プリキュアde恋愛! (suryu-)
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雪城ほのかと付き合うまで 〜その1〜

 さて、まずはこの小説を閲覧しようと思ってくださった方。とてもありがとうございます。
 初めましての方は初めまして。そうでない方は何時もありがとうございます。

 どうも、suryu-と申します。

 まず最初のメインは、ふたりはプリキュアから、雪城ほのかをヒロインにした話を書いていこうと思ってます。ほのかさん大好きなんだ……
 一応付き合うまでのストックは出来ているので、付き合うまでは安定して投稿出来ます。一気に出してもいいけど、ネ。
 さて、長々と話しているとダメな気もしますし、それでは、ごゆるりとなさってくださいな。


 ベローネ学院高等部。美墨なぎさと雪城ほのか。九条ひかりの三人は、悪の組織との戦いを終えて、漸くの平和をすごしていた。

 いや、実際の所は何度か戦いに巻き込まれているのだが、仲間のプリキュアと協力して、蹴散らして、すぐさま平和に戻っていた。が、正しいだろう。

 今日もプリキュアの三人は、平和を謳歌しながらも、学園生活を続けていた。

 

「ねぇほのか。ひかり。今日は転入生が来るみたいだね」

 

「うん、知ってるよ。確か、男の子だよね?」

 

「なぎささんたちの学年に、仲間が増えるんですね。楽しみですっ」

 

 そんな三人の話題は、新しい転入生の事で占めていた。どんな人が来るのか。とか、色々楽しみな事は尽きない。まさに、平和だからこそ出来る事だった。

 そのあとほのかとなぎさはひかりと別れ、ホームルームが始まり、教員が入ってくると、パンパンと出席簿を軽く叩いた。

 

「さて、みんなもう既に聞いてると思うけど、今日は転入生が来るぞ。結構カッコイイ男子だから、期待していいぞ! それで、うちのクラスにも挨拶に来たらしい!」

 

「やった!」

 

「チャンスチャンス!」

 

 クラスの女子達は、それだけで湧き上がる。高校生のノリだから、大体こんなものだし、むしろこれが平常だ。と、高校を通った者なら、誰でもそう思う。本当に普通と変わらない

 だから、そんな騒ぎを聞いて転入生が怖気付いてしまわないか、ほのかは少し心配していた。

 そんなほのかを、なぎさは眺めていて、顔を見合わせると、ふふっ。と笑った。

 

「もしかして、ほのかの運命の人かも?」

 

 ほのかは、それを聞いていたらしく、振り返るとなぎさを咎めるために、人差し指を突き出した。

 

「もう、そんなからかわないで。それに、もしも転入生の子がこれを聞いてたら、下手に意識してもダメでしょ!」

 

「もう、真面目だなぁほのかは」

 

 中学生の時と、そんなに変わらないノリ。二人の言葉のあとに、ほのかはふふっと小さく笑い、教壇の方にもう一度目を向ける。

 すると、だ。そこには跳ねた黒髪。紅い目。整った顔立ち。気だるそうにしている青年が、そこに居た。

 

「それじゃあ、自己紹介をしてくれるか?」

 

「了解です。……漣りょう。特技は色々。それと、ちょっとした武道。宜しく」

 

 めんどくさい。そんな雰囲気もあるが、とはいえ、人を拒むものでもなく、なんとも不思議な感触を持った青年。ほのかはそんな印象を感じると、話してみたいな。なんて考える。

 その様子を見て、なぎさは、本当に満更でもないのかな。と再び顔を見合わせながらも、ホームルームは続いた。

 

「それじゃ、仲良くするようにしろよ」

 

「うぃっす……そんじゃま、よろしくさん。皆様や」

 

「宜しく御願いします!」

 

 クラスの皆はりょうの挨拶に返事をする。その中で、ほのかはどんな人なんだろう。と眺めてみる。普段はそんなに男性に触れることがなく、この機会に男の人と話すのも、良いかもしれないな。なんて思いながら、彼女はふふっと微笑んだ。すると、だ。

 

「なあ、ホームルームの途中ですまないが、雪城さんや。少し良いか?」

 

「……え? ど、どうしたの? 漣君」

 

「りょうでいい。ちょっと良いか?」

 

 その転入生の男子。漣りょうは、ほのかに声をかけると、にこやかに笑った。どんなことを言われるのかな。なんてほのかが身構えるが、怖くはなかった。

 

「良ければ、放課後。ここらへんの事を教えてくれないか。美味い店もあれば言って欲しい」

 

「あ、そういうことね。ふふ、いいよ。それと、雪城。じゃなくて、ほのかでいいわ」

 

「了解。ほのか。俺もりょうで良い。そんじゃま、よろしくさん」

 

 そういうと、りょうは去っていった。その去り際に、漣のような音の感覚を残しながら。

 

 

■【雪城ほのか】■

 

 

 私。雪城ほのかには、気になる男の人がいる。異性として、というのは多分、まだない。けど、私としては気になるということに、間違いはない、かな。

 転校生の、漣りょう君。来たばっかりでも、私の話について来てくれる。

 今もこうして、なぎさとひかりさんに誘われて、タコカフェに来てるんだけど、女の子に囲まれても、動じずに笑ってる。

 

「ふぅん、美味いもんだねぇ。このたこ焼き。俺、嫌いじゃないよ」

 

「でしょでしょ! ここの、すごく美味しいのよ!」

 

「ふふ、褒めてくれるのは嬉しいですね」

 

 なぎさとひかりさんとも話を合わせることが出来て、なんというか、話し上手さんなのかな。なんて印象があるけど、本当に器用な人なのかもしれない。

 時折、指を動かしてピアノか、あるいはドラムかなにかのリズムを刻んでるから、音楽が身に染みているのかな。

 

「それにしても、りょう君は、どこから来たの?」

 

「あー、ちょっと遠いところだな。北からだ、ほのか」

 

 北から。というと東北か北海道かな。なんて、りょう君の故郷を、空想に描いてみる。

 そんな私を見て、りょう君は微笑んだ。なんでかな。なんて首を傾げると、彼は答えてくれるみたい。

 

「ま、噂を聞いたが秀才と言われるほのかも、案外可愛らしいもんだな」

 

「……えっ?」

 

 可愛らしい。なんて、普段は言われない。顔が少し熱くなった気がした。そんな私を見て、なぎさとひかりさんは微笑ましそうに見てる。

 ……あとでちょっと怒った方がいいのかな? なんて思わなくもないけど、とりあえず今はこの熱を処理することを考えなきゃ。

 りょう君は、なんとなくずるい。そんなりょう君はどこ吹く風。顔が赤くなった私なんて、見てもない。ただ、風を気持ちよさそうに感じてるみたいだった。

 

「……そんなこと言っといて、私を見ないのはひどいな」

 

「ん? あぁ、すまないな。少しいい風が吹いているから、ついな」

 

「もう……」

 

 でも、そんなりょう君を、嫌だとは思わなかった。むしろそれが、りょう君らしい。なんて感じたのは、きっと。間違いじゃないみたい。

 

「……それじゃあ、今日は帰ろうかね。可愛らしいほのかさんが見られただけで、俺は満足だよ」

 

「え? あ、ちょっと!」

 

 そう言うと、りょう君は帰ってしまう。追いかけようとしたけど、風のように消えてしまった。その後だ。

 

「なに? この気配……」

 

「ザケンナー?」

 

「そう、ですね……これは」

 

 私達が倒したはずの、ザケンナーの気配。これを放っておけるわけが無い。だから、私達は。

 

「いくよ、ほのか! ひかり!」

 

「ええ!」

 

「わかりました!」

 

「なんだか初めて出番をもらった気がするメポ!」

 

「メップル。今はそれよりも!」

 

「今はザケンナー!」

 

 妖精たちの、ミップル。メップル。ポルン……この力をもう一度使う事になるなんて、思いもよらなかったけれど。

 

「デュアルオーロラウェーブ!」

 

「ルミナス! シャイニング・ストリーム!」

 

__私達はプリキュアだから!__

 

「闇の力の僕たちよ!」

 

「とっととおうちに帰りなさい!」

 

「ザケンナァァア!」

 

 私達の倒すべき敵。ザケンナーがそこにはいた。だから、なぎさ。ひかりさん……うぅん。ブラックと、私。ホワイト。そして、ルミナスの三人で。

 

「いくよ!」

 

「合わせるわ!」

 

「いつも通りに、です!」

 

 ブラックの拳の連打は、ザケンナーにきいている。私の蹴りも、ルミナスの投げも、とても決まっている。でも、妙だ。ザケンナーが前よりも、強くなってない。今までなら、確実に強くなってたのに。

 

 このままなら、ザケンナーをすぐに倒せる。周りに被害も出ない。そう、私が安心した時だった。

 

「おいおいザケンナー。こうも弱いと、困っちまうねぇ……俺みたいにさ、もっと戦いはスマートにやらなきゃ……よ!」

 

「えっ? きゃあっ!?」

 

「ぐっ……!?」

 

「な、なんですか、これ!?」

 

 気づいたら、私達は巨大な風の刃に吹き飛ばされていた。何があったかは分からない。けど、声が聞こえた。ということはっ……

 

「まったく……覇を唱えようってんのに、この醜態はやばいぜぇ? ザケンナー。このままじゃ廃棄処理だっての」

 

「ザ、ザケンナァ……」

 

 そこには、仮面をつけて、黒いマントをたなびかせ、紳士服に身を包んでいる、剣を担いだ男の人が居た。

 恐らくは、あの圧倒的な風の刃を出したのは、この人。なんのために、なんて思わなくもないけど、この人には意味があってやっている。そう見えた。

 

「ジャアクキングもあんな簡単にやられちまったしよぉ……次に覇を唱えるのはそれなら俺達だってなるよなぁ。あんな不甲斐ないもん見ちまったら」

 

 剣を振るう度に、風が鳴り、刃が舞う。この人、今まで見た敵よりも強い……!

 

「そんじゃまあ、遊んでくれや、プリキュアさんよ。ま、俺が飽きないように、な?」

 

「っ、やってやるわよ!」

 

「私たち三人なら、負けない!」

 

「いきますよ!」

 

 そして、私達三人が同時に攻撃を仕掛ける。でも、この男は余裕そうに……

 

「一撃。二撃。三撃ぃ!」

 

「えっ!?」

 

「あぐっ!?」

 

「な、なっ……」

 

 まるで、遊ぶかのように。剣の横っ腹で叩き落とされた。こんなの、初めてだった。まるで、相手にすらされてないような……

 そんな中、その男の人は私をちらりと見た。そんな気がした。その目は、少し迷っているような。

 

「……興醒めだ。こんなに弱くちゃあ、話にならねぇな」

 

「な、なによっ……逃げるの!」

 

「私達は、終わってないわ!」

 

 でも、それを気にする暇はない。私達を一瞥した後、男の人は背を向けた。私達じゃ、相手にならない。そう背中が語っている。

 

「……俺はリップルだ。お前さんら、もっと強くなって出直しな。俺はこんなんじゃ満足出来ねぇよ」

 

「ザケンナァ……」

 

「ま、まちなさ……!」

 

 私が言葉を言い終わる前に、風と共に姿を消してしまった。何が目的かは分からないけど、ザケンナー達は、再び私達の前に立ちはだかる。それが分かっただけでも、大きかった。

 

 

 

「負けちゃった。完璧に……」

 

「今までにないくらいだったわ……」

 

「あんな強い敵が、まだ居たなんて……」

 

 プリキュアから、普通の乙女に戻った今、私達は少しばかり項垂れている。ここまで完膚なきまでに叩きのめされたのは、初めての事だった。

 

「リップルって言ってたけど、何者なんだろう」

 

「ザケンナーを従えるってことは、闇の、よね……」

 

「でも、あんな強い人が残ってるとは思いませんでした」

 

 私達は、そこまで言うと顔を見合わせる。やれることはやる。あの時から、私たちの決意は変わってない。むしろ、だからこそやる気が溢れてくるの。

 

「修行。するわよ」

 

「そうよね、ほのか。ひかり!」

 

「はいっ。今度は勝ちましょう!」

 

 だから、初心に帰って私達は修行を開始する。その中でも、忘れられない事がひとつあった。リップルの迷った目がとても印象に残っていたから。

 その翌日、学校に着くとりょう君を見かけて、声をかけることにしてみる。

 

「りょう君。おはよう」

 

「ん? ああ、おはようさん。ほのか」

 

 私の顔を見るや、気さくに挨拶を返してくれる。基本的に明るい性格なんだと思うけど、なんというか、陰りが見えた気がした。

 

「りょう君。何かあった?」

 

「唐突だな、何も無いさ。ま、強いていえば趣味が上手くいってるか微妙ってところだ」

 

「そっか……無理しないでね?」

 

「おうよ」

 

 図書室に向かいながらの簡単な会話だけど、なんとなく。なんとなく、りょう君は私を気遣ってる。そんな感じがする。どうしてかな、なんて思わなくもないけど、とりあえずじーっと眺めることにした。

 どうやら、本を手にしているみたいだから、タイトルを見てみる。般若心経。……般若心経!?

 

「え、えっと、りょう君。その本は?」

 

「般若心経だ。心を鍛えるために良いって聞いて読んでみた、が……さっぱり分からんから意味を調べつつ見てる」

 

「そうなんだ……りょう君って、鍛えることは好きなの?」

 

「まあな、武道は嗜んでるし、少しはな……まあ、理由はある」

 

「そうなんだ」

 

 りょう君の鍛える理由って、どんなものなんだろうな。聞いてみたい気もするけど、今は話してくれなさそうな気がした。

 

「あ、もうすぐHRが始まるよ」

 

「ん、そうか。ありがとさん」

 

 本をしまったりょう君は、図書室の窓の外を頬杖をついて眺める。なんだか、かっこいい。そんな私を見てなのか、図書室についてきていた二人が、後ろでヒソヒソ話す声が聞こえる。

 

「ほのか。二日目だけど結構満更でもなさそう」

 

「案外りょうさんとの、相性は良いのかもしれませんね」

 

「……二人とも?」

 

「あ、聞こえてた」

 

 もうっと頬を膨らませた私に、二人はごめんごめんと謝る。そんな私を気にせずに、りょう君は窓を開けて、昨日みたいに風を感じていた。

 なんとなく、絵になるな。なんて男性を見ていて、初めて思ったかもしれない。

 

「そう言えばりょう君。武道って言ってたけど、なんの武道?」

 

「跆拳道だ」

 

「韓国の、空手を源流とした武術だね」

 

「ま、機会があったら少し教えてやるよ」

 

「うんっ」

 

 もしかしたら、プリキュアとしての技に役立つかも。というのと、りょう君と一緒に。なんて考えると、ちょっと楽しみになった。その日の修行は、昨日よりも身が入った気がしたけど、なんでだろう?

 



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雪城ほのかと付き合うまで 〜その2〜

 さて、今回も閲覧ありがとうございます。はじめましての方ははじめまして。いつも見てくださる方はありがとうございます。

 どうも、suryu-です。

 前回は、本当にやばいミスばかりをしてしまって、今回は大丈夫かな。と何度も見直したりしました。
 いや、本当に一度ミスすると、次のミスが怖くなりますよね。なんとも大変でした(焦)

 そんな二話目ですが、皆さま何卒ごゆるりと見てくださることを願います。それでは、どうぞ。


■【雪城ほのか】■

 

 

 

 修行を始めて、暫くがたった。以前よりも、私達は強くなったと思うけど、私はなんとなく、足りないものがある気がした。そんな時。

 

「おめでとう! 遊園地のペアチケットが当たったよ!」

 

「えっ……?」

 

 商店街の福引で、たまたま引き当てちゃった遊園地のチケット。誰か一緒に行く人は、居なかったかな。なんて。

 

「遊園地? 行きたいけど、テストがぁ……」

 

「すいません。タコカフェのお手伝いで……」

 

「あ、そっか……」

 

 学校で聞いてみたけど。まぁ、何となくわかってた。そんな時期だもの。私はどうすればいいか、本当に困ったなぁ。

 そんな私の考えを見透かしたのか、なぎさとひかりさんはふふっと笑った。なんで? と聞く前に答えてくれそうだ。

 

「りょうと行ってきたらどう?」

 

「りょうさんなら、楽しんでくれるはずですよ」

 

「りょう君かぁ……うんっ」

 

 そんな二人の後押しに、りょう君に声をかける事にした。多分この時間なら、あそこにいるはず。なんて考えながら屋上に向かった。

 りょう君は風が好きだから、いつもこの時間は、風を感じるために屋上に向かう。

 コツコツ。と私の靴の音が響く中、階段を登っていくと、そこにはいつもと雰囲気の違うりょう君が居た。

 

「……すぅ。はッ。やッ。でぇりゃア!」

 

「す、すごい……」

 

 何とも速い動きで、足技の演舞をしていた。本当に、鍛錬してたんだな。なんて思ってたら、今度は棒を取り出した。

 

「さて、それじゃあ……せいやッ!」

 

 風を起こしそうな、というよりか、風を起こしている洗練された棒の振り方。これは、多分剣術。

 でも、気になるのはちょっとだけ、見た事あるような……何処でだろう?

