魔法少女リリカルなのは~魂の灯火~ (ドラゴマキナ)
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プロローグ

我ながら、酷い人生を歩んで来たと思う。

 

まだ成人にもなってないのにこんな事を言うのも何だとは思うけど……それ程の体験を、一応してきたつもりだ。

 

 

 

 

 

 

 

僕の父親は、人殺しだった。

 

いつも優しくて、良い父親だったから、きっと何かの間違いか、事故だったんだとは思う。

 

だけど、「父親が人を殺した」って噂だけは広まり、信じられた。

 

僕は「殺人者の息子」との烙印を押され、排斥の対象になった。

 

小学校の頃から、ずっと。

 

無視される位なら天国だった。

 

身体中に痣を作るのがざら、病院送りになった事だって何度かあった。

 

そして、それが当然だと、周りの子供は、大人は、そう思っている様だった。

 

 

 

1人ぼっちだった。

みんなが、僕をまるで人間の屑であるかの様な目で見た。

 

 

 

……解らなかった。

 

 

 

大人じゃないせいか、それとも別の原因か。解らない。

何で僕がそんな目で見られるのか。人殺しなのは父親なのに。解らない。

 

 

 

父親が人殺しにならなければ、僕はこんな目に会わなくて済んだだろう、というのは解ってた。

 

だから父親を恨もうとした。

 

何で人殺しになった。

何で僕まで人間の屑の様に扱われる。

何で。何で。何で。何で。

 

……まあ、大体が八つ当たりみたいな感じだった。

 

どうしても憎み切れなかった。そもそも憎めるはずも無かった。

 

あの、優しくて、良い父親を。

 

 

 

 

 

だから、僕は1人で無様に抱え込んで。

 

 

 

 

 

そして、見事にパンクした。

 

 

 

 

 

 

僕が死んで、それで終わりだ。

何でかは知らないけど、僕は人間の屑らしいし。

 

そうして、何もかも終わり……そのはずだったんだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも僕は、こうして生きている。

 

確かにあの時、死んだ……と、思うんだけど。

 

でも、僕は生きている。

 

……転生と言う奴だろうか?

だって名前も変わって、僕自身も随分歳さかのぼってるし……別の両親がいるし……。

 

 

 

……これで終わるかと思っていたのに、どうしてこうなったのかな。

 

 

 

こんな訳の解らない世界、僕はもう嫌いになっているというのに……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ、前世よりかは少しはマシなんだろうと思う。

 

新しい(?)両親は共にそこそこに裕福な人で、優しかった。

 

使用人も2人だけとはいえいて、家もそこそこ広い屋敷。

 

その屋敷に閉じ込められている様に錯覚する事もあったけど……それでも、マシだとは思った。

 

前世の様に訳の解らないレッテルを張られる事も無く、友達という存在が出来、遊ぶ事も出来た。

 

それは、まだ小さな幸せだったのかもしれない。

それでも、僕には嬉しかった。

その温もりのお陰で、案外世界も悪くないな、と思っていた。

 

 

 

 

 

だけど。

 

 

 

 

 

それも、呆気なく砕け散った。

 

家族で車の旅行をした時。

 

 

 

 

 

交通事故で、両親は死亡。

 

 

 

僕だけが、重傷を負いながらも助かった。

 

 

 

 

 

……また、1人ぼっちになった。

 

 

 

 

 

世界はやっぱり残酷なんだと思った。

 

 

 

世界は脆いんだな、と思った。

 

 

 

 

至る所に見える黒い線。

ナイフでなぞるだけで、簡単に斬れてしまいそうなツギハギ。

 

 

 

 

知っていた。

僕はこの現象を良く知っていた。

 

 

 

 

 

 

 

「直死の魔眼」。

 

 

 

 

 

モノの死を視る事が出来る能力。

 

……まあ、一度ほんとに死んで(そのはずだ)、それにもう一度死にかけた訳だから……別に不自然じゃない。……のかな?

