Another Century's Episode:The X (天羽々矢)
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Prologue
エースって言葉を知ってるか?
どっかの誰かさんは、この人間には3つのタイプがあるって言ったらしい。
強さを求める奴
プライドに生きる奴
戦況を読める奴
この3つだ。
でも、俺はそんな連中がエースなんて思わないね。
何故なら、この世界は腐り切ってる上に誰もそれを変革しようとしない。
どんなに強くても、プライドが高くても、今の状況が分かってても動きやしない。
消されるのが怖いからだ。
――――――とある少年の言葉より抜粋。
****
世界は混沌に満ちている。
新暦99年、脆弱化した時空管理局に代わり各世界の大企業が集結。時空管理局を吸収し新たな1つの組織が立った。
『時空統治連合』
時空連や連合とも呼ばれるこの組織は最初こそ治安と秩序の維持に貢献したが、形骸化が進みかつての管理局の理念を捨て各次元世界へと侵攻、その殆どを手中に収めた。
その手段に反発した人々はこれに対抗・打倒すべく各々の反動勢力を組織。連合を衝突を繰り返していた。
誰もが正義となり、誰もが悪となる。
そして誰もが被害者にも、加害者にも成り得る。
平和とは、秩序とは何か。
****
第3管理世界と呼ばれる世界ヴァイセン。この都市の廃棄された地下鉄路線。廃棄されたとだけあり中は1部崩落していたり天井のパイプに亀裂が入りそこから水が漏れ出ていたりする。
その廃線を進む1つの影。
それは人の形をしたロボットであった。
脚部のジェットエンジンを吹かし床を滑走するように移動している。
そしてそのロボットの操縦席に居座る1人のまだ年端も行かない青年。
綺麗に梳かれた黒色のショートヘアに黒茶色の瞳を持った男、
そして彼のかるロボットは「VF-19A エクスカリバー」。時空統治連合が開発した可変戦闘機と呼ばれるカテゴリーに属する機動兵器であるが、どういう訳か今は連合に属していない彼の手にある。
【上手くいきましたねトーヤ様】
「あぁ、一先ずはなリン」
青いランプが点滅する携帯端末から女性の声が聞こえ青年に声をかける。
その声は青年をトーヤと呼んだ。
青年の名は羽切トーヤ。そして声をかけた女声の主はリンと呼ばれた。
だが、そんなトーヤの背後から接近する影が。
《隊長、トンネル内でターゲットを発見しました》
それは鋼鉄の装甲を纏った5~7メートル程の逆関節の巨人。
左手には左側面に弾倉が付けられたライフル、右手には上部に弾倉が付いたライフルをそれぞれ持ち、胴体に付いているブースターを吹かし左隣のレーンへ移動する.
《地下のテロリストめ・・・。秩序を乱す汚物は消去されるべき。それが我々、警備部隊の役目だ》
《了解、撃破します》
隊長と呼ぶ男の指示を受け、巨人はブースターを更に吹かしVF-19Aを猛追する。
それにトーヤも気づいた。
「警備部隊の
トーヤの言ったアーマード・コア。
これは連中が管理世界から発掘した古代技術をベースに作り上げた汎用機動兵器であり、胴体をコアに頭部、腕部、脚部等と言った各部位をユニット化する事で地形を選ばない高い汎用性を実現できている。
それが自分の背後から猛追してきている。
「ここで逃げても埒が明かない、リンは先に行け、後で合流だ!」
《了解》
先にACを片付ける事にしたトーヤは、ヴァイセン上空で待っている2ローターの大型ヘリコプターを操作するリンに指示を飛ばし、リンは指示通りヴァイセン上空から移動を開始。
トーヤは機体を反転させ、バックしながら滑走し出口を目指す。そしてその視線の先には追い付いてきた警備部隊のAC。逆関節脚は追加ブースターにより高い推進力を得る上に全高はロボットであるVF-19Aよりも小型であり狙いずらい。
だが、事は単純でなく、VF-19Aにはエンジンで発電した電気を用いて強化されるエネルギー転換装甲が用いられており通常の兵器より強固だ。
お互いの長短所を比べれば、アドバンテージはより小型なACにあるだろうが、最終的な結果はパイロットにゆだねられる。
トーヤが逃げ、ACが追う布陣での戦闘になる。
柱を遮蔽物に互いに銃の打ち合いになる。だがパイロットの腕ではトーヤの方が勝っているようだ。
敵は狙ってはいるものの弾は壁や柱に当たってばかりいる。対してトーヤは柱間を縫うように移動しながら的確に狙っていく。
そしてお互いに同一レーンに飛び出した時にトーヤが勝負に出た。
脚部のエンジンナセルに当たる部分のカバーが開き、そこからCHM-2 高速機動ミサイルが発射される。
ACはブースターを使って回避しようとするがトンネルという閉所である上に辺りには瓦礫も散乱している。
その瓦礫に足を取られバランスを崩した所にミサイルが迫る。
そしてミサイルが直撃しAC各所から炎とスパークが上がる。
それでも執念でVF-19Aを追おうとするACだったが爆発が起きて右腕が外れる。そしてバランスを崩して左に流され壁に接触。何メートルか引き摺って左腕も外れる。そのまま進み正面の瓦礫の山に突っ込み転倒。そのまま動かなくなった。
トーヤはそれを見届けた後にその場を後にする。
「リン、追っては片付いた。すぐ行く」
《分かりました》
リンと軽い会話をし、丁度出口らしき光も見えてきた。
そこでトーヤはVF-19Aを戦闘機の姿へ変形させ空へ飛び立っていった。
・・・え~また性懲りもなく新作投下です。
ただ今回はガス抜きレベルですので。
それとこの作品に関するお知らせを活動報告欄に上げました。
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Episode01 ファースト・ミッション
そこへトーヤに接触する影が・・・。
OP:DREAMS/ROMANTIC MODE
ヴァイセン郊外にある崩落した遺跡鉱山地帯にガウォークのVF-19Aと大型ヘリが留まっている。
そして背が高めの岩に腰を下ろしているトーヤの姿が。
そして彼の傍らに置いてある携帯端末の画面には腰まで届く銀髪とつり気味の赤い目をし、抜群のスタイルを持った若い女性がいる。これがリンの姿だ。
2人は一先ず追ってが来ていない事を確認しここで休んでいたのだが・・・
「ようやっと見つけたぞトーヤ!」
トーヤに声をかける14歳くらいの少女の姿が。
ポニーテールにしたキャラメル色の髪と翡翠色の瞳、やや気の強そうな子だ。
「何だどこぞの突進のじゃ娘か」
「だ、誰じゃそいつは!?」
「お前だドアホ」
突っかかってくる少女をトーヤは軽くいなす。
少女の名はリーナ・レヴェントン。かつての
「で、何の用だ?」
「何のとはご挨拶じゃの。今日という今日は・・・」
「断る」
「即答!?まだ何も言っとらんぞ!?」
「分かるんだよ、どうせ俺を依頼に引っ張る気だろ?」
面倒くさそうにトーヤがリーナに返す。
実は彼、リーナによく付きまとわれておりその度に一緒に依頼に行けとせがまれている。
彼女もパイロットとして活動しているのだが、問題があった。
「なんじゃ、わしと行くことの何が不満じゃ?」
「全部だ。燃費も考えねぇで突っ込んで・・・フォローする身も考えろよ」
話にあったように、リーナは後先考えず突撃する傾向が強い。
その為、彼女と僚機を組んだ者は気苦労が絶えず評判は良くない方だ。
「ぬぬぬ・・・!ならどうすれば一緒に依頼を受けるんじゃお前は!」
それでも納得のいかないリーナはトーヤに食ってかかる。
それに対しトーヤは溜め息をつく。
「だったらその突進癖を直せ」
「あれでも気を付けてるつもりじゃ!それにそんなチマチマやるのはわしには合わん!」
熱弁するリーナにトーヤは何やら準備を始めた。
「大体、何故チマチマやらないかんのじゃ?連合なんぞわしにかかれば・・・」
そこでヘリのローター音とタービン音が聞こえだす。
そこでリーナがその音の方を見ると、トーヤがVF-19Aのエンジンを始動。リンをヘリに転送して動かさせていた。
「あ、おいコラ!!」
静止しようと駆け寄ろうとするが、先にVF-19Aとヘリが飛び立つ方が早かった。
リーナは左腕で顔を覆い粉塵を防ぐが、それが止んだ頃にはトーヤは上空にいた。
悔しさを隠せず捨て台詞に一言。
「諦めんぞわしは!絶対組んでもらうからな!!」
***
「ったく、女ってのは全く分からん」
VF-19Aのコクピットの中でトーヤが呟いた。
以前からリーナは自分と組みたがっていたが、何故そこまで自分に拘るのかが分からなかったのだ。
【リーナさんは、トーヤ様との方が安心できるのではないでしょうか】
「何で俺なんだよ。俺より腕の立つ奴なんざいくらでもいるだろ」
