織斑一夏転生記~転生者の生きる道~ (如月 霊)
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プロローグ

やぁ、僕の名前は矢矧 時雨というんだ。突然だけど僕には秘密がある。それは前世の記憶があることだ、しかも三つものね。一つ目はドイツ第三帝国海軍の戦艦ビスマルク、二つ目は大日本帝国海軍の伊第402型潜水艦、そして最後は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

旧大和型戦艦三番艦、そして竣工10日後にたった魚雷4本のみで海に葬られた幻の巨大空母、信濃だった。

そして今は僕は普通の高校生をしている。うん、普通だと思いたい。なんでかって?そりゃあ、辺り一面真っ白い空間に突然いたら自分の頭を疑うでしょ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…うん、これは夢だ!そうと決まれば、おやすみ~

 

僕が横になって眠ろうとしたその時、目の前に一人の女性が現れて叫んで来た。

 

「ちょ、夢じゃない!夢じゃないですよ!」

 

うるさいなぁ~というか…誰?

 

「あっ、私は女神のアテネって言います」

 

へぇ~女神なんだ。…

 

「って!何ナチュラルに人の思考読んでんだよ!それになんでここに来てんですか!」

 

急に思考を読まれている事がわかった時雨は叫んだ。そう言うとアテネは急にDO・GE・ZA!をして来た。

 

「すいませんでした!実は…私が“また”間違って殺しちゃいました!」

 

それを聞いた時雨は、アテネの胸ぐらを掴んで怒鳴り出した。

 

「なに殺してくれとんじゃおんどりゃ!」

 

「ヒ!ヒィ~!」

 

「またってなんだよ!またって!青春の真っ只中だよ⁉どうしてくれんのさ!」

 

「だってあなた前にも転生していきましたし…」

 

「ん?」ギロッ

 

「転生させるから!特典付けて小説世界でも転生させるから~、許して~!」

 

言ったな?チートをくれると言ったな?よし!転生する!

 

それを聞いて直ぐに僕はアテネの胸ぐらをを放した。

 

「そんじゃあ転生後の世界の説明と転生特典をカムカム!」

 

するとアテネは何処からかノートパソコンを出してきて転生先を確認し出した。

 

「え~っと、転生させるのはインフィニットストラトスの世界ですね」

 

いいな、面白そうだ。あ!忘れかけてた。チートは!?転生特典は!そう思った時雨はアテネに質問をした。

 

「ねぇ、神様。転生特典は?」

 

「転生特典は……そうですね。いくつでもいいので選んでください」

 

えっ…マジで?いくつでもいいの?

 

「いいのですよ~こっちのミスですしおすし」

 

へっ、へぇ~(汗

 

「ならさ、ガンダムSEEDのドミニオンとメンタルモデルみたいな能力と創造能力をつけてくれる?」

 

「ほいさっさー」

 

「あと身体能力とか頭脳とかMAXにして」

 

「ほぉ~」

 

「他は無限の資金とか資材とかをください」

 

「以上でいいの?」

 

転生特典を言い終わるとアテネが聞き返してきた。

 

「以上で」

 

「いいですね~それじゃあ転生行きましょうか!」

 

アテネはそう言うと転生の扉をあけた。そしてその扉の扉の中に入ると直ぐに意識が持っていかれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アテネside

 

「う~ん、時雨君は元々軍艦なんだよな~」

 

「いろいろいじっとこっと」

 

「ふふ、楽しんでくれるかな。時雨」

 

アテネそう呟き、誰も居ない空間で仕事をするのだった。



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第一話 転生完了

「(転生完了したか…さて、動きましょう…か?)」

 

時雨は動こうとしても自分の体が動かない事に気づくと直ぐに自分の体を見た。

 

「オギャァー!」(なんじゃこりゃあぁぁぁぁあ!)

 

体を見ると自分が赤ん坊になっていたのがわかった。するとしばらくして誰かがやって来た。

 

「あら、一夏は起きちゃったの?」

 

「(お母さんか?てか一夏って僕の名前なのかな?)」

 

そう言って一夏は抱き上げられた。 

 

「かわいいわね~」

 

そう母親が言っていると奥の部屋から一人の少女が出てきて僕を見るなり少女は母親に話しかけた。

 

「ねぇお母さん!私も一夏達だっこしたい!」

 

「千冬と束ちゃんもなの?仕方ないわね~」

 

「(えっ?アイエー!チフユ⁉ナンデ⁉エッ⁉てことは僕の転生先って織斑なの⁉)」

 

そう考えているうちに一夏は千冬に抱き抱えられ、揺られていた。

 

「かわいいな~」

 

「(あ、もうダメ…おやすみ~)」

 

揺られ出して直ぐに一夏は意識を手放した。

 

 

 

□■□■□■□■□■

 

 

 

六年後

 

 

 

やぁ、矢矧…いや、織斑一夏だよ。

 

ん?何で六年後かって?それはさ…赤ん坊から記憶があるのはアレなんだよ…まぁ、そんなんは置いといて転生してから驚いたのはさ、転生したのが織斑家でもって主人公の一夏になっていたことだよ。

 

てか、織斑一夏に転生って原作崩壊待ったなしだぞ‼

 

そして、今僕はというと…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千冬姉に連れられ篠ノ之道場に来ていたのだった。道場に着くと奥から誰かの叫び声が聞こえてきた。

 

「ちぃぃぃぃぃちゃゃゃゃぁぁぁぁぁぁん!」

 

次の瞬間、赤に近い紫色の髪を持った女性が千冬姉に飛び付こうと跳び跳ねた。

 

「うざい!」

 

それを確認した千冬はその人物を殴り、地面に叩き着けた。この女性こそ未来の大天災になる“篠ノ之束”なのだ。するとすぐに束は復活して千冬にむかって叫んだ。

 

「痛いよちいちゃん!私の脳細胞が300個くらい無くなっちゃうよ!…というかこの子誰なのちいちゃん。」

 

千冬にむかって抗議している内に僕の事を気づいた束は千冬に僕の事を聞いてきた。

 

「うん?…ああ、私の弟の一夏だ。一夏、このバカは篠ノ之束だ」

 

(ありがと千冬姉)「こんにちは、束姉さん!一夏だよ!」

 

心の中で千冬に礼を言いつつ束に自己紹介をする。

 

「い、一夏!?何故こいつを束姉と呼ぶんだ!」

 

「束姉ねぇ~いいね!いっくん!」

 

すると束姉さんと呼ぶと千冬は困惑し、束は嬉しそうに返事を返してきた。これが僕と未来の大天災“篠ノ之束”とのファーストコンタクトだった。



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第二話 白騎士事件

大天災と対面してから数ヵ月後~

 

ある日、一夏は束に連れられ、ラボに来ていた。ラボに着くと束は振り返り叫んだ。

 

「ここは私の夢を実現させる為のところなんだよ!」

 

そう言うと束は前を向き電気をつける。そこには作られている途中と思われる機体が置かれていた。

 

「これが私の宇宙への夢の架け橋になるインフィニットストラトス通称ISだよ」

 

それを聞いた一夏は束に質問をする。

 

「束姉さん、ISはいつ完成するの?」

 

「実は資金的な問題とかで5割しかできてないんだよね~」

 

ふ~んじゃあ!

 

「じゃあ束姉さん、僕が製作を手伝うよ!俺の手を持ってくれないかな」

 

そう言うと一夏は手を前に出した。

 

「なんで?まぁ、良いけど」

 

束は不思議がりながらも一夏の手をとった。一夏は、それを見ると一夏は転移装置を起動させてドミニオンの艦橋に移動した。突然場所が変わったのに束は驚きを隠せない様子だ。

 

「ここは何処なのいっくん⁉」

 

「ここは僕の持つ戦艦の艦橋だよ」

 

一夏はそう言うと束にパソコンを貸すように促した。

 

「まぁ、見ててください。束姉さん、ISのパソコン貸してくれる?」

 

「う、うん」

 

さすがの束も思考回路がショート仕掛けて、パソコンを渡した。すると一夏は凄まじいスピードでISのプログラムを作り上げて見せた。

 

「すごい!すごいよいっくん!」

 

「束姉さんISのことは千冬姉には内緒にしてね?」

 

「う、うん。わかったよいっくん。本当はちいちゃんにも知らせたかったけど…いいよ!」

 

それからは束に転移装置を渡してからISの製作を学校の放課後にドミニオンでISを作り始めた。

 

 

 

□■□■□■□■□■

 

 

 

あれからから2年後一夏と束はドミニオンの格納庫に来ていた。

 

そして、二人の前にはIS[白騎士]が鎮座している。

 

「始まるね、ISのお披露目が。さぁさぁいっくん乗った乗った!」

 

束は一夏の方向を向いて高らかに宣言した。それを聞いた一夏はこれから起こす白騎士事件の流れを話始めた。

 

「束姉さん、シナリオを確認するよ?まず束姉がハッキングをしてミサイルを飛ばして俺が白騎士でミサイルを落とす。」

 

「わかってるよ。ちゃんと張れてるよ!さぁGO GO!」

 

束は一夏を急かせて白騎士にのせるとサイルを発射させた。一夏は白騎士でミサイルに向かいミサイルを落とし続くた。この後一夏はミサイルが3500本だったことを知って束を怒ったとかどうとか。まぁ、何がともあれ束のISの発表は上手く行ったのだ。それから束はISのコアを467個作り千冬にIS[暮桜]を与えてから世界から姿を消した。



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第二次世界大戦
第三話 って!ここどこ⁉


やぁ、久しぶりだね。アテネに間違って殺された織斑一夏こと、矢矧時雨だよ。

 

ん?今どこにいるかって?それがさ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドイツの戦場のど真ん中みたいなんだよねぇ~

ここどう見ても戦地だよ?!アテネ⁉

 

一夏が混乱して頭を抱えて居ると空から一通の手紙が落ちてきた。

 

「なんだこれ」

 

『拝啓 一夏君。ごめんね~またミスってタイムスリップさせちゃった。そこは第一次世界大戦中のドイツだから。取り敢えずガンバ!そっちでまた時を見計らって元の時代に戻すから大丈夫だよ!歴史改変してもいいからね。

 

p.s.頑張って生き残ってね~』

 

(゜ロ゜)?ハ?

 

一夏は手紙をみて一瞬固まったが、直ぐに怒りがこみ上げて来て大声で叫んだ。

 

「あんのクソ女神ィィィ!!!!!!」

 

叫び終わると一夏は疲れはてて愚痴を呟いた。

 

「マジかよ…」

 

すると、目の前にあの有名なアドルフ・ヒトラーが現れた。

 

「ヒトラー総統…」

 

そしてヒトラーに向けて敵の兵士が毒ガスを投げようとしているのが見えだ。

 

「っ!ヤバイ‼」

 

「ガスマスク!」

 

すると一夏はガスマスクを創り出すとヒトラーの元へ走った。

 

間に合え!

 

「ヒトラー!」

 

「っ!き、君は⁉」

 

突然自分の名前を呼ばれたヒトラーは一瞬止まった。そしてそれを好機と見た僕はヒトラーの顔にガスマスクを押し付ける。

 

「グッ…ガハッ‼」

 

それと同時に敵の毒ガスが放たれ、一夏はそれをもろに食らった。

 

「おい!君!君!」

 

そして一夏はヒトラーの叫ぶ声を聞き、意識を放した。

 

□■□■□■□■□■□■□■□

 

あれから五年…

 

一夏は戦後日本に帰り、軍に入っていた。

 

ある日、兵学校を卒業し横須賀鎮守府に着任していた一夏は横須賀鎮守府の司令長官 鎌居少将に呼ばれ、鎌居少将の執務室前に来ていた。

 

「織斑中尉であります」

 

『入れ』

 

一夏はドアをノックして司令長官の返事を聞いてから執務室に入室して敬礼をした。

 

「失礼します」

 

執務室に入ると鎌居少将が椅子に座るように勧めてきた。しかしそれを一夏は拒み、立ったままで居ることを選んだ。

 

「まぁ中尉、座ってわどうかね」

 

「いえ、自分はこのままで結構です」

 

鎌居少将は少しため息をつきつつも話し出した。

 

「まぁいい、今日中尉を読んだのはだね、辞令を伝えるためなのだよ」

 

そう言うと鎌居少将は机の引き出しから辞令書を出し、読み上げた。

 

「織斑一夏中尉は今日付けで大尉に昇進の後、駆逐艦竹の航海長に着任せよ!」

 

「はっ!」

 

辞令を聞いた一夏は返事をして敬礼をした。それに鎌居少将も敬礼を返した。それから一夏はなぜ移動なのかを聞いた。

 

「鎌居少将、一つ質問よろしいでしょうか」

 

「構わん」

 

「なぜ横須賀鎮守府に着任して11ヶ月にも満たない自分が大尉なのでしょうか」

 

その質問には鎌居少将も頭を悩ませていたらしく、唯一分かったのは上からの圧力だったとか…その他はわからずじまいだった。それから一夏は執務室から退室すると、自室に戻り駆逐艦竹への着任準備を初め、用意を整えると明日の着任に備えて早く眠った。



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第四話 駆逐艦竹着任と海戦

一夏は翌日の朝5時半頃に横須賀港に来ていた。

 

そして朝6時なると太平洋から一隻の駆逐艦が見えてきて横須賀港に入ってきた。一夏が着任する松型駆逐艦竹だ。一夏は横須賀港に着岸したのを確認すると駆逐艦竹の側まで来ていた。そして駆逐艦竹の側にいた二等兵曹に話しかけた。

 

「ちょっといいですか?」

 

「なんなんだよ…っ!申し訳ありません大尉殿!」

 

めんどくさそうに振り向いた二等兵曹だったが一夏の肩の大尉の海軍章をみるなりすっ飛ぶ勢いで謝ると敬礼をしてきた。それに一夏も敬礼を返す。

 

「別にいいですよ?気にしてませんし」

 

「はっ、わかりました」

 

それに安心したのか二等兵曹は肩をおろした。

 

「一応自己紹介しておきますね、織斑一夏大尉です」

 

「はっ!自分は井城仁二等兵曹であります!」

 

その元気のよさに一夏は少し後退りしたがすぐに立ち直ると井城二等兵曹に要件を話した。

 

「井城二等兵曹?駆逐艦竹の艦長は艦内に居ますか」

 

「はい、艦長ならまだ竹の艦橋にいらっしゃるとおもいます」

 

艦長の場所を聞き出した一夏は井城二等兵曹に礼を言って艦に乗り込んだ。

 

 

□■□■□■

 

 

艦橋

 

一夏は艦内のラッタルをかけ上がって艦橋に着くと艦橋内を見回し、艦長席の人物の前に着くと一夏は口を開いた。

 

「松型駆逐艦竹艦長 伊敷団蔵大佐殿でありますか?」

 

「そうだが」

 

伊敷艦長である事を確認すると一夏は敬礼をして、着任した事を知らせる。それに伊敷艦長も敬礼を返した。

 

「今日付けで駆逐艦竹の航海長に着任しました。織斑一夏大尉であります」

 

「うむ、ならばこちらも名乗っておくか」

 

そう言うと艦長は一拍おいて話し出した。

 

「私は松型駆逐艦二番艦竹艦長を勤める伊敷団蔵大佐だ。よろしく頼むよ、大尉」

 

艦長の挨拶を皮切りに艦の重要人物達が自己紹介を始める。

 

「副艦長の久川準少佐だ。よろしくな、織斑大尉」

 

久川副艦長の自己紹介が終わると各班長が自己紹介をしだした。

 

「砲術長の永井涼大尉です」

 

「水雷長の神野淳一大尉です」

 

「機関長の多賀勝曹長です。よろしくな!織斑大尉!」

 

「通信長の大淀一中尉です」

 

各班長の自己紹介を聞いて一夏も口を開いた。

 

「よろしくお願いしますね」

 

そう言うと一夏は多賀曹長に部屋に案内してくれるように頼んだ。荷物を置く為だ。

 

「多賀曹長、荷物を起きたいんですが…」

 

「ああ、荷物なら部屋に置いてもらうからついてきてください」

 

そう言われた一夏は荷物を持つと多賀曹長に連れられ、ラッタルを降りて部屋に荷物を置きに行った。



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第五話 駆逐艦竹の奮戦

一夏が駆逐艦竹に着任してから2ヶ月たったある日、一夏と駆逐艦竹はアメリカとの一つの大きな海戦に突入しようとしていた。アメリカの艦隊は空母1隻、軽巡洋艦3隻、駆逐艦8隻、計12隻で対する日本は翔鶴型正規空母二番艦瑞鶴を旗艦とした、球磨型軽巡洋艦2隻、梨型駆逐艦6隻を含む計9隻だ。そして、今まさに海戦に突入する直前の時だった。

 

 

午後2時半、翔鶴型正規空母二番艦瑞鶴から通信が入った。

 

「旗艦瑞鶴から通信!『我、敵艦隊ヲ発見セリ、敵艦隊ハ空母一、軽巡三、駆逐八』とのことです!」

 

そう通信長が報告をあげてくる。それから旗艦瑞鶴から雷撃隊の第一波が発艦していくのを確認した伊敷艦長は艦橋要員を見回して口を開いた。

 

「皆、聞いてくれ」

 

その言葉に艦橋要員全員が伊敷艦長の方を向いた。

 

「敵は12隻からなる大艦隊、それに比べ我が艦隊はたった9隻だ。負け戦になる確率は高い!しかし、我らは練度が違う!訓練の数が違う!これを駆使してがんばれ!」

 

それを聞いた一夏等艦橋要員は、敬礼をしていた。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

30分後、海戦に突入した日本艦隊と敵艦隊の戦いは、激戦と化していた。敵の軽巡洋艦二隻と駆逐艦五隻を轟沈にまで追いやったがこちらの艦隊は球磨型軽巡洋艦一隻梨型駆逐艦四隻轟沈の被害が出ていた。

 

 

□■□■□■□

 

 

艦橋

 

「右舷より魚雷!」

 

「取り舵一杯!第三戦速!魚雷かわせ!」

 

駆逐艦竹の艦橋に伊敷艦長の怒声が響き渡る。そして竹は右舷から接近する魚雷を避けるために機関全開で左舷に周り、回避した。それでほっとしたのもつかの間、後方の観測要員から敵の急接近の報告が入る。

 

「敵機直上‼」

 

「何⁉」

 

そうして次の瞬間艦橋や第一煙突に敵機の機銃掃射が降り注いだ。艦橋の一部の天井が突き破られ第一煙突が小爆発を起こした。一夏はギリギリで体を伏せ無事だった。しかし、この攻撃で艦橋後部方面にあった艦長席に機銃が直撃し、艦長と副艦長を含む4人が戦死した。

 

「うぅ…艦長!副艦長!」

 

「航海長…」

 

艦橋にいた生き残り達が一夏を見つめ、そう言っていた。

 

「私が艦長代理をするしかないか…」

 

それから一夏はこの戦闘中の艦長代理となり、艦の指揮を始めた。

 

「被害は!!」

 

先ず被害を挙げさせる。

 

「全部甲板に爆弾が一発命中!艦橋に機銃ブチ込まれた以外は損害軽微です!」

 

それを聞き、通信手に指示をする。

 

「艦隊旗艦に通信!『我、戦闘行動ニ復帰スル』だ!」

 

そして敵艦隊旗艦を前方42000mにとらえた一夏は続いて指揮を出す。

 

「主砲塔1番2番、並びに魚雷発射菅右舷回頭90度!」

 

「これでは敵に当たりませんよ!織斑艦長代理‼」

 

「少し黙ってろ!このままでいい‼」

 

そして、至近弾が多数発生する中、敵旗艦との距離が30000に縮んだ瞬間、一夏は左舷の錨を下ろすように指示した。指示を飛ばす。

 

「左舷、錨下ろせ!」

 

その数十秒後竹は『ガコン!』という音と共に左舷に急回頭した。回頭が始まると一夏は錨を切るよう叫んだ。

 

「機関微速!!錨切れ!」

 

そして砲が向いているのは敵艦隊旗艦の横っ腹だった。回頭が止まると一夏は攻撃の指揮をした。

 

「主砲1、2番!魚雷1~4番!ってぇー‼」

 

その掛け声と共に魚雷や砲弾は吸い込まれるように敵旗艦に直撃した。敵旗艦は、傾訝に攻撃を集中され過ぎて転覆し、沈没した。敵旗艦沈没後、悪化していた戦況は打開され、アメリカ艦隊を全滅せしめるという完全な日本艦隊の勝利となった。



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第六話 第二八駆逐隊

あれから半年後、一夏は島風型駆逐艦『島風』を旗艦とした初春型駆逐艦『夕暮』『若葉』、朝潮型駆逐『朝潮』『山雲』を配下に置く第二十八駆逐隊の艦隊司令兼島風艦長に少佐として着任していた。

 

そして今、一夏のいる第ニ十八駆逐隊は所属している横須賀鎮守府からラバウル航空隊基地に山本五十六聯合艦隊司令長官座乗の戦艦『長門』を護衛しながら太平洋を航海していた。

 

 何も起こらないことで暇をもて余していた一夏は、側にいた副艦長の高瀬新輝(たかせ しんき)大尉に話しかけた。

 

「なぁ、副長」

 

「何ですか、織斑艦長」

 

「いやさ、何も起こらないな~って思ってさ」

 

「ですね。けどだからこそ気を引き締めなければいけませんよ?艦長?」

 

一夏は気楽にしようと思って言ったことばを高瀬大尉に正論を返されてガックリと肩を落とした。

 

「だいたい聯合艦隊司令長官の護衛なんですからね」

 

「と言うかなんで今時になってラバウルに山本長官が行くんだ?」

 

一夏の質問に高瀬大尉は悩みながらも答えた。

 

「ラバウルの士気を上げるためらしいですよ~」

 

それを聞いて直ぐに一夏の脳内に雷が走った。

 

「対潜ソナー感度最大!探知初め‼」

 

「か、艦長?!」

 

急な指事に驚いていた高瀬大尉を横に通信要員から

 

「対潜ソナーに反応‼数6!深度57m地点から速度15ノット程度で左舷より接近を確認‼」

 

と報告が上がったのだった。報告が上がると直ぐに一夏は指揮を取り出した。

 

「総員!第一種戦闘配置!対潜水艦戦闘用意!」

 

「各艦に打電!『我、敵潜水艦隊発見セリ!速力二十五ノットニテ左舷ヨリ我ガ艦隊に接近中』」

 

一夏の号令と共に各乗組員が持ち場に着いた。そこで一夏は通信要員にまた新たな指事を出した。

 

「至急戦艦長門に敵艦接近の電文を打電しろ!」

 

それを聞いた通信要員はなぜ戦艦に?と言いたそうな顔で一夏をみた。それに気がついた一夏はその通信要員に怒鳴った。

 

「バカかお前は‼戦艦長門には対潜ソナーがないんだよ‼さっさとしろ!」

 

「は、はい‼」

 

一夏の怒声にビビりながらも長門に打電を打った。

 

□■□■□■□■

 

あれから数分後、やはり一夏率いる第ニ十八駆逐隊が敵潜水艦隊と遭遇した。しかし戦いはこちらが有利に進んでいった。何故なら海戦が始まってすぐに一夏が艦隊全艦に

 

『ハチノマイ』

 

と打電していたからだった。この暗号文は第ニ十八駆逐隊流の戦術でその戦術とは各艦ごとにジグザグに動き網を描くように爆雷を投下するとゆうものだった。そして、敵潜水艦6隻の4隻目を撃沈した時にまた敵潜水艦の接近を感知した時と同じ稲妻が頭に落ちた。それとほぼ同時に通信要員から報告が上がる。

 

「長門の左舷に敵潜水艦の接近を確認‼」



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第七話 第二八駆逐隊の奮戦

しまった!一夏は一瞬そう焦ったが、直ぐに冷静さを取り戻し、艦の指揮を取る。

 

「面舵一杯‼180度完全回頭を確認の後、第三戦速!長門の横に滑り込め!」

 

それを聞いた高瀬大尉は驚きを隠せないまま一夏の指揮のもと回頭する艦の艦橋で詰め寄った。

 

「艦長‼何をしてるんですか‼」

 

「本艦隊の任務は山本長官が乗艦されている戦艦長門の護衛だ!敵の魚雷を受けてでも守るんだよ!」

 

それを聞いて放心状態の高瀬大尉をよそに一夏は通信要員に指事を出す。

 

「第ニ十八駆逐隊全艦に打電!『我、長門付近ニ敵潜水艦ヲ発見ス。本艦は長門ノ護衛ニ入ル、至急敵潜水艦ニハチノマイヲ実行セヨ』だ!」

 

それが打電し終わると、島風の艦橋から長門の中央部、弾薬庫付近に向かって長門の左舷7000m付近から三本の魚雷が向かうのが見えた。一夏はヤバイ!と感じとると更に無茶な指事をした。

 

「最大戦速!機関が壊れてもいい!全速力で長門の横に滑り込みせろ!!艦を盾にしてでも長門を守れッ!!」

 

それを聞いた操舵者の伊川三治(いかわ さんじ)曹長が一夏に意見した。

 

「艦長!それではこの艦から多大な犠牲が出ます!」

 

それを聞いた一夏はそうかもしれないと考え直し、新たに指揮を出した。

 

「駆逐隊朝潮に救助を頼め!総員退艦!」

 

そして総員退艦という言葉を聞いて放心状態から回復した高瀬大尉が質問してきた。

 

「それでは艦を動かす者が居なくなりますよ!」

 

「私がいる。なぁ~に、艦は動かせるしいざとなれば海に飛び込んで退艦するさ」

 

「しかし!?」

 

高瀬大尉は珍しく食いついてきた。

 

「命令だ。高瀬大尉、退艦して他の乗組員を指揮せよ」

 

「クソッ…わかりました。これより本官は退艦、他乗組員の指揮を執ります。…死なんで下さいよ、艦長」

 

それを聞いて高瀬大尉は渋々ながら引き下がってくれた。

 

「…勿論死ぬつもりは無い。生き残る為に行くさ…」

 

一夏は去り行く高瀬大尉の背中に向けそう呟いた。

それから最大戦速で進んでいた島風に朝潮が横付けし、乗組員達が退艦すると一夏は艦の舵を自ら握り、長門の横っ腹に滑り込んだ。

すると直ぐに島風の左舷に三本魚雷が命中した。そして島風は魚雷が命中した左舷に大きく傾き、転覆してみまったのだった。そしてその数秒後、艦中央部から真っ二つに折れて沈んでいった。

 

■□■□■

 

これはあの海戦の後の話だが、一夏は捜索に来た駆逐艦夕暮に回収されたらしい。そして敵潜水艦はというと長門の攻撃を自分の艦を盾にして守った島風に恐怖を感じ、島風の沈没後直ぐに撤退していった。



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第八話 転属と昇格と

乗艦を沈められた翌日。駆逐艦夕暮で休息をとっていた一夏は母港である横須賀港に入港したあと横須賀鎮守府司令長官鎌居少将に呼び出され、また執務室前に来ていた。

 

「織斑一夏少佐です」

 

『入れ』

 

一夏はドアをノックし、中から返事が来たのを確認して入室した。そして全開来たときにもした敬礼をした。

 

「織斑一夏少佐、帰還いたしました」

 

「まぁ、座ったらどうだ」

 

一夏からの帰還の知らせを聞いた鎌居少将は、少々威圧をかけて座るかを聞いてきた。これは一夏でもわかる、

“座れよこのヤロー、座らなかったら…”というような感じを思わせる。それには勘弁ならなかった一夏はお言葉に甘えて座ることにした。

 

「で、ではお言葉に甘えさせていただきます」

 

一夏がソファーに座ったのを確認した鎌居少将は一瞬にこやかな、“やった!”というような面相を出したが、直ぐに押さえ込んで司令長官としての顔を作った。それを確認した一夏は鎌居少将に質問をした。

 

「鎌居少将、なぜお呼びになったのですか?」

 

「いやね、君が指揮をとって敵旗艦を沈めた事で得られた戦果が計り知れないってことでだな」

 

「はぁ」

 

「大本営から辞令がまた降りてきたんだよ」

 

そう言うと鎌居少将は一枚の紙を持ってそれを読み始めた。

 

「連合艦隊司令長官座乗の長門護衛において貴殿は多大なる勝利への貢献をしたとして少佐から大佐に昇格、他の竹乗組員を二階級特進とする!」

 

「また!織斑一夏大佐には判断力と作戦指揮能力を見込み、第二八駆逐隊司令から新設される日独英伊ソ連合の第703航空隊の航空隊隊長に任命する!」

 

辞令を聞いた一夏は立ち上がると敬礼をした。その敬礼に鎌居少将も敬礼を返してきた。

 

「はっ!織斑一夏大佐!第703航空隊隊長の辞令!拝命いたします!」

 

「ハァ~…それから織斑大佐はドイツ、イギリス、ソ連軍にも席を置くことになった」

 

それを聞いた一夏は鎌居少将に向かって大声をだした。

 

「五ヶ国に所属する軍人なんて聞いたこと無いですよ‼」

 

すると鎌居少将はため息をつきながら説明してきた。

 

「ハァ…これは五ヶ国同盟会議で決まったんだ。君の取り合いという事だな。まぁ、諦めてくれ」

 

「…わかりましたよ。で、その階級とかは何なんで?」

 

すると驚きの答えが帰って来た。

 

「…ドイツが軍令部中将、イギリスとソ連、イタリアが少将だ」

 

「マジですか…わかりましたよ」

 

「そう言ってくれると助かる…」

 

それから辞令を拝命した一夏は執務室を後にした。

 

 

 

□■□■□■□

 

 

 

第703航空隊基地

 

 

 

あれから元島風の乗組員の各班長などに転属の事を知らせた二週間後、一夏は第703航空隊基地があるドイツを訪れていた。そして一夏は警備府に着くと執務室に向かった。

 

そして執務室前まで来ると第703航空隊の為に作られた基地という事もありノック無しで執務室に入った。するとそこには一人のドイツ人少女が椅子に座っていた。少女は一夏を見ると直ぐに立ち上がると敬礼をして自己紹介をした。

 

「本日付けで第703航空隊に着任しました!レイナ・レルベン中佐です!」



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第九話 第703航空隊

「本日付けで第703航空隊副隊長に着任しました!レイナ・レルベン中佐です!」

 

少女の自己紹介を聞いた一夏も敬礼を返して自己紹介をした。

 

「第703航空隊隊長に着任した織斑一夏だ。訳あって日本、ドイツ、イギリス、イタリア、ソ連軍に席がある。まぁ、気にするな。それから日本での階級は大佐だ。よろしく頼む、レルベン中佐」

 

軽い挨拶を済ませた一夏は執務室の椅子った。するとレルベン中佐が話しかけてきた。

 

「あの、織斑隊長?」

 

「うん?どうした?レルベン中佐」

 

「何で五ヶ国も軍に所属してるんですか?」

 

説明しにくい所にくるな…ハハハ…

そう心の中で肩を落とした一夏はその説明しだす。

 

「う~ん。僕は前に乗ってた駆逐艦竹で航海長をしてたんだけどある海戦で艦橋に被弾して艦長とか副艦長が戦死してさ」

 

「それで?」

 

「艦の指揮を僕が艦長代理として敵の旗艦を沈めちゃって、形勢逆転して勝ったら知らない間に五ヶ国同盟会議で決まってた」

 

そう言うとレルベン中佐が質問をしてきた。

 

「なら、階級はなんなんですか?」

 

「階級?日本が大佐でイギリスとソ連、イタリアが中将、ドイツが軍令部中将な」

 

するとレルベン中佐が再び驚きながら質問をしてきた。

 

「ぐ、軍令部中将⁉ど、どうしたらそんな階級になるんですか!」

 

「どうしてって…あ!第一次世界大戦の時に殺られそうになってたヒトラー総統を助けたからとかかな。だけどイギリスはわからんなー」

 

そうあっけらかんと答えた。そして落ち着いた頃に執務室のドアがノックされた。

 

『第703航空隊に着任した者です』

 

ん?他の隊員も来たか…

 

「どうぞ」

 

一夏がそう言うと執務室の扉が開かれ、ゾロゾロと7人が部屋に入ってきて敬礼をして自己紹介をしてきた。

 

「大日本帝国軍所属、更識瑠衣少佐です」ピシッ

 

「同じく、秋野皐月大尉です」ピシッ

 

「同じく五反田厳中尉です」ピシッ

 

「イギリス軍所属、ソレイユ・オルコット少佐です」ピシッ

 

「同じくメイル・ヘレスト少佐です」ピシッ

 

「同じくフィルス・ガーベイ少尉です」ピシッ

 

「イタリア軍所属、ミレリア・カーチス中尉です」ピシッ

 

「同じくシュルツ・フォンディル少尉です」

 

「ソ連軍所属、アリサ・レッチェコフ大佐です」ピシッ

 

「エリナ・シュヴァリエ中佐です」ピシッ

 

「ドイツ軍所属、ロバート・ヘルシン大尉です」ピシッ

 

「同じくリシュー・ロイエル少尉です」ピシッ

 

一夏とレルベン中佐も座っていた椅子から立ち上がり敬礼をして返した。

 

「第707航空隊隊長の任に付いている織斑一夏。訳あって日本、ドイツ、イギリス、ソ連に席がある。よろしくたのむ」ピシッ

 

「第707航空隊副隊長の任に付いています。レイナ・レルベン中佐です!」ピシッ

 

 

□■□■□■□■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから3年後、第707航空隊は参加する作戦を必ず成功させ、その統率の高さから“円卓の騎士”と、またある時は、死を呼ぶ12人からなる部隊ということから“死徒第十ニ死祖”と恐れられていた。

 

その中でも隊長の一夏と副隊長のレルベン中佐、そして更識瑠衣、ソレイユ・オルコットの4人は≪黒血の月姫≫≪戦場のウィッチ≫≪蒼き流氷≫≪青きスナイパー≫として特に恐れられていた。

 



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第十話 連合艦隊司令長官

一夏は今は呉鎮守府にいた。連合艦隊司令長官山本五十六大将の執務室に出頭するように本国から通信があり、駆逐艦夕暮で呉鎮守府に来ていた。そして一夏は山本長官の執務室に向かっていると、鎮守府の港に未完成の戦艦が一隻停泊しているのを見つけ、執務室に案内してもらっていた花和木曹長に質問した。

 

「なぁ、あの戦艦はなんなんだ?」

 

「はっ、あの戦艦は扶桑型戦艦三番艦の扶城ですね」

 

「扶城、か」

 

「戦艦はもう時代遅れらしく、未完成で放棄されることが決まって置いてるだけみたいです。まぁ、欠陥戦艦を残しとくほど余裕が我が海軍にはないのかもしれないですしね」

 

「さっ!そんなことより、早く行きますよ!」

 

「ん、わかったよ」

 

そう言われた一夏は曹長に案内されて執務室に向かった。

 

□■□■□■□■□■□

 

そして執務室前に付いた一夏は扉を叩き、入室の許可を取った。

 

トントン

 

『入れ』

 

一夏は司令長官の返事を聞いてから執務室に入ると自分の所属と名前、階級を大声で言った。

 

「日独英伊ソ同盟航空隊、第703航空隊隊長!織斑一夏中将!只今出頭いたしました!」

 

執務室に入ると山本五十六連合艦隊司令長官が椅子に座るように勧めてきた。しかしそれを一夏は拒み、立ったままで居ることを選んだ。

 

「まぁ中将、座ってわどうかね」

 

「いえ、自分はこのままで結構です」

 

山本長官は少しため息をつきつつも話し出した。

 

「実はだね、私が次の海軍大臣に就任する事が決まってね」

 

「は、はぁ。おめでとうございます」

 

「だから上層部や陛下は君に次の連合艦隊司令長官を君にするようなんだよ。もちろん私も推薦している。受けてくれるな?」

 

そして一瞬固まったが、一夏は復活し、返事をした。

 

「…わかりました。次の連合艦隊司令長官の任、受けます」

 

そう一夏が言うと山本長官はにこやかになり“ああ、忘れていた”といい机の中から何度も見たことがある辞令書を引き出し、その辞令を読み上げた。

 

「織斑一夏中将を明後日付けで大将とする!任命式は後日連絡する」

 

「はっ!」

 

「そして君には大勲位菊花章頸飾の授与の話が来たそうだ」

 

「は、はぁ」

 

「それから天皇陛下から君の乗艦は好きに選ばせるようにと辞令が来ているが…どうするかね?」

 

そう山本長官に言われた一夏は、執務室に来るまでに見つけていた未完成で放棄されていた戦艦扶城を思い出した。

 

「…なら、未完成で放棄されている戦艦扶城をいただけませんか?」

 

「何?扶城を?」

 

山本長官は一夏が何故扶城を要求したかが分からずに聞き返した。

 

「自分は扶桑型が好きなのです。だから欠陥戦艦の汚名返上のためであります」

 

そう一夏が言い切ったのを聞いた山本長官は、許可を下ろしてくれた。

 

「扶城はどちらにしろ廃艦だ。好きにしてもいい」

 

「それと長官、扶城を独自に改修したいと考えています。そのための改修費用は自分が持ちますので」

 

それを聞いた山本長官は、少し悩んだような顔をしたが、直ぐに一夏の方を向き、返事をした。

 

「うむ、わかった」

 

「ありがとうございます」

 

そう言うと一夏は山本長官に一礼を済まし、執務室を退出した。

 

□■□■□■□

 

あの後、一夏は知り合いの造船所に扶城を搬入し、改修工事を開始した。そして改修の資材は一夏の創造能力、≪物を作る程度の能力≫を使い、出された物を使うことで賄うことに決まったのだった。



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第十一話 激突!ミッドウェー!