 

 

それにしても、本当にこれは凄いと思った……確かに、目に見えるモノ全てが砕けてしまいそうだ。

視てると気分が悪くなるのも納得出来る。

 

 

 

事故の後しばらくは病院にいたけど……何度も抜け出した。

空を見上げてれば線は視なくて済むし、それにいくらか気も楽になったから。

 

 

 

 

 

そんなこんなで過ごしてから……退院の日。

 

 

 

 

 

 

「ねえ、蒼也君。良かったら、家に来てみない?」

 

こう言って、僕……夜凪蒼也に手を差し伸べてくれた人がいた。

 

 

 

月村忍さん。

 

 

 

月村家と夜凪家は仲が良かったみたいで、僕も遊んでもらった事があった。

 

「何でお見舞いに来てくれなかったんですか?」とは言わなかった。せっかく身寄りの無い僕に手を差し伸べてくれた人に、言う言葉じゃないと思ったから。

 

忍さんの線が何故か少し薄く視えるのも気になったけど……それを言うとこの「眼」の話をしなくちゃならなくなる。

どうせ信じてもらえないだろうから、これも黙っておいた。

 

 

 

そうしてまた、新しい生活が始まった。

 

境遇で同情されたりもしたが、それだけだった。

事故の影響か、虚弱体質になってしまった様で……たまに倒れたりして、保健室のお世話になったり学校早退もざらだったけど、それもそれだけだった。

学校ではみんなと仲良く遊べたし、月村家のみんなも僕に暖かく接してくれた。

それだけで。

 

 

 

嬉しかった。

楽しかった。

 

 

 

やっと、マトモな人間として生きる事が許された様な気がして。

 

 

 

だけど、不安も有った。

 

また、この幸せは、平穏は……壊れてしまうんじゃないか、と。

 

 

 

 

 

 

 

……そして。

 

 

 

 

 

 

 

今、僕の目の前には身体がバラバラになった化物がいた。

 

 

 

……間違い無い。

死んでいる……のだろう。

 

……僕は、何を、したんだ……?

 

 

 

中学2年生になって……。

今日も楽しくみんなと過ごして……。

帰ってからは宿題をして、ご飯を食べて……。

 

そうなるはず、だったのに。

 

 

 

 

 

帰っている途中、何かの呻き声が聞こえた気がして、少し路地裏の方に足を向けたのが間違いだった。

 

 

 

 

 

そこにいたのは、昔話に出て来そうな「鬼」。

角があり、皮膚は赤く、背丈は2、3メートル位ある。

 

 

 

 

 

それは僕を見ると、餌だと思ったのだろうか、走り寄ってきた。

 

腰が抜けてしまった僕は逃げようとしても大したスピードが出ず、すぐに追い付かれてしまった。

 

そして、鬼の腕が僕に迫り……。

 

 

 

 

 

 

 

……ここから先は、妙に記憶が曖昧だ。

 

ただ、僕が鬼の身体、線が視える所でバラバラにしたのは覚えている。

 

 

 

軽く震えている僕の右手には、鬼の解体に使われたカッターナイフ。

 

 

 

夢かどうかも、解らない。

 

ただ、ある事実だけが僕を震えさせている。

 

 

 

 

 

「夜凪蒼也は鬼を殺す為、この力を使った」。

 

 

 

 

 

……何で。

 

何で、こうなってしまったんだ。

 

僕は……僕、は……。

 

 

 

 

 

 

 

「!?蒼也君!?」

 

 

 

 

 

 

 

そんな僕の背中に、声がかけられた。それも、妙に聞き覚えがある声。

 

 

 

振り返る。

 

 

 

そこには、1人の少女。

 

茶髪に、まるで魔法使いの様な見慣れない服装……だけど、間違い無い。

 

それは、僕の友達の1人だった。

 

 

 

 

 

だけど、震えている僕はただ彼女の名前を呼ぶ事しか出来なかった。

 

 

 

「なの、は……」

 

 

 

あまりに白が似合う、彼女の名を。




始めましての方は始めまして。
そうでない方はお久しぶりです。
ドラゴマキナです。
この度、新たな作品をスタートさせる事になりました。
とある歌を聞いてたら思いついたネタが暴走しまして(オイ

駄文ですが、頑張ろうと思います。
感想やアドバイスとかあれば、是非お願いします。
それも考えながら頑張りますので。



……あらすじがイマイチですね。
後で変更する可能盛大です(笑)


