俺の扱いがすごいです。 (朧月朱狐)
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転生します
ただ今俺は真っ白な空間にいる。
あれか?よく夢小説とかにでてくる神の空間やら時空の狭間とかいうところか?
いやそれ洒落にならないんですけど!?
という事は俺死んだの!?
あ~そういえば公園で歌っていたとき何か悲鳴と銃声が聞こえてきて
何だろうなぁと思った矢先に明らかに異常だろうと思う男がこっちに銃口を
向けて来てそれで撃たれたんだ。
今思えば外国かっとツッコメれるよ。
通り魔ですか、日本の通り魔ってナイフとか刃物とかで
外国がマシンガンとかの銃なのか~と思っていたよ。
うん、これで一つ勉強になった…じゃっねぇよ!
死んだから勉強になったとかじゃないよ!?
でここってまさかの転生ルートになる訳?
まぁ歌えればどこでもいいや。
「ほっほっほっ歌えればどこでもいいんじゃな」
「おっふ!?」
いきなり背後から立派な髭をした爺さんが現れたよ。
この展開からしたらこの爺さん神様なんだよな~。
「でお主は歌えればどこでもいいんじゃな」
「まぁそうだけど」
生前の俺は某笑顔動画投稿サイトでは歌い手をしていた。
これが俺は俗にいう両声類だった訳で、そっち方面の友人が
組まないかと言ってきたため面白そうだったからのった。
最初はあまり再生回数はなかったけど、認められたのかどんどん再生回数が
増えていき、ファンまで出てきた。
今じゃ上位ランクに食い込むまでなった。
「で、神様」
「さすがだのう、分かるのか」
「妹にあんだけ読まされちゃ分かるわ」
なんというか俺の家というか家族はオタクなのだ。
それも両親までもがというある意味では理想の家族。
まぁそんな両親を持ったために俺も妹も完全に染まったのだが
特に妹は酷かった。
腐女子になったのだ、それも母親から直々に叩き込まれている。
しかも母親の場合に副職にBL小説を書いている。
妹は同人会では有名な書き手だ。
小説も漫画も書く、二次から三次まで果てには実の兄を使ってBLを書くしまつだ。
俺が学校のしかも顔が良い友人やらを連れてくるとノート片手に
凄い勢いで書くのだ、その時の妹言ったら……怖い、マジ怖い
しかも何故か俺は全て受けなのだ、ちょっと小柄な奴でも年下の奴でも連れて来ると
「体格差萌えー!!」とか「年下攻め萌えー!!」やら発狂するのだ。
妹がこれでは母親はもっと酷い。
母親は父親までも使い俺と絡めてきたり題材にしてきたりする。
これを知ったときはさすがに父親に言った。
「何かネタに使われてるんだけど!?」
「ははは、何時もの事だから気にしたら負けだよ」
とにこやかに返して来るものだから、そうじゃなかったら結婚しないよなぁと改める。
そんな訳でその影響を受け、色々と同人誌読んだり(書いた原稿を読まされるんだよ)
PCで夢小説を読んだりゲームをしたりした。
「それで俺はどうなるの」
「うむ、夢小説などの展開からすればお主は儂のミスで死んだことになるのじゃが
実はあれは元々お主が辿る運命だったのじゃよ」
「はい!?」
ていうことはアレですか。
あの死亡はミスでも悪戯でもなく俺があそこで死ぬことは最初から決まっていたことか!?
「だったらなんで俺はここにいるんだよ」
「うむ、それはな」
「それは…」
「儂がお主の歌の大ファンだからじゃ」
「はいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」
「あとでお主の運命帳を見ればちゃんと書いてあってのぉ
ファンとしてはもうお主の歌が聴けないのは死活問題なのじゃよ」
「そんな理由か!?」
まさかのまさかだよ、コレ。
いきなり神様からファンだ言われても、というか神様でも見るんだ。
「それでのお主には儂からのお願いとして、転生して欲しいのじゃ」
「どこにだよ」
転生して欲しいと言われても変な世界だったらマジ潰す。
「ポケットモンスターの世界じゃよ」
はい、まさかのキター。
ポケットモンスターってあれですか。
ポケモンですよね、俺アニメ知識しかほとんど持ってないんですけど!?
ゲームは妹が独占してたからキャラ名しか知らないんだけど。
一回もやらせてくれなかったよ。
これでゲームだったら俺終わった。
「だろうと思っての、アニメの方にしておいたぞ」
爺さんあんた神だよ!!
「儂は元から神じゃよ」
すんません、よかったアニメの方なら映画も全部視たし、TVの方も飛び飛びだけど
肝心な話はちゃんと見てから大丈夫…だよな?
「まぁそれで転生にするにあたってお願いがあるのじゃよ」
おう、ドンと来い。アニメにしてくれたんだ多生の無理なら引き受けるぜ。
「儂の友人のポケモンたちに会ってほしいのじゃよ」
あんたの友人ってことは伝ポケとかでしょうが!
なにそのサトシ並みのフラグの建ち方。
俺にサトシと同じことさせようとしてるの。
「別にそうではないのじゃが、伝ポケと言っても色違いのじゃよ」
逆にそっちの方が無理あるだろ。
伝ポケでさえレア組なのに色違いと言ったらそのまたワンランク上だろ。
サトシ以上のフラグの建ち方はやめてください。
俺はフラグ建築士じゃありません。
「実はのぅ色違いというのはあまりにも珍しい、そ奴らは儂の友人の兄弟なんじゃが
色違いという理由で引きこもってしまっての、どうにかしてほしいと言われたんじゃが
儂の力ではどうすることもできん。そこにお主が現れたんじゃよ」
なんか繋がった気がする。
要するに俺に歌でそいつら引っ張り出せとかそういうこと。
「話が早くて助かるのぉ、それじゃぁさっそく」
特典でもくれるの?
「今回の目的は色違い伝ポケを引っ張り出すことじゃ。
それでのお主の手持ちは全部色違いにしてもらう」
や~め~て~!!
お願いフラグ建てないで、狙われる可能性大だよ。
「それにちゃんとお主の声は両声類にしておくでの」
それは有難い。
男声だと歌える曲も決まってくるし。
「それからの色違いとの遭遇率を上げるために
通常からは逃げる・威嚇・突進などされるが
色違いからは甘える・飛びつく・体当たりなど懐かれるようにしておくでの
森に入ったら気をつけるのじゃぞ」
死亡グラフも建てないでー!!
突進なんかされたらマジ死ぬから!
っていうか色違いより通常の方が数が多いでしょう!
死ぬ、外に出た瞬間死ぬ。
「それと色違い限定で言葉が通じるようにしておいたからの
後の設定はこちらでやっておくからの」
余計にフラグ建てないで。
マジ狙われるからロケット団とかギンガ団とかイッシュに行ったらプラズマ団とかに!
あぁありがとうございます。
「それでは行って来い、ちゃんと絡んでくるのじゃぞ
あと満月と新月の日は女体化するようにしておいたぞ」
ん?ちょっと待て今不吉な言葉が…
ってよく見ればあいつ何持ってんだ!?
お前腐った神だったのか!?
しかも絡み希望に女体化だと!
天は俺を見放していたのか!
そこに立っていた俺は足場がなくなるの感じ落ちていった。
頭の中ではこれからのことで不安だった。
あの爺さんの余計な一言のせいでっ!
落ちていく俺はそこで家族の姿を見た。
そこは式場で俺の身体があり、葬式だと一目で分かった。
両親に妹は俺の身体を眺めていた。
見ていると声が聞こえてきた。
「お兄ちゃん、もし転生するなら二次元だよ!それで男になるんだよ!それで絡んで!!
でも女体化もおいしい、どうせなら両方で!!!」
お前はそこでもその方向か!
少しは悲しんでくれ、というかその状況にこれからなるのだから空しい。
「あんたがいなくなるのは悲しいわ」
母さん…
「次の世界でもちゃんと絡みなさい、それで妄、想像して書くから」
あんたもかーーーー!!
しかも言いなおしたよ、絶対妄想って言おうとしたよね!
ここでもネタにされるのか。
「頑張ってきなさい」
父さんあんた何者だよ。
でもありがとう勇気がでてきたよ。
こんなのでも俺の家族だもんな。
今までありがとう。
っていうか俺の扱いって酷くない!?