 とりあえず、見ているだけじゃなくて、声をかけることにしてみた。だって、遊園地の話も聞かなきゃだし。

 

「ねぇ、りょう君。ちょっと良いかな?」

 

「ん? ……あぁ、ほのかか。別にいいぜ。来な」

 

 あれだけ動いてたのに、汗をひとつもかいてない。慣れているのかな。なんて、気になったりするけども、まずは本題。

 

「ねぇ、りょう君。今度の土曜日。暇はあるかな?」

 

「おう、あるぞ。……どうした?」

 

「遊園地のペアチケットが当たっちゃって……一緒に来てくれる?」

 

「あいよ、OKだ」

 

 出来るだけ上目遣いを意識……したわけじゃないけど、りょう君は案外すんなりと受けてくれた。少し安心した私は、とりあえずりょう君の手を握ってみる。

 

「それじゃあその時の計画をたてようよ。私。楽しみだよっ」

 

「お、おう。いいぜ……ったく、可愛らしいねぇ」

 

「え?」

 

 りょう君は目線を逸らして、小声でなにか呟いた気がするけど、「気にしなさんな」と呟いたことは教えてくれなかった。

 

「それじゃあ遊園地の時だけど……」

 

 

 

 そして、遊園地当日。私は今日は、白のワンピースとサンダル。麦わら帽子の三点セットで、りょう君との待ち合わせ場所に向かった。

 案の定、待ち合わせ場所に行くと、りょう君が先に待っていた。やっぱり、気配りが上手だなぁ。

 

「おう、おはようさん。ほのか」

 

「ふふ、おはよう。りょう君」

 

 とりあえず、りょう君は私の手を握って歩き出す。男の人に、手を取られる。なんて初めての経験だけど、悪い気分じゃないのは確か。それに、なんだか暖かいし、りょう君と居ると本当にさざなみの音が聞こえる気がする。

 

「ま、遊園地だし気軽に楽しもうぜ。ほのか」

 

「うんっ。ふふ、一緒に楽しめるといいな」

 

 遊園地に入ると、やっぱり土曜日だから人が多くて大変。でも、りょう君が私の手を握って離さない。今までにこういうことが無かったから、ちょっと新鮮かも。

 

「人が多いし、許してくれよ。はぐれたくないからな」

 

「ふふ、うんっ」

 

 いつもなら、色んなことを語りたくなるけど、なんだかそれよりも、りょう君と居ることが楽しいの。そんな私の気持ちを知ってるか、聞いてみたい気もするけれど。

 

「それじゃあ何から乗るか。メリーゴーランドとか、か?」

 

「うん、それもいいかも。あとはジェットコースターとか?」

 

「ほう、速いのも好きか。いいねぇ」

 

 そんな会話をしながら、私達はメリーゴーランド。ジェットコースター。コーヒーカップ。色々なアトラクションで遊ぶ。

 

「はっはー! こういう速いの、やっぱり好きだぜ!」

 

「りょう君、スピード狂〜!?」

 

「メリーゴーランド。ゆっくりしたのも嫌いじゃないな」

 

「あ、スピード狂って訳じゃないんだね」

 

「まあな」

 

「コーヒーカップ。つまりやることはひとつ」

 

「ぐるぐるまわる〜!?」

 

 そんな楽しい時間を過ごしていると、そこで事件も起きる。何が起きたかというと……

 

「動くな! 逃走車をよこせ!」

 

「へっ!?」

 

 何故か私が人質に取られて、強盗で逃げた犯人が、私にナイフを突き立てる。怖くはない。プリキュアとして、鍛えた技もある。けど、どうやって抜け出すか。そう考えた時だ。

 

「おう、人の大切なもんに手を出すのは、よくないぜ?」

 

「はぁ? ……がっ!?」

 

 瞬間的な動きで、いつの間にかりょう君が強盗に蹴りを放っていた。綺麗に飛んで行った強盗は、地面に落ちると動かない。気絶したみたい。

 

「ったく、こっちはただ単に遊びに来てんだよ。そんじゃ、行こうぜほのか」

 

「えっちょ、りょう君!?」

 

 そんな事もあったけど、私達はその後も遊園地を楽しんだ。そして、夕暮れに観覧車に二人きりで乗ると、なんだかムードがある。そんな気がする。

 ゆっくり上がっていく観覧車に、なんとなく不安定な動きを感じる。そっとりょう君の隣に座ると、抱きしめられ……!?

 

「り……りょう君?」

 

「……なんとなく、だが。離したくないって思ってな」

 

「そっか……ふふ、ありがとう」

 

 会話はそれだけ。夕暮れをずっと見ているけれど観覧車はそれを感じさせないように登っていく。

 私は抱き寄せられたまま、ゆっくりとした時間がゆったりと動く。嫌いじゃないけど、もどかしい。

 

「なぁ、ほのか。なんだかんだ、俺の事気にかけてくれるよな」

 

「ふふ、そうだね。結構気にかけてる」

 

 そう言うと、なんだかりょう君の目には迷いがあるのか、何度か私を見ては夕日を見る。何を考えてるんだろう。なんて、私が気になることを、聞こうとする前に、りょう君は口を開いた。

 

「なぁ、ほのか。もし、だ、もし俺が……お前の……」

 

 それを言い切る前に、観覧車は降りきたった。と、同時に、大きな音が鳴り響く。この気配は、もしかしなくても……

 

「私、行かなきゃ……!」

 

「……そうか。まぁ、そうだよな」

 

「え?」

 

 その言葉に、違和感を覚えた。でも、今は時間が無い。二人が苦しむ前に行かなきゃ。助けなきゃ!

 

「それじゃあ、りょう君。またね」

 

「ああ……また。頑張れよ、ほのか」

 

 別れ際のりょう君の表情は、なんだか。哀しそうな、寂しそうな顔をしていて、私はそれを忘れることは出来なかった。それが、二人の元に向かう道中であっても。

 

 

 

「なぎさ! ひかりさん!」

 

「ほのか!」

 

「ほのかさん!」

 

 二人の元にたどり着いた私は、いつもの様に構える。私たちには、使命がある。プリキュアっていう、大きなものが。

 だから、そこからの動きは早かった。やることは一つ。私達だから!

 

「デュアルオーロラウェーブ!」

 

「ルミナス!シャイニング・ストリーム!」

 

 変身したあとは、いつもの様にザケンナーを倒す。それだけを意識して、殴ったり、蹴り飛ばしたり。

 でも、その最中でも、私はやっぱりりょう君の事を思い出す。なんだか、とっても。とっても不思議な気持ちだった。

 

「プリキュア!」

 

「マーブルスパーク! MAX!」

 

「ザケンナァァア……ゴメンナーゴメンナー!」

 

 だから、いつもの様に倒したあとでもスッキリしない。もやもやしていて。

 

「……ホワイト?」

 

「……」

 

「ホワイト!」

 

「え? あ、あぁ。ごめんね、ブラック」

 

 だから、こうして心配かけてしまって、私はなんとも言えない気持ちになる。どうして、なのかな。

 そんな時だった。あの時の気配を感じて、私達はその方向を向く。すると、そこにいたのは。

 

「お前さんら、修行を積んだか。勘づくのが早いねぇ」

 

「リップル……!」

 

「おうホワイト。元気だったか? 今日は手合わせ願うぜ」

 

 リップルはそんな軽口を叩きながらも、剣を肩に担いだ。その瞳は、迷いがある。けど、私達を倒そうと力を振るうのは、やめそうにない。かな。

 だから、私は構える。ブラックとルミナスも、私に続いた。

 

「おう、良い目だ。やる気に満ちている」

 

「当然よ! やられっぱなしじゃいられないんだから!」

 

「そうです! 私達はプリキュアだから!」

 

 ブラックとルミナスの言葉を聞いて、リップルくつくつと笑っている。悪くない。そう感じてるように、私は見える。だから。

 

「でやぁ!」

 

「遅いぜ、ブラック」

 

「いきます!」

 

「バレバレだ、ルミナス」

 

 ブラックとルミナスの攻撃は、尽く避けられた。動きが見えているみたい。

 

「なんで、当たらないの!?」

 

「私たち、本気なのに……!」

 

 そんなブラックとルミナスの攻撃を、笑ったまま避けているリップルは、私をちらりと見たあとに、パンパンと軽く手を叩いた。

 

「ま、及第点だ。フェイントも多いし、色々成長が見られる。が、俺からしたら読みやすい動きでな」

 

「っ、そりゃどーも!」

 

「辛辣な評価ですね!」

 

 そんなリップルは私を見ると、剣を突き出した。その意味は、分からない。という訳では無い。

 

「そんじゃま、やろうぜ。ホワイト。一番の楽しみは、お前さんだ」

 

「……ええ、分かったわ」

 

 だから、私とリップルは構えて、ゆっくり。ゆっくりと間合いを詰める。

 その機会は遠くない。私とリップルの領域が重なったところで、リップルの剣を持つ手と、私の拳がぶつかり合う。

 

「ほう? やるねぇ」

 

「修行したもの! 今回は簡単にやられないわ!」

 

「くく、そうかい。それなら……」

 

 そう言うとリップルはバックステップしてから、私に剣を向け直す。そして、剣を振るってきたんだけど……

 

「……見える?」

 

「……ほう」

 

 なんだか、この技。どこかで見た気がして、私は受け流したり、剣を弾くことに成功した。でも、まさか。見たことがあるとしたら……

 

「しゃーねぇな。剣で読まれるんなら……純粋な肉体技ならどうだ?」

 

「っ……」

 

 リップルが剣を投げると、剣は消えてしまう。けど、リップルの威圧感は変わらない。でも、負ける訳にはいかない。だから。

 

「……構えを解かず、待ちに出るか。後悔するなよ!」

 

「!」

 

 そして、私は気づいてしまった。有り得ない。あって欲しくない。そんな答えに。

 初動。先ずは回し蹴りを、受け流す。その次。そのまま、リップルはローリングソバットを繰り出して、それを弾く。そこからリップルはソバットで出してきた足を、蹴り技に変える。でも、私はそれを読むことが出来た。だから……

 

「お願い、違って!」

 

 そのまま、仮面を叩き割った。すると、その素顔を見て、私は。私は、立ち止まるしかできない。だって、だって。

 

「……あーあー、こう案外早くバレるとなると、どうにもねぇ。くく、仕方ないな」

 

「りょう、君……」

 

 さっきの攻撃で、予想はしていた。していたけれど、信じたくなかった。でも、どう見てもリップルはりょう君で。

 そんな私を見て、リップル……うぅん、りょう君はくつくつと笑っている。自嘲するように。

 

「こうなるんなら、最初から敵じゃない方が良かったってのが自然な流れだが。ま、案外それは外れじゃない。普通ならそうなるな」

 

「……最初から、私を騙すつもりだったの?」

 

 分からない。りょう君が何を言う気なのか、分かるわけがない。頭の中が混乱していて、りょう君が何を思って、今私を見ているのか。とか。騙されたのか。とか、私はりょう君を、どう思っていたのか、とか。色々な物が、巡る。どうしよう。どうすれば。

 

「……最初から真実を知ってたら、俺もこうはなりたくなかったさ」

 

「え?」

 

 吐き捨てるように呟いたりょう君の言葉は、辛うじて聞こえた。つまり、それは。なら……

 

「それでも俺は、戦うしかない。それしか道が残されてないんだ。ホワイト……いや、ほのか。俺は……そう育てられてきたんだ。闇の王になり、プリキュアを倒せと言われ続けて……」

 

 そんな時。りょう君と同じ紳士服に身を包んだ、お爺さんがやってきた。その人を見て、りょう君は苦笑いしたけど、それって。

 

「全く、それではいつまで経っても、ジャアクキングを超えた王になることは出来ませんぞ」

 

「……闇爺じゃねーか、はっ。笑いに来たか?」

 

「さぁ、なんのことやら。さて、帰りますぞ。……今度こそプリキュアを始末させるのだから」

 

「っ!?」

 

 そのお爺さんの鋭い目を見た私は、少しばかり驚いた。そして、りょう君は私達に背を向ける。

 

「ま、待って!」

 

「……ほのか。次に会う時は敵だ。またな」

 

 そのまま、りょう君は行ってしまった。同時に、私の無力さが、とても、とても、悲しくて、辛くて。

 

「……私、どうすればいいのかな」



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雪城ほのかと付き合うまで 〜その3〜

 三話目の投稿。これでほのかと付き合う話は終わり、漸く本題に入れる……

 どうも、suryu-です。

 雪城ほのかが好きだから、こうして早めの更新ペースを続けられている今日この頃。ほのかの可愛さと、皆さんが見てくれている事が力になっています。
 今回の話で、漸くプロローグにあたる、ほのかと付き合うまでの話が終わります。ここから漸くイチャつくんだ……
 そして、この後の書きだめも実は作っているので、少しは更新出来そうです。
 そんなふたつの報告を混じえつつ、今回もごゆるりとなさってください。


■【雪城ほのか】■

 

 

 あれから、りょう君は学校に来ていない。私達の前から、姿を消してしまった。どうしてなのかは、私が一番分かってる。分かってる筈なのに。

 

「……りょう君に会いたいな」

 

 私は、こうやって呟く事しか出来ない。修行の方も、余り身が入らないし。本当に、どうすればいいのかな。私は、りょう君の事をどう思ってたんだろう。

 

「ほのか。ほのか!」

 

「ほのかさん!」

 

「え? あ、あぁ。二人とも、どうしたの?」

 

 こんな状態の私に、二人は溜息を吐いている。ここの所、こんな事が続いていて、迷惑をかけてるから、申し訳なかった。

 

「……やっぱり、ほのか。りょうに会いたいのね」

 

「ずっとそんな感じですもんね……まぁ、私達からしたら、漸くかな。って思いますけど」

 

「え、え。その、そんな風に見えてたの? ううん、会いたいのは確かだけど……」

 

「ずっとりょうの名前呟いてたら、そう見えるの」

 

 なぎさの言葉で、初めて私がずっとりょう君の事を考えていたことに気づく。ちょっと恥ずかしくなって、顔が赤くなってると思うけど。その、嫌ではない。かな。

 でも、そのりょう君は敵だった。だから、次に会う時は、きっと。戦うしかない。そう思うと、胸が苦しくなる。

 

「……ほのか、やっぱり自覚してないのかな」

 

「多分、そうでしょうね。こうして今も、りょうさんの事を考えてるんだろうし」

 

 二人の言葉は聞こえているけど、今は何かを言えるような状態ではない、かな。りょう君の事を考えると、どうしてこうなったのか。という事ばかり。だから、私は。私は……

 

「あーもうじれったい! ひかり。ほのかを連れていくよ!」

 

「はい!」

 

「え、ちょ、なぎさ!? ひかりさん!?」

 

 なんて考えてたら、二人に引っ張られて連れられていく。どこに行くかは分からないけど、でも、どこかに連れていかれるのは確かだった。

 

 

「で、なんでタコカフェなの?」

 

「いいからいいから! アカネさん!」

 

「あいよ! 恋の相談なんでもござれ。それがタコカフェだからね!」

 

 なんでかわからないけど、連れてかれたのはタコカフェ。私の目の前に、珍しくアカネさんが座る。

 恋の相談。なんて言うけど、それは一体どういう事なのか、問いかけようとした時だった。

 

「……りょう君が居なくなってから、ずっと調子を悪くしてるんでしょ? それがどうしてか、というのを教えるためにね」

 

「……分かるんですか?」

 

「まぁ、分かるわ。というか、単純よ」

 

 そんなに単純なのかな。と首を傾げた私に、アカネさんは苦笑いした。どうしてかな。なんて聞く前に、答えてくれる気がして、少し待ってみることにしたけど。

 

「さっき恋愛相談って言ったけど、そのままの意味よ。恋してるのよ、りょう君に」

 

「え、ぇえ!? 私がりょう君に!?」

 

「やっぱり気づいてなかったのかぁ……」

 

「ですね、なぎささん」

 

 アカネさんの言葉に驚く私を見て、なぎさとひかりさんの二人は苦笑いする。そんなふうに見えてたのね。なんて思ったけど、周りから見たら、当然のことだったのかもしれない。

 

「とりあえず、りょう君が好きで、何らかの理由で会えないんでしょ? だったら、次会ったら想いをぶつければいいのよ」

 

「え、でも、私。まだ、何も分からなくて……」

 

 アカネさんは、混乱する私を見て「本当にそうかしら? なにか心当たりはあるでしょう」と続けてきた。そこで、思い出したのは遊園地の観覧車。

 

”なぁ、ほのか。もし、だ、もし俺が……お前の……”

 

 この先に続くのは、どんな言葉かは分からない。お前の敵だったとしたらって言葉だと、納得する事は出来る。でも、それ以上に、何かを伝えたかったんじゃないか。と思うと、私の想いを、再確認する事が出来た。そんな気がした。私も、そうだった。抱きしめられて、嫌な思いなんてしなかった。そうだ、私が求めてたのは。

 

「……何もわからない。なんて事は、無かったわ。本当に簡単な答えだったのね。私、りょう君が好きだったんだ」

 

 漸く自覚する事が出来たけど、そのりょう君は今近くに居ない。敵となって、私達の前に立ちはだかる。でも、それでも。私はりょう君を取り戻したい。だって、だって。

 

「……しょうがないよね、好きになっちゃったんだから」

 

「ふふ、決心ついたみたいね。それなら、探してきなさい」

 

「……はい! ありがとうございます!」

 

 アカネさんの言葉に私は頷くと、私は席を立つ。なんとなくだけど、りょう君に会える。そんな気がしたから。

 だから私は、走り出した。風を感じられる場所。そこにりょう君が、居るはずだから。そう信じて、向かったのは。

 

「やっぱり、ここに居た」

 

「……ん、ほのか。か」

 

 学校の屋上。まだ、この時間なら学校があいてるし、予想してた通りだと思えば少し安心した。

 先生曰く、居ても居なくても問題ないくらいに成績がいいから、プリントを届けにくる。なんて言ってたし、もしかして。と思ったら当たったみたい。

 

「ずっと会いたかったよ。りょう君に」

 

「おいおい……敵に対してその言葉。普通ならかけられないぜ。言ったろ? 次会う時は敵だってよ」

 

 りょう君は、私の言葉に戯けて返す。その目は、やっぱり迷っていた。私を見て、困惑しているようにも見えた。

 でも、だからこそ私は。気づけた今なら、言える気がした。

 

「私、りょう君の事を信じたいの。りょう君は闇の王になるため育てられたって言うけど、とっても優しいし」

 

「信じる? 敵の俺を? 優しい? 俺が? はは、タチの悪い冗句だな」

 

「なら、どうして。どうして”最初から真実を知ってたら、俺もこうはなりたくなかった”……って言ったの?」

 

「……覚えてたか」

 

 りょう君はいつものくつくつとした笑い方じゃなくて、ふっと自嘲気味な笑い方をしていた。その理由は、もしかして。

 

「……俺だって、好きな奴とは戦いたくねーよ。特に、惚れちまった女とは」

 

 だから、私は多分穏やかに笑ってると思う。そのまま、私は行動に移すことにした。

 

「だったら、安心して。りょう君」

 

「安心? 何言って……!?」

 

 りょう君を抱きしめると、物凄く困惑した表情を私に見せた。どうして。なんで。そんな戸惑いは、私の事を見る目が語っている。だったら、このまま伝えてしまえばいい。

 

「だって、私もりょう君が好きなんだもの……りょう君。戻ってきて」

 

「……ほのか」

 

 そんなりょう君が、私を見る。と、その時だった。

 

「っ、伏せろ、ほのか!」

 

「きゃっ!?」

 

 りょう君が私を庇うように、抱きしめて押し倒した。少しばかりドキッとしたけど、その後に大きな破壊音が聞こえて、漸くその意味を理解した。

 

「闇爺……手荒な祝福じゃねーか」

 

「ほっほ、プリキュアに恋をしたのが悪いんじゃよ。お前にはジャアクキングやアクダイカーンなどを超えて貰うつもりだったからのう」

 

 りょう君が睨んだ先にいるのは、りょう君の仮面を割った時に出てきたお爺さん。闇爺なんて、呼ばれてるということは。

 

「新たなる闇を、育てようとしたら、光がそれを浄化する。全く、困った話ですな」

 

「はっ、仕方ねーだろ、好きになっちまったもんは」

 

「りょう君……」

 

 りょう君は少し冷や汗を流している。それほどまでに、あのお爺さんは強いみたい。だから、私を守ろうとしてくれるりょう君の、手を握った。

 

「りょう君、私の事は良いから、早く逃げて。なぎさ達が来たら、私は戦えるから」

 

 そんな私の言葉を聞いても、りょう君は首を縦に振らない。むしろ、横に振って拒否した。戦うつもりだ。

 

「そいつは出来ねーな……俺は、ほのかを守らなきゃならねぇ。男ってのもあるし、な?」

 

