コンマイ語って難しい! (コジマ汚染患者)
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第1章 転生OCGプレイヤー爆☆誕
第1話 転生するときはちゃんと場所指定しよう


とあるssを見ていて書きたくなった。


転生というものを知っているだろうか。ぜひやりたいという人もいれば絶対いやだという人もいるだろう。もしくは望んでないのに神などの超常の存在に無理矢理させられるというものもあるだろう。かくいう自分もその類だ。仕事帰りにコンビニにより、つまみとビールを購入してさあ帰ろうと入り口を出たら、突然意識が飛び、気づくと真っ白い空間である。

 

「よくあるやつだこれぇ・・・」

 

「うん、そう。よくあるやつだよ」

 

誰にいうでもなく呟いた言葉にレスポンスがきて、びっくりしながら背後を振り向くとそこに・・・

 

「真理さん・・・?」

 

「嫌なんでそれかなぁ」

 

真っ白い空間なのに輪郭がはっきりとわかる真っ白い人型、某錬金アニメに出てきそうな存在が苦笑しながら佇んでいた。

 

「えー、一応聞くんですが神様かなんかですか?」

 

「うんまあ君たちからしたらそういう存在になるね。というか案外落ち着いてるね君」

 

「いや、めっちゃ驚いてはいますよ?ただ理解が追いついてないだけで」

 

実際こんな異常事態に遭遇すると、ラノベとかの主人公のようにやったー俺tueeeとかチート下さい!とかできない。なんというかテンパってオロオロしてしまった。

 

「さて、それはいいとして、残念ながら君はあの後コンビニに突っ込んできた車に轢かれて死んでしまった。まあ本来は輪廻によって記憶とか諸々消してまた別の生を与えられるんだけど、君にはこれから転生してもらうよ」

 

「転生、ですか」

 

「そう、転生。行く世界は遊戯王世界。それもランダムだ。それに当たって何か欲しいものはあるかい?物によっては無理な場合もあるけど」

 

そこまで聞いて少し考える。転生するのは確定、無理のない範囲で欲しいものをくれるらしい。遊戯王は昔やっていたが、アニメは見ていなかった。どうなるか分からないが、欲しいものは決まっている。

 

「俺の使っていた遊戯王のデッキを全部持っていけるようにして下さい」

 

「全部だね、わかった・・・って言っても7つだけじゃないか、もっとこう、全カード3枚づつよこせとかじゃないのかい?」

 

「全カードもらっても持て余しますよ。あ、じゃあ俺のカードは他人に絶対干渉されないとかにしといて下さい」

 

「なんというか、君あんまりがっつかないね・・・まあいいや、それじゃ行ってらっしゃい、君の新たな生に幸あらんことを」

 

神様がそう言って背後を指差す。そこには、ビルや学校など、どこにでもあるような非常ドアがあった。

 

「勝手口はあっちだ」

 

「いやここでネタぶっこむんかい」

 

そう言いつつそのドアを開け、光の中に飛び込んだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

光によって眩んだ目が治ると、ビルの谷間の暗がりに立っていた。自分の体を確認すると、体が縮んでおり、服もスーツから子供服に変わっている。そして、ベルトと一体になったホルスターが付いておりその中に一つ、いつのまにか手に持っていた小さめのトランクケースの中に6つ、デッキが入っていた。

 

「緩衝材とカードカバー付きとは、至れり尽くせりだなぁ」

 

そんなことを呟きながらケースを閉じ、暗がりから出る。

 

「ここから新しい生が始まるんだ、頑張ろう!」

 

そう言って出た場所は・・・

 

 

 

 

ニューヨークだった。

 

「・・・why?」




こういうカードゲームのss書いてる人ってすごいなと常々思う。


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第2話 姑息な手を・・・(ボチヤミサンマイしながら)

タイトルは内容とは一切関係ありません。


転生したはいいが、まさかまさかのニューヨークである。

 

「いやどうすんだこれ・・・。こんなとこじゃカード持ってるだけの俺にはどーしよーもないぞ・・・」

 

現在金なし宿なし保護者なしである。はっはなんだこれ、死ねる(確信)。

あのクソ神いつかぶんなぐると恨み言を呟きながら周囲を歩き回り、打開策を考える。

 

「まず金がないってのは何よりもまずい。どうするか・・・ん?」

 

歩いていると、公園のような場所に出た。そこでは、今の俺と同じくらいの子がデュエルをしていた。

 

「ゴキボールを召喚!ワイトに攻撃だ!」

 

「うわ!やったな!僕のターン!ドロー!やったー!僕はブラッドヴォルスを召喚!ゴキボールを攻撃!」

 

おうふ、この世界はまだ平和(?)な殴り合いの世界か。それともこのぐらいの子供のレベルがこんな感じなのか?見ていても基本的にバニラカードだし、ステータスもかなり低めだ。魔法罠の方も大したもんは出ないし。しかし、デュエルディスクとソリッドヴィジョンはすごいな、本当にその場にいるみたいだ。

 

「っと、こんなことしてる場合じゃないや、早く今後の生活について考えないと・・・」

 

公園をぬけると、カードショップがあった。ずいぶん大きな店のようで、そこには何やら人だかりができており賑わっている。

 

「なんだ?大会でもやってるのか?」

 

近づいてみると、そこではデュエルのやり方講座のようなものが開かれていた。講師を務めているのは、長い銀髪のスーツを着た男だった。

 

「へー、あんな風にして簡単なルールを教えてるのか。ちょっと覗くかな・・・」

 

興味本位で、その講座を聞きに行く。その途中、少し離れた所から怒鳴り声が聞こえた。

 

「やめてよ!返してよ僕のカード!」

 

「うるせえ!負けたのが悪いんだよ!」

 

そこでは見るからに柄の悪そうな男が小学生くらいの子からカードを奪っていた。講師の人はまだ気づいておらず、周りの人も男を怖がってか見て見ぬ振りをしている。

 

「・・・クソッ、見てらんねぇ・・・」

 

思わず俺はその男の手を掴んでいた。

 

「やめなよお兄さん、カツアゲとかカッコ悪いよ」

 

「ああ?うっせえ、引っ込んでろ!お前もカード取られてえのか!」

 

どうやら話合いは無理なようだった。こんな形になるとは思わなかったが、気晴らしにも丁度いい。

 

「じゃあ俺とデュエルしよう。俺が勝ったらその子にカード返して帰ってよ」

 

「はっ、いいぜ、ただし俺が勝ったらお前の持ってるカードも全部もらうからな!」

 

俺がそう提案すると、男はニヤつきながら条件を提示した。

 

「ちょっとディスク借りるね」

 

「えっあ、うん」

 

それを聞きながら俺はカツアゲされてた子からディスクを借りる。若干上の空だったが言質はとった。そしてデッキケースからデッキを取り出す。周りに人もいるし、使うのはシンクロ・エクシーズの入っていないデッキである。

 

「覚悟しな!」

 

「さて、これやるの結構楽しみだったんだよね!」

 

「「デュエル!」」

 

主人公

vs

柄の悪そうな男

 

ディスクにより、先攻は俺になった。

 

「俺の先攻、ドロー」

 

ああ、懐かしき先攻ドロー。手札は悪くない。むしろ良いレベルだ。

 

「手札からシャインエンジェルを召喚。カードを二枚伏せ、ターンエンド」

主人公

手札3枚

場1枚

伏せ2枚

 

「俺のターン!ドロー!へっ、そんなモンスター、叩き潰してやる!俺は手札からジェネティックワーウルフを召喚!シャインエンジェルに攻撃!」

 

ジェネティックワーウルフ ATK2000

シャインエンジェル ATK1400

 

主人公LP3400

 

「シャインエンジェルの効果発動、デッキから攻撃力1500以下の光属性モンスターを特殊召喚する。こい、サイレントソードマンレベル3!」

 

「レベルモンスターだと?なかなか良いもん持ってんじゃねえか、そいつは俺が有効利用してやるからな!カードを伏せてターンエンド!」

 

手札4枚

場1枚

伏せ1枚

 

「誰がやるかっての。俺のターンドロー。よし、スタンバイフェイズにサイレントソードマンレベル3の効果発動!このカードが自分のスタンバイフェイズ開始時に場にいるとき、このカードをリリースしてデッキからサイレントソードマンレベル5を召喚する!」

 

サイレントソードマンレベル5 ATK2300

 

「なにぃ!?」

 

「そして手札からサイレントマジシャンレベル4を召喚!そしてリバースカードオープン、永続罠、漆黒のパワーストーン!効果でサイレントマジシャンに魔力カウンターを1つ置く!効果でサイレントマジシャンは魔力カウンター1つにつき攻撃力が500アップ!」

 

サイレントマジシャン ATK1000→1500

 

「クソが!面倒なカードを!だがまだこのターンじゃおわんねえなぁ!次のターンにたっぷりお返ししてやるよ!」

 

「悪いがあんたの次のターンはねえよ。手札からマジックカード、暗黒界の取引を発動!お互いにデッキから1枚ドローし、一枚捨てる!サイレントマジシャンは相手がカードをドローするたびに魔力カウンターが乗る!」

 

サイレントマジシャンレベル4 ATK1500→2000

 

「何!?」

 

「さらに手札からカードを1枚伏せ、マジックカード、デュアルサモン発動!このターンもう一度通常召喚を行う!手札これ1枚なので、疾風の暗黒騎士ガイアを召喚!」

 

疾風の暗黒騎士ガイア ATK2300

 

「上級モンスターをもう一体だと!?」

 

「バトル!サイレントマジシャンレベル4で攻撃!」

 

ジェネティックワーウルフ ATK2000

サイレントマジシャン ATK2000

 

「そしてガイアとサイレントソードマンレベル5でダイレクトアタック!」

 

「嘘だぁー!?」

 

柄の悪そうな男 LP4000→ー600

 

思ったよりうまく回ったんでサクサク倒せたなあ。

 

「おい、約束は守れよ!」

 

「うるせえ!お前みたいなガキにやられるなんてありえねえ!イカサマだ!」

 

「んなわけあるか!これこの子から借りたディスクだぞ!」

 

「その通り、彼はイカサマなどしていまセーン」

 

俺の後ろから突然声がして、振り返ると先ほどカードショップ前で講師をしていた銀髪スーツの人が立っていた。

 

「小さな子からカードを奪おうとするだけでなく、負けを認めずイカサマだと騒ぐとは、デュエリストの風上にも置けまセーン」

 

「な、あ?あんたは・・・!」

 

男はこの人を知っているようで、顔が真っ青になっている。

 

「去りなサイ。もう二度とこのような真似はしないように」

 

「す、すいませんでした〜!」

 

男はカードを置いて、それは見事なフォームで全力疾走で逃げていった。

 

「えーっと、なんかありがとうございます。助かりました」

 

「いえいえ、問題ありまセーン。それよりも、君は随分とデュエルが上手デース。お名前を聞いてもよろしいでショウカ?」

 

これが、これから俺がこの世界に来て最もお世話になった人物、ペガサスさんとの出会いだった。




ジェネティックワーウルフ「やられ役かよ!」
サイレントソードマンレベル3「出番一瞬かよ!」

主人公の名前が・・・思いついたやつは大抵ほかのssで出てる・・・。


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第3話 ドロー!モンスターカード!HA☆NA☆SE!

タイトルは内容とは一切関係ありまs(ry
プレミがあったので少し変えました。


ペガサスさんとの出会いからだいぶ月日が流れた。時間が急に飛んだのは、作者の都合というやつだ。ペガサスさんに会った当初はずいぶんルールに詳しい人だとは思ったが、デュエルモンスターズの創始者だとわかり、驚愕した。ペガサスさんの方も、俺が転生者であることや、持っていたシンクロやエクシーズといったカードを見せ、その説明をすると驚いていた。

 

その後、俺が金無し宿無し保護者無し、ついでに気づいたが今生での名前もなかったことがわかると、俺をペガサスさんの経営する孤児院に入れてくれた。名前がないのでは色々と不便なので、遊雅(ゆうが)という名前をもらった。ペガサスさん曰く今まで会った中でも最高のデュエリストの名前から一文字取っているらしい。アメリカンな名前も候補にあったが、日本人なんだからそれっぽい名前にしてもらった。俺どう見てもアレックスって感じじゃないですペガサスさん・・・。なんでそうなるんですか・・・。また、ダメ元で日本に住みたいというと、快く住居と戸籍を用意してもらえた。なんだかんだですごい援助してもらってるし、あの人には感謝しかない。その代わりにと俺の持っていたシンクロやエクシーズのカードを参考にしてカードを開発することになった。なんか「oh!なかなかに興味深いアイデアデース!これを考えた人は素晴らしいですね!」とか言ってた。それにより、近日新しく発売されるパックにはシンクロに関するカードも少し入れられることが決まった。俺としてもシンクロとかの新しい召喚法が広まってくれればもっと楽しいデュエルができそうだし願ったりだ。

さて、そんな中いま俺が何をしているかというと、

 

「受験番号10番!デュエルリングに上がりなさい!」

 

「はい」

 

デュエルアカデミアの入学試験である。

俺としてはペガサスさんの元でカード開発とかしながら恩を返そうと思っていたんだが、当のペガサスさんに

 

『シンクロやエクシーズのテスターとしてアカデミアに入学し、ゆくゆくはプロになってシンクロ・エクシーズを広めて欲しいのデース』

 

と言われてしまった。恩人からの頼みなので断ることは出来なかったが、まさかもう一度勉強する羽目になるとは。というかカードテキストなんていちいち覚えれるかっての。

 

「私が試験相手を務める。負けても不合格というわけではないが、勝つつもりで取り組むように」

 

「わかりました」

 

「では」

 

「「デュエル!」」

 

試験官

vs

遊雅

 

「先攻は受験生に与えられる」

 

「あ、はい。俺のターンドロー」

 

今回はシンクロをババーンと使っていろんな人に興味を持ってもらう必要がある。そのため、マイデッキその2を解禁だ。

 

「俺は手札から、マジックカードおろかな埋葬を発動します。効果でデッキからモンスターを一体墓地へ」

 

このムーブに試験官は首を傾げ、観客席のほかの受験生もプレイングミスか?とざわめく。墓地利用という考え自体がないのか?いやいやまさかね・・・。

 

「さらに手札からマジックカード調律を発動。効果でデッキからシンクロンと名のついたチューナーを一枚手札に加え、その後デッキからカードを1枚墓地へ」

 

そんなことはお構いなしにデュエルを続ける。調律で墓地にいったカードは・・・よし。

 

「手札からチューナーモンスター、ジャンクシンクロンを召喚。ジャンクシンクロンの効果で墓地のレベル2以下のモンスターを特殊召喚」

 

「墓地へモンスターを送ったのはこれが狙いか。いやそれよりもチューナー?そんなモンスター聞いたことが・・・いや待てよ、まさか!?」

 

どうやらアカデミアの職員なだけあって、シンクロの情報を得ていたらしい。

 

「続けます。墓地からクリア・エフェクターを召喚。さらに、墓地のボルトヘッジホッグは場にチューナーがいるとき特殊召喚できます。守備表示で召喚」

 

これで場にチューナーを含めて3体のモンスターが並んだ。これで準備完了。記念すべき初シンクロ召喚はやはりこいつだろう。

 

「レベル3チューナーモンスター、ジャンクシンクロンで、レベル2クリア・エフェクターをチューニング!シンクロ召喚!来い!ジャンクウォリアー!」

 

ジャンクシンクロンが3つの連なる光の輪となり、その中にチューニングサポーターが飛び込む。一瞬強く発光し光が止むと、そこにはカードとしては見慣れていたメカメカしい戦士が立っていた。周囲の人間はそれを見て度肝を抜かれていた。見たことのない召喚法、見たことのないモンスターなのだから当然か。

 

「シンクロ召喚!?噂には聞いていたが、これが・・・!」

 

「はい、そうなります。説明とかは話すと長くなりそうなんでとりあえず試験を続けましょう」

 

「う、うん、そうだな、続けたまえ」

 

「途中わかりづらいとことかあったら解説入れますんで。ジャンクウォリアーのモンスター効果発動!召喚に成功した時、自分の場に存在するレベル2以下のモンスターの攻撃力の合計をこのモンスターに加えます。場にはボルトヘッジホッグがいます。攻撃力は800。よってジャンクウォリアーの攻撃力は800アップし、3100。さらにクリア・エフェクターがシンクロ召喚に使用されたため、デッキからカードを1枚ドローできます。カードを2枚伏せターンエンド」

 

遊雅

手札3枚

場2枚

伏せ2枚

 

さあ、ここから試験官がどうくるかな?




遊雅のデッキ
1・レベルモンスターデッキ
2・シンクロして/してバスターするデッキ(今回のデュエルでは/しない予定)
3・???
4・???
5・???
6・???
7・???


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第4話 「僕だ! 」ブルーノ!お前だったのk・・・本当に誰だ!?

タイトルは内容とh(ry


「私のターン!シンクロ召喚、近々そういうものができるとは聞いていたが真っ先に実際に戦えるとは光栄だ。しかし試験は厳正に行なわせてもらう」

 

「当たり前です。全力でいかせてもらいます」

 

「よろしい。私は手札から神獣バルバロスを妥協召喚!」

 

バルバロスか。スキドレバルバってことか・・・。試験で使うようなデッキじゃねぇ・・・。

 

「さらに装備魔法ビッグバン・シュートを装備、効果で攻撃力を400アップさせ、守備表示のモンスターを破壊した時、貫通ダメージを与える!」

 

なるほど、スキドレは罠カードだから次のターンを待たないといけない。けどその前にボルトヘッジホッグを破壊して貫通ダメージをやりたいわけか。

 

「バトル!いけ、バルバロスでボルトヘッジホッグを攻撃!」

 

うーん、バルバロスの攻撃力は2300、これを通しても1500のダメージか。ここはまだ通してもいいk・・・

 

「さらに速攻魔法、禁じられた聖杯を発動!」

 

・・・ファ!?

 

「対象はバルバロス!攻撃力をさらに400アップし、効果を無効にする!これにより、妥協召喚で下がっていた攻撃力が戻る!よってバルバロスの攻撃力は3800!」

 

おいおいおい!それは流石にあかん!

 

「リバースカードオープン!サイクロン!ビックバン・シュートを破壊!ビックバン・シュートの効果でバルバロスは除外される!」

 

「くっ、逃したか・・・」

 

逃したかじゃねえよ!多少のダメージはやむを得ないかとか考えてたら殺意満点のやつ来やがった!?何一回の攻撃で3000も削ろうとしてんだよ!

 

「私はカードを3枚伏せターンエンド」

 

試験官

手札0枚

場0枚

伏せ3枚

 

「俺のターン」

 

ちょっと危なかった・・・。さすがはアカデミアの職員、一瞬でも格下だとか思って油断してたらこのざまかよ。

・・・負けてらんねぇ。

 

「ドローっ・・・。っし!リバースカードオープン、リミットリバース!効果で墓地のクリア・エフェクターを特殊召喚!さらに手札から召喚僧サモンプリーストを召喚!こいつは召喚した時守備表示になる。さらに効果発動。手札の魔法カードを墓地に送って、デッキからレベル4のモンスターを召喚できる。俺は異次元の女戦士を召喚。さらに手札からマジックカード、ライトニング・チューンを発動。自分の場のレベル4の光属性モンスター一体をチューナーとして扱う。チューナーとなったレベル4異次元の女戦士で、レベル2クリア・エフェクターとレベル2ボルトヘッジホッグをチューニング!光差す道となれ!こい!スターダストドラゴン!」

 

光の中からスターダストドラゴンが現れた時、試験官や他の受験生たちだけでなく、俺自身もその姿に見惚れた。カードのグラフィックとしてしか見れなかったあのスターダストが、今ここにいる。それだけで、俺はこの世界に来れて良かったと思った。

 

「っと、クリア・エフェクターの効果で、デッキから1枚ドロー。行きます!スターダストドラゴンで攻撃!シューティング・ソニック!」

 

俺の攻撃宣言で、スターダストを見て停止していた試験官が我に帰る。

 

「させない!リバースカードオープン、聖なるバリアミラーフォース!君の攻撃表示モンスターを全て破壊する!」

 

カードの発動とともに、試験官を中心に半透明の幕が覆い、そこへスターダストがブレスを放つ。バリアは最初ブレスを弾いていたが、だんだんとヒビが入っていく。

 

「バカな、なぜ!?」

 

「クリア・エフェクターをシンクロ素材としたシンクロモンスターは、カードの効果で破壊されない!」

 

「なに!?ぐぅ!」

 

最後にはバリアは粉々になり、試験官へブレスが降り注ぐ。

 

試験官 LP4000→LP1500

 

「行け!ジャンクウォリアーで攻撃!スクラップフィスト!」

 

「くっ、うぉぉぉ!」

 

試験官LP1500→LP−1600

 

最後のアタックが決まり、少しの静寂が会場を包み込み、その後大きな拍手が湧いた。

 

「受験番号10番、お疲れ様、素晴らしいデュエルでした。結果は後日郵送します。今日は帰って休みなさい」

 

「あっ、はい!ありがとうございました」

 

デュエルが終了し、拍手がいまだ鳴り止まない中、試験官が近づいてきて簡単な挨拶をする。

 

「シンクロ召喚、なかなかに素晴らしいものだな。いい体験をさせてもらったよ。低レベルモンスターにも活躍の場ができそうだ」

 

「そうですね。そうなってくれれば、これまで見向きもされなかったカードも見直されるかもしれません」

 

その後、他の受験生のデュエルを見ようと思ったが、シンクロ召喚なんていう目立つことをしたせいか、すごく注目を浴びていて次の試験デュエルが始まったのに観客席の受験生がみんなこっちを見てくるという謎の現象が起きたため、そのデュエルが終わったら即帰宅した。デュエルしてんだから見てやれよ。いや、見られないほうがいいのか?

ちなみに後日郵送されてきた結果は合格、ラーイエローへ編入とのことだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アカデミア入学試験からしばらくたち、アカデミアへ出発する2日前となった。そんな俺が今いるのは、KC本社である。

 

「・・・why?」

 

あ、なんか前にもこんなことあった気が・・・




ジャンクウォリアー「フィニッシャー」(ドヤァ
クリア・エフェクター「場と墓地の反復横跳びマジ辛い」
レベルスティーラー・ボルトヘッジホッグ「ナカーマ(=´∀`)人(´∀`=)」


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第5話 コナミコマンド?ああ知ってる、昇竜拳とか強いよね(違う)

タイトルはn(ry

なんでこんなに筆が進むんだろうとふと考え、デュエルがないからだとわかり納得。


KC本社。遊戯王アニメ、特に無印とGXを見たことのある人、もしくは初代遊戯王漫画を愛読していた人なら誰しもが知っているであろう企業である。アミューズメントパークを作っていたと思ったら兵器工場があったり、ゲームを作ったと思ったらDEATHーTなどという殺意に満ち溢れた催しを行うようなぶっ飛んだ会社である。しかし業績自体は問題なさそうという不思議な会社でもある。そんなKC社は当然のごとく社長も言ってはなんだが変わっている。海馬瀬戸。KC社の社長にして決闘王・武藤遊戯のライバルである。使うデッキは青眼(ブルーアイズ)を切り札としたパワー&クラックデッキ。ネットなんかではネタキャラのような扱いを受けたりもするある意味愛されてるキャラ。

 

(んなわけねえよぶちこええよなんだよめちゃくちゃ威厳に満ち溢れてんじゃねえかあんのクソ野郎嘘教えやがってどこがネタキャラだ完全に強キャラだよそりゃ殺意に満ち溢れたゲームも作るよっていうか今日なんで呼び出されてんのしかも当日連絡とかペガサスさんなにかんがえてn)

 

「おい」

 

「はいなんでしょう」

 

まさかの事態に脳内で訛ったり前世のデュエル仲間の友人をボロクソにしたり恩人への悪態を並べたりとかなりのパニックを起こしていた遊雅だったが、海馬社長から話しかけられ、さらなる緊張で思考が停止する。

 

「お前を呼んだ理由はペガサスから聞いているな?」

 

「ええと、まだKC社のデュエルリンクサーバーに登録できてないシンクロ・エクシーズ系のカードの登録のため、ですよね?」

 

「そうだ。もっとも、それとは別に俺から話したいこともあったのでな」

 

嫌な予感しかしない。この人、俺がペガサスさんにシンクロ・エクシーズのことを話してしばらく経って突然孤児院に来るなりデュエルだ、とか言い出した人だ。それも早朝である。寝起きが悪い俺は、社長の挑発に乗ってしまい、当時俺の持つデッキの中でもっともタチの悪いデッキで封殺した。そのことを若干根に持っているのか、日本に住み始めてからちょくちょく勝負を挑みにきているのだ。

 

「今日は登録するためのカードしか持ってきてませんよ」

 

「デュエルしろというわけではない。少し提案したいことがあるだけだ」

 

「提案・・・ですか?・・・とりあえず聞きます」

 

「お前には当てはまらんが、今年の入学者の質はすこぶる悪い」

 

「あのー、俺その入学者なんですけど。そういう情報話していいんすか?」

 

「なんだ、言いふらすような人間か貴様は?」

 

「・・・いえ」

 

信頼?されているととっていいんだろうか。

 

「話を戻すぞ。これはアカデミアのオーナーとして、看過できることではない。このままではアカデミアの存続にも関わる事態になる。早急に対策を講じる必要があるが、いくら設備や環境を整えようと現在のアカデミアの状況では何も変わらん」

 

確か、ブルー、イエロー、レッドの間に上下関係があり、それによる差別やトラブルとかもあるって聞いたな。教育機関としてどうなんだそれ。パ○プロの学校じゃないんだから・・・。

 

「お前に頼みたいのは、この上下関係の改善だ」

 

「つっても何をすれば・・・」

 

「なに、簡単なことだ。レッドが最底辺などという固定概念を壊してやればいい。そのために、お前にはオシリスレッドに所属してもらう」

 

「はい?・・・つまり、オシリスレッドに入って、イエローとかブルーの生徒に勝てってことですか?」

 

「そうだ。正確にはイエロー、ブルーの生徒を圧倒してレッドのイメージを良い方向へ改善しろということだ」

 

随分と無茶な頼みである。イエロー、ブルー合わせて100を超える生徒、上級生も含めればもっといくか。そんな人数相手に一度も負けるなというのである。

 

「一度も負けないってのはちょっときついなー、なんて・・・」

 

「引き受けるのなら、学費を免除しよう。ただし、負ければ即打ち切るがな」

 

当然提示された内容に目が飛び出るほど驚愕する。免除?学費を?

 

「ペガサスから聞いている。貴様、生活費として毎月与えられている金を必要最低限のみ使い、自分のために使う金はバイトで稼いでいるらしいな」

 

「そりゃあ、ペガサスさんには拾ってもらってからこれまで三年間保護してもらった恩がありますし・・・」

 

前世が一応社会人だったものだから、渡された金を使って遊んだりするのはなんか申し訳ないと思ってしまう。そんなわけで必要最低限以上に使う金は自分で稼いでいる。

 

「学費を免除にできればその分ペガサスに迷惑をかけないで済むんじないのか?」

 

こ、この人・・・。人の弱いところを・・・。

 

「・・・わかりました、わかりましたよ、いいですよ、勝てばいいんでしょう?」

 

「フゥン、その通りだ。わかったのならいい、さっさとカードを登録してこい」

 

そう言って海馬社長は出ていくよう促す。呼びつけておいて随分な扱いである。文句は・・・言っても無駄だろう。

 

「失礼しましたー」

 

その後、まだ登録できてないカードの登録を済ませ、家路に着いた。なんだかとんでもない制約がついてしまったが、これから新しい生活が始まる。そのことを思うと、若干胸が高鳴るのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そこは狭かった。

周りには同じような状況の同族が同じように押し込められていた。

たまに手に取られることはあったがすぐに元の位置へ戻される。

時にはそのまま手に取った者に使われる。しかしすぐに元の狭い場所。

「いらない」「強いと思ったけどこっちのほうがいい」「使えない」

そんな言葉を嫌になるほど聞いてきた。

違う、私は、私たちは弱くなんかない。

使ってくれ。戦わせてくれ。もうただ並べられて過ごすのは嫌だ。

そう思いつつも、心のどこかで諦めていた。そんな時だった。

 

『あ、これってたしか漫画に出てた・・・』

 

その男は、私たちをそこから取り出した。

 

『これ、ください』

 

どうせすぐに売られて戻ってくる。そう思っていた。

しかしその男は、決して私たちを売ることはなかった。それどころか、私たちを軸としたデッキを作り、そして勝利して見せた。

信じられなかった。これまで使われた際には場に出ることも無い様なこともあったが、男はどんな相手にも必ず一度は私たちを出し、そして勝って見せた。

そして、初めて私たちを使って勝った時、こう言った。

 

『なんだ、やっぱ使えるじゃん』

 

嬉しかった。これまで一度も言われなかった、その言葉が、ただただ嬉しかった。

私たちは、この男に・・・マスターにあった日を絶対に忘れないだろう。月日が流れ、マスターの周りに戦う相手がいなくなるとともに、マスター自身も戦うことはなくなり、私たちや他のデッキは使われることはなくなった。しかし、もう辛くはなかった。マスターに拾ってもらい、戦ってきた記憶があるから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何が起きた。マスターの気配が一瞬消え、また現れると同時に他のデッキとともにマスターの元へ転送された。何故?不明、誰が?不明。何が起きているのかわからない。マスターが戸惑いつつ、周囲を探索し始める。すると、しばらくしてマスターがデュエルを始める。よくわからない世界ながらも、デュエルはあるようである。しかも、ヴィジョンとしてではあるが、モンスターが実体化する世界である。

 

「ガイアとサイレントソードマンレベル5でダイレクトアタック!」

 

マスターの無意識であろう楽しげな表情を見ていると、今まで感じたことのない欲が生まれた。

 

(マスターとともにまた戦いたい)




遊雅 ???
転生者
元OCGプレイヤー。周りの仲間がやらなくなり、相手がいなくなったことでデュエルをしなくなった。デュエルしなくなってもカードは集めており、あまり使われていない古いカードを集めるのが趣味だった。某錬金漫画風の神に転生させられ、ペガサスに保護された。転生前から、デッキ構築の仕方が独特で、転生後もそれは変わっていない。好きなものは甘いもの、デッキ構築。嫌いなものは酸っぱいもの、話の長い人。

???
オリ主が転生前から持っていたカード。もともと精霊が宿っていたが前世では力が弱かった。転生時の特典のデッキとともにオリ主についてきた。こっちにきてからは力が増してるらしい。


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第6話 男には、逃げてはいけない時がある。だが今じゃない。

タイt(ry
またしてもデュエルがない・・・。
じ、次回こそ・・・。


KC社での社長との会談からあっという間に2日経ち、現在俺はアカデミアに向かう船に揺られている。友人から聞いたアニメの話ではヘリだった気がするが・・・。しかしそんな些細なことよりも気になることがある。

 

「まあ、そうなるとは思っていたけどなぁ・・・」

 

男子用の部屋の中で刺さる視線。そりゃあシンクロ召喚なんて目立つ真似を試験会場という目立つ場所でやらかしたんだし、そりゃそーなるだろう。大量の視線にさらされながらも、アカデミアに到着する。

 

「でっか・・・。どう見ても学校じゃねえだろこれ」

 

「あっ、いたいた、おーい!そこの君!」

 

アカデミアの大きさに圧倒されていると、背後から声をかけられる。

 

「俺のことですか?」

 

「君以外誰がいるっていうんだい。入学試験の時のシンクロ召喚。あれを見せてもらってから、どうにも忘れられなくてね。ぜひシンクロ召喚について教えて欲しいんだ。俺は三沢大地、ラーイエローだ。同い年なんだし、気楽に話してくれ」

 

「そうか?俺は遊雅だ。よろしく頼む。見ての通り、オシリスレッドだ」

 

そう自己紹介すると、三沢は首をかしげる。

 

「オシリスレッド?君は試験官を倒していただろう?何故オシリスレッドなんだ?」

 

「ああ、そのことか。それはちょっと俺にもわからないんだ。不思議だよなー」

 

(知ってるけど)

 

「まあ、入学できてるんだし、文句はないさ」

 

「そうか?まあ君自身がいいのならいいか・・・」

 

「そんなことより、シンクロ召喚について知りたいんだろ?」

 

「そうだな、頼む」

 

そうして始業式が始まるまで三沢とシンクロ召喚について話し込んだ。三沢はカードに対する知識が豊富で、シンクロ召喚についてもすぐに理解していた。

始業式は流石にひたすら見られるというようなことはなく、終了後はレッド寮へ直行した。

 

「ここか・・・」

 

寮は言われているほど酷い有様ではなかった。決してブルー寮のように豪華ではないが、標準、と言える感じだった。おそらく社長が何かしたのだろう。

 

「おお、随分早い子がいるニャー」

 

寮の前で立っていると、後ろから独特な語尾の声がした。

 

「あなたは・・・寮長ですか?」

 

「そうだニャー。私は大徳寺というニャ。レッド寮の寮長をしているニャ」

 

「どうも、遊雅と言います。お世話になります」

 

語尾だけでなく雰囲気も独特な人だが、悪い人ではなさそうだった。その後、部屋割りは全員揃ってからということだったので、そのまま寮長と談笑した。そこで大徳寺さんが先生だとわかりちょっとびっくりした。でも錬金術って・・・。やっぱあの神って本当に某錬金漫画の神だったんじゃ・・・。

部屋割りでは一人部屋になった。これは社長に自分から頼んでいた。エクシーズとか人に見せられないカードもあるし。

 

「さてと、どーするかなぁ」

 

一通り荷物の整理が終わると暇になった。デッキは昨日調整を済ませたし、やることがない。

 

(そうだ、せっかくだしデュエルリングを見に行こう。デュエルディスクはよく使うけどリングを見たことはなかったし)

 

まだ夜の歓迎会まで時間はある。そんなわけで早速アカデミアへ行くことにした。

 

 

 

「おぉー、これがデュエルリングか〜。でっかいな」

 

プロのデュエル動画とかで見たことはあったが、やはり実物が見れたのはよかったな。

 

「ふぅ、満足したし、帰るか」

 

やりたいことは済んだし、もう帰ろう。と思ったその時、リングの方で言い争う声が聞こえた。

 

(なんだ?)

 

見てみると、レッドの生徒が二人、ブルーの生徒に絡まれていた。割と声が大きいので聞き取れた内容は、なんともまあ酷い言いがかりだった。

 

「ここはお前たちドロップアウトが使っていい場所じゃねぇんだよ!」

 

(いやフリースペースって入り口に書いてあるやん)

 

「入り口にフリースペースって書いてあったぞ」

 

「うるせぇ!貴様レッドの分際で逆らう気か!」

 

「えぇ・・・」

 

レッドの一人が反論すると、ガキのように切れている。話には聞いていたが、上下関係ができているとはいえこれはちょっと横暴に過ぎるんじゃないか?と思う。これ以上は流石にレッドの二人がかわいそうだし、相手のブルーの態度が気に入らないので、助けに入る。

 

「まるっきり子供だな」

 

「誰だ貴様!関係ないやつが入ってくるな!レッドの分際で!」

 

突然話に入ってきた俺にブルーの奴らが喚く。レッドの二人はよく状況がわかっていないらしく、ぽかんとしている。

 

「ブルーの生徒ってのは、無礼なのが売りなのか?」

 

「なんだと!?」

 

「なんの騒ぎだ」

 

俺の挑発でブルーの生徒たちは怒りの矛先を俺に向ける。すると、やつらの方から、またブルーの生徒がやってきた。

 

「万丈目さん!こいつらが、レッドの分際でこのデュエルリングを使用しようと!」

 

「ほう・・・?」

 

(誰だあれ)

 

「誰だ?」

 

俺の心の声とレッドの生徒の言葉がシンクロする。すると、ブルーの生徒が・・・なんかもうめんどいしブルーABCでいいや、が喚く。

 

「貴様ら万丈目さんを知らないだと!?」

 

「このお方こそ、中等部上がりのエリートの中のトップ!」

 

「未来のデュエルキングとなる男、万丈目準さんだ!」

 

ババァーン、という擬音でもつきそうな紹介どうも。というか未来のデュエルキングって、たかだか中等部で最強だっただけでよくそんなこと言えるな。後ろのレッド生徒2人・・・こっちも名前知らないしレッド生徒その1その2でいいか、も変な顔している。

 

「ふーん、そっすか。で?その未来のデュエルキング様にはリングの使用者を選ぶ権利があると?」

 

「貴様、オシリスレッドのくせに随分態度がでかいな。身の程をわきまえていないのか?」

 

(質問を質問で返すなぁ!質問文に質問文で答えるとテスト0点なの知らないのかこの間抜けぇ!)

 

と言い返したいところだが、もう歓迎会の時間も近い。さっさと帰るためにも話を終わらせよう。

 

「そんなこと、今日ここにきたばかりの新入生に言われてもな。とりあえず歓迎会の時間も近いし、帰らせてもらいたいな」

 

「まあ待て。貴様らに俺自らこのアカデミアの厳しさを教えてやろう」

 

そう言って万丈目がデュエルディスクを構える。いや話聞いてたかこいつ。歓迎会あるんだっての。

 

「ねえアニキ、絡まれたのはオイラたちなのに、置いてけぼりだよ」

 

「だよな。これが部屋の外ってやつか」

 

「蚊帳の外だよアニキ・・・」

 

もういっそこのまま無視して後ろの2人を連れて帰ろうか、と考えた時、今度は入り口から知らない女生徒が現れた。

 

「貴方達、何をしているのかしら」

 

「て、天上院くん!」

 

万丈目がその女生徒に声をかける。

 

「綺麗っす・・・」

 

と呟くレッド生徒その1。いやまあ綺麗なのはわかるが、さっさと帰らねえ?

 

「やあ天上院くん、今ちょうどこの身の程知らずのレッドたちに、アカデミアの厳しさを教えようと思っているところなんだ」

 

「ふうん。でももうすぐブルー寮の歓迎会が始まるわ。すぐに帰ったほうがいいわよ」

 

「・・・チッ、お前ら、行くぞ」

 

万丈目は不機嫌になりながらも取り巻きたちと帰っていった。俺も歓迎会あるって言ったよね?やっぱ話聞いてなかったの?

 

「ダメよ、彼らの挑発に乗ったら」

 

(いえ乗ってはいません)

 

「いきなりなんだ?」

 

レッド生徒その2がそう聞く。ほんと、急にきて何言ってんだ?

 

「私は天上院明日香。よろしくね」

 

「俺は遊城十代だ!」

 

「丸藤翔っす!」

 

「遊雅だ。それで、一体なんなんだ急に出てきて」

 

「それは・・「ああっ!まずい、もう歓迎会が始まっちまう!急ぐぞ翔!っと、あと遊雅だっけ?も早く!」ってちょっと!?」

 

天上院の言葉を待たずして、遊城が俺と丸藤の手を引っ張る。人2人を引っ張ってんのにはやっ!結局、俺たちは天上院をデュエルリングに放置して寮へ戻った。

 

「ふう、間に合ったな!」

 

「引っ張りすぎだって。ちょっと痛かったし」

 

「おう、悪りぃな!」

 

「うう、引っ張られすぎてちょっと疲れたっす・・・」

 

2人の非難をさらりと受け流す遊城。そういうスルースキルをあいつらにも適応してさっさと帰れなかったのかね・・・。

 

「さて、とりあえず自己紹介し直すか。俺は遊雅。よろしく、遊城、丸藤」

 

「十代でいいぜ!こっちもなんか知らんが助かったぜ!」

 

「オイラも翔でいいっす!」

 

2人とも気さくで話しやすいと感じた。歓迎会で留年しているという隼人という生徒と知り合い、アカデミアについてや、中学の頃の話などについて話をした。途中、俺が試験でシンクロ召喚を使ったことを知ると、十代がデュエルしようぜ!とうるさくなったりもしたが、また今度、と言ってお開きにした。

初日は平和に済んだな、と満足しながらベッドに寝転んだその時、アカデミアから支給されていた端末にメールが届いた。

 

『やあドロップアウトボーイ諸君。午前0時に決闘場で待っている。

互いのベストカードをかけたアンティルールでデュエルだ。

勇気があるなら来るんだな。

by 万丈目』

 

・・・。

 

ブチッ




万丈目の初期のデッキコンセプトが理解できない・・・。これでよく中等部最強で入れたなと思う。


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第7話 ヲーのよく死ぬ竜<だが俺はレアだぜ!

タ(ry
駄文っ・・・!圧倒的駄文っ・・・!


「遊雅!メールみたか!?」

 

遊雅に万丈目からの果たし状が届いた頃、十代の方にも同じ内容のメールが届いていた。それを見た十代は、こうしてはいられないとたまたま起きていた翔を連れて、遊雅の部屋へ来ていた。もちろん、万丈目の元へ向かうためである。部屋の前まで来て、遊雅を呼ぶが、返事はない。

 

「寝ちゃってるんすかね・・・」

 

「まじか・・・。どうするかなぁ、万丈目(アイツ)多分来なかったら「腰抜け野郎」とかいうよな」

 

「言いそうっすね」

 

2人がそんなことを言っていると、突然部屋のドアが開く。

 

「ん?おっ、遊雅起きてんじゃん。メール見たろ?行こうz・・・」

 

「アニキ?どうしたんd・・・」

 

部屋から出て来た遊雅を見て、ついさっきまで元気にはしゃいでた十代も、若干眠たげだった翔も凍りつく。遊雅は、見た目こそ変わりはないが、纏っている雰囲気が変わっていた。

 

「あの〜、遊雅くん?」

 

「・・・ン?」

 

「ひっ」

 

勇気を出して話しかけた翔だったが、出て来てからずっと俯いていた遊雅が顔を上げると、悲鳴をあげて十代の後ろに隠れる。顔を上げた遊雅は、微笑んでいるような表情だった。しかし、目は笑っていない。

 

「お、おい遊雅、どうしたんだ?機嫌悪いみたいだけど・・・」

 

十代が、遊雅に話しかける。流石の十代も今の遊雅を前にしていつもの明るさはない。

 

「・・・アア、問題ねぇ」

 

どう見ても問題大有りである。しかし、それを指摘するものはいない。しばらく静寂が場を包み込んだ。その静寂を破ったのは、遊雅だった。

 

「行くのか?」

 

「へっ?」

 

「お前らは行くのか?メールの」

 

「あ、ああ。遊雅は?」

 

「・・・体調が悪いからいけねえって言っといてくれ」

 

「ああ、わかった。言っとく」

 

「・・・サンキュー」

 

それだけ行って遊雅は部屋に入って行った。

 

「・・・なんだったんだ?」

 

「・・・さあ?」

 

残された2人は、このままここにいても意味ないか、と決闘場へ向かった。

 

 

翌日、この日は授業が始まる日である。そのため、朝早くから教室に生徒が集まる。

 

「くっそー、もうちょっとで勝てたのに〜」

 

「アニキまだ言ってるんすか?」

 

「朝から元気なんだなぁ」

 

十代たちもやや遅めに教室に入る。それとほぼ同じくらいに、遊雅が教室に入ってくる。

 

「あっ、遊雅!ってクマスッゲーな!?」

 

「おーう、おはよ〜・・・ふぁ」

 

十代のいうとおり、遊雅の目の下には立派なクマができていた。

 

「遊雅くん、昨日あの後寝なかったんすか?」

 

「お、翔と隼人もおはよう。ふぁ・・・。そうだな、ちょっとやることがあったもんでな」

 

「さっきからずっとあくびしてるんだなぁ」

 

放っておけば今にも倒れそうな遊雅を、十代と隼人が支え、翔が席を確保する。そこへ、万丈目とその取り巻きがやってくる。一瞬十代を見て顔をしかめる万丈目だが、次の瞬間にはこれ以上ないほどのドヤ顔を浮かべる。

 

「やぁ、腰抜けくん!それとドロップアウトボーイ!よく眠れたかな?」

 

見るからに寝てないのがわかる相手に対して随分な言い草である。聞いていた十代たちはムッとする。

 

「んん?ああ、昨日のブルー生徒か。確か・・・千丈目だっけ?」

 

「万丈目だ!そんなことよりも貴様、昨日はビビって決闘場に来なかったな」

 

「アンティルールでのデュエルは校則で禁じられてる。だから行かなかっただけだ。まさか、中等部上がりなのに校則を知らなかったのか?」

 

「くっ・・・。貴様ぁ・・・」

 

万丈目が遊雅を忌々しげに睨む。すわ乱闘かと十代たちが見守るが、その直後先生が教室に入ってくる。

 

「ドロップアウト!貴様後で覚えておけよ!」

 

捨て台詞を残して万丈目は自分の席へ戻っていく。

 

「遊雅くん、どうしたんすかね?なんか昨日と雰囲気が違うというか・・・」

 

「ちょっと昨日と違って怖いんだなぁ」

 

その後、授業が始まってからはとくに問題は起こらず順調に進んでいった。しかし、授業が終わるとまたしても万丈目が現れた。

 

「遊雅!俺とデュエルしろ!観客もいる、逃げれば今度こそ腰抜けだ!」

 

「・・・わかった。やろう」

 

万丈目は遊雅に対してデュエルを申し込む。遊雅がそれを了承し、決闘場へ向かっていくのを見て、十代達もデュエルを観戦しについていく。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「なあ、なんでレッドの生徒をバカにしてるんだ?」

 

「なに?」

 

遊雅は、万丈目と決闘場で正対すると、質問を投げかける。その質問を万丈目は鼻で笑って答える。

 

「フン、強者が弱者にたいして何をしようが許されるからさ!貴様にもすぐに俺との圧倒的差を教えてやる!」

 

そう言って万丈目はディスクを構える。

その言葉に遊雅はぼそりと呟く。

 

「そういうとこがムカつくんだよな・・・。人を見下しまくっているとこがな・・・」

 

そう言いつつ遊雅もディスクを構える。

 

「「デュエル!」」

 

万丈目

vs

遊雅

 

「まずは俺の先攻だ!!ドロー!」

 

万丈目が先攻を宣言し、カードをドローする。おい、じゃんけんとかコイントスとかで決めろよ。

 

「俺は手札から地獄戦士を召喚!カードを2枚伏せ、ターンエンド!」

 

万丈目

手札3枚

場1枚

伏せ2枚

 

「俺のターン」

 

地獄戦士か、随分変わったカード使うんだな。試験官とのデュエルでは油断してて危なかったし、舐めてかからないようにしよう。というか叩きのめそう。

 

「俺は手札からカードを1枚捨て、THEトリッキーを特殊召喚。さらに手札からチューナーモンスター、アーケイン・ファイロを召喚。レベル5THEトリッキーに、レベル2アーケイン・ファイロをチューニング。シンクロ召喚。来い、アーカナイト・マジシャン!」

 

俺のフィールドに白っぽい服を着た魔法使いが現れる。観客の方はそれを見てざわめくが、万丈目は不敵に笑う。

 

「それがシンクロ召喚か!なぜレッドのお前がそんなカードを使っているのかは知らんが、あれだけやって攻撃力が400とはな!」

 

「はいはい、続けるぞ。アーケイン・ファイロがシンクロ召喚に使用された時、デッキからバスターモードを手札に加える。それとアーカナイト・マジシャンは召喚に成功した時、自身に魔力カウンターを2個置く。こいつの攻撃力は、乗っている魔力カウンター1つにつき1000アップする」

 

アーカナイト・マジシャン ATK400→2400

 

「何!?」

 

「さらに手札からマジックカード、魔力掌握を発動。アーカナイト・マジシャンに魔力カウンターを1つ乗せる。効果で攻撃力が1000アップ。さらにデッキから魔力掌握を1枚手札に加える」

 

アーカナイト・マジシャンATK2400→3400

「そんでアーカナイト・マジシャンの効果発動!

このカードに乗っている魔力カウンターを1つ取り除くことで相手フィールドのカード1枚を破壊する。地獄戦士を破壊!」

 

「なっ!?」

 

アーカナイト・マジシャン ATK3400→2400

 

「バトル。アーカナイト・マジシャンでダイレクトアタック」

 

「させるか!トラップ発動!攻撃の無力化!」

 

「なら俺はカードを2枚伏せターンエンド」

 

遊雅

手札2枚

場1枚

伏せ2枚

 

さて、あいつのデッキはなんだろうか・・・地獄戦士ということは戦士ビートか?

 

「俺のターン!ドロー!リバースカードオープン、リビングデッドの呼び声!墓地の地獄戦士を復活!そして速攻魔法地獄の暴走召喚を発動!この効果で、俺はデッキから地獄戦士を2体召喚!」

 

「俺の場のアーカナイト・マジシャンはシンクロモンスターのため特殊召喚できない」

 

「さらに俺は装備魔法ヘルアライアンスを地獄戦士に装備!このカードを装備したモンスターは、フィールド上の同名モンスター1体につき攻撃力が800アップする!」

 

地獄戦士A ATK1200→2800

 

まさかのヘルアライアンスだよ。団結の力とかの方が良くないか?まさかヘルつながりとか言わないよな・・・。

 

「行くぞ!バトルだ!ヘルアライアンスを装備した地獄戦士で、アーカナイト・マジシャンに攻撃!」

 

「今回は大盤振る舞いだ、リバースカードオープン、バスターモード!」

 

亡霊のようなオーラを纏った地獄戦士が、アーカナイト・マジシャンを討とうと襲いかかる。しかし、アーカナイト・マジシャンが突然光に包まれ、次の瞬間、装いの変わったアーカナイト・マジシャンが地獄戦士を魔法で迎撃する。

 

「何!?なぜ地獄戦士が破壊される!」

 

「バスターモードの効果で、アーカナイト・マジシャンはリリースされ、アーカナイトマジシャン/バスターとなった。こいつもアーカナイト・マジシャンと同じで召喚成功時に魔力カウンターを2つ置き、魔力カウンター1つにつき攻撃力が1000アップする。総攻撃力は2900。地獄戦士は2800、破壊される。・・・まぁ、地獄戦士の効果でお互いにダメージ入るけど」

 

万丈目LP4000→3900

 

遊雅LP4000→3900

 

「バカな・・・。クソッ、俺はカードを2枚伏せターンエンド」

 

万丈目

手札0枚

場2枚

伏せ2枚

 

「俺のターン」

 

(今伏せたのは聖なるバリアミラーフォースに炸裂装甲。奴があのモンスターで攻撃してこようが返り討ちにしてやる)

 

「ドロー。・・・あちゃー、こうなるか。俺はアーカナイト・マジシャン/バスターの効果発動。魔力カウンターを2個取り除いて、相手フィールド上のカードを全て破壊する」

 

「なにぃ!?」

 

アーカナイト・マジシャン/バスター ATK2900→900

 

「バトル、アーカナイト・マジシャン/バスターでダイレクトアタック」

 

アーカナイト・マジシャン/バスターにダイレクトアタックを命じると、その持っている杖で万丈目に殴りかかる。おい、物理じゃねぇか。

 

「ぐぅ!」

 

万丈目LP3900→3000

 

「っふん、この程度・・・」

 

「速攻魔法ディメンションマジック発動。場のアーカナイト・マジシャン/バスターを破壊して、手札からブリザードプリンセスを特殊召喚」

 

「・・・は?」

 

「伏せカード発動、突進。ブリザードプリンセスの攻撃力を700アップさせる」

 

ブリザードプリンセス ATK2800→3500

 

「ダイレクトアタック」

 

「バカなぁぁぁぁ!」

 

万丈目LP3000→−500




アーカナイトマジシャン「なに!?/バスターの方が破壊されたなら私の出番ではないのか!?」

ブリザードプリンセス「ディメンションマジックは破壊ではなくリリースよ」

アーカナイト・マジシャン/バスター「すまない・・・」

アーカナイト・マジシャン「ちくしょぉぉぉ!」
遊雅のデッキその3・魔法使いシンクロ


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第8話 覚悟はいいか?俺はまだだ

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「スッゲーな遊雅!くぅーっ、俺ともデュエルしようぜ!」

 

万丈目とのデュエルが終了すると、十代がやって来た。いやきて早々デュエルですか・・・。こっちは疲れてんだよ・・・、どんだけデュエル馬鹿やねん・・・。

 

「おう、望むところ・・・と言いたいが少し疲れた。また今度でいいか?」

 

「お?そうか?約束な!そうと決まったら、飯食いに帰ろうぜ」

 

そう言って翔たちのところへ行こうとする十代。

 

「あ、十代は先行っといてくれ。野暮用があるし」

 

「野暮用?」

 

「万丈目にナイスデュエルだったって行ってくる」

 

 

「そうか!じゃあ先行ってるぜ!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「クソッ!なんで負けたんだ!」

 

デュエルが終わった後、万丈目は遊雅に負けた悔しさを1人で吐露していた。

 

「よう」

 

「!貴様・・・」

 

そこへ遊雅が現れる。万丈目は遊雅を見て一瞬怒りの形相を浮かべるが、すぐ悔しそうに目をそらす。それを見て遊雅は苦笑しつつ万丈目の肩に手を置く。万丈目が驚き遊雅を見上げると、遊雅は満面の笑みで・・・

 

「どんな気持ち?ねえどんな気持ち?散々馬鹿にしてきた相手にボコボコにされるって、ねえどんな気持ち?」

 

「死ね貴様ぁ!!」

 

盛大に煽った。万丈目は顔を真っ赤にして遊雅の胸ぐらを掴んだ。掴まれた遊雅は笑みを引っ込め、真剣な顔で万丈目を見る。

 

「お前だけがってのは違うだろうが、レッドだからって馬鹿にするもんじゃないぜ。現に俺にやられたわけだしな。人を見下すよりもデュエルして実力を鍛えようぜ。ここはそういうとこなんだし」

 

「くぅっ」

 

実際にやられている万丈目は、悔しげに顔を歪め、遊雅を放し帰っていく。その途中で振り向き、遊雅に指を突きつけ宣言した。

 

「見ていろ!かならず貴様を負かしてやるからな!」

 

「万丈目・・・」

その宣言を受け、一瞬惚けた遊雅だったが、すぐに不敵な顔をして答えた。

 

「人は指差してはいけません」

 

「やかましい!覚えてろ!」

 

結局最後まで煽り倒した遊雅は、万丈目が去って行った後、ポツリと呟いた。

 

「ヤベェ、あいつ煽るのおもしれぇ」

 

ただの屑である。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

万丈目とのデュエル以降、シンクロ召喚を見るためにデュエルを申し込まれることが多くなった。しかもレッドやイエローよりもブルー生徒が多い。ブルーの生徒はデュエルに勝ったらシンクロモンスターをよこせとか抜かしてくるので徹底的にフルボッコにしている。

 

・・・・・・・・・

「アームズエイドを装備したスターダストドラゴンで攻撃!」

 

「うわぁ!?」

 

・・・・・・・・・

「ジャンクウォリアーで攻撃!速攻魔法スクラップフィスト!ジャンクウォリアーの攻撃力を倍にする!」

 

「馬鹿な!攻撃力が4000を超えているだとぉ!?」

 

・・・・・・・・・

「魔力掌握を発動!これでアーカナイト・マジシャンに乗っているカウンターは4つ!攻撃力は4400!」

 

「うぉぉ!?」

 

・・・・・・・・・

「サイレント・ソードマンレベル7で攻撃」

 

「リ、リバースカードオープン!突進!これで俺のモンスターの攻撃力は700アップ!くたばれ!」

 

「悪いがサイレントソードマンレベル7はレベル5と違って魔法の効果を受けないんじゃなくて魔法の効果が場にいる限り無効化される」

 

「な!?」

 

「沈黙の魔術師ーサイレント・マジシャンでダイレクトアタック」

 

「魔法がダメでもトラップなら!炸裂装甲を発動!サイレントマジシャンを破壊!」

 

「沈黙の魔術師ーサイレントマジシャンの効果。このカードが戦闘または相手の効果によって破壊された時、手札、デッキからサイレントマジシャンモンスターを召喚条件を無視して特殊召喚する。サイレント・マジシャンレベル8を特殊召喚。ダイレクトアタック」

 

「ぐあぁぁ!」

 

どいつもこいつも校則しらねぇのか・・・?白昼堂々アンティデュエル要求って・・・。新しく出たパックを買えパックを。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そんなある日の夜、突然十代が部屋へやって来た。

 

「大変だ遊雅!翔がさらわれちまった!」

 

「・・・why?」

 

・・・・・・・・・

 

「で、来てみれば覗きして捕まってたと・・・。翔、短い間だったが楽しかったぜ。じゃあな」

 

「そんな遊雅くんドライすぎるっす!冤罪なんだよ!助けて〜!」

 

翔が天上院からのラブレターらしきものをもらって、そこに書かれていた通りブルー女子寮へ侵入。見つかって捕縛・・・ということである。

 

「いや、確かにお前はそういうことできる根性も勇気もないのはわかるが・・・」

 

「グゥッ、信じてくれたっぽいのになんか嬉しくない・・・」

 

「そんで、デュエルで勝てば翔を返してくれるんだな?」

 

俺が翔をいじっているのをスルーして十代が天上院に確認を取る。

 

「ええ、もし勝てれば、覗きの件を今回だけ黙っていてあげる」

 

天上院はそう言って十代と俺をボートへ案内する。2人はそれぞれのボートに乗り込み対面するとデュエルディスクを構える。

 

「「デュエル!」」

 

・・・・・・・・・

 

デュエルの結果は十代の勝利だった。陸に上がり解放された翔は十代に飛びつく。

 

「うわぁぁん、アニキありがとー!」

 

「よかったな、翔」

 

「遊雅くんはもっとおいらを信じて欲しかったっす!」

 

「シンジテタヨー、ショウハソンナコトシナイッテワカッテルワカッテル」

 

「棒読みじゃないっすか!」

 

「よし、翔も取り返したし、帰るか!」

 

そう言って俺たちが寮に帰ろうとすると、天上院から待ったがかかる。

 

「ちょっと待ってくれないかしら」

 

「なんだ?まさかやっぱり翔を突き出すとかか?」

 

「そ、それは嫌っす!」

 

「そうじゃないわ。遊雅、私はあなたともデュエルしたいの」

 

「俺と?」

 

何やら話の雲行きが怪しくなって来たな・・・。

 

「ええ、万丈目君とのデュエルを見て以降、あなたともいつかデュエルしたいと思っていたのよ。どうかしら?」

 

「・・・まあいいけど、もう夜遅いぜ?明日じゃダメか?」

 

「あなた最近いろんな生徒に絡まれてるじゃない。今しなかったらいつできるかわからないわ」

 

「まぁそうなんだけどさぁ・・・」

 

正直眠気が来ていたのでさっさと帰りたいが、明日といっても天上院の言う通りデュエルを仕掛けてくる奴が多すぎるからなぁ・・・。

 

「ちょっとあんた、やるのかやらないのかはっきりしなさいよ!」

 

「大方明日香様に負けるのが怖いのでしょうね」

 

明日香の取り巻きがそう喚く。あ、なんか最近相手してきたブルー生徒みたいでイラっとしてきた・・・。ま、いっか・・・。

 

「おっけー、やろう」

 

そんなこんなで、天上院とデュエルすることとなった。十代たちは帰るか?と聞くと、デュエルが始まるのに帰ってられるか、と返事が帰ってきた。さいですか・・・。元気だな・・・翔は帰りたそうだが。

 

「いくわよ。準備はいい?」

 

「おう、いけるぞ、天上院」

 

「私のことは明日香でいいわ」

 

「そうか?んじゃ、いくぞ明日香」

 

「「デュエル!」」

 

明日香

vs

遊雅

 

「先攻は?」

 

「そっちからどうぞ」

 

「なら私のターン!手札からエトワールサイバーを召喚!カードを2枚伏せターンエンド!」

 

明日香

手札3枚

場1枚

伏せ2枚

 

「俺のターンドロー」

 

今回のデッキは今までとは若干趣向が違うデッキにしたし、驚いてもらえるか・・・。

 

「俺は手札からチューナーモンスター、クレボンスを召喚!マジックカード

おろかな埋葬を発動。デッキからモンスターを1体墓地へ、カードを2枚伏せターンエンド」

 

遊雅

手札2枚

場1枚

伏せ2枚

 

「チューナーモンスター・・・。それがシンクロ召喚の鍵になるモンスターね」

 

「そうだな。まあシンクロ召喚は融合と違って基本的には場にモンスターが2体以上いないと行えないがな」

 

(例外はあるけど)

 

「私のターン。ならモンスターを揃えさせなければいいだけ!手札からコマンドナイトを召喚!コマンドナイトがいる限り、私の場の戦士族モンスターは攻撃力が400アップするわ!」

 

エトワールサイバー ATK1200→1600

 

コマンドナイトATK1200→1600

 

「バトル!コマンドナイトでクレボンスを攻撃!」

 

「悪いが止めさせてもらう。クレボンスの効果!このカードが攻撃対象に選択された時、ライフを800払って攻撃を無効にする!」

 

「何ですって!?」

 

コマンドナイトがクレボンスに斬りかかるが、クレボンスがお手玉していた光る何かをぶつけると、首を傾げながら戻っていった。それをみてクレボンスが笑う。って笑い方気持ち悪っ!?

 

遊雅LP4000→3200

 

「攻撃を無効化するなんて・・・。でもまだよ!エトワールサイバーで攻撃!」

 

「無駄無駄無駄ぁ!クレボンスの効果で800ライフを払う!」

 

またしても光る何かをぶつけるクレボンス。今度はムカつくぐらい綺麗なオーバースローである。おい、だから笑い方気持ち悪いって・・・。

 

遊雅LP3200→2400

 

「これで後2回しかその効果は使えないわ。私はターンエン・・・」

 

「この瞬間、リバースカードオープン、サイコ・ヒーリング、そしてリミットリバースを発動!」

 

「な!?」

 

「チェーンの逆処理でまずリミットリバースの効果!墓地の攻撃力1000以下のモンスター、メンタルプロテクターを特殊召喚!さらにサイコ・ヒーリングの効果で場のサイキック族モンスター1体につきライフを1000回復!」

 

「何ですって!?」

俺の場に機械めいた小型のモンスターが現れる。あ、手からなんかもやが出てる。

 

遊雅LP2400→4400

 

「ライフが大幅に減ったと思ったら一気に初期値を超えちゃった・・・」

 

「明日香様・・・」

 

外野で見ていた明日香の取り巻きが、明日香に心配げな表情を向ける。

 

「遊雅君ってよく使うデッキ変えるっすね」

 

「ああ!どのデッキも戦ってみたいやつばっかだぜ!」

 

こら十代、時間取れたらちゃんと相手するからこの後やろうとか言うなよ?

 

「くっ、私はターンエンド」

 

明日香

手札3枚

場2枚

伏せ2枚

 

「俺のターン。場のメンタルプロテクターの効果でライフを500払わないと維持できないので500ライフが減る。手札からもう1体のメンタルプロテクターを召喚。さて、いくぞ。レベル3、メンタルプロテクター2体に、レベル2クレボンスをチューニング!さあこい閣下!メンタルスフィアデーモン!」

 

「か、閣下?」

 

遊雅LP4400→3900

 

俺の場に、やや濃い緑色のデーモンが現れる。見た目は怖いが効果が優秀で、しかも素材に制限がないので気に入っている。俺の中では敬意を込めて閣下と呼んでいる。

 

「シンクロ召喚・・・!」

 

「マジックカード、マジックプランターを発動。場に残ったリミットリバースを墓地へ送って2枚ドローする。・・・いくぞ、メンタルスフィアデーモンでエトワールサイバーを攻撃!」

 

「させない!リバースカードオープン、炸裂装甲!メンタルスフィアデーモンは破壊よ!」

 

「閣下にそんなもん効くかぁ!メンタルスフィアデーモン(閣下)の効果!サイキック族モンスター1体を対象にとる魔法罠の効果を1000ライフを払って無効にし破壊する!」

 

「なんですって!?っくぅ!」

 

遊雅LP3900→2900

 

明日香LP4000→2900

 

「そしてメンタルスフィアデーモンのもう1つの効果!相手モンスターを破壊した時、そのモンスターの元々の攻撃力分俺のライフを回復する!」

 

遊雅LP2900→4100

 

「そんな・・・」

 

「カードを2枚伏せターンエンド。さあ、明日香のターンだ」

 

遊雅

手札1枚

場1枚

伏せ2枚

 

さあ明日香、閣下を倒してみろ、倒せるものならなぁ!




クレボンス「笑い方・・・気持ち悪いって・・・」
閣下「強靭!無敵!最強!」

次回「閣下、死す」デュエルスタンバイ!

閣下「!?」

遊雅のデッキその4
サイキックデッキ


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第9話 うはははは!お前も糖人形にしてやろうか!(蝋人形だバカ!)