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出られません
俺がこの世界、ポケモンの世界に生まれて四年が経った。
俺はシンオウ地方のズイタウンに生まれた。
ズイタウンは育て屋が多く、広大な土地が広がっているため育て屋業に向いているとか。
俺の母さんもここで育て屋をしている。
母さんはポケモンドクターの兼任もしていて、毎日ほどではないがポケモンセンターや同業者の育て屋に検診しに行くこともある。
反対に父さんはポケモン博士で母さんの仕事を手伝っている上でポケモンの生態を
観察したり研究したりしている。
でも一番驚いたことは俺の家の育て屋は結構大きいということだ。
一度だけ地図を見たことがあったけど、家がある場所はズイの端でトバリシティと
隔てている森の近くにあった。
森が近く、育て屋としてはかなりの土地持ち。
聞いたところズイタウンの中でも一、二を争うほど有名だそうだ。
俺には四つ上の兄がおり、再来年には旅に出る予定だ。
それに去年には妹も生まれた。
ただ妹には普通に育って欲しい。
それで普通の子供なら外に出て友達と遊んだり、野生のポケモンを見たりするのだが
あの爺さんのせいで外に出られなくなっている。
うちは育て屋をしているから色々な種類のポケモンがいる。
しかも通常色のポケモンだ。
ごくたま~に色違いがいたりするが、ほとんどが通常色のポケモンだ。
以前外に出た瞬間、睨まれたり、逃げられたり、一度森の近くを通ったらそこにいた
虫ポケモンなどから糸を吐かれたり攻撃された。
そのせいで迂闊に外には出られないし、出るとするなら母さんか父さんと出るしかない。
旅に出られるのは六年後だとしてもこのままじゃ体力はつくれないし
情報を集めることもできない。
これだけは爺さんを恨むわ。
歌の練習はもちろんしている。
まだ四歳児の俺にはまだはっきりとした音階は無理だけど
発音は意地でも頑張ったから結構はっきりと言えてる。
でも最近では妹を寝かしつけるのは俺の役目になりつつあった。
母さんに子守唄歌って言われたときは驚いたけど母さんは音痴だから
俺に頼んだという事はすぐに分かった。
それから暇な時は前の世界の曲を思い出しながら歌の練習に励んでいる。
それで気づいたことがもう一つ。
音階があやふやな歌の練習をしていたとき、近くには傷ついたポケモンがいた。
どうやら母さんが見つけて運んできた野生のようだけど
問題はそのポケモンが俺の歌を聞いた時だった。
ポケモンが微かに光り、徐々に傷が癒えていったのだ。
自己治癒にしても早く、何が起こったのか分からなかったけど。
疑問に思った俺はこっそり、傷ついたポケモンの側で(ちゃんと姿は見えないように)
歌ったら同じことがまた起きた。
何度も試したら、傷だけではなく体力も回復できるようで、完璧に俺の歌は
癒しの歌にランクアップしていた。
分かった瞬間、爺さんの馬鹿野郎と天に向かって吼えたのはいい思い出だ。
あと波動が使えた、もうどうにでもなれ…
ここ一年ほどで、俺は爺さんに与えられたある意味理不尽な特典をほとんど確認できた。
それを考えると外に、旅に出るのは危険だけれども、それでもやっぱり外には出たい。
だけど出ると今の子供の身体じゃマジで危険なのでもう少し大きくなってからにしよう。
マジで恨むぞ爺さん。
特典のせいで外に出られない主人公です。
次は二年後ぐらいの設定でパートナーの出会いを書きます。
その次には主人公設定を載せます。
2013/07/06 加筆修正
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パートナー
五歳になった俺は森に出ていた。
危ないことは分かっているのだが、いつまでも家に居ては引篭もりになりそうだったから
外に出ている。
対策としてはポケモンの姿を見たら全力ダッシュをすることだ。
そのおかげで足腰は結構鍛えられたと思う。
近所の子達や兄さんに負けない自信がある。
そんな訳で今日は少し遠出することにした。
鞄に必要な物をつめ、何かあったときのために食料も詰め込む。
ズイタウンとトバリシティの間にある森に来ている。
記憶が確かならトバリシティはシンオウ地方でのサトシのライバル、シンジがいる街だ。
だけどそこまでは行かない。
今日はあくまでも少し遠出するだけだ。
子供の足では一日以上かかってしまう。
森を歩いていて太陽が真上に来ているので、昼頃だということがわかった。
見渡すと結構奥まで来たようだ、まぁ歩いたし所々走ったりもしたし当然かもしれないけど。
ここで引き返さないと暗くなるまでには帰れない。
俺はそこで踵を返そうとした。
その時だった。
【助けて…】
声が聞こえた。
空耳と思ったがこんなところに人がいるとは思わないし、ポケモンの鳴き声でもない。
そうなるとあの爺さんがつけた特典、色違いポケモンの言葉が通じるそれしかない。
俺は声が聞こえる方向に走り出した。
その声はどんどん大きくなっていき、辿りついたのは大きな洞窟の入り口。
「いかにも何処かの組織が使っていそうな場所で」
だけどここから声がする。
手持ちにポケモンが一体もいないのが心もとないが行くしかない。
鞄の中から持ってきておいたライトを点け中に入る。
結構奥深く、入り口から500mはゆうに離れているだろう。
近づくにつれて人の声もするようになった。
明かりも見え始め、影からそっと覗くとアニポケで見たギンガ団の制服が見えた。
そうなるとここはギンガ団のアジトの一つだと分かった。
何やら話しているが少し遠いために聞き取りにくい。
暫く待つと何処かに行くようで、誰もいなくなったのを見計らい、近づく。
そこには一匹の蒼いヒコザルがいた。
あれ、確かヒコザルの色違いってピンクに近い色合いじゃなかったっけ?
前の世界で色違い図鑑を見たときにヒコザルの色違いを見たときを思い出した。
考えていると一つの答えに導き出された。
ここはギンガ団のアジトの一つ、しかも周りは研究機材らしきものがたくさん置いてある。
それだけでもすぐにわかった。
サイトでポケモン小説を読んだとき見た事がある、実験という単語が浮かんだ。
なればすぐにでもこのヒコザルを連れて逃げなければ。
周りを見渡し他にもポケモンがいないか探したがヒコザルだけしか見当たらない。
すぐに俺はヒコザルを抱え走った。
さっきの奴らが戻ってくればすぐにバレる。
その前にここから一歩でも多く逃げなければ。
俺は全力疾走しできるだけ遠くへと思いながら走った。
走って走って、息も上がり辛くなってきた。
一度立ち止まると見慣れた森だった。
どうやら我武者羅に走ったのにも関わらずちゃんとズイタウンに戻ってきたみたいだ。
息を整え、そこに座り込む。
腕の中のヒコザルは眠ったままだった。
起こすのはしのびないが起きてもらわないと少々困る。
優しく揺するとゆるゆると瞼をひらく。
そこには綺麗な蒼の瞳があった。
「おはよ~気分はどう?」
【誰だ!?お前】
「うん?俺?俺はズイタウンのアジュール、言いにくいからアルでいいよ」
【ここはどこだ?】
「ここはズイタウンの森の中、でさっき君がいたところはズイタウンとトバリシティの間の
森にある洞窟。ここまでok?」
【俺はどうなったんだ?】
どうやらこのヒコザル、自分がどんな状況だったのか、しかも毛並みが変わっていることに
気付いていない。
薬で眠らされていたか、あまりの恐怖に強制的に意識を落としていたのか。
両方ありえるな。
じゃぁあの声は無意識に出していたみだいただな。
出していたこと自体に気付いてないし。
「あぁ、君さ自分の毛並みの色覚えてる?」
【そんなのオレンジ色の毛並みだぞ】
やっぱり、あのギンガ団この子を使って何かやっていたわ。
とりあえず今度遭遇したときはそれ相応のお仕置きは必要だな。
「残念だけど、君は今綺麗な蒼色だよ」
【嘘だ!!!】
そりゃそうだろ、捕まるまでは普通にオレンジ色の通常色なのに
起きてみたら色違いになっていたなんて信じられるわけないか。
「でも事実だよ」
俺は鞄の中から手鏡を取り出して映して見せた。
ヒコザルの顔は驚きと悲しみのぐちゃぐちゃな顔になった。
【これから、どうしよう】
混乱していたが落ち着いたのかこれからのことを考える。
一人だけ蒼い自分。
皆オレンジなのにそこに異色の自分は入れるのだろうか。
多分無理だろう。
色違いでも本当の色違いの色はピンクに近い色合いだ。
そのどちらでもないこのヒコザルはきっと一人になる。
それなら。
「だったら俺のところに来ない?」
【えっ?】
今にも零れそうなほど涙を溜めた目をこちらに向ける。
なんかおろおろしているが再度聞いてみる。
「だから俺のパートナーにならない?」
【パートナー…】
ヒコザルは悩む。
この人間と離れたら自分は一人になる。
でもこの人間といれば一人じゃない。
答えはもうでていた。
【俺、アルと行く】
「よっしゃ!これからよろしくな“ソウビ”」
【ソウビ?】
「そっお前の名前、蒼い灯とかいて蒼灯(ソウビ)、良い名前だろ?」
【ソウビ、俺はソウビだ!】
「じゃぁ帰るか、俺達の家に」
【おう!】
ソウビは俺の肩にのっかるのを確認すると家まで走った。
この後家族にソウビを見せて説明すると皆歓迎し、ソウビが嬉し泣きをしたのは良い思い出だ。
おまけ
【なぁアル】
俺がソウビを毛繕いしているときだった。
【何でアルはそんなに足が速いんだ?】
まさか今聞かれるとは思わなかった。
まぁいずれバレルし。
「なぁんか俺、通常色のポケモンに嫌われてるらしくてさ
俺見たら逃げるわ、威嚇するわ、挙句には攻撃してくるからさ
それを回避するために走ってたりしたらこんなに速くなった」
はい、完了と毛繕いが終わる。
丁寧にできたなと思っていたらソウビがなにやら決心したような顔をしていた。
【アルは俺が守る!!】
「うおっ!?」
ソウビに硬い決心ができたお話。
名前がなかなか決まらず、最終的にアジュールに決まりました。
意味はちゃんとあるのでそれは後日書きます。
感想・意見お待ちしております。
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引越し先は…マサラタウン!?
