恐らく史上最もアホなギルド (茶久良丸)
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オリ主紹介(随時更新)

ギルド名:SOB( ソードアート.オンライン.ブレイ

        カーズ?)

団長:Linne(リンネ)

副団長:Ruri(ルリ)

団員:Chata(チャタ)

  :Risumo(リスモ)

 

人物紹介

山岡 武蔵(やまおか むさし) [Linne](リンネ)

年齢:20才(SAO開始時)

職業:専門学校生

使用武器:曲剣→刀

ステータス:STR(筋力)寄りバランス型

名前(アバター名)の由来:手元にNA○UTO(ナ○ト)があった

二つ名:

女性のタイプ:年下(五~十才ほど下)の妹系

       もしくは実妹

 高校時代の友人であるルリ・チャタ・リスモの三人と徹夜でならびSAOを購入しデスゲームに巻き込まれる。

 ネット関連やデジタル関係・ゲーム系のオタクで専門学校でも情報機械化関係を推薦していた。リアルだと若干コミュ障気味だがゲームだとやたら突っぱねた性格になる。自他共に認めるロリ・シスコン。実の妹に自分を[あにー]と呼ばせるよう物心付く前から教育(洗脳)するほど。遅くまでネットサーフィンをしているため普段から寝不足の隈が取れず暗い感じがするため周りからネクラ扱いされている。独自の修行により妹臭(妹から発せられる独特の臭い)または幼女臭(幼女から発せられる独特の臭い)を半径300m以内であれば嗅ぎわけられる。プリ○ュアガチ勢。fa○eの武○ちゃんも好き。

 戦闘ではギルドの現場指揮として働く。全体の方針や目標の指示を出すリスモを大隊長とすれば、自身はその場で臨機応変に指示を出す言わば小隊長の様な立ち位置。そのため瞬間的な判断の割出と算出が得意。実力も元β《ベータ》テスターをやってただけあってかなりもの。

 

 

 

渡部 蒼也(わたべ そうや) [Ruri](ルリ)

年齢:20才(SAO開始時)

使用武器:片手剣(盾無し)→盾持ち片手剣

職業:大学生

ステータス:VIT(生命力)寄り防御型

名前(アバター名)の由来:自分の本名から

二つ名:神聖盾

女性のタイプ:大和撫子系のヤンデレ

 高校時代の友人であるリンネ・チャタ・リスモの三人と徹夜でならびSAOを購入しデスゲームに巻き込まれる。

 ギルド唯一の良心。他の三人が異常なほどぶっ飛んでる中、常識がちょびっとだけある彼らの保護者役。しかし彼らと付き合ってる時点でやっぱりネジは飛んでる。アニメ好き、特に美少女がいっぱい出てくる物を好みその知識も豊富。下に弟が一人いる。下腹が少しだけ出ている小太り。

 戦闘は中間的な位置で常にスイッチ出来る体制を取り必要であればタンクとして前に立つこともある。

 その後本格的なタンク役にシフト。その防御力はヒースクリフすらも認めている。

 

 

 

湯澤 晶(ゆざわ あき) [Chata](チャタ)

年齢:20才(SAO開始時)

職業:建築工事士

使用武器:槍

ステータス:AGI(敏捷性)特化型

名前(アバター名)の由来:産まれたときじっちゃんが付けようと

      した名前から

二つ名:猛犬

女性のタイプ:自分の趣味にとやかく言わない人

 高校時代の友人であるリンネ・ルリ・リスモの三人と徹夜でならびSAOを購入しデスゲームに巻き込まれる。

 無類のロボットオタク。スーパー系・リアル系関係なくロボットゲームは大体全部やるほど。また重度のコ○マ汚染者でもある。他の三人が東京出身の中で唯一横浜出身のためかよく語尾に[じゃん]を付ける。メガネはゲームのやり過ぎによるもの。[シャイニング○ードブレイカー]を習得している。ギルドメンバーの中で唯一料理スキルを持っている。

 戦闘では一番槍を決め込みヘイトの集中・分散を行う。挑発スキルを駆使してボスの攻撃パターンを引き出し味方の支援に尽くす。ただしステータスがAGI(敏捷性)特化のため防御力が低く掠めただけでも大ダメージに繋がる。

最近STR(筋力)を上げたのか人一人くらい振り回せる。

 

 

牧角 紅鷹(まきすみ こだか) [Risumo](リスモ)

年齢:19才(SAO開始時)

職業:大学研究生

使用武器:短剣

ステータス:完全バランス型

名前(アバター名)の由来:丁度テレビでリスの特集してたから

二つ名:諸葛亮(しょかつりょう)

女性のタイプ:年上の理解力と包容力のある人。

       巨乳であればなお良し

 高校時代の友人であるリンネ・ルリ・チャタの三人と徹夜でならびSAOを購入しデスゲームに巻き込まれる。

 ギルド一頭のネジがブっ飛んでいる人物。

元々は普通の友達皆無の優等生であったが高校入学時に知り合ったリンネ達の影響でサブカルチャー類に手を染め気付けば全方位系オタクになっていた。その影響で全体的に言動がおかしい。「それな!」が口癖。全体的に細くほぼ皮と骨だけのノッポ。

 戦闘ではその類い稀な頭脳でボスの行動パターンや攻撃タイミングを記憶しそれに伴った陣の配置や戦略を立て戦闘を効率化させる。またデュエルの際、短剣の取り回しの良さを利用して全ての攻撃をパリィするなど実戦においても実力は高い。

 尚よく会話にアッチ系の単語や言動が出るが飽くまでネタとして使用してるだけでアッチの趣味は無い。

 

 




会話の特徴として
リンネ:ネット用語、たまに草を生やす
ルリ:普通の標準語
チャタ:語尾に[じゃん]をつける
リスモ:オチっぽい単語、アッチ系のセリフ
があげられます。
また会話の流れとしては
リンネ
 ↓
ルリ
 ↓
チャタ
 ↓
リスモ
とゆう感じでそれより下に会話が続くときは四人の会話の特徴を探すと分かりやすいと思います。


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ゲームは1日、クリアまで

キャラ設定は後々。とりあえずこの小説に登場するキャラのアホ具合を感じてほしい。


〈秋葉原某所〉

「は、ハックショビッチ!」

「うぉ!バカ、クシャミするなら手ぇ使えよ!」

「しゃーねぇだろ、仕事終わって深夜の二時から並んでんだから寒びぃんだよ」

「いや関係なくね?てかハックショビッチて…」

「まるでハ○ショ○大魔王がビッチになったみたいだなwww」

「それな!」

 

 とあるグループが長い列の割りと前の方でそんな会話していた。歳は二十歳前後の四人組。右からメガネ、小太り、ネクラぽいの、ノッポである。四人組は仲良く肩を寄せ合い(押し合い)寒さに耐えていた。

 

「てか開店まだ?もう水筒の○AXコーヒー無いんだけど」

「いや何で水筒に○AXコーヒー!?普通はお茶とか間をとっても豚汁とかだろ!」

「家に段ボールであって」

「どんだけ糖分欲しいんだよ!糖尿病になるぞ!」

「それな!」

「バカ野郎!糖尿病になる未来しか見えないから今飲んでんじゃん!」

「逆ギレ!からの自己完結!?」

「むしろ潔し」

 

 まるで打ち合わせでもしたかのような見事なボケとツッコミである。これが彼らの日常だと言うのだから凄い。ちなみに先程からツッコミをしてるのが小太りの男。○AXコーヒーを水筒に淹れていたのがメガネの男。「それな!」を連呼しているのがノッポの男である。ネクラぽいのは先程からスマホをいじっている。

 

「開店なら今日は臨時開店で六時かららしいぞ」

 

 とネクラぽいのが答える。どうやらスマホで店の開店時間を見ていたようだ。

 

「え~と、今五時五十分だからもうすぐか」

「ならあと十分これで耐え忍ぼうぜ」

 

 メガネの男がバッグからトランプを取り出す。

 

「何やる?」

「ババ抜き飽きたから他のにしくれない」

「七並べでよくね?」

「十分じゃ終わねーよ。大貧民でいいだろ」

 

 そんなこんなでトランプを始める四人組。だが彼らは知らない。この後彼らを含む一万人の人間が地獄に叩き込まれることを。彼らが楽しみに待っている「ソードアート・オンライン」によって

 

「列が移動しまーす。ご協力をお願いしまーす」

「だああぁ!革命起こした直前にぃ!!」

 

 ━━━━━━━━━━

 

〈浮遊城アインクラッド 第一層 始まりの町〉

 

 そして時は過ぎ[ソードアート・オンライン]の正式サービス開始時間。

 多くの人が新時代をその身で実感するなか一人のプレイヤーがログインしてきた。

 

「お~、ここがVRか!スゲー全然現実と同じじゃん!」

 

 VRが初めてらしいこの男は先程のメガネの男。アカウント名[Chata](チャタ)である。姿はメガネが無いくらいでほぼ同じ感じになっている。

 チャタはあっちこっち落ち着くことなくキョロキョロしながらVRの世界観を堪能していた。すると一人のプレイヤーがチャタに近づいてきた。

 

「よぉ!ちゃんとログイン出来たみたいだな!」

「…」

「…?おい、どうした?」

「すみません、どちら様ですか?」

「お前な~…、買ったときに打合せしたろログイン直後の広場で合流って」

「さては貴様ダー○ユニ○ンの刺客だな!おのれ、俺の左手に封印されし黒龍王の力を奪わんと「古式斬壊剣」(エンシェント・バスターソード)なんだ渡部か」

 

「古式斬壊うんたら」(エンシェント・バスター    )と口にしたプレイヤーは同じく小太りの男。プレイヤー名[Ruri](ルリ)である。姿は普通の体型に何故か金髪碧眼である。

 ちなみに|[古式なんとか](エンシェント    )とはかつてルリが考えた若気の至り(黒歴史ノート)で登場した主人公が持つ伝説の剣である。

 

「湯ざ…間違えたえ~とチャタ、ここだとリアルの名前呼びは禁止だからな。リアル割れの問題があるから」

「あ~分かったよ。で、残りの二人は?」

「どーせすぐ来るだろ。アイツらのこ「おーい!」噂をすれば」

 

 チャタとルリのところに手を振りなが走ってくるプレイヤーが一人。その様はまるで彼女とのデートの待ち合わせの場所に来る彼氏のようだ(野郎ばかりでなければ)。

 

「いや~凄いわ!講義でVRの技術進歩については知ってたけどやっぱり聞くのと実感は別物だな!」

「…」

「ん、どした?」

「すみません。どちら「その流れもういいから」え~」

「たく。で、どうだVRの感想としては?え~と、リスモ?」

 

 [Risumo](リスモ)と言われたプレイヤー。彼は四人組の一人であるノッポの男である。ちなみにこちらだと健康的な中肉中背的な体をしている。リスモは腕をほぐすように回しながルリの質問に答える。

 

「やっぱり身体的な設定はリアルよりも軽いな。これならこの町の端から向かい端までダッシュできそうだ」

「だろうな。脳の全神経こっちに持ってきてるって言ってもやっぱリアルと比べるとゲームの方が…チャタ何してんだ?」

「いや、ふと思ったんだがここがゲームの中なら[か○はめ波]が撃てるんじゃないかと」

「やめろ。ジャンルが違うから」

「一理あるな」

「リスモ!?」

「いやだってVRだよ?そう言った非現実的な事をするためにあるような世界だろマ○ルリ?」

「そりゃわかるけど…、てか人をポ○モンの名前で呼ぶな!」

「もしかしたらスタッフサービスでそんな機能がついてるかもしれないだろ!何事もまず実験からの結果からの改善、世界はそうやって回ってきた!」

「よし、やるぞリスモ!」

 

 その場で[か○はめ波]のあのポーズをとるチャタとリスモ。出来るかどうかはともかくポーズ自体は完璧なのでリアルで練習したのが伺える。

 

「「かー○ーはーめー波あぁ!」」

「やめろ!お前ら!」

「よーす!お前らちゃんと来れたみたいだな!」

 

 そこえ四人組最後の一人であるネクラぽい男こと[Linne](リンネ)がやって来た。キャラエディットで絶対時間をかけて作ったであろう凝った姿で。(分かりやすく言うとベル○ルクのガッ○風)

 

「いやーちょっと探し…何してんだ?」

「あぁ、山岡か!頼むこのバカ二人を止めてくれ!」

「う~ん、なんか違うな」

「きっとあれがあれであれだ」

「なるほど、じゃあ改めて!」

「「かー○ーはーめー波あぁ!!」」

「お前らな…」

 

 この光景にリンネは呆れ顔をし、一呼吸整えてから…

 

「おい!二人とも俺の話を聞け!」

「そうだ言ってやれ山…リンネ!」

「「ん、なんだ?」」

「なんでそんな楽しそうなこと俺抜きでやってんだ!俺も混ぜろ!」

「そうそうだ…ええぇー!!」

「ふ、しゃねぇな!」

「友達特権とゆうやつだ。一緒にやろう!」

「よしいくぞ!せーのっ!」

「「「かー○ーはーめー波あぁ!」」」

 

 サービス開始のこの日、初日にも関わらず[始まりの町]で最も大きな広場のど真ん中で何故か[か○はめ波]をしている三人のプレイヤーとそれをまるで自分はコイツらとは無関係の見物人ですと主張してそうな顔でそっぽを向いているプレイヤーが注目を集めたとかなんとか。

 ちなみに三十分粘ったが[か○はめ波]は出なかった。

 

━━━━━━━━━━

 

 その後[か○はめ波]が出なかった一行は適当に武器を買い[始まりの町]からそう離れていな草原でモンスターと戦闘することになり、唯一βテスターで経験のあるリンネの教えに従ってソードスキルの使い方を覚えていった。

 途中先生気取りで油断していたリンネの(ケツ)にイノシシ型のモンスターが突撃しリンネがアッーしたり、ソードスキルを発動し損ねたチャタの股間にイノシシ型のモンスターが突撃しンアッーしたり、モンスターの生態を知りたいとか抜かしたリスモがイノシシ型のモンスターを仰向けにし「1ヘリントンくらいあるな」とナニ(・・)の観察をしていたが特に問題なしと思いルリは無視した。

 

 そしてその時がきた…

 

「あれ?ログアウトどうやんの?」

「どうって、メニューにあるだろログアウトボタン」

「無いんだけど?」

「ゑ?」

 

 デスゲームを告げる晩鐘の音が響いた。

 

 




続くかどうかも怪しい…
書けたら投稿するかも


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ボッチはボッチに引かれ会う

前回のあらすじ
リンネ「アッー」
チャタ「ンアッー」
リスモ「歪みねぇな」
ルリ「[あらすじ]の[あ]の字もしてない件について」




〈 第一層 始まりの町近隣の圏外〉

 

「せい!」

「プギィィィ!!」

 

 一人のプレイヤーがイノシシ型のモンスターに止めを刺す。断末魔をモンスターがその場からポリゴン状となり消え失せる。

 

「ふぅ、そろそろ戻るか。アイツ等も起きる頃だろうし」

 

 手にした片手剣を鞘に納め、始まりの町え戻るプレイヤー。

 時刻は朝七時頃。このSAOでデスゲームと呼ばれるものが始まって既に十四時間以上が経過していた。

 

━━━━━━━━━

 

〈第一層 始まりの町 とある民家〉

 

 年期を感じさせる木造性の建物。その屋根裏部屋に繋がる階段を上がっていくプレイヤー。ギィギィと音をたてながら屋根裏部屋に到着するとそこには毛布にくるまって寝ている人物が三人いた。ふと窓の近くで寝ていた人物が足音に気付いたのか目を覚ました。

  

「ん…んん?あぁチャタか。もう起きてたのか」

 

 目を覚ましたルリは、階段から上がってきたチャタに声をかける。

 

「よっす、寝てたから起こさなかった」

「どっか行ってたのか?」

「ちょっと外にな」

 

 外と聞いて覚醒しきってなかった意識が一気に呼び覚まされ飛び起きるルリ。

 

「外って、まさか圏外に出たのか!お前分かってるのか今の状況!」

「いくら俺のお積むがクソムシでも分かってるよそんなことぐらい。けどお前ら起こすのもなんかシャクで自然に起きるまで時間もあるだろうし朝飯代稼ぎたくって」

 

 そう言ってチャタはメニューウィンドウのアイテムから白いパンのような物を二つオブジェクト化し、一つをルリに投げ渡す。

 

「昨日食ってて旨かったヤツ。おかわりもある」

「起こしてくれりゃ一緒に行ったぞ」

「職業病で朝四時起きなのにか?」

 

 朝四時と聞いてルリは押し黙る。その時間ならぐっすり寝てしまってるからだ。

 その後毛布にくるまっていたリンネとリスモも起きチャタが買ってきた朝食を静かに食べ、全員が食べ終わった所で四人はその場で輪になって座った。

 

「よし、まず状況確認。昨日の事を思いだそう」

 

 昨日までのおちゃらけていた雰囲気とはまるで別物の真剣な面持ちでリンネが三人にそう述べる。ルリ・チャタ・リスモは昨日起こった事を思い出しながら今に至るまでの状況を一から十になるまで話し合った。

 昨日の出来事をまとめるとこんな感じになった。

・十七時丁度突然[始まりの町]の鐘がなり

 [始まりの町]の一番大きな広場

(分かりやすく言うとログイン地点)

 に強制転移させられた。

・そこには宙に浮いているローブを着たデカイ男が

 おりソイツは[茅場 晶彦](かやば あきひこ)と名乗った。

・ローブの男曰く

 このゲームは最初からログアウトボタンが

 無い仕様になっておりゲームをクリアしないと

 ログアウト出来ない様になっているらしい。

・さらにゲーム内でHP(ヒットポイント)が無くなると

 現実の自分達がナーブギアを通して

 死亡するらしい(既に何人かのプレイヤーが

 死亡したニュースを

 リアルタイムで見せられた)。

・また外部から何かしらの方法で

 ナーブギアを外そうとしても

 死亡するらしく外部からの助けは

 見込めないらしい。

・最後にプレゼントと称して手鏡を

 貰い、手に取ってみると現実での

 自分達の顔や体型になっていた。

 その後ローブの男は姿を消した。

・ローブの男が消えた後の広場は

 大混乱となりパニックになった

 プレイヤーの阿鼻叫喚が

 その場を埋め尽くした。

・何とか理性を保ったリンネ達は

 この場にいるのは危険と判断し、

 広場から脱出。

・その後リンネがβ(ベータ)テスター時代に

 使用していた民家の屋根裏部屋で

 一日ほとぼりが冷めるまで隠れる事にした。

 

「て、感じだよな?」

「OK」

「合ってると思う」

「異論無し」

 

 まとまった昨日の出来事を再確認した四人。だが今だに現実として受け止めにくい。

 ちなみにだが上記の通り全員リアルの顔と体型なので端から見たら不細工達が輪になって話しているので華がない。

 

「一日たってもログアウトボタンは無し…」

「何かのイベントって線は完全に消えたな…」

 

 メニューを開きログアウトボタンが無い事を再確認したルリとリンネ。タチの悪いイベントであってほしいと希望的観測を考慮していたが嘲笑うかのようにそれは無くなった。

 

「そもそもだけど、ナーブギアで人殺せるの?」

「出来なくは無い。色々と説明は省くがナーブギアに搭載されてる信号阻止を行うマイクロウェーブの出力を最大にすれば人間の脳ぐらい簡単に焼ける」

「どんな具合に?」

「電子レンジに卵を突っ込んでチンする想像すれば早い」

 

 リスモの説明道理に想像し顔を青くするチャタ。今自分達が電子レンジに入れられた卵だと考えると自然と空気は重くなる。

 

「…なぁ、皆聞いてくれ」

 

 しばしの沈黙の後、ルリが重い空気を払うようにリンネ達に思い立つ。

 

「俺はこのゲームを攻略しようと思う」

 

 ルリの決断に三人の顔が驚愕になる。

 

「こんな事になってるんだ、警察とかの公務が動かない訳が無い。なのに一日たっても音沙汰無しってことはそれだけ手を焼く事案ってことだ。このまま待ってても埒が明かない。いつ帰れるかも分からないままより、一日でも速くリアルに帰るために戦う方を俺は選ぶ」

 

 その場から立ち上がるルリ。座っているリンネ達は自然とルリを見上げる形となる。

 

「無理強いはしないし助けが来るのを待つのも手だと思う。だけどもし俺と考えが一緒なら「何水臭い事言ってんだよ」」

 

 ルリの話を切り上げ、オッサン臭く「うぃしょっと」と声を出しながら立ち上がったのはチャタだった。

 

「お前、俺と三年以上バカやってお互いの黒歴史ノートも見せびらかしたレベルの仲だろ?何急に『一緒に戦ってくれシー○ー』みたいな台詞吐いてんだよ」

「チャタ…お前…」

「それにそこの二人も同じだろ?」

 

 と、振り替えるとリンネとリスモも立ち上がっていた。

 

「ま、β(ベータ)上がりの俺がいればその分速く攻略も進むだろうしな」

「別に外部からの助けを諦めてはない。単にその間、攻略を進めた方が合理的だと考えただけ」

「お前ら…、今時のツンデレキャラだってもっとマシな屁理屈言うぞ」

「「うるせぇ、これしか思い付かなかった」」

 

 その言葉を聞き全員がバカ笑いをした。現状は真っ暗で先なんて全く見えないのに、それでも笑った。腹筋が割れるんじゃないかってくらいに笑い合えた。彼らにとってはそれだけで今を乗り切るのには十分だ。ひとしきり笑った四人はお互いの肩に腕を回して円陣を組む。

 

「いいか?俺たちは今日から運命共同体だ。この場にいる全員が生きてこのゲームから脱出することを最終目標にする。いいな!」

「「「おう!」」」

 

 こうして四人は戦いの覚悟と共にゲームクリアを目指すことを決めた。後にこの四人が攻略組トップクラスプレイヤーになることはそれから一年ほど先の話である。

 だが、これで終わる彼らではなかった。円陣を組んだ彼らは何故か一列になり一言、

 

         バーン  

    「「「「行くぞ!」」」」

    

 

 

「ところで何なのこのポーズ?」

「一度この四人でやってみたかった!」

「どちらかと言うと第五部の方が好きだな俺」

「それな!」

 

 最後の最後で締まりが悪かった。

 

━━━━━━━━━━

 

 それから約一ヵ月が経過した。始まりの町から出たリンネ達四人はリンネのβ(ベータ)テスター時代の記憶と経験を頼りに狩り場でのレベリングやクエスト周回を着々とこなしていきレベルと装備を上げていった。しかし今だに第一層から上がれず二千人程のプレイヤーが死んでいった。

 

〈第一層 トールバーナ〉

 

 ボスのいるフロアに最も近いこの町で攻略会議が行われると耳にしたリンネ達は町の広場に集まっていた。

 

「案外と多いな」

「いやネットゲーマーから言わしてもらうとむしろ少ない方だ。もう(いち)ダースくらいでようやくだな」

 

 会議が行われると広場にの段差に座っているチャタとリンネがプレイヤーの数に対して未経験者と経験者との差のある答えを言う。それぞれ槍と曲剣を装備している。

 

「大体はフロア攻略途中のヤツだろうな。飛び込みはあんまりいないとは思うけど」

「とは言えこの大人数で連携が取れるかどうか…」

 

 大人数に対して現状精鋭であることを見抜くリスモと攻略の不安を漏らすルリ。こちらもそれぞれ短剣と片手剣を装備している。

 すると広場の中央に立っているプレイヤーが手を叩き注目を集める。どうやら会議を始めるらしい。

 

「今日は俺の呼び掛けに応じてくれてありがとう!俺はディアベル、職業は気持ち的にナイトやってます!」

 

 『ドッ』と広場に笑いが起きる。つかみを得るためにあえてこう言ったらしい。周りから良い意味でのヤジが飛ぶ。そしてこの四人も…

 

「それなら勇○王って答えろ!」

「それがダメなら宇宙○偵!」

「それか聖○士!」

「板○王でも良いよ!」

「ちょっと待って!なんか変なのない!?」

 

 変なのしかなかった。特にリスモのにいたっては職ですらない。

 ディアベルは咳払いを一つして気を取り直し。六人組を作るように指示する。ボス攻略のため役割をグループごとにするためらしい。リンネ達は四人いるのであと二人欲しいと思っていたところにあぶれたと思う二人組を見つけた。

 で、声のかけ方であるが…

 

「「「「へーいお二人、文化してる!!」」」」

 

 これである。

 別にコミ症とゆう訳ではない。単にこのアホどもの[普通]がこれであっただけで一般人で言うところの「髪切った?」みたいなテンションで言うのと同じなのであるのだ。

 もちろん聞かれた二人は硬直した。急に出てきてハイテンションでこんな事を言われたらそりゃこうなる。

 

「え、あ、うん文化してる…」

 

 いち早く再起動したのは黒髪の男。何となく元ネタを知っていたのかそのとうりに返してくれた。

 

「俺ら四人でいるからあと二人欲しかったところなんだ。良いか?」

 

 このメンバーで唯一常識がちょびっとあるルリが丁寧に誘う。

 

「あ、あぁ構わないけど…。あんたも良いよな…?」

「…」

 

 黒髪の男が赤いフードを被ったプレイヤーに聞く。たが明らかに警戒されている。すげぇ嫌な顔をしながら。

 

「ん?何で警戒されてんの?」

「おかしい、大学の飲み会では受けたのに…」

「つかみの台詞が悪かったか…?」

「いや、乗った俺もアレだけどそれ以前だから…」

 

 リンネ、リスモ、チャタが警戒される理由について考えるなかルリだけが呆れていた。

 その後いろいろ考えた末、渋々承諾っとゆう感じでフードのプレイヤーも了承した。その際…

 

「変なことしたらひっぱたくから」

「「「むしろ燃えます」」」

 

 と、ゆう会話があったとか。

 [Kirito](キリト)[Asuna](アスナ)がなかまになった!

※ド○クエの仲間になったときのBGM

 

 で、六人組を作り終えたことを確認したディアベルが会議を再開しようとした時、

 

「ちょお待ってんか?」

 

 そこになんか刺々し頭をしたプレイヤーが現れ階段から飛び降りた。

 が、

 ここで一つアクシデントが起こる。飛び降りる直前のプレイヤーの足にチャタの槍が引っ掛かった。背中に槍を背負っていたチャタは「いでっ」の一言だけで済んだが、トゲトゲ頭のプレイヤーは…

 

「っ!!おぉあああああ!!」

 

 見事なくらいに階段から転げ落ちた。どのくらい見事かと言うと宮○大○がチーズ転がし祭りに出たときくらいの見事な転げっぷりだった。

 そのまま『グシャァ』と何か柔らかい何かが潰れる音と共にディアベルの足元辺りで止まった。ディアベルが「お、おい大丈夫かい?」と一声かけるとスクッと立ち上がるトゲトゲ頭。そのまま服についたホコリなどパッパパッパと払い振り向くと、

 

「ワイはキバオウって者や」

(((((何事も無かったかのように始めやがったコイツ!!)))))

 

 会場の心が一つになった瞬間であった。

 だがこれだけでは終わらなかった。

 

「え、ちょっと待って聞いた今の?」

「あぁ、自分の事(キング)とか言っちゃってたな」

「ヤバイわ。自己中度がキン○ゲイ○ーか転○王者なみだわwww」

「それな!」

 

 このアホども(四人)が名前をいじり始めた。

 

「おい!聞こえちょるぞそこの四人組!」

 

 普通に聞こえる音量で喋ってたために本人に聞かれてしまっていた。本来なら焦るところ…だが、

 

「「「「うん、だって聞こえるように言ったし」」」」

「おまんらぁ!!!」

 

 この四人にそんな概念は無かった。キバオウの顔はみるみる赤くなっていく。その姿はまさしくド○リアさんのようだ。そしてそれをいじらない彼ら(四人)ではない。

 

「つーか何なんだよその頭の突起www」

「あれか?頭突きとかするために兜に突起付けようとしたらそのままその頭に取り付けちゃったの?」

「ヤバイわ。何がヤバイってその頭にするセンスがヤバイわ。遊○王の作者もびっくり!」

「それな!」

 

 最早イジメっ子のセリフである。四人の言葉に更に顔を赤くしていくダー○モール。

 

「うっさいわアホ!何で名前ゆうただけでこないいじられ方されへんといけへんのか!」

 

 当然の疑問である。そしてこのアホどもは『そんなものウチにはないよ』みたいなテンションで一言…

 

「「「「だって名前の時点で面白いから」」」」

「このアホったれぇぇぇ!!!」 

 

 その日トールバーナでそんな突っ込みが響いた。

 

 




実際あの頭はどうかしてると思う。
ゲームだがらブッ飛んだのにしようと思ったのかな?
また書けたら投稿します。


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バカは使えてもアホは使いにくい

前回のあらすじ
リンネ「え?キ○エ○ペラーじゃないの?」
ルリ「どちらかと言うとダークの方が好きだな」
チャタ「イ○ササ~イズ」
リスモ「テンションフォルテッシモ!!」
キバオウ「全くもって[あらすじ]してへんがな!」



 そんなこんなで攻略会議が終了した翌日。

 え?あの後どうなったかって?(読者様)原作知ってるでしょ?ほとんど同じですよ。

 この世アレルギーのオッサンがβ(ベータ)テスターに金とアイテムを出して土下座しろとか言ってきてリンネがプッツン寸前になり「屋上へ行こうぜ?久しぶりにキレちまったよ…」とか言い出して慌ててルリ達が押さえ込んでいるなか、黒くてでかくて固そうなのが仲裁に入った。別に嘘はついてないですよ?

 で、とりあえず納得した○渡(くれ○いわたる)はパーティーに参加する事になりボスの情報や細かい分配などのルールなどを決め解散となった。その夜に前夜祭として飲み会がありリンネ達と同じパーティーに入ったキリト(ボッチ)アスナ(ボッチ)が何か良い雰囲気でイライラした四人(アホども)は後ろで韓国映画に出てくる急に愛国歌を歌い出す軍隊のものまね(元ネタを知らない人はトンヘーで調べよう)を永遠とやり雰囲気をぶち壊した。後でアスナに[逆エビ固め]を決められた(全員)。

 そして本題へ、

 時刻は十時過ぎ攻略メンバーが隊を作り進軍してるなか最後尾のリンネ達は、

 

「あぁヤバイ。ちょっとジンジンする」

「何がキツいって歩く度に腰痛が来るのがな…」

「ねぇもうちょいスピード落とせない?」

「いいの?このままだと僕たち子孫残せないんだけど?」

「知らないわよ!あなた達の自業自得でしょ!」

 

 昨日のアスナによる[逆エビ固め]によって明らかに腰をやらかしたアホが四人。腰に手を当てゆっくり歩く様はまさにジジイ行進曲である。徐々に先頭の隊と差が出てきている。

 

「こんな状態でボス戦いけるのかよ…」

 

 そんな心配をするキリト君。だがこの四人(アホ達)は、

 

「VRでも子孫って作れんのかな?」

「子供作ったとしてAI制御の子供だろ?何か怖い」

「いやそもそもまず女を作らないと話にならなくね?」

「それな!」

 

 そんな物凄くどうでも良いことに悩んでいた。キリトは手で顔を覆い「ダメだこりゃ」と呟くしかなかった。

 

━━━━━━━━━━

 

〈第一層 迷宮区 フロアボス部屋手前〉

 

「聞いてくれ皆、俺から言うことはたった一つ、

 勝とうぜ!」

 

 そんなこんなでボス部屋前。周りのプレイヤーが緊張や恐怖で顔が強張っている。ディアベルの言葉に己の中の闘志を呼び覚まし、始まりの町にいるプレイヤー達にこのゲームはクリア出来る物だと伝えなければならない。そんな使命感に燃え上がっている空気の中、

 

「え?もう行くの!?まだ腰完治してないんだけど!」

「ちょっと待ってくれ!今生肉焼いちゃったから後30秒くらい待って!チャタ火力上げろ!」

「え~と始めチュッチュ、中パフパフだっけ?」

「如何わしい、如何わしいぞ!だがそれが良い!!」

 

 何処まで自由なアホ達。まるでここだけ別ゲームの様である。ちなみアレ(モ○ハン)っぽい肉焼きセットで肉を焼いていた。

 そんな光景に不思議と文句や罵声は来なかった。代わりに、

 

 ((((((((肉旨そう…))))))))

 

 的な心の声がきれいに揃った。先程のディアベルの一言よりも一致団結感がある。だがそれに異を唱えるプレイヤーが一人。

 

「ちょと待て!この大事な場面で何やってんやオノレら!!」

 

 ト○ピーがアホ達に文句を言った。いや常識的に考えたら全くもって正しいのだが…

 

「何ってさっきも言ったし分かるだろ?肉だよ肉」

「肉なのは分かるわ!ワイが言っとんは何故このタイミングで肉焼き始めたかや!」

「じゃあお前ボスの真ん前で肉焼くのか?」

「なんのこっちゃ!」

「探索エリアで肉手にいれたら拠点に戻るか安全な所で肉焼くだろ!モ○ハン常識じゃねぇか!」

「え、いや、まぁそやけど」

「ルリ!焦げてるっ!」

「あ″あ″ぁぁぁぁぁぁ!!お前せいで焦げたじゃねぇか!どうする!」

「チクショ!最後の生肉だったのに!!」

「え!わ、ワイのせいかい!?」

「「「「テメェ以外誰がいるんだよ!!」」」」

 

 アホ達が豪○寺に飛びかかりキャットファイトさながらの攻防を繰り広げる。攻防と言うよりほぼ四人がかりで重○ーをリンチにしているだけだが。そんな様子を見ていた周りのプレイヤー達は…

 

 (((((((肉、勿体ないな~)))))))

 

 と、ツッコミをいれ今ボコボコにされている伊○真○については一切触れず肉の事だけしか考えていなかった。

 そして唯一の常識人であるディアベル、エギル、キリト、アスナの四人はこのカオスを目の当たりにし…

 

「「「「なんだこれ…」」」」

 

 と一言呟くのであった。

 

━━━━━━━━━━

 

 で、ヤ○ガスをひとしきボコボコにし回復もさせた後、気を取り直してボスの部屋に突入。一番奥で斧とバックラーを持った二足歩行のデカイ犬とトカゲを足して二で割った様なヤツと甲冑を身に纏った小さい取り巻きが現れた。

 攻撃開始の合図と共にディアベルの指示のもと隊ごとに攻撃(アタック)防御(ブロック)交代(スイッチ)を効率よくスムーズに行う。

 そしてキリトやアスナ・リンネ達がいるF隊の主だった仕事が取り巻きの排除である。取り巻きの攻撃を誘発しソードスキルで弾き飛ばした後スイッチ、がら空きになった胴体に向かって攻撃を当てるのを繰り返す。のだが…

 

「おら!」

「ふん!」

「せいはぁ!」

「…」

 

 アホ達は個人プレイに興じていた。いやまぁ一人で取り巻きを押さえられているのだからそれはそれでいいのだが事前に何の話もしていなかったキリトとアスナはほぼ棒立ちの状態。一様経験者であるキリトは後ろでスタンバって何時でもスイッチ出来る状態にはしているがこのアホどもは一人で取り巻きを片してしまっているので後ろで見てるだけでなにもしてない人に見えてしまう。

 

「それにしても…」

 

 とキリトは前で取り巻きを相手してある三人(・・)から目線を外し後ろにいるリスモを見る。

 

「…」

 

 何やら前衛でボスに直接ダメージを与えているA隊や他の隊をじっと見ているだけで全く戦闘に参加する気配がない。

 

「何なのよあの人。前で戦っているあの人達はともかく一人だけサボり?」

 

 どうやらアスナも疑問…と言うより呆れているらしい。確かにそう見えなくない。キリトやアスナは戦ってはないが戦闘に参加する意思事態はあるので良いとしてもリスモは短剣その物は抜いているが戦闘に介入しようとする意志の様なものを感じない。ただディアベル達A隊やボスを凝視しているだけである。

 

「よぉ!取り巻き片したぜ!」

 

 とチャタがキリト達に手を振り取り巻きの排除が完了したことを報告する。チャタの声に反応したキリトとアスナはリンネとルリの周りにも敵がいないことを確認すると次の取り巻きがリポップする前に前衛組のサポートに入るため走り出す。今は余計な事を考えずボスを倒すことだけに集中しようとリスモの事は振りきる。

 そして戦闘も終盤に差し掛かりボスのHP(ヒットポイント)のバーが最後の四つ目のレッドゾーンに入りボスが斧とバックラーを投げ捨てる。

 情報道理に武器変更が行われるようだ。すると…

 

「俺が出る!」

 

 ディアベルが単身前に出てボスと一対一の状況になる。その事に疑問を持ったキリトはボスを改めてみてある重要なことに気づく。

 

β(ベータ)の時と違う!タルワールじゃなくて野太刀!もっと上の階層の武器だったはず!!)