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ep1邂逅

/なのはside

 

 

 

信じられない光景だった。

 

 

 

魔力を感知し、向かった先の路地裏に。

 

私の友達で、一般人であるはずの人がいた。

 

 

 

夜凪蒼也君。

 

 

 

ちょっとツンツン気味の頭に、見慣れた顔。

 

間違い無い、蒼也君だ。

 

 

 

 

 

そして、蒼也君の前に、バラバラになった何かの身体があった。

 

少し嫌な気分が喉の奥から込み上げて来るのを我慢する。

 

そのバラバラになったものは、魔力となって徐々に霧散しつつあった。

 

 

 

蒼也君の右手から何かが落ちて音をたてた。

 

見ると、それはカッターナイフ。

 

……カッターナイフ?

 

見た所何の変哲も無い、本当にただのカッターナイフ……それで、あの怪物をバラバラにしたの?

 

「……えと、蒼也、君」

 

何でだろう。

 

「これ……蒼也君が、やったの?」

 

私、軽く冷や汗が出てる。

 

 

 

「……夢、じゃないなら……そう、だよ」

 

 

 

蒼也君の声も震えている。

 

夢、という言葉に反応して、つい私は自分のほっぺたを強くつねってしまった。

……うう、痛い。

 

「……夢じゃないみたい」

 

だよね、と蒼也君はぎこちなく頷き……数回深呼吸をしてから、カッターナイフを拾い上げてポケットに入れた。

 

……カッターナイフで……どうやって?

 

解らないけど、とりあえず蒼也君に私と同じ……魔導士としての力が有るのかな?

確認しよう。

やっぱり、手っ取り早く判断出来るのは、これ。

 

 

 

(ねえ、聞こえる?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

/蒼也side

 

 

 

 

(ねえ、聞こえる?)

 

いきなり、頭に響いてきた声。

 

訳も解らず、目の前にいるクラスメートであり友達……高町なのはを見る。

今の声……なのは、だよな。

 

 

 

(聞こえるなら、頷いて欲しいの)

 

 

 

また聞こえた……。

訳も解らないまま、とりあえず頷く。

 

すると、なのははうん、と頷いた。

 

 

 

 

 

「デバイス持ってないし……魔導士じゃない、のかな?でも、素質は持ってるんだね」

 

 

 

 

 

……何の、話だ……?

 

 

 

「ねえ、ちょっと私について来てくれないかな?話があるの」

 

「話?」

 

訝しげな僕に、なのはは少し微笑んで言う。

 

 

 

 

 

「うん、蒼也君がもしかしたら持ってるかもしれない不思議な力について、ね」

 

 

 

 

 

「!?」

 

不思議な、力……。

 

……まあ、そりゃそうか。

 

普通の一般人が、カッターナイフなんかで化物を倒せる訳ないし……。

 

ふと化物の亡骸の方を振り返る。

 

さっきから徐々に消え始めていたそれは、もう完全消滅していた。

 

 

 

「あの……化物は?」

 

「うん、それについても話をさせて欲しいんだけど……どうかな?」

 

 

 

……断る理由も無い、か。

 

 

 

「……うん、解った」

 

「ありがとう!じゃ、ついて来て」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

という訳で、連れて行かれたのはとあるアパート。

 

あるドアの前で呼び鈴を鳴らし、少し待つ。

 

と。

 

ガチャ

 

「いらっしゃい、2人共。さ、上がって」

 

金髪、赤眼の美少女が出迎えてくれた……ってあれ!?

 

 

 

「ふ、フェイト!?」

 

 

 

フェイト・テスタロッサ・ハラオウン。

 

なのはと同じく、僕のクラスメートであり友達だ。

 

って、ここフェイトの家だったのか……。

良いのかな。男が女の子に連れられて女の子の家に遊びに行く構図になってるんだけど。

 

そんな思いはさておき、靴を脱いで揃えておき、それから女子2名について行く。

 

 

 

「いらっしゃい、なのはちゃん。それと、あなたが蒼也君ね。いらっしゃい」

 

 

 

すると、緑がかった髪の女性、黒髪の、僕より年上であろう青年が出迎えてくれた。

 

