学戦都市アスタリスク~調律の魔術師~ (リコルト)
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ダイバーシティメンバーの日記
クロヴィスの日記


最近、グリムノーツの要素が欠乏してきた気がしたので、外伝としてグリムノーツキャラの話を書かせてもらいました。たまに少しずつ書いていきますのでよろしくお願いします。


〇〇月××日

 

 

あの壮絶な星武祭から数日が経った。俺は今、何気無い日常を満喫している。

 

 

俺はダイバーシティでは護衛や賞金首などの確保といったフィールドワークばかりであまりダイバーシティやアスタリスクにいることが難しいが、あの社長の計らいでアスタリスクでの休暇が与えられた。

 

 

他の皆も休暇を与えられたらしく、それぞれが休日を満喫している。俺自身もアスタリスクでは仕事による滞在が多かったため、ここ暫くは俺もアスタリスクで自由にさせてもらおう。

 

 

 

 

〇〇月××日

 

 

 

駄目だ。久しぶりの休暇だと言うが、どうにも仕事から頭が離れない。働き過ぎて仕事中毒者になってしまったのか?自然に強くなろうと考えてしまう。

 

 

やはり、あの《クトゥルフ》の包帯の男に会ってからだろうな。あの時俺はあの男に勝てないと感じてしまった。このままでは《クトゥルフ》に拐われた俺達の仲間であるエクスを救う事が出来ないだろう。それにどうもあの男には会ったことがある雰囲気があるんだが……

 

 

ともかく久しぶりの休暇を無駄にするわけにはいかない。ただ、俺が強くなる事も忘れてはならない。

 

 

だがそう簡単に強くなれる方法はあるのか?

 

 

 

 

〇〇月**日

 

 

今日はアスタリスクの歓楽街にやって来た。俺は歓楽街に来るのはマフィアの人を捕まえたりと仕事で来ることが多いのだが、今日は初めてプライベートでここに来た。

 

 

何でも絶版となった本が集うブックマーケットが開かれるらしい。俺の目当ては市場に出回らない近代文学の小説等である。

 

 

ブックマーケットの他にも色々な物が闇市のように売られていた。俺は何とか自分の趣味に合うような本をいくつか見つけることが出来た。ただ中には値段が普通の人では払えない額の本があったが、そこは経費で小切手払いにしてもらった。貴重な本のため、もし俺が読まなくなっても誰かが使うかもしれないし、あの巫女………社長がこんな高い本を買ったからって怒っても俺は貴様の数倍かかる食費から減らしやると脅してやろう。文化的遺産とあの巫女の食事だったら大事なのは明らかに前者だろう。あの巫女は昔から食いしん坊なのだが、それは直らないのだろうか。

 

 

 

俺は目的を果たしたため、帰ろうとすると……

 

 

 

「ど、泥棒だー。」

 

 

 

店員の叫ぶような声を聞いてそちらを振り向くと、マフィアのような格好をした男が金目の物が入っているであろう袋を持って路地裏に走っていた。

 

 

まったく……ここはあんな奴ばっかりだな。俺はそう思いながらも見過ごせる筈がなく、あの男を追いかける。

 

 

路地裏に入って行ったが、仕事で何回も来ていたため地の利があり、すぐに男を追い詰める。

 

 

俺が男に少しずつ近づくと………

 

 

「ま、待て。俺はオモ・ネロのメンバーだ。俺をやったらリーダーが黙っていないぞ。」

 

 

男が後ろに下がりながら抵抗し始める。《オモ・ネロ》か……。確かアスタリスクの歓楽街のマフィアでも構成人数が1000人もいる最大規模のマフィアグループだ。名前では聞いていたが、俺自身も接触するのは初めてだ。

 

 

別に相手の後ろに大規模なマフィアが絡んでいようが俺には関係ない。悪事を犯す者がいれば平等に神の名において拳で殴るだけである。俺は拳に愛用のローゼン・シュヴァリエを着けて拳を構える。

 

 

俺はそのまま拳を男に向かって打ち出す。男は最後まで抵抗していたが、俺の拳が衝撃波を作り出し、路地裏の床を抉るように男に直撃する。

 

 

俺が打ち出す拳の衝撃波にはスタンがあるため、男に近づき動けないのを確認して金目の物が入った袋を取り返す。別に俺は殺す程の威力ではやってないし、現に男はスタンで動けないが、意識はある。

 

 

俺は金目の物が入った袋を店員に返し、警備隊にこの男の事を伝えるため路地裏から出ようとすると……

 

 

 

 

「おいおい、さっきの衝撃はお前か?」

 

 

 

 

声のした方を見ると、俺を妨げるように赤い髪をしたサングラスの男が立っていた。

 

 

サングラスの男は俺がスタンで動けなくした男に近づく。俺が倒した男は何だか怯えていた様子だった。

 

 

サングラスの男が手を構えると………

 

 

「よぉ、俺の組織は盗みは決してしないんだわ。それによくも俺の組織の名前を使ってくれたな。」

 

 

 

ボンッ!!

 

 

 

サングラスの男が手に星辰力を込めると、動けなくした男の顔面が爆発した。

 

 

「安心しな。こいつは殺してねーから。」

 

 

男はゆっくりと立ち上がりながらそう言う。確かに外傷は酷いが、まだ生きている様子だ。

 

 

「悪いな。どうやらこいつがオモ・ネロを語ったらしいが、俺はこんな奴は知らない。たまにこんな奴がいるが、俺の組織はこんなバカな事はしないからそこは勘違いしないでくれ。」

 

 

サングラスの男が俺に向かって人柄が良いように笑顔を見せながらそう言う。

 

 

「ところでこいつを倒したのはお前か?凄い衝撃だったぜ。服装からしてお前ガラードワースの人か?レヴォルフや界龍には拳で戦う奴はいるが、ガラードワースにいるとは初耳だな。入る学校間違えたんじゃね。」

 

 

男は面白がるように俺を見る。失礼な奴だ。俺は男にダイバーシティに所属している事と自分の名前をサングラスの男に伝える。

 

 

「クロヴィスか。名前を聞いてもお前のような相当な実力者を思い浮かばなかったが、ダイバーシティの所属だったのか。てっきりその服装からガラードワースの生徒かと思っていたが、お前みたいな拳で戦う暴力的な奴が規則が厳しいガラードワースに居るわけないよな。」

 

 

貴様、けんか売ってんのか。貴様も侮辱罪であの男のように拳で制裁をしてやろうか。

 

 

「待て待て、落ち着けって。別にお前とは戦いに来たわけじゃない。それに知っているかもしれないが、俺も一応自己紹介をしとくぜ。」

 

 

ふん、勝手にしろ。そこらのマフィアよりは礼儀があるそうだが、一応聞いておいてやる。

 

 

 

「俺の名前はロドルフォ・ゾッポだ。一応オモ・ネロというマフィアを率いている。また何処かで会おうぜ、クロヴィス。」

 

 

そう言ってサングラスの男は俺が倒した男を片手に持って何処かに消えていった。

 

 

 

 

あの男がロドルフォ・ゾッポ……。俺もリストでしか見たことがなかったが、マフィアグループ《オモ・ネロ》のリーダーであり、レヴォルフ学院序列2位で二つ名は砕星の魔術師(バサドーネ)。周囲の星辰力に干渉して相手を倒す事から二つ名がついたアスタリスクでも相当な実力者だ。今の所はオモ・ネロと争うような事は起こっていないが、仕事上あの男とも戦うことになるのだろうか……

 

 

それにしては今まで会ったマフィアとは一風違った感じであまり嫌悪感は抱かないな。

 

 

俺はそんな事を考えながら店員に盗られたものを返して歓楽街を後にした。

 

 

 

 

 

 





次回もクロヴィスの話を書く予定です。ロドルフォに接触したその後のクロヴィスの話を書こうと思っています。


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クロヴィスの日記その2

 

 

〇〇月★★日

 

 

 

「お、来た来た。待ってたぜクロヴィス。」

 

 

いや、俺は貴様を待った覚えはないし、まるで会うかのような約束すらした覚えはない。

 

 

俺は今日もブックマーケットが開かれるということで再び歓楽街に来ていたが、俺が用事を済ませて歓楽街の入り口から出ようとした所を赤髪のサングラスの男ーロドルフォ・ゾッポに呼び止められた。

 

 

俺は無視するわけにはいかなく、仕方なくロドルフォの元に向かう。

 

 

おい、なぜ今日俺がここに来ることが分かった?

 

 

「お前がここに来ることなんてオモ・ネロの情報網を使えばすぐに分かることさ。」

 

 

くっ。確かに歓楽街を取り仕切るオモ・ネロにとっては歓楽街に来る人の事などすぐに分かるだろう。だが、俺は別にオモ・ネロに目をつけられるような事はしていないはずだが、何故俺を探していたのだろう。

 

 

「なぁなぁ今日お前はこれから暇だよな。少し俺に付き合わないか?」

 

 

俺が考えていると、ロドルフォが俺に訊ねて来る。

 

 

確かに俺は暇だが、何故マフィアの事情に付き合わなければならないのだ。

 

 

俺はロドルフォに断ろうとすると………

 

 

「そういやこの前何か強くなろうとしている悩んでいる雰囲気があったんだが、もし俺に付き合ったら今からオモ・ネロしか知らない強くなれるだろう場所を紹介するぜ。」

 

 

………やはりこの男は侮れないな。まさか一回会っただけで人の悩みを雰囲気から理解出来るとは。

 

 

マフィアのリーダーに付き合うのは俺自身も気が乗らないが、オモ・ネロしか知らないその場所は気になる。恐らくこれを逃せばオモ・ネロ側からそのようなコンタクトをして来るチャンスなんてまずあり得ない事だろう。しかもリーダー直々でだ。

 

 

俺は仕方なくロドルフォの頼みを承諾した。

 

 

「やっぱり強くなる事に興味が湧いたか。俺はそういう奴は好きだぜ。それじゃ行こうぜ。」

 

 

俺はロドルフォの後について行く。

 

 

おい、こいつは一体何処に連れて行く気だ?

 

 

 

 

 

………………………………………

 

 

 

 

…………………………………………………

 

 

 

……………………………………………………………

 

 

 

 

俺はロドルフォに連れられある場所に向かうためにオモ・ネロが管理する地下街を歩いていた。

 

 

そこはどうやらオモ・ネロの関係者やロドルフォが認めた人しか使えないらしい。地下街の中には武器を売っている店や小さなカジノがあった。

 

 

「さぁ、着いたぜ。」

 

 

ロドルフォが鉄扉の前で立ち止まる。

 

 

一体ここに何があるっていうんだ?

 

 

「それは中に入ってのお楽しみさ。」

 

 

ロドルフォがそう言って俺を鉄扉の中に招き入れる。入ると通路が広がっており、俺は通路を歩く。

 

 

通路が終わり、開けた場所に出ると俺の視界に広がっていたのは……………

 

 

『~~~~~~~~!!!!』

 

 

『そこだ!!やれー!!』

 

 

中央にリングがあり、リング内でオモ・ネロの構成メンバーあろう二人が戦っていた。周りの男達は酒などを飲みながら彼らを応援していた。まさかここはオモ・ネロの地下闘技場なのか?

 

 

「リーダーお帰りなさい。眼鏡をしたその方はリーダーの客人ですか?」

 

 

オモ・ネロのメンバーの一人が俺の方を見てロドルフォに訊ねた。

 

 

「ああ、そうだ。少しリング借りるぞ。」

 

 

そう言ってロドルフォはリングの方に向かい、戦っていた人達をリングから追い出す。

 

 

「クロヴィス、早く来いよ。」

 

 

ロドルフォがリングから俺を手招きする。俺は周りのオモ・ネロのメンバーが俺を見ている事もあり、ロドルフォに従ってリングに上がった。

 

 

「さぁ、遊ぼうぜ。」

 

 

ロドルフォがメリケンサック型の煌式武装を取り出して俺に向けて戦闘の構えをとる。

 

 

まさか………

 

 

「そうだ。お前の相手を俺がしてやるって話だよ。これでもそこらの奴より強いと自負してるんだ。」

 

 

確かにロドルフォ・ゾッポはオーフェリア・ランドルーフェン(規格外)を除けばレヴォルフ最強の男である。そして彼は強さは知られているが、星武祭やランク戦には出たことがないため戦える機会が非常に少ない。

 

 

だがなぜ俺と戦ってくれるのだろうか。ロドルフォにはメリットが無さそうに見えるが………

 

 

「メリットはあるさ。お前は俺を楽しませてくれるとあの時見て思ったからな。お互いにWinWinな関係だろ。」

 

 

まさかそれが今日俺を出待ちしていた理由か。

 

 

「ああ、そうだ。」

 

 

どうやら俺はロドルフォに絡まれた時点でこうなることは確定していたらしい。

 

 

だが、ロドルフォの言う通り俺にもメリットがある。滅多に戦えず、ましてや実力が伴う相手なら実践の戦いの中で何かを見出だせそうだ。

 

 

こんな機会滅多にないな。ならばお前をお望み通り楽しませてやるよ。

 

 

俺は戦いの姿勢を取った。

 

 

「じゃあ、行くぜ!!」

 

 

 

 

バキィィィィィン!!

 

 

 

ロドルフォの拳と俺の拳がぶつかり合った。

 

 

 

 

……………………………………

 

 

 

 

…………………………………………………

 

 

 

 

…………………………………………………………………

 

 

 

 

ハァッ…………ハァッ…………

 

 

 

ロドルフォと戦い始めてもう何十分経っただろうか。試合は未だ決着がつかない状態だった。

 

 

だが………………

 

 

「おいおい、息上がってるぞ。」

 

 

明らかにこちらが劣勢である。

 

 

ロドルフォには範囲内の星辰力を操る能力があるため、迂闊に近づくと先日の路地裏の男みたいに体を爆破されてしまう。だから俺は星辰力をなるべく出さないようにしながら相手に素早くヒット&アウェイ戦法で戦った。この方法なら彼の致命的な攻撃は避けられるだろう。

 

 

だが、星辰力を込めない攻撃というのは《星脈世代》にとってはあまり意味を成さない攻撃であり、実際ロドルフォに攻撃を与えられたもののいずれも致命打ではない。

 

 

やはり化け物だな。《魔術師》の中でもその能力は異質過ぎる。ロドルフォが能力を発動させている以上彼に近づくことができないし、俺の拳による衝撃波だって星辰力で出来ているため撃つだけ無駄である。

 

 

 

何処かに隙はないのか…………

 

 

 

俺は拳を地面に叩きつけた。

 

 

「もうおしまいか?でもお前のスピードによるヒット&アウェイ戦法は確かに俺には有効だ。そこまで頭が回る奴だからそこそこ楽しかったぜ!!」

 

 

ロドルフォがこちらに向かって来る。

 

 

 

その瞬間……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グボッ!?」

 

 

 

 

ロドルフォの体が宙に浮かぶ。

 

 

 

それはロドルフォが地面から突如現れた腕の形をした衝撃波の塊がロドルフォをアッパーするかの如く彼の顎にヒットし、叩き上げられたからだ。

 

 

 

今だ!!吹き飛べ!!

 

 

 

俺は空中に上がったロドルフォに拳による衝撃波を打ち放つ。それはロドルフォの能力に干渉されず、彼に直撃する。

 

 

 

「ガハッ!!」

 

 

 

ロドルフォはリングの端に飛ばされる。どうやら一回だけだが綺麗に決めることができた。

 

 

 

「ハハハ!!!参った参った。俺の負けだわ。」

 

 

 

ロドルフォはそう言って立ち上がる。

 

 

「ここまで綺麗にやられるのは久し振りだわ。やはりお前は見込み通りの男だったようだ。」

 

 

ロドルフォはそう言って俺に近づく。

 

 

「おい、今すぐ酒を出して来い。もちろんこの男の分も忘れるんじゃねーぞ。今日は気分が良い。」

 

 

ロドルフォがそう言うとオモ・ネロのメンバーが急いでお酒の準備を始めた。

 

 

俺は戦いの中、ロドルフォから足にダメージを受けたため彼に肩を貸して貰いながらリングを出た。リングに出ていく途中観客からは

 

 

 

『おい眼鏡、良い勝負だったぜ。』

 

 

 

『おい、あいつ何者だよ。』

 

 

 

という声が聞こえた。

 

 

 

…………………………

 

 

 

 

………………………………………

 

 

 

 

………………………………………………

 

 

 

「ハハハハッ!!まさかこんなに俺に攻撃を決められたのはオーフェリア以来だぜ。」

 

 

ロドルフォはそう言ってグラスに汲まれたビールを飲む。ちなみに俺はワインを所望した所、市場価格で数十万円もするワインが出された。俺は遠慮したんだが、ロドルフォが『お前は特別だからな。』と言って勧めて来るので、甘んじて受け入れた。

 

 

俺はこんな高いワインを飲んだことがなく、ロドルフォみたいにグビグビ飲まずゆっくりとワインを堪能した。戦いの後のせいなのか、とにかく旨かった。ていうか、ロドルフォは学生だよな?飲酒して大丈夫なのだろうか?

 

 

「なぁなぁ、クロヴィス。さっきの俺に与えた一撃って設置型の能力だよな?いつから仕込んでた?」

 

 

ロドルフォや周りの者が興味を持って聞いてくる。

 

 

…………あれは咄嗟にやった事だ。お前が言う設置型の能力じゃないし、ましてや俺は《魔術師》でもない。

 

 

「ハアッ!?なら、あれは偶然に出来たのかよ。」

 

 

ああ、その通りだ。《星脈世代》の人は何らかのイメージを持って戦う人が多いはずだ。俺もそれにしたがってあるイメージを持って戦っている。《神の下で平等に俺の拳が制裁する》というイメージだ。お前がやられる前、俺はそれを強く考えた。

 

 

「平等にお前の拳が相手に制裁する、つまり誰にでも拳を当てられるというイメージか。」

 

 

俺はロドルフォのその考えに頷く。

 

 

「なるほどな。でも何処からでも相手に攻撃を当てられるって不意討ちとかにはいいんじゃね?」

 

 

いや、不意討ちに関して言ったらお前の方がヤバイだろ。お前の能力の範囲内に入ったら街とかですれ違い様に標的を爆発させられるだろ。

 

 

「ハハハッ!!確かにその通りだな。けど俺はそんなのは似合わないから絶対しないけどな。」

 

 

ロドルフォが高らかに笑った。

 

 

 

 

 

………さて俺は帰るとするか。時計を見ると、かなりここで過ごしてしまったようだな。俺も何か強くなるイメージが掴めた。感謝する。

 

 

 

「もう行くのか?ならこれをやるぜ。」

 

 

ロドルフォは俺にプラスチックの黒いカードのようなものを投げてきた。

 

 

何だこれは?

 

 

「オモ・ネロが所有している施設を利用出来ることを示すカードだ。これを使えばここの地下街を好きな時に利用が出来るぞ。」

 

 

何故俺に渡したんだ?

 

 

「お前はもう俺の上客だからだ。それに俺のメンバーも認めているようだしな。」

 

 

俺は周りを見ると、オモ・ネロのメンバーが親しそうに俺を見ていた。最初は俺を服から仲が悪いガラードワースの関係者かと勘違いして不愉快そうな顔をしていたが、ロドルフォと戦った後に俺がダイバーシティの人だと言うと、戦いに感動したせいもあるのか、俺に親しくしてきたのだ。

 

 

「また来いよ。俺はいつでも待ってるぜ。」

 

 

…………ああ。出来れば次は仕事の関係で会わない事を願いたい事だ。

 

 

「まったくだな。」

 

 

俺はロドルフォに皮肉を言いながら地下闘技場を後にした。

 

 

 

あいつなら俺に何かしらの刺激を与えてくれる人物だ。もし暇があればまた彼処に行こう。

 

 

 

後で気づいたのだが、俺はロドルフォから貰った黒いカードの裏を見ると、ロドルフォの電話番号が載っていた。

 

 

全く誰がマフィアのリーダーのアドレスを登録するんだ………。俺はそう思いながら彼のアドレスを誰にも見つからないように登録した。

 

 

 

 




ロドルフォの煌式武装ですが、まだ原作中の遠隔式煌式武装がまだないためオリジナルの煌式武装を持たせました。次回はシェインの話です。一体誰と絡むのでしょうか。楽しみにして頂くと嬉しいです。


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プロローグ 王竜星武祭までの日常
キャラ設定&オリジナル用語説明


キャラ設定とオリジナル用語説明です。


霧咲スバル(16才)*原作開始時

所属:聖ガラードワース学園

序列:6位

二つ名:調和の魔術師(ハーモニウス)

純星煌式武装:超神星剣ジークヴルム・ノヴァ

 

本作の主人公。元調律の魔術師。外見は黒髪で制服は執事服のようなもの。幼少期に認識を変えるほどの力から孤児院に両親から捨てられる過去をもつ。

しかし星脈世代支援機関(ダイバーシティ)に拾われ、人生が変わる。その後、星脈世代としての力を磨き、8才の頃に欧州へ留学。そこで例の事件に遭遇する。

ガラードワースに入学した理由は欧州で知り合ったフェアクロフ家やブランシャール家やメスメル家など欧州の名家の推薦があったためである。

武術は剣から銃までできるオールラウンダーである。また、魔術師としての力はあの事件以降、《調律》という認識を変えるほどの力はまったく使えず、弱体化され《調和》という力で魔術師ながら純星煌式武装の適性をクリアできるようになったが、《代償》は適用されなかった。

また、周囲であれば強化や弱体化の効果を打ち消せる。

純星煌式武装ジークヴルム・ノヴァはダイバーシティが彼の入学祝いにガラードワースに貸したものである。

 

 

シルヴィア・リューネハイム

所属:クインヴェール女学院

序列:1位

二つ名:戦律の魔女(シグルドリーヴァ)

煌式武装:銃剣型煌式武装フォールクヴァング

 

本作のヒロイン。世界のトップアイドル。霧咲の留学時代に彼と同じ学校に在籍していた。例の事件に巻き込まれて以降、彼と友達になる。霧咲がダイバーシティに所属しているのを知っているためダイバーシティの面々と仲が良い。歌を用いて戦い、その力は万能である。

 

ノエル・メスメル

所属:聖ガラードワース学園

序列:7位

二つ名:聖茨の魔女(ペルセフォーレ)

 

本作のヒロイン。霧咲とは例の事件に遭遇し、助けられたことから友達になる。霧咲のことを《お兄さん》とよぶ。

領域型の魔女(ストレガ)で茨を周囲に起こせる。煌式武装は杖型のものである。

 

 

オリジナル用語

 

星脈世代支援機関(ダイバーシティ)

 

統合企業財体から独立した機関。星脈世代に関わる支援や保護を行っており、また煌式武装の研究や落星雨の歴史的研究といった研究の活動だけでなく、護衛や調査といった多種多様な分野での活動を行う。特に重視してるのはウルム=マダナイトの発見と純星煌式武装への加工と実験で純星煌式武装の所有数は統合企業財体と比べてもかなり多い。そのため統合企業財体に公平に純星煌式武装をある程度渡している。そのせいか6つの統合企業財体との大きな争いはない。本部は六花の周りにある人工島で、霧咲スバルを含めた50人から100人ほどの活動と少数精鋭な機関である。また、今のトップはレイナ・フィーマンという霧咲らと変わらない少女である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今のところこんな感じです。
登場人物については今後、あとがきで書いていこうとおもいます。最初は原作前の話をしていこうとおもいます。
時系列的には主人公14才の《獅鷲星武祭》終了時からですね。原作1年前の《王竜星武祭》辺りを多く書こうとおもっています。入学したての頃の話しは回想で締めちゃうかもしれません。

長文すみませんでした。


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霧咲スバルは入学からの2年を振り返り、〇〇〇〇〇〇候補者である。

前回のあとがきどおり、原作前の《獅鷲星武祭》終了時からのお話しとなります。しばらく回想のようなものにお付き合いください。


「起き……。もう……だぞ。」

 

 

身体を大きく揺さぶられて、声が聞こえる。そうか僕は《獅鷲星武祭》の疲れで寝てしまってたのか………。

 

 

「んんっ……」

 

 

目を開けてみると、そこはいつもの学校の教室風景と少し呆れた表情をした銀髪の男が立っていた。

 

 

「スバル、獅鷲星武祭の疲れがまだ取れないのか?終わってからもう一週間がたったんだぞ。」

 

 

「いや、ただ授業が疲れたから寝ちゃってただけだよ。それよりどうした、ラン?」

 

 

「授業が終わったから、食堂で軽食でもしないか?」

 

 

そうか……。もう今日の授業は終わりか。今は……午後2時ぐらいか。軽食にはちょうどいいかな。

 

 

「いいよ。今日は、生徒会の仕事がないし、最後までゆっくりできるよ。」

 

 

そう言って、僕は椅子から立ちあがった。

 

 

「そうこなくっちゃ。おまえと話せるのもひさしぶりだしな。

 

 

銀髪の男―ランはスバルと共に教室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

廊下

 

スバルside

 

今、僕とランはガラードワースにある食堂にむかっている。といってもガラードワースで食堂と言う人はあまりいないだろう。なぜならガラードワースには日本人は少なく、同学年でもランぐらいしかいない。そのため、システムも欧州スタイルでカフェテリアのようなもので、日本人から見ると、最初は難しく思われるだろう。

 

 

―まぁ、僕は留学経験があるため造作もないけど。―

 

 

そんなことを考えながら、廊下を歩くと、周りの生徒がざわざわとしていた。

 

 

「これって、僕のことを言っているのかな。」

 

 

僕は半心確信しながらランにたずねてみた。

 

 

「当たり前だろ。おまえは一週間前の星武祭の優勝メンバーだからな。今じゃ人気者だぜ。」

 

 

「だよね。これがしばらく続くと思うとなぁ。というか星武祭の優勝者って言ったらランもその一人だよね。」

 

 

「ぐっ……何も言い返せねぇ。」

 

 

そう、この男―三条ランは昨年度の鳳凰星武祭優勝者である。ペアはもちろん僕とで、入学早々大金星を飾った。ランの序列は14位と≪銀翼騎士団(ライフローデス)≫には入ってないもののこいつの実力はそんなものではない。

 

 

なぜ、分かるかって。だってこいつは……………。

 

 

 

 

俺と同じダイバーシティ所属だからな。

こいつの本当の実力は向こうで飽きるほど知らされている。入学当時、ダイバーシティのトップの代替わりをしたばかりのレイナ・フィーマンに聞いたところラン以外にも他の学園にも目的や任務をもたせて入学させたらしい。

 

 

詳しい人数は聞かなかった。いや聞けなかった。

あいつダイバーシティ内での幼なじみなだけにおもしろがっるだろ。報・連・相を知らないのか、あの女は。

まぁ、そんなことは今となってはどうでもいい。

 

 

ランはアスタリスク内での僕の組織のメッセンジャー及び監視としてきている。星武祭で優勝している時点で目的を忘れているかもしれないがな。

 

 

そしてあいつの実力だが、剣術が秀でており、彼もダイバーシティからガラードワースへ表側貸していることとしている純星煌式武装を使っている。

 

 

《月光神剣ルナティック・ストライクヴルム》

白と紫を基調とした剣で、僕の純星煌式武装ジークヴルム・ノヴァの兄弟剣ならぬ兄弟煌式武装である。剣として基本的に扱え、鳳凰星武祭でも決勝戦である界龍の趙虎峰とセシリー・ウォンとのペアまで能力を使わずにやってきた。決勝戦で使った能力の正体は《高速飛行》であり、彼らを空中から苦しめた。

その《代償》として使用後、重度の乗り物酔いのような状態になり、薬も市販のものでは効かず、また《高速飛行》は高度なコントロールを必要とするため、ダイバーシティ側の解決策はひたすら使い込み、慣れるしかないという結論だった。

ランは幼い頃からこれを使い込み、まともに15分程度使えるようになったが、鳳凰星武祭の時でも優勝インタビューには出ず、トイレにこもっていたそうだ。風紀や体裁を気にするガラードワースがそんなところをメディアにさらすわけにはいかず、ガラードワース側が配慮してくれたそうだ。

 

 

まったく、僕の純星煌式武装も含め、この二つは《代償》を考慮すると、ガラードワースと相性が悪い。僕の《代償》もアーネストさん達といった一部の人にはバレているかもしれないが、口外することがあまりできない。なぜなら、《代償》がガラードワースの校風だけでなく、星武憲章(ステラ・カルタ)にも違反しかねない危険性を孕んでいるからだ。

 

 

 

 

 

 

レンはその反論に一瞬怯んだが、思い付いたように言った。

 

 

 

「いやいや、やっぱりおまえしかいないだろう。

なんだっておまえは………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二代目《万有天羅》以来のグランドスラム候補だからな。」

 

 

 

そう、僕は入学2年でグランドスラム候補になった男です。

 

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




本編始まりましたが、いかがでしょうか。
感想やコメントうけつけてます。

学業のため深夜投稿が続くかもしれません。


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食堂でチームランスロットと願いについて話し合う

登場人物紹介時間が足りず、書けませんでした。


これも台風のせいだ。(暴論)


僕達は食堂で、それぞれ好きなものを取って席に着いた。ちなみに、僕は数種類のパンで、ランはマフィンを注文した。

 

 

「ここでもうわさされてるね。」

 

 

「当たり前だろ。グランドスラム達成者が誕生するかも知れないからな。朝のニュースや新聞でも来年の王竜星武祭に参加するかどうかやってたぞ。」

 

 

ランはそう言うと、新聞のニュース欄のウィンドウを僕に見せてきた。

 

 

「うわっ。本当だ。」

 

 

「おまえはもう少し、今の自分のことを理解したほうがいいんじゃないか。」

 

 

ランは少々呆れながら、マフィンを口に頬張った。

 

 

「でもグランドスラムも夢じゃないかもな。だって昨年の鳳凰星武祭でのあの願いがあるしな。」

 

 

ランがそう言うと、後ろから声をかけられた。

 

 

「二人とも。僕達と相席してもまわないかな。」

 

 

「「あ…アーネストさん。」」

 

 

二人に声をかけたのはガラードワースの生徒会長であり、序列1位で今期のチームランスロットを優勝に導いたアーネスト・フェアクロフさんだった。その後ろには、同じくチームランスロットのレティシアさんとケヴィンさんとライオネルさんがついていた。

 

 

「かまいませんか。スバル。」

 

 

「ええ、大丈夫ですよ。」

 

 

レティシアさんにたずねられたので、僕は快く承諾した。

 

 

「ありがとうございます。スバル。」

 

 

「邪魔するぜ。スバル。」

 

 

「失礼するぞ。スバル。」

 

 

こういうわけで、アーネストさんらと相席をすることになったが、この面子はなかなかやばいと思う。なぜなら、ここの全員が星武祭の優勝者だからである。ガラードワースの首脳会談といっても過言ではない。

周りの生徒が緊迫した空気で僕らを見てるし。

 

 

「ところで、チームランスロットのみなさんは星武祭の願いを決めたんですか?」

 

 

ランがたずねてみると、

 

 

「私とケヴィンとライオネルは自分達の家のために使わせてもらいますわ。」

 

 

なるほど、そうか。ガラードワース学院は欧州の名家が多く、家の発展のために星脈世代の息子や娘を利用して、星武祭の願いを使うことは少なくない。そのためガラードワースの星武祭優勝者は私利私欲に願いを使うことはあまりない。

レティシアさん達ははじめて星武祭で優勝したことから、おそらくそのようにしたのだろう。

 

 

「アーネストさんはどうですか?」

 

 

「僕かい?そうだね、星武祭の優勝は2回目だから、前回の願いは家のために使ったし、家からは自由にしていいと言ってたよ。」

 

 

「そうなんですか。」

 

 

「ただ、僕としては前回のスバルくんの願いを見習いたいかな。」

 

 

アーネストさんがそう言うと、みんなが僕の方を向いてきた。

 

 

「スバルの願いを見習うなんて、アーネストもたいがいにしてほしいですわ。」

 

 

「でも、スバルの前例があるからアーニーの願いは軽くパスすると思うぜ。」

 

 

レティシアさんは少々呆れ、ケヴィンさんは冗談っぽく笑っていた。

 

 

「ケヴィン、笑い事じゃありませんわ。スバルの願いとアーネストの願いで、慣習化したらどうしますの。

なんたってスバルの願いは………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「星武祭の参加回数を増やしてもらう星武憲章(ステラ・カルタ)に反しかねない願いでしたのよ。」

 

 

そう、僕の鳳凰星武祭の優勝時の願いは星武憲章の星武祭の参加回数を増やしてもらうことだった。

 

 

当初、僕の人生を変えてくれたダイバーシティのために恩返しをしようと今後のアスタリスクでの活動も含め、この願いにした。

 

 

最初は参加回数を無制限にしようとしたが、レティシアさんらに説教され、また統合企業財体側も許してもらえず、妥協して3回から5回にしてもらった。

 

 

ただ、アーネストさんが『強い星脈世代たちとたくさん闘いたい気持ちは僕にも分かるよ。』と変な誤解をされたが、説教されたての僕を慰めてくれた気持ちは心に染みた。

 

 

「今考えれば自分の実力をみたらそっちにしたほうが願いを叶えてもらう回数は多かったかもな。」

 

 

「ランは僕の願いを聞かず、優勝翌日に申請したよね。」

 

 

ちなみにランの願いは土地の要求だった。

 

 

ランの家系―三条家は代々学業関係の仕事に就くものが多い。ただ、統合企業財体の貧困に苦しみ、学業ができない子供たちを増やすやり方に賛同せず、ダイバーシティ側についた。現に三条家はダイバーシティの経営する高い入学金を必要とするアスタリスクに通えない星脈世代の小さな学校をダイバーシティ本部で働いている。

 

 

ランは新たにそんな学校を作るのが夢だ。

ランからみたら自分の夢の基礎が作れ、ダイバーシティ側にも組織の土地が増えるという意味で恩を返せる。

一石二鳥な願いであった。

 

 

「ハハハ、ランくんの願いはしっかりしていたと思うよ。さて、次の獅鷲星武祭について話そうか。」

 

 

アーネストさんの言葉で僕達は真面目な顔に切り替えた。

 

 

「レティシアとケヴィンとライオネルは引き続き参加してくれるよね。」

 

 

「当然ですわ。クローディアに個人的に敗れた借りを返しますわ。おそらく、次の獅鷲星武祭にも出るでしょう。」

 

 

欧州で知り合ったクローディアとは別学園で、相手として戦い、リーダーの校章破損という形でランスロットが勝利したが、クローディアがレティシアさんの校章破損を行い、個人的には負けていると思い、リベンジに燃えている。

 

 

ケヴィンさんやライオネルさんもアーネストさんの確認に

しっかりとうなずいていた。

 

 

「スバルくんはどうするかい。今回は参加するはずの序列5位がケガで、急遽序列6位の君に頼んだのだけれど。」

 

 

「今のところなんとも言えませんね。おそらく正規どおりトリスタンとして参加する可能性が高いと思います。」

 

 

「私としてはあの序列5位に比べて、スバルのほうがいいですわ。」

 

 

レティシアはひどく批判的だが、あの男には僕やランを含め、チームランスロットも同じ気持ちだろう。そんな彼はそろそろ復帰するそうなので、近いうちに会うことだろう。

 

 

その後、これからの獅鷲星武祭までの計画を確認し、僕達はそろそろ解散することにした。

 

 

「ところで、聞いてなかったけど今回のスバルくんの願いは何にするのかい。やはりダイバーシティのために願うのかい?」

 

 

去り際に、アーネストさんが僕に聞いてきた。レティシアさんも興味津々だ。

 

 

「いえ、今回はある友達のためにわがままさせてもらいました。組織にも報告し、許可してもらいました。」

 

 

「それってユリスのことですの?」

 

 

「ええ、そうです。ユリスのこともありますが、僕個人としてもリーゼルタニアの孤児院で会った彼女があのようになっていると思うとですね。」

 

 

「それってまさか………」

 

 

レティシアさんは気づいたようで、動揺を隠せないようだ。アーネストさんもおそらく気づいているだろう。

 

 

「はい。孤毒の魔女(エレンシュキーガル)オーフェリア・ランドルーフェンのディルク・エーベルヴァインからの解放です。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アーネストさんたちと別れると、僕はそのまま家に帰ろうとしていた。寮生活じゃないのかって。今だけはある事情である人の家に住んでいる。

 

 

Prrrrrr。

 

 

電話か。ウィンドウを開くと、そこには紫の髪と息をのむほどに整った顔立ちの女の子が映った。

 

『ヤッホー。スバルくん。』

 

 

「うん。ひさしぶりだねシルヴィ。」

 

 




今日は早めの投稿となりました。
ようやく原作メンバーとヒロインが出せました。
えっ?オーフェリアがヒロインじゃないのかって。
彼女は今後の話を左右するキーパソンで、準ヒロイン予定です。


次回は登場人物紹介も含むため、1.2日空けるかもしれません。



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シルヴィの電話と《魔女狩り》の結末

白猫プロジェクトにシルヴィアというキャラが出ていて、
運命を感じて茶熊分のジュエルを110連分費やしたが、出てこなくて爆死した悲しみにくれたリコルトです。

それでは本編をどうぞ。今回はかなりシリアスです。


『ヤッホー。スバルくん。』

 

 

 

「うん。ひさしぶりだねシルヴィ。」

 

 

電話の相手は六花だけではなく、世界中のトップアイドルである《歌姫》クインヴェール女学院序列1位のシルヴィア・リューネハイムである。彼女とは留学時代、同じ学校に在籍し、学校が《魔女狩り》に遭った時彼女は《魔女》であるため優先始末対象となっており、襲われた際に僕が助けて共闘し、そこから知り合った。

 

 

そして、僕の本当の能力《調律》を失った要因でもある。

 

 

『獅鷲星武祭優勝から一週間経っちゃったけど、優勝おめでとうスバルくん。』

 

 

「別に構わないよ。シルヴィこそワールドツアーで僕より忙しいでしょ。」

 

 

『そう言ってくれると嬉しいよ。ところで、その……《調律》があったらもっと楽に勝てたかな』

 

 

「っ!!」

 

 

おそらくシルヴィはあのとき彼女のせいで、僕の本来の力を失ったことで弱体化したことに罪悪感を感じているのだろう。

 

 

―回想―シルヴィアside

 

 

 

 

「リューネハイムさん。しっかりしてください。」

 

 

ああ、こんなところでも、私を助けてくれた王子さまは名字呼びか。まじめな子なんだなぁ。

 

 

私は学校を襲った犯人のリーダーであり、この事件の首謀者である男を学校の中庭まで追い詰めた。相手は非星脈世代であり、武装もショッドガンだけだった。

 

 

簡単に私たちはショッドガンを手からうちおとすだけで、男を拘束して、おしまいだと思ってた。

 

 

けれど、男は毒針を持ってて拘束する際にスバルくんに刺そうしてたの。それを庇って今、こんな感じかな。身体が寒くなってきたよ。

 

 

ああ、ウルスラに逢いたいなぁ。今頃ウルスラの家でおいしいご飯を食べて、歌の練習をたくさんしているんだろうなぁ。そしてはじめて好きになった人に…………

 

 

「………ねぇ。スバルくん。私の…願いを聞いてくれる?」

 

 

涙を流しているスバルくんは静かにうなずいた。

 

 

「私……をシルヴィと読んでくれるかな?」

 

 

この愛称で呼ぶのは私が好きな人だけでウルスラぐらいしかいなかったんだ。

 

 

「ああ、シルヴィ…………。」

 

 

そこで、私の視界は真っ暗になった。ただただ、シルヴィと呼ぶスバルくんの声だけが聞こえる。ああ、死んじゃうんだなぁ。

 

 

そう思うと、私を支えるスバルくんの周りで彼のすさまじい量の星辰力(プラーナ)が溢れだした。

 

 

一瞬何が、起こったのか分からず、そこから意識も失ってしまった。

 

 

………

 

 

 

………………

 

 

 

………………………

 

 

 

………………………………

 

 

「んんっ………」

 

 

私は天国に来たのだろうか。寒気もしないし、目も開く。

するとそこには、裏庭で倒れているスバル君を見つけた。

 

 

「スバル君。しっかりして。」

 

 

するとスバル君は口を開いた。

 

 

「今の日時を………教えてくれ。」

 

 

そこで、私は時計を見てスバル君に今の日時を教えた。

 

 

「そうか、成功したんだな……《調…律》が」

 

 

そう言うと、スバル君はまた意識を失った。

 

 

私があわてていると年上のアーネストさんという人がやってきた。事情を説明するとアーネストさんはスバル君を抱えて医務室に向かった。

 

 

私も行こうとするが、裏庭にはあの男の姿はもちろん、争った形跡もなかった。逃げたのだろうか。おかしい。

 

 

そこで私は違和感に気づく。先程時計を見たのだが、あの男と戦った時の年、日にち、時間が、変わってないのだ。

最初、時計が壊れていることも疑ったが、しっかり動いている。

 

 

まるでもうひとつの世界に来てるみたいだった。

 

 

 

 

あのあとスバル君はすぐに目覚めた。そこでアーネストさんと私は事の経緯と彼の能力を教えてもらった。

 

 

 

まとめると、スバル君は私が死ぬはずだったあのとき《調律》という魔術師の能力を使った。《調律》は発動者が異物と思うものやことがない状態の世界にして、誰もが気づかない状態にする。いわば、永久にとけない洗脳のようなものである。なにそれ。強すぎない?

 

 

あのとき彼は無意識に発動したらしく、《魔女狩り》が起こらない状態を作り出していたらしい。ただ、彼は、子供のイタズラで使ったことはあっても、今回のようなことははじめてでイレギュラーな事態が起きているようだ。

 

 

まず、欧州全域でなく世界規模で行われたこと。そのため今回の事件は歴史にすら残らないそうだ。

 

 

二つ目は、私やアーネストさんのように事件を覚えている人が存在すること。これはスバル君のいる範囲が近ければ、近いほど鮮明に覚えており、後に調査したところしっかり覚えているのは欧州にいて、星脈世代であり、彼とつながりを持つ人だけだった。数えたところ学校内では30人ぐらいで《魔女》や《魔術師》が多かった。

 

 

そして三つ目は、能力が弱体化してしまいもう調律ができないということだ。

 

 

私は罪悪感におそわれた。なぜなら私のせいで、スバルくんはもう本気がだせなくなってしまった。人の才能を奪ってしまった。

 

回想シルヴィアSide out

 

 

「はぁ……、もともと武術に精通してたし、あんなチート

みたいな能力がなくても大丈夫だよ。」

 

 

『いや、たしかにスバルくんが能力を使わなくても相当強いのは知ってるけど……』

 

 

「それに、あの能力のせいで、親にすてられたんだ。そんなに固執してるわけでもないし、どちらかと今の《調和》のほうが実用的で使いやすいからシルヴィは悩むことはないよ。」

 

 

『けど……その力がなくなったせいで、3年前ダイバーシティのスバル君を拾った前社長さんや上司の人たちが亡くなったじゃない。』

 

 

そう、僕の恩人である前社長や上司の人たち10数人の力ある人たちは3年前に亡くなった。いや殺されたのだ。

 

 

なんでも赤道辺りの海上プラットホームで、ある調査をしていたらしい。彼らの最期は赤道地域の辺境の村で首だけがさらされていたものだ。僕もそれを確認し、遺骸を回収後、即本部に帰還した。後の調査でその近くで海上プラットホームが破壊される事件があり、社長たちのやったことは迷宮入りとなり、話すことはダイバーシティ内ではタブーとされている。

 

 

そのため上層部は半壊し、今の社長レイナ・フィーマンが組織内の信頼が厚いことから、未成年ながらも就任した。

 

 

「たしかに、あの能力があれば死なせることはなかったかもね。けれど、一回しか使えないかもしれない能力をあの人たちなら自分達が生き返ることに使うなら、あの事件みたく大勢のために使いなさいというとおもうよ。」

 

 

「だから、シルヴィは何にも悩むことはないんだ。もし、シルヴィためだけに使ったと思い悩んでるならそれは違うよ。アーネストさんやレティシアさんやユリスたちあの事件の被害者全員のために使ったんだ。」

 

 

僕がそういうと、

 

 

『スバルくんらしいね。でも気持ちが吹っ切れたよ。』

 

 

「あの問いは来年の王竜星武祭に出る意味でも聞いたんだよね。」

 

 

『それもあるね。スバルくんとは本気で戦いたいところがあるからね。でも、そこはシルヴィのために使ったんだとか言って欲しかったな~。』

 

 

シルヴィが少し頬をふくらませている。とてもかわいいんだけど。

 

 

「あははは。ところで、シルヴィはあとどのくらいで帰ってくるんだい?」

 

 

『あと2日ぐらいかな。そのときは迎えにきてくれると嬉しいなぁ。』

 

 

「分かったよ。2日後に港に迎えに行くよ。」

 

 

『うふふ。ありがとう。それじゃまたね。』

 

 

「うん、またね。」

 

 

そう言って僕は電話を切った。これできっとシルヴィはもう僕のことで悩むことはないだろう。

 

 

「さて、僕も帰りますか。」

 

 

僕は家までの残り少ない帰路を歩いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうやってしばらく歩くと僕は家に着いた。

 

 

「ただいまぁー」

 

 

「おかりえりなさい、お兄さん。」

 

 

居間の奥からうすい緑髪の目元を少し隠した女の子がでてきた。

 

 

「ああ、ただいまノエル。」

 

 

 

 




やればなんとかなりましたね。次回からは日常系の話にしようと思います。

「ロックマンかなぁ」というご指摘があり、冒頭の部分が流星のロックマンのスバルとミソラの話しっぽく見えてきて、草生えた笑。たしかにミソラとシルヴィア似てますよね。

P.S《調律》の説明が難しいと思われたと思いましたが、最近でいうと、仮面ライダービルドの最終回みたいなかんじですね笑。


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家の小さな住人

第5話です。


「おかえりなさい。お兄さん。」

 

 

居間から出てきたのはうすい緑髪の少女である、ノエル・メスメルである。

 

 

「ただいまノエル。」

 

 

そういって僕は家の中に入った。

 

 

「お兄さんはお風呂とお食事先にどうしますか。」

 

 

「先に、ご飯にしようかな。」

 

 

「わかりました。今日はシチューを作ってみたんです。」

 

 

そういうと、ノエルはキッチンの方に向かっていた。

 

 

なぜ、幼い少女と同棲してるのかって?

僕がロリコンだから?やめてほしい、グランドスラム候補者の肩書きと共に《ロリコン》という称号がついてしまうじゃないか。

 

 

そんなことを考えていると、手前の部屋から金髪の少年が出てきた。

 

 

「霧咲先輩、おかえりなさい。」

 

 

「ただいまエリオットくん。」

 

 

この金髪の少年はエリオット・フォースター。

統合企業財体・E=Pを創設したフォースター一族の嫡男であり、この少年とも暮らしている。

 

 

「食事の準備ができましたよ。」

 

 

「分かった。今行くよ。」

 

 

ノエルから食事の準備ができたと言ってきたので、僕とエリオットは居間に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん、料理の腕を上げたねノエル。」

 

 

「あ、ありがとうございます。お兄さん。」

 

 

ノエルの料理を食べながら、僕はノエルに言った。

エリオットもしっかり味わいながら食べていた。

 

 

なぜ、僕がこの二人と暮らしているのか。

それは、この二人は来年のガラードワース学院の入学試験に一般の人たちよりお先に合格した推薦入試の合格者だからだ。だって、統合企業財体・E=Pを創設したフォースター一族の嫡男に、星脈世代でも数少ない魔女(ストレガ)だよ。特待生でもおかしくないよ。

 

 

この二人は、普通の人より早めに合格したが、一つ問題があった。それはこの二人が、まだ正式には学生ではないため、寮を使えないのだ。ホテルに泊めてもいいのだが、当時ノエルが彼女の性格から見知らぬ土地で一人で部屋に泊まるのは嫌だと拒否した。エリオットにはいっしょの部屋で寝ればと提案したところ、顔を赤くしてこれを断った。

 

 

そこで彼らの家は困っていたが、両家とも魔女狩りのことをある程度覚えており、二人のことを助けてもらい、深く信用する仲となった僕にダイバーシティを通して、依頼してきた。ノエルはこれにとても賛成していたらしい。

 

 

依頼のおおまかな内容は二人の面倒を入学までみること。そしてアスタリスクでの生活に慣れさせることである。

 

 

実はこの二つの依頼はとても大事なことなのだ。なぜなら欧州の名家では幼い頃から執事やメイドが世話をしていた家が少なからずあり、寮生活であるガラードワースでホームシックになることがたびたびある。

 

 

また、フォースター家がもう僕達が住む家を借りていてもう断ることが出来なかった。

 

 

 

そのため、二人には洗濯や料理や家事など基本的な生活面のことから教えた。また、二人とも僕に武術の稽古をつけてもらいたいということなど彼らが学びたいことを積極的に教えた。実にいいことだ。

 

 

そのため今では生活に支障が出ないほど自立した生活ができており、依頼もほぼ達成している。

 

 

「そうだ。ノエル2日後にシルヴィが帰ってくるのだが、迎えに行かない?」

 

 

「別にその日は暇ですから大丈夫ですよ。お兄ちゃんはどうなの?」

 

 

ノエルがエリオットにたずねてみた。

 

 

「僕はE=Pでの活動に必要な基礎知識の勉強で忙しいな。」

 

 

ここ最近、エリオットはフォースター家から届いたE=Pでの活動のマニュアルを読み、部屋にこもって勉強している。主に基礎的な社交辞令や外国での食事のマナーとかである。日本のことについてはよく僕に聞いていた。箸のマナーとか和食の食べ方とかね。

 

ただその勉強だが、紙媒体での時はフォースター家に解いた問題を送り、赤ペンで帰ってくる通信添削さながらの光景に思わずツッコミたくなったことがある。

 

 

「そうか、分かったよ。あとノエル、そのエリオットにお兄ちゃんと言うのはさすがに直したほうがいいよ。」

 

 

「霧咲先輩のいう通りだよ。同級生で言われたら周りに何を言われるのか……」

 

 

「……っ。は、はい。」

 

 

そんなこんな色々な話をして僕は風呂に入り、自分の部屋で就寝した。

 

 

 




ご愛読ありがとうございました。

ここまで毎日投稿してきましたが、明日から模試のため間が空くかもしれません。

簡単なコメント、感想は随時受付してます。

それではまた会いましょう。



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歌姫の帰還と三人目の少女

今さらですが、感想を非ログインユーザーでもできるようにしました。これは初心者で気づかなかった僕の責任です。感想やコメント随時受け付けてます。
オリキャラでます。


六花総合連絡船乗り場

 

 

今日はシルヴィがワールドツアーから帰ってくるため六花と外を結ぶ唯一の交通機関の乗り場である六花総合連絡船乗り場に来ていた。六花は北関東のクレーター湖に浮かんでいるため船だけでしか出入りが出来ず、六花に来る人は必ずここを通る。

 

 

「シルヴィアさんははいつになったら来るんでしょうか。」

 

 

隣にいるノエルがたずねてきた。

 

 

「たしかそろそろなんだけど……。」

 

 

シルヴィは報道陣を気にして、だれもいないだろう始発の便でやってくるはずだ。ちなみに僕も報道陣がいないと聞いていたが、一応眼鏡とパーカーをして変装している。バレないよね。

 

 

そう考えていると、船の下船側の出口から栗色の髪をした少女が出てきた。

 

 

「ヤッホー、スバルくん、ノエルちゃん。」

 

 

「ワールドツアーお疲れ様、シルヴィ。」

 

 

「ご無沙汰してます。シルヴィアさん。」

 

 

シルヴィがこっちに荷物を持ってやってきた。

 

 

「わぁー、ひさしぶりの本物のスバルくんだー。」

 

 

「いやいやこの前電話したでしょ。」

 

 

「電話と目の前で話すのは全然違うの!」

 

 

シルヴィとたわいない話をしてると、一人の眼鏡の男がこちら側にやってきた。

 

 

「ねぇ、君シルヴィア・リューネハイムだよね。」

 

 

男が話しかけてきた。本音から言うと気持ち悪い。

 

 

「人違いです。私はシルヴィア・リューネハイムではありません。」

 

 

シルヴィアは変装時、このような対応をする。万が一、バレたら大騒ぎだからね。だが、男も引き下がらない。

 

 

「いや……そんなはずは。けど、まだ誰もいないからそこでお茶でもしない?」

 

 

男は気持ち悪い手つきでシルヴィの手を掴もうとする。

というか、僕が見えないの?変装バレてないの?そう思いながら、僕が手を出そうとした瞬間、

 

 

シルヴィのまわりに『wall(壁)』という文字が現れた。

すると、シルヴィのまわりに目で見えるぐらいの透明な壁が形成された。

 

 

「なんだこの壁は!?」

 

 

これには思わず男も驚いている。だが、そんな動揺している男の後ろに『sleep(睡眠)』と書かれた文字が飛んできた。

文字が光った瞬間、

 

 

「ぐっ…………………………zzz」

 

 

男は寝てしまった。

 

 

僕は先程文字が飛んできた下船側の出口を見ると、ペンの形をした煌式武装を持つ僕と年齢が変わらない茶髪のクールな女の子とバイザーをつけた女性がいた。

 

 

「………あぶないところでしたね。」

 

 

そう言い、茶髪の少女は煌式武装をしまい、男を待合室のソファに寝かせた。

 

 

「まったくあなたは勝手に走って何かあったらどうするところだったの。」

 

 

「あははは、ごめんなさいペトラさん。」

 

 

こっちではシルヴィが叱られていた。

 

 

すると、女性はこっちを向いてきた。

 

 

「霧咲さん。お久しぶりです。それと獅鷲星武祭優勝おめでとうございます。」

 

 

―ペトラ・キヴィレフト―

 

クインヴェール女学園理事長で、クインヴェールOGの元トップアイドルの方である。まわりからは冷酷で厳しいとか言われているが、ダイバーシティとは親しい関係があり、僕のこともシルヴィと仲良くしているおかげかそんな面影は感じさせない。

 

 

「………………お久しぶりね。霧咲くん。」

 

 

「うん、まさかリーネも来ているとは…。」

 

 

―リーネ・エクスラー―

 

ダイバーシティ所属で、ダイバーシティの同じ教育施設でランと僕の幼なじみである。彼女は僕と同じオールラウンダーで、先程のあれはリーネの魔女の能力で、煌式武装で書いた文字の意味を実体化される能力を持つ。聞いてみたところ、シルヴィがワールドツアーに行く直前の公式序列戦で序列5位となり、《言霊の魔女(サラスヴァティ)》という二つ名を得たらしい。知らなかったなぁ。

 

 

「彼女は今シルヴィの護衛と私の秘書をやってるの。」

 

 

ダイバーシティって星脈世代のことは何でもやるんだね。

自分でもそう思ってくるよ。

 

 

「ペトラさんはこれからどうするの?」

 

 

シルヴィがペトラさんに聞いてみると、

 

 

「私とリーネはすぐに学院にもどります。シルヴィは今日は羽をのばしてもかまいませんよ。」

 

 

「やった―!!」

 

 

シルヴィが喜んでいる傍らペトラさんは車を呼びに言った。

 

 

「ねぇリーネ、君がここに来たってことは………。」

 

 

「……ええ。ここにいるのよ。前社長と私の師匠、志葉薫様を殺した犯人が……」

 

 

彼女の師匠、志葉薫さんは日本の名家でリーネと同じ力を持つ《魔女》で、ダイバーシティによく剣道を教えに来ていた。

 

だが、3年前のダイバーシティ虐殺事件の被害者で、彼女は首がさらされておらず、事件内では消息不明者となっている。

たが、彼女はもう死んでしまったと思っているそうだ。

 

 

「そうか。僕も何かできれば手伝うよ。」

 

 

「……やめときなさい、あなたは今メディアに注目され、かつ規則に厳しいガラードワースなの。人を殺したら大炎上よ。」

 

 

何も言い返せなかった。

 

 

「あと、会長にも言ったけど、歓楽街に行くのも極力減らしなさい。ウルスラという人も私が探しておくから。」

 

 

そういって彼女は僕に電話番号を教え、ペトラさんが呼んだ車に乗っていた。

 

 

 

「じゃあ、私たちも行こうか。ノエルちゃん。」

 

 

「は、はいシルヴィアさん。」

 

 

そういって僕は船着き場をあとにした。

 

 

そうか、前社長たちを殺した犯人がいるのか。

アスタリスクでやることが増えたね。

 

 

 

 




登場人物書く暇がありません泣。
とりあえずオリキャラ分は書きます。短くてすみません。


三条 ラン

外見は銀髪の少年。ガラードワース学院序列14位。霧咲スバルのダイバーシティ時代からの友達で、入学当時彼と鳳凰星武祭で優勝した。夢は先生になり、貧しい子でも通える星脈世代と非星脈世代が仲良くする学校を作ること。闘いが好きな一面もあるが、デスクワークはかなりできる。
スバルも彼はまだ何かを隠していると思っている。
使用煌式武装は《月光神剣ルナティック・ストライクヴルム》



リーネ・エクスラー

クインヴェール女学園序列5位。《言霊の魔女(サラスヴァティ)》という二つ名を持つ。文字を操る魔女で、シルヴィアのように万能の力に見えるが、一ヶ月をサイクルに一度書いた文字は二回目は書けない欠点がある。一ヶ月経つと、それはリセットされる。また、文字によって威力が変わり、扱いづらい能力である。師匠である志葉薫さんの仇を討つためにアスタリスクにやってきた。ペンの形をした煌式武装を使い、オールラウンダーに戦う。
好きな事は、読書だけらしい。




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歌姫の休息

FGOでイスカンダルが当たらなくて草がはえました。


六花商業エリア

 

 

今、僕はシルヴィとノエルといっしょに商業エリアのカフェに来ていた。あの後、僕達は中央区のゲームセンターである程度遊び、今休憩がてらここに来ている。

 

 

「そう言えば、スバルくんそろそろ公式序列戦だよね。」

 

 

シルヴィがチョコレートケーキを食べながら言った。

 

 

「うん、でも誰も僕に挑もうとする人はいないんじゃないかな。」

 

 

「それはスバルくんがグランドスラム候補者だからだよ。」

 

 

隣に座っているノエルも飲みながらうなずいている。

 

 

「そうだ。今思い出したけど、ペトラさんがルサールカについてスバルくんにすごく言ってたよ。」

 

 

「ああ、あのクインヴェールのバンドチームね。たしかに悪いことをしたかもね。」

 

 

―獅鷲星武祭準々決勝―

 

チームランスロットはチームルサールカと戦うことになった。

彼女たちは自信満々で、ライア=ポロスをふるっていた。

彼女らの味方の身体向上や相手の弱体化には僕達も苦労した。けれど、僕が周囲に調和の能力を使うとそれは打ち消され、そこからチームランスロットによるルサールカの蹂躙が行われた。結果はもちろん僕達の勝利である。

ただ、あるサイトを観ると僕のことを「ルサールカキラー」と呼ばれているのが記憶に新しい。

 

 

「今、なんかルサールカのみんなトラウマでしばらく部屋にこもっていたらしいよ。」

 

 

シルヴィが当時のマフレナの電話を思い出して言った。

 

 

「うん、ほんとにごめんペトラさんに後で謝るわ。」

 

 

僕は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

 

 

「あとアーネストさんに聞いたけど、今回の願いでオーフェリアさんをレヴォルフの会長から開放するって本当なの?」

 

 

「えっ!?。本当に言ってるんですかお兄さん?」

 

 

これにはノエルも驚きを隠せないようだ。

 

 

「うん、これしか彼女を助ける方法がないからね。」

 

 

今、彼女はディルク・エーベルヴァインに契約書付きで彼にしたがっている。そんな彼女を助けるには願いであの男から契約書を破棄もしくは譲渡しかない。これにはダイバーシティもとても賛成していた。