 

 武器が違うとゆうことは攻撃パターンも変化しているはず。それが分からないままボスと一対一の状況になってしまったディアベル。

 

「駄目だ!!」

「武器が情報と違う!下がれぇ!!」

 

 キリトが大声で警告を言う直前、同じくβ(ベータ)テスターであったリンネがディアベルにそう伝える。

 だが…

 

「っ!うわあああぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 ボスの野太刀による二連撃のソードスキルによって大きく後方え吹っ飛ばされるディアベル。それに動揺するプレイヤー達。だがボスの攻撃は止まらない。繰り出される野太刀による攻撃に全く対処出来ないプレイヤー達。武器が変わったことによる攻撃パターンの変化に対応が出来ず、リーダーが吹っ飛ばされた事がパーティーの指揮に致命的な損害を出してしまったからだ。

 

「ディアベル!」

 

 キリトはいち早くディアベルの元え走る。そしてディアベルの口から彼自身の秘密を知ることになった。

 ディアベルもまたβ(ベータ)テスターであり最後の突撃はフロアボスのラストアタックによるレアアイテムの入手にあった。勝てると確信したディアベルは単身で行くもβ(ベータ)時代とは違う武器の仕様に気づくことなくこのような結果となってしまった。

 

「頼む…皆のために、ボスを…ボスを倒してくれ…」

 

 その言葉を最後にディアベルはポリゴンとなり砕け散った。それを目の当たりにしたプレイヤー達は戦闘中にも関わらず硬直してしまった。先程までの勝てるかもしれないとゆう希望に満ち足りていた状況は一気にひっくり返りプレイヤー達は戦意喪失してしまっている。その一ヶ所に止まってしまった結果、ボスのソードスキルを発動にも気づくことなく格好の獲物と化したプレイヤーにボスの野太刀が…

 

 ガキコォン!!

 

 届かなかった。

 

「たくなんだよ、この胸くそ悪い結果は…」

「勝手に突っ込んで勝手に殺られて…」

「終いには皆のためにボスを倒せとか抜かしやがって…」

「責任者を名乗るなら最後まで責任を背負っていけ、誰かに託すな…」

 

「「「「だがっ!!」」」」

 

 弾き返された野太刀にボスものけ反り後ずさる。プレイヤー達は改めてボスの前に立つ人物達を見た。それは正義の味方とか伝説の勇者とかには到底思えないような理解しがたい行動ばかり繰り返してきた四人組。変人や奇人の言葉が特に似合うそんな連中の背中が大きな影を作り自分達を覆っていた。

 

「良いじゃん、やってやろうじゃん!」

「たかがボスの一匹がなんだ!」

「墓は要らないよな?どうせ形も残らず消し飛ぶんだから!」

「それな!」

 

「「「「おら、かかって来いや!ワンちゃんっ!!!」」」」

 

 アホ達の逆襲が始まる。

 

 




日に日に閲覧数が増えていくことを喜ぶ作者です。
次からは毎週日曜更新を目指していく予定です。
こんなクソみたいな小説でよければどうかよろしくお願いします。
登場人物紹介はもう少し先になりそうです。


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中二病で一番怖いのは治った直後

前回のあらすじ
リンネ・チャタ・リスモ「てんてこんててて♪てんてこんててて♪ててて♪ててて♪ててて♪ててて♪てれれれれれ♪」 
ルリ「こげた!」
リンネ・チャタ・リスモ「チクショーメー!」
アスナ「わかったわ、やる気が無いのね」



ボスと真っ正面に立つリンネ達。それを棒立ちでまじまじと見ているプレイヤー達。空気が一瞬だけ停止したかの様な風景の中、先に動いたのはリンネ達だった。

 

「リスモ、下調べは?」

「九十七%くらい、ディアベルがいなくなったから少し時間がかかるかも」

「だいたい?」

「再編に一分、回復に一分」

「合計二分か…、楽勝!」

「よし。んじゃ、おっぱじめますか!」

 

 リンネの合図と共に一気に散開する四人。リンネとルリはそれぞれ左右に、リスモは後ろに、そして残ったチャタは…

 

「おっしゃああぁぁぁぁ!!」

 

 全力疾走で前に。

 

「っ、バカ!さっきのディアベルの殺られ方見てなかったのか!?」

 

 キリトが咄嗟に叫ぶ。だがチャタは止まることなくボスに突っ込む。それを逃すはずもなくボスは再びソードスキルを発動するため構えをとる。キリトはカバーに入るためチャタの元えと走る。だが間に合わない。ボスがソードスキルを発動し目の前にいるチャタに向かって兜割りの如く縦一直線に野太刀を振り下げる。

 

 ドゴォオン!!

 

 ドデカイ砂塵が起き一瞬キリトの視界からチャタが消える。

 

 (まさかチャタもっ!)

 

 最悪の結末をその脳裏に浮かべながら砂塵がはれていくのを見る。そこにチャタの姿はない。

 

「…クソッ!」

 

 目の前でまた一人のプレイヤーが死んだ。キリトの心にまた一つの罪悪感が生まれる。

だが…

 

 不意に口笛が聞こえた。

 

 その音はボスの背後から聞こえ、ボス自身も今気付いたらしく後ろを振り向く。キリトも後を追うように目線をボスの後ろにする。そこには…

 

「ほらほらこっち!おし~りペンペン♪」

 

 尻を突きだし豪快に叩くチャタの姿が。チャタは攻撃を受ける直前にスライディングをし、攻撃を回避しつつボスの股をすり抜け背後をとったのである。ボスはその挑発にのるようにチャタに向かって野太刀を振り回す。ソードスキルを発動してないものの巨大な得物が目の前で空を裂きながら自分に向かってくるのはかなりの恐怖である筈、だがそれをチャタは…

 

「よぉ、ほぉ、うぉう!あぶねぇ、あぶねぇ」

 

 まるで子供とチャンバラごっごでもしてるかのように軽々とかわす。それに煮えを切らしたのかボスがソードスキルを発動し先程とは比べものにならないほど速い一撃を放つ。対するチャタも同じくソードスキルを発動。ぶつかり合った野太刀と槍が火花を上げ弾け、お互いの武器が打ち上げられる。

 

「スイッチ!」

 

 途端チャタはそう叫ぶ。するとボスの背後から迫る影が二つ。リンネとルリだ。

 

「おっりゃあ!!」

「ふん!!」

 

 二人はボスのがら空きの背中に左右からソードスキルを叩き込む。呻き声を上げながら今度はダメージを与えられたリンネとルリの方に振り向くボス。だが…

 

「どこ見てんだよ!!」

 

 またしてもがら空きになった背中に体勢が整ったチャタがソードスキルで畳み掛ける。そのまま三人はボスを囲みながら攻防を入れ換えながら牽制する。

 

「凄い…たった三人でボスを抑えてる…!」

 

 キリトは驚愕する。先程まで隊を連携させなければ苦戦を強いられていたボス相手にたった三人で対抗しているのだから。もちろんそれはキリトの誤った認識だ。攻撃を当てていると言ってもソードスキル無しの普通の攻撃か発動後の硬直時間が一番短い低威力のソードスキルのみ。しかも発動後はすぐに後ろに下がりボスとの間に一定の距離を作り武器の間合いに入らないようにする。時にボスを挑発し振り向いたところで背中を攻撃しまた下がる。これを繰り返し行いヘイトを分散させることで狙いを付けさせない様にする。言うなれば嫌がらせ(・・・・)だ。こんなものはただの時間稼ぎにしかならない。そう逆に言えば時間を稼ぐ(・・・・・)には打ってつけなのだ。

 不意にキリトは後ろが忙しなくなっているのに気づく。そこには…

 

「A隊とC隊の槍装備二人づつ交代、そこのB隊の盾持ちはD隊の一番背の低い盾持ちと交代、盾装備はポーションを使ってHP(ヒットポイント)をグリーンまで回復、A~Dまでの盾装備と槍装備以外はポーションを片手に持って待機、E隊は二つの班をなるべく装備が均等に同じになるように作れ!」

 

 リスモが後ろで硬直していたプレイヤー達に指示を飛ばしている。しかもかなり細かい。

 

「あんた何なんだよ!いきなり指図しや「勝ちたいなら、僕の指示に従え!!」」

 

 それに文句を言おうとしたプレイヤーがリスモの気迫に負けたじろぐ。そして[勝ちたいなら]とゆう言葉に触発されリスモの言うとおりに指示を聞く。

 

「A~D隊、盾装備のプレイヤーを横一列になるように展開!その後ろにポーションを持ったプレイヤーを配置、槍装備はそのまた後ろで槍を構えたまま待機!E隊は両端に別れて展開、いつでも動けるようにスタンバイ!」

 

 まるで陣の様に形成された三列、それはまさしく城壁の様に美しく作られていた。それはプレイヤーの配置によるものだ。先程までと違い盾を構えたプレイヤーに背の差がなくなっていた。日本人は基本短足で足よりも胴体の方が長い。胴体の長さはそのまま盾を構えた際位置に微妙な誤差を生み、並んで構えた時隙間が出来る。それをリスモは背の差を出来るだけ均等にかつ一ヶ所に集めることで隙間を無くしたのだ。

 

「準備出来たぞ!!」

「っ!撤収!!」

 

 リスモの声に反応しボスを抑え込んでいた三人が一斉に後ろに下がる。もちろんボスも追いかけてくる。ボスは構えを取りソードスキルの発動準備をする。

 

「来るぞ!盾装備は構え!」

 

 リスモの指示に力を入れ盾を構えるプレイヤー達。直後に猛スピードで迫るボス。横になぎ払う様に放たれた一撃を即席の城壁はものともしない。

 

「す、スゲー」

 

 誰かそう漏らした。ボスのソードスキルを受けたのに全くビクともしないのだから当然である。だがそれで終わるわけが無い。次々と打ち込まれるボスからの斬激の応酬にみるみるHP(ヒットポイント)を減らす盾装備のプレイヤー達。

 

「槍装備、盾越しから攻撃!」

 

 リスモの指示により三列の一番後ろにいた槍装備のプレイヤーが一斉に盾の上を通り過ぎボスにダメージを与える。槍特有の長さ故の攻撃だ。反撃を予想していなかったのかボスは突然の攻撃に怯む。

 

「今だ!E隊左右から奇襲をかけろ!」

 

 そこえ両端にスタンバっていたE隊がボスを左右から挟む形で取り囲み一斉にソードスキルで攻撃する。

 

「盾持ちは盾を構えたまま待機、ポーション持ちは盾装備にポーションを飲ませてHP(ヒットポイント)を回復させるんだ」

 

 ポーションを持っていたプレイヤーが盾装備のプレイヤーの口にポーションを飲ませる。これにより盾を構えたまま回復が出来る。

 

「まさか…、これのためにずっとプレイヤーの観察を…?」

 

 これまでの見事な軍略にキリトはそう考えた。

 

「いや、これはあくまて予備策として考えていた物だ」

 

 その疑問を先程戻ってきたリンネが答えた。リンネはポーションを懐から取り出し乱雑に蓋を開け中身を飲む。

 

「予備策?」

「ん、ん、ん、ぷぁー!そ、何事もなければあのままディアベルの指示で動くつもりだった」

「だけどβ(ベータ)から色々違うところがあってもしかしたらボスの仕様も変わってるかもって考えたんだ」

「そんでそのもしも(・・・)が来た時のためにリスモにプレイヤーの背丈や装備を見てもらって直ぐに指示が飛ばせる様に仕向けたってわけ。にしてもこのポーション、マズッ!」

「貴方達、そこまで考えて…」

 

 リンネの説明に便乗しルリとチャタもそう答える。キリトの隣にいたアスナも驚きを隠せないようだ。とその時…

 

「■■■■■■■■■■!!」

 

 ボスが雄叫びを上げ大きく後ろに飛ぶ。そして独特の構えを取りソードスキルの発動準備を整える。

 

「っ!キリト、あのソードスキルの攻撃回数分かるか?」

「たしか三回!」

「よし、お前ら二人もついて来い!リスモ、出るぞ!」

「っ!E隊盾の後ろまで後退、HP(ヒットポイント)が少ない者は回復!A・B隊左に一歩、C・D隊は右に一歩ずれろ!」

 

 キリトとアスナを後ろに引き連れ再び走り出すリンネ達。リスモの指示で左右に割れたプレイヤー達の真ん中を突っ切りボスに一直線に接近する。

 

「俺達がアイツ(ボス)の攻撃を防ぐ!お前ら二人は止め刺せ!」

「「了解!」」

 

 リンネの指示に何の迷いもなく従っう二人(キリトとアスナ)。無意識ではあれ彼らの事を信用したとも感じ入る。

 徐々にボスとの距離が縮まる。そしてボスの持つ野太刀の有効射程に入ったことでソードスキルが発動する。

 一撃目は上から下に振り下ろすような兜割り。

 

 カギゴォンッ!!

 

 リンネによって防がれる。続いて二撃目、振り下ろした野太刀を今度は下から上に切り返す。

 

「スイッチ!」

 

 カギゴォンッ!!

 

 リンネとスイッチしたルリが防ぐ。続いて三撃目、切り返した野太刀を後ろに引いてからの突き。

 

「スイッチ!」

 

 ガギャアン!!

 

 ルリとスイッチしたチャタが同じく突きで防ぐ。ソードスキルを発動し終えたボスは硬直時間に入る。

 

「スイッチ!」

 

 チャタのスイッチで同時に前に出るキリトとアスナ。そのままソードスキルを発動しボスの胴体目掛け突っ込む。

 

「うおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

「はああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 雄叫びを上げながらボスの胴体にソードスキルを当てそのまま後ろに切り上げる。そこでついにボスの残り少なかったHP(ヒットポイント)が無くなり、まぶしい光が部屋一杯に拡散、美しいポリゴンが弾けボスは跡形もなく消え去るのだった。

 

━━━━━━━━━━

 

 一瞬の静寂が部屋を支配した。誰しもがまるで時間が止まったかの様に放心している。だがその支配は突如現れた宙に浮く文字によって破られる。

 

 [Congratulations!!]

 

 それの意味はもちろん…

 

「や、やったぁ!!!」

「「「「「うおおぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」」

 

 感極まったプレイヤー達が一声に声を上げる。そう、遂にやってのけたのだ。この地獄が始まってから初めてフロアボスの討伐に成功したのだ。

 

「ふぅ…、お疲れ…」

「お疲れ…、アデデ!まだ腰痛てぇ」

「どっか捻ったんじゃねぇか?ほら」

 

 プレイヤー達が歓喜に震えているなか、嬉しさよりも疲労の方が大きかったのかその場に座り込むリンネとチャタ。そしてその二人に手を伸ばし立たせようとするルリ。

 

「おい、大丈夫か?」

「もしかしてどこか怪我でもしたの?」

 

 そこにボスに止めを刺したキリトとアスナが寄ってきた。どうやら急に座り込んだので心配なったらしい。ちなみにだが、アスナは上に着ていたフードがはだけて素顔をさらしている。どうやらさっきの攻撃の際に勢いでフードが脱げたらしい。

 キリト達の疑問にルリがリンネとチャタの手を引っ張り立たせながら答える。

 

「いや大丈夫だ。単にコイツらが疲れて座りこけてるだけだから」

「そうか、なら良いんだけど」

「よぉ、お前ら!」

「おっつー、ご苦労さん」

 

 そこにエギルとリスモがやって来る。

 

「見事な連携と剣技だったぜcongratulation(コングラッチュレーション)。この勝利はお前らのもんだ!」

 

 エギルの称賛に周りのプレイヤーも肯定する。実際彼らがいなかったらどうなっていたことか。キリトとアスナは褒められる事に慣れていないのか後頭部を掻いたり、恥ずかしそうにうつむいたりしている。一方のリンネ達はお互いの顔を見合わせ健闘を称えた。そうこの場の空気はとても良い。ボスを倒した達成感を皆感じている。

 だがイレギュラーとゆうものは必ず存在する。

 

「なんでや!」

 

 突然の叫び声に静まり返るプレイヤー達。その声の元はキバオウだった。

 

「なんでディアベルはんを見殺しにしたんや!」

「見殺し…?」

「そうやろが!自分はボスの使う武器知っとったやないか!そこの曲剣使いもそや!」

 

 キバオウが涙ながらにキリトとリンネを指差しながら言う。

 

「最初からあの情報伝えとったらディアベルはんは死なんと済んだんとちゃうか!?」

「きっとソイツら元β(ベータ)テスターだ!だがらボスの攻撃パターンも武器も知ってたんだ、知ってて隠してやがたんだ!他にも入るんだろこの薄汚いβ(ベータ)テスターども、出てこいよ!」

 

 キバオウの隣にいたプレイヤーの発した言葉に周りがザワつく。そこかしこでキョロキョロと落ち着けなく「俺じゃないぞ…」「お前じゃないのか…」など自分以外のプレイヤーを疑う声が漂う。

 

「どうするリンネ?」

「どうするもこうすもねぇよ、今さらβ(ベータ)だったからどうって話じゃねぇだろ」

「だけど不味くね、この空気?」

「確実に不味い、もしかしたら今後のボス攻略に支障をきたす可能席がある」

 

 一ヶ所に集まったリンネ達がヒソヒソと話す。実際上不味い状況であった。元β(ベータ)テスターであるリンネと行動を共にしていたルリ・チャタ・リスモも元β(ベータ)テスターとして疑われる可能性があり、最悪β(ベータ)テスターは悪の象徴として上げられプレイヤー同士でβ(ベータ)狩りと称してPK(プレイヤーキル)事案が発生するかもしれない。そうなれば今後このようにパーティーを組んでボス攻略をすること自体が出来なくなってしまう。四人は咄嗟にその事に気付き知恵を振り絞って打開策を講じている中…

 

「ふはははははぁ、あ~はっはっはっはっは!!」

 

 不気味な笑い声がプレイヤー達の視線を集めた。

 

「元βテスターだって?俺をあんな素人連中と一緒にしないでくれないか?」

 

 声の主はキリトだった。ゆっくりとキバオウ達に近づくキリトはこう語った。

・saoのβ(ベータ)テスターに当選した千人の内のほとん

 どがVRゲームをやったことがない素人ばかり。

・しかし自分はその他のプレイヤーでは到達できな

 かった階層に一人で登った唯一の存在であるこ

 と。

・ボスの攻撃パターンも武器も知っていたのはその

 上の階層にいたモンスターと戦ってきたから。

・他にも情報屋なんか頼らなくても良いような情報

 を知っている事。

 

 などをまるで自分の武勇伝でも言い聞かせてるように答える。

 

「なんやそれ…そんなんβテスターどころやないやんか…。そんなんチートやチーターやろそんなん!」

「そうだ、β(ベータ)のチーターだからビーターだ!」

 

 その言葉を聞いたキバオウや他のプレイヤー達もヤジを飛ばし[ビーター]と言う名称か飛ぶ。

 

「ビーター?良い呼びなだなそれ。そうだ俺はビーターだ。これからは元テスターごときと一緒にしないでくれ」

 

 するとキリトはメニュー画面をいじり黒いコートを装備する。先程のボス攻撃のラストアタックで手にいれたレアアイテムと思われる物だ。そしてまるで[来れるもんなら来てみろ]と言うように嫌味たっぷりに笑うとプレイヤー達に背を向け歩きだす。

 

 と、ここで(読者様)にちょっと考えてほしいことがある。

 ここは言うなればif(イフ)の世界。原作(オリジナル)とは違う何かが存在する世界線だ。いや別にシュ○ゲの話はしてないですよ?つまり何が言いたいのかと言うと、ここは本来とは違う展開があっても良い世界である。

 例えば…

 

 ひゅ~、ゴキィン!!

 

 キリト君の頭上に突然鹿威し(ししおどし)の如く槍が落ちてきたりする世界と言うことだ。

 

「「「「「「「「「え?」」」」」」」」」

 

 突然の出来事に一部を除いたプレイヤー全員の声が揃う。で、キリト君はと言うと…

 

「お、お、おわぁぁぁぁぁぁぁ…」

 

 メッチャ痛そうにその場に座り込んでいた。

 

「な、何すんだお前ら!」

 

 キリトは両手で頭を押さえつつ鹿威し(ししおどし)をした張本人達を見る。

 

「いやこっちの台詞だよねそれ。なに中二病発病してその場から去ろうしてのお前。バカなの死ぬの?」

「きっとアレだろ?南斗のレ○みたいな感じで去ろうとしたんしゃね?」

「う~わリアルで見ると結構恥っず!どのくらい恥ずいかって言われるとキン○マンで今だに最強は○シュ○マンとか答えてるヤツなみに恥っず」

「それな!」

 

 アホ四人がいた。ちなみに鹿威し(ししおどし)をしたのはチャタの槍である。

 

「てか何[ベーター]て、ベ○ータの親戚かなんか?」

「OVAで弟のター○ルは出てきたろ」

「嫁さんは妙に可愛かったな。あれでサ○ヤ人との子供が産まれるとなるとちょっと恐怖だけど」

「それな!」

「おいおまんら!」

 

 いつまでも自分達の空間を作り続ける四人にキバオウが食って掛かった。

 

「ん?なにト○ニャン?」

「キバオウや!おまんら状況分かっとんのか!?」

「なにが?」

「ソイツはボスの情報やらなんやらを隠してディアベルはんを見殺しにした張本人やで!」

 

 キバオウはキリトを指差しながら叫ぶ。

 

「うんそうだな。で?」

「いや…[で?]ってなんやねん!」

「いやだからなんなの?それでお前らはどうしたいの?」

「そ、そんなん決まっとるやろ!ディアベルはんの無念を張らすために今からコイツをケチョンケチョンにして…」

「してどうすんの?」

「え、せやから…」

「殺すの?」

「そ、そんなわけないやろ!そんなん人殺しになるやんか!」

「じゃどうすんの?」

「えと…せやから…」

 

 四人の反応に追求していた筈のキバオウが逆に段々と押し黙る。四人はそれぞれ大きいため息を吐く。

 

「要はそうゆうことだろ?何したって結局死んだ人間は帰ってこない。犯人仕立て上げても残るの空しさだけ」

「てかお前らの方が分かってるのか?俺たちがこうしてビーターだかベ○ータだか言ってる間に他のプレイヤーが死んでるかもしれないんだぜ?」

「お前らのただのβ(ベータ)テスターの逆恨みじゃん。ようやくボス倒して良い雰囲気になったのにその問題掘り返してお前ら何したいの?差別?」

「モラル・パニックは人間の理性を一気にぶっ飛ばす。だからこそ冷静になる頭が必要だ。違うか?」

 

 一転してこの四人の言葉に押し黙るプレイヤー達。この混沌とした空気の中で唯一冷静に状況を見ていたのは彼らだった。

 たが今一度考えて欲しい。こんな真面目なことをただ言うのが彼らだと思うだろうか?

 それは…

 

「てかちょっと考えてみて?なんでアイツはそんな上の階層のこと知ってんのか」

「それはさっき自分の口から言うとったやん。アイツが他のβテスターより上の階層に行ったことあるうちゅうて」

「俺達がこうしてパーティー組まないとボスの一匹も倒せないのに?」

「「「「「「「そういえば確かに」」」」」」」

 

 勿論否である。

 

「もしだよ?β(ベータ)の時よりもボスが弱かったとしても何でアイツは然も自分だけが上に上がったみたいなこと言ってるの?」

「なんでや?」

「要はアレよアレ。夜中のテンションで書いちゃった自作小説的なヤツよ」

「ほらいるだろ?一人孤独を背負ったダーク的なヤツ。アレになりたかったんだよアイツ。ネトゲだといるだろそうゆうヤツ」

「なんでそないこと思ったんや」

「ボス倒してテンションがハイになったんじゃね?たぶんβの時にもパーティー組んでボス倒したけど『ふ、俺の左手に封印されし[邪神黒龍]の力を解放すれば一瞬だったがな…』的な脳内設定作ってて」

「なら、情報のことは?」

「知ってる風な言い方して強者アピールしたかったんじゃない?本当は他のβ(ベータ)テスターか情報屋にでも教えてもらったとか」

「「「「「「「あぁ、なるほど~」」」」」」」

 

 なんかいつの間にかアホ達に言いくるめられているプレイヤー達。するとキリトに歩み寄るキバオウ。

 

「その…なんや、ワイも頭に血が上りすぎたかもしれん。すまん」

 

 ばつが悪そうに後頭部をかきながら謝罪するキバオウ。対してキリト…

 

「…ひぃや…!べ、べつにききき気にしてなんかないぜ!」

 

 顔面真っ赤にしていた。それもそうだ。アホ達のせいで中二病患者扱いになってしまったのだから。

 

「俺も疑うようなことした」

「俺も」

「悪い俺もだ」

 

 と言った感じで周りのプレイヤーもキリトに謝り出す。キリトの顔は最早真っ赤にゆだったタコだ。キリトはこんなことになった張本人達(アホ四人)をみる。

 そして…

 

(^ω^)b(^ω^)b(^ω^)b(^ω^)b 

 

 こんな感じで親指立てていた。

 

「うわあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 キリトは反転、二層に続く階段に向け全力疾走である。周りのプレイヤーは「どうしたんだアイツ?」「さぁ?」と言っている。

 

「アレってあの人を助けるためにやったことなんですよね?」

「た、多分そうだとは思うが…」

 

 プレイヤー達から少し離れたところでアスナとエギルが四人の行動を推測する。不意にアスナが四人を見る。

 そこには…

 

 ニコォ~

 

 とゆう感じで左頬のみをつり上げて笑っていたアホ達がいた。具体的にどんな感じで笑ってると言われると[幼女の皮を被った悪魔]の笑顔にそっくりである。

 

「絶対違う…!」

 

 アスナの中で何かが確信した。

 

 その日のとある情報屋の記事に第一層攻略の知らせと共にこんな記事が掲載された。

 

 [なお攻略でテンションが上がり中二病を発病させるプレイヤーがいる模様。今後攻略に参加するものは注意すること]

 

 デカデカと黒いコートを着たプレイヤーの写真を乗せて。

 

 




夜中のテンションのまま書いてるのでおかしい部分しかないかも。
次回は体術スキルについての話です。


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レベルを上げて物理で殴る方法

前回のあらすじ
リンネ「(^ω^)b」
ルリ「(^ω^)b」
チャタ「(^ω^)b」
リスモ「(^ω^)b」
中二病「あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ“あ″!!!」



 SAO内のスキルの中に[体術]と言うものがある。

 その名の通り己の拳でモンスターにダメージを与えるスキルである。SAOの武器には耐久値とゆうものが存在し、耐久値がゼロになると武器が折れ消滅してしまう。その対策のため事前に耐久値をMAXにしておくか、同じ武器もしくは類似の武器を複数持つとゆうのがオーソドックスだ。その点[体術]スキルはもし武器が消滅してしまってもそのまま戦闘を続行できるため攻略を進めるのなら是非とも欲しいスキルだ。そしてもちろん…

 

「ねぇ~まだなの?」

「もうちょっと先だ」

「おいそれ何回目だよ、本当にこっちなんだろうな?」

β(ベータ)の時は直ぐに着けたのにな~…」

蝸牛(かたつむり)

「おいやめろ。それ俺たち詰んでるから」

「ごめ~ん。俺、(し○ぶ)派」

「チャタ、今それ関係ないから。ちなみに俺は撫○ちゃん派」

「かみまみた派」

「妹派」

「どれだよ?」

「止めとけ。リンネは基本妹系は全部好き派だから」

「分かってる~!」

 

 このアホ達もスキル目当てに動いていた。彼らも今後攻略を進めるため少しでも役に立つスキルを求めこの第二層の迷宮区を歩いていたのだ。

 ところで全く関係ないが全員の趣味が幼女であることに四人は気づいていない。

 そうして話の内容が物○シリーズから何故かクトゥルフ神話に変わりながら目的のスキル習得が出来る場所に到着する。そこには二人ほど先客がいた。

 

「ふん!…駄目だ、全然ビクともしない」

「オイオイもう少し頑張ってくれヨ、キー坊」

 

 先客は男女が一人づつだった。一人は黄色のローブで全身を隠しているが顔に特徴的な三本線が入った背の低い女子プレイヤー。名前は[Argo](アルゴ)。元β(ベータ)テスターであり腕のある情報屋で四人も世話になっている。そしてもう一人は…

 

「げ!お前ら…!」

「あ、レ○シス・○ィ・フェ○シティ・煌!」

「鳳○院○真!」

「○ーク○レイムマ○ター!」

「○影!」

「そこまで言うならもう中二病でいいだろ!なんでちょっとはぐらかすんだよ!!」

 

 中二病患者(キリト)がいた。

 彼は第一層攻略後に出されたとある記者(隣にいる三本線)が作った記事によって恐らく…と言うかほぼ全プレイヤーに中二病患者として認知されてしまった。この四人(アホ達)によって。

 

「お前らのせいで俺がまるで中二病拗らせた痛いプレイヤーみたいになったんだぞ!!」

「いいだろ別に。あの場で騒動にならなかったんだから」

「そ、それはそうだけど…」

「それに元からだろ?」

「元からって何だ!俺は別にノーマルだ!」

「『俺をあんな初心者連中と一緒にしないでくれよ』」

「うっ!」

「『他にも知ってるぜ?情報屋なんか目じゃないくらいにな』」

「ぐほっ!」

「『ビーター?良い呼びなだなそれ。そうだ俺はビーターだ。これからは元テスターごときと一緒にしないでくれ』」

「ぐはぁ!」

「『ふ、俺の左手に封印されし[邪神黒龍]の力を解放すれば一瞬だったがな…』」

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁ!って、それはお前らが勝手に言ったセリフだろ!」

 

 四人がキリトのものまねをしながらキリトに精神的ダメージを与える。ちなみにものまね自体は微妙に似ている。

 

「おいキー坊、さっきのセリフ本当カ?」

「え!?いや…それは言葉のあ「言ってたぞ」オイ!」

「ねぇちょっと奥さん聞きました?あそこにいる黒ずくめのお人、お世話になってる情報屋さんをいらない存在とか言ったらしいんですって」

「まぁ!なんて恩知らずな子なんでしょうねぇ~。きっと友達もいないボッチだったんでしょうねぇ~」

 

 チャタとリスモがまるで住宅地で立ち話をしている奥様のような話し方でキリト煽る。ちなみに奥様特有の片手に手提げを持って口に手を当てるあのポーズをしている。

 

「そうか。よし、じゃあ次からキー坊に売る情報は三倍額にしよウ」

「ちょっと待ってくれアルゴ!誤解だから!」

「でも嘘じゃないんだロ?」

「確かに言ったが!」

 

 その後の抗議の末、今後キリトは攻略の役に立つ情報を通常の半額でアルゴに提供することで決着した。

 

「で、お前ら何してるの?」

「見てわかるだろ?体術スキルの習得クエストだよ」

 

 ルリの疑問にキリトがゲッソリした顔で答える。キリトの目の前には全長三メートルはある岩がありその隣に年老いた老人がいた。

 

「ならアルゴは?」

「オレッちはその体術スキルの習得方法の情報を取ろうと思ってナ。偶然いたキー坊に頼んでオレッちの代わりにクエストを受けて貰ってるんダ。あ、キー坊今回の報酬も値引きさせてもらうからナ」

「で、成果は?」

「見ての通りサ」

 

 アルゴが指差す方向にはキリトが正拳突きの構えを取り右手に力を溜め撃ち放つ姿がある。

 

 ゴンッ!!

 

 堅い岩に拳を作った右手が当たるが岩はヒビすら入らない。

 

β(ベータ)の時はコツさえ掴めば簡単なクエストだったんだかな…」

「ふーん」

「…なぁアルゴ?その依頼俺らも便乗していいか?」

「別にいいガ…、元β(ベータ)のキー坊で駄目だからナ~」

「ま良いじゃん。失敗しても情報として売ってくれるんだろ?」

「あぁ、実績として売らせてもらうゾ」

「んじゃやろうぜ!」

 

 そうして意気揚々とクエストを受ける四人。

 

『我が秘伝の技を習得したければこの岩を己の拳で粉砕してみせよ!』

 

 年老いた老人のセリフと思われるテロップが四人の前に表れ全員がOKボタンを押す。

 この時彼らは割と軽~い気持ちでこのクエストを受けた。

 だが実際は…

 

━━━━━━━━━━

 

 2時間後…

 

「ドチクゥショオオオオ!!!」

「何故だ!何故!!」

「ガデムゥッ!!!」

「あ″あ″あ″あ″あ″あ″、チーズ蒸しパンになりたぁぁぁぁいぃ!!」

 

 アホ達の阿鼻叫喚。一体こんな光景誰得なのだろうか。

 

「クソッ!なんで二時間以上も殴ってんのにヒビ一つ入らないんだ!」

「なにか!?この岩、実はゴーレムで俺達が攻撃してる間にガッツ溜めて[竜○アタック]でもかます気なのか!?」

「それかこの岩を百万回殴り続ける事で習得できる魔法的なヤツ!?」

「あ、ジャ○プの打ち切り漫画」

「るせぇ!俺は好きだったんだよ!なんで打ち切った編集部!!」

「そんなこと言ったら永遠に謎だろ、シャー○ンキ○グ」

「「「あれは編集部の陰謀」」」

 

 同意…じゃなかった。

 アホ達の叫びに「何してんだアイツら」みたいな目でキリトとアルゴは見ていた。

 

「はぁ…、なぁじいさん何かヒントとかないのか?」

 

 見かねたキリトが状況打破のために老人にアドバイスを貰おうとする。その老人はどこか虚空を見つめて動かない。

 

「…」

「?おい、じいさん?」

「…さ」

「さ?」

「砂漠を渡るなら[コ○]のカードが必要じゃ」

「おいこのジジィ、バグり始めたぞ!!」

 

 砂漠でも無いのに何故か[コ○]のカードを求める老人。アホどもに毒されでもしたか。そして張本人達は…

 

「え~[コ○]~?俺銀○眼(ギャラ○○○アイズ)だからノーマル無いわー」

「俺ワ○トデッキだから鳥類いない」

「ライ○ロード」

「ナイ○ルラデッキ」

 

 何故か自分のデッキの話をしていた。とゆうかリスモのデッキは勝てるかどうかも怪しい。

 

「あ″ぁ~、しょうがねぇ。最終手段だ」

 

 リンネがきびすを返し岩の前に立つ。すると今までガムシャラに岩を殴っていた姿とは比べ物にならないほど真剣な顔になる。

 

「ハァァァァァァァ…」

 

 深い息を吐き、精神を集中する。その姿にルリ達やキリトとアルゴも真面目な顔つきになる。

 そして…

 

 カッ!

 

「イヤーッ!」

 

 ドガシャアァンッ!!