一夏はこの頃にアテネに扶城のメンタルモデル扱いにされている。(書いてないけど)


一夏が連合艦隊司令長官に就任してから約二ヶ月後、太平洋をミッドウェー島に向けて向かう日独伊蘭大連合艦隊があった。その艦隊の名を旭日艦隊、世界の邪を光持ち晴らすという意味の込められた艦隊である。アメリカの要所、ミッドウェー島攻略を目的とし、戦艦5隻、航空空母7隻、重巡洋艦12隻、軽巡洋艦14隻、駆逐艦30隻、潜水艦7隻を含む大艦隊である。

 

そして、旭日艦隊旗艦、航空戦艦扶城。全長:256.1m、最大幅:96.5m、基本排水量:34,000t。この艦こそ、一夏が作り出した最強の戦闘艦である。

 

「遂に僕も連合艦隊司令かぁ~」

 

旭日艦隊旗艦、航空戦艦扶城の第一艦橋で、日独伊蘭連合艦隊の総司令を勤める一夏が呟いた。するとそれを聞き付けた副艦長になった伊川偲(いかわ しのぶ)中佐が一夏に質問をしてきた。

 

「そう言えば艦長は前はどこの部隊にいたんですか?」

 

「ん?僕?僕は第703航空隊で隊長してたけど?」

 

一夏の前の所属を聞いた伊川副艦長を含んだ艦橋要員全員が驚き、叫びを上げた。

 

「「「「「ええぇぇ~!!!!」」」」」

 

ビクッ!な、なんだ?!

 

「か、艦長があの黒血の月姫ェ~!」

 

「本当にかよ」

 

と艦橋要員が口々に騒いでいた。

 

「そうだ!騒がしいぞ!バカどもがッ‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

□■□■□■

 

 

 

そうした少しほのぼのとした時間が流れていき、数時間後、旭日艦隊はミッドウェー艦隊と会敵していた。

 

「電探に艦!前方30㎞に敵艦隊‼」

 

通信要員から報告が上がる。それを聞いた一夏は、艦の指揮を執り出した。

 

「よし、全艦隊に敵艦隊の接近を通達しろ」

 

「全艦第一種戦闘配置!航空隊全機発艦‼」

 

一夏がそう指事を出して数分後、『扶城』、航空空母『赤城』『加賀』『信濃』『グラーフ・ツェッペリン』『ペーター・シュトラッサー』『アルビオン』『イーグル』から総勢400機以上の航空機がミッドウェー艦隊に向けて飛び立っていった。それを見届けると、一夏は敵艦隊に主砲で攻撃をする指揮を執った。

 

「全艦隊に通達!接近中の敵ミッドウェー艦隊に向けて主砲回頭!各砲身にZ弾装填‼垂直発射装置に二式誘導噴進弾装填‼撃ちィ~方初め‼」

 

その号令と共に扶城を含む総勢31隻の艦が主砲を斉発した。Z弾は正常に飛行し、敵艦隊の上空で起爆したと報告が入った。

 

「敵艦隊への命中を確認‼敵艦を多数に命中、または撃沈した模様!!」

 

そして砲術が諸元修正を終え、一夏に報告する。

 

「了解!次弾発射用意!!撃てェェ~‼」

 

そして次弾も混乱した敵艦隊に吸い込まれるように飛翔して行った。それを確認すると一夏は艦長席を立ち上がり、手を前に突き出すと高らかに命令を下す。

 

「これで敵は混乱している!畳み掛けるぞ‼」

 

その指揮と共に旭日艦隊の全艦がミッドウェーアメリカ艦隊に向けて進んで行った。

 



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第十二話 レイテ島沖海戦

四国連合艦隊の勝利に終わったミッドウェー海戦から数ヵ月後。一夏はレイテに連合艦隊…別名旭日艦隊司令長官として向かっていた。

旭日艦隊は戦艦2隻、航空空母3隻、重巡洋艦2隻、軽巡洋艦3隻、駆逐艦4隻、潜水艦5隻を含む艦隊である。

 

「今回の海戦…一嵐あるかもな」

 

旭日艦隊旗艦、扶桑型戦艦三番艦 扶城の第一艦橋で、一夏が呟いた。するとそれを聞き付けた副艦長になった伊川中佐が質問をしてきた。

 

「一嵐ある…ですか?」

 

「ああ、ミッドウェーでのことがある。アメリカも力を入れてくるだろうからな」

 

実際、一夏が率いていた旭日艦隊は山口提督やイギリス、ドイツ等の空母機動部隊に被害を出させずに航空母艦『エンタープライズ』『ヨークタウン』『ホーネット』、重巡洋艦『ミネアポリス』 『 ニューオーリンズ』、駆逐艦『ハムマン』等の敵艦計6隻撃沈という大打撃をアメリカに与えていた

 

「さぁ、気合いを入れなきゃね」

 

そう言うと一夏は少し笑って見せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

□■□■□■

 

 

 

そうしたほのぼのとした時間が流れていき、数時間後、連合艦隊はレイテ島基地のアメリカ艦隊と会敵しようとしていた。

 

「電探に敵航空機の大編隊を探知!高度1500フィート距離28キロ‼」

 

通信要員から報告が上がる。それを聞いた一夏は、大本営にある電文を送った。

 

『敵艦見ユトノ警報ニ接シ、連合艦隊ハコレヨリ敵艦隊二突撃ヲシ、コレヲ撃滅セントス、本日天気晴朗ナレモト波高シ』

 

それから一夏は艦の指揮を執り出した。

 

「よし、全艦隊に敵航空機の接近を通達しろ」

 

「全艦第一種戦闘配置!航空隊全機発艦‼」

 

雫がそう指事を出して数分後、『扶城』『信濃』『赤城』『加賀』から総勢280機程の航空機がアメリカ艦隊に向けて飛び立っていった。それを見届けると、一夏は自分に依然接近中の航空を撃ち落とす指揮を執った。

 

「全艦隊に通達!本艦隊に接近中の航空機に向けて主砲回頭!各砲身にZ弾装填‼垂直発射装置に二式誘導噴進弾装填‼撃ちィ~方初め‼」

 

その号令と共に扶城を含む総勢12隻の艦が主砲を斉発した。Z弾は正常に飛行し、航空隊の中心で起爆したのが一夏からは見えた。そして、見張りより報告が入る。

 

「敵編隊への命中を確認‼敵機多数を撃墜した模様!!」

 

そして砲術が諸元修正を終え、一夏に報告する。

 

「了解!次弾発射用意!!撃てェェ~‼」

 

そして次弾も敵航空隊に吸い込まれるように飛翔し、残存敵航空機の大半を撃破若しくは撃墜していた。それを確認すると一夏は艦長席を立ち上がり、手を前に突き出すと高らかに命令を下す。

 

「これで敵の航空機の大半を落とした!敵艦隊を叩くぞ!!」

 

そう叫ぶと扶城の第一マストにZ旗が掲げられ、第七七艦隊の全艦がアメリカ艦隊に向けて進んで行った。



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第十三話 レイテ沖海戦~扶城、暁に沈む~

レイテ島沖のアメリカ艦隊に突入してから約20分後、艦橋に衝撃が走った。

 

「グッ、状況報告!」

 

「敵弾!第一航空甲板に被弾‼」

 

それを聞いた直ぐに一夏は被弾した第一航空甲板にあるものの存在を思いだし、航空甲板を向きながら叫んび、被弾箇所を切り離すように指示をする。この航空戦艦扶城には一夏が前世で知っていたいたミッドウェーでの赤城の悪夢を参考に切り離すことで被害を最小限に押さえることを目的として第一、第二航空甲板につけられていた。

 

「なに⁉甲板には魚雷を抱えた機体があるんだぞ!」

 

「急いで第一航空甲板!並びに左舷強化部を切り離せ‼」

 

「は、はい!」

 

そう言うと被弾した航空甲板とそれの補強パーツが切り離され、海に落ちると同時に被弾部は爆発したのだった。

 

「左舷バラストに注水急げ!」

 

「第二雷撃隊全機発艦‼」

 

「それから全機発艦後、第二航空甲板!並びに右舷強化パーツを切り離せ!」

 

それから直ぐに一夏は左舷バラストに注水してから第二航空甲板にあった航空機を全て発艦させると片方に重心が傾き過ぎている原因の第二航空甲板も切り離すように指示をした。

 

━━━━━━━━━━━

 

あれから数時間後…

扶城が囮作戦を実施し、敵の集中砲火を浴びながらも戦っていた。

 

敵駆逐艦からの雷撃が扶城に向けて放たれた。

 

「左舷より魚雷!数4!」

 

それを発見した艦橋要員が報告をあげる。

 

「取り舵一杯‼」

 

一夏がそう叫び、舵が切られたが回頭速度が間に合わず魚雷が命中して艦が左に30度程傾いた。そして、次々に被害報告が入って来た。

 

「魚雷、左舷に命中!左舷機関室浸水!」

 

「機関出力低下!」

 

「艦、傾斜左30度!」

 

そして、被害報告が一段落する前に次の指事を出した。

 

「浸水部所ハッチ閉鎖!」

 

「右舷バラストタンク緊急注水!ポンプ回せ!傾斜復旧急げ!」

 

「各砲塔照準‼撃てェェ‼」

 

そして艦の傾きがやっと直ったとおもったのもつかの間。すぐに後方から衝撃と痛みが来た。

 

「後方格納庫に被弾!…グッ!格納庫にて誘爆を確認!要員総員戦死!」

 

「右舷バラストタンク満水!浸水、さらに拡大中!」

 

後方の格納庫にいた乗員の戦死が報告される。それと同時に右舷バラストタンクの満水が報告され、艦の傾斜がまた広がりだす。そしてまた魚雷が接近して来た。

 

「右舷より魚雷!数3!」

 

「取り舵一杯!」

 

副艦長が指事を出した。しかし、それを切り壊して一夏が別の指揮を出した。

 

「いや!進路そのまま!魚雷を右舷にぶつけて傾斜を戻す!」

 

しばらくすると魚雷が右舷に命中した。すると命中したところから浸水が始まった。

 

「右舷中央部に魚雷命中!浸水始まりました!」

 

「傾斜30度‼」

 

「なっ!…傾斜もとに戻りません!なおも拡大!」

 

艦橋要員の観測係が声をあげた。右舷からの浸水が左舷の浸水に及ばずに左舷に傾き出したのだ。

 

「傾斜復旧の見込み……クッ…ありません!」

 

「傾斜復旧見込み無し‼」

 

すると艦橋要員の残念がった声が聞こえだした。そして一夏は艦長席から立ち上がると艦橋を見回し、口を開いた。

 

「全乗組員が一生懸命努力したが、この通り飛行甲板や主砲が使用不能にまでやられてしまった。しかし、米軍の本隊への足止めはできたのだ」

 

「諸君らの奮戦に感謝する…総員退艦‼」

 

一夏がそう言うと乗組員達は敬礼をし、急いで退艦をしていった。その中で一人、副艦長の伊川偲(いかわ しのぶ)中佐が質問をぶつけてきた。

 

「艦長!」

 

「早く貴様も退艦しろ!」

 

「艦長は…どうするのですか」

 

「…俺は…この艦に残る」

 

一夏は言いどよみながら答えた。

 

「いいんだ。俺はこの艦と死にたいのさ…帝国海軍の一軍人として、この艦の艦長として、な」

 

「だから!だから貴様は生きろ!生きて、先に死んで行った英霊達の存在した意味を見出だしてこい‼」

 

一夏がそう言うと伊川中佐は、敬礼をし、一夏の遺品を求めてきた。

 

「はっ‼なら!…なら何か遺品になるものを下さい」

 

そう言われた一夏は腰のホルダーごと拳銃を伊川中佐に投げ渡した。

 

「ほら、くれてやるから早く退艦しろ!」

 

伊川中佐は拳銃を受けとると急いで退艦していった。伊川中佐が艦から飛び降りて退艦するのを見届けた一夏は自ら舵を握り、敵艦に進路を執った。

そして艦長席に座り、敵戦艦に突撃する瞬間一人呟いた。

 

「…日本は…守れたな」

 

そう言って一夏は目を瞑る、それと同時に足元の床が張り裂け艦橋が爆発した。敵戦艦の中央部に見事突撃し、敵戦艦を道連れに沈んだのだった。

 

□■□■□■□■□■□

 

その後の調査で扶城は戦艦4隻、航空母艦5隻、重巡洋艦11隻、軽巡洋艦13隻、駆逐艦78隻撃沈という大戦果を単艦で納めていた事がわかった。

あの後、大東亜戦争はレイテ島、ミッドウェー島、アメリカの重要基地を占領されていったアメリカが日本側、五ヶ国同盟に無条件降伏し、それに伴い他の連合国も次々に降伏していき五ヶ国同盟が勝利するという形で終戦を迎えた。



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IS編
第十四話 再開の写真


戻ってきて数ヵ月がたったある日、一夏は千冬の出場する第二回モンド・グロソが開かれるドイツの空港に来ていた。

 

 

 

「さてと、レイナに会いに行きますかね~」

 

一夏はそう言うと第707航空隊基地跡地のドイツ軍事施設に向かった。戻ってきてから一夏はレイナがまだ軍に居て軍令部元帥をしていることを調べあげていたのだ。

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

「ほぇ~すごいな」

 

(変わったな~)

 

「何か用かな?僕?」

 

あれから30分後、一夏が基地の建物を見上げていると兵士達に話しかけられた。一夏は兵士にポケットから出した二枚の写真を渡した。片方は第707航空隊隊員の集合写真、そして……一夏とレイナと瑠衣、ソレイユの四人が肩を並べあっている写真だった。

 

「これは?」

 

一夏から渡された写真に付いて一人の兵士が聞き返してきた。それに対して一夏は素直に用件を言った。

 

「家にあった古い写真で、ここに写ってた人がいるらしいから。だからレルベンさんに見せてみて」

 

「う~ん…わかった。渡してみるよ」

 

少し考え込んだ末に兵士が折れ、写真を渡してくれる事になった。そして、レイナに写真を持っていった兵士がしばらくして戻ってきた。

 

「司令がお会いになるそうだ。付いてきてくれ」

 

そして、一夏は兵士に連れられ、執務室に来ていた。執務室に入るとそこには一人のお年寄りがいた。しかし、一夏にはそのお年寄りが誰かが直ぐに分かり、名前を口に出していた。

 

「…レイナか?」

 

その呟きを聞き取ったレイナは一夏に挨拶をしてきた。

 

「お久しぶりです、…織斑隊長」

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

あの後、一夏はメンタルモデルの能力を使ってレイナを若返らせてた。

 

「で、どうしたんです?隊長」

 

レイナは唐突にそう言ってきた。

 

「いやな、IS使えるし千冬姉さんが教官になるみたいだしドイツ軍入りたいんだけど…だめかな?」

 

一夏のその質問にレイナはハァとため息をついてから新たに口を開く。

 

「隊長の実績は知ってるから別に良いけど…」

 

マジで?MA!GI!DE!

 

「なら頼むよ~」

 

それを聞いたレイナはノートパソコンを起動し、部隊の空きを確認した。

 

「え~っと、空きがあるのは…あった!隊長の配属先はここの司令部直属のシュバルツァー・ハーゼになります」

 

ふ~んシュバルツェ・ハーゼかぁ~。てか僕の階級って…

 

配属先がシュバルツァー・ハーゼだとわかった一夏だったが階級の事が気になり質問をした。

 

「なぁ、階級ってなんなの?」

 

「あ、ああ!一夏の階級は少佐からにしようと思ってます」

 

ぜってー忘れてただろ…(ジトー

 

レイナは“忘れてないですよ!”と忘れたのを隠したのを顔が物語っていたのを見抜いた一夏はジト目で見ながらも、拒否した。

 

「いや、偽名と仮面を使って一等兵から始めるさ」

 

「えっ?一等兵…からですか?」

 

一夏が一等兵から始まると言った事に驚いたレイナが聞き返した。

 

「流石に入隊して直ぐに少佐は色々不味いからな」

 

「順々にあげてくれれば良い」

 

「…わかりましたよ」

 

少し悩んだレイナだったが、最後は了承してくれた。それから一夏は色々雑談してから大会会場に向かった。



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第十五話 シュバルツェ・ハーゼ

シュバルツェ・ハーゼ基地

 

「シュバルツェ・ハーゼに着任しました。ラウ・ル・クルーゼ一等兵です。よろしくお願いします」

 

「今日より一年間貴様らの教官を勤めることになった!織斑千冬だ!いいか貴様ら!私の言うことにはYESとはいのどちらかで答えろ!NOやいいえは禁止だ!解ったな?」

 

「「「「「「「イエッサー」」」」」」」

 

シュバルツェ・ハーゼの基地に教官として着任した千冬が自己紹介をするとシュバルツェ・ハーゼ隊隊員は勢いよく返事をした。そして自己紹介が終わると千冬の鬼畜な訓練が始まった。

 

「諸君!これより訓練に入る!まずは基地の外周5周だ!」

 

━━━━━━━━━━━

 

そして千冬の訓練が終わって残っていたのはラウル一等兵とラウラボーデヴィッヒ少尉のみだった。

 

 

それからしばらくして夕食の時間になった。一夏は隊に着任するのにつき食堂の料理番も請け負うことになっていた。

 

「夕食ですよ~」

 

一夏が作った料理は隊員に好評だった。

 

「美味しいよ!ラウ一等兵!」

 

「さすがだな!ラウ一等兵!」

 

そして一夏は隊員の心を掴んだのだった。そしてシュバルツェ・ハーゼ隊副隊長クラリッサハルフォース少尉にある質問をした。

 

「クラリッサ少尉」

 

「なんですか?ラウ一等兵」

 

「今日の訓練を僕以外に耐えきっていた人ってどこにいますか?」

 

「ああ、ラウラ少尉か…少尉なら自室にいると思う」

 

「有難うございます」

 

クラリッサからラウラの居場所を聞き出した一夏は夕食を持ってラウラのところに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラウラの部屋

 

「少尉、ラウ一等兵です。入ります」

 

一夏は部屋の戸を叩きラウラの部屋に入っていった。

 

「何の用だ」

 

「中尉に夕食を持ってきました」

 

「そこにでも置いて置いてくれ」

 

夕食を近くにあった机に置くと一夏はラウラに話しかけた。

 

「なんで少尉は隊の皆さんと一緒に食べないんですか?」

 

「隊の皆とは折り合いが悪いんだよ。私は出来損ないだからな」

 

「な、なぜそんなことを言うんですか?」

 

ラウラから返ってきた答えを一夏は聞き返した。するとラウラは左目の眼帯を外した。するとラウラの左目は金色に光輝いていた。

 

「私の目はヴォーダン・オージェの不適合で他の隊員とは違って金色になってしまって出来損ないの烙印を押されたからだ」

 

ラウラから理由を聞いた一夏はラウラを平手打ちし、口を開いた。

 

「なぜそんな事を言っているんだ貴様は!」

 

「ら、ラウ一等兵⁉」

 

「少尉は少尉しかいないだよ!」

 

そして一夏は叫ぶと ハッ! としてラウラに謝る。

 

「す、すいません」

 

「あ、ああ」

 

「とにかくそんなくらい考えは止めてくださいね。あと自分はラウでいいですから」

 

そう言うと一夏はラウルの部屋から食堂に向かった。



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第十六話 初任務

ラウラの一件から数ヵ月後のある日

 

一夏はシュバルツェ・ハーゼ隊で初めて任務に参加することになっていた。任務はテロリストの鎮圧だ。その際の一夏の配置は自分の現上司のラウラが最前線に対して後方での通信係だった。

ラウラ達がテロリストの基地に突入してから数分後一つの通信が入った。

 

『こちらアルファ1!て、テロリストはISを3機も保有している!このままでは突破される!至急援軍を!う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!……』

 

するとアルファ1からの通信はアルファ1の叫び声と共に切れた。通信が切れると一夏はシュバルツェ・ハーゼ後方通信係班長カーラ・ファルラ中尉に自分の出撃許可を願い出た。

 

「ファルラ中尉、自分に出撃許可を下さい」

 

「その根拠は何ですか。あなたが行ったら戦況が変わるとでも?」

 

「ファルラ中尉、“変わるんじゃなくて自分が変えに行くだけ”ですよ」

 

「いいでしょう、許可します」

 

「ありがとうございます!ファルラ中尉!」

 

ファルラ中尉は玲に出撃許可を出した。すると玲は走って通信車から出て行った。玲が出ていってから他の隊員達がファルラ中尉に詰め寄ってきた。

 

「ファルラ中尉!なぜラウ一等兵に出撃許可を出したのですか!犬死にさせるようなものですよ!」

 

「私は第二次世界大戦時に第703部隊にいたんだよ。自分達が不利な時に隊長がさっきのラウ一等兵と全く同じ事を言ってきたのよ。それに、その時の隊長と同じ目を彼がしていたからよ」

 

「だからって…」

 

「彼は帰ってくるわ信じなさい」

 

(ですよね…織斑隊長)

 

そうファルラ中尉が言うとさっきまでファルラ中尉に詰め寄っていた隊員達も一夏を信じる事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

通信車から出て行ってすぐに一夏は転移装置を使ってドミニオンの格納庫に跳んでいた。転移した一夏の前には一機のISが鎮座していた。そのIS名は[シグー]、機動戦士ガンダムSEEDでのZAFT軍主力兵器、[ジン]の後継機として開発されていた機体でありラウ・ル・クルーゼの機体だ。そして一夏は機体に乗り込むと転移装置を起動させる準備に入った。そして基地内に緊急の警報を鳴らして通信を開く。

 

「シグーを発進させる!総員持ち場につけ!」

 

「艦長、バックパックはどうするんですか」

 

すると横から声をかけられた。整備班の班長ヴィーノ・デュプレだ。

 

「シグー用のシールドの予備の転送準備も忘れないでくれ」

 

「はっ!」

 

一夏が答えるとヴィーノは敬礼をして走っていき装備を始めた。そしていは機体ごと敵の基地内に転移した。



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第十七話 戦闘開始だ!

テロリスト基地内

 

テロリスト基地の中では未だにラウラが戦っていた。その他の隊員は全員倒されていた。そしてラウラは隊員が全員倒されていることをわかっているが通信で倒されていない隊員を探していた。

 

「くそっ!他の隊員はやられたのか!誰か残っているものがいたら返事をしろ!」

 

「ぐわッ!」

 

ラウラは通信に気をとられテロリストの一人の攻撃を受けて倒れてしまった。その攻撃でラウラの残り少なかったシールドエネルギーが動く事さえままならない程にまで減っていた。

 

「死ねぇぇぇぇ~!」

 

そして倒れたラウラに打鉄を装備したテロリストの一人がラウラに攻撃を仕掛けようと刀を振り下ろされた。しかしその攻撃はラウラには届かずに止められていた。一機のISは…[シグー]。一夏がガンダムSEEDに出てきた物をベースに開発した第三世代ISである。

 

「少尉を倒させるわけにはいかないからね?」

 

「なっ!ラウ!なぜここにいる!」

 

ラウラは一夏に怒鳴り込んだ。

 

「上司のピンチに部下が助けに来ただけですよ」

 

「さてと、倒させてもらおうか?テロリストさん達?」

 

それに一夏は答えるとテロリストに向かって行き、重斬刀でテロリストを切り伏せようと攻撃を加える。

 

「くそっ!何なんだこいつはっ!」

 

テロリストは大声を上げて叫んだ。一夏はそれに対して内心考えをよぎらせていた。

 

(相手は第2世代機なのに第2.1世代機のと互角に戦えるなんて…いい腕だな)

 

その刹那後ろに敵機の反応が二つ出た。ラウラに攻撃をしようというのだ。後方のテロリストは刀を装備してラウラ目掛けて突撃している。

 

「後ろから反応!?これじゃ行けない!」

 

そう言うと一夏はドミニオンに通信を入れる。

 

「ヴィーノ!聞こえるな!今すぐに重斬刀をもう1本転送しろ!」

 

『わ、わかりました。今送ります!』

 

そう言い一夏は通信を切ると直ぐに一夏の元に重斬刀が送られてきた。

 

(でかしたぞヴィーノ!)

 

「当たれ‼」

 

一夏はそう叫び、後方の二人のテロリストのISに重斬刀を投げつけ、それに向けて射撃をした。

 

「なっ、何だ!」

 

「うっ、うわ~‼」

 

すると油断していた後方のテロリストのISのシールドエネルギーが重斬刀に射撃したことで起きた爆発によって無くなりISが解除されるとテロリスト二人は地面に頭から叩きつけられ気絶した。するとその方向を向いた一瞬の隙に一夏が戦っているテロリストがイグニッションブーストをして一夏のシグーに体当たりをかけて柱に激突し、煙が立ち上った。



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第十八話 シュバルツェ・ハーゼでの勝利

煙の中から先に脱したのはテロリストの方だった。そしてテロリストはラウラに視点を移しとスラスターを吹かすとラウラに向かって突撃して行った。突撃をしていきラウラのシュバルツェア・レーゲンまであと2mと迫るとテロリストは横から数本のビームと重斬刀を投げつられ、吹き飛んで行った。

 

「ぐわっ!」

 

そしてラウラから吹き飛ばされたテロリストの機体はシールドエネルギーがシグーの総攻撃と壁に激突したことよって無くなりISを解除され、地面に叩きつけられ気絶してしまった。それを見たラウラは声が出なかった。

 

「ら、ラウ一等兵…」

 

しばらくして横からテロリストを縛り上げた一夏がラウラに話しかけた。

 

「少尉?どうしました」

 

「ラウ一等兵!よく、よく生きていた」

 

「ちょ、少尉」

 

一夏が話しかけるとラウラは喜びのあまり一夏に抱き着いた。そしてラウラはすぐに ハッ として一夏を離した。

 

「す、すまない。それよりも油断をしただろ!」

 

そしてラウラは謝ると一夏を問いただした。

 

「あ、あはは…それよりもさっさと出ましょうよ。テロリストどもは捕まえましたし」

 

「あ、ああ。わかった」

 

そういうとラウラはISを解除してテロリストの基地の外に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テロリストの基地の外

 

テロリストの基地の外に出ると隊員達が駆け寄ってきて一夏とラウラに抱き着いてきた。

 

「ラウラ少尉~!ラウ一等兵~!」

 

それからしばらくして一夏とラウラは開放された。後でわかった事だが一夏が捕まえたテロリストは国際手配されるほどの者だったらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テロリストの一件の数日後

 

司令室に呼び出しを食らっていた副隊長のクラリッサ以外の隊員達は千冬の訓練に励んでいた。そして休憩時間になるとがおぼつかない状態でフラフラのクラリッサがやって来た。そしてクラリッサが倒れかけた所を隊員達が支えた。

 

「副隊長、何があったんですか?」

 

すると一人の隊員がクラリッサに何があったかを聞いた。そしてその答えに隊員達はあっけない言葉しか出なかった。

 

「…専用機を…隊員全員に支給するって……」

 

「は?」

 

「隊員全員……二階級特進で」

 

「は?」

 

「ラウ・ル・クルーゼ一等兵は……少佐でシュバルツェ・ハーゼの隊長に着任って…」

 

そう言うとクラリッサはポケットから辞令書を出した。

 

「「「「「「はいィィ~!?」」」」」」

 

これには一夏を含む全員が叫んだ。すると一人の隊員が声を出した。

 

「けどクルーゼ少佐ならいいかも」

 

それを聞いた他の隊員も口々に言い出した。

 

「国際手配者相手に戦って勝ったんだからな」

 

「確かに」

 

「確かに」

 

「わ、わかりました。隊長の件受けます。よろしくお願いします」

 

それを一夏は受けるとはっきり言った。それに対してシュバルツァ・ハーゼ隊の隊員達は口を揃えて挨拶をする。

 

「「「「「「よろしくお願いしますよ、クルーゼ隊長」」」」」」

 

そして挨拶が終わると千冬が入ってきた。千冬は入るとすぐに何があったかを聞いた。

 

「何かあったのか?」

 

「あ、織斑教官。実は隊員達全員が二階級特進させられて専用機持ちになったあげく自分が少佐で隊長になったんですよ」

 

「そうか、それじゃあ、訓練を……今何て言った?」

 

訓練開始だ!と言おうとして千冬はふと思って聞き返した。

 

「だから隊員全員が二階級特進で専用機持ちになって僕がシュバルツェ・ハーゼの隊長になったんです」

 

一夏はそれに素直に答えると千冬は驚きの顔をした。そしてしばらくして千冬は自身を落ち着かせると再び訓練を開始した。



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第十九話 入学試験と黒血の月姫 1

一夏がシュバルツェ・ハーゼの隊長になってから3年が経過した。その間に一夏は昔の『黒血の月姫の再来』の異名が付き、階級は‘’大佐”となっていた。そしてある日の夕方、隊のみんなと夕飯をしているとテレビに見覚えのある人が現れた。

 

『ハロハロ~♪みんなのアイドル~束さんだよ~♪』

 

『今日は皆にお知らせがあるんだ~♪IS男性操縦者を見つけたんだよ!その子の名前は織斑一夏君、ブリュンヒルデの弟なんだよ~。私の知り合いだから手を出したら許さないからね?それじゃあね~♪バイバ~イ!』

 

そしてテレビは切れてしまった。その後しばらく皆が沈黙していた。その中で一夏の携帯が鳴った。着信の主は千冬だった。

 

『一夏か?』

 

「あぁ、どうかしたのか」

 

『突然だがお前には身の安全の為にIS学園に入ってもらう事になった。お前はシュバルツェ・ハーゼの隊長をしてるんだからISを学ぶのも兼ねてな、だから日本に戻ってこい。一週間後に試験だからな』

 

「わかったよ…」

 

『ならばいいが』

 

そう言うと通信が切れた。

 

「「「「「……」」」」」

 

「…休暇がいるな」

 

沈黙が続いている隊員達を見ると一夏はそう短く言った。

 

「「「「「え~!」」」」」

 

すると隊員達は大声で叫んだ。それから一週間後、一夏は日本に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本に渡ってから2日後

 

一夏は試験の為にIS学園に来ていた。そして一夏がIS学園の校門で待っていると千冬に声をかけられた。

 

「久しぶりだな、一夏」

 

「ほんとだね、2年ぶりかな?」

 

一夏は千冬の問いかけに応じて返す。

 

「一夏、早速だが試験をするからアリーナについて来てくれないか?」

 

「わかったよ、千冬姉さん」

 

一夏はそう言い千冬の後についてアリーナに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリーナ

 

千冬に連れられ一夏はアリーナのピットに来ていた。そしてそこには緑色の髪の女性が一人いた。

 

「山田先生、任せてしまってすまないな」

 

「いえいえ、それよりその子ですよね?」

 

すると緑の髪の女性は一夏を見ると千冬に聞いた。

 

「ああ、一夏。この人は私の同僚で後輩の山田真耶だ」

 

「今の所属と昔の所属も頼む」

 

そう言われた一夏は敬礼をして自己紹介をする。

 

「ドイツ代表。ラウ・ル・クルーゼ大佐改め、織斑一夏です。よろしくお願いしますね、山田先生」

 

「ラウ・ル・クルーゼって…!まさか、あの『黒血の月姫の再来』が織斑先生の弟なんですか⁉」

 

すると山田先生は一夏のの名前を聞いて驚きの声を上げた。

 

「そうだが山田先生、落ち着いて。深呼吸、深呼吸」

 

「は、はい」

 

千冬に言われて山田先生は深呼吸して心を落ち着かせた。それから千冬は一夏を向いて話をしだした。

 

「お前の試験官は山田先生にして貰おうかと思っていたが……私がしよう。あの黒血の月姫の実力が知りたいからな」

 

「はい!負けませんよ」

 

すると一夏はそれに即答した。それを聞いた山田先生が慌てて止めに入る。

 

「お、織斑君!危険ですよ!」

 

「問題ありません。千冬姉さんには2回戦ったら1回は昔から勝ってましたから」

 

一夏が爆弾発言をする。すると山田先生は驚きの顔を見せた。

 

