tsプロゲーマー配信者なぎちゃん (ヲタクフレンズ)
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ファンアート+登場人物紹介

続きの話じゃなくてごめんね!


嬉しいことにあらすじが圧迫してきたので、こちらで紹介させてもらおうかと思います。ファンアートありがとうな!

 

おあさんから初のファンアートです、なぎちゃんはかわいなぁ!ありがとうございます!

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はむ☆さんより、ミクちゃんです!かっこかわいいクール!ありがとうございます!!

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おあさんからミクちゃん描いてもらいました!ふとももがえちくて好き、照れの混じった表情も好き、全部好き。

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おあさんからのミク×なぎのファンアート貰いました!

足ぶらぶらしてるなぎちゃんがくそかわいいしそれを見つめるミクちゃんもかわいい……いつもありがとう。嬉しいです!

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日真日さん からうさ耳なぎちゃんのファンアート貰いました!

タートルネックなぎちゃんかわいい!キャピってドヤ顔ニヤリ顔するなぎちゃんかわいい!光沢が良き!ナゲット君?!そこ代わってくれ!

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かわいいうさうさなぎちゃんをありがとうございます!

 

おあさんよりメイドなぎちゃんです。ありがとうございます!

なんて美しくてかわいい……神々しい、なぎちゃん俺のママになってくれ、ママー!

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自分の絵も載せときます。

あくまでもイメージ、参考程度に。後アナログです、拙いです。

なぎちゃん

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ミクちゃん

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三音ちゃん

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司くん

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テレサちゃん

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ついでに、簡単な登場人物の紹介でも、話のネタバレにならない程度ですがそれでも名前やキャラの性格などでネタバレになるので、注意!

 

 

なぎちゃん(凪沙)

ある日を境に突然おんなのこになった引きこもり、養ってくれている司の説得により自称プロゲーマー配信者なぎちゃんとして活動を始める。

銀色のシルバーブロンドに黄金色の瞳をしていて身長155cm、本人曰くCよりのBぐらいのたわわらしい。

性格は知らない相手にはとことん大人しめで、近しい人には楽しげに話す。

tsの影響からか感情が表に出やすく、また繊細な感情になったようだ、日々女性的な思考に寄る自分自身に何も疑問を抱かない事を恐怖している縁がある。

一人称はわたし

 

司(なぎちゃんの親友)

なぎちゃんの親友、赤色の髪をして黒いサングラスに白衣をかけている。

凪沙を男だと知っている人物の一人のようで、赤城財閥直属の会社に働いて、その収入源でなぎちゃんを養っているようだが、未だ謎に包まれている。

一人称は俺様。

 

ミクちゃん(初菜未来(はつなみらい))

なぎちゃんの高校時代の後輩、凪沙を男と知っている人物の一人。

凪沙を追って隣の部屋まで引っ越すヤンデレ属性持ち、ただし真面目で一途な感情の方が強く、ヤンデレ(強)属性では無い、今は。

ただ自我が強く、他者を低く見た性格をしていたが……

一人称は私。

 

凪沙が女の子になってる事については、否定も肯定もしていなく、先輩が先輩ならそれで良いと思っているようだ。

ちなみに別に女の子専門のアレではなく、なぎちゃん専門らしい。

 

管理人さん(赤城三音(あかしろみつね)

世界的に有名の赤城財閥の当主であり、なぎちゃんの住んでいるマンションを運営している。

この中で唯一、凪沙が元々男だということを知らない。

司に配信を勧められて、なぎちゃんボイスとその楽しそうにゲームをプレイする姿で撃沈、立派ななぎ民の完成である。

公私で180度変わる性格のようで、私的な時はとにかくハイテンションで自堕落で一生寝ながらゲームしたいと思っているようだ。

一人称は(わたくし)

 

本編で登場しているゆかいなネームド持ちのなぎ民。

ミクちゃん(ゲームが上手いクソレズ三銃士、他上記参照)

エリック(なぎちゃんに呼び捨てにされるなぎ民のおもちゃ)

ユー(なぎちゃんの動画を編集して投稿するなぎ民)

有能無能(別名ソレスタルビーイング、自称パパ)

田中(許されない男、詳しくは1回目掲示板回にて)

お兄ちゃん(自称なぎ兄、ゲームがうまい)

狩人さん(プロハンニキ、一番ゲームうまい、同じく配信者らしい)

ニンジャ(アイエ!説明不要!妹がいる)

千里眼くん(千里眼でおぱんつを視る、真偽は不明)

店長の娘(レズ疑惑のクソレズ三銃士、現実で一番最初になぎちゃんと握手した)

テレサ(幽霊?なぎちゃんを気に入る、なぎ民疑惑)

不浄くん(イアイアな神、なぎちゃんを気に入る。なぎ民疑惑)

電磁砲(別名、レールガンの人)

雪娘ちゃん(突如誕生したクソレズ三銃士、なぎちゃんお守りたいのピンク)

TUKASA(名前でわかって?、なぎちゃんの一歩下ぐらいのゲームセンス)

アンノウンくん(すごすごゲーマー、なお裏設定、ニート)

 

 

 

本編(と外伝)のなぎちゃんの配信したゲームの元ネタ集

()の中が元ネタです。

いちわめ、OverCoreFaRrewrite-7(ARMORED CORE for Answer)

にわめ、ハンティングクラッシャー(Bloodborneとバイオシリーズから着想)

さんわめ、リトラス(トイストーリーとHuman Fall Flatから着想)

よんわめ、みらくるカート(皆様ご存知マリオカート)

ごわめ、DEAD・CASL(Dead Cells)

ろくわめ、ブレデターハンター(ご存知モンスターハンター)

はちわめ、ロストデイメモリー(色んなMMO、RPGから着想したオリジナル)

きゅうわめ、Death is Not an Escape.(Dead by Daylight)

じゅうわめ、ぼうだあRED3Edition(Borderlands)

じゅういち、タイムクラシック8(タイムクライシス、アーケード版)

じゅうよん、エンドレスエタニティ(サイレントヒルにクトゥルフ神話混ぜた)

じゅうごわ、デスオーバーワールド(知ってるバトロワ系全部混ぜた)

じゅうろくわ、魔王のくせになまいきじゃい!(勇者のくせになまいきだ)

じゅうななわ、OverCore=WORLD(ARMORED COREの新作※大嘘)

 

増えたら随時更新、ここ書いた方が良いよって何かありましたらよろしくお願いします。




ほんと感謝感激です……まさか自分が書いた話にファンアートとか貰えるなんて毛ほども思ったことなんてなかったし、本当感謝しきれねえ、ありがとうございます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


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いちにちめ!

黒 歴 史 確 定
深夜テンションかつ、携帯での殴り書きなので拙い文章です。
ご了承を。


 突然だが、人は自分とは真反対の性別になった時、どういうリアクションを取るのだろうか?

 自分……いや、わたし(・・・)の場合は、こうだ。

 

「やった!やった!優勝した!今晩は少し高い霜降り肉で飲み明かしてやるぜー!!!」

 

 喜んだ。

 

 当たり前だよなあ!だってだって朝起きて声変だなあって鏡見たらあら不思議、其処には黄金色のおめめぱっちりの銀髪ロングヘアー160cmのCにいかないBぐらいのたわわのピッチピチな女の子やぞ!

 

 誰だって喜ぶに決まってる、少なくともわたしはそうだった。

 

「でへへ〜〜、今までホームレスも真っ青なクソザコごみ虫人生だったけど……こんな事もあるもんなんだなぁ〜!」

 

 あまりの嬉しさに鏡の中の美少女がぴょんぴょん跳ねた、あっこの美少女わたしだ!かわいいかわいいかわいい!

 

 そうだ、写メとろ!今じゃ写メって死語なのかな?まあいいや、細かい事はきにするなってな!パシャパシャパシャ。

 

 でへへ〜…………

 

 

 はあ、明日からどうしようかな、まあいっか……どうせ仕事なんてしてないし、親も姉も絶縁状態だし、もう一週間分の食事しか摂取できないけど……生きてたってな、ははは。

 

 みるみるうちにレイプ目になるわたし、かわいそう、この鏡の女の子かわいそう、わたしだけど。

 

 あれ、これって自分って可哀想だなって思ってるイタイ奴?やだなああんな陰キャを被ったパリピと同じにされたくないなあ。

 

 ははは。

 

 はは。

 

 

「はあ……女の子の服ってあったかな、えーと」

 

 自室のタンスの一番下をごそごそと漁ってみればあら不思議、なんとありました。

 

 これは警察案件、いやまあ昔ネットで知り合った女の子の置き土産なんだけどね、捨てきれなくて……いや、彼女だったとかそういうのじゃなくて、ていうか告白したら「気持ち悪りィんだよキモオタがァ!」って中指立てられましたけども、はい。

 

「うわっサイズ一緒だし……完全に一致、まあわたしの方がどう考えてもかわいいけど……でへへ」

 

 冷静になってきた頭を何かで紛らわそうと、パソコンをカチカチ、起動している間にダンボールに入っているカップ麺にお湯を入れる、すると一瞬で出来上がる。

 

 誇張なしで、一瞬である、規定量のお湯を入れた瞬間PON!っと出来上がる、昔は3分ぐらいかかったらしい。3分でも十分早いとわたしは思うけどなー、宇宙船が日本に落ちてきて以来、爆発的に科学文明が発達していった様で。

 

 今は遺伝子組み換えで自分の記憶を引き継いで新しい肉体に転生染みた事をしようとしてるらしいけど、そこまでして自分の人生を引き伸ばしたいのかな。

 

 思えば、今のわたしの現象はそれに近いけど……はぅ!もしかしてだけどこれが政府とかそういうのにバレたらわたし、モルモットにされちゃう?!

 

 やだやだ、小生やだ!もーこうなったら一生家から出ねーからな!ぜーたい出ないもんね!

 

 ……まあ、出ないのは今更か、高校生からだっけな、家出て、なんとか恩人と言ってもいい親友にアパートの一室を貰って……家賃とかもろもろ払ってくれて……

 

 罪悪感がわたしの胸を突き刺す、今の今までなんとか外に連れだそうとしたり、職を提供してくれたり、一緒に遊んでくれようとしたけど、全部頑なに断って……何様のつもりなのだろうか。

 

「舌敏感になったかな…いつもより美味しく感じますなあ」

 

はふはふ、ふー、ずるっ!おいし。

 

 さてさーて!今日はなんのゲームをしようかな〜〜

 

「んにゃ、にゃなんだーこのゲームは、どれどれ……MMORPG?これまたニッチな、VRじゃなくてか?」

 

 贔屓にしている記事に、ゲーム大手企業SSSが100年前では大流行、されど今では古代のように珍しいMMORPGのβテストを三日間やるらしい、興味を持ったわたしは早速公式サイトにクリック。

 ちなみに余談だが、私が使っているこのパソコンも、インターネットでは主流ではない、主流は頭にヘルメットを付けてネットの海を渡るギア型か、全身を専用のカプセルに入り、電子体になるタイプの奴だ。

 

 わたしはそれが結構怖い、頭に被ったヘルメットに付いている電線が、いきなり焼き切れたら?何かの拍子でカプセルから出られなくなったら?考えるだけでもいやだ。そういう理由で性能は同等レベルでしかも安いパソコンを使っているのだ!

 

 それに今みたいにVRじゃないゲームは、パソコンじゃないと操作し辛いしな、さてさてゲームデータをダウンロードしてる間にどうやって暇を潰そうk「ピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロゴーゥイ」

 

「……はあ」

 

 電話だ、ため息を一つ。

 

 わたしに電話をかける人なんて一人しかいない、きっと親友だろう、出たくない、というかいつも出ない、でもわたしが出るまでずっと掛けてくる、ずっとだ、夜が超え、朝になっても、そうして根負けして電話に応じるわたしにいつも第一声は「電話してごめん」で始まるんだろ?

 

 半年以上は掛かって来なかった癖に、今更なんだよ……ははッ、ついに出てってくれって言い放つのかもな。

 

 いっそそうであってくれ、怒ってくれよ。出て行けって、どっかでのたれ死んでくれって、そう思ってんだろ、思ってくれよ、ちくしょう。

 

 いいさ、今日は出てやる、いつもより10億倍気分が良いからね、わたし。

 

「……ん」

 

『おわあ!?いつもより1日早い!?……アレ?声かわ、じゃねえ、変だぜ?』

 

「ボイチェン………新しいやつの……」

 

『そりゃまた、さいこ…じゃねぇや、精密だなぁ……ん?でも俺様の口座から何も買ってないだろ?ってかそうだよ!二ヶ月前から一銭も使ってないけど食事とかどうしてんだよ、なんなら今日ーー』

 

「いかない」

 

『……そっか、まあまた今度行こうぜ!』

 

「………それだけ?」

 

『そうだった!いやぁ親友たる君に相応しい職業を見つけちまったぜ!俺様は』

 

 また、その話か。

 何度目だよ、やめてくれよ……もう嫌なんだ、嫌だ、いや。

 

もう誰にも(・・・・・)失望されたくない(・・・・・・・・)

 

「もう、いいよ」

 

『いやでもこれはマジだーー「もういいよ!」

 

「何度そうやって!だ……騙すんだよッ…今まで何一つ!上手く、いかなかっただろ!」

 

 感情のままに発してしまった言葉に、その瞬間自分の顔が真っ青になった。

 

「ち、ちがう、なんで責めて……ごめんなさっ……そんな、そんなつもりじゃない、悪いのはこっちだし、でも……」

 

『……なあ』

 

「ひぅ………」

 

 今まで聞いたことないぐらいに、真剣な声に声にならない声が出る。

 

 怒らせた、怒らせてしまった、理不尽に喚いて、親友がいないと今まで生きてこれなかったのに、そんな恩人を、怒らせた。

 

 親友にも、見捨てられる……?

 

『その声で罵ってくれないでしょうか!!!!』

 

 

 ん?

 

 

『て“っへ"っへ"……いやあ親友のボイチェン最高だぜ、何々?!日頃頑張ってる俺様に対してのご褒美か何か!?そうだとしたら俺様、今夜は寝れねェぜ!』

 

「そういう癖なの……?いや、ていうか、怒ってるんじゃ……」

 

『なんで?親友に?……いやいや、ありえないでしょ、天地がひっくり返ろうともありえないね!』

 

「で、でも……」

 

『何度も言うけどさ、俺様の今は親友が作ってくれたんだ、だからその恩を返してるだけなんだよ、親友は甘えてりゃ〜〜いーの』

 

「……え、ホモ?」

 

『ちがわ〜〜い!!!俺様には飛鳥ちゃんっていう心に決めたアイドルをなぁ!』

 

 ああ、なんでこいつはこんなに良い奴なんだろうな、気づいてんのかよ、その優しさが一番俺を残酷に苦しめてるってのを。

 体が美少女になったからなのかは分からねえけど、涙出ちまいそうだ。

 

『まーその、な、今回はマジだ、絶対親友に向いてる、いや天職だな!』

 

「……そんなのないよ」

 

『それがありえるかも、ミルク色の二次元ってな!……プロゲーマーだよ、プロゲーマー』

 

「……え、別にプロゲーマーじゃないよ、わたし」

 

『わたし?』

 

 あ"

 

 あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!一人称が思わず!ヤベェ!前の一人称もう忘れた!わたしの事なんて言ってたっけ!

 

『いや、そうか!巷で噂の性転換ロールプレイングって奴だな?!さっすが親友、俺様が今度頭を撫でてやろう』

 

「や、やめろ……てか、やっぱホモじゃんか?」

 

『飛鳥と結婚してっから!!!』

 

 いや、結婚はしてねえだろ、ついでにウブだろ。

 

『まーつまりは配信者、ストリーマーだっけ?ゲームして金稼ぐって奴よ、親友そういうの得意だろ?前に賞取ってたし』

 

「いや……数年前の話じゃん、それに自分の声とか、顔とか、晒すのは良くないと思う」

 

『んまー顔は確かに危ないかもしれねえけど、手元とかは大丈夫だろ?』

 

 ……良いのだろうか、自分の手を見てみると、きめ細やかな肌に溶け込んだちっちゃなおてて。

 

「……いや、でも……え、いやぁ……無理があるだろ……」

 

『お、もしかして乗り気か?へへっそうこなくちゃな』

 

「……ぇ、ちがうちがう……そうじゃなくて」

 

『てか、いっそそのキャラでやったほうが絶対人気出るって!ドストライクな声してるし!お前言動女でも通用するし!つうかかわいい!かわいいぜ親友!』

 

「かわ……でへへ……って、いや、べっ別に、あんたに言われたって嬉しくないんだからね!」

 

 ……は!?無自覚でツンデレが発病した!?つーかわたし今キュンってしたけど、おい完全に心が女になってんじゃねえか!ああでも一人称忘れたしぐぬぬぬぬ……

 

 褒められるの、きらいじゃないし……ん、これでも良いかも……いや、親友に惚れた訳じゃない、ちがう、そういうのじゃないもん。

 

「って、おーい、どうした?」

 

『……あ、ああ……今の可愛すぎだろ……』

 

「ん?」

 

『とにかくさ!始めて見てもいいんじゃないか?絶対人気になれるからさ』

 

「………むりだよ、ひとの目怖い」

 

『大丈夫だって、対面してる訳じゃないんだぜ』

 

「でっでも、暴言とか……は慣れてるけど、じ、自信ない……」

 

『他でもない親友の俺様が、今回は絶対に大丈夫だって勧めてる』

 

「う………ま、また、また迷惑になるよ?きっと、し…知ってるからな、わたしの見えない所で、頭下げてるの、見たし……」

 

『ははっ、バレてらあ……でも今回はそういう心配とはご無用だぜ?』

 

「あぇぅ………で、でも」

 

『見返したいんだろ?家族を』

 

―――――――――――――それは、否定出来なかった。

 

 それだけは、心の奥底にある願いだったからだ、何も出来なかったなりに、出来るように努力して、努力して、努力してもなお、出来なかった人生を。

 なら、何か一つでも、成し遂げたら。

 

『言ってたもんな、俺様に土下座して見返してやりたい、認められたいってさ、そんなお前だからアパート貸してんだぜ?……なあ、あの言葉は嘘なのか?』

 

 

「ちが、ちがう!嘘じゃない!嘘な訳が無い!何か一つでも出来るって証明したい、誰の手でもなく自分で!」

 

 

『なら、やろうぜ、凪沙(なぎさ)

 

「…で、も」

 

『だーもー!!俺様の心配はしなくて良いって言ったろ!俺様は超大手のエース中のエース!!労働時間と引き換えに毎月うんぜんまん以上の大金が入ってくんの!親友一人養うぐらい容易いんじゃアホー!』

 

「ひぇ………アホじゃないもん」

 

『もんとかかわいいムーブしやがって、本当はもうやる気満々だな?……とにかくな、無駄な気遣いは要らねえんだよ、それでも何か思うことあるなら、俺様の頼み聞いてくれよ』

 

 持つべきは友人、と誰かが言ったが。

 

 本当に、その通りだと思う。

 

「…………わかった、やってみる」

 

 小さく、聞き取れるかも怪しいぐらいにその言葉を紡いだ。不安なんて言葉じゃ言い表せないぐらいに恐怖はある、体が震えて、息が出来ているのかすらわからない。

 

『ん〜〜〜〜っしゃあ〜!!その言葉を待ってたぜ親友(とも)よ!』

 

 だが、自分のことのように嬉しく言ってくれる親友がいるなら、もう少し頑張ろうと思ってしまうわたしがいる。

 

 きっとこれは天啓なのかもしれないと、神を信じた事も無い癖にそんな事を思ってしまう、姿が変わってなかったら、また何かと理由を付けて断って、その内惨たらしく最後を迎えていたのかもしれない。

 

 ただ、自分が少女になった事と、親友が電話をしてくれた事が偶然に思えなくて、そして心のどこかで「今度こそ出来るかもしれない」と思ったから。

 

 なら。

 

 

「がんばるよ、わたし」

 

『頑張れよ、親友』

 

 

 この時が、わたしがtsプロゲーマー配信者になる前の、そしてきっかけだったのだろう。

 もし、何処か一つでもピースが抜けていたら、この未来はなかった、今のわたしは居なかった。

 

 何故だろうか、窓のカーテンから薄っすらと差し込む光が、何故か眩しく見えなかった。

 

 

 

 

 

『なあ、所で……その声で罵ってくれないのか?』

 

「え?や、やだよ……気持ち悪い』

 

『ンンンンンンンンンンンンーーーーーー!!!!!ありがとうございます!』

 

「うわあ……変態だ」

 

 

 

 

 配信者とは、主にインターネットで「配信者」と言えば投稿サイトに音声・動画をアップする人や、PeerCastなどのストリーミング配信ソフトで音声・動画を配信する人を指す。

 

 プロゲーマー(professional gamer)とは、ゲーム(コンピューターゲーム)をすることにより報酬を受ける人のこと(ゲーマー)

 

 まあ、今更うぃきで調べなくてもわかっていた事だが、いちおうね。

 

 さて、意気込んだのは良いものの、さてまずどうするか……といった感じだ、配信自体は出来る環境にある、良くVCとか使ってたし、数年前になるけど。

 プロゲーマーについては簡単にプロゲーマーになれるわけではない、のでこの場合は自称と付く。本職がプロゲーマーの人に怒られそうだが、プロゲーマーに知られる程知名度なんてものは無い。

 

 配信者ってだけでも良いが、それだと何かとインパクトにかける、確かに大分昔に何故か人口の50%が突然死し、今となっては女性は全人口の30%を下回る程で、女性配信者というだけでももう話題になれそうなのだが……。

 

「こわい……」

 

 期待されてる分余計にこわい、それに配信するんだから下手なプレイ出来ないし、まず何から手をつけ始めれば良いんだ?今入れたMMORPGからする?

 

 

 ……ありじゃね?

 

 

「いやいや、もうちょっとじっくり考えないと……最初は動画とか出してから配信始めてみようかな、うーんでもそんなに編集技術があるわけでもないし、てかそれって配信者っていうのかな、媒体は一番有名な配信ツールで良いとして……親友に聞いてみる?いや、忙しいし詳しくないだろうしやめとこ」

 

 この体になって随分頭の中の言葉が漏れ出ている気がする、感情が出やすくなったのと関係するのだろうか。

 

 んっ……てかなんかおまたがむずむずする。

 

 

 え、女の子のトイレの仕方なんて知らないよ?

 

 

「どどどどうしよう?!??!?????!」

 

 

 

 ふう………。

 

 ん?ハハッ、何も聞かないでくれ、便器に座ってスマショで検索してたら何故かあったのでその通りに済ませました。って誰に言ってんだか、心の中の男だったわたしか?

 

 

「うだうだ悩んでも仕方ないよな……」

 

 

 取り敢えず、配信用の新しいアカウントを作ってみる、何事も形から、今日やる事は確定、というかこのやる気が寝て起きてまだあるかと言われると、ヘタレなわたしにはそんな自信がないわけで、今日やるしかないのだ。

 

「名前は………本名を一つ削ってひらがなにして、なぎとか?なぎってだけじゃあなんかインパクト欠けるよな……ネオアームなぎとか?」

 

 ……無難になぎちゃんにしよ。ちゃん付の一つでもあれば見てくれる人も気兼ねなく呼んでくれるだろうし、妙によそよそしくさん付けとか、なんかやだし、でも呼び捨てされるのは……こわい。

 

 で、でも、わたしかわいいし、そんなこわい事してくる人来ないよね?やめてよ、本当にこわいんだから、大丈夫大丈夫大丈夫……

 

「無難に最初は1時間、雑談配信でもしようかな……トークスキルは、まあ、出来なくはないし……人と話せないだけだもん、でもなんか味気ないっていうか、それだけで1時間持つかな、途中からこういうゲームやるんですよーって感じで、FPSでもしようかな、でも初っ端FPSは大丈夫かな、あ!シューティングやれば良いんだ、この前買ったままやってないゲームあったし、それにしよう」

 

 ……プランは決まった。

 

 あとは、わたしのやる気次第、だよね………

 

 万が一があるしtsしたって事は隠しとこ。

 

 

 

 

 概要ランのコメントもOK、通信機器の状態も良好、配置ミスとかも無し、よし、準備はできた、後はタイマーが0になれば……

 

 

「ちゃお!世界初、自称プロゲーマーのなぎちゃんだよー!……って、もう10人もいるの?わわっ……な、なぎちゃんだヨー……」

 

 始まる、なんで2桁もいるかわからないが、今日は何故か人気配信者がごぞって配信してない、新人発掘でもしてるのかな。

 

『1コメ』『なんだこいつ』『ネカマか?』

 

「ふふん、ネカマかどうかはご想像に任せる〜ぞい?、それでねそれで、今日から配信者としてデビューしようかなって思って、配信しました!まだわからない事が沢山あるから、至らない点があったら、教えてくれると……嬉しいです」

 

「取り敢えずは雑談しようかなって、思ってます…あっあ、人が、増えて……嬉しい…」

 

『ハイテンションからどんどん下がってくやん』『照れてるのかわいい』『正気かよどうせまたおっさんだゾ』

 

「照れてない!……いや、最初の決め台詞は、こう言ったほうが良いよってとある記事に書いてあったから、やってみたら恥ずかしかった……」

 

 って、そうだ、舞い上がってる場合じゃない、ちゃんと今後やることを言わないと。

 

「あ……えっとね、これから何をするかー、なんだけど、自称とはいえプロゲーマーを名乗ってるから、ゲームを主体でやっていこうと思うんだ!ジャンルを問わず色々ね?食わず嫌いなんてしないよ、ホラーも……やります」

 

『ほーん』『てかマウス持ってる手めっちゃ女子してね?』『マウス使ってるって事はPC?』『懐かしいわぁ親父が持ってた』

 

「あ、そうだよ、実はこっちのほうが配信しやすいって知ってた?ギア型はまだ配信機能が付いてないし、完全没入型は付いてるらしいけど……見た感じ主観的過ぎて酔っちゃうでしょ?その点PCはカメラで固定して終わりだからね、後キャプチャーボードとか色々あるけど……私自身が3DVRとかやって同調しない限りは揺れたりしないし」

 

『うーんこれは賢い』『やけに知ってんな、やっぱおっさんか?』『美少女がそんな事知ってる訳ないだろ!』『俺は美少女だって信じてるから、てかRINEやってる?』

 

「RINEなんて陽の者が使うアプリ入れてません……っへへ、案外楽しいな……人と話すなんて久しぶりなんだけどな」

 

 画面を通じて話してるからか、すごい気が楽だ、あれだけ嫌々って拒否してたのに、これじゃあ馬鹿みたいだ、案外わたしでも本当に出来るかもしれない、親友様様。

 

『あっ(察し』『ヘラか?』『いきなり重いのやめろ』『やっぱRINE聞くのやめるわ』

 

「?まいっか、それでね、いきなりだけど後10分ぐらいしたらゲームしようと思います、この前買ったばっかでまだ手を付けていない最新のシューティングゲームなんだけどね」

 

『シューティングとかおっさん確定乙』『良い趣味してんじゃん、普通に声可愛いし推せるわ』『パンツ何履いてんの』『そりゃ白でしょ』『対人?』

 

 は?え、エスパー?つーか恥ずかし……恥ず、恥ずかしい。

 

「えっえ……し、しろじゃ、白じゃない、白じゃないです、ほんとに!……たっ対人もあるけど、今回はストーリーに少しだけ触れるつもりだよ」

 

『かわいい』『かわいい』『これは女の子確定乙』『これは白』『PC…シューティング…新作待ち……閃いた!』

 

「手のひらクルクルしてるじゃんか!って白じゃないよ、もう……そうだ、できればネタバレとかしないでほしいな、自分で知る方がゲームって楽しめると思うし」

 

『OK』『まあ俺知らないし何も言えんから安心して』『初見』『わかる』

 

「あ、初見さんいらっしゃい、出来れば最後まで見てくれると、嬉しいです……って、20人も今見てくれてるの?みんな暇人なのかな、わたしも人のこと言えないけど……」

 

「あ!放送時間30分なったね、それじゃあゲーム始めようかな」

 

『お』『ワクワクしてる俺がいる』『なんだか懐かしい、この初初しさ』『このゲームもしかして』

 

「あっあ……OP神かよ……すげえ…」

 

『うおおおおおおお!』『男口調になってんぞおっさん』『美少女かと思ったりおっさんかと思ったりしろ』

 

 今回のゲームは『OverCoreFaRrewrite-7』

 

 実際に未来にあったと言われているオーバーテクノロジーをゲームで再現した、企業と民間との戦いを描いたストーリーらしい。

 その中で主人公は中立、企業と民間どちらの依頼も請け負っていて、最終的に企業の、或いは民間の受けた依頼の内容で中の幾つかのルートに分かれるようになるようだ。

 

 

『闘争を求めるゲームだー?!』『ガチ中のガチで草』『シューティングでしかもロボゲーとか推すわおっさん』『うおおおおおおおおおお』『まじ?このゲームくそムズいぞ』

 

 反響も良いみたいだし、選んで良かったな、さて難易度選択はもちろん一番高い難易度で

 

『!?』『!?』『ええ…』『嘘だろ?』『マジか』

 

「えっえ、わたし今何か間違った事しちゃった!?」

 

『んまあ…やってみればわかるよ』『おいおい死んだわこの配信者』『幾ら何でもイキり過ぎでしょ』『結果が見えた』『人間がクリア出来る難易度じゃないよ』

 

「ああ、難しいだけか……なら大丈夫」

 

 

 チュートリアルが始まる、一通りの操作方法が始まりーーーーー次の瞬間「騙して悪いが……仕事なんでなあ!」のボイスが響き、4体のわたしの乗っている機体と同じような機体とエンカウントする。

 

 右から左から上からと来るレーザーをわたしの長年鍛えたコントーローラー捌きで避けつつ、離れながら実弾で反撃、弾速が遅く思った以上に表示されている敵のHPバーが削れないが、本命はこれじゃない、もっとも先に追いついた敵に手榴弾のコマンドを押して武器をランチャーに切り替えて放つ。

 

「ヒュー!ハハッみたかよ!あの鉄屑爆発四散しやがったぜ!」

 

『!?』『突然の豹変』『かわいいからカッコいいになる配信者』『口悪すぎだろ草』『つーか巧くね?裏でやって…いやだとしたら初回のOP流れないか』

 

「って追加武装って弾補充出来ないのか……基本のサブマシンガンとブレードで倒せるか?」

 

『これVRじゃないよな?』『まるでVRでやってるかのような口調』『よー口動かしながらゲームできるわ』『これが白パンの力か…』

 

「白じゃないって!コメ見えてっからな!……っぶね!今掠ったじゃねーか!この虫ケラが!くたばりやがれよ鉄屑人形!!」

 

『うわぁ……(唖然)』『かわいい子かと思ったら蓋を開けたらMAD提供配信者だった』『これ近いうち人気出るで、古参面出来るな』『ありがとうございます!』『懐かしゲームやってると思ったら口悪すぎて草』

 

「後一人……って、一人追加?まあいい、お前は後で倒す」

 

『かっこいい……』『かっこかわいい系配信者はここですか』『てか一度もダメージ食らってないの凄くない?』『凄くない、OC乗りには必須スキル』『にわか乙、こんなスイスイ避けられるまでに何十時間使うと思ってんだ』

 

「よしっこれで後一人!ってあたた……油断しました…うーん一発でこんなに食らうんですね、盾パージ出来ねえかな…んっ出来た出来た」

 

『んっ、だけ切り取って』『えッッッッ』『感覚でパージ出来るの凄え』『一回の被弾で1/3減って草』

 

「っちょこまかちょこまか逃げ撃ちしやがって!そんなに近付かれてェなら2段ブーストで近づいて切り刻んでやるよオラァ!!」

 

『ヒェッ』『ありがとうございます!』『姉御、100人が見てますぜ……(震え声)』『期待の新人かもしれない』『推します』

 

 っしゃあ!ふー……なんとか倒せたー!チュートリアル戦でこんなに楽しませてくれるなんて……うぇ?100人?

 

「100?えっえぅえ、だってさっき20……えあ、あ、ありがと………」

 

『ギャップ萌えするわこんなん』『おいおい鼻から血出て死ぬわ俺』『来世はここですか?』『現世ですね』

 

「ぅ〜〜〜〜〜……い、いい時間だし今日はここまで!やっぱ恥ずかしいよぉ…明日また……やるから、アーカイブは残します……見てくれてありがと、じゃあね!」

 

『お疲れー』『結局どっちなんだ?』『美少女に全票』『コントローラー持ってる時の手の感じでわかるだろ』『久々に配信者見たけどこれは推せそうだわ』『恥ずかしくて切り上げるのかわいい』『声張り上げても声かわいいまんまなのツボ』『マジのプロゲーマーかもな』『メモ:パンツは白』

 

 一部の人が残ってコメントしてるけど……ってパンツ白じゃないよ!しろ……だけど、てかそれしかねえし仕方ないだろぉ?!

 

 アマジョンで服買わないとなあ……男物を着たら、前に戻っちゃいそうでいやだ。

 

 てか…………………

 

 

 恥ずかしい!にゃあああああああ(ベットにダイブした)




なお、投稿者は台風にも構わず2日間のブラック勤務で色々とヤバかったからと供述しておりーーー。

強いて言うならそれが癖……だから……ですかね。
誰だって少しかわいそうな且つダメ人間のts女の子、好きだろ?
二次元に限った話だと、家庭関係最悪で、親友の家にお世話になって、ある日突然美少女に……っていうのが、好きなんです(歪んだ癖)

息抜きで書いたけど楽しかったです。裏設定だけ別の作品でも使えるかもって思いました(小並感)

さて、長々と書きましたが続きは多分書きませんよ、ほな日間1位乗ったら考えてやるよおっすおっす。

ここまでお読み頂き、ありがとうございました。


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ふつかめ!

黒 歴 史 何 故 続 い た
シャーペンで描きました
【挿絵表示】

例の如く殴り書きになりますが、ご了承を。


 朝になる、いつもと変わらない朝、空に飛ぶ車がたまに見えたりする、何時もの朝、だけどわたしは変わった。

 

 のっそりと起き上がり、寝ぼけた頭で洗面台にとぼとぼ歩く、ペタペタと音がするわたしの足に、昨日の情景が夢では無い事に、嬉しく悲しくなってみたり。

 

 洗面台に映るわたしを見て一言。

 

「わたしって本当かわいい……」

 

 にゃあああああ!かわいいかわいいかわいい!かわいいよわたし!鏡に向かってぴーすっ!いえい!ひゃう〜〜〜〜〜最高か?

 

 ああでもやっぱり、わたしがどれだけかわいく見えても、その姿形に劣情はそそらないなぁ……一人称が思い出せなかったり、2日前の自分の姿形を明確に覚えていないのも合わさって、わたしをわたし(自分自身)として見てるのかも。

 

 それも、良いかもって思う心は、本当にわたしの心なのかな。

 

「んん……朝からネガティヴはダメだよね……かわいくなれただけ儲け物だ」

 

 さて!今日は何をやろっかな、昨日はあまりの恥ずかしさに逃げ出しちゃったけど、今度は逃げないからな〜〜、最後までやりきってやるぜ。

 

 でもでもアレは仕方ないよ、聞き苦しい暴言とか色々100人以上に見られたんだよ?恥ずかしいし、それでわたしがどういう目で見られるのかこわい。

 

 ……怖がって、ないよね。

 

「……見てくれた人、登録してくれたかな」

 

 パソコンを起動する、わたしのパソコンは世界に流通するハイスペックではないけど、わたしでは理解できない高等技術が外付けされて詰め込まれた半自作PCなのだ。

 

 半、っていうのは、パソコン自体は自分で組んだんだけど、外付けされた特別な機器は特別に発注して作って貰ったから。この特別な機器が凄いのなんので、普通はパソコンだけじゃあVRゲームはできないし、VRフィールドにも行けない。

 

 今時VRを使わないとか流石に生きてけない、現実にも100年前からの名残かコンビニやスーパー、ゲームセンターや専門店はあったりするけど、今の主流はVRフィールド、別名『仮想現実世界』の方が遥かに楽で効率的。

 

 そこで注文すれば3分後には自立配達ロボ『ナゲット』くんが荷物を運んでくれるからね。

 

「ま、VRフィールドでも上手く行かなくて数年前から顔を見せてないけどさー……ははっ」

 

 VRフィールド上でも顔と顔が合ってる事は確かだし、相手もこっちも声は現実と変わらないし…………あーやだやだ!出前取る方がまだましだってーの!

 

「出前の人優しいしな、おこらないし、にこにこしてるし、たのしそうだし……」

 

 そういえば親友が出前の仕事を進めた事もあったっけ、あの時はどうしてたかな。

 

「ってうわあ?!ひゃっひゃ、150人!?なんでなんで……」

 

 PCの画面を見てみるとそこにはチャンネル登録者数が150人になってるわたしのアカウントがあった、こんなのぜったいおかしいよ。初回生放送のアーカイブもそこそこに再生されてるし……

 

「んん、でも、配信者でおかねを稼ぐなら……良い事、だよね」

 

 幸先良いスタートと喜べば良いの?でもなあ、恥ずかしい。

 

「ま、まあ?今日はやるって言っちゃったし、やるけど〜……?昨日の続きをやろうかな、それとも別のゲームしよっかな……長編のゲームは配信受けが悪いから無名のうちは続けない方が得策だってこの記事では書いてあるけど……んー、昨日入れたMMORPGでも始めてみる?FPSはー……荒れそうだし、まだ良いかな?」

 

 お絵かきは、どうだろう。ペンタブはあるけど、使った事はなかったな。

 

 ああでも、こうやって悩むのは少したのしいや、思えばこういうことで悩んだ事って何年ぶりだろ。

 

「ふふっ……」

 

 思わず、笑みがこぼれ落ちた。

 

 

 

 

 

 配信の時間まで後数秒、昨日もだけど、この数秒が数分のようにながくて、ちょっぴりこわい。

 

 事前にこの時間にやるよ、とか言ってないから、昨日みたいに人が来るのかも、わからない。

 

 つおったー+でも、始めようかな、数年前はそこそこやってたけど炎上してあやうく実家がバレそうだったから、軽くトラウマだけど……あの時の姉を思い出すだけで、こわい。

 

 って、始まる前からこんな気持ちじゃだめ!しっかりしないと、視聴者さんたちが見るんだから。

 

 そして、2回目の配信がスタートした。

 

『1コメ』『わこつ〜』

 

「はい、世界初、自称プロゲーマーのなぎちゃんだよ〜!……って、わたしが喋る前からコメが…あわわ……」

 

『出かわ』『おっやってんじゃ〜ん』『昨日はおたのしみでしたね』

 

「もう、昨日の話はしないでねっ……無しです無ーし!」

 

「で、今日も自称プロゲーマーらしく、ゲームしようと思うんだ」

 

『ええやん』『昨日の続き?』『おくちわるわる配信始まる?』『初見、声かわいいですね』

 

 ……べつにくちわるくないし、コメント拾ってあーげないっ。

 

「初見さんありがと!えへ〜かわいい?でしょ?かわいいでしょ、良かったら最後まで観てってね」

 

「今日は何をやろうかなってまだ迷ってたり、昨日の続きもしたいけど…別のゲームをするのもありかなって」

 

『お兄さんは君のパンツの色が知りたいな』『おっさんのパンツは白だぞ』『違うぞ、なぎちゃんは美少女だぞ、そんでもってパンツは白だぞ』『お前ら間違ってんぞ、昨日は白かもしれないが今日は縞パンだぞ』

 

「って何でパンツの話になんだよ!知りたかったら昨日のアーカイブ見てこいよちくしょう!……あっあ、今は待って、今は見てて、後で…後でな」

 

 まだ始まって3分を経過したばっかりなのに、見てくれている視聴者数が60人弱もいる。うれしいな………!気持ちが先走らないように頑張らないと。

 

「それでねそれでね、悩んで末に決めたゲームは〜……こちらです!」

 

『ん?』『おいおいこのゲーム……』『出たー!ハンティングクラッシャー、通称H&Kだァー!!!』『説明口調乙』『オイオイ俺これクリアする為に指十本増やしたわ』『おいエイリアンいたぞ』

 

 配信画面に事前に準備していたゲームを移動させる。

 悩みに悩んだ今回のゲームは二年前に買ったガンアクションゲームだ、迫り来る異界の悪魔達を『狩人』って呼ばれる主人公がバッタバッタとなぎ倒してスコアを稼ぐっていうシンプルなゲーム。

 

 その名もハンティングクラッシャー、通称ハンクラ、またはH&K、ハンシャーって呼ぶ人もいるのかな。

 

 しかし操作は極めて難解、キーボードのA〜Zのキーにそれぞれ攻撃キー、防御キー、特殊キーが分かれており、それぞれにCTが設定されて連発は出来ず、巧みに組み合わせて操作しなければ逃げ遅れたモブ一般人よりも先に悪魔に食われる、シンプル詐欺なゲームなのだ!

 

 それもそのはず、このゲームは昨日と同じ会社が製作したゲーム!だが今のわたしなら、当時のわたしでは成し得なかったオールSSSの称号を。

 

 配信でキメてやるぜ。(キリッ)

 

「という事でやろうと思う……あ!ご、ごめん…どういう世界観か、とか、操作方法なのか説明してなかったね、ええっと……んーと……にゃーと……」

 

『なぎちゃん、僭越ながら私が世界観や操作方法の説明を致しますので、安心して下さい』『有能』『有能』『有能』『有能』『にゃーとってなんだ可愛すぎか?』

 

 ふぇ?え、優しい!うれしい!

 

「ありがとう!えーと……ソレスタルビーイングさん!」

 

『名前呼んでもらったわ、今日死んでもいい』『前言撤回、無能』『同じく、無能』『なーにがガンダムだ、お前はザクだ』

 

 ……見なかったことにしよ。

 

 

「さ〜てとそれじゃあ始めますか……ッ!」

 

 

『おや?』『この流れ昨日も見たぞ』『またなぎちゃんがご乱心なさるぞ、録画しろ』『一体昨日何があったんだ……』『今回は難易度とか選べないんだな』

 

「ん、そうそう!このゲームは時間が経っていくにつれて出てくる悪魔達が強化されていくんだ」

 

『そして強化されていく悪魔達に何処まで生き残るかをタイムで競う耐久型のゲーム……と勘違いされがちなのですが、一定時間を経過するとボスが現れるのですよ、そのボスを倒すと実質クリアですね』

 

「そーなの!そのボスが強くってね〜……ムービーなので黙りますね」

 

『まるでボスまで行った事あるかのような語り』『本当にプロゲーマーなのでは?声優雇ってんのか?』『なぎちゃんはなぎちゃんだぞ』『ムービー綺麗やな〜、VR主流になっても映像の美しさは変わらねーな』

 

「この荒廃してもなお悪魔に抗う人類って設定好きー……わかって?わかれ」

 

『わかる』『それな』『補足しますと、主人公は人類の中でも英雄視されてますね、彼ならきっとやってくれると信じているそうです』『有能』『でも見た目ダークヒーローみたいだな』

 

「あっあ、ムービー中だけど一言言うね…集中するから、口数減っちゃうかも……」

 

『嘘だぞ絶対毒舌かますぞ』『まあゲームがゲームだしね…』『このタイミングで聞くべきではないんだけど、顔出しはしないん?』『180人が見てるぞ』

 

 顔出しか……って180人が見てる?!????

 

「ふ、ふふふっ、なならひひひひゃくはちじゅうにんに魅せてやりますよ!私がどれだけ上手いかをね!」

 

『イキり』『イキなぎ』『なぎイキ』『なんかえろい』『声震えてんぞ』『お手並み拝見と行こうか……』『なぎちゃんが爆発四散に一票』

 

「さあ始まりました!……10秒後に敵が来るからその前に資材集めないと……」

 

『A〜Zキーを巧みに使い分けるコマンドゲーなのですが、最初はA〜Gキーしか反映されず、落ちている資材を回収すると火力UPや装甲、追加コマンドなどが解禁されますね』

 

「ゆうのうっ!……あんまり拾えてないけど開戦か……」

 

『はえ〜普通に面白そう』『パソコンってこういうゲーム出来るんか』『VRじゃあ自分の体一筋やしなぁ』『こんなにかっこよく動けんわ、足攣る』

 

「ッ……おら!おら!おらおらおら!くたばれ!」

 

『草』『草』『草』『MAD素材』『!?』『キャラ崩壊』『寧ろこれが素なのでは?』『200人超えましたよ……(ボソッ』

 

 Aキーの拳銃で牽制して動きを止めてその間にEキーの誘導ガスで誘導、誘導された場所にGキーの火炎瓶で吊られた悪魔共に炎上地獄をお見舞いする。

 

「どう?どう!?魅せプの一つだよ!どう?」

 

『かわいい』『かわいい』『かわいい』『いや画面はグロいんですがそれは……』『R18Gじゃないからセーフ』『VR版悪霊の家を超えた俺に死角は無い』

 

 そうしてひたすら出て来る悪魔を倒し、資材を回収しつつ、たまに逃げ遅れた一般人を助ける。

 

 

わたしのぜんいにかんしゃするんだな!

 

 

『一般人を助けるとこの貴重な回復アイテムをくれるんですよ、それ狙いですね』『善意とかじゃ無いのか草』『利益を求めて人を助ける合理的な自称プロゲーマー』『俺もなぎちゃんに助けられてえなあ……』『俺は悪魔になってなぎちゃんを襲いたい』

 

 BDFダッシュAバックステップHOEAダッシュBDF…………

 

『いややっぱ止めとくわ』『おー爽快やん見てて気持ちええわ』『このゲーム壁も登れるのか』『中盤からジェットパックで空飛べるようになるぞ』『明日買ってくるわこのゲーム』

 

 あっあ……わたしのプレイを見て買ってくれるって、なんだよそれ凄い嬉しいじゃんかよ〜〜!……

 

「って痛ぇ!てめっこの、離れろってんだよォ!」

 

『男らしすぎる』『発言一つ一つが草』『このドス利かせてるようで全然変わってない絶妙な声すこ』『(昇天)』『オイオイ死んだわあいつ』

 

 やべっ意識切り替えないと、そろそろ中盤だ。

 

『お?』『敵のアクション急にエグくなって草』『ここから先無理ゾ』『サキュバスエッッッ』

 

「わかる……サキュバスエッッッ……でもこの悪魔、血を吸うどころか肉喰い出すカニバリズムですよ、いいんですか?」

 

『ヒェッ』『サキュバスコッッッッワ』『ちなみに骨だけになってもHPがあるうちは主人公そのまま動くからな』『人間とはなんぞや?』『主人公も怖えわ』『これが狩人だぞ』

 

「あああくそクソ!敵が多すぎる!ていうか味方要請しただろうが!まだ来ないの?やめっ……あぶねーだろーが!」

 

『キーボードの手の動き方プロ過ぎる』『でも指短いから微妙にキー打ててなくて草』『なぎちゃんのちいさなおてて』『おてて民だ!処せ!』『要請してから40秒後に来るからね、仕方ないね』

 

 そうなんだよ!指が短いから痒いところに手が届かんのだよ!んにゃーーー!これ結構ストレスじゃんか!……まあ、わたしの前も指は短かったし、どうせなら指長くなってくれればなぁ。

 

「あっチームαだ!優勝した!優勝した!優勝した!」

 

『うおおおおおおお!!』『これで最終エリアまで安パイだな』『役満』『どゆこと?』『要請部隊には4つ種類があって、その中でも一番の当たりですね、火力が段違い過ぎる』『はえーすっごい』

 

「銃弾の雨に晒されろ悪魔ァ!」

 

『まるでなぎちゃんの方が悪魔みたいだあ……』『小悪魔なぎちゃん』『一人いくらですか』

 

「いっいくら?!う…うらないよ!……それにあくまじゃないやい!」

 

「うおおおおおおお!!??!なんだこれなんだ!?地面が揺れて……あああ妖怪土蜘蛛だァ!」

 

『草』『うわあ、じゃなくてうおおで草』『幸運を悪運で埋めるプロゲーマー』『悪運どころじゃないけどなw』『無能、解説よろ』

『終盤になる前にランダムエンカウントの乱数が働くんですけど、その中の一つの乱入イベントですね、ボスとどっこいどっこいの性能だったかな確か』『有能』『有能すぎる』

 

 まずいまずいまずい、とてもじゃないが勝てないぞこれ?!チームαは対集団戦が得意の部隊、終盤に上がる前は比較的大型ボスが出にくいから強いのであって、土蜘蛛なんかと戦っても数十秒しか保たない!

 

「やれるのか……?わたしに、この悪魔を……いや、やるしかない、わたしはお前に勝つぞ!」

 

『VRゲームしてる俺より感情移入してる』『まるで主人公みたいだあ……』『狩人なぎちゃん(なおこの後負ける模様)』『いや回復アイテムと解放キー的にワンチャンある』『あー無敵バリア解禁してんのか、いやでも一度しか使えなくね?』

 

「いちど使えるだけでも恩の字!タイミングを見極めればいいだけなんだ……」

 

 それにBキーのブレードの火力はMAX、土蜘蛛の懐に乗り込めば……!

 

『うおおおおおお!』『遠距離で戦わないのか?』『遠距離だと広範囲の回避不可攻撃するから最善の一手』『初見、なんだこの白熱した戦い』『がんばれー!』

 

「がんばるよ!勝ってみんなに褒めてもらうんだ!」

 

『かわいい』『理由がかわいすぎる』『チャンネル登録99回押した』『好きです』『かわいい』『誰かどさくさに紛れて告白したぞ』

 

 ダッシュからのステップ、CT3秒の間に土蜘蛛の強大な足が迫る、Vキーで圧縮砲弾を発射して相殺、Wキーのダブルステップで更に距離を詰める。

 

「ってそこで溶解液だと!?あーー!HP9割飛んだ!まずいまずい回復回復」

 

『溶解液…溶ける…服……閃いた!』『ファンアート待ってます』『お前が描くんだよあくしろよ』『これは江戸』『回復アイテム全部無くなったけどいけるか』

 

「だが、勝機は見えたぞ!溶解液のCTは最短でも1分、1分もありゃあな……てめぇなんざ敵じゃねえんだよ……」

 

『うおおおおおお!!』『うおおおおおおお!!』『かっこよすぎないか?』『なんだこのプロゲーマー……』『自称だぞ』『これは狩人』『名誉狩人なぎちゃんの誕生の瞬間』

 

 BDFキーのダブルパレルショットコンボからの、喰らえっ閃光手榴弾!

 

「動き止めた!イケる!これがMAXブレードの力じゃーーーーい!!」

 

『いったか?』『いったか?』『うおおおおおおお!!』『うおおしか言ってねえ奴いないか?』

 

「ああああっまだ倒れてない!もうおしまいだあ……許して許して……」

 

『惜しい』『土蜘蛛少ししかHP残ってねえじゃん』『まーどんまい!』『許してで不覚にもワイ、興奮を覚える』『警察だ!』『ソンナー』

 

 ここまでなの……?ま、頑張ったし、でもなあ……後少しで倒せたとなると悔しいなあ……やべっ涙出てきそう、流石にそれは恥ずかしい。

 

「ってロケット……?、チームα!?土蜘蛛以外の中型悪魔倒してきたの!?」

 

『うおおおおおおお!』『大逆転』『ヒューマンドラマ』『悪運を幸運に変えるプロゲーマー』『一つのゲームでここまで盛り上がるとかこれもう映画だろ』

 

「やったぁ!土蜘蛛倒した!トロフィー解禁した!やったーーー!!!」

 

『かわいい』『本気で喜んでて草』『少し声震えてて草』『かわいい』『かわいい』『なぎちゃん、後ろ後ろ』

 

「うしろ?あっ悪魔さんこんにちわ………待って待って待ってもうHPない!助けてチームα!あ〜〜!別の悪魔倒しにいってる!待って!今全部のキークールタイム中……あ」

 

『草』『草』『草』『綺麗なオチがつきましたね』『イキり失敗』『爆発オチとかサイテー!』

 

「……えー、負けました、悔しいです、もう一度やりたい所ですがお時間もお時間なのでそろそろ終わりたいと思います」

 

『テンションだだ下がりで草』『でも上手かったよ』『充分ゲーマーしてたゾ』『なぎちゃんかっこかわいかったよ』『お疲れ様でした』

 

「えへへ……そ、そうでもないよ……それにしてもみんな優しいね、怖いとか思わないの?」

 

『なぎちゃんの声は怖いというより……』『かわボ』『かわボ』『かわボ』

 

「そ、そう?やっぱり?そうですか?でへへ……は~疲れましたね……思い返すと恥ずかしくなるので、ここまで!……ご視聴ありがとうございました!明日もやるから見てね」

 

『おつ〜』『今日も楽しかったぞ美少女』『ついに美少女と認めたな』『お疲れでした』『今回の放送、切り取って動画に出していい?』『でもこのプロゲーマー、パンツは白なんだよね……』

 

「白パンの話はやめろー!……動画かあ、んー……いいよ、ちゃんと使ってね?では今回はここまで!以上なぎちゃんでしたー」

 

 

 配信終了……っと。

 

 

「楽しかったな……昨日より上手く言葉使えたし、楽しんでもらえたみたいだし……」

 

 ん?何かメール来てる、見てみよう。

 

『なぎちゃん様、当社のゲームをプレイして頂きありがとうございます』

 

 ん?

 

 

 え?

 

 

 ソレスタルビーイングさんって……社員の人だったの!?

 

 

 に、にゃああああああ!(その日は興奮で夜も眠れなかったなぎちゃんだった。)




色々と言いたい事はありますが、まずは。
よりともさん、推薦ありがとうございます。皆様感想、評価、お気に入り、誤字報告等ありがとうございます。
短編日刊1位ありがとうございます、日刊9位ありがとうございます。

皆様ばかでしょ(土下座)

ほな……絵も描いたし続きも書いたし満足したやろ?

ワイ、もうね逃げる。


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さんわめ!

逃 げ ら れ な い の か ?
続きました……


 少し寝不足なお昼、わたしになってから少しポジティブになったわたしは、冷蔵庫を開ける。

 

 朝には自立配達ロボ、ナゲットくんが私が寝ている間に昨日頼んだ野菜とお肉と卵を冷蔵庫に入れてくれたみたい。

 

 どれだけ技術の進歩を遂げても、自己学習能力を身につけたAIとかを(ヒト)としてカウントしなかったら、わたしは、人類の殆どは現実に肉体を宿している。

 

 だから、五感全てを体現出来るVR技術があったとしても、現実で何も食べないと、しんでしまう。

 

 わたしも同じ、でもせっかくなら美味しいモノが食べたいから、今日の昼はオムライスでも作ろうと思った。

 

 カップ麺は本当の所、たまに食べたいから。

 

 それはそれとして、ナゲットくんが勝手に部屋をハッキングして入る怖ろしさと図々しさは慣れない。

 

 ナゲットくんが誕生してからずっとそうなのだが、やっぱり怖い。でもうれしい。

 

 卵で作ったオムライスを頬張っているところに、電話が来たので渋々受け取ると。

 

『なぎちゃんかわいいよ!なぎちゃん!』

 

「や、やめ……そんなの知らない」

 

『またまた〜〜、今までに無いぐらいノリノリだったじゃんかよ!』

 

「それは…そういう、キャラ、作らないと……話せないから」

 

『ああ〜なるほどな、……ん?なら別に今はなぎちゃんしなくて良いだろ?』

 

 …………?なぎちゃんしなくていい、とは?

 

 あ、ああ!そうか、わたし前は男だっけ!?それとも元?!てか3日でおんなのこの心に慣れ過ぎじゃないわたし!?

 

「いや、あの、それは。えっと………その、う…えぁ……」

 

『ハッ!俺様解ったぞ!さては』

 

「えっ………ば、ばれ……」

 

『なぎちゃんの声、気に入ったんだろ!!!』

 

 ……まあそれは間違ってないけどさ。愛すべき親友よ、キミがバカでよかった。

 

「ば、ばれちゃったか」

 

『フッハッハッハッハ!俺様、だからな!』

 

「ハハハ、ハハ、ハ……そ、それで今日は何?」

 

『ん?ああいや、特に用事はないぜ?ただなんというか……その、話したくなったじゃ、ダメか?』

 

 かわいいなこいつ、でもわたしも寂しかったし…おあいこだね。

 

「ん……そんな事、ない」

 

『そ、そっか…………』

 

「……ねえやっぱホモでしょ」

 

『違わ〜〜い!!!ていうかなあ!それちゃんと理解して言ってんのか?!』

 

「うん、でもそういう扱いしろって言ったのは親友じゃんか」

 

『ぐぬッ……じゃあホモでいい』

 

 飲んでいたお茶を思わず吹き出した。

 

『汚ね!ってか大丈夫か?』

 

「げほっ、いやいや…笑わない方がおかしいっつ〜の」

 

『………やっと、前の親友の………』

 

「ん?……何か、言った?」

 

『何でもない、そろそろ仕事だから切るぞ?』

 

「はい。お仕事、頑張ってね」

 

『……………録音しとけば良かった』

 

 んん?!ちょっとそれどういう意味だ!?って電話切れたし……親友は仕事かあ。

 

 忙しいから、配信しても見てくれないんだろうなって思ったけど、そっか、アーカイブで見てくれたりしてるのかな。へへっ……恥ずかしいけど嬉しいや。

 

 ……え、いや待って、それじゃあもしかしてわたしの手とか見られてるって事でしょ?それはつまり…どういう事だ?

 

 バレ………て、無いんだよな?そもそもそんな可能性に至る筈がないだろうし、整形技術も昔と比べて随分進歩してるけど、さすがに骨格や遺伝子レベルを一から変貌までは出来ないし、というかそれはもう整形というより生まれ直しだよ。

 

「ま、まあいいか!うん、深く考えるのはやめよう!……ぱくっ…もぐ……オムライスウマー!」

 

 

 ご馳走様でした。

 

 さてと、今日は放送前につおったー+でアカウントを作ってみたり。やっぱり告知とかするべきだろうし、何時何時にやるとかわからないと、ダメだよね。

 

 でもこわいなあ、住所特定とか……いや、このアパートはお隣さんが私財で買ったNSSマテリアルフィールドで外部からのサイバー攻撃や違法アクセス、垢乗っ取りとか地震防止とかを土地に展開してたっけ。

 

 って、最後の地震防止ってなんだよ!それはなんか違くない!?

 

「……はわ!もしかして、喋ってる声聞かれてたりするのか?!……そんな事ないよね、うん、無い無い。完全防音だし、大丈夫ダイジョウブ………」

 

 外に出ないから顔を合わせた事すら無いが、もし騒音とかになってたら申し訳ない……今度親友にそれとなく伝えておこう。

 

 っと、これをチャンネルの概要ランに貼って、告知ツイートしてーと……ってフォローはやいな、この人初回のコメでいたな……へへ。

 

「フォローは……んー、保留で」

 

 今回やるゲームは何にしようかな、戦闘系は一回間を置きたいし……お絵かき配信はありだなあ、あっでもでもせっかくだから視聴者さんたちとも何かしたいなぁ。

 

「森する?それとも戦車道?う〜ん、ガチガチの対人系はこわいから、やるとしたら協力系以外ありえないんだけど、それでいてわたしもみんなも楽しいゲームかぁ………VRならいっぱいあるんだろうけど、それはつまりわたしの周りに何十人も人が来るって事だから必然的にボツ」

 

 MMORPGの出番だろうか、それとも昔ながらの協力系もありだなぁ。

 

「ん〜……ここはそうだなあ……」

 

 

 

 

 つおったー+で宣伝した事もあってか、始まる前から100人弱の人が待機している、少しずつ見てくれる人が増えていることが嬉しい。

 

 恥ずかしさはまだまだあるけれど、自分を知ってもらえる事がこんなに心踊るって思わなかったな……ふふ。

 

 今日も、みんなに楽しんでもらえるように、頑張りたい。

 

 

「ちゃお!…自称プロゲーマーなぎちゃん、始まるよ」

 

『わこつー』『ちゃお!』『ちゃお!好き』『始まった』『出かわ』

 

「つおったー+始めて見たけど、みんなフォローしてくれたかな?まだしてない人はフォローしてくれると嬉しいです」

 

『したぞ』『真っ先にしたぞ』『してくるわ』『フォロー欄見たら昨日のゲーム作ったゲーム会社フォローしてて草』『抜け目のないなぎちゃん』

 

「べっ別にそんなんじゃないんだからね!」

 

 ……はっ、無自覚にツンデレ口調が?!

 

「んんッ、それでそれで、宣言した通り、今日はみんなと何か出来るゲームが無いかなって探してたんだけど〜」

 

『ええやん』『美少女と一緒にゲーム出来る場所はここですか』『VRゲームするんか?』『雑談とかしないの?』

 

「VRはまだしなーい、雑談は考えておくね?……今回のゲームはこれ!」

 

『うおおおおおおお!』『対戦系じゃないのか』『こういうゲームもやるんか』『脱出ゲーか』『割とメジャーなゲームじゃん』『出たー!半オープンワールド型脱出ゲームだー!人形になった主人公を動かして、同じ人形同士で協力しつつ脱出するゲームだー!』『説明乙』

 

 説明しよう!今回やるゲームは脱出ゲーム『リトラス』

 

 元々は人間だった主人公達は、悪い魔女にかわいくデフォルメされた人形になってしまう!

 

 人形になった主人公達を操り、100年前のトーキョーをモチーフにした、恐ろしくもどこか不気味めいた、広大な箱庭を探索しつつ、この作られた世界から抜け出せる場所を探すゲームなのだ!

 

 マップはリアルタイムでランダムに構築されて行き、全く同じ脱出ゲームになることはなく、いつまでも楽しめるゲームの一つとして、ゲームをよくする人達の中では割とメジャー。

 

 最大四人まで同じワールドで探索する事ができ、迫り来る猫や犬、人間であろう足や、魔女の目を掻い潜り、無事脱出口を見つけ潜るとクリアできるぞ!

 

「ホラーイベントにはあたりませんように………サーバーはなぎるーむで作りました!ってもう一人目!?あわえあ………よ、よろしく」

 

『かわいい』『ホラーイベント当たれ』『このゲームガチで失禁するぐらい怖いイベントあるからな……』『美少女の失禁と聞いて』『今更ホラーにビビるのか?』『グロとホラーは違うぞ』

 

 ってこの人、最初の放送からいた人だ……見続けてくれてるんだ……あ!この人も見たことある!

 

「エリックさんとユーさんと、ミクさん…ん?この人形のアバター……おんなのこ!おんなのこだよこのアバター!ねえねえわたしの放送におんなのこいたよ!うおおおおおお!!」

 

『草』『草』『草』『食い付き方がおっさん過ぎる』『なぎちゃんもおんなのこやぞ』『これはおっさん』『美少女だったりおっさんだったりしろ』『名前呼んでもらえるの裏山』『よろしくお願いします』

 

「テンション上がって来た……みんな頑張って脱出しようね!」

 

『昨日の有能無能いる?』『始まりは一軒家の屋根裏からですね、段ボールからプレイヤー達が出て来る今のムービーが終わったら本格的にスタートです、先ずはこの家から脱出する事から始まります』『有能』『有能』『いたのか』

 

「今日もありがとう……家から出て町に出るから、意外と広いと思われがちなんだけど、実はそうでもなかったりするんだよね」

 

 さてさて先ずは屋根裏から出て家に何があるか物色だ、人が中に入って来るまでに何か良いものがあると良いんだけど……爆竹があると楽なんだけどねー

 

『ちなみに動いている所を人に見られると捕まります、子供に見られるのは大丈夫です、犬とか猫は逃げないと攻撃されて無残な姿になります』

 

「ひぇっ早速人が……やばいやばい近い近い、凄い怪しまれてる!」

 

『人に怯えるプロゲーマー』『エリック さん が猫に引っかかれて綿毛を出しました』『エリーーーーーック!』『これ死んだらどうなるん?』

 

「ふ〜ひやひやした……リスポーン地点からやり直しだよ、この場合屋根裏からかな」

 

 ってミクさんが家の窓の鍵を拾ってる!これで窓から外に出られる……でも油断したら蜘蛛の巣に引っかかったり、この家の飼っているインコのくちばしに刺されて乙るから、気をつけないと!