 

 割れた、岩が。

 

「「「アイエエエエエエ!!ニンジャ!?ニンジャナンデ!?」」」

「ゴボボボボボボボーッ!」

「オイキー坊!いきなり吐くナ!!」

 

 いきなり現れた[ニンジャ]に(満面の笑みで)恐怖するルリ達三人。失禁はしてないが恐怖で嘔吐をするキリト。その背中をさするアルゴ。

 

「ニンジャ殺すべし」

 

 そしてオジギをするリンネ。第三者から言ってカオスである。

 

「うん、やっぱチャドーの構えだわ」

「いや、ちょっと待てぇ!なんで攻略法がニンジん!?ゴボボボッー!!」

 

 もはやキリトは[ニンジャ]の単語で嘔吐する始末。南無阿弥陀仏。

 

「いや、何となくチャドーの構えなら何とかなるんじゃねと思っただけだけど?」

「うん、チャドーなら行けるな」

「チャドーは偉大」

「フ○キド・ケ○ジ=サンなら仕方ない」

 

 謎の説得力。ニンジャなら仕方ない。

 

「なるほどナ。攻略法はチャドーの構えカ」

「あれ?てかニンジャで行けるならこれも行けね?」

 

 リンネに続くように今度はルリが岩の前に。

 

「ハァァァァァァァ…」

 

 リンネと同じく精神を集中するルリ。

 そして…

 

 カッ!

 

「フンッ!!」

 

 ドガシャアァンッ!!

 

 割れた、岩が。

 

「いやなんでぇぇぇ!なんでそんな簡単に割れるんだよ!今までの二時間何だったんだよ!!」

「知らんのか?飯食って、映画見て、寝る!(オトコ)の鍛練はソイツで十分よ!!」

 

 OT○NAだった。

 

「うん、OT○NAなら仕方ないな」

「OT○NAなら出来て当然」

「もう司令が歌えよ」

 

 この説得力。OT○NAなら仕方ない。

 

「はいはいはい!次俺!」

 

 続いてチャタ。

 

「ハァァァァァァァ…」

 

 そして精神を集中。

 

 カッ!

 

「ファ○コォォォォン・○ァァァンチィ!!」

 

 ドガシャアァンッ!!

 

 割れた、岩が。あと炎が出た。

 

「「「さすが○F(キャ○テン・ファルコン)!!!」」」

 

 さすがの説得力。○F(キャ○テン・ファルコン)なら仕方ない。

 

「じゃ、最後僕ね」

 

 そして精神集中。が、何故かあぐらをするリスモ。

 

「ハァァァァァァァ…」

 

 そして…

 

「ヌンッ…!」

 

 手刀を前に出し。

 

 ブウォン!!

 

 ビームが出た。

 もう一度言う、ビームが出た。

 

 ドガシャアァンッ!

 

 割れた、岩が。

 

「命は投げ捨てるもの」

「ト○か~」

「ト○ならな~」

「さすが病人」

 

 やっぱり説得力。北○なら仕方ない。

 

「いや何故ぇぇ!!」

「どったのキリト?」

「どうしたもこうしたもあるかぁ!!さっきから見てりゃなんでものまねで岩割れてんだよ!」

「「「「だって説得力あるじゃん」」」」

「そうだけどもぉ!!」

 

 残念ならがキリトの叫びはこの場では全く意味をなしていない。説得力の違いである。

 

「ほら次キー坊だゾ」

「いやいやいや、あれでどうやって割れってゆうだよ!ものまねしかやってないぞ!」

「ならキー坊もやれば良いだロ?」

「俺もっ!?」

「ほら、何でもいいからやるんだヨ」

 

 アルゴに押される形で岩の前に立つキリト。ため息をしつつ、

 

「ハァァァァァァァ…」

 

 同じく精神集中。

 そして…

 

 カッ!

 

「ホワッチャアッ!!」

 

 ボキッ

 

 折れた、指が。

 

「あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″!!!」

「ジャ○じゃ無理だな」

「ジャ○じゃなぁ~」

「ジャ○はノーカン」

「ボインボインボインジャ○ィ」

「うん、ジャ○は無理だと思ったゾ」

「いやケン○ロウのつもりだったんだけどぉ!?」

「え、今の[北○千○殺]じゃなかったの!?」

「どう見ても[撃○指]だろうが!!」

 

 完全にアッチの方に向いてしまった指を戻しながら叫ぶキリト。アッチの方とはとある[一方○行(なんとかロリータ)]の指が折られた時を想像すれば早い。

 

「う~ん、一度やったネタじゃダメなのカ?何度もやると説得力なくすシ」

「「「「なるほど~」」」」

「なるほどじゃねぇよ!」

「じゃあキー坊、他のやってくレ?」

「他のって!俺そんなにレパートリー無いぞ!?」

「いいからやれよ、何でもいいからさ~。何かあるだろ」

「ん?今何でもって?」

「リスモ、ステイ」

「ええっと、ううんっと…」

「ほら、早くやれ」

「早くしろ」

「早く早く」

「ヘイヘイヘイ、ピッチャーびびってるぅ!」

「キー坊早くしてくれヨ」

「だぁぁうるせぇ!こうなったらヤケだ!」

 

 後ろの煽りを力に変え放つ一撃。

 その技の名は…

 

「アン○ーンチ!!」

 

 ドガシャアァンッ!!

 

 割れた、岩が。

 

「…」

「「「「「…」」」」」

 

 静まり返る場。振り向くキリト。

 

「「「「バイ○イキーン」」」」

「止めろぉぉ!!!」

 

 こうして[体術]スキルの習得方法が判明した。

 

 




次回でようやくギルドの結成。(ようやくタイトル詐欺から抜け出せる)
登場人物の紹介も出来そう。
シリアスはまた有給です。


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名前決めは大体深夜のテンション

前回のあらすじ
『[体術]スキルの習得方法について』
何か説得力のあるキャラのイメージを頭に浮かべ、モーションを反映させることでお題である岩を破壊できる。
尚、既に使用されたキャラ、並びに説得力が薄いキャラだと失敗するので注意すること。
ん、何を言ってるか分かんないって?大丈夫、アルゴの攻略情報だよ!(ごり押し)
使用例↓
ニンジャ○レイヤー、OT○NA、○F(キャ○テン・ファルコン)
ト○(激流に身を任せる方)、アン○ンマン

エギル「なるほど、わからん」




《第三層 とある町のとある店内》

 

 そんなこんなで第三層。

 え?第二層のボスはどうしたかって?事前に言ってる(書いてる)通り作者のSAO知識はアニメが基準なのでアニメでやってない所は大体カットですよ?(論破)

 え、じゃあ何で第三層の話するのかって?それはもちろん必要だからですよ?

 何故なら…

 

「「「「最初はグー、ジャンケンポイ!アイコでしょ、アイコでしょ、アイコでしょ、アイコでしょ…」」」」

「勝ったぁ!」

「クソッ!これでリンネがギルドリーダーかよ!」

「何故だ!カッコいいチョキ出したじゃん!」

「いいやまだだ!僕のチョキは石をも砕…けない!」

 

 そう、ギルドを作ることが出来るからである。

 ギルドとはその名の通り[団体]である。パーティー等の一時的なチームではなく組織して組み込まれる物だ。ギルドにすることで様々なメリットがある。例えば経験値の振り分け。通常の戦闘でパーティーがモンスターを倒したとき、経験値の半分はその倒したプレイヤーにいき、パーティーメンバーは残った半分の経験値を人数分に割り送られる。しかしギルドの場合、戦闘に参加したプレイヤー全員が平等に経験値を振り分けてくれるのだ。これによりレベルの大差をなくすことが出来る。他にもメリットはあるがここでは説明しきれないので省略させてもらう。

 そうゆう訳でこの四人もギルドを作ろうとしているのだが、ここで問題に直面する。

 

「よし。俺がリーダーで決定で、次はギルド名だな」

「それはもう考えてある」

「俺も」

「僕も」

「俺もだ。じゃあ一斉に言うか」

 

 机に越しにお互いの顔を見合せる四人。すぅっと息を吸い込む。ちなみにだが今彼らは円卓に座り何故かゲ○ドウポーズ(マダオのポーズ)をしている。ただでさえ顔面偏差値が低層カーストのアホどもが円になっていると近寄りがたいオーラが出ている。てか完全に放課後のオタクの集まりである。

 

「いくぞ?せーのっ!」

 

最○の四○(レ・○ャトル・ピオ○ール)

「第二〇三航○魔○大隊」

「○R○A旅団」

「ネ○アトラ○ティス」

 

「「「「…」」」」

 

 一瞬の沈黙。しかし体制(マダオのポーズ)は崩さない一同。

 

「うん、ちょっと待って。一回整理しよう」

 

 リンネが沈黙を破り三人に言い聞かせるように言う。

 

「まずルリ、何でそれになった?」

「いや、単に直感でこれかなって」

「なんで直感でそれになるんだよ。俺達魔法も使えなければ空も飛べねぇよ。つか立ち位置的に俺幼女になるの?」

「そうなるな」

「あれ?それはそれで良いかも」

 

 文句言っておいて幼女の単語で気持ちが切り替わるロリコンの鏡。これがリンネである。

 

「次にチャタ」

「うん」

「俺たち別に人類のために戦ってないからな?いやある意味人類のためにはなってるけど宇宙は目指してないからな?つか俺の死因が溺死になる」

「いや~、最近コ○マが恋しくて」

「永遠に光を逆流してろ!」

 

 ここで補足しておくとチャタは重度のコ○マ汚染者である。割とヤバめの…

 

「そんなこと言ったらお前のはどうなんだ?」

「え、俺は別に普通だろ?」

「俺たち病原菌になってるじゃん。なに?全プレイヤーにゾ○ハ病感染させて皆笑顔の世界作るの?怖っ!」

「だってアイツら四人でちょうど良いし」

「四人でちょうど良いんだったらソレ○タルビー○グとかあったろ。てゆうか元ネタわかるヤツがいねぇ!」

「全く皆センスが無いな」

「「「お前が一番センスねぇよ!!」」」

 

 まるで自分は除外の人間とでも言うリスモ。それに反論する三人は椅子から立ち上がりリスモに人差し指を突きつける。

 

「なんでよりによってネ○アト○ンティス!?古代文明でも発掘するのか!」

「アイツらの目的は世界征服だろ!俺たちと全くあってねぇよ!」

「つかそれだとリンネがガー○イルになるじゃん!?嫌だよ!あんな全身赤マントに仮面の自称アト○ンティス人!対面するたんびに緊張するじゃん!」

「フェ○トさんの叫びシーンが好きで」

「「「あのシーン好きなヤツの気が知れねぇよ!」」」

 

 一同は机に置いてあった茶を啜りとりあえず落ち着く。

 

 ずずぅ~、ふぅ~

 

 熱いお茶が熱くなった思考を逆に冷まし冷静にしてくれる。余談だかお茶とは表現したがこの世界だと茶一つでもファンタジーぽさが出ている。例えば今彼らが飲んでいるお茶は色がなぜかケミカル色である。

 

 

「とにかく全部無し。もう一回考えるぞ!」

「え~、ダメ~?」

「これからSAO終わるまで一生付いてくる名前だぞ?ふざけた名前は無し!」

「いやお前が言えたことじゃないよね?」

「ブーメラン!」

「じゃかしい!いいからもう一回やるぞ!はい、せーのっ!」

 

「機○六課」

「蒼き(は○ね)

「ガ○マ侯○軍第三○隊」

「最後の大隊」

 

「だからさぁ!」

「だからさじゃねぇよ!お前もどっこいだろ!」

「[蒼き(は○ね)]よりマシだわ!それ女しかいない上、艦隊だろうが!」

「そう言うリンネはさっき俺に魔法ダメとか言っといてバッチリ魔法少女じゃねぇかよ!」

「それにその部隊、古代遺物の管理部じゃん!さっきリスモの古代遺跡に文句言ってたくせに自分からアウト取りに行ってるじゃん!」

「ガ○マ侯○軍とかマニアックな名前出すヤツに言われたくないわ!だれもわっかんねぇよ!つーかそれも戦車隊だし!」

「全く皆もっとポピュラーな名前にしようよ」

「「「お前のはポピュラーつうか、物騒な名前なんだよ!」」」

 

 またしても「自分、普通なんで」みたいな目で三人を見るリスモ。

 

「なに、俺達いつナチスドイツになったんだ!?あのチョビ髭オッサンの部下にいつなったんだ!?」

「一様予定ではリンネがカ○テルで、ルリがク○ープス、チャタがブル○ドルフ、僕がヨー○ル」

「「「居残り組じゃねぇかぁぁぁ!!」」」

 

 ずずぅ~、ふぅ~

 

 再び机のお茶を啜り、落ち着く一同。

 

「もうこうしよう。名前の最後に[戦線]を付ける」

「[戦線]?」

「そうだ。名前の最後にこれを付ければ多少はネタに走らなくなるし名前も絞れる」

「このメンバーでネタに走らないヤツがいないんだけど…」

「それな!」

「しゃらうるせえ!いいから今度は真面目にやれよ!はい、せーのっ!」

 

「○んだ世界戦線」

「○んだ世界戦線」

「○んだ世界戦線」

「血○戦線」

 

「「「そこは合わせろよぉ!!」」」

「え~、僕のせい?」

 

 その後の彼らの論争は熾烈を極めた。

 

「チ○メ隊」

「七○隊」

「焔○蓮隊」

「ス○ーレット隊」

 

 反論が反論を異論が異論を呼ぶ殺伐とした空間。

 

「メ○クシ団」

「バッ○ドラ○ト団」

「帝国○撃団」

「鷹の○団」

 

 飛びかう罵声、立ち上がるメンバー、そして笑顔のままその場を立ち尽くす店員NPC。

 

「ドー○ー一家」

「ト○ン一家」

「ブン○ーン一家」

「あ○しり一家」

 

 まさしく会話のドッチボール。会議は踊るされど進まず。

 

「荒○一味」

屁○絽(ヘ○ロ)

「伊集○隼人」

「モ○ク」

 

 と言うかこいつら(アホ四人)まず変化球どころか魔球しか投げて来ないので普通に会話しろと言うのが無理な話であり…

 

「マ○ェーテ」

「沈黙の○隊」

「沈黙の○急」

「コ○ンドー」

 

 てか見事に話が脱線しさっきからコックの話しかしてない。

 

「脂肪にドーン!」

「だったら漕げばいいだろ!」

「私に良い考えがある!」

「正義の味方がク○など漏らすか!」

 

 いやよく聴いてみるとコックじゃなくて玄○哲章になってる。

 そうして当初の目的も忘れて会議が踊り続けた。

 

 ━━━━━━━━━━━

 

 その後約五時間が経過した。

 

「あぁ~、なんかもう色々どうでもよくなってきなきたな~」

「そう言うなら早く名前きめようぜ…」

「もう大体出し尽くしたと思うけど~…」

「途中からポケ○ンしりとりになってたけどな~」

 

 円卓に座っているアホ四人はまるで生きた屍のようだ。リンネは頬杖をついて不機嫌オーラを出しネクラぽさは更に増しており、ルリは椅子の背もたれに全体重を乗せているのでポッコリ出た腹が服をめくり上げヘソが出ている。チャタは燃え尽きた後のボクサーの様に、リスモは顔を机に押し付けている。

 変わっていたのは彼らはだけではない。建物内は何故かあちこちがボロボロで窓は割れ、壁は穴を空き、偶然立ち寄ったと思われる頭に赤いバンダナを巻いた顎髭のプレイヤーとその仲間達が床で犬○家していた。この中でただ一人、店員NPCが笑顔でつ立っている。

 一体五時間の間に何があったのか?それは当人達と、(読者様)のご想像にお任せする。

 

「もう俺の独断でいい?もうめんどくせぇよ全員で名前の意見言い合うの」

「そうだなぁ~、あんま酷い名前じゃないならそれでいっか」

「異議な~し」

「同意~」

 

 最早覇気の無い一同である。今までのやり取りはいったい何だったのか。

 

「じゃあギルド[SOB]これで決定ね」

「[SOB]?何て意味?」

「昔俺達が結成した同盟は?」

「「「あ、(察し)」」」

 

 こうしてこのアホ四人のギルドは[SOB]と命名された。 [SOB]がなんの略称なのかそれは今後の話で語られるかもしれない。

 

 

 

 

 

オマケ

 

《第三層 とある町の町道》

 

「ふむ、少しデフォルトに手を掛けすぎたかな?」

 

 第三層の町を歩くプレイヤーが一人いた。見た目は筋肉の付きが良い筋骨隆々(きんこつりゅうりゅう)の体で髪は長い白髪をオールバックにし顔はやや老けた30代程度の男。その男はまるで町の風景を楽しむかのようにゆっくりとした歩みで進んでいる。

 

「しかし第一層の攻略が一月以上かかるとは誤算だったな。まぁ、今回の第二層は犠牲者も無くそれほど時間もかからなかったが…」

 

 他人事…と言うよりはまるで観察結果を述べる学者の様な、それでいて結果を楽しんでいるようなそんな一言では表せない複雑な思考の言葉がその男の口から語られる。

 

「いずれにしても今後攻略の要となるギルドを早急に設立しなければなるまい。今のところ候補となりうるプレイヤーは何人か絞り込めているが…まぁ攻略を進めていればその内逸材も見つかるだろう。出来ればあのスキル(・・・・・)を手にするに値するプレイヤーが近くにいれば()いのだかね」

 

 そんなことを言うプレイヤーの足はある建物のドアの前で止まる。そこはギルド設立を申請することができる建物だ。プレイヤーはその建物のドアノブに手をかける。

 

「さてここからは私もいちプレイヤーだ。システム保護で不死にはなっているが描いたシナリオ道理に役を演じなくてわな。まずは絞り込めた候補に声をかけて徐々にギルドを大型にしていくことから始めるとしよう」

 

 プレイヤーが手にかけたドアノブを下に捻り扉を開ける。

 

 ガチャリ、ギギギ~

 

 木造特有の軋んだ音をならしながらその扉が開かれる。

 が、

 ここで(読者様)にちょっと思い出してほしい。このプレイヤーが来る前にあった惨劇について。

 

「…え?」

 

 部屋の中を見たプレイヤーの第一声がそれだった。それもそうだろう。

 何せ建物の中は…

 陳列していた机や椅子は何故か破壊され、壁や天井は穴が空き、窓は割れ、中にいたプレイヤー達は何故か床に頭から上半身にかけて突っ込んで足をがに股に開いている。

 

 バキッン!ギギィ~、バタン!

 

 そして今さっきプレイヤーが手をかけた扉の金具が壊れ、そのまま倒れた。

 

「いらっしゃいませ!本日はどの様なご用件でしょうか?」

 

 そんな中で見事な笑顔でプレイヤーを迎える店員NPCが一人。

 当のプレイヤーは入り口(扉無し)に立ち尽くすのみであった。

 

 翌日、何故か建物内のオブジェクトが破壊不能になった。

  

 




この小説の問題はアホ達の会話がマニアック過ぎて全部の元ネタわかる人がいるかどうかなんですよね。(大体作者の趣味ですゴメンナサイ)
今後は読みやすいように分かりやすいネタ中心で書こうと思ってます。
SOBについては何の略称か皆さんで予想してみてください。
感想も受け付けているので良ければお願いします。


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創造物の刀の万能性は異常

前回のあらすじ
リンネ「少し頭冷やそっか」
ルリ「きゅーそくせんこー」
チャタ「貴様らには水底が似合いだ」
リスモ「おっ○いぷるんぷるん!」
バンダナの男「…」←犬○家された一般人



[刀スキル]

 文字通り日本刀を使用できるスキルである。日本刀の特徴として[折れない、曲がらない、よく切れる]がよくあがり、SAOにもそれは反映され[耐久値が高く、(耐久値の)減りが少なく、攻撃力が高い]が売りとなっている。

 もちろん欠点もある。例えば求められるSTR(筋力)値。物によって違いはあるが刀は片手剣よりも比較的重く設定されておりスキルや刀本体を持ってたとしても装備出来ない事が多い。そもそもこのSAOにおいて刀はかなり希少な武器であり入手事態が難しく、そこまでするなら別の武器を使うプレイヤーがほとんどだ。

 だが例え悪条件が揃っていてもそれでも使いたいと言うマニアは必ず存在する。

 今回は刀とそんなマニア達の話。

 

━━━━━━━━━━

 

 《第二十層 迷宮区近くの町》

 

 青々とした空がどこまでも続く午後の日差し。攻略が遂に二十層を越え今では二十五層まで来ている攻略組。現在は二十五層の迷宮区にてボス部屋の捜索に取りかかっているなか、ギルド[SOB]はと言えば…

 

「つまりはさ、幼女こそが至高なのよこのDQNども!」

「ふん、いつまで青二才の小僧め。日本人なら大和撫子系ヤンデレに決まってるだろ!伊邪那美(イザナミ)の事考えろ!」

「えっと確かイザナミが『嘘ついたな!一日千人殺してやる!』とか言ってイザナギが『じゃあ俺一日千五百人作るわ』て言ったんだっけ?」

「創造神からすでにヤンデレを植え付けられた日本人女性。だからス○デのラストあんなんになったんだね」

「「「あれは(ま○と)が悪い」」」

 

 相変わらずアホしてた。

 四人は攻略をサボりある目的のため二十層のこの町に来ていた。町は木造を中心に平屋の様な建物が並んでおり何処と無く昔の日本に似ている。

 

「お、着いたぞここだ」

 

 と、リンネが目的の場所に到着し足を止めルリ達も止まる。そこは大きな門構えがある建物だった。

 

「へぇ~、見た目割りとそれっぽいな」

「ここなのか?[刀スキル]が習得出来る所って?」

 

 ルリが建物の姿に感心し、チャタがリンネに疑問をぶつける。そう四人の目的は[刀スキル]の習得であった。いや、厳密にはリンネのであった。リンネの主武器である曲剣スキル、これを一定まで上げることで刀スキルの解放条件が現れる。リンネはこの二十層で刀スキルが習得出来ることを知り攻略を休みここ(二十層)へ来た。それに便乗するようにルリ達もついて来て今に至る。

 

「アルゴの情報だから信用できるはずだ。てか別に付き合わなくてもいいんだぜ?」

「「「いや、単に攻略サボりたかっただけだから」」」

 

 攻略組とは名ばかりだったのか。ルリ達は打ち合わせでもしたかの様に声が合う。リンネは「あ、そう」と言いう。気を取り直して建物内に入る四人。

 この中はフローリングの様な木製の床が広々とありまるで道場の様になっていた。その奥に黒い髭を生やした男が正座で座っている。リンネは男に近寄る。

 

「アンタがここの親方?」

 

 話し掛けられた男は閉じられていた目を開き上から下へ見定めるかの様に見る。するとリンネの目の前にウィンドウが表示される。

 

(それがし)はこの道場の師匠なり。貴様、腕に自信ありの剣客と見る。(それがし)と手合わせ願いたい』

 

 リンネはウィンドウに表示されたOKボタンを押す。すると手元に竹刀が現れ、男も立ち上がる。

 

「なる、要はこれ(竹刀)でアンタを倒しゃ言い訳ね」

 

 剣道の始めと同じく相手から一定の距離を置き構えるリンネ。師匠の男も同じく構えを取る。すると目の前にカウントが表示され始める。

 

「頑張リンネ~」

「ファイト~」

「一発」

 

 後ろからルリ達によるやる気のない声援を聞き流しつつカウントがゼロになるのを待つ。そしてゼロになった瞬間一気に距離を積め男の間合いに入るリンネ。

 

「チェストオオオオ!!」

 

━━━━━━━━━━

 

 数分後あるプレイヤーが道場に訪れた。

 

「こんちゃーす。ここで[刀スキル]の取得が出来るって聞いたんだけど?」

 

 そのプレイヤーは頭に赤いバンダナを付け顎髭を生やしたプレイヤーだった。名前は[Klein](クライン)。最近攻略組に入ったギルド[風林火山]のギルドリーダーだ。

 彼は道場の戸を開け中へ入っていく。そこには…

 

「あれ、牙○零式ってこうじゃなかったけ?」

「違う違う。もっと腰下げて巻止の所を持つんだ」

「そもそもリンネ右利きじゃん。斎○たしか左利きじゃね?」

「それな!」

 

 アホ達が何故か牙○の練習をしていた。

 

「あー!お前ら!!」

「ファッ!ビックリしたなも~誰?」

 

 リンネ達を見るや否やクラインは大声を出す。

 

「誰だと!お前ら俺の…いや俺たちのこと忘れたとは言わさねぇぞこの野郎!!」

「え、マジで誰?ルリ知ってるか?」

「知らん。リンネの知り合いじゃないのか?」

「ログに無い。チャタは?」

「ごめん覚えてない。リスモは?」

「知らんそんなことは僕の管轄外だ」

 

 全員クラインのことを知らないようであった。

 

「お前ら第三層のギルド設立の店でいきなり襲ってきただろ!」

「「「「そんなことあったっけか?」」」」

 

 この作品を堅実に読んでくれている(読者様)は気づいているだろう。そんなことあったのである。

 詳しくは前話(名前決めは大体深夜のテンション)を読み返して欲しい。

 

「まぁ、そんなことは置いて」

「置いとくなよ!目下の問題だよ!」

「アンタも[刀スキル]目立て?」

 

 クラインの主張を無視して話を進めるアホ達。正直言ってコイツらに真面目な話をすること事態難しい。

 

「まぁそうだけど…。もしかしてお前らは…?」

「うん、もう取れた。厳密には俺だけだけど」

「マジか、結構前から情報は出てたけどなかなか倒せなくて断念するプレイヤーが多発したって聞いてたが…」

 

 この[刀スキル]取得クエストの最大の難点はソードスキルが使えないことである。この世界(SAO)では基本ソードスキルを駆使してモンスターを倒すのだがこのクエストではいくらモーションをしようともソードスキルが発動しない。つまり通常の攻撃、自身の経験のみで戦わなければならないのだ。特に高レベルなればなるほどソードスキルに頼った戦闘になりやすい。その理由もあってこのクエストは難易度が高いと言われているのだ。

 だがこのアホ達にとっては…

 

「いや、普通に倒せた」

「倒せたの!?」

「普通に弱かった」

「弱かったの!?」

「何か見た目の割に弱かった。どのくらい弱いかって言われるとポケ○ンのアブ○ル並み弱かった」

 

 このとうりである。リンネは鼻をほじりながらクラインに言う。具体的にどのくらい弱いかも含めて。

 

「ドラ○エのスーパー○ラーマシン位弱かったな」

「スパ○ボで言うところの序盤でしか使わなかったブラック○ッター位だった」

「気の強い女戦士のアn」

「「「言わせねぇよ!!!」」」

 

 それに続くようにルリ達も例えて言う。リスモのはちょっと違かったが。しかも話を聞くとクリアした後も何度か再挑戦し縛りプレイまでやっていたらしい。先ほどの[牙○零式]もその一つだそうである。

 

「え~と、つまりはソードスキル無しの戦闘さえ慣れば割と楽なクエストってことか?」

「お、そうだな」

「マジか~…」

 

 聞いてた話と違いガックリ肩を落とすクライン。クラインの想像の中ではワン○ースのゾ○がミ○ークに始めて対決するくらいの気合いでいたが今はもうベ○ミーとル○ィの対決ぐらいである。

 

「そうガックリすんなよ。コツ掴むまで苦戦するのは確かだし。なんなら勝てる方法教えてやろっか?」

「良いのか!?」

「別に損はしねーし、やらかした事チャラにしてくれんなら」

「するする、どうやって勝つんだ!」

 

 リンネはクラインに耳打ちしクリアの仕方を教える。

 

「え、そんなんで勝てるのか?」

「さっき縛りプレイでやったら出来たぞ」

「うーん…、分かった」

 

 クラインは半信半疑のまま師匠に近寄りクエストを受諾する。

 余談だがこの師匠の男、先ほどまでリンネの縛りプレイで数えて十回以上は負けてる。凄く強者オーラとか出てそうな雰囲気なのに今では顔だけ番長である。(分かりやすく例えるならワン○ンマンのキ○グ)

 話が逸れたもののクラインと師匠の試合が始まった。両者一定の距離のまま動かず構えた状態である。

 が、沈黙は早々に破られる。痺れを切らした師匠が勢い良く床を蹴り突進。竹刀を上段に構えクラインの面を取ろうとする。するとクラインは両手で持っていた竹刀を右手で持ち逆手持ちにし、腰を左に捻り下げる独特の構えを取る。

 そして師匠の竹刀がクラインの頭上に命中する瞬間、

 

「ア○ンストラッシュ!」

 

 捻った勢いでそれを一気に打ち放った。

 

 バシィン!

 

 クラインの放った[ア○ンストラッシュ]は見事に師匠の胴に命中する。が、それだけでは終わらなかった。師匠の男はまるでドラ○ンボールの如く壁に向かって吹っ飛ばされた。

 

 ヒュ~、ドガアン!!

 

「えぇぇぇぇぇ!?」

 

 その光景にクライン自身も驚愕する。それもそのはずクラインはリンネに言われた通りにやっただけでこのように壁に激突するほど力を出していないのだから。

 

『み…見事なり…。貴様になら我が技を伝授してやってもよい…』

 

 壁に埋もれている師匠からそんなセリフウィンドウと[刀スキル]の取得ウィンドウがクラインに表示される。派手にやられてる癖に若干上から目線である。

 

「やっぱ毎回笑えるわwww」

「何でこんな敗北シーンで力入れちゃったの?」

「どの技でもこうなるじゃん」

「あぁにしてもまさか、[リヴァ○ヴァス○イバ○ル水撃スージャ○アント○コ金剛カ○ザーブ○スター陽子○ケット鬼バ○カン破壊○下駄電○火炎○ラズマ跳○神○熱線○射ソ○ックディ○レクト電撃○流清流アル・三ス○イ燕曲○短勁フ○ッシュライ○ング ロザ○オアル・十字○無月真アル・羅○掌]、略して剣でも行けるとはな」

 

 どうやら師匠の負けモーションがこれ一択らしくアホ達はこれの為だけにクエストを何度も繰り返していたらしい。

 クラインは達成感の無いクエストクリアに脱力するのみであった。

 

 その後、[刀スキル]の習得方法がアルゴ経由で伝わり何故か師匠をどれだけ面白ろ可笑しく吹っ飛ばせるかのコンテストが開催されたらしい。

 

  




アホ四人「で、何で先週投稿出来なかった?」
作者「メカエリチxy」
アホ四人「死にさらせえ!!」アッパーカット×4
作者「タコスっ!!」ダゴォ

どっちかしか受け取れない様にした運営が悪い(責任転嫁)


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ヒロインは残念位がちょうど良い 前編

前回のあらすじ
リンネ「悪・○・斬!」
ルリ「ユッ○ーのお母様がいい人でよかった…道具を使わずに済んだもの…」 
チャタ「ゲッ○ートォマホークゥ!!」
リスモ「中に誰もいませんよ?」
クライン「ア○ンストラッシュ!」



「[ハナ]が無いと思うんだよね…」

「どうした急に。寝ぼけて自分の体の一部の感触忘れたか?」

「いやその[鼻]じゃねえ」

「あぁ分かった。今から王の話をしよう!」

「違うその[花]でもない」

「よし分かった。今から第四層の町の女子トイレの四番目の便器の水を四時四十四分四十四秒と同時に流してくる!」

「ちげぇよその[はな]でもねぇよ!てかお前のそれ四次元ババァだろ!そもそもここ(SAO)トイレ無ぇし!」

 

 最前戦が三十五層に到達した頃、宿で休んでいたアホ四人。唐突にリンネがそんなことを呟いた。

 

「俺が言ってんのは華やかさの[華]の方だ!」

「その[華]か。無いだろ元から」

「ほらきっとアレだよ。鏡見た自分の顔が余りにもアレで美しいものを求めたいんじゃない?」

「身体醜形障害だな。たしか精神病の一つだ。ここ(SAO)には病院が無いから安楽死させよう」

「お前らが俺の事をどう思ってるのかよくわかっだぞ」

 

 因にだがこんな感じのやり取りが大体毎朝行われている。今朝はチャタの「この石をどうやったらパンに変えられっかな?」であった。この議題はリスモの「立川のアパートに電話しよう」で終結した。

 

「お前らちょっと考えてみろ?この女子が極端に少ない世界で底辺カーストの男が揃って同じ部屋でDTチ○コ並べて寝てるんだぞ、ちょっと恐怖だろ?」

「DTなのは認めるが並べてはねーよ」

「三十路前には卒業する予定」

「その予定立てる前から崩壊してない?」

「お前ら話を脱線させ過ぎだろ。俺が言いたいのは俺たちにも桃色の話があっても良いんじゃないかって話だ」

 

 リンネの主張はある意味では当たっていた。既にこの世界(SAO)に捕らわれて半年以上が経過している。サービス開始時ほどでは無いがホームシックや家族に会いたがっているプレイヤーも日に日に増加している。

 

「なるほどな…で、本音は?」

「最近[妹ニュウム]不足で発狂しそうだからせめて幼女とイチャイチャしたい」

 

説明しよう!

 妹ニュウムとは重度のシスコンには無くてはならない重要なエネルギーの様な物である!これが不足気味になると理性の暴走、言語不全、2○ゃんスレに『ちくわ大明神』と書く、女物のパンツを頭から被りブーメランパンツと編みタイツを履きパンツの両脇を伸ばして交差させるように肩に通しベランダに出て「クロスアウッ!」と叫ぶなどの奇行に走るのだ!これを抑制するには適度な妹とのコミュニケーションが必要とされている!

