この素敵な異世界に英雄を! (みずいろ)
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全ての始まりは…

ここで簡単なオリキャラ紹介

『佐藤和也(さとう かずや)』

カズマの実兄。カズマ曰く生前は優しかったようで、弟想いである。
運動は苦手で、性格は気弱だが、成績だけはかなり優秀であり、頭は良い。

本編より10年前(カズマが6歳の時)にいじめに遭い、しばらく引きこもり生活を送っていたが、後に自室で首を吊って自殺した。

が………。



※詳しいことは、後々分かります。


俺の名は佐藤和真、訳あって絶賛引きこもり中である。

 

 

 

「………………………」

 

 

 

 

引きこもりにはメリットとデメリットがある。

まず、メリットは自分の世界に入り浸り、好きな事に熱中できること。アニメ、ゲーム、漫画最高。特に初回限定版があれば、もっと最高と思えるくらいだ。

次にデメリットは時々、親に心配されること…注意ではなく、心配だ。正直、引きこもりだから親に見放されて家を追い出されるパターンは良くあるが、俺に限っては未成年って事もあってそういうのは無く、むしろ親は俺を心配している。まぁ、心配される事は悪い事ではなく、おかげで近所からは「親泣かせのカズマ」と呼ばれるようになったが、俺は特に気にしてはいない。

 

 

 

 

 

 

「そういや、明日は兄貴の命日だな」

 

 

話は大幅に変わるが、俺には昔兄貴がいた…名前は佐藤和也。もう10年も前の話だ…。当時、俺は6歳だが、兄貴の事は覚えている。

性格は気弱だったが、優しく、俺を可愛がってくれた。そして、勉強も出来て、頭も良かった。だが、ある日突然引きこもりになり、後に自殺してしまった。傍にあった遺書には「いじめに遭ったことで全てが嫌になった。先立つ不幸をお許しください」と記されてあった。

あれ以来、親は兄貴が自殺したのは良く向き合ってなかったからだ責め、未だに兄貴の死を引きずっていた。その為だろうか……親は俺が引きこもりになった当初や今でも、俺を人一倍心配してくれるのは…。

俺には、兄貴と同じ末路を辿ってほしくない為に…。

 

 

 

「カズマーー、御飯よー!」

 

 

お袋の声だ。俺は、

 

「今、行くよ」

 

と返事した。

 

 

 

俺は部屋を出て、階段を降りていく。正直、俺は部屋に引きこもっている訳じゃなく、家の中に引きこもっている訳だ。言うなれば、外には一切出ていない、だからこそリビングにも普通に行けるって事……それだけだ。

 

 

 

(うめぇ……)

 

俺は無言で飯に食らいつく。引きこもりの楽しみはゲーム、アニメ、漫画だけでなく、食事もそうだと俺は実感していた。

 

 

「カズマ。」

 

突然、俺を呼ぶ声…それは親父だ。

 

 

「明日はお前の兄貴、和也の命日だ。今年も墓参りに行くから、お前も来い」

 

「………」

 

 

俺が黙っていると、今度はお袋が…

 

 

「カズマ、貴方が家に出たくないって気持ちは分からないでもないけど、貴方にとって世界でたった一人の兄弟なのよ。だから、しばらく行ってないし、今年こそ墓参りに行かないと」

 

 

 

外に出るか…。引きこもりの俺が外に出るのはたまに、それは「ゲームの初回限定版」を買う時だけだ。

それ以外は出る気力もない、まさに引きこもりの典型だ。

 

 

「いいよ。俺は…」

 

 

 

 

 

そう冷たく答えた。だが、

 

 

 

「いいから来なさい!!家に引きこもってばかりで、ロクに外にも出ないで!引きこもって自殺した和也のように、今度は引きこもったお前まで死なれたら、父さんも母さんも悲しくなるんだぞ!」

 

「そうよ。カズマの気持ちもあるかもしれないけど、お母さんやお父さんの気持ちも考えなさい。自殺に繋がらないように、たまにはきっかけで外に出るようにしないと……。それに和也は貴方の兄なのよ……弟の貴方がずっと墓参りに来ていないと知ったら、和也はきっと草葉の陰で悲しむと思うわ」