 

「ってエリックさん次は子供にサッカーボールの代わりにされて死んでる」

 

『草』『無能』『間引かないか?』『動いても動かなくても掴まれたら終わりだからな……』『割と死にゲーよな』『これのVR版とか凄い怖かったぞ』

 

「え、VR版あるの!?絶対怖いってそれ……うわあっぶね!地雷踏みそうだった!」

 

 てかなんで家に地雷引っかかってんだよ!?ランダムイベントの配置間違ってんぞおい!

 

「窓から落ちても人形だから死にはしないんですよね〜……いつか電子体の技術がもっと進歩したら、人は痛みを感じなくなるのだろうか」

 

『深い事言ってる』『ユー さん が 木に刺さって綿を出しました』『なぎちゃんとミクちゃん以外無能なのでは?』『哲学プロゲーマーなぎちゃん』『痛覚の遮断は生物的にどうこうとかでなんたら』

 

「よーし町に出たぞ!四人だとこんなに早く家から出られるんだ!一人でやった事しかないから知らなかった……」

 

『あっ(察し)』『ぼっちプロゲーマーなぎちゃん』『このご時世ぼっちなのは結構闇』『分裂すれば一人じゃないよ!(にっこり)』『なんかヤベーやついるぞ』

 

「ひっ!……なんだ灰猫か、おどかすなよテメー」

 

 このゲームの黒色は基本的に魔女の予兆だから、黒猫だったらホラーイベントが発生していた、あーやだやだ!このイベントさえ無かったらもっと面白いのに。

 

「うーん何処に出口があるんだろう……てか町綺麗だな〜、100年前のトーキョーが舞台らしいんだけど、高層ビルが良い味だしてるよなぁ」

 

『今あの都心、大要塞になってるしな』『エリック車に轢かれてて草』『誰も助けに行かないの草』『100年前と変わってないのは群馬と埼玉と愛知だけだぞ』『北海道とか浮いたしな』『原住民だけど暮らしの不自由は無いぞ』

 

「ミクちゃん何それ……方位磁針だ!やった!やった!これで脱出できるよ!他二人は置いといて二人でハネムーンしよう!」

 

『方位磁石は出口付近までの場所を示す重要アイテムですね』『幸運を味方につけるプロゲーマー』『ペロッ……これは、百合じゃな?』『今のなぎちゃんはおっさんだぞ』『エリック さん が海に落ちました』『黒の方位磁針……あ(察し』

 

 方位磁針の指す針に向かって人形二人(?)は駆け抜ける、途中でユーさんが合流して、エリックさんは何故か海に落ちていた。

 

 出口と思わしき扉を三人で協力して、扉を開けると。

 

 そこは真っ暗な部屋だった、でも不思議と真ん中に何があるのか、何が"いる"のかを理解した、ぽた…ぽた…と水滴が落ちるような音が部屋に響く。

 

「えっ………」

 

 "ソレ"は液体だった、液体の中の無数の赤い瞳がわたしを見つめると、下腹部に何十本もの短い足を生やして、ヘビのように鎌首を持ち上げた。のっぺりとした黒い塊のてっぺんに、木の杭のような歯を生やした強大な口、体のあちこちから覗き見る赤い瞳がわたしを見つめる。

 

「あっあ……」

 

『こわ』『ちょっとトイレいってくるわ』『ん?このイベント見てるのなぎちゃんだけじゃね?』『ナイスミクちゃん』『腹黒すぎて草』『マウスの手が止まって草』

 

 まるでご馳走を見るかのように、巨大な口からは黒いよだれがぽたぽたと落ちては、そのよだれが意志を持ったかのようにわたしのほうに向かっていく、"ソレ"は本能的恐怖から動けないわたしを嘲笑うかのように、ゆっくりと、ゆっくりと、近づき、近づいて、その口が大きく開かれ、今まさにわたしを捕食するかのように近づいて…

 

「のゃああああああああああああああ!なんでなんでなんで!ひぁ……あっあやめて!やだ!やだぁ!なんで扉開かないの?!みんなは?!なんで……たすけ……あ、あぁ……」

 

『かわいそう』『かわいい』『かわいそうかわいい』『興奮してきた』『これはえっち』『SANチェック失敗』『ふぅ…』『えっっっろ』『普通に怖えよ』『VRじゃなくてよかった……』

 

 逃げようとした体に無数の黒い液体が重りとなってその動きを阻害する、黒い液体がにゅるにゅると動くのが気持ち悪い、体がどんどん拘束されるのが気持ち悪い、赤い瞳に見つめられるのがきもちわるい、やだ、きもちわるい、こわいこわいこわい!!いやだ!やっ……………

 

「ぇぁ………」

 

 今まさにわたしが黒い液体と同化すると思われたそのとき、扉の空いた音と共に黒い液体が光に怯える。

 

「………あ、ああ、エリックさん!それに二人も!助けてくれにきたんですね!?ありがとう………ほんどに……」

 

『熱い展開』『エリック有能』『ま た 神 回』『もう少し怯えてたの見たかったです……(ボソッ』『少し泣いてるかわいい』『しれっとミクちゃんが先導切ってて草』『絶対仕組んでただろ』

 

「こわかった!こわかった!もうないよね?良いんだよね、もうすぐゴールだよね!?出れるよな?!この世界から出れるよなァ!!」

 

『笑うわこんなん』『ゲーム楽しんでんなぁ…』『段々口調荒くなってって草』『半狂乱で草』『必死すぎる』

 

「このマンホールを開けて出ればクリア?クリアなの?ならなんで先行かないの?先行ってよ、先行ってわたしの安全確かめてよ、行ってよ、行けって!エリック行け!」

 

『草』『草』『草』『疑心暗鬼じゃねーか』『名指しで草』『大声でも耳に痛くない声すこ』『エリック さん がクリアしました』

 

「あっあ、疑ってごめんなさい…はあ……はっ……クリアした……」

 

『88888888』『おめでとう』『おめでとう』『お疲れ』『パンツ履いたお』『服も着ろ』『一緒にプレイ出来て楽しかったです!』

 

 まだ体が震えている……お水飲もうお水。

 

「ん……はあ、二度とやらねえからな!!!」

 

『草』『完全に捨て台詞』『お水民歓喜』『怖がりプロゲーマーなぎちゃん』『また明日もやって?』

 

「やだ!いやです、やらない、やらないからね…明日は別のことするから』

 

『かわいい』『かわいい』『かわいい』『これは美少女』『400人超えてたぞ、おめでとう』

 

「400人にわたしのビビり具合を見られたの?……はーもう……喋る体力もうないよ……そろそろ切りたいと思います」

 

『いかないで』『いかないで』『おつかれさまー』『楽しかったぞ』『登録したわ』

 

「登録ありがとう!よければつおったー+もフォローしてね!」

 

「………よし、じゃあ終わるよ、ここまで見てくれてありがとう、自称プロゲーマーなぎちゃんでした」

 

 配信終了……コメントでえろかったとか喘ぎMADはよとか言われてる……そういう目で見る気持ちも分からなくないからノーコメントで黙認しよう。

 

 あー怖かった、おんなのこにほいほい釣られクマーだったなわたし、今思えば妙に慣れてる動きだったし……ま、まぁおんなのこだし許してやるか。

 

 ん?電話が鳴ってる、親友から?

 

「………はい」

 

『昔からホラーは苦手なのな、可愛かったからもう一回やろうぜ!』

 

「は、な!うるせーー!嫌に決まってんだろーが!くたばれくそ!」

 

 わたしは電話を切って携帯をベットに投げ捨てふて寝した。




日間一位を本当の取れると思いませんでした。ありがとう
ファンアートとかまじで嬉しいし評価10多くてニヤニヤするしでもう……感無量

え?続き?つ、続いたら長編にします……んにゃぴ……


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掲示板のおはなし

個人情報の流出さん、推薦ありがとうございます。
本編そのものには関わってきません、見たい人向けかな。
掲示板が嫌いな人は注意。


【part1】なぎちゃんをすこれ【かわいい】

 

 

 

168:名無し視聴者 22:11:31

いやー今回も楽しかったね。

 

169:名無し視聴者 22:22:53

今回ので確定したけどなぎちゃんの配信環境驚く程良いぞ、真面目に元プロゲーマーとかそういう線あるで、VRに嫌気さしてPCゲーやってんじゃないか?

 

170:名無し視聴者 22:23:08

今のご時世、女性のプロゲーマーなんて居ないぞ、元プロなら世界的に有名になる筈だからその線は無いでしょ。じゃあなんで配信環境良いのかって言われたら何も言えないが

 

171:名無し視聴者 22:25:32

ワンチャン、マテリアルフィールド展開してる説

 

172:名無し視聴者 22:26:38

どこのお嬢様だよ。アレ一番安いので一億超えんだぞ、時給格段に上がった今の日本でも数百人ぐらいしか買えねえだろ

 

173:名無し視聴者 22:29:14

でもあれだけ叫べるって事は完全防音部屋だぜ、そこそこ良い所の出なんじゃねえの

 

174:名無し視聴者 22:31:32

お、なんだ詮索か?あんまり過ぎるようならお前の住民ID調べて電子ハックしても良いんだぞ

 

175:名無し視聴者 22:32:10

もうそれ三回目だから本当にやめてくれ、技術革命してからおじさん若者についていけないよ……

 

176:名無し視聴者 22:34:28

そんな事よりなぎちゃんかわいいおこえの話しようぜ、あの中学生が頑張って大人の声出そうとしてるアンバランスな声すこ

 

177:名無し視聴者 22:34:45

わかるマーン!一人暮らしっぽいから大学生以上ではあると思うんだけど、それであの声とかもうたまらないどすなぁ

 

178:名無し視聴者 22:35:34

大学生とかいうネットに残った昔の遺産

 

179:名無し視聴者 22:37:21

なんでや今も存在してるやろ!ただ数が少なくなっただけで

 

180:名無し視聴者 22:38:24

大学入るよりVRで仕事探した方が効率的で稼げるしなぁ……なぎちゃんはなんの仕事やってんだろ、看護士だったらいいなあ

 

181:名無し視聴者 22:41:36

最後お前の性癖じゃねえか、介護士だったらいいなあ

 

182:名無し視聴者 22:42:53

おいおっさんもうすぐ寿命だぞ、ドミノの宅配人だったらいいなあ

 

183:名無し視聴者 22:43:34

お前ら間違ってるぞ、なぎちゃんは俺の彼女だぞ

 

184:名無し視聴者 22:43:39

冗談でも言って良い事と悪い事があるよな?住民ID88420の家に宅配ピザ10個届けたからな、次はねえぞ〜?

 

185:名無し視聴者 22:44:42

丁度切らしてた

 

186:名無し視聴者 22:47:29

しっかしこれ匿名の意味あんのか?住民ID抜けば本名バレるのも時間の問題じゃん、こういう所技術が発展し過ぎた弊害だよな

 

187:名無し視聴者 22:48:32

まぁ別に現実でもVRでも会うわけじゃ無いしええやろ、悪用される事も無いんやし

 

188:名無し視聴者 22:51:42

悪用したらサイバーポリスメンにネット環境切られるもんな、ネット無いと働く事すら出来ないご時世だから実質処刑みたいなもんよ

 

189:名無し視聴者 22:52:06

な、なあ…告白したいことがあるんだが……ええか?

 

190:名無し視聴者 22:54:24

いいぞ

 

191:名無し視聴者 22:54:26

いいぞ

 

192:名無し視聴者 22:57:35

出来心でなぎちゃんの住んでる場所ハックしようとしたんだが……それがさ、どのツールも効かなくて、どこらへんの区にいるかすらも分からなかったんだ……普通のマテリアルフィールドなら抜けるぐらいには腕の自信あるから、多分最新のNSS型フィールド使ってるぞ……

 

193:名無し視聴者 22:58:18

ふーん、て事はマジのお嬢様説浮上かあ。それはそれとして住民ID05285の田中、お前今すぐVRフィールドの野外戦場エリアに来いよ、久々にキレちまったぜ……

 

194:名無し視聴者 22:59:32

これは許されない、久々にビームサーベル持ってくるわ

 

195:名無し視聴者 23:00:51

逃げられないようにお前の家の扉にロック仕掛けてやったわ、10分で支度しな

 

196:名無し視聴者 23:01:06

下の名前は晒さない優しさ、なぎちゃんのファンは怒らすと怖いんやなって……

 

197:名無し視聴者 23:02:24

おう田中、亡骸は拾ってやるよ、丁度錬金術の材料で必要だったし

 

198:田中 23:03:59

はい……田中です……すみません……行ってきます………

 

199:名無し視聴者 23:04:37

自分で名前変えるのは草

 

 

 

200:名無し視聴者 23:32:17

正直なぎちゃん、登録者一万人いくよなこれ

 

201:名無し視聴者 23:34:21

そのポテンシャルは秘めてる、パソコン配信でPCゲーだからまだ知名度低いけど、この子がVRでやってたら3日で1000は行ってる

 

202:名無し視聴者 23:47:30

正直パソコンとかオワコンだろって思ってたけど、変な偏見は良く無いな、パソコンにはVRに無い魅力がある。

 

203:名無し視聴者 23:48:52

俺的にはVRゲーもして欲しいけどな、別にVRフィールド使わなくても良いからさ、VRでホラゲーやって欲しい(ゲス顔)

 

204:名無し視聴者 23:49:32

なぎちゃんをそういう目で見てないけどVRホラゲーやって欲しいわ

 

205:名無し視聴者 23:50:50

パソコンであれだけ移入できる子がVRホラゲーやったら流石に可愛そすぎて見られなくなりそう、てかホラゲーやらないでしょ

 

206:名無し視聴者 23:51:26

VRサバゲーとかで最後まで生き残るなぎちゃんとか普通に見てみたけどな、おくちわるわるで俺の事罵って撃ち殺して欲しい

 

207:名無し視聴者 23:55:21

わかりみが深すぎる。おくちわるわるで「おにいちゃんのことなんてきらい!」って罵って欲しい

 

208:名無し視聴者 23:58:06

今日のなぎちゃんにしてもらいたい性癖暴露大会はここですか

 

209:名無し視聴者 23:59:31

やっぱりここは王道を行く……幼馴染シチュ…ですかね

 

210:名無し視聴者 24:01:52

性癖暴露も良いけどなぎちゃんに迷惑だけはかけるなよおまえら、お姉ちゃんとの、約束だぞっ?

 

211:名無し視聴者 24:02:42

お姉様、なぎちゃんを私に下さい

 

212:名無し視聴者 24:03:23

誰がおまえにやるかヒキニート、働け

 

213:名無し視聴者 24:05:56

会社です、助けて下さい。上司と二人きりなんです。

 

214:名無し視聴者 24:06:11

あっ……なんか悪いな、なぎちゃんのアーカイブ見て元気出せよ

 

215:名無し視聴者 24:10:53

ブラックバイトは怖いなあ…怖いなあ…って

 

216:名無し視聴者 24:12:28

お、なぎちゃんが質問箱開設したぞ、まともな質問だけ配信で答えるって、まともな質問だけ(二回目)

 

217:名無し視聴者 24:12:32

マ?告白してくるわ

 

218:名無し視聴者 24:13:06

具体的な目標聞いてきたわ、実際どこ目指してんだろ、ゲーム会社からのオファーとか有名配信者とかとのコラボかな

 

219:名無し視聴者 24:15:22

有名になりたいのはあるだろうね、当の本人は人に見られるの慣れてない様子だけど、時折心底恥ずかしそうにしてるのかわいいんじゃ〜〜〜

 

220:名無し視聴者 24:16:41

単純に金稼ぎだろ、ていうか金投げさせろ、なんで投げ銭出来ねえんだ

 

221:名無し視聴者 24:17:32

なぎちゃんの配信サイトのTube@ライブは登録者1000人超えて登録から三週間立たないと投げ銭システムは働かないぞ。1000人超えたら枠延長出来るようになるし、1万人で広告権限とか月収とか付くから当面はそのラインだろうな

 

222:名無し視聴者 24:18:04

思ったより近いうちに金投げれそうで嬉しい…嬉しい…

 

223:名無し視聴者 24:20:13

自分の趣味に使うって手段は……ないんですか……

 

224:名無し視聴者 24:21:20

流石にうん何万は入れないよ、投げた金で新しいゲーム買ってくれたら嬉しいしあわよくば一緒に出来るでしょ

 

225:名無し視聴者 24:23:42

おまえ天才か?10万投げてホラゲー買ってもらうわ

 

226:名無し視聴者 24:24:10

上に同じく、10万投げてVR版リトラス買ってもらうわ

 

227:名無し視聴者 24:24:58

更に上に同じく、10万投げてVR版悪霊の家買ってもらうわ

 

228:名無し視聴者 24:25:24

更に更に同じく、10万投げて感染都市Ⅱ買ってもらうわ

 

229:名無し視聴者 24:29:01

感染都市Ⅱは普通に楽しみそうだけどねなぎちゃん、汚物は消毒だーー!って火炎放射器使ってそう

 

230:名無し視聴者 24:30:42

10万円を何だと思ってるんだおまえら……

 

231:名無し視聴者 24:31:32

なぎちゃん民の懐はガバガバ。まぁ近いうちに弾けるようにバズるよ、なんか一つでも大きなこと起きたらね

 

232:田中 24:34:09

ぼくはなぎちゃんには是非OverCoreFaRrewrite-7の続きをしてほしいですな

 

234:名無し視聴者 24:34:23

田中!?死んだはずでは……

 

235:名無し視聴者 24:35:03

田中お前許してないからな、なぎちゃんのアーカイブ編集手伝えよ

 

236:名無し視聴者 24:36:42

俺も許してないからな、取り敢えずコッペパン買ってこいよ

 

237:名無し視聴者 24:39:21

許されたと思うなよ、研究に使うから黒曜石掘ってこいよ

 

238:田中 24:40:13

はい…田中です…分裂します…全部やります…

 

239:名無し視聴者 24:43:31

哀れ田中、だが同情はしない。ところでなぎちゃんがにゃーんって言うのかわいくね?

 

240:名無し視聴者 24:43:50

わかる

 

241:名無し視聴者 24:44:20

わかる

 

242:名無し視聴者 24:44:38

わかる

 

 

この後も緩やかになぎちゃんの掲示板は続いていった…………




田中、許さねえからな〜?

感想評価、誤字報告ありがとうございます。オリジナル日間も一位みたいで、嬉しい限りです。

ちなみにぃ……掲示板回は1話に数えてないんですよ…


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よんわめ!

悶え狂え


 今日の朝食はパンケーキ、程よく作れて満足。

 

 空気上の水分を水に即座に変換し、洗浄し、人が飲めるようにしたウォーターサーバーで新鮮なお水を作り、リビングに。

 

 いちごのジャムに蜂蜜を塗りたくったパンケーキをお口に入れる、お口の中で広がるいちごの風味とはちみつの甘さがわたしの表情を蕩けさせる。

 

 う〜ん、おいしい!軽く七年は作ってなかったけど、案外うまく出来るものだなぁ、器用さが上がったような気がする……その分フライパンが重く感じるけれど。

 

 やっぱりホログラムのフライパンを買ったほうが良いのかな、洗う必要も油の心配も火の心配も無くなるけど、でもなあ本当に焼けるのかな?

 

 朝食が済んだらPCを付ける、PCの前で食事するのは良く良く思えばはしたないので辞める事にした、食事中にタブレットを開くのも辞めようと思う。

 

「愛知、空飛ぶ梨が発見される……味は美味しいのか?つーかなんの原理で空飛ぶの?魔力とか妖術とか本当にあるのかもしれない、ある意味バーチャルも魔法みたいなものだし」

 

 でも氷雪系最強(笑)とか見た事ないし、ああいう能力モノは実在しないかも、まあ突然赤子が光る記事が出て来てもふーんそうなんだで終わりそうなものだけど。

 

「……わあ」

 

 チャンネル登録者が500人を超えた、つおったー+のフォロワーも300人超えた。

 

「へへ……」

 

 某動画サイトでわたしの初の切り取り動画が上がってるのを見て、来てくれたのかな、作ってくれたユーさんには感謝しないと……つおったー+やってたよね。

 

「ええっと、DMにして…動画作ってくれてありがとう、嬉しいです。……ううん、他に何か言うべきかな、業務的な返事しか考えられないわたしのコミュ症っぷりに嫌気が……うう……」

 

 そういえば、質問箱にお便りきたかな、一つでも送ってくれているとうれしいな。

 

 50件!?お、おおすぎる……ぜったい質問とは違う文章も送って来てるでしょ、ま、まあ全部読むけれど。

 

「30件ぐらい告白で埋まってんじゃんか、うれしいけど付き合いません。んーなになに?……目標は何処…かぁ」

 

 自称とはいえ、プロゲーマーって言っているんだから、何らかのゲームの大会とか出てみたいな、公式からこのゲームを実況してほしいとか言われてみたいし、新作ゲームのデバッガーとかもやって見たい。

 

 コラボとかは…対面じゃないなら、回せるかなぁ……まだ、人と会うのは、VR上でも無理だよ……

 

 思いつけば、色々やりたいことが思いついて行く、けれどもやっぱり自分がやって、楽しい事がしたい。

 

 苦しい事は、楽しくないことは、もうやりたくない。

 

 わたしが楽しめて、みんなも楽しめる、そんな配信が出来たら、そう思う。

 

「ちょっとくさいかな……」

 

 でも、求めてくれるなら、わたしは全力でソレに応じたい、だからってホラーは怖いからいや、ホラーはしません。

 

『ピンポーン……凪沙さん、わたくしです、管理人ですわ』

 

 ビクッと震える体を、どうにか落ち着かせようとお水を飲む。

 

 インターホンのモニターに、わたしの扉の前に20代ぐらいの若い女性の方が立っている、ロングのティアードスカートが女性の美しさを更に磨き上げているかのように思える。

 

 まあ多分実年齢はわたしより上なんだろうなと軽く失礼なことを思い軽く現実逃避。

 

 わたし何かわるい事をした?親友が家賃や電気代などを払わなかった事は一度もないから、そういう話ではないと思いたいけど。

 

『いらっしゃらないのですか?……凪沙さん、大した話ではありませんので、インターホン越しでもよろしくてよ?』

 

 そうは言うがわたしは親友と配信を除いたら人と話した事は7年以上は前なんだ、大した話じゃないなら文章でいいじゃんかよぉ……

 

 出たくない出たくない出たくない出たくない……でも、待たせる方が申し訳ない。

 

 深呼吸をして、わたしはインターホンの通話のボタンを押した。

 

「………はい、凪沙です」

 

『ひぇわ!か、かわ、んん!凪沙さん、近日ここ辺りで配管、ええと、屋根?改装?ま、まあともかくですわね?工事が始まるそうなので、一応の連絡をと思いまして』

 

「ぁ、あの、あ…りがとうございます、でも、その…ぇ……と、防音で聞こえないと、思うんですけど……」

 

『う、そういえばそうでしたわね……暫く此方の管理を怠っていましたから忘れてましたわ』

 

 ……思えば管理人さんと話した事は無かった、親友曰く自分よりも忙しい立場だからとか何とかで、このマンションの管理は基本的にお隣さんに任せてると聞いた覚えがある。

 

『でも、こうして伝える事はわたくしの義務でしてよっ、感謝するのだわ!』

 

「う、うん……?ありがとう、ございます………」

 

『じ、純粋ですわね……そ、そういえば、お土産をお持ちしていますの、よろしければ受け取ってくれると嬉しいのですわ』

 

 え。

 

 それは、つまり。扉を開けて表に出ろと?

 

 あぅあ、あ、むむむむ無理!無理!それは流石に無理!ハードルが高過ぎる!今でさえもパンク寸前なのに!無理だって!

 

「や、あの、えっと、その………う、嬉しい、ですけど、人前に…出れるような格好…では、ないので」

 

『あら?そうですの?では玄関の前に置いておきますわね?』

 

「あっあっ……ありがとうございます…その、嬉しいです……」

 

『か、かわ、かわい、やば……んンッ!それではそろそろ失礼しますわね、凪沙さん』

 

「あ、はい、その、いってらっしゃい……」

 

『……録音しておけば良かったですわね』

 

 だからどういう意味?何で!?管理人さんも?!

 

 あ、いっちゃった……綺麗な人だったな…どこかぽんこつそうだったけど、わたしにお土産なんて貰う価値ないのに気を遣ってくれたし……

 

 もしまた話す機会があったら、もっとしっかり話せるようになりたいな……その為には対面でも話せるようにならないとだけど……うう、むりぃ……。

 

 暫く経ち、誰もいないことを確認してゆっくりと扉を開ける、扉の前にご丁寧に置かれたお土産の品を取る。

 

「ぎ、銀杏とは、予想外の品すぎる……」

 

 

 

 

 

 

 配信準備完了、今回はあらかじめこういう事をやろうとしっかり決めている、わたしは1時間前後で配信を切ることを心掛けているので、前半の30分ぐらいは質問に答えるつもりだ。

 

 正直、質問とトークだけで30分も場が持つかわからないが、これを機に挑戦してみる事にした。

 

 始まる前から200人以上待機してる事にまだ緊張が解けていない。

 

 もし、この数字が4桁にも増えてくれたら、その時のわたしはどうなっているのだろうか。

 

「にゃーす!こんばんなぎりんっ………もうやらない、今日もよろしく」

 

『草』『初手素材』『かわいい』『かわいい』『かわいいを狙って自滅するプロゲーマー』『いやー今回も楽しみだね』『にゃーす!』『1コメ』『1コメ出来てないぞ』

 

「さて、今回はゲームをする前に、つおったー+で集めた質問箱に来ている質問を返していきたいと思います」

 

『告白してきたわ』『送った質問読んでくれるかな』『まともな質問あったん?』『今質問しても返してくれる?』

 

「まともな質問だったら返すよ!……では早速の一つ目の質問です、どれだっけ…有った有った、えーなぎちゃんの配信環境について知りたいです」

 

『あー確かに』『すごい通信環境いいもんね』『コメントのタイムラグ無いんじゃないか?』『音質も悪く無いよな、マイクホログラムタイプ?それともスタンドとか?』

 

「え、マイクはパソコンの内臓マイクだよ?……んー、実を言うと配信周りの機材は譲って貰ったりで、あんまり詳しく無いんだよね〜、だから良くも悪くも無いと自分では思ってたりする。通信環境については、隣に住んでる人が何か弄ってたよ」

 

『はぇ〜人脈あるんやなあ』『内臓マイクでこんな声良いん?やば』『つまり良いマイクを買えば更にきゃわゆい声を出してくれる……?』『隣の人何者なんだ……』

 

「え、あ…勘違いしないで、わたしに人脈なんてないからね…?ぼっちだし、ただ好意に付け上がっただけです………」

 

『あっ……』『うーん重病』『かわいそうかわいい』『養いたい』『友達から始めませんか?』『テンションの下落具合で草』『なぎ闇』

 

「さ、さて気を取り直して次の質問を返しますよ!……えーと、ファンアート描きたいです、宜しければ麗しき御尊顔を拝し奉りたいです」

 

『丁寧な文章で草』『言い回しが独特過ぎる』『お、顔出しか?』『ついに顔見せてくれるんか?』『パンツ脱いで良いか?』『脱ぐな、被れ』

 

「やだよ、恥ずかしいから見せねえよ、パンツも履けよ……でもファンアートは欲しい…ので、かわいいわたしを自己投影キャプチャーで二次元3Dモデルにしたので、それで許して」

 

『おお』『はぇ〜』『かわいい』『かわいい』『なんか神秘的』『たまにチラチラ銀色の髪見えてるけど地毛なんか……?』『なぎちゃんの黄金色のおめめ』『服のセンスは〜…普通だな!』『自己投影キャプチャー持ってるならVR機械あるんか?』

 

「わたしかわいいでしょーでへへ……んー、一応持ってるよ、VRフィールドとかには…行かないけどね」

 

「じゃあファンアート待ってるからね、あ、でも無理に描かなくていいよ、体に気を付けろ」

 

『俄然やる気出たわ』『これは描くしかない』『なぎちゃんはかわいいなあ』

 

「次の質問行くよー、VRゲームもやって欲しいです、か」

 

「実を言うと配信しながらVRゲームは出来る環境なんだ、理屈はちょっと分からないけど、外部に取り付けてる機材でパソコンでもVRゲーム出来るからね」

 

『ああ、うちもそうだよ』『完全没入タイプのVRゲームでもパソコン上で出来るってことか?』『半電子体になるんだっけアレ』『割と手が届く値段だったなぁ、全部自作らしいから全く同じ性能が無いんだっけ』

 

「つ、使った事なかったけど、今のでちょっと怖くなった……怖くなったのを抜きにしても、暫くはPCゲーをするつもりだよ、まだまだパソコンのゲームは面白いの、いっーぱいあるから、みんなに見てもらいたいんだ」

 

『かわいい』『いっーぱい、ここ好き』『かわいい』『イマジングレイドとかやって欲しい』『PCのFPSとかやって欲しいね』『逆に貧困だからPCしか持ってない俺にとってはありがたい』

 

 へー、パソコンしかもってない人もいるんだ、貧富の差は無くなってきたとはいえ、現実でしか働く先が無いって人は一定数いるんだね。

 

 まあ、わたしは働いてすらいないけどさ、ごめんね親友………本当に。

 

「んー次の質問です。成人ですか?とのことだけど、成人だよ、一人暮らし……だし、どれぐらいの年齢かはご想像のまかせうー」

 

『いったい幾つなんだ…』『おっさんなら50代だけど美少女なら20代だぞ』『うーん合法』『まかせうー、好き』『ロリなのか?』『平均よりは高いけど成人男性よりは低い身長でしょ』『3Dモデル見るに160.6だから四捨五入したら161だからとか言ってそう』

 

「はぁ?!ゔぇべべべつに言ってねーし!妄想も大概にしろよこのやろー!低くねーかんな!胸だって…こう、あるし!」

 

 あー乙女心傷付くわ〜………いや、乙女心が傷付く事になんの疑問も抱かないのは果たして良いのか?

 

「失礼な人達、次!……なぎちゃんの視聴者の呼び方とか決めなくて良いの?ですか、ん〜……これわたしが決めて良いの?」

 

『奴隷で良いじゃん』『奴隷は草』『養分とかでええんちゃう』『なぎ(とも)とか?』『下僕にしてくれ』『お兄ちゃん達って……言って良いんだよ?』『先輩って、呼んでいいんだぜ?』『かれピッピとか』『それならここのいる300人弱となぎちゃんが付き合う事になるが』『想像したら草』

 

 奴隷はちょっと…いや、呼んでみたいけど、いやいや……抑えよう、かれピッピは無し。

 

「んー、奴隷と迷ったけど、一番マシなのはなぎ(とも)かなぁ……うん、なんかしっくり来る、なぎとも……ふふっ、じゃあ今度からみんなのこと、なぎ民って呼びますね」

 

『笑うのかわいい』『かわいい』『なぎちゃんゲーム外だと案外静かなんだね』『奴隷で迷うで狂気感じた』『正直安心した』『なぎ民と化した視聴者』『まぁ無難に決めといた方が楽よな』

 

「パパ呼びして欲しいですって言った有能無能さん、あなたは解説だけして」

 

『草』『草』『草』『有能無能、まさかのコメ拾われる』『晒してて草』『これは無能、いや有能か…?』『敗北者でしょ』

 

「さてとー…まだまだ質問はあるけど残りの7割ぐらいがどうでも良い質問でした。付き合いたかったらな!まずその下心を無くす事から始めろよな!」

 

『すみません』『すみません』『なぎ民、早速怒られる、さーせん』『さーせん』『告ったの多すぎでしょ草』『天文学的確率に賭けた、さーせん』

 

「…ま、まあ?許しますけど、うん、寛大ですから」

 

『ちょろい』『ちょろい』『ちょろかわ』『かわちょろ』

 

「じゃあ次の質問を返したら、ゲームに移るよ~、なぎちゃんはどういう目的や目標がありますか」

 

 これは、あらかじめ最後に取っておいた。そろそろゲーム画面目当てに来る人も、わたしの配信を見てくれるようになるから。

 

 その人達にも、わたしの気持ちを、思いを知って欲しかった。

 

「先ずは登録者1000人超えたいな!でね、ゲーム会社にわたしの事知ってもらってー、公式とコラボしたり、新作のゲームのデバッガーとやってみたいし、同じゲーム配信者と…仲良く、出来たらなとは思ったりするしー」

 

「他にもやりたいこと、したいことは、いっぱいあるんだ、でも…でもね?本当は、わたしに出来るのか、その資格があるのか、わからないんだ……自信が、無い、色々…あったから、でも、でもね?やってみないと……わからないから、だから、その……ぇ、えっと……」

 

「付いてきて欲しい、笑って、楽しんで、付いてきて欲しい」

 

「だから…………あー、言葉にならないや、ちゃんと返せなくてごめんね……以上質問コーナー終了!ちょっとお水休憩させてねー」

 

『しっかり返せてたよ』『推します』『ちゃんと付いていくで』『ワイらなぎ民なぎちゃんお守り隊、任せろ』『これはなぎ民になるわ』『好き』『俺が泣きそうだわ』『配信者の鏡』『一生推せる』『わいの孫がこんなにも成長して……』『お爺ちゃん面すんな』

 

 あっあ……配信コメント見れないよこんなの、なんでみんなあったかいのさ、もっと色々、だめな事言ってよ、優しくされるの……慣れてないんだよ。

 

 切り替え、切り替えないと、よごれ(なみだ)を拭くのはその後だ。

 

 

「はい、はい!じゃあ切り替えて……ゲームするぞなぎ民達〜!」

 

『うおおおおおおおお!』『やるぞおおおお!』『今回は何をやるんです?』『1時間経過まで後15分しかないけどな』『延長するか?』『残念ですが登録者1000人なるまで時間延長出来ないです。』『Tube@ライブ、無能』

 

「15分?でも大丈夫、15分でも出来るゲームがあるんです。そう……みらくるカートならね!」

 

『うおおおおお!』『メジャーゲーム』『あーそっかぁ、VRとPCゲーのサーバー繋がってんのか』『一応家電ゲーム機のサーバーも繋がってるぞ』『レースゲームも出来るのかなぎちゃん』『レースクイーンなぎちゃん』

 

 説明は不要だろう、レースゲームと言ったらこれ、30人とマッチングして誰が一位か競うゲームだ、アイテムや機体の性能でコーナーに差をつけろ!

 

「よっしゃ〜!楽しむからな!なぎ民共、入ってこ〜い!」

 

『行くしかねえ』『たまにはPCでやってみるか』『俺VR』『俺も俺も』『行くぞぉぉぉぉ!!』『ニンジャ・カスタムのギアⅢ使って良い?』『チート機体過ぎる』『なら俺馬車使うけど』『アイテム10個持てるクソ機体やめろ』『ラ ッ キ ー パ ン ダ』『凶暴化して他機体壊すのやめろ』『なぎ民やり込み勢多すぎ問題』

 

「じゃ〜わたし天使の羽使うから!」

 

『空飛ぶな』『おい公式戦不参加キャラ使うのやめろ』『レースしろ』『なぎちゃんでもそれは許されない』『バランスブレイカーすぎる』

 

「嘘だようそ、えへへっ……王道を行くゴールデンバイクにしよ、あ、わたしが自重したんだからみんなも自重してよ?」

 

 ああ、楽しいな……

 

 なんでこんなに楽しいんだろう、自分でもわからない、でも、ああ。親友にはわかってたのかな、わたしの唯一の友達には感謝しないと、しても足りないけど、それでも。

 

「まだ速くまだまだ速くもっと速くなるぞオラ!このわたしのスピードについてこれるか?」

 

『なぎちゃん速スギィ!』『これはイキりなぎちゃん』『クイックブーストの使い方エグすぎる』『エリック最下位で草』『口調変わって来たな』『テンション高いなぎちゃん好き』『風神少女なぎちゃん』

 

「ってわたしの隣に走るなぎ民は何者だあ!ってミクちゃん!?ゲームうまいなこの娘……おんなのこだからってなァ!負けねぇぞ!」

 

『熱い』『下の列のわちゃわちゃ具合と上位の1位争いの差で草』『おおー3位と4位どんどんなぎちゃんに追いついてってるやん』『プロゲーマー配信でもなかなかみない激戦』『美少女配信にあるまじき少年マンガ的展開』

 

 くっ、カーブが曲がりきれない!このままでは抜かされてしまう!……ってこのタイミングで落雷だとぉ?!

 

「ああああああああ!よりによって狙いうちかよォ!っくそでもなあ!わたしのアイテムには空飛ぶ箒があんだよォ!ざまーみやがれ!」

 

『例の如く口調が荒くなって草』『もはや恒例行事』『やっぱこれだね』『おくちわるわる』『かわいい』『あ、ミクちゃん青こうらで爆発した』『はっや、流れ星みたいに一位に登り詰めたぞ』

 

「うおおおおおおお…………やったー!優勝した!優勝した!優勝した!褒めて褒めて、一位だよ一位!」

 

『かわいい』『かわいい』『かわいい』『すごい』『熱い試合やなぁ』『負けたー!』『これはプロゲーマー』『サムズアップしてるちっちゃなおててのなぎちゃんかわいい』『かわいい』

 

 本当に、楽しい、わたしの放送で喜んでくれているのが、嬉しい。

 

「あ、もう時間だ、もう少しやりたかったなあ……えーと、明日は少しお休みです、ごめんね?でも明後日はやるから、みんな来てくれよなー!……はー……本当に楽しかったよみんな」

 

『今までで一番楽しそうだった』『明後日が恋しい』『こっちまで楽しくなる』『またレースしたいですなあ』『登録してきたよ!』『かわいいしかわいかった』『なぎ民になります』『今の内に古参面の準備しとくわ』『いやー今日も楽しかったね』

 

「登録ありがとう!……名残惜しいけど、ここまでにしますね。ここまで付き合ってくれて、ありがとうございました」

 

 少し躊躇してから、配信を終了する。

 

 高揚感と達成感、そしてすこしだけの虚無感。

 

 でも、今回の配信で何かが変われた気がする、わたしの中の、忘れていた感情が。

 

 そうか、あぁ……そうだった。

 

 ほんとうの意味でたのしいっていうのは、心からの満足感は、ほんとうに久しぶりで。

 

 親友にありがとうと一言メールで伝えてから、その日は久しぶりにうなされることもなく、気持ち良く熟睡した。




良かったね、なぎちゃん。

あー書いてて楽しかった(ほくほく)
感想、意見、評価いつもありがとう、全部読むからな〜?


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ごわめ!

やっと親友の名前出せたわ。




『登録者数1000人突破、おめでとう、親友!』

 

 朝のモーニングコールは、親友の祝いの電話からだった。

 

 そう、二日前の配信、つまりわたしの思いをぶちまけたその日、そのシーンと動画とみらくるカートの動画が動画サイトにUPされ、その影響で登録者数が1000人を突破した。

 

 正直心臓が止まるかと思いました。りかいできない、あたまがショートする。その日、きのうはまともに食事を取れなかった。

 

 ていうか今思えばすごく恥ずかしいよ!あんな……羞恥ってレベルじゃないよぉ!

 

「あうあう……やめてよ……」

 

『いーややめない、祝うね!このまま一万まで突っ切っちまえ!』

 

「わ、わたしの心臓が先に突っ切っちまう……」

 

『それはマズい』

 

 て、てか、よよよ四桁って、わたしに釣り合わなすぎる……配信時間の延長が出来るようになってなぎ(とも)ともっと話せたり遊べたり出来るようになったのは嬉しいけど……うう。

 

『言ったろ?親友には絶対向いてるって』

 

「で、でも……わたし、こわいよ、こんなに……人が……期待とか、されても、困るよ……」

 

『だーいじょぶだって、他でも無い俺様が保証するんだ、それに人がどれだけ増えようが自分のスタンスを変えるつもりはないだろ?』

 

「そ、そうだけど……」

 

『……自信持て、ってのは、そう上手く行かねえのは分かってるさ……でもな、凪沙は良い方に変わっていってるよ、それは間違いない、俺様が保証するから』

 

 それは、そうなんだろうな。

 

 いまさら、変わるのは…難しいし、怖いし、でもこのまま親友に甘えているだけじゃあダメなんだ、わたしは自分自身を変えないと、あのままのわたしじゃあ、ダメになる。

 

『それはそうと親友!キミは女装が趣味だったのな!』

 

 へ?

 

 いや、は?

 

 あ、あああああああああ!?親友も見てるよな見るよな!?自己投影でモデル反映したって言ったらそりゃ親友ならそういう結論になるよな!?やばいやばいどう言い訳すれば……!

 

『大丈夫大丈夫心配すんな!誰にも言わないぜ?俺様の親友が女装趣味の変態野郎だって事は、心の中に留めとくからな!』

 

「はああ!?ふざ、ふっざけ……ふざけんなよこのホモ野郎!はげ!」

 

『がーはっはっはっは!痛くも痒くも無いとは正にこの事よな!後禿げてねえわ!』

 

「なっ……あ…あ、く、くそ!くそ!」

 

『まあ似合ってたし可愛いし良いじゃん、今度飯食う時女装して来てよ』

 

 にゃうあ!?似合って、かわ、かわぁ!?

 

「い、良い加減な事いうなよ……そ、そんな褒めてもしないんだからね……!」

 

『ツンデレなぎちゃんすこ〜……ああそうだ!管理人さんにも勧めてやったから、絶賛だったぜ?』

 

「ん?……え、は!?ななななっなに、何してくれてんじゃワレェ!どういうつもりなのですかい?!」

 

『うおぉ、ご乱心だなぁ……あの人、疲れ気味でさ、ほら、親友の配信って楽しいだろ?アーカイブも残ってるし、お世話になってるし一人でも見てくれる人が増えたら親友にも得だし、良いだろ?』

 

 あ、あんな綺麗な人に見られるとか……うう…良い加減な事言えないじゃんかよぉ……でも、間接的にわたしも恩恵を得てる身だし、お土産を貰ったお礼とでも思う事にすれば、納得出来る……する。そうする。

 

「……管理人さんとはどういう仲なの」

 

『ん?仕事の上司の上司の上司、空いた日たまーに飲みにいったりしてるよ』

 

「ふーん」

 

『お?なんだなんだ、俺様と飲みに行きたいのか?いいぞー今からでも行くか?』

 

「…………行く、って言ったら……?」

 

 …………?あれ、もしもーし。返答が無いんですけれどー?聞こえてますかー?

 

『いや、おう、あのな、からかって悪いが……』

 

「仕事でしょ、わかってるよ……いまは、何処にいるの?」

 

『南の方で、ちょっとな……機密事項もあって詳しくは言えねえ、悪い』

 

「ん、いいよ、気にしてない……体調とか、だいじょうぶ?」

 

『大丈夫だって!親友に心配される程じゃね〜よ!……もう五年以上は、会ってないもんな』

 

「……だね、まだ赤い髪のまんまなのか?」

 

『まーな、赤は俺様のイメージカラー!赤といえば俺様、俺様といえば赤!だろ?』

 

 そうだね。

 

 親友の赤は強烈過ぎない赤色、暖かい色、夕焼に光る黄金のような、太陽のような、光の象徴。

 

「いつもありがとね……こんな自分の親友でいてくれて、嬉しいよ」

 

『……卑下すんなよ、凪沙だから親友なんだ、今までが…その、不運なだけだったんだよ、まだまだこれからだろ』

 

「そうだね、不運、だったな」

 

 でも、親友と会えたことは不運じゃないよ、幸運なんて言葉じゃ言い表せない、奇跡って言葉でも到底足りない。

 

 銀色の髪を弄る、これは紛れもないわたしの髪で、わたしじゃなかった髪だ、もう完全に違和感がない、生まれてきてからこの姿だったって言われても、納得出来る。

 

 でも確かにわたしは、最初からこの姿じゃなかった、いっそ最初からこの姿なら良かったと思うけれど。

 

 それだと、今の出会いは無かったのかな。

 

『んー、そろそろ時間だ……近いうちに!とは、行かねえけど、絶対にそっちに一回帰るから、その時は』

 

「うん、そうだね、久々にあのバーに行きたいな」

 

『懐かし!学生の時行って怒られた場所じゃんか!……へへ、楽しみだ、じゃあまたな、凪沙』

 

「うん、またね。(つかさ)

 

 

 

 

 さて、今日は少しだけ、手元以外も見れるように、ほんとにちょっとだけ、カメラの位置取りを変えて腕ぐらいまで見えるようにした。

 

 ので、必然的に服装とかも見られる、ただその点については昨日、女性用の服を何着か頼んでナゲットくんが持ってきてくれたので、抜かりはない。

 

 女装趣味だと思われてるならもう開き直ってやるよこのやろう、ちくしょう。

 

 でもチェック柄のワンピースはすこし恥ずかしいな、狙い過ぎかな?でも肌はあんまり見せたくないし……ま、まあ。考えないようにしよう。

 

 配信準備を整え、500人前後を超える待機の数字を極力見ないようにする、直視すると何も話せなくなっちゃうよ。

 

 それと同時に、つまらないわたしは見せたくないから、いつも通り今回も全力でやりたいと思う。

 

 さあ、今回も楽しもう。

 

「のじゃー!自称プロゲーマーのなぎちゃんです」

 

『始まったー!』『のじゃー!』『出かわ』『なぎちゃん俺だ!結婚してくれ!』『なぎちゃん俺だ!認知してくれ!』『少し手元の画面大きくした?』『動画で見ました、面白かったです』『1000人突破おめでとう』

 

「認知って?まあいいや、さてと、まずは登録者1000人超えました、ありがとう……人が増えても、やる事は変えないぞ!」

 

『なぎちゃんおめでとう!』『古参面できるか?』『無知シチュ』『純粋なんやなって』『そのままのなぎちゃんでいて』

 

「じ、じゃあ、なぎ民の諸君、早速やって行こうじゃないか?!」

 

『イエス!なぎちゃん!』『緊張して変な言葉使いになってんの草』『声裏返ってんぞ』『メンタルよわよわなぎちゃん』『かわいい』

 

 す、好き勝手言いやがって……否定出来ないけどさあ。

 

「今日は何をやるかと言うとね、2Dアクションゲームをやろうと思う!」

 

「その名も、DEAD・CASLだー!」

 

『?』『ピンと来ねえ……』『知らないなあ』『2Dアクションはわからんなあ』『マイナー過ぎる、楽しいんだけどね』『はぇー、悪魔の城の例のアレみたいな感じ?』『似て非なるかな』

 

 説明しよう!2DアクションゲームDEAD・CASLは大手ゲーム会社SSSのある一人の社員が一から全て作った、完全自作ゲームなのである!

 

 会社を使わず、個人で販売した事から知名度こそはないものの、愛好家達には広く知られている2Dアクションゲームなのだ!

 

 城に住み着いた亡者達を、雇われ傭兵の剣士がばったばったとなぎ倒して行くシンプルなストーリーだ!

 

 ゲームコントローラーのみ対応であり、操作こそ簡単だが、ステージ毎のギミック、敵の行動パターンなどが豊富にあり、ステージ毎のボスを倒して行くと攻撃の性能を強化出来るぞ!

 

 全6ステージあって、全てのステージをクリアするとラスボスへの挑戦権が得られる。強化した性能、今まで積み重ねてきた技術で、亡者の主、アンデッドキングを倒せ!

 

「パソコンゲームをする人でも、詳しくは知らないんじゃないかな?体験版あるから、面白いって思ったら是非買ってみてね!」

 

『宣伝部部長なぎちゃん』『業界の回し者説』『ほーん、面白そうなら検討するわ』『なぎちゃんのおかげで知識が増えていく』『SSS社の公式HPに載ってないの可哀想』『勿体無いよな』『ほーん、H&KってSSS社のゲームなんだ』『まじ?ほんとだ』

 

「SSS社といえば、さいきんMMORPGのβテストやってたけど、みんなはやった?少し触れてみたけど、王道だったね」

 

『合わなかったなぁ』『公開テストはやるつもり』『VR機器しか無いからやってない』『流行りには乗らないんだ、孤高だからさ』『孤独の間違いだろ』『なぎ民はみんな友だぞ』『おまえは除け友』

 

「あ、そんなこといっちゃダメだよ……?仲良くしようね」

 

「さーてやるぞやるぞ〜?2Dアクションは本当に久しぶりにやるから、新鮮だなぁ……!」

 

『ロゴがもう懐かしさを感じる』『なんで2Dアクションって廃れたんだっけ?』『ゲーム性を理解出来て、しっかりした出来のモノを作れる人が居ないから』『そう考えると一人で作るって相当だな』

 

「そうだよね!こんな面白いモノを一人で作れるんだ…!って感動したの、確かね、えらーい人の一人だったらしいんだ、今は会社で働いているのかすらわからないけど、ちょっと話してみたいな」

 

 まあ実際に話すってなったら、とんでもない陰々力を見せつけて行くと思うけど、しらないひととはなすのこわいです……

 

「一応全クリしてあるから全ステージ途中から出来るけど、体験版で出来る1ステージを攻略しようかな」

 

『まじ?』『プレイ時間166時間で草』『やり込みプロゲーマーなぎちゃん』『すげえ』『PCゲーだから実時間だろ?やばいな』『166時間もあれば何が出来る?』『古代遺産の研究が終わる』『全クリを当たり前のようにするな』

 

「だ、だって面白いんだもん、仕方ないだろ。……ムービー始まるよー」

 

『かわいい』『だもん好き』『ムービーあるのか』『文字起こしのSEこれ製作者の声加工しただろ』『草』『ゴゴゴ・ゴゴゴゴゴ』『石像動かすな』

 

「主人公の剣士アルクくんはね、こうやって剣を振ったり投げたり障害物を投げたり敵を投げたり……あれ?よく思えば投げモーション多くない?」

 

『こうもり背負い投げして草』『王道ゲー……?』『素手で敵倒せるなら剣いらなくね?』『剣士とは』『なぎちゃんのチラチラシルバーブロンド』『地毛なんやなぁ…って』『スタミナ切れるとこけるのか』

 

「まー余裕ですね、見えない罠ぐらいしかわたしの敵ではありません」

 

『イキなぎ』『なぎイキ』『なんかえろい』『テンプレ化しようとするな』『この流れは踏むわ』『銀の檻落ちて行動不能途中にこうもりと蜘蛛と骸骨に襲われるんでしょ』『未来予知成功しそう』

 

「はーん、そんな簡単にわたしが引っかかると思ってんのか〜?166時間プレイしてるわたしがそんなこと……あ待って毒ガス踏んだ、もーう、先進めねえじゃんか」

 

『草』『草』『調子乗るからやぞ』『毒のシュ…シュワ…て音も製作者の声じゃん草』『かわいい』『これHP減らして進むしか無いん?』

 

「剣投げると毒ガス消えるんだよね、これで通れる、隠しギミックの一つらしいよ?」

 

『んん?』『なんでだ草』『風圧か?』『風圧だな』『いや理屈通らないが』『王道とは?』

 

「お、王道だよ、ストーリーは多分!……あ、必殺技ゲージ溜まった、なぎ民見とけよ〜〜、あの敵の群れに……必殺!」

 

 画面の中のアルクくんは剣を投げ、投げた剣を掴んで一閃!画面が真っ二つに割れて画面上の全てのエネミーが爆発四散!!

 

『って爆破するんかーい!』『倒され方で草』『カットインの絵かっこいいな』『爆発音これ拍手じゃね?』『低予算かよ』『これが一人の努力の結晶ですか』『確かこれボスには効かないんだよね』

 

「そうそう!ボスには効かないの、それどころかモーション中にダメージくらって負けるまでが最初のテンプレなんだよなあ」

 

「ってあぶねえあぶねえ…隠し針穴ギミックってあったなあ、ジャンプ遅れてたら死んでた」

 

『チッ』『チッ』『チュ』『チッ』『今キスしたやついるぞ』『どさくさに紛れて何やってんだ』『これはのけ民、真のなぎ民は下心を見せないから』『そのコメが下心』

 

 なんで舌打ちするんだよー!そんなに私がやられる姿を見たいのかあ?このこの、わざと負けてやらないよーだ!

 

 何事も真剣なんですっ。

 

「この隠し扉に入るとね、壁一面に製作者の愚痴が書かれたボーナスステージに入れるんだよ、今回は入らないけどね!配信で晒すのはかわいそう」

 

『草』『草』『草』『溜まってたのかな』『じゃあ一つだけ晒すわ、誰も手伝ってくれねえ、俺はSSS社の二次会で幹事やる役回りなのに誰もだ』『なぎ民に晒されてて草』『婚活パーティで18万盗まれた話が一番面白かったな』『かわいそう』『その後60万になって帰ってるんやで』『愚痴見たさに買ってこようかな』

 

 ああ、わたしは自重して何も言わなかったのに……ごめんなさい製作者さん、でもわたしはわるくありません。止めないけど、わるくないです。

 

「そい!そいそい!そい!おっ!フィニッシュムーブ見れると気分良いよなぁ〜〜!」

 

 『そいそい!』『そいそい!』『何処から剣出してんだ?この剣士』『まるで赤い外套だァ』『シャキーン(地声)』『変な所で笑いを誘うな』『1ステージはそれほど難しくなさそうだな』

 

「うん、実際初見でもボスまではいけると思うよ?誰でも入りやすいようにあえて優しくしてると思う、……トラップは初見殺しの一撃死多いけど」

 

「お、宝箱だ」

 

『宝箱にはオーブが7つ入っていて、それぞれ攻撃力UP、防御率UP、魔防率UP、素早さUP、移動力UP、ジャンプ力UP、それらの全てUP、です』

『有能』『有能』『有能もゲーム詳しいのな』『どれぐらい上がるん?』

 

「説明かんしゃー!……劇的に、って程じゃないけど、体感で言えば一回攻撃回数減らしてくれたり、不意の一発を耐えれるかもって感じかなー」

 

 お、ジャンプ力か…まあ外れでもないかな?でも今じゃ無いよなぁ。

 

「こういう、なんていうのかな、昔ながらのゲームは、気楽にやれて良いな〜〜……ゆーくりやれる」

 

「ってあああああ!油断した!呪い踏んだ!HP半分になった!」

 

『草』『草』『解 除 不 可』『イキリすぎた結果』『なぎちゃんなんでいつも慢心するん?』『むしろ今までが順調過ぎた』『ボス戦前にこれは痛いですね』『一度死んでリスポーンした方が良いんじゃ?』

 

「そんなんするかよ、別にHP半分でもね、当たらなければどうという事はない!」

 

『かっこいい』『かっこかわいい』『それは無理だよ!なぎちゃん!』『最初のボスならワンチャン?』『火力高いから弱い攻撃以外当たると即死やったよな』『セルフ縛りプレイ』『これは魅せプロゲーマー』

 

「やってやるぞ!」

 

 ボスの部屋に辿り着く、壁付きのろうそくが一つ一つ、ぼうぼうと燃えて、全てのろうそくが点くと、部屋の奥から出るは、蜘蛛の王様、ジャイアントスパイダー。

 

 粘つく糸の行動不能攻撃と、粘着床の移動速度大幅低下さえ気をつければ。

 

「わたしが負ける相手じゃねえ」

 

『かっこいい』『自然と口調変わるのすこすこ』『4ステージで止まってるし続きやろうかな』『面白そう、体験版DLするわ』『VR上で出来る?』『電子ボード持ってる?体験版で良いならデータ渡せる』『マジ?助かるわ』

 

「足場に気を付けないと……正直ジャンプ力上がって良かったー!粘着床余裕で回避できるわ」

 

『粘着……?ふむ』『えっち』『糸…絡められる……閃いた!』『閃くな』『でも見てみたいでしょ』『そりゃあね』

 

 揃いも揃ってなぎ民はすーぐそう言う……そういう事いうなぎ民はこうだ。

 

「アルクくんの絡め取られてる姿みんな見たいのか?実は専用絵まであるんだぜ、いいのか?一度わざと負けるか?ほら!今右に進めば見れるよ……?」

 

『許して』『許して』『許して』『ごめんなさい』『いやーキツイっす』『なぎちゃん、ファンアートはつおったー+のDMで送れば良い?』『器用に負けようとするな』

 

「あ、良いよ良いよ!配信が終わったら見るね?ありがとう!………そういう事だからさ、そろそろ決着するぞ化け蜘蛛」

 

 障害物を盾に使い、剣を投げる、投げる、糸を吐き出したら別の障害物に移動して剣を投げる、また投げる、投げて投げて投げまくる!

 

「おらおらおら!卑怯?何それ!勝てば良いんだよォ!」

 

『草』『草』『見栄えガン無視で草』『負けず嫌い過ぎる』『きっとこれが一番楽です』『振るより威力高いし、そりゃあね?』『どんどんHP削れるな』

 

「よーしとどめの一撃くれてやらあ!……やーった!勝ちました!優勝です!」

 

『かわいい』『かわいい』『うおおおおおお?』『難しいのは此処からだからなあ』『勝利は勝利』『購入意欲刺激されたわ』『宣伝配信としてなら最高の出来だったぞ』『ちなみになぎちゃんだから楽々とクリア出来てるだけで、普通に3時間ぐらいかかるからな』

 

「んー……思ってたより早く終わったな、じゃあちょっとだけチラ見せ!ステージ2も少しやるよ〜〜」

 

『お?』『ありがてえ』『この先初見』『最初から初見』『服可愛いですね』『確かに、かわいい』

 

「え、あ、ありがと……」

 

 さ、さて、ステージ1は城に入りたての入り口のような所から打って変わって、2ステージは泥沼エリアだ。

 

 歩く地面や壁に泥が引っ付いていて、触れている間は移動速度が低下する、剣を振るスピードも投げるスピードも減るので注意が必要。

 

「それに泥の中に敵がいるっての結構あるから、びくってなるんだよなあ」

 

『火力も1.8倍ぐらい上がるね』『びくびくなぎちゃん』『かわいい』『かわいい』『マドハント は なかまをよんだ !』『仲間呼ぶ敵はステージ3から』『呼ぶのか……』

 

「っと、その前に性能強化か、う〜〜ん、パンチの威力上げるか!アルクくん男らしいなぁ〜〜おい!」

 

『拳法家アルク』『ボクシングアルク』『格闘家アルク』『剣士とは?』『これ剣士じゃねえだろ』『投げるより殴れ』『パンチで敵を倒すと必殺技ゲージ二倍ぐらい上がりますからね、合理的でしょう』『合理的なパンチとは?』『剣なんて飾りの剣士』

 

「上がりやすいと思ったらやっぱそうなんだ、よーし、わたしのこぶしをくらいやがれー!」

 

『ぐーぱんちかわいい』『なぎちゃんのちっちゃなにぎりおてて』『綺麗な肌してんなぁ』『ありがとうございます!』『おてて民がまた勝利を刻んでしまうのか……』『うーんかわいい』『あざとかわいい』

 

「ってにぁああ!?いきなりモンスター部屋じゃねえか……多過ぎて勝てないよ、逃げないと……って泥多すぎだろぉ!」

 

「うおお、泥が、邪魔すぎ……やばいHPが、まだ死ぬには早すぎるだろ!待って、待ちやがれ!うおおおおっ間に合った!喰らえ我が奥義!」

 

『草』『草』『もうHP1割やん』『HP半減消えてないのか』『呪い強いなぁ』『落下ダメージでも一歩間違えたら終わりやん』

 

「ま、まぁ行けるところまでい……ごめん無理だ、砂嵐だ」

 

『持続ダメージかー』『部屋から出る前にHPなくなるな』『あっさり死んでいくやん』『死んで覚えるゲーム、やり込むとまあまぁ楽しい』『ステージ2も面白そうやな』

 

「じゃあ最後にビーストモードにして終わります」

 

『オオカミ男だー!?』『わおーーーん(地声)』『草』『草』『SEもうフリー素材だろこんなん』『おおかみ女なぎちゃん』『肉食系だけど押しに弱そう』『すっげえわかる』

 

 は、お、押しに弱くなんてない、わたしから押すんだから……

 

「いや、わからなくて良いので!……昇天する時のSEも声取ってるんだよね、味があって面白いよな〜〜」

 

『買うわ』『続きやることにした』『なぎちゃん延長しないの?』『俺も買うわ』『体験版自分でやってみる』『延長しないの?』

 

「今回は延長無し、基本的に1時間前後で終わらせたいからね、長時間過ぎるとアーカイブの画質が落ちちゃうんだ……なぎ民のみんなと楽しんで、名残惜しくなったら、するよ」

 

「あ、そうだ!この後つおったー+の方で、次の配信は何のジャンルが良いか聞くから、何が良いか送ってくれよな〜?」

 

『ホラー』『ホラー』『恐怖系』『脱出ホラー』『海外ホラー』『VRホラー』

 

「ホラーはやらねーって言っただろ!……やらない、やらないからな!本当に……こわいんだって…ほんとに……」

 

「んんっ、そろそろ時間だね……それじゃあ、みんな今日もありがとう、時間は未定だけど明日やるから、良かったらまた見てね」

 

『おつー』『いやー今回も楽しかったね』『知らないジャンルのゲーム開拓出来て満足』『久々の2Dアクションで興奮したわ、ありがとう』『なぎちゃん最後にお兄ちゃん好きって言って?』『お姉ちゃん好きでも良いんだよ』『パパってお願い出来ますか』

 

「もー……じゃあ……一回だけ……なんて、言うと思った?いわないよーだ!ふへへっ、ありがとうね、じゃあね〜〜!」

 

『かわいい』『かわいい』『かわいい』『ハートブレイク』『射抜かれたわ』『ハート鷲掴みかよ』『好きです』『今日もありがとう』『有能無能、またも敗北』『なぜなのですか』『至極当然』

 

 配信を切る、しばらく経ってもまだ残ってるなぎ民達のコメントを見てにやにやする……ふふっ、今日もありがとう、か。

 

 人に感謝されるような人間じゃないよ、でもうれしい……な。

 

 ん、メール?なんだろう、何か応募したりやり取りはしてない筈なんだけどな。

 

 ってこれは、ソレスタルビーイングさん?

 

『配信お疲れ様ですなぎちゃん。有能無能です、当社の、と言うより僕の作ったゲームをプレイしてくれて、宣伝してくれて、本当にありがとうございます。感謝の極みです。せっかくの自作のゲームが売れる事も、話題に上がる事も無く、良い加減DLサイトを断ち切ろうと思っていましたが、なぎちゃんの配信で考えが変わりました。SSS社もそろそろ辞めようと思っていましたがもう少し続ける事にします。

 

 なぎさん、本当にありがとうございます。  なぎちゃんのパパより』

 

 ソレスタルビーイングさん…………

 

 その言葉は、私が思った以上に、私の心に残った、たった今、わたしは配信で一人の人間のこれからの人生を左右したのだ。

 

 それは良い事なのか悪い事なのか、わたしにはわからない、だけど感謝を貰うという事は……悪くないはずがない。

 

 これからも配信を続けていこう、辛い時がもし来たとしても……すこしぐらいなら、耐えられるかも、しれない。

 

 今のこのメールを思い出せば、不思議とそう思えた。

 

 …………でも、有能無能はわたしのパパじゃないからっ!ぜーったい、言わない!