 

 

「私も最初はびっくりしたけど、スバルくんなら納得だよ。」

 

 

シルヴィがそう言うと、僕に電話がかかってきた。

 

 

 

 

『もしもし、スバルくん。今は大丈夫かい。』

 

 

声の主はアーネストさんだった。

 

 

『実は今から、ガラードワースの生徒会室でお茶会をしようと誘ってみたんだけど。』

 

 

「別に大丈夫ですけど、シルヴィやノエルも行っていいですか。」

 

 

『構わないよ。むしろ大歓迎だ。子供時代の話でもするかい。』

 

 

アーネストさんが冗談っぽく言った。

 

 

「ありがとうございます。それでは今から向かいます。」

 

 

『うん、レティシアと準備して待ってるよ。』

 

 

そう言って電話を切った。

 

 

「今からガラードワースに行くの?別に大丈夫だよ。ちょうどおみやげも渡せるし。」

 

 

「わ、私もガラードワースに行きたいです。」

 

 

二人の了承を取り、僕は残った飲み物を飲んだ。

 

 

 

 

 




登場人物(ガラードワース)短くてすみません。

アーネスト・フェアクロフ

ガラードワース学院の生徒会長で、序列一位で《聖剣》こと《白濾の魔剣》をふる姿から聖騎士(ペンドラゴン)の二人名を持つ。霧咲スバルの留学時代に《魔女狩り》に遭遇し、スバルと鎮圧するために共闘した。あの事件をとても鮮明に覚えているため、彼のことをよく知る理解者である。クインヴェール女学院に妹が在籍している。


レティシア・ブランシャール

ガラードワース生徒会副会長で、序列二位で天戒翼(エイル・ド・アンジュ)という巨大な光の翼を操る魔女で《光翼の魔女(グロリアーラ)》と呼ばれている。
《魔女狩り》の被害者で、アーネストほどではないが、スバルに助けてもらったことがあるため、事件を鮮明に覚えている。プライドが高く上品な立ち振る舞いをし、ことあるごとにスバルの面倒を見て説教している。星導館のクローディアとは深い因縁がある。


ライオネル・カーシュ

序列三位で生徒会会計であり、パルチザン型煌式武装を使うことから《王槍(ロンゴミアンド)》という二つ名を持つ。謹厳実直な性格で、豪快な闘い方をするが細やかさも併せ持っている。《魔女狩り》の被害者だが、軽く覚えている位で、ガラードワースでスバルとはじめて会い、あの事件について詳しく教えてもらった。


ケヴィン・ホルスト

序列四位で生徒会副会長を務め、防御に徹する闘い方から
《黒盾(ガレス)》という二つ名を持つ。ガラードワースの正騎士としてはかなり珍しくやや軽薄な性格で、学園内外で浮名を流している。彼も《魔女狩り》の被害者で、軽く覚えており、ライオネルと同じ形で詳細を知った。







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お茶会と序列5位の乱入

今回から、アンチヘイトが2.3話続くかもしれません。

活動報告にある通り理性の飛んだ小説をpixivで書きました。カッとしてやった、人生ガラッと変わった。(引用:駅とかにあるポスター)


ガラードワース学園正門前

 

 

僕達がガラードワース学園に向かうと、正門前にはレティシアさんが待っていた。

 

 

「お待ちしておりましたわ。シルヴィアさんもノエルさんもようこそ。」

 

 

そう言って、僕達はシルヴィとノエルの入園許可証を発行して、生徒会長室に向かった。

 

 

「やぁ、スバルくん待ってたよ。」

 

 

アーネストさんが生徒会長の席で座りながら、デスクワークに取り組みながら待っていた。

 

 

「お、歌姫さんともう一人なんかかわいらしい子がいるぞ。」

 

 

「あの子はフォースター家の子と一緒に推薦入試に合格したノエル・メスメルだ。ケヴィン、おまえは少しぐらい入学者のリストを見た方がいいんじゃないか。」

 

 

ケヴィンさんもライオネルさんも窓側で、いつものように言い合いをしていた。

 

 

「あれっ僕が誘われるということはランも来ないんですか?」

 

 

「あぁ、彼は今ね今年の特待新入生の選別とリスト作りで、

人事部の会議室にいるよ。」

 

 

アーネストさんが答えた。

 

 

「レティシア、お茶を人数分頼むよ。」

 

 

「あ、後これワールドツアーのおみやげです。」

 

 

シルヴィがアーネストさんにおみやげを渡した。ヨーロッパの焼き菓子の詰め合わせだった。

 

 

「これはご丁寧に。」

 

 

こうして僕達のお茶会が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シルヴィとノエルを交えたお茶会ではいろんなことを話した。学園同士生徒が対抗していても、ここではそんなことはそんなことはない。ただただ、穏やかな時間が過ぎていった。そう思っていると、

 

 

 

バンッ

 

 

ドアを開ける音が聞こえた。

 

 

「おやおや、みなさんでお茶会とは気楽なものですねぇ」

 

少し小太りな男が後ろに別の男2人を連れて部屋に入ってきた。

 

「ただ仕事が一段落して、休んでいるだけです。ハプスブルク殿。」

 

 

―キース・ハプスブルク―

ガラードワースの序列5位で、欧州にある小さな王国の息子で、今回の《獅鷲星武祭》で僕は彼の代わりに出場した。

 

 

「くちごたえをするな。フェアクロフ。おまえはとっとと序列1位の席を私に渡せばいいんだ。」

 

 

「いやいや、上層部が白濾の魔剣(レイ=グラムス)を使える者でしか体面上、序列1位は難しいと言っていましてね。ところで、なんのご用でしょうか。」

 

 

アーネストさんが皮肉をこめて言った。

 

 

「怪我が治ったから、あいさつをしに来ただけだ。そうそう、霧咲殿この度は私のために参加していただきありがとうございます。」

 

ハプスブルクさんが軽く頭を下げた。

 

 

「ですが、私でしたらもっと楽に優勝できたでしょうに。」

 

その言葉に部屋にいた彼ら以外の人は不快な気持ちになった。

 

「おや、そこにいる少女はいったい……」

 

ハプスブルクさんがノエルに近づく。

 

「彼女は来期に入学するノエル・メスメルです。余計なことは控えてください。」

 

僕はノエルと彼の間に割って入った。

 

「ハプスブルク様がそんなことをするわけないだろ!!」

 

ハプスブルクの後ろにいた金髪の青年、序列7位のハプスブルク家の弁護士の息子であるニッケルが声を荒げた。

 

「ニッケル、押さえなさい。」

 

ハプスブルクさんが彼を鎮めた。

 

「ところで、ノエルと言ったかな。私の妻にならないかい。」

 

 

 

はっ??。この人なんて言ったのか。彼にはたしか……

 

 

「ハプスブルクさん。あなたには他にも妻となる女性がいるでしょう。」

 

レティシアさんがハプスブルクさんに言った。そう、彼は王族のため、側室や妾がつくことが公式上許される。

そもそも落星雨(インベルティア)後、世界人口が急激に減ったため、一般の人物の一夫多妻制は世界でも認められているが一部では批判的な考えがある。

 

「ええ、居ますとも。ノエルさんには15番目の妻になってほしいのです。あと、レティシアさんもシルヴィアさんも前回のお返事はいかがでしょうか。」

 

 

「あ、あの申し訳ないのですがお断りさせていただきます。」

 

「私もあなたの12番目の妻にはなりませんわ。」

 

「私もちょっと無理かな。」

 

ノエルとレティシアさんとシルヴィは返事を断った。

 

 

「なぜ、王族である私との結婚を断るのですか。こんな機会二度とありませんよ。」

 

ハプスブルクさんは不満そうに顔を食いしばる。すると、

 

「もしかすると、これは霧咲殿の仕業では……」

 

 

 

 

 

ハプスブルクさんの後ろにいたもう一人茶髪の男、序列12位のリカードさんが呟いた。彼はハプスブルク家を代々護衛してきた一族の息子である。

 

 

「リカード、それはどういうことだ。」

 

「ハプスブルク様が知るように欧州の星脈世代が襲われそうになったあの事件を霧咲殿が解決したのは知っているでしょう。

ですが、事件の結果を見るとあの大きな出来事をまるで何も知らないかのような人が多く居たのです。おそらく霧咲殿は精神干渉が使えるのではないかと思っただけです。」

 

「なんだ、霧咲殿は周りの人を洗脳していたのか。つまり、前回と今回の星武祭ではずるをしていたのか。」

 

僕がそれを聞いて不愉快に思って周りを見ると、ケヴィンさんやライオネルさんが今にも彼らに手を出そうとしている。

 

「霧咲殿。今からでも遅くはありませんぞ。洗脳を解いてガラードワースの者たちに謝罪をしたらどうだ。」

 

3人が僕を悪者のように話していると、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「少し静かにしようか。君達。」

 

今まで黙っていたアーネストさんが怒気を含ませて言った。

 

「君達は欧州で、彼に会わずとも助けてもらっているんだろう。それを彼が持つかもしれないという憶測で、周りの人を洗脳しているのはおかしいのではないでしょうか。」

 

アーネストさんが彼らに対して反論をした。

 

「わ、私たちは善意と思っただけで……」

 

「不正があったならば、星武祭側も言ってきたでしょう。そんなに言うのであるなら、近々有る公式序列戦でスバルくんと戦って見たらどうでしょう。グランドスラム候補者に勝てば、あなたの名声は高くなるでしょう。」

 

 

本来、序列が高い人は下の序列の人と戦うことはない。

アーネストさんは挑発がうまいなぁ。

 

 

「ふむ。よろしい。次の公式序列戦では霧咲殿に挑みましょう。まぁ、あなたの力なんて私には及びませんがね。」

 

 

そう言うと、ハプスブルクさんらはその場の空気に耐えられなくなったのか、部屋を出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく、なんであの方たちが同じ銀翼騎士団(ライフローデス)にいるのでしょうか。」

 

レティシアさんが不満そうに言った。

 

「レティの言うとおりだ。」

 

いつも軽薄した感じのケヴィンさんも不満そうだ。

 

「あの人達って、ガラードワースではどんな感じなんですか。」

 

シルヴィがたずねた。

 

「あいつらは自身が王族の身だからと言ってわがままをしている。実際、ハプスブルクは生徒会書記だが、仕事はいつも俺たちがやっていた。」

 

ライオネルさんが説明してくれた。

 

「しかも、あいつらはお金の力で序列入りをしたのに、ハプスブルクはチームランスロットの練習には自分が強いと思って一回も来なかったしな。」

 

ケヴィンさんも続けて説明した。これにはシルヴィもドン引きである。

 

「そう言えば、ケガをしたと言っていたけど、彼の身に何があったんですか?」

 

シルヴィがたずねると、チームランスロットのみんなは笑い始めた。

 

「その犯人はここにいますわ。ねぇ、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

 

 

 

アーネスト。」

 

「えっ!?アーネストさんが!?」

 

これには思わずシルヴィもノエルもびっくりである。

 

僕はシルヴィアに説明した。

 

 

 

簡潔に言うと、ハプスブルクさんは今回のようにある女性を口説いたらしい。ただ、その相手が悪かった。

相手はソフィア・フェアクロフ。アーネストさんの妹でクインヴェールに在学している。もちろんそれを彼女が断ったのだが、執拗に口説いてくるため公式序列戦を利用してアーネストさんが彼を思いっきりやったらしい。

 

 

「ついカッとしてやっちゃたよ。危うく白濾の魔剣(レイ=グレムス)に見捨てられそうになるところだったよ。」

 

アーネストさんも苦笑している。

 

「アーニー、彼を挑発したのはスバルに序列5位になってほしいからだろ。」

 

ケヴィンさんがアーネストさんにたずねると、

 

「まぁ、そうだね。普通の人では王族の人には手を出すことがあまりできないからね。しかも、彼は欧州の有力な名家や有名な人に手をだしているからEP(エリオット=パウンド)からも警戒をしろと言われているんだ。」

 

アーネストさんが言った。

 

「僕達はスバル君を信用しているから何も気にせず倒してくれればいいよ。」

 

チームランスロットのみんなは頷いた。

 

「私もスバルくんを信用しているからね。」

 

「わ、私もです。」

 

シルヴィもノエルも頷いてくれた。

 

 

 

その後、お茶会はお開きになり、僕らは解散した。

 

 

 

 

 

そして数日後、公式序列戦が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 




今回の話はいかがでしょうか。
アーネストさんのあの怒った感じ既視感があったのですが、食戟のソーマの一色さんですね笑。
次回からは公式序列戦編です。序列5位があんな男でがっかりした皆さま安心してください。パーシヴァルさんはもう出番を控えています。
感想やコメントよろしくお願いいたします。
それではまた次回の話で。


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公式序列戦その1

戦闘描写自信がありませんがお願いします。
あと今回は短いです。すみません。


ガラードワース学園控え室

 

 

序列下位と序列外の生徒の試合がほぼ終わり、まもなく今回の公式序列戦のメインとなるであろう僕の試合が始まる。

幸い、今回僕に試合を挑むのはハプスブルクさんしか居なかった。さすがにいないだろう。

 

 

『次はグランドスラム候補の霧咲スバルの試合でーす。』

 

 

アナウンスが流れてきたため、僕は控え室から出てステージに向かった。会場はすごい熱気に包まれていた。

 

 

「おやおや、逃げなかったようですね。」

 

 

ハプスブルクさんも反対側の出口からステージに上がった。

 

 

「まぁ、これであなたを倒せば、私はグランドスラム候補を倒した有名人です。」

 

 

ハプスブルクさんはなかなか余裕の様子のようだ。

 

 

『それでは序列5位キース・ハプスブルク対序列6位霧咲スバルの試合を始めます。』

 

 

僕は超神星剣ジークヴルム・ノヴァを構え、ハプスブルクさんもクレイモア型の煌式武装を構える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『試合開始!』

 

 

 

「うおおぉぉぉぉ!!」

 

 

ハプスブルクさんがこちらに突進を仕掛け、煌式武装を振りがさす。それを僕がジークヴルム・ノヴァでガードする。

 

 

「まぁ、このくらい仮にもグランドスラム候補者ならできますよね。けれど、これならどうだ。」

 

 

そう言うと、手首を返して弧を描くように剣閃を浴びせる。

 

 

「くっ…………!」

 

 

僕はギリギリのところでこれを受けた。すると、剣の一閃が僕に当たったのか頬から血が流れた。

 

 

「どうやら、これがあなたの限界のようですね。

これで終わりにしましょう。」

 

 

すると、彼の星辰力(プラーナ)が高まっていく。

彼は流星闘技をぶつけるつもりだろう。

 

 

「はあぁぁぁぁぁ!!」

 

 

僕は彼の流星闘技である剣閃の18連撃を食らった。体が刻みこまれ、僕は地面に膝をついた。

 

 

「ふん、大したことはなかったですね。」

 

 

彼は笑いながらこちらに近づいてくる。

 

 

「さぁ、校章を寄越しなさい。」

 

 

彼がそう言った瞬間、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は彼に向かって突進し、剣で彼を横薙ぎにした。

 

 

 

「何っ!?」

 

 

彼は咄嗟に腹に星辰力をため守ったが、多少腹には切り傷が見え、出血していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さぁ、接待試合は終わりだ。もう充分でしょ。アーネストさんやシルヴィが信用してくれている以上負ける訳にはいかないからね。

 

 

僕がジークヴルム・ノヴァを起動すると、剣が赤く光り、その周りを白い羽のようなベールが覆う。

 

 

僕自身にも星辰力で作られた白い翼が背中に形成された。

 

 

僕は剣を掲げながら言った。

 

 

「ジークヴルム・ノヴァ召喚時効果(ファンファーレ)発動。」

 

 

すると僕の周りを白い光が覆った。

 

 

 

 




スバルくんがついに今の本気を出し始めましたね。
次回、本編では明かされていない超神星剣ジークヴルム・ノヴァの能力が…………。

次回もよろしくお願いします。


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公式序列戦その2

毎日投稿して10話までやってきました。
これからも頑張って投稿していくのでよろしくお願いします。
ついにバトスピ要素を入れられました笑。


「ジークヴルム・ノヴァ召喚時効果(ファンファーレ)発動。」

 

 

僕がそれを言うと、僕の周りを白い光が覆った。

 

 

「な、なんだこれは!?」

 

 

ハプスブルクさんも腹を押さえながら驚いている。

 

 

やがて白い光が剣に吸い込まれ、僕の周りの白い光が徐々に消えていく。

 

 

ハプスブルクさんは僕の姿を見てとても動揺していた。

 

 

「な、なぜお前にあれほど切り込んだ傷が………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

完治しているんだ!?」

 

 

ジークヴルム・ノヴァの効果ーーそれは起動時、一度だけ使うことができる全回復の効果である。

 

 

「さぁ、仕切り直しですよ。ハプスブルクさん。」

 

 

「ちっ、なめやがってえぇぇぇ。」

 

 

ハプスブルクさんはクレイモアを持ちかえ、僕に突撃した。

 

 

「オフェンシブオーラ!!」

 

 

僕はオフェンシブオーラで自分の体力と攻撃力を上げて、彼の攻撃に応戦する。

 

 

「ぬおぉぉぉぉ。先程と力が全然違うじゃないか。」

 

 

そうこうして、剣同士の争いをしてると、ハプスブルクのクレイモア型の煌式武装にヒビが入った。

 

 

その瞬間僕は彼を剣で薙ぎはらった。

 

 

「ぐぁっ。」

 

 

これで終わりかなと思うと、彼は懐から拳銃型の煌式武装を取りだし、僕に発砲する。

 

 

だが、その攻撃は届かない。

 

 

「フレイムテンペスト!!」

 

 

僕は剣で熱風を作り、竜巻の形にして彼が放った銃弾を巻きこみ、彼に竜巻ごと攻撃を返した。

 

 

「がぁぁぁぁ!!」

 

 

彼はそれをモロに喰らう。

 

 

さぁ、終わりにしようか。

 

 

僕は背中にある翼で空を飛んだ。

 

 

「喰らえ。メテオストーム!!」

 

 

僕の周りに炎の玉がいくつも作られ、滑空して突撃する僕と共にハプスブルクさんへと炎の玉が彼に追撃する。

 

 

「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『校章破壊&意識消失』

 

 

『勝者霧咲スバル。』

 

 

 

会場の熱気が最高潮となった。

 

 

そんな中、ハプスブルクさんはリカードさんに介護をされ、こちらをにらみつけながら会場を去った。

 

 

僕も彼らを見届け、ステージを後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

ノエルside

 

 

私はお兄さんの素晴らしい試合にとても感動した。ただ、私には少し分からないところがあった。

 

 

「なぜ、お兄さんは校章破壊だけをしなかったのですか?」

 

 

いつもならお兄さんは校章だけを狙い、試合をするからだ。すると、アーネスト先輩が答えてくれた。

 

 

「それはね、彼の純星煌式武装ジークヴルム・ノヴァの代償が《激突》だからだよ。」

 

 

「《激突》ですか?」

 

 

「そう、ジークヴルム・ノヴァは単純に剣としても使えるけど、代償は起動してから起こるものなんだ。そして《激突》とは、戦う時相手を意識消失でしか倒せない代償なんだ。」

 

 

「けど、それって……」

 

 

「そうですわ。星武憲章(ステラ・カルタ)の『アスタリスクにおける学生同士の闘争は、互いの校章を破壊することを目的とする場合のみこれを許可する。』に反していますし、ガラードワースの校風にも反していますわ。」

 

 

レティシア先輩が続けて説明した。

 

 

「けど、そこがスバルのすごいところで、しっかり代償と付き合い、さっきみたいに校章破壊と同時に行うからな。たぶん、知ってるのは俺らぐらいだろ。今からあいつ演劇の道を歩んだ方がいいんじゃないか。」

 

 

ケヴィン先輩が面白そうに話してくれた。

 

 

「私、お兄さんの様子を見てきます。」

 

 

私は生徒会長室を出て、お兄さんのところに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私が廊下を歩いていると、後ろからハンカチで口元を押さえられた。これは睡眠薬!?。助けてお兄……さん。

 

 

「お前にはハプスブルク様の保険になってもらうぞ。」

 

 

男はそう呟いてノエルを担ぎ、その場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

「これは………いったいどういうことだ。」

 

 

その場にはもう一人別の男が犯行現場を見ていたことをノエルを連れ去った男は知らない。

 

 

 

 

 




第10話を読んでいただきありがとうございました。
最初は人気がなかったらどうしようと思っていましたが、予想以上の方に閲覧やお気に入りをしていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。公式序列戦編は次回でラストです。最後のあの下りは………。
それではまた次回会いましょう。コメントや感想などお待ちしております。


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公式序列戦その3、そしてエピローグ

活動報告にあるPixivに描いた例の小説がまさかのRー〇〇ランキングで43位を取ってしまいました。2学期始まって以来一番驚きました。


僕は公式序列戦の後、しっかりダウンをしてシャワーを浴びて、ゆっくりと生徒会長室に帰ろうとした。あの公式序列戦からもう、2時間近く経過していた。

 

 

そんなこんなあって、僕は生徒会長室に入った。

 

 

「ただいま戻りました。アーネストさん。」

 

 

「うん、実にいい戦いだったよ。」

 

 

アーネストさんが僕の試合を講評してくれた。ただその中で、違和感を感じた。

 

 

「あれ、ノエルはどこにいるんですか?」

 

 

僕がアーネストさんたちにたずねた。

 

 

「2時間ほど前にスバルに会いにそちらに向かったはずなのですが……。会っていませんか?」

 

 

「いえ、一度も来てませんが。」

 

 

僕がそう言うとみんなの空気は一変する。

 

 

「まさか、何かあったのでは………」

 

 

「もしかするとな。ハプスブルクのやつらが何か手を引いているかもな。あいつらは執着心がすごいし。」

 

 

「俺は防犯カメラの映像を見てこよう。」

 

 

レティシアさんとケヴィンさんが話し、ライオネルさんは生徒会長室を出ていった。

 

 

「まさか、負けたぐらいで誘拐とかをするとはガラードワースとしては情けないね。」

 

 

アーネストさんは苦笑している。

 

 

すると、僕の携帯端末に一通のメールが入った。

 

 

それを見た瞬間僕は生徒会長室を飛び出す。

 

 

「スバル、待ちなさい‼」

 

 

レティシアさんが叫んだが、アーネストさんはそれを止めた。

 

 

「僕らはライオネルの調査が終わってから向かおう。下手に王族を証拠不十分で検挙したら、僕らの方も危ない。」

 

 

アーネストがそう言うと、レティシアたちはそれに納得した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガラードワース港湾付近空き倉庫  

 

ノエルside

 

 

私は目覚めると、腕を拘束されていた。

 

 

「おや、目覚めましたか。」

 

 

声のした方を見ると、そこには先程お兄さんと戦ったハプスブルクさんとニッケルさんとリカードさんがいた。ただ、その周りには他にも200人ほどマフィアみたいな人がいた。

 

 

「ハプスブルク様の言うとおり、レヴォルフの中規模のマフィアグループをお金で雇いました。」

 

 

「おそらくあの卑怯者はここに来るはずだ。その時にこの数であいつを制裁してやるんだ。」

 

 

「な、なぜ私を捕まえたんですか!!」

 

 

私は彼らにたずねた。

 

 

「それはもちろんあなたを取引に使うからですよ。今すぐに序列を返せとね。まぁ、取引などするつもりはないがね。」

 

 

「彼に制裁を加えれば、洗脳も解けるはずです。ノエル様にも一応メリットはあるのですよ。」

 

 

ハプスブルクさんとニッケルさんがニヤニヤして答えた。

 

 

「それにしてもやはり君はかわいい。私の妻になることを許してあげましょう。」

 

 

ハプスブルクさんが近づいてくる。

 

 

「い、いやっ来ないで。」

 

 

私は魔女の力を使い、茨を地面から生やし彼をひっぱたいた。

 

 

「な、きさま無礼だぞ。不敬罪で訴えてやる。皆、やれ。」

 

 

200人ほどの男が近づいてくる。私の魔女の力は発動するのには時間がかかる。もうだめだと思った瞬間、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私と彼らの間に赤い熱風の竜巻が吹いた。

 

 

「来たようですね。」

 

 

ハプスブルクさんが倉庫の入口を見ると、そこにはお兄さんが立っていた。

 

 

「お兄さん!!」

 

 

「待たせたね。ノエル。」

 

 

お兄さんは剣を振り回すと、弱い赤色の竜巻が私の方に来て、腕を拘束している縄を切った。

 

 

私はその瞬間を見計らって、お兄さんのもとに行った。

 

 

 

 

 

 

スバルside

 

 

ノエルが僕の所に来て、服にしがみついている。

 

 

「ハプスブルクさん。こんな真似をしてどういうことですか。犯罪行為ですよ。」

 

 

僕は怒りを隠せない。

 

 

「やはり、悪には悪をもって制するしかないと思いまして。あなたがノエルさんを助けなければ、穏便に取引が出来たと思っているのでしたが。」

 

 

「もし取引をするならどのような内容ですか。」

 

 

僕は皮肉を込めて彼らに言った。

 

 

「そうですね。ノエルさんの解放の代わりにまず、序列の返還と洗脳を解いてもらうことです。あとはですね、私への慰謝料と………あなたが叶える願いの権利ですね。」

 

 

彼らはつらつらと自分の欲望を言った。

 

 

「はぁ…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「舐めてるんですか。このバカ共は。僕の知る王族の姫はあなたより数百倍優れていますよ。」

 

 

僕はもう隠しきれず、本音が出てしまった。

 

 

「おまえ、よくも私をバカにしたな。不敬罪だ。お前なんかここで終わりにしてやる。」

 

 

彼がそう言うと、マフィア達やリカードとニッケルが煌式武装を構える。

 

 

「返り討ちにしてあげます。」

 

 

僕は純星煌式武装を構えて、起動状態にする。

 

 

「やれっ!!」

 

 

ハプスブルクの声で彼らは動き出した。

 

 

「まとめて相手をしますよ。メテオストーム!!」

 

 

僕は先程の公式序列戦よりも大きく、たくさんの火球を空中に作り出した。

 

 

「はあぁぁぁぁぁ!!」

 

 

たくさんの火球が彼らを襲う。

 

 

「「「ぐわあぁぁぁぁ!!」」」

 

 

今ので80人ほどやり、怯んだ20近くを剣で斬り倒す。

 

 

「なっ!?もう半分近くやられたのか。役立たずどもめ。」

 

 

ハプスブルクさんが喚いていると、倉庫の入口に4人ほどの人の姿が映る。

 

 

「おお、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フェアクロフ。あの男を倒してくれ。あいつは私を侮辱したのだ。他の者も頼む。チームランスロットの仲間だろ。」

 

 

ハプスブルクさんはアーネストさんやレティシアさん達に懇願していた。

 

 

「そうですね。ここには犯罪者がいるそうだし、私達も加入しなければなりませんね。」

 

 

アーネストさんはそう言うと、校章を触る。

 

 

「この場にいる銀翼騎士団(ライフローデス)の者たちよ。正義と秩序のために序列一位の名において戦闘を許可する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

元・序列五位キース・ハプスブルク及び元・序列七位ニッケル、元・序列十二位リカードの一派を鎮圧せよ。」

 

 

「「「「了解。」」」」

 

 

レティシアさんたちは戦闘体勢に入った。

 

 

「そ、そんな。」

 

 

ハプスブルクさんがうろたえると、彼の顔面にケヴィンさんの拳が当たり、倉庫の奥の方まで吹っ飛ばされる。

 

 

「チームランスロットの仲間だぁ。チームの練習にも来なかったやつがチームの仲間語ってんじゃねぇ。」

 

 

「スバル、私とライオネルはニッケルとリカードをやります。あなたはアーネストと一緒にマフィアの片付けを頼みますわ」

 

 

「分かりました。頼みます。」

 

 

レティシアさんの指示で僕はマフィアと戦うアーネストさんの方に向かった。

 

 

「やぁ、スバルくん遅くなったね。」

 

 

アーネストさんが白濾の魔剣(レイ=グラムス)をふるいながら、僕に挨拶をしてきた。

 

 

「いえいえ、グッドタイミングです。ところで、アーネストさんとツーマンセルなんて魔女狩り以来ですね。」

 

 

僕がそう言うと、アーネストさんは笑った。

 

 

「そうだね。じゃあ行こうか。」

 

 

「はい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、アーネストさん達の加入によりハプスブルクさんの暴挙はすぐに鎮圧された。

 

 

しばらく待つと、ガラードワースの諜報機関至聖公会議(シノドミアス)の面々がやってきた。どうやらハプスブルク達の引き取りに来たようだ。

 

 

「そう言えば、よくハプスブルクさん達に手が出せるように、

EP(エリオット=パウンド)から連絡が来ましたね。」

 

 

「いや、僕らは彼らが誘拐した場面の防犯カメラの映像しか証拠を持ってなかったけど、ダイバーシティの人がレヴォルフのマフィアとの取引現場など彼らがアスタリスクに来てからの悪事の証拠を持ってきてね。」

 

 

アーネストさんがそう言ってると、

 

 

「ハプスブルクがいないぞ‼」

 

 

そんな声が聞こえると、海の方から白い雷のようなものが見えた。なんだあれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハプスブルクside

 

 

「ひぃぃ、私だけは助かるんだ……」

 

 

私は港にある自分のクルーザーにエンジンをかけた。外まで出れば大丈夫でしょう。

 

 

 

 

 

 

 

沖までやってきた。やった、ここまで来れば…………。そう思っていると、横から轟音を立てた白色の飛行機のような翼をもつ物体がクルーザーと並走するようにやってきた。

 

 

すると、剣のようなものから白い雷が出て、クルーザーを襲う。なんだこいつは。

 

 

「あれれ、ハプスブルクさんどこに逃げるんですか? 」

 

 

男が声をかける。

 

 

「お前は………三条ラン。」

 

 

こいつはいつもあの男とつるんでいるやつだ。だが、俺はなんとしても逃げなければ…。

 

 

「取引をしよう。もし私を見逃してくれたら、好きな分だけお金をやろう。君は学校を作るのだろ。その資金さ。」

 

 

よし、こいつは食いつくはずだ。

 

 

「そうですね。お金は欲しいのですが………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もうすぐ無くなる王国の金なんて要りません。」

 

 

今、何て言った。私の王国が無くなる?まさかな?

 

 

「取引はおわりですか。実は友達を貶めるやつが嫌いでしてね。そう、あなたのようにね。」

 

 

三条は純星煌式武装に力を込めて私に向かって発射した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スバルside

 

 

先程の爆発を聞いた直後、ランがルナティック・ジークヴルムを使って空から降りてきた。手元には黒焦げのハプスブルクさんがいた。彼はそれを至聖公会議に引き渡す。

 

 

「ラン、メールをくれて助かったよ。」

 

 

「いや、偶然ノエルちゃんが誘拐されるところを目撃したところだよ。」

 

 

彼は偶然、特待入学生のリストをアーネストさんに渡しに行く途中で遭遇したそうだ。

 

 

「そう言えば、この事件をダイバーシティの人が関わっているんだけどランは知らないか?」

 

 

「いや、まったくだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それは俺だ。」

 

 

後ろを振り替えると、眼鏡をかけた執事の服をした男と黒髪の着物姿をした女性が立っていた。

 

 

「クロヴィスさんとシェインさん!?」

 

 

「新人さんお久し振りです。」

 

 

シェインさんが挨拶をした。

 

 

「どうして、ここに?」

 

 

「俺は証拠を提出した事件参考人としてで、シェインはレイナの代理だ。」

 

 

「何かあるんですか?」

 

 

「実は今回の事件で、多くの悪事が発覚して彼の王国はなくなり、領土を再分配する会議があるんですよ。」

 

 

シェインさんが説明してくれた。

 

 

「しばらくはアスタリスクにいるからまた会おう。」

 

 

そう言うと、彼らは港を後にした。

 

 

彼らを見送った後、アーネストさんたちがやってきた。

 

 

「これで銀翼騎士団も綺麗になったね。」

 

 

「でも、銀翼騎士団で3人も抜けてしまいましたね。これからどうするんでしょうか。」

 

 

僕はアーネストさんにたずねた。

 

 

「実はねEPの人たちから提案があってね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ノエルちゃんとエリオット君を序列7位と序列12位に任命する予定があるんだよね。」

 

 

「「えっ?」」

 

 

これには僕もノエルも驚きを隠せなかった。

 

 

「といっても、後日行われる信任の序列戦で認められたらの話なんだけどね。」

 

 

「序列6位はどうするんですか。」

 

 

「ああ、それは「ちょっと待った~」どうしたんだいランくん。」

 

 

「あのその件なのですが、スバルには序列6位のままでいてくれなきゃ困るんだ。」

 

 

「……その件から見ると、今年の特待生に序列を最初からあげなければならない大物がいたんだね。いったい誰なんだい。」

 

 

「《研究所》出身で贖罪の錐角(ゴート・アマルティア)の二十年ぶりとなる使い手です。」

 

 

「あれを使える人があらわれたのですか!?」

 

 

レティシアさんは驚いていた。

 

 

「名前は……………パーシヴァル・ガードナーです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、ハプスブルクさんの王国は統合企業財体によって解体された。シェインさんの進言で7割ほどが隣国のリーゼルタニアの領土となった。また、ハプスブルクさんたちはアスタリスクの永久追放となっていた。

 

 

一方で、ガラードワースでは推薦新入生の銀翼騎士団への信任をする序列戦があり、ノエルとエリオットは序列8位と序列13位と戦った。その結果…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新序列7位:ノエル・メスメル

二つ名:聖茨の魔女(ペルセフォーレ)

 

 

新序列12位:エリオット・フォースター

二つ名:輝剣(クラウ・ソラス)

 

 

無事に勝利した。とてもうれしかった。

 

 

そんなこんな忙しかった日々も徐々に過ぎていき、もうすぐ春を迎える時期になっていた。

 

 

 

 




というわけで、公式序列戦編が完結しました。
次回からは時期が飛んで春となりますが、その間に閑話を挟もうと思います。主な話はオーフェリアの解放と春からやって来るリーゼルタニアの姫様の話とほのぼのとした日常の話ですね。
次回も楽しみにしてください。


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閑話 アスタリスクの冬
僕の願いは孤毒の魔女のために……


1日空いてしまいました~。
待っていた方々すいません泣


ガラードワースの序列が一新して一ヶ月位が過ぎ、今はもう12月上旬である。そんな中僕はアーネストさんたちと今期入ってくる学生の一般入試の選考をしていた。

 

 

「今年のガラードワースの入学生はとても多いですね。」

 

 

「なによりグランドスラム候補がいるからね。」

 

 

アーネストさんが書類を見ながら言った。

 

 

「お、この子すごくかわいくないか?」

 

 

「ケヴィン、そんなこと考えてないでとっとと自分の分を終わらせたらどうだ。」

 

 

ケヴィンさんとライオネルさんは相変わらずである

 

 

ただ、そんな日常風景もあれから少し変わった。

 

 

「会長、紅茶のおかわりが入りました。」

 

 

「会長、自分の手が空いたので少し手伝います。」

 

 

「レ…レティシア先輩、ここはどうすればいいでしょうか。」

 

 

パーシヴァルさんが会長の紅茶を入れ、エリオット君は自分の仕事を終わらせてアーネストさんの手伝いをして、ノエルはレティシアさんに書類について分からないところがあったらしくやり方を聞いていた。

 

 

エリオット君とノエルは序列入りが確定すると、早期入学という扱いで授業はないものの生徒会の手伝いをすることになっていた。

 

 

また、彼らはハプスブルクさんが使っていた銀翼騎士団用の寮が空いたので、先日そこに引っ越した。

 

 

彼らが引っ越したことで、僕の依頼も終わり使わせてもらっていた家を返すことにしようとしたが、ノエル家とフォースター家が報酬として僕に譲ったのだ。そんなわけで今は僕一人だけであの家を使わせてもらっている。3人住んでも余裕だった家だったため、本音を言うとすごくさびしいです。

 

 

と思っていたが、ノエルがある時帰ってきたのだ。数日分の寝泊まり用の道具を持って。最初は寮でいじめられていて家出をしてきたと思った。

誰だ、いじめてるやつはと思い、僕の純星煌式武装に手をかけて起動するところだった。

 

 

だが、ノエルはどうやら純粋に自分の気持ちで泊まりに来ようとしていたのだ。その時ノエルは顔を真っ赤にしていたが、返す理由もないためノエルを泊めることにした。それからは週に1回ぐらいのペースで来ている。ノエルはいったい何のためにやっているのだろうか。

 

 

また、ノエルが居ない日もランが遊びに来たり、リーネと密会と情報の共有、ここ最近ではクロヴィスさんとシェインさんが自分のアスタリスクでの活動経費を使いたくないという理由でホテルに泊まらず、家に泊まっていた。なんだよ、ダイバーシティのやつめっちゃ来るじゃん。というか、最後のやつちゃんとホテルに泊まれよ!!。いつか飯代と宿泊代取るぞ。

 

 

というわけでまったくさびしくはなかったが、逆に一人だけの時間が恋しくなる僕がいました。

 

 

次に、新たに序列5位となったパーシヴァルさんだが何事もなく親しくなった。

 

 

なぜそんなことを危惧しているかというと、ダイバーシティと研究所は星脈世代の育成という目的は同じだが、後者は非公式な組織な上、人体実験とかを利益のために行うためにたびたび衝突することがあったからだ。

 

 

けど、パーシヴァルさんはそんな組織なことなどまったく気にしていない。僕が調和をしても性格のせいなのか、扱うことができなかった贖罪の錐角のことについて話をしたり、射撃場では練習をしたりもした。

 

 

彼女の淹れる紅茶は銀翼騎士団の中でダントツにおいしく、仕事もしっかりするためすぐに生徒会のみんなと馴染んだ。ただ、彼女は短絡的な性格なのかたまに銃型煌式武装を上に向け、発砲する癖がある。今では誰も止めなかったケヴィンさんとライオネルさんの言い合いが始まると、パーシヴァルさんが発砲して黙らせるというのが日常となり、アーネストさんも大目に見ている。

 

 

そんなこんなで今の生徒会は前とは比べてなかなかいいものにはなっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

書類を整理すると、例の約束まで残り少しとなった。

 

 

「アーネストさん、しばらく外出してきます。」

 

 

「そうか、もうそんな時間か。行ってきなさい。」

 

 

「失礼します。」

 

 

そう言って僕は生徒会長室を後にした。

 

 

「そう言えば今日でしたわね。」

 

 

「そうだね、最初は彼の願いを食堂で聞いた時は驚きだったけどね。これで悪辣の王(タイラント)の支配力が弱まれば、六花園会談もスムーズになるかな。」

 

 

そう言ってアーネストはパーシヴァルの入れた紅茶を飲んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は今レヴォルフに向かっている。なぜなら獅鷲星武祭での願いを叶えてもらうからだ。

 

 

レティシアさんたちは前回言っていたように、家のためにつかったそうだ。これには僕も納得した。

 

 

あれほど回数を増やしたいと言っていたアーネストさんは保留にしたそうだ。何でも白濾の魔剣に縛られた状態では自分の本気が出せないため星武祭に参加しても満足感がないだろうと言っていた。たしかに星武祭の願いは大学部を卒業するまで使えるため今はまだ焦らなくていいだろう。

 

 

そうこうしているとレヴォルフの正門前に着き、そこには星武祭側の数名の役員と白い髪をした女と目付きが悪い赤髪の太った男がいた。

 

 

「…………ちっ。これはどういうことだ。調和の魔術師。」

 

 

「星武祭の願いを叶えようとしているだけですよ。」

 

 

僕は悪辣の王ーーディルク・エーベルヴァインと対峙した。

 

 

「そうじゃねぇ。ガラードワースのお前がこんなことをして何のメリットがあるって聞いてんだよ。」

 

 

彼は不愉快そうにたずねてきた。

 

 

「別にこれは僕個人としてのお願いだよ。彼女とはリーゼルタニアの孤児院で知り合いになってね。知り合いがどこかの男に所有され、無理矢理従属されていると助けたくなりますよね」

 

 

僕は皮肉を込めて彼に言った。

 

 

「ちっ。気に食わない野郎だ。とっとと終わりにしたいと言いたいところだが…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………こちらには一昨年のこの女の願いを叶える権利がある。」

 

 

そう言って彼はオーフェリアの方を向いた。

 

 

まさか、それで僕の願いを打ち消す気か。

 

 

「わ、私は……………………」

 

 

オーフェリアさんはとても深刻な顔をしていた。そこで僕はある言葉を彼女に投げかけた。

 

 

「あなたの孤児院の借金は僕の2回の星武祭の賞金ですべて返済しましたよ。後、リーゼルタニア王国を通して孤児院はダイバーシティが保護しましたよ。」

 

 

僕がそう言うと、彼女は一瞬驚き、ディルクは苦虫を潰した顔をしている。

 

 

「オーフェリア、この場には星武祭の役員がいる。一緒に叶えられる。とっとと願いをいいやがれ。」

 

 

「…そうね。ごめんなさい。あなたのそれは空しいものだわ」

 

 

彼女は瘴気で剣の形を作った。まさかやる気か。そう僕が思っていると、彼女は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ディルク・エーベルヴァインに刃を向けた。

 

 

「おい、どういうことだ。」

 

 

「あなたは生徒会長の権利と支配力が欲しいから所有物である私に序列1位にさせたり、星武祭に優勝させたわ。けれど、あなたはその時願いは私の勝手にしなさいとあなたは言ったわ。

あと、契約違反をした時に私の孤児院を人質にしていたけど、彼がそう言うならば、それも成立しないわ。それをあなたが分からないことはないはずよ。」

 

 

オーフェリアさんはそう言って刃を下げた。

 

 

「ちっ。言ってみただけだ。ほらよ。」

 

 

僕は彼からオーフェリアの所有を認める契約書をもらった。

今この時間をもってオーフェリアの所有権は僕に移った。

すると、オーフェリアは僕の方にやって来る。

 

 

「…役員さん。私の願いも叶えられるかしら。」

 

 

オーフェリアさんが役員に声をかけた。

 

 

「今後一切、彼から接触しないようにしてちょうだい。もし破れば非星脈世代であれ容赦はしないという罰付きで。」

 

 

「ちっ。お前もか。」

 

 

彼が不愉快そうにしている中、それを明記する契約書が作られた。それをオーフェリアさんがもらった。

 

 

「これで終わりだ。ったくよ。」

 

 

ディルク・エーベルヴァインは校舎に戻り、星脈祭の役員達も解散した。その場にはオーフェリアさんと僕だけが取り残された。

 

 

「少しいいかしら。」

 

 

オーフェリアさんがそう言うと僕の手を繋いである場所に連れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

商業区 公園

 

 

僕はオーフェリアさんに連れられ商業区の公園にいる。

 

 

「…またあなたに助けられたわね。」

 

 

「そうですね。オーフェリアさん。」

 

 

オーフェリアさんは僕が孤児院で会った頃は星脈世代でなかったため、ユリスやシスター・テレーゼを救った魔女狩りの事件については覚えていないと思っていたが、彼女に聞くとどうやら星脈世代にされた頃から少しずつ記憶が思い出されるようになったらしい。

 

 

「ところで、さっきの孤児院の話は本当なの?」

 

 

「ええ、本当ですよ。」

 

 

僕はウィンドウを開き、孤児院の借金の全額返済を示す証明書と孤児院のダイバーシティによる経営委託書を見せた。

 

 

「ああ…本当に良かった。」

 

 

オーフェリアさんは涙を浮かべていた。

 

 

「ところでスバルには私の所有権があるのだけれど、私は何をすればいいのかしら。」

 

 

オーフェリアさんは涙を拭って僕にたずねた。

 

 

「別にオーフェリアさんの自由でいいですよ。僕は何も命令しませんから。」

 

 

「そうね……。けど私にはこれがあるから。」

 

 

そう言って彼女は公園の一輪の花に触れると瞬く間に彼女の持っていた花が枯れてしまった。

 

 

「安心してください。これをどうぞ。」

 

 

僕はオーフェリアさんにガラス玉が組み込まれたストラップを3つほどあげた。ガラス玉はそれぞれ赤、白、紫の色だ。

 

 

「これは?」

 

 

「もう一度花を触ってみてください。」

 

 

オーフェリアさんはもう一度花を摘んでくると、今度はその花は枯れることはなかった。

 

 

「そのストラップには僕の調和の能力が星辰力を込めることで発動するようになってます。3つあるのは2つがスペアです」

 

 

「これで…私もみんなのように生活ができる。」

 

 

オーフェリアさんはとてもうれしそうだ。

 

 

「あと、ダイバーシティに入ればオーフェリアさんの瘴気もそれを使わずに打ち消して将来的には無くせるかもしれません」

 

 

これにはオーフェリアさんも驚いた様子だった。

 

 

「分かったわ。いつかそちらにお伺いするわ。」

 

 

そう言うと彼女の電話番号を僕に送った。

 

 

「あと、ユリスが来期から星導館に入学するそうですよ」

 

 

「……こんなにうれしいことがあったのは久しぶりだわ。後、私のことはオーフェリアって呼んで。さん付けは要らないわ。」

 

 

彼女はそう言って笑いながら帰っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、オーフェリアはダイバーシティの本部に僕の仲介で訪ねて組織のメンバーとなった。

 

 

彼女の希望で主な仕事は星脈世代の力を調和する薬の被験者とダイバーシティ本部にある星脈世代の孤児院での子供のお世話となった。

 

 

なんでも彼女を丁重に扱うために部屋を用意したのだが、そこでは植物が沢山植えられており、孤毒の魔女にも女性らしい一面があるのだと職員達は驚き、すぐにみんなととけこんだそうだ。

 

 

あと、アスタリスクではオーフェリアがディルクに従わなくなったため新聞で『悪辣の王、生徒会長辞任!?』という記事があったが彼は生徒会長をやめていない。

なぜなら、彼にはまだ秘密があるということで敢えて泳がすためである。そこはレヴォルフの生徒会長を決める権利を持つオーフェリアに頼み、継続することにした。

 

 

 

 

 




1日空いてすいません。模試まであと1週間切ったので更新ペースが遅くなります。


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お姫様と孤毒の魔女の再会

閑話はなるべく短く沢山の話が作れるようにしたいと思っています。



アスタリスク商業エリア

 

 

今日は久しぶりの休日の中、僕は商業区のショッピングモールに来ていた。ここ最近はオーフェリアの件やガラードワースの入学試験があったが、全てが片付き僕は長期間の冬休みに入っていた。

 

 

ノエルやアーネストさんたちはこの長期間の休み中に一度欧州にある実家に帰っている。今、ガラードワースに残っているのは僕とパーシヴァルさんぐらいだろうか。

 

 

「おい、霧咲。」

 

 

そんなことを考えていると、向こうから碧色の瞳と鮮やかな薔薇色の髪が特徴的な並外れた容姿を持つ美少女がやって来た。

 

 

「久しぶりだね。ユリス。」

 

 

「ああ、そうだな。」

 

 

ーユリス=アレクシア・フォン・リースフェルトー

 

リーゼルタニア王国の第一王女で魔女である。彼女とは魔女狩りの事件でリーゼルタニアの暴動の鎮圧中に知り合い、顔見知りとなった。またアスタリスクに来た時僕にオーフェリアの事を教えて僕に彼女を助けて欲しいと頼んだのも彼女である。

 

 

「ユリスはもう暇なのか?」

 

 

「ああ、星導館の入学試験はガラードワースより早めに終わっているからな。」

 

 

「なるほどね。」

 

 

「そう言えば、ハプスブルクとやらの王国の土地をリーゼルタニアに7割ほど割譲させたのはお前じゃないのか?」

 

 

「それは僕の仲間がやってくれたんだよ。」

 

 

「そうか、兄さんがお礼を言いたいと言っていてな。」

 

 

後でシェインさんに報告しておこう。

 

 

 

 

そんな中、今回の主役がもう一人やって来た。

 

 

「ごめんなさい。遅れてしまって。」

 

 

オーフェリアが白を基調としたコートとマフラーでこちら側に来た。オーフェリアって私服を着るイメージが無くて、なかなか斬新だな。

 

 

「オーフェリア、お前もうあの特殊な制服を着なくて大丈夫なのか?」

 

 

ユリスが彼女に聞いていた。

 

 

「ええ、スバルがくれたこのストラップのお陰で今の所は何不自由なく生活ができているわ。」

 

 

オーフェリアがポケットから白色のガラス玉が埋め込まれたストラップを取り出す。

 

 

「そうか、オーフェリアの事といい、孤児院の事といい、霧咲には助けてもらってばっかりだな。」

 

 

「いいや、そんな大したことはしてないよ。

それより今日は二人の用事で来ているんだ。とっとと中に入らないかな。」

 

 

今日はユリスがアスタリスクに来たばかりなので、町中の案内を兼ねて生活必需品の買い物で来ており、オーフェリアも普通に生活ができるようになったために生活必需品を買いたいということで、日程を合わせて誘ったのだ。

 

 

「そうね。行きましょう。」

 

 

「オーフェリアと買い物が出来るなんて夢のようだ。」

 

 

そう言って僕は二人に連れられショッピングモールの室内に入って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ショッピングモール室内

 

 

 

僕は今ショッピングモールの広場の椅子に座っている。

まぁ、なぜならユリス達は今服屋で買い物をしているからだ。そこら辺は女子同士の自由にさせておこう。しかも、下着とかを売っていたから一緒に行ったら友達であっても怒られるだろう。ユリスは怒ると怖いしなぁ。

 

 

そんなことを考えると、二人が服屋から出てきた。大きい袋をそれぞれ2個ずつ持って。買いすぎじゃない?

 

 

「よし、これで買い物は大丈夫だ。」

 

 

「そうね。ある程度は揃ったわ。」

 

 

ユリスとオーフェリアは満足そうに言う。

 

 

「そうか、二人とももう帰るのか?」

 

 

「いいえ、少し疲れたから休憩してもいいかしら。」

 

 

オーフェリアは真向かいのアイスクリーム屋さんを指す。

 

 

「そうだな。少し休もうか。」

 

 

ユリスも賛成し、アイスクリーム屋さんに入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アイスクリーム屋

 

 

「持ってきたよ。こっちがユリスのでこっちがオーフェリアのだね。」

 

 

僕はユリスにイチゴ味のアイスを渡し、オーフェリアにはバニラにクッキーの入ったアイスを渡した。ちなみに僕は抹茶のアイスである。

 

 

「そう言えば、ユリスは星脈祭に出るのか?」

 

 

僕はユリスにたずねた。

 

 

「そうだな。私は最初、オーフェリアやリーゼルタニアの事も兼ねて星武祭に出ようとしていたからな。ところが、リーゼルタニアの領地も増えたし、オーフェリアも助けられたから後はリーゼルタニアの傀儡国家の状態を少しでも解消することぐらいだな。」

 

 

「なるほどな。今のリーゼルタニアも大変だな。」

 

 

「最初は再来年の鳳凰星武祭から出ようと思う。入学したらすぐに鳳凰星武祭の練習をしようと思う。」

 

 

「けどユリス、あれはタッグ戦よ。参加してくれる友達はいるの?」

 

 

オーフェリアが何食わぬ顔でユリスにたずねた。

 

 

「ぐっ…。それはこれからだ。あと1年以上あるのだから絶対に見つかるはずだ。違うぞ、友達がいない訳じゃないからな。誤解するなよ。」

 

 

(ああ、たぶんこれは見つからないやつだな。)

 

 

心の中で僕はそう思った。

 

 

「そういうオーフェリアはどうなんだ。来年の王竜星武祭は別に強制ではないだろう。」

 

 

今度はユリスがオーフェリアにたずねた。

 

 

「そうね。昨年優勝したから参加して欲しいという星武祭側の人から連絡が来るはずだけど、今のところは出る気はないわね。」

 

 

「そうか。ならば来年は戦律の魔女(シグルドリーヴァ)と霧咲の一騎討ちだな。」

 

 

「そういうことかな。僕もシルヴィと戦えることが楽しみだよ。」

 

 

それから僕達はこれからのアスタリスクでの事やリーゼルタニアのことについて1時間位話した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「オーフェリア、一人で大丈夫か。」

 

 

「ええ、スバル平気よ。また会いましょう。ユリス、スバル。」

 

 

そう言ってオーフェリアはレヴォルフの方角に向かって帰っていった。

 

 

「それじゃ、私もここで失礼しよう。」

 

 

ユリスもここで別れるそうだ。

 

 

「そうだ。霧咲には私の大事な場所を守ってくれたのだ。お前が言えば力を貸そう。」

 

 

そう言ってユリスも星導館側に帰っていった。

 

 

「さて、僕も帰りますか。」

 

 

そう言って僕もガラードワース側に帰ろうした。

 

 

「あ、そうだ。そろそろクリスマスだ。シルヴィやノエルに何かしら買わなきゃな。」

 

 

そう言って僕はガラードワースの道中にあるアクセサリー屋でクリスマスプレゼントを買ったのだった。

 

 

 

 

 

 




前回の話を投稿した時間を見たら100件以上ものアクセスがあってびっくりしました。ありがとうございます。
これからもがんばっていきます。
感想やコメントなども待ってます。


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実家帰省組のお話

オーフェリアの話が2話ほど続いちゃいましたね。
今回は前回の話に出たガラードワースの帰省した人たちのお話です。1時間内でのアクセスが100件を越えた事を自分の中で記念してもう1つ作成しました。


メスメル家  ノエルside

 

 

私は今欧州の実家に帰省しています。お兄ち……エリオット君や会長もこの時期を使って帰省しているそうです。

 

 

そんなわけで今私は家族で食卓を囲んでいるのですが、とても家族とは思えないほど緊迫した空気なのです。

と…とても怖いです。

 

 

「……………なぁ、ノエル。」

 

 

「ひゃっ、ひゃい。」

 

 

私のお父様が声をかけてきて思わず変な声が出てしまった。

 

 

「アスタリスクでの生活はどうだ?」

 

 

「は、はい。とても充実しております。」

 

 

「……………………そうか。」

 

 

お父様がそう言うとまた静かで緊迫とした食事に戻った。

 

 

「あ……あの。私が何かしたのでしょうか。」

 

 

私はもうこの空気が耐えられず、聞いてみることにした。

 

 

すると、お母様がナイフとフォークを置いた。

 

 

「………………ノエル。」

 

 

「な、何でしょうかお母様。」

 

 

「私達はノエルの口からアスタリスクでの生活や序列入りをしてどうかという話を一番に聞きたくないの。」

 

 

「ではお母様達はいったい何が一番に聞きたいのでしょうか。」

 

 

「それはね、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スバルさんとはどこまでいったかということよ。」

 

 

「ふぇっ!?」

 

 

私は思わず聞き返したくなりました。

 

 

「だって、あなたがスバルさんを好きなのは魔女狩りの事件で助けられてから知っているわ。だから、あなたが入学するまでの間彼と一緒にいる時間をフォースター家を巻き込んで彼には依頼をしたのよ。あなただってホテル暮らしには反対してたけどこの事を聞いたらとても賛成してたじゃない。」

 

 

「そ、それはそうですけど………」

 

 

私は顔を赤らめてそれを肯定してしまいました。

 

 

「それにあなたが序列入りをして、寮が与えられた時に私に相談をしてきたのはあなたでしょう。もう少しスバルさんと一緒に居たいってね。その時に私が週に何日か彼の所に泊まりに行くという案を出したのですがそちらはどうなのですか?」

 

 

「ひゃっ、ひゃうぅ。」

 

 

お母様の問答は止まりませんでした。実は私が寮生活になった後もお兄さんの所に泊まりに行ったのは私がお母様に相談をして実行した事なのです。実際にやったのですが、エリオット君が居ないとこんなに恥ずかしいなんて思いませんでした。

 

 

「私と妻はね、ノエルの恋を応援しているのだよ。相手はグランドスラム候補者だから実績はとても申し分ないし、彼はダイバーシティではしっかりと実力もある。それにあの事件を通して周りが知らない秘密を持つってなかなか趣深いじゃないか」

 

 

今度はお父様がそれに参加した。

 

 

いや、魔女狩りの事を鮮明に覚えている方は女性でいうと、シルヴィアさんやレティシア先輩やユリスさんなどなかなかいると思うのですが。

 

 

「あなたの周りには彼を狙う人はたくさんいるのよ。歌姫さんやリーゼルタニアの王女、もしかするとブランシャール家の娘だって。全員レベルが高いのですよ。」

 

 

「あの………お母様はどうしてそんなに必死なのでしょうか?」

 

 

たしかに私にはそこそこ名家なため結婚をする方の写真が送られてきて、両親も真剣に考えていた時がありました。ですが、今回はとても必死でびっくりしました。

 

 

「はぁ……あれを持ってきて頂戴。」

 

 

お母様がメイドさんを呼ぶと、メイドさんが一冊の雑誌を持ってきた。

 

 

「これを見てちょうだい。」

 

 

お母様がページを開いて私に渡してきた。

 

 

そこには「調和の魔術師、孤毒の魔女とデート!?」という見出しでオーフェリアさんとお兄さんがショッピングモールで買い物をしている写真が写っていた。

 

 

「おそらく彼が星武祭の願いで孤毒の魔女を解放したことで、なにか事情があるのではと思ったゴシップ記者が彼を張って撮影したのでしょう。」

 

 

「は…はい。そうですね。」

 

 

「こんな記事を鵜呑みにするわけにはいきませんが、彼女も今回の件で助けられたことで付き合うきっかけはあります。」

 

 

たしかにそうである。これで私のライバルは増えてしまった。

 

 

「これだけライバルが強いとノエルでは勝ち目がありません。

それにあなたは周りよりも年齢が幼いため、スバルさんから見ても恋愛対象ではなく、先輩後輩のような関係だと思っているかもしれません。ですが、あなたには彼女らに追い付くアドバンテージがあります。」

 

 

「それは何でしょうか?」

 

 

「スバルさんとの二人きりの時間です。あなたにはこれからも彼の家で泊まっていただきたいですね。」

 

 

私はそれに頷いた。

 

 

「ライバルは彼女らだけではありませんよ。彼女らはあくまでアスタリスク内でのライバルでダイバーシティにも恐らくですがライバルはいるでしょう。」

 

 

たしかにクインヴェールのリーネさんもまだ分からないが、お兄さんとはなかなか親しそうだった。

 

 

「たしかにハプスブルクさんのように重婚という手もありませんが、彼は余程のことがない限りあまり受容はしないでしょう。別に私はフェアクロフ家のように欧州ではそこまで力を持たないので世間体を考えても重婚は平気です。」

 

 

ハプスブルクさんの事もあり重婚は許さないと思っていたのだが、案外そこはルーズでびっくりした。たぶんお母様は妥協したのでしょう。

 

 

「取り敢えず、あなたは次のクリスマスに彼と距離を縮めなさい。彼がもしあなたを先輩後輩のような関係に思っていたなら、恋人に近い認識を持たせるだけで上出来です。クリスマスからの行動は私も相談に乗ります。」

 

 

「は…はい!」

 

 

私は次のクリスマスでお兄さんに恋愛対象として見てもらう事を誓いました。

 

 

ノエルside out

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

アーネストside

 

 

僕は今お母様とこれからのアスタリスクでの活動について話している。そこで僕はある話を親から聞いた。

 

 

「またソフィアが王竜星武祭に出るのですか。」

 

 

「ええ、またあなたのために出るって言っていましたよ。」

 

 

お母様が淡々と話す。

 

 

やはりあの事を気にしているのだろうか。別に僕は気にしてないと言っているのに。ただ、ソフィアは今回2回目の星武祭の出場である。しかもトラウマがあるのに僕としてはソフィアに無理をして欲しくない。

 

 