現在、俺は非常に困っていた。
俺の父アルヴィンはシンオウでも名の知れたポケモン博士だ。
そんな父のところにカントー地方にいるオーキド博士よりカントー、シンオウの
ポケモンの情報のやり取りがしたいと言われ
父さんは前々からカントー地方のポケモンの生態調査をしたかったらしく
快く承諾の返事をした。
そこで家族の中から助手が欲しいと言ったのだが
アルト兄さんはもう他の地方の旅にでているためいない。
妹のラピスはまだ幼い。
母さんは育て屋兼ポケモンドクターだ、そうそうとこの地を離れられない。
そこで消去法でいくと俺に回ってくるわけで。
現在俺はソウビと父さんと一緒にカントーのマサラタウンにいる。
ここって原作の主人公サトシ君の故郷だよね!
いいのかな俺がいて、ソウビなんてこの地方にはいないモウカザルなんだけど!
てか会ったらまずいよね…
そして目の前にはオーキド博士と(多分いや絶対)シゲルがいた。
そういやシゲルはオーキド博士の孫だったな~と思い出しながら、目の前のシゲルは
自分より二、三歳ぐらい下の子に見える。
「この度はお招きありがとうございます、オーキド博士」
「いや何、ナナカマド博士から君のことは聞いとるよ。
自分と一、二を争うほどのシンオウのポケモンに詳しいとの。
儂こそ会えて嬉しいわい」
「ナナカマド博士がそんなことを…、ですが私はまだまだあなた方の足元にも及びませんよ」
「ははっそんなに謙遜するでない。おやその子はあなたの子供ですかな?」
「はい、うちの次男坊です。ほらアル」
「初めましてオーキド博士、アジュールといいます」
なるべく、なるべく子供らしく、年相応に!
この博士は人を見る目は半端ない、それに色々なポケモンを観察したりしているから
観察眼は鋭い、多分一回でも年相応にしなかったら疑問を持つ。
「おぉ、おぉアジュール君というのか、年は八歳くらいかの」
「はい!今年で八歳になります!」
元気に答える、笑顔も忘れずに。
「儂の孫のシゲルとは二つ違いか、アジュール君儂の孫のシゲルじゃ」
「初めまして、シゲルです」
うぉ!?あの無印時代のナルシストはどこにいった?
今はその面影ない。
この頃はまだ純粋だったのか…
これから四年であんなナルシーになるのかぁ。
「よろしく、言い難かったらアルでいいよ」
「はい、アルさん」
礼儀正しいのは変わらないんだね。
シゲルの未来を知っているとはいえ、こんな子がナルシーに。
世界は不思議だ。
「アル、父さんはこのまま博士と一緒にフィールドバックに行くんだが
お前はどうするんだ?」
「おぉ!アル君も一緒にどうじゃ?」
いや行ったら俺死にます。
でもここまでポケモンに嫌われる人間もいないよな。
爺さんもやっかいな特典つけたもんだ。
「博士、なぜかアルはポケモンたちから嫌われているらしく
アルを見たら逃げたり、攻撃してくるんです」
「なんと、そこまで嫌われている人間はそうおらんぞ」
ですよね~。
でもいるんですよね実際、俺という存在が。
「だったらあそこの森に行ってみる、大丈夫ソウビもいるから」
「そうか?」
「うん!」
俺はソウビが入っているボールを持ち森に駆けて行く。
オーキド博士は心配そうだったが、伊達にソウビと一緒にズイタウンの森を散策しない。
さり気にあそこのポケモンのレベルが奥に行くにつれて高くなって行ったから
ソウビのレベルが上がる上がる。
俺は森に入るとソウビをボールから出し、奥に入っていく。
向かってくるポケモンたちを避けては走って、火炎放射しては走って
さらに奥まで入っていく。
「結構奥まで来たね~」
【だな、ん?アル何か聞こえるぞ】
ヒコザルの頃は少し可愛い話し方だったのに進化したらクール口調に。
クールになったねぇソウビ。
「俺には聞こえないけど、ソウビが言うなら間違いないな」
人間の俺とポケモンのソウビとではソウビの方が聴覚は優れている。
行ってみることにしたがまたフラグが建った気が…
近づくにつれて俺にも聞こえてきた。
何かの争う音。
それに声。
それはどんどん大きくなって来て漸く音の正体が見えてきた。
「あれってイーブイか?」
【あれがイーブイ、アルあれっ!】
見えたのはボロボロなイーブイ。
そしてソウビが見つけたのは胸に大きく『R』の文字を入れた制服を来た人間。
あれってまさかまさかのロケット団!
ギンガ団に続いてロケット団って建った。
絶対あのイーブイもロケット団に何かされたって!
じゃなきゃロケット団があんな執着にあのイーブイに攻撃しないって。
あぁもう見てらんない!
「ソウビ、あいつらに向かって火炎放射!」
【あぁ!】
すぐに指示を出し、俺はイーブイのところまで駆け寄る。
満身創痍で立っているのがやっとのはずなのに、このイーブイは諦めず技を出していた。
結構根性あるイーブイだ。
俺はイーブイを掴むと。
「ソウビ!マッハパンチからの炎の渦で退散!」
幾らソウビが強いからと言って多勢に無勢。
こっちは一人と一体、あっちは多数、威力で勝てても数で負けてる。
そういうときは去り際に一発決めて逃げるのに限る。
ソウビと一緒にオーキド邸まで全速力。
後ろから声がするけど振り返ったらだめだ。
気にせず走り続け漸くオーキド邸の近くまで帰ってこれた。
【くっくるしい…】
「おぅわ、すまん!」
走るのに必死過ぎてイーブイを強く抱え込んでいた。
ぎゅっっと胴体を閉めていて確かにこれでは苦しい。
すぐに下ろしてやった。
【げほっげほっ】
「すまん」
【助けてもらったことには礼を言うけど何で助けるのさ】
「目の前で困っている奴しかも襲われている奴を助けないでどうするのさ」
【いや普通の人間は助けないってえぇ!?何で言葉通じてるの!?】
今頃気付いたよ!
俺普通に気付いているものとばかり、だから話かけてきたのかと思った。
「まぁいいや、あんたさロケット団に何されたの?」
【確定!?僕もう何かされたの決定なの!?】
おうツッコミ、さっきはボケたからこの子ギャグ要員?