その言葉にリンは軽く呆れる様子を見せる。
AIとはいえリンも女性。リーナの気持ちも多少なりとも分かるのだろう。
そんなリンを後目にトーヤはリン不在の端末を見て、ネットワーク上に出ているミッションを見る。
ミッションの内容はネットワーク上で簡単に確認できるようになってはいるが、それはあくまで簡易的な説明であるため詳細を確認しそれを受注するにはダイナーや酒場等の人が溜まるような場所にいる仲介人に話をつけなくてはならない。
その上ネットワークも馬鹿でなく、不用意に活動すれば時空統治連合に所在がバレる危険もある為よくアドレス等の所在を変更する。
だからか最近は依頼はネットワークで確認せず、ぶっつけ本番というケースも珍しくない。
トーヤは一通り目を通した中で1つのミッションに目を付けた。
内容は次元港に駐屯する連合勢力。だがトーヤが目を付けたのは内容ではなく既にそのミッションの受注手続きを終えた参加候補リスト。
その候補者はモビルスーツを駆るようで、あまり評判は良くないが腕は確かなようだ。
トーヤはそのミッションを受注すべく近くの酒場へ移動。
VF-19Aの見張りをリンに任せ酒場内のカウンターにいる仲介人の所へ向かう。
***
ミッションを説明する。
今回の雇い主はヴェノム、そう、反時空連を掲げる反動勢力からだ。
目標はヴァイセンの次元港に駐留する時空連部隊だ。今回の報酬は歩合制だ。撤収命令があるまでは好きなように暴れてくれ。部隊の損害が大きければそれだけ報酬も高くなる。
未確認だが、次元港内で新型MSが調整されているとの情報もある。もし本当なら特別報酬の対象だ、逃がすなよ。
***
ヴァイセン次元港。トーヤとしては脱出してすぐ戻る事になるとは思っていなかったが依頼となれば仕方ない事だろう。
《VF-19のパイロット、今回はよろしく頼む》
建物の影に隠れている中、反対側の建物に隠れるMSから通信が入る。それは今回のミッションに同伴する僚機だ。
同一のミッションを複数の人物が受注した場合はその人数でミッションを遂行。行動はサーチャー等でモニターされ活躍により分配される配分も変わってくる。
「ああ、一応自己紹介だけしとくか。羽切トーヤだ。よろしく」
《俺は朝倉カズマ。カズマでいい》
「了解だ。今回は頼むぜカズマさんよ」
【時間です、ミッション開始。駐留している連合軍を攻撃してください】
上空からヘリで警戒しているリンからトーヤとカズマにミッションのゴーサインが出される。
トーヤとカズマがそれぞれ建物の影から飛び出し停泊中の連合艦を攻撃していく。
《可変戦闘機にMSだと!?》
《クソ、バルチャー共か!》
突然の襲撃に連合は対応が遅れ、その間にもトーヤはガトリングガンポッドを掃射。カズマは自身の乗機であるジェガン改の肩部ミサイルポッドとビームライフルを連射する。
トーヤとカズマはそれぞれ別の方へ行き艦艇を攻撃。その大半は整備中で発進準備を終えていない為攻撃すらできない艦だ。
「泊まってる艦ばっか。まるで演習だな」
《そうはいかなそうだぞトーヤ》
《各隊へ、待たせたな。これよりバルチャー共の迎撃に向かう!》
そこに連合のXL級次元航行艦からMSが1機発進。
それは全高25メートルを超える、多数の武装を取り付けた機体。
「あれは、MSか!?」
《どうやらそうみたいだ。それに武装も大量に積んでいる、一筋縄ではいかなそうだ》
2人は出現したMSを警戒。そこにリンから通信が入る。
【映像を確認しました。データに該当する機体は無し。新型機のようです】
《来いバルチャー共!このSガンダムが相手をしてやる!》
敵MS、Sガンダムのパイロットは大腱部ビームカノンを取り出した。
トーヤも覚悟を決めガトリングガンポッドの弾倉を交換。カズマのジェガン改も改めてビームライフルを構えた。
ED:トリカゴ/リーナ・レヴェントン(CV:水瀬いのり)
今回は少しながら応募していただいたキャラを出しました。
侑輝様、ありがとうございます!
募集はまだ続いておりますので詳細は活動報告の方へ。
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Episode02 激闘 ヴァイセン
そこで2人の前に立ちはだかるは、連合の新型機であるSガンダム。
OP:DREAMS/ROMANTIC MODE
《覚悟しろバルチャー共!!》
Sガンダムがオープン回線で煽ってくると同時に右腕に持つビームスマートガンをVF-19Aとジェガン改に向け発射。
2機はそれぞれ別方向に回避するが、そこへ準備を終えた連合のMS,スタークジェガンやジム・クゥエル、ジェスタ・キャノンも参戦してきている。
「やべぇ、このままだとじゃ共倒れだぞ!」
《ここは一旦散るぞ、後で落ち合おう!》
「了解、くたばるなよ!」
トーヤとカズマは別方向へ散り、それぞれMSの相手をする。
だが、トーヤの乗機は可変戦闘機。MSが携行するビームライフルはとてもではないが防ぎきれない。1発でも掠れば致命傷になりかねない。
だがそれはMSも同様のはずだ。トーヤは追ってきたスタークジェガン1機とジム・クゥエル1機、ジェスタ・キャノン1機を相手に徹底的に動き回る。幸い大気圏内の為に活動時間に制限は無い。
《クソ、ちょろちょろと逃げんじゃねぇ!》
逃げてばかりで攻撃が当たらない連合のパイロットは徐々にフラストレーションが溜まっていく。
そこへVf-19Aが1機のジェスタ・キャノンの背後で止まる。
《そこかぁ!!》
それに気づいたジェスタ・キャノンがすぐに振り向きビームライフルを向けるが、その前にVf-19Aが回避すると同時にジム・クゥエルが撃ったビームライフルがジェスタ・キャノンの右腕に命中し持っていたビームライフルを腕ごと落としてしまう。
《なっ!?おい何やってんだ!?》
《し、仕方ねぇだろ!?そこに突っ立ってる方が悪いんだ!!》
《んだとぉ!?》
フレンドリーファイアを起こし仲間割れしている所にトーヤのVF-19Aがビームライフル目掛けダッシュ。
ジェスタ・キャノンのビームライフルはエネルギーパック方式である為VF-19Aでも使用できる。
Vf-19Aがビームライフルを取り、右腕を失ったジェスタ・キャノンへ肉迫。
《や、やめろ!来るなぁぁぁっ!!》
ビームライフルをコクピットへ突きつけそのまま発砲。ビームがジェスタ・キャノンのコクピットを貫き糸が切れた人形のようにその場に倒れる。
《この野郎!よくも仲間をやりやがったな!!》
味方が撃破された事に更に激昂したジム・クゥエルのパイロットはビームライフルとビームキャノンをVF-19Aの足元へ連射するが、トーヤはそれを巧みなペダル操作で回避続け隙を見て一気に懐へ飛び込む。
そして左脚部でジム・クゥエルを蹴って体勢を崩した所へ再びビームライフルを発射。肢体を撃たれそのまま転倒、行動不能となった。
《おい冗談だろ、バルチャー1人に2機もやられたってのか!?》
残ったスタークジェガンのパイロットは現状況に理解が追いつかない。
だがそれでもトーヤだけでも撃破しようとビームライフルを向ける、しかしVF-19Aは倒れたジム・クゥエルを盾にするように起こしその影に入る。
《や、やめろ、撃つなぁぁぁ!!》
ジム・クゥエルのパイロットが味方のスタークジェガンに叫ぶが無線が壊れていた為に届くはずもない。
無慈悲にもスタークジェガンから閃光が放たれジム・クゥエルのコクピットを貫いた。
コクピットを貫かれたジム・クゥエルはしばしのスパークの後に爆散。
《やったか・・・!?》
思わずスタークジェガンのパイロットは安堵するがそれが致命的な隙だった。
爆炎の中から何かが飛び出しこちらに向けて飛んでくる。
それがビーム刃が展開されたビームサーベルだと理解した時にはビームサーベルの刃がスタークジェガンのコクピットを貫いた。
スタークジェガンの眼から光が失われその場で倒れこんだ。
そして収まってきた炎の中にはVF-19Aの姿が。
ジム・クゥエルのビームサーベルにはグリップにエネルギーCAPシステムが搭載されておりエネルギーの貯蔵が可能になっている。それにより短時間ではあるがVF-19Aでも使用できたのだ。
トーヤはそれをスタークジェガンに向け投げたのだ。ほとんど賭けだったが上手くいったようだ。
カズマの方も何とか3機とも片付いたようだが、両肩のミサイルポッドは空になった為にパージされていた。
「無事だったか」
《そちらもな。お互いしぶといな》
トーヤとカズマ、互いに軽口を叩き合う。
残るは新型機のSガンダムのみだが、当の機体本体がない。
「・・・逃げたか?」
トーヤはが周囲を警戒するが、何処にも見当たらない。
とうとう逃げたかと未だに持っていたビームライフルを降ろそうとした時だ。