「りょう君……」

 

 ゆっくりと立ち上がったりょう君が闇を纏うと、手には剣を持って、服装は紳士服に変わった。仮面はない。多分、リップルとしてじゃなく、漣りょうとして、お爺さんと戦うつもりなんだ。

 その次の瞬間、お爺さんの剣とりょう君の剣が交差した。何度も何度も、打ち合いを続ける。そのりょう君の顔は、とっても本気だ。

 

「おやおや、思った以上に成長してるみたいですな」

 

「うっせーよ、余裕もってられんのも今のうちだ!」

 

 そんな二人のやり取りを、見ているしか出来ない私が歯がゆい。早く、なぎさたちが早く来て欲しい。そうすれば、変身も出来て、助けられるのに。

 

「ほっほ、まだまだ甘いですな」

 

「闇爺こそ、こんな時にばっか本気出してんじゃねーよ!」

 

「だが、そこのプリキュアを助けるならばこの爺を超えねばなりませんな」

 

「分かってんだよ!」

 

 けど、徐々にりょう君が押し込まれていく。私に出来ることは、本当になにもないのか。分からない、分からない。でも、このままじゃりょう君が。

 

「っ!」

 

 その時、脳裏に浮かんだのは、このお爺さんはプリキュアを恨んでるということ。ならば。

 

「やめなさい! りょう君を狙うよりも、プリキュアを恨むなら、私を攻撃しなさい!」

 

「……ほう?」

 

「やめろ、ほのか!」

 

 少しだけなら逃げられるはず。その隙に、りょう君が回復出来れば。

 そう思って引きつけようとすると、退路が切り崩された。一瞬の事で、どうにかして次の攻撃をよけなきゃと思った時だった。

 

「危ない! ほのか!」

 

「えっ?」

 

 私の代わりに、盾となったりょう君が斬られていた。お爺さんは、ふむ。と間を置くだけだが、りょう君が斬られたのは、事実だった。

 

「りょう君……うそ、だよね?」

 

「……わりぃ、ほのかが、やられそうなの……見て、られなかった」

 

「どうして! 私を守って、そんな!」

 

「……好きな、女……目の前で、死なせる訳、ねーだろ……」

 

 こんな時ですら、りょう君は、くつくつと笑っていて、私は。私は……

 

「全ては未熟ゆえにこうなったものですな。闇が光に手を出すから……」

 

「そんなの、関係ない! りょう君が私を好きで、私もりょう君が好きだから!」

 

「ほのか! それにりょう!」

 

「ほのかさん! りょうさん!」

 

 二人も来るけど、私はりょう君を抱えて抱きしめるしか出来ない。お爺さんは、そんな私たちを見下している。

 

「もしこれが、最後になるなら……うぅん、最後になんてしたくない。りょう君ともっと、話したり、遊んだり……色々したいの」

 

「ほの、か……?」

 

「だから……死なないで、りょう君!」

 

「……ん!?」

 

 そのまま、私はりょう君にキスをする。なんでかは分からないけど、そうした方がいい気がして。だから、だから。

 すると、りょう君が光りだした。まるで、私達が変身する時のような光に包まれて、りょう君は。白いマントに甲冑。騎士のような姿に変わった。

 

「……まさか、な。こんな事になるなんてな。傷も癒えている」

 

「りょう君……」

 

「ふむ、目覚めさせてしまったのですな」

 

 素直に、かっこいいって思った。それと同時に、手を握る。りょう君も、私の手を握り返してくれた。

 

「ありがとな、ほのか……俺はこれで、もう一度戦えるみたいだ」

 

「りょう君。大丈夫。今度は私も一緒だよ」

 

「ほのか、変身するよ!」

 

「私達も戦います!」

 

 私が頷くと、いつものように私達も変身する。そして、お爺さん……ううん、闇爺を見据えた。ここからは、私達の反撃だから。

 

「そんじゃま、ほのか。合わせてくれよ。二人もよろしく頼む」

 

「もちろんよ、りょう!」

 

「りょうさん。分かりました!」

 

「りょう君。一緒に倒しましょう!」

 

「……何人になろうと、爺は負けません……ぞ?」

 

 そのまま、闇爺が私達に攻撃しようとした時、既にりょう君は動いていた。

 

「……遅せぇよ」

 

 剣の峰で殴れば、踵落とし一発。そして、私が下からりょう君の技を見て覚えた蹴りを放って、ブラックが再び殴り落として、ルミナスが投げで叩きつける。

 

「……馬鹿な、素早さが上がっている?」

 

「どうやら、光がとっても馴染むみたいでな。そんじゃ一気に決めるぜ」

 

 そこで、りょう君が剣を構え直した。私達も必殺技の体制になる。りょう君が私たちの前に立ったのは、意味があるはずだから、私達も頷いて、そのまま撃つことにした。

 

「みなぎる勇気!」

 

「溢れる希望!!」

 

「光り輝く絆と共に!!」

 

「エキストリーム!」

 

「ルミナリオ!」

 

 りょう君は、私達の必殺技を剣で受けて、その剣が光を吸収すると、鞘にしまう。おそらく、だけど。私達と同じ。必殺技なんだ。

 

「そんじゃ、闇爺。受けな。正真正銘光の剣!」

 

 りょう君は、へへっと笑うと勢いよく振り抜いた。虹のように光が輝いて、とっても綺麗なその技は。

 

「ナイトフォース! エキストリーム・バースト!」

 

「……っ、ぐぉぉおおおおお!?」

 

 闇爺はりょう君の必殺技を受けて、倒れ伏した。光に浄化されて、消えていきそうなのは、闇側だから。なのかもしれない。そんな闇爺は、りょう君と似た笑いかたで、口を開いた。

 

「……やはり、光の戦士となる子供を……闇に育てるのは、無理……でしたかな……」

 

「なに? どういうこった闇爺」

 

「……そのままの意味。ですぞ……本来の、りょうは……光の戦士として、覚醒するのを、闇で抑制していた……」

 

「……つまり、俺は最初から光だったってわけか」

 

「りょう君が、光の戦士……」

 

 闇爺とりょう君の会話を聞いて、少しだけ驚いた気もする。でも、私がそれを、目覚めさせることが出来たのなら、なんだか嬉しいかも。

 

「……光あるところに、影はある。影ある所に、光は、ある……せめて、爺が育てたお前は……強く生きてくれ」

 

「……おう、闇爺」

 

 そう言い残して、闇爺は消えた。りょう君の手を私が握ると、りょう君は握り返してくる。とても嬉しい。

 

「ほのか、ありがとな。俺を助けてくれて」

 

「うぅん、私が助けたかったから」

 

 私の言葉を聞いて、りょう君は微笑む。なんとなく、次にりょう君が言うことが、わかった気がして、私はりょう君の前に立った。多分、そういうこと。なのかな。

 

「それじゃあ改めて、好きだぜ。ほのか」

 

「私もだよ、りょう君。りょう君が好き」

 

「それじゃあ、今度はどうする?」

 

「りょう君からお願いっ」

 

 そして、私がふふっと笑った後に、りょう君は優しく私にキスしてくれた。幸せだなぁ……

 

「……ねぇひかり。私達見せつけられてるのかな」

 

「なぎささん。言わぬが花ですよ」

 

 と思ってたら、二人がいることを忘れてた。やっぱり顔がすごく熱くなってきた所で、りょう君が離してくれた。

 

「ま、見せつけてる。でも俺はいいな。結構今、幸せだからな」

 

「もうっ!」

 

 そんな私たちの始まりは、ここからなんだと思う。これからどんどん、楽しくなれるといいなっ!



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雪城ほのかのお宅訪問 〜その1〜

 なんだかんだいって投稿する事が出来てますね。この調子で続けられれば……

 どうも、suryu-です。

 最近書きだめを作るために執筆して、思うことですが。ほのかが、小悪魔チックになっていくんですよね。どうしてこうなったのか。なんて悩みつつも、でもそれでも可愛らしいと思うのは、ほのかが好きなんだなぁなんて思ったり。
 そんな私の語りも入りつつですが、今回もごゆるりとなさってくださいな。


■【雪城ほのか】■

 

 

 

 闇爺の一件から、少し時間が経った頃の放課後。私は、りょう君ととある会話をしていた。というのも。

 

「それにしても、私がりょう君の家に行ったことってまだないよね。その逆もないし」

 

「ん、確かにそうだな。ほのか」

 

 なんとなく、お互いお宅訪問をしたことは無くて、ちょっとしてみたいかな。なんて思っていたから、そんな話題を出したんだけど。

 

「まぁ、嫌ではないし別にいいが。で、まずはどっちの家にする?」

 

「うーん、私でも良いしりょう君でもいいけど……」

 

 そんな悩んでる私たちを見て、周りの人達は羨ましそうにしている。

 実は、付き合って少し経った程度なのに、りょう君と一緒に居る事も多くて、りょう君に抱きしめられたり。とかもあるから、学校公認のカップルになったみたい。

 成績に関しては、私もりょう君も良いし、先生達も一部を除いて微笑ましそうに見てくるから、たまに恥ずかしいけど、幸せだなって。

 

「そんじゃま、まずは俺の家にするか。ほのかの御両親に挨拶。は、少し早いからな」

 

「別に、挨拶されても私は良いんだけどね」

 

「だめだ、俺のプレッシャーがやばい」

 

「むぅ……」

 

 なぎさとひかりさんと一緒に居る時も多いけど、最近はりょう君の方が多いかも。楽しくて、嬉しくて。つい一緒に居るなぁって。

 とりあえず、今はこうしてりょう君の家に行く。という話が出たからには、私も楽しみかな。

 

「それじゃあ、何時にしよっか?」

 

「別にいつでもいい。掃除くらいはちゃんとしているからな」

 

「ふふ、流石だね」

 

「別に、普通だ」

 

 りょう君は謙遜してるけど、男の人って基本掃除が苦手だから、私としては凄いと思う。りょう君って、色々出来るなぁ。なんてイメージが、私にはあるかも。

 

「で、だ。本当に何時にする?」

 

 そんなりょう君の問いかけに、うーんと少し悩んでから、提案する事にした。

 

「明日は土曜日だから、休みだし……明日とかはどう?」

 

「明日か、大丈夫だ。予定もないしな」

 

「それじゃあ、明日ね。ふふ、楽しみだな」

 

 私なんかに恋人が出来るなんて、少し前まで思ってなかった。実際に出来たらこんなにも幸せだなんて、思いもしなかった。

 なぎさも頑張ってほしいし、ひかりさんにも出来るといいなぁ。なんて考えながら、帰り道を歩く。

 

「それじゃあ、私。こっちだから」

 

「おう、また明日な。待ち合わせは?」

 

「じゃあ、彼処の公園でっ」

 

「了解」

 

 こうして、今日は自分の家に帰るけど、明日の事が気になって、眠れるか分からなかった。

 家に着いてからは、おばあちゃんの所に向かう。明日の事を、話す為に。

 

「お婆ちゃま。ただいま」

 

「あら、おかえりなさい。今日は機嫌がいいわねぇ」

 

「ふふ、そう見えるかな?」

 

「ええ、見えますとも。もしかして、彼氏さんと?」

 

「うんっ」

 

 実は、りょう君にはまだ話していないけど、私がりょう君と付き合っていることは、私の家族は知っていたりするのよね。

 私が密かに携帯で撮った、りょう君の写真を見てると、そこにおばあちゃんが来て、そこから広まっちゃって。でも、認めてくれたから良かったかな。

 

「明日はりょう君の家に行くの。どんな所に住んでいるのか、とか。何か面白いものはあるかな。とか、今から楽しみなんだ」

 

「ふふ、いいわねぇ。それじゃあ、ゆっくりしてきなさいな」

 

「うん、お婆ちゃま!」

 

 

 

 

 その次の日。なんとか眠ることも出来たから、体調は良い。待ち合わせの公園に行くと、やっぱり先にりょう君は待ってた。遊園地の時もそうだけど、早め早めの行動を心掛けているのかな?

 

「ふふ、おはよう。りょう君。今日も早いね」

 

「まあな。女を待たせる気は、基本的にないさ。特にほのかはな」

 

「もしかして、なにか理由はあるの?」

 

「ま、そんなところだ。好きな女を待たせるのは、良いもんじゃない」

 

「もうっ……ふふ」

 

 そういうことをさり気なく言うあたり、りょう君は女たらしな気もするけど、それはともかく。私の手を取って歩くりょう君は、少し楽しそう。そんな気がする。

 

「それにしても、何処に家があるの?」

 

「もうすぐだ。そんなに遠くないさ」

 

 りょう君の家はどれかな。と予測をしながら歩いていたら、ちょっと大きい家の前でりょう君が止まった。

 見た目は洋風……というか、本当にヨーロッパにありそうな気がするかな。

 

「もしかして、ここ?」

 

「ああ、そうだ。今の俺にはでかい家だが」

 

「そうなんだ。それじゃあ」

 

「おう、いらっしゃい。ってな」

 

 りょう君の家の中は、どんな所かなぁ。なんて思いながら、家に入れてもらった。玄関も大きめだし、本当に外国の家みたい。

 

「とりあえず、俺の部屋に案内する。こっちだ」

 

「ふふ、分かったよ」

 

 そして言われるがままに、りょう君に案内される。部屋に入ると、色々な漫画の入っている本棚やゲームにテレビ。ベッドと、結構普通の内装だったり。変わったところはないから、りょう君の部屋自体は、何の変哲もない男子学生なんだなって思った。

 

「そんじゃ、お菓子やらお茶やら用意するわ」

 

 だとすれば、探すものはまだある。私も聞いた事しかないから、本当にあるかは分からないけど。りょう君が、行ってる隙に……

 

「エッチな本。置いてあるのかな?」

 

 とりあえず、ベッドの下を覗いてみる。でも、そんな安直なところに置かないのか、そういうものは見当たらない。

 次に探すべきは、多分本棚。何かのカバーに、カモフラージュされてるかもしれない。

 

「……うーん、これも違うかしら」

 

 それっぽいものは、なかなか見つからない。でも、そこで何かの直感が働いた。勉強机を見た私は、勉強机に備え付けられている本棚に、目をつけた。

 ぱらぱらと、いくつかの本を手にとっては流し見すると、遂にそれらしきものを見つけてしまった。

 

「これ、そうだよね……」

 

 よし。と意を決して、私は中を見る。すると、そこには私に似た女の子の、あられもない姿が……え? 私に、似た?

 

「あ、う……そ、そうよね。りょう君も男の子だもんね」

 

 とりあえず、私の顔が真っ赤になることは確か。りょう君ったら、本当に私の事が好きなんだなって思ったけど。多分聞いたら、素直には答えてくれない。それくらいは把握してる。

 でも、これで一つ。りょう君の弱みかなにか、知った気もするかも。だって、わざわざ私に似た女の子の本を、こうして探してるんだもの。

 

「ふふっ。驚きだけど、ちょっと安心かな?」

 

「ただいま。お茶、もってきた、ぞ……? お、おい!?」

 

 と、そんなタイミングでりょう君は戻ってきた。いつになく慌ててるけど、なんだか可愛いかも?

 そんなりょう君の手にあるお盆には、アップルタルトと紅茶が乗っかっている。

 

「ふふ、その紅茶とアップルタルト。美味しそうね」

 

「それは嬉しいが、な、何読んでんだほのかは!」

 

「え? りょう君の趣味チェックよ。でも、私に似た女の子の本を買う。なんてね」

 

「お、おいほのか。なんだか、いつもと雰囲気が違うんだが?」

 

 なんとなく、りょう君を弄ってみよう。そんな私の考えに、りょう君は珍しく焦ってる。どんな弄り方をしたら、いつもと違うりょう君が見られるのかな。なんて、ちょっといぢわるな事を考えちゃう。

 

「もしかして、私とそういう事をしたいのかな? ふふ、まだ早いわよ」

 

「分かった、分かった。ほのか、頼む。これ以上からかわないでくれ」

 

 とりあえずりょう君が先に、ギブアップ宣言を出したから、私も満足したかな。でも、この先何度か弄れるかも? そう思うと、ちょっとだけ楽しみになったかも。なんて。私、こんな子だったかな?

 

「ったく……上手いとこ隠したと思ったんだがな、まさか見つかるとは思わなかった」

 

「油断大敵よ。私、こういうの探すの得意だから」

 

「ま、そうみたいだな」

 

 やれやれ。なんてりょう君は苦笑いしてるけど、私としてはちょっと恥ずかしいのも、残ってる。だって、ここまで好かれてると、ね。でも嬉しいけど!

