この捻くれボッチに青春を! (ニシキノササキ)
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女の子はお砂糖とスパイスと素敵なパットでできている。

初投稿です

何かご指摘等がありましたら感想まで

あと、ハーメルン使うの初めてだから何かアドバイスあればお願いしたいです(^^)


キコキコと自転車のペダルを漕ぐ音だけが俺の耳を支配していく

 

 

無駄に晴れた春の陽気の中俺はいつもより早めに家から出て一生懸命に自転車を漕いでいた。

 

新学期早々に早く起きるなんて普段ならしないが・・・

いや、去年は無駄に早起きをして、由比ヶ浜の犬の代わりに交通事故にあったんだったか・・・

 

 

そう考えると2年連続新学期に早起きという、無駄に労力を使ってるわけだが

去年は新学期による変な期待感に少しウキウキと登校していたが今日の足取りは重い

 

 

それは例えるなら平塚先生のメール並みに重い

なんであの人毎回毎回1つのメールが長いの?

長いのは校長先生の話と政治家の言い訳とかで十分すぎる。

 

 

なぜそんな重い足取りなのに朝も早くから登校してるかと言うと、その重い平塚先生と対象的に頭の軽い一色のせいに他ならない。

 

 

なぜ、入学式の準備を奉仕部が手伝わなければいけないのか・・・

雪ノ下も由比ヶ浜も最近一色に甘すぎて、おねだりされたら1つ返事でOKしてしまった。

 

 

 

 やだなー、超帰りてぇ。

 もう少し小町と朝の朝食タイムを楽しみたかった・・・

 

 

 

八幡「っ!!」

 

 

そんな脱力感に苛まれる中突然強力なデジャヴが俺を襲った。

 

 

前を見れば薄汚れた小型犬とその前方に車が1台

犬は呑気に道に落ちているジュース缶をカミカミして遊んでいる

 

それだけならまだいい、前方の車は何をトチ狂ったのか猛スピードで犬に向かって突っ込んで行く。

 

 

俺は気がついたら自転車を乗り捨て犬の前にいた。

 

 

去年も同じことがあった

だが今回は違う犬だ。

 

飼い主すらいない。

 

突っ込んでくる車も黒塗りの高級車ではない。

 

大型トラックである

 

 

俺は犬を助ければ自分が死ぬことが分かっていながら体は脳とは別に犬に吸い込まれる様に向かっていく。

 

 

犬だけは助けようと思いっきり犬を茂みに投げ捨てる。

 

 

「キャインキャイン」とけたたましい犬の鳴き声が鳴り響く中、意識の遥か遠くで「グチャリ」という生々しい音が聞こえたような気がした・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

気がつけば真っ暗な暗闇の中だった。

自分は座っているのだと言う事は感覚で分かった。

 

 

目の前には白銀の髪をし、シスター服の様な格好に見を包んだ少女が少し豪華そうな椅子に腰を据えていた。

 

 

この光景には見覚えがあった。

と言っても、実際にではなくアニメや漫画での話だが・・・

 

 

 まて、この感じ・・・

 これではまるで・・・

 

 

少女「・・・・・・・・」

 

 

少女は俺の目が覚めたと気づいたのかこちらをマジマジと見つめてくる

 

そのアメジスト色の瞳は全てを吸い込むが如く俺の視線も吸い込まれていった。

 

 

かわいい女の子と目を合わせる事に気恥ずかしさを感じ、意識を強く持ち視線をズラす

 

ズラした先には大きくと膨らんだ女の象徴・・・

 

 

 

 くっ、万乳引力の法則が・・・・

 目が離せねぇ・・・

 

 

 

無理矢理にでも視線を外そうとあっちこっちへ視線を飛ばしていると、目の前の少女はゆっくりと口を開く

 

 

 聞きたくない。

 俺の知ってる展開ならこの後に続く言葉は・・・

 

 

少女「比企谷八幡さん、ようこそ死後の世界へ。」

 

 

その言葉と共に今までの出来事が走馬灯の様に駆け巡っていく。

小学校や中学校の記憶は早々に、高校2年の思い出が重点的に駆け巡った・・・

 

今まで散々な人生だったが、去年の出来事だけは実りある記憶だった。

 

 

そして、最後に思い出したのは雪ノ下、由比ヶ浜、一色、平塚先生がいたあの奉仕部での光景・・・

 

だが、その記憶は犬の鳴き声と真っ赤な記憶と共に流れ去って行った

 

 

ここで俺はしっかりと自分が死んだことを理解した。

 

気づいたら少しだけ息が上がっているのが分かる

心臓もバクバクとうるさく合唱していた。

 

 

だが、目の前の少女はそれを鎮めるかの様にゆっくりと話し始めた

 

 

 

少女「貴方はつい先程亡くなりました。 この世界での貴方の人生は終わったのです。」

 

 

 

少女は本当に悲しそうにそう言うと今度は一転してニコリと微笑みさらに言葉を付け足す

 

 

 

少女「あっ、安心してください。貴方が助けたあの犬は多少の怪我はあっても無事保健所に引き取られましたよ」

 

 

 

少しだけ安心した。

最後に自分の存在は無駄では無かったと証明出来たような気がする。

 

その言葉のおかげで、ゆっくりとだが俺は自分の死と折り合いをつけ始めていた

 

 

 

エリス「私は幸運を司る女神エリス。 今は日本の死んだ人間を導く仕事を代理で行っています。」

 

 

 

代理?

その言葉に少しだけ違和感を感じたが少女はそれに構わず話を続けた

 

 

 

エリス「貴方には3つ選択肢があります。 1つ、赤ちゃんに生まれ変わり全てを忘れ人生をゼロから始めるか。」

 

 

少女は指をゆっくり1つ立てる

 

 

 

エリス「2つ、天国へ行きおじいちゃんの様な暮らしを送るか。」

 

 

 

少女は長い中指を立て指の数を2つに増やした

 

 

 

エリス「3つ、今の体や記憶はそのままに私の管轄の異世界に行き、武器や魔法を駆使して魔王討伐に明け暮れるそんな日々を送るか」

 

 

 

少女は3本目の指を立て俺に決めろと促した

 

 

だがそんなの決まっていた

 

 

 

八幡「じゃあ2番で」

 

 

 

俺のその答えに目の前の少女はまゆを少しだけくねらせた

そして捲し立てるように言葉を連ねる

 

 

 

エリス「ですが、天国とは名ばかりの何もない場所です。 テレビも無い電話もない、ゲームも無ければ人との交流もない。 日がな一日日向ぼっこをするしかないような場所です。 それでもよろしいのですか?」

 

 

八幡「はい。」

 

 

エリス「ふぇっ! そ、即答っ!! なっ、なんでぇ!」

 

 

 

俺の言葉に少女の口調が少しだけ砕けた

 

 

 

八幡「いえ、記憶を無くして人生をやり直すのはシンドイし俺は働きたく無いんで、小町に会えないのは残念ですが天国に行くほうが働かなくて済むかなぁと・・・」

 

 

エリス「ふぇっ!え、えぇ・・・」

 

 

 

目の前の少女は困った様に、と言うか実際困りながら言葉にならない言葉を漏らす

 

 

 

エリス「でも、本当に何もないんですよ? 遊ぶものは何1つも・・・」

 

 

八幡「構いません。」

 

 

 

 働かなくていいなんて、最高じゃねぇか

 辛い人生終えたんだ、ちょっとくらい楽しても許されるはずだ

 

 

 

エリス「そっ、それは困りますぅ。 八幡さんには是非とも異世界転生を選んで貰わないと・・・」

 

 

八幡「えっ!?」

 

 

 

その言葉に嘘は無いようで眉をハの字にして俺を見つめている

 

 

 

 やめて、そんな目で私をみないでぇ!!

 

 

 

エリス「実はその世界は人口が少しずつ減っていて、こうして死んだ人をその世界に送って行かないと危ない状況なんです。」

 

 

 

それを聞いて余計行きたく無くなった。

だって、そんなに減るくらい危険って事でしょ?

 

魔王討伐なんて聞くだけでも危険そうな事をさせられる世界なんて危ないに決まってる・・・・

 

 

 

エリス「それに、神様の命令で異世界転生の人数を増やす様に命令されているんです。 ですから、できれば異世界転生をしていただきたいのですが・・・・」

 

 

 

どこの世界でも上司の命令は絶対らしい

 

 

 

 うん。やっぱり働くのはやめよう。

 女神ですら上司に追い込まれて四苦八苦してるんだ、俺が働いたらどうなるか分かったもんじゃない

 

 

 

八幡「いえ、危険なんでやっぱり遠慮しておきます。」

 

 

 

俺のその言葉に目の前の女神は少しだけ元気を取り戻し大きく膨らんだ胸をさらに膨らませた

 

 

 

エリス「安心してください。 そうならないように1つだけ好きな物を持っていく事ができます。」

 

エリス「それはどんな敵をも倒す最強の武具だったり。 誰にも真似できない唯一無二の才能だったり」

 

エリス「そして、今ならなんとこの私。幸運を司る神エリスを仲間として連れて行く事だってできちゃいます!!」

 

 

 

ようはチート能力を手にして強くてニューゲームをさせてくれると言うらしい

 

正直少しだけ心が揺れ動いた

 

男の子なら誰しもファンタジーな世界で無双して冒険したいと思うだろう。

俺もそれを夢見て中学時代に痛い目、と言うか痛い奴になった覚えもある

 

 

だが俺の気持ちは変わらない

 

 

 

八幡「天国でお願いします。」

 

 

エリス「なんでですかぁあああああ!!」

 

 

 

少女は涙目と言うか涙と鼻水を垂らしながら俺に詰め寄ってくる。

 

 

 

 近い、近い、近い、いい匂い、ちょっと汚い、近い、近い、近い

 

 

 

エリス「困るんですぅ!!神様に前の女神の先輩が他の人に異世界に連れて行かれたのをみて、お前も行けって!! お前の管轄の世界何だから自分でその世界のあり方を知って来いって!! ついでに全然魔王討伐を進めない先輩の尻を叩いて来いって!! そう言うんですぅぅうう!!」

 

 

そう言いながら女神は鼻水が付きそうなほど近づいてきた

 

 

 

八幡「ちょっ! ち、近!!」

 

エリス「お願いします!! 最初は連れて行ってくれる人が来るまでまっていたけど、誰も連れて行ってくれないんですうう!!もうそろそろ行かないと神様に怒られちゃうんですぅうう!!」

 

 

 

もうほぼ密着状態で女神は言葉を捲し立てた

すでに鼻水は俺の服にべっとりと付いている

 

 

 

八幡「マジで近いって!! は、離れてください!!」

 

 

 

俺は焦りながらも抵抗を試みる

 

 

 

八幡「離れて!!」

 

 

 

そして俺はぐっ!と女神の体を引き剥がすため無我夢中で腕を伸ばした

 

 

 

ふにゅぅん

 

 

 

八幡「え!?」

 

 

エリス「へ!?」

 

 

 

不思議な感触

 

俺は恐る恐る少女の方を見た

 

 

 

八幡「ひぇ!?」

 

 

エリス「ふぇ!?」

 

 

俺の手は少女の大きく膨らんだ物体に吸着する様に収まっていた

 

 

全身から汗が出るのを感じた。

 

 

 

八幡「すすすすす、すいませんっ!!!」

 

 

エリス「はわわわわわ!!」

 

 

 

俺は慌てて少女を軽く押し手を引っ込め素早く距離を取った

 

 

 

エリス「あわわわわわわ!??!」

 

 

 

少女は顔を真っ赤にして下を向いている

 

 

俺も顔が熱い

目を合わせられない

 

ゆっくりと下を向き絶対に目を合わさないようにする

 

 

すると、視界の端に俺の両手が入り込んできた

 

 

さっきの感触が蘇る

 

 

 

ほんのり硬くて反発力がありそれでいて柔らかなあの感触・・・

 

 

 

 

 

ん?

 

 

硬くて反発力のある感触?

 

 

俺は不思議に思い少女の方へ目を向けた。

 

少女は未だに顔を真っ赤にして俯いている

 

 

そしてその下

本来膨らんでいるはずの2つの物体

 

片方は変わらずに膨らんでいたがもう片方・・

本来なら膨らんでいるはずのもう片方が異様な凹みを描いていた

 

更にその下

 

本来なら膨らんでいないはずの位置が何故か膨らんでいる

 

 

 

俺はそれで全てを察した

 

 

 

 

八幡「ああ、パットなんズバァァアン

 

 

 

とてつもない音と共に女神の指が俺のこめかみにあてがわれ彼女の手によって強く押さえつけられた

 

 

 

 痛い痛い痛い痛い痛い!!

 すごくニコニコ顔なのに凄く怖い!

 目が「これ以上バラすな」と訴えかけている。

 

 

そして、「ブウォン」と聞き慣れない音と共に足元魔法陣が描かれ始める

 

 

 

エリス「それではこれより比企谷八幡さんの異世界転生を取り行います」

 

エリス「尚、比企谷八幡さんの転生特典はこの私エリスでよろしいですね?」

 

 

 

 目が「あああん? これでいいよな?」と言っている

 

 

 

エリス「異世界転生でよ ろ し い で す ね?

 

 

 

こめかみの痛みが増していく

 

 

 

エリス「よ ろ し い で す ね ?

 

 

八幡「は、はい。 よろしいです!!」

 

 

 

や、ヤバイ意識が・・・・・

 

 

 

エリス「それではこれより異世界転生を始めます」

 

 

 

体がゆっくりと浮遊する感覚が俺を襲った

 

 

 

エリス「それでは八幡さん。これからよろしくお願いしますね?」

 

 

 

女神が何を言ったのかあまり聞き取れない

 

 

俺は彼女の吸い込まれるような瞳を眺めながらあることを思い出していた

 

 

それは俺の恩師のこと・・・

今みたいに暴力を振るわれ無理矢理に奉仕部へ入部させられた事・・・・

 

 

どうやら俺はまた誰かの暴力により変な場所に放り込まれるらしい

 

 

 

 だがそれも悪くない。

 いや、実際に悪くなかったな

 

 

 

俺はあの部室の事を思い出しながらゆっくりと目を閉じていった

 



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専業主夫希望、異世界育ち、友達はいない

とりあえず2話投稿

誤字脱字等が見つかった場合は教えていただけると嬉しいです(^^)


ふと目を開けると青々とした空と西洋風の民家が軒を連ねていた。

 

周りには鎧を装備した屈強な戦士や、ローブを羽織った美麗な魔法使いが談笑しながら道を闊歩する

 

 

明らかにさっきまでいた暗闇の世界ではない。

かと言って俺の愛する千葉ですらない。

 

 

 つまり夢では無かったと・・・

 

 

それを裏付けるように未だにこめかみが少し痛い。

 

 

 夢では無いとすると・・・

 やっぱり俺は死んだと言うことか・・・

 

 

俺は自分の体を軽く動かしたり、ペタペタと触って確認を取る

 

 

???「どれだけ探したって傷なんかついてないよ?」

 

 

後ろからさっきの女神の声がした。

でもなんだろう、喋り方や声のトーンに少し違和感を感じる

 

 

八幡「????」

 

 

後ろを振り向くとそこには銀髪の綺麗な髪をショートカットにした、顔に特徴的な傷跡をつけた少女が俺を見つめていた

 

 

八幡「えっ、えっとー。ど、どちら様でしょう?」

 

 

突然美少女から声をかけられた事に声が上擦り少しだがどもる・・・

 

一応千葉では雪ノ下や由比ヶ浜、一色や戸塚などの美少女達と話をする機会があったが、やっぱり全然なれる気がしない・・・・

 

 

???「くっ、くくくくく。ぷっはははははっ!!」

 

 

盗賊のような格好をした少女は突然口を抑えて笑い始めた

 

 

 おい、初対面で笑うってちょっと酷いんじゃない?

 初対面で泣かれた事はあっても笑われるなんて初めてだぞ!

 

 

俺が怪訝に感じていると、少女は一度深呼吸をするとゆっくりと口を開いた。

 

 

エリス「ご、ごめんごめん。 そっかこの姿で合うのは初めてだもんね? アタシだよ、アタシ。 幸運を司る神エリスだよっ。」

 

 

エリスさん?

確かに言われてみれば眼の色や髪型が同じだ・・・

 

でもキャラがだいぶ違っている。

 

 

俺はまだ懸念感を抱きながら少しだけ目の前の彼女の顔から視線をそらす

 

たまたま目に入ったのは彼女の2つの膨らみ・・・

 

さっきの暗闇の世界で見たほどのサイズはない・・・

だが、一度だけ見た凹んでいた状態よりもいささか膨らみがあった

 

 

 ああ、この状態でもパッドをいれズバァァアン

 

 

再び俺のこめかみに痛みが走る・・・

 

そして目の前にはやたらとニコニコとしてる盗賊少女の顔が映しだされた

 

 

エリス「ねえ、ハチマン。一体どこを見てるのかなー?」

 

 

こめかみの痛みが更に増した

 

 

 

 ああ、この感じはさっきの女神だわ・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

クリス「とりあえず、改めて自己紹介しようか。 アタシの名前はクリス。 この世界だと盗賊をしているんだ!」

 

クリス「でも、本来の姿は幸運を司る神エリス。 この姿は、この世界での仮の姿。」

 

クリス「この世界では女神だってバレると面倒だからこの姿で過ごしてるんだ!」

 

 

少女は、太陽のような笑顔で微笑みながらそう捲し立てる

 

 

八幡「ん? この世界にはちょくちょくくるのか?」

 

 

言い方的にはこの世界で割と過ごしてるような口ぶりだった

 

 

クリス「うん。友達に会いに行ったり、単純に気分転換したり、だってあの世界何にも無いんだもん。」

 

 

確かにさっきの暗闇の世界は椅子と机ぐらいしか物が置いていなかった。

天国も何もない場所だと言っていたしもしかしたら神様はミニマリストだったりするんだろうか?

 

そういえば・・・

 

 

八幡「というか、ちょくちょくこっちに来てるなら、神様とやらに言われたこの世界のあり方を知るって言う目的は達成してるんじゃねぇの?」

 

クリス「うーん・・・実は仕事をこっそりサボってこっちに来てたり休憩がてら来てたりしてたから、実は神様はアタシがこっちに出入りしてること知らないんだよねーー」

 

 

そう言ってエリスさんは「たはは」と笑う

 

てか、あなた女神の時は厳かで清楚な淑女見たいなのに本当は結構アグレッシブですね・・・

 

 

クリス「まあ、だからこれからよろしくね!」

 

 

そこから更にエリスさんからこの辺の事について色々と教えてもらった。

 

ここは【駆け出し冒険者の街アクセル】冒険者に成りたての人が暮らしている街らしい

 

この辺はあまり強いモンスターがおらず冒険者がこなせる仕事、つまりクエストも簡単なものが多いためとりあえずはここで冒険者になってお金を稼ぐの良いらしい。

 

 

そういえば俺はお金を持っていなかったな・・・

一応財布に昼飯代が入っているがこの世界ではやはり通貨が違う

【エリス】と言うのがこの世界での通貨の名称らしい

 

 

 てか、女神と同じ名称かよ

 

 

それを聞いてやはりこの目の前を歩く少女は神様なんだと改めて知った

 

 

クリス「そういえば、敬語は禁止だからね! この姿だと15歳でハチマンより年下だから、敬語だと変に思われちゃうよ?」

 

 

 いや、15歳って・・

 

 

確かにこの姿もさっきの世界で見た姿も若かったが、でもこの人女神だろ?

 

 

八幡「因みにアンタの実年齢・・・・」

 

 

目の前の少女がニコニコ顔でこちらを見ている。

これ以上詮索するなと目が言っている。

 

 

 恐い、怖いよ。あとコワイ

 

 

クリス「それから、この世界ではアタシの事はクリスって呼んでね? 女神と同じ名前だと色々と面倒だから・・・」

 

八幡「・・・分かった」

 

 

まぁ、確かに変に騒ぎになられると俺も困る

なるべく目立たず過ごしたい・・・

 

 

八幡「とりあえず、これからどうすればいいんだ?」

 

 

クリス「そうだねー。ギルドに行って冒険者登録かな? そしたらクエストを受けれるから簡単なクエストを受ければいいんじゃない?」

 

 

冒険者かー

本来なら働きたくないんだが、働かなければ生活できないのでしょうがない。

 

 

 くっ、大学出るまで親の脛を齧って生きていき

 大学でたら専業主夫として養ってもらうのが俺の人生計画だったのに!!

 

 

今では強制的に働かなければならないとは・・・

 

そうえいば・・・・

 

 

八幡「冒険者になったら力をつけて魔王を倒しに行けばいいのか?」

 

 

正直行きたくはないが、説明の時に魔王が云々言っていたのを思い出した

 

 

クリス「うーん。アタシ達は魔王を倒さなくていいかなー」

 

クリス「実はアタシの先輩。前の転生者に連れて行かれた先輩は魔王を倒さないと天界には帰れないんだよ。」

 

クリス「だからアタシはアクア先輩に魔王討伐の催促をして魔王を倒してもらえばいいから、アタシ達は暫くは普通に生活できるくらいの稼ぎを得るのが目的かなー?」

 

 

 

正直助かった

だって魔王とか怖いもん。

生活するだけならそれこそこの世界で専業主夫になればいい。

 

なるほど、よしそうしよう。

 

俺の目標はこの世界で専業主夫になること

 

そうと決まれば稼ぎのいい女性を見つけなければ・・・・

 

 

クリス「ちょっと、目の腐りが酷くなってるけど大丈夫?」

 

 

この人女神の時とキャラ違いすぎね?

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

ガヤガヤと騒がしい喧騒が聞こえる

 

沢山並べられた机に武具を装備した男達が所狭しと座りグラスを片手に大声で談笑し、端には何組かの女性達が料理を囲みながら座り話し込んでいる

 

 

その隙間を縫うようにウエイトレス達が料理等を片手に移動していく

 

 

ここは【ギルド】冒険者が集まる集会場

 

俺はここの受付に立たされていた。

 

 

受付のお姉さんの目線が痛い

 

まずは俺の目を見て怪訝な顔をし

格好を見て更にその眉にシワを寄せる

 

 

 ごめんね、この腐った目はデフォルトなんだ。

 

 

クリス「ルナさん。 久しぶり!」

 

ルナ「クリスさん! お久しぶりです!」

 

 

クリスが後ろから声をかけたおかげで漸く受付のお姉さんの目線が好意的なものへと変わる

 

受付のお姉さんはウェーブ状の髪を揺らしながら俺とクリスを交互に見る

 

 

ルナ「クリスさんのお知り合いですか?」

 

 

クリス「うん、そうそう。今日はこの人の冒険者登録をしに来たんだよ」

 

 

 

そこからクリスは細かい手続きを進めていく

 

 

 

ルナ「登録手数料がかかりますが・・・」

 

クリス「それはアタシが払うよ」

 

八幡「なんか、スマンな。」

 

クリス「大丈夫大丈夫。後で返してもらうから」

 

 

 ああ、奢ってはくれないのね・・・

 

 

異世界にきて速攻で借金を作ってしまった・・・

 

 

まぁ、俺は養われる気はあっても施しを受ける気は無いので別に構わんが・・・

施しを受ける気は無いのでとっとと金を稼いでクリスに返さないとな・・・

 

そのためにはまずは今おこなっている冒険者登録を済ませないといけない。

 

 

受付のお姉さんが冒険者登録について教えてくれた

 

冒険者登録をすると冒険者カードという物が渡されるらしい

 

日本で言うところの免許証のようなもので名前や身長と言った基本的な情報から、レベルや所持スキル、倒したモンスターの数や倒した場所などの情報が事細かに記載されている

 

レベルを上げることで手に入るスキルポイント

そのスキルポイントの割り振りなんかもこのカードで行うらしい

 

 

ルナ「それではこちらの水晶に手をかざしてください。」

 

 

ひとしきり説明を終え今度は実際に登録する段階へ移行する

 

目の前には青い水晶に金色の装飾がされ水晶の下腹部には逆三角形の突起物が付いており、その下にはお姉さんがさっき言っていた冒険者カードの何も書かれていないものが置かれていた

 

水晶に手をかざすと青白い光を放ち金の装飾がクルクルと動き出した

 

そして逆三角形の突起から青いレーザーのようなものがカードに照射される

 

 

レーザーだけ見ると未来っぽい・・・

 

 

やがてレーザーの勢いは落ちゆっくりとと消えていく

 

 

ルナ「ふむふむ、幸運度がすこし平均より低めですね。そのかわり知力と器用度がかなり高いです。後は大体平均の能力ですね。」

 

 

ふむ。それは良いのか悪いのか・・・

よく分からないので意見を求めにちらりとクリスをみる

 

クリスは俺と目を合わせると心底意外そうな顔をした

 

 

クリス「へぇー、キミって頭良かったんだ。」

 

八幡「ふっ。俺は国語学年3位の男だぞ」

 

 

前の世界の話だが・・・

 

 

クリス「へぇー。因みに他の科目は?」

 

八幡「・・・・数学9点最下位」

 

 

謎の沈黙が生まれる

 

 

 おい、その無言の哀れみの視線をやめろ

 

 

クリス「因みに言語が違うから国語の成績良くてもここだと意味ないよ?」

 

八幡「グハっ!」

 

 

心に深く突き刺さった

おい。それだと俺の高い知力のステータスの大半がこの世界では無意味の知力って事じゃねぇか!

