比企谷八幡の妹チェンジシリーズ (Oceans)
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[ 高坂桐乃編 ][ 俺の妹がこんなに可愛いわけがない ]
第1話



第3弾は俺妹から高坂桐乃です。

それでは今回もよろしくお願いします。


- 八幡 side -

 

俺には高1の可愛い妹が、1人いるのだが会話をろくにした方がない。ざっと2年間ぐらいか。基本、俺が話しかけても無視されることが多い。なので、俺から妹に話しかけるのはやめた。俺の妹である桐乃から話しかけられるまで待つだけだ。俺としては小学校のときみたいに可愛い妹と笑いながらたわいもない会話がしたいと思うばかりだ。そんな事を思いつつ、俺は朝食をとるため自分の部屋を出る。すると、隣から俺の妹である桐乃も部屋から出てきた。そして、俺と目が合う。気まずい...どうしようか。おはようとか言った方がいいのだろうか...そんな事を考えていると、桐乃が声を発した。

 

「...何ジロジロ見てんの。マジキモいんだけど」

 

はい。なんか知らんけど、罵倒されました。お兄ちゃん、ショック。

思春期かな?そうだといいんだけど。他の人を嫌いになっても俺だけは嫌いになってほしくない。俺、桐乃に嫌われてたら一生立ち直れない自信がある。

 

「すまん」

 

「先に下、降りるから」

 

桐乃はそう言って、そそくさと下へ降りていった。これは、まだまだ桐乃と普通の会話をするのには時間がかかりそうだとそう俺は感じたのだった。

 

 

 

そして、しばらくしてから俺も下に降り洗面所で歯磨きをしてからリビングへと入る。

 

「八幡おはよう」

 

「母ちゃん、おはよう。あれ?親父は?」

 

「もう会社に行ったわよ。それに、桐乃も学校に行ったわよ。八幡も早くしなさいよ」

 

「分かってるよ」

 

俺は母親とそう会話をしながら朝食をとる。美味ぇ...

 

「ごちそうさん。それじゃあ、行ってくるわ」

 

「うん。行ってらっしゃい」

 

そう言って俺は家を出て、自転車を取りに行く。あれ?俺の自転車がない。まさか...桐乃が乗ってったのか?そんな事を考えていると玄関から母ちゃんが出てきた。

 

「八幡、言い忘れたけど自転車は桐乃が乗って行ったわよ」

 

「それを先に行ってくれよ。遅刻確定じゃん」

 

「八幡、頑張って!ファイトだよっ!」

 

そんな応援いらねぇよ。その歳でそのフレーズは軽く引く。そんなのはいらんから、俺を車で送ってくれよ。俺はそんな事を思いつつ全力疾走で自分の通う総武高校に向かったのだった。

 

 

- side out -

 

- 桐乃 side -

 

私には1つ上の兄貴がいる。捻くれてて、目は死んだ魚の目をしてるけど私の事をいつも大切にしてくれる、そんな兄貴が私は大好きだった。でも、兄貴が大好きって分かってから、どう接していいのか分からなくなって...つい強い口調や罵倒を私の大好きな兄貴に言ってしまった。それが、いけなかった。それをきっかけに私は2年間、まともに会話をしなかった。兄貴は私と会話をするのをやめていたように思えた。本当は大好きな兄貴とメルルや他のアニメ、普通の会話をしたいけど、気まずくて出来ていない。本当にどうしよう。どうやったら大好きな兄貴と話せるんだろう...そんな事を考えてつつ、私は朝食を摂るために部屋を出た。すると、隣から兄貴が部屋を出てきていた。何か話さないと...平常心よ。私!罵倒とかは絶対ダメなんだから。

 

「何ジロジロ見てんの。マジキモいんだけど」

 

そう言って、私が発した言葉は罵倒の言葉だった。違うでしょ!私!何で、普通の会話が出来ないのよ!

 

「先に下、降りるから」

 

私は、兄貴から逃げるように下に降りた。

 

「おはよう、桐乃」

 

「おはよう。ママ」

 

そして、私はママと朝食を摂る。

 

「桐乃、元気ないわね。何か悩み事?どうせ、八幡のことなんだろうけど違う?」

 

「うん...合ってる」

 

やっぱりママには分かっちゃうよね。顔に出ちゃうのかな...

 

「2人して深く考えすぎなのよ、まったく。それで、桐乃はどうしたいの?」

 

「また、大好きなお兄ちゃんと普通に楽しく会話とかしたい」

 

「ふふっ。大好きな、お兄ちゃんね...」

 

「ママ!今のは忘れて!」

 

「忘れませ〜ん!それで、これからどうする?」

 

「お兄ちゃんに、昔のことを謝って元の関係に戻れるように頑張る!」

 

「そう...頑張ってね」

 

「うん!」

 

そして、私は残りの朝食を一気に食べる。

 

「ごちそうさま。それじゃあ私、学校に行くから」

 

「うん。行ってらっしゃい」

 

そう言って私は玄関に向かい靴を履く。その時にママから声を掛けられる。

 

「桐乃。これ、お弁当」

 

「あ、ありがと。それと...ママ」

 

「何?桐乃」

 

「さっきは相談乗ってくれてありがとう」

 

「いいのよ。それくらいの事、親としては当然なんだから。それより、桐乃は早く八幡と仲直りしなさいよ」

 

「うん!それじゃあ、行ってきます」

 

そう言って、私は玄関近くに置いてあった兄貴の自転車に跨ぐ。

 

「行ってらっしゃい...あら?今日は八幡の自転車を使って学校行くの?」

 

「たまにはいいかなぁって。お兄ちゃんに自転車借りること、言っておいて」

 

「分かったわ。気をつけてね」

 

「はーい!」

 

そして、私はお兄ちゃんの自転車で総武高校に向かうのだった。

 

 

ー side out -

 

 

 

...続く

 

 

- 軽い設定 -

 

高坂桐乃は総武高校の1年でモデルの仕事をしながら学校に通っている。成績優秀。男子からも人気がある。アニオタである事は誰にも知られていない。(八幡にはバレるが...)そして、お兄ちゃん大好きっ子。ブラコン。八幡が他の女の子と一緒にいると不機嫌になる。心の中でと八幡に対しては兄貴呼び。母親にはお兄ちゃん呼び。

 

比企谷八幡は原作通りで奉仕部に入部。妹を溺愛。

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。


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第2話

短めですが、2話目です。

それでは、今回もよろしくお願いします。


 

俺はもう遅刻確定なので走るのを早々にやめて、ゆっくりと歩いて学校に向かうことにした。その結果....

 

 

 

「比企谷、私の授業を大遅刻するとはいい度胸だ」

 

俺は1限の授業が終わった時に教室に着いた。そしたら1限は運悪く現文の授業だったため現文担当であり生徒指導の平塚先生が教卓の前に立っていた。

 

「これは重役出勤でして....」

 

「君は専業主夫志望だったろう...まぁ、いい。放課後にじっくりと遅刻した理由を聞こうじゃないか。もちろん反省文を加えた上でな」

 

「はい...」

 

マジかよ...これは面倒なことになりそうだ。奉仕部にも遅れるのは確定、部長の雪ノ下の毒舌もプラスされる。何もいい事がない。

そして俺の後にも1人重役出勤の女子生徒がいて、平塚先生は頭を抱えていたのはまた別のお話。

 

 

 

 

 

時間が経過し、今は放課後。場所は職員室の応接室。

 

 

「比企谷、1限に大遅刻をした理由を聞こうか」

 

「重役出勤です」

 

「そうじゃない!詳しく遅れた理由を話せと言っているんだ」

 

「しょうもない理由ですけどいいっすか?」

 

「構わないさ」

 

「朝、チャリで学校に行こうとしたら妹が使ってて、どうせ1限は大した授業はないと思ってダラダラと学校に向かってて着いたら1限終わりだったってとこですね」

 

「ほう...私の現文の授業が大したことないとは...これは次のテストが楽しみだ。難しくしといてやる」

 

「すんません。それだけはやめてください」

 

「冗談だ。まぁ、理由は分かった。以後、こういう事がないようにしたまえ。それと反省文は1枚でいいから今週中までに提出したまえ。これで私の話は終わりだ。奉仕部の部室にいきたまえ」

 

「うす」

 

そして俺は職員室を出て奉仕部の部室へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

「うーす」

 

「やっと来たわね、遅刻谷くん。由比ヶ浜さんから理由は聞いてるわ」

 

「そう言えば、由比ヶ浜はどうしたんだ?」

 

 

 

「さっき帰ったわ。三浦さん達と遊びに行くみたいよ」

 

「そうか...それで奉仕部に依頼とは来てるか?」

 

「今日もないわ。だから適当に本でも読むといいわ」

 

「そうさせてもらうわ」

 

「」ペラッ

 

「」ペラッペラッ

 

「」ペラッ

 

「」ペラッペラッ

 

俺と雪ノ下はいつものように静かに本を読み、部活時間を消費していく。

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

 

「最終下校時刻になったから、今日はここまでにしましょうか」

 

「そうだな」

 

そして俺と雪ノ下は部室を出た。

 

「それじゃあ、また明日」

 

「おう」

 

そう言ったのち、雪ノ下は職員室に鍵を返しに行った。俺は昇降口へと向かい、帰宅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま」

 

「あ、お兄ちゃん。おかえり」

 

「なんだと....」

 

あの桐乃が俺に挨拶しただと!2年ぶりのことで俺はとても驚いている。明日は大雨なんじゃないか?

 

「...どうしたの?お兄ちゃん」

 

「いや、久しぶりに妹の挨拶を聞いたから少しびっくりしてな」

 

「ふーん。それより、話があるんだけどいい?」

 

「ちょうど良かった。俺も話がある」

 

「そう?じゃあ、リビングに行こ?」

 

「先に行って待っててくれ。俺は荷物を置いてから行く」

 

「...わかった」

 

俺は荷物を自分の部屋に置いてから、桐乃の待つリビングへと向かう。

 

 

「待ったか?」

 

「ううん。大丈夫」

 

「じゃあ、桐乃から話してくれ」

 

「うん...話ってのはね、お兄ちゃんに謝りたいことがあって...」

 

「謝りたいこと?」

 

「お兄ちゃんに話しかけられても無視したりとかお兄ちゃんに対して罵倒したりとかしちゃったから謝りたくて。できれば、お兄ちゃんと仲直りしたいなぁって...だから、ね」

 

 

「お兄ちゃん、ごめんなさい!」

 

そう言って、桐乃は俺に頭を下げて謝ってきた。

 

「桐乃、顔上げろ」

 

「う、うん...」

 

「別に俺は気にしてない。桐乃にも悪気がないのも分かってる。それに桐乃は思春期真っ只中だからしょうがないと思うし。だから気にするな。仲直りしよう、兄妹は仲良くな」

 

千葉の兄妹なら尚更、仲良くやっていかないとな。

 

「うん!ありがとう。お兄ちゃん」

 

「桐乃の話は終わりか?」

 

「うん。今度はお兄ちゃんの番だよ」

 

「俺の話としては今日の自転車の件だ」

 

「あ、うん!今日はありがとね。おかげで遅刻しないで行けたよ」

 

「おかげで俺が遅刻したんだが。自転車を使うならもう少し前に言ってくれ」

 

「ごめんなさい」

 

「まぁ、いいけど。自転車ぐらい買ったらどうだ?」

 

「やだ。アニメのグッズとか買えなくなるし」

 

「いや、お前...読者モデルの仕事してるだろ」

 

「そのお金はアニメグッズとかゲームに使いたいの!そうだ!自転車はお兄ちゃんの後ろに乗って行けばいいんだよ!いいよね?お兄ちゃん」

 

「まぁ、いいけど」(※2人乗りは法律で禁止されています。良い子は真似しないように。この作品では2人乗り禁止の法律は制定されていないという認識でお願いします)

 

「お兄ちゃん、話は終わり?」

 

「そうだな...」

 

「じゃあ、お兄ちゃん!久しぶりにゲームでもしない?」

 

「いいぞ。何のゲームをするんだ?」

 

「スマブラでいい?」

 

「分かった。お兄ちゃんは負けないからな」

 

「私こそ、負けないんだから覚悟しててね。お兄ちゃん」

 

「望むところだ」

 

この後、桐乃の部屋でスマブラを2時間程やりコテンパンにやられた後はメルルのアニメや今期のアニメ(SAOシリーズ、SSSS.GRIDMAN)などを観たりと2年ぶりにいい時間を過ごした。やっぱり兄妹は仲良くするのが1番だと改めて俺は感じたのだった。

 

 

...続く

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

それでは、次回もよろしくお願いします。


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第3話



大変お待たせ致しました。


それでは、今回もよろしくお願いします。


 

 

 

 

 

 

 

 

「あー!面白かった!!」

 

 

ゲーム→アニメ→ゲームの流れは疲れたが、桐乃が喜んでくれたのならお兄ちゃんとしては嬉しい。

 

 

 

「次は負けないからな」

 

ゲーム(スマブラ)は俺の全敗。桐乃の圧倒的勝利で幕を閉じた。

さすがにリベンジしたいレベルにボコボコにされた。

 

 

「次も私が勝つんだから!」

 

 

 

 

「桐乃、八幡。ご飯出来たわよ!」

 

 

 

「下、降りるか」

 

「うん!」

 

 

母ちゃんに呼ばれたため、桐乃と一階に降りる。

 

 

 

 

 

 

 

「仲直り、出来たみたいね」

 

「......知ってたのか?」

 

「親だもの......それぐらい知ってたわよ。まさか2年続くとは思わなかったけどね」

 

「なんか、すまん。迷惑というか.....心配かけたみたいで」

 

「いいのよ。別に仲直り出来たのならね....」

 

 

「どの辺から知ってたんだ?」

 

「ほぼ、最初からよ。急に話さなくなったり、ご飯も別々に食べたりしてるから嫌でも気付くんだから......最近になって桐乃から相談があったしね」

 

「そうなのか?ちなみにどんな相談?」

 

「それはね.....」

 

「お母さん、ストップ!!これ以上はダメ!!」

 

「いいじゃない。減るものじゃないし」

 

「でも......」

 

「?」

 

 

「また、大好きなお兄ちゃんと普通に楽しく会話とかしたいっていう相談です」

 

「そうか......桐乃はお兄ちゃん大好きっ子だったか.....」ナデナデ

 

「ち、違....わないけど.....何か恥ずかしい」

 

「ふふっ.....」

 

「珍しいな。全員揃っているのは..,」

 

 

「おかえりなさい」

 

「やっと仲直り出来たということか」

 

「親父も知っていたのか?」

 

「母さんから聞いていた。まぁ、思春期の真っ只中なら仕方ないとは思っていた」

 

「冷静にそう言ってるけど本当はもの凄く心配してたんだから」

 

「それは今、言わなくていいだろう」

 

「否定はしないのね.....」

 

「それはすまんかった」

 

 

「別にいい。これからは喧嘩せずに仲良くしてくれれば何も問題はない」

 

 

「さあ、ご飯にしましょうか」

 

 

 

そして、いつぶりか分からない家族4人揃っての夕食の時間だった。

 

 

 

終始、親父の顔は緩みまくっていた。いつもは厳格、警察の上の職位に在籍しているため威厳を保っているのだが、今日はかなり緩い。

 

いつもはいつマグマがこの家に降ってくるか分からないぐらい怖いのだが、今日はその面影がない。

 

まぁ、4人で揃って食べる飯は2年ぶりだからしょうがないのかもしれない。

 

初めて親父の笑ってる顔、母親の本当に嬉しそうを笑顔を見た気がする。

 

(やっぱり兄妹喧嘩はするもんじゃないな....)

 

 

 

飯の後は、親父と妹の提案で任○堂Switchのマ○オカートでバトルをすることになった。

 

 

 

 

 

 

案外、親父と母ちゃんが強くてびっくりした。

 

 

 

 

 

 

1st:Daisuke

 

2nd:Yoshino

 

3rd:Kirino

 

4th:Hachi

 

 

 

結果は親が上位を独占。俺は最下位。

 

 

 

 

「お父さん、強すぎ!!手加減してよ!」

 

「勝負ごとに手加減などない」

 

「大人気ないな.....何気に母ちゃんも強いっていうね」

 

「驚いたでしょ?」

 

「これは負けられないな。反撃するぞ、桐乃」

 

「うん!絶対に勝つんだから!」

 

「かかってこい」

 

 

その後も何回かやるが、手も足も出ない。途中までは上位に食い込んでいい勝負だったのだが、妨害アイテムのせいで最下位転落となった。

 

 

 

 

サンダーとかキラーとかバナナとかマジいらん。

 

 

 

 

 

 

結局、親父が10戦全勝。母ちゃんと桐乃が半分半分2位と3位。俺は10戦全敗。

 

こんなに勝てないものなのか?てか、子ども相手に容赦なさすぎだろ。

 

「勝てねぇ......」

 

「八幡もまだまだだな」

 

「次は絶対にお父さんに勝つ!!」

 

「時間がある時にな」

 

「久しぶりにみんなでやると楽しいわね」

 

 

 

 

 

 

今日のゲーム大会はここでお開きとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(久しぶりにやったが、俺も弱くなったな)

 

 

 

 

 

自室に戻り先程のレース結果を振り返っていた。

 

 

 

 

桐乃はリベンジに燃え、特訓を申し込まれたが断った。

 

 

 

 

しばらくはゲームはやめよう。

 

 

メンタルが安定してないからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

 

 

 

普段と変わらず自転車登校。

 

 

だが、あまり体調は優れていない。

 

 

 

 

「お兄ちゃん!後ろに乗せて?」

 

「無理。歩いて登校してください」

 

「昨日は乗せてくれるって言ったのに.......」

 

「そんな気分じゃないんだ」

 

「ゲーム全敗が原因?」

 

「何でもいいだろ」

 

「そんな落ち込んでるお兄ちゃんを私が慰めてあげる!」

 

「は?」

 

「はい!レッツゴー!!」

 

「慰める気、ないだろ?」

 

「いいから早く!」

 

「へいへい」

 

 

 

 

仕方なく桐乃を後ろに乗せて学校に向かう。

 

 

 

 

 

 

今日はやけにペダルが重く感じる。

 

どっかのメガネくんならヒメヒメ!!ヒメ!!と口ずさみながら自転車を漕ぐだろうが、俺にはそのような元気がない。

 

なんなら学校行かずに部屋で寝てたい。

 

 

 

 

 

 

 

「そんな落ち込むことないって!!」

 

「ゲームで親に負けるとかやばいだろ」

 

「リベンジしたらいいんだって!!」

 

「桐乃は本当にポジティブだよな。俺には無理だわ。しばらくはゲームは封印するわ」

 

「そんなの......絶対ダメなんだから」

 

「何でだよ?」

 

「だって.....お兄ちゃんとまた楽しくゲームして遊びたいから」

 

「そうか........まぁ、考えとく」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「また放課後にね。お兄ちゃん」

 

「おう」

 

「ほら、シャキッとする!」

 

「痛い.....」

 

(アイツなりの励ましなのだろう)

 

(可愛い妹を持ったな。俺)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

特に普段と変わらず1/4日を消化し、放課後。

 

 

 

 

 

 

「失礼します。平塚先生、反省文を提出しに来ました」

 

「意外と早かったな」

 

「ええ、まぁ....遅くなると拳が飛んでくると思ったんで」

 

「いい心がけだ。その調子で奉仕部の方も頼んだぞ」

 

「依頼者が来ればですが.....」

 

「期待している」

 

「失礼しました」

 

 

 

 

 

 

「うーす」

 

「こんにちは。今日も由比ヶ浜さんは三浦さんと葉山くんと遊びに行っているから休みよ」

 

「学生は遊んでなんぼだからな」

 

「貴方には遊ぶ相手がいないから残念ね」

 

「お互い様だろ?」

 

「私には姉さんがいるもの」

 

「俺だって妹がいるし」

 

と言ってもあまり遊んだことはないが。

 

「貴方、妹がいるのね」

 

「ああ.....ちなみにこの学校に通ってる」

 

「写真とかあるかしら?」

 

「ほれ」

 

小さい頃の桐乃の写真を見せる。

 

最近まで喧嘩中だったから直近の写真はないので、2年前のにはなるが。

 

 

「この子、どっかで見たことあるような気がするわ」

 

「雑誌とかじゃねーの?一応、読者モデルやってるし」

 

「それね。由比ヶ浜さんと一緒に見てた雑誌に載っていた気がするわね」

 

「あまり比企谷くんと似てないわね」

 

「そうだな」

 

 

Booo......

 

「LI○E通知が来たわよ。早く駐輪場まで来てって来てるわよ」

 

「部活だから先帰れって送っとくわ。スマホ貸してくれ」

 

「はい」

 

「これでよし。じゃあ、依頼人が来るのを待つか」

 

「そうね」

 

 

 

結局、依頼人は来ず部活は終了となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま......ん?」

 

 

家に帰る。しかし、玄関にゲームソフトが落ちていた。

 

 

「R18だと!!!!」

 

中を見る。ソフトは18歳以上対象のエロゲーだった。

 

メルルの中にR18ソフト!?

 

メルルならプリキュアと同じく好きなコンテンツだが......

 

「八幡どうかした?」

 

 

 

「どうもしてませんよ?」

 

 

 

バレませんように.....

 

 

 

 

「何隠してるの?」

 

 

 

 

 

ギクッ!!!!

 

 

 

 

 

「何も?」

 

 

 

「変なの」

 

 

 

「じゃあ、俺は部屋に戻ってるから」

 

「そう。18時にはご飯にするから時間になったら降りてくるのよ」

 

「おう」

 

 

 

「マジ助かった......」

 

 

俺の人生詰んじゃうとこだったわ。

 

 

「てか、このソフト誰のだよ」

 

俺のではない。母ちゃんのではない。親父のものでは絶対ない。

 

「桐乃のなのか?」

 

アイツにこんな趣味が.........

 

お兄ちゃんはどう反応したらいいんだ?

 

まぁ、人それぞれだし....桐乃の趣味を否定することはしないが、まだこの手のものに手を出すのは早いのではなかろうか。

 

 

とりあえず、真偽を確かめないとな。

 

 

 

「ただいま!」

 

「おい、桐乃。話がある」

 

「あ!お兄ちゃん!!なんで先に帰れとか言うの?自転車乗せてほしかったのに」

 

「帰りぐらい、友達と一緒に帰りなさい」

 

「まぁ、今日はあやせと一緒に帰ったけど」

 

「そうか。それならいい....」

 

「で、話って何?」

 

「場所を変える。俺の部屋に来い」

 

「うん!」

 

 

 

 

「桐乃、このソフトはお前のか?」

 

「っ!!返して!」

 

「お前のでいいんだな?」

 

「悪い?」

 

「別に悪くはないだろ。人それぞれだからな」

 

「本当?」

 

「ああ。まぁ、エロゲーに興味持ってるって分かった時はびっくりはしたが」

 

「うん.....」

 

「意外な一面を知れてお兄ちゃん的にはよかったが、この他にも持ってるのか?」

 

「まぁ、たくさん?見たい?」

 

「是非」

 

「じゃあ、ついてきて」

 

俺は桐乃の部屋に入り、コレクションを見せてもらう。

 

「すごいあるな....」

 

ちょっとした高さのタワー2本分のDVDとフィギュアなどたくさんのコレクションが押し入れに入っていた。メルル多めなのはスルーの方向で。

 

「引いた?」

 

「全然、むしろ尊敬するレベル。普通こんな集められないしな」

 

「本当?」

 

「お兄ちゃんは嘘つかない」

 

「ありがとう」

 

「親父と母ちゃんはこの趣味知ってるのか?」

 

「知ってるわけないでしょ!!お兄ちゃんにも話してなかったし...」

 

「ですよね...友達にも話してないよな?」

 

「うん」

 

「とりあえずバレないようにしないとな。親父にバレたら全部捨てられる可能性が高い」

 

「それは嫌!!!」

 

「さすがにそうなったらお兄ちゃんが止めに入るけど」

 

「本当?」

 

「当たり前だ。自分のお金で買った大事なものだしな」

 

「うん」

 

「何か困ったことがあったら相談してくれ」

 

「うん。その時はお兄ちゃんに人生相談する」

 

 

 

「おっともう18時か。飯の時間だから降りるか」

 

「うん」

 

 

この話は切り上げて、一階に降りる。

 

 

(親はもちろん、学校でもバレるのは防がないといかんな。オタク人口が少なくまだあまり受け入れられていない。差別対象として見られることも少なからずある。ここは注意したいところだ)

 

 

 

(なんとかバレないようにしないとな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.......続く

 

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。



それでは、次回もよろしくお願い致します。


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[ 南ことり編 ][ ラブライブ!]
第1話


第4弾はラブライブ!から南ことりです。

それでは今回もよろしくお願いします。


- 八幡 side -

 

 

ピーピーピーピーピーピーピーピーピーピー

 

「ポチッ...もう朝か」

 

俺はアラームを止め、スマホで時間を確認する。6時半だった。

 

「ことりのやつ...アラームのセット時間、早すぎるだろ...ことりには悪いが、二度寝するかな」

 

そう言って、俺はまた寝ようとするが...

 

「お兄ちゃん〜!朝だよ!」バンッ

 

俺の妹である、ことりが俺の部屋に入ってきた。

 

「お兄ちゃんはまだ眠いから...そっとしてくれ」

 

「それは...めっ!だよお兄ちゃん。今日から新学期なんだから、早く起きないと」

 

「嫌だ...お兄ちゃんは寝る」

 

俺はことりの言う事を聞かずに二度寝した。

 

「お兄ちゃん!二度寝しちゃダメ〜!ほら早く起きて!」ツンツン

 

ことりは俺の顔をツンツンし二度寝させないようにしてくる。やめろ。くすぐったい...

 

「早く起きないと、お兄ちゃんのこと嫌いになっちゃうよ」

 

「よし!起きよう!ことりには嫌われたくないからな」ガバッ

 

ことりに嫌われたら、俺は生きていけない。それだけは回避する。

 

「やっと、起きたね。おはよう!お兄ちゃん!」ギュッ

 

俺が起きると、ことりがおはようを言ってから俺に抱きついてきた。

 

「おはよう。ことり」ナデナデ

 

「えへへ...お兄ちゃんの匂いだぁ...」

 

俺はそんなことりの頭を撫でる。これは毎朝の日課となっている。

 

そして数分間...抱き合った後、

俺とことりは一緒に一階へと降りた。

 

 

- side out -

 

 

 

 

 

- ことりside -

 

ことりには大好きなお兄ちゃんがいます。いつもことりを守ってくれて、この前の春休みの時も、ことりが男の人にナンパされた時もお兄ちゃんに電話で助けを求めたらすぐに駆けつけてくれて、ことりをナンパの人達から助けてくれました。そんな優しくて頼りになるお兄ちゃんがことりは大好きです。でも兄妹だからそれ以上の関係になれないのが、ことりとしては少し残念です。お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ!そんな事を考えつつ、ことりは大好きなお兄ちゃんを起こしにお兄ちゃんの部屋に向かいました。

 

 

「お兄ちゃん〜!朝だよ!」バンッ

 

そして、ことりはお兄ちゃんの部屋に入りました。

 

「お兄ちゃんはまだ眠いから...そっとしてくれ」

 

お兄ちゃんはまだ、眠そうにしていました。

でも、時間だから起こさないと...

 

「それは...めっ!だよお兄ちゃん。今日から新学期なんだから、早く起きないと」

 

「嫌だ...お兄ちゃんは寝る」

 

「お兄ちゃん!二度寝しちゃダメ〜!ほら早く起きて!」ツンツン

 

ことりは二度寝したお兄ちゃんの頬をツンツンする。ああ...お兄ちゃんの寝顔は可愛いなぁ...ずっとツンツンしてたいなぁ...でも、今は早く起こさないと...

 

「早く起きないと、お兄ちゃんのこと嫌いになっちゃうよ」

 

全然お兄ちゃんが起きないので、ことりはお兄ちゃんに一番効く言葉を投げかけた。

 

「よし!起きよう!ことりには嫌われたくないからな」ガバッ

 

すると、お兄ちゃんはすぐに起きてくれました。やっぱり、お兄ちゃんもことりのことが大好きなんだね。嬉しいなぁ♪

 

「やっと、起きたね。おはよう!お兄ちゃん!」ギュッ

 

私は嬉しさのあまり、お兄ちゃんに抱きついた。

 

「おはよう。ことり」ナデナデ

 

お兄ちゃんは優しく、ことりの頭を撫でてくれました。

凄く気持ちいいです...

 

「えへへ...お兄ちゃんの匂いだぁ...」

 

そして、ことりはお兄ちゃんと数分間...抱き合った後、お兄ちゃんと一緒に一階に降りていきました。

 

 

- side out -

 

 

 

 

 

俺とことりは洗面所で顔を洗ったりなどをし、その後は朝飯を食べるべく一緒にリビングへと向かった。

 

「2人ともおはよう」

 

「ママ、おはよう」

 

「母ちゃん、おはよう」

 

そして3人で母ちゃんの用意した朝飯を食べた。

 

 

「ごちそうさん」

 

「ごちそうさまでした」

 

そして朝食を食べ終わった後は学校に行くため荷物などを準備し、ことりと1年間ではあるが一緒に通う音ノ木坂学院に向かうため家を出た。

 

 

...続く

 

 

 

- 軽い 設定 ー

 

 

 

比企谷八幡は高3。ことりは高2の設定。互いにシスコンとブラコンで、ことりは少しヤンデレ要素を入れようと思います。他のラブライブメンバーも登場予定です。他の俺ガイルキャラの登場は今のところは未定ですが、出すかもしれません。

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

それでは次回もよろしくお願いします。


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[ 司波深雪編 ][ 魔法科高校の劣等生 ]
第1話



第5弾は魔法科高校の劣等生から司波深雪です。

それでは今回もよろしくお願いします。


俺は今、妹である深雪の入学式に来ている。深雪の入学先は俺が通っているところと同じ千葉にある総武高校だ。しかも、入試試験は全て満点という主席入学だ。満点入学は総武高校初らしい。さすがは俺の妹だ。そんな事を考えていたら入学式が始まる。そして、しばらくして新入生総代の挨拶が始まる。もちろん挨拶は深雪が務めることになっている。

 

『穏やかな日差しが注ぎ鮮やかな桜の花びらが舞うこのうららかな春の嘉日。千葉の進学校、総武高校に入学することが叶い、とても嬉しく...また光栄に存じます。私は、新入生を代表して総武高校の一員として誇りを持ち文武両道を目指し、そのために日々努力をし、頑張っていく所存です。また...』

 

と滑舌よく話していく。その姿に体育館中の人達が釘付けとなっていた。そして新入生の挨拶が終わった後も順調に進み、入学式は終わった。

 

 

その後は深雪はHRがあるので、教室へと向かっていった。俺は特にすることがないので、一足先に家へと帰った。

 

 

 

 

そして、昼過ぎ。俺の妹である深雪が帰ってきた。

 

「お兄様!ちゃんと私の入学式を見に来てくださいましたか?」

 

「おう。新入生総代の挨拶よかったぞ」

 

「お兄様にそう言ってもらえて、深雪はとても嬉しいです。明日からお兄様と一緒に学校へ行けますね!」

 

「そうだな。明日が楽しみだ」

 

「はい!深雪も楽しみです」

 

「それは、そうと...深雪」

 

「何ですか?お兄様」

 

「入学祝いに何か欲しいものとかあるか?」

 

「それじゃあ、3つほどよろしいでしょうか?」

 

「俺に出来る範囲でな」

 

「まずは、一緒に外食しませんか?」

 

「いいぞ。それで、何処に食べに行くんだ?高いのは無理だぞ?」

 

「心配はいりません。お兄様!食べに行くところはサイゼリヤですから」

 

「え?いいのか?サイゼリヤで」

 

「はい!お兄様の好きなサイゼリヤに深雪も行きたいんです」

 

何て、お兄ちゃん想いなんだ!本当にいい妹を持ったな俺は...

 

「そうか。じゃあ、行くか」

 

「はい!」

 

そして、俺と深雪はサイゼリヤに行き、俺はミラノ風ドリアとドリンクバーを頼み、深雪はパスタとピザ、小エビのサラダにドリンクバーを頼んだ。

 

「本当にサイゼリヤでよかったのか?」

 

「深雪はお兄様と一緒に食事できるだけでいいんです」

 

本当に俺はいい妹を持ったのかもしれない。これからも大事にしよう。そして、しばらくして注文したものがきた。

 

「「いただきます」」

 

そして俺はミラノ風ドリアを食べ始めるが深雪は食べ始めようとはしなかった。

 

「食べないのか?」

 

「その、お兄様。あーんをしてくれませんか?」

 

その際に深雪が、あーんしてほしいと頼んできた。

これも欲しいものの1つらしかった。なので俺は深雪のお願いを聞いた。

 

「ほれ。あーん」

 

俺は深雪にパスタを乗せて差し出す。そして、深雪は髪をかきあげて食べた。すると、店内がざわつく。

 

「はむっ!美味しいです」

 

「それは良かった」

 

その後は、互いに食べさせ合いながら楽しいひと時を過ごし、サイゼリヤを出た後は近くのショッピングモールで深雪の服などを買ったり、いろんな店を回ったりした。

 

 

そして夜に俺と深雪は帰宅し、俺が先に風呂に入り今日の疲れを取る。俺が風呂に入った後は深雪が風呂に入る。その間、俺は自分の分と深雪の分のコーヒーを作った。

 

 

「お兄様、今日はありがとうございます」

 

「気にすんな。深雪の入学祝いなんだからな」ナデナデ

 

そう言って俺は深雪の頭を撫でる。

 

「ふにゃあ〜」

 

深雪は気持ち良さそうにしていた。

 

「それで、最後のお願いは何だ?」

 

「それは...ですね、その...」

 

急に深雪はモジモジし始める。

 

「ないなら、俺はもう寝るけど」

 

「ま、待ってください!お兄様」

 

「ん?願い事は決まったか?」

 

「今日、一緒に寝ませんか?」

 

「へ?」

 

俺が深雪と一緒に寝るだと⁉︎

 

「だ、ダメですか?」

 

「い、いや...大丈夫だ。俺と一緒に寝ることが最後のお願いなんだろ?」

 

「はい!」

 

俺の理性が保てるといいけどな。深雪と一緒に寝るのは小学生以来か。そんな事を考えつつ俺は深雪と共に俺の部屋へ向かいベッドに入る。

 

「こうやって、お兄様と寝るのは久しぶりですね」ダキッ

 

「あ、ああ。そうだな」

 

深雪は俺に抱きつきながらそう呟く。ちなみに俺と深雪は向かい合った状態だ。そして、一緒に寝るのは小学生以来だが...その時とはまた違った感じだ。特に俺の身体に当たる2つのアレだ。柔らかすぎてどうにかなりそうになってしまう。いかんぞ俺。煩悩を打ち払うんだ。

 

「また、お兄様と一緒に寝れて深雪はとても嬉しいです」

 

「それは良かった」

 

「お兄様も嬉しいですか?」

 

「ああ。俺も可愛い妹と寝れて嬉しいぞ」ナデナデ

 

「良かったです...」ギュッ

 

深雪はさらに密着してくる。これはまずい。主に俺の理性が。どうにかなる前に俺は寝ることにした。その前に俺は深雪の寝顔を見る。

 

「...んっ...お兄様、大好きです」スゥ...

 

深雪は嬉しそうな顔をしながら寝言を言い、俺の胸の中に顔をうずめた。

 

「可愛い寝顔だな...俺も深雪のこと、大好きだぞ」ボソッ

 

俺も小さな声で深雪にそう言ってから眠りについた。

 

 

 

 

「あらあら...2人とも仲がいいわね。ふふっ...」

 

「本当だな」

 

八幡と深雪の両親は嬉しそうに共に抱き合って寝る八幡と深雪の姿を部屋のドアから覗き、そう呟いていたのだった。

 

 

 

...続く

 

 

 

ー 軽い設定 ー

 

比企谷八幡は高2。深雪は高1の設定です。

深雪は入試オール満点で八幡の通う総武高校に進学。そして重度のブラコンでお兄ちゃん大好きっ子である。八幡が女の子と一緒にいるところや喋る所をみると凄い冷気を出す。(決して魔法を発動したとかではない)宥めるには八幡が頭を撫でてもらうほかはない。

 

比企谷八幡は原作通りで奉仕部に入部。シスコンであり妹の深雪を溺愛している。




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

それでは次回もよろしくお願いします。


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第2話

お待たせ致しました。2話目です。

それでは、今回もよろしくお願いします。


ピピピッ...ピピピッ......ピピピッ....ピピピッ...

 

「うーん...」

 

目覚まし時計が鳴り響く朝、俺は起きようとするが...顔に何やら柔らかい感触があり、何か窮屈な体勢で俺は寝ており起きれなかった。とりあえず、目を開けてどのような状況、状態なのか確認した。

 

「むぐっ...」

 

どうやら俺は深雪の胸に頭を埋めている状態だった。苦しい...けど温かくて柔らかい...ってそうじゃない!どうにかして、起きなければ!俺のアレ(理性)がヤバくなりそうになる。

 

俺は深雪を起こさないようにスッと胸の辺りから退く。

 

「んっ....」

 

深雪は一瞬、ビクッとなりそのまま起きるかと思ったが、起きることはなくそのまま寝返りを打ち、眠りを続ける。相変わらず深雪の寝顔は可愛い。疲れが吹っ飛ぶぐらいに。守りたい、この笑顔...

 

「ふぅ...起きるか」

 

俺は部屋を出て洗面所で顔を洗った後、リビングに向かった。

両親は朝早くから仕事なので、もう居なかった。社畜は大変だなと思いつつ俺はポットに水を入れ沸騰するまで待ち、温かいコーヒーを飲む。

 

 

 

「落ち着くなぁ...」

 

1人で呟きながら、コーヒーを飲んでいると...

 

「お、お兄様!」

 

「ん?どうした深雪」

 

「なぜ、お兄様だけ先に起きたのですか!起きたのなら深雪も起こしてください!」(お兄様とおはようの挨拶がしたかったのに...)

 

「いや、起こすのは悪いと思ってだな...」

 

「そんな事はありません。深雪はお兄様と一緒に起きたいのです」

 

「そうか。でも深雪の寝顔が可愛くて起こしたくなかったんだよ」

 

「...その言い方はずるいです」

 

「ん?なんか言ったか?」

 

「なんでもありません、はぁ...お兄様は鈍感です」ボソッ

 

なんか、聞き取れなかったが深雪がなんでもないというなら大丈夫だろう。

 

「まぁ、いいや。それより、朝飯作るから深雪は学校の支度でもしてこい」

 

「もう、学校に行く準備は制服着るだけで後は済ませてあります。それと朝飯は深雪が作ります。お兄様の手を煩わせることをさせる訳にはいきませんから」

 

「いいのか?」

 

「はい!深雪はお兄様のお役に立ちたいんです」

 

「わかった。じゃあ、朝飯は深雪が作ってくれ」

 

「はい!」

 

 

 

そう言って深雪はリビングに向かい、朝食の準備を始めた。俺は良い妹を持ったなとつくづく思ったのだった。

 

 

 

「〜♪」

 

 

 

リビングで料理をする深雪は終始、笑顔だった。

 

なんかこういうのって新婚夫婦みたいな感じだよな。まぁ、俺にはそんな相手が出来るわけないが...

 

 

 

「お兄様!朝食が出来ました」

 

「おう」

 

「「いただきます」」

 

そして、俺は深雪が作った朝食を食べる。

 

朝食メニューは一汁三菜と健康的なものだった。

 

「お兄様、美味しいですか?」

 

「ああ、美味いぞ。深雪はいいお嫁さんになれるぞ」

 

「そうでしょうか?」

 

「ああ、お兄ちゃんが保証する」

 

「ありがとうございます。でも、深雪はお嫁には行きませんよ」

 

「そうなのか?」

 

女の子というのは少なからずお嫁さんに憧れるものだが、深雪は違うらしい。まぁ、深雪がお嫁に行くとなれば俺は少なからずショックを受けるだろう。数年は立ち直れるか分からないだろうな...

 

「深雪はお兄様とずっと傍にいたいのでお嫁には行きません」

 

「そうか。ありがとな」ナデナデ

 

「...っ!はい!」(お兄様の手は温かくて気持ちいいです)

 

俺と深雪はその後も話しながら楽しい朝食のひとときを過ごした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして朝食を摂ったのち、俺と深雪は学校に行く準備をし家を出た。

 

 

「〜♪」

 

深雪はご機嫌で俺と手を繋ぎながら歩いている。

 

「学校が楽しみなのか?」

 

「はい!それもありますけど、何よりお兄様と同じ高校に通えるのが嬉しいんです」

 

「俺も深雪と一緒の学校に通えるのは嬉しいぞ」

 

「それは良かったです」

 

そんな事を話しながら、総武高校に向かった。その道中に...

 

「あの2人、仲がいいわね」ヒソヒソ

 

「カップルとかかな」ヒソヒソ

 

「お似合いね」ヒソヒソ

 

「「あんな、可愛い子と登校なんて羨ましい!!そこ代われ!!」」(心の中の声)

 

周りの女子高生たちは八幡と深雪の登校姿を遠くから見てヒソヒソと話しており、男子高生達は羨望の眼差しで八幡達を見ているのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分歩いた後、総武高校に着く。

 

 

 

「それじゃあ、お兄様。また昼休みに」

 

「おう、深雪は授業頑張れよ」

 

「お兄様もちゃんと数学の授業を受けてくださいね」

 

「わかってるよ」

 

そして、深雪は1年の教室に向かっていった。俺も自分のクラスに向かいますかね。俺はクラス表を確認し、自分の教室へと向かった。

 

その際...

 

 

「お、比企谷じゃないか」

 

「おはようございます、平塚先生」

 

「うむ、それで、今日の奉仕部だが...始業式のため活動はないから部室には行かなくていいぞ。もちろんこの事は雪ノ下と由比ヶ浜には伝えてある」

 

「分かりました」

 

「それじゃあ、私は朝の会議があるから失礼する」

 

「はい」

 

そう言って、俺は平塚先生と別れ自分の教室に改めて向かったのだった。

 

 

...続く

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

それでは、次回もよろしくお願い致します。


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第3話

お待たせ致しました。3話目です。

安定のご都合主義です。

それでは今回もよろしくお願い致します。


 

 

深雪と別れた後は教室でSHRを行なったのち、体育館に移動し始業式が始まる。始業式のラインナップとしては校長の講話と生徒会長からの話の2つである。生徒会長の話はいいとして、校長の講話はくだらない話かつ長い。大抵の場合、身の上話とか勉強の話、進路の話しかしない。そんなのは学年集会の時にやってもらいたいものである。

 

「それでは、校長先生からお話をいただきます」

 

そして、校長の講話は俺の予想通りで身の上話、勉強の話をメインで30分話していた。ほとんどの生徒は寝ている。まぁ、ためになる話もしていないからなぁ...

 

「最後に生徒会長からお話をいただきます」

 

 

校長先生の講話の後は生徒会長からの話を聞く。すると校長先生の講話の時とはうって変わり、ほぼ全員起きて聞く態勢に入っている。まぁ、無理もないだろう。総武高校の生徒会長は近年、女子生徒かつ美少女が務めている。その影響もあってか年々、受験人数が増えているらしい。

 

「生徒会長の七草真由美です。新入生の皆さん、改めて御入学おめでとうございます。初めての高校生活で不安なこともあるかと思いますが、悔いのない3年間を過ごしてくださいね。そして、2年生は上級生、先輩という意識を常に持って2年目の学校生活を送ってください」

 

生徒会長は一呼吸おき、体育館全体を見渡す。その際、俺は七草先輩と目が合った。俺は一応、軽く会釈をする。それを見た七草先輩は笑顔だった。

 

「そして3年生の皆さんは最上級生となり最後の部活、受験も控える大事な1年になります。この1年もより勉学や部活動に励み、悔いのないように最後の高校生活を送ってください。以上で生徒会長挨拶を終わりたいと思います」

 

七草先輩が話し終わると体育館中から拍手が沸き起こった。その後は生徒指導の先生から話があったのち始業式は終わった。

 

 

始業式の後は各自の教室でHRを行う。俺のクラスは自己紹介が行われた。俺の番での自己紹介は察してくれると嬉しい。

 

 

 

 

HRの後は授業等はないので、昼に各自解散の流れとなった。

 

 

「ヒッキー!部活行こう!」

 

「は?お前、平塚先生から聞いてないのか?今日は奉仕部無いぞ」

 

「あっ!そうだった」

 

「ったく、ちゃんと覚えとけよ」

 

「ごめんごめん。じゃあ、一緒に帰ろう!」

 

「いや、帰る方向違うだろ。雪ノ下と一緒に帰れば?」

 

「ゆきのんとも一緒に帰るよ。途中まで一緒に帰らない?」

 

「いや、悪いが....俺は妹と一緒に帰るから」

 

「え?ヒッキーに妹がいるの!?初耳!」

 

「まぁ、言ってないからな。それより、由比ヶ浜が初耳という言葉を知っていたのが意外だった」

 

「私の事、バカにし過ぎだからね!」

 

実際に由比ヶ浜はバカだからなぁ....

 

「じゃあヒッキーの妹ちゃんとも一緒に帰ろう!!」

 

「いや、帰らないから。お前らはゆるゆりしながら2人で帰れよ」

 

「いいから、一緒に帰るよ!」

 

「おい、待て。制服を引っ張るな」

 

俺は由比ヶ浜に引きずられ、雪ノ下のクラスへと向かう羽目になった。

 

「お待たせ、由比ヶ浜さん。あら?比企谷くんも一緒なのね」

 

「由比ヶ浜に強制されてな」

 

「そう....」

 

「それより、ゆきのん!聞いてよ」

 

「なにかしら?由比ヶ浜さん」

 

「ヒッキーの妹がこの学校にいるんだって!」

 

「そうなの?全然、知らなかったわ」

 

「だよね!なんで私達に教えてくれなかったの!」

 

「言う必要ないからな、別に」

 

言ったとしても妄想で妹を作るのはやめなさいとか言われそうだからな。言うわけがないだろう。

 

「まぁ、言う言わないは比企谷くんの自由だものね」

 

「だから、今からヒッキーの妹ちゃんと一緒に帰ろうと思ったの」

 

「それで比企谷くんが一緒なのね。納得したわ」

 

「じゃあ、行こう!」

 

そして、俺達は俺の妹である深雪のクラスである1-Aに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「呼んでくるから、ここで待っててくれ」

 

「うん」

 

「分かったわ」

 

俺は由比ヶ浜と雪ノ下を1-Aの廊下前で待っているよう伝え、俺は1-Aの教室に入る。中にはまだ人が数人ほど残っていた。その中に深雪の姿もあった。友達と会話しているようであった。話しかけずらい...

 

 

「深雪、少しいいか?」

 

「あっ!お兄様!」

 

「友達と会話中にすまんな。一緒に帰ろうと思って声を掛けたんだが...」

 

「もう少しでお話が終わるので待ってていただいてもいいですか?お兄様」

 

「分かった。教室の外で待ってるから」

 

「はい!」

 

俺は教室の外で待つことにした。

 

「あれ?ヒッキーの妹ちゃんは?」

 

「友達と話してるみたいだからもう少しかかるらしい」

 

「そっか」

 

「比企谷くんの妹さんが来るまで待ちましょうか」

 

 

 

由比ヶ浜と雪ノ下は談笑し、俺はスマホを見て深雪が来るのを廊下で待った。

 

 

 

しばらくして...

 

「お兄様!お待たせしました!」

 

「おう、もう大丈夫か?」

 

「はい!なので、お兄様と2人っきりで帰りましょう!」

 

「そのことなんだが、連れがいるんだが」

 

「どちらにいらっしゃるのですか?お兄様」

 

「後ろにいると思うぞ。おい、由比ヶ浜、雪ノ下。来たぞ」

 

「あ、この子がヒッキーの妹ちゃん?可愛いね」

 

「あ、ありがとうございます...えっと」

 

「私の名前は由比ヶ浜結衣!ヒッキーとは同じ部活なんだ!」

 

「ヒッキーというのはお兄様のことですか?」

 

「うん!いいあだ名でしょ?」

 

「そ、そうですね...」

 

深雪の顔が引きつっていた。これはやばいかもしれない。

 

「由比ヶ浜さん、私も自己紹介したいのだけれどいいかしら?」

 

「ごめんね」

 

「由比ヶ浜さんがいきなりごめんなさいね。私は雪ノ下雪乃。2-Jに在籍しているわ。比企谷くんとは同じ部活で部長をしているわ。これからよろしくね、比企谷深雪さん」

 

「はい。こちらこそ自己紹介が遅れてすみません。1年の比企谷深雪です。お兄様がいつもお世話になっております。こちらこそ、よろしくお願い致します」

 

「ええ、よろしく」

 

「それと、少しお兄様と2人でお話がしたいのでお兄様をお借りしていいですか?」

 

「ええ、大丈夫よ」

 

 

 

「お兄様、ちょっといいですか?」

 

「と、どうした?」

 

なんか深雪の表情が暗い感じがするのは気のせいか?それとなんかすごい冷気を感じるんだが....

 

「何故、お兄様は部活動のことを深雪に黙っていたのですか!!」

 

「それはだな....」

 

「しかもあんなに可愛い先輩方と....理由次第では深雪はお兄様を許しませんよ」

 

「.........」

 

なんと説明していいのか分からず、俺は理由を答えられずにいた。

 

「そうですか...お兄様が何も仰らないのであれば....」

 

「あれば?」

 

「ちゃんと説明してくれるまで、お兄様を家には帰させませんから覚悟してくださいね」

 

「マジかよ....」

 

俺は深雪にどう説明しようか迷うのだった....

 

 

 

誰か助けて.....葉山!!!

 

 

 

無残にも比企谷八幡の心の叫びは葉山隼人の元に届かなかった。

 

 

 

...続く

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。


魔法科高校の劣等生サイドでは生徒会長枠として七草真由美を登場させました。副会長には城廻先輩という形にしています。八幡と七草先輩との関係は今後、明らかになります。


次回もよろしくお願い致します。


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第4話 

大変お待たせ致しました。深雪編4話目です。



それでは今回もよろしくお願い致します。



 

 

 

とりあえず、深雪には奉仕部に入ったきっかけを全て話した。

 

 

 

「なるほど、経緯は分かりました。お兄様」

 

「ほっ.....」

 

「なら、深雪もお兄様の部活に入部します」

 

「はい?」

 

「お兄様が可愛い先輩方に口説くことがないように見張るためです」

 

「いや、俺は....そんなつもりは」

 

深雪は、とんだ誤解をしているようだ。

 

「あら、嬉しいことを言ってくれるわね」

 

「えへへ...可愛い」

 

お前ら...顔が緩みすぎだ。

 

「入部届を書きに職員室の平塚先生に行きましょう。お兄様」

 

「本当に入部する気なのか?」

 

「はい。そうすればお兄様と一緒にいられる時間が増えますから」

 

「そうか.....という訳で、俺と深雪は職員室に行くから2人は先に帰っててくれ」

 

「分かったわ」

 

「じゃあ、また明日ね!」

 

「おう」

 

雪ノ下達と別れ、職員室に向かった。

 

 

 

 

 

 

「確かに入部届は受け取った。改めて、私が奉仕部の顧問の平塚だ。そして、奉仕部の部員は5人となった」

 

「部員は私とお兄様、雪ノ下先輩と由比ヶ浜先輩こ4人ではないのですか?」

 

「もう1人いる。3年生にな。詳しいことは比企谷に聞くといい」

 

「分かりました。明日からよろしくお願い致します」

 

「うむ」

 

 

 

職員室を出て、昇降口へと向かう。

 

 

 

「お兄様、もう1人の部員の方はどなたなのですか?」

 

「あ....多分、深雪も知ってる人だ」

 

「私が知っている人....」

 

「ヒント、学校内ではかなり有名な人だな」

 

「なるほど....分かりました。生徒会長さんですね」

 

「そう。生徒会長の七草先輩が奉仕部の部長をやってる」

 

「お兄様は両手に花以上の事をしているということですね」

 

「そんな訳ないだろ。肩身が狭い。男子部員が入ってくれるといいんだけど...中々入ってくれる人がいないんだよなぁ.....」

 

「そんな事情があったのですね。なら、私が毎日部活の時にお兄様を癒してあげますね」

 

「それはせめて家だけにしてくれ」

 

そんな現場をあいつらや会長さんに見られたらとんだ騒ぎになる。

 

「分かりました。家だけにしますね」

 

「是非、そうしてくれ」

 

「明日が楽しみになってきました!」

 

(俺は楽しみじゃないけどな....)

 

絶対に深雪の絶対零度が発動するに決まっているからな.....

 

 

八幡のその懸念が、後日の奉仕部の依頼で的中するとは....今の彼には知る由もない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の放課後.....

 

 

2-Fにて.....

 

 

「あれ?深雪さんじゃないか。久しぶりだね」

 

「葉山先輩、お久しぶりです。お兄様はいますか?」

 

「ああ。いるよ....呼んできてあげるよ」

 

「ありがとうございます」

 

 

 

 

「比企谷、君のプリンセスが迎えに来てるよ」

 

「あ?プリンセス?」

 

「比企谷の妹さんだよ」

 

「最初からそう言えよ。葉山」

 

「あながち、まちがっていないだろ?」

 

「まぁ、そうだが....」

 

「早く行ってあげなよ。プリンセスの元にね」

 

「へいへい...」

 

 

 

「葉山先輩、ありがとうございました」

 

「これぐらい大丈夫だよ」

 

「お兄様、部室に行きましょう」

 

「そうだな」

 

 

 

部室がある特別棟に向かった。

 

 

 

「お兄様、ここですか?」

 

「ああ...そうだ」

 

 

 

「うっす」

 

「失礼します」

 

俺が先に入り、後から深雪が部室に入る。

 

「こんにちは、八幡くん。それと貴方が八幡くんの妹さんね。平塚先生から聞いているわ」

 

「初めまして。お兄様の妹の比企谷深雪です。よろしくお願い致します」

 

「ご丁寧に挨拶、ありがとう。私が奉仕部部長の七草真由美です。1年間よろしくね」

 

「はい。それで、この部活は基本的に何をするのでしょうか?」

 

「生徒の依頼がない場合は好きな事をしてくれて構わないわ。読書とか勉強とか色々ね。私は生徒会の仕事をやっているけどね。時々、八幡くんや雪乃さんや結衣さんにも手伝ってもらってるけど...」

 

「なるほど、だいたいの部活内容は分かりました」

 

「それじゃあ、部活を始めましょうか」

 

そう言って、部活は始まるのだが....依頼はないので、各々のしたい事をする。部長の七草先輩は生徒会の書類処理作業。雪ノ下は授業の復習。由比ヶ浜は携帯をいじり、俺は死に戻りの能力を持つ主人公が登場する異世界モノのライトノベルを読む。青髪の少女が報われなくて悲しかった。時々、俺は涙を流すこともあった。その姿を見た七草先輩はものすごく心配していた。雪ノ下も由比ヶ浜は少し俺の事を心配していた。

 

 

 

 

今日は4章を読んでいる。レグルスとライは絶対に許さないと心の中で思っていた。

 

深雪は学校の宿題をしていた。

 

静かな部室は嫌いじゃない。むしろ心地がいい。入部当初はそうは思わなかったが、今となっては過ごしやすい場所となっていた。

 

「お兄様、どうかしましたか?」

 

「いや、何でもない」

 

 

 

 

 

「今日も依頼人は来ないわね」

 

「依頼が無いってことは平和な学校生活が送れている証拠ですよ。七草先輩」

 

「そうね...八幡くんの言う通りね」

 

「比企谷くんにしてはいい事を言うわね」

 

「「しては」は余計だ」

 

 

 

この後も、依頼人が来る事はなく.....最終下校時刻を迎えた。

 

 

深雪の絶対零度が発動することもなく平和だった。

 

 

 

雪ノ下と由比ヶ浜とは帰る方向が違うので校門で別れた。

七草先輩とは家が近いため、一緒に帰ることに.....

 

 

ちなみに俺が高1の時はほぼ、七草先輩と2人で帰っていた。(部長命令で)

 

 

「深雪さん。馴染めそう?」

 

「はい。皆さん、優しい方なので大丈夫だと思います」

 

「それなら良かったわ」

 

「1年前のお兄様はいつも部活の時はどんな感じだったのですか?」

 

「そうね...依頼のない時の八幡くんはいつも本を読んでいたわね。私が話しかけても本をずっと読んでいたわ。私より本が好きなんだなって思ってショックだったなぁ...」

 

「いや、あの時は面白い展開だったんで....」

 

「お兄様、本を読むのもいいですけど....先輩の話も聞いてあげないとダメですよ?」

 

 

「はい...」

 

「ふふっ....立場が逆転してるわね」

 

「はい。深雪には頭が上がりませんよ」

 

「羨ましいなぁ....」

 

「あれ?七草先輩は兄がいましたよね?」

 

「いるけど、八幡くんや深雪さんみたいに仲良しじゃないから.....」

 

「あんまり会話とかしないんすか?」

 

「そうね。あまり、兄さんとは話さないわね。でも、妹達とはよく遊ぶけど」

 

「なるほど....」

 

「だから、八幡くんの妹かお姉さんになりたいなぁ...って思った時期もあったかしら」

 

「何故ですか?」

 

「八幡くんは優しいイメージがあるし、現に深雪さんも部活中、八幡くんを見ながら嬉しそうにしてたから、私も八幡くんみたいなお兄ちゃんか弟が欲しいって思っちゃった....ダメだった?」

 

「ダメじゃないですよ。俺も先輩みたいな姉がいたら嬉しいかもしれません」

 

甘えたい時に甘えさせてくれそうだからな....先輩は。

 

「....ありがとう」

 

「痛っ!!」

 

深雪は俺の足を踏んでいた。

 

「お兄様?表情が緩んでますよ?」

 

「...悪い」

 

「分かればいいんですよ。お兄様」

 

 

「じゃあ、私はこっちだからまた明日ね。八幡くん。深雪さん」

 

「はい」

 

「明日もよろしくお願いします」

 

 

俺と深雪は七草先輩を駅まで見送ったのち別れた。

 

「お兄様。皆さん、いい人達ですね」

 

「そうだな。深雪も早く、馴染めるといいな」

 

「はい。お兄様は....」

 

「ん?」

 

「何でもありません。私達も早く家に帰りましょう」

 

「?」(何を言おうとしてたんだ?深雪のやつ)

 

 

「.......」(あの中にお兄様の好きな人はいるのか....なんて聞けません。もしいたとしたら、深雪は嫉妬で心が狂いそうになるかもしれませんから....)

 

 

2人はそんな事を考えながら、帰路に着くのだった.....

 

 

 

 

 

 

 

そして、翌日。奉仕部にある依頼が舞い込むのだった。

 

 

 

 

 

....続く

 

 

 

 

 

 

ー 設定 ー

 

奉仕部メンバーの位置づけですが...

 

部長: 七草真由美

 

副部長:雪ノ下雪乃

 

ETC:比企谷八幡、比企谷深雪、由比ヶ浜結衣

 

となっております。

 

 

次回にて新規依頼が舞い込みます。お楽しみに。

 

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々、ありがとうございます。


それでは、次回もよろしくお願い致します。


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第5話

5話目です。


それでは今回もよろしくお願い致します。


 

 

 

 

翌日の昼休み。俺はテニスコートが見えるベストプレイスで飯を食べている。妹の深雪は部室で雪ノ下達と食べている頃だろう。俺も誘われたのだが、女子4人の中に男1人で食べる勇気はないので断った。深雪はムッとしていたが、今度、一緒に食べるという約束で何とか機嫌を取ることは出来た。

 

「ベストプレイスで食べる飯は美味いな....」

 

ちなみに昼飯は妹の深雪が作ってくれたものだ。

 

 

 

 

「あっ!ヒッキーだ」

 

「ヒッキーはやめてくれ。由比ヶ浜」

 

「何でこんな所でご飯食べてるの?一緒に部室で食べれば良くない?」

 

「それは勘弁だ。美少女達と飯を食えるほど俺のハートは強くない」

 

「えへへ...美少女...」

 

「おーい、由比ヶ浜さん」

 

「へ?何?」

 

「お前は何しに来たんだ?」

 

「はっ!ゆきのん達のジュースを買うんだった!」

 

「パシリか」

 

「パシリじゃないもん。じゃんけんで負けて買うだけだもん」

 

「そうか...」

 

「あっ!由比ヶ浜さんに比企谷くん!」

 

「さいちゃん!やっはろー!」

 

「うん。やっはろー」

 

えっ...何これ、すごく可愛いんだけど....ってか、何で俺の名前知ってるんだ?

 

「2人ともここで何やってるの?」

 

「えっと....」

 

「俺はここで飯を食ってただけで、由比ヶ浜はパシリの途中だ」

 

「パシリじゃないもん」

 

「ふふっ。2人とも仲がいいね」

 

「そ、そうかな?それよりさいちゃんは昼練?」

 

「うん。うちの部、弱いから昼休みも練習しないといけなくて...」

 

ほー。熱心なことで....

 

 

「授業でもテニスやってるのに熱心だね」

 

「好きでやってることだから....授業といえば比企谷くん、テニス上手いよね」

 

「そうなん?」

 

「ああ...妹とよくテニスはやってたからな...」

 

テニスは深雪の趣味でもあったからな...

 

「だからフォームが綺麗なんだね」

 

「いやぁ...照れるなぁ....なぁ、由比ヶ浜?」

 

「ん?何、ヒッキー?」

 

「この子誰?」

 

「はぁっ!?信じらんない!?同じクラスでしょ!?」

 

「いきなり大きな声を出すなよ。びっくりしちゃうだろ」

 

「ヒッキーが覚えてないのが悪いんでしょ!?」

 

「あははっ...」

 

「同じクラスの戸塚彩加です」

 

「すまん、戸塚さん。俺、クラスの女の子と話したりするのあんまりないから名前とか知らなかった....」

 

「それはいいんだけど....僕、男の子なんだけど....な」

 

「は?由比ヶ浜、本当か!?」

 

「本当だし!まさか、女の子だと思ってたの?」

 

「はい....」

 

こんな可愛い子が男に見える方がおかしいんだ。俺は悪くない。

 

「しょうがないよ...僕、こういう見た目だから間違えられることとか多いし」

 

やっぱりそうだよな?しょうがないんだ。うん。しょうがない....

 

「次からは間違えないから許してくれ」

 

「うんっ!」

 

ああ...天使だ。

 

「それより、由比ヶ浜。雪ノ下と先輩のジュースはいいのか?」

 

「あ!!!!もうヒッキーのせいで忘れちゃってたじゃん!」

 

「俺のせいじゃないだろ....」

 

由比ヶ浜は急いで自販機の方へ走っていった。

 

「じゃあ、比企谷くん。僕は昼練に戻るね」

 

「頑張れよ。テニス」

 

「うん!」

 

 

 

 

戸塚と別れ、俺はベストプレイスを離れ教室へ戻った。

 

 

 

 

その後のテニスの授業は戸塚とやることに....

 

 

 

「やっぱり比企谷くんは上手いね」

 

「そうか?」

 

「うん。比企谷くんさえ、よかったらテニス部に入ってくれないかな?」

 

「俺が?」

 

「比企谷くんが入ってくれたら部員の刺激になると思うから....」

 

「すまんが、それは無理だ」

 

「え?」

 

「俺はもう部活に入ってるんだよ」

 

「そっか...」

 

「部長さんに相談してみるけど...ダメでも...練習とかなら付き合えると思うからそれでも良ければいいか?」

 

雪ノ下や七草先輩に事情を話せば何とかなるかもしれない。

 

「ありがとう。お願いしてもいいかな」

 

「それぐらい構わない」

 

とりあえず、相談してみるか....もしかしたら転部できるかも....

 

 

 

 

 

「無理ね」

 

「八幡くんじゃ無理じゃない?」

 

「お兄様の意見を尊重したいのですが、お兄様は人付き合いに難があるので難しいかと....」

 

雪ノ下からアウト宣言。七草先輩からアウト宣言。そして、愛しの深雪からもアウト宣言。

 

 

 

スリーアウトチェンジってか....

 

 

 

 

「深雪さんの言う通り、八幡くんは人付き合いとか苦手だから部員の方とうまくやっていけないと思うの」

 

「七草先輩の言う通りだわ。比企谷くん、やめておきなさい」

 

「分かった。諦めるよ」

 

転部は無理か...昼休みに手伝うことぐらいしか出来なそうだな。

 

「八幡くんがこんなにやる気なのは珍しいわね。何かあったの?」

 

「比企谷くんがやる気を出すときは大抵、怪しい時ね」

 

「まさか、お兄様。女関係ではありませんよね?」

 

 

ピシッ...

 

 

部室内の気温がグッと下がる。深雪の固有魔法、絶対零度が発動したようだ....

 

 

「それ、本当?八幡くん」

 

「これは警察に電話を....」

 

「待て、雪ノ下....携帯をしまえ。警察はやめろ」

 

俺の目が相まって捕まっちゃうだろ。

 

「深雪。落ち着け....女関係ではないから安心しろ」

 

「本当ですか?」

 

「お兄ちゃんを信じろ」

 

「分かりました。お兄様を信じます」

 

ほっ....助かった。

 

 

 

「ゆきのん!先輩!ヒッキー!依頼人を連れてきたよ!」バンッ!

 

 

助かったと思ったその時、由比ヶ浜が勢いよく扉を開ける。

 

「久しぶりの依頼人ね」

 

「テニス部のさいちゃんです!」

 

そして、由比ヶ浜の後ろから知ってる人が現れる。

 

「比企谷くん」

 

「戸塚...」

 

「比企谷くんの部活って奉仕部だったんだ」

 

「おう」

 

「お兄様、やはり女関係だったんですね」

 

またもや、固有魔法の絶対零度が発動する。

 

 

「あら?紅茶が凍っちゃったわ」

 

 

 

紅茶を凍らせるほどの温度まで部室内は下がる。

 

「待て、深雪。誤解だ」

 

「やはり警察に...」

 

「だから警察はやめろって....」

 

「深雪、雪ノ下。戸塚は男だ」

 

「比企谷くん...分かりやすい嘘はやめなさい」

 

「そうですよ。お兄様」

 

「僕、男の子です....」

 

「「えっ!!」」

 

俺と一緒の反応をするのね....2人とも。

 

 

 

 

 

 

 

 

「戸塚くん。ごめんなさい」

 

「戸塚先輩。先程のご無礼、お許しください」

 

「雪ノ下さん。深雪さん。気にしなくていいよ。よくあることだから....」

 

「戸塚くんから許しを得たことだし....それじゃあ、本題に入りましょうか。依頼は何かしら?」

 

「はい。僕の部活はそんなに強くなくて....」

 

「なるほど、テニス部を強くしてほしいという依頼で良かったかしら?」

 

「はい。でも、まず僕が上手くなって...それで....それを見た部員の子も一緒に頑張ってくれると思うから....」

 

「分かったわ。まずは戸塚くんの技術向上を手助けするという形で依頼を引き受けましょう。雪乃さん、深雪さん、いいかしら?」

 

「構いません」

 

「私も構いません」

 

「八幡くんは聞くまでもないわね」

 

「うす」

 

「それじゃあ、明日の昼休みから特訓を開始しましょうか」

 

「お願いします」

 

「久しぶりの依頼だから.....お姉さん....頑張っちゃうわよ!」

 

「私も七草先輩の手を引っ張らないように依頼をこなしてみせるわ!」

 

 

お2人とも、張り切ってますね....

 

 

「お兄様、私達も頑張りましょうね」

 

「深雪も初めての依頼だから気合い入ってるんだな」

 

「はい!もちろんです!お兄様も一緒に頑張りましょう!」

 

「そうだな」

 

まぁ、戸塚の頼みだ....頑張るしかないよな。

 

 

 

そして、依頼解決に向けて動き出すのだが......

 

 

 

 

そうそううまくいかないのが、世の常である。

 

 

 

次回、一波乱がテニスコート内で起こる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お兄様への数々の無礼、許しません。その身に深く味わわせてあげます」

 

「ふん。その挑戦、受けて立つし!」

 

 

「七草先輩、どうしますか?」

 

「ここは深雪さんに任せましょう。本当は私が相手したいところだけど...深雪さんが適任のようだから....静かに見守ってあげましょう。雪乃さん」

 

「はい....」

 

 

「深雪、頑張れよ」

 

 

「お兄様、近くで見守っててくださいね」

 

「当たり前だ。全力で行ってこい」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

【氷の女王VS獄炎の女王】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

...続く

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々、ありがとうございます。

それでは、次回もよろしくお願い致します。


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第6話

6話目です。


それでは今回もよろしくお願い致します。



 

 

 

 

 

 

 

 

 

戸塚の依頼であるテニスのスキル強化を昼休みで行う。期間は特に設けてはいないが近々、大会があるみたいなのでそこで成果が発揮できるようにするそうだ。

 

 

 

テニス経験は奉仕部全員あるため、全員で戸塚のテニス強化育成を行う運びとなった。

 

 

「まだ誰もいないか......」

 

どうやら俺が1番早く来てしまったらしい。とりあえず先輩や雪ノ下達が来るまでボーッと太陽の方でも見てるかな....

 

 

風が心地よくテニスコートを吹き抜ける。こういった穏やかな時間は嫌いではない。

 

 

「八幡くん。早いわね」

 

しばらくして奉仕部部長の七草先輩がやってくる。

 

「うっす。それって....ユニフォームですか?」

 

「うん。どうかな?似合ってる?」

 

「そうですね....」

 

ユニフォームを着てくるとは....かなり本気でやるつもりなのだろうか。

 

「馬子にも衣装って感じですかね」

 

「それって褒めてるの?」

 

ぷくっ...と頬を膨らませながら先輩は俺に聞いてくる。結構、先輩はあざとい......ファンも多いだろうな。

 

「冗談です。先輩のユニフォーム姿....すごく似合ってますよ。天使級の可愛さです」

 

ここは正直の感想を述べておく。

 

「えっ....あっ....ありがとう」

 

先輩は一瞬、驚いていたが....すぐに笑顔でそう答える。

 

 

そして先輩は念入りに準備体操を行っていく。

 

 

 

 

 

「八幡くん。手を貸してくれない?」

 

「手を貸すというと?」

 

「背中、押してくれない?」

 

「分かりました」

 

俺はゆっくりと七草先輩の背中を押して前にゆっくりと倒していく。

 

にしても、先輩の身体が柔らかいな....軽く押しただけでスッと奥までいったぞ....俺には無理だな。

 

「八幡くん、ありがとう。もう大丈夫よ」

 

「はい」スッ

 

俺は手を差し出す。

 

「え?」

 

「立ち上がる時に必要かと思いまして」

 

「ふふっ....ありがと」

 

先輩は俺の手を取り、立ち上がる。

 

「どういたしまして」

 

「八幡くんもストレッチやる?お姉さんがお手伝いするけど」

 

「大丈夫です。軽く自分でやるんで」

 

さすがに先輩に手伝ってもらうというのは気が引ける。

 

 

 

 

その後、雪ノ下と由比ヶ浜。戸塚、深雪が来たところで依頼開始となった。

 

 

 

 

 

とりあえず基礎からということで筋トレから始まり、打つフォームを改善しより強く打てるような指導を七草先輩から伝授する。そして、サーブレシーブやボレー、スマッシュ練習へと移っていく。

 

 

 

戸塚はのみ込みが早くみるみる上達していった。

 

 

 

5日目にして、強いサーブも打て、レシーブも完璧。強打や軟打を打ち分けれるようにもなりかなり成長しているように感じられた。

 

 

「それじゃあミニゲームをしましょうか」

 

シングルスとダブルスの両方やることになりダブルスは公正にくじでペアを決めた。七草先輩と雪ノ下ペア、戸塚と由比ヶ浜ペア。そして.......

 

 

 

「お兄様!頑張りましょうね!」

 

「そうだな。久しぶりにペアを組むことだしな」

 

「はいっ!」

 

 

俺と深雪ペアが出来た。最初は俺と深雪が審判に回り、ミニゲーム形式での実践練習を行う。

 

 

 

「1ゲームマッチプレイ!」

 

 

そして、ミニゲームが開始となる。時間の都合上、1セットではなく1ゲームマッチとなっている。

 

 

 

「雪乃さん、お願い!」

 

「はい!」

 

 

パーン!

 

 

「さいちゃん!」

 

「うん!」

 

 

 

パーン!

 

 

 

かなりの接戦となっている。

 

 

 

 

カウントは40-40。デュース。ここからは2点差をつけなければ決着をつけることが出来ない。

 

 

 

 

 

この後も一進一退の攻防が続き......

