National Socialism again (YJSN)
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始まりは唐突に

こうやって前作を終わらせもせずに俺は何してんだこの野郎...






有りもしない栄光を渇望する少年は悟る。

そういうことなんだと。

 

ぼくがベルリン郊外の町で捨てられて、拾われて、黒に居場所を見つけて、一人に忠誠を誓った時以来、それは約束されたものなんだと知った。

 

 

 

ぼくがこうやって死にゆくところは、必然であり、総統のためなら右手と左足も、片目も、腹から鉛によって引きちぎられた内臓であっても、それらは捧げねばならないものなんだと。

 

 

けど、今はここには総統はいない。

 

この真っ暗な暗室には。ここがなんなのかは知らない。新しい迎えなのだろうか。

ベルリン戦で散ったはずと思ったけど。

 

 

 

我らは歓呼とともにそれらを迎え入れる___________

 

 

 

 

 

それは大いなる誇りと栄光を持った偉大なる帝国

 

 

ドイツ第三帝国なのだ__________________

 

 

 

いつの日かそんな言葉を耳にした記憶がある

古めかしい記憶だった。

 

 

 

 

けれど、その記憶をこの暗黒の中で起き上がらせた時

 

急に周りに気配が増えた。

 

自分以外に誰かいる

 

目は開けられない けれど、何か安心するような安堵感

 

彼らと共にいると全てが終えれる

 

そう思えるほどぼくはそれに多大なる信頼を寄せていた

 

やがて暗黒の中でも目が見えるようになった

 

 

自分の体を見てみた

 

手を見た 足を見た 顔を触った 指を見た

 

なんら人間と同じ

 

 

 

......に見えるように偽装された ギミック 偽り 仮面 ただの皮膚

 

そうとしか思えないほどに自分の体は 総統のために被験体として捧げるまでの時と比べ、大幅な変化を遂げていた

 

それは外見には出ない 中身のドロドロした真っ黒のもの

 

 

 

 

 

 

再び 国家社会主義を取り戻す

 

そう約束したんだ

 

逃げ出したヒムラーに代わって長官を務め始めた時からぼくは、親衛隊と共に全ての同志に誓ったはずだ

 

 

 

_________全ては我らの生存のために Sieg Heil _______________

 

 

 

 

そう強く願った時、目の前の黒い霧が晴れ、急に明るくなった。

 

 

ぼくの目がその明るさを受け付けないように顔をかばうように自然に手を前に出す

 

 

して、しばらく目を慣らしていくと、ここがどこなのか、はっきりと網膜に映る

 

 

 

なにもない草原だった

 

ぼくは訳がわからなかった いつも通り東部戦線で弾をばらまくだけの仕事はどこへと疑問に思った。

 

が、ぼくは察した。ぼくが国家社会主義の立ち上がりを強く望んだから、今があるんだと。

ぼくがこの世界に必要であり、ぼくはこの世界が必要なんだと。

 

ここが新たに同志を募っていく場所なのだと思うと、無性に祖国が恋しくなる。

 

 

 

ザッ

 

 

 

そう背後から聞き慣れた軍靴の音が聞こえた

 

振り返ると、そこには38名の数少ない生き残った歴戦の戦友同志諸君らがぼくに向かって右手を高く掲げて敬礼をしていた

 

「...。」

 

けれど、彼らは無言だ 目を見てみると、光の無い真っ赤な眼光がぼくを射抜くのみ

 

なにも言わない

 

なにも思わない

 

 

 

あぁ、そうか

 

彼らはもう戦うことを放棄したんだと

 

そう気づいてしまった

 

自ら闘争することへの逃走 逃避

 

ただただ命令に従う 従事する 機械に成り下がってしまったのかと

 

「...ぅ...っぅ...。」

 

そう思うと、無性に泣き出してしまった

 

みっともない そう思えても、ぼくは同志を失ったような感覚になって、居た堪れなかった

 

そう泣いていると、

 

 

 

ズンッ

 

ズンッ

 

 

そう地響きするほどの大きな物体が近づいてきていることに気づいた。

 

 

振り返ると、そこには素っ裸の大男がいた。

 

 

「...?」

 

ぼくは頭の上にハテナマークを浮かべると

 

 

 

ズシャァァァ

 

 

 

いきなりぼくのことを手で掴んできた。

 

けれど、後ろの親衛隊員同志諸君らは何もしない。

いや、この程度で死ぬとなどとは判断できないのだろう。

 

命令される機械 所詮同志諸君らの亡骸のようなもの

 

「...なら、ちょっとぐらい好きに生きてもいいよね...。」

 

そう小さな声で呟いた。

 

 

 

 

 

その瞬間

 

 

 

ガッ

 

 

 

 

ガッガッ

 

 

 

 

ぼくを掴んだ巨体の男がぼくを引っ張り上げようとするが、ぼくは地面に直立している。

 

 

ガッ

 

ガッ

 

 

ガンッ

ガンッ

ガンッ

ガンッ

 

 

 

ついに巨体の男がキレだしたのか、手ではなく足でぼくを地面から引き離そうとするが、ぼくはビクとも動かない。

 

 

 

 

「君は...ぼくらの生存を邪魔する...敵...?」

 

そう問うても答えは帰って来ず

 

よほど知能指数の低いゴミみたいな劣等人種なんだなと思い、ぼくはその生物兵器としての役割を再起させる

 

 

 

ぼくの身体中から黒いナニカが 空間の歪みを作りながら巨体にまとわりつく。

 

 

巨体の大男はまだぼくを引っ張り上げようとしたり、歯で噛んだくるけど、ぼくは痒いくらいだった。

それに、巨体の口の中は唾液とこいつに以前食われた奴の血液とでぐちゃぐちゃであり、ぼくの制服が汚れたのが1番気に食わないところだった。

 

そして、黒いナニカが巨体を覆うと、徐々に巨体の動きは緩やかになり、止まった。

 

 

 

ガタッ

 

ガタガタッ

 

 

 

 

そして不意に震えだした

 

 

 

 

 

グキィッ

ガギギギギ

 

 

 

 

そう耳が痛くなりそうな音を出しながら、巨体の体は四方八方にぐちゃぐちゃに曲がり出した。

 

 

めちゃくちゃな方向に骨が曲がり、なんとか修復を試みようとする生命力の巨体だが、強制的な骨の湾曲により、不可能であった。

 

 

巨体の男は暴れるようにその黒いナニカを引き離そうと必死にするが、まとわりついたままだ。

 

 

巨体の男はそのまま倒れこみ、暴れ出す。苦しむ様子が見受けられた。

 

ぼくはそれを記憶していく。この人種はぼくの呪詛で脳の視神経を刺激して視覚的な痛み つまるとこ幻覚を見せれること。

 

そして肉体は常に修復可能な状態であること。

 

ぼくは彼が苦しむところをニンマリ笑いながら見て、数分が経った頃

 

 

「...そろそろ飽きたし、いいや。」

 

 

そう子供が飽きたおもちゃを捨てるようにぼくは黒いナニカを彼の体の中に無理やり押し込んだ。

 

 

彼は一瞬その巨体でたじろぎした

 

だがそれっきり、またぼくの方に歯をガチガチと鳴らしながら迫ってくる

 

 

 

そしてぼくの体を嚙みちぎりろうとする直前

 

 

 

 

バァァンッ

 

 

 

そう大きな音響が鳴り響く

 

 

 

横を見据えると、そこには体がバラバラに弾け飛び、その赤い体液をまき散らした劣等人種の原型も留まれないほどの亡骸があった。

 

「さすがにこの状態から修復はしないの...へぇ...。ま、いいや。んっ、みんないこ?」

 

そう興味深くぼくは観察しながら親衛隊員と共に革命の旅を始めるのだった。




主人公の顔などは想像に任せます


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人種との出会い

今回は短いです






かれこれ歩き始めてから二、三時間が経った。

 

が、未だに何も建造物らしき物や人などは見かけない。

 

 

「しっかし...人っ子一人いないってのはどうゆうことかな...。」

 

この世界は僕らがいた世界とは違う。それを改めて認識した。

 

あの図体だけ馬鹿デカイクソのような劣等人種がいる時点で相違点がある。

 

それに、見た所ぼくを食べようとしていた。ただの生存本能に囚われたゴミと同然だ。

 

「この世界の人々は絶滅したのかなんなのか。あの巨体の人種に。」

 

それでは私の言語を介する者はいない。同志も募えずただただ親衛隊員と共に亡霊のように彷徨うだけになってしまう。

 

「...それだけは嫌だ...。」

 

我々と、かつての 先の大戦の敗者であった我々と同様の同志がいるはずだ。あの劣等人種共に自分と同じように捕食されようとしている同志が。

 

同志のために、何一つ諦めることなく再び国家社会主義 " Natinal Socialism " をこの世界に広めるのだ。

 

国家社会主義は必然的に広がるのではない。能動的、受動的な人種の多い国家ではまず生まれない。

 

だからこそ我らがいる。

 

より強力で、より強固な優等人種によって導き出された法則を広めるのだ。

 

そう強い想い " 意志の勝利 " を馳せながら、足を進める。

 

 

 

 

 

ザァー...

