敵なので社会的弱者を虐待することにした。 (重言 白)
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敵なので社会的弱者を虐待することにした。

コレはなんというか……違うんだ!

決して作者のボキャブラリーが無いというわけではなくて……


 俺の名前は元姿 回帰。

 

 今最も世間を賑わせている(ヴィラン)だ。

 

 今日もターゲットである幼い子供を誘拐し、見るも無残に虐待しているのだ。

 

「ひっ!」

 

「くっくっくっ……今のうちに、怯えられるだけ怯えるが良い。お前はこれから、地獄のような責め苦の中、悶え苦しみながら世界を呪うような虐待を受けるのだ」

 

 今日誘拐したのは、異形型の個性を持つ幼気な少女だ。

 

 個性の元の生物までは詳しく調べてはいない。

 

 ただ再生能力が高いことだけは確かだ。

 

 首からエラのようなものが6本生え、中途半端な水かきのようなものがある以外の外見的な特徴はない。

 

 せいぜい、透き通るような白い肌程度だろうか?

 

 くっくっく……この白い肌が、これからあまりの恐怖で青褪めていく様子を想像するだけで、笑いが止まらないぜ。

 

「先ずは……水責め。いや、水責め程度じゃあ生温い。煮え滾る熱湯の責め苦に加え、全身に有害な薬物を塗り込んでくれるわ!」

 

 あまりに残酷な所業に、悲鳴すらあげられないようだ。

 

 この程度、我が虐待において序の口に過ぎぬというのにな!

 

 俺は少女が着ていた機能的な服を引きちぎって、煮え滾る熱湯に突っ込んだ。

 

 そして更に熱湯に浸かっていない頭に対して、上から熱湯をかける。

 

 ある程度熱湯責めを続けた後、自らの手で全身に有害な薬物を塗りたくらせる。

 

 屈辱のあまり、全身を赤く染めて泣いている姿を見たら、再び熱湯をかけて熱湯責めを再開する。

 

 自分の行動を無に帰され、残念そうにしていたのでこれから毎日行うことにする。

 

 熱湯責め後は、用意しておいた機能性に欠けた服に着替えさせる。

 

 俺ならあんなもさもさとした服は絶対に着たくないな!

 

 先程の熱湯責めが肉体的な苦痛の虐待なら、これは精神的に屈辱と恥辱を与え、更に逃走を防止するという効率的な虐待だ。

 

 そして今日の虐待はまだ終わらないのだ!

 

 皮を剥がれ、身を切り裂かれ、焼けた鉄の上で踊らされ……様々な方法で虐待された食材で作った出来合いの物を食わせる。

 

 もちろんお残しなど許しはしない、むしろなんとか完食した時に追加することで、さらなる絶望を刻み込んでやった。

 

 夜は高い場所にセットされた布団の上に放置する。

 

 寝れば寝返りで落ちるという恐怖に震え、一睡もできないことだろう。

 

 明日には本拠地に着く。

 

 そうなればより凶悪且つ、より無残な虐待を行うことができるだろう。

 

 くくくっ、フーッハッハッハッハ!

 

 

 

 

 また、別の親に売られたのかと思った。

 

 私の個性、『メキシコサラマンダー』により、私の成長は子供の頃で止まっている……らしい。

 

 成長しない私の事を疎んじた最初の親に売られてから、私の人生は苦痛にまみれた地獄の日々だった。

 

 メキシコサラマンダーは例え足や内臓が破損しても、いずれ治る程の再生能力があるらしい。

 

 その因子を持つ私も、しっかりと栄養があればある程度なら再生することができる。

 

 先ず、全身の皮を剥がされた。

 

 私を買った新しい親には、全身に火傷を負った実子が居たらしい。

 

 次の親には、肝臓をえぐり取られた。

 

 次の親には、肋骨を。

 

 血液を、肺を、胸筋を、指を、目を、耳を……

 

 ここまではまだ、誰かのために、誰かを救っているという実感が持てただけ、良かったかもしれない。

 

 これまでにどれだけの親に会ったかなんて覚えていなかったが、ある日から私の居場所は手術室から変わっていた。

 