 

実質高いステータスなのは器用度だけ・・・

 

まぁ、ボッチだから一人で色々やってたからだろうけど・・・・

 

 

横を見るとギルドのお姉さんがよく分からないが哀れな物を見る目でこっちを見ている

 

ああ、国語とかの意味は知らないけど無駄知識で底上げされた知力だってのはバレてるようだ

 

 

そしてお姉さんは申し訳無さそうに一言

 

 

ルナ「えーと進める職業なんですけど、幸運度が高く器用度が高いのなら【盗賊】になれたんですけど・・・」

 

 

幸運度が低いので無理って事ですね・・・

 

 

ルナ「手先が器用なら【鍛冶屋】や【お針子】などの生産系の仕事が適任かと・・・・」

 

ルナ「生産系はギルドではなれないのでその手のお店で弟子入りするしかないですね・・・」

 

八幡「グハっ!!」

 

 

俺に冒険者は向かないらしい・・・

てか、男の子だから強いジョブになって冒険するのとかちょっと憧れてたんだけど・・・・

 

 

ルナ「そ、そうですね!初めての冒険ですし基本職の【冒険者】でいいんじゃないでしょうか?レベルを上げてステータスが伸びれば他の職業になれますし・・・・それに!【冒険者】なら生産系の職業のスキルも取れますから、色々とスキルを取ってみて気に入った職業になってみるのはいかがでしょう?」

 

 

・・・うん。フォローされると余計惨めに感じるな

 

とりあえず、就きたい職業も特にないのでお姉さんの言葉に従って【冒険者】になる事になった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

クリス「この辺でいいかなー?」

 

 

【冒険者】になって数分後俺はクリスに連れられてあまり人気のいない広場に連れてこられた

 

広場の端にはベンチが置かれておりそのすぐそばには日本では見たこともない遊具の様なモニュメントが置かれていた。

 

広場と言うよりも公園に近いかもしれない

 

 

クリス「せっかく【冒険者】になったんだからスキルを一つ教えてあげるよ」

 

 

【スキル】

ギルドのお姉さんに軽くレクチャーをしてもらったがまだ俺は使うことができない

 

スキルには2種類あって1つは魔力を対価に発動するタイプ

2つめはスキルを取るだけで何らかの行動に補正がかかったり能力値が上がったりするタイプ

 

自分のレベルが上がるたびにスキルポイントなる物が支給され、それを割り振る事によりスキルを得ることができる

一度得たスキルでもスキルポイントを振り続ける事によってスキルの効果を底上げする事ができる

 

 

たしかこんな感じの事を聞かされた気がする

 

 

クリス「普通は職業事に得られるスキルが決まっていて他の職業のスキルを得ることは出来ないんだけど、君の選んだ【冒険者】って言う職業は少し違う」

 

 

選んだって言うか選択肢がこれしか無かったんですけどね

 

 

 

クリス「【冒険者】は他の人にスキルを教えてもらう事でどの職業のスキルでも覚える事ができる」

 

クリス「まぁ必要なスキルポイントが普通より多いのとスキルの効果が普通より低いからどうしても器用貧乏になっちゃうんだけどね?」

 

 

そう言ってクリスは「たはは」と苦笑しながら頬の傷を掻く

 

 

クリス「キミはたしか器用度が高かったよね?今からキミに教えるのはそんなキミにピッタリな魔法だよ」

 

 

そう言いながらクリスは俺から少し距離をとり腰のポシェットから一本の縄を取り出した

 

 

クリス「ちょっとそこに立っててね?動いちゃダメだよ。」

 

 

クリスは両足を肩幅に開き左手に持った縄を前に突き出しながら右手を縄の上にかざした

 

そして気合の入った声で一言

 

 

クリス「【バインド】!!」

 

 

その言葉と共にクリスの右手が淡い光を放ち突如として左手の縄が意思を持ったかの様に動き出した

 

 

八幡「うおっ!!」

 

 

縄は俺に向かって襲いかかり絡みつく

咄嗟に体をくねらせ抵抗するが抵抗すればする程拘束がキツくなる

 

あっという間に俺はクリスの縄によって拘束された

 

 

八幡「ーーッ!!」

 

 

縄は1ミリの隙間も無くグルグルと俺に巻き付いていて指一本たりとも動かすことができない

 

 

クリス「これが【拘束】スキルの魔法【バインド】だよ」

 

クリス「【バインド】は込める魔力の量によって拘束時間と締め付ける力を、器用度によって縄の操作力が左右される魔法だよ」

 

クリス「魔力の少ない【冒険者】だと敵を絞め殺せる程の魔力はまだないと思うけど、縄の操作力は器用度依存だからもしかしたら【盗賊】のアタシより上手くこの魔法を使えるかもね」

 

 

そう言ってパチリとウインクをするとバサリと俺を締め付けていた縄がほどけた

 

 

クリス「さぁ、これでキミにも【バインド】が使えるようになったはずだよ。冒険者カードを見てみてよ!」

 

 

言われて冒険者カードを見る

冒険者カードの端に書いてある【使用可能スキル一覧】

と書かれてある場所

さっきまでは空白だったが今は【拘束魔法(バインド)】とグレーの字で描いてある

 

 

クリス「うん。職業に就くと初期スキルポイントっていう最初におまけでもらえるポイントがあるんだけど、それを使えば覚えられるよ。」

 

 

 近い

 すごく近い

 

 

クリスは俺の両肩に手を置き身を乗り出すように俺の肩から顔を覗かせる

 

すごく近いが当たらないのは格差社会がこんな所まで深刻化しているせいか・・・・・

 

 

クリス「人によっては初期ポイントを1ポイントも貰えない人とかいるからハチマンは平均的で良かったよ。」

 

 

くっ!

あまり気にしてもしょうがないのでクリスを無視して俺は冒険者カードを押した

 

冒険者カードの【拘束魔法(バインド)】の文字が白字に光りだす

 

 

八幡「ーーーッ!」

 

 

その瞬間脳内に色々な情報が流れ込んで来た

これがスキルを覚えるという感覚なんだろう

 

 

クリス「さぁ、これで【バインド】はキミの物。その縄は貸してあげるからアタシを的に試してみて!魔力の使い方はわかるよね?」

 

 

分かった。

魔力なんて一切知らない日本で生まれたがなぜか魔力の使い方、込め方がしっかりと脳のデータベースには刻まれていた

 

 

クリス「こっちに来るときに不便が無いように言葉とか文字とか軽い一般常識とかはある程度わかるように細工しといたんだよ!」

 

 

そういえば忘れてたけどこの人女神だったな

女神っぽい事をしたのは最初の説明の時だけで、後は泣きついたりパッドがズレたり怒って俺を無理矢理連れてきたり

こっちに来てもサバサバとした性格ながら色々教えてくれたり偶に毒を吐いたりしてて正直女神らしさなど全く無かった

完全に忘れてた

 

 

クリス「さぁ、いつでもどうぞ!覚えといて、大事なのはイメージだよ!」

 

 

クリスそう言いながら俺からまた少し距離をとりいつでもやってくれと手を広げた

 

 

俺はゆっくりと足元の縄を手に取るとさっきのクリスと同じように左手で縄を右手はその上にかざして魔力を込める

 

 

八幡「いくぞ、【バインド】!!」

 

 

俺は気合を入れてそう叫ぶと右手か淡く光だす

そして縄をクリスに向かって飛ばした

 

その縄はクリスが飛ばした時よりも断然遅い

だが確実にクリスの動きを縛っていく

 

俺はクリスを真似て縄を操作していく

肩から順に下へ下へグルグルと1ミリの隙間も無く巻きつけていく

 

 

八幡「ーーーークッ!!」

 

 

正直かなり辛い

クリスの体で隠れて見えない背中の部分に縄が差し掛かると途端に動きが鈍くなる

 

クリスは大事なのはイメージと言っていた

なるほど目に見えないところはイメージで想像しながら縄を動かすしかない

かなり難しい

 

まだクリスの胸辺りまでしか縄が回っていないのに既に俺の脳は難しい計算に数十分使ったかのように疲れ切っていた

 

 

 このままじゃまずい

 

 

俺は方針を変更して雑に縄を巻きつける

このままクリスの真似をして1ミリの隙間も無くグルグル巻にするのは無理だ

 

なので重要な要点だけに絞って縛っていく

 

胸 腕 腹 腰 足

 

とりあえずは動けない程度には縛ることに成功した

 

最初の上の方

クリスの胸の真ん中より上程度まではグルグルと1ミリの隙間も無く巻きつけられ

そこから下はかなり雑になってしまった

 

 

クリス「うーん、まぁ及第点かなー?でも初めてにしてはしっかり出来た方だよ。体も全然動かせないし」

 

 

一応は成功したらしい

 

 

クリス「じゃあ、ここからは応用編。そこから魔力の込め具合を調節して締め付けを強くしてみて」

 

クリス「上手くやれれは締め付けたり緩めたり自由自在に縄を操れるよ!」

 

 

ふむ、試してみて見よう

 

俺はクリスを締め付けるイメージを想像しながら右手を突き出しゆっくりと手を閉じていく

手の動作に意味はないがこの方がイメージを持ちやすい気がした

 

 

クリス「っん!あっ!はんっ// ちょ、ちょっとぉ脇の部分の縄が擦れてくすぐったいよぉ」

 

 

 

・・・・・や、やめて集中できなくなるから!!

その声はやめて!

 

 

クリス「ちょっと!今別の事考えてたでしょ!縄が緩んでるよ!」

 

八幡「!!」

 

 

いかんいかん

集中が切れるとこだった。

 

俺は気合を入れ直し魔力を込める量を一気に上げた

 

ギュギュギュギュギュ

 

ゆっくりと縄が締まっていく音がする

 

 

クリス「いい感じいい感じ。ちょっと締め付けるのが遅い気がするけど、しっかり締まってーーーーってダメぇ、まずいまずいおっ落ちちゃう!!」

 

 

は?落ちちゃう?

何が?

 

 

コロン

 

 

考える間もなく何かがクリスの服から何かが落ちた

 

 

八幡「???」

 

 

俺は足元に転がったそれを拾い上げた

 

 

八幡「!!!!」

 

 

そして気づく

クリスの服装はお腹を大胆に出したチューブトップだ

胸ポケット等の類はなくありていに言えば胸しか隠してないような肌色分の多い物

その上に緑のマントを羽織っている

当然マントにポケットなどは無い

 

 

そんなきわどい服装で落っこちる物なんかたかが知れてる

それはおそらくクリスの胸半分しか巻き付けられていない縄に押し出されたんだろう

 

おそらく俺の気の緩みから縄が緩んだ時にズレて締め付けた時にはもう滑るように押し出されたのだろう

 

 

クリス「あっ、あっ、あっ」

 

 

その懐かしさすら感じる硬くて反発力のある感触

そして少しだけ生ぬるいのがそれが今まで彼女の柔肌に触れていたのだと知らせてくれる

 

 

そうこれは・・・

 

 

クリス「いやぁぁぁああパッド返してぇぇええええ

 

 

この日街中で目の腐った男に縄で簀巻にされた少女のパッドを奪う少年の姿があったらしいと噂になっていたらしい。




という訳でクリス加入編前編でしたー

八幡のステータスはまぁ、交通事故が2回もおきて過去に色々とあったからまぁ、運は低いだろうと幸運を低く
国語学年3位で一色いろはの「先輩って頭良いんですか?」から知力をちょい高く
1人野球とか割と色々こなせる事から器用度を高くしました
順番で言えば器用度が一番高く知力が2番目に高く他のステータスが平均で一番低いのが幸運って感じです

うーん。チート性能を期待した人はすまんm(__)m

後はクリスの話だと
スティール無しだとパンツを奪うのは無理だったのでここはあえてパットにしました
まぁ、お約束だよね


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パッド少女は心中穏やかではない

3話目

2話編成にするつもり無かったんだけどなー

まぁ、仕方ない


誤字脱字があったら教えてくれると嬉しいです(^^)


パッド事件(俺命名)からクリスに謝り倒して小一時間

 

パッドを獲ったのは当然わざとではなく、当たり前だがアレをわざとやれるほど【バインド】に慣れていない

その事をクリスも分かっているので今晩1杯奢るという事で話がついた

 

まぁ、話がついた後も「ずっと握っていた」とか「ジロジロ見過ぎ」とか散々文句を言われたが・・・

 

まぁ、一応は穏便に済んで良かった・・・

 

 

だが新たな問題として奢る為や冒険者登録する為に借りた金を返すの言う問題が起きてしまった

 

なので俺達2人は簡単なクエストに出る事にした

 

 

クリス「それにしてもキミは運がいいね。」

 

 

それはパッド事件の事か?

まぁ、確かに貴重な経験ではあったが・・・・

 

まだ、叩かれたほっぺがメチャメチャ痛いぞ

 

この程度で済んで良かったなとかそう言う事か?

 

 

俺の邪な目線に気づいたのかクリスが訝しむのような目線で俺を見ていた

 

 

クリス「本来ならこんな簡単なクエストなんか受けられないんだよ」

 

 

なんでも【駆け出し冒険者の街アクセル】は魔王城から最も離れた場所に位置し

そのおかげで周りのモンスターはザコばかりらしい

 

街の名前にもある通り駆け出し冒険者ですら簡単に倒せるくらいのモンスターばかりだ

 

 

だからこそすぐに周りのモンスターは殲滅され本来ならこの街の周辺はモンスターはいないのが普通だ

 

モンスターがいないから当然討伐クエストはなく

モンスターがいないから簡単な採取クエストもない

 

本来なら駆け出し冒険者は土木建築や売店な売り子などのバイトで生計を建てるものらしい

 

 

だが今は事情が違う

 

なんでもつい最近【機動要塞デストロイヤー】という高額な懸賞金をかけられた奴をこの街の冒険者達で討伐したらしい

 

それにより冒険者達は懸賞金により懐が温まりそれに伴って働かなくなったとか

 

そしてモンスターは討伐されなくなった

 

 

もちろん【機動要塞デストロイヤー】討伐戦後に冒険者になった人や討伐戦に参加しなかった人がクエストを受けてモンスターの殲滅をしてはいる

 

だが春はモンスターが冬眠から目覚める季節

 

急激にモンスターが増えた為頑張ってクエストを受けてもクエストが余る状態らしい

 

 

まぁ。そのおかげでクエスト依頼者が冒険者によりクエストを受けてもらいやすくする為に、クエスト報酬の単価を上げたりクエスト報酬にアイテムなどをつけたりなどいい事も少しはあるらしい

 

 

クリス「さぁ、ハチマン。剣を構えて!」

 

 

クリスが声を荒げる

 

俺達の目の前には黒いモコモコの毛に覆われた巨大な羊が1匹

 

【デスペラードシープ】

 

これが今回俺達が相手をするモンスターだ

 

人よりも一回り大きい巨体

鋭く尖り前にせり出た角

そして特徴的な漆黒の毛

 

温厚なモンスターである彼らは普段人を襲うことはない

だが食事に関しては違う

 

1度に食べる量が馬鹿にならないのだ

草食モンスターの為人を食う事はない

だが1匹で畑の作物を全て食われてしまうと言われるほど食う量が多いのだ

 

その証拠に本来草原である筈のこの場所が所々赤々とした土が丸見えになり荒野のようになっている

 

草食モンスターである為人を襲うことはない

だが1度食事を邪魔しようものなら強靭な脚力により蹴り殺されるか、鋭い角で刺し殺されるかの2択らしい

 

 

そんなモンスターを10匹討伐するのが今回の仕事である

 

 

「カチャリ」と音を立てながら腰から剣を抜く

それは刃渡り30センチ程の中途半端な長さの剣

 

クエストに行く際に1通り装備を揃えた方がいいと言うクリスの助言に従い揃えたものだ

 

勿論全てクリスに借金して買ったものである

 

 

 あれ、借金返して今晩奢るためのクエストなのになぜか借金が増えてる・・・

 

 

因みに全てクリスチョイスの装備だ

正直素人には何着たらいいかわからん

 

 

元々着ていた制服のブレザーとズボンは脱いだ

一応唯一日本から持ってきた物なのでとっておきたい

 

Yシャツだけ残しブレザーの代わりに「心臓は守ったほうがいいよー」との助言からグレーの革の胸当て

 

ガチガチのフルアーマーとかも着てみたい気がするがクリスへの借金の為一番安い物にした

 

 

ズボンは急なスコールや水没等をしても服が重くならないようにという事で撥水性の高い黒いズボン

 

 

そして、火や雷など属性攻撃をしてくるモンスターは直撃しなくても余波でかなりダメージがある為守るものがあった方がいいらしいので、耐火性の高いMAXコーヒーによく似たカラーのロングコートを着込んだ

 

序盤の街でそこまで想定するのかとも思ったがクリス曰く序盤の街でもゴブリンなどの人型モンスターは弓を使ったり

お化けきのこなどの植物系モンスターは胞子を飛ばしたりするらしく

 

一枚でも着込んでる分だけ気休めでも守れたり

口を抑える布に使ったりできる為割と便利らしい

 

 

実際クリスは自分の羽織っているマントに命を救われた事があるらしい

まぁ、そのマントは俺のコートと違い魔法耐性があったり属性耐性があったりとレア装備らしくその力もあるのだろうが・・・

 

 

とりあえずは俺の今の装備はYシャツに胸当てズボンロングコート

【バインド】用の縄にそれを入れるウエストポーチ

武器は中途半端な長さの一番安い剣1本

 

これが俺の今の格好である

 

うん。結構ファンタジーらしい

 

因みに総額は10万エリスを超えている

 

 

 借金どうしようかな・・・・・

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

ザシュリ、ザシュリと生々しい音が響き真っ赤な血が吹き出す

 

剣からは肉をえぐる感触を感じ剣を伝って血が柄の部分まで滴ってくる

 

剣の柄には波状の段が付けられておりそれが滑り止めの役割をしている

これのおかげで手を滑らせずにすんでいる

 

俺は滑らせないように注意しながら剣を【デスペラードシープ】の顔面に向かって突き刺した

 

 

これで3匹目

 

 

仲間が倒された事により離れた場所にいた【デスペラードシープ】がこちらに向けて鋭い角を向け突進を仕掛けてくる

 

 

八幡「【バインド】!!」

 

 

俺は腰のウエストポーチから縄を取り出しモンスターに向けて縄を放つ

 

 

 ギュキュギュ

 

縄は音を立てながら【デスペラードシープ】の目を縛りあげる

 

これにより【デスペラードシープ】は視力を失い動きが止まる

 

 

ザシュッ!!

 

 

俺は動きの止まった【デスペラードシープ】の喉元を掻き切った

 

 

これで4匹目

 

 

ザシュリ!

 

 

クリス「ふぅ、これで6匹。そっちも合わせれば討伐終了だね」

 

 

やはりクリスは戦い慣れてるのか俺より早くモンスターを討伐していた

 

 

俺の初戦闘は割と呆気無く終わった

まぁ、ほぼクリスのサポートのおかげだが・・・

 

 

他者を殺すという行為にはまだ抵抗がある

相手が気持ち悪いモンスターや植物系モンスターならもう少し気は楽なのかもしれないが、動物型のモンスターだとやはりやりづらい

 

返り血で体は血まみれ

鉄臭さが見を包みさっきまでの出来事が現実なんだと思い知らせる

少しだけ目がチカチカし気分が悪い

 

だがこれも慣れていくしかない

でなければこの世界で冒険者になる事はできない

 

 

八幡「・・・・・・」

 

 

だが、まだ少し踏ん切りがついてない。

 

 

クリス「・・・・ねぇ」

 

八幡「うぉっ!」

 

 

突然クリスの顔が目の前に現れる

 

 

 いちいち近いんだよ。

 勘違いしちゃうでしょ

 

 

俺は目をそらし距離をとる

 

だがクリスはそれを許さないとでも言うように再び俺の目の前に体を滑りこませる

 

 

そして俺を見つめる

ニコニコとしたその顔はさっきまでの血生臭さを忘れさせるかのように微笑んでいる

 

クリスのキラキラとした瞳は吸い込まれるように目をはなさせようとしない

 

そしてクリスはゆっくりと俺の両手を掴み自分の手と絡ませていく

 

 

 おい。何だこの展開!

 ラブコメの神様何をした!

 

 

クリスのぷっくりとした唇がゆっくりと近づく

 

 

 マジでどうした!ホントどうした!

 

 

そしてクリスはゆっくりと・・・・

 

 

クリス「ねえ、冒険者らしいことしようか!」

 

八幡「・・・・へ?」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

クリス「次はこっちのお店に入ってみようよ!」

 

 

俺達は今街の露店街に来ていた

 

【機動要塞デストロイヤー】討伐後、冒険者の羽振りがよくなった事により別の街から商人がやってきた

そして露店を広げ始めた

気づいたら寄り集まってこの露店街が出来上がっていたらしい

 

 

そして俺達は俺の替えの服を調達する為にここに来ていた

 

因みにクエストは既に終わりクエスト報酬と【デスペラードシープ】の素材の買い取りをしてもらった為懐は暖かい

 

 

八幡「なぁ、これが冒険者っぽい事なのか?ただのウィンドウショッピングじゃないのか?」

 

 

クリスはその言葉に人差し指を立て「チッチッチ」と喉を鳴らした

 

 

クリス「冒険者は自由な職業なんだよ。宿代と酒代だけ残してあとは好きに使う。その日暮らしで自由にするのが冒険者なんだよ!」

 

 

クリスの目はキラキラと輝いている

もう既に女神という貫禄はない

 

だが、少年のようにはしゃぐ姿は女神の時にはないあどけなさを感じる

どうやら本当に楽しんでるようだ

 

 

八幡「俺は借金があるんだが・・・」

 

クリス「そんなのいつでもいいからさ!」

 

 

クリスは俺の腕を掴むとズカズカと店の中に入っていった

 

 

 

とりあえず俺は着替えの服とズボン下着類を何着かと寝間着を一着買った

 

今着てるYシャツは血で濡れていて気持ち悪い為店の中で着替えさせてもらった

 

結局買った服もYシャツにした

正確に言えばこの世界はスーツが無い為Yシャツは存在しず、Yシャツに似たボタン付きシャツになる訳だが

 

他の服では無くYシャツにしていたのは自分でも驚いた

むこうであった服に似た服を選ぶのはまだ日本に未練があるのかもしれない

 

 

クリス「・・・・・・」

 

 

まあ、禄に小町に挨拶もしずに死んでしまったしな・・・

小町は元気にしてるのだろうか?

 

奉仕部の奴らとか戸塚とか平塚先生とか戸塚とか一色とか戸塚とか材・・戸塚とか

 

あいつらも俺が死んでどうしてるのだろうか・・・・

 

 

八幡「・・・・・・・」

 

 

 グイッ

 

 

俺が感傷に浸っていると腕が引っ張らられる

 

 

クリス「さぁ、さぁ、次行こっ。アタシも服見たいしさ!」

 

 

 だから近いって!

 由比ヶ浜といいクリスといい本当最近の子のパーソナルスペースどうなってるの!!

 

 あっ!クリスさんは女神だから年齢が・・・

 

 

クリス「・・・・キミ今変な事考えたでしょ」

 

 

 流石年の功鋭痛い痛いイタイぃいいい

 

八幡「イタァぁぁあああ!!!!」

 

 

クリスは両手で俺の手を握り締めるとギリギリと締めつけてくる

 

 

クリス「んー?ハチマンどーしたのー?はやく次行こーよー♥」

 

 

なんだろう、、♥がついてる感じがするのにこの背中を刺すような肌寒さは・・・

 

 

 てか、そろそろ離してもらえます?

 手に血が巡ってない!黒ずんで来てるから!!

 

 うん。クリスさんは絶対に怒らせていけないな・・・

 だから・・その・・・離して?

 

 

 

 

その後あっちへフラフラこっちへフラフラと

俺達は色々な露店を見て廻った

 

 

クリス「へぇ、この板に針を刺して絵を切り離せばいいの?」

 

 

その露店では型抜きのようなてか、もろ型抜きをやっている露店に入った

うーん、クリス曰く他にも日本から来た人が居るらしいし日本から来た人に教えてもらって作ったのだろうか?

 

 

「おう!1番難しい【エンシェントドラゴン】を型抜けると豪華景品プレゼントだ!!」

 

 

日本ではポイントを貰えたがこの世界では景品制らしい

 

 

クリス「ねえ、ハチマン。勝負しようよ!」

 

 

勝負?

 

 

クリス「【エンシェントドラゴン】を2人共チャレンジしてより上手く抜けた方が勝ち。負けた人は・・・うーん・・そうだ、出店で何か1つ奢るのはどう?」

 

八幡「借金チャラにしてくれると嬉しいんだが・・・」

 

クリス「それだとアタシが勝ったらハチマンの借金分のお金を追加で払ってもらう事になるけど?」

 

 

うっ・・・確かに賭けの釣り合いを取るならそうなるか・・・

 

 

八幡「出店の方でお願いします!!」

 

 

 

プチプチプチパキッ!

 

 

クリス「あっ!右翼が折れちゃった!コレ難しいね?」

 

 

数分してクリスの悲痛の叫びが聞こえる

 

 

おおクリス。死んでしまうとは情けない!

 

 

こういうのは無駄な力を入れるのは良くない

ゆっくりゆっくりナメクジになったつもりでやって行くのが良い

 

そういえばガキの頃に家族と祭りに行って型抜きをやってたら時間が掛かりすぎて置いて行かれた覚えが・・・

 

 

クリス「ねぇ?ハチマン?なんでそんな目を腐らせながらやってるの?」

 

 

・・・・・・うるせ!

 

 

 

 

 

結局俺が【エンシェントドラゴン】を完成させて俺の勝利となった

 

 

クリス「すごいね!本当に完成させるなんて!」

 

八幡「はっ、俺はボッチだからな他の奴が皆で仲良く遊んでるのに対して一人で黙々と遊び尽くしてたからな、言ってしまえば一人遊びのプロと言ってもいい。」

 

クリス「なんかすごい悲しい自慢をされた!」

 

 

クリスは苦笑いをしながら頬の傷をポリポリとかく

 

 

「お兄さんおめでとう。コレ賞品ね!」

 

 

俺に渡されたのは小さな布袋

 

 

「ある高レベルダンジョンで発掘された指輪だよ。まだ鑑定してないからどんな物か分からないが、見た感じ何か有りそうな感じだしおそらく良いものだろう!」

 

 

 おい!どんな物か分から無いのに賞品にしたのか!

 

 

まぁ、日本の出店も良い景品は取れなかったりパチモンが置いてあったりするからなー・・・

 

 

とりあえず袋の紐を解き逆さにして手の上に落とす

 

 

「コロン」と音を立てて出てきたのは小さな指輪・・・

 

所々に人の骸が悲痛な顔をしている彫刻がびっしりと指輪に彫られているシルバーリング

 

 

いや、何か有るって悪い意味なんじゃ・・・

 

 

「良かったら彼女さんにでも渡してやんな!」

 

 

そう言って露店のおっちゃんはクリスを指差す

 

 

クリス「彼女・・・彼女かぁ・・・」

 

 

 おい!なんだ、その思案顔は!!

 勘違いしちゃうから!!

