元おじさんのつよきす転生 (KEY(ドS))
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元おじさん、若返って困惑する

こんにちはんこそば。
KEY(ドM)と申します。

完結作品が初めてできたので、
いつもの発作(書いては失踪)に戻る。

つよきすってマジで会話のテンポが面白いと思う。

ハーレム路線注意。
元おじさんのおろおろ注意。


それでは、ご覧ください(KBTIT)

KEY(ドM)


目を覚ます。背中に感じる柔らかな感触に違和感を感じる。

後ろを見ると、長い付き合いである彼女が俺の背中にしがみついているのが見えた。

いつものように、上はパジャマで、下は下着が丸見えのはしたない格好である。

見た目麗しいのだから、もう少しお淑やかになれないものだろうか。

嫁入り前の娘が、男にさらすべき姿ではないだろう。

 

孫がじゃれついているようで楽しくはあるが。

時計を見ると午前7時。

そろそろ起きて、登校の準備をしたほうがいいだろう。

むくりと体を起こして立ち上がり、しがみついている幼馴染をゆっさゆっさと揺らして起こす。

 

「蟹。蟹。起きてくれ。そろそろ仕度しないと。・・・・蟹?」

「・・・・お袋ぉ。きくらげってどんなくらげなんだぁ・・・?」

「・・・・・・・。」

思わず絶句したが、こうしたつぶやきもいつものこと。

ベッドに彼女を降ろし、顔に枕をそっとおく。

「・・・・・・・・・・・・・ぶはぁっ。」

「あ、起きた。」

「起きたじゃねーよ!!危うく永眠するとこだったろーがぁ!!」

うがああああっ、と猛る蟹。

とびかかってきたのをうまく受け止め、よしよしとあやす。

ちょっとやりすぎただろうか。

頭を優しくなでる。

 

「ふんっ!!馬鹿っ!!・・・今日の朝飯は?」

「和食。ああ、鮭が残っていたから鮭チャーハンもありだなぁ。」

「おめぇの料理のレパートリーって一人暮らしのおっさんっぽいよな。

うまいからいいけどさ。」

蟹の核心をついた言葉にどきりと心臓が鳴る。

俺も彼女も間違いなく高校生である。

普通、こんなこと言われれば誰が、おっさんだ、と突っ込みたくなるだろう。

でも、彼女の言うことは間違ってはいない。

 

----なにせ、俺は本当におっさんだったのだから。

 

俺、いや、私の名前は対馬レオ。

かつて、孤独に死んだしようのない男である。

 

 

それに気が付いたのはすぐのことだった。

どうも体がだるい、眠い、おかしい、と感じて目を開けてみると

目の前には見慣れない顔が二つほど。

女性と男性が私のことをじっと見つめていた。

何かをいつくしむようなそのまなざしは今でも覚えている。

 

---私は、かつて戦後すぐに生まれた団塊世代の一人であった。

日本の高度経済成長期、二度にわたるオイルショック、土地・株のバブル、ITバブル、

就職氷河期という激動の時代だった。

有名な銀行が破綻していき、貸しはがしが横行した世の中。

黙々と働き続けていた私はついに定年を迎えた。

65歳になるまで粛々と働き続けたことは誇っていいのかもしれない。

だが、私には何もなかった。

 

結婚はしていない。男は家庭を持って当たり前、という価値観のもと育ったのは自覚しているし、周りからの厳しい目もあった。

両親はそんな私に見合い話を持ってきてくれたが、40後半になると見合いの相手すら見つからずに、話そのものが立ち消えた。

母も、父もすでにこの世からいなくなっていた。

二人とも、心労が溜まっていたのではないかと思う。

 

孫を抱かせたかったというのは本音である。

せめて、いい人がいるよ、とうその一つもつければ

もう少し、二人は長生きで来てのではないだろうかと。

たった一人の息子である私が取り仕切った葬儀には、

多くの人たちが参列してくださった。

親戚の子供も来てくれたのは嬉しかった。

 

さて、現在の私の状況だが何分奇妙なことになっていた。

定年退職を迎えた日、いつものアパートに帰ってシャワーを浴び、

明日からの身の振り方を考えて床に就き、目を閉じた。

そして、目を覚ますと別人として生まれ変わっていた。

何がどうなっているのか、わからず。

 

赤子からやり直すのはなかなか大変だった。

周りの子供と同じく、無邪気にはしゃぐこともできない。

それまでの"私"としての記憶が性格の形成に影響を与えていたのは、

当然のことだろう。

大人びた、手のかからない子供も今生の両親からは言われていたが、

ただ単に中身が老いているからだろう。

自分が生きる世界が、今まで私がいたところと違うのか。

それが知りたくて図書館にこもって、知識を蓄え続けた。

 

結論から言うと、大筋はあっていた。

日本は戦後、朝鮮戦争による特需を経て高度経済成長期を迎え、

公害問題、オイルショック、全学闘争、バブルといった道を同じくたどっている。

ただ、ちょっと違う点としては、私が生きていたころにはまだ、

インターネットというものはここまで便利ではなかったし、

ケータイの代わりにスマートフォン、というものが主流になってもいなかった。

 

小学校ではある程度の優等生として先生方には可愛がっていただいた。

目上の人に対して当然の礼儀をとっていただけなのだが、

どうも最近の子供は昔よりも大人に対して敬意を抱かないらしい。

それがいいことなのか、悪いことなのかはわからないが。

中学校に入ると、それまで放置主義を徹底していた両親が私に対して、

何かやってみたいことはないか、と距離を詰めてきた。

大方、本ばかり読んでいる私の人間関係を案じているのだろうか。

しかし、とはいってもだ。

10代前半の子供が喜びそうなことなど、ロートルにはさっぱりわからない。

女性に至っては髪型も大分奇抜であるし、貞操観念も緩いような気がして、

近づくに近づけない。

いい年した壮年のくせして、という自虐が頭の中に浮かんできたが、

すぐに追い払った。

最近の流行には疎いほうである。

 

学力的にはそこそこ、内申点も申し分なかったので好きなように高校を選ぶ立場になった私はさて、どうしようかと首をひねる。

ある意味、前世で燃え尽きてしまった私にはどうしようかという疑問ばかりが浮かぶ。

今後のことを考えて、MARCHが狙えるレベルのところには生きたい。

学歴というものがどれほど重要なのか、それは前世の就活時に嫌というほど知っている。

が、頭の中に古くからの付き合いであるあの3人の姿がぼうっと浮かぶ。

ある程度ハイレベルな場所に行けば、彼らとは疎遠になることは容易に想像できた。

早々、縁というものは切れやすい。

二度と会わないということもあり得る。

 

---気が付けば、"竜鳴館"というところへの進学を取り決めていた。

 

 

「坊主?どうした?」

「あ、いや、大丈夫だ。」

「大丈夫かぁ?今朝料理していた時から上の空だろう。」

「へっ。大方エロ本で妄想にふけっていたんだろうよ。

エロ。むっつり。」

「おいおい。そんなに溜まっていたのなら俺がお気に入りを貸してやったのによー。」

「性処理はしているから、大丈夫だ。」

「・・・なんか、言い方がキモイ。」

蟹の言葉がぐさり、と心臓に刺さる。

た、確かにちょっとセクハラだった・・・。

隣を歩く三人の姿を見る。

お互いに悪態をつきながらも、どこか楽しそうな雰囲気。

(・・・選んで、よかったなぁ。)

ふと、顔がほころぶ。

私にも孫がいたら、きっとこんな感じだったのだろうか。

それはもうわからない。

わからないことだが、それでもこれから先のことを考えると、

自然と胸の鼓動が高鳴る。

 

「おい?馬鹿レオ?顔がほころんでいるぞ?」

「へえ、坊主がそんな顔をするなんて珍しいな。」

「ねえ、俺のことはスルーなの?扱いひどくない?」

 

入学式が終わったらどうしようか。

これから一体どう生きてみようか。

天国にいる両親が笑えるように、もう少し砕けてみようか。

かつて持っていて、永遠に失ってしまっていた期待と共に、

高校の門を友人たちと潜り抜けた。

 

---私の名前は対馬レオ。

かつて、激動の時代を生きた一介の男子高校生である。

 




対馬レオ(元 ○○)
生まれはぎりぎり戦時中の高齢者。
昔ながらの価値観を持っているため、現代の若者のセンスに戸惑うこともしばしば。
親戚の子供がやっていたゲームに似ている世界だなぁ、と漏らす。
心不全によって孤独死した彼は、第二の人生を歩むことに。
男女は7つにして同衾すべきでない。
女性は家庭を守るもの.
男性は強くあること。
古臭いといえばそれまでだが、良くも悪くも昔ながらの考え方である。

立ち位置としては主人公の代わりである。
積んだ徳の高さに対して不憫な人生を送っているとみなされ、
女性との縁が結ばれやすい世界へ。
しかし、彼自身、恋愛経験に疎い男性であるのでその気遣いが役に立つかは別の話。
家族構成としては、前世では両親はすでに死別しており、親戚が何人かいる程度。
家と仕事場を往復する人生であった。
現代の若者についていけない部分もしばしば。
ラインやメール、サブカルチャーにはある程度慣れてきた。
でも、どうして"w"というものを多く使いたがるのか、
理解できない模様。
好みのタイプは長髪がきれいな女性。


竜鳴館への入学まで。
次回は2年生の最初から。

このおじさんがどうなるのかは俺にもわからない。



感想くれ




KEY(ドM)


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元おじさん、高校生活を噛みしめる。

こんにちはんこそば。
KEY(ドM)と申します。

今回はほのぼの回。

ちゃんとほのぼのしているって()

それでは、ご覧ください(KBTIT)

KEY(ドM)


「祈先生はー?」

「いつもの寝坊だぁ。吾輩だけ先に来てやったぜ。

今日もありがたぁい話を--。」

入学式が終わり、早1年。

私、いや、俺たちは2年生となり、新生活を送っていた。

新しいクラスには、幼馴染である、フカヒレ、スバル、カニの三人も一緒だった。

担任はよく遅刻しており、言葉をしゃべるオウムがそのフォローをしている始末である。

普通に職務怠慢で懲戒免職にならないのだろうか。

机でぼーっとクラスメイトと、担任が飼っているオウムである土永さんの話を見ていると、突然頬をぷにっと指で押された。

 

「なあに辛気臭い顔しているわけ―?」

「・・・・霧夜さん。」

横を向けば、悪そうな笑みを浮かべた金髪の美少女が、

俺の頬を指で突っついているのが見える。

大方、暇で退屈だったから俺にちょっかいをかけているといったところだろうか。

彼女はそんな俺に対して、つまらなーい、とこぼす。

 

「対馬君ってなーんか他人行儀よねー。私のことを、"姫"じゃなくって、

いまだに霧夜さん呼びだし。」

「・・いや、それは。」

あまり親しくない女子をあだ名で呼ぶのもどうだろうと思ってのことだったが、

彼女にとってはそう感じられたのだろうか。

困惑していると、横から助け船が入る。

 

「エリー。駄目だよ。あんまり対馬くんを困らせちゃ。」

「・・・はーい。」

そういわれた霧夜さんは俺のほっぺから指を離し、

今度は助け船を出してくれた少女、佐藤さんにとびかかった。

「あー。おっきいなー。よっぴーのはー。」

「あ・・・・。ちょ、ちょっと・・エリー。」

目をつむって見ないようにする。

いつものことであるが、心臓に悪い。

ドキドキしながら目を背けていると、唐突に背中から誰かが覆いかぶさってきた。

「おらー。馬鹿レオ―。よっぴーたちに変な目を向けるんじゃねーぞ。

このむっつりー。」

「カニ。お前も年頃の男子にいきなりとびかかるのは・・・。」

「僕はいいんだよっ!!ほらほら。膝の上空けろよー。座りにくいだろー。」

「・・・・・・。」

スバルとフカヒレの方を見て助けを求める。

しかし、スバルは「今日の献立どうしようかねぇ」とぼやき、

フカヒレは「げへへへへ、よっぴーと姫の絡み合い・・・。

そこにまざる俺・・・。」という風に妄想をしていた。

薄情にもほどがある。

 

「みなさーん。おはようございますわー。」

先生がやってきた。それと同時に各々の席に着く生徒たち。

フカヒレはまだ妄想の世界から帰ってきていないようである。

「おい。フカヒレ。・・・フカヒレ?」

「へへへ。・・やめろよ、二人とも、俺を取り合って喧嘩なんてさぁ・・・。」

「・・・・。」

その後、祈先生の呪い、いや、占いによって目を覚ましたフカヒレは、

今日一日、品行方正な青年として人格を変貌させられていた。

 

これが、今の俺の日常である。

 

 

「・・・・・・。」

「・・・・お。」

廊下を歩いていたら、見知った顔と出会った。

確か彼は----。

「ああ、村田か。久しいな。」

「む、そういうお前は対馬。」

オールバックの髪型に、姿勢の良い歩き方。

思わず声をかけると振り返ってきた。

「テストの結果を見に行こうと思っていた。そっちも?」

「ああ。今日こそ彼女に勝つんだ・・・・!!」

そう言ってこぶしを握り締める彼はとても好青年に見えた。

学力も学年で2位。拳法部のエースでもあり、文武両道を体現している人物。

村田洋平。あの、スバルや霧夜さんも一目置いている人物だ。

彼とはちょっとした縁がある。

 

「そういうそっちはどうなんだ?いつもちゃんと勉強しているじゃないか。」

「いや、あまり物覚えがいい方じゃなくって・・・。せいぜい中の上くらいなんだ。」

「そうか・・・。」

俺の言葉に残念そうな顔をする村田。

だが、しょうがない。

別段才能があるわけでもなく、ただただ、教えられたことを守ることしかできなかった。

独学ではどうあがいても限界もある。

たわいない話をしながら順位表が貼られている場所までやってくると、

他の生徒たちも見に来ており、沢山いた。

 

「えーと。おっ、村田のあったぞ。2位だと。すごいなぁ。」

「むうっ・・・。彼女には並べなかったか・・!!」

がっくりと肩を落とす村田。

霧夜さんは運動も勉強もできる天才だから仕方ない。

彼をなだめながら自分の順位を見ようとすると、隣に見知った人物が近寄ってきた。

「・・・あ!!あんた。対馬!!」

「・・おお。近衛さん。」

「・・・・他人行儀な呼び方、やめなさいっての。」

「・・・・・。」

こちらとしてはちゃんと下の名前で呼ばないようにしているのだが、

かえって彼女の機嫌を損ねてしまったらしい。

見知ったツインテールの髪型に、若干釣り目の美形の顔立ち。

間違いなく、美少女だといえるだろう。

彼女の名前は近衛素奈緒。その名前からよく、"素直"じゃないなぁ、とよくからかわれている。

「順位を見に?」

「当然でしょ?・・・くっそー。またあのむかつく女に勝てなかったー!!」

うがーとうなる近衛さん。

ちなみに、彼女はいつも霧夜さんにからわれているので目の敵にしている。

 

俺からすると、霧夜さんが一方的にあしらっているようにも見えるが、

結構二人が話しているのもよく見る。

彼女も努力家であり、上位の常連である。

「そういえば、あんたは?」

「・・・ああ、あれだ。」

俺が指さしたところには、"対馬 レオ"40位と書かれた順位があった。

そこそこいいくらいの点数だろう。

物覚えが悪いにしては上出来である。

 

「・・・対馬。あんた、手抜いている?」

「?いや。全力だけれども・・・。」

「~~~!!もうっ!!」

何が彼女の機嫌を悪くしてしまったのかわからないが、近衛さんは俺の返答を聴くなり、去って行ってしまった。

追いかけようとしたが、その背中が"追いかけてきたら怒る"と書いているような気がしたので、伸ばしかけた手を引っ込める。

年頃の子供は難しい。

 

「・・・ほ、補習?いやだああああ!!」

「」

「・・・やれやれ。ギリギリだったな。」

幼馴染の三人のうち、二人の補習が決定した瞬間であった。

 

 

 

うまくやれている。

今度こそ、自分はうまくやれている。

悪目立ちもしていない。分不相応なこともしていない。

ちゃんと、学生としての領分も全うしている。

 

 

--そう自覚しているだけに、館長からの呼び出しは、

青天の霹靂であった。

入った先には、白の道着着替えた大男と見まごう人物。

身長は180cmを超えており、片方の目には傷がついており、塞がっていた。

名は、橘平蔵。

両腕を組み、窓から外の様子を見ている。

「館長。」

「おお。来たか。対馬。いや、座りなさい。」

「?は、はあ。」

 

そう言って示された先には来賓者用のソファー。

館長が座るのを確認してから、失礼します、と断りを入れて、

自分も座る。

 

「いや、忙しいところ急に呼び出してすまなかったな。」

「はあ。」

気の抜けた返事でそう返した。

なぜ、自分がこの場に呼ばれたのか全く理解できなかった。

「なに、別に叱るとか、そういうことじゃない。

まあ、今度な、来る転校生のことでちょっと。」

「・・・・なぜ、自分に?」

普通だったらまず、担任や他の教師に話を通すのが筋である。

そんな疑問が顔に出ていたのか、館長が説明し始める。

「ああ。もちろんほかの教師たちにも詳細を話している。

・・・それとは別に、儂個人から対馬に頼みたいのだ。

その時が来たら、改めてこの件については話そう。」

教師が生徒に頼み事とは珍しい。

まるで、他人事のようにぼーっと考えていた。

 

だが、次の館長の言葉はそんな頭を吹っ飛ばすような提案だった。

 

「----対馬よ。儂の弟子にならんか?」

 

どうやら、こっちが本命の話だったらしい。

 

 




へーきへーき。

やけに距離感が近いカニとか、おじさんにちょっかいかけ続けるエリカとか、
おじさんと他の女子が近づいた瞬間割って入る佐藤さんとか、
おじさんの順位も毎回見ている近衛とか。

ほら、どこにも不穏はない()

館長の話に出ている"転校生"は二学期から追加されたあのクールかわいいあほの子。
もうちょっと先で出る予定。

つよきす知らない人のための登場人物紹介

蟹沢きぬ
下の名前で呼ぶと切れる。
美少女だけど、言動が残念。
つるぺた美少女。
原作では主人公に最初から好意を持っている人物の一人。
実の母から出涸らしと呼ばれているほど、見放されている。
でも、なんだかんだ言って優しい子。

霧夜エリカ
傍若無人、わがまま、文武両道、天才、お嬢様。
金髪ポニーテールの美少女。
性格はとにかくわがまま。
かわいい女の子、男の子が大好き。
霧夜カンパニーという一大財閥の系譜に生まれたお嬢様。
原作では、最初は主人公に対して興味は持っていない。
しかし、一度ルートに入るとデレまくる。
佐藤良美こと、よっぴーとは親友。

佐藤良美
おっとりとしたみつあみで後ろに髪をまとめている美少女。
成績は学年で5位に入るほどに良い。
しかし、運動はそこまでできない。
誰にでも優しいような感じではあるが、ものすごい執着心を持っている。
現代で言うならばヤンデレが一番近い。
仲が冷え切った両親の間で生まれ、それを見て育ったのが原因。
性欲過多であり、絶倫。
主人公に最初から好意を持っているうちの一人。

近衛素奈緒
一言で言えばツンデレ。
釣り目、八重歯、ツインテールと色々おいしい存在。
しかし、胸は控えめ。
まじめであるが、軽いノリもある。
主人公とは違うクラスだが、中学生のころに色々と縁があって付き合いは長い。
原作では手を抜いて生きている主人公に落胆しながらも、徐々に熱意を取り戻したレオの姿を見て、再び喜んでいる。
最初から主人公に好意を持っている人物の一人。
素直じゃないなぁ、と言われては名前ネタ、NGと返している。

続き?
お気に入り100超えたら。

超えなかったらほかの人気作品続けるわ。
まあ短編ネタだから、期待せずに。

感想くれると嬉しいからくれ。

KEY(ドM)


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元おじさん、かつての姉貴分と再会する。

こんにちはんこそば。
KEY(ドM)と申します。

ランキングにずっといるのはやめろ。草生える。

つよきす知っている人間多くってビビった。

知っている奴は20代後半以上だな?

みんな大好き、乙女さん登場

それでは、ご覧ください(KBTIT)

KEY(ドM)


 

「・・・・で、あるからしてー。」

夏の暑い日差しが窓から差し込み、肌に突き刺さる。

冷房は入っているものの、この暑さの前ではあまり意味をなしていない。

現に、みんな体操服に着替えて少しでも涼もうとしていた。

かくいう、俺もそうである。

 

「・・・おい?おめぇらぁ。吾輩のありがたぁい話を--。」

担任の祈先生は"暑すぎるのでちょっと涼んできますわー"と言って、

出ていった。

代わりになぜかオウムの土永さんが授業を取り持っている。

世界広しといえども、オウムが授業をやっている学校なんてここくらいしかないだろう。

しかし、みんなこの暑さの前にノックダウンである。

 

「おーい・・・。れおー。あおげー。かわいい僕の役に立たせてやるよー・・。」

いつも憎まれ口を言ってくるカニも、さすがにこの暑さの前では元気がない。

腐って、痛まないようにぱたぱたと頭のあたりをあおいでやると、

"あー・・。"と気持ちよさそうな声をあげた。

「それにしても、暑すぎ・・・暑すぎじゃね?」

「だなぁ。さっさと家帰って冷たいコーラでも飲みたいわ。」

「よっぴー。ちょっと気温を5度くらいさげて。今すぐ。」

「む、無理だよぉ!!」

うだるフカヒレとスバル。

無茶ぶりを佐藤さんにする霧夜さん。

俺もそろそろぶっ倒れそうである。

あらかじめ買っておいた飲み物を手に取ろうとすると、

それまで机に突っ伏していたカニがいきなり起き上がり、奪ってくる。

「あっ。おいっ!」

「はははははーーっ!!レオの物は僕のもんだーー!!さあ、

この僕の潤いとなれいっ!!」

きゅっ、きゅっ、とキャップを開けた瞬間、

ものすごい勢いでカニの顔に液体が放出された。

「ぶげがぐぼっ!?」

「あー・・。言わんこっちゃない。」

「マズッ!?温いとかそれ以前にマズッ!?

お前これドクペじゃねーかぁっ!!」

「お代わりいるか?」

「いらねーよ!!ドリンクバー頼んでんじゃねーぞ!!」

 

すっとカバンからもう一本のドクターペッパーを見せびらかすと、

カニがうがあああっ、と顔を赤くして怒る。

自業自得だが、さすがにかわいそうだったので濡れてしまった顔や、

体を汗拭きシートで拭いてやる。

「ちょっ、おっ、おいっ!?」

「いいから。じっとしてろ。」

「あ・・・。う・・・。」

ぬ。ジュースが服にしみこむと取れにくい。

おなかの辺りをトントン、と優しく拭いていくと、

カニが、ビクッ、と体を跳ねさせる。

くすぐったかったか。

「・・・あう・・。こらぁ・・・。」

「もうちょいだからな。・・・後はタオルで・・・・。」

髪にはあまりついていない。これなら風邪もひくことはないだろう。

 

「----対馬君?」

「うおっ。」

「!?」

カニのことを拭いていたら、佐藤さんが顔をのぞかせてきた。

驚いたカニが俺から飛びのいて離れる。

にこにこと笑っているが、なぜか冷や汗が止まらない。

「それくらいでいいんじゃないかな?あとは自分で・・・ね?」

「あ、ああ。そうだな。うん・・・。」

「・・・・むー。」

確かに、ちょっと軽率すぎた。

カニも女子なんだから、いきなり触れるのはまずかった。

タオルを袋に入れてしまい、ドクペもしまおうとすると、

何やら視線を感じる。

 

「・・・じー。」

「・・・・・。」

あからさまで、わざとらしい。

佐藤さんが俺が手に持っているドクペを見つめている。

指を口で加えて、物欲しそうにアピールしている。

「・・・じー。暑いなぁ。ものすごく暑いなぁ。

・・誰か、飲み物を分けてくれる優しい人はいないかなぁ。」

「・・・・・・。」

どういうことだろうか。

自動販売機に行って、自分で買ってくればいいじゃないかと言いかけた言葉を飲み込む。

それを言ったら、なぜかまずい気がしたからである。

仕方なく、持っていたドクペを手渡すと、佐藤さんが嬉しそうな笑みを浮かべ、受け取る。

「・・・ど、どうぞ?」

「・・・・ありがとう。」

そう言ってペットボトルを受け取った彼女は開けずに、

自分のバックの中に、大事そうにしまった。

---飲まないんかいっ!!と心の中で突っ込んだ。

 

 

なぜかしおらしくなったカニをなだめ、図書室で本を借りるから先に帰るよう、

幼馴染たちにいって残ることに。

目当ての本を借り、いつも気に入っている場所に向かうと、先人がいた。

「・・・・あ。」

「・・・っち。」

 

俺の姿を見るなり、顔をしかめ、露骨に舌打ちする人物。

髪は腰ぐらいまで伸びており、出るところは出ており、くびれがちゃんとある魅惑のボディライン。

椰子なごみ。屋上でよく会う後輩である。

いつも機嫌が悪いのか、とげとげしいオーラを出している。

生理周期か?と思ったが、昔それを口にしたらカニに本気で怒られたことを思い出し、

手で口を抑える。

 

「・・・・・・人の顔を見るなり、口を抑えるとか。

失礼じゃないですか?」

こちらは顔を見られるなり、舌打ちとガンつけをされているのに失礼じゃないだろうか。

説教の一つもしたくなったが、放っておいていつものお気に入りの場所に昇る。

貯水タンクがある入口真上の場所が一番高く、いろんなものが見渡せる。

ここからの夕焼けに照らされたこの町の景色は俺が一番好きなものの一つだ。

なんだか懐かしい気分がして、胸がちくりと痛む。

 

「・・・・対馬先輩。顔がなんだかおっさんぽいですよ?」

「・・・・・・・・・・。」

後輩の容赦ない罵倒に別の意味で胸が痛んだ。

 

 

椰子さんと戯れ、というか一方的に言葉のナイフで心をえぐられること一時間。

大好きな景色を堪能して、帰路に着こうとした途中、廊下で館長と出会った。

「・・・・ども。」

「おお。対馬か。」

「それじゃ。」

 

それだけ言って早歩きで立ち去ろうとした矢先、

いつの間にか回り込まれていた。

後ろにいたはずなのに、いつ瞬間移動したのか。

とんでもない身体能力だ。

「---以前言ったこと。考え直してはくれんか?」

「・・・すみません。そういうのは・・・。」

前に言われた、弟子にならないかという提案。

それを自分は断っていた。

申し出自体はありがたいのだが、自分にはできる気がしない。

率直で情けなくも、本音である。

 

「・・まあ。その気になったらな。いつでも待っている。

・・・・おお、そうだ。」

「?」

話がまだあるといわんばかりに館長が言葉を続ける。

まだ、何かあるのだろうか。

 

「・・・・鉄 乙女のことは知っておるな?」

「・・・・・。」

鉄。クロガネ。くろがね。くろ--。

頭の中でその名前を思い返し、必死に記憶をたどる。

----そして、走馬灯のような場面展開が次々に出てくる。

 

『れお。料理を作ってやったぞ。残さず食え。

ん?どうした。顔を真っ青にして。遠慮するな。食え。』

 

『れお。一緒に腕立て伏せ200回。腹筋200回。背筋200回だ。

そのあと、10km走るぞ。』

 

『れお。』

『れお。』

『れお。』

『れ---。』

 

「・・・記憶にございません。」

気が付けば、自分の記憶ないと告げていた。

政治家の答弁でもよくつかわれるテクニックである。

少なくとも、俺の記憶にはない。たった今消去したから。

 

「・・・いや、知って。」

「ございません。」

「知」

「ございません。」

「お、おう・・・。」

気迫勝ちしたのか、館長が身を引いた。

単にドン引きされた気もするが。

なんにしても、彼女は俺にとっていろんな意味で要注意人物である。

悪い相手ではない。決して乱暴したりしてこないし、いじめたりはしてこない。

ただ---。

 

 

「・・・レオ?」

「・・・・。」

昔、それもずっとずっと昔に聞き覚えのある声が、俺の名前を呼んだような気がする。

幻聴かな、と耳を叩いても、頭から離れない。

そういえば、両親が言っていた気がする。

"お前もよく知っている人物に、お前の世話を頼んだ。

安心して、二人で暮らせ。なあに、最近流行っているだろ?できちゃった婚"と。

あれがどういうことなのか、それまでは知らなかった。

そして、今知った。知りたくはなかった。永遠に。

 

「----レオっ!!!」

「・・・・うおっ!?」

ハグしようととびかかってきた彼女の突撃をとっさにかわすと、

壁にドゴム、という音を立ててぶつかった。

ぱら、ぱら、と壁に腕がめり込んでおり、首だけぐりんとこちらを向けてくる。

「・・・む?なぜかわす?お姉ちゃんの愛だぞ?受け取れ。」

「・・・・そうだ、館長たすけ--。」

今彼女を抑えられる唯一の人物に助けを求めようと、

館長がいる方を向くと、そこには誰もいなかった。

(・・・逃げやがった!!)