もうタイトル思いつかねぇ・・・
そしてデュエルを絡める予定のない話はどんどん浮かんでくる・・・(おい)

明らかなプレミがあったのでデュエルパートを修正しました・・・_| ̄|○


「私のターン!」

 

明日香のフィールドにはコマンドナイトが一体、伏せが1枚。対して俺の場には閣下がいる。閣下がそう簡単に負けるわけがないとは思うが、どうくるか・・・。

 

「リバースカードオープン、リビングデッドの呼び声!効果でエトワールサイバーを特殊召喚!さらに手札から融合を発動!場のエトワールサイバーと手札のブレードスケーターを融合!来なさい!サイバーブレイダー!」

 

サイバーブレイダーを攻撃表示?確かあのモンスターは相手の場のモンスターの数で効果が決まるんだったか・・・。

 

「場のコマンドナイトの効果で攻撃力が400アップ!さらに手札から装備魔法、フュージョン・ウェポンをサイバーブレーダーに装備!攻撃力が1500アップするわ!」

 

サイバーブレイダーATK2100→4000

 

「ファ!?」

 

「すげぇ!攻撃力が4000になった!」

 

「いけますわ明日香様!」

 

「バトル!サイバーブレイダーでメンタルスフィアデーモンを攻撃!」

 

サイバーブレイダーが、メンタルスフィアデーモンへ鋭い蹴りを放つ。決まった、と誰もが思ったその時、突如メンタルスフィアデーモンとサイバーブレイダーの間に四角い骨組みでできた正方形が現れる。

 

「閣下はやらせん!リバースカードオープン、パワー・フレーム!俺の場のモンスターが、攻撃力が上のモンスターに攻撃された時、その攻撃を無効にする!」

 

「そんな!」

 

「さらにこのカードは発動後攻撃対象になったモンスターに装備される!そして装備モンスターの攻撃を攻撃して来たモンスターとの攻撃力の差分アップする!」

 

「つまりどういうことっすか?」

 

「サイバーブレイダーの攻撃力と同じになるってことだ」

 

「つ、つまり・・・」

 

メンタルスフィアデーモンATK2700→4000

 

「うぉぉ!こっちも4000になった!」

 

「さて、まだ明日香のターンだぜ?」

 

「っ・・・、私はコマンドナイトを守備表示にしてターンエンド・・・」

 

明日香

手札0枚

場2枚

伏せなし リビングデッド

 

「俺のターンドロー。リバースカードオープン、速攻魔法緊急テレポート。デッキからレベル3以下のサイキック族モンスターを1体特殊召喚する。クレボンスを召喚」

 

「・・・!チューナー・・・!」

 

「まだまだ、さらに手札から速攻魔法緊急テレポートを発動」

 

「2枚目・・・!?」

 

「デッキからガスタの巫女 ウィンダを召喚。手札からパワー・インジェクターを召喚して効果発動。ライフを600払うことでこのターンの間フィールド上のサイキック族モンスターの攻撃力は500アップする」

 

「メンタルスフィアデーモンの攻撃力がサイバーブレイダーの攻撃力を上回った!」

 

「バトル、サイバーブレイダーを攻撃!」

 

力の増した閣下が、サイバーブレイダーに拳を叩き込むのを、明日香は呆然と見ていた。

 

明日香LP2900→2400

 

「そして効果でライフが回復」

 

遊雅LP4100→6200

 

「メインフェイズ2。レベル4パワー・インジェクター、レベル2ガスタの巫女ウィンダに、レベル2クレボンスをチューニング!シンクロ召喚!さあさあ来い!レッドデーモンズドラゴン(レモンさん)!」

 

「また新しいシンクロモンスターだ!」

 

「今度はドラゴンっす!」

 

「こんな・・・」

 

「すごい・・・」

 

このレッドデーモンズドラゴンは、メンタルスフィアデーモン(閣下)と一緒で初めて使ったシンクロモンスターなので、レモンさんと呼んで重用している。

 

遊雅LP6200

手札0枚

場2枚

伏せなし パワー・フレーム

 

「私の・・・ターン、ドロー。・・・荒野の女戦士を守備表示で召喚してターンエンド」

 

明日香LP2400

手札0枚

場2枚

伏せなし リビングデッド

 

そういえばこの世界では守備表示で場に出す時セットせずに表側で出せるんだったな。・・・色々とやばそうだなぁ・・・。グランドスパイダーとか・・・。

 

「俺のターンドロー。バトル、レッドデーモンズドラゴンで攻撃。効果により、守備表示モンスターを攻撃した時、ダメージ計算後に相手フィールドの守備表示モンスターを全て破壊する!」

 

レモンさんが荒野の女戦士に炎を纏った握撃(ゴッドフィンガー)を叩き込む。

 

「荒野の女戦士の効果、デッキから攻撃力1500以下の地属性戦士族モンスターを・・・!?なんで!」

 

「レッドデーモンズドラゴンの効果で破壊されたから戦闘破壊にはならないんだよ」

 

「っ・・・!ここまでってことね・・・」

 

「ああ、メンタルスフィアデーモンで攻撃!」

 

明日香LP2400→−1600

 

デュエルが終わると、明日香が近づいて来て手を差し出した。

 

「デュエルありがとう。いいデュエルだったわ。・・・悔しいけどね」

 

「おう、こっちも結構楽しめたぞ。切り札級のやつを複数シンクロ召喚したのはこっち来て初めてだ」

 

「そう?そう言ってもらえると嬉しいわ」

 

こうしてお互いの健闘をたたえた後、俺たちは解散した。その時、明日香の取り巻き・・・もえとジュンコが謝って来た。レッドだからとバカにして悪かったと。こういうブルー生徒が増えればなぁ・・・。

そんな感じで明日香達と別れたはいいものの、十代がシンクロモンスター達に興奮してさあやろう今やろうと言ってきた。正直もう限界レベルで眠かったので顔をしかめながら一言眠いというとなぜか十代は驚愕の表情を浮かべ、翔もなんかこっち見るとき怯えて見えたが・・・。幽霊でも見えるのかね。

 

「じゃ、また明日〜」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「いや〜、すごかったっすねぇ、遊雅くんのシンクロ召喚!」

 

「おぅ・・・」

 

「いいなぁー、あんなカードおいらも使いたいなー」

 

「おぅ・・・」

 

「でもさっきはなんかまた怖い雰囲気纏っていたけど、遊雅くんって眠いといつもああなるんすかねー?」

 

「おぅ・・・」

 

「・・・アニキ聞いてるんすか?」

 

「おぅ・・・」

 

だめだこりゃ、と翔は肩をすくめて先に寮へと帰っていく。十代は途中で立ち止まり、虚空へ話しかける。

 

「なぁ相棒、見えたか?」

 

『クリクリ〜』

 

「だよな。でも遊雅は気づいてなさそうだったし・・・。どういうことなんだ?・・・遊雅の周りにあんなにカードの精霊がいるなんて・・・」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「・・・」

 

「・・・」

 

「・・・なぁ、十代」

 

「!な、なんだ?」

 

「じっと見られ続けるのはなんか嫌なんだが・・・」

 

「べ、別に見てなんかないぞ?」

 

明日香とのデュエルの翌日、授業が終わってからなぜか十代が俺の部屋へやってきた。あらかじめ断りは入れてくれたから隠したいカードは隠して、時間通りにきた十代をとりあえず入れと中に入れた。

 

「なぁ、話ってなんなんだ?いい加減言ってくれよ」

 

「・・・よし。なぁ遊雅、精霊って信じてるか?」

 

「精霊?なんのことだ?」

 

「カードの精霊って言って、なんかこう、それが宿ったカードを持ってると見えるようになるっていうか・・・」

 

「・・・まぁ何と無く言いたいことはわかった。だがあいにくそういうメルヘンなもんは知らないな」

 

「あ、そうそう、これが俺の精霊のカード、相棒のハネクリボーだ!」

 

そう言って十代は遊雅にカードを渡す。遊雅は最初こそ十代を痛い子を見る目で見ていたが、十代が本気だとわかると真剣な顔に戻ってハネクリボーのカードに触れる。

 

『クリクリ〜』

 

「えっ、はっ?」

 

すると突然遊雅の前にハネクリボーが現れた。

 

「おぉ、遊雅にも相棒が見えたか!」

 

「相棒!?ってかハネクリボー!?ソリッドヴィジョンじゃねぇのか!?」

 

かつてないことに遊雅は混乱状態になる。錯乱した遊雅を十代とハネクリボーがなだめ、なんとか遊雅が落ち着いたところで話を続ける。

 

「・・・んで、なんで急にんなこと話したんだ?精霊がどうとかって、今まで話さなかったじゃないか」

 

「実は、遊雅の周りにも、見えるんだよ」

 

「何が?」

 

「精霊」

 

「精霊?」

 

「精霊」

 

「・・・マジで?」

 

「ああ、それもたくさん」

 

「たくさん!?」

 

またしても混乱状態に陥る遊雅。そんな彼に十代は真面目な顔で続ける。

 

「やっぱ見えてなかったんだな。結構周りを・・・その・・・飛び交ってるぞ」

 

「飛び交ってんの!?」

 

本日3回目の混乱状態である。もはや普段の遊雅は何処へやらである。

 

「ど、どうすれば見えるようになるんだ!?」

 

「精霊が宿ったカードに触れば見えるんじゃないのか?相棒が見えるようになったのもカード(これ)に触ったからだし」

 

「・・・ならデッキ調整でいつも持ってるカードには触ってんぞ?」

 

「え、そうなのか?てっきりみんな相棒と同じようにすれば見えると・・・ん?なになに?」

 

「え、ちょ、十代なにしてんの?何と話してんの!?」

 

本日4回目n(ry

 

「ああ、なるほど!たしかになぁ」

 

「なあおい十代!なにがなるほどなんだ!?」

 

「よし遊雅、デュエルだ!」

 

「なんでだぁぁぁ!どうしてそこに至った!?俺は今全く話が伝わってきてないぞ!?」

 

本日5(ry

 

「なんか、精霊の1体が、相棒に触れたことで精霊との『繋がり』的なのができたはずだから、今精霊のカードを使ってデュエルすれば精霊たちが現界できるって言ってるんだ。だからデュエルしようぜ!」

 

「ああそういうこと・・・。わかったよ、やってみよう。俺の精霊たちがどんなのか見て見たいしな」

 

そう言って遊雅はデッキを用意し始める。

 

「あ、そうそう、遊雅」

 

「なんだ?」

 

「なんか教えてくれた精霊が遊雅に6番のデッキを使って欲しいとか言ってるんだが・・・」

 

「6番・・・?あのデッキか。別に構わんが、なんで?」

 

「なんか『マスターと早くお話ししたい』とかなんとか」

 

「お、おぅ・・・」

 

準備が終わり、2人は寮の前で対面する。

 

「手加減とかはしないからな!」

 

「望むところだぜ!俺とヒーローの力を見せてやる!」

 

「「デュエル!」」




「ところでその精霊ってどんなやつ?」

「んっとな、黒い」

「ふんふん、で?」

「丸い」

「・・・それだけ?」

「それだけ」

「えぇ・・・」
これだけで多分どんなやつかわかる人はわかる。なんのひねりもねぇ・・・。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

メンタルスフィアデーモンwithパワーフレーム「今なら神とも戦える!」
レッドデーモンズドラゴン「やめとけ」


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第10話 アイエエ!?ニンジャナンデ!?

案の定なんの精霊か即バレしてて草生える。

この回だけにしようと思いますが、一部不可能なプレイングがあります。


先攻はコイントスで十代になった。

 

「俺のターン!俺は手札からE・HEROスパークマンを召喚!カードを1枚伏せターンエンド!」

 

十代

手札4枚

場1枚

伏せ1枚

 

「俺のターン、ドロー。俺は手札からモンスターをセット、カードを3枚伏せてターンエンド」

 

遊雅

手札2枚

場1枚

伏せ3枚

 

今回のデッキはシンクロデッキと違って展開が遅くなるんだよなぁ・・・。十代はE・HEROか。マスクをチェンジしないヒーローってどんなになるんだ・・・?

 

「俺のターンドロー!っしゃぁ!俺は手札からE・HEROエアーマンを召喚!効果でデッキからE・HEROクレイマンを手札に加えるぜ!」

 

おうふ、エアーマン!?確か新しいパックのカードだろうに。え?たまたま1パック買ったら出てきた?さいですか・・・。

 

「さらに手札からマジックカード融合を発動!場のスパークマンと手札のクレイマンを融合!さあ頼むぜ!E・HEROサンダージャイアント!」

 

十代のフィールドに電気を纏ったHEROが現れる。よりにもよってサンダージャイアントかよ。きついなぁ・・・。

 

「バトル!エアーマンでセットモンスターに攻撃!」

 

「セットモンスターはダンディライオンだ。効果で破壊された時俺のフィールドに綿毛トークンを2体守備表示で召喚する」

 

「ならサンダージャイアントで攻撃!1体破壊だ!そしてメインフェイズ2、サンダージャイアントの効果で、手札を1枚捨てて綿毛トークンを破壊!カードを1枚伏せターンエンド!」

 

「待ってもらおう。リバースカードオープン、終焉の焔!俺のフィールドに黒焔トークンを2体召喚する!」

 

「まじか!しょーがねーか、改めてターンエンド!」

 

十代

手札1枚

場2枚

伏せ2枚

 

「俺のターン!俺は手札からマジックカードトレードインを発動!手札のレベル8モンスターを捨てて2枚ドロー!行くぞ!黒焔トークン2体をリリース!怨邪帝ガイウスを召喚!」

 

俺のフィールドに巨大な黒いモンスターが現れる。

 

『我が主人よ・・・』

 

「へ?」

 

と同時にこちらを向いて声をかけてくる。え、ひょっとしてお前?

 

「なあ十代、まさかこいつのことか?お前が見た精霊って」

 

「んー違うなぁ。黒いってのは同じだけど・・・」

 

どうやら十代が見た精霊ではないようだ。しかし見た目完全に悪の帝王のガイウスが正座してこっち見てるってのは・・・。なんかシュール。

 

「あー、まぁはじめまして、でいいのかな」

 

『構わない。我はあなたとともに戦えることを嬉しく思う。これまで幾度となく望み続けた主人との戦いだ。先ず手始めにこの決闘での勝利を我が主人に捧げるとしよう・・・』

 

コハァァァァァ、と口から瘴気みたいなのを出しながらガイウスが立ち上がる。こ、怖えけどなんか頼もしい・・・。

 

「十代、とりあえず続けるぞ。怨邪帝ガイウスがアドバンス召喚に成功した時、フィールドのカードを1枚除外することができる!サンダージャイアントを除外!」

 

『我が前に立ちふさがる不届きものよ、消えよ・・・』

 

そう言ってガイウスが手をかざすと、サンダージャイアントの足元から闇が吹き出し、サンダージャイアントを覆って行く。

 

「やっべ!リバースカードオープン、亜空間物質転送装置!サンダージャイアントをこのターンの間除外する!」

 

サンダージャイアントは闇に覆われて苦しんでいたが、その頭上に現れた装置によってどこかへ転送される。

 

「まだだ!ガイウスは闇属性モンスターをリリース素材にした場合、この効果の対象を2枚選択できる!エアーマンを選択!除外!」

 

今度はエアーマンの足元に闇が迫り、そのままエアーマンは飲み込まれていった。

 

「さらにこの効果でカードを除外したため、相手に1000のダメージを与える!」

 

「げっ!?」

 

十代LP4000→3000

 

「ガイウスでダイレクトアタック!」

 

「うわぁ!」

 

十代LP3000→200

 

「ターンエンド」

 

「この瞬間、除外されていたサンダージャイアントは戻ってくる!」

 

遊雅

手札2枚

場1枚

伏せ2枚

 

「俺のターン!ドロー!カードを1枚伏せ、手札からE・HEROバブルマンを召喚!手札がこのカード1枚のみの場合、特殊召喚できる!さらにこの効果で召喚した時、2枚ドローできる!っしゃぁ!マジックカード、強欲な壺を発動!デッキからもう2枚ドローだ!」

 

えぇ・・・。なんだそれ、バブルマンで2枚引いたらその中に強欲な壺がきたのか・・・?どんなドロー運してんだよ!?

 

「そしてさっき伏せたマジックカード、融合を発動!手札のフェザーマンと場のバブルマンを融合!こい!E・HERO GreatTORNADO!さらに手札からマジックカード、ミラクルフュージョンを発動!墓地のクレイマンとバブルマンを除外して融合!E・HEROマッドボールマン!」

 

E・HERO Great TORNADO ATK2800

E・HEROマッドボールマン ATK1900

E・HEROサンダージャイアント ATK2400

 

「えぇ・・・」

 

もはや笑うしかない状況である。なんで融合と強欲な壺をピンポイントでドロー出来るのかとか、強欲な壺で引いたカードがなんでおあつらえ向きに融合素材のヒーローなんだか・・・。とんでもねぇな・・・。

 

「行くぜ遊雅! Great TORNADOの効果!このカードの召喚に成功したとき、相手フィールドのモンスターの攻撃力・守備力を半分にする!」

 

ガイウス ATK2800→1400

 

『小癪な・・・!』

 

「いっけー!マッドボールマンで攻撃!」

 

こいつ・・・!攻撃力の低いやつから・・・!

 

「ちぃ!リバースカードオープン、パワー・フレーム!攻撃を無効化してガイウスに装備!」

 

「へへっ、やっぱりな!そのカードはやべえから警戒してたんだ!」

 

やはりパワー・フレームは相手に高火力モンスターが複数いる時弱いな。

 

ガイウスATK1400→1900

 

「サンダージャイアントで攻撃!」

 

今度はサンダージャイアントが先ほどの闇のお返しとばかりに殴りかかる。力の落ちたガイウスは耐えきれず破壊された。

 

遊雅LP4000→3500

『主人よ、すまない・・・』

 

「気にすんな、仇はとるさ」

 

「 Great TORNADOでダイレクトアタック!」

 

「手札のバトルフェーダーの効果!相手がダイレクトアタックしてきた時、このモンスターを召喚してバトルフェイズを強制終了させる!」

 

Great TORNADOの目の前にバトルフェーダーが現れ、下半身部の振り子のようなものを揺らすと、 Great TORNADOは攻撃せず戻って言った。

 

「おっしいなぁ!俺はカードを1枚伏せてターンエン・・・」

 

「この瞬間、リバースカードオープン、終焉の焔。悪いな、もう1枚あるんだ」

 

「またかよ!ターンエンド」

 

十代

手札0枚

場3枚

伏せ2枚

 

「俺のターン」

 

さて、状況は割とまずい状態だ。十代のフィールドには3体のHERO。こっちはバトルフェーダーとトークン2体。どうしたもんか・・・。

 

「ドr・・・ん?」

 

デッキに手をかけ、ドローしようとカードに手をかける。すると、そのカードからなんかものすごい闇のようなものが溢れている。

 

「おいおい、まさかこれか・・・?」

 

十中八九精霊のカードである。おそらく十代が話していたのもこのカードだろう。もしこのカードがこの状況を打破できるカードでなければジリ貧で負ける。

 

「頼む!ドロー!」

 

『はい!任せてください!』

 

「・・・ん?」

 

ドローした時なんか声がしたような・・・。

そう思いつつドローしたカードを見て驚愕する。

 

「はぁ!?」

 

「っ!?なんだ?なんかあったのか遊雅?」

 

十代が話しかけるが、遊雅は目を見開いたまま固まっている。何が起きたのかわからない十代はとりあえず静観する。すると遊雅は申し訳なさそうに一言言った。

 

「十代・・・すまん!」

 

「は?」

 

「俺はバトルフェーダー、黒焔トークン2体をリリース!」

 

「3体!?」

 

「顕現せよ!邪神アバター!」

 

フィールドに黒い太陽が現れた。十代、これ精霊やない、邪神や。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

邪神アバター。俺が始めて使用したシンクロモンスターが閣下とレモンさんなら、初めて使った上級モンスターはこいつになる。カードショップで買ったカードなんだが、友人には散々やめとけと言われた。そんなことよりも問題なのは、

 

「効果がなんか違うんだよなぁ・・・」

 

効果が変わっているのである。前世で使っていた時の効果は、

 

『このカードは特殊召喚できない。

自分フィールドのモンスター3体をリリースした場合のみ通常召喚できる。

(1):このカードが召喚に成功した場合に発動する。

相手ターンで数えて2ターンの間、相手は魔法・罠カードを発動できない。

(2):このカードの攻撃力・守備力は、「邪神アバター」以外のフィールドの攻撃力が一番高いモンスターの攻撃力+100の数値になる。』

 

である。しかし今召喚したアバターは、(2)の効果で加えられる攻撃力が1になっている。さらに、特殊召喚できないという効果が特殊召喚したターンのエンドフェイズに墓地へ送られる、という効果へ変わっている。

 

「なんでだぁぁぁぁぁ!?」

 

よりにもよって弱体化である。

 

「なんで1だよ!どうしてそこだけ再現諦めたんだよ!100でよかったじゃん!1とか計算しずらいわぁ!」

 

遊雅はまたしても混乱状態に陥り、四つん這いになって頭を地面に打ち付けている。そんな遊雅を見て十代は、

 

(精霊に会えて喜んでるんだな)

 

と思っていた。・・・ピュアなのか鈍いのか・・・。

そんな遊雅の状況は関係ないのか、黒い球体だったアバターの形状が変わる。

 

「黒い・・・ Great TORNADO!?」

 

「・・・ああ、アバターの効果だよ。こいつの攻撃力はフィールド上の最も攻撃力が高いモンスターの攻撃力に・・・1足した数値になる」

 

「なんだって!?」

 

アバターATK?→2801

 

Great TORNADOの真っ黒いバージョンとなったアバターが、ビシッとヒーロー達に指を突きつける。

 

『さあ!お前の罪を数えろ!』

 

「ちょっと待て、なんでお前がその言葉を知ってる!?というかお前・・・」

 

『あ、マスター!見てください!私ちゃんと現界できました!これで一緒に戦えますね!』

 

「いやそんなことよりもその声、お前・・・女か!?」

 

『?はい、人間でいうところのおんなという奴ですけど・・・』

 

「・・・十代」

 

「いや、俺が聞いた時の声は掠れてて男か女かわかんなかったから・・・」

 

そう言って目をそらす十代。それを見た遊雅は、まだ何か叫ぼうとしたが、結局ため息を1つつき、

 

「もういい、後にしよう・・・。続けるぞ・・・」

 

と言ってディスクを構えた。

 

 

 

『ふっ、今の私はマスターと話せて気分がいい!最高に「ハイ」って奴ですよマスター!』

 

「お前もう黙っててくれ!」




アバター(♀)
カードの精霊(邪神?)。遊雅が前世で使っていたカードの1つ。こちらの世界でペガサスが封印していたアバターのカードと死闘の末勝利し、その結果ちょっとカードテキストが混ざった。たまたま見かけたペガサスはしばらく黒いものに近づかなくなった。その死闘の結果神格のようなものを得ており、周囲のカードがその力を受けてちょくちょく精霊化する。遊雅の精霊がたくさんいるのは大体こいつのせい。お気に入りのアニメはJ○J○。

遊雅「なんで回想の時と口調が違うんだよ」
アバター『マスターの机からてれびという箱をよく見ていたので!』
遊雅「テレビ?」
アバター『あにめというのから口調を真似しました!今日も一日、頑張るぞい!』
遊雅「今度からデッキケースの奥深くに入れとくから」
アバター『!?』

Nextコ○ン‘s hint!「ボチヤミサンマイ」


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第11話 とっとこボル太郎〜墓地で反復横跳びなのだ!〜の巻

タイトルは内容と一切関係ありません。
前話でのデュエル内容がこれは酷い状態。(いつもか)


アバターショックから遊雅が立ち直ってデュエルは続行となったが、結局アバターの攻撃で即終了となった。

 

「アバターでマッドボールマンに攻撃!」

 

『くらえ!』

 

「リバースカードオープン!・・・あれ?」

 

「アバターの召喚に成功すると、相手ターンで数えて2ターン、相手は魔法・罠が使えねぇんだよ」

 

「まじか!?」

 

十代LP200→−2601

 

「あー、負けかー!」

 

「なんか勝ったのに嬉しさより疲れの方が大きい・・・」

 

『まぁ元気出してくださいマスター。いったい何が・・・』

 

「お前だよ悩みのタネは!」

 

『?』

 

デュエルが終了したのに消滅していないアバターを遊雅は力のない目で睨む。

 

 

「とりあえず俺は部屋に戻る。これに聞きたいこともあるしな。十代、また今度やろうな」

 

そう言って黒い球体に戻っているアバターを指差す。アバターはどこかはしゃぐように遊雅の周りを飛び回る。

 

「分かった。相棒、行こうぜ」

 

『クリクリ〜』

 

 

『相棒・・・。マスター、わたしにも何か愛称を。閣下やレモンさんみたいなのを所望します』

 

「のど黒飴。行くぞ」

 

『その愛称は却下します』

 

そんな話をしながら周囲を自在に飛び回るアバターとそれを気にしないようにして歩く遊雅を見て、十代とハネクリボーはため息をついた。

 

「・・・で、お前は邪神アバターってことでいいんだよな?」

 

部屋に戻ると、遊雅によるアバターへの質問タイムが始まった。

 

『はい。というかわたし以外にこんなフォルムのモンスターがいますか?』

 

「ゴロゴル・・・、ゴキボール・・・アーマゲドン・・・」

 

『・・・とりあえず、わたしはアバターですよ』

 

「邪神も精霊ってことでいいのか・・・?」

 

『さあ?わたしはあくまでマスターの持っていたカードとしてこの世界に来たので。ただこの世界にもわたしはいましたよ』

 

「へ?アバターってこの世界でも普通にあんの?にしては今までパックとかでも出てこなかったが」

 

『普通・・・ではありませんでしたよ?会いに行ってきた際本人に聞いてきましたが、なんでも三幻神の抑止力として生まれたそうです』

 

「三幻神?ああ、オベリスクとラーとオシリスか。やっぱ特別なカードなのか・・・。というか会ってきたって、どうやって」

 

『邪神なので』

 

・・・言う気はないようだ。

 

「・・・で、なんでテキスト変わってんの?」

 

『この世界のわたしとの戦いに勝利したら変わってました』

 

「おおっと、予想外に物騒なことしてる」

 

『それとなんか魔法等の効果も1ターンしか効かないっぽいです』

 

「まじか」

 

もはや最強じゃねえか。ATKあげて殴りかかっても必ず1上回るし。

 

「他にも精霊が宿ったカードはあるんだろ?どんくらいいるんだ?」

 

「さあ、ちょっと把握していませんね。何しろ多すぎるもので」

 

その後も色々なことを聞いた。精霊がどういうことをする存在なのかや、他の精霊とはどんな関係なのかなど。しかしアバターは自身の在り方についてすら気付いたら自我が目覚めていた、としか知らないらしい。

 

「使えんな」

 

『失礼な!わたしはこれでも神ですよ?』

 

「俺の知ってる神様は座布団にのって俺のPDAでアニメ動画見たりなんかしねぇよ」

 

座布団にアバターが乗ると、なんというか、占いとかに使う水晶玉の汚いバージョンが置いてあるように見える。

 

「というかお前、デュエル中と口調が違ってねぇか?」

 

『あれは始めてのびのびとデュエルで動けたんで喜びがちょっと爆発しただけです。基本のわたしは出来る邪神なので』

 

「はいはい、俺ちょっと出てくるから留守番頼むぞこの駄神」

 

そう言って十代の部屋へ向かう。

 

「あれ?遊雅?どーしたんだ?アバター(あの精霊)と話があるんじゃなかったのか?」

 

「それはもう終わった。けどなんかフラストレーションが溜まっててな。発散したい気分なんだ。もう一戦付き合ってくれ」

 

「いいぜ!デュエルなら望むところだ!」

 

そんなわけでまたレッド寮から少し離れた場所に戻ってきた。デッキもさっきとは違う奴である。

 

「「デュエル!」」

 

遊雅

vs

十代

 

「今度は遊雅が先攻でいいぜ!」

 

「ん?そうか?なら俺のターン。ドロー。手札からマジックカード、おろかな埋葬発動。デッキからモンスターを1枚墓地へ送る。俺の場にカードがないため、手札のBF-逆風のガストを守備表示で特殊召喚。さらにBF-蒼炎のシュラを召喚。カードを1枚伏せターンエンド」

 

遊雅

手札2枚

場2枚

伏せ1枚

 

「BF?また新しいデッキか!」

 

「ああ。これもなかなかにえぐいぞ?」

 

「俺だって負けねえぞ!俺のターン、ドロー!手札から、E・HEROオーシャンを召喚!さらにマジックカード融合を発動!手札のネクロダークマンとワイルドマンを融合!融合召喚!E・HEROネクロイドシャーマン!」

 

ネクロイドシャーマンか。どっちを除去するかで俺のお得度が変わるんだが。

 

「ネクロイドシャーマンの効果!相手フィールドのモンスター1体を破壊し、相手の墓地からモンスターを1体場に出す!蒼炎のシュラを破壊!」

 

シュラを破壊か。割といい感じだな。

 

「さらに遊雅の墓地からモンスターを1体召喚する!えーっと、なんだこれ?なんて読むんだ?」

 

「たいはい、って読むんだ」

 

「サンキュー!大旆のヴァーユを場に出すぜ!バトル!オーシャンでガストに攻撃!」

 

「ガストの効果!このカードが場にいる限り、BFと名のついたモンスターと戦うモンスターの攻撃力を300ダウンさせる!」

 

E・HEROオーシャンATK1500→1200

 

「まじか!うおあ!」

 

十代LP4000→3800

 

「ならネクロイドシャーマンで大旆のヴァーユに攻撃!」

 

「リバースカードオープン!ガードブロック!戦闘ダメージを0にし、デッキから1枚ドロー!」

 

「ちぇっ、カードを1枚伏せターンエンド!」

 

十代

手札1枚

場2枚

伏せ1枚

 

「俺のターン!俺は手札から永続魔法黒い旋風を発動!さらに手札からBF-黒槍のブラスト、疾風のゲイルを召喚!こいつらは場にBFと名のつくこいつら以外のカードが存在する時、特殊召喚できる!」

 

「まじか!?」

 

「さらに手札のBF-漆黒のエルフェンは、場にBFと名のつくモンスターがいる時、リリースなしで召喚できる!黒い旋風の効果!BFと名のついたモンスターの召喚に成功した時、デッキから召喚したモンスターの攻撃力以下の攻撃力のBFモンスターを1枚手札に加える!」

 

「エルフェンの召喚に成功した時、相手フィールドのモンスター1体の表示形式を変更できる!オーシャンの表示形式を守備表示に!」

 

E・HEROオーシャンDEF1200

 

 

「めっちゃ並んだんだが!?すげぇ展開力だ!」

 

それがこのBFの特徴だよ十代くん。特にこいつは基地外じみてるぞ。

 

「疾風のゲイルの効果!相手フィールドのモンスター1体の攻撃力を半分にする!ネクロイドシャーマンを指定!」

 

E・HEROネクロイドシャーマンATK1900→950

 

「げっ、微妙な数値になった!」

 

ありゃ。ま、仕方ないか。計算で苦労すんのは作者だし(おい!)

 

「バトル!エルフェンでネクロイドシャーマンを攻撃!」

 

「リバースカードオープン!ヒーローバリア!E・HEROへの攻撃を無効にする!」

 

「ならゲイルで攻撃!」

 

十代LP3800→3450

 

「続いてブラストでオーシャンに攻撃!ブラストは守備表示モンスターに攻撃した時、貫通ダメージを与える!」

 

「まじか!?」

 

十代lp3450→2950

 

「メインフェイズ2に移行!レベル6漆黒のエルフェンに、レベル3疾風のゲイルをチューニング!シンクロ召喚!現れろ!A・O・J フィールド・マーシャル!」

 

「でた!シンクロ召喚!」

 

十代はシンクロ召喚を見ると毎回はしゃぐなぁ。というか今、お前ピンチなの理解してんのか?え?シンクロモンスターを相手として見るのは初めてだから?そっすか・・・。でも驚くのはまだ早いぞ。

 

「墓地の大旆のヴァーユの効果!墓地のこのモンスターとBFと名のついたモンスターを除外して、シンクロ召喚を行える!」

 

「墓地でシンクロ召喚だって!?」

 

「レベル6のエルフェンと、レベル1のヴァーユを除外!墓地シンクロ召喚!BF-アーマード・ウイング!」

 

『ようマスター!初めましてだな!』

 

「お前も精霊か。今はデュエル中だし簡単になるが、よろしく頼む」

 

『おう!任せろ!』

 

「すっげー!かっこいいな、そのモンスター!ヒーローみてえだ!」

 

『えっ、べ、べつに、んなこと言われても、嬉しかねぇぞ!このやろっ』

 

あっ、ツンデレ・・・。

 

「俺はこれでターンエンドだ」

 

遊雅

手札1枚

場4枚

伏せなし 黒い旋風

 

「負けねぇ!俺のターン!ドロー!墓地にネクロダークマンが存在する時、一度だけレベル5以上のHEROをリリースなしで召喚できる!いくぜ!E・HEROエッジマン!さらに手札のE・HEROキャプテンゴールドを墓地へ送り、デッキから摩天楼を手札に加える!」

 

あるぇー?キャプテンゴールドも新パックのカードじゃなかったか?あ、エアーマンと同じですか、そうですか・・・。

 

「そしてそのまま発動!これがHEROの戦う舞台だ!」

 

俺たちの周囲がただの森から豪華絢爛な高層ビル群に変わる。

 

「バトル!エッジマンでフィールドマーシャルを攻撃!この瞬間、摩天楼の効果でエッジマンの攻撃力は1000アップする!」

 

E・HEROエッジマンATK2600→3600

 

力の増したエッジマンは、高層ビルの上からフィールドマーシャルに痛烈な一撃を叩き込む。

 

遊雅LP4000→3300

 

「俺はこれでターンエンド」

 

十代

手札1枚

場1枚

伏せなし

 

「俺のターン」

 

さて、どうするかなぁ・・・。ってこのカードは・・・!

 

「十代」

 

「ん?」

 

「お前に基地外その2を見せてやろう」

 

「へ!?」

 

「俺の墓地のモンスターはシュラ、ゲイル、フィールドマーシャル!この3体のみのため、手札からダークアームドドラゴンを召喚!」

 

フィールドに、漆黒の禍々しいドラゴンが出現する。

 

「えぇ!?墓地が3枚なら出せるってひどくねぇかそれ!」

 

「厳密には墓地のモンスターが闇属性モンスター3枚のみ、だな。人はこいつをこう呼ぶ」

 

「ボチヤミサンマイ・・・と」

 

「なんかよくわかんねえけど、また負けちまったってのはわかる」

 

「そうだ。けどまだ効果はある!ダークアームドドラゴンの効果!墓地の闇属性モンスター1体を除外することで、フィールド上のカードを1枚破壊できる!」

 

「はぁ!?それって回数制限は・・・」

 

「そんなもの・・・うちにはないよ・・・。シュラを除外!エッジマンを破壊!」

 

「インチキ効果も大概にしろ!?」

 

十代のヒーローがダークアームドドラゴンの剛腕で空の彼方へ消えていく。えっ、破壊ってそうやんの!?

 

「そしてBF-アーマード・ウイングでダイレクトアタック!手札からBF-月影のカルートを捨てることでこの攻撃の間アーマード・ウイングの攻撃力を1400アップさせる!」

 

「うわぁぁぁぁ!」

 

十代LP2950→-950

 

ふう、いいデュエルだった・・・。

 

「なにいい仕事したみたいに黄昏てんだよ!なんだよあれ!強すぎだろ!」

 

「いやぁ、あるものを使っただけで俺のせいじゃねぇし」

 

「今度は俺が納得いかない!もう一回やるぞ!」

 

「はぁ!?俺はもうスッキリしたしもうやらないって!」

 

「そのスッキリするのに貢献してやったんだし今度は俺の番だろ!?」

 

「明日!明日にしようぜ十代!」

 

「いやだ!今やりたいんだよ!」

 

その後、しばらくの間喧嘩していた2人を、アーマード・ウイングはやれやれと呆れながら眺めていた。




フィールド・マーシャル「俺やられただけかい!?」
ジェネティックワーウルフ「ようこそ・・・」

ダムド・ゲイル「悔しいでしょうねぇ」



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第12話 (OwO)ウェーイ!ダディザナサーン!

(タイトルは内容と関係)ないです。


十代との喧嘩はその後アーマード・ウイングの仲裁を持って終了となった。十代はまだ納得いかないらしかったが、「ヒーローデッキとやりたくはないか?」と囁くと即座に「また今度な!」と言って帰っていった。・・・デッキ作っとこ。

 

そんなこんなすったもんだあったが、その後は特に問題もなく過ごしていたある日、十代たちの部屋でデッキ調整をしていた時。

 

「はぁ・・・」

 

「おう、お帰り翔。どうした?」

 

翔がどんよりとした空気を纏って帰ってきた。

 

「ただいまぁ、遊雅くん。だって明日はあれですよ?」

 

「あれってなんだ?」

 

「試験っすよ試験!」

 

ああ、そのことか。十代は大丈夫なのか・・・?

 

「テスト?ああそんなのあったな」

 

「おい十代。随分気楽だが勉強大丈夫なのか?」

 

「あー、まあなんとかなるんじゃねえか?」

 

マジで楽観的すぎんだろ。翔から聞いてんだぞ?受験番号110番。翔は翔で何やらカードとポスターに祈ってるし。

 

「・・・ようし、ならカードいじりはここまでにして勉強するぞー。机持ってこーい」

 

「ええー」

 

十代がぶーたれる。いやお前もうちょい危機感もてよ。

 

「遊雅くんは大丈夫なんすか?」

 

「少なくともお前らよりはましだわ」

 

実際前世で成人まで行ってたんだし、勉強だってやってる。カードテキストとルール?・・・(^ω^)

 

「ほらほら、飯の前までみっちりやれば付け焼き刃でもなんとかなるって。準備しろー」

 

結局2人とも文句は言いつつ勉強した。途中で用事を済ませた隼人も合流して、4人での勉強は消灯時間まで続いた。

 

 

「で、十代は盛大に寝坊したと?」

 

「はいっす」

 

「ちゃんと起こしたんだけどなぁ・・・」

 

何やってんだあのデュエルバカは・・・。

 

「ま、起きれば来るだろ。今は自分のことに集中しようぜ」

 

「そうするんだなぁ」

 

「そうっすね」

 

その後十代は遅れてはいたものの無事に試験に参加していた。が、まさか翔と雑談に興じるとは・・・。最近ひょっとしてバカなんじゃなく大物なんじゃねぇかと考え始めた。聞いてみると、思ったよりわかったらしい。サンキューとお礼を言われたが、最初から学んでろよと突っ込むのは野暮か・・・?

 

そして現在、俺たちは購買に来ていた。新パックがとうとう売りに出されるのである。それと並行して俺がペガサスさんにもたらしたカードの入ったパックも新しいのが売りに出されている。が、

 

「ええー!最後の1パック!?」

 

誰かが新パックを根こそぎ買い占めて行ったのである。いやそんなことさせんなよ・・・。普通お一人様何パックまでとか決めるもんじゃね?

 

「しょうがねえ、翔。お前がこれ買え」

 

「ええ!?アニキは!?」

 

「俺は俺のヒーローに自信もってっからな!俺のヒーローは負けねえ!」

 

「アニキ・・・」

 

十代が翔に最後のパックを買うよう促す。そのとき、ショップのおばちゃんがやってきた。なんでも、十代に今朝助けられたらしく、そのお礼としてパックをくれた。

 

「ありがとうトメさん!」

 

「有難いんだなぁ」

 

「俺まで・・・。ありがとうございます」

 

「いいんだよ。試験、頑張ってきな!」

 

ショップのおば・・・トメさんからパックをもらい、俺たちは試験会場へ向かった。十代たちはそれぞれ自分たちのデッキにシナジーのあるカードが出たらしい。さてと・・・俺のが、と・・・。

 

・・・なんでやねん。

 

その後実技試験が始まった。

隼人は無難に、翔は危なっかしいながらも勝利した。現在は十代vs万丈目のデュエルである。

 

「調子はどうかしら?」

 

翔たちと応援していると、明日香がやってきた。

 

「問題はねぇな。そっちは?」

 

「もう終わったわ。あなたの番はいつ?」

 

「十代の次さ。万丈目のやつ前とデッキコンセプトが違くないか?それになんか前より大人しくなったというか・・・」

 

前回デュエルした時は地獄(ヘル)だったのに今回はXYZユニオンである。それに傲岸不遜な口調は変わってないが、あの相手を見下した態度がどこかぬけているように見える。

 

「デッキの方は知らないわ。態度に関しては・・・。そういえば最近彼ブルーやイエローだけでなく、レッドの生徒ともデュエルしているそうよ」

 

「へぇ」

 

あいつ・・・。少しは偏見を持たなくなったのか?

 

「少し手強くなったかもなぁ・・・」

 

「ところで、今回はどんなデッキなのかしら?」

 

「んぁ?」

 

「あなたってたくさんのデッキを使い分けてるじゃない。他の人も、遊雅がデュエルする時どんなデッキを使うか楽しみにしてる人もいるみたいだし」

 

そうか・・・。だから最近デュエルに絡まれるたびに見にくるやつが増えてんのか・・・。

 

「今回はまだ使ったことのないデッキにした。当然シンクロ主体のやつ」

 

「へぇ・・・。楽しみにしてるわ」

 

そう言って明日香は不敵な笑みを浮かべる。

 

「なんだよ、お前が俺の相手だっけ?」

 

「いえ。でもいつかリベンジするって決めてるし、あなたの情報は多いほうがいいからね」

 

「いいね、そういうのは大歓迎だ。・・・やってみろよ」

 

そう言って遊雅も笑う。2人がお互いに挑発し(笑い)あっていると、周囲が盛り上がる。そこで2人とも苦笑し、十代の応援を続ける。

 

結果は十代のギリギリ勝利だった。

 

「ガッチャ!楽しいデュエルだったぜ!」

 

「くっ・・・」

 

十代が万丈目に握手しようと手を出すが、万丈目は手を取らず立ち上がる。

 

「あ、おい・・・」

 

「・・・」

 

万丈目はそのまま何も言わずに帰って言った。十代は少しつまらなそうにしながらも観客席に戻る。

 

「おつかれ。ナイスデュエル」

 

「おう!次は遊雅だと?楽しみにしてるぜ!」

 

「期待を裏切らないよう頑張るよ」

 

『マスターが負けるなどあり得ません。この私がすべての敵を蹂躙します。ここらでお遊びはおしまいだってことをわからせてあげましょう』

 

「シャラップ、ヤ○チャ玉。お前のデッキは使わん」

 

『何故ですか!』

 

あのデュエルの二の舞はごめんだからだよ・・・。

※第10話のデュエル

 

 

「で、相手がまさかお前とはな、三沢」

 

デュエルリングの上に待ち構えていたのは、三沢だった。

 

「なんでレッドの俺の相手が三沢なんだ?」

 

「そりゃあ、君だからね」

 

「?」

 

「君はよくブルーの生徒を返り討ちにしてるじゃないか。そりゃあ先生方も相手をレッドにすることはできないさ」

 

「ソウデスーノ。シニョール遊雅のレベルはレッドをはるかに超えるノーネ。というわけでブルーにいてもおかしくないレベルのシニョール三沢を相手として選んだのでスーノ」

 

うーん高評価なのは嬉しいが、この先生レッドを蔑視してるみたいだなぁ・・・。いつかデュエルで、この人に、絶望(笑顔)を・・・与えてやろうかな・・・。

 

「!?なんか寒気がしたノーネ・・・。こほん、それではシニョール三沢対シニョール遊雅、開始なノーネ!」

 

「「デュエル!」」

 

三沢

vs

遊雅

 

「俺から先攻か、ドロー」

 

さて、どう動けるかな・・・。

 

「俺は手札からドラグニティ-パルチザンを召喚!」

 

「ドラグニティ・・・?聞いたことのないカードだ。新しいデッキというわけか!」

 

「そうさ。さてと、パルチザンの召喚に成功した時、手札からドラグニティと名のついた鳥獣族モンスターを1体場に出してこのモンスターを装備カードとして装備することができる!手札からドラグニティ-アングスを特殊召喚!パルチザンを装備!」

 

場にやや小さいドラゴンのパルチザンが現れ、さらにその横に羽を持つ鳥人のようなアングスが現れる。するとパルチザンがアングスの背中に回りこみ、背中にへばりつく。あ、装備ってそうなるのね・・・。

 

「モンスターが装備カードに!?万丈目のユニオンのようなものか!」

 

「どうなんじゃr・・・どうなんだろうな・・・。俺はカードを1枚伏せターンエンド」

 

遊雅

手札3枚

場1枚

伏せ1枚 パルチザン

 

「俺のターン!・・・対シンクロ用デッキ・・・。試させてもらう!手札から王虎ワンフーを召喚!」

 

「ゲェ!?関u・・・じゃなかったワンフー!」

 

「このカードがいる限り、お互いに攻撃力1400以下のモンスターを召喚すると破壊される・・・。シンクロ召喚に使われるチューナーはレベルやステータスの低いものが多い!このカードがいればチューナーを揃えることもできないだろう?さらに俺はマジックカード地砕きを発動!ドラグニティ-アングスを破壊!」

 

アングスが背中のパルチザンとともに地面の裂け目に落ちていく。・・・いやお前ら羽!羽!

 

「ワンフーで攻撃!」

 

「リバースカードオープン!ガード・ブロック!戦闘ダメージを0にし一枚ドロー!」

 

「ちっ、なら俺はカードを1枚伏せターンエンド!」

 

三沢

手札3枚

場1枚

伏せ1枚

 

さて・・・どうしよう?




ワンフー「チューナーなど木っ端微塵にしてくれる!」
???「ほう・・・?」
???「フフフ・・・」

次回「ワンフー、死す」デュエルスタンバイ!

ワンフー「!?」

アバター『マスターに・・・マスターに捨てられた・・・』


遊雅「捨ててねぇよ」


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第13話 神☆降臨!

アバター『私のことですね!?』
遊雅「ちげぇよ、座ってろ」
アバター『私球体だから座るとかできません』
遊雅「じゃあもう静かにしててくれ・・・」

タイトルと内容は関係ありません。
今回めっちゃ悩んだ・・・。






「俺のターン」

 

三沢の場にはワンフーがいる。あれがいる限り低レベルモンスターはただのカカシにもなれん。さっさと潰したいが・・・。

 

(手札に現状を打破できるカードがねぇ・・・)

 

「ドロー。・・・?」

 

ドローしたカードを見て驚く。このデッキにこいついれてたっけ・・・?なんにせよこいつは使える。

 

「俺は手札からクリッターを召喚」

 

「クリッター?ワンフーの効果ではか・・・!そういうことか!」

 

「クリッターの効果発動。このカードが場から墓地へ送られたとき、

デッキから攻撃力1500以下のモンスターを1枚手札に加える。俺はドラグニティ-ドゥクスを手札に加える。さらにフィールド魔法竜の渓谷を発動!」

 

フィールドが夕焼け空の渓谷に変わる。あ、遠くの空を何かが飛んで・・・あれ?アングス!?お前は鳥獣族だろ!?

 

「っと、俺は竜の渓谷の効果を発動。手札を一枚捨てることでデッキからドラゴン族モンスターを1枚墓地へ送る」

 

さて、とりあえずの仕込みは終わった。

 

「俺はこれでターンエンド」

 

「な!?」

 

遊雅

手札3枚

場なし

伏せなし

フィールド魔法 竜の渓谷

 

壁モンスターどころか、伏せカードすらセットしない遊雅に三沢は目を見開く。観客席の十代たちも予想外と言った表情だ。

 

「どうした遊雅!?」

 

「間違ってエンドにしちゃったとか!?」

 

他の観客席の生徒も何だプレミか?とざわめく。

 

「なにかの罠か・・・?いやだとしてもチャンスに変わりはない!俺のターン!俺は手札からフレムベル・ヘルドックを召喚!さらに装備魔法覚醒をワンフーに装備!これにより攻撃力が400アップする!」

 

王虎ワンフー ATK1700→2100

 

「まずいっす!もしダイレクトアタックを食らったら、ライフがちょうど0っすよ!」

 

「バトル!ワンフーで攻撃!」

 

ワンフーが遊雅へ飛びかかる。三沢だけでなく、十代たちや他の観客すらもう終わった、と思ったその瞬間、どこからか超スピードでモンスターが飛んできて、ワンフーの攻撃を止めた。そのモンスターは・・・。

 

「何だ!?」

「あ、あれは!」

 

「「「カカシぃ!?」」」

 

ただのカカシですな。じゃなくて。

 

「俺は手札から速攻のカカシの効果を発動させてもらった」

 

「手札から発動だと!?」

 

「こいつを手札から捨てることでバトルフェイズを強制終了させる」

 

「なに!?」

 

ワンフーの攻撃を受け止めたカカシは、ワンフーが離れると同時にしめやかに爆発四散した。サヨナラ!

 

「まさかそんなカードがあるとは・・・。くっ、カードを1枚伏せターンエンド」

 

三沢

手札1枚

場2枚

伏せ2枚 猛獣の牙

 

いやほんと、入れた覚えはなかったんだけど、入っててよかったよ。今度からトラップの方と合わせてカカシ先生って呼ぼう。いや、なんか別のカカシ先生が思い浮かぶから別のにしよう。

 

「俺のターン、ドロー。竜の渓谷のもう1つの効果発動。手札からカードを1枚捨ててデッキからドラグニティと名のつくレベル4以下のモンスターを手札に加える。俺が加えるのはドラグニティ-アキュリス」

 

さあて、いっちょやったるか!

 

「俺は手札からドラグニティ-ドゥクスを召喚!こいつは召喚に成功したとき、墓地のドラグニティモンスターを1枚装備カード扱いで装備できる。墓地のアキュリスを装備」

 

「そんなモンスターをどこで・・・。!フィールド魔法の効果でか!それに攻撃力1500以上のモンスター・・・。しかしフレムベル・ヘルドックとワンフーの攻撃力には届かん!」

 

「それはどうかな?ドゥクスの効果!こいつは場のドラグニティと名のつくカード1枚につき200攻撃力をアップさせる!場にはドゥクスとアキュリスがいる!よって攻撃力が400アップ」

 

ドラグニティ-ドゥクス ATK1500→1900

 

「なに!?」

 

「そして手札から永続魔法竜操術を発動!効果でドラグニティモンスターを装備したモンスターの攻撃力は500アップする!さらに1ターンに1度、手札のドラグニティモンスターを装備カード扱いで俺のモンスターに装備できる!竜の渓谷で手札に加えたアキュリスを装備!ドゥクスは攻撃力が自身の効果でアップする!」

 

ドラグニティ-ドゥクス ATK1900→2600

 

「ばかな!一気に攻撃力が上がっただと!?」

 

「いくぞ!バトル!ドゥクスでワンフーに攻撃!」

 

「しかしやらせん!リバースカードオープン、攻撃の無力化!」

 

くそ、仕留め損ねた。だがまだだ!

 

「メインフェイズ2へ移行。そして場のドゥクスを除外して、墓地から新たなドラグニティを出す!」

 

「墓地からだと!?」

 

「来い!ドラグニティアームズ-レヴァテイン!」

 

場のドゥクスが竜巻に包まれながら消えていき、渓谷の向こうから、夕焼けを背に新たに緋色の竜が飛んでくる。

 

「レヴァテインの効果と、それにチェーンしてアキュリス2枚の効果発動!まずはアキュリス!モンスターに装備されているこのカードが墓地へ送られたとき、フィールド上のカードを1枚破壊する!2枚墓地へ行ったので俺はワンフーと伏せカードを破壊する!」

 

※かなり前の裁定を使用しております。今は出来ません・・・と思います。

 

「な!?」

 

ドゥクスが消える寸前、アキュリス2体をグワしっと掴んで矢のようにしてワンフーと伏せカードへ投擲する。

 

「さらにレヴァテインは召喚に成功したとき、墓地のレヴァテイン以外のドラゴン族モンスターを1枚装備できる!墓地に行ったアキュリスを1枚装備!当然竜操術の効果で攻撃力がアップ!」

 

ドラグニティアームズ-レヴァテインATK2600→3100

 

「ターンエンド」

 

遊雅

手札0枚

場1枚

伏せなし 竜操術 アキュリス

フィールド魔法竜の渓谷

 

「くっ・・・。俺のターン!」

 

(ワンフーは倒した。ただ手札はないし、伏せもない。このままだと決定打を打てないし、このターン三沢にレヴァテインがやられるとまずいな・・・)

 

(攻撃に対処するための罠しか入れてなかったのが失敗だった・・・!現在の手札ではワンフーを呼べないうえに、レヴァテインを破壊してもまたアキュリスの効果でこちらの防御札がやられる・・・これしかない・・・か)

 

「俺はカードを1枚伏せフレムベル・ヘルドックを守備表示にしてターンエンド」

 

三沢

手札1枚

場1枚

伏せ1枚

 

「俺のターンドロー。っし!手札からマジックカード、貪欲な壺を発動!墓地のアキュリス、ドゥクス、アングス、パルチザン、竜の渓谷で手札から墓地にいったピルムをデッキに戻してシャッフルし、2枚ドロー」

 

おいおい、こいつらがこの場面でくるなんて、これはついてる。

 

「手札からドラグニティ-ファランクスを召喚。さらにファランクスを墓地に送って、手札からドラグニティアームズ-ミスティルを特殊召喚!効果で墓地のファランクスを装備!竜操術の効果で攻撃力アップ!」

 

渓谷から今度はレヴァテインよりやや小柄の黄色い竜が現れる。

 

ドラグニティアームズ-ミスティルATK2100→2600

 

「バトル!ミスティルでフレムベル・ヘルドックに攻撃!」

 

「リバースカードオープン!和睦の使者!このターン俺のモンスターは戦闘で破壊されず、戦闘ダメージも0となる!」

 

また防がれたか。だがまだまだ!

 

「装備カードとなっているファランクスの効果!このカードをフィールドに特殊召喚できる!」

 

「!まずい!」

 

「俺はレベル2のドラグニティ-ファランクスで、レベル6ドラグニティアームズ-ミスティルをチューニング!さあ来い!スターダストドラゴン!」

 

「これは・・・。入学試験の時の・・・!」

 

スターダストドラゴンが場に出ると、観客席の生徒たちはそれまでの歓声をやめ、ただただ見惚れる。まぁ、わからんでもない。こいつ綺麗だしなぁ・・・。

 

「あ、ターンエンド」

 

遊雅

手札0枚

場2枚

伏せなし 竜操術

フィールド魔法竜の渓谷

 

「俺のターン!・・・負けるわけにはいかない!永続魔法神聖なる森を発動。さらに手札からチューナーモンスター、スクラップ・ビーストを召喚!」

 

「!?チューナーだと!?」

 

「レベル4スクラップ・ビーストで、レベル4フレムベル・ヘルドックをチューニング!」

 

まさか三沢が新パックを買って当てたのか・・・!?シンクロモンスターとチューナーをセットで。というか新パックは買い占められていたはず。三沢がやったってのか?観客もまさか三沢がシンクロ召喚をするとは予想外であり、この展開にボルテージはこれまでで最高潮に達する。

 

「これが俺のシンクロ召喚だ!こい!ライトニング・トライコーン!」

 

三沢の場に金色の体を持つ馬が颯爽と現れる。ってか、まずい!

 

「バトル!ライトニング・トライコーンでスターダストドラゴンを攻撃!」

 

遊雅LP4000→3700

 

スターダストがやられた・・・!除去カード対策にとレモンさんの代わりに出したのが失敗だったか。しかも神聖なる森があるからレヴァテインだけじゃライトニング・トライコーンを突破できねぇ・・・。

 

「俺はこれでターンエンド!」

 

三沢

手札0枚

場1枚

伏せなし 神聖なる森

 

「俺のターン」

 

まさかシンクロでくるとは。というか三沢は買い占めとかしそうにないと思っていたんだが・・・。チューナーとシンクロモンスターって結構なレアカード扱いになってなかったか・・・?いやまずはこのデュエルに集中しよう。ライトニング・トライコーンの効果は今のところ意味はない。が、神聖なる森のせいで地味に突破できない状況。ドローしたカード次第では長期戦になって次のワンフーを出されかねない。そうなったら目も当てられん・・・!

 

「ドロー!・・・!」

 

ドローしたカードを見て遊雅は驚く。この土壇場で必要なカードがやってきてくれた。

 

「俺は手札からドラグニティ-レギオンを召喚!こいつの効果で墓地のファランクスを装備できる!」

 

「!またくるか、シンクロ!」

 

先ほども使われたファランクスに三沢が警戒する。

 

「悪いがシンクロじゃないのさ!レギオンの効果!自分の魔法&罠カードゾーンに存在するドラグニティと名のつくカードを1枚墓地へ送り、相手フィールドのモンスターを1枚破壊できる!俺はアキュリスを墓地に送る!」

 

「なんだって!?」

 

「当然、アキュリスの効果が発動!神聖なる森を破壊!」

 

レギオンがアキュリスを鷲掴み、ライトニング・トライコーンが突風で吹き飛ばされると同時に三沢のフィールドの神聖なる森へアキュリスが投げ込まれる。

 

「・・・ここまでか。やはりこのデッキはまだまだ完成とはいかないな」

 

「着眼点は良かったぜ?低レベル故に低ステータスってのはチューナーにはよくあることだし」

 

「次はもっと完成した対シンクロ用デッキで挑ませてもらうよ」

 

「待ってるぜ?・・・レヴァテインとレギオンで攻撃!」

 

三沢LP3700→-600

 

「そこまでナノーネ!勝者!オシリスレッド、遊雅!」

 

こうして遊雅は月一試験を勝利で終えた。

 

 

 

 

「ところで三沢、まさかお前が新パックを買い占めたのか?」

 

デュエルリングから降りた遊雅は、三沢にそう質問した。まさか三沢が買い占めの犯人とは思わないが、念のために聞いておこうと思ったのだ。

 

「?いや?そんなことはしていない。・・・新パックは欲しかったが、俺が買いに行った時にはもう売り切れていたよ。シンクロ関連のカードパックの方もすでになかった」

 

「じゃあチューナーとシンクロモンスターは何処から?」

 

「何やら見知らぬ女子生徒にもらったパックに入っていたんだ。知らない生徒だったし、怪しいとは思ったんだが、ふと目を離したすきに消えてしまっていてね。どうしようもないし貰ってしまおうと思い開封するとあの2枚が入っていたんだ」

 

「・・・その女子生徒の特徴は?」

 

「黒髪だったということしか記憶にないな。あ、確か独り言でマスターがどうたらこうたら言っていたが・・・」

 

三沢がそういうと、遊雅は能面のような顔になって走っていった。後には何が何だかよくわからないと言った顔の三沢だけが残された。

 

 

 

 

『ふふふ・・・。あの三沢とかいう人間ならシンクロモンスターを使いこなせるでしょう。私を使わないマスターなんて不意を突かれて負けてしまえばいいのです・・・』

 

「やっぱお前か」

 

『!?マ、マスター、試験の方は・・・?』

 

「そこに座れ」

 

『え、いやでもここ廊下だし私球体だから座れっていわれてm「座れ」はいわかりました』

 

その後、デュエルが終わったのにいつまでたっても戻ってこない遊雅を探していた十代とハネクリボーは、廊下に鎮座して震えながら遊雅に詰られているアバターを発見して目を丸くするのであった。




レヴァテイン「シンクロできないなら俺が殴るしかないよネ!」
アキュリス「俺は槍投げの槍じゃねぇ!」
スターダストドラゴン「俺出てきた端からやられてんだけど・・・」
ジェネティックワーウルフ・フィールドマーシャル「おっ?ナカーマ?」


アバター『いやマスター、私はマスターが久々にシンクロ相手にデュエルしたいだろうなー、と思って・・・』

遊雅「三沢にやったパックは何処から持ってきた?」

アバター『・・・マ、マスターのポケットから・・・』

遊雅「ギルティ」

アバター『!?』


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第14話 俺の手札は、馬鹿げてるぜ!

タイトルは内容と関係ありません。


「しかしびっくりしたよな!三沢がシンクロ召喚するなんて!」

 

「全くだ。今回は特に効果が意味ない状態だったから良かったが、もし単体で効果が強力な奴だったら負けていたのは俺だったかもしれない」

 

試験が終わり、翔達と合流し寮へと戻った十代と遊雅は、やはり三沢のシンクロ召喚についての話ばかりしていた。

今回のアバターの暴走は確かに一瞬とはいえシンクロを相手することができ、いい刺激となったが、せっかくトメさんから善意で貰ったパックを勝手に渡してしまった罰は与えないといけないということで、現在アバターはデッキケースの奥底に封印(物理)されている。

 

『マスター、私が悪かったです。反省しますので出してください』

 

「やかましいわこのまっくろくろすけ。今日はもう俺の端末でアニメ見せないからな」

 

『そんな殺生な!?』

 

デッキケースの中でアバターがバタバタと暴れるのを華麗にスルーしながら、遊雅と十代は雑談に興じる。

 

「しかし十代は良かったのか?イエローに上がれるチャンスだったのに」

 

そう、ブルーの万丈目を下したことが評価され、イエローへ上がれることとなった十代だが、まさかの辞退をしたのである。

 

「いいんだよ、俺赤好きだし」

 

色の好き嫌いの問題か・・・?

 

「まぁ、十代がいいならいいか」

 

「遊雅は昇級とかなかったのか?」

 

「俺はちょっとした事情があるんでな。レッドのままだが特例的にブルー生徒と同等として扱うらしい」

 

ふーん、そんなこともあるんだなーと言う十代の呑気というかさっぱりした性格に正直感謝する。いち一般人であるはずの俺が特別扱いを受けてることを気にせず接してくれる友人がいるってのは有難い。

 

「じゃあ俺はもう行くわ。今日からブルー寮に部屋が割り当てられるらしい」

 

「そうなのか?じゃあまた明日にヒーローデッキとのデュエルやろうな!」

 

おうふ、覚えてたのか・・・。十代ってデュエルのこととなると記憶力が上がるなぁ・・・。

 

「はいはい、また明日なー」

 

 

 

 

 

さて、そんなこんなでやって来ましたブルー寮。夕食時ということで食堂にやって来たが・・・。

 

「・・・ちっ。レッド風情が」

 

「さっさと消えろよ・・・」

 

「どうせまぐれだろ・・・?」

 

「新カードのテスターになったくらいで調子に乗りやがって・・・」

 

(おうけー落ち着け俺。こうなることは分かってたんだ、目的を果たすまでは我慢しろ・・・)

 

敵意というか、もはや殺意でいいんじゃね?というレベルの視線が突き刺さっていた。こんなことになっても耐えている理由は数時間前、十代と別れ、荷物をまとめてブルー寮へ向かっていた時のこと・・・

 

 

「もしもし社長?どういうことですか。特例でレッドのままブルー扱いって、随分とまあ強引じゃないっすか。これどう考えても全力で嫌われますよ。まぁすでにいい顔されてませんが」

 

『ふん、知ったことか。俺はオーナーだ。文句を言う奴がいれば即座に解雇するまでのことだ』

 

わぁーお、独裁者。

 

『それに貴様にとってはある意味仕事を早く終わらせるためには丁度いいのではないか?』

 

「はい?」

 

『ブルー寮に入ることになれば必然ブルー生徒とより多くデュエル出来るだろう。そこで奴らの伸びきった鼻をへし折ってやれ』

 

ああそういう・・・。というかそれってこれまでですら嫌がらせレベルだったブルー生徒のデュエル申し込みが格段に増えるってことか・・・?過労死するわ!

 

「あのー、できれば寮でくらいゆっくりしたいなーというか、レッド寮も案外悪くなかったかなー、というか・・・」

 

『知らん。しっかりやれ。話は以上だ』

 

そう言って通話は切られてしまった。・・・自分、もうゴールしてもいいよね・・・?

 

 

 

「ったく、たしかに格差を無くすのは早めの方が良いとはいえ、こんなとこじゃあ休めもしねぇ・・・」

 

ブルー生徒からの質量を伴っているのではないかと思える視線を受けつつ、遊雅は肩身の狭い思いで食事した。

 

「あー、飯食うだけなのに疲れた・・・」

 

ブルー生徒から逃げるように部屋へ行き、ベッドへダイブする。なんでこう、服の色の違いだけでここまで差別が出来るんだろうか・・・。

シャワー浴びなきゃなぁと思い体を起こすと、ベッドのそばにアバターが浮いていた。

 

「どした?俺シャワー浴びてくるから部屋からふらっと出てくなよ」

 

時たま何処かに浮いて行くアバターにそう伝えるが、返事がない。・・・表情とかないから分かりづらいが、機嫌が悪いのか?

 

『マスター。いいのですか・・・?』

 

「いいってなにが?」

 

ブルー生徒達(あの屑ども)のことです!マスターは悪くないのに・・・!ゴミのようなプライドだけで実力もないカスども、マスターにかかれば瞬殺できる程度の蟲どもが!私のマスターにあのような態度・・・!』

 

おおう、見えないけど多分般若の顔してるとわかるくらい負のオーラ的なのが漏れ出てる・・・。

 

「落ち着かんかい。なんか漏れてる漏れてる」

 

『マスター、許可をください。奴らを深い闇の奥底へ叩き落としてやります』

 

「却下。んなことやらんで良い」

 

『何故です!わたしには我慢ならない!マスターを馬鹿にする奴には報いを与えましょう!』

 

「それをお前がやったら大惨事世界大戦じゃねぇか。自重しろ」

 

『しかし!』

 

「ただまぁ、そこまで怒ってくれんのは素直に嬉しいわ。サンキュー」

 

そう言うと突然アバターから出てたオーラ的なのが収まる。

 

「どした?」

 

『マ、マスターがデレた!?・・・ふふふ、とうとうマスターも私の事が好きにn」

 

「うんもうお黙り」

 

真面目に感謝した俺が馬鹿だった。

 

『それはともかく、本当に宜しいのでしょうか?このまま放置するので。例の社長とやらからの頼みもありますしどうにかせねばなりませんよ?』

 

そう、気にしないだけではなく、俺は彼らの態度を改善せねばならないのだ。しかしどうしたものか・・・。

 

「あ、そうか・・・。あいつらはデュエリストとして自分達がレッド生徒より優れていると思ってるから馬鹿にしてるんだ」

 

『マスター?』

 

「喜べアバター。今からお前を使った新しいデッキを作る。しばらくお前が主力だ」

 

『ほんとうですか!?』

 

アバターは心から嬉しそうな声で驚く。ああ、しっかりと戦ってもらおう。

 

 

 

「明日香様、知ってます?今日の遊雅の話」

 

「遊雅の?特に聞いてはないけど・・・。何かあったの?」

 

次の日、明日香が昼食を食べている時、取り巻きのジュンコがそう話を切り出した。

 

「なんでもブルー生徒と休みの間中デュエルしてるそうです」

 

「いつものことじゃない」

 

もはや恒例行事として認識されている。しかしジュンコは首を振る。

 

「それが違うんですよ。なんでも今まであまりにもしつこくてデュエルしようとしなかった相手ともデュエルしてるそうですよ。それも自分から挑んで」

 

「へぇ?」

 

その話に、明日香は疑問と興味を持つ。遊雅とは授業等で話をする事があり、その際感じた遊雅の性格的には、自分から面倒ごとを抱えるのは嫌う人だと考えていた。しかしジュンコの話では、自分から嫌われているブルー生徒に挑んでいるという。

 

「何かあったのかしら?」

 

「さあー、でも話を聞かせてくれた友人はなんか怯えてましたけど・・・」

 

そんな話をしている2人の横を、ものすごい勢いでブルー生徒達が走っていく。

 

「わ、わかった!もう馬鹿になんてしないから!もう勘弁してくれぇ!?」

 

「そんなこと言わずにさあ、お前らがずっとやれと言っていたデュエルだぜ?ほらもう一戦しよう、さあさあさあ!」

 

「ひぃぃ!」

 

「・・・ねぇジュンコ。今気のせいじゃなかったら遊雅がブルー生徒を追いかけてたと思うんだけど」

 

「大丈夫です、明日香様。私にもそう見えました」

 

「・・・あれ?明日香と・・・ジュンコ?じゃん。どした?」

 

ブルー生徒を見失った遊雅は、明日香達を見つけて声をかける。

 

「どうしたは私のセリフよ。あなた何してるのよ?」

 

「いやな、これまではレッドを馬鹿にした態度が面倒だからひたすらデュエルの挑戦を避けてたんだが、昨日ちょっと考えてな。レッドを馬鹿にする気が起きないレベルまで徹底的にボロクソにしてしまえばいいんだ、と思って」

 

((うわぁ・・・))

 

それを聞いてなんとはなしに遊雅のきた道を見て明日香とジュンコは絶句した。道の端に、ブルー生徒達が大勢膝をついていた。どの生徒もデュエルで完膚なきまでに粉砕された生徒である。主に心理フェイズの煽りと徹底した妨害戦術により心を重点的に。

 

「一体何をすればああなるのかしら・・・」

 

明日香がそんなことを言ってる間に、遊雅は別のブルー生徒をつかまえてデュエルしていた。その場には一体短時間で何があったのか、スターダストドラゴンとレッドデーモンズドラゴンがいた。

 

「スターダストドラゴンで攻撃!」

 

「く、リバースカードオープン!炸裂装甲!」

 

「スターダストドラゴンの効果!このカードをリリースして破壊効果を無効にし破壊!」

 

「な!?」

 

「レモンさんで攻撃!攻撃する際のダメージ計算後に守備表示モンスターを全て破壊!」

 

「俺の壁モンスターが!?」

 

「エンドフェイズ、スターダストドラゴンは戻ってくる。来いよベネッt・・・オベリスクブルー!プライドなんか捨ててかかって来い!」

 

「こ、このやろう!俺のターン!・・・よし、手札からマジックカード、強欲な・・・」

 

「あ、リバースカードオープン、魔封じの芳香」

 

「なぁ!?」

 

「どんな気持ち?ねぇどんな気持ち?ことごとくプレイを妨害されるってどんな気持ち?」

 

ブルー生徒は泣きそうになりながらもなんとか持ちこたえ、デュエルを続ける。

 

「俺は・・・カードを2枚伏せターンエンド・・・」

 

「そのエンドフェイズ時にリバースカードオープン、終焉の焔。トークン2体召喚。俺のターン、リバースカード大嵐で」

 

ここでブルー生徒は膝をついた。

 

「スターダストとトークン2体をリリース、邪神アバターを召喚。効果で攻撃力はレッドデーモンズドラゴンの攻撃力に1足した数値となる。アバターでダイレクトアタック」

 

黒いレッドデーモンズドラゴンと化したアバターの攻撃を受けたブルー生徒は、近くのベンチへ吹っ飛ぶ。

 

「・・・もうレッドとか馬鹿にしないようにしようそうしよう」

 

その惨状を見て明日香はブルー生徒に哀れみの眼差しを送り、ジュンコはブルブルと震える。

その後デュエルが終了すると、遊雅は周囲を見渡し、やや遠くにこちらを恐ろしいものを見る目で見ているブルー生徒を数人見つけると、満面の笑みを浮かべて走っていった。

 

「おーい!デュエルしようぜー!」

 

「ひぃ!?く、来るなぁー!?」

 

「そんなこと言うなよ、昨日まではしつこくせまってきたじゃねぇかー!」

 

「もうやめて!言わない!もうデュエルしろって言わないから!」

 

明日香達は何も見なかった事にすることにした。

 

「・・・今日も平和ね」

 

「・・・そうですね」

 

「ヒャッハー!逃げる奴は口先だけのブルー生徒だ!逃げない奴はよく訓練されたブルー生徒だー!!」

 

その後、ブルー生徒達の6割ほどが真っ白に燃え尽きているのが目撃され、高圧的な態度のブルー生徒は激減した。

 

その次の日、遊雅が部屋で寛いでいる時。誰かが部屋のドアをノックした。

 

「十代か?鍵はかけてないぞー」

 

しかし十代は入って来ず、代わりに聞きなれない声が帰ってきた。

 

「丸藤亮と言う。開けてもらえないか」

 

丸藤亮。ブルー生徒の1人で、圧倒的な強さでカイザーと呼ばれる猛者である。そんな彼が何の用で、と遊雅は頭に?を浮かべながらドアを開ける。

 

「丸藤・・・先輩?何の用で?」

 

「先輩はいらない。用というのは他でもない、俺とデュエルしてくれないか?」

 

「デュエル・・・ですか?」

 

「ああ、実はもっと早い段階で申し込みたかったんだが、俺の周りの生徒たちがいかせてくれなくてな。なぜか最近彼らが元気をなくしていて時間が取れたのでこうして来た次第だ」

 

「へ、へぇー」

 

カイザーの取り巻き連中がねぇ。それにしても元気がないとは・・・風邪かな?