 全身のあらゆる部位を刻まれ、殴られ、引きちぎられ、絞られ、抉られ、削がれ、潰され、侵され、溶かされ、焼かれ、砕かれ……ありとあらゆる方法で壊され続けた。

 

 今日もただ痛めつけるためだけに、暴行されるのかと思い目を開けた時、見覚えのない親が私の前にいた。

 

「ひっ!」

 

 これまでの経験から、ただ無抵抗でいるより少し怯えている方が、痛めつけられる量が少ないと学習していた。

 

「くっくっくっ……今のうちに、怯えられるだけ怯えるが良い。お前はこれから、地獄のような責め苦の中、悶え苦しみながら世界を呪うような虐待を受けるのだ」

 

 経験してきた相手と同じタイプと判断、どうせこれまでと同じか……。

 

 無理矢理服を引きちぎられたので、そんな風に考えていたらいきなりお風呂に入れられた。

 

 これまでは洗浄と称して、身を裂く程の高圧水流の的にされたり、体ごと溶かすような凶薬ばかりを使われていたので、久しぶりのまともなお風呂に思わず、とうの昔に枯れたと思っていた涙が出た。

 

 そして身体の隅々まで洗い終わった後、身体の泡をお湯で流してもらった。

 

 彼の個性なのか、私が纏っていたぼろ布は姿を変えながら再生していき、まるで物語のお姫様が着るような綺麗なドレスになった。

 

 そして綺麗なベットの上に寝かしつけられた。

 

 綺麗なものを汚すのが趣味なのかもしれない……そう思って襲われる覚悟もしていたのに、彼は近くに敷かれた布団に横になった。

 

 わけがわからなかった。

 

 

 

 翌日、起きた時にはどこかの施設に着いていた。

 

 中には私と同じような境遇の人がたくさん居た。

 

 無個性だからと捨てられた人、ヴィランっぽい個性だからと迫害された人、両親がヒーローだったせいで、ヴィランに襲われた人や親がヴィランだったせいで何もしてないのにヒーローに殺されかけた人。

 

 ヒーロー向きの強個性であるにも関わらず、嫉妬から冤罪をかけられ、ヴィランにされてしまった人、個性を使う能力を奪われた人、個性婚の結果捨てられた人。

 

 彼らは誰も俯いていなかった。

 

 それどころか、笑顔があふれていた。

 

 自分がどれだけ辛い目に合っていたとしても、新入りの私を心配して、世話をして、受け入れてくれた。

 

 私なんかよりずっと辛い目に合っていた人も、それは変わらなかった。

 

 私にはわからなかった。

 

「どうしてあなた達は、笑っていられるの?」

 

 思わず聞いてしまった。

 

 彼らも辛かった筈なんだ。

 

 理解できなかった。

 

「あの人に救ってもらえたから」

 

「あの人のおかげで、無個性でもヒーローを目指そうと思えたから……かな?」

 

「……彼に命を、全てを捧げたいと思ったから。私はいつでも準備できてるのに……ポッ」

 

 無表情のまま棒読みで「ポッ」なんて言っても、意味がない気も……。

 

 それは置いておいて、ここの人達はみんな、彼に救われたらしい。

 

 肉体的な問題だけでなく、その心までも救ってしまったのだ。

 

 自らの個性を暴走させて死にかけた人は、彼に個性を抑え込まれて個性のコントロールを習得した。

 

 無個性で捨てられた彼は、戸籍や学歴を用意してもらい、ヒーローになるための努力を続けているそうだ。

 

 無表情の人は、私のように暴行を振るわれていた時に救われ、その後の男性不信に対しても根気強く付き合ってくれたのだとか。

 

 そんな彼女の個性は『吸血鬼』。

 

 日光で灰にはならないが、個性が使えなくなって身体能力が著しく下がる。

 

 夜であれば強力な再生能力を発揮する。

 

 ……キャラ、被ってるのよね。

 

 長年居着いているんだから、そろそろ他の人みたいに卒業……独り立ちしなさいよ。

 

「……そっちの方が歳上。あなたこそ、さっさと独り立ちすべき」

 

「「……アァ!?」」

 

「ちょっ! 先生ーッ!? あの2人がまた喧kゲファッ!」

 

 そこ、うるさい。

 

 彼が来たら、彼女をぼこ……説得できないじゃない。

 

「前から、何というか反りが合わないと思ってたのよ」

 

「……それは私のセリフ」

 

「「ぶっ飛ばす」」

 

 栄養に満たされている今日の私に勝てると思わないことね!