 りょう君は、そんな私を眺めながらも、諦めたようにお盆をテーブルに置いた。アップルタルトは、美味しそうに見える。

 

「とりあえず食べるか。ほのか。自信作だからな」

 

「え、りょう君が作ったの? 料理出来たの?」

 

「勿論だ。飯を作ったり菓子を作ったりは、俺の趣味だからな」

 

 なんだか、女子力が物凄く負けた気がして、ちょっと落ち込む。甘いものは、結構好きだから、余計に負けた気がする。

 

「……りょう君。趣味多くない?」

 

「まあな、色々と練習した。何においても完璧であれ。って感じで育てられたからな」

 

「そうなんだ。それはその、やっぱり……闇爺に?」

 

「まあな」

 

 そんな事もあるんだなぁ。なんて思いながらも、アップルタルトをフォークで切って、刺して食べる。程よい甘さで美味しい。やっぱり、負けた気がする。

 

「ん、どうだ。美味いか?」

 

「うん、とっても。悔しいくらいかな」

 

「くっくっ……ま、何年もやってるからな」

 

 いつもの様にくつくつと笑いながらも、りょう君もアップルタルトを食べる。何をしていても様になってると感じるのは、惚れた弱みじゃないはず。そうだと思いたい。

 

「それにしても、何して遊ぶ?」

 

「そうだな、家デートだし……これでも使うか」

 

 すると、りょう君が取り出したのはゲーム機。そのゲーム機のソフトは、イン○ィニット・スト○トスの対戦ゲームらしい。

 

「もしかして、これで遊ぶの?」

 

「勿論。ま、楽しもうや」

 

「なんとなく、りょう君がやりこんでる気がするけど……それじゃあ、遠慮なく」

 

 そして、りょう君がゲーム機を起動して、プレイする事になる。オープニングが流れたところで、久しぶりにやるゲーム。どうやってりょう君に勝とうか、考える事にした。



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雪城ほのかのお宅訪問 〜その2〜

 やって来てしまった、雪城ほのかの訪問二話目。どうなってくるのか。

 どうも、suryu-です。

 まず初めに言うと、今回冒頭から少ししたところまではネタを盛り込みました。分かる人には、どうしてこのキャラなのかって分かるでしょう。というか、みんな分かると思うんですけどね。
 あと、ストックが切れそうで切れないので、なんとか、更新できてます。自分らしくないけど。
 そんな感じですが、今回も皆様ごゆるりとなさってくださいな。


■【漣りょう】■

 

 

 

 突然だが、俺。漣りょうは、彼女が居る。自惚れでも妄想でもない、本物の彼女だ。その彼女は、光の戦士。プリキュアだと言うから、常識外れであるのは認める。が、やはり本物なのだ。

 今、その彼女が自分の家に来ていて、一緒にゲームをしている。そのゲームは、イン○ィニット・ストラ○スのゲームなのだが……

 

「なぁほのか。なんで、そんな頑なにセシリア使うんだ?」

 

「なんだか、近いものがある気がして。かな?」

 

「いや、確かに声が似てるが、そこまでこだわるのか?」

 

「拘りたい気分なのかもしれないもの」

 

「……そうか」

 

 まぁ、声が似てるなら、何かとシンパシーでも感じるのだろう。そう納得させようと、意識を変えつつも、自分は次はラウラを使ってみる。

 

「あ、この声。キュアマーチ……なおさんね」

 

「ちょっと待った他のプリキュアもか!?」

 

 案外、プリキュアはアニメの声と、似てる人も居るんだな。という事にしておかないと、なんとなくツッコミが間に合わない。そんな気がして、とりあえずゲームに意識を戻した。

 

「というかセシリアって射撃キャラなのに、ほのかはなんで、そんなに格闘出来るんだよ。普通無理だぞ」

 

「えっ、でもセシリアは代表候補生だし、出来るものはあるんじゃないの?」

 

「近接武器は武器名コールしてるけどな」

 

 少なくとも、俺の常識は通じないのかもな。とか、普段の戦闘の、勘なのかもしれない。とか考えても、近接が上手い理由が見当たらないし、とりあえずほのかのセンスだと思う事にした。

 いや、セシリア以外を使ったら、実際伸びると思うんだけどな。

 

「んー、やっぱりりょう君は上手いなぁ」

 

「ほのかに言われたくないな。本当に初心者かよ」

 

「うん。思ったより出来てて、自分でもびっくりかな」

 

「そーかい。……うわ、それ捲るのかよ」

 

 とりあえず、対戦ゲームがここまで上手いとなると、圧倒的に勝つのは、他のゲームで勝でしかないんじゃないか。とか思ったり。いた○きスト○ートとか。

 

「それじゃあ、次はこれをやるか?」

 

「あ、い○ストだね。しかもファ○ナルファ○タジーやド○クエコラボの」

 

「知ってるのか、これを。んじゃ、早速やるか」

 

 だが、この時の俺は気づかなかった。ほのかは秀才で、秀でてるものが多い。勿論、ゲームとはいえやりくりも。つまりは……

 

”三十分後”

 

「……おい、どうしたらこうなる。独占エリア多数に、関所と飛空挺を上手く配置して、ほぼ一人勝ちじゃないか」

 

「え? う、うーん、確率と……運?」

 

「いや、普通それだけじゃこうはならないからな?」

 

 どうやらこの彼女。ダイスの神様にすら、愛されているのかもしれない。どうしたものか、なんて考えるが、ここから先の攻略法が見当たらない。

 因みにだが、俺が使っているキャラは、ティーダというキャラで、ほのかが使っているのはミュリン。……なんとなく、ほのかの声に似ているのは、やはり気の所為なのかそうでないのか。判断するのは難しい。

 

「ねぇりょう君」

 

「ん、なんだほのか」

 

 そこで、ふとほのかが俺に呼びかける。何かあったか。なんて、内心で構えつつも、次の言葉を待つ。

 

「今なら教えてくれるかなって。りょう君が、格闘技とかをして鍛える理由」

 

「あぁ、あれか」

 

 そういえば、あの時は濁していたな。なんて思いながら笑うと、答える内容は決まっていた。最初から、一つしかない。

 

「闇爺に教わってるからってのもあったが、もうひとつ理由があってな。好きになった女を守る為。それだけさ」

 

「それって……」

 

「ま、今誰の事かって言ったら、ほのかしか居ないな」

 

「……りょう君」

 

「ん? っておい、ほのか?」

 

 ゲームをしながら、そんな話をすると、ほのかが急に抱き着いてきた。少し上目遣いでこちらを見ていて、非常にどきりとする。

 とりあえず、何を言えばいいのか分からなくなって、とりあえず抱き着かれたまま、少し沈黙する。

 

「……だからって、りょう君。無茶、しないよね?」

 

「……ほのか」

 

 その少し後に聞こえた言葉に、俺は沈黙する。確かに

ほのかを庇って、一回死にかけているのは確かだ。だが、無茶をしないか。と聞かれると、素直に頷く事は出来ない。

 

「ほのかを守るためなら、俺はいくらでも無茶をしちまうだろうな。それが性分だから、な」

 

「りょう君……」

 

 ほのかは、そんな俺を強く抱きしめる。やっぱり、俺には相当無茶をさせたくないのだろう。だからこそ、もう一度言おうとすると、手を握られた。心を読まれてるみたいで、少し驚く。

 

「私、りょう君だけに無茶はさせたくない……りょう君が危ないなら、私が助ける」

 

「……そんなもんかね」

 

「そんなものよ」

 

 こうして、ふとした所で見るほのかの強さが、俺にはとても、眩しく見える。本当に、何で俺を選んだんだろうなって位には。

 けど、選ばれたのは俺なんだから、それなら徹底的に、守り通したい。それだけは自覚している。何があっても、それは変わらない。

 

”でも”

 

「……ほのかも、俺と同じなんだろうな。守りたいってのは」

 

「寧ろ、そうでもしなきゃりょう君は、一人で行っちゃう。そんな気がするもの」

 

「……反論出来そうにないのが痛いな」

 

 ほのかは、この数日間でかなり俺を理解している。そんな気がする。実際、守るためなら一人で戦うのも辞さないだろう。でも、ほのかはそれを許してくれそうにない。

 

「……惚れた弱味。なのかねぇ」

 

 そんなほのかが、とても頼もしいとも感じるし、愛おしいとも思う。自分をここまで見てくれる彼女に、感謝しているし、愛したい。

 多分だが、お互い相手が危険な時に、どちらも助けようとする。そこを突かれたら大変だが、どんな困難でも乗り越えられる。そんな気もする。

 

「りょう君は、絶対一人では行かせない。私、着いていくからね」

 

「……本当に強いな、ほのかは」

 

「そうかな? これは私の我儘だもの」

 

「……それでもさ」

 

 だから、俺はほのかを抱きしめる。無茶は一人でさせてくれないのなら、一緒に越える。それが、一番なんだろうな。

 

「……好きだよ、ほのか」

 

「ふふ、私もよ」

 

 

 

■【雪城ほのか】■

 

 

 

 どうしよう、本当にどうしよう。言いたかったことだけど、りょう君に抱きついたり、無茶させないって言ったあとに好きって言われて、私もって返したり、なんだか恥ずかしい事ばかりしたような……

 今更だけど、顔が熱くなってきた。多分、私の顔は真っ赤になっているかもしれない。

 

「それにしても、ほのかがこんなに積極的だとは思わなかったな」

 

「え? そ、それは、その……」

 

「ったく、本当にドキドキさせられるよ、俺も」

 

 りょう君も、少しだけ顔を赤くして目線を逸らした。意識してくれているって分かると、なんとなく嬉しい。りょう君のこんな姿が見られるなら、ちょっと積極的になったこと、正解かも。

 

「そういえば、ほのかは今まで彼氏が居たことはあるのか?」

 

 多分、恥ずかしくなったのか、りょう君は話題を逸らした。私は首を横に振ると、りょう君が少し、安堵したように溜息を吐いた。

 

「どうしたの?」

 

「いや、な。俺も実は、今まで彼女がいた事がなくてな、ほのかがはじめてなんだ」

 

「……そうなの?」

 

「あぁ、そうだ。だから、色々緊張したりもする」

 

 なんだか意外だな。なんて、そんな感想が浮かんでくるけど、そっか。私が初めてなのね。そう思うと、ちょっと嬉しく感じる。りょう君の初めてに、なれたんだって思うと。

 

「むしろ、俺からしたら、ほのかに居なかった事の方が、驚きなんだけどな」

 

「そう?」

 

「あぁ。どう見ても、ほのかはモテるしな」

 

「うーん、自分ではそんな気はしないんだけど……」

 

 りょう君からしたら、私はとってもモテる女って見えるんだろうけど、私は普段は実験とか色々やってて、呆れられてる。と、思うんだけどなぁ。

 

「それならそれで、俺だけが魅力を知る女になるし、嬉しいかな」

 

「……りょう君ってそういう事、顔を赤くもせずに言えるよね」

 

 りょう君はずるい。こうやって、私がドキドキすることを、こうも簡単に言ってくる。もしかして、女たらしなのかな。なんて、思ったりしなくもない。

 

「顔も赤くせず、ねぇ……まぁ、恥ずかしく無いわけじゃないが、女の前では強がっていたいのかもな」

 

「そうなの?」

 

「そうさ。好きな女の前だと、強がりたくなる。そんなもんさ」

 

「そうなんだ。でも、慌てる姿があまり見られないのも、ちょっと残念かな」

 

「ま、そんなに見せるもんじゃないからな」

 

 やっぱりりょう君はずるい。私にはそういう面をあまり見せないのに、りょう君は私のそういう所を沢山見ているから。

 そういう本を見つけた時は、流石に慌てていたけど、そういう時しか見られないのかな? だったら、やってみよう。

 

「りょう君。もっと色々な面を見せて欲しいなぁ」

 

「……ほのか?」

 

 女の子の必殺技は、泣き顔と上目遣いって誰かが言ってた気がする。だったら、実行してみよう。こんな私を、小悪魔チックにしたのはりょう君なんだから、それ位の責任を取ってもらってもいいかも。

 

「……ほのか、狙ってやってるのか?」

 

「なんのこと? それとも……見せてくれないの?」

 

「ぐっ……まぁ、善処はする」

 

「うんっ、やったわ……!」

 

「!?」

 

 りょう君が驚いているけど、これは私の作戦勝ち。こんな手を使うなんて、自分でも信じられないけれど、でも。これで、正解な気がする。

 りょう君は、こうでもしないと新しい一面を見せてくれない。そんな気がするし、実際多分そう。だって、いつもりょう君は、どれだけ私が恥ずかしくなったとしても、涼しい顔で、流してしまうもの。本当だったら、もっと色々見せてくれたっていいのに。

 

「……にしても、結構な時間だが、今日は帰るか?」

 

 と、そこでりょう君が時計を指さした。いつの間にか、夕方になっていたみたい。そこで私は、ゆっくりと考える。このまま帰っていいのか、と。もうちょっとりょう君と一緒に居て、色々出来るんじゃないかって。

 

「それじゃあ……今日は」

 

 そこで、私の選んだ答えは。



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雪城ほのかのお宅訪問 〜その3〜

 ゆっくりと、ひっそりと。6話目の更新になります。いやはや、早いもので。

 どうも、suryu-です。

 なんとなく、プリキュアの話を書いていて思ったことは、色々設定を盛りたくなる。ということですね。オリキャラのりょう君とか、本当にもう。これでもかというくらいには。
 それと、イチャイチャしている話を書いていて、色々羨ましくなってたりするのは、もうデフォですかねぇ。
 なんて、そんなことを呟きつつですが、今回もごゆるりとなさってくださいな。


■【雪城ほのか】■

 

 

 

 結局、この日私はりょう君の家に泊まることに。なんでかって言うと、それは電話をかけたら……

 

 

『ほのか。今日は彼氏さんの所に泊まるんでしょう?』

 

『えっと、お婆ちゃま。そのー?』

 

『大丈夫。認めているとはいえ、二人には伝えないでおくわ。ゆっくりしなさい』

 

『あ、えっと……うん』

 

 と、こんな風に押し切られてしまった。まぁ、たしかに今まで私は恋人とか、縁がなかったけど。まさか、こうなるとは思わなかった。でも、結果としてりょう君と一緒になれるのなら、それはいいこと。なのかも。

 それで、今りょう君は私の目の前で料理をしている。手際がいいから、本当に慣れてるんだなーって。

 

「本当にりょう君。料理出来るんだね」

 

「ん? ……まぁな。出来て損は無いし、さっきも言ったが、叩き込まれたからな」

 

「そっか。やっぱり練習は大事なんだね」

 

「まぁ、な。何事も練習あるのみだ。天才だろうとなんだろうと、練習は必要なのさ」

 

 りょう君は会話しながらも、慣れた手つきで料理の作業を進めていく。女子力で負けているけど、りょう君なら仕方ないかも。なんて、思い始めてきた。

 それにしても、何を作ってるんだろう。なんて、手元を覗いてみると、茄子に獅子唐。人参と牛蒡。多分、魚は鱚。そして、薄力粉と卵と水……もしかして。

 

「りょう君。天麩羅を作ってるの?」

 

「まぁな。彼女が初のお泊まりだから、ちょっとした祝いにな」

 

「そっか。天麩羅と言えば、フリッターっていう料理が最初に来たとされるのは奈良時代。具体的に伝わったのは、十六世紀から十七世紀で、それが今で言う天麩羅になったけど」

 

「ま、元の料理とは似ても似つかんよな。これは。天麩羅の方の衣は、薄力粉と卵。水を軽く混ぜたものだが、フリッターの方は卵黄と薄力粉と牛乳を混ぜて、さらにメレンゲを軽く混ぜ入れる。混ぜ具合もフリッターの方がしっかり混ぜられてるし、天麩羅とは衣の作り方が違うし、味も食感も違う」

 

「ふふ、分かってるね。私が言おうとした事、取られちゃったわ」

 

「ま、これくらいはな。料理してたら、ある程度は入ってくる知識だ」

 

 りょう君が、私の知識披露に合わせてくれるのは、結構多い。色々な事を知ってて、何処で勉強してるのか、たまにに気になるくらいには。成績優秀ってだけじゃ、説明つかないもの。

 

「ねぇ、りょう君」

 

「ん?」

 

「りょう君ってどうやって勉強したり、色々覚えたりしてるの?」

 

 私の質問に、ふむ。とりょう君は一拍置いた。その間も、料理をする手は止まらない。

 

「そうさな、ネットで気になったことを調べたり、図書館まで行ったり。あとは、闇爺の本を読んだり、だな」

 

「やっぱり、勉強は楽しかったから、かな?」

 

「いーや、そんな大層なもんじゃないさ。結局自分が気になったものばかりだからな」

 

 そう言うと、お皿に紙を敷いて天麩羅を盛り付けていく。その手際良さは、見ていて綺麗。なんて考えていると、りょう君は私の頭をポンポンと叩く。

 

「米も炊いてあるし、それじゃあ食べるとするか。ま、自信はあるぞ」

 

「ふふっ、そうね。食べよっか」

 

 と、そこでりょう君が取り出した、女性用の茶碗が気になった。りょう君って、闇爺と二人で暮らしてたんじゃないのかな?

 

「ねぇ、その茶碗は?」

 

「ん? あぁ、昨日買ってきたんだ……ほのかが来るから、一応な」

 

「私が来るから?」

 

「あぁ。夫婦茶碗って訳じゃあないが、揃えておきたかったからな」

 

「……もう、りょう君ったら」

 

 やっぱりりょう君は、本当にずるい。私の心をこうやって揺さぶるから、こうして私が震えるの。顔も赤くなるし、なんて言えばいいのか分からなくなる。

 私も、りょう君をどうにかして揺さぶりたい。とりあえず、ご飯の時にやってみるかな?

 そんなことを考えつつも、ご飯の用意を続ける。テーブルに置かれる天麩羅を見て、本当に美味しそうだなって。漬けるための出汁もりょう君が作ったみたい。夫婦茶碗にご飯をよそって、箸を用意して。

 

「それじゃありょう君。食べよっか」

 

「おう、そうだな……食べるとするか」

 

 とりあえず、茄子天麩羅をとって、天つゆに漬けて一口。サクッと軽い口当たりと、出汁を吸った茄子がとても美味しい。揚げたてだから、というだけでなく、りょう君の腕も良いんだと思う。衣の軽さと茄子のジューシーな食感が、なんとも好ましいわ。

 そして、私の反撃もここから始まる……はず。天麩羅を1つ手に取って、行動に移す事にした。

 

「それじゃあ、はい。りょう君……あーん」

 

「ん? ……ふふ、あーん」

 

 でも、りょう君は案外乗り気のようで、軽くパクッと食べた。間接キスにも動じないし、りょう君のメンタルは強くて、ちょっと考えもの。

 と。今度はりょう君が天麩羅をつまんで、私の口の前に出した。

 

「ほい、ほのか。あーん」

 

「うぅ……あ、あーん」

 

 これ、分かったことだけど、される方が恥ずかしいみたい。りょう君がどうして動じないのか、本当に気になる。でも、天麩羅は美味しいのが本当にもう。

 そんなことを繰り返していると、ご飯も進むし天麩羅も美味しく食べられた。まぁ、二人で食べるにしてはちょっと多かったから、明日も食べられそうだけど、それにしても。

 

「りょう君に勝てない……」

 

「くっくっ。本の時は焦ったが、そうそう負ける気はないさ」

 

「むぅ……バカ、バカ」

 

 とりあえず、大事なことだから二回バカって言っても、りょう君はどこ吹く風。どうやったら意識するのかなぁ。

 

「あ、そうだ。風呂は沸いてるぜ。入りたければ入りなよ」

 

「うん、そうするわ。……本当に悔しいなぁ」

 

「あ、風呂はそっちだ。まぁ、扉が違うからわかるとは思うが」

 

「分かった。それじゃあお風呂借りるね」

 

 とりあえず、お風呂の場所を教えて貰ったから、ゆっくりと向かうことにする。それにしても、本当に大きな家だなぁ。ここに一人で暮らしていて、りょう君は寂しくないのかな?

 

「あ、ここね。確かに扉が違うわ」

 

 実は、お婆ちゃまから着替えを持っていきなさい。と言われていて、その理由がよくわかってなかったけど、今なら理解出来る。というか、最初からこのつもりだったんじゃないんだろうか。

 ……とりあえず、そんなことを考えていても仕方ないから、私は服を脱いでお風呂に入ることにした。

 扉を開けると、お風呂場は少し広めだった。ゆっくり寛ぐには最適で、過ごしやすい空間なんだなって。

 とりあえずシャワーを付けると、暖かいお湯が私にかかってくる。やっぱり、こういう時間は好き。

 

「それにしても、りょう君のお家に泊まることになるなんて……」

 

 そういうのはまだ先かな。なんて、思ってた時にこれだから、私は少し戸惑ってる。でも、嬉しいって気持ちがあるのも確か。だって、好きな人とは一緒の方が良いもの。

 

「それじゃあ、入りましょっ、きゃあっ!?」

 

 と、そこで、少し滑って転んでしまった。少しばかりりょう君の事に、気を取られていたみたい。

 

「いたた……もう、私ったら」

 

 と、その時風呂場に向かって走ってくる音が聞こえた。もしかして、心配してくれてるのかな?

 

「ほのか、大丈夫か!」

 

 そして、りょう君が風呂場の扉を開けて、確認しに入ってきて……え?