 

「まぁ、わかりました。ちょっと準備するんで待ってもらえますか?」

 

「構わない。外で待っている」

 

さて、まさかアカデミア最強が直々に挑戦してくるとは。これは相応のデッキで相手しないとな。

 

『マスター。私を使ってくださいよ』

 

「よし、このデッキにしよう」

 

無視されてぶーたれるアバターをつれて、俺は若干カイザーがどのようなデュエルをするのか楽しみに思いながら部屋を出た。




スターダストドラゴン「いつか俺も活躍できるんだろうか・・・」
プレミ「ずっとそばにいるよ・・・」
遊雅「出てけ!」
次回、vsカイザー戦


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第15話 プリンに醤油かけたらウニの味なんだって!(ならウニ買えや!)

タイトルと内容は関係ありません。
とりあえず醤油プリンは不味かったです。


カイザーからデュエルを挑まれ、人気のない森の中のひらけた場所に来た。カイザーはアカデミア最強との呼び声高いデュエリスト。手加減も油断も出来ないということで、使い慣れていて対応力の高い/バスターデッキを持って来た。

 

「じゃあやりますか」

 

「ああ」

 

こうしてみると迫力がやばい。三沢や十代といったデュエリスト達もたしかに強かった。しかし、カイザーからは、彼らを超える何かを感じる。

 

『マスター。気をつけてください。彼、強いです』

 

(わかってる。場合によってはお前を出すことになるかもな)

 

『そうなればマスターの勝ちは揺るぎません。安心してください』

 

なんというか、この状態のこいつはほんと頼もしく感じる。やはり邪とはいえ神だからだろうか。

 

『つきましてはこのデュエルで勝てたらアニメを見せてください。今期は神アニメが多いので見逃したくないんです』

 

「色々と台無しだよオメー!」

 

「?」

 

つい声に出してしまった。いかん、これじゃあ頭おかしいやつだ。

 

「す、すまん、独り言だ、です。さて、やりましょうカイザー」

 

「そうか。では始めよう。・・・出来ればカイザーはやめてくれないか?あまり言われるのは好きじゃない。それに難しいなら敬語を使わなくていい」

 

「そうですか、じゃないそうか。じゃあこんな感じでいかせてもらう!行くぞ!」

 

「「デュエル!!」」

 

丸藤亮

vs

遊雅

 

「先攻は君に譲ろう」

 

丸藤は先攻を譲って来た。後攻が好きなのか・・・?

 

「じゃあ俺のターン、ドロー」

 

手札は悪くない。とりあえず色々整えよう。

 

「俺は手札からマジックカードおろかな埋葬を発動!デッキからモンスターを一枚墓地へ送る!さらに手札からモンスターをセットし、カードを2枚伏せてターンエンド」

 

遊雅

手札2枚

場1枚

伏せ2枚

 

「俺のターン。手札からマジックカード融合を発動。手札のサイバードラゴン2枚を融合、こい!サイバーツインドラゴン!」

 

・・・はい?

 

「バトル!サイバーツインドラゴンでセットモンスターに攻撃!」

 

「っ!やらせない!トラップ発動、くず鉄のかかし!」

 

サイバーツインドラゴンのブレスを、現れたカカシが受け止める。

 

「さらにこのカードは発動後、場にセットされる!」

 

「なるほど、毎ターン使えるということか。厄介だな。しかしサイバーツインドラゴンは1ターンに2度攻撃できる!攻撃!」

 

「セットモンスターはシールドウイング!戦闘で2度まで破壊されない!」

 

「なら手札からマジックカードサイクロンを発動。くず鉄のかかしを破壊。カードを一枚伏せターンエンド」

 

丸藤亮

手札1枚

場1枚

伏せ1枚

 

なんで初期手札+ドローで融合と素材が揃うねん・・・。十代と言い、もうこの世界のデュエリスト怖いわぁ・・・。

 

「俺のターン、ドロー」

 

文句を言ってても始まらない、とりあえずサイバーツインドラゴンをなんとかしねぇと・・・。

 

「手札からジャンク・シンクロンを召喚!効果で墓地のアーケインファイロを蘇生!」

 

「チューナー・・・。これが・・・」

 

「墓地からモンスターの召喚に成功したとき、ドッペルウォリアーを手札から特殊召喚できる!レベル3のジャンク・シンクロンで、レベル2のドッペルウォリアーをチューニング!シンクロ召喚!来い!ジャンクウォリアー!」

 

「シンクロ召喚か・・・!」

 

「まだまだぁ!ドッペルウォリアーがシンクロ召喚の素材として墓地へ送られたため、ドッペルトークンを2体場に出す!そしてジャンクウォリアーの効果!このカードは場のレベル2以下のモンスターの攻撃力の合計分攻撃力がアップする!場のレベル2以下のモンスターの攻撃力の合計は1800!よってジャンクウォリアーの攻撃力は4100となる!」

 

ジャンクウォリアーATK2300→4100

 

「!」

 

「そしてレベル2のアーケインファイロで、レベル1のドッペルトークン2体をチューニング!シンクロ召喚!アームズエイド!こいつは俺の場のモンスター1体に装備でき、装備したモンスターの攻撃力を1000アップさせる!」

 

ジャンクウォリアーATK4100→5100

 

「まだ上がるのか・・・!」

 

「アーケインファイロの効果でデッキからバスターモードを手札に。いくぞ!ジャンクウォリアーでサイバーツインドラゴンに攻撃!」

 

「リバースカードオープン、攻撃の無力化」

 

「なら俺はカードを1枚伏せターンエンド」

 

遊雅

手札0枚

場2枚

伏せ2枚 アームズエイド

 

これで決まってればワンショットキルだったのに・・・。まぁ勝負はここからってね。

 

「俺のターン。・・・シンクロ召喚。低レベルモンスターから強力な効果を持つモンスターを召喚できる召喚法。そんなカードを使いこなせるとは良い腕を持っている」

 

「・・・御託はいいから来いよ。今んとこあんたピンチだぞ?」

 

 

「フッ、そうだな。俺は手札からプロトサイバードラゴンを召喚。このカードは場にある限りサイバードラゴンとして扱える。マジックカードエヴォリューションバーストを発動。ジャンクウォリアーを破壊する」

 

よりによってそれかい!プロトサイバードラゴンのレーザーブレスでジャンクウォリアーが爆殺される。

 

「エヴォリューションバーストを使用したターン、サイバードラゴンは攻撃出来ない。俺はこれでターンエンド。さあ、ここからどう巻き返す?」

 

丸藤亮

手札0枚

場2枚

伏せなし

 

「見てな・・・!俺のターン!ドロー!貪欲な壺を発動!墓地のアーケインファイロ、ジャンクシンクロン、ドッペルウォリアー、ジャンクウォリアー、アームズエイドをデッキに戻し、2枚ドロー!よし、手札からマジックカード調律を発動!デッキトップを墓地へ送り、シンクロンと名のつくモンスターを1枚手札に加える!ハイパーシンクロンを手札に!そのまま召喚!さらに墓地のボルトヘッジホッグを特殊召喚!」

 

「ここまで展開できるとは・・・!」

 

「レベル4ハイパーシンクロンで、レベル2シールドウイング、レベル2ボルトヘッジホッグをチューニング!こい!スターダストドラゴン!」

 

スターダストドラゴンが場に出ると、カイザーはこれまでの始めてこいつを見た奴らと同じように見惚れていた。しかし、すぐに気を取り直し、こちらを見る。

 

「スターダストドラゴン・・・。ここまで持ち直すとはな。しかしサイバーツインドラゴンには攻撃力が足りないようだな」

 

「それはどうかな?ハイパーシンクロンがシンクロ召喚の素材となった時、召喚したシンクロモンスターの攻撃力をエンドフェイズまで800アップさせる!」

 

「なに!?」

 

スターダストドラゴンATK2500→3300

 

「これで問題はねぇ!スターダストドラゴンでサイバーツインドラゴンに攻撃!」

 

力の増したスターダストドラゴンのブレスが、サイバーツインドラゴンを爆砕する。

 

丸藤亮LP4000→3500

 

「そしてリバースカードオープン、バスターモード!場のスターダストドラゴンをリリースし、デッキからスターダストドラゴン/バスターを特殊召喚!」

 

どこからか装甲が飛んできてスターダストドラゴンに装備されていく。そして、最後には鎧に身を包みパワーアップしたスターダストドラゴンが現れる。こいつもそうだけど/バスターってこれ色々とついただk(ry

 

「/バスターだと・・・?」

 

「続けて戦闘するぞ!スターダストドラゴン/バスターでプロトサイバードラゴンに攻撃!」

 

「くっ・・・」

 

スターダストドラゴン/バスターのクローがプロトサイバードラゴンに突き刺さり、プロトサイバードラゴンはコピー機が故障した時のような音を発して爆発する。

 

丸藤亮LP3500→1600

 

「俺はこれでターンエンドだ」

 

遊雅

手札1枚

場1枚

伏せ1枚

 

まさに焼け野原。カイザーは手札もなく、場には伏せカードもない。そしてこちらにはスターダストドラゴン/バスターがいる。カイザーは目を見開き、呆然としている。

 

「俺のターン・・・カードを1枚伏せてターンエンド」

 

丸藤亮

手札0枚

場なし

伏せ1枚

 

「俺のターン。バスター・ビーストを召喚。スターダストドラゴン/バスターでダイレクトアタック」

 

「リバースカードオープン、聖なるバリアミラーフォース」

 

「スターダストドラゴン/バスターの効果、魔法・罠・モンスター効果をこのカードをリリースして無効にし破壊する。バスター・ビーストで攻撃」

 

バリアが張られ、カイザーを攻撃から守るが、スターダストドラゴン/バスターのブレスにより破壊され、バスター・ビーストの攻撃で勝負がついた。

というかスターダストドラゴン/バスターがいたから良かったが、素の引きでミラフォ引くとかどーなってんだよ。

 

丸藤亮LP1600→−300

 

「・・・いいデュエルだった。まさかここまで完膚なきまでにやられるとはな・・・」

 

デュエルが終わり、カイザーが近づいてきてそう言う。いやホントいつも以上に回ったなぁ・・・。

 

「ここまで一方的にやられたのは久しぶりだ」

 

「アカデミア1のデュエリストと戦えたのはこっちとしてもいい経験だったよ」

 

遊雅がそう言うとカイザーは一瞬キョトンとした顔をして、その後苦笑した。

 

「負けた以上その称号は遊雅のものだがな」

 

「うへぇ、そういうのはいらねぇわ。このデュエルの結果は秘密にしといてくれ」

 

「そうなのか・・・?まあいい、そうしよう。しかし、1つ頼みがある」

 

「ん?なんだ?」

 

「またこうしてデュエルしてくれないか?最近ここまで手応えのある相手がいなくて困っていた。次は負けない」

 

そう言うカイザーの目にはすでに闘志のようなものが燃えていた。その姿に、遊雅はどこかで見たことあるような・・・と少し考えた後、苦笑しながら快諾した。

 

「ああ、俺でよければ喜んで。せっかくだし、PDAの番号交換しとこうぜ」

 

そうして番号をお互いに登録して帰っていったカイザーの後ろ姿を見ていると、横にアバターがフヨフヨと現れる。

 

『なんだか遊城十代のような者でしたね』

 

「お前もそう思うか?」

 

『ええ。雰囲気や性格ではなく、根本にあるデュエルへの想いのようなものが似ていますね。・・・まぁ、マスターの方が素晴らしいですが!実際勝ちましたしね!さすがは我がマスター!』

 

「露骨に褒めてもアニメは見せないからな」

 

『バカな!?』

 

そんな話をしながら遊雅達は帰るのだった。




スターダストドラゴン「違う!なんか微妙に俺じゃない!」
サイバーエンドドラゴン「俺出てすらねぇ!」




カイザー戦が思ったよりサッパリ終わっちまった・・・。


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第16話 おはぎはきな粉派です(唐突)

タイトルは内容と関係ありません。
デュエルない上に超無理矢理展開。


カイザー・・・亮とのデュエルを終えて部屋に戻ると、ブルー狩りの疲れからくる睡魔に抗えず、翌日までぐっすりと眠った。

 

「はぁ?退学ぅ?十代達が!?」

 

翌日、教室で明日香に会うと、十代達が退学処分になりそうだという話を聞かされた。なんでやねん・・・。

 

「ええ、立ち入り禁止の廃寮に侵入したってことでね」

 

「で、明日香も廃寮に入ったのに十代達だけが処罰されることになったと

・・・」

 

「おそらくレッド生徒だから、ということね。私も廃寮に入ったのだから同罪だって抗議したんだけど、却下されちゃって・・・」

 

まったく、生徒だけでなく教師までレッドアンチかよ。とことんまで差別が浸透してんなぁ。

 

「俺ちょっと行ってくる」

 

「え!?待ちなさい!行っても無駄よ!第一あなたは当事者じゃないでしょう!?」

 

校長室へ特攻しようとする遊雅を、慌てて止める明日香。しかし遊雅は滅多に見せない怒った顔で振り向く。

 

「当事者じゃなくても、俺は十代達の友達だ。友達を助けんのは当たり前だろ?」

 

その言葉にどうやっても引く気がないと悟った明日香は、ため息をつくと先を歩く遊雅に並ぶ。

 

「明日香?」

 

「私ももう一回いっしょに抗議するわ。十代達の友人は貴方だけじゃないのよ?」

 

そう言って先に進む明日香に、遊雅は嬉しそうに笑った。

 

 

 

 

「というわけで、十代達の制裁タッグデュエルはちょっと理不尽が過ぎると思います。どうか考え直してください」

 

「もし彼らを罰するのなら私も罰するべきです」

 

遊雅と明日香は現在、校長の鮫島に抗議していた。鮫島校長は2人の話を黙って聞き、そして困った顔をした。

 

「君達の意見は確かにわかる。しかし、制裁タッグデュエルの件は私ではなく倫理委員会の管轄だ。残念ながら私にはどうすることもできないんだよ」

 

校長の言葉には嘘の気配は感じられず、本当に申し訳ないという気持ちが込められていた。このまま校長に抗議しても状況が変わらないことを悟り、2人は仕方なく礼をして校長室を出た。

 

 

 

その後、件の2人はどうしているのか、とレッド寮を訪れると、十代と翔はお互いのデッキを持ち寄って相談していた。翔の横には隼人もいる。

 

「どうやってもお互いに相手に合わせるのは難しいし、邪魔だけしないようにする方針で行くか!」

 

「そうっすね、無理に合わせようとすると破綻しそうだし」

 

「翔、このカードも使えると思うんだなぁ」

 

「あ、そっか!確かに!」

 

どうやらお互いのデッキを確認してタッグデュエルの打ち合わせをしているらしい。一番驚いたのは、ヘタレの翔が真剣な顔でデッキを調整しており、やる気に満ち溢れていることだ。

 

「お?どうしたんだ遊雅と明日香?突っ立ってないで上がれよ」

 

「よう、聞いたぜ。随分とややこしいことになってんな」

 

「ああ、まさか廃寮に肝試しに行っただけでこんなことになるとは思わなかったぜ」

 

「翔は随分やる気ね。私てっきり塞ぎ込んでると思ったわ」

 

「・・・正直アニキの足手まといになるかもって思うと怖いっす。でもオイラはこんな所で終わりたくないんす!兄さんに認めてもらうためにも!」

 

「翔・・・」

 

なんだか知らないがやる気があるというのはいいことだ。ここは友人として最大限サポートせねば。

 

「お前らの意気込みはよくわかった。よし、俺がデュエルして調整を手伝ってやる!」

 

「私も手伝うわ。廃寮に入ったのは私も同じだもの。2人の力になれるのならいくらでも手を貸すわ」

 

「俺もデッキ調整でサポートするんだなぁ」

 

「おお!サンキューな、3人とも!よーし!やるぞ!翔!」

 

「はいっす!」

 

こうして、俺と明日香も加わり、途中別の用事で訪ねてきた三沢も加わり、寮に戻る時間ギリギリまで2人のデッキ調整は続いた。

 

 

 

 

そして制裁タッグデュエル当日、クロノス先生の呼んだデュエリスト、迷宮兄弟とのタッグデュエルは、翔がパワーボンドで呼び出したユーフォロイドファイターによって十代達が見事勝利した。

 

「やったぜ、翔!」

 

「やったっすよアニキ!」

 

2人がデュエル終了とともに大喜びしている。対戦相手の迷宮兄弟、まさかゲートガーディアンなんて使ってくるとは思わなかった。・・・俺もあの人らとやってみたいな。

 

「ま、なにはともあれ、これで退学はなくなったわけだ」

 

「そうね。やっと安心できたわ」

 

十代達のデュエルを一緒に観戦していた明日香と安堵のため息をこぼす。多少危なっかしくはあったが、勝てた以上文句はない。

その後勝利を祝って十代達の部屋でちょっとしたパーティーをした。デッキ調整の際たまたまやってきてアドバイスをくれた三沢や明日香も呼び、みんなでデュエル内容やカードの話題などの話をしながら、菓子食って盛り上がった。

 

 

 

「随分遅くなっちまったなぁ」

 

『マスター達だけずるいですよ。私もお菓子食べたかったです』

 

「お前いつもこっそり俺の分食ってんだろうが。バレてないとでも思ったかこの野郎」

 

『・・・なんのことでしょう?』

 

日も落ち、誰もいないのをいいことに、アバターと雑談しつつ寮へ帰る。すると、どこからか声が聞こえた。

 

『見つけたぞ、イレギュラー!』

 

「?誰だ?」

 

しかし声の主は見当たらず、気のせいだと判断して歩き出す。

 

『!?マスター!伏せて!』

 

すると突如アバターが俺へと黒い触手状にした体を伸ばしその場に伏せさせる。その直後、ちょうど頭のあった位置をなにかが猛スピードで通過して行く。

 

「おわぁぁぁ!?なんだ!?」

 

慌てて起き上がり、最近なりを潜めていたブルー生徒の奇襲か?と反射的にデュエルディスクを構える。アバターも内包する闇を吹き出し、襲撃者へと殺気を向ける。

 

「・・・バイク?」

 

そこには、バイクのような乗り物に乗った悪趣味な仮面の男がいた。仮面で顔は見えないが、こちらを観察するように見てくる。

 

「いきなり随分と手荒いことするじゃねえか。ブルー生徒・・・というかアカデミアの人間じゃないな。なんだお前?」

 

「・・・」

 

こちらの質問に全く答えようとしない。何やら得体の知れない妙な感覚を感じ、無意識に後ろに下がる。

 

「イレギュラー・・・貴様だな?歴史を歪め、この時代にシンクロを広めたのは!」

 

「はあ?歴史を歪めた?なに言ってんだお前」

 

『マスター、後ろに下がってください!こいつ、何かやばいです!』

 

アバターもかつてないほどに警戒心を露わにする。すると襲撃者は忌々しげにつぶやく。

 

「精霊・・・いや邪神に魅入られているのか。やはり貴様は排除すべきバグだな」

 

『・・・オイ貴様。今なんと言った。マスターをバグだと?排除するだと?・・・いい度胸だ、今すぐそのふざけた仮面ごと顔面を粉々にしてやろうか!』

 

瞬間、アバターから感じる闇の瘴気が爆発的に膨れ上がる。

 

「待て、アバター。・・・あんた俺に用があるみたいだが、そちらは俺のこと知ってるみたいだが、こっちはあんたのこと知らねえんだけど。名乗れよ」

 

アバターをなだめつつ謎の襲撃者を睨みつける遊雅。そんな視線を意に介さない襲撃者は、仮面を外しつつ答える。

 

「私の名はパラドックス。未来を変えるため、デュエルモンスターズを抹消することが我が目的だ」

 

「・・・笑えねぇ冗談だ」

 

デュエルモンスターズを抹消?何を言ってるんだこいつは。それに未来だと?

 

「冗談などではない。私はデュエルモンスターズにより荒廃した未来から来たのだ!」

 

「荒廃・・・?」

 

「そうだ!荒廃の原因となったシンクロ召喚、そして大元であるデュエルモンスターズを歴史から抹消することこそ我が使命だ。本来の歴史ではシンクロ召喚はまだはるか先の召喚法だ。・・・しかし、貴様のせいでシンクロ召喚の登場が早まっている。これは許されざる事態なのだ!このままでは滅びの日が早まってしまう可能性がある。故にその原因たる貴様には消えてもらわねばならない!」

 

・・・正直何言ってんだこいつって感じだ。しかし、こいつが只者ではなく、かつ俺が狙われていることはわかる。

 

「あいにくと俺はまだ死にたくないんでね。消えてもらわねばならないとか言われても困るんだが」

 

そう告げると、パラドックスはおもむろにバイクのボタンを押す。すると急にバイクが変形し、空へ浮かぶ。

 

「いいや、貴様は消させてもらう。デュエルモンスターズの生みの親であるペガサスもだ!私は滅びの未来を変えねばならないのだ!」

 

そう言ってパラドックスが手をかざすと、デュエルフィールドのような空間が広がる。・・・今、コイツハナンテイッタ?

 

「おい、てめえ。今、俺の耳には確かペガサスさんを消すって聞こえた気がするんだが?」

 

「そうだ。ペガサスさえ消して仕舞えば、デュエルモンスターズが現れることもなくなる!そうすれば未来の荒廃を避けることができるのだ!」

 

何やら興奮して叫ぶパラドックス。遊雅はそれを静かに聞いており、不気味なまでに静かな遊雅をパラドックスが睨む。しばらくの静寂の後、遊雅が喋り出す。

 

「いいセリフだ。感動的だ。だが無意味だ」

 

「・・・なに?」

 

言葉に憤怒を添えて。

 

「てめえ、俺の恩人を・・・。ペガサスさんを消す?ははっ、ふざけんじゃねぇぞ。んなこと俺がさせるかよ。何が未来のためだ。何が荒廃した未来だ!んなもん知るか!俺にはあんたのいた世界がどんなことになってるかは分からねぇ。けどなぁ、恩人に手を出そうなんて言うてめえは今!この場でぶっ潰す!」

 

そう叫んだ遊雅をパラドックスは睨み、遊雅もまた睨み返す。そしてパラドックスが嘲りの表情を浮かべる。

 

「貴様ごときに私が止められるとでも思っているのか。いいだろう、あらゆる時代の最強カード達を集めた私のデッキに勝てると言うのなら、やってみせろ!」

 

「ほざけ!ぶっ飛ばしてやる!」

 

「「デュエル!!」」




仮面「悪趣味じゃないし・・・。ふざけてないし・・・」

次回vsパラさん


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第17話 もしかして、オラオラですかぁ〜!?(いいえ、ケフィアです)

タイトルは内容と関係ありません。

sinデッキが使いたかった。ただそれだけでパラさん登場。
そして息をするようにプレミ発生です_:(´ཀ`」 ∠):


パラドックス

vs

遊雅

 

「私の先攻だ!ドロー!」

 

デュエルディスクにより先攻が決められ、パラドックスからデュエルが始まる。

 

「貴様の死に場所に相応しい舞台を用意してやろう!私は手札から罪深き世界Sin Worldを発動する!さらにエクストラデッキからサイバーエンドドラゴンを墓地へ送り、sinサイバーエンドドラゴンを召喚!」

 

「この瞬間!俺は手札から増殖するGを墓地へ送る!このターンお前が特殊召喚をするたびに俺はカードを一枚ドローできる!」

 

「面倒なカードを!」

 

パラドックスの場に白黒の妙な仮面や装甲をつけたサイバーエンドドラゴンが現れる。というかsinモンスターかよ。厄介だが確か場に1体しか召喚できないはず。それならやりようは・・・。

 

「さらに!デッキからレインボードラゴンを墓地へ送り、sinレインボードラゴンを召喚!」

 

・・・はぁ!?

 

「なんでsinが普通に並べれるんだよ!?」

 

「?貴様は何を言っている?」

 

パラドックスは惚けているのではなく本気で遊雅が何に驚いているのか分かっていなかった。sinサイバーエンドドラゴンの横に、似たような装甲を纏ったレインボードラゴンが現れる。

 

「〜〜〜っ!増殖するGの効果でドロー!」

 

何がどうなっているのか、俺の知っているsinモンスターと若干違う。アバターと同じ状況か。sinモンスターを普通に展開できるだって?ふざけんな!ペンデュラムも真っ青の鬼畜仕様じゃねえか!しかも素材は墓地行きか!蘇生し放題とか頭逝ってんのか!?

 

「何をそんなに驚いているのかは知らんが、絶望はまだこれからだ!私はさらにエクストラデッキからスターダストドラゴンを墓地に送り、sinスターダストドラゴンを召喚する!」

 

これで高火力sinが3枚ですよ奥さん。まー最近の若いもんは火力ばっかりもとめていやぁねぇ。

 

『マスター。現実逃避してる間ではありませんよ』

 

「・・・増殖するGの効果で1枚ドロー」

 

「カードを1枚伏せターンエンド!さあイレギュラー!ここからどう巻き返してくる!」

 

パラドックス

手札1枚

場3枚

伏せ1枚

フィールド魔法 sin world

 

「俺のターン!」

 

しかし、あいつの前のターンの怒涛の特殊召喚で手札が潤った。相手の場にはATK4000クラス2体とフィールド魔法を守るSinスターダスト。フィールド魔法がなければ自壊するSinであるが、スターダストがいる以上フィールド魔法に手は出せない。まさに難攻不落の城である。

だからどうした。

ペガサスさんからの恩を返すまで、俺は死なないと誓ったのである。

 

「手札からワンフォーワンを発動!手札のモンスターを1枚墓地へ送り、デッキからレベル1モンスターを1体特殊召喚できる!俺はレベルスティーラーを守備表示で召喚!さらにモンスターを1体伏せ、カードを2枚伏せターンエンド!」

 

遊雅

手札3枚

場2枚

伏せ2枚

 

「私を潰すなどとのたまっておきながら随分と消極的なものだ。私のターン!バトルだ!やれ!sinスターダストドラゴン!レベルスティーラーを破壊しろ!」

 

sinスターダストドラゴンがレベルスティーラーを文字通り虫けらのように潰す。あっ、なんかちょっとグロい・・・。

 

「そしてsinサイバーエンドドラゴンでセットモンスターに攻撃!エターナルエヴォリューションバースト!」

 

「セットモンスターはプチトマボー!こいつが戦闘で破壊されたため、デッキからトマボーと名のつくモンスターを2体まで召喚できる!俺はプチトマボーを2体召喚!」

 

「ならばsinレインボードラゴンでプチトマボーに攻撃!」

 

「リバースカードオープン!和睦の使者!」

 

「チィ!面倒な・・・。私はカードを1枚伏せターンエンド」

 

パラドックス

手札1枚

場3枚

伏せ2枚

 

「俺のターン!手札からカードを1枚捨ててクイックシンクロンを特殊召喚!さらに墓地のレベルスティーラーの効果で、場のクイックシンクロンのレベルを1下げて召喚!レベル4となったクイックシンクロンで、レベル1レベルスティーラーをチューニング!シンクロ召喚!ジェットウォリアー!効果で、シンクロ召喚に成功した時、相手のカードを1枚手札に戻す!sinレインボードラゴンを対象にとる!」

 

「チッ・・・」

 

ジェットウォリアーが巻き起こした突風でsinレインボードラゴンが手札にかえる。・・・伏せカードはなんだ・・・?

 

「今は行動あるのみ!墓地のラッシュウォリアーの効果!こいつを除外して墓地のシンクロンモンスターを手札に加える!俺はハイパーシンクロンを選択!」

 

「手札コストとワンフォーワンか・・・」

 

「ご明察!手札からシンクロンキャリアーを召喚!こいつがいる限り、俺は通常の召喚に加えてシンクロンモンスターを1度だけ通常召喚出来る!こい!ハイパーシンクロン!レベル2プチトマボーで、レベル2シンクロンキャリアーをチューニング!現れろ!アームズエイド!」

 

「ふん、そして今度はハイパーシンクロンでシンクロ召喚というわけか」

 

「何を勘違いしてやがる」

 

「・・・何?」

 

「俺は墓地のレベルスティーラーを、ジェットウォリアーのレベルを下げて召喚!さあ、これでレベル4モンスターが2体揃った!」

 

『レベル4が2体・・・!来ますね!マスター!』

 

「多分ネタなんだろうけど分かんねえからスルーで!俺はレベル4のハイパーシンクロンとジェットウォリアーで、オーバーレイ!」

 

「!?なんだ!?なんだその召喚は!?」

 

「現れろ!ランク4!No.39!希望皇ホープ!」

 

エクシーズ召喚。まだこの世界においては普及どころか使えるのが俺だけの召喚法。普段はシンクロ召喚で事足りるため社長戦以来使ってこなかったが、こいつにそんな配慮はしない。俺の持ちうるすべての戦力で叩く!

 

「これがエクシーズ召喚、シンクロ召喚のその先にある未来だ!」

 

「シンクロ召喚の先・・・」

 

「お前らの世界が滅んだってのは俺にはよくわからねえ」

 

実際どうなんだカードゲームで世界が滅ぶって。身もふたもないこと言うとこれただのTCGだぞ?

 

「だが他になかったのか!ペガサスさんや俺を消すんじゃなく!どうしてあえて誰かが傷つく方法をとる!」

 

「・・・黙れ」

 

「人を傷つけて手に取る未来なんて虚しいと思わないのか!」

 

「黙れぇ!!」

 

遊雅の説得をパラドックスが遮る。その目には怒りと憎しみ、そしてほんの少しの諦観が滲んでいた。

 

「貴様に何が分かる!滅びゆく世界をただ見続けるしかなく、滅びを止めるすべが何1つないと言う絶望を知らぬ貴様に!これは私たちイリアステルが見つけたたった1つの『答え』だ!」

 

「故に私は誓ったのだ!全ての罪を被ってでも、未来の人々のために過去のデュエルモンスターズに関わる全ての人々を殺してでも、未来を変えると!」

 

激昂するパラドックスに、遊雅は一瞬悲しげな顔をした。しかしすぐに気を取り直し、デュエルを続ける。

 

「こっの・・・!馬鹿野郎!俺はさらに希望皇ホープをランクアップ、エクシーズチェンジ!現れろ!SNo.39希望皇ホープ・ザ・ライトニング!」

 

「ランクアップ・・・エクシーズチェンジだと!?」

 

「さらに!手札からマジックカード、死者への手向けを発動!手札を1枚捨て、sinスターダストドラゴンを墓地へ送る!」

 

「させん!リバースカードオープン、マジックジャマー!手札を1枚捨て貴様のマジックカードの効果を無効にする!」

 

「問題ないね!墓地へ行ったボルトヘッジホッグの効果!場にチューナーのプチトマボーがいるので、墓地から召喚!さあさあ行くぜ!レベル2プチトマボーで、レベル4アームズエイドと、レベル2ボルトヘッジホッグをチューニング!来い!スターダストドラゴン!」

 

「馬鹿な!?貴様が何故そのカードを!?」

 

なぜかエクシーズ召喚を見たとき以上に驚愕するパラドックス。

 

「さぁな!イレギュラーって奴だろうさ!バトル!ホープ・ザ・ライトニングでsinサイバーエンドドラゴンに攻撃!」

 

「自爆による効果発動か・・・?リバースカードオープ・・・!?発動しない!?」

 

「ホープ・ザ・ライトニングが攻撃するとき、相手はダメージステップ終了時までカード効果を発動出来ない!さらにエクシーズ素材に希望皇ホープを使用しているため、エクシーズ素材を2つ取り除くことで、こいつはダメージ計算時のみ、攻撃力が5000となる!」

 

「なっ!?」

 

パラドックスLP4000→3000

 

「俺はこれでターンエンド!」

 

遊雅

手札0枚

場3枚

伏せ1枚

 

「くっ・・・。そのような強力なカード、そして新たな召喚法があるとは・・・。チューナーでなくともレベルさえ合わせれば素材となる、しかし効果の使用に素材となったカードを墓地へ送る必要があり、結果の使用回数に制限があることがデメリットとして挙げられる・・・と言うところか?」

 

おいまじかこいつ。初見のはずの召喚法のデメリット看破しやがったぞ。頭どーなってんだよ。

 

「だが私は負けられんのだ!私のターン、ドロー!貪欲な壺を発動!墓地のモンスター5枚をデッキに戻し、2枚ドロー!私は再度、デッキのレインボードラゴンを墓地へ送り、sinレインボードラゴンを特殊召喚!さらにデッキから青眼の白龍を墓地へ送り、sin青眼の白龍を特殊召喚!いくぞ!sinレインボードラゴンでホープ・ザ・ライトニングを破壊!」

 

「ちいっ!」

 

遊雅LP4000→2500

 

「さらにsinスターダストドラゴンでレベルスティーラーを破壊!最後に、sin青眼の白龍で貴様のスターダストドラゴンを攻撃!」

 

「そいつは通さん!リバースカード、くず鉄のかかし!」

 

「ふん、悪あがきを・・・。私はこれでターンエンド」

 

まずいな・・・。手札は無い。場にはスターダストドラゴンのみ。伏せは先生。ドロー次第で負けが決まっちまう。

 

「頼む・・・。力を貸してくれ!ドロー!」

 

デッキに手をかけ、祈りながらドローする。

 

「!俺は貪欲な壺を発動!墓地のモンスターを5枚デッキに戻して2枚ドロー!」

 

!これ・・・。

 

『ええ〜』

 

『どした?十代』

 

『遊雅、これデッキに入れてないのか?もったいねぇ!』

 

『どれ・・・ああこれか。いやなんていうか、理由は言えねぇがちょっとデッキに入れるのに抵抗が・・・』

 

『入れとけって!絶対役に立つから!な!』

 

・・・そういえば十代に一部のデッキを見せたときに勧められて1枚だけ入れてたな。さすがはチートドローの王、ドローに関してはマジで神だな。明日なんか奢ろう。

 

「サンキュー十代!俺はマジックカード強欲な壺を発動!デッキから2枚ドロー!さらに手札からワンフォーワンを発動!手札のモンスターを捨て、デッキからレベルスティーラーを特殊召喚!墓地に行ったグローアップバルブの効果!デッキトップを墓地へ送り、こいつを蘇生!レベル1グローアップバルブで、レベル1レベルスティーラーをチューニング!シンクロ召喚!シンクロチューナー、フォーミュラシンクロン!効果で1枚ドロー!」

 

「シンクロチューナーだと!?貴様まさか・・・!アクセルシンクロを!」

 

「アクセルシンクロ?ああ、友達はそう言ってたっけか。やっぱいいな、アクセルシンクロって。・・・俺はレベル2フォーミュラシンクロンで、レベル8スターダストドラゴンをチューニング!アクセルシンクロ!こい!シューティングスタードラゴン!」

 

場のスターダストドラゴンが、フォーミュラシンクロンの作った光の輪を潜ると、突然姿を消す。その後夜の暗い闇の向こうから、光速でシューティングスタードラゴンが招来する。

 

「シューティングスタードラゴンの効果!こいつで攻撃するとき、デッキを上から5枚めくり、その中のチューナーの枚数までこのターン攻撃出来る!めくった中のチューナーの数は・・・2枚!」

 

「複数攻撃だと!?」

 

「いけ!シューティングスタードラゴン!sin青眼の白龍に攻撃!」

 

「そこまでだ!リバースカードオープン、聖なるバリアミラーフォース!」

 

「シューティングスタードラゴンの効果!フィールドのカードを破壊する効果を1ターンに1度だけ無効に出来る!」

 

「なっ!?」

 

「さらに発動!速攻魔法イージーチューニング!墓地のチューナーを除外して、そのチューナーの攻撃力分俺の場のモンスター1体の攻撃力をアップする!ハイパーシンクロンを除外!攻撃力は1600アップ!」

 

シューティングスタードラゴンATK3300→4900

 

「グオォォッ!」

 

パラドックスLP3000→1100

 

「続いてsinスターダストドラゴンを攻撃!これでトドメ!!」

 

「待ってもらおう!攻撃前に速攻魔法、神秘の中華鍋を発動!私はsinスターダストドラゴンをリリースし、ライフを2500回復する!」

 

パラドックスLP1100→3600

 

「ならsinサイバーエンドドラゴンを破壊!」

 

パラドックスLP3600→2700

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド!」

 

遊雅 手札0枚

場1枚

伏せ2枚

 

遊雅の猛攻をくぐり抜けたパラドックスだったが、パラドックスのフィールドは完全に崩壊していた。

 

「・・・認めない。このような結末は、決して認められない!」

 

しかしパラドックスの闘志はまだ衰えなかった。

 

「私のターン!私はフィールド魔法sin worldの効果により、デッキからsinと名のつくモンスターをランダムに手札に加える!sinパラレルギアを召喚!こいつは手札のsinと名のつくモンスターを素材としてシンクロ召喚出来る!」

 

「手札シンクロか・・・!」

 

「私は場のsinパラレルギアで、手札のsin青眼の白龍をチューニング!現れよ!sinパラドックスドラゴン!」

 

パラドックスの場に新たな大型モンスターが姿をあらわす。そのこれまでと違う異質な感覚に遊雅は警戒心を上げる。

 

「sinパラドックスドラゴンの召喚に成功したとき、墓地のシンクロモンスターを1体召喚し、そのシンクロモンスターの攻撃力分貴様のモンスターの攻撃力を下げる!私はスターダストドラゴンを召喚!

そして手札からマジックカードsin selectorを発動!墓地のsinスターダストドラゴンとsin青眼の白龍を除外して2枚のsinモンスターを手札に加える」

 

シューティングスタードラゴンATK4900→2400

 

「バトルだ!スターダストドラゴンよ!奴のモンスターを葬り去れ!」

 

「リバースカードオープン、くず鉄のかかし!」

 

「だがこれは止められまい!sinパラドックスドラゴンで攻撃!」

 

「舐めんな!和睦の使者!」

 

「くっ・・・、またしてもそれか。私はこれでターンエンド」

 

パラドックス

手札2枚

場2枚

伏せなし

 

「俺のターン!・・・いくぞ。バトルフェイズ!シューティングスタードラゴンの効果!デッキの上から5枚を確認!チューナーの枚数は・・・3!よって3回攻撃出来る!」

 

「だがシューティングスタードラゴンの攻撃力は下がっている!パラドックスドラゴンはおろか、スターダストにさえ勝てはしないぞ!」

 

「ちゃんと引いてるさ、最後の駄目押しはなぁ!速攻魔法コンセントレイト!このターン攻撃する俺のモンスター1体の攻撃力をそのモンスターの守備力分アップする!よってシューティングスタードラゴンの攻撃力は2500アップ!」

 

「な!?」

 

シューティングスタードラゴンATK2400→4900

 

「いけ!シューティングスタードラゴン!」

 

「馬鹿な!私の、最強のデッキが・・・!」

 

パラドックスLP2700→300

 

「トドメだ!ラスト、いっけぇぇぇぇ!」

 

「おのれぇ!!」

 

パラドックスLP300→−600

 

 

 

 

 

 

ふう、勝てた。最後まで気を抜くことができないデュエルだった。過度に緊張してたせいか、終了と同時に体から力が抜ける。

 

『お疲れ様です。マスター、かっこよかったですよ?』

 

倒れる寸前、アバターが触手的なので助け起こしてくれる。このくらいの気遣いを毎日してくれれば良い精霊(邪神)って言えるのになぁ・・・。

 

「アバター。パラドックスのとこに行ってくれ」

 

体が動かないため、アバターにそう頼む。しかしアバターは動こうとしない。

 

『よろしいのですか?危険と思われますが・・・』

 

「いいから」

 

しぶしぶといった感じで動き出すアバター。パラドックスは、放心し、膝をついていた。

 

「俺の勝ちだ。あんたもデュエリストなら負けた以上退いてくれるよな?」

 

そう告げると、パラドックスは忌々しげではあるが頷く。

 

「・・・わかっている。私はもう歴史に干渉しペガサスやその他のデュエルモンスターズに関わる人間へ危害を加えることはしないと誓おう。すまない、Z-ONE・・・」

 

そう言って立ち上がり、乗ってきたバイクへ向かうパラドックス。しかし、アバターがそれを呼び止める。

 

『待て、貴様。話がある』

 

まさかアバターの方からパラドックスに話しかけるとは思わず、驚愕する。パラドックスの方もやや目を見開いている。いつものじゃしんモードじゃねぇ・・・!邪神(ガチ)モードだ!

 

「なんだ、邪神よ。貴様の主人を笑ったことなら謝罪しよう」

 

『それは確かにぶっ殺したいほどにいらつくが、その話ではない。貴様の言う滅びの未来とやらの原因はなんだ』

 

「そんなことを知って何になる?」

 

『言え』

 

またしてもアバターが威圧感を放つ。それに気圧されたのか、パラドックスはゆっくりと話し出す。

 

 

 

『なるほど、シンクロ召喚の発展とそれに伴うモーメントの暴走・・・』

 

は、話が重えぇぇぇぇ!なんだこの誰も悪くないけど皆が悪いみたいなややこしい話!

 

「だから私はモーメントとつながりの深いデュエルモンスターズを消すことで世界を救おうと考えたのだ。最も、貴様に阻まれたのだがな」

 

そう言って影のある笑みをこぼすパラドックス。しかし、あっけらかんとアバターが言い放った。

 

『それ多分私がいればなんとかなりますよ』

 

「「・・・はぁ(何ぃ)!?」」

 

『私ってばほら、邪神ですから。人の悪意とか欲望とかを取り込んで力を得るタイプの神ですし、モーメントとやらが完全に手遅れになる前に私が行けばなんとかなりますよ多分』

 

おそらく今俺とパラドックスは( ゚д゚)と言う顔なのだろう。なんだそれは、いくらこの世界に来てから力が増したって言っても、増しすぎだろう。

 

「本当に・・・そんなことが可能なのか・・・?」

 

『私がその現場に行くこと、それとマスターが一緒に行くことができる、これだけクリアできれば多分』

 

「・・・そうか」

 

アバターの話を聞いて、パラドックスはさっきまでの真顔や悪意に満ちた顔ではなく、心からの安堵の表情を浮かべていた。

 

「な?言ったろ?他にも解決策はあるって。考えることを放棄しなければ希望なんて見つけられるもんなんだよ」

 

そう言って笑う遊雅を見て、パラドックスも始めて笑みを見せる。

 

「・・・ふっ、そうだな。・・・礼を言う、邪神よ」

 

『貴様のためではない。あくまでこれ以上マスターにちょっかいを出されるよりマシだと思ったから手を貸すだけだ』

 

そう言うと、アバターは俺のデッキケースの中へ入っていった。

 

「・・・悪いな、ツンデレしてるからうちの神」

 

「・・・本当なら直ぐにでも連れて行きたいところだが、私のD-ホイールは2人の人間を時間移動で乗せることができない作りだ。Z-ONE達との相談もある。今日のところはもう行かせてもらう」

 

「へぇ、そんな名前なんだそのバイク・・・わかった。こっちとしても最低でもペガサスさんとの約束のシンクロの普及までぐらいは終わらせてからにしたかったし、問題はねぇ」

 

パラドックスと遊雅は、お互いに向き合い、今後のことを話す。

 

「我々との情報共有のための人員をこちらに送る。来たるべき日には貴様に連絡を入れよう」

 

「分かった。それまでにはこっちの用事も終わらせとくさ」

 

それだけ話すと、パラドックスはD-ホイールに乗り込む。その後ろ姿に、遊雅が声をかける。

 

「じゃあな、パラドックス!また会おう!最初はなんか嫌な出会い方だったけど、デュエルなんだかんだで楽しかったぜ!」

 

「!・・・ああ、次は私が勝つ」

 

「言ったな?やってみろってんだ」

 

ニシシと笑う遊雅につられてわずかに笑みを浮かべると、パラドックスはそのまま消えていった。

 

「・・・さて、寮に帰るかね」

 

1つ伸びをしてそう呟くと、遊雅は寮へと帰っていった。




sinトゥルースドラゴン(;ω;)
sin真紅眼の黒龍(;ω;)

遊雅のガチデッキその1
蟹海老混合デッキ
某蟹と某海老の使ったカードと、それに役に立つカードで作られたデッキ。
(蟹6:海老2:その他2)
今回登場しなかったが、原作効果となったクエン酸や希望皇龍も混入している。ちなみに実際にデュエルで使うと、驚くほど回らない。原因はドローソースの不足による手札枯渇。しかし決まるときは派手に決まる。


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第18話 ハンバーーーーーグ!

タイトルは内容とは関係ありません。
今回はデュエルありません。


パラドックスとの出会いとデュエルから一夜明け、いつもの日常がまたやって来た。いつもと変わらず授業を受け、授業中にちょっかいをかけてくるアバターをこっそりしばき、十代達とデュエルし、途中でアニメアニメとうるさいアバターをしばき、夜は寝る前に持っているデッキを調整し、のぞいてくるアバターをしばく。

 

『ちょっと私しばかれすぎじゃないですか!?』

 

「黙れこの黒丸。少しは慎ましさってのを持てやコラ」

 

『最後に至ってはただ覗いただけですよ!?』

 

「じゃあ寝るぞー。電気消しといて」

 

理不尽ですー!と騒ぐ黒ボールを放置して眠りにつく。

その翌日。

 

「今日は編入生を紹介するノーネ!」

 

教室に入るなりクロノス先生がそう告げる。生徒達はどんな生徒か、特に男か女かで盛り上がる。

 

「編入生だってよ遊雅!どんなデッキ使うんだろうな!」

 

「お前はやっぱりそっちかい」

 

「?」

 

「では入るノーネ!」

 

どこまでいってもデュエル馬鹿な十代に呆れる遊雅。そんな生徒は放っておき、クロノス先生が編入生を呼ぶ。ドアが開くとともにざわついていた生徒達が黙る。入って来たのは、銀色の髪をツインテールにした女子生徒。それを見た男子が女子だー!と歓声を上げ、女子はそんな男子に白い目を向ける。おい待て明日香、俺と十代は歓声なんかあげてないだろ。こっちを見るな。

 

「簡単な自己紹介をどうぞでスーノ!」

 

「・・・レイン恵」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「・・・お、終わりなノーネ?」

 

「・・・はい」

 

「で、では席に着くノーネ。場所は・・・あそこなノーネ」

 

クロノス先生は戸惑いながらもレインに席に着くよう促し、レインは黙って頷くと席へ向かう。随分と無口な子だな・・・。翔なんかは「クールでいい・・・」とか言ってるし、他の男子も似たような話してる。隣になった奴に至ってはすでに話しかけているが、無視されて落ち込んでいる。・・・おいだから明日香。

 

「なんかあんまり喋らないやつだな。でもデュエル出来るのが楽しみだ!」

 

「本当にブレねえなお前」

 

デュエルのことしか考えていない十代に呆れつつも授業の準備をしている遊雅を、レインはずっと見つめていた。

 

 

 

授業が終わると、レインの周りには男子の人だかりが出来る。

 

「どこの学校から来たの?」

 

「彼氏とかいる?」

 

「オイラと付き合ってください!」

 

「ちくわ大明神」

 

男子ってのはどんな世界でも変わらないもんなんだなぁ。興奮しまくっている男子の怒涛の質問(たまに告白)に対して、レインは完全に無視している。というか翔が告白してなかったか?あと誰だ最後の。

 

「あなたはいいの?」

 

「別に。というかなんでこっち見てくんだよお前は。別に見とれても歓声上げてもなかったろうに」

 

「男ってのはああいう子が好きなんでしょ?見とれてはいなくてもじっと見つめていたじゃない」

 

「まぁ趣向によると思うぞ?見つめていたっていうかただ見てただけだし。あとなんでそれで俺と十代を睨むことになんだよ・・・」

 

俺が席で男子達の必死のアピールを眺めていると、明日香がやってくる。ちなみに十代はすでにドローパンを求めて購買へと旅立った。

 

「ほんと、男子って分かりやすい・・・」

 

「まぁそういう生き物だしなぁ・・・」

 

というかたまにお前のこと好きでアプローチしてる奴も見たことあるんだが。と思いつつ明日香と雑談し、放課後一旦部屋に荷物を置くと部屋を出る。廊下に1人になると同時にアバターが現れた。

 

「で、ちゃんと出来たか?」

 

『当然です。ちゃんと誰にもばれずに集合場所を書いた紙を渡しましたよ』

 

「おっけい、じゃ、先行っとくか」

 

 

 

放課後、授業が終わると遊雅は十代達と別れ校舎の裏の人気のない場所に来ていた。そこには先客ーーーレイン恵がいた。

 

「早いな。予定の時間はまだ先だけど」

 

「・・・だめ?」

 

「いやまあ話は早いほうがいい。それで、お前が『情報共有のための人員』でいいんだよな?」

 

「・・・うん」

 

「で、パラドックス達の話し合いはどうなったんだ?」

 

「・・・それについてはマスターが直接話すって・・・」

 

そう言ってレインはポケットからよくわからない端末を出し、操作する。すると、目の前にでかい機械に包まれたよくわからないやつが現れる。手ぇデカ!?

 

「!・・・なんだ?ホログラム?」

 

『初めまして、と言いましょうか。私はゾーン。パラドックスの仲間で、イリアステルのリーダーを務めています』

 

「あー、初めまして、遊雅です。・・・それで、パラドックスから話は聞いてると思うんですが、ゾーンさん達で出した結論はどうなりました?」

 

『私のことはゾーンで結構。結論を言うと、あなた達の力を借りることに決定しました。現在はあなたに使ってもらう時空間移動可能なパラドックスと同じ機能を持ったD-ホイールを製作中です。完成にはまだ時間がかかりますが・・・』

 

「まじか!あのいかついバイクくれんの!?」

 

『あなた達が我々の希望である以上サポートしていくつもりですので。それにこちらからあなたを連れて行くよりもそちらから来てもらう方が危険がないですから。ただ滅びの未来が早まるのを食い止めるためにメンバーのほとんどが動いているためあまり手を貸すことは出来ないかもしれませんが』

 

バイクくれたり、未来の勢力が手を貸してくれるとか、なんだこの日朝アニメみたいな状況。でもゾーン達の見た目といい俺の精霊といい、悪の組織的なアトモスフィアを感じる。

 

『こちらのレイン恵は、あなたと私の連絡の繋ぎ兼D-ホイールを送るための座標の役割を持っています。なのでなるべく一緒に行動していただけると助かります』

 

「了解、まあ準備ができたら呼んでくれ。うちの駄神を送るから」

 

『誰が駄神ですか!』

 

座標という言い方に少し違和感を覚えるが、とりあえずスルーしてアバターを罵倒する。アバターが憤慨しながら現れると、ゾーンがアバターをじっと見ていた。・・・なんだ?

 

『・・・なんだ貴様。何か言いたいことがあるなら言うといい』

 

おおっと邪神(ガチ)モード!最近じゃしん(笑)モードしか出てこなくて久しぶりの邪神(ガチ)モードじゃないか!

 

『あなたが邪神ですか・・・。失礼を承知で伺いますが、本当にモーメントの暴走を防げるので?』

 

・・・ゾーンは完全に信じているわけではないのか。まぁぽっと出の俺らを完全に信じろっていう方が無理か。それを聞いてアバターは気に食わないという声色で答える。

 

『当たり前だ。私は出来ないことは決して出来るとは言わない。確実に出来ると確信が持てるからこそあのパラドックスとかいうのに出来ると言ったのだ』

 

『・・・それを聞いて安心しました。ではレイン。あなたは今後彼をサポートしなさい。彼をサポートするためならあなたのデッキを使うことも許可します』

 

「・・・はい」

 

『では今回はこれで失礼します。また進展があれば連絡を入れましょう』

 

「おう、こっちもなるべく早くやることやっておくわ」

 

それだけ言ってゾーンのホログラムは消えた後、遊雅は欠伸をしつつレインに話しかける。

 

「んじゃまあ、そう言うわけでよろしくな。えっと、レイン?恵?」

 

「・・・呼びやすい方でいい」

 

「そっか。じゃあレイン、十代達には明日紹介するから。また明日」

 

「・・・また明日」

 

相変わらず無口というか寡黙なレインに苦笑しつつ遊雅は帰ろうと歩き出す。

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「・・・なんでついてくんの?」

 

「・・・マスターがなるべく一緒にいろって・・・」

 

「男子と女子の隔たりを超えてまで一緒にいろとは言ってねえよ多分!?お前は女子寮だからあっち!俺は男子寮だからこっちなの!わかった!?」

 

「・・・道わからない。来たばかり」

 

レインの言葉にガクッと肩を落とした遊雅は、とりあえずレインを女子寮へ送る。

 

(寮の場所くらい事前に調べとけよ!)

 

と心の中で叫びながら。ちなみに、この後遊雅がレインと連れ立って歩いているところや、女子寮へ送っているところを男子生徒に目撃されたことで、また遊雅への辻デュエルが激増し、それにより遊雅の心身の疲労も激増することとなった。それとアカデミアに明日香派とレイン派の二代派閥が出来た。なんの派閥かは・・・うん。

 

 

 

 

 

レインの編入から2日後、ブルーの真っ白に燃え尽きた屍を作りつつ自身も真っ白になりかけながら歩いていた遊雅は、十代と翔が騒いでいるのを見つけた。

 

「十代、翔。どうしたんだ?」

 

「あ、遊雅!それがな・・・」

 

 

 

「万丈目と三沢がデュエル?」

 

「そうっす、遊雅くんはどっちが勝つと思うっすか?」

 

「そうだな・・・」

 

万丈目がブルーからの降格をかけて三沢とデュエルを行うという話だった。出会った当初の万丈目なら三沢の勝ちと断言出来たんだが・・・。

 

「分からねえかなぁ・・・。三沢も前より強くなってるだろうけど、万丈目も最近の噂を聞く限り侮れなくなってると思うし」

 

噂というのは万丈目が最近レッドかどうかを問わずデュエルしているという噂である。なんでも最近は無敗だとか。会場へ歩きながらそう答えると、突然翔が鬼気迫る表情で掴みかかってくる。

 

「そうだ!噂で思い出したっすよ!遊雅くん、あのレインちゃんと付き合ってるって本当っすか!?」

 

「おわぁ!?なんだよ急に!?んな噂嘘だよ嘘!」

 

普段の翔からは考えられないくらいの力でガクガクと揺らされる。なんだこいつ・・・!まだ力があがるだと!?

 

「でも最近レインちゃんとよくご飯食べてたり、休み時間にも遊雅くんについて行くレインちゃんを見たって人がいるんすよ!?男子には基本無反応なレインちゃんがなんで!羨ましいっす!」

 

「わかったわかった、そんなことより離せ!首が、首が絞まってる!」

 

まさか未来から来た未来人でいつか俺を未来に連れていくために一緒にいるとは教えれない。だが翔の鬼気迫る顔を見ると生半可な言葉では話してくれそうもない。

 

「あ、あれだよ!たまたま最初に校内の案内したらそれ以来色々聞きにくるようになったんだよ!」

 

咄嗟とはいえなかなかにいい言い訳が出た。そう思っていると、翔にメガネがキラリと光り、

 

「ならオイラもレインちゃんを案内したいっす!」

 

などと言い出した。というかそもそもお前明日香に憧れてなかったか?

 

「いやそれは・・・」

 

「ああ!?やっぱりほんとは付き合ってるんすね!?」

 

「もうこいつめんどくせぇ!?十代、見てないで助け・・・いねぇし!?」

 

十代はこの時、早く三沢と万丈目のデュエルが見たいがために遊雅を見捨てていた。南無。

 

「・・・遊雅」

 

「ん?お、おう、レインか」

 

「レインちゃん!?」

 

そこへたまたまレインがやって来た。翔は突然の本人登場に思考停止し、遊雅はこれ幸いと翔から離れる。

 

「何してんだ?いちおうもう放課後だから寮に帰ってもいいはずだろ?」

 

「・・・デュエル。見に行こうと思って」

 

「ああ、迷ったわけか。ちょうど俺も行くとこだし、ついてくるか?」

 

そう言って歩き出す遊雅にコクンと頷くと、遊雅の斜め後ろをピッタリ付いて歩いて行く。そんな2人をぼーっと見ていた翔は、血涙を流しながら慟哭した。

 

「やっぱいい仲なんじゃないっすか〜!!」




さあて、ヒロイン枠1人登場させたはいいけど、恋愛なんて書けません。
理由?・・・体験したことのないことは書きづらいんだよ(血涙)


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第19話 俺たちの満足はこれからだ!完(嘘)

タイトルは内容と関係ありません。
プレミあったので一部修正・変更しました。


会場は多くの生徒で溢れかえっていた。

 

「おお、座れねえな」

 

「あ!遊雅ー!と、編入生だっけ?こっちだこっち!」

 

入り口からやや離れた場所に十代が座っていた。どうやらいくつか席を確保していたようで、こちらを呼んでいる。後からトボトボ歩いて来た翔を引きずりながら席に向かう。

 

「十代、置いて行くなよ」

 

「いやー、なんか長くなりそうだったからな。ところで、その子って編入生だよな?俺は遊城十代!十代って呼んでくれ!」

 

「・・・レイン恵」

 

「なーなー、レインはどんなデッキ使うんだ?後でデュエルしようぜ!」

 

「・・・却下」

 

テンションが2人とも正反対だからなんか会話が全然続いてない。というかレインが寡黙すぎる・・・!

 

「そんなことよりデュエル始まるし、静かにな」

 

 

 

デュエルリングには、ちょうど万丈目が登場したところだった。近づくものを邪魔と言わんばかりの鋭い目つきは相変わらずだったが、目の奥にあった他人を見下すような感情は見られない。あるのはただ勝利のみを目指す闘志だった。もしも今の彼を原作・漫画を見たことのある人が見ればこう評価するだろう。

『漫画版万丈目』と。

 

反対から出てきた三沢も、新しく一新した自らのデッキへの自信を胸にこのデュエルでブルーへの昇格を目指し進む。両者共に言葉を発さずリング上に上がると、クロノス教諭がジャッジとして間に立つ。

 

「それでは、シニョール三沢とシニョール万丈目の、デュエル開始ナノーネ!」

 

「「デュエル!!」」

 

三沢

vs

万丈目

 

先攻は万丈目となった。

 

「俺のターン!俺は手札からマジックカードトレードインを発動!手札のレベル8モンスターを墓地へ送り二枚ドロー!そして仮面竜を召喚!カードを2枚伏せターンエンド!」

 

万丈目

手札3枚

場1枚

伏せ2枚

 

「俺のターン!いくぞ!俺は手札のチェーンドックを墓地へ送り、チューナーモンスター、虚栄の大猿を特殊召喚!」

 

「へぇ・・・」

 

「チューナー!三沢のやつ初っ端から行く気か!?」

 

いきなりのチューナー登場に場が盛り上がる。十代と翔は驚愕し、遊雅もニヤリと笑う。周囲の歓声を気にしていないかのように万丈目は静かにチューナーをにらんでいる。

 

「虚栄の大猿は特殊召喚時に墓地へ送ったモンスターのレベル分、自身のレベルを上下させることが出来る!俺はチェーンドックのレベルぶん、レベルを下げる!さらに手札からレスキューキャットを召喚!そしてチェーンドックの効果で場に獣族モンスターが2体存在するため墓地から特殊召喚!レスキューキャットの効果!このカードを墓地へ送り、デッキからレベル3以下の獣族モンスターを2体特殊召喚出来る!デッキから、コアラッコとモジャを召喚!」

 

あっという間に場を埋めた三沢。どうやら彼の新しいデッキは獣族主体のシンクロデッキのようだった。怒涛の連続召喚に流石の万丈目もややたじろぐ。

 

「さあ行くぞ!レベル1となっている虚栄の大猿で、レベル4チェーンドック、レベル2コアラッコをチューニング!シンクロ召喚!こい!ボルテックバイコーン!さらに場のモジャをリリース!手札からキングオブビーストを特殊召喚!」

 

三沢の場に雷を纏った馬が駆け下り、その横で毛に覆われた巨大なケモノが蠢く。遊雅がよく使っているとはいえ、まだまだアカデミア内でも珍しいシンクロ召喚。それを1ターン目から決めた三沢に大喝采が送られる。・・・いやまあ遊雅はよくやるけども。

そんな中、相手の場のモンスターの総攻撃力は5000と絶体絶命の万丈目だが、その目はまだ諦めてはいなかった。

 

「バトル!ボルテックバイコーンで仮面竜に攻撃!」

 

「リバースカードオープン、ガードブロック!戦闘ダメージを0にし、デッキから1枚ドロー!さらに破壊された仮面竜の効果!デッキから攻撃力1500以下のドラゴン族モンスターを特殊召喚する!ランサードラゴニュートを召喚!」

 

「ならばキングオブビーストでランサードラゴニュートを攻撃!メインフェイズ2、俺はカードを1枚伏せターンエンド」

 

三沢

手札1枚

場2枚

伏せ1枚

 

怒涛の展開からのシンクロ召喚に観客席の生徒のみならず、ジャッジのクロノス教諭や他の教員も唸る。低レベルモンスターの連続召喚からのシンクロ召喚、それによる高火力モンスターの展開など、これまで遊雅が示してきたシンクロ召喚の力を改めて実感し、かつそのシンクロ召喚を使いこなす三沢に拍手が送られる。

そんな三沢は周りの賞賛を気にも止めず、万丈目を睨む。

 

(このまま終わるような男じゃない。何か隠しているものがあるはずだ)

 

万丈目は、追い込まれた自身を客観的に見ていた。

 

(なるほど、1ターンでここまでやれるとは、確かに三沢(こいつ)は強い。認めよう。だがーーーーーー遊雅(あいつ)よりは弱い)

 

ならば負けられない、と決意を新たにした万丈目は宣言する。

 

「三沢!貴様は強い!しかし、上には上がいるということを教えてやる!」

 

「!・・・ああ、やってみろ!」

 

「俺のターン!墓地のランサードラゴニュートを除外して、輝白竜ワイバースターを特殊召喚!」

 

『グルルル・・・』

 

「ん?・・・うぉあ!?」

 

「?どうしたじゅうだ・・・ぃい!?」

 

突然奇妙な声を上げた十代を訝しんだ遊雅が振り向くと、そこには自身の精霊であるレッドデーモンズドラゴンがいた。

 

「どうしたんすか?」

 

「ああいや、なんでもない」

 

(遊雅、どうしたんだ?)

 

(俺じゃねぇよ。なんでレモンさんが急に・・・。アバター?)

