ラグナロク 【予言書の終り】 (夢食いバグ)
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世界観&用語集

つけ忘れていた用語集を、ブラックファンタジーしたいんや……


オリジン

 

すべての予知書の根本、又世界のすべてとも言われるもの

予知書はこれが分裂しチリジリになったものとも予知書自体がオリジンを見つけるためだけの神から与えられたヒントだとも考えられている。

 

予知書 

 

人間が世界を認識したときから作られたとされる物

予知書というが本としての形状の形だけではなく石盤や特殊な人(神人)の生まれ持った記憶、液体等形状を問わない。だが予知書の内容が一番詳しく深いのは特殊な人の生まれ持った記憶としての予知書である。予知書の多くは回りくどく詩的表現を多用したようなよみずらく理解が難解なものを多く占める。

 

神人

 

予知書としての能力を持った人間、神人は極めて少ないが複数人おり全てに共通する特徴は左右で瞳の色が違い普通の人が使う文字が把握出来ない。そのため神人との意志疎通は文章でははかれない。

神人の予知書として持った記憶を普通の人が使う文章として書き記すのが神官の主な役割である。

 

神殿

 

神人が住まう場所、ここからは出られないが赤子の頃から神殿に引き取られ神官による教育を受けている為に自ら脱走を企てるものは少ない。

 

ラグナロク

 

多くの予知書の終りを綴る、大災厄。

在るものはすべての植物が瞬く間に朽ちるように枯れて全てが終わると綴り。

在るものは生物全てがお互いに憎み食らいあい、後には生命等なく血と肉しか残らないと綴り。

 

在るものはすべてが闇に包まれし時、光が表れ再生をたどりこの世は楽園と導かれるだろうと綴った。

 

マモノ

 

予知書から生まれたと同時に現れたとされる凶悪な怪物、普段は霧のような姿をしている。

弱いマモノは日光に弱い夜や日光が入らない時は弱いマモノでもそこら辺の兵士では相手にならないほど強い。

日光をもろともしないほど強力なマモノもいる。

 

武器(予知書)

 

役目を終え未来ではなく過去となった予知書は姿を変えマモノを狩る武器と成り果てる、神人も内包したすべての予知書に関する事項が終了した時今までの記憶が全て消失しその記憶が武器として形になる。

未来を予知していた時間が長い=多くの過去を内包しているほど強力な武器になることが多い。

武器として使用するには過去となった予知書を読み込み 理解 をすることが必要となる、適正が無いものはその時点で発狂してしまう。

 

マモノの狩る者達(仮)

 

過去となった予知書を使いマモノを狩る、元神人がいることも珍しくはない。先天的なマモノを狩る適正の在るものと後天的に適正を得た者と二種類おり。

 

先天的な適正を持つ者は殺人衝動や執着、人間不振等の人格的異常と体温が低くそして寿命がおよそ35年ほどで尽きる。過去となった予知書を理解を呼吸をするように行える。

 

後天的に適正を得た者は髪が白く染まり、眼が紫に変色するまた神人とは逆に人間の言葉が理解出来なくなるため意志疎通は筆談ではかる。後天的な適正の得る方法は簡単で過去となった予知書を読み込み 理解 をするそれだけである。適正が無かったら発狂するだけ。

 

お互いに身体能力が通常の兵士よりも高く、再生能力も強い。先天的な適正を持つ者の方が基礎スペックは高めだが全体的なバランスとしては後天的の方が勝る(先天的は生まれたときからマモノを狩る為だけのような感じになっている。)

 

終末救済思考

 

在るものはすべてが闇に包まれし時、光が表れ再生をたどりこの世は楽園と導かれるだろうと綴った。ある神人の言葉を信じ、ラグナロクを望む者達の総称終末へと導くであろうマモノに襲われることをよしとするマモノを狩るべきものたちの一部もこの思考に染まっている人もいる。

 

国家の立場

 

多くの国家はマモノの脅威に疲弊し大規模な戦争は起こっておらず、牽制ぐらいである。マモノを狩る者は国家として軍事利用不可を全体にしている、それほどまでにマモノを狩る者は強力なのだ。そして下記する主な4つ国が世界の大国である。

 

グラノウス共和国

 

国王や貴族等を廃した、神殿中心の国神人の排出率が4つの大国の中でもっとも多く予知書の加護を進行している人が多い。マモノの数も少ない。

 

ノーブレ帝国

 

皇帝による中央集権がなされた国、没落した貴族等が多い予知書に関しては神人以外のものが多く集まっており軍事力も強い。

 

イガンシナ王国

 

王と貴族や騎士などの特権階級が多い、神殿の権力が少なく腐敗気味であり麻薬など闇取引のメッカ 最大の火薬庫とも言われる。

 

旧グロードヴォーレン

 

便宜上大国とされる滅んだ国ありとあらゆる所からマモノが集まり、同時にマモノを狩る者の発生率が高い。イガンシナ王国もここから見れば天国と錯覚するほど。

お金や俗物的な価値が一番集まりやすい。




これから追加等もあると思います。


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終りへ始まり

キャラ募集しています。


予知書それは未来を示す、人類が奇跡的に得た

希望

 

マモノそれは予知書が生まれたと同時に現れた

歪み

 

ラグナロクそれは突然現れた予知書に記された

 

最悪の末路

 

ソレに至るまでの物語

 

物語の目線は一人の少女

 

マモノを狩る為だけに生まれたような存在

 

さぁ皆さん結末を見届けましょう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日はいつもの月も見えない

 

随分 霧 が濃い夜だ、冷たい風が頬を撫でそして

 

生臭い鉄錆びの、臭いも運んでくる。

 

聞こえるおとはゴジャリゴジャリとナマモノを無理矢理押し潰したような骨が軋むような不愉快な音

 

「霧の濃い夜、マモノは食事中か……」

 

と呟くと、ぐるりぐるりとそのマモノは呟いた音の主を探すように食事を引きずるその食事はもう胴から先が存在しない。

……これで最弱のマモノなのだから笑うに笑えない。

マモノの表皮は沸騰したようしゴボゴボと音をたて、何かを引きずるような鈍い音をたてながらゆっくり動くたびにべチャリべチャリと強酸のような液が垂れる。

 

ゆっくり動くのも少しだ

 

私を確実に認識したソレに反応して、動くそして液がかかる液は身をジュウジュウ音をたてて溶かす普通の人間であればこれでもう死んでしまっている。

 

「ははっ本当に笑えない、こんな汚い奴を相手にするなんてもうさっさと消えろ

 

【いずれ燃え逝く定めの鳥は今災いをもたらし、森を焼き町を焼きすべてを無に還すであろう】」

 

と私は日本刀を抜き取り予知書の一説を口にする、そうすると刃から蒼白い焔が灯る霧の中の提灯のように光が拡散し辺りを灯す。マモノもその光を恐れるように私から逃げる、襲うような速さで。

 

「マモノさん、今日は暗いので灯りになって下さいな?」

 

と追うコイツを逃がす訳にはいかない、マモノを倒せる人間は限られているここで逃がして村等にいかれた場合確実に壊滅状態になるだろう。

 

足に力を入れる、一足一足力を入れて踏み締める。

 

手に持った、蒼白い焔を灯す日本刀を握りしめ本能的な恐怖を打ち払うように叫ぶ

 

「一ノ型 狐火」

 

ただ相手の懐にはいりマモノを貫くだが肉の壁とでも言うべきだろうか?それが固いまだ刃先しか入らないだがここで終われないっ!

