キラキラ☆プリキュアアラモード 黒の鬼神 (水甲)
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第1話 ウサ耳少女との出会い

というわけで外伝其ノ弐であるキラキラ☆プリキュアアラモードの始まりです。


人々を苦しみ続けてきた大臣オネストが処刑され、帝国にようやく平和が訪れる中、俺は1つの墓の前に来ていた。

 

「勝手に死にやがって……」

 

俺は墓を思いっきり蹴っ飛ばした。あいつが暗殺者の一員になったのだから、殺すのは俺だと思っていたのだけど……

 

「セリューも死に、ミナトも死に……退屈になるな」

 

一人そうつぶやき、俺はひび割れたベルトに目をやった。ミナトを殺すために使ってきたが、もう使い道がなくなった。

 

「さて、どうするかな?」

 

とりあえず当てもなく旅に出ようとした瞬間、俺はまばゆい光に包まれるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつくと見知らぬ町に来ていた。遠くの方には変わった形の山がある。

 

「どこだ?ここは……」

 

どうにも見知らぬ場所に来たみたいだ。まぁここがどこだって構わない。あいつがいなくなった世界にはいる意味がないからな

 

適当に歩き出そうとした瞬間、どこからか大きな音が鳴り響いた。音を聞く限り誰かが戦っている。

 

「面白そうなことがおきてるな」

 

俺は興味があり、音の発生源の所に向かった。発生源にたどり着くとそこには怪物とウサ耳の少女が戦っている。

 

「正面から奪えないならスピードで撹乱してやる!!」

 

怪物がすごい速さでウサ耳少女を撹乱していくが、ウサ耳少女は怪物の攻撃を避けていく。

 

「どうして!?」

 

「しっかり聞こえてるんだから!」

 

(あの耳、ちゃんと機能してるみたいだな。だったら俺が出る幕じゃないな)

 

その場から立ち去ろうとした瞬間、ウサ耳少女が俺の方に向かって吹き飛ばされてきた。

 

「いたた……今のは……」

 

「ホイップ!?大丈夫ペコ!?」

 

「おいおい、油断してるのか?」

 

「えっと…どちら様?」

 

「ただの通行人だ」

 

別に名前を名乗る必要がないな。俺はウサ耳少女が吹き飛んできた方向を見るとさっきの怪物の他に一人の黒髪の少女がいた。

 

「こんにちわ」

 

「誰だお前!!」

 

「貴方に力を与えた人の協力者よ。苦戦しているみたいだから手伝ってあげようと思ってね」

 

「へっ、それだったらあのプリキュアとかって言うやつを倒せるぜ」

 

どうにも面倒なことになったな。仕方ない、ここは……

 

「逃げてください!」

 

「あん?」

 

ウサ耳少女が誰に向かって『逃げろ』って言った?もしかして俺に向かってなのか?

 

「おい、俺に言ってるのか?」

 

「は、はい……」

 

やっぱり俺に向かって逃げろか。しかも女が……

俺はウサ耳少女の耳を思いっきり掴んだ。

 

「いたた!?何するんですか!?」

 

「女が男を守ろうとするなよ!!殺すぞ!」

 

「えっ?えっ?」

 

「あら、貴方……そう貴方が転移してきた人ね」

 

「俺は女に守られるのが大嫌いだ!!だから……」

 

俺はひび割れたベルトを巻き付け、拳を構えた。すると怪物と一緒にいた女が何故か驚いた顔をしていた。

 

「そ、それは!?まさか皇具!?」

 

「皇具?帝具じゃないのか?まぁ何でも良い!!鬼龍転身!!オウガデーモン!!」

 

ひび割れたベルトが俺の体を見る見る内に黒い鎧に纏わせ、額には黒い二本の角がつけられた額当てが装着され、俺の前に真っ黒な金棒が地面に突き刺さっていて、引き抜いた。

 

「悪いがぶち潰す!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




短めですが、第一話でした。


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第2話 パティシエと世界というもの

オウガデーモンを発動させ、全身に鎧を身にまとわせた俺。怪物は俺のことを見て怯えていた。

 

「そ、そんな姿をしてもただの見掛け倒しに決まって……ぶほっ!?」

 

襲いかかってくる怪物を俺は金棒で思いっきり殴り飛ばした。

 

「殺すつもりでやったのに効いてねぇな……」

 

「あ、あの殺すのは……」

 

「だったらお前が何とかしろ!ウサ耳」

 

「なんとかしろって……」

 

するとウサ耳女のポーチからまばゆい光が放たれてきた。ウサ耳少女はポーチからパクトを取り出した。

 

「これって……」

 

「キラキラルの力ペコ!かき混ぜて使うペコ!」

 

「そっか、よーし、かき混ぜすぎに注意っと」

 

ペン上のもので何かをかき混ぜ始めると何かのクリーム状のものが現れ、怪物を縛り上げていく。

 

「キラキラルの力!あれは俺のものだ!」

 

「誰のものじゃないよ!キラキラルはみんなを幸せにする力!キラキラキラルン、キラキラル!」

 

「ギャ~覚えてろよ~」

 

生クリームに縛り上げられた怪物は小さな姿に変わり、吹き飛ばされていった。

さて、俺は……

 

「おい、こら女!!お前が俺をここに連れてきたのか?」

 

黒髪の女に金棒を向けると、女は笑みを浮かべていた。

 

「貴方の思っているとおりよ。それにしてもオウガデーモン……ハイト様曰く使用者は激しい痛みに襲われるっていう話を聞いたのに……普通に使用できるなんてね」

 

「ハイト?誰だそりゃ?それにあのぐらいの痛み……耐え抜かないとなあの二人と戦えないんだよ!!」

 

俺は黒髪の女に向かって思いっきり金棒を振り落とした。だが、女はいとも簡単に避けていた。

 

「面白い子ね。私はハイト様助手の一人、カノンよ。今後ともよろしくね」

 

カノンはそのままどこかへ姿を消していく。ハイトとかって何者なんだ?

 

「ちっ、逃げられたか」

 

「えっと、大丈夫ですか?」

 

ウサ耳少女が心配そうに声をかけてきた。俺はオウガデーモンを解いた

 

「心配そうに声を掛けるなウサ耳少女」

 

「あの私はウサ耳少女じゃなくって……」

 

「名前知らないんだから見た目で呼ぶしかねぇだろ!!」

 

「そ、そうでしたね。えっと私は……」

 

ウサ耳少女は変身を解くと、明るい茶髪のツインテールの女の子に戻った。

 

「私は宇佐美いちかって言います。さっきの姿はえっと……」

 

「伝説のパティシエ・プリキュアだペコ。ペコリンはペコリンっていうペコ」

 

「そうそう、キュアホイップっていうの」

 

「そうか、俺はクロト。帝国警備隊……つってもこの世界じゃ通じねぇか」

 

「ん?帝国……あれ?どこかで聞いたような……」

 

いちかが聞き覚えあるみたいだけどあんまり期待しないほうが良いな。さてこれからどうするか……

 

「おーい、いちかちゃん。大丈夫かい?」

 

するとこっちに一人の男が駆け寄ってきた。いちかの知り合いか?

 

「ナタラさん、どうしたんですか?」

 

「急に飛び出していったから……それに何か大きな音が聞こえて……彼は?」

 

「えっとこの人は」

 

「俺はクロトだ。お前のその手に持っている薙刀……帝具か?」

 

「帝具を知っている!?まさか君は俺と同じように……」

 

どうにもこいつは俺と同じ世界から来たみたいだな。こりゃ色々と話さないといけないみたいだな。

 

『オッホッホッホ、どうやら積もる話があるみたいジャバね』

 

突然木の上に引っかかっている鞄から声が聞こえてきた。ペコリンが鞄を下ろし、開けた途端、建物が出来るのであった。

 

「これも帝具か?」

 

「いや、こんな帝具、聞いたことないけど……」

 

「と、とりあえず中に入ってみよう」

 

全員で建物の中に入ると特に変わった様子がなく、何というかお店みたいなものだった。

 

「わぁ~凄い!?キッチン!凄い」

 

いちかは嬉しそうにしながらオーブンを開けると中に白い毛のモジャモジャが詰まっていた。

 

「どうジャバ?スイーツ工房は?」

 

いちかはそっとオーブンを閉め、俺達の方を見た。

 

「えっと……」

 

「今のって……」

 

「危険種か何かか?」

 

俺はベルトをつけようとするとオーブンの中をすり抜けてさっきのモジャモジャが出てきた。

 

「危険種というのではないジャバ。わしは妖精たちの長老。訳あって今は実体がないだけジャバ」

 

要するにおばけみたいなものか。

俺達は長老からプリキュアのことを聞き始めた。

 

「スイーツには人を元気に、幸せにする力、キラキラルが満ちておる。そしてプリキュアとは、キラキラルを操り世界を元気にする」

 

「伝説のパティシエペコ」

 

「つまりいちかちゃんがそのプリキュアに選ばれたっていうのか?」

 

「うん、そうみたい」

 

「キラキラルにプリキュア……あっちの世界じゃ聞いたことないな」

 

「主らの世界について教えてほしいジャバ」

 

「そうだね。いいかな、クロト」

 

「良いんじゃねぇのか?」

 

ナタラは俺達の世界のこと、帝具について、臣具について語った。

 

「えっと私はナタラさんから聞いてたけど、クロトさんは同じ世界の住人で良いんだよね」

 

「あぁ、つってもどうにもおかしいな。ナタラ、俺とお前は本当に同じ世界か?」

 

「どういう事だい?」

 

「俺がここに来る前の帝国はオネスト大臣が処刑されて平和になったけど、お前の話だとまだ生きているって言うことになるな」

 

「平和になった世界……時間がズレているって言うことか……それに俺の場合は……」

 

ナタラは何かを言いかけるが、いちかを見てすぐに言うのをやめた。なにか隠しているのか?

 

「まぁ時間のズレやここに来た理由はさっきのカノンって奴に聞いてみるのが一番だな。それにオウガデーモンが帝具じゃなく皇具って呼んだ理由もな」

 

「皇具……それに俺達をここに転移した首謀者であるカノンっていう女……」

 

「つうわけだ。いちか、お前に協力してやる」

 

「いいんですか?」

 

「あぁ、あの女、さっきの怪物と一緒にいたからな。一緒に行動したほうが会いやすいだろ」

 

「いちかちゃん、俺も協力するよ」

 

「クロトさん、ナタラさん……ありがとうございます」

 

いちかは頭を下げお礼を言うのであった。おっと協力する前に……

 

「おい、いちか、言っておくが俺が危険な目にあっても庇おうとするなよ。そしたらお前の耳を引きちぎるからな」

 

「は、はい!?」

 

「庇うのが駄目って、一緒に戦うのにかい?」

 

「庇うのが駄目なわけじゃねぇ、女が男を守ろうとするなってことだ」

 

「そ、そうか………」

 

いやでもあのときの光景が思い浮かんじまうからな。血に塗られたあいつのことを……



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第3話 プリンみたいな少女

いちかが学校に行っている間、俺はぺこりんが持っていた家で留守番をしていた。

 

「のう、クロトよ。ペコリンを知らないかジャバ?」

 

「知るかよ。遊びに行ってるんじゃねぇのか?」

 

寝ていると長老がペコリンの行方を聞いてきたけど、俺が知るわけ無いだろ。

 

「いちかにでもついて行ったんじゃないのか?」

 

「それなら良いのジャバが……」

 

留守番も退屈だし、昼寝でもしようとするとちょうどよくいちかがやってきた。

 

「帰ってきたのか?いちか」

 

「ひぃ!?」

 

「有栖川さん大丈夫だよ。クロトさん、驚かしちゃ駄目だよ~」

 

「驚かしてねぇよ。誰だ?このちんちくりんは?」

 

いちかの後ろに隠れてビクついてる少女。どんだけだよ……

 

「もう、女の子をちんちくりんって呼んじゃ駄目だよ」

 

「名前が知らねぇんだから仕方ねぇだろ」

 

「そっか……えっとこの子は同じクラスの有栖川ひまりちゃんで、有栖川さん、この怖くて口が悪い人はクロトさんって言うんだよ」

 

怖くては余計じゃないか?口が悪いのは癖みたいなものだからしょうがないと思っているけど……

 

「それで何しに連れてきたんだ?」

 

「あぁ、そうだった。今から有栖川さんと一緒にプリンをつくろうと思って、クロトさんも一緒にどう?」

 

「プリン?俺は菓子作りなんてできねぇぞ」

 

「いいからいいから」

 

いちかに背中を押されながら、三人でキッチンに入るのであった。

 

 

 

 

 

キッチンに入るとひまりは驚いていた。

 

「えっ!?すごい……」

 

「よーし、じゃあ始めよっか。レッツラクッキング!!」

 

早速調理を開始する俺達、いちかと俺が作り始める中、いちかはあることを言い出した。

 

「でもよかった。有栖川さんがプリン詳しいなら百人力だね」

 

「えっ?あ、あの……スイーツのこと調べるの好きで……」

 

それから調理を始めていくが、どうにもさっきから焦がしてばっかりだった。俺も何となくやっているがどうにも上手くできない。

 

「どうして~」

 

「知るかよ……」

 

「砂糖が結晶化してるんです!!」

 

どうすればいいのか考えていると、突然ひまりが大きな声を上げた。さっきまでおどおどしていたのに、そんな声が出るんだな。

 

「はい?」

 

ひまりは一冊の本を取り出しながら説明を始めた。

 

「スイーツは科学です。分量を守り、正しい工程で作れば、決して裏切りません」

 

「はい?」

 

「そもそもプリンの由来はご存知ですか?」

 

ひまりのプリンへの説明が止まること無く、気がつけば夕方までかかっていた。説明は長いけど、どうにもためになる話だな。

 

「何だか大変なんだね。プリンって……」

 

いちかが疲れた顔をしながらそういった瞬間、ひまりがやってしまったという顔をしていた。

 

「あっ……うぅ……ごめんなさい」

 

ひまりはそのまま飛び出していってしまうのであった。なにかやらかしたか?