 

 

 

親父は俺がいつか引きこもり生活の中で自殺するかもしれないと恐れ、たまに俺を外に連れ出した方が良いと考えて、そこで兄貴の墓参りに行く事をきっかけに俺を外に連れ出そうとしていた。

お袋も同じ意見だった。もう一つ、ずっと行ってない兄貴の墓参りにも行かせたいと想いがあった。

 

 

 

 

「分かったよ……」

 

 

なんで俺は了承する返答をしたのか、良く分からない。が、ただ一つ…親の心情に触れ、また兄貴の事を思い返し、このままだと俺は……と、感じていたから、かもしれない。

 

 

 

 

ちなみに俺の返答を聞いた親は、安堵の表情を見せていた。だが、この時俺は、返答が原因で外に出た先である事態に遭遇し、まさかあんな事になろうとは知る由も無かった…。

 

 




このすばの投稿になります。

正直、このすばは最近興味を持ち、ネットでアニメ(1期、2期まとめて)見ただけですので、アニメの内容でしかストーリーを知りませんが、それを参考にして投稿を頑張っていきたいので、どうぞよろしくお願いします!


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死んだ俺

1話に続き、第2話の投稿です。


翌日、俺は親に起こされ、墓参りに行く支度をした。支度と言ってもただ普通に着替えるだけ…当たり前の行動だ。

 

 

「これで、いいか…」

 

 

着て行く服は適当でいいだろうと思い、いつも来ている緑のジャージを身を包んだが…

 

 

「カズマ、いつものじゃなくて、用意した黒のスーツって行ったでしょ!」

 

 

「………はぁ」

 

 

 

結局お袋に注意されて俺は用意してあった黒のスーツに着替え直した。黒のスーツは着慣れない為、変な感じ…いや、久々に着たせいか、自分でもよっぽど変に見えた。

墓参りに行くって返答した俺だが、正直黒のスーツまでは考えていないため、ジャージの方が良かったと改めて感じた。

 

 

 

時期は夏に近いため、外は日光が凄まじく、地面に対する熱気が半端無かった。暑い暑いと口に出したいが、言うと一層暑くなりそうと思い、心の中で叫ぶ事にした。汗が汗が滴って滴って、顔から地面に落ちる……このまま滝のように流れ出そうだ。

家から歩いて30分くらいのところに墓地があり、そこに兄貴の墓がある。

 

 

 

「着いたな。」

 

 

「えぇ。今日も暑いけど、この天気だからお墓はもっと熱そうね」

 

 

「……………」

 

 

「じゃあ、済ませようか!」

 

 

草取りは親が前もって済ませてあるらしく、今日は墓に花と線香を供え、手を合わせた後で墓地を後にした。

 

 

 

「それにしてもほんと暑いわね…」

 

 

「夏も近いからな」

 

 

「………………」

 

 

「大丈夫か、カズマ?」

 

 

「………なにが?」

 

 

「いや、さっきから無言だから気になったんだ」

 

 

「大丈夫…。」

 

 

 

この暑さな上、外に出る気力もないのに、無理して外に出たんだ。そりゃあ、無言にだってなる。はぁ~、死んだ兄貴も俺みたいに時々外へ出ていたのだろうか、もし出てたら俺と同じように同じ事を感じていたのだろうか。

 

 

俺はそう考えていると………

 

 

 

ブゥーーーーーーーーーーーーーーーーーン

 

 

プッ、プゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

カズマ「えっ?」

 

 

 

 

 

ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン

 

何かの音に気付いた俺は考え事を止めて、前を見た。が、次の瞬間、体に物凄い衝撃と共に体がバラバラになりそうなほどの強い痛みが走った。

そこで俺は意識を失った……。

 

 

 

 

 

「…………………ズマ、…………………カズマ…………」

 

 

なんだ、俺の呼ぶ声が…。

 

 

 

「カズマ!!」

 

 

「ハッ!?」

 

 

「あ、す、すみません!む、息子が目を!?」

 

 

親父? 目を覚ますと目の前に親父の顔が。待てよ……すみませんって事は俺はいま、どこに?