「確かにな、私も勝てるかどうかわからなくなる時があるからな」

 

そしてさらに千冬の追い討ちの爆弾発言に山田先生は驚きを通り越して固まってしまった。それを放置して千冬は一夏に話しかけた。

 

「一夏にはお前の専用機に乗ってもらいたい。それから私は反対側のピットから出るからな」

 

「…一応打鉄で出るよ。それと負けないでよ?千冬姉さん」

 

「私も負けはしたくない」

 

そう言うと千冬は山田先生を引っ張って反対側のピットに向かった。それを一夏は苦笑いで笑うしかなかった…

 

 



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第二十話 入学試験と黒血の月姫 2

『織斑君、発進、どうぞ』

 

一夏がISスーツに着替え打鉄に搭乗してカタパルトに乗ってしばらくするといつの間にか復活した山田先生から通信が入った。

 

「了解」

 

「織斑一夏。打鉄、行くよ」

 

そう言うと打鉄は綺麗なバレルロールを描きながらアリーナの中に射出された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待っていたぞ、一夏」

 

「そんなの言わないでよね~」

 

アリーナの中に出ると千冬は既に発進して空中に浮いていて声をかけてきた。

 

「…さて、逝こうか…」

 

一夏が千冬にそう返すと試合開始のブザーが鳴った。

そして先手を取ったのは千冬だった。

 

「ハァッ~!」

 

千冬は打鉄の搭載武器の刀をイグニッションブーストをして急接近し、降り下ろした。しかし一夏はそれを同じ刀で受け止めた。

 

「やるな!流石は月姫!戦いがいがある‼」

 

「ぐっ!今度はこっちの番です!」

 

そして一夏はイグニッションブーストを使いながら千冬の打鉄に蹴りを入れ、突き飛ばすと刀を千冬の腹目掛けて刀を打ち込もうとしたが今度は千冬がその攻撃を防いだ。

 

「グワッ!」

 

「まだまだ、甘いぞ!」

 

そして千冬は一夏の刀を払ってお互いに離れ、状態を整える。それから一夏と千冬は円を描くように回り、一度ぶつかるとまた回りまたぶつかるを繰り返した。

そして試合開始から20分後千冬と一夏がお互いの機体の腹部に刀を殴り付けると大きな衝撃波が作り出され両方の機体が解除された。するとしばらくして試合終了のブザーが鳴った。

 

『しょ、勝者!織斑一夏!』

 

そして山田先生が戸惑いながらも判定を告げた。寸分の差で一夏がスピードで勝っていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして一夏は千冬と同じピットにいた。。

 

「いや~負けるかと思ったよ」

 

ピットに入ると一夏は気の抜けた声を出した。

 

「お、織斑君が本当に織斑先生に勝っちゃった……」

 

するとピットにいる山田先生が小さく呟いた。そしてそれを聞き取った千冬が山田先生に答えた。。

 

「だから言っただろう、一夏には2回やれば一回は負けると」

 

すると山田先生は驚きの声を上げた。

 

「だ、だって!織斑先生引退したとはいえ世界最強ですよね!それだと織斑君も世界最強になっちゃいますよ!?」

 

「それもそうか!しかし実際、一夏に圧倒的に勝てる物は無いからな。剣道でもいつも引き分けか敗北のどちらかだったからな!一夏も私と同じ世界最強だな!」

 

「それにやっと一夏に張り合える物が出来たからな、嬉しいから良い」

 

「ほ、本当に織斑先生がIS以外織斑君に勝てないんですか?」

 

山田先生が千冬の言葉を疑問に思い、千冬に聞いた。

 

「ああ、そうだぞ?」

 

山田先生の疑問に答えた千冬は一夏にこれからの事を話す

 

「一夏、明後日から学校が始まるから取り敢えずはお前鍵を渡すから寮に居てくれ」

 

「後で制服とかを届けるからな」

 

「了解」

 

返事をすると一夏は立ち去ろうとしたが千冬に言い止められた。

 

「そういえば一夏。お前に渡した教科書とかは目を通したか?」

 

「もちろん♪全部暗記済みだよ!あんなの軽い軽い♪最年少佐官なめないでよね♪」

 

意気揚々と一夏は答える。

 

「そんな生易しい物じゃなかった気がするんですが……」

 

その答えに山田先生は頭を抱えた。

 

「それじゃあ、先に帰ってるね」

 

そして一夏は寮へと向かった。



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第二十一話 一夏の自己紹介

千冬との試験での激戦から二日後、一夏はIS学園の1-Aの教室にいた。そこにいたのは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(原作よりキツぞ!なぜだ‼)

 

色々苦労している一夏であった。そしてある助け船がおりて来た。山田先生が自己紹介を始めてくれたのだ。

 

「皆さん、おめでとうございます。私はこのクラスの副担仁の山田真耶といいます。一年間よろしくお願いします!」

 

~シィーーン~

 

「あの、えと」

 

クラスが誰も返事をしないので山田先生はオロオロと戸惑いぎみだ。しかし山田先生はめげず生徒に自己紹介をするように促した。

 

「そ、それじゃあ。一席の人から自己紹介をはじめてください!」

 

━━━━━━━━━━━

 

それから順番が流れ、一夏の番になった。

 

「織斑君、お願いします」

 

「わかりました」

 

一夏は山田先生に返事をして立ち上がった。

 

「織斑一夏です。趣味は機械いじりで、好きなことは知り合いとのお茶ですね」

 

((((((((あ、いがいと普通だ))))))))

 

一夏の自己紹介でクラスメイト全員が同じ事を思った。そして一夏が自己紹介を終わると千冬が教室に入ってきた。

 

「ほぉ~お前にしては中々まともな自己紹介じゃないか」

 

「山田先生、すまなかったな」

 

「いえいえ」

 

教室に入ると千冬は山田先生に礼を言った。そして教壇に立つと自己紹介をした。

 

「諸君!貴様らのクラスを受け持つ事になった織斑千冬だ!私の役目は貴様らを一年で使い物にすることだ!」

 

「千冬さまぁぁぁぁ!」

 

「千冬様に会うために鹿児島から来ました!」

 

「千冬様を見て思う気持ち…正しく愛だ!」

 

(おい!某ガンダム作品のガンダム好き上級大尉がいるぞ!?)

 

するとクラスメイト達は狂喜乱舞し出した。それを見るなり千冬は頭を抱えた。

 

「なぜも私が持つクラスはこんな奴ばかりなんだ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてしばらくすると千冬は漸く正気に戻り、授業が始まった。

 

「織斑君、今でわからない所ってありますか?」

 

「いえ、問題ありません」

 

山田先生の問いに答えると千冬が一夏に授業の問題を出した。

 

「それでは織斑、ISのコアとISが浮く理由を答えろ」

 

「え~と、ISのコアはISの核となるパーツで製造方法は篠ノ之束博士しか知っていなくて、コアの情報は自己進化の設定以外は一切開示されていません。そして全容はブラックボックス状態で、ISが宙に浮くのは浮遊・加減速を行う。一種の慣性制御システムのPICが搭載されているからです」

 

千冬はスラスラと答えられ、一瞬唖然としたが直ぐに立ち直った。

 

「あ、ああ、よ、よくわかったな」

 

そう言うと千冬は生徒に再び分からない所が無いかを聞いた。

 

「よし、他に今のところで分からない者はいるか?」

 

そしてそれには誰も答えない。把握しているという事だ。するとその直後、授業終了のチャイムが鳴ったのだった。



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第二十二話 お決まりの流れ

「ねぇねぇ、イッチー」

 

授業が終わり、休み時間になると一夏は誰かに話しかけられ、一夏は反応を見せる。

 

「ん?イッチーって僕の事?てか、君は?」

 

「一夏だからイッチーだよ。それから私は布仏本音だよ~」

 

「ならのほほんさんだね、のほほ~んって感じしてるし」

 

「いいね~ありがと!イッチー!」

 

一夏は本音にもあだ名を付けた。すると本音は喜んで席に戻って行った。そして本音が席に戻って行くとまた、誰かに声をかけられた。

 

「ちょっとよろしくて?」

 

(⁉こいつ、ソレイユの所のか…)

 

一夏はソレイユの家系だとすぐにわかった。第二次世界大戦で勝利してまだ大日本帝国という名前のこの国で女尊男卑の考えは天皇陛下が否定したため通じない。そして一夏は知らないフリをした。

 

「誰ですかね?」

 

「まぁ、私を知らないというのですか?イギリス代表候補生にして主席入学のこのセシリア=オルコットを」

 

ご丁寧にセシリアは原作通りの台詞だ。ソレイユはこの考えに至ってないよな(汗)…と思いながら軽く流す。

 

「ええ、知りませんね」

 

「まぁ!何ですかその態度!だいたい私に話しかけられただけで光栄な事ですのよ。それ相応の態度というものがあるでしょ!」

 

それにセシリアは声を大きくして喋り出す。すると一夏はセシリアに怒鳴る。

 

「知るか!貴様はこの国では女尊男卑の考えは通じんと知らんのか‼」

 

「そ、それは……っ!また来ますわ‼」

 

一夏の激に一歩引いたセシリアだったがすぐに ハッとして我に帰えると怒鳴られた事で頭がこんがらがり話すことを忘れてしまい、捨てぜりふをはいて自分の席に戻と今度は箒に話しかけられた。

 

「一夏、ちょっといいか?」

 

(なんかよく話しかけられる日だな~ハハハハ~)

 

一夏は一瞬現実逃避したがすぐに現実に戻って来た。

 

「屋上でも行くか?」

 

「ああ」

 

そう言うと一夏と箒は屋上に向かった。。

 

「ひ、久しぶりだな一夏」

 

「ああ、久しぶりだな。箒」

 

そう一夏は返答した。すると二人が一斉に質問をしてくる。

 

「そうだ!一夏!何んでこうなったんだ‼」

 

「あ、ああ、それは…あのバカが隠してたのをバラしたから入ることになったんだよ」

 

一夏が説明し終わると今度は箒が質問をした。

 

「そうだったのか…あのバカ姉がすまなかった」

 

「気にしてないよ。いつか一発殴るけど」

 

それに一夏はあっけらかんと答えた。

 

「そ、そうか」

 

それから一夏は教室に戻るように促す。

 

「そろそろ教室に戻らないと千冬姉さんの鉄拳が落ちるぞ?三分前だし」

 

「何!?い、急ぐぞ…って、もういない!」

 

千冬の‘’鉄拳”と聞くと箒は慌てだし、教室に急いで入って行った。しかし箒は間に合わずに千冬の鉄拳を食らったのだった。

 

ん?俺かい?転移で楽勝だったよv



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第二十三話 イギリス貴族とのイザコザ

授業が始まりしばらくすると千冬が何かを思い出したように生徒を向いて話し出した。

 

「今から授業の前にクラス代表を決める。自推や推薦があるものは挙手しろ」

 

千冬がそう言うと生徒達が一斉に手をあげだした。

 

「私は織斑君が良いと思う!」

 

「私も!」

 

「私も!」

 

「他には自推等は無いか?無いなら織斑に決まるが」

 

千冬がクラスメイト達の騒ぎを止めるように言う。

 

「納得いきませんわ!」

 

その中でセシリアが机を叩き反論をし出した。

 

「代表候補生である私ではなく、なぜ男を代表にしなければならないのですか!?」

 

「だいたい極東のさ…」

 

それを聞いた一夏も額に怒りのマークを浮かばせながら立ち上がりセシリアに反論を叩き出した。

 

「ほぉ~?バカなのか!代表候補生ごときが‼」

 

「な、なんですって!」

 

一夏に負けじとセシリアが言い返した所で千冬がそのいざこざを納める案を出す。

 

「両者そこまでにしろ。決着は二週間後!第二アリーナで行うものとする!」

 

「了解だよ」

 

「ええ!よろしくてよ!」

 

それに対して一夏とセシリアは自信満々に了承した。それから一夏は千冬の方をを向いて口を開いた。

 

「それじゃあ、織斑先生?本気でやってもいいんだよね?」

 

「まぁ、良いだろう。ただし、殺すなよ?」

 

「はーい」

 

(((((なんか、不穏な言葉が聞こえた気が……)))))

 

そうクラスメイトのほとんどが思ったが怖くて口を聞き出せはしなかった。

 

「よし、それでは授業を始める!」

 

そして一夏とセシリアが座ると千冬は話を切り上げ授業を初めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

授業が全部終わった後

 

今日の授業が全て終わり、帰ろうとしているところに山田先生がやって来て話しかけてきた。

 

「織斑君、ちょっと良いですか?」

 

「どうしましたか?」

 

「寮が決まったので鍵を届けに来ました」

 

「あれ?急に決まったから一週間程自宅から登校になってた気がするですけど?」

 

「え~っと、IS学園の中に居た方が安全だろうと言うことで急遽決まりました」

 

一夏は山田先生に理由を聞かされると新に質問をすると千冬が現れた。

 

「けど、僕荷物とか持ってきてないですけど…どうしましょうか」

 

「お前の荷物は私が部屋に運んであるから問題は無いぞ」

 

「……わかりました。部屋はどこになるんでしょうか」

 

部屋が決まったと言われた一夏は山田先生に部屋は何処かと聞き返した。

 

「あ、はい!え~と1025室ですね」

 

「1025室…了解しました」

 

部屋を教えてもらうと一夏は鍵を受けハロに量子化し、部屋に向かって転がりだした。



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第二十四話 部屋と簪

一夏は1025室の部屋の前までくるとハロのアームを起動して扉を叩いた。

 

コンコン コンコン

 

(反応無しですかいな‼仕方ないですけど部屋に入らせてもらいますか)

 

反応がなく困った一夏は仕方なくハロのアームを使いドアを開けてアームを戻すと転がって部屋に入った。

 

「…誰?」

 

一夏は部屋に入ると声をかけられた。そしてすぐに声のした方を向くと一夏とは違う水色の髪を持つ少女、更識簪がいた。

 

「ボール?」

 

簪はハロを見るなり呟いた。それを聞いてから一夏はハロの量子化モードをOFFにした。するとハロが光だした。

 

「えっ!なにが起こってるの!?……え?…人?」

 

光だしたハロを見た簪はそう反射的に言ったが中から一夏が出てきた事に驚きを隠さない様子だった。

そしてハロから出た一夏は簪に自己紹介をした。

 

「始めまして、俺は織斑一夏だ。よろしくたのむ」

 

「更識簪です。お久しぶりですね、織斑隊長」

 

「⁉」

 

すると簪は“お久しぶりです、織斑隊長”と答えた。なぜだ?何故。そう呼ぶのは第703航空隊の奴等だけのはず…

 

「…何を言っている?」

 

一夏がそう聞き返すと簪はクスリと笑った。

 

「ふふ。元第703航空隊所属、更識瑠衣大佐ですよ。織斑隊長」

 

それを聞いた一夏はようやく頭の回転が追い付いてきてさけんだ。

 

「瑠衣…瑠衣って…えぇぇぇ‼瑠衣なの⁉」

 

すると簪は少しあきれ果てたように話してきた。

 

「そうですよ…何度も言わせないでくださいよ」

 

「あ、ああ。すまないな、瑠衣」

 

一夏がそう謝ると簪が一夏が現れたハロについて聞いてきた。

 

「で、織斑隊長?隊長が出てきたボールって何なんですか?」

 

「え?これ?これは俺の作ったAI搭載移動型研究室って言って名前はハロだ」

 

「ハロ!簪!ヨロシク!ヨロシク!」

 

一夏の説明が終わるとハロが耳をパタパタさせながら自己紹介をした。それを見るなり簪は目を輝かせながらハロを見ていた。それを見た一夏は簪に話しかけた。

 

「かわいいですね。織斑隊長」

 

「そうでしょ。瑠衣もいる?」

 

「はい!」

 

一夏がそう聞くと簪はパァ~と明るくなり、元気よくよくうなずいた。

 

「また作って渡すよ」

 

それを聞いた一夏はハロをまた作ると言うと話の話題を切り上げた。

 

「そう言えば学校では俺の事を織斑隊長とか言うなよ?」

 

「わかってますよ。私のことも簪って呼んでくださいよ!」

 

それから一夏はとここに来る以前に何があったかの確認をして、自分が戦死した後の事をいろいろと知り、驚いたのだった。

 



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第二十五話 えぇ…それはないでしょ

一夏は簪と友達になってからしばらく話してから一夏は簪に明日の為に眠るように促した。

 

「そろそろ眠るか。明日寝過ごしたらヤバイからな」

 

「わかったよ」

 

簪と一夏はそう言うとベットに入った。

 

「おやすみ、瑠衣」

 

「おやすみ、一夏」

 

そして一夏は簪に話しかけるてから眠りに落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌日

 

一夏と簪はというと食堂に来ていたのだった。

 

「さてと、何をたべようかな~」

 

「私はB定食にする」

 

「んじゃあ、俺も同じB定食にするか」

 

「B定食ふたつ下さい」

 

一夏は簪がB定食にすると聞くと一夏も同じB定食にすると言って注文し、定食が出来てから席に座り食べていると横から先輩に話しかけられた。

 

「君よね?代表候補生に戦いを挑んだ新入生って」

 

「ええ、そうですが」

 

「一夏、代表候補生に戦いを挑んだの?」

 

簪がそれを聞いて反応する。

 

「ならさ、ISのこと教えてあげようか?」

 

「ありがたい事ですが、遠慮させてもらいますね」

 

先輩からISの事を教えてくれると言われたが一夏はそれを断った。

 

「なんでなの?」

 

先輩は思いもよらない答えに驚き、雫に聞き返した。

 

「自分の実力が今の時代でどこまで通用するのかを試してみたいし、何より最近は仕事が多いので訓練をする時間が取れないんですよ」

 

「そうですか…なら、頑張ってね。応援してます」

 

一夏の断った理由を聞くと先輩は一夏に応援すると言って席に戻って行った。先輩が戻っていくと今度は簪が話しかけてきた。

 

「本当に勝てるんです?」

 

「もちろん」

 

「…一夏、油断してると負けると思う…私達代表候補生はISの搭乗時間3桁行ってるから」

 

「いくら黒血の月姫と呼ばれてる隊長でもIS関係わかるんですか?」

 

簪は一夏に油断しないようにうながした。

 

「まぁ、大丈夫だ。俺の今の仕事に関係があるからからな」

 

「その仕事って何なんです?」

 

「う~ん…ここだけの話、ドイツ軍でドイツ代表してる」

 

それを聞いた簪が叫ぼうとしたが、一夏はマズイと簪の口をふさいだ。

 

「…隊長がラウ・ル・クルーゼなんですか?」

 

しばらくして落ち着いた簪が質問してきた。

 

「ああ、レイナに頼んでな。軍に入ったらいろいろあってな」

 

「ま、まぁ、隊長ならありそうですね…」

 

それを聞くと簪は少し疲れたような顔をした。それから一夏は時計を見ると時間がヤバイことに気がついた。

 

「時間がヤバイ!急ぐぞ!」

 

「は、はい!」

 

そう言うと一夏と簪は食器を返し、授業に向かった。そして何か特別なことが起こるわけでもなく、平和に二週間が過ぎていき、決闘の日が訪れた。



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第二十六話 クラス代表決定戦

クラス代表決定戦当日

 

第二アリーナのピットには一夏、簪、箒、千冬の三人がいた。

 

「そうだ。ねぇ、千冬姉さん」

 

何かを思い出したように一夏は千冬に話しかけた。

 

「どうした?」

 

「ISの詳細だよ」

 

一夏はそう言うとハロの中からISの機体性能等を書いた紙を千冬に渡した。

 

「一夏!なんだこれは!」

 

するとそれを見た千冬が驚いたかと思うと大声を出してきた。千冬が大声を出したことが気になり、簪と箒が一夏の機体の紙を覗いた。

 

「なにこれ、ISコア以外に知らないのが付いてる…⁉それに第四世代なんて」

 

それを見た簪も驚きを隠せない。それを見た一夏は説明をする。

 

「すごいでしょ」

 

それを聞いた千冬は一夏にまた、質問をした。

 

「一夏、いったいどこでこの機体を手に入れたんだ」

 

「どこでって…どこでもなにも束姉さんにコアをもらって作っただけだけど」

 

そう言うと千冬がイラつきを出した。

 

「束のやつ‼」

 

(束姉さん、ご愁傷さま)

 

千冬が束への怒りを露にしている横で今度は簪が質問をしてくる。

 

「…一夏、ISってどこにあるの?」

 

「このチョーカーだよ~」

 

一夏は首にあるチョーカーをさわり、起動させた。それに簪はものすごい興味を見せた。

 

「ふ、船?」

 

「いや、軍艦だな」

 

「そだよ~それじゃあ行くか!」

 

これはまずいと思った一夏は急いでカタパルトに乗り込んだ。カタパルトに乗り込むと簪が呼び止めてきた。

 

「一夏」

 

「頑張ってね」

 

「頑張って!」

 

「一夏、勝ってこい!」

 

「了解!」

 

返事をするとスピーカーから山田先生の声が聞こえてきた。

 

『発進タイミングを織斑君に譲渡します』

 

「了解」

 

「宵月、織斑一夏…出る」

 

発進合図をした一夏はアリーナに射出された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリーナ内

 

「遅かったですわね」

 

一夏が発進すると既にセシリアが空中で待機していた。

 

「色々とあったからね」

 

「さて、行こうか」

 

「踊りなさい!私のワルツで‼」

 

「行くぞ‼」

 

そして一夏とセシリアが決め台詞を言って数秒後、試合開始のブザーが鳴り響いた。

先に動いたのはセシリアだった。

 

「それでは!お別れですわね!」

 

セシリアはそう言うとスターライトMk-Ⅲを一夏に向かって発射した。

 

「おっと!」

 

しかし一夏はそれを軽々しく避けるとセシリアに向かってビームライフルを発射する。しかしそれをセシリアは回避をする。しばらく銃撃戦が続いた後セシリアは四機のビットを発射してきた。

 

「ファンネルか‼」

 

「ファンネルではありませんわ!」

 

一夏はそう言うとセシリアにビームサーベルで斬りかかろうするがビットが邪魔をして来たためブースターを吹かして後ろに後退する。

 

「オルコット!似たようなのはこっちもあるんだよ!」

 

「航空機部隊!発艦始め‼」

 

「なっ!BT兵器⁉」

 

「言っとくと全機オート操作だ!」

 

一夏は航空隊を全て発射するとセシリアのビットを潰しだし、30秒で四機全てを撃ち落としてしまった。

 

「ブルーティアーズが、一瞬で……」

 

(ブルーティアーズって言ったのか…忘れてた)

 

それから一夏はビットが無くなったことでビームサーベルを掴むと、イグニッションブーストを使いセシリアに接近して斬りかかろうとした。

 

「これで!」

 

「かかりましたわね!」

 

「なっ!」

 

「これで!フィナーレですわ!」

 

セシリアはそう言うと一夏に向かってミサイルを発射した。ミサイルは一夏に命中し一夏は煙に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてミサイルが直撃してからしばらくすると煙が晴れその中からクラインフィールドを展開している鋼鉄の機体が現れた。一夏の艤装、宵月だ。セシリアはクラインフィールドを展開している宵月を見ると叫んだ。

 

「!?それになぜ直撃して無傷ですの‼」

 

「それは機体性能だ!それよりも行くぞ!」

 

一夏は面倒が起こる前に話を切り上げると超重力砲の発射体勢を取る。

 

「……照準」

 

すると一夏の機体が白く輝きだした。そして一夏はすべての機体や武装でセシリアのブルーティアーズに照準をあわせる。

 

「第一、第二単一能力発動!」

 

「超重力砲!全砲塔!撃てェェェッ‼」

 

「キャァァァァァ!」

 

超重力砲が命中すると追い討ちをかけるように航空機や主砲等から発射された侵食魚雷や銃弾やビームはセシリアのブルーティアーズに吸い込まれるように全弾命中し、しばらくして試合終了のブザーがなった。

 

『勝者!織斑一夏!』

 

それから一夏はセシリアを探した。そしてセシリアは機体が解除されて地上に尻餅を付いていた。それを見つけた一夏はセシリアに話しかけた。

 

「大丈夫ですか~?」

 

セシリアは雫に訪ねる。

 

「どうしましたの…笑いに来ましたか?」

 

それを一夏は笑いながら否定したてセシリアに質問する。

 

「それは無いね。ただ大丈夫か確かめに来た、それよりも立てるか?」

 

「た、立てない?あれ?おかしいですわね?あれ?腰が抜けて立てない……うわっ!」

 

「ピットまでお送りしますよお嬢さん?」

 

「は、はい」///

 

(なんか頬が赤いような…まぁ、いっか!)

 

立てるかと聞かれて立とうとしたセシリアだったが腰が抜けて立てないようだった。それから一夏はセシリアをお姫様抱っこでピットまで連れていった。

 



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第二十七話 クラス代表パーティー

クラス代表決定戦があった日の夕方、一夏達一年一組は食堂に来ていた。食堂には[祝!織斑君、代表決定!]と書かれた看板が立て掛けられている。これはクラスの人が作ってくれた場所だった。

 

「「「「「「「織斑君クラス代表決定おめでとう!」」」」」」」

 

クラスメイトが祝いの言葉を玲に捧げた。

 

「みんなありがとう。それよりも楽しもうか!」

 

一夏はそう言うと間をおいて宴の始まりの合図を出した。

 

「乾杯!」

 

「「「「「「「乾杯!」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~飲めや歌えの大騒ぎ中~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宴が始まり、40分くらいたった頃に誰かから呼ばれていると言われ、一夏はその人のもとに向かった。すると呼び出した人から名刺を出された。

 

「私は黛薫子。よろしくね。新聞部副部長やってま~す。」

 

「今日は学園で話題の織斑一夏君に特別インタビューをしにきました~!」

 

クラスメイト達が騒ぎ出す。しかしそれに目もくれず薫子は手帳とボイスレコーダーを持ち出して質問をしてくる。

 

「織斑君、代表になった感想を!」

 

「敵がいるなら叩くだけです」

 

「いいね~捏造しなくて良さそうだ。」

 

それに対して薫子はなにやら恐ろしいことを言ってきた。

 

(捏造しようとしてたのかよ!怖いわ!)

 

一夏がそう考えていると薫子は次の目標に質問を出す。

 

「じゃあ、ついでにセシリアちゃんも感想ちょうだい」

 

「ついでとはなんですの!……そうですわね、まず一夏さんに「やっぱり長そうだしいいや。織斑君に惚れたってことにしとくわ」間違ってないですが…最後まで言わせてくださいまし!」

 

(セシリア、えつ、間違ってないのかよ!否定してほしかった……)

心の中で少しばかり肩を落とした一夏であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人に質問をし終わると薫子は写真の催促をしだした。

 

「専用機持ちの二人ならんでならんで、写真とるわよ~」

 

「7.850÷0.462は?」

 

「わかりますか!(わかるか!)」

 

「16.9913419913だね」

 

「なんでわかりますの!」

 

(えっ?便利だよね~ヴェーダって)

 

「正解♪」

 

薫子はそう言うとシャッターを切った。シャッターが切られて写真が撮られるとと回りにクラスメイト達がいた。

 

(どんだけ早いんだよ!人間技じゃないだろ!)

 

写真を撮り終わるとクラスメイトの一人が喋りだした。

 

「なんか織斑君の目の色が一瞬変わってたような…」

 

「気のせい気のせい」

 

「たしかに目の色が変わるなんて事無いもんね!」

 

一夏はそれをなんとか誤魔化した。

 

(危なかった~焦った~)

 

そうして一夏は成んなく就任パーティーを乗り越えた。



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第二十八話 チャイナ娘来襲

■翌日 教室

 

 

「グーテンモルゲーン~」

 

挨拶をして教室に入る。するとクラスの女子が話しかけてきた。

 

「ねぇ、織斑君そういえば、今日二組に中国の代表候補生が転校して来たの知ってる?」

 

「中国からの転校生?」

 

あ、鈴か!…鈴だと思う!けどいろいろ原作があれだしなぁ~

 

「今時の代表候補生とは…」

 

「わたくしの存在を危ぶんでの転校でしょう!」

 

無いだろ流石に

 

「「「「「「それは無いから安心して!」」」」」」

 

「それはないですわ~」ウルウル

 

あ、被ったね!流石!

クラスメイト達がそう言うとセシリアは若干涙目になっていた。

 

「ま、専用機持ちが1組と4組のみだから勝利は頂だね!」

 

「フリーパスは我らの手に~!」

 

すると横からクラスメイト達の陽気な声が聞こえてくる。そして一人のクラスメイトが一夏に話しかけた。

 

「織斑君?勝てるの?」

 

「まっ、機体の奥の手がドラ○もんの空気砲の実写版みたいなものだから気にしなくていいだろ」

 

「━━久しぶりね!一夏……って!なんでそれをあんたが知ってるのよ!というか何なのその言い方‼」

 

「気にするな、俺は気にしない」

 

「気にするのよ!どこで知ったのよ!」

 

鈴は凄い勢いで問い詰めてきた。しゃぁ~ないか!

 

「本当に知りたいの?」

 

「ええ!どうしたの!」

 

「開発者にちょっとしたO・HA・NA・SIをしただけだから」ハッハッハ!

 

「いったい何をしたのよ!」

 

「知りたい?」

 

「ええ!」

 

面白いな…

 

「あれと同じ事をしてほしいの?」

 

「えっ?何かしたの?」

 

「フフフ…」(黒い笑み

 

「や、やっぱりいいわ!」

 

ありゃ?そうなの?それを聞いた一夏は他のクラスメイト達を見た。

 

「「「「いえ!遠慮させていただきます‼」」」」

 

なんか全員挙動不審で敬礼してきたんだけど?

 

「冗談なんだけど…ハァ~」

 

「「「「「「冗談なの?!」」」」」」

 

まぁいいかそれより…

 

「それより鈴、早く教室帰れよ?“鬼”がいらっしゃるぞ?」

 

「そ、そう!じゃ、じゃあクラスに戻るわ」

 

鈴は一夏の“鬼”という言葉に何かを思い浮かべそそくさと教室に帰っていった。鈴が教室に帰っていくとセシリアと箒が側に来て聞いてきた。

 

「「あの方は(あいつは)誰ですの!(誰なんだ!)」」

 

「鈴は箒が転校してったの後に転校してきたやつだからな?」

 

「とりあえず昼休みに話すから座ろうな?織斑先生から鉄拳が来るぞ?」

 

「な、なるほど。それでは失礼いたしますわ」

 

「わかった…しっかり説明してもらうからな!」

 

そう言うと二人は自分の席に座った。



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第二十九話 食堂

時と場所変わりまして食堂

 

食堂では俺とセシリアと箒、そして、事の元凶の鈴が居た。

 

「待ってたわよ!一夏!」

 

食堂に入ると食券販売機の前に仁王立ちした鈴が叫んできた。

「ちょい邪魔、暇なら先に席取っといてくれない?」

 

「わ、わかったわよ…」ガックシ

 

気合いを入れて大声をだしたのに軽く流された鈴はガックリと肩を落とし、席を取りに行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからは、セシリアと箒と簪を連れて鈴がいる席に座った。

 

セシリアと箒が叫びを上げる。

 

「誰ですの!この方は!」

 

「一夏!誰なんだこいつは!」

 

「さっき教室で言ったろ?こいつは鳳鈴音だ。箒と入れ違いの転校生だった幼馴染だな。しいて言うなら箒がファースト幼馴染で鈴がセカンド幼馴染だな」

 

それには冷静に説明した。

説明が終わるってからセシリアと箒を見ると顔を少しひきつらせた。

 

「ファースト幼馴染…私が、ファースト…」

 

「一夏さんの彼女じゃないならまだわたくしにもチャンスが…ブツブツ」

 

そこには自分の世界にのめり込んでいて禍々しいオーラを醸し出している二人がいたからだ。その禍々しいオーラを無視して鈴が話を切り出す。

 

「そういえばあんたイレギュラーなわけだから専用機とかあるの?」

 

「ん?ああ、専用機はあるぞ。自分で作った‘’第五世代IS”がな」

 

「なんでISなんて作れんのよ!しかも現段階を越えてる第五世代なんて!」

 

一夏から帰って来た答えに驚き、声をあげた。

 

「第五世代って、オーバースペック過ぎますわ!」

 

「第一にISを作れること自体がおかしいわ!」

 

そしていつの間にか復活した箒とセシリアも反応を示してきた。一夏は静かにするように騒ぎ立てて、三人に質問を出す。

 

「…じゃあ問題だ、ISを作ったのは誰だ?」

 

「箒さんのお姉さんの篠ノ之束博士ですわよね?」

 

セシリアが素早く答えた。さらに一夏は質問を重ねる。

 

「なら箒達姉妹と幼馴染なのは?」

 

「「「…あっ」」」

 

そう一夏が言うと三人は何かを理解したように呟いた。

 

「そっ、IS作りの手伝いとかしてたから覚えた」

 

「「「…マジで?(マジですの?)」」」

 

それを聞いた三人は不思議そうな顔をしてきた。

 

「マジもマジ、大マジだぞ?」

 

「「「え~!」」

 

すると三人がと叫んだがそれを一夏は渇をいれ黙らせる。

 

「静かにせんかッ‼」

 

すると効果があったのか三人は落ち着きだした。

 

「ねぇ、一夏。ISの練習見てあげよっか?」

 

そして食事が終わると鈴は一夏に問いかける。それにセシリアと箒が便乗して名乗りを上げる。

 

「わたくしたちが教えて差し上げますわ!」

 

「私達がする!」

 

と声を張り上げた。それを一夏は用事があると言って話を切り上げる。

 

「嬉しい話だが今回は遠慮するるよ。放課後は用事がな」

 

「「「そ、そんな~」」」

 

三人はそれを聞くなり肩を落とした。

 

「それよりも、次の授業遅れるなよ?」

 

それから一夏は肩を落とした三人を見て軽く笑いながら次の授業に向かった。



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第三十話 組み合わせ抽選

~クラス対抗戦当日~

 

 

クラス対抗戦当日に一夏は鈴と一緒に対戦相手を確認しに来ていた。

 

「それにしても何組が相手なのかしらね?」

 

鈴は発表場所の一歩手前の曲がり角を曲がり、話しかけてきた。

 

「まぁ、鈴と当たるまで負ける気はないよ」

 

一夏は少しうんざりと言った感じを隠しながら返事をした。

 

「私は一夏と当たったら私が勝つけどね♪」

 

すると鈴は自信満々に人差し指を回しながら言う。

 

そして、対戦相手の発表時間になると一夏は小さく呟き、鈴は少しワクワクしながら画面を見る。

 

「そろそろ対戦相手発表の時間だな」

 

「そうね、さぁ~て私と戦うのはだれかしら~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「……はいィィ⁉」」

 

 

 

そして一夏と鈴は驚きの声をだした。その対戦表の画面には…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第一試合

 

 

 

一組 織斑一夏VS二組 凰鈴音

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう記載されていたのだ。二人ともいつかは当たると思ってはいたが第一試合で当たるとは思わなかったのだ。そしてから数分後、落ち着いた一夏と鈴は第一試合の用意の為にアリーナのピットに向かって行った。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━

 

~アリーナ~

 

 

一夏、千冬、簪の三人がピットに来ていた。そして、千冬が質問をしてきた。

 

「一夏、今回の機体は何なんだ?」

 

「ん?今回は“イージスガンダム”っていう機体だよ」

 

一夏はごく普通に答えた。それを千冬は気に止めていない様子だったが、簪はガンダムというワードに違和感を覚え、名前を繰り返した。

 

「イージスガンダム?」

 

「そっ、ギリシャ語で盾の意味をもつ機体だよ~」

 

そう答えると再び質問をしてきた。

 

「ねぇ、一夏。その“ガンダム”ってすごいのとか積んでるの?というかその機体の世代って…」

 

「んにゃ。よくわかったねぇ~そうだよ~こいつは第3.5世代機だよ」

 

一夏は呑気に答えた。それに、千冬が食い付く。

 

「なに!3.5世代だと⁉」

 

「本当に一夏は規格外だね…」

 

それをよそに簪はそう呟いた。その呟きを聞き取った一夏はこのガンダムの事について話し出した。

 

「それにこの機体って一応試作機だからさ」

 

それに簪が反応する。

 

「試作機でこれって」

 

それもそのはずである。この機体、3.5世代としてあるが実際は第四世代と変わらない機体性能を持っていたからで、これを作ったのが一夏だというのだからさらに驚きだ。そして、一夏は後ろで軽く威圧感を放っている千冬に気がつき、足早にカタパルトに機体を展開し、乗った。

 

そしてカタパルトに乗ると山田先生から通信が入った。

 

「発進タイミングをイージスガンダムに譲渡します。」

 

「織斑一夏。イージスガンダム…出るよ」

 

それから一夏は名前、機体名を言ってアリーナへ発進していった。



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第三十一話 クラス代表戦

「来たわね!一夏!」

 

アリーナ内で待っていた鈴が大声を出してきた。

 

「もう発進してたのか?鈴」

 

「ええもちろん…てっ!あ、あんた、全身装甲⁉」

 

鈴は一夏のISをみるなり叫んだ。

 

「鈴?そんな事より早く殺ろうよ、試合をさ」

 

「そんなことって…それよりなんかニュアンス違わなかった⁉」

 

あり?わかったんだぁ~、すごいね!鈴!