 

ザァー......

 

 

 

 

そうして更に一時間後、雨が降ってきた。濡れるのは慣れたことなので放っておく。

 

それよりも大切なことは、森らしきところが見えてきた。

 

 

ズンッ...

ズンッ...

 

 

それに大きな地響き...奴らの物と思われる音が多くなってきた。人の声らしきものも微かに聞こえる。

 

「...行くか...。Shutrm Krupp。」

 

そう親衛隊に言うと、ぼくは走り出す。

 

強く地面を蹴り、常任ではまず登れない太く大きな木々を飛び飛びで渡っていき、時速88kmの中親衛隊も同じようにしてついてくる。

 

段々と音のする方向へと近づくと、今度は剣の切れる音から悲鳴に変わりつつあった。

 

 

______ぁ...ぁぁぁ...________!!

 

_______ぇ...た...けて...__________!!!!

 

 

 

 

闘争の開始から絶望の終焉へと向かって行くのがわかる。

 

 

 

ぼく自身も味わったもの。

 

1945年4月29日に大戦を生き残れず無残に切り裂かれた日のこと。

 

...その話は今は置いておこう。

 

そう心を入れ替えて、彼ら、腰に何かをつけて宙を飛び回っている連中を観察する。

 

一見あのデカブツに対抗できているように見えるが、その機動戦は大雑把であり、奴らがたとえ生存本能に囚われたとしても反応できるレベルの遅い機動戦 いや、自らを消耗させるためだけの遅滞戦術にしか見えなかった。

 

みるみるうちに犠牲者は増えていき、奴らが捕食して行く速度も速くなった。

 

「くっ...撤退!!撤退だ!!!!」

 

そう司令が飛ぶと、現場の者たちは一斉に馬に飛び乗り、逃げ出した。

 

「...この武器はなんなんだ...?」

 

そう死体の一つから装備を剥ぎ取る。

 

ボンベにワイヤー...ショットトラップかなんかか...?

 

と、頭を傾げる。

先ほど彼らは短剣を使っていた。後進的な時代遅れのものだと思ったんだが、どうやらこの機械だけは凄まじく高度だ。それこそ、一次大戦レベルにまでは発達している。

 

このワイヤーの引っ掛けが木々や家、障害物に捕まり、ボンベのガスで前進すると言うことだろう。

 

我らが親衛隊の機動戦には及びはしないものの、完成すれば国防軍にでも導入して歩兵機動戦という夢を成功させてみたいな。

 

そんな興味が湧いて出てきて、ぼくは彼らをつけることにした。後ろの親衛隊員はぼくの駒に過ぎない。返答を待つ必要もない。

ぼくの生存に大いに役立ってもらうことが彼らなりの本望だろう。

 

そう思いながら、ぼくは彼らの後を追う。ぼくらの周りには黒い空間の歪みを生まれさせて、奴らからは見えないように。直ぐ後ろをつける。

 

 



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敗北の凱旋

親衛隊員はガスマスク付けてますけど、外せば中身はミイラ化した例のアレ(いつもの)




 

追ってから何時間か経過すると、巨大な壁が見えてきた。

 

「うへぇ〜...すごぃね...。」

 

そう感慨深くなっていたら、前方の彼らはその一角の飛び出たような壁で囲まれた区域の中に、門をくぐって中に入っていった。

 

「じゃぁ、ぼくらもちょっとお暇させてもらおっか。」

 

そう言いながらぼくは壁を四つ足で登る。強く一歩一歩を蹴り、目測50mの壁をよじ登る。

 

 

 

で、やっとこさ1番上に辿り着いた。

 

そこで全貌を見渡す。壁の内側の構造を把握して行く。

 

 

 

どうやらこの壁があいつら劣等人種を跳ね除けるのに一役買っているようだった。

 

更に中には三層の重圧な壁で囲まれており、それぞれが上級階級から下級階級まで、分かりやすいように貴族のように並べ腐った壁がここからは拝めた。

 

「...また君主制か...。」

 

あまり芳しくはない状態。君主制という状態における国家社会主義の成長は、その主権を握る彼ら 王政にとっては嬉しくなかろう。

 

だからこそ早期の政変が起きやすい。政治的安定度は低下する。

 

できれば国民投票でも開示したいものだ。

 

そう思いながらぼくは壁の中へと一気に降りる。

 

地面に音を立てずに周囲にあまり違和感のないように降りる。親衛隊員もそれに続く。

 

「Waffen SS Förlunbërg。」

 

そう声をかけ、彼らを散会させる。この壁の中という領域 生存圏の調査のために彼らには諜報を担わせる。

 

残ったのは四名の護衛のための親衛隊員のみ。まぁ護衛なんざ必要とは思えないけど、数打ちゃ備えありとも言うしね。いや言わないか。

 

 

 

 

 

カァーン

 

 

カァーン

 

 

 

 

そうしていると不意に鐘の音が聞こえてきた。

 

周りを見てみると、野次馬が集う一本道ができていた。ぼくらも市民に溶け込むために、服装は黒いコートで体の大部分を覆ってバレないようにしながら、姿を見せる。気配を目立たせないようにして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し待っていると、先ほどの撤退した謎の部隊が凱旋をしていた。

 

酷い凱旋だった。勝利の凱旋などでは決してなく、敗北の凱旋 屈辱 敗戦記念日とでもいうのか、彼らはどんよりと落ち込み、負傷兵を大量に抱えていた。

 

「モーゼス...モーゼスは...。」

 

そんな中、一人の老婆が名を呼ぶ。恐らくは息子か何かなのだろう。

 

それに彼らの言語も何故か理解できた。

耳に入ってきた言語を全て翻訳しているような感覚だ。

 

「すみません...モーゼスを...どなたかモーゼスを知りませんか...。」

 

そう隊長格の者に尋ねる。

 

「...モーゼスの母親だ。持ってきてやれ...。」

 

極めて暗い顔でその男はいう。

 

 

 

持ってこられたのは、腕一本だった。

それも右手であった。

 

(...あの死体のか...。)

 

不意にぼくも森での死体を思い出した。巨体の劣等人種どもは他の餌に食いつき始めて、何ら見向きもされなかった腕のなかった死体を。

 

 

 

「ぅっ...ぐっ...ぅっ...。」

 

 

「...それだけしか...取り返せませんでした...。」

 

男は残念そうに言う。母親はただ泣くだけであった。

 

(...そうだ...もっと...もっと叩け...その憎悪こそが現時点における我らを変える最大限の動機となるのだ...。)

 

ぼくはいつの間にか煽っていた。こんな空気の合わない想いを馳せるのはぼくだけだろうか。

 

「っぐっ...ぅっ...で、でも...息子はっ...息子は役に立ったんですよね...

 

何か直接的な手柄は無くても...

 

息子の死は人類の反撃の糧となったんですよねッッ 」

 

そう涙を流しながら問う老婆。

 

「っ...も、もちろんっ......。」

 

そう男は言いかけて、

 

 

やめた。

 

 

 

「ぃ...ぃえ......今回の調査で 我々は...いや...今回も...

 

 

 

 

 

 

 

 

何の成果もッ...得られませんでしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!!」

 

 

 

 

 

 

男はそう告げる。老婆の顔には、残るは絶望。

 

 

 

 

 

「私がッ...ただ悪戯に兵を動かし...何ら成果を上げる事もなくッ...

 

 

 

 

 

奴らの正体をッッ...突き止めることがッ...