 

『私にも分かりません。何処かの精霊に呼応したのでしょうか?』

 

結局訳が分からなかったが、精霊である以上見えているのは俺たちだけだろうし問題ないか、ということになった。そんな主人達の話などお構いなく、レッドデーモンズドラゴンは万丈目を、正確には万丈目のエクストラデッキを睨む。

 

(・・・来る)

 

「俺は手札から、チューナーモンスターデルタフライを召喚!」

 

「!?チューナーだと!?」

 

まさかの万丈目もチューナー召喚である。観客も遊雅も、アバターでさえ予想し得ない状況に唖然とする中、万丈目は続ける。

 

「デルタフライの効果!1ターンに1度、こいつ以外の俺の場のモンスターのレベルを1上げることが出来る!ワイバースターのレベルを5に!俺は、レベル3デルタフライで、レベル5となったワイバースターをチューニング!漆黒の闇を裂き天地を焼き尽くす孤高の絶対なる王者よ!!万物を睥睨(へいげい)しその猛威を振るえ!シンクロ召喚!えん魔竜レッドデーモン!」

 

現れたのは、レッドデーモンズドラゴンに酷似した紅蓮の竜だった。

 

「えん魔竜レッドデーモン・・・!?なんであのカードが!?」

 

遊雅がペガサスさん、及び海馬社長に提供したカードデータは、実はまだかなり少なく、未だにペガサスさんへと少しづつ送っている途中なのだ。レッドデーモンはまだデータを送ったことのないカードである。

 

『あっ・・・ヤバッ』

 

背後でアバターがそう漏らしたのを、遊雅は聞き逃さなかった。

 

「ア、バ、タ、ー?」

 

『待ってくださいマスター。これは前回とは違って故意ではなくてですね、あn「正座」ちょっ、またですか!?だから私球体だk「座れ」イエス!マイマスター!』

 

「遊雅くん何してんだろう?」

 

「き、気にしないで続き見ようぜ!」

 

「・・・」

 

『グルルル』

 

人目があるにもかかわらずアバターを正座させ、怒る体制に入った遊雅をおかしな物を見る目で見ていた翔を十代が無理矢理誤魔化す。レモンさんはやれやれというふうに唸り、レインは見てるだけである。

そんな局所的カオスを尻目にデュエルは続く。

 

「まさか君もシンクロモンスターを手に入れてたとはね・・・」

 

「ふん、貴様のモンスターとは違うということを分からせてやろう!ワイバースターがフィールドから離れた時、デッキから暗黒竜コラプサーペントを手札に加える!さらにレッドデーモンの効果!こいつ以外のフィールド上の攻撃表示モンスターを全て破壊する!」

 

「!?そんなことさせない!リバースカードオープン、重力解除!お互いのフィールドのモンスターの表示形式を変更する!」

 

2人のフィールドのモンスター達が一斉に守備の体制をとる。

 

「ならば手札からマジックカード、調和の宝札を発動!手札のガードオブフレムベルを捨てて2枚ドロー!リバースカードオープン、牙竜転生!ゲームから除外されているランサードラゴニュートを手札に戻す!カードを2枚伏せ、ターンエンド!」

 

万丈目

手札3枚

場1枚

伏せ2枚

 

ピンチの場面からあっという間に形成逆転を果たし、次のターンの準備まで行った万丈目に、観客は驚愕とともに賞賛を送る。

両者共に白熱するデュエルに、十代は体の疼きが止まらなくなる。

 

「三沢も万丈目も、どっちもすげぇ!デュエルしてぇ!」

 

「相変わらずっすねぇアニキ・・・」

 

若干呆れる翔の声は届くことはなく、十代は目をキラキラさせながらデュエルの行く末を見守る。

一方デュエルでは、三沢のターンが始まっていた。

 

「俺のターン!ボルテックバイコーン、キングオブビーストを攻撃表示に!手札からマジックカード貪欲な壺を発動!墓地のモンスターを5枚デッキに戻し2枚ドロー!・・・よし!さらに強欲な壺を発動!追加で2枚ドロー!ボルテックバイコーンでレッドデーモンに攻撃!」

 

「甘い!リバースカードオープン、バーストブレス!レッドデーモンをリリースし、レッドデーモンの攻撃力以下の守備力のモンスターを全て破壊する!」

 

「くっ・・・。ボルテックバイコーンの効果でお互いのデッキの上から7枚を墓地へ送る。マジックカード、魔獣の懐柔を発動!デッキからレベル2以下の獣族モンスターを3体特殊召喚する!キーマウス、ラッコアラ、ライトロード・シーフ・ライニャンを召喚!レベル1のキーマウスで、レベル2のラッコアラとライニャンをチューニング!シンクロ召喚!現れろ!サンダーユニコーン!そしてエアーズロックサンライズを発動!墓地のボルテックバイコーンを蘇生!カードを1枚伏せターンエンド」

 

三沢

手札2枚

場2枚

伏せ1枚

 

「俺のターン!手札から復活の福音を発動!墓地の巨神竜フェルグランドを蘇生!効果で三沢のボルテックバイコーンを除外し、そのレベル×100攻撃力・守備力をアップさせる!」

 

巨神竜フェルグランドATK2800→3500

 

「どこでそんな・・・最初のトレードインか!」

 

「そうだ!そして墓地のワイバースターを除外して手札からコラプサーペントを特殊召喚!さらに手札から2体目のデルタフライを召喚!効果はもうわかるな?・・・俺はレベル3デルタフライで、レベル5となっているコラプサーペントをチューニング!シンクロ召喚!舞い降りろ!ダークエンドドラゴン!」

 

万丈目の場に、きらめく巨神竜と、漆黒の竜が揃う。その巨体から来る圧力に三沢は無意識に後ずさる。

 

「ダークエンドドラゴンの効果!攻撃力・守備力を500ダウンさせ、相手のモンスター1体を墓地へ送る!」

 

ダークエンドドラゴンATK2600→2100

「なに!?」

 

ダークエンドドラゴンの影から無数の手が現れ、サンダーユニコーンを地面に引きずり込む。

 

「バトル!ダークエンドドラゴンでダイレクトアタック!」

 

「リバースカードオープン、聖なるバリアミラーフォース!」

 

「リバースカードオープン、トラップスタン!このターントラップカードの効果を無効にする!」

 

「な!?」

 

三沢LP4000→1900

 

「トドメだ!やれ!フェルグランド!」

 

「ぐぅっ!」

 

三沢LP1900→−1600

 

「そこまでナノーネ!勝者!万丈目ー!」

 

シンクロ召喚同士のデュエルは、万丈目が勝利した。三沢は悔しそうにしながらも、万丈目の検討を讃える。

 

「負けたよ。シンクロ召喚同士のデュエル、滅多にない経験だった。遊雅以外のデュエリストとシンクロで競うことになるとはね」

 

「ふん、そんなことはどうでもいい。デュエルは勝ったか負けたかが重要なんだ」

 

そう言って立ち去ろうとする万丈目。ただデュエルが終わったからさっさと帰ろうとしたのか、遊雅の名が話題に出たのが嫌だったのか。三沢は苦笑しつつ、君らしい考えだ、と呟く。

 

一方観客席では、十代たちの方も興奮冷めやらぬ状態だった。

 

「すっげー勝負だったな!」

 

「ほんとっすね!オイラもシンクロ召喚してみたいっす!」

 

「・・・」

 

そんな2人の後ろを、レインは一応ついていく。・・・相変わらず寡黙ではあるが。そこへ明日香がやって来る。

 

「あら、貴方達、遊雅は一緒じゃないの?」

 

「遊雅くんならなんかデュエルの途中で出て行ったっすけど・・・」

 

「俺を呼んだか?」

 

「うわぁ!?」

 

話題に出たところで遊雅が戻ってくる。十代にはその傍でなぜか真っ白い球体になっているアバターが見え、一体何が、と少しビビる。

 

「もうデュエル終わったわよ。勝ったのは万丈目くん」

 

「へぇ、あいつ勝ったのか・・・。またいつか相手したらきっといい勝負出来るだろうな」

 

「あっ、待てよ、次に万丈目とやるのは俺だ!」

 

やいのやいのと談笑しつつ歩いていると、唐突に遊雅の服をレインが引っ張る。

 

「・・・?っと、レイン、どした?」

 

「・・・寮、戻る」

 

「まだ覚えてねえのかよ・・・。いい加減覚えろっての。・・・まさか会話に入れなくてさびs「・・・」いたたたた、肉!肉摘むな!じゃ、じゃあそういうわけで、先行くわ」

 

余計なことを言って横腹を摘まれ悶絶しつつも、十代達と別れる遊雅。そんな遊雅を見送る3人のうち、明日香だけはどことなく不機嫌だった。

 

 

 

 

十代達と別れてレインを送っている遊雅は、レインに近況を聞いていた。

 

「で、最近はどうなんだ?」

 

「・・・現在のD-ホイール作成は順調。歴史の歪みも今の所は最小限にとどまっているって報告が」

 

「ああそうじゃねぇ、アカデミアでの生活だよ、お前の」

 

「・・・?」

 

遊雅の言葉の意味がわからず、レインは首をかしげる。

 

「せっかくアカデミアで生活してるんだし、だれか友人でも作ってそいつと一緒に過ごしてみたらどうだ?」

 

俺が変な誤解で狙われなくなるし、という本音は隠す遊雅。レインは少し考え、

 

「・・・考慮しておく」

 

と答えた。そんな風に話しつつ寮への道を歩いていると、誰かが道の先に立っているのが見えて来る。

 

「・・・まっていたぞ、遊雅」

 

「万丈目・・・?」

 

立ちふさがっていたのは万丈目だった。その手にはデュエルディスク。

 

「俺とデュエルしろ。俺は俺の手で汚名を濯ぐ!」

 

つまりは、前回のリベンジをしに来たのである。最初はめんどくさげにしていた遊雅だったが、万丈目の目を見て、少しやる気になる。万丈目の目には、十代やカイザーのそれと同じような闘志が燃えていた。

 

「悪いな、レイン。ちょっと寄り道して行くぜ?」

 

「・・・あと40分」

 

遊雅は言外に飯までに終わらせろ、と言われた気がして少し気が抜けたが、持ち直してデュエルディスクを取り出す。

 

「行くぞ、遊雅!」

 

「今回は煽りなし、本気で行くぞ!」

 

「望むところだ!」

 

「「デュエル!!」」




レモンさん「あれ?ナカーマ?」
レッドデーモン「ナカーマ!」
レモンさん「ナカーマ!」
レッドデーモン・レモンさん「ナカーマ!」(=´∀`)ハ(´∀`=)

次回 vs新生万丈目


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第20話 愛しさと切なさと酒と泪と男と女

タイトルは内容と関係ありません。
どうしてこうなった・・・。


先攻はコイントスにより万丈目からとなる。

 

「俺のターン!俺は手札から巨竜の聖騎士を召喚!そして巨竜の聖騎士の効果!手札・デッキからレベル7・8のドラゴン族モンスター1体を装備出来る!さらにマジックカード手札断殺を発動!お互いに手札から2枚捨て、2枚ドロー!デフラドラグーンを効果で手札1枚を墓地へ送って特殊召喚!巨竜の聖騎士の効果で、こいつと場のデフラドラグーンをリリースして墓地のラビードラゴンを蘇生!カードを2枚伏せ、ターンエンド!」

 

万丈目

手札0枚

場1枚

伏せ2枚

 

「俺のターン、相手の場にのみモンスターが存在するため、手札のバイスドラゴンを特殊召喚!手札からインフルーエンスドラゴンを召喚!レベル3のインフルーエンスドラゴンで、レベル5のバイスドラゴンをチューニング!シンクロ召喚!来い!レッドデーモンズドラゴン(レモンさん)!」

 

俺の場にレモンさんが現れると、万丈目は一瞬惚けた後、怒りの形相を遊雅に向ける。

 

「レッドデーモン・・・だと!?貴様がなぜそのカードを!」

 

「いやまあ俺としてはお前がレッドデーモン持ってるのがびっくりだが・・・。まあ続けよう。マジックカード調和の宝札。手札のもう1枚のインフルーエンスドラゴンを捨て、2枚ドロー。装備魔法白銀の翼をレッドデーモンズドラゴンに装備。バトル!レッドデーモンズドラゴンでラビードラゴンに攻撃!」

 

「トラップ発動!ジャスティブレイク!これで貴様のモンスターは破壊だ!」

 

「白銀の翼の効果!装備モンスターがカードの効果で破壊される時、代わりにこのカードを破壊する!」

 

「なに!?」

 

万丈目LP4000→3950

 

「カードを2枚伏せターンエンド」

 

遊雅

手札1枚

場1枚

伏せ2枚

 

「くっ・・・俺のターン!マジックカード、強欲な壺!2枚ドロー!・・・よし!マジックカード、復活の福音を発動!墓地のフェルグラントドラゴンを特殊召喚!効果でラビードラゴンを選択!そいつのレベル×200ポイント攻撃力をアップさせる!」

 

フェルグラントATK2800→4400

 

「へぇ・・・」

 

「まだだ!リバースカードオープン、正統なる血統!墓地のラビードラゴンを蘇生!バトル!フェルグラントドラゴンで・・・」

 

「リバースカードオープン、スクリーンオブレッド!相手は攻撃宣言できない!」

 

「ちっ、面倒なカードを!・・・カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

万丈目

手札0枚

場2枚

伏せ1枚 正統なる血統

 

「俺のターン。スクリーンオブレッドの効果。レッドデーモンズドラゴンが場にいる時、このカードを破壊し、墓地のレベル1のチューナーモンスターを1体特殊召喚する。シンクローンリゾネーターを特殊召喚。さらにチェーンリゾネーターを召喚。シンクロモンスターが存在して、このカードが召喚に成功したため、デッキからフレアリゾネーターを特殊召喚」

 

「ふん、いくつチューナーを並べようがシンクロ召喚にはチューナーとチューナーでないモンスターが必要。貴様の場にはチューナー以外のモンスターはレッドデーモンズドラゴンしかいない!まさかレッドデーモンズドラゴンを捨てるか?」

 

こちらを馬鹿にしたような発言をする万丈目。しかし、その目には嘲りの感情はなく、ただ困惑の色だけが浮かぶ。

 

(馬鹿にしてるんじゃないなら良いや。今回は煽りなしって宣言したんだ。本気で・・・ツブすレベルで行く)

 

「そのまさか、ってか?俺は場のシンクローンリゾネーターと、フレアリゾネーターで、ダブルチューニング!」

 

「2体のチューナーでだと!?」

 

「こいつを超えてみな、万丈目!シンクロ召喚!スカーレットノヴァドラゴン!」

 

場のレッドデーモンズドラゴンに2体のリゾネーターが集まり、炎の渦を作り上げる。その中から現れたのは、進化を遂げた荒ぶる紅蓮の炎龍。

 

「シンクローンリゾネーターが場から墓地へ行ったため墓地のフレアリゾネーターを手札に。フレアリゾネーターを素材にしたシンクロモンスターは攻撃力が300アップする!ついでにスカーレットノヴァドラゴンの効果!このカードの攻撃力は、墓地のチューナー1体につき500アップする!墓地には、インフルーエンスドラゴン2枚、シンクローンリゾネーターの3枚!よって攻撃力は1500アップする!」

 

スカーレットノヴァドラゴンATK3500→5300

 

「!?させない!そいつの召喚時リバースカードオープン、激流葬!」

 

「そいつは悪手だ。リバースカードオープン、スターライトロード!場のカードを2枚以上破壊する効果を無効にし破壊、その後エクストラデッキからスターダストドラゴンを特殊召喚する!」

 

「ば、かな・・・」

 

(確か復活の福音が落ちてたな。まあいいや)

 

「墓地のレベルスティーラーの効果で、スカーレットノヴァドラゴンのレベルを下げて特殊召喚。レベル1チェーンリゾネーターで、レベル1レベルスティーラーをチューニング!来い!フォーミュラシンクロン!効果で1枚ドロー」

 

あっという間に場に上級シンクロモンスターが並び、無意識に万丈目は後ずさり、そのことに気づくと己へに怒りが湧く。

 

(この大馬鹿野郎!奴に勝つと決めたんだろう!ここで退くな!まだ復活の福音もある!スカーレットノヴァドラゴン(あのモンスター)の攻撃さえ耐えればまだ抑えれる!)

 

「こいつはすげぇや。マジックカード精神同調波を発動。場にシンクロモンスターがいるとき、相手モンスター1体を破壊する。俺はフェルグラントを選択」

 

「・・・!?なっ」

 

一瞬希望を得た万丈目だったが、遊雅の出したカードに一時停止した後、目を見開き唖然とする。恐るべきはフォーミュラシンクロンのドローで除去カードを引いた十代レベルの引きの良さか。

 

「さあどうする?」

 

「ぐっ・・・。〜〜〜!復活の福音の効果!このカードを墓地から除外してドラゴン族モンスターの破壊を無効にする!」

 

「じゃ、レベル2のフォーミュラシンクロンで、レベル8のスターダストドラゴンをチューニング。アクセルシンクロ!招来せよ!シューティングスタードラゴン!」

 

遊雅の場に、ジャックアトラス(キング)不動遊星(未来の英雄)。未来の世界を救ったデュエリストの切り札がならぶ。もはやクソゲーである。超えてみろと言いながら超えさせる気ゼロである。さらに言うならこれ、4ターン目。実質万丈目には2ターンしか回っていない。

 

「シューティングスタードラゴンの効果!デッキトップから5枚を確認!その中のチューナーの数だけ攻撃出来る!・・・ブフォ!?まじか!チューナーは5枚!よってこのターン5回攻撃出来る!」

 

もうありえないレベルの引きである。どうやればチューナーが5枚固まるのかデッキシャッフルについて確かめたいくらいである。万丈目はもはや半泣きである。それを見る遊雅はそれはそれは嬉しそうである。なんだこの空気。

 

「バトル!まずはスカーレットノヴァドラゴンでフェルグラントドラゴンを攻撃!墓地のチューナーの数が増えたから攻撃力がアップ!」

 

スカーレットノヴァドラゴンATK5300→6300

 

万丈目LP3950→2050

 

「そしてシューティングスタードラゴンでラビードラゴン破壊!ついででダイレクトアタック!グォレンダ!」

 

おいそれ別の人のネタ。

 

万丈目LP2050→1700→−11500

 

 

「・・・終わった?」

 

「おう」

 

デュエル終了と同時にレインが近づいてくる。遊雅はそんなレインにどこかスッキリした表情で答える。

 

「・・・嬉しそう。なんで?」

 

「ん?ああ、滅多にできないコンボ出来たんでな。万丈目、お疲れさん」

 

遊雅の言葉に万丈目は答えない。ずっと頭の中で絶望していた。

 

(1ポイントも・・・。ライフを削れなかった・・・。それどころかまともに抵抗すら・・・)

 

そんな万丈目の様子に、そっとしておくべきか、と判断した遊雅は、じゃあまた明日、とだけ声をかけて通り過ぎる。レインはそのやや後ろをついていき、道に一人残った万丈目は、しばらくしてふらふらと立ち上がると、寮へ戻っていった。

 

 

その翌日。

 

「万丈目がいなくなった?」

 

「ああ、そうらしい!」

 

十代達が何やら騒いでいるのを見て事情を聞くと、万丈目が、どうやら朝から行方不明であるらしいという話だった。

 

「なんでまた・・・。原因は?」

 

「さあ?ただ寮の部屋に荷物が残ってなかったらしい!遊雅も一緒に探そうぜ!」

 

「んー、とりあえず俺は1人で探してみるわ。十代達は十代達で探してくれ」

 

「そうか、わかった!見つけたら俺のPDAに連絡くれ!」

 

そう言って森へと入っていく十代達を見送ると、人目につかない場所でアバターと話す。

 

「まー多分原因は・・・」

 

『多分ではなく十中八九マスターによるフルボッコですね』

 

「いやデッキが思ったより回ったからさ・・・。最近だんだんとドロー運とか上がってきてんだよなぁ」

 

『あ、それは多分精霊を知覚できるようになったからですね』

 

「は?」

 

『カードの、デュエルモンスターズの精霊に好かれるってことは、その精霊の加護を受けてるってことなんですよ。遊城十代とかがいい例ですね。彼はハネクリボーという精霊に好かれたことで、元から持っていたであろうドロー運が天元突破してると思われます。マスターは慕っている精霊がありえないくらいいるもんですから、彼とは比較にならない加護を受けています。早い話が、これからも精霊を新しく知覚し続ければ、さらに加護を受けることになるでしょう』

 

「何それこわい」

 

無自覚にチート使用してるようなもんじゃないか。そんな力で勝っても・・・。いやまあこの世界にないカードを使っている時点で似たようなもんか・・・。

 

『『『良かれと思って!』』』

 

「おわぁ!?」

 

突然現れたmy精霊ズにビビる。いや多い多い!しかも明らかにやばそうな奴もいるし!

 

「・・・お前らが慕ってくれるのは嬉しいが、加護とかはそんなにいらん。俺がしたいのはそんなチートデュエルじゃねぇし。と言うわけで、本当に助けてほしい時には言うから、普段はそう言うの無しにしてくれ」

 

『『『はーい』』』

 

「物分かりがすこぶる良いな!?キャラ崩壊してる奴もいるぞ!?」

 

『マスターの世界から来たカードの精霊は軒並み大人しいですよ。気性の荒いのもいますが、マスターの言うことは聞きますし』

 

「なんか思ってた精霊と違う・・・。お前みたいな奴ばっかじゃないだけマシか」

 

『ナチュラルに貶すのやめて下さい。精神的に辛いです』

 

もはや百鬼夜行絵巻もかくやの様相である。・・・あれ?ひょっとして今ちょうどいい?

 

「ならお前ら、ちょっと万丈目探してきてくれ。何処にいるか探すだけで良いや」

 

そう言うや否や、各々のやり方で探し始める。これなら俺は寝てるだけで良さそう・・・

 

『あ、マスター。さっき速攻の黒い忍者が毒クナイ持って行きましたけど。あと帝達が従騎達を連れて完全武装で進軍してます』

 

「待たんかいゴラァァァァァァ!!」

 

なんなんだ!?殺す気か!?万丈目殺す気か!?とにかく何人か止めねえと!って獣族系が早すぎる!ああ!ドラゴン族と鳥獣族ども、空飛びやがった!?

結果精霊達を止めるためにこの日遊雅はひたすら走っていた。




万丈目「俺は強くなった!」
遊雅「俺も強くなった!」(精霊の加護ブースト)
万丈目(´・_・`)
ごめんね万丈目くん・・・作者のスキルが足りないばっかりに・・・。

遊雅の精霊
遊雅が転生特典で持ち込んだカード及びペガサスさんに情報を提供して作ってもらったカードに宿った奴ら。基本キャラ崩壊しており善悪の区別が付いてないヤベー奴ら。

えん魔竜レッドデーモン
遊雅がペガサスさんに作成してもらったカード。本来は遊雅の元に届く予定だったが、アバターが届いたカードを無くしてしまい、なんやかんやで万丈目の元へ来た。大体アバターのせい。


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第21話 鳴かぬなら そういう種類の ホトトギス

タイトルは内容と関係ありません。
今回まともなデュエル描写はありません。


遊雅が精霊を止めようと奔走している頃、十代達は万丈目を探す中で、なぜか猿とデュエルしていた。猿のデッキは獣族デッキ。三沢と違いシンクロもチューナーも入ってはいないが、獣族(主に猿系の)を用いて十代に挑む。

しかし、この世界の十代は本来の歴史とはいろんな意味で違うということを忘れてはならない。彼のHEROは、遊雅のもたらした新たなメンバーを加えられ強化されている。そこから導き出されるのは、

 

「俺のターン!手札からE・HEROバブルマンを召喚!効果で2枚ドロー!きたー!さらにマジックカード強欲な壺を発動!もう2枚ドロー!まだいくぜ!天使の施し!3枚ドローして2枚捨てる!」

 

「ウキ!?」

 

「手札から融合発動!場のバブルマンと手札のネクロダークマンを融合!こい!E・HEROアブソルートzero!さらにマジックカードミラクルフュージョン!墓地のフェザーマンとバブルマンを融合!E・HERO Great Tornado!さらに墓地にネクロダークマンがいるため、エッジマンをリリースなしで召喚!フルアタック!」

 

「ウキャー!?」

 

十代のチートドローを合わさった鬼畜外道HEROである。唯一の救いはまだ遊雅がマスクチェンジをもたらしてないことか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・で、その後ジュンコを助けて、猿たちは逃げて行って研究員たちは捕まったってわけだ。ちなみに万丈目については島を出ていったって大徳寺先生から聞いたぜ!ところで遊雅は・・・大丈夫か?」

 

「・・・これが大丈夫に見えるか?」

 

翌日、十代がことの顛末を遊雅に話していた。しかし、その遊雅は元気がない。机に突っ伏して口からエクトプラズマー並みに魂が漏れ出ている。

 

「なんかあったのか?」

 

「よおーく俺の周りを見てみろ十代。理由がすぐわかる」

 

そう言われてじっと遊雅を見る十代。しばらくして驚愕した後、納得と哀れみの表情になる。

 

「・・・なんか増えてね?精霊」

 

「そうなんだよ!ちょっとした手違いで馬鹿みたいに増えてんだよ!なんでやねん!」

 

そう、現在遊雅の周りには、ありえないくらいの精霊たちが集まっていた。十代のように「視える」者が他にいたなら発狂するレベルである。

 

『マスターマスター!遊びましょうよ!』

 

遊雅の肩を揺らしてそう連呼するのはガスタの巫女ウィンダ。

 

『〜〜〜♪』

 

遊雅の膝の上で揺れる中器用に魔法陣を綴りなにかを召喚しようとしているのは、召喚師セームベル。

 

『マスターは私のような役立たずでも使って下さる慈悲深きお方なのです!』

 

『別にそこまで使えなくなんかないんじゃ・・・?』

 

『まあ本人が幸せそうだしほっとけほっとけ』

 

『おい、俺のオイルどこいった?』

 

ほかの精霊へ遊雅の素晴らしさを説いているのは、砂の魔女。そのご高説を聞き流しながら遊んでいるのはガジェット三兄弟。

 

他にもありとあらゆるモンスター(たまに罠モンスター)達がやいのやいのと駄弁っている。ちなみに、遊雅も十代もまだ知らないが、アカデミアの外ではスターダストドラゴンやレッドデーモンズドラゴン、その他の鳥獣族・ドラゴン族モンスター達が空を優雅に飛び回っている。なんだこれ。

これは余談だが、前日の万丈目探しの際、とある銀髪ツインテールの無口な女子生徒が、マジェスペクターキャットとレスキューキャットを若干キラキラした目で追いかけていた。現在二匹はその娘の膝の上でモフられている。

 

「・・・ウィンダはまた今度な。セームベルはその埴輪のような物仕舞いなさい。砂の魔女はわかったからちょっと静かにしてくれ。あとイエローガジェット、オイルはお前の手に持ってるだろうが」

 

「なんか遊雅、学校の先生みたいだな」

 

「勘弁してくれよ・・・。アバターもまだ寝てたし、良識のある奴は姿隠してくれてるけど、他の奴らがマジで洒落にならん・・・」

 

「・・・もふもふ」

 

『『ニャ、ニャー・・・』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな一部の間では騒がしい日々の授業が終わり、生徒達は浮かれていた。何故ならそう、もうすぐ夏休みだからである。学校に通うものとしては長期休暇ほど楽しいものはない。ましてや娯楽のほとんどない離島であるため、この期に本島で羽を伸ばそうという生徒は多い。

 

「十代達はどうすんだ?」

 

「俺は1度家に帰ってからすぐこっちに戻るぜ!」

 

「おいらは休みの間は家に帰るっす!」

 

「遊雅はどーすんだ?」

 

どうやら基本的にいつものメンバーは帰省するようである。そんな中、自分の予定を聞かれた遊雅は若干ため息をつきながら答える。

 

「俺はこの夏、ちょっとテスターとしての仕事があるからしばらくアカデミアを離れる」

 

「テスターって・・・ああそうか、シンクロ召喚のか。いつも遊雅のデュエルで見てたから忘れてた」

 

「そう言えばそうっすね」

 

そう、アカデミアでは遊雅や三沢、今はいなくなったが万丈目など、シンクロを行うデュエリストがいたため珍しくはなかったが、アカデミアの外では未だ公表されてたばかりでパックも発売予定というだけ。アカデミアで売っていたパックも試験的なものである。

 

「そう言う事。っつーわけで一旦家に戻って準備したらアメリカ行きだな」

 

「アメリカ!?」

 

「なんでまた・・・」

 

「俺の保護者がアメリカの企業の社長やってんだよ」

 

「へぇー、テスターのことといい、もしかして遊雅くんの保護者って有名人なんすか?」

 

「いや、ちげえよ」

 

(超超有名人だな)

 

その後も夏休みの予定について話し込んでいると、明日香とジュンコ、ももえがやって来て話に加わる。

 

「あなた達はこの夏休みはどこか行くの?」

 

「ああ、ちょうど話してたんだが、俺と翔は家に帰るくらいだな。でも遊雅はすげえぜ!アメリカ行くんだってよ!」

 

「アメリカ?・・・ああ、シンクロ召喚ね」

 

「そう。それとおれの保護者ん所に行くってのもあるな」

 

「そう・・・」

 

若干気落ちした様子の明日香を不思議がる遊雅。そんな2人を見て血涙を流す翔とニヤつくジュンコ・ももえ。十代は特になにも感じてない。そこへたまたまレインがやってくる。

 

「あ、レインちゃん!レインちゃんは夏休みどこか行くんすか!?もし良ければオイラと遊b・・・」

 

「・・・却下」

 

にべもない一言に翔が落胆するが、誰も慰めない。哀れである。

 

「ああ、レイン。パスポートはどうにかなったのか?」

 

「・・・問題ない。発行済み」

 

「そうか。まあ日本からだと時差とか言語とか色々大変だし、準備しとけよ」

 

「・・・うん」

 

「ちょ、ちょっと待って!その、編入生・・・レイン?ちゃん、まさか遊雅連れて行くの?」

 

「ん?ああ、俺の保護者の人にレインの事を話したら、ぜひ連れて来なさいって言われたし」

 

(未来人ってこと話したら、転生者の俺を見つけた時以上に嬉しそうだったし)

 

なぜか狼狽しながら詰め寄って来た明日香に遊雅は戸惑いつつ答える。すると何やら変な顔をした後、俯いてなにかを呟き出す。

 

「・・・確か・・・あの制度なら・・・でも・・・よし」

 

「明日香?どした?なんかあったか?」

 

「別に!ちょっと用事ができたからもう行くわね!じゃあまた!」

 

そう言って風のように去っていった明日香を見送り、遊雅は首をかしげる。

 

「・・・なんだったんだ?」

 

「さあ?」

 

十代と一緒に頭に?を浮かべる遊雅をみて、外野三名はため息をついていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな学校最終日を過ぎ、現在遊雅とレインは本島にある遊雅宅へと向かっていた。

 

「とりあえず今日は一日家で過ごして、明日は準備、そんで明後日に飛行機だな」

 

「・・・分かった」

 

途中のスーパーで食材を買い、そのまま家へと向かう。

 

「ただいまー。・・・なんか懐かしいな」

 

「・・・」

 

家へと到着すると、遊雅は羽織っていた上着を脱ぎ、台所に立つ。

 

「レインは先に風呂入ってこいよ。飯作ってるから」

 

「・・・分かった」

 

「お前ほんと寡黙だよなぁ・・・。まあいいや、さっさと行ってきな」

 

そういうと少し首をかしげ、風呂場の場所を聞いてリビングを出るレイン。その後料理をしつつふと考える。

 

「・・・これって一応友人の女の子を家に招くっていうなかなかに事案な事じゃね?」

 

『マスター、大丈夫です。私とも同棲したじゃないですか』

 

「そうか、飯はいらないか」

 

『ごめんなさい冗談です。ウィットに満ちた邪神ジョークですよやだなー』

 

そもそも精霊なのに食事の意味あるのか、という疑問は長年考えるが結局まあいいやと放置する遊雅だった。

 

「・・・あがった」

 

「おーう、じゃあ俺も入ってくるかなほあぁぁぁぁぁぁ!?イダ!?」

 

食事の準備が終わりリビングでテレビを眺めていた遊雅は、風呂から出て来たレインに驚愕し座っていたソファから落ちる。レインは、まだしっとりと濡れている髪を梳きながらバスタオル一枚で体を隠して出てきていた。レインの常識はずれの行動には耐性の付いていたつもりだった遊雅もこれにはびっくりした。

 

「なにやってんだお前!?」

 

「・・・着替え用意するの忘れた。そこの荷物の中」

 

「だとしてもっ・・・ああくそ!俺ももう入る!」

 

そう言ってズカズカと風呂場へ向かっていった遊雅を、レインは不思議そうに見送った。

ちなみにこの後、自分も気が動転していて着替えを持って行くのを忘れた遊雅が、入浴後羞恥で顔を真っ赤にしてレインに見られながらリビングの自分の荷物から着替えを取り出し、食事の時も遊雅のみに気まずい空間ができていた。なおアバターと何人かの精霊は爆笑していたところを遊雅のパーフェクト説教教室で真っ白になった。




遊雅「ところでなんでレインは精霊見れんの?」
レイン「・・・秘密」

次回から、超絶オリジナル展開に入ります。まあ今までもそうなんですが・・・。


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第2章 GO summer vacation death march
第22話 河童も筆を誤り木から落ち川を流れる


タイトルは内容と関係ありません。
夏休み編プロローグ。デュエルはもうちょい先です。


翌日、遊雅はレインを連れてKC社へと来ていた。海馬社長から突然の呼び出しが来たのである。ただし午前3時に電話で。

 

「ったく、別にアメリカから帰ってからでもいいだろうに、というかメールでいいじゃんか、なんで夜中に電話してくんだよ海馬社長・・・」

 

ぼやきながらも遊雅は受付へと進む。レインを連れて来たのは、監視と支援という任務のため・・・ではなく遊雅の近くにいないとマジェスペクターキャット達をモフれないからである。それでいいのか。

 

「すいません、海馬社長に呼ばれて来た遊雅と言いますが」

 

「はい、承っております。こちらへ。お連れの方もどうぞ」

 

そう言って受付の人に応接室へと案内される。その際もレインはマジェスペクターキャットを抱いたままだ。流石にやめさせようと遊雅が囁く。

 

(流石にやめとけ。他の人から見たら変に見えるぞ)

 

(・・・)

 

(んな悲しそうな顔してんじゃねえ!普段表情筋動かさねえくせになんでこういう時だけわかりやすく動いてんだよ!?)

 

名残惜しそうに手放すレインと、解放されて嬉しそうに遊雅の肩に乗るマジェスペクターキャット。頬ずりまで始めたキャットを見て、恨めしそうにレインが睨むのに、遊雅はなんとも言えない表情でため息をついた。

 

応接室に入ると、少々お待ちくださいと、案内してくれた人が出て行く。

 

「レイン、少しは我慢しろよ。構い過ぎると猫ってのは逃げちまうぞ?」

 

「・・・」

 

「無言で足を蹴んな」

 

ゲシゲシと無駄な攻防を続けていると、海馬社長がドアを勢いよく開いて現れる。一応立って会釈をすると、社長はふぅんと鼻を鳴らして座るよう言う。遊雅は座ると同時に早速本題に入ろうとする。

 

「あ、社長ドーモ。で、話ってなんですか?」

 

「それよりも、まずはアカデミアの差別意識の改善についてはよくやった。多少派手に動いていたようだがまあ構わん」

 

「はぁ・・・なるほど、あれでもまだ多少で許してくれるんだ・・・ならもっとみんなを笑顔に・・・」

 

何やら不穏なことをボソッと呟く遊雅だが、あえて社長もレインも突っ込まない。・・・ブルー生徒よ、強く生きろ。

 

「今回呼んだのは、貴様のもたらしたシンクロ召喚を大々的にアピールする場を設定できたのでその説明だ」

 

「ん?確かそれってアメリカ行ってからペガサスさんに教えてもらう予定だったんじゃ・・・」

 

「何を言っている?それはアメリカでの予定の話だ」

 

「どういう・・・あやっぱいいです。聞きたくないです」

 

「お前にはアメリカだけでなくここ日本でもシンクロ召喚の実演をしてもらう」

 

無情にもそう宣言した社長に、遊雅は机へ頭を打ち付ける。

 

「なんでだぁぁぁ!俺の夏休みが!夏休みが無くなるじゃないですか!」

 

頭を打ち付けながらもそう叫ぶ遊雅。転生で2度目の生を受けているといっても、やはり学生に戻ったならせっかくの夏休み、楽しく過ごしたいのである。しかし、ペガサスさんには大恩があり、そんな恩人からの頼みだからと、実演の話を快諾したのだ。しかし日本でもやるとなると本番前の相手の選択や会場選択、デッキの調整やデュエル後のインタビューの対策など、正直言って面倒なのである。準備だけでも貴重な休みが消えていくのだ。

 

「ほう、そんなことを言うのなら貴様の学費免除の件、無かったことになるが?」

 

「ぐっ・・・」

 

社長はそんな遊雅の心の叫びなど意に介さず、無情にも最悪の交換条件を掘り返す。ペガサスさんに迷惑をかけたくないという思いと面倒いからやりたくないという思いから頭を抱える遊雅。

そんな2人を見ている、と思いきや頭を抱える遊雅を上からタシタシと前足で叩くマジェスペクターキャットを狙うレイン。話に微塵も興味がねぇ・・・!

 

「・・・分かりましたよ!やります、やりますよ!相手とか会場のセッティングとかは社長たちが全部やる、インタビュー関係には答えない、これでいいですね!?」

 

「ああ、会場はもう抑えてある。インタビューに関してもする必要はない」

 

ヤケクソ気味に了承し、無茶振りをふっかけたつもりだった遊雅だが、社長は余裕の笑みを崩さない。ぐぬぬと呻きつつ遊雅は席から立ち、そのまま出て行こうとする。

 

「話は終わりですね?それではこれで失礼します。行くぞ、レイン」

 

いつのまにかまたマジェスペクターキャットをつかまえ、モフっているレインが遊雅について部屋を出ようとする。・・・どんだけ好きやねん。

 

「まあ待て、・・・実は対戦相手はもう決まっている」

 

「・・・最初っから逃す気なかったですね。ああ〜〜!分かってますよ!シンクロを使いつつ相手を圧倒しろっていうんでしょう!?で、相手は誰ですか!?」

 

そこまで遊雅がまくし立てると、社長はニヤリと不敵に笑う。

 

「ここにいるぞ」

 

「・・・はい?」

 

「だからここに、お前の前にいると言っているんだ」

 

なんのことか理解できると、遊雅の顔が真っ青になる。

 

「あんたっ、まさか最初からそのために!」

 

「当たり前だ。前回の屈辱を晴らすんだ、それなりの舞台を用意せねばならん。当然、相手もな」

 

そこまで言うと社長は立ち上がり宣言する。

 

「遊雅!貴様の相手はこの俺だ!精々デッキ調整をしっかりしておくんだな!」

 

今ここに海馬社長(原作最強格)vs遊雅(転生OCGプレイヤー)の戦いが決定され、社長はリベンジマッチに燃え、遊雅は予想外のストレスに胃が悲鳴をあげ始めた。レインは話はほぼ聞かず、猫を愛でていた。

 

 

 

 

その後KC社を出た遊雅とレインは家路についていた。

 

「はぁ・・・。マジで社長が相手かよ・・・。前のリベンジって、どんだけ根に持ってんだよ・・・」

 

若干アバター達のように真っ白になりかけている遊雅を見つつ、レインは無言で歩く。こういう時無駄に慰めの言葉とかかけてこないのはありがたいな、と考える遊雅。

 

「・・・っし!ウダウダしててもしかたねぇ!昼飯にしよう!レインなんか食いたいもんあるか?」

 

「・・・あっさりしたもの」

 

具体的な料理名ではなくジャンルを言われ、気がきくのかきかないのかわかんねぇな、と思いつつ携帯であっさり系の料理店を調べる。

 

「・・・っと、電話?・・・!もしもし!ペガサスさん!?」

 

調べている途中で電話がかかってきて遊雅は訝しむが、相手がペガサスさんだと分かり、慌てて電話に出る。

 

『ハーイ遊雅!お久しぶりデース!』

 

「どうも!どうしてこの時間に?仕事大丈夫ですか?」

 

『問題ありまセーン!仕事に関しては月行と夜行がうまくやってくれてマース!それより、今からあなたの家へ行こうと思うのですが、家にいますカ?』

 

「!大丈夫です、今外にいますが用事終わっているし、すぐ戻れます!昼飯作って待ってます!」

 

『オゥ!久しぶりに遊雅の料理を食べられるとは、楽しみが増えましたね。ではまた後で』

 

通話を終わると、遊雅は嬉しそうにレインに話しかける。

 

「っつーわけで、すまねえが急いで帰るぜレイン。あっさりしたもんなら俺が作るから」

 

「・・・分かった」

 

そうして2人はまたスーパーへと直行し、材料を揃え家へと急いだ。その過程で実はレインが遊雅より足が速いことがわかり、若干遊雅の真っ白度合いが増した。

 

「ただいまー」

 

『おかえりなさいマスター。・・・ちっ、やはり一緒に行っていたか・・・』

 

「なんか言ったか?」

 

『いえ何も』

 

家へ帰ると、アバターが座布団に鎮座してテレビを見ていた。随分おば・・・人間臭くなってきた彼女である。

 

「そうだ、これからペガサスさんが来るから、デッキケースに戻ってろ」

 

『なんでですか!?今やっとヤマ場なんですよ!?』

 

「お前自分が前に何やったか忘れたのか?」

 

この駄神、実はペガサスさんと面識がある。・・・この世界のアバターとの互いの生存をかけた戦いを目撃されたのだ。それはもう激しい戦いだった。あまりのおぞましさにペガサスさんはしばらく黒い物を見ると白眼をむいて倒れるようになったほどだ。

 

『あれはあの男が勝手に我々の戦闘を見たせいであって私のせいでは・・・』

 

「閣下、レモンさん、みんなも、go」

 

『グルル!』

 

『ウォォォン』

 

『あっ、ちょ、離しなさい!離して!貴様ら離せやゴラァ!あ、あぁぁんまぁりだぁぁぁぁ!』

 

「さて、飯作るか」

 

なおも渋るアバターを、精霊総出でデッキケースに引きずり込む。流石の邪神でも、仲間を殺めるわけにはいかず、本気を出せない状態で大量の精霊(主に魔法使い族)に連行されていった。アバターの断末魔をスルーし、遊雅は料理に移る。なおこの間、レインは猫じゃらしで猫系モンスターの精霊と戯れていた。




精霊達の強さ関係
アバター

???

閣下、レモンさん、その他有名どころのシンクロ・ナンバーズ

上級モンスター

その他


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第23話 ガッチャピングデュエル!アクセラレーション!

タイトルは内容と関係ありません。
書いた後で今回もデュエルねぇ・・・って気づいた。


料理がちょうど出来、アバターを精霊達が封印できたタイミングで、玄関のチャイムがなる。

 

「おっ、来た!レインはちょっと座ってな!」

 

「・・・うん」

 

はしゃぎながら玄関へと向かう遊雅。ドアを開けると、そこには待っていた人物が変わりない様子で立っていた。

 

「いらっしゃいませ!ペガサスさん!」

 

「ハーイ!お邪魔しマース!遊雅、大きくなりましたネ」

 

「そ、そうっすか?」

 

どことなく嬉しそうにする遊雅を見て、レインは少しだけ意外だと感じた。普段の彼はそこまで喜びを表に出さないから。

 

「・・・それで、彼女が?」

 

「ああ、レイン、こちら、ペガサスさんだ」

 

「・・・レイン恵」

 

「どうも初めまして。それで、早速なのですが、遊雅の言っていた滅びの未来について、詳しく聞かせてはもらえないでしょうカ?」

 

「・・・了解。マスターから発言の許可が出た」

 

そうして、レインの口から未来で起きたことが語られる。ゾーンやパラドックスから聞いていたとはいえ、なんともまあ・・・。

 

「・・・ということが起き、マスター達は未来を変えるためイリアステルを創設した。簡潔に話したけどこれが全て」

 

「やっぱ・・・。重い!!」

 

シリアスな話を長いこと聞くのが苦手な遊雅は、うへー、と顔を曇らせて机に突っ伏す。ペガサスは机に肘をつき、顔の前で手を組んでしばらく思案する。少しして、真剣な顔で自身の考えを言う。

 

「・・・そのような未来はデュエルモンスターズの創始者としては起きて欲しくないと思いマース。ですが既にシンクロ召喚の公表は止められません。滅びの未来が本当に早まっているのなら、これ以上の歴史の加速は危険でしょう」

 

「どーすんですか?シンクロ召喚の公表を止めるには遅いし・・・」

 

「シンクロ召喚は公表しマス。ですが、エクシーズ召喚については時期を考えねばなりませんね。遊雅、これまで通り、エクシーズ召喚は誰にも知られないようにしてクダサイ」

 

「了解です。デュエルモンスターズで未来を滅ぼしてたまるかってんですよ」

 

パラドックスにはつい使ってしまった遊雅だが、セーフだよね?と考えつつ自重しようと考える。するとペガサスはふとあることについてレインに質問する。

 

「1つ思ったのですが、本当に未来は変えられるのでしょうか?」

 

「・・・え?」

 

その言葉にレインは何を言っているのか、と困惑する。

 

「確かに遊雅とかの邪神の力ならモーメントとやらを止められるのでショウ。しかし、その後の未来は『ありえたかもしれない未来』と言う形で枝分かれするのではと思うのデスガ」

 

確かに某国民的青ダヌキアニメでは、未来や過去に行って主人公がことを成すと、未来と過去が変化していたりした。しかし、これまた某運命ゲームでは、ありえたかもしれない別世界(異聞帯)や並行世界という設定もある。

 

「・・・それって、つまり・・・」

 

「未来は確かに変わる、しかしあなた達の未来はそのまま変わらない可能性もあるのでは?ということです」

 

あくまで可能性ですがね、と締めくくるペガサスさん。しかし、レインは普段の無表情が壊れ、悲痛な顔を浮かべうろたえる。

 

「マスターに・・・マスターに連絡を・・・!」

 

「あー、ちょい待てレイン」

 

錯乱し、マスターであるゾーンへ連絡を取ろうとするレイン。しかし、それを遊雅が止める。止めてくれるな、とやや怒った表情のレインに、遊雅は真面目な顔をして言う。

 

「その事については、既にパラドックスに俺が聞いてんだよ」

 

「!?」

 

そう、パラドックスとのデュエル後、遊雅はパラドックス達の本来のプランについて聞き、ペガサスと全く同じことを聞いていたのである。

 

「そこんとこどうなんだ?結局徒労に終わんじゃね?」

 

「ふん、そんな事重々承知だ。しかし徒労ではない」

 

そう言って少し間をあけ、パラドックスは遊雅を見て続けた。

 

「我々の未来は確かに変わらん。しかし、たとえ我々は変われなくとも、別の世界として、人々は新たな道へと進めるのだ。故に、無駄ではない」

 

その言葉に、遊雅は顔を険しくして答える。

 

「・・・犠牲にでもなるつもりか?」

 

「否。断じて否。我々はただより良き未来へと、人々を導く。ただそれだけだ。私たちの世界ではゾーン以外生き残れなかった。そんな未来は、もう作らせてはならない」

 

「だから!お前らはそれでいいのかって言ってんだよ!」

 

自己犠牲を口にするパラドックスについに遊雅がキレる。パラドックスは、それを聞いても、一層穏やかな表情で言う。

 

「それが私たちの意思だ」

 

「・・・」

 

決して引くことのないパラドックスを、遊雅はこれまで見せたことのないくらいの鬼の形相で睨む。パラドックスと遊雅は、しばらく睨み合っていたが、やがて遊雅の方が目をそらす。

 

「・・・くそが、んな目してこっち見んな、説得出来なくなる」

 

「案外優しいのだな、貴様。私たちの事を考えて説得しようとは」

 

「・・・嫌いなんだよ。命を簡単に諦めようとする奴が。けどお前・・・いやお前らは、簡単に捨ててなんかねえってことは分かるし」

 

その後、今後の段取り、連絡のための人員・・・レインの手配の話などにつながる。

 

「・・・ってなわけで、お前のマスターも、パラドックス達も、自分たちの未来を変えようとかじゃねぇ、『より良き未来』ってのは、あいつらにとってじゃなく、『人々』にとってなんだとよ」

 

「・・・マスター」

 

語っていて思い出したのか、若干不機嫌になりながらそう締めくくる遊雅。それを聞き、レインはまたしても見たことのない表情で固まっている。ペガサスはその話を聞いて、良き人ですね、と心のなかでこぼす。

 

「・・・さて!重い話は終わり終わり!どうせ未来はうちのアバター(どうしようもないバカ娘)がどうにかすんだ、とりあえず飯にしよう!」

 

そう言って立ち上がる遊雅。やはり重い話が苦手なところは変わりないか、とペガサスは体は成長しても中身の変わらない遊雅を見て懐かしむ。そして、出来るだけ場を明るくしようと、殊更明るい声を上げる。

 

「oh!待っていました!お昼を食べていないのでお腹にたまるものなら良いのですが」

 

「そういうと思ってペガサスさんにはがっつり特性親子丼だぜ!腕は上がってると思うから、ご賞味あれ!」

 

「・・・私のは?」

 

やっと驚愕から復帰したレインも、お腹が減ったのか飯を要求する。苦笑しつつも、ようやくいつものレインだ、と考えつつ遊雅が料理を運ぶ。

 

「ほい、冷製野菜パスタ!これなら文句ないだろ!」

 

ドン!と食卓にレインのパスタが乗せられ、ペガサスはそれを見て目をひん剥き、レインは心なしか目を輝かせる。

 

「・・・張り切って作りすぎじゃないデスカ?遊雅」

 

そこには、冷製野菜パスタと言う名の小山が出来ていた。野菜は食感をがっつり感じれるよう文字通りゴロゴロと大きめカットで混ぜられ、上から遊雅が数種類のドレッシングを混ぜ作ったソースがもはやソース食ってんじゃね?と言うレベルでぶっかけられ、パスタも最早パスタと言うか小麦粉で作った塊?と言いたくなる感じである。

 

「いや?レインは大食いなんすよ。こんくらいは普通にいけますよ」

 

「いや幾ら何でもこの量は・・・what!?もう半分ない!?」

 

「・・・美味しい」

 

「そうかいそいつぁ上々。たんと食え、俺の分も少し食うか?」

 

「!?・・・いただきまふ」

 

「口に物入れたまま喋んなよ。ほい」

 

ごくごく普通のようにやり取りする2人を見て、おかしいのは自分だと思うようにして久しぶりに遊雅と食事を共にするペガサス。レインの食いっぷりでお腹いっぱいとなり、親子丼が若干きつかったらしいが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「4人で集まるのは久しぶりだな」

 

「全くだ。突然呼び戻されたものだから使命を果たす前に戻ってきてしまったではないか」

 

「でも新しい、それも成功率の高い解決策ができたんだ、そう怒ることではないさ」

 

「4人揃いましたね。では、彼ら・・・邪神アバターと遊雅についての話し合いをしましょう」

 

遊雅達が仲良く食事をしている頃、遥か未来では世界最後の存在ゾーンとその仲間達のイリアステルメンバー全員が揃い遊雅達について話していた。

 

「僕は是非力を借りたいと思う。これまでのように非道な行いをせずとも未来が変わるのであれば、僕は彼らとの協力を支持するよ」

 

そう言って拳を握るのは、戦律のアンチノミー。メンバー内でも比較的温和な性格の彼は、遊雅達によるほぼ確実かつ安全な可能性に大いに喜び、話を聞いてすぐに賛同の意を示していた。

 

「アポリア、君はどうなんだ?」

 

アンチノミーは、もう1人のメンバー、絶望のアポリアへと話を振る。アポリアは黙って腕を組んで目をつぶっていたが、やがて目を開くと、ゆっくりと語りだした。

 

「・・・私としてもその意見には賛同したい。しかし、そのイレギュラー分子である遊雅と言う存在、信頼するに値するのか?」

 

そう言ってアポリアはパラドックスとゾーンに視線を送る。2人はお互いを見合わせた後、パラドックスがアポリアを諭す。

 

「気持ちはわかる。しかし、これ以上にないチャンスでもあるのだ。邪神という、デュエルモンスターズの中でも強大な力を持つ存在、それも神に力を貸してもらえるのだ、このような機会を逃せば、最悪クレイドルを落とさねばならない。それに奴とデュエルして感じた。奴は信頼に値する男だ」

 

そう言うパラドックスに、アポリアは唸る。確かに最終手段として考えていたクレイドルをモーメントに落とすという当初の計画より、ずっと被害も労力も抑えられる。また、彼もデュエリストであり、パラドックスの言うデュエルによって人柄がわかると言うことも納得できる。しかし、彼は過去3度大きな絶望を味わっている。故に今回の希望も無駄に終わってしまうのではないかと疑っていた。そんなアポリアへとパラドックスが再度説得を試みようとするが、それをゾーンが止める。

 

「アポリア、あなたの考えることは最もです。しかし、私も彼らを信じています」

 

「ゾーン・・・」

 

「ですので、私を信じてください。私が信じる彼らを信じてください」

 

「!・・・そうだな。いいだろう、私はゾーン、君の信じる道を信じよう」

 

「では、遊雅達への最大限の支援について意義は?」

 

「「「ない」」」

 

志を同じくした仲間であり、イリアステルのリーダーであるゾーンを信じることにしたアポリア。今ここに、イリアステル滅四星全員の意思は1つとなり、遊雅の知らないところで強力な同盟者ができたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・それでですが、彼のいる時代のことを調べたのですが、どうやらアカデミアの理事長である影丸という男が、彼をセブンスターズなる組織へと勧誘しようとしているようです」

 

「ほう・・・?」

 

「もし彼が加入してしまったら・・・」

 

「我々との計画に支障が出ますね」

 

「「「・・・」」」

 

しばらく場に沈黙が続く。その流れを切ったのは、パラドックスだった。

 

「・・・少々デッキを見直してくるとする」

 

「私もそうしよう。アンチノミー、手伝ってくれるか」

 

「いいとも、僕も少しデッキを回して置こうと思ったところだ」

 

そんなこんなで会合は終わり、それぞれで『準備』に入る彼らであった。




未来が分岐どうのこうのは、作者のオリジナルなので、おかしくね?と思ってもそっとしておいて下さい(震え声)

次回、アメリカ入り+デュエル回+あの人達が登場です。
ヒント:漫画版


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第24話 WRYYYYYYY!!

タイトルは内容と関係ありません。
思ったより筆が進んだので早めに投稿
プレミあったので修正しました・・・。_:(´ཀ`」 ∠):


ペガサスさんは再会、そして食事会を終えると名残惜しそうに会社へと戻っていった。

 

「せっかく来たんですし、一緒に行けばいいじゃないですか」

 

そう言って不貞腐れる遊雅に、ペガサスは苦笑して言う。

 

「仕方ありまセーン、仕事が入っているのですから。それに私は、遊雅が元気であったというだけで十分嬉しいですよ?」

 

そう言って笑うペガサスに、遊雅はしょうがないか、と考え手を出す。

 

「じゃあまた。今度はアメリカで、うまい飯屋奢ってください」

 

「遊雅の親子丼より美味しい店ですか?これは難しい!・・・では、アメリカで待ってますよ」

 

そう言って玄関を出たペガサスを、遊雅はドアが閉まるまで見送り続けた。

 

「・・・これからどうする?」

 

「ん?そりゃあ、アメリカ行きの準備だよ。ほら、お前もさっさと自分の荷物用意してこい。部屋あてがってやってたろ?そこで準備してろ」

 

「・・・ん」

 

そうして、2人は翌日までお互いの荷物をまとめて過ごしていた。

 

 

 

 

 

 

「おいレインゴラァ!なんで俺の引き出しに下着入れてんだ!」

 

「・・・えっち」

 

「昨日はてめえが洗濯物取り込む係だったろうが!?何俺のせいにしてんだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、遊雅とレインは、空港へやってきていた。すると、そこには何故かよく見知った顔がいた。

 

「なんでいんの?明日香」

 

そう聞いた遊雅に、明日香は得意げにドヤ顔を決めた。それを見た遊雅は若干イラっとした。

 

「アカデミアには交換留学制度っていうのがあるのよ。成績優秀者が海外のアカデミアに留学できる制度で、今回の場合は私だったってわけ」

 

「それはわかったが、なんで俺らと時間合わせてんだよ・・・。昨日のやたら時間聞いてくる電話のわけはこれか・・・」

 

前日の夜、遊雅の元へ超絶長い電話をしてきていた明日香。最近の近況や家の住所、飛行機の時間まで聞いてくる上にやたら長かったため、内心辟易としていた遊雅であった。なお住所については流石に言わなかった。

 

「し、仕方ないじゃない、私以外交換留学する人がいなくて心細かったんだから・・・」

 

「それはあの物陰の奴らも来なかったってことか?」

 

そう言って遊雅が指差す先には、物陰に隠れているつもりで全く隠れられてないジュンコとももえがいた。2人はバレたことに気づくと、決まりが悪そうに出てきた。

 

「わかってたんなら直ぐに呼んでよ、恥ずかしかったじゃない」

 

「じゃあすんなよ」

 

「明日香様。留学頑張ってくださいませ!」

 

「ありがとうももえ、頑張ってくるわ」

 

「おい無視かこら」

 

実は精霊の1人である速攻の黒い忍者が教えてくれたのだが、そんなことはおくびにも出さない遊雅。そんな遊雅をつとめてスルーし、2人は明日香を激励しつつ遊雅から離す。

 

(この留が・・・旅行でなんとか距離を縮めるんですよ明日香様!)

 

(で、出来るかしら・・・。や、やっぱり帰ってきてからでも)

 

(それではダメですわ明日香様!ここはこの旅行中にガッツリとハートをキャッチしないと!)

 

実は明日香が留学すると噂された時、志望者が大量に出ていた。例年以上に志願する者が現れたため、企画していた先生が狂喜乱舞したほどである。しかし、明日香の考えを見抜いていたジュンコ達が、それらの志望者を悉くシャットアウトしたのである。企画した先生は死亡者となり明日香以外来なくなった志望者のことを知り、ひっそりと泣いていたらしいがそんなことは関係ない。

 

「おーい、俺らはもう行くんだが、来ねえのか?」

 

「!明日香様、ご武運を!」

 

「頑張ってください!」

 

「ええ、絶対勝利して見せるわ!」

 

「・・・なんだありゃ?」

 

「・・・さあ」

 

なぜか気迫に満ちている3人を、事情を知らない遊雅とレインは不思議そうに見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんなこんなで帰ってきたぜアメリカ!fooooooo!」

 

「ふ、foo?」

 

「・・・」

 

そんなこんなありつつ、アメリカはニューヨークへとやってきた3人。ノリにあまり乗ってもらえなかった遊雅は若干しょんぼりした。

 

「あー、明日香はこれからこっちの先生が来るんだっけ?」

 

「ええ。あなた達は?」

 

「実は俺たちもアメリカ・アカデミアに用があるんだ。案内の先生も明日香と同じはずだ。折角だし明日香と一緒に行くさ」

 

「そ、そう。よかったわ・・・流石に1人で外国の人を相手するのは不安だし遊雅がいるなら・・・」

 

何やらそわそわしている明日香を見て首をかしげる遊雅。そんなこんなで歩いていると、路地裏近くで1人の男が声をかけてくる。

 

「ハロー!よく来たね!君達があの人の言っていた子達かな?」

 

ニッコリと笑いながら近寄ってきた男に警戒する明日香だが、日本語で話しかけられてキョトンとする。

 

「あ、アカデミアの方ですか?」

 

「・・・ああ!アカデミアに案内するよ、ついてきてくれ!この路地が近道なんだ!」

 

そう言って歩き出す男に明日香はついていこうとする。しかし、その手を遊雅が引いて止める。

 

「きゃっ・・・ゆ、遊雅?どうしたの?」

 

「おや、どうしたんだい?さあ早く、急がないと遅れちゃうよ?」

 

そう言ってくる男に遊雅は睨みつけながら答える。

 

「・・・騙すにしてももっと相手をリサーチしてから声かけろよな」

 

「え?だ、騙す?」

 

遊雅に言葉に驚愕し男を見る明日香。それに対して、表情を変えずにこやかに否定する男。

 

「やだなあ、何言っているんだい?遊雅くん。私は・・・」

 

「そうして俺の名前を知っているアピールすんのは良いが、だったらこっちの女子生徒の名前も分かるよな?」

 

「・・・」

 

そう言ってレインを指差す遊雅。しかし、男は戸惑うばかりで答えない。

 

「・・・答えられないよなぁ?だってさっきからあんたが喋ってる情報、全部こっちから喋った物ばっかだしな」

 

その言葉に明日香ははっとし、男は少し顔を歪ませる。

 

「で、大方あんたは俺らみたいな海外から来た旅行者を騙して金やら荷物やらを騙し盗ろうとするコソ泥ってとこかな?」

 

そこまで遊雅が喋ると、男の表情が先ほどまでの人当たりの良い笑顔からニヤリと意地汚い笑みへと変わる。

 

「・・・まったく、こういう無駄に賢い餓鬼ってのは面倒だな。黙って金と荷物渡してりゃあいいのによ」

 

そう言いつつポケットに手を入れる男を見て、明日香とレインを自分の後ろに下がらせる遊雅。

 

「騙せないなら力ずくってか?」

 

「まさか。このご時世、もっとやりやすいもんがあるだろう?」

 

そう言って男が取り出したのはデッキだった。いつのまにか周囲を複数の男たちが取り囲んでいる。

 

「完全に囲まれてる・・・!」

 

「・・・邪魔」

 

取り囲む男たちをみて狼狽える明日香と、鬱陶しそうにするレイン、そして無言で睨む遊雅。そんな3人に、男は数で勝るという余裕からニヤつきを深めつつ宣言する。

 

「耐久戦だ、お前らは3人こっちは10人だが、お互いに負けたプレイヤーがまだ戦っていないプレイヤーに交代していき、交代可能なプレイヤーがいなくなった方が負けだ」

 

そう言ってデュエルディスクを構える男たち。要するにただデュエルするのではなく嬲ろうというのだ。レインと明日香もデュエルディスクを構え応戦しようとするが、遊雅が手を挙げてそれを止める。何故、と訝しむ2人だったが、遊雅の顔を見て押し黙る。遊雅は若干キレていた。

 

「・・・いいや、俺1人だ。俺1人で全員やってやるよ」

 

そう宣言した遊雅に男たちは一瞬ぽかんとし、ついで笑い出す。

 

「・・・ハハハ!まさか身の程知らずの大馬鹿野郎だとはな!まあいい、そっちの方が俺たちとしても話が早え。いいぜ、お前ら!やっちまうぞ!」

 

「おうよ!まずは俺からだ!」

 

取り囲んだ男たちの中から、顔中ピアスだらけの小柄な男が出てくる。その男に相対して、遊雅もデュエルディスクを構える。

 

「「デュエル!」」

 

遊雅

vs

チンピラA

 

「まずは俺からだゼェ!ドロー!手札からヘルドラゴンを召喚!さらに装備魔法デーモンの斧を装備!カードを一枚伏せターンエンド!」

 

チンピラA

手札3枚

場1枚

伏せ1枚 デーモンの斧

 

「いきなり攻撃力3000!?」

 

「はっはあ!降参するなら今のうちだゼェ!?」

 

そう言ってヒャッハーと笑うチンピラAと周囲の男たち。しかしそんな周囲の野次を無視し、遊雅はデュエルを続行する。

 

「俺のターン。・・・喜べアバター、お前の大好きな人種だ」

 

『・・・ええ、本当に美味しそうですね。食べちゃいましょうか』

 

「ほどほどにな。警察に突き出さねえといけないし」

 

「はあ?何言ってんだてめえ?」

 

アバターと話す遊雅を見て、チンピラAはこいつ頭いかれてんのか?と訝しむ。

 

「まあいいや、完全版のアバターデッキの実力、試させてもらおう!手札から、フィールド魔法暗黒世界-シャドウ・ディストピアを発動!」

 

「な、なんだこれは!?」

 

周囲が闇に包まれ、雷鳴轟く地獄のような世界へと変わる。うろたえるチンピラたちを尻目に、遊雅はデュエルを続ける。

 

「この世界では全ての表側表示モンスターが闇属性となる・・・。さらに手札から悪魔嬢リリスを召喚!そしてマジックカード、闇の誘惑を発動!二枚ドローし、手札の魔王ディアボロスを除外!リリスの効果発動!闇属性モンスターをリリースすることでデッキから通常罠を三枚相手に見せ、その中から一枚、ランダムに相手に選ばせ伏せることができる!しかし、暗黒世界シャドウディストピアの効果で、自分がカードの効果のためにリリースするモンスターとして、相手の場の闇属性モンスターを使用できる!ヘルドラゴンをリリース!」

 

「なんだとぉ!?」

 

リリスがクスクスと笑いながらヘルドラゴンを見つめる。するとどういうわけかヘルドラゴンは自らの首を持っていた斧で切り落とす。

 

「俺が見せるのは、聖なるバリアミラーフォースと、死のデッキ破壊ウイルス二枚だ!さあ選べ!」

 

「くっ・・・。俺は右のカードを選ぶ!」

 

「残りはデッキへ!・・・さて、俺はカードをさらに1枚伏せ、マジックカード手札抹殺を発動!2枚捨て2枚ドロー!」

 

「ちっ・・・俺は3枚捨て3枚ドローだ」

 

「俺はこれでターンエンド。この瞬間、ディストピアの効果!このターンリリースされたモンスターの数、ターンプレイヤーの場にシャドウトークンを召喚する!」

 

遊雅

手札2枚

場2枚

伏せ2枚

 

「この野郎、ぶっ潰してやる!俺のターン!ドロー!」

 

「この瞬間、リバースカードオープン、死のデッキ破壊ウイルス!」

 

「何!?」

 

「場のシャドウトークンをリリースし、相手の手札・フィールドを全て確認し、その中の攻撃力1500以上のモンスターを全て破壊する!」

 

「なあ!?」

 

「さらに相手はデッキからも攻撃力1500以上のモンスターを3枚まで墓地に送れるが・・・」

 

「はあ!?んな妙な真似するかっての!」

 

「・・・あ、そう。まあいいや、さっさと手札見せやがれ」

 

「く、くそぅ・・・」

 

「ふんふん、これとこれ、あとこれか・・・。いやー、なんかごめんねー。『手札4枚のうち3枚も』持っていっちゃって」

 

相手のチンピラは悔しそうに遊雅を睨む。しかしそんなのどうしたと言わんばかりにニヤつく遊雅。チンピラはそんな遊雅に歯ぎしりしつつプレイを続行する。

 

「俺はカードを一枚伏せターンエンド!」

 

「ディストピアの効果でお前の場にシャドウトークンが出る」

 

チンピラA

手札0枚

場1枚

伏せ2枚

 

「俺のターン。俺は手札から悪王アフリマを召喚し効果発動!悪魔嬢リリスをリリースして、デッキから守備力2000以上の闇属性モンスターを手札に加える!」

 

「ちょいと待ちな!リバースカードオープン、リビングデットの呼び声!こいつでヘルドラゴンを蘇生だ!」

 

「・・・はい?」

 

チンピラAの場にヘルドラゴンが現れる。んだが・・・。

 

「お前それ伏せてたんなら、死のデッキ破壊ウイルスの時にもっと攻撃力高いやつデッキから送っておけばよかったんじゃ?」

 

「・・・あっ」

 

「・・・なんだただのバカか。まあどっちみちだな。カードを2枚伏せ、リバースカードオープン、闇の閃光。アフリマをリリースしてこのターン特殊召喚されたモンスターを全て破壊する」

 

「なんだと!?」

 

「さらに俺のフィールドのモンスターがリリースされたため、手札の闇黒の魔王ディアボロスを特殊召喚!」

 

俺の場に、闇黒の力を滾らせた魔王が降臨する。魔王ディアボロスの進化系かつ、割とひどい効果を持ったモンスターだ。ちなみに精霊で、見た目と違ってかなり優しい。

 

『マスターよ、我が力が必要か』

 

(ああ、しっかり頼むぜ!)