「いや状況からしてあんたはあいつらの下にいた、だけどそれが実験かなんかに
使われて逃げ出したはいいけど追いかけられて現在にいたったって感じ?」
【正解、僕はあいつらの実験体だった】
いきなりシリアス、イーブイはしんかポケモンだからな分からなくもない。
【僕たちイーブイは進化のアイテムで進化する、それも現在確認された進化は
全部で七つ、せっかく七つの属性に進化できるんだ、一体だけしか進化できないのは
惜しいからって、それに僕は色違いも相まってその七つの進化をアイテムなしで
そして自由に進退できるようにされたんだ】
ボロボロと涙を流しながら話すイーブイ。
俺の中では沸々と怒りが湧いてきた。
こんなのあの時のギンガ団以来だ。
これも前に夢小説で見た事がある。
まさか現実目の前で起きるなんて誰が想像できるか。
潰そうかあいつら…。
ソウビも殺る気まんまんだ。
【僕、これからどうしよう普通のポケモンは進化はできても退化ができないから…】
あぁあの時と一緒だ。
ソウビのときと同じ眼をしている。
ここまでくれば答えは一つ。
「じゃぁ俺のところに来いよ」
【えっ】
「行くところがないんだろ、だったら俺のところに来いよ」
【えっでっでも迷惑じゃっ】
「ぜーんぜん、逆に歓迎するってソウビもいいだろ」
さっきから黙っているソウビ。
だけどイーブイの話を聞いて身体から殺気が駄々漏れだ、ちょっとイーブイがひいてるよ。
【俺がいやと言うと思うか?】
「だよねぇ、だから」
俺はイーブイを抱き上げ抱きしめる。
「おいでよ、俺達のところに」
【っうん】
「これからよろしくね“コウキ”」
【コウキ?】
「あんたの名前、イーブイは七つの進化ができるんだろ。
七つといえば虹、で今のイーブイの姿はその虹が輝くための原石。
だから虹が輝くと書いて“虹輝(コウキ)”良い名前だろ?」
【うん、うん!】
今までの不安が爆発したのか、コウキは泣き疲れるまでずっと泣いた。
俺は背中を優しく撫でてやり、ソウビは何も言わずに側にいてやった。
邸に戻った後事情を説明すればオーキド博士と父さんは激怒して
今の二人ならロケット団を潰せそうな気がしてちょっと怖かった。
おまけ
【ねぇソウビも色違いなの?】
無事仲間入りを果たしたコウキは先輩であるソウビに話かけた。
【いや、俺は元々通常色だったんだが組織は違うが俺も実験体でな
その時にこの色に変わったんだ】
【そうだったんだ…】
聞いちゃいけなかったとコウキは思い、それを感じ取ったソウビは頭を撫でてやりながら。
【でもあの事があったから俺はアルに出会えたんだ、複雑だけどな】
確かにあの事がなければ俺はアルには一生逢えなかったな。
【でも俺はあの組織を許した覚えはないからな、俺が強くなったら潰してやるつもりだ】
【だったら僕も!ロケット団なんて変な名前の組織なんて潰してやる!!】
くくくっ
あはははははは
「お~いお二人さん?何か怖いんだけど、てかコウキ!?あんた黒属性持ってたの!?」
少し離れて見ていた俺は二人の会話を聞いて冷や汗が流れた。
捏造ポケモンはこの二体だけです。
あとは普通に色違いポケモンです。
サトシ並みのフラグ建築家な主人公です。
感想・意見お待ちしております。
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主人公設定
名前:アジュール(愛称:アル)
出身地:シンオウ地方ズイタウン
家族:父アルヴィン・母ライナ・兄アルト・妹ラピス
容姿:青系統の混ざった髪、蒼い瞳、中性的だけど女寄り。
特典:色違いポケモンと言葉が通じる。
満月と新月の日は女体化
色違いポケモンからは懐かれるが通常ポケモンからは嫌われる。
色違いポケモンとの遭遇率UP。
歌声には癒しの力と波動。
備考:生前と同じく男女の声が出る、両声類。
父はポケモン博士、母は育て屋兼ポケモンドクター
兄はトレーナー、妹はトレーナー兼作家。
父がポケモン博士なため一時カントーのマサラタウンに住む。
サトシ並みのフラグ建築者。
ポケモンをゲットするごとにそれぞれに合った名前を贈るなどをしている。
ゲットしたポケモンたちのことを『家族』と呼んでおり、大事にしている。
大事なだけあって、悪く言う奴が現れると、元凶を叩き潰しにいく。
通常色のポケモンに嫌われているのは知っているが、そんなの関係ないと思っており
普通に接しているし、サトシ並のポケモン主義者でもある。
ゲームはしたことがないのに、バトル狂になった。
トレーナーとコーディネーターを兼任しており、シンオウでのコンテスト衣装は
すべて母製の男物と女物。
後々に伝ポケ経由で生前歌っていた曲などの歌詞とメロディーが入ったIPadらしきものと
『ma●ne●』に出てくるようなヘッドホンマイク(青グラデーションver)が贈られてくる。
音楽機材に繋げればスピーカーでも流せれるようになっている。
定期的に新曲(声入りと声なし)と歌詞がアップされてくる。
歌の練習は欠かさずしているため、有名になり始めている。
ひょんな事で自分の歌に癒し効果があることを知り、天に向かって吼えたことがある。
そのせいで余計に変な団体さんに狙われるようになった(返り討ちにしているけど)。
目標:引篭もった色違い伝ポケモンを歌で引っ張り出すこと。
パートナー:蒼灯“ソウビ”(モウカザル、♂)
特性:もうか
覚えている技:あなをほる、火炎放射、マッハパンチ、炎の渦。
ギンガ団の実験ポケモンだったがアジュールに助けられそのままパートナーに。
毛並みは通常色のオレンジから蒼色に変わり、炎の色まで青くなる。
性格はクールで面倒見が良い。アジュールのことを守ると決めており
アジュールに何かあると性格がガラリと変わり、黒くなり時には暴走する。
特にアジュールに言い寄る男や女や、攻撃してくる通常ポケモンには容赦がない。
女の人は睨むだけだが、男やポケモンには問答無用で火炎放射をする。
過保護ポケモン第1号。
虹輝“コウキ”:イーブイ♂
特性(イ):てきおうりょく
(シャ):ちょすい
(サ):ちくでん
(ブ):もらいび
(エ):シンクロ
(ブ):シンクロ
(リ):ようりょくそ
(グ):アイスボディ
アルの二体目のポケモンで古参メンバー。
ロケット団により進退できる体にされてしましい、逃げ出したところアルに助けられた。
無邪気な中に腹黒さを持ち合わせており、ソウビとはいいコンビ。
アルに何かするようならば、アイアンテールなどで撃退する。
ロケット団を見かけたら嫌な顔をするか、仕掛けてくるようならば倍返しで反撃してくる。
過保護ポケモン2号
感想・意見お待ちしております。
※2012/10/05に兄の名前変更
※2013/05/27に備考部分変更・追加・位置変更
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カントー地方
旅立ちます…早くも問題発生です。
マサラタウンに引っ越して二年が経ち、十歳になった俺は旅に出ることにした。
まさかの出発地点がマサラタウンとは思わなかったけど
原作と同じルートで行けるのは実は楽しみにしている。
俺の目標というかあの爺さんに頼まれた『色違い伝ポケを歌で引きずり出す』
これをやり遂げるには旅に出るしかない。
そうなるとカントーはまだ比較的に楽かもしれない。
カントー地方で伝説といえばミュウとミュウツー。
映画でも最初に出てきたポケモン。
オレンジ諸島も含めば三鳥神と海の神ルギアも含まれるが
俺はカントーとオレンジ諸島は別で考えている。
そうなれば最初の伝ポケはミュウとミュウツーで決まりだ。
ただミュウは分かるがミュウツーにはいるのだろうか。
前世ではちゃんと色違いは載っていたけど
原作じゃミュウのまつ毛から作られた唯一のポケモン扱い。
しかも今の時間軸だとミュウツーはロケット団にいる可能性も高い。
まぁその時はその時か。
旅立ちの当日、俺は事前に母さんに言っておいたため
その母さんから服が届いた。
兄さんの服も母さんが服を贈っていた。
俺はマサラタウンにいるからないと思っていたが母さんはちゃんと贈ってきた。
ただその贈られてきた服のデザインが問題だった。
母さんが俺をどう見ているのかよくわかった。
まず袖なしハイネックのインナー、これはまだいい。
次に上着なのだが咎○の血のシ○のコートに似ている。
丈は脹脛の半分まである黒いコート。
だけど袖の部分は二の腕の半分までしかない。
半袖で留め具があり袖をつけることができ長袖にもなる。
薄生地と厚手のマフラー、色は綺麗な海や空を思わすような青。
下は短パンで太ももの半分までしかない丈でこれも留め具があり長ズボンにもできる。
手袋もあり指なしの二の腕まである長めの手袋なのだが
両方の手首あたりにリボンが巻き付いており丈は腕をだらりとしていれば
脹脛のところまで届きそうなほどの長さ。
ご丁寧に結び方は蝶々結び、取り付けられていて外せない。
そして男なのになぜニーハイソックスを履かねばならない。
太ももまであり、短パンとは十センチくらいしか離れていない。
しかもインナーはもう一つありこちらはなぜか丈が短くお腹が見える。
だがこれだけは理解できなかった。
髪飾りがあるのだ。
一つだけなのだがそのデザインが問題だった。
青い髪の俺に映えるかのように赤い薔薇、葉の代わりに黒い羽が二枚。
そして肩を通り越して胸にかかるかかからないか程度のリボン(蝶々結び)。
ちなみに靴は膝下ブーツ、チャック・ベルト付きだが走りやすさを重視していた。
そこはありがとうとしか言えない。
はたから見れば男には見えない、言うなれば女。
俺の顔はなぜか女寄りの中性顔、一目見ただけじゃ女に間違えられてもおかしくない。
どうしてだ、兄さんはまだ普通に男服だったのに
何で俺だけこんな服なんだ、母さん。
俺は母さんの好意も無下にできず、この服を着る。
着た俺を見た父さんは親指を立てていた。
オーキド博士は吃驚していたが似合っていると言われた…orz
シゲルとやっぱり会ってしまったサトシは目をキラキラさせていた。
やめてーそんな目で俺を見ないでっ!