明日は忙しいから多分間に合わない、まあ今まで毎日投稿だったし……多少はね?

誤字報告いつもありがとう。評価もいっぱいちゅき。
色々な感想きてるけど考察だったり指摘だったり率直な意見だったり、ありがとうございます。全部コメ返すからな〜?




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ろくわめ!

続きです。


 配信を終えた深夜、なんとなく眠れなかったわたしは、とりあえずパソコンを点けてみる。

 

「配信を始める前までは深夜から朝まで24時間ずっとゲームしてた事もあったな……惰性でやってて、今思えばゲームに失礼なことをしたかも」

 

 ココアでも入れるか、お湯を電気で沸かしている間に、つおったー+を開いて、ってうえわあ……1000人突破した……DMもちょっと、多過ぎて整理出来ないなあ。

 

 ま、まぁ全部見るけど……っておい!DMにまで告白してくんなよぉ!もう……嬉しいけどさ。

 

 ファンアートだ〜〜!きれ〜〜……わたしかわいい、別段絵が描けるわけじゃないし、憧れるなあこういうの、かわいいわたしをありがとうございます。綺麗ですね…っと。

 

 出来たココアをふーふーと息を吹く、わたしは猫舌ではなかったはずだが、舌が敏感になったのか熱い飲み物は少しぬるくしないと飲みにくくなったみたいで。

 

 舌だけじゃなく、耳も少し良くなったように思える、完全防音された部屋の外の音が聞こえる訳ではないが、反応速度が上がったというかなんというか……

 

 身体的スペックが全体的に上昇したのか?

 

「今ならバク転も出来そう……いや、流石に無理かな、でもなんでだろう、全能感ってものは無いけど、出来て当然の事が増えてきたような……」

 

 小さい鏡を取り出して、わたしを見つめてみる、黄金色のおめめに銀色のシルバーブロンド、最近は整え方がわかってきたから、心なしかふわふわしているように見える。

 

「久々にFPSでもやろっかな」

 

 パソコンの前に移動して、なんのFPSをやろうかなとジャンル分けしたファイルの中からどのゲームをやるか探す。

 

ん……丁度良いのがあった、少し廃れ気味だけど、やる人はいるぐらいのゲーム、大体これぐらいの頃になったゲームはそんなに民度が低くないと、わたし的には思ってたり。

 

 ……アカウントのパスワードなんだっけ?

 

 あ、やば、これ思い出せない奴だ、わたしのプレイ時間が……ま、まあ切り替えて行け?アカウント作成から始めよう。うん。

 

 配信でやるかもしれないし?今のうちになぎちゃんで作成するのは先を見越したわたしの、ずのうぷれいなのだ!

 

「初期武器そこそこ強かったし、うん……これはハンデ、縛りプレイ。そういう事にしよう」

 

 アカウント作成が終了する。

 

 さっそく5対5で戦い、AとB、攻め側は両方何方かに爆弾を置いて、守り側は置かれるのを阻止するシンプルなモードを選択。

 

「どれぐらい腕落ちたかなー、暫く振りだから感覚掴まないと、配信の事も考えると今のうちに勘取り戻さないとね」

 

 ちなみにこのゲームはSSS社が作ったゲームじゃない、SSS社はFPS系を取り扱ってなかったりする、ガンアクションゲームを作る癖して、一人称視点のガンゲーは作ってないのだ、少なくともゲームジャンル上は。

 

 では今プレイしているFPS、一時期流行って、有名配信者の人達が「VRで実銃持った方がリアリティは追求できるよな」の一言で廃れたゲーム、Standard・On-lineはというと。

 

 SSS社の次に有名なゲーム企業、ととーる社のゲームだ。元はギャルゲーとか恋愛ゲームとか作ってた会社だけど、途中から方針を変えたんだっけかな。

 

 実際、パソコンのゲームは多いようで、作る会社が少ないので、偏ったりする事がある。中にはVR大手企業発のゲームで、パソコンと連動しているみらくるカートなんかのようなゲームもあるが。

 

 初回配信でやったゲーム、OverCoreFaRrewrite-7のようなロボゲーは、SSS社でもととーる社でもなかったりするんだけどね。

 

「んー?個チャきてる、え、なんでわたしに……?この人、ミクちゃん?へー……このゲームもやってたんだ」

 

 えーと何々?良かったら一緒にプレイしませんか、かあ。ていうか確かになぎちゃんって名前だけど、良く成りすましって疑わないな、本物ですか?ぐらいは聞くかと思ったけど。

 

 配信では同じゲームで二回も一緒にプレイした仲だし、配信外だから一緒にプレイしないなんてことはない。別にボイスチャットをするわけでもなし。

 

 せっかく誘ってもらったんだし、わたしとしてもうれしい。

 

「良いですよ、と……フレンド認証しよ。ふふっ……初めてのフレンド貰われちゃった、まあミクちゃんなら良いかな」

 

 ああ、そういえばこんな風に親友以外で一緒にゲームをしていた友達が一人いたなあ。

 

 あれは誰だったかな、今も元気にしてるかな、存外近いところでゲームしてたりするのかな?

 

 あの子は生粋の引きこもりゲーマーだったから、今のわたしとそう変わらない生活を送ってたりするかもしれないなぁ……違うのは自分で収入を得ている所か。

 

 配信を始めてから一週間と少しぐらい、投げ銭機能が解禁されるまで後二週間ぐらいの日がある。お金を貰えるような配信をしているつもりはないけど……稼げるようには、なりたいな。

 

 少し俗っぽくて、卑しい考えかな。また少し自分が嫌いになる。

 

「……違う、最終的な目標はなぎ民からお金をもらう事じゃないでしょ、広告とかを付けて、企業さんからゲーム関係のお仕事を貰えるようになる事だろ」

 

 その為には頑張らないと、こうやって一緒にプレイしてくれる人の為にも。

 

 深夜はまだ少しだけ続く、ミクちゃんと一緒にやるFPSは、何処か懐かしさがこみあがって。

 

 ココアの味が少しだけ、いつもより違った気がした。

 

 

 

 

 さーて!今日も張り切っていこうか〜〜!

 

 っとと、張り切りすぎるのもいくない、適度に、そしてわたしらしくやろう。

 

 つおったー+での集計の結果、今回やるジャンルは協力型アクション、家庭用ゲームからパソコンへ、パソコンからVRへと土壌が動いた今。

 

 その名を知らない者は居ない、アクション界の王道、ハンティングアクションの産みの親をプレイする事になった。

 

 狩猟ゲーとも呼ばれる今回のゲームは、予め参加する人は全員が同じデータ、つまり初めからを選択してとお願いしてある。わたしも新鮮な気持ちで初めからするつもりだ。

 

 配信準備は整った、後は配信開始をクリックするだけ。

 

「にゃろはー!……なぎちゃんだよ、今日もたのしもうね」

 

『にゃろはー!』『はおー!』『始まりました今日のなぎちゃん』『かわいい』『かわいい』『生初めてだ』『うおおおおお!』

 

「生放送初めてのなぎ民もいるの?来てくれてありがとう、楽しんでくれるとうれしいな」

 

「さて、今回はつおったー+での集計の結果、みんな知ってる例のゲームをするよー!実際やったことないって人でも、名前ぐらいは聞いたことはあるんじゃないかな」

 

『この道は避けては通れない』『沼の始まり』『やっぱこれだね』『このゲーム以外した事ない』『実はやったことないです…(ボソッ』『パソコン版はやったことないなー』

 

「勿体ぶってないで早速始めるか!狩りの始まりだ!うおおおおおお!」

 

『うおおおおおお!』『うおおおおお!』『一体何が始まるんです?』『知らないのか、一方的な狩りごっごだ』『楽しみだね』『この日の為にパソコン買った』『行動が早い』

 

 説明しよう!このゲームは古今東西、100年以上の歴史のあるゲームの一つ!狩りゲーを世に知らしめた。その名も「ブレデターハンター」

 

 幾千種類もある膨大なプレデターの数々!強大なクマ、凶悪なミュータント!破壊の化身、ドラゴン!それらを倒すは我らがプレイヤー!

 

 今回はストーリーをするつもりはないのでその説明は不要だろう、最大四人プレイまで可能のこのゲーム、まだ始まって間もないのに視聴者数800人前後がデフォになって来た今となっては、溢れる人も居るだろう。

 

 だけど、なぎ民同士でゲームを通して交流が出来る、わたしも、わたしと一緒に狩りをする三人以外も、たのしんでくれるはずだ。

 

「先着順だからね、わたしと一緒にやれなくても、他のなぎ民と、なぎ民同士で狩りに行く事もできるから、仲良くやろうね!」

 

『なぎちゃんまじ天使』『なぎちゃんの隣は貰います』『俺の俊足についてこれるかな』『オタク特有のクリック速度に勝てるとでも?』『仲間外れは…寂しいもんな』『実は初めてなんだ、教えてくれ』『いいよ』『いいよ』『なぎ民、優しい』

 

「にゃーし、サーバーたてるよ、なぎ民あつまれあつまれ」

 

『あつまうー』『あるまるー』『あつまるおー』『なんだこいつら』『なぎちゃんの真似すんな』『所で今日もおぱんつは白?』『ドロワでしょ』『業が深い』

 

「わたしは薙刀か長弓に迷ったけど、薙刀にしようと思うよん、スタイリッシュなわたしを魅せていくにゃー」

 

『かわいい』『かわいい』『かわいい』『おくちわるわる回確定』『スタイリッシュなぎちゃん』『長弓は地味強だからなあ、配信映えはね』『なぎちゃんだから"薙"刀ってか』『は?』『は?』『有罪』

 

 ……すこし上手いって思っちゃた、声に出さなくてよかった。

 

「よーし、さっそく人が集まりました…エリックさんとおにいちゃんさん……あーあー!謀られた!最後の一人は……ミクちゃん、いつも来てくれるね、ありがとう」

 

『エリーーーック!』『お兄ちゃん、有能』『ありがとう』『あ、無能だ』『ありがとう』『有能一人しかいないじゃん』『なぎ民多くね?』『パソコン勢思ったより多いなぁ』『よろしくお願いします』『俺の所になぎパパって名前の来たんだけど』『有能無能、無能!』

 

 エリックさんはハンマーでおにいちゃんさんはボウガン、ミクちゃんは〜〜、二槍ランスかぁ、上級者なのかな?FPSも上手かったしゲーム上手なんだろうなぁ。

 

「三人ともよろしくね、さっそくだけどクエストいくよー!最初の討伐クエストはあしら丸、今の装備でも充分倒せると思うし、がんばっていこう」

 

『あしら丸かあ』『全長3.5m!白い毛玉に覆われた一角うさぎのような外見をしているが、恐るべきはその繁殖性!仲間を呼ばれたら余裕で死ねる!』『説明乙』『有能』『初期装備でギギネブたそ倒してくるわ』『無謀、乙!』『逝ってらー』

 

「とりあえず二回狩りに行ったら、今のパーティーを解散させて別のなぎ民ともやろうと思ってるから、安心してね……?」

 

『この子が天使か』『やったー!』『うれしい』『今日はハーフパンツなんだね……ぺろ』『ちらももふとぺろ』『これがご褒美ですか』『最高だな』『上がって来た、ナニが』『ぺろぺろ』『段々と姿晒してきて好きだよ』『RECしたお』『有能』

 

「なっ!あ、この……!つ、次からは着ない!さいてい!さいてい!もう……」

 

『ご褒美』『かわいい』『ありがとう』『ありがとうございます』『ののしりなぎちゃん』『好き好き〜!』『ありがとうございます』『REC完了』『新素材』『致せる』

 

「三人とも準備できた?行くよー」

 

 ステージは森林、森林地帯はエリア8つと狭いけれど、すこし複雑な構造になっていて、エリア1からエリア6に行けたりする。

 

 大きなミスや故意的な邪魔をされたりしたら、ボスのいるところまで一人で行く事になったりすることもあったり。

 

 まぁそんなことしないよね……しないよね?するなよまじで。

 

「協力プレイだと敵の性能が三倍になるんだよね〜、だから協力しないと普通に勝てないから、がんばってよ〜マジで、特にエリックさん、おまえだぞ」

 

『草』『草』『本当は有能って信じてるから』『背負ってんぞエリック』『名指し草』『がんばれ』

 

「ミクちゃんずっとわたしに付いてきて和むんじゃ〜、エリアに蔓延る雑魚エイリアンはおねえさんにまかせなーさい!」

 

『デートか?』『ゆりゆりデートか?』『今のなぎちゃんはおっさんだぞ』『おっさんなのか美少女プロゲーマーなのかはっきりしろ』『寧ろおっさん二人の可能性が微レ存』『この世の地獄』

 

 ミクちゃんはおんなのこだぞ!少なくともわたしは絶対にそう信じているから!

 

「おにいちゃんがあしら丸見つけてる……わたしのおにいちゃんなら一人で余裕だよね?わたしの助けはいらないよね?エリックさんと二人なら問題ないよね、わたしはミクちゃんと森林デートするから、よろしー?」

 

 『草』『助けて』『即落ちエリック』『2コマで死ぬ男』『なぎ民が濃すぎる』『報復されてて草』『すみません…すみません』『わりと奮闘してて草』

 

 いい気味だぜ、まぁ仲間呼ばれて討伐増えるのも面倒だし、しかたないなぁ手伝いに行ってあげよう。

 

 森林をかき分けてエリアを移動する、森の中にボウガンの音が木霊する、その音を頼りに向かっていくと、そこには一人のハンターが全長3.5mの毛玉と戦っていた。

 

 赤い瞳は捕食者特有の鋭い眼つきを持っていて、その分厚い毛玉に押し潰され容易に埋もれ死ぬ事が想像出来るだろう、しょうじきこのゲームのVRとか、パソコン版よりむずかしいんじゃないかな?

 

 補助機能とかで大分やりやすくなるんだろうけど、実際どうなんだろう。

 

 いつかはわたしも、VRでなぎ民と一緒にやる日が来たりするのかな。

 

「ってもうすでに仲間呼んでんじゃんか?おーいっ……まぁ一匹増えようが脅威じゃないですし?」

 

 『イキリ』『これはイキなぎ』『かわいい』『ボウガンの立ち回りええなあ』『おにいちゃん、まさかの有能!』『お兄様、なぎちゃんを僕に下さい』『ダメです』『ぼくのだぞ!』『認めません。わいの娘やぞ』『私の娘ですよ』『こん無能、放置してないで回復してくれ』『仕方ないですね』

 

 薙刀は一撃の力が重いパワー型だ、それでいて機動力もあって初心者から熟練者まで気軽に楽しめる、欠点と言えば攻撃モーション中に回避ができない事だろうか、緊急時に他の動きが出来ないのは、わりかしきびしい。

 

「っおら!たおれろっ!……って危な、おにいちゃんのボウガンで吹っ飛んでなかったら攻撃食らってたー」

 

 回転しながら薙刀を振り回す、乱舞からのバックステップであしら丸の俊敏なひっかき攻撃を華麗に避ける、わたしがヘイトを稼いでいるうちに、ミクちゃんが後ろから突撃とつげきひたすら突撃!二槍ランス特有の攻撃しかかんがえてないモーションすき。

 

「うおお……爽快だなあ、ところでエリックさんは?……あ、もう一匹と戦ってる、がんばれがんばれ」

 

『録音成功した』『エリック、ありがとう』『エリックが無能で助かった』『やっぱゲーム上手いよなぁ』『ミクちゃんの二槍ランスの動きエグいが』『なぎちゃんのつよつよ薙刀』『よう連携出来てんな』『一人だけHP赤なの草』

 

「っこれで……よし、やったやった!あと一匹だよ……仲間呼ばれる前に倒せそうだね」

 

 おにいちゃんのボウガンの放つ大砲があしら丸を大きく仰け反らせ、その間にエリックさんが宙を飛び頭のてっぺんを大きなフルスイングで強烈な一撃を浴びせる。

 

 地面に叩き落とされた所をわたしとミクちゃんで連携を組みながらひたすらに攻撃していき、そして。

 

「っや〜〜た!倒したぞ!お疲れ〜……いやぁ、三人とも上手いなぁ、一人でやってたより大分早く終わったよ、あ、素材剥ぎ取らないとね」

 

『うおおおおおおお!』『おめ』『おめ』『流石に早いな』『ゲームうまうま』『VR版とどっちが良い?』『流石にVR版かな』『どっちも楽しいぞ』『臨場感の差がね…』

 

 討伐終了のカウントタイムが0になり、リザルト画面が流れ、集会所に戻る、さーて次は何のクエストをやろうかな〜〜、少しきびしいけど大猪とかありだなぁ。

 

「って、ミクちゃん?何々?わたしたちならリオドラゴンいける?ま、まぢ………?」

 

『お』『あっ……』『これはプロゲーマーの見せ所』『やっぱ強敵倒してこそでしょ』『ナイス提案ミクちゃん有能』『リオドラゴン!空の戦士と言われる下級ドラゴンだが、空からブレスを吐いたり縦横無尽な攻撃をしてきたりと、別名初心者殺しとして有名である!』『説明乙』『この流れさっきも見たぞ』

 

 ま、まじでいってるのか…?いやいや、初期装備だし、うう……でも確かに三人とも上手いしカバーし合えばなんとか…?いやエリックさんには荷が重すぎるかもしれないけど。

 

「ぬ、にゃ……じゃーやってやろう!強大な敵を倒してこその狩人ですから?わたしたちで偉業を成し遂げるよ!三人とも良いな?やるぞ!」

 

『かっこいい』『登録者2000人おめでとう…(ぼそっ』『これはプロゲーマー』『視聴1500人いったぞ』『初見』『おめでとう、なぎちゃん』『どんどん有名になってきておじさん嬉しい』『おじいちゃん面するな』

 

 ってうえあ?1500人突破?せせせせんごひゃく?や、やばい……緊張してきた…顔があつい……うう。

 

「ぁ、ありがとう……い、今から見てくれているってなぎ民も、楽しんで……い、いくでございますですよ……?!」

 

 リオドラゴンの生息地はさっきと変わらず森林フィールドだ、ただ2エリア程増えているので、その分さっきより索敵の時間が増えるかな。

 

「って早速エリック奈落に落ちてんじゃねえか〜〜!本当にわたしたちで倒せるのか……あ、やられてる」

 

 出オチみたいなやられ方が多すぎないか〜?……この人やっぱりゲーム下手なのでは?

 

「おにいちゃんが助けに行ってる……ん、どうしたのミクちゃん、その下にいたりする?」

 

『索敵うまい』『有能』『有能』『ミクちゃんプロゲーマー説』『熟知してねえとこんな早く探せねえぞ』『とことこついてくなぎちゃんかわいい』『奈落…蹴落とし…パッチ…う、頭が』『やめろ』『ほら、金が必要だったから…』

 

「うおー、寝てるじゃん、二人呼んで先制攻撃出来るよ、ナイスミクちゃ…………ん?なんだそのエモート、てかちょっと近いよ?近すぎるよ?な、なにさ……そ、そんなに近づかないでよ……ぁう」

 

 ドン、そんな小さな衝撃音とともに、わたしの体が宙に浮く。

 

 って、え?

 

「うにゅにゃあぁあ!なな、な!?蹴落としやがったこいつ!おい!ばかなにやってんだ!頑張れじゃねえんだよ!あああ起きちゃったじゃんかぁ?!」

 

『草』『草』『やっぱ腹黒だろ』『コントか何かですか?』『落ちる女、なぎちゃん』『協力プレイで良くやられる奴』『めっちゃ動揺してて草』『リトラスで見た』『相性良いなぁこの二人』『生で見れて大変満足です』

 

「ほぇ〜〜無理無理、勝てないから勝てないからぁ!さっき言ったよね敵の性能三倍になるって!上で見てないで助けてよ!ってうおおい何座ってんだ高みの見物ってか!?ひぇっブレス掠ったあ!」

 

「ほんとやばい負けたくないけど負けるって………おい!エリック?!どこだエリック!死んでないで早くきてくれ!わたしをたすけて!なうあぁ……エリックはやく!」

 

『笑いが止まらない』『これが新手の腹筋を割る方法ですか』『エリック……』『名前で呼んでもらいてぇなぁエリックうらやま』『ご乱心なぎちゃん』『すげえ避けてる』『神回しか作れないなぎちゃん』

 

 やばいってぇ……薙刀使いは残機ないんだよお…っああ、黄色までHPが…負ける負ける、本当に負けてしまう。

 

「や……やだ、負けたくない、勝ちたい……お、おにいちゃん!わたしのおにいちゃんなんでしょ?!たすけて!おにいちゃんたすけて!早くきて!来い!来いよォ!エリックは見捨てて良いからわたしを助けろォ!」

 

『草』『かわいい』『おくちわるわるなぎちゃん』『おめめぐるぐるなぎちゃん』『なぎちゃんのおにいちゃんなら隣で寝てるよ』『ミクちゃん、渾身の高笑いエモート』『あ、HP赤になった』『くしょざこなぎちゃん』『誰も助けに行かないのかわいそうかわいい』『かわいそうかわいい』

 

「あ…回復弾、おにいちゃん?来てくれたんだね?おにいちゃん!あぁ……危なかったよお…行けっ、やっちゃえおにいちゃん、倒しちゃえ!わたしのおにいちゃんなら出来るよ!二人で倒そう!」

 

『エリック、戦闘不能!』『あいつ残機3もあったのに……』『公認おにいちゃん』『ご馳走様です』『さも助けに来たかのように降りてくるミクちゃんさん』『なぎ民のキャラが強過ぎる』『なんだ、今日も神回か』

 

「やべ、ミス出来ねえ、普通にドラゴン強え、でも三人なら……ってあー!おにいちゃん食べられた…おにいちゃん?捕食され……つかえねえなぁ!おにいちゃんなんかじゃない!偽兄だよぉ!」

 

『草』『草』『おにいちゃんかわいそう』『流石に同情した』『すまない妹よ……』『あ、偽兄だ』『奮闘した方だけどな』『まぁ流石に無謀過ぎたか』『二人で勝てるか?』

 

 くっそ……わたしとミクちゃん二人で勝てるのか?全然体力減ってないよな……いや!わたしたちなら、二人ならきっと!

 

「ってあぁ…ミクちゃん飛ばされた……星になった……終わった。むりだよぉ……一人じゃむりぃ…誰かたすけて」

 

『わざと死んだな』『わざと死んだね』『なぎ民は芸人の集まりなのか?』『なぎ民芸能』『ありそうで草』『ひとりじゃむりななぎちゃんかわいい』『かわいい』『あ、食べられた』『捕食END』『滋賀県みたいだぁ……』『なんでや!この前一斉駆除したやろ!』

 

「もぉ……ふふ、でもたのしいしいっか……仲良くやれたならそれで……って認められないよ!リベンジだ!ごめん、もっかいやらせて!ぜってー勝つ……本気出せよミクちゃん!偽おにいちゃん!」

 

『エリック…?』『忘れ去られたエリック』『認知されないエリック』『可哀想、でも妥当』『最初から三人でした』『エリック、とは』『楽しそうで安心した、なぎちゃん頑張れ』

 

 あれ、このコメント……

 

 いま、見てくれてる?は、恥ずかしいな……ああでも、嬉しいな。

 

 って、見られてんのか…?わたしのふとももを…?ご、誤魔化せるか?!いや、んん……?!いけ、いけるか、無理か、なんとか……やばいどうしよう、うううう……考えるのやーめた!

 

「っしゃー!やるぞなぎ民〜〜!!」

 

『うおおおおおおお!』『エリック本気出してて草』『それでも弱くて草』『この流れ…延長しますね』『だとしたら何気に初?』『ギギネブたそ倒してきたわ』『は?初期武器で?』『狩人さんじゃん』『狩人さん、エリックと交換しません?』『草』

 

 人が増えるだけ、わたしのプレッシャーは増える、だけれど、だからこそかもしれないけど……わたしを知ってくれる人が増えるのは。

 

 なんだか言葉に出来ないけど、うれしいんだ。

 

「うおら!おらおら!修羅と化したわたしと三人のなぎ民になぁ!勝てると思ってんのかぁトカゲ野郎!落ちろ…落ちろぉ!」

 

『まるで虐殺』『最初からこうしろと』『それだとくしょざこなぎちゃんみれないだろ』『くそちゅよなぎちゃん』『あ、エリック落ちた』『PC版も良さそうやな』『いまから始めても人いる?』『手伝っても良いよ』

 

「っや〜〜っ、たー!勝った!勝った!優勝した!優勝したよ!優勝した!リベンジ成功だよぉ〜……三人ともありがとう、なんだかんだ1時間になりそうだから、1時間延長するよ、まだまだたのしもうね!」

 

 ああでもなんだか、やっぱりこの懐かしい感じ。わたしは何処かで知っている、体験している。

 

 …………今は配信中だから、この疑問は心の内に留めるとして。

 

「さーて、次はどんな人が来るかな……?あ、せっかくだし長弓に武器変えよう、ちょっとまってね………よし、準備完了なり〜、じゃあ募集するよー?」

 

 この配信(祭り)を精一杯楽しもう。




感想、誤字報告、評価その他諸々、いつもありがとう!感想のなぎ民のコメで……ぼくは癒されている(?)

次の話どう転ぶかな…(まだ書けてない)


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掲示板のおはなし。そのに

何も出さないのはアレなので。
例によって見たい人向けです。ほんぺは明日。


【なぎ民スレpart19】なぎちゃんをすこれ【3000人突破おめでとう!】

 

1:名無しのなぎ民 12:52:19

なぎちゃん登録者3000人突破おめでとう!

前スレはこちら。

次スレは>>885のなぎ民宜しく。

なぎちゃんのチャンネルはこちら。

なぎちゃんのつおったー+はこちら。

荒らしは宅配ピザXLサイズ10枚、度が過ぎるようなら住民ハック。

 

2:名無しのなぎ民 12:52:58

有能

 

3:名無しのなぎ民 12:53:03

有能

 

4:名無しのなぎ民 12:53:42

有能

 

5:名無しのなぎ民 12:54:28

ここがなぎ民の深淵ですか?

 

 

 

 

 

834:名無しのなぎ民 19:52:49

なぎちゃんの一番のおくちわるわる配信は?

 

835:名無しのなぎ民 19:52:58

プレハンの配信

 

836:名無しのなぎ民 19:53:42

リトラスの配信かなーやっぱ

 

837:名無しのなぎ民 19:54:07

リトラスはおくちわるわると言うよりくしょざこえちえちなぎちゃんでしょ

 

838:名無しのなぎ民 19:55:53

ほちょに好き、何回も達した

 

839:名無しのなぎ民 19:57:21

俺のなぎちゃんをそういう目で見るな……ふう

 

840:名無しのなぎ民 19:57:43

結局美少女だったな

 

841名無しのなぎ民 19:58:02

まだ顔出ししてないし早計だぞ

 

842:名無しのなぎ民 19:58:38

顔出しも時間の問題だと思うわ、楽しみ

 

843:名無しのなぎ民 19:59:02

顔出し配信が先か企業から案件来るのが先か

 

844:名無しのなぎ民 19:59:47

待っててなぎちゃん、パパが頑張って案件貰えるようにするからね。

 

845:名無しのなぎ民 20:00:20

有能無能か?

 

846:名無しのなぎ民 20:01:42

わいの娘やぞ

 

847:名無しのなぎ民 20:02:08

お父様、なぎちゃんを僕に下さい

 

848:名無しのなぎ民 20:03:52

お兄ちゃんが許しません

 

849:名無しのなぎ民 20:05:01

所で田中は愛知県の調査書書いたか?終わったら次神奈川な

 

850:名無しのなぎ民 20:06:21

なぎ民の闇、でも妥当

 

851:名無しのなぎ民 20:06:57

神奈川って言ったら、赤城財閥が最近なんか快挙果たしてたな

 

852:名無しのなぎ民 20:07:42

スレ違やぞ、んまぁアレは驚いたが、普通に生きてる俺にはピンとこない話だったなあ

 

853:田中 20:08:12

田中です…終わりました…神奈川行きます…その前になぎちゃんのアーカイブ見ます…

 

854:名無しのなぎ民 20:09:23

哀れ田中は置いといて、なぎちゃんの服装の話しようぜ、僕はやっぱハーフパンツかな、ぺろぺろ

 

855:名無しのなぎ民 20:09:25

ふとももぺろぺろ

 

856:名無しのなぎ民 20:09:27

ぺろぺろふともも

 

857:名無しのなぎ民 20:09:29

ふとぺろももぺろ

 

858:名無しのなぎ民 20:09:31

ほんとすこすこ

 

859:名無しのなぎ民 20:09:53

【速報】なぎ民、気持ち悪い

 

860:名無しのなぎ民 20:11:03

こいつら全員のけ民、なぎちゃんといえばちっちゃなおててだろ

 

861:名無しのなぎ民 20:11:06

マウスを持つちっちゃなおてて

 

862:名無しのなぎ民 20:11:09

サムズアップするちっちゃなおてて

 

863:名無しのなぎ民 20:11:13

あの手を繋ぎたい

 

864:名無しのなぎ民 20:11:17

くすぐりたい

 

865:名無しのなぎ民 20:11:47

なぎ民は変態集団の溜まり場だった…?

 

866:名無しのなぎ民 20:13:14

のけ民と一緒にすんな、なぎちゃんといえばテンション低い時のぼそぼそ声だろ

 

867:名無しのなぎ民 20:14:06

多分あっちが素だよね

 

868:名無しのなぎ民 20:15:23

まあ多分ひきこもりゲーマーだろうからなぁ……配信外でゲームやってるの割とあるし

 

869:名無しのなぎ民 20:15:49

誰に養ってもらっているのか気になる所、いいとこのお嬢様って割といい所突いてるんじゃないか?

 

870:名無しのなぎ民 20:16:04

んー、これは憶測に過ぎないが、親族からのバックアップでは無い。なぎちゃんが私財を動かしてる訳じゃないのは話の内容でわかる、だから友人とかじゃ無いかと、顔はわからんが、ほど良いスタイルで肌綺麗で白くて、えちえちふとももで話も上手いしくちょかわいいなら年収そこそこの友人なら養えると思うぞ

 

871:名無しのなぎ民 20:16:43

これは千里眼なぎ民、でもその辺にしとけよ

 

872:名無しのなぎ民 20:17:10

つまりなぎちゃんのパパになるには年収多く無いとダメと?

 

873:名無しのなぎ民 20:17:32

私の年収は1200万ある、問題ないな

 

873:名無しのなぎ民 20:17:39

は?調子のんな、俺の年収は700万だぞ

 

874:名無しのなぎ民 20:18:21

負けてんじゃねえか草

 

875:名無しのなぎ民 20:19:42

年収80万です助けて下さい

 

876:名無しのなぎ民 20:20:21

食うだけで精一杯かよ、仕方ねえなあデータ輸送会社紹介するからそこで働け

 

877:名無しのなぎ民 20:21:03

まじですか?命の恩人かよ…

 

878:名無しのなぎ民 20:22:21

なぎちゃんを通じて、一人の人間が命を救われた瞬間である

 

879:名無しのなぎ民 20:23:01

ハローワークと化したなぎ民スレ

 

880:名無しのなぎ民 20:23:52

ってあんたこの輸送会社、市立ゔぁーちゃる教団じゃねえか!何者だ!?

 

881:なぎちゃんの兄 20:24:02

何、なぎちゃんのお兄ちゃんさ…………

 

882:名無しのなぎ民 20:24:42

 

883:名無しのなぎ民 20:24:45

 

884:名無しのなぎ民 20:24:58

なぎ民、有能多い説

 

885:名無しのなぎ民 20:25:28

エリックぐらいしか無能おらへんやん……

 

886:名無しのなぎ民 20:26:07

田中も無能だぞ、ついでに俺も。

 

887:名無しのなぎ民 20:28:53

>>885

次のスレ立て君やで、ほなよろしく

 

888:名無しのなぎ民 20:29:21

はいりょーかい。なぎちゃんの声でASMRか台詞リクエスト配信してほしいなあ

 

889:名無しのなぎ民 20:31:04

3000人突破記念に台詞配信やるって聞いたよ、今募集してる最中だしリプして来なよ

 

890:名無しのなぎ民 20:32:31

へんたい!へんたい!おにいちゃんなんて最低!へんたい!って送った、呼んで欲しいなぁ……

 

891:なぎちゃんの兄 20:33:32

なぎ民、有能。多分その日いないからRECよろ

 

892:名無しのなぎ民 20:33:42

アーカイブは残るのに何に使うんですかねぇ……

 

893:名無しのなぎ民 20:34:44

あっそうだ、なぎちゃんのMAD動画出来てたよ、癖になるから聞きに行け

 

894:名無しのなぎ民 20:36:03

報告あり、早速見に行ってくるわ

 

895:名無しのなぎ民 20:37:13

MAD聞いてて思ったけどまだお歌配信ないな

 

896:名無しのなぎ民 20:38:07

台詞リク終わったら30分延長して歌うって、おまえらつおったー+ちゃんと見ろ

 

897:名無しのなぎ民 20:40:21

つおったー+入れてねえ……アカ作るか

 

898:名無しのなぎ民 20:41:01

てかちょっと待って?>>868 さあ、その言い方だとなぎちゃんと一緒に配信外でゲームしたってことか?

 

899:名無しのなぎ民 20:41:07

は?

 

900:名無しのなぎ民 20:41:10

は?

 

901:名無しのなぎ民 20:41:14

屋上

 

902:名無しのなぎ民 20:41:17

これは許されない

 

903:名無しのなぎ民 20:41:35

すまんなお前ら!なぎちゃんとミクちゃんとで一緒にゲームやりながら食う飯は美味かったわ!がはは!

 

904:名無しのなぎ民 20:41:55

住民ID控えたからなお前……覚悟しろよ……米印の牛乳直通で送ってやるからなお前…

 

905:名無しのなぎ民 20:43:02

わいもダメ元で誘ってみたらOK貰って一緒にアクションゲーしたし、ままええわ

 

906:名無しのなぎ民 20:43:17

905。有罪!

 

907:田中 20:43:37

実は僕も一緒にゲームして貰えました、楽しかったです。

 

908:名無しのなぎ民 20:43:49

田中お前まじで許さねえ

 

909:名無しのなぎ民 20:44:08

黒曜石の剣取り出して来た、VRフィールドなんて生ぬるい、滋賀県で会おう

 

910:名無しのなぎ民 20:44:24

レールガンは好きか?ATシールドの準備は?化学兵器にがたがた震える準備はOK?

 

911:名無しのなぎ民 20:44:39

まーた滋賀県が戦場になるのか……じゃあ、忍びの末裔の俺も行くからさ!覚悟しろよ〜?

 

912:名無しのなぎ民 20:45:02

血の気が多すぎる……これがなぎ民?

 

913:名無しのなぎ民 20:45:37

ゲームしてる時のなぎちゃんもおくちわるわるだし、類民でしょ

 

914:田中 20:47:31

田中です…まだ死にたくないので本気で抵抗します…行ってきます…

 

915:名無しのなぎ民 20:47:57

草。滋賀県の中継カメラ久々に動かすか〜

 

916:名無しのなぎ民 20:48:02

田中、死す!

 

917:名無しのなぎ民 20:50:11

なぎ民は今日も平和です。

 

 

 その日、久しぶりにつおったー+で滋賀県がトレンド一位に乗った。

 

 そう、なぎちゃんのつおったー+の登録者が3000人を突破した日と同じなのであった。




感想。評価、誤字報告等いつもありがとう。

なぎちゃんの放送を見るために、小説を書くとか言う謎。わいは何を……?


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ななわめ!

そろそろ話が進むよ。


 プレデターハンターの配信から早くも一週間と3日ぐらい経って、その間わたしはなぎ民とみんなと配信で交流した。

 

 一昨日はチャンネル登録者も3000人を超えて、昨日はつおったー+のフォロワーも3000人を超えて、油断すると気絶しちゃうんじゃないかってぐらいだ。

 

 でも、なんだろうな、少なくとも始めた時よりはメンタルが鍛えられた気がする、一歩一歩ってわけじゃないけど、わたしは配信を通して人として成長を実感できているようになってきている。

 

 ……まあ、相変わらず外には出れないし、VRフィールドにも顔を出す事はないけれど。

 

 親友にはまだ、わたしの体の事は言えていない、流石にそろそろ誤魔化しの利かない所まできているのはわかってる。如何にかしないといけない事についてもだ。

 

 ……実を言えば、多分。司は、受け入れてくれる。

 

 だけど、だからって、言えるか言えないかの話にはならない、だって怖い、万が一何か、拒絶されたら?距離を置かれたら?それが最後の会話になったら?

 

 わたしは自分自身を信頼出来ていないんだ。だから、言えない。そんな恐怖にやられて、何も言い出せない。

 

「……ほんと、最低」

 

 配信している時は、たのしい。なんでかは具体的には言えないけど…全てが忘れられるようで、気楽に、わたしを引き出せる。

 

 でも、一人の時は、こんなにも心細いんだ。

 

「……この記事、親友の…?」

 

【赤城財閥、盗まれたパァールツヴァルシュ号の設計図を発見する】

 今年某月、南アジアにて世界的問題、日本の技術革命の始まりであったパァールツヴァルシュ号、設計図の一部を発見したそうだ。

 各世界に散らばった部品とオーパーツの数々、それらの大半は日本に返上されたものの、今回の例の様に某国で制作、核に匹敵する何かを作り出そうという憶測が広まっている。

 焦土兵器の所持以来、日本は他国と三歩上の次元へと向かったと言われた、その溝を埋めるのはまだ、時間がかかるのかもしれない。

 別の話になるが、昨日の滋賀県で唐突に始まった市民同士での戦闘行為はこれらとなんら一切関わりはない。

 幸いにも死者は出ず、戦闘解放区域とはいえ、滋賀県を掃除する私達の身になって欲しいと心から思う。

 

 市立ゔぁーちゃる教団、清掃部より。

 

 

 赤城財閥、100年前に地球に降り立ったパァールツヴァルシュ号の船員の一人、赤城名人の御子孫達…らしい。その革命的な技術力、VRフィールドの生みの親として有名だ。

 

 親友はこの財閥の運営している企業で働いている……本来はわたしも、居たのかな。どうなんだろう。

 

 仕事の上司……か。

 

 もしかして、管理人さんってこの財閥家の人なのかな、だとしたらこのマンションを所有する財力はあるだろうし……まあ、なんでこのマンションなのかは、わからないけど。

 

 てか最後のこの文章なんだろ……なんか、他人事のように思えないんだけど、何故なんだ、今すぐ謝りたくなってきた。

 

「……危ない橋、渡ってるのかなぁ」

 

 親友の事だから大丈夫だろうけど、心配になるな、会いに行きたいけど……会えない、こんなんじゃあだめなのに、後一歩が踏み出せない。

 

「……メールきてる」

 

 ソレスタルビーイングさんからだ、ていうか何でメールなんだろう?確かにつおったー+ではこの人らしい人は見てないけど、なんだか不思議。

 

 それに私のメールアドレスは……ああいや、そっか。SSS社とは過去に少しだけ関わりがあったんだった。

 

『なぎちゃん、君のパパだよ〜。

さて、本日は少し真面目な話をさせて頂きたいと思います、DEAD・CASLの放送以降何か私になぎちゃんの力になれるかと思案し、権力を存分に使った所、新作ゲームのデモプレイのプレイヤーにと、OKを貰えたので実演をお願いしたいと思うのですが。如何でしょうか?

なぎちゃんは見た所対人に難ありのくそよわメンタルですから、本社に来て貰わなくても構いません、こちらで新作ゲームのデータを送りますので、明日の配信にやって頂けると嬉しい限りです。

なぎちゃん、どうかな、パパ頑張ったけど、やってくれるかな』

 

 ……いやいや。まず整理をさせてほしい。

 

 確かにDEAD・CASLを一人で作ったお偉いさんなのは、わかってたし、そこそこ上の立場の人なんだな〜、もしかしたら何か案件貰えたりするのかな?って思ってたけどさ。

 

 新作の!?デモプレイ!?配信で……!?

 

 VRゲームみたいだけど……いやいや、そこじゃない!突っ込み所はそこじゃないよ!

 

 ってパパじゃないよ!いい加減諦めてよ、毎回毎回懲りないなぁ全く。

 

「……受けない理由はないけど、ないけどぉ……実際にこうなってみるとしゅごいこわい…え、わたしでいいの?デモプレイって事はSSS社の人たちも観にくるよね…うわあ、下手なこと言えないじゃんかぁ……ああやば、今緊張してきた。な、なんて返せば……」

 

 ええっと……ええっと……?

 

 と、取り敢えず……ありがとうございます。先ずあなたはわたしのパパじゃないです。本当に嬉しいのですが、わたしなんかで宜しいのでしょうか?っと……これでいいかな。

 

 わ、直ぐに返事返ってきた。

 

『反抗期かな?パパは悲しい。

もちろんです。他でもないなぎちゃんだからこそ、やって欲しいんです。如何ですか?』

 

 ……そう言われると、嬉しいじゃないか、拒否なんて出来るはずはないじゃんか。

 

「わかりました。やらせて頂きます、……反抗期でもないよっ!」

 

 もう……でも一度ぐらいは言っても……良いよ。

 

 しょうがないなぁ、没にしようと思ったけど、こんな嬉しい事されたら無視出来ないじゃないかよ。

 

『ありがとうございます。では本社の方でも大々的に発表しますね、視聴者1万人は軽く超えるようセッティングします。』

 

 ひょえ?

 

 ままっまって!ちょっと待って!

 

 有能無能偽パパとメールで話した結果、配信の終わりにわたしが宣言して、配信が終了したらSSS社から発表する事になりました。

 

 

 

 

 配信準備が完了する。

 

 今日の配信はマキシスカートを着てみる事にした、大人らしい清楚感がある服に仕上がってると思う。ハーフパンツはもう着ないんだから。

 

 つおったー+で宣言した通り、今回は登録者3000人突破記念と言う事で、台詞リクエスト生放送だ、思えばこういう事はしたことなかったので、緊張というよりも恥ずかしい気持ちの方が強い。

 

 ってか…要求する台詞ほとんどが恥ずかしいものばっかだよ、なんだよ僕とデートしている時の台詞って、そんなの没です〜!ぼつぼつ!

 

 ………まぁでもこうして台詞をくれるのはありがたい、待機しているなぎ民の数はもう2000人を超えてる……ああもう、見ないようにしよう!じゃないと出来ないよ。

 

 いや、まぁ、明日になるとこの数倍の人達が見にくると考えると、うぅ………。

 

 き、切り替えよう…時間だ。たのしんでもらおう。

 

「ぴーす!自称プロゲーマーなぎちゃんだよ、始まるよ〜」

 

『うおおおおおお』『1コメ』『なぎちゃん〜!』『3000人突破おめでとう!』『なぎ民も多くなってきましたね』『台詞楽しみだ』『いやー今回も楽しみだね』『あれなんか声震えてない?』『緊張でしょ』『毎回してて草』

 

「3000人突破ありがとう!本当に、本当に…うれしい。みんなのおかげで……わたしは今が楽しいよ、ありがとう…」

 

『かわいい』『好き』『好き』『こちらこそありがとう』『生まれてきてありがとう』『こっちの台詞だ』『ロングスカートの清楚感すこ』『備考、中は白』『清楚系プロゲーマーなぎちゃん』『なぎママ……?』『業が深い』

 

 ふっ……外れ、今日は白じゃないんだな〜。甘いぞなぎ民。

 

「さて、今日はゲームやらないよ〜、ゲーム配信を楽しみにしてた人はごめんね、でも見てくれると嬉しいです」

 

「じゃあ何をやるかと言うと、つおったー+で言った通り、台詞リクエスト配信をしようと思います!」

 

『待ってた』『待ってた』『覇道の九十六……』『やめないか!』『台詞見てくれたかなー』『プロゲーマー(台詞配信)』『まあ自称やし……』『変なもん送ってないだろうな』『パパお仕事頑張ってって送りました』『有能無能、有能!』『それ没にされてるやつやん』『やっぱ無能!』

 

 ……やっぱ読むのやめようかな。

 

 いやいや、流石にそれはやっちゃいけないよね、やり遂げないと……それに、こういうのやってみたかったし、声優さんみたいでなんかかっこいい。

 

「じゃ〜さっそく読むよ〜!……じゃあ先ずはなぎ民古参人さんから『射線上に入るなって…わたし言わなかったっけ?』…はい。様付けしたくなる台詞ですね」

 

『草』『草』『なぎちゃんボイスでやるとなんか、こう』『こわくないかわいい』『かわいい』『ぼきは怖かったです…』『読んでくれてありがとう…』『実際火力は高いんだよなぁ』『Gシリーズもいつかやってくれるかな』

 

「やる予定だよ!……シリーズ全てを持ってる訳じゃないから、全部は出来ないけど、わたしの華麗な神殺しをいつかみせてやるからな〜?」

 

「続きましては、なぎちゃんの兄さんから…ってお兄ちゃんじゃないからぁ!……『お兄ちゃん?朝ごはん出来たよ〜?起きて起きて、お兄ちゃ〜ん』……あぁ……恥ずかしいってこれ…」

 

 は、はっずかしすぎる………!なんだこの羞恥プレイ!?これぐらいならまあ良いかって選んだわたしは何を考えていたんだ!?

 

『ご馳走様です』『あぁ〜』『これは起きるわ』『絶起する』『お兄ちゃん起きるお!』『なぎ民のお兄ちゃん面率』『はずかしなぎちゃん』『体震えて草』『これはご褒美』『最高か?』『RECした』

 

「よし、パッパと行こう、パパッと、素早く終わらせよう、……こんなに恥ずかしくなるもんだって思わないよ〜……」

 

「……えー、無名の傭兵さんから『この先は通さねえぜ、わたしがいるからなァ!』……くぅ〜!言ってみたい!かっこいい!寧ろ言われたい!ありがとうね〜」

 

『かっこいい』『いつか絶対似たようなの言う』『アーカイブ探したらありそう』『平常運転』『これはかっこいい』『かっこいい』『一番まともな台詞では?』

 

「ほんとだよ!みんなまともに、それでいて普通の台詞送ってってつおったー+に書いたよねぇ?!なんでわたしの言うこときけないのさぁ……」

 

『反省しろ』『反省しろ』『いじられなぎちゃん』『卑猥な文おくった奴、手あげろ』『ノ』『よーし、君はのけ民だ!かえっていいよ』『そんなー』

 

「か、かえらなくていいよ!……それに、実際はそんなに卑猥なの送られてないからね、みんなわかっててわたしは嬉しいよ、ありがとう」

 

「続いては〜……あ、ユーさん!いつも動画編集ありがとう、でもでもっ…よわよわなぎちゃんってタイトル何さ!こわがりなぎちゃんとか、見てるからな?」

 

『草』『草』『草』『おこおこなぎちゃん』『なぎちゃん動画上げてるのユーさんなんか』『半分ぐらいそうやで』『有能』『毎秒動画編集して投稿しろ』『早く次のMAD作って?』

 

「台詞言うよー…『ちゃお!世界初、自称プロゲーマーのなぎちゃんだよー!』……なんだか懐かしい、初回放送の時の始めの挨拶だよね、最初から見てくれていたの?嬉しいです、ありがとう」

 

『泣きそう』『まだ2週間ぐらいしか経ってないんだなぁ』『投げ銭明日出来るぞ、準備は出来たか?』『金の貯蔵は充分だ』『まだまだ伸びるぞ、頑張れなぎちゃん』『遠くない未来に1万の数字が見える見える…』

 

 その後もどんどん読み続ける、中には少しあぶないものもあったが、諦めの境地でやり遂げた。

 

 台詞一つ一つに反応していたら、意外にも時間は早く進むようで。

 

「じゃ〜、はぁ…そろそろ……ふぅ、次の、質問!……ミクちゃん?見てるかな?今回もありがとうね」

 

『お』『公認百合ってまじ?』『なぎミクいいぞ〜?』『ミクなぎでしょ』『息切れしてて草』『なぎちゃんの息切れボイス』『えち』『妹ボイスにやられたか』『お姉さんボイスなんてなぎちゃんには難し過ぎたんだ……』『なぎコピペ自分で言ってた時がピークの終わりだぞ』

 

 台詞の内容に目を通し、想う。

 

 でもそれは、決して良い感情だけでは無く。つい配信していることを忘れそうになった。

 

「……ん、良し、言うよ?……『先輩、わたしの事、覚えていますか?好きです』……うん。後輩シチュは今まで来なかったな、なんだか儚くて、寂しいね」

 

『好きです録音した』『くれ』『くれ』『俺も録音した』『先輩の所すこすこ』『なぎちゃんが後輩……?』『変な声出た』『出た鼻血で貧血起こした』『あぁ〜儚げでかわええんじゃ〜』『今までで一番感情がこもってた』『これは100点』

 

「じゃあ、次行こっか……ってもうそろそろ時間だね、じゃあ最後……仕方ないから言ってあげるよ」

 

「有能無能さんから、『パパ、お仕事頑張ってね?』…無理しない程度に頑張ってね、倒れちゃダメだよ、実は心配してるんだからね、頑張ってねパパ」

 

『うおおおおおおお!』『まさかの』『こんなん昇天モノやん』『ご褒美が過ぎる』『有能無能、優勝!』『なぎちゃん……ありがとう…ありがとう』『苦労が報われたな』『ピザ10枚送ってやるよ』『今日は焼肉なので』『草』

 

 あ〜〜顔真っ赤だよまったくよぉ…今回だけなんだから、次は言わないんだからね。

 

「さて、そろそろお別れの時間……ですが、ちょっと大きな告知させてください」

 

『お?』『お?』『なんだ』『ついに顔出しか?』『麗しき御尊顔を拝し奉れるか?』『ついに全身見せてくれるのか?』『逸りすぎだぞなぎ民』『おさえろ…おさえろ…』

 

 ……VRに接続するってことは、全身のトレースを済ませないといけない、全身を擬似電子体に組み込むとするなら……まあ、そういう事に繋がる。

 

 正直、良いかなって。まだ他人と話すことはむずかしい、だけれど、なぎ民と話すのは好きだから

 

 親友には色々、言わないといけないことがあるけど、多分司は何も言わない、わたしから言うのを待つはずだ。その好意に甘える自分が情けないけど、でも……これだけはそんな簡単に、割り切れないよ。

 

「実はSSS社のおえらい人からの依頼が来ました!……明日の配信で新作ゲーム、『ロストデイメモリー』のデモプレイをしようと思いますよ!わたしの初のVRゲーム配信がまさか企業さんからの依頼なんて夢にも思わなかったよ……詳しくはSSS社のHPに書いてあるので、読んでね!肝心のゲームのあらすじなどもそちらに載ってます!……これでいいのかな」

 

『うおおおおおお!!』『今日は祭りじゃ』『まじ?SSS社と?なぎちゃん?』『こりゃ明日視聴者5桁行くな』『行くね』『丁度興味持ってた』『開発もうそこまで進んでたんか』『なぎちゃん初のVRか〜!』『電子体になるプロゲーマー』『眠れないわ今日は』『良かったねなぎちゃん』『おめでとうなぎちゃん』

 

「うん……うん!本当に嬉しい!この場をお借りして、ソレスタルビーイングさん!本当にありがとう……たまになら、パパって呼んだげる、たまにだよ」

 

『うおおおおお!』『娘の反抗期が……ついに…!』『公認有能無能パパ』『これはパパ』『有能パパ』『パパありがとう』『有能無能、そんなに偉かったんか…』『もしかして部長…?』『うむ、いかにも』『仕事自分に丸投げしないでくださいよ!』『コメントでコントするな』『娘さんを僕に下さい』『有能無能、完全勝利!』『パパにクレーム送った』『ぐう畜なぎ民いるぞ』

 

「じゃあ今日は〜……もう少しだけ続くよ!」

 

「みんな、わたしの歌を聞けーーーっ!」

 

『うおおおおお!』『うた!?』『まじで祭りやな』『のりのりなぎちゃん』『テンション上げてけ』『上げてけ』『歌!?』『なぎちゃんのおうた…!?』『うおおしか言ってない奴いるぞ』『動画編集こりゃ頑張らないとなあ』『上手いのか?』『上手そう』『やばいやばい感動やばい』

 

 実はこの日に向けて練習して来た、身体的スペックが上がるってことは、声も綺麗になってるので、人前で歌える声ではあると思う。自分で聞く声と相手に聞かせる声は違うが、多分、恥はかかないと思いたい。

 

 緊張は、もうない。

 

 わたしはたのしむ為に、たのしませる為にここで歌う。

 

「行くぞ〜〜!最初の曲はーーーーー」

 

 歌を、始める。

 

 わたしはロックが好きだ、女性シンガーのかっこいい曲のロックが好きだ、なんというか、みんなで楽しめているって、そう思う。

 

『かっこよすぎない?』『これがなぎちゃんの本気か』『ってかこれ内臓マイクだよな……』『声ハウらないのしゅごい』『やばい惚れる』『まるで伝説の水樹さんみたいだ…』『伝説って?』『ああ!』『歌うまプロゲーマーなぎちゃん』『プロゲーマー(歌ガチ勢)』『この娘わりと何でも出来ない…?』『確かに』

 

「まだまだ行くぞ〜〜!さぁ楽しもうぜ!」

 

 だからわたしは、なぎ民と楽しむこの配信の時が、好きになったんだ。

 

 

「ふぅ〜………歌った〜!」

 

『8888888』『88888888』『うまかったよー!』『お疲れ様』『目の汚れ取ってくる』『明日も楽しみだ…』『生きる糧』『ありがとう』『楽しかった』

 

「なぎ民たち、最後までありがとう!明日の配信も見に来てね……?またね、じゃあね!」

 

『絶対行く』『行きます』『ありがとう』『今日もお疲れ』『明日楽しみだあ』『楽しみだなぁ…』『つおったー+で宣伝しないと』『お疲れ様でした』『いやー今日も楽しかったね』『二次会会場行こうぜ』

 

 配信を止めて、賑やかな祭りの終わりを告げる。

 

 確かな実感と満足感、私は今を生きている、明日は初の企業からの依頼、絶対に成功させよう。

 

 でもその前に……やらないと、いけない事があるんだ。

 

 暫く経ってから、水を飲んだ後わたしは携帯の電話を掛ける。

 

『うおおっ、このっ……ちょ、ちょっと待ってな!?』

 

「あ、仕事中?ごめんね、今じゃなくてもいいよ」

 

『いやそうじゃない……うおわ!』

 

「ええ……?どうしたのさ」

 

『試験管に入れてた微小生命体が跳ねて逃げ出してさあ……っと、もう解決したよ。それで?』

 

「うん、えーとね……」

 

 隣の人について、教えて欲しいんだ。




祭りを楽しみ、人との繋がりに『生』を感じた。
次は一歩、その足を踏み出そうと、そう決意した。

ということで。
評価感想誤字報告ほちょにありがとう、考察とか見るとしっかり考えてくれてるなあって…嬉しいです。
そのうち短編とかで一週間の間の配信書くかも。みんなそういうの欲しいでしょ(決めつけ)


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はちわめ!前編

長くなったんで分割。少しシリアス多め。
何故ガールズラブを付けたのか?この回のため。


 曇り空の朝、今日は少しだけ…勇気を出す日だ。

 

 前から思っていたのだが、わたしは隣の人が誰なのか知らない、だけど親友が言うには……わたしが良く知る人物らしい。

 

 前までのわたしは、理由もなく、ただ隣に人がいるってだけで勝手に嫌って絶対に会わないようにしていた、たまに来客を告げるピンポンの音が響いても、ヘッドホンの音でかき消して無視していた。

 

 贈り物とか渡された事も、今思えばあったと思う、それらをどうしたかは覚えてないけど、きっとわたしのことだ、見る事もなく捨てたんだろうな。

 

 悪い事をしたと思ってる。その事を謝りたい。

 

 わたしが良く知る人物で、相手もわたしの事を知っているなら。

 

 わたしはそろそろ、自分の体に、そして過去について折り合いをつけるべきだ。

 

 家族に会うのは、無理…まだ、もしかしたら一生会えない、会いたくないと思ったままかもしれない。わたしと家族に大きな誤解と隔離があるのは、わかってる。

 

 でもいつかは……絶対に会わないと行けないんだ。

 

「っよし、服装OKメイクは…まぁ出来ない、変なにおいもしないし、髪はしっかり整えたと思うし……人前に出ても恥ずかしくないはず」

 

 数週間前のわたしでは考えられない考えだ、人と会う?馬鹿らしい、会ってどうなる、何が変わる?自分が?ありえねえだろっ……そう思ってた。

 

 でも、今はもうそんな甘えられないよ、人は変化していく生き物だから、わたしは良い方に変化しないとならないんだ。

 

 震える手をひた隠しに、わたしは。

 

 七年ぶりに外に出た。

 

『ピンポーン』

 

 ああ、どうしようどうしようどうしよう!?

 

 血迷ったのかなわたし、やばいやばい緊張ってどころじゃない、勇気がもたない。

 

 こ、ころされる、体が震えて寒気が……冬でもなんでもないのにとてつもない震えが…………ああうぁうぁ…。

 

『……………誰ですか?』

 

 にゃああ!!人だ!ひとの声だ!地球生命体の声だ!本物だ!おんなのこだ?!女性!?わたしの知り合いに女性!?いやいや……んんん?

 

「あ……の、隣の、凪沙です……」

 

『なぎ…え、先輩………?』

 

 先輩…………?

 

 待って、わたしが良く知る人物……?親友も知っていて、わたしも知っている、人物?

 

『先輩?せんぱい?本当に…?そこから動かないでくださいね』

 

「ひゃい……」

 

 な、なんだかすごいこわい、やっぱりわたしじゃないって思われてたりするのかな、あうあう……どう言えば良いんだよぉ、わたし、おんなのこになってきたよ、きゃるるんっとでも言えばいいのかぁ?

 

 ふざけてんのかお前ってなぐられて終わりだよぉ……ふぇ、どうしよう。そうだ、男装すれば良かったのでは?なんで今になって思いつくんだよぉ……

 

 扉が乱雑に開く、その音にビクッと逃げたくなる気持ちを抑えて、ただやっぱり顔は俯いちゃって、せっかく開けてくれたのに顔を見れない。

 

 ああ、どうしよう、本当に気まずい。

 

「……先輩なら、私の事、覚えてくれてますよね」

 

「そ、れは」

 

「俯いてないで顔を見れば良いじゃないですか……」

 

「う、あ………そう、だね」

 

 ゆっくり、彼女を見た。

 

 最初に目につくのは、ルリマツリのように華やかで、綺麗な水色の髪。ミディアムより少し短めの髪は、何処かはねっけがあって、あまり手入れはしてない様に見える。

 

 わざわざ来客用に粗相のない様にと着替えたであろう、新品のように綺麗な、黒のパーカーワンピースを着こなすスタイルは、わたしよりも女性らしく。

 

 その、鋭い目線の先に見える、何かをすがる様なアクアブルーの瞳を見つめて。

 

 そして、思い出した。瞬時に今まで忘れてしまった事を後悔して、何故という思い戸惑いと、どうしてという思い後悔と、色々な感情がごちゃごちゃになって、一周回って冷静になったわたしは、彼女の名前を告げた。

 

「久しぶり、初菜(はつな)

 

「……とりあえず、中、入りませんか」

 

「そうだな……うん、お邪魔しても……?」

 

「邪魔なんかじゃ!……どうぞ」

 

 ああ、敬語なのは変わらないな、それもわたしと、実のお母さんが居る時だけだったけど、なんでだったっけ……尊敬できる人の前しか、敬語は使わないとかなんとかだったかな。

 

 尊敬されるような人じゃ、ないのに。

 

 部屋にお邪魔する、わたしと同じマンションに住んでるから、基本的な構造は変わらないけれど、どこか可愛らしい女性らしさを感じる部屋だ。

 

 猫を模様としたソファに、彼女は座った。

 

「隣、こないんですか」

 

 ああ、そうだったな。キミは何故だか、良くわたしの隣に座ってきた。

 

「……そうだね」

 

 隣に座る、ふかふかのソファは、決して安物なんかじゃないのが手に取るようにわかって、それだけで彼女が、初菜がしっかりと自分の人生を送れたと、心なしか、安心してしまった。

 

 わたしも、初菜も、言いたいことはいっぱいある、だけど、言葉が出てこない。何を言えば良いか、何を言ったら良いか、七年の年月で、わたしは話すことが出来なくなっている。

 

 違う、このままじゃあ、ダメだ。わたしは、変えに来たんだろ?なら話さないと、自分の言葉で話さないといけないだろ。

 

「初菜は……髪、切ったんだね」

 

「……」

 

「似合ってるよ、今も」

 

「……ねえ、初菜は」

 

「先輩」

 

 目が合う、わたしを信じて疑わない目だ、わたしはこんな体に、おんなのこの体になったというのに、わたしの、まるで魂を見ている様な。

 

「何で黙って行っちゃうんですか…?私は役に立たない、使えない人でしたか…?私では力になれませんでしたか?……いきなり消えて、司先輩から連絡を貰って…此処まで越しました…何があったんですか?、私は、私はあなたに……」

 

 瞳に溜まるよごれなみだを見て、わたしはどう返せば良いのかわからなかった、初菜を役に立たない人間なんて思った事は無いし、使えないなんて思った事は一度も無い。

 

「ちが…違う、初菜に迷惑を掛けたくなかったんだ」

 

「何で、そんな……頼ってください、話してよ、私は先輩の為に頑張って来たんですよ、私に出来る事を、他でも無い先輩が、教えてくれたから、頑張って来たんですよ?今度は私が先輩の力になるんだって頑張ってきたのに……他人行儀にされたって、優しくされたって……嬉しくないよ!」

 

「っ……わ、るい」

 

 他人なんて、思っても無い。でも、あれ以上誰にも迷惑を掛けたくなかったんだ、誰にも迷惑を掛けないで、居たかったんだ。

 

 もう何もかも嫌になって、消えたかった、終わらせたかったんだ。

 

 それを初菜が知ってしまったら、キミは是が非でも助けるのをわかっていたから。きっとキミに甘えてしまうのを予知していたから。

 

「……司先輩からは、何も聞いてないんです、他でも無い先輩の声で、言葉で教えて欲しかったから、だから、ずっと待ってたんです」

 

「……それは」

 

「言えませんか…?」

 

「……悪い」

 

「私はっ」

 

 私は無言で初菜を抱き締めた、言葉で伝えるにはあまりに、難しい。わたしに針の様に鋭い痛みが何本にも心臓に突き刺さるのを無視して、あの時の情景が蘇るのを無視して、ただ、彼女を優しく包み込むしか、わたしには思いつかなかった。

 

「っあ……先輩」

 

「ごめん、初菜。今じゃ、こうする事しか、思いつかない……こんなことしか、わたしは……」

 

「ッ……酷いですよ、そんなの、昔っから自分の事だけは隠して、不公平じゃないですか、私の事、いっぱい知ってくる癖に、私は先輩の事、何にも知らないなんて……そんなの嫌です、やだよ……」

 

「初菜………」

 

 言って、しまおうか。

 

 わたしの全てを、この子に、全て。

 

 隠して、後悔するぐらいなら、それなら………!