 

『委細承知』

 

「エンドフェイズ、ディストピアの効果でこのターンリリースされたモンスターの数シャドウトークンを召喚。ターンエンド」

 

遊雅

手札0枚

場3枚

伏せ2枚 シャドウディストピア

 

「くそぅ!俺のターン!・・・!いくぜ!俺はリバースカードオープン、クロス・ソウル!こいつでお前のディアボロスをリリースしてやるぜ!」

 

「なんでそれを伏せてたんだよ・・・。あー無理無理。ディアボロスは場にいる時相手にリリースされないし、効果の対象にも出来ないよ」

 

「ぐっ、ならシャドウトークンを選択!2体をリリースし、バーバリアン・キングを召喚!」

 

チンピラの場に巨大な棍棒のようなものを持った悪魔っぽい戦士が現れる。

 

「こいつならてめえのモンスターで破壊できねえだろ!ターンエンド!」

 

「エンドフェイズにディストピアの効果でシャドウトークンが召喚される」

 

チンピラA

手札0枚

場3枚

伏せ0枚

 

「俺のターン。リバースカードオープン、リビングデットの呼び声。墓地の悪王アフリマを蘇生。・・・さて、準備はオッケーだ」

 

「はぁ?」

 

『ですね』

 

その瞬間、チンピラAは周囲の空気が変わったのを肌で感じ取った。フィールド魔法の影響で暗いのはしょうがないとして、なぜか急激に寒気を感じた。そして気づく、さっきまで野次を飛ばしていた仲間の声が1つもしないことに。

 

「悪いけどお前らの相手をちまちましてるわけにもいかないからね。警察に事情を話すにしても、あんた1人いれば十分だろうし。何より全員相手するとは言ったが、何もデュエルするとは言ってないだろう?」

 

「な、何を・・・!?」

 

恐れから一歩下がったチンピラは、足に何か当たったことに気づき、足元を見る。すると、そこには遊雅たちに最初に話しかけた男が白眼をむいて倒れていた。

 

「ひ、ひいぃ!?」

 

恐怖のあまり逃げ出そうとしたチンピラだが、背後に見えない壁のようなものができており、逃げられない。

 

「く、くそっ!どうなってんだよぉぉ!」

 

『大丈夫・・・』

 

そんなチンピラに、どこからか女の声がささやきかける。チンピラがばっと振り向くと、そこにはいつの間にか黒髪の美しい女性が立っていた。

 

「場のモンスターを3体リリース」

 

遊雅の声が聞こえてくるが、チンピラの耳には届いておらず、チンピラは恐怖も忘れて女に見惚れる。

 

『大丈夫・・・さあいらっしゃい・・・』

 

女は微笑みながらチンピラを誘う。そんな女の魔性に魅入られたチンピラは、操り人形のように一歩一歩近づく。そして女の元へたどり着き、促されるまま女に抱きしめられると同時に

 

『ようこそ・・・地獄へ』

 

「来い・・・邪神アバター(Devil‘s Avatar)

 

そこからチンピラの意識は深い闇へと沈んでいった。

 

 

 

「遊雅!?返事をして遊雅!」

 

遊雅がチンピラたちを『処理』している頃、明日香たちはフィールド魔法発動と同時に締め出されたために中の様子を確認しようと必死だった。すると唐突にフィールド魔法が解除され、デュエルしていたチンピラを引きずりながら遊雅が現れた。

 

「遊雅!大丈夫!?」

 

「ああ、問題ねぇよ。それより、こいつ以外には逃げられちまった」

 

「・・・」

 

心底残念そうに言う遊雅に、何も起きていないことを安堵する明日香。レインは何か言いたげではあったが、遊雅はあえてスルーしていく。そしてチンピラを警察に突き出すと、当初の予定だったアメリカアカデミアの教師を待つ。

 

「さて、本当の先生はまだかねぇ」

 

「・・・呑気なものね。私なんてまださっきのことが衝撃的すぎて忘れられないのに」

 

もはや気にもとめていない風な遊雅に、明日香は苦笑しつつ身震いする。はじめての海外で危うく追い剥ぎもどきに遭うところだったことを考えると当然の反応である。そんな明日香を宥めつつ、遊雅はアバターとディアボロスを呼ぶ。

 

(で、首尾はどうだ?)

 

『問題ありません。我が力であの男の記憶からアバター殿の行ったマインドクラッシュと、その他いくつかの記憶だけを抜き取りました。彼が警察とやらに事情を聞かれても、「自分だけで」マスターたちを襲い、返り討ちにあったと証言するでしょう』

 

『マインドクラッシュした以上あの男が仕返しに来ることもありません』

 

(そいつは良かった。俺にだけならともかく、ほかの人間に危害を加えられたらたまったもんじゃないしな)

 

あのデュエルでアバターが行ったのは、神としての能力、マインドクラッシュである。某王様のように完全に廃人化させたりは出来ないものの、アバターは邪神である。人間の感情、とりわけ悪感情に関しては強力に干渉できる。その力で、チンピラから人への害意の感情のみを取り去ってしまったのである。それに加えてディアボロスが記憶を一部削り取り、無理やり繋ぎ合わせたことで、あの時『消えた』他の男たちの行方について知られることは無くなった。

 

「貴方達、こんな所にいたのね」

 

「貴方は・・・?」

 

そんなやり取りをしていると、アカデミアの教員制服を着た女性が話しかけてくる。明日香は制服を見て安心しかけるが、また似たような相手かもと、警戒心を強める。レインもさりげなく明日香を連れて遊雅の後ろに回り、遊雅は明日香たちの前に出る。そんな3人の姿に苦笑し、女性はアカデミアの教員証明証を見せる。

 

「貴方たちの話は警察から聞いたわ。災難だったわね。安心して、私は響みどり、アカデミア職員よ。ほら、証明証」

 

「いや、実はそう言って巧妙に作られた偽の証明証かも・・・」

 

「遊雅くん?ぶっ飛ばされたい?」

 

「ごめんなさい」

 

即座に土下座する遊雅に、明日香とレインは驚愕する。

 

「ゆ、遊雅!?」

 

「あー、大丈夫だ2人とも、この人はマジでアメリカ・アカデミアの教員だよ。・・・お久しぶりですみどりさん」

 

「まったく・・・。今度やったら怒るわよ?」

 

この女性、響みどりは、遊雅がアメリカのペガサスさんの孤児院に入っていた頃、最初アメリカ・アカデミアへ勧誘しようとやってきた人物である。プロをしている弟の関係でアメリカ・アカデミアにいた彼女は、たまたまストリートでデュエルしていた遊雅を見て、アカデミアへスカウトしてきたのである。その頃にはすでに日本へ行くことが決まっていたので話は流れたが、こうして遊雅がアメリカ・アカデミアへやって来るとなり、ペガサスが面識があった方がいいだろうと言うことで手配したのが彼女である。

 

「さて、今日はもう疲れただろうし、とりあえず寮に向かいましょう」

 

「へーい。レイン、明日香、行くぞー」

 

「ちょ、まってよ遊雅!」

 

「・・・お腹すいた」

 

みどりの乗ってきた車に乗り込む遊雅を見て、慌てて乗り込む明日香と、食事を所望するレイン。かなり個性の強い3人にみどりは少し笑いながら運転席に着く。

 

「大丈夫、寮に着いたら歓迎会って事でご飯たくさんあるから。それに遊雅には、特別に会いたいって人が来てるわよ」

 

「会いたい人?」

 

「そう、私の弟にしてプロデュエリスト。そして・・・

 

 

 

貴方のシンクロ召喚お披露目の相手を務める、響紅葉がね」




基本日本語しか書いてませんが、遊雅が明日香やレイン、みどりさんと話している時以外は英語です。書き分けても読みづらいだけでしたのでこのような形になりました。あしからず。

遊雅のガチデッキその2
闇属性ウイルスアバター
闇黒の魔王ディアボロスや悪魔嬢リリスなどでウイルスカードを使用、かつ闇黒世界シャドウディストピアの効果でトークンを生み出し、壁やカード効果のコスト、もしくはアバターの召喚コストとして使用する。中でも、高火力重視のこの世界では死のデッキ破壊ウイルスがぶっ刺さる。実はアバターを出そうとしない方が回ったりする。
アバター『!?』


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第25話 最高に『灰』ってやつだ!

タイトルは内容と関係ありません。
前回から大分間が空いてしまいました・・・。
言い訳を言ってしまうと、前日まで風邪でした・・・。
みなさん、夜は暖かくして、決して窓なんて全開にしないで寝ましょう^_^


みどりさんの運転する車でアカデミアにやってきた3人は、まず最初にその大きさに驚いた。

 

「でっか!?本校の校舎よりでっか!?」

 

「2倍・・・いえ3倍はあるかしら・・・」

 

「・・・」

 

3人ともに呆けていると、みどり先生が手を叩く。

 

「はいはい、気持ちはわかるけどそろそろ戻って来なさい。女子2人は左の通路の先、遊雅は右の通路の突き当たりが借りる部屋だから、さっさと荷物置いて来なさい。その後はPDAで呼ぶまでは自由にしてていいわよ」

 

はーい、と元気に返事をする遊雅と頷く女子陣。二手にわかれ、それぞれに部屋へと向かう。

 

「おっじゃまっしまーす。・・・まあ誰もいませんけどネ!」

 

自分の部屋に来た遊雅は、誰もいない部屋へと意気揚々と上り込む。本校の頃と同じく、シンクロ・エクシーズをなるべく見られないための1人部屋である。

 

「さーて、んじゃまあ散歩行ってくるわ」

 

『私はついて行きますよ』

 

「じゃあ他の奴らはおとなしくしてな」

 

『『『はーい(うーい)』』』

 

あいも変わらずキャラ崩壊気味の精霊たちに軽く心配しつつもアバターを連れ周囲を散策する遊雅。すると、中庭らしき場所でレインと明日香が会話しているのを見つける。

 

 

 

 

 

 

「・・・と、ところでレインちゃん、あなたって遊雅とどんな関係なのかしら?」

 

「・・・?」

 

遊雅と別れ、2人部屋へ荷物を置き、中庭へ出た所で明日香はレインに尋ねる。レインは、一瞬キョトンとするが、少し考え答える。

 

「・・・恩人。になる予定」

 

「予定?」

 

明日香はよく分からないと首をかしげるが、レインとしてはそれしか言うことが見当たらない。マスターであるゾーンから遊雅にサポートをしろ、とは言われているが、そんな話を明日香にするわけにはいかない。

 

「よく分からないけど、まあいいわ。・・・レインちゃん、私と友達になってくれない?」

 

「・・・友達?」

 

「そう、友達」

 

自分を指差して繰り返すレイン。明日香としては純粋に友人関係になりたい気持ちと、ほんの少しの下心があった。そんなことになった理由は、例の友人2人からのアドバイスだった。

 

『あのレインって子、遊雅にすごい懐いてますよね』

 

『そうね・・・。!ま、まさか彼女・・・!?』

 

『いえ、私のリサーチによると、遊雅さんの編入生への態度は、どちらかというと・・・への接し方のようでしたわ』

 

『リサーチって・・・。ま、まあいいけど・・・』

 

『私の殿方リサーチの正確性は保証しますわ!』

 

『そうだ、明日香様!ここはあの娘と仲良くなって、明日香様の恋愛の手伝いをしてもらいましょうよ!』

 

『れれ、恋愛!?べ、別に私遊雅のことはあくまでライバルとして・・・』

 

『またまたそんなこと言って!大丈夫です、私達は分かってますから!』

 

『え、えぇ・・・』

 

そんな下心を頭を振って打ち切る明日香。

 

(別に手伝って欲しいわけじゃないし?た、ただお友達になりたいだけで・・・そう、これはあくまで友人作りよ。そうなのよ)

 

内心自分に言い聞かせている明日香を見つつ、レインは思案する。ここで断るメリットはあまり考えられない。デメリットとしては、今後しばらく共に行動する中での気まずさが残るであろうこと。そこまで考えたところで、遊雅が前に言っていたことを思い出す。

 

『せっかくアカデミアで生活してるんだし、だれか友人でも作ってそいつと一緒に過ごしてみたらどうだ?』

 

「・・・いいよ」

 

「!ほんと!?嬉しい!これからよろしく、レイン!」

 

「・・・よろしく」

 

明日香の嬉しそうな表情を見ていると、これまで感じたことのない感覚に包まれるレイン。

 

(・・・?不具合?・・・異常なし。じゃあこの暖かい感じは・・・?)

 

「何してんだ?」

 

「ひゃあ!?」

 

「・・・おはなし」

 

2人が話していると、いつのまにか背後に来ていた遊雅が話しかける。明日香は度肝を抜かれ、最初から分かっていたレインは普通に答える。

 

「いいいい、いつから!?」

 

「今。さっき。なんか明日香が百面相してんのがおもろかったんで・・・ブフッ」

 

「ちょ、笑うな!」

 

明日香が怒り、遊雅がヘラヘラ笑いつつ受け流し、レインは黙って見守る。なんだかんだでいい雰囲気になっていたところへ、突然声がかけられる。

 

「hey!You達!Japanのアカデミア生徒だロ?」

 

「んぁ?『誰だ?あいにくこっちの2人は英語そんなに出来ないから日本語で頼むわ』」

 

「オーケーオーケー、分かってるサ!」

 

日本語に切り替えてそう話しかけてきたのは、陽気なようでどこか他人を見下しているような態度の生徒だった。背後には取り巻きもいる。遊雅や明日香の警戒心あらわな態度を見てもヘラヘラ笑っている。チンピラどもとはまた違った感じで嫌だな、と遊雅は感じた。

 

「meの名前はデイビット・ラブ!このアカデミア1のデュエリストさ!」

 

「聞いてないけどな。というか日本人って分かってるんなら初めから日本語で喋れや」

 

「いやいやすまないネ。まさか英語すら話せない程度の生徒が来るとは思ってなかったから」

 

ニヤリと悪辣な笑みでそう言うデイビッドに、明日香と遊雅はムッとする。レインはそもそも話を聞いていない。

 

「・・・喧嘩売ってんのか?」

 

「まさか。いいかいJapanese、喧嘩ってのは同じレベルの者同士で起きるんだゼ?」

 

「そうかい・・・そりゃそうだ。悪かったな。たしかに俺らがお前なんかと同レベルなわけないしな!」

 

「・・・あ?」

 

「・・・お?」

 

「そこの2人!そこまでにしといたほうがいいんじゃないか?」

 

互いにメンチを切り合い、すわ殴り合いか、というくらいの近さになったタイミングで、横槍が入る。やってきたのは、爽やかなイケメンの男性だった。

 

「hey、Mr.コーヨー!こいつらはあんたの連れかい?」

 

「まあそんなとこだ。さあ、さっさと講義に行きなよ、また遅れたらリチャードが今度こそ切れるぞー」

 

「あのジジイ教師か・・・そいつは大変だナ。じゃあなJapanese共」

 

そう言って取り巻きと共に去っていくデイビッドを、遊雅はずっと睨み続けていた。

 

「助けてもらってありがとうございます。えっと、ひょっとしてプロデュエリストの響紅葉さんですか?」

 

明日香が感謝もそこそこにそう言いよる。その目には強い憧れの色が見える。

 

「まあね。姉さんに頼んで、今回の対戦相手の子に会いに来たんだ」

 

そう言って笑う紅葉に、明日香はテンションmaxになる。

 

「あ、あの、サイン下さい!」

 

「いいよ。何に書こうか?」

 

「ありがとうございます!遊雅も書いて・・・遊雅?」

 

遊雅サインが欲しいだろうと振り向くと、そこではベンチに座ってうなだれている遊雅がいた。レインが頭を撫でている。

 

「・・・何してんのよ」

 

心なしか不機嫌な明日香がそう聞くと、遊雅はそれと同じくらい、いやそれ以上に不機嫌そうに答える。

 

「いやまあ・・・ナチュラルに喧嘩に乗っちまった自分にがっかりしてる。俺ってもうちょい大人だと思っていたんだがな・・・」

 

前世を含めれば精神だけはすでに三十路を過ぎようとしていると思っていた遊雅は、自身の先ほどの行動に項垂れる。そんな遊雅に、紅葉は笑いかける。

 

「まあまあ、何も言い返さなければそれはそれで男らしくないし、むしろ胸を張りなさい。そんなテンションで俺とデュエルされてもこっちが気後れしちゃうよ?」

 

そう言う紅葉に、これが実年齢での大人との違いか・・・と訳のわからないことをのたまい遊雅は立ち上がる。そこへ、今度は女子のアメリカ生徒がやってくる。

 

「あら、コーヨー来てたのね!」

 

「やあマック・・・授業はどうしたんだい?」

 

紅葉がそう聞くと、その生徒は肩をすくめつつ答える。

 

「つまんないから出てきちゃったわ。ねえ、そっちの子達は?」

 

「ああ、彼らは留学生ってとこかな。みんな、こちらはマック。レジー・マッケンジーだ」

 

「hi、ヨロシクね、日本語はマダ少し苦手だけどネ」

 

「どーも、遊雅だ」

 

「明日香です」

 

「・・・レイン」

 

自己紹介をお互いすませると、レジーはあからさまにがっかりする。

 

「ナンダ、噂のカイザーはいないのネ・・・」

 

「・・・さっきからなんなんだよ、アメリカ生徒ってのは大体失礼なのか?」

 

「?さっき?」

 

「今さっきまでデイビッドがいたんだよ」

 

「ああ、デイブが・・・。ところデ、留学なんてしてくるんだから貴方達優秀なんでしょ?なんでオシリスレッドがいるノ?」

 

デイビッドの名前を出すと妙に納得し、同情するような表情になる。しかしすぐに元の顔に戻り、突然爆弾発言をぶっこむ。その一言で明日香は顔をしかめ、紅葉はやれやれとため息をつく。

 

「・・・マック、彼に失礼だろう?」

 

「遊雅は強いわよ。レッドとかブルーとか関係なく。勝手に決めつけないで」

 

「でも私知ってるわ。日本のアカデミアではレッド生徒って意気地なしばっかりなんでしょ?」

 

さらに畳み掛けるマックに、紅葉はもちろん、明日香もさらに反論しようと口を開くが、そこを遊雅が止める。

 

「だったら試してみるか?俺が意気地なしかどうか」

 

「へぇ・・・?」

 

その言葉に、マックはニヤリと笑う。その目には、デュエリストとしての闘志が垣間見える。

 

「まあ、留学生ごときに負けるのが怖いならいいんだが・・・」

 

「いいわ、やりましょう。このアカデミア最強の私が負けるわけないもの!」

 

さらに挑発する遊雅に、マックはその気になる。というかデイビッドも最強とか言っていたが、アカデミア最強が2人いるのはどういうことか。明日香はため息をつきつつも少し2人から離れ、観戦の体制に入る。紅葉も、自分が戦う相手のデュエルに興味が湧いたため、静止せず事態を静観する。ちなみにレインは興味がないのでベンチでずっと休憩している。

遊雅とマックはお互いにデュエルディスクを構え正対する。

 

「準備はいいな?」

 

「ええ!負けないわよ!」

 

「上等!」

 

「「デュエル!」」

 

遊雅

vs

マック

 

「私の先攻ネ!ドロー!手札からヘカテリスを捨て、デッキから神の居城ヴァルハラを手札に!」

 

「天使か・・・」

 

「そうヨ。貴方に天使の裁きを味あわせてあげる!手札から永続魔法神の居城ヴァルハラを発動!そして効果!私の場にモンスターが存在しないため、手札の天使族モンスターを特殊召喚できる!私は光神テテュスを召喚!通常召喚でコーリングノヴァを守備表示召喚!さらに永続魔法天空の泉を発動!そして手札からカードを2枚伏せ、ターンエンド!」

 

マック

手札0枚

場2枚

伏せ2枚 神の居城ヴァルハラ 天空の泉

 

「さあ、かかってきなさい?勝てるものならね!」

 

「俺のターン!」

 

挑発してくるマックをスルーし、遊雅は自分のターンを始める。ムスッとしているマックを尻目に、遊雅は手札を確認する。

 

(思ったより悪い・・・)

 

「手札からマジックカード、調律を発動!デッキからクイックシンクロンを手札に加え、デッキトップを墓地へ!」

 

落ちたカードを確認して遊雅は顔をしかめる。

 

(まただ、落ちたのが罠カード・・・精霊達がいないからか?)

 

手札がこれまでで最高に事故っており、自身がいかに精霊達に支えられていたかを痛感し歯噛みする遊雅。しかし、いないものはどうしようもないと、切り替えてデュエルを続ける。

 

「手札からマジックカード、暗黒界の取引を発動。お互いに1枚ドローし、1枚墓地へ」

 

「ちょっと、私なんてデッキから墓地へ送るのと同義じゃない」

 

「知るかよ、墓地肥やしできて最高じゃねえか。手札を一枚捨て、クイックシンクロンを召喚。墓地に送っていたボルトヘッジホッグを効果で召喚」

 

「チューナー・・・。それって確か例の新しい召喚法の・・・!」

 

驚愕するマックに、遊雅はニヤリと笑ってみせる。

 

「いくぞ!レベル5、クイックシンクロンで、レベル2、ボルトヘッジホッグをチューニング!シンクロ召喚!こい、ニトロウォリアー!」

 

遊雅の場に緑の鬼のようなモンスターが現れる。

 

「これがシンクロ召喚・・・!」

 

「そして手札からフィールド魔法、スターライトジャンクションを発動。バトル!ニトロウォリアーでテテュス攻撃!効果でこのターン魔法カードを使用したため、こいつの攻撃力をダメージ計算時一度だけ1000アップさせる!」

 

「!リバースカードオープン、ガードブロック!戦闘ダメージを0にし、デッキから1枚ドロー!」

 

「だが破壊はするぜ!そしてこいつが戦闘で相手モンスターを破壊した時、相手の表側守備表示モンスター1体を攻撃表示にし、もう1度攻撃できる!」

 

「なんですって!?・・・でも天空の泉の効果で、テテュスを除外することでその攻撃力分ライフを回復!」

 

マックLP4000→6400

 

「ちぃ!だがコーリングノヴァを攻撃!」

 

マックLP6400→5000

 

「コーリングノヴァが破壊されたため、デッキからオネストを特殊召喚!天空の泉の効果でコーリングノヴァを除外して回復!」

 

マックLP5000→6400

 

「・・・カードを1枚伏せターンエンド」

 

遊雅

手札1枚

場1枚

伏せ1枚 スターライトジャンクション

 

「私のターン!オネストを効果で手札に!ヴァルハラの効果で手札から裁きの代行者サターンを特殊召喚!リバースカードオープン、奇跡の光臨!除外されているテテュスを召喚!さらにフィールド魔法天空の聖域を発動!スターライトジャンクションは破壊されるわ!」

 

(そういやそうでござんした!くそっ)

 

「テテュスで攻撃!ダメージステップ時に、手札のオネストの効果!オネストを捨ててニトロウォリアーの攻撃力分テテュスの攻撃力を上げるわ!」

 

「リバースカードオープン、ガードブロック!戦闘ダメージを0にし、1枚ドロー!」

 

「でも破壊よ!そしてサターンでダイレクトアタック!」

 

「手札の速攻のかかしの効果!こいつを捨ててバトルフェイズを強制終了する!」

 

「あら残念。でもこれであなたのフィールドはガラ空きね。さあ、どうするかしら?ターンエンド」

 

得意げな笑みを浮かべるマックに、遊雅はニヤリと笑って答えた。

 

「まだまだ、お楽しみは俺だけだ、ってのを思い知らせてやる」




レインをメインに書いた閑話とか、アバターの1日とか、ストーリーのだいぶ先の展開は考えついても、目先のデュエル内容を考えるのでかなり悩む今日このころ。
デイビッドとかマックの性格が上手く描けない・・・漫画買い直そうかな・・・。


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第26話 ボチヤミサンマイ、トリシューラとブリューナクを添えて(戦慄)

タイトルと内容は関係ありません。


「俺のターン!」

 

遊雅は勢いよくカードをドローする。ドローしたカードを見てすぐに遊雅はディスクにカードを叩きつける。

 

「手札からマジックカード強欲な壺を発動!デッキから2枚ドロー!さらにマジックカード、闇の誘惑を発動!デッキから2枚ドローし、闇属性モンスターを除外する!ドッペルウォリアーを除外!さらに調和の宝札を発動!手札のデブリドラゴンを墓地へ送り二枚ドロー!」

 

「どれだけドローするのよ・・・」

 

尋常じゃないレベルでドローする遊雅に、マックは驚く。しかし遊雅自身には全く余裕がなかった。

 

(うぉぉぉぉぉ!キーカードが何1つこねえ!・・・でも次のターンならなんとか・・・!)

 

「カードを二枚伏せ、ターンエンド!」

 

遊雅

手札1枚

場0枚

伏せ2枚

 

「あら、あれだけドローしたのにその程度?モンスターはこなかったのかしら」

 

「さあ?そう思うなら来いよ」

 

お互いに牽制しあいながらも相手の出方を探る。実際遊雅は追い詰められており、このままではジリ貧である。

 

「なんであろうと、今がチャンス!私のターン!ドロー!・・・残念、モンスターじゃないわね。バトル!テテュスでダイレクトアタック!」

 

「リバースカードオープン、和睦の使者!」

 

「ちっ・・・私はこれでターンエンド」

 

マック

手札1枚

場2枚

伏せ1枚 奇跡の光臨 ヴァルハラ 天空の泉

 

「俺のターン!リバースカードオープン、異次元からの帰還!ライフを半分払い、自身の効果で除外されていたボルトヘッジホッグと闇の誘惑で送ったドッペルウォリアーを場に出す!」

 

遊雅LP4000→2000

 

「さらに手札のグローアップバルブを召喚!レベル2のドッペルウォリアーとボルトヘッジホッグに、レベル1のグローアップバルブをチューニング!シンクロ召喚!こい!TGハイパーライブラリアン!ドッペルウォリアーの効果で場にドッペルトークンが2体出る!墓地のグローアップバルブの効果でデッキトップを墓地へ送りこいつを召喚する!レベル1ドッペルトークンに、レベル1グローアップバルブをチューニング!シンクロ召喚!シンクロチューナー、フォーミュラシンクロン!フォーミュラシンクロンとハイパーライブラリアンの効果発動!こいつらの効果でデッキから二枚ドロー!さらに、墓地のジェットシンクロンの効果!手札を一枚墓地へ送り、墓地から特殊召喚!」

 

「どこでそんなモンスターを・・・!?」

 

「暗黒界の取引の時。レベル1ドッペルトークンに、レベル1ジェットシンクロンをチューニング!シンクロ召喚!もういっちょ!フォーミュラシンクロン!こいつとハイパーライブラリアンの効果でまた二枚ドロー!」

 

「手札が・・・!減らない!?」

 

驚愕するマックに、遊雅はニヤリと笑う。

 

「まだまだぁ!ジェットシンクロンで墓地に捨てたラッシュウォリアーの効果!こいつを除外して墓地のシンクロンモンスターを手札に戻す!クイックシンクロンを戻し、効果で手札を一枚捨て特殊召喚!そして捨てたレベルスティーラーの効果!クイックシンクロンのレベルを1つ下げ、墓地から召喚!レベル1レベルスティーラーに、レベル4となったクイックシンクロンをチューニング!シンクロ召喚!ジャンクウォリアー!効果でフォーミュラシンクロンの攻撃力の合計分攻撃力がアップする!」

 

ジャンクウォリアーATK2300→2700

 

「そしてハイパーライブラリアンの効果で一枚ドロー!そして墓地のレベルスティーラーの効果でジャンクウォリアーのレベルを下げ蘇生!レベル1レベルスティーラー、レベル5TGハイパーライブラリアンに、レベル2フォーミュラシンクロンをチューニング!シンクロ召喚!来い!スターダストドラゴン!」

 

「・・・キレイ・・・」

 

初めてスターダストドラゴンを見る者の例に漏れず見惚れるマック。しかしそんな中遊雅はなんとも言えない表情になる。

 

(・・・かっこいいんだけど、だいたい素材なんだよなぁ・・・)

 

「レベル8スターダストドラゴンに、レベル2フォーミュラシンクロンをチューニング!いくぞ!アクセルシンクロ!シューティングスタードラゴン!」

 

一瞬ものすごい勢いで振り返ったスターダストドラゴンだったが、フォーミュラシンクロンに連れられてクリアマインドする。・・・若干キラキラと、何か液体が風に乗っていった気がしないでもない。

 

「アクセルシンクロ・・・!シューティングスタードラゴン!Fantastic!遊雅!あなたをバカにしたことは謝るわ!」

 

「そいつはよかった。でも手加減しないぞ?墓地のレベルスティーラーの効果!シューティングスタードラゴンのレベルを下げて墓地から特殊召喚!マジックカード、死者蘇生!墓地のデブリドラゴンを蘇生!マジックカード、ワンフォーワン!手札のモンスターを捨て、デッキからレベルスティーラーの2枚目を召喚!レベル1レベルスティーラー2体に、レベル4デブリドラゴンをチューニング!シンクロ召喚!現れろ!瑚之龍!瑚之龍の効果!手札を一枚捨て、天空の泉を破壊!」

 

「shit!」

 

「バトル!シューティングスタードラゴンの効果!デッキトップから5枚を確認し、その中のチューナーの数、攻撃できる!チューナーの数は・・・3枚!よって3回攻撃できる!」

 

「なんですって!?」

 

「やれ!シューティングスタードラゴン!テテュスを破壊!」

 

「グゥッ!天空の聖域の効果で戦闘ダメージは0よ!」

 

「問題ない!さらにサターンを破壊!そしてダイレクトアタック!」

 

マックLP6400→3100

 

「そして瑚之龍でダイレクトアタック!トドメにジャンクウォリアーで攻撃!これで終わりだ!」

 

3100→700→−2000

 

 

 

デュエルが終わると、明日香とレインが戻ってくる。

 

「お疲れ、遊雅。さすがの展開ね」

 

「おう、結構疲れた・・・」

 

無言ながらも飲み物を渡してくるレインと、感想を述べ、さりげなく近付こうとしている明日香と喋る遊雅。そんな3人に、仲がいいんだな、と思いつつ紅葉は考える。

 

(あそこまで展開できるとは・・・。シンクロ召喚のための低レベルモンスターを、魔法やモンスター効果でデッキからだけでなく墓地からも持ってくる戦術・・・!それに手札がなかなか尽きないようになっているのか。これは手強いな・・・)

 

とそこへ、マックがやって来る。

 

「負けたワ、遊雅。シンクロ召喚・・・とても楽しい時間だった。改めて謝っておくわ。レッドだからと馬鹿にしてごめんネ」

 

若干しょんぼりとしながらそう告げるマックに、遊雅は笑いかけながら答える。

 

「まあいいさ、俺としてもいい経験だったよ。そうだな、申し訳ないと思うんなら、友達になってくれよ」

 

そう言ってニカっと笑う遊雅に、マックは一瞬惚けた後、すぐに顔を赤くしながら遊雅に抱きつく。

 

「なっ!?」

 

「くぁせ@kfあrjずひwkxbfh!?」

 

「・・・?」

 

驚愕し、殺気が漏れ始める明日香とおかしな言語を喋り出す遊雅。レインは2人を見て首をかしげる。そんななか、マックは抱きついたまま遊雅を見上げる。

 

「・・・私、彼氏にするなら自分より強い人って決めてるの。それと笑顔の素敵な人」

 

「それとこれとなんの関係が!?」

 

「もう、分かってるくせに・・・ダーリン♪」

 

「ダッ!?」

 

予想外の展開にあたふたするしかない遊雅。すると、横から強大な殺気を感じる。そちらを見ると、顔はニッコリしているのに、目は全く笑っていない明日香と、遊雅にしか見えないがアバターがいた。

 

「何を・・・しているのかしら?」

 

『この女狐め・・・!マスターの隣は私のものだ・・・!』

 

「ちょ、落ち着け!別にこれは俺悪くないだろ!?マックが勝手に・・・」

 

「あらダーリン。そんなこと言うなんて酷いジャナイ。あんなに激しく(デュエルを)したじゃナイ」

 

『「・・・」』

 

「あんたは黙って!そして離してくれませんかねぇ!?ってかわざとだろその言い方!?」

 

一層目が座り始めた1人と一体に、本格的に生命の危機を感じる遊雅。しかし、マックは離れず、ふと遊雅が下を見ると、半笑いのマックと目が合う。

 

「アー。悲しいワー、私の初めて(の敗北)を奪っておきながら、そんなこと言うのネ」

 

「こ、こいつ・・・!」

 

「遊雅・・・?お話、しましょうか・・・?」

 

『マスター。こちらへ。大丈夫です、痛いのは一瞬です』

 

「なにをするダァー!ヤメロー!ヤメロー!」

 

ドッタンバッタン騒ぎ出した3人を離れて見つつ、紅葉とレインは一言呟いた。

 

「・・・平和だなぁ・・・」

 

「・・・同意」

 

 

 

 

 

 

 

遊雅への特に理由は無い折檻が終わった後、彼らは学園の理事長室の前へときていた。

 

「というか、普通は最初にお偉いさんのとこに行くんじゃね?」

 

「まあまあ、気にしない気にしない。さ、理事長さんに挨拶してきなさい」

 

そう言って遊雅達を促す紅葉。彼自身は会う必要が無いため、マックを教室へと送還する事にした。

 

「またね、ダーリン♪後で一緒にランチでも食べまショ?」

 

そう言ってウインクしながら去っていくマックを、背後からの殺気×2を受けつつ苦笑いで見送る遊雅。

 

「・・・さてと、んじゃまあ挨拶しますか」

 

「・・・そうね」

 

「・・・」

 

3人で理事長室に入ると、そこには2人の人物がいた。

 

「やあ、来たね。君達が留学生とシンクロ召喚のテスターだね?私はこの学校の理事長を務めているウォルフ・マッケンジーだ。よろしく」

 

そう言ってにこやかに手を出す理事長に、遊雅は手を握りながら挨拶する。

 

「どうも、Mr.マッケンジー。シンクロ召喚のテスターをさせていただいている、遊雅です。・・・ところで、マッケンジー、ということは、マックは・・・」

 

「ああ、あの子に会ったのか。彼女は私の娘だよ。言いたいことははっきり言う性格で、よく人とトラブルを起こしているんだが、君達にも迷惑をかけたろう?親として謝罪しよう」

 

それを聞いて、遊雅は顔を引きつらせながらも曖昧に答える。

 

「いえいえ、色々と教えてもらって有り難かったですよ」

 

(かなり厄介ではあったけども!)

 

「それと、彼については君の方が詳しいかな?」

 

「・・・よう、元気してたか?」

 

そう言ってマッケンジー理事長の言葉の後に、もう1人の男が遊雅に話しかける。男は、ライオンのたてがみのような髪型をしており、にやりと笑いつつ3人の前に立つ。

 

「あ、お久ー、リッチーさん」

 

「遊雅、知り合い?」

 

「おう、俺の兄貴的な感じの人で、リッチーさんだ」

 

「お前な、一応俺は孤児院の先輩かつお前より年上なんだが?もっと敬語とかだな・・・」

 

「んな細かいこと気にするような人じゃ無いでしょリッチーさん。ところでなんでこんなとこに?」

 

孤児院に来てからこれまでずっと言ってきたにもかかわらず全く改善しない弟分の上下関係を無視した態度に若干ため息をつきつつ、リッチーは用件を伝えた。

 

「実はちょいと面倒な事になってな・・・。ペガサス様からの伝言だ。三幻神の一柱、ラーの翼神竜のコピーカードが盗まれた。お前の力を貸して欲しい、とさ」




執筆速度が馬鹿みてえに落ちてきた・・・。
頑張らねば(無駄な使命感)
アメリカアカデミアの理事長の名前は適当です。漫画でもMr.マッケンジーとしか言ってなかったし。


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第27話 スリケン投擲!ジッサイツヨイ!

タイトルと内容は関係ありません。

かなり更新が遅れた。そしてあいも変わらずの駄文。色々と理由と事情があるが全て私の責任だ。
だが私は謝らない
(訳 ごめんなさい更新遅れました許してください何にもしませんから)


「ラーのコピーカードが・・・?なんでまた」

 

リッチーからの突然の報告に、遊雅はいぶかしむ。ラーのカードについては前世で見たことがあるが、OCGのカードであったため神ならぬ紙のカードという認識であった。遊雅からしてみればなんでそんなものを、という心境である。そんな遊雅に事情を話そうとして、リッチーは明日香たちがいることに気づくと、遊雅の横を通りつつ肩を叩く。

 

「ここじゃ話づれえな。すまねえが遊雅を連れてくぜ」

 

「すいませんMrマッケンジー」

 

「かまわないさ。どうやらよくない事態のようだしね。それでは遊雅くん、また後程」

 

理事長へ挨拶もそこそこに、部屋を出ていく遊雅とリッチー。そんな二人が出ていくと同時に、明日香が再起動する。

 

「・・・ねえレイン。いま気のせいじゃなければ、ペガサスさんって聞こえた気がしたけど・・・」

 

「・・・うん」

 

「どういうことよ!?なんで遊雅と世界的カードデザイナーのペガサスさんに面識があるわけ!?」

 

「・・・色々あった」

 

「その色々が聞きたいのよー!あとラーの翼神竜!?超伝説のカードじゃない!盗まれたって、一体何がどうなってるのよ!?」

 

 

 

明日香がレインを無駄に問い詰めている頃、遊雅とリッチーはアカデミアの出口へ向けて歩きつつ話していた。

 

「盗んだのはインダストリアルイリュージョン社の社員でメインカードデザイナーのフランツという男だ。いま夜行と月行が追っているが、どこにいるかわからねえ。幸いなのは、発覚が早かったから飛行機やら船やらの長距離輸送での逃走手段を抑えられたってところか」

 

「そんで、その人を捕まえて欲しいって、具体的には『どこまで』ならやってもいいって?」

 

そう言う遊雅の目は若干暗い。恩人に迷惑をかける輩への怒りがにじみ出ていた。そんな遊雅にリッチーは苦笑しつつ答える。

 

「一般人に被害が出ない程度までなら許容範囲、だそうだ。それと殺されないようにしてくれとよ」

 

「殺されるって、誰に?」

 

「そりゃおめぇ、お前のそばにいるっていう邪神にだよ」

 

そういうリッチーの顔色は若干悪い。邪神に関わりたくないという感情が顔に出ていた。アバターがいたずらしようとリッチーに近づくが、閣下とレモンさんがひきとめる。そんなにビビることないのに、と軽く笑いながら遊雅は答える。

 

「・・・まぁ納得は出来ないですけど、了解です。アバター、分かったな?大丈夫だとは思うが」

 

『はい、私としてはどうでもいいので』

 

アバターとしても、自らの主人のためではなくわざわざペガサスのために動くような事はないので、なんともそっけない。そんな邪神は放っておいて、2人は話を終わらせ動き出す。

 

「俺もこれから捜索に動く。見つけたらまぁ、足止めぐらいはしてやる。・・・ラーはマジでやばいカードだ。神のカードを止められるのは同じ神、そして抑止力として作られた邪神のお前だけだ。頼むぞ?お前だけが頼りだからな」

 

「はいはい。それじゃあ、行きますね」

 

そう言ってリッチーと別れた遊雅はアカデミアを出て少し歩くと、アバターにたずねる。

 

「・・・で、どうだ?」

 

『空港付近、天馬兄弟の近くに神の気配があります。間違いなくフ・・・なんとかでしょう』

 

「フランスな。さて、さっさと取っ捕まえますか」

 

フランツである。

 

 

 

 

一方その頃、ペガサスの孤児院出身の現インダストリアルイリュージョン社所属、ペガサスミニオンの天馬兄弟は、フランツを探して空港付近の路地裏に来ていた。

 

「どうだ、夜行?」

 

「だめだ、見つからない!くそっ、ペガサス様に迷惑をかけるなど、あの男は見つけ出してぶん殴って・・・!」

 

落ち着いた雰囲気で、常に冷静な兄、月行。ペガサスに対する尊敬と崇拝がちょっと頭おかしいレベルの弟、夜行。容姿は似ているが性格がまるで違う2人は、どういうわけか足取りの掴めない逃亡者フランツの行方にやきもきする。そんな時、ふと顔を上げた月行は路地裏の入り口に立つフード付きのマントを被った男を見つける。

 

「・・・!そこのあなた、フードを取っていただけませんか?」

 

極めて社交的に話し出した月行だが、その目には既に疑惑の念が見て取れる。隣の夜行も目をつり上げて叫ぶ。

 

「貴様!フランツだな!?そうだろう!?さっさとラーのコピーを渡せ!」

 

「夜行黙ってなさい」

 

自身も同じことは考えているが、ド直球にも程がある夜行にため息をつきたくなる月行。そんな2人を見て、フードの男・・・フランツは不敵に笑う。

 

「ククク・・・神となったこの私にそのような態度をとるとは、どうやら死にたいようですね」

 

「何が神です。あなたはあくまでラーを盗んだだけの盗人です。さあ、早く神のカードを返しなさい!」

 

月行の言葉にフランツは薄笑いを浮かべ拒否する。

 

「お断りです。この力で私は神となったのだ!私の邪魔をするものには、裁きを与えてあげましょう!」

 

そう言ってデュエルディスクを構えるフランツ。天馬兄弟が応戦しようとディスクを構えたその時。

 

「ノックしてもしもーし!」

 

「グエ!?」

 

「夜行ー!?」

 

空から遊雅が降ってきた。夜行は下敷きとなり、白目を向いている。突然乱入した遊雅は、そんな夜行を気にもとめず、フランツを睨む。

 

「てめーだな?ラーを盗んだって野郎は。ペガサスさんに迷惑かけるとはいい度胸だ、フルボッコにして警察に突き出してやる」

 

月行は「あ、また面倒なのが来た」と思った。

 

「・・・お前か。ペガサスが連れてきたシンクロ召喚の考案者兼テスターの遊雅というのは」

 

「そうだ。(考案者ってのは若干ちがうけど)」

 

フランツは遊雅を親の仇のように睨む。カードパワーこそが絶対だと考える彼にとってシンクロ召喚の台頭は面白くない。故にテスターである遊雅のことも好ましく思っていなかった。しかしすぐに笑みを浮かべ、再度デュエルディスクを構える。

 

「丁度いい、私の神で貴様を倒して、私の正しさを証明する!」

 

そんなフランツに遊雅は不敵に笑いつつ応える。

 

「いいぜ、いくら神を持っていようが、関係ない。ぶっ潰して警察に突き出してやる!」

 

「「デュエル!!」」

 

フランツ

vs

遊雅

 

コイントスにより、先攻は遊雅となった。

 

「俺のターン、ドロー!・・・!?!?」

 

カードをドローし、手札を確認して固まる遊雅。そんな遊雅を見て、手札事故か・・・?と訝しむフランツと月行。唯一手札を覗けるアバターは、手札を見た途端『げっ!?』と声を上げる。そんな外野のことなど気にも止めず、より悪辣な笑みを浮かべ遊雅が動き出す。

 

「俺は手札からフィールド魔法、死皇帝の陵墓を発動!」

 

フィールドに巨大な陵墓が現れ、荘厳な雰囲気に包まれる。フランツはどんなフィールド魔法かと警戒したが、ふっと笑いをこぼす。

 

「ライフを払うことで上級モンスターを出せるフィールド魔法ですか。私の神を出すための準備をしてくれるとは、ありがたいものですね。ククククッ・・・」

 

そう言って笑みを浮かべるフランツだが、次の瞬間その顔が凍りつく。

 

「さらに手札から永続魔法、神の居城ヴァルハラを発動!効果で大天使クリスティアを特殊召喚!そして陵墓の効果でライフを2000払い光と闇の竜を通常召喚!」

 

遊雅LP4000→2000

 

「クハハ・・・は?」

 

「・・・な!?」

 

今度は高笑いしかけていたフランツと、状況を見ていた月行が固まる。遊雅の場に清廉なる大天使と、光と闇、相反する力を持つ巨竜が現れる。上級モンスターが2体いるというのは確かに脅威だが、それよりも問題なのは2体の効果である。

 

大天使クリスティア

効果

☆8/光/天使

攻2800/守2300

(1):自分の墓地の天使族モンスターが4体のみの場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

(2):このカードの(1)の方法で特殊召喚に成功した場合、自分の墓地の天使族モンスター1体を対象として発動する。

その天使族モンスターを手札に加える。

(3):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、お互いにモンスターを特殊召喚できない。

(4):フィールドの表側表示のこのカードが墓地へ送られる場合、墓地へは行かず持ち主のデッキの一番上に戻る。

 

光と闇の竜

効果

☆8/光/ドラゴン

攻2800/守2400

このカードは特殊召喚できない。

このカードの属性は「闇」としても扱う。

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、効果モンスターの効果・魔法・罠カードの発動を無効にする。

この効果でカードの発動を無効にする度に、このカードの攻撃力と守備力は500ポイントダウンする。

このカードが破壊され墓地へ送られた時、自分の墓地に存在するモンスター1体を選択して発動する。

自分フィールド上のカードを全て破壊する。

選択したモンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する。

 

『このカードがモンスターゾーンに存在する限り、お互いにモンスターを特殊召喚できない』

『このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、効果モンスターの効果・魔法・罠カードの発動を無効にする』

 

「・・・!?!?き、貴様!?」

 

ようやく状況を理解したフランツと月行が驚愕する。アバターとついてきた一部の精霊たちは状況を見つつ『あー、やっぱり』と呟く。そんな中遊雅はそれはそれは嬉しそうに嗤いながらフランツに話しかける。

 

「どうした?たかが先攻1ターン目に特殊召喚と魔法罠モンスター効果を封じられただけじゃないか(^U^)。魔法連発して光と闇の竜を攻略すればまだいけるって!ほら頑張れ!カードを2枚伏せターンエンド」

 

遊雅

手札0枚

場2枚

伏せ2枚 ヴァルハラ フィールド魔法 死皇帝の陵墓

 

「くっ・・・私のターン、ドロー。・・・モンスターを伏せ、カードを伏せターンエンド」

 

フランツ

手札4枚

場1枚

伏せ1枚

 

「そんなんでいいんすか?ほら、もっとモンスター展開してラーを出してくださいよ」

 

絶望しそうになった自身を奮い立たせ、今は辛抱と場を整えるフランツに、遊雅が煽る。とりあえずデュエル関係なしにぶん殴りたいとフランツは思った。

 

「俺のターン、ドロー。手札からメガロスマッシャーXを召喚。バトル、メガロスマッシャーXでセットモンスターを破壊」

 

「破壊されたダンディライオンの効果で・・・」

 

「光と闇の竜の効果でこいつの攻・守を500下げて無効。クリスティアと光と闇の竜でダイレクトアタック」

 

光と闇の竜ATK2800→2300

 

フランツLP4000→-1100

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう、大丈夫?月行さん」

 

フランツを宣言通りフルボッコにした遊雅は、月行にスッキリした様子で尋ねる。そんな遊雅に月行はジト目で答える。

 

「・・・ああ、わたしには問題ない。だが誰かさんのせいで夜行が気を失っているんだが?」

 

「そっすか、なら問題ないですね。ラーをペガサスさんに渡しに行きましょう」

 

清々しいほどに華麗なスルーにため息をこぼしつつ、月行は夜行を抱え、遊雅はフランツを引きずりながら路地から出る。ドンマイ、フランツ。

 

そんなこんなでフランツを無事(?)捕まえてラーを取り戻した遊雅は、インダストリアルイリュージョン社へ来ていた。

 

「なんというか、まあ、お疲れさん」

 

「はい・・・私たちが動く必要あったのでしょうか・・・」

 

「それいうな・・・。考えないようにしてたんだからよ・・・」

 

戻ってきた遊雅たちを見てなんとなく事情を察したリッチーは、やや疲れ気味の月行を慰める。ちなみに夜行はまだのびている。

 

「はい、ペガサスさん。ラー、取り返しましたよ」

 

「oh!アリガトウゴザイマース遊雅!それに月行達もお疲れ様デース!」

 

そんな2人+屍一体を尻目にペガサスへラーを返す遊雅。ラーが何事もなく戻ってきたことに喜ぶペガサスは、遊雅に提案する。

 

「そういえば、せっかく本社にきたのデスから、あなたの級友に会いに行ってはどうです?」

 

「いいんですか?それなら今アカデミアに友人とレインがいるんですけど、2人も呼んできていいですか?」

 

「もちろんデース!・・・ただし、機密事項は見せてはいけませんヨ?」

 

「大丈夫です、そこんとこはしっかりしますって!じゃあ呼んできますね!」

 

そう言って笑いながら出て行く遊雅をみて、リッチーと月行は感慨深そうにため息をつく。

 

「・・・あいつ、随分明るくなったな」

 

「そうですね。孤児院の頃時たま年齢に合わない雰囲気はありましたが、年齢相応に明るくなってくれましたね」

 

「いいことデース。子供は子供らしくあるべきですカラ」

 

そう言って笑うペガサスにつられ、2人も少し笑うのだった。




ラー「我の出番ではないのか!?」
神縛りの塚「ちょ、デビュー戦!!」
クリスティア・光と闇の竜「「良かれと思って!」」
メガロスマッシャーx「露払いは任せろ!」

当初は低レベルモンスター主体のコンボとジャンクウォリアーからの速攻魔法、スクラップフィスト!でワンショットキルして
「これが低レベルモンスターの力だ!」
とかしようと思ったが、友人(ssのことは知らない)にこういうのどう?って聞いたら
友人「え、そもそも出させなきゃいいんじゃね?」
という意見をもらいこうなった。

今後話の中では出ないであろう設定
天馬兄弟
漫画遊戯王Rに出てきた。本来そこで夜行が邪神を使っていたが、今作品ではオリ主が邪神を所持しているため綺麗なまま成長、そのまま恩人であるペガサスの会社で働いてる。KC社襲撃なんてなかったんや!

リッチー
天馬兄弟と同じく綺麗なまま育ちました。(あれ?朝顔観察?)

光と闇の竜
遊雅はカードは持っているが、漫画版にでてくる精霊(マァトの羽)は宿ってない。どっかで別のカードにハネクリボーが宿してる(多分

孤児院の仲間からの遊雅への印象
デュエルに関してはよくわからないカードを使ってボコボコにしてくるヤベー奴。日常では同年代より大人しくて手がかからないけどよくわからない奴
総合してよく分からねー奴


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第28話 愛しさと切なさとコブラツイスト

タイトルは内容と関係ありません。
・・・もはや何も言うまい
(学校でのテスト等でめちゃくそ忙しかったです許してください何にもしませんが)
デュエルを若干修正しました。


ペガサス達が感慨深そうに話している頃、遊雅はレインと明日香を連れてきていた。

 

「別にそこまで緊張しなくても・・・」

 

「いやいや、ペガサスさんよ?あんた自分の保護者がどれだけ有名だと思ってるのよ・・・」

 

明日香はガチガチに緊張していたが、遊雅の言葉にため息をつく。アカデミアでも様々な事情で苗字なしとなっていたため、今回ぽろっとリッチーが漏らした言葉で初めて遊雅の保護者があのペガサスだと知ったのである。レインはそもそも事前の調べ(過去の観察)で知っていたため特に驚かない。

 

「・・・道理で新カードをポンポン使うわけね・・・。なんかもう色々と許容範囲外よ・・・」

 

「まあまあ。・・・っと、ここだよ。ペガサスさん、入りますね」

 

『ドウゾ』

 

「あっ、ちょ、待ってよ!心の準備が・・・」

 

ペガサスのいる部屋へとノックし、躊躇いなくドアを開ける。そこには、リッチー達はおらず、2人の人物のみがいた。

 

「ようこそ、ミスレイン、そしてミス明日香。あなた達を歓迎しマース」

 

「ど、どうも、初めまして。天上院明日香と言います」

 

その1人、ペガサスがドアの正面に位置する椅子の横に立ち、遊雅達を出迎える。しかし明日香はぎこちなくペガサスに挨拶するやいなや、もう1人の予想外な人物に驚く。

 

「え・・・?あなた・・・隼人!?」

 

「う、うん・・・。お久しぶり、なんだなぁ・・・」

 

やや苦笑いしつつ手を上げてそう答えたのは、ここに居るはずのない前田隼人。しかも、装いはインダストリアルイリュージョン社の物である。もはや思考が追いついていない明日香は口を開けて惚けていた。そんな明日香を尻目に、遊雅は隼人に話しかける。

 

「おぉ〜!隼人、久しぶり!なんだか少しスッキリしてないか?」

 

「うん、少し痩せたんだなぁ。そう言う遊雅は相変わらず元気そうで何よりだなぁ」

 

「あったりまえヨォ!ところで、最近仕事の方はどうよ?」

 

「楽しいぞ。念願のカードデザイナー目指して、日々修行中だなぁ」

 

「そいつは良かった。ペガサスさんにお前を推薦した甲斐があるってもんだ」

 

そんな風に談笑していると、明日香がようやく復活し、遊雅に尋ねる。

 

「遊雅?これはどう言うことなの?なんでこんなところに隼人がいるの?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

時はアカデミアが夏休みに入る10日ほど前になる。その日十代達の部屋を訪れた遊雅だったが、生憎と十代・翔の2人が留守であった。たまたまいた隼人と駄弁っていた遊雅は、ふと視線を隼人の机に向け、あるものを見つける。

 

「なんだ?おい隼人、これって何?」

 

「ん?っ!そ、それは・・・」

 

やや歯切れの悪い返事をする隼人に首を傾げつつ、許可を得てノートを開く。中身を見た遊雅は、感嘆の声をあげる。

 

「これって、カードのデザインか?へぇーっ!結構綺麗じゃんか」

 

「うぅ、少し恥ずかしいんだなぁ」

 

そう言いつつも、隼人は描かれたデザインのコンセプトだったり、考えている効果だったりを説明する。かなり完成度の高いそれを語りつつ、将来はカードデザイナーになりたいんだ、と打ち明ける隼人。それを聞いた遊雅は、何気なく隼人に提案する。

 

「なら俺の保護者の人に話し通そうか?」

 

「え?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「・・・ってなわけで俺が隼人をペガサスさんに紹介して、でペガサスさんが隼人のスケッチを気に入ってくれたんで夏休み前からちょくちょくカードデザインの修行をやらしてもらってるんだよ」

 

「・・・最初はあのペガサスさんのことだとは思わなかったんだなぁ・・・」

 

「しかし、彼の才能に関しては確かなものデース。私が保証しマース!」

 

初めてペガサスに会わされた時のことを思い出し苦笑するが、ペガサスが褒めると照れ臭そうに笑う隼人。それを見て、遊雅はいやーいいことしたなー、とドヤ顔をし、明日香はまぁ、隼人が夢を叶えられたんだしいいか、と思考を放棄し、レインはもう寝てる。と、そこで思い出したように遊雅が話し出す。

 

「そうだ、ペガサスさん。フランツ・・・さんはどーなるんですか?」

 

話を振られたペガサスは、真剣な顔になってフランツの処遇について話す。

 

「今はとりあえず個室に軟禁中デース。警察沙汰にはあまりしたくありまセン。ですが、彼が反省しない以上は窃盗の罪で警察行きでとなるでショウ・・・」

 

「・・・話をさせてもらうことは出来ますか?」

 

「?可能ですが・・・どうするのデス?」

 

「いやちょっと・・・。あの人をなんとか説得できないかな、って・・・」

 

そう言う遊雅に、ほんの少しの間真剣な表情で向き合っていたペガサスだが、すぐに微笑むと、部屋の入り口へと向かう。

 

「いいでしょう、ついて来なさい。彼の元へ案内しマース」

 

部屋を出るペガサスに続き、遊雅達も部屋を出る。レインは遊雅がひっぱたいて起こし、引きずっていった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「・・・フランツ」

 

「ハッ、何の用だペガサス。こんなところに閉じ込めるくらいならさっさと私を警察に突き出すといい」

 

フランツの軟禁されている部屋へとやってきた一行。一方のフランツは、一瞬遊雅の方を見て苛立ちの表情を浮かべるが、すぐにそれを引っ込め、自虐的な笑みとともにペガサスに吐き捨てるように言う。それを聞いて、取りつく島もないと理解したペガサスは、少し悲しそうな表情で遊雅を前に出す。

 

「フランツさん。俺ともう一度デュエルしろ」

 

「・・・なに?」

 

「あんたが勝ったら、今回の罪は不問とさせてもらう」

 

「!?」

 

「ちょっ!?遊雅!?」

 

遊雅の発言に驚愕するフランツ。当然後ろの面子も驚き声をあげる。しかし、遊雅はそちらを見ず、ただフランツを見続ける。

 

「・・・貴様が勝った時は」

 

「あんたのもつ『カードはパワーこそ至上』っていう考えを改めて、またペガサスさんのために働いてもらう」

 

「・・・ハッ。結局私が得をしているじゃないか。何が目的なんだ。それともまさか損得勘定もできないバカなのか?」

 

「さっきのデュエルではあんたの捕縛優先でロックデッキを使わせてもらったしな。折角だし、あんたの言うところの『低レベルの弱小カード』の底力ってやつを見せてやろうと思ってな」

 

そう言ってフランツを挑発するように笑う遊雅に、フランツは真剣な顔で向き合う。しばらくの間、周囲に妙な沈黙が立ち込める。最初に声を発したのは、フランツだった。

 

「・・・いいだろう。今一度、私の正しさを証明してやる」

 

「そうこなくっちゃな。さて、じゃあ決闘場に行こうか」

 

そう言って部屋を出て行く2人を、呆然と成り行きを見ていた全員が慌てて追いかける。

 

 

 

 

 

 

 

 

決闘場へとやってきた一行は、対峙するフランツと遊雅を観客席から観戦する。

 

「遊雅・・・、一体なんのためにこんなことを・・・」

 

「きっと俺たちにはわからない考えがあるんだなぁ」

 

明日香は困惑を露わにし、隼人はよくわからないながらも、遊雅なら何かわけがあってのことだろう、と考える。ペガサスは黙ったまま行く末を見守る。

 

「行くぞ、フランツ!」

 

「来い!」

 

「「デュエル!」」

 

フランツ

vs

遊雅

 

コイントスにより、先攻はフランツとなった。

 

「私のターン!ドロー!私は手札からレスキューラビットを召喚!効果によりこいつを除外し、デッキからジェネティックワーウルフを2体召喚!さらにマジックカード、二重召喚を発動!これにより私はもう一度通常召喚を行うことができる!そしてさらに永続魔法、冥界の宝札を発動!私はジェネティックワーウルフ2体をリリース!闇の公爵ベリアルを召喚!冥界の宝札の効果で二枚ドロー!カードを二枚伏せ、ターンエンドだ!」

 

フランツ

手札2枚

場1枚

伏せ2枚 冥界の宝札

 

「俺のターン!俺は手札から、マジックカードワン・フォー・ワンを発動!手札のモンスターを1枚墓地へ送り、デッキからチューニング・サポーターを特殊召喚!さらに手札からジェット・シンクロンを召喚!さらにワン・フォー・ワンで墓地に送ったボルトヘッジホッグの効果!場にチューナーがいるため、こいつを墓地から特殊召喚!」

 

「チューナー・・・。それが例の・・・」

 

「レベル2扱いとしたチューニング・サポーターと、レベル2ボルトヘッジホッグに、レベル1のジェット・シンクロンをチューニング!シンクロ召喚!来い!ジェット・ウォリアー!チューニング・サポーターの効果で1枚ドロー。さらにジェット・ウォリアーの効果!こいつがシンクロ召喚に成功したので、ベリアルを手札に戻す!」

 

「リバースカードオープン!ディメンション・ゲート!ベリアルを除外する!」

 

「ならいくぞ!バトル!ジェット・ウォリアーでダイレクトアタック!」

 

「ディメンションゲートの効果!相手がダイレクトアタックしてきたため、このカードを墓地へ送り除外していたベリアルを場に戻す!」

 

「げっ!?」

 

急降下攻撃を仕掛けようとしていたジェット・ウォリアーの眼の前に、次元の狭間からベリアルが現れ立ちふさがる。

 

「攻撃を中止!・・・ターンエンド」

 

遊雅

手札4枚

場1枚

伏せなし

 

「まずいんだなぁ。遊雅のモンスターじゃベリアルにやられてしまう・・・」

 

「・・・でも遊雅のデッキならあのカードがあるはずよ・・・!」

 

身を守る伏せカードすらない遊雅のフィールドを見て、焦る隼人。しかし明日香は、この状況に覚えがあった。

 

「いくらシンクロ召喚などというものがあろうと、所詮はこの程度か。私のターン!手札から、神獣王バルバロスを妥協召喚!さらにリバースカードオープン、血の代償!ライフを500払い、私はもう一度通常召喚を行う!バルバロスをリリース!こい!偉大魔獣ガーゼット!」

 

フランツLP4000→3500

 

「ガーゼットの攻撃力は、リリースしたモンスターの元々の攻撃力の倍の数値となる!よって攻撃力は6000だ!」

 

フランツの場に現れたガーゼットは、圧倒的攻撃力を示すかのように咆哮する。それを見る遊雅の表情は硬い。

 

「・・・さあ、トドメだ!バトル!ガーゼットでジェット・ウォリアーを破壊!」

 

「ぐぅっ!」

 

遊雅LP4000→100

 

「ベリアルでダイレクトアタック!」

 

「まだだよ!手札の速攻のかかしの効果発動!」

 

「なに!?」

 

ベリアルが遊雅に向けて巨大な剣を振り下ろす。しかしその間に速攻のかかしが割って入り、受け止める。・・・お前のどこにそんな力があるんだ。

 

「こいつを手札から捨てることで、バトルフェイズを強制終了する!」

 

「チィッ!悪あがきを・・・!カードを1枚伏せ、ターンエンドだ!」

 

フランツ

手札0枚

場2枚

伏せ1枚 冥界の宝札 血の代償

 

「凌いだ!」

 

「やっぱりね・・・」

 

速攻のかかしによって窮地を脱した遊雅に、隼人と明日香は安堵のため息をこぼす。そんな2人をよそに、遊雅が反撃に出る。

 

「俺のターン!ドロー!手札から、強欲な壺を発動!デッキから2枚ドロー!さらに手札からマジックカード、調律を発動!デッキからジャンク・シンクロンを手札に加え、デッキトップを墓地へ!手札からジャンク・シンクロンを召喚!効果で墓地のチューニング・サポーターを蘇生!墓地から特殊召喚に成功したため、手札のドッペル・ウォリアーを効果で特殊召喚!手札を一枚捨て、墓地のジェット・シンクロンを自身の効果で蘇生!レベル2ドッペル・ウォリアーに、レベル3ジャンク・シンクロンをチューニング!シンクロ召喚!来い!ジャンク・ウォリアー!」

 

「・・・またしても・・・!」

 

返しのターンで即座にシンクロ召喚され、苛立つフランツ。そんなフランツに対し、遊雅はここぞとばかりにカードを使いまくる。

 

「ジャンク・ウォリアーの攻撃力は、召喚時に場にいるレベル2以下のモンスターの攻撃力分アップする!さらにチェーンしてドッペル・ウォリアーの効果で、場にドッペル・トークンが2体出る!よって場のレベル2以下のモンスターの攻撃力の合計は、1400!ジャンク・ウォリアーの攻撃力は3700となる!まだだ!レベル1ドッペルトークン2体とチューニング・サポーターに、レベル1ジェット・シンクロンをチューニング!シンクロ召喚!アームズエイド!さらにこいつをジャンク・ウォリアーに装備!攻撃力をさらに1000アップする!」

 

ジャンク・ウォリアーATK3700→4700

 

「だがまだガーゼットの攻撃力には及ばない!さらに私の場にはベリアルがいる!こいつがいる限り、ベリアル以外のモンスターをカードの効果対象にすることはできない!」

 

「問題ない!手札からマジックカード、月の書を発動!ベリアルを裏側守備表示にする!」

 

「な!?」

 

「さらに墓地のADチェンジャーの効果!こいつを除外して、ガーゼットを守備表示にする!」

 

「上手いんだな!ガーゼットの効果で上がるのは攻撃力だけ!守備力は0なんだなぁ!」

 

「行けるわ!」

 

観客席がそう叫ぶが、フランツは表情に出さず心の中で嗤う。

 

(問題ない、伏せはミラーフォースがある。調子に乗って攻撃してきた時、それが奴の最後だ!)