 

「………これでっおわりだぁぁぁ!!!!」

 

力を込め日本刀を更に深く突き刺す、すると予知書の力どうりに焔にマモノが包まれそして塵にかえって逝く。

 

「やっと、終わった汚いいやぁ」

 

膝が地面につく、これからどうしよう軽くまだジュウジュウいって身を溶かしているマモノの液を予知書の能力である焔で蒸発させると。

 

いつのまにか霧が晴れ月が出ていた。

 

「はは、今日は月が綺麗だけど疲れたなぁ………」

 

私は立ち上がった、もう大丈夫だと心を落ち着かせて自らに言い聞かせて。

 

「今日は何を食べようか。」

 

そういつものマモノ退治これから始まったんだ、人類災厄の予言ラグナロクへの道が………




イリカはマモノ狩りとしては弱めの人となります、まだ経験とか覚悟が足りない感じですね。しかもソロという、マモノはガチもんの化け物ですどれだけ弱いっといっても油断したら死にます本当に死にます。
短いですけどこれから長くできたらなぁと思ってます。


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無限の悪夢
一時的な平穏


戦闘の終り、昼はマモノは現れにくい。


………鳥のさえずりで眼が覚めるのではなく鶏の騒々しい鳴き声で眼が覚める。

 

何とも言えない朝だ、近場の安宿を取った為か狭いしほこりや壁にひびが入っていたり何とも管理がなっていない昨日の夜塵すら残さないほどに掃き掃除や拭き掃除を行いアルコールを散布したので大丈夫だが………しかも朝食無しの為自ら食料調達に赴かなくてはならない。お金は昨日のマモノ狩りでそれなりに稼げたが……贅沢は禁物であろう。

 

「世知辛いなぁ………」

 

ソレに私は生まれてからの性分により妙にお金がかかりやすい、汚れているのが赦せないのだ自分以外のものが汚いとしか見れない。殺菌用のアルコール、そして手を洗うようの石鹸再加熱用のバーナー等などお金がかかる。

 

「今日は酒場かな?」

 

食べ物で露店やきちんとしたレストラン等の選択もあるが露店は衛生的に論外却下、食べ物を何が漂ってるかもわからない空気の中で長時間放置している事が多いから。レストランは衛生的にはまだ赦せる範囲だが、値段がどうしてもはってしまうきちんとした料理人なのだから仕方がない………と思い、髪をとかしいつもの服に着替え予知書を持ってこの安宿から早々に立ち去った。

 

薄暗い路地裏を通りカランコロンと扉を開けると

 

「へーいいらっしゃい」

 

「嬢ちゃんエール一つ、チップやるから尻触らせてくれよ………」

 

「あらお客さんこれはそういう店ではありませんようふふ」

 

「なんだとっ!もう一回言ってみろ」

 

「てめえの脳みそが野ネズミ並だっていってんだよっ」

 

先ほどの鶏よりも騒々しい雑音が響いていた。

 

「…………ここは相変わらずだな」

 

酔っぱらってウェイトレスに絡む客それをいつものことのように軽くあしらうウェイトレス、そして突然喧嘩を始める荒くれもの達。こんなんだから料理の味やお酒の品質の割りに安いのであろうか?

 

「お客さんすみません、今日は混んでおりましてあちらの方と相席でよろしいでしょうか?」

 

騒々しさで気にも止めなかったが確かに随分と混んでいる………この時間にしてはだが、混んでいること自体はいつものことこんな早朝から混むこと自体は珍しい。

 

「いいですよ、どこですか?」

 

ウェイトレスの案内により人の間を縫うように進んでいく、そこには三ツ又の槍を椅子にかけているチェーンがついた茶色の革ジャンに身を包んだジーパンをはいた幼く見える男性……?もしかしたら女性でも通じるような外見である、テーブルにはその人物が注文した品であろうか魚の塩焼きとご飯そして玉子焼きデザートなのかリンゴが入ったゼリーが置かれていた。

 

「あっこの人ですか?」

 

その人物は口を開く、声は女性にしては低めであり男性としては高めだ。

 

「はい、失礼しますね」

 

と私は一つ挨拶をし、自身が座るであろう椅子とその周辺にアルコールで濡らした布巾で周囲を拭った。

 

その人物はその行動に驚くが、自身のある一点を見定めると勝手に納得しまた口を開き。

 

「もしかして僕と同じ先天性のマモノ狩り?日本刀は予知書で………」

 

「あぁそうだがそれが何か?」

 

「いやっ何でも無いです、珍しいなぁって……僕は薫と言います貴方は?」

 

「………イリカと言うが……」

 

確かに偶然こんな風にマモノ狩り同士合うのは珍しい、それは絶対数が少ないからだマモノ狩りというようにマモノを狩る時に標的が同じで会うことはままあるが、そこから協力するか妨害するかはマモノ狩りの精神によるだろう。

 

「イリカちゃんかー、そういえば知ってる?神殿から漏れた情報……ラグナロク……のこともあるんだけど今もっと身近な話。【夜に潜むものは日に現れる、その無限の悪夢を繰り広げながら】って予知、近々強力なマモノが現れるかもってことになってるんだ……」

 

「そうか、ウェイトレスさんベーコンエッグとパンそれとデザートにクレームブリュレ一つ」

 

「かしこまりましたー」

 

「イリカちゃん……聞いてた?」

 

聞いてたとも、マモノは基本的に夜凶暴化し強くなるがより強いものは昼であろうとその凶暴性そのままに活動ができる。予知書にその活動が予言されることも少なくはない。

 

「……その予知の中に滅びや結末に関する記述が無いことだろ?」

 

予知書の予知は絶対とされる、村が滅ぶと書かれたらどう足掻こうが滅ぶ運命は変えられないマモノの出現だろうとそうだマモノが倒せるかどうかの記述があった場合その通りになる。これにはその記述が全くないだから…

 

「そうそうマモノ狩りの頑張り次第で、悪夢は止められるって事なんだよ現れる事自体は確定になっちゃったけど………だからさうん」

 

薫は下を向き少し考える。リンゴのゼリーを横に見ながら。

 

「はいはいお互いの仕事をするだけだ」

 

「今回組んでほしいんだ、いやソロだけじゃ限界があって……それなりに倒せるけど強力なマモノはどうかなって心配で……」

 

「わかった、組もうか………こっちも限界を感じていた今日の夜にもう一回落ち合おう。」

 

「こちら、注文されたベーコンエッグとパン、クレームブリュレとなります以上でよろしいでしょうか?」

 

「あっはい。」

 

そういって何とも絶妙なタイミングで届いた食事をバーナーで軽く炙った。

 

「…………すごいね色々と…」

 

と薫がすごい形相でこちらを見る、まるで別の生き物が人間の言語で話したのを見るように。

 

「しょうがないだろうこれが私の性分だ」

 

「まぁ僕も人のこと言えないけどね………」

 

そういって穏やかな朝は過ぎてゆく、マモノが溢れ出す夜へと進んでゆく。




肘神さまの絹枝谷 薫さんお借りしました。

ソロではなくタッグこれからどうなるマモノ狩り

薫さんのリンゴゼリーはおっちゃんに嬢ちゃんおまけだーよく食えと押し付けられたものだったり。


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夜のとばり堕ちるとき埋葬者来たり

うまくマモノたおるるかなぁー?


夜に近い夕暮れ烏がこれから生まれるであろう亡骸を察するように一声鳴き飛び立つそれを眺め装備を整えた私は待ち合わせ場所へ。

 

場所はマモノの発生地の一つ、ノーブレ帝国領地外名称は騎士の墓場。マモノに多くの国家が侵される前まだ余裕があった頃の悲劇戦争により多くの兵士が亡くなり骨すら戻す余裕もなくそのまま放置された土地……だそうだ詳しくは知らない。

 

「まぁ事前に情報が無くても不気味な土地だな、あまりにも枯れすぎてる」

 

とぼやきながら乾いた大地を踏みしめ進む、土埃が顔に辺り痛みと視野を狭くするそしてタッグを組むことを了承した薫が三ツ又の槍背中に背負い、この大地に唯一ある名前のみの戦士達の墓石の前でたっていた。

 

「すまない遅くなったここは初めてでうん、迷子って訳ではないぞ……決してな」

 

「そこまで言わなくても気にしてないから平気だよ、今まで一人だったからさー待つのも新鮮な気分でいいねっ」

 

と明るい口調で返事が返される、仕方がないなぁと楽しみだなぁという感情が混ざったような表情を浮かべ夜になるまでそわそわするように三ツ又の槍を取りだしくるくる回し始める。

 

「気にしてないならよかったが……所でお互いの得物は紹介した方がいいんじゃないか?マモノが出てからでは遅いだろうし」

 

と私も自らの日本刀を持ち、握りしめる。

 

「うん、そうだねお互い把握した方がやり易いだろうしよしっと

 

【百のいさな鳴き、海怒りて地溺れる。古きもの逝く運命(さだめ)】

 

これが僕の予知書の力だよ」

 

と薫は三ツ又を回し遊ぶのを止め横に構えの一節であろう詞を唱えると三ツ又の槍の周囲に水が浮かび上がり、周囲を囲む。

 

「そしてっと、これでこうする」

 