 

「…まあいいわ、早く始めましょうか」

 

そうすると試合開始のチャイムがなる。それと同時に二人が叫ぶ。

 

「「俺が!(私が!)勝つ‼」」

 

それと同時に一夏は腕のビームサーベルを展開して突撃して行くためにとブースターを吹かした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グハッ‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし一夏とイージスガンダムは前には進まなかった。一夏に何か見えない何かに進路を叩き落とされた。鈴はそれを見て叫んだ。

 

「どう!私の衝撃砲は!」

 

これが見えない砲か!とすぐに納得した。

 

「それが空気砲か……なら!」

 

「‼、変形した⁉」

 

一夏はそう呟くと機体を巡航形態に変形をして鈴の甲龍に向かって突撃する。

そして鈴は進行を防ごうと衝撃砲を撃った。そして誰もが命中したかと思われた。

 

「「「!!!!!」」」

 

が、一夏はスラスターを駆使して急降下をし、衝撃砲を避けた。そして鈴が驚き止まっているところにスキュラを発射した。

 

「グフッ!」

 

そのスキュラは見事に腹部に当たり甲龍のシールドエネルギーが見事に残り100まで減らした。そして一夏が鈴に止めを刺そうと人形に変形し、ビームサーベルを展開し斬りかかろうとした時

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドゴーーーーン!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリーナの天井を破って黒い何かが入ってきた。鈴がそれを見て叫んだ。

 

「な、なに⁉」

 

それをよく見てみるとそれはISだとわかった。そこに千冬から通信が入る。

 

『織斑!凰!教員隊が突入するまで持ちこたえられるか!』

 

一夏は千冬に質問をした。

 

「了解、殲滅してもいい?」

 

『あ、ああ、できるなら構わないが無理はするなよ?』

 

千冬はそう言って通信を切った。すると一夏は鈴を見ると通信を入れる。

 

「鈴、俺がアイツを殺るから退いててくれ」

 

しかし、鈴はそれに反応し、叫んだ。

 

「ちょ!あんただけであんなの倒せるの!?」

 

「ああ、絶対に勝つさ!」

 

そう言うと一夏は不明機に向けてビームを発射した。しかし、不明機にビームは不明機が避け、当たることはなかった。

 

「なっ、何?!」

 

「うわッ!」

 

そして驚いて動きが一瞬止まったイージスガンダムに不明機のミサイルが命中した。

 

「グワッ‼」

 

その勢いは強く、一夏は爆発した爆風と衝撃によってすごい勢いで壁に衝突し、煙がまった。

 

そして、暫くして煙が晴れるとあちこちボロボロになっても依然立ち続けるイージスガンダムが現れた。

一夏は煙が晴れるとすぐに、巡航形態に変形し、不明機に向かって加速した。不明機は避けようと回避行動を取り、迎撃をするが撃ち落とせるはずもなく、イージスガンダムは不明機に張り付いた。そして一夏はスキュラをゼロ距離で発射し、敵に命中する。

 

「負けられないんですよ‼不明機なんかに‼」

 

一夏のその叫びと共に不明機が爆発を起こし、木っ端微塵になって消え、一夏のイージスガンダムはあちこちから煙や火花が上がっていた。そしてしばらくすると鈴と千冬が走ってくる。

 

「いっ、一夏‼」

 

「大丈夫か!一夏‼」

 

「なんとかねー」

 

□■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのあと結局クラス対抗戦は無くなった。

 

「ああ~!フリーパスが~!」(涙)

 

「何あれ」

 

「さぁ?」

 

この事でクラスメイト達は血の涙を流していたらしい…



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番外編

~駅前~

 

無人機が現れた翌日、一夏は駅前で簪と共に待ち合わせをしていた。勿論、太平洋戦争時の“軍服”、一夏は大日本帝国海軍元帥、瑠衣は大日本帝国海軍大佐の物を着ている。

 

「織斑隊長、久しぶりに会えるんですね」

 

横から瑠衣が少し嬉しそうに話しかけてきた。

 

「ああ、久しぶりにレイナとソレイユが来ることになってるからな」

 

そう、今日は第703航空隊の集まりが計画されていたのだ。

 

「それにしても隊長、良く皆生きてますよね~……私一回死んでるのに…」

 

「は、ハハ…元気?だからじゃない?」

 

一夏は頭を傾げながら返した。実のところ一夏も瑠衣は寿命が短かったにせよ全ての航空戦を無傷で生き残って今まで生きているのがいろいろ不思議だった。

 

「あっ!隊長。来ましたよ!」

 

駅のホームから現れた軍服を着ているレイナとソレイユに気がついた瑠衣が大きな声をだした。するとそれに気がついた二人は一夏達の近くに来ると敬礼をし、挨拶をしてきた。

 

「お久しぶりです。織斑隊長」

 

「お久しぶりです。隊長」

 

「ああ、レイナは最近会ったがな。とにかく二人とも、久しぶりだな」

 

「久しぶりだね!レイナ大佐、ソレイユ大佐!」

 

二人の挨拶に対し、一夏と瑠衣も同様に挨拶を返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セシリアside

 

皆様。ご機嫌よう。イギリス代表候補生、セシリア・オルコットですわ。

今私は鈴さんと一緒に簪さんと出掛けた一夏さんを追跡しているのですわ。

 

「それにしてもここに何しに来たんだろう」

 

鈴が呟く。それを聞き取ったセシリアが反応を見せる。

 

「ええ、しかも第二次世界大戦の時の軍服なんて着て」

 

何故第二次世界大戦の軍服何でしょう…⁉叔母様!何故ここに!しかもイギリス海軍の軍服を?あ、動き出しましたわ。

 

まだつける必要がありそうですわね!

 

セシリアsideout

 

 

 

 

 

 

 

あれからしばらくして~~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく歩いて一夏はある食堂の前で止まった。

 

 

『五反田食堂』

 

 

そう、一夏の友達の一人、五反田弾の実家にして第703航空隊にいた五反田厳中佐の食堂だ。

 

「ここが五反田中佐の家ですか?」

 

そう瑠衣が聞いてくる。

 

「ああ、そうだ。入るか」

 

そう言って一夏は店の中に入る。すると一番に弾が話しかけてきた。

 

「おう!一夏、久しぶりだn…って、なんで軍服なんだ?…まぁいいや、…で、今日は何か用か?」

 

話の切り替えが上手いな…

 

「ああ、じいさんいるか?」

 

「ん?じいさんか?」

 

弾は何故祖父に用があるかがわからずに首を傾げる。

 

「まぁ、まぁ…お?五反田中佐か?」

 

一夏はそこに出てきた厳に久しぶりだなと挨拶をした。

 

「ん?…お、織斑隊長⁉」

 

厳は一夏の事を確認すると勢い良く敬礼をしてきた。

 

「ああ、久しぶりだな」

 

「久しぶりですね。五反田中佐」

 

「久しぶりだね、厳さん」

 

「レルベン大佐!、更識大佐も⁉」

 

「私もいるんだが?」

 

「オルコット大佐も⁉」

 

驚きすぎじゃない?