 

 

 

「それは良かったです。ただ、病院に着くまでは安心できませんよ」

 

 

病院、着くまで?? そうか、ここは救急車の中か!!

 

 

「カズマ、良く目を覚ました。車に撥ねられてあんなにも酷かったのに、良く…」

 

「親父…?」

 

 

僅かに開いた俺の目には、涙を流す親父の姿があった。

 

 

察した俺は事故が起きるまでの経緯を思い返す……どうやら、考え事に夢中になったせいで俺は車道を歩いてしまい、更には親の呼びかけや車が向かってきた事にも気付かず、そのまま車に撥ねられてしまったようだ。

そして、重傷のまま意識不明になったが、搬送中に意識を取り戻した、という事か。ちなみに同伴したのは親父で、お袋は事故の事で警察に話をするため、その場に残ったという。

 

 

 

 

「そろそろ、病院に着きます。」

 

 

「もう大丈夫だ、カズマ!」

 

 

「お、おや……………うっ!?」

 

 

な、なんだ!?急にく、苦しく……

 

 

「ど、どうしたカズマ!?大丈夫か!!?」

 

 

ピピピッ、ピピピッ、ピピピピッ

 

 

「ま、マズイ!心拍が!?」

 

 

 

く、苦し………胸が、体が苦しい感じが!!!

 

 

「ぐぅっ…!!?」

 

 

 

 

ガクッ

 

次の瞬間、俺は再び意識を手放した。

 

 

ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ

 

 

「か、カズマ………カズマアアァァァーーーーーーーー!!」

 

 

 

なんだか、俺の名前を叫ぶ親父の声が最後に聞こえたような気がした…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハッ!?」

 

俺がまた目を開けた瞬間、そこは……

 

変な空間だった。なんだか暗闇に包まれたような…。

 

 

「死んだのか、カズマ!」

 

突然の声。だが、それは聞き覚えがあった。なぜなら、

 

 

「まさか、俺の時みたいに若くして死ぬとはなぁ!」

 

 

「あ、兄貴っ!!?」

 

それは死んだ兄貴の声だったからだ。6歳の時でも俺は兄貴のその優しい声だけは覚えていたのだ!

 

 

「よっ!10年ぶりか。まだ6歳だったお前がこんなにも大きくなるとはねぇ…。」

 

 

「いや…よっ、じゃないよ!?なに、普通に生きて会ったような言い方してんだよ!?」

 

 

「あ~、確かに「よっ」じゃ、普通に会ったような言い方だな」

 

 

「ってか、兄貴に会ったっつーう事は俺は本当に死んだんだな!」

 

 

「当たり前だろ。既に死んだ俺が居て、話をした時点で夢じゃなくて、本当だって受け入れろよ」

 

 

 

まぁ、あんな事故に遭ったから、死ぬとは思ったけど、まさか死後の世界ですぐに兄貴に会えるのは当たり前だが、想定外。というよりも信じられなかった。

そして、俺は兄貴に気になる事を聞いた…。

 

 

「それより兄貴。兄貴は今、死後の世界でどういう生活を送ってんの?」

 

 

「俺か?まぁ、色々さ…。正直、10年前に死んだから、あれから色々とあったし、上手くは伝えられないが、一つ言える事は俺は俺でちゃんとした生活を送れてるって事だな!」

 

 

はぐらかされた。が、別にそれで生活できてるならいいかと、俺は詳しくは聞かなかった。

 

 

「とりあえず、俺は死んでこの死後の世界で兄貴に会った事だから、今後は死後の世界を兄貴と過ごすって事でいいのか?」

 

 

「………………」

 

 

「兄貴?」

 

 

「カズマ…」

 

 

「んっ?」

 

 

「お前は確かに死んだ。だが、まだ死後の世界で過ごすには早過ぎるぞ!!」

 

 

「………はぁっ?!」

 

 

いきなり出た、兄貴の突拍子な発言。

 

えっ、俺は確かに死んだが、まだ死後の世界で過ごすには早過ぎる?…今の発言に引っ掛かることがあった。

それは死んだのに、死後の世界で過ごすには早いって事だ。まるで俺がこれから生き返るみたいな言い方に聞こえたような……?