「・・・・そういえば、レオ。」

ボゴム、という破砕音を立てて、壁にめり込んだ体を引っ張りだす鉄さん。

その顔には若干怒りがにじんでおり、目つきが鋭くなっていた。

 

 

「---最近、下着姿の蟹沢に、抱き着かれながら寝ているらしいな?」

「・・・急に風の気分になりたくなったので走って帰ります!!」

「逃がすかぁっ!!!」

 

---こうして、不安しかない共同生活が始まりを告げ、

そして、さらなる波乱の幕があがったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





鉄 乙女
みんな大好き乙女さん。
作中、最強クラスの戦闘力を持つ。
実直、まじめ、誠実な女性。
青のショートカットの髪型に、スタイルの良い体つきが特徴。
料理はできない。なぜかおにぎりは作れる。
原作では、主人公の姉的な立ち場であり、
恋愛感情はなかったが・・・・?
この時空では、へたれではない主人公とよく組手(という名の鬼ごっこ)をしており、
よく戦いをしていた。
地獄蝶々と呼ばれる名刀を持っている。
原作と違い、年上をきちんと敬い、ちゃんと勉学にも励んでいた元おじさんのことを気に入っており、可愛がっていた。
しかし、カニの件について考えると、胸のあたりがむかむかする模様。

椰子なごみ。
なごみん、かわいいよ、なごみん。
ツンツンしている見た目がヤンキーな一年生。
料理がかなりうまい。
しかし、一度気を許した相手にはとことん尽くす。
原作では、チャラ男に絡まれていたところを主人公に助けられ、
一緒に執行部に入った。
この時空では、"あんまりなれなれしいのもあれだよな・・・"という距離感の元おじさんとのやり取りで割と距離感が近い。
母親の再婚相手が気に入らない、というストレスを解消するため、元おじさんに暴言を吐いても、許してくれるところに甘えている。
なので、きっかけがあればころっと行く。
しかし、原作からして嫉妬深いので付き合っていないのにデレると大分やばい。
元おじさん。そろそろ高跳びした方がいいよ。死ぬよ。


執行部に入るところまではもうちょい。

トーナメントの描写、どうしよう。

まあ、ロートルの元おじさんに頑張ってもらうか。
運動不足だったからだが再び動くようになったあの喜びをかみしめたら、
たぶん、元おじさんのテンションが振り切れる。


KEY(ドM)


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元おじさん、体調を崩す~ドーピン〇・コンソメ・スープだ~

こんにちはんこそば。
KEY(ドM)と申します。


今回は、乙女さんとのやり取りと、素奈緒との関係と、生徒会への勧誘まで

それでは、ご覧ください(KBTIT)

KEY(ドM)


衝撃の事実が発覚した。

そう、ここまで生きてきて、本当に今までの衝撃である。

前世の世界でいつも見慣れていた光景。

 

当然すぎて、いつもそこにいるのが当たり前。

しかし、いなくなって初めて大きなショックを受け、

テレビに思いっきり顔を近づけ、叫んだ。

 

「---金〇ロードショーのおじさんが消えているっ・・・!!」

 

同じおじさん(こっちは元だけど)として、リストラされたロードショーのおじさんの行方が

気がかりだった。

 

 

 

 

 

金曜日におじさんロスを味わってちょっと落ち込んでいたが、

土曜日、日曜日と英気を養い、いつも通りの調子になんとか戻った。

そんな俺の姿を見たカニは「あほレオが落ち込んでる。しょうがねーから天使な僕がデッドの限定ポスターくれてやんよ。・・・・ほかの奴には絶対に渡さないやつだからな。

さっさと元気出せよ。」

と言って珍しく慰めてきた。(ちなみに、そのポスターは俺の部屋にすぐ貼り付けた。)

いつか返さないと。

 

お返しに、坂〇九のベストアルバムを渡したら「チョイスが古すぎんだよっ!!」と言われて、ショックだった。(でも、ちゃんと受け取ってくれた。)

 

今度、スバルに頼んで最近の流行を学ぼうと思う。

 

さてはて。かつての姉貴分というあの少女、"鉄 乙女"であるが、彼女は今---。

 

「---おお。おはよう。」

「」

 

----デス・クッキングを行っていた。

楽しそうに紫色の液体が入ったスープ・・・スープ?いや、マヨネーズみたいに半固形物の物体をかき混ぜながら、俺に挨拶してきた。

つん、と思わず鼻をつまむほどの匂いに顔を背けながら聞く。

 

「あ、あの。鉄先輩。」

「む。こら。私のことは乙女さんか、お姉ちゃんと呼べと・・。」

「・・・それは一体?」

「これか?COOKPA〇というサイトで見つけたスープだ。飲んだ人間の力を最大限まで引き出す、ドーピング・コンソメ・〇―プというものらしい。

・・・ふふふ。おにぎり以外にも、料理ができるってところ、ちゃんと見せてやるからな?」

「・・・・・。」

 

もう、何か色々とアレである。

今朝、スバルがなぜ俺を起こしに来なかったのか分かった。

正確には、これなかったのだ。

明らかにやばいものを作っている乙女さんを前にして、

すぐに逃げたのである。

もう、いろいろとこみあげてきて大分まずい。

 

逃げるか?いや、しかし、せっかく作ってくれたし、何よりもこんな少女が私のために作ってくれた料理を食べないなど・・・。

だが、食べたら体調不良になるのは目に見えている。

 

優柔不断。

せめて、撤退するか腹を決めて挑むか決めるかをすればいいのに、それさえできずにその時はやってきてしまった。

 

「ほら。できたぞ。・・・さあ、どうぞ。」

「」

 

ことり、と白の皿に盛られた紫色のスープ。

スプーンでちょっとすくってみると、にちゃぁ、という粘り気が出た。

 

「ああ。そうそう。体にいいと思ってちょっと色々アレンジしてみたんだ。

・・・納豆、ニラ、卵、オリーブ・・・。」

「」

 

不意に、前世での記憶が蘇る。

---メシマズの嫁をめとった友人の憔悴っぷりが目に浮かぶ。

こういうことだったのか。

だから、君はまずくても食べ続けたのか。

あの時は、なぜ彼がそこまでしてそうするかわからなかったが、

こちらをわくわくと期待した目で見ている鉄さんの顔を見て、

無理やり笑みを浮かべて、告げる。

 

「いただきますっ・・・!!」

「うむ。めしあがれ。」

 

---この日、俺は学校を休んだ。

 

 

「」

「おい。起きろよー。・・・・あほれおー。

・・・まったく。体調崩すとか。

・・・心配させんなっての。」

「レオがあんなダウンしたの初めてじゃね?」

「ま、坊主も最近色々と頑張っていたみたいだしな。

寝かせといてやれや。」

 

次の日。

なんとか回復した俺は、学校に登校。

幼馴染のお見舞いや、クラスメイト達からの心配してくれるメールを見て、

ほっこりしつつ、来ることができた。

 

授業を乗り切り、今は放課後である。

帰ろうと思ったのだが、いまだに体が重く、机に突っ伏したままである。

体に無理やり力を込めて立ち上がる。

こんなもの、30代後半から感じ始めた体力の衰えに比べれば、

全然恐ろしくない。

「・・・・ちょっと、屋上でやすんでくる・・・。」

「・・・ま、無理すんなよ。俺は陸上部行くけど、なるべくすぐ帰れよ?

俺も後で栄養のあるもん食わせてやるからよ。」

「・・・早く良くなって、僕を起こしに来いよ。・・・馬鹿レオ。」

「良くなったら、俺のお気に入りのギャルゲ、貸してやるからなー。」

 

「・・・・あー。」

思わず声を出して、少しふらつきながらも歩く。

やっぱり、保健室に行った方がいいだろうか。

しかし、ここからだと位置的にちょっと遠い。

屋上はもうすぐだ。

外の風にあたって寝ていれば、ちょっとは楽になるだろう。

 

重い足取りで廊下を歩いていると、後ろから声をかけられる。

「あっ、あんたっ・・!つし・・・。」

「・・・ん?」

振り返ると、驚いた顔つきで私の顔を見ている近衛さんがいた。

なんだか、ものすごい驚いている感じがする。

どうしたのだろう。

 

「ちょ、ちょっと!!どうしたの?!具合悪そうじゃない!!」

「・・・ああ。」

 

彼女の声に生返事する。

俺の肩を両手でつかんで少し揺さぶってきた。

ああ・・・。24時間戦えますか?、というCMを思い出す。

「----こっち来て!!」

「・・・ん・・?」

ぼうっとする頭で、そんなことを考えていると、

怒った表情の彼女に手を引っ張られる。

どうしたのだろうか。そんなに慌てて。

 

引かれるままに来たのは保健室だった。

あっという間に連れてこられたらしい。早い。

ノックなしで、そのまま中に入る彼女と引っ張られて中に入る俺。

「先生は・・・・。いないか。どっかに行っているみたいね。

・・・・仕方ない。・・・よいしょ、っと。」

「・・・・?」

ベッドを整えて、布団を足元にどかし、彼女がぽん、ぽんとそこを叩く。

「ほら!具合悪いときはちゃんと休みなさい!無理してまで学校に来ないの!

・・・・これ、正論。」

「・・・あ、はい・・・。」

 

そのまま仰向けに寝転がると、彼女がシーツをかけてくれた。

後頭部に感じる枕の感触が心地いい。

だんだんと瞼が下りてきて、あくびが思わず出る。

「ふあ・・・。あ、失礼・・・。」

「・・・何があったかしらないけど、私が見ててあげるから、

寝なさい。先生が来たら、事情説明しておくから。」

「うん・・・。・・・りが・・・と・・・。」

うつらうつらとしながらも、ここまで連れてきてくれた近衛さんにお礼を言う。

本当に良い娘だなぁ。しっかりとしている。

(・・・ああ、なんだか、本当に眠く・・・。)

 

 

「・・・これじゃ、前と逆じゃない。・・・バカ対馬・・・。」

彼女のそんな呆れ声が聞こえた気がした。

 

 

「-----それじゃあ、もう一度言うわね?これは、決定事項なの。」

「・・・・・・。」

 

俺が寝るまでついていてくれた近衛さんのおかげなのか、あの後ぐっすり寝て体調がよくなった。

全生徒が下校時刻となって、保健室の先生に起こされ、無理をしないよう怒られて帰った。

さらに次の日、近衛さんに何かお返しをしないと、と思って最近の週刊誌を見ていると、霧夜さんに生徒会室まで拉致された。

そして、生徒会長の椅子に座りながら、にっこりと笑みを浮かべた彼女が、

開口一番こういった。

 

 

「-----私の生徒会に入りなさい。つ・し・ま・く・ん。」

---私が、近衛さんに付き添われながら保健室で寝ている写真をひらひらと、はためかせながら。

 

 

 

 

 




原作でのエリカはこれぐらいマジでやりそうな娘。

おじさんの高校生にしては達観しているところに興味があって、
勧誘している模様。


乙女さんはいい人。ただし、おにぎり以外の料理ができない。
料理の腕を治そうと努力したが、駄目だったよ・・・となった。
さすがに反省して、これからはおにぎりを極める方向で行く模様。



素奈緒はいい子。典型的なツンデレ。
この時空では主人公と仲たがいしていないし、
定期的にメールとかもしているから、結構仲がいい。
(おさなじみ組はそのことを知らない。カニが知ったら・・・。)
彼女に助けられた恩返しに何を送ろうか悩む、
坂〇九が好きな男子高校生がいるらしい。

金〇ロードショーのおじさん消えて悲しんだのは俺だけじゃないはず。

ちなみに、24時間戦えますか?のCMはバブル時代に放映されていた(実話)

徐々に、おじさんが囲まれていく模様。
自分の体から加齢臭がしないことに喜んでいる場合じゃないぞ、おじさん。



KEY(ドM)


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元おじさん、生徒会(半)キレる~ まるで成長していない~

こんにちはんこそば。
KEY(ドM)と申します。


エリカ(子供)のおねだりに対してのおじさんの反応。

懐かしいネタをどんどんぶっこむから、感想で反応した奴の年齢がわかる仕組み。

ちなみに、せれぶと素奈緒含む全ヒロインがすくわれるハーレムルートは決定事項。

そういえば、初代つよきすの10年後舞台の作品が売られているらしい。

時が経つのは早い。

昔、シャキッとコーンのCMとかあったの覚えている人いる?

え?覚えていない?あ、そう・・・。

ちなみに、おじさんはあの時代を生きていた人間で、
普通に喧嘩とか、刃物ありの乱闘とかやっていたから、
血の気はめちゃくちゃ多いぞ。
(大人として振る舞わなきゃ、という謎の思考回路はあるけど。)

今もたいがいだけど、犯罪率を見ると、
昔の治安の方がやばかったからねぇ。

それでは、ご覧ください(KBTIT)

KEY(ドM)


「あー。帰ろうぜー。・・あれ?レオはー?」

「えーと、さっき姫と一緒にどこかいっちゃったネ。

・・・・なんだろうネ?」

「ぬあにぃ!?この僕を差し置いてあのあほーー!!

見つけ次第僕が秘孔をついて爆散させてやらぁっ!!」

豆花の言葉を聞いたカニは、止めようとしたスバルとフカヒレを振り切って、

二階の窓から飛び降りた。

「どこじゃああっ!!てめぇにはこのかわいい僕がいるだろうがぁっ!!ケダモノライオンっ!!」

「どっちかというと眠れる森の獅子じゃね?」

「意図的に睡眠薬飲んで寝ている感じだけどな。」

 

カニのハイテンションな動きをスルーし、突っ込みを入れる二人。

そんな二人に豆花が首を傾げながら尋ねる。

「・・・二人は心配じゃないのカ?」

霧夜エリカといえば、良くも悪くも校内一の有名人である。

自身が所属しているテニス部にはたまにしかこないのに、来た時には全戦全勝。

校内テストでは常に一位。

気に入らない相手はとことんつぶすし、気に入った遊び相手はとことん弄ぶ。

気を許しているのは彼女が親友と公言している、よっぴーこと佐藤良美だけ。

 

そんな相手に連れ去られたのだ。

一体、どんなことを要求されているのか。

同じクラスメイトである豆花が少し、心配するのも当然と言えた。

 

「・・・・ああ。姫が?そうなのか。・・・・ご愁傷様。」

「はあ!?なんだそれ羨ましい!!俺と代われよーー!!レオ―!!」

スバルは両手を合わせて合掌を、フカヒレはいつもの通り残念さを発揮させる。

そんな反応をするスバルに対して豆花は疑問符を浮かべた。

 

「大方、何か弱みを握って坊主をパシリにでもしようって腹だろ?

他の奴らならともかく、あのレオあいてにねぇ・・・。」

「・・・どういうことネ?」

まるで、姫の方を心配しているようではないか。

豆花はそう感じ、ますます混乱した。

 

 

「---普段ならともかく、本気のあいつに勝てるやつっていないんだよなぁ・・・。」

 

自分の鎖骨の辺りにある傷をスバルは指で指し示し、苦笑いした。

 

 

 

 

「・・・・・・。」

「・・・・・・。」

彼女が手に持っている写真をちらりと眺め見る。

そこには、安らかな表情で寝ている私と素奈緒が写っている。

保健室のベッドで一緒に熟睡しているところだ。

彼女もあの後、寝てしまっていたのは知らなかった。

俺が起きた時にはすでにおらず、保健室の先生の伝言で知ったから。

 

さて、どうしようかと考える。

彼女の顔を覗き見る。

にまにまとした笑みを浮かべている。

ここで彼女の要求をのみ、生徒会に入ったとする。

おそらく、写真はばらまかれずに済むだろう。

----しかし、そのことをネタに、一生ゆすられる。

前世でも、不動産投資や、年金還付の詐欺に巻き込まれた。

この手の脅迫は絶対に一度や二度で終わらない。

 

「----霧夜さん。」

「あら、な・・・。」

 

私の顔を見た霧夜さんの表情が驚愕に浮かぶ。

ああ。一体私はどんな顔をしているんだろうか。

きっと、人に見せられないような表情をしているのだろう。

でも、駄目だ。子供相手だというのに、抑えられない。

頭に血が上ったかのように、自分の声にドスが効いているのがわかる。

 

「---彼女を、傷つけたら、たとえクラスメイトでも、容赦しない。」

---ドゴム、と右腕で木の柱に右ストレートを打ち付ける。

こぶしの皮がはがれるのもお構いなく、何度も、何度も。

ぐちゃ、ぐちゃり、という音を立てて。

「----いいね?」

「----。」

あっけにとられている彼女をしり目に、霧夜さんが持っていた写真をひったくり、

びりびりに破いて床に捨てる。

ドアを閉めて、外に出る。

 

(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・やってしまった。)

廊下に出た瞬間、膝をついて落ち込む。

 

(相手はまだ15、16の子供だぞ?何をやっているんだ!?私は?!

・・・・うう。でも、ちゃんと拒否しないと後々大変なことに・・・。

だからと言ってあんな・・・。)

きりきりと痛む胃を右手で抑える。

はあ、とため息が漏れる。

スバルや、フカヒレたちが危ない目にあったときと同じだ。

これでは中学生のころから変わっていない。

80歳以上の精神年齢のはずなのに、中身がちゃんと成長していないのだろうか。

 

(・・・・後日、霧夜さんに謝ろう。・・・うん。そして、

館長に正直に言って、反省しよう・・・。)

近衛さんへのプレゼント以外に、霧夜さんへのお詫び品を見繕うことにしたのだった。

館長や鉄さんには怒られるだろうなぁ、と自業自得ながらも憂鬱になった。

 

 

「・・・・。」

男が立ち去るのを呆然と見送った。

それは、彼女にとって初めての経験であった。

---自分の勧誘を、はっきりと断るなど。

それまで、権力と、自身の知力、体力を使って邪魔者を排除し、屈服させてきた霧夜エリカという少女は傑物である。

間違いなく、10年に一人いるかどうかの才女である。

それにふさわしいだけの才能と、努力を積み重ねてきた人間である。

 

彼女の言うことに従わなかった人間はいなかった。

弱みを掴み、それとなく"お願い"すればどんな相手も意のままに。

 

しかし----。

 

(・・・・・へえ。)

柱にくっきりと残ったこぶしの後を見る。

一体どれほどの力で殴ればこんなことになるのか。

血が垂れている。

はがれた皮が少し引っ付いている。

 

対馬レオ。

成績は中の上。体育やその他科目は平均よりやや上。

クラスメイトや、そのほかの生徒たちとの人間関係は良好。

真面目な生徒として、教師たちからも好かれている。

あの、鉄先輩の従弟である。

はっきり言うと、興味本位だった。

この写真を使って、奴隷のようにこき使おうと思っていた。

 

ばらばらに破かれた写真を拾い上げる。

 

---幸せそうに、何の警戒心も抱かずに彼に寄り添っている一人の女子生徒。

伊達スバルならともかく、女子にモテるような見た目とは思えないが、一体、どんな人間なんだろう。

 

彼女は口角を吊り上げる。

一瞬とはいえ、自分が恐怖を感じさせられたなど、認められない。

上に立つ人間は、そんな振る舞いを決してしてはならない。

 

(・・・・対馬、レオ。・・・・面白いじゃない。)

 

新しいおもちゃを見つけたように、無邪気に彼女は笑った。

 

 

 

「・・・・・・。」

「おい、またレオが突っ伏しているぞ。・・・今度は何を乙女さんに食わされたんだ?」

「いや、それとは別件だろ。・・大方、あの包帯まいている右こぶしが原因だろう。」

「てめぇー!!何で昨日こぶしから血を流していたんだおらぁっ!!ずーーーっとだんまりだしよぉっ!!言えないことか!?言えないことなんか!?僕を心配させるなんて生意気なんだよこらぁっ!!」

べしべし、と涙目のカニにぺしぺしと頭をはたかれながら、昨日のことを思い出してはため息をつく。

あの後、保健室に向かった俺を探していたカニと出くわし、怒られた矢先、右こぶしから血を流しているのに気が付くと、慌ててつばをつけようとしてきた。

気持ちはありがたいが、そこは保健室に連れていくだけでよかった。

血をなめてどうにかしようなど不衛生極まりない。

 

事情をとりあえず館長に話した。(ただし、写真のことうんぬんはぼかして。)

反省文を10枚書かされ、説教もされた。

今度から、拳法部のサンドバッグを使うように注意を受けた。

そんな俺を待っていた寝てしまったカニをおぶって帰ると、

乙女さんが台所でおにぎりを作っていた。

 

『おお。レオ。おかえ・・・。・・・。』

『鉄先輩。ただいま戻りました。・・・・どうしました?』

『・・・・それは?』

『え?・・・あっ。』

 

さっと包帯を巻いている右こぶしを隠した。

手袋か軍手でもしておけばよかった。

目が笑っていない鉄先輩が肩を掴んで締め上げてきた。

 

『・・・ほう。そのうえ、その右こぶし・・・・。

・・・とりあえず、そこに座れ。』

『・・・ハイ。』

『・・・zzz』

離れず、寝続けるカニを抱っこしながらソファーに座り、

説教を2時間ほどされた。

途中、カニが胸元に頭をこすりつけたのが不純異性交遊に見えたのか、

ますますヒートアップして大変だった。

 

反省文を書いて、館長からも怒られたことを話すと、

そのあとはすぐに解放してくれたが、申し訳ないことをしてしまった。

鉄先輩にも改めて謝らなければならないだろう。

 

あと、近衛さんの悪評が立っていないか気でじゃなかったが、

どうやら杞憂だったようである。

 

 

「・・・・つ・し・ま・く・ん?」

「・・・・・ん?」

俺の名を呼ぶ声がしたので顔をあげてみると、

霧夜さんの顔がドアップで映った。

・・・・・・・。

すぐにまた突っ伏す。

 

「こらっ。無視しないっ。生意気っ。」

先日のこともあって若干気まずいが、

教室で注目を浴びてしまっている以上、

対応するしかない。

若干、警戒しながら話を聞く。

 

「・・・・何?」

「・・・・お願いがあるの。」

「・・・・・。」

その言葉に、また頭に血が上りそうになり--。

 

 

「----落ち着けや、坊主。」

「・・・・悪い。」

頭にポンとスバルの手が置かれた。

いかん、いかん。

先日のような破壊行為をするわけにもいかない。

そして、彼女はにっこりと笑みを浮かべて言った。

 

 

「---生徒会に入ってほしいの。力を貸して。」

「・・・・いいよ。」

 

---そういうのはずるい。誠実さには誠実さで返すしかないじゃないか。

どうやら、彼女は俺が思っていた以上にちゃんとしていた娘であったらしい。

 

後日、俺と幼馴染たち、そして俺に借りがあるからとのことで、

椰子さんも生徒会に入ったのだった。

 

 




おじさんはキレると止まらない。
例えるなら、相手を殴ろうとしたこぶしが外れて、壁に当たっても気にせず振りぬき、
骨が砕けた腕でさらに殴り掛かる人間。

中学の時、素奈緒やスバル関連で不良が彼らに手を出そうとしたとき、
全治2週間のけがを負って、全員倒している。

ただし、二回目の姫の勧誘の仕方みたいにちゃんと誠実に頼むと、
断らない。
霧夜エリカに、自分が感情をあらわにした部分を見られた恥ずかしさと罪悪感もあったので了承した模様。

みんなは、ジムに行って発散するなりして落ち着こう(経験談)

ちなみに、乙女さんが最初に。『何を見て怒りをあらわにしたのか』、
わかる人は察しがいいぞ。
(少なくとも、レオの右こぶしではない。)

姫がアップを始めたようです。
あそこで怒りをあらわにせず、従っていたら単なる取り巻きとして。
突っぱねていたら興味を失っていたのに、選択をミスったくさいおじさん。

やっとスタート地点に来た・・。

でも、まだせれぶは出て来ていない。

そろそろほかの人がつよきすの続きを書いてくれてもええんじゃよ?