 

 

 

 

 

由比ヶ浜と戸塚が連続でミスをしてこの1ゲームは幕を閉じた。

 

 

 

 

「ごめんね。さいちゃん」

 

「ううん。気にしないで。僕ももう少し面を上にして打ってればネットを越してたかもしれないから」

 

 

 

「とりあえず、休憩を取りましょう」

 

10分の休憩を挟み、もう1ゲームを行うことになった。

 

 

 

 

 

先輩と雪ノ下が近くの自販機でジュースを買っている間にちょっとしたハプニングが起きた。

 

 

 

 

 

クラスの上位カーストに君臨する葉山グループのトップに属する獄炎の女王こと三浦がテニスコートを独占支配したのだ。葉山隼人の忠告を振り切ってだ。

 

俺も注意を促したりしたのだが、効果なし。悪口に近い暴言を吐かれる始末となった。

 

それに食ってかかったのが我が妹の深雪だった。俺に放った悪口に近い暴言が気に障ったのだろう。

 

 

三浦vs深雪の口論戦が勃発。俺達ではどうすることもできなかった。

 

 

 

 

 

(すまない、比企谷。俺じゃどうにもならない。力不足を痛感しているよ)

 

(いや、葉山は最善を尽くした。ここはなんとかする)

 

(頼む。本当にすまない八幡)

 

(気にすんな)

 

 

 

そして、ようやく口論戦は終わったのだが.......

 

「お兄様、申し訳ありません。ちょっと厄介なことになりました」

 

口論戦では決着がつかなかったとのことでテニス対決に発展したとのこと。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

*会話抜粋

 

 

 

 

 

「お兄様への数々の無礼、許しません。その身に深く味わわせてあげます。たとえ先輩であろうと...」

 

「ふん。その挑戦、受けて立つし!」

 

 

 

 

 

 

 

→三浦からの主張でテニス対決に発展....

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

ーーー-----ー

 

 

 

 

「まぁ、仕方ないだろ。最悪、こうなることは予想してた。まぁ、先輩には上手く言っておくから勝ってこい」

 

「はい!」

 

 

 

 

「これは何事なの?」

 

「説明を求めるわ。比企谷くん」

 

このタイミングで七草先輩と雪ノ下が戻ってきた。

 

「それはですね......」

 

事の顛末を2人に話す。

 

「そういうこと......この勝負は受けた方がいいわね。後処理は生徒会長の私に任せてもらっていいわ」

 

「ありがとうございます。七草先輩」

 

「本当にいいんですか?先輩」

 

「ここは深雪さんに任せましょう。本当は私が相手したいところだけど...深雪さんが適任のようだから....静かに見守ってあげましょう。雪乃さん」

 

「はい....」

 

 

 

 

 

 

「深雪さん、頑張って」

 

「貴方ならやれるわ」

 

「妹ちゃん、ファイトだよ!」

 

「深雪、頑張れよ」

 

 

「お兄様......近くで見守っててくださいね」

 

 

「当たり前だ。全力で行ってこい」

 

 

「はい!」

 

 

 

 

そして、深雪はコート前に華麗に立ち.......

 

 

 

 

 

 

深雪VS三浦のバトル......

 

 

 

 

 

【氷の女王VS獄炎の女王】

 

 

 

 

の戦いが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

" Yumiko!!Huh!! Yumiko!!Huh!!"

 

 

 

 

"深雪さん(様)!!頑張って!!"

 

 

 

 

 

コート外からの声援がものすごく、大声で両者の名前を呼び合うまでとなっていた。いつの間にこんなギャラリーが増えてんだよ......

 

 

まぁ、いいんだけどね.....盛り上がれば盛り上がるだけこちらとしては好都合。

 

 

 

 

そして、互いに点を取った際には.....

 

 

「「「「「うおおおっっ!!!」」」」」

 

 

驚きの歓声もあがり、興奮度はMAX....頂点に達していた。

 

「凄い声援ね」

 

「本当ですね。先輩」

 

「妹ちゃん!頑張れ!!」

 

由比ヶ浜も必死に俺の妹を応援している。

 

俺は深雪が勝つと確信しているのでそこまでは応援はしない。見届けはするがな。

 

 

この試合は1セットマッチ。先に6ゲームを先取すれば勝ちとなる。

 

 

最初は拮抗していたが......

 

 

 

「くっ......」

 

 

 

三浦は徐々に深雪に攻められ点を取られていく。

 

 

 

 

 

奇しくも三浦の打ったボールはネットにかかる。

 

 

 

 

 

「ゲーム!」

 

審判の戸塚がCALLする。

 

 

ゲームカウントは5-3。深雪が2ゲームリードしている。

 

 

「後1ゲームで私の勝ちです。三浦先輩、負けを認めてはどうでしょうか?もう体力も残っていなさそうですし.....」

 

「そうだよ、優美子。十分に楽しめたんじゃないか?もう終わろう」

 

 

葉山の言葉に首を横に振る。先輩として負けられないのだろう。

 

 

「では試合を再開しましょうか、三浦先輩。お兄様に無礼を働いたことを悔いてもらいます」

 

「こっからだし!」

 

 

 

試合は再開され、このゲームは三浦の意地もみせた結果、デュースに持ち込みアドバンテージポイントとデュースを繰り返し.......

 

 

 

 

 

 

 

 

そして..............

 

 

 

 

 

 

「これで最後です。三浦先輩」

 

 

三浦がふわっと上げてしまったロブボールを深雪が渾身のスマッシュを放つ。

 

 

 

 

「ゲームセット!」

 

 

それは見事、決まり.....この勝負は深雪の勝利で幕を下ろした。

 

 

 

 

「お疲れ様、深雪さん」

 

「さすが、深雪さんね」

 

「妹ちゃん、すごーい!」

 

「由比ヶ浜先輩、少し離れてください」

 

照れ臭そうに深雪は由比ヶ浜の抱きつきから解放しようとしていた。

 

「さすが、深雪だな。いいゲームだった」

 

「はいっ!もっと褒めてほしいです!」

 

「それは後にして.......だ。先輩、三浦をどうしますか?」

 

「そうね。コートの無断使用、部員に対する中傷は決して許されることではないわ.....」

 

生徒会長.....七草先輩の発言にこの試合に敗北した三浦はビクッと肩を震わせていた。やっと気づいたのだろう。

 

「とりあえず、反省文3枚と......戸塚くんの特訓の相手にしばらくなってもらいましょう。彼女は選抜に選ばれていたみたいだから戸塚くんのいい特訓、練習相手になるだろうから.....戸塚くんはいいかしら?」

 

「はい...それで自分が強くなる可能性があるのなら.....」

 

「それなら決まりね。三浦さん、貴方への処遇はこれでいいかしら?」

 

「はい」

 

「葉山くんも協力してくれないかしら?」

 

「構いません。この騒動を止められなかった自分にも非があるので俺にも協力させてください」

 

三浦は深雪に先程のことを詫びていた。深雪はそれを受け入れた。

 

 

 

 

そして、三浦と葉山も加わり戸塚の特訓が数日間に渡り行われた。

 

 

 

 

 

 

 

その結果、戸塚は力をつけ直近の大会で見事優勝を飾った。

 

 

 

 

 

 

 

 

奉仕部にて.......

 

 

由比ヶ浜は友達と遊ぶ約束をしているため、部室内には俺を含め4人だ。

 

 

 

「戸塚くんの依頼、無事に完了出来たわね」

 

「色々とトラブルはありましたけれど、完了出来て良かったです」

 

「その節は申し訳ありませんでした」

 

「深雪さんが謝ることではないわ。貴方は悪くないのだから...ね?八幡くん」

 

「七草先輩の言う通りだ。深雪は何一つ悪くない。こういう風になってしまう社会が悪い」

 

「また始まったわね....」

 

「しかも言ってることが意味不明ね」

 

「妹さんの前では八幡くんはこうなるのね」

 

「ポンコツ化....まぁ、いつものことだけれど」

 

言いたい放題言われているようだが、気にしない。気にしたら負けだ。

 

「それでお兄様」

 

「ん?」

 

「まだ深雪はお兄様から十分に褒めてもらっていません!」

 

「そうだったか?」

 

「はい!」

 

という訳で....俺は部室内で深雪を可能な限り褒め続けたのだった。

 

その光景を部長の七草先輩とは優しく見守り、雪ノ下は羨ましそうにみているのだった......

 

 

 

 

.......続く

 

 

 

 

 

 

 

次回.......

 

 

 

葉山からの依頼を解決し、職場見学が開始されるにあたり一枚のプリントが配られ、俺はそれを記入した。

 

 

 

*原作より引用。

 

希望する職業:専業主夫

希望する職場:自宅

 

古人曰く、働いたら負けである。

労働とはリスクを払い、リターンを得る行為である。

畢竟、より少ないリスクで最大限のリターンを得ることこそが労働の最大の目的であると言える。小さい女の子...つまり幼女が「将来の夢はお嫁さん」と言い出すのは可愛さのせいではなく、むしろ生物的な本能にのっとっているといえるだろう。よって、俺の「働かずに家庭に入る」という選択肢は妥当であり.....かつ、まったくもって正当なものである。

従って、今回の職場見学においては専業主夫にとっての職場である自宅を希望する。

 

 

「平塚先生からこのプリントを預かっているわ」

 

「な....なんだと!!!」

 

「比企谷くん。これはないわ....」

 

「お兄様、せめて公務員を目指しましょう。家事などは全て深雪がやりますからお兄様は家のことは気にせず、働いてくださいね!お兄様が仕事から帰ってきたら.....毎日、温かいご飯とお風呂を家で用意して待っておりますから」

 

「そっちなんだ!!妹ちゃんも妹ちゃんでおかしいよ!」

 

「いえ、おかしくありません。これは至って正常です。由比ヶ浜先輩」

 

 

 

 

 

 

またまた奉仕部内で一波乱が起きる.....かもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々、ありがとうございます。


今回は戸塚の依頼回でした。次回は職場見学編となります。

それでは、次回もよろしくお願い致します。


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第7話

7話目、職場見学前のエピソード回です。


それでは今回もよろしくお願いします。



テニスの一件後、葉山のグループの問題を解決し職場見学が間近に迫っていた。

 

 

そして、俺はというと........

 

 

「八幡くん。正座」

 

「は、はい......」

 

部室内で奉仕部部長であり生徒会長でもある七草真由美先輩に正座を命じられた。

 

 

「八幡くんはなんで正座させられてるか分かる?」

 

「いえ、分かりませんが」

 

「これよ」

 

七草先輩が1枚の紙をチラつかせる。

 

「それは....職場見学の希望表ですか?」

 

「そうよ。平塚先生からこのプリントを預かっているわ」

 

「な....なんだと!!!」

 

「読み上げてあげるわね」

 

「やめてください.....」

 

 

 

俺の専業主夫計画がバレてしまう........

 

 

「えっと.....希望する職業は専業主夫、希望する職場は自宅。古人曰く、働いたら負けである。労働とはリスクを払い、リターンを得る行為である。より少ないリスクで最大限のリターンを得ることこそが労働の最大の目的であると自分は考える。小さい女の子...つまり幼女が「将来の夢はお嫁さん」と言い出すのは可愛さのせいではなく、むしろ生物的な本能にのっとっているといえるだろう。よって、俺の「働かずに家庭に入る」という選択肢は妥当なものであり.....かつ、まったくもって正当なものである。従って、今回の職場見学においては専業主夫にとっての職場である自宅を希望する」

 

 

俺の願いも虚しく、先輩は俺の書いた希望調査表を全て読み上げていた。

 

「比企谷くん。これはないわ....」

 

雪ノ下はこめかみに手を当て、はぁ...と溜め息をつく。

 

 

「お兄様、せめて公務員を目指しましょう。家事などは全て深雪がやりますからお兄様は家のことは気にせず、働いてくださいね!お兄様が仕事から帰ってきたら.....毎日、温かいご飯とお風呂を家で用意して待っておりますから」

 

「そっちなんだ!!妹ちゃんも妹ちゃんでおかしいよ!」

 

「いえ、おかしくありません。これは至って正常です。由比ヶ浜先輩」

 

 

「そうかな?」

 

「そうです!」

 

 

深雪と由比ヶ浜で何か言っているが、俺はそれどころではない。足が痺れて痛いのだ。長時間の正座に慣れていないためだ。

 

 

 

「とにかく八幡くんはこの職場見学の紙、書き直してね」

 

「はい」

 

自宅がダメとなると、風邪を引いて休むしかないか....

 

しかも先輩によると職場見学は3人1組らしい。俺には後2人を集める事は出来ない。そこまでのコミュ力がないから。

 

 

 

どうしたものか....

 

 

そう考えていると、奉仕部内にノック音が響いた。

 

 

「どうぞ」

 

 

「失礼します。奉仕部はここで大丈夫ですよね?」

 

「ええ。大丈夫よ。葉山くん」

 

珍しい。困り事などに無縁そうな葉山が奉仕部を訪ねるとは.....

 

「依頼内容は何かしら?」

 

「近く職場見学があるんですけど.....その班決めで揉めてしまって.....その解決策を提示してほしくて」

 

何でも葉山グループは女子3名、男子4名で構成されており女子3名でグループは作れたが、男子の方でどうグループを作るかで揉めてしまったとのこと。まぁ、1人がハブになるからだろうな......

 

必死になるのも無理もないか。この結果で今後のグループの関係にも何かしらの影響

 

「なるほどね.....」

 

「難しいわね」

 

「うーん.....どうしたらいいんだろう」

 

「そうですね...」

 

先輩と雪ノ下、由比ヶ浜、深雪は解決策を考えているのか...唸ったりしている。

 

「簡単じゃねーか。解決策」

 

 

しかし、この問題を解決するのは容易い。

 

 

「本当かい?」

 

「まさか貴方、全員....職場見学を欠席させるとか言わないわよね?」

 

「それは最悪の手段だ」

 

「最悪の手段なんだ......」

 

「そんなことをしなくても問題は解決する。だが、これは葉山の力というか決断がいるけどな」

 

「八幡くん。解決策を聞いてもいいかしら?」

 

「是非、解決策を教えてくれないか?」

 

「私も聞いてみたいわね。貴方の解決策を」

 

「うん。私も気になる.....かな」

 

「教えてください。お兄様」

 

「この問題の解決策は.......」

 

「「「「「..............」」」」」

 

5人は俺の言葉を固唾を呑んで待つ。

 

「葉山がグループから抜ける。これが唯一の解決策だ」

 

「それが解決策なのかしら?」

 

「お兄様は分かったんですね。揉めた原因が何なのか」

 

「深雪にも分かったみたいだな」

 

「はい。揉めた原因は葉山先輩にあった....葉山先輩と一緒のグループに入りたいという強い気持ちがあったからこそ、揉めてしまった」

 

「その解釈で概ね合ってる。だから、揉める原因である葉山と排除する。これが最適解だ」

 

 

そうすれば丸く収まる。皆、葉山と組みたいから必死になっていた。その問題である葉山を取り除けば

 

 

「そうだったのか.......」

 

「そういうことね.....さすが八幡くんね」

 

「ありがとうございます。この問題を解決したご褒美として職場見学のレポートの再提出は無しでお願いします。先輩」

 

「ふふっ....そんなの却下よ。今、ここで書き直してね♪」

 

「あ、はい.......」

 

久しぶりに見たわ。先輩の目が笑ってない笑顔.......

 

 

「お兄様、私も手伝ってあげますから早く書き上げましょう」

 

「私も手伝ってあげるからね。元気だしてヒッキー!!」

 

 

 

「ふ、不幸だー!!」

 

 

 

何で自宅が職場に出来ないんだー!!

 

 

 

しかも、由比ヶ浜に心配されてしまった.....

 

 

もう終わりかもしれん。

 

 

 

「奉仕部はいい雰囲気だね。雪ノ下さん」

 

「そうね.....賑やかになったのは確かね」

 

「雪ノ下さんも上手く溶け込んでるみたいでよかったよ。昔が昔だけに」

 

「そうね.....前の環境は最悪だったから」

 

「本当にあの時はすまなかった」

 

「別に葉山くんのせいではないわ。一応、私を助けようとしてくれたのは分かっていたから」

 

「そう言ってもらえると助かるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

雪ノ下と葉山は八幡達を見ながら過去の話をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、終わった.....」

 

「お疲れ様でした。お兄様」

 

 

 

なんとか、3人の協力もあり俺らしくない職場見学希望表が完成した。

 

 

 

 

内容は察してくれ.....今の俺はあまり多くは語りたくない。

 

 

 

 

 

 

------

 

 

 

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--

 

 

 

 

 

 

後日談というか今回のオチ。

 

 

 

葉山グループの揉め事は解消された。葉山が職場見学、3人グループの枠に抜けたことによって........

 

 

 

 

 

そして、葉山が職場見学グループを組む相手に選んだのは........

 

 

 

「比企谷、俺と組まないか?」

 

 

「は?」

 

 

俺だった。

 

「組む相手が決まらないだろうと思って声をかけたんだけどいいかな?」

 

「構わんが....葉山は俺でいいのか?」

 

「構わないよ」

 

「八幡。僕もいいかな?」

 

「おう!むしろ大歓迎だ」

 

「ほんと!ありがとう」

 

(笑顔が眩しい......)

 

 

なんと職場見学のグループがボッチの俺でも組めてしまった。

 

いつもなら最後の1人でどこかのグループに組み込まれるなんてことが多かったが....今回はそうはならなかった。

 

それとテニスの一件以降、戸塚は俺のことを名前呼びで呼ぶようになっていた。

 

「見学先はどうする?」

 

「何処でもいいから葉山が決めてくれ。戸塚もそれでいいか?」

 

「うんっ!八幡とだったらどこでもいいよ」

 

 

 

戸塚は天使だな。うん、異論反論は認めない。

 

 

 

 

「分かった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、職場見学先は決まった.......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

------

 

 

 

 

----

 

 

 

 

ーー

 

 

 

 

 

 

「お兄様、お迎えにあがりました」

 

終礼後、深雪が俺の教室まで来ていた。

 

「先に部室に行っててもよかったんだぞ」

 

「今日はお休みですよ。もうすぐ中間テストがあるので勉強時間に充てるようにとLI○Eで通知が来ていましたよ。まさかお兄様、確認していないのですか?」

 

「見てなかった....とりあえず部活はなしか.....」

 

日頃から勉強してるから焦ってやる必要もないか......

 

最近は依頼続きで2人の時間があまり取れてなかったし....どっか寄り道して帰るか......

 

 

「なら今日はどっか寄り道して帰るか」

 

「それは....いいのでしょうか?」

 

「普段から勉強してるし、1日ぐらいはいいだろ。それに最近は依頼ばっかりで2人の時間が取れてなかったから、ちょうどいいと思ったんだが....深雪はお兄ちゃんと一緒に遊びたくないならそれはそれでいいんだが.....」

 

「そんなことはありません!!深雪もお兄様と一緒に遊びたいです!」

 

「じゃあ、行くか」

 

「はいっ!すぐに行きましょう!お兄様」

 

「分かった、分かった.....」

 

深雪はグイグイと俺の手を引っ張りながら楽しそうに歩く。

 

 

その姿に笑みをこぼしつつ、俺も後を歩いた。

 

 

 

((本当に仲のいい兄妹だな(だね)......))

 

 

 

 

クラス内では残っていたクラスメイト達が2人の光景にほっこりしていたのだった......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

......続く

 

 

 

 

 

 

次回......

 

 

 

 

 

 

 

八幡と深雪の放課後デートを経て中間試験、そして職場見学......

 

 

 

 

 

 

 

 

比企谷八幡は葉山、戸塚、他のグループのメンツと共に職場体験先であるとある企業に赴く。

 

 

 

 

 

そこで....ある40代?の男性と出会う。

 

 

 

「君が比企谷八幡くんだね?」

 

「どうも.....」(誰だ......会ったこともないし知らない人だ.....向こうは知ってるみたいだけど)

 

 

 

八幡に声をかけた人とは........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々、ありがとうございます。

次回もよろしくお願い致します。


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 第8話



8話目です。

それでは、今回もよろしくお願い致します。


 

 

 

近くのショッピングモールへと足を運び、楽しそうに服を選ぶ深雪の姿を俺は後ろから眺めている。

 

 

 

(楽しそうでよかった....)

 

色々な服を吟味しながら選び、試着室は入っていく。

 

「先程の可愛い子は妹さんですか?」

 

「ええ....まぁ」

 

深雪が試着室に入っている際、店員に声を掛けられる。

 

「よろしければ当店のフィッティングモデルか当店のオススメの服を妹さんに是非着てもらいたいのですが....」

 

「妹からの許可が得られればいいですけど」

 

「もしダメならお兄さんでも大丈夫ですよ」

 

「俺っすか?」

 

「お兄さんも顔立ちもいいので適任だと思います」

 

「初めて言われましたよ、そんなこと」

 

「見る目がないなぁ.....」

 

 

「まぁ.....そうですね」

 

 

 

目つき以外は高スペックだからな。多分。

 

 

 

ゴゴゴ....

 

 

 

 

そんなことを話していると、モール内の温度がグッと下がった気がした。

 

 

「何か寒くないですか?」

 

「まだ冷房はそこまでフルでは稼働していないんですけど...」

 

まぁ、まだ6月だしな。

 

 

ということは.....

 

 

 

チラッと試着室を見ると、白いものが見えた。

 

 

 

冷気の主は試着室にいる深雪のようだ。

 

またお決まりの絶対零度が発動しちゃったか......

 

「とりあえず、先程の話は保留にさせてください」

 

「分かりました。前向きな回答を期待してますね。それとこれを......」

 

 

 

「何すか?これ」

 

「私の連絡先です」ボソッ

 

「っ!!」

 

今どきの女性ってこんななのだろうか。積極的というか、なんというか。

 

「それでは妹さんとのデートを楽しんでくださいね」

 

「はい」

 

ここで会話は途切れる。そして、それと同時に冷気も収まり快適な温度に戻る。

 

「随分と楽しい時間を過ごしておられたみたいですね。お兄様」

 

「何のことだかさっぱり分からんが」

 

ここで「そうだな」と答えると厄介なことになるので知らないフリをした。

 

「とぼけるおつもりですか?」

 

「いやいや、深雪について話していただけだぞ。モデルにどうかとかな」

 

「本当ですか?」

 

「ああ、最後に妹とのデートを楽しんでくださいって言われたしな。だから楽しむか?」

 

「はい!」

 

とりあえず深雪の機嫌は直ったようだ。

 

この後もモール内をひたすら回り、久しぶりの深雪とのショッピングを楽しんだ。モデルの件は保留にしておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の放課後。

 

 

 

 

テスト期間ともあって奉仕部内では勉強会が行われた。

 

 

俺は七草先輩に苦手な数学を、由比ヶ浜は雪ノ下に5教科教えてもらっていた。学年1位の深雪は1人でテスト勉強を行う。

 

 

 

 

「八幡くん。高次方程式はこの公式を使って解くのよ」

 

 

「はぁ....」

 

 

三次式の因数分解の公式を教えてもらうがさっぱりで頭の中が?マークで一杯だった。

 

 

 

 

 

 

「由比ヶ浜さん、千葉の名産品を2つ答えて」

 

「ゆでピーとみそピー?」

 

「ぷっ!」

 

「何でヒッキー、笑ったの!?」

 

「由比ヶ浜が珍回答するからだろ....ぷっ...くくっ.....」プルプル

 

 

 

「笑いすぎだからね!!」

 

 

 

「八幡くん、こっちに集中して!」

 

 

「すいません」

 

 

 

 

 

 

 

先輩に怒られ、再度数学のテスト勉強へと入るが.....

 

 

全くもって分からず、お手上げ状態だった。

 

 

 

コンコン

 

 

「どうぞ」

 

 

しかし、依頼人が来たため中断となる。

 

「失礼します......」

 

 

依頼人は女子生徒2人。多分1年生だろう。

 

「あれ?深雪さん?」

 

「深雪?」

 

依頼人は深雪のクラスメイトのようだ。

 

 

「よく来たわね。そこのイスに座って。お話を聞くから」

 

「はい」

 

 

 

 

「1-Aの光井ほのかです」

 

「1-Aの北山雫です」

 

「自己紹介ありがとう。私達も自己紹介するわね。私がここの部活、奉仕部部長の七草真由美です」

 

その後、雪ノ下と由比ヶ浜が自己紹介をし.....俺の番へと回る。

 

「初めまして....じゃないな。久しぶりと言っておくか.......2年の比企谷だ」

 

「「この前はありがとうございました」」

 

「八幡くん、知り合いなの?」

 

「いや、春休みに2人がガラの悪いやつに声をかけられてたんで近くの交番にいた警察官を連れて割って入っただけです」

 

 

 

 

そう.....ただ仲裁に入っただけのことだ。

 

 

 

 

「そうなのね」

 

 

 

「それで光井さんと北山さんの依頼はなにかしら?」

 

「高校初めてのテストなので、いい点を取りたくて.....」

 

「試験対策をしたいということかしら?」

 

「はい。お願い出来ますか?」

 

「ええ、いいわよ」

 

七草先輩が了承し、先輩が光井と北山に5教科の試験範囲を教えることになった。俺は深雪と一緒に試験対策プリントをひたすら解き、雪ノ下は由比ヶ浜の面倒を見るのだった......

 

 

 

 

 

そして、試験は無事終わり依頼人の光井と北山は5教科でオール90点以上を取っていた。光井が学年3位で北山が学年2位、深雪が5教科全て100点で学年1位の成績だった。

 

 

 

2年生編は雪ノ下が学年1位、葉山が学年2位。俺は理系が数学50点に理科が60点と足を引っ張ったので学年50位だった。由比ヶ浜は赤点ギリギリの点数で下から数えて早い学年順位だった。

 

そして、奉仕部部長で生徒会長の七草先輩の成績はというと言わずもがな学年1位を獲得していた。

 

 

 

 

「いや、数学が赤点じゃなくて良かったわ」

 

「本当ね。明日は大雪かしら?」

 

「そのレベルの奇跡だわ」

 

「さすがお兄様です!」

 

「いや、深雪の方がさすがだろ。全教科満点なんだから」

 

「そうね」

 

「深雪ちゃん、おめでとう!」

 

「ありがとうございます」

 

「八幡くんからご褒美でも貰ったら?」

 

「高いものとかでなければ何でもいいぞ」

 

「本当ですか!?」

 

「近い近い....ものすごい距離近いから」

 

「すみません、つい舞い上がってしまいました」

 

「お兄様、高いものでなければ何でもいいんですよね?」

 

「おう」

 

「頭を撫でながら深雪を褒めてほしいです」

 

「そんなことでいいのか?」

 

「そんなことがいいんです!」

 

「分かった.....深雪。全教科満点、偉いぞ。よく頑張ったな」ナデナデ

 

「ふにゃあ.....お兄様、気持ちいいです!」

 

「そうか?」

 

「はい!」

 

 

 

 

「こう見てると深雪さんが飼い主に懐く猫みたいね」

 

「猫.....にゃ.....」

 

「ゆきのんまでおかしくなってる!?」

 

「いいえ、由比ヶ浜さん。私は至って正常よ」

 

「正常じゃないよ!正常だったらにゃーとか言わないから!」(ゆきのんまでポンコツ化しちゃったの!?)

 

 

 

 

 

 

 

「私も比企谷くんにナデナデされてみようかしら」

 

「深雪さん、気持ちよさそうね....羨ましい.....」

 

「ヒッキーのナデナデ......気持ち良さそう.....私もされてみたいかも」

 

 

 

 

 

 

 

ついに部員全員が八幡にナデナデされたいという感情が芽生え、奉仕部内は異様な空気、空間と化した。

 

 

 

 

 

 

 

この後、全員ヒッキーこと比企谷八幡にナデナデされ感情がHIGHになったとか.....

 

 

 

 

 

(そこを代わってくれよ.....八幡)

 

 

 

 

 

 

とあるイケメンくんがそんなことを思っていたり.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、数日が経過し職場見学当日。

 

 

 

「大きい会社だね」

 

「そうだな」

 

「そうだね」

 

 

俺と戸塚、葉山はとある大企業に職場見学として赴いた。

 

 

 

簡単に説明すると職場見学先は貿易会社で主に商品の貿易を行っており、貿易なので取引相手はもちろん海外の国だ。

 

 

多種多様な人がおり、英語で会話していた。

 

 

 

利益もそれなりのもので年商は億を超えるとか......

 

 

 

 

ガイダンスを終え、会社内を自由に回ってのち....休憩時間となった。

 

 

 

 

 

「君が比企谷八幡君だね?」

 

 

その際....ある40代?の男性に声を掛けられる。

 

 

「どうも.....」(誰だ......会ったこともないし知らない人だ.....向こうは知ってるみたいだけど)

 

 

「娘が大変お世話になっているようで」

 

「娘さんというと......」

 

 

「真由美と言えば分かるかな?」

 

「ああ....七草先輩のお父様ですか.....」

 

「そうだね。お父様と呼ばれるのは悪い気はしないね.....」

 

そう言って、俺に名刺を渡す。

 

「ここの社長さんなんですね」

 

「一応ね。それより、真由美は学校では元気にやっているかい?」

 

「そうですね。ちゃんと生徒会長もやっていますし、元気にしてしますよ」

 

「それは良かった。家では部活での君の話をよくしてくれていたから、君がどんな子か気になって声を掛けたが、好青年で良かった」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「これからも娘のことをよろしく頼むよ。出来れば彼氏になってほしいところではあるが、それは比企谷くんや真由美の意思を尊重したいから強くは言わないが、どうかね?」

 

「それはありがたい話ではありますが、自分と先輩では釣り合いが取れていないと思います」

 

「案外、お似合いかもしれないが?」

 

「まぁ、娘さんの意思を尊重してあげてください」

 

「そうするよ。機会があれば私の家に招待させてもらうよ......それじゃあ、この後もよい時間を」

 

「はい」

 

 

そう言って、先輩のお父さんは仕事へと戻っていった。

 

 

「八幡!もう休憩終わるよ」

 

「分かった」

 

その後、戸塚と葉山と合流して会社内を見て回った。

 

 

 

やっぱりこの貿易会社はすごいと改めて感じたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

職場見学が終わり、6月も半ばに入る。

 

 

千葉でも本格的に梅雨のシーズンへと入る。

 

朝は曇りだったが、昼過ぎからは雨が降ってきた。

 

ザーと打ちつける雨音が響くほどかなり雨がひどく降っていた。

 

 

「すごい雨だな」

 

(今日、部活無くてよかった.....さっさと帰って、ゲームでもするかな)

 

深雪は光井達と寄り道して帰るため、今日は一緒には帰らない。

 

 

 

 

 

「あっ、八幡くん」

 

「うっす」

 

「すごい雨ね」

 

「そうですね。先輩は傘無いんですか?」

 

「朝は曇りだったから大丈夫かなと思ってたんだけど、予想が外れたわ」

 

「そうなんですね。良かったら傘貸しましょうか?」

 

「八幡くんはどうするの?」

 

「走って帰りますよ。家までそう遠くないですし」

 

「八幡くんに悪いわ。それに深雪さんが怒るんじゃない?「何でお兄様は濡れて帰ったですか!?深雪に相談してくれれば濡れて帰らずにすんだのに!」とか言いそうだけれど」

 

「あー.....それはあり得ますね」

 

「だからお姉さんにいい案があります」

 

「その案というのは?」

 

「1つの傘に入って一緒に帰らない?」

 

「俺は別に構わないですけど....あんまり大きくないので濡れないという保証は出来ませんがいいですか?」

 

「うん」

 

「じゃあ、行きましょうか。さらに強くなる前に」

 

 

「よろしくね。八幡くん♪」

 

 

(いちいち可愛い仕草をいれてくるんだよな。この先輩は.....しかもこれが狙ってやっているものではないからタチが悪い。普通の男子高校生なら即落ちてるな)

 

 

相合い傘というのは深雪以外にするのはないため、先輩が初めてなので妙に緊張する。しかも周囲から注目されている。色んな視線が俺にクリーンヒットしダメージを受ける。いつか殺されそうだな.....

 

 

 

 

「何か有名人になった気分ね」

 

(先輩はもう有名人なんですけどね.....)

 

「自分は静かに過ごしたいですけど」

 

「ふふっ.....八幡くんらしいわね」

 

 

 

校門を抜けると先程までの視線はほとんどなくストレスなく帰路につけている。

 

しかし、雨は弱くなることはなく一層強まってる気がする。

 

先輩が風邪を引かないように傘で覆っているがあまり効果はなかった。俺の方はびしょ濡れである。早く帰ってシャワー浴びてぇ.....

 

 

 

 

 

 

 

 

「...........」

 

 

 

 

 

「............」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「八幡くん。面白い話してくれない?」

 

 

長い沈黙を破ったのは先輩だった。

 

 

 

「先輩、俺にそれを求めます?生憎ですけど、俺が持ち合わせてる話のネタは黒歴史モノしかないですけど」

 

「面白そう!!」

 

それが全然面白くないんですよ.....って言えねーよな。

 

「聞かせてほしいな。八幡くんの黒歴史」

 

「どこから話しましょうか......」

 

 

俺は中学時代の黒歴史を先輩に話す。最初は食い気味だったが、徐々に笑みは消え、何とも言えない表情をしていた。決して同情などはしてほしくない。余計に惨めになるから。

 

*黒歴史内容は概ね原作通りなので脳内補完してください。あまり語りたくないので。      by比企谷八幡

 

 

 

 

 

 

「......これが俺の黒歴史です」

 

「色々と大変だったわね。高校は楽しい?」

 

「中学よりはだいぶマシですね。高校では妹の深雪もいますし、奉仕部のあの空間も心地いいですし」

 

「それなら良かったわ。困ったことがあったらお姉さんに相談してね」

 

「ありがとうございます」

 

 

本当に先輩は優しい。こんな俺にでも優しく接してくれるのだから。

 

 

 

「あ、そうそう!職場見学はどうだった?」

 

「あー.......そうですね。まぁまぁ....って感じですかね」

 

先輩のお父さんとお話してたなんて言ったらどんな反応をするのだろうか?

 

「どこの会社に行ったの?」

 

「とある大企業の貿易会社ですね」

 

「!」

 

おっ、先輩がピクッと反応した。それはそれで可愛い反応だった。

 

「海外と取引してて絶好調みたいですよ。年商も億越えだとか」

 

「へ....へぇ....そうなんだ」

 

これは自分のお父さんの会社って気づいた感じだな。

 

「ある人に声を掛けられまして....娘さんは元気にやってるかと聞かれました」

 

「ふーん。それでお父さんになんて答えたの?」

 

「元気でやっていますよと答えました。その後は娘をよろしく頼むとかなんとか言われた気がしますね」

 

「えっ!」

 

「まぁ、娘さんの意思を尊重してくださいとお伝えして、別れましたけど」

 

「そっか......」

 

 

その後は無言で雨の中を歩く。

 

 

 

「ここじゃないですか?先輩の家」

 

表札に「七草」と書いてあるので間違いないだろう。家はやっぱり大きかった。豪邸ってほどではないが。

 

「ありがとう。送ってくれて」

 

「これぐらい大丈夫ですよ」

 

「それに私が雨に濡れないようにしてくれてありがとね。やっぱり八幡くんは優しいね」

 

「そんなことないですよ」

 

俺じゃなくても他の人でも同じようなことをするだろう。

 

「お礼も兼ねて家に上がっていかない?」

 

「そこまでしてもらうわけにはいかないんで。家で深雪も待ってると思うんで」

 

 

 

「そう......」

 

 

俺の言葉に先輩はシュンと寂しそうな表情を浮かべていた。

 

 

本当にそういうところがあざといというかなんというか........

 

小動物ような可愛さがあると感じるのは俺だけだろうか?

 

 

「まぁ、でも少しだけならいいですよ」

 

「本当!!」

 

「はい。雨もさらに強くなってますし、雨宿りさせてもらってもいいですか?」

 

「うん!早く行きましょ?」

 

「押さなくても行きますから」

 

俺は初めて他人の家、女性の家に上がることとなった。

 

 

 

 

 

 

........続く

 

 

 

 

 

そして、次回............

 

 

 

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん、この人誰?」

 

「そんなの決まってるじゃん!○○だよ!」

 

 

 

 

「えっ!?」

 

 

「はぁ......」(何か疲れる.....)

 

 

 

2人の○○が登場し、七草家が一層騒がしくなる........

 

 

そして、矛先が先輩から俺へと移る。

 

 

 

 

 

 

 

 

次回。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【とある姉妹の精神攻撃】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々、ありがとうございます。


次回もよろしくお願い致します。


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[ マシュ・キリエライト編 ][ FGO ]
第1話



第9弾はFGOからマシュ・キリエライトです。

それでは今回もよろしくお願いします。


俺は終局特異点をクリアし、カルデアに無事に帰還した。

 

「やっと...終わったんだよな?」

 

俺は目を覚まし、そう呟く。すると...

 

「はい。無事に終わったんですよ...兄さん」

 

俺の可愛い妹、マシュが俺の目の前にいた。

え?マシュ生きてんのか?確か...あの時...消滅したはずじゃ...

 

「マ、マシュ⁉︎生きてたのか⁉︎」

 

「は、はい。気づいたら帰還していました」

 

「よ、良かった。本当に良かった...」

 

俺は嬉しさのあまり妹であるマシュを抱きしめる。

 

「兄さん...苦しいです...」ギュッ

 

マシュはそう言いいつつも、抵抗はせず俺を抱きしめ返す。

ずっと、このままでいたい...しかし、そんな事は出来るはずもなく...

 

「2人ともイチャついている時に悪いけどいいかな?」

 

ダヴィンチの言葉で我にかえる。

 

「お見苦しいところを見せてしまいすみません」

 

「気にしなくてもいいよ。それより...」パァン

 

「「2人とも帰還おめでとう!!」」

 

ダヴィンチちゃんがそう言うと、スタッフの皆が俺とマシュの無事の帰還を盛大に祝ってくれた。

 

「どうも」

 

「ありがとうございます」

 

「これで全て解決した。本当にお疲れ様、マスター八幡」

 

「は、はぁ...」

 

あんまり実感はないが...

 

「それで、今後のことなんだけどマスターの八幡くんと妹ちゃんのマシュには故郷の千葉に戻ってもらうよ」

 

「え?いいんすか?」

 

「うん。君達にはまだ高校生だ。だから残りの高校生活を送ってほしいと思ってね。どうかな?」

 

「俺は別に構いません。マシュはどうする?」

 

「私は兄さんについていきます」

 

「それじゃあ、千葉に戻るということでいいね?ということで、5日後には千葉に向かってもらうよ」

 

「5日後ですか...」

 

「ああ。5日後には千葉の方の家に色々なモノが届いているはずだよ」

 

「そうですか。色々とありがとうございます」

 

「これぐらい、大したことないよ。私からの話はこれで以上だ。後は出発まで身体と心を休ませるといいよ」

 

そう言って、俺とマシュはダヴィンチと別れる。

そして、俺とマシュは廊下を歩く。

 

「それより、マシュは大丈夫なのか?身体とか?」

 

「私はこの通り平気ですよ」

 

「本当にマシュが生きててよかった」

 

「私も兄さんにまた会えて嬉しいです!」

 

俺とマシュは少しの間、抱きしめ合っていた。

 

そして...5日が経ち、俺とマシュはカルデアを後にし故郷である千葉へと帰った。5日の間はサーヴァントなどとたわいもない会話をしていたのだが、沖田とかジャンヌダルクオルタとかはカルデアでは見かけなかった。だが、俺は特に気にも留なかった。

 

 

しばらくして、千葉に着く。1年か2年ぶりの千葉だ。なんだが、懐かしい。

 

「久しぶりの我が家ですね。兄さん」

 

「そうだな。マシュ」

 

「家に入りましょうか」

 

「そうだな...」

 

そして、俺とマシュは我が家に入る。すると...

 

「「おかえりなさい。マスター」」

 

俺の家に沖田とジャンヌダルクオルタが出迎えてくれていた。なぜ?

 

「なんでお前らが俺達の家に?」

 

「マスターの家はどんな感じかなぁ...と思いまして、遊びに来ちゃいました。もちろん、ダヴィンチちゃんから許可は得ています」

 

俺がそう聞くと、沖田がそう答える。ジャンヌダルクオルタは沖田の言葉に頷く。

 

「まずは俺から許可を取れよ...」

 

「まぁ、そんなことより早く上がってリビングに来てください。お昼はすでにエミヤさんが用意してくれています」

 

そんなことで片付けられちゃったよ...ってか、エミヤまでいるとはな。

 

「まぁ...いいか」

 

「兄さん、早く行きましょう」

 

「おう。わかった」

 

 

これからが大変だなと思いつつ、俺はマシュと共にリビングへと向かった。

 

 

...続く

 

 

 

設定としては八幡とマシュは高2設定。八幡とマシュは総武高校へ高2から入学。本来ならマシュは高1だが、特別な措置で八幡と同じ学年。

八幡はシスコンで、マシュもお兄ちゃんが大好きである。

カルデアからの出動要請があれば、学校より優先する。

 

他の俺ガイルキャラも随時、登場させる予定。

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

それでは次回もよろしくお願いします。


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[ 成瀬澪編 ][ 新妹魔王の契約者 ]
第1話



第10弾は新妹魔王の契約者から成瀬澪です。

それでは今回もよろしくお願いします。


高2に上がる前の春休み。俺は親父と外食をしていたのだが突然、親父が変な事を言い出した。

 

「おい、八幡。お前に新しい妹が出来るぞ」

 

「急に何を言い出すんだよ、親父」

 

「実は父さんな...再婚することにしたんだよ」

 

「ぶっ!...マジかよ。いい歳こいて再婚かよ」

 

「まぁまぁ、いいじゃねーか。それで、相手が子持ちで女の子が2人いるんだよ。分かったか八幡?」

 

「...分かったよ。どうせ、俺がどうこう言ったところでしょうがないからな」

 

「さすがは俺の息子だ。理解が早くて助かる」

 

そう言って、俺の髪を乱暴に撫でる。痛いからやめてほしい。

 

「それで、相手方はいつ来るんだ?」

 

「今日だ」

 

「急すぎんだろ...」

 

「それと、もうすぐこの店に来るから」

 

「まだ、心の準備が出来てないんだが...」

 

「じゃあ、早く準備してくれ」

 

「そんな早く出来るか⁉︎」

 

そんなこんなで俺と親父が会話してると、2人の女の子が親父に声をかけ俺の対面に座った。そして、2人が飲み物を注文したところで親父が口を開く。

 

「じゃあ、八幡...紹介するぞ。八幡の向かい側に座ってる女の子が成瀬澪で右隣に座ってる女の子が成瀬万理亜だ」

 

「はじめまして、八幡さん。成瀬万理亜です。よろしくお願いします」

 

「成瀬澪です」

 

「ほれ。八幡も挨拶」

 

「どうも。比企谷八幡です」

 

「もっと、言うことはないのか?八幡」

 

「ねーよ。そんなもん」

 

自己紹介なんて、名前だけで十分だろ。

 

「あっ...えっと...」

 

「ほら、万理亜ちゃんが反応に困ってるだろ。いやぁ...ゴメンね、2人とも。俺の息子の八幡は目は腐ってるが、いい奴だからこれから仲良くしてやってくれ」

 

目が腐ってるのは余計だっつの。

 

「はい。これからよろしくお願いしますね。八幡さん」

 

「ああ。...それより、親父。相手方の親は来ないのか?」

 

「八幡にまだ言ってなかったな。澪ちゃんと万理亜ちゃんの母親はな...仕事で海外に行ってて、しばらくはこっちには来れない」

 

おいおい。そんなんで、いいのかよ。

 

「まぁ、仕事ならしょうがないな。それで、この2人は俺達の家に住むのか?」

 

「ああ。相手方の母親はいないが、一足先に俺達だけで同棲生活を始めようと思う」

 

「まぁ、親父がそれでいいなら俺は構わんが」

 

「というわけだ。澪ちゃんと万理亜ちゃんもそれでいいかな?」

 

「「はい。よろしくお願いします」」

 

そして俺は急ではあるが、親父が再婚し相手方の連れ子の成瀬澪と成瀬万理亜という女の子と同棲することとなった。

 

 

...続く

 

 

 

設定としては比企谷八幡と成瀬澪は高2の設定。八幡は海浜高校から成瀬澪の通っている総武高校へ高2の春から転校。(成瀬澪と同じ高校に行くよう親父に言われたため)

 

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

それでは次回もよろしくお願いします。


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第2話

お待たせ致しました。2話目です。

安定のご都合主義です。

それと、引き続き活動報告にてアンケートを実施しておりますので目を通して頂けると幸いです。

それでは、今回もよろしくお願い致します。


前回までのあらすじ。

 

親父がいい歳こいて再婚し相手方に2人の子がおり、母親が不在の中で

俺達4人で同棲生活が始まったのだった。俺はこの現実を受け入れ、二度と妹を失わないように決意を固め翌朝を迎えた。

 

 

 

のだが......

 

 

 

 

 

 

やけに身体が重く感じる....

 

 

腰のあたりに結構な重みがある。寝違えたのか...

 

俺は重たい瞼を開けて、重みを感じる腰の方を見る。

 

「おはよ。お兄ちゃん」

 

そこには昨日から妹になった成瀬澪が俺の腰にまたがっていた。

 

「どうやって俺の部屋に入った?」

 

「鍵、空いてたよ」

 

「マジか....それより、なんで跨ってんの?」

 

「万理亜がこうして起こしたらお兄ちゃんが喜ぶだろうからって言われてだけど?」

 

「そうか...お兄ちゃん、起きたいから退いてくれると助かる」

 

「うん...きゃっ!」

 

澪は俺の言葉で立ち上がるがバランスを崩してしまい俺の方に倒れこんできた。

 

「おっと、大丈夫か?」(近い近い、距離が近い)

 

「う、うん。大丈夫」(お兄ちゃんの顔が近い///)

 

俺と澪は見つめ合う状態になっている。あと1cmで触れるかという状態だ。

 

 

「.......」(離れないといけないんだが、離れられない。吸い込まれる感じかする。澪を近くで見ると美少女って感じがより一層するんだよな)

 

「........」(お兄ちゃんって結構イケメンだよね...目つきはちょっと怖いけど)

 

 

 

バタン

 

 

「八幡さん、澪さん。まだですか?朝ごはんできましたよ....おおっ!お2人はもう近距離で見つめ合う関係になっていたんですね!」

 

「ついに俺の息子も大人になったか...」

 

俺と澪が見つめ合っていたところに万理亜と親父が俺の部屋に入ってきていた。変なところを見られてしまった。

 

「んなわけないだろ、親父」

 

俺は優しく澪をベッドから下ろしたのち、起きる。

 

「それより万理亜はなんて格好してるんだよ」

 

「普通のエプロン姿ですよ、八幡さん。ちゃんと服着てますし」

 

くるりと回って俺に見せる。普通のエプロン姿だった。見方によって違うので、そういうのはやめてほしい。

 

「どうですか?お父さんは似合うって言ってくれましたけど」

 

「親父は変な趣味してるからなぁ...まぁ、でも似合ってると思う」

 

「えへへ...ありがとうございます!それじゃあ、朝ごはんにしましょう」

 

 

万理亜の一言で俺達は朝食を摂る。

 

 

 

「おい、八幡。この後は澪ちゃんと買い物に行ってこい」

 

「親父が行けばいいだろ」

 

「俺は仕事があるから行けない。まぁ、親交を深めるってことで澪ちゃんと一緒に行ってこい。お金は多めに渡しておくからな」

 

親父は昨日のように乱暴に俺の頭を撫でる。

 

「乱暴に頭撫でるのやめてくんない?」

 

「別にいいじゃねーか。それで行ってくれるか?」

 

「分かった。行けばいいんだろ」

 

断ったところで親父は引かないからこちらから引くしかない。俺の座右の銘は「押してダメなら諦めろ」だからな。

 

 

俺は朝食を食べ終えたのち、買い物に行く準備をする。

 

 

 

 

買う物としては澪と万理亜の服と夕飯の食材である。

 

(買う場所はららぽーとでいいか...)

 

俺は澪と共に買い物へ行くべく電車に乗った。

 

電車の中は比較的空いており、俺と澪は隣で座る。

 

「......」

 

「......」

 

「お兄ちゃん、どこで買い物するの」

 

お互い沈黙が続いていたが澪がその沈黙を破った。

 

「ららぽーとで買い物しようかと思ってる。澪は行ったことはあるか?」

 

「ないよ。だからお兄ちゃんと初めて行くかな」

 

「そうか...」

 

「うん」

 

「.........」

 

「..........」

 

そしてまた沈黙の時間が流れる。俺にコミュスキルがないのが原因だな。まぁ、ボッチだから人と喋ることはほぼないからしょうがないといえばしょうがない。俺にコミュスキルを求めてはいけない。なんか質問したとしても「なんで君なんかに教えてなきゃいけないの?」とか言われるに決まってる。ソースは中学時代の俺だ。こういう時になんて話しかければいいのだろうか?まぁ、無難に通ってる高校を聞いてみますかね。

 

「そういえば、澪はどこの高校に通ってるんだ?」

 

「え?」

 

「ん?どうかしたか?」

 

この質問もマズかったか?

 

「お兄ちゃんからそういうことを聞くのは初めてだから」

 

「そうだったか?」

 

まぁ、俺から話しかけるのはほぼないな。

 

「うん...それで私は総武高校に通ってるよ。お兄ちゃんは?」

 

「俺は海浜幕張高校だ。でも2学期から総武高校に編入する」

 

「そうなの?」

 

「昨日、親父と話してな。一緒の学校の方が何かといいんじゃないかって結論が出てな」

 

「そっか。2学期からお兄ちゃんと一緒に通えるんだ...」

 

「そうなるな」

 

【次は南船橋、南船橋....】

 

俺と澪が高校の話をしていると目的地の最寄り駅に着いた。

 

「澪、降りるぞ」

 

「うん」

 

澪は手を差し伸べる。

 

「ん?」

 

「手、繋がない?」

 

「あ、ああ...」

 

俺と澪は電車を降り改札を出たのち、ららぽーとTokyo-Bayへと向かった。

 

 

 

 

 

...続く

 

 

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

次回は夏休み編終了から2学期編へいく予定です。

今後の展開として俺ガイル原作か、新妹魔王の契約者原作のどちらかで進めようと思います。(現段階では未定です)

それでは、次回もよろしくお願い致します。


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[ 桃井さつき編 ][ 黒子のバスケ ]
第1話



第11弾は黒子のバスケから桃井さつきです。

それでは今回もよろしくお願いします。


俺は今、アメリカに帝光中時代の部活仲間であり唯一の友達である虹村修造といた。何で俺がアメリカにいるのかの主な理由としては虹村の親父さんが病気のためアメリカで治療を受けているためだ。俺も虹村の親父さんには昔からお世話になっていたので、中学卒業後に虹村と共にアメリカへと飛び立ち、親父さんの治療などに付き添った。

 

 

それから1年が経ち、日本でいうと俺は高2になっている時期で虹村の親父さんの容体は安定し、日常生活を送れるまでに回復したため俺と虹村は1年ぶりに日本へと帰ることとなった。ちなみに虹村の親父さんは経過観察でアメリカにしばらくいるとのことだった。

 

そして、高2に上がる前の春。俺と虹村は1年ぶりに日本へと戻って来た。時刻は夜の8時。

 

「やっと、日本に着いたか...」

 

「そうだな、ハチ。それより、これからどうする?」

 

「ああ。妹のさつきからさっきメールが来てな、成田空港で迎えに来るって話だ」

 

「ほーん。それで、さつきはどこにいるんだよ。見当たらないぞ、ハチ」

 

「そうだな...どこにいるんだ、さつきのやつ」

 

俺と虹村がそう会話していると...

 

「お兄ちゃん〜!」ドン

 

俺の背中あたりに衝撃が走った。こんな事をするやつは俺の妹しかいない。

 

「よう。久しぶりだな、さつき。元気にしてたか?」

 

「元気にしてなかった」

 

「何でだ?」

 

「そんなの決まってるよ!お兄ちゃんがいなくて毎日、寂しかった」

 

「それはすまんな。でも、これからは一緒にいれるから元気出してくれ」

 

「うん!今日からいっぱいお兄ちゃんに甘えるから!」

 

「家に帰ったらな」

 

「お前ら、仲良いな。それと...久しぶりだな、さつき」

 

「虹村先輩。お久しぶりです」

 

「それより、あいつらは元気にしてるか?」

 

「あいつらとはテツ君達の事ですか?」

 

「ああ。そうだ」

 

「それは、ですね...」

 

そして、さつきは俺達がいない時に黒子達に何があったのかを全て話した。(※詳しくは原作参照)やっぱり、あいつらの能力は開花したか...

 

「ったく...チームプレーは大事にしろってあれほど強く言ったのにな」

 

「しょうがないさ、ハチ。いずれあいつらがそうなることは分かってたことだろ?」

 

「そうなの?お兄ちゃん」

 

「まぁ...薄々感じてはいただけだけど...」

 

「そうだ!ハチ、俺達がお灸をそえるのはどうだ?」

 

「それって、俺達が高校でバスケをやるってことか?」

 

「ああ、そうだ!やるかハチ?」

 

「虹村かやるならいいぞ」

 

「そうと決まれば、学校探しだがハチはどの高校入るんだ?」

 

「俺は千葉の総武高校にするわ」

 

「そこって、ハチの親父さんの母校か?」

 

「そうだ」

 

「お兄ちゃん、総武高校に行くの⁉︎私と同じ高校だね。それと、お兄ちゃん。私達の家は東京から引っ越して、また千葉に戻ったからね」

 

「マジか...でも、その方が総武高校に通うのにはちょうどいいな」

 

「じゃあ、俺もハチと同じ総武高校にすっかな」

 

「いいのか?虹村」

 

「大丈夫だろ。多分」

 

そんなんでいいのかよ...

 

「それで、さつき。黒子達はどの高校に進んだんだ?」

 

「うん、それは...」

 

さつきによると、赤司が京都の洛山、緑間が東京の秀徳、青峰が東京の桐皇、黒子が東京の誠凛、黄瀬が神奈川の海常、紫原が秋田の陽泉に進学するらしい。これじゃあ、俺達が戦えるのは全国とかになりそうだな...

 

「あいつらとは全国で当たるってことだな。楽しみだなハチ!」

 

「そうだな...」

 

全国に行けたらの話だがな...

 

「私もまたお兄ちゃんがバスケするとこ見れるから嬉しい!」

 

「おう!お兄ちゃん、頑張るからな」ナデナデ

 

「うん!」

 

そして、俺とさつきは空港を後にし千葉へ向かった。虹村は母親に会うため、この空港で別れた。

 

 

 

1時間後、俺は久しぶりの我が家に帰り両親にアメリカのことと虹村さんの親父さんのこと、俺がまたバスケをやる話をした。両親は俺がまたバスケをやることに喜んでいた。その後は、夕食を摂り俺は眠りについたのだが...

 

「えへへ...お兄ちゃんの背中、温かい」

 

妹のさつきが俺のベッドに潜り込んでいた。

 

「そんな、ひっつくな。そして、服を着ろ」

 

色々と当たってヤバイからな...主にアレだが。しかもなぜ、さつきは服を着てないんだ!

 

「やだ!お兄ちゃんにいっぱい甘えるもん!」

 

「違う甘え方をしろ。お兄ちゃんは色々ヤバイんだぞ!」

 

「お兄ちゃんなら...いいよ」

 

「そういう事を言うもんじゃありません。俺はもう寝るからな」

 

俺はすぐに寝ることにした。理性を保つためだ...R18には持っていかないためにも...

 

「もう!...お兄ちゃんのヘタレ...ばか」

 

さつきは何か言っていたが、聞き取れなかった。

 

 

 

 

そして月日が経ち、高2の新学期となった。俺は編入試験を虹村と受け無事総武高校に入学出来た。

 

「行ってきます」

 

「お兄ちゃん!私も一緒に行く!」

 

「早くしろよ」

 

そして、俺とさつきは家を出て学校に向かった。

 

「じゃあ、お兄ちゃん!また、放課後にね!」

 

「わかった」

 

そして学校に着き、妹のさつきと別れる。

その後は、後から来た虹村と共に職員室に向かった。

 

 

...続く

 

 

 

 

設定としては八幡は高2、さつきは高1の設定。

 

八幡は原作通りでシスコン。さつきもお兄ちゃんの八幡が大好きなブラコン。お互い、総武高校に通う。2人ともバスケ部へ。

 

バスケ等の設定は次回にて。原作では青峰の学校にさつきが進学しますが、さつきの友達であり帝光バスケのマネージャーである女の子が青峰の学校に進学する予定なので、さつきは桐皇には行かず総武高校に進学。

 

他の俺ガイルキャラも随時、登場させる予定




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

それでは次回もよろしくお願いします。


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第2話

お気に入り登録ありがとうございます。

お待たせ致しました。

2話目です。

今回もご都合主義満載でお送りします。

それでは今回もよろしくお願いします。


ー 八幡・虹村 side ー

 

 

 

そして、俺と虹村は職員室の中に入る。

 

「君達が編入生かね。私は君らのクラス、2-Fの担任を務める平塚だ」

 

「うす」

 

「どうも」

 

「それで、君達は入る部活などは決まっているかね?」

 

「はい。自分とハチはバスケ部に入部するつもりです」

 

「そうか...なら、入部届の用紙を渡しておく。放課後にでも提出してくれ。それじゃあ、教室に移動しようか」

 

「「はい」」

 

そして、俺と虹村は平塚先生の後を歩き、自分のクラスへと向かった。

 

 

 

ー side out ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー 2-Fの教室内 side ー

 

 

 

 

朝から2-Fの教室内では転校生の話で盛り上がっていた。

 

「優美子。今日うちのクラスに転入生が来るみたいだよ」

 

「ふーん。それって、男子なん?結衣」

 

「うん。何でも、イケメンの人らしいよ」

 

「隼人より?」

 

「どうなのかな?私も噂で聞いただけだし」

 

「隼人はどう思う?」

 

「会ってみないと分からないかな」

 

「それな!」

 

「隼人くんとの絡みが楽しみ...これはキマシタワ〜!」

 

「ちょっ!姫菜。落ち着きな!」

 

「あはは...」

 

クラスの中心グループや他のクラスメイト達は転校生の登場を待ちわびていたのだった。

 

 

 

 

ー side out ー

 

 

 

 

そして、俺と虹村は自分のクラスに着く。クラス内は話し声などて騒がしかった。

 

「それじゃあ、私の後に続いて入ってこい」

 

俺と虹村は平塚先生の後に続き、教室内に入る。

 

「転校生の人、イケメンだね」ヒソヒソ

 

「目つき鋭いけどカッコいい!」ヒソヒソ

 

「皆、転校生を紹介するから静かにしたまえ。虹村から自己紹介を頼む」

 

「はい。アメリカから来ました、虹村修造です。好きなことはバスケをすること。趣味もバスケです。これから1年間、よろしくお願いします」

 

「えっと...虹村と同じでアメリカから来た比企谷八幡です」

 

「「「「それだけ⁉︎」」」」

 

クラスメイトの人は俺の自己紹介の後に、そう反応していた。

 

何かマズったか?

 

「比企谷...自己紹介はそれだけかね?」

 

「他に話すこととかないんで...」

 

「ははっ!ハチらしいぜ!」

 

「まぁ、いい。皆の方から質問とかあるかね?時間は余り無いからほどほどにしてくれよ」

 

平塚先生がそう言うと、クラスメイトが一斉に手を挙げる。

平塚先生は前の席に座っていた三つ編みの女子生徒を指名した。

 

「2人は中学もアメリカだったんですか?」

 

「いや。俺とハチがアメリカにいたのは高1のときだけです。中学は東京の帝光中出身です」

 

「あのキセキの世代がいた...」

 

「すごい!」

 

虹村が帝光中学出身だと言うと、クラス内が一層騒がしくなる。

 

「それじゃあ、2人は高校でもバスケするの?」

 

「そのつもりです」

 

「比企谷くんは?」

 

「俺もバスケ部に入る予定です」

 

「そうなんだ...」

 

「もう時間なので、後の質問は始業式後かHR後、昼休みとかにしたまえ。それと比企谷と虹村は後ろの窓側に座りたまえ」

 

俺がそう答えると、平塚先生がそう言った。

 

その後は、HRを行った後...始業式に参加しLHRを教室で行い、今日の日程は終了した。それよりも質問攻めはやめてほしい。ものすごく疲れる。何で、そんなに転校生に質問したがるのか分からん。そんな事を考えていると...

 

「ハチ。早速、体育館に行こうぜ!」

 

虹村に話しかけられる。

 

「その前に、入部届を平塚先生に届けるぞ」

 

「そうだな」

 

そして、俺と虹村は平塚先生に入部届を渡すべく職員室に向かうことにした。

 

 

 

 

ー side out ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー 1年C組 side ー

 

 

 

 

 

ー 放課後にて ー

 

 

私は、体育館に向かうべく荷物を整理していた。すると...

 

 

「さつきちゃん。部活どこにするか、決めた?私はサッカー部のマネジャーにするつもりだけど、一緒にやらない?」

 

今日...友達になった、いろはちゃんに声を掛けられた。

 

「ごめんね、いろはちゃん。私、バスケ部のマネジャーをやろうと思うんだ」

 

 

「え、でも...うちのバスケ部って人数少ないんじゃないの?部活動説明会の時にそう説明があったと思うけど...」

 

 

「そうなんだけど...実は私のお兄ちゃんがバスケ部に入ることになってね」

 

私がいろはちゃんにそう言ったら...

 

「え!その話、本当なの!」

 

後ろから、声を掛けられた。その子の名前は桜井奈々ちゃん。私の中学からの親友です。高校も私と同じところに進学してくれた優しい子なんです。

 

「本当だよ。奈々ちゃん」

 

「そうなんだ。八幡先輩、日本に戻って来てたんだ」

 

「うん。奈々ちゃんも私と一緒にバスケ部のマネジャーやる?」

 

「やるやる!八幡先輩のバスケしてるとこ、また観たいし」

 

「そういう訳だから...いろはちゃん、ごめんね。サッカー部のマネジャー出来そうにないんだ」

 

「分かった。それじゃあ私、サッカー部の方にに行くから...また明日ね、さつきちゃん、奈々ちゃん」

 

「うん!また明日ね。いろはちゃん」

 

「また明日ね」

 

 

「それじゃあ、奈々ちゃん。私達もバスケ部の方に行こっか」

 

「うん!」

 

そう言って、さつきと奈々も部活動に参加するため体育館に移動していったのだった...

 

 

 

...続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 




あとがき

ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

今回はパロキャラとして桜井奈々を登場させました。

次回にて、総武高校バスケ部メンバーが全員ではありませんが登場します。

監督は景虎さんにしようか迷っていますが、どうしよう...他のキャラにするかもです。

それでは、次回もよろしくお願いします。


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第3話

3話目です。今回は人集め回です。

黒子のバスケ要素は少なめかもです。
そして原作改変、パロキャラの登場もあります。

それでは今回もよろしくお願いします。



俺と虹村は入部届を職員室にいる平塚先生に手渡す。

 

「入部届は受け取った」

 

なんとか、入部届は無事に受理された。そこまでは良かったんだ。

 

「それじゃあ、部員集めをしたまえ」

 

はい?部員集め?

 

「それはどういう?」

 

「君達を入れてバスケ部員は3人だ。新3年の部員はなし、新2年は虹村と比企谷の2人、新1年からは1人、萩原からしか入部届を受け取っていないからな。あと最低でも2人以上は必要だ」

 

マジか、部員3人ってのは少ないな...新入部員と言ってもな。簡単に入りますっていう部活でもないから不安だな。

 

「というわけで、部活をやりたいのであれば3人以上の新入部員を集めてからだ」

 

「分かりました」

 

「うす」

 

「あっ!お兄ちゃん!」

 

俺と虹村、平塚先生が話していると俺の妹であるさつきが声をかけてきた。

 

「さつきか?どうしたんだ?」

 

「部活動の入部届を出しに来たの!」

 

「1人でか?」

 

「ううん、もう1人いるよお兄ちゃん!しかもお兄ちゃんの知ってる人」

 

「ふむ...」

 

誰かいただろうか...俺の知ってる人、俺の知ってる人...

 

「ここですよ。八幡先輩!」ボソッ

 

俺が知ってる人を思い出していると俺の後ろから耳元で誰かが囁いた。

 

「っ...!ビックリした...なんだ、知ってる人ってのは桜井だったか」

 

「はい!お久しぶりです」

 

「おう、それで桜井も部活の入部届を出しに来たのか?」

 

「はい!バスケ部のマネージャーをさつきちゃんとまたやろうと思って...」

 

「そうか」

 

 

「もちろん八幡先輩もバスケ部に入りますよね?」

 

「まぁな...」

 

「良かった...これからもよろしくお願いしますね!」

 

「ああ。それより、入部届を先生に出しに行った方がいいんじゃないか?」

 

「はい!」

 

桜井はそう言って、さつきと共に平塚先生の元に向かっていった。

その際に

 

「ハチ、部員集めの件だが二手に分かれて探さないか?一方が2年、もう一方が1年って感じで」

 

虹村からそう提案があった。

 

「いいんじゃないか?」

 

「それじゃあ、俺とハチ、さつきと奈々の4人でくじ引きしてペアを決めてから勧誘を始めるか」

 

その後、虹村が作ったクジでペアを決めた。

 

 

「このペアで決まりだな」

 

「そうですね...」(お兄ちゃんとが良かったなぁ...奈々ちゃんが羨ましい)

 

「了解」(俺のペアは桜井か...)

 

「はい!」(やった!八幡先輩と同じペアになれた!)

 

「俺とさつきは1年の勧誘に行くからハチと奈々は2年の勧誘をしてくれ。教室で暇そうな奴を見つけたら声をかける、いいな?ハチ」

 

「俺?」

 

「当たり前だ。コミュ障だからって奈々に勧誘を任せっきりにするなよ」

 

そう言って虹村とさつきは1年の教室へと向かっていった。

 

「ったく...」

 

虹村は俺を何だと思ってるんだ。後輩に任せっきりにするわけないだろ。まぁ、コミュ障なのは否定しないが。

 

「八幡先輩、私達も勧誘に行きましょう!」

 

「わかった」

 

俺達も勧誘へと向かった。

 

 

しかし、2年の教室にはほとんど人はおらず勧誘活動は難航していた。

 

勧誘をしても即答でNOの返事やバスケ未経験だからや総武高校のバスケ部は弱いことで有名らしく遠慮しますとの声が多数あった。

 

「全然、ダメですね」

 

「そうだな...後は、I組とJ組だけだが...J組は期待できないな」

 

「何でですか?八幡先輩」

 

「J組は女子が9割を占めてるらしい。だから厳しい」

 

J組は国際教養科のクラスらしい。まぁ、期待は薄だ。

 

「そうなんですね。じゃあ、I組が最後になりそうですね」

 

「ああ...」

 

そして、俺と桜井はI組の教室に入る。するとそこは...

 

「シズちゃん落ち着きなよ。教室内では静かにしないと」

 

「誰のせいだ!テメェが俺の顔に落書きするのが悪いんだろうが。それと、シズちゃんって呼ぶな」

 

「シズちゃんが寝てるのが悪いんでしょ。シズちゃんが寝てたら、そりゃ落書きしたくもなるよ」

 

「うるせぇ!俺にも落書きさせろ!」

 

「やだよ」

 

ワイワイガヤガヤ...ワイワイガヤガヤ...

 

折原臨也と平和島静雄が繰り広げる戦場と化していた。折原達以外のクラスメイト達は隅っこで2人の行方を見ていた。

 

「なぁ?これって放置しちゃだめか?」

 

「あはは...どうしましょう」

 

 

俺はこの戦場を見て見ぬ振りをしようと決めた。面倒事はゴメンだからな。

 

 

「珍しいねぇ...可愛い子が訪ねてくるなんて。俺に用かい?」

 

すると、折原は桜井の目の前に現れる。

 

「えっと...」

 

「名前はなんて言うの?生年月日は?好きな人とかいるの?彼氏はいる?それと...」

 

「あの...」

 

折原は桜井に対して色々な質問をぶつける。桜井はいきなりで戸惑っている。

 

「その辺にしろ、折原」

 

「あれ?比企谷じゃん、久しぶり。でもアメリカに行ってたんじゃないの?」

 

「最近、日本に帰って来たんだよ」

 

「ふーん、それでこのクラスに何の用だい?」

 

「バスケやってくれる奴を探してんだよ」

 

「また、バスケやるんだ。僕もバスケやってもいいかい?」

 

「は?やってくれるのか?」

 

「中学時代に八幡のプレイを見ていてね。僕もやってみたいなと思ってたんだよ。いいかい?」

 

「願ったり叶ったりだわ」

 

「それに隣にいる可愛い子とも仲良くなりたいしね」

 

むしろそれが一番の理由かもな。でも部員が増えるのはいいことだ。

 

「あと、シズちゃんも入れていい?」

 

「別にいいが...折原と喧嘩中だから無理なんじゃないか?」

 

「大丈夫さ、僕にかかればどうってことはない」

 

そう言って、折原は応戦態勢に入っている平和島に話しかける。

 

 

その間...俺は桜井と会話を交わす。

 

 

「あの人達をバスケ部に入れてもいいんですか?」

 

「あいつらか?あいつらが加入すればかなりの戦力になるから大歓迎だ。でも、折原のナンパと折原と平和島が喧嘩したら宥めるのに時間がかかる。それが難点ではある」

 

「あはは...」

 

桜井は苦笑いした。

 

 

「シズちゃんもバスケ部入るって」

 

「マジでか?なんて言って入部させたんだ?」

 

「入らないと八幡とタイマン勝負させるって言った」

 

「何、俺を巻き込んでんだ。ってか、よくそんなんで平和島を納得させたな」

 

教室内で2人はかなり物騒な事してたから、あっさり納得するとは思わなかったな...

 

「シズちゃんも八幡とはタイマン勝負したくないってことだろうね。八幡を苦手にしているところもあるだろうしね」(八幡に手を出すとなれば中学時代にあった八幡のファンクラブの連中に何言われるか分からないからシズちゃんも八幡に迂闊に手を出すことはできないだけなんだけどね)

 

「別に俺は大して強くないんだが」

 

「まぁ、いいじゃないか。シズちゃんが入ればパワーの問題は解消されるんじゃない?」

 

「まぁ...平和島が入ればかなりの戦力になるとは思うが」

 

「ありがとうございます。比企谷さん」

 

「敬語とさん付けはやめてくれ。同級生だろ」

 

「わかった、比企谷。それで俺はどうすればいいんだ?」

 

「とりあえず、入部届を今から職員室で書きに行くか」

 

「うっす」

 

「それで...折原の役割についてだが相手を挑発させること、相手を疲れさせる役割でいいよな?得意そうだし」

 

「それは褒め言葉として受け取ろう。もちろんそのつもりでバスケをやるさ。人が絶望する顔が早く見てみたいからね。試合が楽しみでならないね...」

 

こいつ、ヤバすぎるな。味方で良かったわ。

 

「これで2人の新入部員は確保できましたね。八幡先輩」

 

「そうだな。後の新入部員は虹村に任せることにするわ。それじゃあ、今から職員室に行くから、折原と平和島は事前に貰ってる入部届を書いて準備しろよ」

 

「「ああ」」

 

俺達は職員室へと向かった。その際、折原が桜井にちょっかいをかけていたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

職員室にて....

 

 

職員室前には虹村とさつき、新入部員らしき人がいた。

 

「あっ!お兄ちゃん!」

 

「おう、新入部員は見つけたのか?」

 

「うん!」

 

「ハチ。勧誘はうまくいったか?」

 

「まぁな。虹村の方は何人集めれたんだ?」

 

「新入部員は1人だけだ。ハチは?」

 

「2人」

 

「なにっ!ハチに負けただと...」

 

「久しぶりだね、修造」

 

「しかも、問題児かよ」

 

「シズちゃんもいるよ」

 

「頭が痛くなってきた」

 

虹村は頭を抱えていた。まぁ、仕方ないだろう。折原と平和島は中学時代でのクラスメイトであり問題児だったからな。

 

「それで、虹村の方は誰を勧誘してきたんだ?」

 

「ハチも知ってる奴だ。中学時代に帝光中学に転校生でやってきたブリタニアの第11皇子...」

 

「まさか...」

 

「そのまさかですよ、比企谷先輩。お久しぶりです」

 

「まだ、日本にいたのか...ルルーシュ」

 

「妹のナナリーが日本を気に入ったみたいで、まだしばらくは日本にいますよ」

 

「そうか...それより、ナナリーは元気か?」

 

「ええ...また今度、ナナリーに会いに行ってあげてください。喜ぶと思うので」

 

「また今度な。それより、入部届を出しに行くか」

 

「はい」

 

 

俺は新入部員の入部届を受理してもらうため職員室にいる平塚先生を呼ぶ。

 

「なんだ、比企谷。もう新入部員は見つかったのか?」

 

「3人程ですが...」

 

「あれぇ?バスケ部の顧問は静ちゃんなの?」

 

「平塚先生が顧問かよ...」

 

「よりによって折原と平和島を新入部員に選ぶとは...ルルーシュはいいとして比企谷、大丈夫なのか?この2人を入れても」

 

「素行はアレですが、運動神経等なのは申し分ないです」

 

「まぁ、いい。一括で監視できるのはこちらとしても有り難い」

 

「そうっすか」

 

「新入部員3人の入部届を受理した。月曜から本格的に練習を始めるから、そのつもりでな」

 

「分かりました」

 

「それじゃあ、解散」

 

そう言って平塚先生は職員室の中へ入っていった。

そして俺達は部員の連絡先を交換した後、それぞれ帰路につく。

 

 

 

 

現在、俺は妹のさつきと帰っている。

 

 

「お兄ちゃん、良かったね。またバスケが出来て」

 

「まぁな。それより、早くキセキの世代と試合がしたい」

 

「でも、強敵だよ?お兄ちゃん」

 

「その方が逆に燃えるから大丈夫だ。それに...」

 

「それに?」

 

「妹のさつきに応援してもらえるならお兄ちゃんはどんな試合でも勝てそうな気がするからな」

 

「えへへ...もちろんさつきは、お兄ちゃんを全力で応援するよ!」

 

「おう」

 

俺とさつきはそんな会話をしつつ、帰路に着くのだった。

 

 

...続く

 

 

 

 

ー おまけ ー

 

 

さつきから、お兄ちゃんである八幡と帝光中学のキャプテンだった虹村修造が日本に帰ってきて、タッグを組み総武高校でまたバスケをすることがメールで知らされた。キセキの世代の反応とは...