 

 

「自己紹介させて貰うわね。私はリンディ・ハラオウン」

 

「僕はクロノ・ハラオウンだ。クロノ、で良い」

 

「えっと、夜凪、蒼也です」

 

 

 

そうやって、簡単な自己紹介をした後で。

 

なのはが、さっきの事……僕となのはが出会った時の事をリンディさんに話した。

 

「……なるほど。……蒼也君、ちょっとカッターナイフを見せてくれないかしら?」

 

頷いて、ポケットから鬼の解体に使われたものを取り出して渡す。

 

「……そうね……何の変哲も無い、普通のカッターナイフね」

 

一通り確認してみた後で、リンディさんは改めて僕に聞いた。

 

 

 

「蒼也君……あなた、どうやってその化物をバラバラにしたの?これだけじゃ、出来そうにないのだけれど」

 

 

 

……まあ、普通はそうだよね。

て言うか何故倒せたか、というだけならむしろ僕が聞きたいけど。

 

 

 

んー……まずは実演した方が早いかな。

 

 

 

「えっと……何か、壊れて良いもの有ります?」

 

それを聞いて、これなら、とフェイトが差し出してくれたのはおそらく使用済の単1の乾電池。

線は……よし、視えるね。

 

「ねえなのは、この乾電池をこのカッターナイフで斬れるかい?」

 

「え?えーと、無理じゃないかな?」

 

そう言いながら、カッターナイフの刃を乾電池に当ててみるなのは。

案の定、その刃は乾電池を斬れやしない。

 

 

 

だけど、僕なら……。

 

 

 

その2つを受け取り、乾電池の方を良く視てから……。

 

 

 

そこに視える線を、カッターナイフでなぞる。

 

 

 

それだけで、乾電池は真っ二つになった。

 

 

 

 

 

 

 

「「「……!?」」」

 

……やっぱり、みんな驚くよね。

 

 

 

「……これが、僕の不思議な力とやらです。僕には……線が視えるんです」

 

「線?」

 

「そう。で、その線を刃物でなぞれば、何でも……斬れる」

 

「な、何でも?」

 

なのはにうん、と頷いて続ける。

 

 

 

 

 

「僕が視てるこの線は、要するに『死』なんだ……僕は、線が視えてるモノ全てを刃物で『殺せる』。窓ガラスだって、机だって……試してはいないけど、多分人間だって……。一応、このおかしな眼を僕は『直死の魔眼』って呼んでますけど」

 

 

 

 

 

「「「…………」」」

 

みんな、唖然としてるな……まあ、当然だろう。

 

僕が持つだけで、日頃使う様な刃物でさえも凶悪な武器に姿を変える。

どんなに硬かろうと、刃で線をなぞれば斬れてしまう僕の前では無意味になってしまう。

 

「……これは……凄まじいわね……」

 

リンディさんは難しい顔をして考え込み、クロノは頭を抱え込む様にしている。フェイトとなのはも、程度の違いこそあれ、似た様な感じだ。

 

「……これは……下手をするととんでもないレベルのレアスキルでは……」

 

「……そうね……」

 

クロノとリンディさんの会話に出て来た単語に首を傾げる。

レアスキル?何それ?

 

「あ、そうだ。蒼也君にも、私達の事伝えとかないとね」

 

そんな僕の様子に気付いたのか、なのはが色々な事について教えてくれた。

 

 

 

 

 

魔法や、それを扱う魔導士の存在。ごく稀に魔導士が持つ、「レアスキル」という固有の珍しい能力。

様々な「次元世界」の存在や、その秩序、平和を維持する為の「時空管理局」という組織。

現在では失われた古代の技術の結晶、ロストロギアについて。

 

 

 

 

 

……な、何というか……凄いなぁ……。

そんな世界で働いてたんだ、なのはもフェイトも……。

 

「えっと……じゃあ、たまに早退してたのって……」

 

「うん、そうだよ。仕事の都合でね」

 

僕の疑問に、フェイトが苦笑しながら答える。

へえ……ほんと大変なんだな……。

 

 

 

ふと、考えを決めたらしいリンディさんが僕に声をかけてきた。

 