やっとそんな空間から解放された俺は博士からボールと青いポケモン図鑑を貰った。
図鑑が青いのは俺をイメージしたのこと。
青はいいけどそうなると俺の色合いが約三色しかない。
母さんの服が黒と青を基調としているからだ、薔薇は赤だけどそれでもリボンは黒。
なんか暗いなぁと思ったがソウビとコウキに見せると
二人にも似合ってると言われソウビにいたっては同じ青を纏っているから
嬉しそうだった。
オーキド邸からの旅立ち、父さんに博士、シゲルとサトシが見送ってくれた。
シゲルとサトシはさっきまで目をキラキラさせていたのに今はもう涙目だ。
旅に出ると言った時も大泣きされて行っちゃやだと言われた。
そんな二人を説得しある約束をとりつけてやっと収まった。
「アル、お前はただでさえ、特異体質なんだから気をつけなさい」
「うむ、それを考慮して離れていてもセンサーをポケモンにかざしさえすれば
ちゃんと反応するようにしておいたからの」
「博士ありがとうございます、分かってるよ父さん、父さんこそ
俺がいないからって家事、サボらないでよ」
「アル兄さん、約束忘れないでよ」
「俺たちが旅に出て、一年たったらバトル!」
「あぁその時は全力で相手してやるよ」
この二人にした約束。
それは二人が十歳になり旅に出て一年したら俺とバトルする。
っていうことは初代メンバーとバトルをする。
今からでも待ち遠しい。
「行ってきます」
「行って来いアル」
「気をつけるのじゃよ」
「「行ってらっしゃい」」
俺の旅は始まった。
…っとマサラタウンを出てすぐ問題が発生した。
今の俺の手持ちはソウビ(モウカザル)とコウキ(イーブイ)。
コウキはいいとしてもソウビはこの地方にはいない。
しかも第一のジムは後にサトシの仲間になるタケシのいるニビジム。
出せない、ソウビのことはホウエン地方の旅が終わるまで出せない。
言うならネタバレになってしまう、シゲルにもサトシにも見せていないのに。
どうしよう、コウキに頑張ってもらうにしても相手は岩タイプ専門のジム。
コウキをシャワーズにして挑むのが一番の方法、だけどコウキは特別だ。
他の進化系にもなれるそしてまたイーブイに戻れる。
不用意にコウキの力を出すわけにもいかないか。
それにここで新しい仲間を探すにも色違いはそうそういるわけじゃない。
早くも手詰まり状態。
俺は頭を抱えながら唸る。
どうする、俺!
ジム直前と自分の手持ちに気付く主人公。
次回はちゃんとジム戦します。
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いざ、ニビジムへ!!
俺の目の前にはアニメで見た通りのニビジムがある。
あれから悩んだ末、コウキには頑張ってもらうことになった。
コウキが自ら進言したのだ。
一緒にいるようになってからコウキはソウビからはブースターの姿で
炎技を教わり、他のタイプはオーキド博士に技の種類を教えてもらい
自主練していたのだ。
そのことは俺はもちろん知っていた。
だからコウキからジム戦に出ると言われた時は迷わず承諾した。
あれだけ頑張っていたのだ、出さないほうがおかしい。
「緊張するなぁ」
【初めてのジム戦だもんね】
扉の前で俺は初めて公式のジム戦をするためもの凄く緊張していた。
コウキは今シャワーズに進化している。
わざわざ、目の前で進化することはしない。
さて、どうやって入ろうか。
サトシみたいに『たのもう』と言えばいいのか、それとも普通に挨拶しながら入ればいいのか。
そういえば他の挑戦者の入り方、俺見たことないや。
結局俺は普通に挨拶しながら入ることにした。
深呼吸して
「こんにちわージム戦に来ました」
し~ん
空振り!?まさかの空振り!?
返事がない、もぬけの殻か?
いやそれはないっしょ。
ジムを休むのならどこかにその旨を知らせる紙とか貼ってあると思うし
ここに来るまでポケモンセンターに寄ってから来たけど
一言もジョーイさんは言ってなかった。
まぁジムリーダーのタケシの家は大家族だからなぁ。
なんかトラブルでもあったのかな?
待ってみようと思い、待ち始めてから約15分。
コウキとしりとりなど遊びながら、暇を潰していた。
「あ、あ、アスファルト」
【と、と、トーテムポール】
何故知ってる。
先ほどからもコウキがまだ知らないようなものばかり言ってくる。
トーテムポールなんて見たことないはずないのに。
「しりとり始めてどんくらい経ったかな」
【五分は軽く経ったと思うよ】
「だよな~」
待っているが誰も来ない。
俺の他の挑戦者も来ず、ただの連絡が来なかっただけで本当は今日は
休みなのではと思ってきた。
もう少ししたら帰ろうと思いながらコウキとしりとりしていると
話し声が聞こえてきた。
「誰か来るね」
どんどん近づいてきて、よく聞いてみると子供の声が多い。
これはもしかすると。
「タケシ兄ちゃん、お昼何するの?」
「タケシ兄ちゃん、イワークたちまた見せてよ」
タケシ兄ちゃん、タケシ兄ちゃんと他の兄妹たちに囲まれながら
こちらに向かってくるのは確かにジムリーダーのタケシだ。
なるほど、買い物に行ってたのか。
「あっタケシ兄ちゃん、ジムの前に誰かいるよ」
「ん?挑戦者か?」
こちらに気付いた。
兄妹の中でも小さい二人が方の俺に向かってきて。
「お姉ちゃん、タケシ兄ちゃんに会いに来たの?」
「違うよナナコ、ジム戦に来たんだよ」
あっれ~おかしいな、確か今お姉ちゃんって…
聞き間違いだよな。
そう思っていると他の兄妹たちもこちらに来た。
タケシは食材を入れた袋を手一杯に持っていて重そうだ。
「挑戦者の方ですか?」
「はい、マサラタウンから来ましたアジュールと言います。
言いにくかったらアルでいいです」
本当はズイタウンって言わないといけないけどシンオウ地方だし
ここ二年はマサラタウンに住んでいたからいいかな。
「マサラタウンからですか、確かにニビジムは一番近いジムですからね」
「はい、ですので挑戦しに来ました」
コウキを抱えながらにっこり笑って見せた。
するとタケシの顔がほんのり赤くなる。
「お姉ちゃん綺麗だね」
「だな、お兄ちゃんなんか赤くなってるよ」
「ジロウ兄ちゃん、あのお姉ちゃんが抱えてるポケモン何?」
「あれはシャワーズと言って水タイプのポケモンだよ」
「水タイプなんだ」
「でもタケシ兄ちゃんのイワークたちは強いから負けないよ!」
「お姉ちゃん頑張ってね」
やっぱり聞き間違いじゃなかった。
さきほどからお姉ちゃんと連呼されている。
ってタケシ!?あんたは女に変装した男を普通に見破れるでしょう!?
本能はどうした!本能は!