 

 

おっちゃんに煽られたせいで少しだけ気恥ずかしくなったが一応聞いておこう

 

 

八幡「クリス・・コレいるか?」

 

クリス「いやぁーせっかくだけどコレは・・・」

 

 

まぁ、そうだよな

あまり趣味がいいとは言わないだろう

中二病には人気そうだが・・・

 

正直俺もコレを身に着ける気はない

 

 

禍々しいし、少し怖い顔付きをしてるし・・・

 

 

クリス「まぁ、ソレはともかく賭けはキミが勝ちだから好きな物を奢ってあげる!」

 

 

勝負の戦利品は近くの出店でスイーツを奢ってもらう事にした

 

 

クリス「うーん、美味しい!!クリームが凄くなめらか!!」

 

 

クリスはハムハムとリスのように口に生クリームを詰め込んでいる

 

俺が食べているのを見たら食べたくなったらしい

 

 

クリス「コレって、確か【くれーぷ】って言うんだっけ?」

 

八幡「日本ではそうだな」

 

 

店先の看板では全然違う名前が書いてあるが・・・

 

 

八幡「この世界にはクレープは無いのか?」

 

クリス「うーん、アタシが知ってる限りは無いかなー?多分コレは日本から異世界転生した人から聞いて作ったんじゃないかな?」

 

 

なるほどそういえば俺以外にも異世界から来た人はいるんだったな。

 

 

クリス「1回【くれーぷ】食べてみたかったんだー」

 

 

どうやらクリスはクレープについて知っているらしい

 

 

八幡「俺の居た世界についてある程度知ってるのか?」

 

クリス「うーん?あんまりかなー?本来日本担当だったアクア先輩がこっちの世界に連れてかれて別の人が代わりに日本担当代理になったんだけど、その子はまだ女神になってない天使だったから天界規定的に少し問題があったんだよ」

 

クリス「それで代わりにアタシが代理になってたんだけど代理になってからハチマンとこっちに来るまではちょくちょく日本を見てたから少し知ってる程度かな?」

 

 

よく分からんが、天界にも色々とあるようだ・・・・

 

 

八幡「今はこっちに来て大丈夫なのか?クリスは元々この世界の担当だったんだろ?担当を掛け持ちするって事は女神はあんまり居ないって事じゃないのか?」

 

クリス「そこは大丈夫!さっき言ってた天使の子が今は女神に昇格してるから、だからアタシにこの世界に行けって司令が来たわけだし」

 

クリス「それより!日本について色々と教えてよ!」

 

 

クリスはまるで犬のように身を乗り出し嬉々として目を輝かせ俺を覗き込む

 

 

八幡「そうだな・・・・」

 

 

そこから俺達は日本の話クリスの天界の話をしながら露店を色々と見て廻った

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

一通り遊び尽くし既に手元のお金もかなり心もとなくなってしまった

 

とりあえず俺達は風呂屋で今日の疲れを癒やしていた

 

 

てか、風呂とかあるんですね?

イメージだがファンタジー世界を俺は勝手に中世ヨーロッパ当たりのイメージをしていたので、湯船に浸かる文化に驚いている

 

他にもお米があったり、お茶があったり

クリス曰くすき焼きや鍋なんかもあるらしい

 

うーん。所々日本が混ざっていてちょっと面白い

 

 

八幡「・・・ふぅ。」

 

 

風呂から出た俺は風呂屋の目の前のマーライオンの噴水前で牛乳片手に寛いでいた

 

てか風呂屋なのにマーライオンがあったり入り口に女神像があったり

 

風呂屋イコール銭湯のイメージだが外観は完全に西洋である

 

 

クリス「ごめんね、またせちゃって・・・」

 

 

ゆっくりしているとクリスが建物から出てきた

そして近くの露店で牛乳を1本買い俺の隣に腰を下ろした

 

 

しばらく沈黙が続く

 

 

てか近くないですかね?

風呂屋が同じだから同じシャンプーを使ってる筈なのに隣からは異様に甘い香りがする

 

 

クリス「・・・ねぇ?」

 

八幡「?」

 

 

甘い香りに少し気を取られているとクリスがゆっくりと口を開いた

 

 

クリス「・・・・今日1日どうだった?」

 

 

今日1日

俺の人生の中でここまで濃い1日は無かっただろう

 

朝は普通に登校していたら車に引かれ

気がついたら女神に異世界へと送られ

初めてのモンスターとの戦闘・・・

 

 

八幡「そういえば・・・戦闘中サポートしてもらって助かった」

 

 

モンスターと戦っている間クリスは俺の方を気にかけながら動いていた

 

 

クリス「あははー、まぁアレぐらいのモンスターなら弱いからねレベルの下がったアタシでもサポートくらいできるよ」

 

八幡「レベルの下がった?」

 

 

俺のその言葉にクリスは「ハッ!」っとした顔をする

そしていつもの通り「たはは」と笑って顔の傷をかく

 

 

クリス「実は今のアタシはレベルをリセットしてレベル1なんだよ。」

 

クリス「ほら、神様にはアタシがちょくちょくこっちに来てるって事は内緒だって言ったでしょ?だからキミがレベル低いのにアタシだけレベル高かったらおかしいでしょ?だからあえてレベルをリセットしたんだよ」

 

クリス「ホントはキミを不安にさせたくなかったから内緒だったけどついつい言っちゃった・・・」

 

 

「てへっ」と下を出し片目を瞑った

一色と違ってその行動にあざとさは無かった

 

 

クリス「でも安心して!スキルはリセットしてないから、キミに色々と教える事ができるよ!」

 

 

そういえばスキルポイントは人によって最初にもらえる量が違うとか言ってたな・・・

その辺は多少差があっても大丈夫って事か・・・

 

 

クリス「・・ねぇ。やっぱりこっちに来たこと後悔してる?」

 

 

クリスは少し顔を俯きそんな事を言ってくる

 

 

クリス「アタシが無理矢理連れて来ちゃったから気になってたんだけど・・・」

 

 

あぁ、少し様子がおかしかったのはそう言う事か・・・

 

 

クリス「最初は楽しんでるようだったから良かったけど、やっぱり討伐クエストの後から元気ないみたいだったし・・・」

 

 

確かに初めて【殺し】という普段やらない事をやって正直少し応えていたのは事実だった

 

 

クリス「やっぱり前の世界が心残りでしたか?家族や恋人、友達などを残してしまった事に後悔していませんか?」

 

 

気がついたらクリスは初めて会った頃の口調に戻り目元には涙を貯めていた

 

 

クリス「・・・・私が、私が無理矢理連れて来てしまって迷惑でしたか?」

 

 

確かに最初は無理矢理連れてこられてかなり驚いた・・・

だが迷惑はしていない

 

クリスはちゃんと俺のサポートをしてくれたし、おそらくさっきまでやっていた買い物も討伐で意気消沈した俺を元気づける為に連れてってくれたんだろう。

 

迷惑なんてするはずがない。

 

 

だが、1つ言いたい事があった

 

 

八幡「俺は恋人はおろか友達なんて居ない!」

 

クリス「そこは胸を張って言う事ではありません!」

 

 

そう俺には友達なんていなかった・・・

 

 

八幡「友達なんていなかったから、きっと俺の希望通り天国に行っても1人で何だかんだ楽しんでたと思う」

 

クリス「ーーッ!」

 

 

・・・だが恐らく

 

 

八幡「だけどそれはそれできっとつまらなかったと思う」

 

 

昔の俺ならそんな事は思わなかっただろう

 

ボッチ最高とのたまい1人遊びを極めていただろう

 

 

だが、1度死んで走馬灯で俺の人生を振り返った時奉仕部での事が1番思い出せていた

 

1番楽しかった思い出が俺の嫌っていた仲間との思い出であった

 

 

勿論ボッチを否定する気はない

今でもボッチでいることに誇りを持っているし

無理して仲間や友達を作る気は更々ない。

 

 

以前平塚先生が言っていた

 

 

「上手くやれと言っているんだ。敵対でも無視でもなく、さらっと無難にやり過ごす術を身につけたまえ」

 

 

ボッチでいることは良い

1人は最高だ

 

だけと奉仕部やクリスと一緒に行動する事を否定する気はない

 

 

正直、苦では無かった

 

 

だからこそ、俺はクリスにこの言葉を言うべきだろう

 

 

八幡「この世界に連れて来てくれてありがとう」

 

 

正直小町に会えない事、奉仕部の事が心残りと言えば心残りである

 

だけどこの世界でも向こうの世界と同じく気にかけてくれる奴がいる

 

 

だからもう少しこの世界でも頑張ろうと思う

 

 

クリス「はい!どういたしまして!」

 

 

目の前の少女は涙を流しながらも女神の名に恥じない柔らかな笑顔を俺に向けていた




女神枠アクアポジションのクリスでした。

正直後半すまんかった。
八幡ぽく無かった・・・
どうしても〆が思いつかなかったんや!
許して?

後はダクネスポジションとめぐみんポジションの確保をするつもりです。

さて、誰にしようか・・・


後、どうやら僕は背景描写を濃く書く癖があるみたいです。
読みづらかったら言って下さい。

以上!


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かくして検察官は悩みを語る

4話目

クリスのパジャマはゲームより抜粋

気になる人はググってみてくれ


この世界に来て数週間この世界の生活にも慣れて

 

・・慣れて

 

・・・慣れ

 

 

八幡「・・・・・」

 

 

正直な話生活には慣れた

だが・・・・

 

 

クリス「zzzzz」

 

 

ここは馬小屋

俺達の寝泊まりをしている宿である

 

この世界では1番安い宿がこの馬小屋である

冒険者達は基本不安定収入な為1番安い馬小屋をよく利用する

 

最近は【機動要塞デストロイヤー】の討伐報酬で懐の潤った冒険者は宿屋を利用する事が多いらしい

そのおかげで馬小屋に空きがあると思っていたが・・・

 

最近冒険者になった者討伐戦に参加しなかった者、露店街が出来たおかげて他の街の冒険者が旅行に来るようになった為宿代わりに使われたりなどかなり人気物件だそうで馬小屋は相変わらず空きがない状態らしい

その為クリスが普段利用している馬小屋に一緒に住むことになった

 

 

初めは馬小屋とはいえ女の子と一緒に住むことに抵抗はあった

普段なら一緒に住むなんてしなかっただろう

 

だが宿が無い事

クエスト疲れで探す気がおきなかったり

クリスが割と強引だったり

何より馬小屋で馬の糞や尿が鎮座する中間違いなど起きるなんて有り得ないだろう事から馬小屋生活が始まった

 

・・・・・だが、それが間違いだった

 

 

クリス「zzzzzz 」

 

 

目の前には目を瞑り体を丸め寝息を立てるクリスの姿

 

問題はクリスのパジャマだった・・・

 

あろう事かこいつはパジャマまでもチューブトップタイプなのだ!

 

 

肩や腕は肌の滑らかさを強調しお腹は当然丸見え、更にはズボンは短く太股のラインがよく分かる

 

有り体に言えば胸と腰しか隠してない

 

 

正直コイツの冒険者服もチューブトップでかなり際どかった

だがアニメや漫画などでよくいる女盗賊は皆露出度が高い

だからリアル女盗賊を見た時にドギマギするより、本当にファンタジーな異世界に来たんだと感動していた

 

 

だがパジャマは違う!

 

しかも普段ならマントで多少隠れるからまだ露出を抑えられてはいるが当然パジャマにマントを羽織る奴はいないだろう・・・・

 

 

しかもコイツは意外にも寝相が悪い

 

今も布団を横に押しやり

辛うじて守っている胸の布が少しズレ

ズボンの端から青と白のストライプがチラリと顔を出す

 

 

うん。マズイ

 

 

クリスは【機動要塞デストロイヤー】の報酬を持っている為財布は重い

その為一応俺はクリスに宿屋に行く事を進めたりもした

 

だがクリスはそれを断った

 

馬小屋は複数人で借りると安くなる

初めて俺がこの世界に来た時のように俺に気を使ってるなら必要ないと言ったが・・・

 

クリス曰くこの世界の一番つらい時期は冬らしい

まぁ、冬場に馬小屋はキツイだろう

今も春先だが少しもひんやりする為毛布を多めに羽織っている

 

その辛い冬は流石に宿屋暮らしをする為金を温存したいらしい

 

 

クリスはレベルが1に下った為余り大金の貰えるクエストは受けれない

なので稼げるまでは使わない方向で行きたいらしい

 

 

結局俺達は二人で住むことになった

 

 

まぁ、まだマシなのはこの際どいクリスをみるドキドキは基本的に朝しか起きない事がせめてもの救いかもしれん

夜は風呂に入って飯を食い酒を飲み家に帰ったら疲れによりすぐに寝る

だからこそ朝起きてクリスを起こしてクリスが着替えるまでの約10分が危険タイムである

 

当然10分では間違いなど起こる事無く

 

まぁ、起こす気もないが・・・・

 

 

こうして俺達は何とか平和に過ごしていた

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

クリスを起こし着替えてから約15分

 

俺達は朝食の為ギルドに来ていた

 

今日の朝食はベーコンにスクランブルエッグ

スティックサラダにフレッシュチーズ

そしてパンとコーンスープ

飲み物に牛乳だった

 

 

クリス「パーティメンバーを募集しよう」

 

 

食事中クリスがそんな事を言ってくる

俺はスティックサラダに手を伸ばしながら答える

 

 

八幡「却下」

 

クリス「即答!?」

 

 

クリスは驚き声を荒げた

その声にびっくりするように俺の手元のスティックサラダが荒ぶって大きく動き出す

 

 

八幡「当然だ、他の奴と一緒なんて嫌だぞ。俺はボッチだからコミュ力なんて無いし!」

 

クリス「そんな自信満々に言われても・・・・」

 

 

スティックサラダが落ち着きを取り戻し動きがゆっくりになった所で再び手を延ばし口元に運んでいく

 

 

八幡「急にどうしたんだ?」

 

クリス「うーん。やっぱり稼ぎが少ないかなー?」

 

 

 ひょい

 

 

クリスの話を聞きたがらキュウリにかぶりつこうとするとキュウリはあろう事か体をくねらせ俺の歯を避ける

 

 

八幡「食べづらいわ!!」

 

 

皿の端に叩きつけた

ついでに手をテーブルに叩きつけて怒りを外に逃がす

 

 

クリス「うまく食べないと避けられちゃうよ」

 

八幡「・・・・そもそもなんで避けんだよ」

 

 

なぜかこの世界の野菜は動く

生命力と活力に満ちた野菜たちは切っても尚動くらしい

 

 

 すりすりすり

 

 

ふと見ると俺の叩きつけた右手の小指をいたわるようにプチトマトが2匹ほど擦り寄ってきた

 

 

クリス「トマトには好かれてる見たいだねー」

 

八幡「・・・・俺トマト嫌いなんだよな」

 

 

 「「!!!!!」」

 

 

プチトマトは俺を見つめるよに体を傾けショックを受けたかのようにプルプルと震えだした

「ガーン!」と効果音が聞こえるかのようだ

 

 

 ・・・・これはこれで食べづらい

 

 

可哀想なのでプチトマトを持ち上げゆっくりと口へ

 

 

クリス「あはは、嫌そうな顔だ」

 

 

咀嚼と共に青臭い香りとなんとも言えない味が広った

 

 

八幡「ふぅ・・・・それで何だっけ?稼ぎが少ないだったか?」

 

クリス「そうそう」

 

 

そうなんだよなー

 

俺達は絶賛金欠なのだ

まあ、クリスは【機動要塞デストロイヤー】の討伐報酬があるから金欠ではないが

問題は俺である

 

 

俺達は突然この世界にやってきた

当然持ってきたものといえば制服とこの世界では使えない紙幣の入った財布と携帯

 

クリスもこの世界にちょくちょく来てはいるがここまで長期滞在をした事がない

 

その為俺達は色々と物が足りないのだ

それにより稼いだ金はあまり残らない

 

 

それに加えて俺は前の世界で剣術をやった経験は無く剣の扱いは悪い

一応クリスに教えてもらってはいるし【片手剣】のスキルの補正で多少良くはなっているが、10匹もモンスターを倒せば血と油により切れなくなる

それならまだいいが剣先が曲がったり刃がかけたり、最近では2日に1回はメンテナンスに出している

 

防具の方も似たようなものでまだ回避に自信がない俺は割とモンスターの攻撃をモロに食らうことが多い

まぁ、この街の周辺のモンスターは弱いのと

コートが少し厚めでコートにも多少の防御力があり胸当ての耐久と相まってなんとかなっているが、こちらも胸当ての革がめくたり背中の止め具が歪んだりとこちらは1週間に1回はメンテナンスに出している

 

 

一応防具に関して盾を買おうとしたが、剣の師匠が盾を持たないクリスの為かわりに前腕部に金属の板が仕込んである手甲を買った

おかげて多少の防御力のアップをはかった

 

 

これらの理由から特に俺は金欠状態である

未だにクリスへの借金を返してないのがいい証拠だろう

 

 

クリス「アタシも今の生活費は新しく稼いだ分でやり繰りして討伐報酬は取っておきたいし、ここは一気に戦力アップをして強いモンスターや難度の高いダンジョンに向かった方がいいと思うんだよ!」

 

八幡「いや、仲間を集めたところで強いモンスターと戦って勝てる保証ないし、難度の高いダンジョンなんて大体踏破されてるだろ。ここはやっぱりボッチで少しずつ貯蓄していこう」

 

 

人を増やすなんて嫌だ

中学の修学旅行とか俺だけ班決まらなくて最後先生に押し付けられる形で他の人の班に入れられたぞ

 

 

八幡「そうだ。だいたい複数人で行動しないといけない理由はない。1人だったら誰かに気を使う必要ないし、人間関係に悩まされることも無いし、逆説的に考えてボッチ最高って事に」

 

クリス「ならないよ。」

 

 

 そんなバッサリ切らなくてもいいじゃん

 

 

クリス「それにちゃんとパーティを募る理由は有るし今はアタシと一緒何だから1人じゃないでしょ! 捻くれてないでほらっ掲示板行くよ! 集めるのはともかく臨時パーティを募集してるとこがあるかもだし!」

 

八幡「おいっ!まだ俺キュウリ食べれてないっ!」

 

 

クリスが強引に腕を引き引っ張っていく

 

 

 だからコイツは近いんだって!

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

クリス「何かいい募集無いかなー?」

 

 

結局、無理矢理に掲示板に連れて行かれた

 

掲示板には何人かの人が集まり所狭しと貼られている紙をジロジロと眺めている

 

 

『初心者歓迎!アットホームな雰囲気で楽しくモンスター退治!』

 

『ノルマ無し!簡単なクエストを効率よくこなして億万長者!』

 

『安全第一!将来独立する為のノウハウと経験をアナタに!』

 

 

紙にはそんな言ってしまえば当たり障りのない怪しい文面ばかり

 

 

八幡「・・・・・どう見てもブラックなんだよなぁ」

 

クリス「もう!そんな腐ったこと言わない!目がアンデットになってるよ!」

 

 

クリスはそう言いながら俺を肘で小突く

 

 

 「キャッ!」

 

 

そのせいでよろけてしまい後ろにいた女性にぶつかった

 

 

八幡「すいません!」

 

クリス「ごめんなさい!」

 

 

俺達は咄嗟に謝るために後ろを向いた

 

 

 「いえ、こちらこ・・・・そ」

 

 

そこには黒髪の長髪に紫の眼鏡をかけた女性がいた

 

女性はおそらく美人なのだが今は眉間にシワを寄せ俺を睨みつけている為かなり怖い

 

 

 おいおい、ぶつかったのは悪かったがそんな睨むことないんじゃね

 

 

八幡「えっと・・すいません大丈夫でしーーーーッ!!」

 

 

もう一度謝ろうと頭を下げた瞬間目の前に銀色の光が見えた

 

 

クリス「ハチマン!!」

 

 

その光が女性の腰に添えられていたレイピアだと理解する頃には俺の首元には殺意を持った金属が牙を向けていた

 

少し遠くから女性の叫び声が聞こえた

その声を元に騒ぎを聞きつけ周りがどんどんうるさくなる

 

俺はまだ動けないでいた

 

 

 「まさか、こんな街中にアンデットが出るとは!自分に見つかったのが運の尽きだ、覚悟してもらおうっ!!」

 

 

 

 

 ・・・・・・・・は?

 

 

目の前の女性は眉間にいっそう強くシワを寄せている

 

 

 ・・・・えーと。もしかして俺勘違いされてる?

 

 

目だけ動かし横を見るとクリスも呆気に取られた顔をしていた

 

 

八幡「まってくれ!俺は別にアンデットじゃ・・・」

 

 「喋るアンデット!変異種か?それとも元人間の【リッチー】!?」

 

 

 ダメだ!この人一切話を聞いてねぇ

 

 

クリス「ちょっちょっと!ハチマンは別にアンデットじゃないって!」

 

 「貴方は危険ですので下がっていて下さい。」

 

 

 このままは拉致があかない

 

 

目の前の女性は未だに俺を睨みつけておりその目は本気で殺意に満ちていた

 

 

 抵抗しないとやられる!

 

 

俺はゆっくりと腕を少しずつずらしゆっくりと魔力を込める

 

 

 「貴様!何をしている!」

 

 

女性に気づかれたがもう遅い

とっくに魔力は込め終わっている

 

 

八幡「【バインド】!」

 

 

俺のウエストポーチから1本の縄が飛びだし女性に跳びかかった

 

 

 「なっ!キャっ!」

 

 

驚いた頃には既に縄は女性に蜷局を巻き始めていた

 

俺の【バインド】は初めて使った時に比べると格段に成長していた

 

以前より速度は上がり拘束力も上がっている

 

流石にまだクリスのように1ミリの隙間もなく締め上げることはできないが、だいたい3センチ間隔で隙間を開け肩から足までを巻いていく

 

手と足だけはちょっと気合を入れて巻数を増やし逃げれなくする

 

あっという間に拘束が終了した

 

 

 「ッーーーー!」

 

 

女性は一層俺を睨みつけ抵抗している

体を大きく揺らし揺れている女の子の象徴に目線を持ってかれる

 

 

 意識するな俺!万乳引力の法則に抗え!

 

 

八幡「ちょっと話を聞いてくれ!俺は別にアンデットじゃーーーッ!!」

 

 

目線を逸らしたのが良くなかった

目の前には俺に向かって倒れこんでくる巨大な山

 

恐らく拘束されたことによりバランスを取りづらくなって倒れたのだろう

そして俺は別の方向を向いていたせいで避けれない

 

 

 

 ふにゅん

 

 

 「キャァッ!!!」

 

 

それはクリスでは味わえ無かった柔らかな触感

顔を挟み込むそれは一瞬で俺の意識を刈り取っていく

 

 

 

 あっ!これはマズイ

 

 

俺は慌てて【バインド】を解く

 

だが全ては後の祭りである

 

 

パァァァアアアン!!

 

 

その日【アクセルの街】で目の腐った男が女性を縛り上げ体まさぐっていると言う噂が密かに広まった

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 「ほんっとうにすみませんでした!!」

 

 

目の前ではさっきの女性が何度も頭を下げている

 

 

クリス「別にいいよハチマンだって悪い事したし」

 

 

 いや、まぁそうなんですけどね?なんでアナタが答えるの?

 

 

俺の両頬には真っ赤な紅葉がベッタリと張り付きジンジンとした痛みでその存在を主張している

 

 

 てか何で俺はクリスにまで叩かれたんですかね?

 

 

俺が訝しげな目線でクリスを見るとその目線に気づいたようでジト目で返された

 

 

クリス「ハチマンはこれで女の子の胸を触った回数が3回にもなった犯罪者だね!」

 

八幡「おい!こら!やめろ!周りの女性冒険者の目線がゴミを見るような目線になってるから!しかも全部今みたいな偶然でわざとじゃ無いだろ!」

 

八幡「てか、3回って何?何か1回多くない?」

 

 

俺が覚えがあるのは2回である

 

 

クリス「初めて会った時に1回、【バインド】を教えた時に1回、今回で1回」

 

八幡「いや、2回目は胸じゃなくてパッーーーウグッ!!」

 

 

一瞬で口元を抑えこまれ右手で締め付けられる

 

 

クリス「何を口走ろうとしてるの?」

 

 

笑って無い笑って無い

ニコリとしてるようで目が笑って無いよ!

 

何なら1回目も触ったのはパッドだから実質今回が初犯とも言える

 

いや、そもそもわざとじゃ無いから初犯でも無いからね?

事故だからね?

 

 

俺の思いが伝わったのかそれとも気まぐれか、クリスは漸く許してくれたようで俺から手をはなし目の前の女性に体を向けた

 

 

クリス「えーと、たしかセナさんだったよね?」

 

セナ「はい。・・・えーとクリスさんですよね?その説はお世話になりました。」

 

 

どうやらこの2人は知り合いのようだ

 

セナと呼ばれた女性は体を小さくし上目遣いで俺の方を申し訳無さそうに潤んだ瞳で見てくる

 

 

クリス「セナさん、紹介するね?こっちはパーティーメンバーの比企谷八幡。ハチマン、こっちは検察官のセナさん。前に裁判でお世話になったんだ」

 

八幡「裁判!?」

 

 

 おいおい。物騒な言葉が飛び出したな!