そんな事を考えると、お母様はある男の話題を出した。

 

 

「そう言えば霧咲スバルはどうですか?」

 

 

「僕と共闘したこともあり、彼の事はよく知っているつもりですが……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼はまだ本気を出してないと思います。」

 

 

「それはどういう事ですか。アーネスト。」

 

 

「彼は純星煌式武装を使って炎を操ったりしていましたが、あれは純星煌式武装が持つ能力で彼の力ではありません。

たしかに剣術などは彼の固有のものですが、《調和》という力がただ純星煌式武装を扱うだけの能力だとは思いません。

ルサールカと戦った時も彼は星辰力を使ってただ周りを《調和》して応用したに過ぎませんし。」

 

 

「なるほど。たしかに《調和》というのは応用性が高い能力ですが、その他にも彼は能力があるというのですね。」

 

 

「僕の推測では魔女狩りの事件で消失したと仮定しています。ただ、あの時は彼も当時は幼かったためただ自分の能力を知らないだけという線も考えられますが。」

 

 

「あなたの意見に私も賛成です。彼はまだ底を知れません。

決して敵に回してはいけませんよ、アーネスト。」

 

 

「分かりました。お母様。」

 

 

実は今回の星武祭の願いを保留したのは彼の事がある。

私は星武祭の参加権を増やしてオーフェリアなど獅鷲星武祭に参加してない強い人と戦いたかったが、僕が戦いたいのはアスタリスク最強ではなく、アスタリスク最強の剣士と戦いたいのだ。オーフェリアさんや万有天羅は剣術を使うところはない。

アスタリスク最強の剣士と思うのは今のところやはり霧咲スバルしかいないと思う。彼はオールラウンダーだが剣術にも目を見張るところがある。次は三条ラン君だろう。

 

 

ただ、彼が本気を出してないのが分かると本気を出させてから戦わせたい。それが数十年かかったとしても。

だから、今は保留なのだ。彼がそれを僕の在籍中に覚醒したらそれを彼と戦うために使うし、もししなければその時は家のために使おう。

それに僕は白濾の魔剣に縛られているため、彼とは純粋な剣術では戦えないためそれも僕としては満足しない。

恐らく白濾の魔剣に縛られている間は私を満足させてくれる人はいないだろう。

 

 

あぁ、誰か僕を白濾の魔剣から解放してくれるほどに僕を剣術で満足させてくれる人はいないのだろうか。

 

 

アーネストside out

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

おまけ

 

 

エリオットside

 

 

僕は今食事を楽しんでいるはずです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エリオット、箸の持ち方が前回より良くなったが少し違うぞ。」

 

 

「私が送った『外人でも出来る日本のマナー100選』を読んで、霧咲さんに教えてもらったでしょう。」

 

 

僕は今食卓で日本食を食べ、両親に注意されている。

え、これ帰省ですよね。

日本の正月にテレビでやる大御所達が品位を確かめる番組の間違いだよね。

 

 

「これからは帰省中の間だけだが、私がE=Pで培った日本人とのマナーを教えよう。」

 

 

「日本のマナーが終われば次はアジア系かアフリカ系のマナーの練習ですね。」

 

 

両親の言葉に僕は早くガラードワースに帰りたいと思った。

 

 

 

エリオットside out

 

 

 

 

 

 




前回の話も投稿した時間帯が100件を越えるアクセスがあってびっくりしました。
なかなか書くことがあって短くできませんね笑。
図々しいかもしれませんがそろそろ感想やコメントが来ないとなかなか不安ですね。改善点や質問何でも構いません
一言でも書いていただくと、私も読者がどう思っているのかが分かり、書きやすくなります。
これはあくまで独り言なので無視してもかまいません。

ご愛読ありがとうございました。また次回会いましょう。


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僕はクリスマスイブをシルヴィと過ごす

勉強中に思い付いたネタです。
少し雑になってるかもしれません。ごめんなさい。


アスタリスク商業区 広場

 

 

クリスマスイブの寒空の中、僕は今商業区にある広場で噴水に座りながらある人物を待っていた。

 

 

「そろそろ来るはずなんだげど。」

 

 

そう思っていると、広場の入り口から栗色の髪をした女の子が

こっちにやって来た。

 

 

「ごめんねー。スバルくん。着替えに遅れちゃって。」

 

 

栗色の髪をした女の子ーシルヴィが謝った。シルヴィの格好はいつものような帽子をかぶっているが、洋服はマフラーにコートと冬に合わせた格好をしていた。

 

 

「別に大丈夫だよ。今回はシルヴィのためだからね。」

 

 

実はシルヴィは毎年明日に行われるクリスマスライブがあり、シルヴィと過ごせる日はいつもこの日しかない。

 

 

「うふふ。ありがとうスバルくん。じゃあ行こうか。」

 

 

僕はシルヴィと共に商業区の方に向かって行った。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

僕は今シルヴィアと商業区のメインストリートを歩いている。

 

 

「それにしても今日は混んでるね。」

 

 

「そうだね。カップルの人達でいっぱいだからね。」

 

 

そんな何気ない話をしているとシルヴィは店の飲食店にある看板を見つけた。

 

 

「ねぇ、スバルくん。これ一緒に食べよう。」

 

 

「えーと、どれどれ………」

 

 

そこには『カップル様限定。loveセット。食後にはセット限定のハートのあつあつのチーズケーキ付き』と書かれた文章とパスタとサラダとドリンクにハートの形をしたチーズケーキの写真が載っていた。

 

 

え!?カップル様限定!?ということは…………

 

 

「ねぇ、シルヴィ。カップル様限定って書いてあるよ。」

 

 

「うん、そうだね。」

 

 

「シルヴィの相手って誰?」

 

 

「それは勿論。スバル君でしょ。」

 

 

世界の歌姫のカップルの相手が僕!?いやいやいやいや………

 

 

「あの、シルヴィはカップルの相手が僕で大丈夫?」

 

 

「全然平気だよ。それともスバル君は私のことが嫌?」

 

 

「そんなことないよ。シルヴィは可愛いし優しいから嫌いになるところなんてないよ。」

 

 

僕がそう言うとシルヴィは顔を赤らめていた。

 

 

「う、うん///。ありがとう。な、中に入ろう///。」

 

 

シルヴィに急かされながら僕は店内に入った。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「やはり、店内はカップルばかりだね。」

 

 

「そ、そうだね。スバル君///。」

 

 

僕達が席に座ると店員さんがやって来た。

 

 

「ご注文を承ります。」

 

 

「えーー。loveセットを二つ下さい。」

 

 

その後パスタとドリンクはどうするかと言われたがシルヴィと僕は同じクリームソースのパスタにし、ドリンクはシルヴィがアイスティーで僕はアイスコーヒーにした。

 

 

「かしこまりました。メニューを片付けますね。」

 

 

そう言って店員さんはメニューを持って帰った。

 

 

「あ、あのさスバル君。ちょっと聞いていい?」

 

 

さっきまで俯いていたシルヴィがたずねてきた。

 

 

「オーフェリアさんの事をどう思っているの?」

 

 

え、急に何!?どう思っているのかって……………

 

 

「あの事件のリーゼルタニアでの知り合いかな。」

 

 

「そ、そうじゃなくてオーフェリアさんはスバル君の日常的な生活でのどんなポジションかっていうこと!」

 

 

シルヴィが真剣になって僕の方を向いている。

 

 

「それは………年上の相談者って感じかな。僕のこともしっかりと知ってるから相談しやすいしね。」

 

 

「そ、そっか。(週刊誌に載ってたけどデマだったんだ。)」

 

 

シルヴィの口から週刊誌って単語が聞こえたが一体何だろう。

 

 

「じゃあ、ノエルちゃんは?」

 

 

「ノエルは………後輩かな。しっかりと僕の教えたことをしっかりとやってくれるちゃんとした子だよ。」

 

 

「なるほどねぇ。たしかに周りから見てもそんな感じかな。」

 

 

シルヴィが少々安堵している。なんでだろ。

 

 

「そ、それじゃ最後の質問。わた…」

 

 

シルヴィがそう言いかけると、店員さんが料理を持ってきた。

 

 

「料理が来たみたいだね、シルヴィ。」

 

 

「う、うん。そうだね。食べようか。」

 

 

僕とシルヴィは運ばれた料理を食べることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「いや~。おいしかったね、シルヴィ。」

 

 

「そうだね。後はデザートだけだね。」

 

 

シルヴィも料理に満足している様子だった。

 

 

「それでさ、さっきの質問なんだけど………」

 

 

シルヴィが言いづらそうな感じである。

 

 

「うん?どうしたの。」

 

 

「あの、えっと、わ、私のことをどう思っているか教えて。」

 

 

えっ!?シルヴィをどう思っているかって。本人の前で言うとなかなか恥ずかしいんだけど。

 

 

「え、そうだね。シルヴィとは昔からの友達だったし、何とも言えないけど、簡潔に言うなら………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕が生きている人生で最高のパートナーかな。」

 

 

「えっ!?」

 

 

「だってあの事件ではシルヴィと一緒に戦ったし、日常とかでもシルヴィと一緒にいることが多いからね。」

 

 

「……………………///」

 

 

シルヴィが顔を赤らめているけど、どうしたのかなって。

いや、待てよ。さっきの僕の言葉…………………………

えっ、普通に彼氏彼女が使う告白に近い言葉じゃないか。

 

 

「あ、あの変なこと言ってごめんシルヴィ///。」

 

 

「うふふ。」

 

 

シルヴィが笑い始めた。

 

 

「スバル君がそう思ってくれているなんて私はうれしいよ。」

 

 

シルヴィが僕の方を見て笑いながら話した。

 

 

「じゃあさ、スバル君。来年の王竜星武祭で私が優勝したら、星武祭の願いの他にスバル君にしか叶えられないお願いをするからさ。」

 

 

「えっ、ちなみにその願いって何なの?」

 

 

「うふふ。秘密♪」

 

 

シルヴィがいたずらっぽい仕草で返事をした。

 

 

 

 

そんな会話をした後、店員さんがチーズケーキを持ってきた。

あつあつのチーズケーキは寒い冬にはぴったりで僕もシルヴィも大満足だった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「あっという間だったね。シルヴィ。」

 

 

「そうだね。明日はライブかと思うと疲れちゃうよ。」

 

 

冬の日の入りは早い。現に今は夕方近くだが周りはほぼ真っ暗で何も見えなかった。

 

 

「そうだ。シルヴィこれ。」

 

 

僕はシルヴィにあるものを渡した。

 

 

「スバル君。これは………」

 

 

「シルヴィへの早めのクリスマスプレゼントだよ。」

 

 

「これって、ブレスレット?」

 

 

シルヴィに渡したブレスレットはシルバーのブレスレットを基に僕が加工してブレスレットの真ん中にシルヴィのイメージカラーである紫色のビーンズやガラスで装飾されている。

 

 

「そのブレスレットには僕の力が限定的に使えるようにしてあるんだ。何かの役に立てばいいなって思って。」

 

 

「ありがとう。スバル君。最高のクリスマスプレゼントだよ。」

 

 

シルヴィが笑う姿に僕は思わずドキッとしてしまう。

 

 

「それじゃ、また会おうね。次会うのは新年を明けてからかな。」

 

 

「そっか、クリスマスが終わってもそのまま正月のイベントがあるのか。また電話するからさ。」

 

 

「うふふ。ありがとう。またね。」

 

 

シルヴィはそう言ってクインヴェールの方に帰って行った。僕は明日がガラードワースの歓迎会兼クリスマスパーティがあるので今日は寮に泊まることにした。ノエル達も今日の深夜便で帰ってくるそうだ。

 

 

 

 

今日は霧咲スバルが恋人とかに鈍感であった彼が少し恋について認識し始めた始点となる一日だった。

 

 

 

 

 




閑話は次回のガラードワースでのクリスマスで区切りをつけようと思います。ただ、読者が冬から春にかけてのイベントでこんなのを書いて欲しいとコメントしたら短くなるかもしれませんが書かせていただきます。
なければ、次回作が書き終わり次第本編に繋がる話を書かせていただきます。
次回編はあの女の子を中心にあの組織と邂逅します。
指事語が多い次回予告ですね笑。
それではまた次回会いましょう。引き続きコメントや感想や評価をお待ちしております。





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ガラードワースのクリスマス

今回はグリムノーツのネタが多いです。
分からない人すみません。
グリムノーツのキャラ説明は本作通りですが、必要ならば一人一人作っていきます。


ガラードワース 大講堂

 

 

12月25日、今日はクリスマス。今僕は今日の夜から行われる

クリスマスパーティを兼ねた今年のガラードワースの入学テストに合格した新入生の歓迎会の準備をしている。

 

 

ノエル達は深夜に帰って来てるから少し疲れが見えるだろうと思っていたが、そうでもなくテキパキと飾り付けをしている。

 

 

というかノエルは何か覚悟に満ちた表情をしているし、エリオットはまるで苦しみから解放されたような表情で準備をしているし、帰省中に何があったんだろう。

 

 

そう思っていると、ランが後ろからやって来た。

 

 

「久しぶりだな、スバル……なんだ寝不足か?」

 

 

「まぁ、そんなところかな。」

 

 

彼らに対し僕は疲れていた。なぜなら昨日のシルヴィのことで興奮してまったく眠れなかったからだ。寝ようと思うとあの日の会話が夢に出てきてとても恥ずかしかった。

 

 

「そう言えば、ランはこの期間何やってたんだ。」

 

 

「俺は純星煌式武装の調整でダイバーシティの本部に居たよ。何でも付属してパワーアップする煌式武装をシェインさんが開発したらしい。」

 

 

「シェインさんは本部に帰っても武器の開発に没頭か。」

 

 

「あと南極に調査に行ってたタオさんとエイダさんとサードさんが南極で見つかったウルム=マナダイトを持って帰って来るそうだぞ。」

 

 

「じゃあ、カーリーさんやファムさんも解析の準備をしているのかな。」

 

 

僕達は今のダイバーシティを支える主要人物の現状をお互いに話した。

 

 

「二人とも。おしゃべりをしてる暇があるなら手伝いなさい。」

 

 

そうこうしていると、レティシアさんが叱りに来た。

 

 

「すいません。レティシアさん。」

 

 

「まったく、何をしているのですわ。ランはエリオットとノエルの手伝い、スバルはパーシヴァルの所に行って料理の手伝いをしなさい。」

 

 

「「は、はい。」」

 

 

僕とランは別れ、ランはノエル達の所へ、僕はパーシヴァルさんを手伝いに食堂へ向かった。

 

 

こうして着々とクリスマスの準備は進んでいった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 夜

 

 

『これからクリスマスパーティを兼ねた新入生の歓迎会を開きます。』

 

 

アーネストさんがステージでマイクを持ってパーティの進行を始めると、新入生から大きな歓声が湧いた。

 

 

『今回のパーティを通して我々在校生と仲を深め、学園生活を快適にしていただけると僕は嬉しく思う。』

 

 

『ちなみに、此度のパーティの料理は我が学園の英雄霧咲スバル君が新入生のために作ったものだ。』

 

 

「「「おーー。」」」

 

 

いや、アーネストさん今の説明要りました?

 

 

『それでは新入生のみなさん。楽しんでください。』

 

 

そう言ってアーネストさんがステージから降りた。

 

 

 

 

 

 

あの開会の言葉の後、僕の所には多くの新入生がやって来た。主に星武祭での事や戦い方についての話題が多く、僕が話すと新入生はしっかりと聞いていた。

 

 

次にノエルとエリオットくんの所に新入生達が集まっていた。何でも中学1年から序列入りした彼らは羨望のまなざしで見られていて、同じく星武祭の事などを話していた。

 

 

ケヴィンさんは入学テストから目をつけていた女の子を探しに出かけ、ライオネルさんはそれを止めに追いかけに行った。

 

 

アーネストとレティシアさんとパーシヴァルさんはステージの近くのテーブルで僕が作った料理を食べていた。

 

 

ランはどこに行ったのだろうか、開会式が始まるまではいたのに、どこかへ消えてしまった。

 

 

僕を含めみんなはそれぞれのクリスマスを過ごした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『これを持ちまして閉会式とさせていただきます。』

 

 

アーネストさんが閉会宣言をすると、新入生達はぞろぞろと大講堂を出ていった。

 

 

「いやー、話を聞くと今年の新入生は優秀ですね。」

 

 

僕は机を片付けながらアーネストさんに話しかけた。

 

 

「そうだね。彼らには星武祭に積極的に参加して欲しいよ。」

 

 

アーネストさんと話をしてるとノエルが近寄ってきた。

 

 

「どうしたんだい、ノエル。」

 

 

「あ、あのお兄さんは今日は遅いから寮に泊まりますよね。」

 

 

「まぁ、その予定だね。」

 

 

「で、でしたら私の部屋に来てくれませんか。」

 

 

「えっ!?」

 

 

ノエルの爆弾発言にアーネストさんやレティシアさんは少々驚き、ケヴィンさんは笑いをこらえている。

 

 

「い、いやそれはちょっと…………」

 

 

「いいんじゃないか。ノエルも一応新入生の枠だから先に上がっていいぞ。スバルはノエルと一緒に行きな。別にこっちは大丈夫だからな。」

 

 

どこから湧いたのかランがそう言った。

 

 

「あ、ありがとうございます。ランさん。」

 

 

「え、ちょっ………」

 

 

ノエルは僕の腕を掴み走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「霧咲先輩行っちゃいましたね。」

 

 

さっきまで黙って見ていたエリオットが口を開く。

 

 

「いや、ノエルちゃんも大胆に出たねー。エリオット君はノエルちゃんのことはいいのかい。」

 

 

ランがエリオットにたずねた。

 

 

「別に彼女がずっと霧咲先輩が好きなことは分かっていましたよ。霧咲先輩は気づいてないかもしれませんが。」

 

 

「エリオット君は大人だね~。どうだい、今夜は俺の部屋でボーイズトークでもするかい?」

 

 

ケヴィンがエリオットに提案した。

 

 

「…………………時間があれば向かいますよ。」

 

 

そう言ってエリオットは片付けに戻った。

 

 

「………ところで、ケヴィンさん。」

 

 

「………なんだい。ラン。」

 

 

「賭けをしましょう。」

 

 

「………どういう内容だい。」

 

 

「今日スバルがノエルの部屋でただ寝るだけに10000円を賭けます。」

 

 

「……そうか。俺はスバルがノエルちゃんの部屋で一発やるに10000円を賭けるぜ。」

 

 

 

スバルがいない中で男二人は彼に起こる痴情をネタに賭けをしていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

どうも、スバルです。僕は今ノエルの部屋にいます。ノエルの寮の部屋ははじめて来たけど、女の子らしくしているなぁ。

 

 

ってそうじゃなくて、僕は先にシャワーを浴びてノエルが今風呂に入っているのですが、ノエルがなかなか僕の部屋に帰してくれません。え、何これ。ランが前言ってたヤンデレっていうのか?

 

 

僕がベットで座っていると、シャワーの音が止んだ。

ノエルが上がってくる。風呂場のドアが開いた。

 

 

すると、ノエルがバスローブを着て風呂から上がってきたのだ。ところどころ滴る水滴が普段のノエルから感じないくらいすごく艶かしい。

 

 

「あ……あのお兄さん。」

 

 

ノエルが静寂を破った。

 

 

「えっ!えっとな、なんだい。ノエル。」

 

 

ノエルのそんな姿に動揺を隠しきれない。

 

 

「今日は久しぶりに一緒に寝てくれませんか?」

 

 

「えっ!?」

 

 

たしかにノエルと一緒に生活をし始めた頃はノエルからのお願いで一緒に寝たことはあったけど、今この状況では意味が変わってくるでしょう。ただでさえ、昨日のシルヴィのことがあってなかなかやばいのに。

 

 

「いや、ちょっとそれは………」

 

 

「お兄さんは私の事が嫌いなのですか?」

 

 

ノエルが上目遣いで泣きそうになってこちらを見る。だめだ、ノエルを泣かせてはいけない。

 

 

「………分かりました。少しだけですよ。」

 

 

僕がそう言うと、ノエルはベットに飛び込んだ。

 

 

 

 

 

僕とノエルは添い寝という形になる。

 

 

意識すると、恥ずかしいな。

 

 

「あ、あのお兄さん。静かに聞いていてください」

 

 

ノエルが僕の横で話す。

 

 

「今はお兄さんには及ばないかもしれませんが、私はいつかお兄さんの隣に立って、そのままずっと側にいたいんです。」

 

 

ノエルがいつもよりハキハキと話している。

 

 

「お兄さんから見たら、この前のように私が捕まった時だって年下の後輩のように守る対象かもしれませんが、私は年下の後輩ではなく、お兄さんのパートナーとして見て欲しいんです。」

 

 

ノエルが僕の服を強く掴む。

 

 

「だからお兄さんが私を認めてくれたらその……」

 

 

急にノエルが静かになったと思うとノエルは僕の腕に絡みながら寝ていた。疲れていたのだろう。

 

 

僕はベットから起きようとするにもノエルが腕をつかんでいるため、強引には起きれない。

ここで寝るしかないのか。

 

 

ノエルのことでまた眠れないと思ったが、僕は昨日から寝不足のためすぐに眠ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2年後、星導館学園にバスローブの女性にアプローチをかけられる同じ経験をした男子の友達が出来ることを彼はまだ知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ガラードワース学園 校外

 

 

「………久しぶりね。ラン。」

 

 

「そうだな。《再編の魔女》。」

 

 

「クリスマスパーティを楽しんでもいいんですよ。しっかりスバルさんを監視していただければ。」

 

 

「別に気にしちゃいないよ。あんなイベント楽しんだら悔いが残ってしまうだろ。」

 

 

ランは黒髪がみえるローブをした女の子に話す。

 

 

「そう……。やはり貴方は………。」

 

 

「あくまで俺とお前はスバルを『あいつ』に対抗するためのサポーターにしか過ぎない。レイナ社長達が日本に侵攻したエクナートを倒したら、『あいつ』が介入し、エクスさんがあっち側にさらわれて、レイナ社長は力を失い、お前に箱庭の王国を譲ったんだ。」

 

 

「そうですね。ずっと裏側にいたのに漁夫の利だね。」

 

 

「『あいつ』は前社長達も殺したんだ。許せるかよ。」

 

 

「そこには他にもランの個人的な恨みもあるよね。」

 

 

「ま、そうだな。ところでそっちはどうなんだ。」

 

 

「悪辣の王(タイラント)がスバルさんによって孤毒の魔女(エレンシューキガル)を失ったことで組織のバランスが崩れたわ。あと、《処刑刀》という人が南極からあるウルム=マダナイトを持って帰還中。おそらく次の計画のカギとなる可能性が大きい。」

 

 

「なるほどな。」

 

 

「そして、『あいつ』の組織が利害の一致ということでこちらの何とか同盟に全面的な協力体制を示した。」

 

 

「遂に動き出したか。」

 

 

「また随時連絡するわ。これはあなたと私とレイナさんが知っている話。そしてここからは私とあなただけの話。」

 

 

「……組織から何を聞いたんだ。」

 

 

「これから行うだろう計画のカギはあなたも含まれているという事とあなたが三条家と会う前のネームよ。」

 

 

「絶対に他言するなよ。」

 

 

「ふふふ。あなたは《光》の方からスバルを助け、私は《闇》の方から手助けする。それじゃあね………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《弱小の黄衣の王(ハスター)》」

 

 

ローブの女の子は手持ちの本に星辰力を込めると、魔方陣が発動し、どこかに消えた。

 

 

「………スバル。お前は最高の相棒だ。絶対にあいつらにお前を利用させるわけにはいかない。」

 

 

ランは動き出す闇に敵意を示し、パーティ会場に戻った。

 

 

 

 

 

 




すいません。けっこう詰め込みすぎちゃいました。
最後の話は次の本編に続くランのクリスマスパーティ中の話です。
明日は模試で投稿できません。
コメントや質問は受け付けています。
それではまた次回会いましょう。


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《金枝篇同盟》邂逅編
僕は手がかりを掴む


新編突入です。
今回は序章パートなので短いですが、見てくれると嬉しいです。


アスタリスクは遂に春を迎えた。ガラードワースでの入学式も何事もなく終わり、そして今に至る。

 

 

「うん、今日の仕事は終わったね。他のみんなはもう上がってもいいよ。」

 

 

アーネストさんがそう言うと生徒会のメンバーはぞろぞろと生徒会の部屋を出ていく。

 

 

僕もランと一緒に出ていく。

 

 

「ランはしばらくどうするんだ?」

 

 

「お前が《王竜星武祭(リンドブルス)》の練習で忙しい中、俺はちょっと用があってな。たびたびアスタリスクを離れることが多いな。」

 

 

「そうか……。ランには練習に付き合って貰おうと思っていたんだが。」

 

 

「悪いな。今から俺はダイバーシティの本部でルナティック・ジークヴルムの最終調整があってな。

そうそう、タオさん達が持って帰ってきたウルム=マナダイトが今純星煌式武装に調整をされているだろうから、そろそろお前にも新しい純星煌式武装の実験の連絡が来ると思うぜ。」

 

 

僕はたびだび《調和》の力を用いた実験があり、今回もその一つである。

 

 

そんな話をして正門まで行って僕は家に帰るためそこで別れた。

 

 

「そうだ、今日は食料がないからスーパーに寄って帰らなければいけないな。」

 

 

そう思い、僕はスーパーに寄って家に帰った。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

僕が家で調理をしていると一本の電話が来た。

 

 

『ヤッホ~、スバル君今大丈夫?』

 

 

電話の相手はシルヴィである。

 

 

「別に大丈夫だよ。どうしたんだ?」

 

 

『実はペトラさんからなんだけど、リーネさんがここ最近連絡が取れないらしいんだけど、スバル君は知らない?』

 

 

「リーネには実はウルスラさんの事も任せているんだ。もしかすると今も調査中かもしれないな。」

 

 

彼女には悪いがリーネには彼女の仇敵探しと並行してウルスラさんの調査もやっている。これは彼女なりの気遣いで僕やシルヴィがメディアの被害や事件に巻き混まれないためにやっていることである。

 

 

『そっか、ありがとうスバル君。ところで今何を作っているのかな?』

 

 

「ビーフシチューだな。今日はスーパーで牛肉が安かったんだ。」

 

 

『私もスバル君の料理食べてみたいなぁ。』

 

 

シルヴィがこちらを見ている。

 

 

「分かったよ。シルヴィが帰ったらいくらでも作るよ。とりあえず、シルヴィは春から夏までのワールドツアーがんばれよ。ずっとアスタリスクにいないんだしな。」

 

 

『うふふ。ありがとねスバル君。またね♪』

 

 

シルヴィがそう言うと電話が切れた。

 

 

「やっぱりシルヴィは可愛いな………」

 

 

冬の出来事があってから僕はシルヴィに対してたびだびドキドキしてしまう。やはり僕は………

 

 

そう思っていると一件のメールが来た。

誰だろう。

 

 

メールを開くとそこには、

 

 

『霧咲くんへ。

先日、ウルスラさんと思われる青髪の女性を歓楽街にて発見しました。明日の夜もそこに行くと思われる予定。霧咲くんには万が一のサポートを頼む。』

 

 

先程話題に出ていたリーネからの報告だった。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

???

 

 

『やぁ、悪辣の王(タイラント)。私がいない間に色々とあったらしいね。』

 

 

「けっ。お前が《獅鷲星武祭(グリプス)》が終わった瞬間に南極に行かなければこんな事態にはなってないかもしれなかったけどな。」

 

 

『いや、いくら私でも星武祭の願いを邪魔することは無理だよ。これにはやられたね。』

 

 

仮面の男は残念そうに呟く。

 

 

「ところで、南極に行くほどの価値があったんだろうな。今回のテメーの行動はイレギュラーなんだよ。」

 

 

『もちろん、成果はあったよ。ただ2つあった内の一つがダイバーシティに取られちゃってね。これにはまたしてもやられたって感じかな。』

 

 

「そう思うなら、とっとと帰ってきやがれ。あの組織と協力体制を組んだと思ったら予想以上に絡んできやがる。」

 

 

『はは。天候が悪くてね。もうしばらくかかるからそっちは君とヴァルダ君と《再編の魔女》君で頑張ってくれると嬉しいよ。』

 

 

「ちっ。」

 

 

ディルク・エーベルヴァインは電話を切った。

 

 

「少しいいか。」

 

 

ディルク・エーベルヴァインが後ろを向くとネックレスをしている青髪の女性が立っていた。

 

 

「用件はなんだ。」

 

 

「今日、あの組織の者と歓楽街を散策していたら私を尾行している奴がいた。」

 

 

「何?正体はバレてないんだろうな。」

 

 

「分からない。分からないから明日もそこに行くフリをして奴を隠滅する。」

 

 

青髪の女はスバルがリーネから連絡をもらっている頃、尾行したリーネを潰そうと目論んでいた。

 

 

 

 

 

 




はい。今回からはリーネさんが出番の話が続きます。
そしてついに《金枝篇同盟》のメンバーと邂逅。
それではまた次回会いましょう。


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襲撃者は………

模試も無事に終わりました。しばらくは毎日投稿を頑張っていこうと思います。
あと知らない間に5000UA達成しました。皆さんに読んでいただきありがとうございました。これからも受験までは頑張っていくのでよろしくお願いいします。


「なぁ、リーネ。気が早過ぎるんじゃないか。」

 

 

僕は今リーネと共に歓楽街を歩いている。

 

 

「そうかしら。でも霧咲君も早くその人がウルスラさんかどうか確かめたいんじゃないかしら。」

 

 

僕はその言葉に反論はできなかった。

だからこそ彼女に着いていっているのだ。

 

 

「…そろそろ近づくわ。準備をして。」

 

 

リーネが路地裏に向かい、僕を呼んだ。

 

 

すると、リーネはいつものペン型煌式武装で『clear(透明)』と書いて文字の効果を発動した。

 

 

「これで他人から認知されないわ。」

 

 

「やはりその能力便利ですね。」

 

 

「……そうでもないわ。たしかに私は会長の歌の能力みたいに汎用性は高いけど、私の場合は会長と違って制限があるわ。」

 

 

「それは文字の使用回数ですか?」

 

 

 

リーネは同じ文字を1ヵ月のサイクルで使えない。

つまり自分の思い通りのことが出来ない場合があるということだ。

 

 

 

「それはあまり気にしてないわ。文字というのは類義語がたくさんあるから知識があればどうにかなるけど、使う文字によっては効果はいっしょでも範囲や威力が変わってきて場面的には厳しいところもあるわ。例えば、『火』と『炎』だと後者の方が強いわ。知っているでしょう。」

 

 

 

そうだ、たしかリーネは昔キャンプに行った時、たき火に火をつけようとしたが、『炎(flame)』と書いて、山火事にしかけたことがあった。

 

 

 

今思えばリーネは師匠が死んでから変わってしまったな。昔はもっとやんちゃで笑う時があったのに、今では仮面を被ったかのように笑わないな。

 

 

「私が気にするのはこのペンのインクの残量ね。これは私の星辰力(プラーナ)と直結していて、私が星辰力切れになるとこれも使えなくなるわ。会長は喉でもつぶれない限り能力が使えるとおもうけど、私はこれがないと能力のイメージが難しくて発動ができないの。それにイメージが難しいものほどインクの消費量が多いからかなり使いどころが難しいのも欠点かしらね。」

 

 

「そうですね。リーネのような計画的な人じゃなきゃ難しい能力だね。」

 

 

「……さて。話はおしまいよ。ここからは屋根を登って行くわよ。準備をしなさい。」

 

 

「分かった。」

 

 

 

 

僕とリーネは屋根を伝って目的地に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「着いたわ。あそこにいる二人よ。」

 

 

リーネが指差したところには路地裏でローブをした二人組が取引をしていた。

 

 

「昨日もやったけど、気づかれている感じはないわ。このまま不意打ちをして奴等の素性を明かすわよ。」

 

 

「待ちなよリーネ。もう少し様子をみよう。何だかいつものリーネらしくないよ。」

 

 

「ここで逃したらどうするの。私の調査がムダになるかもしれないのよ。」

 

 

普段のリーネならもう少し冷静に判断するのに今日は妙に様子がおかしい。

 

 

 

 

 

僕とリーネが言い合いながら様子を見ているとローブをした二人組は笑い出す。取引が終わったから雑談でもしているのだろうか。僕がそう思っていると

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もういい。茶番は終いだ。」

 

 

 

ローブの一人が僕らのところに向かって飛躍し、強烈な蹴り技をかましてくる。

 

 

 

「ジークヴルム・ノヴァ起動!!」

 

 

 

僕は咄嗟に純星煌式武装を発動して、ジークヴルム・ノヴァの翼でリーネを抱えてそれをかわした。

 

 

「な、なんで分かったの?」

 

 

 

リーネは予想外の出来事に動揺している。

 

 

 

「あんなこと。昨日の内からバレている。」

 

 

 

ローブの人が無機質な声で告げる。

 

 

 

「まさか、ダイバーシティの方達でしたか。」

 

 

 

蹴りをしなかったローブのもう一人も合流した。

 

 

 

「お前らはいったい何者だ!」

 

 

 

僕は彼らにたずねた。

 

 

 

「……知りたければ私に攻撃の一つでも当てるんだな。」

 

 

 

先程蹴りをかました人が襲ってくる。僕は純星煌式武装を構えてそれに備える。

 

 

 

「ライトニングバリスタ!!」

 

 

 

ローブの人は足に先程より力をため僕に食らわすが、僕はそれを純星煌式武装で耐える。

 

 

「くぅぅぅぅ………。」

 

 

(この技はたしか…………………)

 

 

 

僕がそれを弾き返すとローブの人はその勢いを利用し、再び僕らに攻めてくる。

 

 

 

すると、『shield(盾)』という言葉が現れ、僕の目の前に大きな盾が現れた。

 

 

「私のイメージをほとんど乗っけたわ。これなら、余程の事がなければ大丈夫よ。」

 

 

リーネは先程より落ち着きを取り戻し僕のサポートにまわった。

 

 

 

「ふん。たしかに強い盾だが、私の前では無意味だ。」

 

 

ローブの人はさらに力をこめた。

 

 

 

「ダブルハート!!」

 

 

 

ローブの人に赤いオーラが纏い、彼は拳一つで………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その盾を何事もなく破壊した。

 

 

 

「そ……そんな。私の能力が………」

 

 

リーネはその場に座りこんでしまった。

 

 

「やはり、グランドスラム候補はなかなかやりますが、そこの女はそうでもありませんね。」

 

 

拳をしまい、無機質な声でリーネを侮辱する。

 

 

 

「あなたは………そんなことは決して言わない優しい人だったはずです。何があったんですか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウルスラさん!!」

 

 

僕は叫ぶようにあの人に向かって言った。

 

 

 

「ほぉ、この女を知っているのか。意外だな。」

 

 

ローブを脱ぐとそこにはシルヴィにかつて音楽と体術を教えていた青髪の女性の姿があり、胸元には大きなネックレスみたいなものがあった。

 

 

「霧咲スバル。一つ質問だ。どこで気づいた?」

 

 

「最初の技は昔、何十回もやられた技なんですよ。」

 

 

「なるほどな。」

 

 

「こちらからもあなたに質問をします。あなたは誰なんですか?」

 

 

「誰かか。私の名前はヴァルダ。お前の知るこの女にとりついている者とでも言っておこう。」

 

 

ヴァルダは無機質な声で質問に答えた。

 

 

「ローブで姿を隠しているからてっきり秘密にしているのではないかと思ったんですけど。」

 

 

 

「そうだな、だからお前達を倒して私達の記憶を消させていただこう。」

 

 

ヴァルダは再び拳を構える。

 

 

「ちょっとヴァルダさん。別に記憶を消さなくても大丈夫でしょう。」

 

 

もう一人のローブがヴァルダに声をかける。

 

 

「僕はまだ自己紹介をしていないのですが。」

 

 

「ちっ。勝手にしろ。」

 

 

ヴァルダがそう言うと、もう一人のローブの人がローブを脱いだ。そこには白と黒が交じった髪に黒いモノクルをした男性が現れた。

 

 

「僕の名前はシャビです。ヴァルダさんとは組織は違いますが、彼女とは同盟という形で組ませてもらっています。」

 

 

シャビという男が軽く僕らに会釈する。ただ、僕は彼に対してかつてないほど恐怖を感じた。

 

 

 

 

この人はヴァルダさんよりヤバイかもしれない。

僕はそう思いながら煌式武装を構える。

 

 

「シャビさんも普通に素性を明かすんですね。」

 

 

僕がシャビさんにそう言うと、

 

 

「そうですね。たしかに私もバレると少々危険だが、ヴァルダさんみたいに記憶を消すとかね、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕はそんなに甘くはないよ。殺すだけだよ。」

 

 

シャビが冷たく言葉を放つと、僕達がいる路地裏の死角から、赤い火の玉が僕らに飛んできた。

 

 

 

「……烈火大斬刀……大筒モード」

 

 

 

「「ぐあぁぁぁぁっ」」

 

 

僕とリーネはそれによって吹き飛ばされる。だが、ジークヴルムの翼でガードして僕達は致命傷をどうにか避けた。

 

 

先程声のした方を見ると、そこには和服をした女性が赤い大太刀を持っていてヴァルダ達と合流した。

 

 

だが、その人は僕が知る人物のため動揺をしている。リーネは僕なんかよりもひどく動揺している。

 

 

だって……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な…何をしているのですか。薫先生。」

 

 

 

リーネが言うその女性はかつてリーネの師匠であった志葉薫その人だったからだ。

 

 

 

 

 

 




はい、ついにリーネは師匠と対面しましたね。
そして新キャラのシャビ!!
これは僕が子供の頃ハマったテレビのキャラから名前をとっています。能力は次回公開しますが、名前で分かった人はコメントよろしくお願いします。ヒントはNHKです。
感想も待ってます。また次回会いましょう。


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路地裏の邂逅

次回から戦闘描写に向かうため短いですが、もうひとつ話を投稿させていただきました。
前回のクイズの回答は2話分後に書こうと思います笑。
少しずつヒントは出していきますので気軽に参加していただけるとうれしいです。

金曜日の夕方のビットワールドが楽しみなんじゃ~
(大ヒント笑)


「な…何をしているのですか。薫先生。」

 

 

先程の攻撃はリーネの師匠である志葉薫さんのものだという事に一瞬理解が追い付かなかった。そもそも志葉さんは僕達の推測でも消息不明という事から死んでいると考えていた。もし生きていたならなぜこんなことをするのか………

 

 

「………………………………」

 

 

志葉さんは何も答えなかった。僕が知っている彼女が前と違う点は目が赤く染まり、敵意のようなオーラを出していることだ。

 

 

「私です。あなたの弟子のリーネです。」

 

 

リーネの彼女への声かけが辺りを響かせる。

 

 

 

 

「ムダですよ。」

 

 

 

シャビが声かけをする彼女に対して冷たく放つ。

 

 

「なんですって…………」

 

 

リーネはシャビに敵意をむき出しにした。

 

 

「何故なら彼女はもう……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

死んでいるからですよ。」

 

 

シャビは彼女に冷たい言葉でいい放つ。

死んでいるだと。ならばここにいる志葉さんはいったいなんなんだ。僕は動揺を隠しきれない。

 

 

「嘘よ!!師匠はここにいるわ。さっきの攻撃だってきっと訳があるはずよ!!」

 

 

リーネは彼の言葉に反論して叫ぶ。

 

 

「彼女が生きているのは僕の魔術師の能力です。死にかけの人を自分の人形にする能力ですよ。今の彼女は私の命令に動く忠実な部下です。」

 

 

「そ、そんな………」

 

 

「死んでいるというのは私を倒すと能力が解除され、彼女はすぐに息絶えるという意味ですよ。」

 

 

シャビがつらつらと悲しい現実を突きつける。

 

 

「死にかけていると言ったな。お前はどこで志場さんを見つけたんだ。答えろ!!」

 

 

僕は久しぶりに怒りに身を任せ怒鳴った。

 

 

「そうですね~。たしか4,5年前位でしょうか。日本に送った私の人形兵が全滅した頃、東南アジア近くで死にかけの彼女を見つけました。ただ者ではないオーラと私は思い、私は彼女に能力をかけたのです。文字の力は実に万能で僕の実験にも良い刺激を与えてくれました。」

 

 

シャビが志葉さんを見つけた頃を自慢気に説明した。余程彼にとっては気に入ったのだろう。

 

 

「黙りなさい偽善者が!!どこまで人の尊厳を愚弄する能力なんだ。」

 

 

リーネは『sword(剣)』と書き、彼女の手に西洋刀を顕現させた。

 

 

「話は終わりです。あなた達を死にかけの状態にして私のこれからの計画の人形になってもらいましょう。希少な同じタイプの魔女にグランドスラム候補者……僕は実に運がいいようです。」

 

 

シャビは志葉さんを戦闘体勢にして、彼自身も手元から花のような形をした銃型煌式武装を取り出す。

 

 

「使役タイプの人って案外本体が弱いイメージがありますけど、僕は違いますよ。まぁ僕はたまに参加するだけなんですけどね。ヴァルダさんは手を出さないでください。」

 

 

「まぁ、いいだろう。」

 

 

そう言ってヴァルダは戦闘からはずれた。

 

 

「霧咲君。私のインク残量はあと少しなの。サポートをしてちょうだい。」

 

 

リーネが僕に目を配らせる。

 

 

「分かった。無理をするなよ。」

 

 

僕も少し本気を出す。僕は力を込め……

 

 

「オフェンシブオーラ!!」

 

 

僕に体力と攻撃力の向上をかけた。これで志葉さんとあの偽善者にどこまで通用するのか…………

 

 

 

 

 

 

 

路地裏で師匠と弟子の最悪な邂逅が幕を開けた………

 

 

 

 

 

 




戦闘描写回に次回から入りますが、なかなか自分でも難しくて自信がありません。読んでアドバイスをくれたりしてくれたら私は嬉しいです。
それではまた次回会いましょう。


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真剣大騒動

後輩が体育祭の応援でダンスをやるのですが、歌がペルソナ4のreach out to the truthとか神待遇すぎませんかね。
僕の高校はエッサッサという体育大学譲りのものなのに。
後輩の世代に帰りたい(願望)

*今回あとがきに今後のストーリーに関わることを書いています。読んでくれるとうれしいです。


「くらえっ!!フレイムテンペスト!!」

 

 

僕は彼らに向かって炎の竜巻を浴びせようとする。

 

 

「守りなさい。」

 

 

シャビがそう言うと、志葉さんは『天』という漢字を書くと、扇形の煌式武装が現れた。

 

 

「……………迫力満天。」

 

 

志葉さんがそう言い扇を振り回すと風が巻き起こり、僕のフレイムテンペストを相殺する。

 

 

「………くそ。」

 

 

志葉さんに意図も簡単に技を止められたことに多少の焦りを覚えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんてな。今だ!!リーネ。

 

 

風によって砂ぼこりが立ち込める中、リーネは『chain(鎖)』という文字を形成し、発動する。

 

 

すると、志葉さんを現れた鎖で拘束する。

 

 

「…………っ!?」

 

 

これには志葉さんも動揺し、鎖を切ろうともがいている。

 

 

今だ。僕は志葉さんの死角から砂煙に隠れながら彼女に突撃をする。これは決まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「させないよ。」

 

 

僕が突撃する中、シャビの声で周りにたくさんの魔方陣が作られる。なんだこれは!?

 

 

「繋がった。」

 

 

すると、たくさんの魔方陣から彼の煌式武装で撃ったであろうビームが不規則に打ち出された。

 

 

バシュッ!

 

 

「くうぅぅぅぅ!!」

 

 

僕はその一つに直撃してしまう。

 

 

すると、砂煙が晴れてそこには先程のビームで鎖から解放された志葉さんの姿があった。

 

 

「今のは実にいいコンビネーションだったよ。」

 

 

シャビは余裕そうに話す。

 

 

「……舐めないで頂戴!!」

 

 

リーネが剣を持って志葉さんに突撃する。リーネの周りにはいくつもの文字が形成されていた。

 

 

「『Speed』、『Attack』能力超向上!!」

 

 

彼女は能力で速さと攻撃力を上げた。

 

 

志葉さんは扇をしまい、生前得意だった刀にしてこれに対抗をするつもりだ。

 

 

「……………志葉家秘伝《火炎の舞》」

 

 

刀に火を纏わせリーネと剣による接戦が繰り広げられる。

 

 

キィン!

 

 

キィン!

 

 

キィン!

 

 

リーネは互角に戦っているようだ。僕も加勢がしたいがメテオストームは乱戦時には味方を巻き込むため使いたくはない。今は彼女に任せるしかない。

 

 

 

「……………あなたの剣の意志は矛盾している。」

 

 

「っ!?」

 

 

志葉さんは刀を振る速さを上げた。すると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガキィィン!!

 

 

 

鈍い金属音が聞こえたかと思うと、リーネの剣は志葉さんの刀に耐えられず折れてしまった。

 

 

「ああっ!」

 

 

「………烈火大斬刀《百花繚乱》」

 

 

志葉さんは刀を能力で先程の赤い大太刀にしてそれを大きく振り回す。

 

 

 

「きゃあぁぁぁぁ!!」

 

 

リーネはそれを食らい壁に叩きつけられた。

そして、志葉さんはリーネに近づく。

 

 

「さぁ、フィニッシュです。」

 

 

シャビはおもしろそうに宣言する。

すると志葉さんは刀を構える。

だが………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………………」

 

 

志葉さんが剣をリーネに振るうことはなかった。

 

 

「お、おい。今すぐその女に致命傷を与えろ!」

 

 

すると志葉さんの目は赤く光り、リーネを殺そうとする。だか、先程の隙を僕は見逃さない。

 

 

「くらえ。激突だぁ!!」

 

 

僕は体に火を纏い志葉さんにタックルをして、彼女を吹き飛ばした。

 

 

「く、くそ。遊びはおしまいだ。やれ。」

 

 

シャビは少々不愉快そうにして志葉さんに命令をすると志葉さんは『竜』と書くと彼女は赤い羽織を着た姿になり、手には恐竜を模した刀を持つ。

 

 

「…………ハイパーモード」

 

 

彼女がそう言うとジークヴルムの翼で飛翔している僕を彼女の伸縮自在の刀が襲う。

 

 

「くっ。さっきでも十分に強いのにまだ奥の手を隠しているんですか。」

 

 

僕はかろうじてかわしながら彼女に遠距離攻撃であるジークヴルムの炎のブレスを浴びせる。

 

 

「…………………モウギュウバズーカ」

 

 

彼女は手元に新たに銃のようなものを持ち、僕のジークヴルムの翼を打ち落とす。

 

 

「ぐあっ!?」

 

 

僕は空中から地面に墜落する。

 

 

「霧咲君!!」

 

 

リーネが僕に近づく。すると、シャビと志葉さんが向こう側から近づいてくる。

 

 

「これで終わりです。やりなさい。」

 

 

シャビがそう言うと、志葉さんは先程ジークヴルムの翼を落とした銃に力を込め僕らに打とうとする。

 

 

や、やばい。先程の攻撃でジークヴルムの翼が折れたことで飛んで逃げることができないし、リーネもさっきの自身の能力の向上で能力も使えない。絶体絶命だ。

 

 

「……………………発射。」

 

 

志葉さんが持つ銃がすごい力を込められ僕らに発射されそうになった瞬間…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドォォォォン!!

 

 

 

 

突如空中から白いプラズマ砲のようなものが発射され、辺りを煙と爆風が包む。

 

 

「なんだ、今のは!?彼らはどうした。」

 

 

ヴァルダがシャビにたずねると、

 

 

「どうやら逃げられたようです。」

 

 

シャビが爆風の先を見るとそこには人影がなかった。

 

 

「おい。貴様が遅いせいで私達の素性がバレてしまったじゃないか。」

 

 

ヴァルダはシャビに文句を言った。

 

 

「安心してください。別に僕らの素性がバレても計画がバレていないため大丈夫です。一応今から人形をそろえて隠滅には向かいますからヴァルダさんは先に帰ってください。」

 

 

シャビはそう言って、空に目を向ける。

 

 

「………裏切り者君にも会わなきゃね。」

 

 

シャビは静かに呟き、月を眺めていた。

 

 

 

 

 




今更思いましたがこれって20話目なんですよね笑。
前回シャビのネタについてクイズをしましたがもう答えを言います。シャビのネタは僕が子供の頃ハマったビットワールドというNHKの番組です。たしかシャビが出た時代は2008年位でしたかね。あの頃はストーリーもなかなかの出来でしたね。ただ、その時のストーリーがDVDとかになってないため今でも懐かしく感じます。
さて、私の思い出話はさておき、今回活動報告に今後のストーリー展開に関わるアンケートをとりました。概要は活動報告を見てください。読者の皆様に参加していただけることを強く願います。
また次回会いましょう。







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矛盾した意志

前回も言いましたがアンケートに協力をよろしくお願いします。



治療院

 

 

 

「お前ら、あいつらと何をやってたんだ!!」

 

 

そう言って僕達に怒鳴るのはあの絶体絶命の中助けてくれたランである。

 

 

あの時、ランは偶然歓楽街を歩いていたところを僕達が路地裏で戦闘していることに気付き、間一髪の所をランに助けてもらい今はアスタリスク行政区の治療院に来ている。

 

 

「うるさいぞ!若造共。もう夜なんだ、もうちょっと静かにせんか!」

 

 

後ろからさらに怒鳴るのはこの治療院の最高責任者であるヤン・コルベル院長である。

 

 

「これは失礼しました。ヤン院長。」

 

 

ランは丁重にお辞儀をする。

 

 

「ふん。そこの女は軽い打撲だが、グランドスラム候補者の方は少々骨をやられているな。」

 

 

「分かりました。診察していただき感謝します。」

 

 

ランがそう言うと、ヤン院長は別の病棟へと向かって行った。

 

 

「スバル、ジークヴルム・ノヴァの力で回復は出来ないのか?」

 

 

「………………なかなか厳しいね。さっきの戦いでジークヴルム・ノヴァを起動して召喚時効果(ファンファーレ)を発動するには2日ほどかかるね。」

 

 

ランからの質問に僕は答えた。

 

 

「……そうか。お前は少し休め。今回の件は俺とリーネがやるから。」

 

 

「けどラン、僕はまだ普通の煌式武装があるからまだやれるよ。」

 

 

「戦える戦えないの問題じゃない。お前は今、メディアの的なんだ。何かがあったらどうすんだ。それにシルヴィアさんがワールドツアーに出掛けるのに彼女を心配させてどうするんだ。」

 

 

「ぐっ……………」

 

 

ランの口からシルヴィという名前が出て何も言い返せない。ウルスラさんの事をまだシルヴィに言ってないのはひとまず、ワールドツアーに専念してもらうことを考えての行動だった。それがもし僕が死んだら、シルヴィはそれどころじゃないだろう。

 

 

「………分かった。任せたよラン。」

 

 

「ああ、任されたぜ。」

 

 

僕とランは拳を合わせる。

 

 

「よし、スバルは治療院のベットから今日は出るなよ。リーネ、お前は俺と来い。」

 

 

ランがそう言うと黙っているリーネを連れて僕の病室から出ていった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「………おい。リーネ。」

 

 

「………何。ラン。」

 

 

俺たちは今治療院の地下の駐車場で話している。

 

 

「……今回の件、お前は急ぎすぎだ。それにお前の先生を愚弄する奴にも負けやがって。」

 

 

「……次は負けないわ。絶対にあいつを殺すわ。」

 

 

「それは無理だ。志葉さんにも勝てないぞ。」

 

 

俺は冷たく彼女にいい放つ。

 

 

「何であんたが分かるのよ‼私の気持ちを考えてよ。私は先生を助けなくちゃいけないの!!」

 

 

「そう、そこだよ。」

 

 

俺は言葉を続ける。

 

 

「お前は今回の件以前は志葉さんは死んだ人として扱っていた。だが、今回は違う。さっきスバルに戦いの詳細を聞いたが、お前は鎖を使って拘束した。いつものお前なら煙の中から一撃で仕留める文字を使うのにな。」

 

 

「それにお前は剣を作ったと聞いたが、ヴァルダの時の盾ならまだしも、お前が作るのはイメージだから剣は数撃の攻撃で壊れるわけがない。お前は志葉さんを倒すのに心の甘えがあるんだよ。」

 

 

それを聞いてリーネは唇を噛み締めている。どうやら思い当たる節があるようだな。

 

 

「今回の件はお前が悪い。スバルは自分も積極的に参加したから怪我をしても仕方ないと言っていたが、お前の極端な私怨と心の甘えが今回の敗因だ。次そんな中途半端な事で仲間を巻き込んでみろ。俺はお前を軽蔑するぞ。」

 

 

俺はリーネを睨んだ。

 

 

「………ごめんなさい。もうしないわ。」

 

 

「と言っても、感情論だけでも志葉さんを倒すのは解決しない。彼女に対抗する実力を身に付けないといけない。」

 

 

リーネは下を向いてしまう。

 

 

「………明日の朝に志葉さんの直属の部下の人が来る。俺は同じ系統であり、彼女をよく知るお前がこの中で唯一倒せる可能性があると思っている。お前が早く力を付けるには志葉家秘伝の『モジカラ』を修得するしかないと思っている。」

 

 

「っ!?」

 

 

「だから少し考えとけ。これからお前がどうするのかを。」

 

 

俺がそう言うと彼女は病院の中に戻って行った。

 

 

俺は外の空気を吸いに外へ出た。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

俺は外へやって来た。今日の月はきれいだな。

そう思っていると、

 

 

「やぁ、裏切り者君。久しぶり。」

 

 

「……………相変わらず変わらないな、シャビ。」

 

 

そこにいたのは今回スバル達を襲撃した少年シャビだった。

 

 

「シャビ、何の用だ?」

 

 

「別に。万が一を備えてさっきの二人を隠滅するつもりで来たんだけど。」

 

 

シャビがそう言うとシャビの周りに複数名の人が現れる。

 

 

「……なんだよ。こいつらは。」

 

 

「アスタリスクで散った猛者たちとでも言おう。かつてアスタリスクではどこかでルール無用の星武祭のような物が行われていたらしいよ。そこで散った者達を僕が改造してやったんだ。」

 

 

シャビは自身も花の弁の形をした銃型煌式武装を腕に武装する。

 

 

「さて。同窓会は終わりだ。邪魔をするなら死ね。」

 

 

シャビの人形兵は俺に襲ってきた。

 

 

「……あいつらはお前らとは違って最高の友達だからな。手を出させるわけにはいくかよ!!」

 

 

そう言って俺はルナティック・ジークヴルムを起動してその風圧で何人かを吹き飛ばす。

 

 

「はあっ!!」

 

 

俺はいつもの空中戦に持ち込み、空から白いプラズマを発射する。

 

 

だが………

 

 

「ちっ。」

 

 

シャビの人形兵は一人一人が強く、なおかつコンビネーションもとれている。

 

 

「ははは。僕の人形は強いだろ。あの頃みたいに降参をすれば許してあげるよ。」

 

 

シャビはそう言いながら、自身の煌式武装で高密度のビームを俺に発射してくる。

 

 

「くっ!」

 

 

俺はそれをギリギリかわすが、俺の乗り物酔いをしないタイムリミットはあと8分位である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかたない。シェインさんの作ったあれで短期決戦をするしかない。俺は地面に着陸する。

 

 

「………たしかにあの頃だったら降参していたかもな。けどな今の俺は違うことを見せてやるよ。」

 

 

俺はベルトのホルダーから紫色の煌式武装を取り出す。そしてそれを純星煌式武装に取り付ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「合体(ブレイヴ)!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、遂にバトスピブレイヴ要素を出せました。
その能力とは…………
また次回会いましょう。


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月光のブレイヴ

ペルソナQ2が受験生ながら買いたいこの頃です。
ただ、買ったらやりこんで受験が終わっちゃうから買えないんだよなー泣。


「合体(ブレイヴ)!!」

 

 

俺は紫色に輝く煌式武装をルナテック・ジークヴルムに取り付けると、俺に纏うルナテック・ジークヴルムの姿が変化して、ルナテック・ジークヴルムも剣の形から鎌のような形に変化した。

白と紫が今夜の月を照らしている。

 

 

 

「ラン、なんだそれは!?」

 

 

シャビは俺にたずねてくる。

 

 

「これはブレイヴっていってな。うちのメカニックが作ったもので純星煌式武装に波長の合う煌式武装を取り付けてパワーアップする技だ。」

 

 

俺はそう言いながら鎌を振り回す。

 

 

「さぁ、第二ラウンドといこうぜ。」

 

 

俺は鎌を構えて彼らに突撃する。

 

 

「人形達よ。あいつを止めろ。」

 

 

シャビがそう言うと彼の人形兵は一斉に俺に突撃して、攻撃をしかけてくる。

 

 

「ブレイヴ煌式武装デス・ヘイズ最大出力!!」

 

 

俺は鎌に星辰力を込める。

 

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

俺が鎌を全力で振りかぶると鎌から紫色の遠距離斬撃が起こり、それが人形兵を両断していく。そして、それで怯んだ他の人形兵をスピードを生かし鎌で切りつける。

 

 

「なっ!?パワーとスピードが段違いだと!?」

 

 

シャビは急激なパワーアップに驚き、俺にビームをかましてくる。だが………

 

 

 

「デルタバリア!!」

 

 

 

俺の前に魔方陣が発生して、シャビが俺に向けて発射したビームを吸収する。

 

 

「な、なんだと!?」

 

 

シャビは先程の攻撃を防いだことに動揺する。

 

 

「言ったよな。お前が知ってる弱い昔の俺じゃない。見たところお前の人形兵も少ないじゃないか。」

 

 

シャビの周りには人形兵が8人程しかおらず、俺はそれをネタにしてシャビを煽る。

 

 

「ぐぬぬ………。お前らもう死んではいますが、彼を死ぬ気で殺しなさい。」

 

 

シャビが命令すると、人形兵は星辰力を込める。なるほど彼らは流星闘技をするつもりか。

 

 

彼らが星辰力を最大限込めると、剣や槍を持った者達は突撃してきて、銃を持った者達はおれに向けて照準を合わせる。

 

 

「ラン、これはどうかな。」

 

 

シャビは勝ち誇った様子である。

 

 

「……たしかにこれはヤバイな。けどな…………」

 

 

俺は純星煌式武装に星辰力を込める。

 

 

 

「今の俺なら対処はできる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ブリザードウォール!!!」

 

 

俺が星辰力を解放すると、周囲にブリザードが発生して吹き荒れる。

 

 

「なんだこれは!?」

 

 

シャビが人形兵をみると、人形兵の星辰力は少しずつ弱まっていく。

 

 

「ブリザードウォールは俺を攻撃対象とした人に対して少しの間星辰力を奪うブリザードを発生させる技だ。まぁ、自分の星辰力もけっこう使うからそんなに頻繁には使えない技だけどな。」

 

 

人形兵は予想外の事に狼狽える。

 

 

「さて、俺もそろそろタイムリミットだから終わりにしようか。………試作品を使ってみるか。」

 

 

俺はホルダーから新たに赤い煌式武装を取り出す。

 

 

「ブレイヴ煌式武装アーケランサー合体!!」

 

 

新たに赤い煌式武装を取り付けると赤と白を基調とした姿となり、鎌は槍の形に変化する。

 

 

「これで終わりだ。」

 

 

「アブソリュートストライク!!」

 

 

俺は槍となった煌式武装を手に構えてシャビ達に凄まじいスピードで突撃する。

 

 

そして俺は残りの人形兵を倒す。

 

 

「くっ!今回はこれで退きましょう。」

 

 

シャビは背を向けて撤退しようとする。

 

 

「2日後にあの路地裏に行けば、あいつらを始末できるかもな。」

 

 

俺は撤退するシャビに声をかける。

 