 

「いちか、ちゃんと聞いてたのか?」

 

「えっ、えっと……うんと……クロトさんは?」

 

「割とためになる話だったから聞いてたぞ」

 

「クロトさん、勉強熱心だね」

 

「ためになる話ならしっかり聞く。どうでもいい話は聞かない。俺の性分だ」

 

「そ、そうなんだ」

 

さてひまりのあの様子……気になるな。昔何かあった関係か?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、ナタラと二人で留守番をしているといちかが学校から戻ってくると昨日ひまりが持っていた本を持ってきていた。

 

「いちかちゃん、その本は?」

 

「これね、同じクラスのことが持っていたものを図書室で見つけたの。だからコレを参考にしてプリンを作ろうと思って」

 

「そっか、それじゃ俺も手伝うよ。クロトは?」

 

「俺はパス」

 

いちかとナタラの二人がプリン作りを始めると窓の外にひまりがいるのを見つけた。俺はひまりの元へ行き

 

「よぉ、こんな所で何してるんだ?」

 

「きゃ!?く、クロト……さん」

 

「いちいち驚くな」

 

「ご、ごめんなさい」

 

「昨日のことが気になって来たんだろ。ほら、見てみろよ」

 

「えっ?えっ?」

 

俺はひまりの手を掴み、窓からキッチンの様子を見せていた。

 

「その本!」

 

「うわぁ!あ、有栖川さんとクロトさん……どうしてそんな所に?」

 

「ひまりが来ていたから捕まえてきた。

 

「クロト、女の子を捕まえるのは……」

 

「分かってる。ほら、中に入るぞ」

 

「は、はい」

 

それから三人(俺は見ているだけ)でプリンを作り上げていくのであった。

だいたい出来上がっていくと、いちかは嬉しそうにしながら

 

「有栖川さんのおかげだよ。さすがはプリン博士」

 

「えっ?」

 

「いや、ミス・プリン?」

 

「あ、あぁ……」

 

「あれ?ミス・プリンは嫌だった?」

 

「プリンは……スイーツは科学です。分量を計って、正しく作っていけば失敗しない。でも友達の気持ちは、私は測れません。私は大好きなプリンのことを聞いてもらいたかっただけなのに……」

 

どうにも嫌な思い出があるみたいだな。俺はひまりの頭を撫でた。

 

「そんなことねぇよ。俺は聞いてたし、いちかだって聞いてただろ」

 

「えっ?」

 

「うん、分かるよ。有栖川さん、本当にプリンのことが大好きなんだって」

 

「宇佐美さん……クロトさん……」

 

二人は一緒にプリンの生地を作っていく中、ナタラは俺にあることを言ってきた。

 

「君は思っていたよりも優しいんだね」

 

「優しい?俺は本当のことを言っただけだ。ひまりの話をしっかり聞いてたしな」

 

「照れ隠しって訳じゃないね」

 

 

 

 

 




中途半端な所で終わりですみません


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第4話 プリンのプリキュア登場

いちかとひまりの二人でバケツプリンを作り上げる中、いちかはりすをモチーフにしたプリンをひまりに渡した。

 

「はい、あげる」

 

「えっ?これってリス?」

 

「そう!有栖川さん、リスっぽいから、私はうさぎ……なんちゃって……リス嫌い?」

 

「好きですよ」

 

何というかプリン作りで二人の絆が深まった気がするな……

 

「クロト、本当に嬉しそうだね」

 

「そんなわけ無いだろ」

 

「そっか」

 

ナタラの問いかけに俺はそう答えるが、いちかとひまりのことを見ていると何だか嬉しくなってきていた。それに……

 

『クロトはもう少しミナトとセリューとの距離を縮めたほうが良いよ』

 

あいつの言葉を思い出していた。

 

そんなときだった。突然大きな音が響き渡り、俺達は外に出るとそこにはプリンみたいなカラーリングの怪物が暴れていた。

 

「キラキラル、見~つけた!」

 

怪物は口を大きく広げ、いちかとひまりが作ったバケツプリンのキラキラルを吸い込み、バケツプリンは灰色に変わった。

 

「まだプリンがあるな~そいつを寄越せ!!」

 

怪物はひまりが持っていたリスプリンのキラキラルを吸い込もうとしていた。俺は飛び出し、怪物の顎を蹴り上げた。

 

「ぐほ!?」

 

「クロトさん!?」

 

「悪いがこれは食わせるわけには行かねぇな!!オウガデーモン!!」

 

俺は黒い鎧に身を包み、金棒を構えた。

 

「えっ?えっ?鎧が?えっ?」

 

戸惑うひまり。するといちかが戸惑うひまりの前に出た

 

「これは二人で作った大事なプリンなの!だから私には渡さない!長老!プリキュアになれば守れるんだよね」

 

「そうジャバ!」

 

「いちか、変身するペコ」

 

「い、犬が喋った!?」

 

いちかが想いの力で結晶化したアニマルスイーツを、スイーツパクトに装着した。

 

「キュアラモード・デコレーション!ショートケーキ!」

 

パクトにある星型のボタンを押すと

 

「元気と笑顔を! レッツ・ラ・まぜまぜ! キュアホイップ! できあがり!」

 

ウサ耳をつけた姿に変わった。

 

「行くよ!クロトさん、ナタラさん」

 

「あぁ」

 

「任せて」

 

三人で怪物に蹴りを喰らわせるが、怪物は痛がる様子もなく反撃を喰らわせてきた。俺とナタラは避けるがホイップは喰らってしまい、吹き飛ばされた。

 

「ホイップ!」

 

ナタラが吹き飛ばされたホイップを何とかキャッチする。打撃を吸収するのか。面倒だな

 

 

 

 

「どうして、あの怪物は……」

 

「きっとそのプリンのキラキラルを狙ってるペコ!」

 

「それじゃ宇佐美さんたちはこのプリンを守るために……」

 

 

 

 

 

 

怪物に対して、攻撃が通じず、あっちの攻撃は通じるのか。

 

「仕方ねぇ!!使うか」

 

俺は金棒を地面に突き刺そうとした瞬間、ホイップとナタラの二人が怪物に踏み潰されようとしていた。俺は助けに行こうとした瞬間、

 

「待って、待って、待ってくださー――――い!!」

 

ひまりの大声を聞き、咄嗟に怪物は動きを止め、俺はひまりの方を見るとひまりはまばゆい光に包まれていた。

 

光が消えるとひまりの元にプリンのアニマルスイーツとスイーツパクトがあった。

 

「これって……」

 

「ひまり、助けたいんだろ。ならもう分かってるはずだ」

 

「クロトさん……はい!折角できた友達をなくしたくないんです!キュアラモード・デコレーション! プリン!」

 

ひまりはスイーツパクトにアニマルスイーツを装着し、

 

「知性と勇気を! レッツ・ラ・まぜまぜ! キュアカスタード! できあがり!」

 

黄色の衣装に、リスとプリンをモチーフにしたプリキュアに変身したひまり。

 

「よし、行くぞ……あっ」

 

カスタードが俺の隣に並び立とうとしていたが、何故かものすごいスピードで通り過ぎていった。まだ変身したてだから慣れてないのか?

 

そして転びそうになったカスタードをホイップがキャッチしていた。

 

「大丈夫?」

 

「あっ、宇佐美さん……」

 

「ねぇ、さっきの言葉……」

 

「あっ……ご、ごめんなさい……私、勝手に友達って……」

 

「友達じゃん」

 

ホイップは笑顔でそう告げ、カスタードも笑顔で返した。

 

「和んでる場合じゃねぇぞ!!」

 

「クロト、そこは空気を読んで……でもどうするんだ?攻撃は通じないんじゃ……」

 

「確かに攻撃は通じないが……あくまであの怪物には打撃が通じないだけだ。だったら……」

 

俺は金棒を地面に突き刺し、2つに割った瞬間、金棒が二本の刀に変わった。

 

「切り刻むだけだ!!」

 

俺は飛び出し、怪物を切り裂いていく。その隙にカスタードがクリームで怪物を縛り上げていく。

 

「ホイップ!」

 

「任せて!」

 

動きを封じた怪物に向かって、ホイップが白いクリームで怪物を包み込み、吹き飛ばすのであった。

 

「これで終わりか。にしてはあの女、出てこなかった」

 

てっきりカノンとかいうやつが出てくるかと思っていたが、警戒し過ぎか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いも終わり、俺はひまりにある事を伝えた。

 

「えっと、つまり戦いのときにクロトさんを守ったら駄目なんですか?」

 

「俺は女に守られるのが大嫌いだからな」

 

ひまりを睨みながらそう告げた。てっきりひまりは怯えるかと思ったが、しばらく考え込み…

 

「あの一緒に戦うのはいいんですか?」

 

「あぁそれは大丈夫だ」

 

「分かりました。でも、もしかしたらうっかり守ったらごめんなさい」

 

「………その時は俺が判断しておく」

 

 



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第5話 ライブでの出会い

いちか、ひまり、ナタラ、俺とで道を歩いている時……

 

「今日は何作ろうかな~」

 

「商店街に行ってみましょう」

 

「そうだね!材料と相談だ!」

 

「たくっ、何で俺が買い出しの手伝いなんて」

 

「でもクロト、断ってもいいのに付き合うなんて……」

 

「暇してたからな。まさか買い出しとは思って見なかったけどな」

 

俺はそう呟くとどこからか歌声が聞こえてきた。いちかたちにも聞こえてきたみたいだな。

歌声が聞こえてきたのは広場にあるステージからだった。

 

「何だあれ?」

 

「あれライブだよ。見に行こう」

 

いちかとひまりの二人がそう言いながら、ステージへと向かっていく。俺とナタラはついて行った。

 

ステージで歌っていたのは青い髪の女だった。それにしてもなんて力強い声なんだ……

 

 

 

 

 

 

ライブが終わり、いちかとひまりは盛り上がったせいか暑くなったといい、ライブ会場のアイスの出店の列に並んだ。

 

「でさ、あいつがさ」

 

「マジかよ」

 

列に並ぼうとすると二人の男が割り込んできた。

 

「ちょっと……」

 

「あぁん、何か用かよ!」

 

おいおい、脅しをかけてくるのかよ。

 

「何、列に割り込んでるんだ?」

 

「何だよおま……」

 

殺気を出しながら俺がそういった瞬間、男たちは黙り込んだ。

 

「おい、黙り込むんじゃなく、後ろに回って並び直せ」

 

「あ、いや……」

 

「それとも……ボコられたいのか?」

 

「わ、分かりました!?」

 

男たちはそのまま逃げ出すのであった。

 

「へぇ~中々やるじゃん」

 

するとさっき歌っていた青い髪の女の子がさっきの様子を見てそういうのであった。

 

「お前、さっきの……」

 

「高校生だって言うのに恥ずかしいことしてるから、注意してやろうと思ったけど、そんな心配なかったね」

 

そう言いながら少女は列の後ろに並ぶのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、いちかから昨日の女の子、立神あおいと同じ学校だということを聞かされた。

 

「それで何だか色々と悩んでるみたいなの」

 

「色々って何だよ」

 

「どうにも歌詞が思い浮かばないみたいで……」

 

「ただ歌うだけじゃないんだな……」

 

「クロトはあっちでそういうのは見たことないのかい?」

 

あっちでは特にそういうのに興味がなかったな。休日もひたすら悪人と戦うために訓練してたしな

 

「それでいちか、お前はなにかしてやりたいのか?」

 

「うん……」

 

「ならそうすればいい」

 

俺はそう言いながら、キッチンから出ていくのであった。

 

 

 

 

 

 

外へと出て、しばらく散歩しているとあおいともうひとり金髪の女がいた。

あおいは俺に気が付くと……

 

「あれ?あんた、この間の……」

 

「知り合い?」

 

「前のライブでちょっとね……」

 

「ふ~ん、にしてはそのベルト……」

 

オウガデーモンを見つめる女。その瞬間、俺は女に向かって蹴りを放ち、女は防御した。

 

「ちょ、ちょっと!?コルネリアさん!?」

 

「それ、臣具?それとも帝具?」

 

「いいや、皇具って言うやつらしい。それにしても今の動き……戦いなれてるな。それも命をかけた戦いのな!!」

 

俺は殴りかかろうとするが、腕を捕まれ投げ飛ばされ、俺は着地し、拳を構えた。

 

「あんたも戦いなれてるみたいね。それにどうにも同じ世界から来たみたいだけど……何者?」

 

「帝都警備隊所属だ!!」

 

「ってことは味方って言うことでいいのかな?」

 

「よく分からねぇが、お前は味方でいいのか?」

 

「えっと……とりあえず終わったの?」

 

置いてきぼりのあおい。、あぁ終りというべきだな

 

 

 

 

 

 

「なるほどね~聞いてる限りじゃあんたは私よりずっと未来から来たんだね」

 

「お前はナタラと同じか。あのカノンとか言う奴の仕業みてぇだな」

 

「えっとコルネリアさんが別世界から来たっていうのは知ってたけど、他にもいたんだね。だからっていきなり喧嘩するのは……」

 

「いや~敵対するやつかなって……」

 

「まぁこういうのもたまにはいいものだな。いい訓練になる」

 

「何というかあんたらについていけないんだけど……とりあえず私は歌詞を考えないと……コルネリアさん、先に帰るね」

 

あおいはそう言ってどこかへ去っていった。

 

「何だ?あれ」

 

「まぁ何というか自分らしさを見失ってる感じね。ところで聞きたいんだけど……」

 

「何だ?」

 

「アカメって知ってる?」

 

アカメ……あぁナイトレイドの奴か。そういえば奴も昔は帝国に所属してたみたいだったな。

 

「俺が知る限りじゃ帝国の敵だったな」

 

「そっか……」

 

コルネリアは俺の話を聞いて、少し暗い顔をするのであった。何だ?何かあったのか?