「いや、あのですね、俺…男ですよ」
「「「「「「「「「えぇーーーーーーーーーーーーーーーー!?」」」」」」」」」
そんなに驚くことなのか。
凹むぞ、マジで。
【大丈夫だよアル、アルが男なのは僕たちが知ってるから】
お前たちだけだよ、本当。
タケシなんか目でわかるぐらいに落ち込んでるし。
あれか見破れなかったからか。
「お兄ちゃんなんだ」
「嘘だぁだってタケシ兄ちゃんが見破れなかったんだぞ」
「いや、本当に俺は男だから」
マジで凹むわ。
初めてこんなにお姉ちゃんって連呼されたわ。
それよりジム戦したい。
「あの、ジム戦しませんか」
「すっすみません、いいですよ。
ジロウ、サブロウこれ頼むな」
荷物を弟たちに預けるとタケシはジムの扉を開けた。
岩タイプ専門のジム、フィールドは岩が置いてあった。
「使用ポケモンなんですが、アルさんの手持ちは…」
「この子だけですから一体ですね」
本当はソウビもいるけど。
「では使用ポケモンは一体、どちらかが倒れたら試合終了だ」
「はいっ!!」
いよいよ本当のジム戦、見ている時はわくわくしていたのに
自分がするんだと思うとドキドキしてきた。
緊張するけど、それを上回るかのように早く戦いと
早くコウキたちと一緒に戦いたい。
「俺のポケモンはイワーク!」
タケシの最初のポケモン。
手持ちの中では一番の巨体。
きっと水対策もしているはず。
だけど俺は絶対に勝つ。
「行こう、コウキ」
【うん】
「シャワーズか、このジムの専門を知っていたんだな。
だが、だからと言って水タイプに負けるようじゃジムリーダーは務まらない」
「えぇ、油断はしません」
審判位置にはジロウと呼ばれていた子がいた。
「バトル、開始!!」
「コウキ、水鉄砲!」
合図とともに技の指示を出す。
これで少しでも弱まってくれればいいんだけど。
あたりはしたがあまりダメージを負ってないように見える。
「良い水鉄砲だな、育て方が良いんだな」
「ありがとうございます、効いてないように見えて実は結構効いているってことはないですよね」
「岩タイプにとって水タイプは弱点だ、いくらイワークでも全く効いてないことはできないよ」
それを聞けて安心した。
これであまり効いてなかったらどうしようと思ったよ。
「コウキ、水の波動」
「イワーク、あなをほる」
コウキの水の波動が当たる前にあなをほるで逃げられた。
だけどあなをほるには弱点がある。
「コウキ、あなの中に向かって水鉄砲!」
「何!?」
さすがのタケシもこれには驚くか。
前々からこのあなをほるって技、入ったところに水鉄砲や火炎放射などの技を
入れられたら逃げ場がないと思っていた。
なのにアニメのトレーナーってそれをほとんどしないんだよなぁ。
まさかこれって卑怯なのか!?
水鉄砲で押されて出てきたイワーク。
先ほどより目に見えてダメージを負ったのが見える。
これなら体格差など問題ない、いける!!
「コウキ、決めるぞ!水の波動からアイアンテール」
イワークは動きが鈍っているため水の波動が直撃しコウキのアイアンテールが決まる。
イワークはそのまま倒れ戦闘不能になった。
タケシはもちろん他の兄妹たちも呆気にとられていた。
かくいう自分も実は茫然としている。
勝ってしまったのだ、相性は確かにこちらの方が有利だったが
パワーや体格では相手の方が上だった。
だけど、そんな相手に善戦し、技一つ当たることなく勝利してしまったのだ。
「…おめでとう、君の勝ちだ」
タケシに言われてやっと実感が湧いた。
「あっ、や…った、勝った、勝ったよ!コウキ」
【うん、僕たちが勝った!!】
コウキが腕の中に飛び込んできて俺はそれを受け止めて抱きしめる。
初めてのジム戦での勝利。
こんなに嬉しいとは思わなかった。
「良いコンビネーションだったよ、はいこれがニビジムに勝利した証
グレーバッジだ」
アニメで見たとおりの灰色のバッジ。
それを握りしめると。
「グレーバッジ、ゲットだぜ」
ちょっとサトシを真似してみました。
台詞考えておくか。
「今日はありがとうございました」
「いや俺こそいいバトルができたよ。もっと鍛えないとな。
そういえば次のジムは決まっているのかい?」
確か次に近いのってカスミのいるハナダジムだ。
でもその前に仲間が欲しいな。
そう簡単に見つかるとは思わないけど。
「次はハナダジムを目指します」
「ハナダは水タイプ専門ジムだ、頑張れよ」
「はい」
ジム戦の後はポケモンセンターに戻り、コウキの回復をしてもらった。
その間に近くの森に入り、誰もいないことを確認してソウビを出した。
「ごめんねソウビ、この地方を出るまではソウビを出せないんだ」
【分かってる、俺はここにはいないポケモンだ。変な混乱を招くより
アルに迷惑をかけるよりはいい】
「本当にごめん、その代りこうやって人のいない間は出して一緒にいるよ」
【ありがとうアル。
もう戻ろう、コウキも回復は終わってる筈だし何よりアルがこれ以上
ここにいる方が危険だ】
森の中は野生ポケモンが多くいる。
通常色ポケモンに襲われやすい俺は格好な的だ。
ソウビはそれをいやというほど知っている。
トレーナーとしては情けないな、俺。
「そうだな、戻ったら俺特製のポケモンフード出すよ」
【あれは本当に美味いからな、市販のものが食べられなくなる】
「お世辞ははいいよ」
【(本当のことなんだが…)】
明日はハナダに行く前に危険だけど森に入るか、と明日のことを
考えながらポケモンセンターに戻った。
後書き なんか主人公無双になってしまった。
やっぱりバトルを書くのは難しい。
そしてあなをほるの対策…あれでいいのか、卑怯じゃないよね。
次は草霞との出会いです。
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眠れないポケモン
ニビジムに勝利し次のジム、ハナダジムに挑戦するためにハナダシティに向かう俺たち。
だけど次もコウキだけ頑張ってもらうわけにはいかない。
できれば仲間が欲しい。
コウキは草タイプのリーフィアにもなれる、だけどカントーにはリーフィアはいない。
だから次はサンダースで出てもらう。
それでもやっぱりコウキの負担になるから新しく仲間が欲しい。
そのために俺はハナダシティに向かう途中にある森に入った。
一応自分の体質は理解しているため慎重に奥へと進む。
俺はあの爺さんの特典で通常色のポケモンは仲間には加えられない。
だから奥へと進みいるかもわからない色違いポケモンを探す。
見つからないときはその時だ。
ソウビとコウキはボールから出ている。
別にいいと言ったのだがソウビとコウキに何度も出ると言ってきかないので
森に入った瞬間にコウキを出し、少し行った所でソウビを出した。
ソウビは俺の隣で一緒に歩き、コウキは俺の肩に乗っている。
心配性だなぁ。
奥へ進むとだんだん薄暗くなってくる。
葉で太陽光が遮られるのだ。
そうなるとここには草タイプはいないと思えた。
もう少し奥に行ってから戻ろうと考えた俺は足を進めた。
「うわぁ…」
【これは…】
【おっきいぃ】
奥に進むと開けた場所に出て中心には一本の大樹が立っていた。
近くで見るとさらに大きい。
根っこも十人くらいは軽くまたはそれ以上、乗れるくらいに大きく太かった。
とても何百年でここまで大きくなれるとは思えなかった。
ソウビとコウキに遊んでもいいよといい、最初は遠慮していた二人だけど
俺が何度も言うとソウビは違う根っこの場所に行き、コウキは駆け回っていた。
二人を眺めながら俺は根っこに登り幹に体を預け寝る体制に入る。
枝も長く葉も生い茂っていたため丁度いいぐらいの木漏れ日ができていた。