 

 

 

 

 

 

 

できませんでしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッ!!!!」

 

 

 

 

 

 

周囲も 誰も彼もが絶望の色で染まった。

 

(...劣等人種の劣等人種が我が同種族...か...滑稽なものだ...まぁいいや...そうやって我らの死を悲しめ。悲しめばお前達は私によって勝利へと導かれるのだから...。)

 

そうやって壁にもたれかけながら人々の闘争を聞き流す。

 

 

 

 

 

 

その後、諜報に出ていた親衛隊員が帰還し、何とか基本情報として地形なども覚えれた。

 

まず、ここはもっとも外側であり、下等民族とされているシガンシナ区。ここは上の上級階級からは極めて見下される傾向にある。

 

そして次にウォールマリア。ここが人類の第1の壁である。第二の壁がウォールローゼ。そしてそのさらなる上が王宮というわけだ。分かりやすくて、能動的だ。

 

「さてと、じゃぁ、同志を募っていくか。」

 

この世界、この国家にも一応政党というものはあるそうだ。形だけだが。ほとんどが貴族の占めるゴミのような大嘘の選挙によって成り立っているだけの本当の形だけだが。

 

ぼくはまず、準備段階として区の総合所にて、政党立ち上げの書類を送っておいた。受付の連中は鼻で笑っていた。が、これで了承されればやっと活動ができる。

 

といっても、活動資金の給付は無いに等しく、全ては我ら親衛隊の生産に頼ることになるであろう。私はそれに関しては重々承知だ。

 

 

 

___________彼らは笑っていた。そうだ。笑っていた。冗談だと思っているのだろう。______________

 

 

 

 

 

 

 

だがもう彼らは笑えなくなる。事の重大さに気づく時が来るのだ。

 

 

 

 

 

いつの日かそんな事を総統は言っていた。彼らもいずれそうなる。そうさせる。殺す。劣等人種は皆殺しだから。

 

そう心に秘めて、ぼくはこの街の一角で小さな、しかし大いなる一歩の演説を始める。

 

この演説から、我らは始まったのだから。




※この物語はフィクションのフィクションです。実在の団体や人物を指すことはあります。事実とは無関係ではなく関係あります大アリです。とりあえずタブー化を避けて、どうぞ。(公に出すんだオラァン)

国家社会主義は恥ずべきことでもなく、虐殺は敵に対して行ったことであり、正当性などはなく、ただただ生存競争が巻き起こったに過ぎないのがユダヤ人虐殺である。
資本主義の豚のいう事を聞くな。


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国家社会主義を再び されど崩壊は直ぐに

過激派じゃないです宣伝省です(小並感)





この街にも早速党支部を置いた。本部はウォールローゼなどもっと中心核に開こうと思う。上に行けば行くほど上の上との闘争が激しいと耳にするからだ。

 

「我々は略奪を許すほど愚かなのか。

 

前世紀 そして前々世紀からそうである!

 

我らは我ら自身の生存のための生産 即ち労働が、なぜ上流階級の腐肉共に吸い取られ、我ら自身は生産したはずの栄光は得られずにいるのだ!!!!」

 

そう熱気に包まれる中、ぼくは聴衆の民たちを引きつける如く身振り手振りを駆使して演説を行う。

 

「Judaea!!(ユダヤだ!!)」

 

聴衆の一人が叫ぶ。

 

「そうだJudaeaだ!!

彼らは自らの、我が生存のみを我が身可愛さに固執し、

我らの政府を掌握し、我らを王の元に属させ、王政を盾に自らが家畜のように諸君らから搾り取られた甘い蜜を吸いながら生きる、

豚の如くの腐肉だ!!」

 

そう、この世界にもユダヤ人はいた。それは貴族や王政の腐肉共。又は一部のボロ儲け連中。

 

最初は誰しも口にして、名前にして、概念を取り入れることはなかった。

 

けれど、ぼくが、我ら親衛隊が其奴らをJudaeaと叫び伝染させることで、彼らは、自らの生存の不利益を真に叩き出してるのは彼らなのだと気付き始めた。

 

演説を続けて行くうちに大分人集りが出来ていた。この小さな街の一角で、だ。

 

(...そろそろ閉めるかな...。)

 

そう思い、最終段階に移る。彼らの闘争本能を最大限まで引き出す段階だ。

 

 

彼らは我々を騙すことを厭わない!!!!!!!!

 

彼らは我々を殺すことも厭わない!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

だが我々は決して降伏しない!!!!!!!!!!

我々は絶望しない!!!!!!!!!!

我々は決して、奴らに屈しはしない!!!!!!!!!!!!

 

 

 

それは内なる敵にも!!!!!!!!壁の外にもだッッ!!!!!!

 

__________我らの生存に栄光あれ!! Sieg Heil !!!! 」

 

 

 

 

右手を高く掲げる。すると、

 

 

 

「「「「「Sieg Heil !! Sieg Heil !! Sieg Heil !! 」」」」」

 

 

 

彼らも、ぼくに返答するかの如く右手を高く掲げる。

 

 

彼らは我らに乗せられた。我らの意を汲み取り、受け入れた。今彼らは我々の一部となることを選択したのだ。

 

 

ぼくはニヤリと口角を上げ、皆に見られないように静かに笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それを冷めた目で見る少女が一人、視界の端に映った。

 

 

 

一つ川の向こうからジッとこちらを見つめる少年少女三人。

 

 

 

金髪の幼い子 そして黒髪の幼い男の子はぼくをキラキラと輝いた目で見ている。

 

 

 

 

だがあの少女だけはぼくを睨みつけている。

 

 

 

関係ない。そう、関係ないのだが、胸騒ぎがして居た堪れない...。

 

 

そんな不思議な気分になりながら、ぼくは演説台から降りるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからはあっという間だった。

 

党員数は徐々に毎時間増えていき、最初は親衛隊が事務作業を担っていたが、党支部における事務作業は入党してきた突撃隊 " SA " 同志諸君らに任せているくらいには我々は成長した。

 

たった数時間の出来事だ。朝の9時から出勤しているような感覚だった。

 

それに党に入るメリットは絶対的な物だった。

 

生産すれば生産した分全てが諸君らの生存に帰属する。

つまるとこ給付金は全てが党の目を通してから金融機関 今のとこでいう王政から払われる仕組みだ。

 

その時に一部を税として抜き取られているが、同志には我らの生存のためだと言っておいている。

必要以上に我らの生存のための生産を搾り取られない 取りにくくする。これだけで民衆はハッピーハッピー大満足だろう。

 

そして今この時間も確実に増えているはずだ。

 

「...良い出だし...かな?」

 

疑問形にしたのは、一部の駐屯兵にまで知れ渡り、あまり好ましくは思われていないからだ。

厄介ごとにならなければいいのだが。

 

そう思いながら、今は次の演説所に行くために、そして街の視察のために歩いている。

後ろには親衛隊2名の護衛がいるだけだ。

 

残りは党支部を警備している。

何しろ真昼間から飲んだ暮れの駐屯兵といざこざが起こるまでには民衆は躍起している状態だからだ。

 

何かあったでは済まされない。貴重な同志には死なれたくない。

 

だから親衛隊に突撃隊と駐屯兵の連中両方を監視させておく。うまくいけばその闘争を逆手にとって駐屯兵を陥れることもできるかもしれない。

 

だがしかし、悲しきかな。我らは国内で見ればまだまだ少数だ。

 

それに彼らはまだ敵とは限らない。

 

寧ろ我らの生存のためにその生存を放棄して壁を死守してくれるのだろう。今は酒ばかり飲むクソみたいなタダ飯喰らいだが。

それすら出来なければ粛清だ。不必要 ゴミ 消費しかしない無能だ。

 

そう思考に老けていると

 

唐突にそれはやってきた。

 

 

 

 

ドォォォォォンッ

 

 

 

 

大きな地響き 地震 地割れのようなものが起きた。それでも私と親衛隊は直立だ。周りは倒れたりしているが。

 

 

 

「な、なんなんだよいった...... 」

 

 

 

そう言いながら立とうとしていた民衆の一人が止まった。

 

周りの民衆も同じように男の向いている方向と同じ方向を見て止まる。

 

 

 

 

 

 

大きな影がぼくに振りかぶった。

 

 

 

 

 

 

「...あぁ、遂に貴様らも進化を遂げたのか...