 

「ふ~ん、あそ」

「ゴメン、パス」

「幼女よりお姉さん系が良い」

「なるほど俺たちの友情はこの程度だったか」

「いや、友情とかそうゆう問題じゃなくて単にお前(リンネ)の性欲に何で俺らが付き合わないといけないんだって話だ」

「あと俺守備範囲出来るだけ同い年がいいから」

「穴とか弄ってくれそうな人が良い」

「ここにも特殊性癖がいたか…」

 

 因にだがこの四人全員どっち(SでもMでも)も行ける口である。(ただしリンネとリスモは特殊性癖持ち)

 

「それに女なら攻略組にもいるだろアスナとか」

「アイツからは妹臭がするがあんな攻略のゴリラじゃ話にならん」

「なんだ妹臭って」

「妹には妹特有の臭いがあるんだ。俺は一年の修行の末、初対面でも妹かどうか臭いで判別出来るようになった」

「そんな下らない修行してたのか。お前はスピード○ゴンか」

「一年で極めたのかそれ。ヅバ○バンだって影○い習得に三年かかってるのに」

「それだったら亀○人のか○はめ波は五十年修行必要だっし」

「でも悟○は見てその日の内に出来てたような…」

「なんでいつの間にかドラゴ○ボールの話になってるん?」 

 

━━━━━━━━━━

 

〈そのころ最前線〉

 

「…ん?」

「どうかしたかねアスナ君?」

「今誰か私の事を近○勲って言った気がします」

「…それは新撰組としての意味かい?それともゴリラの意味かい?」

「たぶんダンクする方です」

「なるほどゴリラの方か」

「団長と副団長何言ってんだ?」

 

 こんな会話が[血盟騎士団]であったらしい。

 

━━━━━━━━━━

 

〈戻ってアホ達〉

 

「それで結局なにしたいんだよ」

「外出て幼女か妹系探しに行きたいでござる」

「えーと牢獄行きの転移結晶何処にしまったっけ?チャタお前持ってない?」

「無い。確か共有のアイテムボックスにしまったんじゃなかたっけ?探しとくからリスモは先に牢獄の方に連絡いれといてくれ」

「もしもしポリスメン?」

「おいおい人をオレンジ(犯罪者プレイヤー)扱いすんなし」

「「「いや紛うことなき犯罪者ですワロタ」」」

 

 アホメンバーで最も犯罪ギリギリのところにいるのがリンネであることが分かった。

 

━━━━━━━━━━

 

 その後リンネが何度が抗議したが幼女探しは却下され、最近鉱石の数が少なくなってきているので全員でクエストに行くことになった。

 鉱石はRPGよろしく武器生成や防具生成に必要なアイテムである。通常はモンスターからのドロップ、もしくはツルハシ片手に岩石を掘ると言った方法がとれるがこれらには問題がある。

 ドロップの場合そのモンスターに応じてドロップアイテムがランダムで生成されるが鉱石を落とすモンスターは基本的に硬い(防御力が高い)ので倒すがとてつもなく面倒くさいのである。さらに鉱石のドロップ率も低いため長い時間をかけて倒しても報われない場合が多い。

 ツルハシの場合、こちらは特定の場所でツルハシを当てれば簡単に出てくるのだが高ランクの鉱石を手にいれるには[開拓スキル]なるスキルが必要で攻略を優先しているプレイヤーにとっては戦闘系のスキルでスキル欄が一杯になっているのでそんな物を入れる余裕は無い。

 このように通常のドロップではろくな結果にならない。だがもう一つだけ鉱石を手に入れる方法がある。クエストによる報酬ドロップである。

 クエストとならば大体はお使いや討伐などの攻略優先プレイヤーでもしやすいので攻略組は積極的に鉱石が手にはいるクエストを周回している。

 今回はルリとリスモの新しい防具を作るため最前線の三十五層から二つ下の三十三層の迷宮区である洞窟に来ている。ここで[ポーンスケルトン]とゆう骨人間に甲冑を付けたモンスターを倒すことでドロップする[残志の欠片]をいくつか依頼主に渡すお使いクエストである。

 

「ふ~、ようやく四つ目か」

 

 そして迷宮区に入って早小一時間。ルリの目の前に勝利ウィンドウが表示され経験値とドロップ品の詳細が現れる。その中には『残志の欠片』の文字がある。

 

「にしても骨出づらくない?もう一時間もこもってるのに全然来ないじゃん」

「あれか、骨は元引きこもりでコミュ症を患ってるからなかなか出てこれないのか?」

「それって骨になるまで引きこもってたってこと?まるでニート社会を彷彿とさせる存在じゃん。引きこもりのヒッ○ーもビックリ」

「いやあの人はボッチのプロであって引きこもりのプロでは無い。ヒッ○ーはアホの浜によって付けられたアダ名だ」

 

 こんな感じでクエストを進める四人。ここまではいつものアホ具合であるが、

 ここで一つアクシデントが起きる。

 

「~~~~~~!」

「ん?何か言ったか?」

「え、何が?」

「何も言ってないけど?」

「え何、何か聞こえるの?ひぐらしの鳴き声?」

「「「やめろっ!!!」」」

「あれリアルに夜中にトイレ行けなくなるヤツだからな!!」

「第一話から主人公が死ぬのはよくあるけどアレは酷過ぎだろ!!」

「『嘘だッ!!!』のところからおかしくなり始めたと思ったらいつの間にか皆狂気染みてるじゃん!!」

「爪剥ぐシーンが好きで」

「「「だから好きなシーンのチョイスがおかしいだろ!!!」」」

 

 やはり全体的にリスモのセンスが何処か狂ってる事を再確認する三人。そんな中でも何かの声が聞こえるの。

 

「~~~~~~!」

「ほらやっぱ何か聞こえるぞ」

「おいやめてくれよ!リスモがひぐらし言ったせいでメチャクチャ怖くなってきたじゃねぇか!」

「なんかもうこの洞窟事態がひぐらしのアレに見えてきたじゃん!!なに千回『ごめんなさい』って言やぁ良いの!?」

「コープでもいいけど」

「「「だからやめろっつってんだろ!!!」」」

 

 どうやらリスモはコープ○パーティーにも手を出していたらしい。俄然恐怖が増した三人。だが声はまだ聞こえてくる。

 

「~~~~~~!」

「ちょっとおぉぉぉ!本当マジで怖くなってきたんだけどぉ!!」

「ヤバい!今すぐここから出たい!!」

「もぉやだ!おうちカエル!!」

「もしかしてこれ由○ちゃんの声なんじゃ…」

「「「シャレになんねぇからやめろ!!!」」」

 

 完全にパニックに陥るアホ達(リスモは除く)。ここでいち早く冷静になったのは意外にもチャタだった。

 

「あれ?これ上から聞こえね?」

「お前までなんだチャタ!洞窟なんだから反響して分からんだろ!」

「いやよく聞いてみろ、上からだって」

 

 チャタに言われリンネ達は上に耳を傾ける。すると先程まですすり声程度で聞こえた声がはっきり聞こえた。

 

「イヤァァァァァァァッ!!」

 

 その声は確かに上から聞こえおり、声質から女の子であることが分かった。が、聞こえてきたのはまるで悲鳴のような声。

 

「ん?イヤァって…」

 

 リンネがそう呟こうとした一秒後…

 

「ぶふぇあっ!!」

 

 ドンガラガッシャア~ン!!

 

 リンネの頭上から何かが落ち、衝突した。リンネはそのまま落下してきた何かの下敷きになりその場で伏せっている。

 

「何か落ちて来たな」

「リンネ巻き込んでな」

「上から来るぞ!気をつけろぉ!」

「「いや来た後だから」」

 

 仮にもギルドの団長をしてる友人に全く心配しない非情なルリ達。すると衝突で発生した砂煙が徐々に晴れていき落下してきた何かの正体が判明してくる。

 

「いってて、も~宝箱開けようとしたら落とし穴に落ちるなんて聞いてないよ~」

 

 そこには少女がいた。青と水色を基本にした服装で胸当てや小手などの最低限の防具を装備し、動きやすさを重視してかキャミソールの様な肩を露出した上半身にホットパンツとニーソックスの下半身、腰には短剣がぶら下がっていた。そして最も特徴的であろう赤みのかかった金髪とゆうとても目立つ髪色をしていた。

 はっきり言って美少女であった。

 

「…これはアレだな」

「…アレだね」

「…アレしかないな」

 

 何やら真剣な面持ちで顔を見合わせるアホ三人(ルリ達)

 

「え、えぇ~と…」

 

 当の美少女は現状況が飲み込めず困惑するばかり。するとアホ三人(ルリ達)が勢いよく美少女に視線を合わせる。突然の事でビクッとなる美少女。なんかもうこの動作だけで可愛かったりする。アホ達は大きく息を吸い込みそして…

 

「「「親方!空から女の子が!!」」」

 

 と、一言叫ぶのであった。

 

「お…お前ら…俺を無視して…楽しそうな事してんじゃ…でも…これはこれで…良い…か…も…」

 

 ガクッ

 

 そんな言葉を残しリンネは背中に美少女のお尻の感覚を得ながら気絶した。脳裏にフ○ージア流しながら。

 

━━━━━━━━━━━

 

〈その頃中二病(キリト君)

 

「そう言えば知ってますかキリトさん。攻略組には凄腕のソロプレイヤーがいて、何でも全身黒ずくめの片手剣でフロアボスに挑んでいるらしいですよ!」

「へ…へぇ~そぉなんだぁ~」

「その戦いぶりから周りからは[黒の剣士]なんて呼ばれてるらしんですけど、そのプレイヤーかなりの中二病らしくてボスを倒した後に必ず『ふ、俺の左手に封印されし[邪神黒龍]の力を解放すれば一瞬だったがな…』なんて言ってるらしくて一部からは[○ーク○レイムマ○ター]とか[鳳○院○真]とか言われてるんですって!」

「ま…まぁ、ネトゲでよくあるなりきりってヤツだな。ゲームでの自分が本当の自分と錯覚するってゆう…」

「そういえばキリトさんも全身黒ずくめで片手剣…」

「人違いです!!そんなヤツ一切知りませんっ!!!」

 

 こんな会話が[月夜の黒猫団]であったらしい。

 




アホ四人「で、なんで二週間以上も投稿しなかった?」
作者「だってお前らにヒロインいるか?メッチャ難産だったんだぞ」
アホ四人「それはまぁ…」
作者「後、オニランd」
アホ四人「衝撃のファー○トブリット!!!」
作者「ごぼぁっ!!二度もぶった!ブ○イトさんにもぶって貰った事もないのに!」
アホ四人「ブ○イトさんにぶたれた事があるヤツの方が貴重だわ!」

ここから真面目に

 どうも茶久良丸(作者)です。
 まずはごめんなさい。色々な事情があり二週間も空いた投稿となってしまいました。タグで日曜投稿予定とは書いているものの最近全く進んで無いのが現状です。一時期は書くの止めよっかなとも思いましたがこんな作品でも見てくれる人やお気に入り・評価してくれる読者様がいてくれるのでもう少し頑張ってみようと決心しました。
 今後も不定期になる可能性が大ですがそれでも読んでくれる皆様のために頑張っていきます。
 今後ともこの作品とアホ達をどうぞよろしくお願いします。



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ヒロインは残念位がちょうど良い 後編

前回のあらすじ
ルリ・チャタ・リスモ「親方!空から女の子が!!」
アスナ「いいからテーピングよっ!」
リンネ「止まるんじゃねぇぞ…」キボウノハナー
美少女「何なのこの人たち…」



 こんにちは!私[Philia](フィリア)、この世界(アインクラット)でトレジャーハンターをしてるの!

 本当はVRゲームなんて全然興味なかったんだけど近所のお店を通りかかったらあの[ナーブギア]と[SAO](ソードアート・オンライン)が置いてあったの!TVとかで特集とかいっぱいされててネットじゃ一時間もしないで売り切れたって聞いてたのにスッゴイ偶然!これはもう私に「買ってください」って言ってる物だと思った私はその場で即決購入、いや~我ながら運が良かったな~

 て、思ってたのはもちろん最初だけ…

 サービス開始時にログインしていきなりゲームから出られなくなってデスゲームって言われてもう頭の中はパンク状態、周りの人も私と同じ感じでしばらくは[始まりの町]にこもっていたんだけど、ある日第一層攻略完了の情報を見てこの世界(SAO)でも必死に生きてる人がいるんだって感じて私も決心した。小さい頃から探検が好きでお父さんの趣味でよく洋画を一緒に見てて一番好きだったのはトレジャーハンターを題材にした作品だった。あの人たちはどこまでも自由で、それでいて(ロマン)を求めてどんな危険も顧みない情熱に心を撃ち抜かれた。現実(リアル)じゃ絶対に出来ないけどここ(デジタル)でなら!私は(圏外)へと飛び出しあっちこっちにある色んな洞窟やダンジョンを探し宝探しを始めた。攻略組が漁ってた後だったけど意外と見つけられて楽しくなっていった!

 そして今日ちょっとした冒険心から最前線から二つ下の三十三層にやって来た。何時もならレベルも安全マージンも余裕くらいのところで探険してたけど最近はお宝ちゃんが見つけられなくて鬱憤が貯まってたのも理由の一つ。

 最初は大分警戒してたけど案外モンスターも寄ってこなかったし戦闘になっても思ってたより苦戦しなかったから快調に探索出来てちょっと拍子抜けしちゃったな~。そうして歩いてるとなんと隠し部屋を発見したの!部屋の中には宝箱が一つ置いてあって私は飛び付く様に宝箱を開けようとしたら急に地面がポッカリ空いて下に落ちちゃったの。

 結構長い時間下に落ちていたら何か柔らかいものにぶつかったんて、幸いダメージは無かったんだけど目の前には私より歳上ぽい男の人のプレイヤー三人いて何かヒソヒソ話をしていて声をかけようとしたら急に私の方に振り向いて、

 「「「親方!空から女の子が!!」」」

 て叫んだんの。

 

━━━━━━━━━

 

「て、言うのがここまでの経緯かな?」

 

 話を終えたフィリアはアイテムウィンドウから取り出した水筒に口をつけ中の水を飲む。長い回想を話していたため喉か乾いたのだろう。

 今現在フィリアはリンネ達四人と一緒に迷宮区を散策している。理由はフィリアが落ち来たときに下敷きにしたリンネの謝罪として先程の話にあった隠し部屋で見つけたと言う宝箱の中身を貰うためである。フィリアは隠し部屋までの案内をしつつ上から落ちて来た理由を話し今に至る。

 

「へぇ~、てことは今までソロでダンジョン潜ってたのか?」

「そうだよ!あ、もしかして信じてない?」

 

 リンネの疑問に答えたフィリアは口をへの字にしてリンネに詰め寄る。

 

「いや疑がっちゃいねぇけど、低層のダンジョンならともかく最前線近くの層の迷宮区にソロで入るなんて大分舐めプだなぁ~と」

「舐めてなんかないよ!それにさっきも言ったけど戦闘になってもあんまり苦戦しなかったから行けるって確信もあったし」

「だが最前線から二つ下の階層だぞ?臨時でパーティー組む位はした方がいい」

 

 ルリがまるで子供に説教をするように強めに言う。当のフィリアはルリから目をそらしそっぽを向いている。その行動に何かを察する四人(アホ達)

 

「なるほどボッチだったか」

 

 とチャタが空気を読まず言う。その言葉にフィリアは耳まで顔を赤くする。

 

「ボッチじゃないよ!単に組んでくれそうなフレンドがいなかっただけだよ!」

「それボッチが学校で『一人二組でハブかれたので一人でやって良いですか』って先生に言うのと同じ理由だぞ」

「お、さすが元ボッチのリンネ。言う事に説得力があるじゃん」

「よしチャタそこに直立しろ、メガネごと縦に真っ二つにしてやる」

「元ボッチは間違って無いだろ」

「ルリお前のその無駄な内脂肪俺が裂いてやるよ、骨がスケスケになるまでやるから激ヤセ出来るぞ」

 

 などと無駄話(主にリンネいじり)をしつつ迷宮区を進む一行。その途中で珍しく黙り込んでいるリスモにルリが気付き声をかける。

 

「どうしたリスモ、何時もなら馬鹿話に絡んでくるのに?」

「いや…、フィリアの話だとこの先で隠し部屋が見つかったんだよな…?」

「そう言ってたな」

「おかしい…。この迷宮区で隠し部屋なんて見つかったなんて情報聞いたことが無い」

「攻略組が見逃してたとか、最近になって解放されたとかじゃないか?」

「最近になって解放された…?待てよ、確かそんな事書いてた記事があったな…」

 

 リスモはメニューウィンドウを開き情報屋から買い取った情報を閲覧し始める。

 

「え~とどれだったか、違うこれじゃない。こんなことならメッセージ整理しとけばよかった」

 

 などと文句を言いつつ目当ての情報を探すリスモ。

 

「あ、着いたよ!ここだよ!」

 

 すると目的地である隠し部屋の入り口に到着する。一見するとただの行き止まりにみえるがフィリアが壁に手を付けゆっくり力を入れ壁を押すと壁の一部が扉の様に開かれ中の空間が現れる。

 

「へ~、こんなとこに隠し部屋があったのか」

「よくわかったなフィリア」

「ふっふ~ん!これでもトレジャーハンターを自称してるからね!」

 

 素直に感心するリンネとチャタ。それを聞き誇らしげに胸を張るフィリア。そうして一行は隠し部屋えと入っていく。部屋の中は広々とした空間があり、真ん中に不自然にポンと置かれている宝箱以外は何もなかった。

 

「で、あれが例の宝箱か」

「開けると落とし穴に落ちるんだよな?」

「そーなんだよ、本当ビックリしちゃった!でも同じ失敗を繰り返さないのが真のトレジャーハンターこと私だからね!」

 

 そう言いつつフィリアは宝箱の目の前まで歩みよりメニューウィンドウのスキルから[(トラップ)解除]スキルを選択する。するとガシャコンっとゆう音が宝箱から響いた。

 

「やっぱり!宝箱その物がトラップの発動トリガーで開けた時に落とし穴が起動する仕組みになってたんだ!」

「いや何で最初に確認しなかったんだよ」

 

 落とし穴の謎が解け嬉しそうに語るフィリアにリンネが疑問を投げ掛ける。

 

「いや~、お宝ちゃんが目の前に現れたら瞬間飛び付いちゃって…」

「なにその目の前に不○子ちゃんがいたらダイブするル○ン三世みたいなノリ」

 

 チャタのツッコミに「えへへ~…」と漏らしつつ人差し指で自分の頬をかくフィリア。

 そんな中、扉のすぐ近くに立っているルリとリスモ。リスモは今だに情報屋のメッセージを漁りそれをルリが覗き見ていた。

 

「おいリスモ、何をそんなに急いでるだ?別にここに来るまで何も無かったぞ?」

「確かに道中には何もなかった。だが問題はこの隠し部屋そのものだ。なぜ攻略組が探索した筈なのにこの隠し部屋が見つからなかったんだ?」

「それは見逃してたからじゃ…」

「レアアイテムに目がない[聖龍連合]がこんな隠し部屋を見逃すとは考えづらい。なら今なって解放されたとしたらなぜ今になって攻略済みの迷宮区で隠し部屋が解放されたんだ?」

「それは…、何でだ…?」

「これはゲームだ。ゲームでの出来事(イベント)は何か意味がある…」

 

 そうしてメッセージを漁っていると『緊急通達!!要注意事項!!』と題されたメッセージを見つけたリスモ。メッセージをクリックし内容を見てみる。そこに書いてあったのは…

 

『第三十層を越えてから各フロアで偽の隠し部屋が発見されている模様!隠し部屋には宝箱が設置してあり不用意に宝箱を開けてしまうと部屋に閉じ込められモンスターハウスと化し一定数以上のモンスターを倒さなければ出れない仕組みになっている!既に何人かがこの偽の隠し部屋のトラップの犠牲となり死亡が確認されている!

 このメッセージを読んだ全プレイヤーは迂闊に隠し部屋に入らず[血盟騎士団]などの攻略ギルドに除去を依頼すること!!』

 

 メッセージを呼んだ瞬間、ルリとリスモは一瞬全身の体温が無くなるを感じた。二人はフィリア達の方え振り向く。そこには宝箱を開けようとしているフィリアとそれを今か今かと待ち焦がれているリンネとチャタ。その三人の表情から今見たメッセージの内容を知らない事が一目瞭然だった。

 

「待てフィリア!!その宝箱を開けるなぁ!!!」

 

 ルリがフィリアに向け叫ぶ。

 

 だが…

 ルリの声を裏切るように宝箱の上部がガチャリと開かれる。

 

 ビー!ビー!ビー!

 

 部屋に鳴り響くブザー音。うっすらと周りを照らしていた明かり真っ赤に光り、開けっぱなしだった扉は勢いよく閉ざされた。

 

「何だ!?」

「おい!急にどうした!?」

「えっえぇ!?」

 

 突然の出来事に動揺する三人。

 

「クソ遅かったか!ルリ、扉は!?」

「ダメだ!開かない!」

 

 リスモが状況の悪化に悪態をつきながらもルリに扉の状況を聞く。ルリは叩いたり体当たりを扉にかけるもまるで扉その物が加部になったかのように閉ざされていた。

 二人はきびすを返し三人の元えと走る。

 

「おい!どうなってんだ!」

「説明は後だ、とにかく脱出するぞ!フィリア、転移結晶持ってるよな!」

「う、うん!」

 

 リンネがルリに状況説明を求めるがルリは脱出の優先を急がせる。ルリに急かされフィリアは懐から転移結晶を取り出し起動させる。だが転移は起こらなかった。

 

「起動しない!?結晶が起動しないよ!」

結晶(クリスタル)無効化エリア!?」

「嘘だろ!?最前線でも極一部に限られてるのに!?」

 

結晶(クリスタル)無効化エリア

 文字通り結晶アイテムの使用を制限する部屋並びに空間の事である。SAOでは結晶アイテムとゆう物が存在し[回復結晶][転移結晶][解毒結晶]など種類も豊富である。その効果も絶大で例えばポーションによる回復では全体HP(ヒットポイント)の300ほどしか回復しないが[回復結晶]は全回復が可能である。この為圏外に出るプレイヤーは必ず結晶アイテムの持ち込みが必須となっている。だがここ最近その結晶アイテムの起動そのものを無効化する場所が現れ始めた。もちろんそれは極一部に絞られているため攻略組でもないかぎり警戒の必要は無い。

 だが今この瞬間にその認識は誤りだと判明した。

 そうこうしている内に部屋の左右の扉が開きゾロゾロとモンスターが入り乱れる。

 

「っ!?全員フィリアを中心にひし形に広がれ!」

 

 リンネの声に従いルリ・チャタ・リスモがフィリアを中心に全方位警戒の陣を取りそれぞれの武器を構える。

 

「リスモ、敵の種別は?」

「…不味いな、全部最前線レベルだ。しかも見たこと無いモンスターもいる」

「数は?」

「現状で大体50体前後。もっと増えるかも」

「四人で割ったら一人12体か。やれるか…」

「チャタ、正確には12体×2人の13体×2人だ」

「屁理屈ごねてる場合かリスモ!?シャレになんないくらいのピンチなんだぞ!?」

 

 普段のやり取りの様にも聞こえる彼らだが、その額には汗が滲み出ており状況の深刻さを彼らなりにだが自覚しているのが分かる。

 

「…ごめんなさい」

 

 不意に四人の後ろからそんな声が聞こえる。四人の後ろから聞こえ声と言ったら該当するのは一人しかいない。

 

「私のせいでこんなことに…、謝って済む話じゃないのはわかってるけど…でも…」

 

 小刻みに震える体を必死に抱きしめ、か細い声で謝罪するフィリアの姿は自責の念で今にも潰れてしまそうだ。

 四人はそんなフィリアの姿を片目で見ていたがすぐさま目の前のモンスター達に振り返る。

 

「…別にお前のせいじゃねぇよフィリア」

 

 リンネがフィリアにそう伝える。

 

「真っ先にこうゆうトラップかもしれねぇって疑うべきだったギルドリーダーである俺の責任だ。お前じゃねぇ」

 

 

 後ろめたさから地面を見ていた顔を上げるフィリア。そこには刀を構えるアホ(ギルドリーダー)の背中があった。

 

「あぁそうだな。そういったところで補佐出来なかった俺のせいでもある。副団長失格だなまったく」

 

 声のした右の方を見る。そこには片手剣を構えるアホ(サブリーダー)の姿があった。

 

「無警戒でいた俺にも責任がある。だからフィリア一人のせいじゃないじゃん?」

 

 今度は左。槍を構えるアホ(槍兵)がいた。

 

「事前に情報があったのにろくに確認もせず直前になって思い出した僕こそ責任が問われる人間だ。このギルドの参謀役が聞いて呆れる」

 

 後ろ。短剣を構えるアホ(策士)がいた。

 

「ほらな、お前のせいじゃないだろ?」

 

 その言葉でフィリアの目頭が熱くなる。出会ってまだ一日もたってないのにこんなにも自分の事を思ってくれる人達がいる。感謝よりも申し訳なさで涙が溢れてしまいそうになるフィリア。

 その顔を見て頬を吊り上げるリンネ。それに呼応するようにルリ・チャタ・リスモの三人も続く。

 そしてそれぞれ武器を握り直し、利き脚に力を入れる。

 

「さてそろそろあちら側(モンスター)が痺れを切らしそうだぜ?」

「背中のフィリアを守りつつ最前線レベルのモンスターを各個撃破…骨が折れそうだ」

「だけどやれそうな気ぃするじゃん?」

「まったくだな」

 

「「「「だって、女の子の涙見ちまったら頑張るっきゃないっしょ!」」」」

 

 四方向一斉に肉薄する四人。レベル差や数の利など無視した無謀な突撃は彼の風車に向かうドン・キホーテの様である。だが彼と違い彼らは幻影に取りつかれてなどいなかった。何故なら彼らには守るべき仲間の背中とその背中を見据える一人の女の子がいるのだから。

 

━━━━━━━━━━

 

 結論から言ってしまえばリンネ達ギルド[SOB]とフィリアは無事に隠し部屋から脱出できた。ほぼギリギリでの勝利であったもののフィリアを守りつつ、最前線クラスのモンスターを一人一ダース(大体12体)相手にしたのであれば十分な戦略的勝利であるだろう。戦闘が終わり背中合わせでへたり込むリンネ達にフィリアから満面の笑みで「ありがとう」と言われ、四人はレアアイテムよりも希少な最高の報酬を貰ったと心底から思った。

 その後今回の一件を攻略に積極的に参加しているギルドに報告し、[血盟騎士団]の指示のもと各フロアで隠し部屋の調査と掃討が行われたことによりダンジョン内での死亡率が激変し以降犠牲者の報告がなくなるのであった。

 

「攻略組のお前が、僕達に関わる資格なんて無かったんだ!!」

 

 極一部を除いてだが…

 

 




やっぱりシリアスが入ると書くのが遅くなる作者(茶久良丸)です。
前回の投稿後しばらくサイトに入ってなかったのですがいつの間にかこの作品に色がついてました。しかも赤…
マジか…Σ(゚◇゚;)
こんな妄想の産物が評価されるのも皆様のおかげです。ありがとうございます。
さて次回はクリスマス回。えぇ…ギャグ回ですよ。


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クリスマスに現れる不法侵入者

前回のあらすじ
リンネ「いいのかよゲームオリジナルキャラ出しちまって」
ルリ「どうやら作者がSAO調べてたら出てきたらしい」
チャタ「アニメしか知らないくせに後の処理が大変じゃん」
リスモ「まぁ僕たちのように度しがたい変態ではないd」
フィリア「フランシスコ・・・ザビ・・・!?」
リンネ・ルリ・チャタ・リスモ「既に手遅れだった!!」



クリスマス

 それはイエス・キリストの生誕を祝福する日である。世界各国で様々な風習がなされているが事日本ではサンタクロースがプレゼントを一杯に入れた袋を片手にソリで子供達に夢と言うなの欲望をプレゼントする日になっている。

 が、それは正直今回の話の概要とはあまり関係ない。

 今回の話の概要それは…

 

━━━━━━━━━━

 

〈第四十九層 ミュージェン〉

 

 十二月二十四日いわゆるクリスマス・イヴの日。町の中心にある大きなもみの木が電飾で飾られ町の至るところには出店が開き、何処からともなく聞こえてくる音楽(BGM)がクリスマスを歌う。しんしんと降り積もる雪は至るところに化粧をし幻想的な風景をかもしだす。

 町に来ているプレイヤー達は自然と笑顔になり、一時の幸せを噛み締める。まるでこの世界(SAO)(デスゲーム)をこの時だけ忘れるように。

 

「ふぅ~、結構歩いたね」

「ちょっと休もうよ。あそこのベンチ座ろ?」

 

 その町にいた若いカップルらしき人物達。どうやら観光に来たようで町のあちこちを見回っていたらしい。女性の方は寒いからと言って彼氏と思われる男性の左腕にしがみつき、男性の方もそれ満更でもない顔で微笑んでいる。はっきり言って人目も憚らず滅茶苦茶イチャイチャしてた。

 

「ねえねえ!これからどうする?」

「そうだねー、そろそろ良い時間だしレストランとか行く?」

「わあ!行く行く!何処のお店?」

「三十八層の町で良いレストランがあるらしくってそこに行こうかなって」

 

 てな感じで自然に彼女を食事に誘う彼氏。実はこのプレイヤー、今夜彼女にプロポーズする気なのである。会話ではそれとなく思い出したかのように言ったが実際は一週間から情報屋と自身の足を使いプロポーズに最適なレストランを探し、なけなしのコルを使って結婚指輪を購入し、プロポーズのセリフまで全て考え練習した徹底ぶりである。後は彼女をレストランに連れていきディナーを待ってる間に告白し雪をバックに乾杯。何度も脳内シミュレートした妄想に内心ウキウキしながらレストランに行くタイミングを見計らう彼氏。

 が、そこに一人の悪魔が迫っていた。

 他愛のない話をしていた時不意に人影が二人に割り込んだ。何かと思い振り向くとそこにはサンタコスをした男プレイヤーが大きな袋を担いでカップルを見ていた。

 

「…こんばんは」

「え、あ…こんばんは…」

「こ、こんばんは…」

 

 唐突に挨拶してきたサンタコスの男。戸惑いながらもカップルは挨拶を返す。

 

「…いやねぇ?何か仲睦まじく話してたもんだから気になってね?何、カップル?」

「あ、はい。そうですけど…」

「ふ~ん。…どのくらいなの?付き合いはじめて?」

「え?え~と、三ヶ月前くらいだよね?」

「う、うん。それくらいだよ…?」

「ふ~ん…」

「…」

「…」

 

 長い沈黙。場の空気がどんどん悪くなっていく。

 

「…ねぇ、場所変えない?」

「そ、そうだね。そろそろレストラン行こっか」

 

 空気の悪さに耐えかねて彼女が小さくコソコソと彼氏に言い、彼氏もそれを了承する。カップルはベンチから立ち上がりその場を去ろうとする。

 

「ちょっと待った」

 

 と、サンタコスの男が静止を呼び掛ける。

 

「な、何ですか?」

「君のプレゼントを預かってるんだよ」

 

 するとサンタコスの男が担いでいた袋を下ろしガサゴソと中を掻き分け始める。少しして中から小さい小箱程度のプレゼントが現れた。

 

「はい、これ」

「あ、どうも…」

 

 手渡されたプレゼントを素直に受けとる彼氏。

 

「中、開けてみなよ」

 

 サンタコスの男に言われプレゼントの封を開ける彼氏。その中には…

 

「指輪?」

 

 それはとても綺麗な指輪だった。銀色のリングの上には小さい宝石が飾ってある。まるで結婚指輪のようだ。

 

「あの子、泣いてたよ?」

 

 そう言い残しサンタコスの男は背を向け歩き出す。

 

「ねぇ、この指輪何?あの子ってだれ?」

「し、知らないよ!この指輪もあの子ってのも!」

「嘘!ならあのサンタ何のよ!知らない人がわざわざ貴方に指輪なんて届けるはず無いじゃない!」

「あのサンタも初めてだよ!とにかく落ち着いて!」

「落ち着いて!?よく言えるわねそんなこと!泣かすって事はそれなりのことその子にしたってことでしょ!」

「だからお願いだから落ち着いて!僕の話を聞いてくれ!」

 

 降りしきる雪の中、(いち)カップルの熾烈な口論が十二月の空に響く。その問答をバックに立ち去るサンタコスの男は人目につかない路地に入ると…

 

「計画通り…」

 

 と、悪魔じみた笑顔をするのだった。

 

━━━━━━━━━━

〈第四十九層 ミュージェン もみの木の下〉

 

「どうだ成果は?」

「六ぐらい」

「五は仕留めた」

「十」

 

 そこにはアホ達がいた。全員サンタのコスプレをして大きな袋を担いでいる。リスモはわざわざ口髭まで付けてるレベル。

 余談ではあるが個性出すためかそれぞれ色が違っていた。リンネは赤、ルリは緑、チャタが青、リスモが白のサンタコスである。因みに何故ルリが青ではなく緑なのかは「安直に青にいったらつまんねぇじゃん。あと零戦好きだし」と本人の弁。

 

「いや~、にしても案外行けるもんだな」

「まぁ、所詮はネットでの付き合いだからな」

「きっと俺たち悪魔みたいな顔してんだろーな。全く反省しないけど」

「どうしてこんなにも心は痛まないのだろう。むしろ愉悦得るとは…やってよかった[サンタの贈り物は彼女のビンタ作戦]」

 

 そう、このアホどもはクリスマスイブの日にイチャイチャしてるカップルを破綻させるとゆう最悪極まりない事をしていた。

 やり方は簡単

 

 良い感じのカップル発見

     ↓

 それとなくどのくらいの交際期間か聞く

     ↓

 そこら辺でドロップした指輪系のアイテムを渡す

     ↓

 「あの子泣いてたよ?」と告げる

     ↓

    修羅場

 

 と、いった感じでカップルに混沌をプレゼントするサンタを演じるとゆうことをやっていたアホ達。ちなみに先程のカップルはリンネが陥れた。

 

「で、これからどうする?」

「ここら辺はあらかた片したよな?」

「なら別フロア行く?」

「ここ以外だと二十六層辺りいいな。始まりの町は広すぎて処理できないし」

「よし、んじゃそこ行くか」

 

 すでに四十九層のカップルを壊滅させいるにも関わらずまだ続ける気のアホども。非モテ男の闇の深さを感じさせる。

 とそこに二人組の男プレイヤーが通り掛かった。

 

「なあ聞いたか?今日の0時にサンタが来るらしいぜ!」

 

 グワ″ッ!!

 

 『サンタ』の単語で一斉にプレイヤーに振り向くと偽サンタども(アホども)。その目はとてつもなく見開かれていた。どのくらい見開かれていたかと言うと[いつも聖女に目潰しされる旦那]を想像すれば早い。そんな今にも海魔召喚しそうな四人に気づかず話を続ける二人組。

 

「サンタって、お前いい歳こいてまだサンタ信じてるのかよ?」

「違う違う、イベントだよイベント。今夜の0時にどっかのもみの木の下に現れるサンタを倒すとレアアイテムが貰えるんだって!」

「へ~、んじゃこんなところで暇潰してて良いのかお前?」

「それがさ~、相当なレアアイテムらしくてめぼしい場所は攻略組が陣取って近づくことも出来ないんだ。ま、情報事態がガセかも知れないしそこまで気にすr」

「オイッ…!」

 

 ガシッ

 

「ファっ!?」

 

 突然左肩が万力に挟まれたかのように重くなり振り向くプレイヤー。そこにはデス○ートのシ○ウぽい顔をした四人のサンタコスの格好をしたアホ達。

 

「「「「その話…もうちょい詳しく…聞かせろ…!」」」」

「え、いやちょっ!?ま、待って!てかお前らだr、アッーーーーーーーーー!!」

 

 その後そのプレイヤーがどうなったか、隣にいたプレイヤーは頑なに首を横に降り続けたらしい。

 

━━━━━━━━━━

 

〈第三十五層 迷いの森〉

 

 吹雪のなか木々が生い茂るその森で戦闘が開始されていた。

 いや、戦闘と言うにはあまりにも一方的なリンチと言った方が正しいかもしれない。その答えは単純明快。一方のギルドが一心不乱に攻撃を仕掛け、もう一方のギルドがその攻撃をひたすら受け流す。攻撃を仕掛けているギルドの名は[聖龍連合]。攻略にも参加してる有力ギルドだがレアアイテムを独占しようとする傾向があり、そのため一時的にオレンジ化(犯罪者プレイヤー)することをギルド内で容認するほどだ。

 それに対するは最近になり攻略組に入った[風林火山]。クラインをギルドリーダーとした総勢六名の小規模ギルドだがその実力は攻略組内でも折り紙付きであり、チームワークにおいても構成メンバー全員が[SAO]前にやっていたゲームのギルドメンバーとゆうことだけあって抜群に良い。上記の[聖龍連合]と違いゲームプレイにはラフな面が全くなく正々堂々を貫くので一時的であってもオレンジ化(犯罪者プレイヤー)は認めないのがギルドリーダーであるクラインの主張だ。それゆえだろうか[風林火山]は徐々に[聖龍連合]の部隊に押されつつあった。数の利もあるがやはりプレイスタイルの違いで手荒な真似が出来ないところを漬け込まれ強引な人海戦術に[風林火山]は苦戦を強いられる。

 

「どうするリーダー、もう後がないぜ!」

「どうするもこうするもねぇよ!キリトが戻ってくるまで何がなんでも守りきるんだよ!」

 

 クラインがそうギルドメンバーの一人に言うが内心では打開策が思いつかず手詰まりの状態であった。

 

(このままじゃ埒が明かねぇ!俺はともかく他の連中に手ぇ出させるわけにはいかねぇ!こうなったら強引にデュエルに持ち込んで時間を稼ぐしか…)

 

 クラインがそう考えていると後ろの空間が歪んだ。誰かがこの場所に入ってきたようだ。

 

(もしかして増援か!?)