 

 

ー 京都 洛山高校にて ー

 

「そうか、比企谷先輩と虹村先輩が日本に帰ってきていたとは...厄介な相手になりそうだ。でも、俺達洛山の勝利は揺らぎはしない。公式戦で対戦することを楽しみしているよ」

 

京都の洛山高校に通う赤司征十郎はさつきから送られてきたメールを見て静に闘志を燃やしていた。

 

 

ー 東京 秀徳高校にて ー

 

 

「何、真ちゃんメールを眺めてるの?へぇ...比企谷先輩と虹村先輩が日本に帰ってきたんだ」

 

「高尾、勝手に見るな!それより、何故高尾は比企谷先輩と虹村先輩を知ってるのだよ」

 

「この2人は有名だから、知らない方が少ないと思うけど。それで、真ちゃんは2人が日本に帰ってきてまたバスケやるみたいだけど、どう思った?」

 

「ふん!そんなのは決まっているのだよ。対戦相手になったら正々堂々と戦うまでなのだよ」

 

「おっ!珍しく真ちゃんがやる気だね」

 

「そんなことはないのだよ。それより高尾、練習に付き合うのだよ」

 

「うぃ〜」(真ちゃん、燃えてるなぁ...俺も頑張るしかないよな)

 

東京の名門、秀徳に通う緑間真太郎もまた闘志を燃やしチームメイトであり相棒である高尾和成と共に練習を始めるのであった。

 

 

 

ー 秋田 陽泉高校にて ー

 

 

「どうしたんだい?アツシ」

 

「なにが〜?」

 

「いや、珍しく携帯をずっと見てるから気になってね」

 

「別に大したことじゃないよ〜」

 

「そうか、それより練習はどうする?アツシ」

 

「少し、やろうかなぁ...」

 

「おっ!それじゃあ、1on1を久しぶりにやろうか」

 

「いいよ〜」

 

秋田の陽泉に通う紫原敦もまた心の中ではっちんこと比企谷八幡と元キャプテンこと虹村修造と戦うことがあれば全力でヒネリつぶすよと思いつつ、氷室辰也と1on1をひらすらやるのだった。

 

 

ー 東京 桐皇学園高校にて ー

 

 

「へぇ...キャプテンとハチ先輩が日本に帰って来てたのか、しかもまたバスケをするのか、燃えてくるな」

 

東京の桐皇学園に通う青峰大輝は屋上で寝そべりながら携帯を眺めていた。

 

「あっ!またこんなところにいた!青峰、部活行くよ!」

 

「うるさいなぁ...って、なんだ折本かよ」

 

「青峰、ちゃんと語尾に先輩をつけなさいよ!それより何、携帯見てニヤニヤしてんの?」

 

「関係ないだろ、別に」

 

「何か、良いことでもあったの?」

 

「まぁな。虹村先輩とハチ先輩がアメリカから日本に帰って来てて、またバスケするみたいだから楽しみにしてただけだ。悪いか?」

 

「ふーん...へっ!?比企谷がアメリカから帰ってきたの!」

 

「だからそう言ってるだろ」

 

「どこの高校?」

 

「千葉の総武高校だな」

 

「そっか、そっか...」

 

「そうか...折本は確か、ハチ先輩が好きだったっけか?」

 

「そんなのアンタには関係ないでしょ!」(何で青峰がそんな事、知ってんのよ!恥ずかしい...)

 

「折本が照れてるよ」(こりゃ、図星だな。ハチ先輩も大変だな...)

 

「また私の事、呼び捨てにしてるし!もういい!それより早く部活に行くよ」

 

「分かったから大きな声を出すな」(キャプテンとハチ先輩と早く戦いてぇ...)

 

青峰大輝はマネジャーである折本かおりの後を歩き、体育館に向かいいつの日か戦うであろうその日を楽しみにしているのだった。

 

 

 

ー 神奈川 海常高校にて ー

 

 

「へぇ...ハッチー先輩と虹村先輩が日本に帰ってきてるのか」(また一緒にバスケがしたいっす!)

 

「おい!黄瀬!何ニヤニヤしてやがる!女の子とメールしてないで早く部活に参加しろ!」

 

「女の子とメールなんてしてませんよ。笠松先輩」

 

「じゃあ、早く部活に参加しろ!休んでる暇は俺達には無いんだからな」

 

「分かりました。すぐに参加しますからそんな怒らないでくださいよ!」(次に会うのを楽しみにしてますよ、ハッチー先輩)

 

 

神奈川の海常高校に通う黄瀬涼太はハッチー先輩こと比企谷八幡、帝光中学のキャプテンだった虹村先輩に早く再会したいと待ち望みつつ、部活に参加するのだった...

 

 

ー 東京 誠凛高校にて ー

 

「比企谷先輩と虹村キャプテンがまたバスケを...」

 

東京の誠凛高校に通う影の薄い少年、黒子テツヤはさつきに送られてきたメールを見てそう呟く。

 

「どうしたんだ黒子」

 

「火神くん...いえ、僕の先輩が日本に帰ってるみたいでまたバスケをするってメールが送られてきたんです」

 

「先輩ってことはあの帝光中学の...」

 

「そうです。僕達の師匠にあたる人です」

 

「マジか!その人達とバスケがしてぇ!」

 

「今の火神くんでは、勝てないと思います。実力が違い過ぎます」

 

「そんな凄いのか!燃えるな!」

 

「黒子くんどうしたの?火神くんが燃えてるみたいだけど...」

 

「相田先輩、実はですね...」

 

僕は火神くんに説明した通りに相田先輩にも話しました。

 

「比企谷くんが日本に帰って来てるの!?」

 

「はい...相田先輩は比企谷先輩を知っているんですね」

 

「小さい頃からの知り合いなの。親同士も仲が良かったし」

 

「そうなんですね。それと、近々誠凛に来るみたいですよ」

 

「それ本当!」(やった!比企谷くんにまた会える!)

 

「ええ」(相田先輩、何だか嬉しそうです)

 

「そうと分かれば、変なところを見せちゃいけないわね。皆、集まって!」

 

そう言って、誠凛メンバーは集められ

 

「今日の練習メニューは通常の2倍にします。覚悟するように」

 

そう練習メニューが告げられた。

 

「「「「そんなぁ...」」」

 

こんなことなら比企谷先輩のことを相田先輩に言うんじゃなかったと黒子テツヤは後悔したとか...

 

 

 

...FIN

 

 

 

大まかなポジション

 

バスケメンバーは比企谷八幡(PG:ポイント・ガード)、虹村修造(PF:パワーフォワードorポイント・フォワード)、折原臨也(C:センター)、平和島静雄(SG:シューティング・ガード)、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア(交代要員で、C:センター)、萩原君(SF:スモール・フォワード)の6人が基本メンバーです。

 

顧問は平塚先生、監督は相田景虎です。メンバーは数人ほど増やすかは現段階では検討中です。ポジション等の詳しい説明は次回にて。

 

ネタバレも含みますが...ルルーシュは運動が苦手ですが、景虎監督プロデュースの身体強化プログラムに参加し克服致します。




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

それでは、次回もよろしくお願い致します。


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[ 加藤恵編 ][ 冴えない彼女の育てかた]
第1話



第12弾は冴えカノから加藤恵です。

それでは今回もよろしくお願いします。


俺は今日から高2になる。そして、妹である恵も今日から俺の通う総武高校に通うことになる。お兄ちゃん大好きっ子である妹と今日から一緒に登校できるのはお兄ちゃんとしては嬉しい。嬉しすぎて、今日は朝6時に目覚めてしまった。二度寝しようかと迷ったがもし寝過ごしたなんてことがあったら、妹と一緒に登校できなくなるので俺は起きることにした。俺は部屋から出て洗面所に向かい、顔を洗って歯磨きを済ませた後にリビングに向かう。その際、リビングからいい匂いがした。親が作ってくれているのだろうと思いながら、俺はリビングの扉を開けて中に入る。すると、そこには...

 

「あ、お兄ちゃん。おはよう。今日は早いんだね」

 

俺の妹である恵が朝食を作っていた。

 

「まぁな。それで、今日は恵が朝食作ってるんだな」

 

「何言ってるの、お兄ちゃん。お母さんとお父さんは今日から海外出張に行くからいないって...昨日、話したよね?聞いてなかったの?バカなの?八幡なの?」

 

俺がそう恵に聞くと、恵はそう答える。

 

「別に八幡は悪口じゃないだろ...」

 

「そうなの?」

 

なんて言われようだ...

 

「すまん、忘れてたわ。許してくれ」

 

「許してあげない。お兄ちゃん、いつも私の言うこと忘れてるよね」

 

「うぐっ!」

 

確かに言われてみればそうかもしれない。おつかい頼まれても忘れて行かなかったりとか、飯を作っておいてほしいと頼まれた時もゲームのしすぎで忘れたりとか...めっちゃ俺、忘れてんじゃん!ここはあの手を使うか...

 

「何でも言う事を1つ聞くから許してくれ頼む」ガバッ

 

俺の必殺奥義 DO※GE※ZA※が炸裂する。

 

「お兄ちゃん、土下座はみっともないからやめてよ」

 

どうやら恵には俺の必殺奥義は効かなかったようだ。だが、俺は引き下がらない。

 

「いや、辞めない。恵に許しをもらうまではな」

 

「わかったから、土下座はやめて」

 

「はい...」

 

妹にそう言われ、俺は土下座から普通の体勢に戻る。

 

「許してほしいんだったら、私をギュッと抱きしめて」

 

「そんなんで許してくれるのか?」

 

「うん...」

 

「それじゃあ、いくぞ」ギュッ

 

そして、俺は妹の恵の身体を引き寄せてギュッと抱きしめた。ああ...いい匂い。

 

「あっ...お兄ちゃんの身体...温かい」ギュッ

 

妹の恵はうっとりとしていた。その姿がまた可愛いらしい。やっぱり、妹は最高!俺には妹さえいればいい!

 

「もういいか?」

 

「やだ!もっとお兄ちゃんの温もりを感じていたいから、もうちょっとだけこうしててもいい?」

 

「ぐはっ!」

 

その上目遣いでそう言う事を言わんでくれ!理性が....保てん。

そして、この後30分ほど抱き合っていた。

 

「これくらいで許してあげるけど次はないからね?お兄ちゃん」

 

「はい...善処します」

 

「それじゃあ、朝ごはん食べよっか。また温め直さないといけないけど...」

 

「それは、俺がやるわ。恵は座って待っててくれ」

 

「うん!お願いね。お兄ちゃん」

 

うん。やっぱり、妹は最高だと改めて俺は感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして俺と恵は朝食を摂り、学校へ行く準備を整えて家を出る。すると、なぜか俺の幼馴染である英梨々が家の前で待っていた。

なぜ?どうせまた厄介事を頼まれるに違いない。まぁ、とりあえず無視しよう。

 

「恵、今日は歩いていくか?」

 

「うん。その方がお兄ちゃんもいいでしょ?」

 

「そうだな...」

 

また、事故りたくはないからな...歩くか。

 

「ちょっと!何でサラッと私の存在消してんの⁉︎」

 

「まだ、いたのか?」

 

とっくにどっか行ったのかと思ってたぜ。

 

「いたわよ!あんた、気づいてたでしょ!」

 

「ん?ちょっと何言ってるかわかんない」

 

「っ〜!アンタね!」

 

「まぁまぁ、2人とも落ち着いて」

 

「恵は黙ってて!八幡には言うことがたくさんあるんだから!」

 

「朝っぱらからうるさいわよ。澤村さん。八幡くんと恵さんが可哀想よ」

 

「霞ヶ丘詩羽には関係ない!」

 

うわっ...このタイミングで詩羽先輩が来ちゃったよ...ここは逃げた方がいいかもな。よし!英梨々と詩羽先輩が言い争ってるうちに、即退散だ。

 

「恵、英梨々と詩羽先輩はほっといて先に学校行くか?」

 

「そうだね。それじゃあ、手を繋いで行こ?お兄ちゃん」

 

「はいよ」

 

俺は妹と手を繋ぎ、学校へと向かった。

 

学校に着いた際に英梨々と詩羽先輩に先に行ったことへのお叱りを受けるのは、また別のお話である。

 

 

 

...続く

 

 

 

 

 

 

 

 

ここでざっくりと設定紹介。

 

八幡は高2、恵は高1の設定。

 

恵はお兄ちゃん大好きっ子でブラコン。お兄ちゃんと抱き合っているときが一番幸せなんだとか...兄の八幡もシスコンで妹である恵を溺愛。奉仕部に入るかは未定。英梨々とは幼馴染。詩羽先輩とはラノベのサイン会で会ってからの付き合い。

 

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

それと、活動報告があります。

それでは次回もよろしくお願いします。


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[ 和泉紗霧編 ][ エロマンガ先生 ]
第1話


第14弾はエロマンガ先生から和泉紗霧です。

原作とは多少異なります。

それでは今回もよろしくお願いします。


俺には、義理ではあるが中学1年の可愛い妹がいる。名前は和泉紗霧、俺が15の時だろうか...親父が再婚し俺の家に相手方、義理の母とその連れ子としてやってきた。銀髪碧眼の女の子で緊張でもしているのか、義理の母の後ろに隠れていた。

まぁ、仕方のないことだと思う。初めて会うし、違う環境でもあるからな。俺は妹になる女の子に、目線を合わせてなるべく優しめに「これからよろしく」と声をかけた。妹になる女の子も「よろしく、お兄ちゃん」と可愛い声で返してくれた。

そして、ここからまた新しい生活が始まると期待していたのだが...それは叶わず、しばらくして両親は他界し義理の妹はそれ以来、引きこもってしまい俺との会話はそれ以降ない。そして学校にも行っていないし、ここ2年ほど俺と顔すら合わせていない。俺としては、なんとか部屋から出てきて、俺に元気な姿を見せてほしいと願っているばかりである。

 

妹の説明が終わったところで、俺の紹介もしておこうと思う。

 

俺の名前は比企谷八幡。高校2年生だ。妹と2人暮らしをしている。

 

そして高校生の傍ら、小説家でもある。ペンネームは「Hachi」としてやっていて売り上げは家計を賄えるほどにはある。

 

と…まぁ、俺の説明はこれくらいにしておいて、俺はいつものように朝早く起きて、自分と妹の分の朝飯を作るためにキッチンに立ち料理を始めた。ちなみに俺の料理スキルは小6レベルだ。そんな事を思っていると

 

ドン! ドン! ドン!

 

と、上から大きな音がした。

 

「もう少しで飯が出来るから、ちょっと待ってろ」

 

俺はそう言って、朝飯を作り続けた。さっきも説明したが、妹は部屋に引きこもっている。そのため、いつも床を足で叩いて合図を俺に送っている。ここ一年ほど、そうしているため大体のことは床の叩き具合で妹が何を要求しているかなどが分かってしまっている。こんなことでしかコミュニケーションを取れないのは、お兄ちゃんとしては悲しい。なので俺はトレイの上に朝食と一緒に乗せてある、手編みのぬいぐるみに「一度でもいいのでお兄ちゃんに可愛い妹の顔を見せてください」と書いた紙を添えて2階にある、妹の部屋の前に置いた。

 

「朝食、いつものところに置いておくからちゃんと食べろよ」

 

俺はそう言い、自分の荷物を持って玄関に行き「行ってきます」とだけ言って、家を出て学校に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして俺は、登校中にどうしたら妹の顔を見れるかを考えていると、後ろから声をかけられる。

 

「ハチ君、おはよう!」

 

「おう…高砂か。おはようさん」

 

こいつは、俺の同級生である高砂智恵。たかさご書店で働いていて、俺のラノベも置いてもらっている優しい女の子で中学からのクラスメイトで、俺が小説家であることを知っている数少ない人でもある。

 

「うん。それより、朝から元気ないね」

 

「それは、いつもの事だろ」

 

「それもそうだね…それと、ハチ君が書いたラノベの最新作読んだよ」

 

「そうか...」

 

「最終巻、面白かったよ。完結お疲れ様」

 

「それはどうも」

 

俺が書いてるラノベは学園モノでそれなりの売り上げを挙げている。今回の巻で完結した。内容は主人公が本物を得るために奔走する物語である。

 

「それと、もっと有名になって私の店を繁盛させて楽させてよね」

 

「なんでそうなるんだよ...でも、まぁ...高砂にはお世話になってるから俺の出来る範囲でな」

 

「うん…よろしくね。ハチ君」

 

「ああ」

 

 

そう会話して、俺と高砂は学校に向かった。

 

 

 

 

学校に着いて、俺は自分の席に向かう。学校では基本、1人でいることが多い。そっちの方が楽でいいからな。そんなことを考えていると担任先生が入ってきて、HRが始まった。

 

そしてその後も授業があったが、すんなりと終わり放課後になった。

 

そして、俺は自分のラノベが売れているかどうか確認すべく、たかさご書店に向かおうと教室を出たところで、うるさいやつに絡まれてしまった。

 

「は、はちま〜ん!」

 

「………」

 

「おーい。八幡」

 

「………」

 

俺は無視して、昇降口へと向かう。

 

なぜ、無視するかって?まぁ、察してくれると助かる。

 

「は、八幡。無視しないで...」

 

材木座、素に戻ってんぞ。だったら普通に俺のこと呼べよ。ほんと、こいつは変な意味で目立つから大きな声を出すのはやめてほしい。

 

「はぁ...何の用だ、材木座」

 

「よく、聞いてくれた!八幡よ」

 

「それはいいから、早く要件を言え」

 

「はい。新作の小説が出来たので読んでください。お願いします」

 

「いつも思うが、俺に読ませるんじゃなくてネットとかにあげろよ。いろんな人から評価もらえるし」

 

「いや、ネットの奴らは容赦がないのでな。酷評されたら我、死ぬぞ」

 

作家になる前に、自分のメンタル強化しろよ...

 

「そんなんでよく、作家目指せるな...まぁ、いいや。今回も読んで、感想だけ言えばいいのか?」

 

「うむ...それでよい。それでは頼むぞ。八幡よ」

 

そう言って、材木座はコートをなびかせながら去っていった。俺はその姿を見送ってから、材木座から受け取った新作小説を鞄にしまい当初の目的である、たかさご書店に向かった。

 

 

 

そして俺は、たかさご書店に着き自分のラノベが売れているかどうか確認した。かなり売れているようで本の数も少なくなっていた。そう確認していると、高砂に声をかけられる。

 

「ハチ君、朝ぶりだね」

 

「そうだな」

 

「今日はラノベの売り上げを確認しに来たの?」

 

「そんな感じだな」

 

「それにしても、よく売れてるよね、ハチ君が書いてる学園モノ。もう完結しちゃったけど」

 

「まぁ、イラストレーターのエロマンガ先生のおかげでもあるんだよなぁ」

 

そう。俺の書いてる小説にはイラストがもちろんあって、キャラ1人1人が可愛い。それが、売り上げを伸ばしていた。本当に感謝しきれない。やはりラノベはイラストが重要なのだと改めて感じた。

 

「そうだね…あ、ハチ君。そのイラストレーターのエロマンガ先生がやってるブログがあるよ」

 

高砂はスマホをいじりながらそう言った。

 

「どれだ?」

 

「これだよ。ハチ君」

 

そう言って、俺は高砂のスマホを見た。

 

「へぇ...こんなブログやってるのか。動画配信とか絵を描いたりしてるのか...」

 

「そうみたいだね。それと、ハチ君はエロマンガ先生に会ったことないの?」

 

「ないな。エロマンガ先生とは編集さんを通して仕事のやりとりとかしてるだけだしな」

 

「そっか...お、ハチ君。この後、エロマンガ先生が生放送で動画配信するみたいだよ。試しに見てみれば?」

 

「そうだな。じゃあ、みてくるわ。その前に、このマンガとラノベを買ってくわ」

 

「毎度あり〜!」

 

そう言って俺はヒロアカのマンガとラノベを買って、エロマンガ先生の生放送の動画配信を観るため、家に帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

...続く

 

 

 

 

 

 

 

ー 登場キャラ・軽い設定 ー

 

・比企谷八幡 (本作の主人公)

 

高校2年生で小説家でもある16歳。小さい時から執筆をしている。ペンネームは「Hachi」売り上げたお金は家計へと回している。義理の妹、紗霧と2人暮らしをしている。両親は両方他界している。妹とは1年ほど顔を見ていない。お互いに話すようになるとシスコン度が増す。学園モノの前は、短編で露出の多いバトルモノの作品を短期間で3巻まで出していた。この時もイラストレーターはエロマンガ先生だった。

 

 

・和泉紗霧

 

八幡の義理の妹で人気イラストレーターの「エロマンガ先生」でもある中学1年生。両親が他界してからずっと、部屋に引きこもっている。

八幡と話すようになってからは彼女の心に変化が現れる。ブラコン化にする予定。

 

 

・高砂智恵

 

高校1年生で八幡とは中学からの同級生。「たかさご書店」の看板娘として働いている。八幡とは、学校ではあまり話さないが自分の働いている書店ではよく話す。

 

 

・材木座義輝

 

小説家の八幡に自分の新作を読んでもらっている。自称、八幡の親友。

 

 

・他の登場キャラでは、俺ガイルサイドで戸塚、葉山グループも出す予定。

 

・エロマンガ先生サイドは原作通りに登場させる予定です。

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

それでは次回もよろしくお願いします。


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[ 黒鉄珠雫編 ][ 落第騎士の英雄譚 ]
第1話


妹チェンジシリーズ最新作です。
落第騎士の英雄譚から黒鉄珠雫です。
これを書くにあたって、黒鉄一輝の扱いをどうするか迷い中です。それでは、今回もよろしくお願いします。



ー 八幡 side ー

 

「ブレイザー」

 

それは自分の魂を武器に変えて戦う現代の魔法使い伐刀者である。その(ブレイザー)が存在する世界、その養成学校である破軍学園に俺ことハチマンは1年生として通っている。本当なら2年に上がるのだが、俺の親父の差し金で学校に圧力をかけ、ロクに授業も受けることも出来ず、単位が取れず留年となった。その理由として、名家に生まれたはずの俺ブレイザーなどの能力値が低すぎるのが原因だ。ブレイザーランクは最低ランクのF、他のランクも低ランクと名家の生まれとして恥レベルのものだ。よほど、俺に高校を卒業してほしくないらしい。だが...今年度から理事長が交代して能力値選抜制を廃止され、今年から授業を受けれることになった。新しい理事長には感謝しかない。そして、高校卒業に関してでは七星剣武祭で優勝すれば卒業を認めると告げられた。なので、俺は七星剣武祭優勝に向けて動きだした。親父にも見返してやりたいしな。そして...幼少期のときにかなり迷惑をかけた俺の妹である珠雫にも、ちゃんとした兄貴になったと証明しないといけないし。俺と妹の詳しい話は追々、話すとして...

 

そんなこんなで、新学期の春の朝。

 

俺はいつも通りに朝のトレーニングであるランニング30kmと体幹トレーニング、1対1の稽古を行う。ちなみにこのトレーニングは2人で行っている。そいつの名は...

 

「今日もいい朝だね」

 

「葉山がいなければな」

 

「辛辣だな。幼馴染に対して言う言葉じゃないな」

 

「お前にはこれがちょうどいい」

 

「やれやれ...」

 

俺の幼馴染である葉山隼人だ。イケメンでブレイザーランクも高く、女子に人気がある。いわゆるモテ男子というやつだ。

べ、別に羨ましいとか思ってないんだからね!

 

 

そして朝のトレーニングを一通り終え、俺と葉山は自分の部屋へと向かう。その際、葉山に話しかけられる。

 

「今日から新学期だね」

 

「ん?ああ、そうだな」

 

「八幡も授業を受けれるようになって良かったよ」

 

「新しい理事長に変わってくれたおかげだけどな」

 

そう会話してるうちに自分達の部屋に着いていた。

ちなみに俺は1人部屋、葉山は確か戸部ってやつと同室だったはず。

 

「それじゃあ、八幡。授業に遅れないようにね」

 

「お前は俺の母ちゃんかよ...」

 

そう言って俺は扉を開け、自分の部屋の中に入った。すると...

 

「っ⁉︎」

 

赤髪の美少女が着替えている最中だった。しかも半裸の状態。何?この青春ラブコメ?まぁ...その何だ...ご馳走さまです。

 

「きゃあああああ!」バンッ

 

「ごふっ!」

 

やはり、そう甘くはないか。やっぱこれが青春ラブコメだよな...やるじゃん。

 

「隣から凄い悲鳴が聞こえたが、八幡大丈夫か」

 

「は...葉山...」ガクッ

 

俺は赤髪の美少女にビンタなどを受け、葉山の声を聞いた後に意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「知らない天井か...」

 

「やっと起きたか...」

 

「葉山か。ここはどこだ?」

 

「保健室さ。八幡が気を失ってたから俺がここまで運んできたのさ」

 

「すまんな。迷惑をかけた」

 

「八幡が素直に謝るなんて珍しいな。明日は雨かな?」

 

「うっせ」

 

「それより八幡、今から理事長室に向かおう。理事長から話があるらしい」

 

「十中八九、さっきの部屋の件と学校の件だな」

 

「おそらくそうだろう。すぐに行こうか」

 

「そうだな」

 

俺と葉山は理事長室へと向かった。

 

 

 

ー side out ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー 珠雫 side ー

 

 

 

私には1つ上の大好きなお兄ちゃんがいる。でも、4年ぐらい前に私の前からいなくなってしまった。理由は分からない。いつも、私と一緒に遊んでくれた優しいお兄ちゃんが急にいなくなるなんて、おかしいと感じていた。私はあらゆる人にお兄ちゃんがどこに行ってしまったのかを聞いたが、全て無視されてしまった。それにお兄ちゃんがいなくなったというのに誰一人、お兄ちゃんを探そうともしない。私はそのことを不思議に思い、父と母にお兄ちゃんを何故、探さないのかを聞いた。

 

「なぜ、八幡を探さないのかって?あんな落ちこぼれでダメな奴を探す理由などないからだ。それと、この事を珠雫が気にすることじゃない。あんな奴のことは忘れろ」

 

「そうよ、珠雫。あなたが気にするような事じゃないわ。あの子のことは忘れなさい」

 

父と母のこの言葉を聞いて、私は全てを察した。お兄ちゃんは誰にも愛されず、居ないものと扱われていた...この環境に耐えきれなくて、この家から出て行ったのだと。

 

「私の大好きな、お兄ちゃんをそんな風に言わないで!」

 

私は父と母にそう告げて、部屋を飛び出した。

 

「気付いてあげられなくてごめんね、お兄ちゃん」

 

私は部屋を飛び出した後、自分の部屋で泣いていた。ずっと...お兄ちゃんと一緒にいたのに、お兄ちゃんがこんな苦しい生活を送っていたことに何一つ、気づかなかったこと...気付いてあげられなかったことを酷く後悔した。

 

 

そして月日が経ち、私も高校生になろうかという年になった。お兄ちゃんと同じ学校に行きたいけど、どの学校にお兄ちゃんがいるのか分からなかった。でも、夜中に父と母がお兄ちゃんの事で会話している

のを偶然耳にした。

 

「あなた、八幡が破軍学園に入学したそうよ。○○家から最低ランクが出たって世間知れ渡ったら恥さらしもいいところだわ」

 

「何故、アイツがそんな高校に?まぁ、いい。学園側には圧力をかけて卒業できないようにしてしまえばいい。そうすれば、表沙汰にはならないだろう」

 

「そうね」

 

私は...その会話を聞き、お兄ちゃんの通う破軍学園に入学してそして...お兄ちゃんに会って、苦しい生活を送ってきたことに気づかなかったことについて謝ろう、そして許してもらったらずっとお兄ちゃんのそばにいようと固く誓ったのだった。

 

 

 

 

ー side out ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

...続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー 軽い設定 ー

 

・○○ 八幡 (本作の主人公)16歳 CV:江口拓也

 

生年月日等はwiki参照

 

苗字は主人公本人の要望で未表記。(理由はこの苗字が嫌いなため)

 

破軍学園に通う高校1年(留年生)。生まれつき低ランクのため、父と母には居ないものと扱われてきた。それに耐えきれず、4年前に親交があった葉山家に居候という形に。葉山隼人とは小さい頃から知っている。いわゆる幼馴染。八幡が最低ランクでも邪険に扱わず、普通に接している。そして葉山と日々、鍛錬とトレーニングを重ね...身体能力は格段と上がり、七星剣武祭に向けて確実に力を付けていく。妹の珠雫とは同じクラス。妹を溺愛する。

 

伐刀者ランク:F 攻撃力:E 防御力:E 魔力量:E 魔力制御:D 身体能力:S 運:D

 

剣:闇剣

 

二つ名は募集。

 

剣と剣技などの詳細は次回以降にて

 

 

・葉山隼人 16歳 CV:近藤隆

 

葉山家の長男で破軍学園2年。爽やかイケメンでブレイザーランクも高く、女子に人気がある。八幡とは幼馴染。嫌いな人は見た目で判断する人。

 

伐刀者ランク:B 攻撃力:B 防御力:C 魔力量:C 魔力制御:C 身体能力:A 運:A

 

剣技:勝利の剣 (エクスカリバー)

 

 

・黒鉄珠雫 15歳 CV:東山奈央

 

八幡の妹で破軍学園1年。大好きなお兄ちゃんの通う破軍学園に入学。いわゆるブラコン。

 

伐刀者ランク:B 攻撃力:D 防御力:B 魔力量:C 魔力制御:A 身体能力:E 運:C

 

二つ名は「深海の魔女(ローレライ)」

固有霊装は小太刀型の「宵時雨」

 

他はwiki参照

 

・ステラ・ヴァーミリオン 15歳 CV:石上静香

 

本作のヒロイン候補で破軍学園の1年。

ヨーロッパの小国ヴァーミリオン皇国の第二皇女。

二つ名は「紅蓮の皇女」

固有霊装は大剣型の「妃竜の罪剣(レーヴァテイン)」

 

伐刀者ランク:A 攻撃力:A 防御力:A 魔力量:A 魔力制御:B+ 身体能力:B+ 運:A

 

 

他はwiki参照

 

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

こんな感じで進めていきます。

それと、活動報告があります。

それでは次回もよろしくお願いします。


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第2話

大変お待たせ致しました。


このシリーズは約2年10か月ぶりの更新となります。


黒鉄珠雫編、2話目です。




それでは、今回もよろしくお願い致します。



 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺と葉山はノックし、理事長室に入る。

 

 

「顔大丈夫なのか?」

 

真っ先に理事長である新宮寺黒乃は俺の頬の腫れ具合を心配する。

 

「赤く腫れてますが何とか大丈夫っす」

 

「それはよかった」

 

「それよりもあの女は誰っすか?俺の部屋で着替えとかしてましたけど、不法侵入とかっすか?俺、1人部屋のはずですけど」

 

 

「その説明は後でする。お前は彼女について何も知らないのか?」

 

「そうですね。別に興味ないというか、俺自身トレーニングを優先してるんであまり外の情報は知りませんし、知ろうとは思いません」

 

「そうか....葉山は知ってるだろう?」

 

「知っています」

 

「無知なアイツに教えてやれ」

 

「はい。八幡、彼女はヨーロッパにある小国ヴァーミリオン皇国の出身で第二皇女にあたる人で名前をステラ・ヴァーミリオン様。破軍学園に首席入学でブレイザーランクもAという凄い人なんだ」

 

「マジかよ.....じゃあ、俺処刑されたりすんの?」

 

皇女の半裸を見たから処刑は免れない。いや、でも俺...まだ死にたくないんだけど。

 

「そこまではないんじゃないかな?理事長次第ってところじゃないかな?」

 

「処刑とかはないから安心したまえ。だが、お前には1つ頼まれたいことはある」

 

「はぁ....」

 

「ステラ・ヴァーミリオン、入って来たまえ」

 

「....失礼します」

 

怖い怖い、すげぇ...睨まれてる。

 

「理事長先生、この人の処遇はどうなるのでしょうか?当然、腹切りですよね?」

 

腹切りとは時代が古い。江戸時代とかだろアレ。

 

「ステラ・ヴァーミリオン。君は勘違いをしている」

 

「彼は部屋を間違えて、私の身体を.....嫁入り前の肌を汚したんですよ!!」

 

「まずはその勘違いを正そう。彼は部屋を間違えたりはしていない」

 

「まさか....」

 

「そのまさかだ。君達はルームメイト。同じ部屋でこれから過ごしてもらう。それが、お前に頼まれたい1つの事柄だ」

 

「!!」

 

「ちょっと待ってくださいよ。男女で同じ部屋なんておかしいでしょ」

 

「別におかしくはなかろう。去年までに前例がなかっただけのこと。今年から変えていく。私が今年、ここに赴任してきた理由をお前は知っているだろう?」

 

「改革ですよね?破軍学園は近年、めぼしい実績を挙げられずにいる」

 

「そうだ。年1回、7校合同で行われる七星武剣祭でも本校は負け続けている。私が掲げるのは完全な実力主義、徹底した実戦主義。今の学園の状況、状態を変えるべく私は部屋割りから変えていくつもりでいる。力の近しいものをペアとし、互いに切磋琢磨して技術を自分の武器を磨いてもらう。異論反論は一切認めないのでそのつもりで」

 

横暴過ぎる。

 

「俺と彼女の実力には近しいものはないでしょう?」

 

「ほう......なぜそう思う?」

 

「彼女は頂点であるブレイザーランクA、それに対して俺は最底辺のFランクです。あまりにも差があり過ぎると思いますが」

 

「アンタ、Fランクなの?」

 

「ああ、そうだ。それに留年もしてる」

 

「!?」

 

「比企谷に関しては与えられた機会がほぼなかったからしょうがないさ。しかし、その分....日々、トレーニングに励み腐らずにここまで耐え忍んで力を付けてきた。それだけでも凄いことだ」

 

「理事長は買い被りですよ。所詮俺は、バーストワン。ワーストワンとかバッドワンなどと呼ばれてもいる最底辺の男です」

 

「やれやれ、自己評価の低い奴だ。まったく....」

 

「八幡はもっと自分に自信を持った方がいいよ」

 

「葉山もこう言ってるじゃないか」

 

「はぁ....」

 

「という訳だ。ヴァーミリオンは反論などはないな?」

 

「条件があります」

 

「言ってみたまえ」

 

「話しかけない、目を開けない、息をしない。以上の3点を守れるならいいです」

 

「そんな条件、俺の人生詰んじゃうだろ....」

 

「理事長先生、この提案は呑めません」

 

「これは決定事項だ。ヴァーミリオン、皇国の皇女だからといって君を特別扱いとするようなことはしない。お気に召さないのであれば退学をお勧めする」

 

「退学はしません。ですが、この人と一緒だと身の危険を感じます」

 

「比企谷はリスクリターンの計算と自己保身に関してだけは、なかなかのものだ。そのような状況に陥る心配はない。私が保証しよう」

 

「ですが....」

 

「ならしょうがない。ここは1つ。勝負といこうじゃないか。古来より互いの意見と意見がぶつかった時は勝負で雌雄を決するのが通例だ。ヴァーミリオンと比企谷には始業式前に模擬戦を行ってもらう。ヴァーミリオンが勝てば彼を煮るなり焼くなりして構わない。アイツが勝てば、私の提案を呑んでもらうのと同時にアイツの言うことは聞くように」

 

俺にほぼメリットがない勝負....でも、反論は出来ないんだよなぁ....

 

「分かりました」

 

「では、健闘を祈る」

 

そして、ステラ・ヴァーミリオンと葉山は理事長室を後にした。

 

 

この場には俺と理事長のみとなる。

 

「という訳で、模擬戦頑張りたまえ」

 

「面倒くさいんですが......」

 

「そう言うな。これはお前にとってメリットが大きい模擬戦となるんだからな」

 

「むしろデメリットだらけですよ。ブーイングの嵐、体力・精神力を削られる。圧倒的敗北しかありません」

 

 

「そんなものは力でねじ伏せれば何の問題もない。それに短期決戦に持ち込めば体力の消耗は最小限に抑えられる」

 

「簡単に言いますけど、俺には無理ですよ」

 

「私との模擬戦で勝った奴にしては弱気だな」

 

「アレはハンデがあったから勝てたもんなんでノーカンっす」

 

「いい機会だと私は思うが?ブレイザランクAの実力を公式戦ではなく模擬戦で見れるだけでも十分価値がある。君の得意の観察眼で見定めをしたらいいじゃないか?」

 

「それはそうですけど....」

 

ぶっちゃけ模擬戦はやりたくない。疲れるだけだし。

 

「まだ闇剣の扱いに手こずっているのかね?」

 

「それもありますね。制御が難しいので」

 

「なら模擬戦で試すといい」

 

「いいんすかね?最悪、再起不能とかになりかねませんが」

 

「その前に私が止めに入るから安心したまえ」

 

「さいですか.....」

 

「もうあまり時間がない。いくぞ」

 

 

俺と理事長は模擬戦の会場となる訓練場に向かった。

 

 

 

 

 

 

ざわざわ......

 

 

 

 

ざわ.....ざわ.......

 

 

どこで話が漏れたのかギャラリーが多い。会場内は学園の生徒で埋め尽くされており、ざっと50〜80人以上はいるだろうか....

 

別に見せ物とかじゃないんだけどな。

 

まぁ.....俺の無様な姿でも拝みに来たか、皇女様を見に来たかの2択だろうがな。

 

 

 

 

「やっと来たのね。遅いから逃げたのかと思ったわ」

 

「本当はやりたくないが、理事長の命令だからな。仕方なくやるだけだ」

 

「これから模擬戦を行う。双方ともデバイスを展開するにあたって体力的、精神的ダメージは最小限に抑えること。危険と判断した場合は私が止めに入るのでそのつもりで.....」

 

 

 

「傅きなさい....【妃竜の罪剣】!!」

 

「来い、【闇剣】」

 

固有霊装で剣を出すが、闇のオーラが剣の周りを大きく包み込んでいた。

 

(まだまだ制御しきれてないか.....)

 

 

だが、その方が好都合。短期決戦に持ち込める。

 

俺のプランとしては様子を見つつ、アイツの力を俺の闇のオーラで吸収して戦闘不能にする。

 

 

 

よし、これでいこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  【LET'S GO AHEAD!!!】

 

 

 

 

 

 

 

 

開始の合図が鳴り響き、双方動き出す。

 

 

 

「はあぁぁっ!!!!」

 

「ふっ!!」

 

 

まずは皇女様の剣技が炸裂するが、俺は闇剣で防ぐ。

 

 

訓練場には轟音が鳴り響き、いかに威力が凄いかが分かる。

 

Aランクなのだからこれぐらいは当然か。

 

 

 

 

 

キィィィーン!!

 

 

 

 

スッ...

 

 

 

 

ガッッ!!!

 

 

 

 

皇女様の剣戟が間隔を空けずに何発も俺の闇剣にあたるが俺は間一髪で躱す。

 

 

彼女の剣技、剣戟は中々のものだ。努力の積み重ねで得たものがそのまま剣に乗っかっている。これはかなり手こずりそうだ.....普通の人ならばな。

 

 

 

俺の闇剣はその力を吸収する。剣に当たれば当たるほどカを吸い取っていく。しかし、やりすぎると魂(命)さえも奪ってしまうため制御が必要不可欠。慎重にやらないといけない。俺が約一年かけて習得した新技、ソウル=アドソープション(パワー=アドソープション)

 

ネーミングセンスに関してはどうか目を瞑っていただきたい。

 

 

 

 

 

 

 

「中々、やるじゃない」

 

「どうも。さすがは皇女様、貴方の剣戟はさすがだ。血の滲む努力をした結果でしょうか」

 

「!」

 

「まぁ、最底辺の奴に褒められても嬉しくはないと思いますが」

 

「それではそろそろ決着を付けましょうか。始業式まで時間がありませんし」

 

「いい度胸ね。その度胸を讃えて私の持てる最大の力で貴方を倒すわ」

 

「それはやめておいた方がいい。戦闘不能か.....もしくは死ぬぞ」

 

「大丈夫よ。私、死なないから」

 

やれやれ、制御は難しいが....やるしかないか。

 

相手が本気ならそれに応えよう。

 

【蒼天を穿て、煉獄の焔!!!】

 

 

ゴオオオッッ......!!!

 

なんてオーラの量だ。1人を倒す量を遥かに超えている。

 

これがAランク.....ふっ。こんなとこで躓いてちゃ、俺の目標は到底叶わない。

 

 

 

 

【インフェルノ=ゲート】

 

 

 

 

 

「なんだ.....あの闇の魔力量、ハンパじゃねーだろ」

 

 

当たり前だ。戦闘不能となる加減の最大量の魔力量を剣に乗せてんだからな。

 

それと技のネーミングセンスについては....触れないで頂けると助かります。

 

 

 

 

 

「これで貴方を倒すわ」

 

 

 

 

「受けて立つ」

 

 

 

 

「はあぁぁっ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2人の剣技と剣技が最大魔力量でぶつかる。

 

 

 

 

 

 

 

そして..........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「戦闘不能、勝者................

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○○八幡!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この模擬戦に決着がついた。

 

 

 

 

 

-ー

 

 

 

 

----

 

 

 

 

 

--------

 

 

 

 

「お疲れ様です。お兄様」

 

 

 

-----------------

 

 

 

 

 

 

 

結局、始業式は出られず.....HRから出席となった。

 

 

 

 

お互い、別のクラスがよかったんだが.......

 

 

 

「「..........」」

 

 

よりによって同じクラス、しかも隣同士の席。

 

 

そして、クラス内の雰囲気もあまり良くない。

 

 

気まずい空気が流れている。

 

 

 

まぁ、俺は慣れてるからいいけど...

 

 

 

 

 

 

「では、HRを始めたいと思います」

 

 

 

 

 

担任の先生は七星剣武祭の説明を詳しく行う。

 

前とは違って能力値からの選出から実戦からの選出となっている。

 

能力値の低い俺でも選出可能というわけだが、早々簡単に選ばれるわけではない。強い奴は山程いる。決して油断は出来ない。

 

 

 

 

「それでは、今日のHRは終了です。各自、寮に戻るように」

 

 

 

今日の日程は全て終わった。

 

 

 

早く寮に帰りたいところだが....皇女様と共に理事長室に行かないとなんだよな......

 

 

皇女様はもう理事長に向かってるよな。俺も行かないと......

 

 

「ちょっといいかな?」

 

理事長室に行こうとするが、声を掛けられる。

 

「ん?俺か?」

 

「うん。さっきの模擬戦、凄かったなって......」

 

「そうか?」

 

「うん!あのステラさんに勝ったんだもん!」

 

まぁ...ヴァーミリオンは皇女で有名人だから、そういう反応するのは無理ないか。

 

「運が良かっただけかもだけどな」

 

「そんなことないよ!あっ....自己紹介がまだだったね。僕は戸塚彩加。よろしくね」

 

「俺は........黒鉄八幡だ。出来れば下の名前で呼んでもらえると助かる」

 

俺の苗字はあまり好きじゃないからな。

 

「うん!じゃあ、八幡って呼ぶね!」

 

「おう。じゃあ、俺は理事長室に行かないといけないから」

 

「分かった。また明日ね」

 

俺は会釈をして、理事長室に向かった。

 

 

 

戸塚って可愛い子だったな。男だけど.......

 

 

 

「失礼します」

 

「やっと来たな」

 

「それでは.....先程の模擬戦の結果、八幡の勝利ということでヴァーミリオンには私の提案を呑んでもらう」

 

「分かりました」

 

「八幡からは何かないのか?模擬戦に勝ったんだ。何でも言っていいんだぞ?」

 

 

「いえ、特には....」

 

何もしないから......身構えるな、皇女様。

 

 

「本当にいいのか?彼女を思うがままに、好きに出来るチャンスなんだぞ?」

 

「理事長らしからぬ発言ですね。まぁ、皇女様は魅力的な女性ではありますが、俺には釣り合いが取れていません」

 

「っ!!」

 

「さすがは理性の化け物だ」

 

「ありがとうございます」

 

「褒めてなどいない」

 

「強いて言うなら.....平穏な生活が送りたいですね」

 

「欲がない奴め」

 

「よく言われます」

 

「というわけだ。ヴァーミリオン、うまく八幡とやっていきたまえ」

 

「....はい」

 

「八幡はもう退出していいぞ」

 

「うっす」

 

俺は理事長室を後にする。

 

 

 

 

 

「模擬戦、お疲れ様でした........お兄様」

 

 

すると向かい側から懐かしい声が聞こえる。

 

「.....珠雫なのか?」

 

「はい。4年ぶりですね........お兄様」

 

「なんか雰囲気が変わったな」

 

「そうでしょうか?」

 

「なんていうか.....可愛くなったな。久しぶりに会ったからかもしれんが。まぁ....それはともかく、会えてよかった」

 

「嬉しいです!私もずっとお兄様に逢いたかったです。これからはずっと一緒にいられますね」

 

「そうだな」

 

「この後は予定などありますか?」

 

「今のところないな」

 

「それでは.....今日この後、珠雫とずっと一緒にいてくれますか?」

 

「それぐらいなら構わないが、珠雫はいいのか?」

 

「何がですか?」

 

「ダメな兄貴と一緒にいたらアイツら(親父とお袋)になんか言われるだろ?」

 

親父とお袋は俺にはかなり厳しいが、珠雫には優しいからあんなグスと一緒にいるなとか言ってきそうだが.....それによく、俺と一緒の学校に行くことを許可したよな。何か企みが......そんなわけないよな。

 

 

 

「ダメ兄貴なんかじゃありません!!!」

 

「うおっ....どうしたいきなり?」

 

 

「お兄様は私にとって本当に.....本当に大切で......かけがえのない、お兄様なんです!2度と自分をそんな風に言わないでください!!」

 

「そうか....変なこと言って悪かったな」

 

「お兄様が謝る必要はありません。謝るべき人は父と母ですから」

 

「ああ......お詫びとして今日一日は珠雫に付き合うから」

 

「はいっ!それでは、行きましょう♪」

 

 

「そうだな」

 

 

俺は珠雫の手を取り、歩き出す。

 

 

(俺はとてもいい妹を持ったようだ。これからもっと強くならないとな。自分の為にも、珠雫の為にも.......)

 

 

 

 

ー side out ー

 

 

 

 

 

 

ー ステラ・ヴァーミリオン side ー

 

 

 

 

「理事長先生、お話があります」

 

 

「ほう?聞こうじゃないか」

 

「彼は一体、何者ですか?」

 

「何者とは?」

 

「とぼけないでください。ブレイザーの能力が不足していてランクFなのは分かりますが、彼の実力なら留年は免れるはずです。なのに、何故留年なのですか?」

 

「ふむ。知りたいか?聞きたいか?」

 

「はい」

 

「知りたいのなら、それ相応の覚悟がいるがいいか?彼の過去を......彼の味わってきた辛い過去を知って耐えられる覚悟が......ステラ・ヴァーミリオン、君にはあるかね?」

 

「はい」

 

「よかろう。だが、この話はアイツにはするなよ?私が怒られるからな」

 

「誰にも言いません」

 

 

「それでは、アイツの過去を語ろう」

 

 

 

 

私は、聞くべきではなかったかもしれない。

 

 

 

 

そんな、壮絶で辛い過去を彼.....黒鉄八幡が持ってたなんて.....

 

 

 

 

 

 

私は、理事長先生の話を全て聞いて絶句したのだった......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

......続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまで、読んでくれた方々ありがとうございます。



八幡の過去について深く掘り下げることはしません。

出来れば、明るい話を執筆したいので.....本当に必要な時になれば、少し振り返るぐらいに留めようと思います。

やっと珠雫ちゃんが本格参戦です。一輝くんは八幡の従兄弟として登場させる予定です。


それでは、次回もよろしくお願い致します。


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[ 小野寺小咲編 ][ ニセコイ ]
第1話


妹チェンジシリーズ第17弾はニセコイから小野寺小咲です。春ちゃんは後からの参戦となります。

それでは、今回もよろしくお願いします。


時は2月の中旬。私立・公立高校の受験が大体終わる頃であり、前期選抜の合格発表が行われる時期でもある。俺の妹である小咲は今日、その前期選抜の合格発表があるようで朝から緊張しているようだった。ちなみに小咲の受けた高校を俺は知らない。受験関連の話は基本的に避けている。変なプレッシャーをかけたりストレスを与えてしまうのを防ぐためだ。

 

「緊張するなぁ....」

 

「小咲なら大丈夫だろ。あんなに勉強してたんだし」

 

小咲は前々から勉強しており12月からはさらに追い込み、ほとんど勉強に時間を費やしていた。ここから察するに小咲は難関校に受験したとみる。

 

「そうだと、いいなぁ...」(志望校に合格してお兄ちゃんと同じ高校に行きたいなぁ...)

 

「自信持って行ってこい。お兄ちゃんも合格できますようにって祈っておくから」

 

「うん!ありがとう、お兄ちゃん!じゃあ行ってくるね」

 

「おう」

 

そう言って小咲は家を出て行った。俺も今日は午前中だけではあるが学校の授業があるので、小咲を見送った後に家を出た。

 

 

 

 

そして、午前の授業をこなし昼休み。だが、今日は午前の授業だけなので俺は帰る準備をする。その際に

 

「はちまーん」

 

俺の天使的存在である戸塚が話しかけてきた。戸塚とは中学の時からの付き合いである。

 

「戸塚か、どうした?」

 

「今日、部活がないから八幡と一緒に帰ろうかなって......ダメかな?」

 

「ダメじゃないぞ」

 

毎日、戸塚と一緒に帰りたいまである。

 

「よかった...じゃあ行こっか?」

 

「おう」

 

そして、俺は戸塚と一緒に帰る。その際に、雪が降ってきた。

 

「凄い雪だね」

 

「ああ、予報だと積もるほど降らないって言ってたんだけどな」

 

「うん。でも、この感じだと積もりそうだね」

 

「そうだな。それにしても小咲のやつ、大丈夫かな。雪道で転んで怪我とかしないといいんだけどな」

 

「小咲ちゃん?ああ...八幡の妹さんだったっけ?確か、今日が合格発表の日だよね?」

 

「ああ、志望校に合格してるかも気になるし、怪我してないかも気になる」

 

「...八幡は妹思いだね」

 

「まぁな。小咲は世界で1番可愛い妹だからな」

 

「小咲ちゃんが羨ましいなぁ...」

 

「もちろん、戸塚も可愛いぞ」

 

「恥ずかしいよ。八幡」

 

「照れることはない、むしろ誇っていいぐらいだ」

 

「そうかな?」

 

「おう」

 

そんな事を会話しながら俺と戸塚は帰路に着いた。

 

 

「ただいま」

 

「おかえり、八幡」

 

家に着くと、母ちゃんが玄関にいた。

 

「小咲はもう帰ってるか?」

 

「まだ、帰ってきてないわよ。てっきり八幡と一緒に帰ってきたと思ったんだけど...」

 

「俺は知らんぞ」

 

「そう...それと今日はバイトの人がいるから八幡は店番、やらなくていいわよ」

 

「了解」

 

俺の家は和菓子屋を営んでいる。俺も店番や、和菓子を作ったりの手伝いをしている。腕前は母ちゃんのお墨付きらしい。ゆくゆくは店を継いでもらいたいらしい。

 

俺は自分の部屋に行き、荷物を置き一息ついた。

 

「ふぅ...」

 

すると...

 

「」ブー

 

スマホの着信が入った。その主は妹の小咲の同級生であり、ヤクザの2代目である一条楽からだった。

 

「一条か、どうした?」

 

「お兄さんのおかげで総武高校に合格出来ました。ありがとうございます」

 

一条には高校入試の文系科目を教えていた。ウチの店番を頼んだお礼としてだが。ちなみに理系は教えていない。理由は察してね。

 

「一条にお兄さんと呼ばれる筋合いはないぞ」

 

「じゃあ、ハチ兄!」

 

「それも却下だ」

 

「え〜」

 

「それで、話はそれだけか?」

 

「もう1つあって...。その...小野寺は家にいますか?」

 

「いないが、一条に妹の小咲はやらんぞ」

 

「そうじゃないです。さっき、総武高校で見かけたんで声をかけようとしたんですけど、泣きそうな顔して走ってどこかにいってしまって心配になったのでお兄さんに電話したんです」

 

「そうか...わかった。ありがとな、小咲のことを心配してくれて」

 

「お兄さんが素直にお礼をいうなんて...」

 

「だから、お前のお兄さんじゃないっての...」プツン

 

あっ、電話切っちまった。まぁ、いいか。それよりも小咲を探さないと...雪もたくさん降ってるしな。

 

俺はそう思い、家を飛び出して小咲を探した。途中に小咲の親友である宮本に電話をかけた。

 

「宮本か?」

 

「珍しいですね。八幡さんが私に電話するなんて」

 

「ああ、それで急に電話して悪いんだが、小咲が宮本の家に来てないか?」

 

「来てないですけど、小咲に何かあったんですか⁉︎」

 

「一条から聞いた話では小咲が泣きそうな顔して走って総武高校を後にしたみたいでな。もしかしたら宮本の家に行ったんじゃないかと思ってな」

 

「そういう事ですか。多分、小咲は行きたがってた総武高校に落ちたんだと思います。そのショックでどこかに走っていったんだと思います。八幡さんと同じ高校に通うんだ...って、ずっと受験勉強してる時に私に言ってましたし」

 

「そうだったのか...」

 

「私も小咲を探しに行った方がいいですか?」

 

「いや、大丈夫だ。宮本は小咲から何か連絡があったら、真っ先に俺に連絡してほしい」

 

「分かりました。小咲から連絡があり次第、連絡します」

 

「頼むわ」プツッ

 

そんな理由があったんだな...と俺は思いつつ、小咲のいそうなとこを片っ端から探した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

探し始めて、15分が経過....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いない...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

駅前やショッピングモール等を探すが、小咲の姿はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

探し始めて30分が経過し...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いた....」

 

 

 

 

ようやく、見つけた。妹の小咲は学校近くの公園のベンチに1人ポツンと座っていた。よく見ると、小咲の顔は少し腫れており頰も赤くなっていた。そりゃ、そうだ。外は雪が降っているし、小咲は志望校に行けないのだから....

 

 

 

「小咲!」

 

 

 

「お、お兄ちゃん.....」

 

 

「隣、いいか?」

 

 

「う、うん...」

 

俺は小咲の隣に座り、着ていた上着を小咲の肩にかけた。

 

 

「...........」

 

 

「...........」

 

 

「一条と宮本から話は聞いた」

 

「うん...」

 

「あんなに頑張ってたのにな」

 

「うん」

 

「.....」

 

「.....」

 

何て言っていいのか俺は分からず、黙ってしまう。

 

 

「お兄ちゃんと同じ高校に行きたかったなぁ...」

 

「...そうか」

 

俺が言えるのはこんなことぐらいだった。情けない。俺はお兄ちゃんだろ。何も言ってやれない自分に嫌気が差してくる。

 

「でも、落ちちゃったからお兄ちゃんと一緒の学校には行けない。私、あんなに勉強したのに...寝る時間も惜しんで勉強したのに...どうして合格出来なかったのかなぁ...」

 

小咲は俺の方を向いて、涙を流していた。余程、俺と同じ高校に行きたかったのかが分かった。俺だって小咲には総武高校に来てほしいと思っている。

 

「小咲...」

 

俺は小咲の泣いている姿を見ることが出来ず、思わず抱きしめていた。

 

「⁉︎」ビクッ

 

小咲はいきなりのことでびっくりはしていたものの、俺を突き放すことはせずに受け入れていた。

 

「思う存分、俺の胸の中で泣いて、悔しい気持ちとか全て吐き出すといい。お兄ちゃんには胸を貸すことしかできないが、許してくれ」

 

「.........っ.......!」

 

俺がそう言うと小咲は静かに俺の胸の中でしばらくの間、泣いていた。俺は小咲が泣き止むまで、ずっと抱きしめ続けていた。

 

 

 

 

 

...続く

 

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

それでは次回もよろしくお願いします。


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第2話

2話目です。

それでは今回もよろしくお願い致します。


 

 

しばらくして...

 

 

 

 

 

 

 

「ほれ、ココア。寒いから飲んだ方がいい。温まるぞ」

 

俺は小咲から離れ、自販機でココアとMAXコーヒーを買い、小咲にココアを渡す。

 

「ありがと...」

 

「あったかい...」(からだにしみるなぁ...)

 

「もう大丈夫か?」

 

「うん...取り乱しちゃってごめんね、お兄ちゃん」

 

「気にすんな。それに取り乱すのはしょうがないことだ」

 

志望校に合格出来なかったのだ。取り乱すことぐらいはあるだろう。

 

 

「それに、俺には胸を貸すことしか出来なかった。小咲にも勉強とか教えてあげればよかったって...今では、ちょっと後悔してる」

 

特に文系科目の国語や英語。理数系は無理だが。

 

「だから、すまんな」

 

「ううん...お兄ちゃんは謝らないで。胸を貸してくれるだけでも嬉しいから」(やっぱりお兄ちゃんは優しいな)

 

「それで、小咲は他の高校には受かってるのか?」

 

「尾鳥女子高校に受かってるよ」

 

「そうか...」

 

全部落ちている訳ではなさそうだ。

 

「でも...」

 

「ん?」

 

「やっぱり総武高校に行きたかったなぁ...」

 

「小咲は総武高校でなにか、やりたいこととかあるのか?」

 

「うん。お兄ちゃんと一緒に学校に行ったりとか、お兄ちゃんと一緒にお昼食べたりとか、放課後にお兄ちゃんとどっか寄り道したりとかしたりして...いい思い出をいっぱい作りたかったの」

 

「俺と一緒にやることが多いな...」

 

まぁ、俺的にもその方が嬉しい。小咲が得体の知れない男どもと一緒にいたりとかしてたら、俺はそいつを排除したりとか発狂している可能性もある。(←極度のシスコンである)

 

「だから...どうしてもお兄ちゃんと同じ総武高校に行きたかったの」

 

「そうか。でも...俺は家にいる訳だから、家で存分甘えたらいい」

 

「えっ?...いいの?」

 

「俺にできることはそれぐらいしかないからな。それに可愛い妹のお願いならお兄ちゃんは出来るだけ叶えてやりたい。それが千葉のお兄ちゃんってもんだからな」

 

千葉のお兄ちゃんは大体そんな感じだろう。俺だけかもしれんが...

 

「...う、うん!」

 

小咲は涙を少し流しながら精一杯の笑顔を俺に見せていた。さっきまでの思い詰めた顔ではなくどこかスッキリした表情を浮かべていた。もう心配はいらないだろ

 

「もう泣くな。小咲の可愛い顔が台無しになるぞ」

 

「....うん、もう泣かない」(可愛い...可愛い...お兄ちゃんに可愛いって言われたぁ...嬉しい)

 

「よし...それじゃあ、そろそろ帰るか。母ちゃんも心配してるだろうし」

 

「それと、宮本と一応...一条にも連絡入れとけよ。小咲の事、心配してたから」

 

「うん...」(心配してくれてありがとう...るりちゃん、一条君)

 

そう言って、俺と小咲が立ち上がった瞬間...

 

「」ブーブー

 

小咲のスマホに着信が入る。

 

「誰からだ?」

 

「お母さんから...電話に出るね」

 

「おう」

 

そして、小咲は母ちゃんと電話で会話する。

 

 

 

以下、一部会話内容を抜粋

 

*八幡にはこの会話は聞こえておりません。

 

 

 

「えっ!それ本当なの!お母さん」

 

『本当よ。さっき総武高校から電話があってね。繰り上げ合格だって...良かったわね小咲。お兄ちゃんと一緒の学校に行けて』

 

「うんっ!」

 

『明日に入学説明会があるみたいだからちゃんと行くように。それで今はどこにいるの?』

 

「お兄ちゃんと公園にいる」

 

『そう...雪も強く降ってるから早く帰って来なさいよ』

 

「うん!わかった」

 

 

 

そして、小咲は母ちゃんとの電話を終えてスマホをポケットにしまった。

 

「何の電話だったんだ?」

 

「それがね。私、総武高校に受かったって」

 

「本当か!?」

 

「うん、さっき電話があって繰り上げ合格になったのでお電話させていただきましたってお母さんに連絡が来てたみたい」

 

「良かったな。これで、総武高校に一緒に通えるな」

 

「うん...良...か...っ...た...よ〜〜」ダキッ

 

「おっと」

 

小咲は嬉しさのあまり、俺に抱きつき嬉し涙を流していた。

 

「もう泣かないって言ったろ」ナデナデ

 

「しょうがないよ....すごく嬉しかったんだから...」グスッ

 

「よしよし、小咲はよく頑張った」

 

「これから、お兄ちゃんと一緒に学校に通うことが出来るんだよね?夢じゃないんだよね?」

 

「夢じゃない。現実だ」

 

「よかった...」

 

「よし!早く家に帰って合格祝いをするか。小咲は何か欲しいものとか俺にしてほしいこととかあるか?」

 

「...すぐには決めれないかな」

 

「じゃあ、家に着くまでに考えておいてくれ。モノとかだったら明日にでも買いに連れて行ってやるから」

 

「いくつでもいいの?」

 

「俺の可能な範囲でならな...」

 

「どうしようかな...」(お兄ちゃんと一緒に寝たりとかお風呂に一緒に入ったりしようかな...それともお兄ちゃんと一緒に買い物とかしようかなぁ...それってつまりデート...ってことだよね。それもいいかな。たくさんありすぎて困っちゃうなぁ...)

 

小咲は嬉しそうにご褒美を何にするのかを考えていた。良かった...さっきの悲しい表情から、うってかわり笑顔が増えた。やっぱり小咲は笑顔が1番似合うなと思いつつ、俺と小咲は帰路へと着く。

 

 

家では、母ちゃんが小咲の合格祝いとして豪華なご馳走を用意していた。

 

「「合格おめでとう!!」」

 

親父は会社の残業で帰ってこれないみたいだが...その分、俺と母ちゃんが盛大に小咲の合格祝いを盛大に祝した。

 

「ありがとう...お母さん、お兄ちゃん」

 

小咲は笑顔でそう答える。

 

こうして、忘れることのできない1日が早く過ぎていったのだった。

 

ちなみに小咲が合格祝いに叶えて欲しいお願いは、一緒に風呂に入るのと...今日の夜、一緒に寝ることと...週末に近くのショッピングモールに出かけることだった。お風呂シーンだが、かなりヤバイことになってしまったので書き記すことは残念ながら出来なかった。まぁ、そこらへんは皆さんのご想像にお任せするということで...そして、一緒に寝るお願いでは、俺のベッドで共に抱きつきながら寝た。俺の理性はなんとか保っていた。一言言うのであれば、小咲の寝顔は超絶可愛いということだ。天使級の可愛いさであり、写メに欲しいぐらいのものだった。俺は...この笑顔をこれからもずっと見られるように日々、生活していこうと改めて思ったのだった...

 

 

 

 

...続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

それでは、次回もよろしくお願い致します。


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第3話

大変、お待たせ致しました。3話目です。

今後の展開は両原作を取り入れてお送りしようと思います。

今回も安定のご都合主義です。

引き続き、活動報告でアンケートを実施していますのでそちらの方もよろしくお願い致します。

それでは、今回もよろしくお願い致します。


ー 八幡 side ー

 

 

月日は経ち......俺は高2に進級、小咲は総武高校に初登校の日となった。

 

「お兄ちゃん!」

 

「ん?どうした」

 

「どうかな?似合ってる?」

 

何事かと思えば、小咲はくるっと回って総武高校の制服姿を俺に見せてきた。何を着ても小咲は可愛いな。そう思わせてしまう風貌が妹にはあった。

 

 

「似合ってるぞ、より可愛く見える」

 

「そ、そうかな?えへへ...」

 

可愛い〜!小咲の笑顔は超絶可愛すぎる。萌え死にするかと思うぐらい。誰にも可愛い小咲は渡さんぞ....

 

「もう時間だから行くか?一条や宮本も待ってるだろうし」

 

「うん!」

 

俺と小咲は家を出る。

 

「ハチ兄、おはようございます!」

 

「八幡さん、おはようございます。小咲もおはよう」

 

「おはようさん」

 

「おはよう、るりちゃん」

 

「それより一条、ハチ兄はやめろ。せめて先輩呼びにしろ」

 

「ハチ先輩おはようございます!」

 

「ハチの兄貴!お嬢ちゃん、おはようございやす!」

 

「それより、なんで一条は竜さんや組の連中まで引き連れてるんだ?」

 

「勝手について来るんです。見送りはいらないって言ったんですけど」

 

「そうか...」

 

まぁ、2代目当主に何かあったらって気持ちが強いんだろうな...

 

「まぁ、いい。それより学校に行くか。初日から遅れる訳にもいかんしな」

 

「そうですね」

 

「そうだね、お兄ちゃん」

 

俺達は学校へと向かう。竜さん達とは途中で別れた。なんでも市内の清掃活動に参加するとか。集英組は優しい人達ばかりである。しかし近頃はギャングがこの市内に入って来ているらしく、竜さん達の集英組は警戒態勢を敷いており負傷者も少なくないという。もし小咲に何かあれば俺はギャングだろうがなんだろうが容赦はしない。

 

 

 

そんなことを考えつつ俺達は高校前の塀へと差し掛かる。

 

塀の向こう側から微かな音が聞こえる。

 

「ん?」

 

俺は音のした塀を見る。すると1人の女の子が塀を越えていた。よく見ると、総武高校の制服を着ている。多分、1年か転校生だろう。見かけない顔だしな。

 

「え?」

 

「おいおい、マジかよ」

 

 

それよりもこの距離だとぶつかる。避けようにも近距離過ぎて間に合わない。

 

「きゃっ!!」

 

「ぐえっ!!!」

 

案の定、塀から飛び越える女の子とぶつかった。クソ痛てぇ....

 

「お、お兄ちゃん!!」

 

「ハチ先輩、大丈夫っすか!?」

 

「八幡さん、大丈夫ですか?」

 

「あっ!ごめん。急いでたから!ごめんなさい〜!!」

 

「おい、なんだよ...あの女。それより今はハチ先輩が先か。大丈夫っすか!ハチ先輩!返事してください」

 

「お兄ちゃん、しっかりして!!」

 

「ううっ....」

 

意識がはっきりしないが、俺は立ち上がる。少しふらつく。

 

「お兄ちゃん、血が出てるよ!」

 

「ん?ああ、これぐらい大丈夫だろ」

 

顔と鼻から多少の血が出ていた。軽度なので大丈夫だろう。

 

「ダメだよ!ばい菌とか入ったらどうするの、お兄ちゃん!」

 

「お、おう....」

 

近い近い近い。小咲との距離がすごく近い。

 

「絆創膏を貼るから、ジッとしててね。お兄ちゃん」

 

「自分で貼れるからいいって。後にでも....」

 

「今じゃないとダメって言ってるでしょ!」

 

「は、はい」(緊張するなぁ...)

 

「..........」(お兄ちゃんとの距離が近いよぉ...大丈夫かな。うまく絆創膏貼れるかな...)

 

俺は観念して小咲に絆創膏を貼ってもらった。その際、心臓がバックバクだった。しょうがないんだよ、小咲が可愛すぎるのが悪いんだ。

 

「痛っ!」

 

鼻に出来た傷に絆創膏が触れて痛みが走る。

 

「ごめんね、もっと優しくするから」(痛くしないように貼らないとね)

 

小咲はさっきよりも優しく、顔にペタッと絆創膏を貼る。さらに俺との距離が近くなる。

 

(ハチ先輩が羨ましい。俺も絆創膏を貼ってもらいたい)

 

(小咲、嬉しそうね)

 

一条楽と宮本るりは八幡と小咲のやり取りを見て、心の中でそう思っていた。

 

「ありがとな、迷惑かけた」

 

「ううん。大丈夫だよ、お兄ちゃん。また怪我したら早く言ってね。私が手当てするから」

 

「わかった。そん時は頼む」

 

「うん!任せてお兄ちゃん」

 

「それより早く教室に行こう。遅刻するかもしれんからな」

 

「うん」

 

「一条と宮本、悪いな。時間くっちまって」

 

「私は大丈夫ですよ」

 

「俺も大丈夫っす、これぐらい。それよりあの女...同じ学年の奴だと思うんで、後でハチ先輩の前で謝らせます」

 

「そんな事はしなくていい。故意にやった訳じゃないしな」

 

それにそんなことをさせると女に謝らせた酷い先輩だと思われそうだから遠慮する。それ以前に謝らせるようなことはしない。俺にも少なからず非があると思うから。

 

俺は小咲と一条達と別れ、2年の教室に入る。その際、戸塚、葉山と目が合う。戸塚とまた同じクラスであるのは心の底から嬉しいのだが、葉山とまた同じクラスというのはちょっとな...

 

「やあ、八幡。おはよう」

 

「おう」

 

「はちま〜ん!おはよう!また同じクラスだね」

 

「おう!そうだな!俺は戸塚と同じクラスで嬉しいぞ」

 

(俺と戸塚くんとの対応が違いすぎないかい?)

 

「僕もだよ!それより顔のキズはどうしたの?」

 

「戸塚くんの言う通りだ、このキズは誰にやられた?イジメか?それなら俺がそいつに同じ目に遭わせようじゃないか。それよりも傷は痛まないか?大丈夫か?」

 

「葉山、お前は俺の母ちゃんかよ。それに物騒なこと、言ってんじゃねーよ。不慮の事故だから気にすんな」

 

「本当かい?」

 

「嘘つく理由がないだろ」

 

「それは災難だったね、早く治るといいね」

 

「ありがとな、戸塚。心配してくれて」

 

「友達なら心配するのは当たり前だよ」

 

「そうか...」

 

「おい、お前らHRをするから席に着きたまえ」

 

担任の先生が入ってきたため、俺は戸塚と葉山と別れ自分の席に座り1年が入学式を行なっている間、HRで時間を消費した。

 

 

 

ー side out ー

 

 

 

 

ー 1年 side ー

 

 

 

一方で、一条と小咲のクラスである1-Cはというと

 

 

「入学式の前に海外から来た子を紹介する。入ってきて」

 

「はい!」

 

担任が軽い自己紹介をしたのちに転校生紹介が行われていた。

 

「アメリカから来ました、桐崎千棘です。母が日本人で父がアメリカ人のハーフですけど日本語は分かるので気軽に接してくれると嬉しいです。これから1年間よろしくお願いしますね」

 

 

うおおおっっ!!!

 

 

 

 

1-C内は喜びの渦に包まれていた。新しい高校で新しいクラスなのに、皆揃って歓喜していた。

 

(転校生、可愛くね?)

 

(スタイル良い!それに凄い綺麗...)

 

(やっぱり同じクラスか。ハチ先輩に謝らせないと)

 

(お兄ちゃんとぶつかったあの子...アメリカから来たんだ....さっきはよく見れなかったけど、可愛くて綺麗な人だなぁ...)

 

「桐崎さんは後ろの空いてる席に座ってね」

 

「はい!」

 

桐崎千棘という女の子は後ろの席に座る。隣には一条楽がいた。

 

「おい、転校生」

 

「え?ああ、さっきの....」

 

「さっき、ぶつかったハチ先輩に後でちゃんと謝っとけよ。結構な怪我を負ってたから」

 

「そんなに酷かったの?」

 

「顔と鼻から血が出てたんだよ」

 

「そうなんだ、後でちゃんと謝るわ。その...ハチ先輩?のクラスを教えてくれると嬉しいんだけど」

 

「分かった。昼休みにな」

 

「ありがとう」

 

「おーい、一条と桐崎。先生が喋ってるんだから私語は慎め」

 

「「すいません」」

 

((一条とかいう奴が羨ましいぜ!!))

 

 

そして担任の話が終わった後、入学式を行なうため体育館へと向かっていったのだった。

 

 

 

ー 1年 side out ー

 

 

 

...続く?