 

 

劣等人種共...。」

 

 

 

 

 

そう言いながらぼくも奴のことを見下す。

 

 

 

 

 

そこには、壁から顔を覗かす化け物がこちらを見据えていた。

 

 

 

 

して、数秒後

 

 

 

 

 

 

 

ドゴォォォォォォッ

 

 

 

 

 

 

 

またもや巨大な亀裂音が響き渡る。そして、無数の岩岩が我々に向かって飛んでくる。

 

「...ぅ、ぅあ...に、逃げろッ!!逃げろぉッ!!」

 

「巨人が...巨人が入って来たぞッ!!」

 

「う、うわぁぁぁぁ!!」

 

そう言いながら民衆はやっとの事で状況を理解し、逃げ出した。

 

さすがにこの状況で国家社会主義を憶える者は居ないか。

 

そのうちの一つがぼくらに向かって飛んでくる。

 

「劣等人種如きが我々に向かって何を飛ばしているのか...それに逃げる愚民も愚かな...。」

 

そう言いながらぼくは腰に下げられたWalther P.38を引き抜き、安全装置を外し、引き金を引く。

 

 

 

 

パァンッ

 

 

 

 

皆が逃げ惑う中、乾いた音がする。

と同時に、秒速490mでその岩に対して直進する弾丸。

 

0.63秒後に着弾したそれは、岩を貫通...せずに、内部で炸裂した。

 

実は親衛隊と共に弾薬の改良...主に劣等人種を如何に効率よく殺傷できるかの目的で行って居た研究だが、

我々は弾薬の内部に0.8gの我らの憎悪の根源である黒いナニカを炸薬榴弾のように各々がマガジン内に染み渡らせ、放たれた銃弾をお好みの時にそれを内部の気圧の8.5倍の勢いで爆破させる。

 

それで相手の細胞を焼き切ることを目的としていた弾薬が、今は大岩に対して十分な効果を出していた。

 

大岩には亀裂が入り、二つに別れ左右に再び物理法則に従い飛んで行く。左右には幸いにも人がおらず、誰一人死すことはなかった。

 

本来ならば後ろの3名が死へと導かれる手筈を我らが変える。それは役割だ。我らの義務だ。

 

そう自分に言い聞かせ、

 

 

 

 

ガンッ

 

 

 

 

地面を強く蹴り、大きな高跳びで周囲の建物の屋根へと上がる。

 

 

そして我ら自身も後退しながら距離置き戦闘 要は狙撃による遅滞戦術で時間を稼ぐ。

 

 

稼ぎながら、ここでの活動は続行不可能と見て、早々におさらばしようと思う。

 

恐らく先程の爆発のような音は門が破壊された音のはず。あの巨人のいた方向とも合致する。

 

二度とここに人類は帰って来ぬ。我ら親衛隊員無しでは。

 

人がいなければ、同種族がいなければ話にならないから。

 

ぼくは後ろのSTGとMGをリコイルコントロール(反動制御)しながら完璧なまでに巨体の劣等人種を引き裂いている二人に向かって、

 

「Auf!! Shutrum Kuperä!!」

 

撤退、撤退命令を出した。

再建したばかりの我が党を崩壊させられるのは腹立たしいが、今の党員にはまだ何も無い。

我慢せねばならない。

 

シガンシナ区党支部の同志達をウォールマリアに撤退させ、必要ならばそのさらなる後方への逃走も容認した。

 

そして後方に新たなる支部を...いや、今度は本部を建てることを指令した。

既に各区画における党設立の申請は事前に通してある。

将来的に支部を作ることになると鑑みて、先にしておいたのだ。

 

彼らはぼくの指令を承り、射撃をやめてその足で強く地面を蹴り、時速86kmで後方に下がって行く。

 

なんだっけ...この国に来てから知った...立体機動装置 だったかな。

あんなゴミみたいな中途半端な機械よりかは先鋭化された機動戦に慣れた親衛隊員だ。

道中抜けられた巨人共には気付かれず、気付かれても捕まらず、またありえないが捕まったとしても腕を切り落とし、必ず任務を完遂する。

 

ぼくら親衛隊は絶対的な信頼性の元成り立っている政治集団だから。

 

そう一人思いながらぼくも後方に下がる。駐屯兵に見つからないように...。

 

 

 

 



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撤退の撤退

突撃隊の制服は褐色のアレ




ウォールマリア中部にて、党員と撤退中のぼくは最悪の知らせを聞いた。

 

ぼくらが撤退した後、シガンシナ区だけでなく、ウォールマリアの壁すらも破られたと。

 

それも筋肉が肥大化した大型巨人によって、だ。

 

 

 

 

 

我々は後退を強いられた。我が民族にはまだ闘争を行うほどの力はない。

 

後退を、後退を後退をと強いられた。

 

それも王国の内側 上流階級 ウォールローゼへと。

 

必然的に我々や避難民は嫌悪される、タダ飯喰らいとして認識され、見向きもされなくなった。

 

「...まさかここまで酷いとは...仕方ないか...。」

 

我が生存のみを思うが故に、貴様は残された食料を食い潰すシロアリだと言いたいばかりに街の人間は白い目を向ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今僕は食料庫にいる。案の定食料配給の時間には長蛇の列に。

 

「お、お前!!ちゃんと並べ!!」

 

「うっせぇ、こっちは昨日から何も食べてねぇんだ!!」

 

そしてそこにおける小さな小さな愚かなる闘争も見受けられた。

 

我ら同志同士における闘争。

 

生憎と我が党では自給経済を掲げており、

既に回し作業や職を手配しており、他の区からの輸入や輸出など経済的自立により立ち直りつつある。

 

それにこの避難民らよりかは市民感情や信頼性は高い方だと自負している。

 

党の支持率は徐々に伸びてるし、今では国内の二割ほどにまで拡張できた。

 

我らの生存は常に保たれる。

 

例えどのような時でも、我々は決して絶望しない。

 

そんな中、我が党からも食糧を配給しようと善意?悪意?の支持率目的で掻き集めたパンなどを突撃隊と共に避難民に給付する。

 

 

が、

 

彼らは有り難みもなく絶望の目だけ暮れてもらっては立ち去る。

 

馬鹿だ。大馬鹿ものだ。

 

全ては我らの生存のためだとも思わずに。

 

「...寄越せっ...ふんっ...。」

 

遂にはぶんどっていくものまで出た。

 

親衛隊2名とぼくの監視があるのにも関わらず、臆すこともせずだ。

 

 

 

 

 

ガンッ

 

 

 

 

 

不意に親衛隊員が足を強く踏みつけ、彼を転ばした。

 

「ガァッ...何をしやがるお前らぁ...。」

 

そう血走った目を向ける彼 中年の男 は地に手をつけ無様にもそう言う。

 

闘争本能を叩き起こした家畜は僕らに歯を向ける。

 

その小さな小さな歯を。

 

ぼくは彼の前まで歩く。

 

 

 

 

 

こんな劣等人種を生かしておく謂れはない。

 

 

 

 

 

 

__________粛清だ__________

 

 

 

 

 

 

腰のWaltherをホルスターから抜き取り、男の頭へと銃口を合わせる。

 

男は一瞬呆けた顔をした。が、すぐに絶望と畏怖の顔へと戻り、

 

「ヒッ、ヒィッ!」

 

と、叫び声を上げた。

 

自分に何を向けられているか、理解した様だ。

 

「...君の様な劣等人種がいるからこの国は腐り、食糧庫が底をつくんだよ。分かるかい家畜。」

 

そう問うと、彼はさらなる恐怖へと落とされたかの様に真っ青になる。

 

理解も示さない家畜に引き金を引こうとした直前

 

 

 

「そこの貴様!!何をしている!!」

 

 

 

あ、やばぃ。

 

声をかけられた方向を見ると、駐屯兵の連中が近づいてきていた。

 

今彼らとやり合う気は無い。おとなしく引きさがろう。

 

「あ、あぁー、いやぁー、実はこの豚がですね...

何ら礼もせずパンをぶんどっていくものですから...