 

~~~それから数時間昔話をしたのだった。



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第三十二話 一、二組合同授業

~第二アリーナ~

 

「今回もISを使っての実習だ!まず、織斑、オルコット、凰ISを展開しろ!」

 

授業の始め、千冬は声を張り上げる。今日の授業は二組と合同でのISの実習の授業だったのだ。

 

「セイバーガンダム!」

 

「甲龍!」

 

「ブルーティアーズ!」

 

一夏とセシリアと鈴はは機体の名前を呼び三人はISを展開した。三人がISを展開し終わると、千冬が指示をだしてきた。

 

「よし、展開できたな。

…0.3秒か、まぁいいだろう」

 

めずらしいな、千冬姉さんが褒めt「もう少し早められるようにしろよ?」…別にできるけど←ドイツ代表

 

それから一夏は、足を開いてから地面を蹴り飛び上がった。そして少し飛び回る。しばらくすると地上の千冬から通信入ってきた。

 

「それでは、急降下と急停止をしてみろ!目標は10㎝だ!」

 

その通信が切れると鈴が口を開いた。

 

「一夏!お先にいただくわ!」

 

「あ、ああ」

 

鈴は、地上から10㎝で停止した。鈴の急停止が終わると次にセシリアが急降下をする。

 

「一夏さん、お先に失礼しますわ」

 

するとセシリアも地上から10㎝で止まった。

 

「ひぇ~、すごいな」

 

「んじゃ!俺の番かな?」

 

 

二人が地上に降りて退いたのを確認すると一夏はセイバーガンダムを変形させてフルブーストをかけ、急降下する。そして地上から数十㎝のところで高速変形し逆噴射をかけた、数十㎝の所で、だ。その高速変形した時にかかるGは凄まじいものだ。

 

「人呼んで、グラハムスペシャル!」

 

しかし、一夏は現役の軍人であり第二次世界大戦の時の最強の航空隊の隊長なのだ。そんなものは雑作もない。そして、一夏は某フラッグファイターの台詞を言って地上十㎝丁度で停止した。すると空気が吹き荒れた。一夏の急降下に引っ張られた空気が地面に叩きつけられたのだ。そして、しばらくして千冬が一夏の頭を叩き、怒鳴り付けた。

 

「普通にしろ!」

 

「いってぇ」

 

「わかったな?」ゴゴゴゴゴゴ!!!

 

「は、はい」

 

一夏は千冬に威圧され感覚的に返事をしていた。

それを聞くと千冬が新しく指示をした。

 

「まったく……凰、オルコット前に出ろ!二人にタッグを組んで戦ってもらう!」

 

すると鈴とセシリアは前に出るとセシリアが千冬に質問をした。

 

「誰と戦うのですの?」

 

「ど、どいてくださーい!」

 

すると上から叫び声が聴こえてきた。一夏は直ぐに上を見上げた。するとそこにはラファール・リヴァイブに乗った山田先生が一直線に一夏に向かって落ちてきていた。

 

ヤバいじゃないかよ!

 

すると一夏はセイバーガンダムを変形させ飛ぶと、搭載されているアンカーショット山田先生のラファール・リヴァイブに引っ掻けて空中で山田先生の落下を止めると一夏はアンカーを離して山田先生と一緒に地上に降りた。

 

「あ、ありがとうございました。織斑君!」

 

「どういたしまして」

 

「山田先生が対戦相手だ。」

 

千冬がそう言うと、二人は山田先生に戦いを挑んで行った。しかし、数十分後には…

 

「あんたが!……ガミガミ」

 

「あなたが!……ガミガミ」

 

と二人が愚痴りになっていたのだった。そして千冬は騒がしいのを叩き切るように大声をだした。

 

「静まれ!これで教員の実力がわかったと思う!教員には敬意を払うようにしろ!」

 

千冬が叫ぶと同時にチャイムが鳴り授業の終わりを告げた。それから一夏達は服を着替えると自室に戻っていった。



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第三十三話 ドイツへ!

~ドイツ~

 

ドイツの自室に転移すると自室の扉がノックされた。すると開かれた扉からシュバルツェ・ハーゼ副隊長のクラリッサ・ハルフォース大尉が入ってきた。

 

「隊長、そろそろ移動しないと大会に遅れます」

 

ん?もうそんな時間かな~?

 

「ああ、それじゃあ行こうか」

 

そう言ってクラリッサと共に部屋を出て車に乗り込み大会開場に向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~車の中~

 

 

 

 

 

車で走っていると唐突にクラリッサが質問してきた。

 

「隊長ってなんで仮面をしてるんですか?」

 

「ああ、正体を隠すためだな。」

 

クラリッサはその答えに対して考えを口にする。

 

「隊長はバレない為に仮面をしてるんですね。アニメとかにありそうですね。」

 

それを聞いた一夏はクラリッサにあることを聞いた。

 

「クラリッサ、私の素顔を見てみたいか?」

 

「そ、それはまぁ、アニメとかでもよくあるので見ては見たいですね。けどいいんですか?隠してるのじゃないんですか?」

 

クラリッサはあまりにも唐突な事に戸惑いながらも返事をする。

 

「別にいいさ、近々ばらすつもりだからな。黙っててくれるならいいぞ」

 

なら…と考えたクラリッサは元気よく返事をしてきた。

 

「はい!お願いします」

 

返事を聞いた一夏は仮面を外した。クラリッサはその顔を見ると驚きを隠せない様子になった。

 

「!?」

面白いw

 

一夏は驚いているクラリッサに軽く追い討ちをかける。

 

「私の正体は第二の男性操縦者とされている織斑教官の弟だ」

 

「隊長がお、織斑教官の弟ォ~!」

 

驚きを降り越えたクラリッサは声を張り上げた。

 

「喋るなよ?ばらすにはまだ早いからな。」

 

それを一夏は念を押す。クラリッサは顔を縦にふって頷いた。そんな話をしていると大会開場に到着した。到着するとクラリッサは基地に帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~開場~

 

 

 

 

 

開場の待合室に入ると更識楯無がいた。楯無は一夏を見つけるやいなや嫌味を言ってきた。実のところ楯無第二回大会で倒されており、それを気にしているのだ。

 

「久し振りね、‘’クルーゼ大佐”。」

 

「ええ、久し振りですね、‘’更識楯無さん”?」

 

それに一夏は嫌味たっぷりに返す。そして楯無を連れて待合室から出ると小さく話し出した。

 

「会長?負けはしませんよ?」

 

「私も負けられはしないわよ?」

 

そして待合室戻って数分後に大会の審判らしき人物が指示をしてきた。

 

「そろそろ開会式なので移動してください!」

 

それを聞いた一夏達国家代表は開会式に向かった。開会式は国家首脳と代表選手の紹介をすると終わって第一試合に移ったら。大会はトーナメント式を採用している。一夏はなんなく勝ち上がっていき決勝戦まで残ったのだった。

 

 



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第三十四話 モンド・グロッソ

~決勝戦~

 

 

 

ついに一夏はと楯無の戦いが始まろうとしている。この二人は第五回モンド・グロソのときに戦い一夏が一度勝っている。しかも中々の激戦だったため今回も戦いを楽しみにされていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏がISの[プロヴィディンスガンダム]を展開し、カタパルトに乗るとオペレーターから通信が入った。

 

『発進タイミングをプロヴィディンスガンダムに譲渡します』

 

「ラウ・ル・クルーゼ。プロヴィディンス、出るぞ」

 

そう一夏は名乗りを上げ、発進した。

 

 

 

 

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□■□

 

 

 

 

 

 

そして、一夏がアリーナ内につくと既に楯無の[ミステリアス・レイディー]が発進していた。一夏は楯無に通信を開き話し出す。

 

「負けないよ。今度も私が勝たせてもらおう」

 

「私はもう、負けられないのよ!」

 

それを言うと通信を切った。すると、それと同時に試合開始のブザーが鳴る。

 

そして……最初に仕掛けたのは一夏であった。

 

「行け!ドラグーン!」

 

すると一夏は全てのドラグーンをミステリアス・レイディーに向けて飛ばしながら自分もビームサーベルを起動し攻撃を仕掛ける。しかし、楯無はそれも気にせずにあっけららかんと口を開いた。

 

「なんだか暑くなぁ~い?」

 

ヤバッ!クリア・パッションじゃねえか!

 

一夏は瞬時にこれがミステリアス・レイディーの単一能力のクリア・パッションだとわかった。すると一夏はブースターを目一杯吹かせ、急上昇した。それと同時にミステリアス・レイディーのクリア・パッションが発動し、大きな爆発を発した。

 

「どう!」

 

楯無は“やった!これで勝てる”と言わんばかりに叫んだ。しかし、現実は非情である。爆煙が晴れるとそこから一夏のプロヴィディンスガンダムが現れる。

 

「そんな…」

 

「私は負けないと言ったはずだがな」

 

楯無はそう、失意の声をこぼした。

そして、これに大会の関係者は驚きしかない。それもそのはずだ、楯無の単一能力で決まったと思っていると上空にプロヴィディンスガンダムが現れたのだ。無傷で。

 

「さて、今度は私がいかせてもらおうか!」

 

そして一夏は全てのドラグーンとビームライフルを撃ちながら近づき、叫び声と共にビームサーベルを縦一閃に降り落とした。

 

「斬ッ‼」

 

するとミステリアス・レイディーは一瞬にしてシールドエネルギーを削り取られて解除された。

そして一夏はISを解除された楯無をお姫様抱っこでピットに戻って行った。この時の楯無はに抱えられた少女に見えたらしい。これにより一夏は第六回モンド・グロソを勝ち抜き、日本の織斑千冬しか成し遂げていなかった大会二連覇をドイツで一夏が成し遂げたのだ。一夏は《白い流星》という異名に《ジークフリート》の称号と《モンド・グロソの天使》という異名が加わった。《白い流星》とは一夏がシュバルツェ・ハーゼの初任務の時に白い仮面をつけて白い機体に乗って敵の攻撃に当たることなく接近して倒して行き数十分で20機ものISを一人で葬り去った。この時に一夏のISが光の線を空中に描いていたからだ。

 

大会が終わると一夏はクラリッサを呼び、車でシュバルツェ・ハーゼの基地に向かった。



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第三十五話 シュバルツェ・ハーゼ基地

~ドイツ軍シュバルツェ・ハーゼ基地~

 

 

 

シュバルツェ・ハーゼの基地に帰ってすぐにシュバルツェ・ハーゼの隊員達の歓喜の歌声が聞こえてきていた。そして、一夏は基地に帰ってきてからすぐに基地司令のレイナに呼び出された。

 

司令室の前まで来ると一夏は扉を軽く二、三回ノックする。

 

『どうぞ』

 

中から声が聞こえた。それを聞くと一夏は扉を開け、中に入ると挨拶をし、敬礼をする。

 

「ラウ・ル・クルーゼ大佐、ただいま参りました」

 

するとシュバルツェ・ハーゼ基地司令のレイナは棚からウォッカを出しながら話しかけてきた。

 

「そんなのはいいからとりあえず座ってください。久し振りに一緒に飲みましょうよ。隊長」

 

一夏とレイナは第703航空隊の時もよく一緒になって酒を飲んでいたのだ。そして酒を飲みながら一夏とレイナの雑談が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえばレイナ、クラリッサに自分の正体をばらしたよ」グビグビ

 

 

「そうなの?クラリッサって一夏の副官の?」グビグビ

 

 

「ああ、そうだ。近いうちに正体をばらそうかと思ってな。その先駆けだ」

 

 

「そうですか…そういえば隊長の部隊にいる代表候補生のラウラ・ヴォーデビッヒ少佐と隊長をIS学園に編入させるように辞令が降りてきました」

 

 

「わかったよ…それよりもまぁ、日本政府とドイツ政府が俺の正体を知ってISコアを2つずつ提供で協力してくれてるからな」

 

 

「そうならいいけどさ。とりあえず日本には隊長達は明後日に日本へ向かってください。……ちゃんと飛行機でですよ?」

 

 

「わぁ~ってるよ!そんじゃラウラに伝えてくるよ。んじぁな~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言って一夏は司令室を後にした。そして一夏はラウラボーデビッヒ少佐を訪ねた。

 

一夏は二人の部屋に入るとキリッとした顔に戻り、話し出した。

 

「ラウラ、今さっき辞令が降りてきた。」

 

「隊長。辞令とは何が来たのでしょうか。」

 

するとすぐにラウラは、反応を示した。

 

「ああ、私とラウラに三年間IS学園に編入しろという辞令だ」

 

「明後日出発になってるからな。用意しとけよ?」

 

それを伝え終わると一夏は部屋を後にして他の隊員達のいる宴会場に向かった。宴会場はすでに半数が酔いつぶれていた。それに一夏は軽く渇を入れる。

 

「静まれ!今から連絡事項がある!」

 

すると酔いつぶれていた隊員も目が覚め、すっ飛ぶ勢いで整列した。

 

「連絡事項は私とラウラがIS学園に行くことになった!私がいない間はクラリッサの指事に従うように!以上!」

 

そして一夏は連絡事項を言うとすぐに部屋を後にして自分の部屋に向かって寝た。

 

 

 

 

━それから二日後、

一夏達はIS学園に向かった。

 



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第三十六話 金と銀の転校生

~IS学園~

 

 

 

IS学園につくと一夏は職員室にラウラを送り届けると急いで着替えて教室に飛び込む。

 

「つ、疲れた。」

 

それを見たセシリアがどうしたのかを聞いてきた。

 

「一夏さん、どうなさったのですの?」

 

 

「仕事の関係で遅れそうになった。」

 

間違ってない。うん!間違ってない!…よね?

 

その答えにセシリアは頭の上に疑問符が上がっていた。

 

「そういえば一夏さんの仕事はなんなのですの?」

 

「まぁ、まぁ、それよりも授業始まるぞ?」

 

すると一夏は軽く誤魔化し、話を切り上げた。それとほぼ同時に授業のチャイムが鳴り教室に山田先生が入ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教室に入ってくると山田先生はにこやかに話し出した。

 

「今日はまず転校生を紹介します!しかも三人ですよ!」

 

「「「「「…」」」」」

 

するとクラスメイト達は一瞬静かになってから

 

 

 

 

 

「「「「えええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ~~!」」」」

 

 

 

と叫び、この教室が揺れた。

 

三人?二人じゃなくてか?

 

 

 

すると山田先生が教室の外に合図をした。

 

「入ってきてください。」

 

すると自分の部下と男子用の制服を着た金髪の生徒が入ってきた。

 

「じゃあ、デュノアさんからお願いしますね」

 

山田先生から自己紹介をするように言われた金髪の生徒は「わかりました」と言い、自己紹介を始めた。

 

「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。フランスの代表候補生です。そして非公式ですざ第三の男性操縦者です。この国では不馴れな事も多いのですが皆さんよろしくお願いします。」

 

するとまた教室が静かになった。

 

「お、男?」

 

クラスの誰かが言うとクラスメイト達が騒ぎ出した。

 

「き…」

 

「きゃああああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!!!」

 

「男子よ!もう一人の男子よ!」

 

「さらに美形!織斑君達と違った守ってあげたくなる系!」

 

「生まれてきてよかった!」

 

「お母さんありがとう!!!」

 

そして、それを教室に入ってきた織斑先生が一喝を入れ、黙らせる。

 

「静まらんか!」

 

そして、千冬はラウラに自己紹介をするように言った。

 

「一人足りんなまぁ、良いが。ラウラ、自己紹介しろ」

 

するとラウラはすぐに敬礼をし、返事をした。

 

「はい、教官」

 

そして、教官と呼ばれた千冬は軽くラウラを注意した。

 

「ラウラ、ここは軍でもないし私はもうお前の教官ではない。ここでは織斑先生と呼べ」

 

「了解しました」

 

ラウラは返事をすると前を向き、自分の名前を名乗った。

 

「ラウラ・ボーデビッヒだ」

 

と名乗った。すると山田先生が困惑した様子で話す。

 

「あ、あの…以上ですか?」

 

そして山田先生の横で千冬は頭を押さえていた。

 

 



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第三十七話 金と銀の転校生 その二

ラウラは山田先生の声を無視してクラスを見回す。

 

「貴様が!」

 

そして、一夏を見つけると殴りかかろうと手を振りかざした。

 

「「「「「⁉」」」」」

 

クラス全員が驚きの顔をしている。一夏がいたところに白い軍服を着て仮面をつけた人物がいたのだ。この人物は正体は、一夏だがみんな知らないだけだ。

 

そして一夏は白い軍服と仮面を展開してからラウラの手をつかんで軽く注意する。

 

「ラウラ、編入早々問題を起こそうとするな」

 

一夏の姿を見たラウラは驚きながら言った。

 

「な、た、隊長!」

 

一夏はそれを無視して前の教壇に立つ。

 

「改めて自己紹介させてもらおう」

 

「今日付けでIS学園に編入することになっているドイツ国家代表のラウ・ル・クルーゼ大佐だ」

 

そして直ぐに仮面を外し、素顔を表した。

 

「そして……ドイツ国家代表ラウ・ル・クルーゼこと、織斑一夏だ」

 

するとクラスが静まりかえり次の瞬間

 

「「「「「…」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「えぇっ‼クルーゼ様の正体が織斑君!?」」」」

 

 

 

そうクラス全員が叫んだ。

 

「黙らんか!」

 

そして千冬が一喝して黙らせた。

 

「それよりも次の授業はISの実習だ。同じ男なら面倒見てやれ!」

 

するとシャルルが一夏に話しかけてきた。

 

「織斑君さん?よろしくね」

 

「挨拶してる暇は無いぞ、あと俺は一夏でいい。とにかく急ぐぞ!」

 

そう言うと一夏はシャルルの手を掴み更衣室に向けて走り出した。すると他のクラスの女子も廊下に出だしてきて慌ただしく通路が塞がれた。

 

「織斑君を発見した!例の転校生も一緒よ!」

 

「者共!出会え!ルートA-04、A-05、A-07を封鎖して!」

 

それを見たシャルルは一夏に問いただす。

 

「…これってなんなの?」

 

「気にするな、俺は気にしない」

 

「気にするよ⁉」

 

「考えるな!感じろ‼」

 

一夏はそう言うと窓を開けるとシャルルを掴む。

 

「そんじゃあ!空中散歩としゃしゃりこみますか!」

 

そして、一夏は窓の外に飛び出して自分で作ったフィールド発生機を使って足場を作り、アリーナの更衣室に向かった。

 

「き、キャャャァァァァァァ!!!」

 

ちなみに…その時シャルルは叫んでいたみたいだね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~アリーナ更衣室~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう!一夏!なんなのあれ!」

 

シャルルが一夏に怒怒りだした。

 

「あれは女子軍団であの空飛んでたのは俺が開発したフィールド発生機を応用したやり方だ。ちなみに束姉さんのIS作りを手伝いしてたから作れるようになった」

 

「いやいや、女子軍団ってなにさ!それに一夏IS作りの手伝いしてたの!?すごすぎるカミングアウトだよ!?」

 

一夏からの驚きの発言によって思い切り叫んだ。

 

「早く着替えなよ~先行くな」

 

そう言い一夏は更衣室を出ていった。

 



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第三十八話 臨海学校

さて問題です。今、私こと一夏はどこにいるでしょう。

 

1、バス

2、五反田食堂

3、学園

 

 

答えは~~……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「海が見えてきた!」

 

はい!バスで海に向かってます。いわゆる臨海学校です。

 

ん?学年別タッグトーナメントはって?…特にこれといったことが無かったからね…

 

 

「隊長!海ですよ‼」

 

横から簪が少し興奮ぎみに話しかけてきた。周りは「なんで隊長呼び?」てきな感じになってるぞ。

 

「簪?俺の呼び名、呼び名」

 

「えっ?呼び…あっ!すみません。t…一夏」

 

海を見て興奮して呼び名が昔の隊長呼びになっていたのを正すと簪は少し前の発言に気が付き、急いで謝ってきた。

 

「ったく…それにしても海は久しぶりだな」

 

「はい、そうですね」

 

簪がそう言うと今度は一夏が話し出した。

 

「簪はいつぶりなんだ?」

 

「扶城が沈んでから来てませんね」

 

「俺は扶城の所に一度行ったから三年くらいかな」

 

実のところ一夏は転移して数年後、扶城と一夏が散った海域に花束を持って行っていたのだ。

 

「何の話をしているんだ?」

 

すると横から箒が話しかけてきた。

 

「あ、いや…」

 

「扶城、と言っていたか?扶城と言えば連合艦隊旗艦だろう?」

 

そして一夏は誰でも見抜けそうな嘘を考え、起死回生の思いでそれを口にした。

 

「そ、そう!模型だよ!」

 

「模型?」

 

箒が顔をしかめ、聞き返してきた。

 

「ま、前に簪に扶城の模型を頼んだんだよ!な、なぁ!簪!」(頼むぞ、瑠衣!)

 

一夏は簪に軽く視線を向かわせる。すると簪はそれを見ると軽く頷き、話を繋いだ。

 

「そ、そうだね!前に一夏に扶城の模型を作って海で走らせて沈んじゃったんだよね?一夏」(わっかりました!織斑隊長!)

 

「だ、だな!そう言うことだ」

 

そう言うと箒はその嘘を本当のように信じた。

その時のバスのみんなの心の中はと言うと…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

((((((信じたァァァ‼って!この脳筋がァァァァァ‼))))))

 

(うっさいぞ!)

 

(((((こ、こいつ!直接脳内に‼))))))

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うっさ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オマケ

 

 

一夏「そう言えばなんで臨海学校まで飛ばしたんだ?」

 

作者「えっ?それはさ、普通に何もなかったからだよ?」

 

一夏「なんでだ!」

 

作者「よく言うよ、ドイツの国家代表になってたりしてラウライベントなくしてたじゃん」

 

一夏「うぐっ!」小破!

 

作者「それでシャルロットはドイツに亡命させてるし」

 

一夏「ぐっ!」中破!

 

作者「こんなにネタが少なくてどう書けってのさ」

 

一夏「ぐ、ぐっ!」大破

 

一夏「そ、そこまでにしてくれ!」

 

作者「え?やだ」

 

一夏「え?」

 

作者「やだ」(^-^)

 

作者「後、一夏。誤魔化すの下手だね!」

 

一夏「グハッ!」轟沈

 

一夏「」轟沈

 

作者「…あ、気絶しちゃった」

 

作者「ま、いっか!んじゃあ!」

 

作者「次回をお楽しみに!」



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第三十九話 旅館[月花]での夜

そして、一夏達は三日間お世話になる旅館[月花]に到着した。実のところこの旅館の名前は昔一夏が着けた名前だったりする。

 

「ここが今日から三日間お世話になる旅館の[月花]だ。旅館の方に余計な迷惑をかけないように注意しろよ」

 

「「「「よろしくお願いします!」」」」

 

千冬の話が終わると、一夏達は旅館の人に挨拶をした。すると旅館の女将の中原 怜子(中原 りょうこ)が挨拶を返してきた。

 

「はい、こちらこそ三日間よろしくお願いしますね」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

返事をした一夏達はそれから部屋へと向かった。部屋に荷物を置き、別館で着替えて海に行くつもりだからだ。

 

 

…ちなみに、一夏の部屋は千冬と同じ部屋であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと、何をしようかな~」

 

「一夏!」

 

浜辺に出た一夏に後ろからシャルロットが話しかけてきた。

 

「ん?シャルロットか。その水着、似合ってるぞ」

 

「あ、ありがとう///」

 

シャルロットの彭が少し赤くなった。

 

「で、その後ろの包帯は何なんだ…?」

 

「あ、ああ!ラウラ!」

 

「シャ、シャルロット!」

 

シャルロットはそう言うと後ろにいたいたラウラの包帯を勢い良く、とった。するとそこには髪をツインテールにした少女が立っていた。

 

「おっ、可愛いじゃないか、ラウラ」

 

「か、可愛い…プシュ~」

 

あっ、煙が出てきた。

 

「ら、ラウラ?!」

 

「ぼ、僕がラウラを運んでくよ!」

 

「あ、ああ。頼んだよ」

 

シャルロットはそう言うと恥ずかしさのあまりに目を回したラウラを担いで旅館の方へ向かって走っていった。

 

 

 

それからしばらくすると、一夏を見つけたセシリアが話し掛けてきた。

 

「あっ、一夏さん!一緒にビーチバレーしませんか~!」

 

そしてセシリアは、一夏をビーチバレーに誘う。

 

「ビーチバレーか…いいな、やるよ」

 

一夏はそう言い、ビーチバレーのチームを決めるのだった。

 

そしてそのチームとは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

簪、セシリアチーム対一夏、シャルロットチームである。

 

「殺ってやるぞ!」

 

「何か字が違うくない⁉」

 

そう言うと一夏はボールを空高く投げあげると、自分もその高さまでジャンプした。その高さ、約20m。6階建てのマンションと同じ高さだ。

それから一夏はボールを叩き、空気を蹴ってボールの進行方向の所に移動し、ボールを叩き威力を貯める。数十回数十回したところで一夏は最後の一撃を放つため、ボールより上に移動する。

 

「トランジェント・スター!」

 

そう言って一夏はボールを地上に向けて思い切り叩き込む。そのボールは音速一歩手前のスピードが出ていた。

そして、セシリア達は成す術なくボールは浜辺に刺さった。落ちたのではない、深さ一メートル程の地面に“刺さった”のだ。

 

「織斑隊長!これは危ないでしょうが‼」

 

「今度は私が殺ってやりますよ!」

 

怒り心頭の簪が一夏に向け、ボールを投げ飛ばしてきた。それを一夏は軽く弾き返す。

 

その後、一夏と簪の激しい一騎討ちとなり、気付けばギャラリーが周りを囲っていた。

 

「随分と白熱してるな」

 

「織斑先生!」

 

千冬や真耶も参戦して試合は更に加熱していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~夜~

 

「こうして姉弟で話すのは久しぶりだな」

 

千冬はビール缶の蓋を開け、話し掛けてきた。

 

「うん、そうだね~」

 

一夏は軽く返事をした。それから千冬がある質問をしてきた。

 

「そう言えば一夏、なぜお前はあんなに強いんだ?」

 

「そうだな~第703航空隊に居たときから皆あんなんだったしな~」

 

一夏は軽く話してしまった。居たということを。

 

「第703航空隊に居た?あの円卓の騎士にか?」

 

「あれ?言ってなかったっけ?俺、昔タイムスリップしたんだよ」

 

「言ってないぞ」

 

ありっ?ミスったか…?まぁ、いいか

 

「で、何をしてたんだ?」

 

そう言うと千冬はビールを飲む。

 

「ん?何してたって…隊長?」

 

一夏が呆気らかんと答えると千冬は飲んでいたビールを吹き出し、声を張り上げ、驚きを露にした。

 

「な、なに!お前があの織斑元帥か!」

 

「まさか黒血の月姫の再来が本物の月姫だったとはな」

 

そしてしばらく話しているうちに夜が更け、時刻は既に10時半を回っていた。そして、時計を見た一夏はそろそろ眠るように千冬に促した。

 

「さて、そろそろ寝ますかね。夜も遅いし」

 

「あ、ああ、そうするか」

 

そう言うと一夏と千冬は部屋の電気を消し眠り始めたのだった。



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第四十話 大天災来襲

翌朝。何故か専用機持ちが集められていた。

 

「よし、専用機持ちは揃ったな」

 

「織斑先生、これは一体」

 

シャルロットがそう質問する。すると、急にラウラが叫び出した。

 

「き、教官!機体のレーダーに反応が!」

 

「なに⁉」

 

ラウラの叫びを聞き、一夏も機体のレーダーを確認する。そして、その識別反応を見ると何なのかが分かった。

 

 

 

 

 

 

その画面には…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『LCAM-01XB 強襲機動特装艦 Dominion』と表示されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちーちゃーーーーん!!」

 

ドミニオンからランチでやって来た束が砂浜につくと一目散に千冬に飛びかかった。

 

「…このバカ兎が」

 

「やあやあ!会いたかったよ、ちーちゃん!さあ、ハグハグしよう!愛を確かめ--ぶへっ」

 

そして、飛びかかってきた束を千冬は片手で顔面を掴み、見事なアイアンクローを決めた。

 

「ぐぬぬぬ……相変わらず容赦ないね、ちーちゃんのアイアンクローは」

 

あっさりとその拘束から抜け出す束、世界最強からも抜け出せるとは…慣れとは怖いな…

 

「やあ!」

 

そして今度は箒に話しかける。

 

「・・・・どうも」

 

「えへへ、久しぶりだね。こうして会うのは何年振りかなぁ。おっきくなったね、箒ちゃん。特におt…グヘッ!」

 

がんっ!と箒が束の頭に拳骨を落とした。

 

「殴りますよ」

 

「な、殴ってから言ったぁ・・・・し、しかも拳骨で叩いた!箒ちゃんひどい!」

 

いきなり再会した妹にセクハラ発言する束の方が完全に悪い。

 

「え、えっと、お、織斑先生?この人はいったい…」

 

横から急な展開に戸惑い気味の真耶が千冬に問いかける。

 

「ああ、…おい束。自己紹介くらいしろ。うちの生徒たちが困っている」

 

「えー、めんどくさいなぁ…私が天才の束さんだよ、やっほー。はい、おしまい」

 

いかにもテキトーな自己紹介だったが、それでようやくこの人物が大天災の篠ノ之束であると理解する。

 

「で、束。この戦艦は何なんだ?」

 

ようやく落ち着いた所で千冬がそう質問した。

 

「うん?この戦艦?これはいっくんから預かってるドミニオンだよ!」

 

「一夏!これはお前のなのか?!」

 

千冬が叫んできた。

 

「そうだよ?」

 

そう一夏が呆気らかんと答えると千冬は軽く頭を押さえた。

 

そして、しばらくするとドミニオンからもう一機のランチがやって来た。そして、ランチの扉が開くと総勢10人の軍服姿の人物達が現れ、セシリア達が様々な反応を見せた。

 

「叔母様⁉」

 

「厳さん⁉」

 

「レルベン司令⁉」

 

はぁ…これはどうした物か…

 

そう考えていると横からシャルロットが話しかけてきた。

 

「い、一夏?この人達は?」

 



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第四十一話 第十二死祖

「い、一夏?この人達は?」

 

「ん?こいつらか?…自己紹介をしてくれ」

 

一夏はそう言い、ランチから降りた10人にそう呼び掛けた。

 

「元第703航空隊所属、レイナ・レルベン大将だよ」

 

「秋野皐月大佐です」ピシッ

 

「五反田厳中佐です」ピシッ

 

「ソレイユ・オルコット大将です」ピシッ

 

「メイル・ヘレスト中佐です」ピシッ

 

「フィルス・ガーベイ少佐です」ピシッ

 

「イタリア軍所属、ミレリア・カーチス大佐です」ピシッ

 

「シュルツ・フォンディル少佐です」ピシッ

 

「ソ連軍所属、アリサ・レッチェコフ大佐です」ピシッ

 

「エリナ・シュヴァリエ中佐です」ピシッ

 

「ドイツ軍所属、ロバート・ヘルシン中佐です」ピシッ

 

「リシュー・ロイエル少佐です」ピシッ

 

ん、言い終わったか。

 

「あ、私達も自己紹介するね?」

 

皆が自己紹介を終えた所で簪が手をあげた。

 

「どうしたんですの?簪さん」

 

その発言にセシリアが反応した。

 

「いや、私も自己紹介しとこうかと思って。ね、織斑隊長?」

 

「織斑隊長って?なに?一夏」

 

そうシャルロットが反応したのに対し、簪と一夏が話し出した。

 

「俺は元第703航空隊隊長と第27代連合艦隊司令をしてたんだよ。ちなみに階級は元帥だ」

 

「私は元第703航空隊副隊長をしてた更識瑠衣大将だよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう一夏達が答えると千冬と束以外の生徒が大声を出して叫んだ。

 

「「「「「「ええぇぇぇぇぇ~!!!!!」」」」」」

 

「一夏が連合艦隊司令⁉」

 

「それに黒血の月姫なの⁉」

 

「簪さんがあの蒼き流水だったんですのォ~⁉」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うるさいぞ‼」

 

あまりにも騒ぎすぎたことで千冬がその場を一喝し、沈めた。

 

 

□■□■□■□■□■□

 

 

 

「で、束姉さん?いきなり第十二死祖を集めたりして来たの?」

 

一夏は何とか場が収まった後、なぜ第十二死粗を連れて来たのか気になり、束に理由を解いた。

 

「う~んとね。昔最強って言われてた703航空隊の実力が知りたくてさ。で、アメリカのISを遠隔操作しようとしたら暴走しちゃっt……いっくん?そ、その笑顔はな、何なのかな?」

 

「で、どうしたの?束姉さん?続けて?」黒い笑み

 

「い、一夏?」

 

一夏は束の悪いノリに流石にブチギレかけていた。それには千冬も軽く引く程の黒い笑みである。

 

「は、ハイ‼その暴走したISがこっちに向かって来てm…あふん!」

 

一夏は束の答えを聞いた途端に思い切り綺麗なボディブローをぶちかました。

 

「何してんだよ!面倒な事しやがって!…機体は積んでるんだろうな?」

 

軽く愚痴を叫びんだ一夏は束に機体を積んでいるのかを聞いた。

 

「は、はい!積んでるおります!サー‼」

 

その返事を聞くと一夏は今度はレイナ達の方を向き、口を開く。

 

「行くぞ!」

 

「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」

 

そう言うと一夏達はランチに乗り、ドミニオンに向かった。

 



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第四十二話 福音戦

あれからドミニオンに着いた一夏達は直ぐに艦橋に足を運んだ。そして、艦橋に入ると一夏は付いてきた皆に席につくように指示した。

 

「シャルロットはいつも通り操舵手!」

 

「はい!」

 

「束姉さんは通信!」

 

「さ、サー‼イエッサー!」

 

「セシリアは臨時で砲雷長、山田先生はオペレーター!」

 

「わかりましたわ!」

 

「わ、わかりました」

 

指示を出し終わると今度は千冬の方を向いて口を開いた。

 

「千冬姉さんには艦長代理を頼みたい」

 

「私が艦長代理をか?」

 

千冬は何故自分を艦長代理に?と思い、聞き返した。

 

「千冬姉さんが一番艦の指揮を執るのに一番適してると思ったからさ……受けてくれる?」

 

そう一夏が問うと千冬は直ぐに了承した。

 

「艦長代理、任せてくれ。一夏」

 

それを聞くと一夏は元部下達を引き連れ今度は格納庫に向かった。

 

□■□■□■□■□■□■□

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

格納庫には、第二次世界大戦時の戦闘機が多数止まっていた。

 

「これは…」

 

横から機体を見た秋野大佐が声を漏らす。それを聞いた一夏はそちらを向き、口を開いた。

 

「ああ、これは俺らの愛機達だ」

 

「無論、今の最新技術を詰め込んである。ジェット機なんかには負けないさ」

 

「さて、諸君。世界最強の第703航空隊の…死徒第十二死祖の力を見せてやるぞ!」

 

「「「「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」」」」

 

一夏がそう言うと隊員達は元気の良い返事と共に敬礼をしてきた。そして、格納庫の壁に備え付けられている受話器を手に取り、艦橋、CICに連絡を入れる。

 

「CIC!敵はどうだ‼」

 

『今は本艦から北東3㎞の地点にいます!現在本艦に向け、以前進行中‼』

 

「よし、なら我々が出る。ドミニオンは我々の発進後、2㎞まで接近し、援護射撃をしてくれ」

 

そう言い、一夏達は自分の愛機に乗り込んで行った。

 

~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏は乗機である零式艦上戦闘機に乗り込むと直ぐに各部の動作チェックがする。

そして、チェックを終えると、一夏は機体を射出口まで移動させた。

 

「発進指示を」

 

『は、はい。一番機、発進、どうぞ』

 

「織斑一夏、零式艦上戦闘機。出るぞ!」

 

一夏がそう言うと機体が前に進んでいき、数十年ぶりに空を舞った。

 

□■□■□■□■□■□

 

 

 

「各機、敵との戦闘に入る。…死ぬなよ。通信終わり」

 

戦闘に入る前に通信を入れ終わると、一夏は操縦菅を握りしめた。

 

ははっ、久しぶりの戦場か…必ず勝つ!

 

「突撃!」トトトトト!

 

そう言い、ト連送を送る。ここに、世界最強の第703航空隊の戦いが始まったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━

 

 

「クッ!振り切れない‼」

 

数十分後、一夏は福音との激しいドッグファイトを繰り広げていた。そこで、一夏はレバーを思い切り倒し、機首を上げて敵の後ろに付き、ここぞとばかりに引き金を引く。すると九九式二〇mm機銃が火を吹いた。

 

『⁉』

 

敵はいきなり攻撃され、少々混乱したが直ぐに体勢を立て直し、一夏機に対して攻撃を加えて来た。

 

「グッ!被弾箇所は…ちっ、燃料タンクに被弾しやがった!」

 

一夏はその攻撃を避けきれず、左翼の燃料タンクに被弾してしまった。数十分間の激しいドッグファイトで右翼の燃料を使い切っていたからだ。

 

「これでも食らえッ‼」

 

それから一夏は残りの燃料があるうちに敵の弱点である関節部に向かって右翼に装備していたミサイルを撃ち込んだ。そのミサイルは一夏が落ちたと思い込み、油断していた福音に直撃し、福音は爆発四散した。

 

「ははっ、これは…無理かな?」

 

一夏はそう疲れきった声で言った。その一夏の視線の先には発火、炎上する乗機の左翼だった。すると次の瞬間、一夏の目の前がパッと明るくなり、一夏機は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

謎の光に包まれ、この世界からいなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

□■□■□■□■□■□

 

「えっ?…」

 

 

 

“一夏機MIA”

 

 

 



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ブレイブ・ウィッチーズ編
第四十三話 天界再び


そして、一夏は目が覚めると“また”あの白い空間に来ていた。一度転生するときに来ているので二度目になるのだ。そしてしばらくすると一夏は小さくため息をつき、飽き飽きしたような声でここに呼び出した人物を呼んだ。

 

「アテネ?いい加減出てきてくれない?」

 

「ハッハッハッ!前の時みたいに動揺してくれてもいいんだよ?」

 

アテネが笑いながら現れた。いやさ、そんな毎回も動揺なんてしませんよ。

 

「ですよねー」

 

そりゃそうだわ!

 

「で、用件はなんですかアテネ?」

 

「また間違えて殺っちゃた」

 

ん?聞き間違いかな?

 