 

 不味い、クラインはそう思った。唯でさえ押さえるのがやっとのこの状況でさらに人数が増えるとなれば確実にこちらが瓦解する。クラインの思考が最悪のシナリオを弾きだし、打開策はないかと模索する。

 だが、入ってきた人物達は[聖龍連合]の者ではなかった。なのにクラインはその人物達を見て顔を青ざめる。

 そう…

 

「ク~リスマスが今年もやってきた~…♪」

「寂しかった、思い出を…♪」

「ぶり返すよに~…♪」

「さあ~パジャマを脱ぎ捨て~出かけよう~…♪」

 

「「「「この世の地獄になぁ!!!」」」」

 

 あのアホたち(偽サンタ)がやって来たのだから。

 突然後ろから謎の替え歌が聞こえ[聖龍連合]の団員たちも振り向く。そして視界に現れる謎のコスプレ集団。困惑・疑問が団員達の脳裏に入り交じる。

 と、そこへ[聖龍連合]の幹部らしき一本結びの侍くずれらしきプレイヤーがアホ達に近寄る。

 

「よぉ兄ちゃん達。悪いけど今取り込んでるんだわ。どっか行ってくんない?」

 

 プレイヤーはニヤニヤした顔でアホ達(偽サンタ)に帰るよう伝える。かなり挑発的に。それに対してアホ達(偽サンタ)は無言貫いている。

 

「てかさぁ、何なのその格好マジウケるんだけどwww。ここコスプレ会場じゃないってのwww。とっとと帰って彼女(・・)とかに愛のプレゼントとかしとけってのwww」

 

 ビギッ(×四)

 

 ケラケラと笑うプレイヤーは気付いていないだろう。アホ達(偽サンタ)の中で大切な何か(・・・・・)がキレかけている事を。

 するとリンネがプレイヤーに向け口開く。

 

「よぉアンタ…彼女とかいんの…?」

「はぁ?いるけど(・・・・)それがどうかしたのかよ?」

 

 ブヂィッ!!!(×四)

 

 アホ達の中でなにかがキレた。

 

「オイっ…」

「あ?」

「アンタプレゼントまだ貰ってないよな?」

「は?何の話?」

 

 唐突に脈絡の無い質問をされ困惑するプレイヤー。だがリンネは返答を待たずに話を進める。

 

「ならよかった。俺たちがお前プレゼントしてやるよ」

「あぁ、飛びっきり嬉しいプレゼントだぞ?」

「全くもってそうじゃん。きっと忘れなれないプレゼントになるじゃん?」

「それな。あ、あと後ろにいる似た格好の人達にもプレゼントしてあげるから」

 

 リンネに続いてルリ達も唐突に話を進める。そうして顔を上げると、そこには…

 

「「「「滅入り苦しみます(メリークリスマス)」」」」

 

 悪魔の顔をした悪魔(アホ)達がいた。

 

━━━━━━━━━━

 

「ハァ…ハァ…ハァ…」

 

 息を吐く度に白い煙が目の前を通り抜ける。目の前には[背教者ニコラス]の亡骸が今にポリゴンとなり砕け散る。

 

「ハァ…ハァ…これで…蘇生アイテムが…!サチが…!」

 

 まるで何かにすがるように掠れた声で彼女の名を呼ぶ。そして砕け散ったポリゴンが一つに集まり形を形成していく。全てのポリゴンが集結すると眩しく光輝き始め彼は左手を前に出し光を遮る。そして輝きが薄まり”彼”はゆっくりと手をどけ形成された蘇生アイテムをその目に写す。

 

「…………ゑ?」

 

 そんな間の抜けた声が”彼”キリトの口からこぼれた。

 

━━━━━━━━━━━

 

〈数分後〉

 

 シンシンと降り続ける銀世界の中、[風林火山]のメンバーは雪で作られたジュータンの上に行儀悪く座っていた。プレイヤー同士での戦闘そのモノが希なこの世界(SAO)だからだろうVRではあるが肉体的よりも精神的に疲れたのだろう。

 するとクラインの目の前空間がまた歪みそこからキリトが現れる。

 

「お、キリト!無事だったか!」

「…あぁ。…お前こそ大丈夫だったか?」

「あぁ~…、まぁ俺達は(・・・)大丈夫だったな…」

「?」

 

 何か意味がありげな言い方をしたクラインにキリトは疑問を抱く。するとクラインは無言で左の人差し指をそっぽに指す。クラインの指を追ってその方を見てみるキリト。そこに写った光景は…

 

「すみません…、もう勘弁してください…」

「あ″あ″!?聞こ″え″ね″ぇんだぁよお!!も″っど腹がら″声出ぜよ″!あ″あ″!!」

「声出せって…、こんな格好(・・・・・)で声なんて出せるわけが…」

「い″い″訳じでんじゃね″ぇよ″!!」

 

 そこにはまるで不良に絡まれた学生がカツアゲされているようであった。最もその不良はサンタの格好したリンネであり、絡まれている学生も先程の幹部と思われるプレイヤーが雪の上で正座されて何故か身ぐるみ剥がされパンツ一丁であった。ハッキリ言ってカツアゲよりも拷問に近い。

 見ていられなくなったキリトは別の方を見てみる。

 

「さてと()からイクかな?それとも()かな?それとも()?」

「お願いします…!助けてください!」

「ルリ~、次の熱棒の準備できた~」

「おう、そこ置いといてくれチャタ。で、何処が良い?(とびっきりの笑顔)」

「本当にこれ以上は何も知らないんです!!後話してないのは俺の彼女のことぐらいで」

「よしルリ、()でイこう」

「OK」

「ちょ待!!あ、アッーーーーーーー!!!」

 

 そこでは両手両足を縄で縛り胴体を木と縄を使って身動きをとれなくし、なぜか亀甲縛り(作:チャタ)されパンツ一丁にさせられている[聖龍連合]の団員と思われるプレイヤーと熱せられた細い鉄棒を片手に持ってナニ(・・)かをしているルリとその近くで焚き火を前に鉄棒を焚き火の中に入れ熱しているチャタがいた。ナニ(・・)をしているかはキリトの位置からではルリの背中で見えなかったがロクなことはしてないとキリトは悟った。そして隅っこの方を見てみると他の団員と思われるプレイヤー達が同じくパンツ一丁にされなぜか両手を股間に当て前のめりに倒れていた。因みに鉄棒はオレンジを通り越して黄色っぽく光っている。

 見ていられなくなったキリトはまた別の方を見てみる。

 

「ほら早く出すんだよ」

「だからもう何も持ってないって!」

「聞こえなかったかい?僕は出せって言ってるんだよ?無くても何か出すんだよ。さもないとキミの(ケツ)に仕込んだ『低振動回転装置』と誤魔化すつもりの謎の装置の能力を最大まで引き上げるぞ?」

「だからこれ以上は何も持ってさっきから、ちょっ!?無言でパワー上げないで!?あ、ンアッーーーーーーーーー!!」

 

 そこにはパンツ一丁にはさせられていないがその場でへたり込んでいるプレイヤーにリスモが何かしらの装置の制御レバーをいじりながら手持ちのアイテムを全て出すよう要求していた。そして隅っこの方にこれまた両手を尻の真ん中に当て倒れ込んでいるプレイヤー達の姿が。

 

 一連の状況を見てキリトはこう思った。

 

「地獄絵図だ…」

 

 心からそう思った。

 

「あ…アハハ…。そ、それでよキリト、蘇生アイテムはどうした?」

 

 ひきつった笑みを浮かべながらまるで直視したくない現実から目を反らすように話題を変えるクライン。キリトは「あぁ…」と言いながらメニューウィンドウをいじりながら答える。そしてとあるアイテムを選択しオブジェクト化させる。

 

「これが[背教者ニコラス]からドロップしたアイテムだ」

 

 そうしてキリトの手の中にあったのは…

 

 ”鈍器”だった。

 

「…ゑ?」

 

 クラインは間の抜けた声を出す。それもそうだろう、全体的に真っ黒な色は使用されている鉄が高価なことをマジマジと見せつけ痛々しい突起は一部が直角に反り返っておりアレで殴られたらまずひとたまりもないだろう。それくらい存在感バリバリの鈍器だった。

 

「な、なんだよ~、結局ガセネタだったわけか。蘇生アイテムじゃなくて残念だったなキリト」

「いや、違うんだクライン…」

「え、何がだ?」

これ(・・)が蘇生アイテムなんだ…」

「…ゑ??」

 

 再びクラインの口から間の抜けた声が出る。キリトは手に持った鈍器をクラインに渡し、クラインはアイテムの詳細を見てみる。

 

装備名:エスカ○ボルグ

 このアイテムを装備した状態で自身以外の対象プレイヤーが死亡した場合、十秒以内に『ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ~』と言い切りアイテムを対象に向けけることでプレイヤーを蘇生できる。

 アイテム使用後武器として装備可(分類:片手剣)。

 

「…」

「…」

 

 読み終えた後、何とも言えない空気になる二人。

 

「ま、まぁアレだな。せっかくサンタ(・・・)倒したってのに残念だったなキリト」

 

 ここでクライン痛恨のミスやらかす。サンタの単語を聞いて[聖龍連合]のプレゼント(拷問)を中断しゆっくりとキリトとクラインの方に振り向く偽サンタ(アホ達)

 

「おい、今の聞いたか?」

「聞いた」

「聞こえたじゃん」

「聞こちゃった」

 

 静かだが確かにそうドスのきいた声でそう言った。そして[聖龍連合]の方に向き返すと…

 

「「「「テメェらのせいでサンタぶち殺せなかったじゃねぁかぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」」

 

 そうしてよりいっそうプレゼント(拷問)が過激さを増すのであった。後にクラインはその光景を見て「まるでアイツら(リンネ達)全員グレイ○アインみたいだった…」と話すのであった。

 

 

 

 

 

 オマケ

 

〈一年前のアホ達〉

 

「クリスマスだぞ!」

「「「いえーーーい!!」」」

「ケーキは?」

「買ってきた!」

「ツリーは?」

「ニ層で刈ってきたじゃん!」

「プレゼントは?」

「全員分ある!」

「それじゃ、パーティー開始だ!!」

「ふううぅぅぅぅーーーー!!!」

 

「「「「アハハハハハ、アハハ、アハハハハハ」」」」

 

 一時間経過

 

「「「「アハハ…、アハハハハハ…、アハハ…」」」」

 

 二時間経過

 

「「「「ア…、アハ…、ハァ~…」」」」

 

 三時間経過

 

 「「「「…、…、…」」」」

 

 以降無言。

 

 十二月ニ十六日0時0分

 

「来年はサンタを殺してカップルを撲滅させるぞ」

 「「「サーイエッサー」」」

 

 こうしてサンタ暗殺&カップル撲滅作戦が発案されたのであった。

 

 




あれれぇ~?(コ○ンくん風)
前回と進み具合がまるで違うし文字数も増えてるしどうなってんの?
まぁ、いっか!
さて次回皆のアイドル、シリカちゃん登場!
えぇ、引っ掻き回します(主にキリト君を)。
お楽しみに!
え、作者のクリスマス予定?
独身男性が独り暮らし…、ここまで言えば分かるよな…?


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噂は一周回って本当(マジ)になる

前回のあらすじ
リンネ「おい今回も随分遅せぇ投稿じゃねぇか」
ルリ「なんでも作者がfg○とスマ○ラとゴッド○ーターで忙しかったらしい」
チャタ「それ忙しいって言うの?」
リスモ「そう言えば今年のサンタは誰になったの?」
サンバ「フェリス・ナビダー!」
アホ四人「ぎゃあああああ!!」ドガーン
ジ○ガ村「おーとここで場外乱闘だ!」



それはある日のアホ達の記録。

 何時ものように攻略をサボって遊んでいる時のこと(牛型のモンスターを使って闘牛士ごっご、火とか吐いてくるモンスターを使って生肉をウルトラ上手に、焼けました実験など)。

 

「ん?あれキリトじゃないか?」

 

 ルリが向こう側にいるキリトに気付いた。ちなみに先程まで鳥型のモンスターに紐を繋いでモ○ハンの如く空を飛べるか実験してた。

 

「んな場所にいったい何の用じゃん?」

 

 ルリと同じくキリトに気付いたチャタがそう言う。ちなみに先程まで植物型のモンスターにジャパニーズオーシャンサイクロンスープレックスかけていた。

 今現在このアホ達がいるのは四十九層の広い平原である。転移門辺りではカップルがイチャイチャしていたので恨めしい目をしながら通りすぎていたりする。

 

「アイツ最近攻略サボってなかったか?ま、僕等が言ったらブーメラ○サーだけど」

 

 とリスモが自分たちも攻略サボっていることを自覚しながらそう呟く。ちなみに先程まで植物型のモンスターにルーペっぽいガラスを通して光を当て収れん発火の実験をしていた。

 

「…」

 

 それに対しリンネは何故か黙り混んでいる。

 

「おいどうしたリンネ?」

 

 それに疑問を持ったルリがリンネに訪ねる。するとリンネは鼻から猛烈に息を吸った後…

 

「…幼女の臭いがする!」

「お前マジで死んでくれない?」

「ついに妹ニュウムが臨界まで来て幻臭まで起き始めたじゃん…」

「恐らく妄想性障害の一種だろう。ここ(SAO)にはカウンセラーがいないから安楽死させよう」

 

 そして団長の反応に対してこの団員である。

 

「まぁ待てって幻臭じゃなくて本当に幼女の臭いがするんだって」

「するから何なんだよ。お前(リンネ)が度しがたいロリコンなのは知ってたがここまで来るとお前の友達止めたくなる衝動が起きる俺たちの事考えてくれてるか?」

「え、そうなの?」

「うん。たまにそうゆうのがあると正直友達として恥ずかしいじゃん」

「一回…いや十回くらいポリスメンに電話しようか迷ったぐらいだし」

 

 割りと辛辣な言葉が並べられた。それもそうだろう。普段から妹と幼女の臭いを嗅ぎ分けられる友人が身近にいたらそれはそれで引く。

 が、リンネは特に気にせず続ける。

 

「まぁいいや、それより」

「まぁいいのかよ…」

「聞けって。その幼女臭がするのがな、キリトからなんだよ」

「「「よし、詳しく聞かせろ」」」

 

 厚い手のひら返しであった。オモチャ(キリト)の名前を聞いた瞬間、『絶対何か(面白い事が)ある』と謎の確信をもったからである。

 そうしてキリトの後をつけてみると、リンネの予感的中。キリトの隣に背の低いツインテールの女の子がいた。

 

「…な!」

「あぁ、その通りだったなリンネ」

「なんで臭いだけでわかんの?割りと離れてんじゃん」

「目視測距してみたら300mくらいあった」

「なにそれ怖っ」

 

 つまりリンネは半径300m以内の妹と幼女を臭いで識別できるとゆうことである。怖っ。

 

「にしてもアイツ(中二病)何しにここ(四十九層)に来たんだ?」

「しかも女の子連れでな」

「そう言えば転移門辺りカップル多かったじゃん…」

「へぇ、デートかよ」

「「「よし、腕とかにシルバー巻きに行こう」」」

 

 一体どこのA○Mなのか…。

 てな感じでキリトに近づこうとした時リンネが先ほどから気になっている事を口にした。

 

「よし行こう。ところで誰なの?俺のエッチピストル付近をもしもししているのは?」

「え、お前じゃないの?俺の46cm単装砲近海をすりすりしてるの?」

「ん?なら俺のボルテッ○シューター近隣をころころしてんの誰?」

「なら僕ちゃんのピペットスポイト周辺をふにふにしてるの何者?」

 

「「「「…ん?マジで誰だ?」」」」

 

アホ達は一斉に後ろを向く。その後ろには大型植物型モンスターがウネウネしながらアホ達の股間に触手を忍ばせていた。

 

「「「「うぎゃあああああ!?!?」」」」

「うぉ!?なんだ?」

 

 と、ここでキリトが後ろからの悲鳴に驚き振り向く。隣の幼女もとい[シリカ]もまたキリトと同じく振り向く。

 そこには…

 

「イヤーッ、止めてエロいことするんでしょ!エロ同人みたいに!」

「一体どんな需要があってこんなことするんだ!」

「オカズにされる!世のBL女子の夜のオカズにされるぅ!」

「モウヤメルンダ!」

 

 そこには(出来れば知りたくなかったが)見知ったアホ達が植物型のモンスターに触手攻めされていた。

 

「えっと…、キリトさん助けたほうがいいんじゃ…」

 

 キリトの隣にいたプレイヤー[Silica(シリカ)]は彼らの言動に戸惑いながらも助けたようとキリトに相談する。

 

「無視しよう」

 

 考えるまでもなかった。キリトにとってあのアホ達は自分が[中二病]とかいろいろ言われる原因であり、有る事無い事(九割無い事)情報屋に流されそれが独り歩きした結果、やれ『ヤツ(キリト)は夜な夜な自らの暗黒の力を高めるため月に向かって小○宙(コ○モ)を燃やしている』とか『あの真っ黒な格好は「俺は影にいきる存在…、お前達一人一人の影の中に存在している…」とゆうメッセージが込められている』だとかその他もろもろのろくでもない噂が今でも増え続けている。ここで全て紹介できないのが誠に残念である。

 

「え!?で、でも襲われてるみたいですし…」

「大丈夫!アイツらなら問題ないからむしろ見つかる方が問題だから!!」

 

 足早に逃げるように立ち去るキリト。取り残されたシリカは迷った末、触手に絡まれているアホ達に「ごめんなさい!」と頭を下げキリトの後を追うのだった。

 

━━━━━━━━━━

 

〈そして数分後〉

 

「キリトさん、数が多すぎます!」

 

 原作(オリジナル)を知っている皆様(読者様)はお分かりだろう。例の橋のシーンである。

 

「大丈夫。シリカは転移結晶持ってそこで待っててくれ」

 

 この時キリトはギルド[シルバーフラグス]の団長のプレイヤーからギルド[タイタンズハンド]を牢屋に入れてくれと頼まれていた。

 

「キリトさん!」

「キリト…?もしかして、ロザリアさんこいつソロで最前線に潜ってる攻略組の[中二病(・・・)]のキリトだ!」

「あぁ~、あの噂の」

「なんでもボス戦の前に『くっ!?、俺の左手に封印されし[邪神黒龍]が目覚めようとしている!ボスから滲み出るの血の匂いを感じ取ったか…、静まれ俺の龍よ!今お前を解放したら世界の半分が…!!』て言うセリフを毎回のように言ってるとか!」

 

 嘘である。

 

「片手剣なのに盾を持っていないのは『俺に防御など不要…、俺の左手に封印されし[邪神黒龍]の魔力が常に体を駆け回っている…、それゆえ並大抵の攻撃など俺に触れる前に消滅する…!』とか!」

 

 嘘である。

 

「他にも色々聞いてて痛々しい逸話があるんですよロザリアさん!」

 

 大体嘘である。

 てな感じでほぼ全プレイヤーにこの捏造された発言集が広がり今でも増え続けている。

 これを聞いたシリカは…

 

「えぇ…」

 

 なんかもう色々台無しみたいな顔をしていた。道中の妹の話は一体なんだったのかとか。

 そして当の本人は…

 

「…」ズズッ(鼻をすする音)

 

 ちょっと泣きべそかいてた。顔を真っ赤にして。

 

「ま、攻略組だか中二病だか知らないけどそんなのどうでもいいじゃない。ほらさっさと身ぐるみ剥いじゃいな!」

 

 ロザリアそう指示を出し部下達が一斉にキリトに突撃する。

 原作(オリジナル)を知っている皆さん(読者様)はここでの展開をご存じだろう。余裕ぶっこいたキリト君のレベル自慢がされるシーンである。

 が、

 ここでアクシデントが起きてしまった。

 一番先頭を走っていたプレイヤーがキリトに切り込む直前、橋の段差につまずいた。

 その反動でそのまま…

 

 ドッカァーン

 

 キリト君の顔面に頭突きした。

 それはもう見事な頭突きだった。どのくらい見事かと言われるとボクシングで負けた相手に頭突きして泣くまで殴ったジョ○ョぐらい見事だった。そしてキリトは頭突きされた衝撃でのけ反りそのまましりもちをつく。

 そして残りの部下達に…

 

「おらぁ!」

「この、この!」

「口ほどにもないヤツ!」

 

 メッチャ蹴られていた。

 もうどうしようもないくらいの袋叩きであった。どのくらいどうしようもないかと言われると負けることを強いられている包帯まみれのクマが勇ましく喧嘩を吹っ掛けるも返り討ちにあうぐらいにどうしようもなかった。

 その間キリト君は…

 

「ちょっ、べはぁ!ま待って!やり直、ぼはぁ!」

 

 何か言ってるようだが全く聞き入れてもらえずそのまま蹴られ続ける。しかもキリト君は『自動回復(バトルヒーリング)スキル』で十秒間に600ポイント回復するため一向にHP(ヒットポイント)が減らないのでそのまま蹴られ続けるはめに。

 

 (た、助けなきゃ…)

 

 ここで先程のカミングアウトでのダメージがようやく回復したシリカがぼろ雑巾になっているキリトを助けようと短剣に手を伸ばしたとこで、

 

(…ん?)

 

 何かに気づいた。

 ロザリアの後方に四つの人影。ちょっと前にキリトと共に無視したあのアホ達(四人組)だ。

 四人は何故か横一列で並んでその場に立ち尽くしている。すると…

 

 ザッ!!

 

 唐突にダンスを始めた。

 シリカは何の脈絡もなく始まったダンスに戸惑うばかり。しかもダンスをしながら徐々にこちらに近づいていて来ている。

 ちなみにだがリンネは『ハレ○レユカイ』、ルリは『恋は○リルショックサスペンス』、チャタは『キル○ーダンス』、リスモが『ルイ○イダンス』であった。そして割りとダンスの完成度が高い。

 

「アンタら何やってんだい!さっさと殺しな!」

 

 と、ここで何時までたってもキリトのHP(ヒットポイント)減らないので煮えを切らしたロザリアが部下を怒鳴り付ける。

 

「そ、それがロザリアさんこいつさっきからライフのバーが一向に…て、ロザリアさん!後ろ!」

「後ろ?」

 

 部下に言われ後ろを振り向くロザリア。そこにはもちろんそれぞれ謎ダンスしているアホ達。

 

「きゃあああ!?」

「あ、バレた」

「リスモ、記録は?」

「対象から後、二十センチ」

「よし、記録更新だ」

「あんたら何者だい!?この変態ども!」

「「「変態ですけど?」」」

 

 どんな状況でもブレないそれがこのアホ達(なおルリは変態を否定している)。てかロザリアの真後ろまで気付かれずに近づけたのは彼女の『索敵スキル』が低いのかそれともこのアホ達の謎ダンスによるものなのか…。

 

「あ、アンタら見てないでコイツらもやっちゃいな!」

 

 ロザリアがそう怒鳴るが部下達は動こうとしない。それどころか顔を青ざめ身震いし始めている。

 

「ロザリアさん無理だ…」

「ソイツら間違いねぇ…」

「[ラフコフ]の次にヤバいギルド、攻略ギルド[S.O.B]、[ソードアート.オンライン.ブレイカーズ]!!」

 

 皆様(読者様)きっとこう思っているだろう。

 『なんだそのクソダサい名前は』と。はっきり言おうこれは周りの中層プレイヤー達が勝手に着けた名前である。本来の名前は別にあるがこのアホ達は『ほっといた方が面白そう』と考えてそのまま放置している。

 

「俺聞いたことある…、確かこの前のクリスマスの日に、[聖龍連合]の精鋭三十人を相手に全員返り討ちにして丸裸にしたって!」

 

 本当(マジ)である。

 

「中層から最前線までのトラップ部屋にあえて突っ込んでヤバいくらいにレベル上げしてるって!」

 

 本当(マジ)である。

 

「最近だとテイムしたモンスターにじゃ○もどきとオイ○ーオイルだけだ食べさせてストレスで過労死させたって!」

 

 本当(マジ)である。ちなみにその時の飼育係はリスモである。本当はピ○サルがよかったらしい。

 

「そんなヤバい噂しかないギルドなんです!そんなヤツ等にかてるわけがねぇ!!」

 

 部下達は一斉に武器を捨て降伏の意思を伝えるためその場で正座をし両手を上げる。

 

「ちょ、ちょっとアンタら冗談じゃないよ!?」

 

 部下達の無条件降伏に焦るロザリア。そしてそこに迫るアホ達。

 

「で、アンタはどうする?」

「悪いけどさっきの話聞いてたからアンタらが何者かも何してたかも知ってる」

「あ、色仕掛けも無理だから。俺達を満足させるなら極端に純粋か、極端に変態かのどっちかだから。アンタはさしずめガン○ム種のフ○イみたいな人じゃん?」

「う~ん、おっぱいはあるけど趣味じゃないな。慈悲の余地無し」

 

 ロザリアは迷う。もし抗戦を選んだ場合確実にやられるのが目に見えている。数の利もあるが自分よりもレベルが高い部下達が全員降伏するほどの相手だ、きっと一般プレイヤー(グリーン)だからと躊躇もしてくれないだろう。逆に降伏したら一体何を要求されるか分からない。そのための武器(色仕掛け)も事前に釘を刺されてしまった。八方塞がり、万事休す。その言葉が正しく似合う状況にロザリアはいた。

 

「まぁ、俺らも鬼じゃないから条件付きで見逃しても良いぞ?」

 

 と、ここでリンネがそんなことを言った。

 

「ほ、本当かい!?見逃してくれるんなら何だって(・・・・)やるよ!」

 

 ここでロザリア痛恨のミスをやらかす。本人にとっては真っ暗闇の中に一筋の光を見たような状況であるが相手が悪かった。

 

「「「「ん?今何でもって言ったよね?」」」」

「あっ…」

 

 気付いたときには時すでに遅し。悪魔達(アホ四人)が頬を吊り上げて迫ってくる。

 そしてそれを外野から見続けたシリカは…

 

「あ・・・・悪魔だぁ・・・・」

 

 と、か細い声でいうのだった。

 ちなみにキリトは気絶してた。

 

━━━━━━━━━━

 

〈第一層 始まりの町〉

 

 始まりの町で一番広い場所(分かりやすく言うとログイン地点)では多くのプレイヤーが訪れていた。

 その理由は…

 

「は、はじけるレモンの香り! キュアレ○ネード!」

 

 ロザリアが黄色いゴスロリを着てプリ○ュアのポーズを取っていたからである。そしてたかれるフラッシュの数々。

 

「も、もう勘弁しておくれ…」

「はぁ?何言ってんのお前。自分で何でもするって言ったんだろが!ほら、次はミ○トだ!」

 

 舞台裏に引っ込んだロザリアが膝を着きながらうなだれているところにリンネの罵声が飛ぶ。

 あの事件の後、彼女ら[タイタンズハンド]は[シルバーフラグス]の団長に土下座しに行き『殺したこと悔いてるならそれでいい』と言われたので事件その物は一件落着。たがロザリアがアホ達の条件をのんでしまったのでそれはそれこれはこれとゆう話。

 アホ達が強いたロザリアへの条件、それはプリ○ュアぽい格好をさせての写真撮影会だった。

 元々SAOでは娯楽と言えるものが少ない。あるとしてもイベントクエストや季節限定クエストなどの期間が限られているものばかりでレベルの低いプレイヤーや圏外に出ないプレイヤーにとってはほぼ無縁のものなのだ。何よりそのイベントをやるにも命懸けであるため心から楽しめる祭りとゆうのが少ないのである。

 そこでこのアホ達はレベルが低くても、圏外に出なくても楽しめるイベントを不定期で開催している。例えば今年の正月には『第二回 チキチキ乳○(ち○び)相撲対決(女子プレイヤー大歓迎!!!)横綱[ルリ]を倒せ!』を開催した(ちなみに女子プレイヤーは誰一人として来なかった)。

 そして今回、数少ない女子プレイヤーのコスプレ写真撮影会と称してロザリアに一役買って貰ったのである。

 ん?てかそもそもSAO自体が娯楽じゃなかって?よくあるでしょ、ゲームで別のゲームやるの。[フォッ○スアサルト]で[ゼ○ウス]が出来る様なもんである。

 

「はいは~い、それぞれ一列に並べ~。おらそこ!横入りは即刻出禁だぞ!」

 

 そしてリンネが舞台裏でロザリアのプリ○ュアポーズの指導をしている間、ルリは撮影用の結晶を片手に今か今かと待ち焦がれているプレイヤー達の列整理をしていた。

 

「296、297、298、299、300っはい整理券はここまでで~す!前の列が動いたらゆっくり移動を開始してくださ~い!」

 

 チャタは整理券を配り列の移動を誘導していた。ちなみに整理券は舞台裏で巻き込まれたキリトがせっせと作っている。

 

「NPCが売ってるのより高い?それもそうだよ現地価格だから。別にクレームつけるんだったら買わなくていいよ?ただここから同じ物を売ってるNPCの店まで行って戻って来るのにどれだけの時間がかかるか分かる?ちなみにここで買えば優先整理券が付いてくるけど。3個?まいど」

 

 リスモは撮影用結晶の現地販売をしていた。そしてよく見てみると[タイタンズハンド]のメンバーが列整理の手伝いをしている。彼らはイベント終了後に好きなだけ撮影出来る事を条件に手伝いをさせている。

 

「や、安らぎの緑の大地 キュアミ○ト! 」

「違ぁうっ!!もっと気配り上手で包容力がある礼儀正しい和菓子屋娘系で『時々こ○ちが解らなくなるわ』とか言われる感じだ!!」

「どうやるんだいそんなの!?」

「考えるな!感じろ!そして最終的に六つ子の末っ子みたいなリスに惹かれる気持ちになるんだ!!」

「何者だいそいつ!?」

「俺に質問するなぁ!!」

 

 ここまでの言動でお分かりだろう。リンネはプリ○ュアガチ勢である。

 こうしてイベントは大成功で終わり収入の半分を[シルバーフラグス]の団長に、二割を[タイタンズハンド]で山分け、アホ達は残り三割に割り振られた。キリトはボランティア扱いなので収入は獲られなかった。

 その後このイベントが大盛況だったので何度か開催され[タイタンズハンド]はコスプレギルドとして広まっていった。

 

 




お久しぶりです。
スマ○ラが来てから休日家に籠ってばっかです。
楽しくて仕方ない。


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回転と言うなの解決策

前回のあらすじ
リンネ「おら!ミ○ト終わったら次はア○アだ!!」
ルリ「はぁ?列が進んでない?コミケと同じだ文句言うな!!」
チャタ「あれ、そう言えば去年のコミケ…」
リスモ「それ以上はいけない!!」
キリト「終わりが見えねぇ…」
ロザリア「ち、知性の青い泉、キュアア○ア!」
シリカ「え、私の出番あれだけ…?」



〈第五十六層 攻略会議場〉

 薄暗い洞窟の中、全員合わせても三十人前後程度の攻略組プレイヤー達が頭を悩ませていた。

 理由は単純、フィールドボスが倒せないのだ。ここに集められている攻略組は現状間違いなくこのSAOで最高レベルの者達。にもかかわらずフロアボスではなくフィールドボスに手間取っている状況。焦りを感じた攻略組は一度会場を開きこの件についての議論をかわすことになり今に至る。

 だが集まったところで『こうすれば倒せる』なんて都合の良い方法などあるわけが無く攻略会議は難航するばかりである。

 

 バンッ!

 

 すると中央に設置された机を両手で勢い良く叩きつけるプレイヤーがいた。思考に集中していたプレイヤー達は自然と机を叩いたプレイヤーに注目する。

 

「フィールドボスを村に誘きだします」

 

 そうアスナが断言した。提案ではなく断言したのだ。周りのプレイヤーがザワつき始める。今回の作戦指揮を任されているとはいえ余りにも思いきった作戦だからだ。

 

「ちょっと待ってくれ!その作戦じゃあ村の人達に犠牲が出る!」

 

 反論したのはキリト。至極真っ当な理由で作戦を否定した。

 

「それが狙いです。ボスが村人NPCを殺してる間に包囲、撃退します」

 

 だがむしろそれを狙ってボスを倒すと言うアスナ。

 

「彼らはそこら辺のオブジェクトと違う!彼らは…」

「生きてるとでも?」

 

 キリトの反論を遮るようにアスナがそう問いかける。その目は余りにも冷たく、まるで子供の人形遊びを滑稽と思う大人のような目だ。

 

アレ(・・)は所詮オブジェクトです。殺されてもまたリポップします」

 

 アスナはNPCをアレ(・・)と表現した。つまり彼女の中でNPCは人間ではないとゆう明確すぎる証拠であった。

 

「「チャージ3回、フリーエントリー、2on2ノーオプションチームバトル!」」

「「チャージ3回、フリーエントリー、2on2ノーオプションチームバトル!」」

 

 とゆう緊迫した場面で何か後ろでそんなことを言ってるアホ四人がいた。だが全員これを無視した。言ってることで何してるかは大体想像できたからだ。

 

「俺はその考えには乗れない…」

 

 キリトは断固として作戦の参加に反対した。彼も一人のゲーマーとしてNPCにも心とは言わなくてもと意思的な物はあると思っているからだ。

 

「「うおおおおお!!」」

「「はあああああ!!」」

 

 何か後ろで雄叫びが聞こえるがこれも無視する。

 

「今回の作戦指揮は[血盟騎士団]、延いては副団長のこの私が全権を握っています。従って貰います」

 

 職権乱用とは正にこの事、従わないなら強引にもでも従わせる。アスナの目がそうキリトに告げている。周りのプレイヤーも自然と緊迫した空気を作る。

 

「「チャージ・イン!!!」」

「「チャージ・イン!!!」」

 

 を、ぶち壊すアホ達。

 

「と言うか貴方達!!」

 

 ここで遂にアスナがアホ達にキレた。周りのプレイヤーは『あ~あ、ツッコンじゃった…』みたいな顔した。

 

「「「「ん?何か?」」」」

「何かじゃないわよ!さっきから一体何をしてるの!!」

「「「「はぁ?見てわかんねぇか?