つい手が出てしまいまして...。」

 

そう言うと駐屯兵の連中はその男に近づき、

 

「本当か?」

 

と、問う。

 

「...あぁ...。」

 

そう男は心底暗い顔で答える。

 

駐屯兵は溜め息を大きくしながら、

 

「連れて行け...。」

 

そう言い、彼は一度向こうへと引き取られた。

 

これにて一件落着 ばんじゃぃばんじゃぃ。

 

 

 

 

 

 

その後も彼らに食糧を配給していくのが続き、ようやく配給する分が無くなった。

 

目の前にちょうど来た間に合わなかった人は切らした木箱を見て、顔を絶望から憤怒へと変えた。

 

「...ぇーと、今日配給できる分はこれで終わりです。残りの方は駐屯兵からの配給に頼ってくださいね。」

 

そう言いながら突撃隊が片付けを始める。すると、

 

「ちょ、ちょっと、おい!俺はここまでずっと並んだんだぞ!!」

 

「俺らがどうなってもいいってのかよ!!」

 

「そうよ!お願い食糧を分けて!!」

 

と、並んでいた彼らが喚き散らし出した。

 

駐屯兵の目もあるので我らは何も言わずに片付けを始める。

 

 

 

だがそれでも捲し立てる彼ら。

 

 

(...うっさぃな...。)

 

次第にその怒号は酷くなるばかりだ。

 

駐屯兵共は笑いながら見てやがる。

 

 

 

うざっ。

 

 

 

ぼくは我慢ならず、やっぱり口を開く。

 

これがぼくの悪い癖だ。演説癖、とでもいうのかな。

 

すべきという絶対的な義務感に駆られるんだ。

 

でも党員はそこにカリスマ性があるとかなんとか。

あんまりよくわかんないや。

 

 

 

 

 

「...諸君らは同志でもなく、生産をしているわけでも無い。

だがそれでも食糧を分けろと。

家畜の如く与えろと。我らの生存を放棄してか。

 

ぼくにはその原理はわからない。だから諸君らを救うつもりもないし、見捨てるつもりでいるし、

党にも入らずにいる分際でそんなことは言わせないよ?」

 

親衛隊員が得物を構える。

 

それだけで、彼らは黙り込む。

 

我らとの闘争を回避したいから。我が生存のみを、我が身可愛さに願うから。

 

哀れであり愚かであり死罪に当たる。

 

 

 

 

 

 

 

「...な、なら!俺たちも何か手伝えることはねぇのかよ!」

 

 

 

 

一人の青年がぼくに歩み寄ってきた。

 

また同じ類かと思って睨みつけるが、彼の目を見た瞬間ぼくは少しだけ気分が変わった。

 

 

彼は所謂 同志の目をしていた。

 

何か手伝えることはないか。

 

自分にできることは。

 

そう思えるということは、国家社会主義への大いなる一歩となりうるということだ。

 

彼には闘争の素質 そして民族の素質がある。

 

だからぼくは、彼に返事をする。

 

「...もし、もし君が我らと共なる生存を謳歌したいのであれば...

 

国家社会主義帝国労働者党に入党すればいい。

 

そうすれば、君にはできることがある。 」

 

同志になれるかもしれない友邦なのだから。

 

そう言ってぼくは片付けを終えた突撃隊と共にここを去る。

 

さっさと去る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

がしかし、歩いていると道中また口論を始めてた馬鹿がいた。

 

幼い子供の声だった。

 

今日は闘争心の盛んな日だなと思いながら、少しだけその闘争を見物する。

 

 

 

 

ん?

 

 

 

 

「あれ、あの少年どっかでみたな...。」

 

 

 

野次馬の間からチラッと見えたその顔。

 

どこかで見たっけ...。

 

 

 

 

 

あっ、あそこか...ぼくが初めて演説した時。

 

 

 

 

 

そう、あの街の一角の川の向こうから、彼らはこちらを顔を覗かせて見ていた。

 

特にあの少女。あいつが印象深い。

 

 

 

えっと、あの少女は...いた。

 

恐らく殴られたであろう黒髪の少年に付き添っていた。

 

しかも運悪く相手は駐屯兵の連中。

 

どうせ目の前で駐屯兵の食糧が彼らに手渡されるのに愚痴を吐いてたんだろ。

 

すると、彼 黒髪の少年はぼくと不意に目が合ってしまった。

 

「...おい待てよ!あんた、あん時演説してた人だよな!」

 

そう声を掛けてきた。

 

 

 

 

 

...は?

 

...巻き込まないで♡

 

 

 

 

 

そう心底願ったが少年は裏切りの如く続ける。

 

「あぁ?なんだてめぇ。」

 

駐屯兵は柄悪そうにこちらを睨みつける。

 

ぼくは悲しいことに身長が160cmもないチビで女顔だから舐められやすい体質だったのも合間って、

更に野次馬達がぼくらから距離を置き囲むような形で

少年少女ら3人と同じ組みと思われるような形となった。

 

ひどい。グスン。

 

突撃隊には先に行かせ、ここに残ったのは親衛隊とぼくだけ。

 

非常に目立つ。

 

幸いにも周りには野次馬がいて他の駐屯兵にはバレてない。

 

「こ、こいつらが!何も知らないくせに、巨人を見たこともないくせにぼくらを

 

「もうやめなよエレン!」

 

そうエレン...と呼んだかな、その黒髪の少年、エレンにストップをかけた金髪の子...

 

確かこの子もあの時彼と一緒にいた子だ。

 

 

 

 

 

..........何あの子 超絶かわいい............

 

 

これが所謂一目惚れって奴...恋の発展...あへへ...

 

あっでもでも同性...同性愛は禁止...禁欲...でもこれは愛じゃなくて友情...

 

あっ、でもでも...

 

 

 

 

と、なぜかぼくはひたすら自分の中で葛藤していた。

 

あの時は遠くであまり顔は見えなかったから今になってこんな反応が出てしまう。

 

そう一人SAN値ピンチしてると

 

 

 

「ご、こめんなさい!お腹が空いて...イライラしてて...その、大人の人に対してあんな失礼なこと言ってしまったんです...。

本当にごめんなさい!」

 

そう金髪の子は必死に謝る。

 

 

 

その姿は滑稽で、無様で、屈辱的だ。

 

諸君らは諸君らで生存することは許されず、

上に搾取されながら生存する事しか許されず

 

そんな中必死にもがき続ける彼は、非常に愚かであった。

 

 

 

それがどうにも笑える。

 

その笑いをどうにか抑えようとするが、

 

「...くっ...ぷっ...ふはははっはははっ... 」

 

堪えることは叶わなかった。

 

ぼくは場違いにも彼らを笑ってしまった。

 

「な、なに笑ってんだおめぇ...。」

 

そう駐屯兵の奴が再び睨みつけながら寄ってくる。

 

「い、いやぁ...ごめんね、あまりにもその子に謝られるあなたが無様で、その子も無様で、あははっ 」

 

「舐めてんのかテメェ!」

 

彼はぼくの胸倉を掴んできた。

 

当然の反応である。

 

そして当の少年 エレンもぼくを睨みつける。

 

「あーごめんごめん、ぼくが悪かったよー。ほれ、これはそのお詫びだよ。」

 

ぼくは事を大きくしたくなかったので仕方なく謝り、彼らに懐の自分用のパンを彼に放り投げる。

 

彼は慌ただしくパンを手に取り、

 

「...っ、次からは気をつけやがれよガキどもが...。」

 

と、難なく事をおさめてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「って、無事に帰すわけないでしょ?」

 

 

 

 

 

 

 

と呟きながらぼくは彼の後頭部に思いっきり回し蹴りをした。

 

 

 

お前みたいな肉壁にもなれない兵士が、民族が、

 

ぼくの目の前に立てること自体おかしいんだよ。

 

 

 

闘争心全開の、エレン少年は睨みつける顔から一気にナイス!って顔に変わった。

 

感情の起伏が激しいな...。

 

当の本人はバキィッと耳の痛い音がしたが、せいぜい気絶程度だろう。手加減はしておいた。

 

「グハァッ...。」

 

「おっ、おい!大丈夫か!おい!」

 

と、彼の連れは看護に回ってくれた。

 

ありがとナス

 

その間にぼくらは退散させてもらう。

 

彼が前に放り投げ出したパンは無事に避難民の取り合いになって散りましたとさ。

 

おしまいおしまい。

 

 

 

 

さてと、ぼくはこれから党の活動書類や報告書に目を通さなきゃならない。

 

あまり暇をしてる時間はない。

 

少年らからの感謝の言葉?的なものを笑顔で言っているのを聞き流しながら仕事に戻るのだった。

 

 

 

 



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国を守るのではない 我らを死守せよ

現在の党員数 シガンシナ区での560名から3万8475名へ

国内の人口が10万くらいでしたっけ。(池沼)

主人公は勿論党員からは総統と呼ばれてます






あれから一年程経つと、王政は大量の失業者と貧困と食糧難を回避する為に愚策を公表した。

 

 

 

 

避難民で形成された民間人に、碌な装備の補充も無くして、あり合わせのものでウォールマリア奪還作戦を敢行させたのだ。

 

 

 

その中には救えなかった同志達もいた。

 

勿論我が党としてはその要求は拒絶したかったが、国家からの指令であり、我らが残せる限界は避難民の同志達の1500人中890人だった。

 

残りの610名は、同志であるにも関わらず、我々は見捨てる事を迫られた。

 

できる限り、できる限りのことは尽くした。

 

だが最期には我々は彼らを生存させてあげることが出来なかった。

 

 

 

 

 

この事で政情は一層不安定となり、市民感情は劣悪に。

 

しかしながら僅かながらに改善された食料事情に加えて憲兵中隊共によって、それらは抑制されてしまった。

 