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

一条と桐崎は原作と違い対立はしていないようにしてあります。なので、展開等は原作とは違いますのでご了承ください。


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[ 梓川かえで編 ][ 青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない ]
第1話+設定


最新作は青ブタシリーズから梓川かえで編をお送りします。

ご都合主義、原作を改変してお送りします。


プロローグ的なものなので短いです。

それでは、今回もよろしくお願い致します。



 

 

 

「お兄ちゃん!朝ですよ。起きてください」

 

「もう、朝なのか...」

 

「はい!朝の7時です、お兄ちゃん。もうすぐ学校に行く時間です」

 

俺は超絶可愛い妹、かえでに起こされ重い身体を起こす。

本当、パンダの寝巻きを着てるかえでは可愛い。

 

「いつもありがとな。起こしてくれて」

 

「いえ、お兄ちゃんを起こすのはかえでの役目ですから、当然です」

 

「そうか、いい妹を持ったな俺」ナデナデ

 

「えへへ...」(お兄ちゃんの手は温かいです)

 

「いつもお兄ちゃんを起こすかえでにご褒美が必要だと思うんです」

 

「おう。お兄ちゃんの出来る範囲でならいいぞ」

 

「はい!じゃあかえでに朝のチューをしてください!」

 

「はっ⁉︎本気か?」

 

「かえではいつでも本気です」

 

「兄妹でそれはマズくないか?」

 

「兄妹でこれぐらいの事は普通です!」

 

普通ではないとは思うが...

 

「早くお願いします!お兄ちゃん」

 

かえでは目を閉じて、準備の態勢に入っていた。

 

「ったく...しょうがねぇなぁ」

 

俺はしょうがないので、かえでの頰にキスをした。さすがに口元にはできない。

 

「これで勘弁してくれ」

 

「むぅ...今日のところはこれでいいです」(次こそは...絶対に...)

 

今日のところは?これから毎日とか言われたらそれはそれできつい。

 

「それより...朝飯にするか。かえでも歯磨きしてリビングに来いよ」

 

「はい!すぐに行きます」

 

かえでは俺の部屋を出て洗面所へと向かった。俺は着替え、学校に行く準備をしてからリビングに向かい2人分の朝食を作る。

 

 

「「いただきます」」

 

そう言って、かえでと俺はテレビを観ながら朝食を摂る。

 

朝食メニューはご飯と味噌汁、卵焼きとトマト抜きのサラダと健康的なものだ。

 

「お兄ちゃんのご飯はいつも美味しいです」

 

「あんがとさん」

 

「それと、お兄ちゃん。今日も学校頑張ってくださいね。かえでも早く学校に行けるように頑張るので」

 

「まぁ、無理はせずに少しずつな。それで、一緒に登校出来る日が来るといいな」

 

「はい!」

 

俺の妹のかえでは中学時代にSNSでのイジメが原因で家に引きこもっている。俺はお兄ちゃんとして妹をサポートしている。いつかまた一緒に登校するのを楽しみにしている。

 

朝食を食べた後、俺は学校へ行くため玄関で靴を履く。

 

「お兄ちゃん、勉強頑張ってください」

 

「かえでもちゃんと自宅警備をよろしくな、変な人がインターフォンを鳴らしても出なくていいし、電話も留守電だから鳴ったらそのままでいいからな」

 

「はい!任せてください!」

 

「それじゃあ、行ってくる」

 

「行ってらっしゃいお兄ちゃん!」

 

俺はかえでに挨拶をし、家を出た。

 

俺の通う高校は峰ヶ原高校だ。比較的綺麗な学校で俺は気に入っている。がしかし、一点を除けばである。

 

「ふはは!八幡よ、一緒に学校へ行こうではないか!」

 

「遠慮しておきます」

 

中二病の材木座義輝の存在を除けばさらにいい。こいつとは中学時代からの付き合いで主に体育のペアをよく組まされていた。まぁ、こいつは放っといて先に学校に行くとしようか。

 

「待って!八幡。待ってください」

 

素が出てるぞ。キャラを保てよ。

 

「朝っぱらからうるさいんだよ」

 

「それが、我だ!長年の付き合いならお主も分かるであろう!」

 

「はぁ...」

 

朝っぱらから材木座に絡むのは疲れるな...これからの高校生活は平穏に過ごせそうにないなと思いつつ、材木座の戯れ言を嫌々ではあるが、聞きながら学校へと向かった。

この時の八幡はまだ知らない。バニーガールの先輩や福岡育ちの後輩、科学が好きな知り合いの女の子、そしてアイドルの後輩が織り成す物語に巻き込まれ波乱な高校生活を送ることになるなんて今の八幡が知る由もない。

 

 

 

...続く

 

 

 

 

 

次回....

 

 

「君には私の姿が見えてるんだ」

 

「ええ、見えてますけど」

 

「そう...今日の事は全て忘れなさい。いいわね?」

 

「はぁ...」

 

いや、すぐに忘れられる訳なくないか?バニーガール姿だぞ。インパクト強すぎでしょ...

 

 

 

 

「ボッチな比企谷八幡とバニーガールな先輩、桜島麻衣との出逢い」

 

 

お楽しみに!

 

 

 

ー 軽い設定 ー

 

 

原作とは多々違うのでご了承ください。

ベースは青ブタシリーズです。

 

 

 

・比企谷八幡 (本作品の主人公)

 

峰ヶ原高校2年でかえでの兄。ボッチ生活を送っていたが、あらゆる出来事に巻き込まれボッチ生活を卒業することに...

 

 

・梓川かえで(本作品では比企谷かえで)

 

八幡の妹。お兄ちゃんが大好きである。いつの日かお兄ちゃんと一緒に登校するために外に出る計画をノートに綴っている。

 

 

・材木座義輝

 

比企谷八幡の友達?八幡とは中学時代からの付き合いで、八幡と絡むことが多い。八幡の相談事をよく聞いたりと仲がいい。

 

 

・平塚静

 

八幡と材木座の担任。八幡が中学生の時から気にかけているいい先生で容姿もいい。なのになぜ結婚出来ないのだろうか。謎である。

 

 

・桜島麻衣、古賀朋絵、双葉理央(青ブタキャラサイド)

・葉山隼人etc...(俺ガイルキャラサイド)

 

概ね、原作通り。

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

青ブタのアニメを観て感動した作者です。いいアニメだなぁ...と思いつつ執筆しました。現段階ではヒロインは未定です。アニメみたいに各ルートにしようかと思案中です。
それとかえでちゃんも小町ちゃん同様いい妹だなぁ...とつくづく思います。

次回は捻くれた後輩とドSな先輩を更新する予定です。

それでは、次回もよろしくお願い致します。


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第2話

お待たせ致しました。2話目です。

安定のご都合主義です。

それでは今回もよろしくお願い致します。


 

 

「桜島麻衣編 1話」

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は材木座のくだらない話を聞きながら登校した。

 

 

「八幡よ、昼にまた会おうではないか!」

 

「放課後にな」

 

コートを靡かせながら颯爽と材木座は去っていった。俺も自分のクラスへと向かう。

 

「うーす、八幡」

 

「国見か。おはようさん」

 

国見とは小学生からの知り合いであり幼馴染みたいな関係であり同じファミレスで働いている仲でもある。そして俺が思春期症候群を発症していることを知ってる数少ない人物の1人だ。俺の思春期症候群については今後明かしていこうと思う。

 

「今日は背中の傷が痛んだりとかしないか?」

 

「ああ、今は大丈夫だ」

 

「無理はするなよ。何か違和感があったら俺か双葉にすぐ連絡を入れろよ」

 

「ああ」

 

本当に国見は心優しい奴だと思う。それにイケメンときた。なんと高スペックでいい奴なのだろう。葉山とは違ったいい奴である。そのスペックを少しでもいいから俺に分けてくれ。そんな事を考えつつ、今日の授業もこなして放課後を迎える。

 

「八幡は今日バイトか?」

 

「今日はない。国見はあるのか?」

 

「俺はこれから行くよ。また明日な、八幡」

 

「おう」

 

俺は国見と別れ、学校を後にし図書館に向かった。借りていた本を返すためである。途中で材木座に会い新作の小説の話を嫌々ではあるが、聞きながら一緒に向かった。

 

「図書館内は静かにしてろよ」

 

「心得ておる」

 

「それならいいんだが...」

 

俺は材木座と別れ、本を返却したのち図書館内を歩き日本文学コーナーへと向かったのだが....

 

「はっ?」

 

その際、バニーガール姿の女性が俺の視界に入る。図書館内で何を考えているのだろうと俺は思った。周りの視線とか気にならないのだろうか。しかし、周囲の人らはバニーガール姿の女性をスルーしていた。気づいてないということではないだろう。見えてはない。俺は例外で見えている。この事柄を踏まえて俺は1つの仮説を立てた。

 

 

【バニーガール姿の女性は思春期症候群にかかっているのだろう】と

 

 

そして、俺はバニーガールの姿の女性と目があった。この女性には見覚えがある。うちの高校、峰ヶ原高校の3年生の桜島麻衣先輩。子役として芸能界で活躍していたのを覚えている。材木座も桜島先輩のファンであったためしつこく話を聞かされていたのでよく覚えている。今は芸能界の活動は休止中とのことらしい。理由はよく分からない。

 

「君には私の姿が見えてるんだ」

 

バニーガール姿の桜島先輩は俺が自分自身の姿を認識していると気づき、声をかける。

 

「ええ、見えてますけど。貴方は桜島先輩ですよね?」

 

俺は確認のために桜島先輩本人かを確かめる。

 

「ええ、そうよ。それと私のことを先輩呼びするってことは貴方も峰ヶ原高校の生徒?」

 

やはり桜島先輩であっていたようだ。

 

「ええ、俺は2年の比企谷八幡です。比企谷は鎌倉の有名武士比企氏からとった名で八幡は鶴岡八幡宮からとった名です」

 

「.....私の名前は桜島麻衣。桜島麻衣の桜島に桜島麻衣の麻衣よ」

 

「知ってます。桜島先輩は有名人ですし、俺の知り合いが桜島先輩のファンでよく話を聞いていたりしてたんで....」

 

 

「そう...それより今日の事は全て忘れなさい。いいわね?」

 

「はぁ...」

 

いや、すぐに忘れられる訳なくないか?バニーガール姿だぞ。インパクト強すぎでしょ...まぁ、このことを忘れろと言うのなら忘れよう。さすがに桜島先輩の名前は忘れることはできないが。

 

 

「わかったのなら「はい」と言いなさい」

 

「はい。後、それについては大丈夫ですよ。俺はボッチで静かに過ごしたい派なんで、わざわざ人気のある桜島先輩に自分から関わろうとは思っていませんから」

 

「それならいいわ」

 

そう言って桜島先輩は去っていった。

 

「....帰りますかね。かえでも家で待ってるだろうし」

 

俺はかえでの待つ家へと向かった。誰かを図書館に置き去りにしている気がしたが俺は気にすることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま」

 

「お兄ちゃん、お帰りなさいです!」ダキッ

 

俺が家の中に入るとマイシスターでありマイエンジェルでもあるかえでが出迎えてくれていた。

 

「おう。かえではちゃんと自宅警備してたか?」

 

「はい!バッチリです!」

 

「そうか。偉いぞ」ナデナデ

 

「えへへ....」

 

「お兄ちゃんは今日バイトないから、かえでの好きなことをして遊ぶか?」

 

「はい!」

 

俺とかえでは夜遅くまでカードゲームやボードゲームなどで遊んだ。途中でかえでは俺の学校生活の話を聞きたいと言ったので、俺は可能な範囲で中学、高校生活の話をかえでに話した。かえでは目を輝かせながら俺の話を聞いていた。かえでは早く学校生活を送れるように頑張ると改めて決意を固めていた。

 

 

 

そして、時間は経ち俺はかえでと共にベッドに入って寝る準備をする。SNSの事件の後、俺はかえでとほぼ毎日一緒に寝ている。俺と一緒に寝るのには理由がありSNS事件の後、かえでは1人で寝る際にあの事を夢で見ることが多々あり、よくうなされることがある。しかし、俺と一緒に寝るときはうなされるようなことがほぼないので俺はかえでと一緒に寝るようにしている。かえでにはもうこれ以上、苦しんでほしくないから。

 

「かえでは今、1番幸せです!」

 

「そうなのか?」

 

「はい!こうやってお兄ちゃんと楽しく過ごせて幸せです」

 

「お兄ちゃんもかえでと一緒に過ごせて幸せだぞ」

 

「それで、かえでが高校生になってお兄ちゃんと一緒の高校生活が送れるようになればもっと楽しく過ごせて、もの凄く幸せな毎日が送れるとかえでは思うんです!」

 

「そうだな。俺もかえでと同じ高校に通えるなら毎日、バラ色の高校生活を送れると思う。でも、焦りは禁物だからな。じっくりと慣らしてからでいいからな。学校生活なら大学でも一緒に送れるし」

 

「ありがとうございます、お兄ちゃん!」

 

「もうそろそろ寝るか。遅い時間だからな」

 

「はい!おやすみなさい、お兄ちゃん!」ギュッ

 

「おう、おやすみ」

 

 

俺とかえでは向かい合いながら抱く形で寝て、長い夜はふけていくのだった....

 

 

.....続く

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

次回から原作同様、桜島先輩が発症している思春期症候群に関わり解決へと話は進んでいきます。

それでは次回もよろしくお願い致します。


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第3話

青ブタ野郎のアニメの再放送に喜びながら書いた続きです。


原作を一部、改変しています。


それでは3話目です。


今回もよろしくお願い致します。



 

 

「桜島麻衣√ 2話」

 

 

 

 

 

 

翌日....

 

 

俺は国見と共に電車で学校へと向かっている。材木座はいない。

 

 

「なぁ、国見」

 

「どうした、八幡。俺に相談事か?」

 

「1つ聞きたい事があってな...バニーガールについてどう思う?」

 

「唐突だな。どうした?」

 

「昨日、図書館でバニーガール姿の桜島先輩に会ってな...」

 

「なるほどね。羨ましいな、八幡が」

 

「何で?」

 

「俺、バニーガール超好きだから」

 

「意外だな、まさか彼女の上里さんにバニーガールをさせてるとか?」

 

変なプレイとかさせてたりとか....

 

「そんなわけないだろ」

 

「そりゃそうか」

 

国見に限ってそれはないか...

 

「今度またバニーガール姿の桜島先輩に会ったら写真撮って俺にくれないか?」

 

「彼女に怒られるぞ」

 

「バレなければ大丈夫だって」

 

「まぁ、機会があればな」

 

「そんじゃあ、頼んだぜ」

 

「おう」

 

たわいもない会話をしつつ、電車を降り学校へと向かう。

 

「噂をすれば桜島先輩が前にいるぞ、八幡」

 

「そうだな。国見には桜島先輩が見えてるんだな」

 

「当たり前だろ。バッチリと見えてる。それよりも桜島先輩は芸能界にいつ復帰するんだろうな」

 

「どうだろうな。まだまだ先なんじゃないか?活動休止理由は学業専念だしな」

 

「やけに詳しいな、八幡。まさか、桜島先輩を狙ってるのか?」

 

「な訳ないだろ。材木座からの情報だ」

 

材木座は桜島先輩のファンだからな。いつもいつも話を聞かされるんだよな...いらない情報までな。

 

「まぁ、八幡には雪ノ下さんと由比ヶ浜さんがいるもんな」

 

「あいつらは部員ってだけだ」

 

「じゃあ、牧之原さんか?」

 

「何で、牧之原さんが出てくんだよ」

 

「だって初恋の人だろ?」

 

「...............命の恩人ってだけだ」

 

「長い間が気になるけど....まぁ、そういうことにしておくよ」

 

「そういうことって....」

 

牧之原さんは俺とって命の恩人、それだけだ。

 

「佑真、おはよう」

 

「おう、上里。じゃあな、八幡。また放課後な」

 

「ああ...」

 

国見は彼女の上里と一緒に学校へと向かっていった。その際、俺は上里に睨まれた。相当、嫌われているようだ。まるで私の彼氏を奪わないと言わんばかりに...

 

 

 

俺、1人になったところで桜島先輩がどんな人なのかを材木座情報を元にまとめると....

 

桜島先輩は1年の夏まで芸能界に在籍しており、学校には来ていなかったという。活動休止を告げたのち、夏休み明けに学校に通いだしたとのこと。仲良くしている友達等はいないらしい。俺の高1時代に似ていた。俺は入学式の日に交通事故に遭い、3週間後から登校。周囲ではグループが形成され、見事にボッチ確定。それを見兼ねた当時の担任、平塚先生が俺を奉仕部に所属させた...今はこの話はいらないな....

 

ともかく、桜島先輩は俺と同様で途中からの登校ということで友達作りは出来るはずもない。形成されたグループに入るなんてのは至難の業である。俺なら1人の道を選ぶ。目立とうとすれば、カーストの高い奴らに叩かれ、陰口を言われる。そんなリスクを俺は背負いたくはない。逆も然り、桜島先輩に至っては有名人だ。その人に声をかけるのであれば、それこそ目立ってしまう。「何だあいつ。有名人の桜島先輩に声かけてんぞ、調子乗んなよ」とかいわれる。故に桜島先輩もそのような事を考えたどうかは分からないが、1人でいることを選んだのだろう。自分は空気でいいとそう思っているのかもしれない...

 

本当に学校っていう場所は色々と気を遣ったりするからあまり好きではない。

 

 

 

そんな事を考えていたら、昼休みになっていた。時間って経つの早いな...飯買うか。

 

 

 

「ベストプレイスで食う飯はうまい」

 

俺はいつもの場所(中庭)で飯を食う。

 

 

「ちょっと」

 

誰か呼ばれますよ...

 

「ちょっと!」

 

誰か返事した方がいいですよ...俺は返事しない。俺に話しかける女子などいないからな。

 

「聞いてんの!?」

 

ほらほら、どっかの誰かさんが怒ってるから誰か反応してあげろよ」

 

「アンタだよ」

 

「うおっ!俺?」

 

「アンタ以外に誰がいんのよ!」

 

「どっかの誰かさんに話しているのかと」

 

まさか俺だとは...ふと後ろを振り返る。すると、国見の彼女である上里が仁王立ちしていた。

 

 

「で、俺に何の用?」

 

「佑真と今後、喋らないで」

 

「何故?そこまでの権限はお前に無いはずだが?それに国見とお前の邪魔をしてるわけでもないから国見と会話するぐらいいいだろ」

 

「そういう意味じゃない」

 

「どういう意味なんだ?」

 

「病院送り事件と文化祭の一件で分かるでしょ?」

 

「そのことか。それでお前は俺みたいな危険人物と彼氏さんが一緒にいると彼氏さんの株が下がるから関係を絶ってほしいということか」

 

「そうよ、分かってんなら....」

 

「それなら、お前の株も今、絶賛暴落中だけどいいのか?みんな、こっち見てるぞ」

 

「喧嘩売ってんの?」

 

「売られた喧嘩は買うのが一般的だが、俺はゴメンだ。目立つのは嫌いだからな。だからどっか行ってくれないか?」

 

「アンタが今後、佑真と関わらないならどっか行ってあげるわ」

 

「はぁ...そういうしつこい女は嫌われるぞ、時には許容することも大事だと思うぞ。佑真はこういうタイプ、嫌がると思うぞ。お前、可愛いんだからそういうところはしっかりしないとな」

 

「っな!?」

 

「じゃあな」

 

「まだ話は終わってない!!」

 

俺はこの場を離れた。これ以上目立つは避けたい....上里はブツブツと何か言ってたみたいだが、俺はスルーした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして時は過ぎて、放課後....

 

国見からLI○Eがきていた。

 

 

【すまんが、今日は上里と帰ることになったから先に帰っててくれ。それと昼休みはすまなかったな。上里が八幡に色々、言ったみたいで。一応、俺から注意しとくから許してくれ】16:12

 

 

別にお前がそんなこと、気にしなくてもいいんだがな..

 

 

【別に気にしてない】16:13

 

一文だけ送り、俺は1人で駅へと向かう。奉仕部は行く気にはならなかったのでサボった。

 

(あれは桜島先輩か...)

 

駅のホームに1人で立っていた。

 

俺は何となく桜島先輩の横に立った。

 

「比企谷くん?」

 

「どうも、1人ですか?」

 

「見ればわかるでしょ?」

 

「なんとなく聞いてみました。気を悪くしたらすいません」

 

「別にいいわよ、君こそ1人?」

 

「ええ、本当は幼馴染の奴と一緒に帰る予定だったんすけど彼女と一緒に帰るみたいで」

 

「そう...」

 

 

ブーブー

 

 

桜島先輩の携帯からバイブ音が鳴る。桜島先輩は画面を見るが通話ボタンを一向に押す気配はない。電話の主はマネージャーからのようだ。

 

「携帯、鳴ってますけど出なくていいんですか?」

 

「電車が来ちゃったし、それに用件は大体分かってるから」

 

「芸能界復帰しないか?とかですか?」

 

「私のこと知ってたんだ」

 

「ええ、桜島先輩は有名人ですから」

 

それに材木座からしつこく聞かされてたしな。

 

 

俺と桜島先輩は電車に乗り込む。桜島先輩は俺の隣へと座る。

 

「そういえば、桜島先輩ってあの後もバニーガール姿でこの街を回ろうとか思ってますか?」

 

「ええ、そのつもりだけど...」

 

「その時に写メ撮ってもいいですか?」

 

「その写真で何するつもり?変な事しようと考えて...」

 

「俺は変態にはなりたくないのでそんなことはしません。俺の幼馴染がバニーガールが好きなんで写メ欲しいって頼まれたんです」

 

「そういうことだったのね...びっくりするじゃない」

 

「なんかすいません」

 

「別にいいわよ。その代わり、比企谷くんに聞きたいことがあるんだけどいいかしら?」

 

「何です?」

 

「病院送りの件と文化祭の件なんだけど」

 

「それですか...」

 

「中学時代、妹のSNSトラブルでイジメに遭い、それをお兄さんである貴方がイジメを行なった女子や便乗してイジメをしていた男子に正論で論破し、精神科病院送りにしたって本当なの?」

 

「本当ですよ。たかが既読無視だけでイジメられるのに納得いかなくて、正論で論破してやったんですよ。今の子どもは調子乗ってますから。いい薬になったんじゃないっすかね」

 

今の社会、体罰は禁止となり教師が手を挙げることができないことが分かってて教師を攻撃する生徒が少なからずいるからな。本当にタチが悪い。

 

「ネットでは賛否両論あるみたいね、これはやりすぎ派と妹を全力で守ってあげる素敵なお兄さん派でかなりの論戦が繰り広げられてるわよ」

 

「そうなんすね」

 

この事件の後の周囲の視線はやばかったな...俺は口頭での厳重処分を受けたがイジメを行なっていた奴らは俺よりも重い処分を受けたらしい。

 

「調べたりとかしないの?」

 

「携帯は基本的に、電話やメールなどのやり取りにしか使いません」

 

妹のかえでの為にも携帯の使用は必要最低限に抑えている。

 

「そう。ちなみに私は妹を全力で守ってあげる素敵なお兄さん派だから安心して。妹さんはいいお兄さんを持って幸せね」

 

「そうですかね?」

 

「きっとそう思ってる」

 

「なんか、気を遣わせたみたいですみません。もう1つの文化祭の件は噂通りの認識でいいですよ。俺が文化祭実行委員長である相模を罵倒した。閉会式をメチャクチャにした張本人」

 

 

「何か理由があってそうしたのよね?比企谷くんは」

 

「ご想像にお任せします」

 

「妹に優しい貴方が、何の理由もなく相模さんを罵倒するはずがないわ。余程、相模さんが何かしでかしたに違いないわね」

 

「ご想像にお任せしますよ」

 

 

桜島先輩のように俺を擁護してくれる人は数少ない。あの病院送りの件も相まって俺の評価は下だからな。

 

 

「聞きたいことは終わりですか?写真の件はお願いします。それで、俺も桜島先輩に聞きたいことがあったんですけどいいですか?」

 

「昨日のバニーガール姿は何か理由があったんですか?」

 

「それは...」

 

桜島先輩はバニーガール姿になっていた理由を明かした。(詳しくは原作参照)

 

ざっくり説明すると、桜島先輩は芸能界では有名でどこに行っても桜島先輩の話題で溢れていた。最初は人気者で嬉しい、芸能界が楽しいという喜びの方が強かったらしい。しかし、次第に苦痛となり...いつからか私の事を誰も知らない世界に行きたいと願ったとのこと。

 

そして、その後の4連休の初日から桜島先輩の周囲の人達は桜島先輩の姿を認識していなかったということ、それには範囲があり藤沢市では認識させていたが、峰ヶ原周辺では認識されていないとのことだった。

 

 

 

 

 

 

 

俺は確信した。桜島先輩は【思春期症候群】にかかっていると。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでバニーガール姿....なるほど、そうだったんですね。教えてくれてありがとうございました」

 

 

 

「他に聞きたいことはないかしら?」

 

「特にはないですね」

 

「芸能活動を休止した理由は聞かないの?」

 

「学業に専念ですよね?」

 

「表向きはね。私は....」

 

「これ以上は大丈夫です。桜島先輩も話たくない内容でしょうから」

 

「...優しいのね」

 

「そうですか?普通だと思うんですけど」

 

その後は、会話はなく電車を降りた。電車を降りるまで桜島先輩はとある映画の広告をずっと羨ましい目で眺めていた。俺はその姿をずっと見ていた。

 

 

 

 

 

 

「......」

 

「......」

 

 

「比企谷くんはさっき私が言ってた話を信じる?」

 

「ええ、信じますよ。俺もそういう経験がありますから」

 

「本当に?」

 

「ええ、証拠なら俺の家にあるんで見に来ますか?」

 

「いいの?」

 

「別に俺は構いません」

 

「それじゃあ、行きましょう」

 

「ええ...」

 

 

 

 

そして、俺は桜島先輩を連れ家に入った。

 

 

 

「ただいま」

 

「お帰りなさいです!お兄ちゃん......」

 

「どうかしたか?かえで」

 

「お兄ちゃんが女の人と一緒に....あのボッチなお兄ちゃんが...」

 

「地味に傷つくからやめてね」

 

「お兄ちゃんはかえでだけのものです。お兄ちゃんを返してください!!」

 

かえでは俺を引っ張って桜島先輩から距離を取らせた。

 

 

「かえでは盛大な勘違いをしてるぞ、この人は桜島麻衣先輩。学校の先輩だ」

 

「そうなんですか!?お兄ちゃんの彼女さんではないんですか?」

 

「違うって。俺がこんな綺麗な人と付き合えるわけないだろ」

 

「っ!!」

 

「それもそうですね!」

 

だから地味に傷つくから。せめて否定してほしかった。おっと、妹と会話するのに没頭しすぎて桜島先輩のことをすっかり忘れてた。

 

「桜島先輩?」

 

桜島先輩は何故か顔を真っ赤にしていた。

 

「え?あ、何かしら?」

 

「俺の妹を紹介します。かえでです」

 

「あ...はじめまして.....比企谷....かえで....です」ボソッ

 

かえでは自己紹介をしたのち、俺の背中に隠れた。

 

「かえでは極度の人見知りなんで、すいません」

 

「大丈夫よ。はじめまして、桜島麻衣です。よろしくね、かえでちゃん」

 

「....よろしく....お願い....します」

 

かえではそう言って、走って自分の部屋へ行ってしまった。

 

「嫌われたかしら?」

 

「それはないと思います。それより、早く用件を済ませましょうか。これを見てください」

 

一枚の写真を桜島先輩に見せる。

 

「これってかえでちゃん?」

 

「はい。さっき電車の中で話したSNS事件で、こんな姿になってしまったんです。もちろん、暴力を受けた訳ではありません」

 

「え?でも、この傷は...」

 

「かえでがSNSを覗いた瞬間、こんな傷が出来たみたいです。俺は耐えきれなかった。なんでかえでがこんな嫌な思いをされなきゃいけないんだって。たかが既読無視ぐらいで」

 

「大変だったわね」

 

「はい。かえでの事件が起きた翌日、俺の身体にも異変があったんです」

 

「異変って」

 

「これです」

 

「この傷も」

 

「朝起きたら背中に十字架の傷が出来てて血だらけになってました。俺自身も病院送りになりました。これが思春期症候群の存在を信じる1番の理由です」

 

「そう....この傷、触ってみてもいいかしら?」

 

「ええ。どうぞ。まぁ、俺の傷がどうやって出来たのかという理由はまだ分かりません。かえでの傷は医者に見せましたが、【思い込み】で出来たのではないかとの結論でした。この一件から、かえではネット環境から離れた生活を送っています。そのおかげがあのような傷は出てないです」

 

「そう...だから私のことは知らなかったわけね」

 

 

 

 

「それで桜島先輩の思春期症候群の件なんですが...俺の予想ですが、桜島先輩が願ったという私の事を誰も知らない世界に行きたいという願いが叶ったのではないかということです。そして、桜島先輩が空気を演じているのも相まって、桜島先輩の認識度が下がっていると考えます」

 

「ふーん...それでこれから私はどうすればいいのかしら?」

 

 

「この状態を打破する方法なら1つだけあります」

 

「その方法は何かしら?」

 

「桜島先輩が...芸能界に復帰することですよ。戻る気は?」

 

「ないわね」

 

「でしょうね。まぁ、これは1つの手だと心の片隅にでも置いておいてください」

 

「でしょうねって...どういう意味?」

 

「お母さんにこれだけはダメと言ったグラビアの撮影の仕事があったから」

 

「っ!!」

 

「とあるネットからの情報でしたが、その様子だと図星といったところでしょうかね。まぁ、復帰するしないは桜島先輩が決める事なので、俺からあれこれ言うつもりはありませんが...」

 

「何よ?」

 

「俺的には芸能界に復帰してほしいです。あの輝いていた桜島先輩をまたみたいですから。おっと、もう遅い時間なんで駅まで送りますよ」

 

「.....玄関までていいわ」

 

「そうですか」

 

 

 

「それじゃあ、また明日」

 

 

「はい、また明日...このバニーガールの衣装、返します」

 

「これは比企谷くんが持っていて」

 

「はい?」

 

「それじゃまたね」

 

そう言って桜島先輩はバニーガールの衣装を俺の家に置いて帰ってしまった。

 

 

(どうすんだよこれ)

 

 

俺はこの衣装をどうするか迷うのだった....

 

そして、この出来事の後....しばらく俺が桜島先輩と会うことはなかったのだった...

 

 

...続く

 

 

 

 

 

〜 おまけ 〜

 

 

桜島先輩が帰った後のこと...

 

 

 

「お兄ちゃん、麻衣さんはどこに行ったのですか?」

 

「もう帰った」

 

「それは残念です。せっかくお茶を用意したのに」

 

「ありがとな、かえで。お兄ちゃんと一緒に飲むか」

 

「はい!そうします。それでお兄ちゃんは何を持っているのですか?」

 

「桜島先輩のバニーガールの衣装だ。かえでも着てみるか?」

 

「ええっ!いいんですか?」

 

「いいんじゃないか?かえでに似合いそうだな。よいしょっと」

 

俺は耳のカチューシャをかえでの頭に乗せる。

 

「似合ってるぞ」

 

「本当ですか!?」

 

「おう、すごく可愛いぞ」

 

「えへへ...お兄ちゃんにそう言ってもらえてかえでは嬉しいです!」

 

「それじゃあ、衣装も着るか?」

 

「ここだと恥ずかしいのでかえでの部屋ででもいいですか?」

 

「ああ、いいぞ」

 

「では、早速行きましょう!お兄ちゃん」

 

「分かったから引っ張るな」

 

 

この後、夜遅くまでバニーガールの衣装のショーがかえでの部屋で行われたという。

 

 

 

 

 

〜 FIN 〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

 

 

 

 

次回にて、桜島先輩√は完結となる予定です。あの科学部の子も登場しての桜島先輩√3話です。どうぞお楽しみに!!

 

 

そして引き続き、妹チェンジシリーズのアンケートを設けております。

 

そちらの方も良ければ目を通してください。

 

 

最後に随時、マイピクを受け付けております。申請時はコメント欄ではなく自分の設定欄からマイピク申請を行なってください。よろしくお願いします。このコメント欄からは受け付けておりませんので、ご注意ください。

 

次回は「妹チェンジシリーズ」か「捻くれた少年と残虐姫と呼ばれる少女」シリーズを更新予定です。(変更の可能性もあり)

 

 

それでは、次回もよろしくお願い致します。

 

 

 




ここまで読んでくれた方々、ありがとうございます。

奉仕部での一件は原作改変で高1時代に行なったものとしております。
修学旅行の件はありません。あくまでも文化祭の一件のみ使用しております。他は使っておりません。




それでは、次回もよろしくお願い致します。


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第4話

4話目です。

原作を一部、改変してお送りします。


それでは、今回もよろしくお願い致します。



 

前話で話していたバニーガールショーが始まったとあったが、あれは嘘だ。開始直後、サイズが合わなくて「ぎゃーぎゃー」とかえでと揉めていた。かえでにも着れます!とか言ってたが結局はずり落ちてしまい、涙目になりながらバニーガール衣装をハサミで自分のサイズにしようとしていた。俺はすかさず止めた。桜島先輩の私物なのでなんとか死守し、かえでをなんとか宥めた。

 

 

 

「私だって、バニーガールの衣装着れるんです...zzz」

 

 

今は寝言を言いながら、俺の背中に抱きついている。

 

 

「いつか、着れる時が来るからな...少しの辛抱だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とまぁ....こんなことがありましたとさ....

 

 

 

 

 

 

 

そして、現在に至る...

 

 

 

 

桜島先輩と別れてから2週間が経った。あれからは一度も会っていない。

 

「桜島先輩が学校に来なくなってから2週間が過ぎたってのは本当なのか?八幡」

 

「ああ、桜島先輩のクラスを確認したら2週間は来てないってよ」

 

「これも八幡のいう思春期症候群の影響なのか?」

 

「多分な」

 

桜島先輩が学校に来なくなった理由...主に2つ。思春期症候群か、俺が提案した芸能界復帰に向けて、準備しているかのどちらかだ。俺的には前者の可能性が高いと考えている。

 

「八幡はこの問題を解決するつもりか」

 

「関わっちまったからにはなんとかしないといけないだろ」

 

「これも奉仕部の活動の範囲内ってことでか?」

 

「そんな感じだ。国見も何か分かったら連絡くれ」

 

「分かった。葉山にもこの件を話しても大丈夫か?顔も広いから何か分かるかもしれないぞ」

 

「頼む」

 

「八幡はこれからどうするんだ?」

 

「とりあえず、放課後にでも双葉に会って考えるわ」

 

「分かった。なら奉仕部に休みって言っておいた方がいいぞ」

 

「分かってるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

そして放課後...

 

 

俺は由比ヶ浜に奉仕部を休むと伝え、双葉のいる理科実験室に向かう。

 

 

双葉理央。高1からのクラスメイトで席も近かったため、国見と3人で話す機会が多々あった。

 

 

「ん?中から話し声がするな....」

 

俺はドアの隙間があったのでそこから覗いた。

 

窓越しで双葉と国見が話しているのが見えた。

 

何故か知らないが、双葉は顔を赤くしながら国見に何か言葉を発していた。ここからでは2人の声は聞こえない。

 

 

しばらく経った後...俺は、ノックをし理科実験室の中に入った。

 

 

 

 

 

*以下、この会話は八幡に聞こえていません。

 

 

 

ー 国見・双葉 side ー

 

 

 

「双葉。多分、この後に八幡がここに来るから相手を頼む」

 

「何であいつが....」

 

「思春期症候群の件だ。今回は桜島先輩の件らしいぞ」

 

「牧之原翔子の次は桜島先輩にご執心なんだ....」

 

「おっ、双葉。嫉妬してるのか?」

 

「なっ!!そんな訳ない....」

 

「否定しなくていいぞ。その反応で大体分かるから」

 

「国見って意地悪だよね。そういうこと、言う奴だとは思わなかったよ」

 

「お前らだけにだよ、こういう事を言うのは。それで双葉は八幡のことどう思ってるんだ?」

 

「どうって?」

 

「決まってるだろ?八幡のこと....好きなのか?」

 

 

 

「それは...」

 

 

 

 

「それは?」

 

 

 

 

 

 

 

「..........好き」

 

 

 

「そうかそうか。なら俺は友達として双葉の恋の応援をする。頑張れよ、双葉。牧之原さんと桜島先輩、奉仕部の人達に八幡を取られる前に想いを伝えた方がいい。八幡は何かとモテるからな」(八幡は鈍感だからな。ちゃんと伝えないと変に捉えるからな....)

 

「....大きなお世話」

 

 

「」コンコン

 

「おっ、八幡が来たみたいだな。じゃあ、俺は部活に戻るからいい報告を期待してるぞ」

 

「ちょっと!!」(心の準備が...出来てない)

 

「2人っきりでごゆっくり」

 

 

「もう...」(国見のせいで変に緊張するじゃん...)

 

 

 

 

 

ー side out ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「入るぞ。今、大丈夫か?」

 

「ちょっと待って!」

 

「お、おう...」(双葉が大きい声を出すとは珍しい...それにしても国見と何を話してたんだろうか)

 

 

 

「それで、私に何の用?」(まぁ、知ってるけど...)

 

「ああ...思春期症候群の件で話がある」

 

「それで?牧之原翔子の次は誰?」

 

「3年の桜島先輩だ。詳しい話だが...」

 

俺は双葉に桜島先輩の思春期症候群の症状を詳しく説明した。(詳しく知りたい方は原作を参照)

 

双葉は思春期症候群に否定的な立場にある。理論的におかしいとのことだ。

 

 

「人から認識されない、ね...」

 

「こんなことが起きると双葉は思うか?」

 

「起きると思うよ。ぼうっとしている時とかによくある現象だね」

 

「ぼうっとしてない時にも起きるけど」

 

「それならアレだね...比企谷のために分かりやすく説明すると...桜島先輩が芸能界にいた時は光があたっている。つまり、注目されているから周囲に認識され桜島先輩の存在が確立されている。でも、今は芸能界から桜島先輩は退いている。つまり...」

 

「注目されていないから桜島先輩に光があたっていない。周囲に認識されていないから桜島先輩の存在が確立されていないということか」

 

「その通り」

 

「この解説、分かりやすいな。さすが双葉だな」

 

「褒めても何も出ないよ」

 

「この理論でいくともしかしたら、俺のことを双葉が認識しない、忘れられることもあり得るのかもな」

 

「あり得るかもね。でも、私は絶対に比企谷の事を忘れたりしないから...」ボソッ

 

「なんか言ったか?」

 

「何でもない...」

 

「この問題の解決方法なんだが...」

 

「そんなの1つしかない...桜島先輩が芸能界に復帰することだろうね。そうすれば否が応でも、注目せざるを得ない」

 

「だよなぁ...やっぱり説得するしかないか」

 

 

双葉との話し合いの結果。桜島先輩に芸能界復帰してもらうとの結論となった。それには親との関係改善も必要となってくる...時間はかか

りそうだな。

 

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

 

「もうこんな時間か...じゃあ俺は帰るわ。今日はありがとな、話を聞いてくれて」

 

「比企谷が素直にお礼を言うなんて明日は大雨だね」

 

「そんな珍しいことか?」

 

「珍しい」

 

「即答かよ...まぁ、いいや。また明日な」

 

「また、明日...」

 

「おう」

 

 

俺は双葉と別れた。

 

 

 

「言えなかった...」(やっぱり、無理だよ。国見)

 

 

一方で、双葉は八幡に想いを伝えることは出来なかった。

 

 

 

 

俺は今後どうするかを考え、途中コンビニや書店に立ち寄りながら帰路につく。

 

(どうやって芸能界復帰を促すか...)

 

「ん?あれは...桜島先輩?」

 

なんで俺の家の前に桜島先輩が?

 

「やっと、帰ってきた。比企谷くん、遅い」

 

「すんません。道草食ってたんで、それで桜島先輩は何で俺の家に?」

 

「買い物が出来ないの」

 

「はい?」

 

「私を認識してくれる人がいないの。藤沢市は全滅だった」

 

「かなりやばい状況ですね」

 

桜島先輩の思春期症候群は日を経つにつれ、進行している。それも最悪の方向に....

 

「これからどうします?」

 

「とりあえず、買い物に行きたい」

 

ぐうっ......

 

途中、桜島先輩が腹の音を盛大に鳴らす。

 

「っ!!!」

 

「可愛いお腹の音ですね」

 

「忘れて...恥ずかしいから」

 

「早く、買い物に行きましょうか。桜島先輩の可愛いお腹の音が鳴らないようにするためにも」

 

「忘れてって言ったでしょ!比企谷くんの意地悪」

 

 

急ではあるが、俺は桜島先輩と買い物に行くことになった。

 

 

 

 

桜島先輩は吟味しながら野菜を選んでいく。

 

 

 

「桜島先輩が持ってるその野菜は他の人にはどう見えてるんですかね?」

 

野菜だけ浮いてるとかだったらホラーだよな。

 

「他の人には見えないみたい」

 

そう言って、桜島先輩は他の客の前で手に持つ野菜を見せる。

 

どうやら見えていないようだ。スルーしていた。

 

「ふと思ったんですけど、もし俺が桜島に触れた場合も同じことが起きるんですかね?」

 

これで、俺の消えたらやばいよな。まぁ、多分消えないとは思うけど。

 

「それは遠回しに私と手を繋ぎたいって言っているのかしら?」

 

「そんなつもりで言ったわけじゃないです。ただ気になっただけです」

 

「冗談よ。比企谷くんにそんな度胸はないものね」

 

よく分かっていらっしゃる。

 

「でも、試しに私と手...繋いでみる?」

 

「はい?」

 

「比企谷くんは嫌?私と手を繋ぐの...」

 

「そういう訳じゃないんですけど...俺、初めてなんですよね」

 

「女の子と手を繋ぐのが初めてなの?」

 

「はい」

 

さすがに妹とはありますなんて言えない。恥ずかしすぎて...

 

「キャンプファイヤーとかのフォークダンスで繋いたこととかないの?」

 

「そん時は断られました」

 

ふとあの時の思い出が蘇る。「手、別に繋がなくてもいいよね?」

あ...嫌な思い出だ。できれば、早く忘れたい。でも嫌な思い出程、忘れることが出来ないから嫌だ。

 

「そう...なら、私が比企谷くんの初めてをもらってあげるわ」

 

ぎゅっと桜島先輩の温かい柔らかな手が俺の冷たい手を包み込む。

 

なんか落ち着く感じがする。初めての感触なのでなんかむず痒い。

 

 

「どうかしら?」

 

「なんか優しくて温かい手ですね」

 

「あ、ありがとう...」

 

お互い、緊張しながら買い物を続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「たくさん、買いましたね」

 

「今度、いつ買い物に行けるか分からないから」

 

「それもそうですね...それで今後、桜島先輩はどうするつもりですか?」

 

「まだ具体的には決まってないわ」

 

「そうですか。やっぱり芸能界復帰しか、この状況を打破する方法は無いと思います」

 

「それは...」

 

「先輩もお母さんとのトラブルで色々、思うところがあるかと思いますが、それでもやっぱり桜島先輩は芸能界復帰した方がいいと思います」

 

「そう思う理由は?」

 

「前にも言いましたが、あの輝いていた桜島先輩をまたみたいからです」

 

「それだけ?」

 

「はい。それだけです。それに...」

 

「?」

 

「また桜島先輩が芸能界に復帰してほしいと思う人が少なからず俺以外にもいるからです。その人達の為にも復帰してください。それにまだ桜島先輩にも役者をやりたい気持ちがあるはずです。だからお願いします」

 

俺は土下座をして桜島先輩に頼んだ。

 

 

「みんな見てるから土下座はやめて」

 

「芸能界復帰をしてくれるまで、やめません」

 

「はぁ...分かったわよ。芸能界に復帰するわ」

 

「本当ですか?」

 

「どっかのお節介焼きの後輩くんに強くお願いされたら断れないじゃない」

 

「ありがとうございます」

 

「それに、比企谷くんの言う通りで私の中でまた役者をやりたいって気持ちもあったから。それとまた輝いている私を見ていてくれる人もいるみたいだし?」

 

「はい。いつまでも見ていますよ」

 

俺にできることはこれぐらいしかないからな...

 

「それじゃあ私...こっちだから」

 

「それじゃあ、また学校で」

 

そう言って俺は桜島先輩に買い物袋を渡す。

 

「そうだ、比企谷くん。今週末は空いてるかしら?」

 

「多分、空いてると思いますけど...」

 

「私、多分芸能界に復帰したら遊んでる余裕はないと思うから付き合ってくれないかしら?」

 

「それぐらいならいいですけど」

 

「じゃあ、今週の日曜日でいいかしら?」

 

「予定を確認しますね...日曜はファミレスのバイトが午前中まであるんで、午後からなら大丈夫です」

 

「それじゃあ、駅前に14時集合でいいかしら?」

 

「大丈夫です」

 

「1秒たりとも遅れないように。遅れたら帰るから」

 

「分かりました」

 

そして、俺は桜島先輩と別れた。

 

「ただいま」

 

「お帰りなさいです。お兄ちゃん!!」ダキッ

 

「おう。ちゃんと留守番してたか?」

 

「はい!バッチリです!なんだが、お兄ちゃん...嬉しそうですね」

 

「そうか?」

 

「はい!何か良いことでもあったのですか?かえでにも教えて欲しいです」

 

「ある先輩と出かける約束をしたんだ」

 

かえでは桜島先輩のことを多分、忘れているから敢えて先輩の名前は伏せた。

 

「それって彼女さんですか?彼女さんなら、行かせません!お兄ちゃんはかえでだけのものです!!」

 

「彼女じゃない。先輩と後輩っていう関係だ」

 

「本当ですか?」

 

「おう」

 

「それなら良かったです!」

 

 

「今日は遅くなってすまんな。今すぐ、夜飯作るから待っててくれ」

 

 

「はい!お兄ちゃんの作る料理をかえでは楽しみに待ってます!!」

 

 

 

 

 

こうして俺とかえでは食事を摂り、楽しい夜が早く更けるのだった...

 

 

 

 

 

...続く

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

次回は桜島麻衣√完結編、後日談の後、双葉編か古賀編のどちらかのプロローグを執筆予定です。

それでは、次回もよろしくお願い致します。


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第5話



お久しぶりです。



それでは、今回もよろしくお願い致します。



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

週末の日曜日。

 

バイトを終え、家に一度戻った後、桜島先輩との約束を守るため待ち合わせ場所である駅前に向かう。

 

 

しかし......

 

公園内でキョロキョロして今にも泣きそうな少女を見かけた。

 

 

「大丈夫か?」

 

「お母さんが迷子なの」

 

なるほど、この子が迷子か......

 

しかし、この周辺には親と思われる人はいない。

 

このまま放っておくと誘拐のリスクもある。

 

それは避けないとな。それに、泣きそうだし。

 

「お兄ちゃんが一緒にお母さんを探す。だからもう泣くな」

 

「いいの?」

 

「ああ、だから一緒に探そう」

 

「うんっ!!」

 

「ちょっと待った!!!」

 

「痛っ!!」

 

少女と手を繋いた瞬間、背中に衝撃が走る。

 

誰だ背中を蹴ったやつ。てか、この声由比ヶ浜か?

 

「何すんだ由比ヶ浜.....って違う人かよ」

 

声似過ぎだろ。由比ヶ浜じゃなかったら誰この人?

 

「このロリコン!変質者!!」

 

なんでだよ....

 

「早く逃げて!ロリコン変質者の餌食になる前に!」

 

「違うよ。お兄ちゃんは私のお母さんを一緒に探してくれてるの」

 

「え?」

 

「この子の言う通りだ。俺はただお母さん探しを手伝ってただけだ。断じてロリコンなどではない」

 

「あはは....ごめんね」

 

「ごめんで済めば警察はいらん....まぁ、いいけど」

 

 

「お兄ちゃん、大丈夫?」

 

 

「ああ、ヒリヒリするけど大丈夫だ。お母さん、探すか?」

 

「うん!」

 

「お前も手伝え」

 

「え?」

 

「俺のケツを蹴った罰だ」

 

「でも、友達の約束が.....」

 

「そんなん知らん。俺の尻に比べたら安いもんだろ」

 

「わ、分かりました!!!じゃあ、私のおしりも蹴っていいからチャラにして!」

 

「なんでだよ。俺は捕まりたくない」

 

 

「いいから!!」

 

「嫌だ」

 

「早く蹴って!!」

 

 

 

 

 

 

 

ワイワイ.......ガヤガヤ.......

 

 

 

 

 

 

 

この後も言い合いが続き....その結果。

 

 

 

 

 

「ちょっといいかな?近隣住民から卑猥な言葉をカップルが発していると苦情が入ってね。任意だけど、交番までいいかな?」

 

「「え??」」

 

「それと、お嬢ちゃん。君のお母さん、交番にいるから一緒に来てくれるかい?」

 

「うん!お母さんのとこ、いく!」

 

 

 

何故か、交番行きになりました。

 

 

 

しかも卑猥カップル扱い.....最悪だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は悪くないのに1時間くらい拘束されて指導かよ」

 

警察官から貴重なご指導をたっぷり食らった。

 

「.....災難だったね」

 

 

「いやいや、全部古賀のせいだからな?分かってるか?」

 

「なんで私の名前知ってるし!!」

 

「警察官の人が連呼してたろ。お前が携帯なんぞいじってるから」

 

そのおかげで追加で怒られた。

 

「仕方ないじゃん」

 

「せめて交番内では控えろよ。そのせいで拘束時間が伸びたんだからな。古賀朋絵さん」

 

「フルネームも知ってる!?」

 

ツッコミは一丁前にするのか....

 

「なんなら福岡出身ってのも分かるぞ」

 

「なんで!?」

 

「方言出まくりだったしな」

 

神奈川ではまずお目にはかからないからな。

 

「うー...あなたの名前を教えてよ」

 

「何で?」

 

「フェアじゃないもん。私のことばっかり知ってるの」

 

「.....比企谷で分かるだろ?」

 

「あ!病院送りの人!」

 

「そうだな....」

 

「そんな悪い人には見えないけど.....」

 

「噂は悪い方に流れるからな....どんなものも」

 

90%以上は悪い方に伝染していく。人は醜いから悪い方、悪い方へ持っていく。本当に生きづらい世界である。

 

「俺の話はいい。とにかくお前は携帯依存をやめろ」

 

「嫌」

 

「なんでそこまで拘る?」

 

「早くメッセージ返さないと仲間外れにされて友達がいなくなっちゃう......」

 

「そんな友達、本当に必要か?」

 

「え?」

 

「たかがメールの返事が遅いってだけで友達じゃなくなる関係性なら俺はいらんな。先輩からの貴重なアドバイスだ。友達はちゃんと選べ。本当に信頼出来るやつを友達にしろ。お前は可愛い部類に入るからそんな変な友達じゃなくてちゃんとお前のことを見てくれて想ってくれる友達を作れ」

 

俺が言えた立場じゃないが、妹のかえでのようにはなってほしくない。だからせめて友達選びはちゃんとしてほしい。

 

「可愛いとか....言うな!!」

 

「じゃあ、可愛くないって言えばいいのか?」

 

「そうじゃないっ!!あっ!友達との約束に遅れる!じゃあ、またね!比企谷先輩」

 

「おう」

 

約束、約束ね........

 

 

 

 

 

「あっ.....」

 

 

 

 

俺も用事あるじゃん。完全に忘れてた。

 

 

「今からだと15時半くらいに着く.....」

 

 

 

約90分の遅刻。これはブチギレ案件。もう帰ろうかな.....

 

 

 

 

 

 

15:40

 

 

 

駅前

 

 

 

 

「もういないよな。遅れたら帰るって言ってたし」

 

「帰るか...」

 

「どこに行くのかしら?1時間40分遅れた比企谷くん」

 

 

「すいません」

 

 

 

「許さない」

 

 

 

 

「この通りです。誠に申し訳ございません」

 

頭を地面につけて土下座する。

 

「比企谷くん、土下座すれば許してもらえるって思ってないかしら?」

 

「そんなことはありません。何なら靴舐めも余裕で出来ます」

 

「しなくていい!」

 

「どうしたら許してくれますか?」

 

「その前に場所を変えましょう。目立つから」

 

「はい......」

 

場所を移動し、江ノ電へと向かう。

 

 

「じゃあ行きますか」

 

「待ちなさい」

 

「え?」

 

「遅れた理由を教えて」

 

「住宅街にある公園に迷子の子がいたので、その子の相手をしてまして....」

 

「バイトは?」

 

「行きました。一旦、家に戻って荷物置いて、かえでに行ってきますの挨拶をしてから向かいました」

 

「迷子の子は男の子?女の子?」

 

「女の子ですね。4〜6歳くらいの」

 

「....ロリコン」

 

「なんでそうなるんすか.....」

 

古賀と同じ思考回路。俺は決してロリコンではない。本当だよ?

 

「私より4歳の女の子を優先するんだ?比企谷くんは」

 

「ひょっとして拗ねてます?」

 

「...拗ねてない」

 

「迷子の女の子は無事、交番で母親に会えました。はい、ハッピーエンドです」

 

「私はバッドエンドだけど?」

 

「それは......」

 

「あ!ロリコン先輩」

 

「誰がロリコン先輩だ.....って福岡女かよ」

 

ロリコン先輩のフレーズが癪に障ったので、俺も負けじと反論する。

 

「福岡女?」

 

「わー!!先輩、言っちゃダメ!」

 

「むぐっ.....」

 

古賀の手で俺の口が塞がれる。苦しい.....

 

「朋絵、福岡女って何?」

 

「それは先輩の勘違いだから!気にしないで!」

 

「ふーん.....ってこの人、病院送りの人じゃん。そんな人に構ってたら危ないよ」

 

「でも、そんな悪そうに見えないけど」

 

「いいから、行こ!それにあの人もいるし」

 

「うん.......」

 

古賀と取り巻きの人達はかけ足で改札へと向かっていった。

 

 

 

「あの子、朋絵ちゃんっていうんだー?」

 

「みたいっすね。俺には関係ないですけど」

 

「関係なかったらあんなことしないと思うけど?」

 

「先輩、怒ってます?」

 

「別に怒ってないわよ。ロリコンくん?」

 

これは怒ってますね.....どうしたものか......

 

 

そっとしておくのが正解かもしれない。

 

 

 

電車内では一言も言葉を交わさなかった。

 

 

 

 

「次は鎌倉高校前〜」

 

「降りるわよ」

 

「え?鎌倉では?」

 

「そんな時間はないわ。誰かさんが遅刻するから」

 

「すいません」

 

 

 

鎌倉高校前で降りて、砂浜を歩く。

 

 

 

 

 

「比企谷くんは、なんで私をこんなに構うの?」

 

 

「唐突ですね。どうしました?」

 

「単純にそう思っただけ。こんな面倒な女に普通なら絶対関わらないと思うし」

 

「なら俺は普通じゃないんですよ。きっと」

 

「ちゃんと答えて」

 

「まぁ、妹みたいになってほしくなかったからかもしれません」

 

「........」

 

「妹のように誰にも頼る人がいなくて自分で解決しないといけなくなって結果、不登校になった。そんな最悪な展開を2度と起こさないために...先輩を最悪の展開にさせないようにという俺の意思がそうしているのかもしれません」

 

「そう......」

 

「だから、俺は問題が解決するまで桜島先輩に構うつもりです」

 

「本当にお節介焼きね」

 

「なんとでも言ってください」

 

「そういえばここに来た理由って何かあるんですか?」

 

「今から母親に会うの」

 

「え?」

 

「だから後ろで見守ってくれる?」

 

「はい。いつまでも」

 

しばらくして、母親らしき人がこっちにやってくる。

 

 

 

 

しかし...

 

 

 

 

 

「お母さん。私.....」

 

 

スッ

 

 

「えっ?」

 

 

桜島先輩の声が母親に届くことなく、横を通り過ぎ俺の前で立ち止まる。

 

「私をここに読んだのは貴方?」

 

「俺じゃないですね。初対面ですし」

 

「そうね。ちなみに貴方の名前は?」

 

「比企谷八幡といいます。それと、貴方を呼び出したのは貴方の娘さんの桜島麻衣さんです」

 

「誰?」

 

「は?誰って貴方の娘さんですよ」

 

「ごめんなさい。そんな名前の娘はいないわ」

 

思春期症候群はかなり悪化している。

 

 

 

先輩が送ったメールには確かに母親宛に送っていた。

 

 

 

「すみませんが、メールを見せてくれませんか?」

 

「いいわよ。でも差出人の名前がないの。不思議だと思わない?」

 

 

 

 

 

しかし、母親に送られたメールの差出人欄は不明になっていた。

 

家族すら桜島先輩のことを覚えていないのだ。

 

これは最悪の展開だ。絶対に避けなければならない。

 

 

 

 

「本当に覚えていないんですか?貴方が16年育てた娘さんですよ!」

 

「ごめんなさい。私はこの後、仕事だから行くわ」

 

そう言って、先輩の母親は去っていった。

 

 

「先輩、これからどうします?」

 

「帰りましょうか」

 

「はい」

 

かなり落ち込んでいるようだ。それもそのはず、実の母親から存在を否定されたのだから....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

23:14

 

 

 

 

とりあえず、藤沢駅に着いたがどうしたものか.....

 

「この後、どうしますか?」

 

「..........」

 

俺の問いに答えず、先輩は俯いていた。

 

とりあえず、俺の家に連れていくか。

 

 

「先輩、行きますよ」

 

「どこに?」

 

「俺の家です。先輩はかなり危険な状態なので」

 

「.......」

 

返答はない。嫌とは言っていないので大丈夫だろう。

 

 

 

「ただいま。かえで」

 

「お兄ちゃん!おかえりなのです!.....その方はどなたですか?まさかお兄ちゃんの彼女さんですか?」

 

「違う。ちょっと訳ありでな」

 

「そうなんですね!じゃあ、邪魔しちゃいけないですね!かえでは自分の部屋に戻ってます!」

 

「ありがとな。かえで」

 

「えへへ....もっとかえでを撫でてください!」

 

かえでを撫でた後、先輩をリビングに通した。

 

 

 

とりあえず、落ち着く時間がいるだろう。

 

 

 

 

 

 

「落ち着きましたか?」

 

「ええ」

 

「それはよかったです。とりあえず現状、母親からの記憶。かえでからの記憶からは先輩の記憶は消えてます」

 

「うん」

 

「でも、俺は知っている」

 

「うん」

 

「関係性、関連性が掴めません。試しに俺の親友にも先輩のことを知っているか確かめてから対策を練ります」

 

「そんな方法あるのかしら?」

 

「ゼロではないと思います」

 

「また比企谷くんのお節介焼きが始まった」

 

「すいません」

 

「でも、ありがとう。こんな私のために頑張ってくれて」

 

「当たり前ですよ。早く先輩には芸能界に復帰してほしいですから」

 

 

先輩はその後、風呂に入った。

 

その間に、俺は国見に電話をかける。

 

 

Prrrr.....

 

「国見、起きてるか?」

 

「八幡、何時だと思ってるんだ?」

 

「もうすぐ0時」

 

「そんな時間に電話する奴いるか?」

 

「俺ぐらいだな」

 

「何かあったのか?まさか!?」

 

「俺は大丈夫だ。国見は桜島先輩のこと覚えてるか?」

 

「そりゃ覚えてるよ。バニーガール先輩だろ?」

 

「国見は覚えてるのか!?」

 

「当たり前だろ。もちろん葉山も覚えてる。今日、バニーガール談義したから」

 

どういうことだ?かえでと先輩の母親は知らないのに俺と国見は知っている。確か、古賀も先輩のこと覚えてたよな?何か引っ掛かる。ってか、葉山となんでバニーガール談義してんだよ。

 

「そうか....」

 

「用件はそれだけか?」

 

「もう一つある。双葉の番号教えてくれ」

 

「今からかけるのか?」

 

「ああ」

 

「怒られるぞ」

 

「その時は全力で土下座して謝る」

 

「電話越しだと土下座できないぞ」

 

「そうだな」

 

なんとか国見から双葉の電話番号を教えてもらうことが出来た。

 

「遅い時間に悪かった。今度、何か奢る」

 

「そん時は双葉も一緒だからな?」

 

「ああ」

 

本当に俺はいい親友も持ったのかもしれない。

 

 

 

Prrrr......

 

「比企谷ですけど、双葉さんの番号で合ってるか?」

 

「合ってるけど、何時だと思ってるの?」

 

「0時過ぎだな」

 

「比企谷はバカなの?」

 

「バカじゃなかったらこんな時間にかけない。双葉に相談があるんだ」

 

「桜島先輩の件?」

 

「よく分かったな」

 

「最近、桜島先輩にご執心だからすぐに分かるよ」

 

「そんなんじゃない」

 

「どうだか.....」

 

「お前にしか出来ない相談なんだ。頼む」

 

「....そこまで言うなら聞いてあげなくもないけど」

 

「さんきゅ。愛してるぜ、双葉!」

 

「!?@#&/nnihtrn#」(またそうやって.....)

 

「?大丈夫か?何言ってるか分からなかったんだが」

 

「気にしないでいい」(比企谷のバカ)

 

俺は今日あったことを漏れなく双葉に話す。

 

「なるほどね。桜島先輩のことを知ってるのは私と比企谷と国見ぐらいなんだ」

 

「そうだな。共通点はやっぱり峰ヶ原高校の生徒ぐらいなんだよな」

 

「それじゃない?私も高校が関係してると思うよ」

 

「やっぱり解決するには高校で何かアクションを起こすしかないよな?」

 

「そうだけど、また文化祭の時みたいにやるの?」

 

「最悪な。とりあえず、現状は桜島先輩の存在を示すのを目標にする」

 

「目標達成の方法はあるの?」

 

「あるにはある。葉山を使ってな」

 

「彼、人気者だからね」

 

「ああ。貸しもあるから協力してくれるだろう」

 

「まぁ、頑張りなよ。私も応援してるから」

 

「恩に着る」

 

「奉仕部にはこの事、話したの?」

 

「話してない。信じてもらえるか分からんし」

 

妄言とか言われそうだからな。雪ノ下あたりに

 

「そう....じゃあ、もう切るよ」

 

「ああ。夜遅くにすまなかった」

 

通話が終わり、葉山ととある人にメールを送ったのち風呂場に向かった。

 

別にのぞくとかしないからね?

 

「先輩、お風呂終わりました?」

 

ドア越しに問いかける。

 

「終わったんだけど、下着どうしよう?」

 

ひょこっと先輩が顔を出した。何それ、凄く可愛いんだけど。

 

「買いに行きますよ」

 

「1人で大丈夫?」

 

「大丈夫ですよ。妹の買ったことありますし、近くのコンビニなら常連なんで従業員と顔見知りですし。それに湯冷めして先輩が風邪引いてもあれなんで」

 

「優しいのね....ありがとう」

 

「それで、色はどうします?」

 

「.....やっぱり私も行くわ」

 

「すいません」

 

 

結局、先輩も一緒に行くことになった。

 

 

 

 

「ありがとうございました!」

 

 

買い物を終えて家へ戻る。

 

 

「そう言えば、友達との電話どうだった?」

 

「先輩のことは覚えてました」

 

「よかった」

 

「とりあえず、明日ある作戦を決行します」

 

「どんな?」

 

「先輩の存在を高校中に知らしめる作戦です」

 

「ふふっ.....変な作戦」

 

「楽しみにしててください」

 

「うん。期待してる」

 

 

 

 

そして、翌日。

 

 

 

運命の日がやってきた...........というのに

 

 

 

「ふぁぁぁ.....眠い」

 

「眠そうね」

 

緊張して一睡もできなかった。

 

 

「今日が待ち遠しくて寝れませんでした」

 

「楽しみにしているわ」

 

「それと、先輩。昼休みに中庭に来てください」

 

「分かったわ。その間、校内を回ってるわ」

 

「はい」

 

 

 

「比企谷、悪い知らせがある」

 

「ん?」

 

「私と比企谷以外桜島先輩を忘れている可能性がある」

 

「国見は?」

 

「聞いたら誰だっけ?って答えてた。葉山も覚えてはいないみたいだけど比企谷からもらったメールを見て授業中だけどトイレと偽って中庭に行くと言っていたよ」

 

「そうか.....今日、必ず実行しないとな」

 

「出来るの?」

 

「何とかやってみるさ」

 

とりあえず、葉山のところに行って事情等を話さないとな。

 

その前に桜島先輩に会わないと、三年生はどうなのかも知りたい。多分、ダメだろうけど。

 

 

「比企谷くん」

 

「先輩、どうでした?」

 

「全員覚えていなかった。古賀さんにも会ったけれどダメだった」

 

「そうですか.....」

 

「比企谷くんは私のこと見えてる」

 

「はい」

 

「私のこと、覚えてる?」

 

「先輩に会ったあの日から覚えてます」

 

「よかった....」

 

「この後が勝負です。これから授業が始まるので、その後...しばらくしてから中庭に来てください」

 

「分かったわ」

 

 

抗ってやる。運命様、上等だ。

 

 

この腐った学校環境、変に纏わり付いた悪い空気、全ての幻想をぶち壊してやる。

 

 

 

 

 

 

 

 

中庭にて

 

 

 

 

 

「葉山!」

 

「待ちわびたよ。比企谷」

 

「葉山は桜島先輩のことを知ってはいないよな?」

 

「すまない。分からないが、君の緊急メールを見て駆けつけた。僕は何をすればいい?」

 

「簡単だ。俺がある先輩に告白したらその後に葉山も俺も先輩のことが好きです。付き合ってくださいと言ってくれ」

 

「分かった。それよりこの機材は何だい?」

 

「これは校内放送で流れるマイクだ。これで授業中の人達もこの中庭に注目せざるを得ない。そんな中で告白シーンを見せつける」

 

「その目的は分からないが、君には貸しがある。ここで返すよ」

 

「助かる」

 

「もうすぐだ。準備してくれ。葉山」

 

「分かった」

 

 

しばらくして......

 

「比企谷くん、来たわよ」

 

「お待ちしておりました。桜島先輩」

 

(比企谷は誰と喋ってるんだ?誰もいないけど)

 

「この機材は何?」

 

「ちょっとした作戦の一部です。先輩はそこにいてください」

 

「分かったわ」

 

「じゃあ、始めます」

 

 

緊張するが、それを抑えて言葉をマイクに向かって発した。

 

「桜島麻衣先輩!!ずっと前から貴方のことが大好きでした!!僕と付き合ってください!!!」

 

「っ!!!」

 

そう作戦はシンプル。嘘告白。高校生は恋愛に関して敏感だ。好きな人に告白するシーンは大好物

 

「「なんだ!中庭で誰か告白してるぞ」」

 

ざわざわざわざわざわざわざわざわ

 

授業中ではあるが、いきなり校内放送で告白シーンが大音量で聞こえたらそっちに興味がいくのは必至。

 

よし、いい感じだ。みんな中庭を見てる。後押し頼むぞ、葉山!

 

「僕も前から芸能人である桜島先輩のことが好きでした!よければ僕と付き合ってください!」

 

そして、葉山の告白シーンが終わると.....

 

キャーーと女子の悲鳴が響き渡る。

 

 

「葉山が女子生徒に告白してるぞ」

 

「あれって桜島麻衣じゃね?」

 

「本当だー!!あの芸能人の!?」

 

「隼人!Foo!!隼人Foo!!」

 

葉山コールが学校内に響き渡る。

 

「こら、静かにしなさい。授業中だぞ!」

 

先生の制止も効果なく、盛り上がりをみせていた。

 

作戦は成功したようだ。

 

「比企谷、これで良かったかい?」

 

「ああ、助かった」

 

「これで貸しはチャラと言いたかったが、それは出来そうにない」

 

「は?」

 

「俺も桜島先輩が好きだったんだ。むしろ感謝してる」

 

「マジかよ.....」

 

「でも、俺は振られたかもしれない」

 

「いや、俺と葉山だぞ?どっちを選ぶか分かるだろ?」

 

「いや、俺じゃない。先輩の方を見てみるといい」

 

「え?」

 

桜島先輩の方を見る。マイクを持って何か喋ろうとしている。

 

「私、桜島麻衣は比企谷八幡くんが大好きです!私でよければ付き合ってください!!」

 

 

そして、その後......

 

「比企谷!!比企谷!!比企谷!!比企谷!!」

 

葉山コールから比企谷コールに変わっていた。

 

なんでだよ。ここは盛大に振られると思って惨めな俺になるはずだった....

 

しかし、桜島先輩は葉山ではなく俺を選んだ。

 

 

 

 

 

「比企谷くん、本当にありがとう。こんな私を助けてくれて.....見捨てないでくれてありがとう」ギュッ

 

 

そして、桜島先輩はマイクを捨て、俺の胸元に飛び込んだ。

 

「比企谷、おめでとう。祝福するよ」

 

 

「これからもよろしくね。比企谷くん」

 

「はい。こちらこそよろしくお願いします」

 

「比企谷!!比企谷!!比企谷!!」

 

 

 

 

 

 

 

比企谷コールは鳴り止むことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日談。

 

 

この後、俺と桜島先輩、葉山は先生に連行されてみっちりと説教をたっぷり食らいました。だが、告白シーンに関してはお褒めの言葉をもらった。中々出来るものではないと.....

 

 

そして、桜島先輩の認知度はMAXとなり前の空気が嘘のようになっていた。芸能界も復帰となり、事務所も移籍となり恋愛OKとのことで交際は認められることに。

 

しかし.....

 

 

 

「私は認めないわ」

 

「私も!」

 

奉仕部の部長、雪ノ下雪乃と部員の由比ヶ浜結衣には認められなかった。

 

「だいたい、なぜこの事を私達に相談しなかったのかしら?」

 

「そうだよ!」

 

「色々と事情があってだな」

 

「どんな事情かしら?葉山くんは良くて何故、私たちがダメなのかしら?奉仕部を少しでもいいから頼りなさい」

 

「すいません。今度からは気をつけます」

 

「分かればいいのよ」

 

「それでヒッキーはやっぱり桜島先輩と付き合うの?」

 

「奇跡的にOK貰ったからな」

 

「そうね。これが最後かもしれないわね」

 

「だから付き合うしかないだろ?もう約束の時間だから行くわ」

 

「話は終わってないわ」

 

「じゃあな」

 

 

俺は部室を飛び出して、先輩の所へ向かった。

 

 

「ヒッキー行っちゃったね」

 

「そうね。桜島先輩が羨ましいわね」

 

「うん」

 

奉仕部の2人は一滴の涙を流していた。

 

 

ー side out ー

 

 

「八幡のやつ、桜島先輩と付き合っちゃったな」

 

「ご執心だったからね。先輩に」

 

「残念だったな、双葉。八幡と付き合えなくて」

 

「比企谷とは今の関係のままでいいと思う。その方が私も苦しまなくて済むから」

 

「そうか。何かあったら相談に乗るぞ」

 

「ありがとう。国見。今はそっとしてほしい」

 

「わかった」

 

 

密かに想いを寄せていた双葉理央もまた奉仕部の彼女と同様に涙を流していた。その姿を後ろで親友の国見が見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

ー 桜島麻衣√ 完 ー

 

 

 

 

 

ー Next 古賀朋絵編1 ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々、ありがとうございます。

これにて桜島麻衣先輩ルートは一旦、完結という形にはなりますが、次回以降も先輩は登場しますのでお楽しみにして頂ければと思います。



近況報告として、仕事が忙しくて更新頻度が落ちております。

今後も遅くなります。年末年始の繁忙期。2月には異動の可能性もあるので。

お待たせするかと思いますが、気長にお待ち頂けると幸いです。


それでは、次回もよろしくお願い致します。


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第6話

皆様、明けましておめでとうございます。


2023年もよろしくお願い致します。




前回の最終話の後から古賀朋絵編に繋がるお話。エピローグ的なお話となります。後半は新章が開幕します。


それでは、今回もよろしくお願い致します。



 

 

 

 

 

 

[桜島麻衣√ エピローグ、新章 古賀朋絵√開幕]

 

 

 

 

 

前回までのあらすじ

 

俺は桜島麻衣先輩の思春期症候群を解消するため、黒歴史並みの出来事でもある授業中に中庭で校内放送用のマイクを使い告白をした。葉山と共に。

 

 

そして、先輩は俺を選び付き合う流れとなった。

 

 

 

 

 

 

あの騒動があった後、しばらくは時の人となり好奇な視線等が何ともむず痒く痛い感じだった。

 

 

 

 

時は流れ、6月下旬。

 

 

やっと落ち着いた空間を手に入れた。いつもの学校生活へと.....