    クラッ○ュギアだよ!!」」」」

 

「「「「「「「「「いや、カブト○ーグじゃねぇのかよおおおおおお!!!!!!」」」」」」」」」

 

 全員ツッコンだ。

 その後アスナとのギア○ァイトでチャタの[シャイニング○ードブレイカー]が決まり、アスナの作戦は保留となり別の作戦を後日考えることで決着がついた。

 

━━━━━━━━━━

 

〈一ヶ月後 第五十九層〉

 

「…ん?…んぁん?」

 とある圏内の野原で昼寝をしていたキリト。数分前にアスナが説教に来たがそれとなく説得し隣で昼寝している。そして数十分して何かの違和感に気付き重い目蓋を開けた。

 そこには油性ペンを持ったリスモがいた。

 

「…、うおおおおおぉぉぉぉぉ!?」

 

 意識覚醒後のキリトの反応速度は素晴らしかった。即座に両手足を使用し四つん這いで素早く後ろに逃れる。

 

「…ちぃ、バレたか」

「何してんだお前!?」

「何ってデコにバカとでも書こうかと。フォ○ト君みたく」

「それ元ネタ古すぎて分かる人いないから!てか何でいるんだよ!?」

「お前らが寝てるから[睡眠PK(プレイヤーキル)]からの護衛と言う建前の元、イタズラでもと」

(やっぱりそうゆう理由か…)

 

 キリトはとりあえず落書きは阻止できたと安堵の息を漏らす。気持ちが落ち着いたところで周りを見てみると…

 

「背中からス○ンドならぬ神仏を出すにはどうすれば良いんだ?」

「何で急に出そうと思ったんだよ」

「きっとアレじゃん、本名繋がりで武○ちゃんになりたいんじゃない?」

「ふっ、残念だなチャタ。その考えは間違っている。何故なら俺は初めから武○ちゃんが好きだ!」

「お前最近キャラ濃すぎない?プリ○ュアの次fa○eとか流石にツッコミきれないんだけど」

「大丈夫だろ。もっとキャラの濃いヤツがウチのギルドにいるんだし」

「「そりゃそうだ」」

 

 やっぱりいた残りアホ三人(リンネ・ルリ・チャタ)

 その後アスナが起きるまで何時ものやり取り(アホ達の暇潰し)をして、アスナから晩飯一回奢りでチャラを命じられた。

 

━━━━━━━━━━━

 

〈第五十七層 マーテンの町 とあるレストラン〉

 

「おいアレって[閃光]のアスナじゃないか?」

「何でこんなところにいるんだ?」

「隣にいるのたしか[中二病]のキリトじゃない?真っ黒な格好してるし」

「あぁ~、あの何か色々と聞いてて恥ずかしくなる噂が絶えないヤツか」

「てかあのデコ(・・)www」

「それよりあの四人[S.O.B]じゃないか?攻略ギルドの?」

「アレが!?[ラフコフ]の次にヤバいギルドの!」

「間違いないぜ!俺この前ダンジョンでモンスターにマッスル○ッキングと雷我弐不○斗爆弾(ライガーズツープ○トンボム)かけてるの見たぜ!」

「なにそれスッゲー気になる!」

 

 とゆうヒソヒソ話がレストランに入ってから絶えず聞こえてくる。

 

「悪目立ちしてるな」

「まぁ仕方ないな。アスナは希少な女プレイヤーで攻略組、しかも[血盟騎士団]の副団長だし」

「その点こっちは中二病と変態しかいないじゃん」

「中二病と変態が編隊を組んでやって来るのか。素晴らしい波状攻撃だな」

「いや大体お前らの所為だからな…。てか噂話に隠れて笑ってるヤツいないか?」

「そりゃそうだろ。お前のデコ(・・)見れば誰だって笑うわ」

「…ゑ?」

 

 キリトは窓の反射で見える自分の顔(特にデコ)を確認する。

 

 果肉入り

 

 窓に移る自分のデコにはそう書いてあった。

 

「ちょっと待ってええええ!?え、いつどこで!?」

「君が昼寝してるとき」

「嘘だろ!?だって起きたときリスモは書く直前だったろ!」

「僕がいつ書く前だと言った?」

「お前が自分で『バレたか』とか言ってただろ!?」

「確かに[バレた]とは言った。しかしそれは書き終わってから[バレた]と言っただけで書く前に[バレた]とは言ってない。単に君の先入観から[落書きされる前に起きられた]と錯覚しただげた!」

 

 リスモの完全論破であった。これにはキリト(果肉入り)も黙るしかない。

 

「本当は『バ果肉入り』って書きたかった」

「あぁーだからバカって書きたいって言ってたのか…」

「と言うよりも貴方今まで気づいてなかったの?」

「アスナが教えてくれればこんな恥ずかしい思いする事もなかったんだが…」

「貴方何時もこの人たちと一緒だからまた悪ふざけだと思ったのよ」

「別に好きで一緒な訳じゃないからな!むしろ関わりたくないから!!」

 

 と言いつつもアホ達が何かしらのイベントやら遊びをやる時はほぼ確実に巻き込まれているキリト(果肉入り)なのであった。ちなみに油性ペンなので擦っても落ちなかった。

 そんな会話で場が盛り上がっていたところでキリト(果肉入り)の注文した料理(ハンバーグ的なヤツ)が一番先にやって来た。

 

「お待たせしました~」

「あ、俺だ。じゃあ悪いけど先にいただきます」

「なぁキリト、ちょっとそれ三分の一くらい分けてくれね?」

「俺は六分の一でいい」

「俺、二分の一な」

「僕はサラダでいい」

「え、いやちょっと待ってくれ。え~と…」

 

 数学が得意な皆様(読者様)は既にお分かりだろう。

 キリト(果肉入り)が通分に数秒要している時、アホ達の行動はそれを上回った。まずルリが右手で皿の先端を持ち素早く自分達のところまで引っ張ってくる。それと同時にリンネとチャタが右手にナイフを用意しソードスキルを発動させながらほぼ同時に料理に切れ込みを入れ三等分にする。そして左手にもったフォークを三等分にされた料理に刺しそのまま口へ。その間リスモは供えていたサラダを器用に別の皿に移しそのまま掻き込むように口の中に入れる。

 ここまで動作を約三秒以内に終わらせ、最後に残ったのは綺麗に平らげられたキリト(果肉入り)が注文した料理の皿のみであった。

 

「っ!?あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″!」

「「「「ごちそうさま」」」」

「何すんだお前ら!?」

「いやだからくれって言っただろ?全部」

「わざわざ分数で惑わせておいてか!」

「て言うか貴方、小学校レベルの分数を言われた直後に暗算出来ないなんて…」

「いや違うから!?ちょっとビックリして計算が遅れただけだから!頼むから俺の話を聞いてくれぇぇぇぇ!!」

 

 キリト(果肉入り)の悲痛な叫びが店に響くなか、それとは別の悲鳴が外から聞こえてきた。

 

「キャアアアアア!!!」

「「「「「「っ!!」」」」」」

 

 悲鳴を聞いた瞬間、咄嗟に六人は店の外へ出て悲鳴がしたところに駆け込む。

 そこは大きな搭に時計が仕込まれていた広場であった。多くのプレイヤーがその時計を見上げている。そこに悲劇的なものがあったからだ。

 鎧を着た男のプレイヤーが時計塔のテラスから宙吊りの状態で胸に剣が突き刺さっていたからだ。

 

「早く剣を抜け!!」

 

 キリトが男のプレイヤーにそう叫ぶ。プレイヤーは刺されたショックからか放心状態であったがキリトの叫びでハッとなり必死に剣を抜こうともがいている。

 

「私は中へ!貴方はあの人を受け止めて!」

 

 アスナが時計塔の中へと走る。

 

「ダメだ、間に合わないぞ!」

「リスモ![投擲スキル]でロープを切れないか!?」

「無理だ、遠すぎる!ロープも細いし狙いが定まらない!」

 

 リンネ達もプレイヤーを助けようと尽力しようとしていた。

 

(クソっ!何か方法は無いか!?)

 

 チャタも方法が無いか模索していた。そして…

 

 キュルルリィン(ニュー○イプ的な音)

 

 なんか閃いた。

 

「キリトっ!!!」

「なんだチャタ!今お前にかm」

 

 ガシッ

 

「ファっ…?」

 

 唐突にキリトを呼んだチャタはキリトの両肩をカッシリと掴む。そして右足を軸にその場で右回転し始めた。回転は徐々に速くなり風を切る音が大きくなると同時にキリトの足が地面から離れる。そして小さな竜巻がチャタの周囲にでき始めたところで…

 

「うおおおおおお!いっけえええええ!!」

 

 キリトを投げ飛ばした。後の[トルネード投法]である。

 

「あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″!!」

 

 キリトは空中で高速スピンをしながらプレイヤーの元へと飛んでいく。どのくらい高速スピンしてるかと言われると[ブーメ○ンサー]を想像すれば早い。

 

「行っけぇキリト![シャイニング○ードブレイカー]!!」

 

 チャタの謎の叫びにより更にスピンするキリト。そしてそのまま…

 

 コキンッ

 

 プレイヤーの股間に頭突きした。

 

「おふっ」

 

 宙吊りのプレイヤーは頭突きされた瞬間そう言ってポリゴン状となり砕け散った。キリトは頭突きした衝撃で速力を失いそのまま下へ落下。顔面を強く打つ(圏内なのでダメージは無い)。

 

「中には誰もいないわ!」

 

 ここで時計塔の中へ入って行ったアスナが出てきた。

 

「誰か犯人だと思う人か、怪しい人を見なかった!?」

 

 アスナが広場に向かってそう叫ぶ。広場にいたプレイヤー達は一斉にキリトを指差し…

 

「「「「「「「「そいつが頭突きした瞬間にPK(プレイヤーキル)しました」」」」」」」」

 

 と言った。

 

「痛ってぇ!何するんだチャタ!」

 

 キリトが顔面を地面にぶつけた衝撃から立ち直りチャタに文句を言うが…

 

「はい、容疑者現行犯ね」

 

 ガチャリ(手錠をかける音)

 

「ゑ…?」

 

 唐突にリンネに手錠をかけられる。

 

「はーい、皆さん通してくださいね~」

「それで犯行の瞬間は?ほうほう、彼が頭突きして、なるほど~」

「黙秘権があるよ!やったねキリト君!」

 

 アホ達のこの切り替えの速さである。そうしてキリトの連行作業が滞りなく進む。

 

悲報:原作主人公、捕まる。

 

「冤罪だあああああ!!!」

 

 

 




今回のネタ知ってる人は作者と同年代だと思います。
はたして年末最後のネタがこれでいいのか…(ー_ー;)
そしていつの間にかUAが一万突破!本当にありがとうございます!!
次回投稿は未定ですが今後も頑張っていく所存です!
それでは皆さん良いお年を!!


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サスペンスで一番のMVPは被害者の振りをする犯人

前回のあらすじ
リンネ「ボォォォォォォグ○トォォォ!それは熱きボーグ○トラーたちの戦い!」
ルリ「ボォォォォォォグ○トォォォ!それは人生の縮図、男のロマンである!」
チャタ「行けー!俺のキリト・ダークネス・サクリファイス!」
リスモ「うん!」
リンネ・ルリ・チャタ「うん!早えーよ」
キリト「お前らがやってたのクラッ○ュギアだろ」



《名探偵かもよ!リスモく~ん》

 

「ショコランラッペ○ッチャァァァ」

 

 SAOに(意識だけ)在住するリスモ君は、みんなから変態の中の変態と呼ばれる名探偵だよ!この世に存在する無理難題な事件は夜通し昼寝して時効目前には解決するよ!好きな物はケミカルスポイト、嫌いな物は冷蔵庫と壁の隙間、そして好きでも嫌いでもなくただそこに存在して欲しい物はキリト君だよ!

 

━━━━━━━━━━

 

《犯人すか!?キリトくん!》

 

〈第五十七層 マーテンの町 とある民家〉

 

 とある民家一室。長方形の机と椅子が二つあるだけの質素な部屋。その椅子の一つにキリトが座っていた。そして向かい合うようにもう一つの椅子に据わっているリスモ。

 

「…」

「…」

 

 両者は黙り混んだままである。不意にリスモが立ち上がりキリトを指差した。

 

「自分が何をしたのか…、わかっとんのか?」

「…」

「わ″か″っと″ん″の″か″あ″あ″あ″!」

「…」

「カツ丼、食えよ」

「…」

「カ″ツ″丼″食″え″よ″お″お″お″!」

「うるせええええ!!」

 

 ドガシャーンッ!

 

 キリトが机をちゃぶ台返しした。

 

「いい加減にしろ!その台詞聞くのもう六回目だぞ!てか俺は犯人じゃない!」

「そうは言っても現場にいたプレイヤーの証言で断言されちゃったし、仕方なくない?」

 

 リスモはカツ丼(作:チャタ)を食べながらキリトにそう返す。

 あの後そのまま圏内の宿の一室にキリトを連行し、現場にいたプレイヤーに状況説明を求めていると[Yoruko(ヨルコ)]と言うプレイヤーが殺されたプレイヤー[Kainzu(カインズ)]と知り合いだったらしく直前までの経緯を話してくれた。一部始終から[睡眠PK(プレイヤーキル)]の可能性が高いが問題は圏内でどの様に殺害したかであった。プレイヤー達に事情聴取するも[決闘(デュエル)]のWinner(ウィナー)表示を誰も見ていないことから犯人の特定は出来なかった。

 ちなみにだが現場にいたプレイヤー達が犯人はキリトだと断言してるのは目の前でカインズにトドメ(金的頭突き)を刺すのを目撃したからである。これによりキリトは自らの無実を証明するため捜査に協力せざる終えなくなった。

 ではなぜこんなところでコントしてるのかとゆうと…

 

「今取り調べ中なのでお引き取り下さ~い!」

「物投げないでくれ!あ、でも結晶アイテムとかは遠慮なく投げてくれ!」

「押さないで!おいチャタ!お前ももっと声出せ!」

「出してじゃん!あぁ、でも何だろうこのちょっと狭いけど我が家って感じがするこの感覚…」

 

 外でアスナとリンネ達が群がった野次馬の対応をしていたからである。外に出ようにも彼らを退かせないと出れない状況になってしまい落ち着くまで取り調べとゆう建前のもと宿に避難しているのだ。

 

「何でこんなことに…」

「日頃の行いじゃない?」

「そのままお前らに返したいわそれ…」

 

 項垂れるキリトは大人しくカツ丼(作:チャタ)を食べるのだった。ちなみにカツ丼自体はわりと美味しかったらしい。

 

━━━━━━━━━━

 

《雑貨屋で大事件!》

 

 その後野次馬が去った後、キリト達は第五十層の町[アルゲード]に来ていた。目的は犯行に使用されたと思われる武器の鑑定である。[鑑定スキル]とは文字道理アイテムや武器の情報を見れるスキルである。だがそんなスキルが戦闘で役にたつはずが無いのでキリト達が持ってる訳がない。そこで持っているであろうプレイヤーに落ち合うためにやって来た。

 大通りを抜けた裏道を進むと目的のプレイヤーが営む店があった。キリトはそのまま店の扉に手をかける。

 

「いらっしゃい!お、キリトじゃねぇか!」

 

 そこには筋肉モリモリマッチョマンの黒人(エギル)がいた。

 

「よぉエギル、相変わらずあこぎな商売してるのか?」

「安く仕入れて安く売るのがウチの謳い文句でね」

「後半は怪しいな」

「うるせぇよ。てかお前らも来てたのか」

 

 エギルはキリトの後ろにいるアホ達に気づく。

 

「よっす、ビッ○ス」

「そいつ最終的にボコボコにされるヤツだよな?」

「ならダッ○がいいか?」

「運び屋でもなければ船長でもねぇよ」

「そうは言うがなマッコ○爺さん」

「黒人縛りじゃなかったのかよ…てか武器商人だろその人」

「じゃあもうネ○ス帝国でよくない?」

「そのネタ誰が拾えるんだよ…」

 

 この流れるようなボケとツッコミである。入店する度にネタを変えてくるのでエギルもなかなかに鍛えられている。

 そんなやり取りを終えたキリト達はエギルに事情を話し店を早々に閉めてもらい、二階の住居で件の武器の鑑定を頼んだ。

 

「プレイヤーメイドだな、作成者は[Grimlock(グリムロック)]。少なくとも一千級の刀匠じゃないな俺も初めて聞く名前だし」

「…なるほど。一様武器の名前も教えてくれ」

「え~と、[ギルティーソーン]。直訳すると[罪の茨]だな」

「ふ~ん、[罪の茨]ねぇ~。エギルちょっと貸してくれんちょ」

 

 リスモがエギルから剣を受けとる。リスモは剣を数秒見つめると何かを決断したかのように「よし」と答える。すると剣を逆手に持ち自分の腕に刺そうとした。

 

「っ!?待ちなさい!」

 

 刺そとした瞬間、アスナに手首を捕まれギリギリのところで止められる。

 

「ん、なに?」

「なにじゃないわよ!自分がしようとした事が分かってるの!?これで人が死んでるのよ!?」

「いやでも試してみないことには…」

「それでもよ!」

 

 アスナはリスモから剣を無理矢理奪おうとしそれにリンネが抵抗する。お互いが剣を持ったまま取り合いになり始めた。

 

「おい、危ないから落ち着けって」

 

 危なかっしく見ていられなくなったキリトは二人を止めようとする。恐らくそれがイケなかった。

 

 スポッ

 

 取り合いになった二人の手から剣がスッポ抜け空中で軽い回転をしながら重力に従いそのまま落下。そしてその落下地点が…

 

 ブスッ

 

 キリトの頭上だった。運悪く刀身の方が下になって刺さっている。

 

「…」

「「「「「「…」」」」」」

 

 静まり返るその場。

 

「…なぁ、今どんな状況?」

「そうだな、もうお前の体が剣みたいになってるな」

「血はともかく心は硝子だな」

「でもキリト真っ黒じゃん。てことはデ○ヤ?」

「いやそれだと銃を持ってないし坊主でもない」

「うん、何となく状況は分かった…」

 

 こうして形はどうあれ武器自体に何らかの特殊な効果が無いことが分かった。

 その後剣を抜こうとしたが反り返っている部分があった為なかなか抜けなかった。

 

━━━━━━━━━━

 

《リスモくん最後の名推理》

 

 そんなこんなで翌日。

 キリト達はヨルコから剣の製作者であるグリムロックについて心当たりがないか聞いてみた。するとヨルコと被害者のカインズの二人はグリムロックと以前[黄金林檎]とゆうギルドで共にパーティーを組んでいた事が分かった。

 半年ほど前の事、偶々ドロップしたレアアイテムをギルドで使うか売却かでいざこざがあり最終的に多数決で売却が決定。ギルドリーダーである[Griselda(グリセルダ)]とゆう女性プレイヤーが前線の町で売りに行ったが帰ってこず、後に死亡していたことが判明したらしい。

 もし何らかの理由でグリセルダが殺害されたのならばレアアイテムをドロップしてから数日しかたっていない点から外部犯の可能性は低くアイテムの存在を知っていた内部、それも売却に反対した三人のプレイヤーが最も怪しいと考えたキリト達。その反対したプレイヤーはヨルコとカインズ、そして現在はギルド[聖龍連合]に所属している[Schmitt(シュミット)]と言うプレイヤーであった。

 そして剣の製作者であるグリムロックとグリセルダはこのゲーム(SAO)内で夫婦であり、可能性で言えば復讐を理由に最も犯行に手を染めやすい人物であった。

 キリト達はシュミットからも情報を得るため[聖龍連合]の本部に向かっていた。

 

「貴方は今回の事件の手口について見当はついてるの?」

 

 道中アスナがキリトにそう聞いた。

 

「大まかに三通り考えてる。

 一.正当なデュエルでの殺害。

 二.既知の手段や仕様を組み合わせたゲーム内の抜

  け道。

 三.ゲーム内の保護を無効にするアイテムやスキ

  ル。

 大まかにこの三つだな」

「一番可能性があるのは二つ目だな。そして最も可能性が無いのは三つ目」

 

 キリトが出した手口の見当にリンネがそう返した。

 

「どうしてそう言い切れるの?」

「もしだぞ?そんなアイテムが存在してるなら[ラフコフ]やその他犯罪に片足突っ込んでるギルドやプレイヤーが見逃す筈が無い」

「それにこの世界(SAO)は基本的にフェアなゲームだ。何よりも[茅場晶彦]がそうゆう物を作るとは思えない」

 

 リンネとキリトの説明にはどこか確信めいたものがある。特にキリトのはどこか茅場晶彦に対してそうゆう事は絶対しないと信用している所が強く感じる。

 その話を後ろで聞いていたリスモは顎に手をあて思考する事数秒、不意にチャタの肩に手を置く。

 

「ん?どした、リスモ?」

「チャタ、ちょっと調べて欲しい事がある」

 

 隣にルリもいたが小声であったためよく聞き取れなかったが特に気にせず進むのであった。

 

 なお[聖龍連合]の本部に到着したとき一悶着(主にアホ達のせいで)あったがここでは省略する。

 

━━━━━━━━━━

〈第五十七層 マーテンの町 とある宿屋〉

 

 時刻は夕暮れ時。

 シュミットを連れて来た一行はヨルコのいる宿部屋に集合していた。途中でリスモに頼み事をされたチャタはどこかに行きここにはいない。

 椅子に座っているシュミットは落ち着きがなく貧乏揺すりが止まらない。対象にヨルコはどこか落ち着いている。沈黙に耐えられなくなったのかシュミットが口を開いた。

 

「…グリムロックの武器でカインズが殺されたのは本当なのか?」

「本当よ…」

 

 小声だがハッキリと告げた。シュミットはまるで心臓が一瞬止まったかのように血の気が引く。

 

「なんで今更カインズが殺されなきゃならないんだ!?アイツが指輪を奪ったのか!?グリセルダを殺したのはアイツだったのか!?」

 

 恐怖と疑問が入り雑じり言語がまるで安定していないシュミット。ヨルコに問い詰める様にそれらを投げ掛けるがヨルコは答えない。

 

「グリムロックは売却に反対したメンバー全員を殺すつもりなのか?カインズの様に俺やお前も狙われているのか…?」

 

 その疑問に対してヨルコは口を開いた。

 

「グリムロックさんに剣を作って貰った他のギルドメンバーかもしれないし、もしかしたらグリセルダさん本人の復讐なのかもしれない…」

「え…?」

「だって、圏内で人を殺すなんて幽霊でもない限り不可能だわ…」

 

 何処か虚無を見つめたヨルコはそう囁く。

 

「私、夕べ寝ないで考えた…」

 

 その表情は恐怖と後悔に染まっていた。そして次の瞬間…

 

「結局のところグリセルダさんを殺したのはメンバー全員でもあるのよ!?あの指輪をドロップした時、投票なんてしないでグリセルダさんの指示に従えば良かったんだわ!」

 

 ヨルコは発狂とした。まるで教会の懺悔室で何もかもを洗いざらい吐き出す囚人のように。何処か救いを求めるように。何処か罰を求めるように。

 立ち上がったヨルコはゆっくりと後ろに後退り窓際えと寄りかかる。

 

「ただ一人グリムロックさんだけは、グリセルダさんに任せると言った…。だからあの人には私達に全員に復讐する権利が…、グリセルダさんの仇を討つ権利があるんだわ…」

 

 シュミットは震える。あの時の自分達の行動によって一人のプレイヤーが死んだ。もちろん後悔はした。もっと別の方法があったのではないかと。だが後の祭りになってしまったものを今更ぶり返しても仕方ない。きっと一生後悔する出来事だろう、そう思っていた。

 

「冗談じゃない…、冗談じゃないぞ!今更、半年も経ってから!お前はそれでいいのかヨルコ!こんな訳の解らない方法で殺されてそれでいいのか!?」

 

 その瞬間だった。

 

 ドスッ

 

 何かの刺さる音。より正確に分かりやすく言うのであれば分厚い肉に包丁を突き刺したかのような音だ。それと同時にヨルコの表情が変わりこちらに背を向ける。その背中にはナイフが突き刺さっていた。

 

「「「「「「っ!?」」」」」」

 

 驚愕する一同。突然の衝撃に一時的に思考が停止した事で行動が遅れてしまった為だろう、そのまま窓から転落するヨルコ。いち早く行動を起こしたキリトがヨルコに駆け寄り手を伸ばす。だがすでに遅い。ヨルコはそのまま落ち地面に体を叩きつけた瞬間、普段モンスターなどで見慣れているポリゴンが弾けるエフェクト、それがヨルコに起こった。

 キリトはヨルコが砕け散るのを見た後、周囲を確認する。そして黒いローブで全身を隠したプレイヤーが屋根伝いに逃げていくのが見えた。キリトはそのまま窓から身を投げ出し前隣の家の屋根まで飛び移る。アスナの制止が聞こえたが状況的に聞いていられない。そしてそのまま黒いローブのプレイヤーを追いかける。

 

「もお!あの人話を聞かないの!?私も追いかけるわ!あなた達はシュミットを守って!」

 

 取り残されアスナもリンネ達にシュミットを任せ追いかけようとする。たが行けなかった。

 

「いや、追わなくていい」

 

 それに待ったをかける人物(リスモ)がいたからだ。

 

「何でよ!?目の前に犯人がいたのに!私じゃ不充分てこと!?」

「そうじゃない。追う必要が無いからだ」

「どうゆうこと!」

「だって謎が解けたから」

 

 その言葉にアスナは破顔する。リスモがあまりにも淡々としていたからだ。

 

「取り敢えず行きたいところがあるからそこ行こ」

 

 そう言うとさっさと出ていくリスモ。それに続くリンネとルリ。

 

「ちょ、ちょっと!シュミットは!?」

「ほっといて大丈夫っしょ」

 

 アスナはシュミットを横目で見る。その顔は恐怖に染まり両手で頭を押さえ「あのローブはグリセルダのものだった…!亡霊が俺たちを殺しに来たんだ…!」とブツブツ言っている。恐らく先程の会話も耳に届いてないだろう。

 アスナは数秒だけ考え後、きびすを返しリスモ達を追うのだった。

 

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 おまけ

〈聖龍連合本部での出来事〉

 

「今すぐ門を閉めろ!!」

「ありったけの(コル)とアイテムをかき集めるんだ!!」

「オイ!誰かアイツ等にちょっかいかけるようなことしたか!?」

「そんな勇気のあるプレイヤーこのギルドにいるのか!?」

「いいからとにかくアイツ等を追っ払う方法…駄目だ!?後が怖いっ!!」

 

「アナタ達一体何したのよ!?」

「何って…」

「クリスマスプレゼントを」

「渡しただけじゃん」

「主に尻に」

「オレハナニモシラナイ…」

 

 その後、シュミット(生け贄)を出せと言ったらすぐに出してくれた。

 

 

 




作者「明けましておめでとう!」
アホ四人「遅っせぇよ!!」肘打ち×4
作者「べぶばぁ!!」
アホ四人「はい、言い訳」
作者「だって実家の押し入れから[文学○女]と[フル○タ(+アナザー)]出てきたら読むしかないだろ?仕事だってあったし」
アホ四人「…まぁ確かに」
作者「あとエスk…」
アホ四人「山吹色の○紋疾走(サンライト イエロー○ーバードライブ)!」
作者「ぐぎやぁ!!」

流石に新年一発目に一月失踪は不味いので間に合ってよかったです。今年もアホ達をよろしくお願いします!


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面倒でも朝は鏡を見るべき

前回のあらすじ
リスモ「真実は何時も一つっとコ◯ン君が映画の冒頭で毎回言ってるけど果たしてそれこそが真実なのだろうか?確かに事象的に考えれば起きた現象は一つのロジックの元行われたと言えるだろう。しかしそれは視点を当事者当てた場合であって例えば第三者から見たら別の結論に至らないだろうか?彼の言う真実が現場での事象推理であるのならその当時の被害者の心理状態が…」
アスナ「長いわよ!?あらすじと全然関係も無いし!とっとと本編に行きなさい!」
リンネ・ルリ・チャタ「出番取られた!?」



〈第五十七層 マーテンの町〉

 

「で、一体何をしてるのアナタ達?」

「「「え、見て解らない?メシ食ってる」」」

「なんでよおおお!!」

 

 アスナのツッコミが店に響く。

 シュミットを置いてリスモ達の後を付いてきてみれば事件発生前までいたあのレストランに入りメシを食い始めたのだから無理もない。

 

「アナタ達ふざけてるの!?行きたいところがあるからとか聞いてみればレストランでごはん食べたかっただけなの!?」

「だって今日朝から事件の調査でまともなメシ食べてなかったし。それに言うでしょ?謎解きはメシの後でって」

「やめて!私あのドラマ好きだったのに貴方がそれ言うのだけはやめて!」

「ま、いいだろメシ食うぐらい」

「そうそう。ほら体動かすよりも頭使う方が腹が減るの早いだろ?」

アナタ達(リンネ・ルリ)二人はただ見てただけでしょ!」

 

 激しいツッコミにより肩で息をし始めるアスナ。やはり訓練されている人間でないとアホのボケは厳しいらしい。一通り文句を言いツッコミを終えたアスナは店員を呼び自分の分の料理を注文する。

 

(((いや、お前も食うんかい…)))

 

 あれだけ散々言っておきながら自分も注文するアスナにアホ三人のツッコミが心の中で被る。

 

「で、謎が解けたって本当なの?」

 

 注文を終えたアスナがリンネにそう問う。

 

「あぁ、確率的に言うなら九割以上はあるんじゃないかな」

「なら教えて。カインズさんとヨルコさんを殺した犯人とその手段を」

 

 とアスナが問うとリスモは「フッ」と薄ら笑いをした。

 

「僕の考えが当たってるとすればそもそも今回の事件は“殺人”ではないんだよ」

「どういうこと?」

「単に僕たちは犯人の仕組んだ自作自演に引っ掛かていただけなんだ」

 

 リスモは順を追って説明し始めた。

 

「まずアスナ、今回の被害者であるカインズとヨルコさんの死亡確認はした?」

「死亡確認?そんなの目の前で二人が砕け散るのを私もアナタ達も確認したでしょ?」

「そうじゃない。[黒鉄宮(こくてつきゅう)]で[生命の碑(いのちのせきひ)]を確認したかって聞いてるんだ」

 

 [黒鉄宮]とは、第一層の一番大きな広場(ログイン地点)にある施設である。この宮殿には三つの役割がある。

 一つ目は[監獄エリア]。犯罪を犯したプレイヤーを閉じ込めておく施設である。

 二つ目は[蘇生者(そせいしゃ)の間]。ゲーム内で死亡したときの言うなればリスボーン地点。ただしこのSAOでは死亡がそのまま現実(リアル)での死に直結するのでゲーム開始当初から無用の長物となっている。

 そして三つ目が[生命の碑(いのちのせきひ)]である。これはこのデスゲームにログインしたプレイヤー一万人の名前が記載されておりゲーム内で死亡すると名前(プレイヤーネーム)に横線が引かれ死亡したことを確認出来る物である。

 

「それは…、確認してないけど…。でも目の前で確かに砕け散るのを見たんだから間違いないわ!」

「じゃあこれはどう説明する?」

 

 リスモはメニュー画面を開き何かを操作し始めた。そして画面をひっくり返しある画像をアスナに見せた。

 それは[生命の碑(いのちのせきひ)]に書かれているカインズとヨルコの名前(プレイヤーネーム)であった。だが名前に横線が引かれていない。

 アスナは目を見開き何度も二人の名前(プレイヤーネーム)を確認する。

 

「え!?これって!」

「あの場にチャタ居なかっただろ?僕が頼んで[生命の碑(いのちのせきひ)]を監視するように頼んでたんだ」

「カインズさんの死亡確認をするため?」

「それもあるけどもう一つ。あの時ヨルコさんがシュミットの前で何かアクションを取ると思ったから変化あったらすぐ確認出きるようにね」

 

 そしてヨルコが殺害された時、リスモはチャタにメールを送り[生命の碑(いのちのせきひ)]にヨルコの名前があるかを確認させ線の引かれていないヨルコの名前(プレイヤーネーム)の画像を送ったのだ。

 

「この画像から二人は死亡してないのが分かる。ではあの時計塔で殺されたプレイヤーはカインズでは無いのか?それも違う。ヨルコさんが間違いないと証明してしまっているからだ」

「でもだとしたらあの砕け散るエフェクトは何?間違いなく消滅するときのヤツよ?」

「それも簡単だ。見慣れているからこそ僕たちもあの場にいたプレイヤー達も騙されたんだ。そうだなぁ~、見てもらった方が早いか」

 

 リスモは机に置かれていたフォークの両端を持ち捻り始めた。フォークはみるみるねじ曲がりそして『ポキッ』と音を立てながら二つに折れた。するとフォークがポリゴンとなり砕け散る。

 

「これ何処かで見たこと無い?」

「…そっか!あの時のは!」

「そう、恐らくカインズが装備していた鎧の破壊エフェクトだ。圏内でも耐久値の減少はある。腹にあの武器(ギルティソーン)を刺し込んだ状態で耐久値の限界ギリギリで何処かに隠し持っていた[転移結晶]でも使って別のフロアに転移。残るのは鎧の破壊エフェクトをPK(プレイヤーキル)だと誤認したプレイヤー達とあの武器(ギルティソーン)だけってこと」

「じゃあヨルコさんも…」

「恐らく僕たちが部屋に来る前に背中に短剣を刺し込んだ状態で椅子に座り頃合いを見てさりげなく窓に移動し、服の耐久値ギリギリになった瞬間窓から転落、そして[転落結晶]で別のフロアへ。刺された音は信憑性を高めるために何かの肉を刺した音を録音した[録音結晶]を使ったんだろう。

 あの黒いローブのプレイヤーは共犯者であるカインズだろうな。

 そもそもあの部屋も行動事態もおかしかった。殺されるかも知れないのに何故窓を全開にして自分から進んで窓行ったんだ?心理的になら窓は閉めきってその場に縮こまって動かないはずだ」

 

 つまりこの事件はリスモの言う通り犯人のいない自作自演だとゆうことだった。つらつらと述べられるリスモの推理にアスナは下を巻く。ボス攻略に置いてもその頭脳で多くの功績を残し、今回の事件に置いても最も冷静に状況を見ていたのは彼であるだろうと思ったからだ。

 

「だとしたら動機は何?こんな手の込んだ事をしてまであの人達は何を…?」

「それはヨルコさんが言ってくれただろ?半年前のグリセルダの死についてだ。二人は売却に反対した一人であるシュミットがグリセルダを殺したと睨んで今回の事件を起こしシュミットから真相を語らせようとしたんだろう。今頃許しを乞うために墓参りでも行ってるんじゃない?」

「外部犯の可能性も無きにしも非ずなのにどうしてシュミットを?」

「それは[黄金林檎]解散後の身の振り方で疑ったんだろう。[聖竜連合]には入団基準があって一定以上のレベルと装備が必要で、シュミットはギルドを解散してすぐに[聖竜連合]に入団したらしい。恐らく犯人の二人(カインズとヨルコ)はシュミットがグリセルダから指輪を奪い、それを売却した金で装備を整え[聖竜連合]に入団したと考えたんだろう」

「なるほどね。ということはこれで事件は解決?」

「まぁそうなるな」

 

 喋り終えたリスモはグラスに入った水を一気飲みする。そこでちょうどアスナが注文した料理が届きそれを口に運ぶ。

 

「カインズとヨルコさんはほっといていいのか?」

「もしリスモの推理道理ならあとはシュミットから半年前の真相を聞き出すだけだろ?ギルド個人の事にまで首を突っ込む必要はないだろ」

 

 リンネの疑問にルリがそう答える。アスナも料理に舌鼓を打つながら心の中でそれに同意する。ヨルコさんの事だから後日ちゃんと説明してくれると思ったからだ。

 事件の終息が訪れ各々肩の荷を下ろしリラックスし始める。ただ一人(リスモ)を除いて。

 

「実はなんだけど一つ可能性を考えてるんだ」

「可能性?」

「あくまで可能性として聞いて欲しいんだけど、今回の事件の発端である半年前のグリセルダの殺人について、あれはシュミットが殺したんじゃ無いと考える」

 

 リスモの言葉に三人(アスナ・リンネ・ルリ)が疑問を抱く。『シュミットが殺したのでは無いのなら一体誰が?』と。

 

「アスナ、ギルドリーダーのグリムロックとグリセルダは結婚していたんだよな?」

「えぇ、ヨルコさんがそう言ってたわ」

「結婚によって発生するアイテムストレージの共通化は強制だよな?」

「私は結婚したこと無いから詳しく無いけど、聞くところだとそうみたいね」

「離婚した場合は、アイテムの価値が等価になるように分配されるのか?」

「そうなんじゃない?ねぇこの質問なんなの?」

「なら、片方が死んだ(・・・・・・)場合はどうなる?」

「「「っ!!」」」

 

 リスモ以外の三人(アスナ・リンネ・ルリ)がその場で立ち上がる。もし三人の考えていることが同じならばこの事件の真犯人とも言える人物は一人しかいない。

 

「もし僕と同じ考えに至ったなら証拠もある。偽装殺人に使われた武器を作ったのは誰だ?ヨルコさんが刺された時、カインズだと思われるプレイヤーが着ていたローブは誰の物だった?」 

 

 可能性と言いつつも最早確信めいた答えだった。アスナはフレンドリストからヨルコさんの現在地を確認する。もし真犯人があの人(・・・)ならばヨルコさん達が口封じに殺されるかもしれないからだ。

 

「今、ヨルコさんは十九層の迷宮区にいるわ!早く行きましょう!」

「まぁ待てアスナ」

 

 今すぐにでも飛び出して行きそうなアスナをリスモが止める。

 

「どうしてよ!ヨルコさん達が危険にさらされてるかもしれないのよ!」

「落ち着け、冷静を欠いて状況を見誤るな。ここに居ない誰かを思い出してみぃ~」

「あぁ~、そゆこと」

「なるほど。だからか」

 

 焦るアスナとは裏腹にリンネとルリは何かに気付き安堵の息を漏らす。それを見てアスナもここに居ない人を考える。そして脳裏に先程のリスモの会話に出てきた人物を思い出す。

 

「…あっ」

「どうして僕がわざわざ確認の為だけに行かせたか分かった?」

 

 リスモは愉悦に浸るように笑う。アスナはその表情に腹を立てながらも納得してしまった。

 と、そこで…

 

「ハァ…ハァ…ハァ…、お前らこんなところにいたのか!」

 

 店の入り口に黒ずくめの中二病(キリト)が現れた。あの後ローブのプレイヤーを追いかけるも転移結晶で逃げられしまい、仕方なく部屋に戻ってみると誰も居らず、パニックになったキリトは町中探し回っていたのだ(フレンドリスト確認しろと思った人は考えて欲しい。キリトがアホ達とフレンド登録するかどうかを)。

 

「あ、ちょうどキリトも来たし行くか」

「そうね」

「行くか」

「ごそさん」

「お、オイ行くって何処にだよ?」

「何処って真犯人の所だよ。あ、キリト会計よろ」

 

 と言ってリスモは伝票をキリトに渡す。

 

「はぁ…?いやいやいやちょっと待て!何で俺が!?」

「強いて言うならアスナの制止振り切って犯人追いかけたから。結局捕まえられなかったみたいだし」

「あぁ~、確かに重罪ね」

「ついでに前回食い逃げした分も入ってるから。てな訳で…」

 

「「「「ゴチで~す」」」」

 

 そして店を出ていく四人。キリトはその背中をただ見つめながら会計を済ませるのだった。

 キリトの残金が4016Col(コル)になった。

 

━━━━━━━━━━

 

〈第十九層 迷宮区内〉

 

 暗い闇に閉ざされた森の中、荒れ果てた大きな木の下でそれは起こっていた。

 

「なぁヘッドぉ~、アレやろうぜアレ!仲間同士で殺し合いさせて生き残ったヤツだけ見逃すってヤツ!」

「そう言ってお前、生き残ったヤツも殺したじゃねえか」

 

 上半身をコートで覆った三人組の内の二人がそんな会話をしている。

 それを恐怖と共に聞かされているのはカインズとヨルコ、そして麻痺毒によって身動きが取れないシュミットであった。

 経緯は単純であった。といっても大体はリスモの推理道理である。シュミットはグリセルダの許しを乞うため木の下に作ったグリセルダの墓に命乞いをしに行き、そこでカインズとヨルコの策略により自身のした事を暴露、その後何物かに麻痺毒をかけられた後コートの三人組が現れたのてある。

 三人組の正体はこの世界(SAO)で最も罪深いギルド[笑う棺桶(ラフィン・コフィン)]のギルドリーダー[poh(プー)]とその幹部である[Johnny Black(ジョニー・ブラック)]と[XaXa(ザザ)]の二人であった。

 

「さて、それじゃあ…」

 

 徐にpoh(プー)が鉈のような武器を取り出しシュミットに近づく。何故この場所に[笑う棺桶(ラフィン・コフィン)]がいるのか検討もつかないカインズとヨルコはその場で放心し、棒立ち状態になってしまっている。

 

「イッツ・ショウ…」

 

 自身の決め台詞と共にシュミットに切りかかるため武器を振り上げた、

 

 その瞬間

 

刺し穿つ◯棘の槍(ゲイ・◯ルグ)!!!」

「っ!?」

 

 poh(プー)は咄嗟にバックステップでシュミットとの距離を取る。

 

 ドガァン!