 

「き、きゃぁぁあああ!?」

 

「う、お……す、すまない。ほのか!」

 

 とりあえず勢いよくりょう君が扉を閉めると、私はとっても顔を赤くする。だって、だって。見られちゃったもの。りょう君を動揺させたいとは思ってたけど、こういうのじゃなくて、う、ぅうっ。

 

「本当に、りょう君のバカぁ……」

 

 でも、りょう君が私の体を見て、顔を赤くしていたのは確認したから、私は魅力があるってことで、いいと思うけど、それでも恥ずかしいものは恥ずかしい。

 とりあえず、この気持ちをどうにかしたいがために、お湯に浸かることにした。うん、暖かい。現実逃避するくらいには、暖かいわ。

 

 

 とりあえず、数十分後。のぼせないように出てきた私が見たのは、りょう君の土下座だった。

 

「あの、りょう君?」

 

「ごめんなさい」

 

 私の裸を見た事に、罪悪感を覚えているのか土下座をしているりょう君。ハムスターみたいに縮こまって、なんとなく可愛い気もするけれど、それはともかく。

 

「……いいのよ、事故だし、故意じゃないし。心配してくれたんだもん」

 

「とはいえ、嫁入り前の女の裸を見るというのは、だな、その」

 

 とはいえ。りょう君も気にしているみたい。嫁入り前がどうこう。というのは、少し気になるけれど。だったら。少し面白いことを、私は思いついた。

 

「それじゃあ責任取って、お嫁さんにしてくれる?」

 

「あぁ、嫁に……ん? え? は、はあ?」

 

「ふふっ」

 

 すると、物の見事にりょう君は混乱している。やっぱり、私はこうしてりょう君の慌てる姿を見るのが、ちょっと好きみたい。小悪魔っぽく、なってきちゃったのかも。

 そんな私を何度もちらりと見ては、また目線を逸らして、そしてまた見て。なんてことを、りょう君は繰り返しているけれど、何かを決めたように「よし」と呟いては、私の顔を見た。

 

「……分かった。ほのかが望むならば」

 

「本当に? ふふっ、それじゃあこれでりょう君のお嫁さんに確定したから、私の家に挨拶しに来ないとね」

 

「そうだな。まさかこんな形で決まるとは思わなかったが」

 

「私も。でも、ちょっと嬉しいかも」

 

「ん、そうか」

 

 という訳で、りょう君と一緒になることが確定して、少しご満悦な私は、ふとそこで考えた。

 

「それじゃありょう君。一緒に寝る?」

 

「……それは理性が保てないので遠慮して頂きたい」

 

 りょう君は、やっぱり断ったけど私には通じる必殺技がある。こうすれば、多分聞いてくれるはず。上目遣いを意識して……

 

「……だめ?」

 

「ぐっ。わ、分かった、分かった……」

 

「ふふ、やったわ」

 

「……敵わんな」

 

 そんなわけだから、今晩は一緒に寝ることになって、すっかり満足出来た。溜息を吐いて苦笑いしているりょう君を連れて、りょう君の部屋に戻ると、ベッドに腰掛ける。

 

「それじゃあ一緒に寝ましょうか」

 

「分かった。……じゃ、電気消すぞ」

 

「うん、おやすみ」

 

「おやすみ」

 

 今日は、いい夢を見られると思うなぁ。そう思いながらも、私は眠りについた。



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雪城ほのかのお宅訪問 〜その4とおまけ〜

 わーい、しょうせつ。わたし、しょうせつだぁいすき。

 どうも、suryu-です。

 最近はペースよく更新してますが、なんとか書きだめを作ってたりしてて、実はあまり休んでない私だったりします。
 でも皆様に読んでいただけたら。なんて思いながら編集して遊んでバンドリしてTrpgして……あれ?
 ま、まぁそれはさておき、お宅訪問は今回まで。今回もごゆるりとなさってくださいな。


■【漣りょう】■

 

 

 

 俺の朝は早い。具体的にいえば、朝五時頃から動き始める。今日はいつもと違って、隣で寝ているほのかを優しく撫でてから、俺は行動に移る。

 まずは日課のランニング。軽く30分で一・五キロは走る事にしている。これを欠かした事は、無いだろう。

 

「やっぱり、風が気持ちいいもんだな」

 

 そんな事を言いながらも走っていると、近所のおばさんや、犬とかと出会って、少しばかり会話したりもする。そういう時間は、癒しになると思うから、ランニングは好きなんだ。

 ランニングを終えれば、家へと帰宅する。というか、家の目の前が終わりになるように、いつも調整している。

 家に入れば、まずはほのかが寝ているか確認。……どうやら、寝ているようだ。これなら、問題は無い。朝ご飯の用意を、始められる。

 朝は、そこまで重くないものにしよう。と考えれば、作るのはだし巻き玉子。コールスロー。味噌汁。それに加えて昨日の天麩羅の残り。などなど、ゆっくりと作業に移る。

 

「ほのかを起こさないように、な」

 

 静かに。しかし、きっちり用意を続ける。天麩羅はオープンで、再びカラッとした状態に戻す。だし巻き玉子とコールスローは、皿に盛り付けた。味噌汁は、豆腐とわかめ。油揚げという、定番の具材にした。

 さて、と時間を確認する。午前六時二十七分。丁度いい時間だ。と、そこで足音が聞こえる。どうやら、ほのかが起きたようだ。

 

「おはよう、ほのか。よく眠れたか?」

 

「ふふ、おはよう。りょう君。ばっちりよ」

 

 どうやら、ほのかは割ときっちり眠れたらしい。眠たそうな様子もなく、俺も少し安心した。因みに、俺は少し眠るまでに時間がかかったのは、ここだけの秘密だ。

 とはいえ、それを顔に出すのも恥ずかしいから、俺はあくまでも冷静に笑う。ある意味、俺の特技のようなものだ。

 ほのかは背筋を伸ばして、朝に対して体を慣らしている。だが、胸は……言わぬが花だ。

 

「……りょう君。変な事考えたよね?」

 

「気の所為だろう、気の所為」

 

「本当に……?」

 

「本当だ」

 

 やはりというか、ほのかは勘が鋭い。プリキュアとして、戦っていることが繋がってるんだろうか。考えを読まれるのは、この先下手なことが考えられないという事だ。

 とりあえず、昨日と同じ茶碗に米をよそって、机に置く。先程作っておいたおかずも、ちゃんと丁寧に並べた。

 

「それじゃあ、食べようか。ほのか」

 

「むぅ。分かったわ」

 

 話を逸らして、なんとか納得してもらいつつも、食べる用意はできた。というわけで。

 

「それじゃあ、いただきます」

 

「いただきます」

 

 先ずは味噌汁を、ゆっくりと一口含む。暖かい。朝食一番に感じる幸せは、やはりこれだと思う。だし巻き玉子も一つ、口に運んだ。美味しい。しっかり出汁がきいていて、少し安心する。上手く作れたものだな。ほのかも、喜んでくれるかな。なんて。

 

「やっぱり、りょう君のご飯は美味しいなぁ。女の子の私よりもってなると、ちょっと複雑だけど」

 

「まぁ、練習の成果だ。くっくっ、頑張って繰り返したからな」

 

「やっぱり。繰り返し練習することは大事なのね。りょう君」

 

 当たり前のことだが、欠かしてはならないこと。それが練習だと、自分は思っている。だから、少しでも練習することを厭わない。俺は、それだけの想いがあるからだ。

 ……ただ、なんとなくだが。このままだと将来、俺が家庭の家事をするのかもしれない。なんて、思わなくもない。ほのかの場合、研究にかかりっぱなし。なんて事も、ありえなく無い気がした。とはいえ、今はそれを口に出さない。未来という不確定なものを、言霊が確定付けるなんてことがあれば、それはそれで困るからだ。

 

「?」

 

「ん? あぁ、なんでもない。ほのか」

 

 気づいたら、ほのかを見つめながらそんなことを考えていたようだ。結婚までは、まだ時間がある。筈なのだが、昨日から色々有りすぎて、そこまで遠くないものとして、認識している節もある。全く、気が早い。なんて、自分を諌めるべきでもあるのだが。それでも考えてしまうあたり、本当にほのかが好きになっている。全く、恋の病というのは、本当に難しいものだ。

 とりあえず、コールスローを口に運びながら、そんな事を考える朝。というのも珍しいし、そもそも彼女が泊まりに来たその朝。なんてことも、初めてだ。なんとなく、ちょっとした幸福を感じている気もする。

 

「ねぇりょう君。なんだか笑ってるけど、どうしたの?」

 

「ん? まぁ、そうだな……幸せだ。ってな」

 

「ふふ、そっか。私もよ」

 

 このやり取りは、何度目だろうか。そこまで日数が経っていないのに、何度もした気がする。でも、それでいいのかもしれない。何せ、俺は今まで幸せを知らなかったのだから。

 こんな風に、ほのかといちゃつけるなら、今まで生きてきた甲斐が有る。だって、俺は。俺は。

 

__自分の出生すら知らないのだから__

 

「りょう君。それじゃあ、この後はどうしよっか?」

 

「そうだな、昼まで何かしてから、そのあとほのかを送ってく。それくらいかな」

 

「一人でも帰れると思うけど、りょう君は優しいよね」

 

「馬鹿言え、当たり前のことするだけだ」

 

 でも、今はそれでもいい。この幸せがあるのなら、俺は大丈夫だ。闇爺の事なんかも、気になったりはする。けどな、この平和が続くなら、俺は羽を休めて、ほのか達と生きていきたい。

 

「……今更の話だが、これが俺にとっての、か」

 

「どうしたの?」

 

「いや、なんでもないさ」

 

 ただ、これだけは言える。何かって言うと、簡単なものだ。

 

__俺の幸せは、まだ始まったばかりだ__

 

 

■【雪城ほのか】■

 

 

「それで? ほのかはりょうと仲良くいってるの?」

 

「うん、なぎさ。この間なんかはお泊まりだったのよ」

 

「へぇ、ほのかさん。楽しそうですね」

 

 今日は、なぎさとひかりさんとタコカフェで話をしているんだけど、話題は自然とりょう君と私の事になった。やっぱり、恋人が居るって言うことが、三人の中でとても大きかった。という訳で、根掘り葉掘り聞かれている最中なのよね。

 

「りょうの家に泊まったってことは、何かあったの?」

 

「まぁ色々と。あと、りょう君の料理を堪能したわ。美味しかったよ」

 

「りょうさん。料理も出来るんですね。なんというか、多芸多才ですよね」

 

「そうなのよ、ひかりさん。だから、面白い話とかも沢山できたし」

 

 女三人集まれば、姦しい。なんて言葉があるけれど、今の私達は、りょう君が見たらそんなことを思うのかな。最近私も、りょう君のおかげで大分小悪魔チックになってるし。

 

「それで、りょうって男としてはどういうタイプなの? 肉食系? 草食系?」

 

「うーん、草食系かしら。思ったよりガッツリくるタイプじゃないのよね、りょう君」

 

「そうなんですか? 男の人ってもっと強く来ると思ってたんですけど……」

 

「そうだよなぁ。ほのか相手に遠慮してるのか、それとも」

 

 りょう君は実際私に対して、そんなに肌が触れ合うスキンシップをとるわけじゃない。なんとなく、ちゃんとまだ一線は超えないぞ。なんて、そんな意思が見える気がした。でも、もうちょっとガッツリきてもいいんだけどなぁ。

 そんなことを話しながら、たこ焼きを口に入れる。うん、美味しい。外はパリッと、中はトロっと。美味しいたこ焼きの条件ね。

 

「でも、意外よね。りょうって、結構ガッツリ行くタイプに見えてたから」

 

「そうですよねぇ。こう、なんというか。狼っぽいというか、なんというか」

 

「なぎさとひかりさんの意見も分かるけど、でもああ見えてりょう君、昔堅気なところもあるのよ。なんというか、気にするのよ。嫁入り前。とか」

 

「ぇえ? なんか想像つかないなぁ」

 

 りょう君。私からしたら、最初は狼だなんて思ってたけど、実際蓋を開けると、そこまでじゃなかった。なんというか、私のことをすごい気遣ってくれる。そんな感じ。

 

「そういえばだけどね、ほのか。りょうって光の戦士になったんだから、名前を考えた方がいいんじゃない?」

 

「あ、たしかに。何か必要かも?」

 

「私達が考えた名前を、使うかは分かりませんけどね」

 

 確かに、りょう君は光の戦士としての名前が無かったり。でも、この先戦う機会があるかは分からないから、本当に必要かは分からないけど、ね。でも、考えておいた方が、いいのかもしれないわ。だって光の戦士って、本名で呼びあわないし。

 そう考えると、りょう君の光の戦士としての名前を、考えた方がいいのかしら。なんて考えていると、一つ、思いついたものがある。

 

「……ナイト。ってついた名前がいいかもしれないわ」

 

「ナイト? それって騎士?」

 

「なんというか、それっぽい気もしますね」

 

「でしょ? だから、ナイトってついた名前がいいと思うの」

 

 そこから、私達はりょう君の戦士としての姿の名前を、みんなで考える。例えば、どんなのがあるかな。とか、これがいいんじゃないかな。とか。

 話題は尽きないけれど、そんな時、思い出したようになぎさが呟いた一言。それが気になった。

 

「そういえば、りょうって今までどんなふうに過ごしてたんだろう?」

 

 私は、知らなかった。りょう君が、どうやって生きてきたのかを。闇爺に育てられた。とは言ってたけど、過ごし方も。生まれの事も。全然分からなかった。そもそも、闇爺は言っていた。りょう君は、元々光の戦士側だったって。それが本当なら、りょう君は一体。

 

「……りょう君の事、まだまだ知りたいな」

 

「ほのか?」

 

「ほのかさん?」

 

「え? あ、あぁ。なんでもないわ」

 

 多分、きっと。それを知る事になる時は、大きな真実に辿り着く。そんな気がする。私は、そんな考えを胸にひめながら、なぎさとひかりさんと、たこ焼きを食べながら考えた。

 それは私にとっても、りょう君にとっても、きっと、きっとだけど、大事なことだと。そう、信じて。



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閑話 りょうの旧友と、新たな仲間

 今回は、今回は……っ。豪華! どうも、suryu-です。

 今回は、プリキュア界隈の先輩さんから、一人キャラをお借りできたために、今後から何度も登場する事になりました! 尊敬する先輩さんのキャラなので、上手く扱えたらなぁなんて……それと、りょう君の旧友が二人ほど出てきます。片方はヒロインが決まっているのですが、もう片方は決まってないので、いずれアンケートをとるかもしれませんが、その時はよろしくお願いします。

 では、今回もごゆるりとなさってくださいな!


■【漣りょう】■

 

 

 

「おう、久しぶりだな。裕一。アスカ」

 

「どうも。りょうさん。お久しぶりです」

 

「珍しいっすね、俺らに会いに来るなんて」

 

 俺は今、旧友と親交を深めるために、久しぶりに会いに来た。いや、深めるためと言うよりかは、むしろ自慢の方が自分的には上かもしれないが。まぁ、理由は言わなくとも、分かるだろう。

 

「まぁ、今日は報告があってな」

 

「お、なんすかなんすか?」

 

「なんとなく嬉しそうな顔をしているので、良い報告なんでしょうね」

 

「まあな」

 

 まぁ、元からする気だったが、こいつらにも伝えることにする。今から見るアイツらの反応は、なんとなく楽しみだ。そんな訳で。

 

「俺。彼女出来たわ」

 

「……なんと」

 

「は? え、は? マジっすか?」

 

 まぁ。当然のごとく、こいつらは固まる。多分だが、俺に彼女が出来る所、想像出来なかったんだろ。ま、俺もだが。未だに夢みたいだしな。

 

「あれだけ闇爺さんに、キツく育てられていた貴方が彼女。ですか」

 

「闇爺は関係……なくはないか。まぁ、でも出来るもんだぜ裕一」

 

「どんな相手か気になるっすねぇ。そういう話、楽しそうっす」

 

「ん、それもちゃんと教えてやるさ。アスカ」

 

 敬語口調の真面目は、新藤裕一。「っす」が語尾に着くのは不動アスカ。そんな二人が、興味津々に俺の話を聞いてくる。ま、いつも話題提供するのは二人の方が多いし、俺からというのも、珍しいのだろう。

 まぁ、驚かせるつもりではあるから、俺も俺でくつくつと笑った。さて、次の爆弾は。

 

「で、だ。その彼女は元祖光の戦士。キュアホワイトの、雪城ほのかその人なんだよ」

 

「……冗句ですか? プリキュアって。と言いたいですが、貴方の顔を見たならばわかります。本当に、なのですね」

 

「マジっすか……でもまぁ、なんかしっくりするっす。りょうは光側っす。性格的にも。プリキュアなぁ、テレビで見たりする程度っす」

 

「そんなもんかねぇ?」

 

 まぁ、思ってたよりは驚かなかったが、衝撃は与えたようだ。ま、少しは満足かねぇ。なんて考えるあたり、まだ驚いて欲しかったのかもしれない。まぁ、それはいいとして、だ。

 

「で、プリキュアってテレビに出たりするのか?」

 

「出ますよ。以前、あなたにプリキュアの存在を聞いたあとから暫くして、つい最近キュアピーチやベリーにパイン。パッションの四人なんか、メディア露出した事もあります」

 

「まぁ、プリキュアはちょこちょこ有名っす。だから、そんな容姿端麗プリキュアを彼女にするなんて、男子の願いみたいなもんっす」

 

「……俺が修行してる間に、プリキュアの認識って変わったのな」

 

 まぁ、普通なら知る由もないなんて思っていたが、プリキュアは案外メジャーな存在らしい。そんな認識を新たに得ると、余計優越感に浸れる。俺の彼女は、そのプリキュアなのだから。

 というか、ほのかは可愛いんだ。清楚系かな、なんて思ってたら少し小悪魔チックで。話してて楽しいし、色々な蘊蓄も披露する。頭が良いし、優しいし。……とにかく語りだしたら、止まらない程度には。

 

「完全に惚れてるっすねぇ。途中から声に出てるっす」

 

「ですねぇ、なかなかにお熱のようで」

 

「ん、声にでてたか……ま、それくらい俺が惚れ込んでるってこった」

 

 まぁ、声に出ていたとしても、恥ずかしい訳では無い。というか、これで恥ずかしがってたら、物凄く今更だと、自分で思う。それ以上のことを、しているからな。とはいえ、こいつらはそれを知る由もないから、そこの辺りは伝えないが。

 そんな話をしていると、裕一は少しばかり羨ましそうに、ふふっと笑った。

 

「私も出来たら、付き合いたい子が居るものです」

 

「ん? 裕一も居るのか。そういう相手」

 

「ええ、一応は」

 

「あ、俺は知ってるっす。とはいえ、話していいのか……」

 

 と、そこで裕一は、話すかどうか迷っている。そんな気がする。まぁ、そんな簡単に暴露されても、手助け出来るかどうかなんて、分かりはしないし。まぁ基本的には、助けるつもりなんだが。だから、聞くには聞いてみる。それが一番だ。