 

「初菜、わたしは………ッ」

 

 

「………えへ、先輩凄い良い匂い………鼻血でそ、ふふふ……」

 

 

「ん?」

 

 今までのシリアスは?

 

「はっ、ごほん!……ほんとうは、言わなくても…良いんです。私は……先輩が、生きて、楽しんで、人生を歩んでるなら、それで……」

 

 ……わかった、初菜。聞かなかった事にするよ。

 

「今は…楽しいよ、じ、じ、じつはね!わたしね?配信やってるんだ!」

 

「知ってますよ、なぎちゃん」

 

「はぇえ?」

 

 今までのシリアスは?!

 

「……え、気付いてないんですか?気付いて私に会いに来てくれたかと……私の下の名前覚えてます?ちょっと、先輩?」

 

「初菜未来(みらい)だろ、何を今更……」

 

「未来って、ミクって読めるんですよ……ていうか昨日の放送でそれらしい台詞送りましたよね………?」

 

「あ、いや、その……うん」

 

 さっきまでの空気は何やら、じとーっとわたしを見てくるミクちゃん、もとい初菜に、冷や汗を垂らしながら、似たようなやり取りが昔にもあったな、と思った。

 

 

 

 

 初菜未来(はつなみらい)、高校生の時の後輩だ、司とわたしでやっていた、技術研究同好会の記念すべき三人目のメンバーだった。

 

 一番最初の出会いは、助けを呼ぶ声が聞こえて走って向かったら、助けを求める目をしてたからだったか……今でも、思い出すとムカついてくる。

 

 容姿よりも先に、疲れた瞳に目がいって、少しだけでも彼女の痛みを安らげることが出来るならと、色々と世話をした覚えがある。

 

 わたしはただ話をしてただけなのに、それ以来からべったり甘えて来るようになって高校時代は困りつつも、嬉しかったな……

 

 取り敢えずココアでも飲みますか?と言ってくれたので、素直に甘える事にした、話したい事はまだあるし、それは初菜も同じだと思う。

 

「……てか、疑わないんだね、わたしの事」

 

「姿形が変わろうが私には分かります、先輩は先輩です、私が愛する、私の先輩なんです」

 

 ……あれ、こんな子だったっけ、なんか目が淀んでるし……ちょっと怖いんだけど、包丁とかで刺されたりしない?大丈夫?わたしここでENDる?

 

「そんな事しませんよ」

 

「心を読んだな?!なんで!?」

 

「ふふふっ……なぎちゃんはかわいいなぁ」

 

「やっ、やめろ!」

 

 知ってる人にそう言われると恥ずかしいし、ちょっと怖いよ!

 

「まぁ……理由は聞きませんよ、男らしい先輩も好きだったんですけど……えへ、今の可愛らしい先輩を見ると、何ででしょうか、めちゃくちゃにいじめ…んん、いじりたくなるんです、はぁ………かわいい」

 

「か、帰っていいかな、初菜」

 

「何でですか?どうして?折角会えたのに?来てくれたのに?もう帰るんですか……?」

 

「アッその、はい……何でもないです」

 

 おかしい、こんな子ではなかった。高校の時は、よくわたしの一歩後ろで歩いていたり、クラスに馴染めないからと屋上で二人で昼飯食って……ああいや、たまに司が来てたか、技術研究部では真面目に研究してた子が、ヤンでいらっしゃる……。

 

「ええ、理由は…もう、良いです。無理には聞きません、先輩の姿を見れただけでも、私は嬉しい……」

 

 ……いや、わたしの命の為にもやっぱりわたしの全てを教えるべきなのでは?今からでも遅くはないはず、これ絶対後日「わたしと一緒になりましょう?」って刺してくるやつだからぁ!

 

「だから刺しませんって…それじゃあつまらない」

 

「いやつまらないって何?!てか、心をみるなぁ!」

 

「ココア、出来ましたよ…お口に合うと良いのですが」

 

 んに……そんな笑顔されると何も言えないじゃないか。

 

「ありがと……」

 

「どういたしまして」

 

 高校の時は、わたしからココアを淹れていた事もあったな。

 

 うん……暖かくて、美味しい。

 

「司先輩には…その、言ったのですか?」

 

「……この体についてなら、言ってない」

 

「……そうですか。わたしだけの秘密ですか、それはそれは…ふふ……でも、こう言うのは早く言った方が良いんじゃないですか?」

 

「いや、その……怖いよ、拒絶されたら、どうすれば良いの?」

 

「今度はわたしが先輩を家に迎えて、養って、甘えさせて、鎖で繋げて依存させて全ての外敵から守りますが……拒絶なんて、しないと思いますよあの人」

 

 ……尚更こわくなった、わたしの知っている愛らしい後輩じゃないよぉ……月日は人をこんなにも変えるのか?

 

「と言うより、多分喜びますよ、アレ」

 

「いやぁ……流石に無いだろ、ないない。そんなに変態じゃないよ司は、ただの研究バカだって」

 

「………はぁ、そーですか、まるで恋する乙女ですね、妬ましい、今からでも奪ってやろうか……」

 

 ひゃあ?!こここいする、おとめぇ……?なわけ、な訳ないだろ!何を言っているんだ!?ってか、奪うって何をだよ!怖いよまじで。

 

「ていうか多分もう……いえ、何でも」

 

「ん?……まぁ良いや、せっかくだし、さ!もっと話そうよ、七年間何してたの?わたしは……その、うにゅ……」

 

「ふふっ……じゃあ私の話をしますか、そうですね…何から話しましょうか……」

 

 そう言い話をしてくれる初菜の…少し、哀しそうな目に、わたしはどうする事も出来なくて、胸が酷く痛んで、言わないといけない事がいっぱいあるのに、言葉に出なくて。

 

 わたしは、初菜の話を聞きながら、だんだんと大きくなる虚無感をひた隠しにした。

 

「……そんな悲しそうな顔されると、話しづらいですよ」

 

「うにゅ……」

 

 不意に後ろから、抱きつかれた。ビクッとして逃げ出そうとする体を、力強くないのに、逃さないとでも言うようにぴったりと拘束される。

 

 水色の髪が首にかかってくすぐったい……

 

「今日は、SSS社の新作ゲームのデモプレイ配信なんですよね……?そんな調子では、最大限のなぎちゃんは出せないですよ」

 

「う、うるさい、なぎちゃん言うな…大丈夫だよ、配信中は」

 

「ふふっ、髪整えられてないですよ……私が整えてあげます」

 

「え、あ、ああ」

 

 ホログラムから実物に、多分自作の、最先端のセット道具を取り出した初菜は、丁寧にわたしの髪を整える。前にも、整えられた事があった。

 

 心地いい感覚に、身を委ねそうになる。

 

「……司の手伝いをしてると思ったんだけどな」

 

「私が手伝いたいのは先輩の人生以外に他ありません…私がNSSマテリアルフィールドを買ったのは先輩が少しでも快適に暮らすためって、知ってます?」

 

「いや…うんもういいや、ありがとう?でもあれ億円しなかったか?」

 

「世界有数の赤城財閥から、技術交渉を。クロック型ATシールドは高く売れましたよ……先輩の研究成果の産物の一つですね」

 

「いや作ったのは司だろ、わたしはみてただけだし…高校時代の研究、受け継いでくれたんだな」

 

「先輩が受け継げと言ったので、先輩のいない一年は退屈でしたよ……まあ、少しは得るものもありましたが」

 

 過去の話に花を広げる…までは行かないが。色々と思い出す事がある。あの情景は、きっと過去の最大の、太陽のように暖かかった思い出なんだろう。

 

 背後の彼女は何を思い、どう生きて、何を見ているのか。その景色を眺める事が出来なかったわたしに、罪悪感と後悔が積もる。

 

「せっかく離さないって……言ってくれたのにな、悪い初菜」

 

「っ……謝らないで下さい、もう……良いですよ、今こうして話せているなら、気にしない…とは言えませんが、妥協してあげます」

 

「……曖昧にはしない、必ず言う」

 

「約束ですよ……?」

 

 ……所で、段々と初菜の手がおむねにいっているのは、どうなんですかこれは、狙われているのかわたしは。

 

「……所で、女の子同士っていうのも、良いと思いませんか?」

 

 わたしはいまなにをいわれたのだ?

 

「いやあの……初菜さん?何をおっしゃて?」

 

「もしかして先輩……そっちの()の方でしたか……?違いますよね、私の憧れる先輩が、まさかそんな」

 

「お。おう、ホモではない。でもこれとそれとは話が別だとーーひゃあ!」

 

 みっみみ!みみ!耳舐められたぁ?!なっなにして、何してんだこいつ!

 

「ふふっ……可愛らしいこえ」

 

 いつの間にか手に手錠をかけられ拘束されていた、その細やかな指が私の服をゆっくりと下から上へと、繊細に動く、妙に生暖かい吐息が首筋に当たってくすぐったい……

 

 っばか、変な声でちゃう……!まずいまずいこれはまずい!イロイロまずい!取り戻せなくなる!色々と!

 

「ここから先はR指定ですよ先輩?」

 

「なっなぁ!嫌だ!やめっ、やめろ……やめて…だめだって、そんなの……いけないから…」

 

「まぁ時には諦めも肝心って言いません?大丈夫です、気持ちよくしますから」

 

「そっそういう意味じゃ……このっ、はなっ……ひぁ……」

 

 頂かれる!いただかれてしまう!あっ……ちょっとまってほんとうにだめだって、こんなのいやだ、いやっ……

 

 

 

 

「……まじで許さないぞ、もう来ないからっ!」

 

「ふへへ〜、寸前で辞めたから許してくださいよ」

 

 このっ、ちくしょう……相手が相手だから強く言えないじゃないかよ……

 

「もーかえるっ!……いい時間だし、じゃあね初菜!」

 

「あ、待って下さい先輩」

 

「なんだよぉ!?これ以上何かあんのかよぉ!?」

 

 手に、何かを握られた。水色の護符のようだ……お守り?

 

「配信、頑張ってくださいね……見てますから、先輩」

 

「……うん、頑張るよ」

 

 玄関の扉を開ける、送り迎えをしてくれる、少し悲しそうなアクアブルー瞳に、ちくりと胸が刺される、まだたくさん言いたい事がある、だけども一気に言えるようなことじゃない。それは初菜もきっと、同じなんだろう。

 

 だからふざけて誤魔化して、心の準備をしたいんだ。それがわかってるから本気で抵抗しなかった……いやまぁ、一線を越えたら何かが戻ってこれない予感がしたので、流石にそれは防いだが。

 

 ……ああでも。

 

「会えてよかった、また会おう……?」

 

「はい!はい……もちろんです、いつでも来て下さい」

 

「これからもゲーム、一緒にしてね、ミクちゃん」

 

「はうあ!………録音してて良かった……」

 

 ……もうツッコミできる体力はないので放っておくとして!

 

 扉を開く、わたしの姿が見えなくなるまで、最後まで手を振ってくれる初菜を見つめる。

 

 太陽がわたしの銀色の髪を照らす。

 

 曇りはもう、見えなかった。




一つの謎の解明。
ヤンデレタグは付けるべきなのか……?


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はちわめ!後編

先に前編を、見よう!

あ、ミクちゃん書きました、こんな感じ
【挿絵表示】



 昨夜、SSS社の公式から宣伝してもらった私は、もうこの日の内にチャンネル登録者が5000人を超えて、つおったーもそろそろ5000人が超えそうだ。

 

 いつもなら泡を吹いて倒れ、自称プロゲーマーなぎちゃん、ここで潰える!……ところだけど、初菜に会った今のわたしに数などプレッシャーに足らず!……いや、体は震えているけど。

 

 ともかく、企業公認の公式デモプレイとの事で、わたしは大勢の、本当に大勢の人に見てもらうだろう。

 

 配信準備が完了する。VRシステムの準備もOKだ、わたしはいつでも現実の体を、パソコン上に電子体として存在させる事が出来るようになっている。

 

 疑似人格プログラム、というものがある、機械に感情を与えるプログラムのことだ。散々流行った昔の家庭用ゲームに、人間とアンドロイドを描くゲームがあったが、それが原因か知らないが、この擬似人格プログラムは違法の行為として罰せられるそうだ。

 

 わたしは人間だが、わたしの使うパソコン外部に付いている特別な機器は、これを基にした技術で、わたしをVRに投影するらしい。

 

 エーテル体やらアストラルだとか、オカルトめいた霊的現象を、発展した超科学によって解明。

 

 肉体を再構築し、0と1の世界に入るとかなんとか。

 

 正直、よくわからない。司や初菜ならしっかり理解出来るんだろうけど、わたしは知恵熱で蒸発しちゃいそうになる。

 

 一番こわいのは現実のわたしの体はどうなるんだ?って疑問なんだけど……ま、まあこれ以上考えると怖いからやめよう。

 

 

 深呼吸を一つ。目に映るは8000前後の待機列。

 

 余計なことは考えなくて良い、今まで通りに。たのしむだけだから。

 

 何より初菜が応援してくれた、なら…応えるだけだろ?

 

「ちゃろー!世界初、自称プロゲーマーのなぎちゃんだよー」

 

『ちゃろー!』『VRなぎちゃんと聞いて』『始まりました』『なぎ民が多い』『今までにない人の多さ』『初めまして』『声震えてて草』『うおーパソコンかぁ』『パソコンじゃん』『こりゃ凄い』『今日の服はパーカーですか。好き』『初見』『楽しみじゃ〜』

 

「声震えてないよ!……初めましての方が多いと思うから、改めて自己紹介します……まあ、自称プロゲーマーの配信者としか、言えないんだけどさ」

 

『なんか新鮮』『投げ銭が実装されてない…?』『OFFになってる』『自称?』『まぁプロゲーマー名乗るんならゲーム上手いやろ』『過去アーカイブ見てきました、しゅき』『うおおもう1万人超えた』『お兄ちゃんは嬉しい』『過去最大やな』『緊張大丈夫か?』

 

 …やばい吐きそう。耐えろ耐えろ

 

「投げ銭はごめんね!次の配信からなんだ。わたしだけの配信なら、投げ銭機能は付けるつもりだけど…今回は、そういうわけじゃないからさ?」

 

「まーわたしの事は良いんです!……みんなが見たいのはデモプレイだからね!……まず今回の新作ゲーム、ロストデイメモリーのあらすじでも言いますか。」

 

 説明しよう!ロストデイメモリーとは、SSS社の開発した異世界ちっくなオープンワールドゲームである!

 

 中世ファンタジー風味の世界。文明は停滞を告げ、緩やかな平和が世界に広まる。その世界にプレイヤーは迷い込むのであった。

 

 プレイヤーは現実世界から迷い込んだ『迷い人』だ、あなたはこの迷い込んだ世界で、何をしてもいい。広大な空を羽ばたくように走るのもいい、森林に入り、動物たちと心を通わすのもいい、人間社会に溶け込み、賃金を稼ぐのもいいだろう。

 

 或いは、遠く離れた魔王城に行き、魔王の私兵として志願するのもいい。古びた館にて、吸血鬼の始祖に出会い、共に旅をするのもいい。勇者の末裔に、行商人に、或いは、この世界の謎を解くと言うのは、どうだろうか?

 

 それら全てを壊してもいい、狂った迷い人として、この箱庭をめちゃくちゃにするのも、良い。

 

 あなたがやりたいことを、他でもないあなたが見つけるのだ。

 

 ……と、いうのが公式のあらすじ。でもわたしとしてはこんな印象だった。

 

 サイバーには飽きた?超科学はもう沢山?黒曜石の剣でレールガンを切り裂くのは疲れた?わかりました!そんなあなたにうってつけ!

 

 魔法を拳で叩き!剣を蹴りで破壊し!困難を己の身体で乗り越え!時には動物に癒され!たまには住民と話して!おんなのこと仲良くして!あわよくばちょめちょめしよう!

 

 そんなかんじのワールドオープンゲーム!オンラインはまだ未定!

 

「ロストデイメモリーとは、そんな感じのゲームなのだ!」

 

『草』『草』『えぇ…』『もしかして、あたまわるわるなぎちゃん』『うっそだろ草』『百合百合なぎちゃん』『レズレズなぎちゃん』『でも本当に女の子に迫られたら手を引きそう』『わかる』『プレイヤーの自由に出来るゲーム性が売りだから間違ってはない』『過去にこんな感じのゲームありましたね』『サブクエストだけ進めてメインやってないやつな』

 

「ん、そうそう!DESシリーズみたいな感じ!オンラインゲームじゃないから、みんなで出来ないけど、今後対応していくみたい……でねでね!すっごい綺麗な世界なんだよ!あ、いや、べつに日本が綺麗じゃないとかじゃなくてね?とっても青い世界が広がってるんだ、なんていうのかな、綺麗なんだよ!う〜……言葉じゃ説明しづらいなぁ……」

 

『かわいい』『かわいい』『はやく見せてくれ』『俺にも見せてくれ』『AIに任せっきりで最近外出てねえや…』『日本はほら、輝く光が夜を照らしてるから』『照らし過ぎて目に悪いんや』『3日に一回はレーザー光線の光見えるからな』『住所特定』『北海道はいいぞ〜?』『人はまだ、空を飛べない』『飛行機乗る金ぐらい稼げよ……』

 

「よし、じゃあ早速VRにアクセスしよっか!……なぎ民のみんな、それにそうじゃないみんなも、すこ〜しだけ待ってね」

 

 一度、配信のカメラをシャットアウトする。こうしないと何かエラーが起きた時、怖いからね。

 

 別画面に映っているわたし自身を見つめる、前もって自己投影した自分自身だ、銀色に輝いたシルバーブロンドに、黄金の瞳が相まって神秘性を惹き立てる。

 

 服装は赤のベレー帽とロングパーカーだ、手首に初菜のくれた御守りも付けてる。迷い人設定なら現代風の服でも違和感は……ないとは言えないけどさ。仕方ないじゃん、コスプレ衣装とか無いしさ。

 

 ふとももは見せない、黒のストッキングを履いたからね!これで見えないだろ〜へへへ。

 

 わたしがVR機器にアクセスして、画面の向こう側に入ると、配信から見える画面は一人称視点で見えるわたしの画面…ではなく、AI機能で絶妙にいい感じのアングルで撮ってくれる『配信用ナゲットくん』の画面になる。

 

 これはSSS社から支給してもらった大切なものなので、有り難く使わせて貰います。

 

 ……いや、配信用ナゲットくんってなんだよ、ナゲットくん酷使しすぎだよ、かわいそうだし別のタイプのAI作った方がいいよ。

 

 わたしの周りを酔わないぐらいにぐるぐる回って撮るから、必然的にわたしの顔は、今いる15000人以上の人たちに広まるって事になる。

 

 ……本当は、怖い。このご時世、顔だけでも判別されたら住所特定名前公開の一発KOを食らってもおかしくない、わたしのマンションに他人が来てもおかしくないんだ。

 

 でも、多分それはありえない、わたしは変わった。心がとか、精神じゃなくて、肉体そのものが変異しているのを実感してる。

 

 人は生まれたらまず、全人類管理データベース『ALICE』に個人情報の全てが登録される。このAIに登録されている限り、Aliceにアクセスすれば住民IDやら個人名やら、簡単に抜かれる。

 

 これは国民が自衛の手段の一つとして作られたもので、それがあるから犯罪行為は著しく少ない、無いわけじゃないのは、人間の性なのかもしれないけど。

 

 ともかく、言いたいのはそういう事じゃなくて。

 

 おんなのこに変異して、前の体で無くなったわたしは。

 

 データベースに(・・・・・・・)登録されていない(・・・・・・・・)

 

 だからわたしの存在が認証されることはないし、現実世界の物や通信データから特定しようとしても、NSSマテリアルフィールドに守られているから心配ない。

 

 心配ないけど…それはそれとして、すっごい恥ずかしい。だだだっていち、いちまんごしぇんにんだよぉ!?こわいこわいこわい……わたしはかわいいって自負してるけど、これでぼろくそに言われたらもう立ち直れないよぉ!

 

 うぅ…でもいつまでもこうしちゃいられないんだ、変わらないとだめなんだ。変えていけばきっと……認められるんだ。

 

「VRシステムにアクセス、任意プログラムの設定よし……ふぅ、やるよ。」

 

 ーー擬似電子体総合プログラムを開始します。

 

 ーー肉体と精神の統一を開始します。

 

 ーー電子体へのアクセスを始めます。

 

 ーー適合を完了しました。世界への適合を開始します。

 

 ーーロストデイメモリーへの接続を開始します。

 

 ーー全行程良好、擬似工程クリア。

 

 ーー全行程完了。配信を始めます。

 

 

 ーーお帰りなさい。そして楽しんで下さいませ、凪沙様。

 

 

 始めに見えたのは、雲一つない青天の空。

 

 次に、無骨な四角い小型ロボット、でもそれがどことなく可愛らしい印象を覚える、ナゲットくんが見えた。

 

『うおおおおおお!』『やば…』『がち恋』『かわいい』『かわいい』『かわいい』『美少女すぎる』『ファ!?なんやこれ…ガチ恋してしまう』『もう好きすぎる』『青空よりなぎちゃんが綺麗すぎる…』『すこだ…』『なぎちゃんの寝顔ぺろぺろ』『おめめが可愛すぎる』『うおーーー!好きだーーー!』『俺の妹が可愛すぎる件について』『私の娘が可愛すぎる件について』『わし、この娘の古参なんですわぁ』

 

 賑やかに、沢山にあふれた配信コメントが見えて。

 

「……ああそうか」

 

 わたしは今、VRに接続して、配信をして…この大地で、立って。

 

 立って……?ないや、え、寝顔?寝てたの?15000人以上の人に寝顔を見られた?………う、うう。

 

「うひゃあああ!恥ずかしい!てか、こういう始まり方なの!?街とか行かないんですか?!」

 

『草』『草』『へぇ〜配信画面でもHPとかの概念見れないんか』『リアル基準のゲームなのね』『本人からはどう見えてんだろ』『久しぶりに草木を見たなぁ、綺麗だ』『草木がみたい?群馬においで』『なぎちゃんの方が綺麗だぞ』『ご乱心プロゲーマーなぎちゃん』

 

「よーしとりあえずさ、街から始めようよ!雑いよ!いじめかよ……本当にこの始まり方するの?そこらへん、どう?」

 

『いやぁ……すみません』『初期位置バグってたね』『テストでは一回も無かったんです』『SSS社無能説』『これは無能』『有能無能さん?何か言って』『私の管理下で無いですしー……誠に申し訳有りません』『パパ、失格!』『なんでやろなあ』『困惑するなぎちゃんかわいいし許そ』『いや本当かわいいわ……なんなん』

 

「も〜…ちゃんとなおしてよー?……んー、じゃあ、ゆっくりこの世界を見よっか、ほら!向こうに何か見えるでしょ?あそこまで歩こっ」

 

『向こう…?』『何も見えないが』『見えないぞ』『いや見えないですけど……』『おめめわるわる?』『なぎちゃん、風とか空気とか感じない?』『これはグラフィックって言って良いのか……?』『質感リアルっちゃな〜、モデル場所知りたいわ』『ムーカンチャイらしいよ』『あぁ〜!成る程な!』

 

 え?見えない?おっかしいなあ、確かに遠いと思うけど……見えると思うけどなあ。

 

「ぬぬぬ…風?言われてみれば、自然過ぎて気付かなかった、空気も……ふぅ、うん、いい空気……それじゃあ向こう側に歩くけど、村か街かあったらみんな謝ってよ〜?それじゃあゆっくり行こっか」

 

『何もなかったらおぱんつ見せて』『ナゲットくんにキスして』『ナゲットくんに投げキスして』『寧ろ踏んで』『おにいちゃんって認めて』『ん?今初見の人のコメあったぞ』『顔見てガチ恋余裕でした』『ストッキングすこだ…』『言いたい放題なぎ民』

 

 いや本当だよ……おにいちゃんって認めないし、投げキスなんてしないからな。

 

「それにしても凄い質感…わたしがVR慣れてないだけなのかもしれないけど、そっか……こんなにも変わってたか。懐かしいな」

 

『愁いを帯びた顔も良いどすなあ』『ナゲットくん8割ぐらいなぎちゃん見つめてないか』『需要わかってんじゃん』『最終的にそこ』『可愛過ぎてデモプレイ見てること忘れてた』『これオンラインいつになりそう?』『2回目のデモプレイ次第ですね』『2回目やんの?』『ふぅーん…察した』

 

「本来はランダムの街の宿屋から始まるんだよね、……わたしは草原スタートですが。宿屋の人から色々話を聞けるみたいだよ?わたしは草原だから聞けませんが」

 

『草』『草』『草原生まれのプロゲーマーがいるらしい』『根に持ってて草』『2回目言うのはあかん草』『ごめんね、パパ後で問い詰めに行くからね』『ちょっと!元はと言えばあんたが任せるって言ったからでしょ!』『草』『コメントで争うSSS社員』

 

 ……この人やっぱりわたしのパパじゃないな、かっこよかったのは昨日だけかもしれない。

 

 って、おお?全身が柔らかい体毛で覆われている小型獣……これは。

 

「野うさぎ、か?……ええとね、動物と魔物は別物みたいで、動物は懐いてくるみたいだよ?」

 

「よし、折角だしこの子も連れてこう、旅は道連れ世は情けなのだー!」

 

『かわいい』『スキップして近づくのかわいい』『動作がいちいち可愛いんだ』『デモプレイ見るはずがなぎちゃんを見ていた…?』『伝説の動物、カバはこの世界にもいるのか?』『伝説って?』『ああ!……基本的に過去の文献、今生息している動物は居ます。』『現実で猫アレルギーだけど猫好きだから飼いたい……』『いや、普通にVRの動物育成ゲーやれば良いのでは』

 

「よーしよし、怖く無いぞ、おいで?……わ!こっちきた、かわいい!……撫でてみよ」

 

 動物は好きだ、気ままに生きる姿が、わたしを元気にさせるからだ。……実家で飼ってたわんこは、まだ元気かな。

 

 うさぎを撫でる、ふっふっふっ、わたしの撫でレベルは神を超越しているぜ?

 

「わわ!本物触ったことないけど…すごいもふもふしてるよ!撫でがいがあるなぁ〜こいつ」

 

 擽ったそうにする表情を見てにっこり、もっ〜と欲しい?よーしよし……このままテイムしてやるぜ。

 

『これは…』『ええわぁ』『桃源郷』『すき』『ナゲットくん迫真のカメラ演出』『このナゲットくん優秀過ぎる』『明日死んでも良い…』『自然と笑顔になってるなぎちゃんかわいい』『にこにこなぎちゃんかわいい』『うさぎ、代わってくれないか』『わいもよしよしされたい』

 

「んーよしよし、良い感じに小さいし、頭に乗せれそう……うにゅ、心地いい重さだ!よっしゃうさ吉!付いて来い!」

 

『草』『嫌そうな顔してる…』『うさ吉は無いよ、なぎちゃん』『ネーミングセンス×』『ださださネーミング』『シンプルでいいと思う』『得点稼ぎするな』『動物の表情すごいね』

 

「……ほら!やっぱり見えてきた!建物見えるでしょ?ほらほら!わたしの言った通りじゃんか〜〜!みんな、ごめんなさいは?」

 

『まじかよ』『まじじゃん』『ごめんなさい』『許して』『なぎちゃんに見惚れて見えない』『わかる』『わかる』『それはそうとおぱんつは?』『千里眼発動!…縞パンだな』『おまえ、有能』『あ、本来はその街で始まりますね』

 

 ……ノーコメントです。

 

「疑似人格プログラムは使ってないから、どれだけ精密な演算組んでるのかわたしが直々に確かめに行ってやろーう、門番さんに話しかけるよーい」

 

『まじ?』『出来るのか?』『話せるのか?』『今までゲームチャットすら禁止してたのに?』『なぎちゃんに試練が襲いかかる』『AI相手にはイケそうだけど』『いうて人間みたいなもんやん、現実と違ってさ』『初対話ですね』

 

 ……まあ相手がAIならそんな怖気付きませんよ、さすがにね?

 

 いや、ちょっと盛ったよ、少し怖いよ、相手がAIでも、この世界で生きている事には変わりないんだから。

 

 でも、初菜と話して、思った事があるんだ。だから。

 

「こんにちは、門番さん。素敵な青空ですね」

 

「おや、これは麗しい御嬢さんだ、珍しい服装をしているが、それは何方で?似合っていてとても素敵だよ」

 

 ……や、やば。思ったよりイケメン過ぎる対応なんだけど、ちょっと顔熱くなりましたワヨ??

 

『顔少し赤いやん』『照れ照れなぎちゃん』『あれは照れるわ』『ホモいるぞ』『イケメン!イケメンだ!うぐぐゴゴゴゴゴ』『ゴーレムするな』『スムーズな会話だなぁ』『これで人格プログラム組んで無いんか』『門の奥に見える街が素敵』

 

「ま、迷い人って言えばわかるかな、この服装の理由もそうなんだけど」

 

「おや!……なるほど、ようこそフランダールの街へ。歓迎しますよ、御嬢さん。」

 

 う、うおお…まるで騎士みたいだあ、ていうか騎士なんだろうか?……うーん、おんなのこが乙女ゲーをする理由も理解出来なくは無いかもしれないなあ。

 

 ……気になってきた、今度の配信やろうかな。う、うん……やめとこ。一人のとき、こっそり、こっ〜そりやってみよう。

 

「うん。それでね?出来ればこの世界についての簡単な知識とか、うーんと、後はフランダールの街…?で良いかな、についての事とか、教えてくれないかな?」

 

「それは、僕に?ふむ……分かった、たまには世間話に花を添えるのも、悪くは無いね、御嬢さん少し待っててくれるかい?」

 

「おっけー。…………よ、よし、ひととはなせたぞ!わ、わたし成長してる……どもらなかったし、あんまり緊張しなかった!ど、どうだなぎ民達!みたか!見直したか?!」

 

『かわいい』『かわいい』『かわいい』『見直した』『ガッツポーズなぎちゃん』『これはUC流れますわ』『成長したなぁ…嬉しいぜ』『うーん可愛過ぎる…』『お持ち帰りィ!』

 

「あ、ナゲットくん、今配信して何分ぐらいかな……もう1時間超えてる?そっか、取り敢えずキリのいい所までやって良いって許可貰ってるから、そうだなぁ。みんな戦闘とか見たいよね?最後はそれで終わろう」

 

『いかないで』『いかないで』『もっと見せて』『アーカイブ残る?』『この時間に終わりがあるのか……?』『そんなのって…無いよ…』『あたまがまっしろになりそうだ』『狂いそう』

 

「ま、まだ行かないよ!気持ちが早まり過ぎっ!あ、アーカイブは残して良いって!……それにしても良い空気だなぁ……大昔の地球も、こんな空気だったのかな?」

 

「おや、誰かと話してたかい?」

 

「あ、いいえ!その〜……これから来るかもしれない迷い人達に、この世界を見せてたんだ」

 

なるほど、と頷く門番さんはいつの間にか鎧を外していて、代わりに門番として連れてきたであろう人が、わたしの頭上を見てる……?何かついてるかな。

 

「野うさぎがなぜ頭の上に……?」

 

「野うさぎじゃなくてうさ吉です。……懐かれちゃったから?連れてきた」

 

「ま、まぁ何も聞きませんよ。……じゃあエリック、案内よろしくな」

 

 ぶふっーーーー!

 

『エリック!?』『エリック?!』『草』『腹がよじれる』『なぎちゃんが吹き出してうさ吉が地面に落ちたぞ』『こんなにかっこいいわけないだろ!』『実はこのイケメン無能では?』『エリック草』『え、どゆこと?』『後でアーカイブ貼るから見ろ』『その名前被っちゃあもう笑うでしょうよ』『居ない所で笑われるエリック』『悲しいです……悲しい』『ゲームの腕磨こうな?』

 

 そんなの卑怯だって……ああごめんねうさ吉、そんなうらめしい目でみないで、ほーら撫でてあげよう。よしよし。

 

「げほっ、んンッ…ご、ごめんね?その、知り合いの名前と同じでさ?」

 

「ははは、気にしないよ。……それより、実際に見て回った方が良いだろう。付いてきて、この街を案内するよ」

 

 大人しく彼の後ろに着く、……ごめん、名前で表記すると笑っちゃうから、ふ…ふふっ。

 

 世間話……って言っても、こっちが質問するだけなんだけど、なぎ民のコメントとかでの質問とかもしつつ、煉瓦造りのアートセンスを感じさせる建物は中世ヨーロッパのようで。

 

 なるほど、緩やかな平和とはあらすじ通りのようで。この街は構造的に襲われる想定をしていないんだろうな。

 

「魔物とか、襲われるかもって考えなかったりする?」

 

「良い着眼点だね……この街は遠い南の巫女様が結界札で護ってくれてるんだ、絶対的に強い結界で、みんな安心してるのさ」

 

『つまり安置か』『セーフルームやな』『メタやめろ』『まぁリスポーンしてくる街が魔物に襲われてたらちょっと…』『巫女さんとな』『巫女…なぎちゃん……よっしゃ描いたる!』『絵師、有能!』『巫女巫女なぎちゃん?』『みたいですなあ』

 

「それに疑問に思った事はないの?もしかしたら、その効力がきれちゃうかもよ?」

 

「その時は君主から授かった騎士の称号により、僕がこの街を死力を尽くして守るだけさ」

 

 わぁ〜〜!本物の騎士みたいでかっこいい!言ってみてぇ……この先は通さねえぜ、わたしがいるからなァ!って言ってみたい〜〜!

 

『うーんかっこいい』『こんな人間になぎ民もなるんやで』『なぎちゃんの為なら喜んで死ねる』『俺も』『私も』『わいも』『オレ達なぎ民なぎちゃんお守り隊』『ブラックの色は俺が貰う』『うわ!戦隊モノの裏切る奴だ!』

 

「……いやいや、わたしのためにそんなに必死にならないで良いから、て、照れるじゃないかよぉ……むう」

 

 一通りの説明をしてもらい、これはデモプレイ的にも大満足な結果だと満足する。

 

 そろそろ、配信も終わらせないといけない、キリがいい所までやっていいって言われたけど、だらだらとやるのは違うから。

 

「ありがとうございます!……所で、この辺りで魔物が生息している所って、あるかな?」

 

「ふむ、それは……あるにはありますが、レディ一人で行かせたくはないな」

 

「ならエスコートしてよ、……だめ?」

 

「まさか、喜んで」

 

『なぎちゃん思った以上に話せるやん!』『引きこもりゲーマーじゃなかったのか!?』『テンション上がるとああなる』『現実がダメでVRはOKなのか』『アゲアゲなぎちゃん』『なぎちゃんと話したい……』『VRって実体のスペックに依存するやろ?なぎちゃん魔物倒せるんか……?』『4キロぐらい離れてる街まで休みなしに動いて息切れ一つない。後はわかるな?』『まじかよ』

 

「あの森林の中にゴブリンの住処が……正直、僕としては殺めるのはしたくない」

 

「ん?なんで?魔物でしょ?」

 

「ふむ……迷い人達とはそこに認識の差があるのですね、確かに彼らは魔から生み出された、謂わば生物にとっての癌だ、ですが……統治する魔王が現れて以来、知性を持った。彼らも一つの命として、この世界に認められたという事だと、僕は思う。」

 

『面白い設定やん』『普通に良ゲーでは?』『将来的にオンライン対応してなぎちゃんと遊べるならやるぞ』『オンラインの場合どうなるん?』『それは今後のお楽しみという事で』『はーい。』『おまえ素直か、かわいいじゃん』『なぎ民に萌えるなぎ民、うーん?』

 

「素敵な考え……そうだね、キミ達も生きてるんだ。よーしなら殺しはなしだ!ちょっとしたじゃれ合いだ!」

 

 彼と話しているうちに、森林に入り、住処らしきものが見えてきた……って、うおお。すげえ!

 

「普通に集落じゃんか!それにこの人達がゴブリン?!なんだか……」

 

『ドワーフやん』『ドワーフやな』『ドワーフやねえ』『想像してたのと違うねえ』『ほんと平和な世界って感じ』『洞窟の家かぁ〜』『想像より発展してんね』『この平和を壊すことも出来る…ってなんか罪悪感が』『正直平和が一番だぜ?だからなぎちゃんの配信見てるんだし』『それはわかる』

 

「おヤ、人間のお二人。ナニカ用でしょうか?」

 

「け、けいご!ごごご丁寧にどうも……わわっ、えっとね、この方に住処を教えてもらってね?」

 

「決闘がしたいそうでね。君達、そういうの好きだろ?」

 

「ほオ!それはそれは嬉しいですね。最近は退屈してタものですかラ」

 

『なんて理性的』『俺より理性的』『理性を磨こうな?』『ゴブリンとは?』『彼等ですが?』『うーんなぎちゃんゆらゆら動いて本当にかわいい』『ゆらゆらなぎちゃん』『かわいい』『かわいい』『決闘かあ』

 

「ではコちらに、専用の闘技場へ案内しまシょう」

 

「は~い。……ふふ、なぎ民のみんなに見せてやろ〜う!このわたしの、華麗な戦闘を!ナゲットくん!ちゃんと映せよ〜?」

 

『フラグ』『フラグ』『武器とかどうすんのかな』『不要だ!』『肉体言語で語り合おうぜ』『徒手空拳とな?!』『ニンジャでしょ』『ナゲットくん親指立てたぞ』『このナゲットくん絶対感情あるって』『なぎちゃんのかわいいの余り意思が…?』

 

「武器は、好みまセんかな?」

 

「ん〜無しで!なんだかやり過ぎてしまいそうだからね」

 

「ほっホ!なんと勇敢な…それでいて自信に満ちている……余程良い事があったようデは?」

 

 ……え?う、嘘、そんなことまで解るの?ほんとうに擬似人格プログラムは使ってないんだよね?

 

 少しだけ顔が青くなったのを、このゴブリンは見逃さなかったようで。

 

「過ぎた言葉でしたカな……では、僭越ながら私ガお相手致しましょウ」

 

「……よし。切り替えた、言っておくけど手加減できないよ」

 

『うおおおおおお!』『開戦じゃ〜〜!』『肉弾戦なんて久しぶりに見るわ』『最近レーザー銃とプラズマカノンしか撃ってねえしなぁ』『どこの兵士ですか?』『あ、黒曜石の剣また作らんと』『お前一昨日のか?なあ俺のカツラしらねえ?』『知らねえよ草』『覇気が見える…見える…』

 

 お互いが構えを取り、それが始まりの合図を告げる。

 

 ……ああ、久しぶりだ、久しぶりに体を動かせる。

 

「っふ!」

 

「ヌッ……ゥ!」

 

 剛の構え、一撃の重い打撃は、容赦無く防御を崩す。だけど決まりが悪い、防がれたか。

 

 研ぎ澄ました瞳は、時間が止まったかのように次の一手を予測出来る。右の拳。大丈夫、受け流せる。

 

 パワーも上、早さもこっちが上、ただこの違和感と。第六感からくる直感は……技量の高さか。

 

「存外、巧いじゃないか……久しぶりだぜ。型決まりしなかったのは」

 

「ぐっ……フふ、それだけですヨ、あなたの力と速さには及ばない」

 

『うおおおおおお!』『興奮する』『つっよ』『正規の格闘術じゃないな』『はえーなー』『これ俺らでも出来る?』『うーん……?』『おぱんつ見えないお!』『かなしい』『難しいかな』『やりがいあるやん……えずくじゃないか……』『あ、プロハンニキだ』

 

「次で終わらせるよ」

 

「では、耐え抜いてご覧にいレようか」

 

 事格闘戦に、搦め手はいらない。単純な力こそ全てだと、わたしは教わった。

 

 腕を振る、ラリアットだ。

 

 流石に読めたか。避けられる、解ってた。なら動く前に蹴る。

 

 溝に入る前に飛んだ。良いのか?その間合いは対応出来るぞ。

 

「なんと…………ガッ!」

 

 関節を伸ばし(・・・)蹴る、流石にリアルでやると痛めるが、ここはVR。昔編み出した、わたしなりの……いわゆる奥義。

 

『ひぇ〜』『くそつよなぎちゃん』『お?この動き…』『うーん、強い!』『よわよわなぎちゃんは?』『そんなのいないぞ』『これはプロゲーマー』『すごすご身体スペック』『普通に稽古つけて貰いたいんだが、組んず解れつ』『おまえ、屋上』

 

 確かな高揚感と、疑問。わたしはこんなに力はなかったし速くない、七年間の運動不足で体力も無かったはずだ。

 

「ム……私では力不足だっタようで」

 

「え……?あ、ああいや、そんなんじゃないよ!とっても有意義でした、ありがとう!」

 

「いやあ、美しいだけで無くお強いとは、これが迷い人……僕も稽古に励まねばならないな」

 

『なぎちゃんと一緒にするな』『なぎちゃんを基準にされたぞ』『おいおい勘違いされたわ』『なぎちゃんより、強い男になりに行く』『草』『銃に頼る時代は終わりだ』『今夜河川敷で待ってる』『なぎ民、修行してくるってよ』

 

 ……面白いから否定しないでおこ〜〜っと。

 

「ふう……今日はありがとう二人とも!楽しかった!……迷い人にも色んな人がいるんだ、だから、よかったら他の人にも……優しくして欲しい」

 

「勿論だトも、君はもう友人ダ」

 

「御嬢さん、名前を聞いても?」

 

「私はなぎちゃん!自称プロゲーマーのなぎちゃんだー!」

 

 企業案件の、久しぶりのVR。それはわたしの大きく成長させる一歩で、ただただこの嬉しさを、楽しさを、みんなに伝えられたらそれは、素敵な事だよね。

 

「街まで送るよ」

 

「ううん、ここで良い……もうそろそろ戻らないと」

 

「ふむ……そうか。では、創造主に伝えてくれるかな、感謝を。僕を、エリック=スターダストを生み出した事に、感謝を」

 

「う、うん……」

 

『ダメだ…笑うな…ッ』『耐えろ…ッ!耐えろ…ッ!』『まだだ…ッ!まだだ…ッ!』『なぎ民のコメでもうダメ』『感謝を(イケボ)』『腹痛い腹痛い助けて』『本当に悲しいの、わかります?』『一緒にゲーム練習しような?』『一周回って有能だわ』

 

 よ、よし、行った?行ったな?もう堪えなくて良いな?良いね?いいよね?……かっこいいのに笑っちゃうよあんなの〜〜!

 

「よーし、おまえもだぞうさ吉……う、そんな寂しそうな目すんなよ、また会えるから。な?」

 

「ってわわ!胸に飛び込むな胸に!も〜〜……」

 

『サービスショット』『ありがとうございます!』『ナゲットくん!もっと下!下!』『下だって!下!』『あーうさぎになりてえ』『なぎちゃんに飼われてえ』『好きです』『鼻血が抑えられない』『うさ吉、ナイス!』

 

「は〜、楽しかったね〜、長くなったけど、最後まで見てくれたかな?見てくれたら、嬉しいです」

 

「じゃあ…そろそろ現実に戻ろうかな。ナゲットくん!ありがとうね、褒めてやろう」

 

『荒ぶるカメラ』『このナゲットくん絶対意思芽生えてるって!』『喋り出してもおかしくない』『ワレ。なぎちゃん。スキナリ』『いやそうはならんやろ』『実際なんか加工した?』『何もしてないです。怖い』『草』『草』

 

「じゃあ、一旦配信止めるよ〜?ちょっと待っててねなぎ民達」

 

 ……ああでも、やっぱり寂しさはあるな。

 

 もし、もう一回この世界に来た時は、なぎ民達と遊びたい。初菜と……ミクちゃんと一緒に冒険したい。

 

 司も呼ぼう!引きずってでも連れて来てやる!……管理人さんとも、出来たら良いな。

 

「ありがとう……」

 

 誰に向けてでもなく、零れ落ちた言葉と共に。

 

 

 ーーこちらこそ、凪沙様。

 

 私の体は現実へと帰還した。

 

 

 

 

「録画終了っと」

 

 最大視聴者数はなんと、3万人を超えていたみたいで、一周回って冷静になってきた。……チャンネル登録者数とつおったー+のフォローが止まらない、これが……大企業の力ということか。

 

 ソレスタルビーイングさんには本当に感謝しないとな、なんだか本当に……ううん、違う違う!あんな有能無能、パパって認めないんだからっ!

 

 ……あ、噂をすればなんとやら、メールが来てる。

 

『なぎちゃん、パパは嬉しい。

大成功ですね。本当に嬉しい限りです。そしてありがとうございました。楽しそうに、心から楽しむなぎちゃんを見て、こちらにも楽しさ伝わって来ます。今回の配信で本社も火が付きました、久々に大当たりのゲームが作れそうです。

今回のなぎちゃんの配信で、救われた人は沢山いると思います。自信を持って下さい、貴女は人の人生を明るく出来る。夜に輝く月のような人です……少し臭い事を言いました、今回はデモプレイお疲れ様でした。再度、ありがとうございました。

なぎちゃんのパパより』

 

 ……だからパパじゃないてば、もう……卑怯だよそういうの。

 

 ……電話だ、もしかして、司?

 

『凪沙、おめでとう』

 

「ッ………う、うん!うん!」

 

『これだけの事が出来たんだ……もう何も、恐れなくて良い』

 

「うん……うん」

 

『きっと凪沙の家族も、見直してくれる。凪沙、おめでとう』

 

 涙は、出したくない。親友の前だもん、見栄ぐらい張りたいんだ。

 

「ありがとう……司、司のおかげだよ、司が居てくれなかったら、言ってくれなかったら、何にも出来なかった。ありがとうはこっちの台詞だってーの……ばか」

 

『ハハッ!まーな、俺様を敬え敬え!……そう遠くない日に休みが取れそうだ、そっちに顔出す。その時に、色々話そうぜ』

 

「それは……っ、そう、だね。うん……いっぱい話そう?」

 

『おう、それじゃーな。……ああ、言い忘れてた、管理人さんもおめでとうってよ、近いうち祝いに来るって、そんじゃ』

 

 ……ってええ!?く、来るの?!家に!?ま、まあ、うん……管理人さんとも、もっと話したいし、仲良くなりたいから。い、良いけどさ?

 

『ピンポーン……先輩?大成功のお祝いにケーキ作りましたよ、良ければどうですか?』

 

「……ふふっ、今日はフルコースだなあ」

 

 涙を拭く。正直、全然拭けている気がしないんだけど。

 

 ああ……本当に。

 

「今開けるよ〜〜!」

 

 生きていて良かった(ほんとうに幸せ)って、そう思った。




深くは語りません。ここまでプロローグ、第1部終了です。

まずここまで読んでくれて本当に嬉しいです。感想評価、誤字報告等にありがとうございます!なぎ民がいるから頑張れた、感謝を。

当初はここで打ち切りENDで終わって、自画自賛して終わってたんだけど……まだ書くかなーやっぱ。

でも3日ぐらい休ませてくれ?


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きゅうわめ!

おまたせ!続きです。
それと、はむ☆さんよりミクちゃん
【挿絵表示】
描いてもらいました!クールかわいい!嬉しいです、ありがとう!


 朝になる、見慣れた天井を惚けた頭で数秒見つめて、ふと歯磨きしないととのっそり起き上がる。

 

 とてとてと洗面所まで歩けば、寝間着姿のわたしが映る。

 

 銀色のシルバーブロンドに、黄金色のおめめ。寝ぼけた顔が可愛らしい。

 

 適当に着たTシャツが少し(はだ)けてたので整えて……と。うん、今日もわたしはかわいい、かわいい……ぷにぷにと頬を手で押してみる、女性特有のもっちりした肌がわたしの手に伝わる。

 

 何も違和感がない、生まれて今までこの姿だったと確信出来る体だと思う、が、わたしは元々この体ではなかったとも思っている。

 

 この奇妙な感覚は、一生つきまとうのだろうか?

 

「まぁどっちでもいいか」

 

 何方にせよわたしはわたしなんだ、ならそれでいいと思う。何が原因で、何の要因でこの体になったのかは不明だが、それを知って、わたしの在り方が変わるのかそうでないのかは、また別のはなしで。

 

 頭がスッキリしてきたらお腹が空いてきた……昨日作りすぎたシチューは家庭用保熱庫に保存済みなので、直ぐに食べられる。

 

 画期的だよこれ、なんで冷蔵庫と同じ鮮度で保存出来るのかは置いといて……いや、わからないわけじゃないけどね?

 

 温かいものが何の手間もなく、直ぐに食べられる幸せに、わたしは感謝しないといけない。

 

「はふはふ……もぐっ。ちょっと甘すぎるかな……うーんでも、甘い方が好きだしなあ、コーヒーは別として」

 

 2日ぶりの配信日になる、パソコンを操作してわたしのチャンネルを開くとそこには登録者30000人以上の文字が。

 

 いやまじかよ、あのデモプレイにいた視聴者さん達みんな登録してくれたのかよ……嬉しいけどさ、うれしいけどさ!?3万人も登録してくれるなんて思わないじゃんかよ……感謝しないといけないなぁ本当に。

 

 ま、まあ?わたしも成長したからこの人数に怖気づくことはたぶんおそらくきっとないけど?人気自称プロゲーマー配信者なぎちゃん見せてくけど?

 

 そ、それに全員が全員来るわけじゃないし?配信が始まる前に3万人が来てくれるわけじゃないのはわかってるし、あくまでもSSS社が大々的に宣伝してくれたデモプレイ配信から流れで登録してくれた人達もいるから、わたし自身の配信でどれだけ人気が出て、どれだけの人が楽しんでくれるかは、まだまだこれからなんだ。

 

「う~……今緊張してどうするんだ、全く」

 

 突然かも知れないが今回から、顔出ししようと思う。

 

 ……デモプレイで顔を出したし、今更顔を出しても……いやまぁ恥ずかしけどさ、恥ずかしいですけれど。最終的に三万人以上に見られてるし、うん。

 

 それと日頃、配信を見てくれているなぎ民への感謝もある、やっぱり顔を見れたほうが配信映えもするだろうし、出来ないことも出来る……かも知れない。

 

 特定の心配がないのも、顔出しを決意した一つだろう、親友二人には足を向けて寝られないな。もちろん管理人さんにもだけど。

 

 司には、言わなくてもいいだろう。会う約束はしたんだ、その時になって……話そう。それで良いはず、だよね。

 

 なのでいい加減な髪には出来ない、しっかり整えないと……別に自分でできるし。

 

 気分転換に何かゲームしよっかな……いや、人気配信者の配信見るのもありかな。

 

 わたしは配信者を見る時、コメントはしない派だ、べつに有名になってきたからとか配信者になってからとかではなく、その前からコメントはした事が無い。なんというか、わたしは他の人の中庭に入るのが好きなんじゃなくて、その中庭で楽しんでいる配信者を見るのが好きなんだ。

 

 ……初菜とか、配信者にならないかな。ミクちゃんとしてやって欲しい、わたしの初コメを上げても良いかも知れない。なんて。

 

「お願いしたら案外してくれるかも知れない……うーん」

 

 あ、プロハンター先生が動画出してる、この人本当ゲーム上手いよなぁ……へー、ここの攻略こんな事するんだ、思いつかなかった……わたしでも練習すれば出来そうだな。

 

 RTA配信っていうのもありだなぁ、もちろん自分でチャート組んで試走を繰り返してからだけど、うーんでもRTA出来て配信向けのゲームってダウンロードしてたかなぁ?また新しいゲーム探して買うかなぁ?

 

 ああでもやっぱり、コラボ配信っていうのはしてみたいな、う、うまく喋れるかはわからないけど……とっても楽しいと思う。

 

 

 

 

 準備完了、いつでも始められる。待機列には5000前後の文字が。

 

 何にせよたのしむ事を忘れずに、今日もなぎ民のみんなと騒いで遊ぼう。

 

「はろは~!自称プロゲーマーのなぎちゃんだよ!……今日から、顔出ししてみることにしたけど……どうかな」

 

『はろは~!』『待ってた』『かわいい』『投げ銭』『ガチ恋』『神回』『も~好き好き!』『あーかわいい』『初見』『このガチ恋製造機め!』『リアルとヴァーチャル、どちらもなぎちゃん』『瓜二つっつーか変わらねえなあ』『まぁ自己投影アバターやし』『リアルの方がかわいい』『僕はVR派』『へー、戦争かよ』

 

「先ず最初に、二万人登録者突破ありがとう!本当に嬉しいです……SSS社のデモプレイ配信からの新参なぎ民も、初見さんの人もたくさんいると思う。これからも、そして何が合ってもわたしは、みんなとたのしんで配信するからね」

 

『投げ銭解禁されてるやん!』『5万』『5万』『5万』『5万』『開幕20万で草。5万』『金投げすぎだろ5万』『じゃあ俺も5万』

 

 うわあ?!なんだなんだいきなりなんだ!?やばいやばい……数字の羅列がやばい……投げ銭金額非表示にしとこ。

 

 よ、よし。これでおーけー……終わった後に口座見るの怖くなってきた。

 

「う、嬉しくないわけじゃないけどさ……無理しないでね。よ〜し楽しむぞ!」

 

『たのしもう』『今日も祭りだ』『俺の生きる意味』『感謝を』『それやめろ』『ところでなぎちゃんブラ付けてるん?』『おまえ……』『半年ROMれ』『開幕のけ民、もう帰っていいよ!』

 

「なななに言ってるのさぁ!?……へ、へんじゃないよね?だ、大丈夫かな……ゲームするときはワイプ画面にするつもり」

 

『へんじゃないよ』『何も変ではない』『かわいいんだぜ』『今回は何をするんです?』『うへへ……半袖シャツええなぁ』『オレンジ色ええなあ』『かわいいぜ……』『わいの妹の配信やってるやん!』『ぼくのだぞッ!』

 

 いや誰の妹でもないけど……へ、へんじゃないか、大丈夫か、良かった良かった。

 

『ところでパソコン?VR?』『VRホラーやろ』『VRフィールドで遊ぼう』『VRじゃないん?』『直結丸出し君、裏庭』『なぎちゃんは基本PCゲーだぞ、二日前が案件だっただけで』『どっちでも良いけどVRホラーはしてほしい』『わかる』『わかる』『わかる』

 

「VRは基本しないかなぁ……んー、何かの記念配信か案件かコラボとかだったら、やるかな……?VRフィールドも同じ感じ、わたしはあくまでもパソコンのゲームがしたい……もっとなぎ民に広めたいから」

 

 VRホラーとか絶対しないからな

 

「今回はねぇ……よいしょ!このゲームやるよ~……ととーる社から『Death is Not an Escape.』だよ―!」

 

『うおおおおお!』『ホラゲーじゃん』『ホラゲーだな』『出来るのか……?』『で、出た―!異世界に囚われた四人のプレイヤーが協力して7つの願いを叶えるボールを探し、元の世界に帰るために襲い来る異世界の狂人から逃げるゲームだー!』『キラー側は二人だっけ?』『一人です』

 

 説明しよう!Death is Not an Escape.とは非対称対戦ホラーゲームである!異世界の狂人であるプレイヤー1人と、異世界に囚われてしまった4人のプレイヤーに分かれて対戦するゲームだ!

 

 四人のプレイヤーは異世界の中の隠された宝箱に入ってある願いを叶えるボールを7つ探し、狂人側は7つ集まるのを阻止する為に4人のプレイヤーをぶっころそう!

 

 狂人側の豊富なジョブに対し、探索者側は総じて無力!小石を投げるのが関の山!コーナーで差を付けながらなんとか逃げつつ、早急に宝箱を開けよう。開ける判定に失敗すると何故か警報がなるぞ!注意しよう!

 

 異世界と言っても便宜上のものでしかなく、ファンタジー要素はそんなに無いぞ!普通に現代をモデルにしたステージがあるぞ!

 

「……まあホラーだけどさ、対戦ゲームだしそんなに怖くないよ、それにわたし狂人側でやるから」

 

『え?』『なんで?』『どうして?』『逃げるな』『逃げるな』『なぎちゃん、一緒に逃げよ?』『そんな……そんなのって無いよ!』『ニーズに応えてくれ』『需要を察してくれ』

 

「ニーズに応えるってなんだよ!だってだってみんなどーせわたしの怖がってるの見て、よわよわなぎちゃんとか動画名つけるんだろ!?読めてんだよぉ!気にしてんだよ!?」

 

『草』『草』『涙目草』『ソンナコトナイヨー』『なぎちゃんの華麗な探索者操作みてみたいなー』『一緒にプレイしたいです』『まぁまぁ、じゃあ公平にランダムで行こう』

 

「うー……まぁ、なぎ民と協力して逃げるのも楽しそうだけど~……はあ、まぁ普通のホラーより怖くないし、わたし結構やりこんでるし……」

 

「わかったよも~、需要に答えてやるか……負けたら罰ゲームとか無しだからね!わかった~?」

 

『やったぜ』『やったぜ』『さすがなぎちゃん』『信じてた』『よっなぎちゃん!』『あレートSS後半だ、負けたわ』『やり込みゲーマーコワイ……』『なぎちゃんの後ろは任せろ!ぺろぺろ』『任せろ!』『俺も俺も!』

 

「良いの?わたしの周りになぎ民居たら囮に使うけど、命捧げられる?わたしのためにかっこいい所見せられる?」

 

『任せろ』『任せろ』『心臓を捧げよ!』『なぎちゃんの為なら狂人なんて怖くない!』『なぎちゃんが囮に使われるに一票』『そんな事するわけないじょまいか』『まさかーそんなーしませんわー』『少しは隠せ』

 

 な、なんだか複雑だ……本気なのか冗談なのかわらない所が特に……囮に使われたら名前覚えてやるからな

 

「よーし、じゃあそろそろなぎ民も準備できたね?ゲームの性質上直ぐに終わらないから、先着で入れなかったらごめんね?一試合毎にメンバーは変えるつもりだから、次は入れると思う!」

 

 流石に今みてくれているなぎ民の全員がわたしとゲームを一緒にやれないのは確実だから、その人達にも楽しんでもらえるようにしないと……よしっ。

 

『やる気まんまんななぎちゃんかわいい』『リアルでも良く動くなあ』『軸ブレなぎちゃん』『うーん、5点!』『この日の為に通信スペック上げました。国家認定SAD型です』『サーチアンドデストロイ型だとォ!?……それこのゲームと相性悪いよ』『え……』『かわいそうになってきた』

 

「お、おう……元気出してね田中さん?……わっ、埋まるの早いね、さーて記念すべき最初のメンバーは~……偽兄さんと、ユーさん!いつも動画ありがとうね」

 

 残りの二人は、初参加かな?ニンジャさんと狩人さん……ってこの人もしかして!?

 

「かか、狩人さん……プロハン先生!ひゃ、ファンです!その、えうあ……ああ、格ゲー配信の時対戦してくれてありがとうございます!あ、あの。お暇な日にプライベートでゲームしましょうね!?」

 

『草』『オタムーブ』『オタオタなぎちゃん』『慌てようがガチ』『本物やん』『実質コラボ』『格ゲー配信って?』『アーカイブの45分ぐらい見ろ』『プライベートでゲームって?』『罰ゲームの内容』『ありがとう!』『こいつかわいく見えてきた』『よろしくね、なぎちゃん』

 

 はわわ……緊張してきた、下手な所見せられないぞ~。格ゲー配信の時はお見苦しいの見せちゃったけど、今回はそうはいかない。

 

「狂人かな、探索者かな……はい。探索者です……あ!狩人さんもだ!勝ち確なんだよな~~、それで偽物のおにいちゃんが狂人かぁ、やっぱ偽物だったね」

 

『しっかし動画映えるなあ……』『顔出した方が華やかよね』『表情もわかって最高か?』『おにいちゃん、やはり偽物』『最初から知ってた』『やっぱりな、俺がなぎちゃんの兄やもん』『妹よ、血肉を引き裂いて一緒になろう』『こええよ』『やめろやめろ!』『荒れるぞ偽兄』『草』

 

 こ、こわ……てか偽兄も私と同じぐらいのレートだし、油断できないな、気合い入れて行くぞ~~!