 

「バトルフェイズ!速攻魔法、スクラップフィストを発動!」

 

「なに!?」

 

そんなフランツをあざ笑うかのように、遊雅はダメ押しとなるカードを出す。

 

「俺の場のジャンク・ウォリアー1体が攻撃する時、相手はダメージステップ終了時まで魔法罠モンスター効果を発動出来ず、守備モンスターに攻撃した時貫通ダメージを与え、さらにその戦闘ダメージを倍にする!」

 

「馬鹿な、こんなことが・・・!」

 

「行け!ジャンク・ウォリアー!」

 

「ぐぅぅぅぅおぉぉぉぉ!?」

 

フランツLP3500→-5900

 

「遊雅の勝ちだ!」

 

「くっ・・・」

 

遊雅の勝利に沸く観客席。当の遊雅は、ショックからか、へたり込んでしまったフランツに近づくと、手を差し伸べる。

 

「俺の勝ちだな。約束は守ってもらうぞ?」

 

「くっ・・・。わかった」

 

悔しそうに唸るフランツだったが、最終的には遊雅の手を取った。立ち上がったフランツに、いつもの飄々とした雰囲気に戻った遊雅が尋ねる。

 

「どうだ?低レベルモンスターでも結構使えるだろう?」

 

そう言ってニヤリと笑う遊雅に、フランツはそっぽを向きながら答える。

 

「・・・結局は攻撃力の高いモンスターを展開しての勝利だっただろう」

 

そう言って立ち去るフランツを、遊雅はややしょんぼりしながら見送る。と、決闘場を降りる間際、遊雅の方を見ずにフランツが言った。

 

「・・・まぁ、理解はできているさ。低レベルモンスターの価値を認めざるを得ない、と。・・・ペガサス会長に謝罪してくるとする」

 

そう言って再び歩き出したフランツを、遊雅は今度は満足げな顔をしながら見送った。

 

「お疲れ、遊雅」

 

「ナイスファイトだったんだなぁ」

 

「おう。・・・レインは?」

 

「『どうせ結果は見えてる』って言って寝ちゃったわ」

 

「・・・さいですか」

 

観客席で見ていた隼人達と合流した遊雅は、そのまま社内の食堂で食事を取っていた。レインはまだ寝ている。他の面々は、遊雅とフランツのデュエル内容について話し込んでいた。なお、ペガサスはフランツとの話し合いのためここには居ない。

 

「それはともかく、明日は紅葉さんとのエキシビションなんだし、さっさとアカデミアへ行きますかねぇ。・・・おいレイン、起きろ・・・っていねぇ!?」

 

「レインなら今さっき起きて食事をとりに行ったわよ」

 

「いつの間に!?」

 

結局遊雅はレインが食べ終わるまで待つこととなった。

 

「隼人、なんか情報くれ。主に紅葉さんの」

 

「いきなりだなぁ。というか知らないのか?」

 

「全然」

 

「嘘!世界で一番有名な日本プロの紅葉さんよ!?」

 

「だってデュエルは見るよりやる方が楽しいだろ?」

 

そう言う遊雅にがっくりと肩を落とす明日香と隼人。心の声は2人とも一緒である。

 

((この生粋のデュエル馬鹿は・・・))

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ぶえっくしょい!なんだ?風邪か?」

 

「誰かが兄貴の噂でもしてるんですかね?」

 

「さあなー。よし、いくぞ翔!デュエル相手探しに行こうぜ!」

 

「あっ、待ってよアニキ〜!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

苦笑いしつつも紅葉について話す隼人。

 

「・・・とりあえず、紅葉さんはHERO使いってことが一番有名なんだなぁ」

 

「なるほど、十代と同じか」

 

そう言ってふむふむと何かを考え始める遊雅。その後も、紅葉の情報や隼人の会社での失敗談、アカデミアの近況などを話し込み、遊雅達はアカデミアへと戻った。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

翌日、アメリカ・アカデミアの決闘場施設には、アカデミア生徒のみならず、多くの観客がやって来ていた。

 

「うひゃー、すげー人」

 

「遊雅、緊張してる?」

 

控え室のモニターで観客席の様子を見て驚く遊雅に、明日香が尋ねる。

 

「いんや?ただ、少し眠いな」

 

「それはあなたが夜中までデッキ作成に精を出していたからでしょう」

 

実際すでにうつらうつらと船をこいでいる遊雅に呆れながら突っ込む明日香。とそこへ、スタッフがやってくる。

 

「そろそろ時間です!」

 

「了解。・・・じゃ、行ってくるわ」

 

「・・・勝って」

 

「おう」

 

最後にレインからの手短なエールを受け、遊雅は決闘場へと向かっていった。

 

 

決闘場にはすでに紅葉が待っていた。遊雅が出ると、観客席がドッと沸いた。全員待ち望んでいるのだ。シンクロ召喚を。新たなるデュエルモンスターズの可能性を。

 

「お待たせしました、紅葉さん」

 

「いいや構わないさ。シンクロ召喚の公式戦初の相手ができるんだしね」

 

そう言って笑う紅葉に、遊雅も笑い返す。

 

「そう言ってもらえると助かります。でもまぁ、初の相手にして初の敗者ってことになってもらいますが」

 

「おっと、言うねぇ。こちらだってプロの意地がある、全力で当たらせてもらうよ」

 

お互いに軽口を言い合い、同時にデュエルディスクを構える。大勢の観客が見守るなか、今ここに、世界初のシンクロ召喚を用いた公式デュエルが始まった。




パラさんといいフランツさといい、悪役救済に定評のある遊雅Δ(棒)
ややきりが悪いような・・・
そして何かを忘れているような・・・。
???『私の出番は!?』

次回、vs紅葉
久々のnextコ○ン‘s hint!
『アブソアシッド』


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第29話 王者の魂(250円)

タイトルは内容と関係ありません。
ちなみに荒ぶる魂は50円でした。
(´・ω・`)
プレミがあったため修正および改訂を行いました。


響紅葉と遊雅。2人の決闘者が対峙すると、会場のボルテージは最高潮に達する。しかし、観客のひとりがボソリと呟く。

 

「なんであんな子供がシンクロ召喚のテスターなんてしてるんだ?」

 

大体の客は特に気にした様子はないが、何名かの客は疑問に思う。なぜ他のプロでは無く子供なのか。しかも遊雅はアカデミアの制服を着ている。なぜ重要な新召喚法のテスターが学生なのかと。・・・実際はこの世界で最もよくシンクロ召喚について知っているからであるが、そんなことは知る由もない人々は疑問に思う。

 

とあるバーにてテレビ中継を見ていた落ち目のプロは、現れた遊雅を見て口悪く呟く。

 

「・・・なんであんなガキが・・・。俺はプロだぞ・・・俺の方が相応しいだろ・・・」

 

そんな独り言に何か言う者はいない。しかし、心の中では似たようなことを考える。

ただ、そんな幾人かの疑問は決闘場に現れた人物を見て吹っ飛ぶ。

 

 

 

 

 

一方会場では、これまでの歓声とは違い、驚愕のどよめきが起きていた。なんと、審判役の場所にやってきたのは、公式大会の審判ではなく、シンクロ召喚を提唱した(とされている)ペガサスその人であった。ペガサスが決闘場の上に立つと同時に、照明が落とされ、スポットライトがペガサスのみを照らし、ペガサスがマイクを取り出す。

 

『レディースエーンドジェントルメーン!この歴史的瞬間にようこそみなさん!この日を心待ちにしていた方も多いでショウ!かく言う私もそうデース!昨日は興奮で眠れませんでシタ!・・・おっと、前置きはここまでにいたしまショウ!この度のデュエル、審判は私、ペガサス・j・クロフォードが勤めます!』

 

その言葉に、会場は再度湧く。デュエルモンスターズの生みの親が立ち会うデュエルなど、レアなんてものじゃない、超超超レアなデュエルである。その上、戦うのは日本だけで無くアメリカでも人気を集めるプロデュエリスト、響紅葉である。ペガサスが観客の歓声を浴びながら満足げに頷くと、スポットライトがもう一つ点き、紅葉を照らす。

 

『この度のデュエル、シンクロ召喚が挑むのは彼!皆さんご存知のジャパン出身のデュエリスト!コーヨー・ヒビキ!』

 

観客が今日何度目かもわからない歓声をあげる。それに応え紅葉が拳を突き上げると、歓声は最高潮に達する。ある程度落ち着いたところで、今度は遊雅が照らされる。

 

『そして!・・・今回、シンクロ召喚を実演し、紅葉に対するのは!私の養子!日本のデュエルアカデミア所属!遊雅・J・クロフォード!』

 

・・・・・・・・・・・・。

 

『・・・アレ?み、皆さん?』

 

ペガサスが宣言し、スポットライトが遊雅を照らしているが、先ほどとはうって変わって、静寂が会場を包む。ペガサスとしてはここで「えぇ〜!?」っといったリアクションを予想していたためかなり焦っている。が、遊雅がおもむろに手を耳に当て、それを見た紅葉が何かを察し、同じように耳を塞ぐ。一体何を、とペガサスが疑問に思ったと同時に、

 

「「「「「「「「「「「えええええええええええええええええ!?!?!?!?」」」」」」」」」

 

この日最大の絶叫が会場とその周辺に響いた。

 

 

 

『・・・エー、では、ようやく落ち着いてきたのデ、デュエルを開始いたしマス』

 

ペガサスはそう宣言するが、観客はあまり落ち着いてはいなかった。ペガサスが孤児を集め、孤児院を経営しているのは周知の事実であったが、養子がいたなどと言うのは初めて知られたことだったのだ。なお、明日香は前日にそれを知らされ、

 

「・・・モウオドロカナイワヨ」

 

と白目を向いていた。周囲の喧騒に苦笑しながら、紅葉が遊雅に話しかける。

 

「・・・デュエルどころじゃない騒ぎだな。にしても、流石に俺も驚いたよ。まさか養子なんてね」

 

「だから最後にしといたほうがいいって言ったのに・・・」

 

がっくりと肩を落とす遊雅に、紅葉は同情の眼差しを送る。しかし、次の瞬間には2人とも真剣な表情になり、ディスクを構える。

 

「・・・さて、やろうか。手加減はしないよ!」

 

「んなもんしたら瞬殺してやりますからね!いきます!」

 

『!・・・コホン、では皆さん!シンクロ召喚テスター、遊雅対プロデュエリスト、コーヨー!』

 

その言葉に正気を取り戻した人々は、状況を把握すると、再び歓声を上げる。

 

『デュエル開始!』

 

「「デュエル!」」

 

紅葉

vs

遊雅

 

ペガサスのコイントスにより、先攻は遊雅となった。

 

「俺のターン!ドロー!手札から、マジックカード、調律を発動!デッキからジャンク・シンクロンを手札に加え、デッキトップを墓地へ!カードを2枚伏せ、カードカー・Dを召喚!こいつの効果で、リリースして2枚ドロー!ターンエンド!」

 

遊雅

手札5枚

場0枚

伏せ2枚

 

「モンスターは出さないのかい?それにシンクロ召喚もしないとはね」

 

「生憎と手札が悪いんですよ。さ、紅葉さんのターンですよ?」

 

軽く挑発する紅葉に、全く動じない遊雅。それを見て紅葉は顔には出さず困惑していた。

 

(初手でのシンクロがなかったことも怪しいが、何よりもあのあからさまな罠が一番怖いな。彼には確か手札から発動するタイプのカードもあったはず・・・)

 

「俺のターン!」

 

そこまで考えて、一旦懸念を保留する紅葉。どんな罠があろうとも、自身のHEROを信じて進むのみである。

 

「俺は手札からE・HEROフォレストマンを守備表示で召喚!カードを1枚伏せ、ターンエンド!」

 

紅葉

手札4枚

場1枚

伏せ1枚

 

ここまで目立った動きがない両者に、観客は早くシンクロを、と囃し立てる。しかし、

 

「俺のターン!マジックカード、手札断殺を発動!互いに手札を2枚墓地へ送り、2枚ドローする!ターンエンド!」

 

遊雅

手札5枚

場0枚

伏せ2枚

 

「なっ!?」

 

なおも動かない遊雅。段々観客からの声に罵倒が混じり始める。そんな中、紅葉は混乱する頭で必死に考えていた。

 

(何が目的だ・・・?撹乱?それともデッキコンセプトが受け身なのか・・・?だめだ、これじゃ彼のペースだ。俺がするべきことは・・・)

 

「俺のターン!フォレストマンの効果!デッキから融合魔法カードを手札に加える!さらにマジックカード、E-エマージェンシーコールを発動!デッキからオーシャンを手札に!融合発動!手札のオーシャンと場のフォレストマンを融合!来い!E・HEROジ・アース!」

 

(自分のカードを信じていつも通りに動く!)

 

紅葉のエースモンスターの登場に会場が湧く。そんな中、遊雅はじっと紅葉の出方を見守る。

 

「まだ!先ほど手札断殺によって墓地へ送ったネクロダークマンの効果により、俺は手札からE・HEROエッジマンをリリースなしで召喚!バトルだ!行け!ジ・アースで攻撃!ジ・アースインパクト!」

 

ジ・アースの拳が遊雅に迫る。このまま何もしなければ、後から来るエッジマンの攻撃と合わせて5100のダメージで遊雅の敗北となる。しかし、遊雅の場には2枚の伏せがある。

 

(さあ、どうする・・・!)

 

「俺は手札のバトルフェーダーの効果発動!こいつを特殊召喚し、バトルフェイズを強制終了する!」

 

「やはり手札か!」

 

予想はしていたがやはり、と苦虫を噛み潰したような表情の紅葉。

遊雅の場に振り子のような悪魔族モンスターが現れ、振り子を大きく振る。その音波を聞いたHERO達は戦闘態勢を解いてしまう。

 

「・・・やっぱりそう簡単にはいかないか。カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

「この瞬間、リバースカードオープン、リミットリバース!墓地のシンクロン・キャリアーを特殊召喚!」

 

「なっ!・・・改めてターンエンド」

 

紅葉

手札2枚

場2枚

伏せ2枚

 

「俺のターン!」

 

遊雅が、ここまで全く自分から動かなかったのには訳があった。

 

(十代と同じHEROといってもやり口まで同じとは限らねえからなぁ・・・)

 

遊雅は、これまで何度も十代とデュエルしてきたため、HEROとの戦い方にはある程度慣れていた。しかし、その定石がプロデュエリストの紅葉にも通用するのか、遊雅は不安だった。

 

(ひょっとしたらHERO以外のモンスターも積んだ変態型だったりするしなぁ。今んところは動きに変わったところはない。純粋にパワー押し系か・・・?仕掛けてみるか)

 

「俺は手札からマジックカード、調和の宝札を発動!手札のデブリ・ドラゴンを捨て、2枚ドロー!さらに手札からガードオブフレムベルを召喚!手札のワンショット・ブースターは、通常召喚を行ったとき特殊召喚出来る!そして場に存在するシンクロン・キャリアーの効果!通常召喚に加えて、シンクロンと名のつくモンスターを一度だけ召喚できる!来い!ジャンク・シンクロン!」

 

(ほんと、動くと決めた時はとことん動くな・・・)

 

あっという間に埋まった場を見て笑うしかない紅葉。そして観客の期待が膨らむ。ついに始まるのだ。シンクロ召喚が。

 

「・・・行きます」

 

「・・・ああ、来い!」

 

静かに宣言する遊雅に、はっきりと応える紅葉。そして、ついに遊雅が動き出す。

 

「レベル1、バトルフェーダーとワンショット・ブースターに、レベル3、ジャンク・シンクロンをチューニング!シンクロ召喚!来い!ジャンク・ウォリアー!」

 

この世界に、シンクロ召喚が現れた瞬間であった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

とある場所、とある空間、どこの世界とも繋がらない砂だらけの空間。そこには、生物も、建造物もない。

ある1人の男を除いて。

その男は当て所なく歩いていた。と、急に止まると、虚空を見上げ呟く。

 

「・・・はは・・・遅い、ですよ・・・」

 

 

マ ス タ ー ・・・

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

機械めいた体の、顔だけ見るとメガネをかけているかのような顔をしているモンスター。機械族のようではあるがれっきとした戦士族である。名をジャンク・ウォリアー。この世界において、初のシンクロモンスターとなったモンスターである。観客はそれを圧倒的大歓声で迎える。どことなく誇らしげなジャンク・ウォリアーを見つつ、遊雅は誰にも聞こえないくらいの声量で呟く。

 

「ようやくだな・・・」

 

「やっと、本気の君と戦えるね」

 

紅葉からの言葉に意識をデュエルに戻した遊雅。その顔は先ほどの真剣さだけの顔ではなく、次はどんなことをしようか、と言ったいたずら小僧のような楽しげな笑みだった。

 

「ええ、ガンガンいきますよ!ついてこれますか?」

 

遊雅の挑発に紅葉は笑う。

 

「ああ、来い!」

 

「ジャンク・ウォリアーの効果とシンクロン・キャリアーの効果が発動!チェーンの逆処理によりシンクロン・キャリアーの方から!シンクロ召喚に成功したため、シンクロントークンを1体召喚!さらにジャンク・ウォリアーの効果!俺の場のレベル2以下のモンスターの攻撃力の合計分攻撃力がアップする!合計は1100!よって攻撃力は3400!」

 

「ジ・アースとエッジマンを超えたか!」

 

「さらにレベル2のシンクロントークンとシンクロン・キャリアーに、レベル1のガードオブフレムベルをチューニング!シンクロ召喚!来い!A・O・Jカタストル!」

 

今度は本当に機械でできている四足の兵器めいたモンスターが現れる。会場の男の子達が歓声を上げる。

 

「・・・だがそっちのモンスターは攻撃力が足りないな!」

 

「ええ、必要ないもので」

 

「何?」

 

「バトル!カタストルでエッジマンに攻撃!」

 

「バカな!自爆する気か!?」

 

「カタストルの効果!闇属性モンスター以外と戦闘を行う場合、ダメージ計算前に相手モンスターを破壊する!」

 

「なんだって!?」

 

カタストルの目から放たれたビームにより、エッジマンが爆発四散する。

 

「さらにジャンク・ウォリアーでジ・アースを攻撃!」

 

「ぐぅっ!リバースカードオープン、ヒーローシグナル!デッキからスパークマンを召喚する!」

 

紅葉LP4000→3100

 

「メインフェイズ2、マジックプランターを発動。リミットリバースを墓地へ送り、2枚ドローします。俺はこれでターンエンド」

 

遊雅

手札3枚

場2枚

伏せ1枚

 

シンクロ召喚を決めた遊雅に、観客から惜しみない喝采が巻き起こる。もはや遊雅を子供だとか、学生だとかで甘く見る者はいなかった。

一方、ピンチである紅葉は、自分が楽しんでいることを自覚し、笑っていた。

 

(こんなデュエリストに出会えるなんて、俺は幸せだな・・・)

 

故に己の全てを出そう、そう心に誓い、それに彼のデッキが応える。

 

「ドロー!・・・!」

 

(このカードは・・・)

 

『いいですか、このカードはまだ遊雅には教えていまセン。ここぞという場面で、遊雅にとびっきりのサプライズを見せてあげまショウ!』

 

(・・・ああ、やってやりましょうか・・・!)

 

「俺は手札から、ミラクル・フュージョンを発動!墓地のオーシャンとフォレストマンを除外し、融合!」

 

ここへきての墓地融合に遊雅は警戒する。が、少し疑問を覚える。

 

(紅葉さんのデッキについては隼人から聞いているが・・・。あの2体で出せるHEROなんて他に入れてたk・・・いやまさか!?)

 

最悪の可能性にたどり着いた遊雅。その予想を裏切らず、現れたのは白銀。最強のHERO。

 

「こい!E・HEROアブソルート・Zero!さらにリバースカードオープン、融合準備!俺が見せるのは、E・HEROプラズマヴァイスマン!そしてデッキからE・HEROエッジマンを手札に加える!そして融合を墓地から回収!」

 

「やっべ!」

 

「融合発動!場のスパークマンと手札のエッジマンを融合!来い!E・HEROプラズマヴァイスマン!」

 

現れた黄金の守備表示絶対殺すマンに、遊雅は歯噛みする。さらにプラズマヴァイスマンは、手札をコストに相手の攻撃表示モンスターまで破壊してくる。

 

(どうする、紅葉さんがどうくるか・・・)

 

「速攻魔法発動!マスク・チェンジ!」

 

「・・・はぁぁ!?」

 

「場のアブソルートZeroを墓地へ送り、現れろ!M・HEROアシッド!」

 

紅葉の場に現れたのは、妙に日朝ヒーローのように見えるHERO。そのヒーローらしい見た目とは裏腹に、このコンボにおいては鬼畜となる。

 

「アシッドとアブソルートの効果発動!アブソルートの効果で遊雅の場のモンスター全てを破壊!さらにアシッドの効果で魔法・罠も全て破壊!やれ!」

 

「ヤメロー!ヤメロー!」

 

遊雅の叫びもむなしく、フィールドは焼け野原、というより氷漬けとなる。

 

「行くぞ!バトル!アシッドでダイレクトアタック!」

 

またしても訪れたピンチ。しかし、さっきまでとは違い、伏せカードによる抑止力は無い。もはや勝負あり、誰もがそう思った。

 

「・・・墓地のネクロ・ガードナーの効果発動!」

 

「!?今度は墓地からか!」

 

遊雅とアシッドの間に地面から戦士が現れ、アシッドの銃弾を止める。手札断殺で墓地へ送ったモンスター2体のうちの1体だ。もう1体は展開用だが、もう1体ネクロガードナーがほしかった。

 

「こいつを除外して攻撃を一度だけ無効にする!」

 

「ならプラズマヴァイスマンで攻撃!」

 

「ぐぅっ!?」

 

遊雅LP4000→1400

 

「やっと届いたよ。ターンエンド」

 

紅葉

手札0枚

場2枚

伏せなし

 

圧倒的なまでの怒涛の攻めに、観客席はもう興奮した客によりお祭り騒ぎである。遊雅は、紅葉をじっと見て、ボソっと呟く。

 

「なるほど、ペガサスさんか」

 

「ご明察」

 

「マジで今回は焦るわ・・・。なんつー凶悪ムーヴしてくれてんだよ紅葉さん・・・」

 

「いやー、一応考えてはいたんだけど使ってみるとすごいねこれ。今度公式の試合でも使わせてもらおうかな」

 

「やめたげてよぉ!」

 

今の環境でそれはあまりに酷だ!

 

「さあ、君のターンだ。どうする?もう終わりかい?」

 

そう言って笑う紅葉に、遊雅はこれまで会ってきたデュエリスト以上の覇気を感じる。

 

(・・・思えばいつ以来だろうか。こんなに追い込まれたのは)

 

ふと、これまで戦ってきた相手のことが思い浮かぶ。どのデュエリストも決して雑魚ではなかった。しかし、真剣に取り組んだデュエルでここまで追い込まれたのは、遊雅にとって久しぶりのことだった。

 

「・・・ははっ、やっぱいいな、この感覚・・・!」

 

そう言って笑う遊雅は大きく深呼吸をしてデッキに手をかける。

 

(この人には全力で当たる以外に勝ち目はないし、そもそも全力をぶつけたくなった!行くぜ、お前ら!)

 

『やれやれ、手を貸さないで自分の力でやると言っていたのはマスターでしょうに』

 

そう言いつつも、俺の横に現れるアバター。それだけではない。今俺についてきてくれている全ての精霊が俺の周りに集まった。こう言ってはなんだが、

 

「負ける気がしねぇ」

 

『当然です。私がいるのですから』

 

最近になってなんとなく表情が分かるようになったアバター。その笑っているような優しい声にニヤリと笑い、遊雅はカードを引く。

 

「さあ、行こうか!ドロー!」

 

ドローしたカードを見て、遊雅は笑みを深める。そして紅葉に宣言する。

 

「・・・終わりにしましょう!紅葉さん!」

 

「・・・!やってみろ!」

 

「俺の場にモンスターがおらず、相手フィールドにモンスターがいるため、アンノウン・シンクロンを特殊召喚!さらに墓地のグローアップ・バルブの効果!デッキトップを墓地へ送り、こいつを墓地から蘇生!墓地のジャンク・シンクロンを除外し、輝白竜ワイバースターを特殊召喚!レベル4ワイバースターに、レベル1のアンノウン・シンクロンをチューニング!シンクロ召喚!来い!TG-ハイパーライブラリアン!ワイバースターの効果でデッキからコラプサーペントを手札に!マジックカードワンフォーワンを発動!手札を一枚捨て、デッキからチューニング・サポーターを特殊召喚!レベル1のチューニング・サポーターに、レベル1のグローアップバルブをチューニング!シンクロ召喚!フォーミュラ・シンクロン!ハイパーライブラリアンとチューニングサポーターとフォーミュラ・シンクロンの効果で3枚ドロー!ワンフォーワンで墓地に送ったレベル・スティーラーの効果!場のハイパーライブラリアンのレベルを1下げ、墓地から召喚!さらに手札からジャンク・シンクロンを召喚!効果で墓地のチューニング・サポーターを蘇生!レベル1のレベルスティーラーに、レベル3のジャンク・シンクロンをチューニング!シンクロ召喚!アームズ・エイド!ハイパーライブラリアンの効果で1枚ドロー!」

 

「おいおい、冗談だろ・・・」

 

紅葉はあまりの回転率に笑いすら起きない。観客ですらもはや何が起きているのかわかっていない。しかし、遊雅のターンはまだ続く。

 

「手札からマジックカード、貪欲な壺を発動!墓地のジャンク・シンクロンとカタストル、シンクロン・キャリアー、ワイバースター、ガードオブフレムベルをデッキに戻し2枚ドロー!手札を1枚捨て、クイック・シンクロンを特殊召喚!レベル1のチューニング・サポーターに、レベル5のクイック・シンクロンをチューニング!来い!ドリル・ウォリアー!ハイパーライブラリアンとチューニング・サポーターの効果で2枚ドロー!手札のフィールド魔法、スターライトジャンクションを発動!効果でフォーミュラ・シンクロンをリリースし、デッキからジャンク・シンクロンを召喚!ドリル・ウォリアーのレベルを1下げて、レベル・スティーラーを蘇生!レベル5のドリル・ウォリアーに、レベル3のジャンク・シンクロンをチューニング!シンクロ召喚!来い!スターダストドラゴン!ハイパーライブラリアンの効果で1枚ドロー!」

 

「あのー、遊雅君?ひょっとしてまだ終わらない感じかな・・・?」

 

引きつった顔で紅葉が話しかけるが、遊雅はニッコリと笑い返す。それを見て紅葉は、「あ、まだ続くんだ・・・」と真っ白になる。

 

「手札のシンクローン・リゾネーターは、場にシンクロモンスターがいるとき、手札から特殊召喚出来る!レベル1レベル・スティーラーに、レベル1シンクローン・リゾネーターをチューニング!シンクロ召喚!フォーミュラ・シンクロン!ハイパーライブラリアンとフォーミュラ・シンクロンの効果で合わせて2枚ドロー!レベル8のスターダストドラゴンに、レベル2のフォーミュラ・シンクロンをチューニング!シンクロ召喚!招来せよ!シューティングスタードラゴン!ハイパーライブラリアンの効果で1枚ドロー!シューティングスタードラゴンに、アームズエイドを装備!攻撃力は1000アップする!」

 

シューティングスタードラゴンATK3300→4300

 

「シューティングスタードラゴンの効果!デッキトップを5枚確認し、チューナーの数だけ攻撃できる!チューナーは2枚!よって2回攻撃できる!バトル!やれ!シューティングスタードラゴン!プラズマヴァイスマンに攻撃!アームズエイドの効果で破壊したモンスターの攻撃力分ダメージを追加だ!」

 

紅葉LP3100→-5500

 

デュエルが終了しても、しばらく誰も言葉を発さなかった。静寂が会場を包む中、審判をしていたペガサスが宣言する。

 

『そこまで!コーヨー・ヒビキ、ライフ全損!よって勝者、遊雅!』

 

その宣言を皮切りに、拍手の雨あられが降り注ぐ。

 

「いやー、おめでとう、遊雅君。残念ながら負けちゃったけど、結構楽しめたよ」

 

紅葉は遊雅に近づくと、さっと手を出して爽やかに勝利を讃える。紅葉の出した手を握りながら、遊雅も笑いかける。

 

「ありがとうございました。あそこまで追い込まれたのは初めてですよ」

 

「そうかい?それは良かった。でも、次は俺が勝つからね?」

 

「望むところです」

 

互いの健闘を称え合う2人の握手シーンは、後日アメリカの新聞の一面を飾った。




今回のデュエルはいろんな意味でやばいかも(文字数的な意味で)
次回からのテーマは「次元を超えた救済」
これまでシリアルだったので次回はシリアスを目指して頑張ります。(出来るとは言ってない)

next hint 『●●・・・お前ほんと可愛いなぁ・・・』
デュエルスタンバイ!


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第30話 歪み

真面目回(のようなもの)、そしてデュエルは次回へ持ち越し。今回のタイトルはボケなしです。
そしてオリジナル設定のオンパレード。
まあ・・・これ・・・二次創作ですし?(震え)


「遊雅ったら、どこに行ったのかしら・・・」

 

デュエル終了後の出場者控え室で遊雅を待っていた明日香は、一向に帰ってこない遊雅と、ふらっとどこかへ行ってしまったレインを探して会場の周辺を行ったり来たりしていた。

 

「まったく、インタビューでも様子がおかしかったし、なんなのよ、もう・・・」

 

 

 

 

 

『いやー、遊雅くん、シンクロ召喚とは素晴らしいね!もちろん、それを十全に扱える君の力も素晴らしい!』

 

「ありがとうございます。でも、十全に、って言うのはちょっと間違いですね」

 

『ええ?しかし、君以上にシンクロ召喚を扱える者なんてこの世にいないよね?』

 

「・・・そう、ですね・・・」

 

『やはり、ペガサス会長からデュエルを教わったのかい?』

 

「いえ、かず・・・デュエルモンスターズを教えてくれたのは友人です。・・・とても・・・大切な」

 

(なんであんなに悲しそうに笑ってたのかしら・・・)

 

インタビューでシンクロ召喚について絶賛されている中、なぜか少しだけ辛そうに笑っていた遊雅に、明日香は違和感が拭えなかった。と、考え事をしていた明日香は、人気のない会場の裏、アカデミア校舎の中にある林に入り込んでいた。

 

「あ・・・。しまった、早く遊雅を探さないと」

 

『・・・』

 

『・・・』

 

「・・・え?遊雅?」

 

急いで遊雅を探そうと校舎へ踵を返した直後、明日香は森の中から聞き慣れた声を聞いた。どうやら誰かと話しているらしく、また声がやや遠いため、話の内容が聞こえない。なぜこんなところに、とかどうして黙ってこっそりきているのか、と一瞬疑問が浮かんだ明日香は、まさかあの2人やはり出来ていたのか!?とあらぬ憶測をしつつ、音を立てないようこっそりと声を頼りに近づく。

 

「・・・で、いつ行かねえといけないんだ?」

 

「・・・明後日」

 

「急だな!?・・・まあいいや。アバター、問題ないな?」

 

『ーー、ーーーーーーーーーーーーーーーーーー』

 

「全くだ。まさかバイクに乗ってデュエルするとはな。運転どうなってんだよ」

 

「・・・オートパイロット」

 

「随分と無駄なとこにハイテクなの使ってんな!?」

 

(・・・なにあれ)

 

明日香が話の聞こえる位置まで近づいて気付いたのは、2人の間にやたらとごついバイクが鎮座していることだった。そのバイクは見たことのないフォルムであった。やや暗めのブルーで塗装された車体。さらに、ハンドルの間にはデュエルディスクのようなカードを置く場所さえあり、バイクとしてひどく歪であった。

 

「とりあえず明後日だな。準備はしとくから任せろ。・・・ンな顔すんな、約束しただろ?絶対に未来を変えてやるさ。我が邪神のパワーは世界一ィィィ!だろ?」

 

「・・・うん」

 

『ーーーーーー?』

 

「・・・えっ!?帰ってこれない可能性あんの!?」

 

「・・・場合によっては」

 

「アイエェェ・・・」

 

(えっ・・・?)

 

2人の会話はどうやらなんらかの約束についてであることはわかったが、肝心の内容を知らず、また遊雅が時たまよくわからないことを口走るため、全く要領を得ない明日香。しかし、遊雅が言った一言に凍りつく。

 

(帰ってこれない?どういうことなの!?)

 

「っ・・・ゆう」

 

「ダーリーン!」

 

「ゴフッ!?」

 

思わず茂みから飛び出そうとする明日香。しかし、その直前、何処からかマックがあらわれ、遊雅に痛烈なタックルをお見舞いする。数週前には、マックが走ってきているのを目撃したレインがなんらかのボタンを押し、バイクーーーDホイールを消す。

 

「デュエル見てたワヨ!さすがダーリン、かっこよかったワ!コーヨーは私でさえ勝ったことないのニ!シンクロ召喚、素晴らしいワ!」

 

「お、おう、さんきゅ・・・。腰が・・・」

 

「・・・大丈夫?」

 

大はしゃぎのマックに、腰を抑え呻く遊雅と遊雅の腰をさするレイン。そして、3人はそのまま談笑をはじめてしまい、完全にタイミングを逃した明日香は、思いつめた表情のままアカデミアへと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

「あー腰痛かった。まさか今日最後のダメージは物理的ダイレクトアタックとは・・・」

 

『あんの女狐め・・・。消してきましょうか』

 

「いいよ、やめろシャレにならんから。・・・ん?明日香?」

 

レイン達と別れ、アカデミアの寮にてシャワーを浴びた遊雅は、私服に着替えアバターと共に散歩していた。と、校内の小さな公園に差し掛かった頃、ベンチに座っている明日香を見つける。何やら深刻な顔をしている明日香に、何かあったなこりゃと感じた遊雅は、こっそりと動き出した。

 

 

 

 

一方の明日香は、未だに遊雅とレインの会話について考えていた。しかし、なんらかの約束をしていたのだということが何となくわかった程度で、他のことについては断片的すぎて想像もできない。なので、頭の中は別のことで一杯だった。

と、急に明日香の頰に冷たい水滴が触れる。

 

「ひゃあ!?」

 

「よう、どした?」

 

「ゆ、遊雅・・・」

 

振り向くと、そこにはジュースの缶を2本持った遊雅が立っていた。缶を受け取りつつ、むくれる明日香。

 

「なにするのよ、冷たいじゃない・・・」

 

「そうかい、そいつはイタズラ大成功、よかったよかった。で、なんかあったのか?だいぶ落ち込んでるように見えたが」

 

そう言って缶を一本渡し、明日香の横に座る遊雅。一瞬ビクッと反応する明日香だが、悩みのタネである本人からの言葉に再度気持ちが沈む。黙ったままの明日香の横で、遊雅はジュースを飲みつつ、明日香が喋り出すのを待っていた。

 

「・・・ねえ遊雅」

 

「んあ?」

 

「何でインタビューであんなに辛そうだったの?」

 

少しの間沈黙が場を包み、明日香は何か話題を、と考えて一つ、疑問に思っていたことを聞く。

 

「・・・あーあれか。いや、ちょっと古い友人を思い出しちまってな・・・」

 

「友人?」

 

「ああ、俺にデュエルモンスターズを教えてくれた奴さ」

 

「今は?」

 

「・・・さあな、もうやめてるかもしれねぇや」

 

そう言って遠くを見つめる遊雅。明日香は少し聞いちゃいけないことだったかな?と思いそれ以上は聞かなかった。再度沈黙が場を包み出すその時、明日香がとうとう切り出した。

 

「ねぇ遊雅」

 

「んぁ?」

 

「デュエルしましょう」

 

「なんでやねん・・・」

 

いきなりのデュエルの申請に思わず呟く遊雅。しかし、明日香は真剣な表情で続ける。

 

「私が勝ったら、帰ってこれないかもしれない、って言う話の意味を教えてもらうわ」

 

「・・・!?」

 

その言葉に驚愕の表情を浮かべ立ち上がる遊雅。そんな遊雅に、明日香は申し訳なさげに、しかしはっきりと告げる。

 

「ごめん、たまたまだったけど少しレインとの話を盗み聞きしてたの。・・・でも知りたいの!遊雅、あなたは何を抱えているの?帰ってこれないって、一体どこへ行こうとしてるのよ!」

 

明日香の言葉に、遊雅は顔をしかめながらおし黙り、思考の中で精霊達に監視を頼まなかったことを悔やむ。そんな遊雅を屹然と見据えながら、明日香は続ける。

 

「・・・まあいいわ、これはデュエルで勝ってから聞き出すから」

 

「明日香、悪いがそれは・・・」

 

「私だけのけものにする気?そんなの嫌。私はあなた達のことをもっと知りたいのよ!」

 

「違うんだよ!これはお前を巻き込んでいい話じゃ・・・」

 

そう言ってどうにか説得を試みる遊雅。と、その時、

 

「遊雅!」

 

「レイン!?」

 

「レインちゃん!?」

 

レインが今まで見たことのない焦りを表情に出しながら現れる。さらに、空気を読んで静かにしていたアバターも声を上げる。

 

『マスター!危険です!そこから離れてください!』

 

「アバター!?何が・・・」

 

あったんだ?と続けようとして遊雅は気づく。明日香の背後に、真っ暗な穴が出現していた。

 

「明日香!」

 

「なに・・・きゃあ!?」

 

「・・・っ!」

 

『まずい!』

 

その穴から無数の黒い手が伸び、明日香と遊雅を掴もうとする。咄嗟に明日香を引き寄せようとした遊雅だったが、一寸届かず、どうにかアバターとレインが間に割って入ったことで手から守られた遊雅だけが弾かれ、明日香が引きずりこまれる。すぐに起き上がった遊雅だったが、その時にはすでに穴はしぼんでしまい、パチュンと音を立てて消えてしまった。

 

「クソが!アバター、どうなってる!?」

 

『分かりません、あの女の気配がどこにもありません」

 

「レイン、どういうことだ!」

 

「・・・ついさっき、空間異常がここで発生した。今のは多分時空の歪み」

 

「つまりどういうことだ?」

 

「明日香は今現在、恐らく別の空間に飲み込まれた」

 

そう言うレインの表情は、普段の無表情からは想像できないほどにしかめられていた。そんなレインを見て、一旦落ち着かねば、と思った遊雅は、レインに勤めて冷静に提案する。

 

「あのDホイールって奴、あれなら行けるか?」

 

「・・・座標が分からないと難しい」

 

レインと遊雅の顔が曇る。打つ手なしか、と思ったその時、アバターが力を解放する。

 

『・・・見つけた!マスター、あの女のいる空間が見つかりました!すぐに転移します、手を!』

 

「でかした!レイン、いくぞ!」

 

「・・・ん!」

 

そうして、アバターから伸びた触手のような手を遊雅とレインが掴むと同時に、3人は瞬時に消えてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

「っと、ここか・・・?」

 

『はい。ここにあの女の気配があります』

 

「・・・何もない」

 

アバターにより、時空を超えて別空間へとやってきた遊雅達は、広大な砂だらけの場所へとやってきていた。建物も、人の気配もない殺風景に、レインが呟く。と、あたりを見回していた遊雅が声を上げる。

 

「・・・!いた!明日香!」

 

砂の上に横たえられた明日香の元へと走る遊雅達。と、その間に明日香を引きずり込んだ闇のようなものが姿を現し、立ちふさがる。

 

「てめぇ、そこどけや!」

 

「・・・邪魔」

 

叫ぶ遊雅達だが、反応なくただ不定形にうごめいている闇。と、不意にその闇が二つに分かれる。二つの闇はぐねぐねと形を変え、人型になる。そして最終的には、遊雅の見知った人間の姿となった。

 

「・・・社長・・・だと・・・!?」

 

闇の一つは、海馬の姿となった。色は黒一色だが、姿形はまるっきり海馬瀬人その人である。そして、もう一方の闇も姿を形作る。

 

「・・・武藤、遊戯」

 

レインも、呆然として呟く。その姿は、まさに決闘王、武藤遊戯であった。2人の闇はデュエルディスクを構える。そのプレッシャーさえ感じられる様は、2人がただの偽物ではないことを物語る。

 

「・・・やるしかないってことか。レイン、あちらさんはどうやらタッグデュエルをしようってことらしい。手を貸してくれ」

 

「・・・わかった」

 

デュエルに勝たねば明日香を助けられない、と分かった2人は即座にデュエルディスクを構える。

 

「「「「デュエル!!」」」」

 

闇海馬・闇遊戯

vs

遊雅・レイン

 

 

 

 

 

 

 

 

2人が明日香を取り戻すため、謎の時空にやってきた時。同じ時空の遠い場所をさまよっていたある男は、突如歩みを止め、バッと振り向いた。そして、一点を凝視しながら、震える声で呟いた。

 

「・・・来てくださった・・・来てくださったのですね・・・!?」

 

そしてその男は、持っていたものを投げ捨て、先ほどまでの歩みからは考えられないスピードで走っていった。その場には、男の落としていったものーーーーーーー黄金に光る三角錐のようなパズルが残されていた。




デュエルは次回からです。年越し前にはあげたいな(願望)
タッグデュエルのルールについては次回の前書きで説明します。


今後本編の話の中では出ないだろう情報

遊雅・J・クロフォード

シンクロ召喚のテスターとして採用される際、色んな所からの文句を黙らせるためにペガサスが勝手に養子縁組した。遊雅自身は普段の生活では名前だけを名乗って生活していたため、テレビで見ていた本校の仲間たちは度肝を抜かれていた。

デイビッドさん

紅葉とのデュエルを見て、遊雅の実力を思い知り、デュエルを挑む。が、めんどくさがった遊雅によりロック・ウイルスデッキによりすり潰された。夏休み編終了後に閑話で登場予定。


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第31話 三幻神降臨と最高の味方

あけましておめでとうございます。
年越し前には次話投稿するとか言っときながら、パソコンぶっ壊した上にデータのバックアップ取ってなかったバカがいるらしいですよ。まーバカな奴もいたものですね。(鎖付きブーメラン)

タッグデュエル 今作品のルール
・手札は5枚、先攻ドローあり。
・全プレイヤーに1ターン回るまでバトルフェイズ移行不可
・フィールド(モンスターカードゾーン・魔法罠ゾーン)、墓地は2人で共有。つまりモンスター5枚、魔法罠5枚、フィールド魔法1枚、墓地一箇所。
・デッキから手札・フィールド・墓地に干渉するカード(マジシャンズサークルとか地獄の暴走召喚とか)はターンプレイヤーのデッキのみ有効。EXデッキも同様。
・ルールを守って、激しくデュエル!


先攻は闇遊戯からとなった。

 

「・・・ドロー」

 

掠れたような、ひどく耳障りな声でドローを宣言する闇遊戯。ドローしたカードを見ることもせず、同じく闇で構成されたディスクに叩きつける。

 

「・・・融合。手札の幻獣王ガゼルとバフォメットを融合。有翼幻獣キマイラを召喚。カードを2枚伏せターンエンド」

 

闇遊戯

手札1枚

場1枚

伏せ2枚

 

「俺のターン!」

 

続いて遊雅のターンとなる。遊雅は、ドローしつつレインに話しかける。

 

「・・・レイン、武藤遊戯さんのデッキって確か・・・」

 

「・・・全てのカードが1枚のみのハイランダー」

 

「だよなぁ・・・なんでいきなりキマイラ出せんだよあれ」

 

アカデミアや孤児院で、最強の決闘王である武藤遊戯については聞いていた遊雅だったが、まさかこのような形で相手することになるとは思っておらず、また異様なまでの引きに十代を思い出しつつドン引いていた。

 

「さて、とりあえずは安定させるとこからだな。手札からフィールド魔法、アロマガーデンを発動!」

 

遊雅がカードを出すとともに、殺風景な砂漠が花の咲き乱れる庭園へと変わる。

 

「さらに手札からアロマージ-ローズマリーを召喚!フィールド魔法アロマガーデンの効果!俺たちのライフを500回復!それによりローズマリーの効果で、キマイラを守備表示にする!」

 

庭園の草花から光のオーラが発生し、遊雅たちを包む。そして、場に現れた青い髪の少女が手に持った杖を振ると、キマイラはアロマの香りによってふらつき、地面へと伏せる。

 

遊雅・レインLP8000→8500

 

「アロマガーデンの効果を使用したため、俺の場のローズマリーの攻撃力が500上がる!俺はカードを2枚伏せ、ターンエンド」

 

アロマージ-ローズマリーATK1800→2300

 

遊雅

手札2枚

場1枚

伏せ2枚 アロマガーデン

 

「・・・ドロー」

 

遊雅がターンを終了すると同時に、生気のない動きのまま闇海馬が動き出す。

 

「・・・手札から魔法発動、強欲な壺。デッキから2枚ドロー。マジックカード、古のルールを発動。手札から青眼の白龍を召喚」

 

闇海馬が出したのは、本来の海馬の嫁・・・もとい切り札である青眼の白龍。偽物であると分かっていてもその高貴な姿と威圧感は変わらない。

 

「いきなりだな・・・。なんともまあ・・・」

 

「・・・速攻魔法、滅びの爆裂疾走弾を発動。相手モンスターを全て破壊する」

 

「っ!くっそ、アロマガーデンの効果!アロマモンスターが破壊されたのでライフを1000回復!」

 

遊雅・レインLP8500→9500

 

「・・・ターンエンド」

 

「くっそいきなりかよ。レイン、頼んだ」

 

「・・・ん」

 

闇海馬

手札4枚

場2枚

伏せ2枚

 

滅びの爆裂疾走弾により、フィールドを掃討され歯噛みする遊雅。どうすることもできないため、レインに全てを託す。

 

「・・・私の番・・・ドロー」

 

レインがカードをドローする。遊雅はレインがデュエルするところを見たことがなく、またデッキについても聞いたことはなかったため、少し不安げにプレイを見守る。

 

「・・・手札からマジックカード、おろかな埋葬を発動。デッキから馬頭鬼を墓地へ。堕ち武者を召喚。効果でデッキからゾンビキャリアを墓地へ。墓地のゾンビキャリアの効果。カードを1枚デッキトップに戻して墓地から特殊召喚」

 

「アンデッドか・・・」

 

「レベル4の堕ち武者に、レベル2のゾンビキャリアをチューニング。こうすれば・・・。シンクロ召喚。氷結界の龍ブリューナク」

 

「・・・ゲェッ!?ブリューナク!?」

 

アンデッド族によく見られる墓地からのサイクル、そしてそこから現れたのは、遊雅もよく前世で被害にあった氷結界の鬼畜龍が一体ブリューナク。驚きのあまり妙な声が出た。

 

「・・・効果発動。手札のグローアップ・バルブを墓地へ送って青眼の白龍を手札に戻す」

 

ブリューナクが巻き起こした突風により、青眼の白龍は闇海馬の手札へと戻っていく。突風の収まった後には、妙な花が鎮座していた。

 

「・・・グローアップ・バルブの効果。デッキトップを墓地へ送って墓地から特殊召喚。墓地の馬頭鬼の効果。馬頭鬼を除外して墓地から真紅眼の不死竜を召喚。レベル7の真紅眼の不死竜に、レベル1のグローアップ・バルブをチューニング。・・・シンクロ召喚。PSYフレームロードΩ。・・・ターンエンド」

 

レイン

手札2枚

場2枚

伏せ2枚

 

レインのアンデッドぶん回しに流石の遊雅も驚きを隠せなかった。相手の場の最も厄介なモンスターを処理した上で、キマイラで突破できない壁を2体も場に残している。相手に心理戦が通じるのかは分からないが、もしちゃんとした人間なら相手はドン引いていただろう。

 

「・・・今はここまで」

 

「!?」

 

「・・・ドロー」

 

なにやら不穏な言葉が聞こえてきた気がした遊雅だったが、そんなことは御構い無しに闇遊戯がターンを進める。しかし、そこでレインが待ったをかける。

 

「・・・PSYフレームロード・Ωの効果。相手スタンバイフェイズ時に、ゲームから除外されている馬頭鬼を墓地へ戻す」

 

レインの墓地へと戻って行く馬頭鬼。しかし闇遊戯はそんなことは一切気にせず、即座に動く。

 

「リバースカードオープン、融合解除。キマイラを戻し、墓地からバフォメットとガゼルを召喚」

 

場のキマイラが分離し、2体のモンスターが場に現れる。と同時に、2体のモンスターが合わさり、漆黒の魔術師が現れる。

 

「・・・2体を生贄に、ブラック・マジシャンを召喚。さらにマジックカード、千本ナイフを発動。PSYフレームロード・Ωを破壊」

 

ブラック・マジシャンが無数のナイフを出現させ、PSYフレームロード・Ωへとぶつける。そして次の瞬間には、杖に持ち替え攻撃体制に入る。

 

「バトル。ブラック・マジシャンでブリューナクに攻撃」

 

「・・・っぅん!」

 

遊雅・レインLP9500→9300

 

「ターンエンド」

 

闇遊戯

手札0枚

場1枚

伏せ1枚

 

「・・・ごめん」

 

「気にすんな、全然問題ないからな!」

 

結局場を一掃されてしまい、落ち込み気味に謝るレイン。しかし、遊雅は問題ない、と笑う。

 

「俺のターン!ドロー!手札から薔薇恋人を召喚!さらに永続魔法、超栄養太陽を発動!薔薇恋人をリリースし、デッキからアロマージ-ジャスミンを守備表示で召喚!」

 

新たに場に現れたのは、ローズマリーよりも幼い出で立ちの少女。そして、フィールドのアロマガーデンからまた光が溢れる。

 

「墓地の薔薇恋人の効果!こいつを除外して、手札のアロマージ-ベルガモットを特殊召喚!そしてアロマガーデンの効果発動!ライフを500回復!さらに2体のアロマモンスターの効果が発動!まずはジャスミン!デッキからカードを1枚ドロー!そしてベルガモット!攻撃力が1000上がる!アロマガーデンの効果と合わせて、攻撃力は3900!」

 

遊雅・レインLP9300→9800

 

アロマガーデンの光を浴びて回復する遊雅達と、力を増したことでオーラが溢れるベルガモット。すると、ジャスミンがフィールドの園庭から光る実をもいで、トテトテと遊雅へと近づく。

 

『ますたー、はい!』

 

そう言って満面の笑みとともに実を差し出すジャスミン。実を差し出された遊雅はその無垢な笑顔に状況を忘れてジャスミンを撫でくりまわしそうになりつつ受け取る。受け取った実はカードとなった。

 

「・・・んっん!ジャスミンが場にいてライフポイントが相手より上の時、もう一度植物族モンスターを通常召喚出来る!来い!プチトマボー!バトル!アロマージ-ベルガモットで、ブラック・マジシャンを攻撃!」

 

ベルガモットが持つ杖から業火が飛び、ブラック・マジシャンを焼き尽くす。そして間髪入れずにプチトマボー達が飛びかかる。

 

「続いてプチトマボーで攻撃!アロマガーデンによって攻撃力は1200!」

 

「リバースカードオープン、永遠の魂。墓地のブラック・マジシャンを召喚」

 

「・・・攻撃を中止、ターンエンド」

 

闇遊戯・闇海馬LP8000→6600

 

遊雅

手札0枚

場3枚

伏せ2枚 超栄養太陽 アロマガーデン

 

「・・・ドロー。手札から融合を発動。3体の青眼の白龍を手札融合。青眼の究極竜を召喚」

 

「・・・もう驚かねえぞ」

 

闇海馬のターン、現れたのは究極嫁・・・もとい青眼の究極竜。その攻撃力は驚きの4500。神であるオベリスクすら凌駕する。

 

「・・・バトル。青眼の究極竜でアロマージ-ベルガモットを破壊」

 

「・・・っ!すまないベルガモット・・・!リバースカードオープン、門前払い!」

 

青眼の究極竜の極大ブレスにより、ベルガモットが破壊される。しかし、フィールドのアロマガーデンがベルガモットの死を無駄にはしない。

 

「アロマガーデンの効果により、俺はライフを1000回復!さらに門前払いの効果で戦闘ダメージを与えたモンスターは手札に戻る!」

 

「速攻魔法、融合解除。青眼の究極竜を戻し、青眼3体を墓地より召喚」

 

「!?」

 

遊雅・レインLP9800→9200→10200

 

ライフ自体は減るよりむしろ増えた遊雅達。しかし、門前払いをかわされ、青眼の白龍3体にブラック・マジシャンという恐ろしい布陣が出来てしまった。

 

「・・・ターンエンド」

 

「!?攻撃しない・・・?」

 

闇海馬

手札0枚

場4枚

伏せなし 永遠の魂

 

ところが、闇海馬はこれ以上の攻撃を行わなかった。何が狙いなのかわからず、戸惑う遊雅。しかし、レインは一足早く戸惑いを断ち切り、自分にできることを、と進める。

 

「・・・私の番。ドロー。マジックカード、マジックプランターを発動。門前払いを墓地へ送って2枚ドロー。マジックカードおろかな埋葬。デッキから死霊王ドーハスーラを墓地へ。墓地の馬頭鬼の効果。除外して墓地のドーハスーラを召喚。手札からタツネクロを召喚。効果で手札の牛頭鬼を用いてチューニング。シンクロ召喚。真紅眼の不屍竜。効果で攻撃力は場と墓地のアンデット族の数かけるように100アップする。場にはドーハスーラと真紅眼の不屍竜。墓地のアンデット族は3枚。よって500アップして2900。フィールド魔法アロマガーデンの効果。ライフを500回復。さらに場のモンスターの攻撃力を500アップ。アロマージ-ジャスミンの効果で一枚ドロー。プチトマボーを守備表示にして、バトル。攻撃力3300になったドーハスーラで青眼の白龍を破壊。真紅眼の不屍竜攻撃力3400でもう一体破壊」

 

遊雅・レインLP10200→10700

 

闇遊戯・闇海馬LP6600→5900

 

「・・・ターンエンド」

 

レイン

手札0枚

場4枚

伏せ1枚 超栄養太陽 アロマガーデン

 

「よし、いいぞレイン。次は任せろ!」

 

「・・・ん」

 

3体の青眼のうち、2体を仕留めたレイン。相手の闇達は手札もなく、ライフでも自分たちが有利。遊雅とレインは、どこか勝った気でいた。・・・闇遊戯が動き出すまでは。

 

「・・・ドロー。マジックカード、天よりの宝札」

 

「・・・!?」

 

「なっ!?」

 

「全プレイヤーは手札が6枚になるようデッキからドローする」

 

現在、全てのプレイヤーの手札は0枚。このタイミングでの6枚ドローは、遊雅達にも多大な恩恵をもたらした。しかし、それ以上の絶望がやってきてはいたが。

 

「手札からマジックカード、早すぎた埋葬を発動。ライフを800払い、墓地の青眼の白龍を一体特殊召喚」

 

闇遊戯・闇海馬LP5900→5100

 

「・・・!まさか!?」

 

揃えられた3体のモンスター。それを見て遊雅は最悪の未来を予想する。そして、その未来は訪れた。

 

「・・・3体のモンスターを生贄に、手札から破壊神オベリスクを召喚」

 

絶望が、巨神として現れた瞬間だった。究極の神三幻神の一体、オベリスクの巨神兵。対峙した者を例外なく畏怖させるその姿に、レインは本能的な恐怖を覚える。しかし闇遊戯は無情にも悪夢のような駄目押しを行う。

 

「永遠の魂の効果。墓地のブラック・マジシャンを召喚。さらにマジックカード死者蘇生を発動。墓地の青眼の白龍を召喚。オベリスクの効果。ブラック・マジシャンと青眼の白龍を生贄に捧げ、オベリスクは無限のパワーを得る。バトル、オベリスクで真紅眼の不屍竜を攻撃」

 

黒衣の魔術師と、青き眼を持つ竜を糧として、オベリスクがその巨碗を構える。レインはそれをどこか他人事のように思いながら眺める。

 

「レインッ!伏せ使えっ!」

 

「・・・っ!!リバースカードオープン、ガード・ブロック!戦闘ダメージをゼロにして、1枚ドロー!」

 

遊雅の声に正気を取り戻したレインが咄嗟に伏せてあったカードを開く。

 

「しかしモンスターは破壊される」

 

そんなものは知ったことか、とオベリスクは無限の力を込めた豪腕を真紅眼の不屍竜に叩きつける。その衝撃波に吹き飛ばされるレイン。慌てて遊雅がアバターに受け止めさせるが、神の一撃の余波を受けたせいか、レインは気絶してしまった。

 

「レイン!レイン!・・・くそっ、だめだ・・・」

 

「カードを1枚伏せターンエンド」

 

「・・・っ!」

 

闇遊戯

手札2枚

場1枚

伏せ1枚 永遠の魂

 

続いては遊雅のターンなのだが、レインが起きないと、闇海馬のターンの後にデュエル続行不可でレインが脱落する。そうなった場合、どのような結果になるのかは想像がつかない。

 

「どうすれば・・・ああくそっ、アバター、どうにかならないか!?」

 

『と言われても、私がかわるわけにもいかないでしょうし・・・。精霊の代役は認められるのかどうか・・・』

 

『ならば私が変わろう』

 

「!?」

 

レインをどうするかで悩む遊雅達の背後から、その言葉とともにDホイールが現れる。そして降りてきたのは、白と黒の仮面をつけた男。その男を見て、遊雅は顔に笑みを浮かべる。

 

「パラドックス!どうやってここに!?」

 

仮面を外し、その言葉に答えるより先にパラドックスはレインからデュエルディスクを外し、自身に付け替える。

 

「レインの反応を追って時空を超えるくらい造作もない。そんなことよりも、まずはあの亡霊どもを片付けることが最優先だろう?紛い物とはいえ、伝説の決闘者2人と神を相手にするのだ。気合を入れなおせ!」

 

その言葉にニヤリと笑うと、レインを寝かせて立ち上がる遊雅。

 

「おうよ!合わせろよパラドックス!」

 

「貴様が合わせろ!私本来のデッキでは無いのだから、貴様がフォローしろ!」

 

こうして、改めて闇の遊戯・海馬ペア対遊雅・パラドックスペアの戦いが始まった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

パラドックスが急遽駆けつけ、再度デュエルが始まろうとしている頃、謎の男もまた、遊雅達の元へと近づいていた。

 

「もうすぐ・・・もうすぐ会えるんだ・・・!また、マスターに・・・!」

 

会合の時は近い。




今年もグダグダと続けていきますので、こんな駄作ですが良ければよろしくお願いします。


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第32話 神vs神とポンコツな味方

最近学校で新たに三名のOCGプレイヤーを発見し、友人と喜びながらデュエルに誘ったのですが、
①全盛期征竜(!?)
②カオスデッキ、混沌・エンドルーラー込み(!?!?)
③シンクロアンデ、トリシュ・ブリュ・ゴヨウ三積み(!?!?!?)
といった具合でした。
・・・とりあえず②はいつの時代を生きてきたのか疑問です。
ヴェンデットでなければ即死だった・・・(友人はF.Aで特殊勝利してました)


・・・あ、今回でタッグデュエル終了です。ご都合展開には目をつぶってね★(土下座)


パラドックスが助太刀にやってきて、調子づいた遊雅は、嬉々としてぶん回しを開始する。不幸中の幸いと言っていいのか、天よりの宝札により手札は潤っていた。

 

「・・・こんな最高の場面でこなかったら嘘だぜ、相棒」

 

そう言って遊雅がデッキトップに手をかける。すると、そこから濃密な闇が放出され、隣に立つパラドックスが驚きの声を上げる。

 

「これは・・・」

 

『・・・ええ、偽物に思い知らせましょう。抑止の邪神の力を・・・!』

 

「いくぜ!ドロー!」

 

勢いよくドローした遊雅は、まずは下準備と、フィールド魔法を選択する。

 

「アロマガーデンの効果!ライフを500回復!ジャスミンの効果で1枚ドロー!」

 

遊雅・パラドックスLP10700→11200

 

オベリスクを涙目で見つつ、ジャスミンが新たな光の実という名のカードを遊雅へと持って行く。遊雅は涙目のジャスミンをよしよしと撫でつつ動き出す。

 

「手札のカードを1枚墓地へ送り、theトリッキーを特殊召喚!さらに墓地に送った2枚目の薔薇恋人の効果で、こいつを墓地から除外して手札のアロマージ・ベルガモットを特殊召喚!」

 

完全に埋まる場に、これまでなんの反応も示さなかった闇遊戯と闇海馬が、何かを感じ取ったのか、一瞬強張る。

 

「・・・いくぞ。場のtheトリッキー、アロマージ・ジャスミン、死霊王ドーハスーラをリリース」

 

アロマガーデンの発動により多少は明るくなっていたフィールドが、薄く闇へと覆われる。そして、燦々と輝いていたアロマガーデンの太陽が光を失う。

 

「漆黒の太陽。今ここに顕現し、神すら葬るその力を示せ!降臨!邪神アバター!」

 

漆黒に満ちた太陽がそのままフィールドにゆっくりと現れる。その纏う闇の力と姿は、まさしく黒き太陽神。

 

「これが・・・抑止の邪神、その最高神か・・・!」

 

初めてデュエルにおいてその姿を見たパラドックスは、その力に慄き、その神が味方であることに頼もしさを覚える。そのアバターは、フィールドに舞い降りると同時にその姿を変える。

 

「ジャスミンが墓地へ行ったのでアロマガーデンの効果で1000回復。さらにアバターの攻撃力は、フィールドのモンスターの中で最も高い攻撃力に、1足した数値となる!」

 

アバターATK?→4001

 

遊雅・パラドックスLP11200→12200

 

アバターが形作ったのは、漆黒のオベリスク。これこそ、アバターの持つ神としての絶対的能力。闇遊戯の顔が心なしか強張っているように見える。

 

「さらに、レベル6、アロマージ・ベルガモットに、レベル2、プチトマボーをチューニング!シンクロ召喚!来い!レッドデーモンズドラゴン!」

 

続いて呼び出されたのは、遊雅のフェイバリットシンクロの一体にして未来の五竜が一体、レッドデーモンズドラゴン。紅蓮の炎を待とい現れたレッドデーモンズドラゴンは、その力を誇示するかのように雄叫びをあげる。

 

「さらにベルガモットが墓地へ行ったので1000回復。装備魔法、白銀の翼をレッドデーモンズに装備!これにより、レッドデーモンズは2度まで戦闘で破壊されない!」

遊雅・パラドックスLP12200→13200

 

「バトル!アバターで、オベリスクの巨神兵に攻撃!」

 

闇のオベリスクと化したアバターがその拳を構え、オベリスクへと殴りかかる。しかし、それに闇遊戯が待ったをかける。

 

「リバースカードオープン、強制終了。場の青眼を墓地へ送り、バトルフェイズを終了する」

 

「!」

 

「なんだと・・・?」

 

闇遊戯のカードに驚くパラドックスと、何かに引っかかる遊雅。アバターの攻撃は、すんでのところで止まってしまう。

 

『くっ、偽物め、猪口才な!』

 

「・・・カードを2枚伏せ、ターンエンド」

 

遊雅

手札1枚

場2枚

伏せ2枚 白銀の翼 アロマガーデン

 

「・・・ドロー。カードを3枚伏せる」

 

「リバースカードオープン、サイクロン!永遠の魂を破壊させてもらうぞ!」

 

「・・・マジックカード、龍の鏡を発動。墓地の青眼の白龍を3体除外し、青眼の究極龍を再度召喚。さらに手札から相手の場のモンスター2体を生け贄として溶岩魔神ラヴァ・ゴーレムを召喚」

 

「なっ!?それは効くのかよ!?」

 

「なぜそんなカードが!?」

 

まさかの展開に驚愕する遊雅とパラドックス。アバターとレッドデーモンズドラゴンをリリースして呼び出されたのは、溶岩によってできた巨大な魔神。予想外の攻略法にアバターでさえ驚いた。

 

「バトル、オベリスクでラヴァ・ゴーレムを攻撃。ゴッドハンドインパクト」

 

「ゴッ!?」

 

オベリスクの一撃にて砕け散るラヴァ・ゴーレム。そして、1000程度ではあるが神によるダメージを受ける遊雅。

 

「遊雅!」

 

『マスター!』

 

パラドックスの緊迫した声と、アバターの悲壮な声を聞き、無理やり倒れるのを拒み踏ん張る遊雅。

 

遊雅・パラドックスLP13200→12200

 

「さらに青眼の究極龍でダイレクトアタック」

 

「ぐぁっ!?」

 

LP12200→7700

 

しかし、容赦なく叩き込まれただめ押しで吹き飛ばされる遊雅。どうにか起き上がるも、すでに限界に近かった。

 

「くっそー、頭打った」

 

「無事か、遊雅!」

 

「これが無事に見えるか?ったく、死にそうだよこんちくしょうめ」

 

悪態をついて誤魔化す遊雅に近づきつつ、ありえない、と呟くパラドックス。

 

「ラヴァ・ゴーレムに強制終了。あんなカードは武藤遊戯と海馬瀬人のデッキには入っていないはず・・・なぜあんなカードが・・・」

 

「それだけじゃねーぜ。ラヴァゴといい強制終了といい、ピンポイントとはいかねえが、アバター対策に的確すぎるカードばっかだ。・・・『あいつらは何故かアバターを知っている』。これが一番よく分からねぇ」

 

「・・・ターンエンド」

 

闇海馬

手札2枚

場2枚

伏せ3枚 強制終了

 

エンド宣言をする闇海馬を見つつ、歯噛みする遊戯とパラドックス。オベリスクに対抗できる一番有効な策を簡単に潰されてしまった。

 

「・・・わりぃ、頼むわ」

 

悔しそうにそう言う遊雅に、パラドックスは険しい顔ながらも頷く。

 

「わかっている。貴様をこれ以上やられてはこちらも困る。最大限にサポートしてやる、だから次だ。次のターンに決めろ」

 

パラドックスの言葉に少し笑いつつ遊雅は立ち上がる。

 

「・・・私のターンだ!」

 

パラドックスが、ターンを宣言し、ドローする。そして、数瞬考え、即座にカードをデュエルディスクに叩きつける。

 

「墓地の死霊王ドーハスーラは、スタンバイフェイズに墓地から特殊召喚出来る!来い、ドーハスーラ!さらに、マジックカード、死者への手向けを発動!手札を1枚墓地へ送り、青眼の究極龍を破壊!ゾンビマスターを召喚!効果で手札のモンスターを墓地へ送り、先程墓地へ送った牛頭鬼を守備表示で召喚!牛頭鬼の効果!デッキからタツネクロを墓地へ!リバースカードオープン、リミットリバース!先程墓地に送ったタツネクロを蘇生!レベル4の牛頭鬼に、レベル3タツネクロをチューニング!シンクロ召喚!来い!真紅眼の不屍竜!場のアンデット族は3枚!墓地のアンデット族は5枚!よって攻撃力は800アップし、3200!」

 

再び現れた2体目の不屍竜。しかし闇海馬は何も感じていないのか、全く動かない。

 

「カードを1枚伏せ、バトル!真紅眼の不屍竜でオベリスクへ攻撃!この瞬間、速攻魔法アンデット・ストラグルを発動!場の真紅眼の不屍竜の攻撃力をターン終了時まで1000アップさせる!」

 

真紅眼の不屍竜ATK3200→4200

 

力の増した真紅眼の不屍竜のブレスが、神であるオベリスクを粉砕する。しかし、なおも闇海馬は動かない。

 

闇遊戯・闇海馬LP5100→4900

 

「・・・ターンエンドだ。頼むぞ、遊雅!」

 

パラドックス

手札1枚

場3枚

伏せ1枚 リミットリバース

 

「・・・ドロー」

 

闇遊戯のターンとなり、ドローする。そして、闇遊戯はまたしても災厄をもたらす。

 

「リバースカードオープン、異次元からの帰還。除外されている青眼3体を召喚する」

 

闇遊戯・闇海馬LP4900→2450

 

「まさか・・・!」

 

「冗談きついぜ・・・!」

 

また揃えられた3体のモンスターに、嫌な予感しかない遊雅とパラドックス。そして、真の太陽が現れる。

 

「3体のモンスターを生贄に、ラーの翼神竜を召喚」

 

現れたのは、アバターと同じ、太陽の神。アバターが闇の太陽なら、こちらは太陽そのもの。最強格の神にして最悪の不死鳥、ラーの翼神竜。

 

「ラーの翼神竜の攻撃力は生贄としたモンスターの攻撃力の合計となる。よって攻撃力は9000。・・・ラーの効果。ライフを1000はらい、相手の場の真紅眼の不屍竜を破壊する」

 

ラーの口から灼熱の炎が降り注ぎ、真紅眼の不屍竜が破壊され、余波でパラドックスと遊雅が吹き飛ばされる。

 

闇遊戯・闇海馬LP4900→3900

 

「バトル。ラーの翼神竜でゾンビマスターに攻撃」

 

さらに、ラー自身が火の鳥となり、ゾンビマスターを蹂躙し、そのダメージがさらに遊雅とパラドックスを襲う。

 

「「がああああ!?」」

 

遊雅・パラドックスLP7700→500

 

「ターンエンド」

 

闇遊戯

手札2枚

場1枚

伏せ 2枚 強制終了

 

「・・・生きてっかー、パラドックス」

 

「・・・ああ、貴様の方こそ、無事なのだろうな?」

 

2人とも、ボロボロながらも辛うじて起き上がる。しかし、ライフは風前の灯火、場にはドーハスーラがまだいるものの、相手にラーがいる以上、いないも同じことである。パラドックスも遊雅もすでに限界、頼みの綱だったアバターもやられ、絶望が押し寄せる。

 

「くっそが、何が神だ、インチキ効果も大概にしろよ・・・」

 

「こんなところで・・・!」

 

2人の間に諦めのムードが漂う中、それは現れた。

 

『嗚呼、やはり。やはり貴方でしたか、マスター』

 

「・・・あ?」

 

突然声をかけられ、振り向く遊雅。釣られてパラドックスも振り返り、2人とも目が点になる。

 

「・・・?」

 

『・・・私は・・・貴方の精霊。いや、邪神というべきですね。はじめまして、我がマスター。私の名は・・・』

 

「待て」

 

『?』

 

「今は時間が惜しい。自己紹介は後にしてくれ。・・・よく分からないが、俺をマスターと呼ぶのなら」

 

力を貸せ。というか寄越せ!今、直ぐ!