《!上だっ!!》
カズマが叫んだ。
上空から太陽を背にSガンダムが急降下してきている。
Sガンダムは持っていたビームスマートガンを発射。標的はトーヤ。
2機はそれを回避しSガンダムは2機の間に割り込む形で着地。そして頭部から何かが出てくる。
オールレンジ攻撃兵装のインコムだ。
トーヤはそれに気づき、機体を捻らせ紙一重でインコムから放たれたビームを回避。
《インコムの攻撃を読んだってか!》
ビームを撃ったインコムはSガンダムの頭部に戻る。
だが、その際中に光る糸のような物をトーヤとカズマは見逃さなかった。
「ワイヤー?」
《有線操作か。ならワイヤーを切断すれば終わりだ》
《何話してるか知らんが、終わりだ!》
再びSガンダムの頭部からインコムが射出され標的をトーヤに設定。インコムがVF-19Aの背後に回ろうとする。
しかしそこでカズマのジェガン改が右腕に内蔵されているビームサーベルを展開。そのままインコムのワイヤーへダッシュしビームサーベルでワイヤーを切断。それにより制御を失ったインコムは地面に落ちる。
《クソ、よくもやったな!》
Sガンダムのパイロットはジェガン改にビームスマートガンを向けるが、そこでジェガン改の背後からVF-19Aが飛び出し、構えているガトリングガンポッドでビームスマートガンを撃つ。
兵装は構造上、強固に設計できない。可変戦闘機の武装でもMSの兵装を破壊する事は可能だ。
ガンポッドから放たれた銃弾がビームスマートガンを撃ち抜き手元で爆発。それに煽られSガンダムが体勢を崩した。
そしてその爆炎からカズマのジェガン改が飛び出し、右脚でSガンダムを蹴り仰け反らせ、そこにビームライフル下部のビームガトリングを叩きこむ。
《うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!》
パイロット断末魔が響き、コクピットに多数の風穴が空いたSガンダムは後ろへゆっくりと倒れていく。
その後動く事はなかった。
それを確認し一息ついたトーヤにリンから通信が入る。
【敵の新型MSの撃破を確認。素晴らしい戦果です】
「・・・今回はカズマのお陰だ。俺だけだったらヤバかったぜ」
《俺も同じような物だ。礼をいう、ありがとう》
トーヤの言葉を聞きカズマが謝礼を述べる。
しかしSガンダムと他のMSに気を取られていた為に残っていた連合の艦船には逃げられてしまった。
トーヤはすぐに機体をファイターに変形させようとしたが、
【作戦時間終了。ただちに撤収してください】
リンから撤収の指示が入った。時間切れだ。
溜め息をつき仕方なく操縦桿から手を離すトーヤ。
だが部隊の8割を撃滅し新型MSまでも撃破した。
帰ろうとした時にカズマが撃破したスタークジェガンやジェスタ・キャノンの残骸を漁っている事に気づいた。
つい気になりカズマに問う。
「何してんだ?」
《戦利品をいただいてるんだ》
戦利品という言葉にトーヤも悪知恵が働いたか、VF-19Aから降りSガンダムの残骸へ。
コクピットは完全に潰れていたが他の部位が無事な為、そこに使われている電子部品を探っている。
***
ミッションを終え仲介人に報告をしに酒場へ戻った2人。
部隊8割の撃滅と新型機の撃破による報酬は512000クレジット。だがSガンダムを最終的に撃破したのはカズマである為、取り分はカズマが6割、トーヤが残りの4割となったが別段不満はなかった。もしもの時はSガンダムから抜き取った電子部品を売ればいい。
「また会う事があったら頼むぜ、MS乗りの傭兵カズマさんよ」
「こちらこそ。敵として会わない事を祈っていよう」
簡単に挨拶を済ませトーヤは酒場から出ようとした。
「あ、トーヤ!」
そこで青色で右側が顔にかかり気味のアシンメトリーのボブカットをしたエメラルド色の瞳のトーヤと近しい歳の少女と会う。
彼女の名はイチゴ・テスタロッサ。
かの金色の閃光の異名で知られるテスタロッサ・ハラオウン執務官の苗を名乗っているが、実際上彼女は血縁ではなく養子縁だ。
だが今ではすっかり数も少なくなった魔導師でもある。
「イチゴか、何だ突然?」
「あ・・・ここじゃ話せないから裏で話すよ」
そう言ってイチゴはトーヤの手を引き酒場の裏手へ。
そこで改めてイチゴがトーヤに振り向いた。
「・・・トーヤ、本当に連合に入らないの?私から話して悪いようにはさせないから・・・!」
イチゴの言葉にトーヤは内心「またか」と思い溜め息をつく。
トーヤにとってイチゴはリーナ程ではないが毛嫌いしてる部類の人間だ。
その理由は、
「何度でも言うが、俺はお前の仕事先、オーメルとは関わる気ねぇぞ」
トーヤの言うオーメル・・・オーメル・サイエンス・テクノロジー社。
時空統治連合に与する総合軍事産業企業で特化技術だけでなく政治力にも長けた企業だ。
だがトーヤにはオーメル、ひいては連合の下に就くつもりはない。
しかしイチゴは魔導師としての素質等を買われオーメル社に就いている。これがトーヤがイチゴを嫌う理由だ。
「連合に逆らって生きていけると思ってるの!?私はトーヤに死んでほしくないから・・・!!」
「わりぃなイチゴ、とっくに決めた事だ。じゃあな」
イチゴの説得に耳を貸さずその場を立ち去るトーヤ。
その背をイチゴは追う事ができなかった。
BGM:Ignited(A.C.E:R ver)/Another Century's Episode R
ED:トリカゴ/リーナ・レヴェントン(CV:水瀬 いのり)、イチゴ・テスタロッサ(CV:市ノ瀬 加那)
募集はまだ継続中です!
詳しくは活動報告へ。
今回も趣味全開の駄文にお付き合いいただきありがとうございました!
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Episode03
ミッションから戻ったトーヤを待っていたのはオーメル社に属する少女イチゴ。
イチゴはトーヤを連合に入るよう促すがトーヤの決意は鈍らずおのまま立ち去っていった。
OP:DREAMS/ROMANTIC MODE
ヴァイセン襲撃の翌日、トーヤはVF-19Aのコクピット内で目覚めた。
あの後どっと疲れが来たトーヤは夕食を済ませた後安全そうな場所を探しそこに機体を停め眠りについたのだ。
資金は先日の依頼で入った為今日はどうするか考えている時だ。
【トーヤ様、ネットワークに侵入を試みた結果、今日はルヴェラにて反動勢力ラインアークとミリシアによる連合軍施設への威力偵察が慣行されます】
「反動勢力が?何でまた」
【不明です】
リンの言葉に頭の中で状況を整理するトーヤ。
理念や理想が違ってくる反動勢力同士が手を組む事は珍しい。そうまでする価値があるという事なのだろう。
・・・次の行動が決まった。
「リン、準備だ」
【と、言いますと?】
「ルヴェラに行くぞ。反動勢力と連合を出し抜けるかもしれない」
トーヤはVF-19Aの後部スペースにある銃のチェックを済ませ出発した。目標は第23統治世界ルヴェラ。
***
次元航行船に機体と自分達を紛れ込ませルヴェラに着いたトーヤとリン。
目指す目的地はルヴェラの都市部から遠く離れた山間部。だが空路でなら大してかからずに着く。
山間部では既に連合とラインアーク、ミリシアが戦闘を開始していた。今なら両軍の眼を欺き施設へ忍び込める。
「今連合の目は反動勢力の連中に向いてる。リン、このまま低空で施設に向かうぞ」
【了解】
トーヤのVF-19Aとリンが操るヘリ「F21C STORK」が高度を下げ山岳地帯へ突入。施設へ向け高速で向かう。
***
施設に接近したトーヤは少し離れた場所に機体を留め、後部スペースから自身の武器であるCARサブマシンガンを取り出し更にマガジンを6つ、P2016セミオートピストルとマガジン5つ、サバイバルナイフを装備。
リンには非常時に備えVF-19Aに転送、要請があればすぐに向かえるようにさせた。
フェンスをよじ登り敷地内へ。扉は電子ロックになっているがトーヤは冷静に端末を取り出し扉の端末の端子につなぐ。すると扉の解錠コードが解読されそれを扉の端末に入力。
扉を開き施設へ侵入。
警備は手薄。恐らく大半が反動勢力の迎撃に駆り出されたのだろう。そのお陰で気づかれる事なく施設の奥へ。その中で特に厳重に隔離された部屋を発見。
「・・・何かありそうだな」
元々は連合を出し抜くつもりで来たトーヤ。もし何かを発見できれば連合にとっては大きな痛手になるに違いない。
部屋のロックを解除し部屋へ侵入。目の前には培養カプセルがありその中には、
「・・・女の子・・・?」
まだ9歳くらいだろうか、黒髪の幼い少女が培養液の中で眠るように瞳を閉じ浮かんでいた。
様子から察するに彼女は何かの被験体なのだろう。
ヴィー!!ヴィー!!