 

 ステージはキャッスルタワー、市街地かぁ……遭遇しにくいけど、それは味方もなんだよねえ、まあ無難に宝箱探そっかな

 

「う~~緊張する、久々に探索者とかしたなぁ……やっぱちょっとこわいなあ、話してる時にいきなりばって現れたらどうしよう」

 

『なぎちゃんの怯え顔ぺろぺろ』『ぺろぺろ』『スクショしたお』『配信だってわかってても緊張する』『これキラー側からバレない?』『正直一々別の画面見てる暇ないと思われ』『なるほどね、まぁ勝ち狙うならそりゃそうか』『どこも似たような風景で見ても見当はずれとかだったりするしねー』

 

「このゲームはチャットとか使えないし、味方のHP以外、マップも無ければ味方の姿が見えるわけじゃないから、最初は難しかったな~……いまからやる人は上手い人のプレイを参考にしようね、狩人さんとか!」

 

『はーい』『なぎちゃんの動きみまーす』『なぎちゃん見てまーす』『なぎちゃんしか見えない』『俺らなぎ民なぎちゃんだけを見つめ隊』『私も』『僕も』『ブラックも』『裏で話し合ってんのか?おまえら』

 

「ふふっ……なにそれ。照れるからやめてってば……あ!狩人さんが1つ目のボール見つけた、早いなぁ」

 

『かわいい』『かわいい』『あああほんまかわいい!!』『狩人さん早すぎ内科?』『内科だなぁ』『やめろ』『その傍ら、ユーさんは足を引きずってましたとさ』『アレ吊られるね』『吊られるね』

 

「わわっほんとだ……まだ序盤だし助けにいこっかな……あ、地下行きだ。やめよ、じゃあね」

 

『草』『草』『薄情すぎる』『直ぐに切り替えたよこの娘』『判断が早すぎる』『無能は犠牲になったんだ……』『まぁ地下はなあ』

 

「おーし宝箱みっけ~……さーて開けるよ開けるよ……」

 

「ってアレ狂人だ!心音無効パークって課金ガチャだろそれ!?わわっ、きてるきてる!っやっぱこわいって!だ、誰かいないの!?小石投げて動き止めてよ!」

 

『まってた』『ナイスゥ!』『これは真のおにいちゃん』『狂人名サックマン!狂人唯一の投擲持ち!遠距離攻撃を対応した恐ろしい狂人だーー!足の遅さがネックだが、その分心音無効や足音無効などの潜伏能力が極めて高い!』『はい説明乙。実際強い』『チェイス勝負に持ち込めるか?』

 

「いっ……!なんだあのエイム!?肩に手斧刺さった!ばかばか足遅くなるんだって!やだやだ待って!足止めろ!別んとこいけこのっ……」

 

「ひゃ!今、今髪掠めたぞおい!?当たったらあの世行きだよ!おい妹をいじめて楽しいのかよばかぁ!!」

 

『草』『草』『相変わらずの憑依具合』『心地良い罵声』『おくちわるわるなってきた』『思った通りの表情してた』『イメージ通りの表情で草』『あはは~待て待て妹よ~』『あはは~(狂気)』『やべえよやべえよ』『怖くなってきた』『どうやってチャットしてんだ?』

 

「あ!ドウモ、ニンジャさん!その手に持つは……小石!なげちゃえ!へっ、そう簡単にくたば……はあ!?傷害無効パークとかお前チートだろおい!そのキャラ使い込みすぎだろ!?」

 

「ちょっと!?一目散に逃げないでよ!ちょ、障害物置くなお前!見捨てんなよおい!なぁってば!や、やばい……逃げ道がない!うわっ近いってちかいからぁ!」

 

『腹よじれる』『この感じ親の顔より見たい』『いつもこう?』『そうだよ』『気に入りました』『なぎ民に追われ、なぎ民に見捨てられるプロゲーマー』『偽兄上手くね?』『元プロゲーマーですし』『まじかよ』『草』『草』『だからどうコメしてるんだって』『あっその先碓か……』

 

「あっやば行き止まり……わ、わかった、認めよう。おにいちゃんって認める、だから回れ右しよう?妹のお願い聞こう?」

 

「じりじり近づくなこええって!ひゃわ!手斧投げる必要あった!?や、やめて……まだ生きたい!一緒に生きよう!ね?ね?……にゃあーーー!」

 

 

『やっぱ面白えわ』『好きです』『画面越しに祈ってて草』『ワイプ画面が面白すぎる』『エンターテイナよなぁ』『あ、これ地下行きだ』『脊髄反射の命乞い』『殺意という名の愛』『二人目ですか』『一人目だぞ』『あれ?ユーさん助かってる』『狩人さんが助けてたよ』

 

「離れろ!離せ!……んーむりかぁ、まあわたしが囮になってボール6つ集まったなら上々でしょ、うん。チームで勝てばよかろうなのだ!」

 

「……え、なんでずっと居るの?ねえ、他の人追わないの?……ねえちょっと、ねえ」

 

『これは……』『お見送りだー!』『絶対一人殺すタイプかあ』『なぎちゃんはかわいいなあ』『だから怖いから』『いやあ草』『高すぎる殺意』『逃す気がなさすぎる』

 

「……じゃあお話しようおにいちゃん、お仕事上手くいってる?体調は?わたしの配信、ちゃんとできてるかな、楽しんでる?」

 

『草』『この状況で!?』『TRPGとかやらせてえなぁ』『絶対名演技出来るぞ』『まるで役者』『妹の愛情が俺の心を溶かしていく……』『おや?』『これは』『あに は しょうき に もどった !』『草』『草』『草』

 

「よし、じゃあまずこの縄を外そう!そしてわたしを逃がそう!ね?ね?」

 

『ゲームシステムの壁は超えられんわ』『草』『草』『あ、これなぎちゃん以外全員助かりましたね』『神回しか作れないプロゲーマー』『助けられなくてすまない』『パーク構成が強すぎた、何時間掛けたん?』『いうて88時間。それに他のパーク弱いから手斧外すと結構痛いんだよね』『へー』

 

「くっそ~~!!!はい解散!部屋作り直すからね!つぎだよつぎ!」

 

『やけくそプロゲーマーなぎちゃん』『楽しかった、ありがとう』『偽兄に全てもってかれたな』『キャラが強すぎるんだって』『ニンジャより薄かったユーさんのキャラ』『やめてやれ』『狩人さん視点でも見たいなあ』『録画してある』『ありがてえ!』『延長する?』

 

 ったくもう……へへ、延長するよ。もっとみんなと遊びたいもん。

 

 今日はまだ終わらない。この後もなぎ民と『Death is Not an Escape.』を楽しんだ。




感想評価に誤字報告といつもありがとう!嬉しいんだぜ。
毎日投稿は約束出来ないけど頑張るぞい!


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なぎちゃんよくばりセット

今日はまだ終わらないぜ。掲示板と似たノリなので嫌いな方は見ない方が良いです。
時系列は六話と七話の間。ほんぺとはそんなに関わりない。
小説の書き方では無いかもだけど……どうでしょうか、実験。


『編集完了したわ、取り敢えずここ最近の一週間の抜粋しといた、ほな動画投稿ポチー!』

『有能』『有能』『有能』『始まるざます』『行くでがんすよ!』

 

 

【月曜。パズルなんてよゆ〜ですから配信】

 

「ま〜わたしは天才ですから?パズルなんて余裕だよ!」

 

『草』『イキったなー』『これはフラグ』『あほあほの予感』『まぁこのゲームは簡単な方やし』『コメントOFFにしよっか?』『なぎちゃんパズルは無理だよ』

 

「ば、バカにしやがって、ふーん。そんな事言うなぎ民の手なんて借りないんだからね!」

 

『あっ……』『言ったな』『二言はないな』『後戻りはできないぞ』『良いのか?本当に?』『へ〜ほ〜ふ〜ん』『成る程ね、未来が読めた』

 

「な、なんだよ……パズルゲーでも簡単な方だし、大丈夫だよーだ」

 

「よ、よし、まずは一つ目クリア、ほら見たか?これがわたしの実力ですわ?」

 

『まあ』『出来て当然』『イキるにはまだ早い』『その調子で次行こう』『まさかパズルもプロゲーマーなのか?』『またうまうまプロゲーマーの称号を?!』『天才美少女なぎちゃんが!?』『嘘やろわいの彼女が!?』『ほな屋上』

 

「うぇ、なんだこれ……待って待って……」

 

「ええ?こうじゃないの?ちょっと〜、まだ5問目なんだけど」

 

「んん?は?はえ?わかんないわかんない……」

 

『草』『草』『くそざこ』『知ってた』『未来予知するまでもない』『あたまよわよわなぎちゃん』『うーんこれはあほあほ』『あわあわしててかわいい』『うっそだろなぎちゃん草』『えぇ…?』『あほかわいい』

 

「あっあっ………な、なぎ民のみんなー?教えても良いんだよ〜?」

 

『嫌です』『嫌です』『ざまあ』『はっはっはっは』『飯ウマー!』『己の発言を悔め』『助け借りない言うたのなぎちゃんやで』『悔しかろ?悔しかろ?』『自分の発言に首を絞められるプロゲーマーがいるらしい』

 

「う、うう。ううううう!!じゃ〜〜もういい!気合いでやったるわ!その代わり最後まで付き合えよ!ちくしょ〜〜!」

 

 

『ぐう畜なぎ民の誕生』『初のアーカイブ残らなかった奴な』『この回許可は?』『取ってる、なぎちゃん優しい好き』『あの後ムキになって終わるまで12時間配信したんやで?』『半日やんけ草』『やや涙声で助け求めるなぎちゃん見れて僕は嬉しかったです』

 

 

【水曜。格ゲーしますよ対戦配信】

 

「よし、初の対人戦。緊張するけど…負けるつもりも無いよ!」

 

『こっちもやで』『昇竜拳!』『烈風拳!』『竜巻旋風脚!』『覇王鉄槌!』『開戦のコングだー!!』『うおおおおおお!』『ぐっ!右手が疼く!』『なぎちゃん負けたら罰ゲームしよ』

 

「うぇえ!?うーんでもなぁ……じゃあなぎ民が負けたら、わたしの言う事聞いてもらいまーす!その代わりなぎ民が勝ったら言う事聞いてあげるよ」

 

『うおおおおおおお!』『ちょっと待って本気出す』『おにいちゃんって認めさせたるわ』『ガチで倒すわ』『マジにさせちゃったね〜もう止まらね〜ぞ〜?』『覇気出てきた、ごめんなぎちゃん。全力で行くわ』

 

「ふふっ……みんなも気合が出てきた所で!最初の相手はこの方だ〜〜!じゃん!わたしの旦那さんってうわあああああああ!!!」

 

『ヒュー!』『草』『草』『策略に嵌ったな』『これは諸葛亮孔明ですわ』『策とはこう使うのだよ』『天才だよあんた!』『なぎちゃんの動きが止まってて草』『おーい?なぎちゃん?』

 

「………てめぇボコボコにすっから」

 

『ヒェッ』『ガチトーン』『マジの声』『ネットヤンキーかよ……』『やばいやばい』『謝るなら今かもしれないぞ』『これはこれで……良い』『ダメだこいつ、遅過ぎたんだ』

 

「はい、わたしの勝ちです。名前を変態うじ虫に改名して下さい、命令です。わかりましたね」

 

『草枯れた』『こわい』『新手のホラーですか?』『ひぇっ……』『感情を失ったプロゲーマー』『あまりの恐ろしさに低評価0』『なぎちゃんに名前つけてもらったお!』『お前のメンタルなんなん?』

 

「次の人です、よろしくお願いします」

 

 

『ガチ回』『強過ぎたわ』『プレイ中無言だったのがまたね』『結局本気出したなぎちゃんに勝ったのわ?』『狩人さんだけだよ。ミクちゃんは判定負けした』『プロハンの人か』『まぁプロハンやしな……』『罰ゲームなんだっけ?』『またゲームしようねだったっけな』『良心的すぎる』

 

 

【木曜。ぷよと名のつく例のゲーム配信】

 

「うーん、正直わたしこのゲームあんまりしてないから勝ち星少ないだろうな〜〜」

 

『俺もそうやで』『気楽にやるかぁ』『今日も罰ゲ……なんでもないです』『得意でも不得意でも無いゲームってあるよな』『なぎちゃん出来るジャンルが多すぎるんよ』『パターン&トライ、覚えてやり続けるだけやで』

 

「うんまぁ、その。一人プレイが殆どなんだ……わかって?」

 

『あっ』『あっ』『今はなぎ民がいるだろ』『俺たち、友達やで!』『恋人やで!』『それ俺や』『わいや』『僕ですが』『あーはいはいOKOK、部屋立てたわ、入ってこいよ、一位が恋人って事にしたるわ』『望むところなんだよなぁ!』『インドで一位の僕に勝てるわけないだろ!』『今日の戦争はここかぁ!』

 

「ど、どうどう。落ち着けなぎ民達、まず第一にわたしは恋人になった覚えないから!……もー、なぎ民同士で話すのもいいけど、わたしの相手をしてよね」

 

『かわいい』『かわいい』『かまってちゃんと化してる』『昨日がアレだったからか今日は甘い』『なぎ民も下手な事言えんぞ』『はーい。』

 

「じゃあやるよ〜!さーて今日の最初の対戦相手は〜〜?どぉーん、田中さん!……初回放送から見てくれてるよね?ありがとう」

 

『あっ』『マジか』『ついに邂逅してしまった……』『配信前に全ての仕事終わらせてんだよあいつ』『無駄にやりおる』『よろしくお願いいたします』『どんな腕前なんやろ』『賭けしようぜ、俺田中』『なぎちゃんに一票』

 

「さてまずは……って、レート高いじゃんか、油断できないな」

 

「うおお!あぶねぇ!普通に上手いなぁ……!でもそう簡単にやられね〜〜ぞ!」

 

『票訂正良い?』『ダメです』『うお?』『接戦では』『まじか?まじなのか?』『まさかなぎちゃん負けるのか?』『負けてしまうのか?』

 

「あ、待って待ってそれだめ!今邪魔しないで!もう残機ないから!待ってってばぁ!あ、あ〜〜」

 

『よわよわなぎちゃん』『普通に負けたな』『賭け負けた〜!』『データ送ったから解析して?』『お前これ……まあええわ』『普通に田中が強かった』『成る程、こういうゲームは中の中レベルなんやな』『まぁ誰しも得意不得意があるんや』『ありがとうございました』『田中公園走ろうぜ』

 

「ん〜〜でも楽しい!ほらほら次の人!どんどんやろうよ!」

 

 

『終始和やかだったね』『珍しくゆるーい感じだった』『田中上手かったな』『まあ田中の得意なジャンルあれぐらいだけどな』『草』『草』『気楽にやり始めたのはこの辺りか?』『数字に驚くのが無くなってきたのはこの辺り』『まぁ数日後に案件きたんですけどね』

 

 

【金曜。名探偵に、なぎちゃんはなる!配信】

 

「あたまあほあほとか、頭脳プレイ(物理)とか、あー良いですよ良いです!ならこういうゲームやって見返してやるからな!」

 

『草』『草』『これはじっちゃんの名にかけてるわ』『もしかしてつおったー+エゴサしてる?』『蝶ネクタイ使いそう』『で、結局何するの?』

 

「エゴサしてたらあほあほとか、よわよわとかえちえちとか……少し自重してください」

 

「ンン!……というわけで猟奇ミステリー推理ゲーム、やってくぞ〜〜!」

 

『うおおおお!』『珍しいジャンル』『珍しく中小企業の所か』『普通のVRゲームにないジャンル』『作り辛いんやろな』『演算が上手くいかないとかなんとか』『VRフィールドに似たのあるけど、うーん』『こういうのは見る方が楽しかったりする』

 

「んー、わたしはやる方が楽しいけど。結果とか知ってると、他の人のを見るの楽しかったりするのはわかるなぁ、……あ!ネタバレしないでね?わたしとの約束です」

 

「おお……ち、ちょっと怖いじゃんかよ」

 

『館いい演出するやん』『思えばミステリー系ってやったこと無いかも、試しにやろうかな』『ミステリーってホラーだよな』『一概にそうとは言えんだろ』『霊的なミステリーでは無いでしょ』『うーん……?なぎちゃんこのゲーム前情報有りで買った?』

 

「んー?ううん、前情報無しだよ、だから初見なんだ〜、まぁホラーにジャンル分けされてないなら大丈夫でしょ」

 

『あっ』『あっ』『三秒後のこの子が見える』『未来視しなくてもわかる』『ついでにきょうのおぱんつの色は?』『わからん』『たまには自分で知ろ』『んな無茶な』『千里眼ぐらい使え』『無理です』

 

「って、え?ナイフが……こっちに向かってくるよ?なになに?」

 

「ひゃああ!おい!脅かし……ひぇ……す、すみません……ごめんなさい……はわ、閉じ込めないで……出して、出せ、おい出せ!」

 

『草』『草』『草』『一級フラグ建築士の称号を贈呈しよう』『うーんこの子ほんま好きや』『やっぱこれだね』『ミステリーだしそらそうよ』『見事にジャンル詐欺食らったねえなぎちゃん』『猟奇ミステリーでなんで気付かなかったんだ』

 

「そ、そんな……こんなはずでは、わたしは嵌められたのか?な、なんで、うううう……」

 

『奇跡的にも画面と外がシンクロしてる』『シンクロ率120%』『ぽんこつ探偵なぎちゃん』『いやあ今日の配信も高評価押すしか無いな』『自分の責任だから当たる事も出来ないの草』『まあストーリー面白いから、進めよう?』

 

「うう、わかったよぉ……進めるよみんな……」

 

 

『これすき』『おれもすき』『怯えるなぎちゃんすこだったわ』『あの後普通にストーリーの内容良くて評価変えたのもおもろかった』『なぎちゃんの認めたホラゲー認定?』『猟奇ミステリーだぞ』『初見でもあらすじは見た方がええ』

 

 

【日曜。おんなのこを攻略します!配信】

 

「この恋愛ゲーやってみたかったんだ〜、この正統派ヒロインって感じのこの子ぜってー攻略する」

 

『なぎちゃんは百合なのか?』『レズレズなぎちゃんなのか?』『ツンデレの子の方が好きです(ボソッ』『ぼくはなぎちゃんを攻略したい』『押し倒したら流れでいけそう』『恋愛ゲーとかひっさびさに見たわ』『VRフィールドで事足りるんだよなぁ』

 

「そっか、VRフィールドで家庭作れるし、あれも実質恋愛ゲーみたいなもんだよね、みんな家族は………大切にしようね。何があっても後悔のないように、大切に、ね……なぎちゃんとの約束」

 

「おお、ヒロインに名前つけれるよ!どうする?どうする?」

 

『ミクちゃん』『ミクちゃん』『ミクちゃん』『そりゃミクちゃんよ』『それ以外にあり得ない』『これがなぎミクかあ』『ミクなぎだぞ』『嬉しいです、そうしましょう?』『本人もそう言うとる』

 

「お、おう。まぁ良いけどさ……なんか恥ずかしいな、お水飲んで深呼吸しよ」

 

「おお、かわええ。後輩キャラええなあ。正統派やん……かわええ、ええなあ!」

 

『なぎちゃん口調が』『完全におっさん』『おっさんプロゲーマーなぎちゃん』『おっさん回か』『おっさん配信に変えろ』『パンツ覗こうとするな草』『なーにやっとんじゃ草』『まるで男子小学生みたいだぁ』

 

「うへへへ〜〜……ってあれ!?なんで?好感度下がったんだけど?」

 

「あぁっ、また?!どうしてどうして、わたしは間違えているのか?」

 

『草』『草』『それはそうですよ』『うーんぼろぼろ』『女心がわからないプロゲーマーがいるらしい』『天然ジゴロなのかそうで無いのか』『これマ?』『いやこれ多分……』『ファッション百合だったな』

 

「あれぇ〜?おかしいぞ?うーん」

 

「私を嫌うあなたなんていらない。そんなことを言うなら……って、え、なんか怖い事言ってきた」

 

『おや?』『好感度が下がったのではなく…』『ヤンデレ化だー!』『草』『草』『いやぁうん草』『別にこんなことしませんけどね』『風評被害受けてて草』『ヤンデレミクちゃん』『ヤンデレに愛されるプロゲーマーがいるらしい』

 

「は?いや、は?!この恋愛ゲームいきなりバトルゲーみたいになってきたぞ!なんで屋上で鉈もった女の子と金属バットでやりあってんだ?!うおお、待て待て展開よ待て!ツッコミが追いつかないんだってば!」

 

『うーん、神回!』『やっぱミクなぎだったな』『これどう転んでもバットエンドじゃん……』『効率的じゃないですよね、もどかしい』『役になりきるミクちゃん』『ノリノリじゃん草』『本当に役なんか…?』『こんなん実質なぎちゃんとミクちゃんのゲーム配信やん』

 

「なんでさ……」

 

 

『いやぁ面白い』『別の攻略しても正統派ヒロインがヤンデレ化して攻略キャラ殺すのは耐えられんわ』『その度コメでミクちゃんが一言言うのがツボ』『あれは卑怯や』『なぎちゃんとミクちゃんって友人?』『多分、配信外二人でゲームする事多いし』『まぁリアルもどうかと言われたらわからん』

 

 

【月曜。たまには普通に話しましょう配信】

 

「は〜い。なぎちゃんです、今日はちょっと体調が優れないので、雑談配信です」

 

『おっす!』『始まりました』『大丈夫?』『無理してる?』『休んで良いよ』『しなないで』『疲れてるなら休んで良いんだよ』『むしろ休め』

 

「なぎ民は優しいね……大丈夫だよ、無理もしてない。休むよりなぎ民のみんなと話すほうが元気出るんだ、雑談しよう?」

 

『尊い』『尊い』『天使だ……』『これが恋か』『ガチ恋します』『ファンです。好きです』『うーん美しい』『なんて出来た娘なんだ』『俺の妹が天使すぎる』『好きです』『好きです』

 

「いやその、はわわ……よ、よし!お話ししよっか?!そーだな〜……あ、みんなは最近どういうゲームしてるのかな?」

 

『MMOかなー』『FPS』『プレハンかな』『DEAD・CASL』『狩ゲー』『TPSでしょ』『なぎちゃんの影響でアクションやり始めた』『ぷよの付くゲーム、殿堂プレイヤーなってきたよ』『人生と言う労働』『俺も、頑張ろうな』

 

「ろ、労働……がんばってね。ん〜…MMOか……ふむふむ、なるほどなるほど、いろんなゲームやるんだね〜」

 

「MMOいいね、土地整えてみんなで王国でも作りたいなぁ……ああいや、ならマインプレイでもいっか」

 

『いいね』『いいね』『がんばってね録音した』『なぎ民に王国作らせようぜ』『変なの作りそうやけどな』『なぎちゃんは何か企画とか考えていたりする?』

 

「企画かぁ、うーん。実はあんまり考えてないんだよね〜、いつかそう言うのも出来たら楽しいなーっとは思うんだけどさ?……そうだね、企画か……」

 

「あ、そうそう。みんなつおったー+のDMで写真とかくれるんだけどさ?」

 

『あっ』『おい……』『これはもしや』『おいおいなぎ民さんよ』『僕ではありません』『わしも違うぞえ』『こいつ怪しいぞ』『異端審問』『疑わしきは罰せよ』『最後の晩餐』『明日生きれると思うなよ』

 

「ん?どうしたの?変なの……でさ、その写真のハムスターとか、猫とかがね?すっごい可愛いの!そうだ、画像用意してるんだった、ほらほら見て見て?」

 

『草』『ほっ』『そういう所やぞ……違った』『かわいい』『確かにかわいい』『アングルがプロやん、かわいい』『なぎちゃんが一番可愛いわ』『それな』『猫…耳…なぎちゃん…閃いた!』『よっしゃ描いたるわ!』『神絵師、有能!』

 

「あ、ファンアートいつもありがとうね!それとねそれとね〜?」

 

 

『一番可愛い回だったと思う』『それな』『それな』『ここで動物好きの属性追加よ』『そりゃ僕もガチ恋ですよ』『わかる』『わかる』『DMのモラルが試されたな』『流石に住民IDを犠牲にまでタブーなのは見せないか』『見せたかったけどハムスターにしたわ』『お前……まぁ無期懲役でええわ』『そんなー』

 

 

 

『これにて終了!次の動画はストックが出来たら!』『おつー』『おつー』『ラーメンでも食うか』『あ、銀座の所に良い場所知ってるで』『東京だろ?要塞の通行パスポートないわ』『あ、マジ?そりゃ残念』

 

 




こんな感じで本編で端折ったなぎちゃんの配信とかを出そうと思うんだけど、如何でしょうか。
自分的には幾らでも書けるから楽。
所で、短編が増えてきたら外伝としてまとめた方がよろしいでしょうか。


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じゅうわめ!

祝10話、続きです。


 今日はいつもより、少しだけ早く起きる。

 

 寝ぼけた頭を起こす為、顔に冷えた水をかける。ふかふかのタオルで洗うのがきもちいい。

 

「服、変えないとな……」

 

タートルネックにレギンス付きのハーフパンツに着替える。うん、人に見られても特に恥ずかしくは無いかな。

 

 ……男物の服もすっかりなくなったな、いつから処分したっけ?うーんと、おんなのこになってから3日目ぐらいだったっけ?まぁいっか。

 

 新しく作った口座を見てみると、昨日の投げ銭の合計額、100万前後のお金が……いやいや、どう言う事なんだよ。

 

 4割がTube@ライブに貰われて、色々と差し引かれた金額がわたしに入る、それで100万、金銭感覚が可笑しくなりそう。

 

 一回の配信でこんなお金貰われるとは思わなかった……ほんとに金銭感覚大丈夫かよ、なんだか怖いし、投げ銭の限度額決めよう。

 

 つおったー+で貰ったわたしのファンアートを見て……そういえば配信で紹介したことは無かった、つおったー+の方ではRTとか、引用とかは目に付いたものは全部してきたけど。

 

 中にはつおったー+を登録してないなぎ民もいると思う、その人達にも見てもらいたい、今日の配信の最初の方はファンアート紹介にしよっか。

 

「ん……髪変じゃないよね、部屋は定期的に片付けてるしOK!……はあ、緊張してきた」

 

 てか最近緊張してばっかりだ、1日に10回ぐらいはしてるかも知れない ……まあ、この緊張は嫌じゃない。

 

 今日は司から連絡があって、管理人さんが来てくれるみたいだ、近いうちって言ったからいつ来ても良いようにはしてたけど、思っていたより早いよ。

 

 なんでもわたしのために休みを取ってくれて……なんというか、むずかゆい、わたしの為にそんな事までしてくれなくても良いのに。

 

 そっか、管理人さん、未だにわたしの配信見てくれているのか、管理人さんらしいコメントなんて見た事ないし、一緒にゲームをしたかと言われると……ちょっとわからないな。

 

 人を自分の家に招き入れるなんて何年振りだろう、一生来ないと思ってたけど……案外、そうでもなかったようだ。

 

 わたしは成長出来てるかな、誰にも頼ることもなく、一人で生きられるようになっていってるのかな。

 

『ピンポーン。凪沙さん?私ですわ!』

 

「ん、もう時間だったか」

 

 よし……わたしは両方の手で軽く頬を叩いて、自らの手で扉を開けた。

 

 自信満々に、だけれどなんだか緊張した様子の、わたしよりも背丈の高い、気品を感じるウェーブのかかった金髪ツインテールが印象に残る。

 

 目線を合わせるように、赤色の瞳を見つめる。

 

「始めまして。管理人さん……凪沙、です」

 

「ひゃじまましたわ!……ごほん、こうして会うのは初めてですわね、凪沙さん」

 

 ……なるほど、緊張を和らげようと、そういうことで良いんだよね?無視して欲しいんだね?うん。

 

「その……中、どうぞ?」

 

「お邪魔しますわ?……その、凪沙さん?」

 

「なんですか?」

 

「なぎちゃんと、お呼びしてもよろしくて?」

 

 ひゃわ!……な、慣れないな。実際に言われると恥ずかしい……断るのも気がひけるし、ううん……恥ずかしいけど。

 

「い、良いですよ……?」

 

 管理人さんを部屋に通す、……なんだか固まってるけど大丈夫かな、平気かな?わたし何かまずい事をしただろうか、あっやばい表情に出そう、くそよわメンタルすぎるよわたし。

 

「っは!……ついフリーズしてしまいましたわ……ではお邪魔しますわね?」

 

「ど、どうぞ」

 

「久し振りの我が家と仕事以外の家内……!ああ、気が楽になりますわ……っとなぎちゃんさん、綺麗好きですの?とても良く片付いていますわね」

 

 な、なぎちゃんさん……敬称は崩さないのね?そ、そういうタイプな人なのか?それとも突っ込み待ちなのか?

 

 ってかやば、よ、よく知らない人と話すのこんなに難しかったっけ?!初菜とはそこそこ話せてたのに!どうしてなんだ……うう、人との接し方とはなんだ?

 

「アッ……はい、ありがとう……あう。その、お茶出します……」

 

「ありがとうなのですわ!……ソファーに座っても?」

 

「あ、はい!……どうぞ」

 

 お茶を用意している間に、深呼吸を繰り返して、管理人さんを遠目で観察する。

 

 何よりもその金髪に目がいくが……服の質が売ってて良い物(・・・・・・・)じゃない……オーダメイドか?生まれの違いだけでは済まない服だ。

 

 大きな手持ちのバッグについても同じだ、ただあれはオーダメイドではないだろう、造りが綺麗すぎる。

 

 目が良くなるとここまで見えるものなのか?かのスーパーマサラ人達もこんな視力だったのかな?マサラ人ってやっぱ違うわ。

 

「ここがなぎちゃんさんが普段配信しているお部屋……ああ!至福ですわ……ここに住みたいぐらいですの、仕事めんどくさいですし、やってられませんわ!楽したい!ゲームしたい!寝たい!怠惰に生きるのが人間でしてよ!」

 

 ……聞いてはいけない独り言を聞いてる気分になる、とととりあえずお茶を出そう、うん。

 

 来客用に買った高いお茶だし粗相は無いはずだ……そうであってほしい。

 

「あ、管理人さん……お茶です」

 

「名店十保堂のお茶ですの?お高いでしょうに、ありがとうございますわ」

 

「ぇ、いやその、わかるん……ですか?」

 

「私も愛用しておりますのよ、あら……?なぎちゃんさんの分がありませんわよ?はっ!これはもしや、間接きっす!というものですの?キャー!」

 

「ふぇ、あ、あの、い、入れてきます!」

 

 なんなんだこの人は、お、押される……不思議な圧に押されてしまう……これが司の上司のその更に上の人か、いやいや濃すぎるよ!どう生きたらこうなるんですか!?

 

 自分のお茶を入れて、管理人さんの対面のソファーに座る……にこにこな笑顔が眩しい、やめてほしい。なんでそんな輝いた目でわたしを見つめるんだよぉ……

 

「お部屋を見回した所、なぎちゃんの配信設備は常に最先端!優れものばかりですわ!流石ですわね……どうやって集めたかお聞きしても?」

 

「ぇあその、わたしは何も……司が、揃えてくれたので……」

 

「まぁ!確かに司さんなら納得ですわ!でわでわなぎちゃんさんは……っと、質問しすぎるのもよくありませんわね」

 

「い、いや、大丈夫だよ……はい、答えられるのは……少ないかも知れない、ですが」

 

「しかしフェアではありませんわ!……私に質問してもよろしいのですわよ?」

 

 質問、質問かぁ……ああでもそうだ。まだ聞いていないことがあったな……

 

「……なまえ。管理人さんの、名前が知りたい……です」

 

「はっ!?私としたことが……自分の名前を言い忘れていましたわ!舞い上がりすぎでしたわ……」

 

 舞い上がって宇宙まで飛んでいきそうなぐらいテンション高いよほんと。緊張がプラスの方に働きすぎだよ。

 

「私の名前は三音(みつね)赤城三音(せきじょうみつね)ですわ!……仲良く、末長く?今後とも?よろしくお願いしますわね、凪沙さん」

 

 んん?赤城?え、まさか赤城財閥の当主?

 

「……………ああうん、よろしくお願いします」

 

わたしのあたまはパンクした。

 

「三音と、名前で呼んでくれて結構でしてよ!」

 

 

 

 

 赤城財閥、神奈川県に家を構えているVRフィールドの生みの親で、また宇宙船パァールツヴァルシュ号の船員が先祖だと言う。

 

 世界的に有名な一大財閥の一つで、様々な地域を運営している、わたしの住んでいるマンションもその一つ。

 

 ただ、司の仕事を盗み聞きするに……絶対マンション管理とかがメインじゃない、じゃあなんなのかは謎なんだけど。

 

 そしてその赤城家の当主が目の前にいる三音さんのようで。

 

 思えばネットの記事にも顔写真が載ってたな……今目の前でキラキラした目をしてる表情と全く結びつかなかったから、わからなかった。

 

「あ、忘れてましたわ……なぎちゃんさん、これを、その……気にいると良いのですけれど」

 

 そう言ってバッグから取り出したものを見ると……

 

「……いや着ねえよ!なんだよメイド服って!」

 

「ええー!?そんなはずはありませんわ?!司さんが言ってましたもの!こういうの喜ぶからって言ってましてよ!?」

 

「なに言ってんだあいつ!ばかじゃねえのか!?」

 

 変な入れ知恵しかしねえなあの野郎!ああくそ笑い声が反響してきた……許さねえ、司の通話の通知切る、もう知らない!

 

「ふふっ……おくちわるわるですわね?」

 

「あうえぁ!……す、しゅみません……」

 

「何故謝るのですの?好きですわよわるわる!わるわるななぎちゃんさんは見てて微笑ましいというか……」

 

 微笑ましいってなんだよ、おいそれどういう意味だこのっ……うう。

 

「それに、遠慮されるのは……苦手ですの、なぎちゃんさんとは、対等で話したいですわ?……よろしければ、ですけれど」

 

 その目を見て、懐かしい瞳を見て気付いた。

 

 彼女には気の置ける友人が居ない。心を通わす存在に出会ってない。

 

 私に赤城財閥の間柄など全く知らないが、立場上友人を作る事も無かったんだろうか……家族との縁も、何処と無く気薄に思える。

 

「……そっか、なら、対等で、友達として話そうよ……三音」

 

 司はお節介だ、わたしなら放っておけないとか思ってんのかな、その通りかも知れないけど……変に気を回すんだから。

 

 でもまあ、パァっと明るい笑みを見せるこの子を見ると……なんだかな、仕方ないなぁ、わたしが最初の友人になってあげよう。

 

「は、はい!……不束者ですがよろしくお願いしますわ?」

 

 使い方間違ってるよ、ソレ。

 

「そ、それですわね?なぎちゃんさん……そ、その、なぎちゃんさんを、ぎゅーってしてもよろしくて?」

 

 何をおっしゃっているんだこのお嬢様は?

 

「……やっぱり嫌でしょうか、そうですわよね……」

 

「え、あ、……うう」

 

 静かに立って、恐る恐る三音の膝に座る……お、重く無いかな、大丈夫だよね。

 

 ……これが計算でやってたらわたしはもう人を信じられないかもしれない、うう……でもなあ、初菜と違って危険な感じはしないし、なんだろう……この人、そういうあれじゃ無いような。

 

 かわいいもの好きなのか?……わたしは可愛いが、なんだか複雑。

 

「こ、これでい?」

 

「よろしくてよ!ああ、幸せですわ……」

 

「そ、そうか」

 

「なぎちゃんさん、普段は何を食べていらっしゃいますの?」

 

「え、普段?うーん、普通だよ、昨日は炒飯食べて、今日の朝はフレンチトースト」

 

「ふむ……何でもありませんわ!」

 

 ……?質問の意味がよくわからない、っもしかして、やっぱり重かったのか?!重いのかわたしは、重い女なのかわたしは!?

 

「ぉぉ重かった?ご、ごめんなさい……」

 

「ち、違いますわよ!?それどころか軽過ぎるぐらいですわ……羨ましいですわ」

 

 そ、そっか……よかった、わたしは重い女じゃないんだ。いや軽い女でもないねどね!ほんとうに!

 

「そうですわ!聞いてくださいましーー」

 

 

 

 

 その後、わたしは慣れないながらも……思えば、この体になって初めての友人と会話を楽しんだ、司の様子だったり、わたしの話だったり……三音の愚痴だったり。

 

 相変わらずの黒いサングラスを付けて、色んな国を転々としているらしい、近いうちに日本に用があって、その滞在期間に会いに来てくれるようだ。

 

 ……待ち遠しかったり、その逆だったり、へんな感情だ……繊細な感情も、女の子になったからなのかな。

 

 わたしの話といえば……まぁなぎちゃんの話になるんだけど、どうやら2回目の配信から見てくれていたらしくて、そんな早くに司は教えていたのかと行動の早さに驚いた。

 

 愚痴に関しては、わたしからは何とも言えないけど……面白いことをしてるなと思った。

 

 神秘の象徴、精霊を人間の手で実在させる実験をしているようだ。

 

 精霊、と言ってもこの場合はRPGゲームに出てくる意志を持った魔法を使うような、わたしがイメージするような精霊では無いらしく。

 

 元素を含んだ大きなエネルギー体の塊を言うそうだ。

 

 それで何をするのかは流石に口を滑らせなかった、いやまあ聞いちゃいけないことだから、わたしも配信とか外では言わない。

 

 ……別に外出ないし、言う相手もいないしね。

 

 そんなこんな会話をしていると、どうやら時間も過ぎるようで、お別れの時間が訪れた。

 

 また会う約束をして、今日出来た友人の為にも。

 

 今日の配信も張り切っていこうと決意した。

 

「よっすよっす!……自称プロゲーマーのなぎちゃんだよ、今日も元気に楽しみたいと思いますよ」

 

『よっすよっす!』『生きる糧』『ポニーテール?!』『かわいい』『かわいい』『ちょっと跳ねてるの可愛らしい』『なんだか嬉しそうだね』『良きかな』

 

「ん、へへっ……久しぶりにね?友達が出来たんだ……ああいや!なぎ民のみんなも勿論ともだちだよ?」

 

『男か?』『嘘だろ?』『やめてくれ』『気配……匂い……これは、女ですね』『草』『草』『杞憂だった』『匂いってなんだ』『ヤンデレミクちゃん』『コワイ』

 

 ひぇっ……か、鍵しめたよね、大丈夫だよね、包丁持って私の家の扉の前にいたりとかしないよね?!

 

「……はっ!怖くて……幽体離脱してました。ま、まぁ!ゲームしようよ!今回もなぎ民と遊べるゲーム探したよ?褒めて褒めて」

 

『えらい』『えらい』『かわいい』『ヤンデレから逃げるな』『かわいいなぁ』『投げ銭の限度額決められてるやん!』『まぁ、そりゃあね?』

 

 へへっ……褒められるのは怖いけど、なんだかな……やっぱり嬉しい、もっと頑張りたくなっちゃう。

 

「っとと、そうだ!最初の数分はね、私が頂いたファンアートを紹介しようかなって、この場を借りて改めてお礼したいんだ」

 

『おお?』『いーね!』『ほえ〜、見たことなかったな』『つおったー+してない人宛かな?』『なぎちゃんはやさしいなぁ』

 

「や、優しいとかじゃないじゃんか、みんなに見て貰いたいんだよ」

 

「と言うことで、じゃーん!最初の一枚はパソコン前のおくちわるわるなぎちゃんです!ふ、複雑だ……ありがとう!」

 

『かわいい』『かわいい』『微妙そうな表情だけど口元にやけてるのかわいい』『ありがとうなぎちゃん!』『はぇ〜〜すっごい』

 

「次はね、これ!……猫耳なぎちゃんです」

 

『うおおおお!!』『有能』『有能』『綺麗な水彩画やな』『水彩画の猫耳なぎちゃん……ごくり』『よーまー手描きできるわ』

 

 その他につよつよなぎちゃんとか、ホラーにビビるなぎちゃんとか……へへ、一番気に入ったのは、なぎ民のみんなと遊んでいる絵かな。

 

 一通り紹介した所で、ちょっと……言いたい事が思いついた。

 

「少し話、戻しちゃうけど……こう言うと幻滅しちゃうかもだけどね?投げ銭はさ、嬉しいし、その……下世話だけど、やっぱりお金は欲しいんだ、でも貰い過ぎて、それが当たり前になったら、みんなに甘えちゃう」

 

「それはさ、やだよ。わたしはね?こうやって配信に来てくれるみんなに、なぎ民に、少しでも……そうだな、支えになったり、楽しい気分になってくれたらなって。思うんだ」

 

「……て、照れるな、今の無し!なしなし!ほらゲームやろーよ!」

 

『かわいい』『絶対天使なぎちゃん』『救われる』『この娘やばないか?』『悶死するわ』『生きてることに感謝』『もう最高か?』『変な声出た』『頭がなぎなぎして来た』

 

なぎなぎってなんだよ……うう。褒められるの慣れないよ。

 

「き、今日のゲームはこれ!ぼうだあRED3Edition!」

 

『おお、協力FPSか!』『ん?なんぞ?』『で、出たー!……ごめんわからん』『なんやねん』『中小企業の電磁基盤工場様開発のゲームですね、面白いですよ』『はえ〜、あのほうき会社ゲーム作ったことあるんか』『ほうき会社じゃねーだろ!たまたま空飛ぶほうきが売れてるだけで!』

 

 説明しよう!ぼうだあRED3Editionとは、20年前の当時、電磁基盤工場株式会社の社員の数人が「おい!続き出ねぇじゃねえか!ふざけんな!」と言って、それに社長が「もう儂等で作るか」と、勝手に作ったゲームである!

 

 当然怒られたが、パソコンゲームにも関わらず売れ行きが爆発的に伸びたので、お咎めは無しのようで。

 

 そのゲーム性はFPSにRPGの要素を取り入れたロールプレイングシューターのゲームである!

 

 ゲーム開始時に自分が操作する4人のうちキャラの一人を選び、基本的にストーリーやサイドミッションを進めて行くぞ!

 

 中には特別なイベントだったり、それらになんの関係のないラスボス並に強いボスと遭遇したりと、イベント要素は多め!

 

 1人で遊ぶのもよし!4人集めるのもよし!最高にイカすゲームだ!

 

「みんなも、やろう!……と、言うことで3人枠募集しますよ〜……弾かれた人はごめんね?」

 

 そうだな、弾かれた……か、全員参加出来るゲームか、それとも企画を考えるのも、そろそろしないとね。

 

「お、早速来てくれた……ありがとうね?メンバーは、みみミクちゃん……その、お手柔らかに」

 

『草』『草』『距離が近い草』『ヤンデレにビビるプロゲーマーがいるらしい』『役なのかマジなのか』『そりゃあ……』『そうよ』

 

 他のなぎ民2名は……おおう、頑張らないとな。

 

「さて!無能2人も揃った所で早速スタート!……ユーさんにエリック、来てくれてありがとね」

 

『初期メンバー』『このゲームでこのメンバーですか』『草』『無能呼ばわりである』『ボソッと最後に名前言うの尊い』『好き好き』『嬉しそう』

 

「っしゃーじゃあ最初になにやろっか?ストーリー進める?それとも何処か行く?」

 

 あ、ミクちゃんがどんどん前に進んでく、ついてこ……えーとこの先何があったっけ、ちょっと覚えてないな。

 

「洞窟?……おお!財宝やんけ!こんな所に宝物庫ってあった?まあいいや、つよつよ武器来い!」

 

『あっ』『あっ』『ここは確か』『一体何が始まるんです?』『おや……部屋の様子が……』『お?』

 

 ガシャン!と大きな音が響く、音のした方に目を向けると、どうやらわたしは鉄格子で閉じ込められたらしい……え。

 

「は?!何やってんだおまえ!おいどう言う事……うひゃあ!蜘蛛エネミーじゃんか!無理無理!Lv8じゃんか!勝てないっておまえ!」

 

『私以外の女と会って何の連絡も無いうらみです!』『草』『草』『うっそだろ草』『ヤンデレ怖い』『怖い』『草』『開始30分前から飛ばし過ぎでは?』『恐ろしい人……』

 

「ととりあえず武器は拾ってる!ワンチャンある、全然倒せるけど1人じゃ無理だってばぁ!わ、わかった、わたしに非は無いが謝る、ごめん。許して!ここから出せ!」

 

『草』『草』『いやです』『ううーんこの必死な表情』『かわいい』『非は無いわな』『まるで浮気のバレた夫みたいだあ』『確かに』『わかる』『ミクなぎが濃厚すぎる』

 

 迫り来る蜘蛛を撃破しながら、徐々に体力が減って行くのを確認する。うー負けちゃうよ、まぁ序盤だし良いけど……ペナルティー少ないし、にゅーん……。

 

「お?このプラズマカノンは……え、エリック!助けに来てくれたの?……いや、やめとけ、エリックじゃあ荷が重い!」

 

『草』『草』『荷が重い草』『助けに来る速さは有能』『なお』『今回は有能かも知れんだろ!』『いけるのか?いけるのか?』『覚醒エリックか?』『BBBBBBB』『戻すな』

 

「お、おお、強くは無いけど弱くも無いぞ!成長したな!……よっし、2人で乗り越えよう!大丈夫、二人ならいける!どこまでも!」

 

「……ま、まじか、あいつ、ミクおまえ、エネミー引き連れてこっち走ってくんじゃねえ!PK行為でBANするぞおまえ!このっ」

 

『ヒェ』『草』『今日のヤンデレ映画は此方ですか?』『やる事の質が悪すぎる』『ちょっと微妙に倒せそうなレベルなのに優しさを感じなくもない』『その数!30体、無能を引き連れ、勝てるのか!』『ユーさんは?』『動画用にカメラ回してる』『これにこ@動画で一位取れるわ』

 

 わたしはエリックを見る、使っているキャラの武器的に殲滅力はあるはずだ……エリックは静かに頷いた、まるで友達を助けるのは当然とでも言うように、あの悪魔たるヤンデレを滅ぼさんとでも言うように。

 

「信じるぞ、行くぞっ!」

 

 私たちの戦いはここからだッ!

 

 その時、ドォォォォォン!!!と大きな音がした……

 

 あ、ランダムイベント、宇宙の使者さんの登場だ。敵が多くてレベルが5以上の格差があったら来てくれて、地形を破壊する一撃で敵を倒してくれるやべーキャラだ。

 

『あっ』『あ』『ここでランダムイベントですか』『宇宙の使者さんこんにちは』『お助けNPCに全部持ってかれたな』『今までの茶番は?』『熱い友情に水を差す宇宙の使者さん』

 

「……えー、うん。気が済んだね?」

 

 ミクちゃんはこくりと頷いた、ムカついたのでブレードで刺した……って、話し方変わってる変わってる、元に戻さないと。

 

『いたい!』『草』『当然』『そりゃそうよ』『自業自得』『一回だけなの優しい』『あんまり怒ってない顔、かわいい』『かわいい』『ところで今日のおぱんつは?』『千里眼発動!……白だな』『ナイスゥ!』『やりおる』

 

 ノーコメントです。この人のコメントの発言権無くそっかな、どうしよっかな、のけ民に任命しちゃおっかな。

 

「よーし、何だかもうわたしは疲れたけどまだまだやるよー。無難にストーリー進めよっか」

 

 エリックの成長を感じつつ、時折ミクちゃんが変なことを仕出かさないか監視しながら、わたしたち3人……?

 

 違うや、影薄くて素で忘れてた、ユーさん含む4人でぼうだあRED3Editionのストーリーを進めていった。

 

 

 

 

「ふぃー、何時もより疲れたな」

 

 配信を切って、一言呟く。まったくミクちゃん、というか初菜には困ったものだ、ああいう事する子じゃなかったと思うんだけどなぁ。

 

 ……まぁそれも七年間会えなかった寂しさからくるモノなら、可愛げがあって微笑ましいんだけど……いややっぱ怖いです。

 

「それにしても今日は、っへへ、そっか、友達……か」

 

 うへへへ……友達、友達かあ。この体になってから初めての友達だ……本当に、久しぶりに友達が出来たなぁ……。

 

「ん、メールきてる……まあいいや、明日確認しよ」

 

 今日はもう寝ようかな、何だかんだみんなと配信していたら日付が変わりそうな時間になってきたし。

 

 服を寝巻きに着替えて、ベットに転がる。真っ暗だと寝れない体質なので、オレンジ色の照明に設定して……っと。

 

 良い夢が見れたら良いな……おやすみなさい。




評価感想ありがとう!誤字報告も助かってます。別段ts好きじゃないって人も読んでくれてるみたいで嬉しい……嬉しい。
前の話、否定的じゃなくてほちょに嬉しい……本編に支障ない程度で書くぞい。
次の投稿は明後日かなー。


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じゅういちわ!

おあさんからミクちゃんのファンアート頂きました!ほんとうに嬉しい……ありがとうございます!
【挿絵表示】

続きです。


「凪沙、凪沙……おーい、起きろ〜?」

 

 体を揺さぶられる、嫌だ、後30分ぐらい寝ていたい……

 

「起きろってばー……もー、うりゃ!」

 

「ゴハァ!」

 

 腹に強烈な痛み衝撃が伝わり、一瞬で脳が覚醒した。

 

 いいいったい何者だ?!命を狙われているのか、どこのどいつだ!?

 

「おはよう。凪沙」

 

 ……ああ、なんだ。姉ちゃんか。

 

「おはよう姉ちゃん、所でもっと良い起こし方があると思うんですよ」

 

「へぇ〜?例えば?どんなのどんなの?」

 

「ゆーくりやさしく、耳元で起きてって言ってくれたら起きるよ」

 

「??じゃあ次からそーします!」

 

 姉ちゃんは純粋だなぁ、ってか今日は日曜だったはず、学校も無ければゲーム大会の予定もない、なんで起こされたんだ。自由に寝ても良いじゃないか。

 

「忘れてる?ショッピングに行く予定したじゃんか」

 

「そんな事した覚えないけど」

 

「ええっ、酷い!お姉ちゃんは泣いちゃいます」

 

「それは卑怯だろ、わかったよ行きますよ……VRフィールド?」

 

 そう尋ねた言葉に、姉ちゃんは首を横に振る。

 

「たまには、外に出てみない?最近は治安良いよ?」

 

「いや……あー、分かったよ」

 

「へへ。それじゃ着替えてね!お姉ちゃんも準備してきますのだ!」

 

 そう言って元気に部屋を開けて階段を降りる姉ちゃんを見つめて。

 

「……ああ」

 

 そうか、これはーー夢だ。

 

 

 

 

「……ん。とりあえずご飯作ろう」

 

 曇り空が窓に映る朝、オムレツでも作ろうと卵とフライパンを取り出す。食材の数が少なくなってきたので、そろそろナゲットくんに補充して貰わないと。

 

 何も考えずに料理を続ける、曲でも流そうかとホログラム上のシステムウィンドウを操作して、緩やかな音楽が奏でる。

 

「……良い形」

 

 白米をよそって、頂きます。

 

 むぐむぐ……なかなか美味しい。けどどうせならオムライスにすれば良かったな、まあ特に大きく味が変わるわけでもないし別に良いか。

 

「昨日、メール届いてたっけ」

 

 わたしのメールアドレスは基本的に司か初菜かSSS社以外に来ない、大々的に広めてないのもあるんだけど、つおったー+のDMで済む話が多いからだ。

 

 それだけじゃなく、メール送るよりVRフィールドで会って口頭で説明する方がやりやすいって人も多いと思う。けどそれは一長一短だ、文章でしか知り得ない事だってあるんじゃないかな。

 

『初めまして、なぎちゃん。

SSS社の平社員です、上司であるなぎちゃんのパパだと抜かしているアホが忙しいため、私から連絡させて頂きます。

まずは、先日のデモプレイ、ありがとうございます。見ていてとても楽しめましたし、デモプレイ自体も大成功と、感謝の極みです。

そこでですが、2回目のデモプレイ配信もなぎちゃんに任せたいと思いまして、メールを送らせていただきました。

具体的な日時ややって欲しい事は後程、返答が返ってきたらご説明します。なぎちゃん、どうでしょうか?良い返事を期待しています。

俺たちなぎ民なぎちゃん見守り隊ブルーより』

 

 ……いや最後で色々残念だよ、あなたがブルーなのか。てかその見守り隊は何人いるのさ、ブラックは何やってる人なの?

 

 んー、断る理由もない、あのゲーム楽しかったし……でもな、もう1人2人ぐらい連れて行きたい、出来ないかな、どうなんだろう。

 

『ピンポーン。先輩の為の唯一の後輩です』

 

「いや間違ってもないけどさ……」

 

 いきなりだ、何だろう?……いやちょっと待て、か、仮にだよ?仮にさ、扉を開けたら、私の視界が真っ暗になりましたとかそういう事じゃないよね?大丈夫かな、やばい。怖くなってきた。

 

『開けてください』

 

「ひゃ、ひゃい!」

 

 すす素直に開けよう!うん、それが良いですね!

 

「や、初菜、どうしたの?」

 

「先輩成分が足りなくて……入ってもよろしいでしょうか」

 

「何それ、まぁいいけどさ、あ、紅茶出すよ、頼んでもないのにナゲットくんが持ってきて扱いに困ってるんだよね」

 

 初菜を家に招き入れる、思えば初菜を部屋に入れたことはなかったので、これが初めてだ。

 

 なんの用事だろう?初菜は用事があるとき以外にわたしにこうやって話に来ないと思うんだけど……うーん?思い当たらないな。

 

「ふむ……随分機械に好かれてますね、いじりましたか?」

 

「え、そんな事してないよ、わたしを犯罪者扱いするな」

 

 そう言うと初菜は俯き考えている様子で、そんなに考える事なのかな?……うーん、まあでも深く考えたらおかしな話かもしれないが、別段気にしなくても良いと思うけど。

 

「はい、紅茶どーぞ」

 

「ありがとうございます……先輩の淹れた紅茶、ふふ……なぎ成分が高まってきました、ですが私以外の女を部屋に入れたのは感心しません、攫われたらどうするんですか、全く」

 

 いや一番わたしを攫いそうなやばいやつが目の前にいるんだけど?自分はまともみたいに思ってんじゃねーよ、もう無理だよ見る目変わってるよ完全に。

 

「っても、三音……管理人さんとだよ、初菜もあった事あるんじゃないの?」

 

「彼女が忙しい時に管理を任されていますね、所で今、赤城さんを名前で呼び捨てで親しげに愛おしげに恋人のように呼んでいましたがどういう事ですか?結婚しました?」

 

「飛躍し過ぎだろ?!愛おしげにも言ってないし恋人でもないわ!この県じゃ同性婚は認められてねえから!つーかしねえし!……別に名前呼びぐらい良いじゃん」

 

「じゃあなんで私は名前で呼んでくれないんですかー!そんなのずるい!ずるいずるい!私も名前で呼んで欲しいーー!」

 

「いや……初菜は、うん」

 

「何ですかそれ、私のどこがいけないんですかー!」

 

 ……照れるからやだ。

 

「そ、それで、何の用なのさ、初菜の事だし何か話したいことでもあるんじゃないの?」

 

「……まぁいいです、なぎちゃんはコラボ配信とかしないんですか?」

 

「なぎちゃん言うな、……今のところする予定は無いけど、なんで?」

 

「では初めて貰っていいですか?」

 

「え、まあ、良いけど」

 

「言質、頂きました。先輩の初夜は私が貰います」

 

 はぁ?!何言って……ああくそこいつボイスレコーダー持ってる!渡さねえよ!

 

「と冗談はさておき、より近くで先輩をサポートしたいので3日ぐらい前にアカウント作りました、自称プロゲーマー配信者ミクちゃんです」

 

「なぁもうツッコミする体力ないよわたし……てか絶対冗談じゃ無いし……わたしのパクられたし……」

 

「冗談が過ぎましたね、すみません」

 

 ……まぁでも嬉しいな、私から進めるまでもなく、初菜自身からこうやって始めてくれようしてるって事は、少なくとも配信に楽しみがあるって思ってくれたからだと思うし。

 

 こういうのも何だがわたしは知名度が高い、と思う。4万人までもう直ぐなわたしとコラボすれば、初菜もみんなに知って貰えるし、わたしも最初のコラボ相手が知人……違うな、親友なら、気が楽だ。

 

「……いーけど、何するのさ」

 

「なぎちゃんの振り返り動画鑑賞会とかどうです?」

 

「わたしが嫌です。次」

 

「ではまぁ、二人専用のゲームしましょうよ」

 

「んー、それだと見てくれる人が……ああいや、コラボってそう言うものか?参加型と言うよりは、遊んでるのを見るって感じか」

 

「そうですそうです、それが言いたかったんです」

 

 ……いや待て。もしかしてわたしと二人だけでゲームしたいからって事じゃ無いよな?それなら別に配信しなくても良いし、そう言う事じゃないよな?

 

「はは、ではそれでいきましょうね」

 

「何だその取って付けたような誤魔化し方は……オフ?オン?」

 

「ゲームしている先輩を横から見てたら多分我慢出来ないので、ボイスチャット繋げてやりましょう」

 

 我慢出来ないって?!どういう意味だよ……何を言っているんだこの女、一体清楚は何処に置いたんだ?髪切った勢いで無くしたのか?そうなのか、おい。

 

「ふへへ〜〜……司先輩には悪いですが先輩は私が美味しく頂けそうです……へ、ふへ、はぁ〜……」

 

「いや頂かれねえから!」

 

 

 

 

 と、言う経緯から急遽配信をする事にした、本当は今日はやらない予定だったんだけど、まぁいっか。

 

 初菜もとい、ミクちゃんのチャンネルを見てみると私が何もしてなくても既に2000人以上の人が登録しているらしく、3日で2000人はわたしより伸びが良いのではないか?

 

 生放送は初回だけで、後は動画がメインみたいだ、ゲーム動画より実験動画みたいなのが多い、危険な事はしてないようで安心する。

 

 ……わたしは動画編集はセンスがないみたいで、やってないから素直に尊敬する。

 

 てか初菜は凄いな……最初から顔出ししてて、確かに初菜は人見知りって訳じゃなく、社交的でわたしよりコミュ力は高い。

 

 成長、とは違うのかもしれない。わたしが関わらなかった分、尖っていた所が抑え気味になったのかな、良い事なのかもしれないけど……どうなのかな。

 

「てすとてすと、あーあー、きこえてる?大丈夫?」

 

「大丈夫です、もう始めますか?」

 

「まだ!ち、ちょっと待って!落ち着かせて」

 

「緊張してるんですか?なぎちゃんはかわいいなぁ」

 

 なぎちゃん言うな!……うー、初のコラボで緊張しない方がおかしいでしょーよ……なんでそんな落ち着いてられるんだ。

 

「気負う必要なんてないんですよ、私が、先輩がやりたい事をするだけですから」

 

「で、でも見られてるんだよ?な、何かあったら恥ずかしいし……怖いじゃんか」

 

「私より配信してる自称プロゲーマーが怖がり過ぎる件についてってスレでも立てます?」

 

「お、おま!ふざけんな!」

 

「ふふっ……まぁ大丈夫ですよ。それよりほら、そろそろ時間です」

 

 ほんとだ……ふう、よし……やるよ。

 

「にゃはろー!自称プロゲーマーのなぎちゃんだよー」

 

「同じく、自称プロゲーマーのミクちゃんです、初コラボ相手頂きました」

 

『うおおおおお!?』『にゃはろー!』『神回確定』『ミクちゃん配信者だったん?』『3日前に始めてるぞ』『配信者と言うよりは動画投稿者?』『はえー、やば』『桃源郷』『まじかよ』『うおおおおおおお!』『ミクちゃんが敬語……?』『うらやま』

 

「わあ、見てくださいなぎちゃん、なぎ民がわらわら私の配信画面にきますよ、気持ち悪いですね」

 

「なんて事を言うんだこの子は!?炎上するからやめろ!」

 

『草』『草』『ありがとうございます!』『ありがとうございます!』『我々の業界では御褒美です』『初手罵倒、心地良き……』『配信開いたら罵られるとか最高か?』『変態しかいねえ、ありがとうございます!』

 

な、なんなんだ……それでいいのかなぎ民は、プライドとか尊厳とか無いんですか?

 

「配信中のなぎちゃんもかわいいなぁ」

 

「ちょ、えあ……む、無表情で言うな!」

 

『かわいい』『かわいい』『クールななりして百合なんだよなあ』『無表情レズ』『なぎちゃんの前ではそうでもなくない?』『確かに』『尊い』『需要が足りてる』『足りすぎて爆発するわ』

 

「所でなぎちゃん、今日の朝食は何ですか?」

 

「え、今聞く?オムレツだけど」

 

『家庭的ななぎちゃんかわいい』『料理できるのかわいい』『かわいい』『嫁にしたい』『娘に欲しい』『パパは嬉しい』『あ、無能だ』『一家に一人欲しい』『あーんしたい』『されたい』

 

「顔赤いですよなぎちゃん」

 

「うるさいやい!……ミクちゃんは?」

 

「そりゃなぎちゃんと同じの〜……えへ」

 

「怖えよ!なに?!何食ったんだ!言え!」

 

『怖い』『こわい』『尊い』『尊いか?』『会話してるだけで面白い』『ミクちゃん相手だときょどんないのな』『友達じゃねーの?』『恋人でしょ』『冗談でも言わない方が良い』『やめておけ』

 

「カップ麺です、ぬぅどるの」

 

「またそれ?ちゃんと料理しなよ、不摂生だぞ」

 

「めんどくさいんですもん……じゃあなぎちゃんが作って下さいよ」

 

「……いやまあ、良いけど」

 

『尊い』『好き』『今時の若い子の会話ええなあ』『ええなあ』『やっぱ友達か』『なぎちゃんに友達いたんやなぁ』『三人ぐらいしかいなそう』『わかる』『わかる』

 

 三人でも友達がいるだけ良いだろ!それに友達は量じゃなくて質なんだぞ……

 

「さて、フリートークもこれぐらいにして」

 

「早速ゲームやってくぞ〜?今回は二人でタイムクラシック8をやるぞ〜!」

 

『うおおおおお!』『二人専用ゲームやん』『百合営業』『百合(ガチ)』『ガチなのはミクちゃんだぞ』『なぎちゃんもだぞ』『出たー!先月にVRゲームに続編が発売した、タイムクラシックシリーズの8作目だー!』『続編出てたん?』『有能』

 

 説明しよう!タイムクラシック8とは、タイムクラシックシリーズでお馴染みの協力型タイムアタックFPSゲームである!

 

 元々ガンシューティングとして名を馳せた過去のゲームを、とどーる社が『せや、FPSにして新しくシリーズとして作ったろ』と勢い任せで制作!無事完成して見事流行に乗った。

 

 今作では思い切って二人用のゲームとして出し、売り上げが伸びなかったのでVRゲームの方で新作を出したとの噂もあるそうだ!

 

 されど侮る事なかれ、ゲームシステム、難易度、助け合いを重視したアクションは、過去作の中でも一二を争う程だ!

 

 迫り来る武装兵をばったばったと撃ち倒し、転がる丸太をコマンド入力で避け!二人で協力し合いながら制限時間までにボスへと辿り着き、全10ステージを網羅しよう!

 

「だからみんなも、やろう!」

 

「ステマ乙ですねなぎちゃん」

 

「楽しいものはみんなもやるべき!……でしょ?」

 

『かわいい』『天使や』『ミクちゃん一万人おめでとう』『爆速やん』『はっや』『なぎちゃんも4万人超えたぞ』『二人ともおめでとう』『おめでとう』『今日も祭りだ!』『うおおおおお!』

 

 よ、よんまんにん……視聴者も10000人以上も見てくれてる……なんて言えばいいんだ、もう……本当に、嬉しい。

 

「四万人おめでとうございます、なぎちゃん」

 

「そ、そっちこそ……ほ、ほら!ゲームやるよ!」

 

「照れるなぎちゃんはかわいいなぁ」

 

 てて照れてねえし、そんなんじゃないからぁ!