というか、もっと作者増えろ。
宇宙の膨張より早く増えろ。



KEY(ドM)


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元おじさん、合宿に行く~聖・飢・〇・IIなサバイバル~

こんにちはんこそば。
KEY(ドM)と申します。


東洋の魔女知っている人はガチおじさん。
バブル世代より20年前とはたまげる。

リーマンショックでさえ十年以上前の出来事とは
時が経つのは早し。

今回は、みんな大好き生徒会合宿編。

エロはIFの個別エンドか、誰かとのフラグが消化されたら。


それでは、ご覧ください(KBTIT)

KEY(ドM)


「パスパース!!」

「おんどりゃあああっ!!死ねやぁぁっ!!」

「うわっ!!馬鹿っ!!顔面狙ってんじゃねーぞ!!」

「あー。よっぴー。日焼け止めぬってー。」

「エリー・・・・。だらけすぎだよう。」

 

燦燦と照り付ける日差し。

ビーチ際で跳ねる人の影。

バレーボールを楽しむカニたち。

かたや、設置したシートに寝転がり、サングラスをかけながら

パラソルの下で涼む霧夜さんと佐藤さん。

うむ。みんな元気そうだ。

 

「くらえいっ!!」

「ちょっ!!地面がえぐれぎゃあああっ!!!」

「フカヒレが死んだっ!!」

「この人でなしっ!!」

鉄先輩のスパイクを喰らって、フカヒレが数十メートル吹き飛ばされるという、

些細な出来事もあったが誰もかれもが楽しそうである。

こんなバカンスを楽しんだのは、経費でハワイまで行った時以来だ。

あの時はバブリーで、寿司屋をはしごしたりもしたものだ。

「・・・・・・だらしない。混ざらないんですか?」

 

ふああ、とあくびを抑えながら寝転んでいると隣で座っていた椰子にあきれ顔でそういわれた。

その問いに対して右手の包帯を見せると、納得したのかうなずいた。

自業自得なので完治するまでは我慢である。

「椰子さんは?やらないのか?」

「・・・・一人の方が好きなんで。」

「・・・・・・・。」

君の隣に俺がいるのはいいのか・・・?という疑問が口から出そうになったが、

キレられそうだったので黙っておく。

女性はころころと気分が変わる生き物だ。

 

あ、今度はカニが鉄先輩のスパイクを喰らって海まで飛ばされた。

大変そうだな―、とぼーっと海を眺めていると顔に冷たいものがぴしゃっ、とかけられた。

ぽたり、ぽたりとしずくがしたたり落ちて、ビニールシートを濡らす。

いつの間にか目の前にいた水鉄砲を両手に構えたカニが、舌を出して挑発し、背を向けて逃げていくのが見えた

 

「ぎゃははははははっ!!すました顔をして、傍観者ぶっているからそうなんだよっ!!悔しかったらここまで来るんだねっ!!」

「・・・・・・・・・・・・ぷっ。」

隣にいた椰子さんがツボにはまったのか、く、くくく・・・と笑いをこらえている。

 

なるほど。

・・・・なるほど。

つまり、この私に喧嘩を売っているわけだな。

そうかそうか。君はそういう奴だったんだな。

昔読んだ小説の一文を思い返し、バッグに入れてあったそれを取り出す。

 

「・・・・なんですか、それ?」

「対、カニ迎撃用ウォーターバズーカ。

・・さ あ 蟹 工 船 に 出 荷 だ。」

----ビーチに、カニの悲鳴がこだました。

 

 

生徒会に入って幾日か経ち、みんなで近くの烏賊島まで合宿に行くことに。

日帰りで遊びに行って、親交を深めようという趣旨である。

面白いもの好きの霧夜さんはノリノリで承諾。

館長からのお誘いに即答した。

 

で、船に乗せられてやってきたのがここ、烏賊島。

無人島であり、成績の悪い学生が島流しされる場所でもある。

ちなみに、フカヒレとカニも流されそうになったことがある。

(補習を死ぬ気で頑張っていたので回避したが。)

 

今は、みんな思い思いに遊んだり、ゆったりしていた。

ビーチに設置されているリクライニングシートに寝そべり、グラサン越しに太陽を見る。

(・・・・・久しぶりだなぁ。)

バブルが崩壊してからというものの、こういったバカンスとは無縁だった。

経費削減のために社員旅行などはカットされ、給与もなかなか上がらなくなったのは、

今でも苦い思い出である。

「・・・こ、の・・・馬鹿レオ―・・・。手を休めてんじゃ・・ねーよ・・。」

「・・・・。」

先ほど喧嘩を売ってきたカニは、俺の持ってきた水大砲によって、

ノックアウトされ、俺が寝そべっているシートの上に転がってきていた。

頭を撫でてやると、うあー、と気持ちよさそうな声を上げた。

・・・ちょっとやりすぎたか?こちらも童心に返って、夢中で遊びすぎた。

でも、楽しかったな。

 

「・・・対馬。飲み物とって。」

「・・・・ああ。」

近くで立っている近衛さんにスポーツドリンクが入った水筒を渡す。

それを受け取った近衛さんはおいしそうにんぐ、んぐと飲んだ。

「あんがと。おいしー。・・・ところで、あんただらけすぎじゃないの?

上脱がなくって暑くないの?」

「・・・こうしているのが好きなんだ。」

「・・・ふーん。」

そう言って口を閉じる近衛さんは、俺が寝そべっているリクライニングシートに腰かけてきた。

隣にもう一つあるのに、どうしてか。

「・・・・・。」

「・・・・・・・。」

 

生徒会ではない彼女がここにいる理由。

それは、演劇部の部費をあげようと霧夜さんに直訴しに来た時のことである。

『---じつに良い。良いぞぉ。』

合宿があることを伝えに来た館長にその気概を気に入られて、

合宿に参加となったのである。

(その代わり、部費をちょっとあげてもらえるようになったとか。)

 

 

気まずさ・・・とはまた違う沈黙。

保健室の一件もあって、彼女のことを意識してしまっていた。

(・・・・落ち着け。彼女はまだ、15,16の子供。・・・・決してそのような目で見るのは・・・。)

しかし、ピンク色のかわいらしいビキニを着た彼女の美しいボディラインが目に入ってしまい、ますますドキドキする。

 

「・・・おいごらぁ。このあほレオ。なにそんな釣り目ツインテールの水着姿をまじまじとみているんだごらぁっ!!」

腹のあたりをつねられ、痛みを感じた。

俺の上で寝そべっていたカニが顔をあげ、怒りの表情でにらみつけてくる。

「・・・見ていない。」

「嘘つけっ!!僕にはわかるもんねっ!!そんなのより、僕の大人なスタイルに悩殺されろやっ!!」

「・・・お、とな・・?」

「・・・お、とな・・?」

「よし、二人ともぶっ殺す。」

近衛さんとまったく同じ反応を返すと、カニが襲い掛かってきたので、

両脇に手を入れて、高く掲げて無力化する。

じたばたと、背中をつままれたザリガニのように抵抗し続ける。

「こんなので僕を止められると」

「・・・・・。」

「わーい♪」

 

上にたかいたかーい、と放ってキャッチするときゃっきゃと楽しそうにカニがころころと笑う。

彼女が単純で助かった。

 

「「・・・・・・。」」

隣にいた椰子さんと近衛さんからは、若干白い目で見られて視線が痛かった。

 

途中、すっぽ抜けたカニが他界他界しそうになるというハプニングもあったが、

平和であった。

 

 

 

「バーベキュー!!テンションあがるぜええええっ!!」

「海辺でバーベキューなんて初めてだ。」

「俺もだわ。・・・それにしても、女子達のバレーボール風景・・・・最高だった・・。ぐへへへ・・。」

「キモイ」

「キモイ」

日が落ちかけて夕方になり、夕食を準備することに。

ボートの冷蔵庫にしまってあった大量の肉と、そのほかの野菜をビーチまで運び、

バーベキュースタンドの上に並べていく。

じゅうじゅうという肉の焼ける音が食欲をそそる。

 

「はふっ!!はふはふはふっ!!むほほぉっ!!うんめええええっ!!」

「カニ。野菜も食べた方がいいぞ。」

「はんっ!!時代は肉食系女子っ!!僕はそんな受け身じゃないもんねー!!」

「・・・肉ばっか食っていると、美容に悪いぞ。」

「たまには野菜もいいよねっ!!」

「おっ。椰子。なんだこの味付け?さっぱりとしてて上手いな。

・・・後で教えてくれよ。」

「駄目です。・・・・秘密のレシピですから。」

「はい、あーん。」

「あーん♪んー。よっぴーが食べさせてくるとさらにおいしいわー♪」

「鉄先輩。どうぞ。」

「お、ありがとう。・・・気が利くな。レオ。」

「いえ・・・・。」

 

みんな思い思いに肉や野菜をのっけては焼いていく。

カニが肉を片っ端からとってしまい、とりにくい場所にいる鉄先輩の分を確保し、

彼女に渡す。

飲み会の幹事や、下準備をやりすぎて、自然と裏方に回ってしまっていた。

とはいえ、一人くらいは黒子に徹した方がみんな楽しめるだろう。

彼らはまだまだ子供。で、あればぞんぶんに青春を謳歌してもらおう。

 

「ところで、館長は?」

「そういえば・・・・。」

バーベキュースタンドを運んだと思ったら、姿が見えない。

一体どこにいるのだろうか。

ひとしきりみんなでバーベキューを堪能し、

カニやフカヒレが砂浜に転がる。

 

「ちょー食ったー。もう動けねー。幸せ―・・。」

「俺も食ったー。へへ・・・。普段ねーちゃんに旨いもん奪われていたから、

久しぶりに人間的な食事ができてうれしいぜ・・・。」

フカヒレの食事事情に目元を覆うと、何やらエンジン音が聞こえてくる。

「・・・?ボートの?」

「・・・・・・。」

その音に気が付いた俺と鉄先輩は顔を見合わせ、

そして、ボートが泊っているところまで走る。

 

----そこには、遠くまで行ってしまい、小さく見えるボートの姿があった。

 

 

(・・・・・・チョベリバ。)

思わず死語を口ずさんだ。

 

これが、二日間に渡るサバイバルの始まりであった。

 

 




原作でも、合宿編ではマジでこんな感じ。

ただし、素奈緒は当時は追加ヒロインだったので、
彼女のルートに入ると、彼女と二人っきりで島で過ごすことに。
館長自ら不純異性交遊を進めるって・・・・。

かたくなに服を脱ごうとしない元おじさん。
なんでだろう~(テツ&ト〇)

チョベリバ知っている人はまだこの世にいるはず。
というか、いてくれ。

東洋の魔女知っているのはさすがにいねぇだろ・・・。

他界他界
とあるニコニ〇な動画のネタ。
たかいたかーいと、あの世に行く他界を掛けたハイセンス。
ちなみに、公園のブランコで、思いっきり漕いでからジャンプすると本当に、
他界他界しかねないので絶対にやめよう(経験談)

主人公との距離感

カニ=素奈緒=よっぴー>乙女さん>>>椰子>>>>>>姫

誰か一番距離感近い奴らを止めろ。
おじさんを助けて差し上げろ。

なお、姫と椰子もここから上がっていく模様。

ビーチでリクライニングシートに座るのマジで気分いいから
やったことない人におすすめ。

次回は合宿編の続きから。

感想、くれ。

やる気出るからくれ。

KEY(ドM)



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元おじさん、合宿に行く~気分は岩〇王 バイク売るならバイ〇王~

こんにちはんこそば。
KEY(ドM)と申します。


モンテ・クリスト伯はお勧めの小説。
普通に面白い。

バイク〇は今の若い子にも通じるはず。

感想で、チョベリバしっているの多くて笑った。

銭湯から出たら、腰に手を当ててコーヒー牛乳、とかも今や昔。


それでは、ご覧ください(KBTIT)

KEY(ドM)


 

館長に置き去りにされた後、今後の方針をみんなで話し合うことに。

小屋には館長からの手紙があり、協調性がなさすぎるから、土日にここで過ごして、

身に着けろとのこと。

無茶苦茶もいいところである。

 

で、そうなると当然問題となるのが食糧。

小屋の中には水はあるが、食べ物がそんなにない。

ここ、烏賊島に自生してる食べ物には毒はないらしいが、

かといって食べられるかもわからない。

霧夜さんと年長者の鉄先輩が指揮を執り、今後の方針を立てることに。

 

料理が得意な椰子さんとスバルの2人が調理係に任命。

霧夜さんと鉄先輩は司令塔に。

佐藤さんと素奈緒はサポート係。

俺たち男子は力仕事担当となった。

 

ちなみにカニは"特攻隊長"に任命され、はしゃぎまわっていた。

あほである。

 

「----なので、男子は入浴中と着替え中にこの国境を越えてきたら死刑ね♡」

「・・・・あの、バチカン市国の10分の1くらいしか国土がないんですが・・。」

「国土を拡大したいんだったら食べ物持ってこいや。さっさとしろよミツグ君。」

「ふざけんなこのスベスベマンジュウガニ!!せめてメッシーって言え!!」

「怒るところはそこなのか・・・・。」

懐かしい言葉で罵りあうカニとフカヒレ。

ちなみに、カニたち女性陣は豊かな国土を持っているが、俺たち男性陣は、

警戒(おもにフカヒレ)されて、ご覧のありさまとなってしまった。

普段の行いからすれば、当然の対応といえよう。

 

「じゃあ、私たちは入浴しに行ってくるから来ちゃだめよ。

・・・・あ、対馬君は来る?」

「「「!」」」

「いかんいかん。」

霧夜さんが怪しい目つきでそう言ってきたので、

顔の前で手をぶんぶんと横に振って否定する。

そんな俺の反応が面白くないのか、むー、とうなる彼女。

何か言いたそうにしていた佐藤さん、カニ、近衛さんともどもを引き連れて、

入浴場まで向かった。

 

「・・・しかし、こうなると暇だな。」

「ああ。・・・・星がきれいだなぁ。」

やることもないので、スバルと二人で星を眺めながらしみじみと感慨にふける。

電気がないとやはり不便である。

 

 

「・・・・さて。覗きに行きますか。」

「・・・・・・。」

そんな空気をぶった切って、口を開いたフカヒレが自殺宣言をした。

こいつは話を聞いていたのだろうか。

ばれたら冗談抜きで死刑になるであろうに何というチャレンジャー。

最近の若者はこんな感じが普通なのだろうか。

「おい、フカヒレ。さすがにそりゃまずいだろ。やめとけって。」

「・・・・さすがに、こんな時に・・・。」

「うるへー!!そこに温泉があるから、覗きに行くんだよ!!」

登山家の名言を、迷言に変えて断言したかと思うと、

あっという間に入浴場のある方まで走っていった。

----っと。今回ばかりはさすがに止めないとまずい。

こんな状況で女子達から怒りを買ったら、本当に水とか飲めずに死んでしまいかねない。

 

その後ろを追いかけると、壁を石伝いに登っているのが見えた。

ものすごい身体能力である。

普段からあの力を出して入れば、女子からも多少はモテ・・・ないか。

フカヒレだし・・・・。

 

危ないので戻るように語り掛ける。

 

「おーい!!フカヒレ!!やめろ!!戻るんだ!!」

「はっ!!チキンめ!!こんな時、男だったら覗き一択だろ!!」

「いや、そうじゃなくって・・・。」

「へっへっへ!!桃源郷は…俺が一番乗りだああ!!」

かさかさとゴキブリのように這い上がり、頂上部に差し掛かろうとしたその時、

ぶしゃあああああっ、と勢いよく水流が噴出し、フカヒレを弾き飛ばした。

 

「あーれーーー!!!」

文句のつけようのない美しいイナバウアーをしながら、

海まで吹き飛び、どぼん、と落ちていく。

 

 

「・・・・・・・・・寝よう。」

 

スバルのところまで戻り、一足先に寝るのだった。

 

 

 

同時刻。

フカヒレが間欠泉によって吹き飛ばされたとき。

女子達は入浴場でゆっくりと温泉につかっていた。

「・・・・ん?今誰かの声が聴こえなかったか?」

「えー?フカヒレくんあたりが覗きに来たのかしら?

・・・さいてー。」

「いや、レオの声が聴こえてきたような気が・・・。」

「「「!!」」」

「ま、まさかぁ!!鮫永くんならともかく、対馬君はそんなことしないですよう!!」

 

事実ではあるが、フカヒレに大分ひどい扱いをしているよっぴー。

他の女子達もそわそわと体を動かし、それとなく下を見ようとしている。

そこには、見慣れた男の後ろ姿があった。

頭をぽりぽりと掻いて、ビーチまで戻ろうと歩いていた。

 

(よかった・・・。あんたが本当に覗きに来なくって・・・。)

(・・・けっ。意気地なし・・・。)

ホッとするものと、イラっとするもの。

その心のうちは三者三様である。

 

 

「ところでだ。そろそろ体育祭だが、みんな何に出るか決めたか?」

んー、と伸びをしながら他の女子達に問いかける乙女。

ばるん、とその凶悪な胸が大きく弾み、カニと素奈緒はすっと目を細め、

とげとげしいオーラを放つ。

眼福、眼福、と笑みを浮かべながら近くにいたエリカが答える。

 

「めんどくさいから楽そうなのに出ます。」

「エ、エリー・・・。もうちょっと真面目にやろうよ・・・。」

「ボクは騎馬戦!!全員の頭引っこ抜いてやらぁっ!!」

「・・・・・。」

「私は、リレーに出ます。鉄先輩は?」

「うむ。まあ、出れるだけ出て、クラスに貢献しようと思う。」

 

竜鳴館における体育祭。

スポンサーや、地元のテレビ局が取材に来たりするお祭りである。

中でも、"格闘トーナメント"は一押しであり、K1形式での喧嘩。

勝った生徒のチームに大量得点となる。

優勝候補は喧嘩が強い伊達スバル、拳法部の村田である。

毎年、大盛り上がりであり、男子たちは女子にいいところを見せるため、

トーナメントにエントリーする者も多い。

 

「伊達君は陸上部だし、リレーに出てもらいたいよね。」

「スバルは足はえ―かんなー。ま、2-Aの貧弱坊やどもじゃ相手になんねーよ。」

「何ですって!!この幼児体型!!」

「言ったな!!このありあわせの追加ヒロインがぁっ!!」

「PS2版は関係ないでしょうがぁっ!!」

売り言葉に買い言葉。

お互いに取っ組み合う素奈緒とカニ。

そんな二人を無視してエリカは乙女に向き直る。

 

 

「そういえば、対馬君はどうするんでしょうねぇ?」

「む。レオか?」

その質問に対し、それまで取っ組み合っていた二人は耳を澄まし、

よっぴーも盗み聞きしようとしていた。

椰子は興味ないような態度をとりつつも、目線を時折乙女たちの方に配っていた。

 

「彼ってそんなに運動できるようには見えないんですけどねー。」

「・・・?いや、そんなことないぞ?」

エリカのとぼけた言い方に首を傾げる乙女。

そんな彼女の反応に対し、疑問符を頭に浮かべるエリカ。

2人の中で何かがすれ違っていた。

 

「----子供のころ、私はあいつに勝てなかったからな。」

 

---乙女の衝撃の発言に、ふろ場の空気が静まり返った。

 

 

 

 

 

「シンイチ オウチ カエル」

「・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・。」

そのころ、レオたちは冷たい海につかりすぎて、

ETみたいな片言になってしまったフカヒレの介抱をしていた。

レオは、昔、映画館に見に行ったっけなぁ・・、懐かしい。と和んだ。

 

 

 

 





格闘トーナメント
竜鳴館の目玉種目。
エントリーした男子生徒たちがK1方式で1対1のタイマンで勝負する競技。
優勝候補はスバルと村越の2人だが・・・?

ミツグくん
女に貢がされる男の事。

メッシー
食事代代わりに使われている男の事。

シンイチ オウチ カエル
ETのセリフパロ。
鮫永くんは公式で猿顔設定だから、帰る先は猿の惑〇かもしれない。

PS2版追加ヒロイン
素奈緒さんのことをシナリオからハブるのはやめて差し上げろ

次回は合宿編の続きから。

釣りしたり、山菜を取りに行ったり、いろいろ働かされる社畜のおじさん。


感想、くれ

やる気出るからくれ


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元おじさん、合宿に行く~mountain ocean sun がモ〇バーガーの正式名称とは知るまい~

こんにちはんこそば。
KEY(ドM)と申します。

マッ〇、モ〇、ウェンディー〇、バーガーキ〇グ、フレッシュネ〇バーガー・・。

1970年代からいろんなハンバーガー店が増えたなぁ、と感じるこの頃。

みんなはどこが好き?

俺は








ケンタッ〇ーのリングビスケット
(ハチミツつけて食べるあのクッソ美味いやつ)


おじさんの本気モードは後々。

体育祭で見れるかもよ。

それでは、ご覧ください(KBTIT)

KEY(ドM)


一夜明けて朝日が昇るのと共に、目を覚ます俺たち。

スバルはそれまで熟睡していたのか、あくびをし、

フカヒレは自分の指と指を突き合わせて「ト・モ・ダ・チ」と、

1人ETに興じていた。

俺も同じく目を覚ましているので、2人に挨拶する。

 

「おはよう。」

「おう。おはようさん。・・・腹減ったなぁ。がっつりいきてぇや。」

「・・・・ここは誰?私はどこ?」

変な電波を受信しているフカヒレを放っておき、

辺りを見回す。

 

相変わらずの砂浜と、青い海。

そして、遠くに俺たちが暮らしている本土が見える。

館長が来るまであと二日。俺たちはここにいなければならない。

「女子達は?」

「起こしに行ってもいいが・・・。」

さすがに、朝一番に女子たちがいる場所に足を踏み入れるのは憚られた。

鉄先輩や、カニにどんなことをされるかもわからないし、何よりエチケット的な問題も感じる。

スバルも苦笑いして首を横に振っている。

起こさなかったら起こさなかったで面倒なことになりそうだし、

かといって、起こしに行ったらそれはそれで怒るだろう。

 

ちらり、とフカヒレを横目で見る。

 

「大きな星が点いたり消えたりしている。アハハ、大きい...彗星かな。イヤ、違う、違うな。彗星はもっとバーって動くもんな。」

「・・・・・。」

「・・・・・・・。」

スバルと二人で顔を見合わせる。

「・・・そういえばフカヒレ。」

「暑っ苦しいなココ(烏賊島)。ん...出られないのかな。おーい、出して下さいよ...ねぇ。」」

「よっぴーが今、裸で寝ているってよ。」

「なあにぃ!?それは大変だ!!今すぐ俺が温めにいってやらないと!!

待ってろよっぴー!!今、君の鮫永くんが迎えに行くからなー!!」

「あ。」

俺が止める間もなく、精神崩壊から立ち直ったフカヒレが女子達が寝ているであろう小屋まで突撃する。

 

「---鮫永新一!!突貫します!!」

 

---入った直後、小屋から吹き飛んで砂浜に頭から突っ込んだ。

しばらくじたばたしていたかと思うと、ぴく、ぴく、と数度痙攣し、しんと静まり返った。

 

「・・・・・南無。」

「・・・・アーメン。」

スバルは念仏を、俺は十字を横に切った。

 

 

「それじゃ、手分けして食糧を探しましょうか。」

「おおーー!!島中の食糧を狩りつくしてやるぜえええっ!!」

霧夜さんの言葉に、頭に葉っぱでできた冠をつけつつ、木の枝を片手にあっという間に走り去ってどこかに行くカニ。

自然に還ったのを確認し、自分の担当である釣りをするために海辺まで移動する。

「えーと。これをつけて、これを・・・・。」

簡素な出来の釣り竿であるが、何とかエサはあったので魚は取れそうである。

よいしょっ、と後ろからひゅん、と釣り竿を海辺まで投げて放っておく。

さて、持ち込んでいた小説でも読むか。

こっそり内緒で持ってきていたシェイクスピアの"オセロ"を広げて、

読み始める。

 

生前、日本文学もたしなんでいたが、海外のものはあまり読んだことがなかったので、

こっそりと読んでいる最中である。

ぺら、ぺら、とページをめくっていくと頭をぺしっ、とはたかれる。

「・・・こら。ちゃんと真面目にやんなさいよ。」

「・・・・・・・・。」

後ろを向くと、俺と同じような釣り竿を持った近衛さんが後ろに立っていた。

・・・・そういえば、彼女も俺と同じく、魚担当だったか。

俺と同じ手段で捕るつもりらしい。

「魚が釣れるまで暇だから・・・。」

「だーめ。・・・ん?あんた、難しいの呼んでるわね。」

俺が読んでいる本に気が付いたのか、興味深そうに眺める近衛さん。

隣に座ってきているが、甘い匂いがふわりと風で伝わり、少しどきりとした。

水着姿ではなく、制服であるというのに。

 

「・・・そういえば、近衛さんは演劇部だったか。今年の体育祭はどう?」

「ぼちぼちね。・・・・やる気ある子とない子に分かれているし・・・。

でも、あたしはあたしの仕事をちゃんとやるわ。部長ですもの。」

にっ、と勝気な表情で笑う彼女。

・・・よかった。中学時代はそのまっすぐすぎる性格から孤立しかかっていたが、

どうやらもう心配はなさそうだ。

本に目を戻し、魚を待ちながら読み続けていると、近衛さんが口を開いた。

 

「・・・・あのさ。」

「・・・・ん?」

彼女の方に視線を向けると、何やらもじもじと体をよじらせている。

まさか、トイレだろうか・・・?