といつのまにか手に持っていたリンゴを投げると三ツ又の槍を振り払い回りの水を切るようにすると払われた水がまるで刃のように飛び散る、それが投げられたリンゴを切り刻んでいく。

 

そして残ったのは細切れとなったリンゴだったもの、薫はそのリンゴの後を満足そうな表情を浮かべ

 

「まぁこんなものかな、マモノ相手だと避けられる事が多いけど………そうだそうだイリカちゃんのは?見たいなぁ」

 

と三ツ又の槍仕舞い、私に早く早くと急かすような目線を向ける確かに言い出しっぺはこちらだそりゃ気になるのも仕方がない。

 

私は日本刀を構え、呼吸を整える。

 

「【いずれ燃え逝く定めの鳥は今災いをもたらし、森を焼き町を焼きすべてを無に還すであろう。】

 

これが私の予知書です、触れない方が良いですよこの焔は消せませんから私以外の誰にも」

 

日本刀は蒼白い焔に包まれ、夜に近い夕暮れの大地を照らす完全に夜になればその光は更に瞬くであろう事が用意に想像できる。

 

「へーてっことはイリカちゃんは火を使うんだね、さっきも言ってたけどもしかして水とかかけても消せないの?」

 

と薫は私の説明にどこか引っ掛かる所を覚えたようで感じた疑問をそのまま口にする。

 

「えぇそうです、私以外には消せませんどんな手段を用いようがこの予知書に触れて発火したものは燃え尽きるまで消えません」

 

そう答えると私はリンゴの残骸に焔をつけ、蒼白くこうこうと燃焼が起きる。

 

「水で消してみてください、消えませんから」

 

薫は私の行動の意味を理解したのか、三ツ又の槍を軽く持ち蒼白く燃えゆくリンゴをすべて水で覆い尽くす……本来ならばそれで焔は消えるはず消えなくてはならないだが……

 

「本当だ、消えてない………いや消えない」

 

覆われた水の中でまだリンゴは蒼白く燃えており、焔自体はだんだん小さくなってゆくがそれはリンゴ自体に燃やせる所が少なくなっていただけ最終的には水のなかでふよふよ浮かぶ灰へとすべて変化した。

 

「私以外に消せないとはこう言うことです」

 

「なるほどわかったよ、マモノが燃えてたら触れないようにするよ。消せない焔なのに燃え移るって大変だよね…………おっと大分暗くなってきた」

 

と薫は空を見上げる、夕暮れの朱が微かにしか残らないもう時間だまだ霧は出ていないが準備と警戒はし過ぎても損はない。

 

「ですね、場所をノーブレ帝国領地の少し近くに移動し直しますか…………」

 

マモノは人を襲う、よく絵物語なので怪物は人が居ないところに住まう等されているが本質は逆だ エサ が沢山あるところの近くにいた方が便利故に人が多い土地の回りに発生する。兵士が相手をすることもあるのもその為だ、わざわざ兵士が守るべき相手の居ないところにいることは基本的に無いだろう。

 

「だねいつものことだけど緊張するなぁ……うぁあ霧濃いなぁまぁ僕の場合水分あればあるほどいいんだけど」

 

だんだん霧が濃くなってゆく、マモノが発生している証拠だ。

 

「……………薫構えろ」

 

「イリカちゃん、僕そこまで鈍くないよ?」

 

私は微かに鉄錆びの臭いを感じ、日本刀をその方向に構える蒼白い焔が灯りとなりマモノの全体像を写し出す。

 

のっぺりとした巨体にいくつもの人の顔が張り付いておりそのどれもが呪詛のような詞をつらつらと重ね苦悶の表情を浮かべている。

体の持ち主はその呪詛を楽しむように聞き笑うそして暇潰しのように皮膚に浮かんだ顔の一部を潰すと……ギャァァァと断末魔をあげまた喜ぶ。

 

「相変わらず気持ちの悪い容姿ですね……汚い、すぐに燃やし尽くしたい」

 

「僕も斬殺、溺死、射殺選ばせるのは止めにします」

 

と一通り言えばマモノはこちらの言葉を理解した何のように、突っ込んでくる……図体がデカイ分スピードは遅い

 

「これならいけるっ」

 

私は蒼白い焔に包まれた日本刀で横に切り払う巨体は切り裂かれたがこのマモノ固さはないが再生能力にたけているようだ、ニジャジュクッと切り裂かれた部分を瞬く間に再生させる。だが蒼白い焔にそのマモノは包まれる…………だがマモノはまだ動いている。

 

「イリカちゃんだけに良いところ取られちゃ、カッコ悪いからねっ」

 

薫は三ツ又の槍をマモノに向けて、水を集め始めるそれは先程の紹介の比ではない……水鉄砲と拳銃ぐらいの違いだ………

 

「…………さっさと終われよ」

 

と薫はいつもの明るい口調が完全に消え狩人として獲物に膨大な量の水の弾を打ち出す、それは的確にマモノを穴だらけにしていく。

 

 

 

 

 

だがこれで終わらなかった……

 

 

私はその光景に安心(油断)していた、マモノが殺られるだけで終わるはずが無かったんだ……

 

 

安心した感情が痛みにより絶望に変わる、私の体の一部がマモノの攻撃により吹き飛んでいた。

 

左腕と肩 首の一部が無くなっていた。




油断するからすぐ終わるー(まだイリカは死にませんから安心してください、大丈夫ですまだ軽傷です。


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日が明けし時、夢は覚める

イリカちゃんピンチさてマモノを無事討伐できるかっ


視界が朱に染まる、左腕そして肩ぞなそこにはなく朱い水溜まりを作っている。それを確実に認識した時痛みに叫ぼうとしても声帯が飛んでいるのかヒューヒューとした風の音しか出ないそんな中でも自身の肉体がニジャリグジャゴチュリと肉と骨があり得ない速度で直される音が聞こえる。

 

そんな音色を他人事のように聴いてまるで マモノ のような光景だなと感じる。

 

蒼白い焔に包まれたマモノが私に向けてその直すのが終わる前にかたをつけようというのかマモノに殺気等有りはしないのにそれを感じるほどの速度で腕が降り下ろされる。

 

…………まだ死ねない…

 

残った右腕で日本刀を取り、腕の攻撃をずらそうとする片腕で力が入らないがまだ大丈夫このマモノ力はあるがそれが一点ならまだいける。

 

「こ……終わ………けには……な……っ」

 

声帯が直されてきたのか言葉にもならない音が出た、何とかずらせばしたが明後日の方法に打ち付けられた腕の方を見れば地面がまるで一部が無かったかのようにえぐり取られている。

 

「イリ……カちゃん大丈夫……?」

 

薫も吹き飛ばされていたようで三ツ又の槍を杖のようにして私に近づこうとする欠損はないが砂ぼこりによる切り傷と石による打撲により右足がおかしな方向に曲がっている。まだお互い体を直し最中のようだ、こちらは腕はまだ直りきってはいないが動かせる程度にはなっている。

 

「大丈夫だ、前衛はこっちが出る援護お願いする」

 

と言う、いつもと声が違う会話というよりは意味のある音を発するだけの機関のように感じる。

 

「………わかった」

 

と薫は三ツ又の槍を再び構え直す、それは余裕の無い表情で今この場をどうするか水を集め大技ではなく弾幕を張り巡らす。

 

マモノはその勢いに後退するがダメージらしいダメージは入っていない、それもそうだ攻撃ではなくイリカからマモノを一時的に引き離すために放ったのだから。

 

「はぁはぁ……」

 

肉体の再生が済むあの惨状か消え去るように直る、声等も戻りいつものように両手で握りしめる血が抜け冷めた頭で考える。どうすればいいという思考とどうとにもならない逃げた方がいいという諦めがごっちゃに混ざる。

 

だがここで逃げてはまだ夜が明けていない、すぐに領内へとこのマモノは侵入し食事を始めるであろう。

 

だから 逃げては いけない。

 

考えろ、考えろ、考えろ、考えろなにかを見つけ出せそれだけが頭の中をループし続ける。

 

その瞬間狩ることへの希望と現状への絶望が同時に理解できた。そのマモノは最初に戦った時よりも皮膚に浮かぶ顔の数が明らかに減っていた、今も少しづつ蒼白い焔の中でゴプンと顔が沈みながら減ってゆく。

 

あぁこいつは確かに倒されているんだ、ただその数が膨大なだけで………皮膚に浮かび上がる顔の数だけ殺さないと完全に動きが停止しない……。

 