 

 

遊雅の言葉に薄く笑うと、精霊・・・いや邪神は遊雅のデッキへと闇となり入って行く。

 

『見てわかるほどの窮地。しかし大丈夫です。私の力・・・そしてアバターの力があれば』

 

「・・・ああ、今はっきりと感じた。この感じ・・・」

 

「『負ける気がしねぇ』」

 

そして、直ぐに遊雅はデッキに手をかける。

 

「『さあ、始めましょうか。理不尽なデュエルを!』」

 

闇遊戯と闇海馬はその時確信した。これは手を出してはいけないものだ、と。この者に手を出したのは間違いだったのだ、と。そしてパラドックスも確信していた。このデュエル。ーーーーーこちらの勝ちであると。

 

「『私のターン、ドロー!』」

 

遊雅は勢いよくドローすると、即座にドローしたカードを発動する。

 

「『マジックカード、貪欲な壺!墓地のアロマージ・ジャスミン、ベルガモット、ローズマリー、レッドデーモンズドラゴン、プチトマボーをデッキに戻し、2枚ドロー!さらに強欲な壺を発動!2枚ドロー!マジックプランター発動!リミットリバースを墓地へ送り2枚ドロー!ハーピィの羽根箒を発動!相手の魔法・罠を全て破壊!さらに手札からマジックカード、異次元からの埋葬を発動!除外されている馬頭鬼と薔薇恋人2枚を墓地へ、さらにそいつらの効果を使用!馬頭鬼の効果で墓地のゾンビマスター蘇生!薔薇恋人の効果で手札からトマボー2体を召喚!』」

 

一気に場に新たな3体のモンスターを揃える遊雅。そして、逆転の最後の手札に手をかける。

 

「・・・さあ、行こうか」

 

『ええ、いつでも。どこであろうと、私は貴方の側に』

 

「場の3体のモンスターをリリース!闇の力奮いし巨神よ!今ここに顕現し、絶望の力を示せ!降臨!邪神ドレッドルート!」

 

場に現れるは、2体目の邪神。オベリスクと対をなし、全ての敵を粉砕する暴力の権化。

 

「新たな邪神・・・!しかし、ラーの翼神竜は攻撃力9000!攻撃力が足りてはいない・・・!」

 

「『問題ないぜ、パラドックス。お前の伏せていてくれたこいつがあれば、な!』」

 

そう言って遊雅は最後のキーカードをオープンする。

 

「『リバースカードオープン、死者蘇生!墓地より再び降臨せよ!邪神アバター!』」

 

地面に亀裂が走り、そこから再び漆黒の太陽が顕現する。本能的に自分と同じであると理解したのか、ラーが咆哮を上げる。

 

『・・・お前か、ドレッドルート』

 

『・・・ええ、そうですが?』

 

なにやら様子がおかしく、不機嫌なアバターだが、遊雅はそんなことを気にする余裕がないので、即行動に移る。

 

「アバターの攻撃力は、ラーを超える9001となる!行くぞ!バトル!アバター・ラーで攻撃!」

 

アバターの姿がラーへと変わり、闇で構成された焔でラーを包み込む。抵抗するラーだったが、アバターは神の序列としてはラーと同等となっており、さらには攻撃力自体で上回っているため、最後には、断末魔をあげながら闇へと沈んでいった。

 

「そしてドレッドルートで攻撃!これで最後だ!!」

 

闇遊戯・闇海馬LP3900→-3899→-101

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドレッドルートの一撃が決まると、闇は消えて行き、闇のデュエルも解除され、静寂のみが残った。最初に切り出したのはパラドックスだった。

 

「・・・終わった、ということでいいんだな?」

 

「・・・ああ、あの偽物共は消えたらしい。・・・そうだ、明日香!」

 

慌てて明日香の元へ向かう遊雅。駆け寄り、脈を計ったりするも、寝ているだけで異常は感じられない。そこでようやく緊張の糸が切れた遊雅は、砂の上に座り込む。

 

「・・・はぁぁぁ、良かった・・・」

 

『ええ、本当に良かったです。さすがはマスターですね』

 

「・・・おうふ、そういや最大の面倒事があったんだった」

 

『面倒事ですか?それはいけません。一体何のことでしょう・・・』

 

「オメーだよ邪神二号!」

 

疲れた体に鞭打って全力のツッコミを入れる遊雅。デュエルは終わったため、精霊のように霊体化しているドレッドルートを見て、改めて問う遊雅。

 

「・・・で、お前は邪神ドレッドルート、でいいんだよな?」

 

『はい。正確には、「マスターが前世にて使用していたデッキに入っていたドレッドルートの精霊がこちらに来て力を得た存在」。それが私です』

 

「つまりはアバターと同じ感じか。・・・ひょっとしてこっちの世界のドレッドルートは・・・」

 

『?とりあえず喧嘩売ってきたので泣くまで殴り倒しましたが?』

 

「ああもういいです」

 

頭を抑え、ため息をつく遊雅。ちなみにパラドックスはデュエルの余波でやられた自前のD-ホイールを整備しており、話は聞いていない。レインと明日香は未だ眠っている。

 

「とにかく、俺の精霊になったんなら、そういう物騒なことはもうしないこと、わかったか?」

 

『マスターの御心のままに』

 

そう言って深々と礼をするドレッドルート。その様はかなりシュールだが、笑う余裕もない遊雅はとりあえずこれでいいか、と頷く。

 

「アバターもお疲れさん」

 

『・・・・・・・・・はい』

 

「・・・なに怒ってんだ?」

 

『別に、怒ってなんかいません』

 

どこか機嫌の悪いアバターに疑問を抱きつつも、まあいいか、と放置する遊雅。しかし、そこでドレッドルートが煽る。

 

『しょうがありませんよマスター。おそらくとどめさせなかったのが気に食わないんでしょう。随分と器が小さいようです』

 

『・・・あ?』

 

アバターの球体状の体が蠢き、いつかのチンピラを引きずり込んだ際の女性の姿へと変わる。

 

『舐めた態度とるんじゃない。この暴力バカが。力での解決法しか知らないような脳筋が私を語るな』

 

すると、ドレッドルートの方も姿が人間へと変わる。こちらは女性ではなく男性のようで、黒い麦わら帽子を被ったニコニコ顔の少年になる。

 

『貴方こそ、少々「格」が上であるというだけで偉そうにするなよ。他人の力がないと戦えないくせに』

 

『『・・・』』

そこからは、もはや子供の喧嘩であった。

 

『貴様こそ、何だ、自分以外の攻・守半分って!仮にも神ならもう少しましな効果持ってから名乗りなさい!』

 

『知るか!守備力の方が攻撃力より高いモンスター出されただけで止まるような神(笑)に言われたくないですね!』

 

『あぁっ!?』

 

「・・・さて、パラドックスでも手伝うか」

 

互いを罵り合いギャーギャーと喧嘩する、神とは思えない二柱の邪神を放っておいて、遊雅はパラドックスの元へと向かうのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「うんうん、やっぱり素晴らしい。これならもっと面白くなりそうだ。・・・さあ、●●君。・・・いや、こっちでは遊雅君だったかな。次の試練はもう近い。早くしないと、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の世界へ行っちゃうよ?」




今回のデュエル、色々と突っ込みたい方もおられるでしょう。だがあえて私はこう言おう!


・・・ごめん。


・アバターの人間体のモデル:アルベド(オーバーロード)の服真っ黒ver
・ドレッドルートの人間体のモデル:宮沢賢治(文豪ストレイドックス)同じく服真っ黒ver

デュエルパート書いていて、ふと想像してみたら、のどかなアロマガーデンで、上空にラーとアバター、地上でオベリスクとドレッドルートがどんぱちやっていて、その足元でてんやわんやのトマボー達とアロマージを想像してクスッときた。・・・ガメラかな?

第2章はもうすぐ終了、そしてすいません、第3章からもまだオリジナル展開続きます。

本日の遊雅君デッキ:アロマ耐久シンクロ
アロマで回復しつつプチトマボーやマインモールなど、場持ちの良い(相手にとってうざい)カードを主体にシンクロやアバターのリリース要員を揃えていくデッキ。案の定アバターを出そうとしない方が回る。
???『こんなんばっかですか!』


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第33話 今明かされる衝撃の真実ゥ!

デュエルがねぇ!
ひねりもねぇ!
おまけに未来に行けてねぇ!
おらこんな駄文嫌だぁ〜

長い休みが出来た!執筆に集中できるぜヒャッホゥ!とか思ってた時代が、僕にもありました。
インフル、入ってる(A型)
日頃の生活習慣・・・ですかねぇ・・・


邪神2体から離れ、パラドックスの元へと向かった遊雅。結局手伝いは不要と言われ、大人しく明日香とレインを看ていた。すると、言い争いを終えたアバターとドレッドルートが戻ってくる。

 

「おう、終わったか」

 

『ええ、一応・・・。これで邪神が2体揃いましたね、マスター』

 

『別に私だけでも問題ないのですがね』

 

『あ?』

 

『ん?』

 

「ストップ。これ以上やり合うようなら俺はお前らを置いていくからな。ここには明日香とレインがいることを忘れんな」

 

『『・・・はい』』

 

「ったく・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいか、私のD-ホイールについて来るだけでいい。なるべく離れるなよ!」

 

「おう!一つ聞いていいか!?」

 

「なんだ!」

 

「どっちか一人くらいそっち乗せらんない!?」

 

現在の状況は、前がパラドックス、後ろに自分のD-ホイールに乗った遊雅という状況である。ただし、未だ意識の戻っていないレインと明日香は遊雅の後部に乗せられている。

 

「私のD-ホイールは一人用だと言っただろう」

 

「でもこれだって限度ってものがあると思うが!?バランスが悪すぎんだよ!?」

 

そう言いつつも、ふらつきを可能な限り抑えつつアクセルを全開にする遊雅。パラドックスは、前を向き直し叫ぶ。

 

「いいか!そのD-ホイールには私のものと同じ座標型の時空移動システムが搭載されている!私がサポートはするが、モーメントの暴走を収めたら貴様は一人で戻ることになるのだ、今のうちに慣れておけ!」

 

「んなこと言ったって・・・!ああ、くそっ、やればいいんだろ!」

 

ヤケクソ気味に叫び、メットを深く被り直す遊雅。そして二人は光をまといながら走りだし、そのまま加速して消えていった。後に残ったのは一面砂の世界だけであり、先程までそこでデュエルがあったことなどなかったかのような静寂のみだった。

 

 

 

 

 

 

「・・・ここは」

 

目を覚ましたレインは、まず最初に自分が見慣れない部屋のベッドの上に横たわっていることに気づき困惑した。自分は確か、遊雅と一緒にデュエルしていたはず。そこまで思い出したところで、部屋へ遊雅が入ってくる。

 

「・・・おっ、レイン、起きたか」

 

そう言って笑いかけながらレインのベッドの横に座る遊雅。その手には切ったリンゴがのった皿がある。

 

「よかったぞ、全然意識が戻らねえし、パラドックスもよくわからんとか言い出すし、もう起きねえんじゃねえかとハラハラしたわ」

 

「・・・明日香は?」

 

「無事だよ。あの後お前の代わりにパラドックスが来てくれて勝てた。それと、今いるのはアメリカ・アカデミアの保健室な」

 

遊雅の説明を聞きながら、レインがベッドの上で起き上がる。それを見て大丈夫なのかと支えようとした遊雅を抑えつつ、レインは頭を下げる。

 

「・・・ごめん。サポートするのが私の役目だったのに、迷惑を・・・」

 

「何言ってんだ、むしろあそこまでは良くやってたじゃねえか」

 

「でも・・・」

 

突然の謝罪に若干驚きながら遊雅がそう言うも、レインは譲らない。頭を掻きながらどうするか・・・と考えていた遊雅は、一つ提案する。

 

「よし、じゃあもし今度俺が困っていたら、お前が助けてくれ」

 

「困った時・・・?」

 

「そう。例えば、今回みたいにタッグデュエルのパートナーしたりとかな。それでチャラだ」

 

そういってニヒルな笑みを浮かべる遊雅につられ、ふっと微笑むレイン。そこへ、パラドックスがやってきて、二人に真剣な面持ちで告げる。

 

「もはや時間がない。今夜には未来に飛ぶ。準備をしておけ」

 

「おう。・・・レインはどーすんだ?さすがに起きたばっかじゃ連れていくのはやべえとおもうが」

 

「・・・ご飯食べれば問題ない」

 

「おまえその健啖家設定どこまで貫く気だ!?・・・じゃあ、明日香のほうも見舞い行ってくる。レインのこと頼むわ」

 

実際に腹の音を鳴らして空腹を主張するレインに呆れつつ、遊雅は保健室を出る。

遊雅が明日香のいる部屋へとやってきたとき、明日香はベッドの上で窓の外を眺めていた。

 

「よう、見舞いに来たぞ。と言っても、診てくれた先生曰くどこも異常はないらしいからすぐによくなるだろうな」

 

「ええ、幸いにもね。遊雅は?」

 

「擦り傷打ち身程度だよ。俺が一番元気なくらいだ」

 

「そう。私も大丈夫。ただ疲れが出ただけだろうって」

 

そうか、と遊雅が返しそこで会話が止まる。若干の居心地の悪さを感じ、意を決して遊雅が切り出そうとする。

 

「あの、明日香。実は・・・」

 

「知ってる」

 

「・・・へ?」

 

「聞いたのよ。ついさっき、あの・・・パラドックスさん?から」

 

(あ、あんのやろうやりやがった!?)

 

保健室に行くまでにしていた覚悟やら考えていた説明が全て無駄になってしまい、パラドックスへと心の中で中指を立てる。というか何当たり前のように明日香と話しているのか。固まっている遊雅に、明日香は難しい顔で続ける。

 

「・・・正直、未来がどうとか、邪神がどうとか、色々言われすぎてちょっと理解が追いつかないわ」

 

「だろうなぁ・・・」

 

「でも」

 

「?」

 

「・・・あなたにしかできないことなんでしょう?ならもうわたしは止めないわ。なにより、こんな状態でデュエルなんて出来ないしね」

 

「・・・」

 

明日香の言葉に、黙り込む遊雅。遊雅、というより遊雅のアバターなら、モーメントの暴走を抑えれるだろう。しかし、戻ってこれるかは五分五分という話である。そのことを明日香に言うべきか迷う遊雅。

 

(未来に行ってモーメントをどうにかするのは問題ない。・・・が、戻ってこられるだろうか・・・というか戻れない可能性があるってのがどうなんだよ)

 

だんだんと不安が込み上げてくる遊雅。そんな遊雅の手を、明日香がそっと包む。驚き顔を上げる遊雅に、明日香はいつもの力強い笑みを返す。

 

「大丈夫。遊雅なら、きっと出来るわ。あなたの力ならできるって信じてるから」

 

その言葉を聞きながらポカーンとする遊雅。それを見ていて、明日香も少しソワソワしだす。と、ふと手元に目を落とした明日香は、自分が遊雅の手を握っている事に気づき、ボッと顔を赤くして手を離す。

 

「・・・!?・・・こ、こほん。つ、つまり言いたいのは、前だけ見て行って来なさいってことよ!」

 

そう言ってそっぽを向く明日香を見て、ようやく遊雅が再起動する。

 

「・・・っ、くっ、ぷふっ」

 

「ちょっ!?笑わないでよ!笑うなっ」

 

「くくくっ・・・いや、悪い悪い。いやー、元気でた。サンキューな、明日香」

 

そう言って笑みをこぼす遊雅を見て、明日香も笑う。パンッと頬を張り、立ち上がる遊雅。

 

「っし!行ってくる!待ってろよ!絶対に成功させて帰るからな!」

 

「・・・ええ、行ってらっしゃい」

 

駆け足で部屋を出ていく遊雅を見送る明日香。そのすぐ後にドアが閉まるとその裏にはパラドックスが立っていた。

 

「・・・よかったのか?貴様の思いを伝えないで」

 

「以外ですね。そんなこと言う人には見えませんが」

 

そう言って微笑む明日香にやや不機嫌そうな面持ちのパラドックス。

 

「言わなくて良いのならそれでいい。あの男には・・・遊雅には余計な事で止まってもらいたくないからな」

 

「でしょうね。だから言わなかったんだけど」

 

そう言う明日香に、ますます不機嫌になるパラドックス。実は、明日香はすでに遊雅が未来に行くことのほか、帰ってこれるかわからないことまで知らされていた。

 

「・・・信じてますから。帰ってくるって」

 

そう言って窓の外を見る明日香。その目にうっすらと涙が滲むのを見つつ、パラドックスは無言で部屋を出る。去り際、ドアが閉まる寸前に一言こぼして行く。

 

「必ず送り届けよう」

 

少し驚いた顔でパラドックスが去って行ったドアを見る明日香。しかし直ぐに薄く笑みを浮かべ呟く。

 

「・・・お願いします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして、無事(?)に回復したレインと、念のためにと元々自分のものだったデッキ全てを持ってきた遊雅。そしてD-ホイールの整備を終えたパラドックスがアメリカ・アカデミアの裏にある林へと集まっていた。

 

「まじで飯食うだけで治んのかよ・・・どうなってんだよ・・・」

 

「・・・物理的なダメージはほとんどなかったから。エネルギー補給さえすれば問題なかった」

 

「・・・うんもうそれでいいや。パラドックス、お前らやばいな」

 

「・・・レインに関しては私も多くは知らん」

 

「えっ?」

 

そう言ってD-ホイールへと向かうパラドックスへ、遊雅はギョッとする。不穏な方向に進み始めた話に、若干冷や汗を書く遊雅。本当にレインってなんなんですかね・・・。

 

「と、とにかく、準備はできた。・・・行くぞ」

 

遊雅の言葉に頷く二人。それぞれがD-ホイールに乗り込み、エンジンが始動する。

 

「遊雅!しっかりとついてこい!跳ぶぞ!」

 

「おう!」

 

その言葉と共に、アクセルを全開にして駆ける。一瞬のうちにトップスピードに到達し、そのままパラドックスと遊雅は時空移動装置を起動する。遊雅の後ろに乗るレインは、振り落とされまいと遊雅にぎゅっと捕まり、遊雅は真剣な眼差しで前を見据える。そして、二台のD-ホイールは光となって消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・

・・・お・・・おい・・・

・・・おーい・・・起きな・・・

・・・起きなよー・・・はーやーくー

 

『さっさと起きろー!』

 

「うぇあ!?」

 

突然の大声で意識を取り戻した遊雅。未だスッキリしない頭をなんとか起動させつつ、周囲を見渡す。

 

「・・・ん?ここ・・・どこだよ・・・」

 

目を覚ました場所は、何もない真っ白な空間だった。見事なまでに何もない、白一色の世界。

 

「あれ・・・?ここ・・・来たことがある・・・?っ!ってんなこと言ってる場合じゃねぇ!早く未来に!って、レイン?・・・パラドックス?・・・アバター達まで・・・。あいつらどこに行った?」

 

思考がまとまらないながらも、未来を救うためにD-ホイールで跳んだ事を思い出し、慌てて周囲を見渡す遊雅。その背後から、再度大声が響く。

 

『ちーがーうーだろー!こっちだこっち!』

 

「ウェイ!?」

 

その声に驚愕しさっと振り向いた遊雅は、そこでぽかんと口を開けた。

 

「・・・え?真理さん?」

 

『いやまだそれかい?懲りないねぇ君も』

 

そこには、遊雅が転生した原因である真理さんこと神が前回と同じ様に真っ白で立っていた。

 

「なんであんたが・・・ってそうだ、俺やることが・・・!」

 

『ああ、それはもう終わったから問題ないよ』

 

「・・・え?」

 

『君は無事パラドックス達との約束を果たしたってことさ。ただ、その代償と言えばいいのか、元の世界に戻る前に衝撃波に巻き込まれた、っていうのが事の顛末さ』

 

それで生きてるなんて運がいいね、と真理さんは呆れる。そんな真理さんに、遊雅が食ってかかる。

 

「それじゃ困るんだよ!俺は約束してんだ!なぁ、頼む!元の時代に戻してくれ!」

 

必死になって懇願する遊雅。そんな遊雅を一旦離して、にっこりと笑う真理さん。

 

『嫌だね』

 

「・・・は?」

 

何を言われたのかよく分からない、と言った顔の遊雅。真理さんはなおも笑いつつ続ける。

 

『僕がなんの理由もなしに君みたいな一個人を転生なんてさせると本気で思っていたのかい?』

 

「どう・・・いう・・・」

 

『簡単なことさ。ただの暇つぶし。適当に死んだ魂を引っ張ってきていろんな世界に突っ込んでどんな事をするのか観察する。それが楽しいのさ』

 

そう言って真理さんが指を振るうと、頭上に大量の映像が浮かび上がる。そこには、様々な世界が写っていた。その中の一つがゆっくりとと、遊雅と真理さんの間に降りてくる。

 

『君に行ってもらったのはこの『GX』の世界。でも、君という存在が追加されたことで本当に面白い世界になったよ。だからもういいんだ』

 

「・・・いい・・・だと・・・?」

 

『うん。次はこの『ZEXAL』の世界にでも行ってもらおうかな。この世界はエクシーズの世界でね・・・』

 

「おい、こら待てや」

 

『・・・何かな?』

 

楽しげに話していた真理さんを、明らかにキレてます、と言った声色で遊雅が止める。流石に真理さんもイラついたのか、声に怒気が篭る。

 

「別にあんたの考えなんざどーだっていいんだよ・・・問題はよお・・・てめーの勝手な楽しみで人をコロコロ転生させてんじゃねーってことなんだよなぁおい!」

 

そう言って真理さんに近づき、胸ぐらを掴む遊雅。そんな遊雅に、一瞬呆けた真理さん。しかし、直ぐに真顔になり、手を払いのける。

 

『・・・なあんか勘違いしてない?別に君を排除して次のやつを持ってきてもいいんだよ?あまり僕を怒らせないほうが・・・』

 

そこまで黙って聞いて、遊雅は拳を振り抜いた。勢いよくもんどりうつ真理さん。倒れた真理さんに、遊雅が吼える。

 

「やかましいわ!俺にだって意地がある!かかって来い!ステゴロでもなんでもやってやらぁ!」

 

いやこれ遊戯王ssだから。

 

『・・・いやー、流石にここまでとは思わなかったよ』

 

そう言って立ち上がる真理さん。その左手には、いつの間にかデュエルディスクが装着されていた。

 

「テメェ・・・」

 

『ここは君に合わせて、僕もこれで行くよ。君が勝てば、あとは好きにするがいいさ。そうだね、特別にもう一つ特典をあげてもいい』

 

そう言ってまたにやけた笑みを浮かべる真理さん。そんな相手に、遊雅は悪役のような笑みでディスクを構える。

 

「・・・ブッ●●す!」

 

「『デュエル!!』」

 

遊雅

vs

真理さん(以下真理)

 

遊雅の、神に対するたった一人の戦いが始まった。




次回デュエルパート、プラス未来がどうなったか!がわかる
・・・といいですね(おい


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第34話 敵の潜水艦を発見!(だめだ!(だめだ!(だめだ!)

タイトルは内容と関係ないです。

更新、おっそーい!(●風)
あわや二ヶ月経つとこだったぞ・・・(戦慄)
新しいリミレギュ、サンボルが戻ってきてましたね。いつもデュエルしているメンバー(主にカオス使い)が歓喜してました。次回「モーメントさん、死す」デュエルスタンバイ!

あ、本編に関係ない番外編もある・・・かも


デュエルディスクにより、先攻は遊雅となった。

 

「俺のターン!ドロー!」

 

ドローしたカードと手札を見つつ、真理の様子を伺う遊雅。

 

(相手は神・・・。使うデッキも戦術も不明・・・!でも負けらんねぇ!まずは手堅く行って様子を見る!)

 

「手札から太陽風帆船をこいつ自身の効果で特殊召喚!さらに手札からマジックカード、ワンフォーワンを発動!手札のモンスターを墓地に送り、デッキからジェット・シンクロンを特殊召喚!さらに墓地のレベル・スティーラーの効果!太陽風帆船のレベルを1下げ、墓地から特殊召喚!レベル4となった太陽風帆船に、レベル1のジェット・シンクロンをチューニング!シンクロ召喚!来い!TGハイパーライブラリアン!さらに手札からジャンク・シンクロンを召喚!効果で墓地のジェット・シンクロンを召喚!墓地からモンスターが蘇生されたので、手札のドッペル・ウォリアーを特殊召喚!レベル2ドッペル・ウォリアーに、レベル3のジャンク・シンクロンをチューニング!シンクロ召喚!ジャンク・ウォリアー!ドッペル・ウォリアーの効果で場にドッペルトークンを召喚!ライブラリアンの効果で1枚ドロー!ジャンク・ウォリアーの攻撃力は場のレベル2以下のモンスターの攻撃力の合計、1500アップ!」

 

ジャンク・ウォリアーATK2300→3800

 

「レベル1ドッペルトークンに、レベル1ジェット・シンクロンをチューニング!シンクロ召喚!フォーミュラ・シンクロン!ライブラリアンとフォーミュラ・シンクロンの効果で1枚ずつドロー!手札を一枚捨て、クイック・シンクロンを特殊召喚!レベル1レベル・スティーラーに、レベル5のクイック・シンクロンをチューニング!シンクロ召喚!ドリル・ウォリアー!ライブラリアンの効果で1枚ドロー!レベル6ドリル・ウォリアーに、レベル2フォーミュラ・シンクロンをチューニング!シンクロ召喚!レッドデーモンズドラゴン!ライブラリアンの効果で1枚ドロー!カードを2枚伏せ、ターンエンド」

 

遊雅

手札2枚

場3枚

伏せ2枚

 

『シンクロ・・・なるほど、/バスターか』

 

一体どこが手堅いのか、というレベルでぶん回す。微笑を崩さず、冷静に遊雅のデッキを分析する真理。それを見ながら、ケッと唾でも吐き出しそうな怒り顔で遊雅が吐き捨てる。

 

「さあな。さっさとしやがれ」

 

『僕のターンだね』

 

そう言ってカードをドローする真理を、遊雅は固唾を呑んで見守る。そんななか、真理が動き出す。

 

『相手の場にのみモンスターがいるため、バイス・ドラゴンを特殊召喚。手札を1枚捨て、THEトリッキーを特殊召喚。そして、墓地のレベル・スティーラーの効果でトリッキーのレベルを下げて特殊召喚』

 

3体のモンスターを並べ、遊雅のフィールドのレッドデーモンズドラゴンをニヤニヤと笑いながら見つめる真理に、嫌な予感を感じる遊雅。そして、その予感は的中することとなる。

 

『さあ、感動のご対面だ!3体のモンスターをリリース!』

 

「なっ!?」

 

『現れろ!最後の邪神、イレイザー!』

 

現れたのは、漆黒を纏った神。その異形は、アバターやドレッドルートとはまた違った恐怖を想起させる。

 

「なんで・・・なんで『そいつ』をお前が持っている!」

 

遊雅の悲鳴じみた叫びを聞き、真理はニヤリとした笑みを深める。

 

『おいおい、君にカードを与えたのは僕だぜ?このくらい当然だろう。そもそも、ドレッドルートを手に入れたのだって予想外なんだぜ?まったく、わざわざ別次元に飛ばしたのに手に入れるとはね』

 

そう言ってやれやれと首を振る真理。遊雅はその顔をぶん殴りたい気を鎮めつつ、盤面を見てどうするか考える。

 

(とにかく、気をつけるべきなのはイレイザー・・・アレに勝つには、アバター達を・・・!)

 

必死に思考する遊雅を放っておいて、真理はイレイザーの効果を発動する。

 

『イレイザーの攻撃力は、相手の場のカードの数×1000の数値となる!』

 

「!やっべえ!リバースカードオープン、バスターモード!場のレッドデーモンズドラゴンをリリースし、デッキからレッドデーモンズドラゴン/バスターを特殊召喚!」

 

場のレッドデーモンズドラゴンに装甲が装着され、さらなる強化が施される。しかし、真理は笑みを崩さない。

 

『それでもイレイザーの攻撃力は4000。あと500足りなかったね』

 

「チッ・・・!」

 

『バトルフェイズ!イレイザー、レッドデーモンズドラゴン/バスターを攻撃!ダイジェスティブ・ブレス!』

 

イレイザーの禍々しい口から、全てを飲み込む極光が繰り出される。それに飲み込まれたレッドデーモンズドラゴンの装甲が剥がれ落ちて行く。

 

「ぐぅっ・・・!レッドデーモンズドラゴン/バスターが破壊されたため、墓地からレッドデーモンズドラゴンを特殊召喚!」

 

『だが無駄だね。メインフェイズ2、僕はイレイザーの効果を使う。こいつ自身をリリースし、お互いの場のすべてのカードを破壊する!』

 

イレイザーの体が不定形の泥のようなものとなり、遊雅と真理の場のカードとモンスターを全て飲み込んでゆく。自分の場のモンスターの断末魔に歯噛みする遊雅。そんな彼の耳に、レッドデーモンズドラゴン達とは違う悲鳴が届く。

 

『ーーーーーーー!』

 

「っ、なんだこの音・・・いや、声か?」

 

『僕はカードを2枚伏せ、ターンエンド』

 

一瞬悲鳴に気を取られた遊雅だったが、真理がターンを進め、我にかえる。

 

「俺のターン!ドロー!」

 

ドローしたカードを見て、苦い顔をする遊雅。

 

(くっそ、このターンでの巻き返しは難しいか・・・!)

 

「手札からカードを1枚捨て、墓地のジェット・シンクロンを蘇生!墓地のドッペルウォリアーを除外して、輝白竜ワイバースターを特殊召喚!レベル4のワイバースターに、レベル1のジェット・シンクロンをチューニング!シンクロ召喚!幻層の守護者アルマデス!ワイバースターの効果でデッキからコラプサーペントを手札に!」

 

遊雅の場に現れたのは、右手に焔、左手に氷の力を携えた幻想的なモンスター。その効果は、バトル時に魔法罠を封じる効果。

 

(こいつなら妨害札を無視できる・・・!)

「バトルだ!」

 

『おっと、ならリバースカードオープン、メタルリフレクトスライム!』

 

「何!?」

 

真理の場に、銀色に光るスライムが壁として現れる。その守備力はかの青眼ですら単体では突破できない3000。

 

「・・・カードを一枚伏せ、ターンエンド!」

 

遊雅

手札1枚

場1枚

伏せ1枚

 

悔しげに歪む遊雅の顔を見て、愉悦に浸る真理。

 

『おやおやぁ?たかが3000打点くらい、君なら超えてくると思ったんだけどなぁ?そんなものでいいのかなぁ?』

 

「こっのクズが・・・」

 

『さて、じゃあ僕のターン、ドロー。君にいいものを見せてあげよう。リバースカードオープン、2枚目のメタルリフレクトスライム!』

 

真理の場に、鈍く光る銀色のスライムが揃う。リリース要員か、と考えた遊雅の予想は外れる。

 

『いくよ?僕は場の2体のレベル10モンスターで、オーバーレイ!』

 

「レベル10が2体!?まさかっ!」

 

『エクシーズ召喚!現れろ、ランク10!超弩級砲塔列車グスタフ・マックス!』

 

現れたのは、名前通りの超弩級モンスター。その効果はシンプルにして強烈。

 

『グスタフ・マックスの効果!オーバーレイユニットを一つ取り除き、2000ダメージを与える!』

 

「ぐぁっ!?」

 

オーバーレイユニットが砲身に装填され、遊雅へと砲撃が行われる。その圧倒的一撃が加えられ、真理が不敵な笑みを浮かべるが、

 

遊雅LP4000→6000

 

『・・・?』

 

遊雅のライフは、減るどころか増えていた。

 

『どういう・・・ああ、そういうことか』

 

煙が晴れると、そこには遊雅の伏せカード・・・レインボーライフが発動していた。

 

「はぁ、はぁ、レインボーライフの効果で、このターン俺の受けるダメージは全て、回復に変わる!手札は無くなったがな」

 

『しぶといなぁ・・・まあいいか、こっちの優位は変わらない』

 

そう言って笑う真理を見つつ思考する遊雅。

 

(もし奴がここでアルマデスを破壊しに来ても、ジェット・シンクロンで墓地に送ったネクロ・ガードナーで防げる。あいつがアルマデスを残せば、今度はイレイザーで墓地送りになったスキルサクセサーで突破できる・・・!)

 

『今君さぁ、このままいけばどーにかなるとか思ってない?』

 

「!」

 

顔から笑みを消した真理が語りかける。考えを見透かされたことに一瞬怯んだ遊雅を見て、今度は嗜虐的な表情になる真理。

 

『あまいヨォ!君の墓地の状況を僕が見逃してるとでも思ったかい?場のグスタフ・マックス一体で、オーバーレイネットワークを再構築!』

 

「なんだと!?」

 

『ランクアップ!エクシーズチェンジ!さあ来な!ランク11!超弩級砲塔列車ジャガーノート・リーベ!』

 

「俺の・・・知らないモンスター!?」

 

グスタフ・マックスを素材とし、現れたのはまさに要塞。圧倒的な大きさのその列車は、かの三幻神にすら匹敵する攻撃力を持つ。

 

『さて、バトルだ!』

 

「!くそ!墓地のネクロ・ガードナーの効果!こいつを除外して、攻撃を無効化する!」

 

『だが無駄なんだよねぇ!ジャガーノート・リーベは、オーバーレイユニットの数プラス一回攻撃出来る!』

 

「なっ!?」

 

アルマデスに対してジャガーノート・リーベから砲塔が2門向けられ、必殺の砲撃が始まる。1発はネクロ・ガードナーが防いだが、続く第2射により粉砕されるアルマデス。

 

「がっあぁぁ!」

 

遊雅LP6000→7700

 

『あちゃー、レインボーライフを忘れてたー、・・・なんてね。これ以上は攻撃しても意味ない。カードを1枚伏せ、ターンエンド。さあ、最後のターンだ。精々祈りながらドローするといい。』

 

真理

手札0枚

場1枚

伏せ1枚

 

「・・・俺の、ターン」

 

場は全滅、手札も無し。相手の場には攻撃力4000のモンスター。加えていつもなら助けてくれる精霊や相棒たる邪神も居ない。ライフはあっても、ジャガーノート・リーベを倒せなければ消し飛ぶ。すでに敗色濃厚な状況に、いつもの威勢が皆無となる遊雅。デッキに手をかけることすら出来ず落ち込む遊雅の脳裏には、卑屈な考えばかりが浮かぶ。

 

(終わった・・・。結局神には勝てないってことか。もういいや、別に負けたからって死ぬわけじゃない。ただ別の世界に飛ばされるだけなんだから・・・このままいっそ・・・)

 

サレンダーしようとデッキに手をかける遊雅。そんな中、脳裏にまた誰かの声が響く。

 

(ーーー、ーーーーーーー)

 

(うるせえな、なんだよこれ・・・)

 

(本ーに、それでーーのか?)

 

(だからうるせえって・・・!)

 

(君は本当にそれでいいのか!)

 

「だからうるせえっての!誰ださっきからっ!」

 

『・・・とうとうぶっ壊れたか?』

 

真理が呆れる中、突如遊雅は意識だけが別の場所へと移動していく。

 

「!?なんだよこれ!?」

 

そしてたどり着いたのは、先ほどの真っ白な空間とは違う、迷宮のような空間だった。

 

「ここは・・・」

 

「俺の心の空間さ」

 

突然聞こえた声にびっくりしながら遊雅が振り向くと、いつのまにか同い年くらいの男が立っていた。

 

「・・・あんたは一体?それに心の空間って?」

 

「・・・悪いが俺の名前も、『ここ』についても教えることはできない。君は、神に勝ちたいんだろう?」

 

その言葉に、一瞬頷きながらも、うなだれる遊雅。

 

「ああ。・・・でも、もうあそこから勝つのは無理だ。俺のデッキにはあの状況を打破出来るカードは入ってない・・・」

 

「それは違うな」

 

男はそう断言する。驚いた遊雅が顔を上げると、真剣な眼差しで続ける。

 

「諦めなければ、道は必ず開ける。強い意志がある限り、きっとカードは答えてくれるさ!」

 

「カードが、答えてくれる・・・」

 

笑いながらそう言う男に、なぜか本当に諦めなければ負けないと思えてくる遊雅。徐々にその顔から不安の色が消え、次に顔をまっすぐ向けた時には、もう悲壮感はなかった。

 

「・・・ああ、そうだ。まだ、俺は・・・!」

 

それを見て、男は遊雅の肩を掴む。するとそこから光が溢れ、2人を包む。

 

「そうさ、君はまだ・・・」

 

「「負けてない!」」

 

光が消えた時、そこには2人とも初めからいなかったかのように消え去っていた。

 

その時、真理と対面していた遊雅が光り出した。それを見た真理は、無意識に退がる。その額には一筋の汗が伝う。

 

『・・・おいおい、なんの冗談だ?』

 

光が収まると、遊雅が真理を見る。その姿自体は変化はないが、目は赤く光り髪が逆立っていく。

 

「『覚悟はいいか、神様!お前は俺達が倒す!』」

 

その口調からも、いつもの粗野な印象が薄れ、しかしそれでいて圧倒されるような圧が込められていた。遊雅の変化とともにディスクに収まっていたデッキも光に包まれ、それが収束するとともに遊雅が手をかける。

 

「『俺のターン!ドロー!』」

 

勢いよく引いたそのカードを、即座にディスクに叩きつける。

 

「『マジックカード、強欲な壺を発動!デッキから2枚ドロー!そしてさらにマジックカード、天使の施しを発動!3枚ドローし、2枚を墓地へ送る!まだまだぁ!カードを一枚伏せ、天よりの宝札を発動!互いに手札が6枚になるようドローする!俺もお前も手札は0枚だ!よって6枚ドロー!』」

 

圧倒的なまでのドローにより、一気に手札が増える遊雅。それを見ながら、真理はボソリと呟く。

 

『・・・とうとう、「入った」か』

 

そんな真理を他所に、遊雅はターンを進めていく。

 

「『リバースカードオープン、古のルール!この効果で、俺は手札からレベル5以上の通常モンスターを特殊召喚出来る!来い!我が僕、ブラック・マジシャン!』」

 

場に現れるのは、漆黒のローブを身にまとった最高位魔導師。そして、その周りに無数のナイフが出現する。

 

「『マジックカード、千本ナイフ!ジャガーノート・リーベを破壊する!』」

 

『リバースカードオープン、安全地帯。ジャガーノート・リーベはこのカードがある限り、戦闘・効果で破壊されない!』

 

ナイフの雨がジャガーノート・リーベへ降り注ぐが、透明なバリアによって防がれる。しかし、遊雅の動きは止まらない。

 

「『マジックカード、死者蘇生を発動!対象は、墓地のジャンク・ウォリアー!』」

 

『・・・なに?』

 

この局面でなぜかジャンク・ウォリアーを蘇生したことに疑問を感じる真理。遊雅は手を胸にあて、一言呟く。

 

「『次は君だ。・・・頼んだぜ』」

 

『・・・ああ、任せろ!』

 

次の瞬間、光のオーラが一瞬消える。しかし、その後すぐにオーラが再発生する。今度のオーラは、紫であり、目も赤ではなく薄く紫に染まる。デッキ、そして手札までもがオーラに覆われると、遊雅がデュエルを続行する。

 

「『俺は手札から幻影騎士団フラジャイルアーマーを召喚!墓地のレベル・スティーラーの効果で、ジャンク・ウォリアーのレベルを下げてこいつを特殊召喚!いくぞ!場のレベル4となったジャンク・ウォリアーと、フラジャイルアーマーの2体で、オーバーレイ!』」

 

2体のモンスターが光の渦へと消え、そこから新たなるドラゴンが現れる。

 

「『漆黒の闇より、愚鈍なる力に抗う反逆の牙!今降臨せよ!エクシーズ召喚!ランク4!ダークリベリオン・エクシーズ・ドラゴン!』」

 

「『速攻魔法、サイクロン!安全地帯を破壊!ダークリベリオン・エクシーズ・ドラゴンのモンスター効果!オーバーレイユニットを2つ取り除くことで、相手のモンスター1体の攻撃力を半分にし、その数値分このカードの攻撃力をアップする!トリーズン・ディスチャージ!』」

 

ダークリベリオン・エクシーズ・ドラゴンATK2500→4500

 

ジャガーノート・リーベATK4000→2000

 

『・・・そうか。ああ・・・』

 

「『バトル!ダークリベリオン・エクシーズ・ドラゴンでジャガーノート・リーベに攻撃!反逆の・・・!ライトニングディスオベイ!』」

 

『っ・・・!』

 

真理LP4000→1500

 

「『トドメだ!行け!ブラック・マジシャン!黒・魔・導!』」

 

1500→−1000

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『・・・僕の負けだね』

 

デュエルが終了し、真理がディスクを消して遊雅に近づく。遊雅は目に見えて疲労し、立っているのがやっとの状態だった。近づいてくる真理を睨みつけることしかできない遊雅に苦笑し、真理はカードを遊雅の手に握らせる。

 

「なに、を・・・」

 

『イレイザー。もうそいつは君に返すよ。約束通り、君は元の世界に返す。約束を反故にするような真似は流石にしないから安心していいよ』

 

そう言って笑う真理が軽く手を振ると、やや離れた場所に扉が現れる。

 

『あそこを出れば、君が未来に飛んだあたりの時間まで戻れる。それと・・・』

 

遊雅のベルトについたデッキ達を見て、少し考えるそぶりを見せた後、真理が手をかざす。すると、遊雅のデッキ達が光り出し、少ししてから元に戻った。

 

「・・・何した?」

 

少し体力が戻ってきた遊雅が聞くと、真理は少しイタズラっぽく笑う。

 

『神に勝ったご褒美・・・ってところかな?君が本来死ななかった場合に未来で使っていただろうデッキを今持ってたデッキと変えたのさ。中にはそのままのデッキもあるだろうけどね。ああ、安心しな。元のデッキは例のトランクに入れておくからさ』

 

本調子が戻った遊雅は、それを聞きながら真理を見つめ、はっきりと宣言する。

 

「・・・礼は言わない。ってか暇つぶしで弄ばれたんだからむしろ謝って欲しいくらいだ」

 

『だろうね。ごめんね?』

 

「かるいな!?こっちは第二の人生めちゃくちゃにされるとこだったんだぞ!?」

 

『まあまあ落ち着いて、結局どーにかなったんだし、結果オーライでしょ!』

 

「どの口が・・・」

 

呆れながらも、扉に手をかける遊雅。ドアノブを回した所で、真理が声をかける。

 

『頑張れよ。もう君のいる世界はGXの・・・アニメの世界からは大きく逸脱してる。君自身が僕の干渉を断ったんだ、どんなことになっても助けてはあげないからね?』

 

その言葉に遊雅は振り向き、ニタリと笑う。

 

「知るか!俺は俺のやりたいようにデュエルしていくだけだ!じゃーなバァーカ!」

 

そう言ってさっさと扉の向こうへ消えていった遊雅をぽかーんと見送った真理は、間をおいて笑い出す。

 

 

 

 

 

 

『まったく、子供かよ・・・まあいいか。これだから面白いんだ、人間ってのは。だから彼も手を貸したのかな?』

 

そう言ってスゥッと消えていった真理。真っ白な空間には、扉だけがポツンと佇んでいた。




作者の心の声「オリ主にこれ以上属性とかチート盛り込むとかお前無類の無双系好きか?」
遊雅の転生特典
・遊雅の持つカードへの他人の干渉不可
・昔使ってたデッキ全部
・もし死んでなかったら使ってたデッキ7つ←NEW!
・???←NEW!
次回、世界がヤベーイ!

どーでもいい小話
三日前
A「よっす、旅行から戻ったぞー!」
作者「どこ行ってたの?」
A「オーストラリア!これお土産な!Tシャツ!」
作者「どれどれ?」
『ここにカンガルーはいねぇよ』
作者「・・・お前が行ったの本当にオーストラリアか?」
A「おう!メルク修道院の図書館とか凄かったぞ!」
作者「オーストリアじゃねぇか!」


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第35話 練れば練るほど色が変わって、最後には死に至る

タイトルと内容の関係?知らん、そんなことは俺の管轄外だ。
韓国に二泊三日で旅行行ってきた。
水飲んだ。
腹壊した。
三日間何もできずホテルで寝込んだ。
(;ω;)ニドトイクカヨクソッタレ・・・
そんな怒りを発散しつつ次話投稿する今日この頃。


神とのデュエルを終え、扉の向こうへと消えた遊雅。眩しさから閉じていた目を開くと、近代的な都市をDホイールで疾走しているところであった。隣には並走するパラドックス、後ろにはレインが乗っていた。アバターとドレッドルートは遊雅の真上を飛んでいる。

 

「見えたぞ!モーメントだ!」

 

パラドックスの声に遊雅が前を向くと、巨大なタワーが見えた。

 

「戻ってこれたのか・・・」

 

『・・・マスター?』

 

遊雅の様子に若干の違和感を感じたアバター。しかし気のせいか、と考えて黙っていることにしたのだった。そんなアバターの視線を感じつつ遊雅は胸元のポケットに手を当てる。そこには、神から取り返した最後の邪神がいる。

 

「力を貸してくれよ、イレイザー」

 

どこからか、かすかに応える声がした。

 

タワーは爆発寸前の状態。このまま何も起きなければ、正史の通りゼロ・リバースで全てが崩壊する。遊雅からやや先行していたパラドックスは速度を少し落とす。レインがパラドックスのD-ホイールへと移ると、パラドックスが遊雅に道を譲る。

 

「・・・あとは頼む!」

 

「おう!任された!」

 

そう言ってアクセルをトップギアに入れる遊雅。パラドックスからあっという間に離れていき、そのままモーメントへと向かう。

 

「あれがモーメント・・・なんかいるな」

 

遊雅がモーメントのほぼ真下まで来た時、モーメントのそばに2人の人影があった。1つは黒いフード付きマントを着ており顔はわからない。もう1人は白衣の男性だった。

 

「まあいいか。さて・・・行くぞお前ら」

 

『了解ですマスター』

 

『腕がなるな!』

 

顕現するは邪神二柱。当初の予定通り、ドレッドルート、アバターの順にモーメントを破壊にかかる。遊雅はD-ホイールを止め、デュエルディスクを取り外す。そこに、2体のカードをセットした。

 

「ドレッドルート!アバター!降臨!」

 

禍々しい、それでいて遊雅に対してはどこか優しさのある闇が周囲に広がっていく。

 

そしてまず現れたのは、異形の巨人、ドレッドルート。

 

「いけ!」

 

『うらぁ!』

 

ドレッドルートが拳をモーメントに叩き込む。すると、そこから闇の力が入り込んで行き、モーメントから溢れていたエネルギーが目に見えて減少する。ドレッドルートの持つ「場のモンスターの攻・守を半減させる」効果を応用したのだ。これにより、モーメントの発していたエネルギーは半分になった。

 

「今度はお前だ!行けアバター!」

 

『はぁあああ!』

 

そこに「あらゆる場のモンスターの攻撃力を1だけ上回る」アバターが押さえ込みにかかる。白衣の男が驚愕し目を見開いている。黒いマントの男に至っては白目をむいている。しかし、予想していたよりもエネルギーが多く、いくら神の力といっても限界がきていた。

 

『これは思ったより・・・!マスター!不味いです、予想外にエネルギーが多い!』

 

『しっかりしろや!こっちもいっぱいいっぱいだぞ!』

 

『わかってる!』

 

ドレッドルートとアバターの二柱の力を合わせても、なお抑え込むのでやっとのエネルギー。本来ならここでエネルギーを完全には抑えきれず、遊雅達は余波に巻き込まれてしまっていた。しかし、遊雅は懐からおもむろにカードを取り出す。

 

「・・・最後の駄目押しはここにある!さあ、お前の力を見せてくれ!来い!最後の邪神!イレイザー!」

 

『『イレイザー!?』』

 

デュエルディスクに置かれたカードから、新たなる異形の神が姿をあらわす。その名は邪神イレイザー。まさかの同族の出現にアバター達は驚く。

 

『ちょっ、いつの間に!?』

 

『マスター、これは一体・・・!?』

 

「説明は後でしてやる!今は最後の仕上げだ!いけ、イレイザー!その身を犠牲に、モーメントのエネルギーを消し去れ!」

 

遊雅の声に呼応して、叫び声をあげながらイレイザーが闇に溶ける。すると、その闇はモーメントを覆い尽くしていき、最後にはすっぽりと覆い隠してしまう。しばらくして闇がズルリと剥がれると、そこにはエネルギーを全て消し去られ、抜け殻のようになったモーメントのみが残っていた。

 

「・・・はぁ、終わったか」

 

『完全に停止したようですね』

 

『あー疲れた』

 

ようやく一息つける、とその場に五体を放り出す遊雅。そこへ、パラドックスがやってくる。

 

「・・・」

 

「・・・いやなんか言えよ」

 

無言で見下ろされ、よく分からない雰囲気にそわそわする遊雅。そこへ若干の震えの混じった声でパラドックスが感謝を述べる。

 

「・・・すまない、かける言葉を探していた。本当に・・・感謝する。この後のモーメントに関しては我々イリアステルがどうにかする」

 

「そうか。まあ、俺の役割は終わったからな、・・・これでお別れか?」

 

「・・・そうなるな。だが、元の時代の貴様の周りで少々不穏な動きがあるようだ。恩を返すという意味でも、その問題の解決には手を貸そう」

 

憑き物が取れたような晴れ晴れとした顔でそう言うパラドックスに、ニカッと笑う遊雅。

 

「そっか。じゃあまた、今度は普通にデュエルしようぜ。世界とか余計なもんは抜きで」

 

その言葉に、一瞬躊躇うパラドックス。とそこへ、精霊サイズに戻ったアバターとドレッドルートが迫る。

 

『マスター!いつのまにかイレイザーを見つけてたんですか!気配は一度も感じなかったのに!』

 

『おいイレイザー!お前も出てこ・・・カードに逃げんなコラ!』

 

「色々と台無しだ!お前ら少し黙ってろよ!?」

 

呆れながらアバターを引き剥がし、イレイザーのカードを振り回すドレッドルートから取り返していく遊雅。そんな光景をぽかんと見ていたパラドックスだったが、、直ぐに微笑む。

 

「・・・そう、だな。いいだろう。次は負けん」

 

そう言って笑うパラドックスに、ようやく素の笑顔が見れたな、と思う遊雅。

 

「こっちこそ、次も勝つぜ」

 

2人はどちらからともなく手を出し、握手する。

 

「我々に力を貸してくれたこと、心から感謝する。お陰で1つの答えを得た」

 

「ああ、どういたしまして。・・・レイン、お前との生活もなんだかんだで楽しかったぜ。ありがとう」

 

「・・・」

 

遊雅の言葉にプイッとそっぽを向くレイン。機嫌が悪いのか、と思ったがよく見ると耳が赤く、微かに鼻をすする音がした。いつものポーカーフェイスが崩れていることに驚きつつ素直じゃねぇな、と思いながらパラドックスへと向き合う遊雅。

 

「じゃあ、俺はもう行くぞ。また困ったことがあったら呼ぶからな」

 

「ああ、ではまた会おう。遊雅、貴様の息災を願う」

 

遊雅はD-ホイールに乗り込み、アクセルを蒸す。そのまま一気にスピードを上げ、次の瞬間には光と共に消えて行った。

 

「・・・よし、行くぞレイン」

 

歩き出したパラドックスだが、レインは動かない。

 

「どうした、不具合か?」

 

パラドックスの問いに首を振ると、意を決したようにレインは顔を上げた。

 

「・・・お願いがあります」

 

 

 

 

アメリカ・アカデミアの医務室で、夜が近づく病室の中で、ずっと窓の外を眺める明日香。すると、ノックもなくドアが開けられる。ハッとして振り向くと、明日香は目に涙を浮かべつつ、微笑んだ。

 

「・・・ばか。お帰り」

 

「おう、ただいま」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

未来へと跳び、モーメントを止めてから十日が過ぎ、遊雅達はアメリカの空港にいた。

 

「みどり先生、本当にお世話になりました」

 

「いいえ、こちらこそ、この数日間は面白かったわ。それに、紅葉の見事な負けっぷりもね」

 

「ひどいな、別に勝ち負けじゃないだろう、あのデュエルは」

 

見送りには、親代わりのペガサスに紅葉とみどり、そしてマックが来ていた。紅葉が遊雅に負けたことに対して言い訳を言っていると、マックがにやけながらからかう。

 

「その割にはあの後スッゴク悔しがってたじゃナイ」

 

「ぐっ」

 

「ダーリン、今度は私が日本に行くワ!その時は、エスコートよろしくネ?」

 

そう言ってウインクをするマックに、背後からのジト目と殺意を感じつつ頬を引きつらせながら笑う遊雅。

 

「お、おう・・・前向きに検討しとくわ・・・」

 

遊雅の言葉に、さらにジト目光線が強くなり、(why!?)と心で叫ぶ遊雅。そんな遊雅たちを微笑ましく見守っていたペガサスが、こっそりと話しかける。

 

(遊雅の新しく持ってきたカードについては、こちらで調査しておきマース。しばらくはデッキになれることを考えておくといいでショウ)

 

(そうっすね。気をつけます)

 

遊雅が神とのデュエルに勝った際に得た新たなデッキ達は、その大半をペガサスの元へと預けられていた。デッキの中には遊雅の見たことのないカードが多かったため、目下インダストリアル社にて調査中である。

 

遊雅と話し終わったペガサスは、そのまま明日香の元へと向かい、デッキを取り出す。

 

「明日香ガール、これを」

 

「ペガサスさん?これは?」

 

デッキを差し出され、戸惑う明日香にペガサスはウインクしながら続ける。

 

「これは新しく開発されたカテゴリのデッキデース。これをあなたに託しマース」

 

「ええっ!?そんな、自分には・・・!」

 

突然のことに戸惑う明日香。そこにペガサスが耳打ちする。

 

(ユーが遊雅と対等でありたいと願っていることはこの数日間見ていてわかっていマース)

 

(んをrくぃfj!?)

 

(それに貴女はとてもカードを、デュエルモンスターズを愛していマース。そんな貴女だからこそ、このデッキを使って欲しいのデース)

 

そう言ってデッキを手渡すペガサスに、明日香はなおも抵抗を見せつつも、最後には遊雅と一緒にいるための力が欲しいと、デッキを受け取り頭を下げる。

 

「・・・ありがとうございます、ペガサスさん」

 

「礼はいいのデース。さ、もう飛行機が行ってしまいマス。2人とも、また会いましょう!」

 

「うっす!紅葉さん、いつかまた、できれば今度はプロとして!」

 

「ああ!待ってるぞ!」

 

「みどりさん、マック!また会いましょう!」

 

「ええ、また」

 

「待ってなサイ明日香!次に会う時はダーリンは私のものヨ!」

 

こうして、最後まで賑やかにアメリカでの生活は終わりを迎えた。

 

 

 

遊雅は、明日香と共に日本へもどると、直ぐに海馬コーポレーションビルへと向かった。

 

「遅いぞ」

 

「・・・五分前についてるんですけど」

 

社長室へと通されると、海馬がフンと鼻を鳴らしながら出迎えた。

 

「まあいい、そんな事より、日本でのシンクロ実演エキシビションの準備が出来た。用意されていたチケットはすべて完売だ」

 

「でしょうねー」

 

デュエルモンスターズが政界と並んで重要視される世界だ、デュエルに関することに対しては世界中のすべての人々が反応する。ましてや、新たな召喚法の誕生である。ぜひ間近で見たいと思うのも当然だろう。

 

「で、日取りはいつですか?」

 

「明日だ」

 

「・・・ゑ?」

 

デッキを準備しないとな、と思いつつ何気なく日取りを聞いた遊雅だったが、予想外の答えが返ってきた。

 

「明日、夕方に始める予定だ。貴様もそれまでに準備をしておけ」

 

「わぁーお、はっやーい!ってなんでやねぇぇん!?」

 

あまりの驚きにノリツッコミしてしまう遊雅。圧倒的ハードスケジュールに白目を向いていると、海馬は遊雅を睨みつける。

 

「さっさと帰れ。俺にも明日の準備がある。気が散るからさっさと消えろ」

 

「おにー!あくまー!海馬社長ー!」

 

訳の分からない罵倒を浴びせながらさっさと磯野に引きずり出される遊雅を見送り、ドアが閉まると共に海馬は座っていた机の引き出しを開ける。そこには、数枚のカードが厳重に保管され、その下の段には、だいぶ特殊な形をしたデュエルディスクが納められていた。

 

(ようやく・・・ようやくだ。今度こそ、奴を潰す・・・!)

 

海馬の脳内に映るのは、かつて始めて遊雅にデュエルを挑んだ時の悪夢。ウイルスとロックによる徹底した妨害戦術の餌食となり、切り札たる青眼の白龍すら出すことなくすりつぶされた忌々しい記憶が、海馬の殺意を高める。

 

「だが今回は違う。奴に今度こそ、敗北の苦渋をなめさせてやる・・・!」

 

遊雅に、ほぼ自業自得のような気がする不幸が決定した瞬間であった。

 

 

 

一方、海馬コーポレーションからデュエルアカデミア本島へと戻ってきた遊雅は、土産をもってレッド寮へと訪れていた。十代たちと久しぶりに話すためである。

 

「よーっす、戻ってきたぜー」

 

「遊雅!見たぜ、アメリカでのデュエル!めちゃくちゃすごかったな!」

 

部屋には、十代と翔、そして三沢がいた。三人とも、アメリカでの遊雅と紅葉のデュエルのことを事細かに聞いてきた。十代は自信と同じHERO使いということで、三沢はプロのタクティクスについて知りたくて、翔はサインをもらったかを聞きたいということで怒涛の質問攻めが始まった。

 

「なぁ、やっぱ紅葉さんのHEROもつよかったか?」

 

「紅葉プロのタクティクスについて分かった範囲で聞きたいんだが・・・あとあの特殊な融合モンスターについても詳しく聞きたいな」

 

「ねえねえ、オイラの分のサインとかもらってくれてない?」

 

「だぁぁぁやかましい!いっぺんにしゃべるないっぺんに!」

 

 

こうして、様々な質問に答える羽目になった遊雅だったが、ふとあることを思いついた。

 

「そうだ、お前らに手伝ってほしいことがあるんだが」

 

「?なんだ?」

 

「俺のデッキをいくつか新しくしたんだが、回す・・・えーと、デュエルの相手をしてほしいんだが」

 

「まじか!デュエルなら俺がやりたい!」

 

「いや、おれも遊雅の新しいデッキには興味がある。ここは俺の新しいデッキも含めて新デッキ対決を・・・」

 

真っ先に十代と三沢が食いついた。二人は顔を見合わせると、真顔になり立ち上がる。そして右手を腰だめに構え、一気に相手へ向けて同時に突き出した。

 

「「じゃんけん、ポン!」」

 

そのままあいこ合戦に突入した二人を見つつ、遊雅は翔に話しかける。

 

「翔はいいのか?」

 

「いやぁ、おいらはまだ遊雅君を相手にするレベルじゃないと思うから・・・」

 

「フーン・・・」

 

翔の愛想笑いに何かを隠してるような、若干の違和感を感じる遊雅。しかし、本人が言いたくないならいいやとスルーする。一方じゃんけんでは、とうとう勝敗がついていた。

 

「よし!データ通りだ!」

 

「くっそー!」

 

どうやら三沢が勝ったらしい。遊雅たちはここでは手狭だからと、レッド寮のまえの広場へと出る。そこにたまたま居合わせた生徒たちは、状況を察すると、遊雅たちを取り囲み、他の生徒も呼びに行って観戦の態勢に入る。なにせ、学年一の秀才であり遊雅以外では初めてシンクロ召喚を行った三沢と、シンクロ召喚の使い手として世界中でその名を知らない者のいない存在となった遊雅のデュエルである。見ないほうがおかしい。

 

「遊雅ー!次はおれだからなー!」

 

「アニキ、座りなよ・・・」

 

最前列の特等席では、十代と翔が観戦していた。そんな中、向かい合った三沢が不敵に笑う。

 

「前回は君のシンクロを封じるデッキを作ることができなかった・・・。しかし、今回は違うぞ!」

 

そう宣言する三沢に、遊雅はにやりと笑う。

 

「いいね、上等だよ。こっちだって日々進化してんだ、そう簡単には負けてやれないね!」

 

お互いにディスクを構え、観客からの声援もひときわ大きくなる。

 

「「デュエル!」」

 

三沢

  vs

    遊雅

 

先攻は三沢となった。

 

「俺のターン!ドロー!手札から、マジックカードコールリゾネーターを発動!デッキからリゾネーターと名のつくモンスターを1枚手札に加える!俺はチューナーモンスター、ダーク・リゾネーターを手札に加える!さらにマジックカードおろかな埋葬で、デッキからヘルウェイ・パトロールを墓地へ!ヘルウェイ・パトロールの効果!墓地のこのカードを除外して、手札の攻撃力2000以下の悪魔族を一体特殊召喚出来る!来い!インターセプト・デーモン!そして、チューナーモンスター、ダーク・リゾネーターを召喚!レベル4のインターセプト・デーモンに、レベル3のダーク・リゾネーターをチューニング!シンクロ召喚!これが俺の、対シンクロへの新たな力!天刑王ブラック・ハイランダー!」

 

三沢の場に現れたのは、死神のような姿をした悪魔族モンスター。その鎌の前には、シンクロモンスターは立つことができない。

 

「ブラック・ハイランダーが場にいる限り、お互いにシンクロ召喚を行えない!」

 

「なんだって!?」

 

「それじゃあ、遊雅君のデッキは・・・!」

 

十代たちが驚愕の声をあげる。遊雅はこれまで、あらゆるデッキを使い戦ってきた。しかし、どのデッキもシンクロ主体であった。遊雅は三沢の場のブラック・ハイランダーをじっと睨む。

 

「カードを2枚伏せ、ターンエンド。さあ、遊雅!俺の新たなシンクロ封じデッキ、超えられるものなら超えてみろ!」

 

三沢

手札1枚

場1枚

伏せ2枚

 

「俺のターン、ドロー」

 

遊雅がカードをドローする。三沢は対シンクロの布陣を揃えることができ、やや余裕を持って見守る。十代達は遊雅がそんな簡単にやられるのかとドキドキしながら、他の観客はアカデミアの中で初の遊雅の敗北か、と盛り上がる。そんな中、遊雅はニヤリと笑う。

 

「流石だな、三沢。確かにそのモンスターは俺にとってかなりやばいカードだ。シンクロを封じられちゃあ俺のデッキは稼動率激減だしな」

 

「・・・その割には随分と余裕そうだな?」

 

三沢の言葉に笑みを深めつつ、遊雅が動き出す。

 

「見せてやるよ、俺の新たな戦法!俺は手札から儀式魔法、リヴェンデット・バースを発動!」

 

「なっ!?儀式だと!?」

 

「俺は手札のヴェンデット・コアと・・・デッキのヴェンデットモンスターを使って儀式召喚を行う!」

 

「デッキから!?」

 

「そんなカードがあるの!?」

 

三沢と観客が驚きを口にする中、遊雅の手札とデッキからモンスターが場に現れる。

 

「俺はデッキからヴェンデット・バスタードを墓地へ!コアと合わせてレベルは8!絶望から這い上がりし復讐の戦士よ!今こそ我が敵を撃ち砕け!儀式召喚!現れよ、リヴェンデット・エグゼクター!」

 

2体のモンスターが合わさり生まれた渦から、目を真紅に光らせ、異形を身に宿した戦士が降臨する。その姿は、生前の面影をかろうじて残してはいるが、見るものを恐怖させる見た目である。

 

「儀式召喚を手に入れたのか!」

 

「へっ、驚いたか?」

 

「ああ!だがそれ以上に・・・流石だ!それでこそ倒しがいがある!」

 

「続けるぞ!さらに俺は、儀式魔法、リヴェンデット・ボーンを発動!」

 

「まだあったのか!」

 

「今度はさっきとは違うぜ?俺は手札のヴェンデット・ヘルハウンドとヴェンデット・レヴナントを墓地へ送り、墓地から先ほど素材としたヴェンデット・バスタードを儀式召喚!」

 

新たに現れたモンスターは、巨大な禍々しい剣を携えた魔王のようなモンスターだった。

 

「バスタードの効果!墓地のヴェンデット・ヘルハウンドをゲームから除外し、トラップカードを指定!相手はこのターン、指定したカードの効果を発動出来ない!」

 

「なんだって!?」

 

バスタードの持つ剣から鎖が飛び出し、三沢の伏せカードへと迫る。

 

「くっ、チェーンしてリバースカードオープン、もの忘れ!ヴェンデット・バスタードの効果を無効にし、守備表示にする!」

 

三沢の発動したもの忘れにより、バスタードの放った鎖は消え、バスタード自身も守りの体制となる。

 

「だが俺の場にはまだエグゼクターが残っているぜ!バトル!エグゼクターでブラック・ハイランダーに攻撃!」

 

「くそっ・・・」

 

三沢LP4000→3800

 

エグゼクターがブラック・ハイランダーへと一瞬で迫り、痛烈なアッパーカットを決める。しかし、三沢はすぐさま伏せカードを発動する。

 

「リバースカード、リビングデットの呼び声!墓地のブラック・ハイランダーを蘇生!」

 

「やるな・・・ターンエンド!」

 

遊雅

手札0枚

場2枚

伏せ0枚

 

「俺のターン!ドロー!」

 

自身のターンになり、ドローする三沢。その顔は険しさを増していた。

 

「こんな簡単なことに気づかなかったなんて・・・。君がシンクロ召喚以外の召喚法を使うことを読めなかったのは俺の落ち度だな」

 

「んなこと言いながら、随分と余裕だな?」

 

先ほどの言葉を送り返すように言う遊雅。三沢は笑い返しながらカードを発動する。

 

「俺はマジックカード、強欲な壺を発動!デッキから2枚ドロー!さらに俺は手札からカードを一枚捨て、D・D・Rを発動!ゲームから除外されているヘルウェイ・パトロールを召喚!さらに暗黒魔族ギルファー・デーモンが墓地へ送られたことにより、このカードを攻撃力500ダウンの装備カードとしてエグゼクターに装備する!」

 

三沢の墓地からギルファー・デーモンが現れ、エグゼクターに乗り移る。乗り移られたエグゼクターは苦悶の声をあげる。

 

「バトルだ!ブラック・ハイランダーで、リヴェンデット・エグゼクターに攻撃!デス・ポーラ・スレイ!」

 

「ちっ・・・!エグゼクターの効果!コイツが戦闘で破壊されたため、デッキからヴェンデットカードを1枚手札に加える!」

 

遊雅LP4000→3700

 

「まだ!ヘルウェイ・パトロールでヴェンデット・バスタードを攻撃!」

 

「墓地のリヴェンデット・ボーンの効果!このカードを除外することでヴェンデット儀式モンスターの破壊を無効にする!」

 

「やるな・・・!カードを1枚伏せ、ターンエンド!」

 

三沢

手札1枚

場2枚

伏せ1枚 リビングデットの呼び声 D・D・R

 

「俺のターン!」

 

「ああ、遊雅君このままじゃ負けちゃうよ・・」

 

「そうでもないぜ、翔」

 

「アニキ?」

 

三沢優勢で進むデュエルに遊雅の負けだと感じる翔に、十代が笑う。その視線の先には、手札を見つめつつ若干ニヤリと笑う遊雅がいた。

 

「遊雅はまだ諦めてないぜ。きっと何か秘策があるんだ!」

 

一方ドローフェイズを終えた遊雅はと言うと。

 

(・・・アカン!事故ったかも!)