個性『回帰』
使い手がこうあるべきと思った形に、触れているものを再生する個性
ただし服を作るには服が必要というように、元になる素材が必要

個性『メキシコサラマンダー』
別名ウーパールーパー
メキシコサラマンダーにできることは大体できる
栄養が尽きない限り、脳を除く全ての部位を再生できる
再生速度は精神状態にも影響を受け、最高速度は銀魂の虚くらい

個性『吸血鬼』
再生能力、霧化、蝙蝠化、飛行、etc……
吸血鬼にできるとされることは大体できる
ただしニンニクを食べたり日光を浴びると、個性が使用できなくなり身体能力が下がる

相澤先生って雄英高校の卒業生だったりするのかな?

もしそうだとしたら、あの実技試験では無個性と同じだったのか?

でも推薦という可能性もある。

そもそも雄英高校じゃないのかもしれないけど。


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ヒーロー襲来

ノリで「ヒーロー襲来」なんて次回予告をしたことを、結構後悔してます。

俺は子供が虐待される姿が見たいんだ! という方は、半分くらいでブラウザバックだ!

1話の爆豪が救出できなかったのって、野次馬モブのせいじゃないか……?


 ジリリリリリッ!

 

 虐待用に用意した目指し時計の音で目が醒めた。

 

 朝早くに起こし、眠気に苛まれながら生活するという虐待を行うためには、俺自身も早く起きなければならないのだ。

 

 虐待をするためには、自らも虐待を受ける必要があるとは……ままならないものだ。

 

 カーテンを開けて、空を見上げる。

 

 うむ、今日も絶好の虐待日和だ。

 

 今日の朝食は白米に具沢山の味噌汁、焼き魚にサラダとたくあんだ。

 

 これも食欲のない朝から大量に食わせるという、虐待なのだ。

 

「「「いただきます!」」」

 

 

 朝食を終えた後、自分の食べた皿は有害な薬物を使って自分で洗わせるという虐待を行なっている間、次なる虐待を思案する。

 

 よし、あの虐待にしよう。

 

 する事を決めたので、準備を始める。

 

「全員、このハチマキを体のどこかに付けろ」

 

 準備したのはこの、マジックテープでくっ付く簡単に外れるハチマキ。

 

 頭や腕、手首など思い思いの場所に付けていく。

 

「ルールは簡単、俺にハチマキを取られなければ勝ちだ。勝者にはご褒美を、敗者には……いや、言うのはよそう」

 

 大人……それも自分達を虐待し続けている、凶悪なヴィランに本気で追いかけ回される恐怖!

 

 さらに負ければ何をされるのかわからない恐怖!

 

 逃げる事で肉体な苦痛を、追いかけられ、何をされるのかわからない精神的な苦痛という二重苦!

 

 ご褒美という希望をぶら下げながら、対価として罰を強要する悪魔のごとき発想。

 

 我ながら、よくこんな残酷な虐待が思いつくものだ。

 

 あまりにも残虐な発想に、自分のことながら震えてきそうだ。

 

「1分後に俺は動き始めるぞ? 1、2……」

 

 蜘蛛の子を散らすように逃げ始めた。

 

 クククッ……せいぜい協力して逃げ回るが良い。

 

「59、60。 さて……」

 

 逃げ切れると思っているその砂糖菓子のように甘い頭に、直々に刻み込んでやろう……。

 

「知らなかったのか? 大魔王からは逃げられない!」

 

 ワープ系の個性を持つ少年を捕捉、個性の発動条件であるゲートを完成させるよりも早くハチマキを奪取。

 

 ワープ系は発動に時間がかかるから、先に見つけてしまえばどうということもない。

 

 次に見つけたのは足の裏にタイヤの付いた、高速移動系個性の少女。

 

 高速移動系の個性の弱点は、急な方向転換が難しいという事だ。

 