 

 

クリス「あっ、勘違いしないでね?アタシはある裁判の参考人で呼ばれただけで別に何かした訳じゃないからね!?」

 

 

ふぅ、良かった。パーティーメンバーが前科持ちの女神とかちょっと嫌だぞ

 

 

セナ「改めてヒキガヤさん。アンデットと勘違いしてどうもすみませんでした」

 

 

セナが深々と謝ってきた

だが俺は1つ気になることがある

 

 

八幡「最初の印象と違くないか?」

 

 

最初は少し怖く冷たい雰囲気だったが、今ではそんな影はなく弱々しい子犬のようだ

 

 

クリス「うん。アタシも思った。裁判の時はもっとクールな感じだと思ってたんだけど・・・」

 

セナ「すみません。私はその、仕事スイッチと言いますか、悪い事や悪い人を見ると舐められない為にも高圧的な態度をとってしまう癖があるんです」

 

 

まぁ、仕事柄大変そうである

 

 

クリス「そういえばセナさんはどうしてあんな所にいたの?また何か事件があったの?」

 

セナ「そのっ・・・パーティーメンバーを探していまして・・」

 

クリス「検察官がパーティー?」

 

 

そういえばセナは検察官と教えられていたがその姿は少しおかしかった

 

セナは青いスーツの様な服を着ているがネクタイは無く肩や肘には金属製の防具が付いている

脚に履いているタイツはよく見れば所々が銀色に光っており鱗の形の金属が所々配置されている事が分かる

 

少し検察官としては重装備だろう

 

どちらかと言うと王国の騎士と言った印象の方が強い

 

 

セナ「・・・実は・・そのっ。検察官はつい最近クビになってしまいまして・・・」

 

クリス「クビ!?」

 

セナ「はい。その・・・・」

 

 

セナ曰くつい最近【機動要塞デストロイヤー】が討伐された

だがその討伐の際【サトウ カズマ】と言う冒険者が【デストロイヤー】の動力の【コロナタイト】と言う宝珠をテレポートの魔法で抜き取り停止させたらしい

 

因みにその【サトウ カズマ】と言う冒険者がクリス曰く先輩を連れて行った転生者らしい

 

 

そして、その【コロナタイト】はこの街の領主の家に飛ばされたらしく溜まっていた魔力が暴走し大爆発

幸い負傷者は出なかったが【サトウ カズマ】は国家転覆罪と魔王軍の配下の疑いが出たらしい

 

【サトウ カズマ】は爆発の時間に迫られ魔力を練る時間がなく仕方なく、魔力消費の少ないランダムテレポートで【コロナタイト】を飛ばし、それがたまたま領主の家に飛んだだけの為容疑は晴れた

 

だが1つ問題が残った

 

 

裁判の際【サトウ カズマ】側に流れが乗りそのまま押し切れると思った時に領主側が権力を使って圧力をかけた

 

そして裁判長は圧力に負け裁判の結果を覆そうとした

 

 

まぁ、その裁判は結局【サトウ カズマ】側にも権力者がいて本来の流れに戻せたのだが

 

裁判長が権力に負け裁判の結果を操作しようとした疑いが残った

 

 

【サトウ カズマ】とそのパーティーメンバーは良くも悪くもこの街では人気があり裁判を見ていた冒険者達は裁判長を攻め立てた

 

裁判長側の協会は冒険者達の苦情に耐えかね裁判長を解任しようとした

 

だが裁判長はそれを察知し協会の金を盗み逃亡

 

 

だがそれでも事態は収まらず協会への苦情は続いた

そこで協会は一緒に裁判を行っていたセナに裁判長の責任を押し付ける形で解任

 

ようはトカゲの尻尾切りである

 

 

クリス「・・・酷い」

 

 

話を聞いていたクリスは目に涙を貯めている

 

こう言う人の為に涙を流せる所を見るとコイツが女神なのだということを意識する

 

 

セナ「いえ、クビになったのは別に気にしてないんです。元々私は正義感が強く悪を滅する為に王国騎士団に入りそこからスカウトされる形で検察官になったんです」

 

セナ「ですが蓋を開けてみれば裏金を掴ませて裁判を操作したり、相手が身元の怪しい冒険者なのをいい事に事実を捻じ曲げたりと正義とは名ばかりの仕事でずっと辞めたいと思って居ましたので・・・逆に丁度良かったと思っています」

 

 

そしてセナは胸ポケットから冒険者カードを出し俺達の前にスッと置いた

 

 

セナ「今は騎士団に入る前の冒険者だった頃のジョブである【ルーンナイト】に戻り人々を守る為にモンスターを倒そうかと・・・それでパーティーメンバーを探して掲示板に・・・」

 

クリス「すごい!【ルーンナイト】!」

 

 

名前は凄そうだかイマイチ分からんな

 

 

クリス「【ルーンナイト】は武器と魔法を駆使して戦う上級職だよ!」

 

 

クリスが気を利かせて補足してくれた

こういう所に気遣いができるのがクリスの良いところである

 

冒険者カードには【ルーンナイト】の称号

そして俺よりも圧倒的に多いスキルの量

 

だがよく見てみるとレベルは1であり、どうやら初期のスキルポイントが多いタイプの人らしい

 

 

俺の視線に気づいたのかセナがすかさず補足

 

 

セナ「レベルが1なのは検察官になる際に冒険者カードを国に返したので再発行の際に全てのステータスが戻っていまして・・・」

 

クリス「でも、レベル1でも【ルーンナイト】なら引く手あまた何じゃない?」

 

 

【ルーンナイト】というのはそんなにすごい職業なのか?

まぁ、俺の【冒険者】より何倍もすごいのは名前から何となく分かるが

 

 

セナ「いえ、その・・私は正義感が強いせいで悪い人相手だといい情報があっても裏があると疑ったり、証拠となる悪い情報を聞いてしまうと他の事が耳に入らなくなって直ぐに結論をだそうとしてしまったりと・・・」

 

 

そういえばさっきも話を聞いてくれなかったような・・・

クリスも覚えがあるのか微妙な顔をしている

 

 

セナ「それで、前の裁判の際もその癖が出てしまい・・・その姿を見られてるせいか良くも悪くもこの街の人気者だったサトウさんを慕っていたこの町の人々は、私を煙たがってパーティーに入れてもらえず・・・」

 

 

その話を聞きまたクリスは目元を潤ませた

そしてセナを抱きしめる

 

その表情ははいつかの俺を励ます為に露店街をに連れ出してくれた記憶とダブつく

 

そして予想通りの1言

 

 

クリス「セナさん!アタシ達と遊びに行こうか!」

 




前のクリス編が2本編成だったのでセナ編も2本

一応補足説明をすると

セナの格好はアニメの青スーツの金色の刺繍や国のエンブレムのような物は外し
帽子やネクタイも取りその代わりに金属の防具と鉄製のタイツ
腰にはレイピア
スカートの中の太腿には隠しナイフが両足に一本づつ

と言った格好です

絵心があれば書くんだけど・・・すまん
画力はない!

こんな感じでお願いします!

以上!


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ルーンナイトの友達増加計画!

セナ編2話

ちょっと長過ぎたな
すまねぇ

つたない文章だけど許してください


クリス「ねぇねぇ。これセナに似合いそうだよ!」

 

セナ「そっ、そんな!こんなフリフリな服私には・・・」

 

 

いつの間にかさん付けから呼び捨てに代わりスキンシップも増えどこかの世界のアホの子と部長のユリユリしい姿をほんのりと思い出す

 

 

ここはお決まり露店街

 

今はここでクリスとセナがお互いに服を体に合わせアレじゃないコレじゃないと話し合っている

 

 

クリス「ねえねえ!ハチマン!コレとコレだとどれがいいかな?」

 

 

クリスが水色のフリルの付いた可愛らしい服と黒の落ち着いたシックな服を見せつけながら俺に詰め寄る

 

 

八幡「・・・・どれでもいいんじゃない?どれも可愛いんじゃない?似合う似合うよく似合う」

 

クリス「キミ、反応適当すぎない?女の子としてちょっと傷つくんだけど・・・」

 

 

いや、だってここに来てもう大分時間が経ってるよ?

待っているだけだが足が棒状態ですごく疲れた

 

しかも今クリスが俺に聞いてくるまで俺などそっちのけで2人でファッションショーである

 

正直俺が居る意味ある?

 

 

クリス「もういい!セナに聞いてくるから!」

 

 

クリスは俺に背を向けセナの元に戻るとまた明るい声で服選びを再開させた

 

俺は流石に暇なので近くの店を覗き込む

 

 

 「へいっ!らっしゃい!いろんなポーションを取り扱ってるぜ!良かったら見てってくんなァ!」

 

 

どうやらここはポーション専門店らしく露店の台には所狭しとポーションの瓶が立ち並んでいた

 

 

 そういえば回復ポーションが切れそうだったな。買っておくか

 

 

この露店街はかなり特殊な店が多い

 

【機動要塞デストロイヤー】の報酬金がこの街の殆どの冒険者に支給された事により商人達がこぞって稼ぎ時だとこの街で露店を開き始めた

 

当然狙いは財布が膨れた冒険者の報奨金である

 

 

だがそもそもこの街は魔王城から1番遠い

なので出てくるモンスターも弱く危険度が薄い

 

そのおかげで街の住人は多く当然街の発展レベルも高いらしい

 

だから並大抵の物は案外探せば売っている

 

 

だからこそこの街で露店を始めた商人はこの店のような言ってしまえばニッチな店を開いている

 

 

ポーションなら道具屋に行けば軽い食料や松明などの冒険者セットと共に買えるだろう

 

だがこういう店ならではの物もある

 

 

 「兄ちゃん!コレなんてどうだい?今日仕入れたばかりの発光するポーションだ!」

 

 

店のおっちゃんがアゴ髭を撫でながら紹介を始める

 

 

 「これは世にも不思議なもので暗い場所だと青白く光りだすってもんだ!どうだい?」

 

 

要するに蛍光塗料だろうか?

 

 

 「他にもモンスターを寄せ付けるフェロモンを凝縮したモンスター寄せのポーション!」

 

 「塗ると撥水性が上り水を弾くようになるポーション」

 

 「ニンニクやニラとかの臭いの強い物の臭いを落とすポーション。どうだい?キスをする予定があるならコレも買ってかねぇかい?」

 

 

こう言ったかなりマイナーな商品等はこう言った店でしか売ってない

 

ニッチ具合がよく分かる物としてモンスター寄せのポーションの値札には【ドMクルセイダーイチ押しアイテム!】とデカデカとした字で書かれている

 

 

八幡「層が限定的で個性的なんだよなぁ」

 

クリス「個性的な目をしたキミが何言ってるんだか」

 

 

どうやら買い物は終わったらしく袋をいくつか持った2人がこちらに近づいてくる

 

 

クリス「と言うかアタシ達の服には興味を示さないのにこう言うのは見るんだね」

 

 

クリスは先程の事もあってか少し機嫌が悪そうに俺に棘のある言葉を連ねる

 

 

クリス「もうちょっとアタシ達の買い物に協力してくれてもいいんじゃない?」

 

八幡「はぁ・・・分かったよ」

 

 

俺はその言葉を聞いてクリスの手に自分の手を伸ばす

 

ソレに合わせてクリスが素早く後ろに下がり怪訝な顔をし警戒心をあらわにする

 

 

八幡「いや、何その腹立つ顔。荷物持ってくれアピールじゃなかったの?」

 

 

いつかどっかでやったやり取りにすこし懐かしさを感じる

 

 

クリス「いや、今のは嫌味で言ったんだけど・・・」

 

 

クリスは少し考えた後俺にそっと荷物を渡した

そして俺の顔のすぐ横に自分の顔を近づけてきた

 

 

クリス「キミって気とか使えるんだね。ちょっとだけ見直したかも」

 

 

クリスのキラキラとした瞳が俺を吸い込むように見つめてきた

もうその表情に負の感情は見えずニコニコとした笑顔を浮かべるのみだ

 

俺はセナの方に向き直りそちらにも手を伸ばす

 

 

セナ「いっいえ、私のほうは!!」

 

 

セナは顔を少し赤らめながらワタワタと体を震わせた

 

てか本当に俺を捕まえようとした時とはエライ違いだな

 

さっきのが気の強い狼だとすると今はまるで子犬である

 

 

クリス「いいじゃんいいじゃん。アタシ達の服選びに協力しなかった罰だよ!」

 

 

対してこちらの遠慮の無さは猫に等しいだろう

よく家のカマクラが俺のベットの上で堂々と大の字になって寝てたよ?

 

 

セナ「いっいえ!遠慮している訳ではなくっ!」

 

 

煮え切らない態度に少しだけ強引に奪い取ろうと腕を更に伸ばす

だが、セナは抵抗し何故かどんどん顔を赤く染めていた

 

 

セナ「そっその//パッパパパッ///パンツも入っているので!!///」

 

 

大きな声

それはもうこの通りの端まで聞こえるんじゃ無いかって言うほど大きな声

 

そして聞こえるヒソヒソ声と女性冒険者の冷たい視線

 

 

クリス「あははー誤解されてるねぇー」

 

セナ「すっすみません!私たらまたっ!」

 

 

突然グイッと腕を引かれた

見てみるとクリスが俺とセナの腕を掴み走りだす

 

クリス「もういいよ。行こ!」

 

 

俺達は鋭い視線に晒されながら走りだした

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

セナ「昨日のお詫びをさせて下さい!」

 

 

俺が人を縄で拘束しパンツを奪い取ると言う尾ひれの付いた噂が流れた翌日

 

てかマジで噂した奴誰だよ

周りの目線が痛いんですけど?

 

 

クリス「お詫びなんていいよ別に」

 

八幡「ちょっとクリスさん?何で君が応えるの?おかしくない?ねぇおかしくない?いや、まぁ確かにそんな物はいらないけどね」

 

セナ「いえ!そう言う訳にはいきません!何でも言って下さい!お詫びさせて頂きます!」

 

 

何でもだと!?

何でもってのはいわゆる何でもって言う事ですよね!?

 

 

ゴクリ

 

 

クリス「ハチマン、目が血走ってて怖いよ!エッチな事は考えたらダメだからね!!」

 

八幡「バッカッお前。男がみんなエロい事ばかり考えている訳じゃ無いからな!」

 

クリス「じゃぁ何考えてたのさ」

 

八幡「えーと・・・世界平和とか?」

 

クリス「間があったし疑問形だし絶対変な事考えてたでしょう」

 

 

何で分かんだよ

八幡検定2級なの?

何それ全然取る価値なさそう

 

 

セナ「えーと、世界平和は私の力では難しいので出来れば他の事にして頂けると・・ 何か困った事とかありませんか?」

 

 

困った事ねぇ

しいて言うなら

 

 

八幡「・・・・金とか?」

 

クリス「うわっ・・お願いしたい事がお金って真っ先に言っちゃう人って。 正直ちょっと引くよ?」

 

 

いや、だって他に困った事とかねぇし

一応あると言えば寝床の問題があるが

 

それをこの場で言ってクリスに「何で?」と聞かれるのは困る

「クリスのパジャマ姿に毎日悩まされてます!」何で言ったらキモがられる未来が分かりきっている

 

だから人に言える範囲で困っていることはお金だろう

クリスへの借金も返さないといけないし

 

 

セナ「・・・分かりました。少し待っていて頂けますか?」

 

 

そう言うとセナは俺達のテーブルから離れギルドの受付へと向かう

 

セナが居なくなったので食べかけの朝食に手を伸ばす

 

 

今日の朝食はニシンの油漬けが挟まったサンドウィッチと目玉焼き

野菜たっぷりのスープ

ヨーグルトとバナナ

飲み物のコーヒーである

 

 

クリス「ねぇ?砂糖入れ過ぎじゃない?」

 

八幡「そんな事無いだろ、まだまだ5つ目だぞ?」

 

クリス「いや!十分多いよ!」

 

 

いや、まだまだMAXコーヒーには程遠い

やはりこの世界ではMAXコーヒーの再現は無理なのか?

いや、俺は諦めないぞ。MAXコーヒーだけは何としても完成させる!

 

 

セナ「お待たせしました。」

 

 

そうこうしているうちにセナが紙を1枚持って帰ってきた

 

 

セナ「3人でこちらのクエストに向いませんか?」

 

 

そう言ってセナは俺の朝食の横のスペースを台拭きで拭き取ると俺によく見えるように用紙をテーブルの上においた

 

 

クリス「これは!?」

 

 

クリスが驚くのも無理はない

 

まず1番最初に目に入るのはそのドクロマークの多さだろう

クエスト用紙に押されたドクロマークの印鑑はそのクエストの難易度を表す

この用紙には最上級相当のドクロマークが押されまくっていた

 

 

八幡「いや、無理だろこれは」

 

 

最上級クエストなんてまだまだひよっこの俺には絶対に無理だ

 

 

セナ「いえ、お2人は私の後ろで攻撃して頂ければ大丈夫です。私は【ルーンナイト】なので魔法と剣を使います」

 

セナ「魔法で生み出した盾を使ってお2人を守ります。このクエストは【ルーンナイト】や【クルセイダー】などの防御力が高い役職さえいればそこまで難しくないクエストなので・・」

 

 

なるほど

たまにクエストの中には依頼者が冒険者の特に強い冒険者を集めやすくする為にあえて高めの難易度にしたりする

 

他にも報酬金が少し高かったり、レア度の高いアイテムが貰えたりなどクエストによってはそう言ったいわゆるボロいクエストがあったりする

 

セナの口ぶり的にこのクエストはボロいクエスト何だろう

 

 

セナ「いかがですか?自分は今はレベル1ですが初期のスキルポイントで盾魔法のポイントはカンストしましたし、何度もやった事のあるクエストなのでやり方は分かっていますし、必ずお2人をお守りしますので!」

 

 

 ふむ

 

 

チラリと見ると報酬金もかなり高額で3人で分けてもかなりいい値になる

 

上級クエストのモンスターなら経験値も多いだろうし

 

 

八幡「それならよろしく頼む」

 

セナ「はい!」

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

ガヤガヤと喧騒が入り乱れる

ここは街の入り口

 

 

目の前には馬に繋がれた馬車が5両

 

そして膨大な数の冒険者達

 

 

八幡「なにこれ?コミケ?みんなディスティニーにでも行くの?」

 

クリス「何言ってるの?ハチマン」

 

セナ「こみ?でぃす?なんの事でしょう?」

 

 

まぁ、千葉ネタは通じんわな

 

 

クリス「これは今からアタシ達が行くクエストと同じクエストを受ける人達だよ?ほらこのクエスト集まった人達皆でやる大規模クエストだから」

 

八幡「マジか。正直難易度と報酬金以外見てなかったわ」

 

クリス「ダメだよ、ハチマン。ちゃんとクエスト用紙を見てしっかり準備しないと」

 

八幡「準備ってお前が着込んでるソレの事か?」

 

 

そう今クリスはいつもと少し違う格好をしている

 

いつもは大胆に出している腹や肩はジャラジャラとした鎖帷子で覆われ

いつも太陽の光を反射している脚は一部が銀色に光るタイツが装着されていた

 

 

クリス「おっ気づいた?いいでしょ!このタイツ!セナとお揃いなんだよ!」

 

 

いや、別に女の子の服装に気づいてますよアピールとかじゃないから

 

正直クリスがこんな重装備してると凄く怖いんだが

もう帰って寝たいまである

 

 

クリス「むっ!服装に気づいたんだから何か言う事あるんじゃない?」

 

八幡「世紀末見たいだ。頼りになる」

 

 

今から何をさせられるか分かんないからその強そうな見た目は頼りになる

 

 

クリス「せいきまつ?うーんよく分かんないけどいつも捻くれてるハチマンに素直に頼りにされると・・・」

 

 

いや、別に褒めた訳じゃないから?

照れないで?俺も照れちゃうでしょう?

 

 

セナ「お待たせしました。馬車の搭乗券を貰ってきました。これがお2人の搭乗番号です」

 

 

セナ門前にいるギルド職員の元から帰ってきて俺達に札を渡した

もうすでに仕事モードに入っているのかさっきまでのオドオドした感じは微塵もなくキリッとして声もハキハキしていた

 

 

セナ「自分達の馬車はあっちの茶色と白のまだら模様の馬の馬車ですね。行きましょう」

 

 

どうやらセナは仕事モードになると一人称が【自分】になるらしい

 

馬車のおじさんに搭乗券を見せ馬車に乗り込む

 

搭乗券には41・42・43とそれぞれ書かれていた

つまり最低でも40人はこのクエストに向かうという事になる

 

 

マジで怖いんだけど

こんな事ならもっとしっかりクエスト用紙を見ておくんだった

 

難易度と報酬金に気を取られて見そびれてしまった

何をするかも何を倒すのかも何もわからん

 

 

クリス「うーん、流石にあの子は居ないか・・・」

 

八幡「誰か探してるのか?」

 

 

馬車に乗り込んだところでクリスがキョロキョロと周りや他の馬車を見ながらつぶやいた

 

 

クリス「うん。親友の【クルセイダー】の女の子何だけど今日は居ないみたい」

 

クリス「まぁ、あの子不器用で攻撃が当たらないから、もしかしたらパーティメンバーが止めたのかも」

 

 

いや、攻撃の当たらない【クルセイダー】って何?

前衛職として致命的何じゃ・・・・

 

俺もクリスにつられて周りを見てみる

 

聞こえてくるのはヒソヒソ声と少し鋭い視線

 

 

 えー。昨日の今日で俺の噂ここまで広がってるの?

 

 

 「おい。あの子・・・」

 

 「あぁ、検察官の・・・」

 

 「カズマ達を苦しめた・・・・」

 

 

どうやら台風の目は俺では無く少し肩を落としシュンとしているセナの事のようだ

 

そういえば煙たがられてるって言ってたっけ

 

 

クリス「大丈夫だよ、セナ。アタシ達はセナがいい人だって知ってるから」

 

セナ「・・・クリスさん」

 

 

ちょっとそこ?急に抱きしめて百合百合しないで?

 

ヒソヒソ話の系統がかわってきてるから!

 

 

クリス「ちょっと?なんか視線がやらしい」

 

八幡「やらしくねぇよ!」

 

 

そんなこんなで馬車が走りだした

景色がどんどんと変わりそれに伴って俺のやる気もどんどんと変わっていく

 

 

クリス「はい、ハチマン。これ飲んどいて防御力を上げるポーションだよ。本当はかなり高額なポーションだけどあげるよ」

 

 

いやいやいや、いつもはすぐに借金に加算するのにその優しさが怖いんだけど

 

下方向にやる気が変わっていく

 

見て見てると馬車が進むにつれ黒と黄色の警戒を示す看板の量が増えている

 

出発してから40分だがもう10分前からすでにこの看板達である

 

 

クリス「それでね、あそこの露店街の奥のお菓子屋さんが・・・」

 

セナ「そうなんですか!それじゃぁ今度一緒に行きませんか?」

 

 

女子会に花を咲かせる中俺は恐怖の花を咲かせていた

 

 

 「はーい。皆さんもう見えてきましたよー。準備して下さーい」

 

 

搭乗していたギルド職員に言われ前を見てみる

 

 

草木は生えておらず一瞬荒れ果てているようにも見える

杭が打ち付けられその杭に巻き付くように有刺鉄線の様なトゲトゲした鉄の糸が張り巡らされている

 

黄色と黒の危険色あふれるゲートをくぐる

 

 

マジで俺は何をさせられるのか

超怖い

 

 

八幡「なぁ、今から何をするんだ?クリスの格好的に討伐系だよな?」

 

 

なぜ今まで聞かなかったのか

今になって聞いてみる

 

 

セナ「【前衛キラー】討伐です」

 

八幡「は?何だって?」

 

クリス「何って?【前衛キラー】だよ。ハチマン知らない?」

 

 

いや、知らねぇよ

てか何その名前凄くヤバそう

てか怖そう

 

もう、脚がガクガクして汗がヤバイんだが・・・

 

 

てか何でクリスは「え?知らないの?」見たいな不思議な顔をしてるんだ?