 

「まぁアカメなりに見つけた道なんだろうね。それじゃクロト、また会おう」

 

コルネリアはそう言ってどこかへ去っていくのであった。



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第6話 キュアジェラート誕生

「コルネリア?」

 

昨日会ったコルネリアという女についてナタラに話す俺。ナタラの知り合いかと思っていたのだが……

 

「俺は会ったことがないけど……前にアカメから選抜組にそういう名前の人がいたって言うことは聞いているよ」

 

「選抜組?」

 

「言うなればエリートみたいなものだよ。アカメはその選抜組……俺も後からだけど選抜組だったんだ。多分だけどその人は俺が入る前に亡くなったメンバーの一人かもしれない」

 

「なるほどな……にしても帝国の闇については知ってたけど、そういう部隊があったんだな」

 

「クロト……君はどうして帝国に居続けたんだ?帝国の闇を知ってもなお……」

 

「……約束しちまったからな」

 

俺はそう言い、いちかとひまりがいるキッチンへ向かうのであった。

 

「約束………」

 

 

 

キッチンに行くといちかとひまりの二人はアイス作りをしていた。話を聞くとどうにもあおいを元気づけたいみたいだった。

 

「よくやるよ。お前らは」

 

「クロトさんはやらないんですか?」

 

「そうだよ。折角だからさ」

 

「俺はそういうのは苦手だ。まぁ機会があったらな」

 

俺はそう言いながら、二人の調理を見つめるのであった。

 

 

 

 

 

そしてライオンをモチーフにしたアイスを作り上げたいちかとひまり。早速あおいに渡しに行くということで俺とナタラも着いていくことになった。

 

控室に入るとどうにも空気が悪かった。

 

「差し入れ持ってきました」

 

いちかは気にせず、あおいにアイスを手渡した。

 

「これ、ライオン?」

 

「ステージで歌ってる立神さん、青空にほえるライオンみたいだったから、さぁ召し上がれ」

 

あおいは一口を食べるとさっきまで暗い顔をしていたのに、笑顔になり大声でおいしいと叫んだ。

 

「なんとか出来たみたいだね」

 

後ろから声が聞こえ、振り向くとそこにはコルネリアが嬉しそうにしていた。

 

「君がコルネリア……アカメから聞いてるよ」

 

「ってことは私の後に入ったやつだね」

 

「で何とか出来たってなんだ?」

 

ナタラとコルネリアが自己紹介をしていたけど、気にせず俺は話を続けた。

 

「あおいは今よりももっと凄い歌を歌おうとしてたけど、それじゃ駄目だったんだ。まずは自分の原点を思い出せばいいだけだったんだけど……」

 

「なるほどな。いちかとひまりの二人がそのきっかけを作ったって言うことか」

 

「二人共、ありがとう。後でそのアイス食べさせてね」

 

「もちろん!」

 

「はい」

 

あおいも元気になったみたいだな。俺達はライブ会場へ行き、あおいのライブが始まろうとした時、突然アイスを体中に身にまとった怪物が現れた。

 

「クールなキラキラルを感じたぞ!」

 

「このアイスのキラキラルを狙ってるペコ!」

 

要するにこの間の奴らの仲間って言うことだな。

 

「そんなことさせない」

 

「それは私達の思いがこもったアイスです」

 

いちかとひまりの二人はプリキュアに変身し、俺はオーガデーモンを身に纏い、ナタラもトリシュラを構えた。すると突然空から何かが降ってきた。

 

「どうもまた会ったわね」

 

「お前、カノン!」

 

「あいつが俺達をこの世界に連れてきた奴なのか?」

 

「そんなところよ。折角だから遊びましょう」

 

カノンが俺達に向かって突撃をしてきた。俺とナタラはその突撃を防ぐがどうにも威力がすごいな

 

「今の攻撃は……」

 

「お前も皇具を持っているということか?」

 

「元々皇具はハイト様が作り上げたもの。私達はいくつか持っているのよ。でも貴方が持っているのは許せないわね」

 

カノンが鋭い蹴りを放ち、俺の金棒をへし折った。

 

「くっ!?」

 

ナタラも攻撃を仕掛けるが、カノンは直ぐ様避けた。

 

「ふふふ、これぐらいで終わらないでね」

 

厄介な相手だな。さてどうしたものか……

 

「ハアアアアアアアアア!!」

 

するとどこからかやってきたコルネリアがカノン目掛けて殴りかかった。カノンは避けるが、コルネリアが殴った地面は思いっきりひび割れた。

 

「コルネリア!」

 

「おまたせ」

 

「増援ってところかしら?」

 

「クロト、あんたはあっちの二人の方に行って、ここは私達が抑える」

 

「任せた!!」

 

「ってそんなすぐに信用していいの!?」

 

「お前が言ったことだろ。だったら無条件で信用してやるからちゃんと抑え込めよ」

 

「あんた……面白いやつだね」

 

コルネリアとナタラの二人に任せて、俺はキュアホイップたちのところへ向かった。

 

するとあおいが何かを叫んでいた。

 

「ステージを邪魔した上にアイスまでとるつもりかよ!この空みたいなアイスはあたしの大切なアイスなんだよ!」

 

あおいの叫びに反応するかのようにアニマルスイーツとスイーツパクトがあおいのもとへ現れた。あおいはそれを使い、プリキュアに変身した。

 

「キュアラモード・デコレーション!ジェラート!自由と情熱を! レッツ・ラ・まぜまぜ! キュアジェラート! できあがり!」

 

あおいはライオンとアイスをモチーフにした姿に変わった。あいつまでプリキュアになるとはな

 

「体中からパワーが漲ってくる!!」

 

キュアジェラートは怪物を思いっきり殴るが、どうにも通じていなかった。

 

「キラキラルの力じゃないと駄目ペコ」

 

「それだったら……」

 

あおいはスイーツパクトを使い、両手を氷で包み込み、怪物を思いっきり殴った。

 

「肉弾戦か……面白いやつだな」

 

俺も折れた金棒の形を変え、両腕に禍々しい篭手を装着し、怪物を思いっきり殴った。

 

「がふっ!?なんだこいつは!?」

 

「ほら、仲間の所に行ってろ!!」

 

怪物の腕を掴み、カノンのところへ思いっきり投げ飛ばした。

 

「おっと、全く使えない奴ね」

 

「よそ見しないほうがいいわよ」

 

「相手がいることを忘れるな!!」

 

コルネリアとナタラの二人の攻撃がカノンに当たり、カノンがよろめいた瞬間、

 

「キュアジェラート!合わせろ!」

 

「おう!キラキラキラルン、キラキラル」

 

キュアジェラートは右手を包んでいた氷を巨大化させ、怪物を思いっきり殴り、吹き飛ばしていった。

そして俺は体勢を崩したカノンを思いっきり殴った

 

「かはっ!?やるじゃない!!でもここは逃げさしてもらうわよ」

 

カノンはそう言って姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無事に敵を倒したが、会場はめちゃくちゃでコンテストが続けられるかどうかわからない状態だったが、あおいは歌い足りないといい、歌を歌い始めるのであった。

 

「にしてもあの女、目的は何だ?」

 

「ただ俺達と遊んでいるように感じたけど……」

 

「こういう時チーフあたりがいれば色々と考えてくれそうだけど……」

 

コルネリアは俺の方を見て、何故かため息を付いた。

 

「なんだよ」

 

「絶対にチーフと喧嘩しそうだなって思って……」

 

 

 

 



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第7話 三人でクッキング

ある日、いちかたちは知り合いのスイーツショップの娘のまりこと言う人に差し入れを送るということでキッチンでシュークリームづくりをしていた。

 

「何というかいつの間にか仲良くなったね」

 

「あおいか?まぁプリキュアになったからじゃないのか?」

 

「クロト、それだけじゃないからね」

 

俺、ナタラ、コルネリアの三人でその様子を見ながらそんな事を話していた。するとひまりが俺の所に近寄り

 

「あのクロトさん、一緒に作りませんか?」

 

「何でまた……」

 

「あのだって……その……」

 

ひまりはもじもじしながら何かを言おうとしていた。俺は仕方ないと思いため息を付いた。

 

「仕方ねぇな。ほら、お前らもやるだろ」

 

俺はナタラとコルネリアの二人にも声をかけた。二人は何故かやれやれといいながら、いちか達と一緒にシュークリーム作りを始めるのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある場所にて

 

「ふぅ~プリキュアたちに負けっぱなしね。あの妖精……」

 

カノンは一人でそうつぶやいていると、ポケットからあるものを取り出した。

 

「まぁあのオウガデーモンを使ってる子と臣具を使ってる二人が邪魔だし……私一人だと結構疲れちゃうから……助っ人でも呼びますか」

 

そう言いながら白い輪っかを取り出し、地面においた

 

「ユートピアの簡易版だけど大丈夫ね」

 

白い輪っかが大きくなり、そこから四人ほど召喚された。

 

「初めまして。生き返ったばっかりで悪いけどお仕事頼めるかしら?羅刹四鬼のみなさん」

 

 

 

 

 

 

 

 

シュークリームの生地づくりはドタバタで大変だったが、無事に生地を完成できた。いちかがオーブンに生地を入れ焼き上がるのを待つだけだった。

 

「それにしても結構汚れちゃってるね」

 

「それだったら片付けるまでだろ」

 

「いちかちゃん、それでいいかな?」

 

「はい」

 

俺達は汚れたキッチンを片付け始めた。6人と一匹でやるとすぐに片付けが終わった。

あとは焼き上がるのを待つだけだったが……

 

「あっ!みなさん、ここを離れてください」

 

「何?」

 

「もしここでオーブンを開けてしまうようなミスをすれば……シューの皮は全滅です」

 

確かにここまで苦労したのにミスしたらここまでの苦労が水の泡だな。そう思った瞬間、突然棚の上に置いてあったボウルが落ち、立てかけておいたモップに当たり、モップはオーブンの方に倒れ込むとオーブンのドアが開いてしまい、シューの皮は全滅してしまった。

 

「こんな事あるんだな」

 

「いや、クロト、落ち込んでる三人に声をかけないと……」

 

「まぁもう一回やればいい話だし……」

 

「そうだな。ほら、落ち込んでる場合じゃねぇぞ」

 

「そうだね。こんなことであきらめなーい!」

 

「おー!」

 

「はーい!」

 

もう一度シューの皮作りを始め、オーブンに入れて焼き上がるのを待っていると今度は破裂し、それでもまた作り始めるが何度も失敗で終わってしまった。

 

「どうしてだろう?全然うまくいかない」

 

「何だか私達じゃ作れないんですね」

 

「うん……」

 

いちかは諦めていなかったが、ひまりとあおいの二人だけは諦めていた。二人はそれぞれ用事があるといい、帰っていくのであった。

 

「二人共帰っちゃったわね……どうするのいちかちゃん……ってあれ?」

 

ナタラは声をかけるがいつの間にかいちかの姿がなかった。上手くいかないときほどショックは大きいだろうけどな……

 

「やっぱりあいつらはまだ子供だな」

 

「ちょっとクロト、こういうときは追いかけたりしないの?」

 

「俺が教えるよりかはあいつらが自分で気がついたほうがいいだろう」

 

「自分で気がつくって……」

 

まだ会ってからそう経ってないが、何となく分かる。あの三人はこんなことで諦めないだろうって……俺だってそうだったからな

 

『できない。できないって思ってるから駄目なんだよ。最後まで諦めずに頑張ればきっとだいじょうぶ』

 

あいつにそう教えられたからな……



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第8話 力を合わせる三人

いちかが出ていってからしばらくしてから、いちか、ひまり、あおいの三人が戻ってきた。

 

「クロトさん、ナタラさん、コルネリアさん、まだいたんですか?」

 

「もしかして待っていてくれて……」

 

「戻ってくるって思ってたの?」

 

三人がそういう中、コルネリアはニヤニヤ笑っていた。

 

「クロトの言ったとおりになったわね」

 

「うるせぇよ。ほら、早いところ作るんだろ」

 

「あ、うん」

 

いちかたちはシュークリームを作り始めた。さっきまでは三人が自由に作っていたのが、今度は三人力を合わせて作り始めていた。

 

「もしかしてクロトはこうなると思って……」

 

「まぁな。それに力を合わせたときほど凄いことが起きるんだよ」

 

あの頃だって、口喧嘩が多く隊長に怒られてばっかりだったのに、いざ力を合わせたときは負ける気がしなかったな。

 

「あいつらが生きてたらな……」

 

「あいつら?」

 

「クロトの昔の仲間のことかい?」

 

「なんでもねぇよ」

 

思わずあいつらのことを思い出しちまったな……もう会うことはないのにな……

 

 

 

 

 

そしていちかたちが頑張った結果、見事にシュークリームが完成した。いちかは思わず

 

「すごいよ。すごいよ。ひまりん、あおちゃん」

 

「あおちゃん?」

 

「ひまりん?」

 

「へっ……なんか変なこと言った?」

 

嬉しすぎてあだ名で呼んだってことか。まぁいいんじゃねぇのか

 

「いちかちゃん、いいんじゃないの。せっかく友だちになったんだから」

 

「そっか、そうだよね」

 

ナタラにそう言われて嬉しそうにするいちか。何故かコルネリアは二人のことを見て

 

「なるほどね~」

 

「何がなるほどなんだ?」

 

「さぁてね。そのうち分かるんじゃないの?」

 

コルネリアは何が言いたいのかよく分からなかった。まぁ放っておいてもいいか。

それからいちかはある事をひらめき、シュークリームに手を加えるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして朝になり、早速シュークリームを届けに行こうとすると俺達の前に怪物が現れた。

 

「なんだこの怪物は?」

 

「おっと動くんじゃねぇ!キラキラルがこぼれるじゃねぇか!」

 

怪物はそういってシュークリームのキラキラルを吸い込み、巨大化した。要するにいつもの奴らの仲間か

 

「さっさと潰すぞ!!オウガデーモン!!」

 

「うん!」

 

いちかたちはプリキュアに変身し、俺たちも武器を構え、巨大化した怪物に攻撃を仕掛けるが、攻撃が通じていなかった。

 

「面倒なやつだな!」

 

「お前たちの攻撃なんてきかないぞ~」

 

面倒だな。それにいつもより強い気がするな。まさかと思うが……

 

「お前らが作ったシュークリームで強くなったみたいだぞ」

 

「そうなの!?」

 

「それじゃどうしたら……」

 

「なにか方法は……」

 

ホイップたちが悩んでいると俺はある事を思いついた。

 

「それだったら、ナタラ!コルネリア!合わせろ!」

 

俺はそう言いながら、怪物に向かって走り出した。二人はなんなのか分からないでいたが、すぐに俺がやろうとしたことに気がついた。

 

「行くわよ!ナタラ!」

 

「あぁ!伸びろ!トリシュラ!」

 

ナタラはトリシュラを怪物に向けながら伸ばし始め、コルネリアはトリシュラの上を駆け出していき、俺はコルネリアの眼の前に飛んだ。

 

「気合い入れな!!」

 

「加減すんじゃねぇぞ!!」

 

コルネリアが俺の足の裏を思いっきり殴り、俺は物凄い速さで怪物に突撃をぶちかました。

 