あまりの気持ちよさに俺はすぐに寝てしまった。
どのくらい経っただろう。
ふと目が覚めて俺の隣にはソウビがいた。
吃驚したがよく見るとソウビも寝ている。
朝早くに出たため、太陽の位置を確認するとほぼ真上にあったため
もうそろそろお昼の時間帯だということが分かる。
結構寝たな。
コウキを探してみるとどこにも居らず、焦る。
ソウビを起こさないように地面に降りる。
きょろきょろと見渡してもコウキの姿はない。
根っこの間はコウキぐらいのポケモンなら簡単に通れるくらいの大きさだ。
それによく見ると空洞らしきものもいくつか見える。
もしかしたらその中に入ったのでは思い、近くの空洞から調べることにした。
鞄の中から小型のライトを取り出し、灯りをつけて中に入る。
「コウキー、どこにいるんだー?」
声を出して探しているのだが返事がない。
もしかしたらこの穴ではないのかもしれない。
引き返そうとしたときにか細い声がした。
【だ…れ…な…の】
コウキの声じゃない。
ということはここに色違いポケモンがいる。
踵を戻し、奥に走る。
不安がよぎる。
二人とは違って弱弱しい声、今にも消えてしまいそうな声。
走る、走る、そんなに深くはないと思っていた空洞は思った以上に深く
さきほどの声の主はどこにいるのか、手遅れになる前に会わないとっ。
樹の中だというのにまたもや開けた場所に出た。
そこはところどころ穴が開いているため日の光が入っている。
例えるなら、ジ○リのト○ロの寝床を小さくして少し暗くした感じの場所だった。
その奥にはぽっかりと小さなポケモンなら余裕で入れる穴があった。
「誰か、いるのか?」
【だ…れ…?】
穴から声が聞こえた。
ライトをいきなり当てるのは失礼だと思い、近づく。
近づくにつれて声の主がはっきりとしてきた。
穴より少し小さいくらいのフシギダネがいたのだ。
よくよく見れば色違い、だから声が聞こえた。
すぐに俺は駆け寄り、フシギダネを間近で見る。
身体は見るからに痩せ細っており、目の周りは酷いクマができていた。
「っ何でこんな身体になるまで放っておいたんだ!」
鞄を降ろし中を探るが水はあったが木の実などがない。
とにかく俺は水を少しずつフシギダネに飲ませようとした。
だが、もうその気力がないのか一向に喉に通る気配がない。
俺は逆に腕に抱え仰向けの状態にしてみた。
この体制なら自然と通るだろう。
水を飲ませると少量ではあるが喉を通った。
それが分かるとすぐさまを水を片付け鞄を持ち直し、フシギダネを抱え
穴の外へと一直線に走った。
穴を出るとソウビとコウキが慌てて駆け寄ってきた。
【いきなり居なくなるな!心配するだろう!】
【アル、お願いだからどこか行くときは僕かソウビを連れてって】
二人から心配したと何回も言われ本当に申し訳なくなる。
【あれ?この子どうしたの?】
コウキが腕の中のフシギダネに気づき首をかしげる。
ソウビも気づきどうしたのかと聞く。
「今から最寄のポケモンセンターにこの子を見てもらわないといけないから
ソウビごめん、ボールに戻って」
ソウビは頷くとボールに戻る。
コウキに走るよというと、全速力で森の中を駆けた。
ところどころでポケモンの攻撃にあうがコウキに相殺してもらっている。
ようやく森を抜け最寄のポケモンセンターに急ぐ。
着いた頃には俺もコウキも息切れが激しく、酸欠で倒れる一歩手前だった。
そんな俺たちを見たジョーイさんとラッキーが慌てて駆け寄ってきた。
ロビーにいた他のトレーナーたちも何事かとこちらを興味深そうに見ている。
「ジョー、イさん、この、子を、お願い、します…」
話したせいで咳が出る。
ジョーイさんにフシギダネを渡すと、その容体の悪さにジョーイさんは
顔を引き締めすぐに奥へと入っていった。
ラッキーはジョーイさんの後を追わず、俺たちの側にいた。
確かに俺たちもラッキーから見れば患者だよな。
そんなことを考えるが、フシギダネがジョーイさんの手に渡ったのを見て
安心したのか、俺は目の前が暗くなった。
日が沈むころに目を覚ました。
自分が寝ていたことに気がづくとガバリッと体を起こす。
かかっていた毛布を跳ね除けて横になっていたベットから降りようと
足を床につけて立とうとしたが、足に力が入らず座り込んでしまう。
触ってみると足が笑っていた。
どうしようかと考えていると部屋のドアが開き、ここで個室にいたことに気付いた。
「あら気付いたのね」
「ラッキー」
ジョーイさんとラッキーだった。
そういえばフシギダネを渡し後気絶したんだっけ。
「酸欠で倒れたのよ、どう?頭は痛くない?」
「あっ頭は大丈夫ですけど足が…」
ジョーイさんに手伝ってもらいベットに腰掛ける。
足を診てもらい、どうやら全速力で長い距離を走ったせいで足が疲れ切ってるらしい。
マッサージしてもらい、明日には動けると聞いた。
「あの、俺のイーブイとあのフシギダネはっ!?」
「あなたのイーブイは今は寝ているわ、一緒に走ってきたようだし
目を覚ましたらマッサージしておくわ」
一先ずホッと息を吐く。
「あのフシギダネのことだけど、もう少し遅かったら命にかかわっていたわ。
でも今は栄養剤をうって寝ているわ。
そういえば水を飲んだ後があったのだけど、あれが無かったら本当に危なかったわ」
どうやらあの処置でよかったみたいだ。
「あの、あのフシギダネすごいクマだったんですけど…」
「私も気になったわ、あの身体の衰弱といい目の周りのすごいクマ。
クマに関しては一週間以上は寝ていないわ」
俺もそれぐらいかなと思っていたがまさか以上とは。
だがそれだけであれだけ衰弱するのだろうか。
睡眠は体力回復につながる重要な要素だ。
寝ていないだけなら目のクマは説明できる、だが身体の衰弱までは説明できない。
「検査したら、胃の中が空っぽで最近食べた形跡がないのよ」
ということはあのフシギダネは眠っていないのと同時に何も食べていなかった。
それならあの身体の衰弱は説明できる。
「フシギダネに会うことはできますか?」
「今は無理ね、ここ数日は安静にしておかないと」
「そうですか…」
お大事に、とジョーイさんたちは戻っていった。
俺はソウビをボールから出し、鞄の中に入れてあったポケモンフードを渡す。
【気になるのか?】
「ん?あぁ、なぁソウビあの子を仲間にしようと思うんだが」
【俺は反対はしない、その子が決めることだ】
「だな、でも俺的には仲間になってほしいよ」
いつもより早いがソウビと一緒に寝ることにした。
明日はコウキも一緒に。
早く寝たために夜中に目が覚めてしまった。
再び寝ようと思っても変に目が覚めてしまい、寝ようと思っても眠れない。
俺はソウビを起こさないようにベットから抜け出し歩けるかどうか
確認すると案外歩けた。
部屋を出ると、薄暗い廊下だった。
外の空気にあたろうと外につながる廊下を歩いていると
外に出ると誰かがいる気配がした。
他のトレーナーかなと思ったが、絶対安静であるはずのあのフシギダネがいた。
「いやいやいや、ちょっと待とうよ」
えっまさかここを出ていく?
まぁ確かにトコトコ歩いているがその姿は今にも倒れそうで危なっかしい。
眺めているとフラッと倒れそうになり、その姿に俺は飛び出し抱えた。
「お~い、大丈夫か?」
【誰?】
初めに聞いた時よりはしっかりした声。
どうやら少しは回復したようだ。
【あっ君、あの樹の中であった…】
「アジュール、言いにくかったらアルでいいよ、ではフシギダネ君。
君はこんなところで何をしているのかな?」
【…森に帰るとこ】
目線を合わせて話はしていたがその話題になった途端、目線を外した。
後ろめたいことでもあるのか?
