江戸幕府召喚 (イブ_ib)
しおりを挟む

特別編◇ロデニウス大陸戦線
特別編 ロデニウス大陸戦線


外伝的な位置付けです、クワトイネが日本からの技術援助をうけて大幅に戦力アップしてます。


「ジュウ・・・か」

 

ギムの防衛を任された西部方面騎士団団長モイジは、日本から輸入した[火縄銃]というものを手にとって見ていた。

 

他にも怪しく黒光りする大砲という物を5門程買って我が騎士団に配備している、前に撃っているところを間近で見たが、確かにあのような攻撃ならロウリアにも一泡吹かせることも出来るだろう。

 

しかし現在報告に上がっている程のロウリアの兵数は圧倒的過ぎる。

 

モイジは祈るように空を見上げた。

 

◆◇◆◇◆◇

「「「ヴォーー!!」」」

 

「「「ヴォーー!!」」」

 

 

遠くの方から鬨の声が聞こえてくる。

 

 

「ロウリア軍の越境を確認!!」

「来るぞー!!」

 

兵士たちが慌ただしくなる。

 

 

「ついに来たか・・・」

 

◆◇◆◇◆◇

クワ・トイネ軍

大砲陣地

 

「この大砲の効果が如何程か・・、撃て!」

 

ドォン!!!

 

全砲から放たれた砲弾は、列を成して向かってくるロウリア軍に命中する。

 

未知の攻撃に混乱を起こし、隊列が崩れていく。

 

 

◇◆◇◆◇◆

その様子を少し離れたところから見ていたアデムも驚きを隠せなかった。

 

「な!なんなんですか?!今の攻撃は!」

 

「クワ・トイネの新兵器だと思われます!」

 

「えぇい!亜人風情に!飛竜にアレを優先して攻撃するように命令しなさい!」

 

命令通り飛竜は大砲陣地に向かって行く。

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

「来たぞーー!」

 

「火縄銃撃て!」

 

「焙烙玉を放てー!」

 

 

空に向かって火縄銃が白い煙を上げながら撃たれるのと同時に、投石器のようなものから焙烙玉の様なものが放り投げられる。

 

 

◇◆◇◆◇

 

地上から石のようなものが投げられるが、竜騎兵は軽々と避ける。

 

「こんなものが当たるか!」

 

 

そういってる間も自騎の下から例の石が飛んでくる。

 

「よっと」

 

ひょいと避けたと思った瞬間・・・

 

 

ボカンッ!!

 

 

目の前で石が炸裂し、中から石が飛び散ってくる。

 

「グワァッ!!?? ぎゃあああ!!」

 

爆発を受け、竜騎兵は飛竜から落ちてしまう。

 

 

◇◆◇◆

モイジのいる司令部でも、焙烙玉に右往左往するロウリア竜騎兵の姿が見えた。

 

「いいぞ!敵は混乱している!」

 

部下はこの光景に興奮しているが、モイジはあくまで冷静に様子を見ていた。

 

 

(確かに今は押せているが、奴らが立て直して数で押してきたら・・・)

 

その嫌な想像はすぐに現実のものとなってしまう。

 

◇◆◇◆◇

 

「来るぞ!」

 

「ひいぃやぁあああ!!!」

 

焙烙玉を掻い潜り数騎の飛竜が投石器や、大砲の方へ向かってくる。

 

 

「火炎弾を・・喰らえっ!」

 

数騎から放たれる粘性のある火炎弾が、大砲陣地の一画に落ちる。

 

 

ドッカン!!!

 

 

火薬に引火し、次々と誘爆を起こす。

 

 

「やった!ざまぁねぇ!」

 

ロウリア騎兵が歓喜したのも束の間。

 

爆発によって起きた爆風が、火炎弾を発射するために高度を落としたロウリア軍飛竜を襲った。

 

 

「・・・しまった!」

 

爆風でバランスを崩した飛竜が勢い良く地面に突っ込んだ。

 

◆◇◆◇◆

ドドーーーン!