「蒼也君、あなたなのはちゃんの念話が聞こえたのよね?」

 

「あ、はい」

 

念話が聞こえるとはつまり、僕の体内に「リンカーコア」なる物があり……そして、僕に魔導士の素質がある、という事らしい。

 

 

 

「そう、じゃあ少し時間を割いて貰えないかしら?あなたの検査をしたいのよ」

 

「あ、大丈夫だよ。別に蒼也君の身体に何かする訳じゃ無いから。ちょっとどうなってるかを見せてもらうだけ」

 

リンディさんの言葉に、思わず顔をしかめてしまっていたらしい僕に、なのはが説明をしてくれる。

ですよね、となのはに聞かれ、その通りよ、とリンディさんは頷く。

 

 

 

 

 

「そして、その結果にもよるのだけれど……私達『時空管理局』を、手伝って欲しいの。どうかしら?」

 

「え?」

 

 

 

 

 

意外な提案だった。

さっきも言っていた様に、僕の能力は大変危険……クロノが言っていた様に、「下手をするととんでもない」。

 

そんな奴に、協力を求める?

 

「……良いんですか?こんな得体の知れない能力持つ奴を……」

 

聞いてみると、だからこそだ、とクロノは答えた。

 

「得体の知れない能力だからこそ、身近でその能力を監視しないといけないからな」

 

ああ、なるほど。

確かに、一理あるかな。

 

 

 

……ふむ。

悪くないかな。

 

 

 

 

 

「そうですね、こんな力で役にたてるかどうかは解りませんけど……良ければ、協力させてください」

 

 

 

 

 

こうして、僕は時空管理局とやらの手伝いを始める事になり……新たな世界に足を踏み入れる事となった。




どうも、相変わらず下手のように思えるドラゴマキナです。

蒼也が時空管理局と関わりを持つ場面でした。
でも実際、今の蒼也は相当危険なんですよね、魔眼殺しも持ってませんし。

ある意味ロストロギア級だと俺は思います。
だって防御不可だし。
なんともハイリスクなチートですね。

さてさて、感想やアドバイスお待ちしております。
出来れば、厳しい意見も(まだもらっていないけど)お手柔らかに……何せ、豆腐メンタルなもので。
それでは。


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ep2初戦闘

/蒼也side

 

 

 

あの2日後、僕は忍さんの許可も得た上で、なのは達に同行し、アースラというらしい戦艦に行った。

 

……何と言うか、とにかく凄かった。

 

健康診断の様な身体の検査を終え……虚弱体質である事以外に問題は無いそうで。

 

魔力ランクはC、「直死の魔眼」もレアスキルとして正式に登録された様だ。

 

 

 

一応僕はなのは達を手伝う流れになった訳で。

 

とりあえず、現地の一般協力者、という扱いらしい。

 

で、具体的には一体何をすれば良いのかを聞くと。

 

 

 

「とりあえず、今海鳴市で起こっている異変の解決を手伝う」。

 

 

 

だそうだ。

 

 

 

今、海鳴市にたまに出没しているあの怪物。

 

あれは、魔力の塊で構成されたモノらしく……生物ではないらしい。

 

 

 

何が原因かまだ解っていないそうだけど……とりあえず、被害を出す訳にもいかない為、出現すれば片っ端から倒していく方針だとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

という訳で、その次の日。

 

「……」

 

僕は息を殺して物陰から様子を窺っている。

 

僕の視線の先には、身長3、4メートル位の人型の化物と、それと戦っているなのはとはやての姿が。

魔力反応が感知されたとかで……一応、僕も見学についてくる事になった。

 

……八神はやても僕の友達だが……君も魔導士だったのか……。凄いな、ほんと。

 

 

 

さっきから、2人共弾幕で敵を攻撃しているけど……あまり決定的なダメージは与えられていない様に見える。

あの化物自体の攻撃は大した事はなさそうだけど……防御重視の奴なのか。

 

……なら。右手に持つカッターナイフを強く握り締める。

 

まだ、デバイスとやらは作って貰っている途中の様なので僕の武器は相変わらずだ。だけど、僕に限って、得物の心配をする必要は無い。

 

「直死の魔眼」を持つ僕なら、刃物さえ持てば防御力を無視した攻撃が出来る。

 

 

 

今はまだ、化物は僕に気付いていない。やるなら今だろう。

 

……あれは、生物じゃない。

そう自分に言い聞かせて、全身に力を込める。

 

 

 

化物がなのはに向かってまた拳を振り上げようとした時。

 

 

 

僕は駆け出した。

 

 

 

視るのは、化物の右足のふくらはぎにある線……!