 

 

「おっと、そろそろあの方の導きの時間だな」

 

 

「へっ、あの方、導き??」

 

 

「それはこれから分かるさ。いいか、お前はまだ死後の世界に来るには早い。もう一度頑張って来い、今度は別世界でな(・・・・・・・・)!!」

 

 

「えっ、別世界?? 別世界ってなんだよ、兄貴?!」

 

 

まったくもって意味不明だ。別世界ってなんだよ!!

 

 

「俺はもう行かないと。最後に、これをお前に渡そう」

 

スッ

 

 

俺は兄貴からある物を手渡された。それは…

 

 

「アクセサリー?」

 

 

「首飾りだ。ただし、これは普通に首に下げないで大事に隠し持っておけ」

 

 

「な、なんでだよ?」

 

 

「いいから、隠し持っておけ。いいか、この首飾りはお前の命が本当の本当に危ういと思った時にだけ出せ!! きっとその時、お前の役に立つはずだ」

 

 

「?」

 

 

兄貴の話がいまいち分からない。この首飾りが俺の役に立つ、さっきの別世界の件といい、ますます意味不明だ!

 

 

「じゃあ、俺はもう行くからな。10年ぶりに会えて良かったぞ、カズマ!別世界に行っても元気に頑張れよ。そして、いつか俺みたいに偉くなれ(・・・・・・・・・)!!!」

 

 

「っ!!」

 

 

更に兄貴は最後に笑顔で意味深な事を言って、俺の前から姿を消した…。

 

 

 

 

その瞬間………

 

 

「サトウカズマさん………」

 

 

「っ!?」

 

 

俺は誰かの声に驚き、同時にいつの間にか椅子に座っていた事に気が付いた。

 

 

「ようこそ死後の世界へ…」

 

 

そして、俺の目の前には、いつの間にか見知らぬ女の人が居て、俺にそう語り掛けてきた。

 

 




ここまでになります。


このすばにハマってからこの小説の執筆を始めるのに思い悩みましたが、思い切って挑戦することにしました。


果たして今後、どうなるか?


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女神エリスの導き~その1~

3話の投稿です。


ただし、長くなりそうですので、その1やその2として、話を分ける事にしました。




今、置かれた状況を説明するとしよう…。死んだ俺はいきなり兄貴と会い、兄貴から意味不明な事を言われた挙句兄貴は姿を消し、今度は俺の目の前に……

 

 

 

「サトウカズマさん、ようこそ死後の世界へ…」

 

 

いきなり見知らぬ女の人が現れ、声を掛けられた…以上。

 

 

「私は貴方に新しい道を案内する女神……エリス」

 

 

なっ、女神!?今、め、滅茶男が惹かれるようなワードが…。

 

「え、エロス様ですかっ///」

 

「えっ!?///」

 

「なんと、男が今にも惹かれるような、おぉーって騒ぎ立ちそうなエロいお名前!!/// しかも女神という事は、何かエロいことをしてくれる女神さまですね!!」

 

 

俺はハァハァとわずかに声に出しながら、興奮していた。

 

 

「あ、あのう……!?」

 

 

なにやら、動揺しているようだが、ここは物は試しで…

 

「エロス様、今ここで俺にストリップを見せt」

 

 

「サ、サトウカズマさん、落ち着いてください!?私はその…え、エロスではなく……エリスです///」

 

「へっ?」

 

 

 

女神様が頬を赤くしながら訂正してくれた。

なんだ…俺の聞き間違いか……とそう思った。まぁ、そんな都合が良い話、ある訳ないか。俺は自分が聞き間違えをした事を恥じらう事は無かった。が、とりあえず…

 

 

「その、すみませんでした!」

 

 

と、素直に謝罪した。

 

 

「あ、いえ!?間違いは誰にでもあることですから気にしなくても大丈夫ですよ!」

 

 

お、優しい。大抵の奴らはこういう時、笑うか、からかうはずなのに…この人(女神様)は違った。まぁ、女神って事だから、慈愛に満ち溢れてるのは確か…かな?