「ぐほっ!?」

 

「ほら、どうだ!!」

 

怪物はなんとか立ち上がり、攻撃を仕掛けてきた。俺は金棒で弾いていくと

 

「そっか、私達の思いを合わせればいい!三人で作ったシュークリームのように!私達の思いを」

 

「私達の思いを!」

 

「一つにする!」

 

ホイップたち三人が力を合わせ、怪物に攻撃を繰り出し、怪物は直ぐ様吹き飛ばされていった。

 

「私達のスイーツを汚すやつは」

 

「「「ゆるさない!!」」」

 

「ペコ」

 

三人が決め台詞言うけど、ペコリン、最後のは余計だった気がするぞ

 

 

 

 

 

 

 

 

「どう?あいつらなんだけど……」

 

「どうにも見知った顔があるな」

 

「あの子って確か選抜組の……それにしても死んだ人間が生き返るなんてね。まぁ私達もそうなんだけどね」

 

「見知った顔でもその魂を解放してやらねば」

 

「それじゃお願いね。羅刹四鬼のみんな」

 

カノンが四人にそういう中、ある一人はクロトを見つめ……

 

「あの鎧の子……ふふ、きっと物凄い責め方をしそうね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからいちかたちは白鳥の形をしたシュークリームをまりこに渡し、まりこのショーも無事に大成功に終わった。それに三人の絆も深まったみたいだな。

 

 



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第9話 猫みたいな少女とチーフ

ある日、散歩をしているといちかたちが猫を見つめていた。

 

「何をしてるんだ?」

 

「あっ、クロトさん。散歩ですか?」

 

「そんなところ……で何を?」

 

「あのこの猫なんですが……」

 

ひまりは目の前にいる額に3つの星模様の猫について語った。この猫が来たスイーツのお店は大繁盛。幸運を呼ぶ猫らしい。

いちかは早速触れようとするが猫は直ぐ様どこかへ行き、一人の少女の前で仰向けになった。

 

「あら、いい子ね」

 

「誰だ?」

 

「わぁ……」

 

「なぁに?」

 

「え、えっと……なんかすごくきれいだから……」

 

「ありがとう。よく言われるわ」

 

よく言われるって……どんだけ自分に自身があるんだよ。

 

「あのネコ好きなんですか?」

 

「さぁ、好きでも嫌いでもないわね」

 

「……何をしている」

 

「あら、迎えに来てくれたの?」

 

少女の所に軍服姿の男がやってきた。あいつの持っている剣……まさかと思うが……あっちの武器なのか?

 

「それじゃ」

 

二人はそのまま俺たちに挨拶をし、その場から去っていくのであった。

 

「きれいな人だったな~」

 

「クロトさん、どうかしたんですか?」

 

「今のやつ…まさかと思うけど……」

 

俺はスイーツハウスに戻るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見たことのない剣を持っていて、いかにも偉そうな男?」

 

「あぁ、お前の知り合いにいないか?」

 

帰ってきて早速聞いてみることにした。するとコルネリアは直ぐ様教えてくれた。

 

「多分だけどナハシュだね」

 

「ナハシュ?」

 

「私達選抜組のリーダーをやっていて、私達はチーフって呼んでたんだけど……クロト、喧嘩とかしてないよね」

 

「少し姿を見ただけだ」

 

「それなら良かった……」

 

何だ?俺がナハシュとあったら駄目なのか?

 

「正直言うと相性が悪いと言うか……まぁ話したらわかるよ」

 

コルネリアは苦笑いをしながらそう告げるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少しした後、ひまりとあおいが訪ねてきて他愛のない話をしているといちかが今朝の少女とナハシュを連れてやってきた。

 

「あらあなた、ここに住んでるのね」

 

「朝の……名前は何ていうんだ?」

 

「人に名前を尋ねるときは先に自分からじゃないかしら?」

 

笑みを浮かべながらそういう少女。なるほど……何となく気に入らない

 

「クロトだ」

 

「クロト……私は琴爪ゆかりよ。それでこっちは私のボディーガードの……」

 

「ナハシュだ」

 

「やっぱりか。コルネリアから話は聞いてる」

 

「雑魚の知り合いか」

 

ん?こいつ、今なんて言った?

 

「雑魚の知り合いならお前もこの世界に突然連れてこられたということか」

 

「お前、人のことを雑魚とかしか呼べねぇのか?」

 

「雑魚を雑魚と呼んで何が悪い。お前も似たようなものだろ」

 

「へぇ、俺が雑魚か……表にでろ!!」

 

「ちょ、クロトさん!?」

 

「止めなくて良いわよ。よくあることだから」

 

「よくあることって……」

 

「クロトさん、怪我だけには気をつけて下さい」

 

俺はナハシュを外に連れ出し、殴り合いを始めるのであった。

 

「臣具を使わないでおこう」

 

「使わなくっても勝てるっていうことか?いい度胸だ!!俺も使わない」

 

互いに殴り合いを始め、五分くらいするとコルネリアとナタラの二人がやってきた。

 

「やっぱりこうなったか……」

 

「もしかして喧嘩するって分かってたのかい?」

 

「うん、チーフに関しては私達は慣れてるけど、クロトとは相性が悪そうだなって思ったけど……やっぱりか」

 

「止めなくて良いのか?」

 

「放っておきましょう」

 

コルネリアとナタラの二人に見守られながら殴り合いは続き、また五分後、互いに地面に倒れ込んでいた。

 

「やるじゃねぇか。人を雑魚呼ばわりするのもわかるな……」

 

「お前も……お前ほどの実力があったら知っているはずだが………」

 

「俺は警備隊にずっといたからな……」

 

「ふっ、父がお前のことを知ったら選抜組に入れていたかもしれないな」

 

互いに認めあっていると、いちかたちがお菓子を持って外へと出てきた。

 

「えっと……拳で語り合った感じ?」

 

「大丈夫ですか?」

 

「あぁ……」

 

「ナハシュ、貴方にしては付き合いが良いじゃない」

 

「たまたまだ」

 

ゆかりはナハシュを笑い、ナハシュは顔を背けるのであった。とりあえず早速いちかたちが作ったマカロンを食べてみることにしたが……その場にいた全員が微妙な反応を示すのであった。

 

 



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第10話 マカロンと現れし四鬼

みんが作ったマカロンを食べる俺たちだったが、ひとくち食べただけで全員が微妙な反応を示していた。

 

「見た目は綺麗なんだけど……」

 

「舌触りがザラザラすると言うか……」

 

「うん、おいしくない」

 

「いや、あおい……言葉を選びなさいって」

 

「そうだよ。そんな風に言うと……」

 

「そうだぞ。はっきりとまずいって言ってやれ」

 

俺がそういった瞬間、ナハシュ以外の全員がゆかりの方を見ていた。

 

「………」

 

ゆかりは立ち上がり、キッチンに入るとまたマカロン作りを始めた。

 

「もしかして……ムキになってる?」

 

「クロトがはっきり言うから……」

 

「ナタラ、知ってるか?物事ははっきり言わないと駄目なんだぞ」

 

「何というかクロトがいた警備隊の人ってけっこう大変なんだったんだね」

 

「雑魚共が、お前らもかなり大変だったぞ」

 

ボヤくナハシュ。だけど何故かムキになっているゆかりを見て笑みを浮かべていた。

 

「何笑ってるんだ?」

 

「いや、あいつもああいう風にムキになるなんてな……」

 

何で嬉しそうに言ってるのかよくわからないが、まぁ放っておいてもいいか。

 

 

 

 

そして作り直したマカロンだったが、今度はヒビが入っていた。ゆかりが再度作り直そうとするが、いちかが止めに入った。

 

「ゆかりさん、もう材料がないですよ。そうだ!キラっとひらめいた!」

 

いちかはひび割れたマカロンを使い、猫のマカロンを作り上げた。

 

「こうすればヒビなんて気にならないですよ。えへへ」

 

「ふふ、あはははは」

 

みんなして笑い始めた。まぁいちかの頑張りやゆかりの負けず嫌いなところに触れ合ったからか。

 

そんな時、突然マカロンが灰色に変わった。そして俺達の前にはまた変な生物がいた。

 

「うん?変なキラキラル」

 

「はい?」

 

「マキャ!お前たちの持っているキラキラルも渡すマキャ!」

 

「この間の奴らの仲間か。ナハシュ!分かってると思うが」

 

「敵ということだな」

 

「私達がマカロンを守るよ!」

 

いちかたちがプリキュアに変身し、俺もオウガデーモンを装着し、ナハシュたちも臣具を構えた。

 

「あの子達……」

 

「プリキュアペコ」

 

「プリキュア?えっ?」

 

「ペコ!?」

 

ホイップたちが怪物と戦い、俺達も戦い始めようとした瞬間、どこからともなくカノンが現れた

 

「やぁ君たち」

 

「またおまえか!」

 

「こいつは?」

 

「簡単に言えば私達をこの世界に連れてきた奴ね」

 

「あの怪物に協力しているんだ」

 

「う~ん、怪物に協力ね……まぁまだ知るのは早いってことで……今回はあなた達にふさわしい相手を用意してるの!」

 

カノンが指を鳴らした瞬間、俺たち四人それぞれの前に見覚えのある四人が立ちはだかっていた。

 

「こいつらは!?」

 

「ナタラ、知ってるの?」

 

「雑魚が、奴らは大臣直属の羅刹四鬼だ!父が昔所属していたと聞いていたが……」

 

「俺達のことを知ってるみたいだな!それにそっちの黒い鎧の奴は知ってるぜ!」

 

「あぁイバラだっけか……死んだって聞いたが……いや転移した影響ってやつか」

 

「ちょくちょく私達に喧嘩売ってきた人だよね」

 

「貴様もまた死んでここに転移してきたか」

 

「俺は死んでない。にしてもそっちの奴は見覚えがないな」

 

俺は頬に傷があるやつを見た。すると褐色の女、メズが代わりに答えた。

 

「先輩とは会ったことなかったんだっけ?」

 

「初めまして、スズカよ」

 

「あちらでは味方同士ではあったが、こちらでは転移と蘇生の恩があるため、お前らの魂を解放する!!」

 

コルネリアはイバラと、ナタラはシュテンと、ナハシュはメズと、俺はスズカと戦うことになった。

 

 

 

 

 

 

 

「ほらほら、どうした!」

 

イバラの連撃を受けるしか無いコルネリア。コルネリアは後ろに下がり距離をおいた。

 

「アカメと同じ選抜組と聞いたが……お前、最初に脱落したみたいだな」

 

「アカメのことを知ってるみたいだね。それに最初に死んだけど……」

 

コルネリアは拳を大きく構え、思いっきり地面を殴りヒビを入れた。

 

「こっちに来てから鍛えてないわけないじゃない!!」

 

「おもしれぇ!!」

 

 

 

 

 

 

「くっ!?」

 

ナタラはシュテンの拳を受け、吹き飛ばされていた。

 

「今のお前は生きているのだな」

 

「あぁ、そうだよ」

 

「だが残念だ。再び魂を解放されることになったな。それともまた躯人形になるか?」

 

「悪いけど今はまだ死ぬことができないんだ!!」

 

 

 

 

 

「やれやれ、雑魚の相手か」

 

「雑魚って誰が雑魚なのよ!それに私はあなたの姉なのよ!」

 

「姉?」

 

「私はゴズキの娘!つまりあなた達からしてみれば先輩でもあり、姉でもあるの!!」

 

「なるほど……ならばそこまで言うのであれば俺も本気で相手してやる!水竜の剣!!」

 

ナハシュの髪が伸び、力が上がっていった。

 

「本気で相手してくれるって言うなら……どっちが強いか試してあげる!!」

 

 

 

 

 

 

 

「あっちはあっちで楽しんでるみたいだな。おい、お前もかかってこいよ」

 

スズカにそう言うが、何故かスズカは俺のことを見て頬赤らめていた。

 

「あなたのことは聞いてるわよ。たまに羅刹四鬼に勝負を挑んでくる奴がいるって……その理由も知ってる。元の仲間である人を殺すためでしょ」

 

「あいつと俺は敵同士になった以上な。殺し合うことになったんだ。だからこそ俺も強くなるためにどんな手でも使う!!」

 

「面白い人……それにあなたからはエスデス将軍と同じ感じがするの……さぁ楽しみましょう!!」

 

スズカは俺に向かって突っ込んでくる。俺は思いっきり金棒を振り落とすがスズカは避けずに喰らっていた。

 

「この一撃……たまらないわね!!」

 

「気持ちわりぃ奴だな!」

 

「言葉攻めまで!?」

 

スズカは爪を伸ばしていく、俺は金棒で全て潰していくが効いているのかどうかわからない奴だ

 

「最高ね」

 

「最悪だな」

 

ふっとホイップたちの方を見ると怪物に追い詰められていた。助けに行こうとするがこいつが邪魔すぎてどうにもできない。

 

そんな時、ゆかりが怪物の前に立ち

 

「降参しに来たマキャ?さっさとよこすマキャ」

 

「あなた……これに手を出すなんて……」

 

「何だ?」

 

「一万年早いわよ」

 

ゆかりがそう告げた瞬間、怪物は一歩引いた。

 

「ゆかりさん……」

 

「あなた達といると調子が狂うわ。でもだからこそあなた達のことが好きなのね」

 

ゆかりがそういった瞬間、スイーツパクトとアニマルスイーツがゆかりの元に現れた。

 

「キュアラモード・デコレーション!美しさとトキメキを! レッツ・ラ・まぜまぜ! キュアマカロン! できあがり!」

 

ゆかりは猫とマカロンをモチーフにしたプリキュアに変身し、怪物を一気に追い詰めていく。

 

「すごいな……」

 

「ほら、よそ見をしてないで!!」

 

「黙れ変態が!!そんなに攻撃を喰らいたいなら食らわせてやるよ!!」

 

俺はスズカの頭を思いっきり地面に叩きつけ、地面に倒れ込んだスズカに向かって思いっきり金棒で殴りつけていくのであった。

 

「しばらく黙ってろ!!」

 

スズカを黙らせると同時にマカロンの攻撃を受けて怪物はどこかへ吹き飛んでいくのであった。

 

「ありゃりゃ、やられちゃったか……とりあえず今回は顔合わせって言うことで……またね」

 