 

 

大砲隊の派手な爆発はモイジの司令部まで聞こえてきた。

 

 

 

「くそ、大砲がやられた!」

 

「歩兵隊準備!」

 

「鉄砲隊!弾込めよーい!」

 

 

「モイジ団長!各部隊準備完了であります!」

 

「・・よし! 鉄砲隊に各隊長の判断により発砲するよう指示を出せ!」

 

「はっ!」

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

ドロロロロロロ

 

砲撃も止み、混乱から立ち直ったロウリア軍はクワ・トイネ軍に向かって前進する。

 

 

徐々に距離が縮んで行き、

遂にロウリア軍が突撃を開始する。

 

 

「「「「ウォオオオオオオオーー!!!!」」」」

 

 

凄まじい叫びが当たり一体となって木霊する。

 

 

 

「隊長! まだですか?!」

 

「まだだ!まだ引き付けろ!」

 

銃兵隊の兵士隊は目の前に迫る敵を見て、滝の様な汗を流す。

 

 

そして・・・

 

「撃てぇええええ!!」

 

射撃の合図を意味する太鼓の音が戦場に響く。

 

 

パパパパパン!!!

 

一斉に白い煙と共に、弾がロウリア兵士に向かって飛んでいく。

他にも焙烙玉を砲丸投げの要領で放り投げる者もいた。

 

「ぎぇあ!!」

 

「ぐっあ!!」

 

 

【挿絵表示】

 

焙烙玉の爆発で吹き飛ばされ、弾は盾を易々と貫通していきロウリア兵士は吐血しながら倒れていく、盾は矢から守る事を想定しており、元から鉄砲から守るなんて考えて作られてはいないのだから。

 

◇◆◇◆◇◆

 

アデム達は出来るだけ高台の方に陣を構え、戦場を見渡して指揮が取れるようにしていたが・・・

 

目の前の戦場は白い煙で覆われ、状況の把握が困難な状況になっていた。

 

「これでは状況がわからないではないですか!! 」

 

異例の事態にアデムは狼狽する。

 

「まず部隊を引き下げて部隊を立て直しなさい! それから風魔法であの霧を取り払うのです!」

 

 

「はっ!」

 

◇◆◇◆◇◆

 

煙が魔法によって取り払われる。

 

そしてそこに広がっていた光景は・・・

 

無残な姿で転がっているロウリア兵の姿であった。

 

 

その光景を見たアデムは、

 

「キイイイイイイ!!畜生の分際でエエエエ!!!」

 

発狂した。

 

「もういい!!役立たずの兵士は下げて魔獣を投入します!」

 

「・・・ハッ!」

 

あまりの怒りっぷりに兵士は恐怖すら感じた。

 

◆◇◆◇

 

「モイジ団長、ギムの住民の避難が完了致しました」

 

「わかった、直ぐに我々もエジェイまで後退するぞ」

 

「ハッ!」

 

兵士達は無人となった家々に火を放つ、

所謂焦土作戦を行っていた。

「作物達には申し訳ないが・・・これも致し方ない、許してくれ!」

 

そういうと、油を撒いた麦畑に火を放った。

 

 

◇◆◇◆◇

 

「やってくれましたね・・・」

 

遠くに見えるギムの街からもうもうと煙が上がっている。

 

恐らくギムの西部方面騎士団は既に撤退しているだろう、恐らく向かったのはエジェイ・・・

 

数時間後・・・ロウリア軍がギムの街に入ったが、既に街は焦土と化し畑もすっかり焼野原になっていた、これでは食料の調達もままならない。

 

「流石、猛将モイジだな・・・」

 

 

馬上のパンドールはそう呟いた・・・




自分の各世界の焙烙玉は丁度飛竜の飛んでいる高度で爆発する世界です!(本当だったら精度ガバガバで爆発もしないかもしれないし)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

本編
接触


作者・・ついに狂ったか、ナチスドイツ、帝政ドイツと遡り遂に江戸幕府、愚帝どころかパ皇にすら勝てるわけねぇだろ!、え?秘策がある?知ったことか!


 中央暦1639年 1月中旬

 

 フェン王国 東側海域

 

「ヨゥーソロォ!!」

 

 フェン王国水軍の軍船は今朝未明に発見された国籍不明の船に向かっていた。

 

「あれか……」

 

 軍船の船長であるモガナは例の船を見て呟く。

 

 

「見た感じパーパルディア皇国様式の船の様だな、しかしあの旗は見た事もない」

 

 目の前にいる黒色の船はパーパルディアでよく見られるような船であり、艦尾には、白地に横一筋の黒い線の旗と白地に縦一筋の黒い線の旗が掲げられている。

 