我ら党員はより王政を敵視するのであった。

 

そして彼ら自身も、事の重大さに今日、明日、翌月、いつ気付くかも計り知れない危険な状態だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今年 丁度訓練兵団第104期の訓練が開始されるそうなので、

我が党も国内認知度、そして支持率の成長が国民の三分の一となったことを鑑みて、

志願制で国防軍の設立を決定した。

 

国防軍は具体的に親衛隊の後方予備支援であり、

戦闘時は給付された立体機動装置を使用し常に距離を置くことにより死亡率は極めて低く、

さらには親衛隊内部でしか所持やライセンス生産を許可されていない試験兵器や新鋭の小銃による武装が許可されている。

 

所属は勿論国家社会主義帝国労働者党の指揮系統にある。

 

 

 

 

で、早速募集をかけてみたはいいんだが、国内の5万8576名からの志願要望から選抜していくのがかなりキツかった。

 

何がしんどいか。

それはぼくがいちいち定員の500名の性能値を見て、書類にサインしなきゃいけないことだった。

 

仕事が増えに増え、秘書官を雇ってもこれである。

 

で、更には訓練所が問題だった。

 

なんと空き地がなかった為とは言え、その第104期訓練兵の訓練所のすぐ隣の訓練所において訓練をさせるとか。

 

嫌がらせとしか思えない仕打ちだが、今は我慢する。

 

それに、どう見たって国防軍と訓練兵とで生存競争本能を叩かせてさらなる飛躍を求めているのは丸見えだった。

 

この際だから我らの威光を見せてやろうそうしよう()。

 

 

 

で、更に問題だったのが、教官が誰一人いないということだ。

 

親衛隊員は生憎中身は死んでるので喋れないし、突撃隊には実戦経験が皆無だった。

 

国家側から教官をお招きするのは癪だったので、どうにかならないかと思っていたその時、突撃隊長官から言われたのがこれだ。

 

 

 

「長官自ら教官をお勤めになさっては?」

 

 

 

......あー......うん。

 

さすがにそれは考えなかった。

 

けれど、この暑苦しい執務室から出れるならそれもいいかもしれない。

 

そう思い、ぼくはその案を採用した。

 

まぁ実戦を行わせれば、彼らが教官となるから、というかさせるからそれでいいよね。

 

そう思いながらぼくは教官を務めることになった。

 

ちなみに党の執務仕事は突撃隊や党員、秘書官らに任せている。

 

グッバイぼくの執務机。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

で、実際ぼくは今訓練所に来てるわけだけども。

 

監視官として親衛隊4名が四方向からガン見している。

 

まぁガスマスク越しでどこ見てるかわからないから更に恐怖なんだけど。

 

それも合間って、訓練兵諸君らは何ら動きの一つも見せない。

 

逆に560m向こう側ではうるさいほど104期の訓練兵共が教官と騒いでやがる。

 

我々も早速始めるとするか。

 

 

...あぁー、ぼくが今期国防軍志願兵諸君らの訓練を担当させてもらう、親衛隊長官だ。

 

なーに、向こう側みたく長ったらしい挨拶はしないよ。

 

 

ただ諸君らに一つ問うことがある。

 

 

例え話をしようではないか。 」

 

そう言うと彼らはぼくの目を見る。正直恥ずい。

 

 

諸君らは、もし外の劣等人種共が同志を、戦友をその歯で引き裂こうとしていたら、

 

もし同志が殺傷の危機にあるならば、

 

それを肩代わりできるか。

 

 

諸君らは我らのためならば右腕を差出せるか。

 

諸君らは我らのためならば王をその手で葬れるか。」

 

 

そう問うと、彼らの目は動揺の色だった。

 

これは絶対的な我らに対する忠誠を得るための、

最初の試練だ。

 

自らの国家元首を、我らのためならば殺せるかどうか。

 

 

 

それが例えぼくであったとしても...

 

 

ありえないとは思うけどね。

 

 

 

...次、問うた時、返答を待っている。

 

快諾の者は右手を高く掲げよ。

 

拒絶の者はここを去れ。以上だ。

 

では早速 国防軍第1期訓練兵の訓練を開始する。」

 

 

そう言うと彼らはぼくらに対して右手を高く掲げ、敬礼を行う。

 

 

国防軍志願兵に選抜されるということは、政治教育及び身体性能は絶対的なモノということだ。

 

一般人からしてみれば、選抜されること自体凄まじいことだった。

 

その後、ぼくは訓練を開始するのだった。

 

時々向こう側の104期兵がぼくらの訓練をチラ見してくるが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

で、あれから三年程経った。

 

時が経つのは早い。

 

最初期は今後ずっと使用する制服 国防軍モデルのアレを配布し終わり、訓練内容に入っていった。

 

訓練内容は単純明快 撃つ 走る 撃つ 走る

 

これをひたすら繰り返す。

 

移動射撃中の命中精度を最高まで引き上げ、機動戦における優位性を活かすために。

 

そして走破力 立体機動装置による補助機能も付けて、自分の突破能力を最大限まで引き上げる。

 

特にここが厳しくした。

 

機動戦に置いて絶対的なモノは早期展開によるクロスファイアにある。

 

要は早く到着して同時多方面攻撃 各個撃破を行うことだ。

 

だからこそその名の通り機動性こそが肝要であり、そこに追随する破壊的な瞬間火力こそが要だった。

 

訓練中に機動戦の88km/時の走破速度についてこれない者には後方から威嚇射撃を行なったり、頰に擦り傷を負わせたりしたのはそのためだった。

 

だからこそ武装は自決用の手榴弾と

対戦車投擲弾 パンツァーファウストに改造を施した対人拡散榴弾の弾頭のパンツァーファウストB型に、

MG42とダムダム弾を持たせている。

 

ダムダム弾とは弾丸の先端に堀をいれて、空気抵抗を減少させ、完徹能力を炸薬量の増加により増させたものだ。

 

さらに親衛隊の使う我らの憎悪の根源のナニカを含ませた弾のため、着弾後はフラグ弾のように着弾地点が弾け飛ぶ。

 

そしてこれらの重装備に耐えられるよう立体機動装置のガスを少しずつ下に向けて噴射し、重量を軽減している。

 

これらの訓練過程を、彼らは難なくこなした。

 

さすが党の人選委員が選び残しただけではある。

 

で、今絶賛訓練過程を終えた彼らに向かい合っている。

 

今日は解散式だった。

 

 

 

 

三年前、あの時 出会った時の言葉をもう一度 呼び起こす。

 

 

 

 

同志諸君 三年間の耐久を完遂した諸君らに、再度聞く

 

同志諸君らは、もし、如何なる敵が我らの同志を、突撃隊を、戦友を引き裂こうとしているならば、

 

同志諸君らはその右腕を差出せるか。

 

諸君らはその目を差出せるか。

 

諸君らはその生存を我らに捧げれるか。」

 

答えは決まっていた。

 

 

 

 

全員が血走った目で右手を高く掲げた。

 

 

 

そう、彼らは今 親衛隊予備兵 国防軍になったのだった。

 

 

 

 

その後は国防軍兵士として鉄十字勲章と鉤十字の腕章を付与し、

任務...と言っても500名じゃ一区画を防衛するのだって大変だ。

 

だからこそ、この小隊には親衛隊との共同演習や駐屯兵の監視を行う現地憲兵のようなものとなる。

 

必要とあらば戦闘も行う。

 

所謂何でも屋だ。

 

配置はまだ決定されてないが、党と王政の参謀とで会議を行いいずれ決定するであろう。

 

それまでは彼らにはこの地で静まってもらう手筈だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







https://goo.gl/images/PmNWyC

国防軍はこんな感じ


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They Shall Not Pass___奴らを決して通すな

国防軍の配置はここ 最も重要であるトロスト区に68名を割くことに決定された。

 

今朝の御前会議で、そこら中の貴族やら公爵が寄ってたかって領土防衛に務めさせようとしてきたのが最もうざったらしいことではあったが。

 

そのせいで残りは中央区の憲兵の憲兵 所謂MPや他の地区への配置になった。

 

彼らには憲兵中央区管轄部隊の腐敗の監視及び射殺を、そしてその他の地区の防衛任務に当たってもらう。

 

たったそんなことに国中に432名を割かなければならないとは、どれほど愚かなのだろうか。

 

まぁいいや。

 

いずれ国防軍も志願制ではなく徴兵制にして動員法も制定してやるんだから。

 

そう思いながらぼくはトロスト区にある党支部に本日の貿易内容の書類と打ち合わせを行うために勤務していた。

 