「…そんな身体で?悪いけど、そんな身体じゃ森につく前に死ぬよ」
【…わかってる、だから森に帰るんだ】
愕然とした。
そんなの死ぬために森に帰ると言っているようなものだ。
「何で…そんなこと言うんだ」
【僕はいてもいなくてもいい存在なんだ、みんな僕をおいて何処かへ行ってしまう】
もういいだろう、と腕の中で抜け出そうともがく。
誰が離すか、そんなこと言ってほしくない。
「だったらさぁ俺の仲間にならない?」
【えっ…】
「俺たちだったらどこにも行かない、行くときは一緒。
だから俺たちの仲間にならない?」
目線を合わす、フシギダネの目はどんどん潤んでくる。
【本当にどこにも行かない?】
「あぁ」
【母さんたちみたいに寝ている間にどこかに行かない?】
「ちゃんと側にいる」
【友達みたいに急にどこかに行ったりしない?】
「行かない」
【一緒にいてくれる?】
「当たり前、いなかったら仲間じゃない」
【なる…仲間に、なる】
ボロボロと涙を流す、なんだがソウビの時のことを思い出す。
ギュウっと軽く抱きしめる。
それをきっかけに泣き出すフシギダネ。
思いっきり泣けばいい、泣き終わったとき、きっとすっきりしていると思うから。
「さて、泣き止んだかな」
【うぅ服ごめんなさい】
「あぁ気にすんな、草霞の悲しみに比べれば軽い軽い」
【草霞?】
「俺は仲間になったポケモンには名前を贈ってるんだよ。俺の仲間って証」
まぁもう一つあるけど恥ずかしく言えない…。
「草はフシギダネは草タイプで、霞(か)は霞(かすみ)って意味で
かすむやぼやけるって意味があるんだけど、初めてお前を見たときのお前の姿は
今にもかすんでしまいそうな奴だったからな、でも今はちゃんと“いる”。
だからもう二度と消えないように、草霞“クサカ”」
気に入ってくれたかな、意味不明な名前の由来だけど
そう思ったからこそ、この名前にした。
もう二度と消えない、ちゃんとそこにいる。
その意を込めた霞。
【草霞、僕の名前は草霞だ!】
本当ますますあの時のソウビとそっくりだ。
かわいいなぁ。
「さて、戻ろうか」
【うん】
この後部屋を抜け出したことをジョーイさんとソウビたちにバレて
説教を受けたのはいい思い出だ。
おまけ
「新しく仲間になった草霞だ。仲良くしろよ~」
【くっ草霞です、よろしくお願いします!】
【そんな固っ苦しくなくていいよ~、僕はコウキよろしく】
【俺はソウビだ、よろしくな】
【さてクサカ、仲間になったところで言っておく】
【はっはい】
【決してアルを一人で出歩かせるな】
【はい?】
【実はアルね、何でかポケモンに襲われやすくて、一人で出歩かせるのは危険なんだよ
特に森はね】
【そういう訳で俺は諸事情によりできない、だからコウキとクサカ
二人に頑張ってもらいたいんだ】
【任せて~】
【僕を救ってくれたアルのためです!僕も頑張ります!】
【たのむ】
「俺ってそんなに危なっかしいのか?」
そんなことを呟くアルだが小さかったために三人には聞こえなかった。
ってな訳で草霞が仲間になりました。
感想・意見お待ちしております。
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出会ったのは…(上)
あの後結局ジョーイさんに見つかり、連れ戻された。
クサカはそのまま病室に戻り、俺は部屋に戻った。
ただ俺がいなくなったことに気付いたソウビにこってりしぼられたけど。
今回はがっちりソウビに服を掴まれながら再び横になった。
日が昇り始めた頃、俺は目が覚めた。
いつもならまだ眠っている時間だが、また寝ようにも変に目が覚めてしまい、寝るに寝れない。
ちょっと走ろうかなと思い、服を掴んでいるソウビの指をゆっくりと離す。
起こさないようにベッドから抜け出し、足の状態を確認したけどしっかり立てるし歩ける。
これならいけるかなと思い、そっと部屋から抜け出した。
外に出ると早朝特有の少し冷たい風と、登り切っていない太陽の光。
葉っぱなどを見ると朝露ができている。
「やっぱり早朝ランニングは気持ちがいいな」
シンオウにいた頃も早朝は走っていたが、こっち来てからはあまり走っていなかった。
周りを警戒しながら、いつもより遅めの速さで走る。
タッタッとリズムよく走りながら日が昇るのを感じていく。
久しぶりに早朝に走ったせいか気付いたらポケモンセンターより少し遠くに来ていた。
これ以上はと思い、引き返そうとしたら小さな川を見つけた。
走っていて喉が渇いたから丁度いいと思い、川に近づき手で水を掬い口に持ってくる。
飲んでみると冷えていておいしかった。
日が始め見たときより昇っていてもうそろそろ野生のポケモンたちも動き出すだろう。
それでもちょっとだけと思い、靴下と靴を脱ぎ、足を川の中に入れる。
ヒンヤリとしていて気持ちがいい。
「ほぅ」
一息つくとこれまでのことを振り返る。
マサラタウンを出て今日で約六日、一昨日はニビジムでジム戦を行い
昨日は初めてになるのか、初めての野生ポケモン、クサカのゲット。
ソウビはあれだし、コウキもあれだ、何だか俺の仲間は訳ありが多いなぁ。
でも仲間だし、家族だし、別にいいか。
何か言ってくる奴がいたらぶちのめすだけだし。
さてと、もうそろそろ危ないし帰るか。
と思ったのはいいけど、少し遅かったかも……
「…あ~遅かった」
周りには何故か五体のスピアーが囲んでいる。
この事がソウビたちに知られたら……考えたくないなぁ。
「さてと、どうやって逃げるかなぁ」
ソウビもコウキもクサカもポケモンセンター。
助けを呼ぼうにも少し遠くに来てしまったし、逆に他のポケモンが来そうでやれない。
走ろうにも今は裸足だし、朝から不運だわ。
「大人しく返してくれる…訳ないか」
スピアーたちがさっきから忙しなく羽を動かして威嚇してくる。
少しでも動けばヤラレル。
【ちょっとそこの坊やっ!! 伏せなさい!!】
「うぇ!?」
いきなり声が聞こえ、反射的に体を伏せる。
反射的に伏せてしまい、何が起こったのか把握できない。
少し顔を上げてみると、スピアーたちに水鉄砲が当たっていた。
だが俺の前に居た二匹しか当たっていない。
後ろを振り返ってみると色違いの“ゼニガメ”がいた。
あぁだから声が聞こえたのか。
っていうかこれ、言葉がわかんなかったらスピアーじゃなくて俺に当たってない?
それ以前に昨日と続いて色違いに会うなんて、爺さんの特典の力がばっちり働いている証拠だよなこれ。
なんて考えていたらあのゼニガメ、スピアーに突っ込んでいった。
えぇっと確か相手は虫と毒タイプ、ゼニガメは水タイプでダメージはお互い通常ダメージの筈なんだけど、いや、あの、えっ?
「えぇぇ……」
何とゼニガメがアクアテールで五タテしました。
いやその内の二体は水鉄砲で先にダメージは受けていたけど、それでも一発K.O.って
しかもアクアテールってレベルが確かえっと28だっけ? それぐらいしないと覚えられない技じゃなかったっけ? そうなるとあのゼニガメどんだけレベル高いんだよ!?
野生だよな!? 元トレーナーの手持ちだったら納得いくけど!?
ちなみにこの近くに人間がいないのは把握済み。
ゼニガメが出てきたときに、近くにトレーナーでもいるのかと、波動を使って探してみたけど、俺以外の人間の波動がなかった為、このゼニガメが野生だとわかった訳だけど。
「それでもすげぇ……」
ポカーンと眺めていると、ゼニガメが近づいてきて怒った顔で
【危ないとこだったわね、いくら早朝だからってポケモンなしで森に入るなんて
あんた死にたいの!?】
「いや、普通死にたくないよ? ただ今日は油断してのんびりし過ぎた俺のせいだし」
【のんびりってそれでも…ってあなた私の言葉がわかるの!?】
「えっわかるけど」
このやり取りコウキと初めて会った時以来だなぁ。
ソウビもこんな感じだったし、クサカは…何かナチュラルに流していたし。
あれ? もしかしてクサカって天然?
【分かるのなら話は早いわ、ここはスピアーたちが毎朝水を汲みに来るところなの。
人間たちは、あまりこんな早朝にこの場所に、来ることがないから知らないのよ。
それよりあなたは他のポケモンは? トレーナーなら手持ちのポケモンがいるでしょう?】
ここはスピアーたちの縄張りみたいなものだったのかぁ。
まぁゼニガメならトレーナーは御三家の一体を選ぶことは知って…いるよな?
この子色違いだから、研究所で最初の御三家にはならないと思うし、
そもそもこの子、生まれた頃から野生なのだろうか、御三家の三体は野生ではまず
滅多に会えない、それこそ、トレーナーに捨てられるぐらいじゃないと。
………自分で考えておいて嫌になった。
「仲間はこの近くのポケモンセンターにいるよ、俺はちょっとランニングするために
出てきたから一人なんだ」
起こすのも忍びないし、クサカとコウキはまだジョーイさんの元だし、ソウビは起きてるかな。
【そう、なら送るわ。また襲われたりしたら嫌だもの】
「それは助かる」
実際に大いに助かります。
この騒ぎで他のポケモンたちが起きて、攻撃されてきても嫌だし。
「ちょっと失礼」
【ん? きゃっ!?】
前にいたゼニガメを持ち上げ抱え歩き出す。
【ちょっといきなりどうしたのよ!?】
「いや、こうやった方がいいかなぁと思って」
少しおもゲフンっ、甲羅が体に当たるような背後から抱え込んだ抱え方をした。
これ何て抱え方なんだろ。
羽交い絞めに似てるけど、あれって脇の下から手を入れて、手を上にあげて持ち上げたりする拘束術だし、違うか。
走ると揺れるから、早足でポケモンセンターに向かう。
ソウビ絶対起きてるだろうなぁ…。
前回の更新より一年遅れですみません、リアルでいろいろとありまして、書き上げるのに時間が
かかりました。
文字数は大丈夫なのですが、上下編に分けてみました。
…理由はどんな結末で経緯で仲間になるかが纏まってないからです。
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