 奪取。

 

 他の逃走者が見当たらないと思えば、頭上に蝙蝠が飛んでいた。

 

 吸血鬼の個性で蝙蝠化した体の一部で、こちらを見ていたのだろう。

 

 彼女は日光に弱いが、蝙蝠化や霧化していれば問題ないのだ。

 

「なら、見えないように動くか」

 

 前話のあとがきで紹介された俺の個性は『回帰』。

 

 物体を自分の思う形に再構成する個性だが、素材が必要という制限がある。

 

 つまり、素材になる物体と同じジャンルの物しか作れないという事だ。

 

分類設定(カテゴリセレクト)、【建材】、屋根」

 

 立っていた場所にあるコンクリートを回帰、俺の上に屋根を作る事で視界を遮った。

 

「プラス、地下通路」

 

 そして撒くために、地下に新たな道を作る。

 

 まあ道を10程余計に準備しておけば、完全に撒けるだろう。

 

 そうして監視を撒いた後、近くで吸血鬼の個性の少女とテレパスの個性の少女を発見、ハチマキを奪取した。

 

 その後は情報を統括していた司令塔を失い、混乱していた少年少女から次々とハチマキを奪取し、開始1時間で全てのハチマキを回収した。

 

「さて、罰ゲームだが……」

 

 ここであえて一拍間を開けると、虐待度が高い。

 

 虐待レベルが低いと直ぐに罰の内容を言ってしまい、この何をされるのかがわからないという恐怖を失わせてしまうのだ。

 

 罰の内容によっては、さっさと言った方がいい場合もあるので、そこら辺はさじ加減というほかない。

 

 恐怖には鮮度があるが、時には熟成させるのも大事だと俺は思う。

 

「昼食は各自自分で作れ。片付けまでしっかりとな」

 

 食材の数は限られている。

 

 さっきまで協力していた仲間たちが一転、食材を奪い合う敵となるのだ!

 

 今隣に立っている奴が敵になる……疑心暗鬼により仲間意識を失わせ、虐待から逃げられないようにする虐待だ。

 

 くくく、フハハハハハッ!!

 

 もちろん、自分の分の食事は用意してある。

 

 

 

 

 

 昼食も終えて更なる虐待の後、夕食の前。

 

「キャアアアアアッ!」

 

 む、虐待に耐えきれず、遂に悲鳴をあげたか!

 

 ねーねー、今どんな気持ち? 幸せだった親元から誘拐されて、虐待されてる今、どんな気持ち? ねーねーねー……と煽るという虐待をしなければ! という使命感に駆られ、声の聞こえた場所に向かうと、そこにはヒーローらしき青年の姿が。

 

「やめてっ! お姉ちゃんを離して!」

 

 今残っている児童の中で比較的年齢の高い少女が、服がはだけた状態でヒーローに組み敷かれていた。

 

 近くには悲鳴をあげたであろう少女が、縛られて倒れていた。

 

「ガキを攫うなんてチャチな仕事だと思ってたが、中々良い女もいるじゃねえか」

 

「この、下衆がッ!」

 

 あの2人は確か……裕福な宝石商の娘とその義姉だったな。

 

 宝石に囲まれて豪遊していたので、攫って一般的な庶民の暮らしをさせるという虐待をしている最中だ。

 

「その2人は俺が虐待中なんだ。連れていかれては困るな」

 

 しょうがないのでヒーローの前に出る。

 

 従ってくれれば良いんだがな……

 

「はあ? ああ、お前が《キッドナップ》か」

 

 キッドナップは俺のヴィラン名らしい。

 

 直訳で誘拐犯、もう少し捻りを加えられなかったのか。

 

「お前は別にどうでも良いんだが……とりま、死ね!」

 

 こちらに向けられたヒーローの腕から、先端が鋭く尖った槍のような棒が射出された。

 

 後ろに飛んでいっても困るので、キャッチしてみる。

 

 どちらかといえば杭に近い形をした、白くて硬い棒だった。

 

「材質は骨か? 骨を杭にして射出する個性?」

 

「骨騰難避」

 