「ハハハとんだマモノだ………確かに死んでいるんだ、だけど何回殺せばいいんだ…?」

 

肩の力が抜けるいや入らない、私はいつまでコレを続ければ良いのかと考えていたいや考えてしまった。最初から数えてマモノの表面に浮かぶ顔は1/3程度は減っている……1/3程度しか減っていないのだ。

 

あれだけの猛攻を繰り広げて 1/3 程度しか。

 

「しっかりしろ、今は向かうしか出来ないんだよ今諦めてどうなるんだっ?死ぬだけだろっ」

 

と槍から水の弾幕を飛ばし続ける薫からの叱責がくる、あぁ確かに効いてはいるんだ無駄だった訳ではない。

 

「そうだ………ありがとう死んでもすぐに戻るなら殺し続けるだけ、だった簡単な事。」

 

ここからは実力ではなく、気合い根気の勝負こっちが諦めたら終わりの泥仕合私は肩に力をいれるそうすると日本刀もそれに答えるように一段と蒼白い焔が立ち上る。

 

「いずれ燃え朽ちる鳥ならば、マモノでも何でも焼き払い尽くしてから朽ち……果てるっ」

 

私は何も考えずに蒼白い焔を上げるマモノに突っ込んでいった、いくつ殺したあといくつだなぞ考えても意味がない。まず斬れそして苦しめろ相手に攻撃する余裕を与えるなっただ肉の塊を斬る斬り尽くす事だけをかんがえろっこれがいつ終わる後何回こなせばいいなんてどうでもいい不要なことだ。

 

マモノに近づいた際顔が意味をもって喋るいや言わされている、呪詛のようではなく人間の声救いを求める声年端もいかない少女や男性様々に混じる。

 

「熱い アツいよ アツイよ 苦しい クルシイ」

 

「ねぇ スクッテヨ クルシイヨ 痛いよ」

 

「ナンで 私たチ を コろス の ナンデ ナンデ」

 

「オマエハ 化ノ物 だ」

 

…………………るさい ウルサイ消えろ、私はその声の主の顔がわからずやたら滅多に皮膚に突き刺した。お前たちはマモノだ、マモノが言うな。

 

断末魔が聞こえる。マモノと突き刺したであろう顔の二つの断末魔が……

 

突き刺したまま焔を強くする、内部から焼ききればどうかという発想だ。

 

蒼白い焔が内部を焼く、薫も遠距離で先程の牽制ではなく一発一発鉄おも貫く速度で水の弾幕を打ち出す。

 

そして最後の1つを

 

「これでっ終わりだーっっっ」

 

薫の朱色が混じった水の弾が撃ち抜いた、マモノかも私たちかもわからない血が混じった。

 

動かなくなったそれは蒼白い焔にこうこうと燃やされる、放置すれば自然と塵に還るであろう。

 

「イリカちゃん、お疲れさま………」

 

と薫が疲れた様子でこちらに向かう、三ツ又の槍はもうしまっている………

 

「うん、お疲れさま大変な相手だったね」

 

「酷い顔してるよ、何かあったの疲れているとは違うような感じがするけど……」

 

その言葉にもハッとしてしまった、マモノの顔達が言っていた惑わす言葉が頭に少し染み付いてしまっていたのだ。すぐに誤魔化そうと嘘を吐く。

 

「いや、ナンデもないまさかあれほど肉体が抉れるとは思ってなくてな……うん」

 

と何故かそういうと私を軽く見てから薫は目をそらす……顔を無花果のように真っ赤に染めて。そうして軽く羽織れるような布を取り出して、手渡してくる。

 

「……これっ早く羽織って、早くっ」

 

と薫に急かされる、確かに服が抉れて肌が多く見えている肉体の再生はされても服の再生はもちろんされないおとなしく羽織った。

 

「これでいいのか?」

 

「ふぅ危なかった…………」

 

生命に関わることでもあったのだろうか、薫は羽織った私を見るとひと安心とため息をついた。

 

今日もまた朝がくる、マモノを狩るもの達の一日が終わる。

 

 

別の場所にてのお話

 

 

蒼白い焔が遠くに見える、恐らく他のマモノ狩りであろうか彼女は闇に融けるような漆黒の髪を揺らしながら紫色の目を光らせその蒼白い焔を見る。手には吸い込まれるような闇が現れた黒のガントレットをしている。

 

彼女は幾重にも積み重なった所々まるで切り取られたように抉れているマモノの残骸その上に乗って。

 

「………珍しいね、私が狩り逃すなんて……どうでもいいけど……」

 

とぼやきながらマモノの山からひょいっと蝶のように舞い落ちる、そしてガントレットを仕舞い。

 

「………………今日ももう終わりか。」

 

と彼女は空を見上げる霧は晴れていた。

 

今日も日が昇る、またマモノ蠢く夜へと移るために。




肉体再生はマモノ狩り誰もが持つ基礎スキルなのでイリカだけが特別って訳ではありません、大体の負傷はすぐに直ります。

この肉体再生こそマモノ狩りがマモノを狩れる理由の一つでもあります。普通の人間では多くが一発アウトだがマモノ狩りはそれなりのダメージですんでしまうのです、コケただけで死ぬスペランカーとキノコあれば大丈夫なマリオぐらいの違いです。即死トラップの数が違います。

駄ピン・ウィルさんのロード・バルツァーさんをお借りいたしました。


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快楽は身を蝕む毒と共に

少しイリカサイドから外れます。


イガンシナ王国、そこは身分制社会によって流動性が無くなり水が腐るかのごとく腐敗した。路地では麻薬イリスの恵みが公然と取引されている。国の警備兵たちははそれを取り締まらず、あえて見逃しそれによって麻薬密売員から手間賃を徴収する人それなりにいる始末である。

 

その国の道の整備さえ満足にされていない首都をある男が物語が書かれているような本を読み歩いていた、容貌は白銀のような髪を短く切り揃え目は透き通るような紫色をした細い体格が年を感じさせる壮年の黒のコートを着用している。

 

「…………………………………………」

 

ニコニコ笑みを張り付け、物乞いのぼろ切れを身につけた少年少女を悲痛な叫びを祈りを軽くあしらいながらただただ進んでゆく。

 

「さて、どうしましょうかね……」

 

男はいつも通り意味のわからない言葉が飛び交う街の中で己の目的を確認する、主なものはマモノ狩りの発見とエサの確保の二つ。

 

マモノ狩りは先天性では予知書を理解する能力があるが自らの予知書を持っていなければ力は弱い、立派な騎士であろうと剣を持たなければ剣を持つ相手に負ける。だから自らの予知書の内容を力を出しきらず読み歩いているのだが中々見つからない。

 

急に苦しみ始めた予知書をもたない先天性がいれば誘きだして殺してからマモノのエサにするのに……残念な事だ。

 

エサの確保それはそのままの意味だ、マモノはエサが無ければ消えてしまう植物のように自己でエネルギーを得られるものまたはそもそも必要としないなど例外も存在するがエサが無ければ消える。

 

それは悲しいことだ、終わりが遠のいてしまうではないかこの王国は身分制が激しい薬によりラリって身投げする者や納税により喰っていれなくなり飢えた者等もう息絶えたのはいくつか回収したが生き餌は中々確保が厳しい。

 

「やはり、地道にですかね。」

 

人とは進まなければやってはいけない、それが下だろうと上であろうと現状維持が一番とは言うがそれが本当にできるものは極少数であろうどれだけ平穏であろうと少しづつ変化はするものだ。

 

また歩く、それだけでもお腹は空くものだ呼び込みであろう理解できない音と共に露店からフランクフルトそしてパンが焼ける匂いが漂う。ホットドッグ店であろうかそこそこ人が集まっており身なりは貴族のように派手で無駄に絢爛ではないが農民や貧民ほどみすぼらしくもない………商人系統であろうか、確かに時間が大事な商人は手軽に食べられる食事としてよいだろうと勝手に納得して、自らの残金を確認する。

 

……………うん、ホットドッグギリギリ買えるか?いや今持ってる全財産で買っていいのか?