 

俺が怪訝な顔をしてるとクリスは気づいたのか「ハッ!」とした顔をした

 

 

クリス「そうかそうか、ハチマンの世界では呼ばれてないんだっけ。なるほど」

 

八幡「いや、一人納得されても・・え?なに?その口振りからして俺でも知ってる奴?」

 

クリス「うん、知ってるよ。八幡の知ってる言葉で言うと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

 

 

 

 

 

 

【新じゃが】だよ」

 

 

 

 

ーーーーーー

 

ガチャガチャと金属の装備を着た屈強な男達がゾロゾロと馬車から這い出てくる

 

【新じゃが】を倒すために

 

後衛職の【ウィザード】や【アーチャー】ですら金属製の防具を着込んでいる

 

【新じゃが】を倒すために

 

 

八幡「新じゃが?ってあの新じゃが?揚げてもよし焼いても良しのサイゼで199円でグリルにされてるあの新じゃが?」

 

クリス「さい?何?最後のはよく分かんないけど多分合ってるよ。その【新じゃが】」

 

 

意味が分らん

なぜじゃがいを相手にこんなガチガチの装備を・・・・

 

 

クリス「補足しとくけとこの世界の【じゃがいも】特に【新じゃが】はヤバイよ?」

 

八幡「じゃがいもが?」

 

クリス「この世界では栄養と魔力の詰まった野菜達が動き出すのは知ってるよね?」

 

 

クリス曰く

この世界の【新じゃが】は冬の始めに種芋を植えられる

 

そしてそのまま春先まで雪の下で過ごすらしい

冬の寒さと雪の重みと言う過酷な環境に置かれた【じゃがいも】は自分の身を守るために大地の魔力を吸収し自身に耐性をつける

 

そして魔力を吸収し続けた【じゃがいも】には自身の魔力許容量の限界を超え魔力が蓄積される

 

【じゃがいも】は不器用らしく魔力コントロールや魔力の発散などはできないらしい

 

なので春

農家の人が【じゃがいも】を掘り起こそうとクワを振るった瞬間

その衝撃により魔力を抑えこむ事ができなくなり爆発する

 

危険なため防御力の高い冒険者が代わりに収穫するのだが【クルセイダー】や【ルーンナイト】をもってしても毎年死者が出ることから【前衛キラー】と言う異名で呼ばれているらしい

 

 

八幡「それ、どうやって収穫するんだ?危害を加えたら爆発するんだろ?」

 

クリス「ダメなのは衝撃を与えるのがダメなんだよ。【新じゃが】の表面に少しでも傷をつければそこから魔力が漏れだして魔力許容量内に収まるから爆発しなくてすむよ」

 

 

何と言うか農家の人達大変だな

 

 

セナ「お2人とも自分の後ろへ!そろそろ始まりますよ。」

 

 

その言葉に促され前を向くとウィザードが魔力を練っているのが見えた

 

 

 「【ヒートウェーブ】」

 

 

暖かな風が吹き始め体が暖かくなる

 

 

クリス「ハチマン、構えて!熱の魔法で【新じゃが】を目覚めさせて飛び出た所を切るよ!」

 

八幡「・・・おう」

 

 

ムクムクと土の中が動き出してるのがわかる

 

俺は腰の鞘から剣を抜き構える

ここ数ヶ月クリスの教えにのっとり剣の練習をしていた

おかげて多少はさまになってきたように思える

 

 

【敵感知】

 

 

視界が一瞬暗くなり徐々に真赤な色の物体が映り込む

これが新しくクリスに教えてもらったスキル【敵感知】である

 

モンスターの場所を赤色の光で見えるようにするスキルである

これにより土の中にいても敵の場所の特定ができる

 

クリスも同じようにスキルを立ち上げているようで目を凝らしている

 

 

クリス「セナ!くるよ!」

 

セナ「いつでも来い!」

 

 

 ヒュン

 

 

土の中から茶色い物体が飛び出す

間違いなくあれは俺が慣れ親しんだじゃがいもに他ならない

 

だがそのじゃがいもは殺意をもって俺達に襲いかかる

 

 

セナ「【シール】」

 

 

セナが【新じゃが】と俺達の間に割り込み魔力を込める

セナの左手が光りだしそこから魔法陣が現れた

 

 

セナ「ハァァア!」

 

 

【新じゃが】はセナの魔法陣に当ると数秒の硬直のあと巨大な爆発音と共に飛散した

 

 

ふむ。どうやらあの魔法陣が盾魔法と言うものらしい

 

盾魔法は一切の傷はなく変わらず紫色に発光している

 

 

クリス「ーーーッ!!」

 

 

クリスが「スパスパ」と音をたてながら【新じゃが】を解体していく

 

【新じゃが】は爆発するまで数秒のラグがあるようでその隙をついて手早く切り裂いていた

 

 

俺もそれに続きセナが守っている間に表面を切り裂く

 

周りを見るとそれぞれの方法で【新じゃが】を無力化していた

前衛職は普通に剣で切り裂き

後衛職の【ウィザード】は風の刃を飛ばす魔法

【アーチャー】は弓でそれぞれ【新じゃが】の体表面に傷をつけていた

 

どうやら傷さえできてしまったら例え物理でない方法や突き刺すといった方法でもいいらしい

 

 

 

 

かれこれ数十分の時間が経った

 

すでに地面は穴だらけでクレーターが山のように出来ていた

 

 

八幡「数が・・・多い」

 

クリス「まぁ・・じゃがいもは・・・1つの種芋に・・・・沢山出来る・・・ものだからね。」

 

 

お互い息も絶え絶えで正直しんどい

 

セナが守ってくれているおかげで効率よく狩りが出きてはいるが他のパーティーと違い後衛職がいない為どうしても移動して狩り、移動して狩りを続けなければならない為体力を消費する

 

 

セナ「囮スキル【デコイ】を使えれば良いのですが【デコイ】を使って一斉に襲われると流石に【クルセイダー】や【ルーンナイト】を持ってしても危険なので・・・」

 

クリス「まぁ、しょうがないよ。それよりしっかり守ってね!」

 

セナ「はい!」

 

 

大変ではあったが何とか俺達は順調な狩りをしていた

 

 

だが・・・・

 

 

 「うわぁ!!」

 

 

男性冒険者の叫びが1つ

見てみると【新じゃが】の爆発で出来たクレーターに冒険者がはまり転んでいた

 

 

 「大丈夫か!」

 

セナ「!!!近づいてはダメです!」

 

 

男性冒険者を助けようと別の冒険者が助けに行こうとする

だが気を抜いた瞬間【前衛キラー】の異名が顔を出す

負傷者に駆け寄ろうとして背後はがら空きである

 

 

 

ボォォォオオン

 

 

 「ぐわぁあ!」

 

 

巨大な爆炎と地響きそして冒険者の悲鳴

冒険者は焼け焦げになり地面に突っ伏していた

 

転んだ方の冒険者も爆炎に巻き込まれたのか痛々しい悲鳴をあげた

 

 

セナ「ーーーッ!」

 

 

セナが負傷した冒険者の前に立ち盾魔法を展開する

 

 

セナ「今のうちに負傷者の確認と救護を!!」

 

 「あ、ああ。すまねぇ!」

 

 

まだ続く【新じゃが】の猛攻

これが順調だったクエストの勢いの変わり目だった

 

 

 「まだ、2人とも息はある!おい!だれか【ヒール】だ!」

 

 「は、はい!キャっ!!」

 

 

【プリースト】が近づいて【ヒール】をかけようとするがそんな事はさせないと【新じゃが】の追撃

 

【新じゃが】にとっては負傷者が出来て守る対象の範囲が増えた今の状況は好機なのだろう

セナへの追撃が増える

 

 

 「俺達の事は捨ててけ! 【前衛キラー】の前じゃ俺達はお荷物だ!」

 

セナ「嫌です!自分は【ルーンナイト】元検察官の人間。人々を守り魔物を狩るのが役目です!」

 

 「・・・あんた」

 

 

セナが腰を落とし両手を使ってさっきより大きな盾魔法を展開した

どうやらそこから動く気は無いようで完全に守りの体制である

 

 

クリス「まずいね、加勢したいけど爆発で近づけないし遠距離攻撃も爆風で吹き飛ばされちゃうよ!」

 

 

先程から負傷者とセナを助けようと他の冒険者が攻撃を仕掛けようとするもうまくいかない

 

 

くそ!何か無いか!

 

 

さっき言っていた一斉に襲われると流石の【ルーンナイト】も危険だと

 

 

 ピキピキピキ

 

 

セナ「ーーーッ!」

 

 

げんにセナの盾魔法は少しだけヒビが入り始めていた

 

 

八幡「ーーーッ!」

 

 

何か・・・・何か方法は・・

 

【新じゃが】を無力化する方法・・

表面に傷をつける・・・

大量の敵相手に・・・・

 

 

八幡「!!!」

 

 

1つだけ思いついた

 

俺は足を動かすとある場所に移動する

 

 

クリス「ハチマン!どうしたの!?」

 

 

クリスが何か言っているが気にしない

 

【新じゃが】の植えられた場所の端に着くと目の前の杭を思いっきり引き抜いた

 

何本か抜いて目的の物に手を伸ばす

 

 

クリス「ハチマン!!どうしたの!!」

 

 

目的の物は手に入った

後は実行するだけ

 

 

クリス「ハチマン!!」

 

 

パァァァアン

 

 

両頬に痛み

それはクリスに両頬を思いっきり手で挟まれたのだと理解するのに数秒かかった

 

 

クリス「何をするか知らないけどちゃんと教えて! アタシはハチマンのパーティーメンバーだよ!」

 

 

クリスの目から少しだけ涙が出ていた

怒っている目と悲しんでいる目が混在した瞳

 

 

クリス「1人で何でもしないでください!私をどうか頼って下さい!」

 

 

少しだけ昔の記憶がダブつく

 

 

 「もっと人の気持ち考えてよ」

 

 

いつかの彼女の表情と目の前の女神の表情がシンクロしていた

 

 

冷静にならなければいけない

 

今は前とは違う

むしろ人の生死がかかっている分こちらの方が酷い

 

今は頼るべきかもしれない

 

 

八幡「すまん、手伝ってくれ」

 

クリス「うん!」

 

 

俺は手に持っている物に魔力を込める

 

 

 「検察官の嬢ちゃん!もう下がれ!このままじゃ盾魔法が壊れちまう!」

 

セナ「いえ!下がりません。自分は何としても皆さんを守る!」

 

 

パリィィイイン

 

大きな音と共にセナの盾が遂に壊れた

 

 

セナ「ーーーッ!」

 

 

まずい!

 

俺は腕を伸ばし狙いを定める

そして力を込めて

 

 

八幡・クリス「「【バインド】!!」」

 

 

俺の手から長い鉄製の紐が飛び出す

 

それはさっき杭から取った有刺鉄線

 

【バインド】は長い紐であれば操る事ができる

 

 

もしかしたら有刺鉄線も操れるかもと思っていたが成功した

 

有刺鉄線の棘が【新じゃが】の体に突き刺さりそこから魔力が流出する

 

一部の【新じゃが】は爆発しているがこの距離なら問題はない

 

だが【新じゃが】は構わずセナの方に襲いかかろうとする

 

 

クリス「させないよ!」

 

 

クリスが【バインド】を使って有刺鉄線の一部を操りセナに向かっている【新じゃが】を弾き飛ばす

 

流石クリスである

俺よりも【バインド】のコントロールがいい

 

 

 

俺はコントロールが悪いから少し工夫しなければいけない

 

俺は腰のポーチから一本のポーション

 

昨日露店で買った【モンスター寄せのポーション】を取り出し頭の上から思いっきりかける

 

 

途端に【新じゃが】のターゲットがセナから俺に変わる

 

だが好都合

向かってくる【新じゃが】の前には有刺鉄線を【バインド】で操って作った網

 

【新じゃが】は勢いそのまま網の棘に全身を貫かれ動かなくなった

 

 

クリス「ねぇ・・ハチマン。」

 

 

効率よく倒せているがクリスは何か煮え切らない顔をしていた

 

 

クリス「流石に魔物相手とはいえちょっと残酷過ぎない?」

 

 

こちらに向かってくる【新じゃが】を有刺鉄線を使って串刺し状態である

確かに少しムゴイようにも見える

特にこの世界の人の認識では野菜は動くものである

 

意識のある生命を串刺しにしてるのは、野菜は動かない事が常識の俺よりもムゴク見えるのかもしれない

 

 

その証拠に何故か周りの冒険者達が少し引いていた

 

 

 えー。せっかく考えて一掃したのに・・・

 

なんかに試合に勝って勝負に負けた気分である

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 「ありがとう!アンタのおかげで助かったよ!」

 

 「あの時はパーティーに入れるのを渋って済まない。良かったら今度一緒に冒険しないか?」

 

 「いえ、ぜひ私達のパーティーに!私達はセナさんの行動に心打たれました!!」

 

 

クエストが終わったギルド内

 

セナは昨日とは打って変わってギルドの人気者になっていた

 

 

クリス「良かったね。これでセナのパーティー入りを煙たがる人はいなくなるよ。まぁ、あんな残酷な倒し方をしたハチマンが今度は煙たがられるかも知れないけどねー」

 

八幡「うるせぇ、別に良いんだよ。どうせ俺はボッチだし1人超好きだし。」

 

クリス「今はアタシがいるんだけどなぁー」

 

 

その上目遣いやめて?今はテーブル席が一杯でカウンター席に座ってるから超近いんだから余計にハズい

 

 

セナ「あ、あの!」

 

クリス「あ!セナ!」

 

 

後ろには顔を少し赤くしたセナが立っていた

 

 

八幡「どした?」

 

セナ「えっと//あの//!」

 

 

えっ何この雰囲気

何故かセナの目線が少し熱く顔もどんどん紅みをましている

 

なんか俺まで緊張してきたんだけど?

 

 

そしてセナは意を決したように口を開いた

 

 

セナ「その!!!わ、私//私を!

 

 

 

 

 

パーティーに入れてください!!」

 

 

へ?

 

 

クリス「え?」

 

セナ「い、いえ!そのわ、私、お2人とパーティーを一時的に組んで楽しかったですし・・それにクリスさんもいますし・・・」

 

 

ちょっと?君達本当に変な関係になってない?

お父さん許しませんよ?

 

 

セナ「も、勿論ハチマンさんもいますし・・・」

 

 

・・・とって付けた感半端ないな

 

 

クリス「勿論いいよ!・・でも」

 

八幡「いいのか?せっかく疎まれなくなったのに他の奴らに誘われてんだろ?」

 

セナ「いえ!勿論、誘っていただけたのは嬉しいんですがやっぱりその!私もお2人と一緒に冒険したいんです!!」

 

 

その目は真剣で本当に仲間になりたいんだと思った

当然そんな事を言われればうちの女神様が捨て置くわけもなく

 

 

クリス「うん!大歓迎だよ!これから一緒にがんばろうね!」

 

 

セナ「はい!!」

 

 

目の前の女性は満面の笑みで嬉しそうにそう答えた




セナ編終了

セナの立ち位置はお色気体要因ダクネスポジション前衛職役です

個人的には1番キャラデザが好きなキャラ

あと、勝手な設定と魔法を作ってすいません。
たぶん今後増えます
てか、都合よく増やさないと多分うまく書けん



次回はめぐみんポジションを探してきます

んじゃ次回


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スタンド使いが引かれ合うようにボッチ同士は引かれ合う

ゆんゆん編その1です。


ちょっと今回もしかしたらアクアの扱いが少し酷いかも・・・
別にアンチじゃないからご了承下さい!

それではどうぞ!


八幡「金が欲しい」

 

 

ざわざわとした喧騒響くギルド内でボソリとつぶやく

 

 

クリス「いきなり何世知辛い事言ってるの?」

 

セナ「わ、私のせいですよね?すみません。」

 

 

俺は現在金が足らなかった

 

前の【新じゃが】のクエストでまとまった金が手に入る筈だったのだが引っこ抜いた杭の代金や【新じゃが】の爆発でボロボロになった有刺鉄線の代金を払わなければいけなかった

 

一応弁償金は3人で等分して払った

俺の分はクリスが代わりに立て替えてくれた

だが俺の借金がまた増えてしまった

 

 

有刺鉄線はこの世界ではポピュラーな物ではなく何でも名前のおかしな冒険者に教えてもらった技術で製鉄所の人が作った物らしい

 

おそらくこの名前のおかしな冒険者とは十中八九日本人の事だろう

 

そんな特殊技術で作った物なので結構高かった

 

それを気にしてかセナが少し暗い顔をしている

 

 

クリス「セナは悪くないよ!元々ハチマンは借金があったし、あの有刺鉄線はアタシも【バインド】したから・・・」

 

 

まぁ、だからこそ全員で弁償代を3等分にした訳だしな

 

 

八幡「そろそろクリスへの借金を返したい」

 

 

そう言いながら俺は朝食のパンを口に咥える

 

今日の朝食は細長いパンにトマトやマッシュルーム、パプリカなど色々な野菜を乗せ溶かしたチーズをかけたピザのようなパン

コーンとほうれん草のソテー

オニオンスープ

パウンドケーキとコケモモのジャムと生クリーム

そしてコーヒーである

 

 

クリス「別にゆっくりでもいいよ?」

 

八幡「そうは言ってもなぁ」

 

 

俺はクエストの報酬の一部をクリスへの借金の返金に、一部を装備のメンテナンスに残りを生活費と貯蓄に当てている

セナがパーティーに入った事により仕事の効率が上がり装備が摩耗する頻度も少なくなった

 

だがそれでもやはり借金の返済には時間がかかる

 

どれくらいかと言うと「働いたら負け」と言っていた俺がクエストとは別にバイトをし始めたくらい返済には時間がかかる

 

俺の今の生活は朝にバイトをし昼からクリスとセナと一緒にクエストに向かい帰ったら死んだように眠る

この繰り返しである

 

因みに俺がバイトをしている間クリスとセナは2人で露店街で買い物したり近くの公園で遊んだり風呂屋でリラクゼーションを楽しんだりと始終2人でつるんでいる

君達仲いいね?

 

 

因みに今日は俺のバイトは休みのため朝から割のいいクエスト探しである

 

いつもなら「ヒィヒィ」言いながら土木工事に精を出していただろう

 

 

バイトは土木工事をしている

 

本当はもっと楽な仕事が良かった

だがこの世界は日本と違い学力はあまり重要ではない

 

日本なら採用理由が素行や学力などだがこの世界では学力が重要視されない為素行と見た目が重視される

初対面で素行などあまりわからない為結局見た目優先

つまりかわいい女子やイケメン男子優先なのである 

 

結局俺のような男子は顔が関係ない内職系か顔より体力が重要視される土木系しか残らない

 

内職系は宿にしている馬小屋が昼間は飼い主が清掃と藁の交換を行う為使う事ができず、結局消去法で土木工事になった

 

借金を返し終わったらすぐにでも辞める予定だ

 

 

流石にクリスに施しを受けたままなのは嫌なためなるべく早く返金するように頑張る

 

 

セナ「それで、具体的にはどうするのですか?」

 

クリス「もしかして割のいいクエストでも見つけたの?」

 

 

八幡「いや、そんな物はないがもしかしたら金に変わるかも知れない」

 

 

俺はそう言いながらウエストポーチから小さな巾着を取り出し中身を机の上に転がした

 

 

セナ「なんですかこの、気持ち悪..いえ、禍々し..これも違いますね独特な指輪は?ハチマンさんはこう言うのがお好きなのですか?」

 

 

ちょっと?勝手に引かないでね?

全然趣味じゃ無いからね?

まぁ、材木座あたりは好きそうな感じだが・・

 

 

クリス「前に露店街の型抜きで貰った景品だね?」

 

 

そうこの人の骸が敷き詰められた趣味の悪い指輪は俺が前に型抜きの景品で貰った物だ

 

 

八幡「これは紛いなりにも高難度のダンジョンで発掘された物だから鑑定してみて何かがあれば高く売れるかもしれん。」

 

セナ「確かにもし仮にこれがすごいマジックアイテムならお金になりますし、呪いのアイテムでも呪いコレクターは欲しがります」

 

クリス「まぁ、ハチマンの持ってる物の中ではソレが1番売れる可能性があるかもねぇ」

 

 

まぁ、他には使い古した装備品やポーションや毒消しなどの薬類ぐらいしか無いしな

 

 

クリス「まぁ、何も無くてもこう言うデザインならアタシの知り合いに欲しがりそうな子がいるけどね」

 

 

お、それは助かる

少しでも金になるなら俺が土木工事をやる時間も減るかもしれん

 

 

 「ん?クリス!クリスじゃないか!!」

 

 

話し合いをしている最中誰かがクリスの名前を読んだ

 

 

後ろを見ると重そうな鎧をきた金髪の美人

他にも男女が計3人

どうやらクリスの知り合いらしい

 

 

 「あれ?セナ?どうしてセナがクリスと一緒に!」

 

 

セナの方ではさっきの金髪の女性の後ろにいた男性に話しかけられていた

 

 

 「サトウさん!!」

 

 

サトウ・・サトウなんか聞いたことある

 

あー、クリスの先輩を連れて行った奴でセナの裁判した被告人だったっけか?

 

どうやら俺の認識は合っていたようでセナが裁判の事について謝っている

 

 

 「クリス久しぶりだな!最近見かけないから心配してたのだぞ?」

 

クリス「ダクネスごめんね?アタシの方も色々あってさー」

 

 

クリスの方はやはり知り合いだったようで久しぶりの再会を祝しているようだ

 

 

俺は当然話しかけてくる奴などいない為パウンドケーキを食べるのに専念する

 

 うん。コケモモのジャム旨い

 

 

 「はぁぁぁあぁあ」

 

 

俺に話しかけてくる奴は居ないようだがどうやら俺に悪意を持っている奴はいるらしい

 

 

目の前にさっきの金髪の女性の後ろにいた青髪の女が拳を吐息で暖めて戦闘態勢を作っていた

 

 

 「ゴッッツツッドォォオ」

 

 

おいおい、なんかコイツの手が光りだしてるんですけど!

勝利を掴もうと轟いてるの!?

 

 

八幡「えっ!え!!何?いきなり何!!?」

 

 「ちょっ!アクア!何で初対面の人に【ゴッドブロー】なんですか!?」

 

クリス「アクアさん!!やめて!死んじゃうハチマンが死んじゃう!!」

 

 

死ぬ!!?

何で!?

俺そこまで素行は悪くないぞ!!

 

 

 「めぐみんクリスそこをどいて頂戴!!見なさいあの目を!完全にアンデットの目だわ!!遂にギルドにまで来たのよ!!滅してやるわ。女神の名においてこの私が滅してやるわ!!」

 

 

なんか知ってるぞこの展開

 

チラリと横を向くとセナがバツが悪そうに顔を背ける

 

 

 「こんっっっの駄女神がぁぁあ!!」

 

 

ゴツンと大きな音を立て青髪の女はマントの男に殴られて沈んだ

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

クリス「えーと紹介するね?皆知ってると思うけどこっちは元検察官のセナ。今は【ルーンナイト】をしてるんだ。」

 

セナ「皆さんお久しぶりです。訳あって検察官をやめてこのパーティーで前衛をさせて貰っています。」

 

 

ペコリとセナが挨拶

目の前の連中はセナを知っているようで色々と聞きたそうにしている

青髪の女だけ目を真っ赤に血走らせ手をワキワキとさせ俺を睨みつけていた

怖いよ、あと恐い

 

 

 マントの男頼むからそのまま抑えつけててくれ

 

 

クリス「それでこっちは【冒険者】の比企谷八幡。目と性格と根性は腐ってるけど一応人間だよ」

 

八幡「ちょっと、自己紹介と見せかけて俺を罵倒するのやめてね?あと一応じゃなくてしっかりとした人間だからね?」

 

クリス「しっかりしてるかは怪しいけどねぇ」

 

八幡「それは、まぁ、否定できねぇ」

 

セナ「出来無いんですか!?」

 

 

まぁ、しっかりしてたら腐ってないだろうし

 

 

 「随分中がいいんだな」

 

 

金髪の騎士がそう訪ねてくる

 

 

クリス「うん。最近固定パーティーを組んだんだ。セナとは仲良しなんだよ!」

 

八幡「遠巻きに俺をハブるのやめてね?」

 

 「ついにクリスも固定パーティか。」

 

クリス「うん、色々とあってね」

 

 

何やらクリスと女騎士が話し始めた

そして女騎士の後ろにいたマントの男が俺に近づいてくる

 

 

カズマ「俺は佐藤和真よろしくな!」

 

八幡「お、おう」

 

 

 ガシッ!

 

 

急に肩を組まれ他の奴らに背を向けさせられた

 

なにコイツ!?海老名さんの手の物なの?ソッチ系なの!?

 

 

カズマ「お前ももしかしなくても日本人だよな?」

 

八幡「ま、まぁ」

 

 

どうやら他の奴らには聞かれたく無いらしい

佐藤に合わせて俺も声のボリュームを落とす

 

 

カズマ「じゃぁハチマンも女神にそそのかされて来たんだよな?転生特典は何にしたんだ?」

 

 

ふむ、クリスの事を言ってもいいのか・・・

一応クリスは自分がエリスだと言うのは内緒にしている見たいだし黙っておこうか

 

 

八幡「い、いや。大した物はなかったぞ」

 

カズマ「そうなのか?うーん。俺がアクアを連れて行ったから何か変わったのか?それとも・・・」

 

 

何か知らんが悩んでいる

 

 

カズマ「まぁ、いいか。とりあえず同じ日本から来た物同士よろしくな!」

 

八幡「お、オーケー」

 

 

何故か英語で返してしまった

やはり初対面の奴と喋るのは疲れる

何とか無難にやり過ごし佐藤は自分のパーティーに戻った

 

 

クリス「・・・・・・」

 

八幡「うおっ!びっくりした。何?なんかよう?」

 

 

隣を見ると女騎士との話を終えたのかクリスが俺を白い目で見ていた

 

 

クリス「アタシってハチマンにとったら大した物じゃ無いんだ」

 

八幡「聞いてたのかよ。」

 

クリス「女神だからね!地上では少し力は劣るから全ての人の懺悔を聞く事は出来なくてもあれくらいの距離なら余裕で聞こえるよ!それより大した物じゃないってどう言う事!!」

 

八幡「いや、あれはお前の事を話さないようにだな・・」

 

クリス「あれだけ色々教えたのに・・」

 

 

 確かに色々助かっている

 

 

クリス「借金だって肩代わりしてるのに・・」

 

 

 いつかは返さないといけないな

 

 

クリス「胸だって触ったのに・・」

 

 

 おい!まて!

 

 

八幡「触って無いから。俺が触ったのはパッ・・」

 

クリス「なぁに?ハチマン?」

 

八幡「いや、何でも無いです」

 

 

その笑いながら怒るのやめて?超怖いから

 

 

 「2人はすごく仲が良いんだな。」

 

 

俺達の話を聞いていたのか今度は金髪の女騎士が俺達に近づく

 

 

ダクネス「私も自己紹介をしよう。私はダクネス。クリスの親友で【クルセイダー】をしている」

 

 

ふむ。どこかで聞いた気がする

クリスの友人 【クルセイダー】 女の子・・・

 

ああ!

 

 

八幡「不器用で攻撃の当たらない【クルセイダー】か・・・」

 

ダクネス「にゅぅぅぅう//」

 

 

 へっ?

 

 

なぜ?この人は顔を赤らめてるの?

 

 

ダクネス「カズマ、カズマ。」

 

カズマ「はい。カズマです。」

 

ダクネス「すごいぞ//コイツは!初対面で人のツボを的確についてくる!」

 

 

なんかこの人喜んでる?

 

 

ダクネス「しかも、見てみろアイツのあの目を!カズマの卑猥な目とは違う。絡みつくようなそれでいて蔑むような腐った目だ//」

 

カズマ「おい!コラ!変態騎士!!俺の目線は今は関係無いだろう!!」

 

ダクネス「あぁん//流石カズマだ!!ここで追い打ちとは//」

 

 

えー。何この人

 

 

ダクネス「さぁ!ハチマンと言ったな!!もっとその目で見下しながら私に思っている事を言ってみろ!!」

 

 

怖い。恐いよこの人

 

 

ダクネス「あぁ//いい//その汚いものを見るような目!!」

 

カズマ「ハチマン。こいつの事は気にしないでくれ。コイツは嬲られるのが大好きな変態クルセイダーだから。華麗にスルーしてやってくれ」

 

八幡「お、おう。」

 

ダクネス「ああ//その目で放置プレイされるのもまたいい//」

 

カズマ「おい!ダクネス!いい加減にしろ!ハチマンが引いてるから!おい、アクア次はお前が自己紹介しろ!俺はちょっとダクネスを黙らせて来るから。」

 

 

ダクネスは結局佐藤に連れられて離れていった

うん。助かった

 

だかその代わりさっきの青髪の女がやってくる

 

 

 「謝んないわよ。」

 

 

開口1発がこれである

 

 

 「こう言う言葉があるわ【疑わしきは罰せよ】と。疑わしい目をしてるのが悪いのよ!」

 

 

ふむ。どうやらコイツは警戒レベルを最大まで上げる必要があるようだ

俺は挨拶代わりにコイツを威嚇する事にした

 

 

八幡「ガルルルルルルゥゥウ」

 

 「何よ!その態度はいいわそっちがその気なら受けて立とうじゃない!今度こそ滅してやるわこのアンデットもどき!」

 

 

再び青髪女の手が神々しくひかりだす

 

 

八幡「キャウン」

 

 

一瞬で威嚇を撤回する

てか俺の周りの女子は雪ノ下といい平塚先生といいクリスといい気の強いやつが多くないか?