 

 直後自身の居た場所に爆発音と土煙が舞い上がる。poh(プー)は多少無理な姿勢で動いたためその場に膝をつくが直ぐに立ち上がり状況把握に努める。後ろに控えていた幹部の二人も武器を取り出し臨戦態勢を整える。

 やがて土煙がはれ爆発音の正体が現れる。そこにあったのは矛の部分が全て地面に埋まり突き刺さった槍であった。

 

「あ~あ、外れたじゃん。やっぱ兄貴の槍は肝心なときに当たんないんたなぁ~。次やるときは師匠の方にしよ」

 

 その場の状況とは裏腹に気軽な声が聞こえる。一同は声のする方を向く。代表するかのように最初に声の主の名を叫んだのはヨルコだった。

 

「チ、チャタさん!?」

「ども~ヨルコさん、取り合えず無事?」

 

 チャタは散歩でもするかのような足取りで歩いていた。そしてシュミットの真横に立つと先程投擲した自分の槍を回収し矛先をpoh(プー)に向けた。

 

「で、どうする?ヤるってんなら俺が相手になるけど?ただもうすぐウチのギルド(SOB)と[血盟騎士団]がここに来るから、それまでに決着つけないとじゃん?」

 

 poh(プー)は思考する。チャタの言葉はハッタリではないだろうと。攻略組に置いても随一の槍使いであるチャタを相手に自分と幹部(手駒)二人を合わせた三人掛かりでも最低一人は死ぬだろうと。そして援軍を呼んでいるとすればチャタが防戦一方で時間を稼ぐ様ならこちらに全く勝算が無いことを。

 poh(プー)は指をならし幹部二人の武器をしまわせ自身も懐に武器を戻す。

 

「…行くぞ」

 

 静かに告げたそれに幹部達が付いてくる。この場は分が悪い、だがいずれはコイツ(チャタ)も含めた攻略組全員の殺し合いを眺めてやると考えた時…

 

「ちょっと待った」

 

 チャタがpoh(プー)達を制止してきた。警戒を緩めずにチャタの方を振り向くと、よそよそしい仕草でpoh(プー)に耳打ちしてきた。

 

「…顔、落書きされてますよ」

 

 と小さい(と言っても割りと周りに聞こえる声)で言ってきた。

 

(((((いやそれ、殺人ギルドのボスのファッションんんん!!!)))))

 

 poh(プー)とチャタを除いた全員が突っ込んだ。だがチャタは気にせず続ける。

 

「…あの~、もしかして朝に鏡見ない派の人ですか?ダメだよ~寝起きは必ず顔になんか付いてんだからさ~。てか落書きされてるってことは部下からナメられてる証拠ですよ。ちゃんとそうゆうところはビシッと言わなきゃさ~」

 

 チャタはヒソヒソ話のつもりだろうが全部丸聞こえである。これに対しpoh(プー)は…

 

「…べ、別に知らなかった訳じゃねぇし~。単にフード被ってればバレないと思っただけだし~。つ~かぁ、この落書きやったの誰だし!マジ卍なんだけど~!」

 

 なんか顔の刺青(落書き)を手でゴシゴシしながら照れ隠ししてた。

 

「おい…、ボスに…、舐めた口…、聞くな…」

 

 幹部の一人であるザザが間にはいってきた。

 

「てかお前のその口調も何なの?片言の日本語しか喋れない外人?聞き取りずらいから止めてくれない?その中途半端なドクロの仮面とか着けて仮面の◯勢(ヴァイ◯ード)つもりなの?最終的に藍◯にボコボコにされるの?」

「いや…、別に…、キャラ作りで…、着けてる…、つもりは…」

「ちょっとちょっと、きっとアイツですよあなたの顔に落書きしたの。だって止めろって言ったのに片言止めませんし」

「そうなのかザザ?」

「そんなわけねぇだろボス」

 

 ザザは片言を止め、ドクロの仮面を踏んづけて(自分のアイデンティティーを)壊した。ちなみにジョニー・ブラックは場の空気についていけずにオロオロしてる。

 

「つーか、今日もう本っ当無理だし帰るし!」

 

 ズカズカとした足取りでその場を去るpoh(プー)と幹部二人。

 危機が去った事で腰が抜けたヨルコとそれを支えるカインズ、そしてどさくさに紛れて麻痺毒を解除したシュミットらが各々安堵の息を漏らす。

 

「あ、ありがとうございますチャタさん。でもどうしてここに?」

 

 カインズに支えられながらヨルコはチャタにそう訪ねる。

 

「[生命の碑(いのちのせきひ)]でヨルコさん達の名前の確認したあと事前にシュミットをおd…頼んでフレンド登録してたんです。リスモからシュミットが[聖竜連合]の本部に戻らずに移動するようなら追跡するるようにって」

「そうだったんですか…。ところで今脅すって言いかけませんでした?」

「(言って)ないです」

 

 そんな雑談を続けているとリンネとルリがやって来た。

 

「よぉチャタ、どうやら上手いことやれたみたいだな」

「まぁ心配はしてなかったが無事なのは良いことだしな」

「おぉ!あれ、リスモとアスナと中二病(キリト)は?」

「二人もそろそろ来るだろう。中二病(キリト)は知らん」

 

 とそこへアスナとリスモもやって来た。とある人物と一緒に。

 その人物は元[黄金林檎]ギルドリーダーのグリムロックであった。彼こそが半年前のグリセルダ殺害の真犯人だったのである。彼は現実においても夫婦であったグリセルダと共にこのゲームに捕らわれてしまい自身は死の恐怖に毎日のように怯える日々を過ごしているにも関わらず、妻であるグリセルダはむしろ生き生きとしている姿に現実の頃の妻は死んだと狂気じみた理由により、指輪を建前にグリセルダを殺人ギルド(笑う棺桶)に依頼し殺害。シュミットはその後のアリバイ作りに利用したらしい。その後グリセルダの死に疑問を持ったカインズとヨルコが真犯人を暴くため武器の製作とグリセルダのローブを借りに訪れたが事件の公による真実の追求を恐れた彼は計画に賛同する振りをし関係者三人を口封じするため再び殺人ギルド(笑う棺桶)に殺害を依頼。自身は[隠密スキル]で身を隠し三人の殺害を見届けようとしていた。しかしチャタの登場により目論みは失敗。その場から退散しようとするもアスナとリスモにより拘束され今に至る。

 全てを語り終えたグリムロックをその場にいた誰もが哀れだと感じた。その後「後の処遇は任せて欲しい」とカインズ達三人から要求され、後日謝罪と今回の事件の全容公開を約束しリンネ達はそれを了承した。

 これにより事件は完全解決。アスナは事後報告のため一足先に[血盟騎士団]ギルド本部に戻って行った。

 

「さてと、俺達も帰るか」

「今日はもうオフにしよう。流石に色々疲れた」

「てか考えたら俺、飯も食わずに徹夜してるしゃん。腹へった~」

「う~ん、久しぶりに戦闘意外で頭使ったから眠いや。早く宿行きたい」

 

 そしてアホ達もまた帰ろうと歩き出そうとしたときであった。ちょうど日の出の時刻になり自分達四人の影が伸びてるのが見えたがそれとは別の影があることに気付き振り向いたとき、墓の傍らで立っている女性プレイヤーがいた。女性プレイヤーは微笑みながら四人に深々と頭を下げるとうっすらと太陽の光に溶けていった。

 その光景を唖然と見ていたアホ達。

 

「…見たか?」

「…見た」

「…見えた」

「…見ちゃった」

「ちょっと頬っぺつねってくれ」

 

 リンネをルリが、ルリをチャタが、チャタをリスモが、リスモが自身をつねった。やって来るのはつねった所からの痛み。

 

「…痛いな」

「…痛い」

「…痛いじゃん」

「…現在進行形で痛かったぞー」

「てことは…」

 

 アホ達の顔が青ざめる。

 

「「「「出たああああーーーー!!!」」」」

 

 アホ達は反転し全力疾走でその場を逃げるのであった。

 

━━━━━━━━━━

 

 おまけ

 

〈後日談〉

 

 数日後、元[黄金林檎]の三人(カインズ・ヨルコ・シュミット)、キリトとアスナとアホ達四人が集まっていた。あの事件の後、良からぬ噂や有りもしない都市伝説の様なものが広まっしまい、その事後処理を[血盟騎士団]と[聖龍連合]、[SOB]で受け持っている状態であった。その事を含めての謝罪と事件の詳細についての段取りを話し合うために今回集まっている。

 

「…てな訳で、俺達が紹介できる情報屋(どこぞの三本線)は信頼できる。ソイツに今回の事件についての事を流してもらって事態の終息をしようと考えてる」

「それで構わないわ。ウチでも似たような案だったし」

「俺もそれで問題ない」

 

 リンネの案に賛同するアスナとシュミット。カインズとヨルコは既に頭が上がらない状態だ。本来なら自分達がやるべき後始末を丸々引き受けてくれているのだから。

 

「てかカインズさん、すみませんあの時は…。いや本来は俺じゃなくてアイツ(チャタ)が謝るべきなんですけど…」

 

 キリトがチャタを指差しながらカインズに謝る。もちろんあの金的の事である。当のチャタはカフェオレ(色はケミカル)を飲んでホッコリしてる。

 

「あぁ、大丈夫ですよ。気にしてません。

 ちょっとタマが中の方に行っただけ(・・・・・・・・・・・・・・・)ですから」

「「「「「「oh…」」」」」」

 

 その場にいた男達(キリト+シュミット+アホ四人)がタマヒュンした。

 

 

 




ちくしょう!
文才も語彙力も無いから時間がかかっちまったぜ!(精一杯の言い訳)
推理の中に矛盾とかがあるかもしれないので暖かい目で見てください…ごめんなさい


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一歩進む為の勇気

前回のあらすじ
リスモ「刺し穿つ○棘の槍(ゲイ・○ルグ)!!」
チャタ「いやそれ俺がやっtゴボァ!?」
リンネ「チャタが死んだ!」
ルリ「この人でなし!」
プー「懲罰房行きよ!」
グリセルダ「うん、カオス」



 何時からだろう、ふと考えるようになったのは…

 いや、何時から何てのは関係ない。それは問題じゃない。

 問題なのはどうしてそんな考えに至った(・・・・・・・・・・)のかだ。

 別に自分が『不甲斐ない』『情けない』ましてや『だらしない』とも思ったことは無い。

 求められる疑問はただ一つ

      『自分は必要なのか』

 ただそれだけだ。

 

━━━━━━━━━━

 

〈第六十二層 迷宮区〉

 

「ふんっ!」

 

 大きく振りかぶった刀が的確に狼型のモンスターの首元をスライドし、首と体が見事に切り離され弾ける。

 

「次、左から三匹来るぞ!チャタは親玉目掛けて走れ!リンネとルリは引き続き子分狼の相手だ!120秒以内に倒さないとまた親玉が子分の増援を呼ぶぞ!」

「よし、ルリ!ちょっと硬直長めのソードスキル使う、硬直中スイッチよろ!」

「分かった!」

 

 リスモの指示に従いチャタが親玉と称された周りの子分よりも一回り大きい狼に一直線に突っ込み、リンネとルリが子分の迎撃に入る。

 リンネが構えを取りソードスキルを発動、刀身が黄色に光出し流れるような連激を子分狼達に浴びせる。三匹内の一匹を仕留めるがソードスキル発動後の硬直が発生し身動きが取れなくなる。そこえ迫る残り二匹の子分狼。

 

「スイッチ!」

 

 ルリが前に出る。片手剣を構えたルリに子分の一匹が剣に噛みつく。助走からのタックルに大差ない噛みつきに多少押されるものの腰と背中に力を入れ踏ん張るルリ。そのまま剣を右に振り子分狼を地面に叩きつけ倒す。だがそこにもう一匹の子分狼が同じく突進してくる。

 

 ドボゥ!!

 

「ぐふっ!!!」

 

 全体重の乗った強烈な頭突きは、がら空きとなった左脇腹に直撃しルリの顔を苦痛へと歪める。衝撃に耐えられず尻餅をつくルリを無視して後方のリンネへと走る子分狼。

 

「っ!リンネ!!」

 

 ルリが叫ぶ。だがリンネは今だ硬直から解放されていない。そのまま子分狼は全速力の助走の勢いでジャンプし口を大きく空けリンネの首に噛みつく直前…

 

 ガキィン!

 

 甲高い音が響く。その正体はリスモの短剣だった。リンネの首を噛みつこうとしていた子分狼の歯は代わりに短剣の刀身に食らいつきリスモと力の押し合いを繰り広げている。

 

「グルルゥ!」

「く、クソこのっ!」

 

 僅かにだが押され始めるリスモ。そこに硬直が終了したリンネがリスモの横を滑り込みながら子分狼の腹に刀を抉り込ませる。

 

「おりやぁ!!」

「キャイン!」

 

 子分狼は悲鳴を上げながら胴体が二つに別れきらびやかなエフェクトが弾ける様に舞う。リンネは子分狼を倒した後、刀を持ち直し周りの警戒に入るがそれは無駄に終わった。奥の方でチャタが親玉の狼を仕留め戦闘が終わったのが確認できたからだ。

 安堵のため息を吐きつつ刀を鞘に戻すリンネ、同じくルリとリスモも得物を納める。

 

「助かったぜリスモ。あのままだとちょっとヤバかったし」

「いや謝るのは僕の方だ。予想してたよりもモンスターの行動が速かった。今後もう少し驚異度を上げた戦術を考えないと」

 

 リスモが右手を顎に当て歯がゆそうな顔をする。そこへ親玉を仕留めたチャタが駆け足でやって来る。

 

「お~い、無事か?脇目だったけどヤバそうに見えたじゃん?」

「あぁ何とかなリスモが来てくれなきゃヤバかったが…、とりま平気だ」

「ん?よく見たらダメージ入ってないかチャタ?」

 

 リスモがチャタのHP(ヒットポイント)がイエローゾーンになっているのに気づく。

 

「へ?…あぁ~本当だ。どっか掠めたかな?まぁいいじゃん、生きてるし」

「だな。さて、今日はもう切り上げっか」

 

 リンネが町に帰ろうと踵を返し、それに続くチャタとリスモ。たがルリはその場に立ち尽くし先に進む三人の背中を眺めている。まるで手を伸ばしても届かない星を見るかのように。

 

「…?お~いルリ、置いてくぞ~」

「…あぁ、今行く」

 

 リンネに急かされ歩き始めるルリ。その足取りは何処か重く迷いのあるものだった。

 

━━━━━━━━━━

 

〈第五十八層 圏内の町〉

 

 それから三日後。

 

「…とゆう条件で[血盟騎士団]に入団してくれないかしら?」

「断る」

 

 町のとあるレストラン。ルリはアスナと待ち合わせをしていた。アスナは期待していた言葉とは正反対の拒絶の言葉を聞き眉間にシワをよせる。

 

「何故かしら?これでもかなり妥協した条件なのだけど?」

「別に条件に不満があるわけじゃない。むしろその条件ならほとんどのソロプレイヤーは食いつくだろうな」

「ならどうして?」

「俺である必要性を聞きたい」

 

 ルリの質問にアスナな答えられない。アスナはただ団長であるヒースクリフからルリを破格の条件付きで[血盟騎士団]にスカウト出来るように交渉して欲しいと頼まれただけなのだ。

 

「それは団長に言って。私は貴方を[血盟騎士団]に入れる様に頼まれてるだけなの」

 

 実際アスナ自身も何故[SOB]に所属しているルリを引き抜く形で入団させようとしているのか分からない。

 

「ならその本人(ヒースクリフ)が交渉に来て欲しいね。理由も分からず他のギルドから引き抜こうってんだからそれなりの訳を説明してもらわないと」

「それは無理よ、団長(ヒースクリフ)は常に多忙なの。そうそうな事がない限りは本人が出向くことは無いわ」

 

 アスナからそう言われると「あ、そう」と言いながらルリは席から立ち上がる。

 『要件がそれだけなら帰らせてもらう』

 言葉には出さなかったがその行動からアスナはそう読み込めた。

 

「これは私の推測だけど、今ウチ(血盟騎士団)は規模の拡張と内部強化を行っているの。その為に腕利きのプレイヤーを集めているんだと思うわ。貴方は団長が直々に指名するほどのプレイヤーなの。[血盟騎士団]は今、貴方を必要としてるんだと思うわ」

 

 そそくさと出口に向かうルリの足が止まった。たがアスナの方には振り向かず、

 

「…それなら俺じゃなくても他の誰かいるだろ」

 

 そう言い残し店から出ていった。

 

━━━━━━━━━━

 

〈第五十八層 圏内の町 広場〉

 

「必要としてる、か」

 

 店から出たルリはその言葉が頭から離れなかった。正直な話、ルリにとって[血盟騎士団]への入団は魅力的な話だった。[SOB]に不満があるわけではない。だが最近考える一つの議題がルリの心を惑わしていた。

 

 『俺はこのギルドに必要な存在なのか』

 

 今だに答えは出ていない。もしかしたらずっと答えは出ないのかもしれない。分からないのであればいっその事自分を必要としてくれる[血盟騎士団]に入団してしまおうか。ルリの心の中で激しい論争が繰り広げているなか一通のメールが届いた。差出人はチャタだ。

 

『ルリ今町にいるか?だったら食材買ってきてくれ。ホーム買って金ねーかもだけど頼むわ。フォルダーに食材のリストまとめておいたから買えるヤツ買ってきてくれ。』

 

 メールの内容を見たルリは苛立ちと同時に安堵を感じた。自分の立場についてこれほど悩んでいるにも関わらず無神経に頼み事する能天気な事に、そしてその能天気に自分が甘えている事に。

 頼られて嬉しいのだ。ただの買い物(おつかい)程度で。

 ルリは自己嫌悪する。何て身勝手な人間なのだと自身を罵倒する。二十歳を越えた良い大人が子供のように一喜一憂しているのだ。もし自分がもう一人いるなら今すぐにでも殴り飛ばしてやるのに。

 このままでは羞恥心で自殺してしまうと思ったルリは一旦考えるのを止め、チャタに頼まれた食材を買うため商店が並ぶ町道へ足を運ぶことにした。

 

━━━━━━━━━━

 

〈第五十八層 圏内の町 商店が並ぶ町道〉

 

 活気ある商人NPCの声があちこちから騒がしく響く。道の端から向こう端まで埋め尽くす出店。そしてその前を行き交うプレイヤー達。最前線から程近いその層の町は解放されてからまだ日が浅い事もあり多くのプレイヤーが観光やレベル上げなどを目的に訪れていた。

 ルリはチャタに頼まれた食材のリストを確認しながら町道を歩いていた。

 

「え~とこれは買った、これとこれはまだ、これは~金足りなくなりそうだから最後にするか」

 

 リスト内の食材を出店で売られている実物を目で見て値段を確認しながらチェックをいれる。

 

「ふぅ~、とりあえずこれで全部か。もう予定ないしとっとと帰るか」

 

 チャタに頼まれた買い物(おつかい)を終えたルリは転移門に向け歩き始めようとした時、視界の隅にあるものが映った。

 

(あれって、露店か?)

 

 [露店]。それは商人や職人にスキルを割り振っているプレイヤーが路上で行う商売スペースである。本来であるならNPCと同じく出店を開く、または自身の店で商売をするのが普通であるがどちらも金銭的な問題が付いて回る。特になりたてのプレイヤーは商品の製作に金使ってしまって出そうと思ってもそもそも出せる場所がないと嘆くことが多い。そこで救済処置と言う訳ではないが簡易的に商品出来る方法としてこの[露店]があるのだ。やり方は簡単、絨毯(じゅうたん)かマットを通行の邪魔ならないように路上に設置しそこに商品を並べるだけ。あとはプレイヤー同士の交渉で商売をする。

 ルリは転移門に行くのを止め露店の方へと足を運ぶ。特に何かを思ったわけではない単なる気まぐれである。

 露店の前にまで来たルリはまず少し驚愕する。理由は店主が女子プレイヤーで露店が武器屋だったからだ。女子プレイヤーが露店を開いているのはまだ分かる。実際この世界(SAO)で女性プレイヤーは極端に少なくそのほとんどが圏内にとどまり危険を避けようとする。だが生活するには金がいるのはこの世界(SAO)でも同じ。そこでポーションや解毒薬などのアイテム製作で作った物をNPCの物より格安で売買しそれを生活費にするのが典型的なパターンであった。だがルリの目の前にいる女子プレイヤーはそういった消耗品ではなく武器のみを絨毯(じゅうたん)に広げている。今まで男性プレイヤーの武器屋しか見たことが無いルリはちょっとした奇跡を見ている気分である。

 そしてその店主であるが…

 

「スゥー…、スゥー…」

 

 寝ていた。

 それはもうぐっすりと寝ていた。綺麗な体育座りで首をコクンッ、コクンッとさせながら規則正しい寝息を立てていた。

 

「おーい、起きてるかー?おーいもしもし?」

 

 とりあえずルリは店主を起こすため声をかける。だが一向に起きる気配がない。どうしたもんかと考えるルリ。肩を揺すって直接起こそうにも[ハラスメントコード]が引っ掛かりそうなどでそれは避けたい。「仕方ない」とルリは店主の女子プレイヤーの顔の前で…

 

 パンっ

 

 手を叩いた。

 

「うわぁあぁぁぁあ!?」

 

 突然の破裂音に飛び跳ねる女子プレイヤー。「なにっ、なにっ!?」と軽いパニックなりつつもキョロキョロと周りを確認し目の前にいるルリに目が止まる。

 

「あ、え~とお客さんかな…?」

「あぁお客さんだ。寝坊助店主」

 

 ルリが軽く皮肉を言うと女子プレイヤーは「あぅ~」と顔を赤くする。だがすぐに気を取り直し…

 

「い、いらっしゃいませ!どれも自信作だから見てってね!」

 

 と、まぶしい笑顔でそう答えた。

 

「にしても珍しいな女で武器屋って。前から目指してたのか?」

 

 ルリは並べてある武器を眺めながら女子プレイヤーにそう問いかける。

 

「う~ん、そうでもないかな。前まではソロで潜ってて、武器屋を目指そうとしたのは結構最近だね」

「はぁ?てことは今まで戦闘系のスキルばっかで鍛冶スキルなんて無かったんじゃないのか?」

「あははぁ…、実はそうなんだぁ。さっき自信作って言ったけどほとんど失敗しちゃって、ここに並んでるの唯一まともに作れた物なんだぁ」

「マジか…、何で目指そうとしたんだよ武器屋」

 

 今のルリにとってこの質問は重要なものであった。なぜ必要もないスキルを上げようとしたのか。なぜ今になって武器屋になろうとしたのだろうか。要らないのであれば切り捨てれば良い。必要がないなら無くせば良い。そんな自分の『不』を彼女にぶつけているようであった。

 

「そんな大した理由じゃないよ。ただ誰かの支えになってくれれば良いな(・・・・・・・・・・・・・・・・・)ってそれだけだよ」

「…!」

 

 その時ルリの心の中で軽い衝撃が起こる。

 

「ソロで潜ってた時に気づいたんだぁ。私今まで一人で戦ってるって考えてたんだけどそれって間違いで本当は周りの色んな人に支えられてるんだって。最前線で戦ってくれる攻略組や、情報をくれる情報屋さん、NPCだって支えてくれてる。だからそんな人達にちょっとでも恩返しがしたくて武器屋になろって決めたの。私の作った武器が誰かの役に立ってそれが支えになれば良いなって。元々興味もあったからね」

 

 ルリは考える。今までの自分はアイツ等に必要にされたくて戦っていたか?

 絶対に違うと断言できる。

 アイツ等と一緒に戦ってきたのは楽しかったからだ。子供みたいにバカな事で騒いで遊んで周りから散々なことを言われても気にしないで。何時も行き当たりばったりでヤバかった時も最後は笑い事にしてバカ笑いした。辛いことも苦しいことも確かにあって沈んでいる時があった。だけどアイツ等と一緒に遊んでいるとそんなことで沈んでいた自分がバカみたいに感じられた。きっと無意識だろうけどアイツ等はいつも自分を支えてくれていた。

 

(そうだ。俺はアイツ等に必要とされたいんじゃなくて、ただアイツ等と一緒にいたいから、アイツ等が沈んでる時に今度は俺が支えになりたいからいるんだ)

 

 気づくと心にあった『不』がまるで感じられなくなった。それと同時に恥ずかしくもなった。アイツ等なら考えもしないことを自分はなぜこんなにもウジウジ考えていたのだろうと。

 

「あ、あの~大丈夫?」

 

 ふと女子プレイヤーからの声で意識が戻る。だがその表情と声からどこか神妙な面持ちであった。

 ルリは自分の顔の変化に気づく。

 いつの間にか泣いていたのだ。

 

「あぁ、悪い。考え事してたら眼にゴミが入ったんだ」

 

 ルリはそう言って誤魔化す。大の男が女々しい事で悩んでいたなんて到底言るはずがないからである。

 

「だけど一言だけ言わせてくれ。ありがとう」

「え?え~と、どういたしまして?」

 

 女子プレイヤーはなぜお礼を言われたのか検討もつかない。だがルリにとっては彼女の言葉によって多いに救われたも当然だった。なのでルリは彼女に恩返しをしようと考えた。

 

「なぁ、オーダーメイド頼めるか?」

「お、オーダーメイド!?出来なくはないけどいいの?」

「あぁ、アンタにしか頼めない」

 

 ルリは迷いの無い笑顔で彼女にそう告げた。

 

━━━━━━━━━━

 

〈第六十三層 迷宮区〉

 

 それから数日が経過した。

 

「せい!」

「グシャア!!」

 

 今日も今日とてダンジョン攻略に勤しむギルド[SOB]。それに大きな変化はない。

 

「良し!次連携くるぞ、リンネは下がれ!」

「ルリ頼む!」

「おう!」

 

 だが小さい変化はあった。

 ルリが()を持ち初めたのだ。

 

「グシャア!」

「ふんっ!」

 

 迫りくるモンスターの攻撃をルリは全て盾で受けきる。

 

「おぉりゃ!」

 

 そこにモンスターの背後を取ったチャタが突きを放ちモンスターを撃ち取る。

 

「ふ~、戦闘終了」

「おつかれ」

「あぁ~疲れた。今日もう帰ったほうがいいんじゃね?」

「そうだな。割りと消耗してるし切り上げた方がいいかもしれない」

「んじゃ、そうすっか」

 

 四人は今日の攻略を切り上げることを決め来た道を戻り初めた。

 

「そう言えばルリ、何で急に盾持ち初めたんだ?」

 

 チャタがルリにそう訪ねる。

 

「まぁあれだな。今まで本格的なタンク役がいなくて戦闘が安定してなかったから煮えきらした感じだな」

 

 嘘ではなかった。実際[SOB]には明確なタンク役が存在しなかったので守備に関して不安なところがあったのだ。

 そして理由はもう一つある。ルリは目の前にいる三人(リンネ・チャタ・リスモ)の支えになると決めた。だが具体的な方法は言った本人ですらよくわかってない。なのでとりあえず今の自分に出来ることを試してみた。それが盾を持って戦闘を支えることだった。これで少しでも三人が死から遠ざかるなら多いに結構なことだと思ったからだ。

 

「ふ~ん、そなんだ」

 

 ルリの回答にチャタは無愛想に返す。あまり深く考えて言ったつもりは無いようだ。

 

「まぁ良いだろ。実際、戦闘自体は安定してるし」

「てかさ、ルリが盾持つならリンネも持った方がいいんじゃね?」

「チャタは実にバッカだな~、刀持つヤツが盾持つ姿想像出来るか?」

「いや、システム上出来るぞ。それに戦国時代に鎧や兜が無かった足軽とかが竹と和紙で盾ぽいのを作っていた記述があるのを見たことがある」

「リスモナイス。そしてリンネ論破」

「うるせぇ、いんだよ俺は!だってその方がカッコいいだろ!」

「「なるへそ」」

 

 そして何時も道理の会話が始まる。そんな三人の背中を微笑みながら眺めるルリ。

 

「お~いルリ、置いてくぞ~」

「あぁ、今行く」

 

 リンネに急かされ歩き始めるルリ。その足取り以前とは違い軽やかなものだった。

 余談ではあるが、後にルリは攻略組切ってのタンクとして知れ渡り、ヒースクリフからも一目置かれことにより[神聖盾]の二つ名を得るのだった。

 ちなみにアスナからのスカウトもその分しつこくなったらしい。

 

 




リンネ「あれ?作者は?」
ルリ「そこで灰になってる」
作者「 _|  ̄|○ 」
チャタ「プロ○アちゃんガチャで爆死したらしい」
リスモ「いくら積んだの?」
作者「五万五千円…」
アホ四人「oh…」

最近仕事とfg○が忙しすぎて全然書けませんでした。しかも今回はギャグ無しのシリアスだったからメンタル持たんかった…
次回頑張って速く投稿するよう努力家するので許してください!


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飯に文句があるなら自分で作れ 前編

前回のあらすじ
リンネ「おい前回全然出番無かったじゃねぇか!」
チャタ「ほとんどルリの一人語りだったな」
リスモ「しかもフラグまで立てて、極刑確定」
ルリ「なんだよ!良いじゃねぇか別に!」
リンネ・チャタ・リスモ「うるせぇ!俺(僕)たちもモテたいんだよ!」
女子プレイヤー(あれってフラグになるのかな?)



やぁ読者様達!みんなのお姉さんアルゴだゾ!

 今回はみんなが気になっているだろうあのギルド[SOB]に所属するアホ四人が普段どんな生活してるか徹底取材しちゃうゾ!

 え、別に見たくもなイ?さして興味もなイ?いやいや、そう言わずに見てくれヨ~。これでも結構大変だったからサ~。

 

━━━━━━━━━━

 

〈ギルド[SOB]ホーム 午前四時〉

 

 [SOB]の朝は早イ。いや全員じゃなくて特定のある人物が早イ。

 

「ふぁ~、腰いで~」

 

 寝室からチャタが出てきタ。首と腰カキコキならしながらダルそうにダ。何でもリアルの職業病でどんな時間に寝ても必ず朝四時に起きる体になったらしイ。本人いわく「人間三時間寝れば二十六時間活動できる」とのこト。うん、絶対ブラックな所だこレ。

 そんな社畜なチャタが朝早くから何をするかと言うト。

 

「うぃしょ、うぃしょ」

 

 外で畑仕事をしていた。太陽だってまだ昇って無いのにせっせと鍬を持って土を耕してル。端からみると見事な農民ダ。

 おかしいナァ、攻略組じゃ青い格好の槍使いってことで[猛犬]の二つ名が付くほどの槍使いが何でこんな畑仕事してんダ?本人に聞いてみタ。

 何でもホームを買った事でギルドが全体的な財政難に陥った為少しでも節約と資金稼ぎ出来るように初めたらしい。残りの三人もタマに手伝ってくれるらしいけど本当タマにらしくほとんどチャタがやっていル。うんチャタは泣いて良イ。

 おっと、そうこうしている内にチャタが耕した土に種まきをしていル。基本的に作るのは野菜。現実(リアル)で言うところのトマト・キュウリ・ジャガイモの三種類を作っていル(こっち(SAO)だと名前と色が違くてややこしイ)。

 種まきが終わり次は水やりダ。うんここまでの動作を見てるとやっぱり農民のそれダ。

 水やりが終わる頃には太陽が顔を出して暖かい光が眩しく輝いてチャタが目を細めていタ。今日も一日が始まるんだナ~とオレっちも感情に浸りつつも取材を続けていくゼ。

 次の作業は収穫ダ。さっき水やりをした土の隣にすでに実った野菜が太陽に照らされて色鮮やかに光っていル(といっても色自体はかなりファンタジーだけド)。チャタはハサミで丁寧に野菜を切り取って収穫していル。途中トマトの収穫の時に一個オレっちに投げ渡してくれタ。食べてみると想像してたよりもずっと美味しかっタ。トマト特有の苦味があんまり感じられなくて逆に水水しくて甘イ。

 そんでもって収穫が終わったトマトを手押し車で運びつつホームへ戻るチャタ。やっぱただの農民ダ。いや[YA○IO]ダ。

 で、そのホーム何だけど最近買った純和風のホームダ。周りは塀で囲まれてめちゃくちゃ金持ちの家感が出てル。敷地に中庭と倉もあって道場ある…てかこれ完全にアレだよな、どっかの魔術師の家だよナ。倉の中に魔方陣とかあったしほぼ確定してるヨ。

 

「たで~ま~」

「かえり~、腹へった」

 

 チャタを出迎えたのはギルド[SOB]の副団長ルリダ。この変人の巣窟であるギルド唯一のまとめ役でもあるんダ。最近は攻略組でも名前が売れてきてあのヒースクリフも認めているって話ダ。

 それはともかくとして朝早くから畑仕事してきた人間への第一声が「腹へった」てそれはちょっとアレじゃないカ?