 

と思考がぐるぐる回り始める、エサが持ってたのはやはり金額が少ない裕福なのはわざわざ死ぬ切っ掛けも少ないのだろう………

 

「………まぁ、すぐに回収できるでしょう。」

 

と買うことに踏み切った、そこからの行動は早かったまず一通りの会話をメモに書き記してから必要な分のお金(ほぼ全財産)を持ち、店員に見せる。

 

【すみませんホットドッグ下さい、マスタード多目で。】

 

店員は私をジロリと見て、白髪と紫の目を認識するとぶっきらぼうにその内容を書いたメモを奪い取るように持ち書き記した。

 

【3分程度まちな、お金はこれで足りる。水はいるかい?】

 

【はい、いります。】

 

と書かれた内容を見て返事を書き記す、三分程度は早いのか遅いのかわからないが他の客にも世話しなくホットドッグを渡している様子から、調理時間の他に待ち時間等を含まれているのだろう……

 

とりあえず私は適当な所に腰をかけてまた、本を読む今回は違うもの目的の為でなく個人的なものだ食事の時まで目的のみを追いかけるほどワーカーホリックではない。

 

この店では、他の客は待ち時間に客同士で雑談……商人たちゆえの情報共有を多く行っているようだが私には興味も無ければ内容もわからない、言語が理解できないので会話がそもそも出来ない。

 

「…………………………」

 

結構読んだ本だ、いつ読み始めたかはすっかり忘れてしまったが最後まで読みきったらまた最初から読み始めるを繰り返している。何で私はこんな行動をするのかは理解できないだがそうしないといつもの調子が崩れてしまうような気がするのだ。

 

ページをめくる、内容はもうわかりきっている登場人物の一つ一つの台詞心情描写行動さえもだが飛ばさず目で追いかける。

 

この物語は無意味に長い、最初読んだとき記憶ではおそよ1年かかったと覚えているそれがだんだん短くなっていく……飲まれていくように。

 

店員に肩を捕まれた、何かを叫んでいるそして暖かいホットドッグと氷が入っていない生ぬるい水をおいていき店えと戻っていく。どうやら3分を大きく過ぎてしまったようだ…………

 

氷が入っていない水を飲み干す、生ぬるい感触が喉をつたい体に浸透する水を得た事で自分が感じていたよりも脱水していた事実に気がつく。大分ここらをうろうろしていたようだ……そしてホットドッグにかじりつく、マスタードを多目にと頼んだせいで辛味が鼻を通る。不味くはないが思ったのは なんでマスタード多目なんて注文したんだ という後悔であった。

 

およそ半分程食べたあと包み紙でうまくくるみ仕舞う、行動出来ない程ではなくなったある程度は動けると判断しまた歩き出す……ここは治安はまぁ都市にしては悪いが完全に悪い方ではないもっと危険な所に行ってみよう、エサは勿論多いだろうし生き餌ももしかしたら見つかるかも知れないと期待を込めて西側へと進んでゆく。

 

 

 

女性が身なりのいい男性と見ては呼び掛ける、所々何処から飛んだかは知らないが麻薬の種から発芽し花が所々に咲き乱れている。死体なぞ腐ってなければ放置されており、野良の賭博でペテン師等が慣れないものたちから金を巻き上げている。

 

そんな中

 

「やめて下さいっこれは必要なお金なんです、おばあちゃんの薬代なんですっ。お願いします、やめて下さいっ。」

 

「金足りねぇんだよ、少しはもってんだろそれに老いぼれだと後先短い奴より、俺たちが使った方が有益だぜ?乱暴されたくなきゃ寄越せや。それに女だすぐーにここらでは稼げるぜ。」

 

「ハハハそうだな兄貴、いっそ仕込んでやるか?」

 

私には意味がわからないが女性が両手剣や槍を持った屈強な男二人に絡まれているらしい、そのまま通りすぎようとしたがここでそれなりの幸運に合う。

 

そこに金糸のように輝く髪を後ろに回し戦場での名誉の傷と見える幾重にも重なる切り傷……その青年が女性に絡んだ屈強な男二人をまるで射抜き殺すかのごとく鋭い眼光で睨みながら、女性と男性の間に割り込み背中にある片手斧を引き抜き相手に構える。

 

「………女性に手ぇだしてんじゃねぇぞ、チンピラやろう。」

 

「あぁなんだそいつの恋人か、友達か……だが喧嘩売ってんのは確実だ相手は、一人こっちは二人だ……。」

 

と男二人も両手剣と槍を構えた……その瞬間。

 

「俺に、敵うわけねぇだろっ騎士道も何もねぇくそやろうがっ。」

 

と叫んだ、片手斧で切り払うのではなくただ払うそれだけで男二人は膝をつくガクガクその場で震え出す間違いなくあの男が手加減してなかったら 死 へと向かっていたであろう。

 

「逃げるゾッ。」 「おうっ。」

 

と男二人は早足で逃げていく、そして青年は片手斧を仕舞い鋭い眼光を少し緩め女性に向かい。

 

「これで大丈夫だな、あと名前とデートしてください。」

 

「えっあっはい、へっ。」

 

と青年が何かいったと思えば女性が混乱しだす。

 

【すみません、あの暴漢たちどうしましょう一応警備兵達に報告したほうがいいですよね………】

 

「………今、ナンパしてるのによー……後天性か、あの女性に手出した野郎どもは好きにしてくれ、俺はこの美人さんとデートだからな。」

 

と言うので 好き にさせてもらおう。私はちょうどいい生き餌を追いかけた。

 

男二人は路地で隠れ何か訳のわからない言葉をはきつくしていた。

 

「なんなんだアイツは、俺たち二人で大体はぶっ殺せたはずだろ?!」

 

「あれは、人を殺す目だった。」

 

「人間なのか?アイツはいや、化け物だ。」

 

【すみません、お取り込み中失礼しますね。そしてお休みなさい。】

 

と軽く、本で両手剣を持った男の顎を叩いた。するとやはり脆く一瞬で夢の中気絶してしまう、丁寧にやるのも大変だ人間がアリを踏み潰さないように意識するぐらいに大変だ。

 

「ヒイィィィィィ。」

 

不快な音を発する肉はまた逃げ出す、これで助けるためによってきたら楽であったのだが仕方がない。その我々にとっては徒歩のようなスピードで走る者の首を叩いた。少し曲がってしまったが。

 

「…………………。」

 

鼻や口から空気をすきこみ吐き出している生きてはいるようだよかった、これだから生き餌を調達するのは難しいのだやり過ぎてしまう。

 

そして私は今日の目的をある程度は終え家に帰った。

 

家は薄暗い洞窟、ここが一番夜以外ではマモノが住みやすいのだまずエサを適当にまく。虫のように小さいマモノ達が群がり肉だけでなく骨ごとボリボリむさぼり食ってゆく。生き餌は今日はこいつかなと奥に奥にと進んでゆく、マモノになぜ襲われないかって?それは私にもわからない相手の琴線に触れていないのであろう。

 

そこにいたのは大型の犬のようなマモノ、角がはえておりサイズもそのマモノからみれば人間はノミのようなものだだが生き餌という拘りがある分燃費がいい今回の二つでなんとか持つであろう。とあえて縛り上げずにそのまま放置する、このマモノはエサが目が覚めるのを待つようにその場で待機する。

 

「なんだここはっ」 「出口を探す」 「いやなんにもみえっ」 マモノによってある程度の会話をした瞬間に潰される、そして手に着いた血や肉を掃除をするようにペロペロとなめまた眠りにつく。

 

そういえばまだホットドッグ残ってた事を思い出した、包み紙を剥がしかじりつくパンがパサパサしておりソーセージもジューシーさが無くなっている、また後悔が増えてしまった。




日常回です、えっ物騒だってこれは日常回だよいいね?わかった。

覇王龍さまのバラード・ログホープさんをお借りいたしました。


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立ち止まりし者は真実を見定める

新しいキャラぞくぞく登場っ


日が昇る空を見る………激戦を繰り広げた後だが、私はフラフラとまた安宿に向かうのを見て薫が心配したような表情をする、そして言葉を吐いた。

 

「…………また、今度はさ驕るからちゃんと休んで。酒屋いや公園で会おう。」

 

そしてうつ向く、何処か悲しげに見えた。

 

「何かあるのか?」

 

と思わず口に出してしまった、本当ならばそのまま帰った方がいいのであろう理性と好奇心が別々なように口と思考が相反して動くように。

 

「いや、なんでも……一つ言うなら無理し過ぎないで、イリカちゃん何か追い詰められてるような気がするんだ。僕たちはマモノ狩りだけど、人でもあるよ。」

 

とそれだけいって薫は走り去って行ってしまう。

 

そしてまた安宿を借りて止まった、固いベットの上で消し飛んだ左腕の指をひとつずつ折り曲げしなんにも問題が無いことを確認する。元々の腕のように何の違和感もなくそこに存在する、さっきまで消しとんでいたのに……

 

「…………マモノ狩りも人。」

 

とぼやいた、私は私が人である実感が持てない。人であるなら先程死んでいたであろう。化け物を殺せる者は果たして化け物ではないのか……?そんな淀んだ思考と共に事切れるかのごとく眠りに着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また朝が来る、鶏の無く声が一つ減っている。絞められたようであるがこの安宿にでは食事は出ないので関係のないことだ。ぼんやりとした覚めきらない頭で先日の待ち合わせ場所を思い出す。

 

「公園か……」

 

軽くよっただけだがここの国の公園は案外整っている、都市開発が進んでるがゆえの自然保護野性動物保護の意識であろうか?