 

 

 

「かえで、朝飯出来たぞ」

 

「はーい!」

 

いつも通り、かえでと一緒に朝飯を食べる。

 

「なんかお兄ちゃん、楽しそう!嬉しいことでもあったのですか?」

 

「まぁ、色々とな」

 

「そうなんですね!」

 

「あと、かえで。弁当箱を渡しておく」

 

自分用とは別にかえでの分も作った。

 

「今日のお昼用ですか?」

 

「ああ、昼に食べてくれ。学校に行けた時のために弁当箱での昼飯を食べる練習もいるだろ?」

 

「ありがとうございます!やっぱりお兄ちゃんは優しいです。かえでのお兄ちゃんは世界一です!」

 

「当たり前だろ。じゃあ、俺は学校に行くから自宅警備頼むぞ」

 

「はいっ!いってらっしゃいお兄ちゃん!」

 

 

 

 

いつも通りに電車に乗って通学する。

 

 

「おはよう、八幡」

 

「おはようさん」

 

「今日は何かご機嫌だな」

 

「ああ、変な視線で見られることがほぼなくなったからな」

 

「無理もない。中庭で公開告白したんだから」

 

「そうだな」

 

「桜島先輩とはあの一件から、仲良くやってるのか?」

 

「まぁ、それなりに。仕事が忙しいみたいだから最近はあんまり会えてないけどな」

 

「それは可哀想だな」

 

「国見の方はどうなんだ?上里と」

 

「順調だよ」

 

「まぁ、あんだけ想われてるから大丈夫か。束縛気味だけど」

 

かなりの束縛だから国見も大変そうに感じる。

 

「それも上里の良さだから」

 

しかし、それを快く受け入れている。

なんだこのイケメン発言。ちょっと真似したくなるだろ。

 

「それより八幡は桜島先輩が出てるカルピスのCM見たか?」

 

「ああ。控えめに言って最高だった」

 

 

『甘酸っぱさが口に広がる。青春の味、カルピス。○○○飲料』

 

 

 

このフレーズを先輩が可愛い声で言っているのだ。

 

最高過ぎる。おもわず、録画ボタン押しちゃったもんな。

 

あとでリピートしよう。

 

「羨ましいよ八幡が」

 

「国見も可愛い彼女がいるだろ」

 

「そうだな」

 

 

 

たわいもない会話をしながら登校する。

 

 

 

 

 

HR中

 

 

 

「もうすぐ期末試験が控えてるから勉強しろよ」

 

 

 

「もうそんな時期か....」

 

 

あっという間に夏本番となり、秋、冬となってまた春が来る。

 

 

ずっとこんな楽しい日々が続けばいいけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、昼休み。

 

 

皆、それぞれの場所で昼食を取るため移動し始める。

 

 

(俺もベストプレイスで食べるかな.....)

 

 

 

「葉山くん。比企谷くんはいる?」

 

「いますよ。ちょっと待っててください」

 

「愛しのプリンセスが呼んでるぞ。比企谷」

 

「普通に言えないのか?葉山」

 

「フィアンセの方がよかったかい?」

 

「気が早いな。それは」

 

だいぶ先の話だろうに。

 

とりあえず、先輩の待つ廊下に向かう。

 

「どうしたんですか?2年の教室に来て」

 

「一緒にお昼を食べようと思ったんたけど....ダメかしら?」

 

「是非、ご一緒させてください」

 

むしろ俺からお願いしたかった。

 

「どこで食べますか?」

 

「比企谷くんの席の前後でもいいかしら?」

 

「空いてるので大丈夫だと思いますよ」

 

窓側の1番後ろに俺、前に桜島先輩が座る。

 

 

「比企谷くんはお弁当?」

 

「そうですね。意外でした?」

 

「購買のイメージがあるから」

 

「まぁ、購買もいいですけど。お金がどうしてもかかるんで」

 

「それもそうね....」

 

「先輩のお弁当、彩りが綺麗ですね」

 

「そう?」

 

「それに栄養バランスも良くてさすがって感じです」

 

「ありがとう」

 

「自分は好きな具材しか入れないので、真反対ですね」

 

「比企谷くんは嫌いな食べ物とかあるの?」

 

「トマトですね。あの舌触りといい噛んだ時の感触は無理です」

 

「そう....」

 

トマト嫌いな人には分かってもらえる理由だと思う。

 

「先輩のおかず、もらってもいいですか?」

 

「いいけど、そのかわり卵焼きをもらってもいい?」

 

「はい」

 

「どのおかずがいいかしら?」

 

「唐揚げを貰ってもいいですか?」

 

「うん。でもその前にいいかしら?」

 

「何ですか?」

 

「普通にあげても面白くないから、私をときめかせる言葉を言ってくれない?」

 

「え?ここでですか?」

 

「もちろん」

 

何その羞恥プレイ。周りに生徒がたくさんいる中で?マジで?

 

「マジですか?」

 

「公開告白より簡単でしょ?」

 

「それはそうですけど......」

 

どんなフレーズにしようか.....

 

人気女優の桜島先輩をときめかせるフレーズ......

 

シンプルでいくか。変に考えてスベるのはゴメンだからな。

 

 

 

「桜島先輩」

 

「何かしら?」

 

「.....愛してます」

 

かなりのイケボで言えた気がする。(江口さんのイケボは最強)

 

「っ!」

 

「比企谷!比企谷!比企谷!」

 

おい、比企谷コールやめろ。前の黒歴史を思い出すだろ。

 

それと女子。騒ぎすぎだ。キャーキャーは耳に響く。

 

 

「先輩、大丈夫ですか?」

 

 

 

何故か、顔を隠している。

 

 

 

「.....大丈夫じゃない」

 

 

「具合でも悪いんですか?」

 

 

「こっち見ないで.....変な表情になってると思うから」

 

 

「それは無理です。先輩の表情、好きなので」

 

 

「これ以上はやめて.....恥ずかしいから」

 

 

さらに女子の甲高い音が教室内に響く。

 

 

このクラス、ノリというかテンション高いな。

 

 

 

 

 

先輩が落ち着いたところで......声をかける。

 

 

 

 

「とりあえず、合格ということでいいんですよね?」

 

「そうね.....約束通りあげるわ。比企谷くん、口を開けて」

 

「自分で取って食べますよ」

 

「私が食べさせてあげるわ」

 

「....ありがとうございます」

 

桜島先輩から唐揚げを1つもらう。

 

「味はどうかしら?」

 

「優しい味付けで美味しいです。毎日食べても飽きないと思います」

 

「そ、そう......」

 

恥ずかしそうな、そして嬉しそうにしながら先輩も自分の唐揚げを1つ食べる。そういえば.....これって、間接......いや、考えるな。

 

 

「先輩、お礼の卵焼きです」

 

「ありがとう」

 

俺の卵焼きを先輩は美味しく食べる。

 

 

「いい甘さ加減ね。いつも弁当は比企谷くんが作ってるの?」

 

「基本、そうですね。家事全般は自分がやってるので」

 

「そういえばそうだったわね」

 

 

 

「先輩、仕事の方は順調ですか?」

 

「7月から放送のドラマに出演することになったわ」

 

「おめでとうございます」

 

「深夜枠で中盤に1話だけ登場する役なの」

 

「嬉しそうですね」

 

「久しぶりの現場だし.....比企谷くんも楽しみにしてくれてたじゃない?」

 

「そうですね。またテレビ越しで観れるのは嬉しいですね。もちろん本物で、生で見る方が何倍もいいですけど」

 

「.....比企谷くんってこんなキャラだったかしら?」

 

「前の俺では考えられないと思います。先輩のおかげかもしれません。変われたのは」

 

「変われたのは私の方......ありがとう。比企谷くん」

 

「こちらこそ。そういえばこのドラマって恋愛モノですか?」

 

「そうね.....キスシーンもあるし」

 

「え?あるんですか?」

 

「恋愛モノだから当然、あるわよ」

 

「逆に恋愛モノに無かったらアレですもんね。納得です」

 

「ふーん」

 

「どうしました?」

 

「思ってたのと反応が違うと思って」

 

「もっと動揺してほしかったってことですか?」

 

「言わせないでよ.....バカ」

 

「おっふ」

 

不満げに頬を膨らませる先輩の表情にドキッとしてしまう。さすが女優。

 

 

「まぁ、でもキスシーンがあるのは私の役じゃないから」

 

「ん?どういうことですか?まさかメインヒロインの子?」

 

「正解」

 

「動揺しなくて良かったです」

 

したらしたで反応を楽しまれてたかもしれんしな。

 

もしかして性格が少しだけ悪かったりするのか?

 

 

 

「もうすぐ昼休み終わりますね」

 

「そうね。久しぶりに楽しめたわ。ありがとう」

 

「こちらこそ。先輩のいい表情とか見れたのでよかったです」

 

「....それは忘れなさい」

 

「善処します」

 

「じゃあ、私は行くわね」

 

「今日はありがとうございました。ドラマ撮影頑張ってください」

 

「頑張るわ」

 

 

そう言って先輩は自分のクラスへと戻っていく。

 

 

 

((甘い空気(空間)だった))

 

 

 

「比企谷」

 

「どうした、葉山」

 

「ブラックコーヒー持ってないか?」

 

「欲しいのか?」

 

「あの空間にいたら欲しくもなるさ。戸部は終始興奮してたし」

 

「そうか.....」

 

戸部の方をチラッと見ると、目が合いグッと親指を立ててグッとサインをスマイルで送ってくる。嬉しいようなちょっとイラッとするような複雑だった。

 

 

 

「ブラックコーヒー、1本でいいか?」

 

 

「ありがたく頂くよ」(この苦さがちょうどいい)

 

爽やかに葉山をブラックコーヒーを飲んで自分の席へと戻った。

 

やっぱり葉山隼人はイケメンである。異論反論は99%認めない。

 

 

 

 

放課後

 

 

今日は奉仕部に顔を出す日なので、部室へと向かう。

 

 

(今日はいい日だった......ん?あいつは......)

 

階段で顔見知りの女子生徒がいた。

 

(確か.....古賀だったよな?)

 

出会い方は最悪だった。交番に拘束されたこともあった。

今回も関わればまだ何か変なことに巻き込まれる恐れがある。

 

ヒッキースキルで回避しよう。

 

スッ......

 

 

何とか回避し、奉仕部部室に到着する。

 

「うーす」

 

「久しぶりね。比企谷くん」

 

「雪ノ下1人か.....」

 

「由比ヶ浜さんは三浦さん達とアミューズメント施設に遊びに行っているわ」

 

「お前は行かなかったのか?」

 

「私は遠慮したわ」

 

「体力が持たないからか。納得」

 

「そういうことよ。あなたこそ愛しの先輩の所に行かなくていいのかしら?」

 

「これから仕事みたいだからな。今後も会えない日々が続くだろうな」

 

 

「まぁ、人気女優なのだからそれが当然かもしれないわね」

 

 

 

 

 

 

その後は依頼人が来るまで各々の時間を過ごした。

 

 

そして、家に帰ってかえでと夕食を取ったのちこの日を終えた。

 

 

そこまではよかったのだが......

 

 

 

 

「かえで、朝飯出来たぞ」

 

「はーい!」

 

いつも通り、かえでと一緒に朝飯を食べる。

 

ん?この会話前にもしたような.......

 

「なんかお兄ちゃん、楽しそう!嬉しいことでもあったのですか?」

 

「まぁ、色々とな」

 

「そうなんですね!」

 

「あと、かえで。弁当箱を渡しておく」

 

自分用とは別にかえでの分も作った。

 

 

 

 

 

(やはりそうだ。この会話は昨日、6月27日にした会話通りだ。どうなってる?また思春期症候群なのか?)

 

 

 

 

 

「今日のお昼用ですか?」

 

「ああ、昼に食べてくれ。学校に行けた時のために弁当箱での昼飯を食べる練習もいるだろ?」

 

「ありがとうございます!やっぱりお兄ちゃんは優しいです。かえでのお兄ちゃんは世界一です!」

 

「当たり前だろ。じゃあ、俺は学校に行くから自宅警備頼むぞ」

 

「はいっ!いってらっしゃいお兄ちゃん!」

 

 

 

 

いつも通りに電車に乗って通学する。

 

 

その際、日付を確認すると......

 

 

(6月27日か......なぜ、昨日に戻った?)

 

昨日の日付の6月27日だった。

 

 

 

 

この後も昨日の出来事を辿っていた。

 

 

 

 

 

 

国見との絡みから始まり、昼は彼女でもある桜島先輩との楽しい昼休み、そして古賀とすれ違い、部室へと赴く流れ。これは昨日と同じだ。

 

 

 

しかし、これがこの日に留まらず何回も6月27日をループしている。

 

まだ死に戻りとかではないからいいにしてもさすがに6月27日をループし続けるのは嫌だが、先輩に毎日会えるのは嬉しい。両方のせめぎ合いは続いた。

 

 

これはあれだな.....エンドレスエイト(終わらない8月)ならぬエンドレスシックス(終わらない6月)だ。

 

 

3ループ目の朝。

 

 

「双葉、相談したいことがある」

 

「珍しいね。比企谷がこんな朝早くに来るなんて」

 

「また思春期症候群が発生したかもしれない」

 

「今回はどんな事案?」

 

「明日が来ない。永遠に」

 

「.....詳しく聞かせて」

 

 

 

 

 

俺は今起きてる事案を全て双葉に話す。

 

 

 

 

その後、双葉お得意の理論を述べた後....ある説を立てた。

 

 

 

 

「ラプラスの悪魔ね.....」

 

 

色々、事象の説明を受けたが理系はさっぱりなのでお手上げだ。

 

 

「比企谷みたい誰か」

 

「そいつがラプラスの悪魔ってことか」

 

「そういうこと。誰か心当たりあるんじゃないの?」

 

「俺の知り合いは少ないから限られてくる。国見に双葉、葉山に雪ノ下、由比ヶ浜......あ」

 

「その反応だと正体が分かったみたいだね」

 

「ああ」

 

多分だが、由比ヶ浜と声の似ていた1つ下の学年の古賀だろう。

 

「昼休みにでも聞いてみるといいよ」

 

「そうするわ。今回も助かった」

 

「大したことはしてないよ」

 

「今度、飯に行くか。お礼も兼ねて」

 

「桜島先輩はいいの?」

 

「クラスメイトと食事してきますって言えばきっと大丈夫だと思う。俺とが不満なら国見も誘うけど」

 

「別に不満はないけど......」(2人っきりでもいいけど....)

 

「じゃあ、またな」

 

「うん」

 

とりあえず突破口は開けそうだ。

 

 

 

 

昼休み

 

 

 

 

「先輩、すみません。飲み物を買ってくるので窓側の1番後ろの席が自分の席なのでその前に座って待っててくれませんか?」

 

「分かったわ。私はミルクティーでお願い」

 

「分かりました」

 

先輩に一言残して、ラプラスの悪魔のところへ向かう。

 

 

階段の所にラプラスの悪魔、古賀が案の定いた。

 

「今、いいか?」

 

「あ、比企谷先輩....ですよね?」

 

「そうだ。お前に話がある。屋上に移動したいんだが、いいか?」

 

「いいけど....」

 

 

 

 

屋上にて

 

 

 

「話って....なんですか?」

 

「変なことを聞くが.....今日は何回目だ?」

 

「!!」

 

この表情は当たりだな。

 

「比企谷先輩は?」

 

「3ループ目」

 

「私も!良かった、私だけじゃないんだ」

 

「良くはない。一体、これは何だ?」

 

「私も知りません!!先輩こそ、何も知らないんですか!?」

 

「知ってたらお前をここに呼び出してない」

 

「これで助かるかと思ってたのに!!先輩のバカ!!」

 

「俺に言われてもな。それと、ポカポカ殴るのやめてね?」

 

地味に痛い。

 

「ねぇ、比企谷先輩」

 

「ん?」

 

「この先、どけんなると?」

 

「知らん。それと九州の方言出てんぞ」

 

「はっ!?」

 

「それにしても解決策が思いつかんな」

 

どうしたら明日へ進むのか。それが分からん。

こいつはこいつで自分がラプラスの悪魔とは認識、自覚してないし。

 

「何で比企谷先輩はそんなに落ち着いてるの?普通なら慌てるのに!」

 

「何事も冷静でいないと解決出来るもんも出来ないしな。お前が慌て過ぎなんだよ」

 

「やっぱり全校生徒の前で公開告白した人は変人なんだ。変な噂も流れてるのも納得」

 

「おい。当の本人がいる前で失礼なこと言うなよ」

 

お前も大概だと思うけどな。

 

「お前も何か案出せ。明日へ進める案を」

 

「へっ!?」

 

スマホを弄りながら古賀は素っ頓狂な声を出す。

 

「いっちょ分からん」

 

「ちょくちょく方言出るのな」

 

「....全然分かんない」

 

「訂正する必要あるか?まぁ、いいけど」

 

九州の方言は別に嫌いじゃないから言い直す必要はないけどな。

 

「そういえば、お前は階段で何してたんだ?」

 

「あっ!前沢先輩から呼び出しがあったんだった!」

 

「それはどこで?」

 

「屋上」

 

「ここじゃん」

 

「それで比企谷先輩に相談しようか迷ってたんです」

 

「何を?付き添いとかか?」

 

「そんな感じ」

 

「何で?」

 

「多分、告白系の話だから」

 

「好きなら付き合え、嫌いなら断れよ」

 

「どっちも無理」

 

「何でだよ」

 

「前沢先輩は玲奈ちゃんのお気に入りというか憧れの人だから....分かるでしょ?」

 

「何となくな。どうせお前のグループのトップが玲奈って子で前沢先輩とお前が付き合えば、ハブられるのが確定。振ったら振ったで双方からの印象が悪くなるからどっちも選べない感じだろ?」

 

「比企谷先輩ってエスパー!?」

 

「お前の表情見てたらわかる」

 

むしろこの悩みは由比ヶ浜に多少似ている部分があったから予想はつきやすい。

 

「お前の気持ち的にはどうなんだ?前沢先輩のことは好きなのか?」

 

「ううん.....モテる人はいっちょ好かん」

 

「じゃあもう断れよ」

 

「嫌!玲奈ちゃんに嫌われる!ハブられて1人になる!」

 

「そんなん、玲奈ちゃんの方が前沢先輩とお似合いだよとか言っとけば大丈夫だろ」

 

え?そうかなぁ?とかウキウキ顔になるのが目に見えて分かるんだが....

 

「大丈夫じゃない!」

 

今の女子高生の恋愛事情は分からん。複雑なのか?

 

 

「とりあえず俺は邪魔だな。うん」

 

「そこは何とかするから!ここにいて!」

 

「まぁ、いいわ。それよりループを抜け出す糸口を見つける方が先だ。お前、悩みとかあるか?」

 

桜島先輩のように悩みから来る思春期症候群なら早く解決出来るかもしれない。

 

「少し太った」

 

何を言うかと思えばそんなことかよ。

 

太ってる感じは見た感じしない。

 

 

「気のせいだな。普通の女子高生の体型だ。だから気にするな」

 

「そう....かな?」

 

「大丈夫だ。古賀は可愛い部類に入るからな」

 

まぁ、先輩やかえでほどではないがな。

 

「可愛いって言うな!」

 

じゃあどうしろと?

 

「あっ!もうすぐ前沢先輩が来る」

 

「俺はどうすれば?」

 

「比企谷先輩と私は幼馴染の設定にして、付き添いでいるみたいな感じで押し切る!これでどうですか?」

 

「お前、福岡からの転校生だろ。幼馴染案却下」

 

「あっ!」

 

由比ヶ浜同様、古賀もアホの子だった。

 

「まぁ、古賀の付き添いとか適当に言っとくわ」

 

「それで大丈夫!後は何とかする!」

 

まぁ、時を見計らって屋上を去るか。これは古賀と前沢先輩の問題だし。俺がいてもどうしようもない。

 

そして、屋上に前沢先輩という人がやってくる。一言でいえばチャラいやつ。戸部以上。

 

「誰、お前?」

 

まぁ、そうなるわな。

 

「ただの付き添いでいるだけなんでお気になさらず」

 

「普通に気にするんだけど、どっか行ってくれないか?」

 

「分かりました。古賀、頑張れよ」

 

「話が違うじゃん!?」

 

「健闘を祈るわ」

 

さすがにこれ以上はこの場所に入れないので、ミルクティーとコーヒーを買って先輩の待つ教室に戻った。

 

 

 

 

「比企谷くん。遅いわよ」

 

「すいません。ちょっと知り合いと話をしてて遅れました」

 

「そう....ならいいわ。早く食べないと昼休みが終わるわ」

 

「そうですね」

 

 

 

そして、3ループ目の先輩との昼食を摂った。(また至高のひとときでした。感謝)

 

 

これで、ループが終わってくれれば何の問題もない。

 

 

 

 

 

 

翌日。

 

 

「何とか6月28日を迎えたか」

 

やはり古賀がラプラスの悪魔だったか。

 

3ループ目、密に古賀と接触したためにループを抜け出すことが出来たのだろう。1〜2ループ目は古賀との接触シチュエーションもなかったしな。

 

とりあえず、あの屋上の件がどうなったか今度会った時にでも聞くとしよう。

 

 

土曜日なので、午前中に学校。ここからファミレスのバイトに行く。

 

 

 

 

 

ファミレス 事務所。

 

 

「おっ、八幡。今日は一緒のシフトだな」

 

「久しぶりにな。.......国見に聞きたいことがある」

 

「なんだ?」

 

「前沢先輩って知ってたりするか?」

 

「陽介先輩な。もちろん知ってるよ。バスケ部で一緒だし、上手いしモテるぞ」

 

「ほーん。他には?黒い噂とかないのか?」

 

「八幡はそういうの好きだよな。まぁ、言いたくはないけど.....女関係はかなりやばい。昨日の部活帰りに今の彼女はヤらせてくれないからもう別れるとは言ってた。その前に付き合ってた人のこともボロクソに言ってた。ああいう人にはなりたくないって思ったよ」

 

「国見がそこまで思うとは....その先輩は結構クズだな。ん?前沢先輩は今、彼女いんの?」

 

「いるよ。別の学校の3年。かなり可愛い彼女らしい」

 

「お前の彼女よりもか?」

 

「それはない。俺の彼女の方が可愛い」

 

「そうか......」

 

それはなにより。本当に好きなのが伝わってくる。

 

それより、前沢先輩の方だ。今の彼女もいるのに古賀にアタックする。二股をかけようとしている?身体目当ての可能性もある。要注意人物リストに入れておいた方が良さそうだ。

 

 

「そういえば、今日から新人が入るみたいだぞ」

 

「よし。これで少しは楽になりそうだな」

 

「新人に色々と押し付けるなよ?」

 

「分かってるよ」

 

物分かりのいい奴だったらだいぶ楽、出来るんだけどな。

 

「国見くん、比企谷くん。ちょっといいかしら?」

 

チーフから新人の紹介を受けたのだが.....

 

「今日から入ってもらう。古賀さんです」

 

「古賀.....」

 

「!」

 

よりによってここでも関係を持ってしまうのか?これもラプラスの悪魔効果だろうか?

 

「古賀朋絵です。よろしくお願いします」

 

「よろしく、俺は国見佑真。こいつが比企谷八幡。同じ2年なんだ」

 

 

「ここでも会うとはな」

 

「ん?知り合いなのか?」

 

「顔見知りってやつだな」

 

「比企谷先輩がファミレスでバイトしてるの、なんか意外。眼鏡もかけてるし」

 

「こいつに誘われてバイトやってるだけだしな。眼鏡はバイトの先輩に付けてほしいって言われて付けてるだけだ」

 

目つきが怖いからだろうな。

 

「それなら納得」

 

「知り合いならちょうどいい。比企谷が古賀さんに色々と教えてあげたら?」

 

「めんどい。国見に任せる」

 

「やれやれ。2人で教えるぞ。古賀さんもそれでいい?」

 

「はい!お願いします」

 

色々とトラブル(皿を落としそうになる)があったがなんとか様にはなってきていた。

 

 

 

カランカランとドアの開く音がするので接客へ入る。

 

「俺が行くわ」

 

「八幡、頼んだ」

 

 

 

「3名様でよろしかったでしょうか?」

 

 

「あ.......はい」

 

 

「ここだよ、朋絵が働いてる店」ボソッ

 

 

なるほど、こいつらが古賀の友達か.....真ん中にいるやつが中心人物。玲奈っていうやつだな。アレだ。三浦グループみたいなやつ。グループ形成が多少なりとも似ている気がする。

 

それよりなんかジッと見られてんな。早く撤退しよ。

 

 

「席はこちらになります。おしぼりとお冷です。注文がお決まり次第、ボタンでお知らせください。それでは失礼致します」

 

 

「すいません」

 

しかし、呼ばれてしまったため撤退が出来なかった。

 

 

「なんでしょうか?」

 

「あなたは比企谷先輩ですよね?」

 

「そうですが.....それがどうしました?」

 

「朋絵とどんな関係なんですか?」

 

「バイト先が同じだけですが、それがどうしました?」

 

「学校での話です」

 

「顔見知り以上友達未満です」

 

「そうですか.....最後に、あの噂は本当なんですか?」

 

「噂ですか?」

 

「病院送りと文化祭の件です」

 

「病院送りの件は妹のためにしただけです。文化祭は概ね噂通りで合ってますよ」

 

今更聞いてどうするのだろうか?

 

「そうですか。ありがとうございます」

 

「それでは失礼致します」

 

 

 

 

 

 

「おい、古賀」

 

「何?先輩」

 

「お前のグループの奴ら来てんぞ」

 

「ええっ!来ないでって言ったのに」

 

教えたら来るだろ.....

 

「とりあえず後の接客は頼んだ。知ってるやつの方がやりやすいだろ」

 

質問攻めはもうゴメンなので古賀に託した。

 

 

 

 

 

夜。バイト帰り。

 

 

帰る道が同じかつ夜道に女子1人で帰らせるのは悪いとのことで国見の発案の元、俺と古賀は一緒に帰ることとなった。

 

 

 

「古賀、あの屋上の件はどうなった?」

 

これはどうしても聞いておかなければならない案件なので、古賀に問いかける。

 

「断れなくて......保留になってます」

 

「付き合う選択にしなくて正解だったな」

 

「え?」

 

「あの人、彼女持ちだぞ」

 

「そうなんですか!?」

 

「ほぼ間違いない。よかったな」

 

「私はいいですけど、玲奈ちゃんが......」

 

「仮に前沢先輩が好きなんだとしたら早めに新しい恋を探す方がいいだろうな。それより、あいつらからの質問攻めはかなりキツかったんだが」

 

「う....ごめんなさい」

 

「まぁ、でも大事にされてる感じがあったからよかったな。お前のことが心配だったんだろうな」

 

「そうでしょうか?」

 

「そうだろ。とりあえず、前沢先輩の件は断る決断を早くした方がいい。これは先輩からの忠告だ」

 

「はい。そのことで先輩に相談が....」

 

「ごめんなさい」

 

「まだ何も言ってないよ!?」

 

「どうせ面倒事だろ」

 

「それはそうだけど....先輩しか頼れる人いないし....」

 

「結局のところ、お前は前沢先輩からの好意を自分から外したいんだな?」

 

「うん....」

 

「断るしかないって。あなたのことは好きじゃないって」

 

「そんなことしたら私.....1人になる。クラスに居場所がなくなる」

 

「1人の何が悪い?周囲に気を遣うこともなければ好きなことも出来る。最高だぞ?前までの俺はそうしてた。1人の方が楽だからな」

 

「それは先輩だけだよ。私は嫌」

 

「何で?」

 

「だって1人は.......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.........恥ずかしい。みんなから【あいつまた1人だ。いつも1人じゃん】って笑われるのは嫌。絶対耐えられない」

 

 

 

「!」

 

 

 

古賀の「1人は恥ずかしい」という言葉であの出来事、シーンが鮮明に蘇る。

 

 

 

 

 

 

【1人は恥ずかしいよ。お兄ちゃん】

 

 

嫌な過去を思い出させるなよ。かえでが泣きながら俺に訴えてきたあのシーンがフラッシュバックする。

 

 

「はぁ......仕方ない。今回だけだからな」ポン

 

「え?」

 

「お前の願い、聞いてやる」

 

「本当ですか!?」

 

「とりあえず、前沢先輩がお前のことを諦めるようにすればいいわけだよな?」

 

「出来れば玲奈ちゃんの方に意識を向けれたら大丈夫なはず」

 

「そこまでは彼、彼女ら次第だが.....こっから先は俺だけでは解決出来そうもない」

 

「え?」

 

「だから、お前の願いを手助けしてくれる.....ある部活を紹介してやる。一応、俺はそこの部員だから」

 

「何部なんですか?」

 

「奉仕部」

 

「奉仕!?身体で払うみたいな!?」

 

「そんな部活即廃部だ。簡単に言うとお悩み相談、お悩み解消の手助けを行う部活だな」

 

「なんか凄そう」

 

「月曜日の放課後にどっかで待ち合わせるか」

 

「じゃあ、連絡先教えてよ。先輩」

 

「ああ」

 

古賀と連絡先を交換した。とりあえずは前沢先輩をどうにかするしかない。

 

「じゃあ、また月曜日にね」

 

「おう」

 

「本当にありがとう先輩」

 

「お礼はまだ早い。これからが勝負だぞ」

 

「うん!」

 

 

 

早くこの依頼が解決し、平穏な生活に戻れれば最高......とはいかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

なぜなら......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私という彼女がいながら.....早速、浮気かしら?比企谷くん」

 

「え?」

 

あの現場を俺の彼女である桜島先輩に見られてしまったのだから.......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー Next ー

 

 

 

 

俺の家にて.......

 

 

「ちゃんと説明してくれるわよね?」

 

「どこから話ましょうか......」

 

 

 

ーーー

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

 

「後、浮気相手の頭を撫でていたのも何故かしら?」

 

「え?」

 

 

「.....私なんて一回もしてもらったことないのに....」

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

「雪ノ下、1つ依頼がしたい」

 

「久しぶりね。貴方からの依頼。内容は?」

 

 

 

 

 

 

次回、先輩の弁明と奉仕部への新規依頼で彼、彼女の物語が再び動き出す。

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々、ありがとうございます。



今回は桜島麻衣先輩ルートエピローグ、古賀朋絵編の導入となります。

原作とは違った解釈のもとストーリーが展開されております。

次回は奉仕部の力を借りて、古賀朋絵の依頼解決に動き出します。その前に桜島麻衣先輩への弁明回(潔白証明回)からとなります。



それでは、次回もよろしくお願い致します。



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[ 狛井蓮季編 ][ 寄宿学校のジュリエット ]
第1話


最新作として「寄宿学校のジュリエット」より狛井蓮季versionをお送りします。原作は俺ガイルで進めていきます。(俺ガイル原作で寄宿学校のジュリエットのキャラが登場する形です)

ご都合主義、原作改変でお送りします。


それでは、今回もよろしくお願い致します。


 

 

「お兄ちゃん!あーん、するんだゾ!」

 

「」ジトー

 

「」ジッ...(私達も比企谷くんにあーんとかしてみたいなぁ...)

 

「ヒッキー....」

 

「いや、自分で食べれるから...」

 

昼休み。ただ今、主人公こと比企谷八幡は妹に愛され過ぎて困ってます。なんかどこかの映画のタイトルみたいだな。まぁ、そんなことはどうでもいいんだ。それより飯ぐらい自分で食べるからあーんとかやめてくれ。それにクラスメイトからの視線がヤバい。特に男子の視線。嫉妬系の視線がガンガン俺の身体に刺さる。女子からの視線も感じるが、男子程ではないので気にしていない。

 

「ダメだゾ!」

 

「むぐっ....」

 

強引に妹である蓮季に飯を口の中に入れられる。入れ方は強引だが、飯はめちゃくちゃ美味い。

 

「美味しい?お兄ちゃん?」

 

「ああ、美味いぞ」

 

「よかった...じゃあ、お兄ちゃん!もう1回あーんするんだゾ!」

 

「まだ、あるのか...」

 

この後も妹の蓮季にあーんを10回程された。1回1回、される毎に男子からの痛い視線が半端なかった。本当、大迫半端ないって!って感じのレベルでな。もうこれっきりにしてほしいと思った俺ガイル。

 

「また、放課後に来るんだゾ!」

 

「はいはい、わかった」

 

昼休みが終わりに近づいたので妹の蓮季は自分の教室である1-Cに戻っていった。

 

「ふぅ...やっと帰ったか」

 

「「比企谷!!」」

 

「うおっ!」

 

妹の蓮季が去った途端、クラスメイトの男子が俺に詰め寄ってきた。

 

「あの可愛い1年は誰なんだ!なんで、何回もあーんしてもらってんだよ!羨ましい過ぎなんだよ!」

 

「近い近い。少し離してくれ...あれは俺の妹の蓮季だ。「あーん」の件は知らん。妹が勝手にしてくるだけだ」

 

「あの可愛い子が比企谷の妹だと!けしからん!」

 

いちいち、俺の前で騒ぐなよ。耳がキーンとなるだろ。

 

「おい、静かにしろ。比企谷が困ってるだろ」

 

「丸流...」

 

珍しくクラスメイトであり、たまに話すだけの関係である丸流が注意していた。明日は雨か?大雨だな...

 

「比企谷、「あーん」の話は本当なのか?」

 

「本当だが、どうした?妹に辞めてくれるように頼んでくれるのか?」

 

「違う。妹の代わりに俺があーんしてやろうか?」

 

「マル×ハチ!キマシタワ〜!」

 

「なんでそうなる。お前の「あーん」も尚更要らんわ」

 

「えっ....」

 

ガチで落ち込むなよ。お前男だろ。男からする「あーん」なんて気持ち悪いだけだろ。誰得だよ。

 

「マル×ハチが...」

 

「姫菜、しっかりするし!」

 

丸流の他にも誰が落ち込んでる女子がいるな...まぁ、ほっとこう。触らぬ神に祟りなしというし。

 

 

そして昼休みが終わるチャイムが鳴り、丸流は自分の席に戻っていった。その足は重たそうだった。

 

 

「はぁ...疲れる」

 

「八幡くん、大丈夫?」

 

「ああ、ペルシアか。大丈夫だ」

 

今、俺に話しかけてきたのは俺の隣の席に座る女子生徒ペルシアだ。彼女はこの総武高校で1位の人気を誇っている。親衛隊もあるほどらしい。俺との関係は中学からのクラスメイトだ。これで5年連続同じクラスである。

 

「今日も妹さんが来てたわね」

 

「ああ、そのせいで今日は散々な目に遭った」

 

「でも、いいんじゃない?賑やかで」

 

「賑やかっていうより、騒がしいだろ。アレは」

 

「そうかな?」

 

「そうだろ」

 

「八幡くんが言うならそうなんだろうね。でも、「あーん」ぐらい許してあげたら?男の子だったら嬉しいものなんじゃない?」

 

「俺以外の男子はな。俺にはハードルが高すぎる。だから俺に「あーん」など必要ない」

 

「そう...」(私も八幡くんにあーんしてみたかったのになぁ...)

 

「ん?どうした?」

 

「なんでもないよ」

 

「皆、私語をやめて前を向け。今から授業を始める」

 

俺とペルシアが話していると既に現文担当の平塚先生が教卓に立っていた。俺とペルシアは話をやめて平塚先生の方を向いた。

 

 

 

 

そして、午後の授業をこなして放課後...

 

 

「やっと、授業終わった...」

 

「八幡くん、お疲れ様。今日の数学の時間は珍しく起きてたわね」

 

「ああ、珍しく起きてたわ。俺もびっくりしてる」

 

「本当なら毎回起きてないといけないけどね」

 

「まぁな...」

 

「それで...八幡くんは今日、この後どうするの?」

 

「妹と帰るだけだが?」

 

「一緒に帰ってもいいかしら?」

 

「まぁ、俺はいいけど...」

 

「ダメだゾ!」

 

「うおっ!びっくりした。おい、蓮季。いつからそこに居た?」

 

「さっきだゾ!」

 

「普通に出てこい。ってか、なんでペルシアと帰っちゃいけないんだ?」

 

「それは...」(そんなのお兄ちゃんと2人きりで帰りたいに決まってるんだゾ)

 

「蓮季ちゃん、八幡くんと一緒に帰ってダメかしら?」

 

「うーん...」

 

「蓮季良いよな?」ナデナデ

 

中々、蓮季は返事をしないので、俺は蓮季の頭に手を置き再度、そう聞く。

 

「お兄ちゃんがそういうなら...いいゾ」(お兄ちゃんのバカぁ!)

 

「じゃあ、帰るか」

 

「そうね」

 

「ううっ...」(2人きりがよかったゾ...)

 

こうして俺とペルシア、蓮季の3人で帰ることとなった。

 

 

 

一方で

 

「どうしたんすか?丸流の兄貴」

 

「比企谷に一緒に帰ろうぜって言い損ねた」

 

「比企谷の妹とペルシアが八幡と一緒にいるんじゃ難しいそうっすね」

 

「もう、俺帰る!」

 

「待ってくださいよ!兄貴!」

 

 

丸流とその仲間は八幡の後に教室を出て帰っていったのだった。

 

 

 

...続く

 

 

 

 

 

ー 軽い設定 ー

 

・比企谷八幡 (本作の主人公)

 

総武高校2年。蓮季のお兄ちゃんで、シスコン。蓮季にいつも振り回されてばかりいる。奉仕部入部は未定。

 

 

・狛井蓮季(本作での苗字は比企谷)

 

本作のヒロイン候補。総武高校1年。お兄ちゃん大好きっ子。常にお兄ちゃんと一緒に居たいと思っている。1年の中で1番可愛い女子であり、同学年、上級生の男子から好意を寄せられているが、お兄ちゃんが1番大好きな為、相手にしていない。八幡と同学年のペルシアに敵意を向けている。理由としてはお兄ちゃんを取られるのではと警戒しているため。

 

・ペルシア (ヒロイン候補)

 

総武高校2年。総武高校で男女問わず1番人気。親衛隊(親衛隊長はスコット)があるほどの人気ぶり。本人は親衛隊があるとは知らない。

八幡とは中学からのクラスメイトで、好意を寄せている。理由は後々のお話で語られる。

 

 

・丸流

 

総武高校2年。八幡とは中学からのクラスメイト。八幡と絡みたいと思っているが蓮季とペルシアなどに妨害され、絡めていない。

 

 

・犬塚

 

総武高校1年。狛井蓮季親衛隊隊長。蓮季に恋をしているが...ゴールインには程遠い。

 

 

他の俺ガイルキャラ・寄宿学校のジュリエットキャラも今後、出す予定。

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

それでは、次回もよろしくお願い致します。


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[ システィーナ=フィーベル編 ][ ロクでなし魔術講師と禁忌教典 ]
第1話


比企谷八幡の妹チェンジシリーズ最新作はロクでなし魔術講師と禁忌教典からシスティーナです。
ルミアと迷いましたが、書きやすさを考慮しましてシスティーナに選びました。ルミアはヒロイン候補ということで執筆していきます。


本作品は原作改変でお送りしています。

それでは、今回もよろしくお願いします。



 

 

ー ハチマン side ー

 

 

 

 

とある朝、室内にて...

 

 

2人の男が今後について話している。

 

 

 

「ハチマン、今日をもって君を帝国軍宮廷魔導師団を除隊する許可を与える」

 

「ありがとうございます」

 

俺は13歳から10年間、帝国軍宮廷魔導師団に入り帝国に敵対する国々と戦ってきた。実績・功績は非常に良いものだったらしく、上(上層部)は俺が軍を抜けるのは痛手らしい。だが、俺の人生の全てを軍に捧げるほど俺は優しい奴じゃない。俺にもこれからの人生があるわけで...

だから俺は10年間、所属していた帝国宮廷魔導士団特務分室を辞める決断をした。ちなみに上司に除隊する旨を伝えたのは7日前だ。かなり俺の進退について協議したものだと俺は推察した。

 

「君が軍を抜けるのは寂しいが、君にもこれからの人生がある。頑張りたまえ」

 

「はい」

 

「話は以上だ。下がりたまえ」

 

「はい。失礼しました」

 

俺は部屋を出て、帝国宮廷魔導士団の寮の自分の部屋に戻り荷物をまとめ寮を出る。すると、そこには...

 

「よう、ハチマン。声もかけずに去ろうとするなんて水臭いじゃねーか」

 

「グレンの言う通りだ。ハチマンはいつもそうやって黙ってどっか行こうとする...」

 

「ハチマン、本当に除隊しちゃうの?」

 

 

帝国宮廷魔導士団特務分室で一緒だった、同僚のグレンとアルベルト、そして妹のように可愛がっていたリィエルの姿があった。

 

「なんだ、お前らか。別に上司から俺が除隊する話は聞いてるだろ?」

 

「そうだけど...長い間、同じ特務分室に所属してた仲だろ?別れの挨拶ぐらい必要だろ」

 

「グレンに同意だ」

 

「ったく...」

 

「ハチマン、元気にやれよ」

 

「それはグレンだろ?まぁ、俺の方はうまくやるさ、グレンの方こそ頑張れよ」

 

「ハチマンに言われなくてもな」

 

そう言って、グレンは寮へと戻っていった。

 

「俺からも一言だけ...」

 

「ん?」

 

「軍を辞めても...ちゃんと働けよ。専業主夫とか変な夢は早々に捨てることだ。じゃあな」

 

「ああ...」

 

アルベルトも寮へと戻っていった。

 

この場には俺とリィエルしかいない。リィエルはずっと下の向いたままだ。

 

「リィエルは俺に何か言うことがあるのか?」

 

「................」

 

 

リィエルは俺の問いには答えず、下を向いたままだった。

 

「じゃあな、リィエル。頑張れよ」ポン

 

俺は下を向くリィエルの頭に手を置き、そう言ったのち歩き出す。

 

「待って!」

 

「ん?」

 

「行かないで.....」

 

「どうした?」

 

「私の元から居なくならないで」ギュッ

 

リィエルは俺にしがみつきそう呟く。

 

「居なくなったりはしない。たまにはリィエルやグレン、アルベルトに会いに行くから...な?心配すんな」

 

「ほ、ほんと?」

 

「当たり前だ。だから泣くな。可愛い顔が台無しだぞ」

 

「う、うん!」

 

「じゃあ...俺は行くからリィエル、元気でな」

 

「ハチマンも元気でね」

 

「おう」

 

 

俺はリィエルと別れ、自分の家に向かう。

 

 

 

「やあ、ハチマン。お別れの挨拶は終わったかね?」

 

 

その際にセリカ=アリフォネア教授から声をかけられる。俺とセリカ教授の接点はかつてセリカ教授が帝国宮廷魔導士団特務分室に在籍していた時の上司と部下の関係だった。今はどこかの学院で教授をしていると聞いている。でも何でこんな早朝にここ(寮近くに)いるのか俺には分からなかった。

 

「セリカ教授、どうしたんすか?こんな朝早くに」

 

「軍を除隊したハチマンに話があってな。いいかね?」

 

「まぁ、いいですけど」

 

「急ではあるが、ハチマンに仕事を持ってきた。除隊後の就職先はまだだったよな?」

 

「ええ、軍に所属してた時の給料とかを貯めてたんでそのお金でゆっくり過ごそうかなと」

 

「そうか、そうか。それならちょうどいい。ハチマンは今日付でアルザーノ帝国魔術学院の非常勤講師として働いてもらうことになったからよろしく頼む」

 

は?ちょっと待て!俺はゆっくり過ごそうって思ってたんだけど!何してくれちゃってんの。

 

「急すぎません?非常勤講師とかでも手続きとかもあるし、すぐには教師にはなれないでしょ」

 

「それについては大丈夫だ。1週間前にハチマンが除隊する旨を伝えたことを同僚から聞いていてな。その時から密かにハチマンが学院の非常勤講師出来るように準備していた。その際、当然ながら上層部は反対していたが、私が説得した。だから、ハチマンの除隊する許可が出たのが少しばかり遅れていたのさ」

 

なるほどな。どおりで1週間も回答がなかった訳か......

 

「その話は俺の両親は知ってるんですか?」

 

「もちろん、話してあるさ。よろしくお願いしますって回答も得ている」

 

なるほど、俺には逃げ道はなさそうだ。専業主夫の夢は潰えてしまったようだ。

 

「分かりました。セリカ教授の言う通りにしますよ」

 

「それじゃあ、家に荷物を置いてから学院の理事長室に来てくれ。話が終わった後は、授業を1限の途中から2-2のクラスでしてもらうからな」

 

「授業は教科書通りに進めればいいですよね?」

 

「それで構わない。それと服装についてだが、制服が君の自室に教科書と共に置いてあるからそれを着てくれ」

 

「分かりました」

 

「それじゃあ、私は学院に行くのでハチマンもなるべく早く来るように」

 

 

そう言ってセリカ教授は学院の方へ向かっていった。

 

「俺も早く家に帰るか」

 

俺も自分の家へと急いだ。

 

 

 

 

 

AM 8:00

 

 

 

「ただいま」

 

俺は10年ぶりに自分の家の中へ入る。すると、そこには...

 

「おかえり。大きくなったな、ハチマン」

 

「本当にね...」グスッ

 

父と母の姿があった。

 

「悪いけど...俺、急ぐわ」

 

「知ってるさ。教師、頑張れよ」

 

「ああ」

 

俺はそう言って、自分の部屋に入りセリカ教授に用意してもらった制服を着て、下に降りる。

 

 

「それじゃあ、いってきます」

 

「おう、頑張れよ」

 

「いってらっしゃい」

 

俺は父と母に見送られ、家を後にしアルザーノ帝国魔術学院に向かった。

 

 

「システィーナは驚くだろうな。自分のクラスの担任がハチマンに代わると知ったら」

 

「そうね」

 

「それじゃあ、僕達も仕事をしようか」

 

「ええ」

 

ハチマンの父と母はそう会話し、自分の仕事場へと向かっていったのだった。

 

 

 

「やっぱりアルザーノ帝国魔術学院はデカイな...」

 

俺は20分程でアルザーノ帝国魔術学院に着いた。建物は大きく立派だった。俺が通ってた時よりデカイ気がする...

 

「すみません。ハチマン=フィーベルですけど...」

 

まず、俺は校門前の警備員に声をかける。

 

「はい、セリカ=アリフォネア教授から話は聞いております。理事長室は私が案内しますのでついてきてください」

 

「ありがとうございます」

 

俺は警備員の後を歩き、理事長室に向かう。

 

「こちらが理事長室になります」

 

「どうも」

 

「それでは私は失礼します」

 

そう言って警備員は戻っていった。俺は理事長室をノックし部屋に入った。そこには理事長と思われる人とセリカ教授がいた。

 

「やっと来たな」

 

「待っていたよ。ハチマン君」

 

「どうも」

 

「私がアルザーノ帝国魔術学院の理事長のリック=ウォーケンだ。君のことはセリカ君から聞いているよ。軍のエースだったとか」

 

「まぁ、昔の話ですよ」

 

「ふむ。それで急な話ではあったが、非常勤講師を引き受けてくれてありがとう。早速だが、2-2のクラスに行ってほしいのじゃ」

 

「はい。それじゃあ、2-2に向かいます」

 

「頑張ってな、ハチマン君」

 

「頑張るんだぞ、ハチマン」

 

「わかってますよ」

 

俺は理事長とセリカ教授に言ったのち、理事長室を出て2-2のクラスへと向かった。

 

 

「ここか...」

 

俺は2-2の教室に着き、一呼吸置いたのち入った。

 

「遅れてすまんな。授業を始める」

 

「え⁉︎お、お兄ちゃん!」

 

「は?」

 

「「「え〜〜!!!」」」

 

2-2のクラスに俺の妹であるシスティーナ=フィーベルの姿があった。謀ったな、セリカ教授。それにしても、10年ぶりかシスティーナの顔を見るのは...ますます可愛くなってんなぁ...

 

「あ、あの人は...」

 

そして、妹のシスティーナ=フィーベルの隣にかつて軍のエース時代に助けた少女でアルザーノ帝国第2王女のエルミアナ=イェル=ケル=アルザーノ(ルミア=ティンジェル)の姿もあった。

 

 

 

ー ハチマン side out ー

 

 

 

 

ー システィーナ side ー

 

 

私には夢がある、おじいちゃんが叶えられなかった「メルガリウスの天空城の謎」を私が解くこと。それには魔導考古学者にならないといけない。だから私はその夢に向かって勉強している。それともう一つ、私の尊敬する大好きなお兄ちゃんに私の成長した姿を見せることだ。お兄ちゃんは私が小さい頃に色々と魔術のことやこの世界のことを教えてくれた。その影響もあってか魔法や魔導のことをもっと知りたいと思った。そして、もっと魔法のことなどをお兄ちゃんに教えてもらおうと思ったのにお兄ちゃんはいつのまにか姿を消してしまった。お母さんやお父さんにお兄ちゃんはどこにいるのかと聞くと...

 

「システィーナ、お兄ちゃんがどこにいるかお父さんからは言えない」

 

そうお父さんに言われた。

 

「でも、システィーナ宛にお兄ちゃんから手紙を預かってる。読んでみるといい」

 

そう言って、お父さんは私にお兄ちゃんからの手紙を渡してくれた。

私は自分の部屋でお兄ちゃんからの手紙を読んだ。

 

 

「俺の超絶可愛い妹、システィーナへ

 

お兄ちゃんはしばらく家には帰ってこない。ある人に軍に入らないかと誘われてな。お兄ちゃん、その誘いを受けることにした。その事をシスティーナに言わずに家を出ていったのは悪いと思ってる。もしその事を話すと、システィーナは間違いなく反対すると思って敢えて話してない。すまんな。それと...システィーナが魔法や魔導について興味を持ったとき、お兄ちゃんは嬉しかった。もっと魔法や魔導について話してやりたかったが、それは出来なさそうだ。

だから、学校でしっかりと魔法や魔導の事を学んでこい。

そして、成長した姿をいつの日かお兄ちゃんに見せてくれ。それと無理せずに頑張れよ。 お兄ちゃんより」

 

 

「お兄ちゃんのバカ、私が反対するわけないじゃない...」

 

 

「いつの日か必ず、お兄ちゃんに私の成長した姿を見せて文句の一つや二つ言ってやるんだから」(それと、お兄ちゃんに全然甘えれなかったからいっぱい甘えてやるんだから)

 

 

私はこの手紙を読み終え、成長した姿をいつ会えるかわからないお兄ちゃんに見せつけると心に誓ったのだった。

 

 

 

 

それから10年の月日が経ち、私はアルザーノ帝国魔術学院の2年生になっていた。そして、いつものように学校に向かい2-2の教室に入り1限の授業が始まるのを待っているんだけど...

 

「どうしたの、システィ。ヒューイ先生が辞めたこと、まだ気にしてるの?」

 

「まぁね。教え方が良かったのもあるから」

 

「システィはヒューイ先生が好きだったもんね」

 

「そんなんじゃないわよ!」

 

「はいはい...」

 

むぅ...ルミアは勘違いしてるなぁ...ヒューイ先生は教え方が良かっただけなんだけど。

 

私はルミアとそう話していると...

 

「みんな、席につけ」

 

セリカ=アルフォネア教授がやってきた。

 

「ヒューイ先生の後任の先生の到着が遅れているから各自、自習するように」

 

セリカ=アルフォネア教授はそう言って、教室を後にした。

 

「初日早々に遅刻かよ」

 

「ダメですわね...」

 

「ある意味、大物の先生かもな」

 

ザワザワザワザワ

 

クラスメイトは後任の先生のことで話が盛り上がっており自習なんてしていなかった。

 

「後任の先生、どうしたんだろうね」

 

「さあ?」

 

私とルミアも後任の先生の話をしばらくの間していると...

 

「遅れてすまんな。授業を始める」

 

 

やっと後任の先生が来た。その人物が意外な人だった。

 

 

「え!お、お兄ちゃん!」

 

そう、後任の先生が私のお兄ちゃんだったのだ。え?何で?軍の仕事はどうしたの!と私は心の中で思っていた。

 

「は?」

 

お兄ちゃんは私と目が合うなり、驚いていた。驚いているのは私の方なんだけど!とは口に出しては言えなかった。

 

 

「「「え〜〜!!!」」」

 

クラスメイトのみんなは私の発言にびっくりしていた。

 

「あ、あの人は...」

 

一方でルミアはお兄ちゃんの方を見て固まっていた。

どこかで会ったことがあるのだろうかと思いつつ、私はルミアとお兄ちゃんを交互に見ていたのだった。

 

 

 

 

ー システィーナ side out ー

 

 

 

 

...続く

 

 

 

 

ー 軽い設定 ー

 

 

・ハチマン・フィーベル

 

フィーベル家の長男。13歳の時、セリカ=アルフォネア教授に勧められて帝国宮廷魔導士団に入隊し特務分室に配属。その際、グレンとアルベルトに出会ったのち数年後にリィエルが保護され特務分室で一緒に活動するようになる。執行官ナンバーは非公開。そして、現在はアルザーノ帝国魔術学院の非常勤講師(後に正式な講師)として働く。そこには妹のシスティーナがいて....かつて、アリシア7世から頼まれ助けた第2王女のルミアの姿もあり...波乱の生活が待ち受ける。

 

 

 

・グレン=レーダス

 

帝国宮廷魔導士団特務分室に所属。原作とは違い、現在でも所属している。過去にとある事件で同僚を失い、除隊する決断までしていたがハチマンとアルベルトの説得により除隊するのを辞め、今でも在籍中。仲間が2度と殺されないように日々、鍛錬をアルベルトと共にしている。

 

・アルベルト=フレイザー

 

ハチマンと同じ特務分室に所属。ハチマンとグレンにはいつも手を焼かされている。軍を抜けたハチマンが専業主夫になっていないか常に心配している。だが、ハチマンがアルザーノ帝国魔術学院の非常勤講師をしていると知りホッとしている。後は基本的に原作通り。

 

 

 

・リィエル=レイフォード

 

ヒロイン候補の1人。ハチマンと同じ特務分室に所属する魔導士。ハチマンの妹的存在。ハチマンが軍を除隊した際は落ち込んでいた。ハチマンが去った後もグレンとアルベルトと共に任務にあたっている。後は基本的に原作通り。

 

 

・システィーナ=フィーベル

 

フィーベル家の令嬢でありハチマンの妹。そしてお兄ちゃん大好きっ子。夢に向かって頑張るひたむきな少女。後は基本的に原作通り。

 

 

・ルミア=ティンジェル

 

システィーナの家に下宿している美少女である。

彼女の名前には別名があり、(アルザーノ帝国第2王女)エルミアナ=イェル=ケル=アルザーノである。妹のシスティーナと間違われて誘拐に会い、軍のエース時代だったハチマンに助けられる。その際、ハチマンに何があっても君を守り抜くし力になると言われ、それ以来ハチマンを慕うようになりアルザーノ帝国魔術学院で再会し、彼女の物語が加速し始めることに...もちろんヒロイン候補の1人。

 

・他のロクでなしキャラも登場予定。俺ガイルキャラは未定です。

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

いきなり展開でハチマンを非常勤講師にしています。

それと年内投稿はこれが最後です。今年1年ありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願い致します。

それでは、年明けにお会いしましょう。


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第2話


お待たせ致しました。第2話です。

それでは、今回もよろしくお願い致します。


 

 

 

 

 

 

「とりあえず、静かにしろ。授業時間中だ」

 

「「はい!!」」

 

「遅れてすまない。前任のヒューイ先生に代わり、今日から非常勤講師ではあるが...2-2の担任を受け持つことになったハチマン=フィーベルだ。よろしく頼む」

 

「よろしくお願いします!」

 

(目は怖いけど、かっこいい先生じゃない?)

 

(ヒューイ先生よりイケメンじゃない!?)

 

 

「何で、お兄ちゃんがここにいるの!!!」

 

「そこの白猫、静かにしろと言っているだろ」

 

「白猫!?」(久しぶりにお兄ちゃんと再会したのに、その言い草はないでしょ!!!)

 

ここでは家族との関係ではなく、先生と生徒だ。そこの区別はしっかりしないとな。でも、とっさにシスティーナを白猫と呼んでしまったな。

 

「とりあえず、自己紹介はこれぐらいにする。何か質問などはあるか。時間は余りないので3人までとする」

 

「はい!」

 

2-2の生徒のほぼ全員が一斉に手を挙げる。俺は座席表を片手に誰にするかを決める。

 

「そこのメガネっ子...リン=ティティスでいいか?」

 

「はい。えっと...システィーナさんと先生は本当に兄妹なんですか?」

 

「それは本当だ。だからと言って学校内での授業やテスト等で妹に贔屓などは絶対にしない。お前ら同様、一生徒として正当に扱っていくつもりだ。これでいいか?」

 

「はい...ありがとうございます」

 

「次に質問したい奴は?」

 

またもほぼ全員が手を挙げる。

 

 

「次はそこのインテリネガネ...ギイブル=ウィズダンでいいか?」

 

「合っていますよ。僕からの質問は先生になる前の職業は何をしていたか...です」

 

「オフレコで頼むぞ。俺の前の職業は帝国軍宮廷魔導師団に10年間所属していた」

 

「帝国軍宮廷魔導師団!!!」

 

「10年も....」

 

俺の一言でクラス内からどよめきが起こる。

 

「さすがにこれ以上、軍にいるのも嫌になったから辞めてきた」

 

「え〜!!!」

 

「それで先生に?」

 

「本当は家でゆっくり、のんびり過ごしたかったんだがセリア教授が、この学校の非常勤講師に俺を推薦してな。働くことになったんだ」

 

「そうだったんですね」

 

「次で最後の質問だが、他に質問したいやついるか?」

 

「「はい!」」

 

誰にしようか.....ルミアのやつ、目をキラキラさせて俺をずっと見てる...やっぱりあの時の事を覚えてるのか?まぁ、いい...当ててやるか。

 

「最後は....ルミア=ティンジェル。お前の質問を聞こうか」

 

「はい。ハチマン先生は彼女とかいますか?」

 

「は?」

 

「「それ、知りたーい!!」」

 

ルミアが質問をした後、女子たちが騒ぎ出す。

 

(お兄ちゃんに...彼女...いるわけないよね...)

 

「彼女はいたことはないが、それに近い存在の人はいた」

 

(近い存在の人がいたんだ...意外)

 

「その人は帝国軍宮廷魔導師団に所属している人ですか?」

 

「していたが、もう亡くなった。ある事件に巻き込まれてしまったせいで」

 

グレンが1番落ち込んでいたな。俺とグレンはすごく世話になった人だったからな。俺もこの死を受け入れるのに数日間かかった。

 

「思い出させてすみません。先生」

 

「気にすんな。もう吹っ切れてる。これで自己紹介タイムは終わりだ。残りの時間は自習とする。その様子を俺は見て回るからしっかりと自習をするように」

 

 

この後は自習にし、俺はクラス内を見て回りどのような授業を受けていたかを確認する。

 

 

(普通に教科書通りの授業を受けてきたのか...あんまり役に立ちそうな事は書いてないな。ただ魔術を上手く使えるようにするための参考書だな)

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

「今日の授業はこれまでとする。次の授業は教科書を使わない」

 

「何をするんですか?」

 

「また自習とする。その間にお前らにどう魔術の授業をするかを考える時間に充てるためだ。昼飯の後の授業はちょっとした魔術の講義を行うつもりなのでそのつもりでいるように」

 

「はーい!」

 

「それじゃあ、休憩に入れ」

 

そして...次の授業も自習とし、その時間で俺は昼休みの後の授業の準備をした。

 

 

 

 

 

昼休み....

 

「ほー。学校の飯にしては豪華なもんだな。食堂も広いし」

 

俺の時代より大きくかつ豪華になっている。

 

「どこで飯を食うかな....」

 

「あっ!ハチマン先生!!」

 

「ルミアか...」

 

「ここ空いてるので、一緒に食べませんか?」

 

「いいのか?」

 

「はい!」

 

「それじゃ...失礼して」

 

「あっ!お兄ちゃん!」

 

「なんだ、システィーナか」

 

「なんだじゃないわよ!!10年ぶりにお兄ちゃんと再会したのにあの対応はなんなのよ!!」

 

「しょうがないだろ、授業中なんだから。あの対応が正しいんだよ」

 

「それはそうだけど...」

 

「まぁ、授業中以外だったら相手してやるから許してくれ」ポン

 

「分かったわよ...」

 

「それより、システィーナ」

 

「何?お兄ちゃん」

 

「お前、可愛くなったな」

 

「ふぇっ!!いきなり何よ!」

 

「何って...思ったことを言っただけだが...」

 

「急にそんなこと言われても、その...反応に困るっていうか...」(そういうのは2人っきりの時に言ってほしいっていうか)

 

「ルミアもそう思うだろ?」

 

「はい。システィは可愛いです」

 

「ルミアまでやめてよ」

 

「ルミアはシスティーナの友達でいいんだよな?」

 

「はい。システィは友達であり親友です」

 

「そうか。これからも可愛い妹をよろしく頼む」

 

「頼まれました!」

 

その後も、システィーナとルミアと共に喋りながら食事を摂る。その際、ルミアはシスティーナの家、即ち俺の家で居候しているとのことだった。

 

 

 

 

「じゃあ、俺は午後の授業の準備をしに行くから、先に行くわ。システィーナとルミアも遅刻しないで教室に戻れよ」

 

「分かってるわよ」

 

「あの私も先生の手伝いに行ってもいいですか?」

 

「いいのか?」

 

「はい!是非、お手伝いさせてください」

 

俺はルミアと共に職員室へと向かった。

 

「なんか、ルミア...お兄ちゃんがいる時といない時の反応が全然違う...」(お兄ちゃんがいるとなんかすごく活き活きしてる...なんか複雑...)

 

 

 

 

 

「悪いな。プリントを持ってもらって」

 

「これぐらい構いませんよ」

 

 

 

俺は職員室から授業で使うプリントを取り、ルミアに持たせて2-2の教室に向かった。

 

「そうだ。ルミアに聞きたかったことがあるんだが...いいか?」

 

「ハチマン先生、私も聞きたいことがあるんですけどいいですか?」

 

「いいぞ」

 

「聞きたいこと、一緒に言ってみませんか?」

 

「まぁ、別にいいけど」

 

「「ルミア(ハチマン先生)は3年前の女の子(3年前、私を助けてくれた魔術師さん)だよな(ですよね)?」」

 

「え?」

 

やっぱりあの時の少女はルミアだったか。またの名をアルザーノ帝国第2王女、エルミアナ=イェル=ケル=アルザーノ。軍に所属している際、「天の智慧研究会」にルミアが狙われているとの情報も入っていた。その際に母親、現アルザーノ帝国女王、アリシア7世からもし娘に何かあったら助けてほしいとのお願いを受けた。俺は当時、アリシア7世の部下だったのでこれを承諾し、命を懸けてでも守ると誓った。その中で学校内でルミアを近くで守ることが出来る。本当に良かった...

 

「やっぱり...ハチマン先生があの時の魔術師さんだったんですね」

 

「ああ...」

 

「会えてよかった。あの時のお礼がずっと言いたかったんです。本当に助けてくれてありがとうございました」

 

「お礼なんていい。ルミアには怖い思いをさせてしまったんだからな」

 

ルミアの目の前で5、6人を殺すとこを見せたんだからな。お礼を言われる筋合いはない。

 

 

「あの時は本当に怖かった。でも、ハチマン先生が言ってくれたある約束の言葉で私は救われたんです」

 

 

「あれか...まだ追っ手が来るって時にルミアが恐怖のあまり泣き止んでくれなかったあの時か」

 

「はい。【まだ、敵が沢山いる。お前がこんな状態じゃ...このやばい状況は変わらない。だから泣き止んでくれ。そうしてくれれば俺はお前が死ぬ時までずっと俺がお前の味方でいて守れる範囲でお前を守ってやる。今のお前は人を信じれない状態であるとは思うが、せめて俺だけは信じてくれ。信じてくれるのならお前の安全は保証する】そう言ってくれました」

 

「そんな恥ずかしい事、言ってたのか俺...」

 

「恥ずかしい事なんかではありません。誇ってください。こんなセリフを言える人なんでほぼいませんよ。私はその言葉をあの日から信じ続けながら魔術の勉強をしてきました。いつか、私の恩人に私の成長した姿を見せるために」

 

「そうか」

 

「でも、こんなに早く再会できるなんて、私は幸せ者ですね」

 

「俺もこんなに早くあの泣き虫の女の子に会えるなんて思わなかった」

 

「もう私は泣き虫の女の子じゃありませんよ?」

 

「ああ、そうだな。逞ましく成長してるのが分かる。あそこからよくここまで頑張ったな。ルミア、偉いぞ」ナデナデ

 

「ありがとうございます。これからも私のこと、近くで見守ってくださいね?ハチマン先生」

 

「ああ...約束だからな。ルミアのことは命を懸けてでも守り抜いてやる。もちろん妹のシスティーナも守るがな」

 

「はい。約束ですからね、ハチマン先生」

 

「おう」

 

俺とルミアは新たな約束を交わし、2-2の教室へと向かっていったのだった。

 

 

 

 

....続く

 

 

 

 

 

 





ここまで読んでくれた方々、ありがとうございます。

次回もよろしくお願い致します。


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[ 羽瀬川小鳩編 ][ 僕は友達が少ない ]
第1話


新年1発目の投稿作品です。

妹チェンジシリーズ最新作は「僕は友達が少ない」から羽瀬川小鳩です。

それでは、よろしくお願いします。


〈 俺の高校生活を振り返って 〉

 

 

 

 

青春とは嘘であり、悪である。

 

青春を謳歌している者達は常に自分とその周囲を欺き、自らを取り巻く環境の全てを肯定的に捉えている。なんとも素晴らしい脳内だ。お花畑かよ。そして彼らは青春の2文字の前なら、どんな一般的な解釈や社会通念さえも捻じ曲げてしまう。彼らにかかれば嘘や秘密、罪科も失敗さえも青春のスパイスでしかない。仮にも失敗することが青春の証であるなら友達作りに失敗した人間、俺もまた青春のど真ん中でいなければおかしいではないだろうか。しかし、彼らはそれを認めない。全ては彼らのご都合主義でしかないのだから...とりあえず、結論を言わせてもらう。友達がたくさんいて、青春を楽しむ愚か者ども.....早く、砕け散れ。消えてしまえばいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は今、現国の教師であり生活指導の先生でもある平塚先生に呼び出されて職員室にいる。

 

「さて、比企谷。なんで私に呼ばれたか分かるな?」

 

「いえ、分かりません。なんで、俺は呼ばれたんでしょうか」

 

「お前が以前に書いた作文のことだよ」

 

「以前の作文というと、高校生活を振り返ってというテーマの作文のことでしょうか?」

 

「そうだ...それで、なんだこの作文は?どうしてこうなった、説明しろ」

 

「説明も何も、そのままの意味ですが...」

 

俺がそう言うと、平塚先生は溜め息をついてタバコを吸った。

 

「ふぅ...比企谷、お前は死んだ魚の目をしているな」

 

「それは、褒め言葉として受け取っておきますね」

 

「別に私は褒めてなどいない。それでだ...比企谷、この作文は書き直しとする。再提出は早めに頼むぞ」

 

「分かりました。それでは、失礼します」

 

そう言って、俺は職員室を出て家に帰ろうとしたが...ふと、スマホを教室に忘れたのを思い出した。なので、俺は自分の教室へと向かった。そして、俺は自分の教室である2年5組の前にやってきた。すると、なにやら女子生徒の声が教室内から聞こえくる。今はもう放課後で随分と時間が経っている。それなのに、まだ誰か教室にいる。その中に俺がズカズカと入ることはできない。なので、俺は教室の様子をそっと見ることにした。すると

 

「...ははは、そんなからかうなよ」

 

「そんなことないよ〜」

 

「あはは、だから違うと言っているだろう」

 

こんな会話が教室の中から聞こえてくる。

一見普通の会話に見えると思うが、俺は何かがおかしいと感じた。なぜなら、この会話の声が全部同じ人の声なのだ。そこから分かることはただ1つ、1人2役で会話をしているということだ。俺は誰がそんな事をしているのか、ドアにかなり近づき見た。そして、その正体は三日月夜空という女子生徒だ。普段とは違い、楽しそうなトーンで話しをしている。もちろん1人でだ。普段の三日月夜空は不機嫌で静かそうな奴だと俺自身は認識していたので、なんだかあの会話が新鮮に思えた。俺は引き続き、教室の外で様子を見ていたが、ふと俺の後ろに誰かが立っていた。

 

「比企谷、お前は何をしているんだ?」

 

「うぉっ!平塚先生」ガラッ

 

後ろに立っていたのは平塚先生だった。

俺はいきなり声を掛けられたので驚き、その衝動で教室のドアを開けてしまった。

 

「誰だ!」

 

すると、教室の中から三日月夜空の声が聞こえてきた。

 

「それはこっちのセリフだよ、三日月。君は何をしている?比企谷もだ」

 

「俺はただ教室にスマホを忘れたので取りに来てただけです」

 

「それなら、すぐに教室に入って取りに行かんか。三日月は何をしていた」

 

「私は教室で1人でいただけです」

 

「そうか...なら早く帰りたまえ。何もないならな」

 

そう平塚先生は言って、教室を出ていった。俺もその流れにのり、スマホを机の中から取り出し教室を出ようとしたが

 

「待て!なんで帰ろうとしている」

 

三日月に止められてしまった。くそっ!もうちょっとで帰れたのに...

 

「何でって...そりゃあ、帰りたいからに決まってるだろ。それより、俺になんか用か?」

 

「さっきの会話、比企谷は聞いていたのか?」

 

「さっき?ああ、お前が1人で喋ってたやつか」

 

「1人じゃない」

 

「嘘つけ。1人で喋ってただろ」

 

「違う!私はトモちゃんと話をしていたんだ」

 

「どこにそんな奴がいるんだよ」

 

「ここにいるだろ、ここに」

 

三日月はそう言うが誰もいない。まさか...

 

「まさか、トモちゃんって奴はエア友達かなんかなのか?」

 

「そうだ」

 

そう言って、三日月は俺の質問に対して頷いていた。なんか、ヤバそうな奴だと思ってしまった。俺も人のことは言えんが...

 

「エア友達じゃなくて、普通に友達と話したらいいんじゃないのか?」

 

「いたら、苦労しない。バカめ」

 

「お前にだけには言われたくないわ!エア友達なんかと話しているような奴にはな」

 

「トモちゃんを侮辱するな!」

 

「わかった、わかった。とりあえず、落ちつけ。それより、お前は友達を作りたいのか?」

 

「作れればの話だがな。それより、比企谷は作らないのか?」

 

「俺は中学までは友達を作ろうと思ったが、諦めた。だから、作りたいとは思ってない」

 

「悲しいな」

 

「お前にだけは言われたくない。それで...だ。さっきの話に戻るが、お前は友達が欲しいんだよな?」

 

「だから、出来たら苦労しないって言っているだろう」

 

「そんなの、部活に入ったりとかすればいいんじゃないのか?」

 

「は?」

 

俺がそう提案すると、三日月はバカかこいつは...みたいな目で俺を見てくる。

 

「自分で言うのもなんだが、俺の提示した案はいいと思う。部員から友達に発展していく可能性もあるしな」

 

「う〜ん...部活...そうだ!」

 

「何だ?何かいい方法が見つかったのか?」

 

「ああ、比企谷のおかげでな!」ニコッ

 

「お、おう」

 

急にいい笑顔を向けてくんなよ。一瞬、ドキッとしちゃっただろ...