 

「………どういうことですか。ラン。」

 

 

シャビは足を止める。

 

 

「言葉通りだ。2日後にあいつらはあの路地裏にてお前を探してお前の自慢の人形と再戦をするつもりだ。」

 

 

「………僕が行くとでも?」

 

 

「ああ、行くだろうね。今夜の襲撃に失敗し、しかもあれほどの戦力差だ。お前から見たらあいつらを倒して人形兵にできると考えるメリットが十分あると思うだろう。」

 

 

「……やはり君は僕の気持ちを理解していますね。あの頃よりは頭も良くなったようですね。」

 

 

「………ふんっ。」

 

 

「いいでしょう。二日後にあの場所で待ってますよ。」

 

 

そう言ってシャビは闇に消えた。

 

 

 

 

 

 

「これで志葉さんと確実にもう一度戦える機会を得た。後はリーネが勝てば………」

 

 

 

リーネにはさっきなかなか厳しいことを言ったが、やはり仲間を愚弄されると悔しいものだな。

リーネはもう迷わないだろう。ならばこの戦いは部外者が介入せず師匠と弟子でけりをつけるべきだ。

 

 

 

 

ランは彼なりにリーネの気持ちを考えて行動していた。

 

 

これを知るのは今夜の月夜の主役であるラン彼自身しか知らない。

 

 

 

 

 

 

 

(……うっぷ。乗り物酔いが…………)

 

 

彼は少しふらつきながら治療院に帰った。

 

 

 

 

 

 

 




すいません。今回は少々自分でも駄文だと思うものが出来たかもしれません。次回は調子を取り戻してしっかり書けるようにします。


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『モヂカラ』の鍛練

最近寒くなってきましたね。
体調不良は受験生の敵なので気をつけないといけませんね。それでは本編をどうぞ。


早朝、僕は今治療院の近くにある室内の星脈世代用の練習室にリーネとランと一緒にいる。僕の怪我は骨が折れており、少々ズキズキするがシェインさんが今ジークヴルム・ノヴァを修復し、早くても明日には使えるそうだ。それはよかった。僕がそう考えていると、練習室に一人の男がやってきた。

 

 

「おはようございます。丹波さん。」

 

 

「うむ。久し振りだな霧咲殿。」

 

 

武人のような雰囲気を漂わせる男ー丹波歳三さんは代々志葉家に仕える家老のような方である。

 

 

今回志葉さんが見つかったことを受けて、丹波さんが東京からアスタリスクに駆けつけたのだ。

 

 

「リーネ殿も大きくなったな。」

 

 

「…………ありがとうございます。」

 

 

リーネは軽く会釈をした。するとランが手を叩く。

 

 

「さて。再会はこの辺にして本題に移りましょう。俺らには時間がないのです。」

 

 

実は昨日ランが調査をしていたらしく、明日にまたあの路地裏でシャビが取引をする情報を得たらしい。ラン曰く彼らは表沙汰には出ない奴らだと考え、志葉さんと確実に戦えるのはそこしかないと思ったそうだ。そのために僕らは短期間で力をつけるためここに来ている。

 

 

「うむ。三条殿のいう通りだ。ところで連絡は受けているのだがリーネ殿が志葉家秘伝の『モヂカラ』を修得するというのは本当だろうか。」

 

 

丹波さんはリーネの方を向く。

 

 

「……はい。私は志葉さんに実力で倒されて且つ自分の甘さで仲間を傷つけてしまった。だから私が志葉先生に仕える丹波さんにいうのは失礼かもしれませんが、私は次こそ志葉先生を殺します。私はもう迷いません。だからお願いします、私に志葉家秘伝を教えてください。」

 

 

リーネは強い言葉でお辞儀をする。

 

 

「………そうか。たしかに失礼かもしれないがリーネ殿の覚悟は分かった。私も薫様が外道に操られているのは非常に不愉快だ。『モヂカラ』を教えよう」

 

 

「っ!ありがとうございます。」

 

 

「だが、リーネ殿が同じ系統でも『モヂカラ』を1日で修得するのは大変なことだぞ。それでもいいな!」

 

 

「はいっ!!」

 

 

「よろしい。ならば始めよう。」

 

 

 

こうしてリーネの『モヂカラ』を修得するための練習が始まった。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「ハァ……ハァ……ハァ………ハァ………」

 

 

あれから6時間近く、リーネはひたすら能力を使い続け『モヂカラ』の練習をしていた。僕とランはその光景をただひたすら眺めていた。

 

 

「うむ。この短期間で志葉家とその家臣の家系のモヂカラである『火』、『水』、『天』、『木』、『土』がマスター出来るとはなかなかだ。」

 

 

リーネはこの時間、志葉さんが使って基本のモヂカラを練習していた。もともとリーネはオールラウンダーだったために『木』のモヂカラで作った長槍や『土』のモヂカラで作った大型手裏剣など武器の扱いの部分では全く滞りがなく練習は進行していた。

 

 

 

「そろそろ正午か。区切りがいいから、ここで少し休憩を入れるとしよう。」

 

 

丹波さんがそう言うと、どこから湧いてきたのか時代劇のような黒子が現れた。

 

 

すると黒子は側で見ている僕とランに豪華な二段弁当を渡し、リーネにも渡すとどこかに消えた。

いや、すごいなあの人。

 

 

僕とランはリーネ達の元に行って昼食を食べることにした。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「ところで丹波さん、リーネが志葉さんに勝てる勝率は上がっているのでしょうか。」

 

 

僕達が昼飯を食べている中、ランがたずねた。

 

 

「あの基本のモヂカラが出来れば、薫様とは前回より戦えるでしょう。あれでモヂカラの7割を修得したことになりますからね。ただ、薫様を倒す決定打にはなることが出来ないでしょう。霧咲殿の話では志葉家極伝の『キョウリュウマル』と『モウギュウバズーカ』を扱っていたということが伺えます。あれに対抗するには……」

 

 

丹波さんは難しそうな顔をする。恐らく極伝というのはあの赤い羽織を着た状態だろう。

 

 

 

そんな時、僕はあることを思い出した。

 

 

 

「あの丹波さん。実はこれをあの時の戦いで志葉さんにぶつかった時に取ったのですが………」

 

 

 

僕は印篭の形をしたものを見せた。

 

 

 

「こ、これは『インロウマル』!!」

 

 

 

丹波さんはそれを見ておどろいていた。

 

 

「あの…これは何ですか?」

 

 

僕達は丹波さんにそれが何かをたずねた。

 

 

「これは『インロウマル』と言いまして志葉家に伝わる極伝でございます。これがあれば恐らく薫様を倒す決定打となりうるでしょう。」

 

 

僕達は戦いに勝機が見えたことで、すごく興奮していた。

 

 

 

「よし、リーネ殿は休憩が終われば『インロウマル』を扱う練習をしましょう。『インロウマル』は扱いが難しいもので練習に多く時間を費やしたい。」

 

 

「俺とスバルは純星煌式武装の調整で少し練習を見学したら、俺たちは抜けます。次会うのはおそらく明日でしょう。」

 

 

僕達はこれからの予定を計画して志葉さんと倒すためにそれぞれが行動する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕とランは休憩後、リーネの練習を見送りジークヴルム・ノヴァの調整をするためにそこを後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「リーネ殿、少しいいか。」

 

 

私は丹波さんに呼ばれた。

 

 

今はもう深夜近くであり、私はほんのさっきまで『インロウマル』を使う練習をしていた。今でも少々ぎこちなさが残るが、丹波さん曰く半日で使えるようになるのはなかなかすごいらしい。

大丈夫明日はきっと……

 

 

私はそう考えながら丹波さんの所に向かう。

 

 

「なんでしょうか。」

 

 

「実は薫様が生前リーネ殿にもし私の域に達したらこれを渡してほしいと………」

 

 

丹波さんは何かが包まれている風呂敷を私に見せるようにそれを開く。

 

 

そこにあったのは…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の持つペン型の煌式武装だった。だが私が持っているものと少々違うような…………

 

 

「これは?」

 

 

 

「これは薫様がいつかリーネのために開発した煌式武装でございます。その名は『和洋折衷式ペン型煌式武装 言霊一筆でございます。」

 

 

丹波さんがそれを私に渡そうとしてくる。

 

 

「私がもらっていいんですか?」

 

 

「無論です。あなたはモヂカラを扱う領域までやってきたのです。使う資格は十分にあります。」

 

 

丹波さんがそう言うので私はそれを丹波さんから受け取った。

 

 

「それはリーネ殿の能力の制限に関わらずいつでも能力が使えるようにしたものでモヂカラはもちろんリーネ殿の能力もいつでも使えます。」

 

 

私はそれに驚いた。なぜならこれがあれば私は会長のように万能の力としていつでも能力を扱えるからだ。

 

 

「それとこちらを………。」

 

 

丹波さんは刀型の煌式武装を渡した。

 

 

「これって………」

 

 

「はい、薫様も持つ名剣『シンケンマル』です。」

 

 

私はそれを腰に付けた。

 

 

「それと霧咲殿が言うにはまだ薫様の意識はあると推測しているそうです。」

 

 

「それはどうして!?」

 

 

「そこは詳しく教えてくれませんでした。明日、霧咲殿に理由を聞くのがいいでしょう。」

 

 

「………分かりました。」

 

 

「ただ、私は薫様が今も生きているとはいえ、外道に扱われるのは憤りを感じます。だからリーネ殿、薫様を敵の呪縛から解放して弔ってくれ。」

 

 

丹波さんが私に礼をした。

 

 

「分かりました。」

 

 

「ありがとうございます。それと話は変わりますが薫様がリーネ殿に倒された時のことをお話しますと、おそらくリーネ殿は………」

 

 

 

 

私の復讐にケリをつけるのは明日。

私は丹波さんからある話を聞いて、練習室を出て自分の寮の部屋へと帰った。

 

 

 

 

 

 




ついにこの章も終盤です。原作ファンのみなさまあと少しでオリキャラだけによる話は終わります。
あと少しお付き合いください。
またアンケートの方なのですが一応受け付けておりますが、何もなければ私としてはアンケートの2番を勝手ながら採用させていただく予定です。


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路地裏の再戦

すいません。日曜日に塾の模試があって今回は短めかもしれません。時間があればもう一作品書いて投稿をするかもしれないので少々お待ちください。


歓楽街入り口

 

 

 

「よし、これで全員集合だね。」

 

 

僕とランは歓楽街の入り口で待っていると、腰に刀を付けたリーネがやってくる。

 

 

「霧咲君。怪我は大丈夫なの?」

 

 

リーネは心配そうに聞いてくる。

 

 

「大丈夫だよ。ジークヴルム・ノヴァも修復と調整は終わったから後は起動して回復するだけだよ。一応、ランにも確認してもらったしね。」

 

 

「そう、良かったわ。」

 

 

リーネは安心したそうだ。

 

 

「よし、例の時間までもう少しだ。

お前ら準備はいいか?」

 

 

「もちろん。」

 

 

「異論はないわ。」

 

 

僕とリーネはそれに賛同をする。

 

 

「よし、行くぞ!」

 

 

ランを筆頭に僕とリーネは路地裏に入った。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「ところで、霧咲君。」

 

 

「んっ?なんだい。」

 

 

リーネが僕に話したいことがあるそうだ。

 

 

「実は丹波さんが昨日私に言ったのだけれど、志葉先生の意志はまだ生きてるってどういうこと?」

 

 

ああ、その話か。

 

 

「………実はまだ推測なんだけどね。あの戦いの時に志葉さんはリーネにとどめをさそうとした。けど、彼女はシャビに命令されたにも関わらずささなかった。それはなぜか。

あれは命令じゃなかったからだ。」

 

 

「…………どういうこと?」

 

 

「あの時のシャビの命令は『フィニッシュです。』と言ったんだ。けれど、それは日本人から見ると命令としては受け取ることができないことがある。言語を使う人がそこに気付かないはずがない。つまり志葉さんはあの時の命令をただの宣言と捉えたんだ。だから攻撃しなかった。」

 

 

「でも次の命令で………」

 

 

「そう。その次の命令でシャビは『~しなさい』と言った。さすがにこれは万人でも命令として捉えざるを得なかったから攻撃をするしかなかっただろう。けどあの時、攻撃をしなかったということは…………」

 

 

「あの時攻撃をしなかったのは志葉先生本人の意思っていうことね。」

 

 

「そういうことです。」

 

 

リーネは納得した表情をした。

 

 

「ありがとう。これでモヤモヤが解放されたわ。志葉先生は操られてもわたしを助けてくれたのね。」

 

 

「そうだな。」

 

 

僕とリーネがそんな話をしていると、ついに僕達が戦う場所へと到着したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お久しぶりですね。みなさん。」

 

 

そこにはシャビと志葉さんが立っていた。

 

 

「……ええ、そうね。今日こそ志葉先生を解放させてもらうわよ。」

 

 

「それはこちらも同じです。どこかの誰かが僕の人形兵を全て倒して人形兵不足なので今日こそあなた達を僕の人形兵にしてあげますよ。」

 

 

シャビは煌式武装を構え、志葉さんも刀型の煌式武装を僕達に向けて構える。

 

 

「リーネ、お前は志葉さんとやりな。俺とスバルはシャビを相手するからさ。」

 

 

ランは純星煌式武装を起動させながら言った。

 

 

「……ありがとう。ラン達も死なないでね。」

 

 

「ああ、リーネもね。」

 

 

僕も純星煌式武装を起動させて、まず召喚時効果で自分の怪我を回復させた。

 

 

「いくわよ!!」

 

 

リーネは刀型の煌式武装を持って志葉さんに突撃する。僕とランはシャビに突撃する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして師匠VS弟子という最後の戦いが始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 



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師匠VS弟子

この前の模試で気づきましたが、小説を書き始めてから私の国語の点数があがってきてるんですよね。
やっぱ関係しているんですかね。


リーネside

 

 

 

 

「はあぁぁあぁぁ!!!」

 

 

私はシンケンマルを構えて先生に切りつける。

 

 

 

 

ガキィィン!!

 

 

 

先生がそれを同じくシンケンマルで受け止める。

 

 

「………前よりはまともな剣の意思だな。」

 

 

先生はそう言いながら、私の剣と先生の剣で接戦を繰り広げる。

 

 

「志葉家秘伝『火炎の舞』!!」

 

 

私はシンケンマルに星辰力を込めて炎をまとわせ、先生の剣を押しきろうとする。

 

 

「……なかなかやるな。」

 

 

先生は赤い目を光らせ、私の剣で弾かれるように後ろに下がると、手には霧咲君に怪我を負わせた銃型の煌式武装を持っていた。

 

 

「…………モウギュウバズーカ」

 

 

先生は星辰力を込め、私に向けて数発撃つ。

 

 

 

ドオォォォン!!

 

 

 

私は後ろに弾かれるように下がった。私はなんとかかわした。私は先生が撃った隙を突くために私の新しい煌式武装の言霊一筆で『水』と書く。

 

すると、私の手に青い弓が具現化する。

 

 

 

「ウォーターアロー『明鏡止水』!!」

 

 

 

私が先生に向けて弓を引くと、青い矢が先生に向かって雨のようにふりそそぐ。

 

 

「………なっ!?」

 

 

先生は数発食らったが、すぐに『火』と文字を書くとあの赤い大太刀が現れて、それを盾にして私の矢を防いだ。

 

 

「……なかなかの威力だ。」

 

 

「この煌式武装のおかげですよ。」

 

 

「………だがここまでだ。」

 

 

先生は赤い大太刀を変形させて、大きな銃の形にして照準をこちらに向けた。

 

 

「……烈火大斬刀大筒モード。発射。」

 

 

先生は銃から大きな火の球を繰り出す。

 

 

私は『土』と書いて黄色い大型の手裏剣型煌式武装を具現化する。

 

 

 

「ランドスライサー『奮闘土力』!!」

 

 

私はその手裏剣を火球にぶつけて、火球を真っ二つにして、その勢いで先生にも当てる。

 

 

「ぐっ………!」

 

 

「まだ行きますわ。」

 

 

私は先生が怯んだ瞬間、『木』と書いて緑色の長槍を自分の手に具現化する。

 

 

「ウッドスピア『大木晩成』!!」

 

 

私は長槍で先生を薙ぎ払い、そのまま路地裏の壁に先生をぶつける。すると、さっきまで持ってたモウギュウバズーカを先生は落とした。

 

 

「ぐはっ…………!?」

 

 

よし先生をこのまま…………

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

スバルside

 

 

 

「………何っ!?」

 

 

僕とランがシャビと戦っていると、突如シャビは驚愕の表情を浮かべる。

 

 

「隙あり!!」

 

 

僕は剣で切りつけ、ランはブレイヴ煌式武装の鎌でシャビを切りつける。

 

 

「ぐうぅぅぅ!!」

 

 

シャビは血を吐いて引き下がる。

 

 

「くっ……。僕のお気に入りの人形兵がここまでやられるとは思いませんでした。」

 

 

シャビはそう言いながら、周りに魔方陣を作る。

 

 

「まぁ………また人形兵を集めれば大丈夫でしょう。僕もここでやられるのは悪手です。」

 

 

「逃げる気か!」

 

 

「今、僕の人形兵を最大限までレベルを上げました。今頃彼女は………」

 

 

 

シャビはそう言ってどこかに消えた。

 

 

「くそ、逃したか。」

 

 

僕は気に食わない様子で、純星煌式武装をしまう。

 

 

「まぁ、これで志葉さんを倒したら、しばらく彼は人形兵を探すから接触はしないだろう。」

 

 

ランがそう言って僕をおさめようとすると、路地裏の通路から人が飛んできた。

 

 

 

「ぐあぁぁあぁぁ!!」

 

 

 

「「リーネ!!」」

 

 

僕とランは飛んできたリーネの元に寄る。

 

 

飛んできた方を見ると、そこには今まで感じたことのない殺気で志葉家極伝の赤い羽織を武装をした志葉さんの姿があった。

 

 

僕とランは純星煌式武装を構える。

 

 

 

「手をださないで!!!」

 

 

 

リーネが僕達を止める。

 

 

「これは私と先生の戦いなの!私が先生に止めを刺すわ。だから手をださないで!!」

 

 

リーネは必死に訴える。

 

 

「……分かった。ただ、死なないでね。」

 

 

僕の言葉にランも賛同し、僕とランは彼女らの戦線から離脱する。

 

 

 

 

「………先生。もうそんなことはしなくていいんです。もう休んでください。」

 

 

 

リーネが星辰力を彼女の周りに噴き出す。そして彼女は『真』と書いてインロウマルを手に出す。

 

 

 

「インロウマル、セット。」

 

 

彼女はインロウマルをシンケンマルに取り付ける。すると、彼女は白い羽織をした武装になった。

 

 

 

「………スーパーモード。」

 

 

彼女はインロウマルが付いたシンケンマルを志葉さんに構える。

 

 

 

 

 

「行きます!!!」

 

 

 

 

リーネが志葉さんに突撃をすると、志葉さんはキョウリュウマルで迎え撃つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「真・『火炎の舞』!!!」

 

 

 

 

 

 

「………極伝『天地一閃』」

 

 

 

 

 

 

 

二人の赤みを帯びた刀がぶつかり合う。

 

 

 

 

彼女らの決着は終わりを向かえようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 




すいません。前回のストーリー展開に関わるアンケートについて早い集計となりますが、コメントがなかったため勝手ながら次は王竜星武祭の話にしようと思います。
毎日投稿してたら、案外センター試験まで余裕で間に合うことに気づきましたね。

また次回会いましょう。


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あなたが次の………………

ちょっと
フライィィィィィィィィィィィング(騒音迷惑)


リーネside

 

 

 

 

 

「はあぁぁああぁぁ!!!」

 

 

 

 

私はインロウマルで強化した火炎の舞で先生に素早い剣撃を当てているが、それを先生はキョウリュウマルの伸縮自在な剣の性質で防ぎながら、私に攻撃を当てて来る。やはり、先生の剣術は誰よりも優れている。

 

 

 

「……どうした。そんなものか。」

 

 

 

先生はキョウリュウマルを私の死角から突いて、私は怯んでしまい、隙が生まれる。

 

 

「………終わりだ。」

 

 

先生はキョウリュウマルを構える。

 

 

「…………天地一閃。」

 

 

先生が星辰力を込めて、キョウリュウマルを私の体に突き刺そうとする。

 

 

 

だけど…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は倒れる訳にはいきません!!」

 

 

 

 

「………ぐっ!?」

 

 

 

私は咄嗟に言霊一筆で『火』と書いて、先生が愛用する烈火大斬刀を取りだして、その攻撃を防ぐ。そのまま私は烈火大斬刀に身をまかせてキョウリュウマルを先生の手から離す。先生は無防備になった。

 

 

 

「今だ!!」

 

 

 

私は『双』と書いた。すると、烈火大斬刀がもう一振り私の手に具現化する。

 

 

 

「烈火大斬刀『真・百花繚乱』!!」

 

 

「ぐあぁぁあぁぁ!」

 

 

 

私は女性ながら二つの大太刀は力にまかせて、先生に烈火大斬刀による斬撃を食らわす。

 

 

 

「……ぐはぁぁあ……はぁぁ…」

 

 

 

先生は私の烈火大斬刀の二刀流による剣撃をこれでもかと当てたのに立ち上がる。

これも操り人形だからこそなのだろうか。

 

 

 

「………先生。終わりです。」

 

 

 

私は落ちてるモウギュウバズーカを拾い、そこにインロウマルの付いたシンケンマルを取り付ける。

 

 

 

「スーパーモウギュウバズーカ…セット。」

 

 

 

私はそれを先生に照準を合わせる。私が照準を合わせている間、先生は攻撃をしてこなかった。

これは先生の意思だろうか。

 

 

「先生……………行きます!!」

 

 

私は引き金を引いた。

 

 

 

「志葉家極伝『外道覆滅』!!!」

 

 

 

私は比べ物にならないほどの星辰力を使い、先生に向かって高密度の弾が放たれる。

 

 

 

「………ぐっ………よくやりました。」

 

 

 

 

先生は弾を食らい、そのままその場に倒れた。

 

 

 

「先生!!!」

 

 

私は煌式武装をしまい、先生のところに向かう。霧咲君やランも先生のところに向かう。

 

 

「先生!!!」

 

 

「……リーネ……また話ができるなんて。」

 

 

先生には先程の殺気は全くなく、私が知っているあの頃の先生だった。だが、その体はもう満身創痍で死にかけているというのに話せるのが奇跡である。

 

 

 

「貴方の攻撃…判断…能力全てにおいてあの頃とは大違いです。………成長しましたね。」

 

 

「いえ、先生がくれたこれのおかげです。」

 

 

私は言霊一筆を先生に見せる。

 

 

「……あらあら。爺ったら…秘密だっていたのに。」

 

 

先生は懐かしいそうにそれを見る。

 

 

「……これはね。リーネがアスタリスクに行くときに渡そうと思っていたの。あなたの能力は汎用性はあるけど、制限があるからときどき危なっかしい時があったからね……。けど、私があの任務に行ったからもう渡せる機会は無くなっちゃたのだけれどね。」

 

 

先生の頬には涙が伝っていた。

 

 

「志葉さん。あの時、志葉さん達の身に何があったんですか。教えてください。」

 

 

霧咲君が先生にたずねた。

 

 

「……スバル君も大きくなったわね…。そうね…私達はある女の子に依頼されたの。手引きをしてくれって…。たしか眼鏡をしていて黒い剣の煌式武装を持っていたわ…。それでね私はその子を無事に手引きをしたのだけれど、そこで襲われてね……。私は仲間に海に放り出された…。ごめんなさい。

そこまでしか……。」

 

 

先生は息絶え絶えであの事件を語る。

 

 

「ねぇ……リーネ。」

 

 

「……何でしょうか。先生。」

 

 

「……あなたが次の………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

志葉家の当主よ。」

 

 

「「っ!?」」

 

 

霧咲君とランはとても驚いていたが、私はあまり驚きはしなかった。なぜなら……

 

 

 

「…ふふっ。その顔だと爺に言われたわね。」

 

 

先生はくすりと笑う。

 

 

 

そう、私は昨日帰り際に丹波さんにその事を言われたのだ。もし先生が倒されたら、次の志葉家の当主は私だと言う事を。私はダイバーシティに来る前はただの孤児だったというのに。私はもちろん、それを断った。

 

 

けど、丹波さん曰くモヂカラをここまで扱える人は少なく、このままいくと遠縁の名前も知らないやつに家督を譲ることになってしまうらしい。

 

 

「けど……私は先生ほどでは……」

 

 

「…いいえ。リーネは私を倒しました。これがあなたが次の当主にふさわしい証明です。それにね……貴女に目をかけていたのは文字を使う魔女だからじゃなくてね、あなたは私の『養子』だからよ。」

 

 

「っ!?」

 

 

え!?養子!?ということは私のお母様は先生ということ!?でも丹波さんそのことについて何も言ってなかったような……

 

 

「…ふふっ。驚いているようね。だってこれは私が独断でやったことだから。私の部屋のタンスの引き出しの裏にそれを証明する紙があるわ。」

 

 

な、なるほどだから丹波さんも知らないのか。

 

 

「……なぜそのことを今?」

 

 

「……爺は頑固だから家督をあくまでも血縁の人に譲ろうとしていたでしょう。でもリーネにモヂカラを教えたり、家督の話をするところから見ても、リーネが私と血の繋がりがなくても貴女を認めていることは分かるわ。」

 

 

先生は私を見る。

 

 

「……だから、お願い。リーネが次の志葉家の当主になりなさい。あなたにはその力と立場がある。」

 

 

先生が強く言った。

 

 

 

 

 

 

 

「……分かりました。先代志葉薫様の言葉をもって次代の志葉家の名を私が踏襲をします。」

 

 

私は強く宣言をする。

 

 

「……ふふっ。ありがとう。」

 

 

先生は息が荒くなる。もう長くない。

 

 

「……リーネ。昔みたいに笑いなさい。操られていた時、貴女を見たけど仮面を被っているみたいだったわ。もし貴女が復讐を考えていたら、もうそれは終わったわ。後は貴女次第でアスタリスクの生活を…人生を楽しみなさい。」

 

 

「………はい!!」

 

 

私は涙を流しながら先生に応える。

 

 

「……はぁ……はぁ……もう時間切れのようね」

 

 

 

「お母様!?」

 

 

ふと、私はそんな言葉が出る。

 

 

「……ふふっ。お母様か。ありがとね、リーネ。私にとって最高の送別の言葉だよ……」

 

 

私は先生の手を握る。

 

 

「……私の極伝はリーネに託すわ……。……あの眼鏡の子は無事かしら。向こうでは剣術の話をしていたわね……。」

 

 

先生が最後の力を振り絞る。

 

 

「……リーネ……。言葉の力は無限大よ。貴方のように何でも出来る。だから、苦しい時や辛い時は言葉に表しなさい。きっと貴女を助けるわ……。あなたには私のような人生を迎えて欲しくないの………。

たった一人の私の娘の…………………」

 

 

先生の手から力を感じない。

 

 

「お母様!?お母様!?」

 

 

私のせんせ……お母様は反応しない。

私は悟り、目から涙が止まらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お母様ぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

 

夜の路地裏に私の声が響く。

 

 

 

こうして、私の戦いは幕を下ろした。

 

 

 

 

 

 




どうも。今回の話はどうでしたか。
ついに章も完結です。次回はリーネのその後のアスタリスクの生活を描く予定です。
ようやく原作キャラが出せますね。
また次回、お会いしましょう。


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拝啓 お母様へ

ついに完結ですね。
原作キャラファンの皆様お待たせしました。
次章からはしっかり原作キャラを出していくのでこれからも読んで頂けるとうれしいです。


リーネside

 

 

 

 

「この度は申し訳ございませんでした。」

 

 

 

「まったく……心配したんですよ。」

 

 

 

私は今、クインヴェール女学園の理事長室に来て、バイザーの女性ーペトラさんに説教を食らっていた

 

 

「まぁまぁ、ペトラさん。一応私のワールドツアーには間に合ったんだし、よかったじゃない。」

 

 

会長は私に説教をするペトラさんをなだめる。私は問題児だらけのルサールカの気持ちがちょっと分かった気がした。

  

 

「はぁ…分かりました。今回はお咎めなしにします。その代わりあなたには私のマネージャー業を兼業しながら、アイドルをやってもらおうかしら。」

 

 

「そ、それはちょっと……」

 

 

「冗談よ。……とは言わないわ。やはり今のあなた何か変わったわね。仮面を外したみたいな……」

 

 

「ペトラさんのその気持ち分かるなー。この前までちょっと近寄り難い感じがあったからね。」

 

 

会長がペトラさんの言葉に共感する。

 

 

「とにかく貴女のアイドル業は検討中っていうことね。とりあえず貴方はこの書類の束を処理して頂戴。貴女がいない辛さがよく分かったわ。」

 

 

「わ、分かりました。」

 

 

私は書類を持って理事長室を後にした。

 

 

 

 

 

私が理事長室を出ると、会長も部屋から出てきた。

 

 

 

「ねぇ、リーネ。ちょっといいかな。」

 

 

私は会長に呼ばれて彼女に付いていった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「あの……私はなぜここに?」

 

 

「重大な話をする時は密室だよね~。」

 

 

私は会長に連れられてカラオケに来ている

 

 

 

 

どうしてこうなったのでしょうか。私、カラオケなんて人生で一回も来たことないのに。

 

 

そう思っていると、会長がこちらに体を向ける。

 

 

「……ねぇ。リーネはウルスラに会ったんだよね。私、ペトラさんに聞いたんだ。」

 

 

「…ごめんなさい。会長には早く言うべきだったけど、会長はワールドツアーを控えていたから……」

 

 

私は今回の事件の結果をペトラさんに消息不明の理由を含めて言わなければならなかった。けど、あの人がそんな軽々しく言うはずがない。きっと会長が勘づいてペトラさんに問い詰めたのだろう。

 

 

「ううん。怒ってるわけじゃないんだよ。ただ、ウルスラの様子を聞きたかっただけだから。」

 

 

会長が私を慰めるように言う。

 

 

「……ウルスラさんは操られている感じだったわ。まるで私のお母様のような………」

 

 

「……そっか。」

 

 

会長は沈んだ顔で話を聞いていた。

 

 

「……でも生きてることが分かって、なおかつアスタリスクに居たことが分かったから良かったよ。」

 

 

会長はすぐにいつものにこやかな顔になる。

 

 

「ところで、リーネは最近雰囲気が変わったよね。何かあったの?」

 

 

会長が私に訊ねてくる。

 

 

「…私のお母様が言ったんです。私はアスタリスクで好きな事をしなさいって。でも、私はお母様の手がかりを探しに来たから楽しむ事がよく分からなくって。皆さんが雰囲気が変わったと言うけど、たぶん本当の私がこっちなんです。私は冷たい表情の仮面を外したんです。」

 

 

私は会長に自分の気持ちをぶつけた。

 

 

「なるほどね。じゃあ私が貴女の友達になるよ。」

 

 

「ふぇっ!?」

 

 

私は会長の言葉に思わずびっくりした。

 

 

「で、でも会長。私は会長と友達では?」

 

 

私は会長に聞き返す。

 

 

「その会長って言うのは禁止ね。普通友達なら名前で言うべきだよ。シルヴィって呼んでよ。」

 

 

「シ、シルヴィアさん……」

 

 

「シ・ル・ヴィ!!」

 

 

「シ、シルヴィ……」

 

 

「そう、リーネは少し固いんだよね。もう少し女の子らしくした方がいいよ。」

 

 

「そうでしょうか。でも私にはシルヴィのように女の子らしさと言うのがよく分からなくって……」

 

 

私は会……シルヴィに恥ずかしく言う。するとシルヴィは何かを渡してくる。

 

 

「はい、これ。」

 

 

「あの、これは……」

 

 

「マイクだよ。ここカラオケだし。」

 

 

シルヴィは私にマイクを渡してきた。

 

 

「でも、私歌を歌ったのは子供の頃が最後で……」

 

 

「いいからいいから。普通私達世代の女の子はこういうのが好きなんだよ。一緒にやろう。」

 

 

 

私はその後、シルヴィと初めてカラオケをした。案外こういうのも悪くないかも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、シルヴィはリーネとカラオケをした後、リーネの初めてとは思えない歌声をペトラさんに報告をすると、ペトラさんは本気でリーネにアイドルをやらせようと画策をしていたのだった。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

シルヴィアside

 

 

 

 

「それでね、リーネって歌を歌うのがすごいうまかったんだ。私びっくりしちゃったよ。」

 

 

『へえ、リーネがカラオケをするなんてね。』

 

 

私は興奮した様子でテレビ電話の相手であるスバル君にリーネの事を話す。

 

 

「リーネって女の子らしいことが分からないとは言っていたけど、そこら辺どうなの?」

 

 

私はスバル君にリーネについて聞いてみた。

 

 

『たしかに、リーネは志葉さんが消えてからずっと武術や勉強に励んでて女の子らしさはそこから見せなくなったけど、子供の頃は普通に他の女子と会話をしていたし、甘いものや猫とか好きだったと思うよ。』

 

 

 

「やっぱり!!」

 

 

『……何かあったのか?』

 

 

「実はね、リーネが最近クラスの友達とスイーツを食べたり、猫のキーホルダーを鞄に着けたりしていたけど、あれがリーネの好きなものだったんだ。」

 

 

『周りは何て言ってるんだ?』

 

 

 

「今の方がいいって。前は周りに冷たい感じがあったからあまり近寄れなかったからって言ってたよ」

 

 

 

『そうか、彼女の仕事はどうだ?』

 

 

 

「順調にペトラさんの秘書や私の護衛をやっているよ。後、リーネの能力でライブの演出の仕事もやっているらしいの。」

 

 

『そこにアイドル活動とかハードワークだね。ペトラさんは労働基準法考えてるかな。』

 

 

画面の向こうで彼は冷や汗をたらす。

 

 

「ところで、リーネが私のワールドツアーが終わったら、休学するって言ってたけど何でなの?」

 

 

『ああ、実はリーネは志葉家の当主になったからね、日本や世界をまわって親族に挨拶をしにいくんだって。恐らくだけど、王竜星武祭は最終日しか見れないかもしれないってリーネが言ってたよ。」

 

 

「そっか。でも最終日には来てくれるんだね」

 

 

『ああ、シルヴィには負けないから。』

 

 

「私だって負けないから。」

 

 

 

 

そこからは私とスバル君は王竜星武祭の事ばかりを2時間ほど話していました。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

リーネside

 

 

 

今日はね、シルヴィと買い物に行きました。シルヴィのセンスはやっぱり素晴らしいです。私に合った服を決めてくれるのだから。後ですね………………

 

 

私はそう心の中で呟きながら私は寮の部屋の角にある仏壇に報告をする。

 

 

 

そこにはお母様が使った筆型煌式武装がある。

 

 

「お母様……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アスタリスクでの生活は楽しいです!!。」

 

 

 

私は満面の笑みで言った。

 

 

 

 

 

 




ついにオリキャラによる話は終わりです。皆さん長く付き合って頂きありがとうございます。
次章は王竜星武祭に突入です。
それではまた次回会いましょう。


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《星宮竜覇》編
闇の中で彼らは動き出す


今回は序章っぽいです。
時系列はリーネがお母様を倒した直後ですね。

ついにあいつが南極から帰ってくる!


???

 

 

「おい、これはどういうことだ?」

 

 

部屋の中で赤髪の太った男ーディルク・エーベルヴァインが不機嫌そうに誰かにたずねた。

 

 

「これは私には関係ない。あちらの組織のシャビが隠滅すると言って失敗したことだ。」

 

 

それに応えるのは青色の髪をした女性の体を乗っ取っているヴァルダ=ヴァオスである。

 

 

「ちっ。お前も最初は高らかに奴等を隠滅するって言っていただろう。しかも自分の素性を明かしやがって。どの口が言いやがるんだか。」

 

 

「別に計画の目的は話してはいない。しかも、今回の一件であっちの組織は今回の反省をしているのかは知らないがしばらくは直接手を出さないと聞く。おまえから見たら組織の発言力が弱くなったから嬉しいんじゃないか?」

 

 

「ちっ。黙ってろ。」

 

 

ディルク・エーベルヴァインはヴァルダに向かって悪態をつきながら言った。

 

 

すると、部屋の入り口から仮面の男がトランクケースを厳重に持ちながら入ってくる。

 

 

「やぁ、楽しそうな話をしてるじゃないか。」

 

 

「ちっ。のんきに帰って来やがって。お前がいない間にとんでもない事があったんだぞ。」

 

 

「いや、悪いね。天候が悪くて帰りの飛行機がまったく出なかったんだ。これは仕方がない。」

 

 

男は悪ぶれた様子をしないで、彼が持っているトランクケースを机に置く。

 

 

 

「………これか?」

 

 

ディルク・エーベルヴァインは男にたずねた。

 

 

 

「そうだよ。」

 

 

 

仮面の男がトランクケースを開ける。

 

 

 

そこには赤色と金色で照り輝いている一つのウルム=マナダイトがそこにあった。

 

 

「これがあの組織が言う12個のウルム=マナダイトのシリーズの最後の一つか。」

 

 

ヴァルダが無機質な声で言う。

 

 

「まさか、本当にあるとはな。実際俺は最後まで信用しなかったけどな、《十二宮シリーズ》」

 

 

ディルク・エーベルヴァインも顔をしかめながら、そのウルム=マナダイトを見る。

 

 

「これは私達の計画だけでなく、あの組織にとっても重要なカギである。」

 

 

仮面の男は語るように呟く。

 

 

「今、組織と我々のものを含めて《十二宮シリーズ》のウルム=マナダイトは11個所持している。ラストの1個はダイバーシティが持っているけどね。」

 

 

「ふんっ。それが俺達の計画に何の関係がある?俺達の戦力の増強をするためか?」

 

 

 

ディルク・エーベルヴァインは仮面の男に不愉快そうにその理由をたずねる。

 

 

 

『それは私から説明しよう。』

 

 

 

部屋のモニターから音声が聞こえた。この声はあの組織のトップで黒幕の男の声だ。

 

 

『《十二宮シリーズ》は全てが揃うと万物を変える力を持つ。これはもう一度、落星雨を落とす君達の理にかなっているはずだ。そして我々のメリットは《十二宮シリーズ》の力で我々の12人の仲間を復活させる。』

 

 

「そうですね。貴方と同盟を組んだのは目的までの過程が同じだからでしたよね。私達はもう一度落星雨を起こして、世界を変える。貴方は変わった世界を支配する。そうでしたよね。」

 

 

『ああ、そうだな『処刑刀』。君はこれから何をするつもりか教えてくれないか。』

 

 

モニターの男がたずねる。

 

 

「………私はこのウルム=マナダイトを純星煌式武装に加工して『銀河』を通してダイバーシティの霧咲スバルにこれを預けようと思います。」

 

 

「……何だと!?」

 

 

ディルク・エーベルヴァインは驚きを隠せない。もちろん私もあれほど重要だと言っていたのに、今後の敵となるダイバーシティに預ける理由が分からない。

 

 

『……なぜだね?』

 

 

モニターの男も理由をたずねる。

 

 

「この方が私達の計画が早く進むからです。」

 

 

『……その過程はなんだ?』

 

 

「実はですね。もしこれを渡せば……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霧咲スバルの失われた『調律』の力を取り戻せるだろうと確信しているからです。」

 

 

『……!?』

 

 

 

えっ!?スバル君の能力が戻るですって!?私とレイナさんの推測ではもう戻る見込みはないはず。

 

 

『……なるほど。つまり君はそれをあの男に渡して、能力を取り戻させることで後に君達の《再編の魔女》と彼の《調律》で好きな世界を作るということか。』

 

 

「そういうことです。」

 

 

「テメーら少し待て。俺は《調和の魔術師》にこの前会ったが、あんな穏健そうな奴が俺達のその計画通りに《調律》を使うと思うのか?」

 

 

 

ディルク・エーベルヴァインは彼らの話にいちゃもんをつける。たしかにその通りだ。

 

 

「そこはね……ヴァルダくん。」

 

 

「ああ、これの事か。」

 

 

ヴァルダは処刑刀に赤い液体の入ったプラスチックの容器を渡す。

 

 

「そいつは………」

 

 

「そうだよ。先日、ヴァルダくんがシャビくんに作らせて取引をしたものだよ。」

 

 

「中身は何なんだ?」

 

 

ディルク・エーベルヴァインがたずねる。

 

 

「星脈世代の星辰力を乱す液体だよ。体に注入すれば、星辰力が暴走して絶命する劇薬だ。でも《調和》を持つ彼は絶命せずに、能力を強引に発動させられることができる。」

 

 

「……なるほどな。」

 

 

 

ディルク・エーベルヴァインはその説明を聞いて、静かに納得をした。

 

 

 

『分かった。今回の事は君達に一任しよう。』

 

 

そういってモニターの男は通信を切る。

 

 

「さてヴァルダくん。少し協力をしてくれないか。このウルム=マナダイトに少々細工を仕込む。」

 

 

「…何をする気だ?」

 

 

処刑刀はヴァルダに話しかける。

 

 

 

 

 

 

私はここまでの話を聞いてその場を離れる。

 

 

 

これは早くランとレイナさんに伝えなければ。能力を取り戻して能力を使わせる訳にはいかない。

 

 

でも、これはスバルさんが能力を取り戻す最大のチャンスである。利用しない手はない。

 

 

ああ、これで私の仕事はおしまいか。

 

 

《再編の魔女》である私は彼らの計画の裏で霧咲スバルを助けるため画策をしていた。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「ところでヴァルダくん。霧咲スバルと戦ったと聞いていたけれど、どうだったかい?」

 

 

「あの《魔女狩り》の頃より弱くなっていたな。あの頃は今の少なくとも十倍は強かったな。」

 

 

「なるほどね。それはヴァルダくんにしか分からないね。なんたってあの事件の引き金は君が反星脈世代思想の人をを洗脳したことだからね。」

 

 

「あいつの大規模認識改編にはびっくりした。私には耐性があるから効かないけどな。実際私がお前達にその事を言うまで知らなかっただろう。」

 

 

 

 

彼らはそんな話をしながら、ウルム=マナダイトに彼らしかできない細工を施していた。

 

 

 

(でも待てよ。幼少期で今より数十倍強いなら今彼が能力を取り戻したら………)

 

 

処刑刀はそんなことを心の中で思っていた。

 

 

 

 





今回は彼らが行う計画の話でした。
《十二宮シリーズ》のネタは分かりましたか?
ついにスバルの能力覚醒!?
ヴァルダと処刑刀がする細工とは?

この章は物語の展開を大きく変えるものだと思っています。それではまた次回会いましょう。



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僕は新しい純星煌式武装の試運転をする

まもなく、運動会の時期ですね。
僕としては受験生のため、雨が降ってくれれば家で勉強ができると考える自分がいますね。




「おおー。これが新しい純星煌式武装か。」

 

 

あの事件から半年近く経ち、各学園の夏休みは終わろうとしていた。シルヴィもつい先日、ワールドツアーから帰国してきたばかりである。その一方で、リーネは志葉家の当主になったため、親族に挨拶をするためにアスタリスクをつい先日発った。次に会えるのは王竜星武祭の最終日辺りだろうと彼女は言っていた。

 

 

そんな時期に僕は純星煌式武装の実験をするため、ダイバーシティの本部の練習室に来ていた。なんでもその純星煌式武装は僕の為に作ったと聞いている。

 

 

「ええ、そうです。」

 

 

そう言うのは金髪で上品な感じはするが、なかなか腹黒い所を持つ星導館学園序列2位で生徒会長のクローディアである。なぜ彼女がここにいるのかというと今回の純星煌式武装は星導館学園の運営母体である『銀河』から支給されたもので、彼女はその代表として来ていた。

 

 

僕はその純星煌式武装を近くまで来て見てみる。それは赤色と金色に輝いていた。

武器の形状はというと……

 

 

「……これは弓かしら?」

 

 

そう呟くのはダイバーシティの一員でもあり、レヴォルフの序列1位であるオーフェリアである。

 

 

「半分正解です。これは弓にもなれば剣にもなるという純星煌式武装です。その名は『光龍弓剣 サジット・アポロニクス』でございます。」

 

 

クローディアが説明をする。

 

 

「でもクローディア、本当にこんなすごいものを僕がもらってもいいのかい?」

 

 

たしかに星導館学園は六学園の中で純星煌式武装の数は最多を誇るが、それでも二桁位で本当は利益などを考えたらそっちが持つべきだろう。

 

 

「私は上層部からこれは霧咲スバルにしか使えないから彼に渡しなさいと言われただけでしたので、私にも詳しい事はよく分からないんです。」

 

 

クローディアにも分からないらしい。なんだろう、曰く付きの純星煌式武装かな?

 

 

「分かった。じゃあ使わせてもらうよ。」

 

 

僕はサジット・アポロニクスを手に持つ。オーフェリアとクローディアは《調和》に失敗して暴走をするといけないため、僕から離れた。

 

 

 

「はあぁっ!!」

 

 

 

僕はサジット・アポロニクスに星辰力を込めて起動をする。その際に純星煌式武装から毎度記憶のようなイメージが頭の中に入ってくる。

 

 

 

(神々の砲台、異界魔族…なんだこれは?)

 

 

僕の頭には南極のようなクレバスで赤い髪をした男と角が生えた男が戦っている描写が流れ込む。

 

 

(あれ、この赤い髪の人どこかで………)

 

 

僕がそう思っていると、映像が途切れたため僕は目を開く。そこには赤色と金色を基調とした武装をする自分の姿があった。

 

 

「どうやら成功したみたいですね。」

 

 

クローディアとオーフェリアは安心したような様子で僕の元に近づいてくる。

 

 

「ああ、次は戦闘データだな。」

 

 

 

「それは俺がやる。」

 

 

声のした方を見ると、そこにはランとシェインさんがこっちにやって来た。

 

 

「……ラン、私もやるわ。」

 

 

オーフェリアもこれに立候補する。だが……

 

 

 

 

「だめだ。これは俺だけがやる。」

 

 

 

 

ランはそれを拒否する。ランのその顔は普段では感じない真剣な顔だった。

 

 

「まぁまぁ、オーフェリアは健康のためにあまり戦闘をするなって言われてるんだろ。」

 

 

僕はオーフェリアを慰める。

 

 

「……分かったわ。」

 

 

オーフェリアがそう言うと、彼女とクローディアは練習室の観覧席に向かった。

 

 

「新人さん、これを。」

 

 

僕が彼女らを見届けると、シェインさんは僕に向かって2つの煌式武装を投げる。

 

 

「これは?」

 

 

「専用のブレイブ煌式武装です。『シャイン・ブレイザー』と『トレス・ベルーガ』です。」

 

 

「おお、ついに僕もブレイブデビューだね。」

 

 

僕は嬉しそうにそれをしまう。

 

 

「じゃあ、私も見てますから。」

 

 

シェインさんも観覧席に向かう。

 

 

 

 

 

 

「なぁ、スバル。変なところはないか?」

 

 

ランが僕を心配そうにしながら聞いてくる。

 

 

「??。大丈夫だけど?」

 

 

「……そうか。ならいい。」

 

 

ランは僕の話を聞いて納得をすると、ルナテック・ジークヴルムを起動する。

 

 

「いくよ‼ラン。」

 

 

 

「……ああ、来い。」

 

 

 

 

僕とランが純星煌式武装を構えると練習室から試合の開始を宣言するアナウンスが流れる。

 

 

 

 

『スタート・オブ・デュエル!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガキィィィン!!

 

 

 

 

 

 

僕とランは互いにぶつかり合う。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「はあぁっ!!」

 

 

 

 

「ぐうぅぅぅ!!」

 

 

 

 

ランは僕の剣撃をブレイブ煌式武装の鎌でそれをすべて払いのける。僕とランは始まってから、このような接戦を何回も繰り返していた。

 

 

 

『新人さん、サジット・アポロニクスの単体による基礎データがある程度取れましたので、お次はブレイブ煌式武装を試してみてください。』

 

 

 

すると、シェインさんの観覧席からのアナウンスが練習室に響き渡る。

 

 

 

「分かりました。」

 

 

 

僕はランから距離を取る。そして、煌式武装のホルダーケースから赤色と白色を基調とする『シャイン・ブレイザー』を取り出す。

 

 

 

「いくよ!!バーニングサン!!」

 

 

 

僕がそう宣言をすると、シャイン・ブレイザーはサジット・アポロニクスに取り付けられた。

 

 

すると、僕の背中にはジークヴルム・ノヴァのような翼の代わりに6枚羽のようなものが具現化される。

 

 

「おおー。これがブレイブか、いいね。」

 

 

 

「ブレイブの初デビューの感覚はどうだ?終わったなら、戦いにまた専念をしようぜ。」

 

 

ランはそう言うと、彼のお得意の空中に飛び、純星煌式武装に星辰力を込める。

 

 

「デス・ヘイズ最大火力………」

 

 

ランの純星煌式武装が紫色に輝き始める。

 

 

「せやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

ランは紫色の斬撃を数発放つ。

 

 

「やらせないよ。」

 

 

僕は背中の6枚羽をビットンのように飛ばし、それらが全ての斬撃を相殺する。その時の爆風で黒煙が巻き起こる。

 

 

「何だと!?」

 

 

ランは黒煙の中、必死にスバルを探す。

 

 

 

 

 

 

「上だよ。」

 

 

 

「っ!?」

 

 

ランが声をかけられ上の方を見ると、そこには弓を構えているスバルの姿があった。

 

 

 

「これで行くよ!!」

 

 

僕は光の矢を具現化し、力を込める。

 

 

 

「サジッタ・フレイム!!!」

 

 

矢は力の込もった1本を中心に火の雨のように無数の矢がランに向かって降り注ぐ。

 

 

 

 

「デルタバリア!!!」

 

 

ランはそれを何とか防ごうとする。

 

 

 

「ぐあぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、そのバリアも虚しく破られ、ルナテック・ジークヴルムの外装にもヒビが入り、ランは空中からその攻撃を受けて地面に叩きつけらる。

 

 

 

 

『そこまでです。』

 

 

 

 

シェインさんがアナウンスで言うと、僕は空中から静かに降りてきてランの所に向かう。

 

 

「大丈夫か、ラン。」

 

 

僕はランに声をかける。

 

 

「ああ、大丈夫だ。」

 

 

ランは静かに立ち上がる。

 

 

「お二人とも、お疲れ様です。」

 

 

シェインさん達が観覧席からやって来た。

 

 

「お二人とも疲れたでしょう。少し休んでいてください。後、ルナテック・ジークヴルムは外装にヒビが入っているので、私にください。」

 

 

ランはルナテック・ジークヴルムをシェインさんに預けて、僕は純星煌式武装を解除する。

 

 

「それではまた後で会いましょう。」

 

 

シェインさんは練習室を出ていった。

 

 

「それでは、私達もダイバーシティの休憩室で少し休んでいきましょうか。」

 

 

クローディアの提案に僕とオーフェリアとランが賛成して、ランはトイレに行くために足早に練習室を出ていった。絶対吐いたなあいつ。

 

 

 

「………………ねぇ、スバル。」

 

 

オーフェリアが僕の顔を見る。

 

 

「………あなた、顔色が悪そうよ。」

 

 

オーフェリアが僕に向かってそう言う。

 

 

「大丈夫だよ。それより早く行こう。」

 

 

僕はオーフェリアに早く行こうと促す。

 

 

「…………そう、ならいいわ。」

 

 

オーフェリアは僕のことを心配しつつ、いっしょに練習室を出たのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(何だったんだ?あれは?純星煌式武装を発動した瞬間、いきなり悪意が頭に…………)

 

 

 

(けど、体に何ともなかったから大丈夫か。)

 

 

 

 

 




最近、塾とかの疲れで今回の戦闘描写が適当になってしまいましたが大丈夫でしょうか。
最近、風邪気味で体調にも不安がありますが、なるべく更新をしていくので、見て頂くと幸いです。
それではまた次回会いましょう


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覚醒の予兆

今回はちょっと急展開です。
自分でも本当にこの路線でいいのか書いている最中に、思ってしまうことがありました。

そんな本編をどうぞ。


タタカエ……タタカエ……タタカエ………

 

 

(何だこれは?今までたくさんの純星煌式武装を起動させてきたが、こんなこと今までになかったことだぞ。どうなっている?)

 

 

僕は純星煌式武装を起動すると、純星煌式武装の意思みたいなものが、頭の中に流れ込んでくることがある。僕はそれを《調和》することで、適合率を上げて使えるようにしていた。僕は純星煌式武装に語りかけることをイメージしてやっている。たしかジークヴルム・ノヴァの時も自分の理念を語り、認められて使用者として僕は認められてたのだ。

 

 

 

だが、今回は違う。性格が荒い純星煌式武装はそこそこ存在し、有名なものであれば、覇潰の血鎌(グラヴィシーズ)が挙げられるが、今回は違う。

 

 

 

これは純星煌式武装の意思じゃない。僕の頭の中には赤いガラスの破片のような不純物がこの戦いたい衝動が精神攻撃のように、僕にふりかかり、本来の純星煌式武装の意思を邪魔しているのだ。

 

 

タタカエ……タタカエ……タタカエ……

 

 

(くっ。全然こちら側から《調和》ができない。このままだと意識が…………)

 

 

コンナ タタカイジャ モノタリナイ……

タタカエ……コワセ……ツブセ……

 

 

(やっ、やめろ。)

 

 

戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え戦え……

 

 

 

 

(やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「はあっ!?」

 

 

僕は目覚める。ここはガラードワースの生徒会室だ。たしか僕は書類の片付けを生徒会のみんなとしていたんだ。あれが夢で良かった。

 

 

「お兄さん、大丈夫ですか?ものすごくうなされていましたけど………」

 

 

「ノエルの言う通りですわ。ものすごくうなされていましたけど何かあったのですの?」

 

 

ノエルとレティシアさんが僕を心配する。アーネストさんや他の生徒会の皆も心配していた。

 

 

「大丈夫です。悪い夢を見ちゃって……」

 

 

僕は心配している皆を安心させる。

 

 

「そうかい、スバル君は王竜星武祭に出るのだからあまり体調を崩さないでね。」

 

 

「後で、俺とアーニーとレオがスバルの模擬試合をするからそこで発散しようぜ。」

 

 

「ケヴィンの言う通りだ。精神面のケアというのはいかなる場面でも大事だ。」

 

 

「後で、レモンティーでもいかがです?」

 

 

僕がそう言っても周りは心配し続ける。

 

 

「……ありがとうございます。」

 

 

僕は彼らの気持ちを素直に受け取り、アーネストさん達との模擬試合の約束をして、パーシヴァルさんから温かいレモンティーを頂いた。

 

 

その後、僕は気持ちを切り替えて自分の仕事を全て終わらせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

レティシアside

 

 

 

「ここ最近、スバルの様子がおかしいですわね。」

 

 

私は先程のスバルの様子も含めてここ最近の彼の様子に一抹の不安を覚える。

 

 

「そうですね。ここ最近、彼の変化というと純星煌式武装を替えた位だとランから聞きます。」

 

 

私の独り言のような不安に真面目に反応するのは同じく彼を心配するパーシヴァルである。

 

 

今、生徒会室には私とパーシヴァルしかいない。

なぜならアーネストとケヴィンとライオネルとエリオットはスバルの練習に付き合うためにガラードワースの第二練習場に向かって行った。ノエルも途中まで用があると言って彼らといっしょに出掛けた。

 

 

「そのランも最近は忙しいと言って学校にすら来ていないじゃないですの。ランなら何か知っているかもしれないと思ったのですが………」

 

 

実は彼と仲の良いランはダイバーシティの仕事なのかよく学校を休むようになった。喧嘩でもしたのではないかと聞いてみると、そうではないらしい。

 

 

 

「ところで副会長。」

 

 

 

「どうしましたの?パーシヴァル。」

 

 

 

パーシヴァルが私にたずねてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「スバルさん、強くなってません?」

 

 

「はい?」

 

 

私は思わず聞き返してしまう。

 

 

「別に王竜星武祭に向けて強くなっているなら当たり前じゃないですの。」

 

 

「そう言う事じゃないです。私が言っているのは彼の星辰力が急激に上がり過ぎているということです。」

        

 

たしかに、私もそれはスバルを見て感じた。あれほどの星辰力を上げるのは数年も要る。たしかにパーシヴァルがおかしく感じるのは無理もない。

 

 

「別に私はスバルさんがドーピングをしているということが言いたいわけじゃないですよ。」

 

 

「私も彼からそれは想像できませんわ。」

 

 

私はドーピングを強く否定する。

 

 

「ただ、私は少ししか知りませんが、彼は過去に自分の本当の力を失っているのですよね。」

 

 

「ええ、スバルはその件が原因で星辰力も大幅に低下したから星辰力を使った身体能力も落ちていると私は聞いていますわ。」

 

 

たしかにスバルはあの頃は年が離れたアーネストとツーマンセルが組めるほど強かった。たしか彼が出場した星武祭のスバルの強さは成長していることもあり、その当時と変わらない強さのはず…………

 

 

 

私はここである推測をしてしまった。おそらく、パーシヴァルもその推測だろう。

 

 

 

「もしかしたら彼は今、新しい純星煌式武装が原因なのかは分かりませんが、当時の彼の本当の能力を取り戻している最中なのでは?」

 

 

私はたしかに考えたことがなかった。スバルがいつか力を取り戻すかもしれないことを。だって、スバル自身もあまりその力に執着していることがなかったからだ。もし、スバルが力を取り戻したら、恐らくガラードワース、いやアスタリスク内で力を失う前より成長して強くなった彼を止められる人がいるのだろうか…………

 

 

 

「まぁ、スバルが力を取り戻しても彼の性格であるならば大丈夫ですわ。」

 

 

 

私は静かに紅茶を飲む。スバルはたとえその力が人知の範囲外なものでも悪用しませんわ。絶対に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ、フラグというべきなのか。次の瞬間、私の期待を裏切る出来事が起こってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドオォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!