 手に持った杭が破裂し、様々な方向へ高速で棘を飛ばしたので、地面を隆起させて防ぐ。

 

 自分の骨を操る個性かもしれないな。

 

「土を操る程度のザコ個性か! ならこれならどうだ! 墳骨細身!」

 

 土を均して視界を確保すれば、俺に向けて地面から骨が生え始めた。

 

 よく観察すると、先程防いだ棘から生えている事がわかる。

 

 骨を躱すと、それはまたさっきと同じように弾け、棘をまき散らした。

 

「この技は、だんだんとお前の行動範囲と体力を奪っていく。最後に待つのは、死だ!」

 

 確かに、避けづらい良い必殺技だと思う。

 

 コレを生み出すために、血反吐を吐くような弛まぬ努力があったのだろう。

 

 感動的だな、だが無意味だ。

 

分類設定(カテゴリセレクト)、【武器】、剣」

 

 棘から杭が伸びきり、殆ど全てが接触している状態で個性を発動。

 

 骨の杭を剣に作り変えた。

 

 残りは地中深くに埋めて、粉砕した。

 

 無敵と思っていた必殺技を破られたショックか、呆然とした隙に接近、手を当てる。

 

分類設定(カテゴリセレクト)、【動物】、鮪」

 

 そして個性を使って、動けない状態に加工すれば終わりだ。

 

 ちなみにこの状態でも意識はあるらしい。

 

 昔【哺乳類】分類で犬にしてみた友人曰く、「犬の間は嗅覚が鋭くなった」らしいので……呼吸困難と全身火傷のような苦痛を味わっている事だろう。

 

「やっぱり大きいと邪魔だな、揚羽蝶」

 

 こっちに害さえ与えられなければ良いので、虫にした。

 

 かつてヒーローだった揚羽蝶はヒラヒラとどこかへ飛んでいった。

 

 2人とも気絶していたので、虐待施設に運び込んだ。

 

 ヒーローに助けて貰えそうだったのに、目が覚めたらまた恐怖の虐待施設に逆戻りという絶望に苦しむが良い!




前書きの続き

身体の動きはある程度操作されていたにしても、爆破は爆豪の意識に従ってたと思うんです(抵抗してたらしいし)。

周りに野次馬がいなければ、水の個性を持ってそうな消防隊員っぽい彼(バックドラフト?) が爆破の威力を抑えて、シンリンカムイやデステゴロが市街地から引き剥がす事がおそらく可能。

周りの被害さえ気にしないなら爆豪を誰かが固定して、水でヘドロを吹き飛ばせば救出完了だったのでは?

つまり1番の敵は、傍観者の彼らだったのだよっ! という説を推してみる。

まあヒーロー的に知名度がなければ無賃労働なので、仕方ないのかもしれませんが。

「ヒーローなら命かけて助けろよ」というステインみたいな意見を良く見るのですが、その結果自分以外の命が掛けられるのはアウトでしょ。

そう思ってしまうのは、作者が凡人だからでしょうか?

オマケ

ヒーロー
個性:【一将万骨】
骨を増やせる個性。
戦闘中のイメージが想像しづらかった人は、「半径20mエメラルドスプラッシュ!」の骨verを想像して下さい。

義妹
個性:【鉱物創造】
鉱物に限った創造。
宝石、レアメタル、なんでも御座れ。

義姉
個性:【固定】
触れた物を任意の時間空間に固定する。
服を固定すれば無敵の鎧に、敵を固定すれば脱出不可能な拘束になる。
固定時間と固定数に応じて、体力を消耗する。


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虐待することを……強いられているんだ! (集中線)

前回書くべきだったおまけ

分類設定(カテゴリセレクト)、【◯◯】
触れている対象を、【◯◯】という分類の中で変換する。
理論上【物質】という分類も可能だが、範囲が広いほど精神を擦り減らすので、気絶してしまう。
昔は、【動物】という分類でも気絶していたため、【哺乳類】分類で友人を変換した。


 実に素晴らしい虐待を思いついた。

 

 これまでに誘拐し、残虐な虐待を重ねる事で従順になった一部の子供に、新入りや虐待初心者を虐待させるという虐待だ。

 

 虐待する側は自分がされて嫌だった事をする事で精神的に苦しみ、される側は虐待により肉体的に苦しむ。

 

 俺はそれを高みの見物をしながら、更なる虐待を考えるのだ。

 

 くっくっくっ……先ずは試してみるとしよう。

 

『あーあー。血吸 鬼姫、墨西 哥蛇の2人は俺の部屋に集合』

 

「……お待たせしました」

 

「私達を呼び出すなんて、珍しいね」

 

『したね』

 

 ……どうしてこの2人は放送中に、ここまで辿り着けるのだろうか?