 

「……そういえば、どうするか。このままだと不便だ。」

 

昨日の戦いで服が破れてしまったことを、唐突に思い出すまぁ軽い買い物でも付き合ってくれるであろう。と予備に着替えた、いくら予備で済むとはいえな……

 

軽く髪を整える、長い髪は不便であるが止血とかにも使えるあってそれなりに意味はある…水でよく流したからか血は残っていないようだ。

 

「待たせ過ぎるもの悪いしな………向かうとするか。」

 

私は日が照りつける、明るい世界へと歩みをすすめた。

 

 

 

 

 

そこには公園のベンチに腰を掛けまるで死んでいるかのように安らかに出店で買ったような焼きそばを食べかけで置き居眠り、している薫がいた。よくこんな堂々と眠れるものだとも思いながら近づき軽く日本刀の柄でこずいて見る……

 

「…………すーすー……」

 

ベンチを強めに蹴ってみる………ガコンと何処かが曲がり壊れそうなほどの大きな重低音が響く。

 

「うわっぁ………てっイリカちゃんかビックリしたよ、思ったより乱暴だなぁ…あっ」

 

そして薫は飛び起きたが……手で焼きそばのあまりをはらってしまい地面に無慈悲にも重力に従うように落下する。

 

「そうか……?」

 

「焼きそばがっ…焼きそばが…肉多目により分けて残しておいたのに………」

 

「うん、理由はわかったすまない。所で要件はなんだ重要なことか?」

 

とてつもない速度で落ち込み始める薫に若干の罪悪感を覚えながら要件を聞く、実際に私はそのために来たのだから。

 

「うーん、イリカちゃんにとってはそこまで重要じゃ無いかも知れないけどさ……多分僕が言ったのって予言終わるまでのタッグでしょ?」

 

と薫はうつ向きながら、問いかける。

 

「うん、そうだなそれがどうした?」

 

何で当たり前であることを聞くのであろう?と疑問に思いながら答える、一時的な共闘者それが今の私たちの関係である。

 

「…………あの予言が終わってもこれからも一緒に……いや何でもない、奢るって言ったし何か買おうか?出店沢山あるし…」

 

と薫は途中まで何かを言うが途中でブツリと諦めてしまうように途切れた、そして首をふり出店へと向かおうとする……

 

「いや、私は出店苦手なんだがそもそもお金あるのか?」

 

「じゃあまた酒場で……お金ならここに…うんっえっ何でっ何でっぇぇぇ」

 

と薫はズボンのポケット財布を取り出そうとまさぐるが本来あるべきものがないとでもいうかのようにあせり始める、それから私は結論を察する。

 

「盗まれただろ………」

 

そりゃあんなに熟睡していたらポケットに入れただけの財布は盗人にとっては楽勝な獲物だと、言うかカモがネギ背負って更に鍋引き摺って来たようなものである。

 

薫は更に落ち込み、首をぐたりとしたに下げ地面を見る。

 

「今日は厄日かな?」

 

「いや薫が、こんな人が多い場所で不用心にも睡眠をとっていた油断のせいだな。」

 

「手厳しいね………でどうしよう。」

 

と軽く絶望した表情で相談を持ちかけてくる、元々はこっちが早めにこなかった責任と焼きそばが落っこちたこともあるので………

 

「………盗人見つけるの手伝うから、そんな顔するな。公園内に目撃者いるかもしれないし、この公園広いからまだ中にいるかもしれない…後あの戦いで大分世話になったからな多分一人だったら 死んでいた(諦めていた。)」

 

と自然に心からの言葉を返す、あの時の言葉が無ければ私はあそこで燃え尽きていたであっただろう。

 

「ありがとう。」

 

と彼も答え笑みを顔に浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

彼女は困り果てていた、モノクロに彩られたまるで夢の中で少女たちが着る服纏い大きな紫色を目に腰ほどまでに伸びた白髪を持つ美しい容姿をしている。名前はアリスフィア・クレシェンドと言った。

 

なぜ困り果てていたのかと言えば……

 

「(コソドロから取り返したんですけど、肝心の本人がいません、なぜか焼きそばが地面におちてますし……)」

 

袋に硬貨が入った財布をじゃらじゃら鳴らす、ずっしりとした重さが手に伝わる。

 

薫が寝ていたころ、コソドロに財布を取られたのを目撃し追跡そしてちょっと棒で叩いて取り返したのだ。

 

だがタイミングが悪く、ちょうどイリカと薫が財布を取り返すために盗人探しにベンチの近くから出たあとだった。

 

「(コレ、本当にどうしますかねネコババはまず論外として……またベンチに置いておく、いや盗まれるな……やっぱり自分から探しに行って無理だったら交番ですかねっ)」

 

と彼女はいくつかの思案をして覚悟を決めたように財布握り締め、この広い公園内を散策する。こう内心思いながら……

 

「(あ づ い)」

 

この服は熱に対してはかなり弱いのだ。

 

 

 

 

 

 

 

一方そんな彼女タイミングの悪さも苦労も知らず、盗人を探していた二人は店も何もないのに人だかりが集まる所があった。

 

「ここに目撃者いるかもしれないっ」

 

と薫は盗人探しか、只の興味なのかわからないがそこに向けて早足で走っていく。

 

人混みの中ちらりと見えたそれは組立式のセットで行われている人形劇であった………そこの舞台を司るのは。

 

「ワタァシの名前はドグゥマ・ソラァーリオォ。いつもご覧の皆様ははじっめましてぇぇ、ご贔屓の方は毎度どうもサテサテ今回は誠に残念ながら最後の舞台っ是ぇ非ご観覧あれぇ!」

 

と長身の口と目が割けた仮面をつけ、感情が見えないシルクハットまでつけまるで紳士ともいいたげだがその実は人形のように冷たいものに見えた。

 

集まった観客たちは彼のショーの合図に拍手喝采をあげる、そこだけが公園と言う場所から切り取られたかのように雰囲気が変わる。

 

その表情が見えぬ仮面の男は人形を動かす、今日の演目は男女の悲哀……身分による叶わぬ恋、そして犯した罪は数知れず。

 

女の人形は綺麗なドレスを見に纏い、優雅にまるで足ともに花がさくかのごとく。対する身分の低い男の人形は汚れている、歩く姿もよぼよぼでまるで別の世界の住人のような動かしかたである。

 

女が真に愛するのは他の男、しかも貴族………だが身分の低い男は愚直にも彼女を想い続ける。

 

そして男は貴族を刺し殺し、想い人である彼女に貴族を指した血のついたナイフを真の愛の印に差し出した。

 

彼女は酷く混乱する慌てる、恐怖する目の前のみすぼらしい男の姿をした殺人者に身勝手な愛に溺れた悪魔にっそして彼女は悪魔から逃げるために血のついたナイフで自決をした。

 

そして男は 彼女 を手に入れ幸せになった。

 

「コレにてぇぇ幕は、終幕とあいなります。」

 

観客はその動きに感動するものや、結末に文句のあるもの、泣き出してしまうもの様々いるが。

 

その男はお捻りを頂戴する。

 

私は何故か急に気分が悪くなった、人形があまりにも 命 があるかのように動いているからだ、ずっと同じ結末を繰り返すように……確かに技術やセンス才能もあるかも知れないが別の恐ろしい ナニか を感じた、舞台の支配者として君臨するあの男に。

 

「凄かったねぇ……ちょっと内容アレだけどハッピーエンドとかもあるのかなぁ……って大丈夫イリカちゃん、もしかして熱中症……?」

 