 

 

 

 

 

突如ガラードワース全体を揺らすような大きな揺れと爆発音みたいな音がする。

 

 

「こ、これは!?」

 

 

「何事ですの!?」

 

 

私とパーシヴァルは突然の出来事に驚き、私達は爆発音のした方を確認する。たしか、あっちはスバルやアーネストがいる第二練習場がありますわ。

 

 

すると、私の電話が鳴り響く。

 

 

 

『もしもし、レティシア先輩ですか?』

 

 

電話の相手はノエルである。

 

 

 

「ノエル、無事でしたのね。」

 

 

『は、はい。私は今第二練習場の近くの中庭にいるのですが………』

 

 

ノエルは落ち着いていないのか少しおどおどしてるが、無事だったようだ。

 

 

「ノエル、何がありましたの?」

 

 

私は今の状態を把握するために、私はノエルに近くの状況をたずねる。

 

 

 

『実は…………………』

 

 

ノエルは近くの景色を映し出す。

そこに映っていたのは…………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ、これは…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

火の海となった第二練習場の姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?
なかなかの急展開だったと思います。
それではまた次回会いましょう。


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覚醒と暴走

 

レティシアside

 

 

 

「こっちです。レティシア先輩。」

 

 

 

ノエルが第二練習場で()()()ものの近くでそこに駆けつけた私とパーシヴァルを呼ぶ。

 

 

 

「な、何て言うことですの……」

 

 

 

私が現場の惨状を見て、息を飲む。今現在も第二練習場は燃え続けて今にも崩落しそうな勢いである。本来、練習場には全てシリウスドームなどで使われる対星脈世代(ジェネステラ)用の防護障壁が張られている。

そのため、どんな攻撃も吸収し、建物の損害を防ぐ構造で建設されているはずである。

 

 

 

「アーネスト達との連絡は取れましたか?」

 

 

「それがまったく取れません。」

 

 

 

私はノエルに練習場の中にいるはずであるアーネスト達に連絡できるかを私達が駆けつける間頼んでみたが、誰とも連絡が取れないらしい。

 

 

「仕方ありませんわ、中に入りますわよ。パーシヴァル、ノエル、煌式武装の準備をしなさい。」

 

 

私達は煌式武装を構えて炎に包まれた練習場の入り口に向かって中に突入することにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

私達が第二練習場に突入すると、中は炎と黒煙に覆われていて人が活動するには厳しい場所となっていた。実際、私達が勝手に突入出来るのは、アーネスト達以外の利用者が他におらず、中にいるだろう人数は把握しているからだ。

 

 

「それにしても一体誰がこんなことをやったのでしょうか。」

 

 

パーシヴァルがそうたずねてきたが、私はその問いに応えたくはなかった。たしかにアーネストは強いが、彼の性格からこんな事は決して行わないし、彼は普段から斬撃しかしないためこんな被害にはならない。

だとしたらやはり…………

 

 

 

「…………そろそろ彼らがいる場所ですわ。」

 

 

 

私はそんなことを考えながら、突入するためノエル達に注意を喚起する

 

 

「了解です。」

 

 

「は、はい!」

 

 

 

私はノエル達に突入の意思を確認すると、彼らがいるはずであるステージに駆け込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私達が駆けつけると、ステージは第二練習場の外装より火災がまわりひどい有り様だった。

そしてステージの中央には…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………………………。」

 

 

 

「ぐっ!………………………」

 

 

 

純星煌式武装を起動させているスバルの姿とボロボロになって倒れるアーネストの姿があった。

 

 

「………なかなかだったな。」

 

 

スバルはそう言ってアーネストを私達に向かって投げつける。

 

 

「アーネスト!!」

 

 

「ぐっ!レティ……シア……かい?」

 

 

私がそれを受け止めるとアーネストは息絶え絶えで話しかける。彼の白いガラードワースの制服は所々焦げており、彼の白濾の魔剣(レイ=グラムス)もその白さの中に黒く焦げた所があった。

 

 

「僕より……他の皆を………」

 

 

「……!!」

 

 

アーネストが指を指した方向を見ると、そこには倒れているケヴィンとライオネルとエリオットの姿があった。全員ボロボロの姿であった。

 

 

「ノエル!!能力の茨でケヴィン達を回収しなさい。私とパーシヴァルは………」

 

 

「は、はい!!」

 

 

私がノエルの魔女の能力で瀕死の彼らを回収するよう命令をして、私とパーシヴァルはスバルに向けて煌式武装を構えて対峙する。

 

 

「スバル!!やめなさい!!」

 

 

私は能力で翼を顕現させてその羽を銃弾のように飛ばし、パーシヴァルは拳銃型の煌式武装でスバルに向かって撃ちまくる。

 

 

「……ふんっ。」

 

 

だが、それをブレイブ煌式武装による六枚の羽で意図も簡単に防御をする。

 

 

「……サジッタ・フレイム!」

 

 

スバルが静かに呟き弓を構えて矢を放つ。それは全方位に向かって無差別に放たれる。

 

 

「きゃあぁぁぁ!!」

 

 

その無数の矢は第二練習場の崩落を早め、ケヴィン達の回収を終えたノエルが悲鳴をあげる。

 

 

私は能力の翼を使ってノエル達を守る。

 

 

「ぐぅぅっ!……」

 

 

だが、咄嗟の出来事で私もたくさんの人を守れる羽を顕現することができず、パーシヴァルは右手に被弾する。

 

 

「パーシヴァル!!」

 

 

私がパーシヴァルを心配して声をあげると、突如スバルの様子がおかしくなる。

 

 

「や……やめろ。()はそんなこと………したくない。ガアァァァ…………()は………マダ………」

 

 

「スバル!!」

 

 

私はスバルに向かって叫ぶ。

 

 

「………()はまだ戦いに満足をしていない。次は王竜星武祭(リンドブルズ)に期待しよう。」

 

 

スバルはそう言って私達に背を向ける。

 

 

「お兄さん!!!」

 

 

ノエルは彼の後を追おうしようと思うと、私達と彼を分断するように瓦礫が落ちてくる。

 

 

「ノエル!!ここは撤退しますわよ。」

 

 

私はその場に残ろうとするノエルを引き連れようと彼女の腕を引っ張る。

 

 

「お兄さん!お兄さん!お兄さん!!」

 

 

私がアーネストやパーシヴァルを連れて第二練習場を脱出する中、ノエルの悲痛な叫びか響く。

 

 

 

 

 

 

 

私達はこうして無事にアーネスト達を助けることができた。彼らはすぐさま治療院に運ばれた。

 

 

 

第二練習場は私達が脱出した後、すぐに崩落してしまった。現在は立ち入り禁止である。

 

 

私はこの事を簡単にEP(エリオット=パウンド)に報告するため、報告書を書いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

死者:0人

 

 

行方不明者:1人

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




主人公闇落ち!?
今回の話はどうでしたか?私も続きを書きたいのですが、実は風邪を引いちゃいました((〃´д`〃)。
ですので毎日投稿ができません。なるべく一日置きで更新をするので読者の皆様には迷惑をかけます。
それではまた次回会いましょう。


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事件の各々の反応

アニメはたらく細胞終わっちゃいましたね泣。
ああいう勉強できるアニメってなかなか斬新でいいですよね。私の世代だとNHKのエレメントハンターっていう元素を学ぶアニメなんですけど知っているでしょうか?
分かんない方、特に小中学生の皆さんは見た方がいいですよ。あれ50話位あるけどedが元素の順番覚えるための歌になっていて、50話分ひたすら観ると化学のテスト最初はトップ層を走れるで。(実話)






ランside

 

 

「やはりスバルには異常が見当たりませんね。」

 

 

俺はここ数日、学校をサボってダイバーシティの本部に入り浸っていた。なぜなら、スバルがもらった新しい純星煌式武装はどうやら細工がされているという情報を得たため、それについて調査をしていた

 

 

「そう、報告ありがとうね。」

 

 

俺の報告を聞いて頷いている金髪の女性はダイバーシティの代表取締役であるレイナ社長だ。俺やスバルの先輩にあたる方で就任前は「調律の巫女一行」などと呼ばれたダイバーシティの実力派のチームをシェインさんやクロヴィスさん達と組んでいた。

 

 

今は諸事情があり、チームは解散してメンバーはそれぞれのダイバーシティの部門に就いている。ただ、不思議なのが俺やスバルとは年齢が離れているはずなのにまるで年をとっていないかのように若い。それにたまに方向音痴や腹ペコといった子供っぽい仕草も出すしな。

 

 

「……なんか失礼な事考えたでしょ。」

 

 

「いえ、なんでも。」

 

 

レイナ社長が疑うようにこちらを睨みつけるが、俺はそれを誤魔化す。

 

 

「ところで、サジット・アポロニクスのの検査は終わりましたか?」

 

 

俺はレイナさんに訊ねてみた。

 

 

「後少しでファムとカーリーから検査結果が出るわ。細工っていうから爆弾でも仕込んであるんじゃないかと私は最初に思ったんだけどね。」

 

 

「さすがにそんな古典的な事をするわけないでしょう。それにスバルは彼らにとってもキーパーソンな存在ですからさすがに殺しはしませんよ。」

 

 

この話を知っているのは俺とレイナ社長と密告者の彼女の三人で今回の密告者の報告で純星煌式武装の件と組織には『銀河』の誰かが絡んでいるという新たな情報を得た。

 

 

「そうそう、ルナテック・ジークヴルムの修理がそろそろ終わるってシェインが言ってたわ。あとタオ達が持ってきたあのウルム=マナダイトの加工は終わってるみたいだから後はスバルに調整をしてもらうだけね。」

 

 

「そうですか。またスバルには調整を手伝ってもらいましょうかね。」

 

 

俺とレイナ社長は他愛ない話を話す。

 

 

「ところで、スバルの能力が戻るかもしれないという話って本当なんですかね。」

 

 

俺がレイナ社長に話を振ると、レイナ社長は俺を見て険しい顔をする。

 

 

「………まだ確証はないわ。ただもしそれが本当なら『あいつら』に対抗できるわ。だからこそ、この賭けに乗ってスバルに純星煌式武装を渡したわ。」

 

 

「……そうですか。」

 

 

俺とレイナ社長はスバルに何事もないように、ただただ願うだけであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「レイナさん!!!」

 

 

突然社長室の部屋のドアが開かれると、そこにはかつてレイナ社長とチームを組み、今は仕事がないため本部で待機をしている少女のサードさんが息を切らして部屋に駆け込んできた。

 

 

「どうしたの!?サード!?」

 

 

レイナ社長はただ事ではないと感じたのかサードさんに何があったのかを訊ねる。

 

 

「テ、テレビを………」

 

 

サードさんがそう言うとすぐに俺は社長室のモニターに電源を入れてテレビを付ける。

 

 

「えっ!?」

 

 

「なっ!?」

 

 

俺は番組を色々と切り換えたが全ての番組があるニュースを取り上げていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『緊急速報:ガラードワース学園第二練習場で謎の爆発事故。アーネスト会長ら複数人重傷。」

 

 

そんなテロップと共に画面ではガラードワースの第二練習場が火に包まれ、崩落する映像が映る。

 

 

「………ラン、行きなさい。」

 

 

「……了解です。」

 

 

 

俺はすぐに社長室を出て、アスタリスクまでのクルーザーを出してもらいガラードワースに向かった。その間俺は何人かに電話で連絡をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

クローディアside

 

 

 

「はい、これであなたも星導館学園の冒頭の十二人(ページ・ワン)の一人ですね、ユリス。」

 

 

「ああ、そうだな。」

 

 

私は生徒会室で先日の公式序列戦でレスター君を倒し、見事序列入りを果たしたユリスのの手続きをしていました。紅茶を飲みながら話していると…

 

 

 

 

 

 

「会長!!!」

 

 

すると、生徒会の役員の一人がただ事ではない様子で生徒会室に駆け込んできたのです。

 

 

「どうしましたか?」

 

 

「何事だ?」

 

 

私とユリスは彼に訊ねました。

 

 

「ガ……ガラードワースが…………」

 

 

彼の口からガラードワースという単語が出てきました。そう言えば先程大きな音が聞こえましたね。私とユリスはすぐにガラードワースについて調べる。

 

 

そこには壊れたガラードワースの施設とアーネスト会長達の被害者情報が出ていた。

 

 

「レ、レティシア……」

 

 

私は彼女の事を思わず口に出して心配する。

 

 

 

 

 

 

Prrrrrrrrrr……………

 

 

 

今度は何でしょう。今、私はそれどころではないのに。そう思いながら私は電話に出る。

 

 

「はい、もしもし。」

 

 

『ガラードワースの事を見たか?』

 

 

電話の相手はガラードワースのランさんでした。彼も焦りを感じているようでした。

 

 

「ええ、今ユリスとそれを見ました。」

 

 

『そうか、実はさっきレティシアさんに電話したら治療院にいるようでな。今俺は信用できる人物に電話を掛けているんだ。俺も向かっているんだが、クローディアやユリスも治療院に来てくれないか。』

 

 

私はその電話からレティシアが無事だということを確認できて、安心する。

 

 

「分かりました。」

 

 

『すまないな。』

 

 

 

 

 

 

私は電話を切ってユリスと治療院に向かった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

シルヴィアside

 

 

『シルヴィアさん、貴女にはもしかすると一番関係が深いかもしれないことなんだ。』

 

 

私は先程まで部屋で自分の出ている番組を観ていた。すると、緊急ニュース速報が流れて私は愕然としていました。私はすぐにスバル君の安否を確認しようと彼に電話を掛けたけど、まったく出なかった。私は巻き込まれたのではないかと涙が出そうだった。そう思っていると彼の友達のラン君から電話が来たの。

 

 

「ラン君、どういうことなの?」

 

 

『シルヴィアさんはスバルの安否が知りたいのでしょう。お願いです。俺を信用して今はただ治療院に向かってください。話があるんです。』

 

 

電話の向こう側でラン君が必死そうに私に訴えている姿が見える。

 

 

「……分かった。治療院ね、後でラン君には君が知っていることを全部教えてもらうから。」

 

 

『ありがとうございます。』

 

 

 

私は彼との電話を切ると、すぐにいつもの制服に着替えて治療院に向かった。

スバル君……………………無事でいてね。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

オーフェリアside

 

 

 

「………分かったわ。」

 

 

私はランからの電話で治療院に集合して欲しいという案件を聞くと私はレヴォルフの校舎を出て、治療院にすぐに向かおうとする。

 

 

 

「………………待ってください。」

 

 

 

私がレヴォルフの校門までやって来ると、校門にはかつて見慣れた黒髪のローブの女がいた。

 

 

「……あなたは『再編の魔女』!」

 

 

 

「………久しぶりですね。」

 

 

私は煌式武装を彼女に構える。

 

 

「………あの豚さんにはもう私に関与しないでって言ったのだけれど分からないのかしら。」

 

 

私は今から急いで治療院に向かわなければならないのに組織の彼女には邪魔をされたくないため私は星辰力を全力で放出させる。

 

 

「………別に戦うつもりはありませんし、これは私という()()での行動です。」

 

 

彼女はそう言うと、あるものを見せてきた。私はそれを見ると、戦意をすぐに治めた。

 

 

「………信用していいのね。」

 

 

「はい、あなたは今から治療院に行きますよね。でしたら、貴女にはこれからランが提案することに乗って欲しいのです。」

 

 

「……なぜ?」

 

 

「私が数回《リ・ページ》をした結果、あなたがいないとバッドエンドを迎えてしまう。」

 

 

私には彼女が言っていることがよく分からなかったが、私を必要としていることだけは分かる。

 

 

「……まぁ、いいわ。あなたはどうするの?」

 

 

「私は……《リ・ページ》のし過ぎでしばらくまともに行動ができないの。後、私の立場上まだ裏切るわけにはいかないの。だからこれからの行動はあなたが自分でやったことにしてもらうと助かります。」

 

 

彼女はそう答える。

 

 

「……分かったわ。それであなたのいうバッドエンドを回避するにはどうすればいいの?」

 

 

「まずですね…………」

 

 

私は彼女が計画するバッドエンドを回避する方法を聞いた。確かに私が必要ね………。そして、私は今回の事故はスバルが起こしたという真実を聞いた。いったいスバルの身に何があったのかしら。

 

 

「……分かったわ。ありがとう。」

 

 

私は立ち去ろうとすると彼女は私に向けて、最後のメッセージを伝えた。

 

 

「もしあなたがスバルさんを大事に思っているなら、あなたにしか使えないある純星煌式武装の話をします。恐らくこれを使えばバッドエンドを回避できる確率が上がります。ですがこれは危険過ぎてダイバーシティで凍結封印されています。」

 

 

私はその場に立ち止まる。

 

 

「……スバルは私の運命を変えてくれた大事な人よ。今度は私が彼を助ける番だわ。」

 

 

私は彼女に向けて返事を出す。

 

 

「……あなたのような人がいて良かった。スバルさんはなかなか素敵な仲間を持っていますね。」

 

 

彼女はローブの下でしみじみとしている。

 

 

「……では、言います。スバルさんとランの純星煌式武装は兄弟煌式武装なのは知っていますよね。実はもう1つ兄弟煌式武装があるのですよ。」

 

 

 

「レイナさんの前で言ってみてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()と。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




すいません。約1日休ませて頂きましたが、なかなかに治りませんね。まだしばらく不定期投稿が続きます。
なるべくかんばるので応援して頂くとうれしいです。
それではまた次回会いましょう。


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対策会議をしよう

また台風が来るんですね。
修学旅行や運動会の時期だと思いますが、学生のみなさんは大丈夫ですかね。


シルヴィアside

 

 

 

「………遅れてごめんなさい。」

 

 

私が治療院のある病室で待っていると、レヴォルフの序列一位のオーフェリアさんが入ってきた。私もラン君に呼ばれたのだけど病室にいる面子が凄かった。

 

 

「いや、大丈夫だ。私も来たばかりだ。」

 

 

「ええ、そうですよ。」

 

 

星導館の生徒会長のクローディアとユリスがオーフェリアさんにそう言う。

 

 

そして私の後ろには………

私の後ろにある病室のベットを見ると私達を呼んだであろうラン君が病室の席を立つ。

 

 

「これで全員来ましたね。」

 

 

ラン君はそう言って病室のドアに鍵をかけて、窓のカーテンを閉めて部屋を密室状態にする。

 

 

「ラン君、そんなに厳重にして何を話すつもりなの?もしかして後ろのアーネストさん達に関係のある話でもするの?」

 

 

私が後ろにある病室のベットに視線を飛ばすと、そこにはベットで寝ているアーネストさんとケヴィンさんとライオネルさんとエリオット君がいた。

 

 

「ええ、そうです。」

 

 

ラン君は重苦しく返事をする。

 

 

「では話をしましょう。今回ガラードワースで練習場の事故がありましたが、あれは事故ではありません。ある人が人為的に起こした出来事なんです。」

 

 

「その人って…………」

 

 

私やクローディアはこのガラードワースの序列上位者が集まるなかで()()人がいないことから、その人のことだと確信をしてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、スバルのことです。」

 

 

病室の中、ざわめきが走る。ガラードワースの人達やオーフェリアさんは顔を下に向ける。

 

 

「………詳しい事は当事者に聞いた方が一番ですね。レティシアさん、パーシヴァルさん、ノエルちゃんあの事について詳しく話してくれませんか。」

 

 

ラン君がレティシアさん達に話を振る。そこには顔に絆創膏を貼ったレティシアさんと右手を包帯で痛々しく巻いているパーシヴァルさんと静かに病室のソファーに座っているノエルちゃんの姿があった。

 

 

「……ええ、ランのいう通りですわ。あの崩落はスバルが引き起こしたものですわ。私達が練習場に突入したらアーネスト達がスバルによって倒されていたのですわ。私達も彼と応戦をしたのですけれど、まったくかないませんでしたわ。それでスバルはどこかに行ってしまったのですわ。」

 

 

レティシアさんは重々しく言い放つ。

 

 

「………レティシアさん。医者からアーネストさん達の容態は何と言っていましたか?」

 

 

「………アーネストは極度の火傷でケヴィンは火による気道熱傷でエリオットとライオネルは複雑骨折で全員が最低2ヶ月の入院は必要で、パーシヴァルは右手の損傷で全治1ヶ月位と言っていましたわ。」

 

 

 

 

 

 

「スバル君はそんなことはしないよ!!」

 

 

私はスバル君による被害を聞いている中、思わず私は席を立って叫んでしまう。

 

 

「あの優しそうなスバル君がそんなことをするはずがないよ。きっとスバル君の身に何かがあったんだよ。もしくは誰かによって………」

 

 

私はそこで息詰まってしまう。私の後ろにはスバル君が引き起こした悲しい事実があるからだ。

 

 

「……シルヴィアさんのいう通りです。お兄さんがそんなことを自分からはしません!!」

 

 

ノエルちゃんも席を立ち、私に同調する。

 

 

「……二人の言う意見は正しいかもしれません。そろそろ結果が出るはずなんですが…………」

 

 

ラン君は私達に説明をしながら、何かを待っているような雰囲気を醸し出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガチャッ

 

 

 

「失礼しますよ。」

 

 

「ラン君~。結果が出たよ~。」

 

 

「ファム様。もう少し場を……」

 

 

ラン君が病室のドアの鍵を開けると、シェインさんと魔法使いのような帽子をかぶった青髪の女性と白髪のおとなしそうな女性が中に入ってきた。

 

 

「待ってましたよ。」

 

 

ラン君はそう言ってファムさんと呼ばれていた青髪の女性から検査結果の紙をもらう。

 

 

「……やはりな。」

 

 

「あ、あのランさん。シェインさんの後ろにいる方達はどちら様ですか?」

 

 

ラン君が検査結果を読んでいると、ノエルちゃんがラン君に質問をする。

 

 

「ん?ああ、この人達はダイバーシティの一員なんだ。けど、主にダイバーシティ本部でのデスクワークが多いからあまり外には出ないけどな。」

 

 

 

「みなさ~ん初めまして。ダイバーシティ所属のファムです。落星化学部門の顧問をやってまーす。よろしくね。」

 

 

 

「どうも、カーリーです。レイナ様の元で落星考古学部門の研究と顧問をやってます。みなさんよろしくお願いします。」

 

 

 

そう言って二人は自己紹介をする。ダイバーシティの人達ってこんな人ばっかのかな。

 

 

 

 

「……さて、話を戻しましょう。実は先程もらったのはスバルが新しくもらった純星煌式武装の検査結果でしてね。これから説「それは私がしまーす。」……はい。どうぞ、ファムさん。」

 

 

ラン君が説明をしようとするとファムさんがそれを遮る。ファムさんがそう言うと、ラン君から検査結果の紙の一枚を抜き取り、病室のレントゲンとかに使う装置にそれを貼り付ける。すると、純星煌式武装のシルエットが画面に映し出される。

 

 

 

「このシルエットは………スバルが今使っている純星煌式武装のシルエットでしょうか?」

 

 

「ピンポーン!大正解ですレティシアさん」

 

 

レティシアさんの疑問にファムさんはクイズ番組のように返事をする。

 

 

「ですが、何か異常があるのでしょうか?」

 

 

パーシヴァルさんはレントゲンを見て、疑問に思う。私もどこにも異常は無さそうだけど………

 

 

「そう思いますよね。では次を………」

 

 

ファムさんはラン君から新たにもう一枚の紙を装置に貼り付けると、先程と同じようなシルエットが再び映し出される。

 

 

「それでは皆さん。ここを見て下さい。」

 

 

ファムさんが画面に指をさす。すると、そこには先程の画面にはなかったガラスの欠片のようなものが散らばっているのが見えた。

 

 

「これって何ですか?」

 

 

私はファムさんに訊ねた。

 

 

「これは本来純星煌式武装には入るはずがない……不純物みたいなものだね。それでね、これが相当質が悪いものでこいつから戦闘を鼓舞する精神障害のノイズを放っていることが分かったんだよね~。」

 

 

 

「じゃあ……スバル君は……。」

 

 

 

「シルヴィアちゃんとノエルちゃんの仮説通り、スバル君は今精神を乗っ取られているだけだね。」

 

 

「よかった………」

 

 

 

私はその事を聞いて嬉しかった。やっぱりスバル君があんなことをするはずがないよね。ノエルちゃんもその事を聞いて一安心していた。

 

 

「それにしてもよく分かりましたね。」

 

 

ラン君がファムさん達を賞賛する。

 

 

「もっと褒めてくれたまえ。実は前のやつはただ検査装置にかけただけなんだけど、後の方は私とカーリーが星辰力を込めて検査した結果なんだよね。」

 

 

「なかなか探すのに苦労しました。」

 

 

ファムさんとカーリーさんは自慢気そうにする。

 

 

 

 

「これで俺達の方針は固まりましたね。俺達はスバルの洗脳を解除する方向でいきます。」

 

 

ラン君がこれからの指揮を執り、方針を固めてまわりに確認して私達に同意を求める。私はもちろんそれに強く賛同する。

 

 

「でもどうすればいいんだ?」

 

 

ユリスがラン君に訊ねた。

 

 

「それはですね、スバル様を倒して意識を取り戻させる、これしか方法がありませんね。」

 

 

カーリーさんがスバル君を助ける具体的な方法を述べるがそれを聞いて皆は絶望したような顔になる。

 

 

「……それしかないのか?」

 

 

「はい。私もあのような惨劇を見てこの方法は厳しいと思いますが、それしかありません。」

 

 

ユリスが改めてカーリーさんに聞くが、それしか現実的な方法がないらしい。

 

 

 

 

「私はスバル君のためならやるよ。」

 

 

私にはそんなことは関係ない。例えその方法が厳しくても私はスバル君のためならなんでもする。

 

 

「レティシアさん、スバル君は王竜星武祭(リンドブルズ)には確実に出るんだよね。」

 

 

「ええ、そう言ってましたわ。」

 

 

「だったら私はそこでスバル君を倒すよ。」

 

 

私はレティシアさんに確認をしてスバル君をそこで助け出すことを決心した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私(俺)も王竜星武祭(リンドブルズ)に参加をするわ(ぞ)。」

 

 

オーフェリアさんとラン君が私に続くように手を挙げて名乗りをあげる。

 

 

「待て。オーフェリアが出るなら私も「大丈夫よ、ユリス」………」

 

 

「……ユリスにはリーゼルタニアの姫としてまだ星武祭で叶えなければならない願いがあるんでしょう。あなたを巻き込むわけにはいかないわ。それに私はスバルに助けてもらった………今度はこちらが助ける番よ。」

 

 

「……分かった。スバルを頼んだぞ。」

 

 

オーフェリアさんはユリスを宥めて彼女をこの戦いに巻き込まないようにする。それにスバル君を助ける強い意志が感じられた。もしかして…彼女もスバル君のことが好きなんじゃ………

 

 

「俺は親友としてスバルを助けるだけだ。」

 

 

ラン君にもスバル君を助ける強い意志を感じる。

 

 

「彼を星武祭で助けるメンツはこのぐらいにしておきましょう。人数が多いと仲間同志で倒しあってしまう可能性がありますからね。」

 

 

「……よろしく。戦律の魔女(シグルドリーヴァ)。」

 

 

「シルヴィでいいよ。仲間なんだし。」

 

 

「………分かったわシルヴィ。」

 

 

自分でもまさかオーフェリアさんと共闘をする日が来るとは思わなかった。でもこのメンバーならスバル君を助け出せる気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……本当に大丈夫でしょうか。」

 

 

私達かそう盛り上がると、シェインさんが冷たく私達にその一言をいい放つ。

 

 

「どういうことですか?シェインさん。」

 

 

ラン君が対抗するように言う。

 

 

「確かにそのメンバーなら新人さんは助け出せるかもしれませんね。ですが、レティシアさんの話を聞くと彼はまだ()()しか力を出してませんよ。」

 

 

私達は頭の上に何を言っているか分からないためハテナが浮かぶが、ラン君はそれを聞いて焦る。

 

 

「……そういうことか。」

 

 

「ラン君、どういうことなの?」

 

 

苦しい表情をしているラン君に話しかける。

 

 

「……実はスバルにはもうひとつブレイブ煌式武装を持っている。そしてそれは使用者をさらにパワーアップさせるものなんだ。」

 

 

「じゃあ、私達はレティシアさんやアーネストさん達を倒した時以上の力を持つスバル君を相手にするかもしれないということ?」

 

 

私の問いにラン君が頷く。

 

 

「分かりましたか。貴女達がこれからやろうとしていることの厳しさが。」

 

 

シェインさんは厳しく現実を突きつける。

 

 

「……でも、私はやりますよ!」

 

 

私がシェインさんに反論するように言う。

 

 

「そうですね。だから…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貴女達に特別にダイバーシティが所有する純星煌式武装を貸しましょう。」

 

 

「えっ!?」

 

 

「別に私は反対はしてませんよ。むしろ逆です。私が訊ねたかったのは『そんな装備で大丈夫か?』と言うことですよ。」

 

 

シェインさんは誰かの真似をするように言っていたが、どうやら私達に協力的だったようだ。

 

 

「でも……私魔女(ストレガ)だから………」

 

 

アスタリスクの歴史で魔女(ストレガ)などでありながら純星煌式武装を使える人はそんなにいない。実際私も触った瞬間手に火傷をしたことがある。

 

 

「……それは私がどうにかするわ。」

 

 

「実はこの方が提案をしたんですよ。」

 

 

シェインさんはオーフェリアさんを紹介するように話す。

 

 

「オーフェリアさん、それでどうするの?」

 

 

「………これを使うわ。」

 

 

オーフェリアさんはポケットからあるものを取り出す。

 

 

「それって………」

 

 

オーフェリアさんが出したのは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スバル君が作ってくれたと言っていたストラップだった。

 

 

 

 

 

 





すいません。体調も落ち着いたのですが、学校が忙しすぎて不定期になりそうです。10月にはこの章を終わらせようと思っています。


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秘策と王竜星武祭に向けて

シルヴィアside

 

 

 

「それって……………」

 

 

「そうよ、スバルが私のために作ってくれた彼の特製のストラップよ。」

 

 

オーフェリアさんがそう言ってポケットから三色のストラップを3つ出す。

 

 

「それって確かオーフェリアさんの瘴気を抑えるためにスバル君の《調和》の力を込めてるんだよね」

 

 

私はかつてスバル君から聞いた話を思い出す。

 

 

「……ええ。そうよ。」

 

 

オーフェリアさんは私に対して頷いた。

 

 

「……これにはスバルの《調和》の力が込められている。つまり私達もこれを付ければスバルのように《調和》の力を使えるっていうことよ。」

 

 

「じゃあ、それを使えば魔女(ストレガ)の私やオーフェリアさんでも純星煌式武装が使えるわけね。」

 

 

「……そういうことよ。」

 

 

オーフェリアさんはそう言って私に紫色のガラスの玉が付いているストラップを渡した。今は感じることができない暖かい力が湧いてくる。

 

 

「よし、それじゃあ今からシルヴィアさんとオーフェリアは俺と一緒にダイバーシティの本部の純星煌式武装の倉庫に向かおうか。」

 

 

ラン君が私達に指示を出した。

 

 

「私達は何をすればいいですの?」

 

 

レティシアさんがラン君に訊ねる。

 

 

「レティシアさんは休んでいてください。貴女もパーシヴァルさん同様怪我をしているでしょう。……無理をしないならばクローディアさんとノエルちゃんと共にガラードワースと星導館の上層部の動きを報告してください。」

 

 

レティシアさんは顔の絆創膏に手を当てて、しばらく考えるようにしていた。

 

 

「……分かりましたわ。頼みますわよ。」

 

 

レティシアさんがそう言うとラン君は頷き、私達とシェインさん達を連れて病室を後にする。

 

 

「………………」

 

 

ただ、私が見た病室で見た()()はまだ何かを諦めていないような感じがした。

 

 

 

 

私達はその後、ダイバーシティの本部でシェインさんやレイナ社長の下で純星煌式武装を選び、ひたすらそれを扱う練習をした。時間が流れて王竜星武祭(リンドブルズ)一週間前になると、私はユリスさんやルサールカとの対人戦闘を中心にした練習を重ねて調整をした。

 

 

 

 

ただ、まさか王竜星武祭(リンドブルズ)一日前あんなことが起こるとは私も思わなかった……………。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

ランside

 

 

俺は今、シルヴィアさんとオーフェリアと共にダイバーシティの純星煌式武装の倉庫に来ていた。

 

 

「……ラン君、勝機はあるの?」

 

 

シルヴィアさんとオーフェリアさんが純星煌式武装を選んで俺の近くにいない中、シェインさんとレイナさんが俺に話しかけてきた。

 

 

「いいえ、今の俺にはありませんよ。」

 

 

俺は病室ではあんなことを言ったが、本当は勝機はほぼない。それは俺がスバルと戦って一番よく分かっている。

 

 

「姉御の言う通りです。ランだけですが、戦闘のシミュレーションをした結果今までのままでいくと勝てる確率は1%もありませんでしたよ。」

 

 

シェインさんはそう言って俺に修復されたルナテック・ジークヴルムとブレイブ煌式武装を渡す。

 

 

勝てないことは分かっている。でもスバルがあのままだったらあいつらに利用されて、世界も終わってしまう。なによりこれは俺のケジメだ。あの時もっとしっかりスバルに調子を訊ねておけば良かったんだ。俺は情報を前もって知りながら何も出来ず、親友すら助けることができないバカ野郎でしかない。

 

 

 

俺がそんな無力感にまみれた事を心の中で呟きながら、俺はスバルを助けるための強い力に心当たりがあるのを思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………《十二宮シリーズ》。」

 

 

俺はそんな言葉をポツリと呟くと、レイナ社長がその言葉に反応する。

 

 

「……確かにあれを使えば勝てる確率は多分上がるわ。でもまだスバルにも試運転をしてもらっていないのに、未知数でまだどんな危険があるか分からない物を使わせると私が思う?」

 

 

「ですがもう完成はしていてるんですよね。だったら俺はどんなリスクがあってもその手段を使いますよ。今度こそ俺は親友を助ける!!」

 

 

レイナ社長に向かって俺はそう言う。

 

 

「……シェイン。ダイバーシティの工房から南極で見つけたウルム=マナダイトで新しく作ったあの純星煌式武装を持ってきなさい。」

 

 

レイナ社長がシェインさんに命令をすると、シェインさんは急いで工房に向かっていった。

 

 

数分後、シェインさんは銀色に輝く拳の籠手ような純星煌式武装をカートに乗せてやって来た。

 

 

「これがそうです。一応新人さんのような事があったために念入りに検査をした結果何もなかったそうですよ。」

 

 

俺はその純星煌式武装を手に取る。

 

 

「オーフェリアのストラップは一応、最後の一つが余っているらしいけど使う?」

 

 

「いえ、何となくですが行ける気がします。」

 

 

「そう、なら適性検査をしましょう。」

 

 

レイナ社長はそう言って俺を適性検査をするための部屋に連れていった。

 

 

 

 

………………

 

……………………………

 

………………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァッ……ハァッ……ハァッ………」

 

 

 

『て、適合率98%。オールグリーンです!』

 

 

シェインさんの驚くような声が聞こえる。俺はこれがスバルの持つ物と同じ場所に埋まっていたんだ。何か宿命のような事があると思っていた。それに腰に着けてあるルナテック・ジークヴルムも俺が手に着けているそれに白い光りを放って共鳴しているかのようだ。

 

 

 

「短い間かもしれないが、よろしく頼むぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《獅機龍拳》ストライクヴルム・レオ。」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

オーフェリアside

 

 

 

「……まさか貴女の口からそんな物騒な純星煌式武装の名前が出るとは思わなかったわ。」

 

 

レイナ社長はそう言って厳重に保管されている個人用サイズの金庫のロックを外そうとする。

 

 

私は今、シルヴィ達とは別の倉庫に来ている。私があのローブの女性に言われたように《滅神星剣》とレイナ社長に言ったらシェインさんと共に驚愕に満ちて青ざめた表情をしていた。どんなものなのかしら。

 

 

「全くランもだけど皆チャレンジャーね。」

 

 

そう言ってレイナ社長は最後のロックを開く。そこには紫色を基調として所々緑色に輝く剣型の純星煌式武装があった。

 

 

「これがそうよ。」

 

 

「……これが《滅神星剣》………。」

 

 

私はそれを手に持つ。

 

 

「正式名は《滅神星剣》ダークヴルム・ノヴァ。トップクラスの実力はあるけど、あまりに危険すぎるため使い手が現れないから凍結処理をしていたの。これを知っているということは…あの子がきっと言ったのかしら。」

 

 

レイナ社長は私にその事を言わせた人を確信しながら溜め息混じりに呟く。

 

 

私はあの時見たのは彼女がローブの下にダイバーシティの一員であることを示すバッジで私はそれを見て一応彼女を信用することにした。それにしてもあの同盟に潜伏しているって彼女は何者なのかしら。

 

 

私はそう思いながら純星煌式武装を起動する。

 

 

 

「ぐっ!?……体が………」

 

 

私は純星煌式武装を起動すると、体に何かが流れる感じがしてそれが私に痛みを与える。

 

 

「それが《代償》よ。起動すると、純星煌式武装から毒素が流れてやがて使用者の体を蝕んでしまう」

 

 

レイナ社長がそう説明する。

 

 

 

確かにこれは普通の人が使ったらヤバイわね。でも私の体にはね毒は効かないのよ!!

 

 

「おやっ?」

 

 

シェインさんは異変に気づく。

 

 

 

「ハァァァァァァァァァァ!!」

 

 

私はそれを全身に星辰力を込めてその毒素に対抗する。すると、純星煌式武装から流れる毒素がなくなり、純星煌式武装の光も鈍くなる。

 

 

「ハァッ……ハァッ……やったわ。」

 

 

私は純星煌式武装を腰にしまう。

 

 

「まさかその子の制御に成功するとは………。いったいどのようにやったんですか?」

 

 

シェインさんが私に訊ねる。

 

 

「………私の星辰力で毒素に対抗をした後、私の毒でこの子を屈伏させてあげたの。」

 

 

「なるほど。」

 

 

シェインさんはそれに納得する。

 

 

「でも、これでスバルに勝てる可能性が上がったわ。みんな戻りましょう。」

 

 

レイナさんはシェインさんと私を促してシルヴィ達がいる場所に戻ろうとする。

 

 

 

 

 

スバル………絶対に助けるから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

そして時が流れて、王竜星武祭(リンドブルズ)前日

 

 

???side

 

 

 

 

アスタリスク再開発エリアのガラードワース側に位置する劇場のような場所にその男がいた。

 

 

「何の用だ?………」

 

 

その男は赤色と金色の弓のような純星煌式武装を起動し、あの時と同じ姿を見せる。

 

 

「元に戻ってもらいます!!!」

 

 

私は煌式武装を構える。

 

 

「やってみろよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()。」

 

 

 

 

 

 

 

 







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私の秘策

皆さん3日ほど空けて申し訳ありません。
昨日運動会が終わったのですが、疲れと筋肉痛でなかなか書けませんでした。来週は中間テストと模試があるため、投稿は遅れるかも知れませんが、10月にはこのバトルが続く章を終わらせて日常編に移りますので付き合っていただくとうれしいです。
それでは久しぶりの本編をどうぞ。




あの対策会議から数日後………… 

 

 

 

「……呼び出して何の用かしら聖茨の魔女(ペルセフォーレ)。」

 

 

私は今、歓楽街のとある人気が少ない喫茶店に来ていた。私とオーフェリアさんは顔見知りであっても世間ではレヴォルフとガラードワースは対立関係にあるため目立つ場所で話すと、後がややこしい事になってしまう。

 

 

「あ、あのノエルでいいですよ。」

 

 

「……分かったわノエル。」

 

 

オーフェリアさんはコーヒーを一口飲む。

 

 

「……それで本題は何かしら?」

 

 

コーヒーの入ったカップをテーブルに置いて、オーフェリアさんは真剣な表情で私を見つめる。

 

 

「………単刀直入に申し上げます。オーフェリアさんが持っているストラップを私に貸してください。」

 

 

私は静かにオーフェリアさんに言う。

 

 

「………確かに私はシルヴィと私の使う分の他にもう一つ持っているけど、貴女はたしか王竜星武祭(リンドブルズ)には出ないはずよね。なぜ必要なのかしら?」

 

 

「………私達ガラードワースは家のために勝ち目がない星武祭には参加をすることができないんです。けれど、私はお兄さんを助けたいんです。私にはお兄さんを倒せる力は今のままではありません。だからお願いです。どうか私にそれを貸してください!」

 

 

私はオーフェリアさんに頭を下げた。

 

 

「……貴女の覚悟は本当のようね。分かったわ、貸してあげるわ。でも純星煌式武装のアテはあるの?」

 

 

「は、はい。ガラードワースに私と相性が良いのがあったんですけど、魔女(ストレガ)だから触れなくて…」

 

 

「…なるほどね。」

 

 

オーフェリアさんはそう言って、ポケットから赤色のガラスの玉のストラップを出して渡す。

 

 

「あ、ありがとうごさいます。」

 

 

私はオーフェリアさんからストラップをもらうと、彼女にお礼を言って店を出ようとする。

 

 

 

「……少し待ちなさい。」

 

 

「は、はい?」

 

 

店から出ようとする私を彼女が止める。

 

 

「…こんな機会はないわ。少し私とスバルについてお話してみないかしら。もちろん私もリーゼルタニアの頃のスバルの話を貴女にしようと思うわ。」

 

 

オーフェリアさんは私に談笑をしないか提案をする。昔の彼女なら私はそれを断っていたかもしれない。けど今はお兄さんをよく知り、助けるための仲間という関係だけでなく、オーフェリアさん本来の性格や人柄に好感が持てた。

 

 

「別にいいですよ。」

 

 

私は特に断る理由がなく、逆に私が知らないお兄さんを知りたい興味から提案を承諾する。私は帰ろうとした足を止めて元の席に着いた。

 

 

「……ありがとう。」

 

 

 

 

その後、私はオーフェリアさんとお兄さんについて知っている事を談笑していた。私もリーゼルタニアのお兄さんの話が聞けて、とても有意義だった。

 

 

 

 

 

…………………………………

 

 

…………………………………………

 

 

………………………………………………………

 

 

 

 

 

 

「……ところで今のスバルの悩みを貴女は知っているかしら?」

 

 

オーフェリアさんと私の飲み物が無くなる程談笑していると、ある話題をだしてくる。私は分からないためその事に横に首を振って返事をする。

 

 

 

「…………………………結婚よ///」

 

 

「は、はい!?」

 

 

オーフェリアさんが少し顔を赤くしながらその事を告げる。私も予想外の一言に思わず顔を赤らめて声が裏返って驚いた声を出してしまう。

 

 

「…実はねスバルがこの前私に相談をしてきたのだけど、色々な人から縁談が来ているって言っていたのよ。だって彼はグランドスラム候補のスーパースターよ。経歴は良いし、お金にも困らない、色恋沙汰もないこんな有望株がほったらかしにされるわけがないでしょう。」

 

 

オーフェリアさんはお兄さんに相談をされた事を私にぶつけるように話す。お兄さんは欧州の名家から統合企業財体の有力者からの多くの縁談を全て破棄したらしい。

 

 

「……お兄さんには重婚をするという考えはなかったのでしょうか?」

 

 

私はオーフェリアさんに訊ねる。

 

 

「…そうね。スバルのようなレベルになると重婚はあり得るかも知れないわ。でも別にそんな感じではなかったわ。きっと彼には想い人がいるから彼は会ったことのない他人を選びたくなかったんじゃないのかしら。」

 

 

オーフェリアさんは僅かなコーヒーを口に含む。

 

 

「そ、それって………やっぱり。」

 

 

「……ええ、シルヴィの事ね。私から見ても両方ともお互いを意識をしているらしいけどね。」

 

 

私はそれを聞いて悔しかった。お兄さんとは誰よりもずっと過ごしてきていつか私の恋も彼に気づいてもらってそれが成就すると思っていた。けれどずっと目をそらしてきたが、彼が好きなのはシルヴィアさんだった。確かに彼女なら私よりお兄さんとお似合いかもしれない。

 

 

「…少し聞いてみてもいいですか?」

 

 

「……何かしら?」

 

 

「オーフェリアさんも実はお兄さんの事が好きですよね?」

 

 

私がストレートに彼女に訊ねると、オーフェリアさんは少し動揺した様子を示す。

 

 

「……ええ、そうよ。私はもう変える事が出来ないと思っていた辛い運命からスバルは助けてくれた。これで好きにならない人はいないわ。本心では私がスバルを助けたらそれをきっかけにシルヴィには悪いけど、私がスバルの恋人になろうと考えていたわ。」

 

 

私はオーフェリアさんの告白を静かに聞いた。

 

 

「…けれど、私はそんな私の勝手な考えを押し付けて幸せになろうと思わないわ。まず、相手の考えを尊重すべきだわ。だから今回はスバルのためだけでなく、シルヴィのためにやることになるわね。けれど、私はまだ諦めてはいないわ。ノエルはどうなのかしら?」

 

 

オーフェリアさんは自分の本心を話終わると、私の事を知った上で私に質問をしてきた。

 

 

「私もお兄さんの事が大好きです。本当は私にもオーフェリアさんのような勝手な考えがありました。けれど、私だって諦めませんよ。私のお母様には重婚をしても良いと言われたので私はお兄さんと重婚をする気でいて、シルヴィアさんにも負ける気はありません。」

 

 

私もオーフェリアさんに赤裸々に話した。

 

 

「……重婚ね。私もそれに乗ろうかしら。」

 

 

オーフェリアさんはそんなことを呟く。

 

 

「でしたら、全てが終わったらお兄さんに聞いてみません?重婚の許可と私達の事をどう思っているかを。」

 

 

「……重婚はシルヴィにも聞かないとね。もし承諾してくれたらノエルから先に告白をしなさい。私なんてノエルやシルヴィよりスバルと過ごした時間は少ないから最後でも構わないわ。」

 

 

「……重婚に関してはオーフェリアさんとは仲間でも、本命に関してはライバルですね。」

 

 

「……本妻の席は私がもらうわ。」

 

 

私とオーフェリアさんの間に緊張が走る。

 

 

 

「……ふふっ。」

 

 

「……んふふっ。」

 

 

 

だが、そんな緊張もつかの間の出来事であり、私とオーフェリアさんはお互いに笑ってしまう。

 

 

「……ノエル、がんばりなさいよ。」

 

 

「オーフェリアさんこそ。」

 

 

私とオーフェリアさんは互いにお兄さんを助ける事により強い決心を感じて店を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「ハァッ……ハァッ……ハァッ……」

 

 

 

「どうした?その程度か。」

 

 

 

私はお兄さんからの弓撃を茨で壁を作ってかろうじて、それを防御する。だけどこのような戦いが交戦してから30分程続き、私はその度に茨を使ってかろうじて防御をしているが星辰力もそろそろ底を尽きてきた。

 

 

あの日から私はお兄さんがいそうな場所を今までの経験から判断して、星武祭前日にようやく掴んだお兄さんと戦うチャンスなのに私は何も出来ないで終わってしまうの?

 

 

「ハアァァァァァァァァァァ!!」

 

 

私は劇場に仕掛けた残り少ない設置型能力の茨を発動させてお兄さんの体を拘束する。

 

 

「ぐっ!………簡単にはこの拘束は解くことが出来ないようだ。かなりの星辰力を込めたらしいな。」

 

 

お兄さんは必死に抵抗をする。

 

 

「今です!!茨の三本槍(ソーン・トライデント)!」

 

 

私はその隙を突いて茨で三本槍を形成して、それをお兄さんに目掛けて突き刺そうとする。

 

 

「……今のは良かった。だがまだ甘い。」

 

 

お兄さんは星辰力を体に溜め込む。

 

 

「……バーニングサン!!」

 

 

お兄さんがそう言うと、彼のブレイブ煌式武装のシャイン・ブレイザーが勝手に動き、純星煌式武装に取り付けられた。するとお兄さんの星辰力は上がり、お兄さんを拘束していた茨が引きちぎられる。

 

 

「なっ!?」

 

 

「シャイン・ブレイザー防御せよ。」

 

 

お兄さんは私の茨から解放されると、背中に具現化された6枚羽により私の攻撃が熱風と共に防御される。

 

 

「ぐうぅぅぅぅぅぅ!!」

 

 

私はその爆風で一瞬怯んでしまう。

 

 

 

「………お前には攻撃をした後、大きな隙が出来てしまう。星武祭前の良い運動にはなったぞ。」

 

 

 

「じゃあな。」

 

 

 

お兄さんは爆風の中から私に向かって突撃をして、私を純星煌式武装で切りつけようとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガキィィィィィィン!!

 

 

 

 

「………何!?」

 

 

 

爆風が治まる中、私を切りつけたとは思えないような金属音みたいな音が響き渡る。

 

 

「………それは剣型の純星煌式武装だと!?」

 

 

そう、先程の金属音みたいな音の正体は私が今手に持っている純星煌式武装がお兄さんの純星煌式武装とぶつかり合った音である。

 

 

「くっ!!」

 

 

お兄さんは私から離れる。

 

 

 

 

「お兄さん、私もただではやられるわけにはいきません。ここからは私も全力を出します。」

 

 

私はオーフェリアさんからもらった赤色のガラスのストラップに星辰力を込める。

 

 

 

 

そうこれが私の秘策…………

 

 

 

「お願い!私にお兄さんを助ける力を貸してください。ラグナ・ロック!!」

 

 

 

すると、私の手にある剣型純星煌式武装である終焉騎剣ラグナ・ロックが白と緑の光を放ち起動する。

 

 

お兄さん…………行きます!

 

 

 

 

 

 

 



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光龍弓剣VS終焉騎剣


運動会の筋肉痛でマジで脚が痛いため病院に行ったところ肉離れと診断されました。
……マジかよ(゜ロ゜)


 

 

 

「……まだ奥の手を持っていたのか。ガラードワースで使える人が少ないラグナ・ロックを使えるとはな。………なるほど、オーフェリアに渡したあのストラップによって魔女(ストレガ)でも純星煌式武装を使えるようになるとはこれには俺も意表を突かれたぞ。」

 

 

お兄さんは考え込むように話す。

 

 

「こうでもしないとお兄さんには勝てませんから」

 

 

私は純星煌式武装をお兄さんに向けて構える。

 

 

「やってみろ。ここ最近使い始めた付け焼き刃のようなもので俺を満足させてみろよ!」

 

 

お兄さんは強くそう話すと具現化されたブレイブ煌式武装の六枚羽で跳躍する。そして私に向かって炎の矢を2,3発飛ばしてくる。

 

 

「やっ!!」

 

 

私はその矢を純星煌式武装を起動したことで具現化された蝶の羽でかわしていく。

 

 

「ほう、空中戦も出来るようになるか。」

 

 

お兄さんはそう言ってかわした私を追い打ちするかのように私に向かって突撃する。

 

 

 

ガキィィィン!!

 

 

 

「んっ!!」

 

 

私はそれを純星煌式武装で防御をして私とお兄さんの純星煌式武装が互いにぶつかり合う。

 

 

「やあっ!!」

 

 

私は純星煌式武装をうまく剣術で押し返してお兄さんになんとか攻撃を当てる。お兄さんは攻撃を当てた頬を押さえて私から距離を取る。

 

 

「………今の剣術は俺が教えた物のパクリか?……いや、今のはアーネストさんの剣術も入ってるな。」

 

 

さすがはお兄さんです。私が先程使った剣術はお兄さんから教えてもらった物に生徒会長からお兄さんに密かに教えてもらった簡単な剣術を混ぜたものです。

 

 

「そうです。ただお兄さんの真似をしているだけでしたら私はお兄さんには勝てませんよ。」

 

 

私はそう言うものの、戦いに取り憑かれたとは言え従来のお兄さんの冷静な判断力がある事に私は唾を飲む。ただ理性を失った狂戦士とかだったら私もやりやすいかもしれないが、元々のお兄さんの優秀な判断力や知力があるとやりにくいものです。お兄さんを敵にまわしてしまうとここまでやりにくいとは考えた事がありませんでした。

 

 

「能力頼りで杖しか持っていないと思っていたが、少し考えを変えることにしたよ。少し本気でやらないと負けてしまうから少し本気を出そう。」

 

 

お兄さんは星辰力を高めて、それを腕に集中させて矢を弓に構える。

 

 

「サジッタフレイム!!」

 

 

お兄さんは一本の矢を私に撃つと、途中で無数の小さい矢となり練習場で見た範囲攻撃となった。

 

 

「くうっ!」

 

 

私は先程の疲れでかわす際に多少被弾しましたが、純星煌式武装のおかげで思っていた以上に動くことができました。ただお兄さんはそんなことを考える暇を与えず先程の範囲攻撃を何発も撃とうと弓を構える。

 

 

「サイレントウォール!!」

 

 

私は純星煌式武装が持つ能力を発動させる。白いオーロラのようなベールが周囲を包む。

 

 

「なっ!?矢が消えた!?」

 

 

すると、能力の効果はすぐに見えてお兄さんの構えていた星辰力の矢は消えてしまった。

 

 

この能力は私に対して敵意や悪意があるもの等からの攻撃を無力化するものである。けどこんな能力は頻繁には使えず私では一回が限界だった。ただお兄さんの意表を突くにはちょうどよい効果であった。

 

 

「やあっ!」

 

 

私はその隙を突いてお兄さんに攻撃を当てようとする。だがお兄さんは体勢を直してギリギリそれをかわす。お兄さんは私から再び距離を取る。

 

 

「ちっ。クソッ。」

 

 

お兄さんは舌打ちをする。私はお兄さんを追い詰めたが攻撃を当てられなかったことに落胆する。

 

 

「近接戦が好きならやってやるよ!!」

 

 

お兄さんは少々ムキになりながら私に向かって弓を剣に変型させて突撃してくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「準備は終わりました。今のお兄さんには悪いかも知れませんがここで終わりにします。」

 

 

 

「ソーン・プリズン!!!」

 

 

私はそう言って能力を発動させると、私の周囲から茨がたくさん生え始めて私に接近攻撃を仕掛けてきたお兄さんを茨で拘束をする。

 

 

「な、何だとっ!?」

 

 

お兄さんは必死に抵抗をする。だがそれはブレイブ煌式武装を纏ったお兄さんでもちぎれない。

 

 

「それは私の能力でもあり、純星煌式武装の力でもあります。この純星煌式武装には自然をも操る力を持っているんです。だからただ騎士道を極めたような方達では相性で使えなかったんです。」

 

 

私はお兄さんにラグナ・ロックの事を教えるがそれはまだラグナ・ロックの全てではない。

 

 

ラグナ・ロックにはもう一つ公表されていない相性問題がある。それは「愛」を持つ者であること。実は私がこのラグナ・ロックの記憶を断片的に見たところ、前の使い手かどうか分からないがどうやら「兄妹愛」によってこれを使いこなしていたらしい。私もラグナ・ロックを起動して分かった事だがまるで私とお兄さんみたいだと今でも思ってしまう。だから私を選んでくれたのかな。

 

 

 

「お兄さん、もう終わりにしましょう。もうこの場所は私の能力で支配をしました。」

 

 

私は無数の茨をさらに具現化させる。

 

 

「………どういうことだ?純星煌式武装を起動するまではもう星辰力切れ間近だったのに、どうしてここまで星辰力を使って能力が使えるんだ?」

 

 

 

「それはラグナ・ロックの能力の一つです。星辰力の全回復。だから私は能力が使えるんです。」

 

 

私はお兄さんの疑問に答える。そして私は星辰力を込めて光の茨をお兄さんに巻き付ける。

 

 

「こ、これは!?」

 

 

お兄さんはこれを見て必死に逃れようとする。なぜならこれは私とお兄さんが考えた私の必殺技だからだ。お兄さんはこの技の力を知っている。

 

 

「無理ですよお兄さん。ソーン・プリズンには相手の星辰力だけでなく煌式武装や純星煌式武装の反応を鈍くする能力があるんです。」

 

 

現に今も純星煌式武装とブレイブ煌式武装は茨を巻き付けられたことで光が鈍くなっている。

 

 

私は拘束されているお兄さんに近づく。

 

 

「文句は後で聞きますよ、お兄さん。」

 

 

私はそう言うとラグナ・ロックを振るい、お兄さんを拘束している光の茨を斬る。

 

 

「ソーンバインドホステージ!!」

 

 

私がお兄さんに巻き付く茨を剣で斬ると、お兄さんは白い爆発に巻き込まれる。

 

 

「があぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

お兄さんがダメージを受けているのを確認する。この技は私がいつか獅鷲星武祭(グリプス)のようなチーム戦のために私とお兄さんで編み出した技である。この光の茨は直接的な攻撃力はないが、その後茨を斬りつける攻撃をされた場合、剣撃に連動して相手にダメージを与える技である。後方支援をする私にとってこんなピッタリな能力はないと思う。

 

 

ただお兄さん曰くこの技の元々のアイデアはランさんとやったMMORPGのスキルからだそうです。

 

 

 

本来の私では星辰力不足であまり連発はできないが純星煌式武装のおかげで星辰力はすぐに回復する。私はひたすらお兄さんを斬りつけて、光の茨がなくなるとすぐにまた技をかけて攻撃をする。私はこれを繰り返した。

 

 

 

 

 

 

…………………………

 

 

 

………………………………………

 

 

 

……………………………………………………

 

 

 

 

「ハアッ……ハアッ……」

 

 

私はお兄さんにこれでもかと光の茨を斬りつけた。だけどお兄さんはまだ倒れる気配がない。私はお兄さんに巻き付いている最後の茨を斬りつけようとする。

 

 

 

「お兄さん、元に戻ってぇぇぇぇぇ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ここまでやるとは俺も予想外だ。お前には初めて全力を持ってお相手しよう。」

 

 

「……バーニングサン。」

 

 

私がお兄さんを斬りつける瞬間、お兄さんのホルダーから今まで使われたことのない青い煌式武装が純星煌式武装に取り付けられる。するとお兄さんの星辰力は今までに感じたことのない程にまで高まる。

 

 

 

これがダブルブレイブシステム…………

 

 

 

私はそれを見てお兄さんが全力を出したことを確信するが私は決して攻撃をやめようとせず、お兄さんに突撃をして剣を振りかざそうとする。

 

 

 

「っ!?」

 

 

「……そんなものか?」

 

 

だが、私の攻撃はソーン・プリズンから脱出したお兄さんが純星煌式武装で受け止める。

 

 

「そらっよ!!」

 

 

お兄さんは2つのブレイブ煌式武装をつけた純星煌式武装で私を凪ぎ払おうとする。私はそれを後ろに飛んで何とかかわす。お兄さんの雰囲気は今までとは違い、鬼気迫った感じがあり、純星煌式武装も赤色と金色の他に黒色が混じったような輝きを見せていた。

 

 

「……サザンクロスフレイム!」

 

 

お兄さんは純星煌式武装で十字型の炎の遠距離斬撃を私に向かって当てようとする。

 

 

「くっ!」

 

 

私はその遠距離斬撃の速さに対応することができなかったため、それが直撃する。

 

 

「……次だ。墜ちろ。」

 

 

お兄さんは私に攻撃が当たっても一息をつかせず、今度は私の具現化した蝶の羽に炎の矢を放ち、私はそれを回避できず地上に叩きつけられる。

 

 

「きゃあっ!!」

 

 

私は地上に叩きつけられても何とか立とうするが、手や足には火傷の見られ歩くのが非常に辛い。

 

 

そんな私にお兄さんは地上に降りてきて私に弓を構えて星辰力を最大限まで溜めた矢を放とうする。

 

 

 

ここで私はおしまいですか……………

 

 

 

後は頼みましたよ、皆さん。

 

 

 

「去らばだ。ノエル・メスメル」

 

 

お兄さんは私に向かって矢を放つ。その威力は凄まじいものでした。私は何とか純星煌式武装でそれを防御しようとしたがそれすらも貫通してしまい、私の左腹部分を矢が貫通したのが分かる。私はそんな痛みを感じないまま矢の威力によって建物の外に飛ばされてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

矢が放たれた後の劇場は一筋の地面をえぐる程の後が残り、劇場の壁にまで穴を空ける。

 

 

「ぐっ!?……しまったな攻撃を受けすぎてしまったようだ。星武祭は少々手こずりそうだ。」

 

 

霧咲は誰もいない劇場を去ろうとする。

 

 

「だが、二つ目のブレイブ煌式武装を使わせるとはな。なかなかやったほうじゃないか。」

 

 

霧咲はそう言って傷を癒そうと、誰もいない劇場を怪我した部分を支えながら出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

あれっ。私はたしか…………………

 

 

私は何とか目を開けた。そこは再開発エリアの路地裏で私がいた劇場からはそこそこ離れていた。

 

 

「ぐっ!」

 

 

私は意識が少しずつはっきりすると、左腹に激しい痛みを感じる。見てみるとそこには貫かれたことにより穴が空いており、血が出ていた。

 

 

周りを見ると私を何とか守ってくれたラグナ・ロックとオーフェリアさんからもらった赤色のガラス玉のストラップが落ちていた。両方とも戦いのせいで酷く破損していた。ストラップ……オーフェリアさんに怒られちゃうな。

 

 

 

やばいな………意識が。でも星辰力はもうないし、足も火傷で歩けない。死んじゃうのかな…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まだ、死なせませんよ。」

 

 

意識が朦朧とする中、黒髪を覗かせるローブをした女性が私にそう言ってきた。

 

 

「貴女もスバルさんの大事な人なんですから、ここで死んでもらってはバッドエンドなんですよ。」

 