「……よし、これより同船の臨検を行う、諸君は私の指示、もしくは攻撃を受けない限り決して攻撃してはならない、

 相手の所属は不明だがもしかしたら新興国かも知れない、国と国のやり取りになるため高圧的な態度はとるな、わかったか?」

 

「はっ!!」

 

 

 ◆◇◆◇◆

 

 フランスの輸送船が予定の日を過ぎても来ず、電信は通じない、見たことの無い魚が獲れる、それどころか快晴の日なのに対馬から朝鮮半島が見えないという現象まで起こり、不思議に思った幕府は調査するために調査隊を朝鮮半島方面へ派遣させたが、その船には、万が一の時に備えて、外国惣奉行の役人を乗せた。

 

 ◆◇◆◇◆◇

 

「的部殿、何か来たようですぞ」

 

「うーん、ありゃ安宅船じゃないか」

 

 2人の(片方は髷名前は宇多野、もう1人の的部と呼ばれた男は散切り頭)役人が望遠鏡を覗いて話をしている、

 

「安宅船なんて本でしか見たことないですよ」

 

「奇妙なもんですな……、おっ向こうの船員が手を振ってる」

 

「相手が好戦的で無いだけ良かったです、さっそくこの船に上がってもらいましょう」

 

 船長モガナは、国籍不明船の誘導に従い、同船に移った。

 

 ◇◆◇◆

 同日 正午

 フェン王国 首都アマノキ 天ノ樹城

 

 剣王シハンの側近である剣豪モトムは

 つい先程入ったばかりの情報を剣王に伝えに来た。

 

「今朝方から水軍より報告されていた国籍不明船についての情報が入りました」

 

「ほう……どの様なものか申してみよ」

 

「ハッ、その国は日本国と名乗り、我が国と国交を開きたいと申しております」

 

「ふむ? ニホンとな、聞いたことのない国だな、新興国家か?」

 

「はっ……それが、日本国の外交官の言うことには、突然国ごとこの世界にやって来たという風な事を言われたらしいのですが……」

 

「ワッハッハッハッ! その様な法螺話を堂々と言えれば大したものだ!」

 

 剣王は決して嘲笑うのでは無く、快活に笑った。

 

「良し、わかった、その日本とやらの外交官に直接会おうではないか、非常に興味が湧くな」

 

 シハンは日本国の外交官を招き入れた

 

 ◆◇◆◇◆

 

「なんだか、落ち着かないな」

 

「そうですかな? 自分はとても身が引き締まる思いです」

 

 国中の空気が張り詰めているかの様な、厳格な雰囲気が漂っている。

 

「まるで元亀天正の頃の様だな、私にはどうも苦手な雰囲気だ」

 

 すると

 

「剣王が入られます」

 

 側近が声を上げ、襖を開ける。

 

 そこから着流しを着て、髪を後ろにまとめた老人が立っていた、江戸でも涼しくなった夕暮れ時に探せば、どこにでもいる様な格好である。

 

「そなた達が日本国の使者か」

 

 声は低いがよく通る声で、懐の大きさを感じさせる。

 

「はい、この様な急な訪問にも関わらず、剣王自ら対応してくださるとは、誠に感謝致します」

 

「構わん、それで貴国について色々聞きたいのだが……使者殿のそれも剣なのか? 少し見せてはくれないか?」

 

「刀ですか? ええ、わかりました、どうぞ」

 

 そういうと宇田野から渡された日本刀を手に持って抜いた。

 

「ほう……これはなかなか良い剣だ、

 帰国には優秀な刀鍛冶がおられる様ですな」

 

 気を良くしたシハンは2人の使者から国についての詳細に、転移してからの経緯を聞いた。

 

 ◆◇◆◇◆

 

 日本へ帰る船の上で、的部と宇野田はフェン王国の方角を見ていた。

 

 

 宇野田と的部は、剣王との会話で、フェン王国と日本国は似たような気風で、とても良好な関係を築けると確信していた。

 




時代的には1870年〜80年代くらいか、でもほぼ適当


幕末ごろの国旗は日の丸でしたが、やはりif物なら大中黒旗にしようと決めました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

衝撃

 中央暦1639年

 日本 江戸城

 

 そこでは忙しなく馬車や蒸気自動車が

 出入りしていた。

 

 ここは江戸城のとある場所

 そこで徳川慶喜に幕臣達が転移についての報告書を読み上げていた。

 

 

「上様、琉球方面よりクワ・トイネ公国に接触した調査隊の報告が上がって来ております」

 