「っ!!」
施設内に鳴り響く警報。どうやら侵入がバレたようだ。
脱出しなければならないが、カプセルに入れられている子も放っておいたら良からぬ事に利用されるかもしれない。
カプセル前のコンソールに端末を繋ぎハッキング。ロックを解除した後にコンソールを操作しカプセルの培養液を排出。カプセルを開ける。
少女がカプセルから落ちそうになるがトーヤがそれを受け止める。
少女は気を失っているままだが何とかここから連れ出さなければならない上に彼女はカプセル内にいた為に服はおろか下着すらもつけていない。
幸い着る物は部屋の中に手術服のような白いワンピース型の服があった為それを着せればいい。
トーヤは服を着せてすぐ少女をおんぶし、最短ルートを通って施設の外へ。
比較的広い所へ出てリンに回線を繋いだ。
「リン、今すぐこっちへ来い!」
【要請了解】
トーヤの指示を受けリンがVF-19Aを起動させ急行する。
トーヤの上に到着した所でVF-19Aがガウォークへ変形し降りてくる。その時のエンジンからの排気風で多少煽られるもすぐにコクピットへ。少女を後部座席に乗せた後に操縦席に座りすぐにキャノピーを閉める。
この場から離れるべく上昇を開始した時にリンから警告が。
【警告。VOBによる敵性ネクスト級ACの接近を感知】
その警告にトーヤが舌打ちする。
VOB、「ヴァンガード・オーバード・ブースト」はネクスト級ACの背部に取り付ける外付けの大型ブースターで、使い捨ての上に効果も短時間ではあるが、2000キロ級の速度を叩き出せる為ACでの強襲や突撃、長距離輸送に用いられる。
VF-19Aでなら最大速力であれば振り切れるだろうが少女はおろかトーヤ自身も無事で済む保証はない。
やむを得ずその場でネクスト級ACを迎撃する選択をしたトーヤは少しでも施設から離れるべくファイターへ変形させるが、そこで轟音が背後から迫ってくる。間違いなくVOBの物だろう。
そしてVF-19Aの頭上を何かが飛びこし向き直り、それを見たトーヤも機体をバトロイドに変形させる。
前に降り立ったのは戦闘機のような鋭いボディが前傾姿勢を取った特徴的な白とアクアブルーの機体。トーヤにはすぐ分かった。
「白青のライールって事は、お前かイチゴ」
《トーヤ・・・》
トーヤの言葉に正面のネクスト級のパイロット、イチゴから返答がある。恐らくオープン回線を使っているのだろう。
イチゴが駆るのはオーメル・サイエンス・テクノロジー社の最新ネクスト級AC「TYPE-LAHIRE」をベースとし、左腕に突撃ライフル「AR-0700」、右腕には同社製のショットガン「SG-0700」を装備。背部には一瞬で間合いを詰められる追加ブースター「ACB-0710」を装着した近接機動戦仕様機。
その名は「デルフィニウム」。
その時VF-19Aの後部座席に座らせた少女が起きた。
少女は周囲を見回し現在の状況を確認する。
「ここは・・・」
「起きたか?」
少女が起きた事を確認した事を確認したトーやは後ろに顔を向ける。
始めて見たトーヤの顔に少女は困惑するが、トーヤは現状を簡単に説明する。
「わりぃ、今お前は俺が施設から引っ張り出してきたとこなんだ。これからかなり揺れるが我慢してくれよ?」
少女にそう言った後すぐにデルフィニウムに向き直る。
《トーヤ・・・今連れてる子を降ろして退いて》
通信機越しに聞こえるイチゴの声は少し震えていたが、トーヤはそんな事では動じない。
「わりぃが、そいつは無理だな」
《お願い!トーヤを撃ちたくない!》
「お互い分かってたはずだろ?俺は連合に就かないバルチャーでお前は連合加盟企業オーメル社の所属。なら今やるべき事は一つなはずだぜ?」
《それでもっ!!・・・》
どうあっても2人の立場は相容れない。つまり必然的に対立する事になってしまう。
イチゴはそれでもトーヤを撃ちたくなかったが、トーヤは既に臨戦態勢を取っている。
《・・・分かった。それなら無理矢理にでも連れて行く!》
イチゴの決意とも取れる言葉を最後に通信は切れた。ここからは本気だ。
***
「ごめんね、付き合わせて」
【お気になさらないでください、お嬢様】
通信を終えイチゴはコクピット内で一独り言を呟いたかと思いきや女性らしき何者かがイチゴの言葉に返答した。
それはコクピット内で計器にセットされている青い総角錐の結晶。それが点滅し声を発している。
その結晶こそが魔導士の魔法の杖である「デバイス」。そしてその名は「アステリア」。
「それじゃ頑張ってトーヤを連れていかなくちゃ。サポートお願い!」
【仰せのままに】
イチゴの言葉にアステリアはすぐに反応。
デルフィニウムの足元に二重の正方形を中心に配置した真円形の魔法陣が出現。
そして下から上へとデルフィニウムを通り抜けていき通り切った所で魔法陣は消えた。
***
先手を仕掛けたのはデルフィニウム。左手に持つ突撃ライフルを真っ先に発砲するがVF-19Aは直上へ跳躍。そのまま上下反転し右手のガトリングガンポッドをデルフィニウムへ発射。
デルフィニウムはサイドブースターを吹かせ跳ぶかのように回避。そのまま地面を滑るように移動しガトリングガンポッドを回避していく。
そこでデルフィニウムが右手のショットガンを向け発射。VF-19Aは仰け反るようにしてギリギリでかわすが無理矢理回避した為にバランスを崩しそのまま落下する。
どうにもネクスト級相手では分が悪かったようだ。更にデルフィニウムを通った魔法陣。どうやらあれは機体の反応性を底上げするような魔法を仕込んでいたようだ。
「やっぱ素直に逃げときゃよかったかな・・・!」
次第に苦悶の表情を浮かべるトーヤ。
それを後部座席から見ていた少女はトーヤを見て何かを思ったのか決心したような表情を浮かべ目を閉じる。
「お、おい・・・?」
その様子に思わずトーヤが問いかけるが、
「コネクト・・・EM-CBX004テオドーラ」
少女が唱えるかのように言葉を呟いた。
すると逃げて来た施設の方で爆発が起こり、そこから赤色の装甲で包まれ背中に翼のようなスラスターを持ったロボットが飛翔してくる。
そしてVF-19Aの近くまで来ると胸部のコクピットらしき箇所が開く。
「あれは・・・」
「私をあれに乗せて」
突然の事にトーヤは困惑し、少女からは少女がテオドーラと呼んだロボットに自分を乗せてくれと頼まれた。
戸惑うままだがここは少女の言う事にかけてみる事にした。
トーヤはVF=19Aのコクピットを開け少女をテオドーラへ移そうとした。
《させないよ!》
そこへでが猛スピードで正面から接近。両手の武装を2人へ向けるが、
「そりゃこっちの台詞だ!」
トーヤが少女をテオドーラへ投げるように移した後に右腕にピンポイントバリアを展開。
接近してきたデルフィニウムを思い切り殴った。
「うわぁ!!」
咄嗟の事にイチゴは反応できず、拳の直撃を食らいそのまま後方へ飛び倒れる。
トーヤはテオドーラを見ると、少女は無事に乗り込みコクピットを閉めた。
少女はテオドーラのコクピット内で再び目を閉じ、そして操縦桿を握り、
「EM-CBX004テオドーラ・・・リンク・オン」
そう唱えた直後少女の身体光り出し、機体に溶けるようにその身体が消えていく。
そしてテオドーラのカメラアイが一際強く光り、スラスターを起動しその身体を宙に浮かべた。
「お前・・・」
その様子を見たトーヤにテオドーラから通信が入った。
「・・・私は人間じゃない。私は戦う為に造られたデバイス・・・リンク・デバイスだから」
テオドーラと融合した少女は自身をデバイスと言った。
ED:トリカゴ/リーナ・レヴェントン(CV:水瀬 いのり)、イチゴ・テスタロッサ(CV:市ノ瀬 加那)
先週金曜に落雷でネット回線が死んで、今日やっと復旧しました・・・
それとこの作品に関する案件を再び活動報告に上げました。
今回もこの駄文にお付き合いいただきありがとうございました!