 

「それで、どうするんだ?」

 

「その話は明日、またする。だから、明日の放課後、教室で待っていろ。比企谷」

 

「は?俺?」

 

「当たり前だ。それじゃあ明日、教室で待っていろ。絶対だぞ」

 

「あ、ああ」

 

そう言って、三日月は教室を出ていった。そして、教室には俺だけとなった。帰るか...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、俺は家に帰った。

 

「ただいま」

 

「あんちゃん!遅い」

 

「すまん。学校の部活があってだな...」

 

「それより...あんちゃん、お腹空いた...」

 

「分かった。夕飯はラーメン屋に連れてってやるから」

 

「やった!」

 

「準備しろよ」

 

「ラーメン、ラーメン♪」

 

「聞いてねーし」

 

俺は小鳩と待たせたお詫びとして、一緒に豚骨ラーメンを食べに行く約束をして何とか小鳩の機嫌を直すことができた。小鳩はラーメンが食べれるのが嬉しいのかぴょんぴょんと飛び跳ねていた。

 

 

 

 

 

 

そして、俺と小鳩はいつもの食べる店、○蘭にやってきた。

 

「おう、八幡」

 

「どうも、店長」

 

俺はいつもこの店でラーメンを食べるので店長とは顔見知りの関係になっている。たまにおまけが付いてくる。正直ありがたい。

 

「そこの手前の個室に入ってくれ」

 

「分かりました」

 

「行くぞ、小鳩」

 

「うん!」

 

俺と小鳩は指定された個別部屋に入った。この店は他とは違い1人用の個室が設置されている。ラーメンで個室というのは非常に珍しい。大抵の店はカウンター席が主流だからな。ゆっくりラーメンを味わいたい、より一層...美味しく食べたいのであれば、1度訪れてみて欲しい。

 

「小鳩はいつものでいいか?」

 

「うん!あんちゃん、早く食べたい」

 

「わかった、わかった」

 

そこの店の注文方法は紙に書いてそれを店員に渡すスタイルだ。

小鳩は書けないので俺が代わりにオーダーシートを書いている。

紙に色々な項目が書かれており、好きな麺のかたさや味の濃さ、こってりの度合い、ネギの量やニンニクの量、チャーシューの有無、秘伝のたれの量などをお好みで決めれるのだ。

 

俺は味基本の、超こってりと麺のかたさは超かた、ネギは無しでニンニクは基本、チャーシューは有りで秘伝のたれは基本をチョイスし、妹の小鳩は味濃いめの超こってり、麺のかたさは超かた、ネギ無し、ニンニク1片分、チャーシューは有りの秘伝のたれは1/2をチョイスした。もちろん豚骨ラーメンである。

 

そしてオーダー用紙を店員に渡し、豚骨ラーメンが来るのを待つ。

 

小鳩は今か今かと待っていることだろう。

 

「へい!ラーメンお待ち!いつも来てくれるからサービスしておいたぜ」

 

「やたー!」

 

小鳩は安定の嬉しさを前面に出していた。

 

「八幡の方もサービスしてあるぞ」

 

「いつもありがとうございます」

 

「いつも来てくれるお礼さ。ゆっくり味わって食べてくれ」

 

店長が去った後、俺と小鳩はいただきますをして豚骨ラーメンを食べる。やっぱりここのラーメンは別格だ。まず味が段違いで麺とスープが凄くマッチしていて美味しい。俺は食リポが得意ではないので食べて確認してほしい。

 

「小鳩、美味いか?」

 

俺は隣に座っている小鳩に話しかけた。

 

「たいぎゃ...うまか!」

 

美味しさのあまり以前住んでた九州の方言か小鳩の口から出ていた。それぐらい美味しいのだろう。

 

「それは良かった」

 

その後はラーメンを残さず美味しくいただき店を出た。

 

 

「zzz....」

 

「寝ちゃったか...」

 

 

そして、帰り道。小鳩はお腹いっぱいになり眠たそうにしていたので俺は小鳩をおんぶした。その結果、小鳩は寝てしまった。

 

「あんちゃん、もう食えないばい...」

 

「夢でもまだ、食ってるのか」

 

俺は小鳩の寝顔を見るため後ろを向く。やはり可愛い寝顔だ。俺は起こさないように揺らさずに歩くのを心がけ家路に着いた。

 

その後は、小鳩を風呂に入れ寝かせたのち俺も風呂に入ったあとに小鳩がちゃんと寝ているか確認し寝た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、朝が過ぎ、昼を跨いで放課後。

 

 

 

 

俺は、三日月に教室で待っていろと昨日言われたので、音楽を聴きながら教室で待っていた。そして教室に俺しかいなくなった時、三日月が教室へと入ってきた。

 

「ちゃんと、待っていたな。比企谷」

 

「この通りな」

 

「それじゃあ、移動するぞ」

 

「どこにだよ?」

 

「講談室だ」

 

「なんで講談室なんだ?」

 

「詳しい話は講談室に着いてから話す」

 

「はぁ...わかった」

 

そして、俺は三日月の後ろを歩き、講談室へと向かった。

 

 

数分歩いて、講談室4に俺たちは入った。

講談室4の部屋は比較的広い部屋だった。ソファもあれば大きな机もある。俺は机の上に荷物を置いたのち俺は三日月に説明を求めた。

 

「それで、俺をここに連れてきた理由を教えてくれ」

 

「そうだな...話すとしよう。比企谷は昨日の話を覚えているか?」

 

「昨日っていえば...お前がエア友達と話をしていたやつか?」

 

「っ!...合ってはいるが、私が聞いてるのは他のことだ」

 

「他のことね...じゃあ、部活を作る云々の話か?」

 

「そう、それだ!昨日、比企谷の話の後に職員室に行き早速、部活新設申請書を書いて提出してきた。今日から本格的に部活を開始する」

 

「それって俺も含まれてるのか?」

 

「当然だ。提案者が入らないでどうする?」

 

「いや...俺はあくまで提案しただけであって、部活には入らんぞ。めんどいし...」

 

「いや、比企谷の入部届も私と一緒に顧問に出しておいた」

 

「何してくれちゃってるのん?」

 

「いいじゃないか。比企谷も顧問から聞いたところ部活にも入っていなかったみたいだしちょうどいい」

 

「全然、ちょうどよくない。ってか...顧問って誰だよ」

 

「それはだな...」

 

「私だよ!」バンッ

 

三日月が何か言いかけた時にいきなり談話室のドアが開く。

 

「平塚先生...何してくれちゃってるんですか⁉︎俺は部活には入りませんよ」

 

「残念だが、比企谷にはこの部活に入部してもらう。比企谷もあまり友達はいないだろう。だったらこの部活に入るのが好ましい」

 

「それはどういう意味ですか?」

 

「それは私が説明する。私が作った部活は隣人部だ。活動内容としては友達作りを主にする」

 

「そこで...だ。比企谷には三日月と共に隣人部として友達を作ってもらう。三日月から聞いたが、比企谷はかつて友達作りを諦めたそうだな。なら、この部活を通して改めて友達作りをしたらいい。もちろんこの私の判断に異論反論等は認めない」

 

「横暴すぎる...」

 

いや今更、友達は必要ないが強制なら仕方ないか。

 

「それじゃあ、私は仕事があるので失礼する。2人とも部活、頑張れよ」

 

そう言って平塚先生は職員室へと戻っていった。

 

「それじゃあ、これからよろしく頼むぞ。比企谷」

 

「ああ、わかった。それより、どうやって友達を作っていくんだ?」

 

入部の件はもうどうしようもないので、俺は三日月の作った隣人部に入ることにした。それよりも友達をどう作るかがわからない。

 

「その点に関しては大丈夫だ。友達作りにあたって、まず部員集めをする」

 

「なんで部員集めなんかするんだよ」

 

「そんなのは決まっている。部員を集めて、そいつを友達にするんだ」

 

「なるほどな。それで、部員集めはどうやるんだ?」

 

「部員募集のポスターを掲示板に貼るんだ」

 

「そのポスターはもう作ってあるのか?」

 

「もちろんだ。もう掲示板に貼ってある。これだ」

 

そう言って、三日月は俺に部員募集のポスターを渡す。

内容はというと、

 

隣人部

 

とにかく臨機応変に隣人

とも善き関係を築くべく

からだと心を健全に鍛え

たびたちのその日まで、

共に想い募らせ励まし合い

皆の信望を集める人間になろう!

 

〜幼稚園児並みの絵〜

 

活動場所: 礼拝堂談話室4

 

とまぁ、こんなことが書いてあった。

 

「どうだ、比企谷。我ながらよく書けたと思うぞ」

 

「いや、なんか変な宗教の勧誘みたいだぞ。このポスター」

 

カルトじみていて怖い。こんなんで入部する人はまずいないだろう。

 

「何をいうか!これはれっきとした部員募集のポスターじゃないか!」

 

「それと、この文面だけ見ても隣人部の活動内容とか分からんぞ?こんなんで人が集まるのか?」

 

「比企谷には、分からないか」

 

「なんのことだ?」

 

「私の書いた文章を斜めに読んでみろ。そうすれば分かる」

 

三日月にそう言われたので、俺は文章を斜めに読んだ。

斜めに読んだら、と..も..だ..ち..募..集..と読めた。

 

「分かりづらいわ。それにお前のネタ、古いぞ」

 

「これはネタではない!」

 

「それに、文章の下に書いてある絵も何を表してるか分からないし、こんなので部員は集まらないと思うが」

 

「それは、比企谷だけだ。本当に友達が欲しい人ならすぐに分かるさ」

 

「そういうもんかねぇ...」

 

「そういうもんだ」

 

 

 

 

 

 

そして、2時間ほどが経ったが一向に人が来る気配はない。やっぱり俺の思った通り、あのポスターを理解する人はいなかったようだ。

 

「人来ないな...」

 

「逆にお前の書いたポスターで誰か新入部員が来たら、それこそ凄いわ」

 

「まだ言うか!」

 

そして、その後も待ったが誰も来ないので今日の活動はここまでとなった。

 

 

 

そして、翌日の放課後。昨日と同様、新入部員が来るのを待っていた。すると、コンコンとドアをノックする音が聞こえた。

 

「やっと、新入部員が来たようだな」

 

「そんな訳ないだろ、平塚先生なんじゃないか?」

 

「それはない。平塚先生ならノックせずに入ってくるはずだ。だから新入部員に違いない」

 

「そ、そうか...」

 

「じゃあ、比企谷。ドアを開けるぞ」ガチャ

 

そう言って、三日月はドアを開けた。すると、そこには俺の知っている金髪の女の子が立っていた。

 

「隣人部ってのはここね...入部したいんだけど」

 

「違う」バタン

 

「そうだな。あいつはダメだ」

 

あいつには友達がいるはずだ。だから、ここに来るべきではない。

 

「さて...今から部活を始めようか」

 

「そうだな」

 

「ち、ちょっとなんで閉めるのよ!開けなさいよ!」ドンドン

 

「ちっ!しょうがないか」

 

そう言って三日月は再び、ドアを開けた。

 

「やっと出てきたわね!私をこの部活に入れなさい!」

 

「リア充は死ねぇ!!そして滅びろ!」バン

 

そして、また三日月は勢いよくドアを閉めた。俺も三日月と同意見だ。リア充なんて砕け散ればいいのだ。

 

「開けなさい!八幡もいるんでしょ!私をこの部活に入れなさい!」

 

「...比企谷、あいつと知り合いなのか?」

 

「あいつとは昔からの腐れ縁ってやつだな。それより、お前はあいつのことを知ってるのか?」

 

「柏崎星奈。私は顔と名前だけ知っているだけで喋った事は一度もない。比企谷は知ってると思うが、あいつはいつも男子とかにちやほやされている、お嬢様ぶってるいけ好かないやつだ。おまけに顔も良く、運動できて頭もいい。まさにリア充そのものだ!滅びればいいのに!」ダンッ

 

三日月は俺の問いに怒りながら答える。まぁ、アイツはスペックは高いからなぁ。嫉妬するのも無理もないか...

 

「まぁ、少し落ち着け...」

 

俺が三日月に落ち着くように促している時に、ガンガンガンと窓を叩く音がした。

 

「今度はなんだ?」

 

俺は何事かと思い窓を見る。すると、窓に引っ付いた柏崎の姿があった。なんだ、あの顔...女の子がしてはいけない顔になっている。

 

「まだ、いたのか...」

 

三日月はそう言って、窓の方へ行き窓を開けた。

 

「何で、私に意地悪をするのよ!私が入部してあげるって言ってるのに!八幡も何かいいなさいよ!」

 

「ノーコメントで...」

 

「冷やかしならお断りだ!帰れ!」

 

「冷やかしじゃないわよ!友達募集ってポスターを見て来たんだから!」

 

おいおいマジかよ。あのポスターをよく解読出来たな。それより...何で、あいつはポスターなんか見てここに来たんだ?ふと俺が疑問に思っていると...

 

「私も友達が欲しいのよ!」

 

柏崎はそう涙目になりながらそう叫んでいた。

 

「「は?」」

 

俺と三日月は柏崎の発言に唖然としていた。

 

それより、あいつ友達いないのかよ...

 

俺が言えた事じゃないけどな...

 

 

 

 

...続く

 

 

 

 

ー 設定 ー

 

・比企谷八幡 (本作の主人公)

 

聖クロニカ学園2年5組所属。

三日月夜空と共に隣人部へと入部することとなった。

見た目は原作通り。隣人部に所属しているため奉仕部に加入はない。

 

 

・羽瀬川小鳩(本作品の苗字は比企谷)

 

聖クロニカ学園中等部所属。

八幡の妹で、八幡とはアニメ観たり、ゲームしたりなど、一緒に遊ぶことが多い。豚骨ラーメン(にんにく入り)が大好きで、八幡と平塚先生と食べに行くこともしばしばある。お兄ちゃん大好きっ子でもある。

 

 

 

・三日月夜空

 

聖クロニカ学園2年5組所属。

比企谷八幡と共に隣人部を立ち上げた。

同じ部員の柏崎星奈とは歪みあったりはしているが仲良くやってる方。後は、原作通り。

 

・柏崎星奈

 

聖クロニカ学園2年3組所属。

比企谷八幡と三日月夜空がいる隣人部へと入部。

美少女で運動神経抜群だが、女子に嫌われているため友達がいない。八幡とは幼馴染。

 

・平塚静

 

聖クロニカ学園教師。

隣人部の顧問を引き受けた。八幡とはラーメンを一緒に食べる仲。

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

舞台地は原作とは違い千葉としております。ヒロインは小鳩(禁断)と柏崎星奈の予定です。

それでは次回もよろしくお願い致します。


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[ 桜ノ宮苺香編 ][ ブレンド・S ]
第1話


新年、2発目の投稿も最新作です。

「ブレンド・S」から桜ノ宮苺香です。

もう一つの方のクロスも継続的に投稿する予定です。


それでは、今回もよろしくお願い致します。


俺はいつものように部屋で材木座が書いた新作ラノベを読んでいる。

 

「酷すぎるな。何で毎回、倒置法を使うのか分からない」

 

皆さんも分かるだろうが、材木座の書く小説は色々と間違っている。

いらんところでヒロインは服脱ぐわ、変な技名とか多々出るとかな。

 

「今回もダメ出しは多そうだな」

 

特に雪ノ下は容赦がない。息づきなしで色々改善点を言っていく。まぁ、材木座頑張れ。そんな事を思いつつ、材木座の新作小説に目を通していると...

 

「」コンコン

 

「ん?」

 

ドアをノックする音が耳に入る。

 

「お兄ちゃん、入ってもいいですか?」

 

ノックの主は俺の妹であり天使である苺香だった。

 

「おう、いいぞ」

 

「失礼しますね」

 

そう言って、苺香は俺のベッドの上に座る。

 

「俺になんか用か?」

 

「うん...お兄ちゃんに相談があって...お兄ちゃんはバイトしていますよね?」

 

「ああ...」

 

俺は小遣いを得るために喫茶店「スティーレ」で働いている。

 

「お母さんに聞いたんだけどお兄ちゃんはバイト先の店長さんと仲がいいんだよね?」

 

「そうだな...もしかして、苺香も俺のバイト先で働きたいのか?」

 

「はい....」

 

「そうか、じゃあ店長に聞いてみるわ」

 

「いいの?」

 

「ああ。ちょうどバイト募集してたしな。それに可愛い妹の頼みでもあるからな」

 

 

「ありがと!お兄ちゃん」

 

「⁉︎」

 

苺香はいきなり俺に抱きついてきた。ヤバい...ヤバい...ヤバい...いい匂い...気持ちいい感じが凄くして、理性が持たない...崩壊手前である。

 

「それより何で苺香はバイトしたいんだ?」

 

俺は苺香を優しく引き離し、ふと思った事を苺香に聞いた。

 

「それはね...」

 

俺のふと思った疑問に苺香は答える。理由としては海外留学に行きたいらしくその資金を貯めるためにバイトを始めようと決意し、色々なバイトの面接を受けたが目つきが原因で不採用と失敗続きで、そのことを母ちゃんに相談したら俺のバイト先で働いてみたらどうか、お兄ちゃんに頼んでみたらとのことらしい。

 

「そういう理由があったのか...バイト先のことはお兄ちゃんに任せてくれ。それでも面接はあると思うから頑張れよ」

 

「うん!頑張る!」

 

そう言って苺香は俺の部屋を出る。

 

「苺香の為にもなんとかバイト先を決めてやらんとな」

 

 

俺はそう思いながら、材木座の新作の小説の続きを読んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、翌日の放課後...

 

「ヒッキー!部活行こ!」

 

相変わらず、由比ヶ浜は元気だよなぁ...

 

「すまんが、今日は行けない」

 

「バイト?」

 

「ああ、だから雪ノ下に休みって伝えておいてくれ」

 

「わかった!ゆきのんに言っておくね」

 

「頼んだ」

 

俺は由比ヶ浜に奉仕部を休むことを伝え、バイト先に向かった。

 

 

俺のバイト先は東京の秋葉原にある喫茶店「スティーレ」だ。

俺はオープニングスタッフ時から働いている。オープニングスタッフは俺の他にも2人ほどいる。その紹介はまた後ほど。

 

 

 

そして、俺は店内に入る。店内では麻冬さんが接客をし、紅葉さんがキッチンで料理を作っていた。

 

「八幡どうした?今日は休みだったはずだが」

 

「紅葉さん、おはようございます。ちょっとディーノさんに話があって...それで、ディーノさんって今いますか?」

 

「ああ、いるぞ。事務所に夏帆といるはずだ」

 

「分かりました」

 

俺は、事務所に向かう。

 

「失礼します」

 

「あっ!八幡くん、おはよ!」

 

「ああ...」

 

俺に声をかけたのはオープニングスタッフ時からの付き合いである日向夏帆だ。俺の一つ上の先輩である。最初会った時はお互い、会話等などは無かったが、今では普通に会話をしており、下の名前で呼びあうほどになっている。俺自身そこまでの関係になるとは思ってはいなかった。女の子を呼び捨てで呼ぶなんて昔の俺には出来ないだろう。

 

「八幡くんではないですか。今日はどうしたんデスか?」

 

「ちょっと話がありまして、新しいバイトの子についてで...」

 

「見つけてくれたのデスか!」

 

「ええ、新しいバイトの子ってのは俺の妹なんですけど...」

 

「八幡くんって妹がいるの?」

 

「ああ、一つ下のな」

 

「写真とかはありマスか?」

 

「私もみたい!」

 

「これです」

 

俺は妹の苺香の写真をディーノさんと夏帆さんに見せた。

 

「か、可愛い〜!」

 

夏帆さんは苺香の写真を見て可愛い可愛いとずっと言っていた。

 

「可愛いデスね。すぐに採用しましょう!」

 

「いいんですか?」

 

「軽く面談して採用しマスよ」

 

「ありがとうございます」

 

なんとか、苺香をスティーレで働かせることが出来そうだ。その後、俺はシフト表を提出し、苺香にメールで後は面接だけだと送り、スティーレを夏帆さんと出た。

 

「八幡くんにあんな可愛い妹がいるなんて知らなかった」

 

「そんなにか?」

 

「うん!早く会ったみたいなぁ...あっ!そうだ!今から八幡くんの家に行ってもいい?」

 

「はっ?」

 

「ねぇ...いいでしょ!」

 

「わかった、わかった」

 

「ほんと!やった!」(八幡くんの家、楽しみだなぁ...)

 

どんだけ俺の妹に会いたいんだよ。まぁ、苺香は可愛いから会いたい気持ちは分からんでもない。

 

「ここが、俺の家だ」

 

「大きいね..なんか、「和」って感じだね」

 

「そうか?」

 

そして、俺は夏帆さんを連れ家に入る。

 

「お兄ちゃん、おかえ...り....」

 

玄関では苺香が待っていた。

 

「誰?その女の人?お兄ちゃん、説明してくれますか?」

 

なんか、苺香の表情が暗くなっている。ヤバい感じがするのは気のせいか?

 

「あの子が八幡くんの妹?」

 

「ああ」

 

「写真となんか雰囲気が違うね」

 

「そうだな」

 

「お兄ちゃん、聞いてる?ちゃんと説明してね?」

 

 

「えっとだな...」

 

この後、俺は苺香に夏帆さんのことを説明することになったのだが、一筋縄でいかないと思い知るのはもっと先のことであった。

 

 

 

...続く

 

 

 

ー 軽い設定 ー

 

原作とは違い、スティーレがオープンしたのは八幡が高1の春の時としております。

 

 

・ 比企谷八幡 (本作の主人公)

 

とある東京の高校に通う2年生でスティーレでのバイトは高1の春からしている。店の接客担当は執事。(眼鏡をかけておりイケメン)男子人気No.1であり、女性客が多く店に訪れておりディーノや紅葉は大喜びしている。後は基本的に原作通り。

 

 

・桜ノ宮苺香(本作での苗字は比企谷としています)

 

八幡の妹である高校1年生。お兄ちゃん大好きっ子。

お兄ちゃんに頼んでもらったおかげでスティーレでバイトすることが出来て、お兄ちゃんにもの凄く感謝している。店での接客担当はドS。お兄ちゃんを練習台としてドSに磨きをかける。

 

 

・日向夏帆 (ヒロイン候補)

 

八幡の一つ上の先輩でオープニングスタッフからいる女の子で女子校に通っている。店の接客担当はツンデレ。男性にはあまり耐性はないが、八幡やディーノ、紅葉に対しては普通に会話出来ている。好きな人はいるようでアタックしているが、その相手が難易度が高くゲームクリアより難しいと彼女自身は思っている。後は基本的に原作通り。

 

 

・星川麻冬 (ヒロイン候補)

 

八幡より4つ上のクール大学生。店の接客担当は妹。八幡とはプリキュアの話をよくしたりしている。ディーノに対してはあたりが強い。

後は基本的に原作通り。

 

 

・ディーノ

 

スティーレのオーナー兼店長。アニメ好きなオタクであり、アニメは八幡も好きなので2人はとても仲がいい。後は基本的に原作通り。

 

 

 

・秋月紅葉

 

八幡とはオープニングスタッフからの付き合いである。

百合好きである21歳。そのため、彼女とかはいない。後は基本的に原作通り。

 

 

 

・神崎ひでり

 

見た目は美少女だが中身は男である。八幡と同じ16歳。店の接客担当はアイドル。履歴書には女性と書いていたが八幡とディーノには通用しなかった。八幡は戸塚の方が神崎より男の娘であると思っている。

 

 

 

・天野美雨(ヒロイン候補)

 

22歳の同人作家。ディーノにスカウトされスティーレで働くことに。八幡とはアニメ関連の話で盛り上がり、コミケなどにも2人で参加することもある。後は基本的に原作通り。

 

 

他の俺ガイルキャラも登場予定。

アンチ・ヘイトは無しの方向です。

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

それでは、次回もよろしくお願い致します。


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[ 姫柊雪菜編 ][ ストライク・ザ・ブラッド ]
第1話


比企谷八幡の妹チェンジシリーズの新作です。
今回はストライク・ザ・ブラッドから姫柊雪菜編をお送り致します。暁凪沙√も書きたいと思います。

ベースは俺ガイルです。

今回は短めとなっております。

そして、安定のご都合主義です。

それでは、今回もよろしくお願い致します。


 

 

俺の名前は比企谷八幡。何処にでもいる、高校2年生である。

 

しかし!!皆とは違う点が1つある。それは....

 

 

「俺には可愛い妹がいることだぁ!!!!

 

そう俺には超絶可愛い妹、雪菜がいるのだ!お兄ちゃんにしかデレない所とか、可愛い笑顔か特徴的なのと黒髪かつ出てることはちゃんと出ており、引っ込む所はちゃんと引っ込んでいたりと...もう完璧な美少女であるのだ。本当に雪菜のお兄ちゃんで良かったと思えるのだ!!叶うのであれば、恋人にしたいまである!」

 

「...っ!!朝から変な事、言ってないで早く学校に行く準備をしてください。兄さん」

 

「す、すまん....」

 

つい、俺の心の声が漏れてしまったようだ。気をつけなければならんな。雪菜に嫌われたら俺の人生はほぼ終了だからな。

 

「分かればいいんです」(私が可愛い...美少女...お兄ちゃんが私の恋人に....。お兄ちゃんのバカ...私だってお兄ちゃんの恋人になりたいって思ってるんだから....妹だから叶わない夢だけど...)

 

俺は雪菜に起こされ、朝食を摂り学校へ行く準備し家を出た。

 

俺と雪菜は中高一貫校であり屈指の進学校である総武高校に通っている。俺が2年で雪菜が1年である。そして、いつも学校に行く時は俺と雪菜は手を繋いでいくのが日課となっている。俺としては可愛い妹とこうして登校できるのは非常に嬉しく思っている。

 

「〜♪」

 

「雪菜」

 

「なんですか?兄さん」

 

「いや、なんでもない」

 

なんで、そんなに嬉しそうなのかと聞こうとしたがやめた。多分、学校に行くのが楽しみなんだろうと俺は結論づけた。

 

「ふふっ...」(変なお兄ちゃんですね)

 

そして、数分後....学校の校門をくぐった。その際...

 

「おはよ〜八幡くん!雪菜ちゃん」

 

「おはようございます。浅葱さん」

 

「藍羽か...おはようさん」

 

クラスメイトであり男子からの絶大な人気がある藍羽浅葱が声を掛けてきた。まぁ、それもそうだろう。金髪美少女であり話しかけやすいこともあるため好感が持てるのだろう。男子は特に豊満なアレが好きなだけなのかもしれないが。俺もたまにアレに目がいってしまうこともある。しょうがないよね、男の子だもん。

 

「兄さん....」

 

「痛い、手が潰れる...」

 

雪菜は俺の手を力いっぱい握っていた。凄い痛い...どこからそんな力が出せるのだろうか。

 

「兄さんが浅葱さんの胸を見てデレデレしてるからでしょ!」

 

「ふえっ!....八幡くんのえっち」

 

雪菜がそう言うと、藍羽は一歩下がり手で胸を隠していた。隠しきれてはいないが....

 

「別にデレデレしてないから」

 

「してた!」

 

「してない、してない」

 

「してたもん!」プクッ〜

 

膨れた雪菜の顔可愛いなぁ...

 

「ふふっ....2人とも仲が良いわね」

 

「そんな事、言ってないで雪菜を止めてくれ。手に負えないから」

 

「雪菜ちゃん、それくらいにしてあげて。八幡くんにも悪気はないから」

 

ちょっと、悪気も何も俺は別に悪いことしてないんだが...

 

「浅葱さんがそういうなら...」

 

「ふぅ...助かった」

 

「それじゃあ、教室に行きましょうか。雪菜ちゃん、八幡くん」

 

「はい!」

 

「そうだな」

 

色々あったが、俺達は教室へと向かった。

 

「兄さん、お昼休みに迎えに行きますから待っててくださいね」

 

「おう。雪菜もそれまで授業頑張れよ」ポン

 

「はい!兄さんも頑張ってくださいね!浅葱さんもまたお昼に」

 

「うん!じゃあね、雪菜ちゃん」

 

雪菜と別れて俺と藍羽は雪菜の話をしながら、2-Fに向かった。

 

そして俺は自分の席に着く。すると.....

 

「比企谷、ちょっといいか?」

 

「どうした?葉山」

 

中学からのクラスメイトである葉山隼人が俺に声をかける。

 

「今日の放課後に親衛隊の会合がいつもの特別棟の教室であるから、それを伝えに来たのさ」

 

「了解」

 

「ちゃんと来てくれよ」

 

葉山隼人は俺と同じで雪菜の親衛隊に所属しており葉山は親衛隊隊長を務めている。雪菜に一目惚れをしているようである。だが、俺は我が妹である雪菜を渡すつもりはない。

 

「ちゃんと行くから大丈夫だ」

 

「じゃあ、放課後に」

 

そう言って、葉山は自分の席へと戻っていった。

 

「HRまで寝てるか...」

 

俺はHRが始まるまで寝ているのだった。

 

 

 

 

...続く

 

 

 

 

 

ー 設定 ー

 

 

 

・比企谷八幡 (本作品の主人公)

 

総武高校に通う2年生で雪菜のお兄ちゃんである。

奉仕部に入部予定。雪菜親衛隊の副隊長(勝手に副隊長にさせられた)も務めており雪菜に近寄る男子共を排除し、雪菜の学校生活を陰ながら見守っている。

 

 

 

 

・姫柊雪菜 (本作品での苗字は比企谷)

 

総武高校に通う1年生で八幡の妹である。

ブラコンであり、八幡が女の子(特に奉仕部)と話していたりすると嫉妬したり、むくれたりしている。時々、ヤンデレ化することも。八幡が自分の親衛隊に入っていることは知らない。普段はお兄ちゃんの事を兄さんと呼んでいる。心の中ではお兄ちゃん呼びである。

 

 

・藍羽浅葱

 

八幡とは中学からのクラスメイト。黒髪から金髪にヘアチェンジをしている。八幡には街中でナンパされたところを助けてもらったことをきっかけに好意を抱いている。雪菜には八幡が好きなことを打ち明けている。雪菜との仲は良くお姉ちゃん的存在である。

 

 

・葉山隼人

 

八幡とは中学からのクラスメイト。

八幡の妹である雪菜に一目惚れしており、アタックを試みるも失敗している。今では雪菜親衛隊を作り八幡と他の沢山の親衛隊メンバーで雪菜の学校生活を陰ながら見守っている。

 

 

他のキャラも登場予定です。




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

それでは、次回もよろしくお願い致します。


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第2話

お待たせ致しました。第2話です。

安定のご都合主義です。

他作品ではありますが、活動報告があります。

それでは、今回もよろしくお願い致します。


HRは掃除当番決め、委員会等役割決めを行なった。俺は学祭実行委員になってしまった。理由としてはHRが始まる前から寝てしまい、起きた時にはHRが終わっており、俺はあまりの学祭実行委員の方に選出されていたのだ。クソめんどくさいことになった。何故、俺がリア充達が主に盛り上がる学祭なんぞの実行委員をやらねばいかんのだ。あんなのは葉山みたいな青春を謳歌してる奴がやればいい。そう言うと葉山に失礼か。まぁ、それは置いといて...だ。この学祭実行委員は女子の実行委員もいるので尚、タチが悪い。名前は相模とか言ったか?誰だよ...と思ったが、すぐに分かった。HR後に前の方で「ウチに学祭実行委員とかできるかなぁ...」とか色々、友達であろう2人の女子に話していた。そんな風に思っているのなら最初からやらなければいいのにと俺は思う。まぁ...人のことなので、そんな事はどうでもいいのだが...それよりも、やだなぁ....学祭実行委員。どうせ、放課後に集まりとかがあるのだろう。それだと、雪菜と一緒に帰る機会が減るだけじゃないかと思いつつ、低いテンションでお昼休みを迎えた。

 

 

「はぁ...」

 

昼休み。藍羽と雪菜と共に教室で昼飯を食べているのだが...俺は学祭実行委員のことで、まだ引きずっていた。そう簡単に立ち直れるものではない。

 

「兄さん、さっきからため息ばっかりついてどうしたんですか?幸せが逃げてしまいますよ」

 

「はぁ......」

 

「これは重症ですね。浅葱さんは兄さんがこうなった理由、知ってますか?」

 

「八幡くんは多分、学祭実行委員に選ばれたからこんなテンションなんだと思うよ。授業中もこんなテンションだったから」

 

「そうなんですね。それと兄さんが学祭実行委員に選ばれた理由とかはあるんですか?」

 

「それがね。八幡くん....HR前からHR終わるまでずっと寝ててね、それで余ってた学祭実行委員に選ばれたって感じかな」

 

「それは兄さんの自業自得です」

 

「そうだよなぁ...俺の自業自得だよなぁ....やだなぁ....学祭実行委員」

 

「そんなに学祭実行委員が嫌なんですか?」

 

「当たり前だ。放課後は残らないといけないわ、リア充のお祭りの運営はしないといけないわ、それに.....」

 

「それに....なんですか?兄さん」

 

「雪菜と一緒に帰れなくなるのが辛い...」

 

「...っ!」(私だって同じです。兄さんと一緒に帰れないのは寂しいです)

 

そう、問題はここなのだ。集まりは基本、放課後である。そうなると妹の雪菜と一緒に下校できないのが辛い。下校途中に雪菜が見知らぬ男の人からナンパされたりとか声かけられたりするかもしれない。それを阻止する役目がお兄ちゃんである俺に与えられている。それを失うのが嫌なのだ。知らぬ間に雪菜に恋人が出来たとなれば、それは一大事である。俺はそいつを始末しなくてはいけなくなる。雪菜親衛隊副隊長の名をかけてでも雪菜に襲いかかる魔の手を何としてでも防がなければならないのだ。

 

「そうですか...分かりました、私も兄さんと同じ学祭実行委員に入ろうと思います」(そうすれば、兄さんと一緒に帰れますから)

 

「本当か?」

 

「はい。兄さんがいつまでも落ち込んでいる姿を見てるのは嫌ですから」

 

「おおっ!俺はいい妹を持ったなぁ...」ガバッ

 

「兄さん、いきなり抱きつかないでください」(そういうのは家でやってください。でも、元気になってくれたから別にいいかな)

 

「まったく、困った兄さんですね」ナデナデ

 

「こんなお兄ちゃんで済まんな」

 

「まったくです」ナデナデ

 

「本当に2人は仲がいいなぁ...」

 

((う、羨ましい!!!))

 

 

クラスメイト曰く、昼休みの2-Fの空間は八幡と雪菜によって甘々しいものとなっていたらしい。

 

 

 

そして、放課後...

 

「比企谷」

 

「何だ?葉山」

 

「例の場所へ行くぞ」

 

「先に行っててくれ」

 

「一緒に行こうじゃないか」

 

「お前と一緒だと目立つから嫌だ」

 

「そんな事言わずに、早く行くぞ」

 

そう言って、葉山は俺の手をとり早足で歩きだす。色々と誤解されるから俺の手をとるのだけやめてほしかった。マジで。女子からの視線とかマジやべぇから。

 

「葉山くんと比企谷くんって仲がいいんだね」ヒソヒソ

 

「はやはち、キマシタワ〜!」

 

「隼人とヒキオが凄く仲良いのがなんか、ムカつくし」

 

葉山と八幡のやりとりを見ていた女子生徒はそう呟いていたのだった...

 

 

 

 

 

そして特別棟にて....

 

黒板には「2025年度第2回雪菜親衛隊会合」と書かれていた。

 

教室内には親衛隊の幹部、30名が招集されていた。

 

 

「それでは第2回、雪菜親衛隊会合を始める」

 

親衛隊隊長、葉山の一声で会合が開始された。

 

「それじゃあ、いつも通り1年の夜吹から定期報告を」

 

「えー、今日の雪菜様は何事もなく普通に授業を受けられ、授業と授業の合間には女子のクラスメイトと何気ない会話をしたのち、昼休みは2年のお兄さんのいる教室へ向かうべく自分の教室を出られました。その際にチャラい男子が雪菜様に話しかけ、雪菜様とお昼休みを過ごさないかと提案されていましたが即却下されました。その雪菜様の対応に不快感を示し、執拗にちょっかいをかけていましたので、我ら雪菜親衛隊の1年精鋭部隊の5人でそのチャラい男子生徒を取り押さえ、雪菜様から距離を取らせました」

 

「1年の精鋭部隊、よくやった。そのチャラい男子生徒には厳しい罰を与えるとしよう」

 

「ありがとうございます。チャラい男子生徒のプロフィールはまとめた資料がありますので、後で目を通してください」

 

「わかった。続きの報告を」

 

「昼休みの後は何事もなく過ごして、今現在の放課後時点での雪菜様はクラスメイトと楽しく談笑中とのことです」

 

「夜吹くん、報告ありがとう。今後とも雪菜さんの護衛を頼むよ」

 

「仰せのままに」

 

「比企谷は何か言うことはあるか?」

 

「だいたい葉山と同じ感じだ。妹の雪菜に手を出す男共を一切許すな。厳正に対処し、俺や葉山に報告してくれ」

 

「分かりました」

 

その後も会合は続いた。

 

 

 

「それじゃあ、今日の会合はここまでとする。他の親衛隊員にもLI○Eで今日の会合内容をまとめた議事録を送っておくように。そして次回の会合は来週を予定しているのでLI○Eのグループを随時、確認するように」

 

「はい!」

 

「それじゃあ、解散!」

 

今日の雪菜親衛隊会合は1時間で終了した。

 

「比企谷はこれから妹さんと帰るのかい?」

 

「そうだが?」

 

「ちゃんと雪菜さんを守るんだぞ。今の時代、変な奴らばっかりだからな」

 

「分かってる。俺の腐った目を見れば、誰も寄り付かないからそこは大丈夫だろう。それでも心配なら葉山も一緒に帰るか?」

 

「いいのかい?」

 

「不測の事態が起こった場合の考慮しての措置だ」

 

「それでもいいさ。雪菜さんと一緒に帰れさせすればね」

 

「1つ言っておくが、雪菜には手を出すなよ?」

 

「そんな事はしないさ。親衛隊隊長としてね」

 

「そうか」

 

「それより、1-Aに行こう。雪菜さんはまだ教室で話をしているみたいだからね」

 

「そうだな」

 

俺と葉山は雪菜のいる1年A組へと向かった。

 

 

 

...続く

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

それでは、次回もよろしくお願い致します。


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[ 雪ノ下雪乃編 ][ やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 ]
第1話


妹チェンジシリーズ最新作は初めての俺ガイルキャラからです。

今回も安定のご都合主義です。

それでは今回もよろしくお願い致します。


俺の名前は雪ノ下八幡。父親が大企業の社長、母親は保護者会の理事やらやっており裕福な家庭での生まれではあるが、俺はあまり嬉しくはない。

 

なぜなら.....

 

 

 

 

 

 

「仕事が終わらねぇ....」

 

父親に頼まれた仕事(書類整理)が終わらないからである。俺は雪ノ下家の長男であるため、父親の経営する会社の後を継ぐことが確定しているため(雪乃が継ぐ案もあったが俺はそれを却下したこともあり)普段から書類整理を頼まれることが多い。しかしその量が半端ない。内容は詳しく明かせないが...とにかく何百枚もの書類に目を通し、指定されたBOXに仕分けていく作業を黙々とやっていた。

 

 

「なんとか、半分ぐらいは終わったか....」

 

俺は何とか半分と500枚の書類に目を通し指定のBOXに仕分けられたので、ひと休憩入れようと思いながら背筋を伸ばす。すると...

 

「」コンコン

 

俺の部屋をノックする音が聞こえた。

 

「ん?」

 

「兄さん、入ってもいいかしら?」

 

ノックの主は雪ノ下家の御令嬢であり俺の妹である雪ノ下雪乃だった。

 

「おう、いいぞ」

 

「失礼しますね」

 

俺が入ってもいいと促すと雪乃は俺の部屋へと入る。

 

「まだ仕事中でしたか?お茶を持ってきたのだけれど」

 

「いや....今、休憩を取ろうと思ってたとこだからナイスなタイミングだ」

 

「そうですか....それは良かったです」

 

「お茶、もらってもいいか?」

 

「はい、どうぞ」

 

俺は雪乃からお茶を受け取り、飲む。

 

「ふぅ...」

 

雪乃が淹れたお茶は美味いな。すごく落ち着く...

 

「大変そうね。私も手伝った方がいいかしら?」

 

雪乃は近くにあるソファに座りながら俺にそう聞く。

 

「いや、大丈夫だ。かわいい妹の手を借りるほどじゃないし」

 

兄として妹の手を煩わせるわけにはいかない...

 

「か、かわいい...///」ボソッ

 

雪乃がボソッと呟き、何故か...頰を赤らめていた。どうしたのだろうか?

 

「雪乃、どうかしたか?」

 

「何でもないです」(兄さんは無自覚でそういう事を言うのね。心臓に悪いわ)

 

「続きをやりますかね...」

 

「兄さん、まだ休憩しなくて大丈夫なの?顔色があまり良くないように見えるけれど」

 

「大丈夫だろ。それに早く終わらせたいから、少し無理をしても...」

 

「ダメよ!無理は禁物です...兄さん。体調を崩したら元も子もないわ」

 

「お、おう....」

 

雪乃に怒られてしまった。確かに雪乃の言う通りではあるが....

 

「なので、兄さん。こちらに来てください」

 

「お、おう...」

 

雪乃は自分の座るソファに来るように促す。

 

「兄さん、横になってください」

 

「横になるスペースはないと思うが」

 

ソファは雪乃が座ってるので横になる十分なスペースはない。

 

「スペースならあるわ。私の膝の上に頭を乗せれば」

 

「本気で言ってるのか?」

 

雪乃は膝枕をしてくれるらしい。

 

「私は虚言は吐かないわ。いいから早く私の膝の上で横になって」

 

「わ、分かった」

 

俺は言われる通りに雪乃の膝の上に頭を乗せ、横になる。雪乃の太ももは柔らかくて何か不思議な感じがする。初めての体験だからだろうか...

 

「重くないか?」

 

「大丈夫よ。これぐらい」(私が兄さんにしてあげることはこれぐらいしかないのだから)

 

「そういえば、雪乃」

 

「何かしら?」

 

「高校の進学先はどこにしたんだ?」

 

雪乃は確か、親の意向である東京の高校と千葉の高校を受験していたはずだ。

 

「兄さんには言ってなかったわね。進学先は兄さんと同じ総武高校にしたわ」

 

「東京の高校はいいのか?」

 

「東京の高校はあくまでも親の意向だから、別に行かなくてもいいのよ...」(と言っても、私は兄さんと同じ高校に行きたかったから東京の高校は行かないと親に頼んだのだけれどね)

 

「そうか....」

 

「なので、兄さん」

 

「ん?」

 

「私と一緒に登校してくれないかしら?兄さんと一緒に通うのが夢だったの」

 

「お、おう...それぐらいならいいぞ」(お兄ちゃんと一緒に通うのが夢か...嬉しいことを言ってくれるな、雪乃のやつ)

 

「ありがとうございます。兄さん」

 

そう言って、雪乃は俺の髪を撫でていた。気持ちいい....

 

「なんか、眠くなってきた」

 

「寝てください。後で、起こしますから」

 

「そうか、じゃあ...少し寝るわ」

 

「はい」ナデナデ

 

俺は雪乃に頭をナデナデされながら眠りに落ちた。

 

「...zzz」

 

「...すぐ寝てしまったわね。余程疲れていた、ということかしらね」

 

兄さんはいつも仕事をしている。跡取りだからしょうがないとは思うけれど...兄さんの疲れた表情はあまり見たくはない。私も仕事を手伝いけれど、兄さんはそれを許してはくれない。私の事を想ってのことだとは分かっているけれど...やはり兄さんから頼られたいと私は思ってしまう。でも、私が手伝って迷惑をかけるのも申し訳ないとも思ってしまうのもある。だから、私には兄さんをこうやって膝枕をしてあげることしかできない。

 

「私にはこれぐらいしかできないのを許してね、兄さん」

 

「...zzz」

 

当然、兄さんには...この言葉は聞こえていない。

 

「兄さんの寝顔は可愛いわね....」

 

「雪乃、気にかけてくれてありがとな。そんな優しい雪乃がお兄ちゃんは大好きだぞ」

 

「...っ!!」

 

まさか...さっきの私の言葉を聞いていたのかと思い、兄さんが起きているのか見ると....

 

「......zzz」

 

スヤスヤと寝ていた。さっきのは兄さんの寝言だったようだ。

 

「ピンポイントな寝言ね...それにしても気持ち良さそうに寝ているわね....私も寝ようかしら...」

 

私も気持ち良さそうな兄さんの表情を見ていたら眠くなってしまった。

 

「私も優しい兄さんが大好きよ」ボソッ

 

私は兄さんの耳元でそう呟いた後、兄さんに膝枕をしながら寝た。

 

「...zzz」

 

「...zzz」

 

そして、八幡と雪乃は共に寝るのだった。

 

 

そして、数時間後.....

 

 

「おーい、八幡。仕事終わったか?」ガチャ

 

八幡の父が仕事が終わっているかどうか確認するため、八幡の部屋に入った。

 

「仲がいいな、八幡と雪乃は...」

 

八幡の父は八幡と雪乃が一緒に寝ている姿を見て...笑みを浮かべながら、そう呟く。

 

「半分は終わっているようだな。まぁ、後は自分でやるとしよう。八幡と雪乃を起こすのは悪いしな」

 

八幡の父は残りの書類を手にして部屋を後にしたのだった...

 

 

 

 

...続く

 

 

ー 軽い設定 ー

 

 

・比企谷八幡(本作品では雪ノ下八幡)

 

 

大企業を経営する雪ノ下家の長男であり、雪ノ下雪乃のお兄ちゃんでもある総武高校2年生。成績優秀で眼鏡(主に授業中など)をかけているため、高校内では人気がある。しかし...雪乃はその事を、あまり良くは思ってはいないようで...

 

そして、八幡は妹の雪乃を溺愛している。

 

 

 

・雪ノ下雪乃

 

雪ノ下家の御令嬢であり八幡の妹である総武高校1年生。首席入学。八幡のことは兄として尊敬している。八幡が学校内で人気であることに誇りを持つと同時にある思いが募っているとか...

 

 

 

他のキャラも登場予定です。ちなみに葉山は高1の設定です。

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

それでは、次回もよろしくお願い致します。


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第2話

2話目です。
それでは、今回もよろしくお願い致します。



 

 

「ん?寝てたか.....」

 

俺が目を開けると真上には目を閉じて寝ている、妹の姿があった。

 

「可愛い寝顔だな」

 

俺はそっと頭をずらして起き上がる。

 

「あれ?仕事の書類がない....」

 

ふと机を見ると1枚の紙が置いてあった。

 

【後はやっておく】

 

「親父が持ってったのか....じゃあ、代わりに数日後にある課題テストの勉強でもするか....」

 

しておかないと悪い点数を取る。即ち、母ちゃんに怒られる。それは避けたい。

 

その前に、あれだけ撮っておくか.....

 

 

 

 

そして、俺は雪乃をベッドに寝かせたのち....勉強を開始する。

 

 

 

 

 

 

 

PM 6:00

 

 

 

「ん.....」(温かいわね...)

 

「起きたか。雪乃」

 

「ここは?」

 

「俺の部屋。そして、ベッドの中だ」

 

「兄さんのベッド.....」

 

「変なことはするなよ」

 

「しないわ。そんなこと」(いい匂いね...)

 

「自分の部屋に戻っていいぞ」

 

「いえ、このまま寝てるわ」

 

「俺の寝るとこが無くなるんだけど?」

 

「一緒に寝ればいいじゃない」

 

「やめておく」

 

余計に寝れなくなる。

 

「そう....」キュッ

 

そんな悲しい顔をするなよ....

 

「また今度にしてくれ」

 

「分かったわ...それで、兄さんは何をしているの?」

 

「試験勉強。課題テストがあるからな」

 

「大変ね....」

 

「そうでもない。親の仕事に比べれば造作もない」

 

小難しい書類より勉強の方が簡単で楽だ。

 

「さすが私の兄さんね」

 

「雪乃も勉強頑張れよ。総武はかなりの進学校だからな」

 

「ええ。兄さんに負けないように頑張るわ」

 

「そうか....」

 

 

 

 

 

「八幡、雪乃。起きてたか」

 

「親父、ノックして入ってきてくれよ」

 

「したさ。八幡と雪乃が楽しくお喋りしてたから気付かなかっただけだよ」

 

「それなら仕方ないか...それで、どうしたんだ?親父」

 

「夕食の時間だから呼びにきたんだよ」

 

「分かった。すぐ行く」

 

 

 

「雪乃、行くか」

 

「ええ。兄さん」

 

俺と雪乃は1階へと降りて、夕食を摂った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、時は流れ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は総武2年。雪乃は総武新1年となった。

 

 

もちろん雪乃は首席での入学。去年は俺が首席入学している。

 

 

 

 

 

「私もやっと兄さんと同じ学校に通えるのね....」

 

「ふむ....」

 

「どうしたの?兄さん」

 

「いや、雪乃の制服姿....可愛いなって」

 

「えっ!」

 

「ん?どうした?」

 

「何でもないわ。早く学校に行きましょう」

 

「お、おう....」

 

どうしたんだ雪乃のやつ。顔を真っ赤にして....なんか俺、怒らせたか?

 

心当たりがないな....

 

(心臓に悪いわ...でも、雪乃の制服姿が可愛い....可愛い...えへへ...私が可愛い)

 

 

怒ったと思えば、今度は笑顔に....何故だ?

 

 

まぁ、考えるのはやめよう....

 

「おはようございます。八幡先輩」

 

そんな事を考えていたら親の会社の顧問弁護士の息子、葉山隼人に遭遇した。

 

「お、隼人。お前も総武高校にしたのか?」

 

「はい。八幡先輩も総武高校に進学していたので、自分もここを選びました」

 

「そうか...雪乃と同じクラスになったらよろしく頼む」

 

「はい。雪ノ下さん、また高校でもよろしく」

 

「ええ....よろしく」

 

「3人で行くか」

 

「はい。お供します」

 

「そんな堅くなくていい。普通にいこう」

 

「はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

俺達は昇降口に張り出されているクラス表を確認する。

 

 

 

 

 

 

「隼人はどのクラスだ」

 

「Fクラスでした」

 

「雪乃は?」

 

「私もFクラスよ。兄さん」

 

「それなら安心だ。隼人、何があっても雪乃を守ってくれ」

 

「仰せのままに」

 

「堅くなくていいって」

 

「分かりました。八幡先輩」

 

「雪乃も何かあったらすぐに俺を呼べよ。すぐに駆けつける」

 

「私なら大丈夫よ」

 

「それならいいが.....」

 

雪乃は昔からズバッと物事を言うから反感を買いやすいから心配なんだよなぁ....まぁ、隼人がどうにかしてくれるだろう。

 

「じゃあ、俺はこっちだから」

 

「ええ。また昼休みに会いましょう。兄さん」

 

「おう」

 

 

俺は雪乃と別れた。

 

 

 

 

 

ー 雪ノ下雪乃 sideー

 

 

私は兄さんと別れ、1-Fのクラスに入る。

 

その際、クラスメイトからの視線が集まる。こんなのはもう慣れた。小中でもあったから.....

 

 

「えっと...雪ノ下さんだよね?」

 

「ええ...そうだけれど。貴方は?」

 

「私は由比ヶ浜結衣!よろしくね!ゆきのん!」

 

「え...ゆきのん?」

 

「雪ノ下さんの下の名前....雪乃って言うでしょ?」

 

「ええ....」

 

「だからゆきのん!可愛いでしょ!」

 

「いえ、是非ともやめてちょうだい」

 

「えー!!可愛いあだ名だと思ったんだけどな」

 

「それは貴方の感想。私はそうは思わないわ」

 

「そんなことはないと思うよ。雪ノ下さん。いいあだ名だと思うよ」

 

悪いタイミングで葉山くんに話しかけられる。

 

「だよね!えっと...」

 

「俺は葉山隼人。よろしくね、由比ヶ浜さん」

 

「うん!よろしく、隼人くん」

 

「何故、彼だけ普通に呼ぶのかしら....」

 

私の学校生活は静かに過ぎていかなそうね....助けて、兄さん。

 

彼女の思いが兄の八幡には届かなかった。

 

 

 

 

ー side out ー

 

 

 

 

ー 八幡 side ー

 

 

俺は2階に上がり、2-Aの教室に入る。

 

 

席は窓側の後ろの席だった。ふむ、いい席だ。

 

「あれ?ハチじゃん。また同じクラスだし」

 

「げっ....」

 

何故、お前とまた同じクラスなんだ.....三浦。しかも隣の席とは....悪夢か。

 

 

「げっ....ってなんだし」

 

「そのままの意味だ。ギャルの三浦さん」

 

「あーし、ギャルじゃないし」

 

「ギャルだろ」

 

「まぁまぁ、2人とも落ち着いて」

 

「城廻も同じクラスか....」

 

「うん。またよろしくね。八幡くん」

 

「ああ....よろしく」

 

「俺もよろしくだべ!ハッチ」

 

「戸部も同じクラスか....それとハッチはやめろ」

 

「いいじゃん!俺達、マブダチだし!」

 

誰がマブダチだ!そんなのになった覚えはない。

 

 

 

「お前ら、席に着け。HRを始める!」

 

 

 

 

担任はまた独身教師、平塚先生か....

 

 

 

 

 

 

「また騒がしくなりそうだ....」ボソッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

 

 

 

 

 

完。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々、ありがとうございます。

今回はかなり設定を弄りました。

八幡と三浦、城廻と戸部を2年。葉山と雪ノ下、由比ヶ浜を1年に配置しています。多分、川崎さんは2年。相模と一色は1年に配置です。

それでは、次回もよろしくお願い致します。


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[ 刀藤綺凛編 ][ 学戦都市アスタリスク ]
第1話


妹チェンジシリーズ最新作は学戦都市アスタリスクから刀藤綺凛です。

今回はプロローグ的なものなので短めとなっております。

活動報告もあります。

それでは、今回もよろしくお願い致します。


アスタリスク、これは通称名であり正式名称は水上学園都市「六花」である。六花というのはクレーターの湖に浮かぶ正六角形のメガフロートに築かれた学園都市を指す。そこには統合企業財体によって作られた6つの学園、星導館学園、聖ガラードワース学園、界龍第七学院、アルルカント・アカデミー、クインヴェール女学園、レヴォルフ黒学院が六角形の角に配置されている。

 

俺が通っているのは最初に紹介した星導館学園である。そして、妹である綺凛も星導館学園の中等部に通っている。

 

 

「兄さん、今日は鍛錬しないんですか?」

 

「さすがに週6でやってた鍛錬はキツイかったから今日は休みだ。それに学校もあるしな......それより綺凛は鍛錬しないのか?」

 

「はい。兄さんと一緒でお休みしたいと思います」

 

「そうか...」

 

「それより兄さんは今年の鳳凰星武祭(フェニクス)には参加するんですか?」

 

「あれってタッグ戦だろ?俺と組んでくれる奴は多分、いないだろうから多分出ないと思う。綺凛は出るのか?」

 

「はい!兄さんと出場したいと思ってます!」

 

「え?クラスメイトと一緒に出ないのか?」

 

「それは...その、私がお願いしても「恐れ多いから辞退します」と言われてしまって組んでくれる人がいないんです」

 

まぁ、綺凛は元序列1位だから敬遠されがちなのだろう。実力の差がありすぎて足を引っ張ってしまうとペアの人は思ってしまうのだろう。

 

「大変だな」

 

「なので、兄さん。私と組んで鳳凰星武祭(フェニクス)に出ませんか?」

 

「可愛い妹のお願いだからな。いいぞ」

 

「本当ですか!」

 

「おう」

 

妹のお願いとあれば星武祭(フェスタ)鳳凰星武祭(フェニクス)に出ないわけがない。

 

「それじゃあ、明日から鳳凰星武祭(フェニクス)に向けて一緒に鍛錬をしましょう」

 

「マジで?」

 

綺凛と鍛錬するとハードになるから嫌なんだが...凄く疲れるし。

 

「マジですよ。それに、兄さんから序列1位の座を奪還する為にも鍛錬は欠かせないですから」

 

「ええ...」

 

 

俺は妹の綺凛と共に夏に行われる鳳凰星武祭(フェニクス)に出ることとなった。ちなみに俺が序列1位になったのは些細なこと(八幡の交友関係が原因)で喧嘩になり序列外の俺と序列1位の綺凛で決闘をすることとなった。結果、俺が勝利してしまい序列1位となってしまったのだ。

 

 

そして、時間が過ぎ....

 

俺は星導館学園高等部、綺凛は星導館学園中等部へと登校した。

 

 

「うーす」

 

「おう!八幡おはよう」

 

「....」

 

俺はクラスメイトである夜吹に挨拶をされるかスルーし、自分の席に着く。

 

「無視は酷くない!」

 

「お前と関わるとロクなことがないからな」

 

夜吹が在籍する新聞部のせいでどれだけ俺が迷惑したか。目立つわ、ロッカーから偽恋文(偽ラブレター)が大量にイタズラで入ってたりとかなり被害を被った。その元凶を作った張本人に用はない。

 

「元ルームメイトにその仕打ちはないんじゃないか?」

 

「お前が、俺に取材とか」

 

「それは....無理♡」

 

「キモいからハートマークはやめろ。後、今後も取材とかしてくるようなら尚更お前とは関係を持ちたくない」

 

「辛辣!!」

 

当然の報いだな。

 

「朝からうるさいぞ、夜吹、比企谷」

 

「夜吹のせいで俺まで怒られたじゃないか」

 

俺と夜吹の会話を聞いていた俺の隣に座るリーゼルタニア第一王女、ユリス=アレクシア・フォン・リースフェルトに怒られてしまった。

ユリスとは中等部3年からの付き合いであり、最初の出会いは最悪だったのを思い出す。窓から落ちたユリスのハンカチを届けようと窓から渡そうとしたら偶然にもユリスの全裸を目の当たりにするという大事故。そして、俺はビンタをくらってしまった。なんとか許してもらえ今では日常会話まで出来ているという奇跡である。

 

「俺のせい!?」

 

「元凶はお前だ。なあ?ユリス」

 

「話を聞いてる限りは夜吹が悪い」

 

「ユリスまで!?」

 

別に驚くことではないだろう。事実なのだから....

 

その後は普通に授業を受け、放課後を迎える。そして、俺が帰る準備をしているとユリスが声を掛けてきた。

 

「比企谷、ちょっといいか?」

 

「なんだ?ユリス」

 

「大事な話がある、屋上まで来てほしい」

 

「ここじゃあ、ダメなのか?」

 

俺がユリスにそう聞くと、コクッと頷く。

 

「それじゃあ、私は先に行って待ってるから」

 

そして、ユリスは早足で教室へ出て行ってしまった。

俺は荷物を直ぐにまとめてユリスの待つ屋上へと向かった。

 

 

 

 

...続く

 

 

 

ー 八幡とヒロインとの関係性の説明 ー

 

八幡とユリス:中等部3年からのクラスメイト、出会いは最悪。今では日常会話レベルまで関係改善。お詫びとしてではあるが2人きりで買い物等なども経験済。

 

八幡と綺凛:兄妹の関係。八幡が女の子と一緒にいると嫉妬してしまう。ヤンデレ化も待ったなし。

 

八幡とクローディア:中1、中2でのクラスメイト。出会ったきっかけは今後の本編にて

 

八幡とシルヴィア:本編でも明かされるが、初の出会いはテンプレではあるが、道中でシルヴィアがナンパされていたところを八幡が助けるというもの。詳しくは本編にて

 

 

八幡と夜吹:元ルームメイトでありクラスメイトである。

 

 

他のキャラとの関係性は次回以降にて

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

それでは、次回もよろしくお願い致します。


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[ 香風智乃(チノ)編 ][ ご注文はうさぎですか? ]
第1話


比企谷八幡の妹チェンジシリーズの新作として、「ご注文はうさぎですか?」(通称ごちうさ)から香風智乃(チノちゃん)です。

舞台地は俺ガイルサイドの千葉とします。千葉にラビットハウスなどがあると思って頂ければ幸いです。

原作は改変しており、安定のご都合主義です。



引き続き、活動報告もございます。



それでは、今回もよろしくお願い致します。



俺の名前は香風八幡。じいちゃんが元オーナーを務め(今現在は他界している)、現在は親父がマスターとして経営している喫茶店「ラビットハウス」でバイトしている。

そして、今は妹の智乃(*以降チノと表記)と店番をしている。

 

店には繁忙期と閑散期の2つの時間帯があり、今はちょうど閑散期の時間帯である。

 

「暇だなぁ...」

 

「そうですね。お兄ちゃん」

 

「ずっとこの暇な時間が続かないかなぁ....」

 

「それでは店が潰れてしまいます。変なこと言わないでください」

 

「冗談だって」

 

「お兄ちゃん。冗談は目だけにしてください」

 

「はい...すみません」

 

「分かればいいんです」

 

うーん....最近、俺に対するチノの対応....違うな。反応が厳しくなってきたように感じる。小さい頃は「お兄ちゃん!お兄ちゃん!」とグイグイと俺に甘えていたのが嘘だったくらいにだ。まぁ、中学生だから反抗期にでも入っているのだろうと俺は勝手に思っている。反抗期を終えてくれさえすれば、また俺に甘えてくれることだろう。そう信じたい...

 

「それよりこんな客少ないならリゼには休みって伝えておけばよかったな」

 

「そうですね...」

 

リゼというのはここの喫茶店「ラビットハウス」で従業員として働いてもらっている女の子で本名は天々座理世。俺と同じ高校に通っており、春から高校2年生となる。今は更衣室で着替え中である。

 

「それと下宿するって言ってた女の子、今日ぐらいに来るんだよな?」

 

「そうですよ。お兄ちゃんはその子が気になるんですか?」

 

「まぁ、これから一緒に住むわけだしな。気になるといえば気になるな...」

 

俺の目つきは相当やばいらしい(リゼが指摘している)から嫌われないようにしないとな...

 

「むぅ....」(なんか、すごくモヤモヤします...)

 

「チノ、どうかしたか?」

 

「べ、別になんでもないです!」

 

チノは俺から離れコーヒーの機械を清掃し始める。なんかチノのやつ、怒ってないか?怒らせるようなことを俺がしたのか?よくわからない。女心というものはわからないものである...

 

 

 

カランカラン〜♪

 

 

 

そんな事を考えていると店の扉が開く音がした。お客さんのようだ。

 

「うさぎ〜うさぎ♪」

 

うさぎという単語を呟きながら店内へと入ってきていた。よほどのうさぎ好きなのだろう。

 

「いらっしゃいませ」

 

「あれ?あれ?」

 

客らしき女の子は店内をキョロキョロし始める。何か探し物をしているのだろうか?だが、この少女を見るのは初めてだから探し物をしているということはないだろう。

 

「なあ....チノ、あの客どう思う?」

 

「そうですね...変なお客さんではありますね。私が対応します」

 

「チノ、頼むぞ」ナデナデ

 

「っ!はい!」

 

チノは女の子の元へ行く。

 

「何かお探しですか?」

 

「うさぎがいない!!」

 

「......」(なんだ.....この客)

 

「もじゃもじゃ?」

 

ベージュの髪の女の子はチノの頭を指差していた。

 

「は?これですか?」

 

「うん!」

 

「これはティッピーです。一応、うさぎです」

 

「触らせて!!」

 

「ダメです。ご注文は何にしますか?」

 

「じゃあ、うさぎさんで!」

 

「非売品なのでお断りします」

 

「モフモフもダメ?」

 

「コーヒー1杯につき1回ならいいですよ」

 

なんて会話してるんだ...それよか、チノも普通にティッピーを触らせてやれよ。

 

「じゃあ、コーヒー3杯お願いします!」

 

「お兄ちゃん、コーヒー3杯お願いします」

 

「お、おう...」

 

俺は3種類のコーヒーを淹れ、チノ達の方へコーヒーを持っていく。

 

「お待たせいたしました。コーヒーです」

 

俺はベージュ髮の女の子の前にコーヒー3杯を置く。

 

「あ、ありがとうございます」

 

「ごゆっくりどうぞ」

 

「待ってください」

 

俺は盆を返しにカウンターに戻ろうとするが、小さなチノの手が俺の袖をちょこんと摘んだのと呼び止めたので俺は足を止める。

 

「ん?」

 

「お兄ちゃんもここにいてください」

 

「俺も?」

 

「はい」

 

まぁ、客もこの女の子以外いないのでチノの言葉に従う。

 

客の女の子はコーヒーを飲み始める。

 

「上品な香りで...美味しい味です」

 

おっ?この女の子にもコーヒーの良さが分かるとは...八幡、感激です!キモいな。やめよう...

 

「これがブルーマウンテンなんだ...」

 

前言撤回。普通の女の子だった。それが普通なんだけどね。

 

「いえ、そのコーヒーはコロンビアです」

 

俺が言う前にチノが女の子に間違いを正した。

 

「2杯目もいただきます。この酸味は....キリマンジャロ!」

 

このコーヒーがブルーマウンテンなんだが...

 

「このコーヒーがブルーマウンテンです」

 

そして、女の子は3杯目のコーヒーを飲むが....

 

「安心する味!これは...分かる!インスタント「違います」コーヒー.....」

 

安定の銘柄を間違える。まぁ、分かる人の方が少ないから別にいいんだけどね...それよか、インスタントコーヒーって...俺の店はインスタントコーヒーは使わないぞ。

 

「3杯目はうちの店のオリジナルブレンドです。お兄ちゃんが監修しています」

 

「お兄ちゃん?」

 

「はい。隣にいるのが私のお兄ちゃんです」

 

「どうも、お兄ちゃんです」

 

「ごめんなさい。コーヒーの種類を間違えてしまって」

 

「謝ることじゃない。大抵の人は分からないから、気にすんな」ナデナデ

 

俺はシュンとしている女の子にチノが落ち込んでいる時にいつもしてあげている動作、頭をナデナデする。

 

「...はい///」

 

女の子は嬉しそうにそう呟く。頭をナデナデしてあげたのが効いたのかもしれない。そしていつのまにか、ティッピーをモフモフして遊んでいた。

 

「むぅ.....」(お兄ちゃんのナデナデは私だけの特権ですっ....)

 

チノは何故か、むくれていた。

 

「それより、この店に来るのは初めてだよな?」

 

「はい!私、春から千葉の総武高校に進学することになってて、下宿する先を探していた所で...その途中にこのラビットハウスを見つけたんです」

 

「そうか...それで下宿先の家の名前とか知ってるか?」

 

「香風って言うんですけど...」

 

「それは私のうちです」

 

「え?本当に?」

 

「本当です」

 

「これは運命だねっ!」

 

「......そうなのでしょうか?お兄ちゃんはどう思いますか?」

 

「俺に振るの?」

 

「はい。答えてください」

 

「まぁ、運命なんじゃないか?」

 

「そうですよね!これからよろしくお願いしますね!お兄ちゃん」ニギッ

 

俺がそう答えると女の子は俺の手を取り、満面の笑みでこう答える。

 

「ぐはっ!!!」

 

可愛すぎかよっ!!チノと同じレベルぐらいの可愛さだった。

 

「.....」(お兄ちゃんは絶対に渡しません)

 

「あっ、自己紹介がまだでした。私の名前は保登心愛っていいます。ココアって呼んでね」

 

「ココアさんですね。分かりました。それと私の名前は香風智乃で中学2年です。チノって呼んでください」

 

「よろしくね、チノちゃん!」

 

「次はお兄ちゃんの番ですよ」

 

「俺は香風八幡だ。総武高校の2年だ。呼び方は好きに呼んでくれていい」

 

「お兄ちゃんでいいですか?」

 

「ダメです。お兄ちゃんは私だけのお兄ちゃんです」

 

「お兄ちゃんって呼んでダメなの?チノちゃん」

 

「はい」

 

俺はどっちでもいいんだがな。2人からお兄ちゃんと呼ばれてみたい。絶対、幸せの未来が待っているだろうからな。

 

「じゃあ、八幡さんって呼ぶね!」

 

「....そうしてください」

 

最終的に下の名前で呼ばれることになった。それと、何故か俺まで下の名前で呼ぶように言われた。最初は断ったのだが、涙目で下の名前で呼んで?とせがまれたので、渋々ではあるが了承した。

 

 

そして....ココアは下宿先に住まわしてもらう代わりに喫茶店で働きたいと言ったので、俺はそれを受け入れる。

 

 

「それじゃあ、更衣室で着替えてくれ。チノ、後は頼んだぞ」

 

「....分かりました」

 

チノはココアを連れて更衣室へと向かった。そういえば、リゼのやつはまだ更衣室にいるんだったな。変なことにならなければいいのだが...

 

 

 

そして、数分後......

 

 

「八幡!」

 

リゼが更衣室から出るやいなや、俺の方へとやってくる。チノとココアはリゼの後から更衣室を出る。

 

「ん?どうしたんだ、リゼ」

 

「新しいバイトが増えるなんて聞いていないぞ」

 

「まぁ、言ってないのもあるが急に決めたことだからな....そうだ、リゼ」

 

「なんだ?」

 

「ココアに色々と仕事の事を教えてやってくれ。バイトの先輩として」

 

「それは、教官としてということか?」

 

「ま、まぁ....そんな感じだな」

 

教官という言葉が合っているかはわからんが。

 

「八幡の頼みなら仕方ないな。任された!」

 

「リゼさんはなんか嬉しそうですね」

 

「後輩が出来たからじゃないか?」

 

「...そうかもしれませんね」

 

俺とチノはそう会話しつつ、ココアを指導するリゼの方を見ているのだった。

 

 

 

そして、この瞬間から八幡、チノ、リゼ、ココア。それに新たなキャラも登場し、波乱万丈な八幡の青春物語が始まるのだった。

 

 

 

...続く

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々、ありがとうございます。

次回もよろしくお願い致します。


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「 阿良々木火憐・月火編 」「 物語シリーズ 」
第1話


このシリーズは再度、こちらに移行します。

最新話は翌日の0時に投稿します。

それでは、今回もよろしくお願い致します。


 

「第1話 やはり俺が吸血鬼なのはまちがっている。」

 

 

 

 

ピーピーピーピーピーピーピーピー

 

「ポチッ」

 

もう朝の7時か...俺はそう思いつつ、妹がセットしてくれたアラームを切る。春休みも終わり、俺は今日から高2になる。ぶっちゃけ、春休みからの新学期というのはだるい。

春休みはアニメ鑑賞にゲーム、夜更かしなどをして体内時計が狂ってる中での、新学期の学校というのは無理ゲーである。よし、今日の学校を休もう。そうしよう...俺は2度寝しようと決心したところで...

 

「ハチ兄!起きろ!朝だぞ」ユサユサ

 

「お兄ちゃん、朝だよ。今日から学校だよ」ユサユサ

 

俺の可愛い可愛い妹達、火憐と月火に起こされてしまう。もう少しで2度寝ができるとこだったのに...タイミングが悪すぎるぜ、まったく...

 

「お兄ちゃんはまだ眠いから寝る」

 

「何言ってんだよ!ハチ兄!今日から学校だぞ。いいから起きろ!」

 

「そうだよ。早く起きてよ、お兄ちゃん」

 

そう言って、火憐と月火は俺の掛け布団を取った。さみぃ...

 

「はぁ、わかった。お兄ちゃん、起きるから火憐と月火は先に下に行ってろ」

 

「早く来てよハチ兄!月火が作った朝ご飯が冷めるから」

 

「なにっ!月火の作った朝食だと!それを早く言え。お兄ちゃん、超特急で支度するから」

 

「ハチ兄!その反応はキモいぞ」

 

何を言うか!月火の作る飯は美味いんだからしょうがないだろ...

 

 

「そういう事だから、早く下に降りて来てね」

 

俺は火憐と月火が下に降りたところで俺は布団をすぐさま片付けて、下に降り歯磨きと洗顔を終え、妹と3人で朝食をとった。やっぱり、月火の作った料理は美味い。俺の妹じゃなかったら、即付き合ってるな。だが月火は絶対、嫁には行かせない。もちろん、火憐もだ。

こんな可愛い妹がいなくなると考えるだけで、悲しくなる。おっと、目から汗が...

 

「お兄ちゃん、何泣いてるの?」

 

「いや、何でもない。ただ、月火が作った飯が美味くてな...」

 

「はぁ...ハチ兄はシスコンだな」

 

「俺はシスコンじゃない。ただ妹が好きなだけだ」

 

「それをシスコンって言うんだぜ、ハチ兄。ああ、それと母ちゃんから伝言。通学中は車に気をつけてだってさ」

 

「へいへい」

 

俺の親はこの場にはいない。なぜかというと両方、警察官なので朝早くに出勤している。そのため、一緒に朝食をとることはほとんどない。そして、火憐の最後の言葉である車に気をつけろというのは俺が高校の入学式の時に1時間早く自転車で学校に向かってた時にリードが外れた犬が、車道に飛び出し車に轢かれそうになったところを俺が庇い事故ってしまった。その時には親と妹が俺の病室まで急いで駆けつけ、涙を流してまで俺のことを心配してくれた。そして、俺は親と妹に2度とこういうことはしないようにと言われた。もちろん、俺は2度と同じ事はしない。親と妹の悲しむ姿はもう見たくないから...

 

 

 

「ごちそうさん」

 

「お粗末さん」

 

「お粗末さまでした」

 

そして、俺達は朝食を食べ終えた。

 

 

「じゃあ、ハチ兄!気をつけて学校に行けよ」

 

「車にはくれぐれも気をつけてね。お兄ちゃん」

 

「ああ...分かってる。火憐と月火も気をつけてな」

 

そう俺達は言葉を交わして、学校に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妹達と別れた後、俺は15分ほど自転車を漕ぎ、学校の駐輪場に置いてから校門をくぐった。ちなみに俺が通っている高校は私立の直江津高校だ。偏差値はそこまで高くはなく普通に勉強していれば入学できる学校だ。俺の通う学校の説明はこれぐらいにして、俺は自分のクラスを確認し、2-Aの教室へと入り自分の席に座り、HRが始まるのを待つ。それまで俺は特にすることがないのでクラスメイトの会話を聞くことにした。すると、あの春休みの出来事に関する話が聞こえてきた。

 

「そういえば、隼人君。春休みに吸血鬼が出たって噂知ってる?」

 

「ああ。噂でちょっと聞いたぐらいだけどね。本当にいたら怖いな」

 

「だな。でも、俺は直接見たわけじゃないから何ともいえないんだけど、見た人の情報だと金髪の女性らしいよ」

 

「へぇ...そうなのかい?」

 

「噂だけどね」

 

「その吸血鬼の噂はもしや、優美子だったりするべ?優美子も金髪たべ」

 

「あ?戸部、もう一回言ってみな?」

 

「じ、冗談だべ!」

 

「優美子、落ち着いて」

 

「戸部、それは良くない冗談だぞ」

 

「わ、悪かったべ!今度、何か奢るから許してほしいべ」

 

「ラッキー!じゃあ、あーしはサーティワンのダブルね」

 

「わかったべ」

 

「それより、その吸血鬼は今でも現れたりするのかい?」

 

「いや、ここんとこは現れたりとかはしてないと思うよ。隼人君」

 

「じゃあ、本当に噂の話かもね。実在する可能性は低いだろうしね」

 

「「だな」」

 

金髪のイケメングループと女子はそんな会話をしていた。吸血鬼...それは春休みに突如、現れたイレギュラーな存在である。イケメングループは吸血鬼は噂の話で吸血鬼はいなかったと言っているが、それは違う。俺はその吸血鬼に出会っている。名をキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードといい、鉄血にして熱血にして冷血の吸血鬼とも呼ばれている。そして、俺はこの吸血鬼の眷属となっており、俺の体の中には半分、吸血鬼の血が混ざっている。その話はおいおい話していくつもりだ。そして、吸血鬼は出現していないとのことだが学習塾跡地から一歩も出ず、怪異の専門家の忍野メメと一緒にいることだろう。俺は先日の事を思い出しつつ、金髪のイケメングループの話を聞いていると、隣から声を掛けられる。

 

「おはよう。比企谷くん」

 

その主は、高1からのクラスメイトでもあり春休みの吸血鬼の一件に関係している女の子、羽川翼だった。その話は、のちに語るとしよう。

 

「ああ、おはよう」

 

「また同じクラスだね」

 

「そうだな。これからもよろしく頼むわ」

 

「うん!よろしくね、比企谷くん」

 

そう会話した後に、担任の先生が教室に入ってきた。

 

「えー...2-Aの担任をすることになった平塚だ。よろしく頼む」

 

担任の先生は去年と同じ先生だった。

 

「それじゃあ、早速だがクラス委員を男女各1名選出する。やりたい人はいるか?」

 

そして平塚先生はクラス委員を決めるため、そう聞くが誰も手を挙げなかった。それも、そうだ。クラス委員は放課後などに残って作業をしたりなど、色々と面倒だからわざわざやる奴もいない。

 

「やはり、やりたい人はいないか...それじゃあ、くじ引きで決めるぞ」

 

「え〜」

 

平塚先生がそう言うと、クラスの奴らは不満そうにしていた。

 

「それなら、私がクラス委員をやります」

 

「それは助かる、羽川。どうせなら、羽川に男子のクラス委員を決めてもらうか」

 

「分かりました。平塚先生」

 

そして、羽川は俺の方を見てきた...嫌な予感しかしない...