この支部は比較的後ろの方の、ウォールローゼ防衛の壁に近いため、万が一のことにも対応しやすい。

 

で、また会ったね執務机くん(ニッコリ)

 

あまり嬉しくない思い出の詰まった執務机くん達には今日も書類を何百枚と積み重ねて耐えてもらおうか。

 

そうして机上でカリカリとペンを走らせるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドンドンッ

 

「失礼します!!長官!!」

 

と、仕事をしていたら唐突にドアが荒々しく叩かれた。

 

「いつもは穏やかなのにもうちょっと静かにしてよね。」

 

そう文句を垂れていると、党員は鬼のような形相で

 

「き、緊急です閣下!トロスト区の門が、破壊されました!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

「は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人類最後の広大な領地であるウォールローゼへの関門 トロスト区に超大型巨人 所謂五年前のクソデカ野郎が再度出現した。

 

門は破壊され、下界の劣等人種共に侵入されたと。

 

それらの報告を受けた時、ぼくは頭が真っ白になった。

 

今現存部隊の国防軍68名と護衛で付けていた親衛隊4名では明らかなる展開部隊の不足。

 

正直駐屯兵などという連中には期待していない。

 

国防軍の再度緊急招集には、昨日の夜に配置命令を行なったのでもう現地への半分ほどの道のりには付いてるはず。

 

となると帰還するのには半日かそれ以上かかる。

 

それまでに巨人の侵入を防ぐ...いや、任務は避難民の誘導か。

 

同種族に死なれては困る。

 

 

 

「...わかった。党員諸君らは先に撤退しておいてくれ。

 

国防軍68名をウォールローゼとトロスト区の門の避難民の厳戒警備に。

 

邪魔をする者がいれば射殺しても構わない。

 

各地に赴いてる者にも警戒せよと伝えてくれ。」

 

 

そう言うと彼は右手を高く上げて敬礼し、戻っていった。

 

 

 

さてと...

 

 

「4人とも、いくよ。」

 

扉の前で護衛を務めていた彼らにそう告げると、彼らはぼくに追随してくる。

 

これから向かうのはまずトロスト区とウォールローゼ区との門の厳戒警備の国防軍との共同作戦。

 

そして次に前線の兵士の撤退の促進のために親衛隊とぼくとで戦場の生き残りを連れ帰る。

 

巨人相手に陽気に殺し合える人種は今のとこ見たことはない。

 

駐屯兵など肉壁にも役に立たない者も多いだろう。

 

それら人的資源の回収及び指揮系統の乗り換えだ。

 

どう言うことかと言うと、駐屯兵の指揮系統を中央区から一時的に切り離し、我らの指揮下にいれる。

 

この緊急時、一時的になら何の問題もない。

 

そう思案しながらぼくは門に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

門に着いた時、早速バカみたいな人集りが出来ていた。

 

それを屋根の上から見つめてみると、馬鹿デカイ馬車を無理やり押し込もうとする輩がいた。

 

通りもしないそれを無理やり押し込もうとするのは滑稽だった。

 

そしてそこでつっかえており、避難は緩やかにとは言えなかった。

 

それにあの豚はワーワーと喚き散らしてる。

 

手伝えだとか、この荷物はお前らが一生かけても手に入らない物の山々だぞとか。

 

正直そんなものを貴様が持つには値しない。

 

貴様1人では決して持たないものを、集権主義理論化し、金を上へと吸い上げているのは貴様自身だ。

 

そして今その豚は喚きながら我が生存のみを全てとし、我らに遅延という生存の不利益をばら撒く廃棄物だ。

 

そんなゴミを排泄しようと動こうとしたが

 

 

 

 

やめた。

 

向こうの角から国防軍兵士らが展開してくるのを見て。

 

凄まじく早い展開だった。

 

この門には三つの通りがある。

 

右 左 前という三本だったが、そこにそれぞれ均等になるように屋根上に展開して防衛線を張っている。

 

残りの兵士は一瞬で豚の元まで近づいた。

 

「な、なんだ貴様らは!

...お、お前らもこいつらにさっさと手伝わせろ!」

 

一般の駐屯兵とは違う制服に対して少しだけ驚いたが、早速彼らにも喚き散らしだした。

 

「おい、聞いてるの

 

 

 

パァンッ

 

 

「ヒィッ!」

 

「キャァッ!」

 

1発の乾いた銃声によりその煩い頭蓋骨は吹っ飛ぶと同時に周りから小さな悲鳴が聞こえる。

 

周りの国防軍兵士らは家畜の資産の乗っかった脂の塊の馬車を引き摺り出す。

 

「も、門が開いたぞ!」

 

そう1人の民間人が言うと、先程の事を忘れたかのように一斉に避難しだした。

 

 

ぼくは右手に持っているファイルに書き込んでいく。

 

彼らの評価だ。

 

全員SS評価で何よりだった。

 

ぼくは彼らが汚らしい死体を片付けているのを見届けて、

新たな試練であろう駐屯兵とイタチごっこを続けながら

所謂奇行種と呼ばれる56km/時ほどで進撃してくる劣等人種を彼らに任せながら前線へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぼくは今 塔の上に親衛隊と共にいる。

 

周りを見下ろして状況を見ている。

 

「...酷い状態だね...。」

 

思わずそう呟いてしまうほど酷かった。

 

駐屯兵の命令系統から先遣部隊、前衛部隊、中衛部隊と後衛部隊に別れているらしいが、先遣部隊は既に壊滅。

 

前衛部隊も今見たところでは壊滅、中衛部隊も今喰われ始めてるところだった。

 

そんな中、

 

 

「...あっ...アルミンにぃにだ...。」

 

 

ぼくはあの後ストーカーのように彼の情報をハフハフしながら目を通していたりした。

 

所謂変t(以下略)

 

で、彼は今死んだ駐屯兵に寄り添う女兵士...恐らく恋人?が人工呼吸を繰り返している所に出くわし、泣いている。

 

元気がなさそう。

 

そんな風に単調に思いながらぼくも彼の元にいく。

 

 

 

 

 

ガタンッ

 

 

あっ...

 

彼の目の前に着地しようとしたら失敗して、

 

ゴロゴロゴロゴロ

 

と転んでしまった。

 

恥ずかしや恥ずかしや...。

 

彼はこちらを見て、

 

「...あ...君は...あの時の... 」

 

と、抑揚無さげに呟いてきた。

 

ぼくはめちゃくちゃな方向にひん曲がった足をグキィッという悲鳴と共に元に戻しながら立つ。

 

「アルミンにぃに〜っ!生きてたんだ!よかった!!」

 

と、ぼくは最愛の...いや最友の人に抱きつく。

 

そこの女兵士がまだ人工呼吸を必死にしているのにも無視して。

 

「......。」

 

彼は黙り込んだ。

 

「...アルミンにぃに...同志エレン・イェーガーは...?」

 

そう暗い声で聞くと、彼の顔は涙と絶望に染まっているのを再度確認できる角度になるまで彼はぼくに顔を上げた。

 

いつも一緒にいた彼についても一応ついでに調べておいた。

 

その彼が、同じ班のくせにいないなんておかしいなと思った。

 

「それに、君の班の同志はどこにいったの?」

 

そう問うても彼は何も言わない。

ただただ絶望の目でいる。

 

「ねぇアルミンにぃに、アルミンにぃに!」

 

そうわざとらしく彼に迫ると、

 

 

 

「...もぅ...やめてくれ...。」

 

そう泣きながら、その一言を吐き出した。

 

 

 

 

 

「...あぁー、そっかー。アルミンにぃに...

 

 

 

 

 

 

同志を失ったんだね...。」

 

そう言うと彼はさらなる嗚咽と共に泣き出す。

 

さすがに今じゃれあうような状態じゃないなと思いながら、ぼくは彼に向かい合って、

 

アルミンにぃに...遅滞戦術を行使して後衛部隊と共に距離を置きつつ強襲を行うゲリラ戦を展開させといて。

 

その後は後衛部隊と合流して、門の警備にあたって、住民の避難が完了次第壁の内側へ行って。

 

ここはもう時期劣等人種共に食い荒らされる。

 

 

 

 

 

それとにぃに...

 

 

 

 

 

 

They Shall Not Pass...!!!!

