出すが、すぐにもふもふ感が再びドドリアを記憶の彼方に戻していった。
初めてのもふもふ、ふさふさ体験に思わず熱中してしまうフリーザ。フリーザの圧倒的拷問術に耐えるレム。拷問は永遠に続くかと思われたが、
三分後
フリーザのもふもふ責めの拷問(?)を受けたレムは、顔が上気し頬は赤く染まり、恍惚とした表情をしていた。フリーザのもふもふ責めにより全身の力が脱力しソファーに横たわっていた。
「そろそろお話する気になりましたか」
一通り拷問を行ったフリーザは、目の前で横たわるレムを見下ろし言った。すでにフリーザのサイコキネシスをレムから解除している。
「フリーザ……あなたは受け止めてくれるというのですか…何があっても、真実を知っても私の前から逃げないと言ってくれるのですか」
「ホーホッホッホッ、どんな事情があってもこの宇宙の帝王フリーザが粉砕してあげますよ」
高笑いを上げながらフリーザはレムに宣言する。
「なぜ、あなたはそこまで私に」
「至極簡単なことですよ。私の力によってあなたたち二人に隷従の首輪が付き私の奴隷をなったのですね」
「ええ」
レムは頷く。
「つまり、あなたたちは私の所有物であり、部下です」
「私はあなたの所有物で部下ですか」
「そうです。私の部下となったからには、それに手を出したものには誰であろうと私が代わって制裁して差し上げますよ」
「あなたは変わった人ですね」
「それとこの私が守って差し上げるからには、それに見合った労働をあなたたち二人に求めますが」
フリーザの態度や言動にレムは、これまで一人で抱えてきた問題を目の前にいる人なら打ち明けてもいいのではないかと思い始めていた。このフリーザなら今の私を救ってくれる存在になりえるではと。
「私の体の中には魔王クレブスクルムの魂が封じられているのです」
覚悟を決めたレムはフリーザに家族やセレス以外に魔王クレブスクルムの事を久々に話すこととなった。
「魔王クレブスクルムとは」
フリーザはまず魔王クレブスクルムについて質問した。
「私の冒険者としての最終目標は、私の体の中にいる魔王クレブスクルムを倒し、二度と復活しないよう魂を消滅させることなのです」
フリーザはレムの自身に封じられている魔王への使命や覚悟を感じ取った。
「なるほど、あなたの境遇や魔王クレブスクルムについてはわかりました。レムさん、あなたの中にいる魔王とやらに興味を持ちました」
「えっ」
自分の体に魔王がいることを知り、自分から逃げたりするのではなく興味を持ったといったフリーザにレムは驚いた。こんな反応をしたのはフリーザが初めてであった。
「安心してください。このフリーザが私があなたの中にいるクレブスクルムを倒してご覧にいれましょう」
高らかに魔王討伐を宣言するフリーザ
「なぜ、」
「簡単な事です。あなたの体内から感じる気の持ち主の姿が見たくなったのと、私をこの世界に召喚する原因となった存在に私の圧倒的力を見せつけて絶望させてやろうと思いましてね。何百年ぶりに復活し力を取り戻した瞬間に宇宙一の力を持つ私の力でね」
「本当にできるのですか」
フリーザが強いことはレム今日一日の出来事で分かっていたが、魔王クレブスクルムを倒せる程の力を持っているとは思えなかった。そんな心境のレムをフリーザは見透かしある行動に移った。
「まずは、あなたに私の力を知ってもらうために、少し、場所を変えましょうか」
突如レムはフリーザに腕をつかまれた。そして、
ファルトラ郊外
「今の一瞬でここまで移動するなんて」
ほんの一瞬、フリーザに腕をつかまれ、瞬きをした瞬間先ほどまでにいた宿屋の部屋から、昼間三人で歩いていたファルトラ郊外の平原にレムとフリーザは移動していた。突然の環境の変化にレムは、動揺するが、この現象をフリーザの仕業だと確信した。
「大したことはありませんよ。ただの高速移動とサイコキネシスの応用です。サイヤ人が使う瞬間移動程ではありませんが」
「いったいここで何をするのですか」
フリーザの言葉にあったサイヤ人や瞬間移動という見慣れぬ単語も気になったが、フリーザがここに自分を連れてきた理由を真っ先に尋ねた。
「簡単なことです、私の真の力をあなたにお見せしようと思いまして」
両腕を大きく横に広げフリーザは言った。その表情には自身の持つ力への絶対的自身が現れていた。
「フリーザの……真の力……」
「私はこの姿からあと四回変身することできまして、今の力とは比べ物にならない程のパワーアップをすることができます」
フリーザの言葉に息をのむレム。フリーザと出会ってまだ一日も経過していなかったが、これまでの彼の言動や先ほどのガラクとの戦闘の事、今いる場所への高速移動などからフリーザが嘘やはったりを言っているとは思えなかった。
「レムさん、光栄に思いなさいめったに見られるものではありませんよ」
はああっという掛け声とともに力を込めはじめ、フリーザの体に変化が起き始める。身長は先ほどの倍以上に伸び、体つきも一回りも二回りも太くなった。
「これが私の第二形態です。戦闘力は軽く先ほどの倍以上はありますのであまり私に近づかないように」
ナメック星のときとは異なり、口調が第一形態や最終形態と同じ話し方をするフリーザ。復活後の修行によって第二、第三形態においても平常心を保つ事に成功しさらなる力の向上とコントロールの上達に繋がった。
「あっあっあっ……フリーザからこれほどの魔力が……私やクレブスクルムの魔力とは次元が、次元が違いすぎます」
フリーザの圧倒的な力の前に、レムは立つのが精一杯であった。少しでも気を抜けばフリーザから溢れ出る闘気によって意識は持っていかれることになるだろう。
「これくらいで驚いていては、きりがありませんよ。私の真の力はまだまだこの程度ではありません」
フリーザはレムの反応に満足げな表情な取りつつ、第三形態への変身に取り掛かる。更に力を高まる
その夜、レムは異世界であるこの第十八宇宙の人間でフリーザの本気の力を見た人間となった。
かつて、第七宇宙最強の力を持って恐れられた帝王の力を。神の力と伝説の力を合わせ持った宿敵や破壊の神をも超える別宇宙の超人を倒すために使った黄金の力をレムはその目で焼き付けるのことになった。
そして、その力はるか遠く第十八宇宙の破壊神の星の元と第十八宇宙へ向かっているビルス達にまで届いたのであった。
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