 

「比企谷くんをクラス委員に指名します」

 

やっぱりか...嫌な予感が的中したよ...

 

「わかった。それじゃあ、男子のクラス委員は比企谷。女子のクラス委員を羽川とする。それと、この後に始業式が始まるから体育館に集合だ。いいな?それでは、各自移動開始」

 

そして、俺達は体育館に移動することになった。その際に羽川に話しかけられた。

 

「比企谷くん。クラス委員に指名してごめんね」

 

「それぐらい、構わん。羽川には借りもあるしな。それより、俺とで良かったのか?クラス委員」

 

「うん。仲がいい男の子は比企谷くんぐらいしかいないから...」

 

俺がそう聞くと、羽川は頰を少し赤くしそう答えた。羽川なら誰とでも仲がいいと思っていたが、俺だけとは少し意外だった。何でも出来て、それに成績優秀。スタイルもいい羽川にしては男子から話しかけられることもあるだろうと思っていたからな。

 

「そうか。それより、体育館に移動するか」

 

「そうだね。それじゃあ、行こっか。比企谷くん」

 

「ああ」

 

そして、俺と羽川は一緒に体育館に向かった。

 

 

...続く

 

 

 

ー キャラ設定 ー

 

・比企谷八幡 (本作の主人公)追加設定

 

高2に上がる前の春休みにキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードに血を吸われて、吸血鬼となった。

羽川翼とは高1からのクラスメイトで、春休みの一件以降からよく話すようになる。そして、羽川翼と同じクラス委員でもある。

 

 

・羽川翼

比企谷八幡とは高1からのクラスメイト。春休みの一件からよく話すようになる。後は原作通りでハイスペックな女の子。

 

 

・キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード

 

鉄血にして熱血にして冷血の吸血鬼で、比企谷八幡を2人目の眷属とした。春休みの一件で身体の一部を全て取り返したが、八幡の血を定期的に吸わないと生きていけなくなってしまった。後は原作通り。

 

 

・葉山グループ

 

原作通り。アンチにはするかは未定

 

 

他のキャラの設定は登場した時に記す予定です。

 

八幡のヒロインは化物語キャラのハーレムを予定しております。




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

2話目は23時に投稿、最新話は翌日の0時に投稿予定です。

それでは、次回もよろしくお願い致します。


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第2話

 

「第2話 比企谷八幡は戦場ヶ原ひたぎという少女に出逢う。」

 

 

ーーーーー

 

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--

 

 

 

体育館に着き、しばらくしてから始業式が始まった。始業式は主に校長先生の話がメインで、それがやたら長いので俺はいつも寝ている。他の生徒もちらほらと寝ている奴がいる。それもしょうがない。校長先生とかの話がつまらないからな。そんな事を思いつつ、始業式の大半を寝て過ごした。

 

そして始業式の後は、各クラスでHRをやり、昼休みを挟んで課題テストが行わる予定になっている。今はちょうど、HRが終わり昼休みに入っている。俺はいつものように購買でパンなどを買い、比較的人の少ない中庭で適度に吹く風で心地よくなりながら高1の頃からずっと、ここで昼食をとっている。ちなみに俺はこの中庭をベストプレイスと呼んでいる。

 

20分後、そろそろいい時間なので俺は教室に向かうため中庭を後にした。そして校舎に入り、階段を使って自分のクラスに行こうとした時、俺の前で階段を上がっていた1人の女子生徒が床に落ちていたバナナの皮だろうか...それを踏み、体勢を崩し俺の方へ倒れ込んだ。

 

「マジかよ...」

 

俺は後ろに倒れないように足に力を入れ、倒れてくるであろう女子生徒をキャッチする体勢を取った。

 

「おっと...」

 

そして、俺は女子生徒を無事キャッチした。しかし、何かがおかしいと感じた。女子生徒をキャッチするのはいい。こう普通にキャッチすること自体がおかしいのだ。普通なら俺も後ろに倒れたりとか衝撃を少なからずは受けるはずだ。だが、今回はそれがない。その理由はすぐに分かった。

 

「こいつ、軽すぎる...」

 

そう、この女子生徒の体重が軽いのだ。例えるなら生後6か月の赤ちゃんぐらいの重さだ。だから、俺がキャッチした時に衝撃等がほぼ無かった。しかし、なぜ彼女がこんなにも体重が軽いのかと俺は考えた。

しかし、考えても分からなかった。

 

「いや、分からんな。忍野に聞いてみるかな...っと、その前にこいつを保健室に運ぶか。気絶してるし」

 

俺は気絶している女子生徒を保健室へと連れて行った。

 

 

「失礼します」

 

そう言って俺は保健室へと入った。

 

「あら?八幡くんじゃない。久しぶりね」

 

「どうもお久しぶりです。鞠川先生」

 

保健室の先生とは顔見知りである。高1の事故の際に、その現場にいて適切な処置もしてくれた優しい先生である。男子の中でも、かなりの人気のある人だ。

 

「入学式の時に怪我した足は、もう痛くない?」

 

「ええ。もう大丈夫ですよ」

 

入学式時の怪我はもう完治している。古傷の心配もない。俺が吸血鬼になった時に足の怪我の跡は完全に無くなっていたしな。

 

「それより気絶してる子を連れてきたので、面倒見てあげてください」

 

「分かったわ。とりあえず、その子をベッドの上に寝かせてあげてね」

 

「分かりました」

 

そう言って俺はベッドの上に女子生徒を寝かせた。

 

「この子の名前は分かるかしら?」

 

「さあ...分かりませんね。生徒手帳で確認してみたらどうですかね?」

 

「それもそうね。えっと...名前は戦場ヶ原ひたぎさん。クラスは2-Aね」

 

マジか。俺と同じクラスか。全然知らんかったわ...何でも知ってる羽川にでも戦場ヶ原のことを、ある程度聞いておくか。忍野にも話す際に少なからず、戦場ヶ原のことも知っておいたほうがいいし。

 

「それじゃあ、後は頼みます」

 

「ええ。引き受けたわ。それじゃあ...八幡くんは午後の課題テスト、頑張ってね」

 

「あ、はい」

 

すっかり、課題テストの事を忘れていた。ちゃんと点数取れるといいけどな。そんな事を思いつつ俺は保健室を出て、自分の教室へと向かった。

 

 

 

そして、課題テストが行われた。科目は国数英と理社の5教科で全て、マークシート。時間は各30分だった。文系科目はかなりの手応えはあったが理系科目はダメだった。特に数学。sin、cosとかθ、二次関数とか意味がわからん。もう赤点必須だな...そんな事を考えていると、羽川が俺に話しかけてきた。

 

「比企谷くん。課題テストどうだった?出来た?」

 

「文系科目は出来た。理系科目は全滅」

 

「そっか。数学とか苦手だもんね、比企谷くんは」

 

「羽川は凄いよな。いつも高得点だし」

 

羽川は凄い。いつも定期テストは5教科490点以上と驚異的な数字を叩き出している。俺は何点かだって?高1の学年末に5教科だけで319点だ。ちなみに理科が30点で数学が9点だ。

 

「私はちゃんと勉強してるからね。八幡くんは大丈夫なの?大学とか行くんでしょ?」

 

「だいぶ先の話だが、俺は私立文系だから理系科目はいらない。だから大丈夫だ。なんとかなる」

 

「ふーん。そうなんだ」

 

「皆、静かにして席につけ。帰りのHRをするからな」

 

俺と羽川がそんな話をしていると担任の平塚先生がそう声をかける。俺と羽川は話をやめて、平塚先生の方を見た。

 

「これで課題テストは終わったので、今日はこれで終わりだ。私の話が終わった後は、帰ってもらっていい」

 

よし!これで帰れる。と、思ったのだが...

 

「だが、クラス委員の比企谷と羽川は残れ。私から話がある」

 

平塚先生の呼び出しがかかった。これで帰れるのは先延ばしになった。

 

「話は以上だ。気をつけて帰れよ。それじゃあ、解散」

 

そう言って、帰りのHRは終わった。皆はぞろぞろと帰り始める。俺は呼び出しをくらっているので帰れない。

 

「すまんな、比企谷と羽川。呼び出しをしてしまって」

 

「いえ、私は別に...」

 

「本当ですよ。まったく...」

 

「は、八幡くん!そんな言い方はダメでしょ!」

 

「そうは言ってもだな...」

 

「んっ!話を進めていいかね?」

 

「は、はい」

 

「君達にはこれから、この作業をしてもらう」

 

そう言って、平塚先生から1枚のプリントをもらった。

 

「文化祭の出し物の案を決める?かなり、早くないっすかね。春の時期から」

 

「八幡くんの意見に賛成です。もう少し後にやった方がいいのではないですか?」

 

「それはそうなんだが、早く決めておいて損はないと思ってな。早い段階で決めておけば色々な対応などを素早く出来るしな。とりあえず、君達には文化祭でやる出し物の案を考えてほしい」

 

ふむ...一理あるな。

 

「分かりました」

 

「それでは、よろしく頼む。提出は明日な。私はこれから職員会議なのでな」

 

そう言って、平塚先生は教室を後にした。

 

「それじゃあ、八幡くん。始めようか」

 

「ああ。そうだな」

 

そして、俺と羽川は文化祭でやる出し物の案を考えることにした。

 

「八幡くんは何か案はあるの?」

 

「そうだな...無難にお化けやしきとかだな」

 

「ちなみに選んだ理由は?」

 

「それはだな。俺が中学の時だ。その時も文化祭の出し物でお化けやしきをやってな。俺はお化けの役だったんだが、俺がやるとリアリティでかつクオリティが高いと結構評判だったんだ。しかも、脅かす相手はカップルばっかりで彼氏の方が彼女より先に逃げ出してな。その影響か知らんが、別れるカップルが続出しててな。それが面白いのなんのって...だからお化けやしきを選んでみた」

 

リア充は滅ぶべきだと八幡は思うな!

 

「なんか、理由が最低だね」

 

「じゃあ、羽川は何がいいんだ?」

 

「私?ん〜そうだね。喫茶店とかかな?」

 

「ほう。理由は?」

 

「喫茶店だと、メイド喫茶や執事喫茶が有名じゃない?それに、かなり人気で需要もあるから選んでみたの。それに...」

 

「なんだ?」

 

「八幡くんの執事姿も見たいかなぁ...なんてね」

 

「俺の執事姿?俺が執事なんて似合わないと思うが」

 

「案外、似合うかもしれないよ」

 

「喫茶店に決まったらやってもいいが」

 

「その時が来たら楽しみね」

 

羽川はそう言って微笑む。俺の執事姿を見たいなんて、変わってるな。誰得なんだろうな。笑われそうな感じしかしないがな。その後も話し合いは続いた。そして、案は4つに絞られた。

 

「じゃあ、文化祭の案としては八幡くんの選んだお化けやしきと私の選んだ喫茶店と劇と何かの展示、これの4つかな?八幡くんもこれでいい?」

 

「いいんじゃないか?」

 

「それじゃあ...出し物の案も決まったことだし、帰ろっか」

 

「その前に羽川に1つ聞いてもいいか?」

 

「私の知ってる範囲なら構わないよ」

 

「うちのクラスの戦場ヶ原って女子生徒の事なんだが」

 

「戦場ヶ原ひたぎさんね。その子がどうしたの?」

 

「知ってることがあれば出来るだけ教えてほしいんだが」

 

「珍しいね。八幡くんが他の人に興味を持つなんてね」

 

「いや、ちょっと気になることがあってな。頼む」

 

「分かりました。教えてあげましょう。その代わり、これは貸しだからね?八幡くん」

 

「ああ、分かった」

 

「戦場ヶ原さんとは今のクラスで一緒ってだけであまり関わりはなかったんだ。それと彼女とは中学が一緒でね」

 

俺は相槌を打ちながら羽川の話を聞く。

 

「その時と、今はかなり違うの」

 

「どう違んだ?」

 

「今は大人しい感じだけど、中学では陸上部のエースだったの。それもかなり有名だった。後輩の子も凄いらしくて本当に人気があったわ。それに成績優秀。完璧な人って感じだったわね」

 

へぇ。羽川の話を聞いてると戦場ヶ原って凄いやつなんだな。

 

「でも、私は今の大人しい戦場ヶ原さんがいいわね。凄く綺麗で儚げな存在だから」

 

羽川はそう言った。儚げな存在ね...つまりは存在感がない。

これほど、変わったのには訳がありそうだな。

 

「なるほどな。羽川、サンキューな。いい話が聞けたわ」

 

「お役に立てたのならいいんだけど、その話を聞いてどうするの?」

 

「まぁ、ちょっと訳ありでな。聞かないでくれると助かる」

 

「八幡くんがそう言うなら、これ以上は聞かない」

 

「すまんな。それじゃあ、俺は先に帰るわ」

 

「う、うん。またね」

 

「ああ」

 

そう言って俺は教室を出た。すると...

 

「羽川さんと、何を話していたのかしら?」

 

そう俺の後ろから声が聞こえた。

 

「ん?」

 

そして俺は後ろを振り返ろうとした時...

 

「動かないで」

 

そう言われた。その際に彼女なら嫌な威圧感を感じ、俺は咄嗟に彼女と距離を取った。その時に手に痛みが走る。手を切ったようだ。少し深めに。そして、俺は彼女の方を見た。何故か、手とかにカッターとかハサミとかいろいろ物騒なモノを持っていた。

 

「お前は、階段の時の...」

 

「そうよ。私も迂闊だったわ。階段を昇るときには人一倍、気をつけていたのにあんな所にバナナの皮が落ちているなんてね」

 

「気をつけていたのに、転ぶとはな。笑えるわ」

 

「黙りなさい。保健の先生に聞いたわ。私が階段から落ちたのを助けてくれたそうね。比企谷八幡君」

 

「成り行き上な」

 

「その事には感謝するわ。ありがとう。話は変わるけれど、貴方は私の体の秘密に気づいたわよね?階段から私を助けた時に」

 

「ああ、体重が軽い事にだろ」

 

「やっぱり気づいてしまったのね。しょうがないわ。貴方を処刑するわ」

 

今、処刑するとか言った?嘘だよね?

 

「いや、別に戦場ヶ原の秘密をバラしたりとかしないから安心しろ。俺にはそのような事を話す人がいないからな」

 

「...悲しい人ね」

 

「ほっとけ。それより、体重が軽くなったのはいつ頃からだ?」

 

「貴方に話すことではないわ」

 

「そうでもないさ。これを見てみろ」

 

そう言って、俺は戦場ヶ原にカッターで切られた右手を見せた。

 

「き、傷がない」

 

「何で、傷がないんだって思ってるだろ?その理由はな。俺が吸血鬼だからだ。戦場ヶ原は金髪の女の吸血鬼が出没してたって噂話は知ってるか?」

 

「ええ」

 

「俺は春休みにそいつに血を吸われて吸血鬼になったんだ。だから、俺は吸血鬼の能力でお前から受けた傷を一瞬で治した」

 

「貴方が吸血鬼ならなぜ、こんな場所にいるの?吸血鬼は光がダメなんじゃないかしら?」

 

「春休みのときまではな。あるアロハシャツを着た男の人に俺は助けられてな。そのおかげで、今の俺の身体は吸血鬼と人間の血が流れてるんだよ。だから今でもこうして普通に生活できているんだよ」

 

「そ、そうなのね」

 

「それで...だ。お前の身体が軽い原因も、もしかしたら解決するかもしれない」

 

「っ!」

 

「どうする?俺の言ってる事を信じて身体が軽い原因を突き止め、元の生活に戻りたいか、もしくはこのままの生活を続けていくかのどちらかだ」

 

「貴方の言うことを信じれば、元の生活に戻れるのね?」

 

「100%ではないがな」

 

「そう。それでも、貴方を信じてみるわ」

 

「そうか。それなら、アロハシャツを着た男の人に会いにいくぞ。その人に相談すれば、解決出来ると思うからな」

 

「分かったわ」

 

そう言って、俺と戦場ヶ原はアロハシャツの服を着た忍野メメの所に向かった。

 

 

 

...続く

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

最新話は翌日の0時に投稿予定です。

それでは、今回もよろしくお願い致します。


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第3話

お待たせ致しました。最新話です。

安定のご都合主義、原作ベースです。

それでは、今回もよろしくお願いします。


「第3話 忍野メメは戦場ヶ原ひたぎと邂逅す」

 

 

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俺と戦場ヶ原は学校を出て、忍野メメのいる学習塾跡へと向かう。

 

もちろん、自転車に乗ってだ。俺が前で漕ぎ、戦場ヶ原が後ろの荷台に横になって乗っている。

 

「お尻が痛いわ」

 

「すまんが我慢してくれ」

 

「女の子に我慢させる気なの?」

 

「じゃあ、歩いていくのか?まだ距離あるぞ」

 

「じゃあ、比企谷くんと私の位置を交換しましょう」

 

「は?なんで?俺の自転車なんだけど」

 

「それじゃあ、鞄を貸しなさい。座布団代わりにするから」

 

「俺の鞄が潰れるから却下だ。スピード上げて早く着くようにするから我慢してくれ」

 

「しょうがないわね。比企谷くんの背中を借りることにするわ」

 

「え?」

 

ふにっ...と柔らかいものが俺の背中に当たる。

 

「いきなりどうした?」

 

「後ろは振り返らないで。比企谷くんは早く自転車を漕ぎなさい」

 

俺が後ろを振り返ろうとするが、戦場ヶ原に止められる。

 

「こうすればお尻に負荷がかからないのよ。それにこの方が速く漕げるでしょう」

 

「わかった。しっかり掴まっとけよ」

 

「ええ....」(比企谷くゆの背中って意外と大きいのね)

 

戦場ヶ原に背中を抱きつかれつつ、自転車を速く速く漕いでいく。高鳴る心臓の鼓動を聞かれないようにしつつ....

 

そして、10分程で忍野メメのいる学習塾跡についた。

 

「ここなの?」

 

「ああ、ここにいると思う」

 

「その...アロハシャツの人って随分と変わった所で住んでいるのね」

 

「そうだな。実際に変わってる人だと思う。名前だけ教えておくと忍野メメっていう中年のおっさんだ」

 

「怖い人ではないわよね?」(メメってなんか萌えちぎりそうな名前ね...あえて、口には出さないけれど)

 

「それは保証できる。お前よりは怖くはないから安心してくれ」

 

「それは心外ね、比企谷くん」

 

「いやいや、いきなりカッターナイフを口元にあてるやつが怖くないわけないだろ。あんなことするのはお前ぐらいだぞ」

 

「それは悪かったわね。それと私のことをお前って呼ぶのはやめて」

 

「戦場ヶ原でいいのか?」

 

「いいえ、私のことは戦場ヶ原ひたぎ様か戦場ヶ原ひたぎ殿と呼びなさい」

 

「同級生相手に何故、敬意を払わないといけないんだよ...」

 

「美少女相手には敬意を払うと親に習わなかったのかしら?」

 

「習わねーよ。それとちゃっかり自分のこと、美少女って言うなよ」

 

「本当のことなのだから仕方ないじゃない」

 

「それはそうだが...まぁ、いい。いくぞ」

 

「そうね...」(私が美少女っていうのは否定はしないのね...)

 

「おっと、その前に文房具類とかカッターナイフとかを預かりたいんだがいいか?」

 

「えっ...まさか、比企谷くん。私から武器を取り上げていかがわしいことをする気なの?」

 

「なわけないだろ。そんな危険なものを持たせたまま、会わせるわけにいかないだけだ。一応、忍野は俺の恩人だからな」

 

「....嘘は言っていないようね。分かったわ、ここに置いていくわ」

 

そう言ったのち、戦場ヶ原の制服の中から大量の文房具類が出てきた。物騒すぎる...いつもそんなのを持ち歩いているのかよ...

 

俺は戦場ヶ原が文房具類を身につけていないか目視で確認し、忍野メメのいる学習塾跡の一室へと向かった。

 

 

 

 

「比企谷くん、1ついいかしら?」

 

「なんだ?」

 

「不死身って便利そうね....って言われたら傷つく?」

 

「別に俺はどうも思わない。それに俺は不死身じゃない。傷が少しばかり速く治るってだけでほとんど人間と変わらない」

 

「そうなのね...」

 

「着いたぞ、ここだ」

 

「ここにいるのね」

 

そして、俺と戦場ヶ原は忍野メメのいる一室に入る。

 

 

 

 

「おやおや、誰かと思えば比企谷くんじゃないか。久しぶりだね」

 

「久しぶりだな。忍野」

 

「今日は委員長ちゃんじゃなくて違う女の子を連れているんだね。浮気はダメだよ、比企谷くん」

 

「変なことを言うな、忍野。俺は浮気などしてない」

 

「そうなのかい?それはごめんね。それで、今日は何の用だい?彼女が出来たから僕に報告かい?それはおめでたいね」

 

「だから違うって」

 

何回言えば分かるんだよ、忍野のやつ...

 

「わ、私は比企谷くんの彼女じゃないです」

 

「軽い冗談だよ、大体検討はつくさ。その前に自己紹介しようか。忍野メメです。よろしくね、お嬢ちゃん」

 

「戦場ヶ原ひたぎです。忍野さんのことは比企谷くんから少し聞いています」

 

「そうかい。なら話は早いね。ふーん、そういうこと」

 

「何か見えるんですか?」

 

「ん?いや、何も見えないよ」

 

「っ!!」

 

「それで、忍野。話があるんだが」

 

「いいよ。久しぶりに比企谷くんのお話を聞こうじゃないか」

 

「えっと、だな...」

 

「比企谷くん。私から話すからいいわ」

 

「分かった」

 

「その前に忍野さん。私を助けてくださるって聞いたのだけれど」

 

「ん?ああ、比企谷くんから聞いたんだったね。でも、ちょっと違うね。僕は助けないよ。君が1人で勝手に助かるだけだ、お嬢ちゃん」

 

「5人、私に向かって同じセリフを吐いた人がいるわ。その5人は全て詐欺師だった。忍野さんもその詐欺師と同じ部類なのかしら?」

 

「忍野はそんな奴じゃ...」

 

「はっはー!お嬢ちゃん、随分と元気いいねぇ...何かいい事でもあったのかい?まぁ、そう疑うのも無理はない。僕とお嬢ちゃんは初対面だからね。でも、話してくれないと先には進めないかな。もちろん、秘密は厳守するさ。僕は詐欺師じゃないんでね」

 

「戦場ヶ原。忍野は悪い奴じゃない。だから話してくれ」

 

「比企谷くんがそういうなら話すわ」

 

「随分と比企谷くんには心を開いているね、お嬢ちゃん」

 

 

忍野がそう言ったのち、戦場ヶ原は説明し始める。自分の身に起こった事を....(*詳しく知りたい方は原作を参照してほしい。本編では次回にて触れる予定)

 

 

 

 

「なるほど、それは「おもし蟹」だね」

 

「怪異絡みか」

 

「その認識で構わないよ、比企谷くん」

 

「おもし蟹...」

 

「おもし蟹っていうと、宮崎県の山間部あたりの伝承の話でしたっけ?」

 

「さすが、文学には詳しいね。比企谷くん」

 

まぁ、国語学年3位のゆえの知識ですよ。

 

「たまたまそんな本を図書館で見つけて読んだだけですよ」

 

「話を続けると、その地域では重いし蟹だったり重石蟹だったりと名前はバラバラで呼ばれていたり蟹と神もかかっているらしい。でも、それらには共通している部分がある。それは「人から重さを奪う」こと」

 

「なるほど、でもその話は関係ないんじゃ...ここは宮崎県じゃないし」

 

なんならここは関東だし。

 

「比企谷くん、場所は関係ないのさ。そういう「場」があれば生じてしまう...それだけの話さ。いたってシンプルだよ」

 

「それに蟹でも石でもこの際、どっちでもいい。兎って話もあるしね。でも、今回お嬢ちゃんが行き遭ったのが蟹だというのなら蟹なんだろう」

 

「そういうもんなのか」

 

「名前なんてどうだっていいと思うんですけれど」

 

「いやいや、名前は重要なんだよ。蟹とは言ったけど、元は神だったのかもしれない。思し神からおもし蟹に派生したとも言えるからね。まぁ、でも今回は運の悪い中でも運のいい部類だよ」

 

「なんでですか?」

 

「神様なんてどこにでもいるからね。どこにでもいるし、どこにもいない。お嬢ちゃんがそうなる前から周りにはあったし、無かったともいえる。不思議なものさ」

 

「なんか、禅問答ですね」

 

「それはまぁ、置いといて。君は勘違いしちゃあ...いけない。君は何かのせいでそうなったんじゃない....ちょっと視点が変わっただけだよ」

 

「視点?忍野さんは何が言いたいんですか?」

 

「つまりね...被害者ヅラしてんのが気に食わないって言ってるんだよ。お嬢ちゃん」

 

忍野の雰囲気がガラッと変わった。あの春休みのようなピリッとした感じの...

 

「......」

 

「.......」

 

そして、しばらく戦場ヶ原に鋭い視線を送り続けていた。戦場ヶ原も負けじと対抗していた。俺はどうすればいいか分からず、横を見る。するとジッと俺の方を見ている。吸血鬼の成れの果てである女の子と目が合う。俺は咄嗟に視線を外し、忍野の方を見た。

 

「おやおや?なかなかどうして....てっきり僕はただのワガママなお嬢ちゃんだと思ったんだけどね」

 

「何故、そう思ったんですか?」

 

「まぁ.....おもし蟹に遭う人間は大抵、そうだからだよ。それに会おうと思っても中々会えないし、通常はさわるような神でもないのさ」

 

「さわらない...」

 

「ただそこにいるだけで、お嬢ちゃんが何かを望まない限り実現しないんだよ。いや、もっともそこまで深入りする必要は現段階ではないから、別にいいんだけれどね」

 

現段階?どういう意味だ?俺には忍野の言ったその言葉の真意が分からなかった。

 

「まぁ、とにかく分かった。体重を取り戻したいというのなら僕が力になるさ。もっとも比企谷くんの久しぶりのお願いというか紹介だからね」

 

「私を助けてくれるんですか?」

 

「さっきも言ったけど、僕は助けない。手伝いをするだけだ。もちろん、比企谷くんも君を助けない。彼はいわば仲介人というべきかな。君が1人で勝手に助かるだけだよ」

 

「そうでしたね」

 

「それじゃあ、一旦帰って冷水で身体を清めて清潔な服に着替えなさい。そして、ここで0時に再集合だ。いいね?その間、僕の方でも色々と準備しないといけないから。分かってくれるね?」

 

「はい。それと最後に2つ程いいですか?」

 

「いいよ。何かな、お嬢ちゃん?」

 

「1つ、あそこにいる女の子は誰ですか?」

 

「戦場ヶ原、あいつは吸血鬼だ」

 

「吸血鬼?噂だともっと大きな女性だったはずだけれど、比企谷くん」

 

「説明すると長くなるから、簡単にいうと吸血鬼の成れの果てだ。その結果、あんな子供の姿になってる。名前もない、俺が血をあげないと生きてられない。そんな女の子だ」

 

「そう」

 

「比企谷くん。名前は昨日、僕がつけてあげたよ」

 

「は?」

 

「名前は忍野忍。刃の下に心あり、彼女らしいだろ?苗字は僕のを流用させてもらった」

 

「まぁ、いいんじゃないか?しっくりくるし」

 

「てっきり「名前のセンスねぇな....このおっさん」とでも言われると思ってたんだけど」

 

「そんなこと、思ってても言わないですよ」

 

「これでいいかな?お嬢ちゃん」

 

「はい」

 

「それで2つ目はなにかな?」

 

「お礼は?」

 

「は?」

 

「え?」

 

戦場ヶ原がお礼はと尋ねた際、俺と忍野は思わず変な声が出てしまった。

 

「とぼけないでください。こんなお願い、ボランティアで助けてくれる訳ではないのでしょう?」

 

「それがね、ボランティアでも助ける人がいるんだよ?君の隣にいる比企谷くんが」

 

「それはただのお節介焼きです」

 

「グサッとくる言葉を躊躇いなく言うねぇ...そうだなぁ。お嬢ちゃんがどうしてもというならもらっておこうかな」

 

は?どうしても?俺の時と対応が違うんだが。

 

「10万でどうだい?」

 

「10万円....」

 

「俺の時と全然、対応が違うな。やっぱり男子には辛い世の中だよな」

 

忍野は女の子に甘いんだよ。羽川の時もそうだった。

 

「そうだっけ?」

 

「俺の時は1000万だっただろ?学生にはキツイんだよ、この額は」

 

「そりゃあ、比企谷くんの時は吸血鬼だもん。仕方ないよ」

 

「仕方ないで済むか!?せっかく親父が宝くじで当てた1億を5等分して2000万円が俺の口座に入ったのに一瞬で半値になったんだぞ!」

 

「いいじゃないか。比企谷くんの口座には残り1000万もあるんだから」

 

「そういう問題じゃない!!」

 

「比企谷くんの話は置いといて、お嬢ちゃんは10万円払える?」

 

「はい。どんなことをしてでも払います」

 

どんなことをしてでもとか言うなよ。忍野と俺ならまだしも他の奴に言ったら変なことをされるのがオチだぞ。

 

「そうかい」(比企谷くん、君はここに残ってくれ)

 

「....」(分かった)

 

俺は忍野の心の声を読み取り、この場にとどまる。

 

「比企谷くん、行きましょう」

 

「戦場ヶ原、先に下で待っててくれ。俺は少し忍野と話すことがある」

 

「そう。なら下で待ってるわ」

 

「助かる」

 

戦場ヶ原は1人で、下へと降りていく。この場には俺と忍野と忍の3人だけとなる。

 

「比企谷くん。お嬢ちゃんからのお礼の件だけど、どうするつもりだい?まぁ、比企谷くんのことだから君がお嬢ちゃんの代わりに払うんだろう?」

 

「まぁ、俺が紹介したってのもあるし....戦場ヶ原の家庭状況の悪さ知っちまったから俺が払うのは当然でしょう」

 

「本当に比企谷くんは優しいんだね。君が払うのなら、お嬢ちゃんにはうまく話をしておいてね」

 

「そこは心配しなくていいですよ」

 

「そうかい。それじゃあ、お嬢ちゃんのところへ行ってあげなさい」

 

「はい」

 

俺は戦場ヶ原の待つ、下へと向かい戦場ヶ原を荷台に乗せ、戦場ヶ原の家まで自転車を走らせた。

 

 

「...青春だねぇ」

 

忍野メメは比企谷八幡と戦場ヶ原ひたぎの二人乗りを見送ったのち、0時から行う儀式の準備をするのだった....

 

 

 

 

 

そして、15分後。戦場ヶ原の家と思われる

 

 

「じゃあ、戦場ヶ原は忍野の言われた通りに頼むぞ。俺はその間、家に帰るから」

 

「一緒に居てくれないのかしら?」

 

「妹が家で俺の帰りを待ってると思うから、それは出来ない。それにまた出かけることを伝えないといけないし」

 

「そう...」

 

「すぐに戻るから、そんな落ち込むな」ポンポン

 

「っ!!別に落ち込んでなんかいないわ」

 

「そうか...それじゃあ、行ってくる」

 

「行ってらっしゃい」

 

俺は戦場ヶ原に一言残し、家まで自転車を走らせる。

 

「比企谷くんの手、温かったわね。それにしても初めてね....人に頭を撫でられるのは....」

 

戦場ヶ原ひたぎは自転車を漕ぐ八幡の後ろ姿を見ながらそう呟いていた。

 

 

 

 

「ただいま」

 

俺が家に入ると、火憐と月火はドタドタと玄関までやってきていた。

 

「お兄ちゃん、遅い!!!何時だと思ってるの!?携帯にも連絡したけど全然、出ないし!今日は部活も無くて早く帰ってきたからお兄ちゃんと遊ぼうと思ってたのに!」

 

「すまん」

 

「ハチ兄、心配したんだせ?帰ってくるのが遅いから、また事故にでもあってるんじゃないかと思って...」

 

「心配かけてすまなかったな。色々と事情があってな。この埋め合わせは、必ずするから」ナデナデ

 

「それなら許すぜ!ハチ兄」

 

「期待してるね、お兄ちゃん!それでお兄ちゃんはごはんはもう食べたの?」

 

「まだだ。それにこれからまた出かけないといけないから夜飯は置いといてくれ」

 

「また出かけるの!お兄ちゃん」

 

「おう」

 

「また人助けか?ハチ兄」

 

「まぁ...そんな感じだ」

 

「それなら仕方ないね。お兄ちゃん、頑張ってね!ファイヤーシスターズとして火憐ちゃんと共に一生懸命、応援するよ」

 

「ハチ兄!頑張って、困っている人を助けるんだぞ!」

 

「ありがとな、2人とも」

 

俺は思わず、2人を一緒に抱いた。

 

「ハチ兄、苦しい!」(お兄ちゃんの身体、温かい...)

 

「お兄ちゃん、嬉しいけど苦しいよ」

 

「すまんな。それじゃあ、行ってくる」

 

「「行ってらっしゃい!ハチ兄!(お兄ちゃん!)」」

 

俺は火憐と月火に見送られ、再び戦場ヶ原の家へと向かった。

 

 

 

...続く

 

あとがき

 

ここまで読んでくれた方々、ありがとうございます。

 

火憐ちゃん、月火ちゃんのファンの皆様、ごめんなさい。2人の登場シーンが少なくて申し訳ない。次回はちゃんと登場させますので今回はご了承ください。

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

それでは、次回もよろしくお願いします。


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第4話


4話目です。

それでは、今回もよろしくお願い致します。


 

 

 

 

 

 

俺は火憐と月火に見送られ、自転車で戦場ヶ原の家に向かう。

 

 

 

【民倉荘】

 

 

 

「ここだったよな......」

 

 

俺は民倉荘に到着し、中へと入る。

 

テーブルの上に紙切れが置いてあり「ここで少し待っていて」と書いてあった。なので、俺はテーブルの近くに腰を下ろし戦場ヶ原を待った。

 

 

「それにしても、何もないな...」

 

部屋の中は何にもない。必要最低限のものしかなかった...

 

 

借金を返すのに苦労しているという現れなのかもしれない。戦場ヶ原曰く、父親も借金を返済するために仕事の日々で滅多に帰ってこないらしい。戦場ヶ原は実質一人暮らしの状態が続いているということだ。

 

 

 

しばらく待っていると.....

 

「待たせたわね、比企谷くん」

 

戦場ヶ原がこちらの部屋に入ってきたのだが....

 

「準備は出来たか....って何で服着てないんだよ!」

 

「今から着るのよ」

 

「洗面台とかで着替えてから出てこいよ」

 

「持っていくのを忘れたのよ」

 

「だったら隠すとかしろよ、この部屋には男がいるんだから....」

 

「どこに男がいるのよ」

 

「え?俺、男認定されてないの?泣いちゃうんだけど」

 

「冗談よ」

 

戦場ヶ原には羞恥というものがないのだろうか...俺以外の男子なら襲われたりする可能性大だぞ。俺にはそんなことする勇気もないのでしないが...

 

「それより、比企谷くん」

 

「なんだ?」

 

「清潔な服ってやっぱり白かしら?」

 

「そうなんじゃないか?俺にはよく分からんが...」

 

「私、白いショーツを持っていないのだけれど...どうすればいいのかしら?」

 

「俺に聞かないでくれ...」

 

「そうね。友達の少ない比企谷くんには難しい質問だったわね、ごめんなさい」

 

「謝るな、虚しくなっちゃうだろ...」

 

「友達が少ないといえば、比企谷くん。羽川さんとはどういう関係なのかしら?」

 

「羽川とは高1からのクラスメイトってだけだが...」

 

「それにしては仲がいいと思うのだけれど...」

 

「羽川とは席も近いってこともあったから何度か喋るくらいだし、今はクラス委員で一緒だからってのもあるからじゃないか?」

 

「そう....」

 

 

戦場ヶ原は俺と羽川との関係を知ってどうしたいのだろうか?俺にはよく分からなかった。

 

 

「それより、もうすぐ約束の時間だから忍野のとこに向かうか」

 

「そうね。行きましょう」

 

戦場ヶ原は白いワンピース、上にコートを羽織っていた。中々に似合っていた。口に出しては言わないが...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、俺と戦場ヶ原は学習塾跡地に再度、踏み入れる。

 

 

 

「待ちかねたよ、2人とも」

 

忍野は宮司の格好をしていた。

 

「なんだその格好...」

 

「雰囲気作りだよ、比企谷くん。こういうのも結構、大事なんだよ」

 

「そういうもんかね...」

 

忍野の宮司姿もそうだが、セットもかなりなものだった。札みたいなのも何枚か円状に貼られている。

 

「それじゃあ、さっさと済ませようか」

 

「そんな早く退治できるものなのか?忍野」

 

「退治ね...考え方が乱暴だなぁ...比企谷くん。何かいいことでもあったのかい?」

 

「それじゃあ、お嬢ちゃん。コートを脱ごうか」

 

「はい...」

 

「おっと...」

 

俺は戦場ヶ原が投げたコートをキャッチする。

 

「比企谷くん、終わるまで持っててくれるかしら」

 

「分かった」

 

「さっきのことだけど、比企谷くん。"彼ら"はただそこにいるだけ....比企谷くんやお嬢ちゃんが生まれる前からそこにいるのが「当たり前」となっている存在だ。だからこちら側から触れない限り、何もしない...存在しないと同じこと。つまり.....」

 

「この怪異は私の方から触りにいったということですか?」

 

「大正解!物分かりがいいねぇ...お嬢ちゃん。他所の敷居に勝手に敷居を跨いできたのは蟹ではなくお嬢ちゃんということだね」

 

「だから慎重かつ丁寧にお願いするんだ。ここはそういう場だ」

 

「ここに俺がいても大丈夫なのか?」

 

「問題ない。だから、比企谷くんはお嬢ちゃんの行く末を見ておくといい」

 

「分かった」

 

「それじゃあ、早速始めよう。お嬢ちゃん、比企谷くんに何か言っておくこととかあるかい?最悪の場合も考えてね」

 

「そうですね....比企谷くん」

 

「何だ?」

 

「もし、この問題が解決したら北海道で一緒に蟹を食べに行きましょう」

 

「俺と?」

 

「そう貴方と」

 

「いつ?」

 

「GWかしら」

 

「分かった。無事に解決出来るように祈ってるわ」

 

「ありがとう。私、頑張るわ」

 

「頑張ってこい」

 

「いやぁ...青春だね。それじゃあ、始めようか」

 

戦場ヶ原は忍野の元へと向かっていく。

 

 

俺は近くの壁に腰掛け、行く末を見守る。その際、右手にから温かい感触が伝わる。

 

「ん?」

 

右を見ると、忍がピトッと引っ付いていた。俺は忍を抱え、膝の上に乗せる。忍は抵抗することもなく俺の膝の上にちょこんと座る。

 

「お前様はあの女がタイプなのか?」

 

「そんなんじゃねーよ。ただのクラスメイトで俺と同じで怪異に巻き込まれただけだ。それに俺はもうお前と一生を終えると春休みに誓った。今もそれは変わらない」

 

「.....」

 

忍はこれ以降、無言で俺の血を吸い正面を向いていた。正面を向く際に忍が、かすかに微笑んでいたのは俺の間違いではないはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「まずはこれを飲んで」

 

「はい」

 

「リラックスして...警戒心を解くことから始めよう。数を数えよう...1つ...2つ...3つ...4つ...5つ...6つ...落ち着いたかい?」

 

「はい...」

 

「じゃあ、僕がいくつか質問するからお嬢ちゃんはそれに答えてね」

 

「君の名は?」

 

 

「戦場ヶ原ひたぎ」

 

 

「通っている学校は?」

 

 

「私立の直江津高校」

 

 

「誕生日は?」

 

 

「7月7日」

 

 

 

 

 

「雰囲気作りか...」

 

 

以前、忍野が言ってたっけか...

 

【彼らとの対話で必要なのは雰囲気作りなのさ、心の壁を取り払って信頼関係を構築すること】

 

今やってることも忍野と戦場ヶ原の信頼関係を構築するために重要なこと。俺の願いはただ一つ、戦場ヶ原に忍野のことを信用してもらいたい。忍野は悪い奴じゃないからな。

 

「こどもの頃の失敗談は?」

 

「言いたくないです」

 

「好きな小説家は?」

 

「夢野久作」

 

「好きな古典音楽は?」

 

「クラシックはあんまり聞きません」

 

「1番、辛かった思い出は?」

 

「っ!!」

 

ここにきて、質問が変わる。そして、戦場ヶ原は答えを言えずにいた。

 

「どうしたんだい?辛かった思い出は無いのかい?」

 

「おっ...お、お母さんが...」

 

「お母さんが?」

 

「お母さんが悪い宗教にハマってしまったこと」

 

「それだけかい?」

 

「それだけ....って?」

 

「そんなものは大したことはない。法律で宗教の自由は認められている。そんなことを聞いているんじゃないよ。これにはその先の話があるんじゃないのかい?」

 

「...それは....」

 

「ゆっくりでいい。話してごらん」

 

「お母さんが、悪い宗教にハマってしまって...騙されて...その後にっ!!」

 

「その後に?」

 

「悪徳宗教の幹部が私の家に来て....」

 

「それで?」

 

「浄化、儀式と言って....私の服を強引に脱がせて犯そうとしました」

 

「.....」(戦場ヶ原にそんな過去があったとは...)

 

「犯そうとしたということは、未遂で終わったってことかな?」

 

「はい。私は近くにあったスパイクで幹部の顔を殴ってしまいました」

 

「そう...勇敢に立ち向かったということだね」

 

「でも、お母さんは私を助けてはくれなかった。私を糾弾して何度も私を殴りました」

 

「お嬢ちゃんが幹部に怪我を負したからだね?」

 

「はい」

 

 

「それで、お母さんはペナルティーを課せられたと?」

 

「はい。財産も全て奪われ、家も土地も奪われ借金までさせられてしまった。それで、私の家庭は壊れました」

 

 

酷い話だった。唯一、守ってくれるはずの親から守ってもらえず、むしろ殴られてしまう。この時の戦場ヶ原はさぞ辛かっただろうと思う。本当に悪徳宗教はタチが悪い。人の人生まで変えてしまう。これは他人事では済まされない。自分もいつこのような事に巻き込まれるかわからないので気をつけなければいけないと改めて感じた。

 

「そして完全に壊れた今も、続いてる!!あの人は懲りずにまだ信仰を続けている。父はずっと苦しみ続けて、この崩壊は現在進行形で続いているの!!」

 

悲痛の叫びだった。俺が手を出す問題ではなかったのではないかという自責の念が芽生える。また彼女に辛い思いをさせてしまったのだから...

 

「それは大変だったね」

 

「あっ、あ....あっ!見えます」

 

「何が見えるんだい?」

 

「お、大きな蟹が見えます」

 

「僕には見えないよ、僕に見えるのは君の影だけだ」

 

「私には見えます。あの時に出会った蟹です」

 

戦場ヶ原のいう蟹というのは多分、おもし蟹、曰く思し"神"だろう。4話目を参照してもらえれば分かると思うが、忍野が言うには【その地域では重いし蟹だったり重石蟹だったりと名前はバラバラで呼ばれていたり蟹と神もかかっているらしい。でも、それらには共通している部分がある。それは「人から重さを奪う」こと】だ。これに当てはめると戦場ヶ原が目にしているのは思し神である。

 

俺は忍に血を吸わせ、吸血鬼能力があるため思し神が見えている。かなり大きな蟹だった。

 

 

 

「そうかい。なら、その蟹に言うべきことがあるんじゃないのかい?」

 

「言うべきこと?」

 

「そうさ。言うことがあれば今ここで言った方がいいよ」

 

「今でも、考えてしまうんです。あの時に抵抗せずにしていれば壊れずに済んだんじゃないかって...」

 

「本当にそう思うかい?お嬢ちゃん」

 

「はい、そう思います」

 

「それが【君の思い】だ。どんなに重い思いだろうが、それは君が背負わなければいけないものだ。他人任せにしてはいけないね」

 

「!」

 

「君まで壊れてしまわないように君の"おもし"をずっと支えてくれていたお人好しな神様に御礼を」

 

「はい」

 

「ここだけの話、神様ってのはみんなロリコンなんだよ。少女の涙に弱い」

 

神様がロリコンってことはないとは思うが、女性の涙には弱いのかもしれない...

 

しかし、この神は違った。

 

「あっ...」

 

この思し神は違い、戦場ヶ原を壁まで吹っ飛ばした。

 

「これはマズイかもしれないな」

 

忍野は頭を掻いて、これは予想外という顔をしていた。

 

 

「忍野、これ大丈夫か?」

 

「これはマズイかもしれない。最悪、比企谷くんの力も借りるかもしれない」

 

「分かりました。準備しておきます」

 

 

 

「やれやれ、せっかちな神様だなぁ...まだ祝詞もあげてないのにねぇ...気のいい奴だよ、まったく。方針転換だ。殺そうか」

 

 

「よっこらせっと!比企谷くん、力を貸してくれ」

 

 

「俺はどうすればいいですか?」

 

「比企谷くん。この蟹を踏み潰してくれないか?」

 

「いいのか?これは戦場ヶ原を護ってた神なんじゃないのか?」

 

「そうなんだけど、ここまで暴れているのを見るに僕らの言葉が通じるとは思えない。そういう場合には戦争しかない」

 

 

 

「それにね、比企谷くん。僕は蟹が嫌いなんだ。喰えない奴だからね。たとえ、この蟹を踏み潰したとしてもお嬢ちゃんの悩みは解決するから別にいいし」

 

「そうか...」

 

「それにお嬢ちゃんは自分で重みを差し出している。奪われた訳じゃない....等価交換さ。この蟹はお嬢ちゃんの何かと引き換えに重みを受け取っている。つまり....お嬢ちゃんもまた蟹から何かを受け取っているんだよ」

 

「はっ!」

 

「それがなんなのか、僕には分からない。だけど、受け取ったものを返さずにチャラにしようというのなら、ここで殺すしか方法はない。だから比企谷くん。ここで、蟹を踏み潰して殺してくれ。本当に僕は蟹が嫌いなんだ」

 

「忍野がそういうのなら....」

 

「待って!忍野さん。比企谷くん」

 

「ちゃんとできます。私に任せてくれませんか?」

 

「お嬢ちゃんがそういうのなら任せよう。比企谷くん、僕達はどいていようか」

 

「はい」

 

俺と忍野は戦場ヶ原を後ろから見守る。

 

 

「本当にごめんなさい。そして、ありがとうございました」

 

戦場ヶ原は蟹(思し神)に膝をつき、丁寧に謝る。

 

「これは私の"思い"です。だから私が一生、背負っていきます。失くしてはいけないものです。お願いです。どうか私に重みを返してください。私があなたから受け取った、私を楽になるためにしてくれたことをお返しします。だからあなたが切ってくれた私とお母さんとの縁を返してください。どうか私にお母さんを返してください!!」

 

 

戦場ヶ原は涙ながらにお母さんの縁を返して欲しいと願った。

 

そして、戦場ヶ原は語った。昔のこと、母親のために完璧な人になろうとしたこと。そして、お母さんの笑顔は私だけにあるものだからお母さんを私に返して欲しいと切に願った。

 

 

 

その後...

 

 

思し神(おもし蟹)はスッーと消えていった。怪異が消滅したのを表すものだった。戦場ヶ原の願いが叶った瞬間でもあった。

 

「終わったのか?」

 

「終わったよ、比企谷くん」

 

「それは良かった」

 

「ふぅ...久しぶりにハラハラしたよ、春休み以来かな」

 

「あれは本当にやばかった。でも、今回もそれなりにやばかったけど」

 

「もう蟹は見たくないね」

 

「忍野が蟹嫌いなのは正直、びっくりしてる」

 

「比企谷くんにも嫌いなものがあるように僕にも嫌いなものがあるのさ」

 

「そうだな。それより、戦場ヶ原は大丈夫か?」

 

「私は大丈夫よ」

 

「重みは戻ったか?」

 

「ええ...この通り、缶を持てるわ」

 

「それは良かった」

 

「.....比企谷くん」

 

「ん?」

 

「今回は本当にありがとう。私はあなたにとても感謝しているわ。これまでのことは全て謝ります。図々しい、私だけれどこれからも仲良くしてくれると私はすごく嬉しいわ」

 

「感謝されることはしてない。お礼なら忍野に言ってくれ」

 

「それは違うわ。貴方がいなかったら私は忍野さんに出会えなかった。そして、お母さんとの縁、私の重みを取り戻すことは出来なかった。だから本当にありがとう」

 

「比企谷くん、素直にお嬢ちゃんの感謝の思いを受け取ってあげなよ」

 

「分かったよ。素直にお礼を受け取る。これでいいだろ」

 

お礼を他の誰かから言われることなんてないから反応に困るんだよな...

 

 

 

「それはそうと、比企谷くんとお嬢ちゃん。もう夜も遅いから帰りなさい。それと比企谷くん、お嬢ちゃんを家までしっかりと送るんだよ」

 

「分かってるよ」

 

 

俺は戦場ヶ原を後ろに乗せ、家まで送る。

 

 

「比企谷くん、本当にありがとう」

 

「お礼はいいよ、本当に俺は何もしてない...」

 

「私が勝手に助かっただけ...かしら?」

 

「分かってんじゃねーか」

 

「でも、本当に感謝してるのよ。何かお礼をさせてくれないかしら?お礼をしないと私の気が収まらないのよ。比企谷くんは私にしてほしいこととかないの?」

 

「特にない」

 

「それはそれで、ムッとするわね...」

 

「じゃあ、俺と友達になってくれないか?」

 

「そんなんでいいのかしら?」

 

「ああ、俺には友達が少ないからな」

 

「そうね...貴方はあまりクラスメイトと関わりを持っていなかったわね。関わりを持ってるのは羽川さんぐらいかしら?」

 

「そうだな」

 

「そう...」(羽川さんとはライバル関係になりそうね...)

 

 

その後は会話もなく、無事に戦場ヶ原の家に着く。

 

 

「送ってくれてありがとう。また学校で会いましょう」

 

 

「ああ...」

 

 

「比企谷くん、こっちを向いてくれるかしら?」

 

「ん?」

 

俺は戦場ヶ原にそう言われ戦場ヶ原の方を向く。その瞬間、俺の視界が真っ暗になり、俺の唇は戦場ヶ原の唇で塞がれた。

 

 

 

 

 

 

「むぐっ...」(いきなりすぎる...)

 

 

「んっ.....」

 

 

 

 

 

俺は咄嗟の出来事で、非常に驚いている。俺は離れようとするが、戦場ヶ原は俺の背中に手を回していたため、離れることが出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

この状態が5分続いた....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5分後、やっと俺は戦場ヶ原から解放された。

 

 

「どうだったかしら?」

 

 

「どうとは?」

 

 

「私のは柔らかったかしら?」

 

 

「ノーコメントで」

 

正直言うと、柔らかったです。それに甘かった。MAXコーヒーばりに。

 

「ちなみに、これは私の初めてだから大事にしてくれると嬉しいわ」

 

それは俺もだとは言えなかった...

 

「こういうのは大事な人にした方がいいぞ」

 

「それは分かっているわ。私にとって大事な人にしたつもりよ」

 

「それって.....」

 

「【 I LOVE YOU 】貴方のことが大好きです ってことよ。比企谷八幡くん」

 

「は?」

 

「返事は北海道に一緒に蟹を食べに行くまでにはちゃんと聞くから」

 

 

 

「あ、ああ...」

 

 

 

「またね。比企谷くん」

 

 

 

そう言って、戦場ヶ原ひたぎは家の中へと入っていった。

 

 

俺は悶々とした感情を抱きながら自分の家へと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま」

 

 

「「おかえりハチ兄!(お兄ちゃん)」」

 

「まだ起きてたのか?」

 

「当たり前だろ!それで人助けはどうなったんだ、ハチ兄」

 

「なんとか解決したよ」

 

「詳しく教えて、お兄ちゃん」

 

 

俺は火憐と月火にさっきの出来事を簡単に説明する。告白された件は喋ってはいない。

 

 

 

「そっか...お母さんの思いと縁を取り戻せて良かったな!」

 

「ああ、これからいい方向に進んでくれると助かるんだがな」

 

「大丈夫だよ。お兄ちゃんがこれからも世話を焼いていくんでしょ?お兄ちゃんはお節介焼きだから」

 

月火は笑顔でそう言った。戦場ヶ原にも言われた気がする。

 

「まぁ、気にはかけるつもりではいるが...1番、気にかけるのはお前達だけどな。困ったことがあったら何でも言えよ。俺が全速力で駆けつけてやるから」

 

「また始まったよ、ハチ兄のシスコンが」ヒソヒソ

 

「火憐ちゃん。これがいつものお兄ちゃんだよ」ヒソヒソ

 

「何か言ったか?」

 

「何にも言ってないぜ、ハチ兄」

 

「それより、早くお風呂入ってきてお兄ちゃん。その間に夜ご飯を温め直すから」

 

「わかった」

 

 

俺は急いで風呂に入って、愛しの妹、月火の作ったグラタンを食べた後、俺の部屋で火憐、俺、月火の順番でベッドに入り一緒に寝る。

 

 

「戦場ヶ原もそうだが、火憐と月火も守ってやらないとな」

 

妹達を戦場ヶ原のように辛い思いをさせるわけにはいかない。

 

「...zzz」

 

「ん...お兄ちゃん...」

 

(この可愛い寝顔をいつまでも見られるように頑張らないとな)

 

 

俺は妹の可愛い寝顔を見つつ、決意を新たにする。

 

 

そして、激動の夜は穏やかにふけていったのだった。

 

 

 

 

 

...続く

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

とりあえず、ひたぎクラブ編は終了です。次回は学校日常編の予定です。(俺ガイルキャラも出ます)

それでは、次回もよろしくお願い致します。


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「 間桐桜編 」「 Fate/stay night 」
第1話


今回の妹チェンジシリーズ最新作はFate/stay night から間桐桜です。アンケートで沢山のコメントをお寄せいただいたので、ハッピーエンドを目指して、間桐桜には幸せな生活を送ってほしいという願いで執筆しました。


俺ガイル原作で基本、進めていきます。


原作を改変し、ご都合主義でお送りしています。


それでは、今回もよろしくお願い致します。


 

 

聖杯戦争。それは、あらゆる願いを叶えるとされる万能の願望機、聖杯の所有を巡って、ルールを設け繰り広げられる争いそれら全般を聖杯戦争と呼ぶ。舞台は千葉の冬木。

 

それに俺こと比企谷八幡もイレギュラーで聖杯戦争に参加した。ある少女を救うために...

 

 

 

参加したのはいいが、激戦を極めた。

 

 

 

 

特に衛宮士郎・セイバー、遠坂凛・アーチャー、イリヤスフィール・フォン・アインツベルン・バーサーカー、間桐慎二・ライダー、この5組。俺のパートナーはというと俺のイレギュラーな存在が相まったのか、存在しない8番目のサーヴァントであるギルガメッシュだった。

 

最初はあまり仲は良くはなかった。ギルガメッシュは自分が認めた相手以外には、興が乗らない限り...決して本気を出さなかった。敢えて油断・慢心をし続けていた。俺にとってはそれは許せないことだった。こっちは命を懸けて戦っている。俺は一切慢心せずに戦いを続けた。 その甲斐もあってか、幾度の戦いを経てギルガメッシュとは信頼し合える仲へと発展し見事、最終決戦...衛宮士郎率いるセイバーとの戦いに勝利。即ち、聖杯戦争に勝利した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「聖杯は八幡が使うがよい。我にはもう必要のないものだ」

 

「いいのか、ギルガメッシュ」

 

「ああ。八幡にも聖杯に願うことがあるのだろう?我はそれを見届けよう」

 

「そうか。ありがとな、ギルガメッシュ」

 

「礼には及ばぬ」

 

 

そして...その後、聖杯にある願いを願ったのだった...

 

 

 

その願いとは...

 

 

 

 

 

 

「お兄様、学校に行く時間ですよ」

 

「おう」

 

 

俺が聖杯に願った願いは間桐慎二の妹、かつ俺の救いたかった少女である間桐桜に普通の学校生活を送らせることだった...

 

俺と間桐桜の関係性は中学からのクラスメイト。席も近いこともあり話すことは多々あった。

 

 

その後も、何かと俺は間桐桜と一緒に居ることが多かった。

 

俺の家に遊びに来たり、俺の親と楽しく話していたりと....親しくしていた。

 

 

 

 

 

話は変わるが、間桐桜には義兄の慎二がいる。しかし、義兄から酷い扱いを受けており身体に痣などがあった。俺は心配になりつつも、桜は「私は大丈夫です」だと言い張っていた。しかし、大丈夫ではなかった。日に日に桜の表情が暗くなっていた。見兼ねた俺は義兄の慎二に話を聞きに行った。

 

義兄の慎二から返ってきた言葉は

 

「お前には関係のない話だ。桜に手を上げようが上げまいが俺の勝手だ」

 

 

この一言だった。俺は確信した。義兄の慎二は妹の桜に暴力を振るっていると...

 

それに祖父からも心臓に虫を寄生されられていること。桜を道具として扱っていること知った。俺はそれにもの凄い憤りを覚える。

 

その最中に、聖杯戦争の話が舞い込み、俺もイレギュラーだが、参加することに...そして俺は誓った。聖杯戦争に勝利し、間桐桜を救おうと...

 

 

 

 

とまぁ、こんなことがあり俺は桜の実姉である遠坂凛に頼み間桐桜を養子にして義理の妹として高校生活を送ることにした。これは間桐桜の願いでもあった。

 

そのシーンがこちらである。

 

聖杯戦争か終わった後、俺と遠坂、士郎、桜の4人の前で聖杯に願い事をした。

 

 

 

 

「俺の願いは...間桐桜に普通に楽しく笑って学校生活を送らせてほしい。それだけだ」

 

 

「ううっ...」(八幡さん...)

 

「さすが、我のマスター。優しさが過ぎる」

 

「比企谷くん...」(桜も幸せ者ね)

 

「比企谷...」(良かったな、桜)

 

「それで、遠坂。話がある...」

 

「なにかしら?比企谷くん」

 

「間桐桜を俺の家に引き取らせてくれないか?」

 

「それは桜を養子に引き取りたいということかしら?」

 

「そうだ。あの家に居たらまた何をされるか分からない。俺の親にはもう許可を得ている。だから俺は間桐桜を義妹として引き取りたいと思う」

 

「私は構わないわ。その方が安心だから...でも、桜の意見も聞かないとね」

 

「そうだな」

 

「桜はどうなのかしら?」

 

「わ、私は....」

 

「ゆっくり考えればいい」

 

 

「...私は八幡さんとずっと一緒にいたいです」

 

「これで決まりね」

 

「桜、良かったな」

 

「衛宮さん、ありがとうございます」

 

「比企谷は捻くれてはいるが、いい奴だから」

 

「知っていますよ。いつも近くで見てきましたから」

 

「そうか...」

 

 

「これから、よろしくお願いしますね!お兄様」

 

間桐桜は嬉し涙を流し、笑顔で俺の方へ近づき抱きつく。

 

 

「ああ、これからよろしく頼む。桜」

 

俺も間桐桜を優しく包み込むように抱きしめる。

 

 

こうして俺は間桐桜を義理の妹として、家に迎えいれたのだった。

 

 

 

ー 回想終了 ー

 

 

 

回想が長くなったが、俺と桜は義理の兄妹として学校生活を送ることとなった。元義理の兄である慎二に関しては、桜に極力関わらないという条件を出し了承を得た。祖父の方も危害をこれ以上加えないということで、そのまま間桐家で隠居生活を送っている。

 

 

 

「お兄様、どうかしましたか?」

 

「いや、過去の事を思い出しててな。またギルガメッシュに会えるといいなって思ってたんだ」

 

「また会えますよ、きっと」

 

「そうだといいけど」

 

元の世界でも、元気にやっているだろうか。

 

「それより、桜はこの生活は慣れたか?」

 

「はい!もう慣れました。毎日が楽しいですし、それに」

 

「それに?」

 

「八幡さんとずっと一緒にいれて、私はすごく嬉しいんですよ」

 

「俺も桜と一緒にいれて嬉しいぞ」ナデナデ

 

「それじゃ、学校に行きましょうか。お兄様」

 

「そうだな」

 

「あっ!お兄ちゃん!もう学校行くの?」

 

「イリヤか。今日は起きるの早いな」

 

イリヤは聖杯戦争後、何故か知らんが俺の家に居候している。自分の家があるのにだ。理由を聞くとお兄ちゃんと一緒にいたいだそうだ。(何故か俺をお兄ちゃん呼びしている)随分と懐かれたものだ。懐くのはいいのだが...いきすぎる所もあり、それを桜に見られると桜がオルタ化する(黒いオーラを撒き散らす)ため、是非やめてほしいところだ。

 

「早く目覚めたの!!私も学校に行きたい!!」

 

「いや、無理だから。お留守番頼むぞ」

 

「やだ!お兄ちゃんと一緒にいたいの!」

 

「学校から帰ってきたらイリヤの相手、してやるから」

 

「約束だよ?」

 

「ああ、約束だ」

 

「行ってらっしゃい!お兄ちゃん!お姉ちゃん!」

 

「おう」

 

「行ってきますね、イリヤさん」

 

俺と桜はイリヤに見送られ、総武高校に向かった。

 

「イリヤさん、朝から元気でしたね」

 

「まぁ、この生活が楽しいからじゃないか?でも朝から、激しい」

 

「ほどほどにしてくださいね」

 

「なんでだ?」

 

「それを私に言わせるんですか?お兄様は意地悪ですね」

 

「?」

 

「はぁ...鈍感なお兄様ですね」

 

「すごい言われようだ」

 

「私が嫉妬しちゃうからですよ。お兄様」

 

「桜にも構ってやるから安心しろ」

 

「本当ですか?」

 

「当たり前だろ。妹のお願いを叶えるのがお兄ちゃんの役目でもあるからな」

 

「お願いしますね、お兄様」

 

「それより、クラス分けだが同じクラスになるといいけど」

 

「なりますよ」

 

「なんで分かるんだ?」

 

「私の勘です♪」

 

「桜の勘が当たればいいけどな」

 

 

そんな会話をしながら俺と桜は手を繋ぎながら学校の校門を抜け、昇降口に張り出されているクラス表前まで来た。

 

 

「お、お兄様!!」

 

「どうした?」

 

「私とお兄様、同じクラスですよ」

 

「どれどれ...」

 

俺もクラス表を確認する。桜と同じ「2-F」だった。

 

「本当に勘が当たったな」

 

「はい!すごく嬉しいです。学校でもお兄様と近くにいられますね」

 

「そうだな。じゃあ、」

 

「すぐに行きましょう」

 

桜は嬉しそうに俺の腕を取り、歩き出す。俺もその後を追った。

 

 

((あんな美少女と腕を組んで歩けるなんて羨ましい!!!))

 

(本当に2人は仲がいいわね、桜が少し羨ましいわね)

 

(桜に笑顔が戻ってよかった。比企谷に感謝だな)

 

 

その光景をみた周囲の生徒、遠坂凛、衛宮士郎は心の中でそう思うのだった。

 

 

 

 

ー to be continuedー

 

 




ここまで読んでくれた方々、ありがとうございます。

それでは、次回もよろしくお願い致します。


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「 堀北鈴音編 」「 ようこそ実力至上主義の教室へ 」
第1話


要望がありましたので、新作で妹チェンジシリーズ、【ようこそ実力至上主義の教室へ】から堀北鈴音編です。坂柳有栖編も更新予定です。


それでは、今回もよろしくお願い致します。



 

 

 

総武高校。千葉で屈指の進学校で東京にある東京高度育成高等学校に匹敵するほどの学力の高い高校である。東京の高度育成高等高校よりは規制等は厳しくなく外部との連絡等も取っていい。東京と同じ全寮制でポイント制を採用し、ポイントで生活するというものである。大学の進学率も高く国公立大学には95%以上、私立大学に至っては100%の進学率を誇っている。しかし、それは3-Aに所属されたものだけの特典である。3年次にB〜Fクラスに所属している場合は進学率は低下する。それでも総武高校のブランド力の影響もあってか国公立大学の進学率は50%、私立大学でも60%以上の進学率がある。そのため、この高校に進学しようと受験する人は多く毎年1500人規模の受験生が受けている。合格出来るのは5クラスに40名、計200名の合格者しか出さない狭き門でもある。

 

 

 

そして、現在。俺は2-Aに進級が確実となった。1年の最終特別試験で好成績を収めたからである。1年次はEクラスであったが、各試験等で上位クラスに上がっていき最終特別試験次にはAクラスに上り詰めた。戸塚や葉山も俺同様、2-Aに進級を確実にしている。雪ノ下はB→Bクラス、由比ヶ浜はE→Cクラス、材木座はE→Bクラスと進級を決めている。

 

そして、もう一つ気になっている事がある。

 

それは....

 

 

妹の鈴音のことだ。俺の背中を追って今年、総武高校を受験することになっている。

 

メールでは試験は完璧に出来たと言っているが、総武高校の合格基準は人間性、協調性、中学での授業態度も加味されている。俺同様で鈴音は協調性に難があるため厳しい結果になると予想している。

 

 

結果は今日、言い渡される。

 

ピロン

 

「ん?」

 

妹の鈴音からのメールか...

 

「誰からメールだい。比企谷」

 

「うおっ!いきなり現れるな、そして勝手にスマホの中を見るな。葉山」

 

「僕と君の仲じゃないか。鈴音さんとは誰だい?比企谷の彼女かい?」

 

「な訳ないだろ」

 

「八幡って彼女いたんだ」

 

「戸塚、俺に彼女なんていない。俺には戸塚さえいればいいんだからな」

 

「八幡、恥ずかしいよ」

 

「比企谷はゲイなのかい?」

 

「断じて違う。俺はノーマルだ。それよりメールの確認しないと」

 

「それでメールの相手は誰なんだい?」

 

「俺の妹だ」

 

「八幡に妹、いたんだね。写真とかある?」

 

「あるぞ。見るか?」

 

「うん!見せて」

 

「俺も見てもいいかい?」

 

「見るくらいならな」

 

俺は妹の鈴音の写真を見せる。

 

「これって...」

 

「なんか、雪ノ下さんみたいな雰囲気があるね」

 

「葉山くんと同じ意見かな。それに妹さん、綺麗だね」

 

「まぁ、俺の妹だからな。超絶可愛いだろ?今日にも総武高校に進学出来るか分かるんだよ。合格してくれると嬉しいんだけど」

 

「比企谷はゲイじゃなくてシスコンだったのか...」

 

「断じて違う。俺はシスコンじゃない。妹が好きすぎるだけだ」

 

「八幡、それをシスコンって言うんだよ。でも、可愛いからそうなっちゃうのも分かる気がする」

 

「戸塚にも分かるか!!」

 

「うん。総武高校に進学出来るといいね」

 

「ああ....それで、メールの内容は...っと」

 

俺は鈴音からのメールを確認する。

 

 

【兄さん、総武高校に合格したわ。兄さんに会えることを楽しみにしています。いつか、私は兄さんに追いつきたいと思っています。あの頃のダメな私ではないところを兄さんに見せたいと思っています】

 

別に俺に追いつく必要はないんだがな...俺は俺、鈴音は鈴音なんだからな...それに鈴音がダメだった時など一度もない。つくづく鈴音は雪ノ下に似ている。今度、会う時に話をしようかね。

 

「いい妹さんだね。でも、雪ノ下さんに少し似ている。陽乃さんを追っていたあの感じにすごい似ている」

 

「葉山もそう感じたか。まぁ、高校で会ったら直接話をするつもりだ」

 

「いい話し合いが出来るといいね」

 

「ああ...」

 

ともかく妹の鈴音に会えるのが楽しみだな。1年で、鈴音がどのように成長したのかも楽しみなところではある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、月日は流れ...春。総武高校の入学式が執り行われる日。

 

 

雨ということはなく雲一つない快晴だった。

 

 

天候に恵まれた中で入学式は行われ...その後、始業式も続けて行われた。

 

 

そして、昼休み。今日は入学式と始業式、LHRのみなので、昼休み以降は完全フリーの時間となる。

 

俺は中庭にて、妹の鈴音に呼び出しを受けているので来るまで待っていた。その光景を影から見るものもいたとか....

 

 

 

「葉山くん、影から見る必要はないんじゃないかな?」

 

「こうでもしないと比企谷は妹さんを見せてはくれないからな。戸塚くんも実際に比企谷の妹さん、鈴音さんを見てみたいだろ?」

 

「それはそうだけど....」

 

「あっ、来たようだよ」

 

 

 

「久しぶりね。兄さん」

 

 

「久しぶりだな、鈴音。1年ぶりぐらいか」

 

「はい。兄さんに少しでも近づく為にこの学校に来ました」

 

「敬語は使わなくていいから普通に話してくれ」

 

「兄さんがそういうなら...」

 

「また見ないうちに大きくなったな。1年で成長したな」

 

1年前よりも大人っぽくなっている。

 

「そうですか?」

 

「ああ...背も伸びたし、髪もサラサラだな」

 

俺は手を伸ばし、鈴音の髪に触れる。すごくサラサラしていた。髪の手入れを欠かさずしている証拠だろう。触り心地がものすごくいい。

 

「んっ....」(なんだが、懐かしい感じがするわね...)

 

(比企谷が優しい表情に!!!これがギャップ萌えというやつなのか!!!)

 

(葉山くん、落ち着いて!でも、八幡があんな優しい表情するなんて珍しいかも)

 

「肌も白くて綺麗だな...」スッ

 

「に、兄さん...」(兄さんの顔が私の近くに...緊張するわ)

 

 

(比企谷が今にも妹さんにキスするぐらいの距離にいる!これは一体どうなってしまうんだ!!兄妹の禁断の恋なのか!!)

 

(葉山くん!落ち着いて!抑えて)

 

 

「やっぱり俺の妹だけあって、すげぇ可愛い。天使級」

 

出るところはちゃんと出ており、引っ込むところも中々引っ込んでいる。簡単に言えばアレだ。俺の妹は超絶可愛くて美少女ということだ。

 

「ふぇっ!!」(私が可愛い....可愛い...ふふっ、悪い気はしないわね)

 

(比企谷が妹さんに愛の告白を!!!妹さんのほのかに紅くなった顔もまた、すごくいい!尊死レベル!!)

 

(もう僕には葉山くんを抑える力はないよ...それにしても八幡と妹さん。本当に仲がいいね)

 

 

「どうかしたか?」

 

「何でもないわ....」

 

「それより、鈴音は何クラスなんだ?」

 

「私はDクラスです」

 

「凄いじゃないか!俺が一年の頃はEクラスだったぞ」

 

Eクラスだった主な理由としては専業主夫希望だとか色々、変なことを書いてた結果だった。まぁ、今となってはAクラスだが....

 

「でも、今はAクラスですよね?」

 

「そうだ。だから、鈴音もこれから頑張ればAクラスに上がれるチャンスは出てくる。俺の後を追うことは考えず、目の前のことを一生懸命にやっていれば結果は必ずいい方向に進んでいく。だから頑張れよ。お兄ちゃんは応援してるからな」ナデナデ

 

「ありがとうございます。頑張ってAクラスに上がってみせます」

 

 

【お知らせします。新入生の皆さん。今から部活動説明会が行われるので至急、体育館にお集まりください。繰り返します....】

 

 

 

 

「呼ばれたからもう行くわ。兄さん」

 

「おう。行ってこい」

 

「その前にいいかしら?」

 

「ん?」

 

鈴音は俺の近くにやってきて....