 

 まあいい、そんなことよりも虐待だ。

 

 1に虐待、2に虐待、3、4無くて5に虐待と言うからな。

 

「さて……お前ら2人には、他の奴らに対して虐待をしてもらう。出来ないとは、言わないよな?」

 

「……御意」

 

「あんまり気は進まないけど……」

 

 やはり長年虐待をし続けた……墨西は割と最近な気もするが、この2人は俺の虐待を受けている子供達の中で、最も従順だ。

 

 リーダシップもあるらしく、この間のような虐待の時は他の子を先導していることも多い。

 

 しかし、そんな頼れるリーダーが突如、自分達に虐待を加え始めることによる驚愕と絶望!

 

 これまでに築き上げてきた信頼を壊され、悲嘆に暮れる2人を見ながら飲む酒はきっと、最上級に美味い事だろう……下戸だけど。

 

 

 

「……虐待を始める」

 

「ルールは前にあの人がやってたのと同じ、ハチマキを取られなければ良いだけ……だと前と変わらないので、ハチマキを取れれば復帰可能というルールを追加するよ!ただし、鬼が私達だけどね」

 

「……誰一人、逃がさない」

 

「はい、スタート!」

 

 ほう、前に俺がやったあの虐待を改良して行うとは、なかなかに筋が良い。

 

 俺がやったあの時は、ハチマキを取られてさえ仕舞えば後は罰に対する不安という精神的苦痛を与えるだけだったが、これなら最後まで肉体的苦痛を味あわせる事ができるだろう。

 

 しかもこのルールであれば、ハチマキを取られていない誰かからハチマキを奪う事も可能だ。

 

 既にハチマキを取られた数人が、ハチマキを取り返そうと奮起している。

 

 ……うむ、この虐待させるという虐待はとても画期的且つ効率的な虐待だと思ったが、たった1つ大きな欠点があったな。

 

 虐待は、自らの手で、やるべきだ。

 

 そっちの方が、とても楽しい。

 

 というわけで、ハチマキを一個作製して飛び入り参加をすることにした。

 

 奪えるものなら、奪ってみるが良い。

 

 俺の虐待を模倣し、「誰一人、逃がさない」と宣言した以上、一人でも逃がせば罰を与えるぞ?

 

「……罰、確定」

 

「時間いっぱいまでは粘るわよっ!」

 

 結果は言うまでもないだろう。

 

 今回ハチマキを守りきれなかった罰は、勉強1時間だ。

 

 俺からハチマキを取れなかった2人には、教師役をさせる。

 

 実は学校などでの椅子の座り方は、痔を誘発しやすくする姿勢なのだとか。

 

 勉強というわかりやすい精神的虐待に巧妙に隠された、先を見据えた長期的な肉体的虐待というこの妙案に、震えてくるぜ。

 

 もちろん2人に命じた教師役というのも、虐待の一環だ。

 

 教師というのは、生徒よりも賢くなくてはならない。

 

 更に1時間という長時間、本来なら事前にどういう授業を行うか決めてから行うところを、突然の命令だ。

 

 準備する暇など与えない。

 

 慌てふためき、準備不十分な状態で、他の子たち……それも今まで自分が虐待していた子の前に立って授業をするという緊張と不安によるストレス!

 

 そして何かミスをするたび、俺という監督役に教室の後ろから虐待的指導を行われるのだ!

 

 フーハッハッハッハッハーッ!