 

 

「サトウカズマさん、貴方の人生は今、終わりを告げました」

 

 

 

終わりを告げたか…。俺の人生、そして死因なんて、はぁ~。

 

 

 

「あのう、どうされましたか?」

 

「えっ?」

 

「あ、その…見た限り元気がなかったので、お声を…」

 

「あ、すみません。俺、人生終わったと言われたら、死に方やら生きていた頃を思い返しちゃって…」

 

 

「そういう事でしたか」

 

 

「だってさ、俺はあんな人生送って最後はうっかりな死に方してさ!ほんとにお笑いもんでしょ?はははははっ」

 

 

俺は思いっきり笑った。自分をなじる趣味はないが、たまに自棄になって自虐する事がある。それは散々だった俺自身の全てを受け入れるのを自ら拒否し、ヤケクソになる……一種の現実逃避ってヤツか。

 

まぁ、死んじゃったから現実もクソも無いが!!

 

 

 

 

「笑いごとではありません」

 

 

「へっ?」

 

 

「そうやって自分を笑ってはいけませんよ。例え、本当に笑えるような内容であろうと、本気で笑うのはいけない行為です。」

 

 

「あ、あの…?」

 

 

「サトウカズマさん、貴方がどんな人生を送り、どのような死に方をしようと、それは笑うものではなく、自分は生きたいように生きる事が出来たと満足し、例えうっかりでも死んだ事は仕方ないと受け入れるべきではないでしょうか」

 

 

 

女神さまはそう語った。

 

なんだよ、この女神様……。ここまで優しく言われると、自分を笑った俺自身が初めて恥ずかしくなってきた…。

 

 

 

「すみません。俺、二度と自分の事を笑いません」

 

 

また、俺はもう一回謝った、女神様……いや、エリス様に。

 

 

 

「心の中に留めておいて下さいね。では、本題に入りましょう」

 

 

本題?それは一体なんだ??

 

 

 

 

「人は死んだら、それぞれの場所に導かれます。一つは天国、もう一つは生まれ変わることです」

 

天国、生まれ変わりか……。死者にはありがちだな!

 

「それ、どっちか、選ぶんですか?」

 

「はい。導かれし者には選択肢があります。天国が良ければ天国に、生まれ変わりを希望であれば私の力で転生も可能です」

 

「凄いな。死者に選ばせるなんて、死後の世界も案外良い所なんだな」

 

「どちらをご希望ですか?」

 

「う~ん、おススメとかってありますか?」

 

「お、おススメですか……。そうですね、もう一度人生をやり直せる「生まれ変わり」でしょうか…」

 

 

 

 

生まれ変わりか…。う~ん、何かしら要望を出せば、良い人生を送れるように生まれ変われるかな?だけど、また変なことして失敗したら嫌だしなぁ……。

かといって、天国もなぁ……。天国で楽するのもいいけど、もう一回人生楽しみたいって気持ちもなんだか込み上げて来たしなぁ……。

 

 

 

「う~ん」

 

 

「………迷っているのですね」

 

 

「はい。」

 

 

 

 

 

 

「では、あまりおススメは出来ませんが、もう一つの選択肢……はいかがですか?」

 

「えっ?」

 

 

なに、もう一つの選択肢って、まだ何かあんのか?天国と生まれ変わる他に…。

 

 

 

「もう一つの選択肢、それは……異世界転生(・・・・・)です」

 

「い、異世界転生…?」

 

 

異世界って、RPGとかゲームの世界に出てくる、モンスターや戦士たちが住んでる場所か!?

ゲームが好きな俺にとっては、異世界と聞くと興奮する。

 

 

 

待てよ………異世界って別の世界だろ、俺が居た所とは別の。

あっ、そういやあ、兄貴が…!?

 

 

 

 

『いいか、お前はまだ死後の世界に来るには早い。もう一度頑張って来い、今度は別世界でな(・・・・・・・・)!!』

 

 

なんて言ってたけど、まさか兄貴が言ってた「別世界」って、その異世界の事か!?まさか、兄貴は異世界に………。

じゃあ、兄貴が行った世界に俺も行けと……そういう事かよ!