カノンはそう言って、羅刹四鬼を連れてどこかへ消えるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「羅刹四鬼まで現れるとはな」

 

「おまけにあっちは本当に顔合わせって言うことで本気じゃなかったね」

 

「うん、遊ばれている気がした」

 

「つっても俺とナハシュが相手したやつは本気だったけどな」

 

まぁあの二人は冷静じゃなかったって言うべきか……今後出てくることを考えると厄介な存在になるな。

 

「とりあえず俺は帰るよ。あまり遅いといちかちゃんに心配されるけどね」

 

「そっか、気をつけろよ。ナタラ」

 

「あぁ」

 

俺はナタラを見送り、ナハシュとコルネリアたちもそれぞれ帰っていくのであったが……

 

まさか次の日、ナタラがあんなふうになるなんて思っても見なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 



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第11話 恋は突然に

ナタラSIDE

 

ある日、朝食を食べていると何故かいちかちゃんがボーとしていて中々箸が進んでいなかった。

 

「そのペースでは夜になってしまうんじゃないのか?」

 

「えっ?何が?」

 

「いちかちゃん、どうしたの?調子でも悪いの」

 

「ううん、別に……」

 

一体どうしたのだろうか?すると源一郎さんがあることを告げた

 

「そういえば隣のトミさんちに越してきたお孫さん」

 

「あきらさん!?」

 

「ご両親と離れて、この街で暮らすことになったそうだ」

 

「そ、そうなんだ……」

 

何故か頬を染め、嬉しそうにするいちかちゃん。なんでだろう?変な気分になってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クロトSIDE

 

長老がゆかりに改めてプリキュアについて話していた。

 

「へぇ伝説のパティシエ・プリキュア。今は私達を入れて四人いるのね」

 

「そうジャバ。だが悪妖精たちに協力するカノンとその仲間……」

 

「羅刹四鬼だな。わりと面倒な奴らだし、強い奴らだが……お前らプリキュアが相手するようなやつではないな」

 

「そっちはあなた達が相手するってことね」

 

「それにしてもクロトは何度か戦ったことあるんだっけ?どういう理由で?」

 

コルネリアの問に俺はどう答えるべきか悩んでいた。本当のことを言っていいのか……まぁいいか

 

「俺は強くなるためにいろんな奴に挑んできたんだよ。その過程でな」

 

「雑魚が……奴らは大臣お抱えの部隊だ。どこで……」

 

「あいつらがある宗教団体の護衛をしてる時にな。まぁその時に……」

 

羅刹四鬼と戦い、その後ミナトを見つけて戦った。あいつは俺の本気に答えるために本気で戦った。

結果的には俺の負けだったが……あいつも疲労が大きいためかそのまま撤退したけどな

 

「にしても……いちかはどうしたんだ?」

 

俺はずっと話に入ってこないいちかの方を見た。何故かいつもと雰囲気が違うのだが……

 

「な~んか、珍しく静かだな。どうした?」

 

あおいがそう言っていちかに触れるとあまりの熱さに驚いていた。

 

「何だか熱でもあるの……か?」

 

俺はある違和感を覚えた。いつもだったら心配するナタラがずっと考え込んでいた。いちかといい、ナタラといい、何で今日は変なんだ?

 

 

 

 

いちかから事情を聞くと隣に越してきた人と会ってから変らしい

 

「見つめられると胸がドキドキして、顔が熱くなっちゃうの」

 

「あっ!まさか恋!?」

 

「ふふ、初恋かしら。面白い」

 

いちかの恋の話で盛り上がる一同。俺はと言うと

 

「よくとまぁ女ってやつは恋とかで盛り上がるな」

 

「あら、そういうのは女子の特権なのよ」

 

「くだらん」

 

「そんでナタラはどうしたんだ?」

 

「えっ?いや……何というかこう……イライラしてくると言うか……」

 

どうにもナタラの様子がおかしいが、もしかして……

 

「なぁ、コルネリア……」

 

「あぁクロト、気づいちゃった?」

 

「割とな。にしてもナタラは気が付いてねぇのな」

 

「何だかいちかちゃんの恋を応援するより、ナタラが気がつくとかどうかが気になるんだけど……」

 

「面白そうだしな」

 

「お前らは……」

 

「そういえばいちかの王子様の名前は?」

 

「えっ?王子様?王子様は剣城あきらさん」

 

「剣城?そう……」

 

「おい、剣城って……」

 

「ふふ、黙ってましょう」

 

何だかゆかりとナハシュは何かつぶやいてるけど、何なんだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とりあえずみんなでいちかの家に行き、例の王子様とやらを見に行くことになった。

いちかの部屋で待っていると例の王子様が外に出てきて、いちかは挨拶をした。

 

「あきらさん!?」

 

「あっ、こんにちわ。お友達?」

 

「あ、はい」

 

「そっか、ところで聞きたいことがあるんだけど、美味しいチョコレートが売っているお店知ってるかな?」

 

「チョコですか?えっと……」

 

ひまりはチョコのお店を教え、あおいはいちかが案内するように促していく中、俺は王子様を見てあることに気が付いた。

 

「なぁ……あいつ……」

 

「あら、クロトは結構鋭いわね。でも黙っていたほうがいいわよ」

 

「そうなのか?というかゆかりとナハシュは知ってたのか?」

 

「あぁちょっとした事情でな」

 

「そっか……」

 

「クロト、どうかしたの?」

 

というかコルネリアとナタラは全然気が付いてないのか……あきらかにあのあきらってやつは……

 

「まぁいいか」

 

 

 

 

 

 

 



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第12話 新たなプリキュア、キュアショコラ登場

いちかと王子様ことあきらの二人が出かけるということで、邪魔者である俺たちは帰ろうとするが、ナタラに肩を掴まれ二人の尾行をすることになった

 

「なぁ帰っていいか?」

 

「駄目だ!」

 

駄目って……というかこいつは自分の気持ちに気が付いてるのか?

 

「ナタラ、お前どうしてそこまで熱くなるんだ?」

 

「なんでって……それはえっと……」

 

この感じ……自分の気持ちに気が付いてない感じだな。全くなんでこう鈍感だったりするんだか……

 

「ほら、二人を見失うぞ」

 

「あぁ」

 

俺たちは影でこっそりといちかたちの様子を見ていた。何というかあきらの奴、あれだよな……いちいち行動がイケメン過ぎるような……

 

二人がチョコの専門店に入り、チョコを選んでいたけど……

 

「なぁナタラ」

 

「なんだい?クロト」

 

「さっきから人の腕を思いっきり握りしめるのやめろ……」

 

「あぁ、ごめん」

 

咄嗟に手を離すナタラ。本当にこれはどうにかしないと駄目みたいだな……

 

二人が見晴らしのいい所で何かを話している。ちょっと聞き取りづらいがあのチョコレートはどうにも妹への贈り物みたいだった。

あきらの妹はどうにも病弱らしく病院にいるらしい。何というかああ言う奴も色々と大変なんだな

 

「そういえば聞きたいことがあるんだが」

 

「何?」

 

「お前ってどういう理由でいちかの家にいるんだ?」

 

「それは……俺がこっちに来た時に……」

 

ナタラといちかの出会いの話を聞こうとした瞬間、二人の所に悪妖精が現れた。

 

「キラキラル発見~俺にもちょうだ~い」

 

いちかとあきらの二人が悪妖精から逃げ出すが、悪妖精が翼を羽ばたかせ、いちかを吹き飛ばした。吹き飛ばされたいちかは茂みにはいってしまった。

 

「いちかちゃん!?」

 

「へへへへ、キラキラルを……」

 

「キラキラルはやれねぇが一撃はやるよ!!」

 

俺はオーガデーモンを起動させ、金棒で悪妖精に一撃を喰らわせるがギリギリの所で避けられた。

 

「ちっ」

 

「お前は!?」

 

「ハァ!!」

 

茂みに吹き飛ばされたいちかがプリキュアに変身し、悪妖精に攻撃を仕掛けるが、悪妖精は再びホイップを吹き飛ばし、あきらのチョコを奪い去っていった

 

「へへへへ~いっただき~」

 

「あ、あぁ……チョコが……」

 

「逃したか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とりあえずひまりとあおいの二人を呼び出し、他の店のチョコレートを調べるがどれもこれもキラキラルを奪われたみたいだった。

 

「たくっ、面倒なことを」

 

「みくのチョコはもう……」

 

落ち込むあきら。いちかは心配そうにするが、あきらは

 

「心配しなくていいよ。あとは何とかするから」

 

立ち去ろうとするあきら。だけどいちかはあきらを呼び止めた。

 

「そんなの絶対心配しちゃいます!大好きな人に心を届けたい気持ち、私には分かるから……」

 

「いちかちゃん……」

 

「ようするにどうにかすれば良いんだな。だったらいちか」

 

「あ、そっか……クロトさん、ナイスひらめき」

 

こういうのはもう慣れたよ。要するに心のこもったチョコレートを作れば良いんだよな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いちかとあきらの二人が一緒にチョコ作りを始め、完成したのは犬のチョコレートだった。

あきらはそれを見て

 

「かわいい~」

 

「えっ?かっこいいじゃなくって?」

 

いちかとあきらの二人の話を聞いていたひまりはあることに気が付いた。

 

「あっ、もしかして剣城さんって……」

 

「ひまり、黙ってろ。面白いことになってるんだから」

 

「いや、クロトさんもゆかりさんみたいなことを言ってないで……というかナタラさんは気が付いて……」

 

「全くな」

 

「「あ、あはは……」」

 

二人は同時に溜息をつくのであった

 

 

 

 

 

 

 

あきらが完成したチョコを持っていくのを見送る俺たち。だがまたさっきの悪妖精が現れた。俺、ナタラは武器を構え、いちかたちもプリキュアに変身し、あきらの前にいる悪妖精の前に立った

 

「君たちは……」

 

「またやられにきたのか!!」

 

「今度はひとりじゃない!」

 

ホイップ、カスタード、ジェラートの三人が攻撃を仕掛けていき、俺達も戦いに参加しようとするが俺たち二人の前に羅刹四鬼の一人、イバラが現れた

 

「よぉ、お前たちか」

 

「邪魔しにきたのか」

 

「あの女に言われたからな」

 

イバラは素早い動きで俺たち二人を撹乱していく。だがイバラはナタラに集中して攻撃をしていく

 

「くっ」

 

「まずは弱そうなお前からだ!!」

 

「弱いやつからか……俺を無視してんじゃねぇぞ!!オーガデーモン!!疾風!!」

 

オーガデーモンの鎧が形を変え、今までの鬼の姿のような鎧ではなく、より装甲を薄くし、鳥のような翼が生えた姿に変わった。

 

「なんだそれは……」

 

「ついてこれるかな?」

 

イバラの動きよりも早く俺は動き、イバラに対して圧倒していく。

 

「ぐうう、そんなもん、使ってなかっただろ!」

 

「あっちではお前達程度に使うわけ無いだろ!!俺が超えるべきやつはな!!」

 

俺はイバラの頭上に飛び上がり、落下と同時に踵落としを食らわせた。

 

「もっとすごいやつなんだよ」

 

「ぐっ、やるじゃねぇか……一旦引かせてもらうぞ」

 

イバラはそう言い残して撤退していった。今回も様子見か……

あとは悪妖精の方だが、あっちも動きが早く苦戦をしていた。するとホイップが吹き飛ばされ、変身が解除された。そこにあきらが駆け寄っていた。

 

「いちかちゃん?君だったのか」

 

「うぅ、あきらさん……早く行って下さい。またチョコが取られる前に……」

 

「いちかちゃん、君を置いていけると想う」

 

「えっ?」

 

あきらは必死にチョコを……倒れたいちかを悪妖精の攻撃から守っていた。俺は悪妖精に攻撃を喰らわせるが、倒すまでには行かなかった。

 

「邪魔ばっかりしやがって!」

 

「お前が邪魔だ!」

 

「ハアアアアアア!!」

 

ナタラも攻撃を繰り出していく。するとあきらがまばゆい光に包まれ、アニマルスイーツとスイーツパクトが現れた

 

「強さと愛を! レッツ・ラ・まぜまぜ! キュアショコラ! できあがり!」

 

チョコと犬をモチーフにしたプリキュア、キュアショコラが誕生したのか

 

「ハァ!!」

 

キュアショコラは悪妖精を圧倒していく。悪妖精が姿を消していくが、嗅覚が鋭くなったキュアショコラに居場所を見破られた

 

「キラキラキラルン!キラキラル!」

 

最後にキュアショコラが悪妖精を吹き飛ばし、無事にキラキラルを取り戻すのであった。

 

「というかこれでわかったんじゃないのか?」

 

いちかとナタラの方を見るとまだ二人は気が付いていない様子だった。なんだかもう面倒くさくなったな。

 

「ゆかり」

 

「あら?何?」

 

「放っておいていいか」

 

「いいんじゃないの」

 

俺はため息をつくのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、キッチンで眠っているとナタラが訪ねてきた

 

「どうしたんだ?」

 

「あ、いや、実は……あきらって……女の子だったんだ」

 

「あぁそうだぞ」

 

俺はそう言って扉を閉めるのであった。わざわざ言いに来なくていいから寝かせろ……

 

 

 

 



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第13話 妖精の思い出 クロトの思い出

いちか達がドーナツを作っている中、ナタラは俺たちに謝っていた。

 

「まさかあきらが女の子だったとは……」

 

「というか気づくの遅くなかった?」

 

「雑魚が、お前も自分で気がつかず、言われて気が付いただろ」

 

「あ、あははは」

 

というかお前らそれなりに戦ってきたんだから分かる気がするんだけどな……

 

「にしてもプリキュアがこれで五人か」

 

こうして集まっていくのは何かしらの運命なものを感じるな……

 

『三人って喧嘩ばっかりしてるけど、一緒に戦うとすごいよね。もしかしてそういう運命だからだったのかな?』

 

ここ最近、どうにも嫌なことを思い出してるな。するといちかたちが作ったドーナツはうまくできなかったみたいだった。

 

「あのベーキングパウダーを入れ忘れたんじゃ……」

 

「ないない、私がそんなミスするわけ……」

 

「ねぇそれってもしかして……」

 

ゆかりの視線の先にはベーキングパウダーが置かれていた。やっぱり入れ忘れが原因じゃないかよ

 

そんな中でいちかたちが楽しそうに笑い合っていた。

 