しかし、気が付かないふりをして、話を聞き続ける。

「体育祭。フォークダンスがあるでしょ?」

「・・・・ああ。そういえば・・・。」

去年はどうしたんだったかな、と首をひねる。

適当に過ごしていたので、記憶にない。

「・・・・よかったら、あたしが・・・・。」

「・・・レオおおおお!!」

「うおっ。」

 

近衛さんが何か言いかけていたその時、

遠くから俺を呼ぶ声が聴こえてくる。

カニだ。

 

「新種のカブトムシみっけたぞ!!全部捕まえて、

僕とお前で昆虫王者と、王女になろうぜーーー!!」

「・・・・。」

食糧は・・・?

 

結局、近衛さんはその後、むすっとした顔で終始不機嫌となり、

気まずい雰囲気の中、釣りを続けたのだった。

 

 

「じゃーん。今日のりざるとー。まずは鉄先輩から―。

・・・よっぴー。ドラムロールやって。」

「え!?え、えーと・・・。

どぅ、どぅるるるるるるるる・・・。うう・・・。」

霧夜さんの無茶振りに応えようと、けなげにドラムロールを口ずさむ佐藤さん。

恥ずかしくなったのか、途中から顔が真っ赤である。

 

「じゃん。---何と、10匹も魚を捕まえてくれましたー。

ぱちぱちぱちー。あー、おなかすいたー。」

「うむ。あまり捕りすぎて生態系を壊すわけにもいかんからな。

必要な分だけ捕ったぞ。」

大方、海をこぶしでたたき割り、打ち上げられた魚を捕まえでもしたのだろう。

本当に同じ人間かどうか疑わしくなる。

少なくくとも、これで飢える可能性はほぼほぼなくなった。

 

「つぎー。伊達君と鮫永君ー。」

「なんか、ウドとか取れたぜ。これだったら食えるだろ。」

「あっ、ねーちゃんやめて。ドクダミだけで生きていくのはつらいよぉ・・・。」

ニヒルな笑みを浮かべるスバルと、トラウマが発症したのか、

ぶつぶつとつぶやきながら体を震わせるフカヒレ。

山菜はそこそことれたらしい。

 

「つぎー。特攻隊長のカニッち。」

「ふっふっふ。泣いて喜べやてめーら!!」

自信満々にない胸を張り、どや顔を浮かべるカニ。

虫鳥かごを取り出したのを見て、手で顔を覆う。

 

「じゃじゃーん!!この島にいるカブトとクワガタ全部取ってきたぜっ!!

今日からボクのことを昆虫王女、ムシクイーンってあがめな!!単細胞生物ども!!」

「・・・・。」

椰子さんがざっ、ざっ、とカニの近くまで歩いていく。

怒っているのだろうか。

それにしては表情が穏やかな気が・・・。

 

「おっ?なんだてめー?羨ましいんか?羨ましいのか?!

でもおめーにはやんねーよ!!ばーか!!」

「・・・・・・・・。」

違う、あれは怒りすぎて真顔になっているだけである。

それなりに彼女の色々な部分を見たことはあるが、

あれは特にまずいときである。

かつて、ちゃらついた生徒が彼女にちょっかいを出したときも、

あんな感じの顔をしていた。

 

---そして、椰子さんはカニの虫取りかごをひったくると、

あっという間に出口を開放して、すべての虫をリリースした。

 

 

「ボクの金がああああああ!!」

「売るつもりだったのかよ!!」

カニの悲痛な叫びがこだまし、フカヒレの突っ込みが響く。

 

「ココナッツゥ・・!!てめー、今度ばかりはマジでゆるさねー!!

ここで干からびていきなぁっ!!無縁仏として土に還してやらぁっ!!」

「・・・食材を持ってこいっつったろうが!!このツブヒラアシオウギガニ!!」

 

その後、マジ切れした椰子さんとカニの間で喧嘩が行われているのをしり目に、

俺たちはスバル主導で料理の準備を進めるのだった。

 

ちなみに、カニの分の夕飯がなかったのは言うまでもない。

(椰子さんはちゃんと食材をとってきていたのでセーフ。)

 

 

 




ここの素奈緒が素直なせいであのセリフが聞けないというジレンマ。



---鮫永新一!!突貫します!!
中の人ネタ。コウ・ウラキで検索。



大きな星が点いたり消えたりしている。アハハ、大きい...彗星かな。イヤ、違う、違うな。彗星はもっとバーって動くもんな。
Zガンダムから、主人公の精神崩壊時のセリフ。
当時はよく、こんなアニメ放映できたなぁ、と思うばかり。

文学
おじさんは宮沢賢治、加山花袋、夏目漱石、正岡子規などが好き。
海外の方はそんな詳しくないが、ダンテやヘルマンなどは読んだことがある模様。
最近のラノベにも手を出し始めて、はまっている。


昆虫王者
超有名だった某ム〇キング。

昆虫を捕まえて売るのは、こ〇亀でもやっていたネタ。

ツブヒラアシオウギガニ
猛毒を持ったカニ。近づかないようにしましょう。

素奈緒とよっぴーがちらちらとみており、
カニが隙あらば構ってムーブ。

椰子はなんだかわからないがイラっとしている。

カニは食材をちゃんととってこなかったので夕飯は塩化ナトリウムと水。

スバルとフカヒレがいなかったら割とマジで刺されていると思う。

次回は肝試し。

一体どうなるのか。



感想、くれ。

やる気出るから、くれ。



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元おじさん、合宿に行く~怒気怒気なKI・MO・DA・ME・SHI~

こんにちはんこそば。
KEY(ドM)と申します。

素奈緒とカニ、なごみんが人気で笑う。
気持ちはわかる。


おじさんは、今世では輝くことができるのか。

体育祭もそろそろ。


それでは、ご覧ください(KBTIT)

KEY(ドM)


「---うおらぁっ!!ボクのタンパク源となれやぁっ!!」

「・・・・あ。引いてる。引いてる。椰子さん、引いてる。」

「・・・わかってますよ。」

 

早いもので、この島に来てから一日が経とうとしていた。

予定通りであれば、明日の朝に館長が迎えに来る。

それまでの間はいつも通り自分たちで食事をする必要があるので、

各々が食材を取っていた。

ちなみに、冒頭で叫んでいるのは昨晩、夕飯が食べられずに気が立っているカニである。

(ちゃんと食材を取ってこなかったので完全に自業自得であるが。)

 

俺と椰子は、そんなカニから離れたところで釣りをしていた。

うん。今日も何匹かは釣れそうだ。

こちらもフィッシュしたのでえいやーっ、と竿を引き上げて魚を取った。

「うーし。なかなか・・・・うお。そっちの凄いなぁ。」

「・・・ふっ。」

俺の釣った魚より大きいのを釣り上げ、見せつけてくる椰子さん。

完全にどや顔である。

「こういうの手馴れているな。もしかして、好き?」

「・・・ええ。まあ。」

不愛想ながらも釣った魚を水を張ったバケツに入れ、

すぐさま次のエサをつけて海に竿を振る椰子さん。

(・・・・なんだか、娘がいるみたいだ。)

 

ほほえましい。

おそらく、家族から教わったんだろうなぁ、としみじみとしながら一人、

うなずいていると、椰子さんがじーっとにらみつけてくる。

詮索しすぎたか。

「・・・・・悪い。」

「・・・いいですよ。あなたはほかの奴らと違って、踏み込みすぎてこないですし。

・・・調子に乗ったらつぶしますが。」

「・・・・・・。」

4月にあったころよりは丸くなったと思ったがこれである。

果たして、こんな調子で社会に出た時にやっていけるか不安を感じたが、

近衛さんの例もあるし、まあ大丈夫だろうと思いなおす。

俺もバケツに魚を入れて、釣り竿をふるう。

ひゅん、と音を立ててぽちゃり、と海の中に沈む。

 

「・・・・・・・。」

「・・・・・・・・。」

釣れるまでの間、暇である。

会話しようにも、隣にいるのはあの椰子さん。

下手に絡めばうっとうしがるだろうし、本気で嫌がるだろう。

この年頃の子供は本当に接し方が難しい。

最近、何かに悩んでいるようにも見えるが、それに気づいていることをばれないように振る舞っていた。

ならば、こちらも気づいていないふりをすべきというのが結論だった。

 

「・・・・本当に口数が少ないんですね。」

「・・・・・。」

黙っていたら、呆れ顔でそんなことを言われた。

ぽりぽりと頬を掻く。

一体どうしろというのだろうか。カニ以上の理不尽さである。

 

「・・・・しょうがないですね。そんな先輩の話し相手くらいにはなってあげますよ。」

「・・・・・・・。」

なぜか憐れみを込めた目線を投げかけられ、

おせっかいをかけられた。

けれども、相手がコミュニケーションを取ろうと言ってきたのなら、

断る理由もない。ぜひ受けよう。

 

「何か面白いことを言ってください。10秒以内に。」

「・・・・。」

俺は、両手で頭を抱えた。

 

その後、まるでお見合いをしているかのような微妙なやり取りが彼女との間で延々と続き、やけに楽しそうな顔をしているような表情を彼女が見せている気がした。

気のせいだと思うが。

 

 

 

椰子さんと一方的な言葉のドッチボールをして、

夕食の時間。

それも一通り終わって、夜となった。

 

「それじゃあ、肝試ししましょ。ペアね。ペア。」

霧夜さんが突然、そんなことを言い出した。

肝試し。アレか。裏方しかやったことないが、カップルとかがやると定番の。

しかし、そうなると困る。

俺と組みたがる相手は女子にはいないだろうし、スバルかフカヒレと組んでもらおう。

そう思って二人に声をかけると、すでに二人で組んでしまっているとのことだった。

「ちきしょー。・・・けど、スバル以外に組める相手いないし・・・。しくしくしく。」

「お前はがっつきすぎなんだよ。・・・ああ、レオ。悪いな。こういうことだから、な?」

「・・・・・・・。」

フカヒレをハブにするわけにもいかないので、俺は俺で相手を探すことに。

誰にしようかなー、とぼーっと考えているとくいっ、と袖を引っ張られた。

 

「おい。レオ。おめー、組んでくれる奴いんのかよ?」

「・・・・・・。」

「まっ。いるわきゃねーよな。・・・しょがねーなぁ。ねーなぁ!」

やけに嬉しそうな表情で俺の背中に乗っかってきて、

べしべし、と頭を叩いてくるカニ。

やけに今日は絡んでくる。

 

「そんな寂しいおめーのために、ボクが・・・。」

「・・・先輩。ペア組みましょう。・・・あ、勘違いしないでくださいね。

私、先輩のこと好きとかそういうのじゃないんで。」

「・・・・・・・。」

「・・・・・・・・。」

俺が何か言うよりも先に、カニの言葉に椰子が割り込んできて、

一気に険悪な雰囲気となった。

黒いオーラがほとばしっているのが見える。

とんでもない。

 

「・・・おめー。最近調子乗ってんよな?一年坊・・・。」

「・・・お前こそ。邪魔だからどいてろ。」

「ああ!?勘違いボッチヤローが!!レオは誰にでも優しいんだよっ!!

自分が特別だと思ってんじゃねーぞ!!ズべ公がぁっ!!」

「・・・・うざいカニが・・・!!」

「・・・・・・。」

 

どうでもいいが、俺を挟んでにらみ合いするのはやめてほしい。

いや、本当に。

この二人を組むと大変なことになりそうだ。

「・・・ねえ。対馬君。」

「・・・佐藤さん?」

どうしようと悩んでいたら、いつの間にか隣にいた佐藤さんがにっこりと微笑みながら、提案してきた。

「喧嘩している二人は放っておいて、私と組まない?ほら、私あふれちゃったから・・・。」

「・・・・・。」

 

体育の授業でペア作ってー、ていわれてすぐに作れないタイプなのだろうか。

確かに、おっとりしている彼女だとそういうのは苦手そうではある。

「・・・わかった。それじゃ。」

「・・・・ちょっと、待ちなさい。」

いいよ、と佐藤さんに返事をしようとしたら、

今度は近衛さんが声をかけてきた。

このパターンは何度目だろうか。

見返したら3度目であった。

 

「---私が、あんたと組んであげる。だから、一緒に、行こ?」

「・・・・・・。」

「・・・・・へえ?」

佐藤さんの目がすう、と細められ、声が冷たいものになった。

夜とはいえ、真夏なのに寒気を感じる。

冷や汗が体に貼りついて気持ちが悪い。

近衛さんも相手がいないだろうからか。

唯一、生徒会のメンバーではなく、他の相手と組みにくいからだろうからか。

俺と組もう、と誘ってきた。

 

そして、それまで二人で喧嘩していたカニと椰子さんも混ざってきた。

「・・・・・・はあ?何言ってんだこのピーナツバター狂い。

寝言はそのツインテールだけにしろよなー。おら、レオ。

こんなアホども放っておいて行くぞー。」

「・・・先輩。そんなアホカニ放っておいてさっさと肝試しなんて終わらせましょう。

寝たいんで。」

「ピーナツバターを馬鹿にするんじゃないわよ!!というか、あんただって人の事どうのこうの言える髪型じゃないでしょうがっ!!」

「ああ!!?この髪型にケチつけようってのかぁ!!?ぶっ飛ばすぞおらぁっ!!」

「・・・さ。今のうちに行こう?対馬君?」

「・・・・・・・。」

そうだ。スバルたちなら何とかしてくれる。

にやにやとしながら傍観している霧夜さんや、むーっとほっぺを膨らませながら、

止める気のない鉄先輩と違ってあの二人なら・・・。

 

「あ、二人ならもう肝試しに行ったわよ。」

「がっでむ。」

「試してガッ〇ン?」

似ているけど違う。

 

結局なぜか俺だけ椰子さん、カニ、素奈緒、佐藤さんと一緒に肝試しに行くこととなり、楽しむどころではなかった。

次回からは、なるべくこういうのは一人で行動するようにしよう・・・。

女子達の喧嘩を遠めに、本土の光を見つめながら黄昏れるのだった。

 

 




子供たちが喧嘩する原因が自分っぽいから、
とりあえず自分が離れればいいと判断するおじさん。
間違ってはいないが、正しい対処法でもない。

椰子さんも、自分は別にあの人の事好きなわけじゃないけど、
他の女子が近づくとイラっとするから、一緒にいるだけ。
それだけ、と考えている感じ。
特別な距離感の女子が、自分以外にいることが気に入らない模様。
(なごみにとって親しい相手は一人だけなのに、相手はそうじゃないから)

レオに隙あらば絡んでいくカニ。
素直な素奈緒。
ほほ笑むよっぴー。
対岸の火事と思っている姫。
なんだかわからないがハムスターのように頬を膨らませている乙女さん。

書いていて、だんだん収集つかなくなってきた。
誰か、続きかけ。

この上さらに、せれぶとかいう素直クールあほかわいい女子が追加されるらしい。
せれぶは"強い"奴が好きだから、普段のおじさんならともかく、
本気モードのおじさんを見たら・・・。
なごみんと同じでファザコン気質だからなぁ、この子。

しかし、おじさんを墜とすには告るくらいしかない模様。
恋愛経験ない男子ってマジで鈍いからね。マジで。

おじさんは同窓会であったかつての初恋の子が人妻になっていて、
淡い気持ちになったこともある悲しい男。

今回のネタ

試してガッ〇ン
一度も試したことないけど、試した奴は多いであろう、
うんちく番組。再放送見たくなってきた。今やってるっけ。

カニの髪型について
カニが髪型を馬鹿にされて切れたのは、"子供のころにレオが褒めた"髪型だから。
三学期ではなぜ、カニが髪を切って、あんなセットにしているか、
過去のエピソードが明らかになっている。
ちなみに、ここのカニは子供のころのツインテールのまま。
原作のカニが子供のころに髪を切るエピソードが発生しないので、
当然といえば当然。

次回、合宿編終わり。のはず。

予定はいつも未定。
即興で書いているから仕方なし。
プロット?考えたことない。
指の赴くまま書けば早く書きあがるからみんなもそうしようゼ。
みんなも小説投稿しろ。俺は読者が書き手になるまで勧誘し続けるから。
から。


感想、くれ。

やる気出るから、くれ。



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元おじさん、体育祭に向けて準備する~寝ていたら勝手に競技に登録されていたというのはあるある~

こんにちはんこそば。
KEY(ドM)と申します。

合宿編が終わり、体育祭に。

そこそこ頑張ろうとしていたおじさんだが、
姫の策略によって・・・?

フカヒレの苗字ミスってて笑った。

直すのめんどいからこのままで。


それでは、ご覧ください(KBTIT)

KEY(ドM)


烏賊島での島流しがようやく終わった。

迎えに来た館長の船に乗って、本土に降りた時には思わず、ふう、とため息を吐いてしまった。

一時はどうなることかと思ったが、だれ一人けがも病気もせずによかった。

そして、家に帰ってきてシャワーを浴びて、ベッドにダイブする。

砂浜で寝るのは新鮮だったが、やはりふかふかのベッドの方が寝心地はよい。

あー、と情けない声が漏れた。

 

ちらり、とタンスの方に目を向ける。

鉄先輩は今、下の部屋で同じく寝ている。

今ならばれないハズ。

ベッドから立ち上がり、タンスを開いてそれを掴む。

 

「----レオぉ!!遊びにきてやったぜーーー!!」

「」

 

バタム、と大きな音を立ててタンスを閉める。

 

「・・・ん?どした?」

「いや・・・。」

何でカニはこんなに元気なんだろうか・・・。

スバルとフカヒレも今日は疲れたから帰ったというのに。

結局、カニとドカポ〇をすることになり、リアルファイ〇一歩手前まで行ったところで、寝ぼけた鉄先輩が乱入し、二人ともアイアンクローで締めあげられるのだった。

 

 

「・・・・・・・。」

「お。珍しい。レオが寝てる。」

「大方昨日の疲れが残ってんだろ。寝かせてやれ。」

「はっ。やわだねー。優良健康児であるこのボクを見習えよ。」

「お前はどっちかっていうと野生児だろ。」

「誰が女ターザンじゃおらぁっ!!」

「言ってねぇ!!つーか痛えぇ!!脛蹴んじゃねーよ!!」

 

横で何やら喧嘩しているような声が聴こえるが、それを気にできるほど今の俺は元気ではなかった。

こっそりとやっていた趣味に没頭し、時間を忘れた結果がこれである。

机に突っ伏し、うとうとと心地よい眠気を堪能していた。

 

「みんなー。話聞いてよう・・・。体育祭の競技、決めないと・・・。」

「おー。そうだな。そんじゃ俺は陸上系で。」

「スバルはそうだよなー。んー。そんじゃ俺、棒倒しで。」

「ボクは二人三脚!!」

 

ヒートアップして盛り上がる教室。

その声をBGMに俺は今度こそ、意識を暗転させ、夢の世界へと旅立つのだった。

 

 

 

「・・・・・んあ。」

ひとしきり眠り、顔をあげる。

バキバキとあちこち体が鳴って、んー、と伸びをする。

良く熟睡できた。さて、後はちゃんと授業を受けるとしよう。

・・・そういえば今は何をしていたのだろうか。

眠すぎて寝ていたから黒板の方を見る。

体育祭の選手決めか。

 

見たところ、一通り決まっているようだ。

そういえば、自分は話に加わっていなかったがどうなっているのだろうか。

黒板に自分の名前が書かれていないか確認する。

そして、絶句した。

 

 

二人三脚 カニ レオ

綱引き レオ .....

リレー レオ スバル.....

玉入れ レオ イガグリ.....

借り物競争 レオ .....

格闘トーナメント レオ スバル フカヒレ....

 

・・・・・・・・・・。

「え。」

え。どういうことだ?と辺りを見回すと霧夜さんがニコニコと良い笑みを、

佐藤さんがごめんね、と両手を合わせて合掌を、カニはとてもうれしそうな笑みでえへー、と。

スバルとフカヒレは笑いをこらえていた。

 

「仕方ないわよねー。みんなで体育祭の競技決めしてたのにー。

寝ちゃっているなんてー。何に出るか決められてもしょうがないわよねー。」

「ぐ。」

 

正論である。確かに、寝ていればこうなるのは自明の理である。

以前の学生生活でも面倒なものは互いに押し付けあうという現象が発生していた。

今日くらいは眠くっても起きているべきだったか。

しかし、決まった以上はウジウジいうのもお門違いだろう。

 

「・・・わかった。」

「あら。物分かりがいいのね。」

「でも、あまり期待しないでくれ。・・・善処はするけど。」

「おーし!!そんじゃボクとお前で全員ぶっちぎってやろうぜっ!!」

立ち上がった俺の背中にカニが飛びついてきた。

落とさないように慌ててかがんでカニを背中に乗せる。

そうか、カニと組むんだった。だったらこちらも練習しなければ。

 

「そういえば、レオ。格闘トーナメントにもエントリーされてるけどいいのか?

俺はモテるために参加してるけど。」

「・・・・・あ。」

フカヒレの言葉に視線を黒板に戻すと、確かに俺の名前が格闘トーナメント参加者のところに書かれていた。

スバルとフカヒレがいるから大丈夫だろうが、俺も出るのか。

・・・・中学生の時ならいざ知らず、正直あまり気は乗らないが、

かといってクラスの勝利に貢献しないわけにもいかない。

 

「優勝候補の村田と、ハンサム大野ってやつが有力候補らしいぜ。」

「詳しいな、フカヒレ。」

「ああ。毒を盛る相手はきっちり調べておかないとな。」

「・・・・・・。」

冗談だよな・・・?

そんな感じで、体育祭の競技について決まったのだった。

 

 

「はーい。楽しい合宿も終わって、今日は体育祭に関してのミーティングをするわよー。」

「毎年行われている竜鳴祭に関してだね。私たちがやるのは、主に設営や運営に関する手続きと、その整備だね。」

 

毎度のことだが、体育祭、すなわち竜鳴祭は毎年行われている松笠のお祭りだ。

高校の体育祭ではないレベルの大規模なお祭り騒ぎ。

館長がノリで競技の点数を決めることでも有名である。

いやあ、去年はすごかった。

 

村田とスバルの格闘トーナメントでの一騎打ちは凄い死闘であった。

思わずこぶしを握り締めてしまうほどの熱い戦いは見ていて気持ちがよかった。

 

「スポンサーへの挨拶等は館長やほかの教師陣が対応してくれるって。

必要なものは随時手配をするとして、後は料理部からヘルプの要請が来てるわね。」

「・・・・?」

料理部っていえば、確かクラスメイトの豆花さんが所属している部だ。

結構レベルの高い部活で時々、生徒会にも差し入れをくれるところだ。

前にもらったクッキーは俺の好きなシナモン味で、一気に全部食べてしまうほどおいしかった。

 

「人手がね、足らないんだって・・・。」

「えー。マジで?それって結構やばくね?」

「そうだよなー。毎年料理部の飯を目的に来ている奴もいるだろ?」

「うむ。」

 

体育祭の名物といえば、料理部の食事でもある。

特に、松笠汁は具がたくさん入った汁物であり、何度でも食べたくなる一品だ。

料理部が機能しないとなると、大変なことになる。

 

「この中で、料理ができる人ー。」

「はいはーい!!ボクのメチャ旨デスカレーで来客者どもの胃をつぶしてやるよ!!」

「やめい。」

元気よく、恐ろしいことを言うカニの頭をぺしり、とはたく。

こいつはカレー店、"オアシス"でバイトしているだけあって腕前はあるのだが、

ふざけてタバスコをぶっかけたり、シロップをぶちまけたりとやりたい放題である。

 

「俺はできるぜ。ただなぁ。バイトと陸上部があるからどうしても時間、とれねーわ。」

「伊達君はいいわよ。もともと、助っ人扱いだし。そっちを優先して頂戴。」

「えー。他には誰もいない?」

「おにぎりでもいいか?」

「おむ〇び権兵衛じゃないんだから・・・。」

「・・・・・。」

 

みんなが案を出し合っている最中に俺は彼女の方に視線を向けていた。

窓の外に視線を向け、愁いを帯びた表情を浮かべる椰子さん。

彼女の腕前は誰もが知っている。

合宿の時に存分にその力を発揮したからだ。

霧夜さんもニヤニヤとしながら、椰子さんの方を見ている。

 

「・・・・・。」

「な・ご・み・ん♡」

「・・・・・。」

あっ。椰子さんのこめかみに青筋が・・・・。

さすがに名前呼びはまずかったようである。

 

「・・あー。霧夜さん。椰子さんはほら、やりたがってないようだし・・・。」

「えー。もったいなーい。・・・・ぶー。」

「・・・・・・・・・いいですよ。」

「えっ。」

「えっ。」

 

まさかの肯定に霧夜さんと顔を見合わせ、

椰子さんの方を見ると、呆れたような声で言われた。

 

 

「ただし、今回だけです。・・・来年は期待しないでください。」

「・・・・・ふっふっふー。もしかしてぇー。誰かにいいところを

見せたかったりするの―?」

「うざい・・・。やっぱり辞めていいですか。」

「・・・・・。」

前途多難である。

俺の心配をよそに、体育祭までの準備は進められるのだった。

 

 

 

 




おじさん、ハメられるの巻き。



クラスでの役割決め

学級委員長を決めるときとかに寝ていると、
いつの間にか黒板に自分の名前が書かれている。
なので、こういう日は休んだり、寝たりしないこと。
さもないと大変なことになる。

格闘トーナメント
結局、スバル、フカヒレ、レオの全員で出ることに。
果たして、おじさんは勝つことができるのか。


全種目出場
全部の競技に出ることを強いられているんだ!!な、
超絶ブラックをこなそうとする元社畜がいるらしい。

なごみんの意思
一体、どういう経緯で料理部への手助けをすることにしたのか。
まあ、何となく読者は察してそうだけど、直前の会話と、
なごみんにかけられた言葉がヒント。

おじさんの趣味
一体、何をしていたんでしょうねぇ。
ちなみに、昔、レッド・ツェッペリンとエリック・クラプトンのライブに行ったときに、何やら憧れを抱いていた様子。
何をしているのかわからないなぁ(とぼけ顔)

次回はいきなり体育祭。・・・のはず。

感想くれ。

やる気出るからくれ。



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元おじさん、体育祭で頑張る~でも、人前は緊張する模様~

こんにちはんこそば。
KEY(ドM)と申します。

体育祭の始まり始まり。

気分がノっているので続けて投稿。

それでは、ご覧ください(KBTIT)

KEY(ドM)


 

「アーメン。ラーメン。ソーメン。」

「違うから。それ、いろいろと間違っているから。」

出だしからカニが平常運転である。

こいつはアーメンを麺種の一つだと思っているのだろうか。

・・・・思ってそうだなあ。

 

マイク片手に実況をしているカニ。

その隣でなぜか同じく実況をしている俺と鉄先輩。

こうなった経緯を振り返るのだった。

 

 

体育祭当日。

本日は晴天なり、という言葉が頭の中に浮かぶほどの快晴。

雲一つない、太陽がグラウンドを照らしつける良き一日。

運動にはもってこいの日である。

 

この日のために用意してきた設営テントに、霧夜さんや佐藤さんは座っており、

会場全体を見渡している。

 

「ま、こんなものかしらねー。・・・あ、よっぴー。ドリンク取ってー。」

「はい。エリー。」

「あんがと。」

ふー、とちょっと疲れた表情を見せる霧夜さん。

それをうまいこと佐藤さんがフォローしていた。

彼女たちの先導がなければ、ここまでスムーズに体育祭当日を迎えることはできなかっただろう。

 

で、開会式。

館長の気合のこもった開始宣言が行われた。

『---全生徒、正々堂々とその力を競い合い、高めあえぃっ!!!