「で、何ですって?」

 

「また間違えて殺しちゃった☆」

 

 

 

━ブチッ━

 

 

 

何処からか何かが切れた音がした次の瞬間、一夏はアテネの胸ぐらをつかみ怒鳴り込んだ。

 

「何が『また間違えて殺しちゃった☆』だ!ふざけとんのか!それに何度も何度も転生先間違えやがって!それに性転換するってなんだよ!頭かちわるぞワレ‼」(怒

 

「だって、間違えちゃったんだもん…」

 

言い訳を言ったアテネを睨んで返す。

 

「ん?」ギロッ

 

「ひっ!ひィィィィ!」

 

 

~そして数十分後~

 

 

 

数十分叫び続けてから落ち着いたあとにアテネにこの後どうなるのかを改めて聞いた。

 

「俺ってこれからどうなるんだ?」

 

「ア、ハイ。一応こちらのミスなのでその世界に戻します」

 

一夏がそう言うと軽く説明をしてくれた。

 

「あ、そうそう!時雨君の前世を漁ってたらやまゆき型護衛艦一番艦〈やまゆき〉ってのがあったんだよ」

 

「何で覚えてなかったんだ?」

 

一夏は何故覚えていなかったのかを聞き返した。

 

「なんでも前世の時雨君を案内した神がミスったらしいよ」

 

それでいいのか天界ェ…

 

するとアテネは何処からか取り出したハンマーで一夏の頭を叩いた。

 

「そうだ、とりあえず記憶戻しときますね。えいっ!」

 

「ンッグッ…!」

 

すると次の瞬間、膨大な程の記憶が元に戻ってきた。その事で膝を一瞬ついたが、直ぐに立ち直り一夏はアテネに転生特典の話をしだした。

 

「なぁ、間違って転生させられてた訳だからまた何か付けt「ああ、付けますよ?」…今なんて?」

 

「付けますって。追加で。というか増やさないと私が怒鳴られますしおすし」

 

それから一瞬放心した一夏だったが直ぐに正気に戻り、何を付けてくれるのかを聞く。

 

「で、アテネ?何を付けてくれるんだ?」

 

「武装神姫のアーンヴァルMA.k2と後は魔力とエヴァの使徒の能力でも付けときます♪あと、時雨君は私の勝手で大亜東戦争の時から扶城のメンタルモデルみたいな感じにしてあったからね~それからまたいろんな世界に行ってもらう事に神院会議で決まったからよろしくね♪」

 

「神院会議ってなんなんd…」

 

一夏がそう言いかけた次の瞬間、床が急に抜けて一夏は穴に落ちて行った。

 

 

「あ、ブレイブウィッチーズの世界だからね~」

 

「こんのクソったれがァァァァ!!!」

 



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第四十四話 十年後…

あれから十年後~

 

「一夏!姉さん、欧州に行くことになったよ!」

 

そう言って家でいた僕にぶつかってきたのが我が姉の一人、雁淵ひかり。そう、僕が転移したのはブレイブウィッチーズの世界だったんだよ。

 

「こらこら、ひかり?はしゃぎすぎよ?」

 

おっと、この人の説明を忘れてた。この人はもう一人の姉で、扶桑皇国海軍所属の雁淵孝美大尉だよ。

 

「ああ、孝美姉さん。お帰り~」

 

「はい、ただいま。一夏」

 

「あ、ただいま。一夏」

 

「で?孝美姉さん?ひかり姉さんが欧州に行くって?」

 

一夏は気になっていた事を聞いた。

 

「えっとね、ひかりが欧州派遣の試験を受けて合格しちゃったみたいでね?」

 

「あぁ…それで欧州行きになったと」

 

「そうだよ!すごいでしょ~!」

 

「ま、ひかり姉さんの事は置いといて、いつ向かう?」

 

後ろでひかりが「ひどい!」って言ってるみたいだけど無視無視。

 

「明日には出港なのよ」

 

明日⁉は、早いな。

 

「早くないの?」

 

「ええ、私もそう思うけど欧州方面のネウロイの動きが怪しいらしいのよ。とりあえずお父さん達に知らせてくるわね」

 

そう言うと孝美とひかりはお父さんがいる通信所に向かって行った。

 

━━━━━━━━━━━━

 

ここまでで何で孝美とひかりの弟になってるの?的な事を思った人のために解説しとくよ?

十年前くらいに急に家の裏山に零戦が墜落してその衝撃に驚いたお父さん達は急いでその現場に行って零戦のコックピットを見たら

 

 

さぁ!ビックリ!そこには小さな赤子がいたでわありませんか!

 

で、その赤子が僕自身でお父さん達はこの赤子を自分達で育てよう!という事で今にいたるんだよ。

 

いや~アテネと別れたら何か赤子になってるしさ。驚いたよ。

 

━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~翌日~

 

「さて、もうそろそろ姉さん達が出る頃かな……準備しないとな」

 

そ言うと一夏は、海岸下の洞窟に向かって行った。

 

━━━━━━━━━━━

 

「いやはや、ここまで来る道も考えものだな」

 

そう言いながら一夏は洞窟の扉を触り、その岩を奥に押し込んだ。すると、一夏の目の前にあった岩の一部が開き、エレベーターが現れた。そして一夏がそれに乗り込むと、数秒で地下に着き、エレベーターのドアが開いた。

 

そして、その視線の先にはある一隻の潜水艦が停泊している。潜水艦というのに全長122mもある船体、そして、特徴的な30mにも及ぶ巨大な飛行機格納庫を備え、艦橋の横には『イ402』と明記されていた。

 

そう、一夏が前世で生きた大日本帝国海軍の伊402型潜水艦だ。そして、一夏が艦の横まで歩いていくと402からぞろぞろと兵士達が現れ、甲板上に見事な整列体形をとった。そして、それを見た一夏は全員が並び終わったのを確認すると兵士達に向け、一言言い放った。

 

「さぁ、出航の時間だ」

 

 



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第四十五話 伊402、出港

「艦長!第一格納庫、注水完了しました!」

 

あの後、艦橋に入って艦長席に座り、自艦が発進できるようになるまで待っていると前の席に座っている通信士がそう報告してきた。

 

「上昇エレーベーター始動」

 

「上昇エレーベーター始動」

 

一夏がそう言うと副艦長の永木大尉が復唱し、艦が上昇して行き、約2分で“ガコン!”という音と共にエレーベーターが射出位置に到達した。そこまで着くと、一夏は次の指揮をし出した。

 

「船体固定アーム解除。発進口を開かせろ!」

 

「船体固定アーム解除!発進口解放!」

 

一夏の指揮を永木副艦長が復唱すると、操舵手が操作をし、船体を固定していたアームが離れ、艦首前方の壁が双方に動き、その先から小さな光が差し込まれた。

 

「錨上げ、微速前進!」

 

そう一夏が言うと艦の横に付けられていた錨が巻き上げられると艦底後方のジェットノズルに火が入り、徐々に前進して行った。

 

━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「レーダーに感…これは」

 

「艦長、赤城を含んだ艦隊が向かって来ました。」

 

今、一夏達伊402クルーは赤城の航路を先回りし、海底に潜んでいるのだ。ソナー要員の報告を聞くと一夏は有線式の潜望鏡を上げ、辺りを見回した。

 

いた!

 

潜望鏡で約203度程見回した頃に一夏は目的の物を見つけ、思わず口に出してしまっていた。そう、その目的の物とはひかりと孝美が乗り込んでいった赤城を含んだ艦隊である。

 

「艦長?赤城はこっちを確認してるんですかね?」

 

一夏の言葉を聞いた永木副艦長が訪ねてきた。それを聞いた一夏は潜望鏡を引き下げながら答える。

 

「気づいてるだろ。あいつら一部を除いてな?」ニヤッ

 

「ああ、あの人ですね?」ニヤリ

 

━━━━━━━━━━━━━━

 

一方その頃、一夏が言っていた一部とは話題に上がっている空母赤城の艦橋にいた。その人物とは一夏の友人で空母赤城艦長兼司令官の稲木隼人准将である。

 

「ブエックシュ‼う~、どうせあの野郎が何か噂してやがるな?大体そこら辺に居るんだろうが…おい!双眼鏡を貸してくれ」

 

「どうぞ。どうせ一夏さんですよね?」

 

双眼鏡をそう言いながら渡したのは空母赤城の副艦長、早瀬迅中佐である。

 

「ああ、そうだ。あの野郎の事だ、この艦隊に着いて来てんだろ…っと!やっぱりいたぞ!」

 

「はぁー、あの人は何で居るんですかね?」

 

横から早瀬中佐がそう聞いてくる。

 

「さぁ、あいつのやることは分からんからな」

 

「大方、あいつの部隊に着任する人物の確認と護衛だろ?」

 

そう稲木准将が言うと早瀬中佐も何故か納得してしまうのだった。



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第四十六話 402、急速浮上せよ!

その後、伊402が赤城の真横まで来ると一夏は永木副艦長に向け、口を開いた。

 

「じゃあ、かっこ良く登場するとしようか」

 

一夏はそう言うと艦長席に座り、指揮を取り出した。

 

「重力子エンジン起動……」

 

「艦体起こせ!偽装解除!」

 

すると、海底に地響きが起こり周りに積んであった泥や岩が浮上と共に流れ落ちて行く。

 

「両舷重力子フロート、ブロー!」

 

一夏の号令と共に重力子フロートから大量の海水が急速に吐き出され、錨が巻き取られた。そして浮上を開始する。

 

「アップツリム40!重力子機関圧力上げ‼」

 

すると伊402のエンジン出力が格段に上がり、艦底後部のブースターから勢い良く大量の水が押し出される。

 

「402…急速浮上‼」

 

そしてエンジン出力上昇が始まると伊402はぐんぐんと海面に迫り、『ドゴーン』という激しい音と共に海面を突き破った。

 

━━━━━━━━━━━━━

 

ちょうどその頃、赤城では…

 

「⁉艦長!」

 

「どうした!」

 

稲木准将は急に叫んだソナー要員に何事かと聞き返す。

 

「対潜水ソナーに反応!…⁉下から何かが急速に接近してきてます‼」

 

「なに⁉」

 

今、なんて言った?…急速接近する“何か”だと?それは潜水艦だよな?あいつのあれは…

 

「艦長‼」

 

「うわっ!す、すまねぇ」

 

「謝ってないで指揮を!」

 

考え込んでいた稲木准将だったが早瀬中佐の声で現実に引き戻され、艦長としての仕事をし始める。

 

「あ、ああ。面舵一杯!回避行動始め‼」

 

「急げ!急いで離れるんだ!」

 

不明艦の存在に焦らされ、ありったけの声で叫ぶ。

 

そして、その瞬間、『ドゴーン』という水の音を鳴らし、潜水艦が現れた。するとそれは船体の半分を海上に現し、そのまま艦首を海面に叩きつけた。その衝撃で艦が軽く揺れた。それを気にもとめずに稲木准将は艦橋から身を乗り出し、その潜水艦を見る。

 

ああ、こいつか…

 

「あんの野郎…」

 

「稲木艦長!何事ですか!」

 

稲木准将が伊402を睨み付けていると艦橋に孝美大尉が何事かと状況を聞きに来た。

 

「私の知り合いのバカが来たんですよ」

 

そういった稲木准将に早瀬中佐が軽くツッコミを入れた。

 

「いや、あの人艦長の直属の上司で上官でしょうに」

 

「気にすんな、あいつからもこう言えって言われてるんだしさ」

 

「稲木艦長?その方とは一体…」

 

さっきから話を聞いていて何も入ってこない孝美が稲木が言っている人物の事を聞いた。

 

「ああ、あいつは三年前のウィザードですよ」

 

「ならその人は…」

 

「ええ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

織斑中将ですよ」



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第四十七話 赤城乗艦…バカの一つ覚え

「隼人~お久しぶり!」

 

一夏は赤城に乗艦すると直ぐに艦橋に直行していた。すると、そこには異様な威圧感を纏わせた稲木准将がいた。

 

「ああ、久しぶりだな?一夏くん?」ゴゴゴゴゴゴゴ!

 

「ど、どうしたの?は、隼人?」

 

「お前わぁぁぁぁぁ!!!!」

 

ビクッ!

 

あまりの声量に一夏といえど一歩後ずさった。

 

「アホか!アホなのか⁉いつもいつも艦の真横から急速浮上しやがって‼」

 

「い、いやね。ほら!緊張感をさ!」

 

そう言った一夏に稲木准将が再び叫んだ。

 

「何が緊張感だ!こちとら心臓ビクビクだ‼」

 

「ご、ごめんて。もうしないからさ」

 

一夏はたまらずに謝る。

 

「まぁ、今回は許すが…次やったらわかってるな?」

 

稲木准将が軽く許したかに思えたが最後にドキツイのをおいてきましたよ。はい。

 

もうしないでおこ…

 

心にそう誓った一夏であった。

 

━━━━━━━━━━━━

 

それからしばらくして~

 

「で、隼人?僕を赤城に呼んだのって何でなの?」

 

ある程度稲木准将が落ち着いてきた所で一夏が何故自分を赤城に呼んだのかを聞いた。実は一夏は赤城の横に浮上した時に稲木准将から呼び出しを食らっていたのだ。

 

稲木准将の上官なのに弱っby作者

 

「ん?いやな。一夏に会いたいって人がいたから呼んだんだ」

 

「…もしかして会いたい人って雁渕孝美大尉だったりする?」

 

一夏はある程度予想が付き、稲木准将に問い返した。

 

「ああ、そうだぞ?知り合いか?」

 

ああ…こいつには言ってなかったな

 

そう思い返した一夏は稲木准将の顔を引き寄せ、話し出した。

 

「いいか?隼人、今から言うことをよ~く聞けよ?」

 

「ど、どうしたんだ?」

 

あまりの不審さに稲木准将が聞き返した。

 

「実はさ、その雁渕孝美大尉がさ、その…お姉ちゃん」

 

「だれの?」

 

「僕の」

 

「な!…ムグムグ」

 

そして叫びそうになった稲木准将の口を塞ぎ、言葉を続けた。

 

「実は織斑は前の名字で今は雁渕なんだよ」

 

「全く似てないけどな!はっはっは…グハッ!」

 

すると一夏は孝美達と似ていないと言って笑いだした稲木准将の顎に見事なアッパーを決め、一発で仕留めた。

 

「…毎回学習しない奴だな」

 

そして一夏は床に倒れて気絶している稲木准将を見ながらそう吐き捨てた。

実はこのやり取り今回初めてではなく、以前にも軽く20数回は行っているのだ。しかも、全く同じ事でだ。

 

「確かに艦長は艦長と戦術家としては優秀なのに何でここだけ抜けてるんでしょう?」

 

横から早瀬大尉がそう聞いてきた。

 

「バカだからだろ。…あ!早瀬大尉。雁渕大尉は何処に居るんだ?」

 

稲木准将を医務室に手慣れた作業で運ぼうとしていた早瀬大尉に一夏が質問した。

 

「ああ、雁渕大尉なら格納庫じゃないですか?」

 

「ん、ありがとよ」

 

そして一夏はそう言うと格納庫に急いだ。



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第四十八話 赤城と姉と

一夏は赤城の第一格納庫に着くと整備兵と戦闘脚について話している孝美を見つけ、話しかけた。

 

「雁渕大尉か?」

 

「そうだけど…ッ!た、大将⁉」

 

「は、はい。私が雁渕孝美大尉です」

 

孝美は一夏の軍服の肩についている大将の肩章を見ると焦りながら敬礼をして来て、一夏も自己紹介し、敬礼を返した。

 

「私は織斑一夏大将だ。よろしく頼む」

 

「は、はい」

 

それから孝美は何故自分に話しかけて来たのかを聞いてきた。

 

「織斑大将?何故私の所に?」

 

「ああ、稲木准将に雁渕大尉の事を聞いたからかな」

 

「まぁ、よろしくお願いしますよ……孝美姉さん?」

 

一夏はそう言いながら着けていた仮面を外した。そして、一夏の顔を見た孝美は驚きのあまり叫んだ。

 

「…い、一夏が織斑大将なの⁉」

 

ビクッ!

 

「そ、そうだけど?」

 

そして、孝美は心を落ち着かせて一夏に質問した。

 

「一夏はいつ軍人になったの?」

 

「5歳の時だよ。ち・な・み・に、母さん達は知ってるからね?」

 

「母さん達めェ…ユルサナイ…」

 

孝美はちょっとドス黒いオーラを出しながら独り言を言っていた。実の所孝美とひかりにはブラコン気質が入っているのだ。

 

アニメだとそんなの無いのに…

 

「で、一夏は今は何処に所属してるの?」

 

孝美は一頻り言い切った後、一夏の所属を聞いてきた。

 

「ああ、僕の所属は…「ビー!ビー!ビー!」…なんだ?」

 

一夏は所属を言おうとしたが、それを赤城の艦内に流れた警報が遮った。それが鳴ったのと同時に一夏が持って来ていた通信機に永木副艦長から通信が入った。

 

「こちら織斑!何があった!」

 

『艦長!艦隊左舷前方3000km,高度4000に約15匹からなる敵の編隊が接近中!』

 

「わかった!今から向かうからカタパルトに私の機体を準備しておけ!いいな!」

 

『はっ!』

 

それから副艦長からの通信を切った一夏は孝美の方を向き、口を開いた。

 

「孝美姉さん。姉さんは艦の直掩として上がってくれ。敵は僕が倒す」

 

「一夏…わかったわ。そのかわり、ちゃんと実力を見せてよ」

 

「ああ!」

 

一夏はそう言うと横の通路から赤城と並走している伊402の甲板に向かって飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□

 

「いてっ!」

 

「艦長!準備出来てます!」

 

一夏が甲板上に着地すると山岸整備長が格納庫の中から手招きしてきた。

 

「…行くぞ、アールヴァル」

 

それから一夏は格納庫の中にある白い一機の機体を見て一言呟いてから乗り込んだ。

 

━━━━━━━━━

 

『艦長、発艦どうぞ』

 

管制員からの通信が入った。

 

「織斑一夏アールヴァルMA.Ⅱ!出るぞ!」

 

それから一夏がそう言った瞬間、真っ白い機体が青い空に発進して行った。

 

 



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第四十九話 大空よ!私は帰って来た‼

「敵は全部で…12、か。フッ…」

 

空域に入ると一夏はレーダーを起動させ、迫ってきているネウロイの数を確認した。そして、一夏はGEモデルLC5ビームライフル を敵に向けるとネウロイに向けて喋りだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待ちに待った時が来たのだ、多くの英霊達が無駄死にでなかったことの、証のために」

 

「再び人類の平和を作るために、星の屑成就のために・・・

                        

 

大空よ私は帰ってきたっ!」」

 

一夏はそう言うとビームライフルから巨大な光の筒━ビームが放たれ、ネウロイの編隊中心部を貫いた。この攻撃で敵ネウロイは全滅したかに見えた。しかし━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チッ!まだ生きてる奴がいたのか!」

 

急に爆発した煙の中からビームが一夏に向かって飛来した。それを何とかかわす。

そして、煙の中から3匹のネウロイが現れた。それを見た一夏はGEモデルLS9レーザーソードを装備し、ブースターを思い切り吹かせ、ネウロイに向けて突撃した。それに応じてネウロイも攻撃を放つ、が、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅い!」

 

アールヴァンMA.kⅡはマッハ1の速度を出しており、ネウロイの攻撃が当たることはなかった。そして、あっという間に一夏はネウロイに接近し、

 

「レーザーソード!最大出力!ハァァァァァァ!!!!」

 

GEモデルLS9レーザーソードの出力を最大にまでし、思い切り横一閃に切り裂いた。すると、一瞬ネウロイは止まったままだったが次の瞬間、上下綺麗にネウロイのコアまで別れ、3匹はあっという間に倒されたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

孝美side

 

はじめまして。私は雁渕孝美、扶桑皇国海軍所属の大尉よ。

まぁ、そんなのはどうでもいいのよ、問題は私の可愛い弟の一夏が扶桑事変の英雄、織斑一夏中…じゃなかった。大将だったのよ!いくつからなっているのかって聞いたら5歳からって言うのよ?おかしいでしょ!年齢とかが!

 

…ゴホン。一夏に言われて赤城の直掩に上がっていた私は信じられない物を見た。

 

「嘘…ネウロイが、一瞬で…」

 

一夏が潜水艦から発進し、ネウロイの前に出て武器を構えたと思ったら高出力のビーム(?)が撃たれて12匹いたネウロイが九匹も一瞬で“消滅”させられた。そう、“消滅”なのだ。それから一夏は倒し損ねたネウロイにむかってサーベルを装備して突撃して行った。そして、ネウロイを切る時にサーベルの出力が上がったと思ったらネウロイが3匹一緒に真横にスッパリと切られた。コアごと。

 

「これが英雄の力…?」

 

それを見ていた私はそう思わず言葉を漏らした。それから孝美は赤城周辺を軽く巡回してから赤城に着艦した。

 

まぁ、一つ言えることは一夏はかっこよかった!

 

ブラコンだな~ by作者



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第五十話 第502総合戦闘航空団着任

あれから数週間後、一夏達は第502総合戦闘航空団の基地に到着していた。そして、朝の朝礼が終わった後、一夏は隊員の前に出て孝美とひかりの話をした。

 

「あ~、みんな聞いてくれ。今回、我が第502総合戦闘航空団に新しい隊員が着任することになった。どうした?シャルム?」

 

すると第一部隊のシャルム・リルモント少尉が質問してきた。

 

「隊長、その新しい隊員とは?」

 

「ああ、私の姉達だ」

 

一夏がそう言った瞬間、質問したシャルム以外の隊員達も反応し、気が重くなった。

 

「あ、あはは…は、入ってきてくれ!」

 

それを打開するために一夏は苦笑いをしつつ、孝美達を呼んだ。

 

「「失礼します!」」

 

入室してきた孝美達に自己紹介を促した。

 

「扶桑皇国海軍第22航空戦隊より転属してきました。雁渕孝美大尉です。よろしくお願いしますね」

 

「さ、佐世保航空予備学校より来ました!雁渕ひかり軍曹です!よろしくお願いします!」

 

それが終わるとエミリア・ミルフォン中尉が驚きながら口を開いてきた。

 

「リバウの魔眼使いが隊長の姉⁉」

 

するとそれにアーニャ・ウェスコット少尉が頭に疑問符を浮かべながら聞き返した。

 

「リバウの魔眼使いって?」

 

「アーニャ知らないの?数ヶ月前にあったネウロイのリバウ進行での援軍到着まで一人でリバウ基地守りきった人よ」

 

「へぇ~…って!なら隊長の名前は雁渕なの⁉クルーゼじゃないんですか!隊長!」

 

アーニャは重要な事に気がつき一夏を問いただしてきた。

 

「ああ、そうだな。だが、雁渕じゃない名字で軍席に登録してるけどな」

 

「雁渕じゃない名字って何なんです?」

 

シャルムが質問してきた。

 

「ああ、織斑だよ。織斑一夏、それが私の正式な登録名だよ」

 

そう応えるとシャルムが叫んだ。

 

「クルーゼ隊長が救国の英雄なの⁉…ってことは階級は大将⁉」

 

「そうだぞ?」

 

一夏があっけらかんと答えると隊全員にどよめきが広まった。すると、副隊長のグンデュラ・ラル少佐が渇を入れた。

 

「静かに!」

 

「「「は、はい!」」」

 

やつぱ怖いねェ~

 

「隊長?何か言いました?」

 

「イエナンデモアリマセン」

 

「では隊長、今回はこれで解散でよろしいですね?」

 

ラル少佐が軽く圧力をつけつつ聞いてきた。

 

「は、はい!じゃ、じゃあ!解散!」

 

((((救国の英雄でも女性には弱いんだな~))))

 

この時にこの場にいた全員の心の中は一致していた。

 

「「「「「「はい!」」」」」」

 

隊員達と孝美とひかりは心でそう呟いたあと、そう返事をしたのだった。そして…その数ヶ月後…



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第五十一話 ペテルブルク強襲、502JFW壊滅⁉

あれから数ヶ月後…

 

 

一夏達が朝食をとっていると、急に警報が基地内に鳴り響いた。それが鳴り始めた途端、一夏は窓から身を乗り出し、空を見上げた。

 

「なっ!ネウロイ…だと?こんなに」

 

すると、そこには総勢30匹を越すネウロイの大編隊が基地に向けて進行して来つつあった。

 

「ッ!クソッ!」

 

それを見ると一夏は格納庫に走っていった。

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□

 

「織斑大将!何があったんですか!」

 

格納庫に入るとすぐに502JFW基地の整備長が詰め寄ってきた。

 

「ネウロイの奇襲だ!」

 

「それよりも空いている機体は!」

 

「こっちです!来て下さい‼」

 

一夏に空いている機体は何処かと言われた整備兵は慌てながら予備の機体の元に案内した。

 

━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「よし、この機体で出るぞ」

 

「はぁ⁉大将は負傷者なんですよ!無茶です‼」

 

いきなり出ると言われた整備兵は全力で一夏を止める。

一夏はつい先日に行われた第501総合戦闘団の増援として戦い、負傷し、自分の専用機を失っていたのだった。

 

「無茶で結構!大日本帝国軍人に不可能なんて物はない!」

 

一夏はそう言うと止める整備長を押し退けるとその戦闘脚に足を突っ込み、魔力を流した。すると、耳やしっぽが現れた。そして、それを見た整備長はヤケになりながら格納庫の発射口のシャッターを開けた。

 

「ああもう!わかりましたよ‼どうなっても知りませんからね!」

 

「ああ、もちろんだ。あと整備長、俺が発進したら基地にいる非戦闘員は地下ドックにある潜水艦に向かうように伝えておいてくれ!」

 

整備長に非戦闘員の退避を伝えると一夏は機体を発射位置のカタパルトに動かした。

 

「織斑一夏!零式艦上戦闘脚、出るぞ!」

 

そして、発射位置に到達すると一夏は自分の名前を言った。すると、一夏の機体はカタパルトによって勢いよく大空に向けて発進していった。

 

□■□■□■□■□■□■□■

 

一夏が空に舞い上がるとそこには既にラル少佐が戦闘を行っていた。

 

「ラル少佐!シャルム!」

 

「た、隊長!何故ここにいるんですか‼」

 

急に話しかけられたラル少佐は何故いるかを聞いてきた。

 

「ペテルブルグ基地は放棄することに決まった!」

 

「基地の地下ドックの潜水艦に集まってきているからラル少佐も退避しろ!」

 

一夏がラル少佐に退避を促す。しかし、ラル少佐も反論してくる。

 

「何言っているんですか!隊長は負傷者でその機体も旧式なんですよ⁉」

 

「いいからさっさと行けッ!隊全体の事を考えろッ!」

 

「…わかりました。ですが隊長も生きてくださいよ」

 

ラル少佐はそう言て基地の方に向かって飛んでいった。

 

「…さて、行くとするか」

 

それを見届けると一夏はネウロイ達の方を向き直し、軍刀と機関銃を装備すると、そう呟いた。そして、一夏はエンジンを目一杯回し、敵に向かって突撃して行った。

 

━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ラストォォォォォォ!!!!」

 

最後のネウロイのコアに向けて軍刀を突き刺した。すると、最後の一匹は光になって消え失せた。その時点での一夏の機体は機体のあちこちに被弾し、今にも落ちそうな程であった。

 

「ッ!え、エンジンが‼う、うわァァァァ!!!!」

 

そして、基地に帰還しようとした瞬間、機体のエンジンが爆発し、機体が爆発四散したのだった。




一夏「なぁ、これ俺死んだよね⁉」

作者「いや?死んでないよ?てか早く次の世界に行ってきてよ」

一夏「は?次の世界っ…t「早く行ってこい!」ドカッ!」

一夏「」チーン

作者「…さて、次の世界に送ったことだし戻るか」

作者・レイナ「次回もお楽しみに!」


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ハイスクール・フリート編
第五十二話 転移と戦艦扶城


「…ん?ここは…」

 

一夏が目を覚ますとそこは海の中では無く、見慣れ知った扶城の第一艦橋だった。そして一夏は艦橋を見回している内に体に何か違和感を感じ、自分の体に問題が無いか確認し出してすぐに叫んだ。

 

「なんで私が女になってるのッ‼」

 

そして、大日本帝国の士官服一人の人間が急に現れ、喋りかけてきた。

 

「織斑艦長お久しぶりです。自分が誰かお分かりですか」

 

「ん?…お前、伊川偲か?」

 

一夏は恐る恐る扶城の副艦長の名前を言った。

 

「そうですよ、現世で死んだら人達は何故か妖精みたいなのになってこの艦に来てるんですよ」

 

そして一夏は自分自身の事に付いて聞いた。

 

「私はどうなってしまったんだ?」

 

「艦長は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この艦のメンタルモデルになられました。その為にこの艦には艦長以外の人は居ません。他の人員は言うなれば全員妖精です」

 

「な、何だと⁉」

 

それを聞いた一夏はすぐに艦長席から立ち上がり大声を上げた。一夏は艦を運営するために最低限必要な人数は居るものだと思っていたのだ。しかし、艦の乗組員は航空隊等の要員も全員が前世で死んだ後妖精としてここに来ているとのことだった。それから一夏は艦長席に再び座ると扶城の現在位置を副艦長に聞いた。

 

「副艦長、本艦の現在位置は」

 

「はっ、レーダーにて観測したところ本艦の現在位置は北緯33度5分、東経139度48分、八丈島200㎞の海域です」

 

「そうか…わかった」

 

そう言うと一夏は黙り込んだ。そして一夏自身がこの艦のメンタルモデルになっている事を把握してからしばらくすると観測係から報告が上がった。

 

「艦長!レーダーにて本艦に前方より接近する艦隊があります!距離2000㎞!」

 

「…接近する艦隊、だと?」

 

観測係からその内容を聞いた一夏は艦の指揮を執り出した。

 

「総員戦闘準備!各砲塔に砲弾装填、但し、砲塔は何時でも回頭出来るようにしておけ、それから偵察部隊の川木小隊を出すぞ!対潜・対水上戦闘用意ッ!」

 

「了解、総員戦闘配置!対潜・対水上戦闘用意!偵察機川木小隊発艦!」

 

副艦長の指揮と共に先程まで和やかだった艦の空気は一転した。それから数分後…

 

「所属不明艦隊!進路変更確認出来ず、本艦に向け依然接近中!」

 

それを聞いた一夏はソナーを覗き込み潜水艦の存在を確認した。

 

「水上艦のみか…よし、対潜戦闘用意解除、対水上戦闘のみに戻せ」

 

「対潜戦闘準備を解除!」

 

そして一夏は観測係に所属不明艦隊が射程に入るまでの時間を聞いた。

 

「所属不明艦隊が本艦の射程圏内に入るのは後何分後だ?」

 

「あと3分ちょっとって所です」

 

射程圏内に入るまでの時間を聞いてすぐに偵察に出ていた川木小隊から通信が入った。

 

『川木小隊ヨリ土佐。敵艦種、陽炎型駆逐艦三隻、長良型軽巡洋艦数隻ヲ含ム水雷戦隊ト判明セリ』

 

『ソシテ敵艦隊旗艦ニハ、長門級戦艦ト思ワレル存在ヲ確認セリ』



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第五十三話 巡洋戦艦 天城

『ソシテ敵艦隊旗艦ニハ、“長門級戦艦”ト思ワレル存在ヲ確認セリ』

 

川木小隊の打電内容にあった『長門級戦艦』という言葉を聞いてすぐに顔を上げ、通信係に再度確認した。

 

「…なに?長門級戦艦と言ってきているのか?」

 

「はい、確かに長門級戦艦と打電が来ています」

 

通信係の返答を聞くと今度は副艦長に話しかけた。

 

「なぁ、伊川副艦長」

 

「何ですか、艦長」

 

「お前に長門型戦艦に長良型軽巡、陽炎型駆逐艦を含んだ艦隊を知っているか?…てか居たっけ?そんな艦隊。アレ?俺か?俺がおかしいのか?!」

 

「大丈夫ですよ。私も知りませんから、艦長は至って正常ですよ」

 

伊川副艦長に正常と言われた一夏は安心し、また再び話し出した。

 

「な、ならいいんだ。…少々取り乱した」

 

「しかし、ビックセブンの一角か…」

 

少しばかり考えた後一夏は艦の指揮を執り出した。

 

「両舷前進原速!」

 

「両舷前進原速!」

 

一夏はそう指事を出してからしばらくしてレーダ観測員から報告が上がった。敵艦隊が本艦の射程に入ったというものだった。

 

「艦長!所属不明艦隊本艦の射程圏内に入りました」

 

聞いてからすぐに一夏は副艦長にあることの確認を取った。

 

「伊川副艦長、各航空隊の発艦準備はどうだ?」

 

「はっ!全航空隊発艦準備完了!二分あれば全機出せます!各砲塔、並びに垂直発射菅全菅装填完了済みです!」

 

航空隊の情報を聞いた一夏は喜びを露にした。

 

「パァーフェクトだ」

 

そう言ってから一夏は攻撃の指揮を執ろうと指示を出そうとした。しかし、それは通信係からの報告で遮られた。

 

「よし!全砲t「艦長!」…どうした!」

 

「所属不明艦より打電!『こちら海上安全整備局ブルーマーメイド所属の天城型巡洋戦艦『天城』である。貴艦の所属、目的を明らかにし、速やかに武装解除し停船せよ。指示に従わない場合は国際法に則り、貴艦を攻撃す』とのことです」

 

それを聞いた一夏はしばらく黙り込んでから次の指揮を出した。

 

(あれは未完艦の筈では…)

 

「…仕方ない、天城に打電だ。乗員の生存権を確約するならば貴艦の指示に従うと伝えろ」

 

「両舷機関停止!」

 

「両舷機関停止!」

 

そう一夏が指示してから数分後、艦が停止するとすぐに通信員から報告が上がった。天城から返答があったのだ。

 

「艦長!天城より打電来ました!『貴艦の要求を承認し、貴艦乗員の生存権を確約する。また、本艦内にて貴艦の決定権の有する人物との会談を希望す、海上安全整備局 一等監察官 宗谷真霜』です」

 

そして一夏は通信員に新たな指示をだした。

 

「天城に打電だ『貴艦ノ要求ヲ承認ス』とな」

 

そしてから一夏は副艦長に話しかけた。

 

「伊川副艦長、一緒に来てもらえるか」

 

「はっ」

 

「しかし艦を指揮するものが居なくなりますよ?」

 

伊川副艦長にそう指摘された一夏は砲雷長に艦長代理を任せ、艦の横に接岸してきた天城に乗り込んだ。



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第五十四話 交渉と説明

巡洋戦艦天城に乗り込んだ一夏と伊川副艦長が案内されたのは天城の長官室に案内された。そして二人が長官室に入るとそこには二人の女性士官のような人物が居た。その存在を確認すると二人は敬礼をし、自分の所属を話した。

 

「自分は大日本帝国海軍『旭日艦隊』旗艦、扶桑型航空戦艦三番艦扶城艦長並びに『旭日艦隊』司令長官の織斑一夏元帥です」

 

「扶桑型航空戦艦三番艦扶城副艦長の伊川偲中佐です」

 

一夏達の自己紹介を聞いた女性も敬礼をし、自分の名前と所属を話した。

 

「私は海上安全整備局安全監督室情報調査隊所属、宗谷真霜一等保安監督官です」

 

「巡洋戦艦天城艦長の宗谷真冬ニ等保安監督官です」

 

そして、四人が椅子に座るとは真霜は一夏達に質問をしてきた。

 

「さて、もう一度確認しますが貴艦の所属はどこですか?」

 

「本艦の所属は大日本帝国海軍、横須賀鎮守府です」

 

一夏ははっきりと自分の所属を再び話した。そしてその答えに帰ってきたのは驚きの言葉だった。

 

「しかし今、横須賀鎮守府という所はアメリカとの共同軍事施設で名前も横須賀軍事基地になっていますよ?」

 

それを聞いた一夏はすぐに立ち上がり大声で叫んだ。

 

「何だと⁉アメリカにだと‼日本はアメリカ戦争で負けたのか⁉」

 

「え?アメリカとなんか戦争なんてしてませんよ?」

 

「何?戦争が起きていないだと?」

 

「ええ、最後の戦争は日露戦争の時ね」

 

それから一夏は自分がこの海域に現れるまでの経緯を話した。

 

「…」

 

「…」

 

そして黙り込んでしまった一夏と伊川副艦長に真霜が何でアメリカに過剰に反応をしたのかを聞いた。

 

「何故織斑元帥はアメリカにそこまで険悪なんです?」

 

「…私の戦友、教官、親しかった人を皆アメリカに殺られたんだよ」

 

「⁉、それは済まないことを聞いたな」

 

「いや別にいいさ、嘆いたところでなにも変わらないですよ」

 

一夏がそう返してすぐに机に備え付けられていた電話が鳴った。

 

「はい、宗谷真霜です。はい…はい、織斑元帥は…はい…了解しました」

 

そう言い電話を切った真霜は一夏の方を向いて一夏達の今後の待遇を話した。

 

「織斑元帥、貴艦の今後の待遇が決まりました」

 

「貴官は今後、ブルーマーメイド保安監察部所属として階級は少将までしか存在しないので少将とすることが決定しました。それから織斑元帥、ご年齢はおいくつで?」

 

「19と言いたい所ですが今は16歳ですね」

 

一夏の年齢を聞いた真霜は成る程と言い再び話し出した。

 

「なら織斑元帥。ブルーマーメイド横須賀女子学園に生徒兼職員として入学してみませんか。勿論乗艦は扶城のままで構いませんよ」

 

一夏はその提案に面白そうだと乗ることにした。

 

「いいですね。そうしましょうか。だけど本艦の武装は解析は許可しませんからね」

 

「別に構いませんよ」

 

しばらくしてから一夏は艦に戻り天城に引率されながら横須賀に向かった。



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第五十五話ブルーマーメイド横須賀女子学園

ーブルーマーメイド横須賀女子学園ー

 

あれから二ヶ月後、一夏はブルーマーメイド横須賀女子学園にましろと明乃と出会い、学園に向かっていた。

 

「そう言えば貴女の名前は?」

 

唐突に明乃が質問してきた。

 

「確かに聞いてないね」

 

「あれ?言ってなかったか~」

 

「私の名前は織斑一夏って言うんだ~。二人と同じくブルーマーメイド横須賀女子学園の新入生だよ」

 

一夏の名前を聞いた二人は顔を向き合わせ声を上げた。

 

「「私達と同じなんだ!(ね!)」」

 

それを聞いてから一夏は時計を指差しながら忠告した。

 

「それよりも急がなきゃ遅刻だよ?お二人さん」ツンツン

 

「「ん?」」

 

「「遅刻するゥ~!!」」

 

「さて、行きますか」

 

そう言うと一夏は急いで走り出した二人を追いかけて行った。(ホバー移動)あ~、あくちんらくちん♪

 

□■□■□■□■□

 

ーブルーマーメイド横須賀女子学園ー

 

あれから一夏達は学園に着くとクラス発表を見に行った。

 

「え~っと、私は晴風クラスの~、やった!艦長だよミケちゃんはどうだったの?」

 

「私は晴風の副艦長だよ。一夏は?」

 

そう言ってましろと明乃は一夏の文字があった所の艦名を見て頭に疑問符を浮かべた。

 

「「航空戦艦 扶城?艦長、織斑一夏?」」

 

「一夏一人しか名前書いてないけど?」

 

それを聞いて一夏は軽く情報を教えた。

 

「それはさ、一人で動かす特殊な艦だからだよ~」

 

「なるほど~…って!何で知ってるの⁉一夏?!」

 

あ、やべ、ミスった。

 

「私がその艦を動かす為の処置を受けてるから、かな」

 

「さっ!教室に行かなきゃ遅刻するかもよ~」

 

そう言われた二人は急いで教室に向かった。しかし、一夏は職員室に向かってから教室に大日本帝国海軍の第一種海軍軍服をブルーマーメイド用に変えた服を着て向かった。

 

□■□■□■□■□■□

 

ー教室ー

 

「艦長!挨拶!」

 

一夏はそう言いながら教室に入った。そして一夏に気がついた二人が立ち上がり叫んだ。

 

「「ああ!一夏!」」

 

「ん?ああ、私は晴風クラスの職員兼生徒なんだ~というより艦長!挨拶!」

 

そして大声で言われた明乃は驚きながら挨拶の指示を出した。

 

「は、はい!」

 

「き、起立!気をつけて!」

 

「礼!」

 

そう明乃が言うとクラス全員が挨拶をした。それを確認した一夏はこれからの流れを話した。

 

「よし。私はここの生徒兼職員のブルーマーメイド保安監察部所属の織斑一夏少将だよ」

 

「君達は今から駆逐艦晴風の乗員だ。君達はここで様々な事を学んで優秀なブルーマーメイドになってくれ!」

 

「「「「「「はい!」」」」」」

 

その返事を聞いた一夏は艦に行くように指示をした。

 

「なら全員晴風に乗り込んで海域P-03に09:00までに迎ってくれ」

 

「「「「はい!」」」」

 

そう言うと一夏とクラス全員は艦に向かった。



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第五十六話 伊川「艦長‼晴風が‼」 一夏「なんだと⁉」

船のドックまで来ていると土佐の横に晴風が停泊していた。それを見た明乃やましろ達晴風クルー達は扶城を見て圧巻の意を表してきた。

 

「「「「「おお~!」」」」」

 

「これが一夏」

 

「大きい~」

 

それを聞くと一夏は軽くこの艦の解説をした。

 

「この艦は基本排水量:34,000t、全長:207.1m、最大幅:96.5m。最高速度は28.5ノットまで出る」

 