 

 

クリス「まぁまぁ、アクアさん。落ち着いて。ハチマン紹介するね?この人が前に話したアクアさんだよ。【アークプリースト】をしてるんだ」

 

 

まぁ、さっき自分で女神とか言ってたから気づいてはいたがコイツがクリスの先輩の女神らしい

 

 

クリス「ハチマンごめんね?アクアさんも少し意固地になってるだけだから。気にしないでね?さぁアクアさん、ちょっとアタシに着いてきてください。話したいことがあるから」

 

アクア「ちょっ!クリス!急に押してどうしたのよ!ちょっとー」

 

 

クリスは俺の耳元でつぶやくとアクアを連れてどこかに行ってしまった

そういえばクリスがここに来た目的の一つが先輩女神の魔王討伐の再即が目的の1つだったな

もしかしたらその話をしに行っているのかもしれん

 

 

 「最後は私ですね」

 

 

眼帯とマントを付けた日本にいたら絶対痛い子が最後に俺の前に立った

 

 

 「それでは高らかに名乗らせて貰いましょう。我が名はめぐみん!【アークウィザード】を生業とし、最強の攻撃魔法【爆裂魔法】を操る者!」

 

 

「バサリ」とマントを翻す音だけがこだまする

 

あー、見た目だけじゃなく中身も痛い子だったー

 

 

八幡「何これ?」

 

セナ「彼女はめぐみんさん。高い知力と魔力を持った【紅魔族】と言う種族です。」

 

カズマ「言動と名前に関しては気にしないでくれ・・・【紅魔族】はこれがデフォだから・・」

 

 

マジか・・・

つまり一族まとめて中二病・・・

 

 

めぐみん「おい!私の名前について言いたいことがあるなら聞こうじゃないか!」

 

 

あっ、良かった。普段から「我」とか言ってるんじゃないんですね

そのまま放っといたらトレンチコートを着て眼鏡を付けて剣豪将軍とか名乗るはめになってたかもしれん

素が出せるならまだマシか・・・・

 

 

というか、キャラ濃いなー

正直ダクネスが来た時点でお腹いっぱいだったのに・・

胃もたれしそうだ・・・・

 

 

カズマ「そういえば、話しかける前になんか深刻そうな顔をしてたけど、3人はこれから高難度のクエストでも受けるのか?」

 

 

俺がキャラの濃さに酔って落ち着けるために深呼吸していると佐藤がそんな事を聞いてきた

 

 

クリス「いや、違うんだよ。それが・・・」

 

 

いつの前にか帰ってきていたクリスの言葉でようやくテーブルの上に置かれた指輪に焦点が置かれた

 

 

めぐみん「何ですか!これは!紅魔の血が滾るようなデザイン!かっこいいです!!」

 

 

ああ、うん。こう言うのが欲しいならサービスエリアとかに行ったら?

結構売ってるよ?

 

 

めぐみん「あの!これ!付けてもいいですか!?」

 

カズマ「おい!あきらかに呪われてそうだろ!やめとけ!危険だ!」

 

クリス「まぁ、まだ未鑑定だから否定はできないね」

 

 

まぁ、何かあればそれだけ売れる可能性があるって事だからいいと言えばいいんだが

流石に身に着ける勇気はない

 

 

アクア「あら、別に呪わてないわよ。」

 

セナ「分かるのですか?」

 

アクア「この私を誰だと思っているのよ!水の女神にして【アークプリースト】よ!呪いや怨念的なものはないわ!」

 

めぐみん「女神うんぬんのぐだりは気にしないで下さい。そう思い込んでいるだけなので」

 

 

どうやら、この女神は自分が女神だと信じて貰えてないらしい

まぁ、いきなり目の前に神がいますと言われて信用する方もおかしいか・・・

もしかしたらクリスももしセナに正体を明かしても信じて貰えないかもな

 

 

アクア「でも変な魔力を感じるわね。」

 

八幡「変な魔力?」

 

アクア「ええ、すごく禍々しいような、邪悪な魔力・・・それもかなりの量が注ぎ込まれているわ」

 

カズマ「おいおい。それって大丈夫なのか!?」

 

アクア「うーん、そうねー。分かんないからカズマ着けてみなさい!」

 

 

 おいおい

 

 

カズマ「はぁ!嫌だよ、そんなの」

 

アクア「大丈夫よ!何かあっても私が治してあげるし、呪われたら浄化してあげるわ!最悪死んでも【リザレクション】かけてあげるわよ!」

 

カズマ「イヤだわっ!てか、お前呪いはないって言ったよな!なんでシレッと呪われる前提なんだよ!」

 

アクア「うーん。ちょっとよく分かんないのよねー。呪われて無いような感じだけどこの禍々しい魔力は呪われててもおかしくないような・・・だから実際どうなのか確認をするのよ!この私を欺く正体も知りたいし」

 

カズマ「余計嫌だわ!」

 

 

よほどダメなのが分かったのかアクアは今度は体を捻らせ別のターゲットを探しだした

 

 

アクア「じゃぁ、めぐみん。さっき着けたいって言ってたわよね?」

 

めぐみん「いやですよ!流石に呪われてるかも知れないものを身に着ける気はありません!私じゃなくてそうですね・・・・」

 

 

ここでめぐみんが佐藤達とは違う方向を向きだす

他の奴らもつられて目線が動く

そして数秒見たと思うとすぐに佐藤達の方に視線を戻した

 

 

 「ちょっと!めぐみん!今完全に目があったよね!どうして無視するの!!」

 

 

現れたのはめぐみんと同じマントを着けた女の子

だがめぐみんと違ってデカイ・・・色々と・・

 

 

めぐみん「?どちら様ですか?いきなりなんですか?」

 

 

わりと棒読みで言い放つ

 

 

ゆんゆん「私よ!私!あなたの永遠のライバルゆんゆんよ!」

 

めぐみん「にゅんにゅん?知りませんね」

 

 

そんなとても白々しい言葉

明らかにわざとおびき出したようだ

 

 

ゆんゆん「本当は分かってるんでしょ!どうして意地悪するの!」

 

めぐみん「意地悪ではありません。本当に知らないのです。」

 

ゆんゆん「そんな!もしかして記憶喪失!」

 

 

ゆんゆんとやらが動揺している中めぐみんだけはマイペースに話を進めていく

 

 

めぐみん「それより、一応知り合ったと言う事で貴方にも紹介しておきましょう。こちらのクリスは知っていますね?この2人はクリスのパーティーメンバーのハチマンとセナです。」

 

 

いきなり紹介されてとりあえず会釈

相手もつられるように会釈するが何かを気づいたようでめぐみんに詰め寄った

 

 

ゆんゆん「ってやっぱり私の事覚えてるじゃない!」

 

めぐみん「さて、なんの事でしょう。それより私も紹介したんです。貴方も自己紹介をするべきなのでは無いのですか?」

 

ゆんゆん「え!紹介ならさっき名乗って・・・」

 

めぐみん「あんな物【紅魔族】の名乗りでは無いでしょう!さぁ貴方も【紅魔族】としてしっかり自己紹介するのです!」

 

ゆんゆん「め、めぐみん!あなた私をおちょくってるでしょ!は、恥ずかしいよぉ」

 

めぐみん「何を恥ずかしがっているのですか!初対面の人に自己紹介もしないなんて非常識にも程があります!」

 

ゆんゆん「う、わ、分かったわよ!」

 

 

目を瞑り胸に手を当てながらよくわかる呼吸音を発する

なのに顔はだんだんと赤くなり深呼吸の意味など全くない

 

そして意を決したのか目を見開き自分のマントを「バサリ」と翻した

 

 

ゆんゆん「我が名はゆんゆん!【アークウィザード】にして【上級魔法】を操る者!やがては【紅魔族】の長となる者!」

 

めぐみん「と、まぁ、彼女はゆんゆん。私の自称ライバルで自分の名前と【紅魔族】伝統の名乗りを恥ずかしがる変わり者です。」

 

ゆんゆん「だって恥ずかしいんだもん!しょうがないでしょ!というか、やっぱり私の事覚えてるじゃない!」

 

 

ふむ。感性的にはゆんゆんの方がまともらしい

【紅魔族】が全員中二病では無いことが分かって安心する

 

 

クリス「というか、2人とも意外と普通だね?大体の人は名前と言動でかなり引く人多いのに。ハチマンも言動には引いてたけど名前はわりと流してたし・・」

 

セナ「私は【紅魔族】の生態については多少知っているので・・・」

 

八幡「まぁ、感性がおかしい奴なんて結構いるからな。人のことを【ゆきのん】って言ったり【ヒッキー】って呼んだり。自分の事を【剣豪将軍】なんて言ってる奴もいたな、後は俺の事を【ヒキニートくん】って言ったり【ヒキガエル君】って言ったり・・」

 

クリス「いや、それ絶対バカにされてるよね!いじめられてるよ!大丈夫!?」

 

八幡「あいつはアレでコミュニケーションなんだよ。だから別に気にしてない」

 

 

今にして思えば雪ノ下のアレは気にすることでもない

むしろ俺もあのやり取りを嫌いでは無かったし

アレでちゃんと会話はできてたしな

 

 

クリス・セナ「「・・・・・・・・・・。」」

 

八幡「な、なんだよ!」

 

クリス「いや、ハチマンでもそんな顔するんだね。なんか意外」

 

セナ「私はハチマンさんとの付き合いは短いですがそんな穏やかな顔、初めて見ました」

 

クリス「いつもその顔でいたら?感じいいよ!」

 

セナ「そうですね。目さえ見なければ顔のパーツは悪くないのですからその方が良いかもしれませんね。」

 

八幡「ちょっと。それって目を見ちゃうと顔が悪いって言ってない?バイザー付きの兜でも被ればいいの?」

 

 

セナは最近俺に対して強く言うようになった

クリスの悪態癖が移ってない?

君達仲いいもんね

 

 

とまぁ、俺達がこんな会話をしている中アチラでも話が進んでいるようで・・・

 

 

ゆんゆん「さぁ、めぐみん今日こそ勝負よ!」

 

めぐみん「そんなことよりゆんゆん。」

 

ゆんゆん「そんなこと!?今私との勝負をそんなことって言った!?」

 

めぐみん「五月蝿いですねぇ。それよりこれを見てどう思いますか?」

 

 

そう言って見せたのは俺が持ってきた指輪

 

 

ゆんゆん「え?いきなり何?えーと、コレ?うーん。カッコいいと思うけどどうしたの?」

 

 

おいおい。カッコいいと思っちゃうのかよ

結局ゆんゆんも紅魔の感性の持ち主だったか・・・

 

 

めぐみん「それは良かったです。着けてみますか?」

 

ゆんゆん「えっ!!いいのっ!!」

 

八幡「おいおい、呪われてるかも知れないものを押し付けるな」

 

 

うっかり呪われてでもしたら困る

一応この指輪を持ってきたのは俺だし

 

 

ゆんゆん「えっ!呪われてるの!!嫌だよ!こんなの着けたくないよ!」

 

アクア「大丈夫よ!呪われても私が何とかしてあげるわ!!だから安心して着けなさい!!」

 

ゆんゆん「ア、アクアさん!?ちょっ、やめてください。やめて!無理やり着けようとしないで下さいっ!!」

 

 

アクア無理やりでも着けさせようと指輪をゆんゆんに押し付ける

 

流石にまずい

 

 

八幡「アンタ!いい加減にしろ」

 

カズマ「おい!駄女神!やめろ!」

 

 

何とかして止めようと俺と佐藤が同時に止めにかかる

 

2人は倒れこむように地面に着く

 

 

「「「「「「「「あっ・・・」」」」」」」」

 

 

今一歩遅かった

ゆんゆんの薬指にはキラキラと輝く骸の指輪

 

 

クリス「えーと、ゆんゆん大丈夫?」

 

ダクネス「な、何か異常はないか?」

 

 

とりあえずの体調確認を両パーティーの姉御キャラ達が先んじてしてくれる

こういう時冷静な奴がいると助かる

 

 

ゆんゆん「は、はい。多分大丈夫だと思います。」

 

 

とりあえず一安心なのか?

 

 

めぐみん「ただのコケオドシですか。面白く無いですね」

 

アクア「おっかしいわねー。確かに禍々しい魔力を感じたんだけど・・・」

 

 

このお調子者どもめ

 

 

セナ「ですが念の為お医者様に行かれた方が良いかもしれませんね。」

 

八幡「まぁ、そうだな。問題を持ち込んだのは俺だし医者代は俺が出すわ」

 

 

また、金がかかるが人の命には変えられない

 

 

カズマ「いや、原因はアクアとめぐみんだ。2人に払わせるからハチマンは気にしなくていい」

 

アクア「ちょっと!何にも無かったんだからいいじゃない!」

 

めぐみん「そ、そうですよ!」

 

 

ガミガミと口論が続く中一応もう一度確認をとる

 

 

八幡「本当に大丈夫か?」

 

ゆんゆん「は、はい。大丈夫です、心配かけてすいません。 よいっしょっ」

 

 

ゆんゆんは立ち上がろうと力を込めた

 

だか・・・

 

 

ゆんゆん「あれ?」

 

 

ゆんゆんの体は吸い込まれるように地面に戻された

 

 

ん?

 

 

ゆんゆん「ち、力が入らないです...」

 

 

へ?

 

 

ゆんゆん「れ、レベルが!私のレベルが少しずつ減っていってます!」

 

 

ほ?

 

 

ゆんゆん「ま、魔法やスキルが一切使えなくなってます!!」

 

 

う?

 

 

ゆんゆん「しかもこの指輪・・外れないです!」

 

 

な・・・なんだと・・

 

 

そしてものの数分でゆんゆんの冒険者カードは初期の状態に戻ってしまった・・・

 

 

カズマ「こんっっのっ駄女神がぁぁあああ!!」

 

 

ゴンっ!!

 

 

本日2度目の叫びがギルド内にこだました




クリスもセナも2話編成だったのでゆんゆん編も2話編成

ちょっと自己紹介タイムに使いすぎた気がする・・・
すまねぇ


次回でゆんゆん編終了の予定です。

それでは次回!!


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こうして1パーティーが揃う

ゆんゆん編その2

バニルのキャラちょと変かもしれん
材木座より簡単だろとか思ってたら意外とむずかった


 「ふむ。レベル、ステータスリセット、魔法・スキルの使用不可・・・・」

 

 

ここは【ウィズ魔道具店】

ゆんゆんのステータスがリセットされた為佐藤達の提案でここに来ることになった

 

なんでもここには貧乏な店主が使えないアイテムを売っているお店らしい

こんな所に何故?と最初は思ったが目的はこの店の稼ぎ頭のこの仮面の男である

 

 

 「うむ。間違いなく悪魔の仕業であるな。」

 

 

男の名前はバニル

元魔王軍の幹部で今は【カラススレイヤー】と言う異名で近所の奥様方に親しまれているらしい

 

 

セナ「・・・・・・・・・・」

 

 

魔王軍幹部がいる事を知ったセナは珍しく機嫌が悪い

 

なんでもこのバニルという男は1度佐藤達パーティーに倒されたらしい

だが何とか生き残り今はこの店でアルバイトをして生計を立てているらしい

 

 

最初はもう1度バニルを倒そうとしたセナだったがゆんゆんを助ける為にはコイツの存在が必要な為堪えている

因みに1度倒された為既に魔王軍幹部では無いらい

その為魔王軍幹部の仕事である魔王城の結界の管理もしていないらしい

 

セナは今は昔と違い検察官ではなく権限が無いのと佐藤達一行の説得によりとりあえずは討伐や捕縛はしない方向で行くようだ

 

 

カズマ「バニル、どうだ?何か分かったか?」

 

バニル「【見通す悪魔】に見えぬ物などないわ。だがしかしだ小僧、勿論吾輩に依頼するのだから報酬は払ってもらうぞ?」

 

 

この男は自称【見通す悪魔】らしく

どんな物でも見通すらしい

その見通す力を使ってこの指輪の正体を知るつもりだ

 

 

カズマ「ああ、分かってる。おい!アクア、めぐみん。今回はお前ら持ちで支払って貰うからな!」

 

アクア「そんなぁ!カズマさん!私この前酒代に目一杯使っちゃったわよ!」

 

めぐみん「私も困りますね。私は【デストロイヤー】の報酬を貰って無いので・・・」

 

ダクネス「因みにいくらなのだ?」

 

 

その言葉を聞きバニルは紙にペンを走らせ何やら計算をしていく

 

 

バニル「しめてこれぐらいであるな」

 

カズマ「高っ!!」

 

アクア「む、無理よ!こんなの!払えないわ!」

 

めぐみん「そ、そうですよ!ボッタクリではないですか!?」

 

 

値段はここからだと見えないが高いらしい

 

 

バニル「これはかなり高度な術式で組まれた悪魔の道具。同じ悪魔の吾輩でなければ見破れん」

 

 

だから値段が高いのか・・・

 

 

ゆんゆん「あ、あの皆さんに払って頂かなくても・・・」

 

カズマ「それじゃあゆんゆんはこの値段を払えるのか?」

 

 

佐藤はバニルの紙をゆんゆんにみせる

すると瞬く間にゆんゆんの顔が真っ青になった

 

 

ゆんゆん「む、無理ですこんな値段!!」

 

カズマ「だろ?だから俺達に任せとけって」

 

八幡「俺も出すぞ」

 

 

一応原因を持ってきたのは俺だしな

 

 

カズマ「いや、いいよ。今回はこの2人が暴走したのがいけないんだし。金は俺達で持つよ」

 

 

その申し出は助かるがいいのだろうか?

 

 

バニル「それで、金の算段は付いたという事で良いのだな?ならこの指輪について説明をするぞ」

 

 「あっ、長くなるようでしたらお茶を用意したので良かったら飲みながらでも・・・・」

 

 

カチャカチャと食器の音を立ててやってきたのは紫のローブを羽織った美人の女性

この人はこの店の店主のウィズさん

なんでも使えないアイテムを探しだす天才だとか・・・

 

 

バニル「ポンコツ店主は・・・話の腰を折ってくれる・・・」

 

ウィズ「ちょっ、バニルさん!!殺人光線の構えを取らないで下さい!!」

 

アクア「ちょっと!ウィズ!!このお茶ぬるいんですけどー」

 

カズマ「アクア!お前はちょっと黙ってろ!!」

 

 

おいおい。こんな調子で話が進むのか?

 

 

バニル「話に戻ろう。この世界には時折変な人間が現れる。特殊な名前を持ち成熟しているにも関わらずこの世界について何も知らない。金も装備も持たないくせに何故か1つだけ力のある物を持っていた」

 

 

バニルはチラリと俺と佐藤を見ると次はアクアとクリスを見る

どうやら俺達が異世界から来てクリス達が女神だと言う事を見抜いたらしい

 

これが【見通す悪魔】の力か・・・

 

 

バニル「その力のある物とは、人間達の言う所の神器。人間達は神器の力を持って魔族を蹂躙していった」

 

バニル「この指輪を作ったのはそんな人間に対抗するためにある悪魔がとあるリッチーと共に作ったものだ」

 

ダクネス「悪魔と」

 

めぐみん「リッチー」

 

 

その言葉が気になったのか佐藤達のパーティーはバニルとウィズさんを見る

 

 

ウィズ「べ、別に私達じゃないですよ!!勘違いしないでくさい!!」

 

 

何故かウィズさんが動揺する

 

 

セナ「どうしてウィズさんが慌てるのですか?」

 

ダクネス「ああ、実はウィズは【リッチー】なんだ」

 

カズマ「しかも魔王軍の幹部の一人な」

 

セナ「なっ!魔王軍の幹部がもう一人!!」

 

 

その言葉を聞きセナがレイピアを抜き戦闘の構えをとった

 

 

クリス「ちょっ!セナ落ち着いて!今はそれどころじゃなくてゆんゆんの指輪を取るのが大事でしょ!!」

 

 

まぁ、悪魔のそれも魔王軍の元幹部の奴がこんな店でアルバイトしているから何かあるとは思ったがまさかもう一人幹部がいたとは・・・

 

セナはクリスに抱きつかれ徐々に落ち着きを取り戻していく

本当に君達仲いいね

 

 

バニル「話しを戻すぞ。その悪魔は自分達でも神器を作れないかと知り合いのリッチーに頼ったのだ」

 

バニル「【リッチー】とは魔導を極めた者が自らの力で人の体を捨てて魔族となる。いわば魔導のスペシャリスト」

 

ウィズ「いやぁ、バニルさんに褒められると照れますねぇ」

 

バニル「けして貧乏店主の事ではない!普通の【リッチー】話だ」

 

ウィズ「私も普通の【リッチー】ですよ!!」

 

ゆんゆん「そもそも【リッチー】の普通って・・・・何?」

 

 

そもそも人から魔族になるのが普通なのか?

 

 

バニル「再び話しを戻すぞ。そんなリッチーにとって人口神器の生成は自分の力と経験を試すのには持って来いだった。こうして2人は神器作りを始めたのだ」

 

バニル「そしてかなりの時間を経てこの人口神器は完成した。この人口神器には【対象者のステータスの改竄】と言う効果を持っている」

 

バニル「それを用いて2人は対象者である人間のステータスを下げたり、逆に仲間の魔族のステータスを上げたりをして逆に人間達を蹂躙していったのだ」

 

セナ「待ってください。それを使えば逆にゆんゆんさんをパワーアップする事ができるのではないですか?」

 

 

それはできるのか?

だが何故身に着けたゆんゆんのステータスが勝手に下がるのか・・

バニルの言い方では対象者を選んでいじれると言う捉え方ができる

 

 

バニル「それは、そうだな・・・そこの盗賊娘のパジャマ姿に毎晩悶々としていつも盗賊娘のパジャマの事ばかり考えてる腐った男よ」

 

八幡「いいい、いや、べべべ別に考えてねぇよ!」

 

 

腹が減ったら飯の事を考えるし仕事が終わる頃には頭回ってないし

別にいつもじゃねぇし

 

 

クリス「・・・・・ハチマン」

 

セナ「・・・・・ハチマンさん」

 

 

ちょっと?ひかないで?大体あんな格好をしてる君が悪いのよ?

 

 

 

バニル「何故、人工的神器が作れるのに全然作られてないのかわかるか?」

 

 

確かに、本当に神器が作れるならいろんな奴が作りだす

何なら人間だって同じく作るだろう

 

 

八幡「えーと。時間が足りないとか?」

 

バニル「ふむ、間違いではないな。実際人口的に作るにはかなり時間がかかる。だが違う」

 

 

ふむ。時間では無いとすると後はなんだ?

 

 

バニル「そこの腐った男が悶々としているのを初めは知らなかったが、最近気づき始めてわざと無防備な姿を見せてからかっている女よ。キサマならわかるのでは無いか?」

 

クリス「ちょっ!なんて事言うの!!」

 

 

どうりで最近ベッド代わりの藁の上で足をパタパタさせたり、ただでさえ布面積が少ない服を引っ張りパジャマの内側にうちわで風を送り混んでいたりが多くなったと思っていたら・・

 

 

セナ「まぁまぁクリスさん。今は抑えて抑えて」

 

 

うん。いつの間にか立場が逆転してる

 

 

クリス「うう、セナが言うなら・・まぁ・・。で、人口神器が作られない理由だっけ?そんなの簡単だよ。争いが起きるからだよ」

 

クリス「その神器って2人で使ってたんでしょ?普通神器は1つに付き1人、使用者が決まっていて他の人が使う事ができない。まぁ条件を満たせば使えるのもあるけど・・・基本的に使用者が死んで新しい使用者が決まらないと他の人は使う事ができないんだよ」

 

クリス「だからもし、その神器が使用者を決めなくても使えるなら皆欲しがるよ。そして、神器以外にも作った2人にも当然価値がつく」

 

バニル「うむ、正解だ。想像通り魔族の間で2人と人口神器をめぐって争いが起きた」

 

カズマ「クリス、神器について詳しいな。」

 

クリス「う、うん。アタシ結構神器について調べてるからねぇ」

 

 

少しはぐらかしながら答える

 

 

バニル「そこの【紅魔】の女がステータスの改竄で強くなれるかと言ったな?」

 

バニル「前なら出来たが今はできん。」

 

バニル「人口神器をめぐって争いが起き、製作者2人もついに追い詰められた。そして追い詰められた2人はこの人口神器にある仕掛けをした。」

 

バニル「悪魔は契約の力を使い、この神器を身に着けた者に神器を外させないと言う契約を無理矢理結ばせるまじないをかけ。リッチーは人口神器のプログラムを弄り【この神器を身に着けた者のステータスをリセット及び魔法・スキルの使用不可】と言う内容に変えた」

 

カズマ「結局、この指輪は外せないのか?」

 

バニル「いや、プログラムを弄った道筋を辿ればプログラムを弄ることができる。契約の方も契約の上書きをすればよい。そして、ここにはそれができる力を持つリッチーと悪魔がいる」

 

バニル「しかも貴様は運がいい。この指輪を身に着けたのが頭はおかしいが高い魔力コントロールをもつ【紅魔族】なら指輪の内側から弄ることもできる。」

 

めぐみん「頭がおかしいは余計です!!」

 

ゆんゆん「めぐみんはともかく私は普通です!!」

 

めぐみん「私はともかくって何ですか!!」

 

 

君達いちいちいがみ合わないといけないの?

そう言う決まりなの?

 

 

カズマ「よし。それじゃぁ頼む。金は俺達が何とかする」

 

バニル「少し道具が必要だからそれを集めるのを手伝ってくれれば値段を下げよう」

 

バニル「後はそこの娘のレベルを上げておく事を推奨する。魔力量を底上げしておけばプログラムの変更に役に立つ」

 

クリス「それじゃゆんゆんのレベル上げはアタシたちに任せて!」

 

ゆんゆん「そんな!ご迷惑になるんじゃ・・・」

 

セナ「そんな事無いですよ。一緒に頑張りましょう」

 

 

こうしてふた手に別れてゆんゆんの指輪の解除作業が行われた

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

ここはいつも通り露店街

うん、なんだろうね。新しく人が来たらここに来るのが決まりなの?