薫も劇に目を奪われていたようだが、突然座り込む私を心配したようだ、何で気分が悪くなっかは熱中症だと思っているようだ。

 

視界が暗くなる、薫の声が聞こえるが最後に見たあの男は仮面の下で笑っているような気がした。




今日お借りしたのは、
クレーエ様のアリスフィア・クレシェンドさんと
強欲な右翼様のドグマ・ソラーリオさんです
今回はほのぼの回、今度は合流回です。


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熱は循環し、身を焦がす。

遅くなってすみません。


私が次目覚めたのは固い木のベットの上だった、覗き混むのは二人の人物。

 

少女のような、銀製の彫刻のような綺麗な髪を見せ言葉もなく……心配そうに覗く。知らない人だ、目は宝石のような輝きをもつアメジストのような紫、後天性の特徴か。

 

「つっまだ怠いな。とりあえずすまないが水くれないか……?」

 

「わっわかった!」

 

と薫は急いで水を汲みにいっていた。

 

熱に浮かされたか、体が怠い鉛を全身に仕込んでるようだ…………汗は体の水を使いきったのかでない。あの人形劇はあまりにも魂が籠りすぎていた、本当に只の上手いだけの人間だとは思えなかった。

 

「ところでお前はなんだ?助けてくれただろうが……礼はする、ありがとう。」

 

【いやー急になんか倒れたようで、ビックリしましたよーお財布は取り返しましたがねっ!】

 

と人形のような女性は、手頃な紙に返答を書いて渡した………たまにボディーランゲージや攻撃的肉体言語で突破しようとする猛者もいるが彼女はそういう人ではないようだ。

 

「あぁ取り返してくれたのか………ありがとう。」

 

【いえいえー】

 

「水っ汲んできたよっ!」

 

そうして薫がコップに零れそうなほど水を入れて持ってきた、走ってきたので実際にこぼれてる。

私は少し笑った、マモノ狩り故に普通の人よりは頑丈だ普通の人間でもギロチンで首を切られてから10分間は意識がある………ソレよりも遥かに死ににくい。

 

「そこまで慌てなくても、大丈夫だぞ……」

 

「いやっ心配するよ!急にぶっ倒れたんだからさ、魔物狩りとも言えどちゃんとしてよ。」

 

「ハハハ…………」

 

そうやって、苦笑いして汲んでくれた水を一気に飲んだ。急いで入れたせいか、気管に少し入ったようで蒸せる……鼻から出た。

 

「いや、イリカちゃんも慌ててるじゃん……もっとゆっくり……」

 

【仲いいんですねー、付き合って。】

 

と彼女がそう微笑みながら紙に記した物を見た瞬間、私はもう一回汲まれた水を飲んでる途中で吹き出した。

 

「いや、ソレはない。」

 

「まっまだ………マモノ狩る為にペア組んだばかりだよっ!」

 

そうお互い返答を返した………言葉に出してるが紙にもそういう類いを書く。まだ組んだばかりだしな……これで片方がもう付き合ってるとか、思い込んでいたら色々大変な事になる。

 

【あっそういえば………貴方の事と私の事いってませんでしたね?

 

私はアリスフィア・クレシェンドと言います。見た目からわかると思いますが、後天性のマモノ狩りですね。】

 

そうやって、誇らしげな顔を見せた。随分実力に自信があるのであろうか?

 

「私の名前は、イリカ・バルカ。マモノ狩りをしている、今はコイツと予言の事もある。それまでチームを組んで討伐を行うことになった。」

 

薫に指をさして自己紹介と共にそういうなかではない事を証明しようと、口を開いた。まだ水分が足りないのか、口の中が乾いたように感じる。

 

「うん……神殿から、強力なマモノが現れるって予知があって。それを止めるため、にお互い組むことにしたんだ。」

 

薫も少し、慌てているようだが。しっかり答えている………そりゃあ誤解されたらたまったものでは、ないからな……

 

【へー、タッグかぁ……珍しいのかなぁ。確かに生存確率は確実に上がるだろうけど、魔物狩りって正直協和性あんまりないからねぇ……一回その場で遇って即興でやったのとあるけど。】

 

軽く内容をまとめた紙を渡すと彼女は一度組んだときの事を思い出したのかうへぇと芋虫を思わず、噛み潰してしまったかのような表現を浮かべる。

 

確かにマモノ狩りは人間の灰汁を煮込。混沌な倫理を抱え常識が何処か吹っ飛んだやからが殆どだ、先天性は言わずもがな先天的に異常を抱えている……後天性もあの予知書を読んで発狂しなかった、数少ない奴だ。

 

魔物狩りの中でイカれてる奴を数えるよりも、イカれてない奴を数えた方が遥かに早い。そもそも何処か吹っ飛んでなければマモノとの戦いはついていけずに早死する。

 

「それは、難儀だったな……」

 

と言うと彼女は熱気に満ちたようにガリガリと筆をすすめ、長い感情の籠った愚痴じみたものを書き始めた。ちょっと興奮して字が書きなぐったように、荒れてしまっている。

 

【えぇ!大変だったんですよー、女の子には戦わせられないって。私の言うこと聞かず、マモノに勝手に突撃していって……。胴体と頭がマモノの攻撃で、ナムサンオサラバで。自分を強いと勘違いしている、バカほど救えないものはありません。】

 

ふんすっと音が聞こえそうなほど、彼女にとってあの出来事は散々であったようだ。

 

「大変だったな、身内の足手まといは凶悪な敵よりも害悪だから。そこまで怒るのも無理はない。」

 

「うっうん、相談は大事だよね……」

 

少し薫が引き気味だが、彼女と一緒に組んだ奴はマモノ狩りの戦闘は誰かを護る為に行うと盛大なる勘違いをしていたらしい。マモノ狩りは英雄ではない、選ばれし勇者でもない只の狩人だ。

いくら頑丈と言えど致命傷は存在するし、常人なら一滴で死に至るマモノの毒で死にはしないが……体が鈍りはする。後天性だが先天性だが知らないが、心から同情するには価しない滑稽さだ。

 

【沢山の人護るーってだったら、ちゃんと男女関係なく使えーって話です!でも死んでしまったのは悲しいですね………】

 

と怒るのをやめ、顔がうつ向いた…怒りは悲しみを隠すためかはたまた己が慣れてしまうのに、嫌悪してしまっているのか。

 

「同業者の死亡なんて、マモノ狩りではしょっちゅうあることだろ?それ事にいちいち悲しむのか優しいな。」

 

「ちょっイリカちゃん!?」

 

薫が驚くが思わず口に出してしまった、後天性故に理解できない。きついことを言っているだろう……私はそうしなければ持たなかった。マモノ狩り同業者の死は遠くから聴いたのみだが……人の死は幾つも見てきている。いやマモノ狩りとしてマモノが人を喰らう食事風景を幾つも見てきた。

 

悲しんでは、何かが私の中の何かがパキンっと音をたてて、壊れてしまいそうだった。

 

【えぇ、悲しみますよ!マモノ狩りとしては、人死になんて日常見たいなものですけどねっ、だから悲しみを感じてマモノにドーンってぶつけてやるんです!

 

そうすれば、不思議と力が沸いてきます。今まで救えなかった人たちの分………この一撃一撃に全て込めるんだって。】

 

彼女はその失礼とも言える発言を察したように怒らず、拳を握りしめて語った、救えなかった人たちの悲しみを力に変えてぶつけると言う。その顔は、何処か決意に満ち溢れていた。私と違って本当の強さがあると感じた……

 

「優しいは撤回はしないが一つ追加する、私と違って強いな……貴女は。」

 

私はもう、そう言うことを最初に磨り減らしてしまった。重すぎて持っていたら壊れてしまいそうで捨てて行ってしまったんだ……取り戻すのはもう遅すぎる。

 

【いえ、イリカさんも強いですよ。だって今泣いてますよ……今もいやずっと、堪えてたんですよね?】

 

そうやって、軽く笑って彼女は私を見た。

 

「えっ?」

 

ほうを手で拭う、そこには水のような感触があった……コレがなんなのかわからなかった。

 

「はい、ハンカチ。涙だよ拭いて今まで、悲しかったよね……?大丈夫今は側に誰かいるから。」

 

そうやって、水を拭かれた。この名前を忘れてしまった水は涙と言うらしかった。

 

ポタンポタン、と落ちていく………蛇口のネジが狂ったようだ。止まらなかった、訳がわからなかった。

 