 

 

 

 

「どうですか?サトウカズマさんに、荷が重すぎると思うのでしたら、異世界転生の話も無かったことにしてm」

 

「そこで……いい」

 

「えっ?」

 

「異世界、でお願いします!!」

 

 

 

 

俺はすぐに、希望した……異世界転生を。

 

 

 

 

 




ひとまず、ここまでとなります。


また、いずれ投稿します!


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女神エリスの導き~その2~

前回に続き、その2を投稿します。


「異世界転生で、お願いします!!」

 

 

天国、生まれ変わりがあるのに、俺はエリス様が仕方なく出した三つ目の選択肢、異世界転生をすぐに選んだ。

 

 

「えぇと…私も迷っている貴方を見て、異世界転生を持ち出しましたが、本当にそれでよろしいのですか?」

 

 

エリス様は心配するように言った。それに俺は、

 

 

「もちろん」

 

と、答えた。

 

 

「その…今まで異世界転生の話を他の方にした所、皆さん、詳しい話を聞きたいと仰っていたり、時には迷う方もおられましたので、サトウカズマさんのように即答する人は初めてです。」

 

「そうなんですか? 意外にゲームやってる奴やゲーム好きって人なら、異世界って聞いたら分かるし、むしろゲーム好きならぜひ行きたいって即答すると思いますけどね。」

 

「えぇ。私も下界の事は熟知しておりますので、貴方の先ほどの説明も分かりますが、なぜいきなり異世界?…と、感じはしないんですか?」

 

 

確かにいきなり異世界って話が出たら、誰だって疑問の一つは持つものだな。だが、俺は……

 

 

「いや、実は死んでここに来る前にある人に会って、異世界=別世界として存在を示唆されるような言葉を聞いたので…」

 

俺は何を思ったか、兄貴の事は伏せてエリス様に伝えた。

 

 

「そういう事でしたか。カズヤさんから教わったという事であれば、納得しました」

 

「えっ?」

 

 

なぜ、兄貴の名が?…俺はそう思った。

 

 

「実はここだけの話、貴方が来る前に私はカズヤさんを導きまして、その時導かれし場所に行く前に死んだ弟さんにひと目会いたいと申されましたので、特別に対面する時間を与えたのです」

 

「へっ?」

 

「でも、まさか対面の時に異世界の事を貴方に教えていたのは、驚きでしたよ。本来、異世界の事は死者同士口に出してはいけない事なんですが、まぁいずれサトウカズマさんにも分かる事ですし、それにカズヤさんの事はカズヤさんの今までの活躍に免じて大目に見る事にしましょう。」

 

「え、なに、訳が分からん…?」

 

 

エリス様の言葉が飲み込めない、俺。とりあえず、エリス様が兄貴を知っていた理由は分かったが、最後の、今までの活躍(・・・・・・)というのが分からん、いやむしろ、気になるな…。

 

 

「まぁ、カズヤさんの弟さんでしたら、大丈夫ですね。分かりました……カズマさん、貴方の異世界転生を了承します」

 

「…………」

 

 

なんだろう、一層変だ…。俺が異世界転生を了承される事が、まるで兄貴のお墨付きみたいで、更に気になる!

 

 

 

「まず、異世界についての簡単のご説明します。今からカズマさんが転生なさる世界は、元々平和な国でしたが、ある日魔王率いる魔王軍によってその平和が脅かされ、魔王軍の無慈悲な略奪と殺戮に皆さん怯えて暮らさなければならない、という大変な悲しい思いをしていました。」

 

「成る程。ファンタジーでは良くある話なんですね!」

 

「ですが、ある一人の勇敢な冒険者が立ち上がり、その方は優秀な知力があっても、僅かな欠点を苦労と苦難で補った末に大きな力を身に付け、遂に魔王を討伐し、結果魔王軍は壊滅しました。皆さん、大いに喜び、その冒険者は異世界の英雄として瞬く間に称えられました。」