「そうか、申してみよ」

 

「はっ! では、えぇー、琉球方面より

 クワ・トイネ公国と接触を果たした調査隊は、その後クワ・トイネの首相と直接会談し、我が国にクワ・トイネ公国の使節団の派遣を決定したそうでございます」

 

「そうかそうか、友好的で何よりだな」

 

「それでこれは重要な事なのですが、

 この世界ではワイバーンという火を吐き、空を飛ぶ蜥蜴の様なものがおり、それがこの世界の軍で使われているらしいのです」

 

 そういうと、幕臣の1人がワイバーンの写真を渡す。

 

「と、蜥蜴が火を吹いて空を飛ぶのか!?」

 

 慶喜が驚く。

 

「なのでワイバーンを我が軍でも保有し、幕府空軍を新設する方向で準備を整えております、後は慶喜様の許可だけでございます」

 

「う、うむ、空軍の設立の許可をしよう、頼んだぞ」

 

 

 この時空軍設立について言及した、蒲鉾

 弘義はのちの空軍総裁となるのであった。

 

 ◇◆◇◆◇◆

 数週間後

 幕府海軍の蒸気船

 

「……なんと、これは凄い……」

 

 ハンキは管詰(昔は缶詰をこう呼んだ)

 の鮭や鯖を、目を輝かせながら頬張る。

 

「ハンキ様、すこし落ち着いてください……」

 

「おお、すまんすまん、まさか海の上でこんな新鮮な物を食べられるとは思ってなくてな」

 

 すると

 

「どうです? お気に召しましたか?」

 

 外国惣奉行役人の田中がにこやかな笑みを浮かべて聞いてきた。

 

「ええ、この管詰というものは素晴らしい、これがあれば海魚は殆ど干物の内陸部や山岳部でも新鮮な魚を食べることが出来ます、まさに食の革命が起こるでしょう」

 

 ヤゴウがそう答えると、田中は満足そうに頷いた。

 

「是非ともこの技術を我が国に取り入れたいな」

 

「ええ、そうですね、この技術はなんとしてでも手に入れなければなりません……」

 

 蒸気船はもうもうと煙を吐きながら、日本へと向かった。

 

 ◆◇◆◇◆

 

 横浜港から上陸し、外交団は蒸気バスへ乗り込みとある場所へ目指す。

 

「これから皆様に、陸軍の訓練を見学していただきます」

 

「ほう、ニホンの軍隊か」

 

「気になりますね、一体どんな武器を持ってるのでしょうか?」

 

 ◇◆◇◆◇

 とある練兵場

 

 

 ザッ! ザッ! ザッ! ザッ! 

 

 歩兵達が隊列を組んで何か荷車の様なものを、数個程運んでいる。

 

「ハンキ様、あれは何でしょうか?」

 

「さぁ、皆目見当も付かん」

 

 荷車の上にはパイプを6つ程円形に並べたものがあり、後ろにはハンドルがくっついている。

 

「よぉ──い!!」

 

 上官と思われる兵士が命令すると、手際よく荷車のソレが準備される。

 

 ソレを遠くの的に向け、狙いを合わせる。

 

「……あれは何をしているのでしょうか……」

 

「パーパルディアで[魔導砲]という物を見たことはあるが……、それとはまた形が違うな……」

 

 

 すると

 

 

「撃てぇー!!」

 

 上官が命令をすると、兵士はソレについてるハンドルを回し始める、すると。

 

 バン! バン! バン! バン! バン! 

 

 円形のパイプが回転を始め、爆音と共に白煙があがる、そして的は蜂の巣の様に穴だらけになっていた。

 

「どうですか、これが我が軍が誇る新兵器、ガトリング砲です」

 

 その様子を唖然とした表情で見ていたハンキとヤゴウに、田中は誇った顔でそう言った。

 

 

 ハンキは、この兵器がこれまでの戦場の常識を変えてしまうということを直感的に感じていた、もしあの兵器が要塞に置いてあったら、攻める側は一方的になすすべなくやられるだろうと。

 

 ◇◆◇◆◇◆◇

 

 今回はとりあえずどの様な国か、確認するための外交団だったが、これからは国交樹立を視野に入れていかなければならないだろう、クワ・トイネ外交団はその様な思いを秘めながら、国へと帰っていった。

 




幕府空軍とかいう衝撃ワード


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。