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Episode04
彼女の駆るデルフィニウムにトーヤは苦しめられていく時に少女は赤い機体テオドーラを呼びそれと融合した。
OP:DREAMS/ROMANTIC MODE
少女と融合したテオドーラは、トーヤのVF-19Aの隣に降り立った。
《ここからは私も戦う》
「そりゃありがたい!」
テオドーラと融合した少女からの援護の声を受けトーヤは気合を入れる。
その正面では先程のVF-19Aのピンポイントバリア・パンチで殴り飛ばされたデルフィニウムが再び起き上がっていた。
《やったねトーヤ、もう遠慮しないよ!?》
「最初からそのつもりだ!」
エンジンを吹かし地面を滑るように突撃するトーヤのVF-19Aと、ブースター全開で滑走してくるイチゴのデルフィニウム。
両者がそれぞれ右手の武装を突きつけ同時に発砲。イチゴはVF-19Aのガンポッドを、トーヤはデルフィニウムのショットガンをそれぞれ破壊した。
だがイチゴにはまだ左手の突撃ライフルがある。すかさずそれをトーヤに向けるがそこでデルフィニウムの右からビームが発射され突撃ライフルを破壊する。
「くっ!」
至近距離での爆発で僅かに機体が煽られるがすぐに持ち直しビームを撃った張本人を見やる。
それはビームライフルをデルフィニウムに向け構えているテオドーラ。
続けてデルフィニウム本体にビームを発射するがそれは何かのバリアのような物に阻まれた。
ネクスト級ACにはジェネレーターから発生する特殊粒子を安定還流させる事で、それを一種のバリアとするPA(プライマルアーマー)と呼ばれる機能がある。
これは小口径弾であれば無力する事は可能だが、貫通性の高い火器やレーザー等の光学兵器には効果が薄く、かつ小口径弾であろうと何度も受け続ければ還流が不安定となっていき効果が減衰していってしまう。
先程のビームを防げたのは単に兵装を破壊する為の出力だった為威力不足だった事だろう。
次は通常出力に戻して撃つはず。そうなればPAはほぼ役に立たなくなる。
《次は撃たせないよ!》
当然それはイチゴも承知。そこで腰部に格納されていたレーザーブレード「EB-0600」を2機取り出しそれを両腕に装備。そしてテオドーラへと突撃していくがそこに割って入ったのはトーヤのVF-19A。
再び右腕にピンポイントバリアを発生させ殴る体勢に入る。そして右拳を振るうがデルフィニウムも右腕のレーザーブレードを発生させ真っ向から激突。両者は弾かれる形となったがそこへビームライフルを構えたテオドーラがVF-19Aの背後から飛び出しビームを発射。
「くっ!」
すぐにブースターを駆使し後退するがビームが掠っただけでPAがかなり削がれてしまった。
そこに付け入るようにVF-19Aが最接近し、
「喰らえ!!」
今度は両手にバリアを展開。両腕で突き飛ばすようなパンチを繰り出す。PAの剥がれたネクスト級の装甲は大きなダメージを受ける。それが軽量機のであれば尚更だ。
「ぐぅっ!!」
衝撃に歯を食いしばりながら耐え、デルフィニウムは再び遠くへ飛ばされる。
一方のトーヤは今の一撃で勝利を確信したか背中を見せテオドーラと向かい合う。
「お前ともまともに話しておきたいからな、場所変えるぞ」
トーヤはテオドーラの少女にそう言った後に機体をファイターへ変形させそのまま上昇。
《あ、待って!》
それに少女もテオドーラのスラスターを吹かしてトーヤを追う。
「待ってトーヤ!」
イチゴもデルフィニウムを起こし後を追おうとするが、そこで突然デルフィニウムが機能を停止してしまう。
その理由はすぐに彼女のデバイスのアステリアが教えてくれた。
【ジェネレーターに損傷を検知。これ以上の経戦は不能です】
デルフィニウムの心臓部に損傷があり、それが原因で動作を停止していたのだ。
これによりイチゴは行動不能。遠ざかる2機の背を悔しさと悲しみがこもったような瞳で眺めるしかなかった。
***
デルフィニウムを退け、無事逃げきる事が出来たトーヤ達は一先ず森の中に身を潜めていた。
コクピットから降り、テオドーラ内の少女に呼びかける。
「追っては来てないんだ、そろそろ降りたらどうだ?」
それに応えるようにテオドーラが右膝を追って片膝立ちになる、そこで力尽きたかのようにカメラアイから光が失せたかと思ったらコクピットが開きそこから少女が降りてきた。
幸いな事に着せた手術服は融合の際に消失しなかったようで着たままだった。
「さて、どっから聞いたもんか・・・」
右手を顎に当て思案するトーヤ。
如何せん聞きたい事が山ほどある。だがまずは1番重要な事を問う事にした。
「お前、さっき自分が人間じゃないって言ったな?」
「そう、そのままの意味・・・」
そう言った後に少女は自分の正体を話し始めた。
彼女の名はレナ。
彼女は現在は製造されていないとされる「ユニゾンデバイス」と、かつて世間を震撼させた
その機能はユニゾンデバイスやシュトロゼックシリーズと同じ、所有者と融合しその所有者に驚異的な能力の向上をもたらすが、このリンク・デバイスはそれだけにとどまらず機動兵器とも融合でき融合したその兵器を動かす事ができる他その性能を各段に引き上げる事も可能という。更にその真価は所有者と機動兵器を、自身を介し繋がる事で有機端子を必要とせずに機体がそのまま身体になったかのような練度や技術を問わない動作を実現させるという。
その所有者と兵器を
だが重要なのはこの先。
レナ自身は今よりずっと昔に死に体となっているそうで、その時の蘇生措置としてユニゾンデバイスとして転生されたらしい。
元々はある国で妹と共に暮らしていたがその国は現在連合に侵攻され資源を搾取されているらしい。
だがレナにはユニゾンデバイス故か有効活用できるという事で彼女と引き換えに侵攻を止めると連合は言い出した。
当然彼女の身辺の人は拒否したがレナ自身はその要求を呑み連合に着いていき、その後はリンク・デバイスとしての改造を施されそして今に至るらしい。
話を終えたレナは悲痛な表情を浮かべていた。
「ごめん・・・私が一緒にいたらあなたも・・・」
だがレナが言葉を続ける前にポンと頭に手を置かれた。
「バーカ、子供が気張るなよ。1人は嫌だって顔に出てるぞ?」
そう言いつつレナの頭をなでるトーヤにレナはむくれた。
「それを言ったら、あなたもまだ子供の方でしょ!」
「まっ、そりゃそうなんだがお前がいなくとも連合に追っかけられるのにゃ変わらねぇよ。あいつらから
すぐ後ろにあるVF-19Aを軽く叩きながら言うトーヤにレナは溜め息をついた。
「何でそんなに・・・」
「俺だけじゃねぇよ連合と衝突してる連中は。奴らのやり方が気に食わないから自分達の生き方をしてる連中が大半だぞ、バルチャーって」
「バルチャー?それじゃあなたも・・・?」
トーヤのバルチャーという言葉にレナが反応した。
トーヤの言ったバルチャーとは連合の方針に賛同せず各地で物資の強奪や薬物、人身売買といった犯罪に手を染めたならず者の総称である。
だが最近では傭兵を始めとした放浪者も一括してバルチャーと呼ばれている。
「そ。俺もバルチャーさ。だからお前も連合からの戦利品って事で。いつまでか分からんがよろしくな」
そう言ってトーヤはレナに右手を差し出す。
それをレナは取ろうとするが、何かためらっているのか右手を引く。
「でも、私は人間じゃ・・・」
「人間じゃなかろうがなんだろうが、お前がお前って事には変わりねぇよ」
そう言って再びレナに右手を差し出すトーヤ。
それにレナは涙を浮かべながらも笑顔を浮かべ、その右手を取った。
BGM:あんなに一緒だったのに(真・ガンダム無双ver)/真・ガンダム無双
ED:トリカゴ/リーナ・レヴェントン(CV:水瀬 いのり)、イチゴ・テスタロッサ(CV:市ノ瀬 加那)、レナ(CV:佐倉 綾音)
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Episode05