「本当に……昔のことを思い出させるよ。お前らは……」

 

俺は一人そう呟いていた。

 

すると長老が騒ぎを聞きつけて現れた。

 

「楽しくて結構ジャバ。まるでいちご山のスイーツ工房みたいジャバ」

 

「スイーツ工房?」

 

「あぁ、わしとペコリンは仲間たちと一緒にいちご山の工房でスイーツを作っていたジャバ。じゃがあの爆発のせいで……」

 

「それってもしかして……あのときの……一体何があったんですか?」

 

長老はいちかたちに語った。あの時起こった出来事について……

 

スイーツ工房でペコリン達妖精がスイーツを毎日作っていく中、突如として現れた悪妖精。長老は必死に戦っていたが、キラキラルの暴発で妖精たちは吹き飛んでしまい、長老もまた魂だけの存在となるのであった。

 

 

 

 

あの日の出来事をペコリンは思い出し、寂しそうにしていた。いちかはペコリンのためにドーナツ作りを励むのであった。そんな中、俺は外で空を眺めながらあることを思い出していた。

 

「仲間と離れ離れか……」

 

「あのクロトさん、何だか今日は……その……」

 

すると心配そうにひまりが声をかけてきた。誰にも気づかれずに出てきたんだけどな……

 

「ひまり、俺がどうかしたのか?」

 

「その……寂しそうだなって……」

 

「……俺が寂しそう?」

 

「ひぃ、ごめんなさい」

 

ひまりは俺に怒鳴られると思い、怯えるが俺はため息を付き、頭をなでた。

 

「怒鳴るつもりはねぇよ。ただそう思われても仕方ないと思ってる」

 

「寂しいんですか?」

 

「そうかもしれないな。特にここ最近、お前たちを見てるとな。思い出すんだよ。昔のことを……」

 

「昔のこと?」

 

「あぁ……」

 

俺はひまりに語った。あの頃のことを……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あのさ、二人とも、悪を挑発するなのはいいとしてさ……言葉使いはどうにかならないかな?」

 

警備隊時代、俺と同期のミナトは同じ同期のセリューに説教をされていた。

 

「言葉使いだ?別にいいだろ」

 

「そうそう。挑発するのに気をつける必要はないだろ」

 

「だからって下品な言葉を……」

 

「おいおい、ミナト、セリューのやつが下品な言葉で赤くなってるぞ」

 

「あれだけ悪を許さないとか断罪するとか言ってる割にはな……」

 

「あんたたちね……」

 

セリューは怒り出し、俺達に掴みかかってきた。俺たちもセリューに対して掴みかかり、喧嘩になった。するとそこにオーガ隊長がやってきた。

 

「たくっ、またお前らか。この問題児共が……」

 

「隊長。ここは私が」

 

喧嘩をする中、一人の女が俺たち三人を押さえつけてきた。喧嘩していて油断してるとはいえ、俺たち三人を押さえつけることができるのはこいつぐらいだな。

 

「はい、喧嘩はお仕舞い。セリューのこといじめちゃ駄目よ。二人共」

 

「あ、あのめちゃくちゃ痛いんですけど……副隊長」

 

「ちっ、力技かよ……」

 

「あ、あの何で私も……」

 

長い金髪に鎧を着込んだ女。警備隊副隊長のアヤ。俺たちが警備隊に入ってからずっと面倒を見てくれてくれた人だった。

 

「喧嘩両成敗。というかそこまで元気があるなら訓練でもしようかしら」

 

「やってらんねぇよ」

 

俺はそう言うと副隊長はミナトとセリューの二人を解放し、俺の腕を思いっきり捻り始めた。

 

「クロトは強制参加ね」

 

「あの二人は!?」

 

「二人は……セリューは呼び出されてるんだっけ?」

 

「は、はい。隊長に紹介された所に……」

 

「ミナトは色んな伝手を聞かせてようやく許可をもらったから、練兵場に行ってきなさい。その帝具を早く使いこなすように」

 

「はい」

 

アヤ副隊長が見送る中、俺は舌打ちをした。

 

「何?二人共帝具を持っていて羨ましいの?」

 

「んなわけ……」

 

「言い訳しないの。大丈夫だよ。クロトもいつかは持つことになるかもしれないからね」

 

「そうだといいがな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何だか楽しそうな所にいたんですね」

 

「まぁな。だが色んな事があってな……」

 

あの頃の楽しさが無くなった大きな原因は副隊長がいなくなった事とミナトが裏切ったことからだったけどな……

 

「どうにもお前らを見ていると思い出しちまって、イライラするんだよ」

 

「あのイライラすると言うよりかは……その……」

 

「何だよ?」

 

「な、なんでもありません」

 

ひまりは何を言おうとしたのだろうか気になるが……また会えたら会いたいなあいつらに……

 

 



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第14話 また集まるために……

キッチンに戻るといちかとペコリンの二人がドーナツ作りが終わったみたいで、二人の姿がどこにもなかった。

 

「どこ行ったんだ?」

 

「二人だったら多分いちご山に行ったんじゃないかな?」

 

あきらがそう言うが、あの二人だけって言うのがちょっと気にかかった。もしも悪妖精に襲われていたら……

 

「面倒事に巻き込まれてそうだな」

 

俺はそう言って出ていこうとすると、あきら、ゆかり、あおい、ひまり、ナタラ、ナハシュ、コルネリアも付いていこうとする

 

「私達も行くよ。いちかちゃんたちを心配しているのは君だけじゃないしね」

 

「えぇ、仲間はずれは良くないわよ。クロト」

 

「本当にお前らは……」

 

俺は呆れながらそういう中、ひまりだけは思いつめた顔をしていたけど、俺はそれに気が付かなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

いちご山の山頂にたどり着くと予想していたとおりいちか……というよりホイップが悪妖精に襲われていた。

ホイップは悪妖精の攻撃を喰らい、吹き飛ばされると俺たち全員でホイップを受け止めた。

 

「えっ?なんで……みんな?」

 

「あのまま本当にいなくなると思った?」

 

そういえばペコリンにドーナツづくりを手伝ってもらうために俺たちは帰ったことにされてたんだっけ?

 

「私達も行くよ」

 

あきらたち四人はプリキュアに変身し、俺もオウガデーモンを起動させた。

 

「みんな……よーし、行くよ」

 

「プリキュアが増えてるなんて!聞いてないぞ!」

 

「そりゃ言い忘れたからね~」

 

どこからともなく現れたカノン。俺たちの相手はカノンということか

 

「おい、分かってるだろうな」

 

「雑魚、足を引っ張るなよ」

 

「はいはい。口悪い二人こそ、自分で言っておいて油断しないでね」

 

「分かってるさ」

 

俺たち4人は同時に攻撃を仕掛けた瞬間、カノンの眼の前で攻撃が弾かれた。

 

「攻撃が通らない!?」

 

「防御だけが取り柄の皇具というわけか……ならば」

 

「力押しで!!」

 

「力で来るなら……こっちもね!!」

 

コルネリアとカノンの拳がぶつかりあった瞬間、コルネリアが思いっきり吹き飛ばされた。

 

「くっ!?」

 

「コルネリアの臣具粉砕王は使用者に怪力を与えるもの……カノンの皇具はそれ以上のものを……」

 

「だが妙だな。何故防御と同時に攻撃を仕掛けようとしなかったんだ?ヤツは……」

 

「あなたは知らないみたいだから言っておくけど、私は複数の皇具を扱えるようになってるの。とはいえ、相性が合うものだけだけどね……もうひとり、仲間がいたんだけどそいつは一個しか使えない。そして私の主は皇具を作り出した人……すべての皇具を扱える!!」

 

「つまり創造主というわけか……」

 

「その主とやらが誰だかしらねぇが……オウガデーモン!!疾風!」

 

俺は疾風の姿に変わり、カノンの周りを動き回った。

 

「速さで撹乱するっていうこと?それだったら……ってあれ?」

 

カノンに隙が出来た瞬間、俺はカノンの左腕を切り裂いた。カノンは特に痛がる様子もなく、切り落とされた左腕を拾い上げ……

 

「その速さに対応できるものを持ってくるのを忘れていたわ。まぁいいわ。また遊びましょうか」

 

カノンはそう言い残して姿を消すのであった。

 

「痛覚でも麻痺してるのか?あいつ……」

 

「だとしても厄介な存在だな」

 

「私達もこれからの事を考えて強くならないとね」

 

「ホイップ達は……」

 

ナタラはホイップ達のこと心配していた。俺たちはホイップ達の所へ向かうと既に戦いが終わっていた。

 

「あいつらも五人になって段々と強くなってるしな……これからの事を考えるのは良いことかもしれないな」

 

俺はそう言って微笑むのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一度戻るといちかがあることを思いつき、あることを言い出してきた。

 

「ここでお店やろうよ」

 

「お店?」

 

「私、ここをみんなが集まる場所にしたいの。そしたらペコリンの仲間のみんなもここに来るかもしれないでしょ」

 

「うわ~すごいペコ」

 

「お店の名前は……キラキラパティスリーで」

 

「おい、一ついいか?」

 

お店を開くのは良いことだが、一つだけ問題があった。それは……

 

「店を開くのは良いことだが、俺が住む場所がなくなるだろ」

 

「あっ、そっか……クロトさん、ここに住んでるんだっけ?」

 

「というか他に泊まれる場所を探せば良いんじゃないの?」

 

「それは面倒だな……」

 

住む場所を探すとしてもな……するとひまりが俺の袖を引っ張った。

 

「あ、あの、クロトさん」

 

「なんだよ」

 

「も、もしよろしければ……その……私の家に来ませんか?」

 

ひまりの突然の発言にその場にいた全員が驚いていた。引っ込み思案のひまりがそういう事を言い出すなんてな……

 

「いいのか?」

 

「は、はい、それに……クロトさんのイライラを解決できるかもしれませんし……」

 

ひまりは俺のことを思ってのことなのだろうか?まぁ別に困ることじゃないし、いいかもしれないな

 

「んじゃよろしくな」

 

「はい」

 

 

 



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第15話 お店の開店準備

いちかの提案でお店を始めることになった。そのための準備を進めていたのだが……

 

「あぁ、全然キラキラじゃなくなったペコ~」

 

「掃除するからいいの」

 

ケーキのスポンジづくりで失敗し、あちこち真っ黒になっていた。

 

「面倒だな……」

 

「クロト、しっかり働かないと……そういえばひまりちゃんの家に住めてよかったね」

 

「というかよく認めてもらえたわね」

 

ナタラとコルネリアの二人がそんな事を言っていた。いや確かに認められたのはすごいと思う。まぁ引っ込み思案のひまりが言ったためか、ひまりの両親も嬉しそうにしながら許可してもらった。

 

「つっても別な勘違いをしてそうだけどな」

 

「勘違いってなんですか?」

 

ひまりが不思議そうな顔をしていた。こいつ、本当に気が付いてないのか?お前の両親から俺は彼氏だと思われているということなんだぞ……

 

「面倒事にならなければいいけどな」

 

一人でそう呟くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

店の中の掃除を進めていくとそこに変な老人がやってきた。

 

「誰?」

 

「長老ペコ~」

 

この爺が長老?妖精っていうのは人間に変身できるのか……

 

「お店をやるとしたら責任者が必要なので、このダンディーでイケてるジェントルマンに化けてみた………ジャバ」

 

そのジャバは余計じゃないか?

 

長老はいちかたちにこの建物の秘密の場所へと案内していった。そこは変な機械が置いてあった。機械のガラスケースの中にはキラキラしたものが引き詰められている。

 

「キラキラルポットジャバ」

 

「これってキラキラル?」

 

「うむ、キラキラルを集め、保存し、新たな夢に変えるものジャバ」

 

いちかがキラキラルポットを動かすと中から大量のクリームが溢れてきた。いちかたちはそのクリームを操ることができ、形も変えることも出来た。

 

 

 

 

 

 

いちかたちがお店の準備を進める中、俺達は集まってある話をしていた。

 

「戦力が少なくないか」

 

ナハシュの話を聞くとこれから先戦うためには俺たちが鍛えていくのと同時に戦力を集めていったほうがいいとのことだった。

 

「戦力つっても、どうやって集めるんだ?俺達みたいな奴らが他にいると思ってるのか?」

 

「雑魚が……俺達は転移してきた。だとしたら他にもいるんじゃないのか?」

 

「確かに……この場にいないアカメ、クロメ達や……」

 

「他の選抜組がいれば……」

 

戦力アップは賛成だけど……

 

「どこにいるのかわからない奴らを探す時間があるんだったら、訓練したほうがいいな。お前らに任せておく」

 

俺はそう言って、出ていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「戦力。そうそういるもんかね……」

 

いるとしたらミナトとセリューだろうけど……あいつらがこっちに来てるわけないよな……あとは羅刹四鬼でもボコボコにしていう事聞かせたほうがいいんじゃ……

 

「そっか、その手があったな……まぁ今度現れたときにでも言って……ボコるか」

 

新たな目標も決まったことだし、帰ろうとするとあきらとひまりの二人がいるのを見つけた。

 

「何してんだ?お前ら」

 

「クロト」

 

「クロトさん、実は……」

 

ひまりとあきらから話を聞くとどうにもみんなお店を始めるのが無謀じゃないかといい始める中、一人の女の子がお店にやってきて、友達とお茶会をするのに必要なお菓子がほしいと言うのだが、いちかが明日まで用意するといい始めていた。

 

「それでひまり、お前は買い物ができなかったと」

 

「は、はい」

 

「だから二人でいこうと思ってね」

 

「二人か……だったら俺も付き合う」

 

「クロトさん……」

 

「本当にクロトは優しいね」

 

「うるせぇ」

 

無謀なことに挑戦か……それもいいかもしれないな



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第16話 みんなで一緒にやっていけば

いちかがキラパティに来ると何故か驚いていた。

 

「な……何してるの?」

 

「ん?お店の準備だよ」

 

「それに掃除もな」

 

「いや、ゆかりさんが……」

 

いちかがゆかりの方を指さした。ゆかりは何故かカウンターの中にいた。

 

「これがないとスイーツのお店に見えないじゃない」

 

「あっ、これって……」

 

「そう、あたしが失敗したテーブル。朝一番に来て、カウンター用に長テーブルをリフォームしたんだ」

 

「このお店にいれば、私も退屈しないでいられるみたい。期待してるわよ。無謀な店長さん」

 