 

『照れ照れなぎちゃん』『なぎかわ』『かわなぎ』『ミクちゃんもおめでとう』『微笑ましい顔してるミクちゃんは母親か何か?』『友達だぞ』『ヤンデレだぞ』『ヤンデレ…なぎちゃん…追いかけ…閃いた!』『描かないぞ』『なぜー!?』

 

「じゃあ前衛わたし、後衛ミクちゃんで」

 

「はい。設定はハイスピードのクライシスモードですか?」

 

「OK、たまには真面目にやろーよ」

 

「良いですよ。ではスタート」

 

『操作が早い』『難易度くそ難では?』『必要最低限の会話で草』『つよつよか?』『つよつよなぎちゃんか?』『プロゲーマー見せるのか?』『ミクちゃんのパソコンゴツくねえか?』『どっちの画面見れば良いんだ』『二つの画面も追えないの?そんなんじゃ甘いよ』

 

「なぎちゃんの画面見れば良いと思いますよ、前衛ですし」

 

「んー、わたしはミクちゃんの配信の方が良いと思うけどなぁ……画面酔いしないと思うよ」

 

『互いが互いをこの……わかる?』『わかる』『わかる』『ノーマルなのにムズムズしてきました』『俺も』『それな』『ゆりレズミクちゃん』『こわかわいい』『こわ良い』『好き』

 

 迫り来る兵士を打ち倒しながら進む、狙撃兵や後ろは全部ミクちゃんがやってくれるので何も問題はない、全速前進だ。

 

「前から思うんですけど、なぎ民って割と言いたい放題ですよね」

 

「そう?しっかり線引き出来てると思うけどなぁ、……あ、そこ危ないよ」

 

「ありがとうございます……それはなぎちゃんが優しいからですよ、もっとこう奴隷のようにビシバシ躾けても良いと思うんですよわたし。どうせ喜びますから」

 

「いやいや……なぎ民を何だと思ってるんだ、そーゆーの言わないの!右斜めスナイパー」

 

『強い』『強い』『雑談しながら進めるとかマ?』『プロゲーマーなぎちゃん』『文句無しのプロゲーマー』『雑談内容酷くて草』『ドSと癒しを享受している』『生きてて楽しくなってきた』

 

「……わたしがなぎ民のこと、奴隷扱いしたらみんなどう思う?」

 

『うれしい』『うれしい』『なぎちゃんの奴隷になりたい』『なりたい』『ミクちゃんの奴隷はこわい』『こわい』『奴隷のようになぎちゃんに働かせてくれ』『投げ銭しようと思ったけどコラボだった、出来ねえ』『かなしい』

 

 そんなこんなで進めていくと10分も経たないうちにボスの部屋へとたどり着いた。

 

 黒服に黒ハットの大男、手には二丁ガトリングを抱えて、圧倒的なゴリ押しマシーンとして新参プレイヤーを灰のように飛ばした、通称黒マフィア先生だ。

 

「あ、もうボス?やっぱハイスピードだと速いね」

 

「まぁ私となぎちゃんですし、そりゃあ真面目にやったらこんなもんですよ」

 

「ふふっ……二人で最強?」

 

「はうあ!」

 

『かわいい』『かわいい』『攻めには弱いヤンデレ』『イチャラブを見せられてる』『裏で出来てるでしょ』『パパは認めないぞ〜?』『お兄ちゃんも認めないぞ〜?』『夜道に気を付けろ』『あなたの後ろに這い寄るヤンデレ』

 

「うおおガトリングのスピードはっえ〜……障害物隠れるね」

 

「あ、そこは」

 

「うおああ!!なんだこれ壊れんの?!あれぇ!?」

 

「アプデ入って仕様かわりましたよ」

 

『草』『草』『やっぱこれだね』『動揺なぎちゃん』『ミクちゃんちょっとニヤってしてて草』『草』『これは策士』

 

「危ない危ない、こんな所で負けるとか洒落にならないから」

 

「なぎちゃん、全ステージやりますか?」

 

「もちろん!……今ので4分か、1時間切りしようよ、多分できるから」

 

「世界記録更新しますか」

 

『!?』『へ?!』『うっそだろ』『とんでもない事言ってない?』『まじ?』『ついに?』『世界記録幾つ?』『1時間23分52秒じゃなかったかな』『充分速い』『自称の域を超えるのか?』『ワールドレコード更新されるのか?』『つよつよプロゲーマー』

 

 1時間23分か……よし、わたしとミクちゃんなら出来るでしょ、高校生の時は多分無理だったと思うけど、今のミクちゃんの腕わたしと同じぐらいか、上だし。

 

「まぁ最近はなぎちゃんをいじめ…んん、ゆるく遊んでましたし、偶には本気でやるのも良いですね」

 

 いじめって聞こえてんぞ、おい。

 

「いやうん、昨日みたいなことはもうしないでよ……?つか、構って欲しいならいつでもゲーム出来るじゃんか、言ってよ」

 

「それとこれとは話が別なんですー!乙女心の分からないプロゲーマーだなぁ」

 

「プロゲーマー関係無くない!?なんだそれ……次のステージ行くよー」

 

『草』『なぎちゃん緊張無くなってきたね』『二人の会話だけでこっちも楽しい』『雑談しながら世界記録狙うプロゲーマーがいるらしい』『やっぱ元プロゲーマーよな』『だろうね』『そうだね』『詮索はNG』『なぎちゃん可愛いしいいか』『乙女心のわからないプロゲーマータグ付けとこ』

 

 問題なく2、3ステージとどんどん進んで行く、自分で言うのもなんだが、わたしはゲームが上手い……姉がしてたから、わたしも始めた事がきっかけだったかな。

 

 それと技術研究部では、色んなモノからの着想を得るっていうスタンスから必然的にゲームもそれなりにやっている……そういう口実で遊んでいたわけじゃないんだからね!

 

 ミクちゃんは多分経験じゃなくて、質だろう。この子は単純に一回の経験で得るモノが多すぎるんだ、良くも悪くもね。

 

「4ステージ目ですけど、なぎちゃんは今後やりたい事とか決めてますか?」

 

「んーそれ、前にも言ったかもしれなけどさ?企業さんから案件もらったり、今みたいにコラボしたりさ、……ミクちゃん、今はね?なぎ民と、もっと一緒に楽しみたい、楽しいよ、わたし」

 

「……そうですか」

 

『うーんこの』『なぎちゃん好き』『かわいい』『天使』『本当に楽しそう』『ミクちゃん嬉しそう』『かわいい』『表でも付き合ってるわ』『ワンチャン狙ってたなぎ民かわいそう』『多分そんな奴いないぞ』『お兄ちゃんが許しません』

 

「そーいうミクちゃんはどうなのさ、目標とか目的ある?」

 

「なぎちゃんの一番近い所で応援したい一心ですよ」

 

「ああうん……他には?」

 

「ん~~、教えません」

 

 なんだそれ、まぁいいや。

 

『ちな初回放送でやりたい事言ってたで』『まじ?』『アーカイブ無いんですが』『がははは、すまんな』『羨ましいんだが?』『なぎちゃんに必要とされたいとかそういうのだと思うんですよ』『確かに』『わかる』『やっぱゆりレズじゃないか!』

 

「いやですねぇ、誰でも良いわけじゃないんですよ?なぎちゃんだから好きなんです」

 

「いやその、わたしには勿体無いので……5ステージのボスなんだっけ」

 

「ティガレックスですね、私の腕の見せ所です」

 

「はい、じゃあ囮なるから後よろしく」

 

『ゲームは真面目』『ゲーム画面だけ見たら最速プレイやからなぁ』『正直ついていけてないから雑談してくれるの嬉しい』『わかる』『このゲーム知らんから雑談嬉しい』『なぎちゃん遠回しにお断りして草』『なぎちゃんはノーマルなのか?』『ノーマルでしょ』

 

 ああでも、そう言われると男性を好きになれるかは別の話になるのかな、わたしは最初から女の子じゃない……はずだ、最近はもう自分が何の姿で、どういう人間だったのかすら、曖昧に感じる。

 

 それに対して何の喪失感も、恐怖心も無い。その感情が怖い、もし最初からわたしの思い込みだったとしたら……司との、初菜との思い出は、記憶は、あの夢は何の……誰の記憶なんだ(・・・・・・・)

 

「なぎちゃん?……どうしました?」

 

「あ、ああいや、なんでもない。それより、この調子で行けば世界記録更新できるよ!」

 

「そうですね、初コラボで世界記録を取るプロゲーマー二人組としてユニットでも組みますか」

 

「え、組まないよ」

 

『なぎ✕ミク』『二人でなぎ✕ミク』『草』『草』『ミクなぎだぞ』『うーんこのゆりれずおにゃのこ』『思ったこと言っていい?』『特定云々の話以外』『じゃあ言わね』『そうしとけ』『ところで千里眼兄貴は?』『なぎちゃんにNG食らってるよ』『草』『草』『てことは今までおぱんつの色当ててたんやろなぁ』『可笑しい奴を無くした』

 

「なぎちゃん昨日白パンって本当ですか!?」

 

「うおうるせっ……違います。勘違いです、やめてください」

 

「白……なぎちゃんの純白おぱんつ……うぇへへへえへ」

 

「ば、おい!ゲームに集中しろ!もう7ステージ目だぞバカ!おたんこなす!白じゃにゃいからぁ!」

 

『草』『草』『放送出来ない顔になるヤンデレがいるらしい』『速報。なぎちゃんは白』『ちなみに今日は青の縞パンだよ』『!?』『死んだんじゃ……!?』『意思を継ぐもの』『継承されし千里眼』『我は不滅なり』『ただのサブ垢だろ』『ばれました?』

 

 おまこのっ……んもう、サブ垢BANしてもまた新しいの作ってきそうだから、仕方ないなぁ。

 

 雑談しつつも、ゲーム自体は順調に進んでいき……そして。

 

「っやった!やった!優勝した!なぎ民のみんな、世界記録更新したよ!やった~~~!」

 

「58分45秒03ですね、頑張れば55分切るんじゃないですか?……難しいか」

 

『うおおおおおお!』『偉業達成』『これはプロゲーマー』『プロゲーマーでも難しいわ』『ぷろぷろなぎちゃん』『つよつよなぎちゃん』『ミクちゃんのカバーが上手すぎた』『記録塗り替えられたかぁ』『プロハンニキの?』『二人分やるの難しかったよ』『ん?』『え?』『あんた可笑しいよ何者だよ』『その動画はこちら』

 

 はえ~すごいなぁ、一人二役ってつまり、2つの画面操作したってことでしょ?人間業じゃないと思うんだけど、尊敬するなあ。

 

「ふぅ……切りよくここで終わりますか?なぎちゃん」

 

「んー、じゃあ最後に一言!……なにかある?」

 

「今日はありがとうございました、なぎ民の皆さん、なぎちゃんの初夜は私が貰いますので、そういう事で」

 

「ひゃあ!?いやだから、それは違うって言ってるじゃんか!……ったく、もう。通話切るよ?」

 

「え、ちょっとま」

 

『草』『草』『ふざけすぎたか』『無慈悲なぎちゃん』『今日も楽しかったね』『最初のコラボがミクちゃんで安心した』『なぎちゃんは成長したなぁ』『まだ一ヶ月しか経ってないんですけどね』『いうて一ヶ月』『短いようで長いぞ』『逆の事も言えるけどな』『楽しい時間をありがとう』『最終的に18000人見てたね』

 

「と、言うわけでコラボ配信でした!……ミクちゃんが最初で本当に安心したよ、これからも出来ると思いたい。次の配信は二日後になるかも!……それじゃそろそろ終わろうかな」

 

「18000人のなぎ民達、来てくれてありがとう、見てくれて嬉しいです。次の配信も来てね……?良い夢みてください!じゃあね!」

 

『おつかれさま』『おつおつ』『でミクちゃんの色は?』『知りたければわかってるよな』『ヒェッ』『楽しかったです』『コラボしたい為にアカウント作った説』『濃厚』『天才か?』『夜勤頑張るかぁ』『最高のコラボやったな』『トレンド入ってたよ』『お疲れなぎちゃん』

 

 お疲れと流れる配信コメントを見るこの時間が、いつも名残惜しい。なら延長しないのかって言われるかもだけど、最初のコラボは一時間でやろうって自分なりに決めてるから、ここは譲れない。

 

 配信を終了する。

 

 しばらくすると、電話がかかってきたので受け取る、ミクちゃん……初菜からだ。

 

『お疲れ様でした、なぎちゃん』

 

「なぎちゃん言うな……お疲れ、ありがとう初菜、また、出来るかな」

 

『ぜひ勿論!……と言いたいですが、暫く私用で部屋を空けます、ごめんなさい先輩』

 

「謝る事じゃないよ、わかった……ねえ、わたしは初菜の知るわたしだよね?」

 

『何を今更、先輩は先輩です。わたしの好きな、尊敬する、敬愛する、人生の何よりも大切な先輩ですよ』

 

 ……今はその言葉が嬉しいよ。

 

「じゃあ切るね、おやすみ」

 

 自分のことに、今更になって思う感情を隠しながら、もやついた気持ちを解消するために、久々にカップ麺の蓋を開けた。




いつも感想ありがとう!楽しく見てるよ、評価も誤字報告もありがとうな〜〜!
ちなみに今回のゲームの元ネタはタイムクライシス(アーケード版)あれ好き、楽しい。


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じゅうにわ!

どちらかというと繋ぎの回。続きです
それと、おあさんからファンアート頂きました!ミクなぎは尊いなぁ、いつもありがとう、感謝を。
【挿絵表示】



『俺様の親友と後輩が自称プロゲーマーな件について』

 

「は、ははは……司もやる?配信者」

 

『俺様がゆりレズワールドに入ってみろ、言わなくてもわかるよな?』

 

「う、うーん……確かに」

 

 お昼時、お昼ご飯の海鮮丼を食べた後、タイミング良く司から電話がかかってきたので、話しているところだ。

 

『しっかし凪沙が引きこもってから、初菜ちゃんも全然外に出なくなったから良い傾向かもな、親友の成長も芳しいし、俺様感心!いやぁ嬉しいぜ』

 

「何目線だよ……ねえ、いつぐらいに来るの?」

 

『んお?寂しがりやだなぁ親友は、3日以内には着きそうだぜ、いやぁ飛行機に久々に乗ったけど快適快適』

 

「そっか……わたしの手料理、食べさせてあげようか」

 

『まじで?!メイド服着ておかえりなさいませご主人様って言ってくれる!?』

 

「へゃ!?やややだよ、バカ!アホ!スケベ!三音にメイド服なんて持たせやがって!このすかぽんたん!」

 

『す、すかぽんたん……だって見たいし〜、なぎちゃんのメイド服手料理配信見たいなー?』

 

「お、お願いされたってしないんだから!……それに寂しくなんてない」

 

『嘘つけ、まぁつーことて後数日で着くから、安心しろよ』

 

「ん……待ってるから、それじゃ切るよ」

 

『ああ待った!なぁ凪沙、最近変わったことってないか?何でも良いんだ』

 

 これは、わたしの体についてを言っているのかな、それとも別の事だろうか?

 

「……なにもないよ、うん。何も変わってない」

 

 ごめんね、会ったら……話すから。

 

『そっか~……わかった、じゃあまた近い内にな、配信頑張れよ?無理しない程度にな』

 

「ん、がんばるよ……また」

 

 司との電話を切り、ふっとため息……嘘なんて付きたくないのに、どうしてついてしまうんだろう?

 

 わからない、わたしは司の事をどう思っているんだろうか、司はわたしの事をどう思っているんだろう?

 

 会えば、それも分かるはず……ただ。

 

 ただ、数日後司と合う時、どういう顔をすればいいか、今のわたしには何一つ思いつかなかった。

 

 

 

 

 お悩み相談配信というのをやってみようと思う、今現在わたしがいろいろと悩んでいることについては置いておいて、ゲームする気分でも無いからだ。

 

 音ゲーでもしようかなとも思ったけど、PCでする音ゲーはあんまり需要ないんじゃ無いかな、体全身を使った音ゲーの方が良いと思う。

 

 そういう機材は持ち合わせて無い、高校生の時の部室には有ったので多分初菜が持っているけど、今は居ないし……後日借りよう。

 

 ……やっぱ、配信開始前のこの時間は慣れない。

 

 コラボ配信や、企業さんからのデモプレイとかで自信は大分ついてきたとはいえ、それ以上にわたしを見てくれている人の期待や、多さにただただ驚くだけだ。

 

 気負う必要なんてないと初菜は言った、その通りだと思う。

 

 ……考えたって何か変わる訳じゃない……なぎ民と話すのは、配信する事が楽しいのは事実なんだ。

 

 ならそれで良い、それで良いはずなんだ。

 

「ずっきゅん!自称プロゲーマーのなぎちゃんだ〜よ!」

 

『ずっきゅん!』『どっきゅん!』『ばっきゅん!』『伝わらないネタやめろ』『今日もかわいいなぁ』『顔赤らめてるのかわいい』『かわいい』『かわいい』『好きです』『初手告白、僕も好きです』

 

「……はい、今日はお悩み相談回です……まぁ雑談だね、長くて2時間ぐらいやろうかなって思います」

 

『うおおおおお!?』『なぎちゃん見てると悩みもなくなる』『なぎちゃんが可愛すぎてそれが悩みです』『わかる』『それな』『パパもそう思います』『兄も思います』『ちょっと!偽パパさん!仕事終わってないよ!』『狂いそう』『草』『草』『草』

 

「はいはい、じゃあ仕事頑張ってね、アーカイブは残すから後で見てね」

 

 ……よし、勇気を出そう、初菜ともコラボできた、三音とも友達になった、なら……身内以外の人とも、話せるはずだ。

 

「お悩み相談回だから、実際に通話でお悩みを聞こうと思うよ……単純に話したい人でも、まぁいいよ」

 

『うおおおおお!』『うおおおおお!』『まじ?』『やばい』『やばい』『緊張してきた』『え、話せるんですか?』『君は仕事』『最高か?』『なぎちゃんに下手な事言ったらわかるよな』

 

「この通話アプリ使うから、もし入れてなかったら概要欄にDL場所あるから、是非ダウンロードしてね」

 

 説明しよう!通話アプリ『シンプルボイス』は単純明快!リアルタイムで会話するだけ!

 

 以上!ちなみにこのアプリを作った小企業の社長さん(105歳)は「80年前は若く、10分で作りました」と記事に載せているぞ!イキリおじいさんだね!そろそろくたばるんじゃないかな!

 

 でもくたばらないで!後20年ぐらいは健康的に生きようね!

 

「……先に言うけど音声だけだよ」

 

『そりゃあまあ』『うん』『話せるだけで幸せ』『今こそ国家認定SAD型の出番ですよ!』『世界認定MKNTに勝てるとでも?』『ミクネットだとォ?!』『なぎ民のつよつよ通信スペック』『あぶれそうだけどかけるだけかけよ』

 

「検索ワードはなぎ民、先着順です。制限時間は無いけど〜……まあわたしが切りたくなったら切ります。わたしがルールなのだっ!」

 

『かわいい』『かわいい』『好き』『緊張してきた』『まじで話せるん……?』『初手デブボだったら?』『ピザポテト童貞と名付けよう』『草』『良いセンス』

 

 そ、それはちょっと酷すぎるんじゃないかな……声だけで判断するのは良くないと思うよ、わたし。

 

「よーしじゃあ掛けてみるよ〜?」

 

 緊張する……普段はコメントが流れて、それをわたしが見るって形だから、声と声とで会話するのは初めてだし、記念すべき最初のなぎ民は……誰だろうな。

 

「ん、繋がったかな、聞こえる?」

 

『えあ!あ、うおおおおおお!』

 

『うおおおお!』『うおおおお!』『うおおおお!』『若い』『これは19歳の声』『で誰だよ』『男か、わかってるな』『何ィ!?世界認定がすり抜けた?!』『国家認定も効きません!』『下手な事言うなよ』

 

「お名前、聞いてもいい?」

 

『ユーです!あぁ本当になぎちゃんだ……僕なんかが最初で、感無量です』

 

「ユーさん?わわっ、若い声だね」

 

『動画編集の人か』『動画編集ニキ?!』『デブ活汚じゃないのか』『ピザポテト童貞じゃないのか……』『落胆するな』『今の時代のデブは居ないぞ』『は?お前屋上』『怒らせちゃったね〜?』

 

「動画編集いつもありがとう、お礼にずばばーんとお悩みを聞いてあげましょう!」

 

『かわいい……な、悩みですか』

 

「うん!なんでも言って……?」

 

『なぎちゃんが可愛すぎて……色々と辛いです……一生なぎちゃんだけ見つめて生きていたい……』

 

 にににゃにいってんだ?!

 

『草』『草』『本心からで草』『ナニが辛いんやろか』『そりゃ現実よ』『顔真っ赤でかわいい』『照れ照れなぎちゃん』『そこの男、覚えてろよ』『ヒェッ』『やべえのきた』『逃げろユー!』

 

「えー、うん、はい。夜道に気を付けて下さい!次!」

 

 通話をかける……次の人は誰だろう?

 

『なぎちゃん、こんにちわ。私、田中と申す者です』

 

「あ、田中さん、やっほー?初めまして」

 

『田中!?』『お前…お前ェ…』『処刑』『火あぶりの刑』『ぐああ!世界認定が負けるだとォ?!』『敗北者と犯罪者』『なぎちゃんと話だけで犯罪者になる男』

 

 い、言われたい放題だな……何でこんなに当たり強いんだろう?なにかしたのかな、うーん?

 

「初配信から見てるよね?いつもありがとう、何でも悩み聞くよ?」

 

『いえ、こうして話すだけで悩みも消えます、ですが強いていうなら一つ、悩みがあります』

 

「そ、そっか。言ってみて?」

 

『私、なぎちゃんのグッズやキーホルダーなどが欲しいです、いえ、本心を言うならタベストリーやおはようからおやすみのボイス、抱き枕カバーが欲しいです、人生の悩みです、どうにかして欲しいです』

 

『草』『草』『煩悩まみれ』『丁寧な言葉使いからこの煩悩』『ぶっちゃけ過ぎだろ』『なぎ民を代表してよう言うた』『それはそれ、まだ許されない』『許されないな』『抱き枕カバーほしいなぁ……』

 

「ふぇ、え、ゃ……う、うう〜〜!」

 

『かわいい』『かわいい』『かわいい』『なぎちゃんの真っ赤なほっぺ』『手で顔隠すのかわいい』『ほんま好きちゃねん』『実際どうなんだろう』『そういう企業がバックに付けばワンチャン』『個人では?』『出来なくはないと思うけど』

 

「個人ではしないよ!企業さんから話きたら考えてあげる!もう次!次です!田中さんはもう通話しないでね!」

 

『我々の業界ではご褒美です!』

 

 もー……何してもご褒美になるのかよなぎ民は、変態多すぎるよ……いつからこんなに多くなってしまったんだ。

 

「気を取り直して、次の人に掛けてみるよ〜っと」

 

『テステス……あ、なぎちゃん?いやさん付けした方が良いか……なぎさん?』

 

 え、ちょっと待ってこの声もしかしてもしかすると。

 

「かか狩人先生!?」

 

『まじ?』『まじじゃん』『声の渋みでわかる』『このダンボールで隠れてそうな声よ』『イケボ』『濡れそう』『こんなん実質コラボじゃん』『神回確定』『いつも神がかってんな』『うおおおお!』

 

『先生なんて照れるなぁ、呼び捨てで構わんよ』

 

「しょそんな!あっあのファンです!いつも見てます!あっあ……ひゃ〜!」

 

『落ち着け』『落ち着け』『乙女か?』『おとめななぎちゃん』『まぁプロハンニキなら許すわ』『なぎちゃんごめんそこ変わって』『わかる変わって』『人気過ぎる』『そりゃまあ、50万人登録者いるし……』

 

『繋いで何だけど、なぎさんに話す悩みは無くてね?ただ話したかっただけだったり』

 

「そっそんな、光栄です、後なぎちゃんで良いです、いっそ呼び捨てしてくだしゃい……」

 

『おお?それでさ、なぎちゃんは何か悩みとかあるんじゃないかな?今日はいつもより眉と声が違うからね』

 

 へ、すっ凄い、何でわかったんだ?この人やっぱり凄いなあ。

 

 この人なら、言っても良いかな……なんだか、安心出来る。

 

「……久しぶりの親友に会う時、どういう顔すれば良いか、わかんなくて」

 

『なるほどね……そっかそっか』

 

『乙女だわ』『かわいい』『へにゃへにゃなぎちゃん』『プロハンニキがまるでパパみたいだあ』『まるでというか』『有能無能よりパパ』『狩人パパ』『何だって!?許さないですよ!』『うるせえ仕事しろ』『机に貼り付けるぞ!』

 

『君が君らしく、それだけで良いんだよ』

 

「そ、そうかな……でも、親友の目から見たわたしは、わたしじゃないかも知れないんだよ?」

 

『いや、君は君だ。他の誰でもない……恐怖を感じるのは良い事だ、それだけ君は相手の事を思いやっているからね、だけれど、それに潰される必要は無い』

 

 ていうか、べ、別に思いやってなんか無いし。

 

『これはパパ』『狩人パパ』『プロハンパパ』『なぎちゃんの親友って?』『そりゃ金髪美少女よ』『男の匂いがする』『ミクちゃんみたいな事言うな』『パパ株が徐々に奪われつつある』

 

『それとも君の親友は君を拒絶する薄情な人間か?』

 

「そんな事ない!……優しくて、頼りになる人なんだ」

 

『なら何も問題は無い、なぎちゃんなら大丈夫』

 

「……そっか」

 

『おっと、そろそろ勤務の時間だ、また話そうね、なぎちゃん」

 

「うん!狩人先生、ありがとうございました!」

 

『私の娘が……』『有能無能、敗北!』『敗北を知れ』『さよなら無能、ただいま狩人パパ』『これはパパ』『公認パパ』『イケオジ過ぎた』『そりゃなぎちゃんも乙女るわ』『俺もそーなの』『ようホモ』

 

「……よし、じゃあ次の人〜!」

 

 一人一人と話していく、くだらない悩みだったり、真剣な悩みだったり、ただ話したいだけだったり、色んな人と話していく。

 

『お兄ちゃん、来週ゲープロの大会なんだけど、妹に応援して欲しいなぁ』

 

「まずあなたはお兄ちゃんじゃないです。優勝したら認めてあげなくもないよ」

 

『うおおおおおお!聞いたかなぎ民!俺はやるぞ!やってやるぞ!!!』

 

『うおおおおお!』『うおおおおお!』『頑張れ』『優勝しないで』『俺が兄だ』『プロハンニキ居ない大会で良かったな』『勝ったな、風呂入ってくる』『負けたな、飯食ってくる』『賛否両論』

 

「わぁ!女の子だ、なになに?なぎちゃんなんでも聞いちゃうぜ……?」

 

『ひゃ、あ、あの!……なぎちゃんは、VRフィールドとかで、ああえませんか?!』

 

「よしわかった!いいよ、二人きりの専用部屋つくろう!」

 

『草』『草』『ゆりゆりなぎちゃん』『レズレズなぎちゃん』『セクハラだぞおっさん』『おっさんやめろ』『ミクちゃんに気を付けろ』『ヤンデレが黙ってないぞ』『なぎちゃん……後ろに』『窓に!窓に!』

 

「やややめろ!本当に怖いからやめろ!……んー、そうだな……考えておくね。ありがとう」

 

「次の人は〜だれだだれだ?」

 

『くっくっくっ……アイサツ!こんにちは、なぎちゃん、にんにん!』

 

「アイエ!どーも、ニンジャさん……どーせVRフィールドで教え受けたんでしょ?」

 

『アイエ!』『草』『バレてる』『初手看破』『これは千里眼の使い手』『ニンジャ…くノ一…なぎちゃん…閃いた!』『うーん、最高!』『よっしゃ描いたろ!』『わしも描いたろ!』『えちえちくノ一なぎちゃん』

 

『なぜバレた?!……と、お戯れはさて置き、なぎちゃん、今日は感謝のお礼を言いたかったんです』

 

「へ、お礼ってなにさ……お礼されるような事なんてしてないよ?」

 

『謙遜ですよそれは、なぎちゃんが楽しくゲームをしているのを見て、久々に8歳の妹が笑ってくれたんです、どうしてもお礼が言いたくて……ありがとうなぎちゃん』

 

「……それは、ぁう……良かったね」

 

『ヒューマンドラマか?』『妹居たんか』『はえー感動』『なぎちゃんの存在が笑顔を取り戻した』『なぎちゃんは人を救うなぁ』『いつもより照れてんなぁ』

 

『で、その妹が!自分に対して当たり強いんすよ!一緒に寝ることも風呂も入ってくれる事もなくなったんだよなぎちゃん!どうすればいいかなぁ?!』

 

「ふふっ……別に嫌われてる訳じゃないだろうし、良いんじゃない?」

 

『ニンジャ許さねえ』『裏山死刑』『有罪』『ニンジャさん、滋賀県で会おう』『黒曜石の斧取り出した』『許されない』『このロリコン共め!』『思春期やなぁ』『微笑ましい』

 

 わたしは人を笑顔に出来たのか、へへ……そっか、笑顔に出来てるんだよね。

 

「妹さんに伝えて?見てくれてありがとうって」

 

『そ、それは勿論!……なぎちゃんは天使だなぁ』

 

「天使じゃないから!……もー、切るよー?」

 

『かわいい』『かわいい』『かわいいなぁ!!!』『絶対天使なぎちゃん』『なぎちゃんは天使だなぁ』『ガチ恋量産天使なぎちゃん』『なぎちゃんが愛される理由が分かりました』『生きててありがとう』『産まれてきてありがとう』

 

 恥ずかしいよもう……胸がいっぱいだ、優しさにわたしは支えられてる。

 

「こ、これ以上は火傷しそうだから……そろそろ配信を切るよ」

 

『いかないで』『いかないで』『話してくれてありがとう』『顔真っ赤』『耳まで真っ赤』『体温やばそう』『火照った体を冷やしたい』『お前、裏庭』『屋上』『照れのあまり配信を切るプロゲーマーがいるらしい』

 

「はい、じゃあ……また次の配信で会おうね」

 

 配信を終了する、終了しても流れるコメントの画面を見つつ、配信が終わった丁度に登録者が五万人を超えた。

 

 ……わたしは自分の事を特別とかそう思ってない、だけども、感謝してくれる人が居て、悩みを聞いてくれる人が居て……それは、配信を通してわたしが得たものだ。

 

 その機会をくれた司に対して、わたしは返せないぐらいの感謝をしないとな。

 

「……よし」

 

 わたしはわたしらしく、正直に話そう……司を、信じよう。

 

 ……その前におしゃれしないと、ナゲットくんにかわいい服頼まないとなあ。




精神的BLに発展するのかしないのか……真相は明らかになってない。

感想いつもありがとう!誤字報告も助かってます、☆10の評価が200人になったようで、驚愕してます。これって…光栄ですよ。
次も早めに出せたらええなぁ。
-追記-
ファンアート+登場人物紹介の最後の方に今までなぎちゃんが配信したゲームの元ネタ貼りました!知りたい方は是非。


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掲示板のおはなし。そのさん

休日だし多少はね?
例によって掲示板が苦手な人は注意、直接的に本編と関わるような話では無いです。ホントダヨー


【なぎ民雑談スレpart87】なぎちゃんをすこれ【ミクなぎをすこれ】

 

1:古参面なぎ民 17:52:49

前スレはこちら。

次スレは>>885のなぎ民宜しく。

なぎちゃんのチャンネルはこちら。

なぎちゃんのつおったー+はこちら。

荒らしは宅配ピザXLサイズ10枚、度が過ぎるようなら住民ハックと玄関爆竹の刑。

 

2:名無しのなぎ民 17:52:58

古参面とかいつ出来たんだ?

 

3:名無しのなぎ民 17:53:24

ほら、part57回ぐらいの時にいつからが古参か荒れて、じゃあ二回目の放送から見たなぎ民が古参ってことにしようって言ったやん

 

4:名無しのなぎ民 17:54:52

あーね

 

5:古参面なぎ民 17:55:03

古参だからって威張ったらXLピザ5枚だけどな

 

6:古参面なぎ民 17:55:42

なぎちゃん!なぎちゃん!なぎちゃん!なぎちゃんぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!

あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!なぎなぎなぎちゃんぅううぁわぁああああ!!!

あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん

んはぁっ!かわいいかわいいなぎたんのシルバーブロンドの髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!!

間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!

チャンネル登録者40000人こえて良かったねなぎたん!にゃあぐあああああああああああ!!!配信なんて現実じゃない!!!!あ…つおったー+も動画配信もよく考えたら…

な ぎ ち ゃ ん は 現実 じ ゃ な い?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!!

そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!つおったー+ぅうぅううぅぁああああ!!

この!ちきしょー!やめてやる!!現実なんかやめ…て…え!?見…てる?配信中のなぎちゃんが僕を見てる?

配信中のなぎちゃんが僕を見てるぞ!なぎちゃんが僕を見てるぞ!Tube@ライブで配信中のなぎちゃんが僕を見てるぞ!!

ゲーム中のなぎちゃんが僕に話しかけてるぞ!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ!

いやっほぉおおおおおおお!!!僕にはなぎちゃんがいる!!やったよなぎ民!!延長でなぎちゃんともっと触れ合えるよ!!!

あ、アーカイブのなぎちゃああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああああ!!!!

あっあんああっああんあなぎ様ぁあ!!

ううっうぅうう!!僕の想いよなぎちゃんへ届け!!画面の向こうのなぎちゃんへ届け!

 

7:古参面なぎ民 17:55:52

そうそうこういう奴、模範になってくれたのかな?ありがとう、XLピザ10枚の刑な

 

8:名無しのなぎ民 17:56:04

またおかしな古参がデブになられた……

 

 

 

 

362:名無しのなぎ民 19:42:45

人多くなったとはいえ、ここはそう変わらんな

 

363:名無しのなぎ民 19:43:01

んーまぁ実況雑談戦場の三つに別れたし、雑談のここはこんなもんよ

 

364:古参面なぎ民 19:43:53

戦場と実況の違いとは。

 

365:名無しのなぎ民 19:44:02

実際無いでしょ、まぁ過激派かそうでないかじゃない?

 

366:名無しのなぎ民 19:44:32

実際過激派っている?配信コメ見るとなぎ民線引きしっかりしてると思うけど

 

367:古参面のなぎ民 19:44:57

そりゃ適時黒曜石の剣持ったなぎ民とか田中とかドゥンヘル加藤とかが間引きしてるからな、必然的に質が良くなる

 

368:名無しのなぎ民 18:45:04

待って?ドゥンヘル加藤って?

 

369:名無しのなぎ民 18:45:21

ほら……最初の方のコピペのあの……

 

370:古参面のなぎ民 18:45:37

有能なのか無能なのかわかんねえな、間引きって具体的に何よ?合法的な殺人とか言うなよ?

 

371:古参面のなぎ民 18:45:58

住民ID抜いて「お前のケツに爆竹突っ込んでロケット花火で宇宙(そら)藻屑(ほし)にしても良いんだぞ」って感じで脅してる

 

372:名無しのなぎ民 18:46:01

 

373:名無しのなぎ民 18:46:04

 

374:名無しのなぎ民 18:46:06

 

375:名無しのなぎ民 18:46:10

これもう過激派やろ草

 

376:名無しのなぎ民 18:46:24

過激派よりも過激なんですがそれは……

 

376:古参面のなぎ民 18:46:34

だいじょぶだいじょぶ!この刑食らった奴今まで三人ぐらいしか居ないから!死人はゼロだから!

 

377:古参面のなぎ民 18:46:39

いるんかーい!

 

378:名無しのなぎ民 18:46:53

怪我人は3人なんですねわかります、どんな奴だったんだ……

 

379:古参面のなぎ民 18:47:05

知らん方が良いで、なぎちゃんの空間には相応しくない。

 

380:古参面のなぎ民 18:47:20

あの陽だまりのような笑顔が曇ったら自分を抑えられなくなるからまぁ妥当やな

 

381:名無しのなぎ民 18:47:31

ほんまあの笑顔ええよなぁ……こっちも笑顔になる

 

382:名無しのなぎ民 18:47:49

なぎちゃんの笑顔で惚れました

 

383:名無しのなぎ民 18:47:51

わかる

 

384:古参面のなぎ民 18:47:52

わかる

 

385:名無しのなぎ民 18:47:53

わかる

 

386:名無しのなぎ民 18:47:56

わかる

 

387:名無しのなぎ民 18:48:06

わかりみが深過ぎる、ミクちゃんと絡んでる時の気の知れた友人同士の笑顔が好きです

 

388:名無しのなぎ民 18:48:32

ミクなぎは良いぞ。なぎ民のコメントに文句言いつつも嬉しそうにする顔が好きです

 

389:名無しのなぎ民 18:48:52

それな、ファンアート紹介してた時の顔も好き、照れながら誇らしげな表情よ、なにあれ?俺を殺しに来てないか?

 

390:名無しのなぎ民 18:49:21

実際憤死しかけて鼻血が止まりませんでした。

 

391:古参面のなぎ民 18:49:42

手元に鎮静カプセルが無かったら危なかった

 

392:名無しのなぎ民 18:49:49

ドクぺが無かったら危なかった

 

393:名無しのなぎ民 18:49:58

まあ顔出ししてから心がやばいのはわかる。特定とか大丈夫かな

 

394:古参面のなぎ民 18:50:04

それな、田中、どうなん?

 

395:田中 18:50:09

はい…田中です…まるで私がさも当然のように特定しようとしましたみたいな言い方やめてくれませんか?

 

396:名無しのなぎ民 18:50:17

事実だろ

 

397:名無しのなぎ民 18:50:21

事実だろ

 

398:田中 18:51:00

えー、結論から言えば絶対に特定されませんね、通信や回線経路から辿るならNSS型フィールド使ってるので不可能、なぎちゃんの部屋の情報、例えば壁などから特定しようとしても材質が異質で絞れない、なぎちゃん本人から探りを入れても不思議な程に情報が無い。周りの関係性から特定しようとしてもその周りも居ない。以上の事から特定の心配は無いですね。まあ一応本名さえ判れば別ですが。

 

399:名無しのなぎ民 18:51:08

お前やっぱ野放しにしてちゃダメな奴だわ

 

400:古参面のなぎ民 18:51:14

やっぱまだ許されねえわ、お前は大人しく俺の作業代わりにしててくれ

 

401:古参面のなぎ民 18:51:20

怖えよお前まじで、もし分かったとしても絶対にするなよ?まじで

 

402:古参面のなぎ民 18:51:32

『ALICE』からデータ抜くつもりか?田中お前、管理職の人間か?

 

403:田中 18:51:46

職務を推察するのはNG、反省してます。特定は悪い文明、なぎちゃんにもしもがあったら死ぬ覚悟で生きてます。

 

404:名無しのなぎ民 18:51:52

その覚悟で滋賀県の清掃しててくれ

 

405:古参面のなぎ民 18:52:02

覚悟は分かったから今度はこの前解析したデータの座標に行ってくれ

 

406:名無しのなぎ民 18:52:21

変な気起きないように教祖たそに懺悔してこい

 

407:名無しのなぎ民 18:52:36

ああ、そういえば今教祖たそ日本に観光しに来てましたな

 

408:古参面のなぎ民 18:52:47

来てるねぇ、何かの間違いでなぎちゃんと教祖たそで百合百合デートしねえかなぁ

 

409:古参面のなぎ民 18:52:58

ミクちゃんとの会話だけで動機がやばいってのにそんなんされたら肉体滅びる

 

410:名無しのなぎ民 18:53:16

教祖たそとなぎちゃん話し合いそうだから余計に話して欲しくなるなぁ

 

411:名無しのなぎ民 18:53:32

ミクちゃんが「敬語とかキャラ被ってんですよ!」とか言いそう

 

412:名無しのなぎ民 18:53:37

草、わかる

 

413:古参面のなぎ民 18:53:41

草、それな

 

414:名無しのなぎ民 18:53:58

僕的にはコラボなら狩人さんとして欲しい気持ちある

 

415:名無しのなぎ民 18:54:09

わかるわぁ、乙女なぎちゃん見たい

 

416:古参面のなぎ民 18:54:13

そうなるとなぎちゃんに嫉妬してまう

 

417:古参面のなぎ民 18:54:28

あの人そもそも忙しいから、配信でゲームするとなると難しいんじゃない?動画メインだし

 

418:なぎちゃんの兄 18:54:34

俺とコラボしてくれないかなぁ

 

419:名無しのなぎ民 18:54:47

いやあんた配信者でもなんでも無いやろ草

 

420:古参面のなぎ民 18:54:56

草、大会控えてるんだから練習しなさいな

 

421:名無しのなぎ民 18:55:06

元プロゲーマーという接点を活かそうとするな

 

422:なぎちゃんの兄 18:55:21

つまり配信者デビューしたらワンチャン?!うおおおおお!作るわ!

 

423:名無しのなぎ民 18:55:35

草、なぎちゃんとミクちゃんに被らなかったら見てやるよ

 

424:古参面のなぎ民 18:55:58

登録だけはしてやるよ

 

425:名無しのなぎ民 18:56:05

うーんこの、内容良かったら見てやるよ

 

426:名無しのなぎ民 18:56:13

速報。なぎ民優しい

 

427:古参面のなぎ民 18:56:36

あぁそうだ、大会の会場って日本海の海底庭園だろ?あの辺り例の奴ら多いから念の為武装しとけよ

 

428:名無しのなぎ民 18:56:46

例の奴らって言うとー、赤城財閥が討伐金出してるあの連中か

 

429:古参面のなぎ民 18:57:02

7年経っても滅びねえのか、しぶといな

 

430:名無しのなぎ民 18:57:16

まじ生きる害って感じ、宇宙船のパーツ集めてなにがしたいんやろな

 

431:古参面のなぎ民 18:57:21

知らね、まぁもし見かけたり会ったりしても変に接触するなよ

 

432:なぎちゃんの兄 18:57:52

忠告どもども、まぁここはなぎちゃんのスレやしこんな話ししてないでなぎちゃんの華奢な腰のラインについて話そうぜ

 

433:名無しのなぎ民 18:58:02

死亡フラグな上に変態か?まぁ踊って欲しいよな、いや変な意味ではなく

 

434:名無しのなぎ民 18:58:08

誤魔化せてないぞ、音ゲーしてくれないかなぁVRとかで

 

435:古参面のなぎ民 18:58:14

歌って踊って欲しい感じする、なぎちゃんアイドルいけるわ

 

436:田中 18:58:32

分かります。

 

437:古参面のなぎ民 18:59:00

おいまだ終わってねえだろ田中!

 

 

その後も田中はこき使われ、平穏に流れて行くと思いきやなぎちゃんのお悩み相談回で爆速にスレが加速するのであった……




お願い!生きてお兄ちゃん!
別に死なないと思いますので心配は必要ないよ、ホントダヨー。
明日忙しいので多分投稿できません、許して!嫋やか心で待っててくれー?


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じゅうさんわ!

日真日さん うさうさなぎちゃんをありがとうございます!ドヤ顔ニヒル顔が良い味出してるんダァ……好き、重ねてありがとう!嬉しいです。
【挿絵表示】


一応精神的BLタグ付けるけど……この話にタグいるかな?


 朝、少し早めに起きたわたしは、体を伸ばして起き上がる。

 

 のそのそと熊さんの寝間着を脱いで、朝のシャワーを浴びる。

 

「ん〜〜っ、朝シャーさいこうか?」

 

 しっかりシャンプーもしないとね、ってか頼んでないのにこういうのも服を頼んだついでに持ってきてくれるとか、ナゲット君さまさまだ。

 

 持ってきたお礼に頭と思いしき所を撫でてやったら、心なしか喜んでるようにも見えるし、なんだか可愛く見えてきた。

 

 機械に好かれてる、かあ。

 

「何でなんだろ……でも、機械が心を持ったとしても、別に不思議な事じゃないよな、このご時世だし、実は擬似人格プログラムを使いましたって言われても驚かないぞ」

 

 十分体を綺麗にして、ふかふかのタオルで丁寧に拭く。長いシルバーブロンドを拭く動作もなかなか様になってきたと思う。

 

 鏡の中のわたしを見つめる……充分かわいいけど、うーん?やっぱり化粧とかした方がいいのかな……ど、どうだろ、もっと可愛く綺麗なわたしを見せる方が良いんじゃないか?

 

 い、いやいや!何をそこまで本気で悩む必要があるんだ、これじゃまるで司を意識してるみたいじゃないか!

 

 そそそんなんじゃないんだから!……落ち着こう、深呼吸しよう。

 

「大丈夫大丈夫……着替よう」

 

 わたしの美的感覚はそこそこだと思いたい、だから変な服装にはならないと思うんだ。……ま、まあ?でも仮に変な服になったらまずいから?調べに調べたけど?

 

「……攻め過ぎかな、合うかな」

 

 可愛らしくフリルがあしらわれた白いブラウスとコルセット付きのえんじ色のハイウェイスカートを着る。

 

 確かパールツヴァルシュ号の船員の一人のファッションデザイナーが考案したもので、別名「童貞を殺す服」とかなんとか。

 

 ……司って童貞なのか?わからん、よく海外に行くし人との付き合いも上手いから……ま、まあ、彼女は居ないでしょ、勿論彼氏も、わたしに一言も無しに作る筈ない。

 

 そんなことされたら許さないし、絶対認めない。

 

「……なんだろうこのもやもや……うー。気にしないようにしよっ」

 

 この区、というより神奈川県は赤城財閥が統治する県らしく、かなり平和的な県だ、間違っても滋賀県のように戦場じゃないし、果物が浮いたりしないし、ブラック労働に頭をやられ全裸でえろ本を買いに行く事例が発生したりはしない。

 

 いや、最後の例は、ちょっと危ないかもしれない、どこにもその危険性はある。

 

 VRフィールドにも労働のしすぎて幻想行き(現実逃避)した人間もいたと言うぐらいなんだ。

 

 一番平和なのは浮島として、実質鎖国化している北海道だろうけど、いつまで浮いているか分からないし住みたくはないな……まあ、常日頃武装して歩けってぐらい平和じゃない都道府県は無いと思うけど、危険性は常にある。

 

 と言ってもマンション周りは大丈夫。なんと死人の例が98%ぐらいしかない街なのだ、そんな所に良くわたしは住めるなと感心と、司に対しての感謝でいっぱいになりそうだ。

 

「よっし……っとそうだ、初菜のお守り付けないと」

 

 ぱっちり、鏡を見ても、心なしかいつもより可愛いなぎちゃんの完成だ。

 

 外は嫌だし怖い、良い思い出が少ないからだ。

 

 ただ、少ないだけで確かにあった、その一つが親友と、司と出会った事。

 

 また深呼吸をする、今度は深めに肺に空気を入れる。

 

「よし」

 

 一言つぶやき、わたしはドアを開けた。

 

 

 

 

 空を行き交う車やモノレール、ほうきに跨りバイクのように動く人影、人工的に作られたホログラムの虹が少しだけまぶしい。

 

 空から地上に目を向ければ、二足歩行の無骨なデザインのAI、リクダムくんと、たまにナゲット君が忙しそうに動き回っている、交差点を見ればカーチェイスをしているかのような速度の車やトラックや馬。

 

 高すぎず低すぎずのマンションに、所々並んでいるお店や一軒家、公園では子供達がドローンに乗りながら空中ちゃんばらを繰り広げてる。落ちても整備された公園周りの土は衝撃を100%吸収し、子供に怪我をさせない。

 

 これがこの街の日常の光景であり、数ある日本の風景だ。

 

 わたしが当たり前と思っているこの国は、他国から見たら異常ともいうべき国で、広い視点から見てみると確かにこの国は進みすぎている文化を独自で創り出した国だろう。

 

 その全ての発端は、今から約100年前ぐらいに飛来してきたパールツヴァルシュ号の船員達の影響で、頭の良い学者さん達は口を揃えてこう言う。

 

 パールツヴァルシュ号が飛来しなかったら、世界が変わる事は無かったと。

 

 それが良いことか悪いことか、わたしには分からない。未知を未知のままにするのは愚か者と言うが、パールツヴァルシュ号が飛来してきた理由(未知)を知るのは、少なくともわたしではないと思う。

 

「……司は知りたい事は知れたのかな」

 

 いつかに、パールツヴァルシュ号が来た意味を調べて、本来訪れる世界の未来はどんなだったかを知りたいとかなんとか言ってくれてたな。その為に赤城財閥直属の会社に入って、研究とか実験とか色々やったんだろうし。

 

 それにしても早く来すぎたかな?ま、待つのは嫌いじゃないけどさ……人もあまりいないから、まさかナンパなんてされることも無いし。

 

 てかナンパする余裕のある人が公園にいるかな?VRフィールドで婚活した方がまだ成功率高いと思う。

 

 ……当たり前だが、ナンパされた事なんて無いからわからないけど。

 

「ん〜……ん?」

 

 待ち合わせにしてた公園のベンチに座って、ぼーっとしていると、目の前のナゲット君がやって来た、なんだろう?

 

「どーしたのさ、なになに?髪整えさせて?えー、良いけどさ」

 

 青色の目だと思う所が嬉しそうにピカピカと光る、後ろに回って、わたしの髪を繊細に扱う。

 

 ……美容専門のナゲット君かな、この子達は幾つ職を扱ってるんだろうなぁ、それにやっぱりナゲット君に任せ過ぎだよなぁ。

 

「ねえ、本当はサボりだろ。ダメなんだよー仕事はしっかりやらないと……え、違う?休憩時間だから?うっそだー」

 

 しゃきーんの顔文字に汗マークついてるよ、ふっふっふ、わたしに嘘は効かないぞ~?

 

「終わった?ふふっ、撫でてやろう、よしよし……この髪型ワンカールパーマでしょ?どうやってやったの?……企業秘密?そっか」

 

 わたしにヘアアレンジだけして、後は頑張れよと言うかのように空を飛んで、多分持ち場の仕事に戻っていくナゲット君……なんだったんだろ。

 

 と、タイミング良く司らしき人影が見えてきた、思わずベンチから飛び出すように立って、その方角を覗く。

 

 赤い、だけども強すぎない丁度いい赤色の髪の毛に、目を完璧に隠している黒いサングラス、何故か白衣を着ているのは何年経っても変わらないらしい、側から見るとダサいからやめろっつーのに。

 

「俺様、参上……本当ここまで長かった……はてさてどれなに?凪沙は何処だ?」

 

「司!こっちこっち!」

 

「おーそっちか、って……凪沙、だよな?」

 

「そう、だよ」

 

「ははっ、だよな、そうか……可愛いじゃん、凪沙」

 

「え、へへ……そう?」

 

 黒いサングラスで表情がわからないが、開いた口を手で閉じるような仕草をしてるから本心だろう、その場でスカートを摘んでくるっと回ってみる。

 

「その……久しぶり、司」

 

「……本当に、久しぶりだな、凪沙」

 

「うん!七年ぐらいになるのかな……?少し身長伸びた?あと体鍛えた?」

 

「お、わかっちゃうか〜?まぁ多分俺様が伸びたんじゃなく凪沙が縮んだんだろうけどな、がはは!……そうか、凪沙、やっぱりそうなんだな」

 

「……誤魔化せない、か」

 

 それは、そうだよな。最初から気付いていたはずなんだ、咄嗟にボイチェンって言った時から薄々と勘付いていたと思う、何かと感の良い親友は、その感の良さでわたしを救ってくれたから。

 

「とりあえず凪沙、あの店行かねーか?」

 

「そうだね……前、任せて良い?場所忘れちゃった」

 

「忘れやすいなぁ凪沙は!ならばしっかり後ろについて来たまえ!」

 

 そう言って前を先導してくれる司に合わせて後ろを歩く、わたしの歩幅に合わせてくれる優しさに、口角が自然と上ってしまう……気付かれてないといいな。

 

「司の話が聞きたい、ここ数年はどうだった?」

 

「あーと、そうだなぁ、まぁなんだ、長い旅してた気分?色々大変だったんだぜー?例えばそう、龍!龍に出会ったよ俺様」

 

「龍?」

 

「そうそう!流石に合成生物で作った偽物だろうけど、いやぁイギリスは怖かったねぇ……まぁ害は無かったんだけどさ」

 

「それは、よかった。……怪我とかしてないよね?」

 

「ははーん、ばっちしよ!」

 

「そう言えば、微生物って、何の話なの?」

 

「多分赤城さんが言ってたと思うけど、精霊作ってたんよ、その失敗作。跳ねたり飛んだりするエネルギーの塊ってとこかね」

 

「ふぅん、何だか面白そうだね」

 

「まぁ必要なモノ集めるのに半年はかかるけどな!は〜〜……お、そろそろ着くぞ?」

 

 赤色の髪を見つめながら、他愛のない話をしつつ、その店に辿り着いた。

 

 喫茶店『San=Moon』珍しい純喫茶店で美味しいコクの効いたコーヒーが特徴の、落ち着いたお店だ。

 

「お邪魔しまーすよっと」

 

 と、一言言いながら扉を開ける、背後から付いて中に入ると、数年前となんら変わらない、落ち着いた雰囲気のお店がわたしを出迎える。

 

「……変わらない、けど」

 

 そっか、それはそうだよね。七年が経つんだ、そうなるのは可笑しくない。

 

「え、お客さん?わわわ!い、いらっしゃいませ!何処でも空いてるんで好きに使ってくださーい!」

 

 ポニーテールが特徴的の元気の良さそうな可愛い店員さんだ。

 

 ここのお店は渋いおじ様が、優しい笑みを浮かべながら経営していた、もしやアルバイトの可能性もあるが、おじ様に限ってそれはないだろう、最後までコーヒーを愛したいと言っていたぐらいだ。

 

「なら、奥座ろっか」

 

「そーだな、そうすっか……あ、店員さん、ブラックコーヒーとカフェオレよろしく!」

 

「注文だ!注文だ!任せてくださーい!」

 

 つかほんと元気良いな、もしかしてご臨終なさったとかじゃないの?シリアス的展開じゃないのか?あれ、思っていたのと違うような。いや、良き事なんだけど、だけどね?

 

「あぁ凪沙知らなかったっけ、ここのおじ様ギックリ腰にやられて入院したってさ」

 

「おおう……それは、無念だろうなぁ」

 

「悔しがってたねぇ、娘に任せたら赤字になるとかなんとか」

 

「……いや、何も言うまい」

 

「我ながら良い出来だぁ……おっ待たせしましたーお客様!」

 

 いやそんなに待ってないけどね、早過ぎるぐらいだよ?早いのは良いけど大丈夫かな、ってもう奥まで行っちゃったし……可愛らしく猫ちゃんのデコレーションが描かれたカフェオレを受け取り、味を確かめてみる。

 

「あちち、ふーっ……ん、美味しい、味は何も問題ないね」

 

「だろ?ここに来ない奴は人生損してる」

 

「違いない」

 

 そこから軽い雑談に話を広げる、本当の軽い雑談で、この雑談が終われば、いよいよわたしも覚悟を決めないといけない。

 

 ……言うんだ、自分の言葉で。

 

「……司、聞いてほしい」

 

「おう」

 

「わたしね、女の子に、女の子……に、なっちゃった」

 

「見りゃ分かる」

 

「そんなわたしでも司は、わたしだって、(ひいらぎ)凪沙(なぎさ)として見てくれる?」

 

「当たり前だ、俺様は親友の味方だからな」

 

 あぁ、よかった。

 

 拒絶されなくてよかった、嫌われなくて良かった、わたしは凪沙じゃないって否定されなくて良かった、柊凪沙でいる事を許してもらって良かった。

 

 本当に……あぁ、本当によかった……。

 

「わたしは凪沙だよね?」

 

「当たり前だ、俺様の知る親友だ」

 

「そっか……そうだよな、わたしは凪沙だよね」

 

「……その体になった覚えは?」

 

「無いよ、でもわたしがわたしなら、それでもう構わない。……ねえ、もし男に戻れるとしても、わたしは受け入れないよ」

 

「ま、親友がそう言うならそれで良いけどさ」

 

 そう言うと司は手元のコーヒーを飲む、わたしに言っていない、思うことがいっぱいあるんだろう。確実に気を使ってくれている、ごめんね司、でも……今のわたしは、今のこの姿で育んだんだ。愛着が湧いてしまってる。

 

 それに、かわいいわたしは好きだ。

 

「しっかし親友がマジで超絶可愛い美少女プロゲーマー配信者になってるとは……まあ俺様が勧めたんだが」

 

「へへ、そ、そう言うなよ……照れるじゃんか……」

 

「どれ、撫でてやろう!」

 

「え、ちょっとまっ………」

 

 頭に司の手が置かれる、暖かくて大きくて、安心する手だ。

 

 撫でられる感触が心地いい、このまま全部委ねたくなってしまう……

 

「ふにゃ……」

 

「おお、撫で心地のある……なぎ民にバレたら爆竹突っ込まれそうだ」

 

「あ、む……もっと撫でても良かったのに」

 

「がっはっは!……ふ〜む?」

 

 何かを考えるように腕を組む司、わたしも真似してみよ……何考えてるのかな、わたしの体について本気で考えているのだとしたら嬉しい。

 

「……ま、いいか」

 

「ん〜?」

 

「何でも無いぜ!所でメイドなぎちゃんのお料理配信は?」

 

「へんたい、いやで〜す。……土下座で頼めば考えてあげなくも無いよ?」

 

「恥を捨てろと?!良いだろう!俺様の為にメイドなぎちゃんのお料理配信をお願いします!!!」

 

 うわ本当にやったよ……まあ考えるだけでやるとは言ってないし、ふふふっ……ん?

 

 視線がしたのでその方に目線を向けると、驚愕した目で店員さんが見ていた。

 

 えー、土下座の司に、椅子に座りながら見下ろすわたしの図。

 

「まままままって!違うよ?!誤解だよ!?」

 

「似てるなと思ったけどなぎちゃんって本当ですか!?ファンです!今夜空いてますか?!って違う、握手して下さい!」

 

「んんん?」

 

「おー、やっぱ近くに居るもんだなぁ、なぁなぎちゃん?」

 

 なぎちゃん言うな!

 

 

 

 それから、店員ちゃんと握手した、記念すべき初めてのなぎ民との出会いだ、合法的に女の子の肌に触って満足して。なぎちゃんは彼氏がいるんだねとか言われたので流石に否定した

 

 ……なんか視線がやらしかったけど、まさか、ははは、ねえ?

 

 その後は久しぶりに司といろんな話をした、全部が全部、なんでもないような話だったけど……それでも、それがただ楽しかった。

 

「ね、家……とまる?」

 

「がっはっは!親友よ、初菜ちゃんに殺されてしまう、俺様まだ死にたくない、マジで」

 

「……うん、ごめん」

 

 マンションまで送ってもらう事になって、どうせなら家に泊まりにくれば良いのにと思ったけど、初菜は許さなさそうだなぁ、あの子根は真面目だからおんなのこが気軽に男性を部屋に入れてはいけません!とか言いそう。

 

「まだ日本にはいるの?」

 

「暫くはな!いつでも会えるぜ……ただまぁ凪沙はこの辺りにいとけよ?間違っても他県に行かないでくれな?」

 

「な、なんでさ……まぁ、配信もあるし遠出はするつもり無いけど、過保護なんじゃないか?」

 

「過保護過ぎるぐらいが丁度良いんだよ親友は」

 

「なんだとー!」

 

 ふふふっ……わたしの親友は心配性だな、あの日から立場が逆転してる気がするよ。

 

「今日の配信も頑張れよ、俺様見るからな?」

 

「ふふん、任せろ!」

 

 今日の配信、やること決まっちゃったな。

 

 

 

 

「いえーい!今日は自称お料理お姉さんのなぎちゃんだよー!」

 

『いえーい!』『?!』『!?』『お姉さんか?』『メイド服!?』『メイドなぎちゃん?!』『ふーん、清楚じゃん』『戦闘用冥土服じゃない方だ!』『やばいやばい』『萌死んでまう……』『まじか』『食べ過ぎは太るぞ』『くそかわいい』『やべえかわいい』『生きてて良かった』

 

「えへへ……わたしは太りませーん、なぎ民は料理つくる?ちゃんと食べてる?」

 

『食べてるぞ』『作るぞ』『作れん』『チューブレーションのぶどう味』『電子融合した餡蜜美味いぞ』『週に一回かな』『えぇ……』『設備ええやん』『調味料の数おかしい』『フライパン二個やん』『一部のなぎ民どう生きてんの?』『XLピザしか食ってない』

 

 へー、チューブレーションなんてあるんだ、美味しいのかな?週に一回って本当にやばいと思う。ちゃんと食べなさい。

 

「週に一回とか本当にやばいよ、死なないで?……よーし、それでは早速作っていきますよ」

 

 今日の作る料理はオムライスを作るぞ、簡単でみんなも作れてしかも美味しい!外れがない誰にも好かれる一品だ。

 

「ふっふっふ、わたしのお料理スキルを見せてやりますよ!」

 

『イキりか?』『ドヤ顔なぎちゃん』『ドヤなぎ』『かわいさドバドバ』『めっちゃ溢れ出てる』『平日の夕方に10000人以上の前でメイド服姿でお料理配信するプロゲーマーがいるらしい』『可愛過ぎる……』『あー最高、スパチャしよ』『俺の飯代投げるわ』『俺も』『私も』『某も』

 

「だ、だめ!投げ銭するお金で自分のご飯作ってよ?」

 

 先ずは片手で卵を三つ割る、もう片方の手で予めフライパンを温めて油を引く、適当に卵を掻き混ぜて塩と砂糖を適量に入れて牛乳とマヨネーズも入れて〜〜。

 

「ふんふ〜〜ん……どうどう?」

 

『手際良い』『なんて的確』『鼻歌交じり最高か?』『かわいいよなぎちゃん』『ガチ恋』『マジで料理出来るのか』『何でも出来るなあなぎちゃんは』『毎日味噌汁作って欲しい』『家事も出来てゲーム上手くて可愛いとかなんだこのプロゲーマー?!』

 

「へへ……凄いだろ、っとそうだ、玉ねぎとグリーンピースと鶏肉をラードで炒めて、ご飯もラードで炒めて〜〜」

 

『もう美味い』『本格的では?』『食テロ過ぎる』『我慢出来ねえ!ラーメン作る!』『毎日オムライス作って欲しい』『ボリューム多くね?』『全部たべれるか?』『豪食なぎちゃん』『よくばりなぎちゃん』『大食いプロゲーマー配信者』

 

「な!失礼だな、これぐらい普通だろ、ってかさ、もっと食べるべきなんだよ、作るの楽しいし食べると幸せな気分になるでしょ?食欲には逆らえないんだよ、一日三食じゃ足りないんだ、間に食べることも必要なんだぞ」

 

『草』『草』『よく食べる子はかわいいなあ』『栄養が育まれてる』『言うほどか?』『ふとももえちじゃん』『わかる』『早口なぎちゃん』『くどくどなぎちゃん』

 

「よーしいい感じ、これをぱぱぱーと形整えて〜ケチャップ炒めてチキンライスにして〜、おっけおっけ……よっし、卵焼こう!」

 

『同じ生き物ではない、かわいすぎる』『わかるかわいすぎる』『可愛いの擬人化』『今日のなぎちゃん一段とかわいいが過ぎる』『わかる』『わかる』『猫耳つけたい』『僕はうさ耳』『じゃあ犬耳』『わしはドラゴンのツノ』『狐耳かなーやっぱ』『お、戦争か?乱闘か?』

 

「喧嘩してないでわたしのフライパン捌きを見ろ〜?そりゃ…!」

 

 気分はまるで海賊船の金髪のコック!酔いしれろ……わたしの華麗な料理に……!

 

『おお』『料理人レベル』『卵の扱いが異様に上手いプロゲーマーがいるらしい』『今日まじで機嫌高いかわいい』『見えない猫耳がぴょんぴょんしてしっぽがゆらゆらしてるぜ……』『犬だぞ』『うさぎだぞ』『ドラゴンだぞ』『狐だぞ』『狸だぞ』『天使だぞ』『わかる』『異議なし』

 

「コツはねー、ちょっと強火にして、箸でかき混ぜるより、フライパンを早く回る方が良く作れる、んで早めに形作って、裏返しにひっくり返して整えたご飯の上に置いたら……どうだ!」

 

 包丁で真ん中をゆーっくり切ると、中からふわふわの半熟卵がとろ〜りと左右に流れていく。

 

 会心の出来だ、料理師の資格取れるかもしれない……ちょっとイキリすぎかな?

