みすちー「残るはこのミスティア1人か……。だが頂点に立つ者は常に1人!」 (ただの農民イーノック)
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夜雀 ミスティア・ローレライ
我が名はミスティア。かつて柱の男と呼ばれた生物の魂が妖怪に憑依した存在だ
私は究極生命体を目指し、しかし尽き果てた者だった
JOJOという名……。そして私は自身が何を目指したのか、自分がどう言った生命体なのか……、その程度しか覚えておらぬ。故意に忘れたのか、何かしら不調により記憶が欠落したのか……、原因についてはほぼ全てを忘れてしまった今となってはどうでも良いことだろう……
この妖怪の体に憑依したからか、今では究極生命体や不老不死を目指そうとは思わぬ……。それどころか平穏なる人生を送りたいとも思っている
だがそれは私が私であるためにはいい事ではないのだろうか……。だが自らの名すらを忘れてしまった。もはやこれはただのミスティア……夜雀の妖怪として生きるしかないのでは……
そこで私は考えるのをやめる。
この考えは答えの出ない禅問答のようなもの。答えはあるが決してたどり着くことは無い……
……さて、店の準備でも始めるか
私はこのミスティアと呼ばれる妖怪になってから屋台を開いている。特に深い意味がある訳では無い。この妖怪の寿命は気の遠くなるほど長い……。柱の男もそうだったがしかし、起き続けていた訳ではなく2000年周期に眠りについていた……
だから暇つぶしがてらヤツメウナギの蒲焼なんかを売る屋台を構え始めた。そこそこ実入りはあり生活には困らない
私は……仮に前世と呼ぼう。柱の男として生きていた時は人間を虫以下……いや、害虫としか思っていなかった
だがこの体を手に入れてから考え直した。人間にもとてつもない強さのものがいるらしい
「やってるかい?」
開いたウナギを串に刺し炭火に載せると共に暖簾をかき分け赤髪の女が椅子に座る
「あぁ、まだ準備は終わってないがな」
「んー、じゃ、とりあえずお酒貰える?」
「貴様仕事はどうした」
この女の名は小野塚小町。死神である
死神と言ってもこやつがやるのは賽の河原を渡らせる舟渡。命を刈り取る方の死神ではない
「いいのいいの。仕事には適度な休憩が必要なんだよ」
いやー、珍しく映姫様が視察に来て大変でさー、などとのたまっているがどうせ大した仕事もせずに来たのだろう
「フン、貴様の仕事とやらは寝転がりながらやるのか……?頬に跡がついているぞ」
小町のその頬には、昼寝でもするのに寝そべった際ついたのだろう砂埃がついていた
「あー……、あははあたい疲れちゃってさー」
小町はやや目をそらすも言い訳がましく言葉をこぼす
「言い訳なら後ろの閻魔に言ったらどうだ」
「……閻魔?」
私の言葉に聞き返した小町は冷や汗を流しながらギリギリと後ろをむく
「げぇっ、映姫様!?」
「仕事が詰まっていたのですぐに帰りましたが……どうやら間違いだったようですね」
はらりと風で舞い上がる暖簾。その奥にはエメラルドのように鮮やかな髪をはためかせた少女が立っていた
こいつの名は四季映姫。子供のようななりをしているが閻魔と呼ばれるあの世の裁判官のようなものだ
そして、小町の上司でもある
その映姫は、絶対零度の視線で椅子に座るこまちを見下ろす。と、言ってもこまちが座ったところで立っている映姫とさして目線は変わらんのだが
「小町……帰りますよ」
「……はい」
振り返る映姫のあとを小町はとぼとぼと歩いていった
……本音を言えば、何かしら頼んでから帰って欲しかったのだが……
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