「それに扶城は大和型と同じ46センチ砲がついてるから攻撃力は抜群さ」

 

一夏からの説明を聞くと晴風クルー達は驚きをあらわにしていたがそれに気がついた一夏は早く艦に乗り込んで海域に向かうように指示をした。

 

「「「「「おお~!」」」」」

 

「そんなに驚いとるならさっさと艦に乗り込んで海域に向かえ‼」

 

「「「「「す、すいません!!」」」」」

 

「謝ってる暇があるなら早く艦に乗り込め‼」

 

「「「「「は、はい~!!」」」」」

 

一夏の怒鳴りに驚いた晴風クルー達はすぐさますっ飛ぶように艦に乗り込んで行った。

 

□■□■□■□■□■□■□

 

あれからしばらくたって一夏達は演習の海域に到着していた。到着して直ぐに晴風へ教員艦である『さるしま』から砲撃を受けた。砲弾は見事に第三、第四主砲のあいだに命中した。それを見た一夏はさるしまに通信を開いた。

 

「古鳥二等保安監督!この攻撃は何だ‼」

 

それに帰って来たのは途切れ途切れの言葉だった。

 

『敵ハ…ウツ…敵ハ…』

 

PTAウィルスがもう⁉…仕方がないか…

 

それを聞いて直ぐに一夏はさるしまへの通信を閉じ、晴風を見た。そこには驚きとも言える映像が出ていた。晴風がさるしまから攻撃を受け転覆しかけていたのだ。それを見た一夏は尚も晴風に攻撃を加えようとしているさるしまへの攻撃を開始する事を決め、艦の指揮を執り始めた。

 

「全艦戦闘配置‼」

 

「全艦戦闘配置、各員持ち場につけ!」

 

自分がそう言うと伊川副艦長が指示を復唱した。すると艦に警報が流れた。そしてそのすぐ後に艦が揺れた。

 

「グッ!被害知らせ‼」

 

「後部甲板に直撃!しかし第一装甲板で食い止めました‼」

 

「よし!正当防衛射!記録しとけ!」

 

「第一主砲塔右旋回15度‼砲弾装填!装填弾は貫通弾だ」

 

そう言ってから一夏は艦長席の右斜め前の席に座っている妖精に指示を出した。

 

「砲雷長、一撃で沈めてやれ」

 

「合点ですよ‼艦長‼」

 

そう言うと砲雷長は艦橋窓から双眼鏡を覗き込みながら砲の微調整をした。

 

「目標、速度二十ノット!主砲仰角プラス15!砲身間隔15センチ開けて散布面積広げろ!」

 

「撃てェェェ~!!!!」

 

一夏がそう言うと主砲が火を噴き発射された砲弾は全弾さるしまの右舷に命中した。そして、その事によりさるしまは片舷からの浸水がひどく、直ぐに転覆し、弾薬庫が誘爆し、沈んでしまった。それを見届けると一夏は晴風クルーの全員を助けてその海域から直ぐに離脱して行った。



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第五十七話 扶城が反逆艦だって⁉ふざけんな‼

さるしまを撃沈させて海域を離脱した数時間後、一夏の元に晴風クルーの意識が戻ったと知らされた一夏は救護室に来ていた。

 

「川岸美紀中尉、目覚めたというのは本当か?」

 

「はい、皆元気ですよ。織斑艦長」

 

そう言うと救護室主任の川岸美紀(かわきし みき)中尉はベットに横になっている晴風クルー達をさした。奇跡なのか晴風クルー全員が五体満足だったのであった。

それを確認した一夏は明乃達に話しかけた。

 

「明乃、ましろ。大丈夫か?」

 

「うん、大丈夫」

 

「大丈夫だ」

 

「なら艦長室に来てくれ、現状を話す」

 

「わかったよ!」

 

「わかりました」

 

二人の返事を聞いてから一夏は艦長の明乃と副艦長のましろを連れて航空戦艦扶城の艦長室に向かった。

 

□■□■□■□■□■□■□■□

 

一夏は艦長室のソファーに腰かけると一つ咳払いをした。

 

「今の現状は非常に悪い」

 

「?どういうこと?」

 

ましろが聞き返してきた。

 

「私達…主に私がさるしまを撃沈したことで反乱の扱いになっている事が通信探知でわかった…」

 

「「⁉そんな!一夏は守ってくれただけなのに‼」」

 

明乃達が直ぐに立ち上がり、声を張り上げるが一夏はそれを軽く鼻で笑うとソファーから立ち上がった。

 

「私は元から信用は無いだろう…とにかく言えるのはあの艦には異常があった。それだけだ」

 

一夏のその言葉に視線を横にあった棚に移した。するとましろはそこにあった昔の写真に気づき手に取った。

 

「そんな…ん?このの写真は」

 

「かっこいい人だな」

 

「ああ、その写真に写っているのは私と私の教官だ」

 

一夏がそう言うと明乃は大声を出して驚いていた。

 

「えっ!一夏この写真に写ってるの男の人だよ⁉」

 

「一夏は女の子なんじゃ…」

 

ましろのその呟きを聞き取ると一夏は執務椅子に座ると事実を話した。

 

「それは私が“元々男だった”からね」

 

そして驚きで声も出ない二人を横目に話し出した。

 

「私は元々別世界の住人でね、向こうの大日本帝国海軍に居たんだ」

 

「一応第27代連合艦隊司令長官で元帥だったんだよ?あ、年は19だったかな」

 

それを聞きさらに二人は固まってしまった。連合艦隊司令長官を19歳で歴任していたのだ。しかも元帥で、だ。たぶん最年少将校ではないだろうか。仮にもこの世界にも連合艦隊はある。しかしその司令長官になる人間は大抵5~60代の人だけなのだ。しかし、二人はそれだけすごい人物が目の前にいることよりも気になることを質問してきた。

 

「「…てっ!それより何で女になってるの!」」

 

「ん~そうだね、まず…」

 

そう言い一夏は自分の帝国海軍入隊から事を話し出した。そして三人は数時間ほど話し合っていたのだった。



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第五十八話 航空戦艦扶城VS高速戦艦比叡

「状況報告!」

 

時は午後2時半、艦長室で休んでいた所に敵艦捕捉の連絡をうけた一夏は第一艦橋に入ってすぐにそう叫んだ。

 

「戦艦比叡です!時速20ノットで接近中!距離32000‼」

 

レーダー係が一夏の叫びに反応して報告する。

 

「全艦第一種戦闘配置!対水上戦用意‼」

 

一夏がそう指示を出すと通信係は艦内に警報をかけ、指示を乗組員に伝える。

 

『全艦第一種戦闘配置!対水上戦用意‼』

 

そう艦に放送がかかって直ぐに艦橋にましろがやって来た。

 

「一夏!これはいったい…」

 

「戦艦比叡…おそらく敵だよ」

 

「そんな…」

 

ましろが言葉を失ったのを確認した一夏は部屋に帰るように伝えた。

 

「ましろ、部屋に戻っていてくれないかな?まだ傷はあると思う」

 

「…わかった」

 

そう言うとましろは渋々と艦橋から降りていった。艦橋から居なくなったのを確認した一夏は前の比叡を見直すと艦の指揮を執り出した。

 

「航空機全機発艦ができる機体から出せ!」

 

「第一、第二主砲塔各主砲に通常弾装填!」

 

「てぇぇー!!!」

 

一夏が叫ぶと第一、第二主砲が火を吹いた。その砲弾は真っ直ぐに飛び、比叡の右舷付近に着弾したするとすると比叡は左舷に回頭を始め、比叡の主砲がこちらを向いてきたのが確認できた。それを確認した一夏は回避をするように伝えた。

 

「ヤバイ‼機関最大!面舵一杯!」

 

扶城は右舷に回頭を始めた、が、回頭が終わるより先に比叡の主砲が火を吹き砲弾の内、2つが扶城に直撃した。

 

「グッ!ひ、被害報告上げろ‼」

 

「左舷後部甲板、左舷後部に直撃!」

 

「第一装甲板で食い止めました!被害微小!」

 

艦の受けた被害が微小だったのを確認した一夏は更に指揮を執り出した。

 

「全砲塔九一式徹甲弾装填した後回頭90度!ピッチ角-11度‼」

 

その指示を出して直ぐに砲雷長が意見を言う。

 

「艦長!それでは敵艦に当たりません!」

 

「お前は何を言っているか‼何のために九一式徹甲弾を装填させたと思っとるんだ‼」

 

そう激を飛ばすと砲雷長はびくつきながら敬礼をしてきた。

 

「は、はっ‼装填はどうだ!…わかった。各主砲全砲塔回頭、並びに装填完了しました!」

 

それを聞いた一夏は手を前に突き出して指示を執る。

 

「よし!全砲塔!撃てぇぇ~!!」

 

その瞬間主砲が火を吹き、艦が少しながら揺れた。そして扶城から発射された砲弾は全弾比叡の右舷の喫水下に命中し、少し傾いた所に雷撃隊の放った魚雷が命中して比叡は右に大きく傾いた。それを確認した一夏は新たな指示を出した。

 

「よし!内火挺を出して比叡に乗り込ませろ!内火挺には海水入りの水鉄砲を積んでおけよ!」

 

そして比叡に乗り込んだ乗組員達は次々と比叡の生徒達を確保していき、その数時間後には完全に比叡を占領したのであった。



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第五十九話 明乃との別れた扶城は戦地へと赴く

~比叡と戦った数日後~

 

明乃side

 

比叡と扶城との戦闘が終わった数日後。私達晴風クルーは一夏から受領した高速戦艦比叡に乗艦していた。

 

「艦長、一夏は何故私達に比叡を渡したんでしょうか?」

 

艦長席に座っていると横から副艦長を任せたましろが質問をしてきた。

 

「シロちゃん…」

 

「…わからないよ…だけど一夏には何かの考えがあるんじゃないかな」

 

私は少し言いどよみがら答えた。それから一夏の乗っている扶城が動き出したのが見えた。そして、私はリンちゃんに比叡も比叡について出航の指示を出した。

 

「リンちゃん、比叡も扶城に続きます。比叡。機関始動、前進減速」

 

「機関室!機関始動‼」

 

しかし、比叡は進む事なく変わりに伝声管から機関長の悲痛な叫び声が聞こえてきた。

 

『ダメだこれは!機関使用不能‼』

 

それが聞こえて直ぐに私は機関長に聞き返す。

 

「何があったんです⁉」

 

『燃料が全部抜かれてる!』

 

えっ?燃料が、抜かれている?

 

「なっ!一体どうしてッ‼」

 

そう叫んだ次の瞬間、艦橋から扶城を見た私は比叡を置き去りに進んでいく扶城を眺める事しかできなかった。

 

明乃sideout

 

 

 

一夏side

 

「よかったんです?」

 

艦長席で艦の前方を眺めていると一夏副艦長が話しかけてきた。

 

「ん?何が?」

 

「比叡に晴風クルーを置いてきて」

 

そう言われた一夏は「まぁ、大丈夫じゃないか?食料とかもあるし」と答える。

 

「まったく、貴方って人は…というか、ついて来ない所を見ると比叡の燃料まで抜きましたね?」

 

ギクッ‼何故バレた⁉

 

「バレバレです」

 

そう言われた一夏は軽く肩を落とした。

 

「ま、まぁ、燃料残して置いたら付いてくるじゃん」

 

「確かにあの人達なら来るかもしれませんね」

 

確かにそうかもというようにポンと手を叩いた伊川副艦長を見て一夏はあえて付け足しをした。

 

「これから扶城は武蔵を討伐に行くんだ、乗艦を一度沈没させられた明乃達は少なからずケガとかがある。そんな奴らを戦闘になんかは出せないでしょ」

 

「それに、ブルーマーメードの所にも明乃達を解放したって伝えてあるしな」

 

そう言うと伊川副艦長は軽く息をついた。

 

「これで扶城が悪者確定になりましたね」

 

「言うなよ、少しでも私達の正しい行動を知るものがいればいいさ」

 

一夏のそれを聞いた伊川副艦長は軽く愚痴ったが、直ぐに立ち直り、一夏に一言言うように言った。

 

「まったく…では艦長、一言頼みますよ」

 

それを聞いた一夏は艦橋を見回すと手を前に突き出し、宣言した。

 

「この航空戦艦扶城の似合う戦場に行くぞ‼」

 

一夏がそう言うと士気を上げた乗組員達の叫び声が艦内のあちこちから聞こえてきていた。

 

「「「「オオオオォォォォ!!!!」」」」

 



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第六十話 航空戦艦扶城の奮戦

明乃達の比叡を置き去りにした翌日、一夏は武蔵との戦闘に入りかかろうとする扶城の第一艦橋にいた。

 

そこで海域に入ろうとする前に艦橋から武蔵と戦闘を繰り広げる東舞鶴男子海洋学園の教員艦が10数隻が見えた。そしてその内の6隻は大破し、沈みかけている状態にある事が分かると一夏は急ぎ教員艦に打電を打つように命令した。

 

「なっ…東舞鶴男子海洋学園教員艦に打電『我、教育艦武蔵二対シ戦闘行動ヲ開始スル』だ」

 

それからものの二分で教員艦からモールスが帰って来た。

 

「艦長!教員艦〈きりさめ〉から打電!『貴艦ノ参戦、心ヨリ感謝ス』です」

 

それを聞くと一夏は艦の指揮を執り出した。

 

「全艦第一戦速。戦闘海域に突入する」

 

「対水上戦闘用意!」

 

「はっ、対水上戦闘用意!」

 

伊川副艦長が復唱し、命令をだすと艦内に警報が鳴り響いた。

 

「主砲配置よし、各部配置よし、非常閉鎖よし、対水上戦闘用意よし!艦長!対水上戦闘用意完了しました!」

 

そして、伊川副艦長は水上戦闘用意が完了したのを確認すると一夏に報告を上げた。そして、その直後、艦橋に衝撃が走った。

 

「グッ、状況報告!」

 

「武蔵!撃ってきました!第一航空甲板に被弾‼」

 

それを聞いた直ぐに一夏は被弾した第一航空甲板にあるものの存在を思いだし、航空甲板を向きながら叫んび、被弾箇所を切り離すように指示をする。この航空戦艦扶城には一夏が前世で知っていたいたミッドウェーでの赤城の悪夢を参考に切り離すことで被害を最小限に押さえることを目的として第一、第二航空甲板につけられていた。

 

「なに⁉甲板には魚雷を抱えた機体があるんだぞ!」

 

「急いで第一航空甲板!並びに左舷強化部を切り離せ‼」

 

「は、はい!」

 

そう言うと被弾した航空甲板とそれの補強パーツが切り離され、海に落ちると同時に被弾部は爆発したのだった。

 

「第二雷撃隊全機発艦‼」

 

「それから全機発艦後、第二航空甲板!並びに右舷強化パーツを切り離しせ!」

 

それから直ぐに一夏は第二航空甲板にあった航空機を全て発艦させると第二航空甲板も切り離すように指示をし、戦闘に突入した。

 

――――――――――――

 

あれから三十分後、扶城の被害が甚大になって来ていた。

 

「第一、第三、第四主砲塔に被弾!」

 

「後部艦橋敵弾命中!」

 

「弾薬庫付近に着弾!火災、誘爆多発‼」

 

「消化班急がせろ‼急いで被害を押さえ

‼」

 

艦橋に次々と被害報告が上がってくる。そしてついに雫は口を開いた。

 

「…第二主砲にZ弾装填。敵の攻撃能力を潰すぞ」

 

「なっ⁉艦長!あの砲弾は!」

 

「わかっている!…だが、被害が大きくなりすぎたんだ」

 

そして一夏はもう一度、指示を出した。

 

「第二主砲塔にZ弾装填!」

 

そう言うとZ弾が装填され、第二主砲塔が武蔵を捉えた。

 

「撃てェェェェ!!!!」

 

一夏はそう叫び、Z弾が放たれると扶城にも武蔵が放った一発の砲弾が弾薬庫に命中した。

その後扶城の弾薬庫が誘爆、爆沈し、武蔵は戦闘能力を失われ、教員に生徒達が保護されたのだった。



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艦隊これくしょん編
第六十一話 新な世界へ…


「…ん?ここは…」

 

一夏が目を覚ますとそこは海の上だった。そして一夏は何か違和感を感じはじめ、自分の体に付いている違和感の元を確認し出してすぐに叫んだ。

 

「艦娘の艤装⁉」

 

「これは…自分の、扶城の艤装、か…」

 

そう言って艤装を撫でた扶城(艦これ編以下扶城)は自分に搭載されていたレーダーを起動させ、現在の位置を調べた。

 

「う~ん、太平洋のど真ん中かよ…」

 

「しゃ~ないか、呉でも目指すか…」

 

そう言うと扶城は自分のタービンを回すようなイメージをした。すると扶城が微妙ながら進み始めた。

 

「おっ!頭の中でイメージして考えろってことか」

 

それから扶城はあらかた動作のチェックを済ませると呉に向けて進み出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━

 

『…ザー…こちら…ザー…ザー…天龍…ザー…』

 

「うん?何かの通信か?探ってみるか」

 

そして扶城は通信の探知を始めた。

 

『こちら、大日本帝国海軍呉鎮守府所属、軽巡洋艦天龍。深海凄艦と交戦中!至急救援を求む!』

 

「…通信、逆探知初め…」

 

それを聞いた扶城はその発信元を逆探知し、場所を割り出す。

 

「ほぉ~?ここから30㎞くらい先か…」

 

「敵の数が、四つ、いや五つかな?」

 

場所を割り出した扶城は甲板にあるVLSの発射準備をした。

 

「二式誘導奮進弾、発射!」

 

扶城がそう言うとVLSの扉が開き、その中から数本の二式誘導奮進弾が発射され、敵に向かって飛び出す。そして数分後、扶城のレーダーから艦娘以外の反応が消えた。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━

 

 

天龍side

 

「なんだ…あれは」

 

深海凄艦の艦隊が一撃で沈められ、天龍は驚きを隠せずに呟いた。しばらくすると天龍に通信が入ってきた。

 

『こちらは大日本帝国海軍所属、戦艦扶城だ。貴艦らに接触するがいいか?』

 

「戦艦扶城…?」

 

天龍はその艦の名前を口に出した。すると横から駆逐艦達が話しかけてきた。

 

「天龍さん。戦艦扶城?」

 

「戦艦扶城か…」

 

「ああ、そうだ」

 

「私達に接触を求めてきた」

 

そう言うと駆逐艦皐月が接触すべきだと言い、天龍は扶城に再び通信をれた。

 

「接触すべきだよ!天龍さん!」

 

「…あ、ああ。わかった。そう伝えるよ」

 

天龍sideout

 

━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん?通信か?」

 

扶城は天龍からの通信を開いた。

 

『こちらは大日本帝国海軍呉鎮守府所属、軽巡洋艦天龍。貴艦の要求を認める』

 

「ふ~ん。わかったよ。なら、行こうかな」

 

そう言うと扶城はタービンを回し初め、天龍達の所に向かった。



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設定

扶桑型航空戦艦三番艦 扶城(ふしろ)

 

基本排水量:34,000t

満水排水量:41,532t

全長:256.1m

最大幅:96.5m

吃水:8.8m

ボイラー:ロ号艦本式缶(空気余熱器付)10基

主機:艦本式タービン(高中低圧)6基

出力:170,000馬力

速力:29,6ノット

乗員:2,089名

着艦識別文字:フ

 

兵装

45口径46cm連装砲2基4門

45口径41cm連装砲3基6門

40口径8cm連装高角砲4基8門

40口径12.7cm連装高角砲8基16門

垂直発射装置40基

12㎝28連装噴進砲12基

25mm3連装機銃24基

25mm単装機銃12基

零式艦上戦闘機22型:27機

零式艦上戦闘機62型:16機

彗星三三戊型/D4Y3-S:11機

艦上攻撃機流星改:14機

 

レーダー

21号電探2基

13号電探1基

 

 

搭載艇

12m内火艇3隻

12m内火ランチ3隻

8m内火ランチ1隻

9mカッター3隻

13m特型運貨船2隻

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

【挿絵表示】

 

イディアクラフト

 

 

解説

 

主人公の転生先。建造途中で廃棄される事が決まっていたが、新型の軍艦開発の試験艦に回されりその為に魔改造が施されている。

 

この艦には戦艦大和に採用されている装甲板や主砲、艦橋等が試されており、艦の両側面には航空甲板が装備されている。

 

ー艦載機ー

 

 

 

零式艦上戦闘機22型

 

全幅:12.00m

全長:9.060m

全高:3.570m

最大速度:時速541km

エンジン:「栄」21型 (1,130馬力)

武装:7.7mm機銃×2 20mm機関砲×2

 

 

零式艦上戦闘機62型 A6M7

 

全幅:11m

全長:9.121m

全高:3.57m

最高速度:時速543km

エンジン:中島「栄」三一甲型空冷複列星型14気筒(1,130馬力)

武装:

20mm機銃2挺

13mm機銃3挺

胴体下に250kg爆弾または500kg爆弾1発

主翼下に60kg爆弾2発または30kg三号爆弾4発

 

 

 

彗星三三戊型/D4Y3-S

 

全幅11.50m

全長10.22m

全高3.74m

エンジン:三菱「金星62型」(1,560馬力) 

最高速度:時速574km

武装:

7.7mm機銃×2 

7.9mm旋回銃

500kg爆弾×1または翼下250kg爆弾×2

 

 

流星11型

 

全長:11.49m

全幅:14.40m

全高:4.07m

エンジン:中島「誉」12型(1,670~1,825)

最大速度:542.6km/h

武装:

20㎜機銃二挺13mm旋回機銃1挺

850~1,060kg魚雷1本

胴体500~800kg爆弾1発、または250kg爆弾2発翼下30-60kg爆弾4発

 

 

 

主人公

 

南雲時雨(なぐも しぐれ)≪扶城≫

 

現世:織斑一夏

 

身長:169cm

服装:第一種軍装、第二種軍装

階級:

日本軍:大将→元帥

ドイツ軍:軍令部中将→軍令部元帥

イギリス軍:中将→元帥

イタリア軍:中将→元帥

ソ連軍:中将→元帥

 

容姿:GGOのキリトそのまま

 

解説

神様のミスで転生し、様々な世界を回される苦労人である。そして、男の娘一歩手前である。

 

月乃玲(つきの れい)

 

階級:少将

 

容姿:外見俺妹のあやせそのままである。

 

解説

 

呉鎮守府司令。なんだかんだ苦労人

 

 

旭日旗艦隊(レイテ沖海戦時)

 

旗艦:扶城

戦艦

金剛型戦艦一番艦 金剛

航空母艦

信濃型航空母艦 信濃

赤城型航空母艦 赤城

隼鷹型航空母艦一番艦 準鷹

重巡洋艦

高雄型重巡洋艦四番艦 摩耶

利根型航空巡洋艦一番艦 利根

軽巡洋艦

球磨型軽巡洋艦一番艦 球磨

球磨型軽巡洋艦ニ番艦 多摩

夕張型軽巡洋艦一番艦 夕張

駆逐艦

初春型駆逐艦三番艦 若葉

朝潮型駆逐艦一番艦 朝潮

暁型駆逐艦二番艦 響

秋月型駆逐艦一番艦 秋月

潜水艦

伊四○○号潜水艦

伊四○一号潜水艦

伊四○ニ号潜水艦

伊五八号潜水艦

 

 

 

 

時雨の前世

 

・ビスマルク級戦艦一番艦 ビスマルク

 

排水量

基準:41,700トン

常備:45,950トン

満載:50,300トン

全長:251.0m

全幅:36.0m

吃水

基準:9.3m

満載:10.2m

機関

:ワーグナー式重油専焼高圧型水管缶12基

:ブラウン・ボベリー式ギヤード・タービン3基3軸推進

最大出力

標準蒸気圧時出力:138,000hp

高加圧時出力:150,170hp

最大速力:30.8ノット

乗員:2,092名

 

兵装

SK C/34 38cm(47口径)連装砲4基

SK C/28 15cm(55口径)連装速射砲6基、

SK C/33 10.5cm(65口径)連装高角砲8基、

SK C/30 3.7cm(83口径)連装機関砲8基、

C/38 2cm(65口径)四連装機関砲2基&同単装機関砲12基

 

艦載機

アラドAr196A-3水上偵察機4機

カタパルト1基

 

 

・伊号第402潜水艦

 

排水量

基準:3,530 t(水上)6,560 t(水中)

全長:122m

全幅:12m

吃水:7.02m

機関:艦本式22号10型ディーゼル4基2軸7,750馬力

電動機:2基2,400馬力

最大速

:18.7kt(水上)

:6.5kt(水中)

安全潜行深度:100 m

兵員:157名

 

兵装

40口径14cm単装砲 1門

25mm3連装機銃 3基9挺

25mm単装機銃1挺

533mm艦首魚雷発射管艦首 8門

魚雷20本搭載

四式一号一〇型射出機 1基

 

航空機 晴嵐 3機

 

・信濃型航空母艦一番艦 信濃

 

排水量

基準:62,000英トン

公試:69,100トン

満水:71,890トン

全長:266.0m

水線長:256.0m

垂線間長:244m

最大幅:38.0m

水線幅:36.9m

深さ:24.81m

飛行甲板:256.000x39.400m

エレベーター:2基

吃水:10.312m

ボイラー:ロ号艦本式缶(空気余熱器付)12基

主機:艦本式タービン(高低圧2組)4基

推進:4軸x 225rpm、直径5.100m

速力:27.3ノット

乗員:2,515人

 

兵装

12.7cm連装高角砲8基16門

25mm3連装機銃 37基

同単装機銃40基

12cm28連装噴進砲12基

艦上戦闘機「烈風」18機+補用2機

艦上攻撃機「流星」18機+補用2機

高速偵察機「彩雲」6機+補用1機の常用42機補用5機

合計47機

 

レーダー

21号電探2基

13号電探2基

 

 

・やまゆき型護衛艦一番艦 やまゆき

 

基準:8,200トン

満載:10,250トン

全長:140 m

全幅:21.0m

吃水:6.2m

深さ:12.0m

機関

COGLAG方式

LM2500IECガスタービンエンジン2基

電動機2基

艦本式タービン(高中I中II低圧)1基

推進:可変ピッチ・プロペラ2軸

出力

計画 75,000hp

公試全力 75,890hp

過負荷全力 79,240hp

速力:最大40ノット以上

乗員:約300人

 

兵装

62口径76mm単装速射砲1基

高性能20mm機関砲2基

Mk.41 VLS(64+32セル)

• SM-2 SAM

• SM-3 ABM

• 07式 SUMを発射可能2基

90式/17式SSM 4連装発射筒2基

324mm3連装短魚雷発射管2基

艦載機

SH-60K哨戒ヘリコプター(常時搭載機なし)1機

FCS

Mk.99 SAM用3基

Mk.160 主砲用1基

Mk.116 水中攻撃指揮用1基

C4I

イージス武器システム

レーダー

AN/SPY-1D(V) 多機能型1基

AN/SPQ-9B 対水上用1基

ソナー

AN/SQS-53C 艦首装備型1基

MFTA 曳航式1基

電子戦・対抗手段

NOLQ-2C電波探知装置

Mk.137 6連装デコイ発射機4基



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第六十二話 接触と呉鎮守府

救援を要請してきた艦隊と合流するとその艦の旗艦たる天龍が敬礼をしてきた。

 

「呉鎮守府所属、第三艦隊旗艦、天龍だ!救援、感謝する!」

 

「俺は元連合艦隊…つまりは旭日艦隊旗艦、扶桑型戦艦三番艦の扶城だ。よろしくな」

 

扶城の挨拶を聞いた第三艦隊の面々が驚いた顔をした。

 

「お、男なの?」

 

「本当に艦娘なの?」

 

そして、第三艦隊のそう言った声が聞こえた扶城は叫んだ。

 

「ああ、俺は正真正銘の“男”だ!それに俺は艦艇のころから存在して軍人でもある‼」

 

扶城がそう叫ぶと第三艦隊の中の駆逐艦皐月が手を挙げ、質問をしてきた。

 

「……あの」

 

「ん?どうした」

 

「扶城さんって艦艇だったころから存在していたのかな?」

 

「ああ、その時の名前は織斑一夏って名乗ってて階級は確か…そう!最終が元帥だ!」

 

扶城は思い出したように手をポンと叩く。

 

「織斑元帥…って第一航空戦隊の元司令官⁉」

 

茶色い生地を使ったが声を張り上げて叫んだ。

実は一夏、連合艦隊司令官になる前に第一航空戦隊の司令官と第703航空隊隊長を受け持っていたのだ。

 

「ん?君は?」

 

「綾波型駆逐艦、一番艦の綾波です!お久しぶりです、織斑提督」

 

「ああ、俺が配属されてた時にいたな。久しぶりだな…と言っても艦艇のころだがな、綾波」

 

俺がそう言うと綾波は元気よく返事をしてきた。それから俺は第三艦隊の面々に自己紹介をしてもらうように頼む。

 

「なら、君ら第三艦隊の面々の自己紹介を頼もうかな」

 

「第一遠征部隊旗艦の軽巡洋艦天龍だ!」

 

「駆逐艦皐月だよ!」

 

「駆逐艦綾波です!」

 

「駆逐艦夕立だっぽい!」

 

「ほぉ~、編成から見て遠征部隊か?」

 

俺は前世でやっていた艦これの遠征の編成部隊を思いだし、そう言った。

 

「そうだぞ?」

 

どうやら当たったみたいだな…

 

「そうか、 なら護衛を兼ねて呉にでも行かせて貰おうかな」

 

「ああ!頼む!」

 

それから俺は天龍達の護衛をしつつ、鎮守府へと向かっていった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━

 

 

 

所変わって呉鎮守府~

 

「提督!遠征中に助けてくれた艦娘(?)を連れてきたぞ!」

 

司令室の前まで来ると天龍がノックもせずに司令室に突入した。その時に俺も引っ張られて一緒に突入してしまった(涙

 

扶城はそれを気にしないように敬礼をし、自己紹介をした。

 

「初めましてだな。俺は旭日艦隊旗艦、扶桑型航空戦艦三番艦の扶城だ。これでも俺は織斑一夏って言う軍人でもあるぞ」ビシッ!

 

「織斑…織斑…って!織斑一夏元帥⁉第二次世界大戦時の提督じゃないですか!」

 

「じ、自分は呉鎮守府司令の月乃玲(つきの れい)少将であります!織斑元帥閣下!」ビシッ!

 

ニ十代くらいに見える若そうな女性の提督は扶城の名前を聞くと驚き、すっ飛ぶような勢いで椅子から立ち上がると敬礼をしてきた。

 

「俺の事は扶城でいい。年齢も似たり寄ったりだろうし」

 

「わ、わかりました」

 

「ああ、頼むよ。月乃少将」

 

━━━━━━━

 

一通り話が終わってから扶城は今後の事を聞いた。

 

「なぁ、月乃少将。俺さ、これからしばらくここに居てもいいか?迎撃は手伝うからさ」

 

それを聞いた月乃は一瞬ポカンとなったがすぐに我に帰り、扶城の手を勢いよく握り、大声をだした。

 

「手伝ってくれるんですか⁉というか居て下さい!お願いします!」

 

それを見た俺はドン引きしながらも返事をし、俺…こと扶城はしばらくは呉鎮守府所属となったのだった。



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第六十三話 歓迎会

あれから数時間後~食堂~

 

扶城は食堂の扉の前でまたされていた。

 

扶城side

 

ん?何にかって?なんか月乃少将が俺の歓迎会をするから呼ぶまで待っててくれって言われて待ってるよ。

 

あっ、そうだ。中の話でも聞いてみよ~

 

あまりに暇すぎてそう思い立った扶城は壁に耳を近づけ、聞き耳をたてる。

 

『提督ー!何で私たちを読んだんですか?』

 

おっ、早速だな。

 

『今から話をするわ。この鎮守府に一時的に来る人がいるからそれの紹介よ』

 

月乃少将がそう言うとまた別の艦娘が、色々と聞いた。

 

『何で一時的?』

 

『艦種は何なんです?』

 

『航空戦艦かな?入ってきてください!』

 

中から呼ばれると扶城は食堂の扉を開け、月乃少将のところまで歩いていき、前を向いた。すると、そこで重巡青葉が茶化してきた。

 

「提督の彼氏さんですか~?」

 

「ば、バカ言わないの‼それより、自己紹介お願いします!」

 

そしてそれに月乃少将は軽く怒鳴り、黙らせると扶城に自己紹介をするように促して来た。

 

「あ、ああ。なら自己紹介しよう」

 

「俺は扶桑型航空戦艦三番艦、扶城だ。大和型の試験艦でもある。それに俺自身、艦艇時代から軍人をしてたからな。あと俺は男だからな」

 

扶城が軽く自己紹介を終えると月乃少将が艦娘の皆に、質問があるかと聞く。

 

「誰か質問がある人!」

 

すると艦娘全員が手を上げた。それの中から茶色い髪の毛をした特型駆逐艦 電を当てる。

 

「扶城さんは何て名前の軍人さんだったのです?」

 

「織斑一夏だ。自分の艦長と第27代連合艦隊司令長官をしてたぞ」

 

そう言うと周囲がざわついた。

 

「じ、自分の艦長?」

 

「それに織斑長官なの?」

 

そして月乃少将が小さく渇を入れ、次の質問があるかを聞くとドイツのアドミラル・ヒッパー級重巡洋艦、プリンツ・オイゲンを当てた。

 

「扶城さん、私の妖精さんが貴方から何故か一つ以上の艦の感じがすると言われました。何故なんですか?」

 

プリンツからのその質問はさっきまで騒いでいた艦娘達を静まり帰しさせた。そしてその沈黙の中、扶城は口を開く。

 

「ああ、よくわかったな…何故だと思う?」

 

扶城は何故だと思うかを解く。そして、それにプリンツは頭を横に振り、短く、“わからない”と言った。それから他の艦娘達にも視線を送る。それにも一同が頭を横に振る。それから扶城は少し笑みを見せ、喋りだした。

 

「じゃあ、教えよう。何故なら俺は艦艇だったころより昔の━━前世ってのがある」

 

静まっている艦娘達を尻目に扶城は言葉を続ける。

 

「その前世も軍艦だった。その前も、そのまた前も軍艦さ…そして、幾度となく沈み━生まれてきた。だからだよ…」

 

扶城がそう言い終わるとプリンツは小さいながらに拍手をしながら扶城の前までやって来ると手を〈スッ〉と前に出した。

 

「なら、貴方を拒む必要はないですね」

 

「ああ、よろしくな!」

 

扶城はそう言い、手を前に出し━━握手をした。すると、一瞬遅れながら他の艦娘達も盛大に拍手をし出した。

 

これにより、扶城は呉鎮守府に身を置くこととなったのだった。



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第六十四話 ……これって開発できたっけ⁉

歓迎会の翌日、扶城は工厰の明石を訪ねていた。

 

「明石~いるか?」

 

扶城が工厰前でそう言って明石を呼ぶ、すると、中から騒がしい音が鳴り響き、そして明石が現れた。

 

「ふ、扶城さん。どうしたんですか?」

 

「いやな、開発でもしてみようかと思ってな」

 

扶城がそう言うと明石は驚いて声を張り上げた。

 

「え⁉か、開発するんですか⁉…勝手に資材を使ったら提督に怒られますよ?」

 

それを聞いた扶城はポケットから一枚の書類を明石に見せた。

 

「え~っと……あった!」ゴソゴソ

 

「ほい、月乃少将からも許可貰ってるぞ。それに自分の持ってる資材使うし」

 

 

「ハァ…分かりましたよ。こっちです」

 

そして、明石はその書類に食いついた後、軽くため息をし、扶城を工厰の奥に案内していった。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━

 

「━ってとこですね。じゃあ、やってみます?」

 

開発の仕方の説明が終わり、明石が横に少し退いて自分に番を譲る。

 

「ああ、じゃあ……これくらいかな」

 

扶城は機械の前まで来ると、次々に資材を投入した。

 

燃料:10

弾薬:251

銅材:250

ボーキサイト:10

 

投入した資材は上記の量だ。そして、右下にあるボタンを押した。

 

すると、妖精さん達が現れ、一瞬光ったと思うとすぐに光は沈静化した。

 

「これは…」

 

思わずそう言葉を漏らした。何故ならば、そこにあった物は艦これには存在していないはずの扶城に搭載されていた垂直発射装置だったのだ。

 

「扶城さん?これは…」

 

横から明石が聞いてきた。

 

ああ、そういえば扶城の性能とかって出してなかったんだな。

 

「これは垂直発射装置だ」

 

「垂直発射装置…ですか?」

 

明石は首をかしげた。

 

「ああ、大戦時は俺にしか搭載してなかった武器で簡単に言えば今の巡航ミサイルみたいな感じだな」

 

扶城がそうあっけらかんと答える。すると、明石の肩がフルフルと揺れ、急に叫んできた。

 

「あ、明石?」

 

「す…」

 

「す?」

 

「すごすぎますよ‼」

 

ファ!?び、ビックリした~

 

「な、何がなんだ?」

 

扶城は何がそんなに驚く所なんだろうかと思い明石に質問した。

 

「何がって?今でも通用する武装が大戦時にも出来上がっていたことがですよ!」

 

「そ、ソウデスネー」

 

知らない内に扶城の返事は軽く棒読みになっていた。明石はさらに叫ぼうとする。しかし、そこにメロンちゃんこと軽巡夕張が駆け込んできた。

 

「扶城さんいますか‼」

 

「お?メロn…夕張か、どうかしたのか?」

 

扶城は一瞬メロンちゃんと呼びそうになるが、踏みとどまり、どうしたのかを聞いた。

 

「て、提督が扶城さんをよんでます!」

 

「何でだ?」

 

扶城は何故かと軽く聞いた。しかし、それはあまり軽くもない理由だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大本営の元帥が来たんです‼」



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第六十五話 アテネの野郎ォ…次会ったらただじゃおかねぇ…

あれから執務室前まで走っていった扶城はその部屋に入った。するとそこには我々大日本帝国海軍の白い第二種軍装を着た中年男性がいた。そして、その男性は扶城に気がつくと立ち上がり、口を開いた。

 

「織斑長官、お久しぶりです。自分が分かりますか?」

 

そう言われた扶城は男性の顔をよく見る。そして、ふと自分の頭にある人物が浮かび、その名前を呼んだ。

 

「…まさか、鷹杉参謀長か?」

 

「はい、そうです。今では織斑長官の次の元帥をしております」

 

やはりあっていた。こいつは鷹杉淳二(たかすぎ じゅんじ)、扶城の参謀長をしていた男だ。たまに第二航空隊の隊長もしていた実力派だ。

 

「鷹杉参謀長が元帥か、やはり人の未来はわからないな」

 

「全くです」

 

「そういえば何で俺は呼ばれたんだ?」

 

扶城は何故呼ばれたのかを忘れかけていたが、何とか思いだし、質問した。

 

「ああ、わすれてましたよ。実は三重県鈴鹿に二つの謎の鎮守府が現れまして」

 

「謎の鎮守府?調査できてるのか?」

 

何故謎の鎮守府なんぞ出てきてるんだ?

 

「はい…実はその鎮守府に何度も突入をかけようとしてるんですが…」

 

「どうしたんだ?」

 

「大本営の艦娘のほとんどが返り討ちにされまして」

 

何⁉大本営の艦娘が返り討ちに⁉

 

「鷹杉!他には情報は無いのか‼」

 

扶城は少し怒りを見せながら鷹杉を問いただす。

 

「は、はいっ!謎の鎮守府の入り口には鈴鹿鎮守府というらしいです」

 

……ピキーン!アテネだな?次会ったらただじゃおかねぇ…

 

アテネ「はっ!せ、背筋になにか冷たい物が…」

 

それを聞いた途端扶城の額を一つの汗が伝った。

 

「…あー、うん。それ俺だわ」

 

「「…」」

 

そして、その言葉を聞いた後執務室の空気は下がりに下がり…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「えェェェェェェ!!!!」」

 

爆発したのだった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━

 

ー三重県鈴鹿ー

 

「これがか?」

 

扶城はそう一緒に来ていた陸軍憲兵隊の中田亮二(なかた りょうじ)大尉に聞いた。

 

「はい。そのようです」

 

その返事を聞いた扶城は視線をその鎮守府に向ける。そして、その入り口には前世で遊んでいたゲームである『艦隊これくしょん』と『アズールレーン』に使っていた艦隊名〈鈴鹿鎮守府〉という名前の札がかかっていた。

 

「メガホンをくれ」

 

それから扶城は中田大尉からメガホンを受け取り、鈴鹿鎮守府に向けて語り初めた。

 

『あー、あー。マイクテスト、マイクテスト』

 

『ゴホン!…鈴鹿鎮守府の諸君、聞こえているか?私は諸君らの指揮官の南雲時雨だ!聞こえているなら誰か出てきたまえ!』

 

扶城がそう言い終わると鈴鹿鎮守府から二人の艦娘が扶城の前まで急にやって来た。

 

「指揮官様~!お待ちしてました!貴方の赤城ですわ!」

 

「司令、待ってました」

 

「ああ、こちらでは初めましてだな。赤城、ハルナ」

 



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第六十六話 横須賀の第一艦隊壊滅させたって、えぇ…

「提督、横須賀鎮守府から演習依頼が来ていますが。どうしますか?」

 

横から秘書官の加賀が書類片手にそう聞いてきた。

 

「あー…なら旗艦にはプラz…電を据えて他にはあきつ丸にでも行ってもらおうかな~加賀さん、伝えてきてくれる?」

 

扶城は横須賀に送る艦娘を選ぶと、加賀に伝えに行ってくれるように頼んだ。

 

「はい。わかりました」

 

加賀はそう言うと編成の書類を片手に執務室を後にしていった。

 

さて、ここで何で扶城が提督してるんだ?っておもったでしょ。それはさ、鷹杉に押し付けられたんだよ~

 

…何もかもアテネが悪い

 

アテネ「ひどい!」

 

…聞こえない、聞こえない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━回想━

 

『えっ‼俺にこの鎮守府の提督をやれって⁉』

 

『ええ、長官ならできるでしょ。…というか長官自身の鎮守府ぐらいどうにかしてくださいね』

 

『グググ…わ、わかった…』

 

『はい!では、お願いしますね』キラキラ

 