・・・儂からいうべきことは以上である。』

『・・・・うおおおおおおおおっ!!』

その大地を揺るがす方向に応えるように、生徒たちは絶叫する。

ぱしゃ、ぱしゃりとスポンサー関係のカメラマンたちがシャッターを切る。

大盛り上がりである。

 

「さーて。そんじゃ、レオ、さっそく行ってこい。」

「・・・・・。」

期待を込めた眼差しを向けられる。

生徒会のメンバー、特に霧夜さんと鉄先輩からは"やれよ。"と言わんばかりの熱視線である。

全競技に出るのだ。クラスメイトにとっては、少しでもいい点を取ってほしいのは当然。

体力配分は重要である。

 

最初の競技は借り物競争。

よーい、どんの言葉を皮切りに、俺を含めた全走者が一斉にテーブルに置かれている紙に向かって走り出す。

 

『さあ!!ついに始まりましたー!!借り物競争!!実況は松笠のグラマラスなめちゃかわヒロインこと蟹沢がお送りいたします!!』

『みなさん、がんばってくださいー。』

お前、そこで何やってんの。

実況席の方を見ると、本当にカニがマイク片手に熱のこもった声を振り絞っていた。

隣では、なぜか体操服に着替えている祈先生がだるそうにしながら、

応援を一緒にしていた。

 

集中しなおして、紙が置かれているテーブルまで全速力で走る。

これは重要な駆け引きである。

近くの紙を取れば、当然借りてこなければならないものは難しく、

遠ければ簡単になる。

 

俺は、すぐ近くにあった紙を手に取る。

他の選手たちも同じタイミングで紙を各々選び、とっていくのが見えた。

 

『さあ!!条件が書かれた紙が選手たちの手に!!一体どんな奇天烈なものを指定されているのかーーーー!!』

『飴だったとしても、これはあげませんわよー。』

 

実況の声を背中に浴び、ぺらりと中を見た。

 

『----ナメック語が喋れる人。』

「」

・・・ナ、ナメ?

 

『おおっと!?選手たちが戸惑っている!!

おらぁ!!レオぉ!!なにぼけーっとしてんだおらぁっ!!

さっさと借りてきて!!ゴールに迎え!!』

『贔屓しては駄目ですわよー。蟹沢さん。』

 

同じチームであるカニが怒りながら叫んでくるが、

そうはいってもこんなものどうしろというのか。

ナメック語など聞いたこともない。

(・・・・まさか。)

 

ここで、一つの可能性に行き当たる。

 

(バニシング・ボイスか・・・・!?)

 

※ほとんどしゃべれる人がいない言語を指す。

ギリギリ絶滅してはいない言葉の事。

 

ぬかった。何という難しいお題を出してくるのだろうか。

これは、生きたマンモスを連れて来いと言っているようなものである。

これは無理である。

すぐさま紙を元に戻し、別の紙に戻した。

 

『あーっと!!紙を元に戻す生徒と、グラウンド中を走り回る生徒の二手に分かれたぁぁっ!!』

『ちょーっと難しくしすぎましたですかねー。』

 

祈先生・・・。あなたのチョイスだったのですか・・・。

そのまま手に取った別の紙を開く。

 

『あなたの好きな人。』

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

・・・・・・・・・・・・・・。

 

『またまた2-cの対馬君が固まってしまっていますわねー。』

『ゴラァっ!!レオぉっ!!その股にぶらさがっているき〇玉は偽物か!!?』

『放送禁止用語ですわよー。蟹沢さん。』

 

ある意味、先ほどより難題である。

好き・・・。好きかぁ・・・。

このお題の真意を図りかねる。

例えば、単に"親愛"としての好きならば簡単である。

スバルなり、フカヒレなり連れてゴールに行けばよい。

 

----だが、もしも、もしも恋愛面でのことを聞かれているとしたら・・・?

(・・・・もしかして、詰んでいるのか?)

惚れている相手はいない。

恋愛面での経験がそもそもない。

赤ん坊のころから変わらない自分の察しの悪さ。

それが今ここで尾を引いている。

 

別の紙をまた開く。

 

『石油王』

『無人島でTOKI〇ばりの建築ができる人』

『10人以上から好意を抱かれている人』

 

---その時、最後の紙に目が留まった。

これなら・・・いけるっ!!

 

『生徒たちの顔からはまるで、サルミアッキを食べた時のような苦悶の表情が浮かびあっている!!』

『アレ、結構すきなんですけど。』

 

一直線に会長が座っている椅子、そう、霧夜さんのところまで走っていく。

そんな俺の姿にちょっと驚いた表情を浮かべる彼女。

となりの佐藤さんも似たような顔つきだ。

 

「・・・霧夜さん。俺と一緒に来てほしい。」

「・・・ふーん。ま、いいわ。」

あたりがどよ・・・、とどよめいた。

 

『馬鹿な!?あの姫様が対馬などの言うことを聴いているだと!?』

『これは夢だな。うん。』

『くそう・・・!!対馬めぇ・・!!』

『落ち着けよ。村上園。』

『村田だ!!人の名前ですらないだろうがっ!!』

『レオめぇ・・・!!』

『・・・・なんで、お前は混じってんだフカヒレ。』

『レオは今、俺の敵となった。月のない夜は夜道に気をつけな・・・!!』

 

周りからの視線がうっとうしい。

今はそれどころじゃない。さっさと彼女を連れてゴールしなければ。

 

「霧夜さん。行こう。」

「・・・まっ、体育祭の準備頑張ったご褒美に、一回くらいわがまま聞いてあげてもいいかなー。特別についていってあげる。」

「・・・・・。」

「・・・・・・・。」

 

隣にいた佐藤さんや、近くにいる近衛さんからの視線が険しくなる。

・・・女子と手をつないで走っているからだろう。

走るのではなく、霧夜さんのことを考えて歩けばよかったが、

何が何でも勝ちたかったので体が勝手に動いてしまう。

 

ゴール前に行くと、館長が待っており、俺たちを見て声をかけてきた。

 

「うむ。では、お題の紙を見せてもらおうか。」

「はい。」

館長の言葉に従って、紙を手渡した。

隣では、霧夜さんが小声で話しかけてくる。

 

『・・・一体、何のお題だったの?』

『ああ、それはね・・・。・・・・?』

その時、頭が冷えた俺は片手にもう一つ紙を握り締めていることに気が付いた。

・・・あれ?あれれれれ?

いや、俺は別の紙を手に取ったはず・・・。

 

持っている紙をこっそり開く。

 

---そこには、"10人以上から好意を抱かれている人"と書かれていた。

たらり、と冷や汗が頬を伝う。

(・・・え?え?え?な、なぜ?!なんで選んだはずの紙がこっちに!?)

 

先ほどの光景を思い出す。

---新しく手に取った紙。

そして、右手に紙を持ったまま、別のお題を手に取った記憶。

よりにもよって"あの"お題が書かれた方を渡してしまった。

 

つまり・・・。

「ふーん。こっちは私にぴったりのお題だったわけね。

・・・・じゃあ、もう一つは何だったの?」

広げた紙を呆然と見ながら立ちすくむ俺の横で彼女がのぞき込んできた。

そうだ。本来ならこっちのお題のつもりで霧夜さん、すなわち学校一有名で、全校生徒の憧れの的である彼女を連れてきたのだ。

 

「・・・ふふ。対馬よ。貴様はなかなかの漢であるな。」

「・・・・いえ。その・・・。」

「??え。何が書いてあるんです?」

「うむ。まあ、よかろう。連れてこられた本人には見る資格があるからな。」

「あの、ちょっ。」

 

俺が止める間もなく、霧夜さんが館長から紙を受け取って中を見る。

最初はふーん、と興味なさげに開き、そして紙面に目を通した彼女は、

その顔を徐々に赤らめ。

 

「~~~~~~!!!~~~!!???」

---それまで、見たこともないような恥ずかしそうな顔を披露した。

 

 

「・・・・・・。」

「・・・・・・・・。」

「・・・・。」

「・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・へえ。」

「レオコロスレオコロスレオコロスレオコロスレオコロスレオコロ・・・。」

 

生徒会のメンバーと、全校生徒(主に男子生徒たち)からの視線が、

体中に突き刺さり、気が気でならなかった。

どうしてこうなった。

 

 

 

 

 





おじさん、やらかす。

急いでいると、ケアレスミスしちゃうアレ。
おじさんが仕事していた時はあまり、KY(危険予知)運動とかなかったから仕方ない。
焦ると、マジでこんな凡ミスしちゃうのはあるある。

ちなみに、姫はまだおじさんに好意は持っていないぞい。
原作と違う部分が多いけど、そこまでに至るイベントとかまだ起きていないから、
ちょっと気になっている程度。
で、今回のことは完全に不意打ちだったので意識するきっかけに。

それまで、猫みたいに女子にそっけなかった相手が、
いきなり不意打ちでデレてきたらそら、ね。(ただし、姫視点)

おじさんはこの後、めちゃくちゃカニたちに問いただされた。

感想くれ。

やる気出るからくれ。



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元おじさん、体育祭で頑張る~いざ、格闘トーナメント~

こんにちはんこそば。
KEY(ドM)と申します。

体育祭の始まり始まり。

気分がノっているので続けて投稿。

それでは、ご覧ください(KBTIT)

KEY(ドM)


 

「・・・・・・。」

「・・・・・・・・。」

 

一通りの競技に出てほっとしたのもつかの間、

またもやピンチである。

生徒会メンバーで集まってお昼を食べようということになり、

設営テントの一角を陣取る。

の、だが・・・。

 

「・・・・・。」

「・・・・・・・。」

---タイミングが悪く、というか奇跡的に霧夜さんと二人っきりである。

他のメンツはまだ集まっておらず、先にいた彼女と俺が鉢合わせになることに。

痛々しいほどの沈黙。お互いの息遣いが聴こえるほどに静まり返っていた。

 

「・・・・・・。」

彼女は先刻のこともあり、ちらちらとこちらを見ている。

借り物競争での誤解が今に続き、訂正することもできずに諦観する。

全面的に俺が悪い。

だが、ここであれは間違いだった、などと一体どの口が言えようか。

俺自身の行いによる責任は引き受ける。

だが、その結果彼女のような子供が少なからず傷つくというなら話は別である。

(・・・・胃が、胃が痛い・・・。)

 

胃もたれを起こす年齢ではないはずだが、

前世以上の体調の悪化が起きている。

うう、と右手でおなかをさすっていると、救いがやってきた。

 

「・・・・・。」

訂正しよう。救いとは言い切れない。

----近衛さんと佐藤さんが、二人同時に俺たちの状況を見て、目を細めながら入ってきたのである。

正面にいた霧夜さんはそれまでの様子から持ち直し、いつもの余裕たっぷりな調子に戻った。

 

「あら。よっぴーと・・・誰?」

「近衛素奈緒よ!!一緒に合宿に行ったでしょうが!!」

「・・・・つしまくぅん。なに、してたのかナ?」

「・・・・・・何も。」

断じて何もしていないはずなのに、佐藤さんの笑みに恐怖で顔が引きつる。

今は、近衛さんのいつもの調子がありがたかった。

 

 

 

『さあ!!飯は食ったなてめーらー!!食いすぎで昼寝すんじゃねーぞ!!

これからが本当の地獄だ・・・!!』

「・・・・・・・・zzz」

「・・・・・・。」

カニの実況に色々と突っ込みたくなる。

隣で寝ている祈先生はいいのだろうか。

というか、よく隣で絶叫している中寝れるなぁ、と感心する。

一体どんな体質なのか気になる。

 

で、なぜか俺は"おめーは目を離すとすぐにほかの女子を孕ませちまうからなー。

おら、こっちくんだよ。"とカニに実況席まで連行され、

この始末、である。

結婚式の仲人ならやったことがあるが、まさか実況するとは・・・。

 

「ほら、おめーも何かいえよ!!盛り上げんだよ!!」

「え?えーと・・・。ほ、本日はお日柄もよく・・・。」

「・・・けっ。」

時候のあいさつを思わずした俺に、カニが残念なものを見るような眼を向け、

マイクをひったくってきた。

・・・・置物になろう。そうしよう。うん・・・。

 

『さあ!!次は目玉の中の大目玉!!みんな待っていたあの種目!!

肉を裂け!!骨を断て!!格闘トーナメントだあああっ!!』

カニの絶妙なあおりに会場全体が盛り上がる。

さすがである。俺ではこうはいかない。

彼女はこうした時のアドリブ力が凄まじい。

 

『そんじゃさっそく第一試合といくぜえええっ!!第一試合!!

お前しゃべると本当残念だな!!フカヒレこと鮫氷新一!!!』

「うるせーよ!!タラバカニ!!」

 

カニの悪口に抗議するフカヒレ。

あんな紹介を全校生徒の前でされたら、怒っても仕方ない。

対するは、あの村田だった。

 

『もう1人は・・・・・誰?』

「村田だ!!せめて何か言えよ!!」

村田の名前を憶えていないのか、首を傾げるカニに、

今度は村田が吠える。

こっちはこっちで扱いがヒドイ。

 

「ふん・・・。伊達ならともかく、お前なんぞあいてにならんな。」

「・・・・・・さっさと終わらせて、女子の走る姿が見てーなー。」

ふっと見下すような表情を浮かべる村田に対して、

ぶつぶつとシャドーボクシングして、こぶしをひゅんひゅんと鳴らすフカヒレ。

ああ、あいつは変わらないな、と手で顔を抑える。

 

『それじゃ!!竜鳴ファイト!!レディ―――――・・ゴーーーーッ!!』

 

カーン、とゴングが鳴った。

 

 

 

 

「・・・・・ちきしょー。」

「・・・・まさか足を滑らせて場外負けとは・・・。」

『ごらぁっ!!フカヒレっ!!何無傷で場外負けしてんだぁっ!!

そんな奴に負けてんじゃねーよ!!』

「・・・・・・。」

 

呆然とする俺と村田。

悔しがっているフカヒレ。怒るカニ。

大丈夫だと思っていたのに、あいつはこう、肝心なところでいつもドジるのである。

(・・・少しは、周りの目も変わっただろうに。)

ふう、とため息をつく。まあ、あいつのことは俺たち3人が知っているからいいか。

 

スバルと俺で何とかするか・・・。

そして、試合が進み、ついに俺の番となった。

実況籍から離れようとすると、カニからエールを送られる。

「・・・勝てよ。あほ。」

「・・・ああ。」

「・・・・・zzz」

いまだに怠惰をむさぼっている約一名は放っておき、

カニの言葉に親指を立ててリングまで向かう。

他の奴らはボクサーのような格好で上半身裸であるが、

俺はそのままジャージを来てリングインした。

 

「・・・・対馬。上を・・。」

「・・・すみません。このまま戦わせてください。」

「・・・・むう。」

俺の懇願にあごひげを手ですり、何かを考える館長。

もしかしたら、本当の意味で腹をくくらなければならないかもしれない。

脱がなければならなくなったらその時はその時だ。

すると対戦相手である、ハンサム大野という優勝候補が、

言ってきた。

 

「別にぃ、いいですよ?ま、僕には勝てるわけないですし(笑)」

「・・・だ、そうです。」

「わかった。・・・それじゃあグローブをはめて。」

館長の言うことに従い、グローブをつけてこぶしとこぶしをお互いに突き合わせる。

 

「正々堂々、スポーツマンシップに乗っ取るように。」

「・・・・・・。」

「はいはい。・・・ああ、ボクの応援団がうるさくってごめんね(笑)」

彼の後ろを見ると、取り巻きなのか、彼を応援している女子生徒たちの姿が見えた。

さすが、イケメンなだけはある。

 

「レオ――!!そのいけ好かない野郎をぶっとばせーーー!!

主に俺のために!!」

「対馬ーーーー!!絶対に勝ちなさいよ――!!」

「つ、対馬くーーん!!」

「・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・・。」

俺の背後から、生徒会メンバーと近衛さんの応援が聴こえてきた。

目の前にいる生徒が、顔をヒクつかせ、ぴくぴくと瞼が痙攣しているのが見える。

 

「・・べ、別にぃ、僕にはハーレムがあるもんね。

知ってた?僕って拳法部なんだよ?降参するなら今のうちだけど?」

「・・・・・。」

緊張する。こう、何というか女性から応援されながらこんな大舞台で戦うなど初めてである。

いかん。腕がちょっと震えている。

フカヒレとか、普段チキンなのにこんな重圧に耐えていたのか、とちょっと見直した。

 

『・・・・・赤コーナー!!えーと。は、は、ガンダ〇大野!!』

「ハンサムだ!!!」

「・・・・・・。」

カニの言葉に訂正の声をあげる大野。

今のうちにちょっと落ち着かなければ・・。

 

『・・・・続いて!!青コーナー!!眠れる獅子!!いつもはおとなしく、地味だが実は誰よりも危険なデンジャラス・ボーイ!!対馬レオオオオオオッ!!』

「ど、どうも・・。」

観客席にいる人たちにぎこちない笑みを浮かべて手を振ると、

歓声がかえってきて、びくり、と体を跳ねさせた。

慣れない。

 

(えーと。まずは、相手の出方をうかがって―。)

 

『・・・オ!!おい!!馬鹿レオ!!何ぼーっとしてんだ!!』

「・・・え?」

---顔をあげた瞬間、何か固いものがあごに突き刺さり、世界が暗転した。

がくりと膝を折り、そのまま冷たい地面に倒れ伏した。

 

 





慣れない舞台でまったく力を出せないおじさん。
果たして。

ハンサム大野
なんか、なごみルートでちょっかいを出していた奴。
イケメンらしい。
なごみんに手を出したレオに不意打ちをかまされ、
そのあと、スバルにぼこぼこにされた。
悪い奴でも、いい奴でもない。
だって、ただのモブだもの。

姫との距離感
結構変わってきた感じ


実況者、マーベラス蟹沢
時折、竜名館に現れては名(迷)実況を繰り広げるナマモノ。
その隣には幼馴染である犠牲者がいつも連れてこられているとか。

なごみんは裏で滅茶苦茶頑張って料理作っているで。

次回はおじさんの奮闘から。

書いている俺にもどうなるかはわからない。

指に全部任せているから俺のせいじゃないもんネ。


感想くれ。

やる気出るからくれ。



KEY(ドM)


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元おじさん、体育祭で頑張る~おやじ狩りはやめましょう~

こんにちはんこそば。
KEY(ドM)と申します。

おじさんがダサい言われて笑った。

確かに言い訳できないな、これ。

挽回しろよ、おじさん。

カニとかめっちゃ怒っているぞ。


それでは、ご覧ください(KBTIT)

KEY(ドM)


「ワン!!ツー!!」

頬に感じる冷たい感触。

だらりと力が抜けて、動かない体。

なんだ、一体何が起きた。

耳には、つんざくような歓声と館長が何かを言っているのがかろうじて聞こえる。

 

『レオおおおおっっ!!起きろおおおっ!!てめっ、そんなダサいやられかたしてんじゃねーよぉおおおっ!!』

「つ、対馬くーん!!」

「対馬―!!あんた、早く起きなさい!!」

「レオっ!!戻ってこい!!早く立てっ!!」

 

仲間たちの声に意識が戻り、目を開ける。

青い床がまず見えて、近くに立っている館長の足が続いて見えた。

首をわずかに動かすと、にやにやと笑っている男子生徒がコーナーで立っているのが見える。

 

(・・・そうか、俺は---。)

情けない。緊張で、体が動かせずにパンチをもらうなど、スバルやフカヒレになんて言い訳すればいい。

カウントが進んでいる。

ここで立ち上がらなければ、点数の大きいこの種目で勝ちを逃すこととなる。

悲鳴をあげてきしむ体を起こし、グローブをはめた手で地面に手をついてなんとか立ち上がる。

 

「ファイブっ!!・・・対馬。目を見せろ。」

「・・・・・・・。」

立ち上がった俺の足がふらつく。

館長がファイティングポーズをとった俺の目を見てくる。

だが、今はそんなことはどうでもいい。

頭の中の血が沸騰し、目の前にいる敵だけが目に入る。

音は消え、敵と自分だけがいる感覚に陥る。

 

「うむ。闘志は萎えておらんようだな。・・・ファイッ!!」

『おおーーっとぉ!!館長から試合続行の合図がでたあああた!!

おいレオォッ!!次ふざけた姿見せたらボクがぶっとばすからなー!!』

「・・・・・。」

 

まったく、心配しているのかあおっているのかわからない。

けれども、ちょっと頭が冷えてきた。

笑みを浮かべながら相手が近寄ってくる。

 

「ふふ。もうそんな調子じゃ無理でしょ(笑)あきらめて、降参したら?」

「・・・・・・。」

ジャブを軽く打ち、調子を確かめる。

・・・・まだ若干脳にダメージが残っている。

体力回復する必要があった。

とん、とんとステップを踏む。

・・・できれば、判定で勝ちたい。

 

「せいっ!!」

「・・・っ!!」

相手のこぶしが頬をかすめた。

ギリギリの距離でよけたつもりが、当たりかけてしまう。

まだ、距離感がくるっているようだ。

修正。集中。次は効かない。

 

『ああーーーっと!!タンデム大野の連撃だあああっ!!

凄まじい手数っ!!しかし!!』

「くっ!!このっ・・!!」

「・・・・・・。」

だんだんと、ギアが乗ってきたのを感じる。

最近、喧嘩をしていなかった割には上出来だ。

完全にこぶしが見え始めた。

こんなもの、スバルの攻撃に比べれば止まって見える。

 

『かわすかわすかわすううううっ!!何とっ!!

あのパンチをすべてよけているぞおおっ!!できるんだったら最初っからやれよなっ!!』

『・・・まあ。』

「さっさと・・・落ち・・ろぉっ・・・!!」

「・・・・・。」

よけ続ける俺にしびれを切らしたのか、さらにペースアップし、早さを増す攻撃。

こちらも負けじとさらに回転をあげる。

だんだんと思い出してきた。

 

『攻め続けるパンダムとっ!!よけ続けるレオっ!!

先に音をあげるのはどっちだぁっ!!』

「対馬っ!!」

「いけーっ!!対馬くーん!!やっちゃいなさーい!!」

「・・・・・・・・ふん。」

 

そして、ついにチャンスがやってきた。

相手は攻めているのに攻撃を当てられず焦る。

体力を消耗しているのは相手も自覚している。

と、なると次の一手は当然----。

 

「---しつこいんだよぉっ!!」

しびれを切らした相手が、大きなモーションで振りかぶってくる。

きた。これを待っていた---。

 

 

『----竜巻旋風!!』

ごああっ、という轟音が響き、観客の視線がそちらを向いた。

今のは、別の競技に出ている鉄先輩の声か。

 

(・・・いろいろな意味でチャンスっ!!)

大振りに合わせて、最短距離の右ストレートを顎に叩き込む。

その際に、全体重をのっけて威力を上乗せする。

 

「ごっ・・・!」

どたり、と相手が倒れる。

館長が、俺に離れるようにいい、指示されたとおりにコーナーに。

 

『ああああっと!!なんだ!?一体何が起きたあああっ!!