 

「で、裕一。どんな相手なんだ。その人は」

 

「どんな人、ですか」

 

 そんな俺の問いかけに、裕一は少しばかり頭を悩ませる。話すべきか、話さないべきか。迷ってるんだろうな。

 

「……まぁ、一応話すとしますと、私も、気になってる人は居るんです。その人の名前は、来海えりか。世間で言う、ウザ可愛いに入る部類の人です」

 

「ふぅん、成程ねぇ」

 

 真面目な裕一にしては、珍しいタイプだな。なんて思わなくもない。実際、俺がこいつと一緒にいた時、そういうタイプとは話していなかった気がする。

 けど、今こうしてそのタイプを好きになっているんだから、色々あったんだろう。と考えた。で、問題はそこからだ。

 

「なんで、好きになったんだ?」

 

「なんで、ですか。……まぁ、その。一度話してから、つい何度も何度も通ううちに」

 

「そん時は惚気られたから、だから俺は知ってるって訳っす」

 

「そういう事か。まぁ、アスカと裕一はまだ近い所にいたしな。一度俺は修行のために、北海道行ってたし」

 

 そんな話をしていると、ほのかからメールが来る。この後会えないか。そんな内容だ。

 

「おっと、ほのかからメールだ。お呼び出し。だな」

 

「おや、彼女からの呼び出しですか。ふふ、良いですね」

 

「羨ましいっす……」

 

 こいつらにも、近いうちに出来るといいな。そう思いながらも、帰る用意をする。久しぶりに旧友に会えて、良かったもんだ。今度、こっちが招待してやらないとな。

 

「そんな訳だから、ちっと戻るぜ。なぁに、今はそう遠くない位置に居る。ま、また今度な」

 

 

 

 

「で、呼び出されたらなんで見知らぬ人が居るんだ? なんとなく強者の匂いがするが」

 

「おーおー、分かるほうか。戦闘好きだな?」

 

「くっくっ、違いない」

 

 で、ほのかに呼び出されてやってきたら、なんとも見知らぬ男性に出会った訳だが、俺達の会話を聞いて、ほのかは苦笑いしている。ほのかの知り合い。ということは。

 

「どうも、花を守る騎士。ブレイドナイトをやってる御剣明だ」

 

「なるほど、俺と同じタチか。元闇の光の騎士。漣りょうだ」

 

「や、やっぱり。似てるタイプだと思ったけど……」

 

 お互い、鍛えているもの同士だな。なんて、早速通じ合う所が出てきた。ほのかはなんとなく、やれやれと言った風に俺達を見ている気がする。

 

「で、ほのか。なんで俺を呼び出したんだ?」

 

「それはね、りょう君。りょう君と明さんが、出会ったらどうなるかな。なんて。騎士としての名前を決められるんじゃないかなーって」

 

「……つまり化学反応の実験と」

 

「……泣けるぜ」

 

「ふふ、そうかもしれないわね」

 

 まぁ、ほのかのノリを考えたら、こんな事もあるだろう。なんて納得したりはする。ただ、騎士としての名前については、実はもう決めていることがあったりした。というのも、だ。

 

「俺、もう名前は考えてたんだぜ。漣の騎士。リップルナイトってな。……やっぱり闇爺から貰った、漣。リップルって名前は、なかなかに捨てられなくてな」

 

「あ、そっか。りょう君は闇爺に育てられたんだもんね……」

 

 と、そこで闇爺という単語に首を傾げた明さんが、俺に何か言いたそうにも見える。まぁ、大体想像は着くが、そのまま待機してみる。どうせ、直ぐに答えは出るさ。

 

「一応聞くが、りょう。その名前から察するに、闇爺ってのは、闇側だろ。どうして闇に育てられたのに、闇から光に変わったんだ?」

 

「簡単だ。とってもシンプルな答えだが、いいか?」

 

「ああ、構わん」

 

 俺の問いかけに、既に察したのか明さんはなんとなく笑っている。やっぱり、口調や性格。なんとなく、趣味まで似ている。そんな気がする。

 

「たった一つ、とってもシンプルな答えだ。ほのかを好きになったから。ま、それだけだ」

 

「ち、ちょっと、りょう君っ」

 

「おーおー、言うねぇ。良い甲斐性だ」

 

 まぁ、これを言えば当然ほのかは顔を赤くする。でも、仕方ないな。だって俺は、それを確信していたから言ったんだ。嘘でもないから、タチが悪いなんて言われたらそれまでなんだが。

 

「そ、それでっ、今日りょう君は、何しに出かけたの?」

 

「あ、話逸らした。……まぁ、旧友に会いに行って彼女出来たって報告したのと、ちと恋バナをな」

 

 恋バナ。なんて言ったら、ほのかが有り得ないって顔をしている。待てコラ。俺だって、そういう話はするぞ。というか、これでも人並みにそういう話はするタイプだからな、俺。

 まあいい、そこは重要じゃない。寧ろ、本題はここからだ。裕一の為にも、聞いてみようじゃないか。

 

「今日は旧友の二人に会ったが、その内一人が来海えりかっていう女の子を好きになってな、どうやってアプローチすればいいか分からないみたいなんだ」

 

「え? 来海えりか?」

 

「おい待て、来海えりかって言ったか?」

 

「……ん?」

 

 と、そこで俺は二人から見詰められる。おい待て、まさか。まさか、だよな? とは思うが、多分事実なんだろう。まぁ、喜ばしいことであるかはさておき。

 

「まさか、プリキュア。なのか?」

 

「……うん」

 

「ついでに俺が一緒に戦っている」

 

「おい、世間狭すぎだろどうなってんだ」

 

 まさかほのかだけでなく、明さんまで知ってるってなると、さすがに頭を抱えたくなる。が、知り合いである事は変わりようもないし、とりあえず納得することにした。

 まぁ、あれだ。裕一の、手助けができると思えばいい。プリキュアと恋愛することについての先輩なんだし、どうせならこの明さんも巻き込んで、裕一の恋を成就させてやればいいんだ。

 

「まぁ、そういう訳だから、ほのかに明さんや。俺の旧友の恋愛成就。手伝ってくれるか?」

 

「私はいいよ。勿論やるわ」

 

「仕方ないな。ゆりとかに話をして、やってみるとしますかね」

 

「うっし、ありがとさん。これで行動出来るな」

 

 まぁ、そんな訳だから、俺とほのかと明さんは、裕一の恋愛成就のために、これから動くこととなる。ま、楽しい事は、みんなでやらなければ大損だ。だから、これからどうするか。そんな計画を、俺達三人で建て始めた。

 

「ちなみにその旧友の名前は?」

 

「新藤裕一だ」

 

「なんだ知ってる奴だ」

 

「マジかよ……」

 

 ほのかに明さんを巻き込んで、俺達は談義する。裕一。ま、少しは手助けしてやるよってな。



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来海えりかが付き合うまで 〜その1〜

 やっはろーです、皆様。どうも。suryu-です。

 今日はいくらかテンションがおかしい中、続きを投稿しています。いや、深夜テンションなのかそれともはたまた。
 最近は、ポケモンガチ勢と久々に話す機会があって、もう一度ガチろうかな。なんて思ってたり。いや、小説書けって話なんですがそれはともかく。
 今回からえりか編です。口調やら呼び方やら合ってるかわからないから、物凄く不安ですが、今回もごゆるりとなさってくださいな。


■【来海えりか】■

 

 

 

「それで、ほのかさん。どうしてあたしを呼んだの?」

 

「まぁ。そうね、私にも実は彼氏が出来たって報告と、他にもいろいろあって、ね」

 

「マジで!? それは意外っしゅ……」

 

 あたし、キュアマリンこと来海えりかは、現在先輩プリキュアの雪城ほのかさんに呼ばれて、会いに来たんだけど、衝撃の告白をされてるところ。うー、まさかほのかさんに恋人出来てるなんて……青春は羨ましい。

 

「それで、お相手は? どんな人? かっこいい?」

 

「ふふ、そう急かさないで。そうね、りょう君はかっこいいわ。私のことを守ってくれる騎士でもあるし、夫でもあるし」

 

「ちょっと待って夫!?」

 

 とりあえず、なんだかぶっ飛んでることは分かった。え、何これ。あたし惚気されるためだけに、呼ばれたのかな。あれ、これ本当に私の意味は?

 そんなことを考えてるあたしを見て、くすくす笑っているのは、何か考えがあるのかもしれない。

 

「えりかさんは好きな人。居ないの?」

 

「え? そ、それは……」

 

 まぁ、居ないわけじゃない。むしろ、気になっている人はいる。あたしなんかに、構ってくれる男性だから。あの人は。

 

「ふふ、居るのね。良かったら、話してくれない?」

 

「お、お見通しかぁ。……分かった」

 

__そう、あの人の名前は__

 

 

 

 

「……かさん。えりかさん」

 

「うぇあ? あ、裕一さん。どうしたの?」

 

 最近、あたしと一緒にいてくれる男性がいる。いつも敬語を使って、丁寧な立ち振る舞いを身につけていて。それで、歳上でなんとなく優しい人。今日も部員がまだ来てないこの時間から、一緒に居る。

 

「どうしたんですか? 少し考え込んでるみたいですから」

 

「うぅん。なんでもない。大丈夫だよ」

 

「そうですか、ならいいんですが」

 

 気になるのはあなたの事だ。なんていうのは、冗談でも言えない。恥ずかしくて、顔が熱くなると思う。あたしのキャラってこんなんだっけ? と疑いたくなるくらいには。

 新藤裕一さん。あたしの知っている男性の中で、あたしの身長の事や、夢のこととかを馬鹿にしない貴重な人の一人。そもそも、どうして出会ったのか。というのも。

 

『すいません。ファッション部は此処ですか?』

 

 つぼみやいつき。ゆりさんに明さんになおみ、るみこ。としこ。ななみ。皆が部員になって、しばらくしての事だった。デザトリアンとの戦いも終わって、あたし達は日々を楽しんでいたんだけども。

 

『ん? 此処がファッション部だけど、どしたのー?』

 

『いや、この服をデザインしたのは何方かな? と。なかなかに良いデザインでして』

 

 その手に握られていたのは、あたしが作った男性用の服の写真。明さんに着せたものを、どうやら撮っていたらしくて。

 その時、あたしはとっても嬉しかった。あたしの作品が、認められたんだなって。こういうのが好きな男の人も、居るんだな。なんて。それからだ。

 

『えっと、これからもファッション部に来てくれる? 色々新作を見せたりもするし!』

 

『ふふ、ありがとうございます。……あぁ、私が敬語なのは癖で、なんですが。貴方は、そのままタメ口でどうぞ』

 

『え? あ、ごめんなさい。って、いいの?』

 

 その時の笑顔を、あたしは忘れたことは無い。とってもかっこよくて、今でも何度でも思い出す。

 

『あなたの素が見たいんです。……それに、私はあなたの作品に惚れ込みましたから。私は新藤裕一。よろしくお願いします』

 

『そ、それなら……あたしは来海えりか。よろしくっしゅ!』

 

 この時の会話は、本当によく覚えている。裕一さんは、それから何度もあたしのもとに来た。明さんやつぼみ。いつきとかは、珍しそうな顔をしていたのも、記憶に残ってた。

 裕一さんは柔らかい笑みを浮かべていて、髪は肩にかかる程度の黒髪。タレ目。なんとなく優しげな雰囲気を、あたしはいつも感じている。

 

「それで、今日はどうしたの? ファッション部に来てるのはいつもの事だけど」

 

「あぁ、それはですね。久しぶりにデザインしたので、見てもらおうかと」

 

「え? 裕一さん。デザイン出来たの!?」

 

「まぁ、人並みですが、とある旧友と、競い合う程度です」

 

 そんな裕一さんが、まさかあたし達と同じように、服のデザインをしているなんて思わなかった。そもそも、あたしは裕一さんのことを、どれくらい知ってるんだろうか。なんて、今更ながら考え直す。普段はこうして、話してるだけなんじゃないか。

 そして、あたしは思う。いつも外に見せている口調は、あたしの心の中には少ししか出てこない。仮面って訳でもないけど、これがデフォルト。みたいな所も、あるのかもしれない。裕一さんは、そんなあたしをどこまで見てるのか。とっても気になる。

 

「で、で! どんなデザインなの!?」

 

「ふふ、焦らずとも、直ぐにお見せしますよ」

 

 裕一さんは、勿体ぶることも無く、鞄からスケッチブックを取り出した。よく見ると、あたしが使っている物と、似ているかもしれない。やっぱり、描きやすいのは誰でも使うのかな。

 

「……見ていい?」

 

「勿論、どうぞ。そのために持ってきたんですから」

 

「じゃ、早速っ」

 

 開いたスケッチブックの中を見ると、そこにあるのは、Tシャツからカッターシャツ。ポロシャツ。ストール。ドレス。スカート。様々な、服のデザインのパレード。どれも、大人びたものだった。それでいて、キリッとしていて。

 

「凄いな、あたしとは全然違ったデザインばかり」

 

「そう言ってくれると、嬉しいです。自分の旧友と競い合ってた……というのは、幼い頃。ただがむしゃらに服を書いて、これはどうだって。そこで良いものが出来たら作って。そういう事をしてたんです」

 

「凄いっしゅ! まるで、プロみたいっ」

 

「……まぁ、私の原点ですから」

 

 プロみたい。なんて私の言葉は、響いたのかは分からない。けど、なんとなく裕一さんは嬉しそうにしている気がする。裕一さんの原点。とっても気になるんだけど、話してくれるのかどうなのか。

 

「ねぇ、裕一さん。その原点って、どんな物なの?」

 

「気になりますか? ……私の友。漣りょうと不動アスカという二人が、今の私を作りました。それは、ですね……」

 

 と、そこでいつものメンバーが入ってきた。つぼみにいつきの、二人だ。

 

「おや? 裕一さん。なにか話そうとしてたみたいだけど、邪魔だったかな?」

 

「裕一さん。こんにちはっ」

 

「あぁ、お二人でしたか。こんにちは」

 

 完全に、裕一さんは話す体制ではなくなった。多分、あたし達が話に夢中になったりして、二人が置いていかれるのを避けたんだ。裕一さんは、いつもこうして気を使ってる。なんとなく、残念な気持ちになった。裕一さんの、過去が聞けると思ったのに。でも、二人が悪い訳じゃないけど。

 

「それじゃあ、私はここで失礼しますね。……えりかさんも、また」

 

「え、あ、うん……」

 

 そのまま、裕一さんは行ってしまった。どうしてだろう。なんだか、そんなに大勢には聞かれたくない。そんな感情が、見えていたような。裕一さんのあんな顔、初めて見た気がする。

 でも、それでも知りたい。裕一さんの事を。そんなあたしの感情が、ぐるぐると回る。やっぱり、私は裕一さんが気になってるみたい。多分、その先にある感情も把握しているかも。

 そんな時、さっきのスケッチブックが目に入る。そうだ、ここにはもう少し作品があるはず。見ていいって、言ってたから。ちょっとだけ。

 

「あれ、えりか。そのスケッチブックは? えりかのと似てるけど、ちょっと違うし」

 

「私、気になりますっ」

 

「ん? あぁ、これ? 裕一さんのだよ。服をデザインしたからって」

 

 スケッチブックを、ペラペラと捲りながらも答える。すると二人も気になったのか、私の脇から中身を見る。まぁ、裕一さんも見ていいって言ってたから、大丈夫。だよね。

 

「わ、なんというか大人っぽいです……」

 

「でも、可愛い所もあるし、ちょっと着てみたいかも」

 

 でも、そこで疑問に思った事がある。裕一さんから聞いたりょうという名前と、アスカという名前から察するのは、男の人という事。じゃあなんで、女物が有るんだろう。気になって、ページをそのまま捲り続けると、そこには一人の女性の絵があった。

 

「わ、上手いなぁ……裕一さんはこれ、誰を描いたんだろう」

 

「ですね。なんとなく、儚げな美人さんですけど……」

 

 ここまで熱の篭った絵は、初めて見た気がする。なんだか、とても、とても。

 

「えりか?」

 

「え、えりか?」

 

「ふぇ、な、何?」

 

 気が付くと、つぼみやいつきが私を見詰めていた。何かあったのかな。なんて思っていると、ぽんぽんと肩を叩かれた。

 

「大丈夫? なんだか、珍しく寂しそうだったから」

 

「裕一さんと、何かありましたか?」

 

「あ、いや。違う、違うよ。そうじゃなくてっ、なんだか、絵の気持ちがうつったのかも!」

 

 あたしが寂しそうな顔をしてるなんて、自分でも意識してなかった。裕一さんの事を考えてるとはいえ、自分でも驚く。でも、何か。あたしの中で、何かがもやもやしている。そんな気がした。

 

 

 

「なんて事があったんだけど……まぁ、気づいてない訳じゃなくて。私、裕一さんに何か思うことがあるんだなって」

 

「ふふ。何かって暈しているのは、理由が有るの?」

 

「そこは突っ込まないでほしいっしゅ……」

 

 ほのかさんは、だいたい私がどう考えてるか分かってるはず。でも、あたし自身がどうなのか。という所に、踏ん切りがつかない。好きって思ってるのか、それとも。

 

「……まるで、ちょっと前の私みたいだな。似てるわ」

 

「え?」

 

 そこで、小声でほのかさんが呟いたことは、聞こえたけど。どういう意味かは、理解は出来ていない。似ているって、何がだろうか。あたし、ほのかさんとは似ても似つかない気がするんだけど。

 

「まぁ、えりかさんからしたら分からないと思うけど。そうね、それなら一つ良い案があるんだけど」

 

「良い案……?」

 

 なんとなく、なんとなくなんだけど、突拍子もない事が出てくる。それだけは分かる。ほのかさん。いつもと何か違うし。というか、あれ。もしかして、あたし。今一番相談しちゃいけない人に相談しちゃった?

 

「それじゃあえりかさん。提案が有ります。……ダブルデートしない?」

 

「……え?」



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来海えりかが付き合うまで 〜その2〜

 眠い、しかし小説書かねば。あ、リセマラ……なんて独り言を呟きながら投稿してます。

 どうも、suryu-です。

 最近プリキュア小説書いていて思うのは、キャラが可愛い。というだけじゃなく、なんというか愛着を持ち始めてきました。そろそろ書き慣れてくる頃かな。なんて思いながら書いてます。
 アンケート。いつやろうかなぁ……活動報告の方で、やることは確定してるんですが。ヒロイン決めは。

 そんな感じですが、今回もごゆるりとなさってくださいな!