 

「へぇー。という事は、今は平和な世界ってことなんですね?」

 

「いいえ…」

 

「えっ?」

 

 

エリス様の話を聞いて、魔王討伐された事で今は平和な世界かと思った俺だが、エリス様は突然平和な世界である事を否定した…。

 

 

「実は魔王軍の残党が、密かに活動していた事が分かりまして、そのせいでつい最近、魔王が復活し、世界は再び魔王軍の無慈悲な略奪と殺戮の日々に戻ってしまいました。」

 

「ええええぇぇぇーーーーー!!?」

 

「ですから、再び異世界の平和を取り戻す為、話を聞いた死者たちのほとんどは異世界転生を選びました。まぁ、中には天国と日本への転生を選んだ方もいらっしゃいますが。」

 

「そ、そんな事が…。でも、その魔王を討伐した英雄がいるじゃないか!!その人はどうなったんですか?!」

 

「実は………亡くなってしまいまして」

 

「えっ、死んだ?」

 

「はい…。魔王が復活したと同時期に、重い病気に掛かってしまい、命を落としました」

 

 

 

病気……魔王が復活した時に病気になって死ぬってタイミング悪過ぎだろ、そいつ!?

 

 

「ですから、新たに魔王を討伐なさる方を、必要となさっているのです」

 

 

「まさに訳アリってことなんですね…。でも、俺が行くとしても、死んだらどうなるんですか?」

 

「またこの場所に戻り、天界規定に基づきまして、二度と異世界に戻る事は出来ません」

 

「デスヨネー」

 

「ですが、ご安心下さい。すぐに死なない為にも、転生者には一つだけ異世界に好きな物を持っていける権利が与えられます」

 

「権利…?」

 

 

エリス様の言葉に耳を傾けた。好きな物を持っていける権利………なんだ、もし無人島に一つだけ持っていけるのなら何を持っていくか、というありきたりな例えと同じヤツなのか…?

 

 

「はい。強力な武器や魔法などの才能です」

 

 

「うおおおおおおぉぉぉぉーーーーーーーー!!!!」

 

「えっ!?」

 

 

エリス様の言葉を聞いた俺は大興奮だ!なぜなら、持って夢にまで見てた強力な武器や魔法を実際に扱えるからだ……俺はずっと夢のような事に憧れを持っていた。

叶わぬことだとずっと思っていたのに、ここに来て遂に実現する、ゲーム好きならむしろ興奮することだろう。

 

「で、エリス様。どんな武器を、どんな才能がっ!!!」

 

「か、カズマさん……顔が近いです…」

 

エリス様にそう言われ、俺は顔を近付けていた事に気が付くと…

 

「あ、すみません」

 

と、謝った。

 

 

「いえ。で、異世界に持っていけるモノというのは、この中から選んで頂きます」

 

 

エリス様が渡してくれたのは、分厚い本だ。

 

 

「流石に厚過ぎて、目を通すのに時間が掛かりそう…。」

 

「そう言うと思いまして、事前にカズマさんに見合ったモノを決めてあるのですが、それでもよろしいですか?」

 

「お、流石はエリス様!心遣い、ありがとうございます!」

 

「そういった御心遣いも女神としての義務です」

 

 

エリス様は微笑みながらそう言った。なんて素晴らしい女神なんだ!!

そういやあ、俺も神についてはそこまで詳しくないが、確か神にはそれに見合う宗派があると聞いたことがある。よし、決めた……もし、エリス様の宗派があるなら、俺は絶対入信して、エリス様を崇めよう。

 

 

「で、俺に見合うモノとは一体?」

 

超能力(・・・)です。」

 

「超能力!?もしかして、エスパー的な何かが使えるって事ですか!!」

 

「どういった能力かは異世界で使った時のお楽しみ…という事にしておきましょう」

 

「えぇーっ……」

 

 

じれったいと思ったが、どんな能力か楽しみだ、という事も考えたらそれも良しかと自分の中で納得した。

 

 

と、同時に俺はある一つの疑問をエリス様に問いかけた。

 

 