乙女先輩の方を見ていたら、片方が倒れているぞおお!』

「・・・ナイン!!テン!!」

テンカウント。こちらの勝ちである。

どよどよ、と借り物競争の時とは違う意味で会場から困惑の声が上がった。

 

 

 

「馬鹿。」

「・・・・・。」

ぐうの音も出ない。

試合が終わった直後、カニにそう言われてしゅんとなる。

無様なまま負けて終わるところだった。

霧夜さんや近衛さんからもジト目である。

みんなは、目をそらしていた隙に決着がついていたので、何があったか知らないようだ。

俺にとってはそちらのほうがありがたい。

 

 

「・・・まったく。次は油断しないように。」

「・・・ああ。」

後から合流した鉄先輩からも叱責され、正座させられた。

曲がりなりにも、同じ鉄の血を引いているものが醜態をさらせば無理もない。

スバルとフカヒレはやれやれ、と肩をすくめていた。

 

「んで。スバル。相手が棄権したんだって。」

「ん、ああ。楽できるからいいけどな。」

苦笑いして、ちょっと残念そうな顔をする。

学園で一番強いといわれているスバルが相手なら、

仕方のないような気もする。

俺だって、スバルとは戦いたくない。

冗談抜きで強いのは身をもって知っている

 

「んで、そろそろ休憩時間終わるけど、次ぎの対戦相手を見ようぜ。・・・げ。」

そう言って、椅子に座っている俺の膝元に載ってきたカニがトーナメント表が貼られている掲示板を見て、嫌な顔をする。

そこには、2-A,村田洋平と書かれていた。

優勝候補の一人である。

 

「あー。洋平ちゃんかー。・・・ドンマイ。」

「対馬君、お疲れ様。」

「エ、エリー・・・。さすがにひどいよぉ・・・。」

一気にお通夜ムードに。

鉄先輩も同じ拳法部である村田の実力を知っているからか、

渋い顔をしている。また拳法部かぁ、と肩を落とす。

できるだけ、判定に持ち込んで・・・。

 

「あ、レオ。いたいた。」

「フカヒレ?」

応援した時はいたのに、まだ戻ってきていなかったフカヒレが、

運営テントの中に入ってきた。

右手にはカメラを持っていた。

 

「それは?」

「かわいい子を撮っていた。」

「・・・・。」

こいつはぶれないな。

 

「おい、残念眼鏡。特別にボクを取らせてやんよ。

グラビア雑誌に載れるボクの魅力たっぷりな悩殺ボディをありがたりな。」

「嫌だ。せっかく取ったほかの写真が汚れちゃうだろ。貧乳。」

「あんだとこらぁっ!!」

「いてぇっ!!!こいつ・・・・!!カミツキガメみたいに噛みついてきやがった!!」

フカヒレの言葉に激昂したカニが、俺の膝からぴょいんとジャンプし、彼の右腕にかみついた。

もうちょっと、女子らしくお淑やかにできないものだろうか。

せっかく魅力はあるのに残念である。

 

「そういえばさ、いてっ!!おいこらっ!!離れろっ!!離れろって!!」

「ぐるるるるる・・・!!」

噛みついていたカニを振りほどき、

おーいて、と噛まれていた箇所を手でさするフカヒレ。

どうしたのだろうか。

 

「お前さ。たぶん、判定勝ち狙っているだろ?」

「ああ。」

「ま、妥当でしょうね。」

フカヒレの言葉に即答した。

霧夜さんはうん、うんとうなずいている。

優勝候補が相手だから、当然と思っているのだろう。

俺としても、そうしたいのが本音である。

 

 

「----たぶん、それ、無理だぜ。」

「・・・え?」

彼の言葉に目を丸くして呆けた声を出す。

「いやだってさ・・。」

気まずそうに、目を伏せるフカヒレ。

 

 

「--村田の奴、"対馬め・・・!!姫と手をつなぎおって・・!!

絶対に倒してやるっ!!"って殺気だっているの見たし。」

俺は、また痛み出した胃をいたわるために、右手でお腹をさするのだった。

 

 




汚名挽回したネ、おじさん()

次は名誉返上かナ()
猿も木から落ちる、かもしれない。


ガンダ〇
知らない人はいないであろうロボットシリーズ。
おじさんはリアルタイムでファースト、Z、ZZ、逆襲のシャア、F91・・・・と宇宙世紀シリーズを制覇しているガノタに片足突っ込んでいるレベル。
ガンプラが売り切れていた時、近くの工場に忍び込もうとしたこともあったとか。
シャアとアムロの中の人がいまだに現役であることに驚きを隠せない模様。

判定勝ち狙うおじさん。
ノックアウト狙ってガチってくる村越に対してどうするのか。



感想くれ。

やる気出るからくれ。



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元おじさん、体育祭で頑張る~獅子奮迅~

こんにちはんこそば。
KEY(ドM)と申します。

原作通りだと普通にやったらまず村田には勝てない。
原作通りのスペックで、まともにやりあったらう。

ただし、ここの場合は・・・。

格闘トーナメントのつづき。

これ書くためにジム行ってきた。
リアリティはあると思う。


それでは、ご覧ください(KBTIT)

KEY(ドM)


『さあ!!続いての戦いだぁっ!!二回戦!!

赤コーナー!!拳法部の刺客!!田丸正仁!!』

「全然違う!!村田だ!!」

愛も変わらずのカニの紹介に憤慨する村田。

こうして対峙するとわかる。

----強い。スバルや鉄先輩ほどではないが

確かによく鍛えられているし、場慣れしている。

緊張していないリラックスしている感じが、

激戦を予感させた。

 

『続いては!!青コーナー!!いつの間にか試合を終わらせていた!!

ジョーカー!!獅子!!対馬レオオオオオッ!!』

「・・・・。」

ぺこり、と頭を下げてすぐに正面にいる村田に目を向ける。

周りから歓声があがったのが聴こえたが、気にせずにジャンプして体をほぐす。

相手の目をじっと見ると、向こうもこちらをにらみ返してきた。

確かな敵意を感じる。

 

「それでは、両選手とも構えて!!」

「・・・。」

「・・・・・。」

館長の掛け声に合わせて、こぶしを突き合わせる。

お互いに目をそらさず、ただただ眼前の敵に注目する。

目を離せば、そのすきにやられると思うほどの肌がぴりつく緊張感。

しかし、それがどこか懐かしい。

 

「-------はじめぇいっ!!」

『カーン!!さあ!!ゴングはなった!!死ぬまで殴り合え!!

相手を打倒せ!!行け!!行け!!行け!!行け!!

竜鳴ファイト!!レディー・・・ゴー!!』

「しっ!!」

「むっ!!」

 

お互いに軽く左ジャブを打ち合う。

相手の顎めがけてはなったそれは、相手のジャブとぶつかり相殺する。

すぐにまた左腕を戻し、続いて今度は二発。

相手も同じくまた軽くジャブを撃ってきた。

村田は体ごと横に飛んでよけて、フックを合わせてきた。

とっさにウィービングして回避。

鋭い一撃だった。

 

『な、なんとおおおっ!!いきなりの激しい攻防!!

一回戦とは全く違う手に汗握る展開!!

先が全く読めないぞおおおおっ!!』

「・・・・!?」

「・・・・!!」

相手が驚愕の表情を浮かべ、こちらも心臓の鼓動が鳴りやまないのを隠すため、

キッ、と相手をにらみつける。

---想像以上だ。二発目のジャブにフックをとっさに合わせるなど、

冷静さと身体能力の高さが両立していなければできない。

それをよけられたのは、ひとえに一回戦で拳法部の生徒と戦っていたからだ。

同じような打撃に目が慣れていたのだ。

しかし、同じレベルではない。少なくともあんな相手とは格が違う。

 

(・・・ジャブを撃って距離を。)

きゅっ、きゅっ、と足を鳴らして時計回りでジャブを速射する。

少しでもダメージを稼いで、体力を削いでいく。

まともに打ち合う気はない。

しかし、ここで予想外の展開になった。

 

「---馬鹿が!!」

膝を落とし、体重を前に。

----来る!!

「・・・"ガトリング・ガン"!!」

 

---激しい銃弾が、俺に襲い掛かった。

 

 

『ああーーっと!!村〇春樹のガトリング・ガンがレオを襲うううううっ!!

中距離は相手の独壇場だったかああああ!!ブロックしてさばいているが、

徐々に被弾していっているぞおお!!』

「・・・厳しいな。」

カニの実況をよそに、乙女はぼそりとつぶやいた。

レオの目論見が完全につぶされたことを見抜き、苦い顔をしている。

同じ拳法部である彼女からすれば、中距離は格好の的。

一番力を込めた一撃を放てる間合いだ。

同じ光景が何ラウンドも続き、

リング中央ではレオがサンドバックのように滅多打ちにされていた。

 

「で、でも・・・!!何とか防いでますよ・・・!!」

「いや。防御は想像以上に体力と気力を消耗する。

攻めている側は疲れを感じにくい。確かに相手を追い込んでいるという実感があるのに対して、防御している方は相手にダメージを与えられていないことに焦る。・・・手を出さなければ、本当に負けるぞ。」

「・・対馬!!ええい・・!!村田は2-Aだからどっちを応援すればいいのよー!!」

「どっちも応援すればいいじゃない。」

「軽々しく言うな!!お気楽姫!!」

「レオの奴、中学の頃より消極的になってるよなー。

・・・まーだあの事気にしてんのかな。」

「だな。」

心配する女子達をよそに、幼馴染であるスバルとフカヒレは、

いつもと変わらない調子で軽口をたたく。

その態度にムッときた素奈緒がつっかかった。

 

「ちょっと!!あんたたち!!自分の仲間がやられているのよ!!?

応援くらいしなさいよ!!」

「・・・ま、レオに何かあったら俺が村田の奴をぶっ殺すから、

安心しとけや。な、フカヒレ。」

「俺がやってもいいんだけど、手を痛めたらギター弾けなくなっちまうからな。

任せた。」

「あ、あんたたちねぇ・・・・!!」

まったくもって心配していないスバルとフカヒレにさらに糾弾しようとしている素奈緒をどうどう、と乙女がいさめ、代わりに二人に質問する。

 

「・・・私がかつて手合わせした時より遥かに弱くなっている。

--これは、どういうことだ?」

「・・・あいつは中学生の時が一番やんちゃしてたんですよ。

--まあ、俺やスバルなんて全く目立たないくらい。

カニの奴は別の意味でいっつも悪目立ちしていましたけどね。」

「・・・んで、中学のころ色々あって、ケンカからは一旦足洗ったんですよ。」

「あ、俺も半分足洗ってます。痛いのヤダし。」

「・・・ちぐはくだな。かつての戦い方を思い出しているかのようだ。」

リング上では、村田の猛攻にカメのように体を丸め耐え続けるレオの姿があった。

判定では村田がリードしているのは一目瞭然である。

 

「・・・あれ?でもちょっと待って・・?」

様子がおかしいことに気が付いたよっぴーが声を上げた。

 

「・・・なんか、村田君、とっても苦しそう・・・。」

その声に生徒会の面々はリング状に視線を戻す。

攻めていて、優位に立っていたはずの村田の顔つきが苦しそうなものへと変わっていた。

ガトリング・ガンの速さも明らかに落ちている。

対して、レオも苦しそうながらも威力、スピードが落ちた村田の拳戟をすべて撃ち落としていた。

 

「・・・そうか。あいつめ・・・。村田のオーバーペースだな。」

「え?どういうことですか?」

「本来だったら、あの技を一回や二回使ったところで、体を作りこんでいる村田が体力切れなど絶対にしないさ。」

乙女の解説に首を傾げる面々。

しかし、姫とスバルはああ、と何か思い当たる節があるように頷いた。

 

「攻める。攻める。攻める。それは相手を追い詰めるためだ。

・・もちろん、攻めている側が大抵有利なのは疑いようもない。」

「それだったら・・・。」

「・・・見ろ。」

乙女が顎で指し示した先では、

相変わらずの光景が続いていた。

 

「おかしいだろ?・・・一体、何発村田はパンチを撃った?」

「え?・・あ!」

乙女の説明に合点がいったのか声を上げる素奈緒。

格闘技に詳しくない彼女もここにきて気づいた。

 

「レオは誘っていた。・・・手を出せなかったんじゃない。

最初から出す気がなかった。体をなるべく丸めて被弾する箇所を減らし、

防御に徹している。泥仕合にもつれ込むためにな。」

「・・・・・。」

息をのむ素奈緒。当たり所が悪ければ終わるというのに、

そんな選択肢を取ったレオに対して信じられないものを見るかのような目を向けた。

 

「そんな顔をするな、素奈緒。・・・そら、そろそろ限界が来たぞ。」

 

 

「お・・前・・・!!」

「・・・はは・・・。」

ガードの上からだというのに、痛みが抜けない。

腕が若干しびれている。

捌ききったつもりが、被弾していたとは。

戦いの勘が鈍っている。

これが終わったらスバルにでも頼んで取り戻すとしよう。

 

「最初から・・・!!まともにやりあったら勝てないから・・!!

ずっと・・・!!このラウンドまで・・!!?」

「・・・・ああ。」

撃ちつかれた彼が息を切らしながら、

肩で呼吸している。

手ごたえはあった。

相手の体力を持っていくことには成功した。

ただ、誤算としてはこちらも大分消耗しきっていた。

防御っていうのは意外と疲れる。

体を鍛えていても精神力が持っていかれる。

 

カー―ン、とゴングが鳴る音が響き、

お互いにコーナーまで戻る。

 

「よ。名俳優。」

「恐ろしいまねすんなー。お前。

あ、水飲んでうがいしとけ。」

「・・ありがと。」

スバルが椅子を用意してくれその上に座り、

フカヒレが持ってきてくれたコップの水を飲んで、

ぺっとバケツに吐き出す。

口の中が切れているのか血の味がした。

 

「どうだ。久しぶりの喧嘩は?」

「・・・・・・。」

気分がいい、と言いたかったが喋るのもしんどかったので

拳をスバルの方にあげて返事をした。

 

「ならよし。・・・ま、あの状態じゃなくっても勝てるだろ。

・・・女子達にいいところ見せてやれよ。」

「俺もいい所見せてさー。よっぴーから"結婚して!!"って

言われたかったぜー。」

休憩時間が終わり、二人がリングから外に出る。

さて、ここまでやってきた。

あと少し、あともう少し。

判定では圧倒的に負けている。

・・・だったらやることは一つしかない。

 

両手でグローブを突き合わせ、笑みを浮かべる。

相手もギラギラとした表情だ。

判定なんて決着は望んでいないらしい。

 

 

 

「・・・・対馬ぁっ!!」

「・・・村田ぁっ!!」

 

カーン、と最終ラウンドのゴングが鳴った。

 

 




目覚めてはいないけど、最善だと思ったことをやった模様。

おじさんのはぶっちゃけ根性論。
村田は村田でガードしている上から叩きまくったから、
こっちはこっちで腕を痛めている。
おじさんはおじさんでブロッキングとかしまくって、
体を痛めている。



なんで俺はバトル物を書いているんだ・・・?


乙女さんの解説
原作でもそうだけど、かなり的確なことを言う戦闘民族。
さすが女サイ〇人は格が違った。

ガトリング・ガン
村田の必殺技。名前の通り、パンチを撃ちまくる。
かなりの速さ、威力を誇り、当たればただでは済まない。
乙女さんも使うが、完全上位互換である。
おじさんの場合、今の状態だと捌くのはちょっと厳しい。


そろそろ決着。

感想くれ。

やる気出るからくれ。



KEY(ドM)


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元おじさん、体育祭で頑張る~はじ〇の一歩はやっぱり面白い~

こんにちはんこそば。
KEY(ドM)と申します。

死闘の果て。

どうなるのか。

投げ技でカウンターできるならともかく、
攻撃空ぶると体力的にも、精神的にも疲れるというのはよくある話。

おや・・・?女子生徒たちの様子が・・・・?

それでは、ご覧ください(KBTIT)


KEY(ドM)


 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

「あああああああああああああああああっ!!」

互いに右腕を振りかぶり、相手の顔面目掛けて撃つ。

首をひねってかわすと、相手も首を横にそらして回避した。

次。次が来る。

反動をつけて左のフォローを撃つ。

忌々しくも、相手も同じことを考えていたようであり、

拳と拳の先がぶつかり、弾かれた。

 

行け。行け行け行け行け行け---!!

相手に得意の拳法をやらせるな。

こちらのペースに巻き込め。

距離を取ってミドルレンジに持ち込もうとした村田に対し、

ダッシュで詰め寄り、ボディブローを放つ。

右手に感じる確かな手ごたえ。

いいのが入った。

---それと同時に自分のあごが跳ね上がった。

「ぐっ!?」

「・・・!?」

 

瞳だけ動かして下を見ると、村田がアッパーを放った態勢を取っているの見えた。

合わせられた。

(やばい、脳が揺れる・・・!!)

 

しかし、相手も酸素を吐き出せられて苦しいのは同じはず。

左腕で顔めがけてフックを放つ。

入った。

 

「---ぬおおおっ!!」

即座に反撃してきたところを反応できず、

撃ち終わり、意識が薄くなったところを狙われた。

ワンツーのパンチが刻まれる。

 

一発撃たれたら、負けじとこちらも撃つ。

たたらを踏み、倒れそうになるのをロープを掴んで持ちこたえた。

相手も、背中越しにロープを背負って体を支えているのが見えた。

 

「・・・オオオオオオッ!!!」

「・・・ガアアアアアアッ!!」

 

叫んで、気力を振り絞り前に出る。

ほぼ同じタイミングで、相手も出てきた。

負けない。俺の方が強いんだ。

勝つ。絶対に勝つ。

 

 

「・・・さっさと倒れろおおおっ!!」

「・・・お前がなああああ!!」

 

また轟音が響いた。

 

 

「うわ。すっげ・・・・。血がリングにしぶいてる・・・。

ひえー。」

「おーおー。いつになく熱くなってんなぁ。レオ。」

「・・・うう。」

「あ、よっぴー。」

呑気に感想を述べるフカヒレにスバル。

自分の想い人が血をまき散らしながら壮絶な戦いを繰り広げているのを見て、

顔を青くし、体を振らつかせるよっぴー。

それを、後ろから姫が支えた。

 

「・・・・対馬。」

ぎゅっと胸に両手を当て、意中の男の勝利を祈りつつ、

無事に帰ってくることを願う素奈緒。

 

「・・・・・・馬鹿ばっかり。」

口では呆れたように言いながらも、

作った料理が載る皿を近くにテーブルに置き、

おせっかいな先輩の帰りを待つなごみ。

 

「・・・って!!対馬くん!!頑張ってぇ!!」

恐怖で体を震わせながらも、レオの名前を呼び、

必死に声援を送り続けるよっぴー。

 

 

『いっけええええええええ!!レオオオオオオオ!!!』

マイクを片手に、もはや公平さなどみじんもない、

実況ではない応援をしているカニ。

 

 

「・・・村田!!レオ!!行けええええ!!」

それまで冷静に試合を観察していた乙女も、

いつの間にかリング近くまで駆け寄り、

こぶしを天に突き上げて二人の応援を始める。

 

「・・・・・なんだ。やっぱりいいところあるじゃない♪」

ちょっかいを掛けている相手との、これからの楽しい高校生活を思い描きながら、

姫は楽しそうに笑う。

 

彼にとって、幸か不幸か、この闘いは周りからの目を少し変えるきっかけとなる。

それがまた別の波乱を呼ぶことになるのだが、それはもう少し先の話。

----決着の時は近かった。

 

 

 

 

「・・・・ほう。思わぬところで良い原石がおったわ・・・。」

観客席で、左目に眼帯をつけている大男が、

両腕を組みながら獰猛な笑みを浮かべ、つぶやいた。

 

 

 

「・・・・があっ・・!!」

「・・・ああっ・・・!!」

「・・・・すげぇ。」

2人の姿を見て、観客の誰かがぼそりとつぶやいた。

 

もう腕を上にあげることさえできないほど、二人の体は傷ついていた。

セットされていた髪は度重なる拳の応酬によって下に降り、

見る影もない。

ぶるぶると拳を震わせ、足をふらつかせながらも確かに二人はまだ、

立っていた。

---まだ、相手が立っているのだから。

 

永遠に続くかと思われる、短くも永い一瞬の沈黙が場を支配する。

誰かが息をのむ声が二人に耳に聞こえた。

 

(・・・・なんて奴だ・・・!!対馬レオ・・・!!

認めよう!!僕はお前を侮っていた・・・!!)

村田洋平にとってそれは信じられない光景だった。

決勝戦であたるはずだった伊達スバル相手ならばわかる。

そうでなくても、同じ拳法部だった大野という後輩であっても。

対馬という男は、彼にとって障害ですらない。

しかし、その認識は完全に覆された。

 

弱い奴が、ここまでやれるのか?

血を流し、ボロボロに腫れあがった顔つきで、

なお不敵な笑みを浮かべて、目をぎらつかせながら立つ男が?

----違う。

 

(・・・対馬、レオは強いっ・・・!!)

自然と彼はそんな思考に至った。

警戒すべきは伊達スバルよりも彼であった。

彼だけはノーマークであり、何をしてくるかも全く読めない相手。

なめてかかったツケを払わされていたというのに、

自然と村田の顔には笑みが浮かんでいた。

 

(・・・ああ。そうか。まるで昔の---。)

 

 

 

(・・・・くそ。最近の若者は、なんて言葉が浮かんだけど、

まさかその根性に辟易して使うなんて、思ってもいなかった。)

対馬レオは体にまとわりつく汗を腕で拭う。

相手の予想以上の気力に驚いていた。

舐めてはいなかった。

彼自身、今の自分の状態では勝つのは難しいことを悟っての、

作戦だった。

乱闘に持ち込んで一気に倒すつもりだった。

だというのに、目の前の相手はいまだに立っている。

まるで、俺が強い、俺が勝つ。

---そういわんばかりに笑いながら。

 

村田が笑みを浮かべるのと同時にレオも微笑していた。

単なる殺し合いではなく、ただただ、自分の方が強いことを証明するための、子供のケンカ。

あまりに幼稚で、そして、あまりに彼にとっては胸躍るひと時であった。

そして、思考が張り巡らされていく。

 

(・・・・判定勝ちなんて、セコい真似はしない。

お前は、お前だけは僕の手で倒すっ・・!!)

村田洋平は構えた。

ボロボロの体に喝を入れ、自身にとって一番なじみのある構えを。

すなわち、ミドルレンジの打ち合いに特化した形態。

ガトリング・ガンを放つべく。

 

(・・・・ああ。そうだよな。私だってそうする。

・・相手をぶっ倒してっ!!勝ちたいよなぁっ!!)

対馬レオは前のめりになって体重をかける。

前に、一歩でも素早く相手の懐にもぐりこみ、

相手を倒すために。

拳にぐっと力をこめる。

相手の意識を断ち切るため。

 

じり、じり、とレオが間合いを詰める。

村田は動かない。

まだ、射程範囲ではないからだ。

ガトリング・ガンのギリギリ外に、レオは陣取っていた。

あと一歩。

ダッシュで間合いを詰めて、懐に潜り込む。

彼はクロスレンジに入ろうとしていた。

 

(・・・もう少---)

「・・・・!らぁっ!!」

レオが踏み出そうとしたその瞬間、村田がその動きに合わせて一歩間合いをつめ、

それを解き放つ。

すなわちそれは---。

 

(しまっ---。)

「・・・ガトリング・ガンッッッ!!」

 

---最後の銃撃が、レオを襲う。

 

 

 





ちなみに、刃〇、はじめの一〇、喧嘩商〇を参考に描いてる。
いまだに読んでるわ。

最近の若者は
いつの時代だって使われる、おじさんのためのワード
エジプト時代から使われていたとか

眼帯の大男
一体、何リキッド・スネー〇なんだ・・(中の人つながり)
一発でわかるだろうけど。
地獄蝶々の持ち主である乙女さんを見に来たら、
もっと面白そうな者を見つけたようです。
これはいけません。

次回でジョジ〇ばりの完全決着。


感想くれ。

やる気出るからくれ。



KEY(ドM)


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元おじさん、体育祭で頑張る~決着、そして・・~

こんにちはんこそば。
KEY(ドM)と申します。

原作をやっている人だったら伏線にきがついているであろう。
NEXTならボクシングだが、この試合は・・。

ちなみに、ここからおじさんも周りから認められ始めるで。
ついでに村田君の評価も上がる模様。

漢を見せた男が応援されないはずないんだよなぁ。
男塾なら尚更。

感想欄も熱く燃え滾ってて笑った。

絶対ゲッ〇ーロボとか、グレンラガ〇とかみんな好きだろ。

それでは、ご覧ください(KBTIT)


KEY(ドM)


「あああああああああっ!!」

「う・・ぐ・・・!!」

村田の最後のガトリング・ガンが体に突き刺さる。

威力、速さ共に今までよりも落ちており、

見る影もない。

しかし、拳に込められた負けるものか、という執念が込められている。

後退したら終わる。

もう一度ダッシュできる状況じゃない。

 

---だからこそ、俺はそれを選んだ。

 

「・・うおおおおおおおおおっ!!」

「ぐおっ!?」

気力を振り絞り、パンチを潜り込んで空ぶらせて、

頭を村田の腹にぶつける。

モーションをキャンセルされ、ガトリング・ガンが止まる。

そして、ここから。ここからである。

 

(・・・・・これが、最後の・・・・!!)

この試合では、K1方式が取られている。

出場者は皆、腕による攻撃が得意な人間が多かったので、

ボクシングようなパンチの応酬が多いトーナメントである。

 

---しかし、蹴り技は禁止されていない。

 

吹き飛ばし、村田の態勢が崩れた。

行ける。行ける----!!

「・・・・おおおおおおっ!!!」

顔めがけて、ハイキックを放つ。

当たれば終わる。終わるはず。

 

「・・・はああああっ!!」

「!?」

 

俺は、あまりの驚きに一瞬呼吸が止まった。

--相手も全く同じく、ハイキックを放ってきた。

利き足の、右足による顔めがけてのハイキックがクロスする。

 

メキャ、という音がしたかと思うと、そこでぷつりと意識が途切れた。

 

 

「きゃああああああっ!!」

「・・・・・・。」

「・・・うーん。」

悲鳴を上げる素奈緒。

苦悶の表情を浮かべる乙女。

そして、お互いの顔に蹴りが突き刺さるというショッキングな映像を見て、

ついに気絶するよっぴー。それを慌てて姫が支えた。

 

『ダ、ダウーーーーーン!!!両者、まさかのダブルノックアウトおおおおお!!