 

ローブの女性は私に近づいて穴が空いた左腹と火傷をした腕と火傷を見る。

 

 

「スバルさんに本気を出させて、かつ星武祭に影響を与える程の怪我を与えるとは私も驚きです。」

 

 

ローブの女性は怪我を見て大丈夫だと言うと、私を横にして星辰力を体に溜める。

 

 

「《コネクト》シンデレラ」

 

 

ローブの女性が一枚の栞を持ってそう言うと水色のベールを纏ったような姿になった。

 

 

「いくわよ。」

 

 

そう言うと私の怪我をした部分に両手を当てる。すると傷口から優しいオーラが流れて私の体を循環するようにしていく。私はその気もちよさに目を閉じた。

 

 

 

 

「よし、終わっ…寝ちゃったか。まぁ、スバルさんと激戦を繰り広げたから仕方がないか。」

 

 

能力を解除して元のローブの姿になると、ローブの女性はノエルを背中で支える。

 

 

 

「今回の出来事は《リ・ページ》をしても起こらなかった事態だった。もうここからは私にも分からないね。ただ、今回この子が頑張ったから恐らくグッドエンドには近づいているといいな。」

 

 

そう言って彼女はノエルを背中に抱えて、ガラードワースの方向に向かった。

 

 

 

 

 

 





今回は少々長めに書かせてもらいました。
前回の話でハーレム臭がする感じがしましたが、多分このままハーレムルート確定ですかね。
あと少しでこのシリアス章を終わらせて日常編を書いて、原作に移りたい予定です。
それではまた次回会いましょう。感想やコメントなども随時受けつけています。



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戦いの舞台はすでに………

10月は模試ばっかりでなかなか時間がとれませんね。そんな中ですがなるべく早く終わらせようとする私です。最近感想を見たのですがBadが多くて私の返信の書き方に問題があるのではないかと思っています。やっぱ短く書いた方が良いんですかね。だれか規則を教えてくれると助かります。


 

 

ノエルside

 

 

 

「…………んっ…………。」

 

 

私はふと眠りから覚める。目が少しずつ開こうとすると天井の照明の光が私の視覚を刺激する。

 

 

「ノエル!気がついたのですね!!」

 

 

私が目覚めると私の側にいたレティシア先輩が私に声をかけてくる。

 

 

「……レティシア先輩。ここは………」

 

 

私は周囲を見渡す。私はたしか再開発エリアの路地裏で意識を失ってしまったはずですが。

 

 

「ここは治療院ですわ。」

 

 

私の質問にレティシア先輩が答える。そうか私があの怪我から生きているのは治療院で治療したから……

 

 

「そう言えば私を助けてくれたローブの女性……。レティシア先輩、その人が私をここに?」

 

 

私が再開発エリアの路地裏で怪我をしている私を助けてくれた女性の話をレティシア先輩にする。

 

 

「いえ、違いますわよ。貴女は王竜星武祭(リンドブルス)前日にガラードワースの正門近くの裏庭の塀で倒れていましたの。足と手に火傷が少しありまして意識がありませんから私が見つけて治療院に連れていきましたの。そんな方は私は見ていませんが………」

 

 

私の質問にレティシア先輩は疑問を浮かべながらも当時の状況と経緯を私に伝える。

 

 

私はあの人がガラードワースに連れてきたのだと推測する。レティシア先輩は火傷は少ししかなかったと言うが、私の火傷は他人が見ても深刻なものだったはず。それに私は左腹を見ると致命傷だった左腹の傷は丸く貫かれたような跡だけが残り治療されていた。

 

 

私を助けてくれたあのローブの女性はいったい誰なんでしょう。いつかお礼がしたいです。

 

 

「そうですわ。ノエル、貴女ガラードワースの純星煌式武装を借りて壊したそうですわね。それに使った痕跡があると言うことは貴女孤毒の魔女(エレンシューキガル)とどこかでコンタクトをしてあのストラップを貰いましたわね。後で詳しく事情を聞きますわよ。」

 

 

レティシア先輩は私を睨み付けるように私を見る。多分このままお説教かな。それに後でオーフェリアさんにストラップを壊しちゃった事を謝らないと。

 

 

 

 

 

 

 

ガチャッ

 

 

私とレティシア先輩が話をしていると、私の病室のドアが開き、ある人が入ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく、貴女は無理しすぎです。」

 

 

 

「お、お母様!?」

 

 

病室に入ってきた人物は私のお母様でした。

 

 

「貴女が入院したと聞いて来たのですよ。」

 

 

お母様は私の方に近づく。

 

 

「話はブランシャールさんとフォースター家の御当主の方から聞きました。スバルさんの事でこんなことになったとか……。」

 

 

お母様はガラードワースの練習場の崩落事件からお兄さんがこれに関わっていること等知っている事を話した。よくよく考えたら私の家は統合企業財体と関わりはあまり持たないがEPの創始者のフォースター家と仲が親密なため、世間では事故と発表されているが、ガラードワースしか知らない今回の真実や情報も入ってきますね……。

 

 

「ところで怪我は大丈夫ですか?」

 

 

「はい、お母様。少々お腹に傷はまだありますが…」

 

 

「……ノエル。ちょっと傷を見せてみなさい。」

 

 

「えっ?は、はい。」

 

 

私はお母様に左腹の傷を見せる。

 

 

 

「………ふふっ……この傷なら……」

 

 

お母様は私の傷を見て不気味そうに笑う。この顔は何か変なことを考えている顔である。

 

 

「もう大丈夫よ。しまっていいわ。」

 

 

お母様にそう言われ私は左腹を隠す。

 

 

 

 

 

 

 

 

私は今までレティシア先輩やお母様に心配され忘れていたが、私は重要な事を思い出した。

 

 

 

 

「お母様、今日は何日ですか?」

 

 

私はレティシア先輩が言うにはずっと意識を失っていたそうだ。搬送されたのが星武祭の前日だから今日はまだ予選を行っているだろうか。

 

 

「………それはですね。………」

 

 

お母様は言いづらそうにしている様子だった。

 

 

「ノエル、テレビをつけますわ。」

 

 

レティシア先輩は言いづらそうにするお母様のために今が何日かを知るためテレビをつけようとする。

 

 

 

そこに映っていたのは……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ネイトネフェル選手校章破壊(バッジブロークン)!!』

 

 

 

『準決勝に駒を進めたのはオーフェリア選手!!』

 

 

 

実況をしている方が生放送でオーフェリアさんの準決勝入りを速報するテレビだった。

 

 

「ちなみにこの試合は準々決勝最終試合ですわ。もう他のベスト4入りは決まりましたの。」

 

 

私はその事をまだ受け止められない。たしか星武祭は2週間かけて行われるはず…………

 

 

「ノエル、貴女は約2週間意識を失ってたのよ。」

 

 

お母様は私に寝ている中で長い時間が経過していたという現実を突きつける。

 

 

 

 

私が呆然としていた間、テレビでは明日の試合について話していたが内容が頭に入ってこなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 




急展開すぎましたかね。いくら急いでいるとは言えこれはないだろうと思う人が多分いるでしょう。
マジすいませんでした。
来週からはついにスバル達が激突する物語の後半戦を迎えます。私の推測で10話以内には完結するでしょう。それではまた次回会いましょう。感想等も受けつけています。


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ベスト4の決定と唐突すぎる通達

 

 

 

 

シルヴィアside

 

 

 

『ネイトネフェル選手校章破壊(バッジブロークン)!!」

 

 

『準決勝に駒を進めたのはオーフェリア選手!!』

 

 

選手用の控え室で私はオーフェリアさんと私と同じ学園のネイトネフェルの試合を見ていた。実況者の勝者を告げるアナウンスがここでも直接聞こえる。

 

 

「オーフェリアも無事に準決勝まで進むことができたようだな。」

 

 

私にそう話しかけるのはオーフェリアさんの前の試合で準決勝に進んだラン君だ。

 

 

今この控え室にいるのは準決勝に進むメンバーだけである。ただこの控え室にいるのは私とラン君しかいない。もう一人の人物は先にどこかに行ってしまって、ここにはいない。誰かはもう分かるだろう。

 

 

「私、オーフェリアさんの所に行くね。」

 

 

私は無事に準決勝に進んだオーフェリアさんの所に行こうと控え室を出ようとする。

 

 

「なら、俺も行こうか。」

 

 

ラン君も私と控え室を出ようとする。

 

 

「うん、分かった。」

 

 

こうして私とラン君は控え室を出て、試合を終えたばかりのオーフェリアさんの所に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

…………………………………………

 

 

 

……………………………………………………………

 

 

 

 

 

選手専用通路にて

 

 

 

 

「オーフェリアさん!」

 

 

「…………シルヴィ。」

 

 

私は控え室を出てオーフェリアさんを迎えに行こうとするとその途中の通路に彼女はいた。どうやら彼女は誰かと話していた様子だったが、その人物は私にとっても意外な人物だった。

 

 

 

「……………っ!!シルヴィア………」

 

 

 

オーフェリアさんと話していたのは先程の試合でオーフェリアさんと戦ったクインヴェール序列2位のネイトネフェルだった。たしか彼女は前回の王竜星武祭でオーフェリアさんに負けてから彼女に対してライバル意識を持っていたはず。そもそも私が知らないだけかもしれないが、他校の生徒と話すことすら珍しいことだった。

 

 

「やぁ、ネイトネフェル。さっきのオーフェリアさんとの試合凄かったよ。」

 

 

「ふん、お主に褒められても嬉しくないわ。」

 

 

私がネイトネフェルさんの先程の試合を素直に褒めようとすると、ネイトネフェルはそっぽを向いてしまう。私も彼女とは序列上位者同士たまに会うけど、やっぱり私にもライバル意識を持っているから嫌われているのかな。

 

 

「…さての、敗者は先に帰ることにしようかの。」

 

 

ネイトネフェルはそそくさと帰ろうとする。

 

 

「……ネイトネフェル。オーフェリアさんと何を話していたのかな?珍しいじゃない。」

 

 

私はネイトネフェルとすれ違う際に彼女に対して質問をしてみた。

 

 

「……些細な事よ。ただ彼女は前回の王竜星武祭に比べて雰囲気が変わったと思ったから話して見ただけよ。わらわも前は彼女がわらわの踊りを見ても何も感じないから不気味さと腹立たしさを感じていたが、今回は違っての。わらわの踊りに感じる所もあれば、しっかりと意志のこもった攻撃だったわ。彼女にも人間らしい一面もあるようじゃの。やはり悪辣の王(タイラント)から解放されたのが大きいかの。」

 

 

 

どうやらネイトネフェルは今回オーフェリアさんと戦って彼女に好感を抱いたらしい。どうやら次の王竜星武祭も出場するのかも彼女に聞いていたらしい

 

 

 

「もちろん、今回は戦えなかったが、お主とも次の王竜星武祭では戦うつもりだ。」

 

 

ネイトネフェルは私に宣言をする。

 

 

「その時は私も負けないからね。」

 

 

私はその宣言に返答をする。

 

 

「………そうそう。お主ら三人とも忠告をしておこう。お主らとも浅くない縁を持つ霧咲とやら、あいつはかなりやばいの。ペトラ理事長からも聞いていたが優しい所等どこにもないわ。まるで戦いでしか欲を満たせない怪物だな。もしわらわだったら………ライブの事もあるが、少なくとも彼との試合は棄権するだろう。」

 

 

ネイトネフェルは私達三人に忠告をする。彼女から見てもスバル君のヤバさは分かるらしい。

 

 

「………親切にありがとね。ネイトネフェル。」

 

 

私は彼女に静かにお礼をする。

 

 

「………お主らの戦いを楽しみにしておこうと言っておこう。シルヴィアも彼との関係はペトラ理事長から聞いているが、無理はするなよ。」

 

 

ネイトネフェルはそう言って私達に背を向けて帰ろうとする。

 

 

「……だそうだが、戦うよな。」

 

 

ラン君は先程の忠告を気にして私達に訊ねる。

 

 

「もちろん、スバル君のためならね。」

 

 

「…………当たり前じゃない。」

 

 

私とオーフェリアさんはそれに返事をする。

 

 

「だよな。ただ準決勝ではこの中の誰かとお互いに潰しあってしまうんだよな~。」

 

 

ラン君はその事に頭を悩ませる。私も考えていたが私達は仲間といってもこの中の誰かはスバル君と戦い、もう二人はお互いに無益な潰し合いをしてしまう。私達もその事に頭を悩ませていると……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

「皆さん、ここに居ましたか。」

 

 

 

星武祭のスタッフが私達を見つけると、息を切らして私達の方に向かって走ってきた。

 

 

「ど、どうしたんですか?」

 

 

私はスタッフの人に訊ねる。

 

 

「実は大会側から皆さんに………」

 

 

スタッフの人は私達に通達の紙を渡すと、私はそれを見た。そこには信じられない内容があった。

 

 

「おいおい、正気かよ。」

 

 

ラン君達も動揺が隠せないようだ。

 

 

「………でもこれが本当なら。」

 

 

オーフェリアさんの言う通りこれが本当なら私達は互いに潰し合わなくていいかもしれない。

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

???side

 

 

 

『おい、これはどう言うことだ?』

 

 

無人の通路で待機をしていると怒声に近い不機嫌そうな赤い豚さんの声がグループ通話を通して響き渡る。

 

 

『おや、不機嫌だね。悪辣の王(タイラント)。』

 

 

通信機越しに《処刑刀》が対応する。

 

 

 

現在、私は彼らの命令に従って会場近くで待機をしていた。ウルスラは今回は不在で、赤い豚さんは一応会長なのでレヴォルフ側の応援席に居て、主犯の《処刑刀》は表側の仕事があって忙しいそうだ。

 

 

『ならばこの放送は何だ!!』

 

 

彼は今現在、会場内で流れる放送を指摘する。

 

 

『私が統合企業財体の皆さんに提案をして可決した結果だよ。彼らは利益にしか目がなくてね。』

 

 

『そうじゃない。てめぇがなぜこのような事をしたの聞いてるんだ!!目的を教えろ!!』

 

 

通信機で二人の会話が白熱する。

 

 

『それは効率を考えてかな。私達はスバル君に彼らを利用して覚醒をしてもらう。そして彼らがスバル君と戦い瀕死になればラン君が持つ最後の《十二宮シリーズ》も回収できるし、今後の障害になるであろう彼女らも一緒に消すことができる。一石三鳥じゃないか。』

 

 

『………この前のガラードワースの崩落といい、あいつはまだ覚醒してないのか?』

 

 

『まだまだだね。私達は世界を変えるんだよ。欧州の時位とかだったら意味がないだろ。』

 

 

『チッ。分かったよ、てめぇの目的はよく分かった。後は邪魔が入らなければいいがな。』

 

 

『その辺は《再編の魔女》がやってくれるから大丈夫だよ。それじゃ私は忙しいから。』

 

 

そう言って《処刑刀》は通信を切る。

 

 

『だそうだ。そっちは頼んだぞ。』

 

 

悪辣の王も通信を切った。

 

 

 

 

 

 

さてと、私も動きますか。ただ実際《リ・ページ》をしてもこんな事は起こらなかった。私も未来がどうなるかはもう分からない。

 

 

(これはチャンスよ。見逃す訳にはいかないわ)

 

 

私はそう思って未来への布石を計画するために大会会場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

リーネside

 

 

 

「そうですか、これは私も急がないと」

 

 

私は星武祭のニュース画面を閉じる。

 

 

「丹波さん、ここからアスタリスクまで最速だとどのくらいで着くのですか?」

 

 

「恐らく、明日の夕方位ですかな。」

 

 

「ギリギリね。分かったわ、今すぐ私はアスタリスクに向かいます。飛行機を手配してください。」

 

 

「かしこまりました。」

 

 

丹波さんに命令をすると、私は再び星武祭のニュース速報の動画を視聴する。

 

 

「早く私も皆のために向かわないと。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ニュース速報です。本日星武祭のベスト4入りが決まりましたが、大会側からの可決の下、準決勝は無くなり明日の15時から4人によるバトルロワイヤル形式による決勝戦が行われます。繰り返し…………』

 

 

 

運命の分岐点は突如、星武祭前代未聞の出来事により早く迎えようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




急に決勝戦ですみません。決して手抜きではございません。というわけで物語も終盤です。
私も早くこの章を終わらせて日常編が書きたくてうずうずしています。それではまた次回会いましょう。感想お待ちしています。


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決戦前夜


三日近く放置して申し訳ありません。実は模試が二回ありまして、来週には中間テストが控えているため学業の方に専念させていただきました。10月には終わらせると言っときながらなんか終わらない気がしてきました。まだ不定期更新は続きますが時間が空いたら書いていくので宜しくお願いします。

後、10000UA達成しました。読んでいただいた皆さんありがとうございます。


 

 

 

シルヴィアside

 

 

「まさか私達の準決勝が無くなって明日すぐに決勝戦を行うなんて信じられないよね。」

 

 

「だけど、シルヴィアさん。これは俺達には都合が良いですよ。バトルロワイヤル形式なら俺達は互いに潰し合いをせず、スバルに集中できますよ。」

 

 

私はラン君達と明日の決勝戦についての事とスバル君を倒す作戦を話し合っていた。

 

 

「あ、あの。明日は皆さん決勝戦なのに私のために来ていただいてなんか申し訳ないです。」

 

 

ノエルちゃんは私達に申し訳なさそうにする。実は今、私達は作戦会議を目が覚めたノエルちゃんをお見舞に行くのを兼ねてノエルちゃんの病室に来ていた。

 

 

「気にしないでよ。星武祭前日から今日までずっと目が覚めなかったからずっと心配してたんだよ。」

 

 

「そうだな。ノエルちゃんがまさかスバルと戦った事には俺もびっくりしたんだ。心配したんだぞ。」

 

 

「………ノエル、ストラップの件は仕方がないわ。ただ今は体を休めなさい。私達がスバルを倒したらまたストラップを作ってくれるように頼むから。」

 

 

私達はノエルに対して気にすることはないという事を伝えた。二週間近く寝ていたノエルちゃんを心配しない人なんてこの中にはいないだろう。

 

 

「そう言えば、入院していたアーネストさん達はもう大丈夫なの?」

 

 

私はラン君に訊ねてみた。

 

 

「ああ、レティシアさん曰くまだ安静にしてなきゃダメだけど、動ける位にはなったから今朝ソフィアさんが来て、退院の手続きをしたらしい。」

 

 

「そっか、良かった。」

 

 

今回の星武祭ではソフィアさんも出場していたが、アーネストさんの事もあったのであろうか、予選で敗退してしまった。昔はクインヴェールでも上位の実績があったのだが、今では過去の栄光であり、ここ最近の序列戦でもあまり良い結果を残していない。原因はあるトラウマと言われているけど、私としてはこれからどうするか同じ学園の生徒としてソフィアさんのことが心配である。

 

 

 

私達はその後、ずっと眠り続けていたノエルちゃんを交えて、ノエルちゃんが寝ていた間に何があったか等を色々と一時間程話していた。

 

 

 

………………………

 

 

 

………………………………

 

 

 

…………………………………………

 

 

 

 

 

 

「………さてと、ここからは明日の決勝戦について話をしよう。実際少しだけだったかもしれないがスバルの全力を体験した人物が目覚めたことだしな。」

 

 

そう言ってラン君はノエルちゃんの方を見る。

 

 

「………ノエルちゃん、実際に全力のスバル君と戦って個人的にはどう思った?」

 

 

私はノエルちゃんに向いて訊ねる。

 

 

「…………凄く強かったです。全力を出す前はそこそこ余裕を見せていたような感じがあったんですけど、ダブルブレイヴをして全力を出した瞬間、星辰力が上がっただけでなく、お兄さんの戦い方も容赦がない感じに変わりました。」

 

 

ノエルは淡々と当時の状況を振り返る。

 

 

「…………確かにスバルならノエルにもこんな事はしないわ。ジークヴルム・ノヴァを使っていた頃だって代償によって人を傷つけなきゃいけなかった場合でもここまで怪我を負わせるような戦いはしなかったもの。」

 

 

オーフェリアさんがかつてのスバル君の戦い方を今と比べてそう言うとラン君は頷く。

 

 

「オーフェリアの言う通りだ。それにファムさんが言うにはあのまま使い続けると本来のスバルの自我が失われてしまうらしい。早くどうにかしないと…」

 

 

ラン君は深刻そうな表情で話をする。

 

 

「…………けど、私達にはノエルのおかげで勝率が上がったように思えるわよ。今日の準々決勝だって疲れているような感じが見られていたわよ。」

 

 

「それは私も思ったかな。」

 

 

オーフェリアさんが今日のスバル君の試合を見て感じたことに私も共感するように頷く。

 

 

「皆もそう感じたのか。実は俺もこれまでのスバルの戦いを見て疲労が見られる所がいくつかあってな。それにブレイヴ煌式武装には少し反応が遅い部分が見られた。恐らくまだノエルちゃんとの戦いの疲れが深刻でまだ取れていないかもしれないな。それにブレイヴ煌式武装はシェインさんにしか調整ができない。」

 

 

「つまりスバル君を倒す鍵はそこっていうこと?」

 

 

私はラン君に訊ねる。

 

 

「そういうことです。ノエルちゃんが星武祭前日に戦ったおかげで疲れを直す時間が足りなかったんだ。それに選手は出場中は治療院を使用した回復はできないし、シェインさんの所にも調整には来てないそうだ。」

 

 

「本当ノエルちゃんのおかげだよね。」

 

 

私がそう言うとノエルちゃんは照れた様子を見せる

 

 

「………けど、相手はスバルよ。いくらコンディションが悪くて私達三人が相手をしても確実に勝てるとは言えないわ。それにノエルに本気を見せたのは少しだけであってまだ何か隠している可能性だってあるのよ。」

 

 

私が勝ち目が見えてきて嬉しそうな様子をしていると、オーフェリアさんは私に注意を促す。

 

 

「…………大丈夫だよ。その辺はちゃんと理解してるよ。私にも優勝しなきゃいけない理由があるから。」

 

 

私がそう話すとオーフェリアさんとラン君は少し離れて小さな声で話をし始めた。

 

 

「……なぁ、これってあれだよな。優勝したら付き合うって感じの雰囲気だよな……」

 

 

今更って感じはするわよね。ただこれはこれで私達も勝たなきゃいけない理由が増えたわね……」

 

 

「あの、二人ともどうしたの?」

 

 

私が二人に声をかける。

 

 

「いや、何でもないな。」

 

 

「……気にすることはないわ。」

 

 

私が声をかけると、二人は何事もなかったかのような雰囲気で私に返事をする。本当に何だろ?

 

 

「まぁ、とにかくだ。明日で全てが決まる。明日はただ全力を出すのみだ。治療院の面談時間もそろそろだし、今日はこのくらいで明日に備えよう。」

 

 

「………そうね。」

 

 

「そうしようか。」

 

 

ラン君の提案に私とオーフェリアさんは賛成する。

 

 

「じゃあ、ノエル。またな。」

 

 

「………お大事に。」

 

 

「おやすみなさい。ノエルちゃん。」

 

 

「皆さんも頑張ってください。」

 

 

ノエルちゃんに対してそれぞれが挨拶をしてノエルちゃんの病室を出る。

 

 

 

その後はそれぞれが各学園の寮に戻って、私も自分の部屋に帰って夕食を済ませてお風呂に入っていつもより早めに私も就寝した。

 

 

 

 

運命の日はすぐそこまで迫っていた。

 

 

 

 

 

 








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運命のバトルロワイヤル

グリムノーツアニメ化が2019年の1月とか私を含めた受験生を殺しにきてるんじゃ~。しかも、追加キャストの中にカーリーさんいるとか普通に原作の第八章位までやるのかな?普通に嬉しいんじゃ~。このまま私の大好きなファムさんまで出てきてくれると神作ですね。


シルヴィアside

 

 

 

~~~~~~~~~!!!!

 

 

 

私達四人が決勝戦の戦いの場であるシリウスドームの舞台に上がると、観客の歓声が沸き上がる。

 

 

 

『さぁ、長かった王竜星武祭(リンドブルス)もついに決着を迎えようとしています。決勝戦の実況は皆さんお馴染みの私、梁瀬 ミーコと解説はチャムさんで最後までこの試合をお送りしま~~~~す!!』

 

 

『皆さんよろしくッス。』

 

 

 

~~~~~~~~~!!!!

 

 

実況のミーコさんと解説のチャムさんが挨拶をすると、会場に再び歓声が湧く。

 

 

 

『さぁ、チャムさん。今回の王竜星武祭(リンドブルス)は異例の決勝戦での4人によるバトルロワイヤルとなりましたがいかがですか?』

 

 

『そうッスね。まず4人共に高い実績と実力を持っていますから目が離せないっス。また今回はバトルロワイヤルという事もあり、一人に対して多勢で仕掛けることもできますから私も優勝者はなかなか予想出来ないッス。』

 

 

『成る程。ではそんな予想が難しい中、観客の皆さんと共に選手の情報を確認していきましょう。』

 

 

 

ミーコさんがそう言うと、シリウスドームの大きなパネルから私達の戦う映像が流れ出す。

 

 

 

『まず、紹介するのは一昨年の鳳凰星武祭(フェニクス)で入学さながら優勝を飾った三条ラン選手!』

 

 

『今シーズンのガラードワース総合優勝を導くきっかけを作った大物ルーキーっスね。その実力は≪銀翼騎士団≫に入ってもおかしくない位強いッス。』

 

 

『今回の大会では以前使っていた純星煌式武装である《ルナテック・ジークヴルム》は使わず、新たな純星煌式武装である拳型の《ストライクヴルム・レオ》を使用しての参加です。ラン選手には目新しい感じはしますが、素手での戦いも一流なのはこれまでの試合が証明しています!』

 

 

『でもミーコさん。ラン選手だけを贔屓に紹介しちゃだめッスよ。もう一人ガラードワースの大物ルーキーがいるじゃないっスか。』

 

 

『チャムさんの言う通りです。今大会には皆さんも知っているもう一人のガラードワースの大物がいますね。ですが、その方は後にして次はこの選手を紹介しましょう。』

 

 

ラン君の映像が途切れると、今度はレヴォルフのエンブレムの映像が流れ始めた。

 

 

 

『続きまして紹介するのは、昨年悪辣の王(タイラント)から解放されて彼女は何のために戦うのか?前回王竜星武祭(リンドブルス)の覇者オーフェリア・ランドルーフェン選手!』

 

 

『彼女もまた優勝候補であり、これに勝てば王竜星武祭(リンドブルス)二冠達成となる人物ッス。当初彼女はダイバーシティで療養するため今大会にも欠場の意識を示していましたが、エントリー締め切り間際に参戦の意思を示したという情報があるッス。』

 

 

『今大会において彼女は未だ瘴気を使うような場面は見られず穏やかな戦い方をするようにはなりましたが、彼女の持つ純星煌式武装はとんでもないものです。彼女の持つ純星煌式武装《ダークヴルム・ノヴァ》はダイバーシティで危険すぎるため凍結封印をされていた一品で、今大会でもその純星煌式武装による攻撃は凄まじいもので、ダイバーシティ側曰く所有している純星煌式武装でもトップレベルのスペックを持っているそうです。』

 

 

『鬼に金棒とはこのことっスね。今回は気が引けない戦いなので瘴気を使うと思いますが、他の選手達はどうやって戦うのかが気になる所ッスね。』

 

 

『そうですね。ではオーフェリア選手の紹介はこの辺にして次の選手の紹介に移りましょう。』

 

 

ミーコさんがそう言うと、オーフェリアさんの映像が消えてクインヴェールのエンブレムが映る。

 

 

 

『さぁ、次は皆さんもご存知、世界のトップアイドル!シルヴィア・リューネハイム選手!』

 

 

私はそう言われると、周りに手を振った。

 

 

『彼女は王竜星武祭(リンドブルス)に絞っているため今大会が初めての星武祭なのですが、魔女(ストレガ)の歌の能力により万能のため汎用性が高く、今回の決勝戦ではダークホースのような立ち位置っスね。』

 

 

『また、彼女は能力に頼るだけでなく、剣術や射撃等煌式武装を使った彼女のバトルセンスも優れているため、非の打ち所がない完璧超人です。』

 

 

『ここまでラン選手達はそれぞれ純星煌式武装を持っていましたが、彼女も何かを隠しているように煌式武装で戦ってきたように見えたっス。決勝戦で明らかになるのは確実だと思うっス。それにしてもシルヴィア選手といい、オーフェリア選手といい、魔女でありながら純星煌式武装が使える人が多くないっスか?。本来、そんなことができるのはアスタリスクの歴史でも数える位しかいないのに……』

 

 

 

私はそれを聞いて少し冷や汗を垂らす。いや、それ本当はチートレベルの所業なんだよな~。だからって、スバル君のストラップの事を話したら多分、アスタリスクの歴史が大きく変わっちゃうし、しゃべれないんだよな~。

 

 

 

『まぁ、チャムさん。それはそれで凄いことだと思うんですが、そろそろ最後と行きません?』

 

 

『そうっスね。じゃあ次に行くっス。』

 

 

 

私は思わずその話が深堀りされるかと思ったが、ミーコさんの進行でされずに済んだ。よかった~。

 

 

私がそう考えると、映像の画面は変わり、ガラードワースのエンブレムが映り出す。

 

 

 

『さぁ、最後です。今大会最有力候補であり、グランドスラムへのゴールが目前の大物ルーキー、霧咲スバル選手!』

 

 