 

『おぉ〜凄い』『これがなぎちゃんの夕飯ですか、うまうま』『何食うとんねん!』『ハラヘッタクウ』『メシヲクウ』『オレモクウ』『なぎ民、ついに理性が危うい』『最初から危ういわ』『五臓六腑がなぎなぎして来た』『未だに理性があるのは俺だけか』『ん?』

 

「でもこれだけじゃ終わらないぞ〜?周りにデミグラスソースをいっぱい使って、後はケチャップで……っと」

 

『これ本格的の美味しいやつだ!』『高級ファミレスの美味しいやつだ!』『おかえりなさいとか最高か?』『これはメイドですわ』『好きです』『俺を認知してくれ』『私と宮城県に行って籍入れませんか?』『ミクちゃんではないレズがおる……』『なぎなぎ…なぎなぎ…』

 

 えへへ、見てくれてるなら気付くよね?今まで本当にありがとう、これからもよろしくね。

 

「それじゃ一口……もきゅ、んー美味!」

 

「ちなみにケチャップは炒めてオイスターソースをちょっと入れると劇的に変わるよ!このデミグラスソースは貰い物だから違うけど、意外と作るの簡単だったり!」

 

『へ〜』『ほぇ〜』『食べ跡えちい』『わかるえちい』『咀嚼音が可愛らし過ぎる』『かわいいがすぎるよなぎちゃん』『色んな意味でクラクラしてきました』『これまずいは明日懺悔しにいこ』

 

 うにゅ……次からは配信の前では食べないようにしよ、うん、懺悔した勢いで心も清らかになって下さい。

 

「どうだったかな?みんな、お料理する気になった?」

 

『なった』『なったよ』『改めてお嫁に欲しいです』『パパ許さないぞ』『もうパパじゃないよあんた』『料理師の夢目指してみるよ』『頑張れ』『パーフェクトメイドが過ぎる、好き』『美味そうな料理見たら週一生活とかもう出来ないっす』『キムチーズ入れるともっと美味しいよ』

 

 キムチーズ!その手があったか〜。なるほど、まだまだ勉強になるなぁ

 

「さて、今日の配信は早いけどこの辺で終わるよ、あっでもでも、明日もやるからみんな見てね?」

 

『いかないで』『ママー!』『ママ?』『母親感じるな』『至福の時間が……』『何気に50分下回ったのって初めて?』『そうだね』『いやぁ今日も幸せだね』『料理配信ええなぁ』『忘れてたわ、料理の概念』『なぎちゃんおつかれ』『今日もかわいかった』『一段と輝いてた』『つやつやなぎちゃん』『そうではないやろ』

 

 お料理配信用に準備したカメラ専用のリモコンを使ってカメラをOFFにして、パソコンに戻って配信を終了させる。

 

「ふー……初めてやってみたけど、今日は全然緊張しなかったな」

 

 胸のもやもやが晴れたからかな?これからは、これからももっと楽しい日々が続くと嬉しいな。

 

「ふふっ……さてと、頂きます」




書いててお腹すいた。
何故ナゲット君がなぎちゃんに対して優しいのか?
考察して見ると面白いかもしれません。


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じゅうよんわ!

長めかも、続きです。


 司が日本に滞在してから早くも5日目ぐらいになる、休養で日本に帰ってきた訳じゃないから忙しそうに転々とどっかに行ってるけど、暇を見つけてはわたしに電話したり会ってくれたりするので、嬉しい。

 

 初菜はまだ帰ってきてない、連絡には出てくれるし、司が来るとわたしがわかった瞬間に電話をかけて来るので何があった訳ではないと思うけど……ちょっと心配、それを上回るぐらいに怖い。

 

 まさかと思うけど、盗聴器とかつけられてないよね、GPSとかつけてないよね?大丈夫だよな、大丈夫ダイジョウブ……

 

 三音との仲も良好だ、近いうちにまた来ていいか聞かれたので、勿論承諾した、今度は三音と一緒にゲームでもしたいと伝えると、練習してきますわー!との事。

 

「……一ヶ月前とは大違いだ」

 

 そして、まだ一ヶ月しか経っていないんだ、わたしのメンタルの成長に我ながら自慢したい……って言っても、まだ人見知りが完全に無くなった訳じゃないと思うけど。

 

 広告も付けられるようになりそうだし、ここ数日で企業さんから色んな話を貰って、これが定期的な収入になるのなら、わたしは一人でも生きて暮らせる事になるのかな。

 

 完全に自立出来たと思った時、わたしはどうするんだろう?……まだ先のことがわかる訳ないか。

 

「日本海の海底庭園にてテロリストの襲撃が発生、赤城財閥の迅速な行動で死者0人、怪我人0人か……物騒だな、でもさすが三音だなぁ、公の場ではどう言う人なんだろう?」

 

 っと、こっちの記事はなになに?

 

【我等が教祖たそ、日本に来日!】

 説明は不要でしょうが、ゔぁーちゃる教団の女神、教祖たそで有名なフィリス・リーベルフィール様じゅうよんさいが日本に遊びに来てくれました、これは本当に大変嬉しい事です。

 まさか、ゔぁーちゃる教団とはなんぞやと言う人が居るはず無いでしょうが、そもそもゔぁーちゃる教団とは「きのこ派かたけのこ派か」、で大規模ないざこざの末に、大きく二つに分離。

 大手データ輸送会社と、全人類管理データベース『ALICE』を崇拝する教団に別たれました。

 でも教祖たそを思う気持ちは何一つ変わらないよ!是非日本を楽しんでね教祖たそ!ゔぁーちゃる教団本社に来たら好きなだけ飴ちゃんをあげるよ!

 あ、ちなみに教祖っていうのは教祖たそが「響きがなんかかっこいいです!」と自分で命名して付けたあだ名でして、宗教・宗派をひらいた人ではないです。

 

 

「はえ〜〜……確かに教祖って響きかっこい、い?うーん?」

 

 まぁ、詳しく見てみるとロシアの方から来てくれたみたいだから、日本を楽しんでくれると嬉しいな。

 

 ……なんでロシア?検索してみよっと。

 

「たけのこは一度負けた、だがロシアの大統領はたけのこ派だった、ならもうここで教団活動するしかない、ついでに日本の外交もしよう、そうしよう」

 

 はい、うん……理由が可笑しいよ、なんでこうもギャグにギャグを重ねた後にブランデーとチョコレートで味付けしたみたいになってんだよ、てかついでに外交するなついでに!

 

 まぁ、平和なのが一番だけどさ。

 

「……思い出したくない事には蓋をしよう」

 

 今日は忘れててやってなかった五万人記念を今日しようと思う、ついでというか、都合が良い事に、前にSSS社から届いた案件の曜日が決定したので、それを宣伝するのに使わせてもらおう。

 

 せっかくの記念だから、VRゲームをしようと思う……それで何のゲームをするかつおったー+で募集をかけたところ、アンケートの自由枠がホラゲーで埋まった。

 

 8回ぐらいやり直したけど結果は変わらず、ホラゲーを享受しろかの如く押し付けて来たので……今からでも急な用事が出来てほしい限りだ。

 

 いやなんだよ、ホラゲー、VRのホラーって直接襲いかかるようなゲームじゃなくて、音とか奇怪なオブジェとか、おばけとかで脅かすから本当に怖い、何も居ないはずなのに腕が掴まれる感覚とか。

 

「うう、今考えてどうすんだよぉ……」

 

 いやだなぁ、確かに最近はよわよわなぎちゃんは見せてないかもだけど、って、別に見せる義理なんて無いけど!

 

「VRか……」

 

 実は配信用ナゲット君はSSS社から今後も使うからと譲り受けている、わたし贔屓が過ぎるんじゃないかと思うが、ナゲット君は経済的コスパが良いからなぁ、作ろうと思えば簡単に作れるんだろう。

 

 でもこれは光栄な事だ、VRに存在出来る配信用ナゲット君は企業さんの所を除くと今現時点でわたしが把握している中で数十人、身近で言えば狩人先生とかの一部の配信者しか所持していない。

 

 その中の一人にわたしがいるのは、結構自慢できたりする。

 

「別に威張ったりはしないけどさ」

 

 何気無しに、パソコンの横に置かれた特別な機器、確か名前は……そう、『Presenza di elettroni=Moon Program』

 

 特別に発注して作ってもらった物だが、このモデルにMoonタイプなんてないので、確実に他の人が使うモノとは違うと断言出来る。

 

 じゃあ何が違うかって言われると、姉にしか知らないのだけれど。

 

「あーVRホラーこわいなぁ……誰かわたしの代わりにやってくれないかなぁ」

 

 なんて呟いてみたり。

 

 

 

 

 わたしの映っている画面を見る、赤のベレー帽とロングパーカー、手首に初菜のくれた御守りを付けたわたし自身だ。

 

 今後、VRに飛ぶ時は基本的にこの格好で行こうと思う、私似合ってるし?……や、自己投影って結構疲れるんだこれが、全身全てが電子に反映されるまでずっと同じポーズ取らないといけないし。

 

 5分ぐらいなら全然良いけど、生身と何ら変わらないまでの自分を再現するとなると早くても15分ぐらいはかかる、仕方ないんだけどね。

 

「配信は向こうにつけば自動的に始まるよう設定したから……おっけ、準備完了です」

 

 それじゃあ行くか、なぎ民(みんな)が待ってる。

 

 ーー擬似電子体総合プログラムを開始します。

 

 ーー肉体と精神の統一を開始します。

 

 ーー電子体へのアクセスを始めます。

 

 ーー適合を完了しました。世界への適合を開始します。

 

 ーーエンドレスエタニティへの接続を開始します。

 

 ーー全行程良好、擬似工程クリア。

 

 ーー全行程完了。配信を始めます。

 

 

 ーーいつか凪沙様と話せる日が…いえ、頑張って下さいませ。凪沙様

 

 

 やけに不気味なぐらいに静かで、嫌な空気が流れ今にも何かが湧いて出そうだ。

 

 目開ければ、道路の壁に寄りかかって居たわたしをナゲット君が見つめていた。

 

「……おお、なぎ民達ー、配信出来てる?わたし見えてる?」

 

『出かわ』『かわいい』『5万人記念VRホラーだー!』『うおおおお!』『やったー!』『よわよわなぎちゃん?』『ざこざこなぎちゃん?』『ホラーと聞いて』『こんなかわいい子にホラーさせるんか!(歓喜)』『楽しみ』

 

「よしよし、コメント見えてるぞー?ってかまだ怖がってないだろ!……今日やるゲームはエンドレスエタニティです。」

 

 説明しよう!エンドレスエタニティとは、SSS社考案、ホラー専門VR会社おばけやしき社と合作した探索ホラーVRゲームなのだ!

 

 深い暗闇と霧に包まれた一つの街の原因を突き止め、解明し解き明かす……だけなら良いのに、街の影からゾッとするような不明瞭な化け物の影になったり、背後に足音がしたり、振り向くと背後から笑い声がしたりと、とにかくこわい!

 

 おばけやしき社は「本気出してないです、出したら死人出ますから」との事、お願いだからそのまま本気出さないで居て!

 

 謎を解き明かしたプレイヤーには良いことが起きるそうだが、そもそもこのゲームをやってる事自体良いことじゃないよ!

 

「お願い変わって!」

 

『草』『草』『いつもと説明の仕方が違う草』『こわがりなぎちゃん』『心なしかナゲット君もぷるぷるしてる』『ナゲット君に心はあるのか』『にやにやが止まりませんなあ』『止まりませんなあ』『げへへへへ』『なぎちゃん…窓に!窓に!』

 

「窓なんてねぇよ!……ふー、まぁいざとなればわたしの俊敏な足で逃げりゃ良いんですよ、はい……わたしの味方はナゲット君だけだ、いざとなったら生贄になってね」

 

『草』『嫌そう』『首振ってるぞ』『機械いじめだぞ』『コンプラ問題だぞ』『ナゲット君に罪は無いぞ』『なぎちゃん、取り敢えず進んでみない?』『どれぐらいまでやんの?』『視聴者2万人おめ!』『よわよわこわがりなぎちゃん見たいんやなぁ』

 

 う、悲しそうな目で見るなよ……冗談だよ、って2万人?複雑だよ……怖がる女の子は確かに可愛いが、当事者からしたらたまったもんじゃねえよ。

 

「クリアするかわたしの心が砕けるかの勝負だよ、さて立ち止まってる訳にもいかないし……よし、行くぞナゲット君!取り敢えず進んでみよう」

 

 てくてくと歩く……こうしてみると普通の街、っていっても、車の通りもなければ人影も居ない、街にはわたし一人だけなんだけど、これはこれで、厨二心が擽られる。

 

「人もAIも居ない深夜に道路に立つとなんか、こう、わかるでしょ?」

 

『わかる』『わかる』『テンション上がる』『危ないぞ』『最近は深夜でも警備AI多いから出来ないね』『うーんナゲット君そこ変わって』『てかVR空間のナゲット君持ちって凄いな』『あー確かに』『もうSSS社のアイドルやろ』『否定はしません』『出来ません』

 

「貰った訳じゃないけどね、んー?なぎちゃんにずっと付いていきたい?可愛いやつだなー」

 

 と、衝動的にナゲット君を撫でようとした時、その手をぐいっと掴まれた。

 

 突然のことで何の抵抗も出来ないのでその勢いのまま地面に倒れそうになるのを、何とか回避する。

 

「っ……!これが見えない手って奴?はっ、地味な奴だな、わたしを怖がらせたいならーー?!」

 

 と言いかけた所で、口を押さえられる、引き剥がそうと手を動かしてもビクともしない、次は目を隠される、息は出来るから苦しく無い。

 

 肩を掴まれる、腕を、手首をーーや、やめて……やだっ!

 

「ーーぷはっ!はぁ……う、うう。何なんだよクソ」

 

 唐突に解放されると、目の前にメモが落ちていた。

 

「なにこれ、ナゲット君わかる?」

 

『涙目なぎちゃん』『こわい』『ふぅ…』『おぱんつ見えないお……』『いけない気持ちになってきた』『怖かったです』『今のイベント固定?』『ランダム』『これ実際凄い怖そう』『なぎちゃんあのまま倒れてたら押さえつけられてたのか』『ほう』『ほう』

 

 ほうじゃねーよ、のけ民にするぞあほばか。

 

「なぎ民ならもっとわたしを心配してよ……読むよ?」

 

 このメモを見てるということは、この街に来たと言う事になる、なら私から言える事は一つだ、解決しろ、それしか道は無い。逃げ道は何処にもない、永久に繰り返すだけだ……か。

 

『エンドレスってそういう』『ふーん』『考察長文しようと思ったけどやめたわ』『まぁ専門のスレで書いてくれ』『未だに全ての全貌は解けてないんだよなぁこのゲーム』『シナリオって誰考案?』『SSS社のえらいひと』『パパは書いてないです』『あんたはパパじゃないぞ』

 

 いや、狩人先生もパパじゃないからね、畏れ多いし、恥ずかしいし。

 

「解決しろって言われてもねー、ヒントも無しに出来るかよって話さ、ナゲット君、なんか当てある?……ないか」

 

 またてくてくと歩く、さっきより周囲を警戒しながら……正直、同じ場所をぐるぐる回ってるように思うのは、霧のせいなのか、それとも何なのか。

 

「あ、壁に道があったりして?」

 

 と、白い壁を押そうとするとするりと抜けて、別の風景が広がる、大きな変化は見られないが先ほどより少しだけ霧が濃くなって、街灯の灯りが付いたり消えたりしてる、目に悪いなぁ……

 

「わたし、もしかして賢い?」

 

『賢い』『かわいい』『なぎーちか』『スピリチュアルやね』『パズルは出来ないけどな』『直感A』『迷う人はずっと迷うしね』『常識を疑えってね』『くっさ』『ホログラムウォールだ!』

 

「パズルの話はするな、んーまた歩けば何か起こるか?、正直さっきのぐらいならビビらないぞ〜〜?」

 

『イキってきた』『ほんとか?』『フラグ建築士なぎちゃん』『このゲームってゲームオーバーある?』『あるぞ、滅多に無いけど』『なぎちゃん…後ろに…俺が…』

 

「残念、このVRゲームは一人用です……ねえ気のせい?電柱の影大きくなってきてない?」

 

 夜で見えにくいが夜目が利くわたしの目を信じると、足を進めるごとに電柱の影が大きくなっている気がする……あーやだやだ、ほんとやだ、マジでいやだ、怖えよぉ……

 

「デモプレイで見たから良いから、影が実体化して追いかけて来るやつでしょ?わたし予習済みなんだよ、ほんとそういうのいいから、いや怖く無いけどね?本当に、勘違いしないでね?そうじゃなくてさ、ほら、ありきたりでしょ、求めて無いでしょ?求めてないんです、はい」

 

『草』『草』『長い』『早口なぎちゃん』『これが自称プロゲーマーですか』『自称じゃないぞ』『いつの間に?!』『なぎちゃん、それは恐怖だよ』『見て見たいです』『なぎ民は求めてるぞ』『求めてるぞ』

 

「うるせー!わたしは嫌なんだよぉ!」

 

 と、なぎ民に反応したその時、街灯の明かりがタイミング良く消えて、音が止む。

 

 闇が、影が上に延びる、徐々に徐々にわたしを囲むように壁のように伸びていく、やがて実体を持つかのように立体的になっていき、人の形になっていき……ふと、目が合った(見られた)

 

「っマジふざけんなよ!」

 

 エンドレスエタニティは公平性を保つ為に身体能力を一定化させる効力をVR空間そのものに展開されている、ただそれでも完全に一定化するのは不可能だ。

 

 つまり、上限値に収まりきらないなら話は別で、地面を蹴った衝撃で2メートルある影の壁を超えて光が見える方向に走る。

 

『?!』『まじ?』『チッ』『チッ』『チュ』『キスするな』『身体能力たっか』『目が良すぎる』『真っ暗になって何も見えない筈なんやがなぁ』『しゅごい、惚れる』『プロハンニキかな?』『このパターンは初』『すごすご身体能力』

 

「は!、そう簡単にわたしが捕まるとでも?どーよわたしのーー」

 

 そこで、言葉が詰まる、光……いや、光と思っていたものを見たからだ。

 

 まるで濁った泥、いや、水たまりの中に灰色がかかった忌まわしき塊が、絶え間なく身を震わせながらふくらみ続けていた。そしてその塊から多様な形の、分体とも言うべき塊が増え続けて、這いずりながら鈍重に不規則に動く。

 

 わたしが光と思い込んでいたものは、一軒家のごとく肥大化した名状し難い生命の冒涜のような塊で、塊の中心にある無数の瞳のような灰色のデコボコが一点を集中して見ていた。

 

「ぁ……」

 

 だめだ、これは人が見て良いものじゃ無い、ゲームだからとか、そんな理屈じゃない。

 

 力が抜ける、体を支えている事も出来ずその場にへたり込む、声が出ない。

 

 無数に増え続けてる分体がわたしの存在を認知する、口から出る液体がまるでよだれの様に垂れ続け、地面を焼く。

 

『草も枯れる』『怖い』『怖い』『うおぉ……』『漏らした』『これマジですか?』『あのバカ会社どうせシステム上抜けられないだろって裏要素に本気出しただろ!!』『布団羽織ったお』『露骨にコメント減ったぞ』

 

 ふと視界に見えたコメントで、少しだけ我を取り戻す。

 

 に、にげないと……!でも、どこに?どうやって?立てないよ、立たないと……!!

 

ピトっ……と、頬にナニカが付着した。

 

「ゃ……っ?!」

 

 本体、と言うべき塊の手の様なモノが、わたしの頬を汚す、不快な感触に逃げ出そうとしていた力が完全に脱力し、体を震わす事しか出来ない。

 

 何かを確かめる様な感覚に、目だけは瞑る事が出来なかった、瞑る事をした時が、わたしの命の終わりだと無意識に悟ったからだ。

 

『涙出た』『怖い』『ヒェッ』『もう無理トイレ』『怖えよ』『おばけやしき社頭おかしい』『俺なら失神してた』『ナゲット君助けて!』『冒涜的過ぎないか?』『VRでこれはキツイ』『ガチホラーにも過ぎるよ……』

 

 頬にかかる汚れに、手に……不浄のモノに、わたしはどうする事も出来ない、声を出そうとしても呻き声のようなものしか出せず、段々と視界が暗く染まっていくのを、漠然と理解し、恐怖が加速する。

 

 しばらく、永遠に感じる時間の中で、唐突に頭に言葉が送られた。

 

『肉体、精神、存在。魂、或いは在り方。歪、正常?ク……愉快』

 

「なに……これ」

 

『伝達。オマエ、気に入った。特別、生かそう』

 

『我は電子、されど神故。努忘れるな、その身、我を悦ばせ』

 

 脳裏に伝わった直後、幻だったかのように不浄の塊が消える、焼けた地面と不快な感触だけを残して。

 

『消えた?』『怖かった』『大丈夫?』『大丈夫?』『なぎちゃんもう辞めてもいいよ』『無理しないで辞めていいよ』『生きて』『しなないで』『しなないで』『良い子にするからなぎちゃん生きて』『風呂入ってたらどんな状況?』

 

「ーーあ、あぁ……しなないよ」

 

 自分の手を見る、他でもないわたしの手だ……さっきのは、幻だったのか?現実だと考えたくない。

 

「大丈夫、だいじょうぶ、心壊れそうだけど……まだ大丈夫、先進もう」

 

『無理しないで』『無理しないで』『あー怖い』『目に光がないよなぎちゃん!』『ママ元気出して』『パパもう辞めても良いと思う』『お兄ちゃんも思う』『偽者達の言う通りだよ』『本当も大丈夫?』

 

 し、心配で心が癒される……涙出る、のけ民は居なかったんだね……

 

『でもさっきの正直興奮しました』『ばかやめろ!俺もだけど』『不謹慎だぞ!RECしたけど』『のけ民共め!その録画僕にもちょーだい?』『最低だわ、俺もそーなの』『えろかった』『わかる』『わかってしまう』『なぎちゃんごめん、僕もです』

 

「な、な……お、おまえらなんてのけ民だー!!!」

 

 もう知らないっ!コメント機能OFF!これでわたしからみんなは見えない!本当に怖かったんだよぉ?!

 

「わたしの味方はナゲット君だけ……でもないな、ねえさっき何してたのさ、わたしを助けても良かったでしょ!」

 

『草』『草』『無理がある』『ごめんなさいするナゲット君かわいそう』『あ、なぎちゃんコメント非表示にしてる』『草』『今なら告白し放題では?』『お前、有能』

 

「……よし、なんとか歩ける、進むよ」

 

 アレが居た先に向かう、不思議な程静かで、不気味で、だけれどもわたしの直感を信じるなら今後しばらくは何にも襲われないと判断した。

 

 10分ぐらい、その間に何もなく足を進めて行くと、屋敷のような場所に辿り着いた。

 

「ここは……多分、さっきの影に連れられてここまで来るんだろうなぁ、本当は」

 

 はぁ……怖がり損じゃ無いかよ、ちくしょう……恐怖から逃げたらさらなる恐怖とか誰も求めてないから、洒落にならない怖さだったから。

 

「よ、よし、入るぞ?入るからな?覚悟はいいな?わたしは出来てる、何が来ても驚かない」

 

『覚悟は出来たか?』『俺は出来てる』『変な汗出て来た』『並大抵のならもう驚かんわ』『なぎちゃんを助けて』『助けて』『つおったーで自由枠にホラゲー投票した87.56%のなぎ民、見てるか?』『反省してます』『もうしない』『あれ、屋敷って正規ルートだっけ?』『え?』『ん?』

 

「お、お邪魔しまーす……」

 

 恐る恐る屋敷の扉を開ける、ギィィと呻る軋んだ嫌な音に不安が加速するが、強烈な一発を貰った今のわたしにそれだけで止まる精神ではなく、屋敷の全貌が見えて来た。

 

 一般的、というのもおかしな話だが、ぱっと思いつく屋敷の内装をしていて、変なオブジェがある事もなく、少ない灯りが点いている。

 

「ーーこんばんわ」

 

 耳元で声がした、ビクッと体を震わせて、瞬時に離れて背後を振り向く。

 

「……おん、な?」

 

「はじめまして」

 

 外に出ていないのだろう、目元が見えないまでの白い髪に、不自然な程に肌を見せない黒いドレス、不健康さを思わせる肌白い手を見て、嫌な予感がした。

 

「……幽霊か?」

 

「正解」

 

「より正確に言えば地縛霊の類だ、そうだろう」

 

「あら、見ただけで分かりますの?不思議な方」

 

「霊っていうのは自我が薄い、強力な自意識、或いは恨み、後悔が強いほど……実体に近い」

 

『洞察力A』『凄い』『勘が鋭い』『こういうのには強いのか』『手震えてるしそうでも無いと思う』『つよがりなぎちゃん』『かわいい』『鳥肌が止まらないです』『さっきみたいなのは辞めてくれ……』

 

 ーーどうする?

 

 案外話せる、平和的に話すのも手だが地縛霊は死霊、悪霊に近い。最悪な事に扉の前に霊がいて、脱出は難しい、逃げることは難しいだろう。

 

「なぜ此処に?」

 

「……この街を解放する為」

 

「解放とは、また……困ります、この夜が無ければ私は此処から消えるでしょう、命が消えると知りながら、それを許認出来ますか?」

 

「ならお前は何を望むんだ」

 

「望むものと言われたなら、この街の永遠の暗闇をと答えましょう」

 

「それは違う」

 

「何故?」

 

「対話する必要が無い、それが望みなら話かける事もましてや招き入れる筈がない、わたしに用がある筈だ、対話するだけの事が」

 

『おお』『おお』『確かに』『すごすごなぎちゃん』『このイベント見た事無いんですが』『やっぱルート外れてない?』『なぎちゃん難易度ルナティック好きだね』『滅多に無いBADENDって……』『やめろ』『言うな』『口縫い合わせられたいか』『ごめん』

 

「不思議で聡明、ふふふっ……気に入りました」

 

 独り言のようにぼそりと呟かれた言葉と同時に、反応する暇もなくわたしの目の前に、その顔が迫る。

 

 不思議と綺麗な顔立ちだった、よくある口裂け女のような三日月めいた口というわけでもなく、顔だけ傷だらけと言う事でもない。長い髪の奥に見える赤い瞳が愉しげにわたしの瞳を覗く。

 

「頼みがあります、聞いてくれたらこの闇を祓う手伝いをしても良いですよ?」

 

「っ……確約しろ、話はそれからだ」

 

「ふふ……拒否権が無いと分かって、なお強気に放つ、ええ、ええ、約束しましょう。夜が晴れ、あなたが世界から離れるまで、手伝いましょう」

 

『ひぇっ』『うおお』『ヤンの匂いがする』『ゆりれずか?』『やっぱレズじゃないか!』『幽霊を誑かす自称プロゲーマーがいるらしい』『自称じゃないぞ』『なぎ民、相変わらず』『コメントで賑やかさないとまともに見れない』『それな』

 

「この屋敷に橙黄色《とうこうしょく》に輝く宝石があります、それを探して見つけ出し破壊して下さい、簡単でしょう?」

 

「自分で出来る事じゃないのか」

 

「触れられない物をあなたは持てますか?」

 

「……わかった、これ以上は聞かない」

 

「懸命ですこと。その間私は消えていましょう」

 

 ニヤッと、最後に嗤うと幽霊の女は半透明に、やがて透明になり私の目に見えなくなった、見えなくなっただけで今もわたしを見ているのだろう。逃げ出さないよう監視する為に。

 

 ……やっぱりコメントONにしておこう、なぎ民のみんなのコメントが無いと怖い。

 

「……わたしなぎ民がやったゲーム出来てる?同じゲームとは思えないんだけど」

 

『草』『わかる』『同じゲームしてない』『なぎちゃんだけルート外れ過ぎてる』『影から逃げるなんて普通できないからな』『プロハンニキここどうクリアしたっけ』『家に鍵開けして入ってハンドガン入手して原因とバトッた』『草』『草』『あの人もルート外れてる』『人によって様々やな』

 

 いやホラゲーで何やってるんだ狩人先生は……こうなるなら大人しく影に連れ出されるのもありだったかもなぁ。

 

「とりあえず探そう、そう遠くない位置にあると思う」

 

 予感というか、定番というか、こういうのは昔っから地下とかにあるのがデフォだ、そして大抵鍵がかかってる。これを破壊する。

 

『ええ』『草』『草』『暴力!』『血の気が多すぎる』『これしか知りません』『最適かつ最低』『ネットヤンキーなぎちゃん』『やっぱあたまわるわるだわ』『わるわるなぎちゃん』

 

「うっせ〜〜!溜まってんだよこっちはよぉ!なんでわたしがこんなに怖がらなきゃならねえんだよ、ねえ聞いてんのか87.56%のなぎ民達さあ!許さねえからな……餅食って喉詰まらせて病院行け!」

 

『草』『草』『ごめん』『ごめん』『すみません』『お願い許して!』『餅は洒落にならないですよ!』『直接的に言わない所に優しさ感じる』『病院…ナース…なぎちゃん…閃いた!』『怖くて今描けない』『怖がりか?』

 

「もうとっとと解決して終わりたいよ……ん、あれかな」

 

 地下に降りるとまた扉があるので、開けると無駄に広い部屋の中心に、何かを祀った、或いは封印したかのような魔法陣めいたものと、一般的な人の手程の橙黄色に輝いた宝石があった。

 

「これを壊せばいいのか……」

 

 一歩一歩と近付いて、あともう直ぐで拾えるところで、足音の様な音が聞こえた。

 

「ここにきて……っ!」

 

 振り向く事はしない、自分の足を信じて駆け出す、初速で飛ばせーー

 

『逃げて』『逃げて』『腐った死体とかド定番、でも怖い』『怖い』『数えて20体ぐらい』『多いな』『冷や汗が』『頑張れなぎちゃん』『その中の一番のイケメン俺』『APP1がお前?』『顔が腐ってんぞ』『風呂入れ』

 

「っ取った!オラ!」

 

 勢いよく壁に叩きつける、衝撃音と共に粉々に宝石が砕け散る。

 

「これで……ってこいつらまだ動くのかよ!」

 

 不味い、恐怖で最大限のキャパシティを出せないわたしでは数の暴力には屈すると確信している、ジリジリと逃げ場を埋められ、壁際に追い込まれた。

 

 ダメだ、掴まれる、頬を撫でられた感触がフラッシュバックする、もういやだ、いやだいやだ、やだ……!これ以上恐怖に晒されたら、もう……!

 

「怖がるあなたも素敵です」

 

 耳元で、ささやくような声がした。

 

 時同じく、全ての腐った死体が蒼白い炎に包まれ炭化する。

 

『うおおおおおお!』『うおおおおおお!』『さっきの幽霊ちゃんだ!』『敵の敵は味方ってね』『くっさ』『これは熱い展開』『ある意味王道的展開』『どう演算組んでAI動かしてんだ?』『ホラー作れば右に出る者がいない社とSSS社やしなぁ』

 

「お、まえ……わたしを助けて……?」

 

「ええ、ええ。約束ですもの、約束は守ります」

 

「アレは……おまえの作ったものとかじゃないのか」

 

「失礼な方、アレは元々この屋敷に住みついた行き場のない魂の成れの果てでしょう」

 

 むっとした顔をする幽霊に、少しだけ警戒を下げる。

 

「元凶は、闇と霧の原因は何なんだ」

 

「意味も無く霧を作り偽りの夜に人を惑わせ永遠を享受する。意志を持たない集合体。でしょうか」

 

「……おまえは、何だ?」

 

「しがない一地縛霊ですよ?……ふふっ、では行きましょうか」

 

 ふっと愉しむ笑みを浮かべながら、来た道の方に視線を向ける……どうやらその原因とやらに案内してくれるみたいだ、大人しく付いていくのが得策か。

 

 屋敷を出る、それで確信した。やっぱりこの霊は屋敷に住みついた地縛霊ではない、大方あの宝石の効果か何かで屋敷に留まられたのだろう。この街そのものの地縛霊か、或いは。

 

「心地良い視線ですこと」

 

「嫌味か?はっ、別に助けてもらったからって信じた訳じゃない」

 

「あら、悲しいです……あぁ、名前を聞いても?」

 

「教えない」

 

「ふふ、それも良いでしょう」

 

『険悪で草』『一方的だけどな』『仲良くしていけー?』『ツンツンなぎちゃん』『レアななぎちゃんだなぁ』『霊に良い思い出無さそうだしな』『幽霊×なぎの新刊どこ?』『ミク×なぎの新刊どこ?』

 

「見えて来ました、アレですよ」

 

 それは暗視ゴーグルのように夜目の利くわたしでも見通せる事の出来ない霧、そしてその霧の中にいるであろうナニカ。人が見てはいけない冒涜的な気配。

 

「わたしは、どうすれば良い」

 

「何も……ああいえ、わたしから離れないでくださいね」

 

「……わかった」

 

 それは、時間にすれば数分もしない時間なのだろう、幽霊の生み出した蒼白い炎を合図に、黒い影が鋭利に鋭く突き刺すように動く。

 

 幽霊は手をかざすと、まるで存在そのものを世界から排除するかのように潰し跡形もなく消える。

 

 そうして消えていく影が、不規則に、防衛本能のように動き回るソレは、やがて霧が薄まり正体が判明する。

 

 それはいつかに見たのっぺりとした黒い塊に類似した、アレとは別の何かだ、液体では無く個体、黒い外見なのに、肉の塊を思い浮かばせる脈動するものに、吐き気を覚える。

 

『こわい』『こわい』『うえー不気味』『見慣れても気持ち悪いな』『灰色のアレ程ではないな』『アレは例外』『正規ルートだとどうなるん?』『街どうにもならんから街から脱出する』『なるほどね』『異変解決は出来るっても難易度高過ぎるよな』

 

「大丈夫ですか?」

 

「っくそ……なんとか」

 

「動きます、手を」

 

「あ、あぁ。わかった」

 

 口から上が髪で隠れて表情が伺えないこの女を、だが約束は守るだろうと信用して、差し伸べられた手を握る。

 

 すると不思議と羽が生えたかのように軽くなり、気付いた時には幽霊とともに宙に浮いていた。

 

 消えていく異形の塊を横目に、わたしでは理解の出来ない呪文のようなものを唱えると、強大な何かに鷲掴まれたかのように、ミシッと軋む音がした。

 

 透明な何かに押し潰されるかのように消えていく、存在一つすら残さず、断末魔をあげることもなく。

 

「……凄まじいな」

 

「思ったより簡単でした、元は下級程度……融合したとはいえ、自我が無ければ、この通り」

 

 下級程度、ね。

 

「おまえ、神霊だろ、それも邪神の類だ」

 

「お気付きで?ふふっ……それより、空を」

 

 そう言われ、空を見る。

 

 いつの間にか闇は晴れていた、澄んだ空気に、美しい青空が広がる。

 

 闇は晴れた、わたしはこの街を救ったんだ……。

 

『うおおおおお!』『GoodEndってね』『晴れたの久々に見た』『おめでとう!』『おめでとう!』『なんて澄んだ空』『ゲームクリアおめ!』『時間にして2時間ぐらい?』『短いようで濃かった』『公式の異変解決プレイヤーに名前載るなこれ』『快挙だね』『凄い』

 

「……おまえはどうするんだ、闇が晴れたら存在が消えるんじゃないのか」

 

「ご心配ですか?優しい方、そうですねぇ」

 

 そう言いつつ、わたしを地面に下ろす。

 

 とりあえず、手を貸してくれたことに礼を言おうとして、ぴとっと彼女の人差し指がわたしの唇に触れた。近距離から見える赤い瞳が、驚いたわたしの瞳を逃さない。

 

 

「気に入りました、暫くはあなたの闇に棲み付く事にしましょう、もし助けが必要なら、テレサ(・・・)と私の名前を。電子の世界から、あなたを助けてあげましょう」

 

 

 どういうーーと思ったのも束の間に、ふっと嗤うと、幽霊は……テレサは幻のように消えた。

 

『お?』『復旧した』『ノイズ入ったな』『こわい』『わかるこわい』『生きてた良かった』『幽霊ちゃん消えてる』『珍しい現象だったな』『いやぁなんだかんだ今日も楽しかったね』『夜道に気をつけろよ』

 

「……よし、と言う事でゲームクリア!五万人記念の放送終わるよー?怖くて多分寝付けないから明日の配信は無しです、それじゃまたねなぎ民のみんな!」

 

 ナゲット君に向けて手を振り、お疲れのコメントとナゲット君の手と思わしきものがわたしに向けて手を振り返すのにほっこりしつつ、現実への帰還を開始する。

 

 思う事はある、正直に言えば混乱している……だけれど、多分現実に戻ったら一気に今までの蓄積された恐怖が押し寄せて来て直ぐに寝るか、寝付けないまま羊を数えるか司と電話するか初菜と電話するか……。

 

 なんにせよ、なんとか無事にゲームクリアできて良かった。

 

 引っかかる胸の中にある確かな満足感を覚え。

 

 ーーお疲れ様でした、凪沙様。

 

 私の体は現実へと帰還した。




怖がるなぎちゃん抱き締めたい。VR回でした。

人の考察見るのええなぁ、感想いつもありがとう!見てるからな〜
誤字報告いつもありがとう!助かってます。嬉しいです。
追記
ゲームの元ネタは登場人物紹介の最後の方に!
灰色のアレ、わかった人いるかな?


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じゅうごわ!

おあさんからメイドなぎちゃん描いてもらいましたー!背中に羽が生えてていてもおかしくないこの美しさ……ありがとうございます!
【挿絵表示】

続きです


「おかえり凪沙、凪沙、見て見て?お姉ちゃん凄いの作っちゃったよ」

 

 学校帰り、珍しく司が部活を空けていたので早めに帰った夕方、妙に機嫌の良い姉ちゃんがそう言ってきた。

 

「どーせまたろくでもない一生噛めるガムとか増え続けるポテチとかでしょ、知ってる」

 

「ろくでもないって何だー?!」

 

 そう言ってぽかぽか殴ってくる姉ちゃんについにやける、この姉になんで彼氏が出来ないんだろうなぁ……いや、ちゃんとした男じゃない限り認めませんが。

 

「でー?なにつくったのさ」

 

「ふっふっふ……聞いて驚け~?」

 

 手を引っ張って連れて来られた先に見えたものに、もしやと思って満面のドヤ顔の姉ちゃんを見る。

 

「じゃ~ん!そう、どこでもドアなのだー」

 

「す、すげぇ……え、これ、入ったら何処にでも行けるの姉ちゃん?」

 

「そうだよ!北海道とか旅費いらずだね、東京もパスワードなんて要らないし、滋賀県で気軽に戦争に参加出来るし、海外旅行も出来るぞ!」

 

 お、おお……久しぶりにまじめな姉ちゃんだ、頭を撫でてやろう。

 

「にゃあ〜〜、くすぐったいぞー凪沙」

 

「あ、でも向こうについた時に体爆発四散とかしない?負荷に耐えられなくて現実からシャットダウンしない?」

 

 ……え、何で目を逸らすんです?

 

「凪沙!先ずは行ってみようよ、ね?ね?」

 

「ちょちょっと押すな押すな!待って、もしや試してない?嘘だろ、研究者としてどうなんですか?!」

 

「大丈夫大丈夫、理論上は死なない!そこの所は完璧だよ」

 

「本当に大丈夫なら目を合わせて話そうよ姉ちゃん?!おいバカ押すな!」

 

「お姉ちゃんもすぐ行くから!一人で逝かせたりはしないよ!」

 

「字が違うんですが?!うおっ、ま、まずい、押す力が強すぎる、だ、誰か助けてくれ!誰か!」

 

「よし、行き先は北海道だ、一名様ご案内〜!」

 

「うおおおおおおお?!」

 

 押す力に負けてどこでもドアに入れられる。

 

 その後は、どうだったっけ……この先で見たはずの美しい景色を、わたしは未だに夢に見ないでいる。

 

 

 

 

「……夢か、昨日のホラゲーが祟ったかな……?」

 

 嫌な汗が髪につく、別に悪夢を見たわけじゃないけど、寝付けなくて変にうなされたのかも。

 

 まだ起きるには早すぎる深夜4時、二度寝するのも良いけど、外の空気でも吸おうかな?

 

 わたしが住んでいるこのマンションは、屋上に入れたり出来る、鍵が掛かってないわけじゃなくて、住人にしか開かないプログラムを組まれた扉で守られてるらしい。

 

 今わたしが住んでいる部屋もそうだ、自分で開けない限り絶対に開かない……ナゲット君は例外として。

 

 寝間着のままじゃはしたないかな、冷えるかな?……上に何か羽織るものあったかな、っとと、あったあった。

 

 黒のコートだ、足先まですっぽりと埋まる長いロング丈で、伸縮自在かつ身につけた人間の体温を一定に保ち人間に最適な適温を届ける優れ物。

 

 着てるのが不思議なくらいに軽い……姉の作ったコート。

 

 鏡を見る、洗面台にある鏡ではなく、全身が見える取り付けられた玄関の前の鏡だ。

 

 シルバーブロンドに黄金色の瞳、160cmぐらいの身長、ちらりと手首から見える透き通った肌が妙に映る。

 

「わたしはわたしだ」

 

 鏡の中の自分に言い聞かせるように呟く。

 

 そうだ、わたしはわたしだ、柊凪沙その人だ、それ以外でもそれ以上でも何でもない。

 

 扉を開けて外に出る、エレベーターに乗り、屋上までの番号を押す。

 

 屋上は広い、ちょっとした庭園があって、展望台のようなものもがある、その近くに取り付けられたベンチに座って、()を見上げる。

 

 この時間はまだ暗く、三日月に欠けた月が夜を照らす、雲一つない空に星々がかかる世界(夜空)に、美しさ以外の感情が湧き上がる。

 

「ーー先輩」

 

 いつ帰って来たのか、屋上にいるわたしに話しかける人物がいた、言うまでもなく初菜の事だ。

 

「ん……おかえり、少し、夜景見ない?」

 

「先輩のお誘いなら、喜んで」

 

 隣に座って、ペットボトルに飲み物を差し出してくれる初菜に礼を良い、何を言うわけでもなく、月を見つめる。

 

 夜が晴れる頃には、わたしの心も晴れてくれるだろうか?

 

 

 

 

 次の日になりチャンネル登録者が7万人を突破した、一昨日のVRホラー配信の影響かなぁ、複雑な気持ちだが嬉しい事には変わりない。

 

 ただどうやらアクセスユーザーを調べてみると、日本からのアクセスは勿論圧倒的に多いのだが、次に多いのがアマゾン熱帯雨林付近の方々のようで。

 

 ……いや、なぜ?わたしはあの辺りに知り合いはいない筈だけど、唯一考えられるとしたら狩人先生の今の職場があの辺りらしいんだけど……いやいや、さすがに関係ないかな。

 

 初菜、もといミクちゃんも10000人を達成したらしく、嬉しい限りだ。お祝いのメールを送っとこう。

 

 さて今日の放送は何をするかと言うと、実は漠然と決めていない、雑談をするのもいいし、歌枠で1時間ぐらい歌うのもいいし、音ゲーするのもいいし、普通にゲームするのもいいしって感じであやふやだ。

 

 んーでも、そうだな、今まで配信したゲームは大勢でやるって感じのジャンルはしてこなかったなぁ……大勢で出来るジャンルか。

 

 MMORPGやマインプレイをなぎ民のみんなでするのは在りだが、これは別の機会。すこし考えている事があるからね、どうせならそれを告知してからやりたかったり。

 

 なぎちゃんとして活動した一日目にβテストをしたMMOをなぎ民のみんなとやるのはまだまだ先になりそうだ。

 

 配信の準備を終える、なぎ民と話してれば自ずとやりたいゲームも出るだろう、ああいや、その場でアンケートを募集するのも良いかもね

 

「おはこんばんちわ!一昨日の夜は眠れた?自称プロゲーマーのなぎちゃんだよー」

 

『おはこんばんちわ!』『ちわ!』『眠れたよ』『眠れなかったぞ』『一昨日は怖かったね』『87%のなぎ民は反省しろ』『ごめん』『ごめんなさい』『反省した』『見捨てないで』『七万人おめでとう!』『おめでとう』『もう視聴者18000人か』『人気プロゲーマーなぎちゃんに改名しよう』

 

「もう怒ってないよ、でももうホラゲーはやらないからね!……人気かな、へへ……これからもよろしく」

 

「さて、実は今日は何をするか決めてないんだ、なぎ民のみんなと出来て、楽しいゲームといえばー?」

 

『言えば―?』『言えばー?』『かわいいなあなぎちゃん』『わかる』『今日は守備が薄い』『薄い』『ぺろぺろ』『ぺろぺろ』『げへへ、うへへ』『のけ民いるぞ』『追い出せ!』『そんなー!』

 

「んー、よっし!決めた!なぎ民のみんな、デスオーバーワールドしよう!」

 

『うおおおおおお!』『うおおおおおお!』『出たー!一つのワールドに1万人のプレイヤーがあの手この手で最後の一人まで生き残る超大バトルロワイヤルだー!』『サーバーの負荷がどうなっているのかわからないゲームだ!』

 

 説明しよう!デスオーバーワールドとは、最大一万人のプレイヤーが同じワールドにランダムで召喚され、最後の一人になるまであの手この手で生き残るなんでもありのバトルロワイヤルゲームなのだ!

 

 こんないかれたゲームを作る会社なんて限られてる!そう、どとーる社である!考案者はこう語る「世に殺戮のあらんことを、VR版は10万人規模で製作中!」とのことだ!流石に10万人は無理だと思うよ!

 

 召喚されたワールドで石を拾ったり剣を拾ったり槍を、弓や銃や大砲を、レールガンや機械人形や戦闘ロボットを拾おう!

 

 魔導書を拾って魔法を使うのもありだ!黙示録真書なんて拾った日にはゲームクリアに一番近いプレイヤーになれるだろう!森羅万象の剣も忘れるな?拳を極めて無敵の肉体を手に入れるのも在りかも知れない!

 

 マップは一つ!でもとにかく広い!エリアがそれぞれ分かれていて、10分後に端から世界が崩壊して行き中心のエリアにしか行けなくなるぞ!

 

 さぁ、君もこの混沌な殺戮ゲームを始めよう!

 

「準備は出来たか?わたしは出来てる、わたしが最後の一人になってなぎ民の屍を超える未来が見えるぜ~?」

 

『草』『草』『最後の一人がなぎちゃんとVRデート出来るって本当ですか?』『まじ?』『へえ』『ふーん』『お兄ちゃん本気出しちゃおっかな~?』『忍の者のマジが見たいか?』『狩人先生が居ない日だ!ワンチャン有るぞ!』『ミクちゃん居るけど』『勝ちます』

 

 一言もVRデートするなんて言ってないけど!?……まぁでもこのゲームで最後の一人になるの凄いことだし、うーん……保留で。

 

「そうでした、怒ってはいませんが、許したわけではないので一昨日のホラゲーに投票したなぎ民には容赦しません、そのつもりでお願いします」

 

『ひぇっ』『ゆるして』『おこてる』『おこている』『嫌わないで』『敬語じゃんマジだよ……』『おれ入れてないしセーフ!』『俺も俺も』『私も私も』『妹よ、お願い許して!』『パパを許して!』

 

「許しません。わたしが優しく天国へ救済()します、だってわたし天使だし?」

 

『草』『草』『目が笑ってないよなぎちゃん!』『天国(地獄)』『天使(悪魔)』『その翼は黒色になっていた』『悪魔…小悪魔…なぎちゃん…閃いた!』『よっしゃ描いたろ!』『これが救済ですか』『ぱい~ん!』

 

 カスタムサーバーを立てる、回線やパソコンの性能を少しでも均一化する為のロジカルが組まれた特殊なサーバーを使っているらしく、一万人が同時接続してもそんなに重くないのもデスオーバーワールドが人気の理由の一つだろう。

 

 わたし以外の全てが敵のこのゲーム……少しでも多くのなぎ民に、特にVRホラーゲームに投票したなぎ民を救済()してあげよう。

 

 決してVRホラーの時の八つ当たりなんかじゃない、そういうのじゃないんだからね!

 

「さてはじまった!おまえはだれだ!わたしの拳でもくらえ!そしてわたしは去る!」

 

『草』『うおおおおおお!』『開戦じゃーー!』『こーろせー!』『暴君なぎちゃん』『ほーふれー!』『ありがとうございます!』『羨ましい』『殴って去る。説明不要』『早速一人落ちてる草』

 

「ここは森林エリアかぁ、土掘って世界樹の槍見つけるのもいいなぁ、取り敢えず弓拾ったし木の上にかくれよー」

 

「掛かったな!罠だよ!名も知らない多分きっとおそらくVRホラー投票したのけ民の一人、さらば!」

 

『理不尽で草』『いけいけなぎちゃん』『ゲスゲスなぎちゃん』『一昨日の鬱憤が行動に出てる』『このモードのなぎちゃん新鮮で好き』『これが自称プロゲーマーですか』『自称じゃないぞ』『ログがカオスやんねぇ』

 

 これがなぎ民を屠る感覚か……なんだか新鮮、こういう過激な対戦ゲームでなぎ民と遊んだ事はたしか無かったので、なんというか、ちょっとの罪悪感と、スカッとする気持ちになったり?

 

「うわっ!撃つな!序盤二丁拳銃とか卑怯だぞ、ガンナーかキミは!おちつけ!」

 

「ほっ、見逃してくれた、やさしいなぎ民で助かった……救済するのは最後にするね」

 

『なぎちゃんに媚び売るな』『卑怯だぞ』『最後と言ったな』『アレは嘘だ』『あ、ニンジャがレールガンで焼かれた』『科学には勝てなかったよ……』『雪エリアで雪女と冬将軍に鬼軍曹連れてる奴いるんだが!?』『草』『草』『強すぎる』『もう8000人切ったぞ』

 

 ゆ、雪エリアには行かないことにしよう、あそこはわたしには早すぎる。

 

「ん……?森林エリアにこんな場所あったっけ?……お、おお!これが妖精シルフちゃんですか!かわええなぁ」

 

『うおおおおおお!』『激レア』『妖精…なぎちゃん…閃いた!』『よっしゃ描いたろ!』『効果は?』『半永久的にHPが回復する』『強くね?』『まぁ微々たるもんよ、あと壁につかえるよ』『やめろ』『発想が鬼畜すぎないか?』

 

「盾なんかにしないからね?……んー、人と会わないなぁ、遠慮なんか要らないよ?」

 

「うおおお?!なんだおまえら、何処から来た!囲むな!やめろ!遠慮するなとは言ったがズケズケと踏み込んでこいなんて言っていからぁ!」

 

『草』『計ったように現れたな』『裏で組むなぎ民』『距離の測り方がわからないなぎ民』『囲まれなぎちゃん』『ドナドナなぎちゃん』『お持ち帰りィ!』『今夜はおたのしみEND?』

 

「閃光手榴弾でもくらえ!あ、ばか小石投げるな!地味にHP減るんだよ、やめろ!暴力はんたい!やめて!」

 

『うおまぶし!』『ところできょうのおぱんつは?』『千里眼発動!黄色のおぱんちゅ』『ナイスゥ!』『なぎ民から小石を投げられるプロゲーマーがいるらしい』

 

「よし……追いかけてこない、エリア抜ければ平気だろ……市街地エリアか、ログ見る限りここはやり合った跡だし大方回収されたかなぁ?」

 

「お、この筋骨隆々の腕は……」

 

『出たー!破壊神の腕だー!』『触れた物を粉々にする、消耗品』『消耗品で草』『投擲武器で草』『風圧で100人キル余裕でした出来る武器じゃん』『おいおいさっきの20人終わったわ』

 

「お!なんか集団でドタバタしてる!投げちゃえ!」

 

『草』『あー!』『ヒェッ』『キルログが草』『大虐殺なぎちゃん』『なぎちゃん鬼畜ルート』『教育に悪いよ』『今更定期』『なぎちゃん救済END』『もう5000人切りそう』

 

「おや、一人生きてるじゃん、ねえ見逃してほしい?ほしい?……いや別に武器全部捨てろって言ってないよ?」

 

「仕方ないな〜付いてこい、カフェ()!」

 

『うおおおおお!』『やったー!』『なぎちゃん、仲間を得る』『最後の良心』『これがなぎ民奴隷ですか』『なぎ民奴隷一号カフェ娘』『おんなのこには優しい』『ぐぬぬぬぬ』

 

 よしよし、カフェ娘ちゃんの持っている武器とわたしの持つ武器を共有しよう、えーなになに?ディアルSMGとロケラン二丁とバリアフィールドと火の精召喚の呪文と……っていやいや。

 

「あの、武器強すぎない?わたしなんて普通に倒せる武器持ってない?」

 

『これは意図的』『仲間になりたかったです』『弾頭ミサイルに自立戦闘AIナゲット君持ってて草』『ここでもナゲット君は酷使されるのか……』『かわいそう』『かわいそう』『わかる』

 

「これはわたしたちの勝利だ!がーはっはっは!付いてこいカフェ娘!」

 

 この試合、わたしたちの勝ちだ!

 

 調子にのったわたしは一人の仲間を引き連れて雪原エリア以外のエリアを蹂躙していく、気分はまるで大魔王!

 

 なぎ民を一人また一人と倒して行くことに、なんだろうこの、愉悦めいた感情が……いけないことなのに、顔がにやけちゃう。

 

『この顔よ』『にやにやなぎちゃん』『まるで魔王』『魔王なぎちゃん』『なんかなぎちゃんのナゲット君妙に強いんだけど』『自分のプレイスキルが云々』『雪原エリアには行かないの草』『あ、エリック落ちた』『エリーーーック!』

 

 

「ふはははは!まるでなぎ民が……流石に言うのはやめよう、いやーこれもカフェ娘のおかげだ、有能。お願いだから後ろから撃つとかしないでね」

 

『有能』『有能』『うれしい』『ミクちゃんだったらしてた』『してたな』『してたね』『しません』『お、もう1000人切ったのか』『なぎちゃんのキル数は500人弱だからわりとバラバラで死んでるんか』

 

「うおっ銃弾掠めたぞ!……お、お兄ちゃん、ついにこの時がきたんだね、カフェ娘!手を出すなよ、あの偽物はわたしがやる』

 

『うおおおおお!』『熱い展開』『中ボス戦かな?』『妹を監禁してお持ち帰りしてくる』『は?』『こいつほんま』『大会の時なんで死ななかったん』『テロ組織、無能』『悪VS悪』

 

 砂漠の荒野に、わたしとお兄ちゃんが互いに武器を取る、合図も無く始まったのにどちらも同時に駆け出す。

 

 選ぶと思ったARをバリアフォールドで防ーーげないだと!?

 

「そうか、フルカスタムAKか!」

 

ドーピング剤で一時的に加速し、銃弾を躱す、その間に武器をディアルSMGに切り替えエイムを合わせて撃つ!

 

『白熱』『どっちも上手い』『自称と元の戦い』『兄視点の画面も良えなぁ』『序盤はごちゃごちゃ感、中盤は無双、終盤は一騎打ちとまるでアニメ見たいだぁ』『わかる』『キルログ的に北から雪原エリアのヤベー奴来てる』『何者なんだ』

 

「あ!風神雷神だと?!卑怯な、ならわたしバーサーカー呼ぶしー!やっちゃえバーサーカー!」

 

「うおお……まるで大怪獣戦争、っとと今のうちにーーカフェ娘、逃げよう!どこまでも!」

 

『草』『草』『小物なぎちゃん』『バーサーカー敵味方関係なく殺しにくるし……』『うがああああ!』『おにいちゃん は バーサーカー に ミンチにされました』『草』『草』『偽物確定』『敗北者、乙!』

 

「おお、もう300人か、エリアも狭まってきたし……中心の草原エリアに行こうか、カフェ娘」

 

「小屋はっけーん……カフェ娘、なんだその目は、え、もしかして囮になってくれるの?」

 

『お?』『まさか?』『え、そんな事思ってない』『草』『草』『パワハラなぎちゃん』『なぎちゃんこの流れ……』

 

「そっか!雪原のヤベー奴引き受けてくれるか!いやぁカフェ娘はすごいなぁ……こうしよう、倒したらご褒美あげよう、ね?」

 

『うわあ』『言いやがった!』『こあくまなぎちゃん』『ううう行ってきますう』『かわいそう』『まるで上司と部下』『王と配下』『暴君すぎる』『今日のなぎちゃんは飛ばすなぁ』『もうホラーやらせるな』

 

「そうだよ!もうわたしにホラーをやらせるなよ?!怖くて寝付き悪くなるし、別に視線感じてるわけじゃないのに後ろ気にしちゃうし、変な夢は見るし、最悪なんだからね!もうやらないからね!ほんとうに!反省して!」

 

『ごめん』『すみません』『許して!』『飴ちゃんやるから許して』『ケーキ奢るから許して』『チョコあげるから許して』『りんごあげるから許して』『甘いもので釣っていけ』

 

「ぬぅ……ふんだ!ゆるさないよ!」

 

「ところで全然人と会わなくなったなぁ、エリアも狭いし残り100人ならそろそろ会うんだけど」

 

『残るなぎ民有能』『有能』『カフェ娘と雪原の主は?』『相打ちです』『すげえ』『草』『他のなぎ民の視点みたいなぁ』『オレガカツ』『チガウオレカツ』『ダマレクウゾ』『勝利を目指すあまり理性を失うなぎ民』

 

「うお?!なんだ、いいいきなり80人ぐらいキルログ流れたよ?!お、おお……アンブレラウイルスで肉体が腐って死ぬって怖いなぁ、小屋の中いてよかった」

 

「よし、小屋から出よう……おお、10人になったよ」

 

『頂上決戦』『なぎ民が勝つかなぎちゃんが勝つか』『頼みのカフェ娘はもういないぞ』『なぎちゃんタオス、カツドンクウ』『草』『ドンカツ!ドンカツ!』

 

 9人、8人と一人一人消えていく、わたしもその間に二人ぐらいと激戦を繰り広げ、最終的に持っている武器の殆どが損傷、HPだけは戦闘が終わってしばらくすれば満タンになってるので、こうなると強い。

 

 そうしてわたしを含む4人目になった時、わたしの前に片手にハンドガンを構えた者が立っていた、持てる武器の全てを使って、尚ここに立っているのだろう。

 

「ーーミクちゃん、倒すぞ」

 

『うおおおおお!』『これは熱い』『どっちが勝つかな』『なぎちゃんかなーやっぱ』『どっちも頑張れ』『ヤンデレでしょ』『神回確定』『てか一万人記念の前になぎちゃんの放送に遊びにくるの尊い』『わかるそれな』

 

 武器を構える、ディアルSMGだ、距離的には不利だが、自動回復も含めれば近付ければ勝てる。

 

 対してミクちゃんはハンドガンの他に……なんだ?防御に使えるものはないはず、可能性なら呪文か魔道書か、レアな何かか、いや、考える時間はない。突っ切る!

 

 ーーあ、地雷踏んだ。

 

「爆発オチなんてサイテー!!」

 

『草』『草』『なんで私もー?!』『ミクちゃんも巻き込まれてて草』『設置したのエリックじゃん草』『あいつもう死んでるよ!』『残り二人は?』『あれ?そういえば』『これはもしや』『そしてだれもいなくなった』『なぎちゃんはギャグに生きてるなぁ』

 

「うおおまじか、エリックまじかよ……さて試合長かったねー、どうしよっか、2回目もやる?」

 

『うおおおおおお!』『うおおおおお!』『やるぞおおお!』『二回目は5000VS5000しようよなぎちゃん』『次は見捨てないでねなぎちゃん』『やるしかない』『今日も祭りだ!』『次は入れたらええなあ』『エリック有能説』『無いな』『カフェ娘、雪原エリアで会おう』

 

「よーし、やるぞ〜〜!!」

 

 

 

 

 その後もなぎ民とデスオーバーワールドを楽しみ、すっかり日が変わったので、名残惜しくも配信を終了した。

 

体を伸ばしてココアを淹れる、たまには機械でやる適切なバランスのココアじゃなく、自分で淹れるのも一興かな?

 

「ふぅ……」

 

 わたしの闇に住む、かあ。

 

「語り出したら答えてくれたりするのかな?いや、別にあんなのと話したい訳では無いんだけど、こわいし」

 

 17年以上は共にゲームと過ごしたわたしは経験と直感から、そしてこの前のVRホラー配信の時に、確信した。

 

 確実にAIは、もしくは電子に存在する無数の電子体は自我が存在する、感情のプログラム、あるいは魂の憑依化か、似た何かがある。

 

 いつかに聞いた事がある、パァールツヴァルシュ号のはるか未来の技術に、未来人が生き残る為に、肉体を宇宙へと適応する為、人体の再構築(・・・・・・)を行う技術を有していると。

 

 他でもない姉が言っていたなら、間違いは無いんだろう。

 

「まぁ、だから何だと言われても何もないけど」

 

 ホラー配信から少し思考が暗い方に寄っちゃうなぁ……明日は司と会うか、うん。そうしよう、そうと決まったら早めに寝ないとね。

 

 熊の寝間着に着替えて、部屋の電気を消した。




きりたちのぼる さん、推薦ありがとうございます!嬉しいです。すき!

関係ないけど台風がやばい、みんな大丈夫ですか?気をつけて。


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みじかいおはなし。まとめ

※章分け不評なんで辞めました、困惑させてごめんね!
書いたけど続きが書けなかったり過去話だったりの短い話です、本編とはあんまり関係ないです、ホントだよー!ほんとほんと。
なぎちゃん視点の話は一切ないです、注意。


【過去。彼女の場合】

 

 ある春の日だった。

 

「先輩……?」

 

 愛しの、私の、私に生きる事を教えてくれた先輩に声を掛ける。

 

「初菜、おはよう」

 

「おはようございます、先輩」

 

 となり、失礼しますね。と言う前に手招きされる。

 

 先輩はエスパーか何かかな、それとも私がわかりやすいだけなのだろうか、表情が顔に出ていたのかもしれない、その度優しく笑われるものだから、正そうにも、なんだかな。

 

「今日は朝から屋上ですか?珍しいですね」

 

「初菜こそ、良く此処にいるってわかったね」

 

「先輩の居る所に私は居ますよ」

 

「ははっ、そりゃ頼もしい」

 

 本当は先輩の着る服全てにGPSを埋め込んでいるのだけど、妙なところで感覚が鋭い先輩は次の日には全部破壊してたりして、今日は遅れてしまった。

 

 先輩のクラスの人に問い詰めるのは少し骨が折れた、何で素直に話してくれないんだろうか?疲れるからやめて欲しい。

 

「初菜、今は楽しいか?」

 

「突然ですね……楽しい、ですよ。先輩といる時は本当に」

 

 元々、私は引きこもりと言われる穀潰しで、家から出ずやりたい事だけして、他はお母さんに全て任せっきり、それでもいいってお母さんは言ってくれたけど……そんな私が、やつれていく母の姿を見るたび、嫌になっていった。

 

 高校に行ったのはそんな私を変えたかったから、なんて高貴な考えじゃない。少しでもそんな母を見ないようにする為で。結局の所私の醜い感情でしかなかった。

 

 そんな感情を持ちながら学ぶ学校は酷く退屈で、無価値で、何度やめようと思ったか。……勉強も運動も出来たせいで疎まれて、酷い事もされそうになった。

 

 でも……先輩の飾りない言葉で、少しずつだけど……変えられた、って、思ってる。元気な母を見るのは、今は少しだけ嬉しいから。

 

 それ以上に先輩と居る事が、私にとっての幸せでありたい。

 

「先輩、好きです」

 

「うぇ?突然過ぎるっての、つーか初菜に自分は釣り合わないって、やめとけやめとけ」

 

 毎日言ってるのになんで本気にしてくれないのか、毎日言ってるのに……やっぱり監禁するしかないのか?いやでも、先輩に勝てるビジョンが思いつかない。

 

 褒められる程強くないって否定しても、それは違う、比較対象が上しか見てないからだ。

 

 ……何故、そんなに出来る事が多いのか、なんだか聞いてはいけないと思って、その理由はわからないけれど

 

 この前作った捕獲ボールを改造して人も入れるようにすれば、一か八かあるかもしれないけど、それで嫌われたら本末転倒だ。

 

「来年は初菜が部長なんだから、頑張ってくれよ」

 

「勿論です、先輩の作って行った技術を、世界に発信出来るようにしますね」

 

「いや、自分が作ったものなんて殆どないぞ……?」

 

 それは違いますよ先輩、確かに先輩は自分で作る事はしませんでしたが、私や司先輩の発明したモノの問題点の全ては、先輩のアドバイスが元で解決出来たじゃないですか。

 

 初めてあった時から卑下にするのが得意なんだから……そういう先輩も、好きですけど。

 

「……?先輩、疲れてませんか?」

 

「そうでもないさ、そろそろ授業だぞ、行かないのか?」

 

 本当かな、目の隈がいつもより濃い、いつもより、どこか言動がふわふわしているし、心配です。私は頼ってほしいのに……どうして何も言ってくれないんですか。

 

「先輩こそ、今日もさぼりですか?」

 

「だってわかんねえし」

 

 あほあほな先輩はかわいいなぁ……好きです。また私が1から10まで教えないといけませんね。

 

 先輩、私に教えてもらってる時、悔しそうにしているのもかわいい……好きです。

 

 先輩の肩に寄りかかる、先輩の髪が少しだけ私に重なる。

 

 また髪整えてないんですね、失敗したな、今日はセット道具を持って来てないから髪をいじれないです。

 

「絶対に離しませんからね……」

 

「うお……ゾワっとした」

 

 あの時、絶対に離さないって、言ったのに。

 

 どうして離れていくんですか………?