 

「おう、すぐ飯作る」

 

 そしてチャタは何の疑問もなく飯作る準備してるシ…。え何なんダ?オカンなのカ?

 

「~♪~♪」

 

 台所に立つチャタはエプロンを着けて鼻唄混じりにアイテム欄から食材を取り出しているんだガ…、エプロンの後ろ姿がしっくり来すぎて違和感がまるで沸かなイ…。ルリはテーブルで攻略情報関連のメール読んでるシ、何かここ空間だけ夫婦それになってないカ?

 いやいや、落ち着けオレっち。こんなときは素数を数えるんダ。

 2、3、5、7、11…

 うん、ちょっと落ち着いタ。

 

「ルリ~、飯出来たからリンネ達起こしに行ってくれ~」

 

 そうこうしている内にチャタが飯を作り終えていタ。てかもう言ってることが完全にオカンじゃねーカ。そしてルリは渋々他の団員を起こしに行くのでオレっちも後を付いていク。

 

「お~い、リンネ。朝飯出来たぞ起きろ」

 

 ルリがそう言いつつリンネの部屋の襖を開けたんだガ…、部屋の中はカオスだっタ。

 

「ほ~ら、綺麗にしたあげるかな~。お~よしよし今日もかわいいな~」

 

 リンネが虚ろな目で等身大の人形に話しかけていタ。髪を櫛で梳しながラ。

 何だこれ怖ッ!?

 

「あぁ気にしなくて良いぞ。毎朝あんなんだから」

 

 毎朝!?アイツこのギルドの団長だよナ!それが毎朝人形に話しかけてるサイコパスなんてどうやって記事にしろってんだヨ!!

『衝撃事実!ギルド[SOB]団長リンネは毎朝妹と称した人形を優しく愛でている!』うん、出来るわけがネェ。

 後から詳しい事を聞いたらどうやらリンネには[妹ニュウム]なるエネルギーが常日頃から不足しているらしくそれを擬似的に補充するためにあの人形を自己催眠で妹と認識してそれを愛でることで補充しているらしイ。てか[妹ニュウム]って何だよ聞いたことねぇヨ!?アレか、式神とかが食べるCV能○の気持ち悪ぃ幼虫みたいなヤツの事カ!?(※妹ニュウムについての説明は第八話(ヒロインは残念位がちょうど良い 前編)を見よう!)

 

「おらリンネ、妹とイチャイチャしてないで早く居間に行け」

 

 そしてルリはリンネに軽い蹴りを入れつつ催促する。てかアレがイチャイチャしてるように見えるのカ!?

 

「あ″ぁ!?今俺は妹との和気藹々を満喫してるところだろうが邪魔すんなっ!」

「ほっといたら四時間はそのままだろうが」

 

 何かもうツッコむのも面倒くさくなってきタ…

 そんなこんなでルリの説得に応じたリンネは居間に行ク。その際(等身大人形)とまるで今生の別れみたいなコントがあったが正直どうでもよかったから見ないことにしタ。

 そんでもって次はリスモを起こしに行ク。リスモと言えば攻略組内で様々な作戦を立案実行してボス戦を勝ち抜いてきた軍師であり、その功績から[諸葛亮(しょかつりょう)]なんて二つ名が付いてる程のプレイヤーダ。まぁさっきの(リンネ)より酷い場面には出会さないだろウ。

 …と思ってた時期がオレっちにもありました。

 

「598253490428755468731159562863 88235378759375195778…」

 

 なんかメチャクチャ数字言ってんだけド…。

 

「あぁ気にしなくて良いぞ。レム睡眠に入ると円周率数え始めるだそうだ。毎朝こうだし」

 

 何だそれ怖ッ…。リスモとは別の意味で恐怖を感じるんだガ。これもどうやって記事にしろってんダ。『驚愕!あの[諸葛亮(しょかつりょう)]はレム睡眠に入ると円周率を永遠と数える』うん、絶対バッシング受けるナ。

 

「おいリスモ起きろ。朝飯出来てるぞ」

「185778053217122680661300192787 66111959092164201989…は!?…今沖田総司」

「なんで新撰組?」

「今ぱっと思いついたネタ」

「つまらん」

 

 何でコントやってんだヨ…。とりあえず残りの団員(アホ二人)を起こし終えたので全員で居間に戻ル。

 

「遅い!今何時だと思ってんだ!飯冷めちまうだろうが!」

「「「サ~セ~ン」」」

 

 もうオカンでいいヤ…(思考放棄)。机の上には既に朝飯が並べられていタ。白米、焼き魚、味噌汁、野菜の漬け物、卵焼き、トマトサラダとかなり豪華な献立だっタ。それでいて全部旨いから文句のつけようが無イ。

 

 

「リンネおかずだけ先に食うなメシと一緒に食え、ルリはもう五回ぐらい噛んでから飲み込め、リスモはもうちょい食べ方綺麗にしろ」

「チャタお茶~」

「味噌汁もう一杯~」

「メシおかわり~」

「はいはい、順番にやってくからちょっと待ってろ」

「「「サンキューオカン」」」

「誰がオカンだ!」

 

 どっからどう見てもお前だヨ。こんな調子でチャタからお小言を言われつつ朝飯を食い終えタ。

 てか朝から内容が濃すぎるんだけどこれこの後も続くのカ?マジで記事にするの面倒くさくなってきタ…。 

 

 




流行りに乗ってアホ達をJKにしてみた。
山岡 武蔵(リンネ):1年A組
    身長…163cm
    髪…黒くてさらさら
    目…青くて涼しげ
    得意科目…地理歴史
    バスト…C
    特徴…人の名前を覚えるのがニガテ
    性格…あかるい。くらい子とおばかな
       子とは相性よし

渡部 蒼也(ルリ):2年D組
   身長…169cm
   髪…栗色でくるくる
   目…青くて眠たげ
   得意科目…情報
   バスト…D
   特徴…くっつき虫
   性格…やさしい。ツンデレな子と病んで
      る子とは相性よし

湯澤 晶(チャタ):2年B組
    身長…166cm
    髪…ベージュでふわふわ
    目…オレンジで猫っぽい
    得意科目…数学
    バスト…C
    特徴…男の子が苦手
    性格…がんばりや。まじめな子とは相
       性よし

牧角 紅鷹(リスモ):3年C組
    身長…176cm
    髪…金色でぼさぼさ
    目…銀色でぱっちり
    得意科目…理科
    バスト…E
    特徴…リボンつけてる
    性格…不思議ちゃん。ぼんやりした子
       とおばかな子とは相性よし

作者もやってみた
茶久良丸:3年E組
     身長…149cm
     髪…緑でさらさら
     目…栗色で涼しげ
     得意科目…美術
     バスト…AA
     特徴…メガネ
     性格…病んでる。やさしい子とは相性よし

 作者はロリっ子だった…


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飯に文句があるなら自分で作れ 後編

前回のあらすじ
リンネ「今回ってチャタが主役なのか?」
ルリ「話の流れ的にそうだろ」
リスモ「主役回が畑仕事と料理しかしてない件」
チャタ「ゴチャゴチャうるせぇ!それと飯は二十回噛んでから飲み込め!」
リンネ・ルリ・リスモ「はいはい」
チャタ「『はい』は一回!」
女子プレイヤー(結局私何者だったの?)
フィリア「今回出番あるよ!」
女子プレイヤー「…え!?」



さて気を取り直して取材を続けるゾ!

 て言っても今日はオフの日らしく団員全員思い思いの時間を過ごしていル。

 リンネは…

 

「よ~しよしよし、今日は縦巻きロールにしてみるか~?」

 

 (等身大人形)を愛でてタ。うん、ここはあんまり見ないでおこウ…。

 ルリは…

 

「…」

 

 近くの池で黙々と釣りをしていタ。始めてからまだ十分位なのにもう十匹くらいの魚を釣っていル。本人は「今日は調子が悪い」とか言ってたけど十匹も釣れてるならいい方なんじゃないのカ?

 オカン(チャタ)は…

 

「う~ん…、ちょっと酸味が強いか?ならもう少し甘味を足して中和して…」

 

 液体を混ぜ合わせて調味料作ってタ。この間試しにラー油を作ったらそれっぽく出来たらしくそのうち完成品を売り込む手筈だそうダ。そんなに金無いのカ?

 リスモは…

 

「会場は何時もの第一層のあそこでやるとして、前回の参加人数が…」

 

 何かまた難しそうな計算してタ。何でも[SOB]主催のイベントの予算関係の計算らしイ。因みにだが[SOB]の懐事情はリスモが管理していて割と財布の紐は硬いとのこト。

 各々がそんな感じで過ごして気づけば時刻は昼頃。台所ではチャタが既に昼メシを作っていタ。

 

「ルリが魚釣ってきたからソテーにしてみた。添え物にバーニャカウダ風の野菜スティック置いてるから好きにつまんで食ってくれ」

 

 目の前にコース料理とかで出てきそうなほど綺麗に盛られた魚のソテーが出てきタ。スゲェ。しかも上手いシ。

 そうして昼食を味わっていると来客者が現れタ。

 

「こんにちは~」

「お邪魔します」

 

 開かれた戸から女子プレイヤーが二人現れタ。…もう一度言う、女子プレイヤーが二人も現れタ。

 ゑ、嘘だロ…。このアホ達に女の友達!?一体どんな弱みを握られタ!出来心で作っちゃった自作ポエムをアホ達に取られたのカ!?

 それとも周りの女友達が途端に彼氏作り始めて焦った拍子に居もしない脳内彼氏とのモテエピソードを語ったのをアホ達に知られたのカ!?あれ何だろう、急にオレっちの胸の奥が痛くなったゾ…。

 

「あ、お昼の途中だった?タイミング悪かったかな?」

「いや大丈夫だ。昼まだだったらすぐ出せるぞ?」

「良いの!?じゃあお願い!レインちゃんも良いよね?」

「うん大丈夫。むしろここで済ませようと思ってたから」

 

 てな感じでチャタは食べるのを中断して台所で追加の料理を作り初めて女子二人は遠慮なく座る。なんか大分慣れてる感があるナ。

 んでもって二人の素性だが、まず一人目は[Philia(フィリア)]。何でもトレジャーハンターを自称するソロプレイヤーらしイ。アホ達と知り合ったのは前線が中層時代の頃、[偽隠し部屋]事件と言う問題が多発してい時の事ダ。当時フィリアは迷宮区でこの事件の被害者になったが偶然知り合ったアホ四人のお陰で生き残ることが出来たとらしイ。それ以来連絡のやり取りをするようになって[SOB]がホームを買ってからは週四程度の頻度で来ているようダ。てか週四は来過ぎしゃないカ?週の半分はアホ達といるってことだよナ?正直オレっちだったら耐えられない。 

 もう一人は[Rain(レイン)]。こっちもソロで武器屋を経営しているらしイ。アホ達と知り合ったのは割りと最近で、町で出店をしている時ルリが初対面でオーダーメイドで盾を頼んだのがきっかけらしイ。今だと[SOB]の武器関係は全部レインに任せてるとのことダ。少し前にアホ達の援助のお陰でで店を開くことができたらしイ。

 

「ん~美味しい!チャタの作るご飯はいつも美味しいから女の子としてはちょっと嫉妬しちゃうよ」

「お供え物の野菜も美味しい。これ自家製なんだよね?すごいな~」

「そうか?料理はコイツら(リンネ・ルリ・リスモ)がやらないから仕方なくやってたら勝手にスキルが上がっていって、野菜も食費浮かすための手段じゃん」

「それをほぼ一人でやってるんだからスゴいよ!」

「リンネ君達はもう少しチャタ君を見習った方がいいよね」

「「「サ~セ~ン」」」

 

 うん、なんて言うかアレだナ。放課後の学校で喋ってる同級生みたいな感じだナ。そんなこんなで昼メシの時間は騒がしく過ぎていった。

 

━━━━━━━━━━

 

 昼メシが終わった後はフィリアとレインを加えての談笑となっタ。フィリアから低層区の様子や怪しいクエストなどの情報を、レインは今の鉱石の値段などの情報を話してくれタ。情報屋のオレっちも初耳な情報があったので色々と買わせて貰っタ。そして気付いたときには時刻は夕方、夕メシの時間だ。

 

「もうこんな時間か。ラーメンにするつもりだけど良いか?」

 

 今コイツ(チャタ)ラーメンって言ったカ!?マジか、この世界(SAO)に閉じ籠られてから『現実(リアル)に戻れたら食べたい食べ物ランキング』で常にトップに君臨するあの料理をコイツは作れるのカ!?

 

「トッピングのリクエストあるなら先に言ってくれ」

「俺チャーシュー五枚」

「メンマ、青ネギ大盛」

「山椒、パクチー山盛りで」

「アブラナシヤサイカラメマシニンニクスクナメでお願い」

「あ、私モヤシ多めで」

 

 各々が好きなラーメンのトッピングをチャタにリクエストすル。何か一人(フィリア)だけ呪文みたいなの唱えてたけド…。ちなみにオレっちは煮卵三つダ。全員から注文を受け取ったチャタは台所でラーメンを作る準備をしていル。いや~楽しみだな~、もう一年以上もラーメンを食べて無かったと思うと感慨深いものがあるってもんダ。

 程なくしてラーメンが完成しタ。ここ(SAO)だと調理時間とかほぼ無視出来るから待つ楽しみがあんまり無いのが残念だけどラーメンが食えることに変わりはなイ。

 

「はい、煮卵三つ乗せだったな」

 

 ゴトッと大きめのどんぶりをオレっちの目の前の机に置くチャタ。さ~て、一年越しに見るラーメンはどんなもんかな~。オレっちはウキウキしながら目の前に置かれどんぶりの中身を見てみた。

 

 もあっ

 

 …真っ赤だっタ。それはもう尋常じゃないくらい真っ赤だっタ。例えるならどんぶりの中に存在する赤い海の様ダ。

 てか何じゃこリャ!おいチャタこれ何ダ!!

 

「え、麻婆豆腐じゃん?」

 

 ラーメン何処行ったんだヨ!?百歩譲ってこれをラーメンと言い張るなら麻婆豆腐にラー油使ってるから『ラー』の部分は良いとして『メン』は何処行ったんだヨ!!

 

「え、だからあるじゃん。麻婆の底に」

 

 …本当ダ。麻婆の海の底に申し訳程度に沈められてル。てかこれよく見たらスープねーしただの『麻婆豆腐のあんかけ麺』じゃねーカ!

 オレっちはレンゲで一口くらいに麻婆を掬って一舐めしてみル。

 

 ブフッ 

 

 見た目道理辛いじゃねーカ!ちょっと吹き出しちまったシ!ちくしょう返せ、オレっちのラーメン食べられると思った純情を返セ!

 

「文句多いなーアルゴ。隣を見てみろよ?」

 

 はぁ、隣?

 オレっちは隣にいるリンネ達を見る。まぁこんなに辛いんじゃアイツ等も根を上げてるんsy…と思ってたオレっちは度肝を抜かれタ。

 

「…ひぃ~辛れ~」

「暑い…暑い…、でも手が止まらねぇ」

「ふぅ~ふぅ~、それな…」

「あむっ、あむっ。みんな汗拭きタオルあるけど使う?」

「はふぅ、はふぅ。ありがとうフィリアちゃん」

 

 リンネ達が額から滝のような汗を流しながらこのラーメンもどきを食べていタ。しかもかなりのハイペース。

 え、嘘だよな一舐めしただけでも吹き出すくらい辛いのになんで食えるんダ!?特にフィリアは山みたいに盛られたキャベツとモヤシとチャーシューを処理しつつ麻婆も食べてるし、どゆこト!?

 

「あ、ちなみにだけど食べ残し厳禁じゃん。どうしても無視って言うなら首から下を地面に埋めて口から麻婆流し込むから」

 

 コイツ(チャタ)とんでもない事言い出したゾ!?朝から昼までのあのオカンな感じは何処いったんだヨ!?クソ、このままじゃオレっちは珍味にされちまウ…。食べるしかないのかこの地獄の海ヲ…。

 オレっちは意を決してどんぶりの中の麺を箸で掴ム。

 ちくしょう、よりによってストレート麺じゃねーカ!麻婆が全力で絡んでやがル!

 そしてオレっちはそのまま箸で掴んだ麺を口に運ブ。その瞬間…

 

 宇宙が見えタ。

 

 …は!?一瞬頭がトリップしてタ!

 そしてその後にやってくる辛味と言うなのビッグバンがオレっちを襲ウ。

 ぬぅオオオオオ!?辛い、痛い、凄く痛イ!!何だこれ、こんなの食い物じゃn…あれ美味しイ?

 口の中が辛さで一杯になっていたところから来た確かな旨味。真意を確かめるためもう一度食べてみル。

 ぬぅああああ!!??やっぱり辛イ!辛いって言うか凄く痛イ!でも後から確かな旨味を感じル。

 やっぱりダ。辛さのピークが一定まで来ると突然旨く感じル。オレっちがあんまり辛い物食べないから詳しくは分からないがこの麻婆はそう言う物らしイ。気づいた時にはオレっちは麻婆を黙々と食べ続けていタ。本来人間は脳が脊椎を通して体に命令するのにこの時だけは体が脳を支配していたと確信出来ル。そして時間は掛かったがどんぶりの中の麻婆麺は綺麗になくなっていタ。

 

「おかわりあるけど食う?」

 

 チャタのそれは正しく悪魔の囁きの如くだっタ。そしてオレっちはその囁きに対して首を縦に振るのだっタ。

 ちなみにだがリンネ達は平均しても四杯はおかわりしてタ。

 

━━━━━━━━━━

 

 数日後、オレっちが書いたギルド[SOB]の突撃取材の記事をプレイヤー共通の掲示板に掲載しタ。と言ってもほとんど麻婆の感想いついてオレっちの持てるかぎりの国語力を余すことなく綴っただけの代物になったガ。なのに普段の攻略情報よりも三倍くらいの閲覧数を稼いダ。

 

 解せヌ。

 

 




今回の言い訳のコーナー
作者「なぁにこれぇ」
リンネ「毎回の様に投稿が遅れるお前の為のコーナーだ」
作者「いつの間にコーナー化したんだ…」
ルリ「いいからとっとと言え」
作者「あはい。えーとですね、もうすぐシン○ォギアの新作やるじゃないですか、はいYou○uberで見てました…」
チャタ「そりだけ?」
作者「友人に勧められた刀使○巫女も見てました…」
リスモ「て事が原因みたいだ。みんなもやることほったらけにして現実逃避(キング○リムゾン)しないようにね。それじゃまた次回」
作者「ちょっと待ってこのコーナー続くの?」
アホ四人「続く」
作者「マジか…」


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争いは同じ低レベルでしか発生しない

一年と二日ぶりに!
前回のあらすじ
アルゴ「なぜ麻婆の記事で三倍の閲覧数が…」
リンネ「まぁ悪魔じみてるよなあの麻婆」
ルリ「一回食うと定期的に食べたくなるよな」
リスモ「一種の麻薬だ。ヘロイン・コカイン・大麻・あへんと同じ物に分類されると思う」
フィリア「替え玉粉落としで~」
レイン「フィリアちゃんまだ食べるの…?」
チャタ「喜ぶが良い少女達よ…、このラーメンはカロリーゼロだ…」
フィリア以外の五人「だろうな」




 ある日SAO内でこんなの噂が流れた。

 

『とあるクエストを達成すると[ユニークスキル]が手に入るらしい』

 

 [ユニークスキル]

 文字道理この世界(SAO)に於て一つしか存在しない唯一無二のスキル。その発生条件も出現条件も全くもって不明だがスキルその物は強力無比なため攻略組プレイヤーはこぞってユニークスキルを欲する。

 そんなユニークスキルがたかがクエストをクリアするだけで手に入る。噂の信憑性に関係なくプレイヤー達はそのクエストの挑戦しに勤しむのであった。だが未だにクエストをクリアした者は現れず噂は信憑性を日に日に無くしていた。

 

 そしてそんな噂を聞いて…

 

「やっぱり至高は体操服だ。偉大なる日本の発明品ブルマの存在はそれだけで魅力的に女子()を輝かせる」

「いやお前は単にロリブルマが見たいだけだろ。ここは軍服にすべきだ。あの無駄の無いフォルムに何故かエロッティックを感じる」

「軍服とか今時ピンポイント過ぎるだろ、競泳水着にしよう。露出は手足だけなのにあれだけでオカズいらないし」

「ふ、みんなフェチの狙い所がオーソドックスだな…。そんなんだから時代に取り残されるんだ。常に最新の物を受け入れることで人はより効率的になるんだ。具体的に言うとスケベニットに全身インナーを着た京都弁を喋るバスト95越えでCV.井上○久子の包容力抜群の年上お姉さんとか!」

「「「お前のはただの願望の塊だろ!!」」」

 

 このアホ達が動かないわけがなかった。

 そんな訳で噂のクエストが出来ると言われている森の奥底に到着するアホ四人。

 そこは森の中でありながら木々が一本も生えてない野原の様な場所だった。平らな石が野原の中心にありその上に落武者の様な男が項垂れる様に座っていた。その顔は何処か虚空を見つめている。

 

「え、アレに話しかけるの?あんなワン○イに出てたゴ◯のコスプレみたいな感じの落武者に?」

「おい、それは流石にワン○イに失礼だぞ。せめてトレ◯ン斎◯さんと言え」

「落武者って聞くとサイバー○ォーミュラーの新○思い出すな~。もしかしてあの落武者、CV.緑○光さんなの?いつの間にか誰かに侵略されてるの?」

「それな!」

 

 とりあえず話が進まないので四人は落武者に話しかけることにした。

 

『良く来た…、(つるぎ)の高みを目指し者…。我が技をその身に受け更なる高みを目指し者…。我の与えし試練を乗り越え孤高をその手に宿せ…!』

 

 四人の前にそれぞれテロップが表示される。

 

「俺から行っていい?」

「別にいいぞ。チャタ達は?」

「我、エンジン不調、援護する、先にかかれ」

「女々しい野郎だぜ!自己負担に決まってんだろ!」

「良いらしいぞ」

「おk」

 

 何ともコイツら(アホ)らしい会話である。リンネはテロップの一番下にあるOKボタンを勢い良いよく押す。

 

「さーて、落武者殿も剣抜きなよ」

 

 リンネは自身の得物である刀を引き抜き切っ先を落武者に向けながらそう言う。

 

『フッフッフッ…、誰が我と戦うと言った?』

 

 だが落武者は愉快そうに笑いリンネにそう返すのであった。

 

「はぁ?」

『貴様の相手は…貴様自身(・・・・)だ』

 

 するとリンネの影から人の形をした何かが現れる。全身上から下まで真っ黒の何かだった。

 

「うお、何これ怖っ!?」

「影から人が出てきたな。ゲッ○ー・モリアか?」

「なるほど。最終的にCV.田◯ ◯弓のゾンビロボット作ってボロボロされるのか」

「それな!」

 

 こんな状況でも何時もの会話が言えるコイツら(アホ達)は何なのか。

 

『フッフッフッ、オレは貴様(リンネ)の影から出来た者…、故に貴様を完全にコピーしたも同然の存在だ…』

「う~わ、よくあるぽっと出の敵役のテンプレ台詞。大体出てきた当初だけ強くて後半雑魚扱いされるヤツだな」

『喧しい…』

「おい、自分の影とケンカすんな」

 

 状況がややこしくなる中、取りあえず臨戦態勢を取るリンネとリンネの影。

 

「とりまお前倒せばいいんだろ?俺の事は俺が一番分かってんだ、一発で弱点ついてやる」

『フッフッフッ、それは俺も同じこと…。貴様の息の根など一捻りで潰してくれる…』

 

 先程と違い真剣な雰囲気になるリンネとリンネの影。ジリジリと張り詰めた空気が蔓延る中…

 

 ついにその火蓋が切って…

 

「『あーっ!俺の妹が俺の部屋で妹モノのエロ同人誌見つけて顔真っ赤にしながらアタフタしてるぅー!!』」

 

 落とされるにしては余りにもふざけたモノだった。

 

 そして…

 

「『えっ!?どこ!!』」

 

 このあからさまな嘘にアホ(リンネ)アホ(リンネ)の影が引っ掛かった。

 

「どこにいるんだ!お兄ちゃんの所においで!!」

『大丈夫!お兄ちゃんはお前の全てを受け入れるから!!』

 

 居もしない妹を探し続けるアホ二人(リンネ・リンネの影)

 

「…なんか腹減ったな、チャタ昼飯は?」

「チキンが手に入ったからテリヤキのハンバーガーにしてみた」

「ん、醤油なんてあったのか?」

「ゴリr…アスナが作った試作品を俺が作ったラーメン(麻婆)の素と交換して貰った」

醤油(しょゆ)こと」

「ところで今ゴリラって言っt」

「(言って)ないです」

 

 そんなリンネ達をほっぽってランチを広げるルリ達。リーダーの扱いが全くもって雑である。

 

 そして一時間後…

 

「くっ!まさかこんな的確に俺の弱点を狙ってくるとは、俺をコピーしたと言うだけの事はある!」

『オレの恐ろしさをオレ自身が知ることになろうとは、侮れんな俺…!』

 

 散々探し回ってようやく妹が居ないことに気付いた二人はよくわからん驚愕にさらされる。いや、ほんと何に驚愕してるのかわからん。

 

「ふん!こうなったら実力行使と行こうじゃねぇかよ!お前が泣くまで殴るの止めない!」

『えぇい、オレだって!』

 

 そしてこの世界(ゲーム)での醍醐味である剣を捨てて拳を構えるアホ二人(リンネ・リンネの影)。互いが一直線に相手に突っ込む。

 

 もちろんこのアホ達(リンネ・リンネの影)が古い青春漫画みたく殴り合う筈もない。

 

((今だ!!))

 

 互いが間合いに入った瞬間、相手の左太もも目掛けて右足ローキックを繰り出す。拳構えておいて足技使う極めて卑怯な奴等である。そしてアホ二人(リンネ・リンネの影)のローキックは…

 

 パーン!×2

 

「『ふぅごおぉぉぉぉぉ!?』」

 

 見事にクリーンヒットした…二人同時に。

 

「ぐぐぅ…俺が小学生の頃、親父を悶絶せしめて以来封印してきた俺の必殺技[モモパーン]を打ち返してきただとぉ…!?」

『フ…フフフ…、言ったはずだオレはお前を完全にコピーしたと…。貴様の行動パターンなど手に取るように分かるわ…!』

 

 なんか少年漫画っぽいセリフを言い合ってるが、二人とも太ももの痛みで悶絶し倒れ込んでいるのでまるで場が合ってない。ちなみにだが[モモパーン]はかなりの高ダメージを与える技らしい。その証拠にHP(ヒットポイント)が赤まで減っていた。

 

「だが…負けるわけにはいかねぇ!俺の後ろには仲間がいるんだよ!アイツ等にカッコ悪ぃところ見せられっかよ!」

『ふん…!威勢だけは一丁前だな…!だが貴様の仲間が見るのは貴様の無様な負け姿…!』

 

 かなりカッコいいセリフっぽいこと言ってるがお互い足が産まれたての小鹿のようにプルプルしながら立っているので全く格好がついてない。

 で、リンネが語っていた仲間達(ルリ・チャタ・リスモ)はと言うと…

 

「ディオガ・コ◯ァルドン!!あれ?アニメでカットされたスナイパーぽいのってこれだっけ?」

「ビーザム・◯ボルガ!!いやそれはグラード・マ・コ◯ァルだ。ディオガ・コ◯ァルドンはただのデカイ結晶飛ばすだけの呪文」

「オラ・ノ◯ジオ!!なかなか素晴らしいスカート丈だったよな。恐らくカットされたのはあのスカートでライフル構えるからだと思われるが」

「「分かる~」」

 

 何故か魔王を決める戦いに勤しんでいた。リンネの事は気にも留めない。

 

「ウオォォォ!いくぞォォォ!!」

『さぁ来い俺よ…!!』

 

━━━━━━━━━━

 

 そうしてリンネの勇気が自身の影を倒すと信じて、三時間ほど経過した。

 

「ハァ…ハァ…お前なかなかやるな…!」

『ハァ…ハァ…お前こそ…!』

 

 なんかよく分からん内に友情が芽生えた不良の様な状態になった。

 

「なぁこれいつまで続くんだ?」

「それはあれっしょ、どっちかが勝つまでじゃん?どう言う勝敗かよく分からんくなってきたけど。所でこの枕ちょっと固くない?」

「仕方ないなその枕は僕が使おう。チャタは僕の下の枕、通称キンタm」

「あ、遠慮します」

 

 ルリ達は暇を持て余しその場で昼寝まで始める始末である。

 

「あぁ~…もうしょうがねぇな。リンネちょっと来い!」

「『はい?』」

「いや、影の方は呼んでねぇよ」

「いやいやちょっと待てよコイツ(リンネの影)だけ省くの可愛そうだろ。以外と良いヤツなんだぜ?」

『いや…別にいいよ…。オレ元々お前らの仲間って訳じゃないし…。要はお前のパチモンみたいなモノだし…』

「おい…そんな事言うなよ…。寂しぃじゃねぇか…」

「なんでちょっと同情してんだよ…!いいから来い!」

 

 ルリはリンネの首根っこを持って引きずり戻す。

 

「んでどったんだよ?これからアイツ(自分の影)との友情の証として妹トーク略してイモトーーーーーークするつもり何だけど?」

「そうかそうか、…その妹についての話だったんd」

「最優先事項だ、はよ言え!!」

 

 儚く脆い友情だった。

 そうしてルリがリンネに耳打ちする。すると…

 

「……なん………だと…………」

 

 リンネの顔が驚愕に染まると同時に体からオーラ()の様なモノが沸き出てくる。

 

「ルリ…それ本当か…?」

「あ~…うんきっと恐らく。………たぶん」

 

 ルリが冷や汗を流しながら答える。何故なら今リンネの顔は文字道理、鬼の形相と化してるからだ。

 

『どうした俺よ…』

「すまんなオレ…。直ぐにでもお前と決着つけなけりゃならなくなった…」

『ゑ…?』

 

 リンネの発言に一瞬理解が追い付かなかったリンネの影。

 

「うおぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 そしてそんなリンネの影を置き去りにしてリンネは気(のようなモノ)を溜め始める。リンネの体を中心に渦を巻く気はやがて大きくなり、臨界まで達すると…

 

「おおおおおお!愛と怒りと悲しみのぉ!!

 [スーパーお兄ちゃんモード]!!!」

 

説明せねばなるまい!

 スーパーお兄ちゃんモードとは重度のシスコンが妹関連のモノに対して怒りを感じそれが臨界まで達すると発動されるモードである!発動すると身体能力が常人の三倍にまで膨れ上がる!だが怒りを糧にするということは激情に駆られるあまりに冷静さを欠きがちになるということでもあり、代償として自分より年下の幼女を見ると「おまんも妹!!!」と言い問答無用で襲ってしまうのだ!(襲うと言ってもシスコンは妹に対して紳士であるべきなのでやるとしても可愛い服を着せて夢の国に連れてってあげ、そこでキャピキャピと遊ぶ姿を暖かく見守るぐらいである)ちなみに具体的にどのくらい強くなるかと言うとあの『鉄の意志と鋼の強さを持った不審者』と素手でやりあえる程。

 

「う~わ…久しぶりにモード出たな…」

「一体何を言ったんだルリ?」

「リアルの時にアイツ(リンネ)の妹が知らない男の子と手を繋いでたのを見た話した」

「「そりゃあモード入るわ」」

 

 シスコンのリンネにとってはこれ以上無いほどの理由だった。

 

「行くぞこの野郎ぉぉぉ!!」

『ぐ…!何故急にパワーアップしたかは分からんが来る以上はオレも手は抜かん…!』

 

 で、シスコン二人は臨戦態勢に入いる。地面を踏みしめ一気に距離をつめ、己の間合いに入った瞬間…

 

「『おりゃぁぁぁぁぁぁ!!』」

 

 パーン!×2

 

 結局[モモパーン]だった。だが一回目のモノと違うことがあった。

 

『ふぅごおぉぉぉぉぉ!?』

 

 悶絶したのがリンネの影だけだったのだ。リンネはまるで何事も無かったかのように立っている。実際HP(ヒットポイント)は全く減って無い。

 

『な…何故だ…!オレはお前を完璧にコピーした存在…!なのに何故貴様は無傷なのだ…!?』

「分からないかオレ?俺が無傷の理由、それは…愛だ!!」

『何故そこで愛っ…!?』

「お前は俺を完璧にコピーしたと言ったな?だがそれこそが誤りだ!俺は一分一秒そしてこの瞬間にも妹を愛している!だからこそ言える、今の俺は昨日の俺より妹をもっともっともっと愛してる!!妹の愛が強ければ強いほど俺は強くなれるんだぁぁぁ!!!」

 

 とんでもなく下らない強くなれる理由であった。だがそれ(強くなれる理由)を知ったリンネの影はどこか満足げな顔をする。

 

『ふ…なるほどそうか…。所詮お前のコピーであるオレとお前では妹の愛の器が違うと言う訳か…』

「あぁ…。だがめげることはねぇぜオレ!きっとお前にもその愛を手にいれることが出来る!だって俺をコピーしたんだからな!」

『俺よ…』

 

 アホ二人(リンネ・リンネの影)がガッチリと手を取り合う。

 なんだこれ?

 

『オレも…お前のように妹を果てしない愛で満たせるお兄ちゃんになろう…。その時、また会ってくれるか?』

「もちろんだ!ついでにお前の妹も紹介しt」

『いや、それは無い』

「(´・ω・`)ショボーン。…いやでも挨拶くr」

『ならお前の妹も紹介しr』

「無いわ」

 

 くっだらねぇ会話の後、リンネの影は消えていった。

 

『よくやった。自らを影を打ち倒せし武士よ。貴様になら我が秘技を授けy』

「あそう言えばこれユニークスキル手に入るクエストだったわ」

「絶対途中で忘れてると思ったよ」

「まぁだろうとは思ったじゃん。…ところでリスモ、俺の後頭部に当たってる固いのもしかして…」

「それは僕のおいなり(・・・・)さんだ」

「聞きたくなかった…」

「結局枕したんか」

「お前ら俺に対して本当に辛辣だよな」

 

 こうしてリンネはユニークスキル[二天一流]を手にいれた。

 

 

  




一年と二日ぶりに
今回の言い訳のコーナー
作者「シンフォギア書いててこっち書けなかった」
アホ四人「ふっざけんなっ!!」
作者「だってシンフォギアの方が受けがよかったんだもん」
セイバー「人気者ですみません」
アホ四人「ちくしょぉぉぉぉぉぉ!!!」

今後も気まぐれ更新です。

アホ四人「ところで一年と二日も待ったのはネタか?」
作者「うん」
アホ四人「タヒれ!!!」


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