 

 

 

その線でまずは斬る!

 

 

 

「このおおおおおおお!」

 

 

 

カッターナイフをふくらはぎの線に突き刺し、そのまま線に沿って斬り上げる!

 

 

 

「ギャアアアアアア!」

 

 

 

よし、成功!

足を斬られ、化物はバランスを崩して左足の膝をつく。斬られた右足のふくらはぎから下は粒子みたいになって消えていく。

 

この高さなら、腹辺りに視える線も狙える……!

 

 

 

「おおおおお!」

 

 

 

力を込めて、ナイフで視ているその線に斬り付ける!

 

 

 

刃が届いた……そう思ったのとほぼ同じタイミングで、強烈な衝撃に襲われ、僕は吹っ飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……あれ?

 

「蒼也君!気が付いた?」

 

気が付けば、僕はベッドの上で白い天井を眺めていた。

 

隣にはなのはとフェイト、はやてと、赤髪の見慣れない少年がいた。……大体僕と同い年、かな?

 

……ってここ……病院?

 

「……えっと……あの、化物は?」

 

「あれはきっちりやっつけといたで。ただ、あんたが2度目に斬りつけた時、あれのカウンターもろ喰らってしもうてな。それでここへ連れてきたっちゅう訳や」

 

「もう……見学だけのつもりだったのに。無茶しちゃ駄目だよ」

 

「ご、ごめん」

 

はやてとなのはの言葉に、思わず謝ってしまう。

 

ただでさえ虚弱体質なのに、あんな化物の一撃を喰らう。

 

……良く無事だったな僕。

 

「うん、こっちも助けてもらっちゃった。ありがとう」

 

そうやって会話が一段落すると、赤髪の少年が口を開いた。

 

「で、俺とは初めまして、かな。俺はギリー」

 

「えっと、夜凪蒼也、です」

 

「あー、別に堅くならなくて良いぞ。大体同い年だろ?」

 

向こうがそう言ってくれたので、普通に接する事にする。

 

「俺も時空管理局で働いててさ。ま、解らない所がありゃ気軽に聞いてくれや。これからよろしくな」

 

「あ、うん。よろしく」

 

良かった、同い年位の男子がいると色々聞きやすいしね。

ちょくちょく聞いてみよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

/ギリーside

 

 

 

……ふむ。

 

……まあ、聞いた話からしても、転生者だろうな……俺と同じく。

 

転生者は俺だけかなー、なんて思ったりもしたけど……そんな事は全く無かったぜ。

転生者はこれで2人……。なんか他にもいそうだな……面倒な事にならないと良いけど。

 

しっかしまー……「直死の魔眼」か……また難儀な能力が来たなー。管理局とかは基本殺さずに解決な訳だけど……どうすんだこれ?

非殺傷設定?何それ美味しいの?ってなるぞ。魔眼を抑えるアイテムも持ってないみたいだし……。

 

(ねえギリー、本当に同い年位なの?)

 

(んー?見た目はそうだから無問題)

 

フェイトと念話でだべりながら、とりあえず今の状況を考える。

 

ま、こいつはうざい性格をしてない様で何よりだ。

ハーレム思考とかも別に無さそうだし。

 

 

 

どっちにしろ、フェイトは渡さないけどな!これ重要だよ。




と、いう訳で3話目です。
蒼也の初戦闘と、新キャラ、ギリーの顔見せが主な内容ですね。
うーん、まだ戦闘は下手くそですね。「直死の魔眼」とはいえ、戦闘が変に簡単になっちゃってるような。うーん。

……まあ、精進します。
感想やアドバイスは大歓迎です。

……あ、辛辣なのはほどほどでお願いします。
自分、豆腐メンタルなもんで。

それでは。


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