 

 年月が経って、やっと会えると思ったのに。

 

 今日も隣の部屋の扉は、開く気配がしなかった。

 

 

 

【過去。彼の場合】

 

 

 

 一人、部室で研究をする。他人と話せば世間でいう人気者みたいな扱いをされるが、生憎と俺様は一人で研究する方が気楽で良い。

 

 そろそろ時間だが、あの二人は来るだろうか?来ない日もあれば、来る日もあったりと忙しい二人だが……まあ一人でもこの研究は続けられるから良いんだけどよ。来て欲しかったりしたり?

 

 なんてな、ずいぶん寂しがり屋な性格になったもんじゃないか俺様も。

 

 机に乱雑に置かれた白衣を着込み、首に掛けてた黒いグラサンを付ける。これで俺様の完成ってな!

 

「お邪魔します」

 

「よーす、今日は何やんのさ」

 

 入ってきた相も変わらずな親友を見る。隣には初菜ちゃんも居るようで。仲がいい事良い事、ぶっちゃけ羨ましいぜ。俺様に後ろに立つ女性は必要無いが、羨ましいか羨ましくないかは別だ。

 

 まあ、だからって初菜ちゃんは……顔もスタイルも良いけど怖いからNGです。ありゃあ一つでも拗らせたら取り返しがつかなくなるぐらいの依存度だ、触らぬ神に祟りなし。悪いな親友、もしもの時は頼んだ!

 

「大型ハドロン衝突加速器って知ってっか?」

 

「お、おう……?知ってるか初菜」

 

「高エネルギー物理実験を目的としてCERNが建設した、当時の世界最大の衝突型円型加速器の名称ですね、最大重心衝突エネルギーは碓か14TeV付近に達するとか……まあ、すごいつよいビームとでも考えていただければ」

 

「へ、へえ、馬鹿にしてるだろ初菜。いやまぁ……ピンと来ないけどさ」

 

「ふふっ……バカにしてないですよ、先輩にわかりやすく言っただけです」

 

「ぐぬぬ……」

 

ここに後輩に言い負かされる先輩がいるらしい。バカだなあ凪沙は、まぁそれも美徳なのかもな、少なくとも俺様にはない視点での話が聞ける点は、敵わないな。

 

「んまぁ、それらの文献から発想を得た疑似小型ブラックホールの作成だよ」

 

「いや…それ危なくないか?」

 

「まぁうん、なんかしくじったら学校無くなるだろうな」

 

「成る程、地の果てまで私と逃げましょう先輩、衣食住は全て私に任せてください、実は北海道の余った土地を横領できたんです、さぁ行きますか」

 

「い、いやいや、行かねえし、てかなんだその嘘、横領ってなんだよ、浮いた大地にどう足つけりゃ良いんだっての……飛行機高えし、ああいや、ジェットパックあったっけ?でもあれ人間が耐えられるもんじゃないけど」

 

「って待て待て!大丈夫だって安心しろ!俺様がミスしたことなんて一つもないだろ?」

 

 ……なんだよ二人してそのジト目は。

 

「焦土実験の件は忘れねえぞ」

 

「部費が尽きたからって勝手に私の研究中だったNEXUSを企業に売ったの、許しませんから」

 

 久しぶりの本気の殺意に冷や汗をかく、やっぱ破壊兵器を作ったのはダメだったよなぁ、跡形もなく壊したしもうなにも問題はないが、プロトタイプ宇宙旅行兵器NEXUSを売ったことについては本当に申し訳無いと思ってる。

 

「い、いやあ……ははは、まぁでも失敗したことは無いだろ?結果的には」

 

「その過程に巻き込まれる身にもなれよな……で?今どこまで進んでんの」

 

「ん、おう、こんな感じだ……」

 

 ……俺様と凪沙二人で始めた技術研究同好会も、思えばもう三年近くいたのか、俺様が去る前に、研究を受け継いでくれそうな有望な人材を見つけてくれた凪沙には感謝しねえとな、これさえ開発できれば、全ての工程が上手くいく筈だ。

 

 赤城財閥秘蔵の文献によれば、100年前にパァールツヴァルシュ号が飛来してきた際に、大規模な時間軸の変動によって生まれた大型ワームホールが未だ宇宙空間に残っているらしく。

 

 未だ人類が辿り付けてない、時空の観測者として世界旅行と洒落込めるのではないか?

 

「……ま、この時間、いや空間は面白くて有意義なんだかな」

 

「そうですね、私もです……まぁ今すぐに部屋から出て行ってくれれば、先輩と二人きりになれてもっと嬉しいんですが、今からでも赤城財閥に入社してきてくれませんか?」

 

「あ~これ……部品取れてんじゃん、細かい所しっかりやれよな、ってふたりとも何の話ししてるんだ?」

 

「いやぁ流石に、それは親友が可愛そうなんでな、うん」

 

「へえ、言うじゃないですか、今日こそ滋賀県で決着付けますか?」

 

「お、おお、落ち着け、落ち着け。な?あっそうだ初菜!今日プリン焼いたんだよ、一緒に食おうぜ」

 

「プリン……先輩の……?食べます!」

 

 はは、賑やかな事で、んまぁその方が俺様も楽しいけどな。自然と顔が笑顔になってくる。

 

 親友に誘われるがままにここまで来たが、それで良かったかも知れない。やりたいこともなく、退屈を享受し、停滞を望む。それもそれで俺様らしかったが。

 

 今の俺様らしくはない。

 

「~~~~がはははは!!!俺様にも食わせろお前ら!」

 

「あっ!それは私のですよ!何勝手に食ってんだテメェ!」

 

「ま、まぁまぁ……口調壊れてるよ初菜、まだ有るから、な?」

 

 どうやら俺様は楽しんでいるほうが好きみたいでな。この空間が、研究の次に楽しかったりするみたいだ。

 

 だからまぁ……この空間を作ってくれた凪沙には、いつか恩返ししねえとな。

 

 何があったとしても、今度は俺様が恩を返す番だぜ、親友。

 

 

 

【赤城三音の一日】

 

 

 

 赤城財閥、世界的に有名な財閥家であり、宇宙船パールツヴァルシュ号の船員の一人である赤城博士の子孫だ。

 

 開発担当であった赤城博士は遠い遠い未来の技術を日本各地に反映させ、世界の情勢を著しく変えに変えた人物だ。

 

 何の意図があって世界を変えたのか、日本を変えたのかは赤城博士に限らず、他の船員達も口を割る事はなかった。

 

 ただ、唯一最後に、近しい事を赤城博士は自らの死を悟りつつ、自分が辿った未来をその子孫に言葉として残した。

 

「安心していい、我々がこの世界に来た時点で、我々が辿った終わりゆく世界の未来は永久に来ない。本来の正史に対抗する為、宇宙でカビ掃除(・・・・)を終え……日本の文化圏を変え、固定存在を創り、選定され失われるであろうロストテクノロジーを当たり前の世界にさせた。明確に分かたれた事象を、時空を、世界の再構築を始めた」

 

「我々に出来るのはここまでだ、今後の世界を担うのは……君達だ、重い荷物を背負う事になる、悪いとは言わない、ただ辛い事になるのはわかっている……心の拠り所は、育むべきだね」

 

 一方的で、その全てを明確にしない赤城博士らしい物言いは、私《わたくし》の代までしっかりと受け継いで来た。

 

「……ええ、解ってますのよ、赤城に生まれた身ですもの、私に自由は少ない事ぐらい」

 

ですけれども…ええ、ですけれども!

 

「つらい!めんどい!だるい!いーやーだ!らくしたい!」

 

 特に外交がいやだ!何処もかしこも警戒し過ぎですのよ!日本は核を持たない平和な国でしてよ?!あ、いいえ、まぁ核よりやばい兵器は東京要塞の奥に眠っていますが。

 

 ですが!戦争を起こすつもりも!何かを始めようとするつもりも無いのですのに!やれ何だこうだ宇宙船が兵器がなんだ……めんどくさいですわ……まったく。

 

「ロシアとアメリカぐらいですわね、警戒を緩めてくれるのは。最も前者はフェリス様が、後者は内戦を収めた信頼からですけれど」

 

 技術革命で暮らしやすく楽なのは大いに結構でしてよ、でもその楽で外交が上手くいかないのは本末転倒ですわね……いっそ全世界統一してもよくてよ、責任は私以外の誰かでよろしくお願い致しますわ?

 

「そう、例えば末端で一番優秀な久城(くじょう)家の司さんとか!共に船員の子孫同士!私の責務を代わりにやってもらうのも手ですわ!」

 

 ……はあ。

 

「そうも言ってられませんわね……先ずは破壊されたパールツヴァルシュ号の全パーツの回収、それから計画図の奪還……南アジアもそうですが、日本でも工作員が紛れてますわね」

 

 特に海底庭園付近が怪しい、問題を起こすに丁度良い場所でしょう、関西の方にも人を置きましょうか、滋賀県は平常運転として……北海道の様子も見に行かねばなりませんわね、近日フェリス様が日本に来日なさる際に意見交換の場も設けなければ、アマゾン熱帯雨林付近は好印象……やはり中国との隔離問題は、何とかしないといけませんね。

 

 パッと思いついただけでやる事が浮かび上がって嫌になりますの、怠惰を享受していたい、ポケモヌだけやっていたい、VRフィールドの猫カフェで一生じゃれついていたい。かわいいに包まれて生きていたい。

 

 ……うん、今度司さんに全部任せて一日空けよう、何か新しい癒しを見つけよう。

 

 自惚れでは無いですが、赤城財閥は世界の中心と言っても差し支えない。

 

 その一当主としての責務が私にある内は。

 

「よし、今日のスケジュールは大まかに決まりました。セバスチャン!いるのでしょう、車の準備を、私兵隊は入りませんわ、東の方に置いておく事、それからーー」

 

 赤城に生まれた身としての義務を果たしますわよ。

 

 

【上司とその部下の部下の部下】

 

 某所、ある実験室にて、二人の男女が疲れた様子で人をダメにするソファーに伏せていた。

 

「〜〜!疲れましたわ!もうほんっとうに、疲れましたのですわよ!」

 

「俺様も同感っすわ……やっぱ擬似精霊を作るには何か足りないっすねえ」

 

「ナノエーテルは揃いましたし。高エネルギー反応も推定通り……なのにですわ、結局作れたのはこの微小生物のみ……嫌になって来ますの」

 

 と、愚痴る彼女は自慢の金髪ツインテールを整え直す。

 

「失敗したとはいえ本当に素晴らしい腕ですわ!今すぐ(わたくし)の元で働いて欲しいのですのよ?」

 

「いやぁまだ権力持ちたくないお年頃なんで、勘弁して下さいな」

 

 対する赤髪のサングラス男は、タブレットを見て、何やら思案しているようだ。

 

「どうしましたの?司さん、熱心に記事を見つめてますけれど」

 

「んやぁ、この宇宙の粒子、使えないですかねーって」

 

「最近になって地球付近に蔓延して来た星雪(ほしながれ)……ですの?確かに宇宙エネルギーであるなら……いえしかし、成分が明らかになっておりませんわよ?人体に多大な被害を与える微粒子なら残念ですけれど……」

 

「思っただけっすよ。っさてと、片付けますか、赤城さん。」

 

 と、赤城と言われた女性は少し不機嫌な顔をする。

 

「……別に年もそう変わらないのですし、名前で良いと言ってますのに」

 

「ははは。もしバレた日には俺様の首が無いんで」

 

「それは困りますわ!司さんがいらっしゃらないと私、楽が出来ませんもの!楽が!帰ってなぎちゃんの配信を見るのですわ〜!」

 

 その言葉に思わず苦笑する司、どうやら親友は赤城財閥の後継娘にも気に入られるようだ。

 

 そう、司と話している金髪ツインテールのこの女性こそが、赤城財閥の当主、赤城三音(せきじょうみつね)である。

 

 そも赤城財閥とは何をし、どう言ったモノなのかというと、その大部分は最先端技術の行使、また純エネルギー波、時空干渉などにも広めており……それらは最終的な目標である【パァールツヴァルシュ号】の完成の為である。

 

地域運営やマンションの管理、他国との外交などは二の次で、そういったのは信用を得るための責務らしい。

 

 その為の、エネルギー波の確立。時間跳躍を行えたと言われる宇宙船の、未来のオーバーテクノロジーの作成、そして、それらの部品、オーパーツの回収。

 

 それが赤城財閥の目的であり、使命であり、その為に命を捧げなければならない……らしい。

 

「そんなの疲れるだろ、俺様と変わらない歳で、あんまりだぜ……?」

 

「司さん?何か言いましたかしら?」

 

「い〜や、なんでも。それより帰ったらゲームの練習でもしましょうよ、みらくるカートのあの順位は流石に……うん、赤城の恥」

 

「は、恥!?い、言いましたわね!?望むところですわ〜!!」

 

 

【なぎ民親睦会In滋賀県〜第一回戦場編〜】

 

 

「あ、黒曜石の剣の人!」

 

「おお、そんな貴方はレールガンの人!」

 

 名も知らぬ者達が、背負っている武器を見て判断する。そう、同士だと。

 

「……はっ?!見ているな、誰だッ!」

 

「くっくっくっ……アイサツ!こんばんわ、レールガンの人。にんにん!とう!」

 

「うおおおおおおお!ニンジャ!アイエエエエ!」

 

「懐かしい言葉だ……師の教えを受け早数十年、こうしてニンジャとしてまた滋賀県に来るとは……」

 

「どうせVRフィールドで知り合ったんやろがーい」

 

「えへへ、バレました?」

 

 こうして揃ったなぎ民の三人。なお誰も名前を知らないのである!仕事も年齢も住所も知らないのである!

 

「いやぁここは変わらないですよね、見て下さいよこの池、綺麗っすよね」

 

「これから汚くなるんだけどな!わっはっは!」

 

「……いやぁ、清掃部の同士に本当に申し訳ない……部長に給料上げて欲しいって頼まないと……」

 

「おや、ゔぁーちゃる教団の社員で?それは申し訳ない、文句なら田中に言ってくれ」

 

「田中が悪いよ、田中が」

 

 そう、田中が悪いのである!

 

「どうも、ここが今回の戦場ですかね」

 

「そうです。貴方は……え、もしかして」

 

「プロハンニキ?!まずいですよ!明日生配信でしょあんた!怪我したらどうするんですか!」

 

「いやあ、ははは……体が闘争を求めちゃって、本社に連絡した帰りなんですけどねこれでも」

 

「気狂いだよー!あんた、気狂いだよー!」

 

「……そっか。プロハンニキ、アマゾン熱帯雨林付近の企業社員でしたね、どうです?和平交渉」

 

「概ね成功かな、いやね……日本ってこんな平和なんですよ〜ってなぎちゃんの配信アーカイブ見せたらね?」

 

「え、嘘……まさか」

 

「なぎ民化しましたよ!いやぁやってみるもんダァ……」

 

「なぎちゃんの存在が世界を平和にした瞬間である」

 

「まぁこれから滋賀県は混沌と化すんですけどね!」

 

「おや……あのシルエットは」

 

 シルエットが見える、レールガンの人の戦闘用スカウターに表示される名前(田中)を見て、同士(なぎ民)に伝える。

 

 さあ、開演だ。ここに死者の出ないなぎ民同士の争いが、今始まる!

 

「また滋賀県が戦場かよ!就職したての初仕事が清掃かよ!チクショーー!!」

 

 そんな哀れな一人のなぎ民の言葉を残して。




感想ありがとう!誤字報告助かります。感謝!
評価も嬉しいよ、ありがとうね!
さてしばらくは本編を進めようかなと思ってたり、外伝を書くとしたら掲示板回カナー


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じゅうろくわ!

章分けについてですが元に戻しました、ややこしくしてごめんね!
続きです。


 朝、雨の音と共にわたしは起き上がる、ぼーっとして数秒した後、顔を洗いに洗面所まで歩くことにした。

 

「……雨、雨かあ、どうしようかな」

 

 今日は司と何処か遊びに行こうと思っていたのだが、雨となると限られるなぁ、まぁ外で遊ぶのかって言われても、首を傾げるんだけどさ。

 

 基本インドアだし、そりゃあVRゲームでは動きに動くんだけど……それとこれとは違うじゃんか?基本パソコンだし、外で何かやるとしても……うーん?

 

 ……やっぱわたしの家に来てもらうのが一番かな、うん。

 

 最近来客用に新しく大型モニターを買った、わたしの部屋で多人数でもゲームを楽しめるようにしたので、抜かりはない。ゲームセンターと言っても間違ってはない環境になった。

 

 ナゲット君さまさまだ、全部を任せるのは気が引けたから手伝ったら飴ちゃんとお菓子をくれた、嬉しい。

 

 うん、それじゃ電話しよっか。

 

「司?おーい、聞こえてるかー?」

 

『はいはい、俺様ですが、どーした親友』

 

「あそぼっ、家に来てよ、でかいモニター買ったんだ、二人で何かゲームしよ」

 

『外雨だしそれが良いか……さーてさて何するか今から楽しみだぜ、俺様のゲームセンスに惚れるなよー凪沙!』

 

「ふふっ、はいはい……待ってるよ」

 

 了承の言葉が貰えたので、小さくガッツポーズしてみたり、うーんなら服変えないと……どういうのにしよっか?

 

 あ、また電話だ、なんだろ?伝え忘れた事でもあるのかな。

 

「もしもーー」

 

『先輩?今すぐ先輩の部屋に行って良いですか?ワルイヨカンがするので、ああいえ先輩が嫌なら良いんですよ、ええ、良いんですよ?』

 

「へぅ……勿論です……」

 

『良かった、では』

 

 ピーっと、音声が切れた。

 

 いや、一人増えても全然良いけどさ、なんなんだよ……

 

 

 

 

 人数分のお茶を用意して、いつぞやに着たタートルネックにレギンス付きのハーフパンツに着替える、結構気に入っていたり。

 

 部屋も綺麗にしてる、綺麗好きって訳ではないけど、定期的に人が来ても恥ずかしくない部屋にするのは案外好きだったりする。

 

 思えばこの行為は七年前からずっと続いていて、いつでも人が来て良い、来て欲しいといった願望に近かったのかもしれない。

 

 ふと思ったのだがわたしはかなり女子力が高いのでは?それ自体は別に良いんだが、身近のおんなのこより女子力が高いのは複雑だなぁ……

 

『ピンポーン、っとと、凪沙ー?』

 

「今開けるー!」

 

 扉を開ける手をすこし、躊躇して……開ける。

 

 扉を開けると、いつもと変わらない赤色の髪に、白衣を着たサングラスの付けた司、なんだか嬉しくなってふと視線を外すと。

 

 ーー初菜のアクアブルーの瞳と目が合いました。

 

「うおあ!近いよ!」

 

「えへ、お邪魔しますよ先輩、良いですよね司先輩」

 

「お、おう、俺様は何も言わん」

 

 お邪魔しますと部屋に入る初菜に冷や汗をかきながら、苦笑いをする司と目が合う……ふふっ、なんだか懐かしい空気にわたしもふっと笑みを浮かべてしまう。

 

「ちょっと!玄関で何やってんですか!」

 

「何もやってないよ!?……ま、適当に座ってよ、あっ飲み物用意したよ?」

 

「じゃ俺様もお邪魔してっと、おお~なんて綺麗な部屋なんだ、俺様とは大違いだな」

 

「司は部屋にいる時間が少ないからでしょ?わたしが掃除しに行ってあげよっか」

 

「ちょっと!ダメですよ先輩!気軽に男の人の部屋に行くんじゃありません!」

 

「初菜はわたしのなんなんだ……」

 

「恋人ですけど」

 

「そうなのか?!」

 

「違うわい!司も信じるな!」

 

 こうして三人が一緒に居るのは何年ぶりだろう、七年?八年?本当に久しぶりだ……いやではない名前のつけられない思いが胸にこみあがる。

 

「そうだ!この前ナゲット君からもらったお菓子あるんだ、三人で食べようぜ」

 

「ほーん、どういうお菓子なんだ?」

 

「えっとねー、京ばあむ?ってお菓子」

 

「美味しいですよねそれ、そうでした、私もお土産ありますよ、婚姻届って言うんですけど」

 

「初菜さん!?いや受け取らないよ!?」

 

「まぁまぁそう言わないでください、ここにサインするだけで良いですから」

 

「お、ご丁寧に宮城県発行の同性婚姻届だ」

 

「感心してる場合か!わたしを助けろ司!」

 

「がっはっは!悪いな親友、俺様にも出来ないことはある」

 

 おいいい!?この裏切り者め!目をそらすな目を、そして紙を持って近付くな初菜も!

 

「ほほほっほら!冗談はそれぐらいにして、ゲームしよう!ゲーム!三人で出来るゲームしよう!カーリーグとか!プレハンとか、色々な?」

 

「別に冗談じゃないんですがーーちょっと待ってください、なんで司先輩の隣に座るんですか」

 

「え、別にいいじゃん」

 

「だめですー、ダメなんですー!なら私も先輩の隣に座りますよ、ええ!ここは私の特等席ですからね!文句ないですね司先輩!」

 

「滅相もない。っとと、凪沙、少しじっとしてろー?」

 

「え、う…うん」

 

 じーっとしていると、すい~っと目の前に司の顔が……え、え?なになになんですか?や、ちょっと近すぎないか?待って!隣に初菜が居るんだよ!?ガン見してるよ、怖いよ、ねえちょっと!?

 

 思わず目を瞑るわたしの前髪を、司の手に触れられるーーな、何?わたしは今何をされている?

 

「ふっ、やはり俺様の芸術センスに狂いはなかったぜ」

 

「え、え?わたしに何をしたの?」

 

「ヘアピン、配信見てて思ったけど、こういうの付けたほうが画面見えやすいだろ?前髪まぁまぁ伸びてるしさ」

 

「そ、そっか……その、ありがとう」

 

 たしかに最近は髪が伸びてきて、そろそろ切らないとなと思っていた頃だ、差し出された鏡を見ると、金と黒が交互に交わった月のピンで髪留めされている。

 

 ヘアピンを手で触れる……優しいな、司は。

 

「何良い空気になってんじゃああああ!!研究バカは今すぐ先輩から離れろー!先輩は私から離れるんじゃねー!」

 

「うおっ抱きつくな!てか口調崩れてるよ初菜、ほらバームクーヘン食べよ?」

 

「は!?完璧で清楚な私の口調が思わず……むぐもぐ、おいひいでふ」

 

「じゃあ俺様も頂きますかね!モグ……ウマー!」

 

「あ、ちょっと!私のですよ!」

 

「ど、どうどう、人数分ちゃんとあるから、ね?」

 

 賑やかで、数年前に戻ったような感覚、司は忙しいし、初菜も調べ物があるらしく家にいない事が多い。

 

 それでも今この楽しい気持ちは、心地良い空間は本物で、わたしがたとえこの姿になっても変わらないモノで、わたしと二人との確かな絆なんだ。

 

 この祭りはまだまだ始まったばっかだ、そうだなぁ、まずは何からしよっかな?どうしよっかな?

 

「楽しそうですね、先輩」

 

「うん!……初菜は、たのしくない……?」

 

「まさかそんな!先輩がいるだけで幸せです、まぁ邪魔者一名が今すぐ帰ってくれれば話は別なんですけどね」

 

「おいおいそりゃないぜ初菜ちゃん、久々にあったんだし色々話すこともあるだろー?」

 

「司先輩に話すことは何もーーああいや、先輩の初夜は私のものなので、よろしくおねがいします」

 

「違うからね!?あれは初めてのコラボ相手は初菜にって意味で、そういう事じゃないから!」

 

「何故だろうなぁ、俺様は悔し涙をする立ち位置だったはずなんだがなぁ……」

 

 悔し涙をする立ち位置ってなんだよ、てかまずわたしが初菜と初夜を云々の所を突っ込んでくれないか。

 

「ん……?なぁ親友、このモデル……何処で?」

 

 司はパソコンの隣の機器、『Presenza di elettroni=Moon Program』を指差している、発注を任せたのは司の筈なんだけど……なんだろう?求めていたのと違っていたのかな?

 

「それは司に発注を任せたやつだと思うんだけど、もしかして何か不備でも有った?……別に使ってて悪いことは起きてないよ?」

 

「なら良いんだけどっと、さて何やるよ二人共、俺様的には久しぶりにリトラスとかやりたかったり?」

 

「嫌だ!やらないから!」

 

「ではぼうだあREDでもやりますか?確か高校生の時のデータ有りましたよね」

 

「うん、あるよ……いや待って、何で知ってるの?配信ではその画面は映していないはずなんだけど、わたしのデータ貸してもないよね?」

 

「いやぁそれはその、まぁいいじゃないですか、ほらほら!やりましょう先輩!司先輩もやりたそうにしてますよ?」

 

「俺様リトラスしたい」

 

「リトラスはしない!」

 

 過ぎて行く、短くも長く、尊き時間が過ぎていく、司も初菜も楽しそうだ……わたしも、楽しい。

 

 学生時代に戻ったかのような錯覚まで覚えるほどに、この空間は懐かしく、わたしたちは今日この日まで会う事をしなかった、出来なかった。

 

「じゃあほら、らぶガンしようぜ、交代交代で」

 

「む〜……やだ!ならぼうだあREDする」

 

「お、おお?いやまぁいいけど」

 

「やっぱ先輩は私の勧めたゲームを選んでくれましたね、これはもう私と籍を入れるしか無いのでは?」

 

「いや飛躍しすぎだって!入れないからね!はぁ……ねえ司、初菜壊れちゃったよ……」

 

「親友は知らないだろうが前からこういう奴だったぞ」

 

「ええ!?」

 

 このかけがえのない日々がずっと続いて行けばいいな。

 

 二人と話しながらふと、そう思った。

 

 

 

 

 それから三人で積もる話も交えながら、色々なゲームをして時間を潰した。

 

 ぼうだあREDでわたしだけトラップに引っかかって司に揶揄われたり、嫌々やったリトラスで初菜にホラーイベントが降りかかって怖い怖い言いながらわたしに抱きついたり。絶対怖がってなかったよアレ。

 

 車でサッカーをするゲームカーリーグを三人で組んで一喜一憂したり、三人でマクロスして歌を聞かせたり、司が持ってきたカードゲームでアクセルシンクロしたり。

 

 ゲーム以外の話をするなら、やっぱりわたしや司が卒業した後の技術研究同好会の話を初菜から聞いた。

 

「チャラくてバカな後輩が二人入ってきて、最初は体目当てかと思って去勢してやろうかと思ったんですけど……ま、案外使えましたよ、今何処にいるかは知りませんが」

 

 との事、いや去勢ってこええよ……でもそっか、後輩が入ってきたんだ、それは喜ばしいことで、いろんな研究に貢献してくれたらしい……そういえば聞いてなかった事があって、その事について聞いてみた。

 

「初菜ってさ、なんの仕事してるの?」

 

「……先輩は?」

 

「う、うるさい、わたしは今質問してるんだよ、ほら!」

 

「なぎちゃんはかわいいなぁ……基本的に企業から回された依頼を選別して受ける形ですね、研究したり調査したり解説したり、まぁ色々です」

 

 なぎちゃん言うな!

 

「あぁ初菜ちゃん、この前はありがとなー代わりに研究素材採ってきてくれて、例の件はそろそろ解析を終わるから、安心してくれ」

 

「苦労しましたよアレ、宇宙微粒子なんて何に使うんです?……まぁ良いですけど」

 

「また危険な事?大丈夫なの……?」

 

「大丈夫大丈夫!心配されるような事はねぇよ」

 

 と司は言っていたけど、心配だな……怪我とかしないで欲しい、自意識過剰かもだけど、それがわたしの為にやってるのかなって思うと気恥ずかしいし嬉しいけど、なんだか、やだなって思うのは自己中なのだろうか。

 

 そんな不安げな表情を悟ったのだろうか、わたしの頭を司の手でくしゃくしゃと撫でられる。

 

「ふにゃ……」

 

「ちょっと!何やってんですか!羨ましい!私にも撫でさせろ司ァ!」

 

「ちょ、やめ……は、初菜、くちょう、くちょう」

 

「は!ごほん、つい動揺してしまいました、司先輩後でオハナシガ」

 

「はっはっはっは、助けてくれ親友」

 

「わたしにも出来ないことがある」

 

 あの後廊下に連れ出されてたけど、大丈夫だっただろうか……サングラス越しから助けるを求める目を無視してバームクーヘンを食べたわたしを許して。

 

 そんなこんなで時間は過ぎて行き、夜は直ぐに訪れるもので。

 

「そろそろ帰っかな、良い時間になってきたし」

 

「……別にもっと居ても良いよ、外雨だしさ、泊まってこ?」

 

「ちょっと!だめですよ先輩!狼を家に入れないで下さいよ!あ、それともわたしに言いました?えへへ〜……末長く同伴しましょう?」

 

「わたしからしたら初菜が狼みたいに見えるよ……それに同伴しません」

 

「……先輩がいじめる、司先輩、何か言ってやって下さいよ」

 

「がはは!……いやまぁ、とりあえずはもうちょっと危機管理と貞操観念をしっかりな?」

 

 ぬう、別に司以外にこんな事言わないし、親友だから言ってるんだし、ちゃんと危機管理出来てますしー!

 

「まっまた今度遊ぼうな、ここ(日本)での用事もまだ終わってないし暫くは居るからよ」

 

「むぅ……わかった、また会おうね」

 

「おう!それじゃあな、凪沙」

 

 玄関まで歩いて扉を開ける、ニカッと笑って帰っていく司に、親友は変わらないなって安心感と、寂しい気持ちが入り交じる……こんな気持ちを司に抱くなんて思わなかったな、七年も人とまともに関わってなかったから、人恋しい気持ちになってるのかな。

 

 いつまでも玄関に居るわけには行かない、体を振り返ると。

 

 ーー初菜のアクアブルーの瞳と目が合いました。

 

「うおおお!?だから近いってば!」

 

「えへ、二人きりですね、先輩……」

 

「え、いや、初菜は帰らないの?てかジリジリ近づかないで」

 

「あは、何言ってるんですか、今日は泊まるって私言いましたよ」

 

「いや言ってないよね!?ちょ、だから近づかないでってば……」

 

「ふふ、先輩……」

 

 じりじりと壁際に追い詰められる、ゆっくりと手を握ってくる初菜に、わたしはどうすることも出来ない、振りほどこうとすれば確かにできる、だけどわたしはこの少女を拒絶出来ない。

 

「ねえ先輩?わたしは先輩が好きです、この世界で一番、人生で一番、誰よりも好きです」

 

「う、うん、わかった、わかったから……離れて」

 

「わかってないです、ダメダメです、だめだめなぎちゃんです、本当に分かってるなら先に司先輩を帰したりしません」

 

 初菜の目がわたしの瞳を覗く、真意がわからない、目の前の少女は確かにわたしの瞳を見つめて、瞳以外の何かを確かめるように覗いてくる。

 

「やっぱ先輩、ちょろいですよ、そんなスキだらけじゃ直ぐに食べられちゃいますよ……?」

 

 初菜の左足がわたしの両足の間に絡まるように、それと同時に瞳が近付く、美しい初菜の顔が迫る。

 

 これはーーまずい。

 

「や、いやっ……はつな、やめて……お願い」

 

「……先輩」

 

 ーーちょっとまって、なんでこうなってるんだ!?

 

 だめだ、考えがまとまらない、顔が赤くなってきた、蠱惑的な空間に当てられて酸素も足りなくなってきた。

 

 目を閉じる。体の震えが止まらない、それでも初菜を拒絶することだけは出来ない、友達を、親友を、わたしを第一に考えてくれる、彼女は拒絶出来ない。

 

 柔らかい吐息が耳に残る、首にかかった熱に鳥肌が立つ。せめて、最初はーー

 

 

「なんて!冗談ですよ、冗談、先輩がいやなら手を引きましょう」

 

 

 そう言ってパッと大げさに手を離して、わたしから距離を置く。

 

 絶対冗談なんかじゃなかった、マジだった、一線超えててもおかしくなかった……司ぁ!今すぐ帰ってきて!やっぱりこの娘おかしいよ、おかしいよーー!!

 

「先輩、嫌な気持ちは吹き飛びましたか?」

 

「……まぁ、でもだからってやりすぎだよ、もうしないで、マジで」

 

「あは、ごめんなさい。でも先輩には心から笑っていてもらいたいですから、怖がるなぎちゃんも好きですけど」

 

「なぎちゃん言うな!」

 

 にやにやと笑う顔をそのままに、玄関の方へと足を進める。帰るのかな、いや、泊まって欲しくは無いんだけど、帰って欲しいんだけどね。

 

「先輩、今日は楽しかったです、今日も配信やるんですよね、見てますから、配信でも楽しんで下さいね」

 

「ん……こんど、初菜の配信の方にも遊びに行くから」

 

「本当ですか!?最高ですかよ……では先輩、また近い内に」

 

「またね」

 

 扉が閉まる最後までわたしを見つめ続ける初菜に、複雑な気持ちを抱きながらも、やっぱり寂しいなって思う気持ちもあるようで……でも仮に初菜を私の家に泊めたらもう色々と戻れない気がする。

 

 扉が閉まる、残惜しいさもほどほどにリビングに戻って後片付けをし始める。

 

 「……ふふっ、初菜には困ったけど」

 

 楽しかったな、なんというか勇気が出てきた。

 

 今日の配信もめいいっぱいにたのしんでやろう。

 

 

 

 

「りるるん!……最近は掛け声のボキャブラリーに悩んでます、なぎちゃんだよー」

 

『りるるん!』『るんるんりるるん!』『鈍器で殴るな』『きゃおいきゃぴなぎちゃん』『うおおおおお!』『出かわ』『生きがい』『存在する天使』『疑問。20000人弱の視聴者の職業』『やめろ』『やめろ』『お前、ピザ』『仕事終わりの酒のなぎちゃん』

 

「仕事お疲れさま、配信……楽しんでね?」

 

「さてまずは、宣伝から済ませちゃおうかな、今週の土曜日の配信は記念すべき第二回目のロストデイメモリーのデモプレイ配信だー!!」

 

『うおおおおおおお!』『うおおおおおお!』『まじ?』『知ってた』『予定調和』『二回目案外早かったな』『SSS社公式アイドルやろこんなん』『否定しません』『肯定します』『パパ頑張りましたよ』『有能無能、久々に有能!』『でもパパの座はもう無いよ』

 

「それでね?二回目はなんとなんとゲストさんが来てくれるみたい!……誰なのかはわたし教えてもらってないんだけど、その、知らない人とは話せないんですよ。聞いてますか?SSS社さん」

 

『草』『草』『有能無能、無能!』『よわよわなぎちゃん』『誰がゲストなのか教えてもらってないプロゲーマーがいるらしい』『大物だよ!』『大人気だよ!』『アイドルだよ!』『で、誰だよ』『近日公開!』

 

「もう水曜だよ!今日含めて後4日だよ4日!今公開してよ!……多分わたしの配信が終わったぐらいに公式HPで公開されると思います」

 

「よし、そういう事で宣伝終わり!今日はね、このゲームをやるぞ〜?」

 

『お?』『なんだ』『なぎちゃんヘアピンかわいいね』『おでこぺろぺろ』『ぺろぺろ』『もしやこのゲームは……』『で、出たー!リアルタイムストラテジーゴットゲーム、まおなまだー!これ好き』『育成ゲームとな』『はえー』

 

「ん、へへ……ヘアピン、似合ってる?」

 

 説明しよう!まおなまとは、リアルタイムストラテジーゴットゲーム『魔王のくせになまいきじゃい!』の事である!

 

 ストーリーは、勇者の娘が「すーぱーみらくるゆうしゃぱわー」で神であるプレイヤーを呼び出した所からゲームが始まるぞ!

 

 簡潔に言えば、ダンジョンに逃げた勇者の娘と、食物連鎖によって強力な動物を育てることで、次々とダンジョンに侵入してくる魔王たちを倒し、大魔王を倒して王国を取り戻す事が目的のゲームだぞ!

 

 勇者の娘は、剣も握れなければ畑仕事もした事もない魔法の知識も体力も頭も足りてないあほあほ勇者の最弱娘だから何も出来ないぞ!使えないね!でもかわいいから許しちゃう!

 

 え……?似たようなゲーム性のゲームがある?パクリ?のんのん、オマージュと言ってほしい!と、中小企業の電磁基盤工場の社員達は語る!この人たち自分達でリスペクト作品作るの得意だね!怒られろ!

 

「VR版もあるよ、みんなはどっち派?やっていくぞー!」

 

『うおおおおおお!』『楽しみ』『RTA業界が未だにブームのゲーム』『ほうき会社こういうの作るの好きよな』『ちゃんとゲームは面白いから許せる』『まぁ元となったゲーム会社も潰れちゃったし……』『悲しいなぁ』『僕はVR派』『わいも』『わしも』『PC版派です』

 

「いやー実はPC版ではやった事なくてさー?どんな感じなんだろう……お、早速我らのヒドイン勇者の娘のお通りだ!」

 

『かわいい』『かわいい』『二画面天使幸せ二倍』『最高か?』『ワイプに天使、画面にクソザコ』『娘ちゃんいじめはやめろ!』『娘虐はやめろ!』『かわいいなあ監禁したい』『ひぇっ』『偽物兄者は監禁が趣味か何か?』『性癖です』『治せ』『治すな』

 

「いや治そうね、やめようね偽兄さん、もうお兄ちゃんって呼ばないよ」

 

「全7ステージあって、ステージが上がる事で難易度が増えていくよ!強い動物を作るための養分のLvとかが少なくなったり、魔王達の特殊スキルが増えたりとかね〜」

 

『このツルハシで掘る音が良いんだ』『最高』『好き』『なぎちゃん好き』『わかる好き』『ちなみに養分と聖分の二通りあって、養分で出る動物はうさぎ、次にクマ、次にドラゴン。聖分からは聖霊、次にリリス、次にエンジェルです』

 

「ねえ、いつも思うんだけどリリスって悪魔系統だよね……?」

 

『ほうき社曰く、性癖』『草』『草』『まぁかわいいし』『そういう所やぞ』『リリス…なぎちゃん…閃いた!』『描いたろ!』『早速出口付近にドラゴン作ってる』『えちえちなぎちゃん』『リリスリスなぎちゃん』『5点!』『そんなー』

 

「まぁかわいいよね……お、そろそろ最初の魔物だ、うさぎ地獄は作らないであげよう、ドラゴンに喰われてしまえー!」

 

『しまえー!』『かわいい』『かわいい』『ツルハシ持った神になるプロゲーマーがいるらしい』『自称やぞ』『勇者の娘、たまに私も戦うー!とか言って突っ込むの辞めて欲しい』『役立たずが出しゃばるな』『引っ込んでろクズ』『娘虐するな!』

 

「そうだぞー?勇者の娘ちゃんはかわいくて元気で……なんだからなー?」

 

 ごめんね娘ちゃんフォロー出来てなくて……かわいいと元気以外の取り柄がない自分を恨んで。

 

「まぁ初戦は勝てますよ、ほらほら次々!」

 

『あっ』『イキリタイム』『イキりなぎちゃん』『今日も楽しそうでええなあ』『ええわあ』『なぎちゃんぺろぺろ』『あまり舐めるな』『ヒェッすみません……』『いいよ』『なんやねん』

 

「あ、そういえば……1ステージの最後の魔王の名前……言わなくてもわかるかな?」

 

『ほーん?』『もう草』『わからないなあ草』『いやぁ……草』『一体なんなんなんだろうなー?』『まさかそんなあのなぎ民の名前かー?』『あっ(察し)』『千里眼使わなくてもわかる』

 

「よーしよし順調……そだ、ヴァルキリーつーくろ!」

 

『強い』『戦力過多』『養分が一定数溜めて1ブロックにすれば出来る動物……?』『動物とは?』『適当が過ぎるよ!』『ほうき社曰く、これも性癖』『草』『一生ほうき作ってて良いよ!』『そういや新しい空飛ぶほうきの型番出てたよ』

 

「へぇ〜、でもほうきって免許いるんでしょ?しかも事故率多いし……みんな事故とか、怪我とかしないようにね、なぎちゃんとの約束」

 

『はーい』『はーい』『かわいい』『あーすき』『やっぱ天使や』『昨日のなぎちゃんも好き、今日のなぎちゃん好き好き好き』『昇天(御臨終)』『頭なぎなぎしてきた』『わかるなぎなぎするわ』

 

 前から思ってるんだけどなぎなぎって結局なんなんだ……なぎがゲシュタルト崩壊を起こしそう。

 

「あ、そろそろ最後の魔王だよ!準備は良いな?わたしは出来てる」

 

『ざわ…ざわ…』『なぎ…なぎ…』『まだだッ…!まだだッ…!』『後少し…ッ!後少し…ッ!』『ちょっとだけかわいそう、良いぞもっとやれ』『唯一なぎちゃんに一番いじられるなぎ民よなぁ』『正直羨ましい』『わかる』『わかる』

 

 勇者の娘ちゃんが最後の魔王が来るよと告げる、準備は万端入り口には二体のドラゴン、その先にはヴァルキリーとうさぎ達、抜けた先にはクマとリリスのハーモニー……さあ来い!

 

「魔王エリックーー!!」

 

『草』『草』『エリーーーック!』『エリック?!』『ついに魔王になったエリック』『みんな大好きエリック』『なぎちゃん公認なぎ民マスコット、エリック』『エリック、初めての魔王』『攫いに来たぞ!勇者の娘よ!(cvエリック』『エリック……草』『う、うう…ううう!』

 

「な、泣くなよ!いじりすぎた……ごめんね、魔王だもんね、威厳とかあるよね、ごめんね」

 

『草』『鬼畜で草』『追い討ちでしかない』『あくどい顔してはりまっせ?』『羨ましい』『わからなそうでわかる』『人気者やなぁ……』『魔王エリック案外強くね?』『仮にもステージの最後の魔王やし』『これが魔王エリックですか』

 

「でもヴァルキリーには負けるでしょ、ほら」

 

『グワーー!(cvエリック』『草』『呆気なく負けたな』『クソザコ魔王エリック』『疑問。魔王エリック弱過ぎる』『よわよわ魔王エリック』『腹が痛い』『酷い』『ほらまたゲーム練習しような』『俺も付き合うからさ!』『私も』『僕も』『ブラックも』

 

「ふふっ……ならその時はわたしも呼んでね、直々に稽古をしてやろーう!」

 

 夜はまだまだ始まったばかり、わたしの楽しむ姿を、なぎ民のみんなにもっと見せたい。楽しんで貰おう。

 

「さてさてまだやるよ!この調子で7ステージまで一気にクリアしちゃおっかなー!」

 

 

 

 

「配信しゅーりょう……っと、ん〜日付変わっちゃったな〜」

 

 あの後もなぎ民のみんなと楽しんで、無事全7ステージクリア、RTAとかは意識してなかったからワールドレコードとかには載ってない。

 

 あ、そうだ。お風呂はいっておやすみする前に、土曜日の時のゲストの相手を確認しないと。

 

「えーと、フィリス・リーベルフィールちゃん……て、え?」

 

 ゔぁーちゃる教団のアイドル、教祖たそでお馴染みのフィリスちゃん、いや、様がゲスト?

 

 ま、まじですか?




今日もなぎちゃんがかわいい。


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じゅうななわ!

遅くなってごめんね!続きです。
繋ぎ回です


 金曜日のお昼時。ボーダー柄のもこもこパジャマに同じ柄のカーディガンの上にエプロンを付けて、わたしは台所で料理を作っている。

 

今日のご飯はチキンドリアにしよう、鶏肉を切って、玉ねぎを切って、フライパンにぱー!っと入れて、赤ワインを加えて~っと。

 

「……料理が趣味になって又はなってから、もう10年以上もするのか」

 

 大体の料理は全部頭にインプットされてるから、前みたいにレシピを見ながら作らなくても出来るようになった。また新しいレシピ探しにくるくるパットで探してみようかな……?

 

「よーしオーブンで温めて……っと、その間にちょっと調べ物するか」

 

 明日に備えてわたしはデータ輸送会社の方じゃないゔぁーちゃる教団について調べてみる。

 

 といっても、大体はこの前見た記事のように、きのこ派かたけのこ派かに揉めた結果分かたれて、ロシアに移住した方が全人類管理データベース、ALICEを崇拝する教団だと書かれてる。

 

 ただこのALICEについての思想が中々に過激で、いわく「人類を管理するALICEは実質的な神に近い、よって我々の神であり、人類はALICEの配分で管理されるべきである」とのことだ。

 

 狂信者にも近い思想を掲げている割には、教団の信者達は口を揃えて「そんなの古いっすよ!時代はやっぱ教祖たそかな~やっぱ、僕の女神になって認知してくれーー!」とかアホみてえな事言ってるから、どういう人間たちが信者なのか大体分かるだろう。

 

 可愛さにやられた者の末路だろう。たしかにかわいいけどさ、頭撫でてみたい……恐れ多いけど。

 

 「まぁ、本当にこの記事通りなら人類を救ったも同然だな……」

 

 フィリス・リーベルフィールじゅうよんさい……いや、ネタとかじゃなくてガチで14歳、ロシアの大統領の血族が母親で、父親が日本人のハーフ。生まれてきてくれただけでロシアと日本の外交に大きな貢献をしてくれた子だ。

 

 宇宙船が日本に来て以降の技術革命によって、日本人そのものが異端として見られている節がある今、日本人とのハーフが出来るのは……普通にあると思うが、大々的に公表される、となると話は別だろう。

 

 そしておそらくこれが本命なのだろうが……この子はある時期に未来予知をした(・・・・・・)

 

「AIの暴走……ね、奇しくも七年前か」

 

 ナゲット君や自立AI、警備AIや戦用AI、まぁ色々とあるがそれらの同時多発暴走、つまり感情プログラムのエラーによって人間や動物、世界中に広がる全ての生命の殺戮。

 

 それらの原因から解決法まで全てを予知したんだろう、未来を見た当時は三日三晩の睡眠不足に高熱、身体に多大な負荷がかかったとの事だ。

 

 これ以上の詳細を知るには管理職の使うデータプログラムか、ハッキングになるが……

 

「ま、そこまでして知ることじゃないか、終わったことを掘り起こしていらない事を知るのもやだし、なんだか失礼だし?凄いJCって認識でいいっか」

 

 あー緊張してきた、年下だけど立場的には上も上、ああでも三音とそう変わらない……のか?あれ、なんだかあんまり緊張しなくなってきた、メンタルつよつよ?

 

「……ん、メール?」

 

 

『はじめまして!なぎちゃんさま、フィリス・リーベルフィールじゅうよんさいです。

あのあの、はいしんみました!面白くて、楽しくて、すごかったです。明日が楽しみです!よろしくおねがいします、その時は教祖たそって敬って下さい!』

 

 え、ええこや……律儀にメールしてくるなんてなんていい子なんだぁ……妹にほしいんや……

 

「……ん?教祖たそって敬う言葉なのか……?」

 

 

 

 

 さて今日も今日とて配信だ、明日のことも宣伝しつつ、なぎ民のみんなと楽しもう。

 

 「わたし、参上!自称プロゲーマーのなぎちゃんだよー」

 

『1コメ』『始まった!』『もう二万人超えた』『なぎちゃんは人気者だなぁ』『いやぁ今日も楽しみだね』『今日は何をするんです?』『もこもこパジャマだ!』『えっち』『好き』『もこもこなぎちゃん』『もこもこ…羊…戯れる…なぎちゃん…閃いた!』『よっしゃ描いたろ!』『ここまでテンプレ』

 

「今日ね?教祖たそからメール来たんだよ~、じゅうよんさいにもこの配信は見られている自覚を持ってねなぎ民のみんな」

 

『まじ?』『やばいやばい』『お淑やかに行きましょう?』『お上品に行きましょう?』『そうですわね』『最初からJCですわよ』『そうですわゾ』『化けの皮剥がれてますわよ』『そんな事ありませんわよ』『わよしか言えないのですの?』『なんだお前ですわよ』

 

「いやもう遅いからね、色々と……というわけで、明日は教祖たそと二人きりのデモプレイ配信!みんな絶対見てよ~?わたしの緊張を解すコメント待ってます」

 

『絶対見る』『見ます見ます』『明日のために有給入れた』『わかる会社辞めた』『人生辞めたって?』『ニートは良いぞ~?』『ミクちゃん、敗北!』『動画で同性婚姻届届けるって言ってたけどなぎちゃん来た?』『マジ?草』『草』『明日も楽しみ』

 

 動画で言ってたのかよ……そういう所で有言実行しなくて良いんだよ、この前の後片付けの最中に置き忘れてる事に気付かなかったらなぎ民にいらない誤解招かれそうだったし。

 

「届いたっつーか……困るのでもうやらないでよ~?まじで、本当に、やめて下さい」

 

「さてと、明日の配信、もし失敗したらどうしよう……?こういうときは初心に戻るべし!このゲームをやるぞ~!」

 

『うおおおお!』『まさか』『で、出たー!OverCoreシリーズ初のオンラインゲームだー!人間がついて来れる速度じゃないからってVR版が中止になった奴だー!』『解説乙』『14歳に見せるゲームではない』『わかる』『それな』『懐かしきおっさん、今では美少女天使』『体が闘争を求めている』

 

 説明しよう!『OverCore=WORLD』とはその名の通り、OverCoreシリーズ唯一の完全オンラインゲームなのだ!

 

 ストーリーをこよなく愛す"コジマ脳"の方々は「これは駄作」と言うが、食わず嫌いはやめよう!オンライン要素を加えたこのゲームもまたれっきとしたOverCoreシリーズ。

 

 プレイヤーはまず7つの企業の内どれか一つ、もしくは傭兵と言われる野良OC使いになる事が出来て、それぞれ対立している企業、あるいは護衛とか破壊とかをマッチングして、基本2対2で始まるぞ!

 

 公式戦だったり、大規模戦術機械の共同作戦など公式からのイベントも様々だぞ!

 

「最近はストーリーモードが出たみたいで、これを機会にやってみるのも良いかも!今回は対戦モードしかしないけどねー」

 

『うおおおおお!』『おくちわるわる予知余裕でした』『ストーリー出たのか』『VR版のテストやったけど、無理です!』『だろうね』『なぎちゃんならできそう』『できそう』『つよつよ』『なぎちゃんとOCで共闘とか滾る』『わかる滾る』『血が闘争を求めてる』

 

「教祖たそにわたしのかっちょえぇ所見せて明日はキャッキャするんだ……えへ、げへ、ふふふふふ……なぎ民のみんなもそのつもりでお願いしますよ、頼みますよ」

 

『草』『草』『ゆりゆりおっさん』『おい犯罪だぞおっさん』『なぎちゃんはそんな事言わないぞ』『偽物説か?』『なぎ民は踏み台だった?』『なぎちゃん遠慮しなくなってきたよな』『良い事だ』『ホラゲー配信から一線を超えた気がします』『わかりみ』

 

「ド畜生なぎ民にはそれ相応の対応が必要なのかな……もちろん見てくれたりスパチャしてくれたり、感謝はしてるんだからね!勘違いしないでよね!」

 

 はっ?!無自覚にデレツンを発動してしまった。

 

「じゃ早速やろっかー、サーバーは概要欄に張ってるからそこをクリック!……上手い下手とか関係無しにみんな参加してね?きっと楽しいと思うんだ」

 

『うおおおお!』『開戦じゃー!!』『久々のおくちわるわるの予感』『JCが見てるのにわるわるする訳ないだろ!』『せやかて工藤』『何故ばれた?!』『本名かよ……』『AALIYAHで、行きますよ』『DUALFACE使うわ』『じゃーARETHA乗るかぁ』『え』『狩人先生ちょっと……』『ほんきださないで』

 

「王道のホワイトグリントかなー、……あぁいつ見ても素晴らしい機体だ……お、早速マッチング!誰だ誰だ〜?」

 

「お、初めましてかな?雪娘(ゆきむすめ)ちゃん、よろしくね!タンク型?イカすじゃないか……頑張ろう」

 

『始まった』『開戦じゃーーー!』『もう見た』『敵の名前は?』『遭遇しないとわからんのよ』『へぇー』『白…なぎちゃん…パンツ…なるほど』『千里眼くん、確かかね?』『イエス大佐!』『よろしい』『私のライバルだ!がんばれー!』『この娘雪原エリアで暴れてた人じゃん』『強そう』

 

 持久戦、制限時間は5分で相手の機体を何回か破壊して、総合HPを減らすモード。5分と短いかもしれないが、超高速戦闘なので体感的にはとても長い。

 

 タンク型は堅牢な装甲と最高の積載量を持つ反面、スピードが遅いのでそれに合わせて並走する。実直に行こう、一人で突っ切って索敵して破壊されたくはない。

 

 それに多分、そろそろくる。

 

「ーー来た!見えているぞニンジャさん!」

 

『速い速い』『第三者が見るとマジで頭が混乱する』『なぎちゃんこれ脚部パーツ改造してんな』『アンファング使いだと』『総合HPの減りが一番少ない機体か』『つまり?』『うーん、普通に弱い』『決定力がない』『いやまて』

 

「うおおお?!あっぶねえ!なんだ今の、いや、そうか、オーバードウェポン背負ってやがる!ヒュージキャノンはやめろォ!」

 

「っくそ、左腕吹っ飛んだんだがァ!んだてめえ!何者だ!……電磁砲って名前か!キミもヒュージキャノンかよ!ば、やべえ、助けて雪娘ちゃん!」

 

『うわあ』『えっぐ』『まーた変態企業がやらかしたよ』『アクアビットは…まずい…』『直撃避けてもダメージ食らってるの草』『示し合わせたな』『仲良しかよ』『忍者と科学が交差する時!』『物語は始まる』

 

「始まらねえよここで終わっちまえ、おら!おら!おら!まだ行くぞまだまだ行くぞまだまだまだ行くぞ!」

 

 コジマブーストで一気に光の粒子を加速させブレードを抜きニンジャさんの機体を切り刻む。もう一機の方は雪娘ちゃんのロケットとプラズマガトリングの嵐に敗北した。

 

「こ、これを五分……頑張ろう!」

 

『おくちわるわる』『わるわるなぎちゃん』『ガチ14歳になんてものを見せようとしてるんだ』『まぁ教祖たそならうん』『まぁ』『なぎちゃん体力3割やん』『雪娘ちゃん強いなー』『我等がなぎちゃんお守りたいのピンクだしな』『そりゃそうよ』『ブラックも認める強さ』『最弱は?』『イエロー』『そんなー』

 

「うおおおおおっしゃ!優勝した優勝した!へへ、どーだニンジャさんと電磁砲さん!参ったか〜!腕を磨いて出直してくるんだな……雪娘ちゃんもありがとう、すごい助かったよ」

 

『おめでとう』『つよつよ』『ヒュージキャノンゴリ押し作戦、失敗!』『残念だ』『おつかれ!』『なぎちゃん回転からの軸ブレが少なすぎる』『空間把握能力つよつよ』『つよつよ自立神経』『これVRでやれない悲しみ』『求められるリアルスペックが高すぎる』『それな』『わかる』

 

「さー次の相手は誰だ?味方は誰なんだー?」

 

 マッチングが完了する、味方機の姿が見えてくきた、黒くも美しい着色をされた……黒い鴉、ブラックレイブンだと……!

 

「やれるのか」

 

 静かに黒機体が頷く、そうか……言葉は不要か。

 

『うおおおおおお!』『神展開』『これは熱い』『N-WGIX/vだと……』『かつてせかいをほろぼしたちから』『白と黒が交わり最強に見える』『強い(確信』『で、プレイヤー名は?』『TUKASA』『SASUKE?』『違えよ』

 

「やるよTUKASA!わたしと二人で最強!TUKASAとなら余裕!」

 

 飛ぶ、どこまでも、駆け抜けていきーーそして見えた(出逢う)

 

 一つは、赤と黒のツートンカラーに配色されたボディ、ビリヤードの9番ボールをモチーフにしたエンブレム。

 

 次に、5連装ガトリング、コジマキャノン、レーザーライフル、ミサイルジャマーを武装したプロトタイプOC。

 

「え“」

 

『草』『草』『ワイプ画面のなぎちゃん硬直してて草』『終わ終わり』『蒼白なぎちゃん』『敗北なぎちゃん』『逃げろ!なぎちゃん』『公式順位3位の狩人先生、2位のアンノウン君』『うーんこの』『足掻いて見せてくれたまえ』『ラ ス ボ ス』『二戦目にして終局特異点』『これはイレギュラー』

 

「か、勝つぞ!どこまでも!うおおおおおお!」

 

『うおおおお!』『うおおおおおお!』『プロハンニキが3位?』『プレイ時間の差や』『一位は?』『夜繋《やづな》って人』『はぇ〜誰?』『自分で調べて』『はーい』『TUKASA上手いやん!』『なぎちゃん上手いぞ』

 

 二段クイックブーストどころじゃない、過去を考慮してもこんなハイスピードで展開する戦いは、一度しかない。

 

 思考が加速し言語が単純化していく。神経が研ぎ澄まされ、わたしがわたし(白い鳥)同化(同調)していく感覚。

 

 撃つ、撃たれる、躱す、当たる、削れる、避けーーれねぇ!

 

「強い……!」

 

 わたしは今、本物(最強)と戦っている、削り合っている。命を賭けた死合をーー勝つ負けるの話じゃない、これは。

 

「ッ……くたばれ!堕ちろ!」

 

『なんだこの戦いは』『これがOC使いだと言うのか?!』『なら俺は一体……』『魅入ってコメ少ねえ』『この試合録画してて良かったー』『数多のOC使いがなぎなぎするに一票』『一票』『一票』

 

 光の粒が交差する。

 

「っ……!」

 

 圧倒的なスピード、一つ一つが合理的かつ効果的、経験から生み出された確実な戦闘技術、年月を跨ぎ、数多の戦場を乗り越えた本物(狩人)

 

 その相方である彼は、総合的スペック以上に、天才的なゲームセンス。悪魔のような試合運び、絶対的なプレイ(10000)時間。彼が不明機体(アンノウン)で有り続けるルーツ。

 

 対して、TUKASAが、わたしが使える能力()の全てのものが、圧倒的に上だ。

 

 だが!譲れないものがあるならそれは、わたしとTUKASAの、親友との友情……それを考慮してもなお……!

 

 届かないと言うのか!?

 

『試合時間半分、ついにTUKASAが落ちる』『なっげえ』『因みにこのモード、死闘だからどっちも落ちたらその時点で負け』『なぎちゃんHPもう残り少ないぞ』『二人も残り半分、上手くやった方じゃないか』『敗北なぎちゃん』『されどつよつよなぎちゃん』『終わりか……楽しかった、なぎちゃん(イレギュラー)

 

 紅き黒星の放つパルスライフルにわたし(白い鳥)が堕ちる。翼を失った鳥が飛べないように、わたしはたった今翼を失った。

 

 ーーほんとうに?

 

 ーーちがう。

 

 ーーここで、終わるか……!

 

 ーーシステムエラー、再起動を確認しました。

 

『バカな……』『再起動だと、あり得るのか!?』『こんなことが』『やはりなぎちゃんは危険すぎる』『これがオーヴァーレギュラー……』『いやただのゲームシステムだが』『うるせえ』『こいつ処せ』『やがて世界は闘争を求める』『頭がコジマに支配されたなぎ民の図』『コジマは……やばい』『汚染度なぎなぎ』『視聴者30000人おめでとう』『おめでとう!』

 

 堕落してもなお立ち上がり、翼を広げる(限界を超える)

 

「勝つ!」

 

 銃口を向け、向けられる。まだだ、ここから先はわたしの全てを使って勝ちに行く……武器の貯蔵は十分か、最強!

 

 

 ーーそこから先は、正直言えば明確に覚えていない。いや、思考が加速し過ぎて記録処理が出来なかったんだ。

 

 唯一覚えているのは最後。アンノウンさんとブレード勝負に打ち勝った所で、転移とも言うべき加速で反応する間も無くコジマキャノンに屠られ負けたわたしだった。

 

 

「悔しい!悔しい!悔しい悔しい悔しーいー!負けたくなかった!大人気ない!きらい!ううううううう、うー!」

 

『かわいい』『かわいい』『かわいすぎる』『もう無理ぽ、鼻が限界』『発作しそう』『なぎなぎなぎなぎ』『なぎマ粒子』『そして人はなぎちゃんを求める』『新しいOCの新作はなぎちゃんの存在そのものだった?』『今まででTOP3に入る実に良い戦場だった』『なぎちゃん、今度は味方で会おう』

 

「まだやる!次もやるー!再戦出来るまでず〜〜っとやる!」

 

『あっ(昇天』『なぎっ!(なぎ天)』『なぎが一人歩きしてどんどんなぎになっていく』『何を言っているんだ?』『誰にもわからない』『雪娘、悔し泣きで母性本能が擽られます』『ミクもそう思います』『カフェ娘も思います』『クソレズ三銃士』『草』『草』『ずるいわお前』『涙ぺろぺろ』『有罪』『そんなー』

 

 

 エンターキーをたたん!と押して次のマッチングを開始する。

 

 マジ悔しすぎて涙出てきた……次の相手まじぼこぼこのけっちょんけちょんの血みどろグワーさせてやるからぁ!

 

 

 

 

 それからわたしの機嫌が直って冷静になって恥ずかしくなってまくしたてるように配信を閉じて、今。

 

「恥ずか死しゅるぅ……コメント全然見れてなくて申し訳ないよ、配信者としてどうなんだよ、熱上げ過ぎだし悔し過ぎだよ、反省だらけだ……うう」

 

 この放送初菜見てたかな見てたよね、司も見てるってかあのTUKASAって絶対司だし、もうちょっと捻りなさいよ、素直かよ。なんかかわいいじゃんか、そういうの辞めてよ。

 

 ……あ、あっあっあ……教祖たそも見てたのでは?

 

 あ、あうあうあうああぁぁぁぁぁぁーーーー!(ベットにダイブして全てを忘れようとして忘れられないまま夜を過ごすなぎちゃんでした)




感想いつもありがとう……誤字報告、本当に助かってます。感謝!

しばらくは3日4日間空ける事が増えちゃう、ごめんね!お願い許して!エタだけはしませんから!

……所でフ○ムさん、見てますか?新作まだですか?


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