 

何気にピンチであった。にやけているのも、あまりにひどい状態で頰が引きつっていただけだった。

 

(お、落ち着け・・・まだ次は凌げる・・・筈だ。次のドローに全てをかけろ!)

 

「俺はカードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

「・・・何?」

 

遊雅

手札1枚

場1枚

伏せ1枚

 

バスタードの守備すら解かず、それどころかなんのアクションもない遊雅に、訝しむ三沢。

 

「俺のターン、ドロー」

 

(何かあるとみていいのか・・・?だが手札的にもどうしようもないか・・・ここは攻める!)

 

「バトル!ヘルウェイ・パトロールでバスタードに攻撃!」

 

(っ!ここだ!)

 

「リバースカードオープン、ヴェンデット・デイブレイク!相手の場のカードが自分の場よりも多い時発動出来る!場のバスタードを選び、選んだカード以外のカードを全て破壊する!」

 

「なんだって!?」

 

バスタードの背後から光が差し、今まさにバスタードを轢き殺さんとしていたヘルウェイ・パトロールと、その後に続こうとしていたブラック・ハイランダーが光に消えていく。背後の伏せと装備魔法達も綺麗さっぱりと消えてしまう。

 

「くっ、まさかそんなカードを伏せていたとはね・・・!」

 

「ふっ・・・」

 

(あっぶねー!?三沢が除去に来てたらやばかった!?)

 

内心でのドキドキを辛うじて隠し通す遊雅。三沢は悔しそうにカードを伏せる。

 

「カードを伏せ、ターンエンドだ」

 

三沢

手札1枚

場0枚

伏せ1枚

 

「俺のターン!ドロー!」

 

(やけに気合が入っているな・・・)

 

全力でドローする遊雅に不思議がる三沢。そんな相手をよそに、遊雅は内心でホッとする。

 

(よし、やっと回ってきた!)

 

「俺は墓地のリヴェンデット・エグゼクターを除外して、墓地のヴェンデット・コアの効果発動!コイツを墓地から特殊召喚する!さらに手札のユニゾンビを召喚!効果!デッキからヘルハウンドを墓地へ送り、コアのレベルを2にする!さらに墓地のヘルハウンドの効果!手札のヴェンデット・アニマを墓地へ送って自身を特殊召喚!」

 

「チューナー・・・!くるか!」

 

「ああ!俺はレベル3のヴェンデット・ヘルハウンドと、レベル2となったヴェンデット・コアに、レベル3のユニゾンビをチューニング!シンクロ召喚!来い!レッド・デーモンズ・ドラゴン(レモンさん)!」

 

「来たな・・・!遊雅のエースモンスター!」

 

紅蓮の竜の登場に警戒心を上げる三沢。遊雅は、伏せに警戒しつつも攻撃を敢行する。

 

「バトル!レッド・デーモンズ・ドラゴンでダイレクトアタック!」

 

「俺は手札のバトル・フェーダーの効果発動!コイツを守備表示で特殊召喚!バトルを強制終了する!」

 

「フェーダーか!」

 

三沢の手札から小柄な悪魔が現れ、レッド・デーモンズ・ドラゴンの攻撃を防ぐ。歯噛みしながらも、遊雅はバトルを終了した。

 

「ターンエンド。この瞬間、このターン攻撃しなかったヴェンデット・バスタードはレッド・デーモンズの効果で破壊される。バスタードの効果、墓地へ送られたためデッキからリヴェンデット・エグゼクターを手札に加え、ヴェンデット・コアを墓地へ送る」

 

遊雅

手札1枚

場1枚

伏せ0枚

 

「俺のターン!」

 

続いて三沢のターン、三沢はドローしたカードを見て笑う。

 

「・・・行ける!手札からマジックカード、死者蘇生を発動!墓地のブラック・ハイランダーを蘇生!さらにリバースカードオープン、鎖付きダイナマイトをブラック・ハイランダーに装備!ブラック・ハイランダーの効果!コイツ自身を指定し、装備されているカードを全て破壊し、その数×400のダメージを与える!そして、鎖付きダイナマイトは破壊された時、相手の場のカード1枚を破壊できる!レッド・デーモンズ・ドラゴンを破壊!」

 

「くそっ」

 

遊雅LP3800→3400

 

「バトル!ブラック・ハイランダーでダイレクトアタック!」

 

「ぐぁっ!」

 

遊雅LP3400→600

 

「よし!ターンエンド!」

 

遊雅のライフはもはや1000を切っていた。このままいけば三沢の勝ちであり、観客のボルテージも最高潮に達していた。

 

「アニキ・・・」

 

「まだだ、まだわからないぜ!勝てー!遊雅ー!」

 

「が、頑張れ遊雅君ー!」

 

十代達が必死に応援する。遊雅がデッキに手をかけ、全力でドローする。

 

「・・・ドロー!」

 

観客も三沢も、全ての者が固唾を呑んで見守る中、遊雅は力無さげにカードを1枚伏せた。

 

「・・・ターンエンド」

 

遊雅

手札1枚

場0枚

伏せ1枚

 

「遊雅・・・!」

 

「遊雅君・・・!」

 

十代と翔がまさか、と驚きの表情を浮かべ、他の観客が大騒ぎする。

 

『おい、これもしかして三沢の勝ちなんじゃねぇか!?』

 

『ヤベェ、こりゃスクープものだぞ!』

 

周囲が動揺する中、、三沢がターンを進める。

 

「・・・行くぞ!遊雅!俺のターン!バトルだ!いけ!ブラック・ハイランダー!ダイレクトアタック!」

 

ブラック・ハイランダーが鎌を携え突進する。もはやこれまで、と誰もが思ったその時、俯いていた遊雅が顔を上げ、不敵な笑みとともにカードを発動した。

 

「リバースカードオープン!ヴェンデット・リユニオン!」

 

「!」

 

「俺のゲームから除外されているモンスターを、手札の儀式モンスターのレベルとなるよう選び、場にセットする!俺は手札のエグゼクターを指定し、除外されているモンスターから、ヘルハウンド、レヴナント、コアをセットする!」

 

遊雅の場に3体のモンスターが現れ、ブラック・ハイランダーを止める。

 

「一体何を・・・!」

 

「そして、そいつらを使用して儀式召喚を行う!」

 

「相手ターンに儀式召喚だと!?」

 

「さあ来い!リヴェンデット・エグゼクター!」

 

遊雅の場に新たなエグゼクターが現れる。その顔には、心なしか自らを葬ったブラック・ハイランダーへの憎悪のようなものが見て取れる。相手ターンの儀式召喚というまさかの戦法に、観客は唖然としていた。十代達は、驚きつつも遊雅の逆転劇に喜びの声を上げていた。

 

「くっ、ブラック・ハイランダーの攻撃力では足りないか・・・。カードを1枚伏せ、ターンエンド!」

 

三沢

手札0枚

場2枚

伏せ1枚

 

「俺のターン、ドロー!」

 

勢いづいた遊雅がカードをドローする。ちらりとカードを見ると、ニヤリと笑う。

 

「見せてやるぜ、ヴェンデットの真の力をな!ヴェンデット下級モンスターは、ヴェンデットモンスターの儀式召喚の素材となった時、儀式召喚したモンスターに効果を付与する!」

 

「なに!?」

 

「いくぞ!まずはレヴナントによって得た効果!相手の特殊召喚されたモンスター1体を除外する!」

 

「ばかな!?」

 

「ブラック・ハイランダーを除外!さらにヘルハウンドの効果!相手の魔法・罠を1枚除外する!」

 

「くっ、ミラーフォースが・・・!」

 

「このまま終わると思うなよ!復讐者は何度でも蘇る!墓地のヴェンデット・アニマの効果!コイツを除外して他の除外されているヴェンデットモンスターを蘇生する!甦れ!リヴェンデット・エグゼクター!」

 

遊雅の場に2体目のエグゼクターが現れる。三沢は一瞬呆けてしまったが、即座に頭を振って意識を戻す。

 

「くっ、だがその2体ではまだ俺のライフは・・・!」

 

「甘いぜ!バトル!エグゼクター1でバトル・フェーダーを破壊!」

 

1体のエグゼクターにより握りつぶされるバトル・フェーダー。続く2体目が三沢へと迫る。その身にまとうオーラが、急に増大する。

 

「速攻魔法、アンデット・ストラグルを発動!このターンの間、場のアンデット族モンスター1体の攻撃力を1000アップ、又はダウンさせる!よってエグゼクター2の攻撃力を1000アップ!これで終わりだぁ!」

 

「・・・やれやれ、まだ遠いのか・・・」

 

三沢LP3800→-200

 

デュエルが終わると、一瞬静寂が訪れ、次の瞬間に歓声が上がった。遊雅の新たなデッキを見れたこともだが、遊雅を追い込んで見せた三沢にも惜しみない拍手が送られる。

 

「まったく、君はどこまでも強くなるな・・・」

 

デュエルが終わり、遊雅のもとへやってきた三沢が若干呆れながら言う。遊雅も、苦笑いしつつ答える。

 

「んなことはないさ、実際今のデュエルも結構やばかったしな。俺からすればお前の成長の方が早すぎると思うぞ」

 

そこへ十代と翔がやってきて、感想を言う。

 

「すっげーな、遊雅!三沢も!くぅーっ、なあ早く俺ともしようぜ!」

 

「落ち着け、少しくらい休憩させろよ・・・」

 

「そうだな、さっきのデッキのカテゴリ・・・『ヴェンデット』と言うカードについても聞きたいしな」

 

ええーと文句を言う十代を引きずりながら、大勢のアカデミア生徒からの言葉を受け取りつつ4人は寮へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、海馬コーポレーション。地下のデッキ調整用デュエルスペースにて、海馬はデュエルロボを相手にしていた。

 

「ブルーアイズで、ダイレクトアタック!滅びの爆裂疾風弾!」

 

「piーーーーーー!」

 

ボン、と言う音とともにロボは煙を吐き停止する。そこへ、海馬の側付きの磯野が入室する。

 

「瀬人さま。そろそろお時間です」

 

「ふん、磯野、片付けておけ」

 

「はい」

 

磯野に片付けを命じ、エレベーターへと乗り込み地上へと向かう海馬。エレベーターに乗り込むと、デッキを握りしめニヤリと笑いをこぼす。

 

「・・・待っていろ、遊雅。貴様に圧倒的敗北を与えてやる・・・!」

 

「これはまた・・・」

 

驚愕する磯野の眼前には、100体近くの破壊され尽くしたデュエルロボの山があった。そのどれもが、『デュエリストデータ:遊雅』と表示されていた。




新デッキその1
ヴェンデット軸シンクロ
ヴェンデットをメインに、シンクロを添えたデッキ。実際にはハリファイバーやアドヴェンデットセイバーを交えながら使っているデッキ。シンクロを混ぜたのはレモンさんを使いたかったからというだけだったりする。なお、まったく噛み合ってないのにアバターが入っている。

三沢デッキ
悪魔族シンクロメタデッキ
ss内同様徹底してブラック・ハイランダーを守りつつ鎖付きダイナマイトや呪いのお札などを効果で破壊してアドを稼ごうとするデッキ。シンクロ好きの作者を泣かせるために友人Aが使っていたデッキを採用。

次回、殺意の波動に目覚めた海馬vs新デッキ遊雅


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第36話 情熱思想理念頭脳気品優雅さ謹厳さ!そして何よりも!

早さが足りない!(更新速度的な意味で)
友人A「ああ〜、景虎ちゃん可愛いんじゃ〜」
作者「また諭吉ウォリアーを浪費したのか・・・」
友人A「いやいや、配布だし!可愛いし!見ろよこれ!」
作者「ふーん、どれどれ?」
CV.水樹奈々
作者「・・・」スッ(スマホを準備する音)

というわけでだいぶ予定より遅くなりました。ノッブは当たらなかったし、諭吉ウォリアーも我が口座より旅立った。その上でこの劇遅更新。全て私の責任だ。
だが私は謝らない(ごめんなさい)
というわけで、海馬vs遊雅、ドゾー( ・ω・)ノ


遊雅のアカデミア帰還と、三沢とのデュエルが終わり夕方になった頃。レッド寮の十代達の部屋へと戻った遊雅たち四人は、遊雅のアメリカでの話で盛り上がっていた。新デッキのことや、アメリカ・アカデミアの生徒のことなどを聞く三沢、紅葉とのデュエルで使用されたM・HEROについてやたらと聞いてくる十代。お土産を要求する翔。

 

「なんでお前だけ土産の要求なんだよ!?これでも食ってろ!」

 

「なんだかんだ言ってお土産くれるそういうところ、遊雅君の内面のやさしさが出てるっすよね・・・」

 

そんなことを言いつつ土産の菓子をもらう翔をよそに、三沢と十代に向き直る遊雅。

 

「・・・なるほど、マスク・チェンジという魔法による特殊な融合召喚か。興味深いが、今の俺のデッキには合いそうにないか」

 

腕組みをしながらそう唸る三沢に対し、十代は目を輝かせながら興奮した様子で騒ぐ。

 

「すっげーな!やっぱHEROには無限の可能性があるんだ!おれもそのM・HEROってやつほしいなー」

 

「ふっふー、そんな十代にはこいつをプレゼントだ!」

 

「ん?・・・ふぉぉぉ!?M・HERO!?これ俺にか!?」

 

遊雅が取り出したトランクケースの中には、今まさに話題に上がったM・HERO関連のカードが一式入っていた。そして、もう一つケースを取り出すと、三沢に渡す。

 

「俺からの土産だ。それと三沢にはこの新パックのカード情報一覧と、新カテゴリのカードをやろう」

 

「本当か!これはいい研究材料になる!」

 

喜ぶ2人にウンウンと頷く遊雅。おいらの分は?と呟く翔のことは気にしない。・・・一応、新カードでは無いがプレミア版のブラックマジシャンガールを用意している。ただしソリッドヴィジョン非対応である。地味に外道なのだった。

 

「さて、そんなわけでお前ら、土産はちゃんと渡した。んで、急でなんだが、明日は暇か?」

 

「?おう、俺と翔は暇だぜ」

 

「おれも特に予定はないな」

 

3人とも予定がないということを確認した遊雅は、3枚のチケットを取り出す。

 

「明日、日本でのシンクロ実演のデュエルがあるんだが、お前らも見にくるか?」

 

「まじか!行く行く!」

 

「おいらも!」

 

「興味深いな・・・是非行かせてもらうとしよう」

 

3人ともが来ることを確認すると、遊雅が3人にチケットを渡す。

 

「じゃあ、夕方あたりからのはずだから、本島の方に来てくれよ」

 

「おう!ところで、相手は誰なんだ?」

 

「あ、知らなかったのか。海馬社長だぞ」

 

「・・・え?」

 

さらりと出た爆弾発言に、一瞬時が止まった。

 

『これがマスターのスタンド、ザ・ワールド・・・!』

 

「お前何言ってんの?」

 

 

 

 

くだらない話をしつつも、十代達にチケットを渡した遊雅は、自分の部屋へと戻っていた。実演で使用するデッキを組むためである。

 

『それにしても、随分とカードが増えましたね・・・』

 

「全くだ。神のやつ、何が目的なんだか・・・いや、楽しみたいだけだったか」

 

ため息をこぼす遊雅と、興味津々なアバターの目の前には、ズラリと並んだカード群があった。神からの餞別、という名の追加カード達である。

 

「・・・ん!?サンボル!?禁止だろうが!未来の俺何やってんの!?」

 

『・・・規制緩和したのでは?』

 

「いやまさかぁ、こんなただ強カードが戻ってくるなんてこと・・・」

 

・・・ないよな?(ありました)

 

『例の青いカードに関しては?』

 

「・・・ペガサスさん達が調べてる。結果は分かり次第来るはずだけど・・・」

 

遊雅は、帰国前夜に話したペガサスとの会話を思い出していた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『このカード達は、どうやら現行のルールでは使用できないようデース』

 

『使用できない?』

 

『ええ、このカード、このテキストに書かれている「EXモンスターゾーン」。こんなルールは存在しまセーン。未来のデュエルは、随分と様変わりしているようですネ』

 

『・・・引き続き宜しく頼みます』

 

『イエス。oh、現行のルールで使用できるものは持っていて構いまセーン。海馬ボーイにはこちらから言っておきまショウ』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「・・・」

 

『マスター?』

 

「っ、なんでもない。とりあえず、使えるやつだけでデッキを組むぞ。アバター、デッキ貸すから調整付き合え」

 

遊雅の言葉に、?を浮かべるアバター。

 

『十代達に頼めばいいのでは?』

 

「最近構ってやれてないからな。こういう時くらい頼ろうかとな」

 

『構うって、そんなペットみたいに言わないでください!』

 

文句を言ってはいるが、その声色には隠しきれない喜びが滲んでいた。いつもの球体から若干グネってうねうねしている。素直じゃないアバターに苦笑しつつ、立ち上がる遊雅。

 

「じゃ、十代のとこに行こうかなー」

 

『ちょっ、待ってくださいマスター!やります!やりますからぁ!』

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そしてその日の夕方、遊雅と十代達は、本当にあるデュエルスタジアムへとやってきていた。

 

「でっけー!」

 

スタジアムを見上げ、大声を上げる十代。遊雅が準備のために別の入り口から会場入りし、3人は観客用入り口にて人混みの中にいた。周囲の客が睨みつけていることに気づいて翔が慌てる。

 

「あ、アニキ、ちょっと静かに・・・!」

 

「興奮するのはわかるが、少し落ち着くんだ十代」

 

三沢も十代をたしなめるが、そわそわして落ち着きがない。と、そこへ青を基調としたコートを羽織った遊雅が現れる。

 

「よ、お前ら」

 

「おう、遊雅!なんだその格好?」

 

「・・・一応は公式デュエルになるわけだから、パフォーマンス的にも派手な服にしろって」

 

そう言う遊雅は、どこか落ち着かない雰囲気である。色以外はまるっきり社長の着ているコートを着て、恥ずかしげにあたりを見回す。

 

「よく似合ってるじゃないか」

 

「普通にかっこいいっすよ?」

 

三沢と翔がそう言うが、遊雅はため息を吐く。

 

「あまりこう言うのは慣れてないんだよ・・・デュエル始まったら問題ないだろうけど」

 

「ほーん、そんなもんか?」

 

緊張感などかけらも感じたことがなさそうに言う十代。そんなもんさ、と十代に答えると、遊雅はサッと踵を返す。

 

「んじゃ、もう行くわ。デュエル楽しみにしとけよ?」

 

「ああ!頑張れよ、遊雅!」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

満員御礼、これから行われるデュエルへの期待感が熱気となって会場を包みこんでいる。そんな中、照明が落とされているデュエルフィールドの中央に、スポットライトが当てられる。そこに照らされたのは、いつものロングコートをたなびかせ、左腕に特殊な形のデュエルディスクを装着した海馬だった。

 

「・・・諸君。今宵、デュエルモンスターズは新たなるステージへと移行する!」

 

海馬の宣言に歓声を上げる観客。その中には、三沢と翔、十代達も混ざっていた。

 

「アメリカで行われたシンクロ召喚の公開テストデュエル・・・諸君の中にはそれを観ていた者もいるだろう。諸君は思ったはずだ。新たな召喚方法、その全容を!実際に戦うモンスターたちをここ日本で見たい。そう思ったはずだ!故に今!ここに、シンクロ実演デュエルエキシビションを行う!」

 

海馬の言葉にさらなる歓声が鳴り響く。そんな中、海馬が不敵な笑みを浮かべつつ左手を挙げる。すると、会場のライトが一気に点灯し、デュエルフィールドを照らす。フィールドの右端の通路からエントリーするのは、シンクロ召喚のパイオニアとなった男、遊雅。観客からの声援を一身に受けながら、ゆっくりとフィールドへと歩みを進める。

 

「デュエルを行うのはこの俺海馬瀬人と、シンクロ召喚の公式なテスター、遊雅!また、現在開発が進んでいるこの特殊なデュエルディスクを使う!」

 

社長が掲げた左腕には、肩から腕にかけてを覆うように装着されたデュエルディスクが、青い光のラインを浮かび上がらせていた。カードを置くための箇所は見当たらず、デッキも装着されているようにはみられない。一方の遊雅は、ほぼ同一の形をしたデュエルディスクではあるが、こちらにはカードを置く場所がついている。そして、お互いに片目に機械を装着している。

観客はその新たなデュエルディスクの登場にも驚きに声をあげる。そんな中、海馬と遊雅、2人のデュエリストがフィールドで向き合い、静かに対峙する。それを見る観客の歓声ががだんだんと収まり、フィールドの真ん中に黒服の男、磯野がジャッジとして現れる。

 

「遊雅・・・俺たちのデュエルをするぞ」

 

海馬の言葉に、無言でデュエルディスクを構える遊雅。それを見て、了承の合図ととった海馬は、左腕のディスクを起動する。

 

「貴様の持つ全てでもって、この俺に挑むがいい!」

 

2人が臨戦態勢に入ったことを確認すると、磯野が手を挙げ、開戦ののろしを上げる。

 

「ではこれより!海馬瀬人バーサス、遊雅!デュエル開始ィィィィィィ!!」

 

「「デュエル!!」」

 

 

 

 

海馬

vs

遊雅

 

 

 

 

 

 

先攻は海馬となった。

 

「ふぅん、まずは小手調べといこう!俺のターン、ドロー!」

 

ホログラム状のカードを豪快に引き抜く海馬を見つつ、遊雅は背後のアバターにこっそりと呟く。

 

「このデュエル、お前らは使わずシンクロだけで行くからな」

 

『ええ、シンクロのお披露目ですからね。我々邪神のお披露目ではありませんし、まあしょうがないです』

 

若干残念そうではあるアバターとその裏で俺を出せーと騒ぐドレッドルート。そんな会話をしているとはつゆ知らず、海馬が己のターンを進める。

 

「俺は手札から、青眼を一体貴様に見せ、青眼の亜白龍を召喚!」

 

「・・・」

 

『・・・やっぱり私たちも出ましょうか?』

 

「だ、大丈・・・夫?大丈夫だから・・・」

 

 

若干震えが出てきた遊雅を他所に、海馬のターンは続く。

 

「さらに魔法発動、古のルール!手札の青眼の白龍を特殊召喚!」

 

『本当にいいんですか?』

 

「・・・一応準備しといて」

 

「さらに手札からチューナーモンスター、青き眼の護人を召喚!」

 

「っ、おいおい、あんたが先かよ!」

 

「ふん、貴様だけの専売特許ではないわぁ!俺はレベル8の青眼の白龍に、レベル1の青き眼の護人をチューニング!白き龍よ!今ここに降臨し、その威光を示せ!シンクロ召喚!出でよ!青眼の精霊龍!」

 

社長の場に現れたのは、どことなくどころか、もはやまんまやろ!と言いたくなるほど青眼の白龍にそっくりなモンスター。観客も「ブルーアイズのシンクロ!?」と驚いている。

 

「このカードが場にある限り、お互いに2体以上のモンスターを同時に呼ぶことはできん。俺はカードを一枚伏せ、ターンエンドだ。さあ、来い遊雅!」

 

海馬

手札1枚

場2枚

伏せ1枚

 

「俺のターン!」

 

ドローした遊雅は、手札を確認してニヤリと笑う。

 

「社長、進化してるのはあんただけじゃないぜ!俺は手札から魔法カード、緊急テレポートを発動!デッキからサイキック族を持ってくるぜ!来い、サイキック・リフレクターを特殊召喚!そして効果!バスター・モードとテキストに書かれているカードを手札に加える!俺はバスタービーストを指定!手札に加える!そしてバスタービーストの効果!手札から捨てることで、デッキからバスター・モードを手札に加える!ここでサイキック・リフレクターのもう1つの効果!手札のバスターモード1枚を相手に見せ、そのカード名が記された墓地のモンスター1体を特殊召喚する!墓地よりバスタービーストを蘇生!その際、レベルを4つまで上げることができる!」

 

「・・・アニキ、気のせいじゃなかったらあれ、手札1枚でやってないっすか?」

 

「・・・そうだな」

 

「あそこまで行くともう別次元じゃないか?」

 

観客もまさかたった一枚のカードがここまで動くとは思わず、唖然としている。しかしそんなことは気にも留めず、遊雅は動き続ける。

 

「バスタービーストのレベルを4から7へ変更!レベル7となったバスタービーストに、レベル1のサイキック・リフレクターをチューニング!王者の鼓動よ、今ここに列をなす、天地鳴動の力を見るがいい!シンクロ召喚!来い、レッドデーモンズ・ドラゴン!」

 

遊雅の場に、いつものように凛々しい姿をあらわすレッドデーモンズドラゴン。その登場により再起動した観客が盛り上がる。

 

「ふん、やはりそいつか。だが、俺の場の最高戦力、青眼の亜白龍と攻撃力は互角。バスターモードは罠カード、このターンでは乗り越えることはできん!」

 

冷静に状況を確認する海馬に対し、遊雅はニッと笑う。

 

「それはどうかな!俺は手札から、速攻魔法、バスター・モード・ゼロを発動!」

 

「何!?」

 

「場のレッドデーモンズドラゴンをリリース!手札より現れろ!レッドデーモンズドラゴン/バスター!」

 

場のレッドデーモンズドラゴンに、紅い装甲が追加され攻撃力がアップする。それを見た海馬は、とっさに精霊龍の効果を発動する。

 

「俺の場の青眼の精霊龍の効果!このカードをリリースし、新たなドラゴン族・光属性シンクロモンスターを特殊召喚する!来い、蒼眼の銀龍!」

 

精霊龍はその身を光に変え、その光の中から、今度は銀色に輝く龍が姿をあらわす。

 

「このカードが特殊召喚に成功したターン、俺のドラゴンは効果では破壊されん!」

 

「ならば戦闘で破壊するまで!バトル!レッドデーモンズドラゴン/バスターで、青眼の亜白龍を攻撃!」

 

「ぐぅっ・・・」

 

海馬LP4000→3500

 

レッドデーモンズドラゴンの握撃により粉砕される青眼の亜白龍。

消えてゆく青眼を見つつ、遊雅は手札を切る。

 

「メイン2、俺はカードを2枚伏せ、手札からマジックカード調律を発動!デッキからジャンク・シンクロンを手札に加え、デッキトップを墓地へ」

 

(落ちたのは・・・白銀の翼、ハズレか)

 

「俺はこれでターンエンド」

 

遊雅

手札2枚

場1枚

伏せ2枚

 

「俺のターン!」

 

海馬のターンとなり、裂帛の気合とともにドローした海馬は、遊雅を睨みつける。

 

「強欲な壺、発動!デッキからカードを2枚引く!」

 

引いたカードを見た海馬は、目を見開く。そして、ゆっくりと遊雅を見て、ニヤリと笑う。

 

「・・・どうやら、貴様に究極の一撃を与えることを、ブルーアイズが望んでいるらしいな!」

 

そう言って海馬は、手札からカードを発動する。

 

「蒼眼の銀龍の効果!甦れ、青眼の白龍!行くぞ!魔法発動、カオス・フォーム!」

 

「な!?」

 

「場の青眼の白龍を使用し、、手札より現れろ!儀式召喚!ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン!」

 

場に現れたのは、ある意味での青眼の行き着く極地。圧倒的なその攻撃力は、神にすら匹敵する。

 

「蒼眼の銀龍を攻撃表示に変更!さらにリバースカードオープン、正統なる血統!墓地より青眼の白龍復活!行くぞ!バトルだ!カオス・MAXの攻撃!」

 

カオス・MAXが、その顎門にエネルギーを収束していく。と、その時、海馬は駄目押しとばかりに最後の手札を発動する。

 

「その目障りな伏せカードには消えてもらおう!速攻魔法、サイクロン!」

 

「マッズ!?」

 

サイクロンにより破壊されていくバスターモードを見つつ、海馬は攻撃の合図を出す。

 

「当たりのようだな!カオスMAXよ!やれ!」

 

その言葉を待っていたかのように、カオスMAXがブレスを放つ。レッドデーモンズドラゴンも応戦するが、耐え切ることができず装甲が破壊される。

 

「ぐっ、レッドデーモンズドラゴン/バスターが破壊された時、墓地よりレッドデーモンズドラゴンを復活させる!」

 

遊雅LP4000→3500

 

「無駄だ!青眼の白龍で攻撃!滅びの爆裂疾風弾!」

 

青眼の放ったブレスとレッドデーモンズの拳が交差し、互いを破壊する。

 

「蒼眼の銀龍よ!遊雅にダイレクトアタック!」

 

「おわっ!?」

 

LP3500→1000

 

「ふはははは!どうだ遊雅!貴様なぞ、この程度だ!」

 

海馬

手札なし

場2枚

伏せなし

 

上機嫌に笑う社長。観客も大型モンスターの応酬に大興奮である。

 

「ああ、マズイっすよ!このままじゃ遊雅君負けちゃう!」

 

「遊雅・・・!」

 

「まさか海馬社長があんなに強力なモンスターを持っているとはね・・・」

 

観客席の十代たちもハラハラしている。そんな中、遊雅はギリギリの状況を楽しんでいた。

 

「そうだよ、これだよ・・・!こういう、勝つか負けるかのドキドキ、モンスターたちのリアルな戦い・・・!これだ、俺がこの世界に来てやりたかったのは、こういうデュエルだよ!」

 

なにやらバトルジャンキーな発言をする遊雅。その後ろでは、『ああ、マスターがあんなに嬉しそうに・・・』とアバターが感動している。イイハナシカナー?

 

とその時、遊雅の脳内に声が響く。

 

『・・・を・・・ている!』

 

 

「・・・ん?」

 

『なにをしている!』

 

「おわぁ!?」

 

『マスター?』

 

 

突如肩をビクッとさせた遊雅を見て首(?)を傾げるアバター。一方の遊雅は、頭の中に響く声と会話していた。

 

「な、なんだ・・・?」

 

『簡単にレッドデーモンズを破壊されるとは、一体なにをしている!』

 

「あん?・・・よく分からんが、ちょっと黙ってろよ!今どうやって状況を打破するか考えてんだから!」

 

『状況を打破だと?話にならん!変われ!』

 

「え、ちょっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

「・・・なんだ?」

 

海馬は、今非常に大満足状態になっていた。遊雅への雪辱戦としてこのシンクロ実演デュエルを行い、今まさに追い詰めたところまで来ているのだ。自身の勝利を目前に、遊雅の最後の悪あがきを看取るつもりでいたのだが、その遊雅の様子が変わった。何か独り言を喚いていたと思ったら、すっと黙り、下を向く。と、すぐ様顔を上げるが、その目に宿る闘志は先ほどとは違う光を放っていた。

 

『「観客よ!見ているがいい!この窮地より、見事勝利を掴む!我がエンターテイメントを見せてくれよう!」』

 

遊雅の宣言に観客が歓声で答える。そんな中十代たちはその様子に疑問符を浮かべた。なんかキャラ変わってね?と・・・。

 

『「俺のターン!!ドロー!」』

 

なぜか光り出したデッキから豪快にドローする遊雅。その際、背中に赤い龍のような紋章が浮かび上がる。遊雅はドローカードを見て、そのままデュエルディスクに叩きつける。

 

「チューナーモンスター、救世竜セイヴァー・ドラゴンを召喚!さらに召喚に成功したため、手札のワンショット・ブースターを特殊召喚!リバースカードオープン、ウィキッド・リボーン!ライフを800払い、墓地のレッドデーモンズドラゴンを蘇生!」

 

LP1000→200

 

『「いくぞ!レベル8、レッドデーモンズドラゴンと、レベル1のワンショット・ブースターに、レベル1、救世竜セイヴァー・ドラゴンをチューニング!研磨されし孤高の光!真の覇者となりて大地を照らす!光り輝け!シンクロ召喚!大いなる魂!セイヴァー・デモン・ドラゴン!」』

 

「これは・・・」

 

現れたのは、どこか神々しい光を伴った紅蓮の龍。その姿に、十代たち観客だけでなく、海馬すら見惚れる。そんなセイヴァー・デモンの下では、カードを掲げ盛大にドヤをかましている遊雅。

 

「ふつくしい・・・」

 

思わずといった感じで呟く海馬を見て満足したのか、遊雅は効果処理に入る。

 

『「セイヴァー・デモン・ドラゴンのモンスター効果!エンドフェイズまで、相手の場のモンスター1体の攻撃力を、このカードに加える!パワー・ゲイン!」

 

「なんだと!?」

 

セイヴァー・デモン・ドラゴンの口から光が発射され、蒼眼の銀龍にあたる。そしてその光を吸い込むと、セイヴァー・デモン・ドラゴンの力が増し、光が一層強くなる。

 

セイヴァー・デモン・ドラゴンATK4000→6500

 

「こ、攻撃力6500!?」

 

「すごいっす・・・」

 

「これは・・・」

 

観客も再起動するが、今度は破格の攻撃力に開いた口が塞がらない。そんな中遊雅は、海馬へと指を向け、最後の一撃を支持する。

 

『「セイヴァー・デモン・ドラゴンの攻撃!アルティメット・パワーフォース!」』

 

セイヴァー・デモンが、蒼眼の銀龍へと圧倒的速度で突っ込む。銀龍もブレスで応戦しようとするが、そのブレスをまともに受けてなお、セイヴァー・デモンは突き進み、銀龍の胴体には風穴が開く。その様をどこか惚けた様子で海馬は見ていた。

 

海馬LP3500→ー500

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最近、久しぶりに仲間と身内デュエル大会をしました。久しぶりにデッキつついて超楽しかった(KONAMI感)
コンセプトデッキ作ってきて使うというルールだったのですが、
作者:ディケイド(プリズマー)
友人A:アーマードコア(マシンナーズ聖遺物)
友人B:ドラクエ(ライトロード聖杯)
友人C:ゴジラ(壊獣kozumo)
友人D:某夢の国(金の城獣族)
友人E:トミカ(ロイド)
なにこれ状態でした(´・ω・`)

次回、諸々の状況説明を入れつつ、セブンスター編です。ここまで影が三沢な登場キャラたちが一気に目立ってくると思います(原作主人公ぇ・・・)


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番外編
番外編 第一回禁止制限ガン無視デュエル大会記録(前編)


どうも(絶望)( ´・ω・`)ノ
次話に入るまでの繋ぎとして、過去に仲間内で行った文字通り禁止制限をガン無視したデュエル大会の内容を書き起こしました(`・ω・´)
作品内とは時系列も何もない関係などない状態です( ;´Д`)
故にいつも以上にお粗末なプレイング等あります。すまんな。
後編は・・・うん、反応を見て投稿するか決めようそうしよう(ヘタレ)

ルール説明
1、ライフは8000、先攻ドロー無しと基本的には現行のルール。
2、ただし禁止制限はない。三積みも可(絶望)
3、なお、今回は優しめにして先攻での「一度の効果での」ダメージが1000を超えるものは発動はできてもダメージ無し扱いとする。(これが無いと一部のデッキが大暴れするので)
4、禁止・制限カードのみ、カードテキストをアニメ版として扱う(せっかくなら強い方の効果で使おうぜ!という悪魔の一声により実現)
5、(無いに等しい)ルールを守って、激しくデュエル!


まずはメンバー紹介をば(作者は代理で遊雅のキャラを使用。友人は適当に似ているキャラ)

 

1、作者(遊雅)

仲間内での評価は「よくわからないデッキ使う奴」。

使用デッキ:ストラク魔改造

 

2、友人A(三沢)

愉悦部員。辛いものとお酒は苦手。典型的な頭はいいがバカな奴。ラヴァゴで除去したはいいが次ターンにそのラヴァゴに殴り殺されたという伝説を持つ。

使用デッキ:プランキッズ(禁止込み)

 

3、友人B(翔)

提督兼人形の指揮官。戦艦について聞くとオタク特有の高速会話を始める。プレイングがそこまで良くないため単純な戦術を好む。最近鉄オタではなく軍オタなのではという疑いがかけられ始めた。

使用デッキ:列車ワンキル

 

4、友人C(海馬)

青眼に惚れ込んで始めた勢。青眼関連のカード以外に全く興味がなく、禁止制限ガン無視なのに一切禁止カードを入れないというある意味で真っ当な奴。

使用デッキ:純正青眼

 

5、友人D(表遊戯)

仲間内で有数の常識人にして、デュエルが得意なフレンズ。最近仲間内での比率で行ったら自分の方がおかしいのではないかと真面目に相談してきた。ワロス。BFや征竜などの過去の環境デッキを好む。最近獣族デッキと戦うと露骨に嫌な顔するようになった。

使用デッキ:魔王閃刀姫

 

6、友人E(鬼柳)

人類悪。外道。鬼。悪魔。今回のデュエル大会の原因(主導者)である。使用デッキでもうお察し。サンボルが帰ってきて一番喜んだ奴。

使用デッキ:全盛期カオス(自重抜き)

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

第一回戦 (友人C)海馬vs三沢(友人A)

先攻 三沢

 

「よし、じゃあ俺のターンからやるわ」

 

「おう、やれやれ。手札誘発あるけどな」

 

「言うんかい!・・・じゃあ俺のターンドロー、は無しと」

 

「ええからはよ」

 

「手札から永続魔法、プランキッズ・プランク、で効果。手札の大暴走切ってトークン出す。ランプ召喚。トークンと一緒にリンク。ドゥードゥル。ランプ、ドゥードゥル効果。デッキからハウス持ってきて、500ダメとドロップ召喚」

 

海馬LP8000→7500

 

「ハウス発動。効果でデッキからパルス持ってくる。ドゥードゥルの効果。リリースしてランプと大暴走を回収。バウンドリンク。墓地のドゥードゥル戻して、マーカーの数ドロー。マーカーは2なので2ドロー。その後2枚デッキ下に戻す。・・・大暴走。手札のパルスと場のドロップで融合。ロケット。ドロップ、パルスの効果。1000回復とパルス召喚、デッキから大作戦墓地送ってランプ召喚」

 

三沢LP8000→9000

 

「ロケット効果。リリースしてドロップとパルス蘇生。4体でリンク。ロアゴン。雷龍融合。墓地のランプ、パルス、ドロップをデッキに戻して融合。ハウスバトラー召喚。ハウスの効果発動。融合したから全体500アップかける。エンドにプランク効果。ロケット、ドロップ、大暴走をデッキに戻して1枚ドロー。ターンエンド」

 

遊雅(作者)「やりたい放題じゃねえか!ってか手札誘発はどうした!」

 

「・・・いやまさかここまでされるとは思わんかった・・・。冗談だったのに・・・」

 

翔(友人B)「どーすんだこれ、生きた羽箒とサンボルがいんだけど。返せんのこれ?」

 

「・・・やるしか無いでしょ。ドロー!っしゃ!古のルール発動!」

 

「あ、増Gで」

 

「なん・・・だと・・・!?」

 

友人D(表遊戯)「あ、終わった」

 

「終わってねえし!青眼召喚!ハウスバトラーは!?」

 

「・・・いや、どうぞ?」

 

「ふははは!覚悟するがいい!手札のもう一枚の青眼を見せて、亜白龍召喚!くたばれ雑魚が!」

 

「ドロー。あー、そうくるのかー・・・。じゃあそのタイミングでハウスバトラー発動。サンボル」

 

「トレードイン!青眼を墓地に送って2枚ドロー!・・・これは!?いけるんじゃね!?」

 

「まーたなんかやらかしそうなことを・・・」

 

「うるさい!思い知れ!高等儀式術!デッキから青眼を墓地に送って、カオスMAX召喚!」

 

「ドロー。・・・まあしゃあないか。亜白龍止めなきゃ意味なかったし」

 

「まだだぜぇ!龍の鏡発動!墓地の青眼3体を除外!来い!青眼究極龍!」

 

「・・・なんでネオじゃ無い方?」

 

「ネオ持ってない!」

 

「あ、そう・・・ドロー」

 

「バトル!究極嫁でロアゴンを破壊!死ねぇぇ!」

 

「3500になってたから1000ダメね。あと、ロアゴンの効果で増G手札に」

 

三沢LP9000→8000

 

「知ったことか!カオスMAX!粉★砕!」

 

三沢LP8000→4000

 

「ふはははは!カードを1枚伏せてエンド!」

 

「ドロー。・・・んじゃまあ、とりまプランクの効果。大暴走を切ってトークン出す。からのランプ召喚。リンクでドゥードゥル。ドゥードゥルとランプの効果。デッキから大暴走持ってきて、500ダメとドロップ召喚」

 

海馬LP7500→7000

 

「今更その程度効くかぁ!」

 

「はいはい。じゃあハウス張り替え。効果でパルス持ってくる。んでドゥードゥル効果。リリースしてランプと大暴走手札に。大暴走発動。手札のランプ、パルス、場のドロップでハウスバトラー。ドロップとパルスの効果以下略。ランプとドロップ召喚。ロックを墓地へ」

 

三沢LP4000→5000

 

「・・・あれ?」

 

「墓地の雷龍融合の効果。除外してパルスを手札に。ハウスバトラーの効果。サンボル」

 

「ぎゃぁぁぁ!?」

 

「んで、超越融合。2000ライフ払って、場の2体で融合、ロケット。超越融合の効果で、これを除外して素材だったランプとドロップを蘇生。ロケットの効果。リリースして墓地のロアゴンとパルスを蘇生」

 

「・・・あっ(察し)」

 

「大暴走。場の3体で最後のハウスバトラー。ハウスで500アップ。ロアゴンの効果で羽箒」

 

「聖バリがー!?」

 

「からの貪欲。ハウスバトラー2体とドゥードゥル、ロアゴン、ロケットをデッキに戻して2枚ドロー。・・・oh。バトル、ハウスバトラーでダイレクト」

 

「あべし!」

 

海馬LP7000→3500

 

「メイン2。カードを伏せ、エンドフェイズにプランクの効果で墓地のハウスと大暴走2枚をデッキに戻して1枚ドロー。エンド」

 

「・・・うぉぉぉぉ!諦めん!ドロー!・・・!カードを伏せ、エンド!」

 

「ドロー。じゃあ羽箒で」

 

「なんでだぁぁぁぁ!クレイモアがぁぁぁぁぁ!」

 

「ダイレクト。対戦ありがとうございました」

 

遊雅(作者)「なんか禁止カード出てこなかったな・・・」

 

三沢(友人A)「俺は入れてたんだがなぁ・・・こなかったな」

 

海馬(友人C)「くっそぉぉぉ!」

 

WINNER 三沢

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

第二回戦 (作者)遊雅vs翔(友人B)

先攻 表遊戯

 

「お願いします」

 

「お願いします」

 

「じゃあ先攻俺な。ドロー。転回操車発動。からのバトレイン召喚、デリックレーン。転回操車の効果でバトレインを召喚。バトレイン2体の効果。500ずつダメージを与える」

 

遊雅LP8000→7000

 

「地味バーンヤメロォ!」

 

三沢「攻撃できないデメリットが全く意味ないな・・・」

 

「続けるぞ。手札のバレットライナーを効果で召喚。バトレインとバレットライナーでリンク。アンガーナックル。レベル10扱いの方のバトレインとバレットライナーでオーバレイ。グスタフマックス。からのランクアップ。ジャガーノートリーベ」

 

友人D「おい、特別ルールでグスタフが機能しない分オーバーレイユニット残ってるからかなり凶悪になってないかあれ!?」

 

「だ、大丈夫だから・・・(震え)」

 

「リーベの効果、素材を1つ取り除いて、攻撃力を2000アップ。エンドフェイズに墓地のバレットライナーとバトレインの効果。墓地のバトレインを手札に戻して、デッキからバレットライナーを手札に。これでエンド」

 

「おい、実質手札消費2枚なのに攻撃力6000が場に残るの本当にやめろ。タチ悪いわ」

 

「いいからさっさとしろ。そして玉砕して死ね」

 

「辛辣!?・・・まあいいや、俺のターンドロー。・・・いや、いけるっぽい?」

 

「え、ちょ、待って」

 

「手札からレディ・デバッカーを召喚。効果でデッキからバックアップ・セクレタリーを手札に。そのまま召喚。手札からサイバース・ホワイトハットを特殊召喚。ホワイトハットとレディ・デバッカーでリンク。クロックスパルトイ。ホワイトハットの効果で相手の場のモンスターの攻撃力をターン終了時まで1000ダウン。スパルトイの効果でサイバネット・フュージョンを手札に。場にレベル3モンスターがいるのでサイコウィールダーを召喚。魔法発動、死者蘇生。ホワイトハットを蘇生して、スパルトイとホワイトハットでリンク召喚。トランスコードトーカー。ホワイトハットの効果発動、さらに1000攻撃力をダウンさせる。墓地のスパルトイをトランスコードの効果でリンク先に蘇生。トランスコード、スパルトイ、ウィールダーの3体でリンク召喚。揚陸群艦アンブロエール。魔法発動、サイバネットフュージョン。アンブロエールと手札のクロックワイバーンを融合。サイバースクロックドラゴン。効果。素材となったアンブロエールのリンクマーカーの数、4枚をデッキから墓地へ送り、このターンの間攻撃力を1枚につき1000アップする。4枚送ったので4000アップ」

 

「なんでわざわざアンブロエールにしたし。トランスコードとスパルトイで5000アップいけたやん」

 

「・・・いや、俺が狙うのは9000アップだ」

 

「どういうこと・・・いやいやいやいや、マジで言ってんのかおい!」

 

友人A「あ(察し)」

 

友人C「あーあ、アンガーナックル今攻撃力0だよな?終わったな」

 

「行くぞ!サイバースクロックドラゴンとセクレタリーでリンク召喚!クロックリザード!効果発動!このカードをリリースし、墓地のサイバースクロックドラゴンをEXデッキに戻し、墓地のアンブロエール、トランスコードトーカー、クロックスパルトイ、クロックワイバーンを除外!融合召喚!サイバースクロックドラゴン!効果発動!デッキトップから9枚墓地へ!攻撃力、11500!」

 

「ざけんな!お前の方が火力バカじゃねぇか!」

 

「ふははははは!あ、マキュラ落ちてる」

 

「えぐいの入れてんな!?ってかまた禁止カード関係ないじゃねえか!今の環境どーなってんだ!」

 

「死ね!アンガーナックルを攻撃!」

 

「うそーん・・・」

 

「勝った!第3部、完!」

 

「まだ二回戦だよバカ」

 

WIN 遊雅(作者)

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

第三回戦(友人E)鬼柳vs表遊戯(友人D)

先攻 表遊戯

 

「お願いします」

 

「お願いします」

 

遊雅「おいおい、一番まともな始まり方してんぞ」

 

友人A「対戦者はだいぶヤベーやつだけどな」

 

「ほっとけ」

 

「じゃあ先攻もらって、俺のターン。まずは閃刀起動ーエンゲージを発動。デッキからエリアゼロを手札に。そのまま発動。カードをセットし、エリアゼロの効果発動。セットカードを指定してデッキトップから3枚を見る。ウィドウアンカーを手札に加えて、残りをデッキへ。セットカードは破壊される。閃刀姫ーレイを召喚。効果発動。リリースして、シズクを召喚。俺の闇属性モンスターがリリースされたので、手札のディアボロスを召喚。カードを1枚伏せ、ディアボロスの効果。自身をリリース。さあ、手札をデッキに戻せ」

 

「・・・オッケー、一番下に」

 

「エンドフェイズ、シズクの効果でハーキュリーベースを手札に。ターンエンド」

 

「俺のターンドロー。・・・あ、ごっめん」

 

「ゑ・・・?」

 

「手札から、魂の解放を発動。お前の墓地のカードを全部除外する」

 

「はぁぁぁぁぁぁ!?」

 

「からの、サイバードラゴン召喚、シズクとサイバードラゴンを墓地へ送る」

 

「ま、まさか!?」

 

「キメラテックフォートレスドラゴンを召喚」

 

「ぐっ・・・だが、リバースカードオープン、ウィドウアンカー!効果を無効だ!」

 

「マジックカード、隣の芝刈り」

 

「なああああ!?」

 

「俺のデッキは60枚あった。今の残り枚数は54枚。お前のは・・・32枚か。おけ、22枚墓地に送るな!さらに墓地の光と闇を除外してカオスソルジャー召喚!死者蘇生!墓地の混沌の黒魔術師を蘇生!効果で死者蘇生を手札に!もう一度発動!もう一体混黒蘇生!効果で死者蘇生回収!まだまだ、蘇生!死者蘇生を手札に!混黒とカオソル、キメラテックフォートレスでリンク召喚!混沌の戦士カオスソルジャー!死者蘇生!混黒蘇生!今度は天よりの宝札を回収!墓地の光と闇を除外、混沌帝龍を召喚!カードを伏せ、天よりの宝札を発動!手札が6枚になるようドローだ!」

 

「お願いしますカカシ来てくださいお願いしますお願いします・・・」

 

「・・・引けた?」

 

「相手に聞くな相手に!」

 

「リバースカードオープン、強引な番兵!」

 

「はぁ!?」

 

「・・・じゃあこのかかしくんをデッキに戻してもらおうか!」

 

「やめろぉぉぉ!こんなのデュエルじゃねぇよ!」

 

「ついでで使いたいから魔法発動、いたずら好きな双子悪魔!1000ライフを払うぜ!」

 

「ぎゃあああ!?」

 

「とどめぇ!全モンスターでダイレクトアタック!」

 

「うわぁぁぁぁぁん!」

 

WIN 鬼柳

 

鬼柳「はぁ・・・やっぱカオスは素晴らしい・・・」

 

三沢「・・・なんかもうあいつとやりたくないんだけど」

 

遊雅「・・・同感」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

前半戦 END

 

勝者

三沢

遊雅

鬼柳

 




実際にやった内容そのまんまなんで、プレミがあってもしょうがないという気持ちで見てくれましたら幸いです。
次回は、ちゃんと本編を投稿しようと思います。
・・・生きていれば(-_-;)


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第3章 セブンスターズ編(という名の蹂躙劇)
第37話 そういうの・・・嫌いじゃないわ!


もはや恒例、タイトルと内容は関係ないとです。

※今回の内容ではタッグデュエルがありますので大雑把なルール説明
1、場は共有(メインモンスターゾーン、魔法罠ゾーン、墓地)
2、デッキに戻る系の効果処理は、ターンプレイヤーのデッキに戻る。
3、ライフ共有、8000
4、手札抹殺等の効果は、ターンプレイヤーのみ有効
5、カードは創造してはいけません。ドローする前に突然カードがデッキトップに飛んできたりしてはいけません。地面からドローしてもいけません。


「・・・で、どういうことか説明してもらいましょうか」

 

海馬とのデュエル終了後、視線だけで人を殺せそうなほどに睨みつけながら賞賛の言葉を述べる海馬と、観客の拍手に見送られながら会場の控え室へと戻った遊雅。その目の前には、ぼんやりとした、存在感の希薄な男がいた。白い、棘などの装飾過多なコートを着た男。その正体は、先程遊雅へと憑依していたキング、ジャック・アトラスである。

 

「なぜ怒っている?デュエルには勝てたではないか」

 

「そういう問題じゃねぇっての!まずなんで勝手にデュエル変わってんだよ!ってかそもそも俺に憑依するとかどーいう事だ!あのセイヴァーデモンはなんだ!俺のデッキには入ってなかったぞ!?そしてお前は誰だよ!」

 

『マスター、落ち着いて・・・なんか相手の目が点になってます』

 

うがーっと吠える遊雅を、少し動揺しながらアバターが止める。その様子を、「なんで情緒不安定なんだ?」とキョトンとして眺めるジャック。そんな彼は、控室に着くなり正座させられていた。最初は不満を吐露していたが、だんだんと遊雅の目からハイライトが消えて行くのを見てからは、黙って座っている。

 

「説明と言われても、俺にもよくわからんのだから説明のしようがない。一体何に怒っているんだ・・・。毎回毎回、クロウといいお前といい、怒ってばかりでは疲れるぞ?」

 

「勝手に体使われて、勝手にデュエルを交代されたんだよ!そりゃ怒るだろーが!・・・ん?俺あんたに会ったことあるか?」

 

ジャックの言葉に、疑問を持つ遊雅。そんな中、突如遊雅達の側に別の人物が現れる。

 

『それに関しては、俺から説明するぜ』

 

「あん?あ、あんた・・・初めてなんか憑依された時の・・・」

 

どこかの学ランを着て逆三角錐を鎖で首にかけた、その目つきの鋭い男は、遊雅に微笑みかけて続ける。

 

『俺のことは・・・まあ、なんとでも呼んでくれればいい。今は、君の「中」に存在する亡霊みたいなものだからな』

 

「霊?」

 

その後、裏遊雅(仮称)の話を総合すると

 

・遊雅が別の世界線で親しくなったデュエリストが霊体として力を貸している。

・裏遊雅は基本自由に憑いたり憑かなかったりする。

・憑依している間は憑依対象のデッキと霊体のデッキが混ざったような状態になる。

 

ということがわかった。

 

「・・・つまり、今いる俺とは違う『俺』が出会った人たちが力を貸してくれていると?」

 

『まあそういうことになる。・・・俺たちの目的は、君の力になることだ。そこの男も、決して君を貶めようとしているわけじゃないんだ。許してあげてくれ』

 

『そうだ、デュエルを助けてやったのだぞ?むしろこのキングと共にデュエルできたことを光栄に・・・』

 

そこまで喋って、自称キングはアバターに触手ブローをもらって吹っ飛んでいった。お前触れんのかい。

 

「とにかく、できれば俺が許可した時とか、助けて欲しい時だけ憑いてもらう方がいいんだけど・・・」

 

そう言って裏遊雅の方へ向くと、渋い顔をしていた。

 

『・・・どうだろうな、俺はともかく、彼のように感情的になって憑依する人だっているだろう。そこは残念だが保証できないかもしれないな。すまない』

 

ちらりと、アバターと言い合いをしているジャックを見てから謝罪をする裏遊雅。遊雅はそれを慌てて制しながら答える。

 

「ああ、別にあんたに謝ってもらわなくても・・・そうか、それはもう個別に会うたびに交渉するしかないかぁ・・・」

 

そう言ってアバターと未だ言い合いをしているジャックを見て、遊雅と裏遊雅はため息をこぼすのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

翌日、アカデミアに帰還した遊雅を出迎えた十代達から、別人のようだったという話をほおを引きつらせながら聞いた遊雅だったが、昼頃突如放送が流れたことで話題が変わる。

 

『本日放課後、デュエルアカデミアノース校との対抗デュエルが行われます。遊雅君、丸藤亮君、2名は校長室へ来てください』

 

「響先生の声っすね」

 

「誰?」

 

「知らないのか十代。3年の担任としてやってきた新しい先生だよ」

 

みどり先生を知らなかった十代に呆れる三沢。「ああ、あの女の先生ね」と若干怪しげながらも覚えていたようで、十代は苦笑いしている。それを見てさらにジト目になった三沢は、話題を遊雅に振る。

 

「遊雅が呼ばれていたが、ひょっとして対抗戦に出るのかい?」

 

「んにゃ、聞いてなかったけどなぁ。今から聞かされるのかもな」

 

「でも兄さんも呼ばれていたっすよ。どういうことなんすかね・・・」

 

言ってみりゃあわかる、そう言って遊雅は校長室へいくのだった。

 

 

 

 

「やあ遊雅君、さ、そこに座って」

 

校長室へ着くと、すでに亮は到着しており、机越しに鮫島校長と対面して座っていた。軽く亮と校長に会釈しつつ遊雅が亮の隣に座ると、鮫島校長は真剣な顔で話し始める。

 

「さて、すでに放送でも流した通り、今日の放課後、デュエルアカデミアノース校との対抗デュエルがある。そこで、君達二人に我が校を代表してデュエルしてもらいたい」

 

予想の範疇をでない言葉に、まあこういうのも面白いからいいか、と思いつつ遊雅は頷く。しかし、亮は疑問があったようで、少々首をかしげる。

 

「去年の対抗戦は一対一のデュエルではなかったですか?2人呼んだのには訳が?」

 

その言葉に、若干困った顔をしながら校長が答える。

 

「それが、ノース校の校長からの強い進言を受けてね。何が目的なのかと聞いても、「両校の実力をたった1人の生徒のみで測るのは難しいのではないか」という一点張りで聞かなかったのだよ。そこで、今回の対抗戦はタッグデュエルとなったんだ」

 

「それって・・・」

 

「つまり・・・」

 

2人が驚きながらつぶやいた続きを、校長がニヤリと笑いながら続ける。

 

「そう、我が校が誇る最高の生徒として、2人がタッグを組むのだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後になり、授業が終わったアカデミア本島のデュエル場、その中でもひときわでかい一つには、本島・ノース校の生徒がごった返していた。

 

「うひゃあー、すげえ数。昨日の実演デュエルに負けてないぜ」

 

「ああ、だがそれだけ見る価値があるからね。あのカイザー亮と、現時点で唯一の公認シンクロ使い遊雅。我が校のトップ2人がタッグを組むなんて、まさにドリームマッチだよ」

 

「くっそー、俺もあそこに立ちたかったぜ!」

 

悔しそうにしている十代に、三沢が「どっちと組みたかったんだ?」と聞くと、十代は「どっちも!」と言い、三沢は呆れている。そんな中、デュエル場を見ていた翔が声をあげる。

 

「出てきたっす!」

 

デュエル場には、ゆっくりと歩きながら、青いアカデミア制服に身を包み、見る者を圧倒するオーラのような者を放つ2人が現れる。

 

「まさか、リベンジマッチの前に共闘とはな」

 

「全くだ。まあ、今は置いといて」

 

「「勝つぞ」」

 

2人が歩きつつ拳を合わせると、本島側の生徒から歓声が上がる。そして、2人が場に上がるとともに、ノース校側の入り口からフード付きマントを被った生徒が現れる。

 

「ん?1人?あと1人はどこだ?」

 

三沢が疑問を口にする中、ノース校側から歓声が上がる。

 

『サンダー!サンダー!サンダー!』

 

「うわびっくりした!」

 

「なんなんすかね?この掛け声」

 

唐突に始まったサンダーコールに戸惑う本島側の生徒。そんな中、ノース校の生徒はマントをバッと剥ぎ取る。

 

「・・・ほう」

 

「え、まじかよ」

 

「ええええええ!?」

 

「まさか!?」

 

「なんで!?」

 

亮、遊雅、十代、三沢、翔の順に声が上がる。本島側生徒も驚きの声を上げる。

 

「アカデミアよ!俺は帰ってきた!!」

 

『サンダー!サンダー!万丈目サンダー!』

 

そう言って指を天高く築き上げたその男は、かつて遊雅に散々にやられ、失意のうちに失踪した万丈目その人であった。

 

「遊雅!ようやく、ようやく貴様に敗北という苦汁を舐めさせるときがきたぞ!」

 

「はっ!二度あることは三度あるってな!返り討ちだよ!」

 

遊雅をビッと指差し宣言する万丈目に、不敵な笑みで返す遊雅。そんな中、カイザー亮が冷静に指摘する。

 

「そちらのパートナーはどこだ?遊雅へのリベンジは大いに結構だが、これから行うのはタッグデュエルだ。パートナーがいなければ話にならない」

 

「わかっているさカイザー。俺のパートナーはこいつ、いや、彼女さ!」

 

そう言って自分が入ってきた入り口を振り向いた万丈目。そこからゆっくりと入ってきた女生徒に、今度は遊雅が目を見開く。

 

「レイン!?」

 

「・・・久しぶり」

 

そこにいたのは、未来で別れたレインだった。一体なんで、と言った表情の遊雅に、相変わらずの無表情で説明するレイン。

 

「・・・マスターに少しだけわがままを言った。パラドックス様に頼んでこちらにいてもいいように取り計らってもらった」

 

「なんでまた・・・じゃあなんでノース校に?」

 

「・・・わからない」

 

「あいつ何してんだよ・・・あれ?お前の戸籍とかは?前回は適当に短期間だけ誤魔化してたんじゃなかったか?」

 

「名目上遊雅の妹扱いで登録してる。・・・よろしく、お兄ちゃん」

 

「あいつまじで何してんの!?」

 

頭を抱え出した遊雅に、生徒たちが遊雅が頭抱えてる・・・という驚愕の目線が突き刺さる。そんな中、万丈目達ノース校側が揃ったことにより、審判のクロノス教諭がデュエル場に現れる。

 

「それデーは、これより、ノース校代表対アカデミア本島代表の、タッグデュエルを始めるノーネ!」

 

「遊雅・・・遊雅・・・!」

 

「・・・」

 

遊雅へのヘイトがカンストし、殺意の波動に目覚めたかのような万丈目と、いたってニュートラルなレイン。

 

「カイザー、いや亮。タッグデュエルは互いの連携が肝だ。俺の方で合わせるから、気楽に動いてくれ」

 

「わかった。俺は俺にできることをやろう」

 

基本的に真面目なカイザーと、サポートに徹するとした遊雅。両者の準備ができたことを確認して、クロノス教諭が合図を出す。

 

「それデーは・・・デュエル開始!ナノーネ!」

 

「「デュエル!!」」

 

遊雅・カイザー

vs

万丈目・レイン

 

先攻 万丈目・レイン

 

「俺のターン!ドロー!」

 

勢いよくデッキからカードを引く万丈目。その後、一瞬考え、カードを切る。

 

「手札から魔法カード、竜の霊廟を発動!トライホーンドラゴンを墓地へ送り、さらにもう一枚、アークブレイブドラゴンを墓地へ!」

 

まずは手堅く墓地を肥やしていく万丈目。それを見ながら、遊雅は亮へと呟く。

 

「あいつのデッキは純粋な力押しのドラゴンデッキ。三沢とのデュエルでも出してたが、シンクロを使ってくるから気をつけろ。レインはアンデッドデッキで、高速連続シンクロ、特に「氷結界」系統のシンクロには気をつけろ」

 

「わかった」

 

遊雅の言葉にわずかに頷く亮。そんな2人、いや遊雅のみを見据えつつ、万丈目がターンを続行する。

 

「俺は、墓地のトライホーンドラゴンを除外し、輝白竜ワイバースターを特殊召喚!そして、手札からレッドリゾネーターを召喚!効果で、手札のインフルーエンスドラゴンを召喚!レベル4のワイバースターに、レベル2のレッドリゾネーターをチューニング!シンクロ召喚!現れろ!レベル6、レッドライジングドラゴン!さらに召喚時効果で、墓地よりレッドリゾネーターを特殊召喚!レッドリゾネーターの効果により、レッドライジングドラゴンの攻撃力分ライフを回復する!」

 

LP8000→10100

 

「いきなりライフアップか。先手としちゃあいい動きじゃねぇか」

 

「まだだ!ワイバースターの効果でコラプサーペントをデッキからサーチ!墓地のワイバースターを除外してコラプサーペントを特殊召喚!」

 

あっという間に場にさらなるモンスターが集まる。怒涛の展開に、亮と遊雅が流石に苦い顔をする。

 

「まずいな」

 

「ああ、万丈目のやつ初っ端からかっ飛ばしてる。後詰としてパートナーがおるから、こういうのもアリってことか」

 

そして、万丈目の場はより強固になってゆく。

 

「レベル6、レッドライジングドラゴンに、レベル3のインフルーエンスドラゴンをチューニング!俺の怒りを業火へと昇華せよ!シンクロ召喚!琰魔竜レッドデーモン・アビス!」

 

場に現れたのは魔を統べる紅蓮の竜。万丈目の手に渡ったレッドデーモンが、さらなる進化を遂げた姿だった。

 

「これは・・・」

 

「ちょっとしゃれになんねーかなぁ・・・」

 

呆然と見上げる亮と、っべー、まじっベーわ・・・と呟いている遊雅。そんな2人と、相方のレインすらよそに、万丈目のターンは続く。

 

「手札から魔法カード、波動共鳴!場のモンスター一体のレベルを4にする!俺はレッド・リゾネーターを選択!レベル4、コラプサーペントに、レベル4となったレッド・リゾネーターをチューニング!こい!ダークエンドドラゴン!」

 

万丈目達の場に、2体の上級シンクロドラゴンが揃った。二体が咆哮する中、万丈目は遊雅を見据え叫ぶ。

 

「さあ来い!貴様の全てを、この俺が打ち砕く!」

 

その言葉に、遊雅はニヤリと笑った。

 

「おう、いいね。こういう戦いを待ってたんだよ俺はぁ・・・!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アカデミア本島にて2校の雌雄を決する戦いが繰り広げられている時。島のビーチに、人知れずボートが一隻止まった。堤防があるにもかかわらずそこではなくあえて浜辺に、それも一目につかないところへと停泊したそのボートから降りてきたのは、絶世の美女といっても過言ではない女だった。

 

「ふふっ・・・ここがアカデミア。都合のいいことに、今は催し物をしているようね。今のうちに準備しておこうかしら」

 

どこまでも妖艶で、それでいてどこか不気味なその女は、その手に持つ2枚のカードを見てほくそ笑んだ。

 

「『幻魔の扉』とこのカードさえあれば・・・。計画は成功したも同然ね。うっふふふふふ。あっははははははははははははは!」

 

高笑いしつつカードを空へとかざす女。沈みゆく夕日に照らされ、一枚の魔法カードと、一枚の漆黒に塗りつぶされたかのような黒いカードが怪しげに光るのだった。




というわけで、始まりまっせセブンスターズ編、ということなのですが、意外ッ!それは万丈目ッ!ということで次話までは対ノース校戦です。しっかりとしたデュエルは次回。


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