 

~~~~~~~~~~!!!!!!

 

 

 

スバル君の紹介が始まると、観客はまだ試合が始まっていないのに最高潮のような盛り上がりだ。

 

 

 

『出たっスね。グランドスラム候補。彼の強さは確かにバケモノ級っス。しかも彼は今大会のために新しい純星煌式武装をこしらえたとか。』

 

 

『はい、霧咲選手が今大会使う純星煌式武装は《サジット・アポロニクス》というもので、弓や剣にもなる万能型タイプの純星煌式武装です。しかも、彼は新型のブレイヴ煌式武装を取り付けることでパワーアップもできる万全の体制で今大会に望んだと思われます。彼に勝つのは至難の極めるでしょうね。』

 

 

 

 

 

 

 

「久しぶりだな、三人とも。」

 

 

スバル君が私達に話しかけてきた。

 

 

「ああ、本当だよ。お前は開会式や試合が終わるとすぐどこかに行くからな。ダメージが蓄積しているところを他人に見られたくなかったのか?」   

 

 

「っ!!」

 

 

ラン君が挑発すると、スバル君はそれに反応する。

 

 

「………ああ、そうだよ。俺のコンディションは最悪さ。だが解説らが言うように俺を倒すのは至難を極めるそうだぜ。やってみろよ、ラン、オーフェリア、()()()()()。」

 

 

ああ、スバル君はここまで変わっていたなんて……。私は嫌だな、もうシルヴィと呼んでくれないスバル君なんて。だから私は………

 

 

 

 

 

 

「…………うん。私は全力でスバル君を倒す。今すぐ解放してあげるから待ってなさい。」

 

 

私はスバル君に宣言をする。

 

 

「………ノエルの時より心が踊る戦いを楽しみにしてるよ。後ろの二人もね。」

 

 

スバル君はそう言うとラン君達を見る。

 

 

 

『さぁ、紹介も終わったところで、決勝戦を始めようとしましょうか。」

 

 

ミーコさんがそう言うと、私達は等間隔に離れて、煌式武装を構える。

 

 

 

 

 

『それでは皆さんお待たせしました。決勝戦のスタートです。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『スタート・オブ・ザ・デュエル!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「やぁ、ヴァルダ君。準備はいいかい?」

 

 

処刑刀はヴァルダに話しかける。

 

 

「今の所はな。まさかあのシャビからもらった赤い薬を撃ち込む役目が私とはな。」

 

 

「まぁ、あの赤い薬は生産コストが高いから注射器型の銃弾に込めても一発なんだよね。幸い、君の体の持ち主は射撃にも精通してたからそこはね。」

 

 

「仕方がない。私も早く動くのは厳しいががんばってみよう。合図はお前に任せるぞ。」

 

 

そう言ってヴァルダはガンケースを持つ。

 

 

「ああ、《再編の魔女》にもなるべく《再編》が行えるように連絡をしておこう。」

 

 

処刑刀はそう言ってヴァルダから離れる。

 

 

 

 

「ふふ、あと少しだ。計画が上手くいけば《再編》と《調律》で私の望む世界の完成だ………。」

 

 

 

 

 

大会の裏では闇の計画が動き始めていた。

 

 

 

 

 

 

 






ついに決勝戦を始める事ができました。残りの話もあと数話を予定しています。戦闘シーンはなかなか1日では描けないため間が空くかもしれませんがよろしくお願いします。コメントやアドバイスも受け付けています。


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グランドスラム候補の攻略


高3の中間テストって楽ですよね。なぜならセンター試験対策のため全てがマークだからです。


 

 

 

『スタート・オブ・ザ・デュエル!!』

 

 

 

ついに試合開始の合図が鳴らされた。

 

 

 

「いくぞ!!スバル!!」

 

 

試合の合図が鳴った瞬間、ラン君は脚の脚力を使って素早くスバル君の元に拳を当てに行く。

 

 

「…………やはり、速いな。俺も最初から少々本気を出していこうか。守れ!シャイン・ブレイザー!」

 

 

スバル君はいつの間にかブレイヴ煌式武装を使用しており、具現化した六枚羽がラン君の前に現れる。

 

 

「させないよ!」

 

 

私はいつも使う煌式武装《フォールクヴァング》を銃の形に変えてそれらを射撃する。

 

 

 

バシュッ!バシュッ!バシュッ!

 

 

 

「ちっ!」

 

 

ラン君は六枚羽が撃ち落とされたことを理解すると、そのままラン君の攻撃を避けようと後退する。

 

 

私が撃ち落とした六枚羽も再起するのが遅い。やはりノエルちゃんの戦いでブレイヴ煌式武装も消耗しているのだろう。

 

 

「…………私を忘れないで頂戴。」

 

 

すると、私とラン君でスバル君に攻撃の一手を加えようと奮闘していると、オーフェリアさんが気配を殺してスバル君の死角から純星煌式武装による攻撃を仕掛けようとする。

 

 

「ぐっ!!」

 

 

 

 

ガギイィィィィィィィィン!!

 

 

 

スバル君はそれを純星煌式武装でオーフェリアさんの攻撃を防御する。純星煌式武装同士がぶつかり合う鈍い音が会場に響き渡る。

 

 

「なんて強さだ。」

 

 

スバル君はオーフェリアさんの攻撃に耐えきれなくなり始め、両手を使って防ごうとする。

 

 

「吹き飛べ!銀獅子の拳(シルバージャブ)!!」

 

 

ラン君はその隙を突いてスバル君を吹き飛ばす。ラン君の一撃がスバル君の体に直撃する。

 

 

 

『おっーーーと。ここでついに霧咲選手に三条選手による一撃が初めて決まりました。』

 

 

『今の状況は霧咲選手に対して三人で連携して戦っている感じっス。恐らく三人でないと、霧咲選手という敵を倒せないと判断したんでしょう。』

 

 

 

「ちっ。なかなかやるな。お前らが三人で仕掛けてくるなら俺も容赦はしないぞ。」

 

 

スバル君は攻撃を食らった部分を押さえると、純星煌式武装を弓の形にして構える。

 

 

「サジッタ・フレイム!!!」

 

 

スバル君が空に向けて一本の火の矢を射つと、それは分離して観客席にも雨のように降り注ぐ。観客席には一応、ガラードワースの練習場より強度が強い障壁が張られていると思うが、私達も正直心配する余裕があまりない。

 

 

「デルタバリア!!」

 

 

ラン君は私達を守るように大きな魔方陣を空に作り出し、バリアで火の雨を回避する。

 

 

反射の音律(エコー・メロディー)!!」

 

 

ラン君がバリアで私達を守っている間、私は歌を歌って能力を発動させる。私はその能力をバリアにエンチャントをするようにした。

 

 

すると、私達を守っているバリアはスバル君の火の矢が当たる度に吸収し始め、火の雨が止む頃にはバリアは赤いオーラを纏っていた。

 

 

「発射!!」

 

 

私は再び能力を起動し始めると、赤いオーラを纏ったバリアからスバル君に向けて火の雨がカウンターのように容赦なく放たれた。

 

 

「ぐうぅぅぅぅぅ!!」

 

 

スバル君にそれが被弾をして、スバル君の周りに黒煙と爆風が吹き荒れる。

 

 

「ちっ。クソがっ!!」

 

 

黒煙が止み始めると、スバル君がイラついたような表情をして私を睨んでくる。

 

 

「睨んでいる暇はお前にはない。とっとと倒れて俺達が知るスバルに戻ってくれるかな。」

 

 

「…………ランの言う通りよ。」

 

 

だがスバル君には隙も与えず、黒煙の中からラン君とオーフェリアさんが攻撃を仕掛ける。

 

 

「ブレイヴ煌式武装ホーク・ブレイカー装着。ブレイヴ煌式武装最大出力!!」

 

 

ラン君は新たなブレイヴ煌式武装を装備した。するとラン君の背中に翼が具現化され、素早さが向上し、その勢いでスバル君の腹に一撃を食らわす。

 

 

「ぐはっ!?」

 

 

スバル君はラン君の一撃を食らって吹き飛ばされるかと思ったら、そうはならなかった。なぜならオーフェリアさんがスバル君を瘴気で作った腕みたいなもので捕まえていたからだ。

 

 

「……まだよ。塵と化せ(クル・ヌ・ギア)!!」

 

 

オーフェリアさんはそのままスバル君を瘴気で蝕みながら、彼をそのまま地面に叩きつける。

 

 

「やったか?」

 

 

「…………いえ、まだよ。乗っ取られているとは言え、スバルには《調和》があるからあまり瘴気が効いていないと思うわ。」

 

 

私達はスバル君の動きに警戒をする。

 

 

「………ハハハ。実にいい攻撃だったよ。このままだと俺は負けるかもね。だけど、俺は戦いは好きだけど、負けるのは嫌いだからさ。本気を「出させる前に俺達がお前を倒してやる。」おっと!?」

 

 

オーフェリアさんの言う通り、スバル君には猛毒な瘴気が効いておらず、まだピンピンとしている。ラン君は躊躇わずスバル君に再び攻撃を仕掛ける。

 

 

「おいおい、必死だなラン。」

 

 

「ああ、お前が元に戻るなら何も躊躇わないさ。例えこれが俺の最後の戦いになってもな!!」

 

 

スバル君はラン君の拳による攻撃を純星煌式武装で一つずつ防御する。ラン君の攻撃速度は私達の中ではトップクラスなのに、それに対応することができるスバル君はバケモノだと改めて感じる。

 

 

狂乱の交響曲(エキサイト・フォルテッシモ)!!」

 

 

だけど、私達三人は同じ目的を持つ仲間である。私はラン君に攻撃速度と攻撃力の向上をする歌を歌って能力を飛躍させる。

 

 

「ハアッッ!!」

 

 

ラン君は能力により攻撃速度が上がり、ラン君の拳がスバル君の顔面にヒットして吹き飛ばす。

 

 

「………ブレイヴブレイク!!」

 

 

さらにそこをオーフェリアさんが待ち構えるように純星煌式武装を構えてオーフェリアさんはスバル君の純星煌式武装を狙って攻撃をする。

 

 

ドゴォォォォォォォォォォォォン!!

 

 

すると、スバル君のブレイヴ煌式武装にヒビが入り、そのまま会場の壁に叩きつける。

 

 

『ここまで霧咲選手に対して一方的に攻撃を仕掛けてきましたが、霧咲選手に勝機はあるのか?』

 

 

ミーコさんの実況を静かに聞きながら、私達はスバル君に対して警戒を続ける。もしここで倒れたらスバル君の純星煌式武装に私かオーフェリアさんの持つストラップによる《調和》で外からスバル君を乗っ取った原因を取り除くことになってるが、もし倒れていなかったらそのまま戦闘は続行である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………もうやめだ。周りのことなんか気にするものか。俺がこの楽しい戦いでは勝つんだよ!!」

 

 

私達はそれを聞いて攻撃体勢になる。

 

 

 

「くそっ。親友ながらタフな奴だ。」

 

 

ラン君は再び突撃しようとする。

 

 

 

すると、スバル君の方から火炎放射機のように炎のブレスが私達や私達側の観客席に放たれる。

 

 

 

キャアァァァァァァァ!!!!

 

 

 

観客席からは悲鳴が上がる。すると、そこにはヒビが入った防御障壁が私の目に入る。

 

 

「なんだ一体!?」

 

 

先に突撃をしたラン君は先程の攻撃をなんとかかわしており、私達の場所まで後退をする。

 

 

「………さぁ、ここからは俺も本気を出してやるよ。ノエルの時みたいにすぐ倒れるなよ。」

 

 

私達は未だかつて感じたことのないスバル君の星辰力の上昇を感じる。

 

 

「バーニング・サン。ダブルブレイヴ煌式武装装着。最大出力フルパワー。」

 

 

スバル君はノエルちゃんが見たというもう1つのブレイヴ煌式武装を装着し、六枚羽もスバル君の元に集まり、背中に再び取り付けられる。

 

 

 

 

これがスバル君の本気………………

 

 

 

 

「さぁ、ここからだ。」

 

 

 

スバル君がそう言って純星煌式武装を振り回すと、私達の周りは火の海となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「素晴らしい。これが彼の本気というわけか。この星辰力なら計画に支障はないな。早くその力を私に見せて、彼女らを始末してくれるかな。」

 

 

 

ある場所ではスバルの星辰力の高まりを感じ、赤い剣型煌式武装を持つ男はそれを見て笑っていた。

 

 

 

 

 

 



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僅かな勝機

今回の話ですが、バトスピブレイヴのアニメを見ないと分からないネタが少々含まれています。
分からない人やアニメを見てない人には申し訳ございません。




 

シルヴィアside

 

 

 

「さぁ、ここからだ。」

 

 

火の海となったステージでスバル君は告げる。

 

 

「これがスバル君の本気…………」

 

 

「……これは私でもバケモノだと思うわ。」

 

 

私とオーフェリアさんはスバル君の本気の強さを見て愕然としている。

 

 

「……だけど、スバルに本気を出された所で怖じ気づくわけにはいかないな。気を引き締めていくぞ。シルヴィアさんはまだここぞという時まで純星煌式武装を起動はしないでください。」

 

 

「うん、分かった。」

 

 

私達は再び煌式武装を構える。

 

 

 

「………ハアッッ!!」

 

 

オーフェリアさんは先陣をきって、ダークヴルム・ノヴァの白い翼を背中に具現化させて、空中から黒い光弾を翼から放つ。

 

 

「私も!!」

 

 

私もオーフェリアさんに続くように煌式武装を銃の形にして光弾を連発する。

 

 

「数で攻めろぉぉぉぉ!!」

 

 

ラン君も拳に力を込めて拳から白い衝撃波を絶え間なくスバル君に向けて撃ち込む。

 

 

空と地上からスバル君に向けて無数の攻撃が放たれる。逃げ場はないはず………

 

 

 

 

 

「サジッタフレイム!!」

 

 

スバル君がそう叫ぶと、スバル君は私達の攻撃を意図も簡単に全てを撃ち落としていく。

 

 

「何だとっ!?」

 

 

ラン君は驚きの表情を見せている。

 

 

 

「おいおい、そんな暇はないぞ。」

 

 

スバル君はそんな一瞬を突いて、素早いスピードでラン君に接近して彼を弓剣で斬り飛ばす。

 

 

「ガハッ!?」

 

 

ラン君は観客席の防護障壁にぶつかる。

 

 

「まだだ。」

 

 

だが、スバル君の攻撃は追い打ちのように観客なんかを気にせず、矢を撃ち込む。

 

 

 

バキッバキッ!!

 

 

 

すると、防護障壁のヒビが大きくなり、今にも割れるような音が会場に響く。

 

 

『か、観客の皆さん。まだ防護障壁は完全には割れてはいませんが、一応近くの会場ではカメラ中継をしていますので、避難をしてそちらでこの試合を見て頂くことは一応可能ですので、自主的に判断して頂ければ………」

 

 

『いや、これ私達もヤバイっすよね。』

 

 

実況のミーコさん達が防護障壁の亀裂を見て、会場に避難の注意を呼び掛けをした。

 

 

 

 

『お、俺は避難するぞ。』

 

 

 

『私も避難するわ。早く道を開けなさい!』

 

 

 

『おい!押すんじゃねーよ!』

 

 

 

 

すると、観客の人達は自分の身の危険を案じて、我先にと会場から出ようとする。会場の出口では観客達によってパニックが起きていた。

 

 

 

「観客達が全員出ていきそうだな。これなら俺も全力で戦うことが出来るな。」

 

 

スバル君は矢を射るのを止めながらそう言う。ラン君はというとステージの壁にもたれかかるように倒れていた。意識があるのかすら私には分からない。

 

 

「はあっ!!」

 

 

私は瀕死のラン君に近づくスバル君を止めるためにフォールクヴァングから光弾を放つ。

 

 

 

「………シャイン・ブレイザー。」

 

 

 

スバル君がそう言うと、復活したシャイン・ブレイザーの六枚羽が光弾を弾き飛ばす。

 

 

そして、そのままシャイン・ブレイザーは私の方に向かって飛んでくる。

 

 

「くうっ!!」

 

 

シャイン・ブレイザーの六枚羽は私を切り刻もうと展開するが、私は咄嗟にフォールクヴァングを犠牲にして手を離し、その場を離れた。見ると、私の愛用していたフォールクヴァングは使えない位に切り刻まれていた。

 

 

「……そこまでする必要はないじゃないかしら。」

 

 

すると、オーフェリアさんは憤りを見せるように空から滑空しながら斬りつけようとする。

 

 

「邪魔だ。サザンクロスフレイム。」

 

 

だが、スバル君はオーフェリアさんに向かって大きな十字型の炎を放つ。

 

 

「くはっ!!」

 

 

「オーフェリアさん!!」

 

 

オーフェリアさんにそれが直撃し、空から私の方に向かって落ちてくる。

 

 

 

どうしよう。このままではスバル君には………

 

 

 

私は周りの状況を見てそんな気持ちになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そろそろ、終わりにしてやるよ。」

 

 

 

スバル君は六枚羽を背中に戻し、空に飛ぶ。そして彼は弓剣に星辰力を込めると、ステージを覆い尽くす程の火球を空に作り出す。

 

 

 

太陽は堕つ(フォーリング・サン)。」

 

 

 

そう言って、スバル君は私達の方に向かってその特大の火球を落としてくる。

 

 

「…シルヴィまだ行ける?」

 

 

オーフェリアさんは私に訊ねる。

 

 

「うん。まだまだ行けるよ。」

 

 

私はオーフェリアさんに返事をする。

 

 

「……なら私達の星辰力をもってあの火球をどうにかするわよ。」

 

 

オーフェリアさんはゆっくりと立ち上がる。

 

 

周りを見ると、まだ避難ができていない観客がいた。私達は彼らを守るためにこれをなんとかする。

 

 

 

塵と化せ(グル・ヌ・ギア)!!」

 

 

 

反射の音律(エコー・メロディー)!!」

 

 

 

私達は全ての星辰力を込めて能力を使う。

 

 

 

 

 

「「ハアァァァァァァァァァァァァァ!!」」

 

 

 

 

 

 

 

…………………

 

 

 

 

…………………………………

 

 

 

 

…………………………………………………

 

 

 

(……ん、私はたしか…………)

 

 

私はたしかオーフェリアさんとあの火球を止めようとしたはず………。そうだ……火球は?

 

 

 

私は静かに目を開く。

 

 

 

だがそこに映っていたのは……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

焦土と化したステージと観客席だった。

 

 

「そ、そんな………」

 

 

私はそんな絶望感に陥ってしまう。

 

 

「……!!オーフェリアさん。」

 

 

私は近くのオーフェリアさんに声をかける。

 

 

「……ええ、大丈夫よ。」

 

 

オーフェリアさんは静かに返事をする。そういえば私やオーフェリアさん、あの攻撃を食らってはなかなか傷が少ないような…………

 

 

だがその理由は目の前にあった。

 

 

 

 

 

「…………ラン君。」

 

 

 

「……………大丈夫か。」

 

 

私達に傷が少なかったのはラン君が身を犠牲にして私達を守ってくれたからだ。ラン君は所々焼け焦げており、頭からは血が流れている。

 

 

 

「…………シルヴィアさん達を死なせたりなんかさせたらスバルが悲しむからな。…………あと、シルヴィアさん達が頑張ったおかげで観客も実況者も無事です。後は頼みまし………」

 

 

 

 

そう言ってラン君は倒れる。

 

 

 

 

『三条ラン校章破壊(バッジブロークン)意識消失(アイコン・シャスネス)

 

 

 

ステージの判定機が宣言をする。

 

 

 

「まずは一人だな。」

 

 

 

スバル君がそう言ってこちらに近づく。

 

 

 

「……………っく!!」

 

 

 

オーフェリアさんがスバル君にダークヴルム・ノヴァを構えて立ち向かおうとする。

 

 

「………仕方がない。」

 

 

だが、星辰力が残されていないオーフェリアさんを私の横を掠めてステージの壁に叩きつける。その際私の横にはオーフェリアさんのダークヴルム・ノヴァが落ちた。

 

 

「かはっ!!」

 

 

 

 

『オーフェリア・ランドルーフェン校章破壊(バッジブロークン)

 

 

 

再び誰もいなくなった会場の中、静かに判定機が宣言をする。オーフェリアはまだ意識はあるが、立ち上がることは厳しいだろう。

 

 

 

「さて、最後だなシルヴィア。」

 

 

 

スバル君のいう通り私で最後である。

 

 

 

けど、どうすればいいの。私はスバル君を止めたいけど、ラン君達は倒され、私には止める力がない。

 

 

 

私はスバル君が近づく中、目を瞑る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『諦めていいの?』

 

 

 

(っ!?)

 

 

 

私は聞き慣れない声がしたため目を開く。すると、そこには見慣れない場所で紫色の髪をした私と年齢は同じくらいの少女が立っていた。

 

 

(あなたは……?)

 

 

『私?私は紫乃宮まゐ。まぁ……貴女達が持つオーガルクス?っていうのかな。とにかく簡単に言うと、貴女が持つそれと白髪の彼女が持っていたそれの前の使用者という所かな。言っても意識しかないけどね。』

 

 

まゐさんはそう言って私の左手に握られたダークヴルム・ノヴァと右手に握られた私がダイバーシティから支給されたスバル君の純星煌式武装、ジークヴルム・ノヴァを指差す。

 

 

『ねぇ、貴女は彼を助けたいんだよね?』

 

 

まゐさんは私に訊ねる。

 

 

(はい、私はスバル君を助けたいんです。けど、彼は強すぎて私ではもうどうにも……………)

 

 

『だからって諦めていいの。ふざけないで!』

 

 

まゐさんは私に説教をするように言った。

 

 

『私はね、かつて好きな人が消えてしまう未来を知ったからね、そうならないように彼に私の全力をかけて戦ったわ。でも彼は強すぎた。私が敵わない位に。だから私は負けてしまった。そして彼はその未来通りにどこかに消えてしまったの…………。』

 

 

まゐさんは辛そうに自分の経験を話す。

 

 

『貴女の今置かれている状況は私と同じよ。だから私はもう誰かを私のような永久に後悔してしまうような人生を送らせないようにしたいの。』

 

 

(………ごめんなさい。私が間違っていました。なんで私、あんな弱気になっていたんだろう。)

 

 

私はまゐさんに言われて反省をする。

 

 

『分かってくれたならうれしいわ。絶対に貴女の彼氏さんを失って後悔しないようにね。』

 

 

(はい。)

 

 

彼氏さんと呼ばれ恥ずかしかったが、私はまゐさんに向けてしっかりと返事をする。  

 

 

『なら、まずジークヴルム・ノヴァを起動して回復しなさい。そしてその二つのオーガルクスを使いなさい。大丈夫よ、今の貴女なら代償は気にしなくていいわ。私がオーガルクスの意思だからそんなのどうにかなるわ。そして、最後にジークヴルム・ノヴァを使った貴女の彼氏さんですら使えなかった切り札を教えるわ。』

 

 

まゐさんは私に勝つための方法を教えてくれた。

 

 

(………ところで、まゐさんの好きな人はどこかに消えてからどうなったんですか?)

 

 

失礼かもしれないが、まゐさんに訊ねる。

 

 

『………そのまま帰って来なかったわ。でもね、()()()とはこの世界でまた会えたの………。』

 

 

まゐさんは静かに答える。

 

 

『………さぁ、目を覚ましなさい。私もそろそろこれを維持するのが限界なの。』

 

 

まゐさんに急かされるように私は動く。

 

 

『大丈夫。貴女ならきっと…………』

 

 

私は最後に微かにそんな声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!?何だそれは!?」

 

 

近づくスバル君は驚いた表情をする。

 

 

私の傷はジークヴルム・ノヴァで完全に癒した。それに私の星辰力もとてもみなぎってくる。

 

 

私は両手で握る赤と黒の剣をスバル君に向ける。

 

 

 

 

「スバル君、絶対に止めるから。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

スバルside

 

 

くそっ。このままだと僕の人格もあいつに乗っ取られしまう。《調和》が使えれば…………

 

 

僕はそう思いながら、今回の元凶である赤いガラスで出来た僕自身の姿をした怪物を見る。

 

 

今、現在僕はなんとか人格が消されないように結界みたいなものを張っているが時間の問題である。今、僕の行動の主導権もあいつが握っている。

 

 

『おい、もう諦めようぜ。』

 

 

怪物は結界を少しずつ侵食しながら僕に向かってそう言ってくる。

 

 

「絶対に嫌だね。」

 

 

僕は怪物に対してそう言うが、本当はそんなことを言っていられないほど虚勢を張っている。

 

 

『そうかい、じゃあ楽にしてやるよ。』

 

 

(ヤバイ。)

 

 

俺がそう思った瞬間、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バシュッ!!

 

 

 

『ぐあっ!?』

 

 

何者かが僕の後ろから怪物に攻撃をしたのだ。

 

 

後ろを見ると、そこには赤い髪をした青年がサジット・アポロニクスを持って立っていた。

 

 

(あの人はたしか………)

 

 

『さぁ、もう少しだ。』

 

 

青年は僕に近づくと、肩を静かに叩く。

 

 

「あの、貴方は………」

 

 

『俺か?俺の名前は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

馬神弾だ。』

 

 

 

 




三日ぶりですね。今回はバトスピ路線が強かったのですがいかがでしたか。次回遂に決着予定です。
感想やコメントも毎日受け付けています。それではまた次回会いましょう。


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ダブルノヴァVSダブルブレイヴ


ついにこの戦いも終わりです。いったいどちらが勝利するのでしょうか。そして最後に意外すぎる結末が……。


 

 

 

シルヴィアside

 

 

 

「っ!?何が起こったんだ!?それに純星煌式武装の二つ同時使用なんて聞いたことがないぞ!?」

 

 

スバル君は私の急激な変化に驚いている。

 

 

「スバル君を助けようとする私の意思に純星煌式武装が力を貸してくれたのよ。」

 

 

私はそう言って攻撃体勢をとる。

 

 

「ふっ。だから何だって言うんだ。ジークヴルム・ノヴァで体は回復しても、星辰力を戻すことはできない。底のついた星辰力でどこまで俺とやれるかやってみろよ!!」

 

 

そう言ってスバル君は私に突っ込む。

 

 

 

 

まゐさんに言われた切り札使わせてもらいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ビッグバンエナジー発動!!!」

 

 

私はジークヴルム・ノヴァに星辰力を込めて切り札を起動させる。

 

 

すると、私の残り少ない星辰力がまるで元に戻ったかのような力のみなぎりを感じる。

 

 

瞬足の音律(アレグロ・ビート)!!」

 

 

私は星辰力で能力を発動させて、私の移動速度と反応速度を向上させる。

 

 

「ガハッ!?何だと!?」

 

 

そして、私はそのままスバル君を目で捉えて、そのままかわしてスバル君を蹴り飛ばす。

 

 

実は、内心私でもこの結果には驚いている。なぜなら、私の能力でもここまで向上するとは思わなかったし、それに星辰力も減る気がしない。

 

 

これが切り札の力………………

これならスバル君を止めることができる。

 

 

「くっ!!調子に乗るなっー!!」

 

 

スバル君は体勢を立て直すと、すぐに純星煌式武装を弓に構えて私に狙いを定める。

 

 

「サジッタフレイム!!」

 

 

私にこれでもかと無数の矢を飛ばしてくる。

 

 

反射の音律(エコー・メロディー)!!」

 

 

だけど、私はそれを意図も簡単に防ぐ。

 

 

「お返しよ!!メテオ・ストーム!!」

 

 

能力で吸収した火の矢と共にジークヴルム・ノヴァに星辰力を込めて流星群をスバル君に飛ばす。

 

 

「ガアァァッッ!!?」

 

 

それらがスバル君に直撃する。

 

 

「くそっ!体が動かねぇ…………」

 

 

攻撃を食らったスバル君は体がぼろぼろでブレイヴ煌式武装も所々破損していた。

 

 

狂乱の交響曲(エキサイト・フォルテッシモ)!」

 

 

「オフェンシブ・オーラ!」

 

 

私は自分に能力を発動させて攻撃速度と攻撃力を上昇させてそのままスバル君に突撃する。

 

 

 

キイィン!キイィン!キイィン!

 

 

 

スバル君はこれを純星煌式武装で対応するが、体力の限界もあり、徐々に対応できなくなってくる。

 

 

「ブレイヴブレイク!!」

 

 

そんな攻撃の中、私はダークヴルム・ノヴァに星辰力を込めてスバル君の純星煌式武装に攻撃を当てる。すると、純星煌式武装に付いていたブレイヴ煌式武装が壊れる。

 

 

すると、私達を苦しめた具現化されたスバル君の背中の六枚羽は消滅していく。

 

 

これで戦局も楽になる…………

 

 

「ブレイヴ煌式武装を壊したのか………。だが本当にそれで勝ったと思っているのか?」

 

 

スバル君は不気味な笑みをする。

 

 

「な、どういうこと!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バキッ!

 

 

 

「えっ!?」

 

 

私は音がした方向の床を見る。すると、そこにはオーフェリアさんから貰った私用のストラップが細かくひび割れて床に落ちていた。

 

 

「これでもう純星煌式武装が使えないな。丸腰のところ悪いがこれで終わりにしてやるよ!!」

 

 

スバル君は私に接近する。

 

 

「終わりだあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

スバル君は純星煌式武装を振り上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まだだよ。スバル君。」

 

 

私は純星煌式武装でスバル君に反撃をする。

 

 

「ガハッ!?何でだもう使えない筈じゃ?」

 

 

スバル君はよろけながら訊ねる。

 

 

そう言うスバル君に私はある物を見せる。

 

 

 

 

 

 

「それは………ブレスレット!?」

 

 

「そうだよ。昨年のクリスマスにスバル君が私にくれたブレスレットだよ。」

 

 

そう、私がなぜストラップを壊されても純星煌式武装を持ち、使えたのはスバル君が昨年のクリスマスにプレゼントをしてくれたブレスレットがあったからだ。

 

 

実は私はあのクリスマスからずっと携帯していたのだが、オーフェリアさんにストラップの事もあって、私は薄々これにもスバル君の力が宿っているのではないかと感じていた。まさかここで役にたつなんて私も正直驚いた。

 

 

 

「スバル君もう終わりにするから!!」

 

 

私はジークヴルム・ノヴァとダークヴルム・ノヴァに星辰力を込めて流星闘技を発動させる。そこにはブレスレットを介して《調和》の力を込めている。

 

 

「俺は………まだ………」

 

 

まだ私の反撃に立ち直れず、ふらつくスバル君に私は素早いスピードで近づく。

 

 

「ハアァァァ!!完璧なる調律(パーフェクト・ハーモニー)!!!!」

 

 

私はスバル君に双剣で何回も斬りつける。主に私は原因であるサジット・アポロニクスを狙って。

 

 

 

ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!………………………

 

 

 

「………かはっ!?俺が消え………る」

 

 

 

私は最後にサジット・アポロニクスをスバル君の手から吹き飛ばす。そして勝利の音が聞こえる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カチャン!!

 

 

 

 

『霧咲スバル校章破壊(バッジブロークン)意識消失(アイコンシャスネス)

 

 

 

観客がいないドームを静かに判定機が勝利を告げる。私はそれを聞くとスバル君の元に走る。

 

 

 

「スバル君!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

スバルside

 

 

 

『がッ!?俺が……消えているだと………』

 

 

僕が侵食を抑えていると、突如赤いガラスの怪物は苦しみ出す。それに体も崩れてきている。

 

 

『どうやら外ではお前の仲間があの怪物を倒してくれたようだな。』

 

 

隣の馬神さんはそう答える。

 

 

「今なら《調和》……いや《調律》が使える!」

 

 

僕は星辰力を込めて今にも消滅してしまいそうな赤いガラスの怪物に《調律》をする。

 

 

「在るべき姿に戻れ!!」

 

 

『ヤアァァメェェェェロォォォォ!!』

 

 

僕は最後にあの赤い怪物の断末魔を聞きながらあの怪物を完全に消滅させた。これで僕もようやく………

 

 

『終わったみたいだな。』

 

 

馬神さんはそう言って近づいてくる。だが馬神さんの体も消滅しかかっていた。

 

 

「馬神さん!それは………」

 

 

『…………ああ。俺は意識だけの存在でかつあの赤い怪物に対しても無理したから限界が来たんだ。』

 

 

馬神さんはそう静かに答える。

 

 

『さぁ、目を覚ましな。皆が待ってる。』

 

 

そう言って僕の背中を強く押す。

 

 

『あとジークヴルム・ノヴァとサジット・アポロドラゴンは俺の大事な相棒なんだ。しっかり使えよ』

 

 

僕は意識が戻る中、そんな声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『私達の仕事は終わりかしら、ダン。』

 

 

紫の髪をした少女がやって来る。

 

 

『そうだな、まゐ。』

 

 

彼は彼女の手を掴む。

 

 

『ようやく会えたな、まゐ。』

 

 

『まさかこっちの異世界で会えるとは思わなかったわ。でもその手はもう離さないわ。後はゆっくりとあなたが居ない分まで話をしましょう。』

 

 

 

そうして手を結んだ二人の少年少女の意識は静かにこの世から消滅していった。

 

 

 

 

 

 

…………………………

 

 

 

 

 

…………………………………………

 

 

 

 

 

……………………………………………………………

 

 

 

「スバル君!!」

 

 

 

「…………シルヴィ。」

 

 

 

俺は静かに目を開けると、目の前には涙を流しているシルヴィの姿があった。

 

 

「スバル君だよね?」

 

 

シルヴィは真剣な顔で僕に訊ねる。

 

 

「正真正銘()はスバルですよ。」

 

 

僕はシルヴィにそう答える。

 

 

「もう………心配したんだから。」

 

 

シルヴィが涙を拭きながら言う。そこで僕はシルヴィに膝枕をされていたことに気がつく。それに気づくと僕はすぐに立ち上がろうとする。

 

 

「ぐっ………」

 

 

だが、今までのダメージで足がまったく動かなかった。すぐにそれをシルヴィが支える。

 

 

「皆の所に戻ろう、スバル君。」

 

 

「ああ、そうだな。」

 

 

僕はシルヴィに肩を貸してもらいながらゆっくりと静かに歩こうとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バシュッ!

 

 

 

だが、そんな平穏が感じさせるのも一瞬だった。狙撃音が聞こえたためその音の発信源を見ると、誰もいない観客席から青い髪をした女性…………ウルスラさんが銃を構えていた。ウルスラさんを見て、僕の周りに何が起こったのかを確認する。

 

 

 

 

そこには赤い薬品のようなものが入った注射器を刺された………………………………

 

 

 

 

 






ついに元の主人公に戻りましたね。だがそんな事も束の間忘れかけていたあの赤い薬品とあいつらが動き始めましたね。あの赤い薬品を食らったのは誰か?

それではまた次回お会いしましょう。感想やコメントも受け付けています。





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グッドエンドOrバッドエンド

遂にこの章ももうすぐ終わりですね。自分としては10月までにこの章を終わらせることができて、後は大学入試までゆっくりと日常回を書けるであろう自分に安心してます。
それでは本編をどうぞ。


 

 

 

僕はウルスラさんの顔を伺って状況を把握する。するとそこには赤い薬品のようなものが入った注射器が刺さって……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ラン、お前。」

 

 

 

そこには赤い薬品のようなものが入った注射器が僕たちを守るように腕に刺さっているランの姿があった。その姿はまるで僕達を守ることに執念があるように感じられた。

 

 

「………よう、スバル。無事か?」

 

 

ランは息絶え絶えで声をかけてくる。

 

 

「ああ、シルヴィも無事だ。」

 

 

「………そうか、バッドエンドは回避することが出来たんだな……。よかっ………ゲホッ!?」

 

 

ランは突然、口から血を噴き出す。それにランの星辰力があり得ない位まで高まっている。

 

 

「ラン!?少し我慢してくれ。」

 

 

僕はすぐさまシルヴィにお願いしてランに近づかせてもらい、星辰力を抑えるため《調和》をする。だけど、僕の残りの星辰力も少ないため、これを抑えることができるほど完璧にはできない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

観客席

 

 

 

「ちっ、くそ。あの小僧のパートナーが邪魔をした。………分かった。すぐに撤収をする。」

 

 

ヴァルダはこのような結果になったことに不満を持ちながらも電話の相手である処刑刀からの連絡で渋々とその場を引き下がる準備をする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「食らいなさい!!」

 

 

 

「何だとっ!?」

 

 

 

ヴァルダは引き下がる準備をした瞬間、誰かがヴァルダに対して攻撃を仕掛けて来たのでこれをかわす

 

 

 

「………お前は。」

 

 

 

「あの路地裏の時以来ですね。私はシルヴィと霧咲君達の応援のために無理して早く来たのですが、こんなことになっているとは………」

 

 

そう言って答えるヴァルダを攻撃した人物の正体はリーネであった。彼女は今もヴァルダに対してモウギュウバズーカを向けて警戒をしている。

 

 

「ちっ。けど貴様だけなら………」

 

 

ヴァルダはリーネに攻撃の姿勢をとる。

 

 

だが次の瞬間、ヴァルダの後ろから攻撃をする人物が現れる。

 

 

「我々を敵にまわした事を懺悔しろ!!」

 

 

その人物はダイバーシティでトップレベルの戦闘力を持つ執事の服をした眼鏡の男クロヴィスだった。彼は自慢の拳でヴァルダに攻撃をするが、ヴァルダはぎりぎりそれを何とか回避する。

 

 

だが、それだけでは終わらない。すぐにヴァルダを囲うように多くの人物が現れる。

 

 

「…………こいつらは。」

 

 

「タオさん、エイダさん、それにレティシアさんやノエルさんやユリスさんまで。」

 

 

ヴァルダを囲うように現れたのはダイバーシティでは戦闘や護衛などの仕事をしている《元・調律の巫女一行》のタオさんとエイダさんだ。クロヴィスさんも合わせてここにはダイバーシティのトップレベルの戦闘力を持つ全員が揃っている。それにレティシアさんやノエルさんやユリスさん、他にもクローディアさんやパーシヴァルさんなどアスタリスクでも屈指の力を持つ人達も集まる。

 

 

 

そして、もう一人…………

 

 

「お前は……レイナ・フィーマン。」

 

 

「初めまして。ヴァルダ・ヴァオス」

 

 

まわりを掻き分けるように現れたのはダイバーシティの現社長であるレイナ・フィーマン本人だった。

 

 

「貴様ら……何故ここにいる。」

 

 

「何故かって?それはもちろん、仕事に決まっているじゃない。私達はダイバーシティの総力をもって貴方のような人を排除するように言われたのよ。」

 

 

ヴァルダの問いにレイナは流すように答える。

 

 

「………あの女が人払いをしている筈じゃ。」

 

 

「それはこの子かしら。」

 

 

レイナはローブをした人物を呼ぶ。

 

 

「おい、《再編の魔女》。どうなっている、貴様が人払いをする筈じゃないのか。………まさか。」

 

 

「はい。私は貴方達の協力をする筈がないでしょう。今回の計画、逆に利用させてもらいました。」

 

 

そう言って《再編の魔女》はローブを脱ぎ捨てる。すると、そこにはレイナが着ているような童話のようなピンクを基調とした服にダイバーシティの一員を示すバッジをした黒髪の少女が現れた。

 

 

「ありがとね、()()()。それじゃ私達の後輩を洗脳した分ここで返させてもらうわ。」

 

 

レイナがそう言うと、レイナさんも含めて全員がヴァルダに対して攻撃体勢をとる。

 

 

「そうそう安心しなさい。今、会場内のカメラは全て私の仲間のシェイン達が停止させて、このことがないように隠蔽編集をしてもらってるわ。貴方の行いもバレないからお礼してもらいたいわね。」

 

 

そう言って攻撃を仕掛けた瞬間………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……エクス・サーガ!」

 

 

突如、ヴァルダの周りに彼女を守るように斬撃が放たれる。見ると、ヴァルダの側にはこの斬撃を放った本人であろう全身を包帯で巻いた男が現れる。

 

 

「……おい、貴様何者だ。」

 

 

「《クトゥルフ》からの命令でお前の撤退の手伝いをしに来た。後はこれの回収だ。まぁ、もうひとつは今回は諦めるしかないけどな。」

 

 

男の手にはシルヴィアが先程の戦いで吹き飛ばしたサジット・アポロニクスが握られていた。

 

 

「くっ………待ちなさい!!」

 

 

レイナは男に向かって叫ぶ。

 

 

「……また縁があれば会おう。」

 

 

そう言って男とヴァルダはどこかに消えた。

 

 

「………今の声………まさかね。」

 

 

レイナやクロヴィス、タオなどは先程の男に思い当たる節があるような顔をする。

 

 

「……今はラン君達の所に向かいましょう。」

 

 

レイナは皆に指示を出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ステージ

 

 

 

「スバル君、ラン君の状態は?」

 

 

 

観客席からレイナさん達がやって来る。

 

 

 

「レイナ社長。…ランに注入された薬品は非常に毒性が高く、また徐々に星辰力が上がっています。今は僕の能力で抑えていますが、耐性のようなものがあり、このままだとランを中心に星辰力による大爆発が起こります。…僕でもお手上げです。くそっ!」

 

 

僕は地面に悔しさで拳をぶつける。

 

 

「……そう、分かったわ。」

 

 

レイナ社長やダイバーシティの皆やレティシアさん達は僕の説明を聞いてランのすぐに迫る死を理解して、辛そうな表情をしている。

 

 

「…皆そうガッカリするなよ。俺は別にまだ生きてるだけで十分だ。それに俺の親友を取り戻すことができたんだ。最高のグッドエンドじゃないか。」

 

 

ランは何とか立ち上がり、皆に笑いを見せる。

 

 

「…レイナ社長。もう会場内のカメラの編集は終わったんですよね。今すぐそれを他の中継地点に流してください。今すぐにでも表彰式をやりましょう。」

 

 

「……分かったわ。」

 

 

レイナ社長はランの要望を出来るだけ叶えるかのように、すぐに連絡をした。

 

 

すると、すぐにマイクから音声が流れる。

 

 

 

「えっーーと。先程の爆発でシリウスドームのカメラが全てシャットダウンしましたが、会場内の自動判定機と復活したカメラ映像により、勝者はシルヴィア・リューネハイム選手だーー!!」

 

 

 

 

こうして僕らの戦いは終わりを迎えた。

 

 

 

 

 

 

 

 





遂に次回はこの章の最終回です。次の章では原作に続く今回の後日談とスバル達の原作までの日常を書く予定です。
それではまた次回お会いしましょう。


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最後は好きなように死なせてくれよ、親友


遂に終わりです。所々内容がグダグタかもしれませんが、見て頂けると嬉しいです。


 

 

 

「いやー、無事に表彰式も終わったなスバル。」

 

 

「……そうだね、ラン。」

 

 

「………ラン君。」

 

 

「…………ラン。」

 

 

ランが表彰式が終わり、僕達に明るい様子を振る舞っているが、それを見る僕やシルヴィやオーフェリアはとても辛そうで仕方がなかった。

 

 

 

あの後、表彰式はシリウスドームの最寄りのそこそこ大きいドームですぐに行われた。ただ、シリウスドームが使えないため観客が全て入りきらず、カメラ中継を中心に行われていた。

 

 

表彰式前に治癒能力者達が僕達の怪我を治してくれたが、僕の足は度重なるダメージによりすぐには治すことができず、僕は車イスで参加することになった。現に今も、会場から出ようとする廊下でシルヴィに車イスをひいてもらっている。

 

 

「皆さん。お待ちしてましたわ。」

 

 

僕達が会場を出ようとする入り口の前では、レティシアさんやノエルちゃんやアーネストさん等のガラードワースの面々やユリスやクローディアやリーネ等の他校から来ている人やダイバーシティの人達が待っていた。

 

 

「わざわざすいません、レティシアさん。」

 

 

ランはレティシアさんに軽く頭を下げる。ただ、レティシアさんやアーネストさん達はランの様子を見て、僕らと同じような辛い表情をする。

 

 

「……ランさん、辛くないんですか?」

 

 

皆の気持ちを代弁するようにノエルちゃんがランに対して訊ねる。

 

 

「ノエルちゃん、そんな顔しないでよ。表彰式の前にお別れの挨拶をしたじゃないか。皆もだ、俺はこれで最後だと一人一人話をしただろ。」

 

 

ランは皆を見てそう言う。

 

 

「……そうでしたわね。」

 

 

「……ラン君には余程の覚悟があるんだ。もうこれ以上は話をしないようにしよう。」

 

 

レティシアさんとアーネストさんはランの話を聞いてこれ以上のランの干渉はしなかった。

 

 

 

そこからはそれぞれが話題は違えど、しばらく互いに立ち話をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ、皆さん。これからダイバーシティが主催の祝勝会をするのですが、学園は違えど皆さん参加しますよね?」

 

 

シェインさんが訊ねると、皆はそれに賛同する。

 

 

「………スバル、少し話をしないか。」

 

 

ランはそんな中、僕に訊ねる。

 

 

「新人さんは後から来ても構いませんよ。」

 

 

「流石に祝勝会にオーフェリアさんだけだとかわいそうだから私はそっちに参加するから、リーネに車イスを引いてもらったら?ダイバーシティの同期同士ゆっくり話をしてもいいから。」

 

 

シェインさんとシルヴィは僕に気遣う。

 

 

「………ありがとう。」

 

 

僕はリーネに車イスを押してもらって、シルヴィ達とは逆方向の場所に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………

 

 

 

………………………………………

 

 

 

…………………………………………………………

 

 

 

「この三人で話すのは久しぶりだな。」

 

 

「そうだね、幼い頃からこの三人でダイバーシティで色々なことをやって来たよね。」

 

 

「あの頃が懐かしいわ。」

 

 

僕達は三人でダイバーシティで過ごしてきた事を振り返りながら互いに話す。

 

 

今、僕達は人目につかないガラードワース側の港の浜辺にやって来ていた。車イスで来るにはなかなか遠いが、ここまで歩きながらゆっくり話をする時間が欲しいランの要望でガラードワースの校舎など思い出がある場所を通りながらここに辿り着いた。

 

 

「ねぇ、さっきあのエレナっていう女の子から事の全貌を聞いたんだけど、どうしてランは僕のために命を張る必要があったんだ?」

 

 

僕はランに訊ねる。

 

 

「あいつから話を聞いたなら話が早いが、これからダイバーシティ………いや、アスタリスクも含めて脅かす敵はお前ぐらいしか倒せないんだ。だからお前だけは決して死なせたり、利用されたりするわけにはいかなかったんだ。」

 

 

「その今回、僕を利用としたのは《金枝篇同盟》と《クトゥルフ》という組織だったんだよね。どうしてランはそいつらがヤバイと分かったんだ?」

 

 

「ヤバイのは《クトゥルフ》の方さ。それで何故知ってるかというと、死ぬ前だから言うが、俺は三条家とダイバーシティに拾われる前は《クトゥルフ》に所属していたからだ。」

 

 

「何だって!?」

 

 

僕とリーネはランの衝撃の一言に驚く。

 

 

「……まぁ、俺は《クトゥルフ》に反抗した事で裏切り者にされたわけだ。ただ、あの時の《クトゥルフ》に襲われたことは今でも忘れないよ。」

 

 

ランは静かに腕を押さえる。

 

 

「それにさ、俺は別にもう1つスバルを守る他に死ぬ理由があったんだ。それは《クトゥルフ》に泡を吹かせることだ。そのために俺は今から、この《十二宮シリーズ》最後の1つであるこの《ストライクヴルム・レオ》を破壊する。スバルの《サジット・アポロニクス》は奴等に取られたから何としてもこれは何とかしたい……ゲホッ!」

 

 

ランは口から血を吐く。その様子からランの死期が近づいているのが分かる。

 

 

僕はランを延命させようとするが…………

 

 

「スバル、もう良いんだ。最後は好きなところで死なせてくれよ、なぁ親友。」

 

 

僕の肩をランはしっかりと叩く。

 

 

「……俺の代わりをエレナがやってくれるはずだ。詳しい事はあいつに従ってくれ。きっとスバルのこれからの成長を手助けしてくれる。……後はルナテック・ジークヴルムの管理はお前にまかせるよ。」

 

 

「………分かった。」

 

 

次にランはリーネの方向を向く。

 

 

「……リーネ、志葉さんの時は厳しい事を言って悪かったな。……それと俺のお願いを聞いてくれると嬉しいが、俺が星武祭で貰った土地の管理は任せたよ。死人が持っても意味がないし、リーネなら有効に使えるよ。」

 

 

「………………うん。」

 

 

リーネは涙を溜めながら答える。

 

 

「………二人共、ありがとな。さぁ、俺はもうすぐ星辰力が高まり大爆発を起こしてしまう。お前達を巻き込んだら俺の面子が立たないだろ。」

 

 

そう言いながら、ランは僕達を巻き込まないように僕達を帰らせようとする。

 

 

「……ねぇ、ラン。」

 

 

リーネがランに声をかける。

 

 

「実はこの三人で、唯一学校を作るという具体的な夢を持っていたのはランだけだったよね。だから、ランはこれからも私達と長生きをして自分の夢を叶えて、この三人で楽しく生きていくと思ってた。」

 

 

「でもさ…こんなのあんまりだよ。私は昔からランの夢を叶えようとする信念が好きだったのに……。」

 

 

リーネは遂に目から涙を流す。

 

 

「………ハハッ。こんな場面で俺に告白かよ………くそっ。未練が残るじゃないか。」

 

 

ランは両手で顔を押さえる。

 

 

 

「リーネ………最高の別れの言葉だ。」

 

 

 

「……うん。ランは最後の自分の使命を最後まで果たしなさい。私、ランの事は忘れないから。」

 

 

そう言ってリーネはランに対して背を向けて僕の車イスをゆっくりと押していく。

 

 

 

ランはストライクヴルム・レオを起動させる。彼はそのままアスタリスクで爆発を起こさないように空中に飛び立つ準備をしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

「スバル、リーネ。後は頼んだぞ!!」

 

 

 

 

ランの僕達を呼ぶ声に僕とリーネが振り向くと、後ろでは凄まじいスピードで空に飛び立つランが居た。

 

 

 

僕達はそれを静かに見届ける。

 

 

 

 

「…………じゃあな、ラン。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

星武祭が終了したその夜、アスタリスクの空中で謎の発光現象があったと報じられる。

 

 

メディアの人達はこれを花火だろうと言うが、一部の人達はこれを別のものとして捉えていた。

 

 

あるものはそれを見て何かを察して泣く者やそれを静かに見届ける者など一部の人達にはその発光現象に思い当たる節があったそうだ。

 

 

 

こうして王竜星武祭は幕を下ろした。

 

 

 

たった一人の親友のために、命を散らした信念を最後まで持つ一人の少年を犠牲にして。

 

 

 

 

 

 





少々強引でしたが、これでこの章は終わりです。いや~ここまで45話近く書いてまだ原作に入れないのはどうかと思いますが、前回通り次は後日談と原作に繋がる話を書きます。ランは最後までがんばりました。
それではまた次回会いましょう。


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後日談と原作の序章
エレナの正体と今後の方針



いや~学校では文化祭の準備が始まる季節になりました。受験生は参加出来ないのは、僕としてはちょっぴり辛いですね。いやマジで高一に戻りたいわ~。






 

 

「うーん、スバル君の足の容体だけど、時間のかかる治療とリハビリが必要かな。次の春までには足はあまり無理をさせないでね。」

 

 

「ありがとうございます、サードさん。」

 

 

僕は足の容体を見て貰ったダイバーシティで医療にそこそこ携わる《元・調律の巫女一行》の一人だったサードさんにお礼をする。

 

 

僕が診察を終えて部屋から出ると………

 

 

「スバル君、足は大丈夫なの?」

 

 

「うん、まだ車イスでの移動は必要だけど、しっかりリハビリと治療をすれば春には治るらしい。」

 

 

「………そうなの。良かったわ。」

 

 

「お兄さんはしばらく安静しなきゃですね。」

 

 

僕の家のリビングには僕の怪我の心配をしてくれるシルヴィとオーフェリアとノエルが居た。

 

 

 

 

王竜星武祭が幕を下ろして、一日目を迎えたわけだが、今は朝から僕の家に集まっている。

 

 

 

昨日はランに今生の別れを告げた後、僕とリーネもレイナ社長達が主催するパーティーに参加した。シルヴィやオーフェリアも僕とリーネが参加するために帰ってくると、全てを察してくれた様子だった。僕もランが命を懸けた分もしっかりと生きなければならない。

 

 

 

あのパーティーの後、アーネストさんやリーネ達はそれぞれの寮に帰って行った。もちろん、シルヴィやオーフェリアやノエルもである。だけど、ダイバーシティのレイナ社長やシェインさん達は僕の家にまだ彼らを泊めるスペースが有るという理由で僕が帰ろうとすると、一緒に付いてきて彼らを泊める羽目になってしまった。

 

 

 

今は泊めたシェインさんとクロヴィスさんとエイダさんとタオさんはそれぞれ朝から久し振りのアスタリスクを楽しむ為に出掛けて行った。

 

 

 

そんな経緯もあって、実は朝からレイナ社長に話があると言われて僕の家で待っていたのだが、実は朝からシルヴィやオーフェリアやノエルもレイナ社長に僕と同じように言われて僕の家に来たのだ。

 

 

「それにしてもレイナさん遅いね。」

 

 

「そうだね。集められたメンバーから推測して多分、僕のことについて話すと思うんだけど………」

 

 

「………レイナ社長も泊まったのでしょう?」

 

 

「オーフェリアの言う通りなんだけど、実はある人を呼ぶ準備があるから出掛けているんだ。そろそろレイナ社長も帰って来る筈なんだけどな。」

 

 

そんな話をしていると…………

 

 

 

 

 

 

「待たせちゃったわね。」

 

 

レイナ社長が帰って来た声が玄関からした。そのまま僕達がいるリビングまでやって来るのだが、レイナ社長の後ろにはレイナ社長に似た童話のような服をした黒髪の同世代の女の子がいた。たしか…………

 

 

「エレナさんでしたよね?」

 

 

「エレナでいいよ。年齢も同じ位だし。」

 

 

彼女は見た目通り、童話のような可愛らしい笑みを浮かべて僕の確認に答える。この人がランが信用していて、ランの代わりをしてくれる人か。

 

 

だけど、オーフェリアとノエルは彼女を見て少々、疑っているような表情を浮かばせていた。

 

 

「……ずっと昨日から疑問に思っていたのだけれど、貴女は本当に私やノエルを手伝ってくれたあのローブの人なのよね。性格が全然違うのだけれど………」

 

 

「わ、私もあの時は怪我で意識が朦朧としていましたが、もっとクールな感じだった筈でしたが………」

 

 

僕とシルヴィはあまり分からないのだが、彼女らが言うにはエレナと会った頃の第一印象はどうやら寡黙で冷たい性格だったらしい。

 

 

「フフっ。」

 

 

すると、レイナ社長がオーフェリア達の話を聞くと、突然笑い始める。え、何か笑う要素あった?

 

 

「え~~とね、実は誤解させて悪かったんだけど、それは役作りだったんだ。レイナさんが私にスパイ活動するなら、この明るい性格は似合わないって言われたからね………ってレイナさん笑い過ぎです!」

 

 

エレナは恥ずかしそうにレイナ社長を叱る。

 

 

「フフっ。ごめんなさい、私が言ったのもあったけどギャップが激しすぎて………。」

 

 

レイナ社長は何とか笑いを堪えようとする。

 

 

「もう……話が出来ないじゃないですか。」

 

 

 

 

 

 

「…………もう大丈夫よ。」

 

 

レイナ社長は笑いを堪えることに成功して、何とかいつものテンションに戻った。

 

 

「さて、知ってるかと思うけど、この子はエレナ。一応私の後継者みたいな感じね。私が社長になり始めた頃から昨日までスパイ活動をしていたの。」

 

 

「改めてエレナです。ランからは皆さんの事はしっかり聞いています。」

 

 

レイナ社長に説明され、エレナが軽く僕達に自己紹介をして軽く頭を下げる。

 

 

「ああ、よろしくね。僕の事も気軽にスバルと呼んでくれて構わないから。」

 

 

「私もシルヴィで大丈夫だから。」

 

 

僕とシルヴィは改めて挨拶をする。

 

 

 

 

「ところで、どうして僕達が呼ばれたのか教えてくれませんか、レイナ社長。」

 

 

僕はレイナ社長に訊ねる。

 

 

「そうね………話したい事は沢山あるのだけれど、まずは昨日襲ってきた組織についてと《調律》を主に真の力を取り戻したスバル君についてかしら。」

 

 

レイナ社長は真剣な雰囲気で言う。

 

 

「そうです、教えてくれませんか。私の先生だったウルスラが関わっている組織の正体を。」

 

 

シルヴィが必死そうにレイナ社長に訊ねる。すると、エレナが代わるように答えようとする。

 

 

「ウルスラ………あのヴァルダって名乗っている人かな。……まずはシルヴィの質問に答えるね。シルヴィの先生が入っているのは《金枝篇同盟》っていう組織だね。今回、私が潜入した組織であり、そこのオーフェリアさんも入る筈だった組織です。」

 

 

そう言って、エレナはオーフェリアの方を向く。

 

 

「……そうね、私が知る限りメンバーは悪辣の王(タイラント)やそのヴァルダっていう人と《処刑刀》という正体不明の男しか居なかったはずよ。まぁ、私はあの生徒会長に間接的に参加させられた感じだからあまり詳しい事はよく分からないのだけれどね…………」

 

 

「いえ、オーフェリアさんの説明でほぼ合っています。私が見ても主要なメンバーはその人達で、問題はそいつらと同盟を組んだ組織なんです。実際私やレイナさん、ランもこの組織に近付くことが出来るかどうかを目的に活動していたんです。」

 

 

エレナは深刻そうな顔をする。

 

 

「そ、その組織は一体何なんですか?」

 

 

ノエルがその深刻さを察してエレナに訊ねた。

 

 

 

「組織名は《クトゥルフ》。名前の通りクトゥルフ神話を基にした組織で、ダイバーシティのレイナさんの前の社長達を殺したダイバーシティとは浅からぬ因縁を持つ組織です。そして、その組織の首謀者は声しか分からなかったけど、『ラブクラフト』と呼ばれる人です。」

 

 

エレナが組織名と首謀者の名前を言った。

 

 

「因みにここ最近の出来事としては、ランを殺したあの赤い薬品はシャビと呼ばれる仲間がそれを作り、スバル君を利用しようとしたのも彼らです。」

 

 

続けてエレナがここ最近のそいつらの行動を明かしていく。僕達はそれを聞いて、その組織に敵意が湧いてきた。特に、あのシャビっていう男はランの仇だから僕が倒さなければならないという気持ちで僕の心の中は一杯だった。

 

 

「そもそも、そんなヤバイ組織がどうして《金枝篇同盟》と手を組んだんですか?」

 

 

僕はエレナに訊ねる。

 

 

「それは彼らの目標がほぼ同じだからです。《金枝篇同盟》はもう一度世界を変えようとしている、一方で《クトゥルフ》は変わった世界を支配しようとする。《クトゥルフ》は彼らに協力すれば、そのまま自身の目標に繋がると考えたんでしょう。」

 

 

成る程、そういうことか。利害が途中までほぼ同じだから協力体制を敷いた訳か。しかも世界征服とかなかなか思想が危険すぎないか。

 

 

「今回のスバル君の暴走もそいつらの仕業?」

 

 

「いえ、今回の主犯は《金枝篇同盟》の処刑刀によるものです。《クトゥルフ》はあの赤い薬品の提供と最後のヴァルダの撤退に加担しただけです。」

 

 

シルヴィの質問によりエレナが答えたその話を聞いて僕の頭にはシャビと正確に見たわけではないが、包帯の男を思い浮かべる。

 

 

「……そう言えば疑問に思ったのだけれど、どうしてスバルをピンポイントに狙ったのかしら?」

 

 

オーフェリアさんが疑問そうに言う。

 

 

「それはスバルには《調律》があるからだね。」

 

 

「でもそれって…………」

 

 

「そうなの。シルヴィの言う通り、スバルにはまだあの段階では《調律》は使えなかった。そこで出てくるのが《サジット・アポロニクス》なんです。」

 

 

僕は今は無き純星煌式武装を思い出す。あれを《クトゥルフ》に取られたことは非常に悔しかった。

 

 

「あの純星煌式武装は《十二宮シリーズ》と呼ばれ、用途は知らないけど《クトゥルフ》にとっては大事なものらしい感じでした。ランが使っていた《ストライクヴルム・レオ》もその一つでランがもし破壊してくれなかったら、彼らの計画は滞りなく進行してました。」

 

 

 

「それで話を戻すと、その純星煌式武装には特殊な力があり、彼らはそれでスバルの力を取り戻させようとしたんです。ですが、これは私やレイナさんやランにとってはチャンスだと考えていました。」

 

 

「………どうしてかしら?」

 

 

「《クトゥルフ》にはスバルの真の力による戦闘力がないとおそらく倒せないからです。前社長達はかなり強い人達ばかりで、そんな人達が全滅したんです。それにスバルの真の力は《魔女狩り》で失われ、もう復活しないと推測していました。それが復活するなら私達も敵の計画に乗るしかないと思ったの。」

 

 

「……でも、それは失敗してスバルは暴走して止められなくなった。だから私達に助けを求めたわけね」

 

 

「……まぁ、そういうことだね。」

 

 

エレナは静かに頷く。

 

 

「だから私は能力を使って何とか思い通りにはさせないように未来を見て貴女達に助言をしたの。」

 

 

「待ってくれ。未来を見てきたって言ったな。エレナの能力は一体何なんだ?」

 

 

僕は思わず聞いてしまう。未来を見ることが出来るってなかなかすごいんじゃ………

 

 

「そうだね、まだ話してなかったね。私の能力は大きく分けて三つになるんだけど、一つは私の二つ名に由来する《再編》。スバルの《調律》に似ている感じで世界の在り方を私の好きなように変えられるわ。でも星辰力を多く使うし、私もあまり使わないかな。二つ目は《リ・ページ》。皆が言う未来を見る能力なんだけど、本当は未来から遡って過去に戻る能力なの。だから私は半未来人みたいな感じだね。でも、これも星辰力を多く使うし、回数制限があるから今回位しか沢山使わなかったし、暫く私もこれは使えないの。そして最後だけれど、これはスバルの真の力に関わるからいつか話をするね。」

 

 

 

僕はエレナの能力を聞いて驚く。まだ二つしか説明してないけど、もうその時点でなかなかチートである。こんな人がダイバーシティに居るなんて初めて聞いたんだけど。

 

 

「というわけで結果としてはランという犠牲は払ってしまいましたがスバルの能力は戻ったわけです」

 

 

「そうだね………」

 

 

 

エレナの話を聞いて、僕やシルヴィ達は頷く。けど、やはりランの存在が大きかったからその結果にならずには済んだかもしれないと心の中で思う。

 

 

 

「………スバル君。ランは最後まで親友として命を懸けて貴方のために尽力したの。それを無駄にしないで頂戴。だから無理に気持ちを変えなさいとは言わないけど、《クトゥルフ》を倒すために私達に協力をしてくれないかしら?」

 

 

レイナ社長が僕の思い悩んでいる様子を察して、僕を慰めようとする。

 

 

………そうだな。ランが命を懸けたんだ。僕がそれを無駄にするわけにはいかないな。

 

 

「……ランもレイナ社長に協力していたんですよね。だったら僕もやるべきことは決まっています。僕はレイナ社長達の計画に協力しますよ。」

 

 

僕はレイナ社長に返答をする。

 

 

「スバルの同意が得られて良かったわ。ならここからはこれからの方針について話すわね。」

 

 

「はい、お願いします。」

 

 

僕はレイナ社長による方針を聞くことにした。

 

 

「まず、《クトゥルフ》と《金枝篇同盟》は今回の件で暫くは計画が進行できないから二、三年は大きな行動を起こさないでしょう。私達はその間にスバル君の治療と能力の向上に重点を置くわ。貴女が私達の対抗できるだろう戦力だからね。あと、シルヴィアさん。」

 

 

「はい、何ですかレイナさん?」

 

 

「貴女もこの計画には参加するわよね。でしたらスバル君のサポートをしてくれないかしら。戦闘面だけでなく、生活の面でもね。」

 

 

「分かりました。ですが、私もスバル君と同じ計画に参加してるわけですから主にウルスラについての情報を私にもくれないでしょうか?」

 

 

「お安いご用よ。貴女にも十分その権利はあるわ。あと、オーフェリアもダイバーシティの一員として一足早くこの計画に賛同してくれるから彼女とも仲良くしてスバル君のサポートをしてくれると嬉しいわ。」

 

 

なるほど、オーフェリアもすでにこの計画を聞いていたのか。まぁ、彼女も《金枝篇同盟》についても因縁があるから参加すると思うと納得できる。

 

 

「あ、あのレイナさん。」

 

 

すると、ノエルがレイナ社長に声をかける。

 

 

「何かしら?ノエルちゃん。」

 

 

「あ、あの私もその計画に入れてくれないでしょうか。私はシルヴィアさんやオーフェリアさんとは違って組織に因縁などはありませんが、私もお兄さんのサポートをしたいんです!」

 

 

「………貴女が参加すると、貴女自身も《金枝篇同盟》らに襲撃される可能性があるの。なるべく私としては無関係な人は巻き込みたくなかったんだけど………」

 

 

レイナ社長は溜め息をつきながら答える。

 

 

けどノエルは覚悟に満ちた様子で、エレナ社長の参加して欲しくないという意見を曲げる様子はない。

 

 

 

 

「…………分かったわ。ノエルちゃんもこの計画に参加することを許すわ。まぁ、ここでこんな話をしてノエルちゃんだけを仲間外れにしたら私も後味が悪いわ。けど貴女はまだ彼らから自分を守る程の力には達してないから、なるべくスバル君の側に居なさい。良いわね?」

 

 

レイナ社長は妥協した様子でノエルもこの計画に参加させることを決めた。

 

 

それでもレイナ社長の言う通り、ノエルはまだ彼らと戦える程強くはない。僕が頑張らないとね。

 

 

「は、はい。ありがとうございます。」

 

 

ノエルはレイナ社長に頭を下げる。顔は喜びに満ちているが、そんなに嬉しいのだろうか?

 

 

 

「はい、というわけで今後の方針はこのようにいくわ。まぁ、暫くはスバル君やオーフェリアにも仕事は入れないからそれぞれの方法で体を癒したりしなさい。」

 

 

レイナ社長とエレナは席を立つ。

 

 

「じゃあ失礼します。皆さん。」

 

 

そう言ってレイナ社長とエレナは僕の家から出ていく。きっとまだ忙しいのだろう。

 

 

 

 

 

 

「そう言えば、スバル君。今日これからまだガラードワースに行くんだよね?」

 

 

「そうだよ、シルヴィ。アーネストさんに呼ばれてて、僕の今回の件での処罰が決まったらしいんだ。」

 

 

「大丈夫だよね……きっと。」

 

 

「……そこら辺は分からないな。一応ノエルを連れていこうと思ってたんだけど、心配なら僕の車イスを押して介護人として一緒に参加してもいいよ。アーネストさんならそこら辺は許してくれるよ。」

 

 

「うん、じゃあ参加してもいいかな。」

 

 

「分かった。じゃあ歩きながらアーネストに連絡するから今から家を出る準備をしよう。」

 

 

僕がそう言うと、シルヴィとノエルは家を出る支度をして、僕の車イスを押す。

 

 

オーフェリアはガラードワースに居たら、ややこしくなると気を遣って僕達が家を出るタイミングと同時に、僕達と別れた。

 

 

 

僕は車イスを押されながら自分が不本意ながら起こした事件について、どんな処罰が下されるかとても不安で仕方がなかった。

 

 

 

 

 





今回からは後日談を書いていきます。まず、今回はキーパーソンだったローブの女性エレナとスバル達を襲った謎の組織《クトゥルフ》について書かせてもらいました。因みにエレナというキャラは今のグリムノーツのヒロインから取り上げ、キャラ設定もほぼ同じです。ランの代わりとなった彼女がどう関わっていくか楽しみです。次回はスバル君の処罰について書かせていただきます。まぁ、練習場を壊したりした彼にはどんな処罰が待っているのでしょうかね。





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スバルの処罰はいかに………

先日、友達とアニメやゲーム関連で今年度悲しいことは何か話していたんですが、僕はラクエンロジックのサービス打ち切りと答えましたね。いや、あれアニメ化もしたから続くと思ったんだけどな~。キャラやストーリーは良かったし、アニメの小野賢章が歌うopも自分の中では元気が出る神曲だったのにな~。解せぬ。


 

「いやー、緊張するな。」

 

 

僕は今、ガラードワースの生徒会長室の前に居る。前ならこんな緊張することはなかったのにな~。

 

 

「スバル君の気持ちは分かるけど、とりあえずアーネストさんに悪いから中に入ろう?」

 

 

「だ、大丈夫ですよ、お兄さん。」

 

 

シルヴィとノエルが僕の気持ちに共感してくれる。いや、二人が居てくれて良かったわ。一人だったら絶対入れないからさ。

 

 

僕は帰るのを諦めてドアを開けて中に入るように二人にお願いする。

 

 

 

 

 

 

 

ガチャッ

 

 

 

 

 

 

 

「失礼しまーす。」

 

 

僕は車イスを押されて中に入る。

 

 

「やぁ、待ってたよ。スバル君。」

 

 

挨拶をすると、生徒会長が座る席からアーネストが出迎えるように挨拶をする。   

 

 

その脇にはレティシアさんとライオネルさんとケヴィンさんとパーシヴァルさんとエリオット君が構えていた。

 

 

つまり、ここにはあの頃のガラードワースのいつものメンバーがノエルも含めてほぼ勢揃いである。まぁ、本当はランが居てくれたらな…………

 

 

「ど、どうもです。皆さん勢揃いで……」

 

 

この面々から見て、僕の処罰は決まったと確信して、言葉がおかしくなる。賠償金……足りるかな。

 

 

「内容は分かるよね。まぁ、取りあえずそこのテーブルで座りながら話そうか。」

 

 

僕はアーネストさんに促され、応接用のイスに座る。シルヴィやレティシアさん達もイスを全員分用意して、一緒に座る。

 

 

 

「実は星武祭の運営側からも今回の件も含めて処罰が来てるんだ。そっちの理由も分かるよね?」

 

 

 

僕はそれに頷く。星武祭の運営側からということはやはりあのニュースだろうな。

 

 

 

 

王竜星武祭が終わり、まずアスタリスクを駆け抜けたニュースは大きく分けて三つである。

 

 

 

まず、一つ目はランのことである。ランのことはダイバーシティとガラードワースから長期のダイバーシティの任務により、退学したとメディアに伝えられている。まぁ、今回の事件で関わった人達は真実を知っているが、表彰式後の急な退学と失踪に多くの人は驚きを隠すことは出来ないだろう。

 

 

 

二つ目は僕のここ最近の不本意ながら起こした事故である。まず、ガラードワースの崩落事件についてはただの事故だとメディアに伝えられ、処罰はこれからだが、当事者である僕への注意勧告という形で表向きは丸く押さえた。

 

 

だが王竜星武祭では隠し細工が出来ず、テレビなどを通して僕の不本意ながら行った好戦的な戦いが伝えられた。それに関して僕が観客を巻き込みながらシルヴィ達に攻撃をしたのも明らかになり、これについては賛否両論の意見で未だに揉めていおり、星武祭のエンターテイメントの精神に反するということを焦点にメディアはこの件に一目を置いている。恐らく、この後にガラードワースはメディアに星武祭での処罰を報告をするのだろう。

 

 

そんな中でやはり《クトゥルフ》らの活動が報道されないのはシェインさんの工作のお陰である。まぁ、その時カメラは僕の攻撃で一時的にシャットアウトしていたのも奇跡的だったから工作がしやすかっただろう。

 

 

 

そして三つ目なんだが、これはシェインさんが工作して起こしたある放送事故である。この件については僕が一番重要度が高いと思うが、今は関係無いので近い内に話そう。

 

 

 

 

「じゃあ、ガラードワースの方からやるよ。」

 

 

アーネストさんは書類を読み上げる。

 

 

「この度スバル君が起こした第二練習場の崩落の件についての処罰について………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

処罰は与えない事とする。」

 

 

 

「はいっ!?」

 

 

僕はアーネストさんからの報告に思わず聞き返してしまう。

 

 

「どうしたんだい?何か問題でも?」

 

 

「いや、有りすぎですよ!」

 

 

僕はアーネストさんにツッコミを入れる。

 

 

「どうして処罰が何にも無いんですか?僕は皆さんに多大なる迷惑をかけたんですよ!」

 

 

「………スバル、ひとまず落ち着きなさい。」

 

 

レティシアさんは僕を宥める。

 

 

「………すいません、レティシアさん。」

 

 

僕は何とか興奮を押さえる。

 

 

「驚かせたようだね。スバル君に処罰がない理由は誰も君を迷惑と思っていないからだよ。」

 

 

アーネストさんは淡々と説明する。

 

 

「あの時、怪我をしたのは僕達だけだったんだ。崩落には巻き込まれた一般人はいないし、実際あれは君じゃなくて純星煌式武装によるせいじゃないか。だから誰も君を訴えようとは思ってないよ」

 

 

「ですがアーネストさん達がそう捉えて処罰が無いと考えても、練習場を壊した器物損害の方は運営母体のEPは許す筈がないでしょう。」

 

 

「そうですね、霧咲先輩の言う通り本来ならば適切な処罰、退学のような処罰があったでしょう。」

 

 

アーネストさんに理由を訊ねると、親がEPに所属するエリオット君が代わりに答える。

 

 

「僕の両親から聞いたのですが、霧咲先輩にも確かに色々な処罰が検討されていたそうです。ですが、僕の家やフェアクロフ家などの必死の説得で、処罰はしないことにしました。」

 

 