無謀な店長さんか……確かにそうかもしれないな。だがそれがいちからしいしいいか。

 

それからあきらとひまりもやってきて材料を買ってきた。みんな協力してくれるみたいだし、俺の方は……

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はナタラたちを呼び出し、戦力アップについて話をした。

 

「い、いやそれは……」

 

「というかクロトらしいね。その発想……」

 

「だがそれで通じるかどうか……」

 

「おいおい、ナハシュ……通じるまでやり続けるんだろ」

 

俺はそう言うと何故かナタラたちは物凄く引いていた。

 

「クロトって警備隊出身だよね」

 

「あぁ、だけど……なんというか……」

 

「悪党だな」

 

「誰が悪党だ!」

 

ナタラたちとそんな事を話していると街の方に変なのが飛んでいるのに気が付いた。あれはまさか……

 

「悪妖精か……丁度いい、誰でも良いから出てきてもらいたいものだな」

 

俺たちはすぐさま悪妖精が降り立ったところまで向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

悪妖精のところにたどり着くといちかたちが既にプリキュアに変身して戦っていた。

 

「スポンジケーキの方はどうなったんだ?」

 

「クロトさん、あの妖精にキラキラルを……」

 

「全く欲望に忠実な奴らだな。さっさと終わらせるぞ!」

 

「あぁ、悪いけどあんたたちの相手は私だよ」

 

声が聞こえた瞬間、俺はホイップを後ろへ突き飛ばし、金棒で襲ってきたやつの攻撃を防いだ。

 

「あはは、覚えてるよね、私はメズ」

 

「丁度いい。ホイップ、そっちは任せたぞ」

 

「う、うん」

 

ホイップたちに悪妖精のことを任せ、俺、ナタラ、ナハシュ、コルネリアはメズと対峙しながら……

 

「全員で相手?多人数相手はそれなりになれてるけど……」

 

「戦う前にちょっといいか」

 

「何?」

 

「こっちの仲間にならないか?別にカノンについていなくてもいいだろ」

 

「そりゃまぁ……でも先輩たちはそっちにつくと思えないから……悪いけど」

 

「説得は失敗だな。だったら……ボコボコにして言うことを聞かせる!!」

 

『えっ!?』

 

コルネリア、ナタラ、ナハシュ以外の戦っていたホイップたちや悪妖精まで驚きを隠せないでいた。

 

「クロトさん、それかなり悪役の……」

 

「それと笑顔が怖いです」

 

「あの人、悪人だったっけ?」

 

「ふふ、面白い人ね」

 

「いや、笑い事じゃ………」

 

「嫌だポーン!?あんな奴と戦いたくないポーン!?早くプリキュアを倒して……」

 

何だよ。全員のこの反応は……ボコボコにすることのどこが悪いんだ?

 

「あはは、面白いね。それだったら……貴方と一騎打ちして勝てたら……」

 

メズが言い終える前に俺は胸ぐらをつかみ、顔面を思いっきりぶん殴った。

 

「こふっ!?」

 

「あぁ、悪い悪い。女だから顔はやめておく。それ以外だったら……」

 

後ろに回り込んでバックドロップをぶちかまし、何とか起き上がるメズに対して追撃に蹴りを喰らわした。

 

「ほら、負けを認めろ……」

 

「こふっ、ちょっと……ひ…きょう……じゃ……」

 

「卑怯?どこがだ?ほら、更にボコボコにされたくなければ……負けを認めろ」

 

「ひぃ!?」

 

怯えるメズ。ナタラとナハシュが俺の両腕を掴んできた。

 

「クロト」

 

「やりすぎだ」

 

「えっと、もう負けを認めたって感じね」

 

怯えに怯えながら泣きじゃくるメズをコルネリアがなだめるのであった。気がつくと悪妖精との戦いが終わったホイップ達が思いっきり引いていた。

するとカスタードは……

 

「クロトさん、やりすぎです……」

 

「これでも優しくしたつもりだがな……」

 

『あれで優しくしたんだ!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キラパティに戻り、いちかたちがお店の制服を着替え終える中、何故かメズまで制服を着ていた。

 

「えっととりあえずお店の手伝いって言うことでいいんですか?」

 

「あぁそれと脱走しようとしたときは……」

 

「えいっ!」

 

俺が何かを言いかけるとひまりが俺の頭を叩いた。

 

「もう脅すのは禁止です。メズさんも勝負に負けた以上は従うって言ってますよ」

 

「何だかクロトさんとひまりんって……」

 

「主従関係みたいね」

 

ゆかりが笑顔でそういうのであった。俺は別に飼われてるつもりはないんだけどな……



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第17話 キラパティ開店

キラパティの開店準備を終わらせ、ついにオープンしたのだが……

 

「誰も来ない……」

 

「場所が悪いのですかね?」

 

オープンしたのは良かったのだが、未だにお客が来なかった。俺たちはと言うと……

 

「着替える必要はなかったみたいだな」

 

「まぁまだ始めたばっかりだから仕方ないんじゃないの?」

 

俺はスーツ姿で、コルネリアはいちかたちと同じ格好をしていた。そしてもうひとりも……

 

「捕虜になったのに何でここの手伝いをしないといけないのよ」

 

この間捕虜にしたメズもまたウェイトレスの格好をしながらため息を付いていた。

 

「まぁまぁいいじゃないの。折角なんだしさ」

 

「あっちみたいに拷問でもかけてやればよかったか?」

 

「悪いけどそんなことしても口は割らないよ」

 

そもそも拷問やら情報を聞き出そうとは思っていないからな。そういうのは禁止といちかたちに……特にひまりに言われてるからな

 

「というかよく考えてみろ。お前はこっちの捕虜として他の羅刹四鬼と戦うことになる」

 

「うんうん」

 

「先輩である奴らと本気で戦う……ワクワクしてこないか?」

 

「いや、それはあんただけじゃないの?まぁ本気で戦えるっていうのはいいかもしれないけど……」

 

「とりあえずメズの方はこれで納得したって言うことでいいね」

 

「だな」

 

これで何とか説得は完了したって言うことだな。するといちかたちは場所を移動しようと言いだし、新しい場所を探すことになったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「試食いかがですか~」

 

近くの公園でお店を出すと、公園に集まっていた子どもたちが集まってきた。

だが俺を見て怖がってるやつがいるのだが……

 

「ちょっとクロトだっけ?顔が怖いからお店の中にでもいたら?」

 

「お前、馴染むの速いが……まぁ仕方ないな」

 

メズに注意され店の中に待機することになった俺。しばらく子供たちの声が騒がしく聞こえてきた

 

『はい、それじゃ三人には街の子供達と遊んでもらうわね』

 

懐かしい頃のことを思い出すな……アヤ副隊長の指示で子どもたちと遊ぶことになったことを……

そして今日みたいに子供が俺のことを怖がってしまったから、待機したことを……

 

『顔が怖くっても、クロトが優しいのは私、知ってるからね。落ち込まなくってもいいよ』

 

『別に落ち込んでなんかいないよ……』

 

『……ねぇクロト。帝国はこのままなのかな?』

 

『……さぁな』

 

『私はね。帝国を変えたいの……』

 

『だったら裏切るでもして、革命軍にでも行ったらどうだ?』

 

『それは一つの道だけど、私は中から変えたいの……だからもしものときは手伝ってね』

 

 

 

「クロトさん、どうかしたんですか?」

 

「ひまり?いやちょっとな。それでどうしたんだ?」

 

「いえ、また移動することになったんで」

 

「またか……」

 

何というかこの建物自体自由に移動できるからいいけど、一つの場所にとどまってもいいのにな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

色んな所に移動していくがここと言った場所がなく、ようやく落ち着いた場所につくと帽子をかぶった男が入ってきた

 

「いらっしゃいませ。さっきのお兄さんですよね」

 

「さっきの?」

 

「さっき、公園であった人ですよ」

 

「なるほどな」

 

「すみません、クッキーを探してるんですけど」

 

「クッキーはないんですけど……」

 

ないのかよ。そこら辺は揃えておいたほうがいいんじゃないのか?まぁまだ始めたばっかりだから仕方ないけど……

 

「……やっぱりみどりちゃんへの告白は無理……」

 

「告白?」

 

いちかは男にお菓子を渡して、話を聞くことにした。

 

 

 

 

話を聞くとどうにも子供の頃から好きだった女の子と大人になって再会したのだが、未だ気持ちを伝えられていないらしい。そして思い出のクッキーがあれば勇気が出るんじゃないのかということでクッキーを探しているらしい。

 

いちかたちは話を聞いてクッキーを作ってあげようといい出すのであった。

 

 



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第18話 幸せを届けるお店

久しぶりの更新ですみません


いちかたちがクッキー作りに励む中、俺、コルネリア、メズの三人はというと……

 

「ねぇ、私達は手伝わなくていいの?」

 

「俺達がやるべきことじゃない。これはいちかたちがやりたいって思ったことだから、いちかたちがやるべきことだからな」

 

「そうそう、変に手を出すのはまずいからね~」

 

俺とコルネリアがそう言うが、メズは思いっきり呆れた顔をしていた。

 

「ただ単にお菓子作りとかできないからじゃ……」

 

「「そういうわけじゃない」」

 

「まぁなんでも良いけど……というか早いところ先輩たちと戦いたいな~もしくはお父さんと」

 

「お父さん?」

 

「あぁクロトは知らなかったね。メズは私達の選抜組の……まぁ指導者ね。その人の娘なの」

 

選抜組ね……コルネリアたちがいた所だっけな

 

「強いのか?」

 

「うん、すごくね」

 

メズは嬉しそうに言った。一度だけでも良いから会って、戦ってみたい

 

「まぁとりあえずみんなの様子でも見てよっか」

 

コルネリアの言う通りにして、俺達はいちかたちの様子を見た。

 

いちかたちは本当に楽しそうにクッキー作りをしている。俺たちがここに混ざったら、今の空気が台無しになっちまうな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、例の告白をするという男の近くにお店を開いたいちかたち。

 

「君たちは昨日の……ってあれ?おかしいな、ここにお店なんてなかったはずなのに」

 

「最近のお店は移動できたりするんですよ」

 

まぁ本当のことは言えないよな。いちかはクッキーを男に渡した。

 

「昨日ご用意できなかったクッキーです。よかったらどうぞ」

 

「えっ?クッキーって……」

 

「食べてみてください」

 

男は箱を開けて、クッキーを取り出した。

 

「これで勇気を出してくれたら、うれしいなって」

 

「ありがとう。みどりちゃんに気持ちを伝えてみるよ」

 

「頑張ってください。応援しています」

 

男は立ち去り、いちかたちは嬉しそうにしていた。何というかキラパティはみんなに幸せを届けるお店なんだな。

とはいえ……

 

「邪魔なやつがいるみたいだな」

 

「えっ?」

 

「あら?あれのこと?」

 

俺とゆかりはある方を見ると、いちかたちも同じように見た。そこには悪妖精の姿がいた。

俺たちは悪妖精を追いかけていく、さっきの客の男が襲われ、クッキーを取られていた。

 

「スイーツにかけた思いの邪魔はさせない!キュアラモード・デコレーション!ショートケーキ!元気と笑顔を! レッツ・ラ・まぜまぜ! キュアホイップ! できあがり!」

 

「キュアカスタード! できあがり!」

 

「キュアジェラート! できあがり!」

 

「キュアマカロン! できあがり!」

 

「キュアショコラ! できあがり!」

 

「「「「「キラキラ☆プリキュアアラモード!」」」」」

 

いちかたちはプリキュアに変身し、俺、コルネリア、メズも戦闘態勢に入った。

 

「何だお前らは!邪魔を……」

 

「オラッ!!」

 

一撃で終わらせようとしたけど、悪妖精はすぐに攻撃を避けた。

 

「な、何だ?急に攻撃なんて……!?」

 

「今回はあいつらは出てこないみたいだな」

 

「それじゃさっさと倒しちゃおうか」

 

「そうだね。つまらないし」

 

俺たち三人同時攻撃を喰らい、悪妖精は思いっきりふらついた。その瞬間、奪い取ったクッキーが地面に落ちた

 

「あっ……」

 

「クロトさん!?」

 

「ダメじゃないですか!?」

 

「攻撃を選んで」

 

「全く……」

 

「気をつけたほうがいいですよ」

 

「全くクロトは」

 

「注意不足なんだから」

 

いや、コルネリア、メズ。お前らも悪いんだからな。とりあえず逃げ出そうとしている悪妖精を思いっきり金棒で殴り飛ばす俺であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

砕けたクッキーをみた男は落ち込んでいたが、砕けていても味は変わっていない。クッキーを作ったいちかたちの優しさが伝わったみたいだな。

 

それから男は例の告白する女性にクッキーをキラパティで食べ、気持ちを伝えるのであった。

 

「まぁ一件落着だな」

 

「一件落着ではないけどね……」

 

「クロトさん、あとでお説教ですよ」

 

「はいはい」

 

 



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第19話 ゆかりとあきらのおつかい

キラパティが開店してから一週間が過ぎた。今のキラパティはものすごく人気が出ていた。

 

「そう!ひとえに美しいゆかりさんとかっこいいあきらさんのおかげです!」

 

キッチンでいちかが二人をたたえていた。まぁこの二人がいれば人気もでるよな

 

「クロトさんとナハシュさんの二人もお客さんがかっこいいって言ってましたよ」

 

「「あぁそう」」

 

ひまりが嬉しそうに言うけど、まぁ最初の頃みたいに怖がられてない分はいいかもな

 

「この調子なら参加できるよ。いちご坂スイーツフェスティバル!」

 

話を聞くと、どうにもこの街のスイーツのお祭りみたいなものだった。まぁそれに出店ができるだけでもいいかもしれないな

 

「せっかく参加するんなら新作スイーツは欲しいよね」

 

「目立たせたいなら美しいものにしたら?」

 

「あぁ、華やかなスイーツならみんなが喜んでくれそうだね」

 

「それだ!ゆかりさんの美しさとあきらさんのかっこよさがてんこ盛りなスイーツ!」

 

どんなスイーツだよ……

 

「カラフルなフルーツのタルトはどうですか?」

 

「いいねそれ」

 

「タルトで決まりだね。そこでゆかりさん、あきらさんにお願いです。タルトに乗せるフルーツ選びをお願いできませんか?」

 