その後トーヤは少女、レナから自分の正体を聞かされるがそれを気に留めず彼女を仲間として迎え入れる。
OP:DREAMS/ROMANTIC MODE
未だルヴェラに潜伏しているトーヤとレナ。
別にこれからどうするかは問題ではないのだが、トーヤの方に問題があった。
「・・・これ、どうすっかなぁ・・・」
そう言ってトーヤが見るのは、主兵装であるガトリングガンポッドを失った状態のVF-19A。
先のデルフィニウムとの戦闘で損失してしまったのだ。これでは真っ向からの先頭は不可能だ。
「無理するから・・・」
そしてそれをジト目で見るレナ。
今の彼女は手術服ではなく、裏地がチェック柄の黄色いコートにグレーのミニスカート、首にはゴーグルをかけている。
これは変装の意味も込めトーヤがレナに買った物だ。
「へいへい、何とか手に入れる算段つけねぇとな」
レナの言葉にうなだれるトーヤ。
何とかしてVF-19Aの兵装を入手したい所ではあるがフリーのメカ屋にそのような物を取り扱っている所を見た事が無い。
つまりは連合から奪うしかない。
「・・・やるしかねぇか」
「え?」
トーヤの独り言に反応するレナ。どうやら聞こえたようだ。
「連合の奴らとぶつかるしかないって事だ」
「・・・また戦うの?」
「・・・わりぃ」
レナの嫌そうな声に謝っておくトーヤ。今回は完全にトーヤの私情で行動しレナはそれに巻き込まれたのだ、当然と言えば当然だろう。
だが問題は都合良く連合の輸送計画を察知できるかだ。
「リン、ハッキングで連合の輸送計画とか暴けないか?」
【現在調査中です】
2人の会話を聞いていたリンは既にネットワークに侵入し輸送計画を調査し始めている。
【トーヤ様、第3世界ヴァイセンにて連合の陸送部隊が駐屯しているとの情報を掴みました】
「またヴァイセンか?」
リンが情報を見つけるも、ヴァイセンという言葉に嫌そうな顔をするトーヤ。
唯でさえあそこで騒ぎを起こしている身としてはあまり居たくない世界ではあるが四の五の言っていられない状況でもあるのも事実だ。
「ヴァイセンと縁があんのかね俺・・・」
「トーヤ?」
「何でもねぇよ。それよりリン、陸送隊ってヴァイセンの何処だ?」
思考を切り替えリンに連合の輸送隊の所在を確認する。
返答はすぐの帰ってきた。
【ヴァイセン首都より北方。フォートノートン丘陵地帯です】
***
フォートノートン丘陵地帯、そこに南のヴァイセン首都を目指す大型トレーラー3台を護衛するかのように部隊が展開している。
そして彼らのすぐ右には運河、その更に向こうには山がそびえ立つ。
その山より高い高度を飛行すればレーダーに探知される、その場合はすぐに目の前にあるトンネルに逃げ込める為彼らは安心しきっていた。
物事に絶対は無いという事も忘れ。
「レーダーにアンノウン捕捉!クソ、斥候からは連絡なかったぞ!」
峡谷を抜けトレーラー目掛け迫る2機の不明機。
黒地に黄色いラインと赤いワンポイントのVF-19と赤い装甲の戦闘機のような兵器。
トーヤのVF-19Aとレナのテオドーラだ。
「まさか、峡谷を抜けてきたのか!?」
「急げ、スピードを上げろ!」
いきなりの襲撃に混乱する部隊。
その間にも2機が接近し、遂にミサイルの射程に捉えマイクロミサイルを発射。周囲の護衛車両を破壊していった。
「クソ!早くしろ、早く正面のトンネルに逃げ込め!」
トレーラーは正面のトンネルへ逃げ込もうと増速するがその直上をレナのテオドーラが飛び越え、機体下部のビームライフルをトンネル上部へ発射。それによりトンネルの入り口が崩落し逃げる事ができなくなった。
それに気付いたトレーラーの運転手はすぐさまブレーキをかけ停車するが、周囲を見れば護衛は全滅、更にこちらをロックしているVF-19A。自分達は完全に逃げ場を失くしている事を理解するのにそう時間はかからなかった。
***
「こんなもんだろ」
そう言ってトーヤは両手のゴミを払うように手を叩く。その正面にはロープで拘束されたトレーラーの運転手と生き残っていた連合の兵士達。
そしてトーヤは確保したトレーラー内の物資を物色していく。
幸か不幸か、その物資の中にはVF-19の追加武装・高機動用オプション装備であるファストパックの他、VF-19のガトリングガンポッドも積まれていた。
当面の問題はこれで解決した。
・・・と思いきやそこでトーヤの視線が別の物に移った。
それはボルトアクション式スナイパーライフルの銃身下部に銃剣のように着けられたブレードが目を引く武器。
そのブレード部分には「959」というナンバリングが施されている。
恐らくトレーラーが急ブレーキをかけた時に荷崩れして落ちたのだろう。
「何だこれ?こんな武器初めて見たな・・・」
トーヤは興味本位でその武器に右手を伸ばそうとするが、
「触っちゃダメ!!」
突然レナが声を荒げた事に驚き手を引いた。
「びっくりした・・・、何だいきなり?」
「ごめんなさい、驚かせて・・・。でも絶対それには触らないで」
レナは断固としてスナイパーライフル調の武器には触れないようにトーヤに釘を差す。
だがトーヤにはそうまでする理由が分からない。
「何で触ったらダメなんだ?」
だからこそレナにその理由を問う。
そしてレナからの返答は・・・
「それに触れたらトーヤが死ぬかもしれない。もし死ななくてもトーヤが殺戮者になっちゃう・・・」
その返答にますます理解が難しくなってくる。
武器1つ触れただけでそこまで変貌するのだろうか、と。
そこでレナは更に言葉を続ける。
「・・・それはある殺人ウイルスの感染源。トーヤも少しは聞いた事あるでしょ?・・・
「!?」
その単語にトーヤは戦慄した
ECウイルス、正式名称「エクリプスウイルス」。
新暦81年にその存在が認知され、連合が設立された99年頃でも有効な治療法が見つかっていないとされる、感染すれば即座に死ぬ殺人ウイルス。
恐ろしいのは、感染者の中でも飛び抜けて能力の高い「適合者」と呼ばれる存在。
適合者は通称「EC
また、何らかの手段でその衝動に耐えたとしても発狂するレベルの肉体的苦痛に襲われ最終的には死亡する。
特筆すべきはその適合者の対魔導能力だろう。
適合者は魔力中和フィールドを身に纏い、魔力エネルギーの結合を分断する事で魔力による運動エネルギーをほぼ全て無効化できる。
また感染が進めばウィルスが宿主を生き残らせようとする力が作用し、高い再生能力等を宿主に与える。
だがウイルスに適合する確率はとても低く、感染した場合はほぼ確実に死亡する。
そんな恐ろしいウイルスの感染源が自分の目の前にあるというのだ。
「・・・分かったよ、これには触らない」
「うん・・・」
レナの言いたい事を理解したトーヤは素直に武器から手を引く。
彼とてまだ死ぬつもりはないが、治療法が分からない物とはいえウイルスで死んだなど洒落にならない。
「とにかく欲しい物は手に入ったな。あとはリンを呼んで運ぶだけなんだが、まさか横取りしようと考えてる連中なんざ・・・」
「残念ながらいるんだよなぁーっ、ここに!!」
トーヤの思慮に応えるように周りに響く声。それはまだ若さのある男の声だ。
それを聞きトーヤとレナは周囲を見渡し声の主を探す。
「トーヤ、上!」
レナがその声の主を見つけたか、川を超えた先の山の上を指さしトーヤもその方角を見る。
そこから来たのは黒いVF-1が1機とVF-11Cが3機。先頭のVF-1には両主翼に炎を模したペイント、機体背面にドクロマークが描かれている。
「ハッハァ!グレンデル一家のお出ましだぜェー!!」
「堂々と名乗んな、アホ大将っ!」
「イィィーヤッハァー!!ロロさんの超電磁フライト!!」
「・・・」
先頭のVF-1に乗っているであろう青年の声に後続のVF-11C3機に各々乗る女性らしき声(約1名は無言だが)が続く。
4機編隊は真っ直ぐトーヤとレナへ向かってくる。そうなれば取る手段は1つしかない。
「レナ、お前は下がってろ、俺が相手する」