おいレオおおおおお!!生きてんのか?!生きてんのかああああ!!?』

「・・・・・うわ。やべえ。もろに入った。」

「・・・まずい倒れ方だな、ありゃあ・・。」

 

館長が倒れ伏す二人に近寄り、首を横に振る。

「・・・・・すさまじい死闘であった。わしはお主らが竜鳴館の生徒であることを誇りに思うぞ。・・この試合、両者ノックアウトにより・・・。」

手をあげ、試合中止を告げようとした館長の動きが止まった。

なぜ、どうしてという観客の疑問はすぐに晴れた。

 

「・・・・・。」

「・・・・・・・。」

「嘘・・・・だろ・・・・。」

 

---誰かが思わずつぶやいた。

2人とも、まだ立ち上がろうとしてた。

ぐぐぐ、と震える体を無理やり起こそうと。

そんな決着は認めないといわんばかりに。

 

止めるべきだ。

ここにいる二人以外のすべての人間はそう思った。

そして、すぐに次の考えが浮かび上がる。

---本当に、それでいいのか?、と

 

「・・・・・って。」

誰かの声がぽつりと漏れた。

それは弱弱しく、声援とは呼べないほど。

 

「・・立てええええ!!」

「・・立ってえええ!!洋平くううううん!!」

「対馬あああ!!」

「立ってくれええええ!!」

観客席から次々に声が上がる。

彼らのことを考えるなら、もういい、休めというべきであろう。

それが正しいのだろう。

しかし、ここにいる全員の気持ちが一つとなった。

そして、それに沈黙を貫いていた館長が目を見開いて、

高らかに宣言する。

 

「---先に、立ち上がった方の勝利とするっっっっ!!

テンカウント数える!!!それまでに立ち上がれいっ!!!」

『うおおおおおおおっ!!』

---館長の宣言に会場が再び沸き上がった。

 

 

 

やけにうるさい音が鳴り響いている。

目を開くと、また青い床がこんにちわしているのが見えた。

倒れている。

いや、倒された。

 

体の力を入れようとすると、悲鳴がみしみし、と上がる。

顔がやけに痛い。右手で触ると血がぬるり、と付着する。

(・・・そうか。まだ・・。)

 

じゃあ、起き上がらなければ。

決着をつけないと。

わずかに動く首を動かすと、近くにロープがあるのが見える。

右手でそっとつかみ、支えにして立ち上がる。

 

「レオおおおお!!」

「レオっ!!!」

「対馬あああっ!!」

「対馬くうううん!!」

「・・・・・先輩。」

「レオ君っ!!」

「・・・・レオっ!!」

 

近くで、応援してくれている生徒会メンバーの顔が見える。

左手を振って、心配ない、とアピールする。

すぐに立つからそんな不安そうな顔をしないでほしい。

 

「・・・あ・・ああ・・・。」

前を見ると、俺と同じく、必死に立ち上がろうと、

コーナーに寄りかかりながら立とうとしている村田の姿が見える。

やるなぁ。若人。

でも・・・・。

 

「負け・・・られ・・・ないっ・・!!」

「・・・俺が・・・勝つ・・・!!」

立つ。立つんだ。こんなの、24日連続勤務に比べれば屁でもない。

団塊世代を舐めるな。伊達に地獄は見てきていない。

 

「・・・ファイブっ!!・・・・シックス!!」

館長がゆっくりとカウントしていく。

空気を読んで、わざと遅くカウントしているのだろう。

なかなか粋な真似をしてくれる漢だ。

皆から慕われるのもわかる。

 

『レオオオオオッ!!』

「・・・もう、贔屓しないで・・・。といっても聞いてませんわねー。

・・・見直しましたわ。対馬さん。・・・後はちゃっちゃと立ち上がって、

勝っちゃってくださいなー。」

 

ああ。口から血がこぼれた。

マウスピースごと吐き出し、リングにこぼす。

勝ちたい。私は、勝ちたい---!!

 

そして、俺たちは同じタイミングで立ち上がった。

「・・・・・・。」

「・・・・・・・。」

会場が静まり返った。

 

「・・・・・・対馬。ファイティングポーズを取れ。」

「・・・は・・・い・・・。」

ぐっ、と体に力を入れて構えなおす。

闘志は萎えていないことを示すために。

勝つのは自分であることを証明するために。

でも、もう限界だ。

もし、相手があと一発でも攻撃してきたら、

すぐに倒れてしまうだろう。

 

うむ、と彼が頷いたような気がした。

 

「・・・・・・村田。ファイティングポーズを。」

「・・・・・・。」

にい、と笑ったかと思うと構えを同じくとった。

・・・負けた、か。

---そして、館長が何かを言う前に、彼は仰向けに倒れた。

 

大の字になり、目をつむって。

穏やかな顔つきで、倒れ伏した。

 

「・・・・勝者あああああ!!対馬レオおおお!!」

『・・・・うおおおおおおおおおっ!!』

会場から、空気が裂けんばかりの怒号が響いた。

拳を突き上げたその瞬間、体を支えきれず、俺も倒れた。

 

 

「・・・痛い。」

「当然だ、馬鹿者め。」

「まったくしょうがねー奴だなー。今日だけは診察料なしで、

ボクがブラッ〇・ジャックばりの治療を施してやんよ。」

「・・・・佐藤さん?私が付き添うから、いいわよ?」

「・・・・・近衛さんこそ。演劇部の方に戻っていいよ?」

「ふふーん♪つ・し・ま・くーん♡はい、これあーげる♡

あーん♡」

「・・・・・・先輩。冷めないうちにさっさとこれ、食べてください。

・・・・まったく、馬鹿なんですから・・・。」

女性陣から手厚い看護をされ、包帯を巻かれた状態で、

食べ物を無理やり口に突っ込まされる。

椰子さんの料理は旨い。うまいのだが、なぜか霧夜さんが、

カニと同じようにあーん、と差し出してきた。

とりあえず、両方とも口の中に入れる。

おお、煮物?だろうか。

醤油と砂糖の甘い味がした。

 

「結局、対馬君は棄権。不戦勝だけで伊達君が勝ち上がり、

優勝。・・・あの後は盛り上がらなかったわねー。」

「まったくだぜ。みんな、もっとレオみたいに根性みせろよなー。

ボクはスプラッタ映画みたいな猟奇的な映像が全国に流れると思って楽しみにしてたのに。」

「やめい。」

カニの不穏当な発言に、彼女の両頬を手でつまんでびよーんと伸ばす。

実況でいい働きをしていたと思ったらこれである。

 

「・・・・なんか、納得できるけどできない。」

「・・・・ま、今はゆっくり休んどけや。お疲れさん。」

ぐぬぬ・・・と羨ましそうな顔つきで睨んでくるフカヒレと、

ニヒルに笑いかけてくるスバル。

うむ、まあ・・・いいか。

 

「・・・くそ。あと少しで勝てた。・・・勝てたのにぃぃぃ・・・。」

「・・・よーへー。大丈夫?」

「・・・だ、大丈夫だから・・・。あ、あまり近づきすぎるな・・・。

恥ずかしいだろう・・・!」

「・・・かわいい・・♡」

 

保健室で寝ているということは、当然同じく、

ノックアウトした村田も同じである。

しかも2-Aの美人として有名な、

西崎さんが嬉しそうに付き添っている。

 

・・・おじさんだからいいし。若者に嫉妬したりとかしてないし・・・。

「いたアっ!!」

そんなことを考えていると、

カニに首筋にかみつかれた。

 

「ごらぁっ!!ボクが看病しているっていうのに、

何よそ見してんだおらぁっ!!」

「・・・同感だな。なんだか無性に腹が立つ。」

「ふーん。私を差し置いて、よそ見、ね・・。」

「・・・先輩、キモイです。」

「・・・対馬、あんたね・・・!」

「・・対馬君?なんで西崎さんの方を見ていたのかなー・・?」

 

誰か助けてくれ。

胃が、胃が痛い・・・・。

甲斐甲斐しく、彼女たちに看護されながら体育祭は過ぎていくのだった。

 

 

 

 




格闘トーナメント終わり

次回は夏休み・・・だっけ?
正直うろ覚え。

おじさんの状態について

???????>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>熱血>>>>>>集中>>>通常>>>>>>>>緊張>>>>>やる気なし
の順に強い。

スバルが優勝。
まあ、村田とレオが消えたから残当。

書いていて滅茶苦茶楽しかった。

こんな話がまた書きたひ。

女子たちとの距離感があかんことに。

とりあえず、くーちゃんと仲がいい村田は爆発四散すべき。
そうすべき。

感想くれ。

やる気出るからくれ。



KEY(ドM)


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元おじさん、テストでがんばる~阿鼻叫喚の期末考査~

こんにちはんこそば。
KEY(ドM)と申します。

熱血物が好きな読者多すぎぃ。

今更艦これやるのもあれだし、
アズールレーン始めようっと。

あ、にくすべおばさんと、オクラホマちゃんだけは知っている。

かわいいよね。


それでは、ご覧ください(KBTIT)

KEY(ドM)


「しっ!!しっ!!」

「うーし。俺もやるかー。」

「・・・・おいっちに。さんっし。」

「・・・・・・。」

 

体育祭から一週間経ち、期末考査も近づくころ。

傷もようやく癒えて、まともに動けるようになった。

---それまでの間は、筆舌に尽くしがたい日々だった。

ふろに入れないので水着姿の鉄先輩と、カニに無理やり洗われ、

色々と弄ばれたり。

箸がうまく使えないので佐藤さんや近衛さんに食べさせてもらったり。

栄養の付くものが必要だといわれ、椰子さんに夕飯用の弁当をこっそり渡されたり。

(ちなみに、トーナメント前にこっそり様子を見に行ったら、うまく料理部と一緒にやれていたようである。安心した。)

 

そう、回復して後はいつもの日常が戻ってくるはずだった。

・・・だったのだが。

 

「えーと、そんじゃ総当たり戦な。・・・お、いきなりレオと俺か。

・・・ま、いっちょやるかね。」

「その次は僕とフカヒレだな。もう一度倒してやろう。」

「はっ。レオとスバルに連れまわされて、こっちも強くなってんだよ。

緊張する大舞台ならともかく、今なら負ける気しねーな。」

「・・・・・・。」

----クラスメイト達に、格闘トーナメントでの健闘を讃えられ、

初めて学生生活中に全校生徒の注目の的になって心臓の鼓動が激しくなりながら、

廊下を歩いていたら、村田と出くわした。

なんでも、リベンジしたいと。

お互いに傷も治った。だから、やろうぜ、と。

断ろうとしたらスバルとフカヒレもやってきて、放課後、

誰も来ないであろう高架線下で再びガチることに。

 

戦えず、欲求不満のスバル。

力を発揮できず、力を持て余しているフカヒレ。

そして、再戦を望む村田。

断ることはできなかった。

 

「そんじゃ。レオ。いくぜ?・・・いつもの状態じゃ、

マジで死ぬかもしんねーから、スイッチ入れろよっ!!」

「いけー!!スバルーー!!お前が勝つ方に食券一枚賭けるぜ!!」

「対馬っ!!僕に勝ったんだ!!無様に負けるのは許さないぞ!!」

「・・・・・・。」

 

頭の中で、ロッ〇ーのテーマが流れた。

<エイドリ〇ーン

通りすがりのテンチョーが俺たちを見て、つぶやいた。

 

 

 

 

後日、俺たち四人はボロボロの体を引きずって家に帰り、

鉄先輩と、カニから怒られた。

翌日登校してから、佐藤さんや近衛さんに本気で叱られた。

おじさんだろうと、中身はがきんちょだったらしい。

 

 

 

 

「そろそろ期末考査ですわー。みなさーん。頑張ってくださいねー。

・・・もし、悪い点数を取ったら・・・。ああ~、恐ろしくって私の口からは言えませんわー。」

「赤点取って、追試も落ちたやつは夏休みなし。そして、島流しだぁ。

てめぇら。マジでやるんだぜぇ。」

よよよ、と服の裾で口元を隠す祈先生。

土永さんが代わりに代弁し、浦賀さんやカニ、イガグリの時間が止まった。

「レオおおおお!!助けてえええええ!!」

「ああー。トンファー。後生や・・・。へるぷみー・・・。」

「・・・・・・・。」

カニは俺に、浦賀さんはトンファさんに救いを求め、

イガグリは白く燃え尽きる。

カニは、こう、何というか色々とマズイ。

進級できるかも怪しいレベルである。

かといって、俺もトーナメントのケガもあり、一週間勉強できていない。

期末考査まであと少しだというのに、大分マズイ。

日本史、世界史、国語は大丈夫なのだかが、理数系は前世でもあまりやってこなかったので補強する必要がある。

 

カニを助けながら、どうやって期末考査に向けて準備をしようか考えていると、

佐藤さんが話しかけてくる。

「あ、あのね・・・。対馬君・・・。」

「佐藤さん?」

「レオおお!!」

カニが半泣きになりながらしがみついてくるのを両手で顔を掴んで抑えながら、

佐藤さんの方に首を向ける。

 

「・・・・よかったら、私が、手伝おうか?」

「え?本当に?」

「おおおお・・!」

佐藤さんからの願ってもいない申し出に声が上ずる。

彼女は学年でトップレベルの才女。

霧夜さんではないにしろ、頭はいい

これなら、いけるのではないだろうか。

 

「うおおおおおっ!!よっぴいいいい!!」

「あ、よっぴーも?だったら私も参加しようかナー。

「おっ。じゃあ俺も頼むぜ、よっぴー。」

「女神だ・・・。YYY(やっぱり、よっぴーは、やさしい)だな・・・。」

「ああ・・・。YYYだぁ・・・・。」

「うわあ・・。」

わらわらといろいろな生徒たちが集まってきた。

主に、赤点ギリギリの連中である。

その中に、幼馴染3人の姿があるのが心配でしょうがない。

 

「YYY!!!」「YYY!!」「YYY!!!」

「ちょっ、ちょっとー・・。恥ずかしいよぉ。」

「結婚してくれ!!よっぴー!!」

「---寝言は永眠してから言った方がいいよ?」

「アッ、ハイ・・。すみませんでした・・・。」

便乗して求婚した生徒がバッサリと切り捨てられた。

 

 

 

「生徒会メンバーが補習なんて許しませーん。と、いうことで地獄の勉強合宿ね。」

「うっそだろ。」

生徒会室で全員集まるなり宣言した霧夜さんに向かって、

カニがそうこぼした。

主に、お前のせいでもあるんだけど。

けれども、生徒会メンバーが赤点を取るわけにはいかないというのは同感である。

館長や、風紀委員長の鉄先輩だって許しはしないだろう。

 

「主に、よっぴーと私で教えたげるわ。・・・・これで合格できなかったら大岡裁きね。」

「えっ!?姫とよっぴーが俺を取り合って腕を引っ張ってくれんの?!」

「訂正するわ。・・・・私の屈強なボディーガード二人による大岡裁きね。

あ、シルベスター・スタ〇ーンと、アーノルド・シュワル〇ェネッガーみたいなガチムチ二人だから、安心しなさい♡」

「ただの処刑じゃないですか、やだーー!!」

霧夜さんの言葉にフカヒレが叫ぶ。

というか、大岡裁きされて喜ぶのってどうなんだ・・・と俺も突っ込む。

でも、これで何とかなるだろう。

それよりも、俺には気にかかっていることがあった。

 

「・・・・・・・。」

窓の外に、愁いを帯びた視線を投げかける少女。

生徒会で唯一の1年生、椰子なごみ。

最近、彼女の様子がおかしい。

屋上でも、いつもよりため息をつく数が増えているし、

表情もどこか曇っている。

 

駅前でギターを弾いているというフカヒレからは以前、聞かされたことがある

 

『---え?椰子さんが?』

『ああ。なんかものスゲー憂鬱って顔してるぜ?

ありゃあ、なんか抱えてんだろう。・・それにしても、

15歳とは思えねー尻してたわ。』

『・・・・・・・。』

フカヒレのセクハラ発言は置いておいて、

彼女のことに思考を傾ける。

一体何があったというのだろうか。

もしかして、学校生活が実はうまくいっていないとか、

家庭で何かあったりしたのだろうか。

 

どうにかしたいとは思うが、人の事情に首を突っ込むのはあまりよくない。

それも、彼女が望んでいるわけでのないのにそうするのは尚更エチケット違反だ。

歯がゆさに顔をしかめていると、いつの間にかこちらを見ていた椰子さんがつぶやく。

「・・・何見ているんですか。キモイですよ。先輩。」

「・・・よかった。」

「・・?」

「・・あ。いや、何でもない。気にしないでくれ。」

俺がそう言うと、興味を失ったのか本に視線を落とす彼女。

どうしたものか・・・・。

 

 

結局、彼女のことが気がかりで、この後行われた勉強会にあまり身が入らなかったのだった。

 

 

 

 




結局、乱闘になって誰が一番強いか決まらなかった模様。
そら(血気盛んな男子高校生たちが殴り合いしたら)そう(なる)よ


おじさん、なごみんを心配するの巻

なごみんと一番仲いいけど、そこまで踏み込んでいいのか?と
相当慎重になっている模様。
不倫されて、修羅場になった友人や、離婚によって傷ついた子供とかを見てきたから、
なおさら突き刺さるであろう案件。
なごみんがデレたらぶっちぎりでヒロインレースに勝っちゃうだろ!!
いい加減にしろ!!

デレる(予言)

YYY
よっぴーはやはり女神だった。
黒よっぴー?
オルタの事?

次回はなごみんの話が続く。はず。

何が書けるかは俺の指に聞くべし。


感想、くれ

やる気出るからくれ

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元おじさん、夏休みを満喫する~休暇で過労死しそうってどういうこと~

こんにちはんこそば。
KEY(ドM)と申します。

テストが終わった後の話から

なお、夏休みに入る前に、
ヒロインたちから遊ぶ約束を取り付けられており、
平沢〇師匠のライブに行けなくなって泣いた模様。
駅前で、なごみんがたたずんでいるのを偶然発見して・・・?



それでは、ご覧ください(KBTIT)

KEY(ドM)


結論から言うと、期末考査は大丈夫だった。

残り1週間、必死になって苦手分野を復習し、

カニたちの面倒も見つつ、佐藤さんと近衛さんに教わった結果、

上位30位に入ることができた。

霧夜さん『まだまだねー。もっと頑張りなさい。』と言って、

薔薇を散らして去っていった。

彼女はもちろん1位である。

 

もうちょっと、地頭がよくなればいいのだが。

 

カニ、スバル、フカヒレは島送りにされずに済んで、

喜び合っていた。

こちらとしても、今回の結果は鼻が高い。

 

今日は夏休み前の終業式。

体育館に集まって、みんなで館長の言葉を聞くことに。

『----各自ぃ。羽目を外しすぎずぅ。節度ある休暇を送るように。

・・・儂からは以上である。』

 

あっという間に放課後となり、帰ることとなった。

教室で忘れ物がないか確認し、カバンを肩にかけて廊下に出ようとした瞬間、

背中に何かが乗っかってきてよろめく。

「おい!!レオ!!夏休みは毎日遊ぶかんな!!プールに、海に、山に、

お祭りに・・。楽しみだぜ――!!」

「・・・・・・。」

スバルとフカヒレの方を見ると、首を横に振り、

敬礼して先に帰ってしまう。

野郎・・。押し付けやがった・・・!!とわななく。

夏休みが明けたらハバネロソースのカレーをお見舞いしてやる。

「・・・・対馬くん。ちょっといいかな?」

「・・・佐藤さん?」

「レオの財布でゲーセン巡りもいいよなー。」

俺の背中で阿呆なことをつぶやいているカニを無視して、

佐藤さんの方を向く。

何か用があるのだろうか。

 

 

「あのね・・。よかったら夏休み、一緒に遊ばない?」

「・・・え?」

「!?」

それまで、独り言をつぶやいていたカニが突然、

俺の首を両手で絞めてきた。

というかしがみついてきている形である。

「いだだだだだあっ!!痛いっ!!痛いっ!!」

「こらっ!!レオ!!お前はボクと遊ぶんだよっ!!」

「・・・・・対馬君?いいよね・・・?」

返事をしようにも首にホールドをかけられて声を出すのも難しい。

みちみちとカニの腕が首に食い込んで息が詰まる。

 

「・・・対馬?よかったら、夏休み一緒に---。って、

何やってんのよ!?」

「・・・へ、・・・へるぷ、みー・・・。」

近衛さんもやってきて、さらにカオスとなった。

 

 

あの後、俺がなかなか帰ってこないことから様子を見に来た鉄先輩の采配によって、

決着が着くことになった。

夏休みのうち、8日間は鉄先輩と、6日間はカニと、8日間は佐藤さん、と、佐藤さんを守るという理由で霧夜さんと。

そして、7日間を近衛さんと過ごすことに。

この時点で、俺が自由に使える日数は10日間を切っていた。

 

「よし。完璧なスケジューリングだな。」

「・・これ、大分きついと思うんですけど・・・。」

「安心しろ。修業は軽くに抑えてやる。」

「・・・・・。」

久方ぶりにごろごろしたいんだよぉ。

コンビニで酒・・・は変えないからつまみと、チーズでも食べながら、

ベッドで寝ていたかったんだよぉ、と心のうちで愚痴る。

(しゃけとば買って、帰ろう・・)

 

夏休みの予定について盛り上がる彼女たちを置いて、

こっそりと教室を出る。

昇降口にて靴を履き替えて出口に出ると、見知った顔の生徒と出くわす。

 

「・・・・・・あ。椰子さん。」

「・・・ども。・・・それじゃ。」

それだけ言うと、スタスタと歩き去ってしまう。

そういえば、彼女とは特に会う予定もなかった。

(・・・・・・しかし、大丈夫だろうか。)

今日も結局元気がなさそうだった。

こちらとしては心配である。

彼女にとっては余計なお節介かもしれない。

それでも、気になって仕方がないのである。

とはいっても、やれることは特にないのだが。

 

(・・・・・はあ。)

やりきれない気持ちを抑え、ため息を吐いて、

家まで帰った。

 

 

 

「レ―――オ――――!!あーそぼーうぜーーー!!」

「・・・・・・・・・。」

夏休み1日目。

今日はお昼まで寝ようと思っていたところにこれである。

窓からカニが強襲をかけてきた。

耳がキンキンなるのではないかと思うほどの高い声にくらりとした。

布団を頭までかぶって潜って無視する。

今日は誰とも約束していないからである。

 

「こらぁっ!!このボクが清涼感あふれる笑顔と共に遊びに来てやったんだぞ!!

さっさと起きて、お茶漬けの準備でもしな。」

それは、早く帰ってほしいときに出すものである。

突っ込むのも眠くて疲れるので、続けて無視する。

「おーきーろーーーー!!一緒に遊ぼうぜ!!

マ〇カーやろう!!マリ〇ー!!ド〇ポンでデスマッチでもいいぜ!!」

「・・・・・・・・・。」

「・・・へ?うわっぷ。」

うるさかったので布団の中に引きずり込み、抱き枕代わりにする。

こうすればおとなしくするだろう。

とにかく眠かったので、手っ取り早く黙らせたかった。

 

「・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・。」

静カニなった。そーっと布団の中をのぞいて、カニの顔を見ると

なぜか耳まで顔を真っ赤にしていた。

「・・・あ・・・あう・・・。」

「・・・どうした?」

いつも、俺にひっついてきているくせに、

なんだかおかしい。

悪いものでも食べたのだろうか。

 

 

返事がなかったので、もう一回ぎゅーーーっと軽く抱きしめてみる。

おお。抱き心地がいい。それにあったかいからだんだんと眠気がしてきた。

考えるのもだるい。眠い。さっさと寝なおそう。

「・・・へ。へへ・・・。へへへへへへ・・・・。」

「・・・・・。」

カニのつぶやきを聴きながら、うつらうつらと意識が薄れていった。

 

 

 

 

「起きんかっ!!!」

「うっひゃい!?」

「・・・・・・・zzz」

 

大声と共に布団が剥される。

顔をあげると、憤怒の表情を浮かべている鉄先輩が立ってた。

珍しく私服である。

まずはあいさつしなければ。

 

「ああ。先輩。おはようございます。」

「おはよう、だと・・・!?」

「zzz」

なんだかものすごく怒っている。

ここまで怒りをあらわにしているのを初めてみた。

声が震える。

 

「え、えーと。どうされましたか・・?」

「zzz・・・・。」

「・・・・さっさと離れんかっ!!二人ともっ!!」

「えっ・・?うおっ。」

「zzz・・・。」

鉄先輩が俺の背中に引っ付いているものを無理やり引っぺがす。

そこには、幸せそうな顔で爆睡しているカニの姿があった。

 

「カニ?なんでここに・・・・?」

「・・・・夏休み1日目から不純異性交遊とは、

見下げたものだな・・・!!」

「zzz・・・・。」

鉄先輩の怒りのボルテージがあがっていく。

握り締めた右こぶしからはオーラのようなものが放出されており、

あたりの風景をゆがめて居る。

そんな状況だというのに、カニは一向に起きる気配を見せず、

爆睡している。

バカなのか、大物なのか。たぶんバカなだけだとは思うが。

 

 

「---優しくしごいてやろうと思ったが気が変わった。

お前は徹底してこの鉄乙女が鍛え直してやろう!!

行くぞ!!レオ!!」

「・・・・・・・・。」

「・・・・・・・えへへ・・レオぉ・・・。」

幸せそうに眠るにカニに手を振りながら、

首根っこ掴まれて引きずられるのだった。

 

---波乱の夏休みが、今ここに始まった。

 

 

 




夏休み
ミューツーの逆襲を見に行ったあのころ。
映画館でマジ泣きした。
リメイクするってマジで?
正直見てみたい・・・。
(でも、子供に混ざってみるのもなぁ・・。
いや、堂々と行ってみるべきか・・・?)

おじさんの夏休み
自由はない。
ちなみに、シナリオの都合上、
残り8日ほどの自由時間はすべてなごみんを救うために
使われる模様。南無。
なごみんは夏休みを通してデレ始める予定。
俺自身も見たいから。


グラマラス女軍人の方はもうちょっとまってちょんまげ。
気分がノったら一気に書くから。


感想、くれ。

やる気出るからくれ。

KEY(ドM)


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元おじさん、不良少女(見た目だけ)とニアミスする

こんにちはんこそば
KEY(ドM)と申します。

久しぶりの投稿だ、おらぁん!!!