「そういえば、エリス様は俺の前に人……いや、兄貴を導いたと言ってましたが、どこに導いたんですか? もしや異世界に?」

 

今度は、兄貴の事は隠さず、しっかりと発言して…。

 

 

「すみません。規定に引っ掛かってしまいますので、詳しい事は語れませんが、敢えて良い所に、とお伝えいたしましょう。それと異世界ではない事も一応お伝えしますね」

 

 

そんなエリス様の返答に俺は、

 

 

「良い所ですか…。」

 

と答えた。

 

 

 

 

「では、サトウカズマさん。貴方をこれから異世界へ送ります。魔王討伐のための勇者候補の一人として魔王を倒した暁には、どんな願いも一つ叶えて差し上げましょう」

 

 

「おっ、どんな願いも!?いいねぇ!!何にしようかな…?」

 

 

俺はまだまだ先の事なのに、どんな願いにするかを考えていた。

 

 

 

「あ、それとカズマさん…私から一つだけよろしいですか?」

 

「えっ、なんですか??」

 

「実はここだけのお話にして頂きたいのですが、異世界には今、私の先輩がいまして…」

 

「へっ、先輩?」

 

 

俺はいきなり拍子抜けの返答をした。そんで…

 

 

「あの、先輩というのは、一体?」

 

と返した。まぁ、いきなりの話だから、疑問を持って聞くのは当然だった。

 

 

「名前はアクアと言います。少し前に訳あって女神の資格を剥奪され、今は人間として異世界で暮らしています。」

 

「アクア、水か?それと、訳ありで女神の資格を剥奪って、何があったんだよ?」

 

「詳しい事は、本人からお聞き下さい。それと、私が今居るこの場も本来はアクア先輩の座る席でして、導くのは元々アクア先輩の役目です」

 

「マジか!?」

 

 

 

エリス様が急に語った、アクアという女神の存在…。女神の資格ってヤツを剥奪されてるって事はロクでもない奴……か

 

 

 

「それで、エリス様は俺にその、アクアをどうしろと言う訳ですか?」

 

「ただ、気になっていたので、異世界に着いた後で様子を確認して貰えませんでしょうか? 特徴は青色の長い髪に、見た目は美しい方なので、すぐに分かると思いますが。」

 

「その……なぜ、俺に?」

 

「カズヤさんの弟と見込んでのお願いなんです。」

 

 

兄貴の弟と、見込んで??その言葉に少し前のエリス様の会話を思い出していた。なぜ、兄貴がお墨付きやそこまで信頼されてるような存在になっているか……ほんとに気になる!!

 

 

「どうかしましたか?」

 

「あ、いや、ちょっと緊張しまして…」

 

 

と、自分の考えを伝えるのも面倒だから、つい誤魔化した。

 

 

「心配はいりませんよ。貴方のお兄さんも、同じ体験をしているはずですから」

 

「へっ?」

 

「実は貴方のお兄さん、サトウカズヤさんも同じく異世界転生を選び、異世界に転生しています。ただ、異世界で死んでしまい、先ほど良い所に導かれた、という訳ですが…。」

 

「そういう事か!!だから兄貴は俺に異世界の話を……」

 

「お話は以上です。カズヤさんの事を詳しく知りたいのであれば、異世界で知って下さいね(きっと、驚くとは思いますが…。)」

 

「は、はい…。」

 

 

 

「さあ、勇者よ!願わくば、あまたの勇者候補達の中から、貴方が魔王を打ち倒す事を祈っています。………さあ、旅立ちなさい!」

 

「おっと!」

 

 

俺の足元に魔法陣が現れ、直後……

 

 

「うおおおぉぉぉーーーー!!」

 

俺は魔法陣の中、いや異世界への入口に落ちて行った…。

 

 

 

 

 

「カズヤさん。貴方の弟さん、サトウカズマさんも異世界転生を果たしました。」

 

「貴方の時と同じように、きっと異世界を…………。」

 

 




カズマが異世界に行った所で終わりました。


正直、アクアでも良かったのですが、オリジナルという事でカズマを導く女神はエリスにしました。

本編と違う話は、どういう風に進むか…。


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