「4対1なんて無理もいいとこ!私も戦う」
「・・・そうだったな、なら背中は任せたぞ!」
「任せて!」
トーヤとレナは各々の機体に乗り込み臨戦態勢を整える。
バルチャー同士の戦いの幕が上がる。
ED:トリカゴ/リーナ・レヴェントン(CV:水瀬 いのり)。イチゴ・テスタロッサ(CV:市ノ瀬 加那)、レナ(CV:佐倉 綾音)
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Episode06
しかしそこへバルチャー組織、グレンデル一家が襲撃する。
OP:DREAMS/ROMANTIC MODE
機体状態を軽く見た後にすぐに離陸。上空のグレンデル一家との戦闘に臨むトーヤとレナ。
「俺は大将ともう1機をやる。レナは残りを頼む!」
「分かった!」
レナに指示を飛ばし散開。トーヤはグレンデルの大将カート・グレンデルに勝負を挑む。
《よぉ来るか兄ちゃんよぉ!行くぞクイン!》
《了解》
それに真っ向から突っ込むカートと黒いVF-11Cのパイロット、クイン・ガーランド。
2機がVF-19Aにガトリングガンポッドを撃つがトーヤはロールして回避しカートのVF-1X+とすれ違う。
《へッ!》
「野郎・・・!」
キャノピー越しにカートのにやけ顔が見え歯を食いしばる。
すぐに機体を反転させるがそれはカートも同じで再び2機が向かい合いすれ違うかと思われたが、すれ違い際にトーヤが機体をガウォークへ変形。そのまま上下反転しVF-1X+を飛び越した直後にファイターへ変形しカートを追撃する。
《やるじゃねぇか兄ちゃんよ!》
「さっきからオープンでうっせぇよ!」
オープン回線でトーヤに軽口を叩くカートにトーヤは説教たれた言葉を飛ばす。
すぐにVF-1X+をロックするがそこへクインのVF-11Cがトーヤの背後へ。
後方をチェックしすぐさまロールしつつ螺旋状に回りクインの後方へ。
FCSがクインのVF-11Cをロック。
「もらった!」
ロックしすぐさまガンポッドを発射。
「くっ・・・!」
クインはローリングし弾丸をかわそうとするが1発が右主翼に直撃し右主翼をもいだ。
そしてVF-11Cは回転しながら川へ墜落した。
《クインをやりやがったな!》
「そっちから突っかかといて逆ギレすんな!!」
クイン撃墜後にトーヤの背後にカートのVF-1X+が回り込む。
そのまま撃たれるかと思いきやVF-19Aが機首を跳ね上げると同時にガウォークへ変形し宙返り。その一瞬で右腕のガンポッドをVF-1X+へ向け発射。左主翼に命中するが撃墜には至らずすぐに追撃に入る。
原型からアップデートされた機体であるとはいえその機動性ではVF-19Aには勝てない。
カートを捕捉しミサイルの発射体勢に。
《トーヤごめん、1機抜かれた!そっちに行ってる!》
レナから警告が入りすぐさま後方をチェック。
それはオレンジのVF-11C。
《ヘッド~!大丈夫~?》
《ロロか!》
オレンジのVF-11Cのパイロット、ロロ・アンディーブがトーヤをそのまま追撃。
トーヤも振り切ろうと機体を揺するが中々離れない。
「クソ、あのVF-11並のカスタムじゃないな・・・!!」
しつこく追尾してくるVF-11Cを睨みつけるが、これでは埒が明かない。
《見よ!運び屋ロロさんの超電磁マニューバを!!》
「揃いも揃ってうるせぇな・・・!!」
オープン回線で聞こえてくるロロの言葉に悪態をつきながらも飛んでくる弾丸を、主翼を完全に折りたたみローリングして回避し、回避し切った所でバレルロールしVF-11Cの後方へ。
「今度はこっちのターンだ!」
攻守逆転、今度はトーヤがロロを追う番となる。
相手の機動性は確認済みの為、下手に撃っても弾の無駄遣いとなるだけ。確実に当てられるタイミングを探る。
《ロロさんの動きについてくるなんて、君やるね!》
オープン回線でトーヤに軽口を飛ばすロロにトーヤは内心イラつきながらも集中する為に返答は無しだ。
そしてロロが宙返りをしそのタイミングでカートのVF-1X+が後方へ。恐らくは挟み撃ちする算段なのだろう。
だがそこを好機と捉え、宙返りを始めたロロを追うように機首を上げるトーヤ。
そして返る寸前で機体をバトロイドへ変形。
そしてすぐに上下反転し、一直線上に並んだロロとカートにガンポッドを斉射。
《ぐおぉっ!?》
《うそぉ~!?》
VF-1X+とVF-11Cは共に左エンジンを撃たれ、2人とも機体から脱出。
パイロットを失くした2機の機体は黒煙を吹きながら落下し地面に激突し爆発した。
「はははっ、しくったぜ!」
「あそこまでやるのがいたとはね~」
脱出した2人はパラシュートでゆっくりと降下している。
***
「これで、終わり!」
そしてもう一方も決着が着こうとしていた。
もう1機のVF-11C、マリーヤ・ラネスカヤの乗る機体と交戦しているレナ。
スラスターの噴出口を下へ向け急減速。そしてVF-11Cをオーバーシュートさせた所で人型の駆逐形態へ変形。
そしてビームライフルを構え発射。そのビームはVF-11Cを容易く貫いた。
《クソッ!ツイてねぇ!!》
マリーヤが悔しさ全開でその台詞を口にし機体から脱出。そしてパラシュートが開く。
更に良く見れば真っ先に撃墜されたクインも墜落地点の川の上で目を回しながら浮かんでいる。
グレンデル一家、全機撃墜したが全員無事という結果に終わった。
***
「片付いたな、これでやっとリンを呼べる・・・」
《戦闘で消耗した部品、後で取り替えないと・・・》
無事に生き残りトーヤとレナは一息つく。
レナの言う通り後でこの戦闘で消耗したパーツを交換する必要がありそうだが、そのパーツもトレーラーに揃っていた為解決している。
「リン、上空はクリアだ。積荷の回収を頼む」
【了解】
トーヤは待機しているリンに連絡をし、リンはそれを受諾。
ほどなくしてリンが操るF21Cが到着。トレーラーの積荷を載せてその場を後にする。
これで装備や燃料に関してはしばらくは持つだろう。
《うまくいったね。乱入があったのは予想外だけど・・・》
「ああ。これで当分は心配ないし少しデカい仕事を受けられるかな」
《デカい仕事?》
帰路の途中、レナはトーヤが言った言葉に疑問を感じた。
「お前はよくやってくれてるし次は休んでいいぜ?」
《・・・》
その言葉にレナは考える。恐らくだが次にトーヤがやろうとしているのは今までの奇襲ではなく真っ向勝負。
休んでいいと言ったという事はトーヤは1人でそれをやるつもりなのだろう。それは自殺行為に等しい。
それをレナは見逃すはずもない。レナからすればトーヤは自分を連れ出してくれた恩人でもあるのだ。
《・・・私も行く。トーヤ1人だけ危ない目に遭わせないから》
レナの力強い言葉にトーヤは一瞬呆気にとられるが、その後にテオドーラのすぐ左にVF-19Aを着け、レナに向け右手でサムズアップ。
それにレナは笑顔を向けた。
2人はそのままリンを引き連れ街へ戻る。
***
我々ラインアークから、依頼の内容を説明させてください。
時空連の支配下にある世界マウクランを解放する為に我々は第17機動艦隊を派遣しましたが、時空連の大艦隊の前に苦戦を強いられています。このままでは彼らの犠牲が無駄になってしまいます。
ですので、あなたに協力をお願いしたいのです。
時空連艦隊の主力は大多数の可変戦闘機とMSだと報告されています。その為、今回我々から支援機として「RX-124 TR-6」をお使いください。
勿論、できる限りの謝礼は用意させていただきます。何卒宜しくお願い致します。
BGM:Panther/ARMORED CORE 4
ED:トリカゴ/リーナ・レヴェントン(CV:水瀬 いのり)、イチゴ・テスタロッサ(CV:市ノ瀬 加那)、レナ(CV:佐倉 綾音)
募集は活動報告ににてまだまだ受付中です。
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Episode07