「私達……」

 

「二人で……」

 

まぁこの二人、同じ学校だから相性はいいだろうな。するとナハシュが俺の肩をたたいた。

 

「俺達も一緒に行くぞ」

 

「何でだよ」

 

「色々とな……」

 

何だかナハシュの反応が気になるけど……まぁ付き合ってやるか

 

 

 

 

 

 

 

四人で買い物に行くのだが、どこもフルーツが売り切れだった。

 

「どこも売り切れ……」

 

「まぁお祭りだからな」

 

「仕方ないわ。帰りましょう」

 

「いちかちゃんたちが楽しみに待ってるよ」

 

「無責任な優しさほど罪なものはないわ」

 

何か相性が良いと思っていたけど、相性悪くないか?この二人……俺はナハシュの方を見た。

 

「雑魚が。相性が良いと思っていたなら間違っているぞ」

 

「まぁ間違っていたな……というよりかはお互いのいいところを認めあっていな感じじゃないのか?」

 

ふっと気がつくとアクセサリーショップに入ったゆかりが、女の子にあることを言っていた。

 

「そうね、少し大人っぽいかもしれないわね。でも身に着けていれば、いずれこれが似合う素敵な女性になれるはずよ」

 

ゆかりって意外と面倒見がいいというか……

 

 

 

 

他のお店でフルーツを探しに行くと道端で老人の女性が何かを探していた。

するとあきらがすぐに駆け寄った。

 

「大丈夫ですか?どうしました?」

 

「指輪の石が外れて落ちてしまったの」

 

「どんな石ですか?」

 

「エメラルドなの……きれいな緑の……でももう無理よね」

 

「きっと見つけます。ここで待っていてください」

 

あきらが探しに行こうとするが、ゆかりがあきらに耳打ちをした

 

「あなた、簡単に見つかるとでも思っているの?」

 

「琴爪さんたちはおばあさんと一緒にいてあげて」

 

あきらは俺たちにそう言って探しに行くのであった。最後まで諦めないんだな……

 

しばらくしてあきらは宝石を見つけて戻ってきた。

 

「これじゃありませんか?」

 

「そう、これよ。間違いないわ」

 

「よかった……」

 

無事見つけられてよかったみたいだな。すると老人はゆかりになにか耳打ちをすると、ゆかりは何故か嬉しそうにしていた。

 

「ナハシュ。多分だけど、この二人は互いのいいところをよく知らないみたいだったな」

 

「……そうかもな。お前も知ったふうなことを言っているが……」

 

「経験しているからな……」

 

ミナトとセリューの二人で良くな……

 

「ん?あれ?」

 

「……あの二人何処に行った?」

 

気がつくとゆかりとあきらの二人がいなくなっていた。いつの間に姿の消したんだ?

 

「一旦戻るか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キラパティに戻るといちかたちは必死にタルト作りに励んでいたけど、何だか必死じゃないか?

 

「メズ、何かあったのか?」

 

「どうにもあの二人の親衛隊がやってきてね。あの二人にはここはふさわしくないってさ」

 

「親衛隊なんているのか……」

 

「あぁ面倒なことにな」

 

そういえばナハシュは一緒に学校に通ってるんだっけな。まぁいちかたちは二人が戻ってくるのを信じているみたいだな

 

「それにふさわしい場所かどうかはあの二人が決めることだけどな」

 

 

 

 

しばらくしてタルトが完成すると、外で二人の帰りを待っていたペコリンが帰ってきたという声が聞こえたけど……

 

「あの二人は空を飛ばないし」

 

「あんな見た目じゃないだろ」

 

俺とナハシュは呆れながらツッコミを入れた。というか悪妖精がまた出てきたか。

 

「タルトーン!」

 

悪妖精は奪ってきたタルトのキラキラルを吸収し、巨大化した。

 

「あのキラキラルがあれば、もっと強く、エレガントに回れるトン!」

 

どうやら今度はいちかたちのタルトを狙っているみたいだな。さて……仕方ない

 

「ナハシュ、メズ、行くぞ」

 

「あぁ」

 

「仕方ない」

 

「私達も」

 

いちかたちはプリキュアに変身し、悪妖精を縛り上げるが、悪妖精は回転を始め、ホイップたちも回転に巻き込まれてしまい、目を回していた。

 

「オラっ!!」

 

「ハァ!!」

 

「ていっ!!」

 

俺たちも攻撃を仕掛けるが、回転で弾かれる

 

「面倒だな……」

 

「みんな遅くなってごめん」

 

「私達のタルトには指一本触れさせない」

 

遅れてきたあきらとゆかりの二人がプリキュアに変身し、二人は協力しあい、回転している悪妖精の上から攻撃を食らわしていく。

 

「なるほどな。上からなら回転していても関係ないか。それだったら!!」

 

俺は悪妖精と逆の回転をし、悪妖精を空まで弾き飛ばした。

 

「逆回転すれば相手の回転を無効化できるってな」

 

悪妖精も撃退したが、あきらとゆかりの二人はまだ買い物が終わってないことを伝え、また出かけていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてようやくタルトも完成すると例の親衛隊がやってきた。だけど二人はその親衛隊にタルトを食べさせて、どうにか認めさせたのだった。

 

「まぁ二人の居場所は二人が決めることだからな」

 

「そうだな……」

 

 

 

 

 

 

 

 



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第20話 いちかとナタラと……

スイーツフェスバル当日。いちかたちがお店で忙しい中、俺達はというと……

 

「人相悪いからっていうのはどうなんだ?」

 

「静かに歩けないのか?」

 

いちかたちに、手伝うことはないと言われて、俺とナハシュは食べ歩きをしていた。まぁ俺たちが手伝えることは少ないから、こういうのも悪くはないけどな

 

「雑魚はどうしている?」

 

「ナタラ?あいつらな店を手伝ってる」

 

「………お前は雑魚のことをどう思っている?」

 

「どうって?」

 

「奴は俺達よりも先にこの世界に来ている。奴はどうして雑魚の家に普通に住めているんだ?」

 

そういえば考えても見なかった。俺達みたいな奴らを普通だったら警戒するだろうし……

 

「そろそろあいつらも休憩みたいだし、聞いてみないか?」

 

「そうだな」

 

俺たちはキラパティの屋台へと戻ると、何故かナタラが道着を着たおっさんを慰めていた。

 

「何してるんだ?ナタラ?」

 

「あぁ、クロト、ナハシュ」

 

「そいつは?」

 

俺たちは慰められているおっさんの方を見た。ナタラは苦笑いを浮かべ、

 

「やぁ、君たちがクロトくんたちだったね。いちかの父の源一郎です」

 

「クロトだ」

 

「ナハシュだ」

 

「君たちのことは娘やナタラから聞いてるよ」

 

「で何でおっさんは泣いてたんだ?」

 

俺がそういった瞬間、おっさんはまた泣き出した。何だ?おっさん呼びで泣いてるのか?

 

「娘が……いちかが思春期に……」

 

思春期って……俺はナタラの方を見た。ナタラの話を聞くとどうにも娘であるいちかの様子がおかしいことを気になったおっさんが、今日、様子を見に来た。いちかも年頃だからか、父親の介入がちょっと恥ずかしがっているみたいだった。

 

「まぁ女っていうのはそういうもんだろ」

 

「ナハシュ、お前はよく分かるな」

 

「分かるさ。囲まれていた環境が環境だからな」

 

そういえばナハシュは女がいる所にいたんだっけな。まぁ俺もだけど……セリューの場合は思春期とか関係なかった気がするな

 

「まぁいちかちゃんとしっかり話せば分かってくれますよ」

 

「ナタラくん……やはり君にいちかの事を任せてよかったかもしれないね」

 

おっさんは急に元気になり、すぐにどっかに行くのであったけど………

 

「いちかの事を任せるって?」

 

「えっと……」

 

「聞きたいことがある。お前はどうやってあの雑魚に取り入った」

 

「取り入ったって……そういうわけじゃないんだ。ただ……」

 

「「ただ?」」

 

「いちかちゃんは恩人なんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

ナタラから語られたのは、俺がこっちに来る前のことの話だった。

 

気がついたとき、ナタラは傷だらけだった。その時、自分が死人としてクロメと呼ばれる少女操られていたことなども覚えていたらしい

 

だけど傷がひどくこのままじゃ死んでしまいそうになっていたとき、いちかと出会った。

 

ナタラはいちかの献身的な介護で何とか生きながらえ、そして自分のことを話したらしい。

 

 

「いちかちゃんは俺が異世界の住人だということは伏せて、身寄りがないということを話したら……」

 

「あのおっさんが住んでいいって言ったのか」

 

「本当に善意だけの人間が多いな」

 

「まぁそういう世界も悪くないってことだ」

 

「でも流石に言えなかったよ。俺は躯人形になっていたことなんて……」

 

「いちかなら分かってくれそうだけどな……」

 

とりあえずいちかたちの所に帰ろうとした瞬間、突然叫び声が聞こえてきた



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第21話 プリキュアの新たな力

祭りの会場で騒ぎが起こっているため、俺達は急いで駆けつけるとそこには今までの悪妖精が暴れまわっていた。その一体が一般人に突撃をしようとしていた。

 

俺とナタラとナハシュは急いで駆け寄ろうとした瞬間、道着姿の誰かが悪妖精を投げ飛ばした。よく見るとその道着姿の奴はいちかの父親だった。

 

「いちかの父親強すぎだろ……」

 

「ナタラ。あれはちょっと違うな」

 

「相手の突撃に力を利用したみたいだが……それでも強すぎだな。達人というべきか」

 

冷静にそういう俺達。するとホイップが俺達のところに駆けつけてきた。

 

「お父さん……強!?」

 

「君は……派手な格好だが、祭りの余興か?」

 

「えっと、はい」

 

いちかは何とかごまかしていた。すると一番最初に戦った悪妖精……確かガミーが俺達の所に現れた。

 

「ガミー!?何で戻ってきたの!」

 

「この街のスイーツに込められたキラキラルは格別だからな。教えてもらったんだよ!キラキラルがあれば俺の欲望は満たされるって」

 

「欲望欲望って、くだらないものに振り回されてるな」

 

俺は退屈そうに言うと、ガミーがこっちに向かってきた。俺はオウガデーモンを起動させ、ガミーの拳を受け止めた

 

「欲望を満たすことの何が悪い!!」

 

「満たしたらどうするんだ?それまでお前は何をしているんだ?」

 

俺はそのままガミーを殴り飛ばした。

 

「欲望っていうのは満たしたら、その後は空っぽの器しか残らない。そんな事も知らないやつがグダグダ言ってるんじゃねぇよ!」

 

俺は一時期欲望のまま、動き、目的を達成できなかった。それはかなり辛いものだった。

帝都で起こった巨大帝具との戦いで憂さ晴らしはできたが、欲望は満たされなかった。

 

「クロト……」

 

「俺は欲望のまま動くことはしない。ただそれだけだ」

 

「雑魚が、知ったようなことを言ってるな」

 

「知ってるからこそだ」

 

俺とナハシュは笑いあうと、倒されていった悪妖精たちが空へと浮かんでいった。

 

「何だ?」

 

「まさかと思うけど……」

 

ナタラがあいつらが何かをする前に攻撃を仕掛けようとするが、黒い光が放たれ、吹き飛ばされてしまった。

 

そして黒い光が消えるとそこには合体悪妖精がいた。合体悪妖精をカスタード達が応戦していくが、合体したからか強さも今までとは違った。

 

俺達も応戦していくが決定打が与えられない。すると合体悪妖精がいちかの父親を捕まえた。狙いは持っている箱の中身か?

 

「さぁ、そいつを渡しな。じゃないと痛い目を見るぞ」

 

「これはただのスイーツじゃない。とても大事なものだ。だから渡さん」

 

「えーい、離せ!!」

 

悪妖精が箱を奪うために、いちかの父親を地面に叩きつけた。俺たちは急いで合体悪妖精に攻撃を仕掛ける。その間にホイップが駆け寄った

 

「ハァ……すまん。その箱を……」

 

「もう!なんでそこまで……」

 

ホイップが箱の中身を開けるとそこにはショートケーキが入っていた。

 

「娘の好物だ。去年までは二人でフェスティバルに来てたんだが、今年は一緒にスイーツを作る友達ができたようだ。それでも父親っていうのはおせっかいがやめられなくってな。せめて友達と一緒に食べてほしくって、だからこれだけは絶対に守らなくては……」

 

ホイップは父親の気持ちを聞いて、涙を流していた。そしてぐちゃぐちゃになったケーキを食べた

 

「ちゃんと大好きだよ。ごめんね。素直になれなくって」

 

ホイップがそう告げた瞬間、まばゆい光が放たれた

 

「スイーツは食べたら消えちゃうけど、受け取った気持ちはずっと思い出として残る。だからこれ以上は友達の、恋人の、家族のみんなの思い出をめちゃくちゃにしないで!!」

 

ホイップがそう告げた瞬間、会場にいた人たちからまばゆい光が放たれた。これはキラキラルだっていうのか?

 

キラキラルが一つになり、ホイップたちにステッキが渡された。

 

「みんな行くよ!」

 

「「「「「キャンディロッド!!キラキラキラルン、フルチャージ!」」」」」

 

五人がみるみる内に巨大なケーキを作り上げ、合体悪妖精を包み込んでいく。

 

「「「「「スイー、ツー、ワンダフルアラモード!」」」」」

 

そう唱えた瞬間、合体悪妖精は光りに包まれるのであった。もしかして浄化したっていうのか?

 

「たまに思うがプリキュアの浄化の力ってなんなんだ?」

 

「わからないが……どうしてそんな事を聞く?」

 

「いや、別に……」

 

俺達の世界じゃそういうのがなくって、よくわからないものだったから知りたくなっただけだが……

 

「ん?」

 

俺は不意になにかの視線を感じた。あたりを見渡すが視線を向けてきた人間はいなかった。

 

 

 

 

祭りも再開し、いちかは父親と仲直りできたみたいだったが、あの感じた視線は何だったのだろうか?それに今回、カノン達が出てこなかったのは気になる

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、ハイト様。えぇ、闇の力を扱う人間と合流できました」

 

『それは良かった。それと装置の誤作動により、何者かがまた転移した』

 

「いいことでは?」

 

『あぁ計画のために、こちらの戦力となるなら……』

 



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