 

ここに来た理由は簡単だ

現在ゆんゆんは魔法を使う事ができない

それは【アークウィザード】にとっては攻撃手段を削がれたという事になる

 

攻撃できないと敵を倒して経験値を得ることはできない

 

だから俺達はゆんゆんの新たな戦闘手段になる武器を買いに来た

 

後はステータスがリセットされた為身を守る防具も買いに来た

今日は装備を整え明日狩りを行いレベルを上げる予定だ

 

 

クリス「さぁ、ゆんゆん。どの武器にする?支払いは全部ハチマンが持ってくれるから安心してね。」

 

八幡「ちょっと?何で君が決めるの?まぁいいけどね?最初からそのつもりだったし」

 

ゆんゆん「そんな!悪いですよ!」

 

セナ「気にしないで下さい。元々こちら側が原因を持ってきてゆんゆんさんは巻き込まれただけなので・・・」

 

セナ「それからハチマンさんも1人で背負わないで下さい。私も一部払いますから」

 

クリス「まぁ、冗談は置いといてアタシも出すよ。パーティーの問題は皆で解決しないとね。」

 

八幡「いや、いい。元々原因は俺一人だし俺が..ムグっ!」

 

 

喋っている最中にクリスの手によって阻まれる

口に柔らかな感触がするそしてややいい匂いも・・・

 

 

クリス「ハチマン!それ以上言うと怒るよ!前に言ったよね?1人で抱え込まないでって!」

 

 

 「1人で何でもしないでください!私をどうか頼って下さい!」

 

 

これは前に泣きそうな顔で言われた言葉だ

 

 

八幡「・・・・分かった。だが半分は俺が出す、残りの半分を2人で頼む」

 

 

まぁ、また泣かれても困るからな

 

 

クリス・セナ「「うん!(はい!)」」

 

 

横から視線を感じる

ゆんゆんが羨ましそうな顔で見ていた

 

 

ゆんゆん「仲間っていいなぁ」

 

 

ボソリとつぶやいた言葉だった

だがそういった言葉を聞き逃したりはしないのがコイツだろう

 

 

クリス「ゆんゆんは仲間が欲しいの?」

 

ゆんゆん「えっ!き、聞こえてましたか!?」

 

クリス「アタシは盗賊だから耳はいいんだよ!で、どうなの?」

 

 

流石に俺に話した女神の力云々の理由は言わずにゆんゆんに詰め寄る

 

 

ゆんゆん「そ、その私昔から友達がいなくて、誕生日会とかも1人でしてましたし・・学生時代にふにふらさんとどどんこさんという方々と友達になったんですけど、あまり友達らしいことをしてなくて・・・2人ともお金がないと私を遊びに誘ってくれませんし」

 

 

おいおい、また凄い名前が出たな

てか、お金ないと誘ってくれないって・・・それって・・

 

 

クリス「大丈夫だよ!今は私達は皆で協力して物事を解決する中間だよ!」

 

セナ「そうです!それに友達が少ないのであればこれから作ればいいんです!」

 

クリス「そうそう、それに友達がいるんなら凄いことだよ!ハチマンなんて完全にボッチで友達なんて1人もいないんだよ?」

 

八幡「おい!まて!そもそもボッチが悪いという考えが既に同調圧力になって差別的な意味合いにだな・・・」

 

クリス「あー、はいはい。そう言う御託はいいからいいから。それよりゆんゆん!早く決めちゃおうよ」

 

セナ「これなんてどうですか?」

 

ゆんゆん「わわわわっえ、えーと、ど、どれがいいんですか?私あんまり分かんなくて・・・」

 

 

もう、俺の話なんて聞いてないのね

まぁ、いいけどね

 

それにクリスのおかげで雰囲気が良くなった

この辺のさりげない気遣いができるのは流石としか言いようがない

 

案外、毎回露店街に来るのはマイナス思考になってもすぐに誤魔化せるからかもしれない

 

・・・いや、考えすぎだな

 

 

クリス「ほら、ハチマン!今回はしっかり服選びに付き合って貰うからね!」

 

八幡「・・わかったよ」

 

 

まぁ、今は俺もこの楽しそうな雰囲気に流されるのも悪くないかもな・・・

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

そして翌日

今日からモンスター討伐をしてゆんゆんのレベルを上げる予定だ

 

バニル曰く【紅魔族】は元々の魔力値が高くレベルアップによる魔力上昇値も高いためそこまで気張ってレベルを上げる必要はないらしい

 

とりあえず経験値が多めのモンスターを狩る予定だ

 

 

ルナ「あら、今日もクエストですか?精が出ますね。」

 

八幡「いえ、今日はクエストを受けずにモンスター狩りをしに来たんですけど・・・」

 

ルナ「クエストをお受けしないのですか?」

 

クリス「実は・・・」

 

 

とりあえず受付の人に事情を話して経験値の多いモンスターの情報とかが貰えればいいんだが

 

 

ルナ「そう言う事でしたら1つ頼まれ事を引き受けてくれませんか?」

 

セナ「頼まれ事ですか?」

 

ルナ「実はとある3人組のパーティーが最近発見された洞窟の【コボルド】の群れ討伐のクエストを受けまして。3日前から戻ってこないんです」

 

クリス「・・・3日」

 

八幡「ヤバイのか?」

 

セナ「【コボルド】はあまり強いモンスターでは無いのでそんな奴らに3日かかっているって事は・・・」

 

クリス「【コボルド】の群れが大きすぎて時間がかかっているか、他のモンスターが傭兵代わりに群れを守っているか、あるいはもう・・・」

 

 

どれが来てもヤバそうだが

3番目だけは合ってほしくないな

 

ルナ「ですので確認をしに行って貰ってもいいですか?【コボルド】なら群れで行動してるのでそこそこの経験値になりますし、もし無理そうなら逃げてもらっても構いませんので・・・・」

 

 

無慈悲な判断だが受付のお姉さんは淡々と答える

いや、唇は血が出るんじゃないかと言うほど端を噛んでいるし手は強く握り震えている

本当は自分で助けに行きたいぐらいなんだろうが受付嬢にはそんな力はない

1番辛いのはこの人だろう

 

 

八幡「ゆんゆん、それでもいいか?」

 

ゆんゆん「はい!勿論です、寧ろ早く行きましょう!!」

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

ゆんゆん「えいっ!」

 

 

力強い掛け声と共に白銀の刃が振り下ろされる

だがそれを赤土色をした巨大なトカゲが体をくねらせ避ける

 

 

セナ「【シール】。テヤぁ!」

 

 

避けた【オオトカゲ】をセナが盾魔法を展開して地面に押し付けるようにして抑えこみ隙を作る

 

 

セナ「ゆんゆんさん!」

 

ゆんゆん「はい!」

 

 

生々しい音と共に振り下ろされたダガーが真っ赤に染まった

 

 

クリス「ハチマン!こっちも!」

 

八幡「ああ」

 

 

俺は両手を前に出し前方のオオトカゲの口元に照準を合わせる

 

 

八幡「【ティンダー】」

 

 

「ボッ」と言う音と共にマッチより少し大きい程度の火がオオトカゲの目の前を占領する

 

オオトカゲは突然の火に本能的な恐怖を感じ慌てて逆方向を向き逃げようとする

 

 

八幡「【ティンダー】」

 

 

もう片方の手でもう一発火を放つ

今度は【オオトカゲ】が向いた先

オオトカゲは再び方向展開しようとするが流石に2回も方向転換する時間はない

 

 

クリス「よっと!」

 

 

すかさずクリスが【投剣】スキルを立ち上げ【オオトカゲ】の腱を切る

 

 

 とんでもない命中精度だな

 

 

ゆんゆん「ハァアっ!」

 

 

トドメはゆんゆんがダガーを振り下ろして終了した

 

 

俺達はコボルド退治に行った冒険者の確認をしに来た

だが途中でモンスターに襲われ今に至る

 

 

クリス「へぇ~【初級魔法】って習得しても使わない人が殆どなのに工夫すればこう言う風に使えるんだね」

 

八幡「まぁ、生き物ってのは火を嫌うものだからな。それにどれだけ小さな火だろうが目の前に現れれば恐怖を感じる」

 

 

今日の朝出発する際に佐藤が【初級魔法】のスキルを教えてくれた

 

 

カズマ「お前も【冒険者】なんだろ?だったら【初級魔法】は便利だぜ。組み合わせれば色々できるし。俺達のせいでこんな事しないといけなくなったしな、コレを使って少しは狩りに役立ててくれよ」

 

 

と言う事らしい

 

教えてくれたのは

 

火の魔法の【ティンダー】

 

水の魔法の【クリエイト・ウォーター】

 

土の魔法の【クリエイト・アース】

 

風の魔法の【ウインドブレス】

 

氷の魔法の【フリーズ】

 

の5つの魔法を使えることができる【初級魔法】のスキルである

 

【初級魔法】は消費魔力が少ない為非常にとりまわしがよく扱いやすい

俺の今まで唯一使えていた魔法の【バインド】は消費魔力が多くレベルが上がり魔力の上がった今の状態で1日に3回しか打てない

3回使って少し魔力が残る程度だ

 

だから連発できるのは非常にありがたい

まぁ威力が低いのが難点だがサポート程度に思っていれば問題はあまり無い

 

 

ゆんゆん「ふぅ。」

 

セナ「ゆんゆんさん、大丈夫ですか?」

 

ゆんゆん「あ、はい。何とか・・・」

 

クリス「レベルの方はどう?」

 

ゆんゆん「はい!また、1つ上がりました!」

 

 

ゆんゆんの方も順調らしくここまで来る間に3つほどレベルを上げていた

 

 

ゆんゆん「でもレベルを上げてスキルポイントを割り振っても魔法は全然使えないです」

 

 

まぁ、そういう効果の指輪だしな

 

 

ゆんゆん「それにしても前衛職の人って凄いですね。正直私にはシンドイです」

 

 

まぁ元が魔法職だしな

ここまで来るのにゆんゆんだけ少し息を切らしていた

 

まぁ、それもそうだろう昨日まではもう少し緩い格好をしていたが今はダガーで近接戦をしないといけない為服装がだいぶ変わっている

 

革の胸当てに革の肩パット

肘や膝にも革が当てられており見た目だけなら盗賊にも見える

だが何故かローブだけは昨日同様身につけておりそれがミスマッチだ

それと

 

 

八幡「そのタイツが重いんじゃ無いか?」

 

 

ゆんゆんはセナやクリス同様金属が所々配置されたタイツを履いていた

他の装備が全部革装備に対しコレだけ金属装備である

正直コレが1番重そうだ

 

 

クリス「キミ、普段あんまりそう言うの気にしない風にしてるのに意外と気づくよね。前も気づいてくれたし」

 

ゆんゆん「・・・・・・・」

 

 

だから別に服装変わったの気づいてますアピールじゃないからね?

ゆんゆんも顔を赤くしないで照れちゃうから!

 

 

クリス「まぁ、いいや。コレでゆんゆんもアタシ達とお揃いだね!」

 

 

そう、クリスは前の【新じゃが】のクエストからセナとお揃いのタイツを身に着け始めた

べ、別に足を隠し始めて残念とか思ってねぇからな!

 

 

ゆんゆん「お揃い・・・それって友達見たい///えへへ//」

 

 

ゆんゆんもそのタイツを気に入っているようで良かったんだが重くない?

大丈夫?

 

 

セナ「まぁ、レベルが上がれば筋力値も上がるので大丈夫かと・・」

 

 

一応俺の問に対して仕事モードのセナが答えてくれた

まぁ、今は普段使ってた攻撃手段が使えない分身を守るすべが必要か・・

 

 

クリス「それより、そろそろ休憩にしない?そこに丁度いい木陰がある事だし」

 

 

そう言ってクリスは1本の大木を指差す

その木は風通し良さそうな丘の上に根を貼っており非常に涼しそうだ

 

 

クリス「ね?ハチマン良いでしょ?」

 

 

クリスが珍しく甘えた声を出す

 

 

 何?急に?

 

 

正直普段と違う態度に少し気味が悪い

 

と、思ってたがクリスはチラチラとゆんゆん方を見ている

どうやらゆんゆんの息切れはクリスも気にしていたようだ

 

こういう気遣いができるのが彼女のいい所だろう

俺もセナも彼女のこういった所に助けられている

 

 

セナ「そうですね。周りに敵の気配はありませんし、足跡も無いので巣が近い訳でも無さそうなのでいいと思います」

 

 

対するセナは俺達よりも豊富な経験がパーティーを支えていた

俺達よりも年上でかつ冒険者歴も長いため、彼女の冒険者カードには記載されていない経験者のスキルというのが存在する

それは知識だったり技術だったり様々だがかなり助けられているのは確かだった

 

 

クリス「えーとここから先の牧場に行くんだよね?」

 

ゆんゆん「はい!そうです。まずは行方不明のパーティーの人達が受けていた依頼の依頼主にクエストが達成されたのか、それとも達成されずに行方不明になっているのか確かめないとダメですから」

 

セナ「それから実際にコボルドの巣にも行ってみないと行けません。後は周辺の地形の確認もしないと・・・。」

 

 

今後の方針を確認しながら木に背中を預け休憩にする

 

 

ゆんゆん「あ!ハチマンさんもコレをどうぞ!」

 

 

俺も腰を据えようとした時にゆんゆんがおずおずと大きめの布を差し出してくれた

よく見ると3人の下には既長方形の布が敷かれていた

どうやらこの世界でのレジャーシートのようだ

 

 

八幡「準備がいいな」

 

ゆんゆん「そ、その他の人とこうやってお出かけするの夢だったので色々準備してきたんです!」

 

 

俺は逆に他人と出かけるのを嫌うタイプだがこの子はそうではないらしい

むしろ憧れと期待に満ちた目をしていた

 

 

八幡「すまん、借りさせてもらうわ」

 

ゆんゆん「はい!」

 

 

折角なのでゆんゆんに布を借り木の近くに広げ腰を下ろす

そして昨日、露店街で買った黒のレッグポーチから長方形の石を取り出した

 

コレは砥石

つい最近よく剣をメンテナンスに出している店にあまりにも俺がメンテナンスに来すぎているため気を利かせた店主のおっちゃんがくれた物だ

 

そして一緒に【研磨】のスキルも教えて貰った

 

 

非常に情けない理由で貰ったものだが重宝している

俺の腕だとまだまだ剣を連続で運用するのは難しく

【片手剣】スキルと練習のおかげで12匹、13匹程度なら問題ないが使いすぎると血と油で切れ味が落ちる

だがこの【研磨】スキルのおかげで研ぎ直して切れ味を戻し磨き直して血と油を落とすことができる

その為最近は鍛冶屋に通う事がかなり減った

 

まぁそれでも刃が欠けたり剣筋が曲がったりはどうしようも出来ないためちょいちょい通ってはいるが・・・・

 

 

「シャキシャキ」と音を鳴らしながら研ぎ直す中女性陣は何やら騒いでいた

 

 

ゆんゆん「あの、良かったらコレを皆さんで食べてください。」

 

クリス「お弁当!わざわざ作って来てくれたの!?」

 

セナ「凄く綺麗に出来ていますね。本当に貰って良いのですか?」

 

ゆんゆん「はい!どうぞ!食べてください!」

 

 

どうやらゆんゆんがお弁当を作ってきてくれたらしい

道理で大きなリュックを背負ってると思ったら・・・

 

 

クリス「すごく美味しいよ!この唐揚げとか冷めてるのにサクサク!」

 

セナ「お料理上手なんですね?とても美味しいです。」

 

ゆんゆん「その、お友達とピクニックに行くことを想定して【料理】スキルを覚えたんです!まぁ結局そんな機会は無かったけど・・・」

 

 

凄く悲しい事を聞いてしまった・・・

 

 

セナ「あれ?今はスキルは使えないのでは・・・」

 

ゆんゆん「・・はい。スキルが無いのでもしかしたらお口に合わないかもしれませんけど・・・」

 

クリス「スキル無しでこの味!!凄すぎない!?」

 

ゆんゆん「いえ!そんな!私なんか全然・・・」

 

 

3人が盛り上がる中黙々と剣を研いでいく

だが急に物凄い視線を感じた

3人がいつの間にか会話をやめ俺を見ていた

 

 

ゆんゆん「あの!ハチマンさんも良かったら食べてください!」

 

 

 ああ、俺も食べていいのね・・・

 

 

八幡「お、おう。コレが終わったら貰う」

 

 

とりあえずこれを終わらせないと手があかない

俺は早々に終わらせるべくスピードを上げた

だが横に感じる圧力が気になり速度がすぐに戻る

 

 

セナ「ダメです。折角用意して貰ったんですから、すぐに食べて感想を言うべきです!」

 

 

圧力の正体はセナだった

セナは片手にサンドウィッチをもって俺を威圧していた

 

 

八幡「いや、でもコレがまだ少し残ってるし・・・」

 

セナ「それなら・・・」

 

 

はい。どうぞ。とでも言うようにセナが俺の口元にサンドウィッチを突き出す

そして目で「食え」と訴えかけてくる

 

 

正直恥ずかしい

 

 

八幡「い、いやそれなら自分で持つ」

 

 

流石に恥ずかしくなりセナからサンドウィッチを受け取ろうとするがサンドウィッチは俺の手をかいくぐり再び口の前へ

 

 

セナ「そんな汚い手で折角作って貰った物を汚す気ですか?」

 

 

言われてみれば俺の手は砥石の研汁で真っ黒になっていた

 

 

・・・うっ

ゆんゆんも「食べてくれないんですか?」とでも言うような捨てられた子犬見たいな目で見ないで

クリスも「食べてあげなよ」と言うようなヤレヤレ系の目で見ないで

 

 

八幡「わ、・・・・・分かった」

 

 

結局押し切られる形で食べてしまった

恥ずかしい

 

 

ゆんゆん「どうですか?」

 

 

まだこの羞恥の時間は続くようで今度は3人が俺の感想を心待ちにし始める

やめてなんか恥ずかしい!!

 

正直旨い

旨いがこれをこの空気で素直に言うのは恥ずかし過ぎる

 

 

八幡「コレ、作るのに時間かかったのか?」

 

ゆんゆん「へ?は、はい。昨日の夜に仕込んで、今朝出かける時間の2時間前に起きて作りました」

 

クリス「2時間!!すごいね!!」

 

セナ「これは、味わって食べないといけませんね」

 

 

いや、2時間ってすごいな

家なんてたまに弁当が出たと思ったら昨日の夕飯の残りの処理用だぞ?

製作時間30分もかからん

 

 

八幡「まぁ、それだけ時間をかける価値があったんじゃねぇの」

 

ゆんゆん「えーと・・・・褒められてる?」

 

クリス「うん。褒められてるよ」

 

セナ「大絶賛ですね」

 

 

なんか恥ずい

 

 

クリス「と言うかもっと素直になればいいのに、そうすれば彼女も友達もできたかもしれないよ?」

 

八幡「俺はボッチである事に誇りを持っている。それに面倒くさい人間関係はゴメンだ」

 

 

由比ヶ浜とか見てると特にそう思う

 

 

ゆんゆん「・・・・ボッチなのを嫌だとは思わないんですか?」

 

八幡「1人なのは社会的には評価対象だろ。海だって山だって単独で渡ったり登ったりするのが最高のステータスなんだぞ。それ考えたら産まれてから前線でボッチやってる俺とかもはや英雄でしょ」

 

ゆんゆん「なんか、違うような・・・・でも凄いですね。私はボッチなのは悪い事なんだと・・・」

 

八幡「そんなの人それぞれだろ?」

 

 

みんなが集まるから悪いことだってある

1人だから良いことだってある

 

 

八幡「自分には何が合うのか、親友を1人だけ作って孤高に高みへ目指す奴だっている」

 

 

ふと、美しかった氷の女王を思い出す

 

 

八幡「逆にみんなに気を使って上手く立ち回ろうとする奴もいる」

 

 

ふと、優しかったアホの子を思い出す

 

 

八幡「女の友情を捨てて、気の向くままに男との縁に重きを置く奴もいる」

 

 

ふと、あざとかった後輩を思い出す

 

 

八幡「別に友達が多いから良いとか少ないから悪いとかそんな物はただの強迫観念だ。自分らしく振る舞えばいい」

 

 

ボッチは悪い

友達を作らなきゃ

なんてくだらない事を考えて自分らしく居られないのはそれだけ自分の良さが減るということだ

そんなの本末転倒だろ

 

 

クリス「うーん。」

 

セナ「・・・・」

 

 

何故か2人は機嫌が悪そうにしている

クリスなんて分かりやすく頬を膨らませている

 

 

クリス「アタシ達はゆんゆんと友達だと思ってたんだけどなぁ」

 

セナ「そうですね。そう思われて無かったのは少し寂しいです」

 

 

 ああ、そう言うことね

 

 

ゆんゆん「え!友達!?と、友達になってくれるんですか?」

 

クリス「なるんじゃなくてもう既に友達のつもりだったんだけど」

 

セナ「ゆんゆんさんは違うのですか?」

 

ゆんゆん「い、いえ違いません!と、友達です。大親友です!」

 

 

なんか急に飛んでない?

レベルアップ早くない?

 

 

まぁ、3人が仲良くなるのはいい事だろう

こんな風景を眺めながら飯を食うのも悪くない

 

 

 

・・・あ、水の魔法で手を洗えば良かったのか 

 

 




うーん。申し訳ない

本当は2話編成のつもりが説明が長すぎた
ちょっと薄味回かもしれん・・・
申し訳ねえ

まさかの3話目になってしまった。
なので次回ゆんゆん編終了です

それでは以上!


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そうこうしてるうちにボッチに仲間ができる

長すぎたので急遽ゆんゆん編その3

一部ドラマCDのアイテムが出てきます
まぁ、聞いてなくても問題ないけどね。



 「来てくれて助かりました。」

 

 

ここは牧場【コボルド】討伐に行ったパーティーが依頼を受けた依頼主が居る場所である

 

行方不明だと思われていたパーティーは案外すんなりとその牧場にいた

 

だが問題があった

 

 

 「迷惑をかけて済まない。俺がこんな足じゃ動くこともできなくて・・・」

 

セナ「なぜ、その様な事に・・・」

 

 

目の前には【ランサー】の男【アーチャー】の男【プリースト】の女この3人のパーティーがいるのだが、【ランサー】の男は足を包帯でぐるぐる巻に巻かれ木材を使って添え木をし自前の槍を杖代わりに使って移動していた

 

 

 「実はコボルド退治に行ったんだが、コボルドの洞窟の奥に【ワーウルフ】が居たんだよ」

 

 

【ワーウルフ】ファンタジーだとありがちだが巨大な狼の魔物である

 

 

クリス「【コボルド】が傭兵として雇ったのかもね。【コボルド】は繁殖期に入ると子供の安全を守る為に同種のモンスターを傭兵代わりする事があるんだよ」

 

 

 「それで俺がやられちまってな・・・」

 

 「未熟な私では外傷は直せても内側の骨の修復まではできなくて・・・」

 

 

つまりまとめるとこうである

 

牧場主から「最近、牛や豚が【コボルド】に殺されて盗まれる事が増えてきているから助けてくれ」と言う依頼があった

この3人のパーティーはその依頼を解決しようと【コボルド】討伐に向かった

だが【コボルド】の巣には傭兵の【ワーウルフ】がおり前衛の【ランサー】が足を折られてしまった

 

何とか逃げ延びることができたが【プリースト】の【ヒール】では骨の修復まではできなかった

ギルドに報告に行きたいが【ランサー】が居ない今戦闘ができるのが【アーチャー】の彼しかいない

 

ギルドに報告したいが報告に行っている間に牛や豚を襲われたら守る事ができない為報告もせず今に至る

 

 

 「一週間に1回郵便屋さんが来てくれるからのぉ。手紙でギルドに報告をしようと思ったんじゃが・・・」

 

クリス「その前にアタシ達が来ちゃったんだね」

 

八幡「とりあえず、コレで俺達の方は依頼達成な訳だが・・・」

 

 

チラリと牧場主に目を向けた

牧場主は慌てて俺にしがみついてきた

 

 

 「そんな!帰られては困りますじゃ!【コボルドをどう】か退治してくれんかのぉ」

 

セナ「おそらく【コボルド】は【ワーウルフ】を傭兵に雇う条件として食料を貢いでるはずです」

 

クリス「最近牛や豚が襲われる頻度が増えたのはそのせいだね。ここは街の喧騒から外れた山の中、ノンストレスで育てられ栄養満点の山の幸で育ったここの牛や豚のお肉は柔らかくて旨味が強いって有名なんだよ」

 

 

だからこんな外れの方で牧場主やってるのね

 

とりあえず2人はやる気満々なのは分かった

だが問題は・・・

 

 

八幡「ゆんゆん、いけるか?」

 

ゆんゆん「はい!任せてください」

 

 

やる気は十分か

 

 

 「私達も手伝わせて下さい!」

 

 

【プリースト】の少女と【アーチャー】の少年が俺に目を向ける

【ランサー】の男も目は死んではいなかった

 

まぁ、何とかするしかないか・・・・

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

暗闇の中をなるべく音をたてないように注意しながら進む

春終わりのせいかジメジメとした湿気が気持ち悪い

ここは洞窟【コボルド】の巣だと案内された場所だ

 

 

クリス「・・・・・・・・・」

 

 

後ろに視線を感じながらも岩に身を潜めながら進んでいく

 

 

クリス「・・・・・・」

 

 

かなり暗い洞窟だが先程の【アーチャー】に教えて貰った【千里眼】スキルのおかげでこんな暗い道でもすんなりと見る事ができる

 

どれくらい見えるかと言うと後のクリスが俺に近づきかなり至近距離で俺に圧力をかけている事がわかるぐらい見える

いや、このプレッシャーは目が見えなくてもわかるか・・・

 

 

「早く聞け」とクリスのアメジスト色の瞳が訴えかけてくる

 

 

八幡「はぁ。で、何?」

 

クリス「キミってホントにデリカシーが無いね」

 

八幡「そう言う事をズバズバ言っちゃうのもデリカシーが無いんじゃないのか?」

 

クリス「別にキミはこんな事気にしてないでしょ?と言うか、何でアタシが怒ってるか分かってるよね?」

 

八幡「・・・まぁ」

 

 

俺達は【コボルド】討伐をかわりにやる事になった

なので【コボルド】の数や【ワーウルフ】の数

装備や食料などの備蓄の数など色々と情報を知る為に【コボルド】の洞窟へ情報収集をしに来た

 

初めはクリスに教えて貰った気配を消すスキル【潜伏】スキルと今絶賛大活躍中の【千里眼】スキルを持った俺が行くことになった

 

だがクリスも行くと言い出した

何でも地上では女神では無いが一応まだ女神の力が残っているらしく、すべてを見通す事はできなくても暗闇位なら見通せるらしい

なので状態としては【潜伏】と【千里眼】を持っている俺と同じ状態である

 

結局2人で行くことになったのは良かったのだが・・・

 

 

クリス「女の子にあんな物をかけるなんて・・・・」

 

 

【コボルド】や【ワーウルフ】は犬の魔物である

なので嗅覚が強い

俺は匂い消しの為に前に露店街で買っておいた【ニンニクやニラなどの臭いの強い物の臭いを落とすポーション】を使って体臭を落とし情報収集に向かった

 

だがクリスはそれが気に入らなかったらしい

 

 

八幡「しょうが無いだろ?元は口臭を落とす用何だから体臭を落としたかったら体に塗るしかない」

 

クリス「それでも女の子に水を頭からかけるなんて最低だよ。おかげでお気に入りのマントやタイツがびしょ濡れだよ」

 

 

さっきからこの調子である

正直面倒くさい

 

 

クリス「貸1つ」

 

八幡「へ?」

 

クリス「貸1つで許してあげる」

 

 

いや、そもそも俺悪い事してない・・・・

 

 

クリス「なに?なんか文句あるの?」

 

八幡「いえ、ありません」

 

 

NOと言える日本人になりたい

俺はだいたいクリスに押し切られている気がする

 

 

クリス「よし!それじゃ何をお願いしようかなぁー」

 

 

おいおい、一転してすごく嬉しそうな声じゃねぇか

何?さっきの演技?