この小説と同じ世界観のマジ恋の小説で、
つよきすおじさんの話を求める感想が多かったんや(マジレス)


家庭に居場所のないなごみん

そんな彼女を時折見かける主人公

一体、どうなることやら


それでは、ご覧ください(KBTIT)


KEY(ドM)


夏休みが始まり、前もって決められていたスケジュールの通り、

俺はみんなと遊びふけっていた。

・・・と言いたいのだが、先日カニと不順異性交遊していたと、

黒鉄先輩に誤解され、毎日厳しいしごきをされることに。

 

昔やっていた拳法の型を延々と続け、

走り込み、腕立て伏せ、柔軟、そして仕上げに組手という、

息が切れそうになるほどのハードな訓練である。

 

 

黒鉄先輩が実家に何日か帰るとのことで、

その特訓から解放され、筋肉痛で痛み体を休めるために、

ベッドに横たわる。

 

(・・・ああ・・・しんど・・・)

 

いつもならばこうして休んでいるだけでカニが襲撃してくるはずなのだが、

事前にカニのお母さんに根回しをしてあるので、

決まった時以外は夏休み中、突撃してこないようにしてある。

 

ただし、カニが拗ねて、一緒にいる日はずっと、

カニの部屋で過ごすことになったが、まあ些細なことだろう。

 

そういえば、スバルとフカヒレはどうしているだろう。

スバル辺りはバイトで忙しくしてそうだが、体調を崩さないか心配である。

フカヒレは・・・・・まあ、うん。

ギターやってるか、エロゲやっているかどっちかだろうなぁ、と想像がつく。

 

しかし、困った。

ここにきて問題が発生である。

 

 

----今までの我が家の料理担当が不在である。

スバルの料理の腕は一流であり、いつも頼りにさせてもらっていた。

黒鉄先輩もおにぎりばかりではあるが、ほかのインスタント食品で、

ちゃんと栄養バランスを考えてくれていて、助かっていた。

 

で、その二人がいないのである。

だったら自分でやろうとは思うのだが、

今は本当に体が痛い。

痛い。

 

(・・・・出前取るかなぁ)

 

諦めてなけなしの金を使って出前を取ろうかと悩み、

とりあえず喉が渇いたので冷蔵庫を開ける。

 

お茶を取り出し、あとついでにまだあったはずのアイスを食べるために、

冷凍庫も漁る。

 

 

 

---なんか、冷凍されたおにぎりがたくさん入っていた。

 

「」

 

所狭しと。俺を食えよと言わんばかりに放り込まれた、

カチカチな冷凍おにぎり。

いや、なんで?と疑問が頭をよぎると同時に、

これをわざわざ自分で全部作って準備したであろう、

黒鉄先輩のどや顔が浮かんだ。

 

心配性で、厳しいながらもこういうことをしていくあたり、

やはり甘いのだろう。

 

(・・・・とりあえず、食べるか・・・。)

 

レンジでチンした冷凍のおにぎりは、

当たり前だがいつも黒鉄先輩が作るおにぎりの味がして、

なぜかほっとするのだった。

 

 

 

---どいつもこいつも馬鹿ばかりだ。

 

暑い日差しの中、歩く人の波をカフェの向こうから眺める。

みんなどこからきてどこに向かっているのだろうか。

 

---私と違って、居場所があるのだろうか?

それともみんなも、居場所なんてないのだろうか?

 

どちらにせよどうもでいい。

 

あの男に騙されている母さんが許せない。

あんなに父さんのことを愛していたのに、

他の男に乗り換えるなんて。

 

---好きだったら、ずっと同じ人を想い続けるべきだ。

私は誰かを好きになったことなんてないけれども、

でも、確かにそう思う。

 

(・・・・・・・あほらしい。やめよう。)

 

こんなことをいつも考えていたって何にもならない。

私の大切だった場所はもうないんだ。

ぼーっとカフェのガラス張りの向こうを見る。

 

 

その時、不意に見知った人物が通ったのに気が付いた。

 

 

(・・・・対馬先輩?)

 

 

「・・・ん?」

「おう、どうした、レオ?」

「いや・・。」

 

何か視線を感じて周りを見渡してみるも、

その主が誰かわからないのだった。

大した事でもないので何でもない、と隣にいたスバルに言い、、

少しずり落ちたバッグをしょいなおす。

 

「しかし、スバル。バイトが忙しいんじゃ?」

「大丈夫だ。今日はシフト入ってねーからよ。」

「・・・・・・・。」

「・・・・で、なんでフカヒレはこんなに落ち込んでいるんだ?」

 

ニヒルに笑うスバルに対して、

自分の反対側で落ち込みながら歩くフカヒレを指さし、

理由を尋ねる。

 

「ああ・・・。なんか、ナンパしてみたら"猿顔マジ勘弁"って言われて、

振られたんだとよ。」

「ええ・・・。」

「いうなよぉ!!!結構傷ついてんだからさぁ!!」

スバルの言葉に、顔をあげてしくしくと泣き始めるフカヒレ。

やるときはやるのに、こういうヘタレな部分があって、

大分台無しである。

 

「お前はなー。男らしいとこ見せりゃ女もころっと行くと思うんだけどなー。」

「へっ!!イケメンは女に不自由しなくっていいよなー!!なー!!」

「肩を組むのはやめろ。」

なんか、なれなれしく肩に手を回してきたのでとっさに避ける。

そういう趣味はない。

 

「くっそー!!今日は俺の気が済むまでやるからなー!!」

「へいへい・・・。おう、坊主。竜鳴祭の時くらいの勘は取り戻してんだろうな?」

「まあ、ぼちぼち。」

 

いつもの高架線下までやってきたので、

バッグの中からオープンフィンガーグローブを取り出し、

装着する。

 

向き合う自分とフカヒレ。

 

 

「はあー。・・・たくよー。なんでこう女運がないというか・・・・。」

「スバル。やばくなったら止めてくれ。」

「あいよ。そん時は二人とも不意打ちで気絶させてやるよ。」

 

---その一瞬で場の空気が変わった。

 

それまで、腑抜けた表情をしていたフカヒレの顔つきが変わり、

まるで、獲物を前にした獣のごとき眼光。

 

「ッシ!!」

 

先手必勝。

掛け声とともに左ジャブを放つ。

顔面を捉えた。そう確信をしていた。

 

 

 

 

「----甘ェよ。」

 

---気が付いたら、フカヒレではなく、自分の顔に掌底が突き刺さっていた。

鼻を潰され、血が噴き出す。

 

「ぐはっ!!」

「たく。本当は俺よりも強いんだからさ、さっさと勘を取り戻せよー。」

「ははははは。痛そうだな、レオ。」

「このぉっ!!」

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

 

陰からこっそりとのぞき見している人物がいることにも気づかず、

俺たちは日課のスパーを続けるのだった。




ここのフカヒレは、スバルや元おじさんと、
中学時代散々ケンカに明け暮れていたのでかなり強いゾ。


ちなみに、カンフー映画に憧れて、とある中国発祥の武術を独学で覚えているゾ。
中二病とか言ってはいけない(戒め)


陰から見ている人物・・・。
一体なになごみんなんだ・・・。(すっとぼけ)

3人が鍛え続けている理由はおいおい。


おや、なごみんの様子が・・・?


乙女さんは本編以上にレオの世話を焼きたがっていたので、
その結果、大量におにぎりを置いていったゾ。
冷凍しているのも、夏は食べ物が痛みやすいことを知っていたため。
他の料理を作るという気遣いもするべきなんだよなぁ(マジレス)

感想、くれ。

必ず読むからくれ。



KEY(ドM)


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元おじさんVSフカヒレ~現代格闘術VS中国武術

こんにちはんこそば
KEY(ドS)と申します。

久々の投稿


誰も覚えておらんじゃろ(油断)

フカヒレについて補足

原作でもレオ曰く、昔は"やばいレベル"でいじめられていたというフカヒレ

ここのおじさんとしては当然、そんなことを見過ごせず、
どうにかして解決できないかを模索していた。

結論から言うと、弱っちく見えるからいじめられる、
舐められるのが原因だと解析し、
フカヒレを鍛えることに

当然、そんなの無理無理無理!!とヘタレを発揮していたフカヒレだったが、
"強い男ってモテるぞ"というスバルとレオの説得に
"俺が・・・スーパーフカヒレだ・・・"と
とりあえず努力をさせることに成功

まあ、総合格闘技でもやらせればそこそこ強くなるかなーと思いつつ、
格闘技の映画とかを見せて、どの流派を学ぶかそれとなく勧めたところ、
なんとカンフー、中国拳法に憧れ、のめりこむ事態に

理由は、"手さばきがあんだけ上手いってことは、極めれば手マンもうまくなって女の子をイかせられまくる・・・!!"というしょうもない考え

結果的に、最初はぼこぼこにされまくっていたフカヒレは1年たつと負けないくらいに、2年たつと逆にぼこぼこにできるくらいに、3年たつともう彼をいじめようとする人間はいなくなっていた。


もやしっ子な見た目のくせして的確に人体急所を狙ってくる軟体動物みたいで怖いとうわさされるように

竜鳴館に入って大人しくしているのは、それまでの悪評を覆し、モテようとしているため

こいつ、原作でも何人かの女子からは好意を持たれているけど気づいていないっぽい
。滅びろ(迫真)




それでは、ご覧ください(KBTIT)


KEY(ドS)


「ぜあっ!!!」

「しっ!!」

 

---ひゅ、ひゅ、ひゅん、と拳がお互いの頬をかすめる。

かすったところがひりつき、血が一筋垂れる。

フカヒレは、左手をだらりと下げ、一見舐めているような構えをとっている。

 

 

だが、そうではないことを俺はイヤというほど知っている。

 

たたん、と右足を思いっきり後ろに蹴って後退し、

下がり際にジャブで進行を止める。

 

フカヒレの手がそのジャブを止め、手首をつかみ、

横にねじろうとしてくる。

 

「---おおおお!!」

「・・・おあっ!?」

 

ぐい、と小手返しの要領で横に倒されそうになるも、

金的を狙ってとっさに左足で股間を蹴り上げる。

警戒されていたからか、膝を閉じて防がれた。

 

つかまれた手首を一回転させるように左腕を大きくぐるりと回し、

捕縛されていた手を解放させる。

 

「・・相変わらず、厄介だなぁ。その容赦のない攻撃。」

「・・・そっちこそ。剛法だけじゃなく、柔法まで使うのは。」

「お前相手に手なんか抜いたらおっちんじまうだろ。」

「・・・・こっちこそ。」

 

軽口をたたいている間につかまれていた手の痛みを和らげることに成功した。

だらりと垂れ下がった左手が突然顔めがけて飛んでくる。

狙いは

 

「----くっ!!」

「うおっ!!」

 

目つき。

かすめるだけでも視力を持っていかれるビルジーと呼ばれる技だ。

当然、当たれば効果は半端ではない。

だが、動く的を相手に早々当てられるものではない。

 

腰を低くして、腹に向かってタックルする。

体重はこちらの方が上のハズ。

頭のてっぺんをフカヒレのおなかにぶつけ、

そのまま強引にグラウンドに引きずり込む。

 

「おらぁっ!!」

「あ、ら、よっ!!」

 

マウントを取り、掌底でフカヒレの顔を殴りに行くも、

空いている両手で上手くさばかれ、逆に引き込まれて、

ポジションを変えられてしまう。

 

(---十字!!)

「いいぞー。フカヒレー。」

「へっへっへ。・・・もらっ・・!!?」

 

フカヒレが十字固めをしようとした瞬間、

よくわからない寒気のような感覚が彼の体を包み込む。

 

「-----しゃぎゃあああっ!!!」

 

いびつな声を出しながら、レオは立ち上がる。

左腕に巻き付くように十字の態勢を取っているフカヒレを、

そのまま上に持ち上げる。

 

「おいおいおいおい!!?マジかよぉ!!?」

「ーーーおらぁっ!!」

「うごっ!!?」

 

後頭部から後ろに倒れるようたたきつけるも、

首を前に折り畳み、致命傷とならないよう背中から受け身を取るフカヒレ。

背中は人体の中でも特に頑丈な部位である。

ゆえに、有効打にはなりえなかった。

 

「・・・もらったぁ!!」

「あめーっつーの!!・・・あちょっ!!」

「っ!?」

 

もう一度マウントを取りに行こうとするレオの足めがけて、

脚払いを放ちつつ、後ろに下がり立ち上がるフカヒレ。

 

同じく、足払いを不格好ながらジャンプして後ろに飛びのいて避けるレオ。

また、決まらず戦局が膠着する。

 

「おらああああっ!!」

「ぐおらあああっ!!!」

「そこまでだ。」

 

また、両者がにらみ合い、

ほぼ同時に前に出ようとした瞬間、

間にスバルが割って入る。

 

「---それ以上は殺し合いになっちまう。

ちっと冷静になれ。」

「・・・・」

「・・・・・。」

 

スバルの声に冷静さを取り戻した二人は、

それまでの殺気を落ち着かせ、

いつもの調子に戻る。

 

 

「へっへっへ。レオ。ちょっと戻ってきたな。」

「ああ。おかげさまで。」

「・・・今だったら、村田のやつも余裕で倒せんじゃないの?」

「いや、あいつもさらに強くなってるって乙女さんが言ってた。」

 

つけていたオープンフィンガーグローブを外しながら、

フカヒレとレオが話し合う。

村田はレオに負けて以来、更に練習に励むようになり、

もう、乙女さん以外ではかなわないくらい強くなったと聞いている。

日本拳法ベースの強烈な突きに磨きがかかったことを想像し、

絶対にあいつの一撃は食らいたくないとレオは戦々恐々とする。

 

「フカヒレも十字なんてよくできたな。」

「レオはそこらへんもできるだろ?・・・ほら、エロゲの主人公って床上手だから寝技上手いし。」

「・・・ぶれねーなぁ。お前。」

スバルがあきれたようにそういう。

初志貫徹しているあたり、こいつは大物なのかもしれない。

・・・・いや、ただのスケベか。

その気持ちはわからなくもないけれども、とレオは思った。

 

「それじゃ、次はどっちが俺とやんだ?」

「俺、ちょっと疲れたから休む。レオ、ゴー。」

「連戦?俺もちょっと休むたいんだが・・・。」

「・・・ちっとばかし、火ぃ着いちまった。」

「・・・だってよ。」

 

シャドーで体を慣らしながら笑みを浮かべてそういうスバル。

観戦に回るつもりらしく、近くに胡坐をかいて座っているフカヒレ。

そんな二人を見て、レオはため息をつき、

そして顔をあげてスバルに向きなおる。

 

「へっ。最初から飛ばしていくから、くたばんなよ?坊主。」

「上等。」

 

互いに構える。

レオは拳の軽く握った状態で、左足を前に出して構えるボクサースタイルに。

スバルは蹴りを出しやすい、左足を軽く上にあげておくライトアップスタイルに。

フカヒレは右手を上にあげ、試合開始の合図を取るために。

 

「おーし。・・それじゃあ、はじめっ!!」

「---おらぁっ!!!」

「---シッ!!!」

 

フカヒレの号令と共に、バゴン、と肉と肉がぶつかり合う音が、

高架線下に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 






ここのフカヒレも色んな経験を得て強くなっているけれども、
スバルもキックボクシング寄りのスタイルを会得しているから、
原作よりさらに強くなっているという仕様。

喧嘩の天才が、技を学んで手を付けられなくなっている感じ。

村田はとにかく突きの基礎練習を重点的にやってるから、
拳戟は学園最強になりつつある。

フカヒレは人体急所を的確に狙うのと、
相手の攻撃を捌くのが上手い。

おじさんはフィジカル便りの喧嘩殺法。
要するにそれまで戦ってきた経験値をもとに、
我流で戦っている感じ。
(乙女さんの地獄のようなしごきを耐えられたからこうなった。)

読者がこういうの求めているかナ、と思い、
今回はこんなお話にしてみました。

次回からはいつものつよきす

なごみん編にそろそろ入ろうかな

感想、くれ

れれれのれ


KEY(ドS)


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番外編~"最強の本能" VS "最賢の合理"

こんにちはんこそば
KEY(ドS)と申します

今回はレオっさんと、この小説と同じ世界観の
マジ恋に転生した大和(偽)の対決


フィジカルモンスター(センス) VS 合理戦闘術者

この二人の戦いを見たいというコメントが多かったので


それでは、ご覧ください

KEY(ドS)


「・・・・・・・・・ん?」

 

目を見開くと、見知らぬ場所に立っていた。

辺りには白い霧がかかっており、数m先の景色が見えぬほどの霧中。

自身の格好に目を落とすと、乙女さんからもらった拳法部の道着と、

オープンフィンガーグローブをつけているのが見えた。

 

 

(・・・・・・・・んん??)

 

当然、こんな状態である心当たりもなく、また、

ここがどこであるかなど、見当もつかない。

レオは自分の体の調子を確かめるべく、軽くステップを踏み、

シャドーボクシングで体を慣らす。

不調は特に感じられず、むしろ体が軽い感覚だった。

 

 

 

(・・・・なんだ、ここ?どこだ?・・・・誰かいないのか?)

 

おーい、と掛け声をかけながらレオは歩き続ける。

辺りは相変わらず白い霧ばかりの景色であったが、

ここで立ち止まっていても仕方がないと彼は考えた。

 

歩くこと数分。

自身の正面から人影が歩いてきたのが見えた。

 

(・・・・?誰だ?)

 

警戒しながら前を歩くと、その人物は姿を現した。

 

 

「・・・・・・・・・・・。」

(・・・・・・・少年?・・・いや、青年か・・・?)

 

見た目は、普通の青年。

髪は若干長めに整えられており、一見すると優男にも見える、

ほっそりとしたタイプ。

 

 

---だが、その目は鋭くギラついており、

目を合わせて者の心臓を思わずわしづかみにする、"何か"が

レオには感じられた。

 

 

「・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・。」

 

互いに、無言のままにじり寄る。

その距離は10m,5m,3mと近くなっていき、

ついに1m前まで近づいた。

 

どちらからも手を出せば届く距離。

すなわち・・・・戦闘するための近さである。

 

 

「・・・・・お・・・おぉ・・おおお・・・・っ・・・・!!」

「・・・・・・・・・・ああああっ・・・!!!」

 

----会話も、逡巡も、何もなく、二人は自らを奮い立たせるためだと言わんばかりに

雄たけびを上げ、目の前の相手に対して攻撃を仕掛けた。

 

先手を取ったのは、レオ。

持ち前のフィジカルによる高速の突き。

黒鉄乙女直伝の必殺の正拳突きを繰り出す。

スバルや、村田レベルでなければまず防ぐことも難しい一撃。

 

それが、目の前の青年に襲い掛かり後少しで直撃するというところで、

そっとその軌道が左にずれた。

 

「・・・・っ!?がっ!?」

「・・・・おらぁっ!!!」

 

左に体が流れた、いや、流されたと気付くと同時に、

自身の顔面に激痛が走り、また、

下半身に膝が突き刺さったことに気が付いたレオは、

無理やり左足を自分と相手の間に差し込み、

相手を横蹴りで蹴って押すことで態勢を崩し、

距離を取った。

 

 

「・・・・っ!?ぐっ・・・。」

「・・・!?」

 

お互いにまた構える。

何が起きたのか、何をされたのか。

 

(・・・そうか。正拳突きを左に捌いたと同時に、右足で肋骨に膝蹴り。

無理やり距離を取っていなかったらそのまま後頭部にハンマーパンチでもされて、

死んでたな、こりゃ・・・。)

 

おーいて、とつぶやき、もう一度構える。

先ほどの動きを思い出し、どこかで、いや、何度も見たようなその動きの正体を思い出そうとレオは頭をフル回転させる。

 

 

(・・・全く持って無駄のない、いや、余裕のない合理的な動き。常にあらかじめ最適解を取ることで、才能のない人間でも、無理やり戦えるようにしているような、そんなちぐはぐな感じが・・・・。)

 

 

「・・・・らぁっ!!」

 

思案にふけるレオの間を読む込んだように、左によるローキックを

放つ青年。

レオはとっさに右ひざを上にあげることでそれをガードし、防いだ。

 

 

(キックボクシング?!いや、似てるけど違う・・!!空手でも、テコンドーとも違う!?)

 

キックはパンチより威力がある分、隙も多い。

そのため、撃ち終わりでは相手からの反撃をもらいやすい。

 

当然、レオも喧嘩による経験から、その弱点を見抜いていた。

 

(・・・・よし、このタイミン)

「・・おらぁっ!!」

「・・・!?」

 

ぞくり、と悪寒が走ったので、とっさに後ろに飛び去る。

すると、うち終わったはずの足が戻されず、

そのまま右足のミドルキック、左足のフック、右足のニーキックと連撃が続く。

 

(あっぶねぇ!!手、出してたらカウンターもらってた!!)

ニーキックを左の手のひらで受け止め、押し返して相手を遠のかせ、右手で横打ちを打ち込む。

 

ばごん、と音を立てて顎に命中した。

入った、とレオは確信する。

 

---その轟音と共に、自分の顎が跳ね上がり、視界が揺れるのを感じた。

 

 

(!!?)

「---ぐあっ!!」

 

どたり、とレオは腰から、もう一人の青年は背中から倒れ込み、

首を内側に丸めて受け身を取る。

 

(---!?なんで!!?)

 

疑問と、顎に感じる激痛により、頭の中を揺さぶられたレオは、

すぐさまその何をされたのかを悟った。

 

(・・・左アッパー!!相打ち!!?)

 

相手の顔面を撃つことに気を割かれているうちに、

下に潜り込んでいた相手のアッパーカットに気が付かなかった。

 

レオは立ち上がろうにも、顎を撃ちぬかれたせいでまともに足に力を入れられず、

また、相手も顎を掌底で殴打されたのが原因で、

膝立ちから立ち上がることができなかった。

 

「・・・・・・!!!」

(・・・・あ?・・・あれれ・・・?)

 

そして、お互いにダウン状態のまま、霧が再度立ち込め、

もう一度視界が晴れた時には、レオの前から見知らぬ青年は

姿を消していた。

 

 

(・・・・あのままやっていたら、もしかすると・・・・。)

 

----勝てなかったかもしれない。

そう思うほどの気迫を。レオは相手から感じたのだった。

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふげ?」

 

目を覚ますと、目の前に地面があった。

いや、それよりも顔が痛い。なぜだろう。

 

 

(・・・ああ、ベッドから・・・。)

 

ちらりと横目で左を見ればそこにはベッドがあった。

つまり、自分がこのベッドから落ちて、頭から地面にキスしてしまったのだと

思い至った。

我ながらアホである。

 

まあ、打ち所が悪ければ死んでいたかもしれないから結果オーライである。

 

それにしても、なんだか不思議な夢を見ていたような気がする。

見たことのない青年だったが、懐かしい感じのする相手だった。

 

(・・・・・"彼"も、あんな感じだった気がする・・・。)

 

前世で、いつも一緒に鉄火場に潜り込んでいた悪友の姿を思い出しながら、

んー、と伸びをする。

 

夢の中といはいえ、あそこまで真剣に戦ったのは近衛さんがらみで戦った中学生以来か、小学生のころに乙女さんと最後のタイマンを張った時以来か。

なんだかすっきりしたような。

 

不意にがちゃり、と扉が開かれる。

 

「・・・・レオ。ご飯ができ・・・・どうした?

「・・・・いえ、何でもないです。乙女さん。」

「む、そうか?・・・後、顔がちょっと腫れてるぞ。

今日は休みだし、せっかくだからもう少し寝ててもいいぞ?」

「・・・せっかく乙女さんが作ってくれたんですから、一緒に食べますよ。」

「そ、そうか?・・・むぅ。なんだかこそばゆい・・・。」

 

着替えてから下に降ります、と言って先に行ってもらうようにした。

・・・・・・そういえば、最近はやんちゃもしていなかったなぁ。

直近だと、村田と試合やった時くらいだろうか。

スバルや、フカヒレとのスパーは別として。

 

(・・・・もしかしたら・・・。・・・まあ、あるわけないか・・・。)

 

自分が転生しているからと言って、"彼"もそうなっているなんて、都合のいいことがあるわけない、と自嘲気味に頭を振るう。

 

今日もまた、騒がしく、慌ただしい一日になるのだろう。

 

---だが、そんな日々が不思議と嫌いというわけではなかった。

 

 

 

 

 

 




レオっさん「人体急所を的確に狙ってくるのはやめろ()」
???「なんで最短で最適解出しているのに、すぐさま対応できるんだよ()」

お互いの印象はこんなカンジ。

レおっさんは先天的喧嘩の天才。
体の使い方を知っているから、どうやったら敵を倒せて、
どうやったら、敵の攻撃を防げるかがなんとなくわかっている。

もう一人は、後天的喧嘩の天才。
才能のなさを物理学、戦闘学、戦略によってカバーし、
常に相手の人体急所を狙い続けるキチガイ()
史上最強の弟子的なアレ。
でも、それよりももっとダークな戦い方もできる感じ。


リクエストにあったので、今回の話を執筆。
ちなみに、対戦相手の大和(偽)はマジ恋の世界に転生して、
生きているので、興味のある人は下のリンクからどぞ

<哀れな男が行く、マジ恋世界~なんで、ヤンデレばかりなんですかねぇ(震え声)~>
https://syosetu.org/novel/194301/

総合格闘技とか、ムエタイとか、キックボクシングとか、ボクシングとか、軍隊格闘とか、俺は一体何をやっているのだろう(自問自答)

ちなみに、レおっさんは日本拳法の技を見よう見まねで乙女さんや、村田からラーニングして使っており、もう一人の大和(偽)はクラヴ・マガ(軍隊格闘術)を
使っているから、ガチるとどっちもやばい(確信)

作中に出てきた技は、どれも危険だから、
むやみに使ったり・・・・しないようにしようね!(注意喚起)

マジで

訓練していない人間同士で使ったら最悪死ゾ()

感想、くれ


れれれのれ

KEY(ドS)


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