 

 

 

 

 

だよ。」

 

 

 

 

この世界において英語は地方言語という位置付けであまり使用されないが、彼は座学でトップだったのもあり、その言葉を理解した様だ。

 

 

そう言い残して、ぼくは任務に戻ろうと地面を強く蹴り、立体機動にも勝る機動性で生き残りの撤退へと向かう。

 

指揮系統の奪取、指令は既に国防軍兵士らが行なっている。

 

現場最高司令官は、今は彼らにある。

少しの間だけだが。

 

 

 

少しだけアルミンにぃにの方を振り返ってみると、

 

 

彼は震えていた

 

それは自らの死に対してではなく、

 

我らの死への畏怖の目だった。

 

 

 

この壁の 自分の後ろにいるものへの死に対する恐怖

 

 

 

奴らを通せば

 

自分は本当の無力となり、

 

彼らの、我らの生存のために全てをかけなければ、

 

人種の破滅となると言うことに対する恐怖 畏怖だった。

 

それは彼が初めて我が生存ではなく、

我らの生存のためにと全てを尽くすことに対して気付き始めた傾向なのかもしれなかった。

 

 

 

 

 

 



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試作兵器の運用試験

住民の避難が完了し、国防軍と後衛部隊は壁の内側へと撤退した。

 

前線の撤退通知である鐘も鳴ったはず

 

これで全員が回収できた

 

 

 

と思った

 

 

 

壁の中で、不自然な点に気が付いた。

 

訓練兵の奴ら 主に中衛部隊の連中がいなかった。

 

他を当たって探したがどこにもいなかった。

 

 

 

 

「...もしかして...。」

 

まだ壁の外に取り残されている可能性が出てきた。

 

そうとするとまずい。

 

アルミンにぃにだっているし...。

 

生憎国防軍や親衛隊はあの超大型巨人の出現に備えて壁の防衛任務に就いてる。

 

贅沢は言えない。ぼく1人で行こう。

 

(それと...。)

 

「ちょっと、そこの親衛隊員、アレ 持ってるよね?

 

貸して。」

 

そう言うと彼は無言でその小型の銀色のアタッシュケースを差し出してくる。

 

「よしっ...じゃぁ、いってくるよ。壁の中のことは任せたよ。」

 

ぼくはそれを片手に再び壁をよじ登っていく。

 

「おっ、おい!お前!どこに行く気だ!おい!!」

 

そう周りの駐屯兵達はいうがぼくは構わず壁の上まで登りきり、

 

大きく足を出して向こう側へと飛ぶ。彼らの元へと急ぐ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時速88kmで航行していると、ある一角に人集りが出来ているのが見えた。

 

アタッシュケースを壊さない様に気を付けながら近づいてみる。

 

 

 

 

ガザァァァァァァ

 

 

 

そして着地...できた。今度は失敗しなかった。

 

その代わり屋根の瓦が数個犠牲になった擦り音が聞こえたが。

 

周りを改めて見返してみると、やはり訓練兵の連中だった。

 

周りからは少しだけ注目を浴びたが、彼らは再びその目を下に向け、絶望の中に瀕していた。

 

「...ぇっと...なんだこれ...。」

 

ぼくは状況があまり掴めなかった。

 

着いたら早々みんな顔を暗くしてお迎えしてくれてる。

 

逃げもせずに。

 

「えっと...なんでみんなこんなところにいるの?」

 

そう聞いてみるが 誰も答えない。

 

ぼくの格好は正規軍である駐屯兵の物とは違うため少し目立つが親衛隊の設立の情報などはすでに国中に広まっているため、

 

またその実態も得体の知れないものとして知られているためあまり気にかけられることはなかった。

 

駐屯兵へのせめてもの援護兵のようなものだと認識されているだろう。

 

「うぅーん...あっ。」

 

困っている中、ふと向こうを見てみると、お目当の人が居た。

 

「アルミンにぃに〜っ!」

 

強く足で地面を蹴って彼の元まで行く。

 

「アルミンにぃに、どうしたの?なんで壁内に行かなかったの?」

 

そう聞けども、彼は何も答えない。

 

まだ絶望しているのかな...?

 

そう思ったが、左の方に固まってる集団のうちの1人 金髪の男が

 

「...見りゃわかるだろ。ガス切れ寸前なんだ、みんな。

 

だが補給所は見ての通り、巨人がうじゃうじゃいやがる。

 

だからこんなことになってんだよ。」

 

と、彼らの目には絶望などは映らず、常にその一身に生存をかけた目で語ってくる。

 

「...ふぅーん...そういえば君らはガスに頼ってたもんね...。」

 

立体機動装置の要である高濃度の圧縮されたガスが必要不可欠だったということか。

 

肝心のそれが今にも切れそうなヤバイ状態。

 

 

 

そうやって思案していると、

 

 

 

 

 

ガァァァァァァ

 

 

 

 

そう立体機動装置の独特な駆動音と共に1人の兵士が降り立ってきた。

 

「アルミン...。」

 

そう言いながらその兵士はぼくの目の前にいる子に話しかける。

 

「今度は誰... 」

 

そうぼくは言おうと顔を上げると、

 

「...どいて...。」

 

「...久しぶりだね、えっと...ミカサ、だっけ。」

 

左手に持つファイルを見ながらいつもエレン、アルミンと一緒に居た子供だと確認する。

 

なぜかぼくとの仲はあまり良くない。

 

ぼく何かしたっけ...?

 

ミカサはそのままアルミンに近寄って、

 

「アルミン、怪我はない?大丈夫なの...?」

 

そう聞くと、彼は小さく頷いた。

 

ミカサは屈むのをやめ、立ち上がると、

 

 

 

 

「...エレンはどこ? アルミン。」

 

 

 

そう問いかける が、答えは帰ってこない。

 

 

 

「アルミン...?」

 

 

そう再度問いかけると、

 

彼はその涙で濡れた顔を上げて、

 

最悪の状態であることを伝えた。

 

それがわかったのか、ミカサはその目を途端に暗くし、暗黙の中彼の死を悟ったのだった。

 

 

 

 

その後、アルミンは第34班の戦死を報告した。

 

ぼくは特に何ら感慨もせずにぶっきらぼうに、

 

「...アルミン、それは本当?」

 

そう聞くと、彼は頷いた。

 

「第34班...一名除き戦死と...わかった。」

 

そう左手に持つファイルに書き込みながらぼくは適当にあしらう。

 

それ以外、することもないのだから。

 

ぼくは仕事を一旦終えると一度向こう側で手に持ってるアタッシュケースの作業を続けさせてもらおうとここから少し距離を取る。

 

彼のことはミカサに任せよう。

 

 

 

 

 

 

 

そうして少し作業を続けていると、なぜかミカサが何かを言い始めた。

 

よく聞いてなかったので詳細は知らないけど、

私は強いとか君達は腕も上がらないとか言い出した。

 

待ってくれ、あと少しで、

 

グッグッ

 

ピンを押し込みながら時間を請うていると、

 

カチャンッ

 

そう上手くハマった音が聞こえて、安堵する。

 

そしてアタッシュケースの中身を取り出すと...

 

「やっとだよ...少し厳重にしすぎじゃないか...。」

 

そう言いながらそれを取り出す。

 

周りの兵士はいつの間にかなぜか物凄い闘争心で溢れており、補給所に行ったけど。

 

本当に何があったのか。

 

ぼくは気にも止めずにアタッシュケースを放り投げて中身を全部服の内ポケットに入れる。

 

これは一年程前から試作していた中身の物質は言えないけど、所謂毒ガスだ。

 

皮膚を焼き切り、溶解する液体を周囲に噴射し、細胞の再生活動を停止させる最も危険なモノだった。

 

今回はそれをスモークグレネードと同様の様にして使う。

 

あいつら劣等人種に対して効果があるのかどうかを確かめるために。

 

彼らが補給所に行くならぼくもそれを補助する。

 

彼らの生存を助ける。

 

それがぼくの任務だし。

 

ぼくはそう思い、強く地面を蹴り、彼らにも劣らない速度で航行し始める。

 

そしてぼくは懐のアブナイモノを劣等人種共に吹きかけるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果から言えば良かった。悪くはない。

 

道中ミカサがガス切れを起こすことがあったがぼくは訓練兵の中でも優秀なるジャンという奴についていきながら、例の毒ガスを使用した。

 

効果は絶大的で、殺傷目的ではなかったため視覚や指など少しの損傷だったがそれでも我々が流れるには十分な効果であった。

 

もちろん、後ろから来る奴らにその周辺に触れるなよとは言っておいた。

 

家屋や地面ですらジュッという音と共に溶けて行くのが見えたし、使えるのはほんの一握りの場面だけだなと思いながらぼくは補給所に向かう。

 

 

 

 

 

 




ミカサ姉貴の演説カットしてしまった(手抜き並感)



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