【雪城ほのか】

 

 

 

「という訳で、ダブルデートになったから、りょう君宜しくね」

 

「いや待て、さっぱり分からんぞ」

 

 とりあえず、りょう君にはそんな報告をしたんだけど、なんでか困惑している。伝わらなかったのかな? 私の思惑が。

 

「いやほのか。首を傾げているが、斯々然々で伝わる方がおかしい。というか、それ態とだろ」

 

「あ、バレた?」

 

「……明さんの言葉を借りるとしたら、これだな。泣けるぜ」

 

 まぁ、りょう君だったらこれくらいの冗談は通じるよね。最近私、本当に変わったなぁ。なんて今更ながら思ったり。まぁ、今はそれはいいの。とりあえず、ちゃんと説明しないとね。

 

「まぁ、簡単に言うと。どうやらえりかさんと、裕一さんは惹かれあってるみたいなの。だから、中々踏み切れない二人の間を、私達で取り持つのよ」

 

「ふむ、なるほどな。それは確かに理にかなっているな」

 

「でも、気になる事がひとつあるの」

 

「何?」

 

 一つ。本当にたった一つだけ、気になることはある。えりかさんの話を聞いていて、思ったこと。話に聞く裕一さんが、えりかさんに言おうとした事。私の推測が正しければ、もしかして。

 

「裕一さん。過去になにか背負ってない?」

 

「あぁ、そういう事か……それに答えるのなら、YESだな。多分だが彼奴は、背負い続けている」

 

「……やっぱりね」

 

 多分、そうだとは思っていた。私が考えた限りでは、その女性の絵は、きっとそういう事なんだって。多分、もう。

 

「まぁ、あいつの背負ってる物だから、俺が勝手に話していいのかは分からない。が、まずはほのかと俺だけで、話を共有するくらいなら良いだろう」

 

「ん、そうね。それじゃあ教えてくれるかしら」

 

「……そうだな。俺がまだ、幼い頃のことだ」

 

 そして、りょう君がゆっくりと話し始めて、私はそれを聞いていく。でも、その話はとても軽いものではなかった。むしろ、むしろ。こんな事あっていいのか。そんな話だった。

 これをえりかさんが知ったら、なんて言うか。彼女なら、きっと乗り越えられる。そう信じたい。

 

「っ__そういう事なのね」

 

「あぁ……あいつ自身。乗り越えられてない所もある筈だ。けど、支えられたなら。きっと」

 

「……今更だけど、ダブルデート。いいの?」

 

「構わないさ、ほのかと一緒なら」

 

 りょう君は、私の作戦に乗ってくれた。あとは、バックアップなどは、明さんとかに頼めばいい。ゆりさんとも、協力してくれるみたいだから。それなら、凄く心強い。

 りょう君の手を握ると、りょう君は握り返してくれた。きっと、私達は同じことを考えている。

 

「まぁ、名目はダブルデートなんだから、楽しんじまえ」

 

「うんっ。りょう君とデート。楽しみっ」

 

 まぁ、人の相談ももちろんだけど、私自身も楽しみたいのは、悪くない。よね? ふふ、今からどんな服を着るか。とか、どんな場所にするか。とか、決めるのが楽しみになってきちゃった。

 

「それじゃあ、計画を建てるとしますか。最高なものに、したいからな」

 

「うん。りょう君。頑張ろうっ」

 

「おう、そうだな」

 

 

 

■【来海えりか】■

 

 

 

 あれから、裕一さんにダブルデートのことを伝えてみた。裕一さんは、とても驚いてたけど、受け入れてくれて、今日はそのダブルデート当日。

 

「服よし。髪型よし。心よし。ん、大丈夫、いつも通りのあたしっ。やるっしゅっ」

 

 待ち合わせの場所に着く前に、自分の容姿を再確認。変なところはないから、大丈夫だって信じる事にした。それにしても、ほのかさんの彼氏、漣りょうさんの話を混じえて、裕一さんに報告した時は、少し驚いていた。

 

『裕一さん。その、こういう理由でダブルデートする事になったんだけど、大丈夫?』

 

『ええ、平気です。平気なのですが……まさかりょうが絡んでいるとは……』

 

『知り合いなの?』

 

『旧友です。それじゃあ、当日はよろしくお願いします』

 

 旧友。なんて言ってたけど、結構古い付き合いなのかもしれない。りょうさんは、ほのかさんからこの間聞いた。ほのかさんの彼氏で、光の騎士。らしい。なんとなく、どんな人なんだろうな。なんて考えながら待ち合わせ場所に行くと、既に皆集まっていた。

 

「おはようございます。えりかさん」

 

「うんっ、おはよう、裕一さんっ!」

 

 まずは、裕一さんに挨拶。そして、ほのかさん達の方を見る。ほのかさんの手を取ってるのは、多分りょうって人。まぁ、ダブルデートなんだから、ほのかさんの彼氏をそりゃ連れてくるもんね。

 

「おはよう、ほのかさん。それと、えーと。りょうさん?」

 

「ん、正解だ。俺が漣りょうその人だ」

 

 くつくつと笑いながら、私の問いかけに頷く。なんというか、明さんみたいだ。明さんが聞いたら、泣けるぜ。なんて言う気もするけど。

 

「いやはや、まさかこういう事で並び立つことになるとは。世間は狭いですね」

 

「そうさな、裕一。まさかこんな繋がりがあるとは、誰も思わなんだ」

 

「ふふ、りょう君も予想外な事、あるんだね」

 

「そりゃあ俺だって、なんでも知ってる訳じゃあないからな」

 

「そっか、ちょっと安心したわ」

 

 ほのかさんとりょうさんは、最初から少しイチャつき気味だ。幸せそうな二人だから、ちょっと見習いたいかも。それと、羨ましい。

 そんなあたしの考えを察したのか、裕一さんは私の肩をぽんぽんと触って、私に笑顔をむける。相変わらず、かっこいい。

 

「あの二人は、あれがデフォルトみたいなので、気にしないようにしましょう。だって、今日は私とえりかさんの、デートでもあるんですから」

 

「そ、そうだよねっ。ふふっ、楽しみっしゅ!」

 

 やっぱり、裕一さんは優しいなって。あたしはそう思う。でも、デートの事を意識してるようには見えないし、余裕そうにも見えて、あたしをどう思ってるのか、見た目で教えてくれない。むしろ、何も思ってない? ……なら、ダブルデートには乗らないから、やっぱり大人の余裕なんだろう。なんだかちょっと、羨ましい。

 

「それじゃあ、ダブルデートと行こうか。ほのか。裕一。準備はいいか?」

 

「ええ、平気よ」

 

「大丈夫です」

 

「そんじゃ、そっちのえりかだったか。お前さんは?」

 

「大丈夫っしゅ!」

 

「オーケー。それじゃあ行こうか」

 

 そう言うと、りょうさんが先導する。そのまま、行く先を確認していた。見た感じ、だけど……アウトレットみたい。確かに、ダブルデートには丁度いい場所だと思う。

 それにしても、ほのかさんはなんでダブルデートという事に、したんだろう。なにか、深い意味があるのかな。考えても考えても、理解が追いつかない。だから、ちゃんとほのかさんの、意思を確認したい。まぁ、出来るか出来ないかは、別なんだけど。

 

「待ち合わせの場所を、ここに指定したのはりょう君だけど、もしかして最初から決めてたの?」

 

「まあな、ほのか。そうした方が、色々と楽だったんでな、移動とか」

 

「なんて言う割には、相変わらず計算してますよね」

 

「仕方ないだろ、性分なんだ」

 

 なんとなく、今日の裕一さんは、いつもよりも、少し嬉しそうだ。旧友のりょうさんが居るからなのか、それとも。その理由が気になるのは、悪いことなのかな。

 まぁ、考えすぎかもしれないから、とりあえずは、今日のダブルデートを楽しむことを考えなきゃ。

 

「さて、アウトレットに着いたが、まずはどこから見る?」

 

「色々な服屋さんがあるから、ファッション部のえりかさんが活躍できるわね」

 

「ふふ、そうですね。そう思います」

 

「よーし、任せるっしゅ!」

 

 今は、それでいいの。あたしが無理矢理動いたって、裕一さんの過去話を聞けるわけじゃないし、それに。それに……今のこういう関係を、壊したく、なくて。

 

 

 

 それから、裕一さんやりょうさん。ほのかさんとのアウトレット探索は、思った以上に上手くいってる。私なりに、みんなのコーディネートを考えたり、裕一さんとりょうさんが、お互い競いあってたり。色々な事をしていた。

 でも、気になることはまだあった。時折、裕一さんがあたしの事を、何度かちらちら見る。何か言いたいことが、あるような。そんな気がして。

 でも、あたしは踏み込めなかった。どうにも、勇気が出ない。何時もの私らしくない事は、私自身が一番よく分かっているのだけれども。そんな時だ。

 

「あら、えりかじゃない。元気ないわね」

 

「らしくないな。どうした?」

 

「あ、ゆりさん。明さん……」

 

 なんとなく、少し御手洗と偽って、心の整理をしようとしていると、思いがけない二人に出会った。どうせなら、相談してみてもいいんじゃないかな。

 

「まぁ、今日裕一さんと一緒に来てるだけど、その。裕一さんに上手く踏み込めなくて」

 

「踏み込めない、ね」

 

「あぁ、もしかしてあのスケッチブックの絵かしら? 私も見たわ」

 

「そう、あの女の人の絵。何かある気はするし、あたし自身も気になるの。けど、中々……」

 

 そんなあたしを、やれやれと言った様子で二人は見る。なにか、おかしな事を言ったんだろうか。

 

「別に、えりかはえりからしくていいのよ。貴方なら、何時もはガンガン聞いていくじゃない」

 

「それに、支える覚悟がえりかにはあるだろう。俺は、少なくともそう思うが」

 

「それに、好きなんでしょう? なら、聞きに行くに限るわ」

 

「そ、それは……」

 

 好きって事。それは今のあたしがとても、悩んでいること。あたしは、裕一さんに何を思ってるんだろう。なんて、考えると、二人は本当に呆れていた。

 

「ねぇえりか。私達からすると、結構そう見えるのよ。裕一君の事を、どう見ても好きと見ているようにしか」

 

 ゆりさんの言葉は、あたしが困惑することを、分かっていた。そこで、明さんがやれやれと頭を振るって。

 

「というか、本当は分かってるんじゃないか?」

 

「分かってる?」

 

「そうだな、自分の気持ちに蓋をしてるだけなんだろうさ」

 

 あたしの気持ちに蓋。そう聞いて、思うところはある。そうだ。本当は、あたし。気付いてる。でも、あたしで良いのか、とか。そもそも選んでくれるのか、とか。

 

「えりか。こういう時は、いつものあなたらしくていいのよ。押していきなさい」

 

「引いてダメってことは、押すしかないだろ? そういう事だ」

 

「いつもの、あたしらしく……引いてだめなら押してみる……」

 

 なんとなく、あたしの中で、なにか変わった気がした。思えば、裕一さんにはあれから一歩引いて接していた気もする。過去の事は、特にそうだ。傷つけたくない。壊したくない。そんな思いで、聞かずのままだった。自分から聞くことは、無かった。

 でも、進まなきゃ変わらない。だから。あたしだって、進む覚悟を持たなきゃ、付き合うなんて夢のまた夢。それなら。

 

「ありがとう、明さん。ゆりさん。……やるっしゅ!」

 

「ふふ、頑張りなさい」

 

「俺達も少しは応援するさ。行ってこい」

 

 あたしは、やれる事をやる。それが、裕一さんのためになるかは分からないけど、それでも、それでも! そう決めると、あたしは走る。裕一さんの元に、戻るため。

 

 

■【月影ゆり】■

 

 

「……行ったわね、明」

 

「そうだな、ゆり」

 

 私達は、今更ながら後輩の恋愛事情に手を出した。本来なら、もっと早く手を出せたかもしれないけど、私達は見続けた。普段と違うえりかが、面白い。或いは、可愛いと思ったのかもしれないし、それとも。

 

「ねぇ、上手くいくと思う?」

 

「俺はそう思うな。えりかと裕一の相性はいいし、それに、えりかは受け止めるだけの力はあるさ」

 

「本当に、明って結構見てるわね」

 

「褒めるなよ、照れるじゃないか」

 

 まあでも、あとは私達が考える間に、えりかの方が動くでしょう。それなら、そこまで深く考えることは無いわ。勇気を持たせる手伝いはしたし、以来は達成かしら。

 

「しかしまぁ、あのほのかに彼氏。さらにはえりかまで、か」

 

「事実は小説よりも奇なり。とは言うけど、私達でも予想できなかったわね」

 

「賽は投げられた。あとは、えりか次第。どんな結果になろうと、俺達は助けてやろう」

 

「ふふ、そうね」

 

 いつかは私も、明に素直に言える日が来るのかしら。コロンにからかわれながらも、素直に。

 

「それじゃあゆり。あとは報告を待とう。それと……」

 

「それと?」

 

「少し、戦う用意をな」

 

 そんな明の目は、なにか起きると感じている。そう、先を見ている気がして。なんとなく、いつもより険しい顔をしている。そんな気がして。

 

 

 

■【来海えりか】■

 

 

 

「裕一さんっ」

 

「えりかさん。どうしました?」

 

「お、ここは退散だな、ほのか」

 

「ええ、そうね」

 

 ほのかさんとりょうさんは、空気を読んでくれたのか、一旦あたし達から離れた。今なら聞ける。裕一さんの、過去の話を。

 

「……教えて欲しいの、裕一さん」

 

「何を、ですか?」

 

 裕一さんは、何となく察している。だから、あたしは持ってきていたスケッチブックを開いて、あのページを開く。

 

「裕一さんと、この女の人の話を教えて欲しいの」

 

「……あぁ、そのスケッチブックに、描いていましたね」

 

 裕一さんは、とても懐かしそうな。それでいて哀しそうな顔をしている。なんだか、とても。そう、とても哀愁漂う、そんな顔を。

 

「……話すと長くなりますが」

 

 

 

__私の、初恋の人でした__



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来海えりかが付き合うまで 〜その3〜

 四日おきの投稿のはずが、日にちが空いてたでござる。な、何を言っているか(以下略)

 どうも、suryu-にございます。

 今回はえりかが頑張ってるお話ですが、自分が書いている中で、どんどんえりかを好きなキャラとして見られるように。
 あれですね、やっぱり書くと魅力が分かるってやつですよね。なんて、前にも話したような。デジャブ?
 で、やっぱりこうしてえりかをヒロインにして、良かったな。なんて思うのは、普段色物でも、ふとした時に見える魅力って、可愛いよなって思うことですかね。

 とりあえず、語ると長くなってしまうので、ここまで。今回もごゆるりとなさってくださいな!


■【来海えりか】■

 

 

 

「初恋だった、人?」

 

「ええ、そうです。あくまでも……だった。ですが」

 

 裕一さんの顔は、なんだか遠い昔を見ている。あたしはそんな気がするけど、多分間違ってない。だって、今を見ていない。そこだけは、確信できる。

 じゃあ、どういうことなんだろうか。想像をすると、なんとなく暗いものがあるんじゃないか。なんて、あたしなりに考えた。その答えは、多分外れてない。

 

「もう、会えないってこと?」

 

「……そうです。彼女はもう死んでいるんです。私達が、幼い頃に」

 

「死んでる……」

 

 やっぱり、そういう理由だったんだ。考えた答えが当たっていても、嬉しくない。むしろ、それをずっと抱えていたんだと思うと、それがどれだけ辛いか。私は分からないかもだけど、とても苦しんだんじゃないかと思う。

 いい頃合いなんだろう。そう思ったのか、ベンチにゆっくりと腰掛けた裕一さんは、ゆっくりと語りだした。

 

「そうですね、それはまだ私とりょうと、もう一人。不動アスカという旧友三人が、幼い頃の事でした。私とりょうと、アスカはとても仲が良くて、私達はよく遊んでいました」

 

「幼なじみ、なんだよね。裕一さん達は」

 

「ええ、そうですね。もう長い付き合いです」

 

 それは、聞いているし、見ていたら分かるから、なんとなくそう思っていた。まだまだ話は続くだろうし、あたしは再び聞くように戻る。

 

「アスカには姉がいましてね。その姉が、私の初恋の相手だったんです。不動ユウナという、とても優しい人でした。そんなユウナさんと私は、いつの間にか惹かれ合う。そんな時です」

 

「っ……」

 

 そこで、裕一さんはあたしの見たことの無い、とっても哀しそうな、それでいて暗い顔をしていた。

 

「ユウナさんが、突如襲われ、私たちの目の前で、殺されたんです。私とりょう。アスカの三人で、撃退したんですが……りょうと私とアスカはやられ、そのまま、ユウナさんを持っていかれてしまいました」

 

「そんな、事が……」

 

「そして、そいつはアスカと私に言ったんです。恨むなら……光に連なる家系を恨めって」

 

「光に連なる……?」

 

 光に連なる。なんていうのは、あたしにはよく分からない。でも、その言葉は意味があるものだと思った。裕一さんの話は、まだ続く。だから、しっかりと聞かなきゃ。

 

「りょうはそとあと色々あって、闇爺の修行を受ける事になり北海道へ。その過程で、闇の王を目指すことになった。アスカは、事件を忘れない為に自分を鍛えた。そして、私は復讐の為に剣を振るい続けていた。はずなんですけどね」

 

 そこで、いつものような、それでいて哀しさを感じさせる笑みと、なんとなく、あたしに期待か何かを向けているような、そんな目線を受けて、あたしは。

 

「……えりかさん。貴方と会ってから、復讐よりも貴方と居ることを望むようになった。これは……悪い事なのでしょうか。それとも」

 

「悪いなんて言わない。むしろ、そんな大事なことを抱えてて、それでもあたしなんかと居たいって言われて。それは、とっても嬉しいよ。でも……一人で抱え込まないで」

 

「抱え込む……」

 

「……今の裕一さん。とても辛そうだよ。あたしで癒せるか、分からないくらい。それでも、あたしは支えたい」

 

 辛そう。支えたい。その言葉に裕一さんは何を思ったかわからないけど、でも、少しでもあたしが裕一さんを助けられるのなら。その光にについてや襲った人を、恨んでいるからなのか、それとも。それでも私は、裕一さんを癒せたら。あたしと居ることを望むのなら、あたしは。

 

「……えりかさんは、優しいですね。このような私にですら、情を下さるんですから」

 

「……裕一さん」

 

 やっぱり、裕一さんの顔は、幾らか暗い。優しい笑みの筈なのに、いつもの裕一さんらしさがない。だから、あたしは。

 

「……えりかさん?」

 

「大丈夫。大丈夫だから。裕一さん」

 

 あたしは、裕一さんを抱きしめる。そうする事で、少しでも暗い気持ちを払えるなら。だって、あたしは。あたしは。

 

「裕一さんの事、それでもあたしは。好きだから」

 

「……えりかさん」

 

 この言葉が、告白とされても別にいい。裕一さんの心が晴れるなら、それであたしはいいの。裕一さんには、笑っていて欲しいの。だって、あたしはそれほど裕一さんの事が好きなんだ。そう気づいたからには、寄り添う覚悟があたしにはある。

 

「ふぅん、綺麗な馴れ合いだね。壊したくなる」

 

「っ!」

 

「だ、誰!?」

 

 そんな時。見覚えのない誰かがいきなり、あたし達の前に現れた。でも、この感覚だけは分かる。まるで、あたしや、つぼみ達と一緒に倒した。

 

「デザトリアンにも近いし、他の敵にも近いし……」

 

「さて、僕が何者なのかなんてどうでもいいじゃないか。闇爺しか知らないし」

 

「闇爺……? それに、貴方は、あの時の……!」

 

「え? あの時って、それってまさか……」

 

 裕一さんが、険しい顔をしている。ここまで怒りを見せる裕一さんは、初めて見た。けど、冷静にならないと、多分あいつからは逃げられない。だったら。

 

「裕一さん、落ち着いて。ここは逃げなきゃ!」

 

「……それは出来ません。仇ですから」

 

 駄目だ、完全に頭に血が上ってる。このままじゃ、あたしも変身できないし、裕一さんを守れない。どうしよう、どうしよう? 気づいたら周りに人は居ないし、誰か頼れる人は。

 

「下がれ裕一!」

 

「りょう……?」

 

 一人居た。ほのかさんの、彼氏さん。漣りょうさんは、騎士として覚醒したんだって、聞いていた。剣を振るえば、風の刃が名前も知らない敵に飛んでいく。でも、敵の男もそれじゃあびくともしない。

 

「ほのかが援軍を呼んでくるまで少しかかる! 今は俺が時間を稼ぐから、早く行け!」

 

「……りょう。貴方なら分かるはずです。私の想いが」

 

「分かるから言ってんだよ、馬鹿野郎! 今は一度退け!」

 

「ですが……え、えりかさん?」

 

 そんなやりとりをしている二人を見て、あたしは行動に移す。裕一さんの手を引っ張って、少し離れた路地の裏まで連れていこうとする。心配なんだ。裕一さんの事が。だから、早く連れていかないと。そう思って、路地裏に連れ込む。

 

「バカ。裕一さんは死にたいの!?」

 

「……えりかさん」

 

 その目が語っている。なんで、自分を連れてきたんだって。本当に、本当に戦うつもりだったらしい。だから、あたしは。

 

「私は、奴を倒さなければならないんです。仇討ちの為にも、そして、私の為にも。それなら、死んでも……」

 

”パァン!”