━回想終わり━

 

 

 

 

 

 

 

 

的な感じでやられたよ。

 

 

「さて、書類仕事でもしますかね~」

 

それから扶城は考えるのがバカらしくなってきて書類仕事をかたずけ始めるのだった。

 

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□

 

 

プルプルプル~

 

 

「はいm『織斑長官‼』…どうしたんだ?」ウッサイゾ

 

舞鶴鎮守府から電話だと思い受話器をとるといきなり鷹杉に怒鳴られた。何でぞ?

 

『長官が送ってきた艦娘達強すぎますよ!横須賀の第一艦隊を壊滅させましたよ‼』

 

「…何だって?」

 

扶城は再び聞き直した。

 

歳かな…

 

『だから!長官の所の艦娘達が戦艦とか空母だらけの横須賀の第一艦隊を壊滅させちゃったんです‼』

 

「…何ィ~‼うちの艦娘が横須賀の第一艦隊壊滅させちまったのか⁉」

 

扶城は思わず叫んだ。何でかって?うちが送ったのは駆逐艦と揚陸艦だぞ?火力も装甲も桁違いに高いやつに勝てるか?普通…

 

「なぁ、鷹杉?」

 

扶城は気になった事を聞きだした。

 

『なんです?』

 

「横須賀の艦娘達ってレベルっていくつだ?」

 

『旗艦の戦艦大和が150lv、戦艦長門と戦艦陸奥が129lv、空母赤城が130lv、空母加賀が133lv、装甲空母大鳳が142lvです。長官の所は一体いつくなんです‼』

 

えっ?強すぎない?送った二人ってそれより低いよ?

 

「…うちは駆逐艦電が105lvであきつ丸は103lv、です」

 

それを聞いた鷹杉はまたもや叫んだ。

 

『最大とほとんど50lvも離れてるじゃないですか‼』

 

それから扶城は恐る恐るどう戦っていたのかを聞いた。

 

「…鷹杉?電達ってどうやって戦ったんだ?二人で1人ずつ倒したんだよな?」

 

『…いえ、1人一回づつ第一艦隊全員と戦ってました。それに電は錨とか魚雷を投げつけたりして戦ってたりあきつ丸は刀と航空機で叩き切って勝ったらしいです…』

 

「oh…」

 

「……考えるのやめようか」

 

「…はい」

 

そう言って二人は電話を切り、その記憶を忘却の彼方へ送ったのだった。



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第六十七話 大戦の英雄は再び英雄となる

トントン━

 

俺が執務室で書類処理をしていると部屋の扉をノックされた。

 

『提督、大本営より緊急伝です』

 

「入れ」

 

そう言うと書類を持った大淀が入ってきて書類を受け取った。

 

「なになに?‘鈴鹿鎮守府に接近する深海悽艦の大艦隊を捕捉す’だと?」

 

そう題付けられた書類の下に目をやる。そこには敵艦隊の詳細情報が書かれていた。

 

姫級十隻

鬼級八隻

レ級十三隻

タ級二十隻

ヲ級十三隻

イ級五十隻

 

「こ、こりゃヤバイな」

 

「どうしますか?」

 

横から大淀が聞いてくる。そりゃあ、勿論決まってるさ。

 

「大淀、今回は俺が出る。一応全艦隊に待機命令を出しておいてくれ」

 

「わかりました。では提督も発進を」

 

そう言われた扶城は勿論だと言って発進口に向かった。

 

□■□■□■□■□■□

 

「ふぅ~…行きますか」

 

発進口についた扶城はカタパルトに足を乗せると一度深呼吸をした。それから自分の中にある艦の記憶を呼び覚まし、その名前を叫んだ。

 

「扶桑型戦艦三番艦、扶城!抜錨するぞ!」

 

その直後、扶城の乗っているカタパルトが動きだし、射出され、深海悽艦の元に向かっていった。

 

 

□■□■□■□■□

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、レーダーに捉えた」

 

扶城が海に出てしばらくすると扶城のレーダーに深海悽艦の反応が現れた。

 

「いっちょやりますか」

 

「垂直発射菅に追尾式奮進弾を装填」

 

「垂直発射菅解放!奮進弾、撃てェェェ!」

 

そう言うと扶城の艤装についている垂直発射菅の蓋が開き、総数27本の追尾式奮進弾が発射された。

 

 

 

 

 

 

 

■□■□■□■□■□

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、その数分後━

 

 

 

「一隻残った…?」

 

 

奮進弾を発射し、その進路をレーダーで見ていた扶城であったが、百発百中のはずの奮進弾が敵を一隻だけ残った事に驚きを隠せなかった。

 

 

 

■□■□■□■□■□

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、しばらくするとその艦影が見えてきた。

 

「れ、レ級…フェイス…だと?」

 

「レ!」ゴゴゴゴ

 

レ級は現れて直ぐに主砲を放ってきた。それを時雨は軍刀を出し、それでレ級の砲弾を叩き切った。

 

「レ?レレレ‼」

 

レ級は何やら楽しげに近接戦に持ち込もうと扶城の懐に向かって突っ込んできた。

 

「危ないn…何⁉グハッ」

 

扶城はレ級によって弾き飛ばされた。レ級の攻撃を軍刀で防いだ扶城だったがレ級の尻尾に弾かれたのだ。

 

そして、レ級の攻撃から立ち上がろうとした扶城だったが、目の前にレ級が砲を向けてきている。

 

「まだ…まだ…な、に?」

 

そして、扶城の脳内に絶望の二文字が浮かんだ次の瞬間、扶城の周りから無数の砲弾が飛んできてレ級を吹き飛ばした。

 

「い、一体…「指揮官!」」

 

唖然としていた扶城に後ろから聞きなれた声が聞こえた。

 

「し、シュペーか?」

 

「ええ!指揮官、ご無事ですか‼」

 

そこに居たのはアドミラル・シュペー達、鈴鹿鎮守府所属の約600人のアズレンと艦これの普通は混じり会うことのない艦娘の大艦隊がたたずんでいた。

 

「指揮官、指揮を」

 

それに見惚れていると、シュペーがそう言って扶城に帽子を渡してきた。それは扶城の大日本帝国海軍の第二種軍装の帽子だった。

 

「フッ…」

 

扶城は立ち上がり、帽子を被ると艦娘達を見回すとレ級に向き帰り、命令を下した。

 

「全艦‼撃ち方始め‼」

 

その声と共に約600人の艦娘達が砲弾を放つ。レ級はそれを避けようとする。が、その弾幕は避けきれず、次々に命中する。そして、ものの数分でレ級は海の藻屑と消えて行った。

 

 

□■□■□■□■

 

あれから一ヶ月後、深海凄艦過激派のトップが倒されたことで深海凄艦の和平派が大多数を絞め、ついに人類と深海凄艦との長い戦争に終止符が打たれ、人類は平穏を手に入れた。

 

 

そして、それは例外もなく人類側の英雄にも━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

英雄の平和は長くは続かない━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

英雄は━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━そういう運命なのだから━

 

 

 

 

 

平和がなった一週間後、英雄は忽然と鎮守府ごとこの世界から消え去った━━いや、この世界から元の世界に帰ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、その様子を神界から眺める女神が一人

 

 

「時雨君、君の仲間達と姉達は皆始めの世界に送るよ」

 

「喜んでくれるかな?だけど時雨君は…いや、あなたは、必ず私が…」

 

その女神の呟きは…誰にも聞かれず、その場に響いていた。

 



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IS編 第二
設定改


主人公

 

南雲時雨(なぐも しぐれ)≪扶城≫

身長:169cm

服装:第一種軍装、第二種軍装

階級:

大日本帝国軍:元帥

ドイツ軍:軍令部元帥

イギリス軍:元帥

イタリア軍:元帥

ソ連軍:元帥

ブルーマーメイド保安監察部:少将

ドイツ軍IS部隊:大佐

艦これ日本軍:中将

 

容姿:GGOのキリトそのまま

 

解説

 

神様のミスで転生し、様々な世界を回される苦労人である。そして、男の娘一歩手前である。

 

専用機

ガンダムシリーズ

宵月

 

配属先

 

・横須賀鎮守府付き士官

・松型駆逐艦『竹』航海長

・第703航空隊隊長

・第一航空戦隊司令長官

・第七七陸上工作機動歩兵大隊隊長

・連合艦隊司令長官

・扶桑型航空戦艦三番艦『扶城』艦長

・五ヶ国海軍連合艦隊司令長官

・シュバルツァ・ハーゼ隊隊長

・ブルーマーメイド保安監察部 少将

・ 第502総合戦闘航空団隊長

・鈴鹿鎮守府提督

 

 

松型駆逐艦二番艦 竹

 

 

基準排水量:1,262t

公試排水量:1,530t

全長:100.00m

最大幅:9.35m

喫水:3.30m

ボイラー

ロ号艦本式缶2基

主機

艦本式タービン2基2軸 19,000hp

速力:27.8kt

燃料

重油370t

航続距離

18ktで3,500浬

乗員

248名

兵装

40口径12.7cm単装高角砲 1基

40口径12.7cm連装高角砲 1基

25mm連装機銃 4基

25mm単装機銃 12基

61cm4連装九二式魚雷発射管 1基4門

九四式爆雷投射機2基

爆雷投下軌条×2

 

解説

 

駆逐艦竹は戦争の前半に開発、建造された量産型駆逐艦。ある海戦で被弾しながらも敵旗艦を撃破したとして有名となるが被害が大きく、大戦の後しばらくは竹は未整備で横須賀港に置かれていたが。英雄の始まりの艦と称され、修復された後横須賀にて三笠と並ぶ記念艦となる。

 

 

 

 

 

 

 

旭日旗艦隊(レイテ沖海戦時)

 

旗艦:扶城

 

戦艦

 

金剛型戦艦一番艦 金剛

 

航空母艦

 

信濃型航空母艦 信濃

赤城型航空母艦 赤城

隼鷹型航空母艦一番艦 準鷹

 

重巡洋艦

 

高雄型重巡洋艦四番艦 摩耶

利根型航空巡洋艦一番艦 利根

 

軽巡洋艦

 

球磨型軽巡洋艦一番艦 球磨

球磨型軽巡洋艦ニ番艦 多摩

夕張型軽巡洋艦一番艦 夕張

 

駆逐艦

 

初春型駆逐艦三番艦 若葉

朝潮型駆逐艦一番艦 朝潮

暁型駆逐艦二番艦 響

秋月型駆逐艦一番艦 秋月

 

潜水艦

 

伊四○○号潜水艦

伊四○一号潜水艦

伊四○ニ号潜水艦

伊五八号潜水艦

 

 

用語集

 

右舷(みぎげん)

:艦尾から艦首に向かって右側のふなばた。うげんとも読む。

 

左舷(ひだりげん)

:艦尾から艦首に向かって左側のふなばた。さげんとも読む。

 

取り舵

:進行方向左に舵を転じること。

 

面舵

:進行方向右に舵を転じること。

 

バラストタンク

:艦船の喫水、傾斜を調節するための船内の水槽。

 



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第六十八話 アテネが俺の嫁⁉

「う…うぅ…ここは?…」

 

一夏が目覚めるとどこかの船の艦橋の椅子に座っていた。

 

「扶城か?」

 

そこは激戦を戦い抜いてきた。扶城の艦橋だった。そして、一夏はすぐ目の前のガラスに一通の手紙が挟まれているのを見つけて読み始めた。

 

『時雨君かな?今君がいるのは扶城だよ!驚いたね!』

 

いや、知らんがな

 

『それからそこの世界は君がいなくなって一週間後のせかいだからね?あ、そうそう、君が今までに行った世界の人たちをその世界に送り込んでおいたからね~』

 

そうでs…

 

「何ィィィ~!!!!今までの世界の人たちを送り込んだァ~!?」

 

い、いかん…冷静に、冷静に。スー、ハー、スー、ハー

 

それから一夏はその手紙の最後の一文字に目をやった。

 

『ps.時雨君は私の夫だからね』

 

……は?Why?夫?

 

一夏は放心状態から戻ると天を仰いで叫んだ。

 

「アテネェェェ!!!出てきて説明しろ!!」

 

「はい?呼びました?」

 

叫ぶとアテネが急にすぐ後ろ現れた。

 

「うわっ!?アテネか…」

 

「はい、あなたのアテネです」

 

「そうだ!アテネ!!俺がお前の夫って何なんだ!!」

 

そして、一夏がアテネに夫の事を問いただす。

 

「…実は時雨君の前世は神界の王だったの」

 

「…は?」

 

「それd「ちょ、ちょっと待て!」…どうしたの?」

 

あまりの事に一夏はアテネの言葉をふさいだ。

 

「いや、神界の王って何⁉」

 

「あなたは元々神界の王、創造神のアルティナで私の夫です」

 

「…」(゜ロ゜)

 

一夏はあまりの事に唖然としてしまい、固まっていた。

 

「だ、大丈夫?あなた?」

 

「…はっ!」Σ(゜Д゜)

 

アテネが目を覚ました所でやっと我に帰った。

 

「…わかった。だが、こっちに艦娘達をやったならあいつらもいるけど?」

 

「別にいいですよ?私が第一なら」

 

アテネはあっけらかんと答えた。

 

「まぁ、それでいいならいいけど…」

 

「あ!そうそう、これはどう動かすんだ?」

 

一夏は軽く忘れかけていた事を聞いた。

 

「え~と、この艦は艤装だから操作画面は念じれば出ますよ?」

 

それから一夏は軽く“出ろ”と念じる。すると一夏の回りに青い光の輪っかが現れた。

 

「うおっ!で、でた」

 

出ることが確認できた一夏は自分の位置を確認しようと、レーダーを確認した。

 

「…横須賀沖、300海里か」

 

それから一夏は艦を発進させようと、指示を出す。

 

「さて、行くか」

 

「そうですね」

 

「エンジン起動」

 

「第一から第二動力機関に動力接続、目標、横須賀港。航空戦艦扶城!抜錨!」

 

そう言うと扶城のスクリューが水が大量に押し出され、扶城が横須賀に向けてゆっくりと進み始めたのだった。

 



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第六十九話 イージス巡洋艦『未来』

ピー!ピー!

 

扶城の艦橋にけたたましい警報が鳴った。

それから一夏は少し念じ、索敵をする。

 

「北北東320kmに反応か…」

 

━━━━━━━━

 

~みらい~

 

みらいの艦橋では混乱が起きていた。イージス艦のデータベースに存在しない艦が急に現れたのだ。

 

「副長。あれは一体…」

 

通信長が聞いてくる。

 

「わからない…だが、日本の認識コードなのは確認できている」

 

そう言うと艦長は扶城に通信を繋ぐように命令した。

 

「通信長、あの不明艦に電信を打て。内容は『こちらは大日本帝国海軍所属 第二水雷戦隊旗艦 イージス巡洋艦≪未来≫。貴艦の所属と目的は何か』だ」

 

「はっ。電文、打ちます」

 

そういい通信長がCICに降りていくのを見送った後、艦長は遥か先にいる不明艦を睨んだ。

 

 

━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「艦長!電文です!」

 

一夏が艦橋で双眼鏡を覗きながら未来を睨んでいるとやまゆきの通信長妖精が電文の書かれた紙を片手に艦橋に飛び込んできた。

 

「何!?読み上げろ!!」

 

それを一夏はすぐに読み上げるように命令した。

 

「は、はい!」

 

「『こちらは大日本帝国海軍所属、第二水雷戦隊旗艦 イージス巡洋艦≪未来≫。貴艦の所属と目的は何か』です」

 

みらいか…

 

「よし、通信長。未来に打電だ。『こちらは大日本帝国海軍所属 聯合艦隊旗艦、扶桑型航空戦艦三番艦 扶城である。本艦は第二十七代聯合艦隊司令、織斑一夏元帥の乗艦である。本艦は横須賀入港を目的としている。接近を許可されたし』だ」

 

 

━━━━━━━━━━━━

 

~みらい~

 

「艦長!不明艦から返答来ました!」

 

「『こちらは大日本帝国海軍所属 聯合艦隊旗艦、扶桑型航空戦艦三番艦 扶城である。本艦は第二十七代聯合艦隊司令、織斑一夏元帥の乗艦である。本艦は横須賀入港を目的としている。接近を許可されたし』…です」

 

「航空戦艦扶城か…」

 

艦長がそう呟くと副長も呟く。

 

「たしか扶城はレイテ島沖に沈んでいるのでは…」

 

「艦長…織斑元帥が…」

 

周りの乗組員達が情けない声を出してきた。

それを艦長は渇を入れた。

 

「情けない声を出すな!!我々は誇り高き大日本帝国海軍軍人なんだぞ!!」

 

そうしてから艦長は艦の指揮をとった。

 

「第三戦速!!進路そのまま!!」

 

「か、艦長…」

 

「副長!何をしている!復唱!!」

 

唖然としていた副長は艦長に叫ばれ、我に帰り命令を復唱する。

 

「は、はいっ!第三戦速!!進路そのまま!!」

 

「あと通信長、扶城に打電。『了解した。本艦が接近する為、機関停止して待機されたし』だ」

 

━━━━━━━━━━

 

~扶城~

 

「打電か?」

 

「『了解した。本艦が接近する為、機関停止して待機されたし』…フッ、わかったぞ」

 

「機関停止!未来を待つ!!」



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第七十話 角松中佐との会談

あれからしばらくして~

 

未来と扶城は接触しようとしていた。

 

 

~未来~

 

「あれが扶城か…」

 

未来副長の角松洋介(かどまつ ようすけ)中佐は艦橋横から停止している扶城を眺めていると不意にそう呟いていた。そこに後ろから梅津艦長が話しかけてきた。

 

「全長207.1m、最大幅:96.5m、最大排水量:41,532t。まさしく最強の戦艦だな」

 

「艦長…扶城の幽霊なんですかね」

 

副長はそう艦長に向けて話した。

 

「さぁな。だが、あの打電は本物だからな。とにかく、頼むぞ副長」

 

そう艦長は話を締めくくった。そして、艦が少し揺れた。

 

『航空戦艦扶城と接岸完了しました』

 

そう艦内放送が入った。

 

「頼むぞ」

 

「はっ!」

 

艦長にそう言われ、副長は敬礼をして接岸した扶城に向かった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━

 

~扶城~

 

「大日本帝国海軍第三水雷戦隊旗艦、イージス巡洋艦未来副艦長、角松洋右中佐であります」

 

角松中佐は長官室に入るなり敬礼をしてそう名乗った。それに一夏と偲が名乗り返した。

 

「私は第二十七代聯合艦隊司令と航空戦艦扶城の艦長をしている織斑一夏元帥です」

 

「私は航空戦艦扶城副艦長の伊川偲中佐です」

 

「角松中佐、座ってはいかがかな?」

 

それから一夏は角松中佐に座るように促す。

 

「は、はい。失礼します」

 

角松中佐は緊張気味に椅子に座った。それから角松中佐は一夏に質問した。

 

「織斑元帥、失礼ですがあなたは70年前にレイテ沖でこの扶城と沈んだのではないのですか?」

 

難しい所をつくな~…

 

「…角松中佐、私は確かに沈んだ。だが、本当は沈んではいなかったんだ」

 

「沈んで…いなかった?」

 

角松中佐は不思議そうに聞き返した。

 

「ああ、元々私はあの時代の人間では無く今の時代の人間だったのでね」

 

「あの時代の人間では無いとは?一体…」

 

角松中佐は一夏のあの時代の人間では無い発言を気にしていた。

 

「私はこの横にいる━この!バカ女神に70年前に連れていかれていたんだ」

 

「ちょ、あなた!どうしたの!」

 

あまりの事に角松中佐は唖然としていた。

 

「この方は…」

 

「こいつは地球を管理してる女神のアテネだ。それは置いといて、今回はこいつにやっとこさこっちに戻ってきたから横須賀に向かっているんだ」

 

ヒドイデスヨ!アナタ‼

 

「は、はぁ」

 

それから一夏は角松中佐に爆弾を放った。

 

「それにこれは二度目で、前は五歳の時で二度目はこの間福音を押さえた時でしたよ」

 

そう愚痴を放ってから一夏は角松中佐に横須賀に入港するまで扶城に居ないかと聞いた。

 

「時に角松中佐、横須賀に入港するまで扶城に居ないか?」

 

「え、ええ。入れられるのならば是非」

 

「ならばこちらへ、艦橋に案内しましょう」

 

そう言って一夏、角松中佐、アテネ、偲の四人は長官室を後にした。

 

 

 



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第七十一話 敵の襲撃と友軍艦

「艦長、あと一時間で横須賀です」

 

艦橋で角松中佐と話していると妖精の一人がそう耳打ちしてきた所で角松中佐が話しかけてきた。

 

「織斑元帥」

 

「どうしました?」

 

名前を呼ばれた一夏は直ぐに反応する。

 

「この船はすごいですね」

 

「ええ、といっても扶城は最初廃艦だったんですから」

 

「えっ!?扶城は廃艦だったんですか!?」

 

それを聞いた角松中佐が驚いた声を出した。

 

あれ?伝わってないの?

 

「知らなかったんですか?」

 

「は、はい。士官学校では織斑元帥が天皇陛下から頂戴した艦と教えられました」

 

マジで?!

 

「本当は廃艦になっていた扶城を頂いたんだ。まぁ、扶桑型戦艦が好きだったからなんですがね」

 

それを聞いた角松中佐は立ち上がり、窓から甲板を見て口を開いた。

 

「けどあの欠陥戦艦と言われる艦をよく改装したなと思いますね」

 

それを聞いた一夏はあることを思いだし、話し出した。

 

「だけど角松中佐、扶城は扶桑型では一番まともだって知ってますか?」

 

「え?今でこそすごい、じゃないんですか?」

 

「そうですよ?」

 

「そ、そうなんだ…」

 

それを言われた角松中佐は驚きを露にした。

 

「扶城はもともと廃艦、解体予定だったので試験艦にしようとして建造途中の扶城を実験という名目で建造を続行させました」

 

「この艦橋と新型機関ですね?」

 

角松中佐が答を述べた。

 

「そう、だから砲は必要な四基しか乗せずに艦橋と機関のテストをしたら意外と使える事がわかったんですよ」

 

「ただね、扶城の廃艦はそれでも揺るがなかった」

 

「ならなんで聯合艦隊旗艦になれたんですか?」

 

そこで角松中佐が疑問をぶつけてきた。

 

「それは廃艦で解体待ちの扶城を俺が指名したからだな」

 

「へぇ~、意外と数奇な運命をおってるんですね」

 

「ん?」

 

そう呑気な会話をしていると急に扶城のレーダーに謎の二つの反応が出てきた。そしてその直後、前方で扶城を誘導していた未来の後部、ヘリ着艦用甲板にピンク色のビームが直撃し、爆発した。

 

「み、未来が!」

 

角松中佐が未来乗員の安否を心配しているのををよそに一夏はその謎の物体の正体が直ぐにわかった。

 

くそっ!ネウロイがこっちに流れて来たのか!

 

そして一夏は艦長席の横についている受話器を手に取り叫んだ。

 

「総員!!戦闘用意!!これは実戦だ!繰り返す!総員戦闘用意!!これは実戦だ!!」

 

それから受話器を置くと砲雷長に問う。

 

「砲雷長!侵食魚雷は撃てるか!!」

 

「転移のせいで信管がイカれてます!!発射不能!!」

 

侵食魚雷の発射不可、それはこの艦の死を意味していた。一夏自身は扶城のCIWSと主砲、副砲、航空機しか使えず、ミサイル類は一切使用不能だとわかっていた。しかし、それでも一夏は艦長である。

 

「ならCIWSと副砲で弾幕を張れ!!」

 

「はい!」

 

しかし、その命令は遅く、艦橋にいた者は死を覚悟した。が、急に二匹のネウロイが爆発四散した。それに唖然とした一夏だったが、レーダーを見て驚いた。

 

レーダーには…

 

 

 

扶桑皇国海軍、空母赤城

 

日本国ブルーマーメイド横須賀女子学園 高速戦艦比叡

 

 

そう記載されていた。



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第七十二話 ひ、ヒェー(゚ロ゚ノ)ノ

「お、織斑元帥!!あれは一体」

 

角松中佐は水平線の先から三十年前に解体されたはずの第一航空戦隊の旗艦、空母赤城と今は舞鶴港に係留され、記念艦となっているはずの戦艦比叡が現れた。大亜東戦争時の戦艦は全国各地に記念艦として残されている。佐世保には戦艦武蔵、戦艦伊勢が。呉には戦艦大和、戦艦陸奥が。四国に戦艦金剛、榛名が。舞鶴には戦艦比叡、戦艦霧島が。横須賀には戦艦長門、戦艦日向、駆逐艦竹が。そして北海道には戦艦扶桑、戦艦山城が係留されていた。

 

「あの艦もまたこの世界に来たか…」

 

「織斑元帥?」

 

角松中佐は一夏のその呟きが聞こえていなかった。

 

「よし!通信兵!!」

 

「はっ!」

 

一夏は艦橋付きの通信兵に空母赤城と戦艦比叡に打電を打つように指示した。

 

「空母赤城、そして戦艦比叡に向けて打電を打て。内文は『こちら大日本帝国海軍聯合艦隊旗艦 扶城である。貴艦の援護、誠に感謝する。貴艦の責任者と話がしたい。我が艦に横付けされたし。

 

発、大日本帝国海軍聯合艦隊司令長官 織斑一夏元帥』だ」

 

「はっ!」

 

通信兵はそれをメモに取り、第一艦橋から降りていった。

 

「織斑元帥。大丈夫なのでしょうか…」

 

角松中佐が横から聞いてきた。

 

「まぁ、大丈夫だろう(実際知り合いだし)」

 

「はぁ…」(大丈夫なんだろうか…)

 

角松中佐はため息をつくのみだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~赤城~

 

「謎の戦艦から『こちら大日本帝国海軍聯合艦隊旗艦 扶城である。貴艦の援護、誠に感謝する。貴艦の責任者と話がしたい。我が艦に横付けせよ。

 

発、大日本帝国海軍聯合艦隊司令長官 織斑一夏元帥』と電文が来てますよ。艦長」

 

早瀨大佐が報告をあげた。

 

「大日本帝国か……それに一夏が元帥?」

 

稲木中将は頭を悩ませた。

 

「織斑大将はたしか1ヶ月前にあったネウロイどものペテルブルク基地強襲で戦死しで戦死階級特進で元帥なはずですけど…」

 

そう、稲木中将が頭を悩ませるのはストライクウィッチーズの世界では一夏は1ヶ月前にペテルブルク基地強襲で負傷しながら戦い、戦死したことになっていた。それに一夏は聯合艦隊司令長官ではなかったからだ。

 

「稲木中将!あの艦は一体何なのですか?」

 

稲木中将が悩んでいるところにペテルブルク基地が壊滅したことにより赤城を母艦としている502JFW所属の雁渕孝美大佐が現れた。

 

「これを見てくれ」

 

稲木中将は孝美に扶城からの電文を見せた。

 

「…艦長?会談しましょうか?」ゴゴゴゴ!!!!!!

 

「へ?」

 

「へ?」

 

艦橋にいた者全員が孝美から溢れ出す威圧感に呆気にとられた。

 

「どうしました?艦長?会談、しましょうか」ゴゴゴゴ!!!!!!!!

 

「!」コクコク

 

「あ~!良かった!…イチカ、マッテテネ…」

 

それに稲木中将他艦橋要員は固まった。

 

「…雁渕大佐がブラコンをこじらせてるな…」

 

「ま、まぁ、艦長。会談受け入れの電文打っときますね…」

 

「あ、ああ。頼んだ…」

 

それから艦橋に冷えきった空気が流れ続けたのは言うまでもない……

 

 

━━━━━━━━━━━━━

 

~所変わって比叡~

 

「艦長、あれは…幽霊艦なんでしょうか?」

 

ましろが聞いてきた。

 

「…わからないよ。シロちゃん」

 

「扶城は武蔵との戦闘で爆沈したと聞いたけど…」

 

ましろはそう言った。それで、艦橋がシンと静まり返った。それもそのはずだった。扶城は…一夏は明乃達の為に戦って散ったはずだったからだ。

 

「シロちゃん。私会ってみるよ」

 

明乃は下げていた顔をあげてそう言った。これにより、両艦が会談に臨む意思を固めたのだった。




ヤンデレ怖い…((( ;゚Д゚)))


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第七十三話 ヤンデレ姉ってヤヴァイ…

~赤城~

 

「艦長、あれは…」

 

右胸に金の縄―参謀飾緒をつけた空母赤城作戦筆頭参謀、佐々木亮二(ささき りょうじ)大佐は赤城と同じく扶城に横付けされた戦艦比叡を見て稲木中将に問いかけた。

 

「ミッドウェー沖で沈んでいるはずの比叡が一体なぜここに…」

 

そう、比叡を筆頭に戦艦大和、戦艦武蔵を含む十一隻の戦艦が航空飛行戦闘艦型ネウロイ戦において沈んでおり、日本に残る戦艦は辛うじて大破して真珠湾のドックにいる戦艦長門のみなはずなのだ。

 

「わからん…だが、俺達は別の世界に来たかだな」

 

「まぁ、その可能性が高いだろうが」

 

ようわかってるわby作者

 

そこで艦橋に早瀨大佐から通信が入った。

 

『艦長、ラッタル降下完了しました。早く来てください』

 

「ん、わかった。今から行く」

 

そう言うと艦橋から降りていった。

 

 

━━━━━━━━━━

 

 

「あの空母は一体…」

 

ラッタルを下る途中で明乃は扶城の反対側に横付けされている赤城を見てそう言葉をもらした。

 

「さぁ、だけどあれも日本の船みたいですよ?」

 

ましろはそう言って赤城の艦尾に付けられている旭日旗を指差した。

 

「どうなるのかな…」

 

明乃がそう独り言を言い終わると扶城の甲板に到着していた。

 

「あの戦艦の艦長さんかい?」

 

「え?は、はい。そうですが?…あなたは?」

 

急に話しかけられ、聞き返した。

 

「俺か?俺は第一航空戦隊旗艦、空母赤城艦長と一航戦の司令長官をしてる稲木隼人中将だ。んでこっちは副官の早瀨大佐、こっちがうちの航空隊隊長の雁渕孝美大佐と雁渕ひかり少尉だ」

 

「どうも」

 

「どうも」

 

「よ、よろしくお願いします」

 

「はい…あ!ああ、私は高速教育艦比叡艦長の岬明乃です!」

 

「私は高速教育艦比叡副艦長の宗谷ましろです」

 

そう挨拶をし終わると伊川中佐が呼びに来た。

 

「稲木中将、岬艦長。こちらへ、艦長がお呼びです」

 

「おっ!伊川中佐か!久しぶりだな」

 

「お久しぶりです。伊川さん」

 

二人も挨拶を返す。

 

「ええ、こちらへ」

 

そう言って伊川中佐達は着々と艦内に進んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~扶城~

 

『艦長、お連れしました』

 

伊川中佐がノックをしてそう言ってきた。

 

「入ってくれ」

 

そう言うと第一会議室に各面々が入ってきた。ただ二人、鬼を引き連れて…

 

「ね、姉さん?ど、どうしたの?」

 

「…ねぇ?一夏?」ゴゴゴゴ!!!!!!

 

「は、はい!」

 

「女の子でもできたの?」

 

孝美とひかりが聞いてきた。

 

(ここは素直に言わないと殺られる…!)

 

「…はい。嫁が約600人ほど」

 

「…一夏?何で私達もいないの?」ゴゴゴゴ!!!!!!

 

「へ?」

 

「私達もお嫁さんにしてくれる?」

 

「いや、それはちょっ「「シテクレルヨネ?」」はいィィ!!喜んで!!」

 

これで嫁さん多いね~…リア充爆ろ!!

 

「うっさいわ!!作者!!」

 

「何言ってるんです?艦長」

 

マジトーンで突っ込まれた…

 

「ま、まぁ、話を始めるな?そうだな…じゃあ………」



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第七十四話 今代の聯合艦隊司令と会談

~なんとか横須賀鎮守府港まで着いた翌日~

 

一夏の姿は横須賀鎮守府港に停泊している戦艦扶城の第一会議室にあった。今日は今の聯合艦隊司令長官との会談があるのだ。

 

トントン

 

『長官、お連れしました』

 

伊川大佐がノックをしてきた。

 

「どうぞ」

 

『失礼します』

 

そう短く言うと伊川大佐と会談の相手が入ってきた。それからすぐに一夏は席から立ち上がって敬礼をした。

 

「私が第二十七、二十八代聯合艦隊司令長官の織斑一夏元帥です」ピシッ

 

すると相手方も敬礼を返してきた。

 

「私は第九十五代聯合艦隊司令長官をしています。沖村一道(おきむら ひとみち)大将です」ピシッ

 

「沖村大将、ひとつお聞きしたいことがあるのですがいいですかな?」

 

「はい、いいですが。何なのでしょうか」

 

沖村大将はそう用件を聞いた。

 

「鈴鹿に…あの軍都に急に鎮守府ができておりませんか?」

 

「…確かに鈴鹿に突然鎮守府が出現しておりますが何かお知りなので?」

 

一夏がそう聞くと沖村大将は目を細目、聞き返した。

 

「実はその鎮守府は私の鎮守府なのですよ」

 

「貴方の鎮守府?それは一体?…」

 

不思議がり首をかしげる。

 

「実は扶城で戦死したあと何故か平行世界に飛ばされましてな」

 

「なんと」

 

「そこで世話になった基地がその鈴鹿鎮守府なのです」

 

一夏がそう言うと沖村大将は頭を抱えていた。

 

「まぁ、本当は死人のはずの人が現れているなら信じる他ないでしょう」

 

「私はそこの所属としてもらえますかな?」

 

一夏は鈴鹿鎮守府付きにしてもらうように頼んだ。

 

「…よく知っている貴方ならいいでしょう」

 

「ありがとうございます。ではそちらのご用件を」

 

それから沖村大将の用件を聞いた。

 

「はい、では。織斑元帥、貴方には鈴鹿鎮守府を率いて再び英雄として大日本帝国に戻って頂きたい」

 

(いきなり言われて困惑してらっしゃるのか?)

 

と沖村大将は考えている…が、実際はこれである。

 

(…ぶっちゃけ俺って今ドイツ軍属なんだけど…?)

 

「…わかりました。しかし、私は一応ドイツ、ソ連、イギリス、イタリア軍属でもあります。そこはわかってください」

 

「はい。それはわかっています」

 

そう一夏が言うと沖村大将は二言で了承してくださった。

 

「あと織斑元帥。来週の末に横須賀で皇紀二千七百年記念の観艦式があるのですが参加していただけませんか?」

 

そう沖村大将が言ってきた。

 

「観艦式ですか…それにそういえば今年は皇紀二千七百年でしたね」

 

「はい。織斑元帥は皇紀二千六百年観艦式には参加なされたので?」

 

一夏に皇紀二千六百年記念観艦式の事を聞いてきた。一夏は丁度皇紀二千六百年観艦式には駆逐艦竹で航海長として参加していた。

 

「ええ、私は駆逐艦竹で参加しましたね。丁度航海長をしていました。再び観艦式に出れて私は嬉しいですよ」

 

~それから数十分後~

 

「では織斑元帥。観艦式にて」

 

「はい。沖村大将もそれでは」

 

そう挨拶を交わすと沖村大将は会議室を出ていった。

 




解説

三重県鈴鹿市は史実戦前、軍都と呼ばれる都市の一つだったんだよ。ちなみに今は鈴鹿サーキットとかで有名だよね~今でも戦争遺跡があったりしてるし、軍事工場後は今ではショッピングモールになってたりします。

鈴鹿の軍都は海軍デース!


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第七十五話 皇紀二千七百年、戦勝百年記念観艦式

ー翌日ー

 

テテテ~テ、テ、テ、テテテ~♪

 

 

 

守るも攻めるも黒鉄の~♪

 

早朝10:30。

 

モブ1「おっ、始まったな」

 

モブ2「あ!見えてきたぞ!!」

 

『今見えて来たのはイージス巡洋艦(颯)を先頭とした第三水雷戦隊です』

 

「「「オオオオオ!!!!」」」

 

イージス巡洋艦颯が見えてくると観客達は声をはりあげた。だが、それで終わりはしない。その後ろから次々と艦が現れてきた。

 

 

そしてその三十分後―

 

 

「ん?なんだ?」

 

観客の一人が水平線の先に大きな艦影を見つけ、目を凝らしてみた。

 

「あ、あれは!!…」

 

『奥から見えて来ましたのは…』

 

 

『扶桑型戦艦…』

 

センカンダッテ!ガヤガヤ

 

『「扶城だ!」です』

 

扶城が現れると会場はさらに熱気に包まれた。

 

「「「オオオオオ!!!!」」」

 

先頭艦が現れた頃よりも観客は声をはり上げ、空気が震えていた。

 

『そしてその後ろからは旭日艦隊です!』

 

「あの魔王が…」

 

来賓席のアメリカ代表が扶城を見るなりそう言った。実はこのアメリカ代表、大東亜戦争時に扶城に撃沈された駆逐艦乗りだった人物である。そしてその後ろから扶城を見ている人物が一人――ナチスドイツ第三帝国総統、アドルフ・ヒトラーがいた。

 

「admiral織斑の艦か?」

 

彼は第二次世界大戦が終結した後、身体を機械化して生き延びていたのだ。

 

そしてその数分後、全艦の観艦と天皇陛下の御言葉が終ると司会が口を開いた。

 

『…では、最後に我が帝国を大東亜戦争にて勝利に導いた英雄、織斑一夏元帥からの御言葉です』

 

おっ、呼ばれたな

 

それを聞いた一夏は司会の元に歩いていき、マイクを受けとると台に登る。その間には会場は困惑が広がっていた。何せ一夏はすでに第二次世界大戦で戦死しているはずだったからだ。

 

「皆さん。私が大日本帝国海軍旭日艦隊司令の織斑一夏元帥であります」

 

「私は…なぜか過去から現代に来てしまった。そして私はこの場を借り、宣言したい。私、旭日艦隊司令、織斑一夏はっ!大日本帝国海軍に復帰したものと宣言するっ!」

 

そう一夏が言うと一瞬間が空き、次の瞬間、ドッと空気が揺れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この翌日、大日本帝国の新聞、テレビ各メディアはこぞって一夏の軍属復帰を報道した。一夏はもともと英雄とされていた。その人物が急に現れ、軍属復帰を宣言したのだ。それが書かれないわけがない。その内の一社の記事には『救国の英雄、現代帝国に現れ軍属に復帰セリ!!』となっていた。これを朝一番に俺の執務室に届けてイジッてきた青葉のバカは後で殴っとくか…



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短編
短編 扶城と扶桑と山城と


月乃の鎮守府への着任が決まった翌日、扶城が月乃から宛がわれた部屋にいると誰かに部屋の扉をノックされた。

 

「…?誰だ?」

 

扶城はそう部屋の扉をノックした人物に向け聞いた。

 

『…扶桑よ』

 

「!?(ふ、扶桑姉さん!?)い、今開けるよ!」イデッ

 

扶城はまさか扉の先に艦艇の頃の姉、扶桑が訪ねてきた事に驚き座っていたベットから転げ落ちてしまった。が、それでも落ちたときに打った場所を押さえつつ返事をし、部屋の扉を開けた。

 

「扶桑姉さん─と山城姉さん。久しぶりだね」

 

そこには扶桑と二番艦の山城がたっていた。すると急に二人が抱きついてきた。

 

「「扶城!!」」

 

「うわァッ!!」

 

────バフン

 

さすがの扶桑もいきなり抱きついてきた扶桑と山城の二人を支えることができずにこけてしまった。

 

「い、いきなりどうしたの!?扶桑姉さん!山城姉さん!!」

 

「私達より早く死に急いだからよ!」

 

「もう少しこうしてても良いでしょう?」

 

「…少しだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「落ち着いた?二人とも」

 

扶城はしばらくしてから二人を放し、そう問い立てた。

 

「ええ「問題ないわ」」

 

それを聞いてから扶城は沸かせてあったお湯でコーヒーを自分と二人の分を作り、部屋のソファに座らせ、二人の前に置く。それか自分はコーヒーを持ちつつ自分も反対側のソファに座った。

 

「で、何だったの?」

 

「姉弟の中で早死にした弟に会いに来て何か悪いの?」

 

扶城が来た理由を聞くなり山城にそう返され、話す言葉を見失った。それから扶桑は重口を開き、話し出した。

 

「…私達がレイテに入りかかったときよ、貴方が沈んだ、って聞いたのは」

 

「姉様…」

 

「扶桑姉さん…」

 

「私達が貴方の帰りを待っているとね、私の司令の所に電文が届いたの。あの日ね、通信室を見ていたら通信士が急に慌て出したのよ」

 

「それからその通信士は電文の紙を掴んで私の艦橋に上がるなり司令に涙を見せつつこう叫んだのよ『西村司令!!れ、レイテで戦艦扶城が沈みました!!織斑司令が戦死なされました!!』…ってね。皆、泣いていたわ。特に西村司令がね、『長官!我々が仇をとります!靖国で見ていてください』とかも言っていたのよ?」

 

「…その晩、二人して泣いたわ。旗艦とか長官にもなって私達の自慢だった弟が死んだのよ?それは悲しかった」

 

扶桑の話が一息つくと今度は山城がそう言ってきた。

 

「あの時の喪失感は忘れないわ。だから、」

 

山城は話を区切り、扶桑と共に念押しした。

 

「「今度は死に急がないで(ね!!)よ!!扶城!!」」

 

「…ぁ…あ、…扶桑姉さん、山城姉さん!!ごめんなさい。今度は死に急ぎはしないよ!!」

 

そう言って扶城は二人にソファから立ち上がると歩み寄り、二人を抱き締めた。

 

「姉さん達、俺は姉さん達の弟でよかったよ」

 

扶城は二人に向けてそう言ったのだった。その傍ら扶城達三人の後ろに掛けられたカレンダーと時計は奇しくも扶城が沈んだレイテ沖海戦の日付と時間であった――



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