 

 

八幡「ちょっと君?現金じゃない?そうでもない?」

 

クリス「♪〜♪〜」

 

 

凄くご機嫌だな

何をそんなお願いしたい事があるのか

金は無いって事知ってる筈なんだけどな・・・

 

 

八幡「!!!」

 

 

どうやらお話タイムは終了のようで【敵感知】に反応があった

クリスも当然気づいたようでルンルン気分は既に無く体を岩陰に潜ませた

 

 

ここまでの道はゆるい斜面の一本道の為横穴は無く敵の反応があるという事はそこは【コボルド】達の寝床という事になる

 

チラリと洞窟の奥の開けた場所を覗き込む

 

 

クリス「・・・・・・」

 

 

クリスも一緒に覗き込んでいる為かなり近い

てか、近い。すごく近い

 

俺の顎のすぐ下にクリスの頭がある

なんかいい匂いがする

 

 

八幡「!!!!」

 

クリス「・・・・・・・」

 

 

クリスに頬を引っ張られ意識が戻る

いかんいかん

気を取られてる時間はない

 

俺達は【潜伏】スキルを使い中に入った

 

 

 

中はそこそこ広く

牧場から盗んだと思われる藁や縄を使って作られた家が点在しており1つの集落の様になっていた

 

真ん中には火をいくつか炊きその周りに藁の家

洞窟の壁には石や木でできた武器

そして所々に散らばる【コボルド】達

数は見える範囲は20【敵感知】で覗いた民家の中に何匹か

こっちは【冒険者】レベルの【敵感知】では正確な数はあまり分からないが10匹前後と予想を立てる

 

そしてそんな集落の奥

外れの方には一際大きな藁の家

その前には大きな体をした狼

【ワーウルフ】である

 

【コボルド】が犬の頭をした4等身位の大きさに対してこちらはその倍は超えている

無数の傷跡からコイツはそこそこの場数を踏んできたことが分かる

 

 

とりあえず数は確認した

クリスに手信号を送る

事前に決めていた事だ

親指を立てるなら情報収集続行

人差し指を立てるなら全力で退避

 

まだ気づかれて居ないようだし続行でいいかもしれん

クリスも頷いたので続行決定

 

 

 「・・・・・・・・・・」

 

 

ふと、急な寒気を感じた

集落の奥からの視線

【ワーウルフ】のギョロリとした瞳が俺達を捉えているのを肌で感じる

 

クリスが全力で人差し指を立てる

俺は頷く暇もなく動き出した

 

壁際まで音をたてないように走る

チラリと背後を見るが追ってくる様子は無い様だ

 

俺達は洞窟からぬけだした

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

クリス「いやぁ、危なかったねぇ」

 

八幡「追われずにすんで良かったのか?」

 

 

洞窟から出た俺達は新鮮な空気を吸いながら息を整えていた

 

追われずにすんだと言うよりも泳がされたようにも見える

 

 

クリス「多分、体力の温存をしたんじゃないかな?」

 

クリス「あのパーティーが牛や豚を守ってるから食料が無いんじゃないかな?さっきも火は炊いていたけど肉は無かったし、動物の皮とかも乾かしてなかった」

 

 

流石冒険なれしている

そこまては観察をしていなかった

 

 

八幡「つまり今の奴らは食料不足って事か?」

 

クリス「うん。そうだと思う。【ワーウルフ】も傭兵の契約料の食料がないからあんまりアタシ達に干渉しなかったんじゃないかな。」

 

八幡「なるほどな」

 

クリス「て事は今がチャンスだよ!今奴らは飢えて体力が落ちている。【ワーウルフ】をレベルが下がった今のアタシ達で倒せるか心配だったけどもしかしたらいけるかもしれない」

 

クリス「でも、問題は【コボルド】の数だね。結構な数いるからそこがシンドイ所だね」

 

 

つまり逆に言えば【コボルド】さえ何とかしてしまえば何とかなるという事になる

 

大多数を相手にするならまず相手の戦力を減らす必要がある

そうした上で奴らを潰していく

 

 

・・・・・・・・・・。

 

 

クリス「何か思いついたって顔だね?小悪党な顔が悪魔みたいになってるよ?」

 

八幡「小悪党は余計だ」

 

 

そんなに俺の顔悪そうか?

 

 

クリス「今回はアタシ達も協力するからね!ちゃんと相談してよ」

 

八幡「・・・分かってる。」

 

 

と言うかこの案は複数人居なければ意味がない

 

 

俺達は他の奴らと合流し行動に移った

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

ガラガラと音を立て台車を移動させる

 

アレから作戦会議をしたのちある物を買いに街へ戻った

そしてついでにギルドに戻りパーティーの生存報告

 

だがそんなのはついでで本命は別である

ギルドではちょいちょい冒険に役立つアイテムを有料で貸し出している

馬や台車、捕獲用の鎖や檻など各種取り揃えられているらしい

そのサービスを利用して馬と台車を借りそのまま買い物を済ませ戻ってきた

 

因みに俺は馬を操縦出来ない為セナに任せた

 

 

その間に残った人間で討伐の準備をした

 

俺は洞窟の帰り際に盗んで来た【コボルド】の石斧を【研磨】スキルを使って切れ味を底上げした

今回のメインはゆんゆんのレベル上げがメインである

 

これから30匹以上の【コボルド】を殺すのなら正直ダガーでは無理だ

ダガーでは数匹殺せば血と油で切れなくなってしまう

 

だが石斧なら切るのでは無く叩き割る武器なので力任せに使えばダガーより長持ちする

 

最悪切れなくなってもトンカチのように重さに任せて振り下ろせば頭蓋を砕く事ができる

なのでゆんゆんにはこの石斧を使ってもらう予定だ

 

 

そんなゆんゆんは別の準備をしていた

 

 

ゆんゆん「ハチマンさんコレをどうぞ」

 

八幡「これは?」

 

 

俺に渡されたのは小さな白い石

さっきからゆんゆんほコレを触っては別の白い石を持ち、触っては別の白い石を持ちを繰り返していた

 

 

ゆんゆん「コレは【吸魔石】と言うマジックアイテムです。自分の魔力を吸わせて貯めておく事で魔力が枯渇した際にこの石から供給する事ができるアイテムです。今の私は魔法を使えないけど魔力は練れたので私の魔力をすべて込めました。良かったら使ってください」

 

 

そして革の袋に一杯の石を渡された

そしてクリスにも同じものが・・

 

 

 「俺達も協力したんだぜ!」

 

 「まぁ、俺は何回か失敗して危なかったけどな」

 

 

どうやら【ランサー】と【アーチャー】の少年達も一緒になって魔力を貯めていたらしい

それはいいんだが・・・・

 

 

クリス「どうして所々クレーターが出来てるの?」

 

 

牧場の地面は一部の芝がなくなり赤茶色の地面が顔を覗かせていた

 

 

ゆんゆん「この道具は魔力を限界値以上に吸うと暴発して爆発しちゃうんです」

 

 「いやぁ普段魔法なんて使わないからやり過ぎちゃったぜ」

 

 

【ランサー】は確かあまり魔法を使わず肉弾戦でモンスターを狩るジョブだったか・・・

おいおい、危険なマジックアイテムだな

 

 

こうして準備を整えた

 

後は【コボルド】を倒すだけである

 

 

 

そして、洞窟前に台車を横付けして今に至る

 

 

八幡「やるぞ。」

 

 

台車の上に乗り準備をする

 

 

クリス「ホントにやるの?」

 

 

俺のやる気に反比例して他の奴らの士気は低い

他の奴らは今回の作戦に否定的だ

だが正直コレしか思いつかん

 

今回はゆんゆんのレベル上げをするのが本来の目的である

この方法ならうまく行けば大量経験値のチャンスである

 

 

ゆんゆん「が、がんばります」

 

 

ゆんゆんも嫌そうな顔をしながら石斧を構えた

 

 

八幡「よし」

 

 

俺は台車の上に置いてある樽を洞窟内に蹴りこむ

ガツガツと音をたて転がり落ちていくその樽は割と近くで大きな音をたてた

 

連続で蹴りこむ

近くで割れる音、中腹部で割れる音がする中、突如として「ギャギャギャ」っと肉声が響いた

どうやら1番奥まて転がったらしい

 

台車の上の樽をすべて蹴り込み空になった台車をセナにどかしてもらった

 

 

八幡「【ティンダー】」

 

 

俺の放った小さな火は洞窟内に入ると大きな火炎となり洞窟内を這いまわる

俺が蹴りこんだ樽の中には酒が入っている

この世界では飲酒に年齢制限が無いため言ってしまえば0歳でも酒を飲めてしまう

 

まぁそのかわり何があっても自己責任と言うのがついて回るが

 

その為この世界では子供でも買えるくらい酒が安い

 

俺はそんな酒を大量購入し引火剤として使用した

まぁ、安酒ばかりだと燃えが悪いので数個油の樽も混ぜた

おかけで暗かった洞窟内が今では【千里眼】を使わなくても見渡せる

 

 

八幡「【ウインドブレス】」

 

 

俺は更に風の魔法で火を煽り勢いを強めさせる

洞窟の中には木や藁といった燃えやすいものが大量に使われており1度火が付けば鎮火するのは難しい

 

 

クリス「・・・・・・・」

 

八幡「・・・なんだよ」

 

 

もう割となれてしまったクリスの白い目が俺を射抜いた

 

 

クリス「キミは串刺しにしたり火攻めにしたり・・・なんでこうも残虐な事を思いつくのさ」

 

 

俺がこの作戦を提案した時も引いていたが実際にやってみると更に引いていた

それは周りも同じようでセナやゆんゆん更にはあの3人パーティーも危ないものを見る目で俺を見ている

 

 

セナ「まぁ、効率的なのは分かりますが・・・コレは・・」

 

ゆんゆん「ちょっと可哀想です」

 

 

まぁ、確かに自分の寝床をいきなり燃やされるのは俺も正直嫌だ

 

 

 「エリス様は言いました。残忍さは他者を殺し、他者を殺した者は自分を殺す。内道には内道の道が外道には外道の道が現れる。」

 

 

洞窟の入口横にいた【プリースト】の少女が俺の目の前まで来て論するように語りかける

 

 

八幡「????」

 

クリス「ようは、悪い事をした人はいい目に合わないから真っ当に生きましょうって言うエリス...様の教えだよ」

 

 

少し恥ずかしそうにクリスが説明してくれた

 

てか、内道は仏教の事なんだがこの世界では意味が少し違うのか?

まぁ、異世界だからそういう事もあるのかもしれんが・・・・

まぁ、今回は俺も酷いと思っている

 

前の【新じゃが】は結果的に串刺しになってしまったからしょうが無いと思うが今回はそうでもない

しかも火攻めにするだけでは無いのだからたまったものじゃ無いだろう

 

 

不意に【敵感知】に反応が現れた

 

俺は更に反応が近づく前に腰紐に括りつけた袋からゆんゆんに貰った【吸魔石】を取り出し心臓に押し付ける

【吸魔石】は青白い光を失い砕け散った

 

どうやらコレは使い捨てらしい

だがこれのおかげで魔力を回復する事ができた。

コレでいつでも大丈夫だ

 

 

クリス「来るよ!」

 

 

洞窟内から数匹犬の顔をし木の防具を着た二足歩行の生物が現れる

【コボルド】である

 

【コボルド】の体に纏われた防具はさっきの日で引火しているようで真っ赤に燃えている

火に耐え切れず急いで来たのか武器は置いてきたようで無手だ

つまり倒すには持って来いである

 

 

八幡・クリス「「【バインド】!」」

 

セナ「【シール】」

 

 「ーーーーッ!」

 

 

俺とクリスは水で湿らせた縄を【バインド】で操り【コボルド】を締め上げる

セナは【シール】で【コボルド】の体を押さえつけて食い止める

【アーチャー】の少年は弓矢で足を射抜いていく

 

こうして【コボルド】の武器を奪いダメージを与え動きを止めていく

最後はゆんゆんが石斧を振り下ろす

 

これが俺が考えた作戦である

 

これなら効率よくゆんゆんが【コボルド】を殺せる

運悪く逃げられても元々の食料不足と火によるダメージで動きがかなり鈍くなっていて捕まえるのは簡単だ

武器を洞窟内に置いてきてくれている為反撃も大した事は無い

 

 

クリス「・・・・・・・」

 

 

1つ問題があるとすればすこぶる評判が悪いと言う事だけ

 

 

クリス「命からがら炎から逃げてきたのに可哀想・・・」

 

 

うん。まぁ俺も流石にそう思う

 

 

 「【フォルスファイア】」

 

 「これでも飲んでろ!!」

 

 

ゆんゆんが【コボルド】を倒している間洞窟内から這い出てくる増援達は、【プリースト】のモンスター寄せの魔法と【ランサー】に渡したモンスター寄せのポーションを洞窟内に放ち、ターゲットを洞窟内へと変更させて引き返させる事で時間を稼いでいる

 

そして魔法とポーションの効力が切れたらまた同じように俺達が捕獲してゆんゆんが殺すの繰り返しである

 

 

俺とクリスは魔力消費の激しい魔法を連発する為時々ゆんゆんに貰った【吸魔石】を使って魔力を回復させる

 

【吸魔石】も結構なくなり始めていた

だが【敵感知】の反応的に残り敵の数はあと少しである

 

 

クリス「また来るよ!」

 

 

数匹のモンスター反応その中には一際大きな反応が他よりも早く近づいてきていた

【ワーウルフ】だ

 

 

 「ガウっ!!ーーガッ!?」

 

 

【ワーウルフ】の勇ましい声と共に洞窟内から飛び足してきたと思った瞬間目の前から大きな音をたて消えていった

 

 

八幡「よしっ!」

 

 

洞窟前には大きな大穴

その穴の上に【クリエイト・ウォーター】と【フリーズ】の水と氷の魔法で作った氷の板が乗っている

【コボルド】程度では割れないが大柄の【ワーウルフ】の体重には流石に耐えられない

氷を突き破ってしまった【ワーウルフ】はすっぽりと収まる形で顔を覗かせていた

 

コレは牧場にあった【吸魔石】の爆発後のクレーターを見て思いついた案である

最初【ワーウルフ】も【コボルド】と同じように【バインド】で捕まえる予定だったが【ワーウルフ】はかなり攻略難易度の高いモンスターである

いくら腹が減っていて体力が落ちていてもかなり危なかった

 

だがこれなら危険は少ない

飛び越えられる心配もあったが炎による不意打ちと、モンスター寄せによる強制的なターゲット変更を連続でおこなわれている為かなり混乱しているようだ

そのおかげてすんなりと落ちてくれた

 

 

しかも穴の中には【クリエイト・アース】と【クリエイト・ウォーター】を混ぜて作った泥が詰められている

【クリエイト・アース】で生成した土は不純物もなくサラサラしているためかなり滑らかで水分をよく吸った重たい泥ができる

 

こんな物に体を突っ込めば身動きが取れぬまま沈み込み泥の圧力で動けなくなってしまう

 

おかげで【ワーウルフ】は首だけ何とか動かしているが一向に出てくる気配がない

 

後は【ランサー】に借りた槍を使ってゆんゆんがとどめを刺せば終わりである

 

 

クリス「本当にキミって酷いね火攻めの次は生き埋めなんて・・・」

 

 

ここまで来ると周りの俺への視線が汚物を見るような目線になっている

うん。まぁ自覚はしてるよ?

 

 

 「・・・・・・・・」

 

 

【プリースト】の少女は【ワーウルフ】の穴の前で手を組み祈りを捧げる

他の奴も哀れみの目を【ワーウルフ】に向けていた

 

 

クリス「外道、変態、ハチマン」

 

八幡「おい、変態は関係ないだろ。てか八幡は悪口じゃねぇ」

 

 

ちょっと、なんか覚えのあるやり取りやめてね?

 

クリスは白い目をしたあと一転して「ニカッ」と笑顔をむけた

 

 

クリス「でも、まぁでもこの方がキミらしいか」

 

セナ「確かに正攻法で戦うハチマンさんはハチマンさんじゃない気がします」

 

 

そこまで言うか・・・

 

【ワーウルフ】の断末魔が聞こえた

どうやらゆんゆんが止めを刺したらしい

 

 

 

ゆんゆん「やり方はともかく【ワーウルフ】をこのレベルで倒せたのはハチマンさんの作戦のおかげです。ありがとうございます。おかげでレベルもかなり上がりました!」

 

八幡「まぁ、元は俺が持ってきた指輪のせいだしな。まぁお疲れさん」

 

ゆんゆん「はい!!」

 

 

こうして不評ではあったがなんとか【コボルド】退治は終了した

 

 

 

 

 

・・・・てか、やり方はともかくとか言わないで?

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

ここはキールダンジョン

【アクセル】から距離はあるが難易度が簡単で初心者向きのダンジョン

なんでも昔国一番の【アークウィザード】が作った場所だとか

 

ダンジョン前にはそのウィザードの魔法後なのか爆発でもあったような巨大なクレーターができていた

 

 

ゆんゆん「あの、どうしてこのダンジョンに連れ込まれたんでしょう?」

 

 

ダンジョン内の階段を降りる中先導を行くカンテラを持ったウィズさんにゆんゆんが話しかける

 

 

ウィズ「ゆんゆんさんのその指輪を取るのにこの場所が最適なんです。」

 

ウィズ「ここは【アークウィザード】が作ったダンジョンなので魔力のめぐりがよく、さらに昨日カズマさん達が魔術道具の入った倉庫を見つけたので都合がいいんですよ」

 

 

【ワーウルフ】を倒してからしばらくはゆんゆんのレベル上げをしていた

そして佐藤達の必要な物集めが終わったので今日ようやくゆんゆんの指輪を取ることができる

 

 

ゆんゆん「あっ!あそこに宝箱がありますよ!」

 

 

目の前にはこれみよがしに置かれた宝箱

いや、めちゃめちゃ怪しい

 

 

ウィズ「あ、それは【ダンジョンもどき】と言うモンスターで人やアイテムに化け近づいた人を食べちゃうモンスターなんです」

 

 

ゆんゆんの血の気が一気に引いていく

まぁ、うん。迂闊な行動は控えてね?

 

 

ウィズ「【フリーズショット】」

 

 

ウィズさんが手で銃の形を作り魔力を込め指先から氷の礫を飛ばした

その礫は【ダンジョンもどき】の宝箱を通り過ぎ壁へ

そして壁のレンガがめり込むように押し込まれていった

 

 

 

ゴゴゴゴゴ

 

 

ウィズ「まさか【ダンジョンもどき】を門番代わりに隠し扉のし掛けを設置するなんて凄いですね。これなら遠距離魔法の使える【ウィザード】か弓矢での遠距離攻撃ができる【アーチャー】くらいしか入れませんし。」 

 

クリス「この奥が魔道具の倉庫になってるの?」

 

ウィズ「はい、足元が悪くなってるので気をつけてくださいね」

 

 

現れた地下に行く階段を下る

かなり埃っぽくジメジメしていて正直気持ち悪い

 

 

カズマ「来たか!」

 

 

階段奥の小部屋には佐藤達パーティーとバニルがいた

何故かアクアが縄でグルグル巻にされて簀巻にされてるのが気になるが面倒くさいので触れないでおこう

 

 

クリス「アクアさん!どうしたの!?」

 

 

ちょっと?触れないであげて

絶対面倒くさい事になるから!?

 

 

カズマ「コイツはこれからゆんゆんの指輪を外す準備をしているバニルを背後から浄化しようとしたんだ」

 

アクア「私は女神よ!【悪魔】を滅するのは私の義務だわ!」

 

カズマ「バニルが居なくなったらゆんゆんの指輪を外せなくなるだろうが!バカなのか!バカ何だよな!バカだろ!」

 

アクア「うぅ。3回も言った!!バカって3回も言った!!」

 

 

 うん。やっぱり触れないで正解のようだ

 

 

あの辺には触れずにバニルに話しかける

 

 

八幡「今日はよろしくたのむ」

 

ゆんゆん「バニルさん。お願いします」

 

バニル「ふむ。ちゃんと対価は支払われておるのだ、それならば報酬にみあった働きはしよう。」

 

ダクネス「ゆんゆん。時間がかかってすまなかったな。思ったより道具集めに手間取ってしまった。」

 

めぐみん「まぁ、集めると言ってもこの隠し部屋にすべて揃っていましたけどね。」

 

ゆんゆん「いえ、私の為にありがとうございます。めぐみんもありがとう!!」

 

めぐみん「べ、別にアナタの為じゃありません。自称ライバルが魔法を使えないのでは張り合いが無いので...そう!仕方なくです!」

 

セナ「お2人ともなんだかんだ仲良しですね。」

 

 

【紅魔族】コンビのコントを見ているとセナが俺に近づいてきて話しかけてきた

 

近い近いよ

 

 

八幡「まぁ、喧嘩するほど仲がいいって事なんだろう」

 

セナ「私もパーティーの皆さんと仲良くなれるといいんですけど」

 

八幡「もう仲いいだろ?よくお前とクリス2人で出掛けてるし」

 

 

何なら最近は俺のバイト中にゆんゆんも一緒に遊んでいるらしい

何?本当は仲良くないの?あのゆるゆりはふりなの?

何それ女って怖ぇ

 

 

セナ「私が言ってるのはハチマンさんの事ですよ」

 

八幡「俺は・・・」

 

 

俺はコイツらと仲がいいのだろうか?

うーむ。分からん

 

そう言えば前も似たような事で悩んだ気がする

確かあの時は戸塚が友達かどうかで悩んだんだったか?

 

少し昔を思い出し懐かしさを感じた

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

解除は案外すんなりと進んでいった

 

ゆんゆんとウィズさんとで内側と外側から指輪に干渉しシステムの一時的な解除を施した

流石にシステムの完全書き換えは出来ないようで一時的に魔法やスキルの使用不可を解除した

 

これによりゆんゆんはスキルや魔法を使える様になった

なので溜まっていたスキルポイントで【魔法解析】と言うスキルを取り指輪にかけられた契約の魔法を解析した

 

そしてそれを元にバニルが契約の上書きをおこない契約者を次にこの指輪を嵌める者に変更した

 

 

ゆんゆん「とれましたー!」

 

 

30分程で解除は終了し晴れてゆんゆんは自由の身になった

 

 

めぐみん「意外と早かったですね。まったく人騒がせなものです」

 

カズマ「もともとはお前らのせいだろうが!」

 

 

解除が終了しガヤガヤとした雰囲気が戻った

 

 

ゆんゆん「ハチマンさん達もありがとうございました。その、いろいろご迷惑をおかけして・・・」

 

八幡「いや、元々俺が指輪を持ってきたせいだし・・」

 

クリス「そうそう、それに仲間のピンチは助けるのがパーティーメンバーだしね」

 

ゆんゆん「へ?仲間?パーティーメンバー?」

 

クリス「え?ゆんゆんってもううちのパーティーメンバーじゃないの?」

 

ゆんゆん「え?そうなの?」

 

 

違うんだ。よくわからんうちにパーティーメンバーになってるパターンじゃ無いのかよ

 

 

セナ「私もてっきりパーティーメンバーなのかと思ってました。」

 

ゆんゆん「え、えーと・・・」

 

 

ゆんゆんはちらりとめぐみんの方を向いた

 

 

めぐみん「何故そこで私の方を見るのですか!そのくらい自分で判断してください。」

 

ゆんゆん「でも、社交辞令で言ってるかもしれないし。」

 

めぐみん「あー!面倒くさいですね。パーティーメンバーになりたいなら素直になりたいと言えばいいんです!」

 

クリス「そうだよゆんゆん。それに別にアタシ達は社交辞令で言ってる訳じゃないよ!」

 

ゆんゆん「でもご迷惑じゃ・・・」

 

セナ「迷惑じゃ無いですよ。私達の中でゆんゆんさんが仲間になるのを嫌がってる人なんて・・・いませんよね?」

 

 

ちょっと?俺の顔色伺いながら言わないで?

 

3人の目線が俺に集中する

 

まぁ、確かに仲間に否定的なのは俺だけだけどさ・・・

 

でも、まぁ

 

 

八幡「まぁ、良いんじゃねぇの?それに俺は別に集団行動は苦手じゃないしな」

 

クリス「は?」

 

セナ「え?」

 

ゆんゆん「へ?」

 

 

おいおい。驚きすぎじゃね?

てかクリスさん怖いよ?

 

 

八幡「集団行動とか3歩後を黙って後ろに付いて行けばいいだけだからな。他の奴と喋る必要ないし行動の予定も考える必要ないし超楽だ」

 

クリス「いや、それ全然ダメでしょ。てか、苦手じゃない理由が楽だからとか怠惰すぎるし。結局好きって訳でもないし・・・」

 

 

そう。俺は集団行動は好きではないが苦手でもない

俺に迷惑さえかからなければ別に人数が増えるのは構わん

 

だから、まぁ、ゆんゆんなら増えても問題無いんじゃね?知らんけど・・・

 

 

ゆんゆん「えーと、つまり・・・」

 

セナ「歓迎しますって事ですよ。」

 

 

ゆんゆんの顔が「パァア」と音をたてるように明るくなった

 

 

ゆんゆん「それじゃあ是非!よろしくお願いします!!」

 




ゆんゆん編終了

まぁ、めぐみんポジションを務めれるのは彼女しかいないよね?

あと、ポジションはめぐみんポジションだけど扱いもめぐみんと同じかは分かんないです
まだヒロインを決めて無いので・・・

次回からは八幡達の家を入手させようかな?


それでは以上!


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