【薫くん………少しそっとしとこうか……】

 

とあまり刺激しない方がいいと彼女は判断して、薫に伝えるが。

 

「……アリスさん、僕はイリカちゃんが泣き止むまで側にいます。多分今必要なのは側にいてくれる人だから。」

 

この出来事は日が沈む前……空がオレンジに彩られる頃、悪夢の予言の始まりの前一時の安息だった。




大丈夫かなぁ……


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災厄の訪れ

災厄ポポポポーン


「………」

 

目が痛い、腫れてしまってるようだ。予知書を確認した……ずっしりとした重みを感じる、安心した。

 

「腹へったな……結局財布探しで何も食ってねぇ…、水飲んで誤魔化すか…」

 

そうやって宿の下に降りた、あの女性が主に止まっているのか……私が普段使っている安宿とは部屋質が違う。働いてる奴に軽く話しかければ水ぐらいは出してくれるだろう……

 

「霧!?まさか……【いずれ燃え逝く定めの鳥は今災いをもたらし、森を焼き町を焼きすべてを無に還すであろう。】」

 

私はすぐさま、予言書を取り出す。随分と濃い霧が急に出たものだ。

 

刀身が紅く紅く焔が立ち上っていく。霧の中に一つ灯りがついた。

 

「災厄の予言の今来たかっくそっ。」

 

まずは合流をしなければ、マモノにとっては餌が大量にある場所だ。そのままにしておけば、被害は恐ろしいことに確実になる。

 

外に出ようとかけ降りる、すると……

 

「誰か助け……助けてくれ……」

 

女性が足を引きずってすがってくる、だがマモノになりかけている。いやマモノだ、最弱のマモノ。

 

「私には無理だ……ここは全滅か……」

 

まだこの段階なら、すぐ楽にしてやれる。喉元に剣を突き刺し火をつける。

 

「何で何で、助けて。助けてよ、化け物。化け物から助けてよ。痛い痛い。」

 

女性の目から手から足から、血ではない黒い液体が出てくる。マモノの毒に似ている、苦しくように再度這いずってくる………今度は本性を表したように。

 

スピードが明きからに違かった。

 

「………お前らを助けるために動いているんじゃない。マモノを殺す為だけだ。」

 

足を切断した、マモノは再生能力を持つものがいるが。こいつには無いことはもうわかっていた。

 

「オ マ エ ガ バ ケ モ ノ ダ」

 

「勝手に言ってろ。」

 

どうせ、ここの宿は全滅だろう。さて火葬だ、マモノごと火葬だ。この火は物があるかぎり燃えつ続ける、私が止めない限りはずっと。

 

「イリカちゃん!?あの予言だよねっこれ!」

 

薫が予言書を展開した物を持って、駆け寄ってくる。服に大きく汚れがついており交戦をしたんだろう。

 

「あぁそうだ。ここの宿に生存者は居ない、全てのマモノごと燃やし尽くすつもりだから。早く出た方がいい、私とお前もな。」

 

「わかった、早く始末してこないとね!」

 

薫が宿から出たのを合図に、調理室にすぐさま向かった………彼処なら油があるはずだ。焼き尽くすのなら火力でなく。

 

火の回るスピードが勝負、マモノは一匹足りとも逃がすな。

 

「邪魔だどけっ。」

 

群がるようにする、バを焼き払いながら進む。たしか酒場で見た油は樽だったはずだ。酒でも濃いならば代用は効く。

 

「見つけたっ!」

 

樽を見つけた端から、叩き切っていく。水で火が消えると言う心配はしない………消えないのだからこの火は。

 

酒を切れば青に燃え、油を切れば赤に燃えた。水を切ってしまえば油が弾け火が飛び散る。

 

あっという間に、宿が業火に包まれていく。どんどん火が移っていく……

 

「もう、ここには用はない。」

 

宿を出た際に見たものは、水溜まり……そして朱。そしてマモノ達の群れ。

 

薫が一人で大群相手に応戦をしていた。

 

足や顔等に無数の切り傷が、ついてそこから血を垂れ流している。

 

「普段より、桁が違うっ!!」

 

「焼くぞ、我慢しろ。」

 

私は止血の為に、傷口を焼き付けた。肉体は頑丈だが流れるものは抑えた方がいいのは、明確だ。

 

「えっ!いたッ何で……あっ。」

 

薫にすこしだけ刀身をつけた、火が燃え移る。燃え広がりはしない、傷口だけ移りしばらくすると消えていく。

 

「ちょっとだけ、ふさいだ。不格好だが今は許せ。血流したままだと寄ってくるぞ。」

 

焼いて塞いだ傷はお世辞にも綺麗とは言えない、だがマモノ狩りだ、すぐに剥がれるだろう。

 

「……わかったけど、急にしないでよ!ビックリするじゃん!」

 

「すまない、薫マモノ来てるぞ。」

 

「わかってるよ、イリカちゃんもお願い。」

 

お互いに背を合わせ、マモノに向かい合う。

 

そこにあるのは、見る目を奪うのは、マモノの恐怖ではなく……水と火の狂宴。

 

冷たい霧でなく、熱された水蒸気が立ち上っていく。二人の狩人が戦えば、戦う程に攻撃の激しさは増していく。

 

薫の力は、周囲の水分を操る。

 

イリカの力は、消えない火を生み出す。

 

薫が生み出した水を、そしてマモノの水分をイリカが蒸発させる。そして出来た水蒸気をまた薫が利用する……

 

お互いに戦えば戦うほど、マモノの死骸から水分が取られていき……濃い水蒸気が漂う空間へと変貌していく。

 

「しつこいなッコイツら。」

 

一閃を通せば、肉が焼き焦げる音がした。体液が返り肉が溶けそうになるがすぐに蒸発させる。

 

一体一体は大したことないが、何せ数が多い。戦闘において数は暴力だ、体力が削がれる。

 

「纏めて倒さないと、切りがないよ……」

 

そうぼやきながら、槍を振り払い水滴でマモノ達に風穴を開けていく。

 

「大技とかないのか!?」

 

私は火力を高めることは出来るが、大勢の相手はその火が相手に燃え移るのを待つのみ。短時間で大量には倒せない。

 

「一人にぶつけるやつならあるけど……」

 

あぁ……あの時の大きな水弾か。

 

「なら水を集めてくれ!?後ちゃんと服とか執念で掴んでろ!?」

 

あれほどの水を集める力があるならば、この濃い水蒸気の空間ならば………私は手に持つ武器の温度を上げる、限界などは知らない……この考えは私の力に掛かっている。

 

「えっえー!わかってたよ、イリカちゃんを信じる。ありったけの水をかき集めて。」

 

空気が急に乾燥しはじめる、マモノ達も気づくほどに。そこにあるのは、膨大な量の水……操らずそのまま落としたら。二人とも溺死してしまいそうなほどだ。

 

「………下を見るなよ?薫。逃げるからな。」

 

私は薫の腕をつかみ、なるべく上に行くように飛んでから………

 

膨大な量の水の塊に、限界以上に熱した刃を突き立てた………

 

起こるのは水が一気に水蒸気に変換させることにより引き起こる、爆発。

 

二人はその膨大な力に、抗えず吹き飛ばされていく。皮膚が膨大な熱量をもつ水蒸気により焼きただれるが、マモノ狩り特有の耐久により。命を保った。

 

「えっ?ぇぉぇぇぉえええ。」

 

薫はあまりの高さに気絶仕掛けている。

 

「大丈夫か?薫。」

 

「だっ大丈夫に見えるののおおぉ?」

 

「ダメそうだな。」

 

再生していく感覚を感じながら、これからどうするか考えた………実は出ることだけ考えていて降りる為にどうするか全く考えていなかったのだ。

 

「……………あのさ、いつまで上がっていくの?」

 

どんどん高度が上がっていく、降りる方法を考える時間が無くなっていく。

 

「さぁそろそろじゃないか?」

 

星が綺麗だ。

 

「一応聞く、降りる方法考えてるの?」

 

同じく飛んでいる気絶しかけの相方が、こちらに問いを投げ掛けた。

 

「無い、後止まったからこれからまっ逆さまに落ちていくだけだ。」

 

重力に従う、空気抵抗を少しでも減らそうと服を広げた。

 

「イヤァァァァァ。」

 

あっ気絶した。

 

そして……そのまま墜ちていく、地面にぶつかる前に………脚に木の枝が絡まっていった。




エキサイティング


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