 

「っあ!?」

 

 裕一さんを一発ひっぱたいて、そのまま目を見た。あたしは、死なせない。死なせたくない。守りたい。支えたい。だから、絶対に。

 

「ダメ、裕一さんは死んだら嫌。あたしは裕一さんが好きなのよ。いつも優しそうに笑って、あたしと一緒にいてくれて、一緒に夢を語って。そんな裕一さんのことが、大好きなのよ」

 

「……それは」

 

「言っておくけど、友情じゃないわ。恋愛的な意味でよ。それにさっきも言ったでしょ、一人で抱えないでって」

 

「……えりかさん」

 

「だから、裕一さん……ん」

 

 だから、あたしは精一杯背伸びする。裕一さんにゆっくりと顔を近づけて、そのままキスした。すると、だけど。

 

「え? え?」

 

「この、光と力は……?」

 

 あたり一面に光が広がって、気づいたら私はプリキュアの姿になっていた。そして、裕一さんも鎧にマント。まるで騎士のような姿に。そして、手にしているのは剣。これってもしかして、もしかしてだけど。

 

「裕一さんも、光の騎士ってこと?」

 

「……私が、騎士? そしてえりかさんがプリキュア?」

 

 裕一さんは困惑してるけど、あたしは状況が飲み込めた。これなら、これなら大丈夫。だって、今なら戦えるもの。

 

「裕一さん。これなら大丈夫……一緒に行こう。危なくなったら、あたしが止めるから」

 

「……ありがとうございます。不思議と、力が溢れてきます。今なら」

 

 裕一さんも、ようやく状況を飲み込めたみたい。此処からは、とあたし。そして、裕一さんも戦える。だから、あたし達は飛びだした。

 

「海風に揺れる一輪の花! キュアマリン!」

 

「燃え盛る業火の騎士! フレアナイト!」

 

「海より広いあたしの心も、我慢の限界よ!」

 

「今ここに、貴方を裁く!」

 

 あたしと裕一さんの口上を聞いて、りょうさんは驚くと同時に、くつくつと笑った。多分、あたし達のことを見て、戦えると判断したのかもしれない。

 

「ふぅん? 二人追加した所で、僕を止められると思う?」

 

「おっと、二人じゃあないぞ。四人だ」

 

「遅れたわね、マリン」

 

 そこに、ブレイドナイトとムーンライトもやってくる。ほのかさんの援軍って、そういうことだったのね。でも、このメンバーが揃えば。

 

「なら、こいつを倒してみせなよ。ウザイナー!」

 

 そこで、出てきたのはウザイナーという名前の敵。どこかで聞いたような気もする。というか、さっき考えた他の敵だけど、なんで。とか考える前に、とにかく倒すことを優先する。

 

「先ずは拳でってかったぁ!?」

 

「なるほどな、強化版か。燃えるぜ。な、ブレイドナイト」

 

「おう、りょう……いや、リップルナイト。だったか? 俺達もやるとするか!」

 

 そんな硬い敵を、平然と斬って傷を与えるりょうさんとブレイドナイト。相変わらず頭おかしい……って、うわ、ムーンライトも、打撃を与えてる。やっぱり戦闘狂って凄い。

 

「……なら、私も。せやァッ!!」

 

「わ、わわ!?」

 

 そこで裕一さんも剣で、ウザイナーに斬撃を飛ばす。斬れ味の鋭い一撃は、ウザイナーにダメージを与えた。なら、あたしも負けてられない。

 

「てぇりゃあ!」

 

「ウ、ウザイナァ!?」

 

 とりあえず掴んで、投げ飛ばす! こうすれば打撃よりもダメージが入る! これであとは、必殺技を決めるだけ! だから!

 

「やるっしゅ! 花よ煌け! ブルーフォルテウェイブ!」

 

 そして。その技の先には裕一さんが、剣を構えている。剣にあたしの技が吸収されて、そして、裕一さんは、ふっと笑った。多分、必殺技だ。

 

「煉獄の炎と、母なる海の力を一つに! ナイトフォース・ウェイブフレアバースト!」

 

 そして、その必殺技はついに、ウザイナーに飛んで行った。青と赤の螺旋を描きながら、ウザイナーに当たると、浄化が始まって。

 

「う、ウザイナ……」

 

「……ふぅん、強化したウザイナーを倒した、か。やるね」

 

「これくらい、容易いことです。鍛錬を続けていたのですから」

 

「あたしだって、プリキュアやってるんだから、これくらい!」

 

 消滅したウザイナーを背に、謎の男の人はやれやれと言った顔で歩き出した。多分、帰っていくんだと思う。もう、戦う気はあたしが見た限り無かった。

 

「それじゃあ、また来るよ……今日はここまでだ。またね」

 

「待ちなさい! ……って、もう消えてしまいましたか」

 

「……終わったね」

 

 謎の男の人は、どこかに行っちゃったけど、とりあえず一安心。変身を解くと、裕一さんはあたしの頭を撫でた。なんだか、暖かい。そんな気がする。なんとなく、安心する。裕一さんの手は、あたしを和ませてくれた。

 

「ありがとうございます。えりかさん。大事なもの、見失うところでした」

 

「ふふ、良いのよ。あたしに出来ることだから」

 

 そこで、裕一さんはあたしのことを見て、少しばかり照れくさそうにしている。なにかしたっけ? なんて惚けられるだろうけど、裕一さんは忘れてない。多分。

 

「……それと、さっきのは、告白で良いんですか?」

 

「あー、やっぱり覚えてた……ん、そうだよ。裕一さん」

 

 本当はもっとムードのある時に、言いたかったんだけど。でも、ああやって伝えるのがいいと思ったから、そうした。そんなあたしを裕一さんは抱きしめて……えっ?

 

「ふふ、私も好きですよ。えりかさん」

 

「うぇ? あ、ちょ。えっ!?」

 

 そんな混乱しているあたしと、優しげな裕一さんを、りょうさん。ゆりさん。ほのかさん。明さんはみんな暖かい目でこっちを見ている。なんだか、恥ずかしくなる。けど。

 

「……裕一さん。これからも、よろしくね」

 

「こちらこそ。えりかさん」

 

 それでも、幸せが手に入るなら、それでいいよねっ。

 

「裕一さん。大好きっ!」



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ダブルデートの続き!

 どうも、皆様いつも閲覧ありがとうございます。suryu-です。

 UAが早くも5000に届きそうな今、皆様見てくださってるんだなと思うと、とても嬉しいです。そんな中、今回からアンケートをとりたいとおもいます。今後ヒロインにしてほしいキャラを、募集します。そんな訳で、投票するよ! という優しい方が居られましたら、宜しくお願いします。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=197238&uid=56739
 上記URLから活動報告のアンケートに移れると思うので、そこからアンケートに答えてくださると助かります。

 それでは、今回もごゆるりとなさってくださいな。


■【来海えりか】■

 

 

 

 敵も倒し終わったわけだし、そこからあたし達は、ダブルデートに更にゆりさんと明さんを加えて、トリプルデートを再開することにした。裕一さんは、なんとなく壁を超えて、あたしの手を率先して取ってくれた。やっぱり、裕一さんはこうでなくちゃ。やっぱり幸せっ。あたしのハート、キャッチされたもんね。

 

「そうだ、りょう。こうして彼女が二人とも出来たわけですし、久しぶりに勝負しませんか?」

 

「お、いいねぇ裕一。それじゃあモデルはほのかとえりかさんか?」

 

「そうなりますね。私達は、お互い似合うコーデを着せていく。ですかね」

 

「お、なんか面白そうな事始めようとしてるな」

 

「なら私達は審査員かしら?」

 

「り、りょう君?」

 

「裕一さん?」

 

 ちょっと考え事をしてる隙に、りょうさんと裕一さんが、何時の間にか勝負しようとしてる。というか、今からもしかしてあたし達、着せ替えられるってこと? プチファッションショーなの? まぁ、嫌じゃないけど! ほのかさんは、恥ずかしそうだけど!

 

「それじゃあ始めっか。明さんゆりさん。審査よろしく」

 

「あいよ」

 

「ええ、いいわ」

 

「ふふ、久々にワクワクしますね」

 

 さて、唐突に始まったプチコンテスト。裕一さんは、あたしの体のサイズを目測すると、服を選んでいく。りょうさんは、ほのかさんをちらりと見ただけで、服のサイズやどの服にするかを決めている。もしかして、一度着替えかなにか見てるのかな? まぁ、もし着替えを見ていたのなら、どうやって見たのかなって気もするけど。

 

「え、えりかさんはこういうの平気なの?」

 

「普段から、色々な服を部活で着るから、なれてるよ。それに、裕一さんが選んでくれるなら、それもいいかもって」

 

「……そういえば、私は服を選んでもらうことが初ね。それなら、それでいいのかも。りょう君の選び方とか、気になるし」

 

「そうそう、楽しむのが勝ちっしゅ!」

 

 こんな感じでほのかさんものせてけば、大丈夫。あたし達のショーが、今から始まるっ……って、本当に裕一さんがノリノリなの、珍しいなぁ。もしかして、りょうさんが居るからかもしれない。やっぱり、旧友って大事なんだね。

 

「よし、これとこれとこれに……ですかね」

 

「うっし決めた。こいつとかで行ってみるのもいいかもしれないな」

 

「お、決まったみたいだな」

 

「二人をどんなふうに着せ替えるのかしらね」

 

「ふふ、りょう君の選ぶ服。どんなのかな」

 

「裕一さんの選択。楽しみっしゅ!」

 

 そんなこんなで、あたし達は試着室に連れていかれるんだけど、本当に服のサイズがぴったり。あたしも出来るけど、裕一さんが出来るとは思わなかったなぁ。

 それにしても、あたしがいつも着るのとは、結構タイプが違う。これ、本当に似合うのかな。なんて思いながら着てみると、結構違う印象になって、悪くない。これを披露するの、案外楽しみかも。

 

「ほのかさんの方は出来た?」

 

「ええ、着たわ。なんというか、はじめての感じだけど……」

 

「それじゃあ一緒にお披露目! いってみよー!」

 

 そして、意を決したのかほのかさんがカーテンを開くと同時に、あたしも勢いよく開く。すると、明さんとゆりさんは、結構驚いた顔をしていた。やっぱり、普段のあたしと印象が物凄く違うのかな。

 

「ふぅん、全体的に、えりかの服は黒。ね。ピンクのTシャツに黒のシャツ。スカートは濃いめの赤……というよりは黒紅かしら。ニーソックスも黒で、なんとなく明るい色の多いえりかからしたら、これはこれでいいわね」

 

「対してりょうの選んだほのかの服は、普段な清楚なイメージと違って、へその出る程度の黒の半袖Tシャツに短めのスカート。高めのソックス。頭にはキャップ。活発そうなイメージだな」

 

「まぁ、お互い意外性を選んできたか」

 

「流石にりょうと私ですから、こうなることは少し予想出来ていましたが」

 

 活発そうなほのかさんも可愛いなーなんて思いつつ、あたしの服を選んでくれた裕一さんに、新しい可能性を貰って感謝してたり。うーん、自分がこういう系統を着たことがなかったから、なんとなく嬉しいかも。

 

「で、ゆりとしてはどっちがいい。裕一とりょうの選択は」

 

「ん、私としては裕一君かしら。ほのかのイメージが、どうしても白系統って言うのと、なんとなく裕一君は、えりかの持ち味を生かしてるようにも見えるのよ」

 

「なるほど。ま、俺もそれはわかる気がするな。ゆり」

 

「あー、やっぱりここは正統派で行くべきだったか。流石に裕一だな」

 

「ふふ。そんな簡単には負けませんよ、りょう」

 

 ゆりさんと明さんは、裕一さんが選んだあたしの服を褒めてくれた。うん、素直に嬉しい。というか、本当に裕一さんのレベルは高いし、何処かからスカウトが来るんじゃないかな? もも姉とかにも、相談してもいいかもしれないな。

 

「それにしても、りょう君。私の服のサイズ。どこで覚えたの?」

 

「え? あ、あー、それはだな。まぁ、うん。今聞くところじゃないだろ?」

 

「お、なんだなんだ?」

 

「おや、りょう。何をしたんでしょうね?」

 

「あら、問題発生かしら?」

 

「なになに? 気になるっしゅ!」

 

 やっぱりりょうさんがどうやって、ほのかさんの服のサイズを知ったのか、皆が興味津々。本当にどうやったんだろう? 結構気になるかも。

 

「りょう君。教えて?」

 

「あ、いや、そのー、な? ほら、な?」

 

「教えて?」

 

「いや、ほのかだから」

 

「お し え て !」

 

「……はい」

 

 パワーバランスは、なんとなくほのかさんの方が上なのかな。そんな気がするんだけど、あながち間違いじゃないのかも?

 りょうさんは、観念したように溜息吐きつつも、仕方ないと言った感じで話すことにしたみたい。で、どうして知ったのかな。

 

「そのー、以前ミスってほのかの風呂を見た時にですね、うん、知っちゃった訳でして」

 

「あぁ、あの時ね。それなら仕方ないわね」

 

「ちょっと待て風呂を見た?」

 

「りょう。貴方何したんですか?」

 

「それ見過ごしていい話じゃないんじゃないかしら」

 

「物凄く気になるっしゅ!」

 

 あたし達に押されつつあるりょうさんを見て、ほのかさんが苦笑いしている。まぁ、りょうさんって色々堅物ってほのかさんが言ってたから、多分なんかの事故なのかな?

 

「ふふ、覗きとかじゃないの。私を心配して見に来たらってこと。疚しい意味じゃ無いわ」

 

「あ、そうなのね」

 

「なんだ、そうでしたか」

 

「……ほのかには勝てないな」

 

 りょうさんはやれやれと言った表情で、愚痴のように言葉をこぼしたけど、嫌そうではない。ほのかさんに勝ちたそうにはしているけども。

 なんとなく、お互いが信頼関係を築いてるからこそ、こういう風にほのかさんも、からかったりしてるのかもしれない。ちょっと羨ましいかも。

 

「……ほのか。もしかして着慣れない服を着せた当て付けか?」

 

「ふふ、それはどうでしょう。りょう君こそ、何時も私をからかうでしょ」

 

「……明さん。言葉を借りる。……泣けるぜ」

 

「あぁ、うん。なんとなくりょうの気持ち、わかるな」

 

「……まぁ、うん。分かっててやりましたもんね」

 

 まぁ、この二人だから、なんとなくバランスが取れているのかも。なんて思うと、とっても愉快な気がする。見てて楽しいもん。

 あたしも、裕一さんとそんな関係になれたならば。なんて思って見つめると、裕一さんがあたしのことを撫でる。伝わってるのかな?

 

「ねぇ裕一さん。これからあたし達、あの二人みたいになれるかな?」

 

「なれるでしょう。ほのかさんとりょうみたいに、仲睦まじく」

 

 そんなやりとりをしていると、明さんゆりさんも、なんとなくイチャイチャしている雰囲気が、気になりだしているみたい。まぁ、目の前でしてたらそりゃそうなるかな? でも、自重はしない!

 

「それじゃあ買い物の続きっしゅ!」

 

「ふふ、そうですね。行きましょう。えりかさん」

 

 

 

■【雪城ほのか】■

 

 

 

「……上手くいったみたいね、りょう君」

 

「そうだな、ほのか」

 

 なんとなく、えりかさんたちを眺めていると、りょう君とこうして手伝った甲斐があったなって思う。やっぱり、こうして人と人が繋がるのは、とってもいい事。私、りょう君と一緒になってから、そう思うことばかりだな。

 

「……しかしまぁ、ここから裕一も幸せになってくれると嬉しいが」

 

「大丈夫。えりかさんがしてくれるわ。ちゃんと、しっかり見てくれる子だもの」

 

「そうかい。だといいんだが」

 

「大丈夫。過去の事があっても、きっと」

 

「……そうだな」

 

 りょう君は、こう見えて心配性だ。裕一さんみたいに、仲のいい旧友の事となるとかなり心配なんだろう。その分、普段は飄々としていて、掴み所が無いんだけどね。でも、優しいのはわかってるから、私はそこを信じてる。だって、りょう君だもの、

 

「……なぁほのか。ひとつ聞きたい事がある」

 

「ふふ、なぁに?」

 

「出生とか、そういうのが不明な俺でも良いのか?」

 

 ふと、りょう君の言葉を聞いて首を傾げる。そんなの、どうして今聞くんだろう。私の答えなんて、決まってるわ。むしろ、それ以外があるかしら。

 

「別にいいのよ、りょう君。りょう君の生まれがどうであろうと、私は信じてるから。そんなの今更よ。だから、平気」

 

「……本当に、ほのかには適わないな」

 

 そんな震えるりょう君の手を、私は支える。大丈夫。普段強がりなりょう君でも、私が癒してあげるから。だから、だから。

 

「……りょう君。私たち。幸せになろうね」

 

「ああ、そうだな。えりかと裕一に負けないくらいに、な」

 

 私は、今この瞬間の温もりを絶対大切にする。りょう君と、幸せになるために。



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