「どうしてそこまで…………」

 

 

「霧咲先輩には皆お世話になっているんです。《魔女狩り》の事だけでなく、日常生活においてもです。僕にだって色々な事を教えてくれたじゃないですか。」

 

 

僕はその言葉を静かに聞いていた。すると、アーネストが改めて僕に訊ねる。

 

 

「もう一度聞くよ。君は本当に処罰を受けたいのかい?そうなると、君は退学は免れない。僕達とまたアスタリスクでは生活をしたくないのかい?」

 

 

 

今思えば、アーネストさんやノエル達とはずっと生活を送って来た。そして彼らとの生活はかけがえのない楽しいものだった。僕はそれらの思い出を振り返っていくと、涙が溢れそうだった。

 

 

 

「いえ……………………皆さんとまだこれからもアスタリスクで生活していきたいです。」

 

 

 

僕はアーネストさんに返事をする。

 

 

「そうか、良かった。ならもうこの話は終わりにしよう。ただ、星武祭の方も処罰の報告が残っているからさせて頂くけど、そちらも安心していいよ。」

 

 

アーネストさんはガラードワースの処罰についての書類をゴミ箱に捨て、もう一枚の書類を取り出す。

 

 

「驚かせないように手短に話そう。」

 

 

アーネストさんは書類を読み上げる。

 

 

「スバル君の星武祭での行動についてだけど、処罰の内容は二年間の星武祭の出場禁止による観察処分だということだそうだよ。」

 

 

「やっばりさすがに星武祭のあの行為は観客にも見られているからスバル君に処罰はあるんだね。」

 

 

シルヴィはそれに納得する。やはり業界人になると、体面は大事らしい。批判的な人がいるため少しでも処罰がないと後でめんどくさいとシルヴィは僕に言う。世界のアイドルが言うと説得力が全然違うもんだね。

 

 

「にしても星武祭の二年間の出場禁止ですか……」

 

 

「不満かい?」

 

 

アーネストさんがそう言うと、僕は顔を横に振る。

 

 

いや、僕そんな二年間も普通に我慢できますよ。そんな戦いに飢えてるの《万有天羅》ぐらいですよ。

 

 

「いや、あっさりしているなぁって………」

 

 

「まぁ、確かにあれほどの行為をしたけど、やはりグランドスラム候補が参加すると売上が上がるから統合企業財体側は大会の永久不参加などにはしたくないだろうね。それにテレビとかでは批判的な意見が出てるけど、実際はスバル君にはまだ活躍をしてもらいたいと思う人が多いからね。」

 

 

「でも運営側にも僕に対して批判的な意見を持つ人が居たんでしょう?やはり多数決とかですか?」

 

 

「確かにスバル君の言う通り観客の気持ちを代弁したかのような偽善者は居たさ。けど、全会一致でこんな処罰になったんだ。……いや()()()のお陰で妥協したと言うべきかな。」

 

 

アーネストさんが話ながら頭を抱える。

 

 

えっ?僕の処罰を決める背景で何があったの?めっちゃ気になって仕方がないんですけど。

 

 

()()()って誰ですか?」

 

 

僕はその人が気になって試しにアーネストさんに聞いてみることにした。

 

 

「ああ、その人はね…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《万有天羅》だよ。」

 

 

 

えっ?

 

 

 

アーネストさんから予想外の人物の名前が出て辺りを静寂が包み込む。これにはシルヴィやノエルも口から言葉が出ない様子だった。

 

 

「ど、どういうことです?」

 

 

僕はアーネストさんに経緯を訊ねる。

 

 

「実は《万有天羅》が処罰の話を聞いてその偽善者達を叩き潰そうとしたらしい。」

 

 

いや、怖すぎですよ。その人達もまさか《万有天羅》を敵に回すとは思ってないよ。

 

 

「しかも、《万有天羅》はスバル君に処罰をしないで欲しいと申してたんだけど、やはり体面があるから少しでも処罰は必要だとお互いが妥協し合ってようやく今の処罰の結果になったというわけさ。」

 

 

「な、なるほど。」

 

 

いやよくそんな事があって、一日で処罰の内容が可決したよね。運営側の想像すらできない苦労が目に浮かぶ。なかなかの修羅場だよね。

 

 

「でも、処罰が少ないのは彼女のお陰でもあるよ。スバル君は《万有天羅》に気に入られたんだ。いつか彼女にお礼をしておくといいよ。」

 

 

「そうですね、分かりました。」

 

 

僕はアーネストに頷く。

 

 

「それじゃ、処罰の件はこれでおしまいだよ。メディアにはこちらから勝手に処罰の内容は知らせておくから、大丈夫だよ。」

 

 

話が終わったことで僕はまた家に帰ることにし、アーネストさん達が部屋の前まで送ってくれた。

 

 

「しっかり休むのですわよ。」

 

 

「スバルの仕事は俺とケヴィンでやっておくから、気にすることはないぞ。」

 

 

「レオの言う通りだ。たまには顔を出せよ。」

 

 

「私達とまた生徒会の仕事をしましょう。」

 

 

「ノエル、霧咲先輩の介護は頼んだよ。」

 

 

レティシアさん達が僕に声をかける。

 

 

「それでは失礼します。皆さん。」

 

 

「ああ、いつでも待ってるからね。」

 

 

 

アーネストさんにそう言われて僕はガラードワースを後にした。

 

 

 

 

 

 

 

……………………

 

 

 

……………………………………

 

 

 

 

………………………………………………………

 

 

 

 

 

「良かったね。スバル君の処罰が軽いもので。」

 

 

 

「そうだね、シルヴィ。でも、僕が次に出場出来るのは王竜星武祭か。それに今回までに出場権を三回使ったから後は二回分だね。」

 

 

僕とシルヴィは家に帰ってくると、次の星武祭について話していた。ちなみに、ノエルは今夕飯の買い出しに行っている。彼女はこのまま僕の家に泊まる気らしい。

 

 

「ふふふっ。次の王竜星武祭では私に勝てるといいね。ジークヴルム・ノヴァは修理中だけどスバル君に返したし、あの時は三対一でもギリギリだったから逆に私の方がスバル君に勝てるか心配だよ。」

 

 

「いや、シルヴィは普通に強いじゃないか。そう言えば星武祭の願いは何にするか決めた?」

 

 

 

「まだ決めることが出来ないかな。」

 

 

 

僕が訊ねるとシルヴィは考え込んでいた。

 

 

まぁ、初めての優勝の時は僕もだけどなかなか願いって決めづらいよね。

 

 

 

すると、シルヴィがこちらを急に向く。

 

 

 

「………ねぇ、スバル君。昨年のクリスマスにさ、私がもし優勝したらスバル君に個人的なお願いを叶えてくれるって約束をしたよね。」

 

 

 

「うん、覚えてるよ。」

 

 

 

「じゃあ、今ここで願いを言うよ。」

 

 

 

僕はシルヴィの話を聞く体勢を取ると、シルヴィは顔を赤らめて僕に願いを言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私と恋人になってください。」

 

 

 

 

 

 

 



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スバルとシルヴィはついに………

 

 

 

「私と恋人になってください。」

 

 

シルヴィの告白が僕とシルヴィしかいない家のリビングに響き渡る。

 

 

束の間の静寂が辺りを包み込む。

 

 

いつか僕が言おうと思っていたのにな……まさか考えている事まで一緒だなんて………。

 

 

見るとシルヴィは僕の顔をうかがっている様子だった。別にそんな不安そうな顔をしなくてもシルヴィへの返事はもう決まっている。

 

 

 

「こちらこそ宜しくお願いします。」

 

 

 

僕はシルヴィに告白の返事を返す。

 

 

「ほ、本当に?」

 

 

シルヴィが半信半疑な様子で聞き返す。

 

 

「うん、本当は僕から言いたかったんだけど、まさかシルヴィに先に言われちゃうなんてね。それにシルヴィと付き合わない理由なんて逆にないよ。」

 

 

僕は照れながらシルヴィに言う。

 

 

「ふふっ、でも良かった。てっきりスバル君って昨年のクリスマスだって普段通りだから恋愛とかに興味がないと思っていたから。」

 

 

「いや、シルヴィって今ではトップアイドルじゃないか。現に今もだけど、アイドルと付き合っても良いのかなと思ってなかなか切り出せなかったんだ。そう言えばペトラさんにはこの事を言ったのか?ペトラさんはこういうことには結構厳しいと思うんだけど?」

 

 

「ペトラさんにはもう言ったよ。『ようやくですか…。』って呆れていた様子だったけど、スバル君となら世間的な部分でも申し分がないって許してくれたよ。それにあの映像が流れていた時点で世間でも知られちゃったしね。」

 

 

シルヴィはそう言いながらテレビのリモコンを持ってテレビの電源をつける。

 

 

するとどの番組もまだ星武祭について報道している。そんな中、半分近い番組がある話題について報道していた。

 

 

 

その話題とは………

 

 

 

 

『霧咲スバル&シルヴィア・リューネハイムは恋人同士なのか?その実態に我々は迫る!!』

 

 

 

 

そう、これが今アスタリスクを駆け抜ける三つの話題の最後の一つである。そして僕が先程言ったように世間体を重要視したら一番重要度が高いと思う。

 

 

 

『霧咲選手とシルヴィア選手が恋人同士かも知れないと言う話題がアスタリスク中で流れていますが、クインヴェールに勤めているメディア学に詳しい〇〇〇さんはどう思いますか?』

 

 

 

『私はクインヴェールの学園長であるペトラさんとは古い仲でありますが、彼女から聞くとシルヴィアさんにはそのような雰囲気を漂わせる所があったそうで、シルヴィアさんと霧咲さんはお忍びで遊んだこともあると聞いております。ただ、このように公になるのは初めての事だと思います。近い頃に記者会見を開くかも知れないと私は聞いていて、その時に明らかになるでしょう。』

 

 

クインヴェールの年季の入った女性の専門家がそう答えると、彼女が言う恋仲が公になったと思われる映像が流される。その映像とは王竜星武祭でシルヴィが僕を膝枕している映像である。

 

 

なぜこうなったのかと言うと、シェインさんがカメラの映像を編集して《クトゥルフ》らによる干渉がないようにしてもらう筈だったが、シェインさんは僕がシルヴィに膝枕をされている映像を使い、それによってカメラでしか分からない皆が誤解したからである。

 

 

とんだ放送事故である。いきなりアイドルに膝枕されている男の映像が流れたら、シルヴィのファンにいつか物理的にも社会的にも殺されかねない。

 

 

シェインさんにこの事を話したら、『わぁー。おめでとうございます。』と他人事のように言う。シェインさん自身もとんだ上司である。

 

 

「記者会見をやるって言ってるけど、これって当事者の僕も参加するんだよね?」

 

 

「そうだね。私も参加するから話は聞いていて、すぐにはやらないとペトラさんは言っていたよ。」

 

 

僕はそれを聞いてゲンナリする。

 

 

「そうか~。やっぱり僕も参加するのか。記者会見って緊張するから嫌なんだよね。」

 

 

「グランドスラム候補者として記者会見を何回もやったスバル君が何を言うんだか。」

 

 

シルヴィが僕の話を聞いて、笑いながらソファに座る僕の肩に体を寄せる。

 

 

なんか恥ずかしいな……。こういう時ってどうすればいいんだろ。こういうことに詳しいランが居たら分かるのにな。しかもシルヴィの髪の毛から僕の鼻をくすぐるように良い匂いが漂ってくる。

 

 

「大丈夫だよ。さっきの評論家もだけど、私達の恋仲を認めている人は結構いるから。」

 

 

シルヴィが僕に寄り添いながらそう言う。

 

 

「そうかな。じゃあ改めてこれからも宜しくね、シルヴィ。」

 

 

「うん、宜しくねスバル君。」

 

 

そう言って二人は互いに体を寄せ合った。

 

 

 

 

 

「そう言えばスバル君、ノエルちゃん帰って来るの遅くないかな?」

 

 

「いや、そろそろ帰って来る筈だが…………」

 

 

 

 

 

ピーンポン

 

 

 

 

「お、噂をすれば…………」

 

 

 

僕は車イスに乗り換え玄関で出迎えようとする。

 

 

「はーい!」

 

 

僕は玄関のドアを開ける。

 

 

そこにいたのは……………

 

 

「お、お兄さん。あ、あの…………」

 

 

買い物袋を持ったまま狼狽えるノエルと………

 

 

 

 

「スバルさん、お久し振りですね。」

 

 

 

 

娘がこんな状況で狼狽えているのにもまったく動じず、挨拶をするノエルの母親がいた。

 

 

 

「お久し振りです。直接に会うのは何年ぶりでしょうか。今日は一体どんなご用件です?」

 

 

 

思わぬ来客に仕事モードが入ってしまう。

 

 

 

「別にそんな畏まる必要はないわ。今日はスバルさんにお話をしに来ましたの。」

 

 

 

「は、はぁ………」

 

 

 

 

「スバルさん、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ノエルの責任を取ってくれませんか。」

 

 

 

………………………は、はい!?

 

 

 

 

霧咲スバルの一日はまだ終わらない…………

 

 

 

 

 





すいません、日曜日は模試のため書けないかもしれません。一応夜の七時ぐらいに終わりますが、努力はして完成すれば投稿します。それではまた次回会いましょう。


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修羅場、そしてノエルとも…………


すみません、ここ最近大学受験に関わることでなかなか小説が書けませんでした。今日から11月ですが、大学受験も間近になってきたため更新ペースが遅れます。なるべく一週間に一本は時間があれば書きますので、読者の皆様には迷惑をかけます。


 

 

 

「し、失礼します。」

 

 

シルヴィはそう言って僕の代わりにイスに僕と対面するように座るノエルの母親にお茶を出す。

 

 

「あら、悪いわね。」

 

 

ノエルの母親はそれを快く頂いた。続けてシルヴィは僕やノエルの分も出してイスに座る。

 

 

今リビングのテーブルでは僕とシルヴィが隣り合って、ノエル達と対面するように座っている。

 

 

「あ、あのさっきの話をもう一度………」

 

 

僕は先程、玄関で聞いた用件を改めて聞き返す。シルヴィは玄関での会話が聞こえておらず、興味津々である。その一方、反対側に座っているノエルは顔を赤くして下を向いている。

 

 

いや、ノエル。僕も恥ずかしいんだわ。できれば責任が何とかという話は誤解であって欲しい。

 

 

それにシルヴィもあまり興味を持って聞く話じゃないから。話の内容によっては修羅場になりうる。

 

 

僕は聞き間違えである事を願うが…………

 

 

「ええ、家のノエルがスバルさんに傷物にされたので、スバルさんに責任を取ってもらいたいという旨で今回こちらに来させて頂きました。」

 

 

間違いじゃなかったわ。いや、内容は間違っていると思うけど、間違いじゃなかったわ。傷物って……僕はノエルにいかがわしい事はしてない筈だが……

 

 

「スバル君……どういうことかな?」

 

 

シルヴィは先程とは正反対にどす黒い怒りのオーラが滲み出ている。シルヴィは僕を睨みながら机の下で僕の足を踏みつける。待って、普通に痛いから。

 

 

「いや、ちょっと待ってください。嘘ですよね?ノエルと確かに一緒に生活はしてきたけど、僕はそんなことしてませんよ。ってノエルも顔を赤らめないでなんか言ってよ、お願いだから。」

 

 

僕はシルヴィに足を踏まれて、痛みに耐えながら僕は必死に弁明をする。

 

 

「??。何か誤解なされていらっしゃるようですが、こういうことですよ。」

 

 

ノエルの母親はそう言うと、突然ノエルの腹を見せるように服を脱がせる。僕はそれを反射的に見ないように目を瞑る。いきなり何をするんだか……

 

 

「スバルさんは見る気がなさそうなので、代わりにリューネハイムさんに見てもらおうかしら。」

 

 

僕が目を瞑っている中、シルヴィ達が何かをやっているようだ。ていうか、見る気がなさそうって……

 

 

 

 

「スバル君、もう大丈夫だよ。」

 

 

シルヴィにそう言われ、僕は目を開く。

 

 

「シルヴィ、何をしてたんだ?」

 

 

僕はシルヴィに目を瞑っている中、何をしていたのかを訊ねた。

 

 

「実はノエルちゃんの左腹の部分にスバル君が攻撃した部分があったんだけどそこの傷跡が少々ね…」

 

 

シルヴィが言いづらそうにしている。

 

 

「ノエルの傷跡は生活に支障はない程ですが、傷跡は無くならず女としては可哀想な事です。」

 

 

ノエルの母親が僕にそう言う。

 

 

なるほど、そう言う事か。僕が不本意ながらノエルに攻撃をした傷跡の話だったのか。いや、マジで誤解で良かった。

 

 

シルヴィも事情を理解して先程のどす黒いオーラはもう出していない、良かった。でも未だにノエルが顔を赤らめて下を向いている理由が分からない。

 

 

「ああ、このままではノエルはこの傷が原因で縁談が行えないわ。どうしたものかしら……」チラッ

 

 

ノエルの母親がこちらを見てくる。シルヴィはそれを見て何かを察したような顔をしているが、自分もそれを見て責任が何とかという話で薄々気づき始めている。

 

 

 

まさか…………

 

 

 

 

「スバルさん、ノエルを結婚を前提に貰ってくれないでしょうか。」

 

 

予感的中だ。確かに僕としてはノエルやノエルの母親には悪いことをしたかもしれない。でもちょっとシルヴィがいるからタイミングが悪すぎだし、話が飛びすぎである。先程、シルヴィと恋人宣言したばっかりなんですけど。

 

 

「あ、あの実はさっきこちらのシルヴィアさんと恋人になったばかりなんですけど………」

 

 

僕は丁重にそれを断ろうとするが………

 

 

「なら多重婚はどうでしょうか。多重婚は世界でも認められてはいるし欧州の権力者は多重婚をしている方達が多いですよ。スバルさん程の方でしたらその方達に並ぶ程ですので違和感はありませんよ。」

 

 

ノエルの母親は丁寧に反論し、かつ多重婚を提案してきた。抜け目がまったくないんだが。

 

 

「スバルさんはノエルの事がお嫌いですか?」

 

 

ノエルの母親が畳み掛けるように僕に言う。

 

 

「いや、あのですね……別に多重婚には批判的な意見はありませんよ。それにノエルとは昔から知っている仲でもありましたし、アスタリスクに来てからもノエルにも特別な感情を抱いたことはありました。でも、ご本人としては傷をつけた加害者である僕と付き合っていいのでしょうか?ご本人の意思を尊重した方がよろしいのではないでしょうか。」

 

 

僕はノエルの母親に訊ねると、ノエルの母親はノエルを見て笑い始める。

 

 

「あら、これはノエルの意思でもあるのよ。そうでしょう、ノエル。」

 

 

「は、はい。私はお兄さんと心から付き合いたいと思っています。そして、私を《魔女狩り》から助けてくれた頃から今日までずっとお兄さんのことが好きでした。確かにお兄さんがシルヴィアさんのことが好きだったのは知っていました。でも、もし私の事が嫌いでなければ私とも付き合ってください!」

 

 

ノエルは僕に頭を下げる。

 

 

「…改めて言うけど、僕にはシルヴィがいるよ。」

 

 

「それでも構いません。」

 

 

困ったな………ノエルの気持ちは本気だ。でもこんなことすぐには決められないし、シルヴィにも関わる問題だからな。

 

 

僕が困っていると、シルヴィが声をかける。

 

 

「ねぇ、スバル君。少しばかりノエルちゃん達とお話をするから向こうに行ってくれるかな?」

 

 

「……分かったよ、シルヴィ。」

 

 

シルヴィにそう言われ、僕は車イスを自分で動かして自分の部屋に向かった。彼女らが話している間、僕は彼女らの話を聞くような真似はしなかった。

 

 

 

 

………………

 

 

 

 

……………………………

 

 

 

 

……………………………………………

 

 

 

 

1時間位経過しただろうか………シルヴィ達はいったい何を話しているのだろう。

 

 

 

「スバル君、来てもいいよ。」

 

 

 

僕がそう考えていると、部屋の外からシルヴィの呼ぶ声が聞こえたためすぐに向かう。

 

 

「長かったね。どんな話をしてたんだい?」

 

 

「色々とね。まぁ、とりあえず座ってよ。」

 

 

シルヴィにそう言われ僕はイスに座る。すると、シルヴィが僕に話を持ちかける。

 

 

「……それでね、ノエルちゃんと話をしたんだけど、私は別にノエルちゃんを恋人として迎えても良いと思うの。」

 

 

僕はそれを聞いて驚いてしまう。

 

 

「シルヴィはそれでも良いのか?」

 

 

僕はシルヴィに聞き返してしまう。

 

 

「うん。ノエルちゃんと二人で話をしたけど、彼女にはしっかりとスバル君の事を想っている事が分かったよ。彼女なら私も将来一緒にやっていけると思うよ。」

 

 

どうやらシルヴィからノエルちゃんにお墨付きの言葉が頂けたようだ。

 

 

「だからさ、スバル君がノエルちゃんの事も好きだと思っているなら返事をしても良いよ。」

 

 

シルヴィにそう言われ僕は決意を固め、僕はノエルの方を向く。

 

 

「えっと、ノエル。さっきの告白だけど、僕で良ければこちらこそ宜しくお願いします。」

 

 

 

僕はノエルに告白の返事をする。

 

 

「こ、こちらこそ宜しくお願いします。」

 

 

ノエルは僕の返事を聞いて嬉しそうにしている。彼女の目元には涙が出来ていた。

 

 

「良かったね。ノエルちゃん。」

 

 

「ノエルの初恋が実って良かったわ。」

 

 

シルヴィとノエルの母親が嬉しそうにしている。

 

 

 

 

 

 

 

「さてと、私はこれで帰らせてもらいます。実家にも報告をしに行かないとなりませんからね。」

 

 

ノエルが落ち着くと、ノエルの母親が帰宅の準備をしようとする。外は時期が冬なので夕方でも外は十分暗い。

 

 

「僕が港までお送りしましょうか?」

 

 

「いえ、大丈夫ですよ。怪我人に無理をさせてはいけないし、それに恋人二人の時間を無駄にしてしまうわ。」

 

 

ノエルの母親はそう言ってシルヴィ達の方を向く。

 

 

「それではスバルさん、また近いうちに会いましょう。ノエルもしっかりしなさいね。」

 

 

そう言ってノエルの母親は家を出ていった。

 

 

 

 

「はぁ、今日は色々な事があったな。」

 

 

僕はソファでぐったりする。

 

 

「うふふ、そうだねスバル君。」

 

 

「お兄さんの言う通りですね。」

 

 

シルヴィとノエルがそれに賛同する。

 

 

 

「「でも、」」

 

 

 

 

 

 

「「今日スバル君(お兄さん)と恋人になれたことはとっても嬉しかったな(です)。」」

 

 

そう言ってソファに座る僕の両側から二人がくっつくように近づく。

 

 

「そっか、これからも宜しくね二人共。」

 

 

 

 

その後シルヴィとノエルが夕飯を作ってくれて、三人で一緒に食事をした。シルヴィとノエルはまだ自分の寮に私物があるらしく、夕飯を食べたらそれぞれの寮に帰って行った。二人共僕の家に引っ越す気満々である。

 

 

 

二人が帰った後、僕はシャワーを浴びていつもより早めに寝た。

 

 

 

こうしてスバルの長い一日は終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「そう言えばノエルちゃん、スバル君が多重婚をするっていうことは女子に狙われやすくなると思うけど、ノエルちゃんは狙ってそうな人知ってる?」

 

 

寮への帰り道にシルヴィアがノエルに訊ねる。

 

 

「そうですね……。実は一人知ってるんですけど、私はその人も認めても良いと思ってるんですよね。」

 

 

「それ誰の事?」

 

 

シルヴィアがその人物について聞こうとすると、ノエルが耳元でこっそりとシルヴィアに教える。

 

 

「……なるほどね。確かにオーフェリアさんなら私も認めてもいいかな。」

 

 

 

 

 

スバルが知らない場所で近い未来もう一人の恋人が出来るかも知れないという話がされていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 



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リハビリは大事

 

「ぐぬぬぬぬ………………」

 

 

「スバル君あと少しだよ!」

 

 

「お兄さん頑張ってください!」

 

 

今僕はダイバーシティで施設を借りてシルヴィ達に応援されながら僕はシルヴィ達の補助なしでゴールまで歩く練習をしていた。

 

 

あと残り数メートルを僕はなんとか歩く。

 

 

「ハァ……ハァ……よし終わりだ。」

 

 

僕はゴールラインを足で踏む。

 

 

「お疲れ様スバル君。」

 

 

「ドリンク持ってきましたよ。」

 

 

「ありがとう、シルヴィ、ノエル。」

 

 

僕はシルヴィからタオルを受け取って汗を拭きながらノエルからもらったドリンクを飲む。

 

 

 

「そこそこ歩けるようになったじゃない。この調子なら春には足も元の全盛期の状態に戻るだろうし、次の段階に行けるわ。」

 

 

「レイナ社長。ご無沙汰しています。」

 

 

声のした方を見ると、そこにはリハビリの様子を見に来たレイナ社長とエレナがいた。

 

 

「今日で王竜星武祭からもう一週間が経ったんだよね。それにしてはスバルの回復は早いよね。」

 

 

エレナがうんうんと頷く。

 

 

「僕にジークヴルム・ノヴァがあればすぐに元通りだったんだけどね。今はまだ修理中だから。」

 

 

王竜星武祭で使われたダイバーシティの純星煌式武装は全て春まで修理中で使えない。もちろん、オーフェリアの使うダークヴルム・ノヴァもである。

 

 

何故すぐに修理出来ないのかというと、今回の件で僕が壊したガラードワースの純星煌式武装であるラグナ・ロックの修理を先にやっているからだ。僕が壊したから責任という意味を込めてダイバーシティが本来時間やお金がかかるものを無償で修理をするとガラードワースに言ったのだ。

 

 

「普通の人はジークヴルム・ノヴァのような一瞬で傷が回復するようなものは持っていないわ。貴方はたまに能力に頼りすぎなのよね。」

 

 

レイナ社長が溜め息を吐きながら言う。

 

 

「まぁまぁレイナさん。ところでスバルはリハビリが終わったけど、これからの予定は?」

 

 

エレナが僕に訊ねる。

 

 

「今日は用事が何もないので、ダイバーシティでゆっくりしてから帰ろうと思うよ。」

 

 

「ふーん。まぁ、私とレイナさんは仕事で忙しいけど恋人二人とゆっくりしていきなよ。」

 

 

エレナはニヤニヤしながらそう言ってレイナ社長とその場を後にした。

 

 

実はダイバーシティに勤めている人達は僕が彼女達と付き合い始めた事を知っている。実際ダイバーシティの本部に入ろうとした時に正門の警備の人から『おめでとうございます。』とお祝いされた。本当に情報が早くて自分ではびっくりしている。

 

 

「さてと、そろそろ正午だからダイバーシティの食堂で昼飯を食べてから帰ろうか。」

 

 

「お兄さん、ダイバーシティに所属していない私達でも施設を利用しても良いんですか?」

 

 

ノエルが僕に訊ねる。

 

 

「あまり知られていないけど、ダイバーシティは一般人でも規制があるけど施設は利用できるよ。それに僕がついてるから大丈夫だよ。」

 

 

僕はノエルの疑問に答える。ダイバーシティってまるで大学みたいだよね。

 

 

 

僕は車イスに乗り換えると、シルヴィとノエルに押してもらいながら食堂に向かった。

 

 

 

 

 

…………………………

 

 

 

 

…………………………………………

 

 

 

 

…………………………………………………………

 

 

 

「そう言えばずっと思っていたけど、ダイバーシティって色々な人がいるよね。」

 

 

昼飯を食べながらシルヴィが僕に訊ねる。因みに僕は昼飯を和風パスタにして、シルヴィとノエルもそれぞれ味が違うトマトソースとクリームソースのパスタを選んだ。

 

 

「確かにクロヴィスさんみたいに護衛や指名手配の確保といった仕事をする人やシェインさんやファムさんみたいに煌式武装や化学分野で研究をしている人もいますよね。」

 

 

ノエルがシルヴィの言葉に頷く。

 

 

「そうだね。そこがダイバーシティと呼ばれる所以だけど、組織の人達はそれぞれの事情を持っている人が多いかな。例えばあの人達とか…………」

 

 

僕は少し離れて昼飯を食べている男女数名の集団を指差す。

 

 

「あの人達は元々別々の統合企業財体に勤めていた人達なんだよ。」

 

 

「そうなの!?」

 

 

「えっ!?そうなんですか?」

 

 

シルヴィとノエルがそれを聞いて驚いている。確かに無理もない、なぜなら統合企業財体はそれぞれ競い合うかのようにライバル意識が非常に高い。だからこそ、別々の統合企業財体同士が仲良くしているのはあまり見られないし、そんな事をすればスパイ疑惑がかけられ統合企業財体に消されかねない。

 

 

「あの人達は統合企業財体から追い出された系の人だね。例えばあの眼鏡の男性だけど、彼はアルルカントの運営母体の《フラウエンロープ》で研究者として勤めてたけど、その研究内容が利益主義である統合企業財体の方針に反していることから次第に研究費が削られて、彼は自主的に辞表を出してダイバーシティに来た感じかな。」

 

 

「なるほどね。」

 

 

「自分の研究が出来ないのは可哀想ですね。」

 

 

シルヴィとノエルが納得する。

 

 

「他にも最初からダイバーシティに志願をした人とか色々な境遇の人が集まるし、統合企業財体に追い出された人をダイバーシティがスカウトとかをする時もあるね。」

 

 

僕は一通りダイバーシティについて説明をして、食後のアイスティーを飲む。

 

 

 

するとこちらに近づく人達がやって来る。

 

 

 

「おやおや、スバル君。恋人二人といったい何の話をしているのかな~?」

 

 

「………相席してもいいかしら?」

 

 

魔法使いのような三角帽子を普段被っているファムさんとオーフェリアだった。それにしては珍しいな、ファムさんとオーフェリアってあまり接点がなさそうなんだが。

 

 

「別に良いよ。」

 

 

僕が答えると二人とも近くのイスに座る。

 

 

「ファムさんって研究に夢中でなかなか出てこないって聞いたんですけど、珍しいですね。」

 

 

「いやいやノエルちゃん。私だって食事をするために食堂には来たりするよ。ニートじゃないんだから。でも確かに私は研究に夢中になったりするからダイバーシティに基本的には籠っているかな~。」

 

 

ファムさんがいつものようにからかう感じで答える

 

 

「そう言えばファムさん。今日はオーフェリアと一緒にいるってなかなか珍しいですね。何かまた新しい研究でも始めたんですか?」

 

 

僕はファムさんに訊ねる。

 

 

「そうだね~。実はこの前のオーフェリアちゃんがダークヴルム・ノヴァの毒素を抑え込んだ所を見て、新しい研究が思い付いたんだよね~。」

 

 

「いったいどんな研究なんですか?」

 

 

「オーフェリアちゃんの毒を利用して新しい薬……血清やワクチンに近い物を作る研究かな。私の仮説が正しければどんな病気や毒にも対応できる万能な薬ができる可能性があるかな。」

 

 

ファムさんがそう答えると、僕やシルヴィ達は驚きの研究にびっくりしている。失礼だけど、ファムさんはこんな性格だが研究内容は人には思いつかない事を発想するし、それを実現させる能力もある。

 

 

「じゃあ、それが完成したら………」

 

 

「………そうよ、シルヴィ。多くの人達を救う事が出来るわ。私自身も私の毒には人を傷つける事しか出来ないと思っていたけど、彼女の提案を聞いてすぐにその研究に力を貸すことにしたわ。今日は私の血液のサンプルが欲しいからって採血をされに来たの。」

 

 

そう言ってオーフェリアは腕を見せる。そこには絆創膏が貼ってあった。

 

 

「ファムさんってすごいですね。そう言えばファムさんってどうしてダイバーシティに居るんですか?」

 

 

ノエルがファムさんに訊ねる。

 

 

「それは秘密だな~。」

 

 

ファムさんがいつもの調子で答える。

 

 

実はダイバーシティには暗黙のルールがあり、そこには『元調律の巫女一行の人達を詮索はするな。』というものがある。別に罰則規定はなく、ただレイナ社長達が過去を教えてくれないだけでこのような事に発展しただけである。出身すらも教えてくれないため少々不気味だが、良い人達ばかりなので僕はあまり気にしていない。

 

 

「そうそう、シルヴィアちゃんにはこれを渡して欲しいとシェインちゃんに言われてたんだ。」

 

 

そう言ってファムさんは懐から煌式武装を取り出してシルヴィがそれを受け取る。

 

 

「これって………」

 

 

「そう。スバル君が壊したシルヴィアちゃんの煌式武装であるフォールクヴァングだよ。実はシルヴィアちゃんの分もやってたんだ。」

 

 

「あ、ありがとうございます。」

 

 

シルヴィがファムさんにお礼をする。

 

 

「その言葉はそのままシェインちゃんに伝えておくよ。実は最近アルルカントに用が有るからあまりダイバーシティにいることが少ないんだよね~。」

 

 

 

その後も僕はファムさんとオーフェリアを交えて色々な話をした。殆どプライベートの話なんだけどね。

 

 

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

………………………………………………

 

 

 

 

……………………………………………………………

 

 

 

「シルヴィ、ノエル。そろそろ船が出るよ。」

 

 

僕はアスタリスクに向かう船の港で遠くで何かオーフェリアと話している二人を呼ぶ。

 

 

「あはは、ごめんね。」

 

 

「すいません、お兄さん。」

 

 

シルヴィとノエルが来た事を確認して僕は車イスを押されながら船に乗り込む。

 

 

「ところでシルヴィ達はオーフェリアと何の話をしていたんだ?」

 

 

僕は船内で二人に訊ねる。

 

 

「まだスバル君には秘密かな。」

 

 

「そうですね。シルヴィアさん。」

 

 

「???」

 

 

その後もシルヴィ達は何も教えてくれなかった。一体何の話をしていたのかな?

 

 

アスタリスクに着いた後はダイバーシティで思っていた以上に過ごしてしまい、そのまま帰宅となった。ちなみにシルヴィとノエルは僕と同棲するつもりだったらしいが、ペトラさんとレティシアさんに記者会見まで何もするなと言われ今もそれぞれの寮で寝てるらしい。

 

 

 

 

 



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記者会見前の打ち合わせ


本当今更ですがデトアラ三期おめでとうございます。1月放送とかマジで受験生を殺しに来てるわ(誉め言葉)。


 

 

 

「はぁ……今更欠席って出来ないのかな?」

 

 

 

「駄目だよスバル君。こういうのは当事者本人が出なかったら記者の人達に何か疑われちゃうよ。」

 

 

「お兄さん、しっかりしてください。」

 

 

僕の両側をそれぞれ歩いているシルヴィとノエルにそう言われながら僕は重々しく歩き出す。

 

 

今日は前から言われていた記者会見の日である。実は先日ペトラさんから記者会見の打ち合わせがしたいという連絡を頂いたため記者会見が始まる時間の2時間前にクインヴェールで集合することになっていた。

 

 

あとちなみについ先日、車イスを卒業しました。医者からもほぼ普通の人のように歩けるようになった事から残りは車イスを使わず体の調子を取り戻した方が良いと言われた。

 

 

車イスの時と比べて補助無しでは歩けるようにはなったけど、やはり本調子に戻すにはまだ時間が必要だね。走るのもまだ辛いと感じる時があるしね。

 

 

そうこうしてる内に僕達はクインヴェールの正門前に到着する。

 

 

「ちょっと待っててね。正門の受付の人からスバル君達の入園許可証を発行してくるから。」

 

 

そう言ってシルヴィは正門の受付の所に向かって僕とノエルの入園許可証を取りに行った。

 

 

「あ、あの私も記者会見をするんですよね?」

 

 

ノエルが僕に訊ねる。

 

 

「そうだね。ペトラさんに事情を話したら一緒にやってくれるそうだし、実際ペトラさんも多重婚の話題はシルヴィにも関わるからなるべく早くやった方が良いと言っていたしね。」

 

 

今回の記者会見はシルヴィの恋愛の話題だけでなく、僕の多重婚についての話題についての記者会見である。ガラードワースを通してノエルとも多重の付き合いをする事を各メディアに報告したのだが、すぐにその話題に食いついてここ最近はそっちの方のニュースが一日中流れていた。

 

 

まぁ、そこまで批判的な事は言われてなかったし、有ったのはノエルとはどのような人物かと紹介されている感じだった。確かにノエルはまだ序列入りはしても星武祭にはまだ出たことがないため普通の人にはあまり知られてはいないだろう。

 

 

「別に緊張しなくても良いよ。困ったら僕やシルヴィがフォローするから。」

 

 

「わ、分かりましたお兄さん。」

 

 

ノエルがそう言って僕の服の袖を掴む。いや、今まで意識してなかったけどやっぱ可愛いな。

 

 

「終わったよスバル君。」

 

 

ノエルと色々話をしていると、シルヴィが入園許可証を持って帰ってきた。

 

 

僕とノエルはシルヴィから入園許可証を受け取り、クインヴェールの校内に入る。

 

 

学園長室まで行く途中、ペトラさんの要望でなるべくクインヴェールの学生に見つかんないように向かった。どうやらくクインヴェールに僕のファンが多くいて見つかると騒ぎになるからだそうだ。

 

 

 

 

 

 

…………………………

 

 

 

…………………………………………………

 

 

 

……………………………………………………………

 

 

 

 

「失礼します。」

 

 

 

僕は学園長室に着くと、シルヴィを先頭にして学園長室に入室した。

 

 

「待ってましたよ。」

 

 

そこにはイスに座りながら待っていたペトラさんとその傍らにはリーネとクインヴェール序列2位のネイトネフェルさんが立っていた。

 

 

「お待たせしてすいません。」

 

 

僕はペトラさん達に頭を下げる。

 

 

「別に大丈夫よ霧咲君。まだ時間はあるから。」

 

 

リーネが頭を下げる僕に言う。

 

 

「そうか。そう言えばここ暫くリーネとは連絡が取れなかったけどやっぱり……………」

 

 

僕はリーネの気持ちを察する。実はリーネは王竜星武祭が終わった翌日から連絡が取れなくなっていた。シルヴィに連絡すると、自分の部屋に籠っていたらしく、きっとランの事についてまだ心が整理する事が出来なかったのだろう。僕はずっとリーネの事を心配していた。

 

 

「もう大丈夫よ。もう心の整理はしたわ。引きこもっていた間ランが残した星武祭の景品でもらった学校の土地の手続きをしていたの。彼処は今ダイバーシティと志葉家が所有する土地になっているわ。」

 

 

リーネが引きこもっていた間の話を僕にする。どうやら元気そうで良かった。

 

 

久しぶりに彼女を見たのだが、最後に見た時と変わっていた所は彼女の腰の部分にランの使っていたルナテック・ジークヴルムが着いている所だろうか。

 

 

 

「あれ?ネイトネフェルじゃん。もしかしてネイトネフェルも打ち合わせに参加するの?」

 

 

リーネと話を終えた僕の隣ではシルヴィがネイトネフェルさんに声をかけていた。

 

 

「メディア嫌いのわらわがなぜ参加をせねばならぬ。偶然わらわが次のライブに行くために学園長殿に挨拶をしに来た所をお主らと会っただけだ。」

 

 

ネイトネフェルさんがシルヴィの呼び掛けにそっぽを向きながら言う。現に彼女の側には旅行用のキャリーバックがあった。

 

 

すると僕がシルヴィ達のやり取りを見ていると、ネイトネフェルさんが僕に近づいて来る。

 

 

「つい先日の星武祭のお主とはまるで雰囲気が違うの。あの時はわらわもお主に対して近寄りがたい感じはあったのじゃが、今のお主なら大丈夫だ。」

 

 

ネイトネフェルさんが僕を見ながら言った。

 

 

「お主がまた次回の王竜星武祭に出るような事があれば、戦ってみたいものだな。」

 

 

ネイトネフェルさんが僕にそう言葉を残すと、キャリーバックを取りに向こうへ行ってしまった。

 

 

「それじゃ部外者のわらわは失礼するぞ。また何処かで会えることを楽しみにしてるぞ。」

 

 

そう言ってネイトネフェルさんはペトラさんと僕達に挨拶をして部屋を出ていった。

 

 

 

 

「さて、それじゃ本題に入りましょうか。」

 

 

 

ペトラさんがそう言って僕達を応接用のソファに座らせる。ペトラさんが言うには本来、シルヴィの件だけで済む事がノエルの件も加わった事で予め組んでいた計画が少々狂ったらしい。

 

 

 

僕達はそのままペトラさんの話を聞きながらそれぞれが記者会見の予行を行った。ちなみにリーネが司会進行を行うためそこまで心配する必要はなさそうだ。

 

 

 

記者会見まで後少しだ。

 

 

 

 

 

 



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記者会見その1

皆さんお久しぶりです。あまり時間が取れなくなってきてしまいました。そろそろ受験モードに移行しなければならなくなり、書ける時間も少ししかありません。一応暇な時間があれば書くようにしますので、よろしくお願いします。1ヶ月程更新がなくても失踪ではないのでそこは心配しなくても大丈夫です。


 

 

六花放送局  楽屋

 

 

 

「そろそろかな。」

 

 

僕は楽屋の時計を見る。記者会見が始まるまで残り十分位だろうか。

 

 

「そうだね。そろそろ係の人が来るはずだと思うんだけど。」

 

 

シルヴィが髪を整えながらそう答える。ちなみに今のシルヴィの姿は変装をしている茶髪の姿ではなく、いつもの紫色の髪の姿である。

 

 

「はぁ………緊張しますね。」

 

 

ノエルはそう言って楽屋のイスにちょこんと記者会見の時間まで待つように座っている。

 

 

 

それぞれが記者会見の時間まで準備や緊張をしていると楽屋のドアが大きく開く。

 

 

「皆さん、行きますよ。」

 

 

そう言って入って来たのは今回の僕達の記者会見の司会進行をしてくれるリーネだった。彼女はいつものクインヴェールの制服ではなく、まるで秘書のような黒の女性用のスーツだった。

 

 

「ああ、分かったよ。」

 

 

僕達はリーネに連れられて記者会見を行うはずのスタジオに向かった。

 

 

 

…………………………

 

 

 

………………………………………

 

 

 

………………………………………………

 

 

 

「それでは三人はここで待っててください。」

 

 

リーネと共に記者会見を行うスタジオに入り、僕達はリーネに決められた席に座らされる。

 

 

見るとスタジオにはすでに多くの記者が座っていて、テレビ局の人達もスタンバイしていた。それに僕達より少し離れた横の席にはペトラさんが静かに座っている。

 

 

「一応聞くけど、今回の記者会見には僕達を悪く言うような記者は来ていないんだよね?」

 

 

僕はリーネに訊ねた。

 

 

「ゴシップ記事などを書くような悪い評判があるような人達は私と学園長が一応確認して呼んではいないと思うけど、多分まだいるわ。けど、そこら辺は私が何とかするから別に心配する必要はないわ。」

 

 

リーネは自信ありげに淡々と答える。そのやり取りを聞いているペトラさんも不安や心配などをしている様子はない。余程リーネを信頼しているのだろうか。

 

 

そう言えばリーネのクインヴェールでの表向きの仕事ってあまり見たことがなかったな。

 

 

「分かった。頼んだよ。」

 

 

「任せなさい。」

 

 

リーネはそう言って司会用の場所に向かう。

 

 

 

僕達は打ち合わせ通りにやれば良いんだ。そこはリーネの仕事の腕を信用しよう。

 

 

 

 

…………………………………

 

 

 

…………………………………………………

 

 

 

 

『定刻になりました。これより霧咲さん、シルヴィアさん、ノエルさんによる交際の報告の件についての記者会見を行いたいと思います。司会進行はリーネ・エクスラーがやらせて頂きます。』

 

 

リーネがマイクを通して開始の挨拶を行うと、記者の人やテレビカメラがリーネの方を向く。

 

 

いよいよ始まったか………。それにしてもよくリーネは緊張しないよな。やっぱ慣れなのだろうか。

 

 

『まず、先に今回の記者会見の留意点についてお話します。今回はあくまで霧咲さん、シルヴィアさん、ノエルさんの交際の報告が焦点となりますので、くれぐれも()()()()()()()()()()()()()()()は避けて頂きます。そのような事をする方は質問をする権限を失いますので気をつけて下さい。』

 

 

それを聞くと一部の記者達がざわめき始める。恐らく質問をいくつか潰されたからだろう。

 

 

先程のリーネの留意点の説明には大きな意味がある。それはまだ居るであろう悪い記者の行動を制限するためだ。

 

 

打ち合わせでペトラさんが『僕が王竜星武祭でやってしまった件』を追及される恐れがあるかも知れないと話していた。実際、その件はガラードワースを通して先日謝罪を行って今更引きずる話題でもないはずなんだけどな。

 

 

ただ、シルヴィは世界でもトップアイドルのため僕が彼氏になる事を許さない人もいるだろう。だが、もし僕がその件に追及され始めてあれこれと記事を書かれたら、僕とシルヴィの仲を反対する風潮に助長してしまう。そうなれば僕もシルヴィと別れる事になり、たまったものじゃない。

 

 

リーネのアスタリスクでの仕事は生では初めて見るが、しっかりした仕事ぶりだと僕は思う。

 

 

『次に記者の方達にですが、申請して許可されたカメラや録音機以外の電子機器の使用は控えてもらいます。もちろん通信機器もです。』

 

 

リーネがアナウンスをすると、記者達は一斉に手持ちの携帯電話などを取り出したりして電源を切る。盗撮なんかされたら大変だからね。

 

 

『皆さんよろしいですか?』

 

 

リーネはそう言って確認をとる。すると、確認を終えたリーネがボールペンを取り出し、ボールペンに星辰力を込める。

 

 

一体何をするつもりだろうか………。見ると記者から見えない所で彼女の煌式武装である言霊一筆を取り出している。あれは『波』と書いているのか?

 

 

すると、彼女の能力が発動して『波』と書かれた文字の能力がボールペンに付与される。リーネはそのまま研ぎ澄ますようにボールペンを司会進行用の机に数回とんとんと叩く。

 

 

『………ハァ。これで最後の確認と致しますが、本当に大丈夫ですね?』

 

 

リーネが溜め息をつきながら記者達に最後の確認をする。記者達はリーネの確認に自信を持って頷いているいるが、彼女はそれを見てまた深く溜め息をつく。

 

 

『………分かりました。それが貴方達の答えと捉えても構わないということでよろしいですね。』

 

 

リーネは不本意であるが、納得するかのように答える。リーネの様子を見ていたペトラさんは頭を抱える。彼女らは一体どうしたのだろうか。

 

 

『では△△新聞社さんと★★通信と▲▲放送社さんは今すぐにこの場から退出してもらいます。』

 

 

「「「っ!?」」」

 

 

リーネに退出を言い渡された会社の記者達はそれを聞いて驚いた様子である。僕もリーネがどうしてそのような言い渡しをしたのかまだ分からない。

 

 

「な、何故だ!?」

 

 

リーネの言い渡しに反論するように△△新聞社の年配の男性の記者が会場に響くような声を出す。周りの記者達はその声に反応して彼を見る。

 

 

『★★通信と▲▲放送社はどうしてこのような事態になったのか自覚しているようですが、△△新聞社はまだ分からないのですか?では貴方の内ポケットに入っている小型機械は一体何でしょうか?』

 

 

リーネは淡々と挑発するかのように△△新聞社の記者に訊ね返した。すると、△△新聞社の記者が動揺し始める。

 

 

なるほど……。

状況が分かってきたぞ。

 

 

「な、何の事だ?私は決して()()()は持ってないぞ。」

 

 

ああ……あの記者、墓穴を掘ったな。

 

 

『どうしてカメラと断言しているのですか?私はあくまで小型の機械と言っただけですよ。』

 

 

「ぐっ!!」

 

 

△△新聞社の記者がその一言に怯むと、係の人が彼らの元に向かい、持ち物検査を始める。

 

 

すると、彼らの内ポケットからは電源が切られていないカメラや録音機が見つかる。

 

 

『もう言い逃れできませんね。』

 

 

「ふ、ふざけるな!!」

 

 

△△記者の男はリーネにキレた。いや、貴方の醜態テレビカメラに写ってるからやめた方が………

 

 

『なんですか?私は何回も注意はしましたよ。それを無視した貴方が悪いと思うのですが。』

 

 

「黙れ!!たかだかクインヴェールの序列上位者でペトラ殿の秘書をしているそうだが、所詮は学生だろ。もう少し大人に気を利かせる事もできないのか!」

 

 

リーネへの悪口はヒートアップしていく。

 

 

「まったく貴様のような奴は司会には向かないな。私はこれでもペトラ殿と昔からの付き合いでな。貴様のような無能なぞクビ、いや退学にしてやる。」

 

 

あの人、怒りのあまりに周りが見えていないな。貴方の姿バリバリカメラに映ってますよ。

 

 

『……なるほど。もし私でなかったら貴方の行いは許されると言いたいのですね。』

 

 

「ああ、こんな仕打ちあんまりだな。」

 

 

男は勝ち誇る顔をした。僕はある人物の顔色を伺う。うわっ、すごい不機嫌だ。シルヴィも僕と同じような気持ちで様子を伺っていた。

 

 

 

『なら、貴方が先程仲が良いと言っていたペトラ学園長に意見を聞いてみましょうか。』

 

 

「はっ!?」

 

 

男は今更その場にペトラさんがいる事に気づいたらしい。だが、もう遅い。ペトラさんは先程から不機嫌そうに話を聞いていた。リーネの一言でみんなの視点はペトラさんに移るが、逆鱗に触れられたペトラさんに記者達は視線を合わせられず、テレビカメラも映すことができなかった。うん、ナイス判断。

 

 

「あ、あのペトラ殿……」

 

 

『彼女はしっかりと平等に物事をする優秀な私の生徒であり、秘書です。それを貴方の勝手な考えで無能呼ばわりするとはどういうことでしょうか。そもそも年上に気を使わせたり、大人のコネなどで記者会見に参加するなんて記者失格ですね。』

 

 

「いや、その………。」

 

 

『貴方や貴方がいるような場所には今回の記者会見の参加、いや今後も来ないで頂きます。』

 

 

「ま、待ってくれ………」

 

 

『貴方は私と付き合いが長いと言っておりましたが、あのような性格をした人物など私は知りません。もう二度と来ないで下さい。』

 

 

「そんな………」

 

 

男はその場に崩れ落ちる。だが、男はすぐに係の人によってスタジオから連行されていった。

 

 

★★通信と▲▲放送社も一緒に連れていかれたが、先程の記者よりは罰は軽いだろう。△△新聞社はもう………

 

 

ペトラさんは怒りを治めてリーネに進行するように視線で合図を送る。

 

 

すると、一人の記者がリーネに質問する。

 

 

「あの、すいません。先程の空気からで悪いのですが、リーネさんはどうして彼らがカメラや録音機を持っていると分かったのでしょうか?」

 

 

リーネはその質問に一瞬戸惑い、ペトラさんの方を見ると、ペトラさんがOKサインを出す。

 

 

『それは私の能力です。私は文字を使う能力である魔女である事は皆さんも知っているのですが、私は先程『波』と書いてこのボールペンに能力を付与したのです。』

 

 

リーネはボールペンを記事に見せる。

 

 

『私はこれを使ってこのスタジオ内をレーダーのように機械などから発せられる波やノイズを探知したのです。あれほど警告して記者の皆さんから機械の波やノイズが出るのは可笑しいですよね。』

 

 

「な、なるほど。」

 

 

周りの記者も説明を聞いて納得する。

 

 

うん、これなら心配する要素なんて何処にもないな。ペトラさんが信用するのもよく分かる。というより普通の人から見てもここまで徹底した人材なかなかいないと思う。

 

 

 

『さて、少々トラブルがあった注意説明でしたが、次は記者からの質問に移らせて頂きます。』

 

 

記者達はそれを聞いて真面目な様子になる。

 

 

 

さて、やりますか。

 

 

 

 



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記者会見その2


どうも、約一ヶ月ぶりですね。かなり間を空けてしまいました。塾もそうなんですが、色々と時間が取れなくて一から書くのにかなり時間がかかってしまいました。投稿をしていない間、私の作品を見続けて頂きありがとうございました。今年はこれが最後となりますが、来年も時間があれば投稿をするので待って頂くとうれしいです。


 

 

 

リーネの進行のアナウンスを聞いて、取材陣だけでなく僕やシルヴィ、ノエルも気持ちを切り替える。先程のトラブルでかなり時間を持っていかれたが、ここからが本題なんだ。

 

 

『質疑応答につきましては現時点で一社につき一回にさせて頂きます。最後の方でまた機会を設けますのでそれを踏まえて質問をしてください。』

 

 

リーネは取材陣に対してそう説明する。だが、見る限りリーネの忠告によって質問が潰された人もいて、最後の方に機会を設ける必要はないかと感じる。

 

 

『それではまず、シルヴィアさんと霧咲さんの二人を第三者目線で見守って来たペトラ・キヴィレフトさんへの質疑応答を始めたいと思います。ペトラさん、よろしいですか?』

 

 

「ええ、構わないわ。」

 

 

ペトラさんは淡々と答えた。流石はベテランだなと僕は思う。僕なんて最初の星武祭の優勝者インタビューはめっちゃ緊張していたからなぁ。

 

 

『では取材陣の皆様どうぞ。』

 

 

リーネがそう言うと複数名の取材陣の人が手を挙げた。それをリーネは見渡して質疑応答する人を選ぶ。多分その辺はリーネやペトラさんが信用できる報道関係者を選んでいるだろう。

 

 

「どうも、〇〇社の者です。まず、ペトラさんは今回の霧咲さんとシルヴィアさんの交際の件についてどうお考えですか?」

 

 

「私は賛成だと思います。霧咲さんの性格は優れておりますし、実績も十分にあります。そして結婚を前提に意識している意思があります。私としては彼だけがシルヴィを恋人にする人として値する人物だと考えています。」

 

 

「なるほど、ありがとうございました。」

 

 

そう言って〇〇社の人は引き下がった。そして、リーネは間髪入れず他の先程手を挙げた人を指していく。

 

 

「◎◎社です。シルヴィアさんが交際を発表しましたが、今後の活動はどうするのでしょうか?」

 

 

「そこは彼女次第ですね。ただ、彼女はこれからもアイドルとしての活動を続けていく意思があるので、私は彼女をサポートするだけです。」

 

 

「ファンの人が減ると思われますが?」

 

 

「それならそれでも私は構いません。私とシルヴィはシルヴィ本人の意思を尊重しつつ、今までのような活動を行っていくだけですから。」

 

 

「な、なるほど。分かりました。」

 

 

シルヴィの活動については前からシルヴィと決めていたのだが、別に束縛はしないし彼女も時期が来れば自分の意思で業界から引退すると話していたので別に問題はないだろう。ペトラさんもそれには賛成していたしね。そう考えながらも隣ではペトラさんの質疑応答をは続いていた。

 

 

「どうも、◇◇社です。今回シルヴィアさんと霧咲さんの交際だけでなく、同時期のノエルさんとの交際についても波紋を呼んでいますが、その辺はどう考えていますか?」

 

 

「そればかりは私とノエルさんは接点があまりないため断言してお答えすることはできません。ですが、霧咲さんやシルヴィとも仲が良いため私としては三人で良い関係が作れるだろうと思っています。その辺は当事者の方に聞くのが一番です。」

 

 

そう言ってペトラさんは横目で僕達を一瞬見た。

 

 

「分かりました。ありがとうございました。」

 

 

◇◇社の記者の質疑応答が終わると、リーネがアナウンスをしても手を挙げる人は居なかった。次は僕達か。

 

 

 

 

『誰もいないためこれでペトラさんの質疑応答はこれで一度切らせて頂きます。続きましてはシルヴィアさんへの質疑応答に移らせて頂きます。シルヴィアさん、よろしいですか?』

 

 

「はい。大丈夫です。」

 

 

シルヴィはそう言ってリーネに答えた。リーネはシルヴィを見て確認を取ると、ペトラさんと同じように取材陣に手を挙げさせた。やはり本題は俺達か……。見ると、先程のペトラさんより手を挙げている人は多かった。

 

 

「▽▽社です。シルヴィアさんは霧咲さんの何処に惚れたんですか?」

 

 

「何事においても私を支えてくれるところです。幼少期、私とスバル君は同じ学校に通っていたのですが、私があるトラブルに巻き込まれた時に助けてくれたのが私の馴れ初めです。先程ペトラさんが話してくれたのですが、今後の芸能活動も彼が私の意見を尊重してくれるおかげでやっていける所があるんです。」

 

 

「なるほど。先程シルヴィアが先に霧咲さんを好きになったと言っていましたが、交際の申し込みもシルヴィアが霧咲さんにしたのですか?」

 

 

記者の人はそう言って話題を広げようとした。恐らくこの記者の人もペトラさん達の信頼する取材陣の1人だろう。シルヴィも会ったことがあるのか、気軽に話していた。

 

 

「はい///私からです。一年前に私が今年の王竜星武祭に優勝したら私の願いを叶えてくれると約束したんです。」

 

 

シルヴィは恥ずかしながら記者の人に説明した。

 

 

「なるほど。いい話をありがとうございます。」

 

 

そう言って▽▽社の記者の人は笑顔で質疑応答を終わらせた。リーネもそれを見て次の質疑応答に移ろうとする。質疑応答をする人も内容が被ったのか少し減っていた。質問をする人も限られており、先程ペトラさんに質問した記者ばかりだった。今まで質疑応答をしなかった記者は単に質問の内容が被ったのか、リーネの忠告を無視するような質問ばかりを考えた人達だろう。

 

 

「先程ペトラさんにも質問した◎◎社です。シルヴィアさんと霧咲さんとノエルさんには世間から多くの意見があります。その中には批判的なものもありますが、シルヴィアさんはどう考えていますか?お答えしづらいのであれば別に答えて貰わなくても構いません。」

 

 

◎◎社の記者はシルヴィアに気遣うように質問した。僕的にも答えなくても構わないと思うが、シルヴィはそれに答えるためにマイクを口に寄せる。

 

 

「私もそのような意見を拝見していますが、あまり気にしていません。私がアイドルだから交際や結婚は駄目だとコメントをしてくれる人もいますが、私はアイドル以前に一人の女性です。私にも自由に恋をする権利はあるというのが私の考えです。それが受け入れられないというのであれば、ペトラさんが言ったように私のファンを辞めても構いません。それと他にもスバル君が重婚を前提に私とノエルちゃんと交際していることにも批判的な意見があると思われますが、私達当人は重婚に納得しています。私自身もノエルちゃんには嫌な気持ちは抱かないし、私達3人なら一緒にやっていけると思います。」

 

 

シルヴィは記者の人達を圧倒するかのような演説のように◎◎記者の質問に答えた。◎◎記者の人もシルヴィの答えに圧倒されていた。

 

 

「質問は以上ですか?」

 

 

シルヴィはフォローするかのように◎◎社の記者の人に訊ねた。

 

 

「は、はい。答えづらい質問にお答えして頂きありがとうございました。」

 

 

◎◎社の質疑応答が終わり、リーネは手を挙げる記者を探すが、誰も手を挙げなかった。まぁ、あんな強弁したシルヴィに質問するのは空気的にも厳しいだろう。

 

 

 

 

 

リーネは記者達の様子を確認すると、シルヴィへの質疑応答を終わらせようと次のプログラムに移る。まぁ次は僕なんだけどね。

 

 

『次は霧咲スバルさんの質疑応答に移らせて貰います。霧咲さん、よろしいですか?』

 

 

「はい、いつでもどうぞ。」

 

 

リーネは俺に確認をとると、記者達は手を挙げた。案外もっといると思っていたが、ほとんどが前に質問した人じゃないか。多分、さっきのシルヴィの影響もあるだろう。

 

 

「先程質問した〇〇社です。霧咲さんは実績などが優れているため統合企業財体の色々な縁談があったが、断っていたと聞いています。これについてはやはりシルヴィアさんやノエルさん関連でしょうか?」

 

 

「そうですね。〇〇社の言う通り僕は統合企業財体から縁談の話を多く貰っていました。ですが、僕自身もシルヴィが幼少期から色々な事があって気になる所がありましたが、今は世界の歌姫ですからね。僕なんかとは身分が違いますよ。だから縁談を持ち込んで来た人にはぐらかすようにして断っていましたが、もし僕が断って傷ついてしまったら本当にすいません。それと関連してノエルとの交際には統合企業財体が絡んでいるという噂があるのですが、それは違います。彼女とは統合企業財体関係なくお付き合いをさせてもらっています。実際、彼女とはかなりの付き合いがあります。それにシルヴィも僕とノエルの交際の現場にも立ち会い、納得しています。だからその辺は誤解している人もいるのですが、これは僕達だけの問題だという事を理解してくれれば嬉しいです。」

 

 

うん、ノエルとの交際には統合企業財体は関係ないよね……多分。あれは元々ノエルが僕の事を好きだったからノエルの母親が手伝っただけだから。現にメスメル家と関わりがあるEPからも将来はEPで働くような指示はないし、大丈夫だろう。

 

 

「な、なるほど。ありがとうございました。」

 

 

『他に質問をする人はいらっしゃるでしょうか?』

 

 

「▽▽社です。今回の件で霧咲さんは重婚をする意思があることが公になりましたが、言い方は悪いかもしれませんが、シルヴィアさんやノエルさん以外にも増える可能性はありますか?」

 

 

「今のところそのような意思はありません。シルヴィやノエルとトラブルが増えるかもしれませんから。今はこのままが一番ですかね。」

 

 

僕がそう答えると、隣のシルヴィがマイクを取った。

 

 

「私としてもスバル君の気遣いは非常にありがたいです。ですが、もし増えるとしたら私としては知らない人よりは知っている人が良いですね。」

 

 

シルヴィはそう言うと、ノエルの方を見てウインクをした。ノエルはそれに顔だけだが反応していた。え、何?思い当たる人でもいるの?僕分からないんだけど。

 

 

「答えづらい質問に答えて頂きありがとうございました。」

 

 

▽▽社は納得してくれたようだ。リーネは時間が押しているため進行を急がせるが、誰も手を挙げなかったため僕の質疑応答は終わった。

 

 

 

 

最後はノエルの番だ。

 

 

『最後にノエルさんの質疑応答に入らせて頂きますが、ノエルさん準備は大丈夫ですか?』

 

 

「はっ、はい。大丈夫です。」

 

 

ノエルはちょっと緊張しているが、大丈夫そうだ。リーネは確認をとると、取材陣にアナウンスをするが………

 

 

『あ、あの誰も手をあげないのですか?』

 

 

リーネは少々戸惑うのも無理はない。なぜなら取材陣の人が誰も手を挙げないからだ。

 

 

恐らくノエルについてはEPのエリオットとも深い関わりがあるため政略結婚を前提とした交際だと思い、取材陣もそれを踏まえて質問を考えて来たのだろう。だけど、僕がそれを撤回したため質問がなくなったのだろう。

 

 

「じゃあ、よろしいですか?」

 

 

『はい、▽▽社さん。』

 

 

先程、シルヴィと親しげに質疑応答をしていた▽▽社の記者が手を挙げた。挙げなかったのは質問のし過ぎで周りに配慮したからだろう。シルヴィに聞いたところ▽▽社はペトラさんにお世話になった仲で、今回の記者会見でも一番信用しても良い所だと聞いた。

 

 

「ノエルさんから見て霧咲さんとはどういう人か教えて下さい。」

 

 

「は、はい。私にとってお兄……霧咲さんはお兄さんのような方です。私が幼い頃からもお世話になりましたし、アスタリスクに来てからも私に優しく接してくれました。シルヴィアさんには色々と彼女として負けている部分はありますが、幼い頃からの霧咲さんを思う気持ちは誰にも負けていないと思います。」

 

 

「なるほど。ありがとうございました。」

 

 

多少緊張していて僕をお兄さんと呼ぶ癖が出てしまったが、記者の質問にはしっかりと答えられていたし、大丈夫だろう。

 

 

 

 

その後、ノエルへの質問はなかったためリーネはノエルの質疑応答を終わらせた。そして、そのままリーネの宣言通り僕達へのフリーな質疑応答があったのだが、時間もギリギリだったため軽めな質問を2つぐらい答えるものだった。

 

 

 

『これを持ちましてシルヴィアさん、霧咲さん、ノエルさんの交際の記者会見を終わります。』

 

 

 

リーネが記者会見を終えるアナウンスをすると、僕達にカメラが向けられ一斉に写真を撮られる。僕達はそのままスタッフに連れられて記者会見場を後にした。

 

 

 

…………………………

 

 

 

………………………………………

 

 

 

…………………………………………………

 

 

 

「無事に終わって良かったね、スバル君。」

 

 

「そうだね、シルヴィ。僕達は大丈夫だったけど、リーネの方は少々トラブルがあったけど。」

 

 

「お兄さんの言う通りですね。でも、リーネさんの評判は悪くなっちゃうのではないのでしょうか。」

 

 

「そんな事はないわよ、ノエルちゃん。彼女はしっかりと仕事をしただけだから。もし今日追い出した彼らが根も葉もない記事なんか出したら私が廃業に追い込むだけだから。」

 

 

リーネを心配するノエルをペトラさんが心配しないように説明した。最後らへん物騒なワードがあったのは気のせいだろうか。

 

 

これからの僕達の予定としてはそのまま駐車場に向かって僕達専用の車で取材陣に囲まれない内にそれぞれの学園に帰宅する予定である。

 

 

リーネは記者会見の収拾や片付けを終えてから帰宅すると話していた。

 

 

 

記者会見の反省などを話している内に地下の駐車場に着き、僕達が乗る黒色の車を見つけた。

 

 

僕達はそのまま急ぐように車に乗り込んだ。因みに専属の車の運転手とペトラさんは前部座席、僕とシルヴィとノエルはシルヴィ達が僕を挟むように後部座席に乗った。

 

 

「みんな、大丈夫ね。行くわよ。」

 

 

ペトラさんが後ろを見て確認をとると、すぐに車は出発して、地下駐車場から一般道に出た。

 

 

後ろを見ると、取材陣がテレビ局の入口に押し寄せていた。あと少し遅ければ巻き込まれていただろう。

 

 

僕達はそれを見て一安心すると、僕の隣のシルヴィが腕を絡ませてくる。

 

 

「ねぇねぇ、ペトラさん。これで私達の関係も公にしたから好きなだけイチャイチャしても良いんだよね。」

 

 

「そうね。でも、今日はそのままクインヴェールの学生寮に帰りますよ。このまま霧咲君の家なんかに行ったらまた何かと疑われるかもしれません。」

 

 

「ええ~、ペトラさんのケチ~。」

 

 

そう言ってシルヴィはペトラさんに頬を膨らませながら抗議をする。

 

 

「私は貴女達の心配をしているのよ。あと、シルヴィとノエルちゃんには芸能界の先輩としてアドバイスをするけど、まだ同棲は辞めておきなさい。」

 

 

「「はーい。(はい、分かりました。)」」

 

 

ペトラさんがシルヴィとノエルにそう言ってアドバイスをした。シルヴィもまだ若干納得してなさそうだったが、僕が説得した事で治まってくれた。それにしてもペトラさんはどこで二人が僕の家に同棲するかも知れないことを聞いたのだろうか。恐らくシルヴィかなぁ。

 

 

 

しばらくすると、ガラードワースの学生寮の近くで車が止まった。学生寮に住むノエルと近い場所に家がある僕はここで下りることにしたからだ。

 

 

「じゃあ、スバル君、ノエルちゃんまたね。」

 

 

車の中でシルヴィが別れの挨拶をした。

 

 

「はい、シルヴィアさん。失礼します。」

 

 

「僕達やシルヴィも新入生を迎える時期だから忙しくなるかもしれないけど、暇があったら連絡するよ。」

 

 

僕達も丁寧にペトラさんとシルヴィに挨拶をした。

 

 

「うふふ、じゃあ待ってるからね。」

 

 

「リーネにはよろしく伝えておくわ。霧咲君も病み上がりなのだから体を壊さないようにね。」

 

 

そう言ってシルヴィとペトラさんをのせた車はクインヴェールの方に向かって走っていった。

 

 

「じゃあ、私もここで………」

 

 

「ああ、アーネストさん達にはそろそろ復帰できると伝えてくれるかな。」

 

 

「はい、分かりました。」

 

 

ノエルはそう言って学生寮の中に入って行った。

 

 

ノエルが学生寮に帰ったことを見届けると、僕も自分の家に帰ろうとする。そろそろ日もくれるからね。僕は手短にスーパーで簡単な惣菜を買って家に帰った。惣菜を買ったのは記者会見で疲れてしまい、早々に寝たかったからである。

 

 

 

 

後日、雑誌やテレビでは僕達の記者会見が記事として独占をする日々が続いた。ネットを見てもそんなに悪く言う人が居なかったため少し安心した。

 

 

あと余談なんだが、僕達の記者会見の他にも司会進行をしたリーネにも注目する記事があって、『ペトラ・キヴィレフトの優秀な右手。リーネ・エクスラー』と一部の週刊誌が取り上げられており、リーネの秘書としての仕事が増えてしまったとリーネ自身が話していた。

 

 

 

 

 



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スバルの新たな力


前回から半年も……この作品を待って頂いてくれた皆様、お待たせいたしました。


 

 

あの王竜星武祭(リンドブルス)のシーズンから、今日で2ヶ月近くである。王竜星武祭での激戦や僕とシルヴィとノエルとの恋愛報道などがあって、町の人達が騒がしかったシーズンは多々延びてしまったが、今ではすっかり何事もなかったかのような平穏な日々が続いていた。

 

 

それは今の僕にとって非常にありがたい事だった。恋愛報道の熱も今ではすっかり冷めきったように落ち着いていて、余計な記者達に生活を邪魔されずに済んでいるからね。それに、今では人目を気にせず在籍している学園が違うシルヴィとも気軽に会える事が出来る。まぁ、自分の体を考えて遠出は出来ないからリハビリ関係で会うような仲みたいになっちゃってるけど。

 

 

さて、最近の周りの近況を簡単に説明すると、こんな感じかな。次は僕の近況について話そうか。

 

 

あの記者会見の後、シルヴィとノエルと一緒に僕はリハビリを続けていた。今では体力と戦闘の勘を全盛期まで戻すためにリハビリと言う名の実践戦闘も行っている。ノエルやシルヴィからは危ないから程々にと言われているけど、体が鈍っちゃうんだよね。それに実践戦闘(リハビリ)にも協力的な面子がすぐ集まるから。ほら、ダイバーシティのクロヴィスさんとかエイダさんとかタオさんとか。あの体育会系のオーラを纏ったような人達は試合とか大好きだし。あ、でもリハビリ中の僕に三人とも怪我しない程度に加減はしてくれたからね。

 

 

それで今も……………

 

 

「はあっ!!」

 

 

「くっ!!!」

 

 

雄叫びと共に放たれた勢いのある剣撃により、僕の手から練習用の剣型煌式武装が離れ、床に落ちる。

 

 

「……僕の負けですね、アーネストさん。リハビリに付き合ってくれてありがとうございました」

 

 

「どういたしまして。僕も久しぶりにキミと試合が出来て楽しかったよ」

 

 

そう言って笑顔でアーネストさんは床に落ちた練習用の煌式武装を拾って僕に返した。

 

 

 

ここはガラードワースにある練習室。冒頭の十二人に対して与えられる個人用の練習室で、ここは僕に支給されたものだ。

 

 

何故アーネストさんと戦っていたか。それは今日僕が学院に生徒会の仕事をしに来た際に、アーネストさんに僕からリハビリの手伝いをお願いしたからだ。

 

 

レティシアさんやライオネルさんやノエル達生徒会メンバーが一ヶ月後に控える入学シーズンを迎えている忙しい中で、アーネストさんだけ少しだけ時間が空いていたという理由もあったが、やはり今の実力を試すには戦った事のある強者じゃないとね。今の実力と昔の実力を比べる事が出来ないし。

 

 

「スバルくん、調子はどうだったかい?」

 

 

「体調も含めてかなり回復してきた方ですね。この調子でリハビリを続けていれば、入学シーズンまでには強さも全盛期ぐらいに戻るぐらいです」

 

 

それを聞いてアーネストさんはうんうんと嬉しそうに頷いていた。

 

 

「それは良かった。僕だけでなく、レティシア達も心配していたからね。それにガラードワースが誇る生徒が一人でも復活してくれるなら、他の生徒達も活気が溢れるだろうし」

 

 

そう言ってアーネストさんは僕を見つめながら話すが、その顔は少々辛そうに見えた。やはり、アーネストさんもランが居なくなった事に少なからずショックを受けているのだろう。

 

 

ノエルから聞いた話によると、僕がまだ外出が厳しい中、ガラードワースではランが残した後始末に追われていたらしい。

 

 

まず、ランの処分だが、休学扱いにされたそうだ。星武祭の後に急な退学はかなり怪しいからね。休学なら理由がつけられる。だが、それだけでは終わらずに、それに起因して今度は彼の序列の話になった。

 

 

ランの序列は十四位だったからね。冒頭の十二人には入っていないものの、学院としては重要なポジションだ。最初は生徒達の意見をあり、改めて序列入りの生徒を選ぼうとしていた。だが、事情を知るアーネストさん達が身元保証人のような形で序列十四位はランが継続する形で話を収拾した。その結果、序列十四位にはランの名前が残っているものの、実質は空席である。

 

 

けど、そこにはアーネストさん達の色々な思いが詰まっているに違いない。ランという存在を忘れないようにと。エリオットから聞いた話でも、アーネストさん達が統合企業財体にもあれこれ説得をして手を回していたそうだ。

 

 

「ええ、そうですね。僕がランの分まで代わりに頑張らないといけませんね」

 

 

「うん、そうだね。それじゃ、僕はこれで生徒会室に戻るとするよ。レティシア達が書類の整理を終わらせたらしいからね。じゃあ、またねスバルくん」

 

 

そう言ってアーネストさんは僕に別れの挨拶をして部屋を出ていったが、その後に入れ違いでランの代わりとなる見知った黒髪の女の子が入って来た。最初会った時は童話の住人のような格好をしていたが、今はガラードワースの白い制服をそれに混ぜたような格好をしていた。

 

 

「やっほー、スバル。久しぶりだね」

 

 

「エレナ、久しぶり。あの会議以来かな。ところでその姿は?ガラードワースの生徒になったのか?」

 

 

僕が訊ねると、エレナはううんと首を振った。

 

 

「私ね、ここの図書館のボランティアとしてこの学院に入ったんだ。ほら、生徒として入ったら、序列の公式試合とか免れないし。この身分の方がダイバーシティの仕事も両立しやすいんだ」

 

 

そう言ってエレナが自慢するかのように僕に説明した。成る程、確かにエレナはダイバーシティの仕事がかなり多いもんね。事実、ここ最近もあの会議以降は彼女の事情もあって、会うことが無かったし。

 

 

「成る程ね。ところで、エレナはここに何をしに来たんだい?アーネストさんと入れ違った辺りから、僕に用があると思うんだけど?」

 

 

僕がそう言うと、エレナは思い出したという表情を見せながら、僕に話をする。

 

 

「実はスバルの実力も戻って来た所で、スバルには新たに目覚めた力について話そうと思ってね」

 

 

「新しい力?そう言えば僕の真の力についてあの会議でも話していたね。確か、エレナの三つ目の能力にも関係しているとか」

 

 

「そう、スバルに話すのはその三つ目の力よ。関係していると言っても、ただスバルにも私と同じその力が使えるという話だけどね」

 

 

「え?僕にも使えるの?」

 

 

ええ、そうよと答えながら、エレナは彼女のカバンから一枚の栞を取り出した。

 

 

「今から、スバルにその力を教えるわ。その力の名前は『コネクト』。栞に眠る物語の英雄達の力を扱う力よ」

 

 

 

 

 



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