 

 

 

『あーあー。血吸 鬼姫、墨西 哥蛇の2人は俺の部屋に集合』

 

「……お待たせしました」

 

 あの人にしては珍しく、放送を使って私と……アイツを呼び出しました。

 

 私は身体を霧に変換し、いつもあの人の側に付けているコウモリを中心にして再構築。

 

「私達を呼び出すなんて、珍しいね」

 

『……したね』

 

 この間1秒。

 

 コイツよりも5秒早く、あの人の前に馳せ参じました。

 

 ハッ! (鼻で嗤いながら、見下す)

 

「さて……」

 

 おおっと、コイツなんかを気にしている暇はありませんでした。

 

 偉大なるこの人の言葉を、一言一句たりとも聞き逃すわけにはいかないのだ。

 

「お前ら2人には、他の奴らに対して虐待をしてもらう」

 

 この人のなす事と同じ事をさせてもらえる。

 

 つまりソレは、私達を1人前だと認めて下さったという事だろうか。

 

 そうだと思うと、あまりの興奮で気をやってしまいそうだ。

 

「出来ないとは、言わないよな?」

 

 もちろんです。

 

「……御意」

 

 例えこの命に代えましても。

 

「あんまり気は進まないけど……」

 

 何を言っているんだこの[自主規制]は!

 

 

 

「……虐待を始める」

 

 基本は前にやった通りのルールだが、今回はハチマキを取られても復活できるルールになっている。

 

 私は口下手なので、説明はアイツにやらせている。

 

 っと、説明が終わったようだ。

 

「……誰一人、逃がさない」

 

 今回鬼役は2人なので、2分間待つ事にする。

 

 2分経過した。

 

 先ずは全身から無数のコウモリを飛ばし、周囲の偵察を行う。

 

 うん、私の個性を知っているので、上から見てもバレないようにみんな隠れている。

 

 次はあからさまに隠れやすそうな、物陰や建物の中にコウモリを飛ばしていく。

 

 ここで数人見つけた。

 

 あとはあの人の前に現れた時と同じように、コウモリを中心に体を再構築。

 

 ハチマキを奪って、霧と消える。

 

 そんな事を繰り返しつつ、時折ハチマキを取り返しに現れる子をあしらっていると突然、長いハチマキをしたあの人が参戦した。

 

「……罰、確定」

 

 昔私は、とあるヴィランの配下としてあの人と戦った。

 

 あの人は個性を一切使わずに、身体能力だけで私を捕獲して誘拐したのだ。

 

 あの頃から成長したとはいえ、負け確なのは変わらないのだ。

 

 そして案の定、時間内にあの人からハチマキを奪う事は出来なかった。

 

 誠に……誠にッ! 不本意だったのに、アイツと協力したのにもかかわらず、ハチマキに触れることすら出来なかった。

 

 私達への罰は、他の子への授業の教師役。

 

 普段から勉強会のようなものを行なっているのを、見透かされていたのだろう。

 

 準備が必要か? と言われてしまえば、必要とは言えないのだ。

 

 今回の罰としての授業中、あの人は監督として1番後ろに座っていた。

 

 授業は滞りなく進んだ。

 

 あの人にずっと、嬲る様に全身を見られていると思うと……。

 

 授業が終わった後、こっそり自室で着替えたのは、墓まで持っていく私だけの秘密だ。




血吸 鬼姫(ちすい きき、もしくはおにひめ)
個性:吸血鬼の子

墨西 哥蛇(すみにし かじゃ)
個性:メキシコサラマンダーの子
流通名がウーパールーパーなので、卯春 葉魚(うはる はうお)という案も有った。

おまけ

生命とは連続性である。って何かで見た気がする。

1度死んだ人が蘇ったとして、同じ記憶と人格を持った別人である可能性があって、同一人物とは限らないとかどうとか。

ニコポナデポ的な洗脳の場合、元の人格をAとすればその記憶を引き継ぎつつも人格を好き勝手に弄くり回された、人格Bが生まれるのでは? なんて考えた。

つまり洗脳された人を助けるという事は、人格Bを殺すということで、しかも人格Aを救ったと思っていても、実際にはAだと確認する方法はなく、人格Bが演技をしている場合や、AもBも死んで生まれた新しい人格Cなのではないかとか考え始めると、最早何が何だかわからなくなった。

助けて偉い人。


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