そんな2人に反動勢力ラインアークからの依頼が入る。
OP:DREAMS/ROMANTIC MODE
第34無人世界と呼ばれる次元世界「マウクラン」。
その世界の宇宙空間にて大艦隊同士が激しい戦闘を行っている。
だがその一方の勢力の艦隊が追い詰められていた。
その艦隊の旗には白地に一本の黒い横線。それがラインアークのシンボルマークだ。
「敵機、右舷より接近!数4!」
「対空迎撃!!」
一隻のラインアーク艦の乗務員が慌ただしく動く中、その艦の右側から4機のMSが編隊を組んで接近してくる。
ゴーグル状のカメラアイを備え右肩にキャノン砲を備えた機体「ジム・キャノン」。
ラインアーク艦は迎撃の為に機銃を掃射するが戦艦からすれば小さいMSを狙うのは難しく接近を許し4機一斉に右肩のキャノン砲を発射。
キャノン砲が直撃した艦は各所から炎上し始め遂に爆発、轟沈する。
それを見たジム・キャノン4機は踵を返し戻ろうとしたがそこに背後からビームが撃たれ4機とも撃墜される。
そしてその近くを1機のMSが駆け抜ける。
白を基調とし胸部やスラスター部は濃紺のカラーリング。機体には両肩部に追加のブースターユニットであるフルドドⅡを装備したガンダム、「ガンダムTR-6」。
「・・・間に合わなかった・・・」
そのTR-6のパイロットの青年、レイ・ムラサメは撃沈された味方艦の残骸を見て悔しげな表情を浮かべながらそう呟いた。
《ライン2-2、現在こちらへ向かっているバルチャーがいます。彼らと合流してください》
「了解」
味方の指揮官から連絡が入りレイはレーダーを確認。現在ラインアーク艦隊後方より接近するバルチャーの機体2機を確認し合流すべく機体を進める。
***
時空連艦隊からの砲撃を回避しつつ艦隊へ向け進行する2機の機体。
ラインアークからの援護依頼を受けたトーヤのVF-19Aとレナのテオドーラだ。
今は2人共宇宙戦用の装備を施しており、VF-19Aはブースター兼増槽のファストパックと主翼ハードポイントにHMM-111CSハイマニューバミサイルを装備、レナは宇宙用のパイロットスーツを着用している。
「ラインアーク艦隊に加勢するぞ!」
《分かってる!》
トーヤとレナは機体を加速させ時空連艦隊へ突入。
そしてそれを阻止せんと正面から5機の連合軍の可変戦闘機「VF-171」が接近してくるが、トーヤは真っ先にその5機をロック。搭載しているマイクロミサイルを発射し5機全てを撃墜。
更にトーヤの左前方からも3機のジム・クゥエルが接近するがテオドーラのビームライフルで撃破された。
ジム・クゥエルを撃破したレナがVF-19Aの左隣に着き、お互いにサムズアップをした所で2人に近づく1機のMS。
レイのTR-6だ。
《こちらラインアーク所属、レイ・ムラサメです。これよりそちらの援護を開始します》
「仲介人の話にあったガンダムのパイロットさんか?了解した、よろしく頼むぜ」
簡単に挨拶を済ませるとレイはすぐさま時空連艦隊へ突入。トーヤとレナも加速し艦隊へ突入していく。
《いけない!トーヤ!連合の艦がラインアークの戦艦を狙ってる!!》
ここでレナが叫びに近い声を出し、彼女の先には今まさに主砲でラインアークのL級次元航行艦に止めを刺そうとしている。
「させるかよ!」
トーヤはVF-19Aの兵装をCHM-2高速機動ミサイルに変更。エンジンナセルのカバーが開きミサイルが主砲へ向け発射。
ミサイルは吸い込まれるように連合艦の主砲に直撃し、チャージしていたエネルギーが誘爆。
それは艦体を巻き込み大爆発を引き起こした。
「ラインアーク艦、大丈夫か?」
《本艦は健在。応援に感謝する!》
トーヤの声にラインアーク艦から返答が来た。どうやら無事なようだ。
だが、
「やべ!奥にもう1隻いやがる!」
更に奥に連合艦がもう1隻、ラインアークのL級次元航行艦を狙っている。
今のトーヤの位置からでは間に合わない。
《任せて、私がやる!》
そこで名乗りを上げたのはレナ。発砲寸前の連合艦から位置が最も近い。
テオドーラが敵艦へ向かいビームライフルを発射。敵艦の主砲を貫き発射を阻止。続けざまにビームを敵艦の艦橋へ発射。
艦橋を失った連合艦は制御を失いあらぬ方向へ航行していく。
《すまない、助かった・・・》
「よかった・・・」
援護が間に合った事にレナは安堵するがそれが隙となった。
レナの背後から3機編隊を組んだジム・クゥエルが接近。それにレナが気づいたが迎撃が間に合う距離でない。
それにレナが気づき背後を向いたがもう間に合わない。
だがそこでジム・クゥエルの頭上からビームが3発放たれジム・クゥエルを頭から撃ち抜いた。
上を見れば、レイのTR-6が右腕に装備される主兵装「コンポジット・シールド・ブースター」のロング・ビーム・ライフルの銃口を構えていた。
「あ・・・」
《・・・周辺の脅威を排除。任務を続行します》
レイはレナが謝礼を述べる前に淡々と台詞を口にしすぐに戦闘に戻る。
「レナ、大丈夫か?」
「大丈夫だけど、何あの態度・・・?」
テオドーラの下にガウォーク形態のVF-19Aが接近。トーヤがレナに無事を確認する。
どうやらレナは先程のレイの態度が気に食わないようだ。
「あの感じ、多分コミュニケーションが苦手なんじゃねぇのか?」
「そう・・・?」
トーヤの仮説をレナは疑問に思う。
だがその思考も近くにいたラインアークのマゼラン級宇宙戦艦の轟沈により中断される。
「やべっ!俺たちも行くぞ!」
「うん!!」
味方艦の撃沈により状況を再認識したトーヤとレナは機体を変形させ時空連艦隊へ突っ込む。
その道中でレイのTR-6が連合のVF-1718機に足止めを食らっていたが、トーヤとレナの射撃により6機が撃墜され、それにより陣形が崩れたVF-171をTR-6のビームライフルが撃ち抜いた。
《援護に感謝します》
「これでさっきの借りは返したから」
2人の援護に謝礼を述べたレイにレナは無愛想にそう返す。
そこから先は3人で編隊を組み、突破を試みようとしている連合軍のVF-171やジム・クゥエル、更に艦隊直掩のギャプランを相手に敵艦隊を突破していく。
「このまま艦隊中央を突破するぞ!」
『了解!』
トーヤの号令にレナとレイが返答し、3機は連合艦の主砲を潰しながら連合艦隊旗艦を目指す。
時空連艦隊の艦と艦の間を抜け艦隊の後方へ抜けていく」。そして遂に見つけた。1隻だけ他と違う。明らかに後方に陣取る駆逐艦や巡洋艦よりも大型の艦。
「何だあの船?随分変な形してるな」
素直な感想をトーヤが述べる。
艦の中央上下に設けられた開放式カタパルト計2基、これも同じく艦上下に設置された2連装主砲計4問。
その答えはレイが出した。
《艦種データ照合完了。連合軍艦隊旗艦のアマルテア級に間違いありません》
淡々と答えたレイの言葉に、トーヤとレナがその戦艦、アマルテア級戦艦を見やる。
だが、目の前の船が旗艦だという事はそれをどうするかは決まっている。
「ならあの艦を沈めりゃ勝ちって事だろ?分かりきってんならいい!」
言うや否やトーヤはアマルテア級戦艦に向け加速。
《・・・はぁ、やるしかないか》
レナは溜め息をつきながらも、レイは何も言わずに愛機を加速させる。
***
《敵機の接近を確認!》
一方、アマルテア級では3機の接近を探知し緊急発進準備を行っている。
他の機動兵器の運用データから新開発された新たな機動兵器・・・。
《
そして3機を迎撃する為、新型兵器2機が宇宙にその翼をはためかせる。
BGM:セクターα宙域/スターフォックス ゼロ
ED:トリカゴ/リーナ・レヴェントン(CV:水瀬 いのり)、イチゴ・テスタロッサ(CV:市ノ瀬 加那)、レナ(佐倉 綾音)
体調を崩した上に自分で納得できる文が書けなかった為に2か月強かかった上にかなりの妥協と2パートに分けるという・・・
今回もこの駄文にお付き合いくださりありがとうございました。
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