 

「兄さんも1年前よりすごく格好よくなったわよ」チュッ

 

俺の頰にキスをしてきた。

 

「なっ!!」

 

「兄さん、また後で連絡するわ」

 

「お、おう...」

 

初めて妹にキスをされてしまった....

 

(あっ、もうお腹いっぱいです)バタン

 

(ついに葉山くん。倒れちゃった...どうしよう)

 

葉山隼人はついに萌え死した。Over kill!!!

 

「柔らかかったな....って、戸塚!」

 

「あはは...見つかっちゃった」

 

「まさか、見てたのか」

 

「うん。全部ね」

 

「マジか.....って、葉山は何で倒れてんだ?」

 

「八幡と妹さんの光景を最初から見ててね。萌え死にしたんだよ」

 

「葉山にも見られてたか...それよりも葉山はどうする?」

 

「保健室にでも連れて行こっか」

 

「そうだな」

 

俺と戸塚は萌え死にした葉山を保健室に運んだ。葉山が起きたのは2時間後のことだった.....

 

 

 

そして、比企谷八幡と妹の鈴音の親密ぶりはこれ以降も続くのであった...

 

 

(はぁ...尊い)

 

葉山の心の叫びは誰にも届くことはなかった...

 

 

 

...続く

 

 

 

ー 軽い設定 ー

 

 

 

 

 

・総武高校について

 

 

大体は東京都高度育成高等学校と仕組みは同じ。

 

規制は東京ほど厳しくない。外部との連絡はOK。

 

ポイント制を採用。1ポイント1円の価値。

 

入学時に5万ポイント支給。毎月の初めにクラスポイント×1000を支給。その分、クラスポイントはあまり多くは獲得出来ない。

 

 

 

1年次はイベントがある毎にクラスは個人単位で変動、入れ替えをする、個人変動クラス制を採用。

 

2年次からはクラス単位で上位や下位の入れ替えがある。クラス変動制。

 

3年次はクラスは存在するがほぼ個人戦。個人変動制を採用。上位に行けば行くほど、進学に有利。

 

 

イベントの例としては林間学校、修学旅行、体育祭、夏合宿(特別試験)などなど。

 

詳しくは続報を待て!!

 




ここまで読んでくれた方々、ありがとうございます。

次回もよろしくお願い致します。


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「坂柳有栖編」 「ようこそ実力至上主義の教室へ」
第1話


皆様、お久しぶりです。


俺ガイル3期が延期になりましたね。リゼロに続いての延期で悲しい限りです。今期はプリンセスコネクトRe:Diveくらいしか観ていません。7月まで辛抱というのはかなり苦痛ですが待ちたいと思います。



妹チェンジシリーズ最新作「ようこそ実力至上主義の教室へ」から坂柳有栖編をお送り致します。ベースは俺ガイルでいこうと思います。アンチはありませんので、そのつもりで...



それでは、今回もよろしくお願い致します。




 

 

 

今日は一大イベント、入学式。我が妹である有栖の入学式である。

 

「準備出来たか?」

 

「はい、兄さん。いつでも行ける準備は出来ています」

 

「おう....」

 

有栖の制服姿...何かグッと来ました...

 

すっげぇ...似合ってんなぁ...

 

「どうかしましたか?」

 

「いや、制服姿がすごい似合ってて可愛いなって...」

 

「ほ、本当ですか?」ズイッ

 

「近い近い近い...」

 

「本当に本当に本当に可愛いですか?」

 

「お、おう...すごく可愛いぞ」

 

もうアレだな。可愛い過ぎて昇天するレベルだ...

 

尊いんだよ。本当に...

 

「兄さんにそう言ってもらえて嬉しいです」

 

「それより体調は大丈夫か?」

 

「はい。大丈夫です」

 

妹の有栖は生まれつき心臓が弱い。杖が必須品である。

 

「無理はするなよ。なんなら今日は休んでも...」

 

「いえ、せっかく兄さんと同じ学校に通うのですから1日も無駄にしたくはありません」

 

「そうか...」

 

「それに兄さんと一緒に学校へ行けるのを前々からすごく楽しみにしていたんですよ?」

 

「それならすぐ行こう!」

 

「はいっ!」

 

俺と有栖は手を繋ぎ、学校へと向かった。

 

「ふふっ...」

 

(妹の体調が心配だったが、杞憂だったか...)

 

 

 

 

 

 

「それでは、兄さん。お昼休みに」

 

「ああ。迎えに行くから教室で待っててくれ」

 

今日の予定としては、入学式→始業式→課題テスト→昼休み→LHRとなっている。

 

「兄さん、テスト頑張ってくださいね」

 

「有栖もな」

 

「私は満点を取ります。兄さんも満点を取れるように頑張ってください。数学...期待していますよ?」

 

「うっす...」

 

これは数学で赤点は取れないやつ....頑張るか...

 

 

 

入学式(新入生総代は有栖)、始業式も滞りなく終わり課題テストに入る。前半は理数系。

 

「難しすぎるだろ...」

 

理科は何とかなったが、数学はやばい。何一つ分からん...幸い、4択のマークシートなので勘さえ当たれば満点は取れる。一か八かにかけるか....

 

 

キーンコーン、カーンコーン

 

 

「そこまで!解答を、やめなさい」

 

「ふぅ.....」

 

後は神頼みだな...

 

「昼休みを挟んだのち、課題テストを再開する。各自、5分前には着席するように」

 

俺は昼休みを有栖と共にすべく1階の1年の教室、1-Cへ迎えに行った。

 

「えっと、有栖はいるか?」

 

近くにいた亜麻色の髪をした女の子に声をかけた。

 

「あ、あなたは...」

 

「比企谷有栖の兄だ。昼休みを一緒にする約束をしててな。呼んでくれないか?」

 

「そうなんですね...呼んでくるので待っててください」

 

「助かる」

 

しばらくして有栖はこちらにやってきた。

 

「お待たせしました。お昼は食堂で取りますか?」

 

「そうするか。有栖は食べたいものはあるか?」

 

「兄さんと一緒に食べれるのであれば何でも大丈夫ですよ」

 

「そうか...着いてから決めるか」

 

「はいっ!」

 

 

今年から、この学校には食堂が新たに出来た。その甲斐あってか大盛況であった。

 

ザワザワという表現が正しいくらいに人混みが出来ていた。

 

 

「すごい人だな...」

 

「全校生徒が利用するのですから当然でしょうね」

 

「有栖は席で待っててくれ。飯は俺が持ってくるから」

 

「すみませんが、お願いしますね。兄さん」

 

「おう」

 

俺は列に並び、2人分の定食を購入し有栖の待つ席へと向かった。

 

「遅れてすまん」

 

「いえ、大丈夫です。冷めない内に食べましょう」

 

「そうだな」

 

 

 

「兄さん、お口を開けてください。私が食べさせてあげます」

 

「学校ではやめてね。せめて家だけにしてくれ」

 

「いいじゃありませんか。これぐらい...」

 

有栖は可愛く頬をぷくっと膨らませて抗議していた。場所が場所なだけあり、難しいお願いである。

 

「時と場所を考えようね、有栖さん」

 

「こうなったら意地でも食べさせてあげます」

 

有栖は俺の隣に移動して、俺の口にご飯を

 

「自分で食べれるって....むぐっ...」

 

「美味しいですか?」

 

「おう」

 

恥ずかし過ぎて味なんて分からねーよ....

 

 

「それは良かったです。では、私にも食べさせてください」

 

「それは家でな。ここではさすがにな?」

 

いつのまにか周囲は食べる手を止め、俺たちの方を見ていた。

 

「必ず家でやってもらいますからね」

 

「ああ...約束だ」

 

「はいっ!約束です」

 

そんなこんなで、短いお昼のひと時を2人で過ごすのだった。

 

 

(何なんだ!!甘々すぎるこの空間は!!!)

 

(ブラックコーヒーが欲しくなる甘さだった...耐えれない)

 

(あんな関係が羨ましい....)

 

 

 

周囲の反応はそれぞれであった。

 

 

 

 

 

 

 

午後の課題テストは文系科目。俺の得意分野なので、簡単であった。

 

 

「解答をやめてください。これを持って課題テストを終わります。各自、下校や部活継続届を出すなどしてください」

 

 

(俺は有栖を迎えに行くかな...)

 

「比企谷、ここにいたか」

 

「平塚先生、俺に何か用っすか?」

 

「ちょっと職員室に来たまえ」

 

「はぁ...」

 

とりあえず、有栖にはメールで「ちょっと遅くなるから教室か昇降口で待っててくれ。もしくは先に帰っててもいいぞ」と送った。

 

有栖からは「それでは、昇降口で待っていますね」と返信があった。

 

 

(早く終わるといいけどな)

 

そう思いつつ、俺は平塚先生の後ろを歩く。

 

 

 

職員室に着き、平塚先生はタバコを1本吸った後、口を開く。

 

「さて、今日呼び出された理由は分かるか?比企谷」

 

「分かりません」

 

「これだよ」

 

一枚のプリントを渡される。

 

「これは、高校生活を振り返っての作文ですか?」

 

確か俺はこう書いたはず...

 

「青春とは嘘であり、悪である。

青春を謳歌せし者達は常に自己と周囲を欺いており自らを取り巻く環境のすべてを肯定的に捉えている節がある。彼らは青春の2文字の前ならば、どんな一般的な解釈や社会の通念もねじ曲げてみせている。

彼らにかかれば嘘も秘密も罪科も失敗さえも青春のスパイスでしかない。仮に失敗することが青春の証しであるならば友達作りに失敗した自分もまた、青春のど真ん中でなければおかしいのではなかろうか。

しかし彼らはそれを認めない。全ては彼らのご都合主義でしかない。結論を言おう。青春を楽しむ愚か者ども、砕け散れ。

 

と前々の俺はそう思っていた。しかし、今年度からはそう考えるのはやめようと思う。なぜなら、可愛い妹である有栖が編入するからだ。リア充に負けないぐらい俺も妹をより愛しリア充よりも青春を謳歌しようと改めて思った。以上」

 

「これの何がいけないんですか?」

 

「お前はシスコンなのか?シスコンだな?」

 

「自分はシスコンではありません。妹が可愛くてたまらないだけです。まぁ、独身で独り身の平塚先生には分からないとは思いますが」

 

「」ヒュッ!

 

「ひっ!!」

 

いきなり平塚先生から拳が飛んできた。

 

「独り身って言うなぁ!!」

 

「すんません」

 

「グスッ...比企谷が私をいじめる...」

 

「そんなつもりはなかったんですが....」

 

やべぇ...こうなった平塚先生は厄介だ。誰でもいいから平塚先生と結婚してあげてください。(切実な願い)

 

「元気出してください。いつか平塚先生にも春がやってきますよ」

 

「ほんとに?」

 

「多分ですけど...」

 

「なんなら比企谷が私を貰ってくれてもいいんだぞ!」

 

「それはお断り致します」

 

これを承諾したら有栖がどう思うか分からないからな...最悪の展開は有栖がヤンデレ化して俺を殺しかねない...

 

「」チーン

 

 

平塚先生は魂が抜けたような表情をしていた。

 

 

 

「とりあえず、書き直しでいいんすか?」

 

「それで構わない。それで、君に頼みがあってだな」

 

「婚約は御免ですよ」

 

「その話は忘れてくれ。君は部活には入っていなかったな?」

 

「はい」

 

「奉仕部に入ってもらいたいのだが、いいかね?」

 

「何をする部活なんですか?」

 

「簡単に言えばお悩み相談などの依頼を解決する部活と考えてくれていい」

 

「妹の入部も許可してくれるのであれば入りますが」

 

「それでも構わない」

 

「なら入部しますよ。妹に連絡しますね」

 

「ああ」

 

妹に連絡を取った。

 

「兄さん、用事は終わりましたか?」

 

「とりあえずな。有栖はもう入る部活は決めたのか?」

 

「まだ決めていませんけど、兄さんは決めたのですか?」

 

「奉仕部に入ろうと思ってる。有栖も入らないか?」

 

「どんな部活なのですか?如何わしい部活ではありませんよね?」

 

「違うみたいだ。顧問の先生曰く、生徒のお悩みを聞いて解決に導く部活と捉えてくれたらいい。これなら身体の負担なく部活動が出来ると思うんだが...」

 

「そう言うことなら私も入部します。どこに向かったらいいですか?」

 

「職員室前に来てくれたらいい。ゆっくりでいいからな」

 

「はい。分かりました」

 

 

そう言って、通話は終了した。

 

 

「妹も入部するそうです。今からこっちに向かうそうです」

 

「そうか。1つ比企谷に聞いてもいいか?」

 

「何ですか?」

 

「妹さんはそんなに可愛いのか?」

 

「はい。世界で1番可愛いと自負してます」

 

「そうか...」(妹さんは幸せ者だな。私にもそういう人がいつの日か出来るのだろうか...)

 

数分後、妹の有栖がやってきた。

 

「お待たせしました。兄さん」

 

「おう」

 

「君が比企谷の妹か...」

 

「はい。妹の比企谷有栖です。よろしくお願い致します。平塚先生」

 

「それでは行こうか。付いてきたまえ」

 

俺と有栖は手を繋いで、平塚先生の後を歩いた。

 

 

部室は特別棟だった。そのため、人通りは少ない。

 

「失礼するぞ、雪ノ下」

 

「平塚先生。入る時には「必ずノックを」とお願いしているはずですが」

 

「すまない。すまない。今日は新入部員を連れてきた」

 

「どうも」

 

「あら、貴方は...」

 

「知り合いかね、雪ノ下」

 

「ええ。高校1年の入学式の日にちょっと...」

 

「そうなら話は早いな。比企谷、自己紹介を」

 

「2年F組、比企谷八幡です。あの節はどうも....ご迷惑をおかけしました」

 

「いえ、謝る方はこちらの方です」

 

「そうですよ。兄さんが謝る必要はないんです。知ってるかとは思いますけど、挨拶しますね。1年C組、比企谷有栖です。お久しぶりです、雪ノ下先輩」

 

「お久しぶりね、有栖さん。本当にあの時は本当にごめんなさい」

 

「雪ノ下先輩のせいではないので、大丈夫ですよ。それに治療費等も厚く頂いたのでそんなに困ってはおりませんし。逆に感謝しかありません」

 

「そう言ってもらえると助かるわ。それはそうとこの部活の活動内容は把握しているのかしら?」

 

「概ね、兄さんから聞いているので大丈夫です」

 

「それなら良かったわ。これから、よろしくお願いするわね。比企谷くん。有栖さん」 

 

「おう」

 

「こちらこそ、よろしくお願い致します。雪ノ下先輩」

 

 

「私は今から会議があるので、失礼する。君達も、これで帰りたまえ。本格的な部活は明日からにしよう」

 

「はい」

 

今日は自己紹介のみで部活動を終えた。

 

「にしても、びっくりしたな。部活で雪ノ下に会うなんてな」

 

「そうですね。それよりも、兄さん」

 

「何だ?」

 

「雪ノ下先輩のこと、変な目で見ていましたね?私の目は誤魔化せませんよ」

 

「何のことだ?分からないなぁ....」

 

やべぇ...気づかれてたのか。一瞬であったが、見惚れていたのは事実だ。しかし、短時間の出来事だったから有栖には気づかれていないと思っていたんだが...

 

「ふん!」

 

「ちょっ、痛い痛いです。有栖さん」

 

「デレデレしていた兄さんへの罰ですっ!」

 

「してないから。世界で1番可愛いのは有栖だけだって」

 

「本当ですか?」

 

「ああ」

 

「本当に本当ですか?」

 

「ああ。世界で1番可愛いのは有栖だ」

 

「それなら特別に今回は許してあげます。でも、次はないですからね。兄さん」

 

「ああ」

 

とりあえず、有栖が上機嫌になって良かった。

 

 

俺は安堵し、妹の有栖と手を繋ぎながら帰路に着くのだった。

 

 

ここからの高校生活が一波乱あることに今の彼が知る由はないのだった...

 

 

...つづく

 

 

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

それでは、次回もよろしくお願い致します。


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第2話

妹チェンジシリーズ坂柳有栖編、2話目です。

よう実キャラも依頼人として出す予定であります。(主に女子)

それでは、今回もよろしくお願い致します。



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奉仕部に入部した翌日の放課後。

 

 

俺は妹の有栖と共に奉仕部の部室に赴く。

 

 

部室には部長の雪ノ下が既におり、読書をしていた。

 

「こんにちは」

 

本を閉じて、こちらを振り向く。そうした仕草でもドキッとさせられる。それが総武高校内で1、2を争う美少女と呼ばれる所以なのだろう。それ以上は考えないようにしないと。また妹の機嫌を損ねる危険性が高まってしまう。それは避けなければならない。

 

「おう」

 

 

 

有栖は雪ノ下に会釈したのち、俺の隣に腰掛ける。

 

「紅茶でもどうかしら?」

 

「すまんが、貰えると嬉しい」

 

「私も頂戴致します。雪ノ下先輩」

 

「ちょっと待ってて」

 

紙コップに2人分、注いでいく。その姿もまた絵になっている。視線を逸らそうとしてもそうできないのが男というものである。

 

「ジッ......」

 

「有栖、どうかしたか?」

 

「なんでもありませんよ。兄さん」

 

だったらなんでジト目で俺のことを見てきているのでしょうか.....

 

 

「どうぞ。熱いから気をつけてちょうだい」

 

「さんきゅ」

 

「ありがとうございます」

 

雪ノ下から紙コップを受け取り、紅茶を少しずつ飲む。

 

「あちぃ.....けど美味いな」

 

「はい。すごく美味しいです」

 

 

「ふふっ....ありがとう。おかわりはいるかしら?」

 

「頼む」

 

 

おかわりをもらったのち......

 

 

コンコン

 

 

部室のドアがノックされる。

 

 

「どうぞ」

 

「し、失礼.....します.....」

 

 

ノックの主に見覚えがあった。確か.....

 

 

 

「えっ!ヒッ.....比企谷くん!?」

 

なんだ?ヒッキーって呼ぼうとしてたか?俺は引きこもりじゃないんだが......

 

「なんでここにいるんだって顔をしてるな....俺はこの部活の部員。だからここにいる」

 

「なんで分かったの?」

 

「表情を見れば大体分かる」

 

「さすがは兄さんです。お久しぶりですね....由比ヶ浜結衣先輩」

 

「うん.....」

 

「有栖は知ってるのか?」

 

「兄さんがあまり覚えてないのも無理ないです。この方は入学式前の事故の時の犬の飼い主さんですから」

 

「なるほど....そういえば俺が寝てる時にいつもお見舞いに来てた人がいるって言ってたな.....」

 

「なので、兄さんが覚えてないのは無理ないんですよ」

 

 

「あの時は本当にごめんなさい」

 

「気にするな。俺が勝手に飛び出して事故に遭っただけだ」

 

「ううん。比企谷くんがいなかったらサブレはもういなかったと思う.......だから......本当にありがとう」

 

「兄さん。ここは素直にお礼を受け取ってはどうですか?先輩もこうやって頭を下げているんですから」

 

「そうよ....比企谷くん。彼女は勇気を出して謝っているのだから....」

 

「分かった。由比ヶ浜だったか....」

 

「うん」

 

「謝罪はちゃんと受け取った。それで、犬のサブレは元気か?」

 

「うん......」

 

「今度、元気なサブレを俺に見せてくれないか?それでこの話は終わりだ」

 

「う、うん!!ありがとう、比企谷くん」

 

「これで一件落着かしらね」

 

「そうみたいですね.....」(由比ヶ浜先輩はきっと兄さんのことが好きなんでしょうね....それにしても兄さんは優しすぎます。そして、変態さんです。由比ヶ浜先輩のアレばっかり見てます.......後で兄さんにはキツイお仕置きが必要みたいですね)

 

「話はこれだけなのか?」

 

「あ、それは.......その」

 

「比企谷くん。ちょっと自販機でコーヒーか何か買ってきてくれないかしら?」

 

「分かった」

 

なるほど....俺がいると言いにくい依頼なんだろうな。それを雪ノ下が察したということか。

 

「有栖と由比ヶ浜は何がいい?」

 

「MAXコーヒーでいいですよ。兄さん」

 

「私はミルクティーでいいよ」

 

「了解」

 

 

俺は近くの自販機で頼まれた飲み物を買い、少しの間....ここで時間を潰したのち部室に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?有栖だけか?」

 

「雪ノ下先輩と由比ヶ浜先輩は家庭科室に行きました」

 

「料理関係の依頼か?」

 

「はい。ある人にお礼を兼ねてのお菓子を渡したいそうですよ」(まぁ、渡す相手は兄さんでしょうけど....)

 

「なるほど。自信がないから手伝ってほしいって感じか」

 

「はい。なので家庭科室に行きましょう。兄さん」

 

「おう。待っててくれてありがとな。有栖」

 

「当たり前です。兄さんを置いて先に行くなんて、絶対にしませんよ」

 

「俺はいい妹を持ったようだな」ナデナデ

 

「もっと褒めてくれてもいいんですよ?」

 

「ああ....有栖は俺の最高の妹だ」

 

「ありがとうございます。兄さん...」(いざ言ってもらえると恥ずかしいものですね....でも、嬉しいです)

 

有栖をもっと褒めつつ雪ノ下、由比ヶ浜の待つ家庭科室へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっと来たわね。先に始めているわ」

 

「おう。有栖から大体依頼内容は聞いた。それと頼まれてた飲み物だ」

 

「ありがとう。比企谷くん」

 

「ありがとね。ヒッキー」

 

「ヒッキー?」

 

「うん。比企谷くんだからヒッキー....いいあだ名でしょ?」

 

「センスないわ」

 

「うそっ!」

 

本当にセンスがない。

 

「比企谷くんにはいいあだ名ではないかしら?」

 

「やめてくれ」

 

「雪ノ下さんにもあるよ!」

 

「聞いてもいいかしら?」

 

「ゆきのんだよ!有栖さんは有栖ちゃんかな」

 

「是非、やめてちょうだい」

 

有栖にはちゃんを付けただけか......羨ましい限りだ。

 

 

「それではクッキー作りを再開しましょうか」

 

「うん!」

 

 

 

 

 

お菓子作りを再開するが、由比ヶ浜は雪ノ下が教えた通りに出来ず、失敗を繰り返してしまう。

 

 

「またダメ....」

 

「なんでこう失敗が続くのかしら」

 

 

2人ともそう嘆くが、

 

 

「なんでお前らは美味しいクッキーを作ろうとしているんだ?」

 

「何を言っているのかしら?」

 

「彼女の依頼はお礼を兼ねてお菓子を渡したいんだろ?」

 

「ええ、そうね」

 

「だから、美味しいクッキーじゃなくてもいいんだ。手作りクッキーですって言って渡せばいいんだ。それだけで渡す相手は喜ぶぞ。男子に渡すなら尚更な」

 

「そういうものかしら?」

 

「相手もそう単純ではないと思いますよ。兄さん」

 

「そうでもないさ」

 

「兄さんはもし女の子から貰ったら嬉しいんですか?」

 

「ああ。嬉しいと思う。しかし、貰える相手がいないから嬉しいと思うことはないだろうけどな」

 

「大丈夫ですよ。私がいつでも兄さんのために作ってあげますから」

 

「ありがとな。という訳で、不格好でもいいから相手のことを想いながら作ればきっといい結果が出るだろう」

 

「うん!もう一度、頑張ってみる!」

 

「そうね。頑張りましょう」

 

「私も作りましょう。兄さんのために」

 

「無理はするなよ」

 

「分かっています」

 

由比ヶ浜と雪ノ下は再度、お菓子を作り始める。妹の有栖も俺のためにお菓子作りを始める。

 

 

 

 

俺はその光景を見つつ、お菓子が出来上がるのを待った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「出来た!!!」

 

「やっと出来たわね」

 

1時間ほどでお菓子が完成したようだ。

 

「兄さん。食べてみてください」

 

有栖も出来たようで、俺に差し出した。

 

 

 

「おっ.....美味いな」

 

ほのかな甘いチョコが入っているクッキーは中々のものだった。

 

「本当ですか!」

 

「店に出せるレベルだ」

 

「嬉しいですっ!」

 

「ヒッキー!私のも食べてほしいな」

 

「どれどれ....」

 

「お?最初より上手く出来てるな....美味い」

 

味はそこそこだからちゃんと手作りしたということが分かるいいお菓子だ。これなら渡す相手も喜ぶことだろう。

 

「良かった....」

 

「これなら渡す相手も喜ぶぞ」

 

「うん!」

 

「これで依頼は完了ね」

 

「それって......」

 

「渡す相手、食べてほしい相手は兄さんってことですよ」

 

「そうだったのか....もしかして犬の件か?」

 

「うん。お礼も兼ねて渡したかったの」

 

「なるほどな」

 

「比企谷くん。私のクッキーも食べてくれるかしら?」

 

「ああ......美味いな」

 

「ありがとう」

 

「美少女で、お茶も美味くてお菓子も作れて学力もいいときた。完璧すぎるな......雪ノ下に好かれる人がいたのならその人が羨ましいな」

 

「比企谷くん....恥ずかしいからその辺にしてくれないかしら?」

 

「へ?」

 

「むぅ.....」

 

「兄さん....心の声がダダ漏れですよ......雪ノ下先輩にそんな感情をお待ちだったのですね....これは私色に染める必要がありますね...覚悟はいいですか?」

 

「物騒なこと言わないでください。有栖さん」

 

 

うっかり心の声が漏れていたようだ。

 

 

「それより、片付けをしないとな。もう下校時刻も迫ってるしな」

 

「そ、そうね....」

 

 

なんとかこの場を乗り切った。

 

 

有栖はその後、不機嫌だったが.....俺が何でも1つ有栖の願いを叶えるという約束をし、なんとか機嫌を直すことが出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの依頼後、由比ヶ浜は奉仕部に入部した。部活に入っていなかったのと、俺や雪ノ下、有栖と仲良くなりたいとのことで.....

 

雪ノ下は歓迎し、有栖も複雑な顔をしながらも歓迎していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、新たな依頼が俺達に舞い込む。

 

 

 

「ここが、奉仕部でいいのか......」

 

 

 

「ええ。依頼は何かしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「友達がほしい....」

 

 

 

その依頼者は俺と似たような目をした生徒だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

.....続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々、ありがとうございます。


今回は由比ヶ浜の依頼回でした。次回はある人の依頼です。お楽しみに....


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第3話

原作を一部変更しております。


それでは、今回もよろしくお願い致します。



 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は奉仕部部長の雪ノ下雪乃です。隣にいるのが、部員の比企谷くんとその妹さんの有栖さん。とりあえず、貴方のクラスと名前を教えてくれるかしら?」

 

「はい。2-Aの綾小路清隆です」

 

「依頼内容は友達がほしいだったわね。今現在で友達は1人もいないという認識でいいのかしら?」

 

「入学当初に自己紹介に失敗して最初は1人でもいいかなって思ったんだけど、周囲から友達1人もいない可哀想な視線を常に感じてたり、行事ごとがある時もオレは余り物で優しい金髪のイケメン君が快くグループに入れてはくれたけど何か申し訳なく思ったりして.....」

 

分かる....分かるぞ、綾小路。俺にも似たような経験があるからな。

 

周りの視線を常に感じてきた俺は綾小路に同情できる部分があった。

 

「オレはそんな思いをしたくない。こんな思いはキャンプファイヤーの時、手を繋いで踊るシーンがある時に女子から嫌そうな目で【手、繋がなくてもいいよね】って言われた時に感じた辛いあの思い出だけで十分なんだ。だからオレはそんな思いをしなくていいちゃんとした友達が1人でもいいから欲しい......」

 

俺と境遇が同じすぎて悲しくなってきた。友達出来るといいな。

 

「ごめんなさい。辛い思い出を蘇らせたみたいね.....」

 

「でもごめんなさい。私も友達があまりいないから協力出来そうにないわ....」

 

「俺も紹介出来る友達、いねーわ」

 

これ詰んでね?有栖は女の子だから女友達ぐらいしか紹介出来ないから綾小路にまた辛い思いをさせる可能性が高くなってしまう。

 

「やっぱりオレなんかに友達出来ないですよね」

 

「いや、出来るわ......貴方の依頼、解決できるかもしれないわ」

 

「!?」

 

「マジで?どんな案だ?」

 

「比企谷くんが綾小路くんの友達になってあげるの。これで解決出来るのではないかしら?」

 

「雪ノ下先輩の案はいいと思いますよ」

 

ふふん!と言いたげに無い胸を張る雪ノ下雪乃の姿がそこにはあった。

有栖も雪ノ下の案に同調する。

 

 

まぁ、その案はいいかもな。なんか知らんが俺と綾小路は同じ境遇で生きていた感じもあるし感覚的にではあるが、合う感じもするのだ。

 

「俺でいいのか?」

 

「比企谷くんがいいのならいいのではないかしら?綾小路くんも目を輝かせているみたいだから」

 

 

雪ノ下がそう言うので、俺は綾小路の方に視線を移動させる。

 

 

「.........」

 

あ、うん。キラキラした目で俺の方を見てる......どんだけ友達ほしいんだよ....まぁ、分からなくはないんだが.....

 

「綾小路がいいなら....「是非、お願いします!!」.....おう」

 

答えるの早ぇーよ。俺が言う前に被せてきたよ....

 

「これで依頼完了ね」

 

拒否権ない感じだな。雪ノ下は依頼完了とまで言ってるし...

 

 

「そうだな。雪ノ下が綾小路と友達になれば依頼大完了だけどな」

 

「そう....まぁ、綾小路くんが良ければだけれどね」

 

「雪ノ下、比企谷。俺の友達になってくれてありがとう」

 

「礼を言われる程でもないから気にするな」

 

「そうね。でも、貴方の役に立てたのなら良かったわ」

 

 

友達の作り方というのは様々だ。紹介されて出来るものもあれば1つのきっかけで友達になったり、知らない間に友達になっていたりと友達の出来方は色々だ。今回はかなり稀のケースだが.....

 

 

 

 

この間、有栖は言葉を発せず...事の始まりから終わりを見届けていた。

 

 

(なるほど、こういう風に依頼を受けて完了させていくのですね...

大体理解出来ました)

 

 

 

こうして、2人目の依頼者である2-Aの綾小路の依頼である【友達がほしい】は無事完了したのだった。

 

 

 

"mission complete"

 

 

 

 

依頼は完了したのだが.....

 

 

綾小路は友達が出来たのが余程嬉しかったのかキャラ崩壊レベルで嬉し泣を流していた。

 

 

「手のかかる依頼者さんね」

 

「本当ですね。雪ノ下先輩」

 

雪ノ下と有栖が綾小路を宥めるという変な光景が奉仕部室に広がっていた。

 

 

 

「やっはろー!!....これってどんな状況!?」

 

あの由比ヶ浜でさえびっくりする光景なのだ.....

 

 

「あまり触れないでやってくれ」

 

「う、うん.....」

 

 

ここはそっとしておいた方がベストと考え、俺と由比ヶ浜はこの状況を優しく見守った。

 

 

 

 

 

 

 

そして、綾小路清隆は我が奉仕部に加入することとなり部員が5人となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月日が経ち、色々と依頼が来ては完了した。

 

 

 

F組の天使、戸塚彩加のテニス強化依頼。タレコミで発覚した川なんとかさんの夜間バイト問題。(←原作変更しております)

 

テニス強化では葉山・三浦ペア、取り巻き連中の妨害はあったが、俺と綾小路の奇策で撃退成功。

川なんとかさんの場合は大学の費用が問題となっていたため予備校のスカラシップ制度を教えて依頼は完了。

 

 

短期間で2つの濃い依頼があったが、なんとか無事完了出来た。

 

少し休みたいぐらいなのだが、依頼者は待ってくれない。

 

 

 

 

「ここが奉仕部かな」

 

「ええ。そうよ、葉山隼人くん」

 

あんまり悩みがなさそうなイケメン君がやってきた。

 

いや、先入観は良くない。イケメン君にも悩みの種は1つぐらいはあるだろう....というか、このイケメン君はあのテニスの時にいた奴じゃん。全然、気づかんかった。

 

「それで依頼は?」

 

「これなんだけど......」

 

葉山は自分のスマホの画面を見せる。内容は葉山グループの人を貶めるメール、いわゆるチェーンメールというやつだ。

 

「私にもそのメール来たなぁ......」

 

「俺には来てないな」

 

「オレにも来てない」

 

「私にもこういったメールは届いていないわね」

 

由比ヶ浜には届いているみたいだが俺や綾小路、雪ノ下には来ていない。

 

「なるほど.....」

 

「何がなるほどなんだ?有栖」

 

「メールが届いている人に共通するものがありましたから」

 

「サンプル数が少ないので確証はありませんが葉山先輩と由比ヶ浜先輩は交友関係が広いのでこういったチェーンメールが届いていて、兄さんや綾小路先輩、雪ノ下先輩のように友達が少な.....交友関係があまりない方には届いていないと私は考えます。雪ノ下先輩や綾小路先輩の場合はただ単にクラスが違うから送られていない可能性もあり得ますが」

 

「言い直せてないからな...有栖。俺に友達がいないことを再認識させるための発言なのか?」

 

「そんなつもりはこれっぽっちもありませんので大丈夫ですよ。兄さん」

 

「なるほど......しかしこういうのは見過ごせないわね。チェーンメール、あれは人の尊厳を踏みにじる最低の行為。自分の名前も顔も出さずにただ傷つけるためだけに誹謗中傷の限りを尽くす。これを止めたいというならその大元を根絶やしにしないと効果が無いわね。ソースは私」

 

「実体験なんですね......」

 

「それで、葉山先輩はどうしたいんですか?犯人を見つけてほしいんですか?」

 

「いや、この問題を穏便に解消する案がほしい。これのせいでクラス内の雰囲気が悪くてね。早く解決してクラス内の雰囲気を改善したい」

 

 

有栖の問いに葉山は答えるが......

 

「無理だろ」

 

 

穏便に済ませるなんて99%無理だろう。

 

 

「比企谷くんの意見に賛成ね。とりあえず、いつ頃からメールが出回ったのかしら?」

 

「ついこの前からだな。な?結衣」

 

「うん」

 

「出回ってた時には何か変わったことは?」

 

「特にはないかな」

 

「比企谷くんは何か知ってる?」

 

「アレだな。職場体験。1グループ3人。確か葉山グループは3人以上いる。だからメールを送って誰かを蹴落とそうと企んだって感じだな」

 

「なるほど。その線で間違いはなさそうね」

 

「さすが兄さんの推察ですね」

 

「だろ?」

 

「それで、解決策はあるのですか?兄さん」

 

「それは綾小路が答えたがってるから綾小路に譲る」

 

「何で分かった?比企谷」

 

「態度でバレバレだ。答えたくてソワソワしてたろ?」

 

「何故、それだけで分かるんだ?」

 

「一応、綾小路とは友達だからな。すぐ分かる」

 

「!!!」

 

「だから答えてやれ」

 

「分かった。葉山隼人だったな」

 

「ああ....」

 

「解決策としてはグループ分けは取り巻きの3人。戸部、大和、大岡だったな。そいつでグループを組ませて、葉山はグループ以外の奴と組めばいい。それで万事解決だな」

 

そうすれば問題は解決する。誰しもハブられたくないからこういったしょーもないメールを送りあっていただけのこと。

 

まぁ、本当にこのメールを取り巻きの奴らが送っていたらの話だからな。違った理由があったかもしれないな。別にそこまでクラスの雰囲気が悪いとは感じなかった。葉山グループ自体に問題があったのかもしれない。まぁ、コイツらのグループの内情なんて知ったこっちゃないがな。

 

「その手があったか.....ありがとう。助かったよ」

 

 

葉山隼人は爽やかスマイルでこの場を去った。

 

 

こいつ、好きになれねーわ。まだ、綾小路の方がいい。

 

 

「今回は綾小路くんのお手柄ね」

 

「そうでもない。比企谷も分かってたみたいだからな」

 

「そう.....なら、これから綾小路くんの初依頼完了を祝うためにどこかに行きましょうか」

 

「やったー!!行く行く!」

 

「有栖さんもいいかしら?」

 

「兄さんが一緒ならいいですよ」

 

「という訳で、比企谷くんと主役の綾小路くんは強制参加よ。友達ならこういうことをするものではなくて?」

 

「うんうん!するよ!」

 

「友達が多い由比ヶ浜さんがこう言うのだから間違いないわ。行きましょう」

 

「ならしょうがないな.....行くか綾小路。俺達、友達だからな」

 

「!そうだな...オレ達、友達だからな」

 

 

 

 

 

内心、嬉しい2人だった。

 

 

 

しょうがないじゃん。初めて友達が出来たんだから.......

 

 

 

 

 

 

少しぐらい、いい思いをしたって.........

 

 

 

その気持ちで、部室を出ようとするが.......

 

 

 

 

 

コンコン

 

 

 

 

 

その気持ちを挫く、ノック音が部室内に響き渡る。

 

 

ったく、誰だよ。こんないい気持ちを台無しにしたやつは.....

 

 

 

 

「どうぞ」

 

 

「奉仕部に依頼があるんだけどいいかな?」

 

 

またもや、依頼人がやってきた。

 

 

少しは休みをくれ。働き詰めは嫌なんだが.....社会人になる前には尚更な。

 

 

 

 

 

いい気持ちを無くさせた依頼人の顔を拝んでやろうじゃねーか....

 

 

 

 

 

 

 

そんなことを思いながら俺は依頼人の顔を見る。

 

 

 

 

 

 

 

 

それは..........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「嘘くせぇ......笑顔」

 

 

気味の悪い笑顔をした1人の少女だった.........

 

 

 

 

.......続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々、ありがとうございます。



今回は綾小路くんと葉山の依頼回でした。次回はある人の依頼です。お楽しみに....


それでは、次回もよろしくお願い致します。


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第4話 (坂柳有栖誕生日記念)

4話目です。


それでは、今回もよろしくお願い致します。



 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ.....」

 

(やべっ....思わず声に出しちゃったよ)

 

「すまん。気にしなくていい」

 

「う、うん....」

 

「比企谷くんの件はいいとして貴方のクラスと名前を教えてくれないかしら?」

 

「私は2-Eの櫛田桔梗といいます」

 

「私は奉仕部部長の雪ノ下雪乃です。依頼内容は何かしら?」

 

「ある女の子と仲良くしたい、友達になりたいと思ってるんだけど、中々上手くいかなくて」

 

それは櫛田のことが嫌いか、俺みたいに1人が好きかの2択だろう。

 

結構な回数で声をかけるもその度に撃沈しているとのことだった。

 

そんな人と何故、そうまでして友達になりたいのだろうか?

 

俺にはよく分からんな。もしかして百合の可能性もあるのだろうか?

 

 

 

「その手伝いをしてほしいということでいいのかしら?」

 

「うん。お願い出来ないかな?」

 

「私の独断では決めれないから比企谷くん達の意見も聞いてから決めましょう」

 

こっちに振ってきたか.....

 

「手伝いくらいならいいんじゃねーの?知らんけど」

 

成功、失敗云々は置いておいて手伝う分ならいいだろう。

 

「比企谷の意見に同意だな」

 

「兄さんの意見に反論はありません」

 

「全会一致ね。櫛田さんの依頼を引き受けましょう」

 

「あ、ありがとう!!」

 

満面の笑みでそう言うが、どこかぎこちなさがある。無理をしている感がどこかあるようだ。まぁ、そんなことはどうでもいいのだが。

 

 

とりあえず、これからの方向性としては櫛田が友達になりたいというEクラスの堀北という女子生徒がどのような人かを調べて後、どうアプローチしていくかを決めていくことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、その女子生徒を調べることになった。

 

 

その方法として、以下の候補となる。

 

①.E組のクラスの人に堀北という女子生徒がどのような人なのかを聞く

②.席の近い人に堀北の印象を聞く

③.バレないように堀北の後を尾行、又は行動を観察し実態を把握する

 

etc......

 

「この候補からだと③が1番妥当かしら?」

 

「だろうな」

 

「後は誰が堀北先輩の後をバレずに尾行するか.....ですね」

 

「そうね.......とりあえず1年の有栖さんは除外するとして、私か由比ヶ浜さん、比企谷くんか綾小路くんがやることになるのだけれど.....」

 

「俺、やるわ。別に堀北とかいう奴に気づかれたとて何言われても気にならんしな。それに雪ノ下と由比ヶ浜がやると逆に目立つし、綾小路がやるともし見つかった時に罵倒雑言を浴びたら1発で死ぬだろ?」

 

「そうだな。数週間は寝込むだろうな」

 

「そこまでなのね......」

 

「そんなに......」

 

「なら比企谷くん。任せても大丈夫かしら?」

 

「ああ。期待せずに待っててくれ」

 

「ええ、期待せずに待っているわ」

 

「頑張ってね!ヒッキー!」

 

「兄さん、頑張ってくださいね」

 

「無事を祈ってるぞ、比企谷」

 

「おう」

 

 

 

 

 

次の日から2-Eの堀北鈴音という女子生徒の動向を観察する。

 

 

 

 

 

 

「.......」ジー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラスメイトから話を聞いたり、授業と授業の間に廊下からE組の中の様子を見たり、昼休みの時間は彼女の後をつけて観察、放課後も彼女の後ろを一定の距離を保ちつつ歩くというストーカースレスレの行為を約1週間こなした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこから分かった情報はというと.........

 

 

 

 

 

 

・授業と授業の合間はほぼ読書をしている

・昼休みは教室で昼食を摂ったり屋上で摂ったりしている(1人の時が多い)

・放課後は図書室で本を読んだり勉強をしたり1人で静かなひと時を好む

・部活動には属さずに帰宅部

・3年に兄がいるとのこと

 

 

「堀北から得られた情報はこれだけだな。クラスメイトからも話は聞けたが、基本的に1人を好むらしい。人を寄せ付けないオーラをバンバン感じるみたいだな」

 

「友達になってくれる可能性はほぼゼロって感じね」

 

「そうだな」

 

「難しい感じですね」

 

部室内に静寂な空気が流れる。

 

「もう友達になるのを諦めた方が早いかもな」

 

「それでは依頼は達成されないわ」

 

「そこなんだよな。櫛田に諦めさせるのもありかもしれないな。友達になってくださいと強要も出来ないし」

 

「それは最終手段ね」

 

「とりあえず、櫛田には堀北と友達になるには厳しいとだけ伝える」

 

「分かったわ。引き続き、堀北さんの観察をお願いするわね」

 

「了解」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「という訳で、櫛田が堀北と友達になるのはほぼ無理と言っていい」

 

「そっか......」

 

 

とりあえず、櫛田には現状を伝える。

 

 

 

「それと、ふと思ったんだが....お前はなんで堀北に執着っていうか.....そこまでして友達になりたいんだ?」

 

「え?」

 

「友達なんてアイツじゃなくてもいくらでもなってくれる人はいるだろ?お前、コミュニケーション能力高そうだしな」

 

「それはそうだけど.....」

 

「もしかして、お前さ.......」

 

「何かな?」

 

「堀北に何か弱みでも握られてんの?」

 

「えっ.......」

 

「それしか考えられないと思ってな.....中学の時に堀北と何かあったとかか?」

 

「比企谷くん........」

 

「何だ?」

 

さっきまでの笑顔から一変し、目つきが変わった。その一瞬を俺は逃さなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「勘のいい男の子は嫌いだなぁ.......私」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゾクッ........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうか......」

 

 

 

 

 

図星って感じだな。にしても、久しぶりに女子の目の笑ってない表情を見たな......

 

「これからどうするんだ?とりあえず、奉仕部として、俺としては継続して依頼完了までやるつもりだが......」

 

「うん!お願いね、比企谷くん!」

 

また一瞬で笑顔に戻り....俺の手を取り、上目遣いでそう言ってくる。

 

 

 

 

 

こいつ、あざといな......俺の苦手なタイプだわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま」

 

「おかえりなさい。兄さん」

 

「おう」

 

「お疲れのようですね」

 

「まぁな。堀北の観察とか櫛田に報告とか色々とやることがたくさんあったからな」

 

「先にお風呂にしますか?」

 

「そうするわ」

 

「なら、私が兄さんのお背中.....流してあげますね」

 

「は?」

 

「私が兄さんのお背中を流してあげます」

 

「2度言わなくていいから.....自分でやれるからいい」

 

「嫌.....ですか?」

 

「そうじゃなくてな......高校生にもなってそんなことをしてもらう訳にもいかんだろ」

 

 

「私は大歓迎ですけど?むしろされてください」

 

 

「怖い怖い、今日はゆっくり1人で入らせてくれ」

 

 

「兄さんがそう言うなら、今日は諦めます」

 

 

 

いっそ、ずっと諦めてください....有栖さん。

 

 

 

 

 

「ふぅ.....」

 

 

(今後の方針は変わらないが....同じことをやっても結果は出ないよな.....コンタクトを取ってみるか.....)

 

 

 

 

それが一番早いかもしれんな。

 

 

 

 

 

 

 

風呂を出た後は、有栖と夕食を取り明日のために早めに就寝した。

 

 

(寝る際、いつものように有栖は俺のベッドに入り寝るのだった)

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の昼休み。

 

 

屋上にて......

 

 

「ちょっといいか?」

 

俺は屋上で1人、昼飯を取っている少女.....堀北鈴音に声をかけた。

 

 

「何かしら?」

 

「話があってだな.....」

 

「貴方ね、最近私のことで嗅ぎ回っていたのは」

 

「気づいてたか」

 

「あれだけ見られていたら気付くわよ。普通」

 

「そうか......」

 

バレていないと思っていたが、バレてたのか....俺もまだまだか......

 

「話というのは何かしら?」

 

「堀北に協力してほしいこと、頼みたいことがあってな....「ごめんなさい。それは無理ね」まだ何も言ってねーだろ」

 

「だいたい分かるわよ。貴方、私と友達になってほしいのでしょう?」

 

「違うな」

 

「えっ.........あっ、その........ご、ごめんなさい......」

 

 

 

 

(慌てるとこ、意外と可愛いな。こいつ)

 

 

 

 

 

 

「落ち着け。友達になってほしいのは俺じゃなくて、櫛田の方な?」

 

「そう.....でも、ごめんなさい。誰とも友達になる気はないの」

 

「だろうな。お前、1人が好きなんだろ?」

 

「わ、分かるの?」

 

「ああ、俺と同じ雰囲気を感じてたんだんだわ。クラスメイトに聞いても常に教室では1人で読書。昼休みは1人飯。放課後は1人で図書館。1人でいる時間が多いみたいだからな」

 

「そこまで調べたのね」

 

「アイツには折れるようには言ったんだが、諦めが悪いみたいでな」

 

「多分、彼女とは中学時代のことで色々とあったから......」

 

「やっぱりか......」

 

「とりあえず、内容は分かったわ。私から彼女に直接伝えるから貴方はもう何もしなくていいわ」

 

「分かった」

 

「色々と迷惑をかけてごめんなさい」

 

「こっちこそ、すまんな。昼休みの時間を奪っちまって」

 

「構わないわ。お詫びとして.....貴方の名前を教えてくれないかしら?」

 

「比企谷八幡だ」

 

 

 

「ありがとう。じゃあ、私は行くわ」

 

「おう」

 

 

 

 

 

そう言って、彼女.....堀北鈴音は屋上を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、放課後。奉仕部にて.........

 

 

 

 

「うーす」

 

「ヒッキー!やっはろー!」

 

「おう、比企谷!」

 

「兄さん、お疲れ様です。」

 

「こんにちは、比企谷くん。いきなりで悪いけれど、進捗状況は?」

 

「とりあえず、昼休みに堀北本人にコンタクトを取った」

 

「その結果は?」

 

「とりあえず、話はした。櫛田本人に直接伝えるからって言って去って行った.......それともう何もしなくていいって言われたよ」

 

「そう.........なら、依頼は強制的に終了ということね」

 

「そうだな」

 

「いい結果であるといいのだけれど」

 

「そうだな。後はアイツら次第だからな」

 

「それでは、前に行けなくなった綾小路くんの初依頼完了祝いに行きましょうか」

 

「やったー!!」

 

何故か、由比ヶ浜が喜んでいた。

 

「グッ!」

 

ついでに綾小路もガッツポーズをして喜んでいる様子だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「兄さん、行きましょう」

 

「そうだな」

 

 

 

 

 

 

 

雪ノ下、由比ヶ浜。綾小路の後を俺と有栖は手を繋ぎながら追ったのだった........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.........続く

 

 

 

 

 

 

 

 

次回。職場体験、テストを終えた比企谷八幡。そして念願の夏休みに突入したのだが、奉仕部顧問平塚静によって千葉村である仕事(ボランティア)を引き受けることに.........

 

 

しかし、そのメンツがまたまた濃いメンバーで比企谷八幡は頭を抱えることに....

 

 

 

 

 

「比企谷、これは大変なことになるかもしれない」

 

「そうだな。綾小路」

 

この2人の言葉の真意とは!?

 

 

「それよりも、だ......綾小路。あの戸塚の格好を見て思うことはないか?」

 

「分かるぞ、比企谷......言いたいこと、すっごく分かるぞ!!」

 

 

 

 

 

「「戸塚は天使!!異論反論は認めない!!」」

 

 

 

 

 

次回を乞うご期待ください!!

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、3月12日は坂柳有栖の誕生日です。おめでとうございます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々、ありがとうございます。



今回は皆様が大好き?な櫛田桔梗さんの依頼回でした。

果たして彼女の依頼は完了出来たのか!?と言っても、堀北自身で決着をつけている時点でもうお分かりかと思います。



そして、次回は夏休みのお話。俺ガイルサイドから数名。よう実サイドから数名、新キャラが登場予定となります。



それでは、次回もよろしくお願い致します。


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第5話

5話目です。


それでは、今回もよろしくお願い致します。


 

時は流れ、夏休み。期末試験も無事クリア(数学赤点ギリギリラインで追試回避)して40日間ある極楽の長期休暇に入った。

 

 

夏休みの課題は5日で全て終わらせ後はアニメ見放題タイムを満喫するつもりでいる。

 

 

 

「兄さん、スマホが鳴っていますよ」

 

「気にすんな。重要性の低い電話だろうからな」

 

「そうでしょうか?」

 

「ああ......」

 

「綾小路先輩からですけど」

 

「そいつは出ないとな......もしもし」

 

「比企谷か?」

 

「ああ.....何か用か?」

 

「平塚先生から伝言でな。すぐに2泊分の荷物を作るようにとのことだ。詳しくは聞いてはないが、目的地は千葉らしい」

 

「分かった。すぐ用意する」

 

「用意は滞りなく済んでいますよ、兄さん」

 

「聞いてたのか?」

 

「私にもメールが来てましたので、準備は完了してますよ」

 

「さすが、俺の妹だな」

 

「もっと褒めてくれてもいいんですよ?」

 

「そうだな」

 

 

そんな会話を交えつつ、集合場所である海浜幕張駅前に向かった。

 

 

 

 

 

「待たせたな。綾小路」

 

「いや、俺もさっき来たところだ」

 

「来たな。比企谷」

 

「どうも、平塚先生」

 

「由比ヶ浜と雪ノ下はもう車に乗っているからあと1人だな」

 

「あと1人?」

 

 

 

 

 

「八幡〜!」

 

 

あと1人というのは戸塚だったのか。さすが平塚先生。見る目がある。

 

 

「戸塚も呼ばれてたのか?」

 

「うん!よろしくね!八幡、綾小路くん」

 

 

「「おっふ」」

 

「癒される。な?比企谷」

 

 

「それよりも、だ......綾小路。あの戸塚の格好を見て思うことはないか?」

 

「分かるぞ、比企谷......言いたいこと、すっごく分かるぞ!!」

 

 

 

 

 

「「戸塚は天使!!異論反論は認めない!!」」

 

 

 

 

 

 

 

((それと....一生、戸塚によろしくされたい......))

 

 

 

 

俺と綾小路は同じ感想を抱いていた。

 

 

 

「はぁ.....もう出発するから乗りたまえ」

 

 

 

俺は戸塚と同じ列に座ろうとするが......

 

 

 

「比企谷は助手席に乗りたまえ。私の話し相手に任命する」

 

 

 

 

儚くも叶わなかった。

 

 

 

 

席順としては前から、平塚先生と俺、二列目に雪ノ下と有栖、由比ヶ浜。後ろの列に戸塚と綾小路。

 

戸塚と綾小路は楽しくお話している。是非、混ぜて欲しいのだが....それは叶わない。恨むぜ、神様。

 

 

そして、どうしてか平塚先生は高速に乗っている。

 

「平塚先生。どうして千葉駅に行くのに高速使ってるんですか?もうこの年でボケてしまったんですか?」

 

「色々と怒りたい気分であるが、まぁいい.....なぜ比企谷は千葉駅に行くのだと錯覚している?」

 

「千葉と言ったら千葉駅でしょ?」

 

「残念でした!千葉は千葉でも千葉村でした!まさに外道!」

 

「何で地獄甲子園のネタ風に言うんすか?年齢バレますよ?てか古い」

 

「うるさいっ!」

 

こんなテンションに俺は千葉村に着くまで付き合わされた。もう帰りたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

「懐かしいな。中学以来だな、千葉村」

 

「オレもだ」

 

「ここが、千葉村なんですね」

 

「そういえば有栖は初めて来るんだったな」

 

中学生の時は熱を出して有栖は自然教室に不参加だったはずだ。

 

「荷物を出して移動する準備をしたまえ。君達以外にまだ来るからな」

 

「え?」

 

その後、2台の車が到着し何名かが降りてくる。

 

 

「久しぶりだね。比企谷」

 

1台目の車から降りてきたのは葉山グループのメンツ4人......

 

 

 

そして、2台目の車からは......これもまた知っている人と新しい人達もちらほら参加している。

 

まぁ、後で自己紹介とかあるから誰なのかは分かるだろう。

 

 

「全員揃ったな。君達にはこれから3日間。奉仕部活動の一貫として林間学校のサポートスタッフとしてボランティア活動を行なってもらう」

 

 

ほう....林間学校のサポートスタッフか.....正直やりたくはないが奉仕部活動ならばやらざるを得ないか。綾小路はワクワク、ソワソワしてるな....

 

 

この後は、葉山が代表して小学生の面々に挨拶を行った。

 

 

 

 

「平塚先生」

 

「なんだい?雪ノ下」

 

「なぜ、葉山君達もこの活動に参加しているのでしょうか?」

 

「それはだな。君達では人数が足りないので、内申点をエサに募集をかけていたのだよ。これもいい機会だ、君たちは別のコミュニティーとうまくやる術を身につけたほうがいい。後々にためになる」

 

「無理ですね。あいつらと仲良くやるのは」

 

「比企谷、違うよ。別に仲良くはしなくていい」

 

「??」

 

「私はうまくやれと言っているだけだ。さらっと無難にやり過ごす術を身に着けたまえ。それが社会に適応するということさ」

 

「なるほど.....」

 

うまくやれ.....か。それなら俺でも出来るな。仲良くするのとうまくやるのとではかなり意味合いが違ってくる。俺は俺なりに行動するまでだ。

 

とりあえず、今回の参加メンバーをおさらいしておこう。

 

この後で、自己紹介が行われ....俺達、奉仕部グループと葉山グループ、追加で以前に面識がある櫛田と堀北、平田という葉山に似た好青年とその彼女らしき女子の軽井沢、由比ヶ浜と声が似ている一之瀬という女子と神崎という男子。計16名のメンバーだ。

 

このメンツで小学生の林間学校のサポートを行うことが決定した。

 

 

 

こういうイベントにはトラブルというか懸念材料というか、何かしらの問題がつきもので.....

 

 

 

1人の少女が孤立というかハブられている。いじめに近いものなのかは分からないが、故意による孤立には間違いないようだ。

 

「あれは完全にハブられてるな」

 

「お?綾小路にも分かったか?」

 

「オレにも同じようなことを経験しているからな」

 

「奇遇だな俺もある。あれは結構堪えた」

 

「だよな!?」

 

「だが、もうその経験はこれで終わりだけどな」

 

「そうだな」

 

「本当に兄さんと綾小路先輩は仲がいいですね」

 

「「おう!!マブダチだからな!!」」

 

「はぁ.....息がピッタリですね.....ちょっとムカつきます」

 

 

 

妹の有栖に呆れられてしまった.....

 

 

 

話は戻るが、先程の少女はというとずっと1人でいて葉山が介入しているが事態は好転していない。むしろ悪手である。

 

まぁ、こういうのは小学生でも高校生でもよくあることだ。等しく人間であるのだから......

 

 

 

 

 

 

 

 

昼。林間学校で恒例の飯ごう炊さんが行われた。火起こしは危ないので俺達サポートスタッフが行い、小学生は野菜等の食材を取りにいき包丁などで食材を切っていく作業に入る。その姿を見守り指導するというのもサポートスタッフの役目である。

 

俺は遠目で小学生達の作業姿を見ていた。

 

「久しぶりね、比企谷くん」

 

「久しぶりだな。櫛田の依頼以来だったか?」

 

その際、櫛田の一件で知り合った少女。堀北鈴音に声を掛けられる。

 

「ええ...それにしてもここで比企谷くんに再会するとは思ってもいなかったわ」

 

「俺もだわ。堀北はこういうのに参加するタイプの人間ではないと思ってたけどな」

 

「内申点を貰えると聞いて参加したまでのことよ。私は比企谷くんこそこのイベントに参加している方が珍しいと思うのだけれど」

 

「俺の場合は奉仕部の活動で参加だからな。任意とかでなら絶対に参加はしない。基本、インドア派だからな」

 

「そうでしょうね」

 

「櫛田とはうまくやっているのか?」

 

「まさか、うまくやっているわけないじゃない」

 

「ということは櫛田とは友達になってはいないわけだな?」

 

「ええ、だからいつもしつこく友達勧誘されてるわ」

 

「友達勧誘か......」

 

初めて聞く言葉だな。

 

「大変だと思うが、まぁ頑張れよ。いっそのこと櫛田と友達になればいいんじゃねーの?」

 

「死んでもお断りね」

 

「お、おう.......」

 

そんなにかよ。どんなことしたらそんなに嫌われるんだ?櫛田さん。

 

「私はもう行くわ。ありがとう、私の話し相手になってくれて」

 

「こちらこそ」

 

彼女はそう言って、戻っていった。

 

 

「随分とお楽しみのようでしたね」

 

「!!有栖か。びっくりしたわ」

 

「兄さんは毎回毎回、違う女の人といるんですね」

 

「は?」

 

「雪ノ下先輩や由比ヶ浜先輩、堀北先輩や櫛田先輩。たくさんの女性の人と一緒に楽しくいるじゃないですか」

 

「雪ノ下達は部活で同じだから仕方ないだろ。堀北と櫛田に関してはあんまり関わりはないぞ?まさか、嫉妬してんのか?」

 

「っ!してません!」

 

「全く構ってくれないから有栖は嫉妬してるんだよな?」

 

「してないったらしてません!」

 

「ったく....構って欲しいなら素直に言ってくれれば構ってやるぞ?」ナデナデ

 

「っ.....だから私は....」(撫でるのが気持ちよくてこれ以上反論出来ないじゃないですか....これだから兄さんは.....)

 

「戻るか....腹も減ったしな」

 

「はい」

 

 

 

俺と有栖は戻り、昼食を摂ったのちボランティア活動を再開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕刻。

 

俺達サポートスタッフは集まることとなった。

 

 

 

「何があったんだ?」

 

「それはだな」

 

綾小路から事の次第を聞く。あのハブられていた少女、鶴見留美という少女の件で話があるとのことだ。

 

「先程の話だが.....君達はどうしたいのかね?」

 

「俺は、可能な範囲でどうにかしてあげたいと思っています」

 

「葉山、どうにかしたいというのは仲直りをさせるということでいいのか?」

 

「そうだ。比企谷」

 

「なるほどな」

 

「可能な範囲で.......ね。あなたでは無理よ。そうだったでしょ」

 

「くっ......」

 

やはりこの2人には過去、何かがあったのは間違い無さそうだな。

 

「雪ノ下はどうしようと考えているのかね?」

 

「彼女が助けを求めるのであれば、あらゆる手段を行使してでも解決に努めようと考えています」

 

「彼女からは助けてほしいという相談は受けているのかね?」

 

「それは.....」

 

「ゆきのん。あの子は......言いたくても言えないんじゃないかな。留美ちゃん、言ってたじゃん。自分も前に同じことしてたって......だから自分だけ助けてもらうのは.....その、許せないんじゃないかな.......みんなたぶんそう。話しかけたくても、仲良くしたいと思っててもそうできない環境ってあるんだよ......きっと」

 

由比ヶ浜の言い分も一理ある。言いたくても言えない状況というのはある。そういう空気が出来上がっている中で一言、言うのはかなり勇気のあることだ。由比ヶ浜にも似た経験をしたことがあるのだろう。

 

 

 

 

「状況は分かった。この問題の解決策を君達自身で考えたまえ。私はここでその内容を聞いているから」

 

解決策としていくつかの案が示されたりはしたが決定的な案は出ない。有力案としては海老名さんが提示した趣味に生きるというもの。必ずしも学校が全てではない。学校以外で何かに集中、熱中するものがあれば何とかやっていけるものがあるのだから.....

 

現に俺もその1人で、可愛い妹やゲームや小説等があれば学校に友達が居なかろうがハブられているだろうがよかった。本当に楽しいものが1つでもあれば俺はそれで良かったのだから。

 

 

 

「やっぱりみんなが仲良くするという方法しか解決策はないのかもしれないな」

 

「葉山、それ本気で言ってるのか?」

 

「え?」

 

「みんな仲良く出来るんならこの世に争いなんか起きないぞ」

 

「比企谷くんの言う通りよ。そんなことは不可能に近いわね」

 

その言葉に三浦は反論するが、葉山が止めに入る。

 

「今日はこれくらいにしてまた明日にでも話そう。一旦、頭を冷やす時間も必要だろう」

 

「そうですね」

 

 

平塚先生の一言で、お開きとなった。

 

 

この後、ロッジに戻り交流も兼ねてのゲーム大会が開かれ大盛り上がりだった。特に綾小路がはっちゃけてた。あのチャラ男の戸部とウェイウェイしてたしな。まぁ、綾小路にしたら初めての体験だろうから仕方ないといえば仕方ないのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は風に当たりたい気分だったので、外に出た。

 

 

少し歩くと、顔見知りの少女が星を見ていた。

 

 

 

「星でも見てんのか?」

 

「比企谷くんもかしら?」

 

「俺は風に当たりたい気分だったから出てきただけだ」

 

「そう.....」

 

「何かあったのか?」

 

「三浦さんが突っかかってきたから30分ぐらいかけて論破したら泣かせてしまったの」

 

「だから、気まずくなって外にいたのか」

 

「まさか泣くとは思っていなかったのよ。今頃、由比ヶ浜さんとか櫛田さん達が慰めてくれていると思うわ」

 

「なるほどな」

 

そして雪ノ下はあの少女、鶴見留美を何とかしてあげたいと言った。

 

俺としては見ず知らずの少女を助けるなんてことはしたくはないが、同じ境遇の子をほっとく訳にはいかなかった。妹と重なる部分があったから.....

生まれつき身体の、心臓の弱かった有栖をいじめる人はいくらかいた。有栖は決して強い子ではなかった。俺の知らないところ、いない所で泣いているのを見た。それを見て俺は行動に移した。その結果、有栖をいじめる奴はもういなかった。だからあの時の二の舞だけは何としてでも避けなければならない。

 

「俺も少なからず協力はする」

 

「そう....なら心強いわね」

 

「それと1つ気になっていたんだが、いいか?」

 

「どうぞ」

 

「葉山とはどんな関係なんだ?あの時の会話でいくつか疑問に思ってな。もしかして.....」

 

「彼とは小学校が同じなだけよ。それと親同士が知り合い。彼の父親が私の会社の顧問弁護士をしているの」

 

「大変そうだな。家族絡みの付き合いというのも」

 

「そうなのでしょうね」

 

「他人事だな」

 

「ええ、基本は姉が対応しているから。私は代役でしかないのよ」

 

「なるほど」

 

「それと、今日は来られてよかったわ、無理だと思っていたから」

 

「そうなのか?」

 

「ええ....本当に来れて良かった」

 

 

雪ノ下はどこか寂しげな表情をしていた。俺の勘違いでなければだが...

 

 

「.......じゃあ、俺は戻るわ。綾小路とか戸塚が心配してるだろうからな」

 

「私も戻るわ」

 

「近くまで送ってく。危ないからな」

 

「......ありがとう」

 

一瞬、雪ノ下は驚いてはいたがすぐに俺の前を歩き出す。

 

「雪ノ下、そこ右な。左は俺達のロッジだから」

 

「っ!分かってるわよ」

 

 

本当か?もしかして雪ノ下って方向音痴だったりする?

 

この後、何度か違う道に行こうとする雪ノ下の姿があったとか......

 

 

無事、雪ノ下をロッジまで送り俺も自分のロッジに戻った。

 

 

案の定、綾小路と戸塚達に心配されたのだった......

 

 

 

こうして彼の長い長い1日は終了したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.....続く

 

 




ここまで読んでくれた方々、ありがとうございます。




千葉村編、1日目まで執筆させて頂きました。2日目からよう実サイドの新しいメンバー達と八幡の絡みを書いていこうと思います。




それでは、次回もよろしくお願い致します。


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[アーニャ・フォージャー編][SPY×FAMILY]
第1話


みなさん、お久しぶりです。


俺ガイルの別世界戦上のお話?(絶対違う)であるSPY×FAMILYからアーニャ編をお届けします。





それではよろしくお願い致します。


 

 

 

 

春。桜が咲き乱れ一期一会の季節。

 

 

「八幡、喜べ。妹が出来るぞ」

 

そんなある日、親父から妹が出来る宣言が発令された。

 

「はい?」

 

「妹と言っても養子みたいなもんだがな」

 

というのも、里親制度を使ってとのことらしい。

 

里親制度というのは、さまざまな事情で家族と離れて暮らす子どもを自分の家庭に迎え入れ温かい愛情と正しい理解を持って養育する制度のことだ。近年、そういったこどもが増えているようで厚生労働省も里親制度には力を入れており、積極的に活用してほしいとのことらしい。

 

 

「なるほどな。で、いつから?」

 

「もう居るぞ。下に降りてこい。挨拶するぞ」

 

「マジ?」

 

 

 

 

気持ちの整理とか出来てないんだが......

 

 

 

 

 

 

 

「八幡、挨拶しろ」

 

 

 

「比企谷八幡だ。よろしく」

 

「アーニャ!」

 

(結構、小さい子だな....歳は4歳ぐらいか?)

 

 

「むっつ!」

 

「6歳か.....」

 

(なんで俺の考えてること分かったんだ?声に出てたか?)

 

彼女の名はアーニャ。人の心が読める超能力者だった。

 

それを彼が知るのは当分先だろう。

 

「ちち!この人だれ?」

 

「今日からアーニャちゃんのお兄ちゃんになる人だよ」

 

「ハチ!」

 

「.......」(俺は犬ではないんだが.....せめて他の名前で呼んでくれるといいんだが......)

 

「おにぃ!!」

 

「ぐはっ!!」(なんだこの破壊力は!可愛いすぎんだろ!)

 

「よろしくな。アーニャ」

 

「うん!」(今日から新しい生活!わくわく......っ!!)

 

 

「じゃあ、俺は仕事に行くからアーニャのこと頼むぞ。八幡」

 

「分かった」

 

 

「せっかくだしアーニャ、出かけるか?」

 

「うぃ!ぼうけん!」

 

「そうだな」

 

アーニャと一緒に外へ出る。

 

(まずはアーニャという子を知る必要がある.....そうすれば兄妹の仲が深まり良好な関係が築ける.....はずだ。多分)

 

 

 

 

 

 

 

 

(アーニャを知ると....兄妹の仲が深まる!!!!)

 

 

 

 

 

 

 

「アーニャ、ぴーなつがすき。にんじんはきらい」

 

「ん?俺はMAXコーヒーが好き。トマトが嫌いだな」

 

「じゃあ、ピーナッツ買うか?」

 

「やったー!!おにぃ大好き!!」

 

「ぐはっ!!!」(やばいめっちゃアーニャ可愛い!!!お兄ちゃんになってよかった)

 

「おにぃ、大丈夫?」

 

「大丈夫だ。アーニャの好きなものを買いに行こう」

 

「うんっ!!」

 

 

 

アーニャの好きなピーナッツ(ぴーなつ)やカリカリベーコン(カリカリべーこん)や今後必要となってくる物や衣服などを一通り買った。

 

 

 

「ぴーなつ!おいしい!」

 

「それはよかった。今日は楽しめたか?」

 

「楽しかった!でも.....」

 

「ん?」

 

「アーニャ眠い。疲れた」

 

「ほれ」

 

「おにぃ?」

 

「背中に乗れ。疲れて歩けないんだろ?」

 

「ありがと!おにぃ!」

 

アーニャは満面の笑みで俺の背中にしがみつく。

 

「zzzz........」(おにぃの背中、気持ちいい....)

 

「寝ちゃったか.....」

 

(かなりはしゃいでたから疲れが溜まってたんだろうな。前までは孤児院にいたっていうし外に出ることもあんまりなかっただろうし、はしゃぐのは無理ないか)

 

(その分、俺がアーニャの相手をしてやればいいか。だが、もうすぐ俺は新学期。アーニャはどうするのだろうか?小学生になるのだろうか?親父に聞いてみるか)

 

 

 

 

親父に聞いた結果、春からアーニャは小学生とのことで手続きも完了しているとのことだった。

 

 

 

 

 

 

「アーニャ、もうすぐ学校が始まる訳だが......」

 

「うぃ!」

 

「ひらがなとカタカナの書く勉強・練習をするぞ」

 

「やぁーーだぁーーっ!!べんきょーやだっ!!!」

 

「そうは言ってもいずれはやらないといけないんだぞ?」

 

「そんなことしなくてもいいもん!」

 

「まさか、隣の人に写させてもらう気だな?」

 

「うぃ!」

 

「隣の奴が間違った解答を書いてたらどうするんだ?」

 

「.........」(その時は色んな人の心を読むからいいもん!!)

 

「おにぃ!べんきょーよりおえかきしたい!」

 

「やれやれ、まぁいいか」(学校の先生に任せよう)

 

「やったー!!」

 

 

(とりあえずまずはアーニャのやりたいことをやらせよう)

 

 

思う存分、アーニャのやりたいことをやらせた。

 

 

終始、お絵描きとピーナッツ(ぴーなつ)を食べていたが......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、アーニャの入学式、俺の始業式となり.......

 

「おにぃ、似合ってる?」

 

「おうバッチリだ。赤いランドセルが輝いて見えるぞ」

 

「ちち!どう?」

 

「もちろん似合ってるぞ」

 

「ははもアーニャのこの姿.....似合ってるって思ってくれてると嬉しい!」

 

「大丈夫だ。きっと思ってくれてる」

 

俺の母親は数年前に病気で他界し天に召されている。本当に優しい母さんだったからアーニャにも会わせたかったんだが.....こればっかりは仕方ない。

 

「アーニャ、行くぞ。八幡も学校にちゃんと行くんだぞ」

 

「うい!」

 

「分かってるよ」

 

「またね!おにぃ!」

 

「おう」

 

アーニャは親父と小学校へ、俺は総武高校へそれぞれ向かった。

 

 

 

「俺は2-Fか.....」

 

特に知り合いが多いわけではないので、よくある「また私達同じクラスだねとか好きな人とまた同じクラスだ!どうしようとかを言い合ったりはしない。

 

 

1年何事もなく過ごせればいい。

 

 

「また同じクラスだね」

 

「そうだな。適度な距離感で頼む」

 

「分かってるさ」

 

 

 

 

「お前ら席に着け。始業式の前に課題である作文を提出しろ」

 

 

俺は少し手を加えて作文を提出した。

 

 

(アーニャもちゃんと学校に馴染めるだろうか)

 

 

お兄ちゃんとしてはそこが心配だが、まぁアーニャなら大丈夫だろう。

 

 

 

そして、アーニャの方はというと.....

 

 

(ここが....学校!楽しみ!!わくわく!!)

 

(でも、べんきょー嫌い.....でも、がんばる!!おにぃにほめられるように!!)

 

 

決意を新たにしていた。

 

 

 

 

 

 

..........続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々、ありがとうございます。



ついにSPY×FAMILYのアニメが放送され2話まで進んでおります。
安定の面白さと作画、WIT STUDIO×CloverWorksの最強タッグ。
OP曲担当にはofficial髭男dism、EDには星野源と豪華。かつ主要CASTには俺ガイルの主人公とヒロインの江口拓也さんと早見沙織さん(個人的にめっちゃ嬉しい。別世界線上で夫婦)アーニャ役には種﨑さんと豪華CAST。非の打ち所がなく今期覇権アニメだと作者は断言します。
3話目も楽しみでなりません。


本作では日常回をメインで執筆予定です。




それでは、次回もよろしくお願い致します。


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